とある殺戮の天使が巨人の世界に迷い込んだそうです (二野瀬諷)
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1話 知らない異世界へ

始めまして。初投稿になります。今回は進撃の巨人と殺戮の天使というフリーゲームを題材としたものを書かせていただくことになりますが…これがまたなかなかクセのあるもので。キャラの扱いが難しいのであそばれないように気をつけて描いていきたいと思います!初心者なのでお手柔らかにしてもらえると幸いです。


「──────!!」

 

どこからか声が聞こえる。真っ白な中どこからか声が聞こえる。私はその声でゆっくりと目を開けた。

 

「──────!!おい!おいレイ!!」

 

「………ん、ザッ……ク?」

 

「早く起きろよ。どーやらめちゃくちゃなことになってんぞ!」

 

 

少し起き上がってみると私達はどこかの森の木の上にいた。

 

「えっ…。なに、これ」

 

「なにこれ、じゃねーよ。それはこっちが聞きたいぐらいだよ。俺もお前も意識が朦朧としてて気づいたら二人揃ってここの森に寝てたんだからよー」

 

あとでザックに聞いてみたところ、ザックが目が覚めた時には既にここにいたらしく私が起きるのを待っていたとのことだ。

 

…そうだ。私達はあのビルから出ようとして階段を上がりきったところでカウンセラーだったダニー先生に襲われたんだ。ってことは、私は助かったの…?それに、ザックも無事…?

 

しかも銃で撃たれて致命傷だったはずの傷が治っている。ザックの傷もどうやら治っているようだ。なんで…?

 

「おい!なにボーッとしてんだよ。そんなことよりあれみろあれ」

 

「ん…?」

 

ボヤける視界がだんだんとはっきりと見えるようになる。それと同時にこの世では考えられないような物を目撃してしまった。

 

 

「……。巨人?」

 

身長がどれくらいあるだろう。10mくらいはあるだろうか。童話とかでしか見たことのないような全裸の大きな巨人が自分たちから200mくらい離れたところでヨタヨタと歩いていた。でもなにか違うような雰囲気も感じる…。

 

「なんだよあれ…。あのビルのこともそうだったがもうこれわけわかんねえ…。でもよ、あんな見たことないでけえやつなんかよお、めちゃくちゃ殺しがいありそうだな!!」

 

ああ、やっぱりザックはこういう感じなのか。

 

あの時。ザックは私に誓ってくれた。

 

 

 

 

…お前に誓って殺してやるよ!

 

 

 

そして私はそれに対し、誓いはいつもじゃなくても、いいんだよ。こう返してそこから記憶は途絶えている。どうやらまだ誓いは守られているようだ。ほっとするような、今置かれている状況に動揺を隠せない気持ちもある。

 

「…レイ?まーだそんなつまんねえ顔してやがんなあ。んなことより今どーするべきかを考えろよ!」

 

ああ、そうだ。今この時を何とかしなければ私たちにの誓いも続かない。

 

「ザック。今は少しここから動かないほうがいいと思う…。たぶんだけど、今いるここは、私たちの知る世界じゃない」

 

「ああ!?んじゃあこのままずっとここにいろってか!?冗談じゃねえぞ!」

 

「そうは言ってない。ただ今だけ様子を見たいの。あの巨人がどう動くのかも見たいし」

 

「俺は今にもあいつをぶっ殺してみたいけどな!」

 

 

…なんといえばいいのやら。ザックにとって正体不明の巨人は恐るるにも足らないようだ。それは私にとってとても心強いものなのだけれど同時に正面から突っ込みやられるというシーンが思い浮かんでくる。純粋なのはいいことだけどここまでくると単純と言いたいものだ。

 

とにかく私達はしばらくあの巨人の様子を観察することに決めた。巨大な木が並ぶ林、というか森なのだろうか。巨人がいるところはちょうど広い空間があり、真ん中にはまた巨大樹が一本そびえ立っている。そこら中を行ったり来たりし、たまに走ってどこかに消えていくような面もあり、行動パターンはいまひとつ掴みにくいというのが正直なところだ。

 

それから二時間弱その巨人は姿を現さずどこかへ出ていったままで、私とザックは木の上から周囲を見たりしていたのだが、今のところ異常は見当たらず、何もすることがないのでついにザックが痺れを切らしてしまった。

 

「あーーーこんな暇なことってあるかよ!!しかもビルから脱出しかけた時からなんも食ってねえし腹減ったしよお」

 

少しは警戒するということを知らないの、と言いかけたがザックにこの言葉はいらないなと改めて思い、言わないでおいた。

 

あ。そーいえばポシェットの中にあれがあったような気がしたな…。

 

「ザック。お腹が空いてるならポシェットの中にザックのフロアから持ってきたポテチがあるよ」

 

「おお!!ナイスじゃねえかくれくれ!」

 

ポテチを渡すとザックはそれを貪るようにむしゃむしゃと食べ始めた。

 

……。あ、そういえば私もちょっとお腹空いちゃったな…。

 

「………」

 

私がザックを見ていると途端にザックが食べるのをやめてこっちを凝視してきた。

 

「…なんだよ。お前も食いたいなら食えばいいじゃねえかよ」

 

「え、いいの?」

 

「あたりめーだ。お前が腹減りで動けなきゃこっちが困んだよ。…あとは、まあ…なんだ、持ってきたのはレイだしな」

 

「ありがとザック。…いただきます」

 

いただきます。この言葉はいつ以来だろうか。小さい頃家族でディナーをしていた頃からだろうか。成長していくにつれて両親は仲違いをするようになり、しまいには父親の家庭内暴力に始まり、母親は病んで壊れてしまっていた。私もその情景をずっと目の当たりにし、何が正しいのか全部が全部わからなくなり自分の理想とする物を欲しくなり父親を殺し、両親とを縫い合わせてしまった過去があるが。食べながらそんなことを思ってしまっていた。

 

「…考えてみればポテチって食べたことなかったんだけど、これおいしいね」

 

「だろ?俺の人生の中でのベストフードだよ」

 

「それはそれでどうかと思うけど…」

 

そして気がつくとポテチの袋は空になり、間食程度のものとなってしまったが一応食事を済ませた。

 

「さーて、また暇になっちまったな。これからどーするんだよレイ」

 

「そうだね。まずは簡易的なものでもいいから生活できる環境を見つけないと…。この森を抜けたところに人が住んでるところがあるといいんだけど」

 

「ほんとにずっとこんな木の上のままじゃおかしくなりそうだったぜ。そうと決まったらさっさと行くぞ?…でもあの巨人見っけてぶち殺してみてえなあ」

 

「あ、そういえばザック。ビルで鎌は壊れちゃったんでしょ?いざとなったとき武器がないと危ないよ」

 

「あー…」

 

ザックの鎌は岩を砕いたときに既にボロボロになってしまっている。武器がない状態のままであの巨人や野生動物なんかに襲われたらきっとザックでさえひとたまりもないはず。でもここに武器なんてものはないと思うし……。あれ?

 

「ザック、あれみて」

 

私が見つけ指を指したのは広い空間の真ん中にある巨大樹。巨大樹には幹に大きな凹みがあり、とても奇妙な雰囲気を出している。その下に剣のような物が落ちていたのだ。

 

「うお!いいもんあるじゃあねえかっ…!」

 

「あ!ザック危ないよ!」

 

「よっと!!」

 

静止したのだがそれと同時にザックは20mくらいある高さから飛び降り、鮮やかに着地を決めたのだ。…まったく、心配がほんとに要らない感じにするのが得意なんだから。

 

ザックは剣に近寄り、それを手にして感触を確かめるように眺めていた。

 

「おー…。なんかよさげじゃねえか?柔軟性はあるが切れ味はよさそうだなっ!」

 

「ザック!あの巨人が戻ってくる前に早く戻ってきて!」

 

「あー?わぁーってるよもう少ししたらいくから…」

 

ザックがこっちに戻って来ようとして後ろを振り向いた。ほんとにその時だ。

 

 

「…グォオオオオーーー!!!!」

 

「うぉおおっと!!!」

 

「ザック!!!」

 

一瞬。ほんの一瞬ザックが巨人を見つけて避けるのが遅かったら。ほぼ即死だったであろう。その巨人はすごい速さで走ってきてザックの目の前に現れ襲いかかってきたのだ。

 

「…ふぃー。…あぶねえじゃねえかこの野郎…!!」

 

「ザック!!逃げて!!」

 

「任しとけレイ!こいつは俺がぶっ殺す」

 

あー…これは止めても無駄な感じだ。ザックの中のスイッチが入ってしまったのであった。

 

「危なくなったらいつでも戻ってきて!!」

 

こうなったらこれを言うしかない。さすがのザックでも身の危険は感じれるだろうから大丈夫だとは思うけど…。

 

「わぁーってるよ知らねえ敵だしな。ちったあ慎重にいく」

 

「グオオオーーーッ!!!」

 

「行くぜこのデカブツ野郎ッ…!!」

 

ザックはすぐさま剣を構え巨人の攻撃を避けると間髪入れず足に切れ込みを入れ、その後もニ、三回次々と切っていく。

 

「どーだよお切れ味抜群だろぉ!!」

 

「グオオオアアーーッ!!」

 

たまらず巨人がザックを掴みにかかるがそれをしっかりとザックは避け、少し距離をとるような形になった。

 

「ザック!大丈夫!?」

 

「おー!こっちはまだ余裕だけどよお…」

 

「大丈夫だけど…?」

 

「ちょいと面倒くせえことになりそうだぞこれ。切り込み入れたあいつの足みろ!」

 

「えっ…?あっ!!」

 

そこにはまた驚きを隠せない光景があった。なんと巨人の足の傷が徐々に回復しているのだ。ザックも驚いた表情でそれを見ていた。

 

「だけどよお…!こんな力があるんだったらやりすぎのうちに入らねえから最高じゃねえか!絶対ぶっ殺してやんよ!!」

 

その後もザックは巨人の攻撃を器用に避けつつ切り込みを入れていく。しかし巨人も大きいので足がどうしても中心的になるため、巨人が倒れるのを待つしかなかったのだ。

 

(どうしよう…。このままだとザックの体力の消耗が心配…。あの回復力じゃいくら切っても倒せない。なにか弱点とかないのかな…)

 

「ああもうくっそ!!!いくら切ってもぶっ倒れねえいい加減にしろよ!!」

 

「ザック!!これ以上は危険だよ!」

 

「しゃーねーこうなったら…」

 

(ダメだ、聞いてないっ…!)

 

木の上から叫ぶがそんなのはお構い無しにザックは再び体制を立て直し、巨人に向かって走っていく…かと思いきや。その走る方向は巨大樹にあった。

 

「うおおおお!!!」

 

ザックはなんと巨大樹を全力で走って駆け上がり、木を蹴ってその反発で巨人と空中で接近し、巨人の右腕を切り落とした。

 

「ガアアアアア!!!!」

 

「どーだいてえだろ!!?」

 

 

 

 

安心したのもつかの間。

 

 

 

「ゴガアアアアア!!!」

 

なんと巨人は右腕を切り落とされた状態でもなんなくその巨大な左手でザックを掴み掛かってきたのだ。

 

「うおっ…!?」

 

「ザック!!!!」

 

不意を突かれザックは防御の姿勢が出来ていなかった。もうこれまでかっ…!?そう思った。次の瞬間であった。

 

 

 

 

キィイイイイン!!!

 

 

 

甲高い剣の音。心地よいほど綺麗な音を奏でたそれと同時に、巨人が一緒に倒れるのが見えた。

 

「おい、おまえら…。こんなところで何をしている?」

 

「あぁっ…!?」

 

ザックの目の前に横たわっている巨人の頭の上には。二本の剣を両腕に持ち、重装備と翼の柄のマントを身にまとった目つきが怖い人間が立っていた




さて。これから冒険が始まっていくのですが相変わらずのザックのチートっぽさ。これフリーゲーム知らない人に理解してもらえるのかなあ。不安要素の1つでもありますね。なるべく躍動感を出しつつ細かくこれから書いていくつもりなので皆様ぜひよろしくお願いします!


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2話 調査兵団兵士長と分隊長

おまたせしました〜。一ヶ月経ちましたがなんとか完成させることが出来ましたありがとうございます。

今回はリヴァイとハンジの紹介パート、みたいなものです。


「おい…。お前ら、こんなところで何をしている…?」

 

私達が見た一瞬にして巨人を削ぎ倒したその人は。背中には緑色で2つの翼が交差したデザインのマント、腰に装着しているなにやらボンベのような物とワイヤーを発射する装置が両足に1つずつ。ツーブロックの髪をしていて、しかし一番印象的だったのは。鋭く尖った特徴をしていながらその瞳の奥にはどこかすごく悲しく、哀れな。そんな感情が伝わるような眼差し。この人も何か過去にあったのだろうか?

 

「あ?誰だ、てめえ」

 

「…俺は調査兵団兵士長のリヴァイだ。そこの包帯グルグル巻きのてめえと木の上のガキはなんだ」

 

「俺か?…ザック、アイザック・フォスター。んであっこにいるチビはレイだ」

 

いやいやザック。そこはフルネームでちゃんと紹介してよ、と言いかけたがこの木の上だ。声を出すのも疲れたのでやめておいた。

 

「ほう…。お前、巨人と立体機動装置もなしに戦ってやがったな」

 

「ん?おお、あんまりにもデカくて珍しかったから殺したくなったんだよ!」

 

「珍しい…だと?」

 

ザックがこう言った瞬間、リヴァイという人の眉が少し、歪んだ気がした。

 

「お前ら、巨人を見たことがないのか」

 

「あ?見たことあるわけねえじゃねえか、ニンゲンがいる世界しか見たことも聞いたこともねーえよっ」

 

「そうか…。お前らは外の人間か、っていつまでもあのガキを木の上にいさせるわけにもいかねえな」

 

そう言うとすぐにワイヤー装置みたいなものを使って私のいるところまで上がってきた。近くで見るとなおさら冷たい眼をしているように感じる。

 

「おい、つかまれ」

 

「え、あ…」

 

言われるがままに脇に抱え込まれ装置を使って木を使いながら降りていく。降りて来た時に若干ザックがイラっとしているように見えたのは気のせいだろうか。

 

「ガキ。お前にも───」

 

「ちょっと待って私はガキじゃない。レイチェル・ガードナー。」

 

前にも神父様とかいろんな人に魔女とか言われてたな。そう言われるとなんかしゃくにさわるし。というかなんで魔女なんだろ、魔法が使えるわけでもないんでしょ?

 

「…レイチェル。お前にも聞きたい。お前らは外から来た人間なんだな?」

 

「外から来た…というよりかは転生したって言う方が正しいかも。私達は地下ビルから出ようとしたらいつの間にかこの世界にいたの」

 

「……」

 

まあこんなことを話しても簡単には信じてもらえないことはわかっている。受け入れる人間がいたら逆に不思議なんだけど。それよりもこの人が言った、外の世界の人間。この言葉が1つ引っかかる。いったいどういうことなんだろうか。

 

「あの…外の世界ってどういうことですか?」

 

「ああ…そうかお前ら知らないのか。あー…。ここにいても危ねえだけだな。詳しくは壁の中に戻ってから教えてやるからついてこい」

 

「壁の中…」

 

「あーもー難しいことはわっかんねえんだよグダグダ話やがって!!」

 

「「!?」」

 

ああ…そうだった。ザックはややこしい話が大の苦手だった。なにせ文字も読めないほどの教養のなさだ。最近は頑張って読めるよう勉強してたみたいだけど。また教えてあげないと…。

 

「それよりもよお…あのでけえ巨人を1発で殺りやがったお前にも興味があんだよ」

 

「どういう意味だ、てめえ…」

 

あ、これはもしかして。と思った時には既に遅かった。

 

「そんなに強えお前もよお…。つい殺したくなってよおーーー!!!」

 

「ザック!!」

 

やっぱりザックは我慢出来なかったようだ。瞬間的な速さでリヴァイさんにさっき手にしたブレードで襲いかかっていってしまう。この世界でも殺人鬼になるのか───と思ったら。

 

「…調子に乗るなよ、クソガキ」

 

「!!?ぐああ!!」

 

「…え」

 

あんまりにも速すぎて見えなかった。ザックがブレードをリヴァイさんに向けて降り掛かったところまでは見えたのだが、それよりも素早くリヴァイさんはこれを制してザックを関節技で押さえつけたのだ。

 

「いでででで、離せ!!!」

 

「…この俺に殺意を向けて来たのは巨人以外お前が初めてだな」

 

たぶん言葉とザックを制した素早さ。そしてさっきの巨人を1発で倒したところを見るとリヴァイという人はとてつもなく強いのだろう。その証拠に今まで殺人鬼と恐れられてきたザックが片手でブレードを抑えられ、もう1つの腕が背中に回され、これもまた抑えられられている。

 

リヴァイさんが離した後はザックも襲いかかることは止め、関節技をやられた左腕をブラブラさせていたりしていた。

 

「…一体どういうことなんだレイチェル」

 

「ごめんなさい、ザックは私達の世界では殺人鬼で通っていたの、だから嬉しそうだとか、楽しそうな顔してる人、もしくは強い人とかを見ると殺したくなっちゃうみたいで」

 

「しれっとそういうことを言うお前もなかなか異常な奴みてえだな…まあいい、そろそろあいつらが来るはずだ」

 

そう言えばほかの人はいるのだろうか?と気になってはいた。それは少し経ってから分かることになる。

 

「リーーーヴァーーーイーー!!」

 

女の人の声だろうか。森の少し遠くから馬に乗ってこっちに向かってくる人が4、5人見えたのだ。

 

「リヴァイ〜勝手に外れるのは困るよーーエルヴィンも呆れてたよー?」

 

「んなもん知るか。巨人が異常な動きをしていたからもしかしてと思ったんだよ。そんな動きしてたらお前も気にならないのか」

 

馬から降りた女の人?は少しためらいながらも口を開けた。

 

「それは…過去にリヴァイが私を助けてくれたときに壁外調査中は私の立案作戦が実行されない限りは危険な行動はしないってエルヴィンとの決まりなんだ」

 

「…そうかよ」

 

「ところでリヴァイ?そこにいる包帯のミイラと女の子はなんだい?ついにリヴァイもオカルトとロリにめざめちゃったとか!?あははは!!って痛い痛いやめて!!!悪かったから!!」

 

調子に乗りすぎたのかリヴァイさんに絞められる。このままじゃザックがまた我慢ならないし再び巨人が来るかもわからない。

 

「…おい」

 

あ。

 

「さっきからごちゃごちゃうるせーんだよ!俺はめんどくせえ話は嫌いなんだもっと早く済ましやがれ!」

 

「…ザック」

 

「心配ねーよ殺さねえ。…さっきの抑え込みはもうされたくねえしな」

 

ああ、さっきのリヴァイさんの。軽くトラウマになってるのか。ザックでも「炎」以外で怖いものがあるんだね。

と、私は何か安心感のようなものを感じた。

 

「あ、ごめんごめん!君は…」

 

「ザック。アイザック・フォスターだよ」

 

やっとリヴァイさんから解放された女の人が気づいたように言うと、ザックは不機嫌そうに自分の名前を返して言った。

 

「ザックだね!よろしく〜!私は調査兵団分隊長のハンジ・ゾエだよ!」

 

この人はなんだか明るそうな人だな。さっきのリヴァイさんに対してもそうだったけどとりあえず食って掛かるあたり少年のような心を持ってるんだろうな。でも私にとってもザックにとっても少し暑苦しいかもね。

 

「よーハンジさんよお。お前はそこのリヴァイとかいう奴よか強いのか?」

 

ザック、さっきのことを思い出してるのかな?

 

「あはははは!!それはないない!人類最強のリヴァイに勝てる人なんているわけないじゃーん!はははは!!」

 

「…そんなに強えーのか」

 

驚いた。『人類最強』これは今まで生きてきて一度足りとも聞いたことのない言葉だ。私達の世界では具体的に人類最強とか定義があるわけじゃないし誰かが決めるわけでもない。あるとしたらそれは個人の定義、それだけだ。ちなみに言うなら私はザックが最強だと思っていたけれど。

 

「すごいよリヴァイは、誰もが認めてるもんねえー」

 

「…ほざいてろ。人類最強なんてまるで意味がねえ」

 

「あらあら堅いねえーリヴァイは。もうちょっと自信持てばいいのにって毎回言ってるのにー」

 

「…そんなことよりもうここは危ねえ。こいつらを引き連れて拠点に戻るぞ」

 

拠点…?街とかってないのかな。

 

「はいはいわかった。二人とも、余ってる馬があるからそれに乗っちゃって。レイちゃんは小さいから2人乗りでも大丈夫だと思うから」

 

「え、馬に乗るの…?」

 

なんか昔の光景みたいだ。ここの世界では普通のことなのかもしれないが思わず声に出てしまっていた。

 

「そうだよ?それがどうかしたのかい?」

 

「…車かと思った」

 

「車?なんだいそれ、ちょっと話を聞いてみたいけど…壁の中に戻ってから聞くとするかな。まずは戻ろうかー、乗って乗って」

 

とりあえずザックと2人で馬に乗ってみる。あれ?乗馬経験なんてザックには…。

 

「…あのよお」

 

「ん?また今度はなんだい?」

 

「俺に馬なんて操れるわけねーだろ!」

 

「まあまあ、フィーリングでなんとかなるよ、あははは!」

 

「ふざけるのも大概にしとけよ…」

 

「待って、ザック」

 

「あー?なんだレイ」

 

「私、馬乗ったことあるよ!できる」

 

思い出した。ちょっと昔。まだ家族が平和に暮らしていた時に乗馬経験をしたことがあった。あの時はまだ私が7歳だったかな。驚くほど上手くて調教師さんが驚いていた記憶がある。

 

「マジかよ…出来んのか?」

 

「やってみる」

 

そう言って手綱を握って歩かせてみる。するとすんなり馬が歩き始めたのだ。

 

「次は曲がってみよう…」

 

手綱を操ると馬は思った方向にすんなりと言う事を聞く。

 

「…レイ、お前すげえな」

 

「言ったでしょ、ザックの役に立つって。約束したから」

 

「…おう、そうだな!」

 

「よっし!じゃあ大丈夫だね、いくよー!」

 

こうして私が前に座ってザックが後ろから私を抑えるような形で馬に座り、リヴァイさんやハンジさんたちと一緒に馬を走らせた。

 

 

 

 

 

 

しばらく付いていくと、なにやら建物のようなものが見えてきた。あれが拠点という所なのだろうか。

 

「レイちゃん!ザック!着いたよ、ここが私達の壁外拠点だ」

 

「壁外拠点…?」

 

馬を降りると、ハンジさんやリヴァイさんのような格好をした人達が20、30人くらい。中には塔の上から監視をしている人の姿も見受けられた。

 

そして私達は一つのテントに案内された。

 

「エルヴィンー!入るよー?」

 

「ああ。」

 

入っていくと金髪で妙に落ち着いたような、不気味な、そんな雰囲気のある人が椅子に座って机越しに私達を待っていた。

 

「紹介するよ、私達調査兵団の団長、エルヴィン・スミスだ」

 

「なるほど、君達が…」

 

じっくり見つめるように私達を見てくる。なにか観察でもしてるのかな。観察はもう疲れたんだけど。また魔女とか呼ばれるのはもう嫌なんだけど…。

 

「エルヴィン。こっちの二人がアイザック・フォスターとレイチェル・ガードナー。伝達で伝えたように二人は外の世界から来た人間だ」

 

「…なるほど。改めてよろしく二人とも。私がここの組織をまとめるエルヴィンだ」

 

さっきとは打って変わって優しい顔で握手を求めてきた。それに私達はしっかりと応じた。ザックに関してはちゃんと私がやるように言ったけど。

 

「さて…。君達に来てもらったのは他でもない。聞きたいことがあってここに呼んだ」

 

聞きたいことねえ…。神父様のなんか訳がわからなかった質問を思い出すなあ。何者だー、とか。そんなのじゃないといいな。

 

そして間を明け、エルヴィン団長はゆっくりとこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────君達はこの出来事をどう思う?何が見える?」

 

 

 

 

 

 

 

それは。私達がこの世界に来た理由を知っているような。どこか見透かしたような。引っかかるようなそんな言葉を。エルヴィン団長は私達に投げかけた。




本当に紹介パートみたいな感じになってしまったな…。次からはストーリーに入って行けたらいいかなと。

また一ヶ月くらい空くかもですがお待ちください!


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3話 世界への扉

長らくお待たせして申し訳ないです。なかなかリアルが忙しくなってきて書こうとしても書けないようなそんな日々が続いてました!やっと投稿できることを嬉しく思います!待っててくれた人達にはほんとにすいません!

ではどうぞ!


「…君達はこの出来事をどう思っている?何が見える?」

 

 

 

 

「「──────?」」

 

それはまるで私達がこの世界にきた理由を知っているかのようなエルヴィン団長の言葉だった。

 

「───それはどういう」

 

「ああ、これは失礼。いきなり変な質問をしてしまったようだ。しかしこんなことを聞いたのは君の隣にいるアイザック。君の高い戦闘能力とレイチェル。君のサポートの力をリヴァイから評価があったためだよ」

 

あのリヴァイさんが…。戦闘能力という言葉を聞くとこの世界ではあの巨人たちは人類の敵、ということになるのかな。

 

「勘違いすんじゃねえぞ餓鬼共。俺はこの世界にお前らみたいなのがなんで迷い込んじまったのか、別の世界ってやつがどんなもんなのか気になっただけだ。…まあお前らの戦闘能力ってやつも連携によるものだってことも分かったがな。それを考慮してだ」

 

「…いつにも増して喋るじゃないか、リヴァイ」

 

「うるせえ。俺は元々よく喋る」

 

エルヴィン団長がニヤリと言った言葉にリヴァイさんはそう言いながら軽くそっぽを向いた。

 

「まあ、こんな感じだ。我々は巨人を倒す他にこの世界、つまりさっき見てきたであろう壁の外側に隠された世界を知るためにも君たちの力が必要だ」

 

「…だって、ザック。どーしよう」

 

「……」

 

「…ザック?」

 

なにやら少し考えていた感じで頭をポリポリかいていたがやっとザックが口を開けた。

 

「…さっきからあーだこーだ言ってたみてえだけどよお。お前らに協力したらあのデカブツをぶっ殺せんのか!?」

 

「保障しよう。我々は巨人を駆逐するためにここにいるものでもある」

 

「うっしゃあ!やろうぜレイ!!」

 

ふふっ…まったくこれなんだから。

 

「…うんっ、わかったっ…!エルヴィン団長、やります、私達、協力させてください」

 

 

「ありがとう。君たちにはやってもらいたいことがたくさんあると思うから協力してもらい感謝する」

 

「うっし!じゃあさっそく殺しに」

 

「待ちなさい。まだその段階に行くまでは順序というものがある。まずはそれをこなしてからだ」

 

ザック、そんなに殺しがいがあったんだね…。私は到底近づきたくないんだけど。元の世界に戻るためにヒントがあればって話って理由で協力してるだけなんだよなあ…。

 

「まず君たちには壁内にいって調査兵団本部に来てもらう。そのあとに色々チェックが入ると思うから理解しててくれ」

 

「あ?んだよかったりいなあ…」

 

「まあしかたないよ。やろ?」

 

「…しゃーねえな」

 

意外と素直なんだな。ふふっ

 

「よし。それでは今回の壁外調査はこれで終了。壁内に戻り結果をまとめることにする。総員撤退準備にとりかかるように、リヴァイ、ハンジ、頼む」

 

「わかったよ!」

 

「…了解」

 

そして各々が準備を始めていく中、私達には待機命令が出され団長と一緒にテントの中にいた。そんな時だったが1人気になっている人物がいたのだが…。

 

「…あの、1つ質問いいですか」

 

「…なにかな?」

 

「さっきから私達のことを間近で匂いを嗅いでくる人が…」

 

さっきにエルヴィン団長の話を聞いている時からずっと私とザックの匂いを嗅いでいる人がいるのだ。金髪で身長がさっきいた誰よりも高く鼻の下と顎のヒゲが特徴的だ。

 

「だあああテンメエうっとおしい!!!!!」

 

どうやらザックに標的が移ったようで必死に抵抗しているがなすすべなく捕まっていた。あ、抜け出した。でもまた捕まった。

 

「ミケ、そのくらいにしておいてあげな」

 

「フッ」

 

「ハー…ハー…。…なんだよこいつはァ!?」

 

「ザックとりあえず落ち着いてその刃を人に向けるのはやめよう?ね?」

 

ザック!ここで殺人起こしたらほんとにまたあの巨人たちのとこに放り出されるから!!と必死に落ち着かせる。あの時とは状況が違うから私がしっかりしないと!

 

「すまなかったザック、軽くトラウマになってしまったようだね。気をつけるようにするよ」

 

…ほんとだ。足が震えてる。私の時にもう言えば良かったかな。

 

「紹介が遅れてすまない。こいつはミケ・ザカリアス。ハンジと同じく調査兵団の分隊長を担当している。鼻がよく匂いだけで巨人の位置を特定することが出来るんだ。しかし人の匂いを嗅いでは鼻で笑うという癖が少し難があるがな」

 

「おいおい、人をこいつ呼ばわりとは失礼だな団長よ」

 

「…別世界から来た人間ということで気になるのはわかるが初対面でそんなにまとわりつくな…初めてだなお前のそんな所を見たのは」

 

「…この世界の人間とは違った匂いがしてな。どうやら事件の匂いがプンプンしたよ」

 

「お前…匂いだけでそこまでわかんのか?」

 

「まあ憶測だがだいたいのことはわかるな」

 

「……やっぱりこいつきめえ」

 

若干だがザックが後ずさりしたような気がした。

 

「偽名?何のことだ?」

 

「あ、なんでもないですごめんなさい。ザックはほんとに本音が常に出てくるんで」

 

礼儀を知らないとこういう時キツイなあ。私だってまだあまりわかんないし。

 

「…ほう。そうなのか。にしても過去の話、とやらが気になるな」

 

「団長!出発の準備、整いました!」

 

「…わかった。ではその話は壁内に戻ってからじっくり聞くとしようか。では全員出発するぞ!」

 

そして調査兵団と共に壁内と呼ばれる場所に向かうことになった。さっきとは違って私はハンジさんの後ろに、ザックはリヴァイさんの後ろに乗ることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うげえええ酔う…!」

 

「チッ、ここで吐くんじゃねえぞガキ。きたねえからな…」

 

…大丈夫かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結構な長い道のりにはなったが無事壁内と言われるところには安全に着きそうだ、ということだ。

 

「ほらほら、見てレイチェル!あれが壁と呼ばれるものだよ!」

 

見てみると約50mの壁が長きに渡って円形のようにずっと繋がっているのが見てた。しかし私達の世界では…ねえ。

 

「なんか1つの城みたい」

 

「城ねえ…。言われてみればそんな感じもするけど、あの壁の大きさに驚かなかったのは君が初めてだよ?」

 

ああ、この人たちはこれ以上の建物の大きさを見たことがないのか。

 

「私たちの世界の建物は50mは簡単に越える、600mの電波塔なんかが当たり前のようにあるところですからね」

 

「600m!?それは驚いたなあ…。そんな世界1回でいいから行ってみたいよおっ…!」

 

「…はい」

 

ただ、そんなに住み心地のいい世界ではない。私達はそれを身をもって経験している。でもだからこそ得られる大切な存在というものもある。いつか殺されるために。私は私なりに出来ることをやる。この世界では生き残るために。

 

 

 

 

しだいに壁の近くの門に到着し、調査兵団全員が集合した時点で門の開放が始まった。

 

「ゲート開門ーー!!」

 

壁の上で見張りをしている兵士の人がそう言うと部分的に違う造りのゲートと呼ばれる門が開かれる。そこをくぐり抜けるとまた違った景色が見えてきた。

 

「調査兵団が帰ってきたぞー!」

 

「エルヴィン団長!巨人共を蹴散らしてくださいー!!」

 

「おい!あれみろよ!リヴァイ兵長だ!!」

 

「1人で1個旅団並の力があるみたいだぜ!?」

 

「あの後ろに乗ってる包帯野郎はなんだっ…!?」

 

「気持ちわるいな…」

 

…なんかうるさいなあ。あとザックは気持ち悪くないし。

 

「おいレイ!…レイ!」

 

急に隣の馬にリヴァイさんと一緒に乗るザックがこっちを振り向いてきた。

 

「…?どうしたの、ザック」

 

「この世界じゃあ巨人を殺せばヒーローになれるみてえじゃねえか、なんせ殺してめっちゃ人から褒められるんだぜ?こんなこと最高だろーがよ」

 

英雄級の扱い。なにかを殺してこんなに期待と賞賛をされるなんて。

 

それはレイチェルとザックにはなかった世界観。人を殺してしまえば犯罪者。それが当たり前だったからこそこの世界でいう「巨人」を殺すことによって讃えられることの新鮮さを感じたのだ。

 

「フフ…。ザックはとことんザックだね」

 

「ん?俺は俺だろーがよ」

 

「そーいう意味じゃないけどね」

 

その少し頭弱いとこもザックらしいと改めて感じた。あれ、これザックのこと馬鹿にしてることになるのかな。

 

「おい、少しは静かにしろ。うるせえし余計な情報を民衆に漏らしかねんからな」

 

「〜〜〜ッ!!」

 

リヴァイさんに敵わないから何も言えないんだね…。ある意味ザックにとって苦行かも。

 

ザックが小言をブツブツ言うのをたびたびリヴァイさんが制するのをしばらく見続け、そうこうしているうちに本部へ着いたようだ。

 

「ここが俺ら調査兵団の本部だ」

 

見てすぐ一言言いたかった。

 

「…ちっちぇ」

 

「あ…ザック」

 

私も思った。城みたいなのイメージしてた。しかし現実は現実。こういうところは私達の世界とあまり変わらないみたいだ。

 

本部にしては小さいと思う二階建ての建物。私達のところでいうよくある小さな工場を木にしたって感じだろうか。

 

「調査兵団にはあまり予算が回ってこないのが現状だ。仕方ないのもあるしこれから我々が結果を残して行かなければいけないだろう」

 

「なるほど…」

 

「あ、でも必要な設備はある程度揃ってるから心配しないで!中に入ったら普段生活してる人たちにはなかなか飲めない紅茶を煎れてあげるよ!」

 

しばらく話さなかったハンジさんが割り込むように会話に入ってくる。

 

「紅茶かあ…久しぶりだな」

 

昔はよく朝食の後とかにお母さんに煎れて貰ってた。あの時の紅茶はおいしかったなあ…。あれから何年経つんだろ。

 

「紅茶?なんだそりゃ?」

 

「どうやらレイチェルは知ってるみたいだね。ということは君たちの世界でも存在するわけかあ、共通点があって嬉しいよ!でもなんでザックは知らないんだい?」

 

「あ…それはまた中に入ってから話します、私のことも含めて全部」

 

「わかった、じゃあここで立ち話もなんだし入ろうか」

 

「ハンジ、レイチェル達は君に任せるよ。私はこれから憲兵と王政に今回の遠征について話をつけてくる」

 

「了解エルヴィン。じゃあ入ろう」

 

「やっと眩っしい外から中入れんのか…」

 

本部の中に入って案内されたのは少し大きい客間みたいなところで大きなテーブルがあり、その周りを囲うように三方向にソファーが配置されていた。他にもシャンデリアに赤絨毯、暖炉。これだけでもなかなかいい部屋だ。

 

「さあ、座って座って、紅茶煎れてくるよ。ちょっと待っててね、今日は少しいい葉使っちゃおうかなあ〜」

 

そういいながらハンジさんは一旦席を外した。部屋には私とザックだけである。考えてみれば2人だけっていうのも時間的に久しぶりだ。

 

「あ〜〜〜つっっっかれたじゃねえかよお!!!!!」

 

「これに関しては仕方ない、ここの世界の人と関わりがないと元の世界に戻れる手がかりが探せない」

 

「人類最強とかいう奴に調査兵団!?難しいことはよく知らねえんだよまったくよお!」

 

どうやらすっごく何も言えないストレスを我慢してたみたいだね。えらいよザック。

 

「たりめーだ畜生。ちょっとはこっちの身にもなってほしいぜ」

 

あ、声に出てた。

 

「もうよー。細けえことはレイ!お前に任せてもいいか?俺はバカだからあのクソみてえな巨人ぶっ殺すことしか頭にねえからお前が危なくなったら俺が守る。だからお前は俺の脳になれ、あん時と同じだったように」

 

「…そうだね。私がんばる」

 

「なーに、心配するこたねえよ…。この俺がいるんだぜ?」

 

「…うんっ!」

 

やっとゆっくり話せたのでこの信頼確認だけははっきりしたかった。よし。これで大丈夫だ。あとは進むだけ。

 

 

「ごめんね〜お待たせ!今日のは美味しいと思うよ〜!あと軽くお菓子も作ったから食べて食べて!」

 

「ありがとう」

 

「…あんま甘いもんは好きじゃねえんだよなあ」

 

「ザック」

 

「…へーへ」

 

ハンジさんが戻ってきたところで紅茶とお菓子をもらう。実のところ甘いものがしばらく食べれてなかったのでこの配慮は非常にありがたかった。

 

「…これ、美味しいっ…!」

 

「ほんと!?嬉しいなあ〜結構高かったんだよ〜気に入ってくれてよかった!」

 

「…うげ」

 

ジャンクフード好きのザックには酷なものだったようだけれど。

 

「よーし、一息ついたとこで君たちの世界での話でも聞こうか、何かヒントに繋がるかもしれないし、私達の調査にも幅が広がるかもしれないからね」

 

いよいよ過去のことを話すことになる。果たしてこの世界の人には理解して貰えるのだろうか。

 

 

 

いや。理解してもらうかどうかは問題じゃない。ありのままの事実をそのまま言えばいいだけの話。堂々とすればいいんだ。大丈夫。

 

 

 

 

そうして私は1つ1つ丁寧にあの地下ビルでの出来事。ザックや私の幼少期の話などを話し始めた────。




ザックとレイチェルがやっと2人きりになれて信頼を確認できましたね。考えてみればフリーゲームでもこうした話がストーリーの鍵を握ってた気がします。

では次回ほんとに頑張らないとな…。頑張ります!臨機応変に対応していきますので長い付き合いになると思いますが見ていただけると嬉しいです。誤字報告などありましたら気軽にどうぞ。ではお疲れ様でした!


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4話 二人は流れる変化に身を任せ、だが本質は失わず。

長らくお待たせして申し訳ないです。なかなか前の記憶のデジャヴ()が頭をよぎりつつありましたが…なんとか書き上げたのでどうぞ!!


──────地下ビルでの出来事。それに至るまでのザックや私の過去。全てをハンジさんに話した。途中から記憶がフラッシュバックして来るのを感じた。1日2日の話だったが人生の中でこれ以上のことはないような経験をした。記憶が消えていたこと。あらゆる殺人鬼に殺されかけたこと。魔女と呼ばれ異端とされたこと。自分自身の心が狂っていたことを思い出してしまったこと。

 

そしてそれでも変わらず私を信頼し、守り続けてくれた大切なパートナーが出来たこと。これら全部、全部全部が濃すぎる記憶としてこれからも鮮明にずっと覚えているのだろう。

 

…大切なパートナー、か。まだまだ短い時間の中でしか生きていないけれど。私は…私は───────。

 

「…レイチェル?泣いているの…?」

 

「……え?」

 

ハンジさんに言われて私はやっと気づいて驚いた。冷静でいるのに自然と涙が流れ出てきているのだ。

 

「…ったく、てめえは結局泣いたりばっかじゃねえか」

 

「あっ…あっ…ザックゥ…、んむっ!?」

 

「…あーあー。もう顔ぐしゃぐしゃじゃねえか、だらしねえ」

 

だんだんと涙が止まらなくなり、おもむろにザックの方を振り向いたら瞬間的に抱きしめられていた。ザックが人を抱きしめることがあるなんて…。あったかい。…あったかいよっ…!

 

「うううっ…!ザックッ…ザックッ…!うわあああん」

 

「ふはっ、まーた泣いてんだな」

 

「…すごいね。まだそんな年なのに本当に辛かったんだうね」

 

「おい…同情か?」

 

「…え?」

 

ハンジさんが言った言葉にザックが鋭い目線を送る。なんでだと言わんばかりにハンジさんは驚き、その眼の鋭さに固まっていた。

 

 

「…テメエらにはどう足掻いてもわからねえよ。こいつをわかってやれんのは俺だけ、俺を分かってくれんのもこいつだけだ。俺らは2人で1つなんだよ」

 

「…なるほど。2人でしか共有できないモノ…か」

 

「…おう、このちっちぇガキがどれだけ魔女やら殺人鬼やら言われて苦しんでたかはどんな世界でもお前らにはわからねえ。だから同情なんか余計な世話なんだよ」

 

「……。」

 

ザックははっきりとそう言い切りつつ、私をまだ抱きしめてくれている。少し前だったらなかったような、確かな温もりで。

 

「…君達を見ていると、前にハンネスさんが言っていたシガンシナ区出身のあの子達の話を思い出すなあ」

 

「あの子達?」

 

「うん。ちょうどレイチェルと同い年くらいの子たちが今年訓練兵団ってところに所属になったんだけれどその子たち、シガンシナ区に住んでいた時に巨人に襲われて親を亡くしてて助け合って生きてるんだって君たちのことを見てて同じようなことを思ったんだよ」

 

「…俺らはほかに頼る奴はいねえんだよ」

 

「そうだね…その子達もそうだったらしい。だからこそこの時代を生き抜いてほしいしそのためにも私達は巨人に勝たなくてはならない。勝つためだったらどんな残酷な手でも使わなくてはならないんだ。勝利の先にあるものを見るためにね。だからこそ君たちの手も借りる」

 

「巨人殺せんだったら俺はなんでもいい。殺人鬼に何を今更言ってやがんだ」

 

そうだったね、とハンジさんは軽く頷き自分の持ってきた紅茶を啜る。やっと涙が止まりかけてきた私とザックもそれからはお菓子を食べたり紅茶を一緒に飲んだりと他愛もない話やこの世界の話を聞いたりした。

 

一息ついたところでドアを3回ノックする音が聞こえた。ハンジさんがどうぞ、といい部屋に通す。エルヴィン団長だ。なにやら書類を抱えている。

 

「休憩しているところすまない。君たちの壁内での住民票などの登録が済んだことと上層部に話をつけてきた」

 

「やっと出来たかあ…。んでエルヴィン、この子達は議会に出向く必要はありそうかい?」

 

「その必要はない。とりあえず君たちの力を試したいとのことで特別に我々調査兵団に飛び級配属され、次回の壁外調査に同行せよ。との通告だ」

 

壁外遠征…?それって私達が団長さん達に見つけてもらえた時のあれのことかな?

 

「ひゃ〜〜大胆なこと言ったねえ。で、それを許可したのはいったい全体誰なんだい?」

 

「ダリス・ザックレー総統だ」

 

「あん?…ザック?」

 

「ザックレーだ。なにも君に関係はしていないから安心してくれ」

 

「俺の名前と被せてくるとかなんかイラつくな」

 

なにかと突っかかるのはやめてくださいザックさんこっちが止めるの大変なんだから。

 

「あは、ザックはこういうの気にするタイプなんだ?」

 

「自分とおんなじとか気持ちわりぃよ。俺は俺っていう唯一の存在でい続けてえんだよ。それによお…」

 

「「??」」

 

そう言ってザックが私の顔を見つめる。

 

「へっ、…お前には、俺だけにザックって言ってほしいからよお」

 

「ザック……。うん!」

 

(フン…なんだよこの空気は…)

 

「…リヴァイ?どうかした?というかいつの間に?」

 

「…なんでもねえよ、てかエルヴィンと一緒に入ってきただろ」

 

そう言うリヴァイさんは。なんだかちょっと不服そうな少しだけ羨ましそうな顔をしていた。

 

「そんなことよりもう一つ報告がある。お前らの扱いは一時的に訓練兵団の所に任せることになった。もう少し巨人との戦い方を知れ、ということだな」

 

「くんれん…へいだん…戦い方だァ?」

 

「そうだザック。お前の身体能力と戦いの発想力は下手な兵士より群を抜いている。だからこそもっと強くなれ。立体起動装置とブレードの扱いにも慣れないとだからな。」

 

「リヴァイ、今日はよく喋るじゃないか」

 

「馬鹿を言えエルヴィン。俺は元々よく喋る。じゃあな、せいぜい頑張れよ」

 

そう言い残すとリヴァイさんは部屋を出ていってしまった。ザックはもっと強くなければならない…か。

 

「すまないなザック、レイチェル。リヴァイは少し不器用なところがあってな、ああやって言うということはザックを評価している証なんだよ」

 

「…ほー?」

 

やっぱりこっちの世界でのザックの殺戮スキルは巨人をも圧倒するようで。人類最強の人から評価を貰うということはそういうことなのだろう。

 

「ああ、あとレイチェルのこともさり気なく評価していたようだ、あの馬鹿をよくコントロール出来るな、と。ザックが巨人と戦っていた時に指示を出していたのは君だろう?」

 

あの時…たしかにそうだ。私はザックに指示をだしていた、ような気がする。巨人に襲われるという唐突なことが起きていたからあまり覚えていなかったけれど。

 

「あんなに冷静な指示を出せる君のことも褒めているようだよ」

 

「…ありがとうございます」

 

「レイチェルとザックはいいパートナーだもんねえーいいねえお似合いだよう」

 

「俺らは約束してんだよ、最高でなきゃいけねえ。俺はレイを殺させねえしレイは俺が困った時に役に立つ。それが俺らの絆だ」

 

「なるほどねえ…うん。いいと思うよ!若いっていいねえ…」

 

この時ハンジさんが言った若いという言葉がなぜ出たのかは分からなかったが後押しはしてくれたみたいだ。やることをやるだけ。私達の約束を守るために。

 

「まあまあ、そんな感じで少しの間だが訓練兵を楽しんでくれ二人とも。話はつけてきてあるからまずは教官のところに明日は案内するよ」

 

「…だって、ザック。上の人の言うこと聞ける?」

 

「だーいじょぶだ、なんとかなるだろ」

 

本当かなあ…。

 

そんなこんなな訳で。私達は一定期間の訓練兵団配属が決まった。私はなぜか少し不安があった。的中しないといいのだけれどね。そんなことを思いながら今日を過ごし、そして明日を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────翌日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てめえなにしやがるんだ!!!」

 

「うっせーなてめえ、そんなに自信があるなら力づくでやってみろってんだよ、へっ!」

 

「この野郎ッ……!!!!ウラアアアアア!!!」

 

「やめろよザック!〇〇〇!!」

 

 

(…どうしてこうなったんだろう。)

 

 

 

つづく!!!




次回からはザック、レイ訓練兵団編です。すぐ出せるかなあ…また長くなりそうだなあ…。できるだけ早く出したいと思いますのでっ…!

次回もよろしくお願いします(小並感)


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5話 さあここから始めよう。

ごめんなさい…2ヶ月どころか4ヶ月も掛かってる上に雑すぎるよ馬鹿野郎…。

あ、どうもこんにちは。おひさし振りでございます。近況としては少し大事な存在が出来てしまった私です。まあ色々ありまして…。また遅くならざるを得ないという言い訳にしか聞こえないことになりまして誠に申し訳ない。そのぶん努力していこうと考えています。

今回は少し短めです。


「…貴様らか。エルヴィンが言っていたのは」

 

私たちはとある訓練兵団の教官室と呼ばれる場所へ行き、エルヴィン団長から言われたとおり訓練兵団のキース教官という人に紹介されていた。キース教官は結構ベテランの教官らしい。前調査兵団団長だったこともあり、街でも知っている人間も少なくないようだ。特徴的なのがスキンヘッド。いつからあんな頭になったかは覚えていないらしい。まあそんなのどうでもいいことなのだけれど。

 

「…なんだ貴様、そんなにジロジロ私のほうを見て。なにか付いているか?」

 

「いえ、ただあなたの眼が気になったもので」

 

キースさんの鋭い眼がすごく気になった。怖いような、でもどこか悲しいような、深いなにかを背負っているような、そんな眼だった。…リヴァイさんもそうだったけれどここの人たちは誰もがなにかを背負って生きている、自分たちの経験から感じるものがあった。

 

「眼…だと?…ふん、変な奴だな、名はなんという?」

 

「…レイ。レイチェル・ガードナー」

 

「レイチェル・ガードナー…。なかなか良い名だ、両親が付けてくれたのか?」

 

「ええ。その両親は私が殺してしまいましたけど」

 

「!?なん…だと。お前は…殺人犯なのか」

 

「ええ…そうです。だから私は隣にいるザックに殺してもらうの」

 

「…待て、話が全く見えてこないぞ。とりあえずレイチェルの隣にいる貴様…ザックとか言ったな」

 

「おう…アイザック・フォスター。前の世界では殺人鬼とか言われてたな」

 

ザックがそういうとキースさんは座っていた机の上に左肘をつき、俯くように額を押さえてしまった。

 

「おーうハゲのおっさん。だいじょぶかー」

 

ザックが顔をのぞき込むと大丈夫だ、というようなハンドサインを出し、やれやれといった感じに口を開いた。

 

「エルヴィンはその子たちから具体的な話を聞けと言っていたが…殺人鬼?別世界?…意味がわからん…これほどとは。順に説明してくれないか」

 

ここまで言われてはじめてやらかしてしまったことに気付いた。そりゃそうだ。いくら軍人といえどもここまで現実離れした話をいきなり言われたらこうなってしまうのは必然だ。

 

「いきなりこんな話して理解してもらえるとは思ってはいません。でも話してみます。私とザックがどこから来たのか、なにをしてきたかを」

 

「ああ…たのむ。ここではなんだから場所を移そう」

 

もう既に疲れが見える表情をしたキースさんは1回ため息をついてからその場を立ち、私達を食堂に連れていってくれた。これから夕食らしい。私達もいただくことにした。

 

「うわあ…すごい。温かい」

 

「…んあ?ポテチはねーのか」

 

「ザック、ここは別の世界のものなんだから我慢して」

 

「あー…わーったよ」

 

私達の目の前にはパンとコーンスープ、それに私達の世界でいう牛肉のステーキが並べられていた。私…こんなごちそういつ以来なんだろ。あそこにいた時はダニー先生が何もかも持って来てくれていたけど…あまりなにを食べていたのかは思い出せないでいた。家庭では悲惨な環境だったしろくにご飯を食べれないでいたから。本当に温かいな…。

 

「…?ガードナー。泣いているのか…?」

 

「?あれ…また私、泣いてる」

 

自分の食事を運んできたキースさんに指摘されたようにまた、私は泣いていた。

 

「…その表情を見る限り、なかなかお前も訳ありのようなんだな。話を聞かせてもらおうか」

 

お前も…か。

 

「わかりました。一から話しますね」

 

そして再びここの世界に来るまでの話。この世界に来てからのこと。二人の約束の話。全てを話した。

 

 

 

 

 

「なかなかお前達すごい経験…私以上に地獄、というモノを体験しているようだ…。やれやれ、この世界以上に残酷なところなのかもしれないな、そのお前達の世界とやらは」

 

「そうとも言えるかも知れませんね…。相手が人間な分、なおさら。私達はそれに慣れているだけなんですけど」

 

今までの出来事を踏まえると慣れてしまうのは必然であった。

 

「こんなのいつも通りだろ?そこのおっさんはなんかあったりするのか?」

 

「わたしは…いまのところ面白い話はないぞ?人生では兵士として大半を過ごしてきたからな」

 

「なんだよつまんねーな…あいつらはキモいぐらいになんかあったけど」

 

「あいつら、とは前の世界の話だな?」

 

「そーだよあいつらきっしょいことばっかりしやがって」

 

「まあ話を聞いている限りはそんな言い方になってもおかしくはあるまい…」

 

いろんなトラップやら待っていたいろんな展開を考慮すれば当然だと私も思う。それだけされてきたからね。

 

「…おいレイ、なにニヤニヤしてんだ?ついに殺せるようないい顔になってきたじゃあねえか」

 

………!?

 

「え…ほんと?」

 

「…!」

 

「…なるほどそういう流れなのか…」

 

…?ザックもキースさんもどうしたんだろう。なにか私したかな…。

 

「あの…二人ともどうかしたの?」

 

「ああ…俺はなんでもねえよ…」

 

「私はお前たちの関係性がよく現わされている会話だとよく理解したぞ」

 

「んあ?どーいうこったよおっさん」

 

「お前達の約束、みたいなものがやっとはっきりと分かったような感じだな。しかし…なかなか手を出さないなザック、それはなぜだ?」

 

「ん?んあー…。」

 

キースさんに言われると、ザックは変なことを聞かれたなと言わんばかりにきまりが悪そうな顔をした。

 

「…深い意味なんてねーよ。こいつが殺したくなる顔をしねーと殺さない、それだけだ」

 

「ふむ…そう、なのか」

 

「そーだよ、そーいやおっさんも真顔ばっかで面白くねえよなー」

 

「…!」

 

「ザック!失礼だよ」

 

「…いやいいんだ。たしかに私も昔と比べると面白くない人間になったのかもな、あんなに血気盛んだったのに」

 

キースさんは若い頃は調査兵団に入っていたらしく、巨人を倒すことに関して1人燃えていたそうだ。倒せた時はそれはすこぶる嬉しかった。しかしそれも歳と共にそうは思わなくなってきて体力も追いつかなくなり、とある失敗をしたことで今の指導者という立ち位置にいるのだそうだ。

 

「年寄りにはなりたくねえもんだな」

 

「まったくだ。今の若い者を見ているとほんとに羨ましく感じる。私も出来ることなら過去に戻ってやり直したいな」

 

「なるほど…」

 

そんなことを話しているうちに食事を済ませ、明日は訓練兵達に私達を紹介するからそのつもりでいるように、とキース教官から伝えられた。訓練兵…いったいどんな人達がいるのだろう。そんなことを思いながら私達の部屋に行った。私とザックは同じ部屋にセットでいるように言われた。

 

「わあ…2人だけの部屋だよザック」

 

「ん?…おーそうみてえだな。…ちょいとオレは今日疲れたからはよ寝るぞ」

 

「私も疲れたから寝ようかな、じゃあ…一緒に寝よう?」

 

「一緒にもなにもベッドが1つしかねえんだからそうするしかねえだろ」

 

 

「そうだね、…じゃ電気、じゃなかった、ランプ消すよー」

 

「おー」

 

ランプを消し、2人でベッドに横たわる。するとすぐに隣から心地よい寝息が聞こえてくるのを耳にした。

 

「…ザック、もうねた…?」

 

呼びかけても応答はない。どうやらもう寝てしまったようだ。

 

「………」

 

(…ちょっと近づいても、大丈夫かな?)

 

 

 

ちょっと動いて寄り添うようにしてみた。

 

(わあ…)

 

…ザックの温もりを直に感じる。なんだか…すごく安心感する…。

考えてみれば2人だけでこんなにゆっくり出来るのは初めてかもしれない。かと言って何かあるわけじゃないけど、この温もりがひどく恋しく感じられた。

 

「おやすみ、ザック。」

 

一言囁き、その日の夜は更けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───その次の日の朝。

 

 

カーン!!カーン!!カーン!!

 

「起床ーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

………。

 

 

眠い。すごく眠い。あたたかい。

 

私のすぐ左にザックが寝ている。これからこの生活が毎日続くんだ。そう思うと心がとても幸せな感じがしていた────。




これからやっと生活が始まります。キースさんが調査兵団団長だった頃の時代は原作を読んだ人たちなら察してもらえると思います。

次回は訓練兵としてあの主人公たちがついに姿を現しますのでご期待ください!

ではまた来年!良いお年を!


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