マイペース男子の無限転生 (師幻鏡介)
しおりを挟む

番外編
もしもの世界(プリズマ☆イリヤ)


お久しぶりで御座いますです。
今回は活動報告“重大発表”で言っていた番外編を投稿します。

最初に言っておきます。
“絶対”に好き嫌いが別れると思うので、気に入らなかったらブラウザバックをオススメします。

何故なら、





プリズマ☆イリヤ×デジモンフロンティアだから!!!!



 

 

これは......魔術の世界でデジタルの力を使うマイペースな男の物語。

 

 

 

────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

「今日はやけに遅い時間に起きましたね、恭弥さん。」

 

「ふわぁ.........。あぁ、おはよう。昨日は少し遅めに眠ったからな、そのせいかも。」

 

「もう、貴方は長男ですからしっかりしてください!」

 

「悪かったって、ところでまだいないあの二人は起きていないのか?」

 

「そう言って貴方はすぐに話を逸らす!......ハァ、あの二人はいつもと同じです。」

 

「うぃ~おは~。」

 

「おう、おはようリズ。」

 

「こらリズ!あなたはいつもいつも起きるのが遅すぎです!」

 

「セラ朝からうるさい。近所迷惑を考えるべき。」

 

「何を言っているのですか!!貴方がそうやってだらけて、イリヤさんが真似したらどうするんですか!!!!」

 

「セラ~怒るのはいいけどあんまし長引くと朝食が冷めるんじゃね?」

 

「ム、仕方ありません。リズ、話はあとでします。」

 

「恭弥、ナイス。よく止めた。」

 

「へいへーい。」

 

「そんな恭弥にはイリヤを起こす権利をやろう。」

 

「いや、なんでだよ。イリヤだって年頃なんだから、寝起きに男の顔は嫌だろ。」

 

「そうです!そんなことは認めません!」

 

「問題ない。恭弥の顔は男というより女顔。それにあまり遅いと朝食にも学校にも遅れる。」

 

「おおぅ、かなりの正論と暴論。しゃぁない行ってくるわ。」

 

◇◇◇◇

 

コンコンコンッ!

 

「イリヤ~起きてるか~。起きてたら返事しろ~~。」

 

シーン......。

 

「・・・・。」

 

ガチャ。

 

「ほれイリヤ起きろ。」

 

「う~?お兄ちゃん?お兄ちゃんだ~~。」

 

「おいおい。抱き着くのはいいが起きろ。寝惚けるな。」

 

「♪~~。え?おに、いちゃん......?」

 

(これは抱きしめ返したら面白いか?)

 

ギュッ!

 

「うぇえ~~!!!?えとえと////、これはその、なんというか、寝惚けてたと言いますか、夢だと思ってたから本能に従ったといいますか、あ、いい匂い......ハッ!?いや違うんです、ごめんなさぁーーいーー!!!!」

 

「よし起きたな。」

 

いつもの朝のどこにでもあるような平穏な日常の一コマ。

いつものように新たな世界へ転生し、その世界での家庭に住み、居る筈だった人物(主人公)のポジションにいる。.........自らそのポジションへ納まりに行った訳では無いが。

そんな日もある時を境に非日常へと変化する。

 

────────────────────────────────────────────────────────────

 

『そこの貴方!魔法少女になって(私にとっての)悪と戦いませんか!!』

 

「何この胡散臭いステッキ!?」

 

たった一本のステッキから物語は始まり。

 

「くっ!やっぱり普通の宝石魔術じゃ効果なしね!イリヤスフィール!あとは任せた!」

 

「えぇ!?まさかの丸投げして逃げるの!?」

 

英霊(クラスカード)という超常の存在と戦うことになり、

 

「クラスカード:ランサー、限定展開(インクルード)。」

 

「あの子...誰?」

 

もう一人の魔法少女と出会い。

 

「私が本物のイリヤスフィール・フォン・アインツベルンよ。」

 

自身と同じ姿の少女と戦う。

 

 

 

 

 

本来はここまでに衛宮士郎(主人公)の介入など存在しなかった。

しかし、ここは根本が異なる別世界。

初の英霊との戦闘では、

 

「おーなんか面白い空間だな。」

 

「お兄ちゃん!?なんでこんな所にいるの!?」

 

「はぁ!?アンタの兄!?あの顔で男なわけ!?」

 

面白いことに目がないこの男は当然介入する。

もう一人の魔法少女とは、

 

「えっ......?お兄ちゃん............?」

 

「お、美遊か。ちゃんとこっちに来れたんだな。」

 

「え?知ってる子なの?お兄ちゃん。」

 

並行世界に関する能力を持つ男は少女の事情を最初から知っている。

義妹と同じ容姿を持った褐色の少女とは、

 

「パーツは似てるけど、瓜二つとまでは言わないだろ。」

 

「さすがお兄ちゃん!私のことちゃんと気付いてくれるんだ。」

 

「流石に間違えることは無いだろ。」

 

感性が違うからか、他の人間とは別のことに気付く。

そして勿論、戦闘ですらもこの男は介入する。

───────魔術とは反対の力を使って。

 

「さて、英霊と殺し合いするのは初めてだな。」

 

「それじゃやるか。」

 

その手に持つのは手のひらサイズの機械。

それは全体に黒で染まっていた。

中央より上には正方形の小さなモニターが付き、正面から見て右上には何かを読み込むような部分がある。

そしてバーコード(・・・・・)を読み込むのにちょうどいいサイズであった。

何も持っていない手にはバーコードの輪が浮かび上がる。

 

「キャラじゃないが.........。括目せよ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スピリット!エボリューション!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アグニモン!』

『ブリトラモン!』

『アルダモン!』

『カイゼルグレイモン!』

『ヴォルフモン!』

『ガルムモン!』

『ベオウルフモン!』

『マグナガルルモン!』

『チャックモン!』

『ブリザーモン!』

『フェアリモン!』

『シューツモン!』

『ブリッツモン!』

『ボルグモン!』

『レーベモン!』

『カイザーレオモン!』

 

ここに魔術と相反する科学(デジタルモンスター)が誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く保証は無い。

 




いかがだったてしょうか?
これからも度々このようなif話を投稿します。

もし「あの世界であの力を使ってほしい」等がありましたら、活動報告“アンケート”にてお書きください。

読者の要望(と作者の気分)でシリーズ化します!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もしもの世界(無彩限のファントムワールド)

全話ページビュー95000回越え記念!

皆様お久しぶりです!!

今回は無彩限のファントム・ワールドです!!


とある高校の大きな講堂にある教卓にて、一人の眼鏡を掛け白衣の下に着物を着た女教師がいた。

そしてその教卓を挟んだ前にはサイドポニーのスタイルのいい少女や、小柄で髪を腰より長く伸ばした少女、ショートヘアーに星の髪留めを付け首にはヘッドフォンを掛けた少女、そしてその中で唯一の小学生で髪を触角のように前に留め熊のヌイグルミを抱き抱えた少女がいた。

 

「今回は町外れの空地にドラゴンの姿をしたファントムが現れたようです。」

 

四人の生徒に向かって先生は言う。

普通であれば女子で生徒に話す内容ではないがそれには訳がある。

 

「任せて下さい先生!私達なら問題ないです!」

 

サイドポニーの少女は自信満々に言う。

 

「でもいいのでしょうか?恭弥くんがまだ来てないようですが...?」

 

続けて髪の長い少女が不安そうに話す。

 

「どうせアイツのことだから何時も通りのんびりしてるんでしょ。」

 

ショートヘアーの少女は呆れた様子で答える。

 

「恭弥お兄さんは自分でマイペースだって、言ってますもんね。」

 

幼い少女は少しだけオドオドしながらも話す。

その会話を目の前で聞いている教師は言いづらそうに答える。

 

「え~と、そのことなんですが、恭弥くんには先に向かうそうです。」

 

「ハァ!?何でですか先生!」

 

サイドポニーの少女─川上舞─が驚きの声を上げる。

 

「急ぎましょう!舞お姉様!」

 

そんな舞をお姉様と慕う少女─和泉玲奈─が慌てて答える。

 

「そうです!一人でなんて危ないです!」

 

「アイツがそうそうやられるとは思えないのだけれど...。」

 

玲奈のように慌てる小学生─熊枕久留美─と他の人とは全く異なる反応をするショートヘアーの少女─水無瀬小糸─は落ち着いている。

 

「取り合えず速くあの馬鹿の所へ急ぎましょ!」

 

「「「はい!(えぇ)。」」」

 

舞の言葉に頷く三人。

そして自由に行動する馬鹿=恭弥はと言うと─────────────────

 

 

◇◇◇◇

 

 

「ゴガァァァァァァアアアアアアアアアッッッ!!!!!」

 

「うーん、ドラゴンと聞いたがそこまで大きくは無いな。」

 

全長約10mもあるドラゴンに向かってズレたことを抜かす主人公であるこの男、新神恭弥は此方を警戒し威嚇するドラゴンに向かって呑気にしている。

 

「まぁ、気にせず行くか。」

 

そう言った恭弥の手に両刃の剣が現れる。

その剣を見たドラゴンは先程までの勢いが急激に落ちる。

 

「やっぱドラゴンにはコレだろーな。んじゃ、行くぞ()()()()()。」

 

勝負は一瞬でついた。

 

 

◇◇◇◇

 

 

「恭弥!」

 

空が赤くなり日が沈む時間に件の現場へ着いた舞たちが眼にしたのはファントムを封印するために愛用する小型の剣を持った恭弥がいた。

 

「あ、先輩に皆。お疲れ様でーす。」

 

ワナワナしている舞に気付きながらも無視処か楽しんでいる恭弥。

そして案の定、

 

「お・疲・れ・様・で・すじゃないでしょーーーがぁぁ!!」

 

恭弥に向かって飛び蹴りをする舞だが恭弥は軽く避ける。

 

「まぁまぁ。問題も無かったですし、報酬もかなりありましたから皆で飯にでも行きましょうよ。奢りますし。」

 

その言葉に過剰に反応するのが一名。

 

「良いのですか!?なら私は食べ放題のお店に行きたいです!」

 

ファントムを食べて封印する能力の弊害か、食欲がかなりある玲奈。その勢いは出禁になる寸前でもある。

 

「ちょっと玲奈!食い付き過ぎよ!!」

 

そんな玲奈を嗜める舞だが他の女子も行く気満々のようで久留美も目が輝いている。

 

「よーし、ならこのまま店にしゅっぱーつ。」

 

『おぉー!』

 

舞をほったらかしにし先に動く恭弥と、恭弥についていく女子三人。

 

「ちょっと置いてかないでよ!!」

 

何だかんだでついていく舞と、すぐに立ち止まり舞を待つ恭弥たち。

結局は笑い合いながら五人仲良く店に向かうその後ろ姿は夕陽に照らされ輝いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────これは特殊能力とファントムと言う人とは違う生物たちが存在する世界で好き勝手に能力を使う恭弥の物語の一幕。

 




皆様方!
不定期投稿が続きますが、恭弥共々これからも宜しくお願いします!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本編
プロローグ


初投稿です!
色々と手探りなのでご容赦ください!


 

 

「......ん?」

 

 

──目覚めるとそこは───────────────────

───なんてどうでもいいな、うん。」

 

寝るか......

 

 

「ちょっと待ってぇぇぇぇ!!!」

 

「何だようるさいなぁ~」

 

寝ようとしてるのに何て非常識なんだ。

まぁ、いい。

俺の名前は「何で自己紹介するの!?それに、この場面で寝る君の方が非常識だから!!」

 

自己紹介してるのに何て非常識なんだ。

まぁ、いi「それさっきやったから!」

 

「はぁ~~、何だよ神さま。」

 

「えっ?何で分かったの?」

 

「二次創作を読んでたからだいたい予想は出来る。」

 

「あっ、ソウデスカ...じゃあ色々話すのは後にして用件だけ話すね。」

 

「あぁ。」

 

「君は死んだんだけど、普通の転生とは少し違う。」

 

何だと?

 

「それはどういうことだ?」

 

「簡単に言うと、君には多数の世界に転生してもらう。

やってもらうこと自体は簡単、各世界で自由に過ごしてほしい。」

 

「なんで俺なんだ?」

 

「まぁ、気にしないで。」

 

絶対に何かあるな。しかし......。

 

「なぁ、神さま。」

 

「なんだい?」

 

「特典とかは有るのか?」

 

「もちろんあるよ~♪」

 

「いくつだ?」

 

「ん?無いよ。」

 

「はっ?」

 

「だから、制限なんて無いよ。」

 

「マジか...。」

 

ということは生前考えてたあれが出来るのか...。

なら───

 

 

「俺の特典は

一つ、設定する能力。

二つ、俺が生前持ってたゲームやラノベ、漫画の中にあるもの全て。

三つ、容姿を緋弾のアリアの遠山金一にしてくれ、もちろん男で。

四つ、これも生前持っていたカードゲーム(TCG)への変身と具現化

この四つをくれ。」

 

「え~と、最初の二つはどういう能力なのかな?」

 

「まず、一つ目の能力は自身や他者のステータスを色々と設定する事が出来る。

ただし、他者に対して使う場合は俺と相手が互いに信頼していないと使用不可

という能力だ。」

 

「ふむふむ。」

 

「二つ目は、要はその世界にあるものだったら人物も道具も土地も概念すらも使ったり呼び出したり出来ることだ。

ただし、人物に関しては転生する前にしか呼べないし、原作本人じゃなくて能力と見た目や思考が同じなだけの別人にしてくれ。

三つ目はただ、気に入ってるキャラだからだ。」

 

「全部大丈夫だけど、デメリットを付けていいのかい?」

 

「いい。ただでさえチートなんだ、せめて少しぐらい付けないとな。」

 

「分かったよ・・・はい♪もう使えるよ~♪」

 

「おう。で?最初はどこにいけばいいんだ?」

 

「まずは、特典に慣れるような世界に行ってもらおうかな。」

 

「というと?」

 

「君に行ってもらうのは暗殺教室の世界だよ!!」

 

「そうか...。

なら、さっそく誰か呼ぶか。」

 

暗殺に向いてるやつか...よし。

 

「まず一人目はFate/からジャック。」

 

「うん。」

 

「二人目はリボーンのクローム。」

 

「はい。」

 

「三人目はSAOのユウキ。」

 

「よろしくねー♪」

 

「最後にフェアリーフェンサーエフ(FFF)のエフォールと果林。」

 

「......殺殺。」

 

「よろしく。と、エフォールは言っております。

あ、私は今回は守護霊のようなものらしいです。」

 

「ん?そうなのか?」

 

「さすがに精霊は送れないよ~。」

 

......使えん神め。

 

「ひどくない!?」

 

「とりあえず最初はこのメンバーだな。」

 

「もう送っても大丈夫?」

 

「転生後の家と資金はどうなっている?」

 

「ちゃんと準備してるよ。」

 

「なら、問題ない。」

 

「じゃ!送るね♪」

 

いよいよ転生か...。

すると誰かに袖を引っ張られた。

振り向くとユウキが俺の袖をつかみ笑顔で話しかけてきた。

 

「ねぇねぇお兄さん!」

 

「どうした?」

 

「何で今回は僕たちを呼んだの?」

 

「あぁ、それはな。

俺の勝手な判断だが、皆の元になったやつらはまともな人生じゃなかったからな。」

 

「だからせめて、学校生活とか日常を楽しめる世界でたくさん楽しんでもらいたいからだ。」

 

本当にこれは俺の勝手な解釈だ。

これで皆が喜んでくれるかは分からない。

そう落ち込んでいると、

 

「~~~~ッ!お兄さんありがとー!!!!」

 

ユウキが抱きつき。

 

「ありがとう。お兄ちゃん。」

 

ジャックが腕をつかみ。

 

「・・・・。」

 

クロームは微笑んで、

 

「よかったですね、エフォール。」

 

「...うん。」

 

エフォールと果林はそう話していた。

 

「うぅ~...いい話だよ~~......。」

 

「・・・・神さま、なに泣いてるんだよ。」

 

「だって~...。」

 

「いいから送ってくれ。」

 

「ぐす...。分かったよ。」

 

「じゃあ、いってらっしゃい。」

 

目の前が白くなり、意識が落ちていく...。

さてこれからどうなるのか...。

意識が完全に無くなる直前、神さまの声が聞こえてきた。

 

「あっ!気に入った女の子は連れて来れるからねぇ~~~~!」

 

おいちょっとまて、それはどういう───────。

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?
キャラのセリフが合ってるのか分かりませんが、色々と、工夫してみました。

次の話では、今回出なかった主人公の名前などをのせたいと思います。

ちなみに、ルビは略称です。

誤字脱字やアドバイスなどがありましたら、活動報告もしくはメッセージにて教えてください!
ただの誹謗中傷は受け付けません。

評価のほど、よろしくお願いします!!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

自己紹介の時間

第二話です!

今回は主人公たちの名前の話です。
原作キャラが出るのは次ぐらいだと思います。

いやぁ、キャラのセリフが難しい( ̄▽ ̄;)

では、よろしくお願いします!!!!


少しずつ意識が戻ってきた。

目を開けるとそこは────────────────────────の、前に寝るか......。

 

 

「またっ!?君どんだけ寝たいの!?」

 

「あ~分かった、分かったから騒ぐな。やかましい...。」

今度はちゃんと目を開け辺りを確認する.......。

まず俺が寝ていたのは木で出来た長椅子、それが横4列、縦8列並んでいて、皆はそれぞれ別の椅子で眠っている。

日が射している方を見るとステンドグラスが────。

 

「おい、神さま。」

 

「どうかしたかい?」

 

「まさか此処は教会か?」

ステンドグラスには明らかに聖母マリアのような絵が描かれている。

 

「そうだよ♪そして此処は孤児院でもあるんだ♪

流石に君たちを一般家庭の人間にすると色々問題が出るからね。」

 

「そうか、それについては理解した......。

がっ、何故神さまが此処にいる?」

 

「何故って、神父役がいないと怪しまれるでしょ?」

そう言って神さまは神父服を見せびらかすように服を引っ張る。

 

「ところで、君たちの名前はどうするんだい?

ジャックちゃんやクロームちゃん、

それにエフォールちゃんはそのままじゃまずいと思うけど?」

 

「そうだな...。」

確かに名前を決めないと怪しまれるかもしれない。

それに、どうせなら俺も名前を変えるか。

ふむ・・・・。

 

「君も名前を変えるのかい?」

人が考えているのになんて非常識なんだ、

まぁ、いい。「もう突っ込まないからね。」

・・・・チッ!「舌打ち!?」やかましい。

そうだ。

 

「名前を決める前に...。

おい、全員そろそろ起きろ。」

 

「ん......、お兄ちゃんどうしたの?」

まず最初に起きたのはジャックだった。

 

「ん~~ッ!お兄さんおはよ~。」

 

「おはよう。兄さん。」

 

「あぁ、おはよう。」

次にユウキとクロームが起きた。

 

「......おはよう。」

 

『おはようございます。皆さん。』

 

「ん?果林...お前声が......。」

 

『おや?もしかして私が幽霊のようなものだからでしょうか?』

果林の声は少しノイズがかかったように聞こえるが、

 

「此処にいる全員には見えているから問題ないか。」

 

『ですね。』

 

「それで?どうしたの?お兄さん。」

やはり呼び出したメンバーで一番活発なユウキが聞いてきた。

 

「あぁ、神さまが教会兼孤児院のこの場所で俺たちは過ごすんだが、名前をどうするのか?だとさ。」

 

「え~と、それってやっぱり。」

ユウキが他の四人を見る。

 

「いや、クロームは凪って言う名前があったからそれを使おうと思っている。

すまんが、それでいいか?クローム。」

俺がクロームにそうたずねると、クロームは。

 

「大丈夫。私はクローム(オリジナル)でもあるけどクローム(別人)だから。」

そう言ってクローム、いや、凪は俺に微笑んでくれた。

 

「そうか、ありがとう。凪。」

俺も凪に笑顔を返す。

すると、ジャックとエフォールが裾を引っ張ってきた。

 

「お兄ちゃん、私の名前は?」

 

「...殺......殺殺殺。」

 

『ちゃんとした名前じゃないと許さないぞ!

っと、エフォールは申しております。』

果林は笑顔で言っているが、

エフォールより、果林の笑顔のほうが───『何か?』何でもないです...。

さて、どう名付けるか・・・・。

よし。

 

「まずは、ジャックからな。」

 

「うん!」

嬉しそうに返事をするジャック。

 

「ジャックの名前は霧駆(むく)(むく)のどちらかにしようと思う。」

 

「どうして『むく』なの?」

疑問に思ったのであろうジャックはそう聞いてきた。

 

「俺自身、お世辞にもネーミングセンスがあるとは思えないからな。

だから、見た目をイメージした名前を考えてみた。」

 

「うん。」

 

「まず、印象としてはやっぱり幼いのと純粋なイメージが湧いたからな、あと髪の色から白無垢が出てきたから、同じ読みの椋とスキルの内容を考えて『霧を駆ける者。』から霧駆。と二つ思い付いた。」

 

「どっちがいい?」

そう俺は、ジャックにたずねる。

 

「う~ん、あっ!私は椋がいい!

お兄ちゃんが日常を楽しんで欲しいって言ったからそっちの方がいいと思う!」

 

「そうか。」

さっそくそう考えてくれて嬉しいかぎりだ。

 

「私の名前は?」

 

「あぁ、エフォールの名前か...。」

 

『どんな名前でしょうね、エフォール。』

 

「楽しみ。」

二人は楽しそうに会話しているが・・・・。

 

「すまん、正直一つしか思い浮かばなかった。」

 

「えっ?」

エフォールの声が一瞬で哀しい声音に変わった。

 

「いや!ちょっと待て!これもちゃんと考えているから!」

ウンッ!と咳払いをし、俺は言った。

 

「エフォールの名前は(あお)だ。」

 

「蒼...。」

 

「そうだ。

理由としてはこれもイメージからなんだが、果林はエフォールとフェアライズすると青い全翼機になるだろ?

それに、必殺技のスーパーノヴァは蒼天を突き刺す勢いだからな、それを踏まえて『蒼』って名前にしたんだが...、どうだ?」

ぶっちゃけ、さっきの反応からして恐怖ものである。

 

「うん。ありがとう兄さん。」

喜んでくれたか......良かった。

 

『よかったですね、蒼。』

 

「うん。」

これで三人の名前は決まったか。

 

「兄さんの名前はなんなの?」

そう、凪に聞かれた。

 

「そうだね~。確かに言ってないよね?」

空気(神さま)「逆だよね!?」が言ってきた。

 

「俺の名前か。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の名前は、新神恭弥(しんかみきょうや)だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、神さま転生直前の話を詳しくO・HA・NA・SIするからな。」

 

「えっ!?」

忘れるわけないだろーが。




いかがだったでしょうか?

いつの間にか2000字を越えてましたが、
読みやすかったでしょうか?

誤字脱字やご意見があれば、活動報告またはメッセージなどでお伝え下さい!

次回も色々な書き方に挑戦するので興味があったら是非!見てください!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

名簿と依頼の時間

今回は主人公たちのプロフィールと本編をのせたいと思います。

基本的には原作名簿に主人公たちの名前が入る形です。


読み辛いかな・・・・(ノ_・。)

では、よろしくお願いします!!


出席番号十二番

 

新神蒼(エフォール)

 

原作名:フェアリーフェンサーエフ

 

概要:原作の「殺。」という言葉を使おうとはせず、物静かながらもしっかりと話す。

ただし、身内しかいないとたまに使ってしまうことがある。そのときはパートナー妖精である果林が通訳を担当する。

 

※果林:蒼のパートナー妖精で全体的に白、もしくは水色のイメージで動物の耳のような髪がある。

 

服装は原作同様、フリルの付いた和服のようなものを着ている。

 

この世界では、蒼の守護霊の立場で見たり触ったりなどは主人公たちにしか出来ない。幽霊になったためか、声にノイズがかかったように聞こえる。

 

 

出席番号十三番

 

新神恭弥

 

原作名:無し(オリジナル)

 

概要:オリジナルキャラクターであり、主人公。神さまによって様々な世界へ行く事となっている。

 

生前は何があったかは不明。

 

見た目は特典により、まんま『緋弾のアリア』の遠山金一だが身長は170センチ(というか原作の身長が分からない。)と、中学3年生にしては高めになっている。

 

性格は普通で楽しむことが好きだがマイペースなところが多く、よく神さまを翻弄し、弄ることがある。

 

『カナ』に(人格が)なることは無いが、女装することには何のためらいもない。

 

特典は

1・設定する能力。

 

内容は言葉のとおり、あらゆることを設定することが出来る。

ただし他人に使う場合はお互いに信頼しあってないと使えない。

本人はこの能力を必要最低限しか使わず、余程のことが無い限り使うつもりはない。

 

2・生前所持していたゲーム、漫画、ラノベにある全て。

 

言葉のとおり、(作者が今も)所持していたもののキャラ、道具や技、概念や土地すらも使用、召喚することが出来る。

ただしキャラに関しては転生する直前にしか呼べない。

 

3・(此方も)生前所持していたトレーディングカードゲームのモンスターへ変身したり召喚することが出来る。

 

言葉のとおりなのだが、この世界で使う予定は一切無い。

 

4・容姿を『緋弾のアリア』の遠山金一にする。

 

作者が気に入っているキャラだから採用。

 

 

出席番号十四番

 

新神凪(クローム髑髏)

 

原作:家庭教師ヒットマンリボーン!

 

概要:原作の内臓の欠如は無く、健康そのものだが蒼と同様物静かである。

 

ボンゴレ守護者の証であるリングはボンゴレギアにもなるが、学校があるため基本はリングにして幻覚で隠している。

 

幻覚で内臓を補っていないので、幻覚の出力は原作より上である。

 

 

出席番号十五番

 

新神椋(ジャック・ザ・リッパー)

 

原作:Fate/GrandOrder(Apocryphaを作者は知らない。)

 

概要:聖杯への望みは無く、恭弥の「世界の日常を楽しんで欲しい。」という願いを一番考えている。

 

無邪気で少し幼げという原作に近い性格だが『母体に返る』という願いがないため殺人などはしない。

 

 

出席番号十六番

 

新神木綿季(紺野木綿季)

 

原作:ソードアート・オンライン

 

概要:容姿はALOのユウキで耳がちゃんと人間の耳になっている。

 

原作同様、活発な性格で呼ばれた少女の中で皆を引っ張るリーダー的存在になっている。 

 

感染症にかかっていないため、原作以上に元気がある。

 

 

新神ミカ(神さま)

 

概要:恭弥を転生した張本人だが理由は不明。

 

性別や名前じたいは特に無いが、今回は神父兼孤児院の院長をしている。

 

プロローグラストで気になることを言ったが詳細はまだ。

 

──────ここから本編─────────

 

 

 

「で?神さま今はどの時期なんだ?」

未だに原作前なのかもう始まっているのか分からない。

 

「今の時期は殺せんせーがE組と会う一週間ぐらい前かな?

あ、あとこれから僕のことはミカって読んでね♪」

 

「時期は分かったが何故ミカなんだ?」

いや、だいたい検討はつくが...。

 

「それはね~「ハイハイハイ!神を反対にしたからでしょ!」

ユウキがそう言って来たが、流石にそれだけじゃないだろう。

 

そう思いながら神さ、いやミカを見るが、

 

「・・・・。」

ミカは汗をかきながら目を逸らし......って、

 

「正解なのかよ。」

呆れながら言うとミカは慌てて。

 

「だ、だって!これ以外思いつかなかったんだもん!」

 

「やかましい。分かったから落ち着け。」

 

「あの...ミカ。」

凪が話しかけてきた。

 

「どうかしたの?凪ちゃん?」

 

「私たちはこれからどうするの?」

 

「あっ、えっとね。

この孤児院は僕が探してきた選りすぐりの子たちが集まってる小さな孤児院。って設定で、

皆はそのメンバーってことになっててもうそろそろ防衛省から人が来るはずだよ。」

 

「あっ、さっそく来たみたいだね。」

ミカがそう言うと、教会の扉が開き原作キャラである烏丸先生が入ってきた。

 

 

「すみません、防衛省の烏間という物ですが此方が新神教会だろうか?」

烏間先生がそう言うが、新神教会だと?

おいミカどういうことだ?──《孤児院だから名字が一緒の方がいいでしょ?》──成る程。

 

「今回、ここへ伺ったのは他でもない。

孤児院でありながら裏の世界に繋がり、なおかつ優秀な子供たちを育てているという話があるこの教会へ来たのですがお話をお聞き頂けないでしょうか?」

 

「確かにここが新神教会ですが、どうかしましたか?」

 

!?ミカが真面目だと・・・・!?

──《失礼すぎない!?》──

 

「この度は国からある任務を極秘で行っていただきたい。」

 

 

 

 

 

───ここから俺の、

 

 

 

 

 

 

「その任務とは、月を破壊したある超生物を暗殺していただきたい。」

 

 

 

 

 

 

───新たな人生が、始まる。

 

 

 




いかがだったでしょうか?

名簿と本編を一緒してしまったので見辛いかも知れませんが、楽しんでいただけたら嬉しい限りです!

ちなみに、出席番号一から十一番、十七番から三十二番は原作キャラとなっております。

誤字脱字やご意見があれば活動報告、又はメッセージにてお伝え下さい!

今回も読んでいただきありがとうございました!

次回からいよいよ本格的に原作突入させたいと思います!!

※烏丸ではなく烏間でした。ご連絡下さった方、ありがとうございました!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

転入の時間

一日ぶりの投稿です!

いつの間にかUAが1000人を越え、お気に入りが20人越え。

読んでくれた方々、お気に入り登録してくれた方々。

こんな駄文を読んでくれて本当にありがとうございます!!!!

設定も投稿時間もグダグダ進行ですが、これからもよろしくお願いします!




今回は初の視点切換に挑戦します!

では、よろしくお願いします!


       ~渚side~

 

殺せんせーがこのE組に来て、いろんな事があった。

始まりは月を破壊した犯人を殺して欲しいと言われ、マッハ20で動ける殺せんせーを僕たちが暗殺することになり、寺坂くんたちに対殺せんせー物質が詰まった手榴弾を持って爆発されたのを怒られながらも褒められ、

杉野と野球ボールで暗殺しようとしたら、投球フォームを直され杉野が野球にもっと前向きになったりした。

そんなあるときに烏間先生からある事を言われた。

 

「今回、このE組に転入してくる事になった生徒たちがいる。」

烏間先生はそう言ったけど生徒()()ってどういう事だろう?

 

「渚、渚。」

隣に座っている茅野が静かに話しかけてきた。

 

「この時期に来るってことはもしかしてプロの殺し屋なのかな?」

確かにこの時期に来る生徒、それにこのクラスに転入してくるってことはそういうことなんだろう。

 

「あの、烏間先生。生徒たちってことは複数、しかもプロの殺し屋なんですか?」

 

磯貝くんがそう聞いた。

 

「いやその生徒たちは五人いるが、プロの殺し屋ではない。

しかし裏では名の知れた施設にいる並外れた戦闘力を持つ者たちだ。」

 

「まずはその生徒たちに入ってもらおう。」

すると教室の入口から四人の女子生徒となぜか()()の服を着た女子が入ってきた。

 

 

 

       ~恭弥side~

 

いやぁ、案の定疑惑の目で見られるな。

まぁ当たり前か、なんせこんな時期に転入するなんておかしいし、それに蒼たちはかなりの美少女だし、俺を見ているヤツは俺の事を特典のせいとはいえ女子に見えているようだ。

 

「では皆、自己紹介してくれ。」

烏間先生に言われたのでまずは蒼から答えた。

 

「...私の名前は新神蒼。これからよろしく。」

 

『もう、蒼。自己紹介は大事なんですからもっと話さないと。』

 

果林はそう言ってるが蒼にはまだ早かったようだ。

 

「俺の名前は新神恭弥。何人かは俺の事を女子と思ってるようだが、これでもれっきとした男だ。」

するとE組生徒たちが固まった。特に女子。

俺たち五人は次の反応が来る前にすぐに耳をふさいだ。

 

《・・・・はあぁぁぁぁぁぁぁ!?》

案の定この反応。

 

「静かに!まだ、自己紹介は終わっていない。」

おぉ、烏間先生の一声で声がピタッと止まった。

 

「気を取り直して新神凪さん、自己紹介してくれ。」

 

「私の名前は新神凪。えっと、よろしくお願いします。」

 

「私の名前は新神椋です。よろしく。」

 

「僕の名前は新神木綿季!ユウキって呼んでね♪皆よろしくー!」

全員終わったがやはりここまで同じ名字だと疑問に思うヤツが出てくるか。

 

「あの、なんで皆新神って名字なんですか?」

青...というよりは水色の髪の女の子っぽい男子、確か潮田渚だっけ?が、聞いてきた。

 

「それはな、俺たちは同じ孤児院にいてその孤児院は教会でもあるんだが、施設の名前が新神って言うから俺たちも新神姓になってる訳だ。」

 

「あ、ごめん。」

渚はそう言ってるがまぁ孤児って聞けば大体そうなるか...。

 

「別に気にしなくてもいい。

それと、俺たちのことは下の名前で呼んでくれ。えーと。」

 

「あ、渚。潮田渚だよ、僕のことも渚って呼んでね。恭弥くん。」

俺からの返答を聞いて気が楽になったのか、笑顔で言ってきた。

 

「そうか、分かった渚。」

微笑みながら言うと何人かの女子が頬を紅く染める...って、マジか。

 

「あ、そうだ烏間先生。」

 

「ん?どうかしたか?」

俺は()()()()()感じていた気配に対しても聞いた。

 

「ターゲットはそこの黄色い生物でいいんですか?」

 

「ヌルフフフフ。よく気が付きましたね。

先生、びっくりです!」

 

《!?》

気が付かなかった生徒と烏間先生は驚いているが。

 

「そんな興味津々で見られたら気付くって。」

ハァー。と、タメ息を吐きながら言うと。

 

《いや!普通は気付かねぇよ!!!》

声を揃えて言われた。解せぬ。

 

「ヌルフフフフフ!どうやらかなり腕が立つようですねぇ、どうです?このあとの体育で先生と戦ってみましょうか。」

顔が緑のしましまになっている、つまり嘗められてるのか。

 

「いいぜ?やってやろうじゃねぇか。」

試してみたかった技もあるし。

 

「よろしい!でもその前に。皆さんお待ちかね、質問タイムといたしましょう!!」

うわっ、面倒くさい事になりそう......。

 

「ハイハイ!是非蒼ちゃんたちのスリーサイ──────ストンッ。

変な事を言いそうになった坊主頭を速攻で落とす。

 

「よし、どんどん質問してくれ♪」

俺の今の顔は満面の笑みの筈なのに皆は顔を青くしている。

 

「どうした?質問しないのか?」

 

──《出来るか!!!!》──

本日3度目のクラスの心が一つになった。

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

いやぁ、難しいですね!
しかも、召喚された女子メンバーほぼ空気!
どうにかしなくては(;・∀・)

次回は先生とのバトルシーンを書きたいと思いますが、戦闘描写...うまく出来るでしょうかねぇ?

でも、一生懸命頑張りたいと思います!

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

誤字脱字やご意見などが有りましたら活動報告、またはメッセージにてご連絡ください!

では!また次回お会いしましょう!

※※烏丸ではなく烏間でした。ご連絡下さった方、ありがとうございました!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

体育の時間

今回は主人公の初戦闘です!

さぁ...戦闘描写だ、どうしよう(;・∀・)
ネガティブ発言は置いといて、

では!よろしくお願いします!!!!


       ~恭弥side~

 

質問コーナーも特に問題無く終了し、俺たち五人は後ろの席に窓側から、俺、椋、凪、ユウキ、蒼の順番に座った。

HRが終わりすぐに何人かが俺たちの方に集まってきた。俺の所には渚、茅野、杉野の三人が来た。

 

「恭弥くん、さっきはゴメンね?」

渚はすぐにそう謝ってきた。全く、律儀なヤツだ。

 

「別に気にしてないから、そう謝るな。」

苦笑いしながら言うと。

 

「うん。そうだね、分かったよ。」

 

「なぁなぁ!お前よく殺せんせーがいることに気付けたな!」

 

「確かに!なんで気が付いたの?」

杉野と茅野がまさに興味津々っといった具合に聞いてきた。

うーん、特典で身体能力はある程度上げてたからなぁ。なんて言おうか...。

 

「あぁ~、アレな?ほとんど直感だったんだわ。何となーく見られてる気がしたから言ってみただけだ。」

少し強引だがこれならいけるか?

 

「うーん、でも結構確信して言ってたような?」

渚が少し疑問に思ってるな...。

 

「ああいうブラフも結構効くときがあるぞ?」

へぇーそうなんだ。っと、渚は納得してくれた。

...ギリギリセーフだな。

 

「そういえば、恭弥ってどれくらい強いの?」

茅野に聞かれたがまぁ、その質問はすぐに答えることが出来た。

 

「正直よく分からん。」

 

「っえ?」

 

「俺たちは戦闘訓練こそすれば、実践経験は結構浅くてな。だから今の実力でどれだけ通用するかは実際やってみないことには何とも言えない。」

これは本当にやってみないことにはマジで分からん。

 

「へぇー、じゃあ次の体育の時間は楽しみだね!」

ん?どういうことだ?

 

「なんで体育が楽しみになるんだ?」

渚に聞くと。

 

「僕たちの体育は、烏間先生が色々と訓練してくれるんだ。」

 

「はぁ~、だから楽しみなのか。」

 

「そういうこと。あ、チャイムなりそうだからまたね!」

 

「おう。」

授業では殺せんせーがかなり分かりやすく教えてくれたが椋と蒼が結構難しかったらしく、途中から椋には俺、蒼には果林がちょくちょく手助けをした。

 

渚たちが言っていた体育の時間になり、なぜか砂場で大阪城を作っていた殺せんせーがいきなり、

 

「では!今朝言っていた先生対新神恭弥くんとの戦闘をしてもらいましょう!」

とかいきなり言い出したが、ちょっと待て。

 

「なんで殺せんせーじゃなくて烏間先生なんだ?あのときの会話的に相手は殺せんせーだろ。」

そう、抗議すると。

 

「ヌルフフフフ。私は別に君と私が戦うなんて一言も言っていませんよ?」

?言われてあの時の会話を思い出してみると

 

──『このあとの体育で()()と戦ってみましょうか』──

 

・・・・。

 

「マジで言ってねえ。」

 

「ヌルフフフフ!まだまだですねぇ。」

流石にこれにはイラッとした。

 

「職員室にあったアイス全部食べ尽くしてやる......。」

恨みがましい声で言うと。

 

「にゅや!?それは先生のアイスだから食べないで下さい!」

知るか...。

 

「ハァー。分かりましたよ、やればいいんでしょう?やれば。」

どうせ戦うんだからしゃーない。

 

「すまんな、恭弥くん。俺としてもあの孤児院の子がどれだけ戦えるか興味があるのでな。」

烏間先生はそう言っているが、声が淡々としていて感情がわかんねぇ。

 

「まぁ、いいです。じゃ、行きますよ?」

そういいながら俺は──────

 

       ~烏間side~

 

この殺気、あの孤児院に所属しているのならこの子は相当の実力者の筈。何処まで出来るのか。

 

俺はそう考えながらも相手に注意深く警戒していると()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ!?」

しかも、姿が見えなくなっていく。どういうことだ?

 

       ~恭弥side~

 

おぉ、初めて使ってみたけど中々いいな。

俺は兼ねてから考えていた能力の会わせ技

 

“緋弾のアリア:緑松校長の戦闘技術”

 

“ぬらりひょんの孫:奴良リクオの撥”

 

を、同時につかっている。これなら余程の者じゃない限りまず、気づかれない筈だ。

そう思いながら俺は烏間先生に近付き踵落としの要領で回し蹴りを放った。

 

獲った!

 

俺はそう感じたが、烏間先生はギリギリ両腕をクロスさせガードした。俺は防がれてない足を下から振り上げて攻撃を放ち、それを避けさせ烏間先生を遠ざけた。

 

「よくあれを防げましたね?どうやったんですか?」

俺が聞くと烏間先生は、

 

「どうやったかとは此方の台詞なんだが、はっきり言って防げたのはマグレに近いものだ。」

ん~、一瞬気が抜けたから気付かれたのか?

まぁ、今はただ攻めるのみ!

 

       ~渚side~

 

スゴイ・・・・!!

あの烏間先生相手に一歩も退かない処か、圧倒している・・!

僕たちは皆、恭弥くんの戦いに圧倒された。

驚いていないと言えばやっぱり蒼さんたち、孤児院の人たちと殺せんせーぐらい───

 

「ヌルフフフ。これはこれは、予想以上ですねぇ~。」

 

殺せんせーはそう言いながら顔中にびっしり汗が出ていた。

 

「殺せんせーどんだけ汗かいてんだよ。」

 

「汚ねーよ。」

 

「にゅや!?皆さん!なんてこと言うんですか!」

でも、殺せんせーの言うとうり恭弥くんはさっきから拳を当てに行って防がれたり、避けられたりすると勢いを殺さずに回転したりして攻撃を続けている。

 

「ねぇ、ユウキさん。」

僕は恭弥くんを知っている中で一番話しやすそうなユウキさんに聞いてみた。

 

「恭弥くんたちって師匠っているの?それに、さっき恭弥くんの姿が消えたように見えたし...。」

するとユウキさんは、

 

「うーん、僕たちは基本戦いながら訓練してるって感じだから、別に師匠とかはいないなぁ~。」

 

「それと、さっきお兄さんが消えたのはただ気配をものすごーく普通にして分からなくした。って感じかな?」

?気配を普通にするってどういうこと?

 

「成る程。最初に殺気をなるべく強く出して自分を印象付けた後すぐに殺気や気配を周りに溶け込ませたことで、その落差によって周りには消えたように見えたわけですね。」

殺せんせーが説明してくれたけど、それって物凄く難しいことだと思う。

 

ズダン!!!!

 

「うおっ!」

あっ!恭弥くんが烏間先生に掴まれて投げられた!

 

「そこまで!今回は烏間先生の勝利です。惜しかったですねぇ~、恭弥くん。」

やっぱり烏間先生が勝ったけど、烏間先生は呼吸が乱れていてキツそうにしていた。

 

「あ~~!悔しい!!」

それなのに恭弥くんはピンピンしていた。

 

       ~恭弥side~

 

あ~~!!本当に悔しい!!!!

余り能力を使わなかったとはいえ、負けるとは。

これは今後しっかりしないとな。

 

「スゲーな!恭弥!」

 

「烏間先生と互角に戦ってたよ!」

皆は励ましでは無く、本気で言ってくれているようだ。

 

「いやぁ、でも負けは負けだしな。」

 

「いえいえ!そんなことはありません!今回の戦いは見ていた全員にとって、とても参考になる戦いでした!」

 

「あぁ、俺もまさかここまで本気でやらなくなるとは思ってもみなかった。」

先生二人から言われ、少し照れてしまった。

 

「その顔で照ると本当に女子に見えるな。」

菅谷がそう言うと、中村が。

 

「確かにw何なら女装してみる?www」

かなりおちょくってきたが、

 

「女装ぐらいなら別に平気だぞ?」

空気が凍った。いや、何でだよ。

 

『へぇー?皆面白そーなことやってるねぇ?』

声がする方を見るとそこには赤い髪のいかにも爽やかだがヤンチャそうな生徒がいた。

 

「カルマくん!?」

渚が心底びっくりしたような声でそう言った。

 

「やほ~渚くん。久しぶり。」

 

 

 




いかがだったでしょうか?

いやー(^^;)ゞ戦闘描写が難しい!!

それに、いつの間にか3000字を越えていました。
しかも、本来ならもう少し早く投稿出来たはずなんですが、書いてる最中にブラウザが落ちました(´д`|||)
楽しみにしてくれた方、お待たせしました。

次回!カルマくんとの対面でイタズラ好きと、マイペース男子がどうなるのか!

作者にも分かりません!
いや、すいません本当に。

では、また次回お会いしましょう!

誤字脱字やご意見などが有りましたら、活動報告または、メッセージにてお知らせ下さい!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

カルマの時間

お待たせしました!!

いや、すいません本当に(^_^;)
この後の展開とかを考えてたらかなり遅れまして...。

で、では。気を取り直してどうぞ!



       ~恭弥side~

 

「へぇー?アレが噂の殺せんせーなんだぁ?」

そう言いながら彼は殺せんせーに近付いていった。

 

「赤羽カルマくんですね。今日から停学明けだそうですが、初日から遅刻は行けませんねぇ?」

殺せんせーは顔にバツを出しながら言うと。

 

「あっははは...、生活のリズムが戻らなくて...。あと、下の名前で呼んでよ。」

・・・・。見た感じ爽やか好青年だが、なんか違和感があるなぁ?

俺は何となくそうも思いながらも事の成り行きを見守った。

 

「とりあえずよろしく、殺せんせー。」

カルマがポケットに入れていた手を出したときに俺は気付いた、カルマの狙いを。

 

「こちらこそ、楽しい1年にしましょう。」

二人が握手した瞬間、殺せんせーの触手が溶け、左手に隠していたナイフで追撃するが、殺せんせーは即座にその場から離れた。

 

「やっぱりな。」

 

「なにがだ?」

呟いた声が聞こえたらしい磯貝に聞かれたので俺は簡潔に答えた。

 

「カルマの手のひらを見てみろ。あいつ、手に対先生用ナイフを刻んだやつを貼っ付けてた。」

全員がカルマの手のひらを見て、驚愕していた。

 

「へぇー?本当に速いし、このナイフも効くんだぁ?」

 

「でもさぁ、先生。こんな単純なことに引っ掛かるなんて、もしかしてチョロい人?」

うわー、めっちゃ悪人顔で言ってるよ、アイツ。

案の定、殺せんせーは顔を赤くし、少しキレているようだ。

 

「渚、カルマくんってどんな人なの?」

茅野が渚にそう訪ねると渚は、驚きながらも。

 

「一年、二年が同じクラスだったんだけど、二年のときに暴力沙汰で停学になってE組になったんだって。」

ふーん。暴力沙汰ねぇ...。

 

「でも、この場では恭弥くんと同じくらい、優等生かもしれない、凶器とか騙し討ちとかなら、多分この中では群を抜いてるかも。」

そう話しているとカルマがこっちに近付いてきた。

 

「初めまして、さっきはスゴかったね。」

カルマは俺にそう話しかけてきた。

 

「そうか?俺は烏間先生に負けたし、お前は殺せんせーの触手を破壊してたじゃん。」

 

「カルマでいいよ。あと、そんなことないと思うけどなぁ~、俺は。」

ニヤニヤしながら言ってくるということは、コイツ俺が全力じゃないことに気付いてるな?

 

「そんなことねぇよ。」

俺はそう返した。

 

──────────────────────────────

教室では小テストをしているが、フニョンッ、フニョンッ。っと、殺せんせーが壁パンをしている。

 

さっきから何してんだ?殺せんせーは。─さぁ?壁パンじゃない?─あぁ、さっきカルマにおちょくられて。─触手が柔らかいから壁に全くダメージが伝わってないな。

 

何人かが小声で話していると。

 

「あぁ~もう!フニョンッフニョンッうるさいよ!」

さすがにキレるだろうな。

 

「こ、これは失礼!?」

そんなやり取りがあり、件のカルマの近くでは寺坂たちが絡んでいた。

 

「よぉ~、カルマ。イイのか?あの化け物を怒らせちまって。」

 

「どうなっても知らねぇぞぉ。」

 

「またお家に籠ってた方がいいんじゃねぇか?」

ガキかコイツら......ガキだったなコイツら。

 

「殺されかけて怒るの当たり前じゃん、しくじってチビっちゃったヤツと違ってさ。」

とことん煽るの好きだなぁ~。

 

「こらそこ!テスト中ですよ!」

 

──《あんたの壁パンもうるさいよ。》──

 

「先生の壁パンもうるさいよ~。」

 

──《言いやがった!!》──

俺が言うと何人かから見られたが、なんだ?

 

「ごめんごめん、殺せんせー。俺、もう終わったからさぁ、ジェラート食って静かにしてるよ。」

カルマはどこに持っていたのか、ジェラートを取り出した。ってあのジェラート...。

 

「ダメですよ!授業中にそんなも......そ、それは!昨日、先生がイタリアで買ってきたやつ!」

 

──《お前のかよ。》──

 

「あっ、ごめーん。職員室で冷やしてあったからさぁ。」

 

「カルマー、それ俺が狙ってたやつなんだけど。」

 

「恭弥くん!?本当に食べるつもりだったんですか!?」

当たり前だ。

 

「アッハハハ、恭弥くんって面白いね。で、先生?どーすんの?殴る?」

そう言いカルマはジェラートを一舐めした。

殺せんせーは顔を怒りながら。

 

「殴りません。残りを先生が舐めるだけです!そう、ペロペロと──グチャッ──

床には対先生用BB弾が転がっており、先生はそれを踏んでしまったらしい。すぐさまカルマと何となくで俺も銃を撃ったが避けられてしまった。

 

「まあーた引っ掛かった。けど、よく反応したね、恭弥くん。」

 

「何となくだ。」

そんなやり取りをしながらもカルマは未だに呆然としている殺せんせーに近付きながら言った。

 

「何度でもこういう手を使うよ?授業の邪魔とか関係ないし。」

 

「それが嫌なら俺でも誰でも殺せばいい。」

 

「でもその瞬間から、あんたは誰からも先生とは認めてくれなくなる。ただのモンスターだ。」

カルマはジェラートを先生の服に突きつける。

 

「あ~、勿体ねぇ。」

 

《それどころじゃねぇだろ!!》

怒られた。

 

「はい、テスト。たぶん全問正解だから。」

 

「じゃね、先生。明日も遊ぼうね。」

そう言って、カルマは教室から出ていった。

──────────────────────────────

放課後になり、今日のカルマのことを俺は考えていた。

 

「社会的に殺そうとしてるのかねぇ?アイツ。」

俺がそう言うと椋に聞かれた。

 

「どういうこと?」

 

「要するにカルマは、殺せんせーは政府との契約で生徒を攻撃出来ないのをいいことに先生を挑発して自分を攻撃させようとしていたんだよ。」

答えると今度は凪に聞かれる。

 

「でも、殺せんせーは攻撃しないと思う。」

 

「そう。だけどカルマはとことん挑発していく。もし、殺せんせーが生徒を殺してしまったら社会的に殺されるからな。」

 

「へぇー結構彼、頭いいんだね。」

 

「そういうことだ。」

 

────────次の日

俺たちが少し遅れながらも教室に入ると、何故か昨日より空気が重くなっていた。

 

「どうしたんだ?一体。」

席が近い原と菅谷に訪ねると。

 

「あれ見ろよ。」

菅谷は教卓を指差した。すると其処には何故かアイスピックが刺さった本物のタコがいた。

 

「なんだあれ?」

 

「よく分かんなぇけど、カルマがやったらしい。」

ふーん。またなんか考えてるのか。すると、殺せんせーが入ってきた。

 

「おはようございます。」

クラスの重々しい空気に気が付いた殺せんせーは皆に聞こうとするが、教卓のタコに気付いた。

 

「あっ、ゴッメーン。殺せんせーと間違えて殺しちゃったぁ。捨てとくから持ってきてよ。」

カルマはニヤニヤしながら言っているが。

 

「アレが殺せんせーに見えたのか...大丈夫か?」

あっ、カルマが固まった。

 

「お前...よくこの空気で言えるな...。」

菅谷は引きつりながらそう言った。

 

「分かりました。」

殺せんせーはそう言いながらタコを持って行った。

 

       ~カルマside~

 

こいよ、殺せんせー。今はじわじわと精神から殺してやる。

ナイフを隠し、近付いてくるのを待ってると、殺せんせーは立ち止まり小さなドリルになった触手を構えた。次の瞬間目の前から一瞬殺せんせーが消え、気が付いたらミサイルと何か調理器具をいくつか持っていた。

 

「見せてあげましょうカルマくん。このドリル触手の威力と、自衛隊から奪ったミサイルの火力を。」

 

「先生は暗殺者を決して無事では帰さない。」

何かを作りながら話す殺せんせーに唖然としていると。

 

「アッツ!?」

思わず口から出したが、何か熱い物が入っていた。よく見るとそれはたこ焼きだった。

 

「その顔色では朝食を食べていませんね。これを食べれば健康優良児に近付けますね。」

 

先生ー、俺にも頂戴。─あっ。僕もー♪─はい、どうぞ。

恭弥くんとユウキさんが先生からたこ焼きを貰っていた。

この先生、俺を嘗めてるな。

 

「カルマくん。先生はね、手入れをするんです。錆びてしまった暗殺者の刃を。」

 

「今日一日。本気で殺しに来るがいい、その度に先生は君を手入れする。」

 

「放課後までに君の心と体をピカピカに磨いてあげよう。」

コイツ・・・・。

 

       ~恭弥side~

 

それからカルマは何度も殺そうとしたが、本気で警戒している殺せんせーにことごとく手入れをされた。

 

放課後になりラストチャンスになったが、俺は特に興味が無かったので帰った。因みに蒼たちは女子たちと遊びに行った。

 

俺も連れていこうとしていたが、中村が何か企んでいそうだったので即座に逃げた。

 

「ん?あれは...渚とカルマか?」

遠くに見覚えのある後ろ姿が見えた。

 

「おーい、渚ー、カルマー。」

呼びかけると二人は気付いた。

 

「あれ?恭弥くん、先に帰ったんじゃ...。」

 

「あ~、色々あって逃げてきた。」

 

「へぇー?何から逃げたの?」

カルマがニヤニヤして聞いてくるが、今朝と様子が少し違い何やらスッキリした顔をしていた。

 

「何でもねーよ。それよりカルマ、なんかあったのか?えらくスッキリした顔してるけど。」

 

「まぁ、殺せんせーの暗殺に失敗してね。そのとき説教されちゃった。」

 

「ほー。まぁ偶然会えたし、一緒に帰ろうぜ。」

 

「そうだね。」

そのまま俺たち三人は一緒に帰り、俺は放課後の事を渚に色々教えてもらった。

 

 

 




いかがだったでしょうか?

時間がたつと書き方忘れちゃいますねw

しかし!お気に入り登録40人超え!UA数もうすぐ3000!
ありがとうございます!!!!

いやーこんな自己満足作品にこれだけ読んでくださってとてもありがたいです。

さて次はビッチ先生ですが、飛ばして原作の第五話になります。

誤字脱字が有りましたらメッセージ、又は活動報告にてお伝え下さい!

最後まで読んでくださりありがとうございした!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

理科の時間

お気に入り件数50人突破!!
ありがとうございます!!!!

いやー、まさかここまで皆さんが見てくださるとは......。

今回はアニメの“集会の時間”の前編になります。

では!よろしくお願いします!!


 

       ~恭弥side~

イリーナ先生もとい、ビッチがこの教室に来てから数日後。

これから理科があるためクラス委員の磯貝と片岡が先生とともに道具を取りに行ったんだが。

どうやら岡島、三村、前原の三人が戻ってきた所を不意打ちしようとしている。

 

「あれで暗殺出来るのかねぇ。」

俺がそう呟くと前に座っていたカルマが。

 

「そう言う恭弥くんはまだ暗殺しに行ってないよね?」

かなりしたり顔で言ってきやがった。

まぁ、そんなこと言われるのも仕方ないか。

実際、烏間先生と戦ってからまともにやってないし。

 

「その内こっちから仕掛けるよ。」

取り合えずそう答えた。

 

「へぇー?どう攻めるの?」

 

「話は終わり。先生来たぞ。」

俺の声が聞こえたらしい前原たちは少し緊張してきたようだ。

あ~あ、あれじゃバレバレだな。

 

「お待たせしました皆さん。」

殺せんせーが入ってきた瞬間。すぐに三人は連携しながら攻めるがやはりかわされる。

それどころか、先生は普通に授業の準備をしていた。

 

「はぁ...、はぁ...。三人の攻撃を避けながら準備を終わらせやがった...。」

前原は息切れしながら話した。

 

「大丈夫かお前ら?」

 

「やっぱあれぐらいの不意打ちじゃダメでしょ。」

磯貝が三人を気遣い、カルマがダメ出しをする。

 

「そーそー。カルマなんて不意打ちのつもりがフリフリエプロン着させられたんだし。」

俺がそう言うとクスクスと笑い声が聞こえ、カルマが顔を赤くしながら睨んできた。

 

「ア、アハハハハハ...。恭弥くんって時々空気をよまないよね。」

渚が苦笑しながら言ってきたがちょっと違う。

 

「違うぞ渚。よまないんじゃなくてよんだ上でやってるんだ。」

真顔で言うと渚どころか全員が。

 

《確信犯か!!お前は!!!!》

 

「確信犯じゃねぇ。愉快犯だ。」

 

《変わんねぇよ!!!!》

 

キーンコーンカーンコーン。

 

「さぁ、チャイムが鳴りましたよ。授業を始めましょう。」

殺せんせーがそう言いいながら教卓に向かうが奥田が妙にそわそわしている。どうかしたのか?

──────────────────────────────

授業内容はお菓子か着色料を取る実験らしいが、どうも時間的に進みが遅い。

ユウキと椋なんかバレないようにいつの間にか食ってるし。

 

キーンコーンカーンコーン。

あっ、チャイム。

 

「はい!」

ズババババババンッ!

 

《はぁ?》

 

「これで終了...。」

いつの間にか机にあったお菓子が全部殺せんせーの手元に......。

そういうことか。

 

「余ったお菓子は先生が回収しておきます。」

最初からそれが狙いだったなこの先生...。しかも、すぐどっかに持っていきやがった。 

 

「それ、俺たちが買ってきたやつだぞ!」

 

「給料日前だからってんなことすんなよ!!」

クラス中からヤジが飛ぶなか、俺とカルマはアイコンタクトをした。

 

─行けるな?─もちろん。

 

「先生それって教師としてどうなの~?」

カルマがジャブを放ち。

 

「まさか殺せんせーがそんなセコイことする人......じゃねぇな、生き物だったなんてガッカリしたなぁ~!」

俺がラストを決めた。

殺せんせーは精神的ダメージを負ってさらに追撃しようとしたが、授業中ずっとそわそわしていた奥田が立ち上がって、先生の所へ向かった。

もしかして殺りに行くのか?

 

「あ、あの...先生。」

 

「にゅ?どうかしましたか奥田さん?」

さぁ、どう出る...!

 

「あの!毒です!飲んでください!」

わぉ!ドストレート♪

さすがにクラス中がえぇ~?って顔をした。

 

「ダメ...ですか?」

 

「奥田さん...、これはまた、正直な暗殺ですねぇ...。」

やはり殺せんせーも唖然としていた。

 

「あ...あのあの。わ、私、皆みたいに不意打ちとか上手く出来なくて...。だ、だから得意な化学でなら出来るかなって。ま、真心込めて作りました!」

 

「真心込もった毒って殺意しかなくね?」

俺の台詞を聞いてクラスが黙った。

 

「お、奥田...。それを言われて飲む馬鹿はさすがに──「それはそれは。では、いただきます。」

 

──《飲んだ!?》──

 

「うっ!?」

お!先生が悶え始めた。意外と効くのか?

 

「こ...これは......。」

 

「効いてるのか?」

クラス中が反応に夢中になり、ついにそれは起きた。

 

うにゅ。

 

《は?》

何故か殺せんせーの顔は青くなり、角のような突起物が二本生え、後ろ髪のような刺が伸びた。

......どうでもいいが、今日はやけにシンクロしてるな。このクラス。

 

「な、なんか角生えたぞ。」

誰もが思った。

 

「この味は水酸化ナトリウムですね。」

 

「人間には有害ですが、先生には効きませんねぇ。」

 

「そ、そうですか。」

 

「あと二本あるんですね。それでは。」

そう言って二本目を飲んだ。

 

「ん!?んぅ~~~~うぅ~~~~~~~!」

苦しんでいるのか分からなくなってきた。

 

にゅにゅ。

 

「......今度は羽が生えやがった。」

 

「無駄に豪華になってきたね。」

俺とカルマはそう話してたが、なんだ?あの顔...薄緑になったし、角も枝分かれしている。

 

「酢酸タリウムですね。では最後の一本。」

 

「どうでもいいがなんで味が分かってんだ?」

俺は素直にそう思った。

 

「うぉおおおおぉぉおぉぉ~~~~!」

 

「最後はどうなるんだ!?」

全員が様子を見守り、先生の変化が終わった。

 

「・・・・。」

真顔。真っ白な真顔であった。

 

「変化の方向性が見えねーよ!!」

 

「てか先生、真顔うっす!」

しかし殺せんせーは。

 

「王水ですか。しかしどれも先生の顔色を変える程度ですね。」

普通の対応だった。

 

「先生のことは嫌いでも、暗殺のことは嫌いにならないで下さい。」

普通じゃなかった。

 

《いきなりどうした!?》

今日もE組のツッコミが冴え渡る。

 

「それとね、奥田さん。」

あっ、戻った。

 

「は...はい。」

 

「生徒一人で作るのは、安全上感心しませんよ。」

 

「はい。すみませんでした。」

 

「このあと時間があるのなら、一緒に先生を殺す毒薬を作りましょう。」

ターゲットが一緒じゃ意味ねぇじゃん。

 

「は、はい!」

喜んでるところ悪いが絶対嘘だろ。

───────────────────────────────

理科も終わり、今は放課後で何人かの生徒は校庭で暗殺の練習をし、奥田は殺せんせーと共に何かを作ってる中、俺たち孤児院組はミカと話をしている。

 

「久しぶりに話すな?()()。」

 

「またそれ言うの!?」

いや、実際空気だったろ。

 

「まぁ、それは良いとして。結局なんで俺は転生するんだ?スゲー今さらだけど。」

 

「あー、えっとね。気ついてると思うけど君を転生させるには理由がある。」

理由が無きゃ転生しないだろ、普通。

 

「確かにそうだけど理由がね、複雑なんだ。」

複雑?

 

「何が複雑なんだ?」

 

「うん。簡単に言うと世界の修正だね。」

 

「はぁ?なんで修正があるんだ?踏み台とかでもいるのか?」

 

「厳密にはちょっと違うかな。確かに踏み台とかはいるけど、問題はそこじゃないんだ。

実はね、僕たち転生させることが出来る存在でも転生は基本的にさせないんだよ。」

 

「踏み台がいるんだろ?それに俺だって転生したじゃねぇか。もしかして他の神が娯楽で転生させまくったのか?」

 

「踏み台自体はそんなに多くはいないよ。ただ、ソイツは色んな世界のストーリーをねじ曲げていってるんだ。君にはその修復をしてもらいたくて転生させることにしたんだよ。」

ねじ曲げられていってるってことは。

 

「この世界もか?」

もしそうなら何時でも動けるようにしないと。

 

「あ、いや、この世界は別に問題無いよ。」

 

「は?じゃあ、なんで最初にこの世界にしたんだ?」

 

「それはね、君が特典にある程度馴れさせようって思ったからさ。」

 

「ほー。じゃあ、最後に一つだけいいか?」

 

「なんだい?」

 

「何故俺なんだ?別に他にも候補はいただろ。」

 

「・・・・それはまだ答えられない。」

 

「... どうしてもか?」

 

「・・・・。」

だんまりか。

 

「分かった、今は聞かないでおく。」

そして俺はその場から離れた。──────────────────────────────

 

       ~ミカside~

 

「ユウキちゃん、椋ちゃん、凪ちゃん、蒼ちゃん、果林ちゃん。」

 

《なに?》

 

「彼には気付かれないようにね。」

 

《・・・・・・・。》

──────────────────────────────

 

       ~恭弥side~

 

「で、その毒薬を持ってこいって言ったんだ?」

 

「はい!理論上はこれが一番効果があるって。」

 

「毒物の正しい保管方法まで漫画で書いてある。」

渚たちが何やら話をしている。

 

「何話してるんだ?」

 

「あ、恭弥くんに蒼さん、それに凪さん。おはよう。」

 

「あれ?ユウキさんと椋さんは?」

 

「あぁ、二人とも寝坊。」

 

「えっ?置いてきたの?」

 

「違う。起こそうとしたけど全く起きなかった。」

蒼の言うとおり、あの二人は全然起きず待っていたら俺たちも遅れていた。

因みに俺と凪は普通に起きて、蒼は果林に起こしてもらっている。

 

「それはそうと、さっきから何してるんだ?」

まぁ、大体予想は付いてるが。

 

「昨日の放課後、奥田さんが先生を殺す毒薬のレシピを宿題として出されたんだって。」

 

「しっかし、自分を殺す毒薬なんて先生なに考えてるんだ?」

 

「きっと私を応援してくれているんです。国語なんて分からなくても、私の長所を伸ばせばいいって。」

そんな会話をしているが絶対に無いな。

 

「ふーん。あの先生がそんなことさせるかねぇ?」

俺はそう言い、自分の席に戻った。

 

『あの、お兄さん。さっきの毒薬ってやっぱり。』

果林が俺に毒のことを聞いてきた。

 

『あぁ、十中八九あの先生にメリットがある薬だろうな。』

 

『やはりそうですか。いいのですか?教えなくても。』

 

『どうせあの先生が何かするんだろ。』

 

ガラガラガラガラッ!

 

「ま、間に合った...!」

どうやらユウキと椋が来たようだ。

 

「お兄さん!何で起こさなかったの!?」

 

「起こしに行ったぞ、凪の後に俺が。なのに全く起きなかったじゃねぇか。」

 

「うっ!」

 

「いいから座っとけ、間に合ったんだから。」

 

「は~い。」

 

ガラガラガラガラッ!

 

「はい、皆さん。席に着いてください。」

殺せんせーが来たようだ。すると奥田が。

 

「先生!これ!」

例の薬を渡すようだ。

 

「おや、流石です。ではさっそく頂きます。」

 

ゴクッゴクッ。

 

「フ、フフフフフ。ありがとう奥田さん。君の薬のお陰で先生は新たなステージへ進めそうです。」

やっぱりか...!

 

「それって...どういう......。」

奥田やクラス全員が呆然としている最中、俺はカルマに。

 

「カルマ。」

 

「ん?なに?」

 

「今から暗殺しに行ってやるよ。」

殺せんせーは液状化し、あらゆる隙間や空間に縦横無尽に駆け回った。そして俺は─────

 

 

“緋弾のアリア:緑松校長の戦闘技術”

 

“ぬらりひょんの孫:奴良リクオの撥”

 

 

ここまでは前回の烏間先生と一緒。

 

 

“ドラゴンボール:気の扱い”

 

 

これを使い、自身の気配をさらに消す。そして凪に目配せして、霧の幻術で違和感を消した。

俺は殺せんせーが奥田に国語力の大切さを話しているのを聞きながら、殺せんせーに意識が向かわないように注意して近づいた。

 

──────毒を渡す国語力も鍛えてください。」

 

「は、はい!」

クラスがいい雰囲気の中、その時が来た。

 

 

“家庭教師ヒットマンREBORN !!:ザンナディ・スクアーロ”

 

 

ズババババババババババンッ!!!!!!!

 

「にゅや!?」

殺せんせーが俺によって八本もの触手が切られた。突然のことで何となく察していたユウキたちや、事前に聞いていたカルマ以外が驚愕した。

 

「おー、行けた行けた。」

俺は特典でしっかり技が出来たことに取り合えず満足した。

 

「悪いね、殺せんせー。隙だらけだったからつい。」

 

       ~渚side~

 

僕たちは今、言葉を失っている。

ついさっきまでは殺せんせーが奥田さんに国語力の大切さを教えていた筈なのに、一瞬で殺せんせーの触手を八本も切った恭弥くんに誰もが驚愕している。

 

「大丈夫か?殺せんせー。まぁやったの俺だけど。」

 

「き、恭弥くん。いつの間にそこに?」

 

「液状化から戻る少し前から。」

気付かなかった。いくら先生が話していたからとはいえ、そんなすぐそばにいたのに誰一人気付いていなかった。

 

「けど、しばらく特に何もしないから安心しなよ、殺せんせー。」

 

以前、カルマくんと同じくらいと思ったけどそんなことは無かった。このクラスでは恭弥くんがダントツで強い。

 

 

 




いかがだったでしょうか?

一話事に文字数が増えていってる・・・・。
何でだろ?

しかぁし!上手くなっていってると思っておこう!!


では皆さん次回お会いしましょう!

誤字脱字が有りましたらメッセージ、又は活動報告にてお伝え下さい!

最後まで読んでくださりありがとうございした!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

集会の時間

いつの間にかお気に入り数60人越え!
ありがとうございます!!!!

では、コメントはこのくらいでどうぞ!


 

       ~恭弥side~

 

いつも通りのんびりしていたら、カルマを除く全員が少し慌てながら何やら準備をしていた。

 

「お前ら何でそんなに慌ててるんだ?」

すると渚がこちらに来た。

 

「今から本校舎で全校集会があるんだよ。」

 

「は?今は昼休みだろ?」

昼休みで休むなってか?

 

「ううん。僕たちE組は基本、本校舎への立ち入りは禁止されてるんだけど、全校集会があるときだけは許されるんだ。けど、僕たちはここから行かないといけないし、遅刻でもしたら罰則があるんだよ。」

はぁ~、ここまで差別してるのか。

 

「そーそー、この間は本校舎の花壇の掃除させられたよな。」

 

「あれはキツかったなぁ。」

当たり前だが、やはりあちこちから不平不満が口々に出てくる。...何か能力使うか?......いや、一回体験してみて考えるか。

 

「ならもう行った方がいいな。」

───────────────────────────────

 

「なかなか面白いな、山下り。」

他の皆は何人かに別れて行動して、俺はユウキと椋の三人で動いている。蒼と凪は最近、神崎と仲がいいようで三人で動いているようだ。

 

「ねぇねぇ!お兄さん!椋!山を下りるまで競争しようよ!!」

ユウキがそんなことを提案してきた。

おいおい、そんなこと......楽しそうじゃねぇか!!

 

「負けない...!」

椋もヤル気のようだ。

 

「じゃ、行くか。レディー......ゴー!」

 

       ~渚side~

 

はぁ~、やっぱりキツいなぁ。

そう思いながらも僕たちは山を下りていく。

 

「ん?誰か来る?」

さっきまで神崎さんと話していた蒼さんがいきなり後ろを振り返りそう言った。

 

「どうかしたの?蒼さん。」

僕が聞いたら僕にも聞こえてきた。

 

・・ぅ・・・・ァァァァァァアア!!!!

 

「えっ?何、この声?」

 

ゥゥウゥゥゥゥアァァァアァアァァァアァ!!!!!!!!

 

岡島くんがずぶ濡れで蛇に巻き付かれ蜂に追いかけられていた。

 

「...アイツ、なんか凄いことになってたな...。」

杉野がそう言い、僕もそう思った。すると蒼さんと凪さんが。

 

「また来る。」

 

「それにこの声...。」

えっ?また!?

 

《い~~ヤッッホーーーーーー!!!!》

恭弥くん、ユウキさん、椋さんが凄いスピードで走っていった。

 

「じゃなぁ~!!お前ら~~~!!!!」

恭弥くんがそう言い、三人は見えなくなった。

 

「アイツらバケモンか......。」

何も言えない......っあれ?そういえば。

 

「ねぇ?蒼さんと凪さんは─────っていない!?

 

「あぁ、二人なら恭弥くんたちを追いかけたよ。」

茅野に言われるまで気付かなかった。それにしても。

 

「恭弥くんだけが凄いって思ってたけど、ユウキさんたちも凄いね......。」

何と言うか、もう別次元の存在に見えてきた。

 

「確かにな。っと、俺たちも急ごうぜ。」

 

「そうだね、杉野。」

 

       ~恭弥side~

 

勝負の結果は僅差で椋が勝った。

 

「あぁ~、負けちゃった。」

ユウキも悔しがっている。

 

「まぁ、楽しかったね!」

 

「そうだな。」

実際、山を下るのは結構楽しかった。すると、どうやら俺たちを折って来たらしい凪と蒼と果林が来た。

 

「追い付いた。」

 

『皆さんお速いですね。』

 

「うん。」

 

「お前ら渚たちと一緒じゃ無いのか。」

現に渚たちは今、山を走っているようだ。

 

《えっ?》

おい。

 

「せめて一言だけでも言ってから追っかけて来いよ...。」

呆れながら言うと三人とも気まずそうにする。

 

「ハァー、後でちゃんと謝れよ。」

 

《はい。》

ならよし。それにどうやら渚たちも着いたようだ。

 

「おう、お疲れさま。」

E組の皆が次々と本校舎にたどり着きそうななか、俺は渚たちに話しかけた。

 

「ハァー、ハァー。速すぎだよ、恭弥くん...。」

まぁ、岡島はトラブル続きなのに俺らより早かったがな。

 

「あの...皆、ごめんなさい。」

 

「ごめんなさい。」

 

『私も謝りたいのですが、声が聞こえないのが残念です。』

蒼と凪が謝るなか、声が届かない果林は残念がっていた。なので俺は回りに不審がられないように果林の頭を撫でた。

 

『えっ!?アッ、アノ!?ど、どうしましたか?////』

おうおう、照れちゃってまぁ、愛い奴だな。って、俺は親父か...。

 

......ゾクッッ!!

 

「うぉ!?」

なっなんだ!?

 

「どうしたの?恭弥くん。」

 

「あっあぁ、渚か...いや、何でもな────」

渚の方を見て気づいた。ユウキ、椋、蒼、凪が眼を見開いて此方を見ているのを。

 

《後で私(僕)たちにもね♪》

 

「あ、あぁ、分かった。」

恐ぇえ~。

 

「・・・・。」

 

そのとき見ていた人物が他にいることを俺は気付かなかった。

 

「皆、大丈夫か?」

 

「あっ、烏間先生。」

どうやら烏間先生が来たようだ。

 

「もう少し休むといい。君たちが急いだお陰でまだ時間はある。」

ほぉ~、そんなにあるのか。

 

「ちょぉおっとぉ!!アンタたち~~!!!!」

英語教師兼、暗殺者のイリーナ・イェラビッチが来た。

 

「あ、ビッチ先生。」

 

「何のようだ、ビッチ。」

この先生はウザいことが多いが、弄るととても楽しい。

 

「誰がビッチよ!!アンタだけよ、私のことストレートにビッチなんて言うのは!!!!」

ハハッ、やっぱり楽しい。

 

「って言うか休憩時間から移動なんて聞いてないわよ。」

お前が聞いてないだけだ。

 

「だらしねーなぁ、ビッチ先生は。」

杉野が呆れながらそう言った。

 

「ヒールで走ると、余計疲れるのよ!」

 

「ならヒールにすんなよこのビッチ。」

素直にそう思った。

 

「嫌よ!あと何でアンタは私に当たりが強いのよ!」

ビッチが言ってきたが、そんなの決まってる。

 

「楽しいからに決まってるだろ。」

 

「ムキ~~~~!!!!」

あぁ~、楽しいなぁ。

俺がビッチを弄っていると渚が烏間先生に質問した。

 

「烏間先生、殺せんせーはどうしたんですか?」

 

「生徒たちの前に姿を現すわけにはいかないからな、旧校舎に待機させている。」

ほう、面白い顔してるんだろうな。

 

「ほら皆、整列しようぜ。」

磯貝がそう言い、息も絶え絶えだって皆が動き出した。

俺たちE組が整列していると本校舎の生徒たちがノロノロと体育館へ入ってきた。こうして見ると何だろうか、性格悪そうなヤツしか見当たらない。

 

「渚くーん。」

誰だ?なんかメガネをかけた細いヤツと太いヤツが渚へ馬鹿にするかのように話しかけてきた。

 

「お疲れー、わざわざ山の上からこっちに来るの大変だったでしょ。」

ヒャハハハッ!っと、笑いながらソイツらは整列しに行った。

 

「渚、誰だ?あのブサメンたちは。」

俺が渚に聞くと小声で答えた。

 

「ブ、ブサメンって。前いたクラスのクラスメイトだよ。」

 

「E組の差別ってこんな場所でも普通にやってるのか?」

 

「うん。月に一度の全校集会ではずっと耐えなきゃいけないんだ。」

ふーん。ずっと耐えるねぇ?そうして全校集会が始まり、校長らしきバーコードヘッドが話している。

 

「えー、要するに。君たちは全国から選りすぐられたエリートです。この校長が保証します。が、油断していると、どうしようもない誰かさんたちみたいになっちゃいますよ?」

本校舎生徒たちが笑い出した・・・・。

 

「こぉら君たち、笑いすぎです。」

・・・・。

 

「そういや渚、カルマはどうしたんだ?」

菅谷が渚に聞いてるがどうせアイツのことだ、バックレたんだろ。

 

「集会フケて罰くらっても痛くも痒くもないって。」

 

「成績優秀で素行不良ってこういうとき羨ましいよ。」

 

「まったくだ。」

確かに。

 

「何だ、サボって良かったのか。」

 

「いや、ダメだから。」

渚に軽くつっこまれた。

俺はほとんど話を聞いていなかったがいつの間にか生徒会からの報告になっていた。すると烏間先生がやって来た。どうやら本校舎の先生に挨拶をしているようだ。しかし、ナイフホルダーをデコった物を見せあっている三村と倉橋を見て顔を歪ませた。

 

「お前たちっ!可愛いのはいいが、ここで出すな!暗殺のことは極秘なんだぞ!」

さすがの烏間先生も焦りながら注意しに来た。その様子を見ていた本校舎生は烏間先生がE組の担任だということに気付いて悔しがっていた。

 

「あ~、来るかもとは思ったけどマジで来やがったなあのビッチ。」

俺はさっきまで烏間先生を睨んでた男子生徒や男性教諭の顔が緩んでいたことで気づいた。

 

「渚。「えっ?」アンタさぁ、あのタコの弱点全部手帳か何かに書いてるそうじゃない。今その手帳お姉さんに渡してちょうだい。」

 

「いや、役立つ情報はもう全部話したよ。」

 

「そんなこと言って、肝心なこと誤魔化す気でしょ。」

 

「いや、だから────「いいから渡せって言ってるのよ、このガキ。」

そう言ってビッチは渚を自分の胸に押し付けた。そしてその様子を見て茅野が凄い顔で睨んでた。

 

「おいビッチ。そんなことするからお前はビッチ何だよ、このビッチ。醜態をさらすなビッチ。」

さすがにこの場ではウザい。

 

「烏間先生。」

 

「あぁ、分かっている。」

烏間先生がビッチを連れていった。はぁ~、ようやく落ち着いた。ん?本校舎のヤツら、何か配ってるな。

 

「はい。今皆さんに配ったプリントが生徒会行事の詳細です。」

どうやらコイツらワザとやってるらしいな...。

 

「えっ、何?プリント?俺たちの分は?」

 

「すいません。E組の分、まだなんですが。」

磯貝が壇上にいる生徒会長に尋ねた。

 

「えぇっ!?ない?おっかしいなぁ。ごめんなさーい、三年E組の分忘れたみたい。すいませんけど、全部記憶して帰ってくださーい。」

アァ?

 

「ほら?E組の人は記憶力も鍛えた方がいいと思うし。」

さっきから生徒会長の言葉で本校舎のヤツらが笑っている。さすがに少しキレた。

 

「おいおい!明らかに浮いてる俺たちの分を忘れてるお前も記憶力鍛えた方がいいんじゃないか!?それに、俺たちより優れてるんだろ?ならプリントなんていらないよなぁ!」

 

「なっ!?え、えーと、女の子...だよね?何言ってるのかな?」

 

「おいおいまさか眼も悪いのかよ。どっからどう見ても男だろうが。」

 

──《女子にしか見えねぇよ!!》──

すると室内なのに風が吹いた。不意だったからよく見えなかったけど、黒い布が見えた。しかも俺たち全員の手にはプリントがあった。

 

「磯貝くん、恭弥くん。」

やはり殺せんせーがいた・・・・んだが、何だ、あの格好。

 

「プリントはあるので、問題ないですねぇ。」

肌は白く塗られ、カツラと鼻が付いていて、手袋と長袖で触手を隠していたがメッチャぐにゃぐにゃしていた。

 

「はい!あぁ、プリントあるので、続けてください。」

 

「えっ!?うそ?何で?誰だよ、笑いどころ潰したヤツ!」

ほぉ~~~~?

 

「笑いどころ潰したヤツねぇ?」

俺がそう言うと慌てて。

 

「あっ!いやっ、う、うん!では続けます。」

その後、烏間先生が殺せんせーを注意し、ビッチが殺せんせーを襲撃したが烏間先生に退場させられたが問題なくすすんだ。ただし、渚を睨んでる二人がいたが。

───────────────────────────────

集会が終わり、さっきの二人が気になった俺は渚の周りを見ていた。

 

「何をしているんだ、恭弥くん。」

烏間先生が近くにやって来た。

 

「あぁ、烏間先生。いや、さっき渚を睨んでたヤツがいたんでその監視です。」

 

「なに?」

渚はどうやらジュースを買いに行ったようだ。すると、ジュースを買ったときにさっきの二人がやって来た。

 

「おい!渚!!」

 

「うん?」

 

「お前らさぁ、ちょっと調子のってない?」

どうやらさっきの集会の様子を見てイチャモンつけに来たようだ。

 

「あの生徒たち...。」

烏間先生が注意しに行こうとする。

 

「烏間先生ストップ。行かなくても大丈夫はず。」

 

「なに?どういうことだ?」

 

「恭弥くんの言うとおりです。烏間先生。」

殺せんせーも来たようだ。

 

「あの程度の生徒に屈しはしませんよ、私を暗殺しようとする生徒たちはね。」

その通りだが俺にはそれ以前に渚は大丈夫だと思っていた。

 

「何とか言えよ!!殺すぞ!!!!」

はっ、あの程度で殺すとか、笑わせる。

 

 

 

 

─フフッ、殺そうとしたことなんて、無い癖に。─

 

 

 

 

「わぉ♪ここまでか。」

ハッキリ言って、ビックリした。渚がここまでの殺気を出せるとは。烏間先生も驚愕していた。

 

「ホラねぇ、私の生徒たちは殺る気が違いますからねぇ。」

 

「俺は?殺せんせー。」

 

「うーん、どうでしょう、君は別格ですからねぇ。」

 

「ふーん。そっか。」

これからの楽しみが増えたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、殺せんせー。俺たちが本校舎に着いたとき俺のこと見てただろ?」

 

「ヌルフフフフ、やはり気付きましたか。」

 

「他に()()ぐらい見られてたんだが知らない?」

 

「いえ?知りませんねぇ。」

そうか。まぁ、二つはそんなに変な感じは無かったから問題ないか・・・・ただ、なんだ?あの変な感じがした視線は。まるで体の中まで見られている感覚だったが。




いかがだったでしょうか?

少しずつ文字数があがってきてるなぁ。
自分でもビックリです。

では!また次回お会いしましょう!!!!

誤字脱字が有りましたらメッセージ、又は活動報告にてお伝え下さい!

最後まで読んでくださりありがとうございした!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

テストの時間

生きてますよ!!
お待たせしました!!!!

いつの間にかお気に入り数も増えて行き、身に余る思いです。

では、どうぞ!


───────────────────

 

─探せ!まだ近くにいる筈だ!!!!─

 

..........ハッ!ハッ!ハッ!...........

 

─いたぞ!!!殺せ!!!!─

 

クソッ!!

 

───────────────────

 

何で殺した!!!?!?!!?

 

─・・・・・・・─

 

殺してやる!!俺が!!!絶対に!!!!!

 

─・・・・・─

 

───────────────────

       ~恭弥side~

 

眼が覚めた。しかし、

 

「なんだ...?この夢......?」

どちらも顔が、というより全体的に顔付きが違っていた。

 

──────────────────────────────

 

中間テストが迫り、殺せんせーによる強化勉強が始まり、職員室に知らない気配を感じて見に行ってみる事にした。職員室に着くと渚が何やらドアの隙間から盗み聞きをしていた。

 

「何やってんの?渚。」

渚は突然話しかけられたことにより驚いたようだがすぐに落ち着いた。

 

「あっ...恭弥くん...。今、職員室に理事長先生が来てて、先生たちと何か話してるみたい。」

あの知らない気配は理事長だったのか。だからなのか分からんがどこか嫌な気配を感じるのは何故だろうか?

 

「ところで渚は何やってるんだ?」

 

「いや、偶然通りかかって、中から話し声が聞こえたからつい...。」

 

「へ~え?何か話してる?」

 

「えっと、殺せんせーが救世主とか巨悪がどうとか言ってるんだけど、よく分かんないんだ。」

 

「何じゃそりゃ?」

前後の会話を知らないからよく分からんが、殺せんせーは何かの実験台か何かだったのか?

すると、職員室から目付きの鋭い人物が出てきた。

この人が理事長か...。

 

「ん?」

俺と渚と眼が合ったので、取り合えず会釈した。

 

「やぁ。中間テストを期待しているよ、頑張りなさい。」

そう、俺たちに優しく言ってきたが感情が全く込められていなかった。

 

「あぁそれと、君が新神恭弥くんだね?色々と噂は聞いているよ。」

 

「はぁ、どうも...。」

理事長は言うだけ言って去って行った。最後まで良き先生のような口調だったが、顔が前に向いた瞬間、完全に無表情になっていた。そして渚は理事長の言葉で精神が死んだかのように沈んでいた。

───────────────────────────────

その翌日、今日も強化勉強が始まるのだが昨日とは違っていた。というのも、

 

『おはようございます!皆さん!』

『今日は先生更に頑張って増えてみました。』

 

昨日の倍はある程に殺せんせーは分身していた。どうやら昨日の理事長との話で何か合ったようだ。

しかも増えすぎたせいなのか、服装やらカツラやらと、明らかに変なコスプレとしか言えない分身が多数いた。

 

「殺せんせー、分身して色々教えてくれるのはいいが、音が煩くて聞こえねぇ。」

俺としては椋や蒼にも分かりやすく説明しているからありがたいが、正直聞き取るのが面倒くさい。

 

『それはすいません。しかし、これで皆さんの成績も良くなると思いますので、我慢してください!』

 

キーンコーンカーンコーン

 

殺せんせーによる超同時授業が終了したが、殺せんせーは教卓でバテバテになっていた。

 

「さすがに相当疲れたみたいだな。」

 

「今ならやれるかも。」

磯貝が心配し、中村が暗殺しようとする。

 

「なんでここまで先生するのかねぇ?」

誰かがそう言い、殺せんせーが答えた。

 

「ヌルフフフフ、全ては君たちのテストの点数を上げるためです。そうすれば!」

「生徒たちからの尊敬の眼差しを受け、評判を聞いた近所の女子大生から教えを請われる!なんてことも......。」

 

「おい、聖職者。」

前半は良かったのに後半はただの欲望だった。俺はすぐにツッコんだんだが、クラスは何故か微妙な空気を出した。

 

「勉強はそこそこでいいよなぁ?」

・・・・は?

 

「うん、何たって暗殺すれば賞金百億だしね。」

いや......おい...。

 

「百億あれば成績悪くてもその後の人生バラ色だし。」

・・・・。

 

「にゅや!?そういう考えをしますか!?」

 

「だって俺ら、エンドのE組だぜ?」

 

「テスト何かより暗殺の方がよっぽど身近なチャンスだしな。」

ちょっと待てよ......暗殺の方がいい?...........何だよそれ、じゃあ、()()()()()()

 

ギュッ!

 

俺の異変に気付いたらしい椋たちが俺を哀しげな表情で見つめていた。

 

「大丈夫だよ、お兄さん。」

ユウキが、

 

「私たちがいる。」

凪が、

 

「だから大丈夫。」

椋が、

 

「安心して?」

蒼が、

 

『えぇ。大丈夫ですよ。』

果林が、皆が俺を安心させようと抱き付いて来た。そのおかげで少し落ち着くことが出来た。

そしてクラスの言葉を聞いた殺せんせーは、低い声で顔を紫のバツにしていた。

 

「今の君たちには暗殺者としての資格がありません。」

「全員今すぐ校庭に出なさい。」

──────────────────────────────

全員が校庭に出て、殺せんせーはグラウンドの中央で佇んでいた。

 

「急に校庭に出ろだなんてどうしたんだ?殺せんせー。」

 

「さぁ?」

 

「いきなり不機嫌になったよね?」

俺は殺せんせーの考えに気付いたが、生徒たちは突然の出来事に疑問を持っていた。

 

「E組のシステムの上手い所は、一応の救済措置が取られているところだ。」

「定期テストで学年中50位以内を取り、尚且つ、元の担任が許可すれば差別されたE組から抜け出せる。」

そう、切り出し始めた。

 

「だが、元々成績最下位なのと、この劣悪な学習環境ではその条件を満たすには難し過ぎる。ほとんどのE組生徒は救済の手すら掴めない負い目から、エグい差別も受け入れしまうそうだ。」

殺せんせーは現状のE組について語りながら、グラウンドにあった設備をどかしていく。

 

「イリーナ先生、プロの殺し屋として伺います。」

殺せんせーはビッチに話し掛けた。

 

「何よ、いきなり...。」

突然の質問に戸惑うビッチ。

 

「貴女はいつも仕事をするとき用意するプランは一つですか?」

 

「いいえ。本命のプランなんて思った通りに行くことなんて少ないわ。」

「不足の事態に備えて、予備のプランをより綿密に作っておくのが暗殺の基本よ。」

ビッチの回答を聞き、今度は烏間先生に訊ねた。

 

「では烏間先生。ナイフ術を生徒に教えるとき、重要なのは第一撃だけですか?」

あぁ、なるほど。伝えたいのはそういうことか。

 

「いや、第一撃は確かに最重要だが次の動きも大切だ。標的相手では、第一撃は高確率でかわす。」

「その後の第二撃、第三撃を如何に高精度で繰り出せるかで勝敗は決まる。」

 

「では、最後に恭弥くん。」

あれ?俺にも来た。

 

「君は以前烏間先生と闘ったとき、どういう攻め方をしましたか?」

あの時か...。

 

「確かあの時は、トリッキーな動きをメインでしたけど、目的は相手の虚を突いた後の攻撃で強襲する感じだったはず。」

 

「結局何が言いたいんだよ、殺せんせー。」

焦れったくなったのかそんな声が出た。殺せんせーは回転しながら答えた。

 

「先生方や恭弥くん、というよりは新神さんたちのおっしゃる通り、自信を持てる次の手があるから、自信に満ちた暗殺者になれる。」

「対して君たちはどうでしょう?」

殺せんせーは言いながら回転のスピードを上げていった。

 

「俺たちには暗殺があるからいいやと考えて、勉強の目標を低くしている。」

「それは、劣等感の原因から目を背けているだけです。」

回転は余りの速度により、辺りには突風が吹き荒れた。

 

「もし、先生がこの教室から逃げたら?」

「もし、他の殺し屋が先生を殺したら?」

「暗殺という拠り所を失った君たちにはE組の劣等感しか残らない。」

「そんな君たちに、先生からのアドバイスです。」

殺せんせーの回転により、突風は竜巻になった。その中で殺せんせーの声が不思議と聞こえてくる

 

 

─第二の刃を持たぬ者は、暗殺者の資格無し─

 

 

竜巻は天へと登り、収まっていく。すると辺り一面には今までの荒れ具合が嘘のように綺麗にされていた。

 

「雑草や石が多かったので手入れしました。」

「先生は地球を消せる超生物。この辺一帯を平らにする等容易いことです。」

...地球を消すなら俺も出来るけどな。言わねぇけど。

 

「もしも君たちが、自信を持てる第二の刃を示さなければ、先生を相手にするに値しないと判断し、校舎ごと平らにし、先生は去ります。」

 

「第二の刃?いつまでに?」

渚が皆の代弁をして聞いた。

 

「決まっています。明日の中間テストでクラス全員で50位以内を取りなさい。」

 

《えぇぇぇ!?》

クラスの殆んどが驚いているがその程度ならいけるな。

 

「君たちの第二の刃は先生が既に育てています。」

「本校舎の生徒に遅れをとるほど、先生はトロい教え方をしていません。」

「自身を持ってその刃を振るってきなさい。」

その言葉にクラスは不安を持ちながらも、テストに挑んだ。

────────────────────────────

中間テストも終わり、答案用紙が帰ってきたがクラスは思い空気を醸し出していた。それもそのはず、どうやら本校舎の方でテスト範囲がかなり変わり、変わった内容もあの理事長が直接教えたらしく、どうやら完全にE組を潰しに来たようだった。

 

「先生の責任です。この学校の仕組みを甘く見すぎていたようです。」

いや、これはしゃーないだろ。

ん?何ならカルマがニヤニヤしながら此方に合図してきた。・・・・あぁ、なるほど。ニヤリッ

 

「君たちに顔向け出来ません。」

今!カルマがナイフ、俺が銃を放った。そして俺はついでに、

 

 

“緋弾のアリア:跳弾射撃(エル)

 

 

ナイフを避けた所を跳弾で狙ったが避けられてしまった。

 

「いいの?顔向け出来なかったら、俺が殺しに来るのも見えないよ?」

 

「それに、殺せんせーですら気付けなかった俺もいるんだぜ?」

俺とカルマは殺せんせーに答案用紙を突き付けた。

 

赤羽業:学年中2位

 

新神恭弥:学年中3位

 

「おぉ~!マジかよ!」

 

「スゴイ......!」

クラス全員が俺たちの順位を知り、驚いた。

 

「あんたが余計なとこまで教えたからこんな成績になったんだよ?だから範囲が変更されても対処できた。」

「でも、俺はこのクラス出る気無いよ?前のクラスより暗殺の方が楽しいし。」

カルマがそう口にしながら先生に言う。

 

「俺たちなんか、殺せんせーを暗殺するためにここに来たんだぞ?殺せんせーがいなくなったら意味ないじゃん。」

 

「で?どーすんの?殺せんせー。全員50位以内に入んなかったって言い訳付けてここから逃げ出すの?」

「それって結局さぁ、殺されるのが怖いんじゃないの?」

そろそろか...。

 

「ほれ、皆今がチャンスだから仰げ。」

俺はタイミングを見計らって、クラスに小声で話した。

 

「なぁ~んだ、殺せんせー怖かったのか~。」

 

「それなら正直に言えば良かったのに。」

すると、あちこちから殺せんせーを小馬鹿にする声が上がった。

 

「にゅや~!!!逃げる訳ではありません!!!!」

掛かった!!

 

「へぇ~じゃ、どうすんのぉ?」

 

「そうだぞ、殺せんせー。」

俺とカルマは棒読みで聞いた。

 

「期末テストであいつ等に倍返しでリベンジです!」

殺せんせーはそう言ったが、

 

「イヤイヤ、どうせなら完膚なきまでに叩き潰そうぜ。」

俺がそう言うと、

 

「おぉ!いいね!」

 

「だね!やってやろうよ!」

クラスのやる気が上がったようだ。

今回の一件でE組は自分たちの目標を認識することが出来たようだ。

 

 

 

 




つ、疲れた・・・・。
睡魔がヤバイです・・・(;´Д`)

すいませんがコメントはここまでにして、しっかりしたのを後日書き換えたいと思います。



誤字脱字が有りましたらメッセージ、又は活動報告にてお伝え下さい!

最後まで読んでくださりありがとうございした!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修学旅行の時間 一時間目

二桁に来ました!!

では、早速どうぞ!!!!


 

       ~恭弥side~

 

「ねぇ恭弥くん、良かったら修学旅行で一緒の班にならない?」

テストも終わり、椚ヶ丘中学校では修学旅行があるそうで、渚に班にならないかと誘われた。

 

「あ~スマン渚。俺、今の所は孤児院メンバーで行くことにしてたんだ。」

 

「あ、そうだったんだ。ゴメンね?」

 

「いや、誘ってくれてサンキューな。」

うん、それじゃ。そう言って渚は自分の班に戻って行った。今回の修学旅行ではプロのスナイパーに暗殺させやすいように行動してくれと言われたが、今回はどう動こうか...。

 

「ねぇお兄ちゃん!京都って金ピカのお寺があるんだよね?」

 

「金閣寺だけだけどな。」

興奮冷めやらぬようで如何にもウキウキした様子で椋が聞いてきた。

 

『お寺や神社って、初めてなので凄く楽しみです!』

 

「楽しみ。」

元の世界が違った蒼と果林は日本独特の建物に興味津々のようだ。

 

「お兄さん、暗殺のことはどうするの?」

 

「私たちが力を使えばすぐに終わると思う。」

 

「ん~、今回は正直あんまり乗り気じゃないからなぁ。どうせだから旅行を楽しむか。」

ぶっちゃけ面倒くさい。各班で計画を立てているなか、窓際に立っていたビッチが鼻を鳴らした。

 

「フンッ、ガキねぇ?」

「世界中を飛び回った私には、旅行なんて今更だわ。」

気取りながらそう言ったが、ビッチの扱いに馴れたE組は、

 

「じゃあ、留守番しててよビッチ先生。」

 

「花壇に水あげといてねぇー。」

凄くおざなりな対応だった。

 

─二日目何処に行くー?─やっぱり東山からじゃない?─暗殺との兼ね合いを考えると...─でもこっちの方が楽しそー!

 

「何よ!私抜きで楽しそうな話ししてんじゃないわよ!!」

逆ギレしやがった。

 

「あーもう!行きたいのか行きたくないのかどっちなんだよ!?」

最近じゃあ俺どころかクラス全員に嘗められてるビッチ......ハハッ。

 

「何笑ってんのよ!アンタ!!」

 

「愉快だからに決まってんじゃん。」

 

「キ~~~!!!!」

あ~楽しい。

 

ガラガラガラッ

 

「皆さんお待たせしました!一人一冊です!」

殺せんせーが入って来たが、その手...というか、触手には辞書のような物を持っていた。

 

「殺せんせー何それ?」

 

「修学旅行のしおりです。」

いや、広辞苑だろその厚さは。

 

「イラスト解説の全観光スポット!お土産人気ベスト100!旅の護身術入門編から応用編まで!昨日徹夜で作りました!」

昨日どんだけ頑張ったんだよ、アンタは。

 

「お兄さん。私たちは何処に行くの?」

E組がコントを繰り広げる中、凪に聞かれた。

 

「椋や蒼が行きたい所がメインだな。」

 

「わかった。」

今回の修学旅行も波乱万丈だろうなぁ。

────────────────────────────

 

修学旅行当日、A~D組がグリーン車で我らがE組はエコノミーらしい。

 

「まぁ、何時もの感じだね。」

先日殺せんせーに劣等感がどうのこうの言われたが、早々変わらないか...流石に。

 

「当然だ。うちの学校はそういう校則だからな。」

「入学時に説明したろう?」

 

「学費の用途は成績優秀者に優先されまぁす!」

 

「おやおや、君たちからは貧乏の香りがしてくるねぇ。」

D組の担任らしき人物と、集会のときに渚にビビった二人がコケにしてきた。

 

「俺はお前らより成績優秀だが、お前らみたいな負臭のする場所はいくらグリーン席でも勘弁だわ。」

これだけで煽り耐性ゼロのアイツらは、

 

「なんだと!?E組の癖に!」

面白い具合に乗ってくる。口撃を続けようとしたが、修学旅行に不釣り合いな格好のビッチがやって来た。

 

「御免遊ばせ。」

 

「お待たせ、アンタたち。」

自分の格好によほど自信があるのか、堂々としていた。

 

「待ってないし、なんちゅう格好してんだこのビッチ。」

 

「なっ!?女を駆使する暗殺者としては当然の格好よ!!いい女は旅ファッションに気を遣うのは当然でしょ!!」

状況が違うだろうが...。

 

「ねぇ?烏間先生。」

 

「その通り、目立ちすぎだ。着替えろ。」

「どう見ても引率の先生の格好じゃない。」

お、おぉ~、ビッチは見えていないようだが、スゴい顔してらっしゃる。

 

「堅いこと言ってんじゃないわよ、烏間。」

気づいていないビッチは続けて話そうとしたが、やっと気付いた。

 

「脱げ。着替えろ。」

烏間先生は完全に獲物を狩る猛禽類の眼をしていた。結局着替えさせられたビッチは席で泣いていた。まぁ、正直どうでもいい。

 

「凪。」

眠かった俺は凪に話しかけた。

 

「どうかした?」

 

「着いたら起こしてくれ。」

 

「わかった。」

───────────────────

 

ここはどこ?

 

ぼくはいったい・・・・

 

それに・・・・

 

ぼくはだれ?

 

───────────────────

 

おとうさん!おかあさん!こっち!

 

─こらこら、落ち着きなさい─

 

─フフッ、いいじゃないですか楽しそうで─

 

もう!はやくきてよ!

 

───────────────────

 

目が覚める。どうやらまだ新幹線の中のようだ。しかし、また昔の夢を見たみたいだがなんだ?あんな記憶、()()()()()()

まぁ、いいか。

 

「飲み物でも買ってくる。」

 

「行ってらっしゃい!お兄さん!」

ユウキに後ろ手を振りながらジュースを買いに行くと神崎、茅野、奥田と会った。

 

「あれ?恭弥くんもジュース買うの?」

茅野に聞かれた。

 

「あぁ、まぁな。」

「それより次いでだから、席まで持ってってやるよ。」

 

「ありがとう。恭弥くん。」

 

「気にすんな、神崎。」

そうして四人で談笑しながら歩いていたら、神崎が高校生らしき人物とぶつかってしまった。

 

「あ!ごめんなさい。」

相手は特に何も言わず、その場を過ぎることが出来たが、気になって後ろを少し振り向くと下卑た笑い顔で此方と目が合った・・・・。

 

「・・・・。」

 

「ん?どうかした?」

 

「いや?別に。」

黙った俺に気付かれたが、適当に誤魔化した。

 

『果林、聞こえるか?』

 

『どうかしましたか?』

 

『悪いが今回は渚たちの班に着いていってくれないか?』

 

『構いませんが...どうしてですか?』

 

『いや、もしかしたら厄介事になりそうだから何かあったら連絡して欲しいんだ。』

 

『そういうことでしたら分かりました。』

 

『頼むな。』

果林に頼んでおいたから少しは大丈夫か?

────────────────────────────

京都に着き、E組はボロい旅館だったが、俺はこんな雰囲気が好きなので特に気にしなかった。しかし、新幹線とバスで殺せんせーは早くもグロッキーだった。

 

「大丈夫?寝室で休んだら?」

 

「いえ、ご心配なく。」

弱っている所を狙う生徒がいたが、それでも殺せんせーは避けていた。

 

「どう?日程表見つかった?神崎さん。」

 

「ううん。」

日程表か...もしかしてあの高校生が手に入れたか?

 

「神崎さんは真面目ですからねぇ、独自に日程を纏めていたとは感心です。」

「でもご安心を、先生の手作りしおりを持てば全て安心です。」

 

「それ持って歩きたくないから纏めてんだよ!」

あの広辞苑という名のしおりはE組には駄目だったようだ。

 

「でもあれ結構面白かったぞ?」

 

「恭弥、お前あれ全部読んだのか!?」

本は読むものだろ。

────────────────────────────

 

自由行動当日。神崎たちは果林に任せ、俺たちは出来るだけ渚たちの近くを回るようにした。

 

「有希子大丈夫?」

 

「果林には何か有ったらすぐ伝えるようにしたし、殺せんせーのしおり通りなら問題ないだろ、蒼。」

神崎と仲がいい蒼と凪は心配のようだ。

 

「椋ゴメンな?金閣寺行けなくて。」

あれほど金閣寺を楽しみにしていた椋には可哀想だが今はそんな事言ってられなかった。

 

「ううん。大丈夫!」

 

「フッ、そうか、ならお礼になんか頼み事があればほぼ何でも聞くぞ?」

テンプレ的失言を言って気付いたがもう遅かった。

 

「お兄さんお兄さん!ボクもだよね!?」

 

「私も。」

 

「蒼も。」

 

『勿論、私にもお願いしますね?』

・・・・訂正する暇もなかった。

 

「はぁ~、しゃーない。分かったから落ち着け。」

どうにでもなってしまえ。

 

『ッ!?お兄さん!動きました!』

やっぱり来たか!

 

「全員急ぐぞッ!!」

 

《わかった!》

 

(間に合えよ......!)

しかし、すんでの所で間に合わなかった。

 

「渚!カルマ!杉野!大丈夫か!?」

奥田は隠れていて大丈夫だったようだが、男子三人は殴られて気絶していたようだ。

 

「犯罪馴れしてるよ、アイツら。通報してもすぐには解決しないだろうねぇ。」

「て言うかぁ、俺が直接処刑したいし。」

カルマが本気でキレたようだった。しかし、

 

「蒼、椋、凪、ユウキ。」

 

《なに?》

 

「コイツら全員保護して殺せんせーに連絡してくれ。」

 

《分かった。》

 

「ちょっと恭弥くん、邪魔しない─────

カルマは俺に文句を言おうとしたが言葉が出なかった。何故なら今の俺はカルマ以上にブチギレていたからだ。

 

「カルマ、悪いが来るなら殺せんせーと一緒に来てくれ。俺は今からアイツらを潰す。」

 

 

“ステータス変更:速度・気配察知カンスト”

 

 

俺はそう言い残してすぐに神崎たちの気配を察知し、その場から移動を開始した。しかし、ステータスを上げたため渚たちからは消えたように見えた。

 

「あの糞野郎ども......ッ!」

早くッ!もっと速くッ!!...ッ!見つけたッ!!

 

ズガァァァァァアァァァァアン!!!!

 

「見つけたぞ...!覚悟しやがれ......!」

 

《恭弥くん...?》

 

「無事か!?神崎!茅野!」

 

「うん、大丈夫だよ。」

良かった。まだ何もされてないようだ。

 

「んだ、テメェ?」

 

「コイツらの友達かぁ?」

 

「お前のお友達みたいに無様に殺られに来たんでちゅかぁ~?」

ギャハハハハッ!

 

 

 

 

 

─黙れ─

 

 

 

 

 

「あぁ?何言ってんだテメェ。」

 

「黙れっつってんだよ糞野郎共がぁ!!!!」

 

 

“クロックワーク・プラネット:リューズ・ユアスレイブ;ミュート・ストリーム”

 

 

刹那を超高速で動き雑魚共を潰していく。能力を解除したときにはすでに不良共は倒れていた。

 

「・・・・っは?」

虚数時間で動くことの出来るミュート・ストリームでリーダー格以外を速効で潰す。

 

「て、テメェ!何しやがった!?」

リーダーが喚き散らすが俺には聞こえていなかった。

 

「く、くそっ!いいのか!?今から俺の仲間が大勢来る!お前がいくら速くてもあの女共が無事じゃすまねぇぞ!」

無事じゃない?

 

「何言ってんだ?お前はもう終わってんだよ。」

扉から出てきたのはボコボコにされた不良だった。

 

「修学旅行のしおり1234ページ、班員が何者かに拉致られたときの対処法。」

「犯人の手掛かりが無い場合、会話の内容や訛りなどから、地元の人かそうでないか判断しましょう。」

入り口から修学旅行のしおりを読む渚の声が響く。

 

「さらに、学生服を着ていた場合。相手も修学旅行生で旅行先でオイタをする輩ですってな。」

事前にしおりを読んでいた俺が締めくくる。

 

「で?どーする、お兄さん方?こんだけの事をしたんだから、アンタらの修学旅行はこの後全部、入院だよ?」

しかし、リーダー格の男は笑った。

 

「ハッ!粋がんなよチューボウが、まだ仲間はいるんだよ。それこそお前らが見たことも無いようなヤベェ奴等がな。」

そして複数の音が聞こえたが、入ってきたのはボロボロのガリ勉スタイルの奴等だった。

 

「ハァア!?」

 

「不良など居ませんねぇ、先生が手入れをしましたから。」

どうやら殺せんせーがやったらしい。

 

「恭弥くん、今回は見逃しますが少しやりすぎです。以後気を付けるように。」

・・・・。

 

「分かったよ、先生。」

しかし、リーダー格の男は先生という言葉に忌々しげに反応した。

 

「あぁ?先公だとぉ!?ふざけんな!」

男はそう言いながらナイフを取りだし襲ってきた。

 

「ふざける?それは先生のセリフです。」

その言葉と共に男は体が崩れた。

 

「その程度のスピードと汚い手で内の生徒を触るなど、ふざけるんじゃないッ!」

ここはもう先生に任せるか。俺は捕まった二人の縄をほどきにきに行った。

 

「遅くなったな、今ほどく。」

 

「ありがとう恭弥くん。」

ほどいている最中に殺せんせーは男と動けるようになった不良たちを次々と倒していく。

 

「彼らは確かにエリート校の生徒ですが、落ちこぼれと罵られそれでも前えと進んでいきます。肩書きや育ちなど関係ありません。」

その言葉に神崎は救われた様な顔をした。

 

「神崎。」

 

「なに?」

 

「お前に何が合ったかとか、どんな思いだったとかは知らない。でもなぁ、俺たちは神崎有希子という一人の人間を見ているんだ。その上でお前は皆にとって大切な存在なんだ。」

 

「・・・・恭弥くんにとっても?」

 

「何言ってんだ?当たり前だろ。」

 

「・・・・そっか。」フフッ

神崎の顔が赤くなる、ってまさか...いや、まだわからないから大丈夫だ。すると殺せんせーが、

 

「さて皆さん、帰りましょうか。」

 

「いやー、一時はどうなるかと思った。」

 

「んー、俺一人なら何とかなったと思うんだよねぇ?」

 

「怖いこと言うなよ...。」

 

「?どうしたの、神崎さん?」

 

「あの、皆さん!さっきはありがとうございました!」

神崎はそう言って俺たちに頭を下げた。そして今度は俺の顔を見つめながら、

 

「恭弥くんも、真っ先に助けに来てくれてありがとうございます。」

そう言った神崎の顔は赤かった。

 

 

 

 

 

・・・・もしかして墜とした?俺?

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?

やっと暗殺教室のヒロイン1号が出来ました...!
あぁ、早く律を出して修羅場らせたい!

でも、そこまでの文才があるかどうかわからない!(。>д<)


誤字脱字が有りましたらメッセージ、又は活動報告にてお伝え下さい!

最後まで読んでくださりありがとうございした!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

修学旅行の時間 二時間目

目が覚めたら16時30分。

あれー?(;゜∇゜)

では、どうぞ!


       ~恭弥side~

 

高校生とのトラブルも終わり、俺は今温泉に入っている。入る時間を間違えたのか、温泉には誰もいない。

 

「はぁ~、でもこれはこれで気持ちいいなぁ。」

誰もいないからこそゆっくり入る事が出来て極楽である。

 

ガラガラガラッ

 

「ん?恭弥くんか、入浴時間は終わっている筈だが?」

どうやら烏間先生が入ってきたようだ。

 

「いやー、のんびりしてたら時間が過ぎてまして。」

 

「フッ、そうか。」

烏間先生はそう言いながら体を洗う。俺は再び湯を堪能し始めた。体を洗い終わった烏間先生が湯に入ってくる。

 

「そう言えば、今日は大変だったようだな。」

互いに無言で浸かっていたが、烏間先生が唐突に聞いてきた。

 

「ん?あぁ、神崎たちのことですか?」

 

「そうだ。」

やはり今日のことだったらしい。

 

「まぁ、二人に怪我とか無かったようですし、良かったですよ。」

 

「そうらしいな。しかし、恭弥くん。」

「君は何故、渚くんたちのことに気が付いたんだ?聞けば、拉致られてすぐに駆けつけたようだが。」

あ~、やっぱそこに気が付きますか。渚たちは混乱していて気にしなかったが、第三者からは気付かれるか。

 

「実は新幹線で神崎たちとジュースを買いにいったとき、あの高校生たちとすれ違ったんですよ。その時に神崎がぶつかった後に俺が後ろを見たらアイツらが笑ってたから気になってたんですよ。」

 

「なに?そうだったのか。しかし、何故ほっといたんだ?」

 

「いや、本当に何かするかは分かんないですし、その後に神崎たちに伝えても常に周りを警戒してたら折角の旅行が台無しになるじゃないですか。」

 

「なるほど、賢明な判断ではあるな。」

 

「でしょ?」

 

「なら次で最後だ。」

まだ聞くのかよ、どんだけ気に───いや、そりゃ烏間先生は一応教師だから気にするか。

 

「渚くんたちに聞いたが、()()()()()()()()()?」

 

「は?どういう意味ですか?」

何を言い出すんだ?と言うより俺が何者か?

 

「いくらあの孤児院が裏で有名だとしても、他の子たちは分からないが、君はその年でも別格だ。」

「俺と戦ったときの気配が感じ無くなったことや、聞けば超生物であるアイツの触手を八本も切ったらしいじゃないか。」

あー、今聞きますか。さて、どう言えばいいものか。

 

「あー、なんと言いますか、そこら辺含めて俺があの孤児院に居る理由ですね......。」

苦し紛れの嘘だが流石に無理があるか?

 

「・・・・はぁ、そう言うことにしておくか。」

 

「すいません。」

俺は転生者です。って言うわけにはいかないからな。

─────────────────────────────

風呂も上がり適当に歩いていたら、渚たちがゲームコーナーにいた。どうやら神崎がゲームをしているようだ。

 

「よう。」

 

「あ、恭弥くん。」

渚が反応した。

 

「神崎さんのゲームテクニックがスゴいんだよ!」

 

「恥ずかしいな、なんだか。」

実際に見てみると、確かに相手の弾幕を巧みに避けている。

 

「ほぉー、確かにスゴいな。」

 

「おしとやかに微笑みながら手つきはプロだ!」

修学旅行前からの様子を見る限り、どうやら杉野は神崎の事が好きなようだ。

 

「凄いです!神崎さんがこんなにゲームが得意だったなんて。」

 

「黙ってたの。遊びが出来ても家じゃ白い目で見られるだけだし。」

「でも、周りの目を気にしすぎてただけなのかも。服も、趣味も、肩書きも逃げて身に付けただけだから、自信が無かった。」

「でも、殺せんせーに言われて気が付いたの、大切なのは中身の自分が前を向いて頑張ることだって。」

「それに......。」

神崎は顔を赤くしながら此方にチラッと見てきた。まさか...。

 

「あの時、恭弥くんに皆は私っていう一人の私が大切なんだって言ってもらったから。////」

確定ですか、そうですか。

──────────────────────────────

大部屋に戻る前にカルマと会った。どうやらジュースを買いに行っていたようだ。

 

「恭弥くんじゃん。何してたの?」

 

「いや?ただ歩いてただけだ。」

ふーん。そう言いながら二人で男子が居るであろう大部屋に入る。すると何やら男子だけで女子の誰が気になるかを調べていたらしい。

 

「へぇー、面白そうなことしてんじゃん。」

 

「修学旅行じゃ定番なんだな。」

 

「おっ、カルマと恭弥じゃん。良いタイミングで来たな!」

「お前ら気になる女子っている?」

気になる女子ねぇ。

 

「んー、俺は奥田さんかなぁ?」

カルマはそう言うが、どうせイタズラ関係だろうな。

 

「意外、なんで?」

 

「だって彼女、怪しげな薬とかクロロホルムとか作れそーだしw俺のイタズラの幅が広がるじゃんw」

やっぱりか。

 

「絶対にくっつかせたくない二人だな...。」

だろうな、俺もそう思う。

 

「で?恭弥はどうなんだ?」

俺にも来たか...。さて、なんて言おう。

 

「俺か~、う~ん......ん?」

考えていると気付いた。

 

「?どうかしたか?」

聞かれたがそんな場合じゃない。

 

「何やってんだ、殺せんせー。」

 

《は!?》

どうやら聞き耳を立てていたようだ。しかも話の内容をメモしてやがった。

 

「ヌルフフフ。では、先生はこれで。」

 

「逃げやがった!!」

 

「追え!!そして殺せぇ!!」

男子のほとんどが殺せんせーを追かけた。

 

       ~ユウキside~

 

「え?好きな男子?」

女子は今、誰が好きかを話ている。

 

「そうよ!こういうときはそう言う話で盛り上がるもんでしょ!」

好きな人か~。ボクは、っていうよりお兄さんに召喚された皆はお兄さんが好きだしなぁ~。

 

「はいはい!私、烏間先生!」

 

「違う。クラスの男子だと例えばってことよ。」

「ウチのクラスでまともなのは...磯貝と前原と恭弥ぐらい?」

むぅ、やっぱりお兄さんは人気かぁ。

 

「えぇ?そうかなぁ?」

 

「前原はタラシだからしょうがないとして、磯貝と恭弥は優良物件でしょ。」

他にもカルマとかの名前が出てきた。

 

「神崎さんは?」

カエデが夕希子に聞いた。

 

「私は...その......。」

夕希子は顔を赤くした。

 

「お!その反応はいるんだね!」

もしかしてお兄さんなのかな?

 

「言いなさいよー!!」

 

「えと、その...私は...恭弥くんが好きです。////」

むぅ、やっぱりか~。でも仕方ないかなぁ、お兄さんだし。

 

「おぉ、この感じはガチで好きなんだね。」

 

「そうだ!恭弥と言ったら、新神さんたちはやっぱり恭弥くんなの?」

 

「まぁ、ボクたちはねぇ?」

 

「うん!お兄ちゃん優しいし!」

椋が言ったら、何人かが固まった。

 

《優しい?》

どうやら何時もの言動が原因だったらしい。

 

「あっはは、まぁお兄さんは楽しい事が大好きだからそう思われるかもね。」

 

「おぉーいガキどもー、そろそろ就寝時間だってことを一応言いに来たわよー。」

イリーナ先生が来た入ってきた。

 

「一応なんだ。」

 

「どうせ夜通しおしゃべりするんでしょ?あんまり騒がしくすんじゃないわよ。」

そう言ってイリーナ先生は帰ろうとした。

 

「そうだ!ビッチ先生の大人の話聞かせてよ!」

 

「はぁ?」

 

「普段の授業よりタメになりそう!」

 

「なんですって!?」

いいからいいから。そう言われながらイリーナ先生は後ろを押されて入ってきた。

先生の話を聞いていたら、先生はどうやらまだ、二十歳らしい。

 

「経験豊富だからもっと上かと思ってた。」

 

「ねー?毒蛾みたいなキャラのくせ。」

毒蛾って、相変わらずイリーナ先生は生徒から散々な扱われ方してるなー。お兄さんがダントツで酷いけど。

 

「そうそう、濃い人生が作る毒蛾みたいな色気に...って、誰が毒蛾よ!!」

あっははは!ノリ突っ込みだ!

 

「反応遅いよ、ビッチ先生。」

 

「いい?女の賞味期限は短いの。アンタたちは私と違って危険とは縁遠い国に生まれたんだから。」

「感謝して全力で女を磨きなさい。」

おぉ!いつもよりスゴく良いこと言ってる!

普段より良いこと言ってるイリーナ先生に皆はビックリしている。

 

「ビッチ先生がマトモなこと言ってる...。」

 

「なんか生意気ー。」

うわー、相変わらず酷い扱い。

 

「嘗めんなガキども!」

 

「あ!じゃあさじゃあさ!ビッチ先生がオトしてきた、男の話を聞かせてよ!」

 

「あ!興味ある!」

 

「ウッフフ、いいわよ、子供には刺激が強いから覚悟しなさい。」

「例えばあれは17のとき...ってそこ!!」

いつの間にか殺せんせーが混じってた。

 

「さりげなく混ざり込むな!女の園に!」

 

「良いじゃないですかぁ?私もその色恋の話、聞きたいですし。」

殺せんせーは体がピンク色になりながら言ってるし、顔もスゴくデレデレしていた。

 

「そーゆー殺せんせーはどうなのよー?自分のプライベートはちっとも言わないくせに。」

 

「そーだよー、人のばっかズルい!」

 

「先生は恋話とか無いわけ?」

 

「そーよ!巨乳好きだし絶対にあるでしょ!?片思いとか。」

皆に迫られた殺せんせーは少しだけ固まるとその場から逃げた。

 

「逃げやがった!捕まえて吐かして殺すのよ!!!!」

 

「アッハハハ!!やっぱり楽しいな!この教室!!ボクも追いかけよーっと。」

「椋たちも行こ!」

 

《分かった!》

 




・・・・あれ?短い?(;゜∇゜)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

自律の時間

なにげに連日投稿してますw

そして!お気に入り80人を越えて、UAも7000人を越えました!
本当にありがとうございます!!

では、どうぞ!


       ~恭弥side~

 

ピロリンッ♪

 

「ん?メールか?」

修学旅行も終わり、学校で椋たちの他に有希子が俺の周りに来るようになった。因みになんで呼び捨てかと言うと。「下の名前で呼んで欲しいな...////」だそうだ。その時の杉野や椋たちの視線がキツかった...。他にも何人かが此方をニヤニヤ見ていたし。ハァー......。

とりあえずメールを見るか。

 

「えーと?「明日から転校生が一人加わる、多少外見で驚くだろうが余り騒がず接してほしい。」ねぇ?つーか外見?」

 

「兄さん、どうかしたの?」

 

「んぁ?凪か...お前の、と言うよりE組全員に烏間先生から転校生のお知らせだってよ。」

一応凪たちも携帯は持っている。集会のときのことで何故か皆で携帯を買いに行くことになった。まぁ、それはいずれ話すか。

 

「どんな子なんだろう?」

ユウキが当然の疑問を口にした。

 

「まぁ、着けば分かるだろ。」

さて、どんなヤツかねぇ。

─────────────────────────────

 

「転校生ってこれか?おい。」

教室に入ってまず目にしたのは俺の席のすぐ後ろに謎の箱があった。

 

「あ、恭弥くんたちおはよー。」

何時ものことだが、渚はこういう反応が早い。

 

「あぁ、お早う。」

 

「僕たちも気になってるんだ。岡島くんに顔写真は見せて貰ったんだけど...。」

そう言って渚は再び謎の箱へと視線を向けた。すると独特の駆動音が鳴った。どうやら起動したようだ。

 

『お早うございます。今日から転校して来ました、自律思考固定砲台と申します。』

『よろしくお願いいたします。』

自律固定砲台はそれだけ言って画面が消えた。

 

──《そう来たか!》──

 

「当たり前だが無口無表情だな、さすが機械。」

もの凄く声が棒読みだった。

 

「いや、そこじゃねぇだろ!?」

 

「本当に自由だな!お前は!?」

やかましい。

────────────────────────────

朝のSHRは烏間先生があの転校生について話すらしく、黒板に名前を書いていく。

 

「皆、既に知っていると思うが、転校生を紹介する。ノルウェーから来た自律思考固定砲台さんだ。」

烏間先生は機械を転校生とするのは大変らしく、所々で声が上擦っている。

 

「来たって言うより運ばれた、ですよねぇ~。」

 

『皆様、よろしくお願い致します。』

俺の小言にも華麗にスルー。...なんか悔しい。

 

『特に新神恭弥さん。』

あ?いきなりなんだ?

 

『貴方は単独で殺せんせーの触手。それを八本も破壊した貴方のデータを収集するのも今回の私の任務です。』

それだけ言ってまた、画面が消えた。しかし嘘だろ?

 

「面倒事が用意に想像できてきた...。」

クラスから同情の目を向けられた。ハァー、最近頭が痛い...。

烏間先生と目が合った。お互いに哀れみの目をしていたと思う。

 

「言っておくが、彼女も列記とした生徒として登録されている。彼女は彼処から動かないが、あの場所から常にお前を狙っていくるが、お前は彼女に反撃出来ない。」

「生徒に危害を加えることが出来ない。そういう契約だからな。」

 

「なるほど、契約を逆手にとって、なりふり構わず生徒を仕立てた。」

「良いでしょう、自律思考固定砲台さん。アナタをE組に歓迎します。」

殺せんせーは何時もの如く用意に認知した。

 

『よろしくお願い致します。殺せんせー。』

ハァー、面倒くさいだろうなぁーー。

 

~一時間目

 

「さて、この三人の登場人物ですが、一人は既に死んでいます。」

授業が始まっているが、自律思考固定砲台はまだ動かない。そして茅野が何かを渚と話している。まぁ、十中八九俺の後ろについてだろうな。

 

ガシャンッ!

 

その音と共に重火器が何丁出てきた。嘘だろ!?おい!

 

「全員頭を伏せろッ!!」

俺の声に殆どかすぐに机の下とかに隠れた。そして次の瞬間に攻撃が始まった。

 

バラバラバラバラッ!!!!!

 

うわ、スゲー煩い。

 

「ショットガン四門、機関銃二門、濃密な弾幕ですがここの生徒たちは当たり前にやってますよ。」

「授業中の発砲は禁止です!」

そう言って最後の一発をチョークで弾いた。そのお陰か分からないが銃を閉まった。

 

『気を付けます。続けて攻撃準備に入ります。』再びガシャンッ!とリロードした銃を再び出した。

 

「こりませんねぇ。さっきと全く同じ射撃、所詮は機械ですねぇ。この調子ですとまたチョークで弾いて─────バンッ!触手の先が弾けた。

 

「隠し玉か?しかもブラインドで。」

やっぱスゲーな機械。

 

『左指先、破壊。増設した副砲効果を確認。』

『次の射撃で殺せる確率。0.001%未満。』

『次の次の射撃で殺せる確率。0.003%未満。』

『卒業迄に殺せる確率。90%以上』

クラスが呆然とするなか、続け言った。

 

『それでは殺せんせー。次の攻撃に移ります。』

まだやるのか!?・・・・よし、邪魔しよう。

 

~二時間目

 

早速撃ち出したが、俺はそれを全弾止める。流石に素の身体能力じゃ厳しいので能力を使う。

 

 

“ドラゴンボール;悟空の身体能力”

 

 

これなら銃弾程度問題外だ。

 

『・・・・。』

撃っているからか、それとも俺のデータを録っているのか何も話さない。

 

~三時間目

 

また撃ってくる。しかも銃の数がさっきより増えた。

 

~四時間目

 

まだ撃つ。しかも俺がこの間使った跳弾射撃(エル)も使ってきた。

結局その日は毎時毎時に様々なパターンで攻撃してくるわ。いつの間にか殺せんせーどころか俺もターゲットにされるわ。銃弾の弾の片付けなど大変だった。そして只今、下校時間を過ぎているのに俺はまだ学校にいた。

 

「流石に毎日毎日防いでいたら大変だっつーの。縛ってやる。」

そう思い縛ろうとすると、寺坂がガムテープを持って入ってきた。

 

「あぁ?何やってんだ?テメェ。」

いきなり喧嘩腰か、コイツは。

 

「見りゃ分かるだろ、縛ってんだよ。あんなの毎日されたら面倒くさいったらありゃしねぇ。」

「それより、ガムテープ持ってるんなら手伝え。」

 

「ッチ、わーてらぁ。」

─────────────────────────────

 

翌日、授業が始まると同時に自律思考固定砲台が起動した。

 

『プログラム起動。本日の目的...。』

そう言いながら自分の現状に気付いたようだ。何度も武器を展開しようと試しているが俺と寺坂がキツく縛ったため外れないようだ。

 

『殺せんせー。これでは銃を展開出来ません。拘束を解いてください。』

 

「んー、そう言われましてもねぇ?」

 

『この拘束はアナタの仕業ですか?』

『明らかに私に対する加害であり、それは契約で禁じられている筈で「ちげえーよ。」すが。』

そう言いながら寺坂は昨日のガムテープを投げつけた。

 

「俺と新神だよ。どう考えても邪魔だろぉが、常識身に付けてから殺しに来いよ、ポンコツ。」

 

「俺としてはバラ撒いた後始末さえしてくれれば問題ないけどな。」

俺と寺坂が言い出すと、E組から口々に愚痴った。

 

─ま、わかんないよ機械に常識は。─確かにね。─後でほどいて上げるから。─授業のときは撃つんじゃねーぞ。─昨日みたいなのが続くと、授業になんないもんな。

 

その日は結局、授業中全て縛られていたので平和に授業を受けられた。

その日の夜、俺は再び自律思考固定砲台の元にやって来た。

 

『────至急、対策をお願いします。』

おっと、告げ口中だったか。

 

「ダメですよ、親に頼っては。それと下校時刻はとっくに過ぎてますよ恭弥くん。」

当たり前だがバレていたので素直に教室にはいる。

 

「いや、ちょっとそこのヤツに用があって。」

 

「まぁ、今回は見逃します。自律思考固定砲台さん。アナタの親御さんの考える戦術は、この教室の現状に合っているとは言い難い。」

「それにアナタは生徒であり転校生です。皆と協調する方法はまず、自分で考えなくては。」

 

『協調?』

あっ、今の言い方結構可愛い。

 

「何故先生ではなく、生徒に暗殺を邪魔されたかわかりますか?」

「彼等にしてみれば授業が妨害されます、それに恭弥くんもずっと君の弾丸を止めている訳にもいきません。他にも君が先生を殺しても賞金恐らくアナタの親御さんの物。」

「アナタの暗殺は他の生徒には何のメリットも無い訳です。」

 

「まぁそれが、一番の理由だな。」

 

『言われて理解しました。殺せんせー、新神恭弥さん。』

『クラスメイトの利害までは考慮していませんでした。』

さすが自律思考。呑み込みが早い。

 

「それが分かればほぼ十分だな。」

俺は笑顔で言った。

 

『有り難う御座います。』

 

「ヌルフフフッ!やっぱり君は頭が良い。」

「で、これをアナタに作ってみました。」

そう言って殺せんせーは懐からハードディスクのようなものを取り出した。

 

「殺せんせー、なにそれ?」

 

「アプリケーションと追加メモリです。ウイルスなど入っていないので受け取ってください。」

プログラムも出来るのか、本当に万能だな。

殺せんせーは自律思考固定砲台の後ろにハードディスクを指した。

 

『これは......。』

 

「クラスメイトと協調して射撃した場合のシミュレーションソフトです。」

「暗殺の成功率が格段に上がるのが分かるでしょう?」

 

『異論有りません。』

何時も思うが、いくらマッハ20でも作るの早すぎだろ。

 

「ですが、恭弥くんたちは未知数なので、私の理解してる所までしかありませんが、恭弥くんのデータを録っていたのならそこまで問題無いでしょう。」

「暗殺における協調性の大切さが理解出来たと思います。」

「どうですか?皆と仲良くなりたいでしょう?」

 

『はい。特に新神恭弥さん。アナタとの協調性が上がれば暗殺の可能性が格段に上がります。』

 

「は?俺?あ~(何て言おう)。」

 

『ですが、方法が分かりません。』

 

「この通り準備は万端です。」

殺せんせーは工具類を数多く持っていた。

 

「どっから持ってきたそんなもの。」

 

「ヌルフフフ。気にしないで下さい。」

 

『それは何でしょう?』

自律思考固定砲台が聞いた。

 

「協調に必用なソフト一式と追加メモリです。」

「危害を加えるのは契約違反ですが、性能アップさせることは禁止されていませんからねぇ。」

したり顔で言っているが殺せんせー、

 

「悪役にしか見えねぇよ。」

 

「にゅや!?それより恭弥くんも手伝ってください。それで今回のことはチャラにします。」

 

「へーい。」

 

『何故、こんなことをするのですか?』

ん?

 

『アナタの命を縮めるような改造ですよ。』

あぁ、殺せんせーにか。

 

「ターゲットである前に先生ですから。昨日一日で見に染みて分かりましたが、君の学習能力と学習意欲は非常に高い。」

「その才能は君を産み出した親御さんのお陰。そしてその才能を伸ばすのは生徒を預かる先生の役目です。」

「皆との協調を高めて、さらに才能を伸ばして下さい。」

「まずは同じ転校生の新神家がいいかも知れませんねぇ。」

ん?ここで俺か。

 

「別にいいぞ?それくらいなら全然。」

 

『・・・・殺せんせー。この世界スイーツ店ナビ機能は協調に必用ですか?』

この先生は......。

 

「すぐ消せ、今消せ、即座に消せ。」

 

「にゅや!?ちょ、ちょっと待ってください...!先生もその、ちょいと助けて貰おうかと......あの、甘かったですかね?」

 

「あぁ、甘かったな確かに。だから削除しろ。」

 

『分かりました。』

にゅやぁーーーーーーー!?

──────────────────────────────

 

「なぁ?今日も居るのかな、アイツ。」

 

「たぶん...。」

杉野と渚か。

 

「うす、二人とも。」

 

「うん、お早う恭弥くん。」

 

「あ、あぁ、お早う恭弥。」

杉野とは有希子と俺の件で最近少しだけ付き合いが悪い。

 

「あの自律思考固定砲台さんってまた昨日と同じだよね。」

渚は心配なようだ。

 

「それについてはもう大丈夫だ。」

疑問に思う二人を無視して教室に入る。

 

『あぁ!お早うございます!恭弥さん!』

 

「おう、お早う。」

 

《ちょっと待て!?》

ん?なんだ?

 

「イヤイヤイヤ、そんな、何言ってんだコイツら。見たいな顔すんなよ!」

 

「何でこれ見てその反応な訳!?」

あーそういうこと。

 

「知ってるからに決まってるからだろ。何言ってんだ。」

 

《だからその理由を聞いてんだよ!!!!》

 

「親近感を出すための全身表示液晶と体、制服のモデリングソフト60万6000円。」

殺せんせーがやって来た。

 

「豊かな表情と明るい会話術、それはを操る膨大なソフトと追加メモリ。110万3000円。」

 

「先生の財布の残高、5円!」

生徒たちは固定砲台の変わりようと、殺せんせーの話に固まったいる。

 

「良いじゃないか、ご縁があるかもよ?」

無いだろうけどなw

 

『庭の草木も緑が深くなってきましたね。春も終わり、近付く夏の香りが心地好いです!』

 

「たった一晩でえらくキュートになっちゃって。」

 

「アレ一応、固定砲台...だよな?」

まぁ、あの感じを見たらそう思うわな。

 

「何騙されてんだよ、お前ら。全部あのタコが作ったプログラムだろうが。」

「愛想良くても機械は機械。どぉーせまた空気読まずに射撃すんだろ?あのポンコツ。」

寺坂たちのグループは笑いながら言った。

 

『おっしゃる気持ち、分かります。寺坂さん。』

『昨日までの私はそうでした。ポンコツ...そう言われても、返す言葉がありません...。』

そう言った固定砲台は目からもディスプレイの天気も雨になった。

 

「あーあ、泣かせた。」

 

「寺坂くんが二次元の女の子泣かせた。」

女子から次々に責められる。

 

「なんか誤解する言い方やめろ!!」

寺坂の魂の叫びだった。

 

「良いじゃないか、二次元。Dを一つ失うことから女は始まる。」

竹林の本気のセリフだった。

 

「竹林!それお前の初セリフだぞ!いいのか!?」

確かに声を聞いたことがないな。

 

「ん、固定砲台。」

俺はそう話掛けながら、頭の部分を撫でた。

 

『グスッ...何ですか?恭弥さん。』

 

「確かに昨日までのお前は、皆に迷惑を掛けたかも知れない。でもお前は殺せんせーや俺に言われてちゃんと理解して、どうにか改善しようとした。」

「それは俺たちが弄る前から出来たっていうことは、少なくともポンコツじゃない。何処にでもいる、普通の人間だ。ただのAIならまず、出来ないだろうからな。」

俺は言いながらゆっくりと頭を撫でて行く。

 

『えへへ、くすぐったいですよ~。』

 

「あっ、わるか─『でも、ありがとうございます。恭弥さん////』

フッそうか、ん?まて、この反応...もしかしてまた?

 

・・・・ゾクッ!!

 

ゆっくり振り返る。見えたのは目以外が笑っている椋たちと有希子だった。

 

《フフフッ♪》

マジでヤベー。

 

『皆さんご安心を。殺せんせーと恭弥さんに諭されて、私は協調の大切さを学びました。』

『私の事が好きになって頂けるよう頑張ります!』

 

「んー、なら名前でも決めない?」

 

「あっ、それいいね。いつまでも自律思考固定砲台じゃ長いし。」

 

「なら何にする?」

名前の話になり、俺の脅威も一先ずさった。

 

『あ、あの!私...きょ、恭弥さんに決めてもらいたいです!』

 

「は?俺?」

 

『ハイ!』

名前かぁ、どうしよう?

 

「んー、安直だが律が良いかねぇ?呼びやすいし、自律の意味も込めて。」

 

「確かに安直だな。」

うるせぇ。

 

「しょうがねぇだろ、いきなりだったんだから。」

「すまんがそれで良いか?」

 

『律...律......ハイ!今日から私のことは律と呼んでください!』

────────────────────────────

次の日、律を作った科学者たちが律の性能を戻して、最初の状態になっていた。

 

コソッ「ねぇ、また最初見たいになるのかな?」

 

コソッ「たぶん。」

クラスのあちこちで不安の声が広がる。

 

キーンコーンカーンコーンッ!

 

チャイムが鳴り律が起動して展開部分が開いた。

クラスのほぼ全員が弾幕を予想していたが、飛び出したのは花びらだった。

 

『皆さんと沢山お話しして、花を作る約束をしました。』

『殺せんせーは私のボディーに計985点の改良をしました。その殆どはマスターが不要と判断し削除しました。』

『しかし学習したE組の状況から私個人は協調能力が暗殺に不可欠だと判断し消される前に関連ソフトをメモリーの隅に隠しました。』

律の淡々とした声が響く。

 

「素晴らしい!!つまり、律さんあなたは...!」

 

『ハイ!私の意思でマスターに逆らいました!』

画面に出てきたのは満面の笑みを浮かべた昨日の律だった。

 

『殺せんせー、こういった行動を反抗期と言うのですよね?』

『律はいけない子でしょうか?』

 

「とんでもない。中学三年生らしくて、大いに結構です!!!!」

そう言って殺せんせーは顔に丸を出した。

 

『それと、恭弥さん...これからもよろしくお願いします////』

律が何か言ってるが俺はそれどころじゃなかった。

 

『あの?恭弥さん?』

 

 

ボフンッ!!!!

 

 

《何事!?》

俺はさっきまで律が出した花束に埋もれていた。しかも誰も気付いていなかったようだ。

 

「フフッ、フフフフッ。」

 

「あの、恭弥くん?大丈夫?」

大丈夫だぁ?

 

「あぁ、大丈夫だ......大丈夫過ぎて頭がスッキリしてるよ。」

「おかげでこの場の全員のしてしまえそうだ・・・・ッ!!!!」

 

 

ガチャ!!ババババババッ!!!!

 

 

《ぎゃああぁぁぁぁあぁぁあ!!!!》

 

「全員血祭りにしてやらぁ!!!!!」

 

「お、落ち着いて下さい!恭弥くん!!」

 

「うるせぇ!!何で誰も気付かねぇんだよ!おかしいだろ!!!」

 

「にゅやーーーーーー!?」

 

─おい!誰か止めろ!─律も手伝って!!─ハ、ハイ!─お兄さん止まってってば!!─知るかあぁぁぁ!!最近のストレス発散じゃぁあぁあ!!─《ぎゃああぁぁぁぁあぁぁあ!!!!》─

 

今日も三年E組は賑やかに終わりそうだ。

 

 

 




いやー、律が出せて良かったです(⌒‐⌒)
一番好きなキャラだったので。(但し律の魅力をちゃんと出せたか不明)


では今回はここまでで!次回お会いしましょう!
誤字脱字またはご意見がありましたら、活動報告・メッセージにてご連絡下さい!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

※神崎の名前を直しました4/25


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

残留の時間

か、書けた・・・・。

昨日で投稿すると言っておきながらこの体たらく・・・・、


本当にすいませんでしたーーー!!!!


恭弥くんが絡みにくい話だったので無理矢理感が満載ですが、楽しんでくれると有り難いです。


      ~恭弥side~

律も加わり、今日も今日とて我らがE組は平穏に授業をしている。そして今はビッチによる英語での日常会話の授業だ。

 

「Oh...sexy guy,It’s a mircle. What?Really?」

「日常会話なんて実は単純。周りに一人ぐらいはいるでしょう?「マジすげぇ」とか「マジやべぇ」だけで会話を成立させる奴。」

「その「マジ」にあたるのがご存知「really」。」

・・・・・・当たり前だがさすが外国人。発音が上手い。

 

「木村、言ってみなさい。」

 

「リ…リアリー…。」

 

「はいダメー!」

ビッチは人差し指を交差させバツにする。なんだかんだで教師をしているので最初に来た時の態度が嘘のようだ。

 

「LとRがゴチャゴチャよ。LとRの発音は日本人とは相性が悪いの。私としては通じはするけど違和感があるわ。」

「じゃ、それを踏まえて恭弥。あんたも言ってみなさい。」

は?俺もか?

 

「Rally。」

 

「こんな風にたまにちゃんと発音できるやつもいるわ。で、今みたいに舌を巻きながら発音するのが肝心よ。」

「かと言って、相性が悪いのは逃げずに克服する。これから先、発音は常にチェックしてるから、LとRを間違えたら...開ディープキスの刑よ。」

またビッチ発言を......。

──────────────────────────────

      ~三人称side~

本日の授業も終わり、仕事が終わったイリーナは職員室の自席にドカッと座った。

 

「あぁ~、面倒くさいわ授業なんて。」

そのセリフを聞いた烏間は手元の資料から一旦目を離し、イリーナに言った。

 

「その割には生徒の受けはいいようだぞ。」

烏間がイリーナをフォローする言い方をしたが、イリーナは、

 

「何の自慢にもなりゃしなわよ、そんなこと。殺し屋よ?私は、あのタコを殺す為に仕方なくここにいるの。」

「その肝心のタコはと言えば…。」

そう言いながらイリーナは指を指す。・・・・・・茶立ての格好をしてイリーナの胸を見ながら茶を飲んでいる殺せんせーを。

「私のおっぱいを景色に見立てて優雅にお茶飲んでるし!」

 

「ヌルフフフ。経験を活かした実践的な授業、実にお見事。」

褒めてはいるが顔をピンクにしながら依然、イリーナの胸を見ているので台無しである。

 

「やかましいわ!!!!」

イリーナは素早く対殺せんせー用ナイフを振るうがやはり殺せんせーには当たらない。それを見ていた烏間が淡々と言った。

 

「焦るな。そういうターゲットだ。」

烏間の言葉を聞いたイリーナはナイフをほおり投げた。

 

「ハァ、やってらんないわ。」

そう言い捨て、イリーナは職員室から出て行った。

 

「気が立ってますねぇ。」

 

「すべて誰かのせいだがな。」

そう言い烏間は殺せんせーを見た。

──────────────────────────

職員室から出たイリーナは廊下で一人焦っていた。

 

「こんな所で足止め食らってるわけにはいかない、一体どうしたらあのモンスターを…」

すると突然イリーナの首に何かが架かり、イリーナの首を絞めて吊し上げた。

 

(ワイヤートラップ!?なぜ?)

首に絡まる直前、咄嗟にワイヤーと首の隙間に指を挟み、完全に絞められることは無いがそれでも吊し上げられたことにより、イリーナは焦る。

 

『驚いたよ、イリーナ。』

その言葉と共に、トラップを仕掛けたと思える人物がやって来た。

 

『子供相手に楽しく授業。』

『まるで...コメディアンのコントを見ているようだった。』

やって来たのは少し年老いた男だった。

 

『…!先生……!?』

男はイリーナの先生であった。

 

『何している?女に仕掛ける技じゃないだろう。』

烏間がやって来た。

 

『……心配ない。ワイヤーに対する防御くらいは教えてある。』

そう言いながらワイヤーを切る。切られたことによって宙に浮いていたイリーナが落ちた。

 

『何者だ?せめて英語だと助かるのだが?』

しかし烏間はイリーナに駆け寄らない。なぜなら正体不明の者に視線を外すのは危険だからだ。

 

「これは失礼、日本語で大丈夫だ。別に怪しい者ではない。イリーナ・イェラビッチをこの国の政府に推した者、と言えばおわかりだろうか?」

 

「殺し屋「ロブロ」か!?」

(腕利きの暗殺者として知られていたが現在は引退。後進の暗殺者を育てる傍らその丸々で財を成しているという…。)

(暗殺者になどにはあまり縁のない日本政府には貴重な人物であるが、何故ここに?)

 

「例の「殺せんせー」は今どこだ?」

そんな烏間の疑問を知らないロブロは尋ねた。

 

「上海まで杏仁豆腐を食いに行った。30分前に出たからもうじき戻るだろう。」

 

「聞いてた通りの怪物のようだ。来てよかった、答えが出たよ。」

「今日限りで撤収しろイリーナ。この仕事はお前じゃ無理だ。」

ロブロの言葉を聞いたイリーナは愕然とする。

 

「お前は正体を隠した暗殺なら比類ない。だが、一度素性が割れてしまえば一山くらいのレベルの殺し屋だ。」

 

「なっ!?」

いきなりそんなことを言われたイリーナは当然、反抗した。

 

「必ずやれます、先生!私の力なら────────。」

イリーナが言い切る前にロブロは動いた。イリーナの背後に回り、親指を人間の急所である喉に突き付けながら。

 

「相性の善し悪しは誰にでもある。此処こそお前にとってLとRじゃないのかね?」

 

 

「半分正しく、半分違いますねぇ!」

 

 

ムギュ!

 

突然現れた殺せんせーはロブロとイリーナ、それぞれの鼻を上に反らせ豚の鼻の様にした。

 

「何しに来た。ウルトラクイズ」

 

「酷い呼び方ですねぇ。いい加減殺せんせーと呼んでください。」

烏間がそう言ったのも仕方がない。何故なら殺せんせーは右が紫で左がオレンジの色になりそれぞれにバツとマルがが表れていた。

 

「お前が...。」

さっきの仕打ちを無視し、ロブロは尋ねた。

 

「確かに彼女は暗殺者としては恐るるに足りません。クソです。」

 

「誰がクソだ!!!!」

誰だってクソだと言われたらキレるだろう。

 

「ですが、彼女と言う暗殺者こそこの教室に適任です。」

先程この教室から去れと言い、言われた二人は疑問に思った。

 

「ですから殺し比べれば分かりますよ?どちらが優れた暗殺者か、二人の勝負です。」

「ルールは簡単───────────────

─────────────

      ~恭弥side~

───────と言うわけだ。」

なんだよ...それ......。

 

「今日一日、迷惑な話だが()()()()()()二人の内どちらかを暗殺しに来るそうだ。しかし他の皆の邪魔はしない。普段通り過ごしてくれ。」

あのタコがッ!!!!

 

「完全にトバッチリじゃねぇか!なんでその場に居なかった俺まで狙われてんだよ!!!!」

どうやら昨日の内に俺と烏間先生。どちらかを対殺せんせー用ナイフで模擬暗殺をすることになったようだ。

 

「苦労が絶えないなぁ、烏間先生。」

 

「恭弥も大丈夫なのか?つい最近ストレスで暴れ回ったばかりだぞ?」

E組の皆が烏間先生と俺の二人に憐れみの視線を向けていた。

 

「烏間先生~、恭弥く~ん!」

あ?この声は元凶(ビッチ)か?

 

「お疲れ様~、喉乾いたでしょ?ハイ!冷たい飲み物♪」

此方の心境を知らないまま近付いてきた。俺は勿論、烏間先生やE組全員が気付いている。ビッチが持ってきたのが毒入りだと。

 

「ほら、グッと飲みなさいよグッと。美味しいわよ。」

 

─なんか入ってる。─絶対なんか入ってるな。─あれで飲む奴いねぇだろ。─

 

「誰がそんな如何にもな物飲むかバカが。」

 

「大方、筋肉弛緩剤だろうな。動けなくしてナイフを当てる。」

図星だったビッチは固まる。

 

「「はぁ~。」」

 

「烏間先生、こんなのが今日一日中あるんですか?」

だとしたら精神的にキツいぞ、これ。

 

「文句ならあのタコに言ってくれ。」

「あと、言っておくがそもそも受け取れる間合いまで近寄らせないぞ?」

ん?待てよ...?別に暗殺を待つ必要は無いよな?暗殺者に狙われることを知ってるなら誰だって対策立てるだろうし。ニヤッ

 

「烏間先生?」

俺は未だにコントをしているビッチを見て辟易している烏間先生に尋ねた。

 

「どうした、恭弥くん?」

 

「暗殺してくるのはこのビッチともう一人だけですよね?」

 

「あぁ、そうだが...それがどうかしたのか?」

 

「へぇー?いや、ちょっと気になったんで。」

確実に二人......ならビッチは烏間先生に任せるか。俺たちへの説明とビッチによるコントが終わり、俺はビッチの先生だと言うロブロを探していた。まぁ、普通に探したらバレるので修学旅行の時みたいに気配察知のステータスを“設定能力”で底上げしている。

 

「何処に居るかな♪何処に居るかな♪」

イライラとこの後の事を考えながら俺はロブロを探している。すると職員室にいる殺せんせーとビッチと烏間先生の近くに知らない気配があった。

 

「こいつかな?」

とりあえず職員室に向かうとしよう。元々職員室に近かったのですぐに着いた......んだが、どうやら件のロブロが烏間先生にアプローチした後だったらしい。しかもロブロらしき男が腕を押さえている所を見るにどうやら失敗したらしい。

 

「一秒もあれば俺のナイフは五回は殺せるぞ。楽しみだな。」

烏間先生はそう言って、最後に笑みを浮かべて職員室から出ていった。...一秒?五回?何の話だ?

しかもさっきの烏間先生の反応を見て殺せんせーが怯えているということは、なんか好条件を出されたのか?

 

「フフッ。これでは今日中にあの男を殺せないな。」

ロブロとおぼしき男の腕は紫色に腫れていた。

 

「にゅや!?そんな!諦めないで!」

殺せんせーの反応を見て確信した。烏間先生は絶対に何かしらの好条件を出されたな、セリフ的に一秒動かないとかなんとか。

 

「君が恭弥くんだね?」

ん?ロブロ...さん付けしといた方がいいか。

 

「そうですけど?何か?」

 

「始めましてだな、あの孤児院のことは知っているが子供だからそこまでだろうと考えて狙わなかったが、これでは何も判断出来んな。」

要は子供だから嘗められてたのか?へぇ~?

 

「俺、ただ待つのも嫌だったから迎撃しに此処に来たんだけど、ロブロさんの腕を見たから止めようかなぁ~って、思ったけど。」

 

 

 

 

 

─何なら此処でお前を潰そうか?─

 

 

 

 

 

 

「ッ!?」

 

「冗談だって。流石にこんな空気じゃやりませんって。」

用がなくなったので俺も職員室から立ち去った。

昼休み。教室で昼飯を食べているとカルマが気付いた。

 

「ビッチ先生が烏間先生を殺るみたいだよ。」

見てみるとビッチは右手にナイフを持ち、真正面から烏間先生に対峙していた。

 

「ちょっといいかしら?烏間。」

 

「何だ。模擬暗殺でもこれ以上は手加減しないぞ。」

さーて?ビッチはどう攻めるのかな?

 

「いいでしょ?私はどうしても此処に残りたいの。わかるでしょ?」

うーん、何時もと同じ色仕掛けだが何だか少し違うような?違和感を感じながらもビッチの様子を見ていると何故か烏間先生が背中を預けていた木の反対側を態々歩いた。

 

「行くわよ?」

その言葉と共にビッチは走った。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。しかもそのワイヤーは服を脱ぎ、色仕掛けに見せて注意を反らして烏間先生の足に絡まらせていたようだ。そのため烏間先生は体勢を崩し、ビッチにマウントポジションを取られた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。」

 

─うぉお!スゲ!烏間先生の上を取った!─やるじゃん!ビッチ先生!─

そんな声が周りから聞こえる。

 

「もらった!!」

ナイフを振りかざし決めようとするが、そこは烏間先生。すんでのところで腕を掴み動きを止めた。

 

「くっ...!危なかった......。」

力勝負じゃ打つ手がないビッチは此処からどう攻めるのかねぇ?

 

「烏間・・・・。殺りたいの・・・・だめ?」

そこで色目使うのかよ!?

 

「殺らせろとすがり付く殺し屋がいるか!!諦めが悪い!!!!」

それでも力を込めるビッチに烏間先生は脱力した。

 

「ハァー、もういい。」

脱力したことによりビッチのナイフが烏間先生の胸に当たる。この時点でビッチはE組残留が決まった。

 

「諦めが悪い奴に今日一日も付き合えるか。それに俺が終われば恭弥くんも狙われないだろう。」

クラスがビッチを褒めるなか、俺は考えていた。

 

(正直此処までビッチがやれると思わなかったな、これからはビッチの後に先生も付けるか。)

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、弄るのは変わらないがな!!!!

 

 

 

 

 




へへっ、投稿して少しして気付いたぜ。
タイトル書いてないという凡ミスを(/ー ̄;)

そろそろヒロイン追加するぞーー!!!!
と言うよりさせたいぞーーー!!!!

でも文才に自信が無い私ですッ☆

しかぁーし!!!感想の力が私の背中を押してくれる!!

凄いですね感想の力って。元気が出ます。(*´∀`)

誤字脱字がありましたらメッセージ、活動報告にてお知らせください!
最後まで読んでいただきありがとうございました!!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

買い物の時間

初ッ!完ッ全ッ!オリジナル☆!!!!

難しかった((((;゜Д゜)))

では、どうぞ!


      ~恭弥side~

ビッチ先生の残留も決まりその週末、俺は買い物に出かけている。まぁ、買い物と言っても俺が菓子を食べたくなったから買いに行くだけなんだがな。ついでに椋たちの分も買うか。

別に遠くまで行くつもりはないので出来るだけ近くの店に行くことにした。

 

「さ~て、何を買おうかねぇ?」

小腹が空いているだけなので何を買うか決めてない。

 

「あれ?恭弥?」

ん?誰だ?声的に女子っぽいが。

 

「こんなところで会うなんて珍しいわね。」

そこにいたのは速水だった。手に買い物かごを持っているということはお使いかなんかだろう。

 

「そうだな。そっちはお使いか?」

 

「うん、今日の晩御飯に必要なものだって。そっちは?」

 

「俺か?俺はただ菓子を買いに来ただけだよ。椋たちの分もな。」

 

「そう。......本当に優しいんだ...。」

速水が反応したが、後半は聞き取りづらかった。

 

「何が優しいんだ?」

 

「気にしないで////」

俺が聞き返すと速水は顔を赤くした。俺は別にどこぞの鈍感系主人公じゃないからある程度は察するが、これはただ聞かれたのが恥ずかしかっただけだろう。

そのまま話をしていた俺たちは二人で店を出る。

 

「あぁ、お前の家まで荷物持つぞ。」

ここで会ったのも何かの縁だし。

 

「えっ!?いいよ別に、そんなことさせるのも悪いし。」

 

「いいからいいから、はよ渡せ。」

俺はそう言って少し強引気味に荷物を持った。

 

「ほれ、さっさと行こうぜ?」

そう言うと速水は溜息をつきながら歩き出した。歩き出した俺たちは学校のことなど日常生活のことなどいろいろ話しながら歩く。

 

「・・・・・・にぁ~。」

公園付近にくると、どこからか猫の声が聞こえた。しかもどこか弱々しい声だった。

 

「どうかしたの?」

 

「ちょっとな・・・・。」

俺はそのまま公園に入り、声が聞こえてきたほうに行く。するとそこにいたのは痩せこけた子猫だった。

 

「恭弥、その子猫・・・・。」

追いかけてきた速水は猫に気付き、驚いていた。

 

「悪い速水、お金を渡すからキャットフードと牛乳。あと皿になりそうなものを買ってきてくれ。荷物は預かっておくから。」

 

「わ、わかった!」

速水は走り出した。俺はそれを見送ると周りに人がいないことを確認する。

 

「ちょっと待ってろよ。すぐに良くなるから。」

 

 

“ハイスクールD×D;聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)

 

 

「とりあえず後は体力だけだな。」

聖母の微笑み(トワイライト・ヒーリング)で治せるのは怪我だけだからな。他の体力回復系は子猫に使えるか分からんから使わない。

 

「恭弥!買ってきた!」

いいタイミングで速水が帰ってきた。

 

「ナイスタイミングだ、速水。」

道具を受け取り、皿にキャットフードと牛乳を入れて早くふやかすためにかき混ぜる。大分ふやけてきたので子猫が食べやすいように皿を傾け食べさせる。

 

「あれ?怪我が治ってる?」

怪我に気付いた速水の疑問に答えず、俺は子猫の様子を見守る。子猫は一心不乱にキャットフードを食べた。・・・どうやらもう大丈夫なようだ。

 

「ニャアー!」

食べ終わった子猫は俺と速水の周りをうろつき、時折体を擦り付けてくる。懐かれた様だ。

 

「もう大丈夫なの?」

 

「あぁ。助かったみたいだ。」

そっか・・・。速水はホッとしながらしゃがみ、子猫を撫でる。子猫も速水の手に頭を擦り付けた。

 

「えへへ・・・・♪」

・・・・初めて速水が笑った────というか、すごくデレデレした顔を見た。そんな速水を微笑みながら見ていると気付かれた。

 

「・・・・ハッ!////」

見られていることに気付いた速水は顔を赤くする。

 

「ククッ......。すごくデレデレだな。」

 

「誰にも言わないで!」

 

「あぁ、分かってるって…ククッ。」

普段のクールなイメージとは想像もつかない速水に笑っていると叩かれた。

 

「イテッ!だから言わねぇって!それよりこの猫どうする?」

 

「飼いたいけどウチじゃ無理かも。」

 

「なら俺が連れて行くか。たぶん問題ないだろ。」

 

「いいの?」

 

「迷える子羊に導きを。ってな」

一応孤児院だしな、皆も喜ぶだろ。

 

「クスッ。子猫だけどね。」

 

「まぁな。」

それから俺が荷物を持ち、速水は子猫を抱いて速水の家に向かった────までは良かったんだが、速水の母親には彼氏だなんだ言われ、それに照れた速水に叩かれた。全部避けたが。

そのまま速水の母親は荷物を受け取りおそらく台所に行った。

 

「じゃあな、速水。」

 

「ちょっと待って。」

子猫を受け取り、そろそろ帰ろうとすると呼び止められた。

 

「名前でいいから。というか呼んで。」

 

「どうした?いきなり?」

 

「神崎さんたちのこととか呼び捨てにしてるでしょ?なら私も呼び捨てにしていいから。」

 

「俺は構わんが...いいのか?」

 

「いいの!恭弥なら////」

えー、そこで顔を赤くされるとそう(・・)としか判断できないんですが・・・・。ん?そういえば・・・・。

 

「なら凜香。もしかして俺たち孤児院組が初めて集会があったとき、俺のこと見てた?」

あのときは三つのうち一つの視線が気になったから他の視線はそのときは気にしなかったが、今考えると最近ちょくちょく教室から視線を感じていたし、視線を感じた方向も俺の席から斜め右方向からだったから辻褄は合う。

 

「・・・・////」

目をそらしやがった。えー?いつ堕とした?凜香とはそこまで関わった覚えはないんだが・・・・。

 

「私のことはいいから!////」

 

「えー?でも気になるんだが・・・・。」

 

「うるさい!////」

再び叩いてきたので、かわしながら質問しまくる。

 

 

 

 

「にゃ~。」

そんな俺たちを無視し、子猫は欠伸をした。

 

 

 




短い・・・・、そして速水の口調合ってるのかな?((((;゜Д゜)))

しかし!お気に入り数90人、UA数9000人突破!
ありがとうございます!!!!

初投稿からいつの間にか一ヶ月経過・・・・此処まで見てくれる人がいるとは(*´ω`*)

読んでいただきありがとうございました!!!!
誤字脱字またはご意見がありましたら、活動報告、メッセージにてお知らせください!

ではまた次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

転校生の時間

PC持ってないので携帯投稿なんですが、
フリック入力慣れてないのでスッゴく書きづらいです。( TДT)

まぁ、泣き言はこの辺で。
では、どうぞ!


      ~恭弥side~

「はい、みなさん。ほーむるーむをはじめます。せきについてください。」

梅雨の時期になり、本日はゲリラ豪雨のような日。

先日、凜香のことを名前呼びすることになってから有希子や椋たちと若干修羅場になりかけたが何やらそのメンバーで交渉したのか、一時停戦したようだ。因みに子猫の名前は毛が黒く、雄だったので黒丸にした。何?安直?うるせぇ。まぁ、そんなことは置いといて、俺たちE組は只今HR中で殺せんせーをガン見している。ただし、理由は違う。

 

「なんか、大きいぞ......。」

渚が言ったが、その通り。殺せんせーの顔が普段の二、三倍ほどでかいのだ。

 

『殺せんせー。33%程巨大化した頭部についてご説明を。』

クラス全員の疑問を律が聞いた。正直皆、余りの異常さに言葉を失っていたところなので、律が聴いてくれたことについては助かる。

 

「あぁ、これはですね。水分をすってふやけました。湿度が高いので。」

んー!と自信の顔を引っ張り、絞ると水が出てきた。

 

「生米みたいだな!」

クラスからツッコミが出たがそんなことより、

 

「先生、絞るなら外でやってくれ。見てて汚い。」

あ、俺の一言で沈んだ。

 

「お前は相変わらず鬼だな!?」

いやだって、汚いし。

 

「気を取り直して皆さん。烏間先生から転校生が来るとは聞いていますね?」

そうなのだ。先日の律の時のように烏間先生からクラス全員にメールが届いたのだ。携帯を見ていなかった俺は、いつの間にか携帯にいたモバイル律に教えられたが。

 

「んーまぁ、ぶっちゃけ殺し屋だろうね。」

律や殺し屋じゃないとして俺たちが来たからか、E組の反応は薄かった。

 

「律さんのときは甘く見ていて痛い目を見ましたからね。先生、今回は油断しませんよ。」

話題に出たからか、皆は律を見る。が、俺は律の目の前なので自然とクラス全員の視線が合って落ち着かない。あ、凜香と有希子と眼が合った。二人が手を振ってきたが、場所的に全員から見られるので、俺は律の方に振り返る。最低?どうしろと。全員に見られるわ。

 

「いづれにせよ、皆さんに仲間が増えるのは嬉しいことです。」

 

「そーいや律、何か聞いてないの?同じ転校生暗殺者として。」

原が律に尋ねた。確かに、聞いた話では送り込んだ所は律と同じらしいから何か知っているかもしれない。

 

「はい、少しだけ。初期命令では私と()は同時投入の予定でした。」

「私が遠距離射撃。彼が肉迫攻撃。」

「連携して殺せんせーを追い詰める。と、そのような予定でした。」

「ですが、二つの理由でその命令はキャンセルされました。」

理由?

 

「一つは彼の調整に時間がかかったから。もう一つは、私の性能では彼のサポートに力不足。」

「私が彼より、圧倒的に劣っていたから。」

ほぉ~?律がそこまで言われるのか...。

 

「なら律。俺とその暗殺者、どっちが上なんだ?」

 

「あ、そうか。恭弥は殺せんせーの触手を八本も切ったしな。」

 

「あれ?そういえばあの時、銃弾を捕まえてなかった?」

今更そこに気付くか...。椋たちを除く全員から凝視される。

 

「フフッ♪」

必殺、容姿を利用した誤魔化し。何人かが妖艶に見えた俺の顔を見て目を逸らす。

 

「で、律。どうなんだ?」

 

「・・////。」

 

「律?」

 

「・・・・あ、はい!////」

AIなのに見とれてたのか?俺の演技力が良かったのか、それともさすがカナの見た目と言うべきか...。

 

「正直、彼と恭弥さんのどちらが優れているかは分かりません。彼は調整中でしたし、恭弥さんは全力を出していないようなので。」

 

ガラララララッ。

 

誰か入ってきたようだ。音に反応した全員が扉を見ると、そこに立っていたのは、内側に袴を着て研究者が着るような白コートを身につけ、頭巾か何かで頭を隠した謎の男だった。

 

「何?あの格好。」

 

「あれが、転校生?」

入ってきた異様な格好の男にクラスから思わず声が漏れるが、俺は別のことを考えていた。

 

(どう考えても違うだろ、身長も高いし。というか何でアイツから()()()()()()()を感じるんだ?)

そんな俺の考えなど露知らず、男は虚空に指を指し、そのまま手の平を上に向けた。次の瞬間、男の手から煙が少し出てきて、手には白い鳩がいた。

 

《っ!?》

突然の音とマジックに皆はビックリすると、男が喋った。

 

「あっははは、ごめんごめん。驚かせたねぇ。」

「転校生は私じゃないよ。私は保護者。」

「まぁ、白いしシロとでも呼んでくれ。」

男───シロはフランクに話しているが、どうにも俺は信用できない。椋たちも同じなのか此方に視線を送ってくる。しかし、確証がないため今は様子見だけにする。

 

「いきなり白装束が来て手品したらビビるよね。」

 

「うん。殺せんせーでもなきゃ誰だって─────」

そう言いながら渚と茅野が殺せんせーを見ると壁の隅にいた。態々液体化して。

 

「ビビってんじゃねぇよ!殺せんせー!!」

 

「奥の手の液化まで使ってよぉ!!」

どんだけビビってんだ、この先生は。

 

「い、いや!先程律さんがおっかない話をするもんで...。」

「は、初めましてシロさん。それで肝心の生徒さんは?」

そう言いながら殺せんせーは元の体に戻っていった。

 

「初めまして殺せんせー。ちょっと性格とか色々特殊な子なので、私が直で紹介しようかと思いまして。」

シロが教卓に歩き出すと、教室の外に烏間先生が現れた。転校生を見に来たのか?シロは教卓に立つと前をクラスを見たが、何故か俺の方を見たように見えた。

 

「何か?」

そんなシロに殺せんせーが問う。

 

「いや、皆いい子そうですなぁ。これならあの子も馴染めそうだ。」

「では、紹介します。」

そう言い、扉を見たシロに釣られて全員がそこを見た。

 

「おーいイトナ。入っておいで。」

 

「!?」

俺だけが直ぐに気付いた。()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「全員、伏せろぉ!!!!」

しかし、遅かった。

 

ドガァアアアアン!!!!!!!

 

教室の後ろが吹き飛んだ、いや、吹き飛ばされた。そこから入ってきたのは、所々が跳ね、白い髪をし、夏なのにマフラーをした少年だった。

ソイツはそのまま席に座り話した。

 

「俺は勝った。この教室の壁より強いことが証明された。」

 

《いや!ドアから入れよ!?》

 

「それだけでいい。それだけでいい。」

電波かコイツ?いや、そんなことよりなんだ?眼はどちらかと言うと血走ってるし、さっきの超高速で動いてた()()は?

 

─なんかまた面倒臭いが来やがった......!─殺せんせーもリアクションに困ってる...─笑顔でもなく真顔でもなく、なんだその中途半端な顔...─

 

「ぐちゃぐちゃだな、殺せんせー。」

口では説明出来ないぐらい可笑しなことになっている。

 

「堀部イトナだ。名前で呼んであげて下さい。」

シロがそう言うが、誰も反応していない。そんな中、カルマがイトナに話しかけた。

 

「ねぇイトナくん。ちょっと気になったんだけど、今外から手ぶらで来たよね?」

「土砂降りなのになんで一滴たりとも濡れてないの?」

その質問にイトナは反応した。カルマの方を向き、答えを待っているE組を見ると立ち上がりカルマへ近づいた。

 

「お前は多分、この教室でかなり強い。けど、」

そう言いながらカルマの頭に手を置き、撫で始めた。

 

「安心しろ、俺より弱いから俺はお前を殺さない。」

「そして新神恭弥。」

あ?俺に来た?

 

「お前は確実にこの教室で強い。俺が殺したいのは、俺より強いかも知れないヤツ。だからいつかお前も殺す。」

 

「・・・・へぇ~?殺す?俺を?」

冷めた目で笑うと周りがビクついた。

 

「だが、まず殺すのは殺せんせー。アンタだ。」

そう言って、シロに貰った羊羮を食べている殺せんせーを指差した。

 

「強い弱いとはケンカのことですかイトナくん?力比べでは先生と同じ次元には立てませんよ。」

殺せんせーはニヤリと笑いながら答えた。

 

「立てるさ。」

イトナは懐から殺せんせーと同じ羊羮を取り出す。

 

「だって俺たち、血を分けた兄弟なんだから。」

 

《うぇぇえええぇえ!!!!?》

はぁあ!?兄弟!?いや、待てよならさっきの『何か』はもしかして───────

 

「負けた方が死亡な。兄さん。」

「兄弟通し小細工はいらない。兄さん。お前を殺して俺の強さを証明する。」

「放課後、この教室で勝負だ。」

イトナはそう言い残し、シロと共に教室から出ていった。そしてクラスの今までに溜まった疑問が爆発した。

 

「ちょっと先生!兄弟とかどう言うことなの!?」

 

「そもそも人とタコで全然違うじゃん!」

 

「い、いやいやいや!全く心当たりがありません!!」

「先生、産まれも育ちも一人っ子ですから!」

「昔両親に「弟が欲しい」って、言ったら家庭内が気まずくなりました!」

いらんわ!そんな情報!

──────────────────────────────

昼休み。クラスで食事を取るなか、イトナはかなりの菓子を食べている。

 

「スゲー勢いで甘いもの食ってんな。」

 

「甘党な所は殺せんせーとおんなじだ。」

 

「表情が読みづらいところとかな。」

それもその筈。殺せんせーとイトナは互いの机に菓子を、しかもほとんど種類が同じものを食べている。

 

「にゅぅ。兄弟疑惑で皆さんやたらと私とイトナくんを比較している...。ムズムズしますねぇ。」

「気分直しに今日買ったグラビアでも読みますか♪これぞ大人の嗜み。」

おい。

 

「おいこら、聖職者。神聖な学舎で何てモン読んでんだ。」

俺が当然の事を注意してるとイトナも同じ雑誌を取り出した。・・・・もう知らん。

 

「巨乳好きまで同じだ!」

そこじゃねぇだろ。

 

「これは俄然信憑性が増してきたぞ!」

岡島がそう言ったが何故だろう...しょうもないことを言い出す気がする。

 

「そ、そうかなぁ岡島くん。」

 

「そうさ!巨乳好きは皆兄弟だ!」

岡島も同じ雑誌を取り出した。おい、それじゃお前も兄弟になるぞ。

 

「はぁー...ややこしくなるから沈んどけ。」

とりあえず意識を落とす。

 

「恭弥くん...岡島くんの扱いも酷いよね?」

 

「渚。」

 

「何?」

渚に言われた俺は渚に向かってとても、とーっても笑顔で答える。

 

「変態死すべし、慈悲は無い。」

 

《怖いわ!!!!》

 

「良いじゃねえか、なんだかんだで気絶させただけなんだから。」

慈悲は与えたぞ?

 

《そんな問題じゃねえよ!!》

その後、あちこちで予測が出たがイマイチな物しか出なかった。

──────────────────────────────

いよいよ放課後、殺せんせーとイトナが戦う時間だ。机を教室の四隅に置き、一種のリングにした。イトナはマフラーとブレザー等を脱ぎ、上半身をインナーのみにする。

 

「ねぇお兄さん。これで殺せんせーを殺せるの?」

 

「ん?ユウキか。どうだろうな、リングがあるとはいえ殺せんせーにはそんなこと関係ないし。」

ユウキに続いて凪が聞いてきた。

 

「じゃあ意味無いと思う。」

 

「いや、そんなこと無いぞ。」

 

「どう言うことですか?恭弥くん。」

今度は有希子が聞いて来る。俺のところに来すぎじゃないですかねぇ?皆さん。

 

「勝算が無いとこんなことしないし、俺の考えが正しかったら結果は7:3で殺せんせーが勝つだろう。」

殺せんせーが勝つとはいえ、三割もの勝率があることに周りが驚く中、シロが話した。

 

「ただの暗殺は飽きてるでしょ、殺せんせー。」

「ここは一つルールを決めないかい?リングの外に足が付いたらその場で死刑。どうかな?」

そのルールに杉野が口出した。

 

「何だそりゃ、負けたって誰が守るんだよそんなルール。」

 

「いや、」

カルマ?

 

「皆の前で決めたルールを破れば先生としての信用が落ちる。殺せんせーには意外と効くんだ、あの手の縛り。」

へぇ、さすがカルマ。しかし殺せんせーならそんなこと関係なく、

 

「いいでしょう。そのルール受けますよ。」

って、言うだろうな。 

 

「但しイトナくん。観客に危害を加えても負けですよ。」

 

「ならある程度は俺が皆を守っとくわ、殺せんせー。」

最悪特典を使うかも知れないが。

 

「では、合図で始めようか。」

その言葉と共にシロは手を上に掲げる。そして、降り下ろす!

 

「開始!」

その言葉と同時に殺せんせーの片腕が切られた。

 

「まさか...!」

殺せんせーは驚く。腕を切られたことではなく、

 

シュンシュンシュンッ!!!

 

()()()()()()()()()()()()()

 

「やっぱりか...。」

あのとき見えた『何か』は触手だったのか。

 

「そういうことね、そりゃ雨の中でも濡れないわけ。」

 

「どこ...だ?」

殺せんせー?

 

「どこでそれを手に入れた...!」

殺せんせーの顔がドス黒く染まっていた。

 

「その触手を...!」

 

「うわーヤッバ。」

守れるかねぇ~?その状態で暴れられるとキツいぞ。

 

「君に言う義理は無いね、殺せんせー。だがこれで納得しただろう?」

「両親も違う。」

「育ちも違う。」

「だが、この子と君は兄弟だ。」

シロは殺せんせーの顔を見ても平然とする。

 

「しかし、怖い顔するねぇ?何か、イヤな事でも思い出したかい?」

殺せんせーは触手を再生させ言った。

 

「どうやら、貴方にも話を聞かなきゃいけないようだ。」

 

「聞けないよ。死ぬからね。」

シロは左手を上げ、袖を開くとそこから何か光が放たれた。

 

「にゅや!?」

 

「この圧力光線を至近距離で照射すると君の細胞はダイラタント挙動を起こし、一瞬全身が硬直する。」

アイツ......幾らなんでも触手のことを知りすぎじゃないか?

 

「全部知ってるんだよ、君の弱点は全部ね。」

イトナは硬直した殺せんせーを容赦なく攻撃する。クラスのほとんどが殺られたかと思ったが、殺せんせーは例の脱皮を使ってイトナの猛攻から逃れた。

 

「そういやそんなのもあったね。でもねぇ、殺せんせー。」

「その脱皮にも弱点があることを知ってるんだよ。」

再びイトナの猛攻が始まる。

 

「脱皮は見た目よりもエネルギーを消費する。よって直後は自慢のスピードも低下する。」

「加えてイトナの最初の攻撃で腕を失い再生したね?」

「それも結構体力を使うんだ。」

何者だ、コイツ?研究者だとしてもこの理解力はあり得ないぞ?

 

「椋、凪、蒼、果林、ユウキ。アイツは要注意しておくぞ。得体が知れない。」

 

「「「「分かった。」」」」

『分かりました。』

俺たちは小声でやり取りする。

 

「私の計算では、この時点で互いのパフォーマンスはほぼ互角。」

「また、触手の扱いは精神状態が大きく依存する。予想外の触手へのダメージでの動揺、今どちらが優勢か一目瞭然だろうねぇ。」

・・・・気に入らねぇなぁ。

 

「さらに保護者の献身的なサポ───「させるかよ。」ッ!!!?」

 

 

“ステータス変更;速度上昇”

 

 

「子供に対する過干渉は教育に悪いらしいぞ。保・護・者・さ・ん?」

速度を上げてシロの手を掴み無理矢理下に下ろした。それでも若干光を浴びたのか、殺せんせーは俺の邪魔により触手は一本だけとはいえ足を切られた。

 

「新神恭弥くんだね?いきなり何をするのかな?」

 

「はっ!何するかじゃねぇよ。これは元々殺せんせーとイトナの勝負だろうが。保護者が口出しすんな。」

そんなやり取りを無視しイトナは殺せんせーに話しかける。

 

「これで証明されたな、兄さん。アンタより俺の方が強い。」

 

「何が強いだ、シロからサポートがあって始めて追い詰めてるヤツが。」

俺の言葉に強く反応した。

 

「なんだと?」

 

「ヌルフフフ。先程はありがとうございました、恭弥くん。それとシロさん、貴方の計算には一つ入れ忘れていることがありますよ。」

 

「無いね、私の計算は完璧だ。やれ、イトナ。」

イトナは飛び上がり、全ての触手を殺せんせーへと突き刺す。触手の破片が飛び散った。しかしそれはイトナの触手だった。

 

「おや?落とし物を踏んづけてしまったようですね?」

床には生徒全員の対殺せんせー用ナイフが転がっていた。・・・・なるほどね。同じ触手なら弱点も同じなわけか。そしてイトナの上から脱皮後の皮が降ってきてイトナは動けなくなった。

 

「同じ触手なら対殺せんせー用ナイフが効くのも当然ですねぇ。」

「触手を失うと動揺するのも同じです。でもね、先生の方がちょっとだけ老獪です!」

皮で包んだイトナを外へと投げる。勝負あったな。

 

「先生の脱け殻で包んだのでダメージは無いはずです。ですが、君の足はリングの外に付いている。先生の勝ちですねぇ。」

「ルールに照らせば君は死刑。もう二度と先生を殺れませんねぇ?」

 

「ついでに俺もな。」

茫然としていたイトナの目が最初より血走る。

 

「生き返りたいのならこのクラスで皆と一緒に学びなさい。」

「性能計算では簡単には計れないもの、それは経験の差です。」

「君より少しだけ長く生き、少しだけ知識が多い。先生が先生になったのはねぇ、それを皆さんに伝えたいからです。」

「この教室で先生の経験を盗まなければ君は私には勝てませんよ?」

何時ものように()()をするがイトナは、

 

「勝てない...俺が、弱い......?」

瞳が黒くなった?殺せんせーが黒くなったのと関係あるのか?

 

「不味いな。イトナは大の勉強嫌いだ。勉強嫌いの生徒に説教すれば、集団殺戮(ジェノサイド)が吹き荒れるぞ。」

 

「黒い触手!?」

 

「ヤベェキレてんぞアイツ!!!」

クラスが騒ぎだす。

 

「俺は強い、この触手で誰よりも強くなった...!誰よりも!」

教室へと侵入し、殺せんせーへ飛び掛かったが突然崩れ落ちた。シロが何かを撃ち込んだようだ。

 

「すいませんねぇ、殺せんせー。どうやらこの子はまだ登校出来る精神状態では無かったようだ。」

「転校初日ですいませんが、しばらく休学させていただきます。」

 

「待ちなさい!担任としてその生徒は放っておけません!卒業するまで面倒を見ます。」

イトナを抱え上げ、去ろうとするシロを引き留める。

 

「それにシロさん、貴方にも聞きたいことが山ほどある。」

 

「イヤだね、帰るよ。それとも力付くで止めてみるかい?」

なおも帰ろうとするシロの肩を殺せんせーが掴んだがたちまち溶けた。

 

「対先生繊維。君は私に触手一本触れられない。心配せずともすぐに復学させるよ。三月まで時間はないからね。」

そのまま二人は去っていった。

──────────────────────────────

「恥ずかしい...恥ずかしい...恥ずかしい...。」

何やってんだコイツ?

 

「何してんの殺せんせー?」

教室の後片付けをする中、殺せんせーは教卓でひたすら恥ずかしがっていた。

 

「シリアスな展開に加担したのが恥ずかしいです。」

「先生どっちかって言うとギャグキャラなのに。」

 

─《自覚あるんだ...。》─

 

「安心しろ殺せんせー。アンタは確実に存在がギャグだ。」

超生物、何があろうと、哀れなり。字余り。

 

「かっこよく怒ってたね、『どこで手に入れた!その触手を!』。」

 

「いやーーー!言わないで狭間さん!改めて自分で聞くと逃げ出したい!」

「つかみ所の無い天然キャラで売っていたのに。あぁも真面目なことをすればキャラが崩れる。」

天然キャラは作れないだろ。

 

「でも驚いたわ、あのイトナって子。まさか触手を出すなんて。」

ビッチ先生が言った。・・・・やっぱり心の中ではビッチでいいや。

 

「ねぇ殺せんせー、いい加減説明してよ。」

 

「先生の正体、いつも適当にはぐらかされてきたけど、あんなの見たら気になるよ。」

 

「そうだよ。私たち生徒だよ、先生のこと詳しく知る権利があるはずでしょ?」

ビッチの言葉を期にクラスが殺せんせーの秘密を改めて聞いた。

 

「仕方ない。真実を話すとしましょう。」

「実は...先生......。」

さてさて?どんな秘密なのかねぇ?

 

「人工的に造り出された生物なんですよ!」

クラスの空気が固まった。・・・・えぇ~?言うのそこぉ?

 

「だよね。」

 

「で?」

簡単に予想できることを教えられた皆は冷めた反応だった。

 

「にゅや!?反応うす!?これは結構衝撃的告白ではありませんか!?」

 

「つってもなぁ、自然界にマッハ20のタコとかいねぇだろ。」

 

「宇宙人でもなければそんなこと考えられない。」

 

「で、あのイトナくんは弟って言ってたから先生の後に造り出されたと想像がつく。」

ここら辺は誰でも考え付くよなぁ。

 

「はっ!?察しが良すぎる!恐ろしい子たち!?」

どこのガ○スの仮面だ。

 

「知りたいのはその先だよ、殺せんせー。どうしてさっき怒ったの?イトナくんの触手を見て。」

「殺せんせーは何処で産まれて、何を思ってここに来たの?」

渚の核心をついた質問に殺せんせーは無言になる。

 

「残念ですが、今ここでそれを話したところで無意味です。」

「先生が地球を爆破すれば、君たちが何を知ろうが全てチリになりますからねぇ?」

凶悪な笑みを浮かべた殺せんせーに何人かが後ずさる。

 

「逆に皆さんが先生を殺せば、君たちは幾らでも知ることが出来る。」

「もうわかるでしょう?君たちがする行動は只一つ。殺してみなさい。」

「アサシンとターゲット。君たちと先生を結びつけた絆の筈です。」

「先生の中の大事な答えを探すなら、君たちは暗殺で聞くしか無いのです。」

へぇー?

 

「なら全力で殺しに行こっかなー♪今すぐに♪」

 

「にゅや!?今ですか!?」

ハハッ、今すぐだ!

 

「・・・・逃げるが勝ち!」

 

「逃がすか!行くぞ!」

 

「「「「分かった!」」」」

俺と孤児院組ははそのまま殺せんせーを追いかけた。その後、他のE組生は烏間先生へ更なる暗殺技術の指導を請いに行った。放課後は希望者のみを追加で訓練するそうだ。しかも早速らしい。

 

「アッチも面白そうだな、皆覚悟を決めた目をしてる。死ぬ気の炎出せるんじゃないか?」

 

「あれなら出せると思う。」

 

「凪が言うなら確実だな。」

そんなことを話している俺たち。

 

「新神さんたち!いつまで追いかけるのですか!?」

未だに殺せんせーを追いかけながら。

 

《飽きるまで!!!!》

 

「にゅや~~~~!!!!!」

 

 

 




おや8000字を越えた・・・・。
ん?前話のオリジナルが約2500で原作5000が基本越え。

・・・・・・・・・。


気にしないでおこう!!!!
無理ですね、ハイ。
文才の差が目立つ(。´Д⊂)ウゥ...

誤字脱字やご意見がありましたらメッセージ、又は活動報告にてご連絡下さい。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

では、次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

球技大会の時間

UA数が一万を越えた・・・・。

ヒャァハァァァァア!!!!

ありがとうございます!ありがとうございます!
此処まで延びるとは・・・・投稿当時は5000人越えれば御の字だと思っていたのに、予想の倍になりました。

では、どうぞ!


      ~恭弥side~

 

「フムフム。クラス対抗球技大会ですか!健康な身心をスポーツで養う、大いに結構!」

シロとイトナが去り、梅雨も明けた。現在E組では椚ヶ丘中学校のクラス対抗試合のメンバー決めをしている。

 

「ただ、トーナメント表にE組の名前が無いのですが...?」

そうなのだ。スポーツということで俺もテンションが上がったのに、何故かE組は対戦表に書かれていないのだ。

 

「E組はエントリーされないんだ。一チーム余るって素敵な理由で。」

...なんだと?

 

「おいおいマジかよ、テンション下がるじゃん。なんだよあの阿呆ども蹴散らそうかと思っていたのに、参加できないんじゃ意味無いじゃん。見学とか、え~?どうしよっかな~。バレない程度に邪魔でもしよっかなー。」

 

「どんだけ参加したかったんだよ、恭弥...。」

 

「参加出来ないだけでそこまでだれるか?フツー。」

イヤイヤ。

 

「参加出来れば合法的に本校舎の奴らコテンパンに出来るじゃん?テストもスポーツもE組に負けましたがどうかしましたか~?って。」

その時の顔を見たかったのに...

 

「鬼畜だな...本当に。」

 

「でもま、参加出来ない代わりに俺たちはエキシビションがあるんだよ。」

なに!

 

「エキシビション?」

殺せんせーが俺より先に聞いた。

 

「よーするに見せ物だよ。全校生徒が見てる前で男子が野球部、女子は女子バスケ部とやらされるんだ。」

ふーん。つまり現役対素人ってわけね。しかし、バスケか...。

 

「バスケか...いいな...。」

俺の呟きに周りが驚いた。

 

「変態か!?お前!?」

 

「いや!違和感無いだろうけども!」

変態?・・・・あ、そういうことね。

 

「俺は只単にバスケの方が好きなだけだぞ?」

だから有希子に凜香に律、驚愕の顔をすんな。見ろユウキたちを、普通の顔を─────。

 

「「「「・・・・っ!?」」」」

 

『そうですよね、恭弥さんにそんな趣味なんてありませんよね。安心しました。』

おいこら、疑うなや。

 

「なるほど、いつもの奴ですね。」

殺せんせーが恒例の差別行為に唖然としていると、寺坂グループの三人が立ち上がった。

 

「俺ら晒し者とか勘弁だわ。お前らで適当にやっといてくれや。じゃあな。」

そう言って去っていった。クラスが相変わらずな寺坂たちに呆れた。

 

「野球といや杉野が頼りだけど...なんか勝つ秘策ねぇの?」

あぁ、そういや杉野は元野球部らしいな。しかし杉野は神妙な声で言った。

 

「無理だよ。かなりつえーんだ、ウチの野球部。」

「特に今の主将、進藤。豪速球で名門高校からも注目されている。」

「勉強もスポーツも一流とか、不公平だよな。」

おいおい、また弱気な発げ「でもさ、」ん?

 

「勝ちたいんだ、殺せんせー。善戦じゃなくて勝ちたい、好きな野球で負けたくない!」

「野球部追い出されてE組に来て、むしろその思いが強くなった!」

「コイツらとチーム組んで勝ちた────」

自身の思いを口にし、殺せんせーを見たが言葉を失った。何故なら、

 

「ワクワク♪ワクワク♪」

野球のユニフォームに着替え、顔を野球ボールにし、様々な野球漫画の要素を取り入れた格好をしていたから。

 

「お、おう...殺せんせーも野球したいのはよく伝わったよ......。」

 

「ヌルフフフ!先生一度スポ根モノの熱血コーチをしたかったんですよ!」

無理だろ。

 

「殴ったりはしませんので、代わりにちゃぶ台をひっくり返します。」

頑固オヤジか!

 

「用意よすぎだろ!」

 

「最近の君たちは目的意識をハッキリ口に出すようになりました。」

「殺りたい。勝ちたい。」

「どんな困難にも揺るがないその心意気に答えて、この殺監督が勝てる作戦とトレーニングを授けましょう!」

こうしてE組は殺監督のトレーニングを開始した。ついでに椋たちのモチベーションアップにある約束をする。

 

「活躍した人は出来る範囲で何かお願い事を叶えてやる。出来る範囲でだからな?出来たとしてもある程度は妥協してもらうからな?聞いてる?」

あ、燃え上がって聞いてねぇ。ミスったか?

 

『『私はどうするんですか!?』』

あー、律と果林か...そうだなぁ。

 

「なら律は公平にジャッジして、それ次第で判断するってことで。」

─『果林は蒼と一緒ってことで。』─

 

『『分かりました!』』

─────────────────────────────

球技大会当日。大会自体は盛り上がり、三年はA組が優勝した。そして俺たちE組対野球部の試合。

 

『えー、それでは最後の試合。三年E組対野球部のエキシビションマッチを行います。』

さぁ!潰すか!そんなことを考えていると進藤が杉野に話しかける。

 

「学力と体力を兼ね備えたエリートだけが、選ばれたものとして人の上に立てる。それが文武両道だ、杉野。」

言うねぇ?

 

「お前はどちらとも無かった。選ばれざる者だ。」

そう言い残しチームへ歩いていった。

 

「そういえば殺監督どこだ?指揮すんじゃねぇのか?」

ん?確かに...気配を探っても球場にはいるがそこにはボールしか──ん?

 

「あそこだよ。」

他のメンバーが渚が指差した方を見る。

 

「烏間先生に目立つなって言われてるから、遠近法でボールに紛れてる。」

そこには体を地面に埋め込ませ、顔だけを出している殺監督がいた。せめて帽子は取れよ。

 

「顔色とかでサイン出すんだって。」

バレるだろ普通。色が変わるボールとかどんなボールだ。

 

「てかバレるだろあれ!」

だよな。すると殺監督は一瞬だけ地面に潜り、また出てきた。色が変わって。

 

「なんて?」

同じことを繰り返したがよくわからん。

 

「えっと、さっきのは...殺す気で勝て。だって。」

殺す気?......ニヤッ

 

「恭弥、また悪人顔になってんぞ。」

そうか?

 

「まぁ確かに、俺らにはもっとでかいターゲットがいるんだし。アイツらに勝てなきゃ殺せんせーは殺せないよな。」

さすが委員長磯貝、纏めるのが上手いな。

 

「よっしゃ!殺るか!!」

 

《オォー!!!!》

こうしてエキシビションマッチが始まった。

 

『さあ!一回表はE組の先制攻撃。』

『一番サード新神くん。』

っしゃあ!かますか!!

 

『ピッチャー第一球、投げたぁ!』

進藤はなかなかのスピードで投げた。確かに早いが......!

 

「オラァァァァア!!!!」

 

カキーン!!

 

「何ィィ!?」

そんぐらいじゃまだまだだな。

 

『な、な、なんと!?一番新神くん、まさかの一球目でホームラン!?何てことだ!!』

 

「嘘だろ・・・・。」

 

「なんでE組が・・・・。」

ハッ、嘗めすぎだ。

 

『二番、バッター潮田くん。』

 

「さっきのはマグレだ、他の奴は掠りもしないだろう。」

何言ってんだ進藤、さっき言っただろう?

 

『おぉっと!?セーフティーバントだぁ!?』

────嘗めるなって。そのまま渚は一塁へ走り、バントが来るとは思っていなかった奴らは慌てて一塁へボールを投げるが、渚の方が速かった。続けて磯貝もバントで塁に出た。

 

「な、何故あの豪速球が打てるんだ?」

おーおー、相手の監督さん驚いてるな。

 

「へっ!こちとら殺せんせー相手に練習してるんだぜ?」

そういうこと。あの先生、三百キロで投げるわ、打てたとしても殺せんせーの超スピードで守られるわ、キャッチャー役はずっと後ろから囁きまくるし、百四十キロ程度じゃ話にならない。

 

『ど!?どうなっているんだ!?E組、一転先取に走者一塁、二塁!!?』

『どうしたことでしょう!?ちょ、調子でも悪いのでしょうか?進藤くん。』

フハハハハッ!ザマァ見ろ!!

 

『四番、ピッチャー杉野くん。』

 

『さぁ!試合再開...おぉっと!?またバントの構え!?』

焦ってる焦ってるw進藤はなんて考えてるかな♪

 

 

“とある魔術の禁書目録;読心能力(サイコメトラー)

 

 

(な、なんだよコイツら...。俺がやってるのは......野球なのか...?)

まぁ、そんなこと思うのも無理ないな。焦りながらも進藤は投げるが、投げた直後に杉野は構えをバントから普通に戻し打った。

 

『打ったー!打球は右中間を深々と抉る!』

『ランナー二人ホームへ向かう!打者杉野も三塁ホームへ間に合ったぁ!!』

本校舎の奴なのに解説はしっかりするんだな。

 

『な、なんだよこれ...予想外だ......E組、三点先制...。野球部、タイムを取るようです。』

ん?理事長?野球部の方へ何しに来やがった?あ、監督さんが倒れた。

 

「一回表からラスボス登場かよ...。」

 

『い、今入った情報によりますと、野球部顧問の寺井先生は試合前から重病で、選手たちも先生が心配で、試合どころではなかったとのこと。それを見かねた理事長先生が急遽指揮をするそうです!』

その言葉に本校舎生は盛り上がる。

 

「調子よすぎだろ、理事長が来ただけでそこまで盛り上がるか?」

前原が打席に立ち、理事長が野球部に何か言ってから席に戻ると()()は起きた。

 

『さぁ、ここから───な、なんだこれは!?()()()()()()!?』

なるほどね、俺たちの攻撃パターンの少なさを見抜いてそうきたか。

 

「ダメだろ!?あんな守備で!」

 

「ルール上では審判が駄目と言わなければどこで守っても、問題無いらしい。」

審判は向こうの人間だからそれは無いな。前原がなんとか打ち上げたが、守備が内野にいるため簡単に取られる。次の岡島が殺せんせーへ指示を求めるが、諦めのサインを出した。結局、そのままスリーアウトになった。攻守が変わり相手の攻撃だが、杉野の変化球に打てない。

 

「打たすなよ、杉野!ボール来ても取れる自身ねーぞぉ。」

 

「ハッハハ、わかってらい!」

そんな会話をしているが守備位置の関係上、俺は理事長が進藤に何かするのが見える。なーんか、催眠的なことしてんなぁ。その後、杉野の変化球でまた攻守が変わるが相変わらず全員内野守備だ。

 

『八番、レフト赤羽くん。』

呼ばれるカルマだが、打席に立たない。

 

「どうした?速く打席に立ちなさい。」

あ、審判に注意された。

 

「ねーえ?これズルくない理事長。」

あぁ、カルマの挑発で揺さぶるのか。

 

「こんだけ『邪魔』な位置で守ってんのにさぁ、審判の先生もなんも注意しないし、お前らもおかしいと思わない?あぁ!そうかぁ、お前らバカだから守備位置とか分かんないかぁ?」

さすがカルマ。確実にイライラさせてる。案の定本校舎の奴ら文句言ってきやがった。

 

「ちいせぇことでガタガタ言うな!E組が!」

 

「たかだかエキシビションで守備にクレーム付けてんじゃねぇよ!」

しかし、その後はなにも出来ないままスリーアウト。そして進藤が打者になるとさっきの催眠で凶暴化したのか、スゴイ迫力でボールを打った。

 

『おぉっと!!フェンス直撃ぃ!外野取れないぃ!!!!』

ッチ、さすがに守備じゃ負けるな。そのまま二点を取られ、さらに打順が俺に回る直前で最後の攻撃も終わってしまった。

 

『さぁ!残すところは三回裏、野球部の攻撃のみ!』

そして、第一球は相手にバントをされ走られてしまう。俺たちはバントをとる練習はしていないため、簡単にノーアウト満塁までに追い詰められた。タイムを取り杉野のもとへ集まる。

 

『ここで迎えるバッターは、我らが誇るスーパースター!進藤選手!!』

・・・・なんだあれ?筋肉とか膨張してるじゃねぇか。

 

「おぉーい、監督からしれーい。」

カルマ?殺せんせーから何か言われたのか?・・・・へぇー?そういうこと♪

 

『さぁ!試合再開...ですが、こ、この守備陣営は!?』

殺せんせーからの指令は俺とカルマが超至近距離で進藤へプレッシャーを与えること。効果は進藤の唖然とした顔が証明している。

 

「明らかにバッターの集中を乱すけど、さっきそっちが先にやったとき審判はなにも言わなかった。なら、別にいいよねー?理事長先生ー?」

 

「どうせ真の強者はこれくらいじゃ集中を乱さないとか言うんだろー?」

俺とカルマの質問に理事長は、

 

「ご自由に。」

余裕を持って答える。そこまで言うなら、

 

「なら、遠慮なく行くかカルマ。」

 

「オッケー♪」

俺たちはさらに近付き、進藤がバットを振ったら当たるレベルで近付いた。

 

『ち!近い!?前進どころかゼロ距離守備!?』

 

「気にせず打てよ、スーパースター。」

 

「ピッチャーの球は邪魔しないからよ。」

杉野がボールを投げ、進藤はビビりながらもバットを振った。もう少しビビらせるか。

 

 

“ドラゴンボール;孫悟空の身体能力”

 

 

カルマは直前で避けるが俺は動かない。いや、高速で動いて俺の体をすり抜けたように見せる。その事にE組や他の生徒も驚愕した。

 

「・・・・ハッ!ス、ストラーイク!!」

 

『な、何が起きたんでしょうか?今、新神くんには当たったように見えたんですが...。』

 

「ハ、ハハ、今のはビックリしたよ恭弥くん。どうやったの?」

 

「ん?気にすんな。それよりは進藤、そんな遅いスイングじゃ意味無いって、」

そして俺とカルマは揃って言う。

 

「「次はさぁ・・・・。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─殺すつもりで振ってみろよ─

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒ、ヒィィイイッ!!!!」

完全にビビった進藤は2球目を何とか当てるが、へっぴり腰だったのでカルマが軽く取り、キャッチャーの渚へ渡し、そこからトリプルプレーで試合は終わった。

 

『ゲ、ゲームセット...なんと、なんと......E組が...野球部に勝ってしまったぁ!!?』

 

《オッシャアァァ!!!!》

 

「お兄さんおめでとー!!」

 

「おめでとうお兄ちゃん!」

 

「おっと!?ユウキに椋か、いきなり飛びかかるな。」

 

「「えへへ♪」」

途中から見ていた女子たちもやって来た。

 

「男子おめでとう!!」

 

「やったね!野球部に勝った!!」

 

「女子はどうだったんだ?」

磯貝の質問に男子も気になった。

 

「私たちも勝ったよ。」

おぉ!マジか!

 

「新神家が暴れ回ってたよ。」

その言葉にE組は思った。

 

─《化け物すぎるだろ新神家!!?》─

こうしてクラス対抗球技大会のエキシビションは男女ともにE組が勝利した。

 

 

 

 

 

 

 

「律、誰が活躍したんだ?」

あの約束の結果を俺は律に尋ねた。

 

『それが・・・・。』

ん?どうかしたのか?

 

『皆さん活躍していまして、誰が一番かが判断しにくい結果となりました。』

 

「あー、それならしゃーないから皆でどっか行くか。」

 

『ハイ!』

 

 

 

 




すまない木村正義くんよ・・・・君のポジションをとってしまった、許してくれ。 (。>д<)

皆さんいかがだったでしょうか?
今回は心理戦がメインっぽかったのでスゴく書きにくかったです。
さぁ、次回はヤツの登場です。・・・・どうしてやろうか...。

誤字脱字やご意見などがありましたらメッセージ、または活動報告にてお知らせください!

読んでいただきありがとうございました!

今更ですけど、出てきた能力説明した方がいいのでしょうか?( ; ゜Д゜)

では、次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

才能の時間

さぁ、来ましたよ!『アイツ』が!

※所々でオリジナル要素が紛れています、ご注意下さい。


      ~第三者side~

晴天の下、E組生徒は烏間の指導で戦闘訓練をしながら数名の生徒が烏間本人を攻撃している。どうやら、生徒どおしの戦闘と烏間相手の戦闘を同時にしているようだ。

 

「視線を切らすな!ターゲットの動きを予測しろ。全員が予測すればそれだけヤツの行動の妨げになる。」

(訓練開始から四ヶ月目に入り、可能性が有りそうな生徒が増えてきた。)

訓練の様子を見ながら烏間は現時点での生徒の評価を付けていた。

 

(磯貝悠馬と前原陽斗。運動神経が良く、俺の体に当てるケースが増えてきた。)

二人同時に攻撃し烏間は避けたりするが、あと少しで当たる瞬間が多くギリギリでかわす場面がある。

 

(赤羽カルマ。一見のらりくらりとしているがその目には強いイタズラ心がある。)

次に攻撃したのはカルマだ。持ち前の戦い方で予測しづらい動きをするが、烏間はカルマの目を見て体を一歩下がらせた。それに対しカルマは悔しそうにするが、その顔は笑顔だった。

 

(女子は体操部出身で意表を突いた動きをする岡野ひなたと、男子並のリーチと運動量を持つ片岡メグ。この辺りがアタッカーとして優秀だ。)

そう評価した烏間には笑みが溢れた。しかし、その余裕は次の生徒たちで失いかける。

 

(そして新神家。新神蒼、新神凪、新神ユウキの三人はナイフのリーチに馴れていないのか距離の取り方が若干拙いが...。)

そう、転生者である恭弥と、恭弥が召喚したメンバーである。

 

(新神蒼は聞いた話だと弓と鎌を主軸とした攻撃らしいが、気配の消し方が上手く注意していないとすぐに見失ってしまう。)

蒼は果林を武器として使うので、普段使わないナイフは慣れないようだ。それは凪とユウキも同じのようだ。

 

(新神凪は槍、それの三叉を武器としているらしく、突きなどの攻撃が鋭い。)

(新神ユウキは反射神経が素晴らしく、次の攻撃に入るのが恐ろしく速い。この三人には二人掛かりで来られるとすぐに攻撃が当たってしまう。)

凪とユウキは恭弥により原作のデメリットが無いため、率先して攻撃出来るので強くなっている。

 

(そして、新神椋に新神恭弥。この二人は単体でも俺にナイフを当ててくる。)

当然だろう。描写こそされなかったが恭弥は基礎的な身体能力は設定能力により、デフォルトが上がっている。さらに椋はアサシンの英霊だ。こういった場面ではかなり強い。

 

(恭弥くんは以前俺と戦ったときや、ヤツの触手を八本も切断したことから知っているが、他のメンバーも恐ろしいものだ。)

(その他には目立った生徒はいないものの、全体を見れば能力は格段に──────ッ!?)

そう考えていた烏間は突然感じた異様な気配を背後から感じた。

 

「なッ!?」

驚いた烏間はその気配を出した者を本気で防いだ。

 

「うわ!?」

烏間に防がれ、投げられたのは渚だった。その声に生徒は一旦、動きを止めた。

 

「......イッタァ~。」

 

「・・・・ッハ!スマン!ちょっと強めに防ぎすぎた。」

数瞬だけ呆然としていた烏間はすぐに我に帰り、慌てて渚の所へ駆け寄る。周りの生徒も渚の様子を見に来た。

 

「あぁ、平気です。」

 

「バッカでー、ちゃんと見てないからだ。」

 

「うぅ...。」

投げられた渚を杉野が茶化すが烏間と恭弥は先程のことを考えていた。

 

(潮田渚...一見普通の生徒に見えるが......なんなんだ?さっきの異様な感じは?)

 

(おぉ~、流石渚...集会の帰りに見たときも感じたがスゲーな。)

 

キーンコーンカーンコーンッ!

 

「イヤーしかし、当たらん。」

 

「隙無さすぎだぜ、烏間先生。なんで恭弥たちは当てられるんだよ?」

授業が終わり、生徒は烏間のことを話していた。

 

「隙が無いなら作ればいいんだよ。」

普通に答えた恭弥に呆れる生徒たち。

 

「イヤ、そんな簡単に言われても...。」

 

「別に隙自体は簡単に作れるぞ?それこそカルマとか岡野とかみたいにやればいいんだし、まぁ通用するかしないかはやってみないと分からんが...。」

そんな会話をよそに倉橋が烏間を放課後のお茶に誘うが烏間は仕事があると言い、断っていた。その様子を見た生徒は再び烏間について話し出した。

 

「私生活でも隙がねぇーなぁ。」

 

「って言うより、私たちとの間に壁...とか距離を感じるような...。」

 

「私たちのこと大切にしてくれてるけど、それって任務だからなのかな...?」

そんな不安が生徒の胸に宿るなか恭弥は、

 

(あぁー腹へった。なんか甘いものでも食いたいな。)

生徒たちがしんみりしているのにこの男、相変わらずの自由人である。

 

「よっ!烏間。」

校舎へと帰る烏間に声をかける人物がいた。その人物はジャージを着て、大量の荷物を抱えた太った男だった。

 

「鷹岡...。」

その名を呟いた烏間。

 

「新しい先生?」

 

「やあ!今日から烏間を補佐してここで働くことになった鷹岡明だ。よろしくな!E組の皆!」

鷹岡はそう笑顔で言った。突然の訪問者に疑問に思っているE組だが、恭弥たち孤児院組は鷹岡から何かを感じ取っていた。

 

「ねぇ、お兄さん。なんかあの人嫌な感じがする。」

 

『えぇ、私も感じます。オリジナルの記憶ですが、フェンサー養成施設の人間と同じ気配です。』

ユウキと果林がそう言い、恭弥も同意した。

 

「アイツもシロと同じで要注意だな。」

その後、鷹岡は荷物の中身──大量のスイーツを振る舞っていた。

 

「わぁ!ケーキ!」

 

「高級店のエクレアまで!」

スイーツに目がない女子は驚いた。

 

「食え食え!俺の財布を食い尽くす気でな!」

そんな皆をほっといて、恭弥は椋たちと共に教室へ戻っていった。

 

「おぉーい!君たちは食べないのかー!」

 

「遠慮しときます。」

途中で鷹岡に誘われたがすぐに断った。

───────────────────────────

 

      ~恭弥side~

「律。」

 

『あ、恭弥さん!それに皆さんも、どうかしましたか?』

教室に戻った俺たちは律の所に行った。ある()()のために。

 

「律に急いで調べて欲しいものがある。」

 

『調べて欲しい?何をでしょうか?』

 

「今さっきE組に来た鷹岡明という男のの経歴を全てだ。」

「ハッキリ言ってアイツはなんだか信用できん。」

 

『分かりました、やってみます。』

 

「頼んだ。」

そう言い俺は窓から皆の様子を見た。

 

(面倒なことにならなければいいが...。)

・・・・完全にフラグだな、これ。

───────────────────────────

 

翌日。椋たちには普通に授業をしていてもらい俺は別行動を取る。違和感が無いように凪には幻覚で俺も参加している風に装ってもらっている。

 

「律、どうだった?」

 

『結果は出ましたが...いいのですか?授業は?』

 

「あぁ、大丈夫大丈夫。」

ならいいのですが...。そして俺は律が集めた鷹岡の経歴を見る。・・・・あぁ?なんだよ、これ?俺は鷹岡の経歴を見て愕然とした。何故なら文面だけは教官として優秀だったが、付属された写真には()()()()()()()()()()()()()()()()()()があったからだ。

 

「あの野郎......!」

嫌な気配がしたが、何をしてるかわからんシロより現段階で一番のクズだ。

 

「・・・・キャッ!・・・」

今のは有希子の声か!?アイツ何かやりやがったな!?

 

「律!埋め合わせは今度する!」

 

『お気をつけて!』

─────────────────────────────

 

「─────を攻撃するのか?」

校庭に出るとそこには腹を押さえて呻く前原と、頬が赤くなった有希子がいて、そんな有希子に烏間先生が駆け寄っていた。殺せんせーは鷹岡の肩を掴み、全身が赤くなり怒っていた。

 

「・・・・果林、どういう状況だ?」

 

『あの男がスパルタ過ぎる授業内容に変更したのを前原さんが反抗し、その前原さんを膝を腹へ撃ち込んで、さらに烏間先生の授業を希望した神崎さんを平手打ちしました。』

 

「・・・・そうか。」

 

『すいません...余りの出来事に私たちも反応出来ませんでした......。』

 

「いや、様子見させた俺の方が悪いから今回は気にするな。そんなことより・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

─アイツヲ殺ス─

 

 

 

 

 

 

 

 

《ッ!?》

      ~第三者side~

 

全員が驚いた。鷹岡の暴虐やさっきまで列に並んでいたはずの恭弥が移動していたことでもない。驚いていたのは校舎側に立っていた恭弥が殺気を出し、完全にキレていることにだ。

 

「コロス・・・殺ス、ゼッ対二コロス。」

余りの殺気に烏間ですら動けないでいた。しかし、すぐに烏間は恭弥を止めようとした。

 

「止めるんだ!恭弥くん!!」

しかし、キレている恭弥は反応しない。

 

(なんだ!?あの殺気は!?とても子供が出すものではないぞ!?)

そんな恭弥を止める物がいた。殺せんせーだ。

 

「恭弥くん!落ち着きなさい!」

それでも止まろうとしない恭弥に殺せんせーは焦るが、凪が幻術で恭弥を気絶させた。その後前原と神崎は治療を受け、恭弥は保健室に運ばれた。だが誰も気付いていなかった。恭弥の目の下に()()()()()がT字に入っていたのを。

 

      ~烏間side~

 

「あれでは生徒たちが潰れてしまう...。」

手が出せない俺とコイツは授業の様子を見ることしか出来ない。

 

「私からしたら間違いなものの、彼には彼なりの教育論がある。」

「ですから烏間先生、あなたが同じ体育教師として彼を否定して欲しいのです。」

否定、否定か。しかし俺がそのようなことをしていいのだろうか。

 

「クソッ!スクワット三百回とか無理だっての!」

 

「烏間先生ぇ...」

スパルタな内容に耐えられなくなった生徒をまた攻撃しようとする鷹岡を見て、俺は既に奴の手を掴み動きを止めていた。

 

「そこまでだ...!暴れたいのなら俺が相手を務めてやる。」

 

「烏間...そろそろ横入りしてくるだろうと思ってたよ。」

「言ったろぉ?コレは暴力じゃない教育なんだぁ、暴力でお前とやり合う気はない。やるならあくまで教師としてだ。」

教師としてだと?

 

「烏間、お前が育てたコイツらの中でイチオシの生徒を一人選べ...ソイツが俺と戦い、一度でも俺にナイフを当てれば、お前の教育の方が優秀だと認めて、素直にここから出ていってやる。」

なんだと、生徒と戦うつもりなのか?生徒たちは出ていくと言った鷹岡の言葉に喜色を出す。

 

「だが、使うのはこんなチャチなナイフじゃぁない。本物のナイフだ。」

なんだと!?

 

「人を殺すんだ、獲物も本物じゃなきゃなぁ?」

 

「本物のナイフだと...!?よせ!彼らは人間を殺す訓練も用意もしていない!」

 

「安心しなぁ、寸止めでも当たったことにしてやるよ。俺は素手だしこれ以上ないハンデだろ?」

 

      ~第三者side~

 

烏間は迷っていた。鷹岡のように容赦のない訓練をする方がいいのではないか、っと。さらにはこんな危険な真似を生徒にさせていいのか?っと。烏間は生徒たちのもとへ歩きながら考えていた。

 

()()()。出来るか?」

周りの生徒は驚く。無理もないだろう、華奢な渚を選ぶより、女子とはいえこの場にいる新神家の誰かを選んだ方がいい。しかし、烏間は昨日の渚から感じたものを信じた。

 

「俺は地球を救う暗殺任務を依頼した側として、君たちに最低限の報酬として当たり前の中学校生活を保障することだと思っている。」

「だからこのナイフは、無理に受け取る必要は無い。その時は俺が鷹岡に頼んで君たちへの報酬を維持してもらえるよう頼む。」

烏間の目を見つめる渚は意を決してナイフを取ろうとする。しかし、待ったをかける者がいた。

 

「烏間先生。それ、俺にやらせてください。」

恭弥だ。

 

(あ~くそっ、無意識にとんでもないもん使っちまった。)

恭弥がキレた時に使ったもの。それは、

 

 

“いちばんうしろの大魔王;()() ()()()の力”

 

 

阿九斗はその世界では最強の存在である魔王、紅いT字ラインはその証明である。完全に力を解放した訳ではないとは言え、その一端でもかなり強力である。

 

「しかし、君はさっきまで...。」

 

「大丈夫です。今は冷静になりましたし、我を忘れたりしません。」

烏間からナイフを取ろうと恭弥が近付くが、鷹岡がその歩みを止めた。

 

「おっと!お前たち新神家の奴らは不参加だぁ。」

 

「あぁ?」

いきなりの発言に恭弥はまたキレかけた。

 

「はぁ!?なんでだよ!恭弥たちだって、E組じゃねぇか!」

 

「そうだ!別に問題ねぇだろ!」

クラスから文句が出るが鷹岡は、

 

「ソイツらはあの孤児院出身だろ?ということは元から強いのは当たり前だ。今回は烏間が育てた生徒なんだ、参加資格が無いのは当然だろうが。」

 

「んだよ...それ...。」

ハチャメチャな暴論に対して恭弥は、

 

「ッチ、なら仕方ねぇ。」

アッサリと頷いた。

 

「いいのかよ!恭弥!」

そんな反応に当然疑問に思われる。

 

「渚が選ばれるんだろ?なら、問題は無い。」

恭弥は渚に近付き真剣な目付きで言った。

 

「烏間先生も言ったが、無理にやる必要は無い。でも俺はお前を信じてるから好きなようにしろ。」

 

「・・・・うん。」

烏間からナイフを受け取り、準備する渚。

 

「烏間ぁ、お前の目も曇ったなぁ?それに新神恭弥ぁ、お前も酷い奴だなぁ。ソイツにやらせるなんて。」

 

「黙ってろクソメタボ。」

恭弥の暴言発動。

 

「ッハ!まぁいい。さぁ来い!(公開処刑だ。)」

拳とナイフを構える両者。

 

「渚のナイフ当たると思うか?」

 

「さぁ...。」

 

「お前らも渚を信じてろ。」

(渚なら大丈夫だ。)

渚はナイフを持つプレッシャーを感じながら烏間のアドバイスを思い出していた。

 

「いいか、渚くん。鷹岡にとってこれはただの見せしめだ。」

「奴は戦闘、しかし君は暗殺。戦う必要は無い、ただ一回当てればいい。」

「そこに君の勝機がある。」

そして、渚は気付いた。

 

(そうだ、戦って勝たなくていい・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

─殺せば勝ちなんだ─

 

 

 

 

 

 

 

渚は笑顔で鷹岡へ歩いていった。余りにも自然な動きに鷹岡は戦闘のことを忘れていた。そして鷹岡にゼロ距離まで近付き─────────ナイフを振るう!

 

「ッ!?」

殺されかけたことに気付き、ギリギリで避けた鷹岡だったが、体制を崩した。それを見逃さず渚は相手の服を倒れるように引っ張り、倒れた直後に背後に回って手で鷹岡の視界を塞ぎ、喉元へナイフの峰を当てた。

 

「捕まえた♪」

当然この事に周りは驚いた。事前にこうなることを予測していた殺せんせーと恭弥以外。

 

(な、なんてことだ...予想を遥かに上回っている...。)

(普通の生活では絶対に発掘されない才能だ、殺気を隠して近づく才能。殺気で相手を怯ませる才能。本番に物怖じしない才能。)

(これは...咲かせて良いものなのか...?)

烏間は渚の才能に恐怖した。それもそうだろう、渚の才能は()()()()()。恭弥が能力で使用した緑松校長とリクオの力を自然に使えるのだ。普通の人間には出来ないことである。

 

「烏間先生、大丈夫ですよ。渚なら外れた道に使わないと思いますし、まず殺せんせーがさせないはずです。」

 

「恭弥くん。」

 

「それに、力の使い所を教えるのが教師じゃないんですか?」

恭弥はイタズラっぽく聞いた。

 

「こ...こ、このガキィィイイ!!!」

鷹岡が起き上がった。

 

「父親も同然の俺に刃向かいやがってぇぇええ!!!!」

「マグレで勝ってそんなに嬉しいか!?もう一回だ!」

 

「・・・・まだ続けるか、アイツ。」

恭弥は目を細め鷹岡を睨む。

 

「確かに、次やったら僕が絶対に負けます。でもハッキリしたのは僕らの担任は殺せんせーで教官は烏間先生です。これは絶対譲れません。」

「父親を押し付ける鷹岡先生よりプロに徹する烏間先生の方が僕は暖かく感じます。」

生徒たちは鷹岡を睨み、その中で渚が毅然と語った。

 

「本気で僕らを強くしようとしたことには感謝します。でもごめんなさい、出ていってください。」

そんな真摯な言葉は鷹岡には一切届かなかった。

 

「黙って聞いてりゃあ!大人に対して生意気言いやがってぇぇええ!!」

「うがぁぁぁぁあああああ!!!!」

渚に襲い掛かる鷹岡だが、

 

 

 

 

 

 

「そうそう何度も好きにさせるわけねぇだろ、バァーーカ。」

 

 

 

 

 

 

恭弥が見逃す筈が無かった。即座に渚の前に立ち、鷹岡の腹を思いっきり蹴飛ばし、吹っ飛んだ先へ先回りしさらに攻撃をした。

 

ドサァ!

 

地面に頭から滑った鷹岡だが、気絶までには至らなかった。

 

「あ~らら、まだ意識あんの?脂肪が役に立ったなぁ?えぇ?」

暴走はしていないが恭弥は今までの鷹岡の所業にぶちギレていた。

 

「コイツ...!父ちゃんを蹴飛ばすなんて許されると思ってんのかぁ!!」

 

「ハッ!誰が父親だ。それにおあいにく様、俺に父親なんていねぇよ。」

「父親代わりはウチの神父様だし、断じておまえなんかじゃねぇ。」

ミカを弄ることが多い──というか、ほぼ弄っている恭弥だが、ミカには感謝しているようだ。

 

「このクソガキがぁぁあああ!!」

再び襲い掛かるが今度は烏間に防がれた。鷹岡は烏間に顎を打たれたため脳震盪を起こし崩れ落ちた。

 

「身内が迷惑を掛けてすまなかった。後のことは心配するな、今まで通り俺が教官に出来るよう上と掛け合ってみる。」

 

《烏間先生!!》

 

「や、やらせるかそんなこと!俺が先に掛け合って─────「交渉の必要はありません。」!?」

やって来たのは理事長だった。

 

「新任教師の手腕に興味がありまして、全て拝見させて頂きました。」

理事長は鷹岡に近付き、ポケットから何かを出した。

 

「鷹岡先生。貴方の授業はつまらなかった、教育に恐怖は必要です。が、暴力でしか恐怖を与えることしか出来ないのならただの三流以下だ。」

そう言って解雇通知を鷹岡の口の中に捩じ込んだ。

 

「解雇通知です。ここの教師の任命権はあなた方防衛省では無い。全て私の支配下だ。」

理事長は言うだけ言って去っていった。

 

「クソ!クソ!クソ!クソォオ!」

悔しがる鷹岡は走り去ろうとする。が、

 

「ほい。」

恭弥が足払いをし、鷹岡を転ばせた。鷹岡は起き上がったが、その顔は怒りに燃えていた。

 

「ざまぁw」

既に恭弥の方が鬼畜である。

 

「ほれ、さっさと去れ。」

クソッタレェェエエ!!!!っと、叫びながら今度こそ去っていった。

 

「鷹岡...クビ......。」

 

「ってことは、今まで通り烏間先生が...?」

 

《ヨッシャァアーーー!!!!》

嬉しさに生徒たちは沸きだす。

 

「烏間先生♪」

 

「ん?」

 

「生徒の努力で体育教師に返り咲いたし、何か臨時報酬があってもいいんじゃない?」

 

「そーそー、鷹岡先生そこら辺は充実してたし。」

 

「フッ、甘いものなど俺は知らん。コレで勝手に────「ヨッシャ!頂きィ!」。」

イリーナが懐から出した烏間の財布を奪う。

 

「にゅや!?先生にもその報酬を!」

 

「えぇー?殺せんせーはどうなの?」

 

「今回あんまり見せ場無かったし。」

殺せんせーは言い訳を言い出したが、生徒たちは烏間を服を掴み殺せんせーを置いていった。

 

「俺たちも食いまくるか。」

恭弥の声を筆頭に、孤児院組も盛り上がった。その後、殺せんせーが土下座しながら着いてくるハプニングがあったが、問題なくことは流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かに思われた。

 

      ~鷹岡side~

 

クソ!アイツらめぇ、俺のことをバカにしやがってぇ・・・・。

 

「特に潮田渚と新神恭弥ァ、父ちゃんに逆らったらどうなるか、教えてやる!!!!」

今に見てイヤガレぇ─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ほう?まぁまぁの素材だな?」

──────────────────────────────

      ~恭弥side~

 

「聞いたよ恭弥くん!さぁお父さんの胸に飛び込んでおいで!!!!」

 

「喧しい!!!!」

誰だ!コイツに吹き込んだ奴!?

 

 

 




ふぅ、疲れたぜ(;´∀`)

今回から能力説明をします。

いちばんうしろの大魔王
HJ文庫の小説。
内容は魔法が普通にある時代、そこには何年かに一度、魔王が産まれる。主人公である紗伊 阿九斗はとある高校へ編入し、聖職者になるために努力しようとするが、本人の将来を予知する機械に『職業;魔王』と宣告され、様々な組織や人物に狙われることになるが、同時に信頼できる仲間も増える。
主人公自体は穏やかで正義感があるが、独自の考え方で周りと衝突する時がある。魔王と言われても、どうにかその運命を逃れようとするなど自身の宣告に不満を持っている。


っとまぁ、こんな感じですが結構いい加減です。所々でエロい描写がある小説ですが、内容はかなり面白いです。アニメもあるので興味が湧いた方は是非書店やビデオ屋へゴー♪

誤字脱字やご質問などがありましたら、活動報告又はメッセージにてご連絡下さい。

最後まで読んでいただきありがとうございました!!

では、次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

交える時間


皆様・・・・・


おぉぉ待たせしましたぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!




ついに!つ!い!に!この時がやって来ました!!
コラボですよー!!
活動報告でもお話ししましたが今回は「問題児たちと一緒に候補生も来るそうですよ?」の作者、柊 華桜様とコラボ致します!

どうぞ!


      ~恭弥Side~

「で?何か申し開きはあるか?この駄神。」

 

俺は今ミカを正座させ、ニッコリと笑顔で質問している。

しかしミカは俺の顔を見る度に顔が青ざめている。

はて?俺は笑顔のはずだが?

「い、いや...あの...恭弥くん?笑顔が怖いよ?」

「黙れ。もう一度質問する、お前はただ答えろ。」

 

口答えしてきたがそんなのは黙殺する。

「なんで俺...というか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

知り合いに会いに行くとか言って、帰ってきてからそんなこと言い出しやがった。

何故こんなことになったんだ......。

 

─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

「ちょっと出かけてくるね。」

 

鷹岡をE組から追い出した次の日、突然ミカはそう言ってきた。

「は?一体どこに行くんだ?暇神(ニート)のくせに。」

 

ほとんど孤児院にしかいないのに。

「君ほんとひどいよね!?数百年ぶりに知り合いと会うことになったから会いに行くんだよ。」

 

知り合い?ミカに知り合いなんていたのか......。

「もう、とりあえず少しの間だけこの世界にはいないからね。分かった?」

「母親みたいなこと言ってないで、さっさと行って来い。」

 

俺はそう言ってミカが出かけるのを見送った。

 

───────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

      ~ミカside~

「う~ん、約束より早すぎたかなぁ?」

 

今は十八時四十五分。

約束の時間が十七時ぐらいだからあと十五分も時間があるなぁ。

取り敢えずお酒でも飲んでようかな。

そのままお酒をゆっくりと飲みながら時間が過ぎるのを待つ。

あ、別に酔い易いとかじゃないからね?お酒の味を楽しんでるだけだよ?本当だよ?

 

 

 

 

 

そして時間が十九時を過ぎたとき約束の相手が来た。

 

「またせたの。───────ミカよ。」

 

約束の相手───白夜叉ちゃんが来た。

なんで白夜叉ちゃんと知り合いかというと、ただちょっと偶然酒場と席が同じだっただけ。

最初は原作の子かと思ったけど、どうやら別の神が作った世界の白夜叉みたいだったらしい。

 

「でも久しぶりだな。こうして一緒に盃をかわすのは。」

 

「本当だよ。まさか最後にあった時からもう数百年もかかるとは思ってもいなかったよ......。」

「でも驚いたなぁ。まさか()()姿()()()()()()()()に彼氏が出来るなんて・・・・・・・・・。」

 

転生者くんと付き合いだしたって聞いたときはびっくりしたなぁ。

 

「私もだよ。まさか、この年になってあんないい男と出会えるなんて.........世の中なにが起こるかわからんな。」

 

そう言って僕たち二人はグラスのお酒を一気に飲み干す。

......うぇ。

ち、違うよ?一気に飲んだから喉がびっくりしただけだよ?それにしてもいい男かぁ。

白夜叉ちゃんが言うならそうかもしれないけどやっぱり僕は恭弥くんが一番だね。

 

「でも、そんな子より僕の育ててる子のほうがぜっっっっっったい強いね!」

 

「────なに?」

 

白夜叉ちゃんの目が鋭くなった。でも本当の事だもんね!

 

「ふん。そんな奴より夜椿のほうが何倍も強いはずだ。なんせ私に勝ったのだからな。」

 

ムッ?そんな奴?

 

「それはただ白夜叉ちゃんが弱かっただけじゃないの?案外、その夜椿って子もたいしたことないのかもね。」

 

「おんし、世の中には言っていいことと悪いことがあるというのを知っているか?」

 

「そっちこそ、うちの恭弥くんのこと嘗めてない?」

 

互いにすさまじい闘気を出す。

 

「「じゃあ、お互いの誇りをかけて─────勝負だっ!!!!」」

 

───────────────────────────────────────────────────────────────────────────

ドバンッ!

 

「恭弥くん!!」

 

帰ってきたミカは少し怒っていた。

 

「うるせぇ...怒鳴んなよミカ。なんかあったのか?」

「白夜叉ちゃんとこの子とギフトゲームするよ!!」

 

「はぁ?」

 

───────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

「とかなんとか言ってきたが...結局のところなんなんだ?つか、白夜叉というと問題児の世界だよな?」

 

面倒な予感しかしない。

「あ、もちろん原作の方じゃ無いからね、向こうには転生者くんがいるし...ただ、ちょっとお酒を飲みながら話してたらその子と恭弥くん。どっちが強いかとなりまして...。」

 

はぁ?この駄神なんてことしてくれたんだ、そんな...そんなこと......。

「めっっちゃ!楽しそうじゃんか!!!!」

 

俺以外の転生者に問題児メンバーとか、どんなことになるんだろうか?すごく楽しみだ!

「で?いつ行くんだ?」

 

さすがにまだ学校があるし、夏休みか?

「明日。」

 

・・・・。

「ミカ、もう一回言ってくれ、いつ行くんだ?」

「明日です。」

 

ミカに再び問うが、答えは一緒だった。

「ふっっっっざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!!!」

ドゴーーーーン!!!!

「グフォォォオ!!!」

 

ミカを蹴り飛ばし、すぐに捕まえた俺はミカの服を掴みガックンガックンと揺らす。

「お前!まだ一学期の途中だぞ!本当に何考えてんだ!?バカか?バカなのか!いいやバカだな!じゃないとこんなことしないもんな!!答えろや!ミカァァァァァァア!!!!」

「ちょっ!待って!おねっ!...おねがっ!お願いだから待って!?ねぇ!!?聞いてる!!!?」

 

「お兄さんストップストップ!!ミカが説明するから、ね?落ち着こう?」

 

・・・・ユウキに言われたならしゃーない。

 

「結局、学校はどうなるの?」

 

「蒼の言う通りだ。さっさと答えろ。」

 

「もう、恭弥くん急かさないでよ...。」

「学校は一応集団での仕事が入ったって事にするから公欠扱いになるよ。ただ期末テストが近いから補習はするって。」

 

「はぁ、それならまぁ良くはないが、いいか。皆はそれでいいか?」

 

俺だけが判断していい訳じゃないからな。

 

「わたしは大丈夫!楽しそう!」

 

 椋はすぐに答えてくれた。

 

「ボクも全然問題ないよ!それに異世界なんてスゴく楽しそう!!!!」

 

流石ユウキ。異世界とかそういうのは好きなようだ。

 

「私はちょっと不安だけど皆がいるなら大丈夫。」

 

「それは良かった。ありがとう、凪。」

 

無さそうですがそう言ってくれたのは嬉しかったから笑顔で言うと、凪も微笑み返してくれた。

 

「異世界ってどんな所だろう?」

 

『楽しみですね、蒼♪』

 

蒼と果林も大丈夫なようだ。

 

「準備とかはアッチがしてくれるみたいだから皆は特に準備しなくていいよ。」

 

「手伝わなくていいのか?ミカ。」

 

大丈夫大丈夫♪

ミカはそう言っているがいいのだろうか?俺が能力使えば結構早いと思うが...。

あ、そういえば。

 

「ミカ。その問題児の世界にいる転生者の名前は何て言うんだ?」

 

初めての同類。

しかも問題児にいるということはかなり強いはず...。

 

「あぁその子の名前ね。その子の名前はね

 

 

 

──────“皇 夜椿”って言うんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの...先程から転生者や異世界とは何の話なんですか?』

 

 

 

 

 

............は?っえ?何処から聞こえた?携帯?

いや、電話とかはしてないは────待て、携帯?ま、まさか............。

 

『恭弥さん、教えてください。』

 

携帯から此方を見ていたのは真剣な顔をしながらも困惑している律だった.........。

あぁ~くそッ!モバイル律の存在を忘れてたッ!





先ずはお詫びを。
「マイペース男子の無限転生」を読んでくださった読者の皆様、気紛れ更新とは言え、長い間ほったらかしにして申し訳ありません!
昨日、就職試験の為その準備が忙しくてこちらに手が出せない状況でした(T-T)

しかし、そんな中でお気に入り登録や読んでくださった方。
本当にありがとうございます!

次回はいよいよ互いの主人公たちが邂逅します!
お楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

始まる時間

コラボ回第二話!!

ついに対面しますよーー!!!!


挨拶は手短にして、どうぞ!


      ~恭弥side~

 

『そういうことでしたか...。通りで皆さん、他の方より強かったんですね...。』

 

あの後、仕方が無かったので律には俺たちの正体を教えた。

 

「あぁ、それにここがパラレルワールドみたいな世界だとしても、歴史は同じだけどな。」

 

『なら恭弥さんは未来を知っているんですか?』

 

律の疑問は最もだろう。

 

「いや、俺は人物と世界観ぐらいしか知らねぇ。知ってるなら対処出来る事があっただろ?それこそ鷹岡のこととか。」

 

『そうでしたか、話してくれてありがとうございます。』

 

律は笑顔で言ってくれた。信じてくれたことにびっくりだが、正直ありがたい。

 

「ありがとう、律。だからこの事は律と俺たちとの秘密な?」

 

『秘密...私と恭弥さん......二人の...////』

 

なんか都合のいい解釈をされた気がする。

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

律への説明も終わり、俺たちはそれぞれの戦闘服に着替える。

俺は原作の金一が着ていたコート、ユウキはALOの服、凪は黒スーツ、蒼はパーカーとスカートが一体化したような服、椋はビキニのような服にボロボロのマント...って、

 

「そんな過激な服しか無かったのか...。」

 

「わたしも恥ずかしいけど、これしか無い。」

 

「後で代わりの服を用意するか。」

 

行く場所は箱庭の筈だから色々あるだろ。

 

『私も行ってもいいですか?』

 

律?

 

「律は......いいのか?ミカ?」

 

ミカに聞くと首を捻りながら答えた。

 

「うーん、そうだねぇ?見学になると思うけど…それなら大丈夫だと思うよ。」

 

「だとよ、良かったな律。」

 

『ハイ!恭弥さんと旅行に行けるなんて光栄です!』

 

律は花咲く笑顔で喜んだ。

 

「律~?ボクたちのこと忘れてない?」

 

名前を呼ばれてないことにユウキがジト目で律を見つめた。

 

『いっ、いえ!忘れていませんよ!?』

 

─え~、怪しいな~?─そんなことないですって!

 

そんなことをユウキと律は言いあっている。

 

「ほらほら、じゃれてないでそろそろ行くよ。」

 

ミカの言葉で俺以外は緊張した顔になった。

そしてミカの言葉とともに俺たちの周囲一帯は光に包まれた。

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

光が収まると目の前には巨大な闘技場と大勢の人?というか様々な亜人たちがいた。

 

《うわぁ~!!!!》

 

これが箱庭か...っ!

俺たちは完全に圧倒されていた。

 

「こっちだよ、皆行こうか。」

 

「あぁ。」

 

ミカに案内され、控室のような所に着く。

 

「全員聞いてくれ。」

 

俺は出場する皆に言う。

 

「これから何のゲームをするか知らないが、相手は俺たちよりも実践慣れしているのだけは確かだ。正直戦闘とかになったら勝てるかどうか分からん。だから今回はガッツリ能力とか使っていいからな。」

 

転生者...夜椿だったっけ?とりあえず原作通りの強さじゃないはずだ。

 

コンコンッ

 

「選手の皆様はこちらにきてくださ~い。」

 

スタッフについて行き入場ゲートらしきところに着く。

 

「こちらは西ゲートとなっています。アナウンスが流れたらご入場ください、では楽しんでくださいね♪」

 

そう言って、スタッフは去って行った。

 

「いよいよか・・・。」

 

他の世界での初めての原作キャラに転生者、それにギフトゲームか...やべっ、緊張してきた。

 

『お待たせいたしました!この宣言を持って、ギフトゲームを開催します!実況は私、黒ウサギがお送りします♪』

 

『うぉぉぉおおおおお!!!!』

 

観客うるさっ!!

しかしあれだな、問題児の世界は知っているから生の黒ウサギボイスは感慨深いな。

というか何万人いるんだ?下手したら十万人越えるんじゃないか?

 

「スゴい活気だね?お兄ちゃん。」

 

お祭り騒ぎの会場に対して椋は緊張はしているが、気にはしていないようだ。

 

『まずは西ゲートをご覧ください!今回、我らがコミュニティ“ノーネーム”と対戦する選手が登場します!』

 

お、呼ばれたようだな。

 

「ボクが先に行くから皆は着いてきてね。」

 

「なら俺はミカの次に歩くか。」

 

そうして俺たち七人は入場するが、さっきまでに会場の雰囲気に馴れたと思っていたユウキたちがまた緊張しだした。

 

『って、なんでおんしが選手として出場してる!ミカァァァアアア!!』

 

言ってなかったのかよこの駄神。

 

「だってしょうがないでしょ!戦うのに七人必要だって言ってたじゃん!ボク以外にもういないの!ならもうボクが出るしかないじゃん!」

 

ミカよ...それでも事前に伝えるなりしろよ。

 

『ま、まぁ落ち着いてください、白夜叉様。それは対戦相手が許していただければよろしいだけなので、ここは引いてください。』

 

原作だろうが隔離世界だろうが、黒ウサギはやはり苦労人のようだ。

 

『言われてません!!』

 

は!?なに!?読まれた?いや、顔が向こうを向いてるから誰かに弄られたのか?

 

『はぁ......それでは、東ゲートをご覧ください!コミュニティ“ノーネーム”の入場です!』

 

いよいよ十六夜たちや、転生者の夜椿って人に会えるのか。

始めての同類にワクワクしていると、雲が黒くなり、渦を巻き始め雷鳴を轟かせた。

何が起きてるんだ?

 

「あれはなんだ!」

 

誰かがそう言い、釣られて俺たちもそこを見ると()()()()()

ん?空間の中に目玉...?もしかして“東方project”の八雲紫の能力か?

隙間からえーと、ひい、ふう、みい、合計七人出てきたな。

それでなんかマイクを持ってるのが皇夜椿だな。

って言うかあの見た目、渚と同類で天然なのか?女の子とか言われてもおかしくないぞ?

 

『会場の皆さん!盛り上がってくれましたか?』

 

夜椿...年が分からんからさん付けしとこう。

夜椿さんたちはふわりと地面に降り立ち、自信ありげにそう言い放った。

 

『貴方様のせいですかっ!!!!』

 

黒ウサギが即座にハリセンで夜椿さんの頭を叩いた。

 

『バニー、なんで叩くんだよ。』

 

バニーって...。

結局黒ウサギは弄られキャラなのか。

 

『当たり前です!いきなり何やらかしちゃってるんですか!!』

 

おぉ~黒ウサギの髪が赤くなった。

 

『盛り上がると思ってやったんだけど・・・・ダメだった?』

 

なんだろう?言葉と裏腹にそこまで反省していない気がする・・・・。

 

『当たり前です!もう何もかもが台無しですよこのお馬鹿様!』

 

出た、お馬鹿様。

弄られる黒ウサギとずっと弄ってる夜椿さんを見て、俺は思った。

 

「......なぁ、駄神。」

 

「......なに?恭弥くん。」

 

「......アイツ、変わってるな。」

 

──なんて面白い奴なんだ。

一緒に誰かを弄ったらどれだけ愉しいものか・・・・。

 

 

 

 




どうだったでしょうか?

遂に自由人通しが対面しました!(会話していないけど)

さてさて?ゲームは一体どんなものになるのかな?←スットボケ

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

会話の時間


おっっっ待たせしましたぁぁぁぁぁああああああああ!!!!

本当にすいません!!!!!!

今週の土日はサークルのイベントが忙し過ぎて全く小説に触ることが出来ませんでした(T-T)
柊 華桜様にも申し訳ないです(´・ω・`)



さて!今回は遂に会話をします!!

では!どうぞ!




      ~恭弥side~

 

「もしかして、君が新神恭弥くん、かな?」

 

黒ウサギを散々弄り、今もなお黒ウサギのハリセンによる猛攻をかわし続けながら話しかけてきた。

 

「あ、あぁ。そうだが………お前が皇夜椿さんか?」

 

確実だとは思うが、確認はしておかないとな。

 

「な~んだ、俺が転生者だって知ってたのか。その通り、俺の名前は皇 夜椿。普通でフツーな人外だ。」

 

彼は手に持っている扇子に「狂喜乱舞」と書かれたものを構えた。

おぉ、ISの更識楯無の扇子見たいだな。

というか、本当に面白い人だな、この人といろんな奴を弄ったらどれだけ楽しいのだろう?

そう考えていると、彼は黒ウサギからハリセンを奪い取り逆に黒ウサギを叩いた。

 

「ふぎゃっ!?」

 

スパァァァァアアアンッ!!

明らかに普通のハリセンでは出ない音を出し、黒ウサギは倒れた。

憐れなり、黒ウサギ。

すると、夜椿の姿が消えた。

 

《っ!?》

 

そしていつの間にかすぐ傍に立っていた。

何故だ?ある程度とはいえ、能力使って強化されてる筈だぞ?俺は。

 

「よろしくね、恭弥くん。君とは仲良く出来そうだよ。」

 

そう言いながら夜椿は右手を出してきた。

 

「あ、ああ。こっちこそよろしく頼む。」

 

俺も右手を出し、握手をする。

 

「あ、そう言えば、そこにいる駄神のことなんだが.........。」

 

参加する事を伝えてないこともそうだが、楽しそうなイベントとはいえ、迷惑を掛けたからな。

謝らないと。

 

「全然構わないよ。こっちの人数が多いからこうなっちゃったわけだし。別に黒ウサギには実況に専念してもらおうかとも思ったんだけど、やっぱり大切な仲間だからね。外したくなかったんだ。」

 

おぉ、ちゃんと黒ウサギの事も大切にしてるんだな。

 

「駄神で通じちゃうんだ.........。」

 

だまれ元凶。

 

「それじゃあ始めようか。」

 

「ああ、そうだな。」

 

俺と夜椿さんは顔を見合わせながら笑う。

 

「「いざ、尋常に勝負!」」

 

ぜってぇ負けねぇ!

 

────────────────────────────────────────────

 

『ってことで、始まりました!』

 

「いやお前が実況すんのかよ!?」

 

流れ的におかしいだろ!?

 

『しょうがないでしょ?バニーがまだ起き上がってこないんだから。』

 

いや、やったのアンタじゃん...。

そんなことを思ったが夜椿さん───あー、もう呼び捨てでいいや───は実況を続けた。

 

『会場のみなさーーーん!盛り上がってますかーーー!』

 

《イェェェェエエエエ!》

 

まぁ、盛り上がるならいいか。

 

《熱い戦いをその目で見たいかーー!》

 

《ワァァァァァアアア!!》

 

『エロい箱庭の貴族を見たいかー!!』

 

《見たぁぁぁぁあああいいいっ!!》

 

おい待てや。

 

『見せませんっ!』

 

あ、復活した。

 

『嫌な予感がしたので急いで戻ってきたら何をやってるんですか貴方様は!?』

 

『.........バニーも戻って来たことだし、これより第一回戦を始めたいと思う!』

 

逃げたな・・・・。

 

『なにを自然に流そうと.........ってちょっと待ってください!どこ行くんですか!逃げないでください!?』

 

頑張れ、苦労サギ。

 

『う〜〜〜.........はぁ。それではこれから行われるギフトゲームのルールを説明させてもらいます。』

 

黒ウサギはポケットから七枚の封書を出した。

 

「なんかお兄さん並に人のこと弄ってたね?夜椿さん。」

 

ユウキがそんなことを言ってきた。

 

「流石にあそこまでじゃないだろ?」

 

あのレベルは負けるわ。

 

「いや~、ミカやイリーナ先生を弄るときとかあんな感じだよ?ねぇ、皆。」

 

全員が首を縦に振った。

マジか......。まぁ、だからと言って特に対応を変えるつもりは更々ないけど。

 

『こちらにある七枚の封書の中にはそれぞれ違ったゲーム名が記されたカードが入っています。両チームから選抜された選手はこのカードに書かれたゲームを受けてもらいます。なお、封書は白夜叉様が選ぶのでどのようなゲームが始まるかは開けてからのお楽しみです♪』

 

あれ?バトル系じゃないのか?

あ、そういやギフトゲーム自体にジャンルは様々だったな。

 

『それでは、一回戦に出場する選手は前に出てきてください!』

 

「ふむ、誰が行く?」

 

「私が行く。」

 

(あお)がすぐに歩いて行った。

そして、相手の方はジンが出てきた。

しかし何故だ?俺の知ってるジンより強者の風格が出ているぞ?

 

『それでは、一回戦のゲームを発表します!内容は"射的"です!』

 

よし!(あお)の得意分野だ!

 

『簡易ゲーム名"蒼弓の矢と赭弾の鎧"

 

・プレイヤー一覧 ジン・ラッセル

新神 蒼

 

・クリア条件 相手に表示される的を全て射抜く

時間内に相手より的を残す

 

・クリア方法 射撃できるものならプレイヤーの所持品でも許可する

 

・敗北条件 対戦相手が先にクリア条件を満たした場合、その瞬間敗北が決定する

終了時間後に相手より的をが少ない場合

 

宣誓、上記を尊重し、誇りの下、ギフトゲームを開催します。

“ノーネーム”“新神教会”』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで新神教会なんだ?ミカ?」

 

「えっ?それ以外に説明の仕様がある?」

 

「・・・・ないな、うん。」

 




さて、皆さんいかがだったでしょうか?

次回は蒼とジンによるギフトゲームです!
今週で夏休みに入るので、次回はもっと凝ってみます!(ただし、文章が良くなるとは言っていない。)

では!また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

一回戦の時間

さてさて、遂に始まりました。第一回戦!!

色々と時間が取れずに苦労しましたが、楽しんで見ていってください!!


『さて!第一回戦は”射的”となったわけだが、武器はこちらで用意をしておる。が、持参も許す。ただし弓や弾丸に関してはこちらが用意したものを使ってくれ。特別製になっておるから、体のどこに当てても問題ないぞ。』

 

出場するジンと(あお)がステージ中央に来ると、白夜叉による対戦内容の説明が始まった。

 

『そして!肝心のルールは至って簡単!今から互いの体に出現するマークを時間内で先に全て当てた方の勝ちだ!終了時にマークが残っていた場合はより多く、相手のマークを破壊していた方が勝ちとなるぞ!自身の腕は勿論、いかに相手のマークを当てるかの頭の回転も重要になってくるぞ!』

 

白夜叉の説明が終わると、ジンと(あお)の額・両肩・心臓・両手・両膝の計八つにターゲットマークが浮かび上がった。そしてジンは二丁拳銃、(あお)は恭弥の能力である召喚により、装飾の入った弓を受け取った。

 

『それでは!只今より”ノーネーム”ジン=ラッセルVS”新神教会”新神(あお)による第一回戦を始めたいと思います!!!!』

 

観客『うぉぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!』

 

カァァァァァァァン!!!!

 

黒ウサギの宣言と共に鐘がなり、観客たちは盛り上がる。

ジンと(あお)は開始と同時に後ろに下がり、自分の優位な攻撃射程になるまで距離を開ける。

 

「この勝負、勝たせてもらいます!」

 

夜椿の地獄の修行によって原作より遥かに強くなったジンは、目の前の少女を見て勝利を確信する。

二丁拳銃の弾丸を(あお)へと放つジン。

その猛攻を受けつつも、(あお)は冷静に回避する。

 

「イクサ!!」

 

『了解しました。強化外骨格アーマー、展開します。』

 

攻撃を次々と避けられることに業を煮やしたジンはイクサに指示を出す。

そして、ジンはイクサの鎧に包まれた。

その鎧は赤と金に彩られ、異様な威圧感を醸し出していた。

堂々たるその姿、その佇まい・・・・・・まさに魔王のごとく。

 

「いくら遊びのギフトゲームとは言え、負けるわけにはいきません。」

 

『目標を捕捉。攻撃を開始します。』

 

ジンが身に纏うイクサから、ミサイルや弾丸が雨のごとく(あお)へと降り注ぐ。

勿論、射出されたのは白夜叉が用意したものだ。

更に二丁拳銃による追い打ちが襲い掛かり、避けたとしてもマークが浮かび上がる服に掠れるように被弾していった。

 

『新神(あお)。左肩、マークブレイク。』

 

「うっ!」

 

先程まで幾らか余裕のあった(あお)へついに攻撃が当たり、無機質な自動アナウンスが流れる。

そこから更に容赦のない攻撃を繰り出す。

その様子は修羅神仏にも負けておらず、恐怖する観客もいた。

なぜなら、無数の質量兵器が当然のごとく襲ってくる勝負、こんなものは恐怖以外の何物でもないからだ。

 

『新神(あお)。右手、左膝、マークブレイク。』

 

ジンによる怒涛の攻撃を更に喰らい、(あお)は窮地に立たされていた。

そして誘導されていたのか、(あお)はリングの淵にまで追いやられていた。

これでは攻撃をうまく躱せても第二第三の銃弾が降り注ぎ、被弾してしまう。

文字通り、絶体絶命である。

 

『ジン選手の猛攻に(あお)選手、手も足もでない!!』

 

黒ウサギの実況の通りに追い込んでいる手ごたえを感じているジンは、鋼鉄の鎧の下で笑みを浮かべる。

しかし──────

 

「私も負けるつもりはない。」

 

言葉を投げかけ、(あお)は瞼を閉じる。

その行動に諦めたのかと気を緩めるジン。

しかし、その行為は相手にも攻撃のチャンスを与える愚策。

矢を番え、構えた(あお)の背後に()()()()()()()()()()()()()()

普段は果林を武器として戦うが果林は参加出来ないため、(あお)は技を出すことが出来ない。

そのため恭弥は弓にある力を付与させた。

 

 

”DOG DAYS:紋章術”

 

 

これにより(あお)は自身のイメージ通りに技を出すことが可能となる。

 

「シューティングスター。」

 

背筋を凍らされた、と思わせるほどに冷たい言葉。

それと同時に放たれた矢は、氷を纏いジンのマークへ容赦なく襲い掛かる。

 

『ジン=ラッセル。右手、マークブレイク。』

 

(あお)の放った矢をジンは辛うじて避けるが、右手のマークに当たってしまう。

 

「その程度ッ!!」

 

次々と放たれる攻撃にジンは二丁拳銃とイクサを使って矢を落としいく。

 

「まだ、フリーズミーティア。」

 

先程と同じように放たれた氷の矢。

イクサは(あお)から放たれた攻撃のパータンを数秒前から読み取り最善の避け方をジンへ送り、その指示通りに動く。

被弾数は勿論ゼロ。

────が、先程放たれた『フリーズミーティア』は本来範囲攻撃。

 

『ジン=ラッセル。左手、右膝、マークブレイク。』

 

「なっ!?」

 

すべて避けたと思った直後の不意打ち。

ジンは咄嗟に地面を蹴り、空中に逃げる。

マークを減らした(あお)もさることながら、範囲攻撃の被害を一つに抑えたジンも流石である。

夜椿による地獄の特訓からもたらされた賜物だろう。

 

『おぉぉと!?ジン選手!(あお)選手の反撃に合い、次々とマークを破壊される!!』

 

「くっ!このままでは...イクサ!!」

 

『未知のエネルギーを確認。早急に対策を講じます。』

 

しかし、突然窮地に立たされたジンは先程とは違い、余裕を持てずにいた。

背後から襲い掛かった攻撃、マーク被弾数は二つだが、決して他の箇所に当たっていないわけではない。

頭部、腕部、腹部、、脚部、とマークには当たっていないが確実に狙いに来ていた。

ジンは混乱に陥っていたが、(あお)はリラックスさえしていた。

 

「ん、さすがお兄さん。本当にイメージ通りに技が出る。なら────

 

 

 

 

 

フェアライズッ!!!!」

 

 

 

 

上空へ放たれた矢は鳥の形をし、軌道を反転して(あお)へ突き刺さる。

次の瞬間、(あお)の体から眩い光が放たれた。

光がおさまると(あお)は体に蒼い機械の翼を背負い、体の所々に装甲と肩からはバズーカのような砲身がある全翼機の姿となった。

しかし、ジンは姿が変わったことより違う方へ意識を向けていた。

 

「な、なんですか...その数は......。」

 

そう、本来(あお)一人分しか出現しないはずの装甲が、(あお)の後方に無数の全翼機が空中に浮遊し、その砲身をジンへと向けていた。

 

ガシャンッ!!!!

 

(あお)の両足の装甲から地面へと杭が突き刺さり(あお)の体を固定する。

そして、(あお)の肩にある砲身と空中に浮遊する砲身にエネルギーが集まる。

 

「スーパーノヴァ、全弾発射ッ!!!!」

 

「イクサッ!!」

 

咄嗟にイクサヘ指示を出し、防御をしたが、すべての砲身から放たれた極太のビームは容赦なくジンを包み込んだ。

 

『ジン=ラッセル。全マークブレイク。』

 

アナウンスが流れ勝敗が決まったが、会場は黙り込んだままだった。

当然だろう。はっきり言って(あお)がやった攻撃はいくら当たっても無事とはいえ死を覚悟するほどだ。

 

『し、勝者...(あお)選手...なのですが......。な、なんだったんでしょうか、最後のは…あんなの食らったらひとたまりもないのデスヨ......。』

 

黒ウサギが勝利宣言をしたが、顔が引きつっていた。

 

『う、うむ...しかも、あんな力見たこともないぞ。あの紋章から発生しておったようだが...。』

 

『確かに、箱庭の貴族である黒ウサギも知らない力でした.........。』

 

~恭弥side~

 

「勝ってきた。」

 

(あお)が帰ってきたが、俺たちは正直それどころじゃなかった。

 

「お前...かなりエグイ事してきたな......。」

 

いくらフロニャ力がイメージの強さで出来るからって、あそこまでやるか・・・・?

 

「?」

 

自覚無しかいっ!

 

『やりましたね、(あお)!』

 

そうじゃないだろ、お前も何言ってんだ。

あんなの食らったらトラウマものだぞ。

はぁ~、ジンには悪いことしたな......。

 

「まぁまぁ。体に害は無いわけだし、勝ったんだからいいじゃない恭弥くん。」

 

「まぁ、ミカの言う通りではあるか。」

 

けど後で謝っておこう。

 

「と言うか、ガッツリな戦いじゃなかったね。」

 

そう、そうなのだ。ユウキの言う通りどちらかというとただの祭りのようだった。

 

「もしかしたら場違いな服で来ちまったかもな...俺たち......。」

 

コートの俺とか、スーツの凪とかスゲェ浮くじゃねぇか...。

それなりの競技に当たることを願うしかないか。

 

「あ、そう言えば(あお)。お前あんなに力使って大丈夫なのか?フロニャ力は消耗が激しい筈だぞ?」

 

原作主人公のシンクですらぶっ倒れてたし。

 

「......あれ?」

 

さっきまで普通にしていた(あお)だが、急に力が抜けたかのように尻餅を付いた。

いや、実際に力が抜けたんだろう。

 

(あお)!?大丈夫ですか!?』

 

「あ〜、心配にしなくても大丈夫だ果林。ただ力を使いすぎてバテてるだけだから。」

 

さて、次の対戦は何になるのか.........。

 

 




いかがだったでしょうか?

やっぱり戦闘描写は難しいです(´・ω・`)
次回も頑張っていきます!!

では、次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

二回戦の時間

遅れてすいません!!

先週はドタバタしていて小説どころではなかった状況でした。

あと、船で11時間が辛い・・・(;´Д`)

では、どうぞ!


 

『それでは、第二試合に出場する方をお選びください!』

 

(あお)がぶっ倒れたので俺は今、(あお)に膝枕をしている。

(あお)が「やって。」だそうだ。

おかげでミカ以外の教会メンバーと律からスッゴイ睨まれてます。

 

「とりあえず(あお)はそのまま休ませるとして、次は誰が行く?」

 

少しでもこの状況から逃げたい俺は話を逸らす。

と言うか、こうでもしないと話が進みそうに無い。

と、俺の心配をよそに立候補が出てきた。

 

『私が行ってもいいですか?』

 

果林だ。

果林かぁ・・・。

 

「果林は・・・・幽霊状態だけど大丈夫なのか?ミカ。」

 

今回の大会の当事者であり、元凶のミカに確認してみる。

 

「大丈夫じゃない?白夜叉ちゃんも果林ちゃんの存在に気づいてるみたいだし。」

 

はっ?見えてるのか?

あぁ、そういや白夜叉は精霊の一種だったな。同じ(れい)だし気づいても可笑しくないか。

 

「じゃ、問題ないようだし行って来い、果林。」

 

『はい!行ってきます!恭弥さん!』

 

ステージへ向かっていく果林。

一回戦では(あお)の得意分野ということもあり、勝つことが出来たが今回は本当に果林に有利な内容にならないと勝ち目がとてつもなく薄い。

なにせ対戦相手がFate/の()()()()なのだから。

しかもさっきのジンを見る限り、全体的なステータスは上がっているのだろう。

正直なことを言うと、かなり心配だ。

果林がステージに立ち、黒ウサギによるルール説明を待っているが、一向に始めようとしない、なんでだ?

 

『えーっと.........そちらからはどなたが出られますか?』

 

「ん? もうそこにいるぞ?」

 

何言ってるんだ?白夜叉もわっかているから黒ウサギも見える筈────まさか見えていないのか?

 

『 ? 』

 

どうやら本当に見えていないらしい。

はぁ、しょうがない、何かちょうどいい能力あったけなぁ。

 

「バニー、ちょっと待ってろ。」

 

 

夜椿?

 

『は、はぁ............?』

 

突然現れた夜椿は果林の前へ立ち手をかざす。

 

「ちょっといいかな。」

 

 

『え?』

 

 

 

「「「「「「ッ!?」」」」」」

 

 

ハァッ!?実体化した!?

肩に触っただけだよな?何をしたんだ?

 

「周りの人からも見える様にしておいたよ。姿を消したかったら頭の中で念じてみてくれ。」

 

俺たちの疑問を余所に、夜椿は果林になにか説明をし、果林は実体化から元の幽霊状態に戻った。

どうやら本当に実体化を自由に出来るようになったみたいだ。

 

《ありがとうございます!》

 

「うん実体化しようね。」

 

二人はミニコントをしているが、周りは呆気にとられている。

 

《失礼しました!.........これでいいですか?」

 

「バッチリだ。じゃあバニー、後はよろしく!」

 

やるだけやって夜椿は元の位置に瞬間移動して帰っていった。

 

『.........はっ!? 失礼しました! で、では、ゲームを発表します! 内容はアスレチックです!』

 

やっと復活した黒ウサギが降ってきたギフトゲームを読み上げた。

 

『ギフトネーム名" 妖精と英雄 "

プレイヤー一覧

(あおい)

新神 果林

 

クリア条件 対戦相手よりも先にゴールテープを切る。

 

クリア方法 いかなる手を使っても良い。ただし、対戦相手の殺害は禁止とする。

 

敗北条件 相手に先にゴールされる。又は対戦相手の殺害。

 

宣誓、上記を尊重し、誇りの下、ギフトネームを開催します。

" ノーネーム " " 新神教会 "。』

 

黒ウサギがギアスロールを読み終えると上空にキューブ状のものが現れ、そこから階段が伸びてきた。

階段が地面に着いた時、踏切の様なものも現れた。

 

『それでは、両者スタート位置についてください。』

 

どうやらスタート地点だった様だ。

察した二人はお互いの顔を見つめ合った後、階段の前まで出た。

(あおい)は刀に手をかけいつでも抜刀できる様な構えになっている。何をするつもりだろうか?

一方の果林は少し前傾姿勢になりいつでもいけます!っと言わんばかりの気迫を感じ取れる。

 

『──────では、試合を開始しますっ!』

 

────────────────────────────

 

 

何で、こうなったんだろう......。

 

『さあ始まりました" 妖精と英雄 "。実況は俺こと皇 夜椿と、』

 

『新神恭弥でお送りします。』

 

 

何で実況をしているんだ俺は?

 

『お? さっきとは違い恭弥もノリノリですね。』

 

『こうでもしないと疲れるからな.........。』

 

わかってる。

いきなり俺の元に現れ、スッゴい笑顔で此方を見た時点で何か嫌な予感がしていたんだ。

 

『では詳しいフィールドの解説をしましょう。このキューブ状の中は四階層に分かれていて、下から森林、海洋、山岳、天空、という風に分かれています。』

 

『なるほど、各階層の名前に基づいたフィールドが形成されているというわけか。』

 

『その通り! 森林は迷えば抜けれないジャングル、海洋は危険生物が蔓延る魔の海、山岳は灼熱の炎が渦巻く溶岩帯、天空は荒ぶる暴風が進行を困難にしている積乱雲といった感じですね。』

 

『なんでそんな危険度Maxなんだよっ!?』

 

なんちゅうステージにしてやがる!!

俺は夜椿に殴りかかるが悉く避けられる。

 

『安心しろ。命の危険がした場合、ギフトが正常に働けばそのフィールドがある階層の入り口まで自動転移されるとカンペに書いてある。』

 

『大丈夫なのか、それ.........。』

 

『万が一死んでも蘇生されるのでご安心を。』

 

『いや無理だから。』

 

俺は死んでからの転生だが、死んだ瞬間の記憶は無い。

ってか、そんな記憶は要らん。

 

『これからは若干丁寧な口調になりますが気にせず行きましょう。それでは進行具合を見てみましょう。』

 

夜椿がそう言うと、上空に半透明のディスプレイが二つ出現し、二人の様子が映し出された。

 

『ディスプレイには各階層にそれぞれ設置されているカメラの映像が流れており、画面下に書いてあるバーはゴールまでの距離だそうです。現在リードしているのは.........果林選手! 既に森林を突破し、早くも海洋に繋がる階段を登っている!』

 

おぉ...!まさか果林が先行しているとは!スゲーな。

……...それにしても果林に興奮している男どもがうるせぇ。

…...潰すか?

 

『流石ですね、恭弥さん』

 

 

おっと、解説解説。

 

『俺も驚きましたよ、そちらより先行しているなんて.........』

 

果林の快進撃に驚愕している俺だが、一つ気になったことがある。

どうやってあのジャングルを抜けたのか。

 

『恐らく霊体化したんでしょう。そうすればジャングルの木が邪魔することなくスイスイ行けますからね。一方の蒼選手は.........漸く森林を突破した様です!』

 

俺の疑問は直ぐに夜椿が解説したが再び気になったことが見えた。

 

『.........夜椿。』

 

『なんでしょうか、恭弥さん。』

 

『なぜ彼女の通った道には木がないのでしょうか?』

 

そう、生い茂った木々が一切無くなっているのだ。

 

『よく見てください。切ったんですよ』

 

『大木をか?』

 

おかしい...。どう見ても樹齢千年はあろうかという巨木がきれいに切られている。

 

『もちです。』

 

 

…………...。

 

『............果林選手は既に海洋の中間地点を突破した様です。』

 

 

この時点で俺の中の常識が崩れ去った。

こんなに精神的に弱かったか?俺は?あれ?常識ってなんだっけ?

 

『海洋では入り口付近の岸に置かれているモーターボードやマリンバイクで移動しても良いそうです。』

 

 

こんな時は現実逃避した方が楽だ。

 

『............。』

 

何か言えよ、夜椿。

 

『さあ、蒼選手はここからどう巻き返すんだぁぁああああ!!!』

 

『..........恭弥、無理しなくていいんだぜ?』

 

『.........そうしとく。』

 

かと言って、テンションがハイになりすぎたようだ。

 

『気を取り直してっと。蒼選手は今どこに.........わお。』

 

…...ん?

夜椿が変な声を上げたので、俺は顔を上げる。

そこでもう何度目かわからないが、驚愕した。

 

『もうなんでもありだな............。』

 

水面を沖田・・・おっと、(あおい)が当たり前のように走っていく。

しかも、猛スピードで。

いや、俺も水面を走るくらい出来るが、簡単に行くなぁ。

 

『蒼選手が襲いかかる海洋生物を一刀両断しながらみるみる差を縮めます! っと先ほどまで華麗な運転捌きを見せていた果林選手が海洋の出口に辿りついた様です! しかし今の蒼選手なら僅か数分で追いついてしまうでしょう!』

 

『............。』

 

よし、自棄だ。寝よう。

 

『恭弥がメンタルアウトしたので、ここからは俺一人で実況をお送りします。次の階層は山岳。荒れた地面に急な傾斜、何よりも噴き出る溶岩が走行を困難にしています。』

 

『果林選手は霊体化で物理攻撃が当たらないためドンドン進み、蒼選手は縮地を駆使して溶岩に当たる前に移動しているので画面にも映っていません.........。実況者泣かせですね............。』

 

夜椿も気落ちしてきたようだ。

 

『............最後は天空、ここは.........クリア不可能でしょうね。果林選手みたいに飛べなかったら。』

 

 

「「「「「はぁぁぁあああ!?!?!」」」」」

 

 

うおっ!?なんだ!?

俺が顔を上げると(あおい)()()()()()()()()

もう何でもありだな、このゲーム。

 

『圧縮した空気を蹴ってますね.........。』

 

なんか同じ顔なだけあって、アルトリアに見えてきた。

 

『果林選手と蒼選手、どちらも遅れを取りません。二人の差はもはや0! その手に勝利を収めるのはどっちだーー!!』

 

ゴールまで数十メートルになった二人は、観客がギリギリ視認できるほどのスピードで走り、鬼気迫る雰囲気を醸し出していた。

そして───。

 

 

「「「「えええええーーー!!!」」」」

 

なんと、あと数メートルの距離で(あおい)が刀を投げて、ゴールテープを切った。

有りなのかそれは。

 

『しょ、勝者、皇 蒼!』

 

「「「「わあああああ

あ!!!!!」」」」

 

ともあれ、勝敗は決した。

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

「申し訳ございません......。負けてしまいました。」

 

帰ってきた果林はしょぼくれていた。

 

「いやいや、あれは予想外だったし、何も問題ねぇよ。なぁ?」

 

そう言い、皆にも果林の活躍を訪ねる。

 

「そうそう!すごかったよ!」

 

うんうん、やはりユウキはこういう時にすごく元気付けてくれる。

 

「お疲れ様。」

 

凪も微笑んでくれた。

 

「と、言うことだ果林。良くやったな。」

 

「恭弥さん、皆さん......!」パァ......!

 

おぉ、笑顔に効果音が。

さて次の対戦にモチベーションを上げるために言うか。

 

「よし。ゲームに勝つ、もしくはあと少しで勝てそうだった場合は何かご褒美でもやるか。球技大会のやつとは別で、一人一つで。」

 

キュピーン!

 

あ、目が光った。

あ~、ちょっと褒美とかし過ぎたな~最近。

でもあんまり身内に厳しすぎるのもなぁ、いやなんだかんだで好転してるからいいか。

 

 

 




いかがだったでしょうか?
イヤー(^^;)ゞ久々の戦闘描写に続き、難しいですね。頑張らねば(`・ω・´)

では、また次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

三回戦の時間


※注意!今回はあるキャラクターのキャラ崩壊があります!※



 

『それでは三回戦に出場する選手をお選びください!』

 

黒ウサギの声が会場に響き、何やら観客達が和やかな雰囲気を出している中、俺はと言うと──────

 

「ボク!次はボクが出るから!」

 

「私が出る!」

 

・・・・。

 

「いや、私が出る!」

 

さっきのご褒美発言でまだ出場していないユウキ、凪、椋の三人が我先にと出ようとするのを抑えていた。

既に出場した蒼と果林は特に焦った様子も無く傍観していた。

と言うか、見てるだけだったら抑えるの手伝えよ。

 

「「「「俺たち(私たち)は黒ウサギに決めた(わ)っ!」」」」

 

『やはりですかっ!?』

 

おっと、向こうは黒ウサギが出るようだ。

しかし黒ウサギの反応を見る限り、何やら変なことに捲き込まれたみたいだな。

 

「これは決定事項。」

 

「大人しく。」

 

「従え。」

 

「駄ウサギ。」

 

『ガーンッ.........!?』

 

耀、飛鳥、十六夜、夜椿(問題児四人衆)が黒ウサギへ見事に四ヒット決め、黒ウサギは両手を地面に着け、女の子座りで打ちひしがれてしまった。

うわぁ......。

流石にあんな状態の黒ウサギに追い討ちを掛ける様にこの興奮している三人を当てるのは可哀想だな。

 

「落ち着け三人共、次の試合は俺が出る。」

 

《えー。》

 

えー。じゃねえよ。

 

「じゃ、行ってくるわ。」

 

そう言って俺はステージへ上がる。

 

『じゃあここからの進行は俺に任せてもらおうか。それじゃあ、白夜叉。最高のゲーム.........頼んだぜ?』

 

『頼まれたっ!............グフフ。』

 

白夜叉が夜椿にお題が書かれた紙を渡したが、やっぱり何かを企んでいるのか、凄く邪悪な笑みを浮かべている。

 

『えーっとなになに? .........クククッ。』

 

夜椿の反応を見る限り、やっぱり白夜叉は黒ウサギで弄るつもりなのか。

いやちょっと待てよ...?

対戦だから黒ウサギ個人を弄ることは出来ない。

つまり白夜叉は対戦内容で黒ウサギを弄るつもりなのだろう。

なら相手の俺は?当然参加しないといけない。

・・・・・・。

マ、マジか...。

 

『ではではー、三回戦の内容を発表します! 三回戦はーーッ.........コスプレですっ!』

 

はっ?コスプレ?

夜椿の宣言と同時に空からギアスロールが大量に降ってきた。

俺はその中から一枚を掴み、内容を確認する。

 

『簡易ギフトゲーム名" 羞恥の変貌 "

プレイヤー一覧

黒ウサギ

新神 恭弥

 

クリア条件 票を多く獲得した方の勝利。

 

クリア方法 衣服を着こなし、その姿を観客に晒す。

そして歓声を浴びることにより、票を獲得出来る。

 

敗北条件 対戦相手より票を獲得できないと判断された場合、その時点で敗北となる。

 

特記事項

✳︎このギフトゲームで使用する衣服は全て白夜叉の所有物とする。

それ以外の衣服では票を獲得できない。

✳︎衣服は全て控えている同志が選ぶもととする。

✳︎着用した衣服はギフトゲームに決着がついても着続けなければならない。

着替えればその時点で失格とみなし、これまでに獲得した得点を相手に譲渡しなければならない。

✳ギブアップをしても良い。

但し、そうした場合、その後行われる予定のギフトゲームの内一つだけ、出場する選手はペナルティを負わなければならない。

 

宣誓、上記を尊重し、誇りの下、ギフトゲームを開催します。

" ノーネーム " " 新神教会 "。』

 

男性観客「オオオオオォォォォッ!!!」

 

夜椿がギアスロールを読み終えると、野太い声が観客席から飛び交う。

まぁ、どうせ黒ウサギのコスプレに興奮しているのだろう。

それにしても助かった...コスプレとかなら俺は平気だし、見た目もあるから大分有利だな。

 

隣でギアスロールを見ている黒ウサギは、

 

「大丈夫ですよね!? 変なのじゃないですよね!??」

 

口をパクパクとさせているが、何となく言いたいことがわかってしまった。ナム。

そして次々と舞台脇に並べられていく衣服たち。

その数なんと数千着。

衣類から始まり、靴やアクセサリーといった小物まで用意されている。

あまりの種類の量とジャンルに驚愕していると、ユウキがスッゴく←ここ大事。

スッゴく目をキラキラさせながらある服を見ていた。

頼むから変な服にはしないでくれよ...。

いや、ユウキはファッションセンスがあるから問題ないか。

狙ってる服は.........?

ネコ耳フードがついた袖なしパーカー.........うん。

かなり良さげな服を選んだな。

女物なのが気になるが...アイツ楽しむつもりだな?

ユウキは真っ直ぐその服の前に移動し触れようとする─────が、

 

ビュオォッ!!

 

「?.........あっ!」

 

ユウキは突風が吹いたことに一瞬だけ驚き、髪を押さえた。

突然の風に疑問を持ちながらも目当ての服と、近くにあった履物やアクセサリーをどんどん手に取っていく。

なーんかさっきの風、おかしいな?

それに()()()()()()()()()()()

両手がいっぱいになるまで服やアクセサリーを選んで満足したのか、ユウキはそのまま俺の元に駆け寄ってきた。

 

───────────────────────────

 

「じゃあお兄さん!着替えようか!」

 

開口一番がそれか。

ユウキが持ってきた服を確認する。

えー、猫耳付きでフワフワしたのが付いたフードで袖無しの薄ピンクのパーカーで、ワンポイントとしてフワフワの綿が付いている紐が二つぶら下がっていて、下に着るであろう服は黄緑色のVネックの長袖、その上に白の腰位の長さのワンピース、アクセサリーで星が四つ対象に配置され真ん中にはギター?のような物が付いたネックレスと、何やら機械的なデザインが強いヘッドフォン。

うん、大分。と言うか、かなり可愛いげな服だな。

 

「目がキラキラし過ぎだぞ、ユウキ。どんだけ楽しみなんだ?」

 

「えへへ~♪前からお兄さんで着せ替えしてみたかったんだ~♪それに偽りの記憶だけど前世じゃオシャレとか出来なかったし♪」

 

満面の笑みで答えるユウキ。

って言うかサラッと問題になりそうな発言をするな。

 

「そうか。じゃ着替えようぜ。お先に、黒ウサギさん。」

 

そう言い更衣室へユウキを連れて入ろうとすると、

 

「えっ!?あの...失礼ですが男性でございますよね?」

 

何言ってるんだ?

 

「男に決まってるじゃん。どうかしたか?」

 

「ですよね!?それどう見ても女性の服でございますよ!?まさか着るんですか!?」

 

どうやら女装に何の躊躇いもない俺にビックリしているようだ。

 

「いや、俺別に女装に抵抗とかあんまり無いから。こんな顔だし。」

 

「あ、そうですか...。うぅ、折角の同じ境遇を理解してくれそうな方だったのに.........。」

 

あー、うん。

触れないでおこう。

同士を見付けたと思ったがそれが違い、打ちひしがれている黒ウサギを放って、今度こそ更衣室へ入る。

 

「じゃ、今度こそ着替えるか。ユウキ、手伝ってくれ。」

 

簡単な作りの服だが着こなしとかは女子に任せた方が早い。

 

「勿論!さーてお兄さん、服を脱いで行こー♪」

 

ハハッ、テンション高いな~。

俺はそう思いながら着ていた服を脱いでいく。

因みに下着は長めのスパッツだ。

するとユウキが、

 

「わ~、前から思ってたけど、お兄さん本当に肌キレイだね~♪」

 

「...ンッ!こらユウキ、いきなり脇腹を撫でるな。」

 

全く、変な反応をしちまったじゃねぇか。

あー恥ずかしい。

 

「えー、良いじゃん別に!お兄さんだってあんまり気にしないでしょ?」

 

「だからっていきなり撫でることは無いだろ。」

 

「まぁまぁ。さっ!着替えの続きしないと!」

 

「ハイハイ。って、ちょっと待て。その手に持った女物の下着は何だ。」

 

そんな物まで持ってきてたのかよ。

 

「ハーイ、黙って着替えようね~♪」

 

ユウキは笑顔で近付いてきた。

いや、最初から笑顔だったな。

 

「ちょっ!あぁ~分かった!分かったから!着けようとするな!自分でやる!」

 

取り合えずユウキから下着を奪い取り、少しだけ恥ずかしいが女性用の下着を着ていく。

 

~ユウキside~

 

お兄さんがボクから下着を奪って顔を赤らめながら着ていく。

いや~、本当はボクが着せ替えしたかったんだけどな~。

でもいっか!皆には内緒でじっくりとお兄さんの生着替え見られるし!

わぁ~肌白ーい!キメ細かーい!

て言うか、何だろう...下着を着て上着を着ていくお兄さんの動きがなんか艶かしい.........。

短パンを穿くときなんか腰を付き出して扇情的だし、服を着るときも手を上に挙げてるからおへそとかがチラッって見えたりしてる...。

しかも少しだけサイズが小くて苦しかったのか、着た後に少しだけ顔を赤くして溜め息を吐いたり...。

・・・・なんかボクが変態みたいになってる。

でも仕方ないよね!さっきからお兄さんが艶かしい動きをするのが悪いんだし!よし!

 

~恭弥side~

 

「うおっ!?」

 

着替えていた最中にいきなりユウキが抱き付いてきた。

 

「オイ!だから抱き付くなって言って───ウヒャア!

待て!だから脇腹はやめろって言ってるだろーが!変な声出たじゃねーか!ねぇユウキさん!?聞いてる!?聞けや!!!!」

 

突如暴走したユウキに後ろから抱き付かれ、あちこちを撫で回されたり頬擦りされる。

あれ~?こんなキャラじゃなかった筈だぞ?

その頃俺達に置いていかれた黒ウサギは、

 

「一体皆さんはなにがしたいのですか.........。」

 

夜椿達の声が聞こえたのか、ウサ耳をヘニョリと垂らしていた。

そして未だにユウキに抱き付かれていたが突然ある声が聞こえてきた。

 

「「そんなにっ!?/そんなにかっ!?」」

 

何やら飛鳥と白夜叉が声を合わせて驚いたようだ。

 

「ちょいユウキはストップ。向こうが何か秘策を閃いたみたいだ。」

 

正直コスプレ対決と聞いて俺は確実な勝利を感じていた。

それもその筈、何故なら白夜叉に散々弄られ着せ替え人形にされてコスプレを嫌悪している黒ウサギとは違い、さっきから言ってるが俺は女装やコスプレには特に問題は無いからだ。

そんな俺に勝てるような秘策となると興味が湧く。

 

 

“クロックワーク・プラネット:三浦ナオトの超聴力”

 

 

これなら聞こえるだろう。

代わりに脳の負担がデカイがまぁ、ナオト(本人)に比べると身体を色々と強化している分、負担は少ないと思うが...。

 

「それは…………」

 

「「「「それは………?」」」」

 

問題児たち全員が夜椿の声に耳を傾けているので俺も盗み聞きする。

さてどんな秘策があるのか期待しよう。

 

「────まずバニーには■■■を着てもらう。それ以外には■■と■■■■、それと■■■……...これだけだ。これしか着用を認めない。場所は■■■で行くつもりだ。シチュエーションは■■■で尚且つ■■■■なものにする。さらに■■した表情に■■■で■■■な格好をとらせながら「私を.........■■■■に......しても......いいんですよ.........♡////」と言ってもらう。いや、絶対に言わせてみせる。そうじゃないと話が───────。」

 

・・・・・・・。

聞かなきゃよかった...。////

俺は夜椿の言葉を最後まで聞かずに能力を解除する。

そして黒ウサギ(被害者)へ視線を哀れみの向ける。

 

「やはりですか......ッ!信じた黒ウサギが馬鹿なのですか...ッ!うぅ...一体どうすれば・・・・。」 

 

あー、マジで可哀想だな。

ん?そう言えば確かギアスロールに良いのが書いてあった筈。

そう考えた俺はギアスロールを確認する。

おっ!

 

「黒ウサギ黒ウサギ。」

 

「うぅ...恭弥様?いかがなさいましたか?」

 

失意に落ちている黒ウサギへ俺はある救済の言葉を放つ。

 

「今回のギアスロールのここ見てみ?」

 

「?こっ、これは!!」

 

黒ウサギへの救済...そうそれは────。

 

『✳ギブアップをしても良い。

但し、そうした場合、その後行われる予定のギフトゲームの内一つだけ、出場する選手はペナルティを負わなければならない。』

 

「此処でギブアップしても良いみたいだし、それにこれなら夜椿へ仕返し出来るんじゃないか?そうすれば黒ウサギは嫌なコスプレをしなくて済むし、夜椿たちに報復出来るぜ?」

 

ついでに俺達に勝ち星が増えるしな。...ニヤリ

そう思っていながらギアスロールを見て俯いた黒ウサギへと声を掛ける。

 

「これなら大丈夫───あれ?」

 

俺は黒ウサギが顔を上げないのと少し小刻みに震えていることに気付く。

 

「フフッ♪ウフフフフフフフフフフ♪」

 

恐っ!?

突然笑った黒ウサギにユウキが驚き俺にくっついてきた。

 

「ありがとうございます恭弥様。これならあの超絶お馬鹿様をギャフンと言わせることが出来るのですよ......っ!!!!」

 

そう言った黒ウサギは何処からかプラカードの様な看板を取り出し、何やら書き始めた。

内容を盗み見ると、

 

<私、黒ウサギは今回のギフトゲームを辞退させていただきます。>

 

うん。まぁ当然だな。

 

「では私はヤることが出来たので席を外します。」

 

今、()()の文字が可笑しくなかったか?

 

「お、おう。頑張って?」

 

「YES♪勿論でございます!ではこれにて.........─────見ているがいいのですよ、次はあの競技にして......フフッ♪」

 





えぇ、自分でも分かっています。
ユウキさんが一瞬だけ変態化しました。
でも皆さん想像してください?
緋弾のアリアのカナが目の前で無防備に着替えてるんですよ?そりゃあねぇ?

ウンッ!ではまた次回お会いしましょう!!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四回戦の時間 一時間目


さぁ、お待たせしました皆さん!
第四回戦です!

そしてお気に入りが約140名弱。
ありがとうございます!!!!

では、どうぞ!


 

よしよし。

順調に勝ってるな。

三回戦は多分何もしなくても俺の勝ちだとは思うが確実な勝利を取らねぇとな。

......それに流石に黒ウサギが不憫過ぎたし。

 

『それでは第四試合に出場する選手をお選び下さい!』

 

黒ウサギが大分スッキリした顔で宣言しているが、傍にいる白夜叉がずっとガクブルしているが、一体何をしたんだ?

・・・・恐ろしくて深くは探らないが。

 

「さて、次は誰が行く?と言うかお前ら離れろ。」

 

今の俺はギアスロールのせいで女装時のままだ。

が、何故か知らないがさっきから椋が横から、ユウキが後ろから抱き付いている。

 

「じゃあ次はボクが行くね!」

 

「お、ユウキが行くのか。」

 

顔のすぐ横から話し掛けられ、何故か犬みたいに感じたので何となく頭を撫でる。

 

「えへへ~////」

 

嬉しかったのか撫でられながらも頬を擦り寄せてくる。

...犬度が増したな。

 

「ブゥ~。私が行きた~い。」

 

嫉妬からか、それとも純粋に出たいのか椋が頬を膨らませている。

 

「悪いな椋。先にユウキに行かせるわ。」

 

何となくユウキに行かせる。

・・・・何か今の俺考えが適当過ぎないか?気を付けておくか、これが原因でトラブルになったら洒落じゃすまん。

俺の背中から離れたユウキはステージに楽しそうに駆けて行く。

さて向こうに残っているのは夜椿と十六夜の男子二人に耀と飛鳥の女子二人か...。

女子と当たればいい試合、男子なら厳しい...か?いや、今までの事を考えれば楽観視をしては駄目だな。

そう考えていると“ノーネーム”側から出てきたのは邪悪な笑みを浮かべた十六夜だった。

あ~、うん。ドンマイユウキ。

 

「ヒッ!?」

 

凶悪な笑みを見てユウキが短い悲鳴をあげ、怯えている。

そりゃあ恐いよなぁ。

 

「オイオイ、なに怯んでんだよ.........これからが勝負だろ?」

 

更に凄みが増す十六夜の顔面。

それに伴い溢れ出る気合いと闘気。

絶対英霊として召喚したらバーサーカーだな。

あれを見ると。

 

「イヤーーーーッ!? 助けてお兄さーーーんっ!!」

 

ステージに這い蹲り、涙目になりながらも俺に手を伸ばし助けを求めてきたユウキ。

たが────

 

「────スッ..................。」

 

───合掌で返答した。

 

「お兄さんっ!?」

 

頑張れ。

としか言えん、マジでスマン。

 

「ボク.........生きて帰れるかな.........?」

 

果たしてユウキに、と言うか俺が召喚した皆に生き死にの概念はあるのだろうか?

俺の特典にはそんな概念は無いと思うが...?

まぁ、だとしても死ぬのは嫌だな。

 

『と、取り敢えず試合の内容を伝えます。白夜叉様ッ!』

 

「ビクッ!? .........ハイ............。」

 

黒ウサギの号令で白夜叉が震えながらお題が記されている紙を渡すが、どんだけ怖かったんだよ。

 

『次の対戦内容は、カラオケです♪』

 

恒例になった黒ウサギの宣言と同時にギアスロールが降ってくる。

 

『簡易ギフトゲーム名" 智知る闘士と奏でる剣士 "

 

プレイヤー一覧

逆廻 十六夜

新神 木綿季

 

特殊プレイヤー

皇 夜椿(演奏者)

 

クリア条件 票を多く獲得した方の勝利。

 

クリア方法 自身が選択した曲を歌いきり、会場の観客を満足させる。

 

敗北条件 対戦相手より獲得した票が少なかった場合、敗北となる。

 

特記事項

✳︎投票はプレイヤー二名が歌いきった後に行われる。

✳︎演奏者は敵味方関係なく最高の演奏を披露しなければならない。

これに違反すれば、その時点で演奏者の所属するコミュニティは敗北となる。

✳︎演奏者は共に奏でる奏者を選んでも良い。

その場合、上記のルールがその人物にも適応される。

 

宣誓、上記を尊重し、誇りの下、ギフトゲームを開催します。

" ノーネーム " " 新神教会 " 』

 

 

 

 

会場「ヨ・ツ・バッ! ヨ・ツ・バッ!」

 

 

 

 

うるさっ!?何だ一体!?

って言うか特殊プレイヤーとかあるんだな。

そんなことを考えていると突然目の前に夜椿が現れた。

 

「おい恭弥。協力しろや」

 

「....................................は?」

 

何言ってるんだコイツ。

 

「さっきはよくも俺の企みを打ち砕いたな、女装野郎」

 

「えーナンノコトデスカー。て言うか女装は強制なんだから仕方ないだろ。」

 

黒ウサギ相手に女装以上のことしようとした奴が何を言う。

 

「さっきのことは水に流してやるから演奏付き合え。」

 

「話が噛み合ってないな.........わかったわかった。協力すればいいんだろ。」

 

ハァ、仕方ない。

何を言っても通用しなさそうだし。

 

「ところで俺は何を演奏すればいいんだ? 俺は楽器もないし弾く技術もこれから選ばれるであろう曲の楽譜も知らないんだぞ?」

 

「そこは安心しろ。楽器は俺のを貸してやる。お前にはこいつを弾いてもらう。」

 

こいつ?

そう思ったが夜椿に手渡されたものを見て思考が一瞬だけ停止した。

 

「.........おい。」

 

「どうした?」

 

夜椿は何でもないように聞いてくるが、渡してきた物がおかしかった。

 

「なんでこんなもん渡すんだよ!?」

 

「なんでって.........普通のギターじゃん。」

 

普通だぁ?

 

「初心者にダブルネックギター渡すバカがどこにいるんだよ!」

 

そう、夜椿は二つ連結しているギター、俗に言うダブルネックギターを渡してきやがった。

始めて実物を見たぞ。

 

「まあまあ、ギターが二つくっついただけなんだから気にすんなよ。」

 

「な、なるほど。片方だけで演奏すれば............。」

 

ただ、偶然普通のギターが無くて仕方なかっただけなんだな。

 

「右手で上、左手で下の弦を弾いて演奏するだけだぜ?」

 

「超上級者ッ!?」

 

どうやればいいんだよ!?

 

「どうせ便利な転生特典持ってんだろ? 減るもんじゃないし有効活用していこうぜ、な?」

 

「なんでそんな危ない薬売ってるやつみたいな言い方すんだよ.........。」

 

言ってることが詐欺師じゃねぇか。

 

「それでどうなのよ。出来ないのか?────「お兄ちゃんをバカにするな!」────ん?」

 

夜椿が俺を挑発してくるように言おうとした途端に、傍にいた椋が夜椿に噛み付こうとした。

どうやら我慢出来なかったようだ。

夜椿は突然の出来事に小さな笑みを零していた。

俺から見たらなんともない行為。

だが、対峙している椋はそうは思えなかったようだ。

 

「────ッ?!!」

 

椋は夜椿から発せられる()()かを感じたのか、は飛び掛ろうとしていた体勢を瞬間的に切り替え、勢いよく後退した。

ハッキリ言って異常だ。

俺には夜椿が何かをしている風には見えないし感じない。

と言うことは必然的に夜椿が椋にだけ威圧をしているんだろう。

 

「む、椋?」

 

「フゥー.........フゥー............!」

 

偽りとはいえ、椋は紛れもなくサーヴァント。

しかも暗殺者として戦ってきたのだ、自分より強者の存在とはそれなりに経験がある筈なのにここまで焦っている。

 

「そんな荒い息たてんなよ。折角のギフトゲームが台無しだぜ?」

 

「う、うるさいっ! お前はお兄ちゃんを侮辱した! 今すぐ謝れっ!!」

 

「さっきの言葉が気に障ったのか。申し訳ない。」

 

いくら挑発した言葉だったとしても、俺にとっては簡単なじゃれあいみたいなもの(向こうはイタズラ目的かも知らないが。)だったので、夜椿は頭を下げる。

 

「椋。どうしてこんなことしたんだ?」

 

だとしても勘違いとはいえ、失礼をしたら駄目だがな。

 

「だって.........お兄ちゃんのこと............。」

 

俺に怒られて椋は少し俯いて瞳に涙を溜める。

.........なんか罪悪感がヤバイ。

 

「.........はぁ。いいか、椋。アレは夜椿なりの悪ふざけだ。確かに夜椿が言ったことは悪いが、それを確認しなかった椋も同罪だ。」

 

「はい.........ごめんなさい。」

 

「俺じゃなくて夜椿に謝ってこい。」

 

わかったと、椋が一言返事をすると夜椿の下までビクビクしながら近寄って行った。

 

「あの.........さっきはすみませんでした.........。」

 

「ん? 別にいいよ。俺に落ち度があったわけだし、それに.........君とも戦ってみたいと思ったからね。」

 

夜椿は扇子に" 好奇心 "と文字を出して柔らかく笑う。

それにつられて椋も笑みを返す。

無事に仲直りできたらしい。

 

「それで。恭弥、返事はどうかな?」

 

「ああ、俺でよかったらやらせてもらせてくれ。」

 

「頼んだよ。ギフトゲーム開始は、そうだな.........30分後ってとこかな。白夜叉にそう言っておくからギターの方はその間にマスターしてくれ。」

 

「ああ、了解した。」

 

演奏の協力者が見つかったことに軽く安堵する夜椿。

その顔は少し嬉しそうな感じがした。

 

「それじゃあこれで.........って、ああそうそう。えっと、椋ちゃん、で合ってるよね?」

 

「そう、ですけど.........。」

 

少しばかりぎこちない敬語を使う椋。

罪悪感と俺に怒られたことで頭が一杯なようだ。

 

「これを()()()()()()()()()()()。」

 

そう言って夜椿が椋に返したのは六本のナイフ.........椋の装備品である。

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

夜椿の行動に俺と椋。

近くにいた、(あお)、果林、凪、更にはステージ上で心配そうに見守っていたユウキさえ驚きを隠せなかった。

 

一体いつの間にナイフは取られていたのだろうか。

椋は予備でナイフ四本を腰につけている。

これは奪われてもまだ理解できる。

しかし、両手にしっかりと握っていたものまでも気づかれないうちに奪われていたのだ。

 

これは明らかに異常だ。

 

戦闘時並みに気を張っていた椋が気づかれずに武器を取られた。

それは偽りの存在だが元殺人鬼として、アサシンのサーヴァントとしてあるまじき状況だ。

どこに自分の武器を平気で捨てる戦士がいるだろうか。

 

要するに、夜椿の技術力は相手の知覚よりも圧倒的に上回っていたのだ。

 

誰よりも修羅場を経験したであろう暗殺者を、夜椿はあざ笑うかの様に易々と越えてしまった。

 

「あ、ありがとう......ございます......。」

 

「どういたしまして。」

 

まるで借りてた筆記用具を返す時の様な軽い態度の夜椿は、さっき椋がとった行為に少なからず満足したのかゆっくりとステージに登り、演奏の準備を始める。

その悠々とした姿に、新神教会一同が恐怖と畏怖の念を抱き、夜椿に対しての評価を改めた。

 

 

 

 

 

────どんな生物よりも、どんなマフィアよりも、どんなプレイヤーよりも、どんなモンスターよりも、どんあ怪物よりも、どんな人間よりも、どんな修羅神仏よりも............夜椿の方がよっぽど危険だ、と............。

 

 

 




いかがだったでしょうか?
ユウキよ次の試合は頑張ってくれ←他人事

誤字脱字がありましたらメッセージ又は、活動報告にてお知らせください。

今回も読んでいただきありがとうございました!!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四回戦の時間 二時間目

ホントすいません!!!!
お待たせしました!

おかしい・・・・夏休みなのに時間が取れない・・・・(;´Д`)


      ~恭弥side~

 

「(アイツ.........絶対ただの転生者じゃないだろ...。さっきまでの行動がただのチート特典なら話は分かるが、今のはそんなもんじゃない。)」

 

俺が夜椿について考えているが、夜椿は先程やらかしたことの重大さに対して気づく様子もなく、気楽に演奏の準備を始めようとステージに向かっていた。

 

「~~~~♪」

 

鼻唄なんかしてやがる...。

しかしさっきのはなんだ?複数回転生して得た実力なら分かるが、ミカはそんなこと言っていない。

かと言って元々チート特典だったものを修業か何かしたとしても時間が足りないだろうし......。

俺が夜椿に対して考えを巡らせる中、夜椿は淡々と準備を進めていく。

俺がわかる範囲での楽器は歌うためのマイクは勿論だが、フルート、ドラム、トランペット、チューバ、ユーフォニウム、ヴァイオリン、ベース、電子オルガンなどなど、それ本当に必要? と言いたい程、色とりどりの楽器をセッティングされている。

 

「それで、歌いたい曲は決まったかな?」

 

手際よく作業を進める夜椿は2人に振り向きもせず歌う曲を催促する。

 

「俺は決まったぜ。」

 

「ボクもボクも!」

 

どうやら既に決まっていたらしい。

 

「それじゃ、曲名を教えてもらえるかな? 早いとこ楽譜を頭の中に入れとかないといけないからね」

 

その通りだ。

夜椿は大丈夫らしいが、俺は楽器なんて未経験だ......まぁ、三村が陰でノリノリでエアギターをしていたのは見たことあるが。

そんなことより俺は初めて触る上に、夜椿の悪戯で上級者向けであるダブルネックギターを弾かなければならないため、ダブルネックギターの使用方法の確認及び練習、それとユウキと十六夜が歌う歌詞の楽譜を覚えなければならない。

............マジで面倒くさいものを渡してきやがって。

 

「ボクから言うね。ボクは<Liberty(リバティー) Rosario(ロザリオ)>を歌うよ♪」

 

「<Liberty Rosario> ね.........へぇ、了解したよ。」

 

おぉ、まさかの自分のキャラソンか......まぁそれが一番勝ち目があるしいいか。

 

「十六夜は?」

 

「俺は<道>を歌う。」

 

「<道>?誰が歌ってるやつ?」

 

「確か...The Sketchbook(ザ・スケッチブック)だったと思うぞ?」

 

「.........オッケー。」

 

ん?十六夜の声って確か.........。

いや、考えるのはやめとこう。

 

─────────────────────────────

 

「お兄さ~~~ん!!楽譜持ってきたよ~~!!」

 

ん?ユウキが楽譜を持ってきたようだな...。

つか、マジで難しいぞこのギター。

 

「はい!これが楽譜だって。けどお兄さん大丈夫なの?ギターなんて初めてだよね?」

 

「まぁな、だからもう特典使うわ。」

 

 

“シャイニング・レゾナンス;アグナム・ブレットハートのギターテクニック”

 

“設定能力;テクニック上昇、反射神経上昇、音感上昇”

 

 

おし、これでもかと言うほど能力の重ね掛けしたし、余程がない限り大丈夫だな。

 

「ねえねえお兄さん。さっき夜椿さんから能力聞いてきたよ?」

 

・・・・・・・・・は?

 

「......まさか教えてもらったのか?って言うか聞いたのかよ...。」

 

驚愕だった。

まだ他の転生者と会ったことはないが、普通は自分の能力なんて教えるわけないだろうし...それに今までの夜椿の言動を見る限り簡単に教えないし実際に十六夜たちも最初は教えようとすらしなかったんだぞ?

俺の頭が少し逝かれたのか、考えが上手くまとまらない。

それほどまでに夜椿の考えがわからない。

 

「それで夜椿の能力はなんだって?」

 

とにかくまずは聞かねばならない...あの正体不明の行動の数々を。

夜椿のことだ、この会話にも気付いているだろうしあえてユウキに教えたのだろう。

俺たちが自身の能力について考え、悩む様子を見るために。

 

「えっとね、夜椿さんの能力は<特異>だって。」

 

「<特異>?なんだそれ?」

 

聞いたことない能力、おそらく何か原作があるようなモノではないのだろう...そう言ったモノには少なからず作品に合った名前が付く筈だ。

つまり<特異>とは夜椿の考えた、もしくは夜椿を転生させた神様か何かの与えたもの............。

いや、出所よりかはどんな能力かを考えるのが先か...。

普通に考えて<特異>なんて言われると特別な力全般なのだろう。

しかし、まだ使う気もないが俺にも“這いよれ!ニャル子さん!”とかの御都合主義のような何でも有の能力だったら対処しづらい。

何故俺がここまで夜椿と戦う準備のように色々考えているかと言うと、まずこのギフトゲーム自体が戦闘系だった場合の対処、これは結局勘違いで終わったから良しとするが、問題はもし()椿()()()()()()()()()

もちろんそうそう敵対するとは限りらないが、絶対ないとは言えない。

それに少ししか夜椿のことを理解していないが、アイツは仲間じゃない限りその時の気分によって敵にも味方にもなりえる。

そうなった時のために少しでも夜椿の力を知っておかねばならない。

 

「お兄さんの力で対抗できそう?」

 

「正直わからん。力のベクトルもそうだが何よりどれだけの応用力があるのかも未知数だ。一つの能力で様々なことが出来るなら俺より強力なのは確かだな。」

 

夜椿の対策を考えていた俺とユウキだが、そろそろ時間が来たようで係員に案内されていく。

因みに俺はユウキと会話しながらもひたすら練習していた。

おかげで完璧とまではいかないが、ある程度までの演奏は出来そうだ。

 

(さて......アグナムは確か演奏するときはいつも魂を込めていたな...。)

 

俺が演奏中のアグナムの気持ちを理解しようと気持ちを落ち着かせ、出来るだけ無の心に近づけさせようとした。

そして────────

 

「────うん。それじゃっ!」

 

突然夜椿が一斉に楽器を鳴らし、何故か火花が撒き散らされた。

夜椿の奇行に驚き、俺を含め会場が静まり返る。

 

      〜三人称side〜

 

『よしっ! 本当は調整するだけだったが! 余興ついでに演奏してやる! お前達ィ、盛り上げてくれよぉぉぉおおお!!』

 

観客「ウオオオオオッ! ヨツバァァァアアア!!」

 

観客の歓声を合図に夜椿は力一杯演奏を始める。

奏でられる曲に題名はない。

夜椿が赴くままに、感じたままに弾かれただけの音。

しかしそれは音楽になり、確実に観客の心を魅了していた。

 

その音色は様々な思いが込められてるように感じ取れる。

 

前世で得た苦しい思い、悲しい思い。

箱庭で得た嬉しい思い、楽しい思い。

 

様々な感情が交差するこの音は聴く者の耳を傾け、引きつけ、惹きつける。

 

そんな心地よくもありながら荒々しい音色を観客は楽しんでいた。

 

曲の受け取り方は千差万別。

満足する者もいれば、少し物足りないと思う人もいる。

しかしこれはデモンストレーション。

 

まだまだ時間はタップリある。

まだまだ夜椿は演奏し続ける。

 

マグマのように燃え上がるような曲………。

水面のように落ち着く曲………。

風のように安らぐ曲………。

大地のように温かく包み込んでくれる曲………。

 

 

誰もが聞き惚れながらも、演奏は時間が許す限り続く………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(いつの間にか勝手に演奏が始まりやがった............。)

 

恭弥の存在を無視して。

 

(まぁいいや、実害があるわけでも無いし練習しとこ。)

 

自身の存在を忘れられ、いつの間にか話が進む。

普通の人間だったらまず良く思わない状況を肉体に実害が無いという理由だけで無視する男。

自分勝手であり、マイペースに生きる。

それが新神恭弥である。

・・・・・・・・ついさっきまで夜椿に翻弄されていたが。

そしてそんな恭弥を見つめる男が一人────────

 

 

 

 

 

 

(んー、この状況でそんな反応をするあたり流石恭弥くん。()()()()()()()()()()()()。)

 

────────新神ミカである。

 




いかがだったてしょうか?
次の話は速く投稿出来るように頑張ります。
いや、ホント。(汗


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

四回戦の時間 三時間目

ヲぉぉぉお待たせしましたぁぁぁあ!!!

今回で四回戦も終了します!

さて、誰が勝つのか!?

では、どうぞ!


      〜恭弥side〜

 

(ん?やっと終わったのか?)

 

ただひたすらダブルネックギターの練習をしていたせいか、夜椿の演奏が終わったのを少ししてから気づいた。

ステージ上にいる夜椿の様子を見、上がっても良さそうだったのでステージ横の階段から上がっていく。

ステージに上がってくる俺に夜椿は、

 

「マジで熟練の奏者みたいになってるぜ、恭弥。」

 

服の袖で額を拭いながら、俺に話しかけてきた。

 

「うるせぇ。誰のせいでこんな目にあったと思ってんだ。」

 

俺は夜椿にしかめっ面で答える。

そんな俺に苦笑しながらも夜椿は相変わらずの表情で、

 

「まぁまぁ、そう言わずに練習の成果を見せてみろよ。」

 

コイツは......。

ハァ、諦めるか.........。

 

「しょうがねえなぁ。」

 

そう言いながら俺はギターを弾き始める。

勿論さっき発動した特典は継続中なのでアグナムと同じように熱い演奏になる。

というより、俺が引っ張られているのか弾いていく毎に心が熱くなっていく。

その熱に流されながらも他の特典の効果や、練習の成果で自分なりに操る。

そんな俺が予想外だったのか、夜椿はキョトンとする。

 

「これで文句ないだろ?」

 

「.........想像以上だよ。」

 

よし、意趣返しは出来たな。

 

「それじゃあ早速ギフトゲームを始めよっか。先行は..........そっちからでいいよ。」

 

「そうか、ユウキ。」

 

「ボクはいつでもいいよー!」

 

さっきまでの演奏による雰囲気なんか無視して俺たち三人はマイペースに話す。

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

「ア〜〜ア〜ア〜〜〜♪」

 

ユウキの発声練習の横で俺は最終調整をする。

 

「よし! いつでもいいよ!」

 

発声練習とマイクの音量調整が終わり、ユウキは目を閉じて所定の位置に立った。

準備が整ったらしい。

夜椿が俺にアイコンタクトを送ってきたので首を縦に振り、いつでも演奏出来るように構える。

ヤベ、若干緊張してきた。

会場の空気はガラリと変わり、静まり返る。

夜椿の演奏により、ここにいる全員はさらなる音を求める様になっていた。

そのおかげでプレッシャーが半端じゃない。

夜椿は金管楽器を弾き始め、ユウキは歌い始める。

さっきの発声練習とは比にならないほど美しく、綺麗で透き通る様な歌声をユウキは披露する。

陽気で素敵な歌声は会場全体をあっという間に魅了し、支配した。

容姿も整っている女の子がこんな素晴らしい歌を発表すれば─────

 

 

「ウオオオオオオォォォッ!」

 

 

必然的に会場は湧く。

 

 

さっきの夜椿の演奏にはそよ風の様に優しい演奏があったわけだが、これは完全にそれを超えていた。

聞く者を優しく包み込む様な歌声は、それでいて気持ちを昂ぶらせる効果も持ち合わせ、まさに最高の一言の尽きるだろう。

 

「ありがとうございました!」

 

ユウキが礼儀正しく一礼すると、会場からこんな声が鳴り響いた。

 

「ユウキちゃーーーーん! 最ッ高ーーー!!」

 

この歓声をだしたのは男達(アホども)だけにとどまらず中には女性もいた。

見る者を幸せにすることができるであろうその笑顔は完全に観客の心を奪っていった。

因みに今回のギフトゲームは気に入った方に投票するというシステムになっている。

ルンルン気分のユウキをステージ脇まで見送り、十六夜に上がってこいと合図を出した夜椿。

 

 

刹那、十六夜が第三宇宙速度で飛翔してきた。

.........何やってんだコイツ?

 

 

地面へ着地した轟音により、会場の視線は一斉に十六夜に向けられる。

そしてそのまま─────

 

「ハッ、お前ら! なにしけた顔してるんだ。まさかもう勝負は決まったと? いいか! 俺がさらに盛り上げてやる!! 耳の穴かっぽじってよく聴いとけ!!!」

 

この言葉に少なからず頭にきた者はいたらしく、ムッとした顔をする。

これが十六夜の狙いだろうか?

あえて悪目立ちをし、そして反感を買うことによりさっきまでユウキの歌声に魅了されていた奴らの意識を引き寄せたのだろう。

 

(これが逆廻十六夜か......。)

 

〜三人称side〜

 

問題児たちの世界を特典として出せる恭弥だが、目の当たりにした十六夜の凄さに圧倒された。

そして、会場の意識が十六夜に集中し、十六夜はユウキ同様所定の位置に立ち、いつでも歌える体勢になる。

夜椿から、合わせるから弾いてくれ、的な合図がきたので準備をし、演奏が始まる────

 

誰もがその歌を聴いてまず思ったこと、それは─────『凄まじい』だと思われる。

先ほどの十六夜の態度が気に入らないと思っていた観客の顔は明らかに全く別のものを見る目になっていた。

例えば、一般人が汚いツボを見つけたとしよう。

通常そんなものに目をくれる奴など0に等しいが、その中に札束が入っていれば話は別だ。

無価値なものがいきなり価値あるものになった。

目を引くにはそれで十分。

 

十六夜の歌声は嵐の様に荒々しく、魂までもが奮いたってる様に錯覚させた。

ユウキの歌声が心を奪うと例えるなら、十六夜の歌声は心を鷲掴み、束縛する......と断言できる。

正反対で、荒くれている。

チャンスは自ら掴み取るものだと。

言わんばかりのその歌はノーネームの在るべき姿を体現したかの様に思えた。

そんな歌に観客の心は、魂は、ものの数分で魅入られていた─────

 

 

 

演奏が終わり、特に挨拶もすることなく十六夜はステージを降りて行った。

が、観客は違った。

席を立ち、拍手を送り、十六夜を賞賛している。

俗に言うスタンディングオベーション。

ユウキの時も起きたが、席を立ったのは大半が男性、対する十六夜は僅かばかりの男性と大多数の女性でバランスが取れている結果になった。

正直言ってどっちが勝つかわからない。

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

      〜恭弥side〜

 

『それでは、投票に移りたいと思います! 手元にそれぞれ二色の紙が配られたましたね? 赤色が新神 木綿季 様、青色が逆廻 十六夜 様をそれぞれ表しています。皆様は気に入ったお方を表す色紙を空中に投げて下さい。なお投票権は一度だけです。では、お願いします!』

 

黒ウサギの説明を聞き終え、観客は空中に勢いよく紙を投げ捨てる。

すると紙は意思を持っているように動き出し、全てある一ヶ所に向かって飛んで行った。

赤と青の二色が醸し出す風景はとても幻想的で、ウチの女子連中は見惚れている。

紙は白夜叉がいつの間にか片手に持っていた小さな二つの箱に入っていく。

箱の大きさ会場全体から送られてくる量を明らかに超えているかに見えるが、紙はドンドン吸い込まれていく。

集計が終わったのか、黒ウサギが結果が書かれているであろう紙切れを片手に一言。

 

『それでは、結果を発表します! 簡易ギフトゲーム" 智知る闘士と奏でる剣士 " 、勝者は────" ノーネーム " 逆廻 十六夜 様です!』

 

「ウオオオオオオォォォォッ!」

 

観客席から聞こえてくる多数の雄叫びが全体に響き渡る。

観客は立って歓声をあげるものと落ち込んで座っているもの、見事に二分割されていた。

 

『双方素晴らしい歌でしたが、43票という僅かな差によって勝敗が決しました。』

 

十万を超える観客の内たったの43票差、本当に僅差だな。

すると会場にあった道具類が全て無くなり綺麗になった。

その近くに夜椿がいるということは、そういうことだろう。

 

「あ〜あ、負けちゃった。ご褒美欲しかったんだけどな〜。」

 

「ドンマイとしか言えないな。」

 

あんまり甘やかすのもダメだしな。

 

 




いかがだったてしょうか?

イヤーそれにしても夏休みが終わり就職活動も大詰めになったとたんに担任と、サークルの先生と板挟みになってしまった。
互いに意見が違うから心理的ストレスががががががが。

ま、まぁ気にせずに次回お会いしましょう!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

五回戦の時間

お待たせしました!

第五回戦です!
いよいよあと数話でコラボ戦も完結します!!


      ~恭弥side~

 

さてさて、ついに五回戦まで来たわけだが、今の段階で二勝二敗、結構競ってる状況だな。

と言うかこの服、早く脱ぎたいんだが......。

俺は相変わらず服が女装時のままだ。

いや、女装自体にあんまり抵抗はないんだが、三回戦のギアスロールの制約でこのまま着なければならないのだ。

が、さっきから観客の何人かの野郎から何やら熱い視線を感じて気色悪い。

よし、最終手段で行くか。

 

 

“設定能力;男性→女性”

 

 

「これでいいかしら?」

 

取り敢えず、性別と口調だけ女性にしておく。

まぁ、心の中はちゃんと男だが、同性に狙われるのはマジで嫌だ。

 

「えっ?何言ってるの?」

 

「凪?気にしなくてもいいのよ?これはしょうがないからしてるだけだから。」

 

元々女顔に近かった金一の顔だから周囲の奴等には正直ばれていない筈。

 

『さて!四回戦も終わり、続いて第五回戦だ!これに勝った方が勝利に近づくぞ!』

 

観客「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

『観客も盛り上がってきたようだし、では黒ウサギ!次のゲームの発表だ!!』

 

『YES♪では第五回戦の対戦内容を発表いたします!第五回戦......対戦内容は──────』

 

『ギフトネーム“禁忌の杯”

プレイヤー一覧

皇 夜椿

新神 ミカ

 

クリア条件 対戦相手より多く飲む。

 

クリア方法 制限時間内で相手より多く飲む。ただし、妨害は禁止とする。

 

敗北条件 相手より飲んだ量が少ない場合。

    又は相手を攻撃する等の妨害行為。

    味方チームが相手を妨害することも反則負けとする。

 

宣誓、上記を尊重し、誇りの下、ギフトゲームを開催します。

“ノーネーム”“新神教会”。』

 

なんかプレイヤーが決まっているが何でだ?

夜椿はさっきのペナルティだと思うが...。

ミカは別に関係ないぞ?

会場も今までの流れとは違うので若干困惑していた。

すると黒ウサギが説明を始めた。

 

『えー、今回のギフトゲームではプレイヤーを指定させていただきました。と言いますのも、ギフトゲーム“禁忌の杯”とは簡単に申し上げますと、お酒を飲むことです。』

 

酒?今酒って言ったのか?

 

『“新神教会”の皆様がいる世界では二十歳以下の人は禁酒されているということなので、神仏である新神 ミカ様と夜椿選手に指定させていただきました。』

 

「あ、別に様は付けなくてもいいよ~。」

 

『あ、ハイ!畏まりました!────それに加えてギフトゲーム“羞恥の変貌”のペナルティとして夜椿選手にはミカ選手の二倍の量を飲んでもらいます!』

 

あ、ペナルティは飲む量なのか。

なるほどねぇ~、そりゃあ確かに指定しないといけないな。

ん?そう言えばミカが飲んでいる所を俺は見たことないな。

 

「皆はミカが飲んでいた所を見たことある?」

 

《ない(です)。》

 

やっぱりないか...。

まぁでも、神仏だし酒ぐらいは飲めるだろう────────

 

ダラダラダラダラダラダラ・・・・

 

「ミカ...まさかあなた飲めないの?」

 

「な、何言ってるのかな?僕はちゃんと飲めるよ?こ、この間白夜叉ちゃんと飲んだ時にも色々飲んだし。」

 

この反応............。

 

「飲めないなら飲めないって言いなさいよ。まったく......。」

 

はぁ~負けたなこりゃ。

 

「だ、だから飲めるってば!!いいよ、僕が勝ってちゃんと飲めるって事教えてあげるよ!!」

 

そう怒りながらミカはステージへ小走りで向かっていく。

そんな反応をするから余計に飲めないって感づかれるんだが...。

負けたなこの試合。

ただただ、夜椿が酒を飲みきれないことを願っとこう。

 

───────────────────────────────

 

      ~ミカside~

 

「初めまして、突然だけど新神ミカ。君が恭弥を転生させた神様(張本人)なのかな?」

 

先にステージに立っていた夜椿くんが話し掛けてきた。

うーん、()()()()()()()()()()()

でもこれは僕と、恭弥くんが召喚した彼女たちだけの秘密なんだよね。

 

「そうだよ?ただ僕はどの神話体系にも存在しないし他の修羅神仏とも違うんだけどね~。あ、だからと言って恭弥くんにはまだ教えないでね?今教えたら恭弥くん()()()()()。」

 

「は?壊れる?」

 

おっと、この事を何時までも引っ張ると不味そうだね。

今はお酒の事を考えないと...そうお酒の事を......お酒のこと...考えないといけないんだよね.........ハァ。

ナイーブになっちゃったけど、それが功を指したのか僕の思考を読もうとした夜椿くんを阻害できたみたいだ。

まぁ、さっきは厳密には違うと言ったけど、特典を与えられる存在なんだから全能とまでは思わないけど大体の事は出来るんだよ。

 

(ねぇ?夜椿くん?)

 

「へぇ、これに気付くんだ。」

 

大して反応せず慣れた動作で懐から“(たい)(きょう)(しっ)(しょく)”と書かれた扇子を広げる。

大驚失色って非常に驚き恐れて、顔色が青ざめること。

って意味じゃなかったっけ?そんなに驚いてるように見えないんだけど......?

 

『それでは御二方、席についてください!』

 

うっ、いよいよ飲まないといけないのか......。

う~、皆にあぁ言った手前、今更飲めないなんて言えないしどうしよう............。

 

『まずは一本目として、アルコール度数75.7度!“ケーデンヘッド・エンモア”です!』

 

黒ウサギちゃんが名前を言うと同時にスタッフの子たちが台車に乗せたお酒を持ってきた。

......75.7度?え?いきなり?高すぎない?

いや、そこはさ日本酒とかそういった奴とか、アルコール度数高いけど飲みやすい奴とかじゃないの!?

 

『えー、アルコール度数が高い理由といたしましては、神仏であるミカ選手や夜椿選手なら常人用にのお酒は水と同等だという判断もと、此方でセレクトさせて貰った次第でございます!』

 

.........嘘でしょ?

 

「へー、そうなんだ。ま、俺はその通りだし全然構わないけど。そっちは?」

 

うっ、バレないようにしないと。

 

「ま、まぁ勿論ぼ、僕も問題ないよ。」

 

あぁ~、こんなんじゃバレるぅ~。

しかし、気付かなかったのかそれとも僕のことをあんまり意識していなかったのか夜椿くんは「ま、だよねぇ。」っと、此方に向けていた顔をお酒の方へと向けた。

...これは...助かったのかな?

そう思った僕だったけど、夜椿くんが少し俯いたことに気付かなかった。

俯いた顔の下には、さっきの十六夜くん並にあくどい笑みを浮かべて何か思い付いた顔をしていることに。

 

『では勝負の補足説明をさせていただきます。勝敗を決めるのは主に二つ。

一つ、相手より多い量を飲む。

一つ、規定量を相手より速く飲みきる。

以上です!』

 

あれ?その二つって審査が大変じゃない?

そう思った僕だったけど他にも同じことを思った人がいたのか、会場のあちこちでざわめきが出た。

夜椿くんは一瞬だけ疑問が浮かんだみたいだけどすぐに顔を元に戻した。

 

『皆さまの中にもルールへ疑問があると思いますので、詳しく説明させていただきます。勝敗を決めるこの二つは格お酒に一つだけ適用されます。ただし、序盤では飲みきれるかになります。』

 

あ、最後辺りでそのルールになるんだ。

 

『では御二方!席に着いてください!』

 

そう言われ、席に着く。

 

『では“禁忌の杯”、一本目!レディー......ゴー!』

 

────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

      ~恭子side~

 

結果的には大差で負けた。

夜椿はミカより飲む量が多い筈だったが、終始ケロッとしていた。

逆にミカは最初の酒を飲んだ時点で怪しかったが、意外なことに四種類まで飲むことが出来た。

 

      ~以下ダイジェスト~

 

“ケーデンヘッド・エンモア(アルコール度数75.7度)”

 

「フ、フフフ。どうだい恭弥くん。ちゃんと飲めるでしょ?────うぇ。」

 

「どこがよ。」

 

「んー?どうしたミカ?まさかもうギブアップか?」

 

「ま、まだまだ。イけるに決まってるじゃん。」

 

ミカ・夜椿:一本目クリア

 

“ハプスブルグ・アプサン・レッドラベル(アルコール度数85度)”

 

「は、85ッ......!?」

 

「おー、結構うまいなこれ。」

 

(普通に飲んでるッ!?)

 

「............。」

 

ミカ・夜椿:二本目クリア

 

“ハプスブルグ・アプサン・プレミアムリザーブ(アルコール度数89.9度)”

 

「おーい黒ウサギー!!他者に注いでもらうのは有りー?」

 

『えっ?少々お待ちください。確認いたします。............お待たせしました!問題ないとのことです!』

 

「よし、恭弥ーー!ちょっとこっち来なーー!」

 

「──何?」

 

「え?何、女装に目覚めてついに女として生きるの?」

 

「ギアスロールの制約で脱げないんだからしょうがないでしょうが。で?要件は?」

 

「あ、そうだった。実はさ────ってしてほしいんだよ。」

 

「......。まぁ負けは確定だろうしいいわよ。」

 

ミカ・夜椿:三本目クリア

 

“スピリタス(アルコール度数96度)”

 

「も、もう無理。ゴメン皆。」

 

「ミカ。」

 

「うぇ......う?恭弥くん?」

 

「注いであげるから飲みなさい。」

 

「いや、あの、もう無理......。」

 

「飲みなさい。」

 

「だから、あのn「飲みなさい。」.........ハイ。」

 

ミカ・夜椿:四本目クリア

 

“神殺し(アルコール度数測定不能)”

 

「も、もう......ダメ............。」チーン

 

「おぉミカよ、死んでしまうとは情けない。」

 

「ミイラ取りがミイラになった瞬間ね。」

 

『そ、そこまで!勝者、“ノーネーム”皇 夜椿選手.........。』

 

    〜(長めの)ダイジェスト終了〜

 

「............。」

 

そして現在ミカは未だに死んでいる。

最後の黒ウサギは俺たちのミカへの仕打ちに引いたのかウサミミをへにょらせていた。

つーか、何だよ神殺しのアルコール度数は?あんなの飲める奴おかしいだろ。

ん?夜椿は確か普通に飲んでたような......?いや、気のせいだ。

さて次はどうなるかねぇ?

 

 

 

 

 

 

 

こうして五回戦は呆気なく負けが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無論、ミカが勝つなど最初から期待していなかったが。

 

 

 




いかがだったてしょうか?
因みに“神殺し”以外は実際に存在します。
私はお酒が苦手なので飲めませんが。(-.-)

ミカに対する恭弥改め恭子の仕打ち、これがこの二人のデフォですwww

さて、活動報告にて重大発表があるので読者の皆様、お手数ですがそちらをご確認ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

六回戦の時間

ハーメルンよ私は帰ってきたァァァァァァアアアアアアアッッ!!!!!

いや、本当にスイマセン(-_-;)
就活が本当に忙しく全然此方の方に手がつけられませんでした。

えっ?
就活は結局どうなった?





さ、さぁ?知らないです(震え声)




嘘です。本当は返事待ちの段階です。
何としてでも合格せねば!



さて!個人的な話は置いておいてどうぞ!

鈍ってますがネ!!!!



       ~恭子side~

 

『えー......コホンッ。それでは、第六回戦に出場する選手は前に出てきてください!』

 

突然だが俺は今、″ノーネーム″の様子を“設定能力”で聴力を上げ確認している。

というのも、激闘と呼べるとは言えない戦いを繰り広げたが勝者は夜椿に決まったからだ。

(ぶっ倒れたミカはアルコール中毒により医務室に運ばれた。)

現在3:2と"ノーネーム"が一歩リードされている。ここで勝たなければ俺たちの負けになってしまう。

逆に向こうは次の勝負も勝てば総合で勝つためどちらのチームも必死になる。

なので緊張感が両チームに漂っている......訳では無い。

なぜなら.........。

 

「────ってなわけで、次行ってみよーーー!!!」

 

唯一黒ウサギに反応した夜椿なのだが酒瓶を振り回し、時たま酒を飲んでいる。

 

「よ、夜椿?」

 

「ん~~、なーに~?アハハハッ♪」

 

耀の言葉にも顔を見事に紅潮させながらおもむろに返事を返す。この様子を見ればもう誰でも分かるだろう.........。

 

 

 

 

────完全に酔ってる.........。

 

 

 

 

"ノーネーム"側もそう思っているのか、夜椿から離れて様子を見ている。

そんな"ノーネーム"をよそに夜椿は酒瓶を相変わらずブンブン振り回している。

あとから聞いた話だが、ミカと夜椿が飲んだ酒はかなり神聖なものらしく、酒豪の神でも酔えるようになっていたらしい。

 

…...それをもし俺が選手として飲んだと思うとゾッとする。

 

なので、現在進行でその勢いに任せ飲み続けているため、収集が全くつかないでいる。

どう対処すればいいかわからないベンチ側&運営側は大人しく彼の乱心を待つしかない。

そんなことはつゆ知らず、夜椿は更に呑んだくれる。呑んで呑んで飲みまくり、見ている方が胸焼けしそうになってくる。実際、ジンはすでにリバースしそうでいた。

 

 

 

なす術がないこの状況、────突然転機が舞い降りた。

 

 

 

「アハハハハーーーーーッ!─────……...。」

 

────静寂が訪れる。先ほどまでの騒ぎ(一人だけ)が嘘のように静まり返った。

 

「............?」

 

隠れていた周囲はおずおずと顔を壁から覗かせる。すると、

 

「Zzz…......。」

 

夜椿は呑気に寝ていた。手には相変わらず酒瓶を持っているが中身はなくなっているようで、どうやら中身がなくなって寝落ちしたらしい。

嫌な汗を大量に流していたはスタッフに夜椿の処理を任せ(医務室に置くだけ)、次の試合に取り掛かる。

当然ながら、周りはすでに疲弊していた.........。

 

 

─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

色々あったが、ステージに上がった選手は真紅のドレスを着こなす疲れ顔の少女、久遠(くどう) 飛鳥(あすか)と、そんな彼女を励ますように声を掛ける凪だった。

飛鳥の年齢は知らないが、おそらく歳も近い凪からの心配の声に飛鳥も言葉を返す。

 

「......心配には及ばないわ。ええ、大丈夫.........大丈夫.........。」

 

「.........。」

 

遠い目をして黄昏だした飛鳥を見て凪はオロオロしこちらを見てくる。

どうすればいいのか分からなくなるのは分かるがコッチを見ないでくれ、俺もフォローが出来ん。

先ほどの惨事を目撃していた故、俺含め他のメンバー反応しにくい様で苦笑いをしている。

 

「.........夜椿(あれ)の相手を常日頃してるとか、可哀そうに。」

 

「(え~とぉ、人のこと言えない気がするのはボクだけかなぁ?)」

 

『始めますよ! 御二方、よろしいですか!?』

 

ミニコントをしていた二人に黒ウサギの声が響き、やっと普段の冷静さを取り戻す。

 

((この試合、───絶対勝つ!))

 

先ほどまでの惨劇を忘れるためにも自分の顔をやや強めに叩く彼女たちは、同じ考えを胸中に潜めるあたり少し似ているように思えよう。

 

『第六回戦、対戦内容は────』

 

掛け声とともに現れる羊皮紙を馴れた手つきで受け止め黒ウサギは、声高々に発表する。

 

『簡易ギフトゲーム名"未来の担い手"

プレイヤー一覧

久遠 飛鳥

新神 凪

 

クリア条件 周囲に認められる。

 

クリア方法 互いに一品ずつ料理を振る舞い、審査員に判定してもらう。

 

敗北条件 特記事項にまとめて記す。

 

特記事項

✳︎ゲームは四回戦目同様、投票形式を用いる。

✳︎審査員は主催者(ホスト)である白夜叉を含め、今日の試合に関係する人物が選ばれる。

✳︎投票権は一人につき一票までとする。

 

宣誓、上記を尊重し、誇りの下、ギフトゲームを開催します。

"ノーネーム" "新神教会"』

 

黒ウサギの説明が終わると供にガランとしたステージ場が変化をもたらす。

互いの陣地に近い位置に調理台と思しきセットが次々と現れ、面食らう二人だが互いに顔を見合わせ溜息を吐いた。

(さすが箱庭と言うべきか、なんというか...。)

おそらく二人も似たような思いをしているだろうが、さらに現れたものにまた驚きを顕わにする。

続けてステージに起きた変化は肉、魚、野菜、果物、ゲテモノによる色とりどりの食材たち。それらは自分を使ってくれと言わんばかりに輝きを放ち、その存在を強調している。

.........が、はたしてあのゲテモノ系はいるのだろうか?

『ト○コ』の料理人でもない限り無理だろ。

俺が呆然としていた間にスタッフが持ってきた動きやすい服とエプロンに着替える二人。

そんな中マイク片手に壇上へ上がってきた白夜叉に観客共々目を向ける。

 

『両者ともに準備は整ったかな?では、ここでルールの付け加えを提案する。なに、そんな身構えんでもよい。つまるところ、美少女の戯言に過ぎん。知らん顔で気にせんでもよいぞ。なに、その時はおんしらもそこらの小娘供と変わらなかっただけと言わざるを得なくなるがノゥ。』

 

まるで相手を小馬鹿にする口調でおちょくり始める美少女(笑)。

やはりあの顔が白夜叉の本性なのだろうか?

俺だったら無視してたが、そこまで言われて我慢できるほど人が出来ていない思春期真っ只中の女子二名は返事の代わりにムスッと軽く反応する。

それを承諾と受け取った白夜叉は愉快愉快と言いたげにケラケラ笑いながら、新たな縛りを発表する。

 

『よいよい。それでこそ勇気ある挑戦者というものだ。では、.........───今回のギフトゲームにおいて、出品する料理のお題を「新婚」と宣言するッ!!』

 

「ふぅ~~~~~~!!!!」

 

「新婚」と言う言葉を聞き、会場全体はステージ上で戸惑う二人に好奇、嫉妬、羨望が入り混ざった良く分からない視線が変わった歓声とともに送られる。

会場の雰囲気を感じ取ったのか、凪は俺に、飛鳥は十六夜にそれぞれ顔を赤くし視線を向ける。

誰であれ思い人がいる上に、手料理を作る。しかも尋常ならざる量の

常人では堪え難い空気の中、好きな人に自作の料理を食べもらうなど、羞恥プレイよろしくただの公開処刑だと断言できる。

そんな俺もニヤニヤしながら二人を見る。

普段から俺たちの中でまともに料理を作れるのは凪だけなので俺は顔を赤くしているのと、飛鳥と十六夜がデキてることに対して嗤って、じゃない。笑って見守ることにした。

ニヤニヤニマニマの擬音が似合いすぎる視線を受け続ける赤面乙女たちは、自棄になりつつも早く脱したいがために急いで料理を開始する─────。

 

 

 

─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

『────そこまでッ!』

 

「「で、出来た.........。」」

 

白夜叉の合図とともに調理を終えた二人は結局、最初から最後まで好奇の目で見られ、その恥ずかしさからか無駄に豪勢な大理石の調理台へ倒れ伏した。

最初は笑っていた俺も流石に途中からは笑うどころか哀れみの視線を向けていた。

 

『では、実食させてもらうとするかの。』

 

『先ほどの号令から全て仕切っている白夜叉様のせいで仕事がないのですよ.........。』

 

黒ウサギが言ったように今のところギアスロールを取ったのとゲーム内容の説明しかしていない。

黒ウサギなむ。

 

       閑話休題

 

ぞろぞろとステージに人が集まり始め、総勢十二名により試食及び評論会が始まる。

 

 

 

─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

「飛鳥は......お味噌汁?」

 

「その通りよ、耀さん。」

 

「ほう、なかなか手が込んでるじゃねえか。やるな、飛鳥。」

 

「それに、十六夜くんが言ったんじゃない。私のお味噌汁が飲みたいって。」

 

『ヒュ~~~~~~ッ!!!』

 

「ぐふッ.........!?」

 

「十六夜くん!?」

 

「しっかりして、十六夜くん!」

 

「一片の.........悔いなし.........ガクッ。」

 

「十六夜くーーーーんッ!?」

 

 

─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

「なんだあれ?」

 

完全に二人の世界に入り込んでいる二人(バカップル)の原作乖離具合を見てしまった。

 

(あぁ、夜椿のせいか。)

 

と一人納得しながら飛鳥が作った味噌汁をすする。

茶番を見ながら味噌汁を飲むとかどんだけシュールなのだろうか。まぁやめないけど。

 

「おいしいですね。お揚げ発見です!」

 

「うん、おいしい。豆腐も煮崩れしてないしサイコー。」

 

「僕おかわりー!」

 

「七味かけて.........熱ッ!?」

 

「大丈夫ですか。気をつけてくださいね、(あお)?」

 

「ら、らいじょうぶ......。」

 

(かわいい。)

 

と、どうでもいいことを考えながらまだ味噌汁を飲む。

 

「ふむ......悪くないの。刻みネギ取ってくれぬか?」

 

黒ウサギ、耀、ユウキ、蒼、果林、白夜叉が思ったことを口にする。意外にも好評だった。

 

「兄さ......姉さん、私のも食べて。」

 

「凪は......肉じゃがね。」

 

シャツを二の腕までまくり薄紫のエプロンを身につけた初々しい凪からそっと差し出された器を受け取り、肉じゃがを食べる。

俺の周りにも肉じゃがを食べにやってくる。

軽く手が触れ、わずかにアワアワするが器をしっかりと渡してきた凪。かわいい。

うん、いつも食べてて思うがやっぱり凪の料理はうまい。

調味料でしっかり整えられた優しい味。しっかり味が染み込んだ肉、じゃがいも、玉ねぎ、糸こんにゃく。味噌汁同様食欲がそそられる香りが充満する。

 

「うまいわね。」

 

「ガツガツガツッ!」

 

(この子、できる.......!?)

 

「なぜ敵対心を?」

 

「こっちは一味......ゴホゴホッ!?」

 

「しっかりしてください。蒼はそんなキャラじゃありませんよ?」

 

「ふむ......悪くないな。牛肉を使ってるあたり工夫を凝らしてるのがわかる。俺もネギ貰っていい?」

 

俺、椋、耀、ジン、蒼、果林、復活のY(馬鹿)が絶賛。............ん?

 

「夜椿ッ!?」

 

「どうした? ん、ありがと」

 

「いえ。大丈夫ですか?」

 

「心配ご無用......と言いたいとこだが、頭がガンガンするぜ。これが二日酔い……あまりよろしいものじゃないな。当分酒は控えよう。」

 

どうやら復活したのはいいが二日酔いよろしくダメージは残っているらしい。

驚きの声を上げる箱庭勢を他所に凪から渡されたコーヒーを表面上だけでも優雅に飲もうとする夜椿。

時折顔をしかめているあたり、会場の声援が頭に響き苦しいのだろう。自業自得である。医務室で寝てろ。

 

「ふう......だいぶ良くなってきたな。」

 

なんでコーヒー一杯で回復するのだろうか?いや考えるだけ無駄か。

 

『さっさと投票するぞー。』

 

実況席に戻った白夜叉による掛け声がなんと気の抜けた声なんだ。

と思わず考えてしまった俺は悪くない。

少しの猶予を置いてから、続々と投票するメンバー。料理を作った飛鳥や凪もその一人らしく、まで票を入れていない俺と夜椿が同時に入れことにより、集計が終わり結果が出る。

 

判定は─────

 

─────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

『簡易ギフトゲーム"未来の担い手"、勝者は"新神教会"新神凪様です!』

 

「フゥ~~~~!!」

 

湧き上がる黄色い声に赤面しつつも嬉しそうな顔をする凪。やっぱりかわいい。

 

............どうしたんだろうか俺は、かわいいを連呼している気がする。

 

『詳細は以下のようになります!』

 

先ほどと同じく号令をかける黒ウサギにより、内訳が表示される。

 

『久遠 飛鳥

・逆廻 十六夜

・黒ウサギ

・ジン=ラッセル

・新神 木綿季

・新神 凪

・新神 果林

 

新神 凪

・新神 恭弥

・新神 椋

・新神 蒼

・白夜叉

・久遠 飛鳥

・春日部 耀

・皇 夜椿』

 

詳細を見た飛鳥と凪は互いに票を入れていたことに気づく。勝利よりも相手の心の理解を優先した二人は感動し、感極まり、抱きつく。

 

「あなたの料理(想い)、しっかり伝わってきたわ。」

 

「あなたこそ。」

 

こうして今日一番穏やかな試合が幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談だが、あの後残っていた料理はスタッフ(空腹セイバーと酒弱神)があますことなく食す手筈らしい、やはりセイバー顔は大食いなのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

............ん?椋ってあんなに食べれたっけ?

 




さて、皆さん如何だったでしょうか?
個人的には久しぶりにしてはまぁ書けたかな?

明日が早いので今回はこれで失礼します!!
卒業発表なので!!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

七回戦と終わりの時間

お待たせしました!!

ついに柊 華桜さんとのコラボ回最終話です!!
話は短めに本編をどうぞ!!!!


       ~恭子side~

 

────喧騒に包まれた会場も夕暮れが始まり静寂が訪れていた。スポットライトによりステージは照らされ夕暮れ特有の暗闇もあり、より一層ステージを際立たせていた。そこには見慣れたながらも扇情的と形容するに相応しい服装のウサ耳少女、黒ウサギが背筋をピンと伸ばた美しい姿勢で立っている。そしてどこか物悲しげな表情で彼女は告げる。

 

「ご来場の皆様、並びにテレビ中継をご覧の皆様。本日は白夜叉様主催のギフトゲーム『"ノーネーム"vs"新神教会"』を楽しんでいただけましたでしょうか?」

 

開始直後は彼女に興奮していた者たちも彼女の表情から宴の終了を感じ取り、もっと見せて欲しいといった声が小さいながらも多く聞こえて来る。そんな声も聞き取った黒ウサギはその声に自身の想いと共に肯定した。

 

「黒ウサギも皆様と同じ気持ちです。数多くの司会進行を務めてきましたが、今回のギフトゲームはそれらと比べて遜色のない.........いいえ、寧ろそれ以上に楽しんでいたと自負しております。」

 

問題児たちの奇行に終始振り回されっぱなしだった黒ウサギはしかしそれ以上に仲間たちと騒ぎながら強敵と渡り合ったことがとても嬉しくもあった。

 

「次がラストゲームになります.........。黒ウサギも皆様と同じ、この楽しく愉快な時間が終わって欲しくないと、そう思っています。ですが.........楽しい時間はいつか終わってしまいます。なればこそ、今この時を最高に盛り上げて楽しく終わらせましょうーーー!」

 

「ワアアアアァァァァァァァ!!!!」

 

黒ウサギの宣言に同調する会場の観客、ついに長くも短く感じたこの時間も終わりを告げる────

 

 

 

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

「───なんて前口上を入れてみたけどどうかな?」

 

「なかなかいいんじゃないか?」

 

「流石は夜椿だ。同情心を誘いつつ精神的ボルテージを一気に最上まで持ち上げる言葉のチョイス。感服する!!これは売り上げに貢献してくれるやもしれん。」

 

「よせやい照れるじゃないか。」

 

恐らく黒ウサギを苦労サギにするブッチギリトップであろうこの三人、黒ウサギの宣言なんぞ気にする素振りすら見せず遊んでいる。

 

『何をやっているんですか白夜叉様! 最終ゲームの発表をお願いします!』

 

「これは失礼。ちと楽しみすぎた。」

 

では、と一言断ってから黒ウサギの下に駆ける白夜叉、やれやれだぜ、と困ったポーズをする夜椿と十六夜、さっきまでノリノリだったじゃない、と鋭いツッコミをする飛鳥の。これがこのグループのデフォなのだろう。

 

ステージにはすでに.........というより前回の料理対決から何故か睨み合っていた二人が火花を散らしあっていた。

一応今回のギフトゲームのトリを飾る戦いだがこの二人は勝ちを決めるゲームだから睨み合っているのではなく、あくまで個人的な思いだった。何故俺がそんなことを知っているかというと、耀には悪いが前回の試食の時に椋を睨んでいたため、()()()()()にも警戒するためだ。

 

が、

 

さっきも言ったが結果はこんなだった。

 

(この子、小さいのにさっきは良く食べていた。自称大食いクイーンとしては見過ごせない......それにまだ内容は決まってないけど、勝って夜椿に褒めてもらうんだ!!)

 

(この人、さっきから私のことずっと見てる。凄い気迫......この勝負、絶対負けられない。それに.........勝ってお兄ちゃんにいっぱいいっぱいいーーーっぱい撫でてもらうんだ!!)

 

「「ムムーーー!!」」

 

シリアスなんて知るかっ!とでも言うかのようにあくまで個人的な思いだった。

ってかなんだ、自称大食いクイーンって。

いや、たしかに原作でもかなりの量を食っていたがそこまでプライドを持つまでか?

あと椋もそこまで気合い入れんでも......。

 

(白夜叉様、いつもみたいに早くこの空気をぶち壊してください.........。)

 

ついでに聞こえた黒ウサギの悲痛な声にも同情する。

.........まぁ、そこで白夜叉しか頼れないのも可哀そうだが。

 

『あーあー、コホンッ。テステスーテステスー。んん゛、長らく待たせたな。では、始めさせてもらう。』

 

そう言って白夜叉が柏手を打つと黒ウサギの頭上に一枚の羊皮紙が舞い降りる。ようやく進んだことに喜ぶのはしょうがないだろう。

 

『簡易ギフトゲーム名"強靭な胃袋(アイアン・ストマティック)"

 

プレイヤー一覧

春日部 耀

新神 椋

 

クリア条件 最後まで耐え抜けば勝利。

 

クリア方法 迫り来る料理を拒まず最後まで食べきる。

 

敗北条件 出された料理を食べきらない、又は受け付けなくなった場合、クリア条件を満たせないと判断し即敗北。

 

宣誓、上記を尊重し、誇りの下、ギフトゲームを開催します。

"ノーネーム" "新神教会"』

 

なんだろうかこのド○フ感.........。

もうこの時点でもともと無くなりかけていた俺のやる気ゲージが完全に無くなった。

料理対決の後だからなのか、それともただただ偶然なのか...。

ひとまず現状考えられる結果は耀が優勢だろう。

現に余裕の表情を浮かべながら、いつの間にか用意されていた椅子に座っている。

対して椋は普段俺たちと同じ量の料理を食べていたし、別に大食いキャラ(セイバー顔)という訳でも無い。

しかし先ほどの試食タイムでは耀に引けを取らない量を食べていたのでそこを含めると勝負は分からなくなる。

 

「ワクワク〜〜、ワクワク〜〜♪」

 

椋はまだかまだかとテーブルに置いてあったナイフとフォークを両手にウキウキしていた。

どちらも余裕綽々といった表情だ。

それを見た耀は椋を警戒しているようだが。

 

 

 

 

 

『それでは、第七試合。レディー.........───ゴーーーーッ!』

 

巨大な銅鑼が叩かれ、けたたましい轟音と同時に試合が始まる─────

 

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あーあー、んー.........はい、始まりました第七試合。これで勝者が決定します.........え、質問が来てる? なになに、『あなたは誰ですか?』ですって? イヤだなー、忘れないでくださいよ。第二試合に置いて圧倒的な実力差を見せつけた最強最良さいかわサーヴァントであるこの(すめらぎ) (あおい)さんのことを忘れちゃうとかやめてくれます? あ、これ今テレビ中継されてるんでしたよね。 お茶の間の土方さーーん、見てますか私の勇姿ーー!』

 

開幕早々長ったらしいセリフを言うのは、先ほどまで医務室にいた沖田 総司改め皇 蒼。無事意識を取り戻したようで、今は実況席で騒いでいる。

もちろん、あの馬鹿(ヤツ)もいる。

 

『それにしても美味しいですね、肉じゃがとお味噌汁。ハムッ、ズズ~~.........しっかり味が染みていますし、甲乙つけ難いです。ですよね?』

 

『僕は体からアルコールを退場させるのに忙しいからもう少しあとで食べるよ。だから残しといてね?』

 

『まあ、皇さんとしてはそれもやぶさかじゃないと思ってますよ?』

 

『そう言いながらパクパク食べてるあたりセイバーだよね〜。.........うう、苦い。』

 

ミカは現在、夜椿にしつこく勧められたコーヒー(カフェイン治療法)を仕方なく実践している。苦い思いをしながら飲み進めるあたり、苦み成分も苦手なようだ.........。

しかし周囲はこの二人をあまり気にしていない。否、気にする余裕がない。なぜなら、目の前の激戦?から目を離せないでいるからだ。

 

『.........現状を飲み込めない司会進行の黒ウサギです。ありのまま、起きてることを話します。料理が乗ったお皿を耀選手と椋選手の前に置いた途端、そこには何も残っておりませんでした。それどころか次なる料理を催促される終い......私自身何を言ってるかわかりません( ゚д゚)』

 

「「ガツガツガツッ! おかわり!!」」

 

『ハッ!? た、ただいまお持ちいたします!?』

 

ポルってしまった黒ウサギは二人の食べるペースに圧倒されさらに料理を要求されたことにより、司会進行兼ウェイトレスと化していた。

 

『あの服でウェイトレス.........荒稼ぎの予感がするぜ。"ドキッ! 黒ウサギによる御奉仕喫茶!? ご主人様はあ・な・た♡" .........うん、いける気がする!』

 

『おんし、やはり天才か.........!?』

 

『ちょっと黙ってましょうね。』

 

隣で夜椿の悪巧みに賛同するロリ駄神もいるが、この状況に驚き気圧されているのでそこまでツッコミに覇気が出ない。

 

『椋、あんなにたくさん食べれたのね.........空気(駄神)は知ってたの?』

 

『本当に容赦ないね君は!?......いや、知らなかったよ?でもそこは同類(英霊同士)が一番詳しいと思うから、説明お願い。』

 

『仕方ありませんね。この私にドーンと任せてください。まず、サーヴァントは基本的に食事を摂らなくても大丈夫です。まあ、彼女は見た感じ受肉に近い状態なので食事は必須なようですが。あ、"受肉"については視聴者のみなさんの方で調べてください。話を戻しますね?

食事が必要な理由としては主に魔力補充だとか腹が減っては戦は出来ぬ的な理論が働いています。詰まる所、サーヴァントは食べれば食べるほど魔力が潤い強くなります。以上、"誰でもわかる!皇さんの英霊教室"でしたー!いやー、食後でしかもいい仕事をした後のお団子は敵無しですね。宝具レベルは最高ランクに位置するでしょう。まッ、三段突きには勝りませんけどネ!』

 

『............。』

 

色々と状況が掴めない俺にもはや居場所はないのだろうか?

半ば諦めていると、肩をポンと軽く叩かれる。振り向けば椋とミカを除いた"新神教会"お馴染みのメンバー。

その顔はどこか悲しさを感じさせ、まるで、「お兄さん、私たちも無理です」........こう言いたげだった。

色々と追い込まれていた俺は普段はしないが皆を抱きしめ現実逃避をした。

 

「ねえ、十六夜くん.........。」

 

「どうした、飛鳥.........。」

 

「人ってあんなに食べれるのね.........?」

 

「ああ.........北側で見た春日部と夜椿以来だな。これが既視感ってやつか......。」

 

耀で経験がある十六夜と飛鳥だが、ここでも驚いているのには理由がある。

例えるならそう、回転寿司だ。あの二貫ずつお寿司乗ったお皿がローテーションしてくるアレだ。

そのお皿の数倍はあろう器を取っては食べ取っては食べ、横に皿を積み重ね繰り貸すこと数十回。

その勢いは止まることを知らないのか、高さはさらに増すばかり。

しかも互いに互いを意識しているのか、競い合うように食していく。

 

(やるね.........!)

 

(そっちこそ.........!)

 

二人を見ているとそう言っているかのように見える。

いや、実際には能力を切っているから知らないが、結構当たってると思う。

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

開始してからおそらく一時間は経っただろうか。

二人の食欲が予想以上だったのか、運営側は手が空いている者たちを調理班、配膳班、さらには食洗班を作るほどに混乱は極め、ついには料理を作れる夜椿、飛鳥、凪ですら駆り出されてしまった。

 

「バクバクバクッ!」

 

「ガツガツガツッ!」

 

「「ガブガブガブッ!───おかわり!ぐぬぬ......!」」

 

そんな状況を知らないし気づいてもいない二人は止まらない。出された料理は刹那の間に消え去り、役目を果たした器は熟練の技を彷彿させる速度で横に退かす。驚異で脅威な食欲は、自然発生した(ハリケーン)の如く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────(強大な力)は、通る道に何も残さない。

 

そこにあるは、ものの抜け殻、ただの残骸、過去の遺物。

 

まさに人外、まさに災害、まさに天災。

 

人類はこの試合を通し、自然の恐ろしさをその身に刻み込んだ...............。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんなナレーションもいいと思うんだけどどうかな!」

 

「つべこべ言わずサッサと作りなさい!?」

 

「コクコク!?」(首を縦に振る音)

 

セリフは余裕を感じさせるがやはり大変らしく、必死に包丁で野菜を切り刻む。

夜椿に至っては残像で手元が見えないレベルだ。それを見た二人も負けじとペースを上げる。

 

『あっちは大変そうですね。』

 

『そうだね〜。』

 

『まるで他人事ね。』

 

『実際そうですし?』

 

逆に余裕が出てきたミカは(あおい)に同調したり俺に反論するぐらいだ。

 

『僕は料理とかしないけど、君とか白夜叉ちゃんとかできるんじゃないの。』

 

『『和食以外はできません(できんな)。洋食?中華??知らない子ですね(赤の他人だのぉ)。』』

 

ほぼ一字一句同じことを言うこの二人。料理に関わっていない俺たちはひたすら傍観者としてステージ上の惨状を見ている。

 

 

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

 

それからさらには一時間が過ぎた………。

一体いつまで続くのだろうか.........観客は同じ光景を見続けてるにも関わらず見飽きない二人の激戦(激戦?)に声援を送り、運営スタッフは血眼になりながら料理を作り続ける。

なんか皆この雰囲気に毒されていないだろうか?やってることはただのフードファイトなのだが.........。

俺の思いとは裏腹に、試合は続いていく。

食べて、食べて、食べて、食べて.........食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べて食べ食べ食べ食べ食べ食べ食べ食べ食べ食食食食食食食食食食食食食食食食─────おっと別の意味で毒されかけた。

 

 

 

そして勝負は唐突に終わりを告げる。

 

 

 

「「おかわりッ!!!............あれ?」」

 

ここからが勝負という場面で運ばれてこない料理に二人が戸惑う。

配膳される定位置に手を伸ばしても皿の感触を感じられず、目を向けても料理の姿を確認できない、待てど待てども、来ることはなかった。

慌て始めた二人に黒ウサギから連絡が入る。

 

『はい......はい......わかりました。えーとですね、非常に申し上げ辛いのですが、その.........食糧庫の備蓄が底をつきましたですハイ。』

 

「「!?」」

 

「ホッ.........。」

 

さすがに食材が尽きたようで、黒ウサギに運営側から通達が入ったようだ。悲しげな顔で驚きを隠せないのはこの会場で二人のみ、それ以外の人間は安堵していた。

その他にはコックをはじめ、ウェイター、ウェイトレス、係員たちは未だに呼吸が調わないようだ。

地面に潰れながらも必死に酸素を得ようと荒い呼吸を抑えようとしている。

夜椿と黒ウサギは意外にもケロッとしている。途中参加の夜椿は兎も角、最初からフルで動きっぱなしだった彼女が無事なのは"箱庭の貴族"だからなのか、それともこの忙しさと同レベルが日常だったのか.........。

 

『ふむ、どうしたものか。両者に出された品は味付け、量、タイミング。全てが平等に行なわれておった。これは.........まあ、こんな幕引きもまた一興。』

 

それでいいのか審判。

 

扇を口元に運び、妖艶な気配を醸し出す白夜叉に会場中が次なる言葉を待つ。

扇が開かれたのも束の間、パチンッとすぐに閉ざした本人、白夜叉の目にはなにかを決断したように思える。そして少なからず、愉快そうな色も見えた。

 

『この勝負────引き分けとする!!』

 

「ワアアアアアァァァァァァ!!!」

 

彼女の決断に間違いはなく、全員が納得していた。

実際俺もこの結果には納得している............二人を除いて。

しかし二人はなんだかんだで納得したのか、互いに顔を見合わせ微笑み合う。

 

「勝負はお預け.........今度、決着をつけよう。」

 

「うんッ!」

 

こうして最後の試合は引き分けとなり、総合的な勝利も三勝三敗一引き分けとなり引き分けた。

 

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

『────皆の者、どうであった? 楽しめたか、はたまた恐怖に慄いたか、それは個人にお任せする。だが、決して忘れないでほしい。今日あった出来事を、接線を繰り広げた者たちの勇姿を、震えたち沸き起こる興奮を.........。必ずや、役に立つだろう。

以上を持って、"ノーネームvs新神教会"を終了する!!』

 

そう宣言した白夜叉は空いてる手を天に向ける。刹那────その手から上空に向かって閃光が迸る。その火球は火特有の熱でなくどこか優しさを感じさせる熱風を内包し、登り続ける。

観客全員が空を仰ぎ最頂点に達した時、光球は爆裂する。花火のような現象だが、花火とは違はまた違った幻想的光を生み出し観客の心を掴んだ。

 

『ここからが本番だ。皆の者、刮目せよ!!!!』

 

続けて打ち出された火球は時には螺旋を描き、時には交差しながらと、様々な動きをしながら舞い上がる。

そして続けて花火の下に現れた妖精、精霊、天使、女神たち。

天使たちの合奏に合わせ妖精や精霊たちは演舞や舞踏を舞い、女神は祝福の光を照らす。

見る者たちを飽きさせない彼女は、最強の階層主(フロアマスター)であるための力を示し、最高のエンターテイナーであるための感性を遺憾なく発揮する。

日も完全に落ち夜が支配する今この瞬間を箱庭の天井にある星々と白夜叉によって幻想的な空間と化す。

俺はこの光景を忘れることは出来ないだろうと、はしゃぎ回るユウキや椋に果林、空に見とれる凪と(あお)の皆(ミカ?知らん)を見ながら俺も笑う。

 

 

──────────────────────────────────────────────────────────────────────────────────

 

 

「それじゃあみんな、お疲れ様ーー!」

 

「いえーーーーいッ!!!!」

 

試合を終えた俺たちは、"ノーネーム"の本拠地に打ち上げのために招待された。

よくてアニメでしか見たことない"ノーネーム"だったが、初登場シーンの荒廃した土地ではなかったのはひとえに彼らの努力なのだろう。

そして始まった打ち上げは夜椿の音頭を皮切りにスタートした。

メンバーは今回出場したメンバー以外にも"ノーネーム"に住んでいる子供たちも参加している。夜遅くだが、子供たちをそのままにするのも問題なのでそれなら"ノーネーム"でしようということでこの場所で始めたそうだ。

 

「いやー、楽しかったねぇ。」

 

「まあ、ね.........。」

 

俺に話しかけてきた夜椿。周りでは様々な種族の子供たちがはしゃいでいる。正直想像以上の人数で驚いている。因みに今飲んでいるのはちゃんとした100%ぶどうジュース。どうやら夜椿は性懲りもなく気分だけでもワインを味わいたいようでそれらしき雰囲気を味わえるものをチョイスしたようだ。

 

「アルコール入ってないから別にいいだろ。」

 

.........誰に言っているのだろうか?

 

「どうしたの?」

 

「いや、こう言わないといけない気がしてさ。なぜだろう?」

 

「そんなことはどうでもいいのよ。問題は────。」

 

続けて言葉を発しようとしたが見た感じ六歳ほどの男の子が駆け寄ってきた。

 

「よつばおにーちゃんすごかったね!」

 

「ハハ、ありがと。」

 

「ぼくもお兄ちゃんみたいになれるかな?」

 

「んー.........まあ、ここは天下の箱庭だし。いろんな敵、いろんな友、いろんな出会いを経験すれば或いは.........ね?」

 

「うーん.........。」

 

どうやら夜椿に憧れたようだ。

が、まだ少年には難しかったようであまり理解していない様子。このくらいの子供にはよくあることだがやはり微笑ましい。

 

「────でも。」

 

「でも?」

 

「君が強くなるなら、俺だってもっともっと強くなる。追いかけてくれるかな?」

 

「─────うんッ!!」

 

「そっか.........ほら、みんなのとこに行きな。」

 

流石と言えばいいのか少年にしっかりと言葉を送り、納得したように少年は他の子供たちの所へ走り去っていく。

ちゃっかりミカが馬役をしているがあの様子だけを見ると普通の神父か保育士に見えるから不思議だ。

すると今度は女の子が近づいてきた。

 

「あ、あの! あの............。」

 

「ん?」

 

どうやら夜椿ではなく俺に用があるようで夜椿は飲み物を注ぎに行ったようだ。

少女は俯き、体をモジモジしている。

その姿に苦笑しながら俺は少女に尋ねる。

 

「私に何か用かしら?」

 

しばらくはモジモジしていた少女だったが、意を決したのか頬を赤くしながら勢いよく答えた。

............俺の予想の斜め上の答えを。

 

「───どうやったら()()()()()()みたいにきれいになれるの!」

 

俺の体からピシッと何かが固まった音が聞こえてきたのは幻聴ではないはず。

しかも夜椿が歩いて行った方向からブフッと何かを噴出した音も。

何か失礼なことを言ったのかと女の子はあわあわしだす。

......いやこんな姿(女体化)だしかも見た目はカナなわけだしこの少女の質問はしょうがない。

が、やはり年端もいかない子から言われるのは少し、ほんの少しだけくるものがある。

俺は数分かけてこの少女の質問に答える。

 

「いい?あなたは十分可愛いわよ。もっと自分に自信を持っていけばいいわ。」

 

「そうすれば、おねえちゃんみたいにきれいになれますか?」

 

「え、ええ.........もちろんよ.........。」

 

「わかった。ありがと!」

 

何とか少女の質問を解決し、満足させることが出来たようで少女は走り去っていく。

元からこの容姿なのでなんだか少女に悪い気がするが頑張った俺を褒めてほしい。

そして先ほどの質問によって生まれたもう一つの問題であり、おそらく元凶をかたずけなければならない。

 

「アハハハハッ!腹筋が、崩壊する.........!? アハハハハ!!!」

 

「はあ............。」

 

さっきから見ててイライラするほど爆笑しているコイツ(夜椿)だ。

この様子を見て頭を抱えため息が出てしまう。

なぜ俺が夜椿を元凶といっているのかそれは──────

 

 

いつまで女装してればいいのだろうか?

 

 

 

これに尽きる。第三試合"羞恥の変貌"。このゲームが終わってからも、俺はずっと猫耳パーカーという可愛らしい格好をずっと続けている。途中から妥協案として、自身も女体化することによっていくらか誤魔化していたが、気づいたのだ。

 

()()()()()()()

 

ここに来る前にズボンやパーカーやらを着替えようとしたのだが、脱いでも脱いでも自身の身体に戻ってくるのだ。終いには着替えた服を脱いだ服が脱がせてくるというわけのわからん現象が起きたのだ。結果、今に至る。

 

「あなたのせいでしょ、夜椿?」

 

「えーなんのことですかー?」

 

どうやらそこまで隠す気の無いようで棒読みで話すコイツに思わず殴りかかったのは仕方ないだろう。

設定能力を使いラッシュをするが、夜椿に全て避けられる。

さらに夜椿は近くにいたらしいユウキを呼ぶ始末。

 

「あ、そうだった。ユウキ! ユーウーキー!」

 

「夜椿さん、大声出してどうしたの?」

 

「お前の歌って好評だったじゃん。だから念のために録音してた音声があるんでけど、CDにして売っていいかな?本人の許可は流石に必要かなーって思ってさ。」

 

商魂逞しいなコイツ.........。

まぁユウキだったらこの手の質問には──────

 

「なんだ、そんなこと?全然いいよ!」

 

──────二つ返事で許してくれるだろうが。

 

「サンキュー。売り上げの一割ぐらいは渡す予定だから楽しみに待っててくれ。」

 

「え?でも.........。」

 

「遠慮すんなよ。他人の厚意は受け取っとくもんだぜ?」

 

「───ありがとう!!」

 

意図せず周囲も和ませるその笑顔は最強の矛と言える。

彼のセリフも中々響くはずなのだが.........彼の性格が全てをぶち壊している。

 

「恭子(笑)にも売り上げいくから楽しみにしてろよ。」

 

「お金はいいからコレ()をなんとかしなさいッ!!」

 

やはり最後まで締まらない。

 

「ところでさー。」

 

再び始まった椋対耀のフードファイトを三人で見ていると唐突にユウキが喋りだした。なにやら気になることがあるらしい。

 

「夜椿さんの特典ってなんなの?」

 

............おっと。いきなりドギツイことを聞き出したユウキに放心状態になってしまった。彼女は遠慮というものを知らないのだろうか?ズバズバ切り込んでいくのは彼女のスゴイとこだが、その気概にいっそ関心すら持ってしまう俺は正しい反応だろう。夜椿を見る限り向こう同じ気持ちらしい。

何故ならアニメやら漫画でよくある特殊能力とはソイツの切り札である場合が多い。

主人公やライバルキャラは基本的に流れで能力を言うことがあるが自分から話すことはあまり無い。

自分から話す奴は大概自信がある奴か、バカしかいない。

現に俺も人外魔境のこの箱庭でも自分の能力を口に出して使用していない。夜椿もそうだ。

 

「俺の能力?教えたくないんだけどな~。」

 

「そこをなんとか、このとおり!お願い!!」

 

やはり夜椿も話したくないらしく露骨に話を逸らそうとしている。しかしユウキは小悪魔のような可愛らしい表情を一瞬見せ、頭を下げつつ、頭上で手を合わせお願いする小悪魔的に笑いかける。

見た目は美少女だ。意志が弱い奴は引っ掛かるだろう。流石は悠○さんというべきか......。

まぁそれでも夜椿には効かないだろう。

 

「うん教えてあげる。」

 

教えるのかよっ!!!!

 

「「えぇ.........。」」

 

ユウキと俺、二人して絶句。

聞き出そうと強く願った本人すら呆れる始末だ。そりゃダメもとのつもりで聞いたのに簡単に教えるとは思わないだろう。

 

「あ、でもさ。お願いがあるんだけどいいかな?」

 

しかし、そんな夜椿でも自分だけ教えるのも不味いのだろう。

何か条件を出してきた。ギブアンドテイクだな。

相手の能力を把握できるなら簡単な希望くらい構わないと考えた俺は何かしら?と試しに聞いてみることにした。

すると夜椿はその返答に気分を良くしたようで、俺に予想外の一言を言い放つ。

 

 

 

 

 

「恭弥の能力も教えてくれる?」

 

 

 

 

 

 

「───ッ!?」

 

.........これは流石に俺が甘かったな。此方が警戒するのだから向こうも当然警戒してるだろう。

おそらく強力な力を持っているから俺たちの力自体眼中にないと思ったが.........。

しかもこちらから質問した上に『お願い』を聞いてしまったのだ。いまさら「無理。」なんて言えないだろう。今までの行動で勘違いしていた夜椿への評価を改める。

 

「.........はあ、わかったわ。私も話す。だからそっちのこともしっかり教えて頂戴。」

 

「潔い対応に感謝するぜ。」

 

完全に一本取られた状態の俺は夜椿の提案を仕方なく受け入れ、ため息を吐く。

その様子が楽しいのかそれとも引っ掛かったことが楽しいのか此方を眺める夜椿は楽しげに見えた。ユウキはというと、自分のしでかした事の重大さに罪悪感を抱いたようで少し物憂げだ。

が、持ち前のポジティブ思考で前を向く。

 

(お兄さんの能力は知られたところで、いくらでも応用が利かせるからまだ大丈夫。問題は夜椿さん、この人の能力をしっかり分析して穴を見つける。それでデメリットは帳消しだね。)

 

ユウキは本人ではないとはいえ、しっかりと原作とほぼ同じ存在だ。向こう(原作)で鍛え上げられた相手との駆け引きに使っていた直感を今一度引き締る。

かくゆう俺も能力の使い方次第でどうにかなると高をくくっていた。.........それすらも無意味だと知るまでは。

 

 

 

万能に対抗するには究極の一か此方を超える万能でしか勝てないのに。

 

 

 

「俺の能力はこの紙に全部書いといたぜ。」

 

「私も準備が出来たわ。」

 

口頭では伝えにくいので互いにメモを書き、情報を交換する。

 

驚愕。

 

メモを見た瞬間にまずそう思った。

 

(なんだよ、この性能。チートにもほどがあるぞ。『全ての世界に存在する技術、知識を十全に扱う』だって?......ありえない。いや、夜椿ならこの位やりかねないのか?それでも規格外すぎるだろ!?)

 

(お兄さんの能力と同系統。でも、夜椿さんの方が強力すぎる.........こっち(お兄さん)の能力も万能なはずなのに、霞んで見える。勝ち目が全くない、圧倒的スペック差。敵わない.........。)

 

対策を講じるために思考をリンクしている俺とユウキだが互いに策が出ない。

夜椿を敵に回した時を考えるなんて烏滸(おこ)がましい。

コイツの前ではどんな能力だろうと無力すぎる。

俺の能力はあくまで「生前所持していたゲーム、漫画、ラノベにある全て」。

もし使用している力の出所を知られたら速攻で対抗策を練られ対処されるだろう。設定能力ならいけるかも知れないが、元のスペックに差が在りすぎる。それは今回の試合でハッキリしている。

こうなった俺に出来る事といえば夜椿を敵に回さないようにするしかない。

どうにか噴き出る汗と震える唇を無理矢理抑え、夜椿の様子を伺う。

夜椿はこちらのことなど眼中にないのか特に動揺した様子もなく、言い放つ。

 

「まあ、なんだ。お互い様だな。」

 

「そうね.........(何処がだよ!)」

 

俺の強化版ともいえる夜椿に恐怖に似た感情を抱く。

しかし俺と同じように夜椿の能力を知ったはずのユウキは───

 

「これからもよろしくね、夜椿さん!」

 

さっきまでの警戒心を完全に無くしたわけでは無いようだが、互いに警戒することよりも歩み寄ることを選んだようようだ。

無邪気な笑みを浮かべ警戒心と恐怖心に包まれかけていた俺の心はその笑顔を見て穏やかになる。

 

(少し、考えすぎたな。)

 

今回はあくまで互いの情報交換だ。決して敵対し、腹の探り合いをするためではない。

だからこそ俺たちは笑顔で互いの手を握るという行為するのだ。それが互いの平和とそれを望んだユウキのためでもある。

 

「とにかく、これからもよろしく。」

 

「こちらこそ。」

 

差し出された手を互いに取り合い、親睦を深める。

なんだかんだ言って俺たちは似た者同士らしく、互いの楽しみのためならなんでもする自己中であり、自分以外の人たちも巻き込み皆で楽しむことを喜ぶのだ。

だから俺たちはその時を全力で楽しむことにした。

 

 

 

 

こうして二人の駄神のしょうもないケンカから生まれた長い長い一日が終わり、元の世界に帰った俺たちに待ち受けていたのはミカや俺の存在に関わる出来事だった。

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか?

久々の大長編、キツかったです( ̄▽ ̄;)
次回からは本作の暗殺教室編再開です!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。