魔法少女リリカルすれいや~ず! (タカヒロオー)
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設定編
裏設定集①


随時設定を書いていきます。3~5人ずつぐらいの予定です。


1.スレイヤーズキャラクターの前世

 

※本編ならびにスピンオフで発表した順に更新予定。

 

※名前後ろの()はリリすれ本編での名前。

 

①リナ・インバース(逢魔リナ)

 

原作本編終了後、ガウリイと共に立ち寄った故郷・ゼフィーリア・シティでリナの姉ルナの策略によりガウリイと結婚。

 

あふたぁ~の主人公・モナとレオを含む子宝・孫宝に恵まれた。

 

ゼフィーリア・シティの魔導師学校の講師として幾多の優秀な魔導師を育て、多くの子孫に見守られながら150歳で大往生を遂げる。

 

②ゼルガディス・グレイワーズ

 

原作本編8巻でリナと別れたあと、単独で自らの体を元に戻す術を探していたが身体のリミットの方が先に訪れてしまう。

最後の賭けで挑んだ迷宮の奥で見つけた魔法の宝珠も、求めた物ではなくその場で力尽きてしまう。

 

しかしその魔法の宝珠(後のゼルガディス・ソウル)にその魂は吸収され、何故か赤子のユーノの元に至る。

 

③白蛇のナーガ

 

リナと別れたあと、とある迷宮にて落ちていた金貨を追いかけているうちに宝珠(後のナーガ・サーペンツ)に吸い込まれそのまま虚無空間に。

 

そのあとはプレシア・テスタロッサに拾われるまで眠っていた。

 

④アメリア・ウイル・テスラ・セイルーン(八神アメリア)

 

リナ、ガウリイと別れたあと、しばらくゼルガディスと旅していたが、父・フィリオネルから王位を譲られセイルーンの女王となる。

その後は結婚せず、全国各地から孤児を引き取り育てる。その中の1人に王位を継がせると、90歳で亡くなる直前まで「諸国漫遊世直しの旅」と称して各地を巡っていた。

 

そしてその魂は転生したリナに引き寄せられたのか、遠く海鳴市に存在する魔導書・夜天の書に取り込まれ、5人目のヴォルケンリッターとして転生する。

 

⑤[獣神官]ゼロス(名薗森 寛)

 

獣王ゼラス=メタリオムの配下としてリナたちがこの世を去ったあとも暗躍していたが、ある時異世界(地球・海鳴市)に異界黙示録[クレアバイブル]の反応を感じ、自らの使命である写本の処分に向かう。

 

しかし、地球はスレイヤーズ世界と比べて魔力素が薄いため、ゼロスは所謂この世界のイレギュラーである神様転生者の身体を乗っ取り、[人魔]として転生した。

その為、魔力ランクはSSS+以上だが、魔力量は現在のところ元々の転生者の魔力量であるAAA程度なので前世ほど圧倒的な力はないし、何より燃費が悪い。(それでもアインスと互角だが。)

 

ちなみに乗っ取られた転生者は番外編に登場したアイツ(笑)。

 

⑥[覇王]グラウシェラー(グ〇〇〇ル・ス〇〇〇ス)

 

スレイヤーズ本編13巻においてリナ達に大ダメージを受け、具現化する力を失った。

 

その後異世界である地球に存在するロストロギア・夜天の書に目をつけ、魔王シャブラニグドウ復活のよりしろにするために狙う。

 

ゼロスと同じ人魔としての転生だが、こちらはイレギュラーではなく本来この世界にいた人間である。その為燃費の悪さはゼロス以上。

 

そこで、新たな将軍・シエラと新たな神官・グラーヴを産み出した。彼らも人魔だが、優秀な魔導師を元に造り出したためかなりの戦闘力を誇る。



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裏設定集②

今回はA´s現在のデバイスの設定です。なお、詳細不明のデバイス(ユーノ、リニスなど)は後日追加します。


2.登場デバイス設定(NEXT‐A´S)

 

※紹介例

 

デバイス名(愛称/所持者)

 

①ナイトメアハート・ルシフェリア(L様/逢魔リナ)

 

リナがユーノから新たに譲り受けたインテリジェントデバイス。

 

その正体は、古代ベルカ神話の女神の力を受け継ぐEX級のロストロギア。

 

管制人格はスレイヤーズ本編の後書きに登場するL様。

 

待機状態は金の装飾が付いたアミュレット。展開時はスレイヤーズSP29巻魔法の老女プリンシア表紙のイラスト参照。(バリアジャケットもこれになります。)

 

実は異界黙示録[クレアバイブル]を遥かに越える知識データ(作者の記憶?)を記憶しているが、L様が必要性を感じない限り教えてくれない。(笑)

A´S編時点での出力は20%前後だが、現在のリナの力ではギリギリ扱えるレベル。しかし[黄金の魔王]の力は制御できるので…(汗)

 

 

②レイジングハート・オリヴィアナ

(レイジングハート/高町なのは)

 

なのはの愛機・レイジングハートが真の力を解放した姿。

 

その管制人格はルシフェリアの妹・オリヴィアナ。なのはの成長とルシフェリアとの再会によりその正体を明かす事となる。

 

外見上は大差はないが、魔力を収束・制御する能力はL様以上。

 

白輝の聖母と呼ばれる女神オリヴィアナの力が制限つきながら使用できるため、L様に対する抑止力としても活躍する。

 

③バルディッシュ・ヘキサ

(バルディッシュ/フェイト・テスタロッサ)

 

バルディッシュをプレシアの手によって大幅改修したもの。

 

最大の特徴は名前のヘキサが示す通り、最大6種類の形態に変形できることである。その形態は次の通り。

 

1.サイズフォーム(鎌形態)

 

基本形態でもある状態。長柄の半分は連結鎖に変化させ、鎖鎌としても使用可能。

 

2.ブレードフォーム(光剣/片手剣形態)

 

より攻撃の手数を増やすための形態。Stsのライオットの片手バージョン。

 

3.ハルバードフォーム(薙刀形態)

 

短中距離用の形態。突く、切る、刺すと3種類の攻撃ができる。

 

4.クロスボゥフォーム(クロスボゥ形態)

 

遠距離戦闘用の形態。一発当たりの威力はフォトンランサーと変わらないが、高速連射・拡散・一点収束など様々な使い方ができる。

 

5.ザンバーフォーム(両手剣/光剣形態)

 

近接攻撃時の切り札。その威力はあらゆる物を両断する。

 

6.???

 

現在は使えない最終形態。

 

 

④ラッキースター

(同上/アリシア・テスタロッサ)

 

プレシアがアリシアの為に作ったストレージデバイス。

 

待機状態は星型の指輪。展開時は小型の二丁拳銃。ミッドチルダとスィーフィードの2つのモードを切り替えることにより、それぞれの魔法が使用可能。

 

 

⑤フレイムアイズ・スカーレット

(フレイムアイズ/アリサ・バニングス)

 

フレイムアイズにプレシアが大幅改修を施した姿。

 

兄妹機であるスノーホワイトとの能力互換システム・ユニゾンリライズを装備。

 

より幅広い戦術と共に合体技であるユニゾンアーツが使用可能となった。

 

⑥スノーホワイト・アブソリュート

(スノーホワイト/月村すずか)

 

スノーホワイトにプレシアが大幅改修を施した姿。

 

フレイムアイズ同様、能力互換システム・ユニゾンリライズを装備。

 

ユニゾンリライズ時は魔力、身体能力共に底上げされる。

 

⑦ナーガ・サーペンツ

(ナーガ/プレシア・テスタロッサ)

 

従来インテリジェントデバイスだったナーガをプレシアがチート技術でユニゾンデバイス化させた姿。

 

待機状態はプレシアの魔術師の杖だかほとんどは小学6年生(12歳ぐらい?)の姿で生活する。ちなみに巨乳。(笑)

 

プレシアをはじめとするテスタロッサ家用に調整されているため、フェイトやアリシアも使用可能。

 

プレシアが使用する際は、バリアジャケットがスレイヤーズSP29巻の表紙のナーガのコスとなる。

なお、単独でも呪文の使用は可能。

 

 

⑧ゼルガディス・グレイワーズ

(ゼルガディス/八神アメリア)

 

 

リナのデバイスだったゼルガディス・ソウルをプレシアがユニゾンデバイスに改修したもの。

 

外見は小学3年生(9~10歳)で、人間の姿を取り戻している。

 

待機状態は以前と同じ翠色の宝珠。

 

アメリアとの融合時は瞳と髪の色が翠色に変わる。

 

ナーガと同じく単独による戦闘も可能。

 

 

⑨ジャッジメント・ハウル

(ジャッジメント/八神アメリア)

 

プレシアがはやての依頼で創ったストレージデバイス。

術式は近代ベルカとスイーフィードのハイブリッド。

 

待機状態はセイルーンの紋章が付いたペンダント、展開時はオープンフィンガー型の手甲に変化する。

 

他の騎士たち同様、ベルカ式のカートリッジを装備しており、一時的なブーストが可能。

 

なお、騎士服(赤ずきんチ〇〇ャ)ははやて及び作者の趣味。(笑)

 

⑩ゴルンノヴァ

(ゴルンノヴァ/逢魔ユーノ)

 

リナが踏み台転生者から贈与された(奪った?)剣型のインテリジェントデバイス。

 

異世界の神が造ったため高性能だが、転生者は使いこなせなかった。

 

その正体はスレイヤーズ世界の伝説の武器・光の剣の異相体。ダークスターの武器ではなく、あくまでデバイスである。

 

使用者の魔力に比例して光剣の長さや破壊力が変化するのは原作同様。

 

⑪ガーディアン(ガーディアン/逢魔ユーノ)

 

赤ん坊の頃に遺跡で発見・保護されたユーノが所持していたデバイスの1つ。

 

その正体はユーノの前世であるガウリイ・ガブリエフが残したメモリーデバイス。

 

ゴルンノヴァと結合したことにより、ユーノに真実を伝え覚醒させた。

 

余談だかゴルンノヴァ・ガーディアン→G・G→ガウリイ・ガブリエフという伏線だったのだが気づかれなかった模様(涙)



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邂逅編
プロローグ:旅立ち


初めて投稿します。駄文&遅文になると思います。心折れない様、見守って下さい。


SIDE:??

 

あれ?あたし、どうして宙に浮いてるの?それに真下でベッドに横たわってるのって…あたし?!

 

「そっか…あたし、死んじゃったんだ…」

 

あたしは即時に理解する。だって、真下に寝てるあたしはよぼよぼのおばあちゃんなのに、今のあたしは10代中頃、超絶美少女の姿になってる…おまけに身体も透けて見えるしね。

 

いや~我ながら長生きしたわね。150歳まで生きるとは思わなかったわ。ま、おかげで曾孫の花嫁姿もみれたし、この人生に悔いはないわ。

 

「で、いつまで隠れてるつもりなの?ゼロス!」

 

「おやおや、やっぱり気付いていましたか、??さん。さすがですね。」

あたしが声をかけると、あたしの背後におかっぱ頭の優男が姿を現す。この男の名はゼロス。

 

…一見、人畜無害そうに見えるが実は魔王シャブラニグドゥの側近、獣王に仕える上位魔族、獣神官[プリースト]。たぶん、全盛期のあたしでも1人では勝てない位の化け物だ。

 

 

「ひどいなぁ、こんなお茶目な青年を化け物だなんて。久しぶりに会う友人にいう台詞じゃないですよ…」

 

 

「はっきり言っておくわゼロス。あんたはお茶目な青年でもなければ、友人でもない。只の腐れ縁の知り合いよ。」

 

 

苦笑しながら、ゼロスのぼやきに答える。「でも、腐れ縁は認めるんですね?」

「ま~ね…ってか、あんた何しに来たのよ?まさかあの世へのお見送りに来た訳じゃないでしょ?」

 

 

そう、あたしの疑問はそこだった。死んでしまったあたしに利用価値があるとは思えないのだけど…

 

 

「そうですね…時間もあまりないので、ぶっちゃけいいますと、??さん、貴女の魂を転生させる為にきました。」

 

 

「転生!?それって一体…」

 

 

「ま、簡単に説明しますと、貴女も知っての通り、貴女の中には異世界の魔王、金色の魔王[ロード・オブ・ナイトメア]が眠っています。本来なら、貴女が亡くなった時点でその力は解放され、他の誰かに移るはずだったのですが…」

 

 

 

ゼロスはここまで言うと一呼吸置き、話を続ける。

 

 

「貴女が生前、その力を何度も行使し、1度は力の暴走により、身体を乗っ取られた事により、貴女の魂と混じり合い、切り離す事ができないのです。だから、我々魔族は貴女ごと異世界に転生させる事にしました。??さんには、誠に申し訳ないんですが…」

 

ゼロスの全く心のこもっていない話を聴き終えたあたしは、深いため息をつく。

 

「ま、いいんじゃない?この力を他の人が使いこなせるとは思えないし。それで、あたしは何処の世界に行くの?」

 

あたしの質問にゼロスは人差し指を口にあてて、「それは、ひ、み、つ、です。」ととぼける。

 

「というか、僕も異界黙示録[クレアバイブル]で調べて初めて使うんですよ、この転生術。だから、解るところだけお教えします。僕が解るのは??さんが記憶と知識、容姿はそのまま、何処かの異世界に転生する事。それだけです。」

 

「そ、わかったわ。それじゃさっさと転生するとしますか?どーせ、拒否権はないんでしょ?」

 

そう答えるあたしにゼロスは呆れた表情を見せる。

 

「やれやれ、即決で決めてもらえて何よりです。それでは早速…」

 

ゼロスが呪文を唱えると、あたしの身体が金色の光に包まれる。

 

「それじゃね!…」

 

………

 

少女が光と共に消えた後、そこにはゼロスが1人立っていた。寂しげな表情を見せながら…

 

「さようなら、リナさん。よい旅を…」

 




ご意見ある方待っています。


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一、海鳴へ やってきました リナちゃんが

お気に入り登録していただいた方、ありがとうございます!期待を裏切らない様がんばります!


SIDE:リナ

 

 

あたしが新たな世界に転生してから、はや5年が過ぎた。今のあたしはリナ・インバース改め、逢魔リナ[あいま・りな]5歳の幼女。雑貨店を営む両親と3人で、仲良く暮らしてるわ。

 

ゼロスの言った通り、あたしは前世の記憶と知識を持って生まれた。現在の見た目もそのまんま。だから、この5年の間は年相応にごまかすのに苦労したわ…赤ちゃんの頃に思わず「といれ~」と叫びそうになったし…

 

で、現在あたしは両親と一緒に違う街へと絶賛移動中~!いわゆるお引っ越しね。

 

 

「ね、お母さん、新しい街ってどんなとこ?」

 

「海鳴は素敵な街よ。名前の通り海の近くなの。」

ふーん、海の近くなのか~。楽しみだな。でも、運転席のお父さんと話すお母さんの表情は少し暗い。気になるなぁ…

 

「ねぇ、あなた。大丈夫かしら、士郎さん…意識が戻らないんでしょ?」

 

 

「あぁ、どうもそうらしい。桃子さんも

さぞ困っているだろう……」

 

 

……

 

結構重い話でした…確か、士郎さんっていう人がお父さんの親友だって言ってたよね。

 

 

「とりあえず、向こうに着いたらお見舞いに行こう。桃子さんが待ってくれてるはずだから。」

 

「リナは、どうするの?お留守番?」

 

 

「そうだな。病院の場所さえ解れば俺たちで行けるから、桃子さんに預かってもらうか。」そんな話をしているうちに車が止まり、

 

お父さんとお母さんはそこで待っていた女の人に話しかける。

 

「桃子さん、大丈夫か!」

 

「あぁ、神威さんに時雨さん!よく来てくれました…」

 

この人が桃子さんか、綺麗な人だなぁ…

 

あ、神威と時雨というのがあたしの両親の名前。かっこいいでしょ?

 

「早速だけど、病院に見舞いに行きたいんだが桃子さん、ウチの娘を預かってもらえないか?小さな子供には見せたく無いんだ…」

 

 

「えっ、困ったわね…実は私も病院に一緒に行く用事が…どうしましょう!?」

 

 

大人3人が頭を抱えてるのを見て、あたしが声をかける。

「あの…」

 

「あ、こちらが娘さん?はじめまして、高町桃子です。お名前は?」

 

「はい!逢魔リナ、5歳です。よろしくお願いします。それで桃子さん、この近所に公園とかありますか?お父さんたちが帰ってくるまでそこで遊んで待ってます。」

 

「おっ、そうしてくれるか、我が娘よ。桃子さん、コイツだったら心配いらないんで、近所の公園でも教えてやって下さい。」

 

「そうね…今の時間だったらなのはも公園にいるはずだし…」

 

「なのはって、誰?」

 

あたしは、桃子さんに尋ねる。

「高町なのは、私の末っ子よ。歳は5歳、リナちゃんと同い年ね。茶色の髪をツインテールにしてるからすぐわかるとおもうわ。公園はそこの角を右に曲がってすぐよ。どうかなのはと仲良くしてあげて。」

 

あたしが頷くと、お父さんたちは、桃子さんを車に乗せ、病院へ向かって出発した。

 

 

さて、それじゃあたしも公園へ行ってみるとしますか?なのはっていう娘に会うのも楽しみだし!

 

 

でも、あたしは気づいていなかったんだ。この出会いが、2人の運命を大きく変えてしまうって事に…




次回、やっと2人が出会います。この出会いが、いったい何をもたらすのか…
それじゃ、次回も読んでくれないと、暴れちゃうぞ![BYリナ]


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二、黄金と 白輝の出会い 運命(さだめ)なの

リナとなのはの出会いです。なのはの魔王化第一歩とも言う。(笑)


SIDE:リナ

 

さて、早速公園までやってきたけど、なのはっていう娘は何処に…とあの娘みたいね。

 

 

ブランコに1人座っている茶髪のツインテールの女の子…間違いないわね。表情が暗いのは、お父さんが大ケガで入院してるんだから当たり前か。それじゃ声掛けて……えっ、泣き出した!?あ~もう!

 

 

「ぐすっ、お父さん…うぅっ…」

 

「あ~高町なのはちゃんだよね。こんにちは…」

 

 

「えっ?!あなた、だれ?どうして私をしってるの?」

 

 

「あたしは逢魔リナ。今日、この街に引っ越して来たんだ。あなたの事は桃子さんにお願いされたの。仲良くしてあげて、って…」

 

でもなのはは、すぐ下を向いてまた落ち込んでしまう。

 

 

「お母さんが…そっか、やっぱり私はいらない子なんだ…」

 

 

ち、ちょっと待って?今の会話からどうしてそういう展開になる訳?

 

 

「だって、私が泣いててもお母さんもお姉ちゃんもお兄ちゃんも、だれも助けてくれないもん!私は、こんなにさびしいのに…」

 

 

あ、そういう事か。そりゃそうよね、あたしは中身大人だからいいけど、この子は普通の5歳児だもん。さびしいのは当然だわ。でも、ちょっとパニックして勘違いしてしまってるから、ここは慰めてあげないと…

 

 

でも、この子の暴走は止まらない。そして遂に…

 

 

「…わたしなんかに、もうかまわないで!どうせ、わたしなんか…どうなってもいいんだから!」

……… 〈ブチッ〉

 

 

スパーン!

 

 

「にゃ!?」

 

 

「…いい加減にしないと、ひったたくわよ!」

 

 

「もうたたいてるの!それにそのスリッパはどこから…」

 

 

そう、あたしの手には某100円均一のスリッパがにぎられていた。

 

 

「あ、これ?乙女の身だしなみよ。そんなことよりも…」

 

 

あたしはそういうとなのはの襟元を突き上げてジロリとにらみつける。

 

 

「あんた、今どうなってもいい、っていったよね!どうなってもいい子だったら、桃子さんは、あたしにあんたの事たのんだりしないわよ!」

 

 

「あっ…」

 

 

なのははあたしの言葉で何か気づいたみたい。自分は1人じゃない。愛してくれる家族がいることに…これでもう大丈夫ね。

 

あたしはなのはの襟元から手を放し、声を掛ける。

 

 

「ごめんね、怖かったでしょ?」

 

 

「す、少しだけ…わたしこそごめんなさい。」

 

 

お互いに謝ったところで、あたしはなのはが、こちらを見つめていることに気づいた。その表情は真剣で…

 

「…ん、何?」

 

 

「ごめん、もう一度教えてもらえるかな、名前?」

 

 

あっ、さっきの一件で記憶がとんだ?!

 

 

「…逢魔リナよ。リナ、でいいわ。」

 

 

「リナ…じゃリナちゃん、おねがいがあります。友だちに…なりたいんだ…ううん、友だちになってください!わたしの初めての友だちに!!」

 

 

なのはのその言葉に、あたしは満面の笑みを浮かべてうなづく。

 

 

「もちろんOKよ。こちらこそよろしくね、なのは!」

 

 

そして、2人は握手をかわす。

 

その時、公園に眼鏡をかけた少女が姿を現し、2人を見つけると近寄ってきた。

 

「なのは!ここにいたのね!!」

 

 

「美由希おねえちゃん!どうしてここに?」

 

 

「探したのよ…って、その子は?」

 

 

「あ、はじめまして。今日この街に引っ越して来た逢魔リナっていいます。なのはとは、たった今友だちになりました。」

 

 

「逢魔…あっ、神威おじさんの娘さんね。はじめまして、なのはの姉の高町美由希です。」

 

 

なのはのおねえちゃんか。にしては、あんまり似てないような…

 

 

「と…それどころじゃないわよ!なのは!お父さんが目を覚ましたの!一緒に病院にいくわよ!」

 

「えっ、お父さんが!ほんとに?」

 

 

「あたしも一緒に行っていいですか?お父さんたち、今病院にお見舞いにいってるんです。」

 

「そうなの?じゃ、一緒に行こ!」

 

 

こうしてあたしたちは一路病院へと向かった。




リナちゃんにスリッパ・ストラッシュをくらったなのは。でも、これが彼女が強くなる最初のきっかけです。

それじゃ、次回もリリカルマジカルがんばります!(BY なのは)


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三、病室の 一幕そして 決意なの

執筆が遅くなってすいません。
暫くは〈導入編〉って感じになると思います。


SIDE:なのは

お父さんが大ケガをしてから、わたしは

ずっとひとりぼっちだった。そうだとおもいこんでた。でも、違ったんだ。わたしは1人じゃない。わたしには家族が、そしてそれを気付かせてくれた〈友だち〉、リナちゃんがいる。もうさびしくなんかない。待っててね、お父さん。すぐにいくよ!

 

なのは逹が病院にたどり着き、士郎の病室に入ると…

 

「お父さん!」

 

士郎は、ベッドの上に身体を起こし、桃子や神威逹と語らっていた。

 

 

SIDE:リナ

「お父さ~ん!よかった、目をさましたんだね!!」

 

なのはが、ベッドに座ってる頭に包帯を巻いた男性の胸に飛び込んで、顔を埋める。

「あぁ、なのは。心配かけてすまなかったな…もうお父さんは大丈…痛!」

「ほ、本当にだいじょうぶ?お父さん…」「こら、なのは。お父さん目をさましたばかりなんだから。」

 

ははっ、勢いよく飛び込みすぎて、桃子さんに注意されちゃった。でも、これが本来のなのはなんだろうけど。

 

「おっ、リナ、お前も来たのか。士郎、

紹介しとくわ。俺の娘のリナだ。ほら、

あいさつしとけ。」

「逢魔リナ、5歳です。よろしくお願いします。」

「ほぅ…高町士郎です。こちらこそよろしく。それにしても神威、お前の娘にしては礼儀正しい子だな。」

「お前のってだけ余計だよ、ったく…

ま、嫁さんの教育の賜物だよ。」

 

こう見えて、中身は大人ですので。でも、士郎さんの意識が戻って本当に良かったわ。でも、あれ…士郎さん、なのはをあやしつつもあたしをみてる?

 

 

SIDE:なのは

お父さんの手、やっぱり大きいな。なんだか安心するよ…やがて館内にアナウンスが流れ、面会時間が終わろうとしてる。

 

「それじゃ士郎さん、わたしはお店の準備があるから、一度戻るわね。美由紀、なのはもそろそろ帰るわよ。」

「はーい…」

 

あぁ、残念だなぁ。でも、お父さんも目をさましたし、いつでもお見舞いにこれるよね!

 

「そんじゃ、俺達もそろそろ帰るわ。まだ引っ越しの荷物もほどいてないしな…」

 

あ、リナちゃんたちも帰るみたい。そういえばリナちゃんたちの家ってどこなんだろう。近所だといいんだけどな~

 

「あ、神威!5分だけ時間をくれないか?2人きりで話したいことがあるんだ。」

「おぅ、それなら時雨、車の鍵渡しとくから先行っといてくれ。ほれ!」

 

神威おじさんが時雨さんに鍵を投げ渡す。そしてわたしたちはお父さんと神威おじさんを残して、病室を出ていった。

 

 

NO SIDE

 

2人きりになって静かになった病室。士郎が口を開く。

 

「神威、お前に聞きたい事がある。お前の娘のリナちゃん、あの子、一体何者なんだ!?」

「何者ってどういう意味だ!?人の娘を

化け物みたいに言うなよ…」

「それはすまない…だがお前もわかっているんだろう!?一流の退魔剣士である逢魔神威、お前なら!」

 

士郎の言葉に神威は大きく溜め息をつく。

「あぁ、わかってるさ、あいつの中にはとてつもないものが眠ってる…でも俺と時雨は信じてる。あいつは必ず乗り越えてくれると。」

「そうか…解っているならいいんだ。引き留めて悪かったな。」

「別にいいさ…あ、後これはあくまで俺の勘だけどな…」「ん?」

「お前んとこのなのはちゃんな、あの子も何か大きな力に目覚めそうだな。それこそリナに匹敵するぐらいのな。」

「な、なのはがか!?」

 

動揺する士郎に、神威は苦笑いしながら

言葉を続ける。

 

「ま、俺達の娘だ。2人いれば互いに乗り越えてくさ。じゃあ、また来るわ!」

 

士郎は出ていく神威の後ろ姿を見送り、ぼそっと呟く。

 

「やれやれ、5歳の子供に威圧されそうになるなんて…こりゃ、ボディーガード辞めて、翠屋のマスターでもするかな?」

 

人知れず稼業引退を決意した士郎だった…




はい、決意したのは士郎さんでした。
それにしても歴戦の剣士に引退を決意させる5歳児って…
そんじゃ、次回も見てくんないと…
あ「あばれちゃうの!!」なのはにとられた!?
(BYリナ&なのは)


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四、とりあえず 高町恭也 空気読め

唐突ですが、原作を読み返して思う処が
あり、サブタイトルを変更しました。次回からも、この形式でいきたいと思います。後、設定の方にCV入れます。オリキャラの場合は作者のイメージです。


SIDE:なのは

お父さんが目を醒ましてから半月、今日はいよいよ退院の日なの。といっても、まだ歩くのに杖がまだいるみたい。だから神威さんが車で迎えに行ってくれている。

そういえば、リナちゃんの家って、わたしの家のお向かいさんだったんだね…

それどころか、時雨さんのお店(雑貨屋さん)も翠屋の近くだし…

まぁ、お友達が近くに住んでるのはすごくうれしいし、心強いの。

 

「あっ、帰ってきたみたいね。」

 

お母さんの声に振り向くと、神威さんの

ワゴン車がこちらに向けて走ってくる。

 

「士郎さん、やっと帰ってきたね。うれしいでしょ、なのは?」

「うん!やっぱり家族いっしょに暮らせるのが1番なの。」

今日は高町家、逢魔家いっしょにおでむかえ。リナちゃんの言葉にわたしも顔がほころぶ。

家の前にワゴン車が止まり、後部座席からお父さんが降りてきた。松葉杖をついてる姿は痛々しいけど、思ったより元気そうなの。

「桃子、恭也、美由希、なのは… ただいま。」

 

………

 

「お帰りなさい、あなた…」

「おかえり、父さん。」

「もう、心配したんだから…」

「お父さん、おかえりなさ~い!!」

 

家族それぞれが、帰ってきた士郎に抱きつき喜ぶ。

 

「みんな、本当にすまなかったな。でも、これからは心配はいらない。僕はこれを機に今の仕事を引退する事にした。」「…! それは本当なの、あなた?」

「あぁ、それで桃子、君にお願いなんだが僕を翠屋で使ってくれないか?見習いからで構わないから…」

「もちろんOKよ!あなたの珈琲、期待

してるわよ。」

 

なんと、お父さんが翠屋のマスターになる事が決定!! これでもう心配しなくても 大丈夫だね。

 

「でも父さん、俺と美由紀の修行はどうなるんだ?」

 

ここでお兄ちゃんが余計な口をはさみ、お母さんに冷たい目でにらまれる。相変わらず空気よめないなぁ…

 

「はは、心配いらないさ。修行の面倒を見るのは引退してもできるし、父さん以上の剣豪が来てくれるからな。なぁ、神威?」

………

 

「「「えーーーーーー!!」」」

 

私たちは思わず大声をあげてしまう。

だって、うちのお父さん、人間辞めてる

超人類だよ?神威さんがお父さんの親友なのは知ってるけど、それより強いなんて

想像つかないよ…

 

「おいおい、俺はそんな大層なもんじゃねーぞ。」

「謙遜するな。少なくとも実戦でお前と

決着が着いた記憶はないんだがな…」

「父さんと互角だって!そんな事信じられない!!神威さん、俺と勝負してくれませんか?」

 

またお兄ちゃんがKY発言してるの。でもその言葉を聞いた神威さんの目付きが鋭くなったような…

SIDE:リナ

あ~あ、恭也さん…お父さんに喧嘩売っちゃった…

 

「…それは俺に対する挑戦状とみていいんだな、ボウズ。」

「…ボウズって呼ぶな!俺には恭也って

言う名前がある!」

「俺が名前で呼ぶのは俺が認めた時だけだ!おい、士郎、道場借りるぞ…来いよ、

怖じ気づいたのじゃなければな?」

 

そうして2人して道場へ入っていく。

もちろんあたし達も連れ添うように2人の後を追う。

 

「ね、ねぇ、リナちゃん?神威さんどう

しちゃったの?まるで人が変わったみたいなの…」

 

あたしの後ろからついてきていたなのはが心配そうに聞いてくる。へぇ…あれが解るんだ。

「あ、あれ?うちのお父さんね、格下の

人間に嘗められるのが大嫌いなのよ。もしそうなったら徹底的に叩きのめす。その

ほうが相手の将来のためになるんだって。」

「…おっかないの…」

 

そうこうしてる内に道場では試合が始まろうとしていた。それぞれが、得物をとって構える。恭也さんは木刀ね。そしてお父さんは…って、お父さん、それは…

 

「ハ、ハリセンって俺をなめてるのか!」

そう、お父さんが構えたのは、ハリセンだった。

 




本当に恭也さんって残念なところがありますよね。なのは達にはいいお兄ちゃんなんだけど…
それでは次回「五、スパパーン そしていよいよ 学校へ」
…う~、やらなきゃ駄目?…リリカル、マジカル…頑張ります。…あ~恥ずかし~!(BYリナ)


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五、スパパーン そしていよいよ 学校へ

今回からタグに魔法先生ネギま!がはいります。(ただし、一部設定のみ、キャラは出さない予定。)


SIDE:なのは

木刀を構えたお兄ちゃんに対し、神威さんが手に持ったのはまさかのハリセン…

お兄ちゃんは顔真っ赤にして怒ってる。

 

「それでは試合開始!」「うおりゃー!」

お父さんの試合開始の合図と同時に、お兄ちゃんが打ってかかる。でも、神威さんは避けようともせずハリセンで受け止めた?

「なっ?そいつは鉄扇なのか?」

「いいや、普通のハリセンさ。ただ俺が

ちょっと気合いをこめれば…はぁっ!」

 

神威さんがハリセンを構え直し、気合いをこめた瞬間、全身が光った気がしたの。

 

「なんなの、今のは…」「なのは、今のが見えたの!?」

リナちゃんが驚いた様子で聞いてくる。

私は頷くと、疑問をぶつけてみる。

 

「リナちゃん、今のは何なの?神威さんの身体に光が集まっていったように見えたけど…」

「…悪いけど、その話はあとね。でないと勝負が一瞬で終わっちゃうわ。」

 

そう言ってリナちゃんはまた眼前の戦いに目を向ける。私も構える2人の方を見る。

やがて、動くに動けなかったお兄ちゃんがしびれを切らし、神威さんに切り込む。

 

「えぇ~ぃ!」「お、さっきよりいい踏み込みだ。だが、これで終わりにするぜ。くらえ!ハリセン…ストラーッシュ !!」

スパパーン!!

 

次の瞬間、お兄ちゃんは、道場の壁に叩きつけられ、気を失っていた。

「えっ…え~っ!?い、今の何?何が起きたの!?」「だからいったでしょ、一瞬だって。」

 

私とリナちゃんが会話を交わしていると、神威さんは頬をぽりぽり掻きつつ、お父さんに謝っていた。

 

「すまん、ちょっとやり過ぎた。でも流石お前の息子だな。太刀筋なんかよく似てるわ。ま、目を覚ましたら面倒は見てやるって言っといてくれ。」

「あぁ、わかった。しかしお前も相変わらずだな。」

「まぁな。それじゃ俺たち家に帰るわ。

リナ、帰るぞ。」

 

「待って、お父さん。なのはがお父さんに聞きたい事があるんだって。」

「あの…神威さん、さっき気合いをいれたとき、身体が光ったのは何だったんですか?」

神威さんとお父さんはその言葉を聞いて、顔を見合わせる。

 

「なのはちゃん、あれが見えたのかい!?こいつは驚いたな…」

 

神威さんはびっくりした表情で私の質問に答えてくれる。

 

「あれは、咸卦法(かんかほう)っていって簡単に言ってしまえば気力と魔力を合わせて、身体や武器の能力を上げる技なんだ。でも、5歳の子供が見えたのはすごいな…」

 

私は話を聞いて、ある決心を伝える。

 

「神威さん!私にそのかんか…ほう?を

教えて下さい!私、もっと強くなりたいんです。友達や家族を守れるように。」

「なのは、それは…」

 

お父さんは心配そうだ。でもリナちゃんが助け船をだしてくれた。

 

「お父さん、あたしからもお願い。って

いうか、いつになったらあたしに教えて

くれるの?また今度また今度って、もう

だいぶたつよ?」

「……一つだけ約束してくれ。この力は、家族や友達を守る為に使う。決して私利私欲には使わない。約束できるか?」

「「はい!!」」

 

わたしとリナちゃんは神威さんの問いかけに答える。

 

「解ったよ。ただし、まだお前らは小さいから、ジョギングと基礎トレーニングからだ。咸卦法はそれから。いいな?」

「「はい!!」」

 

早速、次の日から早朝ジョギングを始めたの。もちろんリナちゃんも一緒。わたしは運動神経0だから、頑張らなくちゃなの。でも、必ずマスターしてやるの!

 

 

そして月日は流れ…

 

「ほら、なのは、早くしないとバスに遅れるわよ!」

「わ~まってよリナちゃん!」

 

私達は小学生になりました!




はい、今回で幼少期は終わりです。次回から小学生、そして無印&無印編へと進みます。アリサ&すずかも次回で登場!
それじゃ、次回「ツンデレと なのはと2人 大ゲンカ」 次も見てくんないと、暴れちゃうわよ!(BY ア○サ)
リナ「てか、あんた誰?」


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六、ツンデレと なのはと2人 大ゲンカ

タイトルの通り、アリサ&すずか登場回となります。が、出会いのシーンは一部変更しています。これは、リナの転生により、歴史が改竄されたと考えてください。自分なりのなのはワールドが描けるよう頑張ります。


SIDE:リナ

あたしとなのはが私立聖祥大付属小学校に入学してから、はや一週間が過ぎた。その間にも、身体測定でなのはに身長で1cm負けたとか(次は勝つ!)、なのはに近寄ってきた銀髪オッドアイをスリッパで叩きのめしたりと色々あったわ。

 

「それにしてもアイツ、気持ち悪かったわね。『なのはは俺の嫁』とか言って…」

「本当に寒気がしたの…でも、リナちゃんが守ってくれて助かったの。」

「でも、次の日に頭黒く染めて丸刈りにしてきたのはびっくりしたわ…カラコン入れたのか両目とも黒だったし。」

「もうどの子だったのかもわからないの。そんなことより、リナちゃん一緒にお弁当食べよ?」

おっと、昼ごはんは早く食べないと休憩時間がなくなってしまうからね。それじゃ、中庭にでも…って、ん?誰かこっちに来る?

 

SIDE:なのは

リナちゃんとお弁当食べようと、中庭に行こうとしたら、知らない女の子が近寄ってきた。誰だろ?

 

「あの…高町なのはちゃんだよね?」

 

にゃ、わたしにご用事!? 一見おっとりした、お嬢様っぽい感じの子だけど…

 

「う、うん。私がなのはだけど…」

「わぁ、やっぱり!はじめまして、月村すずかっていいます。お兄さんから聞いたことありませんか?」

 

月村?お兄ちゃんからって…あ~!そう言えば最近お兄ちゃんに恋人ができたって言ってたけど、確か月村…忍さん!

「それじゃ、あなたが忍さんの?」

「えぇ、妹です。恭也お兄さんから妹さんが同じ学校に通ってると聞いてたので、

会えるのを楽しみにしてたんです。それでいきなり失礼かもしれないけど、お友達になってもらえませんか?」

 

すずかちゃんはそう言って、右手を差し出してきた。わたしはその手を握りかえす。

「うん、こちらこそよろしくなの。あ、それと…」わたしはリナちゃんの方に向き直り、すずかちゃんに紹介する。

 

「すずかちゃん、紹介するね。わたしの

友達の逢魔リナちゃん。わたしの大親友なの。リナちゃんとも仲良くしてほしいの。」「逢魔リナよ。リナって呼んで。」すずかちゃんは満面の笑みで答える。

 

「こちらこそよろしくね。」

「あ、すずかちゃんはお弁当食べた?良かったら一緒に食べない?」「うん!」

 

そうして新しく友達になったすずかちゃんと3人でお弁当を食べたの。やっぱり大勢で食べると楽しいの!

 

SIDE:リナ

今日はすずかっていう子と友達になった。ってか、あの恭也さんに彼女ができたのが驚きだわ。なにせあの人、名前からしてKY(恭=K、也=Y)な人だから、他人の 恋愛感情なんて気付かないって思ったんだけど…その忍さんってイケイケな性格の人なんだろうな…だとしたらすずかも意外に芯の強い子かもね。

それで今日は一緒のバスで帰ろうって事で玄関前で待ち合わせ。でもすずかがなかなか来ない。どうしたのかな…って、校庭の方をぼ~と見ていたなのはが、突然どこかに走り出す。あれは…すずか!?前を走ってる女の子を追っかけてるみたいだけど…とにかく行ってみましょ!

 

SIDE:なのは

わたしはすずかちゃんから逃げ回っていた女の子の前に立ちはだかった。その手にはすずかちゃんのカチューシャがにぎられている。

 

「待って、カチューシャ返してよ~!」

「やだよ~誰が返すもんか…って誰よあんた?そこを退きなさい!」

 

その女の子は怒鳴りながらわたしをにらんでくる。でも、負けないの!

 

「そのカチューシャ、すずかちゃんのだよね。返してあげて。」

「…いやだ、っていったら?」

 

次の瞬間、わたしはその子に張り手をくらわせていた。彼女は少しの間あっけにとられてたけど…

 

「何すんのよ!」「わかんない子には、おしおきなの!」

 

その後は揉みくちゃの喧嘩になった。その争いはすずかちゃんとリナちゃんが間に割ってはいるまで続いたの…

 

「はぁ、はぁ、なんなのよあんた、馬鹿じゃないの?」

 

息を切らしながらいじめっ子がわたしに声をかけてくる。

 

「友達がいじめられてて、見ないフリが

できるほど頭よくないモン!」

「いじめてなんかないわよ。ちょつとおふざけが過ぎたかもしれないけど…」

「でも、すずかちゃんは泣いてたよ。

泣くほど大切な物を取られたら、あなたはどう思う?きっとものすごく心が痛いと思うよ…」

 

わたしの言葉に黙り込んだ彼女。そして…

「…あんた、名前は?」

 

名前を聞かれてわたしは、まだ名乗ってなかった事に気がついた。

 

「あ…ごめん。わたし、高町なのは。なのはって呼んで。」

「なのは…ね。わたしはアリサ・バニングス。アリサでいいわ。」

 

アリサ…ちゃんはそういうと、右手を差し出してきた。

 

「なのは、わたしに喧嘩売って来たのは

あんたが初めてよ。あんたをわたしの友達と認めてあげるわ…」

 

顔を赤らめながらもじもじしてるアリサちゃん。…ちょっと可愛いの。これがツンデレってやつかなぁ?わたしは苦笑いしながら握手に応じる。

 

「いいよ、友達になっても。でも、その前に、すずかちゃんに謝ってあげて。」

「ん…悪かったわね、すずか。これはかえすわ。ごめん…」

 

アリサちゃんは、カチューシャを手渡し、謝った。すずかちゃんは、カチューシャを受け取ると、その手を取って握手する。

 

「もういいよ…だから、これからは私も友達!」

「…あんたたち、ちょっと変だって言われた事ない?」

「「今初めて言われて、少しショック(なの)…」」

 

私達は思わず顔を見合せ、そして大笑いしたの。そこにリナちゃんがやってきた。

 

SIDE:リナ

…なんだかよく解らないけど、どうやらうまくまとまったみたいね。でも、仲間外れも嫌だから…

「こらっ、あたしだけ仲間はずれ?あたしもそろそろまぜてくれる、なのは?」

「あっ、ごめん。この子はアリサ・バニングスちゃん。けんかの末に今お友達になりました。アリサちゃん、彼女は逢魔リナちゃん。5歳の時から、1番の大親友なの。2人共、仲良くなってくれたら嬉しいの。」

 

そうお願いしてくるなのはに、あたしとアリサはサムズアップで応える。

 

「もちろんOKよ!よろしくね、アリサ。あんたとはいい喧嘩友達になれそうだわ。」

「こっちこそよろしく、リナ。でもあんたと喧嘩しても勝てそうにない気がするのはわたしだけ?」

 

あ、アリサの発言になのはとすずかが頷いてる。あたしって、そんなに強そうに見えるのかな…ま、アリサも友達になって、これまで以上に学校生活が楽しくなりそうね。

 




冒頭に転生者とおぼしきキャラが出ていますが、リナのスリッパ・ストラッシュにより転生プラグを折られたため、モブになりました(笑)。
それでは次回「七、魔法との 不思議な出会い 始まるの」
いよいよ無印×無印編、始まります。
「えっと…リリカルマジカルがんばります!」(BYすずか)
なのは「すずかちゃん上手なの~。」


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無印×2編
七、魔法との 不思議な出会い 始まるの


UA7000越え&お気に入り100件越えありがとうございます!ようやく無印×2編突入しました!本格的に暴れるリナ&なのはにご期待あれ!


SIDE:リナ

朝日が差し込んできて、あたしは眠たい目をこすって目を覚ます。

 

「ふわぁ~よく寝た…って、え!もうこんな時間!?」

 

目覚まし時計をふと見ると、そこには絶望的な数字が…あたしはあわてて学校の制服に着替え、階段を駈け降りる。そしてキッチンにいくと、お母さんがエプロン姿でいた。

 

「あら、リナ。どうしたの、慌てて…」

「何落ち着いてんの!どうして起こして

くんなかったのよ!?」

「あれ?学校今日からだっけ?ごめんごめん、すっかり忘れてたわ。朝ごはんどうする?」

「間に合わないからいらない!いってきまーす!」

 

あたしはそういうと、なのはが待っているであろうバス停へ猛ダッシュで走った。

 

「あ、やっと来たの。リナちゃんおはようなの。」

「…はぁ、はぁ、おは、よう、なのは…

間に合わないかと思ったわ…」

「またお寝坊さんなの?」

「あたしは悪くない!全ては政治のせいよ!」

「それは関係無いと思うの…」

 

とまぁ、2人で出来の悪い掛け合い漫才をやってると、バスが到着する。乗り込むと後部座席からあたしたちを呼ぶ声がする。

「やっほ~!なのは、リナ、こっちこっち!」

 

アリサが自分の座ってる座席のとなりをバンバンと叩きながらあたしとなのはを呼び込む。

「おはよう、アリサ。朝から相変わらず

テンション高いわね…」

「すずかちゃんもおはようなの。」

「おはよう、なのはちゃん、リナちゃん。」

 

あたしとなのはは、アリサとすずかの間の席に座る。

あたし逹4人が友達になって、はや2年が過ぎ、あたし逹は小学3年生になった。

今では4家合同で旅行をするほどの付き合いをしている。

 

「それはそうと、なのはとリナは宿題ちゃんとやってきたの?『将来の夢』の作文…」

 

「当たり前でしょ!ねっ、なのは?」

「もちろんなの!アリサちゃんとすずかちゃんもやってるよね?」

「当然!授業の時に教えてあげるわ、私の壮大な夢をね!」

「皆の夢、楽しみだな~」

 

はは、アリサはいつも自信たっぷりね。

でも、3人共多分予想がつくんだよね…

なのはは翠屋の跡を継ぐんだろうし、アリサはお父さんの事業を手伝いたいって前に聞いた事がある。ああ見えて機械いじりが好きなすずかは工学系の専門職…みんな

しっかりしたビジョンを持ってるわ。

 

そうこうしてる内に、学校にたどり着いて授業が始まった。作文の発表は名前順だから、すぐに順番がきた。

 

「リナちゃん、がんばなの!」

 

なのはの声援を背に受けて、あたしは作文を読み始めた…

 

「…と言うわけで、あたしは将来お父さんに弟子入りして、トレジャーハンターとして世界中を駆け回ることです。以上、

逢魔リナでした。」

 

あたしが発表を終えると、一瞬の静けさの後にあちこちから歓声があがった。そう、これがあたしの今の夢。結局前世と同じ

なのよね…ま、お父さんの影響もあるんだけどね。ちなみになのは逹の夢は予想通りだったわ。

 

時間が過ぎて放課後、あたしたちはみんなと一緒に帰り道。今日はアリサとすずかも歩いて帰るって。アリサが近道を教えて

くれるっていうんで公園の中に入り、池の方へ行くと…

 

「な、なにこれ…」

 

池の周りの施設がボロクソになってた。

 

「ああ、駄目だよ入っちゃ!」

 

近くにいたお巡りさんに注意される。

 

「あ、ごめんなさい!なにかあったんですか?」

「いや、昨日の夜に何者かによってボートが壊されたみたいだね。危ないから離れてて…」

 

いや、何者かがってこんなの人力じゃ無理よ!?それこそ魔法でもないと…って魔法?はは、まさかね…

 

その時、あたしの頭の中に男の子の声が響く。

 

『…お願い…助けて…』

 

今の声は一体…って、なのはが周りをキョロキョロしたかと思うと、突然走り始めた?もしかしてなのはも今の声が?

あたしもなのはを追いかけ、すぐに追い付く。

 

「なのは!なのはも聞こえたの、今の声?」

「うん!リナちゃんも?」

「えぇ、男の子の声で『助けて』って…」

2人で辺りを探すと、草むらの茂みの影になにか転がっている。

 

「これって…フェレット?かな…」

「たぶんね…だいぶ弱ってるわ。お医者さんに見せたほうが…」

 

やがて、アリサとすずかが追いついてきた。

「やっと追いついたわ…ってなに、どーぶつ?」「ケガしてるの?」

「とりあえずお医者さんに連れて行きましょ!」

 

その後、アリサの行き付けの獣医さんに見て貰ったら、弱ってはいるけど命に別状はないって。とりあえず1日預かってもらうことになって、今日は家に帰ることになった。

 

…只今メールで相談中…

なのは:あの子、どうする?

 

アリサ:うちは、犬飼ってるから…

 

すずか:私の家もねこたちいっぱいだし…

なのは:うちも喫茶店だから、ペットは無理だよね…

 

リナ:あたしの家は大丈夫だよ?明日お父さんに聞いてみる。

 

なのは、アリサ、すずか:お願い!

 

はい、メール終了っと…さて、今日のところは、ってまた声が?

 

『聞いてください…僕の声が聞こえる方…力を貸して…お願い…』

 

あの時と同じ声…もしかしてあのフェレットが?すると窓の外から物音がした。

外を覗くと、なのはが外へ飛び出していく所だった。なのはも今の声が聞こえたのね…落ち着いている場合じゃ無いわ!あたしもすぐ追いかけるわよ!

 

 




次回いよいよリナ&なのはが変身、そしてリナのデバイスも初公開!果たして中身は誰なのか…って、みんな予想されてるとは思いますが。
では次回「八、お待ちかね リナとなのはが Set Up!」
それではせーの、「「魔法少女リリカルすれいや~ず!〈無印×2編〉、始まります!!」」 (BYリナ&なのは)


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八、おまちかね リナとなのはが Set Up!

大変長らくお待たせしました。なるだけ
早く更新できるよう頑張ります。


SIDE:なのは

リナちゃん逹とのメール会議が終わって、さぁ寝ようと思ったその時にまたあの声が聞こえてきたの。『お願い、助けて』って…

多分、あのフェレットさんだよね、助けを求めてるのは…なんとなくそう思うから、今私は槙原動物病院に向かって走ってる。もうすぐたどり着く…ってこれは何、何が起きてるの?病院がボロボロになってる…フェレットさんは無事なの?

そんなこと考えてたら、病院の中からフェレットさんが飛び出してきて、わたしに突進してきたの!しかもその後ろから、影の塊みたいな怪物が追いかけてくる~!

とりあえずこのままじゃ危ないから、〈あれ〉を使ってみようかな?神威さん直伝の咸卦法、実戦で使うのは初めてだけど…よし!とにかくやってみるの!

「…左手に魔力…右手に気力…反なる2つの力を束ねて…合成!!」

 

その瞬間、わたしの身体が桜色の光に包まれる。そして身体中から力がみなぎってきたの。よし、これなら!

 

「フェレットさん、こっち!」

 

わたしがそう叫ぶと、フェレットさんはわたしの胸に一直線に飛び込んできた。それをキャッチすると同時に、襲いかかってきた怪物を間一髪かわす。

 

「フェレットさん大丈夫?怪我はない?」「う、うん。僕は大丈…って君、僕が喋れる事をなんで?」

「ほへ?頭の中に呼び掛けてきたの、あなただよね?言葉が理解できるのなら、喋れるかなって…」

「僕の呼び掛けに答えてくれたんだ、ありがとう。ところで君…」「なのはだよ。高町なのはが私の名前。

なのはって呼んで。」

 

私の要望にフェレットさんはうなづく。

 

「うん、じゃあなのは、君には大きな魔力が秘められている。それこそ僕なんか比べようもないほどの…」

「うん、わたしに特殊な力があるのは知ってるの。今もその力でパワーアップしてるし…」

 

わたしの返事にフェレットさんは驚く。

 

「そ、そうなの?それじゃ魔法もつかえるの?!」

「ごめん、今使ってるのは魔法じゃないの。どちらかっていうと、技能〈スキル〉…かな?」

「そうなんだ…とにかく、あいつをどうにかしないと…だから、なのはにこれを託します。受け取って…」

 

フェレットさんはそういうと首輪から赤色の宝石?をわたしの手のひらに置いた。

「これは?」

「これを持って、僕に続いて呪文を唱えて。」「うん、わかったの。」

 

 

『我、使命を受けし者なり。』

「我、使命を受けし者なり。」

 

『契約のもと、その力を解き放て。』

「契約のもと、その力を解き放て。」

 

『風は空に、星は天に。』

「風は空に、星は天に。」

 

『そして不屈の心はこの胸に。この手に魔法を!』

「そして不屈の心はこの胸に。この手に魔法を!」

 

『「レイジングハート、セットアップ!」』

 

その瞬間、わたしの身体が空に浮かび上がり、足元に魔方陣が現れる。と同時に、

手に持った宝石が語りかけてきたの!

 

『はじめまして、新たな使用者さん。』

「は、はい?はじめまして?!」

 

わ~、びっくりした~!

 

『貴女の魔法資質を確認しました。デバイス及び防護服を最適化しますがよろしいですか?』

 

ん~、よくわかんないから…

 

「すべてお願いします!」『了解しました。』

 

次の瞬間、わたしの身体は桜色の光に包まれた。その光が消えた時、わたしは防護服を身に纏い、その左手には魔術師の杖を持っていたの。防護服は、ちょっと学校の制服にも似た白地に青のフレアスカート。

杖は先端にさっきまで持っていた赤い宝石が入ってる。

「成功だ…しかし、とんでもない魔力…」

フェレットさんが何かつぶやいてるみたいだけど、それより…

 

「これから貴女の事はマスターと呼ばせて頂きます。マスター、魔法に関する知識は?」

「全く、全然、ありません!」

「それではお教えします、魔法の全てを。」

「それで、あの怪物は何なの?どうしたら退治できるの?」

 

わたしの問にレイジングハートが答えてくれる。

 

「あれはジュエルシードという魔力を持った結晶体が変位した物です。大変危険な

物ですが、貴女の魔力なら封印できます。」

 

わたしは怪物の攻撃をかわしつつ、レイジングハートの説明を聞く。

「あれを封印する為には、直接触れて封印魔法を使うか、大威力の砲撃魔法を放つかのどちらかです。」

 

う~ん、わたしは運動神経鈍いし砲撃魔法かな?でもどうすれば…って、フェレットさんが怪物に狙われてる!助けにいかないと!

わたしは高速でフェレットさんと怪物の間に回り込むと、両手で杖を前に掲げる。

すると、前方に魔力の盾が現れた。怪物がぶつかってきたけど、魔力の盾はびくともしない。

 

「す、すごい…」

「マスター、左手を前に。迎撃します。」「こ、こう…?」

 

わたしが左手を前に出すと、手のひらに魔力が集まる。

 

『シュートバレット!』

呪文と共に魔力弾が怪物を撃ち抜いた!

撃ち抜かれた怪物は4体に分裂すると、

一目散に逃げ始めたの。

 

「このまま逃がしたら大変な事になるの。追いかけます!フェレットさんはここで待っててなの!」

 

そう言うとわたしは怪物を追い始めたの。

NO SIDE

 

「ち、ちょっと待って!なのは1人じゃいくらなんでも…って、あ~あ、行っちゃった…」

 

フェレットが呼び止める間もなく、なのはは怪物を追って飛び去った。

 

「どうしよう…いくらあの子がすごくても4体同時に封印するのは…」

 

その時、後ろからリナが近づいてきた。

 

SIDE:リナ

なのはを追いかけて槙原動物病院まできたら、病院はボロボロに壊れてるし、かと思えばなのはが得体の知れない怪物とバトル中?しかもなのはのあの格好って、いわゆる魔法少女よね…しかもマジックシールドや

魔力弾もつかってるし。で、分裂して逃げ始めた怪物追っかけてなのは、飛んでっちゃった…

 

「おーい、そこのフェレットくん。一体全体どうなってるの?」

 

とりあえずフェレットに事情を聞いてみる。

 

「えっ!?君誰?君も僕の声が聞こえたの?」

「うん。あたしは逢魔リナ、リナって呼んで。あんた、名前は?」

「あ、ごめんなさい。僕はユーノ・スクライア。ユーノと呼んでください。」

「それじゃユーノ、質問するけど今の怪物何?なのは1人で大丈夫なの?」

 

あたしが質問すると、ユーノは暗い表情になる。

 

「あれはジュエルシードというエネルギー体が暴走、変位した怪物です。なのはには魔法を使う為のデバイス・レイジングハートを渡してあるし、なのはの素質はすごいから危険は少ないと思う。けど…」「けど?」

「いくらなのはが優秀でも、1人じゃ厳しすぎる。せめてもう1人…」

 

ユーノのその言葉にあたしは問いただす。

「…そのデバイスってのはもうないの?

あんたの声が聞こえたって事はあたしにも魔法が使えるってことでしょ?!」

「!!…でも、このデバイスは…」

 

ユーノが言葉を濁したその時、あたしとユーノの頭の中に何処かで聞いた声が響き渡る。

 

『おい、ユーノ!俺をその娘に渡せ!その娘なら俺を使いこなせる!』

「いいのかい?今までそんなこと言わなかったのに…」

『大丈夫だ!さぁ、早く!』

 

ユーノはデバイス?の言葉にうなづくと、首輪についていた、翠色の宝石をくわえてあたしの手のひらに置く。その瞬間、あたしと今の声の主が心でつながる。まさか、これって…

 

『よう、久しぶりだな、リナ。しばらく会わない内に若づくりか?』

『ま、色々あってね…そういうあんたこそなんでそんな事になってるのよ?』

『俺の方も似たようなもんだ。ま、積もる話は後だ。今はお友達をたすけるんだろ?』

 

この声を聞くのも何十年ぶりだろ…ちょっと恭也さんにも似てるかも。

 

『えぇ、起動コードは…いくわよ!』

 

「汝、力を継ぎし者なり…盟約のもと、力を解き放て…理[ことわり]は宙に、輝きは天に…破邪の魂はこの胸に…この手に魔法を!ゼルガディスソウル、セット・アップ!!」

 




リナとなのはのセット・アップ回、いかがだったでしょうか?リナのデバイスの中身はゼルガディスさんでした。彼がどうしてこうなったかは、次回or次々回くらいで…あと、リナのバリアジャケットも次回へ持ち越しです。(期待されてた方ごめんなさい。)
それでは次回、「九、突き進め リナとなのはの 初タッグ」

それじゃ、次回も見てくんないと…
「暴れちゃってもいいの?!」(BYユーノ)


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九、突き進め リナとなのはの 初タッグ

最初にお詫びです。操作ミスにより、設定そのいちが消えてしまいました。新たな設定は無印編終了時ぐらいにまとめて発表したいと思います。どうも申し訳ありません。
さて、いよいよリナとなのはが本格的に始動します。リナのバリアジャケットは果たして…?


SIDE:リナ

 

起動コードを詠唱すると、暗い蒼色の光に包まれ、そして次の瞬間あたしの身体は魔法少女そのものとなった…んだけど…

 

「ふえぇ~!?な、何この格好!」

 

そう、今のあたしの姿はアイドルのステージ衣装そっくり…薄い翠色のフリフリの

ミニスカートで、ポニーテールの髪留めは濃い翠色の大きなリボンに変わってる…

どっかで見たような覚えはあるんだけどなぁ?

 

「ちょっとゼル!この格好は何よ!?もしかしてあんた、こんな趣味してたの!?」「知らん。あくまでお前の深層心理を読み取った結果だ。お前にそんな願望があったとはな…」

「う、嘘…」

ち、ちょっと待って…この格好、どこかで見たような気がすると思ったら、昨日見た歌番組に出てたアイドルの衣装そっくりじゃない!え~と、確か…そうだ、那珂川翔子!!ま、まぁ可愛い衣装だなとは思ったけど…

 

「う~、仕方ない!まぁ動きやすそうだし…」

 

ちなみにゼル(正式名称は長いから短縮!)は短剣になっていた。このぐらいのサイズなら使いやすそうね。

 

「…なのはも凄い魔力だったけど、リナも凄まじい魔力を感じる…これなら何とか

なるかも!それじゃ、魔法の使い方を…」「あ、それなら大丈夫。使い方ならわかるから。」

「えっ…使えるって…」

「そんなことより、肩に乗って!全速力でなのはを追いかけるわよ!」

あたしの言葉に半信半疑ながらも、ユーノは肩に乗ってきた。

 

「久々にいくわよ!翔封界[レイ・ウイング]!」

 

あたしが術を唱えると、身体の周りに風の結界が発生し、空に浮かび上がる。

 

「ユーノ、しっかりつかまってなさいよ!GO!」

 

掛け声と同時に、あたしは高速飛行でなのはの飛んで行った方へ向かう。

 

「リ、リナ、どうして魔法の事を知ってるの?この星には魔法文化はないはずなのに…」

「あ~、ちょっと事情があってね…先に

あの怪物始末して、それから説明するわ。それでいいでしょ?」

「…わかったよ。あ、なのはがいた!

えっ?レイジングハートのあの形状、なのはってあの子…砲撃型!?」

 

ユーノの視線の先を見てみると、なのはが逃げる怪物に向かって砲撃魔法を撃とうとしていた。構えている杖にはトリガーが

付いていて、まるでカノン砲みたい…

 

「封印砲、いっけ~!!」

『ディバインバスター!』

 

なのはの掛け声と同時に、桜色をした4本の直射砲が怪物に襲いかかる。う~ん、

あれはあたしの術の中でも、上位クラスの威力がありそうね…でも!?

 

「外した!?」

 

そう、3匹はヒットして消滅したものの、残る1匹は砲撃を避け、逃亡を続けている。あたしはそれを確認すると、スピードを上げ怪物に急接近すると同時に、術の準備を始める。「なのは、そこ退いて!」

「ふぇ、リ、リナちゃん?その格好は…」「それは後!早く退いて!!」

「は、はぁい!!」

 

あたしの怒鳴り声になのはがあわてて前を開ける。よし、今だ!

 

「吹っ飛べ~!!魔竜烈火咆[ガーヴ・フレア]!!」

 

あたしが呪文を唱えると、手のひらから赤い炎の直射砲が怪物に直撃し、あえなく

怪物は消滅した。そしてその後には…

 

「これは…宝石?」

「そう、これがジュエルシードの本体…

なのは、レイジングハートを宝石にかざして。」

「こ、こう?」

『シリアルナンバー、18・19・20・21、封印します。』

なのはの杖(レイジングハートっていうらしい)に宝石が吸い込まれると同時に、なのはの防護服が解除され、いつもの私服姿に戻る。それじゃ、あたしも…

 

「バリアジャケット、解除。」

 

…これでよし、っと。と思ったらなのはがへたりこんでしまう。まぁ、初めて魔法を使ったんだ、仕方ないか…

 

「大丈夫、なのは?怪我はない?」

「う、うん。わたしは大丈夫…でも、どうしてリナちゃんがここに?」

 

あたしは苦笑いしながらなのはの問に答える。

 

「あたしにも聞こえたのよ、ユーノの声が。」「ユーノ?」

「そのフェレットの名前。それで窓の外を見てみたらなのはが飛び出してくのが見えたから追っかけてきたのよ。」

「そうだったんだ…ありがとう、リナちゃん。」

 

そう言うとなのはは立ち上がる。そこへユーノが話しかけてきた。

 

「2人共ありがとう。おかげでジュエルシードは封印できたよ。ところでリナ、さっきの質問だけど…」

 

うっ、忘れてなかったか…

 

「どうしてリナは、教えてもいない魔法を使えるの?しかも、術式も僕やなのはとは全然違う…これはどういう事なの!?」

「リナちゃん、隠し事は無しだよ…私たち、親友でしょ?」

 

な、なのはまで…

 

「リナ、観念したらどうだ?俺も色々聞きたい事があるしな…」

 

「…え~い、解ったわよ!全部説明するから、この場を離れましょ!人が来たらマズイわ…」

 

やれやれ、とんでもないことになったみたいだわ…

 




…あっ、どうか石をなげないで~!?
ということでリナのバリアジャケットは
『艦これ』の那珂ちゃんの改ニ衣装(色違い)でした。ちなみに那珂川翔子ちゃんは、那珂ちゃんの転生体です。(笑)
那珂ちゃん、夢がかなってよかったですね~。
それでは次回、「十、リナとゼル あんたらどうして こうなった」
「この作品が嫌いになっても、リナちゃんの事は嫌いにならないでください!」
「リ、リナちゃん…(汗)」

(BYリナ&なのは)


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十、リナとゼル あんたらどうして こうなった

今回はタイトルの通り説明回です。少し退屈かもしれませんがお付き合いください。


SIDE:リナ

 

「どう?誰もいない?」

 

キョロキョロ辺りを見回しながらあたしはなのはに尋ねる。

 

「だ、大丈夫だと思うの…」

 

なのはの答えにほっとしたのもつかの間、背後に気配が…!

 

「「こ~ら~!なに夜に外出してるんだ!しかも無断で…」」

 

振り向くと、予想通りお父さんと恭也さんがいい笑顔で立っていた。

 

「ははは…(汗)こ、これはねちょっと事情が…」

 

言い訳しようとしたあたしの胸元からユーノが顔をだす。それに恭也さんの後ろに

いた美由希さんが気づいて抱き上げる。

 

「きゃあ、可愛い!どうしたの、このフェレット?」

 

 

よし、美由希さんナイス!今の内に…

 

「あのお父さん、じつはね…」

 

…いきさつを説明してるからまっててね…

「なるほど、要はそのフェレットをうちで飼いたい、と…別にいいんじゃないか?

なぁ、時雨?」

「えぇ、リナが責任持って飼うんだったらOKよ。」

「ありがとう、お父さん、お母さん!」

 

続けて、なのはが士郎さんにお願いする。

「ねぇお父さん、今日このままリナちゃんの家にお泊まりしていい?このユーノ君の事で相談したい事があって…」

「ん?うちは構わないぞ。なのはちゃん、遠慮せず泊まりな。」

「それならいいが、明日も学校があるんだから、あまり夜更かしするんじゃないぞ。」

「は~い!」

 

これでなのはの方もOKね。とはいえ、あたし達の「O・HA・NA・SHI」は

これからなんだけどね。ハァ…

 

所はかわって、ここはあたしの部屋。今ここにいるのは、あたし、なのは、ユーノの2人+1匹。そしてあたしとなのはのデバイス、レイジングハートとゼルガディスソウル。さて、誰の話から始める、なのは?

「わ、私が決めるの?」

「だってこの中でなのはだけが完全な聞き手だから。」

「…それじゃ、最初にユーノ君に事情を

説明してもらって、その後リナちゃん、かな?」

「…それでいいわ。ただゼル、最後でいいからあんたの事情も説明して。いいわね?」

「…了解した。」

 

あたしは一旦話を止めると、ユーノに話を始めるよう促す。

 

「まずは改めて僕の名前はユーノ・スクライア。管理世界ミッドチルダで考古学を研究してます。」

「え?あんた使い魔なのに考古学なんて難しい事を研究してるの?」

 

ユーノはあたしの疑問に首を傾げ、ポンと手を打つ。

 

「あ、僕は人間ですよ。歳はあなたたちと同じくらいかな?」

 

そっか、人間なんだ。なるほ…ってちょっと待て!ということはつまりさっき…

あることに気付きあたしの頬が赤くなる。

「リナちゃん、どうかしたの?顔真っ赤だよ。」

「…大丈夫よ、話を続けて。」

…ユーノには後で個人的にO・HA・NA・SHIね…

 

「…それで僕はある世界で魔力の結晶、ジュエルシードを発掘してそれを輸送していたのですが、その途中に事故が発生して…後はご存知の通りです…」

「で、ジュエルシードは全部でいくつあるの?」

「ジュエルシードは全部で21個。内回収できたのは僕が回収した1個と、さっき

2人が回収した4個の計5個です。」

 

う~みゅ…まだ1/4って所か…先は長そうね…

 

「あ、あの…さっきは仕方なく力を借りたけど、1週間も休めば回復するからその間だけ…」

「「却下(なの)!」」

 

あ、なのはとハモった。

「ユーノ君、それはだめなの。もうわたしたちはこの事件に関わったんだから、最後までお付き合いするの!」

「そ!それに、こんな面白そうな事黙って見てるなんて、できるわけないじゃん!」

あたしとなのはの言葉に、ユーノは涙ぐみながら頷く。

 

「リナ、なのは…ありがとう。それじゃ、よろしくお願いします。」

「うん、よろしくされたの。じゃ、次は

リナちゃんの番なの。」

 

…さて、何から話すべきか…

 

「えっと、簡単に説明するとあたしには、前世の記憶があるの。」

「「前世の記憶?!」」

「えぇ。その記憶によるとあたしはその世界でも魔導士で、強い力を持っていたわ。でも、より強い力によってこの世界に転生させられた…ってところね。それで…」

あたしは机の上に置いていたゼルを手のひらの上にのせる。

 

「あたしのデバイスの中の人格、ゼルガディスはその当時の旅の仲間…それでいいよね?」

「…あぁ、構わん。」

「でも転生なんて…魔法の存在を知ってなかったら頭大丈夫?ってレベルなの…」

 

うわ~なのはも結構毒舌ね…

 

「ま、そういう訳であたしが教わらなくても魔法が使えたり、その術式が異なるのはその魔法が転生前にあたしが使えたり魔法だから。でも、あの瞬間まで使えなかったのに…」

「あ、それはゼルガディスソウルがリナの術式をミッドチルダ式に変換したんだと

思う。そうだよね?」

 

あたしの疑問にユーノが答え、ゼルも同意する。

 

「あぁ、この世界は俺たちのいた世界より魔力が薄いから、術式が安定するように変換してみた。違和感は無かったか?」

「全然。そっか、ゼルのおかげで魔法が使えるようになったんだ。サンキュー、ゼル。」

「俺はお前を手助けしただけだ。俺は独りではなにもできん…」

 

あたしはそこで疑問をゼルにぶつける。

 

「そこよ!ゼル、あんたどうしてデバイスなんかになってるのよ?一体何があったの?」

「そうか…その辺の事情は説明せんとな。話は少々長くなるかもしれんが…」

「構わないわ。なのはとユーノもいいよね?」

あたしが尋ねると、なのはとユーノは互いにうなずく。それを見てゼルは話し始めた。

 

「お前たちと別れた後、俺は元の身体に戻る術を求めて世界中を駆け回った…」

「あの…ゼルディガスさん…」

「…ゼルガディスだ。呼びにくいならゼルでいい。」

 

あ、なのはが名前間違えた。あたしも最初出会った頃やったなぁ…

 

「すいません…じゃあゼルさん、元の身体ってどういう事ですか?普通の人間とは何か…」

「あぁ、俺は元々普通の人間だった。しかし、とある魔導師の実験によって、岩人形[ロック・ゴーレム]と邪妖精[ブロウ・デーモン]と合成させられ、こんな姿になってしまった…」

ゼルがそういうと翠色の宝珠からホログラムが浮かび上がる。あたしにとっては懐かしいゼルの姿。でもなのはには衝撃的だったみたい…

 

「あ、ごめんなさい…」

「まぁ、いいさ。話を戻すぞ?俺は元に戻る術を探し続けた。しかしそれは見つからないまま、時間だけが過ぎていった…

そして、俺の身体に来たんだよ、限界[リミット]がな。」

「限界?」「あぁ、リナには解るだろうが魔法で造り出した生物、キメラの寿命は

短い。それは俺も例外じゃ無かった…」

 

…あたしも言葉を失う。共に旅をしてた時は彼をキメラなんて思いもしてなかったから…

 

「…あんたも苦労したのね…」

「…まぁ、な。で、身体の限界が近づいた俺は僅かの望みをもって、とある遺跡を探索することにした。そこに禁断の魔導、蘇生と解呪が記された宝珠(オーブ)があると聞いてな。そして宝珠はそこに確かにあった。だがその宝珠にできたのは限定条件付きの蘇生だけで、解呪はできなかった。」

 

そんなことが…でも待って?まだあんたがデバイスになった理由になってないわよ?

「あぁ、簡単な話だ。俺はその宝珠の前で力尽きた。そして次に目覚めたのがついさっきだ。その宝珠になって…」

 

………

 

「え~~~!あんたデバイスに取り込まれたって事?というか、何であの世界にミッドチルダのデバイスがあるの?」

「俺が知るか。ただ倒れた時に声が聞こえたんだ。『生きたいか?』ってな。それに俺は『生きたい。まだ死にたくない。』と答えた。俺の記憶はそこまでだ…」

 

ゼルの呟きに無言となる。あたしとは違うかたちの[転生]…そしてあたしとゼルが異世界で巡り会えた[奇跡]…

 

「でも、リナちゃんとゼルさんが出会えたのは多分運命なの。わたしとリナちゃんが出会ったみたいに…」

 

…うん、そうかもね。なのは、いいこと言うじゃない。

 

「うん。というわけでこれからもよろしくね、ゼル!」

「あぁ、こちらこそだリナ。」

 

さぁ、夜も遅いしそろそろ寝ましょうか?なのはは隣の部屋ね。

「うん。おやすみなさいなの。」

 

おやすみの挨拶をしてなのははでていった。後は…

 

「さぁ、僕も…」「ちょっと待て。」

「な、何リナ?」「ユーノ、あんた何で人間だってこと黙ってたの?!」

 

あたしは寝ようとしていたユーノの首根っこをつまんで持ち上げた。

 

「べ、別に隠してないよ?」

「あたしの胸に潜り込んで黙ってたら、隠してるのと一緒!さぁ、O・HA・NA・SHIしようか?」「NO~!」

 

…その夜、ユーノの悲鳴が響いたとか響かなかったとか…




はい、ユーノ君はとんだとばっちりでしたね…(笑)
次回はいよいよフェイト登場!てわけで

次回!「十一、雷光を 纏いし少女 現れし」

「リリカル…マジカル…頑張ります。(赤面)」
「くくく…あ~おかしい…」
(BYゼルガディス&リナ)


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十一、 ライバルが でてきたけれど あれ何よ?

大変お待たせいたしました。話の前振りが長くなった上に、フェイトの登場が予定と変わったのでサブタイトルが予告と変わりました。ご了承の上お楽しみください。


NO SIDE

 

前日、リナの家にお泊まりして魔法やジュエルシード、リナの前世のことを語り合ったリナとなのは。決意も新たに2人は学校へと向かう。

 

SIDE:なのは

はぁ~昨日はとんでもない1日だったの。フェレットを拾って病院に預けたらその夜に病院が謎の怪物に襲われ半壊、その上にわたしとリナちゃんはまさかの魔法少女デビュー!?…どこのB級深夜アニメなの。

でも、これは現実。その証拠にわたしの胸にはレイジングハートが、リナちゃんの胸にはゼルさんことゼルガディスソウルが待機状態のペンダントとして光ってる。

 

聖祥小は私学のせいか校則が比較的甘いから、これくらいのアクセサリーは普通なの。それはそうとリナちゃん、なんだか眠そうだけどあれからすぐに寝なかったの?

 

「あ~、あれからゼルと話し込んじゃって…前世の共通の知り合いの話とかね。」

「そっか、久しぶりに会ったんだもんね。どれくらい会ってなかったの?」

「そうね…前世と今を合わせて、かれこれ100年ぶり…いや、それ以上かも。」

「ひ、100年って…リナちゃんって前世でいくつまで生きたの?」

「150歳だったかな?たくさんの孫たちにかこまれて幸せな人生だったわ。」

 

150歳って…ってことはもしかしてわたし、いままで相当生意気な口きいてた!?

「あ~大丈夫よ。転生してからあたし、だいぶ精神的に子供化?してるみたいだから。なのはやアリサ、すずか逹に影響受けてるみたいね。」

「は~よかったの、リナちゃんが気にしてなくて。それはそうと、今朝ユーノ君起きてこなかったんだけど。リナちゃんなにか…ひぃ!?」

 

ユーノ君のこと尋ねようと思ったら、リナちゃんからどす黒いオーラが?!でも顔が真っ赤なんだけど…

 

「…ユーノは昨夜あたしとO・HA・NA・SHIしたから起きてこなかったの。

 

そうなの?それならいいんだけど…あっ、バスもう来てるの!

 

「いけない!なのは、走るわよ!」

 

そう言うとリナちゃんはバス停へ駆け出した。わたしも慌てて追いかけたの。

学校へたどり着いたわたし達が教室に入ると、アリサちゃんとすずかちゃんはもう来てたの。

 

「あっ、なのは!例の話聞いた?」

「えっ、例の話って何?」

「槙原動物病院が昨夜めちゃくちゃに壊されたんだって。私たちが助けたフェレットが

心配だから帰りに見に行こうと思うの。」

すずかちゃんの言葉にわたしの表情が少し強張る。あれは私達のせいじゃないからね…?!

 

「あ~心配いらないわよ。あたしとなのはが昨夜散歩してたら、偶然逃げてきたあの子を発見してさ。今は家に保護してるわ。ね、なのは?」

「う、うん、そうなの。名前もユーノって決まったの。」

 

どう誤魔化そうと思ったらリナちゃんが

うまく説明してくれたの。うん、嘘はいってないの…

 

「そうなの?!それはまた凄いタイミングね…ま、無事なら良かったわ。」

「本当、リナちゃんの家なら安心ね。ユーノ君が落ち着いたらまた遊びにいくね?」

2人共納得したところで授業開始のチャイム…私たちは自分の席に座る。わたしは授業を受けながらレイジングハートと念話で会話する。

『聞こえますか、マスター?』

 

『うん、聞こえるよ。』

 

『マスター、貴女には優れた魔法の才能があります。経験無しであれだけの砲撃魔法を使われたのは、歴代のマスターでも貴女が初めてです…』

 

『そんな…それはレイジングハートが優秀だからだよ。わたしだけじゃ…』

『私はデバイス、貴女が魔法を使えるよう導くことはできますが、貴女というマスターがいなければただの道具に過ぎません。』

 

『う~ん、じゃレイジングハート、わたしを導いて。わたしはもっと強くなりたい。ユーノ君のお手伝いはもちろんだけど、

かけがえのない家族や友達を守れるように魔法を覚えたいの!』

 

『貴女がそれを望むなら。』

 

『うん、よろしくなの。』

 

早速、明日から早朝トレにメニュー追加なの!リナちゃんも誘って…

 

『まぁ、あたしは基礎トレよりも何が出来るのか確認しないとね?』

 

リ、リナちゃん、聞いてたの?!

『あたしの場合、なのはとは違って昔使えた呪文を試してみる、って感じかな?

昨日も2つ使ってみて使えたし、色々試してみたいんだ。』

 

『じゃ、リナちゃんも一緒に早朝トレするって事で!』『OK!』

 

キンコン カンコーン…

 

あれ、気がついたら1時間目の授業が終わっちゃったの…でも念話しながらでもノートは書いてるし先生の話も聞いてたよ?

これ、並列思考[マルチタスク]っていって魔法を使う時に重要なんだって。

明日から魔法のトレーニング、リナちゃんと2人で頑張るの!

 

 

日付は変わって、ここは家の近所にある裏山。ここだったら誰にも邪魔されないの。リナちゃんとユーノ君は少し離れたところで呪文の確認作業中。ユーノ君が結界を

張ってくれてるから、環境には心配ないんだけど…

 

「レイジングハート、あれって…」

 

『…マスター、見ない事にしましょう。

リナさんの能力は私にも理解不能です…

それより私たちも始めましょう。」

 

そ、そうだね?私たちは基礎トレから頑張るの!

 

NO SIDE

 

なのはとレイジングハートが基礎トレーニングを始めた頃、リナはゼルガディスの協力の元、自らの呪文の確認に勤しんでいた。その様子をユーノは側で呆然と眺めていた。

 

SIDE:リナ

 

「獣王操牙弾[ゼラス・ブリット]!」

 

あたしの呪文が発動すると、一筋の光弾が綺麗な線を描いて大岩に当たり、弾けとんだ。

「これでほとんどの呪文をチェック終了。問題はなかったんじゃないか、リナ?」

 

ゼルの問いかけにあたしは答えず首を傾げる。

 

「う~ん…これって一体…」

「どうした、リナ?」

「こないだあたし、ジュエルシードの異相体を倒した時に思わず魔竜烈火咆[ガーヴ・フレア]唱えたんだけど、よく考えてみるとガーヴって滅んだはずだから使えないはずなのよ…だけど普通に発動した…それどころか冥王降魔陣[ラグナ・ブラスト]も…

どうして滅んだはずの魔族の力が使えるのかてんで解らないのよ…」

「なるほど…でも、問題なく使えるのならいいと思うがな?」

「まぁね…ま、いずれ解ると思うけど。それじゃ、あと1つだけ試して今日はおしまい!最後は神滅斬[ラグナ・ブレード]いってみようか?」

 

そう、ラストに試すのはあたしの中に眠っている[金色の魔王]の力を使い、虚無の刃を具現化させる術・神滅斬。現状あたしの最強呪文だと思う。

 

「…天空のいましめ解き放たれし…」

 

あ、ちなみに今回は不完全バージョン。

朝からガス欠にはなりたくないし、試すだけだからね。

 

「…凍れる黒き虚無の刃よ…

我が力 我が身となりて

共に滅びの道を歩まん

神々の魂すらも打ち砕き!!」

呪文の詠唱と同時にゼルの刃先に虚無の刃が具現化する。長さはショートソードぐらい。うーん、まだ成長途上だしこんなもんかな?

 

「な、何それ!?ものすごい魔力の圧縮率…」

 

ふふっ、ユーノも驚いてるみたい。それじゃいくわよ!

 

「ラグナ・ブレード!!」

 

ゼルから放たれた漆黒の刃は正面の大岩を一刀両断!でもその瞬間に身体を気だるさが襲う。

 

「だ、大丈夫、リナ?」

「…大丈夫よ、ユーノ。久しぶりに使ったからね…」

 

あ~やっぱりこの呪文、魔力消費が半端じゃないわ。1回の戦闘で使えるのは1度だけね…あ、なのはもこっちに来た。

 

「リナちゃん、今の魔法凄すぎるの!わたしもあんな魔法使いたいな~」

「マスターとリナさんでは魔法の資質が

違うので…でも射撃・砲撃魔法だったら

いずれひけをとらなくなりますよ。」

「ほんと!?それじゃ、わたしもっともっと頑張るの!」

 

はは…なのはは元気ね。あたしも魔法を

覚えた頃はあんな感じだったのかな?

 

「それじゃ、今朝はこれくらいにしましょうか?ユーノ、結界解除お願い。」

「うん、わかったよ。結界解除!」

 

ユーノの声と共に結界が解除されていく。と同時に…これは!?

 

「ジュエルシードの反応だ!それもこんな近くに?」

「早速実戦なの!リナちゃん、行こう!」「えぇ、なのは!ゼルガディスソウル…」「レイジングハート…」

 

「「セットアップ!!」」

 

 

NO SIDE

 

2人はバリアジャケットに身を包み、それぞれのデバイスを構えると、反応のあった方向へ向かう。

 

「2人共気をつけて!今度の異相体は何か他の物に憑依してるみたいだ!」

「えっ、それって強いの?」

 

なのはの問いにユーノがうなづいて肯定する。

 

やがて、反応のあった地点にたどりついた2人(+1匹)は、見てはいけない物を見てしまう。

 

「「「うっあ~あれはないわ…」」」

 

そこに繰り広げられていたのは、豹に翼の生えた怪物と九尾の狐の怪物、そしてその2匹を相手にしていたのは鎌型のデバイスを構えた金髪ツインテールの美少女。本来なら絵になる構図である。

 

…少女が纏っているバリアジャケットが…[ふぇいと]と胸に書かれたスク水じゃなければ…

 




…はい、フェイトちゃん登場ですがまさかこんなことになるとは…一言でいいますと全てはお母さんのせいです!決してフェイトちゃんの趣味じゃありません!
というわけで(どういうわけだ?)
次回、「十二、黒き種 巡り対する 三つ巴」
そ、それじゃ、次回も見てくれないと…
あ、あばれちゃう…ぞ?

「なに、この可愛い生物…」
(BYフェイト&リナ)


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十二、黒き種 巡り対する 三つ巴

大変長らく御無沙汰になりました。文章が全く思い付かずこんなに間が開いてしまいました…では、なのはとフェイトのグダグダ劇(笑い)ご覧ください。


SIDE:フェイト

 

わたし、フェイト・テスタロッサは不幸な子だった。母・プレシアからは役立たずと罵られ、理解者だった母の使い魔・リニスは姿を消した。自分専用のデバイス・バルディッシュと使い魔のアルフは側にいてくれるけど、わたしは常に孤独感を感じていた…

 

つい先日までは。

 

突然、母さんの態度が変わったのだ。

 

「フェイト、今までごめんなさい。わたしはやっと気づいたの、貴女がわたしにとって大切な娘ということに…」

 

母さんはそういうとわたしを抱きしめてくれた。わたしの眼から涙がこぼれた。

 

「母さん…母さん…!」

「あぁ、私を母と呼んでくれるのね、嬉しいわ…」

どうして母さんが変わったのか解らないし何か思惑があるのかもしれない。実際、

アルフは今でも疑っている。

 

でもわたしは母さんが優しく接してくれる今が幸せなんだ。この時が永久に続けば…と思うぐらい。

 

だから、母さんがわたしとアルフに、管理外世界に散らばったジュエルシードの探索を指示された時も嬉しかった。母さんが

わたしを頼ってくれてるんだから…

 

 

もっとも、不安がない訳じゃない。母さんは近頃突然、高笑いをするようになった。「ほーほっほっほっほっほっ!」と高笑いしている母さんははっきりいって怖い。

 

それはまだいい。わたしが唯一母さんに

対して困っているのは服装の趣味だ。

以前着ていた魔導師のローブもあんまり

好きじゃなかったけど、今の母さんが身につけているのは所謂ビキニアーマー。それもショルダーガード付きって、一体どこの悪役?

 

それにも増して近頃は、わたしやアルフにまでそれを強要する始末。アルフは断固

拒否してるみたいだけど、わたしが断って母さんが悲しい顔をしたら嫌だから、

「せめてもう少し地味なのを…」

って頼んだらわざわざ母さんが管理外世界の書物を調べて「これよ!」と用意してくれたのが今着てるバリアジャケット。

まぁこれだったら元々のと似てるし、母さんがわたしのために用意してくれたんだから恥ずかしくないよね?

わたしはそう考えていた。ついさっきまで…

 

管理外世界・地球に降りたって数日、ついに最初の反応を見つけた。アルフに結界の展開を任せて、わたしはジュエルシードの異相体と対峙する。翼の生えた黒豹型と、たくさん尻尾の生えた狐型…うわぁ、2匹同時はきついかな…

 

そう考えていたら、誰かこっちに向かってくる。白いフレアスカートのバリアジャケットを身に纏ったツインテールの女の子と翠色のバリアジャケットを纏ったポニーテールの女の子…ポニーテールの子の肩には使い魔かな?フェレットが乗ってる。この世界には魔導師はいないって聞いてたけど…

彼女たちはわたしの手前で立ち止まってこっちを見てる。でも…何?!あの子達の「可哀想な物を見てしまった…」感じの生暖かい視線は!?……ま、まさかわたし?

そ、そんなこと無いよね?そんなこと…

聞いてみようかな…よ、よし!

 

「あ、あの… 」

 

 

SIDE:リナ

 

あたしたちが反応のあった場所に辿り着くと、そこには2匹の怪物と対峙する金髪ツインテールの美少女がいた。大きな鎌型のデバイスを構えたその姿はとても凛々しい…はずなのに…その身に纏うのが何故スクール水着…?

 

「リ、リナちゃん…」

「皆まで言わないで…なんなのよ、あの娘…」

 

あたしたちが呆気にとられてると、あたしたちの視線に気がついたのかこちらに振り向いた。その途端顔を赤らめ、もじもじし始める。…何、この可愛い生物は…

あたしは思わず抱きしめてほおずりしたくなったわ。隣を見ればなのはも目をキラキラさせてる。

 

「あ、あの…」

 

そう思ってたら向こうから話しかけてきた。

 

「わたしの格好って…」

 

彼女がこちらに気をとられていると、その隙を狙って翼豹と九尾の狐がこっちを襲ってきた。

 

「話は後!翼豹はあたしがなんとかするからなのはとえ~と…名前はふぇいとでいいの?」

「…フェイト・テスタロッサ。フェイトでいいよ。」

「じゃフェイトはなのはと組んで狐の方をお願い!なのはも頼んだよ!」

「う、うん!」「…解った。」

 

2人は頷くと翼豹の方へ向かっていった。「さて、あんたの相手はあたしよ、覚悟しなさい!」

あたしはゼルを構えて翼豹と相対した。

 

 

SIDE:なのは

 

は~なんか分からないうちに金髪の子とタッグを組むことになっちゃったの。

 

「…えっと、なのはだっけ?名前…」

「う、うん!高町なのはだよ。なのはって呼んで。」

「じゃなのは、射撃魔法は使える?」

「大丈夫だよ。フェイト…ちゃん。」

 

名前フェイトちゃんでよかったよね?間違えてないよね?

 

「それじゃ射撃魔法であの魔獣を牽制して。隙を狙ってわたしが封印する。」

「うん、解ったの。」

わたしの魔法で牽制に使えそうなのは…

よし!いくよ!

「いっけ~、ディバインシューター!」

 

わたしが呪文を唱えると目前に魔法弾が現れ、翼豹に向かって飛んでいく。もちろん相手は避けるけど数発連発すれば…

 

ドガン!

 

ドガガン!

 

えっ、まさかの全弾命中!?なんかわたしの魔法を見た途端、動きが止まったような気が…とにかく、今がチャンス!

 

「ジュエルシード、封印!」

 

すかさずフェイトちゃんが間を詰め、大鎌型のデバイスで狐を切り裂く。同時に大爆発が起き、爆煙の後に残ったのは封印されたジュエルシード。それと…あれは子狐?しかも空に浮いてる?何で?

 

「マスター、落ち着いてください。あれはどうやら魔法生物の類いみたいです。敵意はないみたいですが…」

『なのは、後ろ!』「ほぇ?」

 

突然頭に響いた声に振り向くと、フェイトちゃんが大鎌で斬りかかろうとしていた。わたしは咄嗟にラウンドシールドを展開して受けとめる。

 

「フェイトちゃん、何でこんなことするの?」

「母さんがそれを必要としてるから…なのはたちには悪いけど、ジュエルシードは

わたしが貰う!邪魔するなら痛い目みるよ…」

 

う!フェイトちゃん本気なの?でも、ジュエルシードはユーノ君が見つけた物だから渡すわけにはいかないの!

 

『大丈夫、なのは?』

 

わたしの側にさっきの子狐ちゃんが寄ってきた。あの声、あなただったんだ…

「うん、大丈夫。さっきはありがとね。」『気にしなくていいよ。それより久し振りだね、なのは…僕のこと、おぼえてない?』

 

ほぇ?わたし狐に知り合いなんて…えっ?ちょっと待って!もしかして幼い頃に神社でよく遊んでた…?

 

「もしかして君…[くおん]?」

『そうだよ。思い出してくれた?まぁ、話したい事はたくさんあるけど、まずはあの金髪の子をなんとかしないとね。手伝うよなのは。』

「…!うん!」

 

わたしは頷くと、ディバインシューターを展開してフェイトちゃんに向かっていく。くおんもフェイトちゃんの周りを飛び回ってくれてるから、狙いが定められないみたい。

「フェイトちゃん、力になれるなら協力するからO・HA・NA・SHIしない?

悪いようにはしないから…」

「…嫌だ。なのは、ものすごく怒ってる、よね…?」

 

…そりゃ、いきなり理由もなく襲いかかられたら誰だって怒るよね。だからこそ理由が知りたいの!

 

「フェイトちゃんはどうしてジュエルシードが必要なの?ちゃんと説明もしないで

渡せるわけないよ!」

「それは…」「フェイト、話す必要なんてないよ!」

 

むぅ、もう少しで話してくれそうだったのに…誰かな余計な事するのは!

 

「アルフ…」「お前らこそフェイトの邪魔をするな!こいつはもらってくぜ!」

あ!わたしたちが話してる隙に犬耳、犬尻尾をつけたオレンジ髪のお姉さんに封印したジュエルシードをとられちゃったの!

 

「フェイト、仲間と合流されたら面倒だ!今日の所はこれ1つだけで引こう。あんたらもあんまり調子に乗ってるとガブッっていっちゃうよ?」

 

あぁ、フェイトちゃんと犬耳お姉さんが離れていく…でもこれだけはいっておかないと!

 

「フェイトちゃん!」「…何?」

「…そのスクール水着はないと思うの…

フェイトちゃんの趣味なら仕方ないけど…」

 

………

 

「う、それは…やっぱり、変?」

「うん、変だよ。フェイトちゃん可愛いのに勿体ないの。」

わたしの返事に、フェイトちゃんは何故か顔を赤らめ、俯いてしまったの。

 

「………!」

 

あ、姿が消えちゃった…多分瞬間移動でもしたのかな?

 

「フ、フェイト?!おい、あのバリアジャケットは鬼婆の趣味でフェイトはあんな服着たくないんだからな!次に会うときはちゃんとしたのを着せてくるから驚くな!」

………シュン!!

 

…犬耳お姉さんもどこかにいっちゃった。鬼婆ってフェイトちゃんのお母さんなのかな?今度会ったら聞いてみよ。それより、リナちゃんの方は?…

 

『なのは、あれを見て!あれってなのはの友達なんでしょ?』

 

くおんの視線を辿ると、その先にはリナちゃんが翼豹を撃ち落とした所だった。さすがリナちゃん!

 

『どうやら、大丈夫みたいだね。ありがとう、なのは。おかげで助かったよ。お礼といっちゃなんだけど、僕を君の使い魔にしてほしいんだ。』

「えっ?…うん、こちらこそよろしくなの !!」

 

くおんの願いにわたしは笑顔で答える。

 

「それじゃ、リナちゃんと合流…ってあれ?何だか様子がおかしいの…」

 

猫を抱き抱えて狼狽えてるリナちゃんと、ユーノ君…まだトラブルは終わらないみたいだね…




はい、みての通り次回に引っ張ってしまいました…文才がないのが辛いです。
それでは次回「十三、助けたい 瀕死の子猫 どうしても」

「リリカルマジカル頑張るにゃん!」
(BYヌ〇ヌ〇)


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十三、助けたい 瀕死の子猫 どうしても

今回から登場する子猫は某猫型アンドロイドと同名ですが、転生体ではなく名前と中の人繋がりだけです。(笑)ただ、猫モードの時の毛色が解らないのでご存知の方は教えて頂けると幸いです。


(時は少しさかのぼる…)

 

SIDE:リナ

 

さ~て、なのはとフェイトも始めたみたいだし、あたしもバトル開始といきますか…まずは、あの魔獣の動きを止める!

 

「氷の矢[フリーズ・アロー]!」

 

あたしの詠唱と同時に無数の氷の矢が魔獣を襲う。魔獣は高速機動で避けようとするけど、避けきれず何発か被弾し動きが鈍くなる。

 

「ゼル、一気にいくわよ!」

『了解した。ゼルガディス・ソウル、フロウブレイクモードに移行。』

 

ゼルの声と共に短剣型のデバイスが翠色に光を纏う。これってもしかして?

 

『あぁ、いわゆる封印属性を付加するモードだ。後は好きにやってくれ。』

う~みゅ、なかなかやるわねゼルの奴…

でもそういえば、前世でも魔力付加の術とか使ってたっけ。

 

「それじゃ、覚悟なさい!烈閃槍[エルメキア・ランス]!」

 

呪文と共に、魔力光と同じ濃蒼の光の槍が魔獣を撃ち抜き、地面に激突!大爆発を

起こす。

 

「よっしゃ~、一丁上がり!あたしにかかればこんなもんよ。」

『相変わらずだな、リナ…素体の動物は

大丈夫なのか?』

 

もう、ゼルも心配性ね…それも考慮して、精神にダメージを与えるエルメキア・ランスを使ったんだから、ほら…ってあれ?

 

爆煙が消えたその跡には、封印されたジュエルシード。それは予定通りなんだけど…その傍らに小さな子猫が横たわっていた。子猫は身動き一つしない。そんな…嘘でしょ?どうして?

「こら、確りしなさい!目を醒ましてよ!起きなさいってば!!」

『リナ、落ち着け!ユーノ、これはいったいどうなってるんだ?非殺傷設定で撃ったのに何故?!』

 

ユーノは子猫の状態を見て、状況を説明する。

 

「…多分、リナの魔力が強すぎて子猫が耐えられなかったんだと思う。いくら非殺傷設定とは言っても、衝撃によるダメージは受けてしまうから…」

「そんな…それじゃこの子は…」

 

あたしの呟きにユーノは、悲痛な表情で首を横に振る。

 

「…このままじゃ長くはもたない。どうしたら…」

「…そうだ!治癒[リカバリィ]で回復すれば…」

『ダメだリナ。復活[リザレクション]ならともかく、リカバリィじゃ…』

それじゃどうすればいいの?どうすればこの子は助かるのよ…

 

「リナちゃん!」

 

あ、なのはがこっちに飛んできた。後ろには3本の尻尾が生えた子狐…あれってもしかして、妖狐?父さんから話は聞いたことあるけど、見るのは初めて…

 

でも、一緒にいたはずのフェイトがいない…?

 

「ユーノ君ごめん、フェイトちゃんにジュエルシード持っていかれちゃった…でも、くおんを助ける事ができたの!」

「くおんってその子?」

「うん!今日からわたしの使い魔さんなの!」

 

その時、なのはの話を聞いていたユーノが大きな声をあげる。

 

「そうか!!その手があった!!」

び、びっくりした…何よいきなり?

 

「リナ、1つだけあるよ、その子を助ける方法…その子をリナの使い魔にするんだ。そうすれば、リナの魔力で生命を維持できる。」

「使い魔?どうすれば使い魔にできるの?早く教えなさいよ!!」

「わ、わかったからそんなに揺すらないで?!」

 

あ、ごめん。それより方法!!

 

「今は時間がないから、仮契約でいくよ。術式はゼルの中にあるから後はリナがその子に触れて契約を望めばいい。ただその子に名前をつけてあげて。」

 

名前か…触れてみるとまだ体は温かい。温かい…よし、この子の名前は!

 

『我、汝と使い魔の契約を結ぶ。汝が名はヌクヌクなり。お願い、還ってきてヌクヌク!』

 

あたしの契約と共に子猫があたしの魔力光で包まれる。やがて…

 

「あ、呼吸が強くなってきた。直に目も覚ますとおもうよ。」

「ありがとうユーノ!あんたがいなかったら…」

「でもこれは仮契約だからヌクヌクの体調が戻ったらちゃんとした契約を結ぼう。

それまでに契約内容を決めておいて。」

 

契約内容か…ちゃんと考えておかないとね…

 

『ん~よくねた~』

 

お?ヌクヌクが目を醒ましたみたいね。

きょとんとした表情でこっちを見て、あたしと視線が重なる。

 

『あ、お姉ちゃんがあたしのマスターだね。あたしはヌクヌク、素敵な名前をくれてありがと~』

「ううん、あたしこそごめんね。魔法、痛かったでしょ?それとあたしの事はリナって呼んで。いい?」

『うん、よろしく、リナ!』

 

はは、ヌクヌクが元気になって本当によかったわ…なのはも、くおんっていう使い魔ができたみたいだし賑やかになりそう。

 

あ…でもお父さんにどうやって説明しようかな…ついこの間ユーノ連れてきたところだし…ま、なんとかなるか!




なかなか本筋の話が進まない…文才がない我が身ですけど頑張ります。
それでは次回、「十四、夜の街 2度目のバトル 雷光と」
それじゃ、次回も見てくれないと…
「暴れるよ?」「…くおんって、僕っ娘だったの?!」(BYくおん&なのは)


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十四、夜の街 2度目のバトル 雷光と(前編)

今回は初の前後編になります。それでは、どうぞ!
追伸:今回から設定を復活していきます。


SIDE:なのは

この間の遭遇戦から1週間、色々な出来事があったの。

あの後、くおんをうちに連れて帰ったら

お父さんが、

 

「その狐は妖狐だね?どうしてなのはが連れているんだい?」って…

 

ふぇ?どうしてくおんが妖狐って判ったのお父さん?!

 

「尻尾が3本ある狐なんて普通居ないよ?それに妖力が感じられたから…」

 

はぁ…前々から思っていたけど、うちのお父さんは何者なの?!というよりお兄ちゃんもお姉ちゃんも能力的に人外だし、お母さんはその高町家の頂点にいるからね?!魔法が使えるわたしが普通に思えてしまうの…。

 

で、くおんの一件からわたしが魔法少女になった事が家族にばれてしまったの。

もっとも、皆普通に受け入れてくれたけどね。その上でお父さんからは、

 

「1度やり始めた事は最後までやり通しなさい。お父さんがいえるのはそれだけだよ。」

 

お母さんからは、

 

「決して無理しないで、必ず無事に帰ってきて。みんな、なのはの事信じてるから…。」

 

って言われたの。ちなみにリナちゃんの家も魔法の事がばれたみたい。で、ヌクヌクは無事飼ってもらえるらしいんだけど、

ユーノ君は神威さんの部屋に移されたみたい。何でだろ?

 

それからわたしとリナちゃんはさらなる特訓を始めたの。ジュエルシードの回収、それに新たに現れたフェイトちゃんとその使い魔さん…問題は山積みだから強くなるのに越したことはないの。

そういうことで今日はリナちゃんとヌクヌクの本契約の日!ヌクヌクの体調が戻ってから、ということで今日になりました。

 

ここは高町家の道場。ここにいるのはリナちゃんとヌクヌク、わたしとくおん、それにユーノ君。

 

「それじゃ、契約の儀式をはじめるよ。

まずヌクヌクは人型に変身してくれる?」

 

ユーノ君の言葉にヌクヌクが頷き目をつぶる。すると全身がリナちゃんの魔力光、暗めの蒼色に輝く。そして光が消えた後には見た目5歳ぐらいの可愛らしい女の子が!

赤い髪の毛はポニーテールというかちょんまげ?にくくられ、服装はリナちゃんの

バリアジャケットの色違いで翠の部分が

オレンジなの。なんかリナちゃんの妹みたい。

 

「よし、それじゃ誓いの言葉を…まずは

リナ、君から。」

 

リナちゃんは頷くと誓約の呪文を詠唱し始めたの。

 

「…汝 使い魔ヌクヌク 主・リナとの契約の元、以下の誓約を守るべし…」

「その身体に宿りし自由気儘な魂の望むまま、願わくば互いの命尽きるまで共に生きん…」

 

ユーノ君はリナちゃんの誓いに続けて、ヌクヌクを促す。

 

「ヌクヌク、続けて。」

「ん~、よくわかんないけど、あたしは

リナとずっと一緒!!」

 

「「使い魔ヌクヌク(主リナ)、今ここに契約を結ばん…!!」」

 

2人が手を繋ぎ、誓いの言葉を結ぶと全身が暗く蒼い魔力光に包まれ、契約が完了したの。見た目的にはあまり変わんないけど…。

 

「結構変わってるよ?一番違うのはヌクヌクがリナとある程度だけど似た呪文が使えるようになったことかな?」

「ま、勉強しだいだけどね、ヌクヌク?」「ヌクヌク、がんぱる~!!」

 

ははは、仲いいね2人とも…。あ、ちなみにわたしとくおんは、もう契約済み。

なんでも、出会ったときに結ばれてたらしいの。

 

「さて、それじゃ今日は塾もない事だし、ジュエルシード探しにいくわよ、ユーノ、ヌクヌク!!」

「うん、判ったよリナ。」「ヌクヌクもがんばる~!」

それじゃわたし達も手分けして探そう。

行くよ、くおん!!

 

 

SIDE:リナ

 

それからあたしとなのははジュエルシードを求めて海鳴の街を探索した。でも反応はあるんだけど発動してないから…

 

「う~ん、この辺りだと思うんだけどなぁ…」

 

やっぱり発動してないと感知魔法でも判別しずらいみたい。辺りも暗くなってきたみたいだし、どうするユーノ?

 

『僕はもう少し探してみるよ。リナ達は家に帰って。』

 

あ、そう?あんた1人で大丈夫?鴉とかに食べられないようにね?!

 

『…ありがと、心配してくれてるんだ。』「そ、そんなんじゃないわよ?!行くならさっさと行きなさい!」

『うん、それじゃまた後で。』

 

…行ったか。ユーノの奴、たまにドキッとする事いうのよね…あたしが意識し過ぎなんだろうけど。

 

『リナちゃん、ジュエルシード見つかった?』

『なのは?!…ううん、だめ。なのははどう?』

『こっちも見つからないの…。今日は帰ろうか?』

 

…どうやら向こうも駄目みたいね。仕方ない、今日のところは…

 

ヴォン!!!

 

…これってジュエルシードの反応?!でも今のって…

 

『リナ?!』

『ユーノ?!今のって…』

『誰かがジュエルシードを強制発動させたんだ!そんなことしたら何が起きるか解らないのに…』

『多分、あのフェイトって娘じゃないの?兎に角封印するわよ。』

『解った。辺りに広域結界をはったから

魔法使っても大丈夫だよ。』

 

OK!それじゃ行くわよ!!

 

「ゼルガディス・ソウル、セット・アップ!!」

 

あたしはバリアジャケットを身に纏うと、翔封界[レイ・ウイング]を使い現場に向かう。

 

現場に着くと交差点のど真ん中に発動したジュエルシードが!さっそく封印を…

 

「邪魔だぁー!」

 

おぁ、なんか突っ込んできた?!犬耳と尻尾を着けた、オレンジ色の髪の毛のお姉さん…あんた何者?

 

「あのお姉さん、ヌクヌクとおなじ。つかいまだよ。」

ヌクヌク!ということは…

 

「あんた、フェイトの使い魔ね!」

「そうだよ?そういえばあんたと面あわせるのは初めてだね?わたしの名前はアルフ。フェイトの邪魔は許さないよ!!」

 

「…へぇ、犬っころごときがあたしを止めようって?あたしをなめるんじゃないわよ!」

「…!!わたしは犬じゃない、狼だ~!!馬鹿にするなら容赦しないよ!」

 

わ~怒ってる怒ってる。でもこれは厄介ね。なんとかしないとフェイトにジュエルシードを…

 

『リナちゃん!!ジュエルシードとフェイトちゃんは、わたしとくおんに任せて!!リナちゃんはその犬耳お姉さんを…』

 

「だから犬じゃない、っていってるだろ!まったくどいつもこいつも…」

『OK、なのは!!この犬耳お姉さんはあたしに任せて、あんたはフェイトをやっちゃいなさい。…全力全壊でね!!」

『うん!!』

 

さ~て、というわけであんたはあたしが止めるわよ。覚悟はいい?

 

「いきなり火炎球[ファイア・ボール]!」

あたしの放った火炎球はギリギリのところでアルフに避けられた。

 

「へん!!そんな呪文効かないよ!!」

「そう?それじゃこれならどう!」

 

あたしが手をあげると避けられた火炎球がアルフの頭上へと移動する。

 

「…ブレイク!!」

 

あたしの掛け声で火炎球が弾けて、アルフの頭上から降り注いだ。

 

「うぉっ?!」

 

ふふっ、慌ててるわね。でもほとんどかわしちゃったか…さすが狼、動きは速いわね。なのは、こっちはあたしとヌクヌクに任せなさい!あんたはフェイトと思う存分ぶつかって!!

 

 

SIDE:なのは

 

…たった今、リナちゃんからエールをうけた気がしたの。

 

「何、突然?」

「なんでもないよ、くおん。なんとなくだから。」

 

そんなことをいいながらジュエルシードの反応に向かって翔んでいると…いた!!

 

「フェイトちゃん!!」

「!!」

 

フェイトちゃんも今来たみたい。どうやら間に合ったみたいだね。

 

この間着ていたスクール水着じゃなく、どちらかと言うと競泳用?でもあれだったらスピード型のフェイトちゃんにあってると思うの!

 

「あっ、なのは…だったよね。」

「うん!!フェイトちゃん、そのバリアジャケット似合ってるよ。絶対そっちの方がいいの!」

「あ、ありがとう…じゃなくて!!ジュエルシードは渡さないよ。」

「それはわたしも一緒なの!!この間は

引き分けだったけど、今日は負けない!」

さぁ、バトル開始だよ!




はい、後編でいよいよバトル開始です。
なのはとフェイトの戦いの行方は?
では次回、「十五、夜の街 2度目のバトル 雷光と(後編)」
それじゃ…「リリカル、マジカル、がんばるぞ~!」(BYアルフ)


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十五、夜の街 2度目のバトル 雷光と(後編)

いよいよなのはとフェイトのバトル開始です。戦闘の描写は難しい…でも、頑張ります!


SIDE:フェイト

 

ジュエルシードを私の魔力で強制発動させたら、予想通りあの娘たちが現れた。

 

ポニーテールの娘はアルフが抑えてくれてるから、あの白いバリアジャケットを着た娘と狐型の使い魔がこっちに来た。たしかなのはって言ったよね、あの娘…

 

「フェイトちゃん!!」

「あっ、なのは…だよね。」

 

だったよね?間違いないよね?

 

「うん!!フェイトちゃん、そのバリアジャケット似合ってるよ。絶対そっちの方がいいの!」

「あ、ありがとう…」

 

この間は酷評されたバリアジャケット、

今回はほめてもらえたのは嬉しい…だけど!

「ジュエルシードは渡さないよ。」

「それはわたしも一緒なの!!この間は

引き分けだったけど、今日は負けない!」

 

なのはがそう言うと、その周辺に魔力弾が形成される。…って、何でそんなにたくさんあるの?10個以上あるよ?

 

「いくよ、ディバインシューター!」

 

なのはがこっちに接近しつつ、デバイスを振りかざすと魔力弾が一斉に襲いかかってきた。

 

「確かに数は増えたけどこれぐらい…えっ、嘘!」

 

なのはの放った魔力弾はなんと誘導弾。予測できなかった攻撃にわたしは動きを止めてシールドで防御する。

 

「はや~、全部防がれちゃったか…でも、まだまだ!」

 

なのはの声に私の背後から気配を感じて、とっさに避けると火炎弾が飛んできた。

振り向くとそこには狐の耳と尻尾をつけた女の子が!

 

「なのはの使い魔…2対1はずるくないかな?」

「ずるくない!わたしはまだ魔法初心者だし、フェイトちゃんも使い魔さん乱入したよね?」

 

そうだった…って魔法初心者?!その割には進歩が半端ないような気が…

 

私がそんな事を考えていると、なのはが

話しかけてきた。

 

「ねぇフェイトちゃん、もう1度お話しない?ちゃんと話し合えばいい方法が見つかると思うの。」

 

話し合い…でも、私たちには時間がないんだ。だからなのは、君に勝ってジュエルシードは貰っていくよ。

「バルディッシュ。」

『イエス、サー。グレイブフォームに移行。』

 

私の愛機、バルディッシュが槍状形態・グレイブフォームに変形する。それと同時に私の周囲に光弾・フォトンランサーが出現した。

 

「いくよなのは!ここからはずっと私の

ターン!!」

 

私はなのは逹に突撃しつつ、無数のフォトンランサーを放つ。使い魔の方は身軽に

避けたけど、なのはは避けきれずラウンドシールドを張って防御した。

 

だけど私にとっては今がチャンス!そのままバルディッシュの刃先に魔力を集中してなのはに突っ込んだ。このままシールドを突き破れば…

 

「…かかったね、フェイトちゃん。」

「…えっ?!」

 

!これは?刃先がシールドに…もしかしてシールドバインド?!

 

「ユーノ君に教わっていて良かったの。

フェイトちゃんはわたしより速いから掻き回されたらヤバかったんだ。」

 

だからってシールドバインドなんて普通

考えつかないよ?!本当になのはって魔法初心者?

 

「それじゃいくよ?ディバイィィィーン……」

 

…慌ててる場合じゃない!早くシールドを展開!!

 

「バスタァァー!!」

 

シールドを展開したと同時になのはの砲撃魔法が襲いかかる。必死に抵抗してると

バインドが弛んだ。その隙をついて回避に成功したけど、結構ダメージ貰ったみたい…

「えーっ!削りきれなかった?」

「でもダメージは与えたみたいだから…

もうちょっとだよ、なのは。」

 

冗談じゃない!あんなの何発もくらったらKOだよ…どうにかしないと…

 

その時、宙に浮いていたジュエルシードが激しく反応し始める。これってまさか次元震?駄目だ、私もなのは逹も避けられない…!

 

ドッガーン!!

 

「うわっ!」「「きゃあ!!」」

 

次元震の威力は凄まじく、私達3人は簡単に弾きとばされた。なのはの使い魔は地面に叩きつけられて気を失ったみたい。

 

私となのはも衝撃を受けた影響でデバイスもバリアジャケットもボロボロ…。もう

戦闘はできそうにない。

 

「ごめんね、バルディッシュ。戻って…」「イエス、サー。」

 

バルディッシュを待機モードに戻し、ジュエルシードの方を見ると少し離れた所で、なのはが片方の膝をついて大きく息をついてる。その手にはデバイスは握られていないから、私と同じように待機モードにしたのかな?

 

それより早くジュエルシードを封印しないと大変な事に!でもバルディッシュは使えないから…こうなったら!

 

わたしはジュエルシードに近づくと両手に魔力を集めて包み込んだ。その途端、その手が千切れそうな痛みに襲われる。

 

『フェイト、無茶だよ!危ない!!』

 

アルフが気付いたのか念話で話しかけてきた。うん、それはわかってる。けど、これしか方法が…

 

「フェイトちゃん!」

 

えっ?いつの間にかなのはが私の手の上から魔力を籠めた両手を重ねてくれてる。

でも、そんなことしたら…

 

ピシッ!

 

「…い、痛っ!」

 

やっぱり…なのは、気持ちは嬉しいけど…

 

「なのは、もうやめて。傷つくのは私だけでいいよ…」

「それはダメ!フェイトちゃんの為だけ

じゃない、わたしがやりたいからやるの!」

 

あぁ…なんてこの子はこんなに真っ直ぐなんだろう。でもこのままじゃ2人共…

その時、新たな声が…

 

『なにやってんのよ、そこの馬鹿2人!』

 

SIDE:リナ

 

あのアルフっていう使い魔と戦ってたら

何か凄い魔力を感じた。慌てていってみたら、壊滅的な街の真ん中で暴走寸前のジュエルシードをなのはとフェイトが…素手で封印?!

 

あの2人、無茶にも程があるわよ!早速、封印砲撃で…

 

「ちょっと待て、リナ。」

「何よゼル。何か問題でも?」

「大有りだ!今の状態で砲撃なんかぶちこんだら2人を捲き込むぞ?」

 

…それもそうか。でもどうしたら…

 

そうだ!もしかしたら!

 

「ねぇ、ゼル?あんた、アメリアの使ってた呪文って使える?」

「アメリアの?まぁ、ある程度なら…そうか、そういうことか!」

 

そういうことよ。それじゃ、2人を助けにいくわよ。「翔封界[レイ・ウイング]!」

あたしは2人に近寄るととりあえず…

 

『なにやってんのよ、そこの馬鹿2人!』『にゃ、リナちゃん?』『…リナ?』

 

一言文句を言ってから2人の両手を取り、呪文を詠唱する。

 

「霊王結魔弾[ヴィスファランク]!」

 

…前世のあたしの仲間の1人、アメリアが使っていた、魔力付与の呪文。

あたしは使ったことがなかったけど、似た呪文を使っていたゼルなら…

 

「これは…魔力付与?これなら…いける!」

 

2人の両手が赤く輝き、ジュエルシードを包み込んだ。そして…

 

「と、止まった…?!」「やったの!!」「やったの、じやないわよこの馬鹿!」

 

あたしはどこからともなく取り出したスリッパでなのはの頭をはたく。

 

「にゃ~?!」

 

まったく…心配かけんじゃないわよ。

 

「それはあんたも同じよ、フェイト。」

「えっ?それって…」「フェイト!」

 

ほら、アルフが飛びついてきた。使い魔に心配かけちゃ…ね。

 

「ごめんね、アルフ…」

「いいよ、もう…今日はもう帰ろう。あんたらも今回は助かったよ。ありがとう…」「別にいいわよ、あんたらを助けた訳じゃないから。」

それはそうと、封印したジュエルシードはどうしよう?

 

「それはあんたらに預けとくよ。また近いうちにお互いにジュエルシードをかけて

勝負だ!」

「あ、そう?そんじゃま、預かっとくわ。」

 

それじゃフェイトもお大事に、ね。

 

「今日は本当にありがとう。それじゃ、また…」

 

フェイトはアルフに背負われたままそう言って、姿を消した。多分転送魔法だろう。

「さて、と…なのは、私達も帰るわよ。

さっさとくおん起こしてらっしゃい!」

「あ~!くおんの事すっかり忘れてたの!くおん~」

 

…行っちゃった。と言うか今から帰ったらまたお父さんに大目玉だわ。

 

「まぁ、なんとかなるんじゃないかな。

事情を説明すれば。」

 

まぁね…ってユーノあんたいたんだ…

 

「それは何気に酷いよリナ?!」




この作品のなのはは、たくさんの優秀なコーチ(現時点でリナ、ユーノ、レイジングハート、神威)に恵まれているので、恐ろしく成長度合いが速いです。フェイトは
ライバルとなり得るのだろうか…?
それでは次回、「十六、尾行する アリサとすずか 見たものは」
それじゃ、「次回も見てくれねえと…」
「暴れますわよ!!」
(BYフレ〇〇アイ〇&〇ノー〇〇イト)


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十六、尾行する アリサとすずか 見たものは

最近気づきましたがUA20000&お気に入り200超え有り難うございます!!
駄文&遅文な拙作にお付き合いしてくださる皆様に感謝です!




SIDE:アリサ

 

…怪しい。実に怪しい。

 

「何をそんなに考え込んでるの、アリサちゃん?」

「決まってるじゃないすずか、なのはとリナよ。なのはは学校来ても心ここにあらず、って感じでぼーとしてる事が多いし、

授業が終わったらすぐに帰っちゃうし…」「そういえばリナちゃんも近頃付き合い悪いなぁ…塾のときは一緒だけど。」

 

でしょ?!なんか2人して隠し事してるのバレバレなんだよね。

 

「私達親友なんだから悩みがあるんだったら言ってくれたらいいのに…なんかムカつくわ!」

「アリサちゃんの言い分もわかるけど…

だめだよ、怒っちゃ…」

 

すずかがなだめてくれるけど、わたしの怒りは収まらない。

 

「わかってるわよ!わかってるけど何もできなくても一緒に悩んであげることぐらい!」

 

わたしのぼやきにすずかはくすっと笑った。

 

「やっぱりアリサちゃんも大事なんだね、2人の事。」

「当たり前じゃない!あの子たちがいたから、4人は親友になれたんだから。すずかもそうでしょ?」

「うん、2人がいなかったら、私達友達ですらなかったと思う。」

 

そういうとわたしとすずかは、帰ろうと

してたリナとなのはに近寄り話しかけた。

「リナ、なのは!」「今から帰るの?」

 

わたし達の声に2人が振り向く。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん…ごめん、今日も用事が…」

「悪いわね2人とも。それじゃ行くわよ、なのは!」

「うん!それじゃ、また明日!!」

 

………行っちゃった………

 

あぁ、もぉ!ここんとこずっとこれよ!

 

「どうする、アリサちゃん…?」

「どうするもこうするも…帰ろうか?

鮫島がもうすぐ迎えに来るから送るわ。」

それからしばらくして、お迎えのリムジンの後部座席からぼ~っと眺めてると…

 

あれって、リナとなのは?2人とも自転車に乗って、猛スピードで何処かへ向かってる。しかもなのはの前かごには子狐のくおんが、リナの前かごには子猫のヌクヌク、肩にはユーノが乗ってる…何か怪しいわね……

「鮫島!あの2人を尾行して!絶対ばれないようにね!」「お任せください。」

 

2人はわたし達の車には気づかず、どんどん郊外の方へと向かっていく。

 

「アリサちゃん、2人何処へ行くのかな?あんなに急いで…」

「わかんないわ…あ、あんなとこで…」

 

2人が止まったのは郊外にある倉庫街。

人気はまったくない。2人は自転車を止めさらに奥へと進んでいく。

 

「わたし達も後を追うわよ!鮫島はここで待ってて、何かあったら携帯で連絡するわ!!」

「判りました。お気をつけて…」

「ま、待ってよアリサちゃん?!」

 

わたしとすずかも車を降り、リナ達の後を追う。

2人は広場になっている所で立ち止まる。わたしたちは物陰に隠れて様子を伺う。

 

「いるんでしょ?でてきなさいよ、フェイト!」

 

フェイト?フェイトって誰?

 

「…なのは達も気づいたんだ、ジュエルシードの反応…でもこれは譲れないよ?」

 

そう言って反対側の物陰から出てきたのは金髪をツインテールにした、黒のワンピースを着た少女。歳はわたし達と同じくらいかな?その後ろにはオレンジ色の髪の毛のお姉さん…

 

「この間の事は感謝してるけど、私達にも事情があるんだ…だから…」

 

あの金髪の娘がフェイトって子らしいわね…でもまた解らない単語が…ジュエルシードって?

「アリサちゃん、あれ…」「えっ…?」

 

すずかが指差す方を見ると、なのはとフェイトのちょうど中間点ぐらいに、鈍い光を放つ宝石みたいな石が…あれがジュエルシードか…

 

でもなんでなのは達やフェイトはあんなの集めてるの?ますますワケわかんないんだけど…

 

「待って、フェイトちゃん!わたし達は

お話したいだけなの!フェイトちゃん達が何をしたいのか、どうしてジュエルシードが必要なのか、何にも解らないまま戦うなんてできないよ…」

「なのは………、ごめんね、それは話せないんだ。ただ言えることは…!」

 

なのはの問いかけにフェイトは拒否の意志を示し、右手を前にかざす。するとフェイトの全身が金色の光を放ち、そして…

「えっ、あれなによ…?」

 

光が消えたあと、そこにはワンピース型の水着にスカートとマントをまとい、右手に斧の形をした杖を持ったフェイトがいた。

「私達は戦うしかない、ってこと。」

「フェイトちゃん…でも!」

「残念だけど、あたし達も譲れないんだ。だから勝負よ、フェイト!」

「リナちゃん…うん、わかったの!」

 

なのはの決意の言葉をきっかけになのはは桜色の、リナは暗い蒼色の光をまとう。

え、まさか、嘘でしょ?!

 

光が消えると、そこには2人の魔法少女がいた。なのははうちの制服に似た白と青のローブに身を包み、その左手には魔導師の杖を持ってる。

リナはと言うと、翠色したアイドルのステージ衣装風のワンピース。右手には短剣を持ってる。

 

「…アリサちゃん、わたし達夢でも見てるのかな?」

「…すずか、残念だけど現実よ…」

 

「ヌクヌク、くおん、お願い!!」

 

なのはの声にヌクヌクとくおんも光を放つ…ってもしかして?…やっぱり…。

 

予想通り、ヌクヌクはリナと色違いの衣装を着た幼女、くおんも巫女風の服を着た

少女に変身した。因みにどっちも可愛い。

なのはとリナ、フェイトはそれぞれ得物を構え、臨戦態勢に入る。ヌクヌクとくおん、フェイトの連れの女性も身構えた。

そして双方が動こうとした瞬間…

「どちらも、そこまでだ!!」

 

どこからともなく声がしたかと思えば、

なのはとフェイトの間に黒いローブを着た男の子が現れ、それと同時になのは達全員が魔力で拘束された…

 

「時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。ジュエルシードの事について、事情を聞きたい。」

 

時空管理局?また解らない単語がでてきたわ…もう、どうなってるのよ?!

 

「管理局…フェイト、撤退するよ!」

 

1人離れていて難を逃れたオレンジ髪の

お姉さんが魔法の弾を連発してクロノと名乗った少年を攻撃してきた。

 

「…くっ?!」

 

クロノはバリアみたいな魔法でそれを防ぐけど、お姉さんはお構い無しにどんどん打ち込み続ける。するとフェイトの拘束がほどけた。

 

土煙が立ち上がる中、フェイトは転がっているジュエルシードを確保しようと駆けていく。でもその時、土煙の中から…

 

「やらせるか!スティンガー!」

 

クロノが放った魔法弾がフェイトに命中!フェイトはその場に倒れ込んでしまう。

 

「フェイト?!しっかりして!!」

 

お姉さんがあわてて駆け寄り、フェイトを抱き抱える。どうやら気を失ってるみたいね。

 

クロノは2人に近づくと杖をかまえ、魔力を貯める。

 

「だめ~っ!!」

 

その時、拘束されたままのなのはが、クロノに声をかけた。

「だめ、撃っちゃだめなの!!」

 

まったく…なのはったら、自分たちも拘束されてるのに人の心配?!相変わらずお人好しなんだから…

 

でもクロノが声に気をとられた隙に、お姉さんはフェイトを抱き抱えたまま高く飛び上がり…空中で消えた?!…そっか、ワープしたんだ。

 

「アリサちゃん適応力高くない?!」

 

諦めなさいすずか、慣れないとやってらんないわ…。

 

「…逃がしたか…まぁ仕方ないか。君たちには話を…」

「お断りよ(なの)。」「えっ?!」

 

あはは、リナとなのはも相当怒ってるわね…。

 

「人が真剣に向き合おうとしてる時に勝手に乱入してきて、拘束したあげくに話を

聞かせろ?!ふざけてんじゃないわよ!」

『はい、そこまでよ。』

 

…?! 女の人の声と共になのは達の目の前にホログラフスクリーンが現れ、女性の映像が浮かび上がる。

 

『…時空管理局、次元航行艦アースラ艦長リンディ・ハラオウンです。ごめんなさいね、うちのクロノが迷惑かけて…』

 

ハラオウン?…と言うことはクロノのお姉…

 

「母さ…、艦長!!」

 

なん…だと?今クロノ「母さん」って言いかけてたよね?クロノの母親だと?!

あんた一体何歳よ?!桃子さんといい、

アンチエイジングし過ぎじゃない?

 

『今の言動は此方に非があった事はお詫びします。その上で貴女たちにこれまでの経緯を尋ねたいの。こちらへ席を用意するから来ていただけないかしら?』

 

「それは任意ですか、強制ですか?」

 

リンディの提案にリナは嫌味たっぷりで

返す。

 

『任意だけど、来てもらえると嬉しいかな?ぶっちゃけ言うと、魔法文化が無いはずのこの世界にこれだけ優秀な魔導師が居るのが驚きなのよ。

それに貴女たちの知らない情報も教えて

あげられると思うけど?』

 

リナは少し考えると、頷いて答える。

 

「…解りました。なのはも、ユーノもいいわね?」

「リナちゃんが行くならわたしもいくの。」

「僕も同行するよ。僕らの中で管理局の事を知ってるのは僕だけだからね。」

 

ユーノもしゃべった?!もう何でもありね…。

 

『有り難う。それではクロノ、彼女たちを案内してあげて。そこに隠れてるお嬢さんたちも一緒にね。』

「…了解。…こそこそせずに、そろそろ出てきたらどうだ?」

 

えっ、どうしてばれてるの?…まぁ、いっか、隠れてるのも疲れたし。

 

わたしとすずかは両手をあげながら、なのは達の前に姿を現す。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん?!」

「…まったく気づかなかったわ…」

「ごめん、帰り道の途中で見かけたから、気になって…」

 

わたしの言葉にリナは軽くため息をつく。

「まぁ、ばれちゃ仕方ないか。この際、アリサ達にも付き合ってもらうわよ?」

 

望むところよ!アースラだろうがなんだろうが何処へでもいってやるわ!!

…でもその前に鮫島に連絡だけさせてね、心配するから…

 




とうとう魔法の世界に巻き込まれたアリサ&すずか、彼女たちを待ち受けているものは?一方、リナの重要な秘密も明かされるかも…

それでは次回、「十七、明かされる 不思議なリナの その力」

それでは…
「リリカル、マジカル、頑張ります…」
「硬すぎるわよ、クロノ…リラックス、リラックス!」
「性分です。放っといてください…」
(BYクロノ&リンディ)


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十七、明かされる リナの不思議な その力

今回、リナの能力の一端が明かされます。話がまとまってないと感じたらごめんなさい。ではどうぞ!


NO SIDE

 

時空管理局の次元航行艦・アースラの艦長リンディに招待されたリナ、なのは、アリサ、すずか、そしてユーノと使い魔2匹。

 

執務官のクロノに案内され、リンディの待つ応接室へと向かっていた。

 

SIDE:リナ

 

は~、どこかのSF映画も真っ青ね、こりや…なのは達もキョロキョロしながら歩いてるし。

 

「あ~、リナとなのはだったか?もうすぐ応接室に着くから、武装解除してもらえるか?」

 

えっ、武装解除って…あっバリアジャケットのこと?確かに戦いにいくわけじゃないしね…んっと、これでいい?

 

あたしとなのははバリアジャケットを解除して制服姿になる。「それとユーノ、君もだ。その姿は本来の姿じゃないだろう?」

「…あぁ、そういえばそうだね。それじゃ…」

 

ユーノはそう答えると、身体から緑色の魔力光を放つ。そして光が消えた時そこにはあたしらと同じぐらいの男の子が立っていた。髪は淡い金髪で、少し華奢に見えるがよく見ると洗練された体つきだ。

 

「みんなの前でこの身体になるのは初めてかな?」

 

ユーノはそう言うとこっちを振り向く。

その視線は優しく、あたしはある人物を意識してしまった。そう、前世でパートナーだった、アイツのことを…

 

「リナちゃん、どうしたの?顔が赤いよ?」

 

「な、なんでもないわよ!それより早く

艦長室に行くわよ?!」

あたしは照れ隠しに大声をあげた。

 

「…?変なリナちゃん。」

「…なのはも結構鈍感ね…」

 

アリサとすずかが勝手に盛り上がってるけどスルーの方向で。

 

「…着いたぞ。ここが応接室だ。」

 

クロノが立ち止まった目の前には、大きな扉が…さぁ、艦長さんのお出ましね。

 

「クロノです。入ります。」

 

扉が開くと、そこには…

 

「「「「「なん…だと?!」」」」」

 

開いた扉のその先に広がっていたのは、

何故か純和風の日本庭園だった。

 

近未来の艦船の中に何故に日本庭園?理解に苦しむわ…。後、鹿威しは室内にあるべき物じゃないから!!

 

「ようこそアースラへ。改めまして艦長のリンディ・ハラオウンです。よろしくね。まずはお名前聞かせてもらえるかしら?」

 

「…逢魔リナ、9歳です。」

「高町なのは、同じく9歳です!」

「…アリサ・バニングス、9歳よ…」

「月村すずか、9歳です。よろしくお願いします。」

「ユーノ・スクライア、9歳。僕だけは

ミッドチルダの出身です。」

 

リンディさんはあたし達の自己紹介に頷くと、ユーノから事情聴取を始めた。

でも、あたしの意識は違うところへ向かっていた。

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

「あら、何かしら?」

「今飲まれている飲物は何ですか?」

「?緑茶よ?この星の飲み物でしょう?」

…だよね。あたしの見間違いじゃ無いよね?!

 

「…で、その緑茶に今何を?」

「…角砂糖。」

 

…しかも8つ位入ってるよね、それ…

 

「普通緑茶に砂糖は入らないってしってます?」

「…だってこれ、苦いんですもの…」

 

…ブチッ!!

 

「だったら苦くない飲み物飲みなさいよ!その飲み方は日本人に対する冒涜よ!!」

気がつくとあたしの右手にはダ○ソーの

スリッパが握られ、リンディさんの頭を

はたいていた。

 

「か、母さん?!何をしているんだ君は?公務執行妨害…」

「やかましい!砂糖入りの緑茶を飲むのは公務じゃないわ!クロノ、あんた母親の

味覚について変と思わないの?!」

「それは残念だと思う。」

「クロノ酷い?!」

 

まぁそんなことはさておき、そのあとユーノから事情を確認したリンディさんは、

納得した表情で話しかけてきた。

 

「…なるほど、よく解りました。でも自分が紛失してしまったジュエルシードを

どうにか探したい気持ちはわかるけど、

やっぱり危険だわ。」

「君たちも見ただろう?たった1つのジュエルシードでもあれだけの次元震だ。ましてや複数を同時に封印なんて危険すぎる。」

 

クロノが続けてジュエルシードの危険性を語る。確かにジュエルシードは危険な存在だわ。でも…

「貴女たちの努力は認めますが、此処から先は我々時空管理局が回収を…」

「ちょっと待って…。」

 

リンディさんが話をまとめようとするのをあたしは止めた。

 

「リンディさん、あたし達を舐めてないですか?あたし達はユーノからジュエルシードの危険性を聞いたその上で探索に協力してるんです。」

「リナちゃんの言う通りなの。それにフェイトちゃんの事もあるし、わたし達このまま手伝わせてください。」

「リナ、なのは…ありがとう…」

 

リンディさんはあたし達の決意を聞くと、1つため息をついて、

 

「…仕方ありませんね。それじゃ、民間協力者の形で手伝ってもらいます。」

「艦長?!本気ですか?」

「私としても、あなたという切り札は隠しておきたいのよクロノ。その代わり、条件を幾つかだします。1つ目に、私達時空管理局の指示に従うこと。2つ目に、貴女たちの魔力量と魔導師ランクを測定させてほしいの。よろしいかしら?」

 

あたしはリンディさんの提案に少し考えて答える。

 

「…指示には従いますが、フェイトに関してはこちらに任せてもらえませんか?

あの子悪い子じゃないと思うんです。

測定は逆にこちらからお願いしたい位です。」

 

そこでアリサが口を挟む。

 

「その測定っての、わたしとすずかもうけていい?リナとなのはが使えるんだったらわたし達だって!」

「…そうだな。物は試しということもあるし、4人とも受けてもらうか。」

 

へぇー、アリサ達も調べるんだ。これは楽しみね。

 

それから1時間後、測定結果が出たみたいなんだけど…どうしたのクロノ?腑に落ちない顔してるけど…

 

「本当にこの世界には魔法文化はないのか?…測定結果からいえば、4人とも魔力の源であるリンカーコアを所持してる。

しかも魔力量が並外れてるんだ…。因みにユーノの魔力量はAランク、これはミッドチルダにおいても平均以上なんだが…。」

クロノは一旦言葉を濁し、話を続ける。

 

「君たちは全員それ以上なんだ。アリサとすずかはAAランク、なのははAAAランク。リナ、君に至ってはSーだ。全員スカウトしたいぐらいだよ…。」

呆れた表情のクロノ。さらにリンディさんが話を続ける。

 

「更に見てほしいものがあるの。例の写真を出して。」

 

映し出されたのは、レントゲン写真みたいな映像。違うのは胸の真ん中にクリスタルに似た結晶があること。

 

「これがリンカーコア、魔力の源よ。この写真はユーノ君のもので、まぁ普通のリンカーコアね。で、次が…」

 

映像が変わって、2枚の写真になる。リンカーコアが赤と青の光を放ってる…

 

「これはアリサさんとすずかさんのもの。赤と青に輝いてるのは、彼女たちが変換資質を持っているから。」

「変換資質?何それ?」

「赤い方がアリサさんで炎熱系の、青い方がすずかさんで氷結系の魔力に変換されるの。アリサさんは物を燃やす力、すずかさんは物を凍らす力ってことね。かなりの

レア能力よ。」

「やった!」

 

ははっ、アリサ嬉しそうね。で、なのはとあたしは?

 

「…次はなのはさんよ。白く輝いてるのは変換資質じゃなくて、単に魔力量が多いから。ただなのはさんの魔力光はピンクなのに白い光なのがね…」

「そしてリナ、これが君のリンカーコアだ。」

 

どれどれ…ん?な、なんじゃこりゃ~!

 

金色に輝くリンカーコアはなのは達よりも1周り大きい。でもそれ以上に異様なのは、その周りに小さな4つのリンカーコアがあること。小さなコアはそれぞれ、黒・蒼・赭・白に輝いている…って、この組み合わせどこかで…

 

「う~ん、何処だったかな…どこかで見たような気が…」

あれ?すずかも?すずかが何で?

 

やがてリンディさんが問い質してきた。

 

「リナさん、単刀直入に聞くわ。貴女は

何者なの。リンカーコアもそうだけど、

貴女の使ってる呪文の術式も見たことないものだわ。正直に答えてくれる?」

 

はぁ、やっぱりそうなりますか…どうしようかな…?

 

「リナちゃん、全部話そ?きっと皆わかってくれるよ?」

 

なのは…そうね、話しちゃいますか!

 

「解りました。でも今から話す事はすべて真実です。実はあたし…前世の記憶があるんです。」

「「「「!!!!」」」」

 

やっぱり驚いてるわね…まぁ普通はそうよね。さぁ、どう説明しようかな…

 

「あ、あのリナちゃん?!」

「…何、すずか?」

「もしかしてリナちゃんの前世って…」

 

「あのリナ・インバースだったり…するのかな?」

 

……………

 

「え~~~っ?!すずか、何であたしの

前世での名前を知ってるの?まさかあんたも転生者?」

 

ほんと、意外な相手から意外な答えが出てきたわ、これ…

 

「どういうこと、すずかさん!詳しく説明してちょうだい!」

「…リナちゃんが前世で名乗ってたリナ・インバースというのは、この世界でしばらく前に流行ったライトノベル「スレイヤーズ!」シリーズの主人公の名前です。」

「…つまり、なりきりってこと?」

 

アリサの質問にすずかは首を横に振る。

 

「ううん、リナちゃんは本当にリナ・インバースの転生者だと思います。さっき見たリナちゃんのリンカーコア、あれって真ん中のコアは[金色の魔王]、廻りのコアは多分四界の王…だよね?」

 

…………!そうだ、あれはあたしが前世でルークを倒した時に体内に取り込んだ

魔血玉[デモン・ブラッド]!まさかこんな形で…

 

「それにしても、小説の主人公が転生なんて…それこそ小説そのものだぞ?!」

「まぁそれでもリナさんが他の人とあまりにも違うのはそういうことにしておきましょう。クロノ、念のため次元外世界にリナさんの世界が存在しないか調べておいてちょうだい。」

「…了解しました。」

 

…すんません、お手数かけます…

 

「それはそうとして、アリサさんとすずかさんのデバイスを用意しないとね。簡易デバイスだったらすぐ用意できるけど…」

「…!そうだ、確か保管庫に炎熱系と氷結系のインテリジェントデバイスが…適応するか確認してみよう。」

「えっ、わたし達のデバイス?」

「楽しみだね、アリサちゃん!」

 

どうやら、アリサ達にも相棒ができるみたいね。どんなデバイスなのかたのしみだわ!




リナがこの世界で前世の魔法を使えるのはこの世界に原作[作者→神○一氏]が存在
するため、スィーフィード界(リナの前世の世界)の記憶の全てが存在するためです。
すずかは読書好きなので、ライトノベルは網羅しています。意見あるかたもいらっしゃるとは思いますがご了承の程を…

それでは次回、「十八、よろしくね 炎の瞳と 白い雪」

それじゃ、次回も見てくんないと…
「暴れちゃうよ?今回出番なかったし…」(BYエィミィ)


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十八、よろしくね 炎の瞳と 白い雪

今回はタイトル通り、アリサ達のデバイスの御披露目回です。あと最後のグダグダは気にしないで下さい。




NO SIDE

 

リナ、なのはと一緒に魔力測定を受けた

アリサとすずか。高い魔力値と希少なレアスキルがある事がわかり、クロノとリンディからインテリジェントデバイスを提供される事に…

 

SIDE:リナ

 

あたし達が待機している応接室(日本庭園)に、時空管理局の制服を着た10代半ばの少女が入ってきた。

 

「頼まれたデバイスお持ちしました~。」「ありがとうエイミィ。…紹介しておくわ。エイミィ・リミエッタ、このアースラのオペレーターよ。」

「エイミィ・リミエッタです。よろしくね!」

 

こちらこそよろしく…って持ってきたそれが2人のデバイス?赤い宝石が付いた腕輪と青い宝石の付いた指輪…

「腕輪がアリサさん、指輪がすずかさんのデバイスよ。手にとって力を込めてみて。適正があればデバイスが答えてくれるはずよ。」

「「はい。」」

 

2人はそれぞれのデバイスを手に取ると、目を閉じて力を込める。

 

するとデバイスが光り輝き…

 

『おぅ!嬢ちゃんが俺のマスターかい?!』

『はじめまして。貴女が私のマスターですわね。』

 

どうやらアリサのが親分肌の男性型、すずかのが令嬢っぽい女性型みたいね。

 

「よろしく、アリサ・バニングスよ。」

「わたしは月村すずか、よろしくね。

それであなた達の名前は?」

 

『…実は俺たちには名前がないんだ。』

『ですから、私達に名前を頂けるかしら?』

 

デバイス達の要望に、アリサとすずかは

首をひねって考えた。いい名前思いついた?

 

「そうね…決めた!あんたの名前は[フレイムアイズ]よ!!頼りにしてるわよ!」

『フレイムアイズ…炎の瞳か、気に入ったぜ!これからよろしく頼むぜ、アリサ!』

 

「貴女の名前は…[スノーホワイト]なんてどうかな?私の好きな童話からもらったんだけど…。」

『スノーホワイト…白雪姫からですわね。素敵な名前をありがとう、スズカ。』

 

はは、早速お互い仲良くなれたようね。

…っと、いけない、もうこんな時間?!

「リンディさん、今日のところはこれで

解散していいですか?」

「あら、もうそんな時間?送るのはあの

倉庫街でいいのかしら?」

 

はい、自転車をおいているので…アリサ達は?

 

「わたし達もあそこでいいわよ。鮫島に

待機してもらってるから。」

 

 

「それじゃ、こちらで反応があったらすぐ連絡するわ。これからお互い協力して頑張りましょう。」

 

倉庫街に転送してもらったあたし達は現地で解散する事にした。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん、ごめんね巻き込んで…」

「別にいいわよ。それに何か面白そうじゃない?」

「そうだよなのはちゃん。それに今まで

何も手助け出来なくてもやもやしてたから…」

「2人とも…ありがとね。あ、そうだ!

今度の日曜日、あたし達魔法の特訓するんだけど一緒に…」

「「する!!」」

 

OK、それじゃジュエルシードの探索に

フェイトの件、色々あるけど頑張っていくぞ~!!

 

 

NO SIDE

 

時は流れて日曜日。アリサとすずかを含めた4人は特訓を始めた。

 

「まずはじめにセットアップしてみようか?自分の防護服(バリアジャケット)をイメージしながら「セットアップ!」と唱えてみて?」

 

「ん、わかったわ。いくわよ、フレイムアイズ!」『おうよ!』

「お願い、スノーホワイト!」『いきますわよ!』

 

「「セットアップ!」」

 

掛け声と共に2人の身体がそれぞれの魔力光に包まれバリアジャケットを形成する。

アリサは赤を基調としたローブに身を包みその右手には小型の銃剣が握られている。

一方すずかの方は、青を基調としたローブで、手にはめられたグローブには宝珠が

填められている。

 

「なるほど…アリサのが遊撃タイプで、すずかの方は後方支援タイプみたいだね。

2人とも良く似合ってるよ。」

 

ユーノが2人をほめると、2人とも頬を赤らめ照れた表情を見せる。

 

しかしその後ろでリナが不機嫌な顔でにらんでいた事に気づいたのはなのは1人だけだった…

「リ、リナちゃん…?」

「…あん?!」

 

「ひぃぃ~っ、な、何でもないの…」

「あ、そう…」

 

『レイジングハート、リナちゃんからどす黒いオーラがでてるの…。』

 

『マスター、今のリナさんに近付くのは

危険行為です。というか私は今すぐ逃げたいです!』

 

 

その後、ユーノがリナから「O・SHI・O・KI」されたのは言うまでもない…。




次回、アリサとすずかが初実戦!さらに
なのはのあの名台詞も?

それでは次回、「十九、海の上 必ず届かす この思い」

それでは…
「リリカル、マジカル、頑張らなくても
わたしが一番よ!ほ~ほっほっほっほっ」(BYプレシアの中の人・白〇の〇ー〇)


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十九、海の上 必ず届かす この思い

今回は海上戦メインです。そしてラストにはいよいよあの人が!


SIDE:リナ

 

あたし達がクロノやリンディさんの協力を得るようになってから1週間、未発見のジュエルシードは残り6つにまでなったわ。もっとも幾つかはフェイト達に持っていかれたみたいだけどね…。

 

それでも、最新鋭のレーダーで探索してくれたり、あたし達の訓練場所としてアースラの訓練室貸してくれたり…

クロノはあたしやなのはの訓練相手まで

してくれた。クロノは基本に忠実でいわゆる[堅い]戦い方なんで、実戦経験の少ないなのはにはいい訓練相手ね。

 

え?あたし?それは…

 

「くらえ、スティンガー!」

 

クロノが高速・正確な射撃魔法であたしの動きを牽制する。でも…

「ムダよ!」

 

翔封界[レイ・ウイング]を展開して飛行中のあたしは構わずクロノとの距離を詰めていく。クロノの放ったスティンガーは、翔封界の呪力結界で弾かれてあたしには当たらない。

 

「なっ?!」

「獣王………[ゼラス・………]!」

 

動揺するクロノに追い撃ちの誘導弾。これはシールドで防御される。でもそれこそがあたしの狙い!

 

「何!バインド効果だと?!」

 

そう、これがあたしの新呪文、獣王牙操縛[ゼラス・バインド]!

なのはの拘束呪文・レストリストロックを参考にして獣王牙操弾に拘束効果をつけてみたんだけど上手くいったみたいね。

という訳でこれで…

 

「はい、おしまい♪」

 

あたしはゼルガディス・ソウルをクロノの喉元に突きつけて勝利を宣言する。

 

「…これで僕の10連敗か?まるで君に勝てる気がしないな…」

「こう見えて実戦歴50年以上だからね。

そう簡単には負けないって。」

「そう言えばそうだったな…というか、

すずかから君の前世の小説を借りて読んだが君は化け物か?!魔王を倒したり世界を滅ぼしかけたり…」

「はははっ…」

 

まあ、あれは若気の至りと言うかなんと言うか…

 

「それにゼルガディス、君もだ。」

『俺もか?』

「あぁ、剣技・魔法技術ともに優れ、性格は冷静沈着。もし実体があったら是非僕の副官にスカウトしてるよ。」

 

おぉ、高評価じゃない!…あたしは?!

 

「…君が暴走したときに止める、自信も

勇気も僕にはない…」

 

………

 

「さ、さてそろそろ仕事に戻らないと…」

 

そう言ってクロノはその場から何処かへ去っていった。…逃げたな。

 

「まぁいいわ。それじゃなのは達の様子でも…」

 

ビィーッ、ビィーッ!

 

…これって警報よね?!もしかしてジュエルシードかも?!

 

『リナさん、緊急事態よ。至急ブリッジに来てちょうだい。』

リンディさんの声に、あたしはブリッジへと駆け出した。

 

 

あたしがブリッジにたどり着くと、なのは達も集合してた。

 

「リナちゃん!」「遅いわよ、リナ!」

 

ごめんごめん、それより何があったの?

 

「…これを見てちょうだい。」

 

モニターに写し出されたのは、海の上。

その上空にいるのは…フェイト!

見たところ呪文詠唱中のようだけど…

 

えっ?これってまさか?なんで、あの娘があれを?

 

「まさか強力な呪文を海に撃ち込んで、ジュエルシードを強制発動させる気か?!

馬鹿な、無謀すぎる!!」

「…もう、撃ち込むのは止められそうにないわ…本来だったらあの娘が魔力切れを

起こすのを待つのがいいんだけど、貴女達は行くんでしょ?」「当然なの!フェイトちゃんと今度こそきっちりO・HA・NA・SHIするの!!」

 

…なのはの発音は気にしない事にして、

みんなで助けに行きたいところなんだけど…

 

「なのは、先に行ってて。」

「リナちゃん?!」

「ごめん、リンディさんに話があるんだ。ユーノ、なのは達をお願い!」

「…わかった。なのは!」

「うん!アリサちゃん、すずかちゃん、くおん、いくよ!」

 

なのは達は転送装置によって現場へと向かっていった。あたしはリンディさんの方へ向き直り話をきりだした。

SIDE:なのは

 

わたし達はフェイトちゃん達を助ける為、海鳴の海上へと転送してきた。

 

「フェイトちゃんは…いた!」

 

フェイトちゃんはまさに呪文を放とうと

する瞬間だったの。

 

『大地の底に眠り在る 凍れる魂持ちたる覇王 汝の蒼き力以て 我らが前に立ち塞がりし存在に 我と汝が力以て 滅びと報いを与えんことを!』

 

フェイトちゃんがバルディッシュを振り上げると曇り空に雷光が瞬く。

 

「あれ?変だな?!」「何が変なのよ、ユーノ?」

 

ユーノ君の呟きにアリサちゃんが質問する。

 

「あの娘の魔力光、確か金色だったはずなのに、あの雷光は蒼色…それに今の術式…」

そして今、フェイトちゃんが呪文を解き放ったの!!

 

「…覇王雷撃陣[ダイナスト・ブラス]!」

 

SIDE:リナ

 

「何ですって!!リナさん、間違いないの、それは?!」

 

「はい、フェイトが唱えた呪文は、あたしの前世の世界の呪文です。魔王シャブラニグドゥの5人の腹心の1人、覇王グラウシェラーの力を借りた上位の雷撃魔法・ダイナスト・ブラス…」

 

あたしは一呼吸おいて、話を続ける。

 

「おそらく休眠中のジュエルシードを強制発動させるつもりなんだろうけど、高位の魔族の力を借りた術なんて使ったら…」

「…!!ジュエルシードが暴走するって

事か!!」

 

クロノの言葉にあたしは頷く。

 

「アースラは万が一に備えて待機していて。クロノ、悪いけど付き合って。戦力は

あるにこしたことは無いわ。」

「わかった。エイミィ、転送の準備を!」

 

待っててなのは、すぐいくからね!!

 

 

SIDE:なのは

 

フェイトちゃんが放った呪文は海の中へと吸い込まれ、そして…

 

ドッガーン!!

 

大きな爆音と共に、海上に現れたのは海水を素体にしたアラビアの魔神風の怪物。

 

「な、何よあれ?」「物凄い魔力…」

 

アリサちゃん達も余りの大きさに驚いてる。でも、それよりも…

 

「フェイトちゃん!!」

「…なのは?!」

 

わたし達はフェイトちゃんに近づく。

あんなトンデモ魔法使ったから、顔色が

宜しくないの。それにバルディッシュも

出力が低下してるみたい。

 

「…何しに此処へ?!ジュエルシードは…」

「それは後の話!!まずはあれを封印しないと大変な事になるの!!」

 

わたしの言葉にフェイトちゃんの表情が

曇る。そこに…

 

「フェイトの邪魔を、するなぁー!!」

 

アルフさんが割り込んで来ようとする。

でも、その間にユーノ君が飛びこんだ。

 

「僕達は邪魔しに来たんじゃない!君たちのやり方は無謀すぎる!君にもわかってるはずだ!」

「くっ…」

 

よし、今の間に…レイジングハート?

 

『はい、マスター。[ディバィド・エナジー]。』

 

レイジングハートから、わたしの魔力の半分がフェイトちゃんに送られた。それによりバルディッシュの魔力刃が再生される。

「…なのは、どうして…」

「…話したいことは一杯あるの。でもその前に、力をあわせてあれを封印するの!

1人が駄目なら2人で、2人が駄目なら3人で!」「なのは!」

 

その時、空の上から声が!

 

「リナちゃん、待ってたの!」「リナ…」「ごめん、遅くなって…」

 

『リナ、足止めは僕達でする。君たちは

封印に全力を…』

 

クロノ君の呼び掛けにわたし達は頷くと、怪物を取り囲むように位置し呪文のチャージを始めた。わたしはトリガーを握り、杖の先を上に構えて魔力を溜めていく。

 

わたしの反対側ではフェイトちゃんがバルディッシュを杖形態にして前につき出す形で構えてる。

 

そしてリナちゃんは…ゼルさんを胸の前に掲げ何か呪文を…って、もしかして、これは…

 

『黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我此処に闇に誓わん…』

 

やっぱりそうだ!早く皆に警報[アラート]を!

 

『え~、今戦っている皆さん、こちら高町なのはです…』

 

状況にそぐわない間の抜けた念話に皆が

戦いながらも振り返る。

 

『…間もなくリナちゃんがあの最凶呪文を撃ちます。』

 

その一言でフェイトちゃんとアルフさんを除く全員の表情が凍りつく。

 

『ユーノ君は先に離脱して最大出力で広域結界を張って。他のメンバーはわたしが、「せーの!」っていったら全力で逃げてください!』

 

『『『『『『了解!!!!!!』』』』』』

 

…これでよし、と。わたしは再びチャージに専念する。その間にも…

 

『…我らが前に立ち塞がりし 全ての愚かなる者に 我と汝が力以て 等しく滅びを与えんことを!!』

 

リナちゃんの呪文が完成した、今だ!

 

「せーの!」

 

わたしの掛け声と同時に皆が散り散りに

逃げていく。

 

『ディバィーン…バスター!』

『サンダー…レイジ!』

 

『…竜破斬[ドラグ・スレイブ]!!』

 

わたしの桜色とフェイトちゃんの金色を従えるように、リナちゃんの暗蒼の魔力光を纏った赤い砲撃が怪物に直撃!その直後…

 

ドッカーーン!!

 

物凄い爆音と共に怪物は跡形もなく霧散しその跡には6つのジュエルシードが…

 

「…ねぇ、なのは?」

「…なに、フェイトちゃん?」

 

「…私達、必要だった?!」

「…もちろん!…だと思うの…」

 

にゃはは、リナちゃんやりすぎなの…。

 

リナちゃんはこっちを向いて大威張りのVサイン!その後ウインク1つしてジュエルシードの方へ…。「そっちは任せた」って事かな?

 

「フェイトちゃん!!」

「は、はいっ!!」

 

わたしはフェイトちゃんに声をかけ、正面から向き合う。

 

「わたし、不器用だからうまく言えないけど、これだけは伝えたいんだ。わたし、

フェイトちゃんと…」

 

わたしはフェイトちゃんの手を握りしめ…

 

「友達になるんだ、絶対に!!」

「わたしでいいの?わたしなんか…。」

「フェイトちゃん[で]いいんじゃない、

フェイトちゃん[が]いいの!私たちきっと親友になれるの!」

 

フェイトちゃんはきょとんとした顔をしてたけど、大きく見開いた瞳から大粒の涙を流す。

 

「…ありがとう、なのは。そんなこと言われたの初めて…こちらこそお願いします。友達になってください!」

 

やったの!これでジュエルシードも…

そう思っていたら空に暗雲が立ち込め、雷が鳴り響く。

 

『おーほっほっほっほっほっほっほっ!

何をやってるのフェイト?早くそのジュエルシードを回収しなさい?!』

ばかでかい高笑いと共に、空に1人の女性が浮かび上がったの。ロングヘアーの中年の綺麗な人なんだけど…

 

何?あのショルダーガードの付いたビキニアーマーに首にはドクロのネックレス…

どこのB級ファンタジーのラスボスなの?!

 

「母さん?!」

 

フェイトちゃん?!今母さんって言った?フェイトちゃんの母さんってあれ?!

 

「…ちょっと!なにしてんのよあんた!」

 

今度はリナちゃん?!

 

「その格好もそうだけど、あたしが腐れ縁のあんたを間違える訳がないわ!

 

そうでしょ、白蛇[サーペント]のナーガ!




はい、いよいよ現れました金魚の糞(笑)。どうしてこうなったかは次回に持ち越し
させてください。

それでは次回、「二十、白蛇に 捕らわれし魔女 その苦悩 」

次回も見てくんないと…
「出番なかったから…」
「次こそは暴れるわよ!!」

(BYすずか&アリサ)


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二十、白蛇に 捕らわれし魔女 その苦悩

今回はナーガ様が嫌な奴になっています。いわゆる悪役なナーガ様のやりたい放題ぶり、では、どうぞ!


SIDE:リナ

 

まったく…フェイトが覇王雷撃陣[ダイナスト・ブラス]なんて使うから、誰がそんな余計な事したのよ?っておもってたんだけど…あんただったら納得だわ。

 

『ナ、ナーガって誰の事かしら?!わたしはプレシア・テスタロッサ。そういう貴女こそ…って…嘘でしょ…』

 

プレシアを名乗った女性はそっぽを向いて誤魔化してるけど、その顔には一筋の冷や汗…間違いなくナーガだし、あたしが誰かもわかったみたいね。

 

『その傍若無人な態度といい、見境なしの竜破斬[ドラグ・スレイブ]といい…』

 

待てや、おい…

 

『何よりその膨らみを感じないその胸!間違いないわ貴女、リナ・インバースね!』

あんたの判断材料はそこか~?!

 

「久しぶりね、ナーガ…最後に別れてからどれくらいになるかしらね…」

『えっ?貴女に最後に会ったのは…1年前ぐらい?』

「そんなわけあるか!!あたしが転生してから9年、あんたの影も形もみてないわ!!」

 

ナーガの気配なんて感じたらすぐにわかるはずだもの…

 

『だって、貴女と最後に別れてすぐ、とある迷宮に物凄い御宝があるって聞いて、わたし1人で侵入したら通路に点々と金貨が落ちてたから…』

 

…で?

 

『それを拾いながら先へ進んだら、気付かないうちに不思議な宝珠に触ったらしくてあっという間に吸い込まれて、気が付いたのが1年前にこの体の持ち主、プレシア・テスタロッサに拾われた時ね。』

 

な~る、理屈はあってるわ。ゼルと状況は似た感じだけど、かたや元の身体を取り戻す為、かたや目先の金貨に目が眩んで…。

 

「ナーガ、あんたやっぱり器小さいわ…。」

『なっ?!貴女よりはましよ、リナ・インバース!!』

 

ナーガはあたしの胸に視線を向けて言葉を返す。

 

「…そこを見るな!!…で、あんたはその身体とフェイトたちを使って何をしようっての?!」

『おほほ、これを見なさい!!』

 

ナーガが身体をかわすとその後ろにあったのは…

 

「えっ、あれは…」「フェイト…ちゃん、なの?」

 

それは、カプセルの中に死んだように眠るフェイトそっくりの少女だった。

 

 

 

「…えっ?!なんでフェイトが2人いるんだ?」

「わ、わたしが聞きたいよアルフ。どういうことなの、母さ…ナーガさん!」

フェイトの問いに笑みを浮かべると、ナーガは自慢げに説明する。

 

『ほーほっほっほっほっ、この娘はアリシア・テスタロッサ。プレシア・テスタロッサの実の1人娘よ!』

 

えっ、今なんて…なんかとんでもない事実を聞いたような…

 

「嘘だ!母さんの娘はわたし1人だけ…

アリシアな…、んて…?!」

 

そう言ったフェイトの顔色は血の気を失っていた。まるで何かを思い出したみたいに…。

 

『あら、プレシアが施した記憶操作が解けたみたいね?そうよフェイト、あなたは

アリシアと呼ばれていた記憶があるわ。

でも今の今まで忘れていた…。

それは…フェイト、貴女がアリシア・テスタロッサの出来損ないのコピーだからよ!!』

「?!」

 

ナーガがふんぞり返ってフェイトを指差しそう告げると、フェイトは気を失って墜落していく。

 

「フェイトー?!」

 

アルフが慌てて追っかけて、なんとかキャッチしたみたいだから一安心ね。

 

で、フェイトが[出来損ないのコピー]?

 

「ナーガあんた、あたしやなのはの友達を出来損ないっていい度胸じゃない?!

一体あんた何様よ?!」

『…ナーガ様?』

 

うがぁぁぁこいつはぁぁぁ!!

 

『…まぁいいわ。今のわたしはデバイスの力で、心の弱ってるプレシアの身体を支配してるだけ…でもジュエルシードの力を

使ってアリシアの身体を蘇生させ、そこにわたしの魂を移せばわたしは完全に蘇るのよ!』

 

…なっ?!あんた、なんて大それた事を…変態だとは思ってたけど、まさかそこまで外道だとはね…[白蛇のナーガ]も堕ちたもんだわ!

 

その時あたしの後ろから物凄い魔力を感じて振り返ると…。

 

「許せない…フェイトちゃんの気持ちを

踏みにじったのも、プレシアさんだけじゃなく、アリシアちゃんの身体まで…

絶対に許さないの!!」

 

あ~あ、なのはがキレちゃった。

 

「ナーガ、今からそっちに行くから首とジュエルシード洗って待ってなさい!

全てのジュエルシードかけて最終決戦よ、覚悟なさい!」

 

あたしはナーガの方を指差し、宣戦布告!

 

『ほーほっほっほっほっ、望むところよ

リナ!前世からの腐れ縁、ここでたちきってやるわ!いつでもかかってらっしゃい!ほーほっほっほっほっ…』

 

ナーガは言いたい放題言うと、高笑いしながらフェードアウトしていった。

 

「なのは、それにみんな!これからあの

馬鹿女退治しにいくから、力を貸して!」「もちろんだよ、リナちゃん!」

「あの高笑い、鬱陶しいのよ!わたしが

跡形なく燃やしてやるわ!」

「じゃあ、わたしはかちこちに凍らせて

あげる…」

「ヌクヌクもがんばる~!」

「僕もがんばるよ、なのは。」

 

ありがとう、みんな。あ、それとクロノ、悪いんだけど…

 

「わかってる。ジュエルシードは全て君達に託すよ。それと僕も同行するがいいかな?」

「僕もいくよ。攻撃は苦手でも守備には

自信があるから…。」

 

クロノ、ユーノ…。

 

「わたしも行くよ!あの鬼ばばあも嫌いだったけど、あのナーガってやつは最低だ!…あいつは此所とは別次元の[時の庭園]にいるよ。そこまでの道案内はまかせな!」『フェイトさんはアースラで保護するわ。みんなは思う存分やってちょうだい!』

アルフにリンディさん…

 

ナーガ、あんたは絶対に許さない!

あんたとは長い付き合いだったけど、ケチョンケチョンにしてあげるわ。おとなしく待ってなさい!

 

 

SIDE:プレシア(心の声)

 

ん…ここは…そうか、私はデバイスの意思に身体を支配されて今まで眠ってたのね…

 

だけどそのおかげで病んでいた心はだいぶ癒されて、まともな感情を取り戻すことができたわ。

 

そして、わたしの目を通して伝えられた、悲しい現実…フェイトに自分がアリシアのクローンだと知られてしまった…それも、私(ナーガ)の口から!あの子はショックの余り気を失ってしまった…。

今思い返してみれば、フェイトには何の罪もない…。

 

確かにアリシアとは利き腕も、しゃべり口調も、そして魔法適正も違ったけれど、そもそもあの子はアリシアじゃない、フェイト・テスタロッサという1人の人間なんだ…

 

昔、アリシアが私にしたおねだり…

 

『わたし、妹がほしい!だったらお留守番も淋しくないもん!!』

 

だけど、シングルマザーだった私には無理な相談だった…。でも今なら言える、この子が貴女の妹、フェイトよって…。

 

 

そして今、アリシアは目覚める事なく、身体は得体の知れないデバイスに奪われて、フェイトの心を傷つけて…自業自得とはいっても、ね…。

でも、希望も見つけたわ。フェイトの事を友達と呼んでくれる女の子達…。

特にリナとなのはっていう2人は、私に

匹敵するぐらいの実力者ね。彼女達なら

この悪夢を打ち破って、わたしやフェイトを助けてくれるかもしれないわね。

 

リナ、なのは、そしてフェイト…

どうかナーガの支配から私を助けて…




いよいよ、リナ&なのはVsナーガ様のバトル開始!アリサ・すずかも頑張ります!

次回「二十一、大激突 時の庭園 大丈夫?」

それでは次回も…

「リリカル、マジカル、頑張って、みんな…」

(BY気絶中のフェイトさん)


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二十一、大激突 時の庭園 大丈夫?

リナやなのは達の、そしてフェイトの闘いが始まります。拙い文章ですが頑張ります!!


NO SIDE

 

フェイトの母、プレシアに憑依した白蛇のナーガを倒すためにナーガの拠点・時の庭園に乗り込んだリナとなのは、そして仲間達。アルフの道案内で一行はナーガの居る部屋へ向かう…。

 

SIDE:リナ

 

「ねぇ、アルフ?ナーガの奴、本当にこっちにいるの?そのわりには警備の一つも

ないけど…」

 

あたしはアルフに尋ねた。時の庭園に乗り込んでから、ここまで何の妨害も受けていない。

 

「あぁ、アイツはいつもこの奥の大広間でふんぞり返って玉座に座ってるよ。

それにアイツ、警備なんてさせたことないよ?」

 

…まぁ、ナーガだし…。でもあたしが乗り込んで来ると知ったら…。

「やっぱり、ね…。」「えっ、なによこの大軍勢は!!」

 

吹き抜けになっているエントランスの所であたし達が出くわしたのは大量の機械兵!ナーガの奴、ゴーレムの技術で大量生産したわね…。

 

「リナちゃんは先にいっててなの。」

「なのは?!」

 

「こんなやつら私たちだけで十分なの!

リナちゃんはアルフさんと一緒にあの変態さんを!」

「そうね…。わたしもすずかも暴れたりないからここは任せなさい!!」

「クロノ君も行ってあげて。ヌクヌクもね」

 

「あぁ、わかった。リナ、ヌクヌク、先を急ごう!」

「えぇ!ユーノ、なのは達をお願いね。」「うん、リナも気をつけて…。」

なのは達を残して、あたしとクロノ、ヌクヌク、アルフは先へと進む。

 

途中、機械兵達が襲い掛かってきたけど…

 

「させない!ディバインシューター!」

「いくわよ!フレイムウィップ!」

 

なのはとアリサが射撃魔法で撃墜し…

 

「行かせないよ!アイスバインド!」

「チェーンバインド!さぁ、行って!」

 

すずかとユーノで残りを捕縛っと…

ここはあの子達に任せても大丈夫ね。こりゃあたしも負けてられないわ!

 

「行くわよクロノ、ヌクヌク!アルフも

お願いね!」

「「「おぅ!!」」」

 

あたし達はさらに奥の方へ突き進んでいく。すると突き当たりに一際大きなドアが…

「この部屋だよ、この先にアイツがいる…」

 

どうやらお目当ての場所にたどり着いたみたいね。

 

「いい、開けるわよ…?」

 

そういうとあたしは扉を押し開けた…。

 

「ほーほっほっほっほっ、逃げずによく来たわね、リナ!ジュエルシードは持ってきたでしょうね?!」

 

そこには玉座に偉そ~な態度で座ってる、プレシア・テスタロッサ…ううん、白蛇のナーガがいた。

 

「あんたこそ、逃げ出すかと思ってたわよナーガ!とりあえずあんたを凹って、プレシアさんの身体返してもら…みんな避けて!!」

 

ナーガの奴、こっちが喋ってる途中から

呪文唱えてやんの。相変わらず狡いわね…

「ほーほっほっほっほっ、先手必勝よ!

風魔咆烈弾[ボム・ディ・ウイン]!」

 

ナーガの放った暴風の呪文は辺りの燭台やらなんやらを吹き飛ばし…ってヌクヌクが?!

 

「よっと?!大丈夫か、猫娘?」

「あ、ありがと~!それとあたしはヌクヌクだよ~!」

「これは失敬。それじゃいこうか、ヌクヌク?!フォトンランサー!!」

「うん、いっくよ~!!炎の矢[フレア・アロー]!!」

 

…どうやらアルフが助けてくれたみたい。

 

「僕達もいくぞ、リナ!」

「もちろんよ、クロノ!くらいなさい、

火炎球[ファイア・ボール]!!」

 

NO SIDE

 

リナ達とナーガの戦いの火蓋が切られた頃アースラでは、気を失っていたフェイトが目を醒ましていた…。

 

SIDE:フェイト

 

う、う~ん…あれ、ここは何処?わたし

何でこんなところに…。

 

「目を醒ましたようね、フェイトさん。」

ベッドの横で座っていた女性が声を掛けてきた。

 

「あの…あなたは誰ですか?ここはどこなんですか?」

「あら、ごめんなさい。此処は次元航行艦アースラの医務室、そして私は艦長のリンディ・ハラオウンよ。あなたは戦闘中に気を失って…」「あっ…」

そうだ…わたし、ナーガさんに『お前は、プレシアの実の娘じゃない、本当の実の娘・アリシアの劣化コピーだ。』って言われて…そこからの記憶がない。

 

ただ、悲しいけれどこれは真実だ。わたしは間違いなく、偽りの記憶を与えられアリシアとして過ごした時間を記憶している。

でもわたしは、母さんの期待には応えられなかった。わたしとアリシアは見た目は同じでもまったく違っていたんだ。

 

利き腕も喋り方も違ったけど、一番違ったのはわたしには魔力適正があった事…

その事がきっかけで母さんはわたしの記憶を書き換え、わたしを遠ざけるようになった。

 

やっぱりわたしは、母さんにとって必要ないのかな…。

そんな思いを抱いて落ち込むわたしに、リンディさんが声をかけてきた。

 

「やっぱりお母さんのことが?」

「…はい。母さんにとって、わたしはいらない子だったのかな、って…。」

「…それは違うわよ、フェイトさん。」

「えっ?」

 

リンディさんはわたしの呟きに首を横に振って否定した。

 

「いい?人には必ず生まれてきた意味が

存在するの。それはあなたも例外ではないわ…。」

「でも…。」

 

「…フェイトさん、あなた自分の名前の

由来、知ってるかしら?」

「?…いいえ…」

 

名前の由来?わたしの名前に何の由来が…

「あなたのフェイトって名前にはね、[運命]という意味があるの。確かにあなたの出生は過酷な物だわ。でもあなたのお母さんはその運命も乗り越えて貰いたくて、

あなたにフェイトって名前をつけたんじゃなくて?」

 

…わたしの名前にそんな由来が…

 

「それに、あなたにはやるべきことがあるわ。あなたの[運命]はまだ始まってもいないわ。そしてその[運命]を動かすために、彼女達は戦ってる…。」

 

リンディさんがそういうとホログラフモニターに幾つかの光景が浮かび上がる。

 

大量の機械兵と戦うなのは達、そしてリナとアルフ達は母さん…白蛇のナーガと戦ってる。みんな全力全開だ。

 

「彼女達が懸命に立ち向かってるのに、

あなたは…」

「皆まで言わないで下さい。」

 

わたしはリンディさんの言葉を止めると、サイドボードに置いてあった待機状態の

バルディッシュを手に取り立ち上がる。

 

「行くのね、フェイトさん…?」

「はい。わたしは自分が[運命]を変えれる程強いとは思っていません。ただ…

何もしないまま、悔やむ事だけはしたくないんです。」

 

わたしはバルディッシュをアックスフォームに展開する。

 

「バルディッシュ、セットアップ!」

『イエス、サー』

 

次の瞬間、わたしの身体は金色の魔力光に包まれ、バリアジャケット姿になる。そう、まだわたしは始まってもいない。

でも[わたし達]なら始められる。今なら、はっきりそう言える。

 

「…自分を始めるために…フェイト・テスタロッサ、出撃します!」

 

 

NO SIDE

 

場面は移って時の庭園。なのは達の戦いは熾烈を極めていた。個々の戦力ではなのは達が圧倒的に優位だが、相手は疲れを知らない機械兵。しかも無尽蔵に現れるために次第になのは達に疲れの色が…

 

「ディバイーンバスター!!」

 

なのはの直射砲が機械兵を貫き、

 

「よし!アリサ、すずか、お願い!」

「まっかせなさい!フレイムタイラント!!」

「貫け!スノートライデント!!」

 

ユーノが拘束した敵を、アリサ・すずかが撃破していく。だが…。

 

「減らないね、全く…。」

 

くおんがぼやくように、一向に敵の数は減らない。

 

「ええぃ、もう!いつになったら終わるのよ?!」

「魔力もだいぶ少なくなったよ…。」

「アリサちゃん、すずかちゃん、ガンバなの!」

 

弱音を吐くアリサとすずかを、なのはが鼓舞する。

 

その時、1騎の機械兵がユーノのバインドから脱け出し、なのは達の背後から攻撃を仕掛ける。

 

「…! なのは、危ない?!」

 

ユーノが叫ぶが、なのは達は反応が遅れてしまう。攻撃が直撃するその瞬間、なのはは思わず目を閉じた。しかし…。

 

「…?!」

 

なのは達が目を開けると、辺りの機械兵がサンダーバインドで拘束されていた。

 

なのは達が上空を見上げるとそこには、

バルディッシュを天に掲げるフェイトの姿が…。

 

「…標的ロックオン。サンダー…レイジッ!!!」

 

フェイトが杖を降り下ろすと、辺りの機械兵は次々と誘爆していく。そして機械兵は全滅した。

 

 

SIDE:フェイト

 

…よし、間に合った!待ってて、母さん。すぐに助けにいくから、大事な友達と一緒に!!

 




いよいよフェイト参戦!!闘いはクライマックスへ向かいます。

それでは次回、「二十二、三人の 魔法少女が 揃い踏み」

それでは、唐突ですがここでクイズです!今回の話の中盤、フェイトとリンディの
会話はあるスレイヤーズ楽曲の歌詞を参考にしています。その楽曲のタイトルはなんでしょう?答は次回の前書きで…。

「作者…ネタ、なくなったわね…?」
『ぎくっ?!』

(BY 作者&リナ)


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二十二、3人の 魔法少女が 揃い踏み

前回のクイズの正解です。
正解は…TV版の第2期、スレイヤーズNEXTのOPテーマ、「Give a reason」でした。簡単だったかな?

いよいよ今回、対ナーガ戦に決着が着きます。果たしてリナとなのはの、そしてナーガの運命は?…多分予想されてる通りです(笑)


NO SIDE

 

ピンチのなのは達を救う為、颯爽と現れたフェイト。機械兵をサンダーレイジ一撃でなぎ倒すとなのは達の元へ…。

 

SIDE:フェイト

 

…うん、なんとか間に合った。なのは達は…あそこに!

 

「なのは、大丈夫?!」

 

わたしはなのは達に近づくと声をかけた。

「ありがとう、フェイトちゃん!おかげで皆無事なの!」

「うん、無事でよかった。さぁ、先を急ごう。」

 

そういったとたん、頭上に何かの影が…。上を向くとそこには巨大な海月(くらげ)がふわふわと浮いていた。

 

「な、なんでクラゲが空を?」

「わたしに聞かれてもわからないよ、アリサちゃん…。」

 

巨大クラゲが触手を伸ばして襲いかかってきた。私たちは四散してかわす。

 

「なのは、力を貸して。1人じゃ無理でも2人なら…。」

 

なのははわたしの言葉に一瞬きょとんとした表情をみせたけど、すぐに満面の笑みを浮かべた。

 

「フェイトちゃん?!…うん、…うん!」

 

わたしはバルディッシュをグレイブフォームに変形させると魔力のチャージを始める。

 

横ではなのはも魔力を収束させて砲撃準備完了!

 

「いい、なのは?『せ~の!!』でいくよ!!」

「こっちはいつでもOkなの!」

それじゃいくよ!

 

「「せ~の!!」」

「サンダースマッシャー!!」

「ディバインバスター!!」

 

わたしとなのはの砲撃魔法がクラゲに直撃するとクラゲは霧のように消え去った。

 

「やったね、フェイトちゃん!」

「うん。それじゃいくよ、母さんを取り戻すために、そして本当の自分を始めるために…。」

 

こうして私たちはリナやアルフ達に協力するために大広間へと向かう。

 

いくらリナが強くても、母さんは次元最強と言われている魔導師。その体を乗っ取ったナーガって言う人(デバイス?)も相当の実力に違いない。

 

「…大丈夫だよ、フェイトちゃん。リナちゃんは絶対負けないから。」

「なのは?!」

「そうね、リナが負けるシーンがおもいうかばないわ…。」

「と言うか、私たち全員に凹られてる光景しか思いうかばない…」

 

なのはの友達…アリサとすずか、だったっけ?!どうしてみんなリナが勝つって信じてるの?

 

「…あっ、そうか。フェイトは知らないんだ、リナの前世のこと…。」

 

ぜ、前世?リナは前世の記憶が有るって事?!

 

「うん。リナちゃんの前世の名前はリナ・インバース。この世界とは違う魔法世界で最凶と呼ばれた、天才魔導士…。そして、フェイトちゃんのお母さんにとりついてるナーガさんも、リナちゃんと同じ世界の

魔導士・白蛇[サーペント]のナーガ。自称リナちゃんのライバルって言ってるけど…。」

 

最凶?今最凶って言ったよね?!最強じゃないの?

 

「「「「最凶。」」」」

 

「…で、でも、ライバルが相手だったらやっぱり苦戦するんじゃ…」

「ライバルって言っても自称だし、苦戦はしても負けないよ。それに…」

 

なのはがここで意味深に話を区切り、再び話し出す。

 

「プレシアさん…フェイトちゃんのお母さんは世界を消滅させる事ができる?」

 

世界を消滅?!そんなの、人1人の力じゃ無理だ。それこそロストロギアの暴走でもしない限り…

 

「リナは出来るんだよ。自らの力が暴走したら…だけどね。彼女の身体の中には、

異世界の魔王・金色の魔王[ロードオブナイトメア]の魂が眠ってるからね。」

ユーノが言葉を繋ぐ。金色の魔王?それ、どこのおとぎ話?

 

「今は身体が幼いから能力を100%使えない。良いとこ60%ぐらいだろうけど、それでもこの場にいる誰よりも強いんだ

リナは。」

「だから大丈夫だよ、フェイトちゃん。

もちろん助けなきゃいけないけど、落ち着いて行動しないと足元をすくわれるよ?」「あっ…!」

 

そうだ。こんな時こそ慌てちゃいけないんだ。

 

「話が盛り上がってる間に着いたみたいだよ?用意はいい?」

「「「「「おう!!」」」」」」

 

ユーノのかけ声に答えると、わたしとなのはを先頭に、大広間に足を踏み入れる。そこに待っていたのは…!

 

NO SIDE

 

なのは達が大広間の扉を開けると、そこではリナとプレシア=ナーガが魔法戦争を

繰り広げていた。

 

「くらえ!魔竜烈火咆[ガーヴ・フレア]!」

「ほーほっほっほっほっほっ、覇王氷河烈[ダイナスト・ブレス]!!」

 

リナの炎熱とナーガの氷結、2つの呪文がぶつかって消滅、大量の水蒸気が発生して辺りの視界が悪くなる。

 

「リナちゃん、助けに来たよ!」

「なのは!!それにフェイトや皆も!!

…なのは、あたし、[あれ]使うからなのは達であいつの動きを止めて!3分でかたをつけるわ!」

「!! …わかったの!!」「3分でいいんだね?!」「それくらい楽勝よ!!」

「私たちに任せて!」

 

皆はそういって行動を始めた。フェイトとアリサがナーガに切り込み牽制、動きを

止めた瞬間なのはとすずかが仕掛ける。

 

「レストリストロック!」

「アイスバインド!」

 

なのはとすずかの拘束呪文がナーガの両手両足を拘束、ナーガは空中に磔になる。

 

「くっ、やるわね。でもこれくらいの拘束ぐらい…」

「まだまだ!チェーンバインド!」

「ケイジングサークル!今だリナ!」

 

拘束を解こうとしたナーガだったが、さらにユーノとアルフが倍掛け!ナーガはもはやぐるぐる巻きに…。

 

SIDE:リナ

 

…今の1分ぐらいだよね…相変わらず凄いわこの子たち。あたしが同じ歳の頃は何も出来なかったもんね~。

 

さて、仕上げといきますか?!

まずは…。

 

『四界の闇を統べる王 汝の欠片の縁に従い 汝ら全員の力持て 我にさらなる魔力を与えよ!…増幅[ブースト]!!』

 

あたしのリンカーコアが活性化し、魔力が溢れ出す。

 

「さ~てナーガ、覚悟しなさい!…プレシアさん、ちょっとだけ痛いけど我慢してね?」

「ひぃ?!」

 

あたしはそういうと呪文の詠唱を始める。

 

『黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我此処に闇に誓わん…。』

「ち、ちょっとリナ?!そんなの喰らわされたらプレシアだって無事じゃ済まないわよ?」

 

ん~?非殺傷設定だから大丈夫。…たぶん死ぬほど痛いけど♪

 

「この人でなし!鬼畜!」

 

…無視、無視。あたしは詠唱を続ける。

 

『…我らが前に立ち塞がりし 全ての愚かなりし者に 我と汝が力持て 等しく滅びを与えん事を!』

 

いくわよ!砕け散れ、白蛇の悪夢!!

『竜破斬[ドラグ・スレイブ]!!』

 

あたしの放った赤い直射砲はナーガ=プレシアさんを飲み込み、そのまま大広間の壁を崩壊させた。そしてそのあとには…

 

「………………」

 

ズタボロな姿で立ち尽くすプレシアさんの姿が…

 

「母さん、大丈夫?!」

 

それに気づいたフェイトがすぐさま駆け寄り、プレシアさんを介抱する。

 

「母さん、しっかりして?!」

「…フェイト?…ごめんなさいね、迷惑ばかりかけて…」

「…母さん!!よかった…。」

「フェイト、貴女はこんな私を[母さん]と呼んでくれるの?」

「もちろん!わたしの母さんはプレシア・テスタロッサ、1人しかいません!!」

「あぁ、フェイト…貴女こそ私の自慢の娘よ!」

「!!母さん、ありがとう…。それが私の一番聞きたかった言葉です。」

 

…どうやらフェイトとプレシアは仲直りできたみたいね。

 

皆は少し離れたところから2人の様子を見守ってる。涙ぐんでる子も…ってクロノ?あんたが涙ぐむなんて…どうしたの?

 

「…君は僕を何だと思ってるんだ?!

僕だって彼女と同じ親1人子1人だ。もしあれが母さんだと思ったら…涙ぐみもするさ。」

 

…納得。そうこうしている内に、フェイトに支えられてプレシアさんがやって来た。

 

「…皆ありがとう。貴女達のお陰で身体を取り戻す事ができたわ。特に…。」

プレシアさんはそういうと、あたしとなのはの方へ向き直る。

 

「なのはさん、あなたの言葉でフェイトは始めることができた。そうでしょ、フェイト?」

「うん、母さん。」

「フェイトが1歩先に進めたのは貴女の

お陰…。重ねてお礼を言わせて、ありがとうって。」

「ええと、なのははしたいようにしただけでぇ、なにも感謝されるようなことはぁ…ねぇ、皆?」

 

…相変わらずなのはは[デレる]と可愛い生物ね。名前が一人称になるのがまたいいのよ…。

 

「そして、リナさん、だったかしら…」

あれ?もしかしてプレシアさん、怒ってます…?やっぱり痛かった…ですか?

 

「…多分間違いなく一生涯の中で最悪の

痛みだったわ…。私じゃなかったらトラウマよ?!」

「すいませ~ん、やり過ぎたかも…。」

「…まぁ、あれぐらいの攻撃じゃないと、ナーガの呪縛は解けなかったかも…その意味では貴女にも感謝するわ、リナさん。」

そうだ!!すっかり忘れてた!!

 

「プレシアさん、ナーガが封印されていたデバイスは?!また悪さしない内に今度こそ抹殺しなきゃ!!」

「…私が首にかけていたペンダントがそうなんだけど…呪文のあまりの衝撃でぶっ飛んだみたいね…」

 

その時、大広間の向こうで激しい次元震が起きた。

 

「…!あそこにはアリシアが!!」

「…何ですって!!…行くわよ、みんな!」

 

やれやれ、まだ終わりじゃないみたいね…。

 




はい、予定通り凹られた自称ライバル(笑)
ただ、ここからあがくのがナーガ様なんです!

それでは次回、「二十三、託された 天使の微笑み 蘇る」

次回も見てくんないと…

「わたしの見せ場、必ずみてね~!」
「見ないとサンダーレイジよ!!」
「ママ…」

(BYア〇〇ア&プレシア)


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二十三、託された 天使の微笑み 蘇る

すいません、仕事中に熱中症でぶっ倒れまして…やっと書き終わりました。
文章がグダグダかもしれませんが勘弁してください。


NO SIDE

 

リナとなのは、そしてフェイトは仲間達の力を借りて白蛇のナーガを打倒しフェイトの母・プレシアを取り戻す事に成功する。

しかし喜んだのも束の間、アリシアの身体を保管している近辺で次元震が発生してしまう。リナ達はすぐさまアリシアの元へ向かう。そこでリナ達を待ち受けていたのは…?

 

SIDE:フェイト

 

アリシアの元を訪れた私達が見たもの、それは水色に輝くアリシアの身体、そして

その傍らに浮かぶエレメント体のアリシア…。

 

「あぁ…、本当にアリシア、なの?」

 

母さんがアリシアに語りかけると、エレメント体のアリシアはうっすらと目を開けてこちらを見て、まるで天使のような微笑みを浮かべた。

 

『…あっ、ママ!ひさしぶり~!!元気だった?』

「アリシア!本当にアリシアなのね?!

よかった…、でもどうして今?」

『あ、その前に…。皆さんはじめまして、プレシア・テスタロッサの娘の、アリシア・テスタロッサでっす!!」

 

…なるほど、この人と私を比べたら全く

似てないかもしれない…。

 

やがてこっちに気づいたのか私に近寄ってきた。

 

『ねぇ、母さん?この子が私の妹?!』

「えぇ、名前はフェイト・テスタロッサ。あなたの妹よ。仲良くしてあげてね。」

『わ~、よろしくねフェイト!わたしが、お姉ちゃんのアリシアだよ~!!』

「よ、よろしくお願いします…お姉ちゃん。」

 

あまりのテンションの高さに少し引きつつ私はアリシアに尋ね返した。

 

「それはそうと、なんでアリシアお姉ちゃんは目を覚ましたの?!」

「それは私も知りたいわ…私が何をしても駄目だったのに…?」

『う~ん、わたしも気がついたら、って

感じだったから…』

 

「…多分、これのせいじゃない?」

 

声をした方を振り向くと、リナが壊れかけたペンダント型のデバイスを持って立っていた。

 

「それは…まさか!!」

 

母さんの問いかけにリナは頷いて答える。

「そう、プレシアさんの身体を乗っ取っていたナーガの成れの果てよ…ナーガの奴、最後の最後で改心したのかこんなことを…ナーガ、安らかに眠るといいわ…」

『…勝手に殺さないで?!』

 

リナの言葉に反応したのか、デバイスが光輝くとみるみるうちに傷が修復し、元通りになった。

 

「…ナーガ、あんたこのまま見逃して貰えるとでも思ってたの?!」

 

リナがナーガ=デバイスを持ち上げ、呆れた口調で怒鳴る。

 

『…な、何の事かしら~?』

「…今の次元震、あんたのせいでしょ?!あたしにはお見通しよ!!」

『わ、わたしは知らないわよ?!リナ、あんたの竜破斬[ドラグ・スレイブ]のせいじゃないの?!』

「ぐっ?!そんなはずは…」

 

「…多分両方ね。お互いの強大な魔力が

相互干渉しあって次元震を起こし、そしてアリシアを一時的とはいえ目覚めさせた…その意味ではナーガ、貴女にも感謝するわ…。貴女のおかげでアリシアともう一度

話す事ができたのだから…。」

『? よく解らないけど私が偉大な存在だって事よね?ほーほっほっほっほっほっほっ!!』

「調子に乗るな!あまりいい気になってるとそこの異空間に投げ込むわよ?!」

『…すいませんでした…。』

 

『ママ、フェイト。わたしに残された時間はもう長くないの。だから…』

 

アリシアが話そうとしたその時、意外な所から声がかかる。

 

『おい、アリシア、だったか?お前…生きたくないのか?』

「ゼル?」

 

声をかけてきたのはリナのデバイス、ゼルガディス・ソウルだった。彼は一体何を言いたいんだろう?

 

『もう一度聞くぞ。アリシア、お前はプレシアやフェイトと一緒に暮らしたくないのか?今話が出来て、それで満足なのか?』

『…そんな訳ないじゃん!そりゃ出来ることならママやフェイトと同じ時間を過ごしたいよ!でも…』

 

『…お前が望むのなら、俺がその望み、叶えてやる。』

 

えっ、ゼルガディス 今何て…

 

「今言ったことは本当なの?本当にアリシアを蘇らせる事ができるの?!」

 

母さんが飛びつくようにゼルガディスに訴える。

 

『あぁ。リナとなのはには以前話した事があるはずだが、俺には限定条件付ながら

蘇生魔法が使える。そしてその条件は1つ目に蘇らせる身体が存在する事。2つ目の条件は蘇らせる魂が身体の側にある事だ。今なら2つの条件は満たされてる…!』

『生きたい…わたしは母さんとフェイトと同じ時間を生きていきたい。お兄さん…』『ゼルガディスだ。呼びにくかったらゼルでいい。』

『それじゃゼル、わたしに生きる力をちょうだい!』

 

アリシアがゼルの問いかけに答えると、

ゼルガディス・ソウルのクリスタル部が

翠色に輝きを放つ。

 

『古より世界を抱きし生命の女神よ!

常世を守りし白輝の聖母[はは]よ!

我に力を貸し与え 迷える魂を今一度

在るべき処へ戻さん事を…!』

 

呪文の詠唱と共に、クリスタルの輝きが増していく。

 

『いくぞ!聖王降魂陣[ヴィヴ・フォール]!!』

 

ゼルガディスの声と同時に翠色の光がアリシアの身体とエレメント体を包み込む。

そして光が消えた後には気を失っている

アリシアの身体が…

 

わたしと母さんはすぐにアリシアの側に

近づき、その身体を抱き抱えて声をかける。

 

「お姉ちゃん、目を覚まして!!」

「アリシア、アリシア!!」

 

すると…

 

「ふわぁ~、あ、おはよ!ママ、フェイト…。」

 

お姉ちゃんはすぐに目を覚まして身体を起こそうとするけど、うまく動かないみたい。

 

「無理しちゃ駄目よアリシア。あなた久し振りに身体を動かすんだから…。

ゼルガディス、本当にありがとう。これでわたしとフェイト、それにアリシアの3人で家族として暮らすことが出来るわ…。」

 

『俺だけの力じゃない。リナやナーガ、なのは逹みんなの力があったからだ。礼なら皆に言えばいい…。』

 

うん、アリシアお姉ちゃんが蘇るなんて

サプライズ、予想もしてなかったから喜びも倍増だよ!!本当にありがとう、ゼル、それに皆…。

 

「それはそうとして、[これ]、どうします~?やっぱりそこの異空間に捨てた方が…。」

 

リナがナーガ=デバイスを持ち上げてこちらに聞いてきた。

 

『お願い、それだけは止めて!もう2度と余計な事はしないから!』

「リナさん、わたしが正気に戻ったのも、アリシアが蘇るきっかけをつくってくれたのもナーガさんだから今回だけはゆるしてあげて?!」

 

母さんがリナに対して許しを乞う。リナは苦笑いすると答えた。

 

「はーっ、わかりました。でもこいつはどうするのよ?!」

「そうね…ナーガさん、あなた私のデバイスになりなさい。それでフェイトとアリシアの家庭教師をしてほしいの。」

「えっ、プレシアさんそれは…」

「大丈夫よリナさん、もしも2人に変な事を教えたら自爆するようにリミットをつけるから。」

「あ、な~る。プレシアさん、なかなか考えたわね…。」

「そのうえであなたを詳しく調べてみて、ベルカ式とのハイブリッドができそうならユニゾンデバイス化も考えてあげるわ。」

「えっとプレシアさん、ユニゾンデバイスって何ですか?初めて聞くんですけど…。」

 

リナが聞き慣れない言葉に母さんに質問する。

 

「ユニゾンデバイスは融合型デバイスとも言われるデバイスで、古代ベルカ式のデバイスよ。古代ベルカは古の昔に滅んだんだけどその術式は残ってるわ。

話を戻すけど、ユニゾンデバイスの特徴は名前の通り術者とデバイスが融合(ユニゾン)してパワーアップできるのと、デバイス自体が意思を持ち、実体化できることね。

ナーガさんは元々前世で人間だったんだしもしかしたら…ね?!」

『ちょっと待ってくれ!!ということは…俺も身体を取り戻せるのか?』

…そういえばゼルも前世持ちだっけ。

 

「そうね。ナーガさんでOKならあなたも大丈夫な筈よ。上手く事が運べばプログラム生命体という形で、身体が手にいれられるわ。まぁ、すぐにとはいかないでしょうけど。」

 

『そうか…。それでも希望がもてるよ。』『ありがとうございますプレシア様~私の事は犬とお呼びください!!』

 

い、犬って…。まぁ、みんなこれでうまくいったのなら…

 

「…生憎そうはいかないんだ。

プレシア・テスタロッサ女史、あなたには時空管理局から逮捕状がでてる。心身喪失等、情状酌量の余地はあるがしばらくは

療養も兼ねてミッドチルダの病院で監視させてもらう。ナーガ、君も一緒だ。」

 

クロノの宣告に母さんは軽くため息をついて答える。

 

「ふぅ…しかたないわね…どれくらいかかるのかしら?!」

「そうだな…半年我慢してくれ。それでなんとかなるように手を回そう。」

「わかったわ…。フェイトとアリシア、

アルフはどうなるの?」

「蘇ったばかりのアリシアは別としても、フェイトとアルフからは事情聴取はさせてもらう。

とはいってもアリシアもしばらくはリハビリだし、家族で暮らせるように手配はするさ。」

 

「ありがとう、クロノ。それともうひとつお願いがあるんだ…。」

 

わたしはクロノの言葉に感謝の意と、もうひとつの望みを伝えることにした。

 

わたしはなのはとリナの方を向いて言葉を続けた。

 

「なのはと全力で模擬戦がしたいんだ。

その立会人をリナにお願いしたい。」

 




はい、時の庭園編が終わり、いよいよ
なのはとフェイトのラストバトル、そして無印編の終わりへと向かっていきます。

因みに時の庭園→ラストバトルなのはノベル版に準じています。ご了承ください。

次回、「二十四、それぞれの 決戦前夜 どう過ごす」

それでは次回も…
「リリカル」「マジカル」「「頑張ります!!」」
(BY なのは&フェイト)


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二十四、それぞれの 決戦前夜 どう過ごす?

今回ちょっと長めです。バトル前の中休み、それではどうぞ!


NO SIDE

 

リナとナーガの魔力の衝突の余波で現れたアリシアの魂。復活を望む母と姉妹の希望に応え、リナのデバイス、ゼルガディス・ソウルに秘められた蘇生魔法により、アリシアは再びこの世に蘇る。

 

そしてテスタロッサ家の一時拘束が告げられたそのあと、フェイトからでた提案は…

 

SIDE:なのは

 

フェイトちゃんからでた提案、それはわたしとの模擬戦。そしてその立会人にリナちゃんを指名って…。でもなんで今?

 

「わたしとなのはが出会ってから、なのははずっと全力でぶつかってくれた。だからわたしも前に進む事ができたんだ。

でも、わたしはまだなのはと全力を出して戦っていない。だからお互いまっすぐぶつかったそのうえで、初めて友達になりたいから、だから…」

フェイトちゃん…うん、わかったの!

 

「わかったよ、フェイトちゃん。その挑戦受けてたつの!」

「お、おい、勝手に話を進めないでくれ。それには…」

 

『あら、それはこちらからお願いしたいくらいだわ。』

「か、艦長?!」

 

慌てるクロノ君を尻目に、リンディさんのホログラム映像が現れた。

 

『なのはさんたちには魔導師ランクの測定をさせてほしいのよ。この間魔力ランクは測定したけど、貴女逹はこの短い間にも

技術は向上してるから測定の一環として

なのはさんとフェイトさんの模擬戦、許可します。』

「「ありがとうございます!!」」

『ただし今日は皆疲れてるだろうし、そうね…3日後にしましょうか?舞台は此方で用意させてもらうわ。貴女逹も身体を休めて、模擬戦に備えてちょうだい。フェイトさんたちはとりあえず、アースラへ。それじゃクロノ、お願いね。』

「…了解です。それじゃフェイト、アルフ、アリシア、それにプレシア女史。アースラへ案内します。」

 

「わかった。それじゃなのは、3日後に。」

 

「うん!!」

 

フェイトちゃんはそういうとクロノ君に連れられ、プレシアさん逹と一緒にアースラへ戻っていった。そしてわたしたちもそれぞれの家に戻る事に。

 

「それじゃまた明日ね、なのは、リナ!」「今日はゆっくり休んでね。おやすみなさい!」

 

アリサちゃんとすずかちゃんが鮫島さんの迎えの車で帰ると、わたしとリナちゃんの2人だけ(くおんとヌクヌクはいるけどね…)。

 

「…さっ、あたしたちも帰ろうか、なのは?」

「うん…あ、あの…リナちゃん?」

 

「ん?何、なのは?」

「…リナちゃん、わたしにカオス・ワーズを教えてほしいの!」

 

わたしは思いきって考えていた事をお願いしてみた。

 

「カオス・ワーズ?!教えるのは構わないけど簡単じゃないわよ。それにあたしの

呪文は魔力消費が半端ないから…」

 

「あ、違うの!実はわたしとレイジングハートで前から考えてた呪文があるんだけど…それを完成させるためにカオス・ワーズを教えてほしいの。」

『わたしからもお願いします。私とマスターの力だけでは完成は難しいかもしれません。』

 

わたしとレイジングハートのお願いにリナちゃんは頬を掻きながら、

 

「…まぁ、教えてもいいけど、その代わりどんな呪文なのか教えなさいよ?」

 

と言ってくれた。わたしはリナちゃんの

耳元に口を近づけると小声でおしえてあげる。

 

「…あのね、ゴニョゴニョ…」

「…!面白いじゃない!!解ったわ、基礎だけは教えてあげるわ。」

 

「ありがとう、リナちゃん!!」

「ただし呪文を完成させるのはなのは、

あんた自身よ、あたしは立会人だから余計な事はいえないからね…」

 

わたしはリナちゃんの言葉に頷いた。

 

「それじゃ明日、あたしの部屋に来なさい。いいわね?!」

「うん!それじゃおやすみ、リナちゃん。」

 

リナちゃんが家に戻り、わたしは決意を

新たにする。絶対に新呪文、ものにして見せるの!

 

NO SIDE

 

それから2日が過ぎ去り、いよいよ明日が模擬戦となった夜、フェイト、なのは、そしてリナはそれぞれの夜をすごしていた…

 

SIDE:フェイト

 

あれからわたしたちはアースラで家族の

一時を過ごしていた。

 

わたしはアルフやクロノと模擬戦に向けて調整、母さんとお姉ちゃんは身体に異常がないか検査を受けたんだけど…

 

「…まさか私の病気が完治してたとは思わなかったわ…」そう、母さんを蝕んでいたはずの病は何故か完治していた。母さん曰く、

「ナーガさんの影響でしょうね…彼女の魔力は計り知れないわ。」

 

っていってたけど。あとお姉ちゃんも検査の結果、生前は持っていなかったはずの魔力が宿っていた。しかも術式適性はカオス・ワーズに向いているらしい。

 

「アリシアもリハビリが終わったら本格的に魔法の勉強ね。ナーガさん、頼むわよ。」

 

『ほーほっほっほっほっほっ!わたしに

任せなさい!!最強の魔導師に育ててあげるわ!』

 

「…教えるのは魔法技術だけよ。もし余計な事教えたら…虚数空間に放り込むわよ?!」

『…はいっ?!』

 

…ははは、ナーガは相変わらずだなぁ…

 

でも、この2日の間でわたしの調整は万全。対なのは用に秘密兵器も用意できた。

 

なのはは確かに強いけど、今回はわたしが勝つ!そしてなのはと友達になるんだ!

 

「がんばれ、フェイト!お姉ちゃんも応援してるからね~!!」

「うん、ありがとうお姉ちゃん。絶対勝ってみせるから!」

 

今頃なのはは何してるのかな…。

 

SIDE:なのは

 

明日に模擬戦を控えた前夜、寝付けない

わたしは道場で瞑想していた。

 

やれる事はすべてしたと思う。この2日間夕方はお兄ちゃん、お姉ちゃんに稽古を

つけてもらい、早朝は魔法の特訓。

リナちゃんに教わったカオス・ワーズで

[最後の切り札]の新呪文も完成した。

 

でも相手はフェイトちゃん。経験では

間違いなく負けてるし、1対1で戦うのも初めて…どんどん不安が強くなっていく。

 

…こんなんじゃ駄目!やっとフェイトちゃんが全力でぶつかってくれるんだ。わたしがフェイトちゃんのためにできる事、それは自分も全力で相手する事、それだけなの!

 

想いが決まり、わたしが目を開くとそこには…

 

「…吹っ切れたようだな、なのは?」

 

にゃ?!お、お父さん?!目を開けた目の前に座りこんでわたしを見つめていたのはお父さんだった…まったく気配を感じさせないなんて相変わらずチートなの。

 

「ん、なんか言ったか、なのは?」

「ううん、なんにも!それよりお父さん、なのはが迷ってること知ってたの?」

 

「それは当たり前だろ?お父さんはお父さんだぞ!家族ってそんなもんだ。」

「お父さん…」

 

「明日、模擬戦だってな?父さんは魔法の事はよく解らんが、相手の子に遠慮せず

全力でぶつかっておいで。…がんばれよ、なのは。」

「…うん、ありがとうお父さん!」

「それじゃ早く寝るんだぞ。おやすみ。」

 

そういうとお父さんは道場を出ていった。わたしも道場を出て、夜空を見上げる。

 

「リナちゃん、今頃何してるかな…。」

 

SIDE:リナ

 

模擬戦の前夜、あたしは1人自宅の屋根の上で星空を眺めていた。

 

「いよいよ明日か…。」

 

模擬戦は海鳴海浜公園付近の海上に結界を張って、特殊な戦場を造るらしい。

 

あたしがぼーっと思いにふけってると、顔に冷たい感触が…

 

「ひゃっ?な、何?!」

「ここにいたんだ、リナ?」

 

思わず身体を起こして振り向くと、そこに立ってたのはユーノだった。全く気づかなかったわ…

 

「ユ、ユーノ?!びっくりさせないでよ、まったく…」

「ごめんごめん、はい、ジュース。」

「あ、ありがと…」

 

 

ユーノはあたしに缶ジュースを渡すと、あたしの隣に座った。

 

「いよいよ明日だね、なのはとフェイトの模擬戦。」

「そうね。まぁ、どっちが勝っても友達になる事は決まってるんだし、後はお互いに悔いの残らないよう全力でね。」

 

「リナはどっちが勝つと思う?」

「あたしは立会人よ?あたしが予想するのはおかしくない?…ただ聞いたところでは2人共この戦いに向けて新呪文を準備してるみたいよ。」

「新呪文?!この短期間で?!」

 

ユーノの驚きは当然だ。本来呪文というのは術式を構築するのに時間がかかる。

ましてや新呪文ともなれば…

 

「…多分フェイトの方はプレシアさんか、ナーガが教えたんでしょうね。でもなのはは…あたしが教えたカオス・ワーズの基礎を理解して、レイジングハートの力を借りてとはいえ独学で新たな呪文を完成させた…」

「ち、ちょっと待って!独学でって…本当に?!」

「えぇ、あの子みたいなのを天才っていうのかもね…少なくとも前世のあたしは同い年の頃にはできなかったわ。

ま、強さは互角だから後は気持ちの強い方が勝つと思うわ。」

 

あたしはそう言うとジュースを一口飲む。

 

「それよりユーノ、あんたこの一件が終わったらどうすんの?やっぱりミッドチルダに戻るの?」

 

「…それなんだけど、実は君のお父さんから、「うちの養子にならないか」って言われてるんだ。」

ブブッー!!

 

あたしは思わず飲もうとしていたジュースを吹き出した。

 

「だ、大丈夫、リナ?!」

「…何それ、初耳よ?!てかどうしてそんな話になったのよ?」

「この間、神威さんに剣術を教えてもらったんだけど、なんだか筋がいいらしくて…養子になって跡継ぎになってほしいって。」

「マジで?!父さんが筋がいいって言うなんてなかなかないわよ?」

 

あの恭也さんにすら言わなかったのに…

 

「…で、どうするつもりなの?」

「うん、受けるつもりだよ。神威さんも

時雨さんもいい人だし、リナっていう姉さんもできるし…」

「?!?!…ね、姉さん?!」

「あれ、妹の方がいい?」

 

狼狽えるあたしにユーノはいたずらっぽく微笑む。その笑顔にあたしはドキッとしてしまった。

 

「…もう!姉さんでいいわよ!!さぁ、

明日も早いしもう寝るわよ!!」

「そうだね。立会人頑張って、リナ姉さん!!」

「だ~か~ら~!!ん、もう!」

 

…なんか最後は予想外の展開だったけど、明日はすごい戦いになるのは間違いないわ。

あたしも気合いを入れて立ち会わなくっちゃね!!




はい、ユーノ君のサプライズ、如何だったでしょうか?

ユーノ君は多分1番設定が原作ブレイクしていく予定です。(なのは逹もだけどね。)
それでは次回、「二十五、白と黒 海鳴の空 大激戦」

次回も見てくんないと…

「暴れちゃうぞ~!」
「駄目だよ、姉さん!」
「…本気でそりはやめて…」

(BYリナ&ユーノ)


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二十五、白と黒 海鳴の空 大激戦

…やっと、ラストバトルにこぎつけました。無印編も今回入れてあと3話(予定)!
早くA´S編に入りたい…


NO SIDE

 

遂に訪れた、魔導師ランク測定を兼ねた

なのはとフェイトの模擬戦。アースラの

ブリッジではその準備が着々と進んでいた…。

 

SIDE:クロノ

 

「エイミィ、戦場の構築は順調か?」

「大丈夫、結界は最大出力で張ってるし、レイヤー建造物も完成。あとは試合を待つだけだよ、クロノ君!」

 

「…その[クロノ君]はよしてくれ。一応

上司だぞ?」

「いいじゃない、訓練校じゃ同期なんだし。それより…どっちが勝つと思う?」

 

エイミィの問いかけに、苦笑いしながら

僕は答える。

 

「そうだな…砲撃能力と防御力ならなのは、近接戦闘力とスピードはフェイト、と

いった所か。経験があるぶん、フェイトが有利とは思うが五分五分だな。」

「ふぅ~ん…あ、今日の主役がご到着だよ!!」

 

エイミィの声にふとモニターの方を見るとなのはとフェイトが到着したみたいだな。2人共すでにバリアジャケットに身を包んで準備は万端のようだな。

 

「クロノ~!こっちは準備OKよ!そっちはどうなのよ?!」

 

…今の声はリナか…いったいどこに…あ、あのビルの上か?!

 

「…こっちの支度は出来た。あとはそっちに任せる。…なのはもフェイトも、悔いの残らないようにな。」

 

「うん!ありがとうクロノ君!」

「精一杯戦うよ!」

…これなら大丈夫だな。後はリナに任せておいて、僕達はここから見させてもらうとするか。

 

SIDE:リナ

 

「なのは、フェイト、準備いい?それじゃ簡単にルール説明するよ?…呪文は非殺傷設定にする事、勝敗は相手が気絶するか、あたしが戦闘不能と判定するまで。

時間は無制限よ。OK?!」

 

あたしのルール説明に2人は頷く。

 

「いくよなのは!今日は全力を出しきって私が勝つ!」

「それはわたしの台詞なの!フェイトちゃんとの全力全開バトル、目一杯楽しむの!!」

 

…今更ながら2人共テンションMAXね…これはいい戦いが期待出来そうだわ!

 

「2人共ポジションに着いた?!それじゃ…Ready…Go!!」

 

SIDE:なのは

 

『マスター、気を付けてください。フェイトは近接戦を仕掛けてくるはずです。』

 

「うん、ありがとうレイジングハート。

さぁ、いくよ!」

 

リナちゃんの合図と同時にわたしはレイジングハートを身構え…ってフェイトちゃんが消えた?!いったいどこに?

 

と思った次の瞬間、目の前にフェイトちゃんが!わたしはあわててラウンドシールドを展開する。

 

フェイトちゃんはそれに構わずバルディッシュを大鎌形態にして斬りかかってきた。ラウンドシールドはそれを受け止めたけど衝撃に耐えられずに破壊され、わたしは吹き飛ばされてビルに激突して突き抜け、ビルが破壊された粉塵が舞い上がり視界がさえぎられた。

わたしはレイジングハートに魔力を溜め、反撃の一撃を狙う。

 

「ディバイーン…バスター!!」

 

わたしの放った砲撃は粉塵を突き抜け、その先のフェイトちゃん向かって一直線!

 

フェイトちゃんはとっさにシールドを張って防御したけど、バスターはシールドを

破壊して、その衝撃でフェイトちゃんを

弾き飛ばした。

 

わたしはこれをチャンスとみて、ディバインシューターを展開しつつフェイトちゃんとの距離を詰めた。狙うのは近距離航空戦(ドッグファイト)。

 

フェイトちゃんの背後を取ったわたしは、展開していた誘導弾で仕掛けてみる。

 

「ディバインシューター、シュート!!」

 

でもフェイトちゃんは難なくそれをかわすとスピードを一気に減速、一瞬で背後に

回り込まれちゃった。

 

「フォトンランサー、ファイア!」

 

フェイトちゃんのフォトンランサーが迫ってくるけど、わたしはビルに突っ込んで

直前で方向転換・急上昇!回避に成功し、そのまま雲の上で幾度となく切り結ぶ。

 

「やるね、なのは!あれからまた強くなったんじゃない?」

 

「当然!フェイトちゃんこそ体調は万全みたいだね!」

 

言葉を掛け合うと、お互いに距離をとって体勢を立て直す。

 

フェイトちゃんの方を見ると、まだ余裕がありそうだ。

わたしの方はというと…実は…

 

SIDE:クロノ

 

「いやぁ~、予想以上の接戦だねぇ…」

 

エイミィの呟きに僕は頷きながら言葉を

返す。

 

「全くだ。特になのははであった頃から

格段に進歩してる。2人共AAAランクは間違いないな。」

 

…もっとも、気になることもある。

なのはの魔力消費が激しいのだ。フェイトは魔力残量は70%前後だが、なのはのそれは50%を切っていた。

 

(今までより使い方が荒い…?!いや、意図的に魔力を消費している?でも何故…?…!!…まさか、な…。)

 

その理由を考えるうちに、1つの可能性に思い当たるがすぐに打ち消した。なのはには確かに才能はあるが[あれ]はSクラスのエクストラスキルだ。簡単には習得できないはず…。僕が再びモニターを見上げると、対峙していた2人が動きをみせた。

 

SIDE:なのは

 

わたしは背後から襲ってくるフェイトちゃんのランサーを避けつつ、レイジングハートと念話で相談する。

 

『このままだとまずいかも…切り札使う前に、一勝負いくよ!』

 

『解りました、マスター!』

 

わたしは最大加速で距離をとると、振り向いて魔方陣を展開、魔力の充填を始める。

多分フェイトちゃんは近づいて接近戦を

狙って来るだろうから、そこを狙う!

 

…と思ったらフェイトちゃんも足を止めて大型呪文狙い?でもここは相討ちでも削りにいくよ!レイジングハート、防御はお願いね?

 

『了解しました、マスター。』

先にフェイトちゃんの呪文が完成する。

 

「サンダーッ…レイジ!!」

 

詠唱終了と同時に上空から雷が襲い掛かってくる。レイジングハート!!

 

『プロテクション!!』

 

わたしの周囲にバリアが張られるのと同時に雷撃が当たり、バリアを貫通した余波がバリアジャケットを焦がす。

 

(…!! 痛! でも、これなら撃てる!!)

 

わたしは改めて構えに力を込め、呪文を放つ!!

 

「ディバイン…バスター!!」

 

チャージ充分のディバインバスターFB

[フルバースト]、絶対に逃がさない!

 

SIDE:フェイト

 

わたしが放ったサンダーレイジはなのはに命中した。でも…あれはプロテクション?ということは…来る!

ドゴォーン!!

 

物凄い轟音と共になのはのバスターが…

って何あれ?!

 

わたしの前に迫ってきたのは桜色の砲撃…じゃなくピンクの壁!!…駄目だ、あれは避けられない!

 

『ラウンドシールド、展開。』

 

咄嗟にバルディッシュがシールドを張ってくれたけど、ピンクの壁は容赦なく魔力を削っていく。それどころかその余波が防護服にまで…。

 

わたしは必死に耐えたけど、かなりの魔力を削られてしまった。バリアジャケットもぼろぼろだ。でも、なのはにもダメージを与える事ができた。

 

『マスター、今が好機です。[あれ]を使いましょう!』

 

バルディッシュの提案にわたしは頷きながら応える。

 

『そうだね。それじゃバルディッシュは、ライトニングバインドの準備をお願い。』

 

わたしがバルディッシュをグレイブフォームに切り替えている間に、バルディッシュは罠を仕掛けていく。後は思惑通りなのはが動いてくれたら…。

 

わたしは切り札になる呪文の詠唱を始めた。

 

SIDE:なのは

 

フェイトちゃんはわたしの砲撃を耐えるとそのまま呪文の詠唱を始めた。

 

『大地の底に眠り在る 凍れる魂持ちたる覇王…』

あれはカオス・ワーズ!海の時に唱えた

雷撃呪文に似てるけど…。とにかく止めないと!

 

わたしは距離を詰めようと加速して近づく。でも…

 

空中に小さな魔方陣が現れ、わたしの右腕と両足、それに胴を拘束する。

 

「せ、設置型のバインド…?!」

(あ~ん、ズルい!先にやられた~!)

 

でも、フェイトちゃんの詠唱は続いてる…何で?!

 

『やられましたね、マスター。バインドはデバイスが処理していたみたいです。』

 

『ど、どうしようレイジングハート?』

 

『…マスター、罠には罠です。防御とバインドは私に任せて、マスターは切り札の準備をお願いします。』

 

!!とうとう使う時がきた。レイジングハートと考えて、リナちゃんにカオス・ワーズ教わって完成したあの呪文を!!

 

「わかったよレイジングハート!知恵と戦術…『そして勇気の』…最後の切り札!」

わたしはバインドを振りほどく振りをして術式の制御を始めた…

 

SIDE:フェイト

 

…ふぅ、うまくいったみたい。ありがとうバルディッシュ。

 

『…汝の蒼き光以て 我らの前を塞ぎし存在に…』

 

詠唱が進むにつれ、わたしの前方に光球

[スフィア]が大量に出現する。この術の原型は、今はいないリニスが教えてくれたフォトンランサー・ファランクスシフト。

それをナーガさんと母さんでカオス・ワーズを組み込んで改良した、最強呪文!

 

『…我と汝が力以て 雷光の槍にて敵を撃て!!』

 

呪文の完成と同時に無数のスフィアが蒼く輝く。これで決める!

 

「撃ち、くだけぇーーー!覇王雷光炮[ダイナスト・ファランクス]!!」

 

わたしの叫びにスフィアが一斉にランサーを射出する。その数、秒間7発×スフィアが38個=1064発!

いくらなのはの防御が堅くても、全てを

削り取る!

 

放たれたランサーはなのはに残さず命中、その視界は爆煙に遮られて何も見えない。でも油断は禁物、止めの一撃!

 

わたしは残った魔力を右手に溜め、雷光の槍を造り出す。

 

「スパーク…」

 

放った槍は爆煙の中に飛び込むと大爆発!

「…エンド。」

 

わたしは荒い息を整えながら、爆煙を見つめていた。自分でやっておいてなんだが、なのはは無事だろうか?

 

すると次の瞬間、信じられない光景が目に入ってきた…。

 

霧が晴れたその先、なのはは意識を保ち

魔方陣を展開していたのだ。しかも…

 

キン!

 

あっというまに、フェイトの左腕と両足が拘束された。

 

SIDE:なのは

 

…うまくいったの。ありがとう、レイジングハート。

 

『どういたしまして、マスター。』

 

…わたしのこの手は小さいけれど、この手にあるのは撃ち抜く魔法…涙も、痛みも、運命も!

 

全てを撃ち破ってこそ、本当の友達になれる!

 

いくよ、知恵と戦術・最後の切り札、星光集束斬[スターライト・ブレイカー]!

 




…なのはちゃんの最後の台詞はどうしてもいれたくて…後悔はしてません!

それでは次回「二十六、激闘の 〆はやっぱり ブレイカー」

次回もリリカル、マジカル…

『ブレイカーーーッ!!』
(BYなのは)


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二十六、戦いの 〆はやっぱり ブレイカー

いよいよ炸裂するブレイカー、そして白き魔王とピンクのトラウマは覚醒するのか?(笑)
無印編ラストバトルもフィナーレです。
お楽しみください!


NO SIDE

 

フェイトが必勝を期して放った覇王雷光炮[ダイナスト・ファランクス]。

 

しかしなのはは全てを受けきったうえで、フェイトをバインドで拘束、逆襲の準備が今始まった…。

 

SIDE:クロノ

 

…僕は一瞬目を疑った。フェイトの強烈な直射砲撃をくらい、撃墜確実と思われた

なのはが爆煙の中から現れたのだ。

 

しかも、フェイトをバインドで捕らえ自らは魔方陣を展開、大型砲撃の準備中…!

 

「エイミィ、今の攻防をスローで見せてくれ。」

 

「了~解。…これは?!」

 

…なるほど、射出する前にバインドを設置、その後多重シールドを張るのをデバイスに委ねたか。だから素早く準備ができたんだ。

「また無茶な…どんだけ愛機[デバイス]を信頼してる訳?!」

 

…まぁエイミィのつぶやきはわかる。

だが生き残り切り札を使うためにはそれしかなかった…。

 

「切り札?でも、なのはちゃんの魔力はもう…」

 

「確かになのはの魔力はもうほとんどないはずだ。だが…。」

 

SIDE:リナ

 

「…どうやら、なのはは賭けに勝ったみたいね。」

 

あたしは離れたビルの上から2人の戦況を眺めながらそう呟いた。

 

まさかフェイトもカオス・ワーズで呪文を強化してくるとは思わなかったけどね。

 

さぁ、見せてもらうわよなのは!あたしが教えたカオス・ワーズで構築した、あんただけのオリジナルスペルを!!

 

SIDE:なのは

 

わたしはふぅ、と息を吸い込むとカオス・ワーズの詠唱を始めた。

 

『…常世を守りし白輝の聖母よ…』

 

わたしが力を借りるのは、以前ゼルガディスさんがアリシアちゃんを蘇らせるときに使った[白輝の聖母]。

 

人を蘇らせるほどの力を持った存在、わたしに使いこなせるかな?と思ったけど…

うまくいくもんだね~。

 

『闇に潜みし咎人達に 星光集いし滅びの力を…』

 

…戦いの中でばらまかれたわたしたちの

魔力を再び集めて再利用する。それがわたしとレイジングハートの秘密兵器・集束砲撃スターライト・ブレイカー!

レイジングハートはカオス・ワーズに対応してないけど、魔力は集め直すから問題ないの。

 

どう、フェイトちゃん?覚悟はできた?

 

SIDE:フェイト

 

「まさか…集束砲?!」

 

…空中に散らばった使用済みの魔力を集めなおして、そのまま直接使用する集束砲撃。これってSランクのエクストラスキルじゃなかった?

 

『これを見て、フェイトちゃん!』

 

カオス・ワーズ詠唱中のなのはが、念話で話しかけてきた。なのはがレイジングハートを掲げた頭上には、集まった魔力が直径5mぐらいの巨大な光の球…

 

白く輝くその光弾に集まっていくのは、

なのはの桃色の光。しかしその中に金色や蒼色の光が…

 

「あ、あれって私の魔力?ズルいよっ、そんなの!」

 

わたしは思わず叫んでしまった。でもなのはの念話が無情に響く。

 

『ズルくないよっ!!全然ズルくないっ!』

 

SIDE:クロノ

 

「いや、アレはずるいだろ…。」

 

僕としてはフェイトに同意だ。

一瞬頭を過ったが、まさか本当に集束砲撃[ブレイカー]とは…。あれは長期戦になればなるほど真価を発揮する。

しかも、自分の魔力まで持っていかれたんだ、愚痴ってもいいと思うぞ?

 

「エイミィ、救護班の準備だ。もうすぐ

この戦いも終わるぞ?」

 

「了解。大丈夫かな、フェイトちゃん…」

エイミィの返事を確認し、僕は再びモニターに映る星光を見つめた…。

 

NO SIDE

 

フェイトは絶望的な表情で桜色の光を見つめていた。なのははフェイトに念話で話しかける。

 

『フェイトちゃん、今日は楽しかったよ!約束通り、これで友達だよ!』

 

「うん…。わたしも楽しかったけど…、

[これ]、やっぱり耐えなきゃ、ダメ?」

 

『うん、やっぱり決着はつけよう?!』

 

なのはがそういうと、光の球は暴発寸前まで膨れ上がった。

 

「…だよね。でもわたしも最後まで!」

意を決したフェイトは、バリアジャケットを再構築し、バルディッシュにラウンドシールドを重ね掛けさせる。そしてなのはの詠唱が今まさに…

 

『…我と汝が力以て 全てを撃ち抜く閃光となれ!』

 

『全力全壊!星光集束斬[スターライト・ブレイカー]!!』

 

ドッゴーーーン!

 

なのはがレイジングハートを降り下ろすと同時に、まさに桜色の巨砲がフェイトに

襲いかかる。

 

フェイトの必死の抵抗も虚しく、バリアは一瞬で砕け散り、フェイトは海に叩きつけられた。

 

SIDE:リナ

 

「そこまで!勝者・高町なのは!!」

 

あたしがなのはの勝利を宣言すると同時になのはは海に落下したフェイトの救出に

向かった。大丈夫かな、フェイト?トラウマにならなきゃいいけど…

 

とりあえずあたしも地面に降りて、フェイトの様子を確認する。…意識は失ってるけど大丈夫みたいね…。

 

「なのは、おめでとう!すごいじゃない、あの呪文…」

 

『なのは!!』

 

あ、クロノ怒ってる。

 

『いい試合だった…と誉めてやりたいところだが…』

 

クロノは一旦言葉を止め、そして…

 

『それ以前に君の戦い方は危なっかしい!後で説教するから覚悟しておけ。』

 

「う…は~い…」

 

なのははクロノに言われて凹んでしまう。

『だいたいブレイカーなんてSクラスの

スキルだぞ?いつどこでおぼえたんだ?』

 

クロノがなのはに質問する。…まぁ、あたしは知ってるけどね。(笑)

 

「えっと…何となく?」『何となく?!』

 

「試してみて、リナちゃんにカオス・ワ~ズを教わって…あ、でもいっぱい練習したんだよ?」

 

『そうか、一杯練習か、それなら…って

出来るか?!』

 

「ほぇっ?!」

 

おぉ、見事な乗り突っ込み。クロノ、なかなかやるじゃない!

 

『ブレイカーはSランク相当のエクストラスキルだぞ?!どうして魔法初心者の君が使えるんだ?』

「わ、わたしに言われても…」

 

『まぁまぁクロノ君、そこまでにしてあげたら?…まぁ、なのはちゃんも限界突破で魔力使っちゃったから、暫くは筋肉痛だと思うよ?』

 

エィミイが助け船をだしてくれたおかげでクロノも落ち着きを取り戻したみたい。

 

『…まぁいい。とりあえず今日は解散だ。救護班からの連絡で、フェイトは意識を取り戻したが疲労が激しいらしいから、次に会うのはミッドチルダに帰るときだな。』

そっか…フェイト達はしばらく拘束されるんだっけ…

 

「いつ帰るの?」『…来週の日曜日、だったか…とにかくそちらの休日の早朝だ。』

 

そうか…って今日土曜だから明日じゃん!急すぎない?!

 

『仕方ないんだ。別れと言っても半年程度だ。プレシア女史も拘束が解けたらこっちに引っ越すって言ってるし…。』

まぁ役所仕事だからね…

 

『…理解してくれて助かる。それじゃリナ、なのはを頼んだぞ。…また明日、ここで待ってる。』

 

そう言うとモニターに映っていたクロノが消えた。

 

さてと、それじゃあたしたちも帰ろっか、なの…

 

「zzz~」

 

あは…疲れてねむっちゃったのね…

仕方無い、士郎さんに電話して迎えにきてもらうか…。

 

おやすみ、なのは…。

 




活動報告の方で告知はしましたが、無印編終了後、平行して新シリーズを書きたいと思います。(詳しくは活動報告をご覧ください。)

それでは次回、無印編最終回!「二十七、お別れは 新たな出会いの プロローグ」

見てくんないと…

「暴れちゃうで~!」
(Byは〇て)


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二十七、お別れは 新たな出会いの プロローグ

…いよいよ無印編が終わります。書き初めて約半年、あっという間でした。
それでは、どうぞ!


SIDE:なのは

 

ーPiPiPiPi PiPiPiPi…ー

 

わたしは携帯電話のアラームで目を覚ますと、それを止めて体を起こす。

 

「ふわぁ~、よく寝た…」

 

ベッドを出て制服に身を包むと、わたしは静かに家を出る。まだ朝早いからね。

 

「おはよ、なのは。よく眠れた?」

 

玄関を出るとリナちゃんが待っててくれた。

 

「おはよう、リナちゃん。昨日はありがとう、送ってくれて。」

 

「いいわよ、別に。車運転してたのは士郎さんだしね。…フェイト達と別れるの、やっぱり寂しい?」

 

リナちゃんの問いかけにわたしは一瞬言葉を詰まらせる。だけど…

 

「寂しくないっていったら嘘になるよ。 でも、半年待ったらまた逢える、一生逢えないわけじゃないもん!だからわたしにできるのは笑顔でお別れ、それだけだよ!」

 

わたしは強く言い切った。まだわたし達とフェイトちゃん達の絆は繋がったばかり。全てはこれからなの!

 

「なのは…強くなったわね。」

 

「ほぇ?リナちゃん?」

 

リナちゃんからそういう風に言われるなんて…

 

「だって、初めて会った頃のなのはだったら、『もうさびしいのはやだ~』って

泣いてるところよ、多分…。』

 

「にゃーーーーっ?!それはいわない約束なのーーー!!」

それはわたしの隠したい過去なの、黒歴史なの!!

 

「はははっ、ごめんごめん。…でも、強くなったと思ったのは本当よ。それでこそ

あたしの大親友よ!」

 

リナちゃん…わたしこそあなたが親友で

本当によかったの…

 

「さぁ、フェイト達が待ってるわ!公園へ急ぐわよ!!」「うん!!」

 

わたしたちは、フェイトちゃん達の待つ

海鳴海浜公園へと向かったの。

 

NO SIDE

 

なのはとリナが待ち合わせ場所にたどり着くと、既にフェイト達とクロノ、さらに

見送りにきたアリサとすずかがいた。

 

「なのは、リナ、遅いわよ!」

 

「え~?まだ5分前よ?」

 

「わたしたちもフェイトちゃん達も、10分前には来てたよ?」

 

「まぁ、別に遅刻じゃないからいいんだが…それじゃ…」

 

クロノが振り向くと、フェイトとアリシアはなのはと、プレシアはリナと話始めた。

 

SIDE:リナ

 

「リナさん、今回は本当にありがとう。

貴女たちのおかげでわたしは家族の絆を

取り戻す事ができたわ…」

 

「礼ならなのはにいってあげて。あたしはあたしのやりたいようにしただけだから。」

 

あたしは照れ隠しになのは達の方を見る。なのはとフェイトはハグしながら別れを

惜しんでるみたい。

 

「それはそうとリナさん、前世のお話を入院中に読ませてもらったけど…ナーガさんやゼルガディスさんも含めて、凄まじい

わね…魔王と呼ばれる存在を1度ならず2度も倒すなんて…」「えぇ~っ?!」

 

プレシアさんの言葉に驚いたのはすずか。あれ?すずかはあたしが主人公のライトノベルは全部読んでその事も知ってたはずだけど…?

 

「わたしが小説貸したの、5日前でしたよね?!もう読み終わったんですか?」

 

…あ、そういう事ね。でも確か全15巻だったはずだったからそれぐらいなら…

 

「えぇ、入院中暇だったから…さすがに40冊以上は疲れたけど、とても面白く読めたわ。」

…40冊以上?!…! もしかして、本編だけじゃなくすぺしゃるまで?!

 

「…すまっしゅもだよ、リナちゃん…」

 

まさかの小説完全制覇?!…それはさすがに予想外だわ…

 

「ナーガさんやゼルガディスさんもこの世界に来ていることだし、もしかしたら他の人達も転生してるかもしれないわね。

…例えばガウリィさんとか、シルフィールさんとか…」

 

…ガ、ガウリィ?!…そりゃ、アイツが

転生してたらもう一度会いたいけどさ…

 

「あらあら~?!どうしたのかしらリナさん、顔が真っ赤よ?」

 

「ほんとだ~どうしたのリナちゃん?」

「う、うっさい!!何でもないわよ?!」

 

…ちくしょう、プレシアさんとすずかは

あたしとガウリィの関係解ってるのよね…

あたしは火照る顔をごまかしながら、なのは達の方に近づいた。

 

なのは達はどうやらお互いのリボンを交換したみたいで、なのはもフェイトも髪を

おろしている。

 

(…こうやって見るとなのはって、桃子さんに似てるわね。ってことは桃子さんがツインテールにしたら…大人のなのは?)

 

ちょんちょん…「ん?誰?」

 

あたしが他愛もないことを考えてたら、

誰かがあたしの背中をつついた。振り向くとそこにはアリシアが…

「どうしたの、アリシア?」

 

「リナ、わたしとあなたのリボン、交換して!」

 

えっ、どうしてあたしと?

 

「わたし、リナみたいに強くなりたいの!わたしの魔法の術式はリナやナーガさんと同じスィーフィードらしいから…」

 

あたし達の術式は[赤の竜神]の名をとってスィーフィードと呼ばれることになった。

あたしとナーガの魔力を浴び、ゼルの力で蘇生したアリシアは、スィーフィードに

適性があったらしく今はナーガに魔法を

教わってる。

 

…教わるのは魔法だけにしてほしいけど…

 

「魔法はナーガさんに教わってるけど、

私が憧れてるのはリナなんだ!だから…

ダメ、かな…?」

 

うっ…、フェイトより見た目が幼いから、可愛い生物度がハンパないわこれ…

 

「いいわよ。…はい、これでいい?」

 

あたしはポニーテールを束ねていたリボンをほどくと、アリシアに手渡す。

 

「わ~、ありがとう!それじゃこれ、わたしのだよ!」

 

そういうと、アリシアは水色のリボンを

あたしの掌に置いた。1組で2つあるから1つはヌクヌクにあげようかな?お揃いになるし。

 

「半年したらこっちに引っ越してくるからその時は一緒に遊ぼう!約束だよ?」

 

「わかった、約束。」

あたしとアリシアは小指を繋いで指切りで約束を交わす。

 

「…お別れは済んだか?そろそろ時間だ。」

 

クロノの声にフェイト達は頷く。

 

「それじゃなのは、約束通り、ビデオレター送るね。半年後、必ず帰ってくるから…。」

 

「…うん!絶対だよ!!それじゃ…またね…!」

 

あれ?なのはもしかして…?

 

クロノとフェイト達は転送魔法の光に包まれて消えた。アリサとすずかも家に帰り、この場に残ってるのはあたしとなのはだけ…。

 

「なのは、泣いてるんでしょ?!」

 

「!…泣いてなんか…(グスッ)…ないもん…(グスッ)。」

あたしは顔を伏せてるなのはを覗きこむ。…あ~あ、目真っ赤にしちゃって。

 

「いいよ、泣いても。…フェイトに心配かけたくないから我慢してたんでしょ?…

ここにはあたししかいないから、おもいっきり泣いたらいいよ!」

 

「リナ…ちゃん…うっ…うわぁ~ん…」

 

なのはは堪えきれなくなったのか、大声をあげて泣きはじめた。あたしはその頭を抱えてやる。

 

「グスッ、リナちゃん、グスッ…」

 

「さぁなのは、帰ろうか?」「うん…」

 

あたしはなのはを促すと公園を後にする。

 

…こうして、のちにジュエルシード事件、またはP.T.A.N(プレシア・テスタロッサ・アンド・ナーガ)事件と呼ばれる出来事は終わりを告げた。

でも、あたし達は新しい物語の扉が、既に開いていたことに気づいていなかったんだ…。

 

NO SIDE

 

なのはとフェイト達が別れを惜しむ頃、

海鳴市立図書館に車椅子に座ったショートカットの少女と、黒髪のボブカットの少女の2人が訪れていた。

 

「ん…よっと…」「この本ですか、は○てさん?」

 

車椅子の為、本棚に背の届かない少女の代わりに、もう1人の少女が目的の本を取り車椅子の少女に渡す。

 

「あ、それや~。ありがとな、ア○○ア。」

 

車椅子の少女の笑顔に、黒髪の少女も笑顔で返す。

 

「いえ…主の為だったら当然の事です!」「そういってくれるとうれしいわ~。

さっ、お目当ての本も見つかったし、そろそろ帰ろか?ヴィータがお腹空かせてまってるわ。いこ、アメリア?」「はい!はやてさん!」

 

…闇の書覚醒まで、あと666ページ。…

 




はい、いかがだったでしょうか。

最後に出てきた子は、5人目のヴォルケンリッターです。スレイヤーズのファンの方ならお馴染みのあの子です。

この後の予定ですが、何話か番外編を書いたあとA´S編に突入します。後、告知済みの新シリーズにも手をつけていきます。
執筆ペースを落とさないよう頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。

それでは次回、えくすとら編開始!!
「二十八、見てみよう 高町なのはの 一日を」

それじゃ、「リリカル」「マジカル」これからもよろしく(なの)!!

(BYリナ&なのは)


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えくすとら編
二十八、見てみよう 高町なのはの 1日を


忘れそうな頃に唐突にやって来た、なのは劇場版3作目。早く続報がしりたいです。
こちらのリリすれ!は、番外編のえくすとら!今回はコミック版A´Sの1話をパロってみました。それでは~どうぞ!


SIDE:リナ

 

こんにちは、逢魔リナです。今日は皆さんにあたしの大親友、高町なのはの1日を

紹介します。それではVTR、スタート!

 

…聖祥大付属小学校3年兼ミッドチルダ式空戦魔導師・高町なのはの朝は早い。

早いったら早い。起きるのはなんとAM4:30だったりする。

 

勿論こんな時間に起きるのには理由がある。…朝の特訓である。まずは桜台と呼ばれる丘の上までウォーキング。着いたら、

指導者(あたしやユーノ)の監督の元でみっちり基礎トレーニングをおこなう。

 

それがすんだら高町家の道場で朝食まで

恭也さんや美由希さんと剣術・格闘術の

稽古。これにはあたしやユーノも参加。

…近頃ユーノの成長が著しい気がする。

美由希さんとはほぼ互角だし、恭也さんからも一本取ったりしてる。父さんの内弟子になってまだ1月ちょいだよ?!

 

…ちょっと話が脱線しちゃった、ごめんごめん。朝食を取ったら身支度をして学校へいくんだけど…実はこの時もレイジングハートが魔力付加をかけてる。これによって体力と魔力アップを…ってこと。

 

ちなみにあたしとなのは、それにアリサとすずかもこのトレーニングを続けてる。

 

『最初は辛かったけど今ではそんなに』はなのはの談。

 

学校に着くと…

 

「あ、なのはちゃん、リナちゃん、おはよう!」

「ねぇ、今日はチーム分けどうする?」

 

アリサとすずかも合流し、打ち合わせをする。

 

…実はあたしたち4人は、授業中も訓練をしてたりする。

 

2つ以上の事を同時に行う技能・マルチタスクは魔導師の必須スキル。あたし達は、学校の授業を受けながら2対2の戦闘シミュレーションをしているんだ。(先生、ゴメン!)

 

…今日のパートナーはなのはか。ぶっちゃけ、あたしとなのはが組んだら、ブレイカーと竜破斬は禁じ手にしないと、勝負にならないのよね…

 

『ぬぬぬ~今日こそは一勝するわよ、すずか!』

 

『うん、頑張ろうアリサちゃん!』

 

さぁ、バトルを始めましょう!

 

………………………………。

 

結果からいうと、あたし達の全勝だった。

「今度こそは負けないわよリナ!」

 

「ふふん、いつでもかかってらっしゃい!ね、なのは?」

 

「うん!」

 

…放課後は塾や翠屋の手伝いが無いときは夕方も練習してるみたいだけど、今日は

翠屋でお手伝い中。

 

これはこれで大変なのよね…あれ?

 

よく見ると店の奥のテーブルで、士郎さんが面接してるみたい。桃色の髪をポニーテールにした、背の高い女の人…。

 

女の人は緊張してるのか、笑顔は固い。

でもやがて表情が明るくなった、ってことは…

 

「それじゃ明日からお願いするよ。」

 

「あ、ありがとうございます!頑張ります!」

 

…採用が決まったみたいね。まぁ、翠屋は海鳴でも有数の人気店だし、人はいくらいても…ね。

 

そして夕食、宿題のあとは上空に結界を

張って空戦の練習。疲れた身体をお風呂で癒してPM8:30には就寝…っと。

 

これがなのはの1日よ。これを日曜日以外毎日ね。それじゃ、アースラのクロノ、

マイクをお返ししま~す。現場の逢魔リナでした~!

 

 

SIDE:クロノ

 

…どこのレポーターだ、君は…

僕はなのはがまた無茶苦茶な練習していないか教えてくれ、って言ったはずだが?

 

『ごめんごめん、ついノリで…』

 

「全く…というかやり過ぎじゃないか、これは…」

 

『ん~、大丈夫じゃない?日曜日は完全休養日にしてるし、無理しそうだったらあたしが増幅版の眠り[ブースト・スリーピング]使ってでも止めるから…』

 

まぁ、君なら竜破斬使ってでも止め…

 

『あぁん?な、に、か、い、っ、た?』

 

「いや、何も…それより今日はなのはは何してるんだ?」

 

『え?!なのはだったらユーノと一緒に、ブレイカーの改良を…』

 

ドッカーーーン!!

 

なんだ、今の音は…

 

『ねぇ、クロノ。ものすごく嫌な予感しかしないのはあたしだけ?!』

 

「奇遇だな、僕もだ。…エィミイ、今の音は何だ?!」

 

クロノの問いに帰ってきたエィミイの答えは…

 

『海鳴市上空の結界内で、なのはちゃんのブレイカーが暴発!!…なのはちゃん、ユーノ君大丈夫?!…えっ?!』

 

どうしたエィミイ?何かあったのか?!

 

『……… なのはちゃんのブレイカーによって、広域結界が破壊されました…。』

 

「『はぁ?!』」

 

僕とリナはただただ呆然とするしかなかった…。

『…こちらユーノ。アースラ、聞こえますか…』

 

『ユーノ、無事か?なのはは?!』

 

『僕は大丈夫。なのはも怪我は無いよ。』『にゃ~!な、なんとか…』

 

…どうやら魔力切れのようだな。すぐ救護班を行かせよう。でもどうしてこんなことに…。

 

『…実はなのはがブレイカーの最大火力の強化を狙ったアレンジを…。』

 

ユーノの言葉に僕は思わずため息をつく。

 

『はぁ…それで付いた効果が結界破壊か…リナといいなのはといい、感覚で呪文を

組み上げる子らは末恐ろしいよ…。』

 

『…でも、威力はあがったよね?』

 

『君は反省しろ!!』

『あんたは反省しなさい!!』

 

思わずリナと同時に怒鳴ってしまった。

 

[事故報告]

 

海鳴市上空の結界破壊事故

 

被害者?加害者?…高町なのは

 

ブレイカー発動失敗による自爆により魔力切れ…全治1日

 

星光集束斬→星光集束斬・改[追加効果…結界破壊]




はい、さりげなく?登場している将がいますよね。えくすとら編は5話ぐらいを予定してます。

次回もコミック版のパロディ、「二十九、実技試験 フェイトとバトル 相手だれ?」

それじゃ、見てくんないと…

「紫電一閃!」(BYシ〇〇ム)


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二十九、実技試験 フェイトとバトル 相手だれ?

今回はコミック版第2話のパロディです。果たして試験官の正体は?そしてフェイトは生き延びれるのか?!(笑)
では、どうぞ!


NO SIDE

 

ここはとある無人の次元世界。

今日はここでフェイト・テスタロッサと、アルフの嘱託魔導師の試験が行われてようとしていた。

 

 

SIDE:フェイト

 

『…それじゃ、嘱託魔導師の採用試験を

始めるよ!まずは自己紹介から!』

 

「はい!フェイト・テスタロッサ、9歳です。よろしくお願いします。で、こっちが使い魔のアルフです。」

 

「よろしく~!」

 

エイミィのアナウンスにわたしとアルフは返答した。今日は私たちが嘱託魔導師として働くために必要な資格を取るための試験だ。これがあれば、リンディさんやクロノの手伝いができるようになる。

 

 

『試験内容は午前中に儀式魔法、午後からは実技試験だからしっかりね。大丈夫、フェイトちゃんだったら問題ないよ!』

 

「うん、ありがとうエイミィ。」

 

わたしはバリアジャケットを着装し、バルディッシュをグレイブフォームに展開する。

 

「それじゃいってくるよ、アルフ。」

 

「うん、がんばれフェイト!」

 

わたしはそう言ってアルフに小さくガッツポーズすると、試験開始の合図を待つ事にした。

 

 

SIDE:リンディ

 

「ふ~ん、あの娘が貴方のオススメ?…

使い魔持ちのAAAランク、逸材ね。」私に話しかけてきたのはレティ・ロウラン。私の古い友人で時空管理局の実力者でもある。

「でしょ~!しかも数少ないスィーフィード式の使い手だし、優良物件間違いないわ!」

 

…まぁ、海鳴にはこの子以上の[超]逸材が2人もいるんだけどね…

 

「まぁ、リンディの推薦だったら問題ないでしょ?実力、見せてもらうわよ。」

 

「フェイトちゃん、アルフ、試験始めるよ!準備はいい?」

 

『はい!いつでもいけます!!』

 

『わたしもOKだよ!』

 

どうやら準備はできてるみたいね。まずは儀式魔法からね…2人とも頑張って!

 

SIDE:フェイト

 

こうして始まった嘱託魔導師試験。フェイト達は午前中の儀式魔法の試験を難なくこなし、食事休憩に。

「ねぇフェイト、午前中は楽勝だったね!!」

 

「うん、クロノに教わって予習したからね。」

 

わたしは母さんに作ってもらったベーグルサンドを頬張った。

 

「午後からは何だっけ?」「えっと、確か…」

 

「午後からは戦闘実技試験だよ~!」

 

わたし達の話に試験オペレーターのエイミィが割り込んだ。

 

「ほんとはクロノ君が試験官をする予定だったんだけど、ちょっと急な仕事が入っちゃったらしくて。…で、代わりにスペシャル試験官が今、そっちに向かってるから…頑張ってね…。」

 

えっ?今の励まし方は何?

 

「試験官てだれだろね?」「さぁ…誰だろ?」『あ・た・し・よ!!』

え…?今の声、まさか?

 

目の前に蒼い光が降りてきて、その光の中から現れたのは…

 

「「リナ?!」」

 

「ヤッホー、元気にしてた、フェイト?…あたしが今日のあんたの相手よ!」

 

嘘でしょ?!だってリナだってまだ嘱託魔導師の資格もってないんじゃ…

 

「それがね、あたしは何か特例らしくて、今回あんたの試験官したら試験パスってクロノに言われて。」

 

え~っ、そんなのズルい!…でもリナなら仕方ないのかな…

 

「まぁ、AAAクラスの魔導師の相手できる人間なんてそうそういないからね~。

ただ友達とはいっても、手を抜く気は全くないから。全力でおいで!」

 

…そうだ、何も怯むことなんてない。なのはやリナに教わったこと、それはいつでも全力全開!

 

「リナ、わたしはいつでも!」

 

「OK!それじゃ始めましょ!」

 

NO SIDE

 

空に浮遊すると、フェイトは無数のランサーを展開して機動戦をしかける。

 

しかしリナは冷静に炎の矢[フレア・アロー]を展開して応戦、序盤は互角の展開に…

 

「やるじゃない、フェイト!スピードはあたしより上かも…」

「当然!!スピードは母さんとリニスがくれた、わたしの最強の武器だから!」

 

戦いは佳境に入り、リナはゼルガディスを構えると魔力を充填、フェイトもバルディッシュに魔力を込め…

 

「魔竜烈火咆[ガーヴ・フレア]!」

 

「サンダーァ…スマッシャーァ!!」

 

同時に呪文を発動!本来はリナの呪文の方が威力が上だが、詠唱なしの為互角の激突、爆風が2人の視界を奪う。このチャンスに先に動いたのはフェイトだった。

 

SIDE:フェイト

 

わたしは砲撃がぶつかり、視界が遮られると同時に加速してリナの背後を狙う。

 

爆煙を突き抜け、リナのバックに回り込めたわたしはバルディッシュをサイズフォームに変型させ斬りかかった!

「当たらなくたって、体勢が崩せれば!」「…そうよね、体勢が崩せれば、ね…。」

えっ?!

 

「風魔咆裂弾[ボム・ディ・ウィン]!」

 

攻撃が当たる直前リナが振り向き、暴風の呪文を発動、わたしは見事に吹き飛ばされた。

 

「きゃあ~~~~~!!」

 

「これで終わりよ!獣王牙操縛[ゼラス・バインド]!」

 

すぐさま放たれた誘導式のバインド弾で拘束されたわたしに、リナはゼルガディスを突きつけた。

 

「…近接の読み合いとイレギュラーの対応が今後の課題ね。…とりあえず勝負あり、かな?」

 

あ~あ、勝てなかった…やっぱりリナは強いなぁ…

「じゃ、これで実技試験は終了ね。」

 

「うん…でも合格したかったなぁ…」

 

「フェイト…」

 

泣きそうな顔をして落ち込むわたしを見てアルフがオロオロしてる。

 

でもリナはそんなわたしに何故か苦笑い。

 

「あのさ、フェイト…?まさかと思うけど『負けたら不合格』って思ってる?」

 

えっ?どういう事?!

 

『試験は戦闘技術を確認するのが目的だから、勝敗は関係ないよ?』

 

エィミイから説明があってわたしは早とちりしていた事に気づく。

 

「そうなの?じゃあ…」

 

「いまの戦闘だって悪くないし、試験は続行よ。もう、うっかりさんねフェイトは…。」

 

リナの言葉に恥ずかしくなったわたしは頬を赤らめる。もう…恥ずかしい!

 

「それじゃ、使い魔込みの2ON2よ!…おいで、ヌクヌク!」

 

『リナ、よんだ~?』

 

リナが使い魔のヌクヌクを呼び寄せる。

 

「フェイト、次こそは勝つよ!さぁ!」

 

アルフ…うん!絶対合格してみせるよ!!

 

そして試験は予定通り進行し…

 

『え~、魔法技術・使い魔との連携は申し分無し、戦闘技術も合格点。…嘱託魔導師として問題は無さそうね。』

 

それじゃ…

 

『おめでとう、フェイトさん。これでAAAランク嘱託魔導師として認定よ。あとは認定証の交付時に面接するだけよ。』

 

「はい!ありがとうございます!」

 

次の瞬間、もうひとつホログラフが開き…

 

『『おめでとう、フェイト!!』』

 

…母さん、それにアリシア!

 

『あぁフェイト、流石私の愛娘だわ!早く戻ってらっしゃい、今日はお祝いよ!』

 

『もう、ママったら…でもすごいよフェイト!お姉ちゃんも頑張らないと、だね!』

 

母さん、アリシア…

 

「…さて、あたしも海鳴に戻るかな?

なのは達にこの事教えてあげないとね?

じゃ、またね!!」

 

リナはそう言うと光に包まれて消えた。

 

「フェイト、さぁ帰ろ!今日はごちそうだぁ!!」

 

「…うん!!」

 

わたしはアルフにうなづくと、決意を新たにする。なのは、もうちょっと待ってて、もうすぐ会えるから!

 




お楽しみ頂けたでしょうか?

次回はユーノメインのオリジナル回です。モブな転生者VSユーノの一騎討ち、勝つのはどっちだ?!(棒読み)

それでは次回、「三十、こんにちは 逢魔ユーノと 申します」

じゃ次回も…

「リリカル」「マジカル」「リナ達は僕が護る!!」 「ユ、ユーノ?!……………………(ポッ)」
(BYユーノ&リナ)


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三十、転生者 魔王2人と ご対面(前編)

今回は前後編になります。あと、予告と
タイトル変えました。

視点が転生者視点なので、少々見苦しいかもしれません。ご了承ください。(ペコリ)


NO SIDE

 

とある日曜日の朝。ここは海鳴市藤見町の住宅街にある高町なのはの家。ここに一人の転生者が訪れた所から、始まるひとつの物語…

 

SIDE:??

 

ふぅ…これが高町家か!さすがに尋常じゃないオーラを感じるな…。

 

…俺の名は跡原剣壱(あとはらけんいち)。

俺は所謂転生者だ。元の世界の神様のミスで死んでしまった俺は、その神様の力で

念願だったリリカルなのはの世界に転生した。

 

もらった特典は3つ。1つ目はインテリジェントタイプの剣型デバイス。2つ目は、魔力ランクSSS。そして3つ目は[魔性の微笑み]……所謂ニコポだな。

この3つがあればなのはも、フェイトも、はやてもみんな俺の嫁だ!さすがに魔力は9歳だからAAAぐらいだけどな。

 

…ただ1つ、神様の奴が言ってたことが

気にかかる。やたら「にぱ~♪」を連発する紫髪の幼女の姿をしてたが、こちらの

世界に送られる直前、雰囲気がガラッと

変わったんだ…

 

『この世界は何かが違うわ…精々気をつけることね…』

 

「何が違うんだ?!教えろよ!」

 

『…教えてあげないわ、意地悪だから。…じゃあ頑張りなさい。』

 

…………

 

何かなのはに声が似てる神様だったな…。確か名前は…フレデリカ…いや、フルデリカ?!

…まぁいい。それより今日ここに来た理由は、なのはの心を射止めるのは勿論だが、早めに時空管理局にスカウトしてもらうためだ。

 

何故かはわからないが、俺が転生した時にはジュエルシード事件は終わってしまっていた。

 

この世界に俺以外の転生者がいると仮定すれば、そいつらに対して俺は出遅れたということだ。闇の書事件が始まる前になんとしてもリンディさんやクロノと知り合いたい。そう考えた俺はここ、高町家を訪れた訳だが…。

 

「ちょっとあんた、そんなとこでなにしてんのよ!」

 

後ろから声をかけられ思わず振り向いた。だって今のはこの世界で聞ける可能性は

低いはずの[閣下]の声…

そこにいたのは1人の少女と1匹のフェレットだった。…はて、この少女の顔どこかで…?それに肩に乗せてるフェレット、間違いなくユーノ・スクライアだよな?

 

「あ、あぁ。僕、この道場に興味があって…。君こそどうしてここに?」

 

俺はそう答えるとニコッと笑って見つめ返す。ユーノと知り合いということは、この子も転生者かもしれない。見た目可愛いし、俺の嫁候補に…

 

「…あたしん家隣だから。道場に興味があるんだったら今から行くからついてくる?」

 

…あれ?あからさまに不快な顔された?!俺のニコポが効かない…だと?!

まあ隣の家の人間らしいし、案内してもらったほうが怪しまれずに入れそうだ。

俺は謎の少女に連れられ、高町家の門をくぐる事にした。

 

庭を通り抜けた先には、アニメと同じように道場があった。中からは木刀の打ち合う音がする。ということは中にいるのは恭也と美由希か?…とりあえず中にっておい!

謎の少女は俺を無視して中に入っていく。

 

「「おはよーごさいまーす!」」

 

「あぁ、おはようリナ、ユーノ。」

 

「おはようリナちゃん、ユーノ君!」

 

…道場で鍛練に励んでいたのは恭也と…

なのはだと?!…ははぁ、読めたぞ?

 

この世界はイノセント寄りなんだ。だからなのはが胴着をきて、恭也から剣術を教わってるんだな。

「おはよう、なのは!」

 

「恭也さんもおはようございます。それじゃ僕達も着替えてきます。」

 

2人は挨拶を交わすと、着替えに向かったらしいな。

 

「えーと、どちらさんですか?」

 

なのはが俺に気がついたのか、話しかけてきた。…恭也は気づいてないし、今がチャンス!

 

「やぁなのは、僕は剣壱っていうんだ。

僕と友達になってくれるよね?!」

 

俺は目に力を込めて、満面の笑みを返した。…これでなのはの心は俺のもの、すぐに蕩けるような笑みを…

 

「…残念だけど、初対面からそんなこと言う人とは友達にはなれないの。できれば、お引き取り願いたいの。」

 

えっ?!なのはにまで拒否された?!

どうして俺の力が効かないんだ?

 

「ん…なのは、どーしたの?なんかあった?」

 

声に振り向くと、さっきの少女とユーノが道着に着替えて立っていた。

少女はポニーテールにしていた茶色の髪を後ろに束ねている。やっぱりこの世界にいないかんじの子だ。…それにユーノって、こんないい身体してたか?なんていうか、細マッチョ?

 

「あ、リナちゃん!実は…」

 

なのはは少女に近寄ると何かを耳打ちした。へぇ、あの子リナって…おい、待て?!

 

名前が「リナ」で声が「閣下」だと?

そういえば髪型こそ違うが見た目も似ている…いや、イメージ通りだ!まさか彼女は『魔王の食べ残し』?!

「…あんた、今失礼な事考えたでしょ?」

 

うぉっ、どうしてわかったんだ?やっぱりこの少女、あのリナ・インバース?

 

「…まぁいいわ。あたしやなのはに変な

力使おうとした罪は万死に値するわね!」

 

リナがそう言った瞬間、道場が結界に包まれた。…ユーノか?!

 

「…結界完了。さて、どうするリナ、なのは?」

 

「わたし、O・HA・NA・SHIするの飽きちゃった…今月入って5人目だよ?」

「あたしも7人ぐらいかな、O・SHI・O・KIしたのは…もういい加減勘弁してほしいわね。」

 

ひぃ!高町流会話術と[故郷の姉ちゃん]直伝の拷問のコラボなんて最悪だ!どうすればこの場を…

 

「…だったらユーノに任せたらどうだ?」

助けの船を出してくれたのは、意外にも

恭也だった。

 

「どうやらユーノも相当怒ってるみたいだぞ。そうだろ、ユーノ?」

 

「…当たり前じゃないですか!友達や姉に手を出そうだなんて許せませんよ!」

 

ユーノは拳を握り締めて怒りを露にする。…今「姉」って言わなかったか?友達と言うのはなのはだろうから…リナが姉?!

 

「ユーノ、あんたに任せるわ。おもいっきり殺っちゃって。」

 

「ユーノ君頑張って!!」

…だがこれはチャンスだ。ユーノの魔力ランクは確かAだったはず。仮に俺のランクがAAAだとしてもお釣りが来る。

どうやら恭也に剣術を教わってるらしいが、デバイスの無いユーノに負けるはずがない。

 

「よし、それじゃ今からユーノとそこの少年…そういえば名前を聞いてなかったな?」

 

「剣壱だ。跡原剣壱。」

 

「…これよりユーノと剣壱で真剣勝負をしてもらう。剣技はもちろん、直接の攻撃じゃなければ魔法も使用していいぞ。」

 

恭也も魔法の存在を知ってるのか…ならば…

 

「得物はなんにする?剣か、小太刀か?」

恭也の問いに俺はかぶりをふる。

 

「俺の得物は…これだ![シャイニー・ブレード]、セット・アップ!」

 

俺は首にかけていたペンダントを掲げるとそれは1振りの剣に姿を変える。これが、俺のデバイス、シャイニー・ブレードだ。

その刀身は俺の魔力光・金色に光輝いている。インテリジェントデバイスの癖に一言もしゃべらないシャイなやつだ。

 

「…それって、ただのストレージデバイスなんじゃ…」

 

おい、心を読むんじゃないユーノ!俺も

気にしてるんだから!

 

「それよりユーノ、お前の得物はなんだ?…まさか無手か?!」

 

俺が優位性に浸ってると、リナが首にかけていたネックレスをユーノに投げた。デバイスか?

「有り難く借りるよリナ。…ゼルガディス・ソウル、セット・アップ!」

 

ユーノの声にデバイスが翠色の光を放つと、長剣に姿を変える。

 

『ユーノ、俺が力を貸してやる。あんな馬鹿はふっとばしてやれ!』

 

「あぁ、絶対に勝ってみせるよゼル!」

 

…!あれはもしかしてゼルガディスなのか?馬鹿にしやがって!!こてんこてんにしてやる!

 

「跡原剣壱、全力でいくぜ!」

 

「ユーノ・スクライア改め、逢魔・S・ユーノ、まかり通る!」

 

NO SIDE

 

こうして幕を開けた剣壱とユーノの対決。しかし、剣壱は気づくべきだったのだ。

自分が2人の魔王と、その守護者たちに

喧嘩を売ってしまったことに…。

 




…書いていて憂鬱になりました。モブ転生者って変態だなぁおい。後編ではユーノが吹っ飛ばしてくれるはずなので、どうか期待してください。

それでは次回、「三十一、転生者 魔王2人と ご対面(後編)」

次回も見てくんないと…

「俺はモブじゃ…「なくて変態なの!」ひどいぃ!」

(BY剣壱&なのは)


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三十一、転生者 魔王2人と ご対面(後編)

転生者・剣壱とユーノの一騎討ち、勝負の行方は?そして明かされる驚愕の真実(笑)
それでは、お楽しみください!!


NO SIDE

 

とある日曜日、突如現れた転生者・跡原剣壱(あとはらけんいち)。

彼の目的はこの物語本来のヒロイン、高町なのはを我が物にするためだった。

しかし、イレギュラーヒロイン・逢魔リナの存在がこの世界を変革していた事に、

剣壱は全く気づいていなかった…。

 

SIDE:ユーノ

 

僕はリナから借りたゼルガディスを構えて剣壱と名乗った少年に逢向かう。

 

何者かは知らないけど、なのはやリナ姉さんに手を出したのは許せない!僕が成敗してやる!

 

僕は構えた剣を腰に帯刀し、素早く抜刀出来るように構え直す。いわゆる[居合い]の構えだ。

「ほぅ…居合いか。だがにわか仕込みの居合いなど、この俺には通用しない!」

 

さぁ、それは見てのお楽しみだよ?!

 

「ゼルガディス、お願い。」

 

『わかった。魔皇霊斬[アストラル・ヴァイン]!/身体強化[フィジカル・ブースト]!』

 

ゼルガディスが魔力付与を自らに、身体強化を両足にかける。これで準備は万端、さぁ勝負だよ!

 

SIDE:剣壱

 

ユーノが居合いの構えを取ったのをみて、俺はほくそ笑んだ。

いくら恭也に剣を教わったとしても、学者畑のユーノに抜刀術なんて出来るわけがない。

どうせ格好いいからとかいう真似事だ。俺はそう考えてた。しかし…

「いくぞ!天剣一刀・雲切[てんけんいっとう・くもきり]!!」

 

次の一瞬ユーノは一瞬消えたかと思うようなスピードの抜刀術!俺はかろうじて剣で受け止めた。

 

「な…?!」

 

「受け止められた?!高町家と逢魔家の人以外で止めたのは君が初めてだよ、やるね…!」

 

…高町家って士郎と恭也、美由希あたりか?逢魔家というのがよくわからんが。

 

…そんな事をいってる場合じゃない!!

俺はユーノの腹を横蹴りし、距離を取ると剣を正面に構えて追撃する。スピードには驚いたが、一撃で決められなかったのは

残念だったな?!これで決めて…何?!

俺の剣先はユーノの目の前で止まる。俺の両手両足はバインドで拘束されていた。

 

「くっ、設置型のバインドか、汚いぞ!」

 

あまりに単純な罠に引っ掛かってしまった俺は悪態をついた。

 

「何言ってるの?!直接攻撃以外の魔法は使って構わないって恭也さんもいったじゃないか。」

 

ユーノは動けない俺に近づくと剣先を突き付ける。

 

「これで勝負有り、かな?」

 

…この俺が、最強転生者のこの俺がユーノごときに負けるだと?!…ふざ…けるな!!

 

俺は魔力をバーストさせ、拘束を破壊した。

 

「こうなったら仕方ない、秘密兵器だ。

シャイニー・ブレード、[光だ!]」

 

俺がそう叫ぶと、デバイスの形状が変化して、圧縮魔力刃が展開された。

 

「…!!…あれってまさか?!」

 

「リナちゃんどうしたの?」

 

「なんでもないわ、なのは…ユーノ、その光の刃には気をつけて!魔力強化したゼルでも油断できないかも…」

 

ほほぅ、リナにはこの力が判るみたいだな。

 

「大丈夫だよ姉さん、なのは。力の使い方を間違ってる人間に、僕は負けないよ。」

 

「ユーノ君…(ポッ)」「ユーノ…(ポッ)」

 

…なに2人とも顔赤らめてんだ?!もう容赦しねぇ、ぶちのめしてやる!

俺は剣を大きく振りかぶるとユーノに斬りかかる。しかし…当たったと思ったその瞬間、またもユーノの姿が消えた!

 

「くそ!一体どこに消えた!」

 

「…ここだよ。」

 

背後に突如現れた気配に寒気を感じ、振り向くと、そこにはユーノが!そしてその瞬間に俺の意識は無くなった…。

 

NO SIDE

 

剣壱の背後に回り込んだユーノは、首筋に魔力を込めた手刀を叩き込み気絶させた。

「ふぅ、なんとかなったね。」

 

「ユーノ君すごいの!わたしは何とか見えたけど…」

 

「…あたしは見えなかったわよ…ユーノ、あんたも人外目指してるの?!」

なのはとリナはユーノの動きにただただ

驚いていた。

 

「人外は酷いよリナ!…まぁいいや、それよりどうする、こいつ?」

 

ユーノは気を失った剣壱を指差して聞く。

 

「仕方ないわね…ユーノ、どこか誰もいない管理外世界に転送してくれる?!なのはもついてきて。」

 

「…了解。」「わかったの!」

 

SIDE:剣壱

 

…ん、んっ……

 

俺が目を覚ますと、そこは何も無い野原。そして俺は空中にバインドで磔にされていた。

 

「うわっ、なんだこりゃ?!でもこんなもの…」

 

俺は再び魔力をバーストさせて拘束から逃れようと試みた。だが…

 

「外れない?!ナンデ?!」

 

「やっと目が覚めた?待ちくたびれたわよ、まったく…」

 

目の前にリナとなのは、そしてユーノがいる。

 

「あんたのせいでせっかくの休日が台無しよ!!どうしてくれんのよ?!」

 

「…リナちゃん、O・HA・NA・SHIの準備、出来たよ?!」

 

よくみるとなのははレイジングハートを左手で空に掲げてる。そしてその上には…

元気玉?!

 

もしかしなくてもあれはスターライト・ブレイカーだ…駄目だ、俺死んだかも…

 

「…ねぇ、あんたのデバイスをユーノに

譲ってくれたら、ブレイカーは勘弁してあげるわ。どうする?」

ここでリナから文字通り悪魔の提案が…

デバイスを失うのは痛いが、あのデバイスのマスターは俺だ。ユーノに使える訳がない。

 

「…わかった、好きにしろよ。」

 

するとユーノはポケットから俺のデバイス、シャイニー・ブレードを取り出した。

 

「あのさ、剣壱って言ったっけ?」

 

「…あぁ。」

 

ユーノは申し訳なさそうにこっちを見ながら言葉を続ける。

 

「…君、よくこのデバイス使えたね?」

 

…?、どういう事だ?!…あ、デバイスのチート能力にビビったか?

 

「…君、デバイスにマスター認証されてないよ?」

…はい?俺の聞き違いか?そんな馬鹿な話が…

 

「ユーノ君、それって…」

 

「そう、このデバイスは起動してないって事。…まぁ僕も、レイジングハートを起動できないまま封印に使ったりしたけど…

起動してないのに限定的とはいえ能力を

使えるのは凄いと思うよ。」

 

なのはの問いにユーノが説明する。なるほど、道理で喋らなかったわけだ。しかし、なんで起動しなかったんだ?

 

「そもそも君、デバイスの名前間違えてるし…」

 

「「「はい?」」」

 

デバイスの名前が違う?俺は神様がくれた[光の剣]を直訳してつけたんだ、間違いは無い!…はずだ…。

「…はは~ん、あんた『スレイヤーズ』の事、あまり知らないでしょ?」

 

呆気にとられている俺にリナはつっこむ。

 

「その剣は確かに[光の剣]と呼ばれてるわ、一般的にはね。でも、正式な名前は別にあるの…ユーノ!!」

 

リナに促されたユーノは頷くと、デバイスを空に掲げ起動の呪文を詠唱する。

 

『空を隔たる魔王の刃よ、此度は我に力を与えん。降臨せよ、烈光の剣・[ゴルンノヴァ]!』

 

ユーノの身体が眩い光と共に新たなバリアジャケットに包まれていく。戦国時代の陣羽織をイメージしたような白いジャケット。頭部には鉢金、スカートがショートパンツに変わった以外はほぼ某戦〇乙〇の将軍様だ。

 

剣もそれに合わせてか俺の時より細身のロングソードに変化している。

 

『ありがとうございます、我が主。あの似非マスターのせいで一生力を発揮できないところでした。』

 

「うん、宜しく頼むよゴルンノヴァ。」

 

…俺は言葉を失うしかなかった。なんでこいなったんだ、俺は最強の男だったはずなのに…

 

「さて、あとはあんたね…ま、約束だからブレイカーは勘弁してあげるわ。でもあたしたちに余計なことしたのは許せないから…なのは、バスター準備よろしく。」

 

リナの言葉になのはは無言の笑顔でサムズアップ!ブレイカーのチャージをバスターに切り換える。

 

「き、汚ねー!約束が違うぞ?!」

 

「あたしが約束したのはブレイカーの解除。全てを許すなんて訳ないじゃない!なんなら竜破斬[ドラグ・スレイブ]もいっとく?」

 

「…バスターでお願いします。」

 

「よろしい。じゃなのは、いっちゃって!!」

 

なのはがバスターを放った瞬間、意識を失いながら俺は思った…

 

(もうこんな世界いやだー!!)




お楽しみ戴けたでしょうか?

いよいよ次回からA´S編突入します!

5人目の騎士・アメリアはどうしてヴォルケンズに?リナたちのパワーアップは?
そしてユーノはリナとなのは、さぁどっち?!(笑)

それでは次回は時間を戻してはやてと騎士たちの出会い…NEXT‐A´S編序章!

「三十二、騎士たちが はやてと出会う …あれ5人?」

それでは…

「魔法少女リリカルすれいや~ず! NEXT‐A´S はじまります~」

「お見事です、我が主!」

(BYはやて&シグナム)


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NEXT‐A´S編
三十二、騎士達が はやてと出会う …なぜ5人?


いよいよA´S編始まります。無印編と
比べて改変の度合いが強くなります。

楽しい作品になるよう頑張ります!


NO SIDE

 

時は少し戻って6月4日、新しい物語はここから始まる…。

 

6月3日深夜、日付が変わろうとしていた頃海鳴市内を1台のバスが走っていた。

 

車内には運転手と1人の少女。見た目小学2~3年の少女の傍らには車椅子が置いてあった。少女は胸に、鎖で固く閉じられた本を抱えてぼやく。

 

「はぁ、すっかり遅くなってもうたな…。[Pi!]…ん?メールや。」

 

少女は携帯電話を取りだし、メールを確認する。メールは少女の主治医の女性からのものだった。

 

ーはやてさん?石田です。明日ははやてさんの誕生日ね。もしよかったらお祝いのお食事でもしませんか?また連絡くださいね

石田

 

「はぁ…石田先生も律儀やな…。」

 

少女は携帯電話を畳むと[降ります]のボタンを押した。やがてバスが止まり、少女は車椅子に乗り換えバス停に降ろしてもらう。

 

バスが走り去り、少女は自宅に車椅子を向けた。しかしその時、1台の大型トラックが猛スピードで突っ込んできた。

運転席では運転手が居眠り運転。直前で目が覚め、急ブレーキをかけたが間に合わない!少女は死を覚悟し目を閉じる。しかし…。

 

眩い光が少女を包んだかと思うとその姿は影も形もなくなっていた。

 

SIDE:はやて

 

(…? なんや?一向にぶつかってこんなぁ?!)

 

わたしはおそるおそる目を開けてみた。するとそこは…

 

「そ、空の上~?!」

 

そう、わたしは何故か空に浮かぶ魔方陣の上に座っていた。傍らには車椅子もころがってる。そして目の前にはあの本が光を放ちながら浮かんでいた。しかも何をしても切れなかった鎖がちぎれ飛んでいる。

 

(いったい、何がおきてるんや…?!)

 

その時、目の前の本が喋り始めた。

 

『封印を解除します。…起動。』

 

そのとたん光がさらに強くなって、ページが勝手に捲れだした。

 

(なんや、このもろファンタジーな展開は…あ、あかん、頭がくらくらしてきた…)

SIDE:シグナム

 

ふぅ…また新たな主が目覚めたか。今度の主は我々に何を求めるのか…。

 

…まぁいい、まずは挨拶をせねばな。

 

私は顔を伏せたまま、新しい主に挨拶の

口上を述べる。

 

「お初に御目にかかります、我が主。」

 

『…おい。』

 

「我らは主を護りし雲の騎士・ヴォルケンリッター。私は将を務める…」

 

『おい、シグナム!』

 

…まったくあいつは…

 

『…うるさいぞヴィータ?!今挨拶の口上の途中だ、主に失礼だぞ!』

 

私は念話で割り込んできた鉄槌の騎士・ヴィータをやはり念話で注意する。

『いや…ってゆーか…主様、気失ってるんじゃないか?!』

 

『何だと?!』

 

慌てて頭を上げてみると、そこには主とおぼしき少女が目を回して倒れていた。

 

回復を担当とする湖の騎士・シャマルが少女に近寄り容態を見る。

 

「大丈夫、気を失ってるだけで怪我はないわ。…でもこのままにもできないから、主の家まで運びましょう。[闇の書]、場所はわかるわね?」『………。』

 

シャマルははやてを抱き抱えると、他の

ヴォルケンリッターと共に光に包まれ消えた。

 

SIDE:はやて

 

ん…ここはどこや?なんかふわふわしてるんやけど…。

『ここは貴女の夢の中です、我が主…。』

 

気がつくと、目の前にとても綺麗な女の人が立っていた。銀色の長い髪に整ったプロポーション、はっきりいって美人だ。

 

「夢の中…やっぱりそうか…」

 

『解るのですか、夢の中と?』

 

「…なんとなくやけどな。で、お姉さんは誰?」

 

『…私は貴女が持っていた本、通称[闇の書]の管制人格です。まぁ、この本の人格と思って頂けたら…。』

 

なるほど、なにか妙に懐かしさを感じる

思うたら、ずっとわたしの側におってくれてたんやね…。

 

あ、あれ?なんだかわたしの身体が透けてきた?

『目が覚めかかってるようですね…目が覚めたら向こうの世界に、貴女を護る守護騎士達が現れているはずです。どうか大切にしてあげてくださいね?』

 

「ん?お姉さんは?」

 

『私は名も無い管制人格、どうかお気になさらずに…「あかん!!」…我が主?!』

 

わたしは思わず大声で叫んでもうた。

 

「まだ正直、状況飲み込めてへんけど、わたしを主と呼ぶんならあんたもわたしの

家族や!名前も必ず良いのを考えたるから待っとき…」

 

『我が主…ありがとうございます。その時が来るのを楽しみに…』

 

そしてわたしが目を覚ましたのはわたしの部屋のベッドで、その傍らにはピンク色の髪をポニーテールにした女性と、金髪の

ショートカットの女性が居た。

 

(この人らが[守護騎士]やろか…?)

 

わたしはとりあえず、彼女たちを広間に集めてお互いに自己紹介をした。

 

ピンク色の髪の人がシグナム、金髪の人がシャマル、赤毛の女の子がヴィータ、犬耳の付いた男の人がザフィーラっていうらしい。

 

「…なるほど、みんなはこの[闇の書]の

守護騎士で、わたしはその主、ってことやな?」

 

「はい、主はやて。我らヴォルケンリッター、主に忠誠を…」

 

「あ~、そんなんはえぇから。…ま、わたしがせなあかんのは、みんなの面倒はわたしが見る、ゆうことやな?!」

「「「「はい?!」」」」

 

騎士たちは呆気にとられて何も言えなかった。いままでの主は自分たちを道具としてしか見てなかったのに、今度の主は…

 

「わたしが主の間は騎士はお休みや。戦う必要もない、わたしの家族として暮らしてほしい。それだけがわたしの願いや…。」

 

「…ですが主はやて、闇の書の完成には魔力の蒐集が必要です。完成すれば貴女の足も治ります。」

 

「それでも人様に迷惑かけたらあかん!…まぁ、迷惑かけんやり方があるんなら考えてもええけど。」

 

わたしのお願いに騎士たちは戸惑いを見せながらも納得してくれた。

 

「解りました。主はやての命ならば、我ら騎士はそれに従います。それでは主はやての命なき限り、魔力蒐集は行いません。」

「うん、それでえぇよ。…どうしたん、闇の書?」

 

いままでわたしの膝のうえでおとなしくしてた闇の書が突然浮かび上がった。

 

『……!!』

 

えっ!また闇の書が光輝いて…ほんで現れたのは、わたしとおなじぐらいの年頃の

女の子?…黒髪のショートカットでシグナム達と同じ黒い服を纏ってる。あれ?この子何処かで見たような…

 

「なぁシグナム、この子も守護騎士なんか?同じ服着てるし。」

 

「いえ、私達ヴォルケンリッターは総勢4人です。少なくともこれまではこのようなことは…?」

 

シグナム初め他の騎士もわからんみたいやな…。仕方ない、本人に聞いてみよ。

「あの~もしもし?あなた、どちらさん?」

 

わたしの呼び掛けに少女はその大きな瞳を開いて答える。

 

「…あなたがわたしの主ですか?初めまして、わたしの名前はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン。

この[夜天の書]の守護騎士、ヴォルケンリッターの末席にいれていただくことになりました。どうかよろしくお願い…」

 

「おいなんだ、その[夜天の書]というのは!これは[闇の書]だ、[夜天の書]なんかじゃ…」

 

その時、わたしの頭の中に何かがはいってきた。これは…。

 

「…シグナム、この子が言ってることは正しいみたいやで。[夜天の書]自体がそういってるから…。」

「…?!」

 

「…わかってくれましたか?というわけで宜しくお願いします、先輩♪」

 

「あ、あぁ…よろしく頼む…」

 

…シグナム達も動揺しとるな…それにしてもアメリアって名前どこかで…ってあ~!!

 

わたしは本棚に並べてある小説から1冊

抜き出しページをめくる。確か…あった!

アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、それはライトノベルの名作、「スレイヤーズ」シリーズに登場する、正義を愛する熱血王女。

でもまさか、小説のキャラがでてくるなんて…

 

「え~!なんでわたしがそんな本に書かれてるんですか?」

 

本を覗きこんだアメリアが驚きの声をあげる。あ、やっぱりそうなんや…。

 

「あ、リナだ。…リナたちもこの世界にいたら楽しいのにな…」

 

小説の挿し絵を見てアメリアがつぶやく。どうしてアメリアがこっちの世界に来たのかはわからんけど、流石に他のキャラクターまではおらんやろ…

わたしはそう思ってた。この時は。

 

でも、わたしは知らんかった。

このたった数ヶ月後に、その主人公とわたしやアメリアが出会い、終生の友と呼び会う仲になる事を…。




はい、5人になったヴォルケンズ。はやてを含めてどうなっていくか、お楽しみに!

次回はテスタロッサ家が海鳴の街に帰ってきます。そして無印組と騎士達があちらこちらで…?!

それでは次回、「三十三、騎士達と 魔法少女が 出会うとき」

次回も見てくんないと…

「アイゼンでふっ飛ばす!!」

(BY ヴィータ)


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三十三、騎士たちと 魔法少女が 出逢うとき(前編)

すいません、仕事が忙しくて投稿ペースが遅れました。あと、文章が長くなりそうなので前後編にします、ご了承ください。
(ペコリ)


SIDE:リナ

 

…PiPiPiPi! PiPiPiPi!…

 

…ん、ん~あと5分…てか今日、日曜日よね?なんであたしアラームなんて…あ~!

今日はテスタロッサ家が帰ってくるから、なのはたちと一緒にお出迎えにいくんだった!早く準備しなきゃ…

 

ピンポーン

 

「リナ~、なのはちゃんが迎えに来たわよ~。」

 

やっぱり!こういう時のなのはは早いのよね。

 

「すぐ行くからちょっと待ってて?!」

 

あたしは制服に着替えると階段を駆け降り玄関を飛び出す。

 

「遅いよ、リナちゃん!」

 

「ごめんごめん…あれ、アリサとすずかは?」

「アリサちゃんたちは先に行ったよ!!

わたしたちも急がないとなの!!」

 

なのはに急かされたあたしはヌクヌクを自転車の籠にいれ(くおんはなのはの自転車の籠)、公園まで飛ばしていった。

 

…なんとか間に合ったみたい…。

そこにはアリサとすずかがいた。

 

「もう!遅いわよ、リナ!人と会うのに10分前行動は当然でしょ?!」

 

「ははは、ア、アリサちゃん、落ち着いて…。」

 

…アリサって、お嬢様のくせに常識的な所があるのよね…

 

「ごめん!少し寝過ごした。でも間に合ったでしょ。」

 

「…まぁね。あ、来た!」

アリサが指差すほうを見ると、フェイトとアリシアが此方に駆けてきた。その後ろからはプレシアさんとリンディさん、それにあの可愛らしい仔犬は…もしかしてアルフ?!

 

「なのは、帰ってきたよ!」

 

「リナ、会いたかった~♪」

 

フェイトはなのはに、アリシアはあたしに飛びついてきた。

 

「…うん、お帰り、フェイトちゃん!この日を待ってたの。」

 

「アリシアも久しぶり!元気そうでよかったわ。…プレシアさんも身体大丈夫ですか?」

 

「えぇ、おかげさまで完治…どころかパワーアップしたわ。魔力ランク測ったら、

私自身の魔力がSSになってたし…。」

…洒落になってないわよ、それ…

 

「アルフも可愛い~♪」

 

「ほんとだ、それも魔法なの?」

 

『うん、工夫してみた♪』

 

あっちではアリサとすずかがアルフとじゃれあってる。2人とも動物好きだもんね。

あれ?そういえばリンディさんはどうして此処に?付き添いですか?

 

「あら、言わなかったかしら?…クロノから暫く休暇をとって休んでくれって言われてね、プレシアたちとこっちで暮らす事にしたのよ。」

 

あ、そうなんだ。

 

「…あと貴女たち、この海鳴に住んでる嘱託魔導師の監視役というか、お目付け役?も頼まれてるわ。貴女たちが無茶しないようにね…」

あ、そうなんだ…ご面倒かけます…

 

「さぁ、早く我が家に帰って荷ほどきするわよ!」

 

「うん、母さん!…それじゃなのは、リナ今度は学校で!」「バイバ~イ♪」

 

フェイトたちはタクシーに乗り込み、新居へと向かった。

 

「さてと…わたしたちも帰ろっか?すずか、家まで送るわ。」

 

「ありがとうアリサちゃん!…じゃなのはちゃん、リナちゃん、また明日。」

 

「うん!」「また学校で。」

 

アリサたちも帰ったわね…なのはは今日は翠屋の手伝いだっけ?

 

「うん、今日から新しいバイトの人が来るんだ!」

 

あたしも今日は店番頼まれてんだ…それじゃ今日はこれで解散だね。

 

「うん、じゃあまた明日、学校で!」

 

 

NO SIDE

 

再会を果たしたリナたちとフェイトたちは学校で会うことを約束しあい、別れることとなった。しかし彼女たちは知らない、この日それぞれに運命の出会いが訪れることを…。

 

SIDE:なのは

 

帰ってきたわたしは店の制服に着替えると店内に入りレジに向かった。そこにはお父さんとお母さん、それに見たことのない女の人…。この人が新しいバイトの人かな?

 

ピンク色の髪の毛をポニーテールに束ねた背の高い人…年齢はお姉ちゃんと同じくらいかな?

「ただいまお父さん、お母さん!その人が新しいバイトの人?」

 

「あ、なのは!紹介するわ、こちら八神シグナムさん。…シグナムさん、この子が

高町なのは、私の末娘で今日からあなたの指導係よ。」

 

シグナムさんはわたしの顔を見ると、呆気にとられた顔でお母さんに確認する。

 

「こ、この子が、ですか?」

 

「そうよ?なのはは6つの頃から手伝ってくれてるから、心配はいらないわ。なのはお願いね。」

 

にゃはは、シグナムさんは少し驚いてるかも。でもまずは自己紹介からだね。

 

「初めまして、この翠屋の末娘の高町なのはです!よろしくお願い…?!」

シグナムさんと握手した瞬間、手を伝わってきた何か。

 

(レイジングハート、これは…?!)

 

わたしは愛機のデバイスに心で問いかける。

 

(はい、この方から強大な魔力を感じます。恐らくマスターと同等、あるいは上かもしれません。)

 

やっぱり…シグナムさんの表情が変わった所を見るとあっちも気づいたみたいだね…

 

SIDE:シグナム

 

今日からお世話になることになった勤め先[喫茶・翠屋]。まさかこの喫茶店の店長の娘さんが、わたしと匹敵する魔力の持ち主とは…

 

間違いない、彼女…高町なのは嬢は魔導師、それも高レベルの魔導師だ。

「こちらこそ初めまして、八神シグナムです。どうぞよろしくお願いします。」

 

わたしが握手すると、念話でなのは嬢が話かけてきた。

 

『シグナムさん、聞こえますか?』

 

『はい。…なのは嬢、あなたはやはり…』

 

『…その話はお昼の休憩中にでも。今は、仕事に集中しましょう!』

 

『はい、判りました。』

 

「それじゃ、最初は接客の仕方から教えますね!解らない事はすぐ確認してください。」

 

なのは嬢から仕事のあれこれを教わり、わたしのバイト初日がスタートした。

 

(それから時は過ぎ昼休憩…。)

 

………

「お~い、シグナムさん?」

 

………

 

『返事がないです。ただの屍のようです。』

 

「勝手に殺さないでください?!」

 

…まぁ、本気で死にかけたのは事実だが。何なんですか、この異常なまでの忙しさはなのは嬢?!

 

「ほぇ?…まぁ日曜日だからねぇ…午後からの方がいそがしいよ?!まぁ、とりあえず休憩だよ。ご飯食べながらお話しよ?」

 

ふぅ、やっと休憩か。なのは嬢と一緒に店の奥まった席で軽い昼食をいただく。

 

主はやての食事も美味だが、店長の桃子殿が作ってくれたサンドイッチと志郎殿のコーヒーは絶品だった。今度は主はやてにも食べてもらいたいものだ。

それはさておき、今のうちに確認しておかなければ、お互いに…。

 

わたしはなのは嬢に話しかけた。

 

「単刀直入にお聞きします。なのは嬢、貴女は魔導師ですね?」

 

「そうだよ?そしてそれは貴女もでしょ?八神シグナムさん…」

 

やはりそうきたか…彼女が正直に答えてくれた以上、わたしも答えないとな。

 

「はい…ただ、わたしは正確には[騎士]ですが。」「騎士?!」

 

わたしは古代ベルカと騎士について説明する。無論、闇の、いや夜天の書については伏せてある。

 

「は~、古代ベルカ…また知らない術式が出てきたの。近接重視の術式なんだよね?」

「はい。私たちベルカの騎士は自らの力を魔力で増強して戦うのがスタイルです。

砲撃もしないわけではありませんが、私の場合は剣撃がメインとなりますね。」

 

なのは嬢は私の話を熱心に聞いてくれている。

 

「わたしたちのミッドチルダ式とはスタイルが逆だよね。スィーフィード式とも違うみたいだし。」

 

スィーフィード式?!初めて耳にする言葉に私は聞き返す。

 

「なのは嬢、スィーフィード式とは何ですか?初めて耳にする術式なんですが…。」

 

「あ、シグナムさんたちは知らないよね?わたしの親友の逢魔リナちゃんが使う術式で、いわゆる異世界?の術式だよ。カオス・ワーズという特殊な言語によって異世界の存在の力を借りて放つ呪文なんだ。」

そんな呪文があるとは…ん?リナ?どこかで聞いたような…う~ん、思い出せん。

 

まぁ、なのは嬢のような方と出逢えたのは運が良かった。彼女にはいずれ主はやてと会っていただき、是非友達になってもらえれば。

 

NO SIDE

 

こうしてなのはとシグナムが出会いを果たしたのと時同じ頃、テスタロッサ家では…

 

「母さん、こっちは整理できたよ。」

 

「こっちも片付いたよ~!」

 

引っ越し後の片付けが順調に進んでいた。

「これで大体片付いたわね。…あら?もうこんな時間?!そろそろ夕飯の支度しないと…フェイト、お買い物お願いね。」

「うん、わかった。」

 

「その間にアリシア、アルフを散歩に連れてって。近所に公園があったでしょ?」

 

「「うん!!」」

 

こうしてフェイトは夕飯の買い物に、アリシアとアルフは散歩に外出した。

 

SIDE:フェイト

 

わたしは近所の商店街に足を運ぶ。頼まれたのは合挽きのミンチに玉ねぎ、卵にチーズ…これはハンバーグかな?

 

「あ、おじさん、玉ねぎと人参、ジャガイモください♪」

 

「おう嬢ちゃんお使いかい、偉いねぇ~!ほら、これは福引券だ。そこの広場でやってるからいってみな!」

 

福引券を貰ったので、言われた通り広場にいってみると広場は大勢の人で賑わってた。わたしの前で福引きを回しているのは、少し年下に見える赤色の髪を三編みにした女の子。何度も回してるけど、青色の玉

(ティッシュペーパー)しかでてないみたい…。

 

SIDE:ヴィータ

 

「はい、また残念賞のティッシュペーパー。…これで7つ目だな。」

 

…8つ目だよこのやろう!!ホントに当たり入ってるのか、これ?

 

はやてにお使いを頼まれて、たまった福引券でひいてはみたもんの、外ればっかり…

「最後の1回、今度こそ…えい!」

 

カラカラカラ…コロン

 

あたしの願いも空しく出てきたのは青色の玉…あたしの掌にはたくさんのポケットティッシュ(涙)。

 

「はい残念だったね、またおいで~」

 

はぁ…二等のアレ、欲しかったんだけどな…

あたしが後ろを振り向くと、金髪をツインテールにした女の子…はやてと同じくらいかな?が順番を待っていた。

 

「あ、次どうぞです…」

 

金髪の子は福引券を1枚渡すと福引きを回した。

 

カラカラカラ…コロン!

 

「大当り~!二等賞、のろいうさぎの特大縫いぐるみだ~!」

 

えっ、嘘だろ?あたしがあんだけ回して出なかったのに一発で?!いいな、うらやましいな~!

 

そのとき、縫いぐるみを抱えた女の子と目が合った。…あれ?こっちへ寄ってくる?

「あの…これ、貰ってくれないかな?」

 

え…え~!!

なんで?もしかしてあたしの心の声が聞こえた?!…ってんなわけが…

『うん、聞こえたよ。…君も魔導師なんだね。』

 

…これって念話?!

 

『…魔導師じゃなくて騎士ですけど。…

じゃなくて、いいんですか貰っても?』

 

「うん。わたし、引っ越してきたところだから置き場がないんだ。だからもし良かったら…」

 

「ありがとーございます!大切にします!」

 

「うん。それじゃ、わたし行くね。」

 

「あ…あたしヴィータ…八神ヴィータっていいます!名前教えてもらえますか?」

 

「…フェイト・テスタロッサ。フェイトでいいよ。」

 

「フェイト…さん、あなたも魔導師なんですか?」

「うん。わたしだけじゃなくて、お母さんにお姉ちゃん、友達にも魔導師の子がいるよ?…あなたもこの辺に住んでるの?」

 

「はい!…また会えますよね?」

 

「うん、会えるよきっと。じゃまた。」

 

そう言うと彼女…フェイトさんは買い物かごをさげて帰っていった。…か、かっけ~!

 

あたしは貰ったのろいうさぎの縫いぐるみを抱えながらそんなこと考えてたんだ…

 

NO SIDE

 

こうして黒き雷光と紅き鉄槌が運命の出会いを果たした頃、テスタロッサ家近くの公園でも新たな出会いが…

 

そしてリナの実家、逢魔堂でとうとう出逢う金色の魔王と夜天の巫女。この再会が、更なる戦いの幕開けとなる事を少女たちはまだ知らない…。




はい、お楽しみ頂けたでしょうか?

次回はアリシアとシャマル、アルフとザフィーラ、そしていよいよリナとはやて&アメリアが出会います。

それでは次回「三十四、騎士たちと 魔法少女が 出逢うとき(後編)」

それでは次も…

「リリカル、マジカル♪『頑張ります!!』…ザフィーラ、それわたしの台詞?!」
(BY シャマル&ザフィーラ)


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三十四、騎士たちと 魔法少女が 出逢うとき(後編)

知らぬ間にお気に入りが400件を越えてました。応援してくださる皆さん、本当にありがとうございます!

前回に引き続き無印組と騎士たちの出逢いの話です。今回いよいよリナとはやて&アメリアがご対面します。それでは、どぞ!


SIDE:アリシア

 

『ん~、いい天気だねアリシア♪』

 

「そうだねアルフ。…うわぁ~、人がいっぱいだ!」

 

わたしとアルフが訪れた公園は、家族連れやペットと散歩する人達であふれてた。

こんなに人が多いのはお休みのせいかな?

しばらく散歩していたわたしたちは、ベンチで休憩することにした。えっと、空いてるベンチは…あ、あった!

 

「あの~、隣座ってもいいですか?」

 

わたしは先に座っていた女の人に声をかけた。金髪のショートカットの優しそうな人だ。その足元にはアルフと同じくらいの大きさの子犬がいる。

 

「えぇ、どうぞ。あなたもお散歩?」

「はい!…可愛いワンちゃんですね、オスですか?」

 

わたしはベンチに座りながら金髪のお姉さんに聞いてみた。

 

『犬ではない、狼だ。』

 

えっ?今の念話だよね?

 

「ザ、ザフィーラ…?!」

 

『…もしかしてあんたも使い魔かい?』

 

アルフが念話で尋ねる。

 

『正確には守護獣だ…まぁ似たようなものだかな。』

 

『ふぅ~ん…じゃ同族同士、向こうで話さない?アンタに興味がわいた。…ダメかな?!』

 

『…構わんか、シャマル?』

 

ザフィーラの対応にシャマルと呼ばれた女の人はちょっと驚いた表情を見せた。意外だったのかな?

 

『いいわよ、いってらっしゃい。』

 

『アルフも気をつけてね~!』

 

2人(2匹?)は頷くと林の中へ。わたしは金髪のお姉さん…シャマルさんとお話を続ける。

 

「…まさかザフィーラが、闘い以外に興味を示すなんて思わなかったわ…やっぱりはやてちゃんの影響かしら?」

 

「うちのアルフもこっちの世界で同族と会えるなんて予想外だから…ま、仲のいいのは良いことだと思いますよ?」

 

「そうね…あっ、ごめんなさい。わたしは八神シャマル。シャマルでいいわよ。」

 

「アリシア・テスタロッサっていいます!改めてよろしく~!」

 

お互いに自己紹介をしたあと、わたしはシャマルさんに疑問をぶつけてみた。

 

「シャマルさん、あなたも魔導師さんですか?」

 

「…えぇ、そうよ。正確には古代ベルカの騎士だけど。そういうアリシアちゃんも、魔導師なんでしょ?」

 

「はい、魔導師になったのはつい最近ですけど。」

 

…まぁ、隠す必要もないしね。

 

「そう…じゃあなたはミッドチルダ式の魔導師なのね?」

 

「いえ、わたしの術式はスィーフィード式といって、ちょっと特殊なんですよ~。」

 

「スィーフィード式?初めて聞くわね……どんな術式なの?」

 

「んっと…こんな魔方陣なんですけど…」

 

わたしは魔力を込め、てのひらに小さい魔方陣を形成する。スィーフィード式の魔方陣は破邪を意味する六芒星…ってナーガが言ってた。

 

「…これは?!アリシアちゃん、この術式のこと、詳しく教えてくれない?」

 

おっ?!何故かシャマルさんが食いついた?!

 

SIDE:シャマル

 

ザフィーラを連れて散歩に来た公園で知り合った魔導師の少女、アリシア・テスタロッサちゃん。

 

彼女の連れていた使い魔とザフィーラが仲良くなったのもびっくりしたけど、それ以上に驚いたのが彼女の術式だった。

 

彼女曰く、スィーフィード式というその術式は私たちの新しい仲間であり家族でもある、アメリアが使う術式そのものだったから。

「ど、どうしたんですかシャマルさん?」

 

…いけない、彼女を警戒させてしまったかも…

 

「ごめんなさい…わたしの家族にその術式を使う人がいて…」

 

「………え~~~~~~っ?!まさかその人、小説の登場人物だったりする?」

 

彼女の放った言葉に私の思考が一瞬ストップした。…どうしてその事を?

 

「半年前に仮死状態だったわたしを蘇らせてくれた魔導師の友達がいるんだけど、その子には前世の記憶があってそれが「スレイヤーズ!」っていう小説の主人公なんです。実はわたしが呪文を教わっているデバイスの人格もその世界の出身なんです。」

 

そんなことが…というか、仮死状態からの蘇生なんてわたしにもできないわよ?

「で、アリシアちゃん?その友達のお名前はなんていうのかしら?」

 

「その子の名前は逢魔リナ。でも前世での名前は…」

 

「「リナ・インバース。」」

 

わたしとアリシアちゃんの声が重なる。

 

やっぱりアメリアは異世界から来た人間だったのね…ん、ちょっと待って?逢魔ってどこかで聞いた気が…あっ!

 

「アリシアちゃん!もしかしてそのリナちゃんのお家って雑貨店だったりしない?」

 

「えっ、どうして知ってるんですか?リナの家は[逢魔堂]っていう雑貨屋さんですけど…。」

 

…これは運命なのかしら。じゃあ今頃、はやてちゃんとアメリアはもしかすると…

 

NO SIDE

 

アリシアとシャマルが公園で知り合った頃、夜天の主である少女・八神はやてと新たな守護騎士、アメリア・ウィル・テスラ・セイルーン改め八神アメリアは、雑貨店[逢魔堂]を訪れようとしていた。

 

一方、その頃リナはというと…

 

SIDE:リナ

 

「ありがとうございました、またのお越しをおまちしてま~す!」…今日は結構忙しいわね。

 

「やっと落ち着いたか。リナ、母さんちょっと用事で出かけるから1時間ほど店番頼める?」

 

お母さんがエプロンをはずしながらあたしにお願いしてきた。

 

「ん~、別にいいよ。元々今日はそのつもりだし。」「ありがと。帰りに翠屋のシュークリーム買って帰るから楽しみに待っててね。それじゃ行ってきま~す!」

 

そういうとお母さんは出かけていった。さぁ、それじゃ商品の整理でも…

 

カラカラカラーン♪

 

「あれ?お母さん忘れ…えっ?!」

 

ドアが開いて、中に入ってきたのは車椅子に乗った同い年ぐらいのショートカットの女の子。

 

でもあたしが驚いたのは彼女の後ろで車椅子を押していたもう一人の少女。

 

見た目はあたしと同い年ぐらい、黒髪のボブカットに大きな瞳…見た目は幼くなっても共に旅をした仲間を間違えたりなんかしない。

 

「あ、あんた…アメリアなの?!」

 

SIDE:アメリア

 

はやてさんと一緒にお買い物の途中に見かけた雑貨店、[逢魔堂]。おしゃれな外装に惹かれたはやてさんが一度寄りたいというので、店内に入ると…

 

「あれ?お母さん忘れ…えっ?!」

 

わたしたちと同い年ぐらいの、茶色の髪をポニーテールにした女の子がこっちを見て驚いた表情になった。あれ?休憩中だったのかな?

 

でも彼女の次の言葉でわたしは全てを理解し思い出した。

 

「あ、あんた、アメリアなの?」

 

えっ、どうしてわたしの名前を…あれ?…ま、まさか!

 

「…その癖のある茶髪といい、お金に目ざとそうな目付きといい…」

 

「ちょい待てや」

 

「何よりその大草原の小さな丘は!もしかしなくてもリナ!久し…」

 

「判断材料はやっぱりそこか~~っ!」

スパパーン!!

 

「ふぎゃ?!」

 

彼女は何処からかスリッパを取り出すと、わたしの頭を一閃!店内に乾いた音が響き渡った。

 

「まったくもう…でも久しぶりねアメリア。」

 

リナはそういうと右手を差し出してきた。わたしは握手を交わすと言葉を続ける。

 

「本当に久しぶりね。わたしが転生してるんだから可能性はあるとは思ってたけど…」

 

「あの~、アメリア?大体は察したけど、わたしも話に混ぜてくれん?」

 

…あ。盛上がっててはやてさんの事を忘れてた。

 

「あ、すいません。リナ、こちらは八神はやてさん。わたしの主様で、大事な家族でもあります。」

「あ、主様?!…それに家族って?」

 

「その説明は後で。だからわたしの今の名前は八神アメリア。改めてよろしくね、リナ。」

 

「…了解。あたしの名前は逢魔リナ。アメリアの事を知ってるんだったらあたしの前世も知ってるよね、…はやてさんだっけ?」

 

「はやてでええよ。あなたの前世はライトノベル[スレイヤーズ!]の主人公にして、アメリアの親友のリナ・インバースってことでええか、リナさん?」

 

「あたしもリナでいいわよ。それじゃはやて、アメリア共々よろしくね。…で、どうしてあんたこの世界に転生してきたの?」

 

あ~、やっぱり聞かれると思ったんだ…

 

「アメリアはわたしが小さい頃から持っていた本…[夜天の書]っていう魔導書らしいんやけど、その本の主であるわたしを護る守護騎士として生まれ変わったらしいんや。」

 

「守護騎士?!」

 

「話続けんで?でもな、守護騎士はアメリア含めて5人おんねんけど、前の主まではアメリアはおらんかったらしいんや。これにはなんか意味があるんやろか?」

 

はやてさんの言葉に、わたしは今思い付いた予想を2人に話してみる。

 

「…それなんですけど、もしかしたらわたし、リナに引き寄せられたのかも…。」

 

「あたしに?」

 

「わたしは齢90まで生きて天寿を全うしたんですけど、息をひきとる時に最期に頭をよぎったのは、『みんなに逢いたい』だったの。リナ、ガウリィさんにゼルガディスさん、父さんに母さん、それにグレイシアお姉さま…一緒に旅をした仲間や大好きな肉親に逢いたかったけど、それは果たせぬまま死んじゃったから。」

 

「アメリア…それはあるかも。あたしの周りにあっちの世界の人間やアイテムがこんなに現れるのはそういうことかもしれないわね。」

えっ?他にもこっちの世界に来た人がいるの?

 

「人と言えば人なのかな…アメリア、これを見て。」

 

そういうとリナは胸元から翠色の宝珠がついたペンダントを出した。

 

「こら、照れ臭いのはわかるけど声かけてあげたら?」

 

『…………久しぶりだな、アメリア。元気そうでなによりだ。』

 

今の声…まさか!

 

「ゼルガディス…さん?本当にゼルガディスさんなんですか?」

 

『あぁ、事情があってこんな姿をしているが、間違いなくゼルガディスだ。』

 

信じられない…リナと同じ旅の仲間にしてわたしの初恋の人。もう2度と逢うことはないと思っていた人。こんな形で逢うことになるなんて…

 

「おーおー、顔赤らめて可愛え~なぁ、アメリアは。」

 

わたしの様子を見て、はやてさんがからかう。

 

「まぁ、今日のところはこれでお暇しよか?シグナムたちも待っとるし。明日からいくらでも話せるしなぁ?!」

 

「明日になれば話せるってどういうこと?あたしは明日は学校よ?」

 

腑に落ちない顔で尋ねるリナにはやてさんが得意そうな顔で答える。

 

「リナちゃんの着てる制服、聖祥大附属小のやろ?わたしとアメリア、それにヴィータって子と3人、明日から編入するんよ。よろしくしたってな~!」

 

「「え~~~~っ?!」」

 

わたし、学校に行くんですか?…でも、はやてさんやヴィータ、リナやその友達となら仲良くできそうだし楽しみかも♪

 




はい、原作よりも早くクラスメートになるはやてたち。テスタロッサ姉妹も同時なので先生たちは大混乱でしょうね。

次回「三十五、この時期に 何でこんなに 転校生?」

それでは次回も見てくんないと…

「平和主義者…クラ~~~ッシュ!!」

(BYアメリア)


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三十五、この時期に なんでこんなに 転校生?

投稿ペースが遅れてしまい申し訳ありません。読んでいただいている方には感謝です。


NO SIDE

 

魔法少女たちと夜天の騎士たちが運命の出逢いを果たした次の日、私立聖祥大附属小学校の職員室では混乱を極めていた。

 

10月になったばかりのこの時期に、転入生が来ることになったからだ。それも1人じゃなく7人同時、しかもそのうち5人を同じクラスに編入させるよう上層部から指示された校長は頭を抱えたという。

 

SIDE:リナ

 

「おっはよ~、なのは、アリサ、すずか!いよいよね、フェイトとユーノ、同じクラスになるみたいよ。」

 

「うん!…逢魔、高町、バニングス、月村4家連名のO・NE・GA・Iが通じたみたいだね!」

「…まぁ、うちとすずかの分で問題なかったと思うけどね…」

 

「でもそのおかげで一緒のクラスなんだから…」

 

「そうそう。…それよりも、他にも転校生がいることにびっくりよ!それも3人!」

 

どうやらアメリアやはやてたちも同じクラスになったみたいね。あたしがお父さんに頼んでO・NE・GA・I追加したかいがあったかな?…なんでうちにそんな謎権力があるかは不明だけど。

 

「なんかリナちゃん嬉しそうなの。」

 

「そう?実はね、その3人のうち、2人と昨日知り合いになって…ま、1人は昔からの腐れ縁だけどね。」

 

「えっ、リナちゃんそれって?!」

 

その時、教室の扉が開き担任の先生が入ってきた。

「え~、皆さんも既に知ってると思いますが、今日から新しいお友達が増えます。

しかも5人です!…それじゃ、入ってきて。」

 

先生の言葉に導かれるように入ってきたのは、ユーノとフェイト、その後ろから車椅子に乗ったはやてを押すアメリア。そしてもう一人、赤い髪の毛を三つ編みにした小柄な女の子…この子が昨日話してたヴィータかな?

 

「それじゃ1人ずつ自己紹介してね。」

 

「はい。僕は逢魔ユーノ、気づいた人もいると思うけどこのクラスの逢魔リナは義理の姉になります。姉共々、よろしくお願いします。」

 

「…フェ、フェイト・テスタロッサです。よろしくお願いします。」

「八神はやてです。こんなしゃべり方やけど、チャキチャキの海鳴育ちです~。

みんなよろしくな~!」

 

「…八神ヴィータです。はやてとは姉妹みたいなもんです。よろしく…」

 

順番に自己紹介が進み、次はアメリアの番ね。多分みんな驚くだろうな…

 

「八神アメリアです!はやてさんやヴィータちゃんとは義理の家族です。よろしくお願いします!」

 

「「「え~~~っ?!」」」

 

…ほら、やっぱり驚いた。

 

『リ、リナちゃん?アメリアちゃんって…あのアメリアちゃん?』

 

『ご名答よ。あの子の前世はアメリア・ウィル・テスラ・セイルーン。あたしの前世で共に旅をした仲間で、大事な親友よ。』

あたしとなのはは念話で会話する。

 

先生の指示でみんなそれぞれの席に座る。あたしの両隣に座ったのはユーノとアメリア。ちなみにフェイトはなのはの隣で、

すずかの隣にはやて、アリサの隣にヴィータが座った。

 

「よろしくね、逢魔さん。」

 

「こちらこそよろしく、八神さん。…慣れないから昔通りアメリアでいい?」

 

「えぇ…正直、言ってて物凄くこっぱずかしかったわ…じゃ、わたしも昔通りリナ、って呼ぶわ。」

 

アメリアと会話したあと、今度はユーノと話する。

 

「…リナ、家を出るときに話してた[サプライズ]ってこの事だったんだね…さすがに僕たちと一緒に転校してきた子が、まさかあのアメリアさんだなんて思わなかったよ…。」

 

『まぁ、とりあえずお昼休みに屋上に集まって!そこで情報交換といきましょ。』

 

あたしは念話でメッセージを送ると、授業に集中することにした。

 

 

そんなこんなであっという間に昼休み。屋上の一角では、あたし、なのは、アリサ、すずか、フェイト、アリシア、はやて、ヴィータ、ユーノ、そしてアメリアの総勢10名が集まってお互いに自己紹介。

 

なにせ魔法文化がなかったはずのこの世界に、これだけ大勢の魔法少女(ユーノは少年だけど)が集うことになるなんて…ね。

 

あたしたちはお弁当を食べつつ、それぞれの事情を説明する、あたしはこの世界に転生した経緯を、なのはたちは半年前に起きたジュエルシード事件の顛末をはやてたちに説明する。

「は~、まさか海鳴でそんな大事件があったなんてなぁ…ほんまびっくりやわ。」

 

「うん、あたしが昨日フェイトさんと出会ったことすらびっくりなのに、あたしらクラスの魔導師がこんなにたくさん…しかもリナとなのははシグナムと互角の魔力だなんてありえねーよ、普通。」

 

「まぁあたしはまだ転生前の魔力量に達してないけどね。」

 

「嘘っ?!」

 

「でもアメリアも…ってアメリア?」

 

「……………」

 

あたしが会話の途中でアメリアの方を見ると彼女は無言でなにか考えてるみたい。

 

「どうしたんやアメリア、なにか考え事か?」

 

「ねぇリナ、フェイトのお母さんの身体を乗っ取ってたデバイスの名前って…」

 

「ん?ナーガのこと?」

 

アメリアはうなづくと話を続ける。

 

「そう!そのナーガってリナの友だ…」

 

「友達じゃないわ、ただの知り合いよ!!…腐れ縁のね。」

 

あたしはアメリアの言葉を全力で否定する。あれと友達になるくらいなら、魔王と親友になる方がよっぽどいい。

 

「…とにかく、そのナーガさんのフルネームはなんていうの?」

 

…はて?そういえばあたしもナーガのフルネームって聞いた事無かったし、ナーガも名乗るときは[白蛇のナーガ]としか言わないから…

「ごめん、わかんない。」

 

「それじゃ、うちに来て直接聞いてみる?今日は母さんもも家にいるから。」

 

たぶんそれが一番ね。それにリンディさんにもはやてやアメリアの事報告したいし。

 

「ごめん、わたしとすずかはパス。今日は習い事があるから…」

 

「そっか…あ、わたしは大丈夫だよ!」

 

「わたしらも問題あらへんよ。アメリアの事、もっと知りたいしな。な、ヴィータ?」

 

「あたしはアメリアの事はどーでもいいけど、フェイトさんの家は興味あるしはやてが行くなら行く!」

 

「ヴィータちゃん、何気にひどい?!…」

 

「…それじゃあたしとなのは、八神家の3人で放課後にフェイトの家に行く、って事にするわ。OK?」あたしの提案をフェイトとアリシアは承諾する。

 

「わかった。それじゃ放課後に校門で待ち合わせで。」

 

こうしてあたしたちはフェイトたちが引っ越してきた新居にお邪魔することになった。

 

 

時は過ぎて早くも放課後。校門で集合したあたしたちは、なのはの提案でまずは翠屋へ。

 

なのは曰く、

 

「お土産のシュークリームと、それとは別に会わせたい人がいる」

 

とのこと。会わせたい人って誰だろ?

 

やがて一行は翠屋に到着、なのはを先頭に店内へ入る。

 

「いらっしゃい…あ、お帰りなさいなのは。」

「うん、お母さんただいま~!」

 

店に入ると桃子さんが出迎えてくれた。

 

「リナちゃんもいらっしゃい。…あら、新しいお友達?」

 

「は、はじめまして、フェイト・テスタロッサです。」

 

「アリシア・テスタロッサです!よろしく~!」

 

「八神はやてです~。よろしくお願いします。」

 

「八神ヴィータです。よ、よろしくです…。」

 

「はじめまして、八神アメリアと申します。」

 

ここで皆が自己紹介。…フェイトとアリシアも桃子さんと会うのは初めてだからね。

 

「あらあら~。…八神さんって、もしかしたらシグナムさんのご姉妹かしら?」

「へ?確かにシグナムはうちの家族ですけど…シグナムを知ってるんですか?」

 

「知ってるも何も…」

 

その時、後ろから若い女性の声が。

 

「店長、3番テーブルの片付け、終わり…ま…あ、主はやて!どうしてここに…」

 

「シグナム?!…シグナムがゆってたバイト先ってなのはちゃんの家やったんか!…は~、世間は狭いもんやなぁ。」

 

「ぷぷっ…シグナムなんだよその格好は?結構似合ってるぜ…あ~おかしい!」

 

なのはが会わせたい人ってこのシグナムさんの事だったのね。確かに今のシグナムさんを見たらとても騎士には見えないわ。

 

「ねぇお母さん、シグナムさんと大事なお話があるから、シグナムさんを借りていいかな?」

「…それは魔法関係の話なの、なのは?」

 

なのはの代わりにあたしが頷く。

 

「…仕方ないわね。シグナムさん、今日はあがっていいわよ。」

 

「えっ、桃子殿は魔法の事を…?」

 

「うん、うちの家族は皆知ってるよ?それより、これからフェイトちゃんのお家ではやてちゃんも交えて大事なお話するから、早く準備してほしいの。」

 

「…わかりました。」

 

「それとお母さん、シュークリームを20個ほど…」

 

「はい、用意できてるわよ♪それと紅茶の入った水筒もね。」

「早っ?!」

 

相変わらずの手際のよさね、桃子さんは…そりゃ翠屋も流行るはずだわ。

 

「…お待たせしましたなのは嬢。」

 

「シグナムさんも準備できたみたいだし、それじゃそろそろフェイトちゃんのお家に行こっ?!」

 

そうね。それじゃ今日の目的地・フェイトたちの新居に向かうとしますか!

 

こうして辿り着いたフェイトたちの新居。…へぇ、結構綺麗じゃない!

 

「じゃ、みんな入って…母さん、ただいま。」

 

「たっだいま~!!」

 

あたしたちが玄関に入るとプレシアさんが出迎えてくれた。

 

「お帰りなさい、フェイト、アリシア♪…リナさん、なのはさんもいらっしゃい、よくきてくれたわね。」

 

「おじゃまします、プレシアさん。」

 

「あ、これうちの店のシュークリームと紅茶です♪」

 

「ありがとう。…後ろの人たちは新しいお友達?」

 

「はいっ。八神はやてです。よろしくお願いします。」

 

「…八神ヴィータです。…よろしくです。」

 

「八神アメリアです。…あの、こちらにナー…」

 

アメリアが自己紹介をしようとしたその時…

 

『…アメリア?!あなたまさかアメリア・ウィル・テスラ・セイルーン?!』

 

突如ナーガが大声をあげる。

 

「なによいきなり…ナーガ、あんたアメリアと知り合いなの?」

 

『なにいってるのリナ?アメリアは…』

 

「今の声はやっぱり?!…お久しぶりです、グレイシア姉様…。」

 

 

………

 

……………何…だと…?!

 

「ア、アメリア、今何て…姉様って…」

 

「えぇ。リナたちには名乗ってなかったみたいだけど、本名グレイシア・ウル・ナーガ・セイルーン。…わたしの前世での姉です。」

 

「「「「「「「「「「「 え~~~~~~~~っ?!」」」」」」」」」」」

 

これは早々から予想外の展開ね…今日は長い1日になりそうだわ…

 




はい、ついに衝撃の事実を知ってしまったリナ(笑)…まぁ、ナーガの扱いが変わるわけではないですが。リナたちと夜天組の協力体制が築かれるなか、そろそろ動き出す闇の陣営…?

次回「三十六、友のため 共に戦う 仲間かな」

それでは次回も…

「リリカル、マジカル…グレイシアです♪」

「気持ち悪いからやめて、まぢで…」

(BY ナーガ&リナ)


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三十六、友のため 共に戦う 仲間かな

お待たせしました。恐らく今年最後の投稿になると思います。
どうかお楽しみいただけたらと思います。


SIDE:リナ

 

アメリアの要望でフェイトたちの新居に集まったあたしたちを待ってたのは、ナーガとアメリアが実の姉妹だったという衝撃の事実!

 

「ち、ちょっとナーガ?!あんたとアメリアが姉妹なんて本当なの?!」

 

『そうよ。アメリアはわたしの実の妹。似てるでしょ?』

 

「どこが似てるのよ?!似てるのは遠慮が全くないところだけ!」

 

…まぁ、性格似てるっちゃ似てるけど。

 

「それにしてもグレイシア姉様…」

 

「昔みたいに姉さんでいいわよ。…そんなに他人行儀だと何だか…」

 

「そう?じゃ姉さん、国を飛び出してから何してたのよ?リナと一緒に旅をしてたのは聞いたけど…」

 

「…わたしは母様の敵を倒したあと、世界を巡る旅をしてたのよ。リナとはその途中で出会い、お互いをライバルと…」

 

「嘘つくな~~~!」

 

ペシャ!

 

あたしは懐からだしたスリッパで机の上にあったナーガを、ゴ〇〇リを叩くよーにひっぱたいた。

 

『ち、ちょっと痛いじゃないリナ?少し机にめり込んだわよ?!』

 

スリッパをあげると、なるほど机に跡形がついていた。…って言うか痛いんだ、デバイスなのに…

 

「というか、わたしはナーガさんが机にめり込んだのにびっくりなの…」

 

「誰がライバルよ、誰が?!それはあんたの自称でしょ?」

 

なのはの呆れた突っ込みを無視して、あたしはナーガの発言を全力で否定する。

 

『あら?確か初めて戦ったあと、気絶して目を覚ましたわたしに「勝ったのはあなたよ」って言ったのはリナ、他ならぬあなただと思ったけど違ってたかしら♪』

 

ぐっ、よけいなこと覚えてやがる…

 

あれは一度、[宿敵をつけ回すライバル]というやつをやってみたくてあんなこと言ってみたんだけど、まさか100年以上経ってから後悔するなんてね…痛恨の極みだわ。

 

『…まぁ、その後も色々あって気がついたらデバイスになってたのよ。わかったかしら?』

 

あ、デバイスになったときのいきさつ誤魔化した。…あとでアメリアにばらしてやろ。

「それはそうと姉さん、お母さんの衣装が1着なくなってたのはやっぱり姉さんがもってったの?」

 

『ふっ、母様の形見よ、当然じゃない?!デバイスになった今も肌身離さず着てるわよ?』

 

…ブブーーーッ!

 

あたしはナーガの言葉に思わず飲んでた紅茶を吹き出した。

 

「わわっ?!リナちゃんどうしたの?」

 

『まったく下品ね、飲んだもの吹き出すなんて…』

 

「誰のせいだと思ってんのよ?!」

 

…あのトゲトゲ付のビキニアーマーにドクロのネックレスが母親の形見?…ってちょっとまって?!

 

「ねぇアメリア、あんたとナーガのお母さんって事は、あのフィルさんの奥さんって事よね…」

「…? 何当たり前の事聞くの、リナ?」

 

「…ということはセイルーンの王妃さま…?」

 

「そうだけど?」

 

うがぁ~~~~~っ?!

 

そんな王妃さまいるか~~~っ!

 

「アメリア!あんた母親の趣味を疑問に思わなかったの?てかフィルさんもよくそんなのと結婚したわね…はっ!もしかして政略結婚?!」

 

それならまだ納得が…

 

「えっ、とーさんから母様にプロポーズしたって聞いたけど…っていうかそんなのって失礼じゃない?!」

 

…フィルさん何やってんの?!

 

「ま、その話はおいといてと…プレシアさん、[夜天の書]って知ってます?」

 

夜天の書の名前を出した途端、プレシアさんの顔色が変わった。なになに、夜天の書ってヤバい代物なの?

 

あたしの思いに応えるように、プレシアさんが夜天の書について説明を始めた。

 

「…夜天の書は通称[闇の書]と呼ばれている、古代ベルカのロストロギア…暴走したときの危険度はジュエルシードの比じゃないわ。…もし暴走したら…」

 

「暴走したら?」

 

「…この世界は消えて無くなるわ。跡形も無くね。」

 

……………!!!

 

プレシアさんの言葉にあたしは絶句した。ヴィータやシグナムさんはそれが事実なのか、苦い顔をしている。

 

「シグナム、ヴィータ…プレシアさん、夜天の書を暴走させない為にはどうしたらいいの?」

 

あたしはプレシアさんに対策を尋ねた。

 

「夜天の書は魔力を蒐集する事によって能力を発揮するから、一番確実なのは魔力を蒐集しないことね。」

 

「だが、それでは駄目なのだ!…魔力を一定期間蒐集しないと夜天の書はその主…主はやての魔力を蝕んでいき、やがて命を奪う。そんな馬鹿げた話、誰が認められるか!」

 

シグナムさんが激昂するのをはやてが諭す。

 

「ええんよシグナム…わたしは人様に迷惑をかけてまで生きとうない。」

 

「ですが?!」

 

「…わたしもはやてが死ぬなんていやだ!だからはやて、生きたくないなんていっちゃやだ!」

 

「…!ごめんな、ヴィータ…。」

 

あ~もう!仕方無い、助け船出してあげますか?!

 

「…あのさはやて、[他人に迷惑を]かけないやり方なら魔力を集めてもいいんでしょ?」

 

「そんなやり方があるんなら、な。でもそんなこと…。」

 

「そんなの簡単よ。あたしたちの魔力を蒐集すればいいのよ!…魔力は時間が経てば元に戻るんでしょ?」

 

あたしの言葉にシグナムはハッとした表情になった。

 

「だ、だがいいのか?魔力の蒐集にはかなりの激痛を伴うぞ?知り合って間もない我々にどうしてそこまで…」

 

「友達だからじゃだめかな?…そもそもアメリアとは古くからの仲だし。その親友の主を助けるのにそれ以上の理由なんて、必要ないわよ!」

 

「そうだよシグナムさん!もちろんわたしやフェイトちゃんたちも協力するよ。ね、フェイトちゃん、アリシアちゃん?」

 

なのはの提案にフェイトとアリシアも賛成する。

 

「そうだね。わたしやアリシア姉さんは知り合ったばかりのリナやなのはに救われたんだ。

もしわたしたちでなんとかなるんだったら力を貸すよ。」

 

「そうだよ!遠慮なんてしないで!」

 

「リナちゃん、なのはちゃん…ほんとにありがとな。わたしはこないな友達ができて幸せやわ…。」

 

よし、それじゃ早速…

 

『ちょっと待ってくれないかしら?』

 

え?今の声は…リンディさん?次の瞬間、目の前にリンディさんから通信が入ってきた。その後ろにはクロノもいる。

 

「リンディさん、クロノ?!

いったいこれは…?まさか、やめろっていうんじゃないでしょうね?」

 

『そうは言ってない。ただ、無計画にやるなと言ってるんだ!闇雲にことを進めたら暴走の危険性が増してしまう。』

 

『落ち着きなさいクロノ。……リナさん、時空管理局では夜天の書は封印管理を必要とする、特級の危険ロストロギアとして扱われてるの。』

 

…何なのよ封印管理って。ものすごーくやな予感しかしないんだけど。

 

『具体的には発動しないうちにその主ごと永久凍結させるというのが管理局本部からでた案よ。』

 

リンディさんの言葉にシグナムさんとヴィータ、アメリアの表情が険しくなるが、怒鳴ろうとしたヴィータをあたしは手で制した。

 

「なんで止めるんだよ?!お前もこいつらの味方か?」

 

「…ヴィータ、落ち着いて考えて。もしリンディさんがそんなこと考えてたら、あたしたちに話すわけないでしょ?」

 

「あ…」

 

『リナの言う通り、僕や母さんは凍結封印には反対だ。

正直な所、感情的には複雑なんだか…。』

 

「…?どういう事?」

 

あたしの問いに代わりに答えたのはリンディさんだった。

 

「…私とクロノは、11年前に起きた夜天の書の暴走によって大事な人を失ったの。

…クライド・ハラオウン。…私の夫で、クロノにとっては父親よ。」

 

…これはまた重い話になってきたわね。

 

『あなたたち騎士に罪がないのは理解しているつもりよ。ただ、わたしたちは真相がしりたいの。』

 

リンディさんの言葉にシグナムさんが答える。

 

「…すまない。私達騎士は主が変わる度に基本的な記憶以外はリセットされるらしい…その11年前の暴走の事も記憶に無いんだ…」

 

『そう…それじゃ過去を振り返るのはもうやめましょ。リナさん、わたしとクロノも力をかすわ。なんとしてでも夜天の書を覚醒させましょう!』

 

『ただ、強硬派が事を起こす可能性もある。こちらでも夜天の書の起動は確認されてるからな。』

 

ふ~ん、ってことは…

 

「はやて、今週の日曜日から蒐集を始めるわよ。で、不測の事態に備えて1日2人まで。

シグナムさん達騎士は、管理外世界の魔物から魔力を集めてくれる?これなら年末までにはかたがつくわ。」

 

「それじゃ、今度の日曜はわたしと…」

 

「わたしの魔力を蒐集して。」

 

なのはとフェイトが早速立候補したわ。

 

「なのは嬢…本当に感謝します。」

 

「フェイトさんもありがとう!」

 

「リナ…貴女と友達で本当によかったわ、ありがとう!」

 

「お礼は夜天の書が覚醒した時でいいわ。暴走させない手段も探さないとだし…。」

 

そう、問題は暴走を未然に防ぐ方法。それが見つからないと、夜天の書はまた…

 

「…クロノ、僕に[無限書庫]の閲覧を許可してくれないか?あそこならもしかしたら何か解るかもしれない。」

 

「え、ユーノ?何、その[無限書庫]って?」

 

『無限書庫は管理世界の全ての知識を集約したデータベースだ。…わかった、手続きしておくからそっちは任せた。』

 

『私達も近々そっちに戻るわ。それじゃその時に。』

 

リンディさんがそういうと、通信が切れた。

 

 

「それじゃリナ、僕は夜天の書について無限書庫で調べてみるよ。何か解ったら連絡する。」

 

「私も文献を調べてみるわ。もちろん魔力も提供するわよ。」

 

ユーノ、プレシアさん…頼んます!

 

さぁ、これから年末まで忙しくなるわよ!

 

NO SIDE

 

リナたちが一致団結していた頃、ミッドチルダの某所では1人の玉座に座った男性の前に、

若い男女が頭を垂れて膝まずいていた。

 

「…………………様、どうやら夜天の書に動きがあったようです。」

 

『そうか…ならば我々も動くとするか。グ………、シ……、お前達はミッドチルダの魔導師どもから魔力を蒐集するのだ。その時は…』

「夜天の騎士の名を語れ、でしょう?まあお任せあれ、では…。」

 

そういうと2人の男女の姿が消えた。その場には玉座の男1人…。

 

「…前の世界で不覚をとって幾年月…人間として転生してしまった時はどうなるかと思ったが…この世界なりに力は取り戻せたし、新たな部下を[造り出す]事も出来た。

今度は邪魔をする輩も、我のネーミングセンスをバカにする輩もいない!必ずや復活させてやるぞ、夜天の書、いや…[魔王シャブラニグドゥ様]!」




一致団結で立ち向かうリナたちの影で、暗躍を始めた謎(?)の男達…果たしてリナたちの運命は?そして謎の集団の正体は?

次回「三十七、やってくる ネームセンスの ないやつら」

それじゃリリカル、マジカル…
「「メリークリスマス&よいお年を~!」」

(BY リナ&なのは)


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三十七、やってくる ネームセンスの ないやつら

新年明けましておめでとうございます。

本年もリナ&なのはと突っ走るので、よろしくお願いします!

※スピンオフのリリすれスピンオフ・スレイヤーズも今日始まりました。こちらもよろしくお願いします。


SIDE:リナ

 

はやて覚醒計画(仮)が発動して1週間。なのはとフェイトははやてのお家で魔力の蒐集。

 

そんであたしはユーノと一緒に[無限書庫]ってとこに来てみたんだけど…

 

「な、なんなのよ此所は?!」

 

無重力空間にそれこそ無限に漂う書物の数々…

 

「…此処が時空管理局のデータベース・無限書庫だ。…と言えば聞こえはいいが…」

 

あたしたちを此処まで案内してくれたクロノが頭を掻きながらぼやく。

 

「…見ての通り書物の整理が全く出来ていない無法状態だ。

ここから目的の本を探しだすのは至難の技だぞ?!」…確かに、砂漠に落とした金貨1枚探すようなもんだわ、これ…

 

「ねぇ、大丈夫なのユー…ひいっ?!」

 

流石に心配になったあたしがユーノの方を振り向くと、某〇つの傷を持つ男みたく7色のオーラを放つユーノがいた。

 

「…僕を誰だと思ってるんだい、リナ?探索を生業とするスクライアの出だよ?…まぁ、一族じゃないけどさ。」

 

「…??? 一族じゃないって、どういう事?」

 

奇妙な事を言うユーノに、腑に落ちないあたしは疑問をぶつける。

 

「あれ、言ってなかったかな?…実は僕、いわゆる捨て子なんだ。」

 

………え~~~~~っ?!

 

そんなの初耳よ!

 

「…僕は9年前、とある遺跡の中にあったカプセルの中から発見されたらしいんだ。

その時発見してくれた人達が僕の育ての親さ。

…そして、僕と一緒にカプセルの中に入っていたのが、なのはのレイジングハートとリナのゼルガディスソウル…」

 

…ちょっとユーノ、そんな重大発表さらっとしちゃ…

 

でも、話は終わらない。

 

「…その2つは僕でも起動はできた。文字通り目を覚ましただけだけどね。でも…」

 

ユーノは胸元のポケットからさらに2つの待機状態のデバイスを取り出した。

 

1つは青色の宝珠、もう1つは白金の装飾に漆黒の宝珠で飾られたアミュレット…「青色の方は起動はできないけど、名前も分かってるんだ。この子の名前は[ガーディアン]。

…僕の魔力に反応はしてるから多分僕のデバイスなんだと思う。」

 

…ガーディアン…[守護者]か…

 

「アミュレットの方は分かってる事は壊れていないって事だけ。いくら魔力を注いでも吸収するだけで反応しないんだ。」

 

「ふ~ん…ね、ユーノ?そのアミュレット、見せてもらってもいい?」

 

「うん、いいよ。…はい。」

 

あたしはユーノからアミュレットを受け取った。その途端にアミュレットが強烈な光を放つ。

 

「?!リナ、大丈夫(か)?」

 

あたしは一瞬目が眩んだけど、異常は無さそうだ…多分。だけど今のってまさか…

 

「恐らくそのデバイスがリナをマスターと認めた、という事だね。リナ、デバイスは起動したの?」

 

ユーノの問いにあたしは頭を振る。

 

「ううん、反応は無いわ。でもあたしの魔力に反応はしてるからあたしが貰っていい?ユーノ。」

 

「うん、使える可能性がある人が持ってた方がいいからね。

でも、ゼルはどうするの?」

 

「…まぁ、こいつが使えるようになるまでは頼りにしてるけど、そうなったらアメリアに譲ろうと思って。前世では結局結ばれなかったんだし、この世界ぐらいね。」

 

「「……………………」」

 

な、何?!何で呆気に取られてるのよ?

 

 

「「リナが人に物をあげる?…しかもタダで?熱でもあるんじゃないの(か)?」

 

「おい待て。あんたたちはあたしをなんだと思ってるのよ?」

 

あたしの怒りの問いに2人は揃って一言。

 

「「食べ物(主に肉)と財宝にがめつい最凶魔術師。」」

 

…確かに。でもこれは本当に思ってるのよ?

アメリアって、あたしたちと旅をしてた時はまだしも、そのあとはフィルさんの跡継いでセイルーンの女王になっちゃったからね。(主にナーガのせいで。)

 

そんでもって、せっかく転生して自由を手に入れたんだから、思い人と結ばせてあげたいじゃない?

「まぁ、リナの気持ちもわかるがな。…ユーノ、いけそうか?」

クロノが尋ねるとユーノは頷いた。

 

「うん、やってみるよ。人手は貸してくれるんだろ?」

 

「あぁ、段取りはつけてある。すまないがよろしく頼む。それはそうとリナ、妙な噂か流れてるんだが…」

 

「妙な噂?何よそれ?」

 

「…実は近頃、ミッドを中心に魔力を持ってる者が連続して狙われる事件が起きてるんだ。

犯人は被害者の魔力を死なないギリギリまで奪っているんだが…」

 

クロノは言葉を濁すが…

 

「…まさかそいつら、夜天の騎士をかたってるんじゃ…?!」

 

「あぁ、全くその通りだ。だが僕たちは本物の騎士達を確認してる。こいつらは偽者だ!

だがリナも気をつけてくれ。被害者の中にはAランク以上の魔導師も含まれてるんだ。

…もっともなぜだろう、そいつらが君にボコボコにされている図しか思い浮かばないんだが…。」

 

そりゃ当然でしょ?!そんなやつフルボッコ以外の選択肢は与えないわ!

 

ピーッ!ピーッ!

 

ん、緊急通信…プレシアさんから?!なんかやな予感する…。

 

『こちらプレシア…あ、リナさん此処にいたのね、ちょうどよかったわ。そちらにフェイトが行ってないかしら?!』

 

あれ?フェイトはなのはと一緒にはやてのお家に…ってまさか?!

「クロノ!至急…」

 

「わかってる!!エイミイ!!」

 

「ちょっと待って…海鳴公園一帯に広域結界確認!!…!

これは…術式、スイーフィード!!」

 

「何ですって?!くっ…」

 

「リナ、僕もいくよ。僕の転送魔法なら一瞬だ。」

 

ユーノ…うん、お願い。

 

「僕たちははやての家を確認してみる。もしかしたら騎士達も動いてるかも。」

 

わかった。…待っててなのは、フェイト!すぐに助けに行くから!!

 

だけど、結界内へ辿り着いたあたし達を待ってたのは…

 

「なのは、フェイト?!」

 

傷付き倒れるなのは、フェイト、くおん、アルフたち。

 

バリアジャケットはズタズタに裂け、レイジングハートやバルディッシュもひびが入ってる…

身動き一つしないなのはたちの前に立ちはだかってるのは、長い黒髪を三つ編みにして、漆黒の鎧を身に纏った若い女性。

 

ん…どっかで見たような気がすんだけど?…それより!

 

「あんたが[自称]夜天の騎士ね?あたしの友達になんていい度胸じゃない?!覚悟はできてんでしょうね?!」

 

女騎士はあたしの声に一瞥すると言葉を返す。

 

「…新手か。…なるほど、このカスよりは楽しめそうだわ。」

 

カス…?!

 

 

「酷い、なんてこと言うんだ!」

 

 

ユーノが非難するのもまるでどこ吹く風。彼女はなのはたちを罵倒するのを止めない。

 

「フン、カスをカスと言って何が悪いの?…使い魔以下の魔力しか持ってない癖に一人前に抵抗して…大人しくしてれば痛い目見ずにすんだのに…ね!」

 

彼女は足元に転がっているなのはの背中を踏みつける。なのははうめき声をあげるが身動きひとつしない。

 

 

…プチッ

 

その時、あたしの中で何かが切れ、あたしは意識を手放した。

 

NO SIDE

 

「…どうかしたの2人とも?

まさか怖くなったのかしら、坊や。」

 

黒騎士がユーノを挑発する。

 

「…バカにするな、お前なんか怖くない!」

 

…嘘である。ユーノは全身の震えが止まらない。

 

(まずいな…こいつ、ほんとに強い。)

 

「あらあら強がっちゃって。…後ろの子みたいに大人しくしてたらいいのに。」

 

「…リナ?!」

 

ユーノが振り向くと、リナは顔を伏せたまま動こうとしない。

 

「そのまま大人しくしてたら、このカスみたいに痛い目…」

 

『ダマレ。』

 

「は?今なんて…」

 

『ダマレッテイッテルノヨ、コノブス。』

「なっ…?!これでもくらいなさい!」

 

黒騎士が剣を振るうと剣先からとてつもない衝撃波がリナを襲った。衝撃波はリナを直撃し、爆煙を吹き上げる。

 

「あらあら…非殺傷設定忘れちゃったから、死んじゃったかもね。」

 

「リナーーーーーっ?!」

 

ユーノが叫ぶが返事はない。

 

やがて爆煙が消えたその後には…

 

「リナ!」

 

リナが無傷で立っていた。

 

リナの身体は何層ものバリアみたいな物に包まれていた。

 

『フン、ソレガオマエノゼンリョクカ?…ツマラン。』

 

「そ、そんな馬鹿な?!」

 

黒騎士は予想外の出来事に驚きを隠せない。

一方、ユーノはリナの異変に気づいた。リナの髪は赤と金が混じったような色に染まり、反転した瞳も同じ色だ。

 

さらに、首に掛けているユーノが渡したアミュレットも同じ色の光を放っている。

 

(リナの様子がおかしい…もしかしてあのアミュレットのせい?)

 

「この夜天の騎士・シエラの攻撃を受けて無傷なんて…きさま、何者だ?」

 

『オマエノセンスノナイナマエナンテキョウミナイ。…オマエハケッシテヤッチャイケナイコトヲシタ。…ダカラコロス。』

 

リナは自らを纏うバリアをシエラと名乗った黒騎士に放つ。シエラは身をかわした…はずだった。

 

「な、な…」

 

避けたはずのシエラの左腕が丸ごと消し飛んでいた。

 

『カンタンニハコロサナイ…セイゼイナノハタチノイタミヲアジワエ!』

 

クゥォォォォォーーーーン!

 

リナはそう言うと雄叫びをあげる。それは人間のものでは到底なく…ユーノとシエラはただ呆然と立ち尽くすだけだった…。

 




新年早々詰め込みすぎました。

果たしてぶちギレたリナを一体誰が止めるのか?はっきしいって僕は嫌です。(笑)

次回「三十八、誰なんだ ぶちギレ魔王 止めるのは」

それじゃ次もみてくんないと…

「もしかして…暴走?!」

(BY某特務機関の司令官?)


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三十八、誰なんだ ぶちギレ魔王 止めるのは

ネームセンスがない上に空気も読めない新たな敵…フルボッコの姿しか見えないのは作者だけでしょうか?(笑)

さらに最後にはとうとうアイツが現れます。アイツ?誰かはお楽しみに。

ではどうぞ!


NO SIDE

 

プレシアからの一報によりリナとユーノは、突如海鳴市内に現れた広域結界へと向かった。

 

そこで見たのは、デバイスを破壊されぼろぼろになって倒れるなのはたちと、謎の女騎士・シエラ。

 

シエラはなのはたちを踏みつけ罵倒するが、その行為がリナの逆鱗に触れアミュレットの力により暴走、リナは異形の存在と化す…

 

SIDE:ユーノ

 

シエラと名乗る女騎士になのはやフェイトを罵倒されたリナが豹変、謎の力でシエラの左腕を消し去った。

 

でも、リナの様子が明らかにおかしい。髪の毛は赤と金が混ざったような色、眼も同じ色でしかも反転してる。しゃべり方も声も変でなにかにとりつかれたよう…

 

「ま、まさか?![金色の魔王]なのか?」

 

それだったらあの桁外れな力も納得だ。だけど、前世の時と違って今のリナは身体が未発達だからあまり長くはもたないんじゃ…

 

「ふ、ふん?!ちょっとばかし力を持ったからって、いい気になるんじゃないわよ!このくらいの傷、…むんっ!」

 

気を取り直したシエラが気合いを入れると…な、これは?!

 

リナの攻撃で吹き飛んだはずの左腕が再生した?…まさか、こいつは…いや、リナやアメリアさんが転生してるんだ、あり得ない話じゃない!

 

「シエラ…君は…魔族なのか?!」

 

「へぇ…魔族の存在を知ってるの…。じゃ、わたしがどれくらいの力があるかもわかるわよね?!」

 

 

…確か魔族は人間の姿に近いほど高位だって「スレイヤーズ」に…シエラは見たとこ15~6歳の少女にしか見えない…ということは!

 

「気づいたかしら?わたしは魔族の中でも最高位クラスの魔族。人間なんて相手にならないわ!」

 

…なんてこった…このままじゃやられてしまう。

 

『ナニヨソミシテルノ、コノブス。コレデケシトベ!』

 

リナがさっきと同じように身に纏ったバリアをシエラに向かって放った。

 

「くっ、何度も同じ技を喰らうものか?!ドゥールゴーファ!」

 

シエラは右手に持った大剣でバリアを切りつける。バリアは2つに割け消滅したが…

「?! …ドゥールゴーファの刃が消滅した?バカな、ドゥールゴーファはこう見えて上位の魔族、そんな簡単に…」

 

『…ナルホド、オマエアノセンスナシノブカカ。モシカシテマタ、ドーリョーニグラウダカナンダカイウヤツガイル?』

 

リナ(?)の呟きにシエラは何故かひきつった表情を浮かべる。

 

「ど、どうしてそれを…ってなにか遠い昔にもそんな事いわれたような…」

 

『マアドウデモイイカ、ソンナコト。ドーセテキトーニツケタンダロウシ。』

 

「!!そ、そんな事ないわよ!きっとなにか由来のある名前に違いないわ!…多分…」

 

自信無さげに言い返すシエラ。…あれ?どこかでこんな状況見たような…

 

『…ナンダカアキチャッタ。ソロソロキエテクレル?』

 

そういうとリナの右腕が異様に伸びて、シエラの首根っこをつかむ。

 

「なっ?!何だ、これは…体の力が…入ら…ない…?」

 

…まずい!シエラの正体はともかく、このままじゃリナはシエラを殺してしまう!

 

『ゼルガディス、リナはどうしたんだ?!話は出来ないのか?』

 

僕はリナのデバイス、ゼルガディス・ソウルに念話を送る。

 

『…駄目だ。何度呼び掛けても何の返事もない。…それどころか機能自体があのデバイスに奪われてる。』

 

そんな…どうする?一か八かゴルンノヴァで突っ込むか?でもあのバリアに勝てるのか?!僕が思案していると、視界の外から白い光が走った。白い光?…まさか?!駄目だ、なのは!

 

SIDE:なのは

 

「…ううっ…わたし一体…」

 

ものすごい魔力を感じわたしは意識を取り戻した。

 

確かフェイトちゃんと、はやてちゃん家で魔力の蒐集をして…(因みに無茶苦茶痛かった)

帰り道の途中で騎士の格好をした女の人に襲われて…

 

ってあれはリナちゃんとユーノくん?!そっか、助けに来てくれたんだ…でも何だろ、この違和感…

 

『…オマエハケッシテヤッチャイケナイコトヲシタ。…ダカラコロス。』

 

えっ?!今の声…リナ…ちゃん…なの?!全然感情こもってなくて、まるで別人なの。

 

それに…コロス?いくらこの騎士さんが非道いことしたっていっても、命を奪う必要まで…

ズイウゥゥーン!

 

その時、ものすごい轟音と同時にリナちゃんを包んでいたバリアが騎士さんを襲う。そして次の瞬間…

 

「な、な…」

 

にゃ~?!リナちゃんが放ったバリアで騎士さんの左腕が消し飛んじゃった?!これには騎士さんもユーノくんも、もちろんわたしも呆然なの…

 

と思ったら騎士さんが腕を自己再生した?しかも…

 

「シエラ…君は魔族なのか?!」

 

魔族って…あの魔族?って魔族でシエラ?まさかと思うんだけど…

 

『…ナルホド、オマエアノセンスナシノブカカ。…モシカシテマタ、ドーリョーニグラウダカナンダカイウヤツガイル?』

 

リナちゃん(?)の呟きにシエラは硬直してる…ってことはやっぱりこの人の上司はあの魔王の側近さん?

 

『…ナンダカアキチャッタ。ソロソロキエテクレル?!』

 

…!!駄目だよリナちゃん!!その人は人間じゃないかもしれないけど、それでも命を奪う必要なんてない!

 

『レイジングハート、もう一頑張りできる?!』

 

わたしの呼び掛けにレイジングハートは答えてくれる。

 

『私はマスターが望むならいくらでも。それに…あのデバイス…まさか…』

 

『レイジングハート?』

 

『…いえ、何でもありませんマスター。全力でいきましょう!』『うん!!』

 

わたしはそう言うと最後の力を振り絞ってリナちゃんに突貫した。絶対リナちゃんはわたしが止める!!

 

NO SIDE

 

なのはがリナへの突貫するのを見たユーノは、なのはの死すら覚悟した。

 

いくらなのはが頑丈でも、あの力は強大すぎる。よくて吹き飛ばされ、悪ければ跡形もなくなる。ユーノの脳裏には最悪の結末が過る。しかし…

 

リナのバリアに突貫する瞬間、なのはの体が白い光に包まれてバリアをすり抜けたのだ。

 

(な、何だ今のは?!)

 

ユーノが驚く間もなく、なのはがリナの身体にしがみつき、大声で呼び掛ける。

 

「リナちゃん!!お願い、元に戻って!!ほら、わたしは大丈夫だから?!」

その呼び掛けにリナは視線をなのはの方に向けると…

 

『グググ…ナ、のは?…」

 

リナの髪と瞳が元の色に戻り、纏っていたバリアも消えていった。

 

「リナちゃん、元に戻ったんだね!!よか…っ…」

 

限界だったのか、リナの胸の中でなのはは気を失う。

 

SIDE:リナ

 

「なのは…無事だったのね。…ありがとう。」

 

「リナ、大丈夫?!身体はなんともないかい?」

 

ユーノ…大丈夫、問題な…って、えっ?!

 

…身体が思うように動かない、まるで力が入らない!なんで?!

 

「やっぱり…リナ、君は魔力の暴走でリンカーコアが一時的に麻痺(スタン)状態に陥ってるんだ。時間がたてば元に戻ると思うけど…」

ユーノはそう言うとゴルンノヴァを構えてシエラとリナの間に立ちはだかった。

 

「…そこを退きなさい坊や。このシエラ、ここまで虚仮にされて黙ってられないわ。」

 

「そうはいかないよ。リナは僕が護る!…例え貴女が魔族でもね。」

 

…魔族?!…ちょっと待って?魔族で名前がシエラってまさかあいつもこの世界に転生してきてるの?

 

でも、こりはまづい…全く身動きとれないあたしと気絶状態のなのは、さらにフェイトたちをユーノ1人でカバーなんて無理な話だ。

 

「そう…じゃあみんなで仲良くいっちゃいなさい!」

 

シエラはドゥールゴーファを振りかざし衝撃波を放ってきた。

 

あたし達は直撃を予感した。だけど…

 

「やれやれ、短気ですねぇ…お肌に悪いですよ?!」

 

突如目の前に現れた人影が、その衝撃波を防御魔法で受け止めた。

 

「えっ、え~っ?!あんた、どうして此処に?」

 

あたし達の前に現れたのは、艶のある黒髪をおかっぱ頭にし、(ただし後ろ髪に一房の尻尾)いわゆる神官衣に身を包んだ少年…年はあたし達より1~2歳上だろうか。

 

「お久しぶりですねリナさん。こちらの世界でははじめまして、ですけど。」

 

「…お前は何者だ?!」

 

シエラの問いに少年は…

 

「そ・れ・は、秘密です♪」

 

…間違いない、この人を小馬鹿にした口調、そしてこの台詞…

 

「…まさかあんたに助けられるとはね、[獣神官]ゼロス…」




はい、とうとう現れた謎のゴキブリ神官(笑)。彼の目的は?そもそも彼は味方なのか?

次回「三十九、秘密です 謎の神官 黒き影」

それじゃ、次回も…

「リリカル、マジカル、ひ・み・つ・です♪」

「OK、意味わかんない。」

(BYゼロス&リナ)


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三十九、「秘密です♪」 謎の神官 黒い影

投稿遅くなってすいません。

あとこの場を借りて、スペシャルサンクスを。

ゼロスの素敵な(?)偽名を考えてくださった西瓜第二(すいかだいに)さん、どうもありがとうございました!




SIDE:リナ

 

…うん、あたしがこの世界に転生し、ゼルやナーガ、アメリアもこっちに来た。

 

でもネームセンス無しのKY娘も出てきた(どーも本人ではないらしいけど)から、あんたが出てきてもおかしくはないんだけど…

 

「お久しぶりですね、リナさん。こっちの世界でははじめまして、ですけど。」

 

「…まさかあんたに助けられるとはね、[獣神官]ゼロス。」

 

「「ゼロスだと」だって?!」」

 

あたしの言葉にシエラとユーノが同時に声をあげる。

 

「リナ、ゼロスって確かリナの前世の世界の高位魔族…」

 

「バカな、我が主以外にこの世界に魔族なんて…」

あたしは2人の呟きを無視し、ゼロスと話を続ける。

 

「…で?あんたはあたし達の敵なの、味方なの?」

 

あたしの問いにゼロスは人差し指を顔の前でちっちっちっとふり、

 

「私はしがない中間管理職ですからね…ま、今日のところはあなた達の味方ですよ、リナさん。」

 

その時、空の上にホログラフィーの映像が映し出される。

 

その姿は壮年の男性。年相応に渋さを感じる…はっきりいえばイケメンの部類だ。でも、この邪悪な気は…

 

『久しいな、獣神官ゼロス…また幼い姿に転生したのだな。』

 

「…貴方こそなかなかお似合いですよ、覇王[ダイナスト]様。ご無沙汰してます。」…やっぱり!!

『もう1人そこに懐かしい顔がいるな…まさかこんなところで合間見えるとは思わなかったぞ、リナ・インバース!』

 

「…あたしは会いたくは無かったわよ…あと、今のあたしの名前は逢魔リナよ、間違えないでDX絶対覇王…」

 

『我は覇王グラウシェラー!そんな超合金みたいな名前ではない!』

 

…自分で名前言っちゃったよこの人(人?)…せっかくゼロスが名前伏せてくれたのにさ。

 

『…まぁいい、ここは引き揚げろ、シエラ。』

 

グラウシェラーの命令にシエラは不服そうだ。

 

「ですがグラウシェラー様!この者達は我らの災いとなります!ここで始末した方が…」

 

「ゼロスはお前とグラーヴを合わせても互角かそれ以上。それにそこの少年もかなりの実力を持っているようだ。すぐに管理局の援軍も来るだろう…もう一度言う、ここは引けシエラ。」

 

「…くっ、ここは見逃してあげるけど、今度会ったら只じゃ済まさないわ、覚えてなさい!」

 

シエラは悔しげに呟くと、転送魔法でどこかに消えた。

 

『では我もここで失礼するとしよう。シエラも言ったが、今度我らの前に立ち塞がるならば容赦はせん!ではさらばだ…』

 

ホログラフィーが消え、辺りの広域結界も消滅していく。

 

「…なんとか助かったみたいね…ありがとうゼロス、今日のところは礼言っとくわ。」

「…リナさんに礼を言われると何だかむず痒いですね。似合わないというか…」

 

「あ~、分かるよなんとなく…」

 

うっさい。…あとユーノ、要らないことゆーな。

 

そんなこと話してると急に体から力が抜けていく。

 

「あ…あたしも限か…い…」

 

そのままあたしの意識は闇に落ちていった…

 

SIDE:ユーノ

 

「あ、あたしも限か…い…」

 

リナはそう呟くと、なのはを抱き抱えた状態で落下していく。まずい、気を失ってる?!

 

僕はゴルンノヴァを待機状態に戻すと全速力で墜ちていくリナ達を追いかけるけどなかなか距離がつまら…えっ?

 

突然、リナたちの落下スピードが緩やかになり、そろっと地面に着地した。見るとゼロスが風の結界を張ってくれたみたいだ。

 

「はぁ、はぁ、…ありがとうゼロスさん。おかげでなのはと姉さんが大怪我せずにすんだよ。」

 

「ははは、お気になさらずに。リナさんとは前世からの付き合いですから。…それにしても、貴方リナさんの弟さんですか?」

 

「うん、義理のだけどね。でもゼロスさ…」

 

「あ、呼び捨てで結構ですよ。リナさんもそうですしまぁ呼びやすいように。それより…」

 

ゼロスはそういうと、倒れているリナとなのはの元へ近づいていく。僕も慌てて駆け寄る。

 

「リナ、なのは?!」

 

近寄ってみると、2人は寝息をたてて眠っていた。どうやら疲労による昏睡みたいだ。

 

「はぁ、よかった…」

 

「さて、それじゃ私はここで失礼させて頂きます。」

 

ゼロスはそう言うと転送魔法だろうか、身体が消え始める。

 

「それではまた明日、学校でお逢いしましょう…リナさんによろしく…」

 

そしてゼロスの姿が完全に消えると同時に…

 

「リナ~助けに来たよ!」

 

「あぁ、フェイトは無事なの?!フェイトは何処?!」

 

「ユーノ!リナやなのはは無事か?!」

 

アリシア、プレシア、クロノの3人が救護班を連れてきてくれた。

 

「クロノ!リナたちはこっちだ。…外傷は大したことないけど全員リンカーコアがダメージを受けて気絶してる。すぐに治療を!」

 

「わかった、救護班!すぐに治療室に搬送だ!」

 

そうして搬送が進むなか、アリシアは辺りをキョロキョロ。

 

疑問に思った僕は彼女に尋ねる。

 

「どうしたのアリシア、何か気になる事でも?」

 

「いや~、さっき転送してきた時に顔見知りが居たような気がしたんだけど…勘違いかな?」

 

顔見知り?!アリシアたちがこっちに来る前に居たのって…えっ、まさか?!

「でもそんなわけないよね、こんなところに名薗森くんが居る訳…」

 

あれ、名薗森?誰それ?

 

「アリシア、名薗森って誰?僕たち知らない人だよね?」

 

「うん、名薗森 寛(なぞのもり ひろし)くん。わたしと同じ日に転校してきた子なんだ。」

 

ふ~ん、転校生か……あっ、そういうことか!

 

「アリシア、その子って黒い髪のおかっぱ頭の男の子?」

 

「うん、そうだよ…じゃあやっぱり?!」

 

「そうだね、多分その子だよ。…アリシア、明日の昼休みにごはんを食べるときにその子を連れてきてくれる?多分来てくれるから。」

 

「わかった!必ず連れてくよ。」

 

うん、お願い。…リナたちは治療室に搬送されたみたいだね。

 

それにしても魔族…それも魔王の側近クラスが出てくるなんて…夜天の書を狙ってるのは間違いないみたいだから、何か対策を練らないと。

 

…このまま無限書庫に戻ろう。クロノに伝言を頼むか。僕はバリアジャケットを解除すると、無限書庫に転送を開始した。

 

SIDE:なのは

 

…んんっ、あれ…ここは何処?わたしいったい…確か暴走したリナちゃんを止めに入ったところまでは覚えてるんだけど…

 

「なのはさん目を覚ましたのね!よかった…。」

 

声の方に顔を向けると、リンディさんが心配そうに見つめていた。

 

「リンディさん…そうだ!リナちゃんとフェイトちゃんは?」

 

「…フェイトさんはまだ眠ってるけど、リナさんはさっき目を覚ましたそうよ。ただ、あなたもそうだけど3人ともリンカーコアにダメージを受けてるから暫く魔法は使えないわ。」

 

えっ、そうなんですか?!

 

「それにレイジングハートとバルディッシュもかなりの損害を受けてるわ。今、デバイス技術室で修理中だから、明日にでもお見舞いにいってあげて。」

 

「はい…(ごめんね、レイジングハート…)」

 

わたしが落ち込んだ表情を見せるとリンディさんが励ましてくれる。

 

「…親御さんには連絡しておいたから明日の朝まで休むといいわ。学校に行く時間にはリナさんと一緒に転送してあげるから。」

 

「ありがとうございます、リンディさん。」

 

リンディさんが部屋を出ていくと辺りは静かになった。

 

…リナちゃん、フェイトちゃんも無事だったんだ、よかった…でもあんな人達(魔族)相手にするとなると、わたしたちもレイジングハートももっと強くならないと…ね。

 

NO SIDE

 

こうして一夜を過ごしたリナ、なのはとフェイトは一度自宅に戻ってから学校へ向かった。

 

SIDE:リナ

 

「それじゃ母さん、行ってきま~す。」「リナ大丈夫?今日ぐらい休んだ方がいいんじゃない?!」

 

母さんが心配してくれるけど、正直そうもいってられないのが現状なのよね…それに…

 

「リナちゃ~ん!準備できた?」

 

「早く行かないと遅れるよ?」

 

…あたしよりダメージの大きい2人が大丈夫なのに、泣き言なんていってらんないわよ?

 

「お待たせ、じゃ行こっか?」

 

「「うん!!」」

 

あたしがなのはたちと学校につくと、アリサやすずか、はやてたちが寄ってきた。

 

「聞いたわよリナ、変な奴等が出てきたって。」

 

「覇王グラウシェラーとその配下って本当なの?」

アリサとすずかの言葉にあたしは頷いた。

 

「…ごめんなみんな、わたしのせいでこんな目に…」

 

「気にしないではやてちゃん。こうして無事だったんだから。」

 

「うん、魔法はしばらく使えないけれど身体は何ともないから。」

 

落ち込むはやてをなのはとフェイトがなぐさめる一方で、アメリアは首をひねってる。

 

「…ねぇリナ、わたしは覇王グラウシェラーって闘ったことないんだけど、冥王フィブリゾや魔竜王ガーヴと比べてどっちが強いの?」

 

な~る、そういうことね。

 

「はっきりした事は言えないけど、多分ガーヴ以上フィブリゾ以下じゃない?…ま、ガーヴは人と融合してたから能力出せてなかったとは思うけど。」

 

まぁ、みんなの力を合わせればなんとかなるっしょ?!それよりも気になるのは…

 

NO SIDE

 

その日の昼食タイム、いつものように屋上にリナたちは集合した。

 

「あとアリシアだけ?」

 

「仕方ないよ、学年が違うんだから…あ、来た!」

 

フェイトが指差す方を見ると、手を振りながらアリシアが駈けてくる。そして…

 

「ちょっと待ってくださいよアリシアさん、みなさん逃げたりはしませんって…」

 

「…むしろあんたが逃げるのが心配なのよ、名薗森 寛くん。…それとも、獣神官ゼロスって呼んだほうがいい?」

 

「せっかく考えたんだから名薗森さんって呼んでくださいよリナさ~ん…アメリアさんは久しぶりですね。他の人達にははじめまして、名薗森 寛こと獣神官ゼロスと申します。以後お見知りおきを…」

 

アリシアに連れてこられたのは通称パシリのゴキブリ中間管理職・獣神官ゼロスだった…。

 




…とうとうゴキブリ神官も聖祥大付属小に来てしまいました。(笑)

この先大丈夫か?と思うのは作者だけでしょうか?

まぁ、いざとなればアメリアの必殺「耳元で愛の讃歌」を炸裂させればなんとか(笑)。

ゼロスの偽名の真意は次回の冒頭で。解る方は感想にでも書いていただけると幸いです。

次回「四十、なんとまぁ ヤバい代物 夜天の書」

それじゃ次も見てくんないと…

「暴れちゃうぞ?!」

「…まさかのまんまパクり?!」

(BY シエラ&リナ)


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四十、なんとまぁ ヤバい代物 夜天の書

先日恵方巻きと福豆食べたので2月のイベントは終わりです。

バレンタイン?このおっさんには縁のない話です。(>_<)


SIDE:リナ

 

…まったく…ユーノの伝言とアリシアの話を聞いてまさか、とは思ったけど…あんたも転生したの、ゼロス?!

 

「よく気づきましたねリナさん。しばらくバレないと思ってたんですけどね…」

 

「そりゃ分かるわよ、あんな偽名使われたら。」

 

「…あ!わたし分かった!!噂通りのふざけた奴ね…」

 

やっぱりアリサは気がついたみたいね。あとすずかとはやても。その一方で、『???』な顔してるのがなのはとテスタロッサ姉妹。

 

「えっ?えっ?リナちゃんどういうこと?」

 

「…こいつの名前は名薗森 寛(なぞのもりひろし)。なのは、森って他にどう読める?」

「えっ?他にって[しん]…あっ?!」

 

「そう、森は[しん]って読めるわ。そして寛は[かん]。続けて読むと…」

 

「なぞのしんかん。」

 

……………

 

「ふざけるな~~~~~っ!」

 

スパパーン!

 

あたしはどこからともなくスリッパを取り出すと、ゼロスのどたまをひっぱたいた。…なんか害虫[G]を退治した気分。

 

「あたたっ?!い、痛いじゃないですかリナさん!頭がもげたらどうするんですか!」

 

…大丈夫、ゼロスだから。

 

「…それよりゼロス、あんたいったいどうやって、何しにこの世界に来たのよ?それにグラウシェラーの目的も!」

「やれやれ、相変わらずせっかちですねリナさん。…僕が獣王ゼラス=メタリオム様から与えられた指命は昔から1つだけですよ。すなわち…」

 

えっ、それって…

 

「…この世界にあるって言うの、あの異界黙示録[クレアバイブル]の写本が?」

 

ゼロスが獣王から命じられてたのは写本を処分すること。でもそんなもの何処に… … …!

 

「…ゼロス、あんたまさか夜天の書がそうだって言うんじゃ…」

 

「はい。少なくともその可能性はあると思ってます。夜天の書は時空を主と旅をしながら知識を記録し続ける魔導書と聞いています。何となくですが似ていると思いませんか、リナさん?」

 

確かに…異界黙示録は時空の狭間に存在する知識の集合体。似ているところはあるかも。

 

「で、でも夜天の書を処分したらアメリアたちが…嫌や!やっとできた家族と別れるなんてできへん!」

 

「おい、おめーがどれだけ強いかしんねーが、はやてと夜天の書に手出したらただじゃおかねー!!」

 

夜天の書を抱えて座り込んでるはやてとその前にデバイスを構えて立ちはだかるヴィータ。でもそのヴィータの身体も震えてる。

 

「…そんなに睨まないでくださいよ、今は何もしませんよ、今は…ね。」

 

「…ゼロス?それって一体…」

 

あたしの問いかけにゼロスはちっちっちっと人差し指を振る。

「僕だってこう見えてもなんでもかんでも処分してるわけじゃありませんよ?それにアメリアさんも消えてしまうのは惜しいですからね。」

 

「ゼロス…」

 

ゼロスはしゃがみこんでるはやての前にしゃがむと、はやての瞳をのぞきこんで話しかける。

 

「八神はやてさん…とおっしゃいましたか。少しだけ私に夜天の書を見せていただけないですか?…大丈夫、先ほども言いましたが処分する気はないので。」

 

「…わかった。ほんまに少しだけやで。」

 

「もし変な素振り見せたらわたしが耳元で『愛の賛歌』を囁きますからね?!」

 

「…何もしませんよ…結構きくんですよ、アメリアさんのささやきは…さてそれでは拝見させて戴きます…」

ゼロスはそういうと夜天の書のページをめくっていく。それを見てヴィータが驚いた表情を見せる。

 

「なっ…夜天の書は主と騎士にしか扱えないはずなのに…リナ、あいつ何もんなんだ?!」

 

「…まぁゼロスをあたし達と同じ基準で見ちゃダメよヴィータ。あいつはあたしの元居た世界の高位魔族。…多分あたし達全員でかかっても勝ち目はほぼ0よ。」

 

「…マジでかよ…」

 

そうこうしているうちにゼロスは夜天の書を閉じるとはやてに手渡した。

 

「ありがとうございました。…結論から言いますと、この夜天の書は異界黙示録の写本ではありませんでした。ですからあなたが持っていてくださって結構ですよ、はやてさん?」

ゼロスの言葉にあたしを含め全員が安堵の表情を見せる。

 

「ただ、異界黙示録の知識をもって創られた物には違いないですね。…恐らく覇王様はその事をご存知の上で狙っておられると思いますよ。」

 

「…で、質問の続きだけどあんたはどうやってこの世界に来たのよ?あたしと同じように転生して…」

 

あたしの問いにゼロスは頭を振る。

 

「…私達魔族は精神体なので、その世界を認識できれば往き来することはできます。しかし具現化するにはこの世界の魔力素は薄すぎるんです。」

 

…あ~確かに。スイーフィード式の呪文もデバイスを使ってやっとだからね。

 

「そこで考え出したのが、この世界に[何故か]たくさんいらっしゃる異世界からの転生者(イレギュラー)の身体をお借りして…いわば[人魔]としてこの地に来たわけです。」

 

「…ゼロス!あんたまさかその人を…」

 

「心配しなくても大丈夫ですよ。この体はこの世界に見切りをつけた転生者の脱け殻です。誰にも迷惑はかけてませんよ。」

 

ほんとでしょうね…あんたはさらっと嘘つくからね。

 

「…もっとも[覇王様]はそうではないみたいですけどね…恐らくはこの世界の人間の身体を乗っ取ったのでしょう。あの部下たちも人間を触媒にして創られた人魔ですね。」

 

「でもあの人たちはどうして夜天の書を狙うんや?魔族やったら別に必要ないんちゃうん?」

もっとも過ぎるはやての問いにゼロスが答える。

 

「僕たちは人魔になることによって実体を持ちましたが、人間の体では魔力の絶対量が足りないんですよ。イレギュラーを基にした僕はそれなりにありますが、それでも前世の力には届かないです。だから覇王様は夜天の書の力が欲しいのでは…」

 

でも、あたしは気づいた。ゼロスがあたしと視線をそらしたのを。まだ何か隠してんの、こいつ…?

 

「で、ゼロス?もう一度聞くけどあんたはどっちにつくの?!あたし達、それとも…」

 

ゼロスは胸のポケットから眼鏡を取り出し掛ける。…そうやってるとどこかの「見た目は〇〇、頭脳は〇〇…」の子みたいね。

「…心情的にはリナさんの味方なんですけど…まぁ今のところは中立ですね。手伝いもしないけど、邪魔もしない。それで構いませんか?」

 

OK、それで十分よ。…正直、あんたと関わりは持ちたくないからね。多分無理だろうけど。

 

「…それでは僕はこれで。夜天の書が完成するまでは遠く草葉の影から見守ってますよ。」

 

そういうとゼロスはどこかへと去っていった。…ねぇアリシア、ゼロスってクラスでもあんなななの?」

 

「ん~?クラスにはもう親衛隊がいるよ?なんかアス〇ンとかいうのと声が似てるって声真似したら大人気でさ。…あたしは興味ないけど。」

 

…なにしてんのよ、あいつは…ま、それより…

 

「みんな放課後の予定は?確かなのはとフェイトは…」

 

「うん、アースラにレイジングハートとバルディッシュのお見舞いにいってくるよ。」

 

「わたしとすずかは無限書庫にユーノのお見舞いにいってくるわ。リナ、伝言する事ない?」

 

「…あんまり無理するなって言っといて。なんかとんでもない事になってそうだから。あたしはアリシアと一緒にプレシアさんに話を聞きに行ってみるわ。もしかしたらなんかわかるかも…」

 

「あ~、わたしとヴィータ、アメリアもプレシアさんに相談があるからついてくわ。かまわへん、リナちゃん?」

 

別にいいわよ。それじゃみんな、夜天の書覚醒に向けてがんばっていきまっしょい!!

 

「お~~~~~~~~~っ(×9)!!」




次回の更新ですが、仕事の関係で遅くなるかもしれません。

なるべく早く更新できるよう頑張ります。

次回「語られる 古代ベルカの 神話かな」

それじゃリリカル、マジカル…

「頑張ります!ね、レイジングハート?」

『はい、マスター。』

(BYなのは&レイジングハート)


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四十一、語られる 古代ベルカの 神話かな

…なんとか2月中に投稿できました。待っててくれた方に感謝です!

なお、今回の話に登場している古代ベルカ神話は言うまでもなくオリジナルの設定です。ご了承の上で読んでいただけると幸いです。


NO SIDE

 

[覇王将軍]シエラの襲撃から一夜開けた翌日、名薗森 寛(なぞのもり ひろし)を名乗り転校してきたゼロスから夜天の書の真実と転生の経緯を告げられたリナたち。

 

暴走させることなく夜天の書を覚醒させるべく、彼女たちはそれぞれに行動を開始した…。

 

SIDE:なのは

 

放課後、リナちゃん達と別れたわたしとフェイトちゃんは本局のデバイス整備室へと向かった。目的は傷付いたレイジングハートとバルディッシュのお見舞い。

 

わたしたちがデバイス整備室に入るとそこには眼鏡をかけたショートカットの小柄な女性がいた。

 

「…あの~…」

 

「…あ、高町なのはちゃんとフェイト・テスタロッサちゃんね。…はじめまして、ここの技術官でデバイスマイスターのマリエル・アテンザです。マリーって呼んでくれたらいいよ。」

 

…どうやら気さくな人みたい。じゃマリーさん、さっそくですけど…

 

「デバイスね?レイジングハートとバルディッシュはこっちよ。」

 

マリーさんに連れられていくと待機状態のレイジングハートとバルディッシュが治療中だった。

 

「幸い両方ともコアにはたいした損傷はなかったわ。ただ、フレームの方がかなりの損傷を受けてるから、この機会に補強しておくわね。…2人とも使い方荒いみたいだし。」

うぅ…すいません、ご迷惑かけます…。

 

わたしは、カプセルの中のレイジングハートに念話で呼びかけた。

 

『ごめんねレイジングハート、わたしのせいでこんなに傷ついて…』

 

『お気になさらずにマスター。…むしろマスターを守りきれなかった私達がいけないんですから。』

 

レイジングハートの言葉にわたしは頭を振って答える。

 

『そんな?!レイジングハートは何も悪くないよ…でも、もっと強くならないとね…わたしも、レイジングハートも。…今はゆっくり休んで。』

 

『…ありがとうございますマスター。』

 

そういうとレイジングハートのコアの光が弱くなった。…どうやら眠ったみたいだね。

「マリーさん、バルディッシュとレイジングハートの修理、どれくらいかかりますか?」

 

フェイトちゃんがマリーさんに尋ねる。

 

「…3日もあればフレームを強化した状態で返せるよ。ただ、レイジングハートとバルディッシュから更なる強化をお願いされたんだけど…それはフェイトちゃんのお母さん…プレシアさんに力を貸してもらいたいんだ。」

 

「母さんの?」

 

プレシアさんに?マリーさんだけじゃダメなんですか?

 

「バルディッシュはプレシアさんの使い魔だったリニスさんが創ったって聞いたけど…今は居ないんだよね?」

 

「うん…わたしがある程度魔法が使えるようになったのを見届けたら居なくなっちゃったんだ。多分あの頃の母さん病んでたから…精神的に。リニスは自らの寿命を悟ってたんだと思う。」

 

フェイトちゃんの口から出たのはバルディッシュと自分の魔法の師とも言うべきリニスさんの重い話。

 

「…でもその主だったプレシアさんだったらバルディッシュの構造にも詳しいんじゃないかなって。あとレイジングハートに関しても普通のデバイスと違うんだよね…。」

 

えっ?違うって何が違うんですか、マリーさん?!

 

「…ミッドチルダ式のデバイスには違いないんだけど、色々と解らない技術が使われてるんだ。それこそある意味ロストロギア級の技術が。」

 

マリーさんはそう言いながら首を傾げる。

 

「それでレイジングハート自身に聞いてみたら『詳しい話はプレシア女史とリナさんが居るときに話したい』って…。というわけで、プレシアさんに弟子入りしてレイジングハートとバルディッシュの改修と魔改造したいなぁと思っているんだけど…」

 

「…今、さらっと『魔改造』っていった?!」

 

「…フェイトちゃん、あきらめよう。この人『マッド』だよ、間違いなく…」

 

わたしとフェイトちゃんは顔を見合わせると同時にため息をつく。

 

「どうしようなのは?大丈夫かなバルディッシュたち…」

 

「…あとはマリーさんとプレシアさんに任せるしかないよ…大丈夫、間違いなく強くしてくれるよ…多分。」

 

…ほんとに大丈夫かな?わたしも心配になってきたよ。…無事に戻ってきてね、レイジングハート…

 

…一方その頃、無限書庫では…

 

SIDE:アリサ

 

「な、なによこれ?!」

「…噂には聞いてたけど、まさに『無限』書庫だね…凄い…」

 

わたしとすずかは手土産を持って無限書庫に篭って夜天の書の事を調べてるユーノの陣中見舞いに来たんだけど…なんなのよ、この本の山、山、山は!

 

「まぁ管理世界全てのデータベースだからねぇ…あ、あれユーノ君じゃない?」

 

すずかが指差す方を見たら、空中に浮かんだ状態で本を調べているユーノを発見!!

 

…って何あのスピードは!片手でスクリーンを操作しながらもう片方で本を調べているんだけど、みるみるうちに本の山が減ってる…

 

「マルチタスクで処理してるのはわかるけど…ちょっとチート過ぎない?」

 

「おーい、ユーノ君~!陣中見舞いに来たよ~!」

 

わたしの言葉をスルーしてすずかが声を掛けると、ユーノはこっちに視線を向けた。

 

「…やぁ、アリサ、すずか!どうして此処へ?」

 

「陣中見舞いよ、あんたの様子を見にね。」

 

「あ、これ差し入れ。翠屋のシュークリームとコーヒー、なのはちゃんから。」

 

すずかが差し入れを渡すと、ユーノは嬉しそうに受け取った。

 

「ありがとう!ちょうど甘いものが欲しかったんだ。」

 

「…あとリナから伝言よ。あんまり無理するなって。」

 

「うん。なのはと姉さんにはあとで礼いっとくよ。」

 

「それで何か解った?夜天の書の事…」

すずかの質問にユーノの表情が少し険しくなる。

 

「うん、色々とね。…まず、夜天の書はそもそも主と共に次元を旅しながら、蒐集した魔法を記録していく魔導書だったんだけど…あ、そこ座って。」

 

あたしとすずかが用意された椅子に座るのを見て、ユーノは話を進める。

 

「その夜天の書が暴走を繰り返すようになったのは、邪な意思を持った主がプログラムを改変、それによりバグが発生したらしいんだ。」

 

「プログラムのバグ?!だったらそれを取り除けば…」

 

でもユーノは首を振って話を続ける。

 

「それが出来たらいいんだけど、バグが宿ってるのはある程度魔力を蒐集したら現れる、夜天の書の管制人格の中らしいんだ。」

管制人格ですって?!もしかしてそれって夜天の書を…

 

「そう…管制人格は夜天の書の全ての力が使えるんだ。その魔力ランクは最低でも推定SSS以上…しかももし守護騎士システムも管理されたら騎士たちまで敵に…もしそうなったらプレシアさんとリナが万全だとしてもつらいかも…」

 

そんな…何か対策はないの、対策は?!

 

「まずは管制人格が覚醒する前に、少しでもはやてに魔導師の勉強をしてもらって夜天の書の制御をしてもらう。それと同時に覚醒・暴走に備えて、みんなはデバイスの強化と自らの特訓だね。」

おぉ、武器のパワーアップと猛特訓はヒーロー物の醍醐味だよね!

 

「デバイスの強化はプレシアさんたちに任せれば問題ないとして…特訓は時間が限られてるからね。多分苦手分野は捨てて長所をより特化する形になると思うよ。」

 

ということは…わたしとすずかは炎と氷の力を強化するって事ね?…おもしろそうじゃない!

 

「あと無限書庫を調べてたらちょっと気になるものが見つかってね…さっきプレシアさんには資料送っといたんだけど…」

 

 

SIDE:リナ

 

「「「「「…古代ベルカ神話?!」」」」」」

 

あたしとアリシア、八神家のみんなはプレシアさんからでた単語におなじ声をあげた。

「プレシアさん、古代ベルカ神話って何なの?」

 

こっちの世界でいうところのギリシャ神話とか日本神話みたいな物なのかな?

 

「…古代ベルカ神話はその名の通り、古代ベルカを創ったとされる神々のお話をまとめたものよ。地球にも似たような話があるはずだけど…。」

 

「…で、それがどーしたんだ?古代ベルカ神話はあたしもある程度知ってるけど、夜天の書のことなんて…」

 

ヴィータの反論に苦笑いでプレシアさんが答える。

 

「あら?それならこのお話も知ってるかしら?」

 

そう言ってプレシアさんが差し出した一冊の本。手に取ったあたしは本のタイトルを見た瞬間…

 

「…………………!?」

 

思わずフリーズしてしまったわよ。だってそのタイトルは…

 

 

 

[金色の魔王と白輝の聖母]

 

 

 

「「「「「え~~~~っ!(×5)」」」」」

 

ど、どういうことなの?!あたしはページをめくり物語を読み始めた。

 

〈…今から時は遡り、この世界(古代ベルカ)が神々に治められていた頃、その頂点に立つ主神の元に2人の姉妹がいた。

 

姉の名はルシフェリア。黄金色の髪に金色の瞳の美しい女性だったが、気性が激しく気に入らない人を拷問しては楽しむため民からは恐れられていた。

 

妹の名はオリヴィアナ。白金色の髪に紅色と翡翠色のオッドアイという風貌の彼女は逆に民に優しく、慕われていた。

 

そんな2人の女神が父である主神の跡を継ぐ事となり、それぞれの側近同士の争いが生まれる。

 

そんな中、姉のルシフェリアは異世界から現れた魔族を倒すため軍を率いて遠征し、妹のオリヴィアナはその間ベルカの民を護り、国を繁栄させた。

 

しかしオリヴィアナの側近たちの陰謀によりルシフェリアはこの世界を追われる事となり、魔族達が開いた異次元の扉の先へと旅立ちたどり着いた先に新たな世界を築いた。

 

一方オリヴィアナは姉と生き別れた事を嘆くも、残された民たちを導き、古代ベルカ王朝の礎となった。

そして後の人々はルシフェリアを[金色の魔王]と、オリヴィアナを[白輝の聖母]と呼ぶようになり、畏怖と尊敬の対象となった…}

 

… ……… ………………

 

物語を読み終えたあたしは呆然と立ち尽くすだけだった。

 

…間違いない、この[金色の魔王]というのはあたしの中に眠っているアレだ。まさか異世界の神様だったなんて…

 

でもある神話の神様が他の話では悪魔や魔王、魔神として伝えられたりすることはある。それにあの圧倒的な力は…

 

それに[白輝の聖母]って確かゼルの蘇生呪文やなのはの星光収束斬[スターライト・ブレイカー]の力の根源よね?

 

「ゼルやなのはは神の力を制御できてるのは何故?」

「…推測だけど[白輝の聖母]は[金色の魔王]よりこの世界に近い存在だからだと思うわ。」

 

 

…な~る。確かにあたしも前世でルークと戦った、[もとの世界と紙一枚を隔てた世界]って所だと神滅斬[ラグナ・ブレード]も長時間使えたからなぁ。

 

…待って?!あたしはとんでもない事を思い出した。あたしが暴走したあのとき、あたしの身体を乗っ取ったあれって[金色の魔王]よね?!

 

以前の世界で暴走したときは冥王(フィブリゾ)のポカで助かったけど、今回はなのはが止めてくれた…でも考えてみたら、どうして止まったのかわかんない。

 

いってもなのはは普通の(?)人間よ?なにか他の力が働いたとしか…

 

「…リナさん、実はその件も含めてレイジングハートが話したい事があるらしいの。」

 

「レイジングハートが?」

 

…そうか、レイジングハートはあのとき何が起きたのか知ってるわけね。

 

「デバイスたちは3日後帰ってくる予定だから、その時当事者全員集めて相談しましょ?私もそれまでにもう少ししらべてみるわ。」

 

お願いしますプレシアさん。はやてたちもそれでいい?

 

「…了解や。わたしも夢の中であの子に会えたらいいんやけどな。」

 

「あの子?」

「夜天の書の管制人格や。たまに出てきてくれるんやけど、たまにやから…。」

 

夜天の書の管制人格?!…はやて、もし今度会えたら、今までの事全部話して力を借りれない?!

 

「?!…そやな、何でそれを思いつかんかったんやろ…わかった、今日から枕のしたにあの子の似顔絵敷いて寝るわ!」

 

…た、頼んだわよ、はやて。…まぁ昔から見たい夢の絵を枕の下に敷いて寝たら見れるとは言うけど…どうなんだろ?

 

「それじゃ3日後に[時の庭園]で集まりましょう。あそこだったら魔族たちにも見つけられないわ。」

 

うん、賛成。…レイジングハート、あんたは何を知ってるの?3日後、全部しゃべってもらうから覚悟しときなさい!

 




はい、楽しんでいただけたでしょうか?

次回はいよいよデバイスたちの秘密に迫ります。

次回「四十二、金色と 挫けぬ心と 護る者」

それでは次も見てくんないと…

「久しぶりですね、フェイト…」


「…嘘…どうしてあなたが?!」

(BY 〇二〇&フェイト)


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四十二、金色と 挫けぬ心と 蒼き仮面

今回、予告していたタイトルを変更します。

あと、今回登場するキャラクター(詳細は本編で)のアイデア(主にバリアジャケットなど)を、当サイトで活躍中の立花フミさんからいただきました。

この場を借りて御礼させていただきます。本当にありがとうございました。


NO SIDE

 

時は流れて、今日はなのはたちのデバイスが帰ってくる日。

 

リナたちご一行は学校が終わると同時にテスタロッサ家の別邸・時の庭園へと集まった。

 

ちなみに今回はリナたち子供組だけじゃなく、シグナムたちヴォルケンリッターやユーノも集まっている。

 

この場にいないのは食事の買い物に出掛けたリンディとアルフぐらいだ。

 

やがてクロノとマリーが訪れ、対策会議が始まった…。

 

SIDE:リナ

 

「すまない、遅くなった。…マリー、早速頼む。」

 

「了解。まずはなのはちゃん、フェイトちゃん、お待たせしました!相棒を返すね。」

マリーさんがバッグの中から、待機状態のレイジングハートとバルディッシュを取り出し2人に手渡す。…あれ?見た目も少し変わった?

 

「紐だったのが細いチェーンになってる…」

 

『どうです?お洒落になったでしょう?』

 

「うん!」

 

「バルディッシュも…格好いいよ。」

 

『有り難うございます、マスター。』

 

…どうやら2人とも気に入ったみたいね。

 

「前にいった通り、修理とフレームの強化をしただけだよ?後の強化はプレシアさんと…」

 

マリーさんの言葉にプレシアさんは苦笑い。…何で?

 

「…ごめんなさいマリー、実は…殆どのデバイスは後付けの強化ユニットで組み上げちゃったわ♪」

 

「はい?!」

 

プレシアさんの答えにマリーさんは目が点。…そりゃそうよね、マリーさんデバイスの強化するの、楽しみにしてたから…

 

あたしはプレシアさんに尋ねる。

 

「ちなみにプレシアさん、ユニットが完成してないのは?」

 

「え?完成してないのはレイジングハートとユーノ君のゴルンノヴァ、ガーディアン。それとリナさんのアミュレットね。…やっぱりロストロギアの技術は簡単にはいかないわ。」

 

それ本当にほとんどじゃ…ちょっと待って!

 

「まさかゼルとナーガも?!」

 

あたしの驚きの声にプレシアさんは頷いた。

 

「えぇ。…入ってきて、2人とも。」

 

扉が開くとそこには…

 

「ほ~ほっほっほ!白蛇のナーガ改めナーガ・サーペンツ、今ここに復!活!もうリナばっかり目立たせないわへぐぅっ?!」

 

あたしはその姿を見た瞬間に、その場にあった椅子を踏み台に某天才プロレスラーの閃光魔術を騒音の元の顔面に炸裂させた。

 

「ちょっと何するのよリナ?!ここは復活を喜ぶところでしょ?!」

 

「じゃかましい!もっと静かに出てこれんのか、あんたは!」

 

そこにいたのは言うまでもない、あたしの前世での自称ライバルにしてその正体は金魚のうんち、白蛇のナーガ!

 

その身体はあたしよりも少し高く、その胸には某のどっち級のお餅がついていた。…ちくしょう(涙)。

 

「…プレシアさん、これって前に言ってたユニゾンデバイスってやつ?」

 

あたしの質問にプレシアさんは頷く。

 

「そうよ、私が独自に開発したスイーフィード式の自立型ユニゾンデバイス、その名もナーガ・サーペンツよ。外見の年齢はリナさんたちに合わせておいたわ。」

 

「合わせるんだったら胸も合わせてぇぇっ?!」

 

…まぁつるぺたのナーガを見るのもなんか嫌だけど。

 

「ってアンタ、小学生でそのコスチュームはダメでしょ、いくら母親の形見って言っても。」

 

「大丈夫よリナさん、表に出るときはちゃんとした服着せるから。それよりそろそろ入ってきたら?」

 

「…あぁ。」

 

プレシアさんの呼び掛けに入ってきたのはゼル。…なんだけど…あれ、ゼルその姿ってもしかして?!

 

入ってきたゼルは以前のキメラ状態じゃなく、あたしたちと同年齢ぐらいの[普通の]少年の姿だった。はっきしいってイケメンだ。

 

「ゼル、あんた人間に戻れたの?!」

 

「あぁ、プレシアのおかげでな。」

 

「今のゼルガディス君はユニゾンデバイス…つまりプログラム生命体だから、姿はある程度自由にできるのよ。流石に以前のままじゃ…ね?」

 

そりゃそうか、昔のまんまじゃ街中歩けないもんね。

 

「という訳でゼルガディス・ソウル改め、ゼルガディス・グレイワーズ…昔の名前に戻す事にした。これからもよろしく頼む。」

 

そりゃもちろん!…なんだけど…こうなると例のアレなんとかしないと…

 

「さて、それじゃ話を始める前に…ほら、いつまでいじけているのマリー?あなたにはデバイスのユニット装着の手伝いをお願…」

 

「やります!是非やらせてください!」

 

あ、部屋の隅でいじけてたマリーさんが即座に反応した。よっぽど触りたかったのね、デバイス…

 

「…頼むわね。じゃフェイト、アリサさん、すずかさんはデバイス持って研究室に行って。あとアリシアも。」

 

「判った。じゃなのは、また後で。」

 

そういうとプレシアさんたちは研究室の方へ。というわけでこの場に残ったのはあたしとなのは、ユーノにクロノ、そして八神家の面々。

 

「さ~て、それじゃ話してもらいましょうかレイジングハート、あなたの知っている事をね!」

 

あたしの声になのはの掌のレイジングハートが応える。

 

『はい。…でもその前にリナさん、あのアミュレット型のデバイスを出していただけますか。』

 

ん?これのこと?!…あたしは上着のポケットからアミュレットを取り出す。あれ以来なんの反応も無いんだけど…

 

『…いつまで寝た振りしてるんですか、ルシフェ姉さん。もう解ってるんですよ?』

『…あ~~、バレてた?…久しぶりだね、ヴィヴィ。あたしがこの世界から追い出されて以来かな?』

 

…!! ある程度予想はしてたけどやっぱり…

 

『…あとあんたと直接話すのは初めてだね、リナ・インバース、…いや、今は逢魔リナ、だったっけ。』

 

「えぇ、まさかあなたと話すことになるなんてね、[金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア]。」

 

あたしのその言葉に他の一同、とりわけあっちの世界出身のアメリア、ゼル、ナーガは驚きの表情を見せる。

 

「ち、ちょっとリナ?[金色の魔王]って魔族の頂点に立つ存在でしょ?これは絶対に悪…」

 

『いやだなぁ、あたしは元々この世界の神だよ?それに魔族だけじゃなく、あの世界そのものがあたしだから。』

 

…そう、異界黙示録[クレアバイブル]から得た知識によれば金色の魔王とはあの世界の全て、創造主そのものなのだ。……あたし、そんなのに身体乗っ取られたんだよな~考えてみたら(汗)。

 

…ん?そんな存在を『姉さん』って呼ぶってことはレイジングハート、あんたまさか?!

 

『…はい、私の正式な名称は[レイジングハート・オリヴィアナ]。お察しの通り、私の前世の大元は古代ベルカに伝わる神。そして…」

 

レイジングハートは一呼吸置くように言葉を止め…

 

『彼女のデバイスとしての正式名称は[ナイトメアハート・ルシフェリア]。前世は私の姉、れっきとしたこの世界の神です。』

「ふぇぇっ?!レイジングハートって神様だったの?」

 

衝撃の告白になのははびっくりしたみたい。それはそうよね。

 

『はい。とはいっても、全ての力を使えるわけではないですし、マスターである貴女の能力の限界もありますから。』

 

『ちなみにリナ、あんたはこないだあたしの力を取り込んだから、正式にあたしのマスターだ。ま、よろしく~。』

 

…金色の魔王ってこんなに軽かったっけ?…ま、まさかあんたってL様?

 

『あ~、こっちの世界じゃそう呼ばれてるみたいだね。ま、好きに呼んでくれたらいいよ。ただあたしの力のコントロールは難しいから覚悟しなよ?』

ははっ、望むところよっ!これで重破斬[ギガ・スレイブ]を完全制御出来れば…っても魔力の絶対量の問題があるからな…

 

「…ということは、L様は使用可能なのね!…ゼル、あんた今日でクビね。」

 

「…リナちゃん?!」

 

あたしの宣告になのはは非難の表情を見せるけど、スルーして話を続ける。

 

「…とはいえ再就職先は紹介してあげるわ。…はやて、歳の近い男の子のボディーガードいらない?」

 

はやてはその言葉にピンと来たみたい。

 

「そやな~、ザフィーラは学校には連れてけんし、それにうちのアメリアの想い人をホームレスにはできんしな~?」

「は、はやてさん?!」

 

はやての言葉に即座にゆでダコ状態のアメリア…無茶苦茶かわいいぞ、おい。

 

「わかった、ゼルさんはうちで引き取るわ。給料はないけど、3食と寝床は安心してや~。…なんやったらアメリアと同室がええか?(ニヤニヤ)」

 

「「は、はやて(さん)?!」」

 

…今度はゼルもゆでダコだ。これは超レアかも…写真とっとこ。

 

「ま、まぁ感謝するわリナ。…やっとかなうんだ、わたしの初恋…」

 

あ、アメリア涙ぐんでる。そりゃそうか、次元を越えてやっと、だもんね。

 

「待たせてすまなかったな、アメリア。これからは俺がお前を護ってやる、必ず!」

「ゼルガディスさん…」

 

ハイハイ、お熱いのは家に帰ってからやってね。それよりL様、グラウシェラーが何たくらんでるか心当たり、ない?

 

『ん~、あたしもあんたに無理やり起こされたようなもんだからね…ってか、あたしL様で確定?!』

 

そ、セットアップの時は仕方ないけど愛称はL様。いや?

 

『ま、いいか。その代わりあたしを満足させてちょうだい。まだ調整が不十分だから力の20%位しか出せないけど、制御は任せなさい、リナ!』

 

うん、頼りにしてるわよL様♪

 

その時、目の前にホログラム通信でエイミィの顔が!何、何かあったの?!

「どうしたエイミィ、何かあったのか?!」

 

「クロノ君緊急事態だよ!ついさっき海鳴市内に封鎖結界が発生、その中にリンディ提督とアルフが…」

 

なんですって?!まさかシエラたちがリンディさんを狙って?…くっ、早く助けに…

 

「待ちなさいリナさん!」

 

扉が開くとそこにはプレシアさんとマリーさん。

 

「あなたたちのデバイスは調整が終わってないわ。不完全とはいえ、魔王や神に匹敵する力が解放されたのなら入念な調整をしないと…」

 

「でも、それじゃリンディさんが!」

 

「大丈夫よ、今フェイトたちを結界付近に転送したわ。それにあなたたちのデバイスもすぐ調整してあげる。…今はあの子達を信じてあげて。」

 

あたしはなのはに視線を移すと、なのはは大きく頷いた。

 

「わかりました。でもできるだけ早く!」

 

…フェイト、アリシア、アリサ、すずか…リンディさんたちをお願いね。

 

 

NO SIDE

 

場面は変わって結界上空、フェイトたちは生まれ変わったデバイスを手に、転送されてきた。

 

「まさかデバイスのお披露目がぶっつけ本番になるとはね…」

 

「大丈夫だよアリサちゃん。リナちゃんとなのはちゃんはいないけど、みんなの力を合わせれば!」

 

「そーそー、あたしもデビュー戦だから精一杯がんばるよ!」

 

「…お姉ちゃんは無理しないでね、わたしが必ず守るから。…それじゃいくよ、みんな!」

「「「おう!!」」」

 

4人の少女たちはデバイスを掲げ、起動コードを発動する。

 

「フレイムアイズ・スカーレット…」

 

「スノーホワイト・アブソリュート…」

 

「ラッキースター…」

 

「バルディッシュ・ヘキサ…」

 

 

「「「「セーット・アーップ!」」」」

 

掛け声と共に魔力光に包まれたフェイトたちはそのまま結界を抜いて突入していった。その先には…

 

SIDE:アルフ

 

「…大丈夫、アルフさん?」

 

「…なんとか…大丈夫…」

 

あたしとリンディさんは街で食事の買い物をしてた。

今日はリナやなのはたちが大勢来るから、いっぱい買い物しての帰り道…[アイツ]は襲ってきた。

 

蒼色のロングヘアーに蒼色の仮面を被り、その手には同じ蒼色の片刃の長剣。東洋の武将風(三国姫2の孫策)の衣装に身を包んだ、あたしより少し背が低い…多分女性。

 

『アナタタチノマリョク、モライウケル。』

 

そういって襲いかかってきた彼女(?)に、あたしは手も足も出なかった。…いくら攻撃しても全部避けられ、防御の合間をついてダメージを与えられた。

 

そしてとうとう、追い詰められてしまった。このままじゃ…

 

『フフッ、ナカナカヤルヨウダケド、ココマデノヨウネ…カクゴシテ。』

 

「なんの…まだま…だ…」あたしは立ち上がろうとしたけど、身体に力が入んない。あ、こりゃヤバいかな…

 

『コレデサイゴヨ…』

 

あたしがやられるのを覚悟したその時、空が光輝いたかと思うと…

 

「スカーレットバレット!」

 

「アイススプレッド!」

 

空の上から緋色と碧色の魔力弾が降り注ぎ、敵は攻撃をやめて回避した。

 

「アルフ、大丈夫?」

 

「リンディさんも無事ですか?!」

 

アリサ、すずか!助けにきてくれたんだ!

 

「アルフ、ひどい傷…アリシア、お願い!」

 

「まっかせて~!…フォーチュンドロップ[スキル=スィーフィード]…復活[リザレクション]!!」

先の2人に遅れてきたアリシアが呪文を唱えると、あたしの身体の傷が消えていく。

 

「あ、ありがとうアリシア…」

 

「どういたしましてだよアルフ。あとはあたしたちに任せて。」

 

「うん…でも気を付けて、アイツ強いよ。」

 

「大丈夫だよ、アリサもすずかもいるし、もう1人…」

 

その刹那、敵を襲ったのは正に雷光…フェイトだ。物凄いスピードで斬撃を繰り出すフェイトに相手は狼狽えてる?!

 

「よーし、そのまま倒しちゃえフェイト!!」

 

「…待って!アリサちゃん、フェイトちゃんの様子が…」

 

アリサとすずかの言葉にフェイトの方を見ると、フェイトが驚きの色を見せてる。

 

『アリサ、すずか、わたしが飛び込む隙をつくってほしいの。』

 

フェイトの念話に2人も頷くと、波状攻撃を仕掛けていく。

 

「フレイムウィップ!」

 

アリサが放った焔の鞭をかわした謎の剣士。しかしすずかが続けざまに、

 

「フリーズレイン!」

 

無数の氷の槍を放つと一瞬の隙が。フェイトはそれを見逃さず女剣士に斬りかかる。

 

「バルディッシュ、ブレードフォーム!」

 

フェイトが叫ぶと、バルディッシュは鎌状から光剣へと姿を変え相手の剣と切り結ぶ。

 

そして、つばぜり合いをしながらフェイトは…

 

「何を…何をやってるんですか?! あなたは?!」

 

フェイトのその言葉に剣士は動揺の色をみせる。

 

「こんなところで何をしてるんですか、って聞いてるんです…」

 

フェイトの瞳には涙がにじんでる。

 

「…武器は違っても、戦い方のくせはそんなに変わらないんだよ。その太刀筋も、しなやかな体捌きも…どうしてなの、答えてよリニス!!」

 

フェイトの叫びに剣士は一旦距離を取り、仮面に手をかける。

 

「わかりましたか…バレないように工夫してみたんですけどね…。」

 

あたしはその声を聞いて愕然とした。…その声はあたしとフェイトにとっては懐かしい、でも2度と聞けないはずの声。

 

「久しぶりですねフェイト…成長しましたね。」

 

仮面を外して現れたのは、プレシア母さんの使い魔にしてフェイトの家庭教師・リニスだったんだ…。

 




はい、まさかの形で登場したリニス嬢。この再会は物語にどんな影響を与えるのでせうか…

次回「四十三、恩師との 悲しき再会 運命か」

それでは次も見てくんないと…

「何でやられたい?ノコギリ、それともハンマー?」

「…怖っ?!」

(BY L様&リナ)


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四十三、恩師との 悲しき再会 運命か

今回はフェイトVSリニス、ヴォルケンリッターの初陣の2本立てです。最後にはあの子もセット・アップ?!お楽しみに!


NO SIDE

 

覇王の軍勢に襲われたリンディとアルフを救うために出撃したフェイト達。しかしその前に立ちはだかった仮面の女剣士の正体、それはプレシアの使い魔にしてフェイトの家庭教師、リニスだった…

 

SIDE:フェイト

 

…最初の一戟ですぐに判った。でも、勘違いであってほしかった。リニスが、あの誰よりも優しいリニスが敵だなんて…

 

「…久しぶりですね、フェイト、少し背が伸びましたか?」

 

「…それよりもリニス、どうしてここにいるの?それにその髪と眼の色…」

 

そう、リニスは私に魔法を教えたあと母さん(当時はナーガ)に契約を切られ、命は失ったはず。

それに今のリニスの姿は私の知っているリニスとは違う。

 

ショートカットだったピンク色の髪の毛は深い蒼色の腰まで届く長髪。

 

同じ蒼色に染まったその瞳からは真意が見えない。

 

更に右手に握られた一振りの剣も同じ色…

 

「その蒼色…リニス、あなたは覇王の配下なんだね?!」

 

「…はい、今の私は覇王将軍シエラ様の配下、[獣人魔]リニス…。フェイト、どうしても邪魔をするつもりですか?」

 

「…それを聞くリニス?大切な友達に害を為そうとしているのを指をくわえて見てるだけなんてわたしには出来ない!それに…」

 

わたしが言葉を切ると同時に、お姉ちゃんとアリサがこちらにやってくる。あれ、すずかは?

「すずかはリンディさんについてもらってるわ。」

 

「で、わたしたちはフェイトを助けに来たって訳。…こいつがアルフを苛めたヤツなの?…」

 

「…!! まさか…アリシアなの?!」

 

リニスはお姉ちゃんをみて動揺したみたい。そうか、リニスは時の庭園のカプセルで眠ってるお姉ちゃんしか知らないから…

 

「えっと…ごめん、誰だっけ?」

 

ズコッ(×2)!!

 

「お、お姉ちゃん?!…あ!」

 

…そうだ、リニスが使い魔になったのはお姉ちゃんが死んだ後だから…うっかり教えるの忘れてた、うん。

 

「…忘れてるなんて酷いです!私ですよ、貴女の飼い猫だったリニスですっ!!」

「えっ、リニス?!…うっそだぁ~、リニスは普通の山猫だよ?」

 

お姉ちゃんの言葉に唖然となるリニス。その視線はジトッとこちらを向く。

 

「…フェイト、もしかして私がプレシアの使い魔になったことを…教えてない?!」

 

「…いやその…ついうっかり。」

 

「うっかりって~!!」

 

こんなに動揺するリニスを見るのは初めてかも。

 

「はぁはぁ…まぁいいです。とにかく覇王様に楯突く以上、あなたたちは敵です。…フェイト、アリシア、あなたたちがどれくらい成長したか見てあげるとしましょうか…行きますよ!」

 

リニスはそういうと手に持った剣を構え直す。その側頭部にはうっすらと怒筋が…。

「…ねぇフェイト、リニス怒ってる、よね…」

 

「もう!お姉ちゃんがあんな事言うからだよ!」

 

「あたしはフェイトのせいだと思うんだけど…。」

 

「ぐふっ?!…それより注意して…来るよ!!」

 

アリサの突っ込みに言葉を詰まらせたわたしにリニスの剣が襲い掛かる。でも!!

 

「…リニスには悪いけど…」

 

「簡単にはやらせないわよ!!」

 

お姉ちゃんの防御の呪文にリニスの剣戟が弾かれ、アリサの炎の鞭がリニスを吹き飛ばした。よし、今が好機!

 

「バルディッシュ、ハルバードフォーム!」

 

『Yes、Sir!』

わたしの声に応えるようにバルディッシュは薙刀へと姿を変える。

 

わたしはそのまま加速してリニスに突撃!

 

リニスが放つランサーをかわしつつ、バルディッシュで斬りかかった。

 

リニスは太刀をかざしてわたしの攻撃を受け止めた。

 

「くっ、やりますねフェイト。…それにその形態は…成程、プレシアですね!」

 

うん。リニスが創ってくれたバルディッシュを母さんが強化してくれた。ヘキサ(6)の名を冠したバルディッシュの力、見せてあげるよ、リニス!

 

SIDE:プレシア

 

マリーと一緒にリナさんやなのはさんのデバイスを調整中に、バルディッシュから送られてきた映像を見て私は驚きを隠せなかったわ。

だって、フェイトと闘っているのはフェイトの家庭教師だった私の使い魔・リニスだったのだから…

 

髪の毛と瞳の色が蒼色なのは覇王に支配されてる証拠…まさかこんなかたちで蘇るとは思わなかったわ。

 

「プレシアさん、リニスさんって確かプレシアさんの…」

 

リナさんの問いかけに私は答えた。

 

「えぇ、彼女は私の使い魔よ、元だけどね…私の心が病んでた時、使い魔としてのリンクを切って消息を断ってたの。私もサーチをかけたりして探したけど見つからなかったわ。でもこんな形で…」

 

私は調整の手を緩める事なく、話を続ける。

 

「そっか…それじゃフェイトは戦いにくいかもね。」

「早く助けに行かないと…まだなんですか、プレシアさん、マリーさん?!」

 

「あともう少し…もう少しだけ待って!!」

 

なのはさんとマリーの叫びを聞いて、アメリアさん達夜天の騎士がはやてさんに詰め寄る。

 

「はやてさん、わたしたちを行かせてください!」

 

「あかん、わたしはあんたらには戦いはさせんって…」

 

アメリアさんの願いを否定するはやてさん。でもシグナムさん、ヴィータさんがさらに…。

 

「そんなこと言ってる場合じゃないだろはやて!フェイトさんたちが危ない目にあってるのに…。」

 

「そうです我が主!幼い彼女たちが主のために闘っているのに我々がこんなところで指をくわえて視ている事なんて出来ません!」

「アメリア、ヴィータ、シグナム…よし、わたしも腹くくるわ!夜天の騎士ヴォルケンリッター、友達を助けるために出撃や!…みんな、無事に戻るんやで。」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

…はやてさん、有り難う。よく決意してくれたわね…あ、アメリアさん?

 

「はい、なんですかプレシアさん?!」

 

「貴女にこれを渡しておくわ。本当ははやてさんから渡してもらうつもりだったんだけど…」

 

私は引き出しからペンダントを出してアメリアさんに手渡す。

 

「これは…えっ、セイルーンの紋章?!」

 

「それは貴女専用のデバイスよ。はやてさんから頼まれてたの。…小説の貴女に合わせて格闘仕様のストレージデバイスにしたわ。」

「あ、ありがとうございます!」

 

あと騎士服ははやてさんのデザインで創ったんだけど…アメリアさん、頑張ってね色々と。

 

私は現地に転送されるアメリアさんを見送りながら、そんなことを思っていた…

 

SIDE:すずか

 

「………!!やっぱりあの人だけじゃなかったんだね…」

 

フェイトちゃん達とあの女剣士…リニスさん、だったかな?…が闘っている最中にその場を離れようとしたんだけど…

 

「ふっ、シエラはあの女を気にいってるようだか、所詮は得体の知れない使い魔風情…こんなものか。」

 

わたしとリンディさん、アルフの前に現れたのは、神官衣を着た体格のいい男の人と3匹の使い魔…それぞれ大型犬、猿、鳥を模してる。

 

「まずは名乗るが礼儀だな。…我が名は覇王神官グラーヴ。そしてこいつらが…」

 

「犬獣騎ダイン。」

 

「猿獣騎アース。」

 

「鳥獣騎トゥーダよ。」

 

3匹の使い魔はそれぞれ名乗ると騎士の姿に変身する。…ちょっと待って!

 

「あなたたち[ダイン・アース・トゥーダ]って…いや、なんでもないです…」

 

『『『???』』』

 

…まぁ、本人たちが気づいてないみたいだからいいか。でも間違いない、この人たち覇王グラウシェラーの配下だ。

 

「助けに来たのはいいが、形勢は逆転したようだな…貴様らの魔力、我らがもらい受ける!」

「くっ…フェイトちゃんたちはリニスさんで手一杯だし…こりゃまずいかな…」

 

わたしがどうしようか迷ってると…

 

「…紫電一閃!」

 

「いっけ~、コメート・フリーゲン!」

 

「…鋼の軛!」

 

後方から声がしたかと思うと…3匹の使い魔たちにシグナムさん、ヴィータちゃんと獣耳の男の人が一撃を加える。

 

「…大丈夫、すずかちゃん?」

 

シャマルさん!…あれ、皆さんのその格好は?

 

「あぁこれは、はやてちゃんが私たちのために考えてくれた騎士服よ。あなたたちのバリアジャケットと同じような物よ。」

 

へぇ~、はやてちゃんが…覇王と違ってセンスがいい…似合ってますよ、シャマルさん。

「ありがとう。それよりも怪我人は任せて、あなたもあいつらを!」

 

「はい!…あれ、アメリアちゃんは?」

 

わたしは辺りを見回すが姿が見えない。

 

「えっ、一緒にこっちに来たはず…あっ、あそこ!」

 

シャマルさんが指さした先にはビルの屋上に立つアメリアちゃんの姿があった。

 

「そこまでよ、邪悪な覇王の手下ども!」

 

アメリアちゃんはグラーヴを指差すと口上をのべ始めた。…原作にもあったな~、こんな流れ。

 

「向こうの世界じゃ飽きたらず、魔法と関係無いこの世界を支配しようとするなんてこの八神アメリア、天に代わって…とぅ!」

あっダメだよアメリアちゃん、そんなことをしたら…

 

グワシャッ…

 

ビルのペントハウスから屋上に飛び降りようとしたアメリアちゃんはお約束通り着地に失敗!顔面から突っ込んだ。

 

「…おい、なんなんだアレは…」

 

グラーヴが呆気にとられてる。でも彼女はすくっと立ち上がるとまたペントハウスの上によじ登ろうと…

 

「登らんでいい、登らんで…」

グラーヴは突っ込むがアメリアちゃんは気にせずよじ登り…

 

「…とにかく!はやてさんに害を為すものはこのわたしが許しません!…力を貸して、[ジャッジメント・ハウル]セット・アップ!!」

 

そう言ってアメリアちゃんは胸のペンダントを右手に掲げ白い光に包まれた。あまりに眩い光にわたしもグラーヴも視線をはずした。

 

そして光のあとに現れたアメリアちゃんは、原作でも着てた白い神官衣を身に纏い、両の拳にはオープンフィンガーの手甲型のデバイス。そして…

 

「なんで赤ずきんなの、アメリアちゃん?!」

 

「そんなの知りません、はやてさんに聞いてください!!」

 

…そう、アメリアちゃんが纏っていたのは、マントとセットになった赤いフード…一言でいえば赤ずきんだったんだ…。




今回登場したアメリアの騎士服は以前書いていただいた西瓜第二さんの感想を参考にさせていただきました。この場を借りて御礼申し上げます。

さて次回はアメリアたちの初陣、そしていよいよリナ&なのはの出番です。そして覇王軍の運命は?!(笑)

それでは次回、「四十四、群青の 巫女の初陣 ご覧あれ」

それでは次回も、リリカル、マジカル…

「「頑張ります!」」…って出番これだけ?!

(BYリナ&なのは)


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四十四、群青の 巫女の初陣 ご覧あれ

今回はヴォルケンリッターの初陣、そして新生リナ&なのはのお披露目です。

それとめでたく1周年を迎える事ができました。ありがとうございました!


NO SIDE

 

フェイトたちの援護で一度は窮地を凌いだアルフとリンディ、すずかだったが、覇王神官グラーヴとその配下・三獣騎に遭遇してしまう。

 

そこに現れたのは群青の騎士ヴォルケンリッター。シグナムはダイン、ヴィータはアース、ザフィーラはトゥーダと対峙し、シャマルはバックアップに廻る。

 

そしてアメリアは新しく得たデバイス、ジャッジメント・ハウルをセット・アップしたのだが…その姿は何故か赤ずきんチ〇〇ャその物だった…

 

SIDE:アメリア

 

う~、口上も決まって格好良く変身したつもりだったのに…。これってこの前はやてさんが見てた朝のアニメのキャラですよね?!

あのときわたしも確かに「かわいい」とはいいましたけど、まさか自分が着る事になるなんて…。

 

…でも、この[ジャッジメント・ハウル]、とてもいい。

 

前世の時によく固いもの叩いて拳痛めたこともあったけど、これだったら大丈夫だしオープンフィンガーだから組むことも容易い。まさにわたしの為のデバイスだ。

 

(ありがとうプレシアさん、それにはやてさん…)

 

わたしはすずかさんのそばに近寄るとファイティングポーズを取る。

 

「こいつはわたしがやります。すずかさんはサポートお願い!」

 

「…うん、分かった。アメリアちゃんも気をつけてね。」

「はい!…『全ての心の源よ 尽きること無き蒼き炎よ 我が魂の内に眠りしその力 我が身となりて深淵の闇を打ち払え!…霊王結魔弾[ヴィスファランク]!』」

 

わたしの呪文と共に両手と両足が白い光を纏う。わたしが前世でよく使ってた魔力付与の呪文だ。

 

「これでよし!さぁ、いつでもかかってきなさい!」

 

「ふっ、いかな夜天の騎士と言えど所詮は子供、蹴散らしてくれるわ!喰らうが…」

 

「おりゃ~!とーさん直伝…、[平和主義者…クラ~ッシュ]!」

 

わたしは口上をたらたら言おうとするグラーヴめがけて突撃する。慌てたグラーヴはラウンドシールドを張って防御したけど…わたしの拳が当たった瞬間に音もなく粉々になった。「なんだとっ?!…というか、かかってこいって言っておいて自分から攻撃するか普通?!」

 

「正義のためならいいのよっ!」

 

グラーヴのクレームをわたしは正義の一言ではね除けた。

 

「………貴様、後悔するなよ?覇王神官の力、味わうがよいわ!」

 

「そんなのいらないです!味わうのははやてさんと桃子さんの料理だけで十分です!」

 

冗談じゃなくそう思う。ちなみにシャマルさんのは絶対いらない。タダでもごめんだ。

 

『アメリアちゃん酷い?!』

 

シャマルさんの念話は当然スルー。わたしは構え直すと呪文をイメージする。

 

『…光よ集いて閃光となり 深淵の闇を打ち払え!…烈閃槍[エルメキア・ランス]!』

 

わたしの言葉に答えるように、両掌から光の槍が翔んでいく。

 

グラーヴは今度は慌てることなくラウンドシールドで受け流す。

 

「ふん!そんなちゃちな呪文が効くものか!今度はこちらから…何?!」

 

反撃しようとしたグラーヴの錫杖が氷で凍てつく。すずかさんのバインドだ。

 

「うおりゃ~っ!!くらえ、正義の鉄拳!」

 

わたしの右フックがグラーヴのボディーに直撃、グラーヴはたまらず後ろに下がる。今のは手応えあり!

 

「ぐふっ…なかなかやるな、夜天の騎士よ…だがまだまだ!」

ふぅ…どうやら長引きそうですね、この戦い…わたしはため息ひとつ、構え直した。

 

SIDE:シグナム

 

「な、何なんだあいつは…グラーヴ様と五分に戦うなんて…」

 

「……………。」

 

あぁ、同感だよ犬騎士。…主はやての小説を読んで、多少の知識は頭に入れていたんだがまさかここまでとは…

 

わたしは犬騎将ダインを名乗った犬耳の青年と相対していた。わたしと同じタイプの片手剣を手にした剣士である奴を相手と定め、数合打ち合ったのだか…

 

そのあと始まったアメリアと覇王神官の戦闘に2人とも目を奪われてしまった。

 

あの赤ずきん姿はともかく、あの「平和主義者クラッシュ」?あのバリアブレイクはザフィーラを上回るぞ?!その後の立ち回りといい…間違いない、彼女もわたしが求める「強者(つわもの)」だ。

「…おっといけない、まずは貴様だったな、犬騎士。気持ちも昂ってきたのでな、手加減できん事、赦してくれ。…レヴァンティン、カートリッジロード!」

 

『Explosion!』

 

わたしの声に応え、レヴァンティンはカートリッジを使用、刀身が炎に包まれた。

 

「喰らえ、[紫電一閃]!!」

 

ズガッシャーン!!

 

わたしが居合いから放った一閃は炎を纏ってダインに直撃、ダインは吹っ飛びながらも体勢を立て直す。

 

「うおっ?!やるじゃねーか、えーと…」

 

ん?そういえば名乗ってなかったか?名乗らないのは失礼だな。

「ヴォルケンリッターが将、シグナムだ。お前は確か…」

 

「シグナムか…俺は覇王神官グラーヴ様の僕、犬騎将ダインだ!さぁ、勝負を続けようぜ!」

 

…そうだな、アメリアとはまた後、今はこいつを叩きのめすとしようか!

 

SIDE:ヴィータ

 

あ~あ、シグナムの戦闘狂に火がついたな、こりゃ。…ま、あんなバトル見せられたら仕方ねえか。

 

ってか、アメリアってあんなに強かったのか?普段大人しいから騙されたぜ。

 

「どうした、怖じ気づいたのかおチビちゃん?!」

…おっと、目の前のゴリラのこと、すっかり忘れてたぜ。

 

「うるせー!おまえなんてめじゃないんだよ、このゴリラ!」

 

「ゴリラじゃねぇ、俺様の名前はアース、猿騎将アースだ!てめえこそ子供じゃねえか、このチビ!」

 

…ブチッ

 

「あたしはチビじゃねー!ヴォルケンリッター[鉄槌の騎士]、ヴィータだ!お前なんかアイゼンの錆にしてやる!アイゼン、フォルム・ツヴァイ!」

 

『Explosion!』

 

アイゼンはカートリッジを射ち出すとラケーテンフォルムへと変形した。いくぞ、このゴリラ!

 

「ぶっ飛べ~、ラケーテンハンマーっ!!」

 

あたしは自分を軸にしてアイゼンを振り回しながらアースに突進する。

 

「おっ、おーっ?!」

 

アースはバリアも張らずにもろにくらってぶっ飛んだ。なんだ、見かけ倒しか?!

 

「…いたたた、やってくれたな、おい?!」

 

何だと?!アースの野郎、たいしたダメージも喰らってないのか?…頭から血は流してるけどさ。まぁあれで終わっちゃ面白くもなんともねぇ。

 

「さぁ、お楽しみはこれからだぜ?いくぜヴィータ!」

 

上等だ!地面にめり込ませてやるから覚悟しやがれ!

 

SIDE:ザフィーラ

 

ふむ…あの小柄な少女があれだけの力を持ってるとはな…一度拳を交えてみたいものだ。

「あら、目の前の美人無視して他の娘見るなんて…失礼じゃない?」

 

…済まん、お前の事を失念していた。確か鳥騎将トゥーダとか言ったか…

 

「それほど興味が無かったのでな…まぁ先約は貴様だ。闘うとしようか…我が名はザフィーラ、夜天の守護獣なり!」

 

「わたしは鳥騎将トゥーダ、わたしの美貌に惚れるといいわ!」

 

…残念だが、貴様に惚れる事などあり得ん。私には気になる同族がいるのでな。主に仇なす貴様はここで倒す!

 

私は拳を構え、目の前の敵に向かうことにした。

 

NO SIDE

 

こうして、ヴォルケンリッターと覇王の配下が闘う最中、フェイト達の戦況にも変化が…。

 

SIDE:フェイト

 

リニスと戦い始めてから数分、膠着状態が続いている。

 

お互いに手の内は知ってる。アリシアやアリサの支援はあるけどさすがわたしの師匠、攻撃は悉くいなされていた。

 

「…まさかここまで強くなってるとは…わたしはとても嬉しいですよ、フェイト。」

 

「…リニスこそ、3人がかりでも攻めきれないなんて…昔、アルフと二人教わってた頃を思い出したよ…ねぇリニス、あの頃にはもう戻れないの?」

 

わたしの言葉にリニスの表情が曇る。

 

「…無理ですよ、フェイト。今の私は覇王様にお仕えする身、覇王様に逆らうあなたたちとは相容れる事などありませんよ?」

 

…うん、そうだよね。だからリニス、わたしはあなたを倒してでもあなたを助ける!それがあなたへの恩返しだから。

 

『何をしているのリニス?』

 

…その声は!?

 

声と共に現れたのは、覇王将軍シエラだった。…しかも後ろには魔物の一軍?!

 

「…あら、誰かと思えばこの間ボロクソにした娘じゃない?!またやられにやってきたの?」

 

「…ねぇアリシア、もしかしなくてもこれって…」

 

「ヤバいよね…絶体絶命、ってやつ?」

 

アリサとお姉ちゃんも魔物に囲まれてる…言うまでもなくピンチだ。

 

「…どうやら形勢逆転のようですね。…大人しく降伏してくれたら痛い目には合わせませんよ?!」

リニスの降伏勧告にもわたしは首を横に振る。

 

「…それはできないよリニス。だってそれはリニスが教えてくれたことだよ、『友達を裏切るな』って…」

 

わたしの言葉にリニスは少し表情を変えた。

 

「?!…そうでしたね…」

 

それにね、もうすぐ来てくれる…最強の友達が…!

 

「…!?…結界上空に魔力反応…これは?」

 

SIDE:リナ

 

…なんとか間に合ったみたいね。ま、ぶっつけ本番だけど。

 

「いきなりデビュー戦なんて悪いわねL様、準備はいい?」

 

『…キタキタキタ~っ、いよいよやって来たわ、あたしの時代が!さぁここからは10話位あたしの独壇じ…』

 

そんなもんあるか~~~~~!ってかなんてメタ発言してんのよL様?!…今からが最初の見せ場、変身シーンなんだから…新しいバリアジャケット、期待してるわよ♪

 

「なのはも、準備いい?」

 

「うん!…レイジングハートもごめんね、いきなり本番で…」

 

『お気になさらずに、その為の私たちですから。』

 

それじゃいくわよ!!

 

『…ナイトメアハート・ルシフェリア…』

 

『…レイジングハート・オリヴィアナ…』

 

『『セェ~ット・アップ!!』』

 

あたしとなのははそれぞれの魔力光…濃蒼と桜色に包まれると変身を開始。

なのはは基本的に以前のバリアジャケットと変化ないんだけど、両腕部分にハードシェル装甲がつき、胸のリボンと頭のリボンもハードシェル装甲に。……う~ん、いかにも防御力高そうね。

 

レイジングハートも後付けのカートリッジシステムが取り付けられてうん、いい感じ♪

 

で、あたしの方はというと…見た目は比較的なのはのバリアジャケットに似てる感じ。

 

白をベースとして金色で縁取られたフレアスカート。肩の部分にはハードシェル装甲。ポニーテールだった髪の毛はほどかれて星形のアクセサリーの着いたバンダナで纏められてる。

 

そしてL様はというと…テレビの魔法少女が持つような杖になってた。杖の真ん中には六紡星をモチーフとしたコアが入ってる。

「わ~、リナちゃん可愛いの!よく似合ってるよ、うん。」

 

「ありがと、なのは。…あんたも格好いいよ、なんだか強そう。」

 

「へへっ…(テレッ)」

 

あ~あ、顔赤らめちゃって…。いけない、早くフェイトたち助けにいかなくちゃ…なのは、景気付けに一発、いく?

 

「うん、リナちゃん!」

 

『待ってました!』

 

『それも悪くないですね。』

 

あたしとなのははそれぞれのデバイスを構えると…

 

『『カートリッジシステム、ロード!!』』

 

カートリッジを使用して魔力を充填する。…いくよ!!

 

『ディバィーン…バスタァー!』

 

『魔竜…烈火咆[ガーヴ・…フレア]!』

 

放たれた濃蒼と桜色の砲撃は結界を貫き大穴を開けた。…さぁ、みんなを助けにいくよ!!

 




とうとう降臨した新生リナ&なのは。その実力はいかに?!

次回「四十五、ご降臨 2人の魔王(?) その力」

個人的にはリリなの劇場版と林原めぐみ閣下の(恐らく最初で最後の)ファーストライブで頭が一杯の私…

『後書き関係ないだろ!』

ガスッ

(BY作者&血の匂いが漂うL様)


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四十五、ご光臨 悪魔と魔王(?) その力

すいません、タイトルを予告から一部変更します。




NO SIDE

 

封鎖結界の中、神官グラーヴ率いる覇王軍を相手に奮闘するアメリアとヴォルケンリッター、そして恩師であるリニスと相対するフェイト達だったが、将軍シエラの参戦により戦況は覇王軍へと傾きかけていた。

 

しかしその時遥か天空より舞い降りた救世主2人…いうまでもなくリナとなのはだ。

 

2人は砲撃魔法で結界を撃ち抜くと内部へ突入、リナはフェイトの、なのははアメリアの援軍に向かった。

 

SIDE:リナ

 

ふぅ、どうにか間に合ったみたいね。大丈夫フェイト、アリシア、アリサ?

 

「なんとかね…助かったよリナ。」

 

「遅いわよリナ!!5分遅刻よ!」

 

「悪かったわねアリサ。この埋め合わせはきっちりするわよ♪…さて、よくもあたしの友達をいじめてくれたわね十万倍にして返してあげるから覚悟しなさい!!」

 

まずは後ろのレッサーデーモン達がうっとうしいわね?

 

「いくよL様!…獣王操牙弾…拡散陣[ゼラス・ブリッド…アラウンドシフト]!」

 

『あいよ!…いっけ~!!』

 

あたしの呪文に応えるように背後に現れた無数の光弾は軌跡を描いてレッサーデーモン達に命中、あっという間に全滅させた。

 

「「「「「……………!!!!!」」」」」

 

「どんなもんよ!!…ってあれ、どーしたのみんな?」

 

ふと周りを見るとみんな呆気にとられた顔をしてる。

 

「な、な、なに今の?!確か獣王操牙弾は単発でしか撃てなかったんじゃ?!」

 

アリサの問いに答えたのはL様。

 

『あん?!…まだ20%とはいえ、これぐらいの制御は楽勝、楽勝!…流石に重破斬[ギガ・スレイヴ]はまだ無理だけど。』

 

ま、そういうことよアリサ。

 

「そんじゃ次はあんたらね…覚悟なさい!」

 

「そうはさせな…はぁっ?!」

 

リニスがあたしとシエラの間に入ろうとしたけど、フェイトはバルディッシュを鎖鎌に変形、鎖でリニスの腕を拘束して動きを止める。

「リナ、リニスは私たちでなんとかする!あなたはシエラを!」

 

…へぇ~、あれがフェイトの新デバイスか…器用なあの子らしいわね。

 

『…あたしだったら100種類ぐらい楽勝だけど?…ハンマーと五寸釘とか、糸ノコギリとか…?!』

 

…怖っ?!なによその武器の選択は…って、[後書き]で作者や部下SしばいてたわねL様…

 

「それじゃこの前の続きといきますか…覚悟なさい、シエラ!!」

 

「新たな力を手に入れたからっていい気になってるんじゃないわよ!覇王将軍の実力、思い知るがいいわ!」

 

シエラは魔剣ドゥールゴーファを正眼に構え突進してきた。

あたしはナイトメアハートで受け流すと、その勢いを利用して体をスピンさせて空いた左手で裏拳を放つ。…まぁ当たんないとは…

 

メゴッ!

 

(えっ、嘘でしょ?)

 

見るとあたしの左拳はものの見事にシエラの顔面を捕らえていた。

 

「………」

 

「………」

 

気まずい空気が流れる。あたしは飛び退いて構えを仕切り直す。

 

「…な、なかなかやるわね…この覇王将軍シエラに、こうも容易く触れるなんて…」

 

…い、いや、どっちかというとあんたが勝手に突っ込んできたような……

 

あまりな展開に戸惑うあたしをよそにシエラは魔剣を振るい、衝撃波を放つ。

 

『はぁっ…障壁[プロテクション]!』

 

だけどL様の防御壁に衝撃波は霧散する。…これならいける、高位魔族とだって互角に戦える!

 

「いくよL様、あの馬鹿将軍をコテンパンにしてやる!」

 

一方、アメリア達ヴォルケンリッターを救助しにいったなのはの方は…

 

SIDE:なのは

 

結界に突入したわたしがまず向かったのはすずかちゃんの元。

 

「すずかちゃん、シャマルさん、大丈夫ですか?!」

 

「あ、なのはちゃん!…うん、わたしたちは大丈夫。」

 

「リンディさんとアルフも私の癒しの風で治したから…リンディさんはアースラに転送したし、クロノ君が援軍連れて来るって。」

 

だったら安心だね。…あれ、ところでアルフさんは?

 

「アルフさんは『ザフィーラが心配だから』って援軍にいったわ。私もヴィータちゃんのサポートに回るわ。」

 

「わたしはシグナムさんのところに…なのはちゃんはアメリアちゃんを!」

 

うん、あの神官さんが一番強そうだからね。いくよ、レイジングハート!

 

『はい、マスター。わたしの新しい力…マスター?』

 

レイジングハートはわたしの様子に疑問を感じたみたい。

 

「…なのはって呼んで。」

 

『えっ…でもそれは…』

 

「わたしとレイジングハートは主人と道具じゃない、パートナー同士だよ?あなたもわたしの事をパートナーと思ってくれるなら…名前で呼んで?」

 

『…私は幸せ者です。やはりあなたは最高の…わかりました。それじゃ行きましょうなのは、新しく生まれ変わったわたしの力、存分に振るわせていただきます!』

 

「…うん、うん!」

 

わたしはレイジングハートを握りしめ、アメリアちゃんの元へ。

 

「アメリアちゃん、大丈夫?!」

 

「なのはさん?!」

 

「…援軍か…小娘が一人増えたところで…まとめてかかってこい!」

 

それじゃ遠慮なく!わたしはレイジングハートをカノンモードに変化させ、バスターを連発する。

 

飛んできた砲撃にグラーヴとアメリアちゃんは回避、わたしは魔力を展開する。

 

「いっけ~!アクセルシューター!」

 

わたしが放った魔力弾はきれいな弧を描くとグラーヴに襲いかかっていく。グラーヴは避けようと回避運動をとるけど…逃がさないよ?!

 

ズドドドドッ!!

 

「ぬおっ?!な、なんだ今の誘導弾は?!」

 

威力はリナちゃんのゼラス・ブリッドに負けるけど、誘導性能はわたしの方が上だよ?それにこれにばっかり気をとられてると…

 

「でぇりゃ~、スーパー・イナヅマ・キ~ック!!」

 

…ほら、アメリアちゃんのきっつい一撃がくるよ?…それとアメリアちゃん、それはガ〇バ〇ターの攻撃じゃ…

 

「こないだ見てたアニメに出てたやつを貰いましたっ!…カッコいいでしょ?」

 

うん、ほんとに雷撃まとってたのにはびっくりしたけど。

 

「ええぃ、夜天の巫女といい、お前といい…この世界の魔導師は化け物か?!」

 

化け物は酷いなぁ…せめて悪魔って呼んで?因みにリナちゃんは魔王だよ♪

 

あ、アメリアちゃんもうなづいてる。やっぱりリナちゃんは…

 

『あたしは魔王じゃないっ?!』

 

…今リナちゃんの声が聞こえた気がしたけど…多分気のせい、気のせい…

 

「アメリアちゃん、一気にいくよ!!」

 

「はい、なのはさん!!」

 

わたしとアメリアちゃんがかかろうとしたその時、空に悪い顔した中年の男性が大画面で映った。

 

「グラウシェラー様?!…一体どうなされたので…?」

 

…!!この人(?)が…あの覇王グラウシェラー?確かに悪者オーラを漂わせてるの…。

 

『…グラーヴ、シエラよ!もうすぐ管理局の援軍が来る…ここは引け。』

 

「くっ、仕方ない…少女たちよ、勝負はひとまずお預けだ!次に会うときは容赦せん!!」

 

グラーヴと三騎将はそういうと強い光を放ち、姿を消した。…どうやら逃げちゃったみたいなの。

 

「あぁ?!逃げられちゃいました…。」

 

アメリアちゃんがぼやいてると、シグナムさんやヴィータちゃんが寄ってきた。

 

「なのは嬢、アメリア、無事でしたか?!」

 

「…どーやら問題ねーみたいだな…」

 

うん、わたしたちは大丈夫だよ?!…あ、すずかちゃんたちも…ってアルフとザフィーラ、どうして腕組んでるの?それに顔真っ赤だよ?!

 

「こ、これは…」「い、いいじゃんか、別に…」

 

あれ、これってもしかすると…あとで質問タイムなの。(笑)

 

…リナちゃんたちはどうなったのかな…

 

SIDE:リナ

 

…せっかく押しぎみに戦ってたのにまた出てきたよ、あのKY覇王…

 

『グラーヴ、シエラよ!もうすぐ管理局の援軍が来る。ここは引け。』

 

シエラは前回に続いての撤退命令に不満そうな顔を見せたけど…

 

「くっ、仕方ない…リニス、ここは引くわよ!!…次こそは決着をつけてやるわ、覚えてなさいリナ!」

 

負け惜しみを言うと、シエラは光を放ち姿を消した。そしてリニスも…

 

 

「…残念ですが、勝負はお預けですねフェイト、アリシア…また逢いましょう。」

 

「待ってリニス、まだ話したいことが…?!」

 

フェイトが呼び止めたけど、やっぱり光と共に姿を消した。

 

「リニス…どうして……」

 

「フェイト…」

 

フェイトはリニスが消えた後を呆然と眺めてた。まぁ死んだと思ってた恩人が敵として現れたんだから当然か。

でもあたしとしてはここは…

 

「な~に落ち込んでんのフェイト?!」

 

あたしはそう言いながらフェイトの背後に廻り背中を小突く。

 

「リ、リナ?!」

 

「…どういう経緯でリニスが覇王に仕えてるのかはわかんないけど、それでも彼女は生きてる。だったら取り返せばいいのよ、フェイト、アリシア!」

 

フェイトは一瞬ポカンとしてたけど、アリシアと視線を交わすとお互いにうなづく。

 

「リナ、お姉ちゃん…うん、そうだよね、まだ終わったわけじゃ…」

 

「そうだよフェイト!リニスは絶対に連れて帰るんだ、あたしとフェイトで!」

 

その意気よ2人とも!

 

「リナ、なのは、無事か?!」

 

そうこうしていると、クロノが管理局の援軍を連れてやって来た。

 

「遅いわよクロノ、もう逃げちゃってどこにもいないわよあいつら…」

 

「…やっぱり間に合わなかったか…済まない。とりあえずエイミイがサーチをかけてくれてるが無理だろうな。」

 

まったく…あたしたちも積極的に夜天の書を覚醒させてしまわないといけないのかも。でないとなんかやな予感がするのよね…。

 

 

『リナさん、なのはさん!…フェイトとアリシアも大丈夫?!』

 

…その声はプレシアさん?!

 

『どうやら皆無事みたいね…。クロノ君も含めて、一度時の庭園に集まってくれないかしら?リニスのこともあるし、今後のことも相談したいの。』

 

「…了解しました。リナ、君たちも…」

 

「OKプレシアさん。すぐに戻るわ。」

 

やれやれ…こりゃ一筋縄じゃいかないわね。

 




はい、次回からはいよいよ「悪夢の聖夜」へ向けて動き始めます。

次回「四十六、訪れる 破滅の前触れ 刻々と」

それでは次回も…

『リリカル、マジカル!』『頑張るぞ~っ!』

「あんたらいつの間に?!」

(BYザフィーラ&アルフ&はやて)


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四十六、深き業 夜天に潜む 紅き影

前回予告のタイトルを次回に飛ばします。この頃予告と話が一致しない


NO SIDE

 

覇王軍の襲撃から一夜明け、リナたちは再び時の庭園に集まっていた。目的は今後の対策、特に覇王の配下として現れたリニスへの対応だ。しかしそこには予想外の人物が…

 

SIDE:リナ

 

「…で、なんであんたがここにいんのよゼロス。夜天の書が完成するまでは出てこないって言ってなかったっけ?」

 

あたしたちが時の庭園を訪れると、ゼロスがテスタロッサ一家と一緒にお茶を酌み交わしていた。

 

「いや~、こちらにも色々事情がありましてね…。ま、悪い話ではないと思いますよ?」

 

…どうだか。それにしても馴染んでるわね、特にアリシア…

「え~っ、だってゼロス…名薗森くんってクラスメイトだよ?馴染んでて普通じゃない?」

 

…まぁそりゃそうかも知れないけどさ…ま、いいか。

 

とりあえずあたしたちがそれぞれの席に座ったのを確認すると、プレシアさんから話始めた。

 

「今日みんなに集まってもらったのは、昨日の出撃の時に現れたリニスについて。そして今後の対策よ。…みんな、これをみてくれる?」

 

プレシアさんが手をかざした先に現れたホログラフスクリーンには、リニスの映像…でもあれ?

 

「髪と目の色が…違う?!」

 

昨日のリニスは髪も目の色も覇王の魔力光と同じ蒼色だったのに、目の前の映像はピンク色の髪の毛…それに髪の毛の長さも昨日は腰まであったのに映像はショートヘアーだ。

 

「…この映像はリニスが私と袂を分かつ前の映像。ちょうどフェイトの家庭教師をしていた頃ね。…あなたたちも知っての通り、この頃の私は精神的に病んでたからフェイトにきつくあたってたんだけど…」

そこでプレシアさんは一瞬落ち込んだ表情になるけど、すぐに話を続ける。

 

「…リニスは私の使い魔だったにも関わらずフェイトの家庭教師として、また姉替わりとして接していたわ。だけどリニスとの契約は『フェイトが一人前の空戦魔導師になるまで』という条件だったの…。」

 

言葉に詰まったプレシアさんの代わりにフェイトが代弁する。

 

「…だからリニスはわたしがサンダーレイジを習得した日に、バルディッシュを母さんに託して時の庭園からいなくなったんだ…多分自分の死期を悟ってたんだと思う。」

そんな過去が…でもどうして死んだはずのリニスさんが覇王の手先に?

 

「詳しくは解らないけど、恐らくリニスは私との契約が完了しても暫く生きていて、覇王と再契約したんじゃないかと思うの。あの髪と目の色が変わったのは覇王の魔力光、前の記憶が残ってるのもそういうことなら納得できるわ…。」

 

「でもプレシアさん、もしかしてそれって…」

 

「…えぇ、覇王に完全支配された状態…完全な敵として現れる可能性は高いわね…」

 

プレシアさんの言葉にフェイトとアルフ、アリシアの表情が強ばる。

 

「まぁそれも踏まえて集まったんだけどね。で、まずは夜天の書なんだけど…今何ページ?」

あたしの問いに答えたのはシグナム。

 

「…皆の協力もあって、280ページぐらいたまった。ただここで問題なのは、もうすぐ目覚めるはずの…」

 

「管制人格、ね?」

 

シグナムは頷くと話を続ける。

 

「あぁ、あいつには罪はないとはいえ、埋め込まれたバグを取り除くためには主はやてが制御することが絶対条件となる。だが…」

 

「まだあれから夢に顔見せへん。ちゃんとお話したいんやけど…」

 

…管制人格との会話かぁ…目覚める前に話できたら最高なんだけど、最悪…「起動即暴走」もありえるからなぁ…

 

『…あのさぁ、リナ?』

 

…何、L様?今ちょっと忙し…

 

『…その本と話したいんだったらできるよ?』

 

…だから今忙し…なん、だと?!L様、今なんて?!

 

『だからぁ~、その本と話せるって。あたしも一応神様だし。…バグがどんなもんか解らないからとりあえず会いに行ってみる?』

 

…マジで?!どうやって?

 

『あたしとその本の人格部分をリンクする。そうすれば人格だけを呼び出して会話できるって訳。』

 

 

「…もっと早く言って欲しかった気もするけれど、それじゃ早速…はやて、夜天の書出して?!」

 

あたしは夜天の書の上にナイトメアハート(待機状態)を置いて魔力を充填する。すると…

『…こ、これは…我が主?!…それに騎士たちも?!わたしは一体…』

 

ナイトメアハートが映し出したのは銀色の長髪に紅色の瞳の女性。…めちゃくちゃ美人だ。

 

『あ~、あたしはナイトメアハート。古代ベルカだとルシフェリアの方がわかりやすいかも。…あんたの主が話したいらしいからリンクさせてもらったよ。』

 

『…!!貴女があの[破壊の女神]?!御逢いできて光栄です。主もお久し振りです。で、私に話とは…?』

 

あたしとはやては管制人格にこれ迄の経緯とこれからの事…特に覚醒後の処置について説明する。

 

『わたしと我が主のためにそこまで…感謝します、皆さん。ただ、夜天の書の中に眠るのは私だけではありません。夜天の書を自動的に防衛する運用システム…ナハトヴァール。わたしの制御に成功しても、ナハトを制御、もしくは破壊しないと…』

…暴走するって事か…

 

「それじゃそのナハトヴァールがバグって事なんですか?」

 

なのはの問いに彼女は首を振る。

 

『いいえ、ナハトは私の妹みたいな物…暴走を起こすバグは夜天の書そのものを侵しています。そしてそれはルシフェリア様…』

 

『あ~、L様でいいよ、皆にもそう言われてるし。』

 

『…じゃL様、私を苦しめる呪い…バグは貴女の世界に近しき存在なんです。』

 

その言葉にあたしたちは思わず息を飲む。…L様の世界に近しき存在、それはすなわちあたしやアメリアがいた世界を意味する。世界を破滅させる魔導書を暴走させるだけの存在って……?!…まさか!

あたしはある1つの考えに辿り着き、ゼルやアメリアと顔を見合わせる。アメリアやナーガは「???」って顔してるけど、ゼルは気がついたみたいね。

 

でもそれならすべてが繋がる。覇王グラウシェラーが何故夜天の書を狙うのか、そして管制人格の紅い瞳…あくまで推測でしかないし、この場ではいえないけど。

 

『おいリナ、バグというのはまさか魔王シ…』

 

『ゼル言わないで!憶測で物は言えないし、混乱が起きるだけよ。…後でユーノとプレシアさんにだけ話すわ。あとアメリアとナーガには…』

 

『あぁ解った。…確かにあいつらに知れたらややこしくなりそうだ。秘密にしておいた方が無難だな。』

理解が早くて助かるわゼル。さて、と…。

 

「わかったわ、え~と…はやて、そういえばこの人の名前は?」

 

「あ、あ~、…ごめん、まだ考え中や。せっかくやからいい名前を…と思ってんねんけど…」

 

『慌てなくてもいいですよ我が主。…私は善き名前が戴けるのを楽しみに待ってます。』

 

…そうはいっても、何時までも「管制人格」なんて呼べないし…ん?そうだ!クロハネってのはどう?実際黒い羽根だしね。

 

『クロハネ…いいかもしれませんね。じゃあ当座はそれで…。』

 

「はやて、それに騎士の皆は今まで通り管理外世界の魔物や動物から魔力を蒐集して。あとアリサやすずかたちは魔力の提供をお願い。」

「了解した。必ずや成就させて見せるぞ!」

 

「…はやて、はやては絶対に元気にしてみせるから!」

 

皆気合いが入ったみたいね。…クロハネさんも、もう少しだけ待ってて?…ナハト共々、必ず助けて見せるから!

 

『…ありがとうございます。その時を楽しみにして…』

 

そう言うとクロハネさんの姿が見えなくなった。

 

『…ごめん、ここまでが限界だわ。でもリナ、バグの正体は…』

 

…やっぱり「アレ」なんだね、L様…あとで秘密会議だね、こりゃ。…ゼロス、あんた知ってたんでしょ?!正直にいったらどう!

 

「…別に隠してなんかいませんよ。聞かれなかったから答えなかっただけのことです。…まぁ、僕は今回はノータッチです。貴女と覇王、どちらが勝つのかゆっくり見させてもらいますよ…。」

辺りを見るといつの間にかゼロスの姿は消えていた。相変わらず神出鬼没ね…。というか、よく考えると何しに来たんだあいつは?!

 

「…冷やかしか、そうじゃなきゃ嫌がらせだな。」

 

「ゼロスさんに常識を求める方が間違ってるの…。」

 

そんなことはわかってるわよヴィータ、なのは!…あとそこで頷かないクロノ!!

 

「あとリニスの事なんだけど…」

 

あ、すっかり話が飛躍してたわね…で、どうするんですかプレシアさん?

 

「リニスの対処は私とフェイト、アリシア…そしてアルフに任せてほしいの。これはテスタロッサ家の問題だから…。」

 

「…わかったわ。それじゃお願いします。…というわけで今日はここで解散!明日からまた、覇王軍には警戒しつつ夜天の書の覚醒目指してがんばりましょみんな!」

 

 

「お~っ!(×多数)」

 

こうして、[夜天の書&覇王軍対策会議]は終了した。

 

因みにバグの正体(推測)を聞いたプレシアさんとユーノは絶句、さらなる調査を開始することとなった。

 

あたしの考えが邪推に終われば越したことないけど…

 

NO SIDE

 

こうして再び始まった[夜天の書覚醒計画]。あの事件以来、覇王軍の妨害もなく順調に蒐集は進み、ページ数も残り100ページにさしかかろうとした12月、物語は急展開を迎えようとしていた…。




説明がダラダラになってすいません。次回からはテンポよくいけるよう頑張ります。

(今度こそ)次回!「四十七、訪れる 破滅の前触れ 刻々と」

それでは次回も見てくんないと…

『出番まだですかね~、L様?』

『しゃしゃり出てくんじゃないわよ!』

ガスッ!

(BYL様&始末された夜天の書のバグ・部下〇)

追記

新投稿始めました!タイトルは「魔法少女リリカルなのはVD~夜天の主と龍の戦乙女~」です。リリカルなのはとヴァルキリードライヴ‐ビクニ‐のクロスとなっております。

活動報告にも書きましたが、あくまでリリすれメインでいくので、もしよろしかったら読んでもらって、感想、評価の一つも戴けたら幸いです。リリすれ共々よろしくお願いします。


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四十七、訪れる 破滅の前触れ 刻々と

投稿が遅くなってすいません!

いよいよ破滅の聖夜が始まります。果たしてリナたちの運命はいかに?!

それではどうぞ!


NO SIDE

 

リンディたちが覇王軍に襲われてから月日がたち今は12月、夜天の書のページ数も残り100ページを切ろうとしていた頃…。

 

SIDE:なのは

 

「えっ、はやてちゃんが入院?」

 

もう1週間ほどで冬休みになろうというある日、学校に来たわたしたちはヴィータちゃんからはやてちゃんが入院した事を聞かされた。

 

「ヴィータちゃん、はやてちゃんに何かあったの?…まさか病状が…」

 

心配げなわたしたちの顔を見てヴィータちゃんは苦笑いしながら答える。

 

「あ~、心配ねぇ、只の検査入院だ。例のクリスマス…だっけか?その日には退院するから、予定通りパーティーには出れるってさ。」

 

…よかったぁ…その日(クリスマス)は、はやてちゃんの全快祝いを兼ねたクリスマスパーティーを翠屋でやる事になってるからね。

 

「それじゃ暫くは蒐集はお休みって訳?」

 

「うんにゃ、シグナムとザフィーラは引き続き魔物討伐だな。あたしも学校終わったらいってくる。」

 

ヴィータちゃんはりきってるなぁ…そういえばリナちゃん、夜天の書についてユーノくんからなにか報告あった?

 

「あまり進展ないわ。まぁ、グラウシェラーたちも動きがないみたいだし、このまま何もないといいんだけどね…。」

 

うん…でもなんだかやな予感がする…こんな不安になるの、お父さんが大怪我した時以来なの。

「ま、夜天の書ももう少しで完成だし、あの覇王(バカ)がちょっかい出してきたらあたしたちでぶちのめしてやるだけよ!ね、なのは?」

 

 

にゃはは、リナちゃんはいつも通り通常運転だね。心配するのが馬鹿らしくなってくるの。

 

「さぁ、わたしたちは放課後また特訓よ!すずか、今日こそはアレ、完成させるわよ!」

 

「そうだねアリサちゃん!あともう少しなんだけどなぁ?」

 

アリサちゃんとすずかちゃんは新しい合体技を研究してるみたい。

 

「それじゃあたしたちも特訓だねフェイト?」

 

「うん、解ったお姉ちゃん。今練習中のザンバー、マスターして見せるよ。」

 

アリシアちゃんはナーガさんから大型呪文を教わって、フェイトちゃんはバルディッシュの新形態の練習中。

そしてわたしとリナちゃんも…

 

「それじゃなのは、あたしらも放課後集合よ!R&N空間殲滅コンビネーション、名付けてア…」

 

あっ、リナちゃん名前はNGなの、使うときのお楽しみなの!…でもまさかL様をあんな使い方するとは思わなかったの…。

 

こうしてわたしたちは来るべき最終決戦に向けてそれぞれ特訓してた。でも…クリスマスの夜、事件は起きちゃったんだ…。

 

SIDE:はやて

 

「あ~、やっと退院やわ。…正直退屈で他の病気になりそうやったわ…。」

 

「い~じゃないかはやて、身体に異常は無かったんだしあとはなのはんとこでパーティーだ!楽しみだなぁ、あのギガうまシュークリーム!」

 

うん、ヴィータのいう通り桃子さんの作るお菓子は最高や。脚が完全に治ったら弟子入りお願いせんとな。

 

「主はやて、車椅子の準備ができました。」

 

「退院手続きも終わりましたよ~!」

 

シグナム、シャマルもおおきにな。さて、それじゃ…

 

ブゥオン!!

 

「なっ?!こ、これは…封鎖結界?しかもこれは…スィーフィード式だと?!」

 

「…駄目だわ、外部との通信ができない…完全に閉じ込められたわね…」

 

な、まさかこの最低のタイミングで襲ってくるか普通?!

 

「シャマル、お前は主はやてのそばにいろ。私とヴィータは屋上で敵を迎え撃つ。…いくぞ、ヴィータ!」

 

「おう!はやてに手出しするやつはアイゼンの錆にしてやる!」

 

 

シグナムたちはそういうと騎士服を身に纏い、得物を持って飛び出していった。

 

「大丈夫よはやてちゃん!アメリアちゃんとザフィーラもこっちに向かってるはずだし、リナちゃんたちだってきっと気づいてるわ!!」

 

シャマルも騎士服に着替え身構える。…うん、そうやね。とりあえず表にでてアメリアたちと合流や!

 

SIDE:シグナム

 

私とヴィータが屋上に出ると、そこにいたのは覇王配下の三獣騎と大量の魔物たちだった。

 

「おわっ?!大量に湧いてきやがったなこいつら?」

 

「夜天の騎士か…たった2人でどうするつもりだ、降伏するなら今のうちだぞ?」

 

数に物をいわせるように高圧的な態度をとる犬騎将ダイン。だがそれがどうした?

 

「…我等ヴォルケンリッターに降伏などという言葉はない。第一その程度の手勢で勝ったつもりなのか?」

 

私はレヴァンティンを鞘に納め、居合いの構えを取る。

 

「レヴァンティン、ロード・カートリッジ!紫電…一閃!!」

 

居合いから放たれた斬撃は後方にいたレッサーデーモンをなぎ倒した。続けてヴィータが猿騎将アースに突っ込んでいく。

 

「ぬぉ~っ!もう少しではやては元気になるんだ、邪魔すんじゃねぇ!…アイゼン!!」

 

『Explosion!』

 

ヴィータはカートリッジを発動させるとアイゼンを変形させ、アースに叩きつける。しかしアースはシールドを張って受け止めると戦斧から衝撃波を放ち、ヴィータを弾き飛ばした。

 

「くっそ~、さすがに硬ぇ…ゴリラのくせに生意気だぜ!」

 

 

「こら、誰がゴリラだっ?!俺様にはアースってえ名前が…」

 

「てめぇの名前なんてどうでもいいんだよ!とにかく邪魔するやつはぶっ潰す!!」

 

…やれやれ、ヴィータもすっかりぶちギレたみたいだな。…まぁそれは私も同じだが…な!

 

「いくぜシグナム、この間の続きだ!」

 

 

掛かってきたのは覇王の犬か。だが夜天の将たる私がお前たちごときに負けるわけがなかろう。

 

「かかってこい、我が焔で焼き払ってやる!」

 

私はレヴァンティンを振り上げ、連結刃へと変化させてダインに斬りかかる。

 

「うおっ?!何だこりゃ?!」

 

ダインは避けながらも距離を詰めてくる。さらに後方のデーモンたちも襲ってきた。

 

「ぬおぉーっ!鋼の軛~!」

 

次の瞬間、空から無数の魔力の杭が覇王軍に降り注ぐ。軛はデーモンを串刺しにして消滅させていく。

「ザフィーラか!アメリアはどうした?」

 

 

「アメリアはリナたちに援軍を要請しに行った。すぐに帰って来るはずだ。」

 

ザフィーラはそのまま鳥騎将トゥーダへと向かっていく。

 

そうか…。だがリナやなのは嬢の力を借りるまでもない、我らだけで十分だ!

 

SIDE:リナ

 

「…という訳なのリナ。わたしはこのまま中に突入してはやてさんを助けに行くから、リナたちも早く…」

 

「ちょいまちアメリア?!あたしたちも今そっちへ向かってるから無茶は駄目!…って通信切っちゃったよ…」

 

今あたしはなのはやフェイトたちと海鳴市立病院へ向けて飛行中!アメリアの焦る気持ちはわかるけどやつらも考えなしで来てるわけないから!

 

「リナ、病院が見えてきたよ!」

 

アリシアの声に前方を見ると、病院一帯の空が禍々しい蒼色に覆われてる…間違いない、覇王の結界だわ。

 

「リナ、なのは!ここはわたしたちに任せて早く中へ!」

 

「フェイト?!」

 

フェイトとアリシア、それにアリサ、すずかはその場に留まり身構えた。

 

見ると結界の中から無数のデーモンらが飛んできた。レッサーデーモンに混じってブラスデーモンもちらほらと混じってる。…こりゃ本気モードかも。

 

「それに…わかるんだ。間違いなく近くに…あの人がいる。」

 

「…わかった。じゃ、ここは任せたわよ。なのは、行こう!」

「うん、リナちゃん!」

 

あたしとなのは、そして使い魔トリオ(ヌクヌク、くおん、アルフ)は結界を突破、中へ侵入した。

 

結界の中に入るとさらに多くのデーモンが襲ってくるけど…

 

「いっけ~、黒妖陣[ブラスト・アッシュ]!」

 

「アクセルシューター!」

 

「ん~と…えるめきあらんすぅ?!」

 

「滅せよ悪魔、狐火!」

 

「うぉ~っ、フォトンランサーっ!」

 

あたしたちの敵じゃ無いわね。…それとヌクヌク、何で疑問形?

 

…おっといけない、いけない…そんなことより早くシグナムやアメリアたちを…っていた!

 

そこではシグナムたち夜天の騎士たちと三騎将の決着がつこうとしていた。

 

シグナムは紫電一閃でダインを切り裂き、ヴィータのラケーテンはアースを消滅!ザフィーラの拳はトゥーダを貫いていた。

 

「どうやら決着はついたみたいね。あとは合流…って、あれは?!」

 

…倒された三騎将の身体が蒼い光に代わり夜天の騎士を包み込む。そして光が消えたとき、騎士たちの髪の毛と騎士服、それと瞳の色は蒼く染まってた。

 

「シグナム!その姿は…」

 

「…これはなのは嬢。…ちょうどいい、一合わせ願おうか?」

 

「シグナムさん?!」

 

シグナムはいうやいなやレヴァンティンを振りかざし、なのはに襲いかかる。それだけじゃなく…

「ウガァーッ?!」

 

「ザ、ザフィーラ?!いったいどうしちまったんだよ?!」

 

ザフィーラまでアルフを狙い始めた。これってやっぱり…

 

『…まずいね、騎士たちの心が支配されたみたいだ。』

 

L様?!やっぱりそうか。…ってことはまさか?!

 

「どりゃぁ~っ!」

 

後ろからした大声にあたしは振り向き様シールドを展開して防御する。そこにいたのはアメリア。

 

「…さすがねリナ。まぁそんな簡単にやられちゃつまんないけど。」

 

「アメリア、あんたまで?!」

 

そう、アメリアもまた、他の騎士同様に全身蒼く染まってた。…まるで格闘ゲームの2Pキャラみたい。

「考えてみたら一度も本気で闘ったことなかったんじゃない、リナ?」

 

「考えてみればそうかもね。でもアメリア、あんたの正義はどこへいったのよ?!」

 

あたしの叫びにもアメリアは動じない。

 

「愚問ねリナ、今のわたしにとって覇王様が正義!と言うことはリナは立派な悪よ!」

 

駄目だ、今のアメリアはグラウシェラーによって完全に支配されてる。こうなったら…

 

「わかったわアメリア、勝負したげる。問答無用でぶっ飛ばしてあげるから覚悟なさい!」

 

あたしはナイトメアハートを構え戦闘態勢をとった。こんな形で闘いたくはなかったけど、やるからには容赦しないからね!

 

でもこの時、破滅へのカウントダウンは始まっていたんだ。




はい、ヴォルケン暴走です。闘いの口火が切られ、物語は佳境へと向かいます。

次回はいよいよ夜天の書復活?リナたち、そしてはやてはどうなる?はっきりいって作者も迷ってます!(苦笑い)

次回「四十八、覚醒す 紅き瞳の管制騎」

それじゃ次回も…

「リリカル、マジカル、頑張ります。」

「やればできんじゃねーか。」

(BY夜天の管制騎さん&ヴィータさん)


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四十八、覚醒す 紅き瞳の 管制騎

はっきり言って今回の話は結構無茶ぶりかもしれません。

あくまで独自設定の娯楽小説と思って読んでいただけるとありがたいです。


NO SIDE

 

検査のために入院中だったはやてを襲った覇王軍。それを迎え撃ったアメリアたちヴォルケンリッターだったが、それは罠だった。

 

彼女たちは覇王がかけた呪い[ギアス]に意思を支配され、助けに来たリナたちに襲いかかってきた…

 

SIDE:リナ

 

やれやれ、まさかアメリアと一騎討ちなんて予想してなかったわよ?!あの子のパワーは凄まじいから注意しないと…って来た!

 

「いくわよリナ…平和主義者クラーッシュ!!」

 

「いきなり奥義?!えぇ~い、これならどう?」

 

あたしはナイトメアハートをかざすと特性の異なる魔力壁を重ねて発動する。さらに最後のシールドにはトラップを仕掛ける。

「無駄よ、わたしの正義にそんなものは通じないわ!どりゃ~っ!」

 

アメリアの放ったパンチはあたしのバリアを軽々と破っていく。…さすがフィルさん譲りってとこか?でも?!

 

ガキン!

 

「な、これは!」

 

あたしの仕掛けたバインドシールドがアメリアの右手と左足を拘束した。…よし、作戦成功!

 

あたしは距離を取ると呪文の詠唱を始める。

 

『…空と大地を渡りし存在(もの)よ 優しき流れたゆとう水よ 我が手に集いて力となれ!』

 

掲げたナイトメアハートに魔力が宿る…今だ!

 

『いっけ~!霊氷陣[デモナ・クリスタル]!!』

 

放たれた魔力は氷塊となってアメリアを襲う。これであわよくば動きを封じ込めたいんだけど…。

 

「ぬお~っ、こんなもので~っ!」

 

…やっぱり。アメリアはバインドを無理やり引きちぎると氷塊を鉄拳一発で粉砕!…なんかパワーアップしてない、アメリア?

 

「ふっ、覇王様に戴いたこの力の前にはあんなバインド全く無意味だわ!」

 

「…アメリア…あんた…」

 

あたしは哀しかった。あの正義バカのアメリアがこんなに簡単に覇王の言いなりになるなんて…

 

「こらアメリア!はやてはどうしたのよ、はやては?!」

 

「えっ……は、はやてさんは…そうよ、シャマルさんが見てくれてるから大丈夫…」

 

「んな訳あるか~っ?!この様子だとシャマルも覇王の力に取り込まれてるのが目に見えてるわ。あんた、はやてが心配じゃないの?!それとも覇王様がそんなに大事?!」

 

あたしの言葉にアメリアは動揺を隠せない。

 

「そ、そんな…あれ?!はやてさん…覇王様…わかんない…わたしは…うわぁ~っ?!」

 

アメリアはパニックに陥って頭を抱えてる。…どうやら本来のアメリアと覇王に植え付けられた偽りのアメリアが葛藤を起こしてるみたい。もしかしてこれなら!

 

「があ~っ!わたしは…わたしは覇王様の…」

 

「…ねぇアメリア、その程度なの?あなたの『正義の心』って?」

 

 

「…えっ…?!」

 

あたしの問いかけにアメリアは眉をひそめ、こちらを振り向く。

 

「あなたは父上であるフィリオネルさんから正義の魂を受け継いだんじゃなかったの?…あ、それともそんなのは単なる見せかけのポーズだったとか?!…もしそうだとしたらフィルさん泣いちゃうわよ…」

 

「…………………」

 

アメリアは黙ったまま応えない。瞳を閉じたまま体を震わせ、立ち尽くしている。

 

「…まぁ後はあんた自信の問題よ。偽りの感情に負けて友達や家族を裏切るか、それとも信念を貫き徹し優しき主を護るのか…選ぶのはあんたよ、アメリア!」

 

あたしの叫びが聞こえているのかいないのか、アメリアはうつ向いたまま何か呟き続けてる。

 

「わたしは…わたしは…わたしは………わたしは~っ!!」

 

 

アメリアが眼を見開いて叫んだと同時に、アメリアの全身の蒼い光は白い閃光に包み込まれる。

 

「…マジカルプリンセス…ホーリーアーップ!!!」

 

閃光が消え去ったあとアメリアの姿は変化していた。

 

髪の毛は腰まで届く金髪に羽飾り。騎士服は澄んだ空のような青を基調としたものに赤いマント。そしてその手には一振りの短剣…

 

…これってまさか…某赤ず〇ん少女の変身形態?!

 

 

「アメリア、大丈夫?!」

 

「…うん、ありがとうリナ。あなたの言葉、確かに届いたよ!…わたしは八神アメリア、はやてさんはわたしが助ける!!」

 

アメリアは短剣を構えてポーズを決める。うん、完全に復活ね。

 

「それよりアメリア、あんたはやてを助けに行ったんじゃなかったの?はやてはどうしたのよ?!」

 

「それが…わたしあの状態になったあと、記憶があやふやで…ごめん。」

 

やっぱり…じゃ大至急探さないと、ってどこにいったら…ん?

 

その時何処かで物凄く大きな魔力がはじけた。あたしとアメリアはお互い頷くと、魔力を感じた方向へ飛び出した。

 

『『翔封界[レイ・ウイング]!!』』

 

待っててはやて、必ず助けてあげるから!!

 

時を同じくして…

 

SIDE:なのは

 

はぁ…はやてちゃんを助けにやって来たのに、まさかシグナムさんたちが操られてしまうなんて…

 

可能性はある、とは思ってたけどいざそうなると複雑な心境なの。

 

「なのは嬢、貴女とは一度闘ってみたいと思っていた。存分に撃ち合うとしようか!」

 

「シグナムさんどうしちゃったんですか?!今それどころじゃ…」

 

「そちらが来ないならこちらから行くぞ…紅蓮撃!」

 

シグナムさんはカートリッジを発動させレヴァンティンに炎を纏わせるとわたしに斬りかかってきた。

 

 

「くっ…。」

 

わたしもカートリッジをロード、エクセリオンシールドを張って防御する。

 

「…成る程、これは強固なシールドだな。これほどのものは古代ベルカでもなかなかお目にかかれん。」

 

「…それはどうも。シグナムさんの攻撃もさすがです。でも…」

 

わたしは話しながら誘導弾を展開するとシグナムさん向かって切り込んでいく。

 

「アクセルシューター!!」

 

わたしの放ったシューターはきれいな弧を描いてシグナムさんを襲う。

 

「…はっ!だっ!…だぁっ?!」

 

シグナムさんはほとんどは回避したものの、避けきれなかった数発を切り払う。あれ、これはもしかして…わたしは新たにシューターを放ちながら、レイジングハートにある指示をする。

 

 

「レイジングハート、…………お願い。」

 

「わかりましたなのは。発動のタイミングは貴女に…来ました!」

 

「紫電…一閃!」

 

居合いの構えから放たれるシグナムさんの必殺技。でも…

 

(…やっぱりいつもより切れがないし、さっきの回避も鈍かったの。操られてる影響かな?)

 

わたしはシールドで防御すると足元に魔方陣を展開して魔力の充填を開始する。と同時に…

 

『レストリストロック!』

 

レイジングハートに頼んで設置しておいた拘束魔法を発動、シグナムさんの両手両足を空中に縛りつけた。

 

 

「こ、これは?!くっ、外せん?!」

 

この呪文はわたしが初めて自分で構築した呪文。だから簡単には解けないよ。

 

 

「今です、なのは!」

 

「うん、いくよレイジングハート!ディバイーーン…バスター!」

 

カートリッジを使用してチャージ充分なディバインバスターは砲撃というよりはもはや桜色の壁となってシグナムに直撃する!…かに見えたのだが…。

 

ヴォン!

 

「えっ、消えた?!」

 

バスターが当たる直前、シグナムさんはどこかに転送されたらしい。辺りを見回したけど気配を感じない。一体どこに…

 

『なのは、聞こえるかい?』

アルフ?どうしたの、何か…

 

 

『いままでザフィーラと闘ってたんだけど、突然姿が消えたんだ!反応もロストしてるからどこへいったのかさっぱり…。』

 

ザフィーラさんも?!…シャマルさんも行方がしれないし、あとの2人も…

 

「なのは、無事だった?…シグナムはどうしたの?!」

 

あっ、リナちゃん!それに後ろにいるのはもしかして…アメリアちゃん…なの?!

 

「はい!ご迷惑お掛けしました!」

 

はやや…髪の毛は金髪だし、何だか大人っぽいの。

 

「それはそうとリナちゃん、シグナムさんが突然消えちゃったの!あとザフィーラさんも!」

「何ですって!そういえばヴィータも姿が見えないわね…アメリア、何か感じる?」

 

「ううん、何にも…やっぱりさっき感じた魔力の波動の影響かも…急ぎましょう、リナ、なのはさん!!」

 

わたしとリナちゃんは頷くと、アメリアちゃんの先導で魔力反応のあったらしい方へ飛び始めた。

 

SIDE:はやて

 

ん、ん~…あれ?わたし気ぃ失っとたんか?!ちょっと待ってや、ええ~っと…確か覇王の軍勢に襲われて、シャマルが倒した後なんやら蒼い光に包まれて…あかん、そこから記憶がないわ。

 

 

「ようやく目を覚ましたか、夜天の主・八神はやてよ…。」

 

目を覚ましたわたしの前に現れたのは、中年の渋い男性。

 

「あんた…覇王グラウシェラー!」

 

「ほほぅ、私を知ってるなら話が早い。いかにも、私が覇王グラウシェラーだ。」

 

「その覇王さんが一体何の用や!夜天の書は渡さ…えっ?!」

 

その時になって私は手元にあるはずの夜天の書が無いことに気がついた。

 

「…お探しの物はこれだろう、八神はやてよ?」

 

グラウシェラーが持っていたのは夜天の書!しまった、気を失っとる間に…。

 

「さぁ、余興の始まりだ。…これを見るがいい。」

 

覇王の声と共に空に浮かび上がったのは…

「…シグナム、ヴィータ、シャマル、それにザフィーラ?!」

 

それはわたしの大事な家族たち。でも…その瞳は虚ろに蒼い光を放ち、空中で直立不動に立ち尽くしてる。その姿は人形そのものや。

 

「あんたあの子たちになにをしたんや?!早ぅ元に戻して!」

 

「心配せずとも戻してやる、[元の形]にな…。」

 

グラウシェラーが呟くと同時に4人の頭上に蒼い雷光が…あかん、わたしが言ってるのはそういう意味や無い!!

 

「夜天の騎士たちよ、還るべき処へ還るがいい!」

 

「や、止め…いやぁ~~っ?!」

 

わたしの叫びも虚しく、蒼い光は4人の身体を貫き、…魔力の結晶体へと変化させた。

「あ…あ……あぁ………っ…」

 

「さぁ、騎士たちの力を得て、覚醒せよ夜天の守護システム、ナハトヴァール。お前の主に最後の時まで安らかなる眠りを…」

 

グラウシェラーの言葉に反応した夜天の書は騎士たちのコアを吸収、その瞬間わたしは…意識を失った。

 

NO SIDE

 

騎士たちを吸収した夜天の書は、まるで神話に出てくるヒドラのような姿、ナハトヴァールに変貌していた。

 

ナハトヴァールははやてに近づくと光を放ち、はやてを吸収した。

 

「やっと目覚めたようだなナハトヴァールよ…しかしまだあの方の覚醒には至らぬか…」

 

グラウシェラーはナハトヴァールの姿を見てそう呟いた。…どうやら思っていた通りにはいかなかったらしい。

「グラウシェラー様!」

 

声のした方にグラウシェラーが振り向くと、そこには多数のデーモンを引き連れた覇王神官グラーヴの姿があった。

 

「来たかグラーヴよ。早速だがお前には役にたってもらうぞ。」

 

 

「はっ、何なりと御命令を…」

 

しかし、グラーヴの言葉はそこで途切れた。グラーヴの胸をグラウシェラーの拳が貫いていたからだ。

 

「グ、グラウシェラー様…これは…一体…」

 

口から吐血しながらもグラーヴはグラウシェラーを問い質す。しかし覇王の答は…

 

「今まで御苦労であった覇王神官グラーヴよ。お前の最後の仕事、それは夜天の書の贄となり真の覚醒を促す事…。」

「そ、そんな…うわぁ~?!」

 

剰りにも非情なグラウシェラーの宣告にグラーヴは苦悶の表情と共に塵となって消え去り、拳の中には蒼いコアだけが残った。

 

「…たかが道具の存在のお前が最後に大きな貢献ができたのだ、誇りに思うがよい。…さぁ、お前らも無に還り、主復活の糧となるのだ!」

 

グラウシェラーが手を振りかざすと、辺りのデーモン達も全て魔力に変換されグラーヴのコアと共に夜天の書に吸収されていく。

 

次の瞬間、夜天の書から紅き光が放たれ1人の女性が姿を現した。

 

銀色のロングヘアーに紅い瞳はかの夜天の管制騎・通称クロハネと瓜二つ。しかしその顔や手足には禍々しい紋様が浮かび上がっている。

 

「目覚められましたか、ナハトヴァール、いや…魔王管制騎シャブラニグドゥ・ナハトよ!」

 

「…ほう、誰かと思えば…久しいな、覇王グラウシェラー。」

 

魔王の返事にグラウシェラーはほくそえむ。

 

(どうやらうまくいったようだな。あとは…ん?この魔力反応は…来るか、[魔を滅する者たち]よ。しかしもう手遅れだ、もはやこの世界は…)

 

「ふっふっふっ…は~っはっはっはっはっ…!!」

 

海鳴の空に邪悪な覇王の高笑いが鳴り響いた…。




…遂に覚醒した魔王管制騎。果たしてリナたちははやてを救う事ができるのか、そして覇王の真の思惑は?

次回「四十九、それぞれの 心に潜む 闇の意味」

意味深なタイトルですが多分気にしなくていーです。(笑)

それでは次回も見てくんないと…

「闇に…沈め~っ!!」

(BY魔王管制騎・シャブラニグドゥ・ナハト)


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四十九、それぞれの 心に潜む 闇の意味

今回からしばらくSIDE(視点)がコロコロ変わります。読み苦しいかもしれませんがご了承ください。


NO SIDE

 

弾けた魔力を頼りにはやてを探すリナたちだったが、そこで見つけたのは覇王グラウシェラーと魔王に侵食された融合騎…シャブラニグドゥ・ナハトだった。後に「破滅の聖夜」と呼ばれる闘いが今始まろうとしていた…。

 

SIDE:リナ

 

…魔力の痕跡を追ってここまできたけど、待ってたのは最悪の結果だわ…

 

「あれは…クロハネさん?!」

 

なのはの呟きに私は頭を振る。

 

「…ほう、久しい顔がいるな。まさか異なる世界で再び合間見えるとは思わなかったぞ、〈魔を滅する者/デモン・スレイヤー〉リナ・インバース…いや、今は…」

 

「…今のあたしは逢魔リナ、リナ・インバースとは違うわ。そっちこそ女性の姿なんて初めてじゃないの?…魔王シャブラニグドゥ!」

 

あたしは魔王であろう女性を名指しで指差すが、それを聞いていた覇王グラウシェラーが高笑いをあげる。

 

「くくくっ…こいつの名は魔王融合騎シャブラニグドゥ・ナハト。魔王様の記憶と能力を受け継いではいるが、あくまで別物…すなわち、我等はこの世界を破壊し支配する同胞となったのだよ!」

 

………!!じゃあはやてや他の騎士たちは…?!

 

「騎士たちは魔力コアとなって夜天の書に吸収され、それに絶望された我が主、八神はやては今は管制人格と共にわたしの中で眠っておられる。」

ナハトは一旦言葉を止め、右手を掲げる。するとその手の中に一本の杖…杖の先に骸骨の着いたそれを、あたしは前世で見たことがあった。

 

「…?!…な、なんなのこの吐き気を感じる禍々しい邪気は?リナ、あれってまさか?!」

 

さすが元セイルーンの巫女ね、アメリアには判ったか。…あれは餓骨杖(がこつじょう)。シャブラニグドゥの武器にして、最強の魔剣と呼ばれる一振りだ。

 

「…私の中の魔王の記憶を基に、夜天の書の力で複製したいわゆるレプリカだ。とはいえ限り無く本物に近いがな。」

 

ナハトは餓骨杖を振り下ろし闘いの構えを取る。

 

「…騎士を失った主はこの世界に絶望し、嘘であってほしいと願った。そして覇王はこの世界を破壊し滅する事を願った。…ならば私はその願いを叶えるだけだ。…私が暴走するその前に!!」

 

「ちょっと待ちなさい!はやてとクロハネはあんたの中で眠ってるだけ…まだ死んだわけじゃないでしょ?なら…」

 

あたしに続いてなのはがナハトに訴えかける。

 

「そうだよ、まだ終わった訳じゃない…ううん、わたしたちが終わらせたりしない!!必ずはやてちゃんもクロハネさんも…そして貴女も助けてみせる!」

 

「…無駄だ。この結末はだれにも…」

 

「なら、あなたはどうして泣いてるの?…泣いてるのはまだ諦めてない証拠じゃないの?!」

 

本人は否定するが、確かにナハトは涙を流していた。

 

「…えぇいしゃらくさい!シャブラニグドゥ・ナハトよ、我等の邪魔をする其奴らを始末してしまえ!」

 

 

「言われなくても解っている。…お前たちに罪がないのは承知しているつもりだ。だがもはやあの平穏な日々は戻る事はない…せめて苦しまないよう逝かせてやる。」

 

ナハトは左手を天にかざすと魔力を収束する…まさかあれって?!

 

「なのは、アメリア、全力で距離をとって回避…来るわよ!!」

 

あたしたちはカートリッジをロードしつつ距離をとった。と同時にナハトの魔力収束が終わり…

 

『…咎人に滅びの禍を。魔星よ集え、全てを呑み込む光となれ。…貫け、赭光!!』

 

膨れ上がった魔力は魔王の力を示す赭色。

 

『闇に…沈め! 赭光収束斬[ルビーライトブレイカー]!!』

 

ナハトから放たれた極太の収束砲撃をあたしたちはなんとか回避する。でもそれより今の砲撃は…

 

 

「今のはわたしのスターライトブレイカー?」

 

そう、なのはの言う通り今の砲撃は星光集束斬[スターライトブレイカー]が基になってる。

 

なのはほど集束技術が無い分威力は下がってるけど、その代わり広域殲滅能力が付加されてる。

 

「夜天の書は吸収した術者の呪文を使うことができるわ。なのはやフェイトは1番最初に蒐集されたから…」

 

「そう言うことだ。ナハトはお前たちだけではない、騎士たちや魔王シャブラニグドゥの力も操れる。もはやお前たちに勝ち目はない!」

 

 

なぜか威張り腐った態度を取るグラウシェラー。…あんたなにもしてないでしょうが…。

 

「それに忘れてない?!あたしやアメリア、プレシアさんは魔力を蒐集されてない…すなわち、あたしたちの呪文は使えないのよ!」

 

最悪の事態を想定して、あたしとプレシアさんは魔力蒐集を後回しにしていたのだ。

 

さらにアメリアは騎士の為やはり蒐集していない。吸収されない限りは大丈夫なはず。

 

「ぬぬぬっ…しかしお前らだけで何が出来る?」

 

「ちょ~っと待ちなさい!」

 

「わたしたちも手助けするよ!」

 

そこに現れたのはアリサとすずかだった。「アリサちゃん、すずかちゃん!!」

 

「あんたたちいったいどうして…フェイトたちはどうしたのよ?!」

 

あたしが尋ねるとアリサは自慢げに答える。

 

「あっちには最凶の魔導師ママと常識外れのあんたの自称ライバルさんが助っ人にいったわ!」

 

「わたしたちはリナちゃんたちのサポートを頼むって。」

 

「…というわけだ。助けに来たぞアメリア。」

 

 

「ゼルガディスさん!!」

 

さらにゼルガディスまで助っ人に?!となると…

 

「みんな!ナハトはあたしとなのは、ヌクヌクとくおんで闘うから、アメリアとゼル、アリサ、すずかでグラウシェラーをお願い。…でもってアルフはフェイトたちの援軍に行ったげて。」

 

あたしはみんなに指示を飛ばす。

 

「フェイトたちはリニスさんと闘ってるんでしょ?…ならテスタロッサ一家でかからなきゃ…ね?」

 

「うん、わかった!それじゃ行ってくる!」

 

アルフはそういうと転送魔法でフェイトの元へ向かった。

 

アメリアたちもグラウシェラーと戦い始めたし…あたしたちも始めようか…なのは!!

 

「うん、絶対に助けなきゃ…はやてちゃんたちも、あの子(ナハト)も!」

 

「僕たちもがんばるよ。ねっ、ヌクヌク?!」

 

「リナはあたしが守る!」

 

よ~し、みんな準備はOKね!あの利かん坊とKY覇王倒してはやてたちを取り返すわよ!!

 

NO SIDE

 

こうしてリナ・なのはチームVSシャブラニグドゥ・ナハト戦、アメリア・ゼルチームVSグラウシェラー戦という組み合わせが出来上がり、闘いが始まろうとしていた頃より少し前、フェイトとアリシアはリニス率いる軍勢と相対していた。

 

SIDE:フェイト

 

「やっぱり来てしまったのですねフェイト、アリシア…」

 

「リニス…どうしても闘わなくちゃいけないの?!」

 

リナたちと別れてすぐ、リニスがデーモンの群れを連れて現れた。その数50…いや100近いかも。

 

「げげっ?!なんでこんなにこっちにくるのよ?」

 

「落ち着いてアリサちゃん。冷静にならないと勝てるものも勝てなくなるよ…。」アリサとすずかも動揺してる。

「もう一度言います、降伏して覇王様に隷従してください。そうすれば命だけは助けて…」

 

リニスの降伏宣告をわたしたちは拒否する。

 

「…それはできないよリニス。わたしたちは友達を…はやてを助けるって決めたから。」

 

「そーそー、それにリニスの事もね!!」

 

わたしとアリシアの返事にリニスは落胆しつつも納得した表情を見せる。

 

「…仕方ありませんね。では手加減はしませんよ?!…行きなさい、デーモンた…」

 

「ほ~ほっほっほっほっほっ!…そこまでよ、猫耳娘!」

 

…今の高笑い、もしかして…

「「「「ナーガさん?!」」」」

 

「私もいるわよ、フェイト、アリシア。」

 

「母さん?!」「ママ?!」

 

声のした上空を見上げるとそこには魔導師のローブを着た母さんとあの棘つきのビキニアーマーを纏ったナーガさんの姿。

 

「…ねぇ、あの2人の方が悪役に見えるんだけど…」

 

「しっ!それをいっちゃダメだよアリサ。」

 

小声でぼそぼそ話してるアリサとアリシアを母さんはジロッと睨んで呟く。

 

「何か言ったかしら、アリシア、アリサさん?!」

 

「「いえ、何にも!!」」

 

「それなら良いのだけど…それはそうと久し振りねリニス…」

 

母さんが声をかけるとリニスの顔色が険しくなる。

 

「そうですねプレシア…こんな形では会いたくありませんでしたが。」

 

「今からでも遅くないわリニス、戻ってきなさい。フェイトやアリシアには貴女が必要なのよ。」

 

「…申し出は嬉しいですが、今の私は覇王グラウシェラー様の配下です。その話きくわけにはいかないです。」

 

リニスの拒絶の返事に母さん、そしてナーガさんの目からハイライトが消えた。こ、これは…

 

「アリシア、アリサ、すずか、大きいのが来る、早く逃げて!」

 

わたしが叫んだのと同時にわたしたちは散り散りに散開する。と同時に…

『サンダーレイジッ!』

 

『冥王降魔陣[ラグナ・ブラスト]!』

 

母さんとナーガさんの無差別殲滅呪文がデーモン達を消滅させた。

 

「す、すごい…」

 

これにはわたしたちも驚きのあまり声も出ない。

 

「…相変わらずのバ…ふざけた魔力ですね、プレシア。それにそちらの露出狂の方も…」

 

「誰が露出狂よ?!…どうして誰もこのセンスが解らないのかしら…」

 

「「「「「「いやいやいやいや。」」」」」」

 

わたしたちだけでなく、母さんやリニスまで否定の素振りをとる。…母さんは人の事は言えない気がするけれど。

「何をやってるのリニス!さっさとそんな奴ら始末しなさい!」

 

そこに現れたのは更なるデーモンの群れを連れた覇王将軍シエラだった。

 

「ふぅ、懲りずにまた出てきたのね…アリサさん、すずかさん、ここは私たちに任せて貴女たちはリナさんたちをサポートしてあげて。…お願いよ。」

 

「えぇ!」「任せてください!」

 

そういうと2人はリナたちの元へと向かった。

 

「さぁ行くわよフェイト、アリシア。なんとしてもリニスを取り戻すわよ!!」

 

「うん、母さん!」「全力でいくよママ!」

 

たとえ覇王将軍が相手でもわたしたちと母さん、ナーガさんがいれば負ける訳がない!必ずリニスを取り返すんだ!

(一方その頃夜天の書の中では…)

 

SIDE:夜天の書の意思(クロハネ)

 

…くそ、油断した!…まさか騎士達を覇王の魔力で支配した上で取り込ませ、更に不足分をも自らの部下を吸収させて暴走を誘発させるとは…救いは主はやてが無傷のまま吸収された事。しかし…

 

「こんな近くにいるのに…どうして?!」

 

今主はやては魔王の赭い結界に阻まれた向こう側で眠っておられる。しかしナハトの防衛プログラムによって強化された結界は今の私ではどうすることもできん…

 

外でナハトと戦っているリナ殿やなのは殿に全てを託すしかないのか…不甲斐ない。

 

リナ殿、なのは殿、どうか主はやてを助けてやってくれ、頼む…NO SIDE

 

こうして各所で激闘が繰り広げられる中、最初に動いたのはリナたちとナハトの戦場だった。

 

SIDE:なのは

 

「アクセルシューター!」

 

「獣王操牙弾[ゼラス・ブリッド]!」

 

わたしとリナちゃんが同時に放った誘導弾がナハトさんに向かって襲いかかる。でも…

 

「そんな攻撃が通じるものか!」

 

ナハトさんは手に持った杖でその全てを凪ぎ払ってしまった。

 

「…こいつルークの時より強くなってる?!…なのは、フォーメーションX(クロス)で行くよ!」

 

「うん!…くおん、ヌクヌク、ナハトさんを撹乱して!」

わたしの言葉に使い魔たちは頷くとナハトさんの回りを飛び回る。その間にわたしとリナちゃんは彼女を挟み込む位置にポジションする。

 

「コンビネーションX、バスタークロスシフト…いっけ~!獣王操牙縛[ゼラス・バインド]!」

 

リナちゃんの放ったバインド弾がナハトさんの両手を拘束する。今だ!

 

「「シュート!!」」

 

互いに当たらないよう射線をずらして放った砲撃がナハトさんに向かって一直線!これなら…

 

「…むん?!」

 

ふえっ?!バインドを壊してすぐ片手ずつのシールドで防御した?!しかも周りに射撃魔法を展開してる!

 

「…貫け…ブラッディダガー!」

 

襲ってくる無数の弾丸をわたしとリナちゃんは必死で回避!でも…

 

「…無駄だ。」

 

突如現れたバインドに手足を拘束されてしまう。しかもこれは…

 

「わたしとフェイトちゃん、それにアルフさんの魔法…」

 

「もう何でもありねこりゃ…」

 

「…協力してくれたお前たちの力を使うのは気が引けるが…これで…終わりだ!」

 

ナハトさんは餓骨杖に魔力を充填させ、魔力弾を放つ。

 

わたしとリナちゃんはバインドを無理やり破壊すると魔力弾を回避した。

 

「言っても解らないんだったら愛の鞭しかないわよ、覚悟しなさい!!」

リナちゃんが叫ぶと同時に、辺りの地面がひび割れあちこちから岩の柱がにょきにょきと…これは?!

 

「…思ったより早いな、もう崩壊が始まったか…夜天の書は確実に赤眼の魔王に侵食されつつある。じきに私も意思を奪われる。覇王はともかく、主の願いだけは叶える…この私の手で!!」

 

ナハトさんは再び自らの前に無数の魔力弾を展開する。

 

「頼む…静かに眠ってくれ。」

 

言葉と同時に放たれる魔力弾がわたしたちに襲いかかる。

 

「えぇ~い、この利かん坊っ!…翔封界[レイ・ウイング]!!」

 

リナちゃんは高速機動の呪文を唱えるとナイトメアハートを剣型に変形させた。…本当に思い通りなんだね、L様…

 

あ、そう言ってる間にリナちゃんがナハトさんに斬りかかった…けど様子がおかしいの?!

 

「…まさか君に心の闇が存在するとは思わなかったよ…」

 

「なっ…これは…?!」

 

えっ、リナちゃんの身体が…消えていく?!

 

「リナちゃん?!」

 

「…大丈夫よなのは、あたしは必ず帰ってくる…だから、ナハトなんかに負けんじゃないわよ?!… … …」

 

『吸収完了。』

 

無機質な声と共に夜天の書が閉じられリナちゃんの姿は影も形も無くなっちゃった…。

 

「…我が主もあの子も、永遠の夢の中で終末の時を迎える…生と死の狭間でな…。」

「永遠なんて…ないよ!リナちゃんもはやてちゃんも必ず帰って来る!!」

 

わたしはレイジングハートを構え臨戦態勢に入る。

 

「いくよ、レイジングハート。」

 

「はい、なのは。貴女の事はわたしが絶対に守ってみせます!」

 

…さぁ、いくよ!全力全壊の第2ラウンド!!

 

SIDE:リナ

 

夜天の書に吸い込まれたあたしが目覚めたのは、見覚えのある場所だった。

 

「…ここは…まさか…」

 

ふと自分の身体を見ると、年の頃は16、7ぐらい。自分なりに胸もあった。

 

(あたしがないんじゃない、廻りが巨乳だらけなだけなんだい!!)

 

「よっ!…やっと目が覚めたかリナ…もう昼前だぞ?!」

 

「…ガウリイ…」

 

そう、ここは前世の世界のあたしの故郷、ゼフィーリア・シティのあたしの家。そして扉から顔を覗かせたのは…

 

あたしが前世で1番好きだった相棒であり旦那だった、ガウリイ・ガブリエフだったんだ…。

 




リナが吸収され単騎(使い魔´Sはいるけど)でナハトに挑むなのは、家族を救うため結束するテスタロッサ一家、主はやてを目の前にして手を出せないクロハネ(夜天の書の意思)…

そしてリナは夢の世界でまさかの再会…

次回「五十、夢のなか 迷いを断ち切る 光の剣」

それでは次回もみてくんないと…

「…なぁリナ、見ないとどうなんだ?!」

「…知るか、このクラゲ頭!」

(BY ガウリイ&リナ)


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五十、夢の中 迷いを断ち切る? 光の剣

サブタイトルに「?」がついたのは…まぁ、本文で。(笑)



NO SIDE

 

シャブラニグドゥ・ナハトによって夜天の書に吸収され、夢の世界にたどり着いたリナ。そこで再会したのは、前世での旅の相方にして生涯のパートナーだったガウリイ・ガブリエフだった…

 

SIDE:リナ

 

…まさかあたしの心の闇がガウリイだったなんて…

 

「どうしたリナ、まだ寝ぼけてんのか?」

 

そう聞いてくるガウリイはあたしの知っているガウリイそのもの。だけど…

 

「はいはい…で、あんたは何者?幽霊、それとも…魔族かなんか?!」

 

「おいおい、何いってんだリナ、俺は…」

 

何か言おうとするガウリイ(?)をあたしは指を横に振り制止する。

 

「…残念だけど、もうこの世界にガウリイ・ガブリエフは存在しないの。だってあいつはあたしよりも先に病気で亡くなったんだから…」

 

あたしは言葉を止め、ガウリイを見つめる。…金色の長髪、澄んだ青い瞳…見れば見るほど本人にしか思えないけど…でも違う、それだけは解る!

 

「…だからこれは夢。そうでしょ、ガウリイ?!」

 

あたしの問いかけにガウリイは困った表情を見せる。

 

「……、やっぱりリナだな、甘い夢より現実を選ぶところは。…そうさ、ここは夜天の書の中、そして俺はおまえの記憶から産み出された残留思念みたいなもんだ。」

 

やっぱり…目的はあたしを夜天の書の一部に取り込むためね。

 

「ねぇガウリイ、ここから出るためにはどうしたらいいか解る?!…わたしには待っている友達がいるんだ…」

 

でもガウリイは首を横に振る。

 

「残念だが、リナ1人じゃ出れないんだ。ここは夜天の書の最深部、ここを破るには内と外、両側から結界破壊しないとダメなんだ。」

 

そんな?!それじゃなのはたちが…

 

「…ちょっと待ってくれるかリナ、ひとつだけ試したい事があるんだ。…〈声〉があいつに届けばあるいは…」

 

「…ガウリイ?!」

 

ガウリイはそういうと目を閉じ、精神を集中し始めた。

 

いったいガウリイは何を…あたしはただ見守る事しか出来なかった…。

 

NO SIDE

 

その頃、無限書庫で夜天の書の調査を続けていたユーノの元に、『リナ消失』の報が届けられた…。

 

SIDE:ユーノ

 

「何だって?!姉さん…リナが消失しただって…どういう事だよクロノ?!」

 

僕はモニターのクロノに怒鳴った。

 

『…どうやら夜天の書に吸収・封印されたらしい。現在なのはが戦闘を続行しているが、状況は芳しくない…僕もこれから現地へ向かうが君もこっちへ来てくれ、頼む!!』

 

クロノの依頼に僕は即決した。

 

「解った、直ぐにそちらに向かうよ!!」

 

『あぁ、それでは現地で!』

 

クロノとの通信が切れると僕は机の引き出しからゴルンノヴァとガーディアンを取りだし、ゴルンノヴァに話しかける。

 

「頼むよゴルンノヴァ、リナを助けるため力を貸して!!」

 

『了解しました、我が主。』

 

僕は掌にのるガーディアンを見つめる。…あれから色々調べてみたけど結局解らなかったなぁ…でも今はそれどころじゃ…

 

『おい、聞こえるか?!』

 

…えっ、何今の声?!…ゴルンノヴァ、君かい?

 

『いえ、私ではありません。』

 

じゃどこから…ってあれ、ガーディアンが青い光を…まさか起動したのか?!

 

『おい、聞こえてるなら応えてくれ!…お前はリナを助けたいのか?!』…?! どうしてリナの事を…

 

 

『そんなことはどうでもいい!お前はリナをどう思ってるんだ?!』

 

………

 

「リナは僕の大事な人だ。恩人であり、義理の姉でありそして…僕の想い人だ!」

 

いなくなって、そしてこいつ(ガーディアン)に言われて初めて気がついた。…僕はリナの事が好きだったんだ…LikeではなくLoveの方向で。

 

『…それだけ聞ければ充分だ。俺がお前をリナの元へと連れてってやる!…ゴルンノヴァをセットアップして柄の所に俺を取り付けろ、早く!』

 

僕は頷くとゴルンノヴァをセットアップして、ガーディアンを柄に取り付ける。するとそれはぴったりとはまり…

 

「こ、これは…頭の中になにか…あ…、そういう事だったのか?!」

 

ガーディアンから送り込まれた記憶、それは僕も知らなかった自分の出生の秘密。そして…

 

「…そうか、僕がリナに惹かれたのは運命だったんだね、ガーディアン…」

 

『まぁ、そう言うことだな。…詳しいことはリナを助けてからだ。…いくぞユーノ!!』

 

ガーディアンから眩い光が放たれ、それと同時に僕の姿は消え去っていた…

 

一方海鳴に目を戻すと、なのはとナハト以外の戦いも熾烈さを増していた。

 

SIDE:フェイト

 

「サンダーレイジ!!」

 

 

「ほ~っほっほっほっほっほっ、冥王降魔陣[ラグナ・ブラスト]!!」

 

…うん、やり過ぎじゃないかな、母さんとナーガさん…

 

さっきからシエラが幾度となくデーモンを召喚するんだけど、その端から薙ぎ倒してる…

 

「…えぇ~い、あんたら本当に人間なの?!本当は魔族の血を継いでるとかそんなんじゃないでしょうね?!」

 

あまりといえばあまりの状況に泣き言を放つシエラ。

 

「…まぁ彼女がぼやきたくなるのも解りますけどね…プレシアはともかく、何なんですかあのナーガさんって…」

 

「えっ、ナーガさんは元々異世界の魔導師で今は母さんのユニゾンデバイスだよリニス?」

お互い撃ち合いながら会話するわたしとリニス。アリシアやアリサ、すずかの4人を相手しながら向こうの様子を見る余裕…やっぱりリニスはすごいね。

 

 

「…でも今日は必ず勝つ!勝ってリニス、貴女を取り戻す!!…バルディッシュ、ブレードモード!」

 

『Yes、Sir!』

 

わたしの命令でバルディッシュは片手持ちの光剣に変化する。

 

そのままわたしは前方にランサーを展開しリニスに向かって放つ。

 

「それは効きませんよフェイト!」

 

リニスは体を捌いて回避するけどそれは予想済み!…アリシア、アルフ!

 

「フォーチュンドロップ[スキル=スイーフィード]…破砕鞭[バルス・ロッド]!」

「バリアブレイク!!」

 

アリシアの光の鞭とアルフのパンチが同時に襲いかかり、リニスのシールドに亀裂が入る。…今がチャンス!!

 

わたしは魔力を充填しつつリニスに接近。そして…

「サンダー…スマッシャー!!」

 

近接用のスマッシャーを撃ち込んでバリアを破壊、ダメージを与えることに成功した!

 

「本当に強くなりましたね、フェイト…それに貴女の周りにはプレシアやアリシア、アルフ…それに友達も出来たみたいだし、もう私の居場所なんて…「違う!!」…フェイト?!」

 

それは違うよリニス。確かに今のわたしは以前とは比べられないほど幸せだと思う。だからこそ、その幸せの中にリニス、貴女がいてほしいんだ!

 

「そうだよ、あたしが甦って、ママも昔の優しいママに戻って…あとはリニスだけなんだよ!」

 

「…あの時は本当に申し訳無い事をしたと思ってるわ。でもまだ間に合う、家族としての時間を取り戻すのよ!!」

…アリシアお姉ちゃん、母さんも想いは同じだよ。お願いリニス、戻って来て!

 

「フェイト、アリシア、プレシア、アルフ…私だって戻りたい、昔みたいにあなたたちの側にいたい…」

 

涙を流しながらリニスは想いを伝える。

 

『…所詮捨て猫風情だったか…これまでね。』

 

ザシュッ!

 

…えっ?!

 

リニスの背後に現れた覇王将軍シエラが手に持った剣でリニスの胸を…貫いた?!

 

「あ…あぁ…フェイ…ト…」

 

口から血を吐きながらもわたしに手を差し伸べようとするリニス。でもシエラの剣に魔力を吸いとられたリニスは山猫の姿に戻り、地面へと落下していく…!!

 

「「「「リニス!!」」」」

 

いち早くアルフが追い付いてなんとか受け止めたけど…

 

「駄目だ、呼吸が止まってる…どうしたらいいんだよフェイト…」

 

狼狽えるアルフを見てシエラが不敵な笑みを浮かべた。

 

『使い魔ごときが私の力になれるんだからありがたく思いなさい!!…うおぉ~っ!』

 

シエラの体を蒼い光が包み込み頭からは角が、背中からは黒い翼が生えてきた。魔剣・ドゥールゴーファもより禍々しい外見に変化している。

『あの子の力を吸収して私は更なる力を得たわ。もはやお前らが束になってかかってこようが勝ち目は…』

 

「…ふざけるな…」

 

『はあっ?!今なんと…』

 

「ふざけるなと言ったんだこの外道!リニスの命はお前のおもちゃじゃない、それを踏みにじったお前をわたしたちは絶対に許さない!!」

わたしはバルディッシュを天高く掲げ、新たな形態を命ずる。

 

「バルディッシュ、ザンバーフォーム!!」

 

「Yes、Sir!」

 

バルディッシュは巨大な両手持ちの光剣に変形した。さらに…

 

「あんただけは絶対に許さない!…フォーチュンドロップ[スキル=スイーフィード]!」

 

お姉ちゃんがデバイスを双銃に変形、チャージを始めた。あの赤い魔力光は…

 

 

『ふん、いくら頑張っても無駄よ!!所詮あなたたちではこの私には…』

 

シエラは依然として強気。でも…

 

「あら、リニスの力を吸収したぐらいで勝ったつもりなのかしら?…嘗めるんじゃないわ、下衆が!…ナーガさん、貴女の力を貸してもらうわよ!」

 

「ふっ、わかったわプレシア。…いくわよ!!」

 

ナーガさんが体を小さくして母さんに近づくと2人の身体が紫色の光を放つ。

 

『『ナーガ・サーペンツ、ユニゾン・イン!!』』

 

ナーガさんとユニゾンした母さんは髪の毛と瞳の色は紫に、更にバリアジャケットも変化している。

 

ボディラインを強調した大人の魔法少女…って感じかな?

 

ナーガさんのバリアジャケットは嫌だけど、あれだったらいいかも知れない。

 

それはともかく、ユニゾンした母さんの周りには紫色の魔力光が弾けている。多分触れるだけで大ダメージ確実だ。

 

『な、なによそれは!あんたたちも合体できるなんて聞いてないわよ?!』

 

シエラが余りの事に狼狽えて目が泳いでる。

 

「さぁいくわよフェイト、アリシア!このふざけた馬鹿女を滅殺するわよ!!」

 

「はい、母さん!!」「りょ~かい、ママ!!」

 

さぁ、もうここからはテスタロッサ一家のターン、覚悟をするなら今の内だよ!!

その頃、夜天の書の中のリナは…?

 

SIDE:リナ

 

…さっきからガウリイは目をつぶったまま精神統一をしている。「アイツに声が届けば…」って言ってたけど、アイツって誰なんだろ?!

 

「………よし!…おい、リナ!」

 

よ~やく話が終わったみたいね。

 

「俺が合図を出したら、目の前の空間を神滅斬[ラグナ・ブレード]でぶったぎれ!同時にアイツが外から同じように斬りつければこの世界から出れるはずだ!」

 

「ねぇガウリイ、アイツって…」

 

「すぐに解る!はやく準備しろっ!」

 

なによもう…あたしは腑に落ちないながらも詠唱を始めた。

『…悪夢の王の一片よ 空の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚ろの刃よ 我が力我が身となりて 共に滅びの道を歩まん…神々の魂すらも打ち砕き!』

 

詠唱が進むと共にあたしの手に虚無の刃が具現化し、そして…

 

「2人とも、今だ!!」

 

『神滅斬[ラグナ・ブレード]!!』

 

『吼えろ、ゴルンノヴァ!!』

 

えっ、今の声ってまさか?!

 

虚無の刃と烈光の刃が重なりあい、ひび割れた空間から現れたのはバリアジャケットに身を包んだユーノだった。

 

「リナ、大丈夫?怪我はない?!」

 

「あたしは大丈夫よ。それよりユーノ、どうしてここに…。」

 

尋ねるあたしに応えたのはガウリイだった。

 

「俺が呼んだんだ。…こいつは俺の転生体だからな。」

 

あ、なるほどね。そうか、ユーノはガウリイの転生体なの…か…って…

 

「え~~~~~っ?!う、嘘でしょ、そんなことあるわけ…」

 

「本当だよリナ。ガーディアン…あのデバイスの人格はガウリイさんを元に作られてる。そして僕の前世は君のパートナー、ガウリイだって…教えてくれたんだ。」

 

そ、そんな事って…あたしは予想外の展開に頭が混乱してしまっていた。

 

「リナ、聞いてほしい事があるんだ。いい?」

 

「ひゃ、ひゃい?!」

 

…ダメだ、動揺がおさえられないよ…

 

 

「リナ…僕は君が好きだ。前世は関係ない、今の君…逢魔リナの事を大好きなんだ!!」

 




…はい、とうとうやってしまいました。(笑)

でも最初から決めてたんですよ、このカップリング…

次回、「五十一、いざ行かん 激闘が待つ 海鳴へ」

それでは次回も…

「…………(放心)」

「お~い…こりゃ次回まで無理かな?」

(BY呆けたリナ&作者)


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五十一、いざ行かん 激闘の待つ 海鳴へ(前編)

今回前後編になります。


SIDE:リナ

 

シャブラニグドゥ・ナハトによって夢の世界に閉じ込められたあたしを待っていたのはあたしの記憶から産み出されたガウリイ。彼の導きによってユーノが助けに来てくれたのはいいんだけど…

 

「ごめんユーノ、もっかい言ってみて。」

 

まだ寝ぼけてんのかなあたし…なんか幻聴がきこえた気がしたんだけど…

 

「うん、僕の前世は君のパートナーだったガウリイさんで…」

 

「いや、そのあと。」

 

「…君が好きだって言ったんだよリナ、姉や友達じゃなく1人の異性として。」

 

あ、やっぱり…って何なのよこの展開。

 

ユーノの前世はガウリイ、ってだけで超展開なのにさらに愛の告白?!

 

「…僕にはガウリイさんの記憶は全く無い。…けどリナ、君が僕にとって大切な人だって事は解るんだ。だから…この戦いが終わったら僕の彼女になってほしいんだ!」

 

…まったく…あんたホントにガウリイの生まれ代わりなの?…直球すぎるわよ言い方が。でも悪い気はしない、むしろ…嬉しいかも。

 

「…しっかたないわね、解った、あんたと付き合ってあげるわ…し、仕方なくだからね?!」

 

…言っててなんだけどツンデレまっしぐらよね、これ…

 

「よかったなリナ。…これで俺も安心して逝ける…」

そういうガウリイの身体が透け始めた…えっ、ガウリイどうなってるの?

 

「…元々俺はお前の残留思念から産み出された幻影だ。お前に新たなパートナーが産まれた以上、俺の出番は終わりだ。」

 

「そっか…それじゃここでお別れだねガウリイ。でも…また逢えて嬉しかったよ。」

 

あたしとガウリイは拳を突きだしグータッチ。そして…

 

「それじゃリナを頼んだぞユーノ、必ずリナを護ってやってくれ!」

 

「もちろんだよガウリイさん…僕はリナを護り、そしてリナと共に生きる!!」

 

ユーノもガウリイと拳を合わせる。

 

「いい返事だ。…そろそろ時間だ。お前たちの行く道はこの亀裂の先だ、さぁ行くんだ…それじゃぁまたな、リナ…。」

そういうとガウリイの姿は消えていった。

 

「バイバイ、ガウリイ…またね。…さぁて行くわよユーノ!多分この先にはやてたちも捕らえられてるはずよ。」

 

あたしの言葉にユーノは頷く。

 

「解ったよリナ。何があっても君は僕が護る!」

 

そしてあたしたちは空間に現れた亀裂に飛び込む。するとそこには漆黒に塗りつぶされた世界。そして…魔王の赤い結界の中で眠り続けるはやてと、必死に破壊しようと抵抗するクロハネだった。

 

『…穿て、ブラッディダガー!』

 

クロハネの放った射撃魔法は全弾命中、しかし結界には傷ひとつ付かない。

 

『くっ、ならば…貫け、クラウソラス!!』

続けざまに放つも吸収されてしまう。…駄目だ、闇雲に攻撃しても魔力を消耗するだけ!

 

「クロハネ!」

 

あたしが声をかけるとクロハネは攻撃の手をやめ、こちらを振り返る。

 

『リナ、ユーノ?!…君たちもナハトに吸収されたのか…』

 

「クロハネ、はやては無事なの?」

 

『あぁ、眠っておられるだけだ、命に別状はない。だが我が魔力を持ってしてもこの結界が…くそっ!』

 

…冷静さを欠いちゃダメよクロハネ。必ず方法はあるはず…

 

あたしたちは結界の奥で眠り続けるはやてを見上げる。

 

『ふ~ん、なるほど…リナ、あの結界は魔王シャブラニグドゥの力が変異した特殊なやつだね。』

「L様?…それで、破壊は可能なの?!」

 

突然声をかけてきたL様にあたしは聞き返した。

 

『破壊はできるけど…ほら、あれを見て。結界の端に目玉みたいなのあるでしょ?』

 

言われてみると結界の端に3つの目玉があり、結界はそこから発生しているようにみえる。

 

『…あたしの見たところだと、結界を破壊しようと思ったらあの目玉を3つ同時に、しかも強力な斬撃でぶった斬るしかないみたいだよ。』

 

強力な斬撃…あたしには神滅斬[ラグナ・ブレード]があるし、ユーノはゴルンノヴァを使って居合を打ち込めば…クロハネ、あんた斬撃魔法は?!

 

『心配は無用だ。私は騎士の力をすべて使えるから…ふんっ!!』

クロハネが右手に力を籠めると、手の中に具現化したのは…黒いレヴァンティン。

 

『こいつで将の真似事でも撃ち込んでやるさ。威力だけならひけはとらん筈だ。』

 

…OK。それならさっそく…あたしはリンカーコアをブーストさせると詠唱を始める。…と同時にユーノとクロハネもそれぞれの剣を鞘に納め、魔力を充填していく。

 

『悪夢の王の一片(ひとかけ)よ 世界(そら)の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚ろの刃よ 我が力我が身となりて 共に滅びの道を歩まん… 神々の魂すらも打ち砕き!!』

 

いくわよ、ユーノ、クロハネ!

 

「いくぞ、極天一刀・真雲切!」

「喰らえ、黒天一閃!!」

 

「神滅…斬[ラグナ・ブレード]!!」

 

あたしたちの放った斬撃は全く同時に3つの目玉を切り裂き、結界を消滅させた!

 

『我が主?!我が主~っ?!』

 

空から気を失ったまま落ちてきたはやてをクロハネは飛び込んでキャッチした。…はやては大丈夫なの、クロハネ?!

 

『…大丈夫、気を失っているだけのようだ。…ありがとうリナ、ユーノ、それにL様。主はやてを助けられたのは君たちのおかげだ…』

 

「いいっていいって。友達を助けるのは当然の事でしょ?それよりはやてを起こして早くここから…」

 

ドガァーン!!

その時大きな衝撃と共に辺りが地震のように揺れた。

 

『…どうやら外の戦いも激しくなってきたようだな。』

 

…なのは…もう少し待ってて、すぐに助けに行くから!!

 

NO SIDE

 

クロハネの予感通り、夜天の書の外部ではあちこちで文字通りの熾烈な戦いが繰り広げられていた。

 

海鳴公園の上空では覇王将軍シエラとテスタロッサ一家が、海鳴中央病院近辺では覇王グラウシェラーとアメリア、アリサ、すずかが対峙していた。

 

そして一番激戦なのが魔王管制騎、シャブラニグドゥ・ナハトとなのは(+使い魔´S)の戦いだった。

 

パートナーのリナが夜天の書に吸収され孤軍奮闘となったなのはだったが、持ち前の戦術眼と使い魔たちの奮闘もあり押されながらも戦線を維持していた…。

SIDE:なのは

 

「ディバイーン…バスタァー!」

 

わたしの砲撃をナハトさんは詠唱をせず張ったバリアで受け止めるとそのまま直進、弾幕を張った…あれはフェイトちゃんのフォトンランサー?でも色が赭いということは…!?

 

「ヌクヌク、くおん、あの弾は全部避けて!多分あれは…」

 

「喰らうがいい、赭光槍[ブラッド・ランサー]!」

 

…やっぱりシャブラニグドゥの力…それでもベースが分かってれば!

 

わたしだけでなく、ヌクヌクとくおんも被弾することなく回避に成功すると反撃開始する。

 

くおんは火の玉を展開して投げつけるけど全然効いてないみたい。…あれ、ヌクヌクはどこに…

「ん~、黒妖陣[ブラスト・アッシュ]!」

 

どこからか声がしたかと思うとナハトさんは黒い霧に包まれた。でも…

 

「効かないと言ってるだろう?…そこだ!」

 

ナハトさんは霧を何事も無かったように振り払い、近くの建物に魔力弾を撃ち込む。そこに隠れていたのはヌクヌク。

 

作戦は良かったんだけど…いかんせん魔力量の差が大きすぎる。

 

「ヌクヌクとくおんは逃げ回って牽制をお願い、ナハトさんはわたしが止める!」

 

わたしの言葉を聞いてナハトさんは苦笑いしながら…

 

「わたしを止めるだと…あのリナという少女もいない今、馬鹿の一つ覚えみたいな砲撃が通ると…「通す!!」…何?!」

 

わたしはレイジングハートを正面に構え、足元に魔方陣を展開させた。

 

『レイジングハート・オリヴィアナ、フルドライブ!…カートリッジロード、…いくよ、レイジングハート!!』

 

『了解です、なのは。』

 

さらにカートリッジを2つ使用して魔力を充填していく。

 

すると杖の先から槍のような魔力光が具現化し、その余波が淡い桃色の翼となって纏われる。

 

「…これは…?!」

 

「…レイジングハートが…ううん、リナちゃんやフェイトちゃん、みんなが力を貸してくれてる!…泣いてる貴女を助けてあげてって!!」

 

チャージはOK、いくよ、わたしの秘密兵器その1!

『エクセリオンバスターA.C.S.…ドライブ・イグニッション!!』

 

わたしは術を発動させると、最大加速でナハトさんに突貫する。ナハトさんも何かを感じたのか動きを止めシールドを張って迎撃体勢だ。

 

ズッカーン!

 

わたしは槍のようにレイジングハートの刃先をシールドに突き刺す。でもナハトさんの防御は抜けない…それなら!

 

「レイジングハート、カートリッジフルロード!!」

 

わたしの声に答えるようにカートリッジが4連発で充填、刃先と翼が大きくなる。まだまだいくよ!

 

『レイジングハート…ううん、白輝の聖王オリヴィアナ、力を貸して!聖光突貫槍[セイクリッド・スピアー]!』

 

さらにレイジングハートを解放して白輝の聖王の力を上乗せ、さらに加速する!

 

「…なっ、これは…」

 

「…お願い、届いて!」

 

バリアに止められていた刃先はじわじわとバリアの内側に食い込み、遂に貫通した…今だ!

 

「ブレイク…シュートッ!!」

 

わたしはバリアの内側にいるナハトさんめがけて全力のバスターを発射した。辺りは爆煙に包まれ、わたしも至近距離射撃の反動でダメージを受けてしまう。

 

(はぁ、はぁ…バリアを貫通させた状態でのバスター直撃、これでダメなら…)

 

『なのは?!』

 

…大丈夫だよレイジングハート。わたしは折れないから…絶対に!

「見事だ、人間の娘よ。…私に少なからずダメージを与えるとはな…」

 

爆煙の落ち着いたその先にはナハトさん。その左手はバスターの直撃でズタズタになっている…自分でやっておいてなんだけど。

 

「しかし、まだ足りん…ふんっ!」

 

ナハトさんは自分の左腕を切り落とすと、すぐさま再生させた…え~~っ?!

 

「…レイジングハート、もうちょっと頑張らないと…だね!」

 

『…それでこそなのはです!』

 

わたしはレイジングハートを構え直した。わたしが絶対に助けて見せる、そのため手にした撃ち抜く魔法なの!

 

SIDE:アメリア

うっわ~、シャブラニグドゥってあんなに強いの?なのはちゃんのバスターも凄いけど、それ受けてほぼノーダメージなんて…

 

じつはわたし、シャブラニグドゥとは対戦してないからなぁ…ゼルガディスさんは戦ったことあるんですよね?

 

「あぁ。あの時はレゾの意志が残っていたのとリナのギガ・スレイブのおかげで勝つ事ができた。今回のやつはバグだという事らしいが…」

 

それでも魔王相手に単騎戦うなんて憧れます!確かに覇王グラウシェラーは強いし、操られた借りもあるからとりあえずぶっ飛ばすけど。

 

「ゼルガディスさん、アリサちゃん、すずかちゃん!…はやくこんな小者倒してなのはちゃんを助けるわよ!」

「「「了解!!!」」」

 

吸収されたリナも心配だけど多分大丈夫!そう信じながらわたしたちはグラウシェラーとの戦闘を再開した。

 

一方その頃、海鳴の海浜公園上空の戦いがあれほど一方的な戦いになろうとは…だれも思わなかった…

 

 




予告通りいよいよ各地でフルボッコです。…最初の犠牲者は…シエラだ!(笑)

それでは次回「五十二、いざ行かん 激闘の待つ 海鳴へ(後編)」

次回も見てくんないと…

「ほ~ほっほっほっほっほっ!いよいよわたしの…」

「…出番はないわよ?」

(BYナーガ&プレシア)


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五十二、いざいかん 激闘の待つ 海鳴へ(後編)

今回からフルボッコタイムが始まります。


NO SIDE

 

熾烈化を極める戦局の中、 戦いは終盤戦に突入する。

 

そして、雷光の一家と覇王将軍の一戦は剰りにも一方的な終局を迎えつつあった…。

 

SIDE:フェイト

 

母さんとナーガさんが参戦してから小一時間、ずっとわたしたちのターン…いや、20回に1回ぐらいお情けで攻撃させてるけどほぼ完全にわたしたちが制圧してる。

 

「…どうして…どうしてたかが人間風情にここまで…」

 

一見、目立った損傷は無いように見えるシエラだけど、実はもう数えきれない位再生を繰り返してる。わたしもザンバーで幾度となくぶった斬ったけど大半はこの人たち…。

「あら、まだやるの?まったく懲りないわね…そんなに私の雷撃が気に入ったのかしら?」

 

『ほ~ほっほっほっほっほっ!わたしとプレシアが組めば覇王将軍の1人や2人、どうと言うこと無いわ!』

 

…うん、端から見てるとどう見ても…

 

「「ママ(鬼婆)の方がラスボスに見える!!」」

 

あ、駄目だよアリシア、アルフ。そんなこと言ったら…

 

「あら、誰がラスボスで鬼婆ですって?(怒)」

 

「「ひいっ?!」」

 

母さんの凄まじい殺気が2人を襲う。まぁ実際に攻撃することはないと思うけど…

 

それはそうと今気付いたんだけど、母さん若返ってるよね?!

元々実年齢(〇9歳)より若く見られる母さんだけど、今の母さんはどう見ても20代前半、いや下手をすれば10代後半にしか見えないよ?!

 

「あら~流石フェイト、よく気づいたわね。私とナーガさんがユニゾンするとナーガさんの生命力でこうなるらしいのよ…これなら貴女たちの姉でも通用するかも…。」

 

…ま、まぁユニゾンは魔力をたくさん使うから多用は禁物だよ?…って母さん、シエラが!

 

「わたしを無視するなぁ~?!喰らえ、覇王氷河烈[ダイナスト・ブレス]!!」

 

シエラは自らの想像主である覇王の力を借りて氷結呪文を放つ。普通の魔導師相手なら一撃で決まる強力な呪文なんだけど、今の母さんには…

「効かないって言ったわよ!」

 

片手、しかも無詠唱で発動したバリアに防がれてしまう。

 

「…そろそろ終わりにしましょうか?フェイト、アリシア、アルフ、止めの準備をなさい!」

 

「はい、母さん。」

 

「うん、ママ!」

 

「任せとけ!」

 

わたしたちはそれぞれのポジションに飛び散ると呪文を詠唱して魔力をチャージしていく。

 

「くっ、させは…何っ、これは…?!」

 

わたしたちの動きを見て阻止を目論んだシエラ。でも1歩遅いよ…母さんとナーガさんが予め設置してたライトニングバインドがシエラの全身を拘束、完全に動きを止めた。

「くっ…う、動けない…貴女、本当に人間なの?!」

 

「…ええ、普通の人間よ。ただ、貴女は大きな過ちを犯した。…わたしたちの大事な家族を操りあまつさえ自分の保身の為に傷つけ奪った…それだけで死に値するわ!!」

 

母さんは手にもった杖を天にかざし呪文を発動する!

 

「…簡単に楽になるとは思わないことね…サンダー…レクイエム!!」

 

呪文の発動と同時にシエラに雷の大柱が突き刺さる。

 

「………………?!…あ…が…?!」

 

「まだまだだよ!…フォーチュンドロップ・[スキル=スイーフィード]…冥王崩魔陣[ラグナ・ブラスト]!」

 

アリシアの放った呪文は逆五芒星となってシエラの廻りに展開と同時に黒い柱となって吹き上がる!

 

「がっ?!な、何故滅んだはずの冥王様の呪文が…?」

 

…知らなかったの?あなたのいってる冥王フィブリゾは確かに滅んでるけど、この世界とは無縁なんだよ。…それ以前にわたしたちにはL様がいるから。

 

「さぁ、最期の時だよシエラ。…これがわたしの一撃必閃!」

 

わたしの構えたバルディッシュはもう臨界点を迎えていた。

 

「ジェット…ザンバァーッ!」

 

光の大剣と化したバルディッシュは音も無くシエラを真っ二つにした。でもこれだけじゃ気が治まらない!

「バルディッシュ、ブレードモード!!」

 

わたしの声にバルディッシュは片手剣形態に変形する。

 

「サウザンド…スラッシャー!!」

 

放った斬撃はシエラの身体を切り刻み塵と化した。

 

「やったねフェイト!…でも、リニスは…?」

 

『わたしはここです、フェイト、アリシア、プレシア、アルフ…。』

 

声のした方を振り向くとそこには、リニスの姿があった。でも…。

 

『…はい、今のわたしは残留思念、最期の燃えカスです。ただ、貴女たちにどうしてもお礼が言いたくて…』

 

そんな?!…やっと、やっと逢えたのに…そんなのないよ!

「ママ、どうにかならないの?!」

 

アリシアに詰め寄られた母さんは、暫し思案して…

 

「方法はあるわ。…リニス、貴女の使い魔としてのデータのバックアップはあるから貴女と同じ素体の使い魔は造れる。でもそれは似て非なるものに過ぎないわ。…そう、アリシアとフェイトのようにね…」

 

「プレシア…」

 

「だけど身体を造ることが出来るなら、貴女が戻るべき身体があるなら…?!」

 

…あっ?!アリシアを甦らせたあの呪文…聖王降魂陣[ヴィヴ・フォール]ならリニスの霊を呼び戻せる!…でもあれはゼルガディスしか使えないんじゃ…

 

「…わたしがやるよ。わたしがリニスを甦らせる!」

「アリシア…お姉ちゃん?!」

 

「ぐはっ?!…今の一撃は効いたよフェイト…じゃなくて!」

 

わたしの一言に何故かダメージを受けたアリシアは気を取り直し話を続ける。

 

「わたしのフォーチュンドロップでヴィヴ・フォールを使えばリニスを取り戻せる!…そう言うことだよね、ママ!!」

 

母さんは頷くと杖をアリシアに向ける。

 

『ディバイド・エナジー!!』

 

母さんの魔力がアリシアに注がれ、アリシアの身体が水色の強い光を放つ!

 

『リニスの身体を再構築するから、同時に呪文を発動して魂を呼び戻す!…いいわね、アリシア。』

「うん、ママ!!…『古より世界(そら)を抱きし生命の女神よ! 常世を守りし白輝の聖母(はは)よ! 我に力を貸し与え 迷える魂を今一度 在るべき処へ戻さんことを!!』」

 

母さんが、リニスの身体を再び構築させた。今だよ、アリシア!

 

「お願い、戻ってきてリニス!…『聖王降魂陣[ヴィヴ・フォール]!』」

 

アリシアから放たれた水色の光がリニスの身体を包み込んだ。

 

「リニス、目を覚まして!」

 

やがて光が消えると、リニスの目蓋がピクッと動いた。

 

「あ…私…戻ってこれた…」

 

「「「リニス!!!(×3)」」」

「わわっ?!」

 

目を覚まし身体を起こしたリニスにわたしとアリシア、アルフの3人は思わず飛び付いた。

 

「…リニス、よく戻って来たね。もう出てっちゃやだよ?!」

 

「…はい。これからは一緒ですよ、もう離れません!」

 

「良かったわねフェイト、アリシア…それとリニス。」

 

「はい、プレシア…。」

 

母さんはリニスの手を取る。

 

「今日からアリシアが貴女のマスターよ。アリシアとフェイトの事を守ってあげて…これは元マスターとしてではなく、友人としてのお願い。」

 

「言われなくてもそのつもりです。…アリシア、フェイト…大好きですよ。」

涙ぐむリニス。…でも闘いは終わりじゃない。なのはやリナ、それに他のみんなも闘ってる…

 

「いくよ母さん、お姉ちゃん…アルフはリニスをお願い。」

 

「わかった。フェイトたちも気をつけて!」

 

「くれぐれも無理しないでください。」

 

わたしたちは海鳴中央病院へ向かうことにした。なのは、リナ待ってて…すぐ助けにいくから!!

 

SIDE:アメリア

 

わたしたちと覇王グラウシェラーとの闘いは一進一退の攻防を続けていた。

 

頭数ではわたしたちが上回っていたけど、いくら能力を落としていても魔王の側近は伊達じゃない!

 

「フレイムウイップ!」

 

「アイススプレッド!」

 

アリサとすずかの同時攻撃も軽くあしらわれてしまう。いったいどうしたら…

 

「…あれを使ってみるか。アメリア、こっちに来てくれ!」

 

わたしは呼ぶ声に応じてゼルガディスさんの側に近づく。

 

「どうしたんですかゼルガディスさん?何か秘策でも?!」

 

「あぁ…アメリア、俺の手をとってくれ。」

 

えっ、手を取れってどういう…

 

「…いいから早く!」

 

「は、はいっ?!」

 

わたしの手がゼルガディスさんに触れると、わたしたちの魔力が反応し、ゼルガディスさんは身の丈30cmくらいになる。

『いくぞアメリア!…ゼルガディス・グレイワーズ、ユニゾン・イン!』

 

その瞬間、ゼルガディスさんは翠色の光に変わりわたしの胸へと飛び込んできた。

 

するとわたしの髪と瞳の色が翠色に変化し、魔力が一気に増幅された…これがユニゾン?

 

『そうだ。…どうやらうまくいったようだな。』

 

ゼルガディスさんの声が頭の中で響く。…そうか、今わたしはゼルガディスさんとひとつになってるんだ…

 

『さぁいくぞアメリア!この力であの覇王を倒すぞ!』

 

「はい、ゼルガディスさん!」

 

「へぇ…それじゃわたしたちも特訓の成果を見せるとしますか、すずか?!」

 

「うん、アリサちゃん!…見せるよ、わたしたちのユニゾンを!!」

 

そういうとアリサさんとすずかさんはお互い背を向けあって、待機状態に戻したデバイスを重ねる。

 

『『ユニゾンリライズ!!』』

 

眩い光に包まれた2人の姿が消え、再び現れた時にはアリサさんの服は青色に、すずかさんは赤色に変化していた。

 

「へっへーん、これがわたしたちの秘密兵器、ユニゾンリライズよ!」

 

す、凄い!相乗効果なのか魔力が跳ね上がってる!これなら覇王にだって!

 

「ふん、それしきの事で我に勝てると…」

 

勝てるかどうかじゃないわ、絶対に勝つわよ!さぁ覚悟しなさいグラウシェラー、わたしのこの正義の一撃で倒してあげる!




はい、アメリア&ゼルガディスがユニゾン、アリサ&すずかがユニゾンリライズと2つの異なるユニゾンが出揃いました。

果たしてこの闘いの行方はいかに?!

次回「五十三、ぶん殴る 正義の巫女の その拳」

それじゃ次回も見てくんないと…

「燃やされるのと」「凍らされるの」「さぁ、どっち?!」

(BYアリサ&すずか)


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五十三、ぶん殴る 正義の巫女の その拳

皆さんいかがお過ごしですか?熱中症にならない様に気をつけてくださいね!


NO SIDE

 

覇王グラウシェラーと対峙するアメリアはゼルガディスとユニゾン融合を果たし、アリサとすずかも秘密兵器・ユニゾンリライズを解放する。覇王と夜天の巫女の戦いは最高潮を迎えつつあった…

 

SIDE:アメリア

 

ゼルガディスさんと合体したわたしはパワー全開!アリサさんとすずかさんもユニゾンリライズでパワーアップしてるし、これなら勝てる!

 

「ふん、少しばかり強くなったところで所詮は人間風情…早々に始末を…」

 

「油断大敵!ファイアクラスターっ!」

 

「フリーズクリスタル…喰らいなさい!」

 

いつもとは逆にすずかさんが焔の炸裂弾を、アリサさんが氷の貫通弾を放つ。

「ふん、そんな物効かぬと…何?!」

 

グラウシェラーはさっきまでと同じ様に大剣で振り払おうとしたけど、焔は大剣を避け覇王に命中、更に大剣は氷に封じこまれた。

 

「ば、馬鹿な?!」

 

今がチャンス!

 

『『永久と夢幻をたゆたいし 全ての心の源よ 尽きることなき蒼き焔よ 我が魂の内に眠りしこの力 夢幻よりきたりて裁きを今ここに!!』』

 

 

…わたしとわたしの中のゼルガディスさんがシンクロし、魔力が数倍に膨れ上がる。

 

『いくぞ、アメリア!』

 

「はい、ゼルガディスさん!」

 

『『崩霊裂・重[ラ・ティルト/スクエア]!!』』

 

 

わたしとゼルガディスさんの声が重なり放たれた呪文は極大の蒼き柱となってグラウシェラーの真下から吹き上がる!

「グ、グオォワッゥ?!」

 

崩霊裂・重の直撃を受けたグラウシェラーは大ダメージ!…着ていた鎧や大剣にはあちこちヒビが入り体中傷だらけ…確実に弱ってる!!

 

「すずか、[アレ]で一気に畳み掛けるわよ!!」

 

「OKだよアリサちゃん…お願い、スノーホワイト!」

 

『畏まりましてよ、すずか。』

 

「フレイムアイズも頼んだわよ!」

 

『おう、任せときなアリサ!』

 

アリサさんたちもここが勝機と見て、デバイスに魔力を充填していく。…一体どんな技を?

「いくわよこれが!」「わたしたちの全力全開!!」

 

『『ユニゾンアーツ1St…フレイザード・ストーム!!』』

 

アリサさんの剣とすずかさんの槍から放たれた膨大な魔力の嵐が覇王に命中!しかも…

 

「な、何故再生できぬ?!」

 

覇王は魔族の能力で再生を試みたみたいだけど出来なかったみたい。

 

「わたしたちの焔で傷口を焼ききられ氷で細胞を凍死させたのよ、いくら魔族でも簡単には再生なんて出来ないわ!」

 

「今よアメリアちゃん、止めをさして!!」

 

…はい!ゼルガディスさん、こないだテレビで見たアレ、やってみません?!

 

『アレって…まさかアレか?!…駄目だ、流石に恥ずかしすぎる!!』

そんなこと言わないで…いきますよ!!

 

「さぁ、最後の仕上げです!」

 

『あぁ…(…恥ずかしいが仕方ない…)。』

 

わたしは魔力を右の拳一点に集束させていく。

 

そしてわたしの中でゼルガディスさんも魔力を集束、わたしの拳に充填させる。

 

「『2人の拳が真っ赤に燃える!幸せ掴めと轟き叫ぶ!!』」

 

「…ちょっとすずか、あれってまさか…?!」

 

「…突っ込んだら負けだよ、アリサちゃん…」

 

アリサさんとすずかさんの視線が生暖かい気がするけど気にしません!

 

「『ばぁ~くねつ!ゴッド…ナックル!!』」

 

「石!」『破!』「『ラ~~ブラブッ!!覇王クラ~ッシュ!!』」

 

わたしは最大加速でグラウシェラーに突貫する。

 

「……………!!」

 

覇王は諦めたのか避けようともせずその場に立ち尽くす。

 

わたしは加速したまま全ての力を集束した拳で覇王のどてっ腹を撃ち抜いた!

 

覇王は無言のまま塵となって消滅した。

 

「やったわねアメリア!」

 

「ゼルガディスさんも凄いです!」

 

アリサさんとすずかさんが寄ってきた。わたしとゼルガディスさんはユニゾンを解除した。

「はい!わたしたちの正義と愛の力の勝利です!」

 

「まぁそれはおいといてだ…まだなのはは闘ってるみたいだしリナのことも…心配はしてないが気には掛かる。応援に向かうぞ!」

 

ゼルガディスさんの言葉にわたしたちは頷くと新たな戦場へと向かう。

 

…ただ、ひとつだけ気になる事が…覇王グラウシェラーが消える瞬間、笑ってたような気がするのはわたしの気のせいなのかな…?

 

NO SIDE

 

こうして外の世界で次々と決着がつく中で、夜天の書の中でも動きを見せていた。

 

SIDE:はやて

 

う、う~ん…なんや騒がしいなぁ…ってリナちゃんとユーノ君、それにあんたは…?!

 

「我が主?!…よかった、目を覚まされましたね…。」

 

「はぁ~、これで一安心ね…気分はどう、はやて?!」

 

…気分がどうというか、わたしいったいなんでこんなとこに…ここはどこなん?!

 

「覚えてないのですか?ここは夜天の書の中です。…貴女は暴走を始めた夜天の書に吸収されたのです。」

 

…!! 思い出した、何もかも。わたしは目の前で騎士たちを殺されたのを見て、それで気を失って…

 

「大丈夫です。騎士たちは夜天の書にコアとして吸収されただけ…取り返すことはできます!」

 

ほんまか?!いったいどうすればええんや?!

「そのためにはナハトに一定のダメージを与え、私の管理者権限を取り戻さなくてはいけません。」

 

「それはあたしたちでなんとかするわ。ね、ユーノ?」

 

「あぁ、僕とリナ、そして表で頑張ってるなのはがいればなんとかなるよ!」

 

そういうとリナちゃんとユーノ君は立ち上がる。

 

「…というわけで先行くわね。あんたたちも早くくるのよ、まってるから!」

 

次の瞬間、リナちゃんたちの姿が消える。

 

「…我が主、申し訳ありません。私の為に危険な目に…」

 

落ち込んだ表情で話すクロハネ。…そうや!わたしには大事な役目があったんや!

 

「…心配いらへん、リナちゃんやなのはちゃんたちがなんとかしてくれる。それより約束を守らんとな。」

 

「約束?」

 

訝しげに聞き返す彼女の頬をさすりながらわたしは言葉を続ける。

 

「そうや。約束したやろ、あんたに素敵な名前を付けたげるって。」

 

「……………!!」

 

「…よう聞きや。『…夜天の主の名において 汝に新たな名を送る…強く支える者、幸運の追い風、祝福のエール…リインフォース。』…それがあんたの名前や。」

 

「リイン…フォース、ですか?」

 

戸惑いながら聞き返すリインフォースにわたしは頷いた。

「そうや。あんたを二度と闇の書なんて呼ばせない為に一生懸命考えた名前や。…もうあんたは呪われた魔導書なんかやない。今日からはわたしの大事な家族やで、リインフォース♪」

 

わたしがそういうとリインフォースの赤い瞳が翠色へと変化し、大粒の涙が溢れ落ちる。

 

「ありがとう…ございます…ですが主はやて、外にいるナハトを止めないと私達は脱出出来ません。あの小さな勇者たちの力を集めても…」

 

「うん…それはなんとかしよ。…リナちゃんとユーノ君が脱出するタイミングでナハトに干渉するで!」

 

そういうとわたしは夜天の書を胸に抱え瞳を閉じた。…あとはリナちゃんたちと力を合わせてナハトの暴走を止めるんや!!

NO SIDE

 

こうしてリナとユーノ、はやてとリインフォースはそれぞれ脱出を目指し動き始めた。

 

しかし、そのナハトと闘い続けるなのはたちは次第に劣勢にたたされていた…

 

SIDE:なのは

 

はぁ、はぁ、…わたしと使い魔たちは追い込まれてた。

 

ディバインバスターを直撃させても大したダメージにならないし、ヌクヌクやくおんの攻撃は全く効いてない。

 

「じり貧だね、こりゃ…。」

 

「ヌクヌク、もうつかれたよ…。」

 

お願い、もう少し頑張って!!…他のみんなも頑張ってるし、リナちゃんも必ず帰ってくるから!!

「無駄だ…最早この結末は誰にも変えられん…そろそろ終わりにしよう。」

 

ナハトさんはそういうと再び攻撃を始める。

 

無数に展開する誘導弾にくおんとヌクヌクが弾き飛ばされ、わたしもシールドで防御したけど…

 

ピシッ…パリン!!

 

「きゃあ!」

 

シールドが限界を越えて消滅し、わたしは海の上をまるで水切りのようにはね飛ばされる。さらに…

 

「ふんっ!」

 

ナハトさんの放ったチェーンバインドに捕らえられちゃった…もしかしなくてもこれってピンチ?!

 

弾き飛ばされたくおん達は動けないみたいだし…

 

ナハトさんはバインドに縛られたわたしの上空で夜天の書のページをめくり、ある処で止めた。

 

「…ここまでよく戦った、小さな勇者よ。敬意を表して最大の技で葬ってやる…出でよ、[対艦槍・ダークバベル]!!」

 

 

ナハトさんの呼び掛けに応える様に、雲の中からわたしの頭上に具現化したのはとてつもなく巨大な槍だった。

 

「いかに君が丈夫でもこれを耐える事はできない…。」

 

…うん、そんなの見れば一目で判ると思うな。っていうかあんなの無理むりムリMURI?!いくらわたしが頑丈でもひとたまりもないの!

 

「これで最期だ。闇に…沈めぇぇっ!」

ナハトさんが槍を降り下ろす…というより押し込むと、槍はまるでドリルのように回転しながらわたしの頭上に墜ちてくる。

 

わたしはバインドから逃げようと必死にもがいてみるけど…あぁ、もうダメ?!

 

『いいえ、なのは!来ましたよ、救世主が!!』

 

えっ…レイジングハート?!

 

『神滅斬[ラグナ・ブレード]!!』

 

『切り裂け烈光!…ゴルンノヴァ・ザンバー!!』

 

わたしに対艦槍が激突する直前に目の前に魔方陣が展開し、現れた人影が対艦槍を十字に切り裂いた。

 

「…大丈夫、なのは?怪我はない?」

 

「リナちゃん!!それにユーノ君も?!」

そう、わたしの窮地を救ってくれた救世主、それは夜天の書に吸収されたはずのリナちゃん!…あれ?リナちゃん、なんで髪の毛と眼が金色…ってまさか?!

 

『あ~、大丈夫だよなのは。確かに[金色の魔王/あたし]の力は解放してるけど、あたしが完璧に制御してるから。…ただリミットオーバーしてるんで多分明日から身動きとれないと思うよ…多分。』

 

L様…

 

「ま、シャブラニグドゥ相手に戦うなら備えは万全に…ね。だからあとはあたしらにまかせてなのはは…。」

 

「レイジングハートっ?!」

 

『は、はい…何ですかなのは?(嫌な予感しかしませんが…)』

 

「レイジングハートもできるんだよね、[白輝の聖王/あなた]の力を解放させること。」

 

『…はい。でもそれは幼い貴女の身体に多大な負担がかかります。』

 

「わたしは頑丈だから大丈夫なの!!それよりナハトさんが地球を壊滅させたら一緒だよ!」

 

少しの沈黙のあと、レイジングハートは心を決めてくれた。

 

『…判りました。私の力を解放し、なのは、貴女に委ねます。ただ無理はしないで。それだけは約束してください。』

 

ボワッ!!

 

次の瞬間、わたしの身体にレイジングハートから不思議な力が注がれる。

 

と同時にわたしの身体にも変化が訪れる。髪の毛が茶色から鮮やかなハニーブロンドに、瞳の色が紅と翠のオッドアイに変化して…す、凄い、魔力が身体からどんどん湧き出てくるよ!!

『当然です、神の力ですよ?!…まぁ明日はポンコツ間違いなしですけど。』

 

「あう~。それでもいいもん、友達を助けるためだから!!」

 

「早速だけどナハトを止めるわよ。…魔方陣展開、術式スイーフィード!…出でよ、金色の魔王…の右腕!」

 

リナちゃんの声に応える様に魔方陣の中央から現れたのは…一本の巨大な腕。あれは…

 

『や~、腕だけでも具現化できるとなんか嬉しいねぇリナ?!』

 

そう、あの腕の正体はL様。正確にはL様の一部らしい。リナちゃんによるとラグナ・ブレードとかと理屈は一緒らしいんだけど…まぁL様だからなぁ…

 

「なにぼうっとしてるのなのは?!早く魔力のチャージして!」

いけないいけない、わたしはレイジングハートを掲げ魔力を集束する。そして…

 

「…よし!リナちゃん、L様、あとは任せたの!」

 

わたしが集めた元〇玉…じゃなかった、魔力の塊をL様の手が握り締めた。わたしの桜色の魔力玉にリナちゃんの暗い蒼色、さらにその上にL様の金色が重なっていく。

 

「いくわよなのは!」

 

「いつでもいけるよ?!」

 

ナハトさんには悪いけど、これで決めてみせる!…この極大殲滅コンビネーション、「アストラル・グレース」でね!!




はい、今回は他作ネタが所々入ってます。最後のリナとなのはの技はパチンコネタですね。わかる人はぜひ感想の方ください。(笑)

さぁ次回からはいよいよラストバトルへと突入です!!A´S編もあと少し、頑張りますので応援よろしくお願いします!

次回「五十四、復活す 夜天の主と 管制騎」

次回も見てくんないと…

「お仕置き確定やな?!」

「当然です、我が主。」

(BYはやて&リインフォース)


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五十四、復活す 夜天の主と 管制騎

お待たせしました!

いよいよはやてが復活します!

ではどうぞ!

あと活動報告で新たな企画やってます。

皆さまのご参加お待ちしてます!


NO SIDE

 

夜天の書から脱出したリナとユーノは窮地に陥っていたなのはを間一髪で救助する。その瞬間シャブラニグドゥ・ナハトが苦しみだした…夜天の書内部のはやて、そして新たな名を得たリインフォースが干渉を始めたのだ。

 

SIDE:はやて

 

ふう…なんとかナハトを止める事ができたわ。あとはリナちゃんとなのはちゃんがなんとかしてくれるわ…な、リインフォース?

 

『はい、我が主…ただ、ナハトとシャブラニグドゥを分けても魔王の暴走は止まりません。』

「そんなもん、リナちゃんとなのはちゃん、それにみんなの力を借りれば止められるわ!…っとその前にあの子達を返して貰おかな?」

 

わたしは夜天の書のページをめくり、とあるところで止めると手をかざす。

 

『…管理者権限発動。…リンカーコア修復、守護騎士・破損回帰。』

 

すると白紙だったページに文字が現れていく。

 

『…おいで、わたしの騎士たち!』

 

わたしの言葉と共に夜天の書から桃色・赤・翠・蒼の4色のコアが現れ、更にリインフォースも銀色のコアへと変化する。

 

『それじゃいこか、みんな?』

 

闇の書と呼ばれた過去は此処で断ち切る!さぁ、夜天の主とその守護騎士、復活や!

 

時同じ頃、リナとなのはは夜天の書とバグを切り離すべく秘密兵器を繰り出そうとしていた。

 

SIDE:リナ

 

L様、準備できた?

 

『いつでもいいよ!部下の失態はあたしが責任とるから!!』

 

…そういえばL様の部下(?)だっけ、シャブラニグドゥって。

 

さて、それじゃいくわよなのは!

 

『『R&N、魔族殲滅コンビネーション・アストラルグレース!!』』

 

もうL様の手の中の魔力は臨界寸前!!

 

『『シュートっ!!』』

 

L様が放った超巨大な魔力弾はとてつもないスピードでナハトを襲った。

 

―ぎ〇がお〇め~!―

 

…なんか声が聞こえたような気がするけど気にしちゃ負けね。(汗)「うごおっっ?!」

 

ナハトは魔力弾と共に消滅…いや、あの紫色の光は…L様!

 

『あいよっと…(ギュッ)おーけー、捕まえたよ。』

 

サンキュー。L様、それってやっぱり…

 

『うん、ナハトヴァールの残りカスだねこりゃ。これでもほっときゃ厄介だから、あたしの力で無力化するよ…この子に罪は無いからね。』

 

うん、お願い。あとははやてたちなんだけど…あ、あれは?!

 

NO SIDE

 

リナたちが空を見上げるとそこにはベルカ式の魔方陣。更にその四方には桃色・赤・翠・蒼の魔力コアが光を放ち群青の騎士・ヴォルケンリッターの姿を取り戻す。そして…

 

SIDE:アメリア

 

戦場にたどり着いたわたしたちが見たもの、それは…

 

「ちょっとアメリア、あれって…?!」

 

「ベルカ式の魔方陣…あ、シグナムさんたちもいるよ!」

 

空に浮き上がった大きなベルカ式の魔方陣、それを護るように四方を囲むヴォルケンリッターの面々。と言うことは?!

 

バシュッ!

 

魔方陣の中央に銀色の球体が現れひび割れ飛び散るとその中から現れたのははやてさん!…黒い騎士服(アンダー)に身を包んだはやてさんは右手に杖、左手に夜天の書を持っている。

 

『…夜天の光に祝福を、リインフォース…ユニゾン・イン!』

 

はやてさんが杖を掲げると杖から銀色の光が飛び出しはやてさんの胸へ吸い込まれる。するとはやてさんの髪が銀色に、瞳が翠色に変化し、背中には6枚の 黒い羽根。さらに騎士服も完成して…か、かっこいい~!…じゃなくて、

 

「はやてさ~ん!!」

 

わたしは一気に加速するとはやてさんに飛びついた。

 

「おわっ?!…誰かと思たらアメリアやんか。よかった、あんたは無事やったんやな。」

 

…!自分があれだけ酷い目にあったのに、わたしなんかの心配なんて…やっぱり貴女こそが夜天の主にふさわしい人です!

 

 

「はやてちゃん、私達…」

 

 

「済みません、あなたを護るどころか敵に操られるなんて…」

「はやてぇ…」

 

「…不覚。」

 

ヴォルケンリッターのみんなも落ち込んでる…わたしも含めて覇王に操られたからなぁ…

 

「…まぁ細かい事は後回しや。まずは…おかえり、みんな♪」

 

はやてさんの笑顔に我慢できなくなったヴィータちゃんがしがみついて泣きじゃくる。

 

「はやてぇ、はやてぇっ…!」

 

うぅ、感動だなぁ…(グスッ)

 

「はやて、無事帰ってこれたようね!」

 

「お帰りなさいはやてちゃん、信じてたよ!」

 

リナ、それになのはさん!…ってあれ?なんで2人ともそんなド派手になってるの?!

 

「ん、これ?L様から力を借りてるの。…まだ戦いが終わったわけじゃないから。」

 

リナの言葉に頷くはやてさん。

 

「そうやな…夜天の魔導書が闇の書と呼ばれるようになった原因…魔王シャブラニグドゥの残りカスを倒さん限りは終わらへんからな。」

 

へっ?ナハトヴァールは今リナとなのはさんが倒したんじゃ…

 

『い~や、魔王とナハトヴァールを分離は出来たけど、まだ魔王の本体は残ってる…コアが破壊出来ないと何度でも復活して暴走するから。』

 

L様が状況を説明してくれた。…なんてめんどくさい魔王なの?!と思ってたら…

 

「お~い、水を差すようですまないが…時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。」

クロノさんがバリアジャケットに身を包み、右手に杖を持った臨戦態勢で現れた。更にフェイトさんたち他の場所で戦っていたメンバーも集結する。

 

「時間がないので簡潔に事態を確認する…あそこにある黒い澱み…」

 

クロノさんが指差す方には禍々しい魔力の澱みが…!

 

「あれは夜天の書を暴走に至らせた元凶…魔王シャブラニグドゥの残留バグであと数分で復活、暴走を再開する…間違いないな?!」

 

クロノさんの問いにリナが答える。

 

「ええ…あたしが元いた世界の魔族の長、魔王シャブラニグドゥ…間違いないわ。放っておいたら辺りの物を全て浸食してやがては…この世界を滅ぼす。」

 

リナの言葉に周りの面々の表情が凍りつく。

「…やはりそうか…あれを止める手段は現在2つ。1つ目は最強クラスの凍結魔法で封印する方法、2つ目は衛星軌道上で待機しているアースラの魔導砲・アルカンシェルでコアごと完全消滅させる…だが…」

 

クロノさんの言葉の歯切れは悪い。

 

「…1つ目の方法は難しいわね。ナハトヴァールの制御がなくなった今、凍結させてもいずれ暴走するわ。」

 

1つ目のプランはプレシアさんに否定される。さらに…

 

「…アルカンシェルも絶対にだめー!…こんなとこでそんなもん撃ったらはやての家もぶっとんじゃうよ!」

 

ヴィータちゃんが両手でばつ印。…アルカンシェルってそんなに凄いんですか?!

 

「発動場所を中心に100Km以上の空間を歪曲させ反応消滅させるっていえば解るかな?」

 

ユーノさんの言葉にみんなから反対の声が上がる。でも…

 

 

「僕も艦長も使いたくは無いさ…でも暴走したら被害はそれどころじゃ済まなくなる…」

 

…どうしよう、このままじゃどうすることも…

 

「あ~、みんなでドッカ~ンってぶっとばせないのぉ?!」

 

 

ヌクヌクが強行策を言ってるけどそれが出来るぐらいなら…

 

「…ちょっと待って!クロノ、アルカンシェルってどこでも撃てるの?…例えば軌道上…宇宙空間とか!」

 

リナの言葉に反応したのはアースラにいるエイミィさん。

『…時空管理局のテクノロジー、嘗めてもらっちゃあ困りますなぁ…』

 

ホログラフィーの向こうでサムズアップ!

 

『撃てますよぉ…宇宙だろうがどこだろうが!』

 

「…ちょっと待てリナ!…ま、まさか!」

 

「そのまさかよ…魔王のコアだけ宇宙へ転送してアルカンシェルでぶち抜く!」

 

リナの出したのはクロノさんの度肝を抜く仰天プランだったわ…!

 

SIDE:リナ

 

『全く…相変わらず思い切りがいいわねリナさんは…』

 

モニターの向こうでリンディさんが苦笑いで首を捻ってる。でも…

 

「…リスクは大きいけどやるだけの価値はあるわよ?…そうでしょクロノ?」

「あぁ…奴が現れると同時に全力全開で総攻撃、コアを露出させる。」

 

「…それをシャマルの[旅の扉]で捕獲したらあとは…」

 

「ユーノ君とアリシアちゃんが軌道上のアースラ前に転送!」

 

『…最後はアルカンシェルでジュワっと蒸発…っと。』

 

うん、皆丁寧な説明ありがと。この作戦で行きましょう!

 

「…もう時間もない。はやてと夜天の騎士たちは夜天の書の呪いを断ち切る為に、なのはやフェイトたちは海鳴とこの世界を守るために、そしてリナたちは魔王の呪縛をやぶるため…目的は違うかも知れないが、力を貸してくれないか?」

クロノの願いにあたしたちは頷き、サムズアップで返事する。

「…ありがとうみんな。」

 

辺りの魔力が禍々しさを増していく…さぁ、始まるわよ最後の戦いがね!!

 

NO SIDE

 

こうして降臨した魔王シャブラニグドゥとリナたち人間の戦いは、幕が落とされるのを待つのみとなった。

 

しかし誰も気づいていない。黒い澱みに蒼く光る珠が飛び込んでいった事に…

 

 

 

 

 

 

 

そしてその光景を、遠く離れた空から見つめ薄い笑みを浮かべる神官衣を着た少年の存在に…




いよいよラストバトルが始まります!

次回「五十五、始まった 魔王Vs(と)魔王 大バトル」

次も見てくんないと…

「アルカンシェルよ♪」

「かあ…艦長?!」

(BYリンディ&クロノ)


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五十五、始まった 魔王VS(と)魔王 大バトル

いや~、今年の暑さは異常ですね!でもめげずに頑張ります!

活動報告にて引き続きあとがきの質問を募集中です。ちょっとしたおまけもあるのでよかったら是非ご参加ください!


NO SIDE

 

ようやくナハトヴァールからバグを切り離すことに成功したリナたち。はやてとその騎士たちも復活したが、切り離したシャブラニグドゥのバグは復活・暴走を開始する。

 

今まさに海鳴最終決戦(ウミナリ・ハルマゲドン)の火蓋が切られようとしていた…

 

SIDE:リナ

 

「…始まる…いよいよ最後の闘いよ。みんな、準備はいい?!」

 

あたしの掛け声にみんなは頷く。

 

「あ、でもその前に…シャマル?!」

 

「はい、みなさんの治療と回復ですね!…クラールヴィント、お願い。…風よ、癒しの恵みを運んで!」

 

『ya。』

 

と、ここでシャマルが負傷者全員に回復魔法を…ってこれは?!

 

「す、凄い…!」

 

「身体だけじゃ無くてデバイスやバリアジャケットまで…!」

 

うん、これなら思う存分戦える…ありがと、シャマル!

 

「どういたしまして。…湖の騎士シャマルとクラールヴィント、癒しと補助が本分です♪」

 

そう言ってにこっとはにかむシャマル。

 

「…来るぞ!」

 

ゼルの声に一同が振り向くと、海上の黒い澱みからシャブラニグドゥが姿を現す。

 

『…クハハハハッ、ワレハムテキダ!セカイハワレガスベテハカイスル!』

 

 

えっ、どうして脱け殻のはずのシャブラニグドゥがしゃべっ…いや、まさか!

 

『そんな馬鹿な!あいつは所詮バグ、意思などないはず?!』

 

「まさかバグじゃなくて本物の魔王…?!」

 

アイツが喋ったことにリインフォースとプレシアさんが驚愕の表情を見せるけど、あたしは騙せないよ?

 

「ねぇそうでしょ、覇王グラウシェラー…いいえ、グラウシェラーの残りかすといった方がいい?」

 

『…ドウシテワカッタ?』

 

やっぱり…というより少しは否定しろよ。まぁいいけどさぁ…

 

「…簡単なことよ。基本的に魔族は魔王シャブラニグドゥには絶対忠誠。それなのにあんたはバグとはいえ自分のご主人様に対等な態度をとった。まずはそこだったわ…」

あたしは魔王を指差すと言葉を続ける。

 

 

「…そう考えるとね、昔に似たような話があったのを思い出したのよ。…ゼルとアメリアは覚えてるでしょ?水竜王が仕掛けた細工で魔族から人間に転生し、魔王から離反したアイツの事を…」

 

「「…………!!」」

 

あたしの言った意味を理解したゼルとアメリアはピンときたみたい。

 

「…リナ、その話ってまさか…」

 

 

「…魔竜王ガーヴの事…か。」

 

そう、かつての世界であたしやガウリイたちと死闘を繰り広げた魔竜王ガーヴ…アイツは人間に転生したことにより魔王への忠誠心が無くなり離反に至った…

 

「だからあんたもそうじゃないかと思ったのよ。」

 

『シ、シカシ、ソレガドウシタ!ワレハサイキョウノチカラヲテニイレタ!コノチカラデセカイヲホロボシ、ワレラガシハイスル!』

 

ばれてもなお、虚言をはる魔王モドキ。でも…。

 

「…もうそんなの関係ないの。」

 

「…私たちの海鳴を護るため…」

 

なのはとフェイトがデバイスを構える。

 

「お前のせいで主はやては…もはや生かしてはおけん、我が剣で倒す。」

 

「はやてを泣かせたテメーは絶対に許せねー、メチャクチャに叩き潰してやる!」

 

シグナムたちヴォルケンリッターも気合い十分!

「…なにより魔族はわたしたちの世界の存在、わたしたちが退治します!」

 

「ほ~ほっほっほっほっほっ!このナーガにかかれば魔王モドキなんてコテンパンにしてあげるわ、覚悟することね!」

 

アメリアやナーガ、他のみんなも準備万端、問題なし!

 

『グヌヌヌ…ナラバセメテワガテデホウムッテクレヨウゾ…シネ!』

 

魔王の残滓(これからはこうよぶ)はいきなり魔力砲を連発してきた。

 

「みんな、回避!」

 

みんな散開してそれぞれのポジションに散った。

 

「さっき打ち合わせた通りでいくわよ。ザフィーラ、ユーノ、アリシア足止めお願い!」

あたしの声に応える3人。

 

『ケイジングサークル!』

 

『チェーンバインド!』

 

『うおぉ~っ、鋼の軛!』

 

ユーノのバインドが胴体を、アリシアのは足を拘束し更にザフィーラの放った魔力の軛が魔王の残滓を縫いつける。でも…

 

『ガッハッハ、ソンナモノキカヌワ!』

 

さすが残りカスといっても魔王、チェーンバインドと鋼の軛はぶち切ってしまう。

 

でも動きは鈍ってるから…予定通りいくわよ!…先陣はフェイト、ヴィータ、アリサ、頼むわよ!

 

「了解。ヴィータ、アリサ、しっかり合わせてね。」

 

「…はい、フェイトさん!」

 

「わたしたちに任せなさい!」

 

ヴィータはフェイトと組めてとても嬉しそう。

 

「…いきます!フォトンランサー・マルチプルシフト!」

 

フェイトが無数の光弾を展開、射出すると前方に先行するヴィータをすり抜けて魔王の残滓に全弾命中!

 

「すっげ~っ…こっちも負けてられねー…いくぞアイゼン!」

 

『ギガントフォーム!!』

 

続けてヴィータはグラーフアイゼンを変形させ魔方陣を展開、カートリッジで魔力をチャージする。

 

その反対側ではアリサがスタンバイしてる。ということは…

 

『豪・天・爆・砕…ギガント・シュラーク!』

 

まずはヴィータが巨大な鉄槌を…って縮尺おかしくない?明らかにおおきすぎるわよねそれ?!…とにかくヴィータの鉄槌が一枚目のシールドを破壊、二枚目ごと魔王の残滓を沈める。

「続けていくわよ…タイラントレイブ!」

 

『くらいやがれ、デカブツ!』

 

続けてアリサの紅蓮の一閃が二枚目のシールドごと触手を薙ぎ倒す。

 

『グオオッ…?!』

 

よし、効いてる!それじゃ第二陣…なのは、シグナム、すずか、頼むわよ!

 

「よし行くよ…シグナムさん、すずかちゃん!」

 

「承知しましたなのは嬢!」

 

「フォローは任せて!」

 

なのはとシグナムが左右に展開、それぞれ魔方陣を展開して大技の準備を始める。

 

「…烈火の将・シグナムが魂…レヴァンティン。刃、連結刃に続く3つ目の姿、今ここに!」

 

『ボーゲンフォーム!』

 

シグナムはレヴァンティンを大弓に変型させ…

 

「わたしたちもいくよ!レイジングハート!」

 

『はい、なのは!…エクセリオン・ランチャーモード!』

 

なのはもレイジングハートを変型…ってもうあれ、杖じゃないわよね…どう見てもカノン砲にしか見えないわ…

 

そんな2人を見て魔王の残滓が触手を再生、攻撃を阻止しようと襲いかかる。

「2人はやらせない!…スノーホワイト、アイスバインド!」

 

『お任せくださいまし、すずか!』

 

でもそこはすずかがバインドを発動させ動きを封じる。今がチャンス!

 

「駆けよ隼!『シュトルム・ファルケン!!』」

 

「いっけぇ~!『エクセリオンバスター・フォースバースト!!』

 

シグナムの放った矢は迷うこと無く一直線にシールドを貫き残滓に命中!さらになのはの砲撃が続けて襲いかかる。これで決まればいいんだけど…

 

『ガハッ…ダガ…マダマダダ…!!』

 

…やっぱりそんな甘くないか。魔王の残滓は破壊された足を切り離し空に浮かび上がると再び多重シールドを張り、無差別に砲撃を放つ…えぇい鬱陶しいたらありゃしない!

「ゼルガディスさん、もう一度ユニゾンを!」

 

「あぁ…『ゼルガディス・グレイワーズ』、ユニゾン・イン!!」

 

ここでアメリアとゼルがユニゾンで能力を底上げ…

 

「うおぉ~っ、喰らえ、鋼牙!」

 

「『正義の一撃、平和主義者クラァァッシュ!!』」

 

ザフィーラとアメリアの拳が多重シールドを全て粉砕…どころか前面の装甲をボコボコに!

 

てかアメリアはともかく、ゼルもノリノリね…いっけない、次はあたしの番ね。

 

「はやて、リインフォース、プレシアさん…一気にいくわよ?」

 

あたしが上空を見上げるとそこにははやてとプレシアさんの姿が。

「『…彼方より来たれ ヤドリギの枝 銀月の槍となりてうち貫け!』」

 

「貴方はここに居てはいけない存在…裁きの雷、とくと味わいなさい!」

 

あたしも…

 

『…無の具現たる深淵よ 深き暗黒の刃の嵐で 我が前にある敵を滅せよ!』

 

3人の呪文が同時に放たれる!

 

「『石化の槍、ミストルティン!!』」

 

『サンダー…レイジッ!』

 

『…冥魔槍嵐[ヘルブラストストーム]!』

 

あたしたちが放った槍はそれぞれ石化、感電、腐敗の効果を発揮、魔王の残滓の動きが目に見えて落ちた…今よクロノ、アリサ、すずか!!

クロノはデバイス・デュランダルを展開、魔力の充填を開始。アリサとすずかもユニゾンリライズで魔力の底上げを図る。

 

「凍てつけ!『エターナル・コフィン!!』」

 

『『ユニゾンアーツ2nd…アブソリュート・クライシスっ!!』』

 

クロノの放った凍結魔法は海面ごと魔王の残滓を氷漬けにし、更にアリサとすずかの一撃が追い討ちをかける。

 

『グッ…コ、コレハ、ミウゴキガトレヌ…』

 

…さぁ、最後の仕上げね…

 

「なのは、フェイト、はやて、アメリア!」

 

あたしたちは魔王の残滓の上空に配置する。それは残滓を中心とした逆五芒星…スイーフィードの魔方陣。

 

「それじゃとどめをさ…」

『ちょっと待ったぁ?!』

 

…ここで待ったをかけたのは…L様?!

 

『…このまま総攻撃したら結界が決壊して海鳴壊滅だよ?!…あんた[アレ]使うつもりなんでしょっ?!』

 

「…あ、やっぱり無理かな?まぁ前世で試し撃ちしたときはプライベートビーチが死の入り江と化したからなぁ…(遠い目)。」

 

「…リナちゃん、まさかアレ撃とうとしてたの?!…アレはダメだよ!」

 

…なのは、心配ないわよ。撃つのは改良版のブレイカーバージョンだから。

 

「あぁそれなら…ってもっとダメーっ?!」

 

『…仕方ない、それじゃ招待しますか、[あたし]の中に♪』

 

L様がそういった途端、周りの結界が変質し始める。…やっぱり行くしかないのね、…数多の世界の下にあるという混沌の海…[L様の胎内]に…。

 

NO SIDE

 

魔王の残滓を中心に展開したリナたちをも飲み込む形で結界が変質していく。

 

「な…リナ、大丈夫なのか?!」

 

クロノが慌てた様子でリナに声をかける。

 

『大丈夫よクロノ。それよりコアの摘出と転送の準備、お願…』

 

念話の途中でリナの声が途切れる。

 

「リナ、リナ?!」

 

「心配いらないわクロノ君。私達はリナさんたちを信じて待ちましょう…。」

 

 

プレシアはクロノに落ち着くように言うと残滓を包み込む結界を見つめて呟く。

 

「…必ず無事で戻ってくるのよ、リナさん、なのはさん、フェイト、はやてさん、アメリアさん…。」

 




いよいよ次回は5連ブレイカー!…魔王の残滓、最後の時です。

次回「五十六、戦いの 〆はとことん ブレイカー!」

それでは次回もリリカル、マジカル…

「出番が無い…解せぬ。」

「済まん…忘れてた。」

(BY アルフ&作者)


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五十六、戦いの 〆はとことん ブレイカァーーッ!!

すいません、劇場版見てきたテンションで書いたので…

あと、あとがき質問コーナーの募集続けてますが誰もきてくれない…(涙)。キャラクターに対する一言でもなんでもいいのでお便り待っています。(締め切りは8月末を予定してます。)


NO SIDE

 

雪降る聖夜、海鳴の空に現れた覇王グラウシェラーと魔王管制騎シャブラニグドゥ・ナハトは世界を破滅に導く為動き出した。

 

しかしその野望は夜天の主と群青の騎士たち、そしてその友である小さな勇者たちによって霧散する。

 

そしていよいよ最後の時…永きに渡った闇の書の呪いが終焉の時を迎える…

 

SIDE:リナ

 

あたしとなのは、フェイト、はやて、アメリアは魔王の残滓と共にL様の胎内に閉じ込められた。

 

「な、何なのここは…?」

 

「気味悪いのに…なんか懐かしいような…」

 

「もしかして…リナ、まさかここは…[混沌の海]なの?!」

おっ、さすがにアメリアはわかったようね。

 

「…そうよ、此処は[混沌の海]…全ての命が生まれた場所にしてL様…[金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア]の胎内よ。」

 

『バ、バカナ!ワレラガソウセイシュノアノオカタガニンゲンニチカラヲカスナドアリエン?!』

 

『…どあほぅ。今リナがいったでしょ、「すべての生命の源」って…すなわちあんたら魔族もこの子たち人間もあたしにとっては同じ存在なの!…まぁあんたみたいな外道に育てたつもりは無いけど。』

 

…魔族育てたんだL様…と、いけないいけない。

 

「ま、そういう訳だからあんたにはここで消えて貰うわ…いくわよ、みんな!」

「おう!!(×4)」

 

逆五芒星の形に散らばったあたしたちはそれぞれに魔方陣を展開、準備を始める。

 

『…バカメ、ムザムザヤラセナド…ナ、ナニ?!カラダガウゴカン?』

 

『あんた本当にバカね…ここはあたしの胎内…あんたごとき完封するなんてわけないのよ…あ、因みに彼女たちも10倍パワーアップしてるからよろしく~♪』

 

『姉さん…ノリノリですね…(汗)』

 

…ま、そういう訳だから覚悟しなさい?それじゃ…

 

「あ、ちょっと待ってリナ?!」

 

ここで口を挟んだのはフェイト。

 

「どうしたのフェイト、なんか問題あった?!」

 

「問題っていうか…みんなパワーアップしてるのにわたしだけ…」

 

あ、そうか。

 

あたしはL様、なのははオリヴィアナ、はやてはリインフォース、アメリアはゼルとユニゾンしてパワーアップしてるけどフェイトはそのまんま。

 

『心配ないよ、さっきもいったけどこの中にいる間は〇王拳10倍モードだから♪』

 

L様はそういうけど、確かに1人だけ仲間外れってのもね~…そうだ!

 

「…ねぇフェイト、パワーアップさせてあげよっか?」

 

「本当に?!」

 

「えぇ…ただし、何が起きても後悔しない事…いいわね?」

 

あたしの言葉にフェイトは頷く。さて、ほんとは呼びたくないんだけどなぁ…アイツがくるとシリアスさが一気になくなるから。

「まぁ仕方ないか…よっと…あ、あった♪」

 

あたしは懐から財布を取り出すと中から500円玉をだす。

 

「リナちゃん…?その500円玉で何を…って、あ!?」

 

ど~やらなのはは気付いたみたいね…いくわよ?!

 

『カモ~~ン、ナーガっ!!』

 

あたしは召喚呪文(?)と同時に500円玉を空へ放り投げる。すると…?

 

「ほ~ほっほっほっほっほっ!最強ユニゾンデバイス、ナーガ・サーペンツ只今参上よ!…ってあれ、ここはどこよ?!」

 

…そう、そこに現れたのはあたしの自称ライバル、その正体はテスタロッサ一家の専用デバイス、ナーガ!

 

…昔に同じようにコインを投げて呼び出した事があったけど…

 

『…まさかあたしの胎内に入り込むなんて…今さらだけど、アンタ何者?!』

 

「L様、ナーガには突っ込むだけ無駄よ…それがナーガだから。…ナーガ、その500円玉あげるからフェイトとユニゾンお願い♪」

 

「はあっ?!」

 

「嫌なら嫌でいいのよ?…断るならプレシアさんにさっきの戦いでなんにもしてないことチクるから。」

 

あたしの言葉にナーガの顔が青ざめる。

 

「…嫌とは言ってないでしょ?!…準備はいい、フェイト?」

 

「うん!いくよ、ナーガ!」

 

フェイトの返事にナーガは身体を縮めてフェイトに近づきお互い手を取り合う。

 

『『…ナーガ・サーペンツ、ユニゾン・イン!!』』

 

ナーガは紫の光に変化するとフェイトの胸に飛び込む。するとフェイトのバリアジャケットが再構築されて…これは?!

 

「…凄い…ハードシェル装甲が無くなって軽くなったのに防御力は上がってる…」

 

「…どうやら真面目にやったみたいね。じゃあ改めてフルボッコ、いくわよみんな?!」

 

まずはアメリア…ってあんたそれってまさか?!

 

「えへへ…♪1番、八神アメリア!…出でよ、ビューティー・セレインアロー!」

アメリアのデバイスが姿を変えシグナムの大弓っぽくなる…それってどう見てもアレよね?

 

「はい!はやてさんが用意してくれてました!」

 

「犯人はあんたかはやて~?!」

 

「…どうせネタぶちこむならここまでやらんとなぁ?さぁ、つぎはわたしや…2番、八神はやて!…魔王さんには恨みはないけど、中の馬鹿覇王は絶対に許さへん!響け、終焉の笛…」

 

はやてにつづくのはフェイト…ちょっと、そのザンバー…大きすぎない?!

 

「わたしも腐れ覇王は許せないんだ!雷光一閃…」

 

そしてあたしとなのはは詠唱を始める。

 

『常世を護りし白輝の聖母よ 闇に潜みし咎人達に 星光集いし滅びの力を…』

 

なのはの詠唱と共に辺りに散らばっているあたしたちの魔力がレイジングハートに集束されていく。そして…

 

『闇よりもなお昏(くら)きもの 夜よりもなお深きもの 混沌の海よ たゆたいし存在(もの) 金色なりし闇の王…』

 

『ナ、ナニ?!ソ、ソレハアノオカタノ…?!』

 

そ、あたしが使おうとしているのはL様…すなわち[金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア]の力を借りた最凶呪文、しかもその完成版!

 

前の世界じゃ暴走しかけたけど(汗)、今回はL様の全面バックアップがあるから心配なし!

 

『…我ここに汝に願う 我ここに汝に誓う 我が前に立ち塞がりし すべての愚かなるものに…』

…さぁ準備はできた、いくよみんな!

 

『マジカルシュート~』

 

『ラグナロク…』

 

『プラズマザンバー…』

 

まずチャージの短いアメリア、はやて、フェイトの砲撃が放たれ続けて…

 

『…我と汝が力もて 全てを撃ち抜く閃光となれ!』

 

『これがわたしの全力全壊!…星光…[スターライト…]』

 

なのはの集束砲が魔王の残滓を包み込む。そしてこれがトドメ!

 

『我と汝が力集わせ 永遠(とわ)の滅びを与えんことを!』

 

あたしのカオス・ワーズによって集められたL様の力…

 

『…くらいなさい、重破爆裂集束斬…[ギガ・スレイブ・バースト…]』

 

さぁ、最後はご一緒に…せ~のっ!!

 

『ブレイカァーーッ(×5)』

 

あたしたちの掛け声と同時に5つの集束砲が炸裂!みるみるうちに魔王の残滓の外装がはがれていく。

 

『アガカッ…ガッ……!』

 

『シャマル、アリシア、ユーノ…あとはまかせたわよ!』

 

SIDE:シャマル

 

…はい、任されちゃいました♪

 

「誰に向かっていってんだシャマル?!」

 

気にしないでヴィータちゃん。変な電波受け取っただけだから。

 

それはともかく、たった今結界の内部からとてつもない魔力反応が…たぶんリナちゃんたちの攻撃ね。ということはそろそろ…わたしは[旅の扉]を開きコアを探す。いったいどこに…あ!

『つかまえ…たっ!!』

 

わたしはクラールヴィントで露出した魔王のコアを捕獲した。…ユーノくん、アリシアちゃん後はお願い!

 

『長距離転送!』

 

『目標…アースラ軌道上!』

 

『『転送!!』』

 

2人の転送魔法でコアは宇宙で待機中のアースラへ送られたわ。あとは…

 

SIDE:リンディ

 

「魔王のコア、来ます!…転送されながら生体部品を修復…は、速い?!」

 

オペレーターのアレックスの報告を受けながらモニターを確認する。確かにみるみるうちに魔王は姿を取り戻しつつある…でもこれなら!

 

「みんな落ち着いて!エイミィ、アルカンシェル バレル展開!」

「了解!」

 

エイミィの声と共にアルカンシェルが展開していく…そして私の前に発射装置が現れた。

 

『ファイアリングロックシステム…オープン。』

 

艦長であるわたしの声を認識した発射装置が解除、わたしは手をかざす。

 

『…アルカンシェル、発射!!』

 

わたしの命令と同時にアルカンシェルは音もなく魔王目掛けて放たれ、そして…!

 

ドッギャーン!

 

時空間ごとねじ曲げられた魔王の残滓は跡形もなく消え去った…エイミィ?!

 

『はい、効果空間内の対象、完全消滅…再生反応…ありません!』

 

…!

『そう…準警戒体制を維持…もうしばらく様子を観ます。』

 

『了解!…やりましたね、艦長!』

 

『えぇ…それより地上は大丈夫なの?』

 

『あ、そういえば…えっ、こ、これは?!』

 

モニターを切り替え確認したエイミィが驚きの声をあげる。

 

『どうしたのエイミィ、何があったの?!』

 

『…地上のL様の結界がまだ解除されていません!』

 

何ですって?!…いったい地上で何が起きてると言うの…?

 

私たちはただモニターを見つめる事しかできなかった…。

 

SIDE:ユーノ

 

その頃、結界の外で待機していたユーノやヴォルケンリッターたちも異変に気付いていた。

 

「どうして戦いは終わったのに結界が解除されないんだ?」

 

「わからない…確かに魔王の残滓は消滅したはずなのに…!…ま、まさか?!」

 

戸惑うシグナムの問いに僕は最悪のシナリオを描いてしまう。

 

「…まさか、中では戦いが続いてるんじゃ…」

 

『心配いらないよ、ユーノ~。』

 

その場に響いたのはL様の声。

 

『もう決着は着いた。魔王の残滓は完全消滅したよ。ただ…後始末が残ってる。』

 

「後始末?!」

 

『うん…なにも心配いんないからもう少しだけ待ってて…大丈夫、みんな無事だから…』

 

「ち、ちょっと待ってL様…後始末っていったい…?」

 

途方に暮れた僕たちはただリナたちの帰ってくるのを待つことしかできなかったんだ…。




…すいません、もうちょっとだけ続きます…残りもあと少し、なんとか8月の間に…無理かな?!

次回「五十七、後始末 済んだそのあと どうなるの?」

それでは次回も見てくんないと…

「ディザスタァー…ヒート!!」

「極…光…ざ~ん!!」

「レギオン・オブ・ドゥーム・ブリンガー!」

(BYシュテル、レヴィ、ディアーチェ)

(なんとか出番あげたいなぁ↑)


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五十七、後始末 済んだその後 どうなるの?

今回は前話の補足的なお話なので短めです。

多分A´s編はあと2回+あとがきになる予定です。


NO SIDE

 

リナとなのは、そして仲間たちはL様の力を借りて放った5連ブレイカーで見事魔王の残滓を完全消滅させることに成功する。

 

しかしL様の結界は未だに解除されず、中では[後始末]が行われようとしていた…。

 

SIDE:グラウシェラー

 

ハァ、ハァ、……………ここまで逃げればよかろう…しかし何なのだあの人間どもは…

 

咄嗟に精神体(アストラル)を身代わりにしてこっそり脱け出したのだが…あの砲撃で魔王様の残滓は消滅してしまった。

 

…だが我が生きていれば再起は可能だ。何時の日にか再び…

 

「…残念だけど、それは無いわね…覇王グラウシェラー?…いや、その残りカスと言った方がいいかしら?」

 

その時背後からした声に寒気を感じ振り向いた瞬間…

 

バシュン!

 

我の両手、両足が魔力の枷で空中に縫い止められる。

 

「こ、これは?!」

 

そこにいたのは小さな[魔を討ちし者]たち…逢魔リナとその仲間たち、そして…

 

「お、お前は…夜天の書の…管制融合騎?!」

 

「あぁ。…今は主はやてから新たな名前を戴いた。[祝福の風]リインフォースという立派な名前をな。」

 

リインフォースと名乗る管制融合騎。しかしどうして我の所在が割れた?!

 

『あんたは逃げおおせたつもりかもしれないけどさ、ここは変わらずあたしの胎内だよ?…ってか逃げられると思ってたんかい…』

あ、あなたは[金色の魔王]?!…どうしてあなたが人間の味方など…

 

『今のあたしはリナのデバイス。リナが精一杯生きようとしてるのを手助けしてるだけだよ!…それ以上にあんたのやり方が気に食わないけどね。』

 

「という訳で、あんたにはここで消滅してもらうわ。そしてその役目は…リインフォース、お願い。」

 

「承りました、金色の王、リナ…」

 

リインフォースはそういうと右手に一振りの剣を具現化させた。

 

「…?!…それは[烈光の剣]…いや違う?!」

 

『これはあたしからのプレゼント。ユーノのゴルンノヴァのコピーだよ…属性は闇だけどさ。』

リインフォースは2、3度素振りすると笑みを浮かべる。

 

「感謝します、金色の王よ…さぁ、覚悟はいいか?」

 

…や、止めろ、来るな…お前を蘇らせたのは我…

 

「…冗談も程々にしろ。私の今があるのは主はやてや騎士、それに小さき勇者たちの力があればこそだ。お前になど恩はない!」

 

リインフォースは漆黒の剣を構え呪文の詠唱を始める。

 

『…悪夢の王の一片(ひとかけ)よ 世界(そら)のいましめ解き放たれし 凍れる黒き虚無(うつろ)の刃よ…』

 

…?! な、何故その呪文を使える?!その呪文は…

 

『私を誰だと思っている?流石に重破斬は無理だが、それ以外の行使は可能だ。』

 

詠唱と共に漆黒の剣に虚無の刃がまとわりつき、フェイトのザンバー並みの大きさになる。

 

『我が力 我が身となりて 共に滅びの道を歩まん…神々の、魂すらも打ち砕き!』

 

や、止めてくれ?!我は死にたくない、我は…

 

『この世界から滅して失せろ愚かな覇王!…神滅斬[ラグナ・ブレーーードッ]!!』

 

NO SIDE

 

リインフォースが降り下ろした虚無の刃は覇王の身体を一刀両断!!覇王の身体は闇に取り込まれ跡形もなく消え去った。

 

「終わったわね、リインフォース…」

 

「お疲れ様なの、リインフォースさん♪」

「あぁ…お前たちには世話になった。ありがとう、小さな勇者よ…」

 

労いの言葉をかけるリナとなのはに感謝を告げるリインフォース。

 

『はいは~い、そろそろ結界が解除するよ~っ?!』

 

L様の声と同時に周りの景色が元に戻り…

 

「リナっ!」「なのはちゃん!」

 

「主はやて、ご無事ですか?!」「アメリアちゃんも大丈夫?」

 

「フェイトーーっ!」

 

結界の外で見守っていたユーノやアリシア、ヴォルケンリッターたちが近寄り、生還を喜びあう。しかし…

 

「我が主?!」

 

SIDE:なのは

 

リインフォースさんの声に振り向くと、気を失ったはやてちゃんが墜ちていくところだった。

 

「我が主~?!」

 

リインフォースさんが全速で追いかけなんとか受け止めた。シグナムさんやヴィータちゃんがすぐさま駆け寄って声をかける。

 

「はやて、はやてっ?!」

 

「…心配はいらない、覚醒されてすぐこれだけの事をなされたのだ。…疲れで気を失われただけだ。」

 

…ふぅ…大事じゃなくてよかったの。

 

『むしろこれから大変なのは貴女たちですよ、なのは?』

 

…え、レイジングハート、それって…あ、あれ?

 

急に足から力が抜けて、立ってられない…?

『…言ったでしょ、明日はポンコツだって…まぁ暫くは大人しくしていて下さいね♪』

 

ふえぇぇっ?!…あ、でもよく見るとリナちゃんもあっちでへばってる…

 

「あが、あが…あ、足がつるぅ~?!」

 

「リ、リナ、大丈夫かい?!」

 

…どうやらしばらくは静養間違い無しなの。でもよかったぁ、これで一件落着だね♪

 

NO SIDE

 

こうして後に「破滅の聖夜」ともいわれた魔王の残滓と小さな勇者たちの戦いは魔王の完全消滅という形で終わりを告げた。

 

ただ、祝福の風が海鳴の空を駆け巡るには今少しの時を必要とした。続きは次回の講釈で…




現在募集中のあとがきの質問募集ですが、一応次話投稿を持って締め切りたいと思います。

詳しくは活動報告の方を見てもらうとして、楽しい質問期待しています!

次回「五十八、祝福の 風が舞い散る 海鳴に」

それでは次回も…

「L・M・G…リリカル、マジカル、頑張るわよ~ん♪」

(BY キリエ)


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五十八、祝福の 風が舞い散る 海鳴に

やっと体調が回復したので投稿を再開します!

心配してくれた皆さん、どうもすいませんでした!


NO SIDE

 

破滅の聖夜から数日、海鳴にいつもの日常が戻った年末のとある日、リナたち関係者は八神家に集まっていた。

 

SIDE:リナ

 

あたしたちがはやての家に集まった理由、それはクロノが今回の事後報告がしたいからとの事。

 

「みんな年末で忙しいところだと思うが、なんとか今年のうちに終わらせておこうと思ってね。…まずは夜天の書だが、詳しくはリインフォース頼む。」

 

リインフォースは頷くと説明を始めた。

 

「…夜天の書を闇の書と呼ぶ原因となったバグ…魔王シャブラニグドゥの残滓は君達小さな勇者たちや守護騎士たちの力によって殲滅できた。ただ…」

「ただ?」

 

あたしが聞き返すと、リインフォースの表情が曇る。

 

「…一度変質した力はそう簡単には元へは戻らない。再びバグが発生しないとも限らないんだ…幸い騎士システムは独立させる事に成功したから、将やヴィータたちが暴走することはないはずだ。あとは…私がこの世界から消えればそれで…」

 

…消えるですって?リインフォース、あんたまさか…

 

「まさか夜天の書を道連れにして自らを消滅させる気じゃないでしょうね?!」

 

あたしのその言葉に反応したのははやてと騎士たち。

 

「………?! あかんリインフォース!それだけはあかん!」

 

「そうだよ、てめえは今までの分まで幸せにならなくちゃいけないんだっ!!」

 

 

「…主はやてやヴィータのいうとおりだリインフォース。その選択肢だけは認めるわけにはいかん。」

 

はやて、ヴィータ、シグナムが説得するが、リインフォースは瞳に大粒の涙を溜めながらも首を振って拒否する。

 

「…判ってくれ…こんな機会はもう2度と…」

 

『…あのさ、お取り込み中申し訳ないんだけど…』

 

何L様?今大事な話を…ってまさかどうにかできるの、この状況?!

 

『できるっていうか…リナ、あんた大事な事忘れてない?…魔王の残滓を倒したとき、捕まえたアレの事をさ…』

 

アレ?アレって…あっ!

 

「はやて、リインフォース!大丈夫、なんとかなりそうよ!」

 

「えっ?それは一体どういう…」

 

「ほんまかリナちゃん!お願いや、リインフォースを…わたしの新しい家族を助けたって!」

 

ふふん、まっかせなさ~い!…っていってもL様頼りなんだけどね。

 

『…さぁ、出ておいで。』

 

次の瞬間ナイトメアハートから紫色の光の珠が現れ、姿を変えていく。

 

「えっ、これって…狐…だよね?」

 

「…でも毛色が紫色だし、羽根も生えてるよ?」

 

「可愛い~!!」

 

そう、そこに現れたのは紫色の羽根の生えた子狐。…これが何なのか、あんたには解るわよねリインフォース?

 

「…! まさか…ナハトヴァール…なのか?」

 

「えっ…えぇ~っ?!」

 

…まぁ、なのはたちが驚くのも無理ないか。あたしだってまさかこんなのは予想してなかったもん。

 

『そう、これが夜天の書の防衛プログラム、ナハトヴァールだよ。この子がいれば、あんたが暴走することはありえない。それにね…ナハト!』

 

L様の声でナハトヴァールはまた姿を変え、リインフォースの左手に装着される…これってパイルバンカー?!

 

『戦いの時にはあんたの身を護る矛になるってわけ。…これであんたも主や騎士たちと暮らせるよ。…ずっとね。』

 

「ありがとうL様!…よかったなぁ、リインフォース~!これからはずっと側におってな?!」

 

リインフォースははやてを無言で抱きしめ何度も頷く。

 

「ありがとうございます金色の王よ…そういえばあの剣をお返ししないと…」

 

『あの剣って…あぁ、ゴルンノヴァのコピーのこと?いいよ、快気祝いに持ってきな。名前は…主様に決めてもらったら?』

 

「へっ、わたしが決めるんかいな?!そうやなぁ…、〈ゴルンノヴァ・バルキサス〉ってどうやろ?」

 

バルキサス?…はやて、あんたまさかそれって…

 

「わたしが好きなアニメのタイトルや。サブタイトルが極黒の翼やから…あかんかなぁ…?」

 

…なるほど。リインフォースは「クロハネ」って呼ばれてたからぴったりといえばぴったりか。

 

「ありがとうございます我が主。たった今よりこの剣の名はゴルンノヴァ・バルキサスとさせていただきます。…これからはナハト共々、力の限り仕えさせていただきます!…なぁ、ナハト?!」

 

「キュイ♪」

 

リインフォースも狐の姿に戻ったナハトも嬉しそうだ。

 

「ただ、はやてはともかくアメリア以外の騎士たちとリインフォースはしばらく管理局の監視下に入ってもらう。生活は今まで通り出来るようにはするから…」

 

クロノが申し訳なさそうに言うとはやては…

 

「問題ないわ。いくら過去の事やいうても罪は償わないかん。これからは少しずつでもえぇ、困ってる人たちを助けていこ。みんなもえぇな?!」

 

「はい!(×4)」

 

「わたしもお手伝いします!…わたしもヴォルケンリッターの一員ですから!」

 

「うんうん、ありがとなアメリア…」

 

アメリアの言葉に涙ぐむはやて。どうやら大丈夫そうね。

 

「あと、リニス?」

 

「…はい、覚悟はできています…」

 

神妙な面持ちで応えるリニス。

 

「私は覇王グラウシェラーに操られたとはいえ、世界を破滅させる手助けをしていました。罰を受けるのは当然です。」

 

「そんな!…クロノ、どうにかならないの?!」

 

「そうだよ!リニスは何も悪くないんだから!」

 

フェイトとアリシアがクロノに懇願する。

 

「…君達、話は最後まで聞いてくれないか?確かにリニスは実行犯だが、操られていたんだから仕方ない。…と言うわけだからプレシア女史、貴女の元で保護観察とさせてもらう。いいかな?」

 

その言葉にテスタロッサ一家に満面の笑みが浮かぶ。

 

「…えぇ、感謝するわクロノ執務官。」

 

「やった~!!」

 

「ありがとうクロノ!…リニス、これでずっと一緒に暮らせるよ!」

 

「…はい!もうどこにも行きません、ずっと側にいます…。」

フェイト、アリシアとリニスは涙ぐみながら抱き合って喜んでる。

 

「…なかなかいいところあるじゃない、クロノ?」

 

「…僕にできるのはこれぐらいだからな。あと覇王グラウシェラーだが、成り済ましていた人物が判明した。…この人だ。」

 

クロノが映し出したのは初老の男性。グラウシェラーとは似ても似つかない。

 

「…名前はグラウズ・ストラトス・イングヴァルト。何でも古代ベルカの王家の末裔だそうだ。」

 

ふ~ん…また古代ベルカか…まぁ、今はほっといても大丈夫でしょ。

 

『クロノ、話は終わったかしら?』

 

ホログラフ通信で現れたのはリンディさん。「はい母さ…艦長、今終わったところです。」

『あら、そう?グッドタイミングだったみたいね。…まずは皆さん今回は協力感謝します。おかげで地球は救われたし、私やクロノの無念も晴らせたわ。』

 

「気にしないでください、あたしたちは自分たちの為にしただけですから。…ねっ、みんな!」

 

あたしの言葉に一同全員サムズアップ!気持ちは一緒だったみたいね。

 

『そういってもらえると救われるわ。…で、実はお願いがあるんだけど…』

 

 

NO SIDE

 

事後報告を受けたリナたちはそれぞれの家路へ帰っていた。

 

そしてリナとなのは、ユーノの3人もまた、帰り道の途中…

 

SIDE:リナ

 

ふう、すっかり遅くなっちゃったわね…ん、どうしたのなのは?

 

「…リンディさんの話、リナちゃんはどうするのかなって。『管理局にお勤めしてみない?』って…」

 

「…あたしは魔導師つづけるよ。ただ学校はちゃんと高校までは行くつもりだから、それまでは嘱託だけどね。」

 

あたしの答えになのはは表情を輝かせる。

 

「リナちゃんも魔導師続けるんだ!…わたしも続けるよ、空を飛び続けたいから…そして伝えたいから、わたしの魔法を!」

 

そっか…ユーノはどうすんの?

 

「管理局から無限書庫の司書をしないか?って。ただ僕もしばらくは嘱託で学校に行きつつ海鳴から通うつもりなんだけど。」

 

…じゃあ当分の間は今のまま、ってことね。

 

「それに義父さんに剣技で勝てるまでは逃げれないよ…絶対に。」

 

ん?それってどういう…?

 

「あ、それじゃリナちゃん、ユーノくん…わたしは帰るね?また明日!」

 

なのははそういうと自分の家の中に消えた。

 

「…ユーノ、今のっていったいど…」

 

あたしはユーノの発言が気になって振り返ると…

 

チュッ

 

あたしの唇にユーノの唇が重なってた。

 

「……………!!!!」

あたしは離れようとした…つもりだったんだけど、意思に反してあたしの両手はユーノの腰にまわってた。

 

どれくらいの時間…多分数秒の時間がとてつもなく長く感じた。

 

やがてユーノから唇を離す。

 

「な、な、な…」

 

「ごめん、どうしてもキスしたく…」

 

そう話すユーノの顔は真っ赤だ。でもあたしの顔はそれどころじゃないくらい火照ってる。

 

「とりあえず帰ったら義父さんにお願いするよ。リナとお付き合いさせてほしいって。」

 

…まったくこいつは…ガウリイとは方向性は違うけど、あたしを振り回してくれる事は間違いなさそうね…。

 

「…そうね、あたしも一緒に頼んであげる。その代わり…浮気は絶対に許さないわよ!!」

あたしはそういうとユーノの手を取って家に帰った…。

 

NO SIDE(語り・リナ)

 

…こうして、〈破滅の聖夜〉と言われた事件は全て終わったわ。

 

新たな出会い、そして取り戻せた日常。これからあたしたちは新たな道へと進んでいく。

 

そう、あたしたちはきっと…!

 




…あ~なんかこそばゆい…(笑)。

とにもかくにも残るはエピローグとあとがきでA´S編は終わります。

という訳で募集していたあとがきの質問は締め切らせていただきます。

出来る限り紹介するつもりなので楽しみにしてください!

次回「五十九、六年後 それぞれの道 進む時」

それじゃ次回も…

「リリカル、マジカル、がんばります~!」

(BY ユーリ)


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五十九、6年後 それぞれの道 進むとき

書き初めてはや1年半、やっとここまで来ました!

A´s編のエピローグ、どうか見てください!


NO SIDE

 

あの破滅の聖夜からはや6年の月日が流れ、幼かった小さな勇者たちも成長しそれぞれの新たな道を歩もうとしていた…

 

SIDE:フェイト

 

「…これでよし…っと。」

 

学生カバンを支度したわたしは、リビングへと向かう。そこには母さんとアルフ、そしてリニスが食事の支度をしていた。

 

「おはようフェイト、よく眠れたかしら?」

 

「おはよーフェイト!」

 

「朝ごはんの支度はできてますよ。」

 

「うん、ありがとうリニス。」

 

わたしはテーブルに座り用意されたトーストを頬張る。

 

「…早いものね。ついこの間までランドセル背負ってたと思ってたら、もう中学校卒業ですもの。…アリシアに続いてフェイトまでミッドの高校に行っちゃうなんて…」

 

…アリシアは中学を卒業したあと、保護官の資格をとるためにミッドチルダの高校(全寮制)に進学した。わたしも、上級執務官資格を取得するため同じ学校に通うんだけど…。

 

「はぁ~っ…ねぇリニス、やっぱり私達もミッドに引っ越さない?!」

 

「…だめですよプレシア。せっかく開いたお店、ほったらかしにする気ですか?」

 

…母さんは昨年、リンディさんと共同経営で〈ホビーショップ・T&H〉を開いた。体感型の魔導師シュミレーターを開発したところ爆発的なブームになり、毎日大盛況なんだ。

 

「そうだよ母さん、わたしも休みには戻ってくるんだし。」

 

「…わかったわよもう…。その代わり休みの日は…」

 

解ってるって。お姉ちゃんも一緒に帰ってくるよ。

 

「…じゃ、また卒業式の会場で。行ってきます。」

 

わたしはカバンを持つと玄関を出て学校へ向かった。

 

 

SIDE:はやて

 

「…それじゃあ、シャマルとアインスは卒業式の会場でな。シグナムは翠屋のバイト…というか、卒業パーティーの準備しっかり頼むで?!」

 

「はい!はやてちゃんも答辞しっかりね!」

 

「主はやてならできます!わたしたちも応援しています!」

 

「桃子殿と一緒に準備してお待ちしています!」

 

うんうん、みんなありがとな。…ある時からわたしはリインフォースの事をアインスと呼ぶようになった。その理由は…

 

「おいで、リイン♪」

 

「はい、マイスターはやて!」

 

わたしたちの新しい家族、リインフォースⅡ(ツヴァイ/通称リイン)が産まれたから。

 

使い魔として生まれ変わったナハトヴァール(結局名前はなはとに)のお陰でアインスの暴走は無くなったけど、その代償としてアインスは融合騎としての機能を失った。

 

これまで通り夜天の書の制御・管理は出来るけど、戦闘時の魔法制御を行う融合騎は新たに産み出す必要があったんや。

そこでわたしが考えたんは…アインスの妹を創ることやった。そして産まれたんがリインやいうこと。

 

「リイン、私の分まで主はやての事を頼んだぞ?」

 

「任せてくださいですお姉ちゃん♪」

 

「お~っ、可愛いなぁ我が妹は!お姉ちゃんが撫でてやろう♪」

 

…アインスが残念な人に見えるんは気のせいやろか…うん、気のせいいうことにしとこ(汗)。

 

「はやて~、そろそろ行かねぇと遅刻するよ?」

 

ヴィータがやきもきして声をかけてきた。

 

「お、もうそんな時間か…あれ、そういやアメリアとゼル君は?」

 

「…あいつらだったら朝早くに出ていったぜ。ゆっくり登校したいんだってさ。」

 

あ、そうか…アメリアはわたしやヴィータと一緒にミッドチルダの高校に進学するけど、ゼル君はクロノ君に誘われて副官になるんやった。

 

ということは今日が最後の2人きりの登校ちゅうわけやな。

 

「ほんならそろそろ行こかヴィータ。リインはデバイスの中に入ってな。」

 

「おう!」「はいです!」

 

(…しっかりやるんやで、アメリア!)

 

SIDE:アメリア

 

わたしとゼルガディスさんは、学校への通学路である河川敷を歩いていた。…2人きりで。

 

(うわぁ~っ、緊張して何喋ったらいいのかわかんないよ~!)

 

この春からわたしとはやてさん、ヴィータちゃんはミッドチルダにある教会系の高校に通うことになった。

 

はやてさんはわたしたちヴォルケンリッターを指揮する指揮官を目指しているから、色々な知識を得たいということでこの学校を選んだらしい。

 

ヴィータちゃんとわたしははやてさんの護衛も兼ねている。…残念ながら、ミッドチルダの人々の中には夜天の主であるはやてさんに偏見を持っている人もいる。

 

あってほしくは無いけど何が起きるかわからない、というわけだ。

 

一方ゼルガディスさんはクロノさんに誘われて、クロノさんの副官を目指すことになった。

 

クロノさんは破滅の聖夜の時の功績が認められてアースラの艦長をリンディさんから引き継いだ。

今まではエイミィさんがその役だったんだけど…近々クロノさんとエイミィさんが結婚することになって、「もう1人参謀的な副官が欲しい」と、ゼルガディスさんに白羽の矢がたった、というわけで…。

 

「…こうして一緒に学校に通うのも今日が最後だな、アメリア?」

 

「ひゃ、ひゃい?!」

 

突然ゼルガディスさんが話しかけてきて、わたしは思わず噛んでしまった。

 

「どうしたんだ?変なやつだな…でも、前の世界では学校なんて行ってなかったから、なかなか新鮮な体験ができたな。」

 

そうか…ゼルガディスさんはハーフゴーレムだったから人目隠れて暮らしてたんだっけ。

 

「…学校生活は楽しかったですか、ゼルガディスさん?」

 

わたしの質問にゼルガディスさんは頷きながらわたしの空いた手をとった。

 

「…!あ、あのゼルガディスさん…?!」

 

「…それもお前が側にいてくれたからだ、アメリア…。」

 

顔を赤らめながらそっと呟くゼルガディスさん。

 

「…はい、わたしも楽しかった…ゼルガディスさんと一緒だったから…♪」

 

わたしは握られた手を強く握り返す。

 

「…アメリア…」

 

「…ゼルガディスさん…わたし…」

 

いい感じに盛り上がってきたその時…

 

「ほ~ほっほっほっほっ!卒業式の会場はどこかしら?!」

 

…鳴り響いた高笑い、あれはもしかしなくても…

 

「おいアメリア、今のは…(汗)」

 

「…ねーさま…はぁっ…」

 

わたしたちの視線の先には校門の前で胸をそらせて高笑いするグレイシアねーさまの姿…。

 

大人モードにスーツを着こんでいるんだけど、サイズが微妙に小さいらしくあの大きな胸の谷間がしっかりわかる。

 

「…やめてねーさま、恥ずかしい~っ?!」

 

「やれやれ…」

 

わたしとゼルガディスさんはねーさまを止めるため、全力で駆け出した!

 

ねーさま、後で覚えてなさいよ…

 

SIDE:ユーノ

 

「…というわけで、今から学校へ向かうよ。調べた書類はそっちへ転送しといたから。」

 

僕はモニター越しに映るクロノとエイミィに話しかけた。

クロノに頼まれた調べものが思いの外時間がかかって終わったのがついさっき。

 

まぁ仮眠は取ったし、式の途中で寝落ちする事は無いと思う。

 

「…すまないな、卒業式の前なのに。おかげでなんとかなりそうだ。」

 

「ありがとうユーノくん!…それはそうと、リナちゃんと何か進展はあった?!」

 

エイミィの質問に僕は苦笑いする。

「はははっ…まぁそれなりには。ただ、結婚までの道のりは長いですよ…。」

 

「確かリナちゃんとユーノくんのパパに勝たなきゃいけないんだよねぇ…こりゃ大変だ。」

 

「…魔法抜きならヴォルケンリッター5人がかりでも勝てないって聞いたぞ。どんなチートなんだ…」

 

「…まぁ、あのリナの実父だからね。…それじゃ、そろそろ行くよ。」

 

「転送先は学校の屋上でいい?」

 

「うん、ありがとうエイミィ。」

 

「リナたちによろしく言っといてくれ。」

 

「わかった。それじゃお願いします。」

 

次の瞬間、僕の身体は転送された。

 

SIDE:なのは

 

「それじゃ行ってきまーす!」

 

わたしは身支度を整え、家族に声をかける。

 

「車に気をつけるんだぞ、なのは。」

 

「みんなによろしくね!」

 

わたしは手を降って答えると玄関をでて、リナちゃんの待つ並木道へ向かう。

 

リナちゃんはゼロスくんと話があるとかで先に行ってるって。2人きりでって前世がらみかな?

 

わたしはリナちゃんたちと一緒にミッドチルダにある聖王教会系の高校、St.ヒルデ魔法学院の高等科に通うことになった。

 

フェイトちゃんやはやてちゃんもそうだけど、リンディさんやその友達のレティ提督からは「管理局に入らない?」って誘われた。けど、わたしたちにはもっと知らなきゃいけない事、学ばなきゃいけない事があると思う。

 

それにわたしたちの夢…フェイトちゃんは執務官、はやてちゃんは現場指揮官、そしてわたしとリナちゃんは新しい子達にわたしたちの魔法を伝える教導官。

 

みんなそれぞれ資格は取得したけど、もっとしっかりと地についた仕事を覚えるため、そしてちゃんと次の世代の子に伝えられるように…

 

「あ、なのは~っ!」

 

「おはよう、なのはちゃん!」

 

あっちから歩いて来たのはアリサちゃんとすずかちゃん。

 

2人は残念ながら家業を継がなくちゃいけないからこっちの学校へ通うことに。

 

それでも、魔導師は嘱託で続けるって。

 

「おはようアリサちゃん、すずかちゃん!」

 

「あれ、リナは?!」

 

「ん~、ゼロスくんと話があるとかで先に行ってるって。並木道のところで待ってるはずなんだけど。」

 

「そっか。じゃ行こう。」

 

そうしてわたしたちはまた歩き始める。…でもゼロスくんの話ってなんなんだろ?

 

SIDE:リナ

 

「…それは本当なのゼロス?」

 

あたしは声を潜めてゼロスに尋ねた。…だってゼロスのいった話はそれぐらい突拍子もない話だったから。

 

「えぇ、残念ながら。」

 

「…全然残念そうに聞こえないんだけど…?」

 

ゼロスは相変わらずの飄々とした感じ。

 

「僕個人的には楽しみですからね、『中立』の僕としては。」

 

…こいつの言うことを鵜呑みにはできない。

 

こいつの言う『中立』とは世間一般でいうところの『どちらの方にもつかない』という意味じゃなく、『はたからおかしく他人事として見物する』という事だから。

 

「…先程もいった通り、貴女がこの世界に転生したことによりこの世界と平行する様々な世界の壁が揺らいだようです。だから我々のいた世界を含め色々なイレギュラーが起こるかもしれません。…いや~、困ったもんです。」

 

そんな…って待って…?

 

「…それって、あんたがあたしを転生させなかったら起きなかったんじゃないの?!」

 

「…それは言わない約束ですよリナさん…」

 

ゼロスはそういうとこめかみの辺りをポリポリとかく。

 

「まぁ、確かに教えてくれた事には感謝するわ。知ってるのと知らないのじゃ大違いだから。」

 

「それはなによりです。…それじゃ、卒業式の会場で。」

 

そういうとゼロスの姿が消え去った。…人が見てるかも知れないのにこんなところで魔法使うなよ…

 

「あっ、いたいた!」

 

「リナちゃんおはよ~!」

 

「…あれ、ゼロスくんと一緒じゃなかったの?」

 

そこに現れたのはなのはとアリサ、すずかの3人。

 

「おはようみんな。ゼロスだったら先にいったわ。あたしたちも行こっか?」

 

あたしはそういうと歩き始め、3人もそれに続く。

 

「今日の卒業パーティー、楽しみ~!」

 

「今日はうち(翠屋)貸しきりで準備してるから。お母さんも新作のケーキ出すっていってたよ!」

 

「ほんとに?!それじゃお腹すかせとかないと。」

 

そうこうしているうちに八神家やフェイトと合流、大人数になる。

 

「リナちゃん、ユーノくんは?」

 

「…さっき連絡があったわ。もう学校で待ってるって。」

 

あたしたちはワイワイいいながら校門をくぐり校舎へ。

…卒業式ではプレシアさんが親バカぶりを発揮したり、ナーガの高笑いで式が一時中断したりとドタバタだった。まぁ、それもあたしたちらしいけど!

 

その後の卒業パーティーでは桃子さんとシグナムの新作スイーツに舌鼓。…なお、シャマルと美由希さんが作った謎の物体には触れずにいよう。うん、それがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、次の日…

 

 

 

 

あたしとなのは、フェイト、はやて、アメリアの5人はフェイトの家の屋上に集合。目的は…

 

『卒業早々すまないな、みんな。』

 

「別にえぇよクロノ君。」

 

「そうだよ水くさい。わたしたちとクロノの中じゃない。」

 

「…ゼルガディスさ~ん!」

 

「にゃはは、アメリアちゃんは何時も元気なの。」

 

「さぁ、そろそろ行くわよ!」

 

あたしたちはそれぞれの相棒〈デバイス〉を頭上に掲げる。

 

…そう、あの日出会った絆は、6年たった今もちゃんと結ばれて…笑顔でいます、元気です!

 

「いくよ、ジャッジメント・ハウル!」

 

『ya!』

 

「バルディッシュ!」

 

『Yes,Sir!』

 

「いくでリイン!」

 

『はいです、マイスターはやて!』

 

「レイジングハート!」

 

『行きましょう、なのは!』

 

「ナイトメアハート!」

 

『おっしゃあ!』

 

……………………………

 

 

 

 

『Standby,ready.』

 

 

 

 

 

「「「「「セーット・アーップ!!!!!」」」」」

 

 

 

 

魔法少女リリカルすれいや~ず! NEXT‐A´s編 おわり

 

まだまだリリすれは終わらんよ!

 

(BY タカヒロオー)

 




これでA´s編は終了しますが、続けてあとがきにて裏話します。

よろしかったら読んでやってください。

ではまたあとがきでお会いしましょう!


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あとがき(の真似事)

(進行…作者[タカヒロオー],L様[ロード・オブ・ナイトメア],部下S[シャブラニグドゥ]

 

 

 

 

 

作者…「どうも、タカヒロオーです。」

 

L様…「やっほ~♪全世界のアイドル、L様だよ~っ♪」

 

作者…「アイドルって…お前何歳だと…」

 

L様…「ほほぉう…開始早々退場したいみたいね…(ガチャリ)」

 

部下S…「まあまあL様。こんな作者でもいないと進行に差し支えますから。…あ、申し遅れました、部下Sと申します、以後お見知りおきを…」

 

作者…「お前の出番はここだけだぞ?」

 

部下S…「酷いっ?!」

L様…「…まぁこんな3人(?)でしばらくお付き合いいただく訳だけど…作者、あんたいつもと喋り方違わない?

 

作者…「おう!今回は原作スレイヤーズ(小説版)のあとがきに少しでも近づけたくて真似てみた!」

 

部下S…「そういう訳なので、いつもの作者と雰囲気違うかも知れませんがご了承くださいね。」

 

L様…「で、どうして今回あとがきなの?無印編では書かなかったのに。」

 

作者…「今回のA´s編でひとまず一区切り、第一部(幼年編)完ってところだから。この機会に読者の疑問に答えたり、裏設定や裏話をまとめておこうかと。…ぶっちゃけいえばあとがきあってのスレイヤーズだしな。」

 

L様…「あんた解ってるじゃん!この調子であとがきをレギュラー化してあたしや部下Sの出番を…」

 

作者…「…まだ始まってもおらんのに次回の話をするな。まぁ評判がよければ、な。」

 

L様…「よ~し、そうときまればサクサク進行するわよっ!そいじゃまず…」

 

 

 

※リリすれ誕生秘話

 

 

L様…「そもそもあんた、どこからこのクロスを考えたのよ?!」

 

作者…「まず俺はこの作品がデビューになるんだが、元々はなのはのクロスを書きたくて考えたんだ。」

 

部下S…「それじゃあスレイヤーズはどこから?」

 

作者…「色々考えたんだがなかなかクロスを思い付かなくて…ふとネットを見てたら[リナVSなのは]ってのがあって。…スレイヤーズはなのは以上に好きな作品だったからこれだ!って。」

 

L様…「あんたが1番最初に出会ったライトノベルだったんでしょ、スレイヤーズって?」

 

作者…「おう!ちなみにリナの声は脳内ボイスで初めから林原さんでしたっ!…まぁそれはさておき、調べてみると面白い事が判明して…」

 

L様…「面白い事?」

 

作者…「本家スレイヤーズの原作者・神坂一センセイと俺が…」

 

部下S…「…実は血をわけた兄弟とか?」

 

作者…「…もしそうだったら光栄だがな。正解は[出身地が同じH県のA市だった]だ。もっとも、俺はS町でセンセイはおそらくA町かW町の出身だけど。」

L様…「??…どういう事?!」

 

作者…「元々A郡だった4つの町が合併してA市になった、ってこと。まぁそんな縁もあって書き出したら以外と反応よくて今に至る…と。」

 

L様…「いきなりとびだしたわね~。リナの名字の逢魔の由来は?」

 

作者…「始めは斬魔とか考えてたんだけど…今回のリナは魔法のないはずの世界で魔に逢うから逢魔とか決めた気がする。」

 

 

 

※ぶっつけ本番?!

 

 

L様…「それで書き始めた訳だけど、初めから展開って決まってたの?」

 

作者…「うんにゃ、なにせ初めてなもんで、行き当たりばったりの見切り発車。真剣な話、無印編に入るまでは完全にぶっつけ。」

L様…「…嘘でしょ?なにもそこまで神坂センセイの真似しなくても…」

 

作者…「別に真似するつもりはなかったけどな。さすがに無印編からはテキスト見ながら書いたけど。」

 

部下S…「なにを参考にしたんですか?」

 

作者…「無印編は劇場版DVDとコミック(学研版と角川版)、それに小説版。A´s編は劇場版とTV版DVDに学研版のコミックと『リリカルマジカルA´sなの!』。」

 

L様…「…ちょい待てやコラ。」

 

作者…「…なにか?」

 

L様…「なにかじゃないぃぃっ?!あんた何微妙に壊れたWebコミック(笑)参考にしてんのよっ!」

 

作者…「なにをいうかっ?!うちのはやてちゃんはみかげテイスト、これは譲れん!」

 

部下S…「…だからあの爆発元気王女がホーリーアップしたりしたんですね…。」

 

作者…「まぁあれは読者の方からのアイデアもあったけどな。」

 

 

 

※無印編~フェイトとナーガの衝撃(笑)

 

 

部下S…「それで無印編ですけど…まずリナのバリアジャケットは…」

 

作者…「ぐふっ!…そこからいくかっ?!あれはたまたま『乙女の祈り』聞いてて艦これ改やってて思いついた。」

 

L様…「…本当にぶっつけじゃんそれ…じゃフェイトのアレ(スク水ジャケット)も?」

 

作者…「いや、あれはちゃんと理由があってだな。以前感想返しにも書いたがあれはナーガの存在と危険度を表現するのにああいう形をとったら…」

 

L様…「各所(読者様)からクレーム殺到、と…」

 

作者…「あれは少しへこんだぞ…感想よく送ってくれた人が低評価置き土産に去ったりしたからな。…でも後悔はしてないから。」

 

L様…「そのナーガだけどプレシアと融合してでてきたのは?」

 

作者…「あれは予定通り。2人とも見るからに『悪役っぽい魔導師』って共通点があったから。転生じゃあないのは2人とも後々使いたかったからね。」

 

部下S…「それで誕生したのがあの主従コンビですか。」

※A´s編~アメリア、ゼロス、そして…

 

L様…「そんじゃ次はA´s編ね。無印編の最後にアメリアがでてきたのは吃驚した人も多かったんじゃ…」

 

作者…「あぁ、感想でも『待ってた』とか多くて…でもアレも決めたの書きながらだぞ?」

 

L様・部下S…「…マジで?(汗)」

 

作者…「真剣と書いてマジ(笑)。そもそもリリすれ開始時にスレイヤーズから出そうと思ってたのはリナ、ガウリイ、ゼル、ナーガ、ゼロス、そんでL様ぐらい。当初アメリアは迷ってた。」

 

L様…「なんで?!準主役なのに…」

 

作者…「…だからだよ。リナ以外のキャラクターは転生してくるルートを考えるとどうしても…ゼルとナーガはデバイスとして出したけどお前もデバイスでだすつもりだったからみんなデバイスっていうのもな…。」

 

L様…「なるほどね~。じゃどうして出すことに?」

 

作者…「A´s編では最初から八神家と仲良くさせるつもりだったから、リナとはやてを繋ぐキャラクターって考えてて…」

 

部下S…「アメリアさんに辿り着いた、と?」

 

作者…「そ。アメリア→ヒロイックファンタジー好き→守護騎士て具合であとはスムーズだったな。」

 

L様…「あの子だったらヴォルケンの中にいてもキャラ立ってるしね。」

 

作者…「お陰でストーリーメーカーとして頑張ってくれたよ。ゼルとのラブラブとかホーリーアップとか。」

 

部下S…「それじゃ次は…私の部下Zのそのまた部下、ゴキブリパシり神官ゼロスですかね。」

作者…「お前結構酷いな…一応直属の部下だぞ…まぁゼロスに関してはリナ以外で最初に作中に出たスレイヤーズキャラだからな(プロローグ)。」

 

L様…「あの頃から参戦は決めてたの?」

 

作者…「出すのは決めてたけど当初はスカさんと組ませてStsからの予定だった。でも魔族がらみの話を語らせるのにコイツがいれば話進みそうだなって。」

 

L様…「と言うことは解説係ってこと?!…ほんとにパシりじゃん…」

 

作者…「まぁA´sではそうなっちゃったけど、この先は暗躍すると思うよ?俺ファンだし。」

 

L様…「そういや感想返しでもいってたわね…もしかしてホモ?」

 

作者…「違うわぁっ?!まぁゼロスファンの読者は今後に期待してくれ、ってことで。」

 

部下S…「それではそろそろこのA´s編で1番(?)反響のあった、ユーノ→ガウリイの転生体について…」

 

作者…「ユーノがガウリイの生まれ変わりってのは最初から決めてた。リリカル調にガウリイ描いたら意外とユーノっぽい気がしてな、優男だし…」

 

L様…「でもユーノとガウリイじゃ月とスッポン、イルカとクラゲよ?!」

 

作者…「感想返しでも書いたけど、もしガウリイが例えば学者の家系に育ったら…って考えたら。ガウリイって直感的っていうか時たま鋭いんだよなぁ、リナが驚くぐらい。」

部下S…「原作でも予想外なところで鋭い一言ってありましたからねぇ…。」

 

作者…「ってことでなのはには悪いがリナ×ユーノのCPは決定。だから最初から伏線は張ってたつもりだったんだけど。リナの焼きもちとか、ユーノのデバイスとか…」

 

L様…「でも誰も気づいてくれなかった、と。」

 

作者…「シクシク…(涙)。ナーガの時といい、ほんとに勉強になりました!」

 

 

 

※質問、答えます!

 

部下S…それじゃこの辺でお開きに…じゃなかった、読者様にいただいた質問にお答えするコーナーです。

 

L様…「基本全部の質問にお答えするのが礼儀だとは思うんだけど…」

作者…「こちらのセレクトでお一人様につき、2つずつにさせていただきました!質問していただいた方全員に答えるためなのでご了承をば。」

 

作者…「さ~て、最初の質問は…この作品の感想皆勤賞(書きはじめてから)、いつもお世話になってます!U.N(ユーザーネーム)『立花フミ』さんから!…部下S、お前に質問だ。」

 

部下S…「わたくしに?(感涙)…さぁ、何でもどんとこーい!」

 

L様…「…『部下Sさんって原作含めて負け試合しか見たことがないんですけど?』だって。」

 

部下S…「げふっ?!…それって質問というよりディスってません?」

 

作者…「い~や、質問だ。さぁ、答えろ。」

部下S…「…どの戦いも当てさえすれば勝てるんです、諦めたら敗けなんですっ!…なのにいつもいつも宿主があきらめるから…(シクシク)」

 

作者…「何処の戦車道選手だおまいは…しかも結局諦めてるし。」

 

L様…「…まぁ答えは『部下Sだから』の一言ね。それじゃフミさんからもう1つ質問。今度は作者、あんたによ。『L様の脳内ボイスは誰で再生したらいいですか?』…まぁ、予測は付くけど…誰なの?」

 

作者…「言うまでもなく林原めぐみ様だが…補足するとプチ状態の時はキティちゃん、通常時はリナを大人にした感じ、ぶちギレの時はシャーマンキングのアンナをイメージしてくれたら近いかな。」

L様…「ほんとに予測どおりね…」

 

作者…「ほっとけ。それでは次の方…この方も古参のU.N『aki eco』さん、お世話になってます!…すずかに質問、『リナたちの原作に書かれていない黒歴史やその後の冒険を知れるとしたら?』だって。」

 

すずか…「ん~っ、実は後日談に関してはリナちゃんに聞いたら普通に思い出話してくれるから。黒歴史は…知らない方がいいかな。…あとが怖いから。」

 

部下S…「はい、すずかさんらしい当たり障りのないお答え、ありがとうございました。」

 

すずか「…反応薄くない?!」

 

L様…「aki ecoさんからもう1つね。リナに質問、『原作に出てきたアイテムでリリカル世界に欲しいものは?』」

 

リナ…「欲しいもの…金銀財宝かな?」

 

作者…「それはアイテムじゃないしこっちの世界に普通にあるだろうが。」

 

リナ…「うっさいわね…そうねぇ、メフィが着てた魔律装甲[ゼナファ・アーマー]がいいかな?…基本魔獣ザナッファーなのが怖いけど。」

 

作者…「よ~し、どんどんいくぞ。次の質問は…先のクイズ大会の正解者、U.N『正くん』さんからだ。リナに質問。『スピンオフに出てくるあなたの子供(モナ&レオ)って前世で有名なの?』だってさ。」

 

リナ…『まぁ最初はどうしても〈あのリナ・インバースの子供〉だったみたいだけど、最終的には〈異界の探訪者たち/ザナドゥ・トラベラーズ〉って呼ばれたらしいわね。詳しくはそこの作者に語ってもらったら?』

 

作者…「げほっ?!…痛い所を…スレイヤーズあふたぁ~もいずれリメイクして書き直そうとおもってるので。設定は活かして。」

 

部下S…「正くんさんからもう1つ質問です。作者に質問、『リナのお姉さん(ルナ)は結婚できましたか?』」

 

作者…「これはね…凄く奇特な方が貰ってくれない限りは…ただ意外とSPに出てきたジェフリーみたいなのと結婚してたりして。」

 

L様…「でもそれだと姑さんがあのジョセフィー…」

 

作者…「皆までいうなっ?!そんな嫁と姑のバトルは見たくないわっ!」

 

部下S…「自分で言った癖に…さて、次の方は…いつも応援ありがとう、U.N『荒潮提督』さんからです!まず質問というよりはやてさんにお願いですね。『アインスさんを嫁にください!』ですって。」

はやて…「そやなぁ…アインスに似合うコスプレ100着用意してくれたら考えてもええかなぁ…」

 

アインス…「我が主?!」

 

はやて…「冗談や冗談。あんたが好きな人ができるまで、あんたはうちの子やで。」

 

アインス…「我が主ぃ~っ!」

 

作者…「…というわけなので、いつでもお越しお待ちしています。(笑)。」

 

L様…「荒潮提督さんからは質問がもう1つ。作者に質問。『リナ(金色バージョン)とディアーチェ(GOD最終決戦バージョン)、戦ったらどちらが強いですか?』」

 

作者…「基本的にはリナが勝つとは思ってるけど…ディアーチェの勝機はいかに自分のステージで戦えるかだな。最高火力のジャガーノートでもリナのドラグスレイブ(ブースト版)の方が上ってイメージだから、広域魔法で先にダメージを与えればあるいは…それでも〈混沌の海〉に墜ちた時点で勝負あり、かな。」

L様…「さぁ、いよいよ最後の質問者は…U.N『直樹』さんなんだけど…作者、ミスしたんだって?」

 

作者…「うん…最初に貰った質問は『ユーノとリナに質問、付き合う許可を神威パパから貰いましたか?』だったんだけど…」

 

部下S…「2話前のラストで言っちゃってますよね…。」

 

作者…「気づいたのは投稿したあとだったから慌ててメッセージで質問いただきありがとうございました!質問はユーノに『剣の才能が開花したあと近接型の剣士たちと模擬戦をしましたか?』、あと恭也に『ユーノの成長ぶりをどう思いますか?』。」

 

ユーノ…「模擬戦はほぼ毎日。相手は恭也さん、美由希さん、フェイト、シグナム辺りがメインで、たまにアインス、士郎さん、神威義父さんかな。勝率?…今(A´s終了時)で剣技だけの勝負なら、フェイトと美由紀さんには勝ち越し、恭也さんとシグナムとは五分かな。あとの3人?まだまだ手も足もでないよ!」

恭也…「ユーノか…身体はまだまだ華奢だが才能はそれを十分に補っているな。そう遠くない将来、父さんや神威さんに匹敵する剣士になる予感がする。」

 

部下S…「これにて質問コーナーは終わりです!」

 

作者…「質問を考えてくれた皆さん、どうもありがとうございました!」

 

 

※今後の展開

 

L様…「さて、次シリーズの事なんだけど…なんでオリジナルのしかも空白期なの?ふつーだったらマテリアルズ編かリフレクション編でしょ?」

 

作者…「まさにそれが問題なんだわ。初めはリフレクション編をしようと考えてたんだが、それだと後編を見るまで先に進めないから、空白期…しかもオリジナルの学園編をやってみようと。」

部下S…「具体的には?」

 

作者…「原作のSP(短編)をディスりつつ、学園生活を書いていこうかなって。その中で空港火災やリフレクションぽい話を書くつもり。」

 

L様…「リフレクションは時間軸違わない?」

 

作者…「いや、あくまで『っぽい』話だから。ちなみにここの部分は先ほど質問コーナーにも出てくれた荒潮提督さんの『マテリアルズ・ストラトス』とのコラボも決まってる。」

 

L様…「どんな感じの話なの?」

 

作者…「とりあえずこっち(リリすれ)の世界では3年生の時にと思ってるんで、先にあっち(マテスト)の世界にリナとアメリア(予定)が迷い込む感じ。そのあと、あっちのマテリアルズと一夏をお借りする予定。よろしかったらマテリアルズ・ストラトスも見ていただけるとより面白くなるかと。(以上、宣伝)」

 

※最後に…

 

L様…「そろそろ終わりみたいだけど、作者から何か一言は?」

 

作者…「昨年の3月末から書き初めて約1年半、やっとここまでこれたこと、全てお気に入りにしてくれた595人の皆さん、それ以外にも応援やご指摘下さった皆様のお陰だと思っています。リリカルすれいや~ず!はまだまだ続く予定ですがひとまず御礼もうしあげます、本当にありがとうございました!」

 

L様…「挨拶は終わった…みたいね。それじゃあ…と。(ガチャリ)」

 

作者…「あの…L様?その手に持ってらっしゃる大ハンマーは?」

 

L様…「ん~、やっぱりあとがきの最後はこうじゃないとね?…という訳で…お星さまになぁれっ!」

 

キラーン(×2)

 

L様…「しまった、ついうっかり部下Sまで成層圏まで飛ばしちゃった♪…まぁ作者は次回までには這ってでも帰って来るはずなんで。それでは次回もリリカルすれいや~ず!をよろしくっ!お相手は銀河のアイドルL様でしたっ、またね~!(キラッ☆)

 




…いかがだったでしょうか?

好評だったらまたやりたいので感想お願いします!

次回ははいすくうる編の第1回です。

それでは次回も…

「リリカル、マジカル、ありがとー!(×みんな)」

(BY リリカルすれいや~ず!キャラ一同)


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はいすくうる編
はいすくうる編プロローグ~なのはの追憶~


いよいよ始まる高校編!…なんですが、スタートは卒業直後に起きるあの事件から。今回はプロローグなので短めです。

では楽しんでいただけると幸いです。


SIDE:なのは

 

『…なんだ、ないてるのか?どうしたんだ…そうか、おまえのとーちゃんが…よし、おれがあそんでやるよっ…』

 

…あれ、これって…10年前、わたしがリナちゃんに出会う少し前…泣いてたわたしを励ましてくれた男の子。

 

『おいだいじょうぶか…わ、すりむいてちぃでてる?!ちょっとまってろ…これでだいじょうぶだろ?」

 

転んで膝を擦りむいたわたしを、自分が着けてたバンダナで手当てしてくれたぶっきらぼうだけど、優しい子。

 

「…あしたもあそんでくれる?」

 

『あぁ、あしたもこのこうえんで、やくそくだ!』

 

「うんっ、やくそくっ!」

…だけどあの男の子は…

 

「はっ?!…なんだ、やっぱり夢かぁ…」

 

わたしが目を覚ましたのは海鳴の自分の部屋のベッドの上だった。

 

「…久し振りに見たなぁあの男の子の夢…。」

 

わたしは身体を起こすとベッドから立ち上がり窓のカーテンを思いっきり開けて身体を伸ばす。

 

…あの男の子は、結局その日もその次の日も来なかった。少し希望を持った分、裏切られた感が強くなったわたしはひねくれ、その後リナちゃんにスリッパでしばかれたりもした。(2話参照)

 

…まぁ、そのお陰(?)でリナちゃんとは親友になれたんだけど…

 

わたしは苦笑いしながら机の引き出しを開ける。

その中に入ってたのはわたしの3つの宝物。

 

さっきも話したリナちゃんに叩かれたスリッパ、フェイトちゃんと交換したリボン、そして…あの男の子のバンダナ。

 

「…あの子、今頃どこにいるのかな…」

 

バンダナを手に取りしばらく呆けていると…

 

「なのは、もう起きてるの?リナちゃんが迎えに来てるわよ?」

 

下からお母さんの声。時計を見ると…えっ、もうこんな時間?!

 

「…すぐ着替えるから待ってて貰ってっ?!」

 

わたしは慌てて着替えを済ますと、支度しておいた旅行カバンを持って階段をかけ降りた。

 

「ごめんリナちゃん寝過ごしたっ?!」

食堂に行くとリナちゃんがお母さんの出した紅茶を飲んでた。

 

「おはよ~なのは。…珍しいわね、あんたが寝過ごすなんて。」

 

「ほんとごめん!さ、行こっ!…お母さん行ってきま~す!」

 

「はい、行ってらっしゃい。…楽しんでくるのよ?リナちゃんもなのはの事、頼むわね。」

 

「うん!」

 

「まかせといて!」

 

わたしとリナちゃんは返事すると待ち合わせ場所のアリサちゃんの家に向かう。

 

中学の卒業式からはや3日、わたしたちは卒業記念に2泊3日の旅行に行く事になった。

 

行き先は、はやてちゃんやヴォルケンリッターのみんなの研修先の近所の療養施設。

「温泉とか色々あるんでしょ、楽しみよね~…あれ、どしたのなのは、なにか考え事?」

 

リナちゃんに呼ばれてわたしははっとする。

 

「…ううん、なんでもないよなんでも?!」

 

いけないいけない、無意識のうちにさっきの夢のこと考えてた…ってやだ、バンダナ持ってきちゃったよ…!

 

「あれ、なのは、その手に持ってるのはなに?」

「な、なんでもないよ!」

 

わたしは慌ててバンダナをポケットに隠す。

 

「?…変ななのは。…あ、アリサたちもう集まってる。」

 

リナちゃんのいう通り、アリサちゃん、すずかちゃん、フェイトちゃんが集まってる。

「あ、リナとなのはだ…お~い!」

 

アリサちゃんの声に駆け寄るわたしとリナちゃん。

 

「おはようみんな、待たせちゃってごめんね!」

 

「どーせリナが寝坊したんでしょ?」

 

「…おあいにくさま、寝坊したのはなのはよ。」

リナちゃんの言葉に驚く3人。

 

「珍しいね、なのはが寝坊するなんて…」

 

「それよりわたしはリナが寝坊しなかった事にビックリだわ…」

 

「何気にきついわね、アリサ…」

 

アリサちゃんのツッコミに凹むリナちゃん。

 

「さ、さぁそれじゃ行こっか、はやてちゃんたちは現地で待ってるから。」

「そうだねすずかちゃん。…それにしても、なんで今になって…?」

 

わたしはポケットに入れたバンダナを取り出した。裏返すとそこには平仮名で…「りょうが」…あの子の名前なのかな…?

 

「ほら~、早く早く!置いてくわよ!」

 

「あ、待ってよみんな~っ?!」

 

わたしはバンダナをもう一度ポケットにしまうと、アリサちゃんの庭に開いた転送ゲートに向かった。

 

…だけど、このあとわたしたちはある事件に関わる事となる。

 

そして、その事件の中でわたしは1人の少女を救い、更にある少年と運命の再会を果たす事になるのだが…

 

その時のわたしには知るよしも無かった…

 

今、新たな刻(とき)が動き出す…!




リリすれではリナの転生により、時間軸がずれる等のパラドックスが発生しています。何卒ご了承ください。

さて、次回は言うまでもなく空白期のメインイベント(?)の1つであるあの事件が起こります。

なのはだけでなく、リナやフェイトにも何かが?

次回、「はいすくうる〈1〉 運命の出逢い、運命の再会」

あ、申し遅れましたが、はいすくうる編はナンバリングを別枠にします。

従来のナンバリングはSts編から再開します。

それでは次回も…

「リリカル、マジカル、頑張り…えっ、もしかして…りょ…」

「こ、ここは…何処だ?」

(BY なのは&あの人)


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はいすくうる〈1〉 運命の出逢い、運命の再会

暑さもピークが過ぎて、執筆が進むように…なったのかな?

頑張ります!


NO SIDE

 

アリサの家から転送されたリナ、なのは、フェイト、アリサ、すずか。

 

転送された先はミッドチルダでも有数のリゾート地。その名前は…

 

SIDE:リナ

 

「しっかし…アリーマって地名だけでもえっ?って感じなのに、ホテル・〈コーヨカーク〉って…わかる人にしかわかんないわよっ?!」

 

「…誰に怒鳴ってるのリナちゃん…?」

 

…はて、誰にだろうね?(謎)…それはそうとはやてたちは、っと…。

 

「お~い、みんなぁ~っ?!」

 

「…やっと来たか、待ちくたびれたぜ…」

 

「遅いですよ皆さ~ん!」

声のした方を見ると、管理局の制服姿のはやて、ヴィータ、そしてアメリアの姿が。

 

「ごめんごめん、若干1名寝過ごした人が居てさ…」

 

アリサがそういうと、3人は合わせたように…

 

「寝過ごした?」

 

「そんなのどーせ…」

 

「あなたなんでしょ、リナっ?!」

 

…予想通りのコメントにあたしたちは苦笑い。…なのはは顔伏せてるけど。

 

「残念、ハズレ。…寝坊したのはなのはよ。」

 

あたしの答に驚いた表情のはやてたち。…こいつら、あたしをどんだけ寝坊助だとオモッテルンダ…

 

「どないしたんなのはちゃん、体調でも悪いんか?」

「…確かになのはが寝坊なんて珍しいよなぁ…」

 

「ほんと!…リナはしょっちゅうだけど。」

 

… やかまし。それとアメリア一言余計。

 

「大丈夫だよみんな、心配してくれてありがと。」

 

なのはは申し訳なさそうに礼を言う。

 

「ならいいけど…せっかくの旅行を台無しにしたくないもんね。」

 

まぁアリサのいうのは正論ね。この面子で遊ぶのもしばらくは出来ないんだし、おもいっきり楽しむとしましょ?

 

「うん、アリサとすずかは新学期からは別の学校だからね。」

 

「う~~~っ…ほんとはわたしも行きたかったんだけどなぁ…」

「アリサちゃん、それは言わない約束だよ?わたしたちは家業を継ぐっていう、リナちゃんやなのはちゃんたちとは違う目標があるんだから。」

 

そう、アリサはバニングスグループの、すずかは月村家の跡取りだから海鳴に残りこちらの高校に通うことになってる。

 

「…確かアリサちゃんが武偵高校で、すずかちゃんが直江津高校だっけ?」

 

…すずかはともかく、アリサは継ぐ気あるの?!そこって確か…

 

「皆まで言わないで?!…だって資格取り放題よ、しかも普通じゃ取れないような奴まで?!大学は父さんのいう学校に行くつもりだから、高校ぐらい自由にね。」

 

「わたしは姉さんがその学校にいけば楽しいことが起きるからって。何でも真祖クラスの同族がいるらしいんだ。」…実はすずかの実家・月村家は吸血鬼の真祖の家系で、もちろんすずかもそう。あたしたちは小学校卒業の時に本人から打ち明けてもらった。

 

『もう親友を騙し続けるのは嫌だ』って。

 

今考えてみると、あの運動神経はそういう事か、と思う。

 

…てか、他にもいるんだそんな人外が…

 

「…まぁまぁ、話はチェックインしてからゆっくりな。このホテルは食事が美味しい上に部屋からの眺めもバッチリらしいで。」

 

…というわけで、まず最初はホテルの屋上の展望台へGo!…さすがミッドチルダ随一の観光地ね、ガラス張りの高速エレベーターからでも見事な眺めだわ。

 

「すっごーい、あんなに遠くまで?!」

 

「それだけやないで、多分もうすぐ…ほら、山の方見てみ?!」

 

「………………?!」

 

その時あたしたちの目に飛び込んできたのは、展望台全面に拡がる雲海だった。

 

このホテルは地球のものとは比べ物にならないくらい高層な為、文字通り『雲を突き抜け』たのだ。

 

「…凄いわねこれは…まさに雲の海そのものよこれは…」

 

「こんなの見たことない…」

 

神秘的な光景に目を奪われたあたしたちは雲海をバックに記念撮影。そして予約を取っておいた最上階のレストランで食事と相成った。

 

「がつがつがつ…」

 

「ばくばくばく…」

 

周りの客席の反応がどうもおかしい。何かに見とれてるというか、呆気にとられてるというか…

 

「…多分リナとアメリアにだと思う。」

 

「わたしもそうだと思うの…。」

 

フェイトとなのはがこっちを見ながら呟く。

 

「…えっ、これくらい普通じゃない、ねぇアメリア?」

 

「むしろ皆が少食なんじゃ…あ、すいません、ムニエルとパスタおかわり!!」

 

「あたしはステーキとライス大盛りで!!…あ、ミディアムレアでお願い♪」

 

「うっ…マジかよ…」

 

…いっとくけど、あたしもアメリアもこう見えて結構グルメ。あたしは前世で故郷(くに)の姉ちゃんに舌を鍛えられてるし、アメリアに至っては大国セイルーンの王女さまだからね。

…そう考えるとナーガも食べ物にはうるさかったわね。何でも食べたけど…。

 

「さぁ、ご飯も食べたことやし午後からは…『ピリリリッ!』…本部から通信?!いったいなんやろか…」

 

管理局本部から通信?!…嫌な予感以外なにもしないんだけど…?

 

「…皆、大変や!『訓練施設の近くにある空港で大規模な火災が発生、近辺に滞在する管理局の魔導師に救助の応援を要請する。』やって!」

 

空港火災?!…予想以上の重大事態じゃない!

 

「仕方ないわね、旅行は一時中断よ!…せ~の、…」

 

『セーット・アーップ!(×8)』

 

あたしたちはバリアジャケットを装着しデバイスを展開すると、全速力で現場へと向かった。

NO SIDE

 

火災現場に向かったリナたちだったが、現場は彼女たちの予想を遥かに上回る惨状だった。

 

火災現場には、消火魔法を使える魔導師も、消火隊を指揮する司令官も不在だったのである…。

 

「…応援の方ですか?!ご協力感謝します!」

 

現場の魔導師の中のリーダー格らしき人が話しかけ、代表してはやてが応える。

 

「…指揮官候補生、嘱託魔導師の八神はやて、他7名です!…指揮官は貴方ですか?」

 

はやての問いに男は悲痛な表情で答える。

 

「いえ…わたしはあくまで暫定的なものです。指揮官は今こちらに向かっているはずなのですが…」

「…な、なによそれっ?!」

 

「それじゃ消火活動は…」

 

アリサ、すずかの言葉にも申し訳無さそうに首を振るばかり。

 

それを見たはやては意を決して男に話す。

 

「…解りました。非常時と判断し、指揮官と援軍が到着するまでの間わたしが全体の指揮を取ります。…任せていただけますか?」

 

「本当ですか!はい、これより八神はやて候補生に現場指揮を委任します!…よろしくお願いします!」

 

はやては頷くと、後ろでてぐすねひいているリナたちに指示を開始する。

 

「…聞いての通りや!…すずかちゃんとアメリアは消火活動の指揮と援護を!」

「任せて、はやてちゃん!」

 

「守護騎士の名にかけて!」

 

 

「ヴィータは燃え移りそうな建物を破壊して二次災害を防いで!必要以上に壊すんやないで?」

 

「任せといてはやて!燃えそうな奴だけだろっ!」

 

「リナちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃん、アリサちゃんは四方に別れて要救助者の捜索と救助や!頼んだで!」

 

「任せなさいっ!」

 

「絶対助けてみせるの!」

 

「それじゃ…」

 

「ミッション…スタート!!」

 

掛け声と同時にはやてを除く7人は自分の使命に向けて動き出した。

 

消火班は上空高く舞い上がり封鎖結界と消火の準備、救助班はそれぞれの方角へ散らばり炎の中へと突入していく。

 

「す、凄い…なんて統率力だ…」

 

「さて、と…でておいで、リイン?」

 

『はいです、マイスターはやて!』

 

はやてのデバイス、シュベルトクロイツから現れたのは、夜天の主の新たな融合騎、リインフォース・ツヴァイ。

 

「リインはわたしとここで指揮官がくるまで補助をお願いや。情報処理は任せたで?」

 

「リインにお任せですぅ!!」

 

…これが後の機動六課総司令官として名を馳せた、八神はやての記録に残る最初の指揮である。

SIDE:なのは

 

『なのはちゃん、こちらはやて。…進行方向800m先に生体反応1…救助に向かってや。』

 

「こちらなのは、了解。…レイジングハート、全力で翔ばすよ!」

 

『行きますよ、なのは!』

 

わたしの願いに応えるように、両足の羽根が大きくなり飛行スピードが上がる。要救助者はいったいどこ…あっ!

 

SIDE:???

 

「…お父さん…お姉ちゃんっ……ノーヴェ…ェ…」

 

ドッカーーン!

 

「うわぁっ?!」

 

…お父さんの出向先にお姉ちゃんと妹のノーヴェの3人で遊びに来て…まさかこんなことに…

「…痛いよっ…熱いよっ!…こんなのやだよぅ…」

 

もう帰りたい…夢なら早く醒めてよっ?!

 

わたしは痛む身体を起こし、立ち上がろうとした。その時…!

 

ミシッ…ミシミシッ…バキッ!!

 

「…えっ?!」

 

ゴゴゴゴゴッ…

 

物凄い音にわたしが振り向くと、そこには倒れてくる巨大な女神像…もう逃げられないっ?!

 

「誰か…助けてっ!」

 

わたしは死を覚悟し目を閉じた。…でも、いつまでも石像は倒れてこない。

 

??…恐る恐る目を開けると、そこには魔力の枷に縛られた女神像。そして舞い降りたのは…白いバリアジャケットに身を包み黄金の杖を持った、女の人…わたしの目にはその人はまさに〈天使〉そのものだったんだ…

SIDE:なのは

 

…!はぁ、危なかった…なんとかバインドが間に合ったよ…

 

『…要救助者はあの子のようですね…』

 

うん、辺りに人影はないしそうみたいだね。…わたしは泣いてるその子に近づき声をかける。

 

「大丈夫?…よくがんばったね、偉いよ。」

 

「ぐすっ…わたし、わたし…うわあぁ~ん!」

 

わたしは泣きじゃくるその子の頭を撫でなぐさめる。

 

「あなた、お名前は?」

 

「…スバル…スバル・ナカジマ…」

 

スバルちゃんか、いい名前だね。さぁとりあえずここを脱け出して…

 

『…?! なのは、頭上から?!』

えっ…わたしが見上げたその先には崩れた天井が…駄目だ、バリアも間に合わない?!わたしはスバルをかばうように覆い被さる。…その時、目の前に男の人が立ちはだかり…

 

「爆砕…点穴!」

 

次の瞬間、落ちてきた天井は粉々に砕け散る。目の前の彼が指一本で岩を破壊したのだ…指一本で。

 

「あ、ありがとうございます、お陰で…えっ?!」

 

わたしは助けてくれた男性にお礼を言おうとした瞬間、硬直してしまう。

 

年の頃はわたしとおなじくらい、その身体は見るだけで鍛えられてるのがわかる。

 

でも、わたしが目を奪われたのはその出で立ち…黄色のTシャツを腕捲りして背中には大きなリュックサック。そして何より特徴的なバンダナ…

 

「もしかして…『りょうがくん』、なの?」

 

「…?! お前…『なのは』…なのか?」

 

…まさかこんな形で再会するなんて、神様もL様も読めないと思うの…

 




遂に再会した2人。さらにはフェイトとリナもあの子たちと?!

次回「はいすくうる〈2〉雷神と魔王の人助け」

それでは次回もリリカル、マジカル…

「「頑張ります!!」」

「うん、良くできました♪」

(BY スバル、ノーヴェ&ギンガ)


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はいすくうる〈2〉 雷神と魔王、人助けする

ちょっとだけタイトル変更しました。

続々現れるあの大家族の姉妹たち、今回はあの2人…?


NO SIDE

 

卒業旅行中に管理局から要請を受け、空港火災の救援に向かったリナたちだったが管理局のミスにより、指揮系統は混乱を極めていた。

 

事態を重く見たはやては自ら指揮を申し出、消火と救助を開始する。

 

そのはやての指示により、なのはは炎上する空港内で逃げ遅れた少女、スバル・ナカジマを救助する。

 

しかし、落盤した天井がなのはとスバルめがけて墜ちてきて2人は窮地に立たされる。

 

しかし次の瞬間、謎の少年が現れ瓦礫を指一本で粉砕した。なのははその少年を見て驚きを隠せなかった。

 

少年の名は響良牙。…10年前になのはと出逢い、なのはが生まれて初めて恋心を抱いた相手だったのだ。

 

SIDE:なのは

 

は~っ、吃驚だよ…もう少しで瓦礫に潰されそうだったところを助けてもらっただけでも驚いたのに、助けてくれたのが10年前に出会ったきり音沙汰のなかったりょうがくんだなんて…今日の夢って予知夢なの?

 

「ひ、久しぶりだねりょうがくん!」

 

「あ、あぁ…かれこれ10年ぶりか?…あの時は済まなかった、約束を破ってしまって…」

 

わたしは謝るりょうがくんを止める。

 

「いいよもう。こうやってピンチに来てくれたんだから…って話してる場合じゃないみたいだね。」

 

そうこうしている内に周りの炎は更に強くなってきてる。スバルの顔色もよくないし、早く脱出しよう!

「…でもどうやって?逃げ道なんて何処にも…」

 

「逃げ道は今から作るよ?…でもその前に…レイジングハート!」

 

『…はい、なのは。…プロテクション!』

 

わたしの願いに応えるように、りょうがくんとスバルの廻りを魔法の防御壁が包み込む。

 

「なんだっ?熱くなくなったぞ?!」

 

「…その中にいれば炎も大丈夫だからそこで待っててくれる?すぐに終わるから。」

 

わたしはそういうとレイジングハートを構える。狙うのはさっき崩れた天井の辺り。

 

『バレル展開、ロードカートリッジ!』

 

わたしの足元に魔方陣が現れ、レイジングハートはカートリッジの薬莢を排出する。

 

「…地上まで、一気に抜くよレイジングハート!」

 

『もちろんです、なのは!』

 

「…ディバイーーン…バスタァーッ!」

 

わたしの放った桜色の砲撃は、天井を撃ち抜き空いた大穴からは夜空が見えていた。

 

「これでよしっ…と。さ、脱出…ってあれ、どうしたのりょうがくん?」

 

「…はっ?!い、いかん…これは夢か?なのは、今のはなんだ?!さっきのバリアみたいな奴といい、今のビームといい…」

 

う~ん…説明すると長くなるから後でね?

 

「なのは~っ!」

 

あ、アリサちゃん!…ちょうどよかった。この子…スバルを救助隊に連れてってくれる?わたしはこの人を連れてくから。」

 

「うん…って誰よそいつ。こんなところにTシャツ腕捲りにリュックサックなんて怪しすぎるわよっ?!」

 

まぁその辺は後で説明するから…それじゃ先行くよ!

 

わたしはりょうがくんの手を取ると全速力で空へ飛び出した。

 

「あ、ちょっと待ちなさいよなのはっ?!」

 

続けざまにアリサちゃんもスバルを抱えて飛び出してきた。

 

「うぇっ、空を飛んでる…だとっ?!…なのは、お前いったい…」

 

「うん…わたしは魔導師…分かりやすくいえば魔法少女かな?…その辺りも含めて聞きたい事も話したい事もあるし、わたしと一緒に来てほしいんだ…ダメかな?」

 

りょうがくんは少し考えて答える。

 

 

「…まだよく事情がつかめんが、一緒に行く方が良さそうだな。世話になるがいいか?」

 

「もちろんだよっ!そうと決まれば早く終わらせるよ。」

 

とりあえずりょうがくんとスバルを届けたら捜索を続けよう!

 

わたしとアリサちゃんは頷きあって救助隊のいるキャンプへ向かった。

 

NO SIDE

 

こうしてなのはが運命の出逢いと再会を果たしていた頃、別の場所を捜索していたフェイトとリナもまた…

 

SIDE:フェイト

 

『フェイトちゃん聞こえるか?…8番ゲート付近に生体反応発見、お願いできるかなぁ?』

 

はやての通信にわたしは即座に返答する。

 

「了解。…バルディッシュ?」

 

『ルート検索完了。…目標まであと1分。』

 

わたしはバルディッシュのナビゲートに従い、目の前の壁を撃ち抜いた。

 

「管理局の救助隊です!どなたかいません…居た?!」

 

辺りを見渡すと奥まったところに2、3人の女性がプロテクションの中でうずくまっていた。

 

「もう大丈夫ですよ!」

 

「あ、あの…実は…小さな魔導師の女の子がこのプロテクションをかけてくれたあと、『妹たちを探しに行く』ってあの奥へ…」

 

そう言って女性の1人は扉の方を指差す。「わかりました。あなたたちをキャンプにおくった後、救助に向かいます。」

 

小さな女の子か…お願い、わたしが助けに行くまで無事でいてね…

 

SIDE:???

 

はぁ、はぁ…いったいどこに行ったの?

 

「スバル…ノーヴェ…どこ、どこなの?!…きゃあっ?!」

 

わたしは爆風にあおりを受け転倒してしまった。

 

父さんのところに妹2人を連れて遊びに来たらこんなことに…おまけに妹たちとははぐれてしまう始末。

 

「…この階段を昇れば外には出れると思うんだけど…」

 

…だめだ、足に力が入らない…わたしが諦めかけたその時…

 

「…そこの女の子!今助けに行くから動かないでっ?!」

管理局の魔導師さん?!…よかった、助かった…そう思った次の瞬間足元の階段が崩壊、わたしの身体は放り出された…

 

SIDE:フェイト

 

捜索に戻ったわたしはすぐに女の子を発見した。遠目にだけど怪我はないみたい。よかった…

 

と思った次の瞬間、女の子の足元の階段が崩れて墜落…まずい、バルディッシュ?!

 

『ソニックムーヴ!』

 

わたしは瞬時に加速して落下する彼女を救助した。…ふう、間一髪だった。

 

「大丈夫?!もう心配ないよ。」

 

「あ、ありがとうございます。お陰で助かり…あっ、スバルとノーヴェ…妹たちがまだ中に?!」

 

…やっと自分が助かったところなのに、もう妹たちの事を心配してる…優しい子なんだなぁ。

 

「大丈夫、わたしの友達も皆で探してるから必ず…」

 

『…フェイトちゃん、こちらなのは!スバル・ナカジマちゃんはわたしが保護して、無事にキャンプに送ったよ!』

 

『…こちら救護班ベースキャンプ。ノーヴェ・ナカジマちゃんは現在のところ保護の報告は…いや、たった今逢魔リナ一等空尉がそれらしき少女を発見、すぐ保護に向かうとの連絡が!』

 

続けざまに入った吉報を聞き、彼女に笑みが浮かぶ。あれ、そういえば…

 

「そういえば聞いてなかったね、名前。」

「あっ、すいません…ギンガ・ナカジマ13歳、陸士候補生です。」

 

彼女…ギンガははにかみながら答えた。

 

「陸士候補生か…将来の同僚だね。」

 

「き、恐縮です…」

 

そんな事を話しながら、わたしとギンガはベースキャンプへと向かった。

 

SIDE:リナ

 

んっと、はやての指示にあったのは確かこの辺…あ、あれかな?!

 

あたしが見つけたのは赤い髪の毛の小さな女の子。炎に囲まれて動けなくなったみたいね。

 

「熱いよぉ…ギンガおねーちゃん、スバルおねーちゃん、助けて…」

 

「…おねーちゃんじゃないけど、助けに来たよ?」

「ふぇっ?!…おねーちゃん、だれ?!」

 

女の子は突然現れたあたしに驚いたみたい。

 

「あたしはリナ…助けに来たよ。あんた、名前は?」

 

「…ノーヴェ…ノーヴェ・ナカジマ…です。」

 

…やっぱりこの子がノーヴェか…随分大人しい子ね…。

 

「ほ~ら、元気だしなさいっ!…あんたのお姉ちゃんたちはもう救助されたって。あとはあんただけだよ!」

 

「…ほんとっ?!よかった~、はぐれちゃったから怖かったんだ。」

 

ようやくノーヴェは笑顔を見せた。さて、と…

 

「L様、バリアお願い。」

 

『あいよっ!さぁ、入ってきな!』

L様が張ったバリアにノーヴェが入るのを確認して、あたしはナイトメアハートを構える。

 

足元にスィーフィードの魔方陣を展開させ、カートリッジを使って魔力を増幅させる。

 

『準備はOKだよリナ!』

 

よっしゃあ!そんじゃ、いっちょぶちかますとしますか!

 

『黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに闇に誓わん 我らが前に立ちふさがりし すべての愚かなりし者に 我と汝が力持て 等しく滅びを与えん事を!』

 

いっけぇ~っ!!

 

「竜…破斬[ドラグッ…スレイーーブッ]!!」

 

ズガガガッ!!

 

う~ん、きれいさっぱり跡形もなく道が拓けたわね。

 

「さ、こんなとこはさっさとお別れよ!…行くわよ、ノーヴェ?!」

 

「は、はい、リナさん!」

 

…ん?心なしかノーヴェの瞳がキラキラ輝いてる気が…多分気のせいね。

 

あたしはノーヴェを抱え、救護班のベースキャンプへと飛んでいった。

 

SIDE:ノーヴェ

 

ふわぁ…リナさんって無茶苦茶カッコいいよぅ…

 

わたしも真似したらリナさんみたいに強くなれるかなぁ?

 

それにリナさんのあの呪文…何っていったか全然わからなかったけど…絶対マスターして、次に会うときにはびっくりさせるんだから!




一応空港火災は次回で終わり、六課設立フラグが立つ予定です。

また近々活動報告でなんかする予定なのでお楽しみに!

次回、「はいすくうる〈3〉はやての夢、みんなの夢」

それでは次回も見てくんないと…

「乳揉むで?!」

(BYはやて)


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はいすくうる〈3〉 はやての夢、みんなの夢

空港火災編は今回で終了となります。

今回は珍しくはやての視点オンリーになりました。

うまく書けてるか心配ですが楽しんで戴けると幸いです。


NO SIDE

 

卒業旅行中に発生した空港火災事件で高町なのは はスバル・ナカジマと出逢い、更に初恋の少年・響良牙と再会する。

 

またフェイト・テスタロッサはギンガ・ナカジマ、逢魔リナはノーヴェ・ナカジマと出逢い、新たな運命の扉が開かれた。

 

そして八神はやて、彼女もまた新たな出逢いを迎えようとしていた…。

 

SIDE:はやて

 

「…そうか、救助できたんは何よりや。それじゃ次は北のブロックや…疲れとるとは思うけど、もう少しやから頼んだで皆!」

 

『了解!(×4)』

 

…ふぅ、救助の方は順調なようやな。あとは消火の方やけど…

「マイスターはやて、指揮官の方が到着されました!」

 

「…遅れて済まない。時空管理局・陸上警備隊第108部隊長ゲンヤ・ナカジマ三等陸佐だ。お前さんが指揮を…」

 

「お疲れ様です!…指揮官候補生、八神はやてです。嘱託の身ですが一応一等空尉です。」

 

わたしとナカジマ三佐は形式上の挨拶をする。…さて、本題はここからや。

「すいませんナカジマ三佐、指揮を引き継いで貰ってもよろしいでしょうか?」

 

わたしは胸元からシュベルトクロイツを取り出しながらナカジマ三佐と話す。

 

「?…別にかまわないが…そうか、お前さんも魔導師か…。」

 

「はい、広域型なんです。…上空で消火の手伝いを。」

 

「そうか、…わかった、こっちは任せて行ってきな。」

 

話が分かる人で助かるわ~。って、ちょっと待った!

 

「ナカジマ三佐つかぬこと聞きますけど、もしかしてこちらにお嬢さんたちがいらしてませんか?」

 

「あ、あぁ確かに3人こっちに遊びにくる予定になっていたが…まさかっ?!」

 

やっぱりな…

 

「ナカジマ三佐、心配ありません。お嬢さんたちはわたしの親友の魔導師の皆が救助してくれましたから。」

 

わたしの言葉にナカジマ三佐は安堵の表情を見せた。

 

「…感謝する。連絡がとれないから心配していたんだ…」

確認とっといてよかったわ。心配事あったら指揮に差し支えるからな。

 

「…リイン、あんたはナカジマ三佐と一緒に情報整理。それが終わったら空でわたしと合流や…わかった?」

 

「はいですっ!」

 

…うん、いい返事や。リインの返事にわたしは頷くと、バリアジャケットを身に纏う。

 

「それじゃ行ってきます!」

 

わたしはすずかちゃんやアメリアが待つ空の上に向かった。

 

 

 

「あ、はやてちゃん!…指揮の方は大丈夫なの?」

 

上空に着くとそこにはすずかちゃんの姿。アメリアの姿が見えへんけど…。

 

「ん、大丈夫や。指揮官さんが来てくれたさかいな。…それよりアメリアは?」

「さっきヴィータちゃんから連絡が入って、救助の手助けに行ってるの。…なんでも小さい子を連れたお母さんだって。」

 

『…こちらアメリア!救助要請のあった親子を発見、無事保護しましたっ!お母さんのお名前はイオタ・ミナルディさん、お子さんはミウラちゃんということです!』

 

どうやら無事やったみたいやね。

 

「ご苦労様やなアメリア。ベースキャンプまでちゃんとお連れするんやで?」

 

『あっ、はやてさん!…はいっ、任せてください!それではあとで!』

 

アメリアがそういうと通信が切れた。

さて、それじゃ本格的に消火しよか?…すずかちゃん、凍結魔法で凍らせてまうで?

「うん、はやてちゃん!」

 

さぁ、頑張って旅行の続きせなあかんからな。はよ終わらすで!

 

わたしとすずかちゃんは上空で魔方陣を展開、広域凍結魔法の準備を始める。

 

「八神一尉、救助者はいません、お願いします!」

 

よっしゃ、いくでぇ!

 

『…永久の氷嵐、エターナルブリザード!』

 

先にすずかちゃんの凍結魔法…相変わらず制御バッチリやね。それに引き換え…

 

『…仄白き雪の王 銀の翼以て 眼下の大地を白銀に染めよ…』

 

わたしの詠唱とともに、周囲に発生した4個のスフィアに魔力があつまっていくんやけど…どーもリインがおらんと安定せえへん。…ここら辺がこれからの課題やね。

『…来よ、氷結の息吹!…〈アーテム・デス・アイセス〉!』

 

わたしが解き放った氷結魔法は辺りを捲き込みながら燃え盛る空港を炎ごと凍てつかせていく…んやけどな…

 

「こ、これがオーバーSの魔導師の力…すごいっ!」

 

…いや、褒めてくれるんは嬉しいんやけどな…いかんせん効かんねん、コントロールが…

 

ほら、周りの消火隊員の人の服も凍てついてる…。

 

「みんなごめんなぁ?!わたし融合騎のリインがおらんとどうも上手く制御できへんねん。」

 

「い、いえ…引き続き他のブロックもお願いできますか?」

 

「了解しました、継続して消火か…」

『…遅れてすまないっ?!』

 

割り込んで入った通信に振り向くと、首都クラガナンの方から大人数の魔導師たちがこちらを向いて飛んできた。

 

やれやれ、やっとご到着かいな?…ちょっと遅すぎへんか?

 

『現地の隊員諸君と協力してくれたエースたちに感謝する。…後は我々に任せてもらおう!』

 

…なっ?!救助も消火もあらかた目処が立ってから来て美味しいとこ取りかいな?でも…

 

『…こちら現場指揮官のゲンヤ・ナカジマ三等陸佐だ。八神一尉とその仲間は継続して任務に当たってくれ。初動が遅すぎるせいで嬢ちゃんたちには迷惑かけたな、勘弁してくれ。』

 

ナカジマ三佐?!…そんな、三佐が謝る必要なんて…

 

「…了解しました、引き続き協力を続けますので指示をお願いします!…ふぅ…。」

 

わたしは通信を切ると思いに耽る。

 

(…やっぱりこのままじゃあかん!なんとかせな、なんとか…)

 

わたしは暫し考え、ある決意を抱く。

 

(…よし、とりあえず明日相談してみよ。)

 

 

…幸い、程無く火災は修まり被害は最小限に抑える事ができた。そして次の日の朝…

 

『…昨日起きました大規模な空港火災は、管理局の懸命な消火活動とエース級の魔導師の協力もあり無事沈静化、管理局は本日より現場を検証し原因を究明…』

プツッ!

 

わたしはニュースが流れていたテレビの電源を切ると、リモコンをベッドの上に放り投げた。

 

…ここは宿泊先のホテルの一室。わたしたちは救助が一段落したあと、部屋に戻った。

 

ちなみにわたしはリナちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃんと同室。キングサイズのベッドに4人で寝てる。

 

「ん~っ、やっぱりなぁ…」

 

「…どうしたのはやてちゃん、浮かない顔して…」

 

声に振り向くとなのはちゃんたちが目を覚ましてこっちを見てた…ごめん、起こしてもうた?

 

「…別に起きたとこだったからいいわよ。それより『何が』やっぱりなの、はやて?」

「…今回の空港火災、実際に活躍したんは現地の救助隊とわたしらやんか。なのにテレビではさも管理局が活躍したかのように報道されてるのがなぁ…」

 

わたしは身体を伸ばしながらぼやいてみる。

 

「…別にいいんじゃない?怪我人はともかく、あの規模の火災で死者0は奇跡だよ?」

 

…うん、フェイトちゃんのいうのも分かる。けど…わたしは意を決して訪ねる。

 

「…なぁ、皆聞いてくれるか?…わたしな、やっぱり自分の部隊が持ちたいんや。」

 

「自分の部隊?」

 

「うん…今みたいにフリーでやっとったんじゃ、都合のいいように使われるんが目に見えとるし、わたし自身一個も前に進んだ気がせえへん。」

わたしの弁をリナちゃんたちは真剣な表情で聞いてくれてる。

 

「だからわたしは自分たちの部隊が作りたい。…でな、もし叶うならみんなにも力を貸してほしいんよ…」

 

わたしのお願いにみんなきょとんとしてる…

 

「…あ、もちろんみんなにも都合があるのは…」

 

「なに言ってんのよはやて、水臭いなぁ…?!」

 

えっ、リナちゃん?

 

「そうだよはやてちゃん。…わたしたちもう6年も友達なんだから、遠慮なんてしちゃだめだよ。」

 

なのはちゃん…。

 

「第一、そんな楽しそうな部隊に呼んでくれなかったらそれこそ絶交だよ…ね、なのは、リナ?」

「「うん!!」」

 

フェイトちゃんまで…わたしはほんま幸せ者やわ、こんな素敵な親友たちに恵まれたんやから…

 

「…ぐすっ…ありがとなみんな。でもそのためにも、この旅行がおわったら学校でガンガン青春するでぇ!」

 

よっしゃー、燃えてきたでぇ~っ!

 

「でもそれより先に旅行でしょ?…昨日遅かったからもうお昼前なんだけど…どこ行く?」

 

リナちゃんの提案に手を挙げたのは…なのはちゃん。なんだか顔が赤いんやけど…どないしたん?

 

「あ、あのぅ…わたし、みんなに紹介したい人がいるんだけど…いいかなぁ?」

 

ふ~ん、紹介したい人がねぇ………ってなんやてぇ?!

 

「ち、ちょっと待ってんか…紹介したい人って…男の人か?」

 

「?…うん、そうだよっ!(デレッ)」

 

…なんやこの可愛い生物はぁ~っ!

 

「実は昨日の救助中に、再会した人が…10年振りに出会った初恋の人だったの!それでお昼にこのホテルのロビーに送って貰えるようにお願いしてたからそろそろ…」

 

トゥルルル…♪

 

その時、ルームサービスのベルがなる。

 

『高町なのは様、お連れの方がロビーでお待ちです。』

 

「わかりました、すぐ行きます…わ~っ、来ちゃったよ…ど、どうしたら…」

 

お、落ち着き、なのはちゃん?…でもこれは見物やな、天下のエース・オブ・エースの初恋の人…

 

「「「見たいっ、見るしかないっ!!」」」

 

そうと決まれば皆、身支度を済ましてロビーに集合や!…リインはアメリアたちに連絡!

 

『任せるですっ!』

 

ふっふっふっ…これは面白くなってきたでぇ!




…いよいよあの男のあれこれが語られそして…女性陣に(なのは共々)弄られます。(笑)

それでは次回、「はいすくうる〈4〉 異界の迷い子」

次回も見てくんないと…

「ロビーに来れないかもあの人…(笑)」

「そんなっ?!」

(BY 作者&なのは)


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はいすくうる〈4〉異界の迷い子、その真実

タイトルを一部変更しました。

今回は良牙の秘密に迫ります。それでは、どぞっ!


NO SIDE

 

空港火災の救助にお疲れぎみのリナやなのはたちだったが、はやての新たな決意を受けて気持ちを新たにする。さらに、なのはから『初恋の人発言』が飛び出し…

 

SIDE:なのは

 

え、え~っと…なんでみんなそんなに目を輝かせてるのっ?!

 

「そんなの、あんたの旦那が見たいからに決まってるじゃない?!…いいからさっさと見せなさいよ!」

 

ひ、ひぇ~っ?!なんだかアリサちゃんが怖い…なんで怒ってるのっ?!

 

「…多分羨ましいんじゃない?あんたに彼氏ができそうなのが。」

 

「だまれリア充っ!」

 

…リナちゃんとアメリアちゃんは彼氏持ちだからなぁ…そうこうしながらもわたしたちはホテルのロビーまで来たんだけど…あれ?

「何処にいるのよ…あの時助けたあの変な格好の人でしょ、腕捲りTシャツにねじりバンダナの…」

 

…うん、アリサちゃんはわたしに喧嘩売ってるのかなぁ?これは後でO・HA・NA・SHIしようか?

 

「…じ、冗談よ冗談。ははは…(…今なのはの後ろに悪魔が見えたのは気のせい?)」

 

そう、それならいいの。…でも、もう来てるはずなのに…

 

「…ここは…どこだっ?!」

 

その時わたしたちの後ろからした声に振り向くと…りょうがくんとあの娘は…

 

「シャーリー…管理局の職員ってあんただったのっ?!」

 

彼女の名前はシャリオ・ファニーニ。管理局本部に勤めるデバイスマイスターの卵で、マリーさんの弟子にあたる。わたしたちはシャーリーって呼んでるの。

「あっ、なのはさんっ?!…良かった、もう逢えないかと…」

 

シャ、シャーリーどうしたの?!目に涙なんか浮かべて…

 

「…もしかしてあんた…なのはというものがありながらシャーリーに手ぇ出したんちゃうやろなぁ?!」

 

???…りょうがくん、本当にそんなことを…?

 

「…ま、待て誤解だっ?!俺は…」

 

「そうです、わたしたちは…道に迷ってただけですっ?!」

 

「…道に?!…でもあなたたち30分前に…?」

 

…そう、わたしたちは30分前にホテルのフロントから「お連れ様が到着した」と連絡を受け、身支度を整えてロビーに来た。

このロビーはホテルの中央にあり、フロントのあるエントランスから離れてはいるけど、それでも5分とかからないはずなんだけどなぁ…

 

「…はい、確かにわたしと良牙さんは30分前にフロントで呼び出してもらった後此方へ向かった…はずでした。けど…歩いても歩いてもたどり着くのは宴会場だったりトイレだったり…」

 

「…………………」

 

涙ながらに語るシャーリーの言葉をわたしたちは正直どう受け止めていいのか解らなかった。

 

シャーリーの話は更に続く。

 

「…それで気がついたら何故かなのはさんたちが目の前に…本当によかった…!」

 

「…リナちゃん、なのはちゃん…まさか思うんやけどこれって…」

「皆まで言わないではやて。…良牙って言ったわよね、…あんたってまさか、方向音痴?!…それも極度の。」

 

リナちゃんが放ったその一言にわたしの中で何かが反応する。

 

(…え、ちょっと待って?!…ほ、方向音痴?!まさかあの時来なかったのは…)

 

「あ、あの…良牙くんって…本当に方向音痴なの?」

 

わたしの質問に良牙くんは頬をかきながら照れくさそうに答える。

 

「あ、あぁ…何でかは分からないが、昔からうちの家族は俺も含めて方向音痴なんだ。しかもとんでもないな…」

 

「…じゃあ、10年前に約束守ってくれなかったのも…?!」

 

「…あの時は約束した以上は行くつもりだったんだが…」

 

良牙くんはリュックサックから何かを取り出す。小さな瓶に入った…それって星の砂?だよね。

 

「…確か近くに海があったから海目指して向かったら辿り着いた浜辺で拾ったんだ。…9月も半ばだったのに暑かった…。」

 

「…あのさ良牙、それってもしかして…いや何でもない…」

 

リナちゃんが何かを言いかけて止めた。

 

(…良牙くん、海鳴に来ようとして沖縄に行っちゃったのっ?!)

 

「…約束を破ってあの時は本当にすまなかったっ!」

 

頭を下げて謝る良牙くんにわたしは、首を振って答える。

「いいよ、悪気があったわけじゃないんだし…ね?」

 

「…すまない…そうだ、お詫びというわけじゃないが、これ受け取ってくれないか?」

 

良牙くんは星の砂の入った小瓶を差し出してきた。

 

「思えばこいつを10年も持ってたのも、いつかお前に逢えると思ってたからかも…受け取ってくれるか?」

 

良牙くん…もちろんだよっ!わたしは差し出された星の砂を受け取った。

 

「ありがとう!…あ、紹介するね。この人がえっと…あれ?良牙くんの名字って?!」

 

バンダナに書いてあったから名前は知ってたけど…

 

「あぁ…それじゃ自分で言うよ。俺の名前は響 良牙(ひびき りょうが)。なのはとは10年前に海鳴で出逢った時遊んだ仲だ…よろしく。」

へぇ…響って名字だったんだ…初めて知ったの。

 

「…で、皆はわたしの大事な友達っ!みんな魔法がつかえるんだよ!」

 

「あたしは逢魔リナ、よっろしく!」

 

「八神はやてです、仲良うしてな?」

 

「…アリサ・バニングスよ。」

 

「月村すずかです。よろしくお願いします!」

 

「八神アメリアです!以後お見知りおきを。」

 

「…八神ヴィータだ。…ま、よろしく頼むわ。」

 

ウンウン、あとは…あれ、フェイトちゃんどうしたの不機嫌そうな顔して…

 

「…何でもないよ。…フェイト・テスタロッサです。」

…後ろでリナちゃんとはやてちゃんがなんか苦笑いしてるんだけど…なんなんだろ?…まぁいいか。

 

「…それで良牙、今回も道に迷ってなのはと出会ったの?」

 

リナちゃんの質問に良牙くんは首を横に振った。

 

「いや、今回は迷ったというより…導かれたような…気がする。」

 

「導かれた?どういう事なの、良牙くん?!」

 

「実は10年前も今回も、俺があることを願った時に、不思議な光に導かれて…そして気が着いたらお前が側にいた…ということなんだ。」

 

…えっと…不思議な光って多分次元震によるものなんだろうけど…

 

「何を願ったのよ良牙?」

アリサちゃんに質問された良牙くんは苦い表情に。

 

「…『今の世界からいなくなりたい。』…それが俺が願ったことだ。」

 

………!!!

 

「ちなみに10年前は両親が離婚すると言い出してな…すれ違いが多いって…帰ってきたらすっかり仲直りしてやがったが。」

 

「で、今回は?!」

 

「…今は言えん。すまないが少し時間をくれ。」

 

うん、誰にだって言えない事あるよね…

 

「わかった。良牙くんが話してくれるまでもう聞かない。それより…良牙くん、これからどうするの?」

 

今の世界と良牙くんのいた世界が同じ次元なら帰れる可能性もあるけど、リナちゃんの世界みたいな平行世界だったら…まず帰れない。

 

「…あいにくこっちの世界はまったく知らないからな、どうしたもんか…」

 

「…だったら、わたしたちと暮らす?」

 

「なのはっ?!」

 

わたしの爆弾発言に周りはざわついた。でも…

 

「ま、それしかないんじゃない?…知り合い、なのはしかいないんでしょ?」

 

「まぁ相部屋になるかはわからんけど、とりあえずカリムにお願いしてみるわ?カリムやったら聖王教会にも顔広いしなぁ。」

 

リナちゃん、はやてちゃん!やっぱり持つべきは親友だねっ!

 

「…………(ブスッ)」

 

相変わらずフェイトちゃんの機嫌が斜めなんだけど…

「あ~、気にしなくていいわよなのは。」

 

「そーですよっ、ただの焼きもちですよっ!」

 

…焼きもち?フェイトちゃんが何で?!…ま、いいか♪

 

「それじゃこのまま良牙くんの歓迎会しよか?ホテルのレストランに予約いれてあるし、1人追加ぐらいできるやろ?」

 

「賛成~!」

 

…どうやらなんとかなりそうなの!良牙くんと同じ学校…夢なら覚めないで欲しいよ…

 

ムギュ

 

「ひ、ひたいのリナちゅぁん?!」

 

「夢じゃないみたいよ、なのは?…よかったわね。」

 

うん!学園生活が今から待ちきれないのっ!

 

NO SIDE

 

こうしてリナたち[魔を滅する者達/デモン・スレイヤーズ]に新たな仲間が入る事になったのだが…

 

当の本人・響 良牙は1人心の中で悶えていたりした…

 

SIDE:良牙

 

ふう…なんとか誤魔化せたみたいだな…

 

まるで深い事情がある素振りで言ってしまったんだが…言えるはずがないだろうが!

 

元の世界からいなくなりたいと願った理由が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あかねさんと乱馬のキスシーンを見てしまったから』なんてっ?!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…でも改めて、思い出した事もあった。…俺の初恋はあかねさんじゃなく、10年前に出会った少女…なのはだったこと。

 

今はまだ言えねぇけど。




…あっ、石を投げないでっ?!

まぁそんな理由でやって来た良牙くんですがルーミックの人なんでなのはとはなかなか…(笑)

それでは次回、「はいすくうる〈5〉獅子の咆哮、豚の悲鳴(笑)」

…まぁ、タイトルで察してあげてください。

次回も、リリカル、マジカル…

「がんばり…《バシャァ~ッ!》ブキッ、ブイブイッ?!」

(BY良牙→〇ちゃん)


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はいすくうる〈5〉 獅子の咆哮、子豚の悲鳴(笑)

今回で旅行編は終わります。良牙の大活躍(?)、楽しんで戴けたら幸いです!


NO SIDE

 

空港火災の現場でなのはと思わぬ再会を果たした 響 良牙。またも道に迷いながら合流した良牙はなのは、リナと同室で暮らす事が決まる。

 

そしてその日の歓迎会も終わり、今日は旅行の最終日…

 

SIDE:リナ

 

…と言うわけで(どういうわけ?)、あたしたちが今いるのはショッピングモール。目的はそれぞれの土産品!

 

ちなみにあたしはなのはと良牙の3人で廻ってる。フェイトとアリサ、すずかで1グループ、はやてとアメリア、ヴィータがもう1グループね。

 

「…くじ引きの割りに順当というか、なんというか…」

 

「最高の組み合わせなのっ!はやてちゃんところは八神家メンバーだし…」

…まぁ、いいか。何が起きるわけでも無いだろうし…じゃお土産なに買うの?

 

「…そうだな…やっぱり地方の銘菓とか…『はいアウト~っ!』…ええっ?!」

 

予想通りの良牙の返答をあたしが否定した。…こっちの世界のお菓子が不味いって訳じゃないけど、桃子さんのスイーツに勝てるかって言ったら…ね。

 

それが証拠に、じつは今現在翠屋は時空管理局の御用達だったりする。…いやマジで。

 

何でも、リンディさんやクロノがその上の3提督?とかいうお偉いさんにお土産で持っていったら鶴の一声で決まったみたい。…う~みゅ、桃子さん恐るべし。

 

「…それじゃやっぱり定番のペナントとか置物とか?」

「バカねなのは…そんなもんこのミッドにあるわけ…えっ嘘っ?!」

 

なのはが指差す方を見るとそこには何故か漢字で『努力』、『根性』とかかれたタワーの置物に謎のペナント、それに…

 

「なんでミッドチルダに木刀があるのかなぁ…」

 

「…しかも何気にデバイス機能ついてるし。誰得よこれ…」

 

…あ、お父さんこれでいいか?意外と喜ぶかも。

 

「うちもお父さんとお兄ちゃん、お姉ちゃんはこれにしよっと。お母さんは…あ、ニシジン加工のエプロンだって。」

 

…ちょっと待って…何よニシジン加工って?!

もしかして西陣織りなのそれっ?ここってミッドチルダよね、地球じゃないよねっ?

『…落ち着きなよリナ…こんなもんだって思わないと身がもたないよ?』

 

L様が変な慰めをしてくれてる間にもなのはと良牙は楽しそうに(主になのはが)買い物してる。

 

「…ま、いいか♪あたしも母さんにニシジン加工の財布買って帰ろ~っと。」

 

…真似っていうな、真似って?!

 

SIDE:なのは

 

はぅ~~~っ…初恋の相手・良牙くんと一緒にお買い物なんて夢みたいだよ~~。

 

…なんかあっちの方で青汁とコーヒーがバカ売れしてるみたいだけど…気にしない気にしない♪

 

「お、おい、なのは…?!」

 

ん、なにかな良牙くん?

「…なんで俺の手を握ってるんだ、それも恋人繋ぎで…(汗)」

 

…だってそうしないと良牙くんまた道に迷うでしょ?!今シャーリーがマリーさんやプレシアさんと共同で対策練ってるから我慢して?

 

「…あと恋人繋ぎはわたしの趣味だよっ♪」

 

わたしがそういうと良牙くんの顔が真っ赤になる。

 

「…ま、まぁ仕方ないか…今だけだぞ?」

 

良牙くんはそういって手を強く握り返してくる。…やだ、なんだか照れちゃうよぉ…

 

「…ちょっとなのは、それぐらいにしといたら?…周りで独り者の連中が砂吐いてるわよ…大量に。」

 

ほえっ?!なんで砂なんて吐くのかなぁ…別に普通に接してるだけなのに…

「ね、良牙くん?」

 

「し、知らんっ?!」

 

「はぁっ…買い物は済んだ?じゃあお茶しに行きましょ?」

 

リナちゃんはそういうと手に提げたピンクのポーチを振り回しながらわたしたちの前を歩き始めた。

 

…実はリナちゃんはあぁ見えてピンクが好きらしい。服は他の色が多いけど、小物は意外と可愛らしい色だったりする。さすがはピン…

 

『…それ以上言ったらぶっ飛ばすわよ、あんたでも。』

 

…ひぃっ?!…な、なんでわかったの?前世で呼ばれて嫌だった、とは知ってるけど…

 

「…なぁなのは、あのリナってのはそんなに怖いのか?女の子同士だったらお前に敵はいないように思えるんだが…」

 

雰囲気で場を察したのか、良牙くんが声をかけてきた。

 

「…リナちゃんは例外だよ良牙くん。わたしにとってリナちゃんは親友で魔王な存在だから。」

 

「なんだそりゃ?!」

 

…とまぁ馬鹿話してる間にオープンカフェの喫茶店に到着~!

 

「いらっしゃいませ!ご注文は?」

 

「あたしはハーブティとレアチーズケーキね。」

 

「わたしはカプチーノとモンブランにしよっ…良牙くんは?」

 

わたしはメニューをみて悩んでる良牙くんに話しかける。

 

「う~ん、こんなところに来たことがないからなぁ…なのはと同じのにするか。」

 

うん、それがいいかも。あまり変わったの頼んだら失敗するからね。

 

「かしこまりました。それでは暫く…」

 

「おぅ可愛いお姉ちゃん2人も連れて羨ましいなぁ兄ちゃんよぅ~!」

 

「こんなのより俺らと一緒に遊びにいこうぜ~」

 

…もう、人が楽しくティータイムを楽しもうって時にどうして出てくるのかなぁこういう人たちって…あ、リナちゃんは青筋立ててる…もうご臨終確定なの(苦笑)。

 

「…黙れよ、この雑魚が…。」

 

「はぁ?なんか言ったかイケメンの兄ちゃんよぅ?!」

 

「喋るなって言ったんだ、息が臭いから。」

り、良牙くん?…どうやら良牙くんも怒ってたみたいなの。

 

「おぅおぅおぅ、こっちが大人しくしてると思ったらいい気になりやが…うおっ?!」

 

なおも挑発し続ける不良Aを良牙くんは右手1本で吊り上げる。…凄い力なの!

 

「…何しやがる、離せバカ野郎?!」

 

不良の脅しも意に介さず、良牙くんは不良Aをもう1人の不良めがけて投げつけた!

 

「…失せな、今なら見逃してやる。」

 

か、カッコいい~っ!

 

「ふ、ふざけやがって?!」

 

…不良たちは逆上して懐からナイフを出してきた。良牙くんはそれを見てため息ひとつ。

「はぁ…なのは、リナ、離れてろ。…はぁっ!!」

 

良牙くんは構えをとり気合いを溜める…ってリナちゃんこれってまさか?!

 

「えぇ…気合いの中に魔力が混じってる…不完全だけど咸卦法だわ、これ…」

 

そんな話をしているうちに不良たちは良牙くんに襲いかかる!

 

「死ねやオラァ?!」

 

「…バカ野郎が…いくぞっ!奥義っ、獅子…咆哮弾っ!」

 

良牙くんの放った一撃はカウンターで不良たちを飲み込んで…

 

「「あぎゃらば~っ?!」」

 

……………キラーン☆

 

…遠いお空の星と消えたの。

 

「ふぅ…大丈夫だったか2人とも。」

「うん!ありがとう良牙くんっ!!」

 

「なかなかやるじゃない 良牙。でも今の咸卦法、どこで覚えたの?」

 

リナちゃんの問いに首を傾げる良牙くん。

 

「は、カンカホウ?なんだそれは?俺は気合いを溜めて技を放っただけだが。」

 

えっ、それじゃ今のは無意識に?…凄い、凄すぎるよ良牙くん!

 

「…本当に凄いわね良牙…なのは、あんた咸卦法教えてあげたら?…父さんにはあたしから言っとくからさ。」

 

えっ、わたしが?…うん、今のを見ても良牙くんが正しい心を持ってるのは間違いないし…何より良牙くんと2人きりに…

 

「…なのは?…お~い、なのは~っ?!」

…はっ?!いけない、いけない…もう少しで違う世界へ行くとこだったの。

 

…あ、そろそろ集合の時間なの。

 

「本当だ…さぁ駅に向かうわよ!」

 

今日は良牙くんのカッコいいところも見れたし、最高の旅行だったの!…1日休んで明後日からはいよいよ高校生活が始まる…St.ヒルデ魔法学院高等部での毎日、楽しみっ!!

 

NO SIDE

 

…こうして新たな出会いと再会…波瀾に満ちた卒業旅行は終わりを告げた。

 

…だが良牙となのは、そしてリナの3人にはこのあともう1つ事件が待っていた。…そう、良牙のもう1つの秘密が今暴かれる…

 

SIDE:リナ

 

「はーっ、やっと帰って来たわね…なのはは初めてだっけ、この部屋に来るの?」

 

あたしは旅行カバンをソファーに放り投げるとやかんに水を入れ火にかける。

 

「うん。…リナちゃんは下見に来てたんだよね?」

 

あたしとなのは、そしてしばらく居候が決まった良牙はミッドチルダにあるSt.ヒルデ魔法学院高等部の学生寮のあたしたちの部屋に戻っていた。

 

あたしは春休みに入ってすぐに下見に来てたけど、なのはは今日が初めて。更に…

 

「良牙、あんまりキョロキョロしないでくれる?恥ずかしいじゃない…」

 

「あ、あぁ済まん…女の子の部屋に入るなんてそんなに無いから…」

…まったくもう…さっきまでの凛々しさはどこに…仕方ないなぁ…

 

「それじゃ良牙、先お風呂いってきたら?あたしらは入ったら長いからさ。」

 

あたしの提案に良牙はほっとした表情を見せる。

 

「い、いいのか?…それじゃお言葉に甘えさせてもらうぞ、色々あってもうクタクタだ…」

 

良牙はそういいながらリュックサックから下着とパジャマを取り出した…準備万端ね、アンタ…

 

「一度道に迷ったら三連泊位ざらだからな…それじゃお先に!」

 

良牙はタオルと着替えを持ってシャワールームへ。…と言うか、なんとかしないとまずいわよね、あの方向音痴…。

ピーーッ…

 

「あ、お湯が沸いたみたい。…なのははコーヒーでいい?」

 

ティーセットの準備をしながらなのはに尋ねる。

 

「うん、ありがと。…ねぇリナちゃん、ポストに何か入ってるよ?…『連絡…今日点検でお湯が出ません』だって。」

 

ふーん…ってじゃあ良牙?!

 

『…冷たっ…ブキッ?!』

 

あ~あ、遅かったかぁ~…って「ブキッ?!」って何?なんか可愛らしい声が聞こえたんだけど…

 

「大丈夫良牙く…きゃあ?」

 

なのはが声をかけようとしたらシャワールームから黒い影が飛び出してなのはにぶつかってきた。…黒い子豚?「うわぁ~かあいいよ~お持ち帰りしていい?」

 

…なのは、それ中の人違うから。それより良牙っ…ていない?一体何処に…

 

あたしはふとなのはに抱き抱えられた子豚を見る。…じたばたもがいてるけど、あれ…首に巻いてあるのって良牙のバンダナ…えっまさか?!

 

「…まさかアンタ、良牙なの?」

 

「ブヒッ!ブヒブヒッ!!」

 

あたしが聞くと子豚は必死に首を縦にふる。

 

「え~っ、これが良牙くんっ?!」

 

なのはもびっくりしてるけどあたしも驚くしかなかった。

 

どうやら方向音痴の他にもうひとつ、厄介な事があったみたいね…

 




良牙の災難はまだまだ続きます。

次回「はいすくうる〈6〉いよいよ始まる新学期」

次回もみてくんないと…

「丸焼きにして食べちゃうわよ♪」

「ブヒッ?!」

(BYリナ&良牙)


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はいすくうる〈6〉良牙の相方、始まりの予感

すいません、新学期迄話が進まなかったのでタイトルを変更します。




SIDE:リナ

 

卒業旅行も無事終わり、新しい住居、st.ヒルデ魔法学院の学生寮に戻ってきたあたしとなのは、そして居候の良牙。

 

でも水を被った良牙が子豚に変身してしまった…てか何で?

 

『…事情はわかった。今、データベースを検索して…あ、あった。』

 

さっすがユーノっ!伊達に最年少司書長候補は名乗ってないわね…。

 

『…別に僕は名乗ってないよっ!…と言うかこれ、地球の伝説なんだけど。…呪泉郷っていう場所が中国の何処かにあって、そこにある泉1つ1つに悲劇的な言い伝えがあるって。』

 

悲劇的な言い伝え?例えばどんなのよ?

『…1500年前に女の子が溺れて亡くなった泉、〈娘溺泉〉で溺れた生物は、水を被ると女の子になってしまう体質になるそうだよ。』

 

「ブィ、ブイブィ!」

 

なのはに抱き抱えられたままユーノの話を聞いていた良牙(子豚ver)が猛烈に頷いてる…どうやらビンゴみたいね。

 

『…あ、黒豚溺泉ってのもあるね。1200年前に黒豚が溺れて亡くなったって…これじゃないの?』

 

「ブキッ!」

 

…で、どうやったら元に戻るのユーノ?早く教えなさいよ!

 

『まぁ待ちなよ…元に戻すには…お湯をかけたら元に戻るってさ。』

 

お湯をかけたらって…どこのインスタント食品よ全く。でも今日はお湯は出ないって…あっ。

 

あたしたちの視線はコンロにある沸騰したヤカンに…良牙、これでいいの?

 

「ブイブィ、ブキィ~ッ」

 

…どうやらいいみたいね。でもこのまま元に戻ったら素っ裸だから…シャワールームに行って浴槽に熱湯を入れて少し水を埋めてっ…と、これでいいかな?

 

「良牙、準備いいわよ。…なのは、離してあげてくれる?」

 

「…はぁい…。」

 

…なんで残念そうなのよあんたは…

 

なのはから解放された良牙(子豚ver)はシャワールームに飛び込んでいく。そして…。

 

ボチャ~ン

 

お湯に飛び込む音がして数分後、寝間着に着替えた良牙が姿を現した。

「…すまない。お陰で助かったよ。」

 

いや、別にいいけど…良牙、さっきユーノが言ってた呪泉郷ってのに落ちたわけ、アンタ?

 

「あぁ…と言うか、こっちの世界にもあるのか、呪泉郷はっ?!それならそこにある男溺泉に入ればこの体質は…」

 

『…残念だけどこの資料は平行世界の物も含まれてるから…こっちの地球に在るとは限らないんだ。』

 

ユーノの言葉に落ち込む良牙。…ま、元気出しなって。

 

『呪泉郷については僕も続けて調べてみるよ。何か判ったら連絡する。』

 

うん、ありがとねユーノ。…ん、どったの良牙?

 

「…なぁリナ。あのユーノって…お前の彼氏か?」

なっ?!…いきなりこいつはなんて事を…

 

「違うよ良牙くん。ユーノくんはリナちゃんの弟だよ。…義理のね。」

 

こら、なのは!間違ってはないけど意味深な発言はやめてっ?!

 

「?!…まぁいいか。それより方向音痴と変身体質はなんとかしないとな…」

 

「それは大丈夫よ。今チート気味な科学者チームが解決策考えてるから。」

 

マリーさんとプレシアさん、それにリニスとシャーリー…こんだけ面子が揃ってたら大概の事は解決するんじゃない?

 

『もしもしリナさん?シャーリーですっ!』

 

…ほらね。

 

『良牙さん用のデバイスが出来たんで、明日管理局の方へ来て頂けますか?あと良牙さんの魔力ランクも調べるので。』

「わかったわシャーリー。あと追加で…」

 

あたしはたった今起きた事件をシャーリーに説明する。

 

『…水を被ると子豚に変身って…一体あの人何者なんですかっ?…まぁそれぐらいだったら明日来るまでに何とかなるんじゃないですか?』

 

…マジですか…どんだけチートなのよあんたら…

 

『それじゃ明日お待ちしてまーすっ!』

 

そういってシャーリーは通信を切った。

 

やれやれ、明日は管理局本局か…いや、ちょっと待て…あたしら無事に辿り着けるんだろうか…?(汗)

 

 

 

で…翌日、あたしたちは管理局本局に辿り着いた…問題なく。今日はなのはが手を繋いで来たんだけど、なんともなかった。

 

「良牙、迷子になるのって何か法則でもあるの?」

 

「わからん!わかってたら自分で何とかしてるだろう?!」

 

…それもそうね。それじゃマリーさんの処へいきますか。

 

「あ、いらっしゃいリナさん。待ってたわよ。」

 

あ、プレシアさん!マリーさんとリニスも久し振り~っ!

 

「相変わらず元気そうでなによりだわ…その子が良牙くん?」

 

「…はい、響 良牙です。…あなたは?」

 

「あ、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね…私はプレシア・テスタロッサ。フェイト・テスタロッサは私の娘よ。」

 

「…娘…だとっ?!姉の間違いじゃないのかっ?!」

…良牙、間違いなく2人は親子よ…ちなみに年齢は…ゴニョゴニョ…

 

「な、何!ろくじゅ…」

 

しっ!声が大きいわよっ!…まぁ気持ちはわかるけど。

 

「…リナさん、何か言ったかしら?」

 

いやいやいやっ?!何も言ってませんよ!

 

あたしは良牙共々手を振って誤魔化す。

 

「…そう?不穏な空気を感じたんだけど…気のせいかしら?」

 

「そうそう気のせいですって!…それより出来たんでしょ、良牙のデバイス?」

 

「えっ…あ、そうだったわね…マリー?」

 

「は~い!…これが良牙さんのデバイスですよ。」

プレシアさんがマリーさんに持ってこさせたのは勾玉のついた数珠型のブレスレット。多分待機状態なんだと思うけど…

 

「とりあえずそれつける前に、魔力の測定しちゃおっか?ちょっと良牙くんこっちにきてくれる?」

 

そういうと良牙はマリーさんに奥の部屋に連れてかれた。

 

「ところでシャーリーから聞いたのだけど、あの良牙って子は時空をねじ曲げるって本当なのかしら?」

 

「ブブーッ!(×2)」

 

プレシアさんの質問にあたしとなのはは同時に吹き出す。

 

「…時空をねじ曲げるって…ただの方向音痴ですよ。ねぇリナちゃん?」

 

そ、そうなのかな…あながち間違ってはいないような…(汗)。

「えっ、これって…リナさん、プレシアさん、ちょっと来てくださいっ!」

 

奥の部屋からマリーさんの叫び声が…なんかあったのかな?

 

「どうしたのマリー?何か異常でも?」

 

あたしたちが奥の部屋…計測室に入るとマリーさんとリニス、シャーリーが驚きの表情でモニターを見詰めている。

 

「どうしたのマリー?」

 

プレシアさんの問いかけにマリーさんは無言でモニターを指差す。そこには…

 

 

響 良牙

 

魔力ランク empty

 

魔導師ランク no runk

 

…はぁっ?!魔力が測定不能で魔導師ランクは無し?プレシアさん、一体これって…

 

「…リンカーコアの不全ね。恐らく魔力は最低でもS~SSあるはず。だけどリンカーコアが未発達なまま育ったから魔法を行使することは出来ない…ということ。」

 

なるほど…じ、じゃあデバイスも?!

 

「それは大丈夫よ。出来ないのは魔力の行使であって、デバイスに対する魔力の供給はデバイスが管理するから。」

 

良かった…なのはが咸卦法を教えたら魔法が使えないのは十分カバーできるから…

 

「それじゃ良牙くんの方向音痴と子豚化は?!」

 

「えぇ、完全じゃ無いけれど希望する場所への自動ナビと子豚化の阻止機能は使えるわ。魔力が切れなければ、ね。」

「それは本当か?!」

 

良牙が測定室から飛び出してきた。

 

「え、えぇ…あとはバリアジャケットと武器の設定ね。こればっかりは貴方のイメージが必要だから。」

 

プレシアさんはそういうとさっきのブレスレットを良牙に渡して言葉を続ける。

 

「さぁ、貴方が必要とする武器と防護服をイメージしながらこの子の名前、そして『セット・アップ』と宣言しなさい。…準備はいいかしら?」

 

良牙は頷くと、ブレスレットを頭上に掲げ…

 

「いくぜっ!…『獅子神楽(ししかぐら)』、セェット・アーップ!」

 

良牙の叫びと共にオレンジ色の光が包み込む。

「…これが良牙くんの魔力光?!吹き飛ばされそうだよ…」

 

…確かに。こんだけの魔力があるのに使えないのはちょっともったいないかも。

 

そうこうしてるうちに光が消え、その後に居たのは黒い拳法着に身を包んだ良牙の姿。…うん、それはいいんだけど…

 

「…なんで武器が『番傘』なのよ、良牙…?」

 

そう、良牙の持ってたのはオレンジ色の番傘。確かに似合ってはいるけどさぁ…。

 

「大丈夫だよ良牙くん、とっても似合ってるから問題ないのっ!」

 

なのは、あんたはちょっと静かにしててくれる?話がややこしくなるから。

 

良牙は番傘を2、3度振り回し感触を確かめる。

 

「…これは驚いた。胴着もぴったりだし、番傘もいい感じだ。」

 

「それはよかったわ。とりあえずそれを着けておいたら道に迷っても元に戻ってこれるし、変身も防げるわ。ただし、さっきもいったけど魔力が切れたらダメよ。」

 

プレシアさんの言葉に頷く良牙。…やれやれ、これで一安心…かな?

 

あたしはなのはと顔を見合せ、お互い笑いあった。

 

そして次の日…あたしたちはst.ヒルデ魔法学院の門を潜った。

 

これから始まる学院生活、多分ドタバタするとは思うけど…楽しみっ!

 

 




次回からいよいよ本当に学院編が始まる…はずです。

次回、「はいすくうる〈7〉入学式~とっても無謀な挑戦者」

次回もリリカル、マジカル…

「高校生活も…」

「頑張りますっ!」

(BYリナ&なのは)


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はいすくうる〈7〉無謀な挑戦者、最悪の愚行

今回予告とタイトルを変えました。理由は読めば解ると思います。…挑戦者ははやてと騎士たちにやってはいけない愚行を行ってます。不快に感じたら本当にすいません。

ただ、物語を続ける上で語らなければいけないエピソードだとは思っているのでご了承ください。



SIDE:なのは

 

「え~、であるからして、諸君たちにはぁ~…」

 

…どうして何処の世界でも校長先生の話ってこんなに長いんだろ…

 

バタン!

 

あ、また1人倒れた。これで3人目だよ?

 

「…まったく…いくら集中力を測るためっていっても…ねぇ?!」

 

…それホントなのリナちゃん?そんなの聞いたこと無いよっ?!

 

「ん~っ、前世で教わってた先生にそれ言ったら『解釈が歪んでる』とは言われたけど苦笑いして否定はしなかったけどね?!」

 

…マジですか…そんなこんなで入学式も無事?に終わり、わたしたちは教室に移動する。

この学校は本来エスカレーター式だから、高等部からでしかも地球出身のわたしたちは同じクラスの1年A組。

 

「や~、アリサちゃんとすずかちゃんはおらんけどなんか中学までとそんなに違わん感じやなぁ…」

 

はやてちゃんが言うのも分かる気がする。感覚的にはそのまま中学の延長って感じ…だけど、ここは魔法の国ミッドチルダ。

 

「それでここはst.ヒルデ魔法学院高等部…わたしたちは専門的に魔法を学ぶためにここに来たんだ…わたしたちの夢のために。」

 

…説明ありがとフェイトちゃん♪

 

そう、わたしとリナちゃん、ヴィータちゃん、アメリアちゃんは教導官。フェイトちゃんは犯罪者を追って捜査する執務官。はやてちゃんは部隊を指揮する司令官。

ユーノくん、ゼロスくんも同じクラスって…なんか闇権力働いた?!

 

「多分騎士カリムあたりが手ぇ廻したんちゃうかな…結局良牙くんも無事編入できたんも含めて。」

 

…カリムさんは聖王教会の騎士で古代ベルカ繋がりもあってはやてちゃんと仲がいい。この学校も聖王教会の系列校だから…あるかも。

 

そうこうしているうちに担任の先生が…ってあれ?(ゴシゴシ)…な、なんであなたが先生なの~っ?!

 

「ア、アインス…なんであんたが此処におるんや?」

 

…そう、わたしたちの目の前…教壇に立ったのははやてちゃんの夜天の書の管制人格にして今は大事な家族でもあるアインスさん。

「…わたしがこのクラスの担任の八神リインフォース・アインスだ。アインスと呼んでくれ。…それじゃ順番に自己紹介だ。そっちの彼女から頼む。」

 

アインスさんは自ら名乗って自己紹介を促す。順番に進み、わたしたちの番に。

 

「…地球から編入してきました、高町なのはです。よろしくお願いします!」

 

わたしが自己紹介すると廻りがざわめく。さらに…

 

「フェイト・テスタロッサです。…よろしく。」

 

フェイトちゃんが名乗るとまたざわめきが。

 

(…おい、高町ってあの『時空管理局のエース・オブ・エース』って言われてる高町なのは?…嘘だろっ?!)

(…それにテスタロッサって『黒き雷神』?なんでそんな有名人が…?)

 

…ひそひそと話してても驚きは隠せてないみたいなの。

 

わたしもフェイトちゃんもこの数年でこちらでの知名度も上がり、さっき言われたような異名…もついてきてる。

 

でもわたしやフェイトちゃんで驚いてたら身が持たないよ…多分。

 

「八神アメリアですっ!皆さんよろしくお願いします!」

 

「…八神ヴィータだ。まぁよろしく頼まぁ。」

 

「…ヴィータ、もうちょいお行儀よくな。…あ、ごめんなぁ。地球から編入してきた八神はやてです。…名字でわかったかもしれんけど、アメリアとヴィータ、そんで担任のアインス先生はわたしの家族です、皆仲良うしてな?!」

はやてちゃんたち八神家が名乗ったとたんざわめきが大きくなる。

 

(…八神って…あの夜天の書の主…マジかよっ?!)

 

(…と言うことは他の2人は守護騎士…もしかして先生も?)

 

…しっかりバレちゃってるね、うん。〈夜天の書〉のネームバリューは伊達じゃない。

 

そして最後に控えるのはもちろん…

 

「…逢魔リナ、地球からの編入組よ。ま、よろしくね。」

 

……………

 

………

 

 

「…管理局の〈強盗殺し/ロバーズ・キラー〉?!」

 

「…いや、〈生きとし生けるものの天敵〉だろっ?」

 

「…おぃ、ちょっとまて…。」

 

「俺が聞いたのは〈口から怪光線を出す〉とか〈額から触覚が伸びて周囲の害虫を補食する〉とか…」

 

 

 

「…だから待てと…」

 

…それ以上は言わないほうがいいと思うの。でないと…。

 

「いやいや、逢魔リナといえばあれだろ、〈魔王の食べの…〉」

 

 

 

 

『…よっぽどぶっ飛ばされたいみたいね、あんたら…(-_-#)』

 

「わ~っ、リナちゃん、教室で竜破斬はダメなのっ?!…レイジングハート、〈レストリストロック〉っ!」

 

わたしは咄嗟にバインドを発動してリナちゃんの動きを止める。

 

『…大丈夫だよなのは、竜破斬はあたしのアシストがないと撃てないから。』

 

L様…!

 

『…ま、精霊呪文はその限りじゃないけど。』

 

えっ…(汗)。

 

『〈氷の矢/フリーズ・アロー〉っ!!』

 

リナちゃんのカオス・ワーズに応えるように無数の氷の矢が現れ、陰口をたたいた男子生徒たちを襲う。…危ないっ?!

 

「…少々短気じゃないですか、リナさん?」

 

バシュッ!

 

…でも、氷の矢は彼らの前でかき消える。前に立ちはだかったのは…ゼロスくんだった。

 

「…いちいちそんな戯言に切れてたら3年間もちませんよ♪…今日のところは僕に免じて退いて頂けませんか?」

いつも通り飄々とした態度のゼロスくん。…でも彼の正体は高位の魔族。本気になったらリナちゃんでもL様の力を借りても勝てるかどうか…

 

「…わかったわよ。ただし今度言ったら…」

 

『ひぃぃぃっ?!もういいませぇん?!』

 

やれやれ、なんとか事なき?を得たの。…ありがとね、ゼロスくん♪

 

「いえいえ、これくらいお安いご用ですよ、なのはさん。」

 

…でも、まだ一波乱ありそうな気がするなぁ…気のせいであってほしいけど。

 

…その後ろから一人の少女が憎々し気にその様子を眺めていた。この後…少女は挑まなくていい〈最凶〉に挑み、最低な初日を送る事になる…。

 

SIDE:ククリ

 

キィィィーッ?!なんなんですの、あの子たちはっ?

 

わたくしの名前はククリ・ブラックローゼ。古代ベルカより伝わる貴族、ブラックローゼ家の長女。

 

わたくしはこのst.ヒルデの初等部・中等部と主席で卒業、この高等部でも庶民の憧れの的になるはずでしたわ!

 

…なのに、なのに…あの地球とかいう管理外世界から来た田舎者の連中が入学試験の上位を独占、わたくしはトップ5にすら入れなかった…。

 

…そんな事あり得ませんわっ!!絶対に不正を働いたに違いない…殿方2人はまぁ…そこそこ美形ですし、わたくしの僕として侍らせてあげてもよろしいけれど…

あとの小娘6人は決して赦せませんわ。なにがエース・オブ・エース、なにが夜天の主よ?!…そんなの自分たちで拡散したに決まってますわ!

 

…もっとも、そのうちの1人には付け入る隙を見つけましたわ…〈夜天の主〉八神はやて…まずは貴女をこの学院に居られなくして差し上げますわ!

 

ホーホッホッホッホッ!

 

NO SIDE

 

こうしてダメダメお嬢様が高笑いしている頃、リナたち編入組はアインスを交えて説明を受けながらの昼食会。…というよりは…

 

SIDE:リナ

 

「…さて、説明してもらおか、アインス?」

 

…はやて、怒ったというよりは吃驚したのが先みたいね。…でもほんとになんで先生に?

 

「すいません我が主!…実は騎士カリムから、『主はやてを含めて編入組のお目付け役』を頼まれまして…幸い担当科目は『古代ベルカ史』との事だったので…。」

 

しどろもどろになりながらも必死に説明するアインス。…なるほど、古代ベルカ史に関しては生き字引レベルだからね、アインスは。

 

「だからってなんで内緒なん?!教えとってくれたっ…て?!」

 

その時はやても、そしてあたしたちも気づいた。…アリシアとヴィータ、そしてリインの表情が吹き出しそうになってることに…。

 

「ぷっ…上手くいきましたねヴィータさん…はははっ!!」

 

「ぎゃははっ、はやてのあのときの顔…リイン、ちゃんと記録したかっ?!」

 

「バッチリです、アメリアさん、ヴィータさん!完璧です…よぉーっ?!」

 

勝ち誇るリインの頭を持ち上げ、更にアメリアとヴィータをバインドで拘束したのは…もちろんはやて。

 

「…あんたらも知っとったんかい?!どうやらお仕置きが必要みたいやね…。」

 

そういうはやての瞳からハイライトが消えてる…駄目だ、これヤバいパターンだわ…。

 

 

 

「あ~ら、田舎者が雁首揃えて何を話していらっしゃるのかしら?」

 

その時後ろからした不快な声にあたしたちは振り向く。

 

そこには数人の生徒を侍らせた高飛車な女が薄い笑みを浮かべていた。

「…先ほど自己紹介は致しましたけど改めて…わたくし、ククリ・ブラックローゼと申します。以後お見知り置き…して頂く気はありませんけど。…ねぇ、〈犯罪者〉の八神はやてさん?!」

 

………なっ?!

 

ククリの一言にはやての顔が凍りついたように青くなり、代わりに周りのなのはやフェイト…何より夜天の騎士たちの表情に怒りの感情が浮かぶ。

 

当たり前だ、目の前で親友を、そして家族を蔑まされたのだから。

 

「おぉ、怖い怖い。流石犯罪者のお友達とご家族だわ、凄い迫力…?!」

 

そう言ってわざとらしく怯えた表情をするククリ。間違いない、コイツはやてを…馬鹿にしてるっ?

 

「てめぇ…」

 

「よくもはやてさんを…」

 

「貴様…我が主を…」

 

今にも殴りかかりそうなヴィータ、アメリア、そしてアインス。しかしククリは更なる追い討ちをかけてきた。

 

「あら?そちらの2人はともかく、担任教師が『我が主』って…えこひいきはいけませんわよ、『夜天の書の管制人格』さん?」

 

「くっ…」

 

言い返せないアインスの瞳に涙が浮かぶ。

 

…ピキピキッ…

 

…ダメだ、もう無理っ!

 

『我慢しなくていいよリナ。あとはなんとかしてあげるからっ!』

 

L様のその一言を聞いた瞬間…あたしの中で何かが…切れた。

 

NO SIDE

 

プツン

 

「えっ?今の音…まさか?!」

 

その音に最初に反応したのは、なのはだった。何故ならその音を唯一聞いたことがあったから。

 

「…ダメだよリナちゃん、それだけはっ?!」

 

悲痛な叫びをあげて振り向くとそこにいたのは…

 

「大丈夫だよなのは、今はちゃんとあたしだから。」

 

そこにいたのは、暴走ではなく金色モードに〈覚醒〉したリナだった。

 

「リナ…ちゃん…。」

 

リナは懐から何かを取りだしククリの顔面に投げつけた。それは…

 

「ス、スリッパ?!」

 

「…決闘の申し込みよ。あんたエセ貴族だからそれで十分でしょ?」

 

「わ、わたくしの事を愚弄する気?!」

 

「冗談はほどほどにしてくれる?…あたしの親友を先に小馬鹿にしたのはアンタでしょーが。…心配はしなくていいわよ、9割殺しで勘弁したげるから。」

 

「…くっ、地球の田舎者が調子に乗って…後悔しないことねっ?!」

 

「…アンタは2つミスを犯した…あたしの親友と家族を泣かせたこと、そして…あたしとL様…2人の魔王を本気で怒らせたことよっ!」

 

…今ここに、魔王と愚者の戦いが始まろーとしていた…。




…いかがだったでしょうか?

この話にご意見、ご批判のある方はできればメッセージの方へお願いします。感想欄はあくまで感想に留めたいので…

次回「はいすくうる〈8〉リナ激昂、愚者の末路」

ククリは徹底的に更正させるつもりなのでよろしくお願いします。


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はいすくうる〈8〉リナ激昂、そして愚者は…

毎回ですが予告とサブタイトルが違います。

相変わらずの行き当たりばったりなんですが、これもカラーだと思っていただけたら。

それでは、どうぞ!


NO SIDE

 

st.ヒルデ魔法学院に入学したリナたちの前に現れたのは、担任教師として赴任してきた夜天の書の管制人格であるアインスだった。予期せぬ事に驚きつつも盛り上がるリナたちだったが…

 

そこに現れたククリ・ブラックローゼと取り巻きたちの心無い嘲りの言葉にはやてと騎士たちは心に深い傷を負う。

 

その時激昂したリナがL様の力を借り金色モードに覚醒、首謀者・ククリを粛清するべく決闘を申し込んだ。

 

ククリはまだ知らない。自分の目の前に立つ少女と戦うことがどんなに無謀な愚行だということに…。

 

SIDE:ククリ

 

全く…ちょっと核心を突いた事を言われたからって逆ギレして噛み付いてくるなんて…これだから辺境世界の田舎者は困りますわ。

あまつさえ手袋の代わりにスリッパを投げつけてきた挙げ句に「九割殺しで勘弁」ですって?!…思い上がりもここまでくると大したものだとは思いますが。

 

「…なにをぶつぶつ言ってんのよアンタ…きもっ?!」

 

ハッ、思わず口に?!

 

まぁいいですわ、それではさっそく決闘の準備をするとしましょうか?

 

わたくしは胸元から薔薇型のデバイスを取り出し頭上に掲げて起動させる。

 

『…シュバルツローゼン、セット・アップ!』

 

次の瞬間わたくしは紫色の魔力光の中でバリアジャケットを装着する。

 

両肩と腰に黒薔薇をあしらったレオタード型のジャケット、そして両手を包むのは宝珠をちりばめた手袋。

『御呼びで御座いますか、ククリお嬢様?』

 

我が僕たるデバイス、シュバルツローゼンにわたくしは…

 

「えぇ…わたくしを侮辱したあの田舎者を成敗するわ。…リナとか言ったかしら?降参するなら今…」

 

「…ハイハイ、能書きは聞きあきたからさっさと済ませましょ…あたしは準備OKよ?」

 

…?! 見たとこバリアジャケットもデバイスも装備してない…何処までバカにすれば気がすみますのっ!!

 

「この山猿風情がぁ~っ?!もう許しませんわっ!」

 

わたくしは両手を前にかざすと魔力弾を複数展開する…くらいなさいっ!

 

『ローゼンシューター…フルファイアっ!』

わたくしの言葉に導かれて、展開させた魔力弾はすべてリナに襲いかかる。

 

ドガァァァン!

 

直撃した魔力弾によって爆風が視界を塞ぐ。

 

「ホーホッホッホッ!…手応えありましたわ!早くお友達を助けてあげた方が宜しいんじゃなくてっ?!」

 

わたくしは戦況を見つめているはずの地球組の面々に声を掛ける。さぞや悔しげに…って、えっ?

 

「…ククリさんって言ったっけ。あなた実戦経験無いんじゃないの?」

 

茶髪のポニーテール…確か高町なのはとかいったかしら?

 

「失礼ね、U15のインターミドルでは向かうところ敵無し…」

 

「…それってルールが定められた試合の話だよね。」

 

高町なのはの目には憐れみの光…

 

「…わたしが言ってるのは、相手が非殺傷設定している保証のない中で…文字通り命を懸けて戦った経験があるか、って言ってるの。…無いよね?」

 

彼女の言葉にわたくしは言い返せない。だけど、そんなの誰もあるわけが…

 

「…わたしたちはあるよ、6年前に魔法と向かい合ったあの日から…何度も。」

 

………?!

 

なにを言っていますの…?わたくしの射撃魔法の全弾直撃を受けて無事なわけ…が…?!

 

「それがアンタの全力な訳?…よくそんなので大きな口叩けたわねっ?」

…爆煙の向こうから現れたのは…逢魔リナ?しかも傷ひとつないなんてそんな馬鹿なっ?!…だってわたくしの射撃魔法は全て…

 

「うん、確かにアンタの魔力弾は全部あたしに命中した…でもそれだけ。アンタの〈軽い〉攻撃なんてL様の呪力結界だけで弾けるからシールドすらもったいないわ。」

 

なっ…?わたくしの魔力弾を〈軽い〉っ?!…でも現実にわたくしの攻撃は全く通じていない。

 

「…仕方ないわね…じゃ、もう一度だけチャンスをあげるわ。今度こそ全力でかかってきなさい。でもその攻撃が届かなかったら…覚悟を決めることね。」

 

リナはそう言い放つと自然体に構える。一見隙だらけにしか見えませんが…恐らくさっきと同じ呪力結界とやらが護っているのは明白…なら?!

『シュバルツローゼン、ディバイダーモード!』

 

わたくしの声に応え、シュバルツローゼンは攻撃形態(連装銃)へと変化した。

 

「…少しあなたたちを舐めてたみたいですわね。…でもこれで決着つけさせて頂きますわ!」

 

わたくしの全魔力が銃身に溜め込まれ両手持ちに構えると銃口に極大の魔力弾を造り出す。

 

「…これで沈みなさい!『ローゼス・スクリーム』!!」

 

わたくしの声と共に放たれた魔力弾は美しい黒薔薇のように形を変え、目前の愚かな田舎者に襲いかかる。これで…終わりですわ!

 

「…ふ~ん…で?」

 

魔力弾が当たる直前、リナが前方に手をかざすと 魔力弾は何事も無かったかの如く消滅した。

「…へっ?!…う、嘘でしょ、わたくしの全力の砲撃が片手一本で…?!」

 

この期に及んで初めて理解した…世の中には決して挑んではいけないものがあることに。

 

「…それじゃ覚悟はできた?…獣王操牙縛[ゼラス・バインド]っ!」

 

リナはわたくしの両手両足を拘束魔法で空中に縛りつける。バインドは強力で身動きとれない。

 

『…悪夢の王の一片(ひとかけ)よ 世界(そら)の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚ろの刃よ 我が力我が身となりて 共に滅びの道を歩まん…神々の魂すらも打ち砕き!』

 

得体の知れない呪文の後具現化したのは漆黒の魔力刃…いえ、〈虚無の刃〉。数メートル離れたこの場所からでもその禍々しい魔力が伝わってくる。

 

『さ、懺悔の時間だよ。言いたいことがあれば聞いたげる。…それともびびって何も言えない?』

 

…全く彼女の言う通り、わたくしは恐怖のあまり声が出ないどころか腰が抜けてしまって、動く事すらままならなかった。

 

『…そう、謝る気はない、ってことね。…一応非殺傷設定はしてるけど、多分死ぬほど痛いと思うから。それじゃいくわよ…[神滅ざ…/ラグナ・ブレ…]』

 

彼女の右手に宿る虚無の刃が降り下ろされようとしたその時…

 

NO SIDE

 

「ご、ごめんなさい~っ?!」

 

ククリが謝罪の言葉をあげるが、無情にもリナの虚無の刃は降り下ろされ…

「…なんてね♪」

 

…る寸前で消え去り、握ったまんまの拳がククリの頭部を直撃する。

 

ゴッチン!!

 

「あだっ?!…あ、あらっ…ここは死後の世界…?」

 

頭を押さえつつも呆けた表情のククリ。

 

リナは通常モードに戻るとククリに声をかける。

 

「…あのねぇ、いくらあたしでも入学初日に退学…というか逮捕なんてされたくないから。…ほら、立てる?」

 

そう言って差し伸べたリナの手をとってククリは立ち上がろうとする。しかし…

 

「あ、あれ?腰が…」

 

…どうやら腰が抜けてしまって立てないらしい。よっぽど怖かったのだろう。

「それじゃ座ったままでもいいや。…はやてとアインス先生に謝りなさい。そしたら赦してあげるわ。」

 

その言葉にククリはすぐさまはやてとアインスの方を振り向くやいなや、

 

「はやて…さん、アインス先生…先程の失礼な物言い、誠に申し訳ありません!どうかお許し…」

 

「…もうええよ。確かに夜天の書が過去犯した罪は決して消されへん…だけどわたしらは過去に振り向かんと未来に向かっていこう思うてるよ。ククリちゃんもそれだけはわかってほしいんや。」

 

はやての言葉にククリの目から涙が。

 

「…はい…本当に…すいませんでした!」

 

なんとか立ち上がったククリは、はやて、アインスと握手をかわす。

「よかったわね、ククリ。…それはそれとして…今日は午前中だけでしょ、午後から街にでない?…アンタこっちの出身なんでしょ、どこか美味しいご飯のお店知らない?」

 

リナの言葉になのはたち一同は顔を見合わせほっとした表情を見せる。…返ってきたククリの返事を聞くまでは。

 

「…はい!リナお姉さま、ククリにお任せくださいっ♪老舗の最高級レストランにご案内致しますわっ♪」

 

そういうとククリはリナの右腕にしがみつく。

 

小柄なリナと長身のククリが並ぶと役柄は逆にかんじるのだが…ククリの瞳はうっとりとリナを見詰めていた…。

 

SIDE:リナ

 

「あの…ククリ?これって一体どーゆー…こと?」

 

あたしの腕にしがみついてるククリに尋ねる。

 

「どーゆーことと言われましても…実はわたくしの家には家訓がありまして、自分が敗北を認めた相手には全力で尽くしなさいと。」

 

…よし、そんな家訓は一生忘れろ。ドブにでも捨てろ。

 

しかしあたしの想いもむなしく、ククリはぶら下がったまんま。

 

「さ、参りましょリナお姉さまっ♪皆様もご一緒に!」

 

予想外に強い力で引っ張るククリにあたしは引きずられていく。

 

「…ちょっと、なのは、はやてっ!…皆も助けてっ?!」

 

僅かの望みをもってなのはたちに助けを求めるあたし。でもその反応は…

 

「えっと…ユーノくんには伝えておくの…」(なのは)

 

「…リナちゃん、幸せにな…(汗)」(はやて)

 

「まぁ…頑張れ。」(ヴィータ)

 

「結婚式には呼んでね♪」(フェイト)

 

……………「この薄情もの~っ?!」

 

あたしの叫びはむなしくもクラガナン・シティにこだまするのだった…。




どうしてこうなった…(汗)

まぁなにはともあれ始まった学院生活。次回からはしばらくSPをディスってみようかなと。

次回、「りべんじゃあ、突然くる災難。」

それじゃあ次回もリリカル、マジカル…

「兄のかたきぃ~っ!」

「な、なんなの~っ?!」
(BY ??&なのは)


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はいすくうる〈9〉りべんじゃあ、突然来る災難

今回からはしばらくSPのパロです。

シリアスはしばらく封印です。


NO SIDE

 

無事?高校生活初日を終え、ククリという金魚の糞(笑)を得る事となったリナと仲間たち。

 

ククリの案内によりクラガナンのレストランにランチを食べに訪れたのだが…

 

SIDE:リナ

 

「…あの~っ…?本当にご注文は以上で…?」

 

注文を取りに来たウェイトレスさんが顔をひきつらせてる。

 

「そっ、あたしとアメリア、ヴィータはランチセットのAからDまで3人前ずつね。」

 

「あと、この舌平目のムニエルとフォアグラのソテーもお願いします!」

 

「…えぇい面倒だからメニューの端から順番に持ってこいっ?!」

あたしとアメリア、ヴィータの大食い3人組は一気に注文する。ここはククリの奢りだからガッツリ食べないとね?

 

「…わたしはAセットがいいの。」

 

「…じゃわたしもそれで。」

 

「…わたしもそれでええわ。」

 

なのは、フェイト、はやてはランチセットのみ。そんなので足りるの?

 

「…逆にどこにそれだけ食べ物が入るか聞きたいんだけどリナ…(汗)」

 

ん~っ?前世で旅をしてた頃はもっと食べてたからね。

 

「…あ、シャトーブリアンと鳥の丸焼き追加ね♪」

 

「「「マジかっ?!」」」

 

…そうこうしているうちにテーブルの上は料理で一杯に。…支払いは大丈夫なの、ククリ?

「心配ご無用ですわ!わたくしにはこの…」

 

そういうとククリは財布から一枚のカードを取り出した。

 

「…ピース・ファイナンスの虎柄カードがあるのですからっ!」

 

…なによ、その決済する度に「キュイン♪」って音が鳴りそうなカードは…。

 

ま、まぁそれなら大丈夫でしょ。それじゃ、いただっき…

 

「…やっと見つけたわよ、高町なのはっ!兄さんの敵…覚悟っ!!」

 

ほえっ?!

 

ドガシャァ~ン!

 

物騒な台詞とともに空から少女が襲来!…お料理はテーブルと共に木っ端微塵に…

 

「あ~っ、あたしのシャトーブリアンちゃんが…誰よっ、こんな極悪非道な事すんのはっ!」

そう言って惨劇の起きたテーブルを見るとそこには、槍型のデバイスを持った少女。年の頃はあたしたちと同じくらい?

 

「おにょれ~、罪の無いお料理たちを…何の恨みがあるっていうのよ!」

 

「そうですっ!ムニエルさんとフォアグラさんに謝ってくださいっ!!」

 

「…あたしのストロベリーサンデーっ?!…ぶっ殺すっ!」

 

あたしに続けてアメリアとヴィータも思いの丈を叫ぶ…解る、解るぞぉっ2人ともっ!

 

でも彼女はあたしたちの存在を無視しなのはを指差した。

 

「…ふっ、あんたたちに用は無いわ。用があるのは高町なのは、兄のかたきであるあなただけよっ!!」

…そーいえばそんな事言ってたっけ。でもあたしやアメリア、ナーガならともかくなのははそんな事…あっ?!

 

「ねぇ、あんたのお兄さんって強盗とかなにか犯罪犯したって事は…」

 

「失礼ねっ、兄さんは管理局勤めよ!」

 

管理局勤めということは同僚か…そっちの線は薄いわね。

 

「じゃあわたしに告白してブッ飛ばされたとか?」

 

あ、それはあるかも。あたしもだけどしつこい連中が多いからなぁあの手は。

 

「そうじゃなくてっ!…兄さんは数日前の帰宅途中に家の前で襲われたのよあなたにっ?!…わたしが駆けつけた時には兄さんはもう…」

 

…おいおい、洒落にならない話に…

 

「…たんこぶ作って気を失ってたわ。」

 

ズコッ?!

 

「その時暗闇の中にいた人影が言ったのよ!…『わたしは高町なのは、敵がとりたくば何時でもかかってこい』って…!」

 

…ちょっと待って!あんた名前は?

 

「…キャミー。キャミー・ソールよ。」

 

謎の少女はキャミーと名乗る。…ん?昔そんな名前の子に会ったことなかったっけか?

 

「…じゃあキャミー、1つ確認するけどあんた、お兄さんを襲撃した相手を目撃したの?」

 

「もちろんよ!あれ以来脳裏から離れないわ。…金色の髪のショートカット…」

なのはは茶色の髪のポニーテール。

 

「赤色の半袖にショートパンツのバリアジャケットに身を包み…」

 

なのはは白と青のフレアスカート。

 

「…真っ白な仮面で顔を隠し…」

 

…ん、んんっ?!

 

「手には短銃型のデバイスを持った…」

 

「待てやコラ。なのはのレイジングハートは杖型だし…今話した中の何処になのはの要素が…」

 

あたしはジト目でキャミーを睨みながらクレームをつける。

 

その言葉にキャミーは…

 

「…そういえば似てないわね…全然。」

 

「最初から気付け~っ?!」

 

そう言ってあたしが投げた小さな瓦礫がキャミーの頭を直撃し、彼女は気絶した。

 

NO SIDE

 

リナたちは気絶したキャミーをとりあえず近くの公園に運んだ。(ちなみにレストランの損害はククリが立て替えた。)

 

SIDE:なのは

 

「う…うう~ん…」

 

…あ、気がついたみたいなの。

 

「…大丈夫?頭痛くない?」

 

一応アメリアちゃんが治癒[リカバリー]の呪文をかけてくれてはいるんだけど…。

 

「…大丈夫よ。…ごめんなさい、わたしの勘違いだったみたいね。」

 

…どうやら誤解も解けたみたいで何よりなの。

「でも、そのお兄さんを襲った犯人はなのはちゃんに成り済まして悪いことしとるんやろ?」

 

はやてちゃんの言う通り、犯人はわたしの名をかたってる…あ、なんか腹がたってきた。

 

「…仕方ないわね。ここで知り合ったのも何かの縁、みんなで探してフルボッコ…ってのはどう?」

 

リナちゃんの提案に全員がサムズアップ!いつもながら息ぴったりだ。

 

「あ、ありがとう…でもそいつが何処にいるのか、ましてや名前も…」

 

そっか、「高町なのは」は当然偽名だから本当の名前は…

 

「おいキャミー、ちょっといいか?」

 

…ん、どうしたのヴィータちゃん、ひきつった顔して?

「お前の兄ちゃんを襲った相手って、金髪のショートカットで赤色の上下、白い仮面だったよな?」

 

「えぇ、そうだけど?」

 

キャミーちゃんはきょとんとしてる。

 

ヴィータちゃんはそれに構わずある方向を指差して…

 

「…それって、あそこ歩いてる奴じゃねーのか?」

 

…えっ?…わたしたちが指差す方向を見てみると、そこには赤色の上下で金髪のショートカットの仮面をつけた…多分少女が買い物袋を提げて歩いていた。

 

「…見つけたっ、あいつよ。間違いないわっ!」

 

…まさかこんな街中をそんな格好で出歩くなんて…しかも買い物帰りっ?

とにかく呼び止めて話を聞くのっ!

 

「そこのあなたっ、高町なのはでしょっ?!」

 

ズコッ?!

 

…さっきまでの話は何処にいったのかなキャミーちゃん(怒)?

 

「…いいえ、わたしはフェイト・テスタロッサって名前だけど?」

 

…って今度はフェイトちゃんになりすましてる?!

 

「…あらっ?もしかして人間違いかな…」

 

アホなの?キャミーちゃんはアホの子なの?!

 

「…えぇい、あんた数日前にこの子のお兄さん襲ったでしょう?正直に白状なさい!」

 

リナちゃんの指摘に仮面の少女は無い胸を張り答える。

 

「…?! アンタはあいつの…敵討ちってことね。…笑止っ!アンタごときがこの八神はやてに敵うと思っているのかしら?」

うが~っ?!今度ははやてちゃんっ?

 

「…偽名はもう聞きあきたから本名を名乗ってくれないかな、本名を!」

 

わたしの心からの叫びに帰ってきた答えは…

 

「ふっ![万の偽名を持つ女/ザ・ミリィオネア]と言われたこのわたしに本名なんて…」

 

「~~~~~~~?!」

 

…あれ?リナちゃん頭を抱えてどうしたの?

 

「なんでもないわなんでも?!」

 

仮面の少女は買い物袋を地面に置くとデバイス(短銃)を取り出す。

「わたしの邪魔をするものはみんな敵よ!さぁ、かかってきなさい!」

 

「…皆さん、こいつは兄さんの敵、わたしに任せ…」

キャミーちゃんが一歩前に踏み出したその時。

 

『…[炸弾陣/ディル・ブランド]。』

 

チュド~ンッ!

 

「りぞらば~っ?!」

 

…後ろから(こそっと)放ったリナちゃんの呪文に仮面の少女はブッ飛ばされた。

 

「…あの~っ、わたしの立場は…」

 

「…いいじゃない、あっちが「みんな敵」っていったんだし。…それより気になる事があるのよ。」

 

気になる事?

 

リナちゃんは気絶してる仮面少女に近づき、何処からともなく取り出したロープでしばりつける。

「リナちゃんは一体どこにあんなもん隠しとるんかな…謎やわ。」

 

それは言っちゃ駄目だよはやてちゃん。

 

縛ったあと仮面を取ると…可愛らしい顔の美少女が!

 

「…ま、お約束よね。ほら、起きて!」

 

リナちゃんが少女の身体を揺すると、すぐに目を覚ます。

 

「うっ、う~んっ…ひ、ひぃ~っ?!」

 

少女はリナちゃんの顔を見た瞬間青ざめて、尺取り虫みたいに座ったまま後ずさる。

 

「…大丈夫よ、大人しく聞いた事に答えてくれたら…」

 

「話しますっ!だから命だけは…」

 

「…アンタ、あたしを何だと思ってるの?(怒)」

…多分、黒い魔王の影が見えてるんじゃないかなぁ?(苦笑)

 

「…なのは…なんかいった?!」

 

…何もいってないよっ?!

 

「…まぁいいわ。それで…まずアンタの名前は?嘘いったら…わかってるわね?」

 

リナちゃんの魔王の微笑みにビビりまくりの(元)仮面少女。

 

「は、はいっ!わたしの名前はミリィオネア…」

 

「本名を言えって言わなかったっけ?!(怒)」

 

「だ、だから本名がミリィ・オネアーなんですぅ!ホントです!…ほら、学生証!」

 

出された学生証を見ると確かにミリィ・オネアーと書かれてた。

 

「…ふざけた名前だけど、本当のようね。さて、本題なんだけど…ミリィ、あんたなんで人の名前勝手にかたってるのよ?…なのはもフェイトもはやてもここにいるんだけど?」

 

リナちゃんの言葉にミリィちゃんの表情が変わる。

 

「へっ…あなたたちが…じゃあポニーテールのあなたが高町なのはさん?!」

 

「うん。どうしてわたしの名前を…」

 

ミリィは持っていたポーチから手帳とサインペンを出してきた。

 

「…わたし、あなたたちのファンなんです、サインしてくださいっ!」

 

…えっ?!意外なミリィの言葉に戸惑いながらもわたしたちは順番にサインを書いた。

「もう…最初から名乗って下さったらすぐに謝ったのに…。」

 

残念だけど少なくともわたしはいきなり名乗る趣味はないから。

 

「あ、好きな言葉もあればいっしょに書いてもらえますか?」

 

す、好きな言葉?え~っと…『全力全壊』…とまぁ、こんな感じかな?

 

「ありがとうございます、家宝にしますっ!…ところで、逢魔リナさんもお友達なんですよね?今日は別行動なんですか?」

 

「…逢魔リナはあたしよ。」

 

ミリィちゃんはリナちゃんを見て驚きの表情。…なんで?

 

「え~っ、意外と普通なんですね…てっきりつり目で大きな胸に角3本の大柄な人だと…」

「…あんた、それ誰に聞いたの?」

 

こめかみに青筋たてながらリナちゃんが確認すると、

 

「え~と、長い髪の毛で巨乳のボンテージを着た女の人が高笑いしながら言い触らして…」

 

「あいつ…あとで〆る。」

 

リナちゃん…目からハイライトが消えて危ない目付きなの。(汗)

 

「あと、あなたどうしてキャミーのお兄さんを?一応理由はどうあれ犯罪だからね?」

 

執務官でもあるフェイトちゃんが尋ねる。

 

「…実は…あの子のお兄さん、わたしのストーカーなんです。あまりにずっとつきまとうから仮面かぶってみたりしたんですけど効果がなくて…」

あ~~っ、そういうことか。…キャミーの顔がみるみるうちに青ざめてく。

 

「…あの~それじゃわたしはこれで…」

 

「…帰れるわけないでしょ?!」

 

一瞬にしてキャミーが金色のバインドに拘束される。

 

「…あとで一緒にお家にいこうね♪」

 

「…はい…(涙)」

 

キャミーはうなだれたままフェイトちゃんに説教されてる。

 

結局…キャミーちゃんはただの逆恨みだった…って事?

 

「はぁ…やっぱりね…前世でもこんなことあったからまさかとは思ったけど…。」

 

リナちゃんの呟きがこの事件の奥深さを物語ってたの…。

 




お楽しみいただけたでしょうか?

ちょっと事情がありまして今回は次回予告は無しです。

詳しくは活動報告にて。


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はいすくうる〈10〉 仰げば鬱陶し、…いのは教師じゃない?!

今回は短編集13巻収録の「仰げば鬱陶し」と、その続編「君のゆく道は…」のパロディです。

活動報告に応えてくださったstanさんありがとうございました!


NO SIDE

 

リナたちが入学してからはや2ヶ月が過ぎ、6月も半ばをを迎えようとしていた頃…

 

SIDE:なのは

 

キンコン カンコ~ン…

 

「起立…礼!」

 

 

『…それでは…ごきげんよう。』

 

…あ~、今日の授業も無事に…ってあれ、どうしたのリナちゃん?頭抱えて…?

 

「なのは…あんたたちよく『ごきげんよう』なんて素に言えるわね…なんか寒気が走るんだけど。」

 

にゃはは…確かにリナちゃんには合わないかも。でも、わたしやフェイトちゃんは大丈夫だよ?

 

「あたしも平気だな。…ってか、周りのみんなから『ロリ可愛い~』って言われるのが理解できね~が。」

「わたしはそもそも前世が王族ですから、ね。…もっとも、似合ってないのは分かってるけど。」

 

「わたしも違和感は無い…思てたんやけど、たま~に『ほな、ごきげんさん』って言いそうになるわ…。長年の癖やな。」

 

う~ん、人それぞれなの。…まぁ無事今日も1日終わった事だし、街に買い物に…

 

「おうおぅ可愛いねぇ?!」

 

「…いいから俺たちと遊ぼうぜ?!…へへっ。」

 

「そ~そ~っ!大人しくついてきた方が身のためだぜ?」

 

…あ~、こりゃまたお約束すぎるシチュエーションなの。どうする、リナちゃん?

 

「…そんなの決まってるじゃない!憂さ晴ら…じゃなかった、降りかかる火の粉は払うのが当たり前じゃない?」

…今「憂さ晴らし」って言いかけたよね…

 

「うるさいわね…いくわよ、ディル・ブ…」

 

ドッカーン!

 

「…へっ?!」

 

リナちゃんが呪文を唱えようとしたその瞬間、不良2人が突然吹っ飛んだ。…いったい何で…

 

「ほっほっほっ!危ないところでしたわねっ!!」

 

ふと声のした方を振り向くとそこにはスーツに身を固めた女性がいた。見た目は20代後半位かな?

 

「あ、ありがとうございま…す?」

 

一応は助けられた形(?)なので、わたしはペコリと頭を下げた。

 

「いやいや、礼には及びませんわ。わたくしはただ職務を遂行しただけの事ですから。」

…?…すいません、意味が解らないです。…貴女はいったい…?

 

「何はともあれ、此れからよろしくお願いしますね?…逢魔リナ、高町なのは、フェイト・テスタロッサ…そして八神はやてとその家族さん?」

 

えっ?!どうしてこの人わたしたちの事を…?

 

「…失礼、申し遅れましたわ。わたくし、キョシー・ヤバイースと申します。…この度、貴女方の教育係を仰せ付けられたからよろしくお願いいたしますわね♪」

 

………はいぃ~っ?!

 

 

 

 

 

…という訳で、わたしたちとキョシーさんはオープンカフェにて絶賛面談中!…キョシーさん、いったいわたしたちの教育係って何の事ですかっ?!

「…貴女方のお噂はわたくしも耳にしていますわ、良い噂・悪い噂両方ね。」

 

キョシーさんはそう言うと紅茶を一口含んで話を続ける。

 

「ただ、ご活躍は認めてもやりすぎなのでは、とわたくしの所属しているSt.ヒルデ同窓会の会長も危惧されてますの。このままではSt.ヒルデの品位まで墜ちてしまうのではと…という訳で、このわたくしが貴女方をSt.ヒルデ魔法学院の生徒に相応しい淑女に再教育すべく、派遣されたわけですわ。」

 

「なるほどなぁ…ってアホか?!」

 

おおっ、はやてちゃんのノリツッコミっ?!

 

「ええか、わたしらはSt.ヒルデ魔法学院の生徒であると同時に時空管理局の魔導師や。やんちゃしとる子らを懲らしめるんの何処が…」

「懲らしめ方が間違ってると言ってるんですっ!もっと穏便にSt.ヒルデの学生らしくしてくださいませんか?」

 

「…つまり謝ってきたら許せと?…残念、あたしたちのモットーは『悪人に人権は無い』なのよね。それにあんたもさっき…」

 

そうだ!この人もさっき不良たちを吹っ飛ばしてたよね。

 

「愚問ですね。わたくしが依頼されたのは貴女方の教育係であってわたくしが攻撃するのは問題なしですわ!」

 

…いや、それは十分問題なのでは…(汗)

 

「…とにかくっ!貴女方が品行方正な人間に改心するまでわたくしが付きっきりで教育しますわ、覚悟なさい!」

 

どうしよう…こんなめんどくさい人付きまとわれたら…

 

「あ、みんなここに居たんだ?!」

 

「なんだ、井戸端会議か?!」

 

後ろから声をかけられ振り向くと、そこに居たのは予想通りユーノくんと…良牙くん♪

 

「お疲れ~ユーノ。それと良牙、井戸端会議はオッサン臭いわよ、ガールズトークって言ってくれる?」

 

にゃはは…良牙くんは修行一筋だったからこういう所があるの。でもそこがまたカッコいいんだぁ…(デレッ)

 

ってあれっ、キョシーさんが急に静かになったと思ったら…

 

「や、やだ…2人ともイケメン…」

 

「「…はあっ?!(怒)」」

わたしとリナちゃんが怒気を放った途端、はやてちゃんたちはもちろん、周りのお客さんたちも避難を始める。

 

「…というか貴方もしかして無限書庫司書長の筆頭候補の逢魔・S・ユーノさん?!こんな所でお逢いできるなんて…こちらの方はご友人?こちらには何用で?!」

 

すっかりミーハーと化してナンパを始めたキョシーさ…もうキョシーでいいの。

 

ユーノくんと良牙くんは苦笑いしながら答える。

 

「僕たちはそこにいる友達…それに恋人と一緒に帰ろうと思ってね。な、良牙?!」

 

「あ、あぁ…ちょっと恥ずかしいけどな…。」

 

照れくさそうにいう2人がとってもぷりちぃなの。

それにひきかえ…

 

「恋人ですって?!そんなガキンチョほっといてわたくしとどこか遊びに…」

 

ギュイン!

 

キョシーの両手両足を拘束したのはわたしのバインド。そして…

 

「…あのさぁ…あんたのいってるガキンチョって、あたしとなのはの事なんだけど…覚悟はいい?」

 

「えっ…ムグっ?!」

 

追加でそのめんどくさい口も拘束…うん、静かになったの。

 

「ムグっ、ムググっ?!」

 

…人の恋路を邪魔する輩はお星さまになるの♪

 

「…少し、頭冷やそうか?リナちゃん、おねがい♪」

 

「お~け~。…爆裂陣[メガ・ブランド]!!」

ちゅど~んっ!

 

「あ~れ~っ?!」

 

リナちゃんの呪文で真上に吹っ飛んだキョシーはカフェの側の噴水に落下した。…これで頭が冷えたかな?

 

「…はあ~っ、ユーノと良牙にちょっかいかけるなんて…知らないって怖いね…」

 

「あぁ…ほんとバカだよなぁ。」

 

「わたしだってゼルガディスさんに色目使われたら鉄拳制裁確定ですよっ!!」

 

「まぁアメリア落ち着き。…これでわかってくれたらええんやけどなぁ…」

 

はやてちゃんたちは離れた場所でぼそぼそと。…と、キョシーさん、目が覚めたようなの。

 

「痛たたっ…流石管理局の〈エース・オブ・エース〉と〈魔を滅せし者/デモン・スレイヤー〉。…わたくしでは到底敵いませんわ…」

うん、わかってくれたらそれで…

 

「しかぁしっ!所詮わたしは同窓会で底辺のしたっぱ。この先は…それっ!」

 

キョシーが何か空に放り投げた。それは天高く舞い上がり、無数の鳩になって四方八方へと飛び散っていく…まさかっ?!

 

「そう!今のは特別に飼育された伝書鳩よ。これで同窓会の先輩方…『St.ヒルデ176人衆』が招集されるわ。」

 

…はいっ?それってもしかしなくても…めんどくさいパターン?!

 

「ふっふっふ…歩が3つ。」

 

リ、リナちゃん?何その某プロレス漫画の敵みたいな笑い方は?!

 

「…なんとなくよ、なんとなく。…それよりキョシー、あんたらの本部ってどこにあるの?」

 

「そ、それはクラガナンの中心部に…って何をするおつもりですのっ?!」

 

怯えながら答えるキョシーにリナちゃんは満面の笑みで答える。

 

「決まってるじゃない?あんたらのリーダー…同窓会長に直談判すんのよ!」

 

「それはナイスアイデアなのっ!フェイトちゃんたちもいくよね?」

 

わたしの問いにうなづくはやてちゃんたち。

 

わたしたちはバリアジャケットに着替えると高速飛行で目的地へと向かう。

 

暫くいくと立ちはだかる数人の男女。皆手に手にデバイスを持って構えてる。

 

「よく来たな!しかし此処からはこの『グロさの求道者』、ドブガー・ワクセがお前たちを教育し直してやる、覚悟するがいい!」

「…何を言ってるんですか?この子たちはこの『エロの風紀委員』、エロカ・ワイスが育て上げて…」

 

「馬鹿な事を言うんじゃないよ!ここはこの『制服を極めしもの』、ドレッシー・フォーマルドが…」

 

…次々と変なやつがでてくるんだけど…

 

「どうする、みんな?」

 

「いうまでもあらへん、薙ぎ倒して一直線やっ!!」

 

……………(しばらくおまちくださいなの♪)

 

 

それから数十分後、襲ってきた刺客をすべて薙ぎ倒したわたしたちは無事にStヒルデ魔法学院・同窓会本部にたどり着いた。

 

「ば、馬鹿な…我ら同窓会の精鋭がこうも簡た…(ぶみっ)」

ふうっ、やっと静かになったの。

 

「それじゃあ…入るわよ?」

 

リナちゃんはわたしたちがサムズアップで返事したのを確認して思いっきりドアを蹴り破る。

 

「…頼もぉ~っ…ってあれっ?」

 

ドアの先は応接間だった。そしてそこにいたのは…

 

「あらはやて…それに皆さんどうしてこちらに?」

 

そこでソファーに座り紅茶を飲んでいたのは聖王教会の騎士、カリム・グラシアとその側近のシスター・シャッハ…どうしてここに?

 

「それはこちらの台詞です。わたくしたちは同窓会が聖王教会に寄付してくれるとの事なので…」

 

はぁ…

「そんなことよりここのトップは誰っ?一言文句言わないと気がすまないんだけどっ?!」

 

わたしたちはカリムさんに事情を説明する。

 

「…成る程、事情は把握しました。同窓会の会長、エミイルさんは席を外されてますがもうすぐ…」

 

「やぁ、お待たせしました騎士カリム。…おや、そちらの方々は?」

 

…!まさかこの人わたしたちの事…

 

「…多分ね。…申し遅れました、あたしはSt.ヒルデ魔法学院の在校生で逢魔リナと申します。本日はエミイル会長さんにお話が…というか、分かってるわよね用件は?」

 

エミイルさんはリナちゃんが名乗った途端、青白い顔が更に青くなり…

 

「うわ来たごめん謝る僕が悪かった。」

 

まさかいきなりの土下座っ?!

 

「あんたねぇ、謝って済むと…」

 

「あぁ騎士カリム、どうかお助け…」

 

「そうは言われましても…これは当事者同士の問題ですしねぇ…」

 

そう言ってカリムさんは顔を背ける。そりゃそうだよね…

 

「…解りました。寄付額を倍に…」

 

「…もう一声。」

 

「…ええぃ、3倍でどうですかっ?」

 

「リナさん、ここは私に免じて赦してやってもらえませんか?」

 

ズコッ?!

 

「…変わり身はやっ?!」

「ごめんなさいね…聖王教会もここの所信者が減少気味でね…何かと物要りなのよ。」

 

…どうする、リナちゃん?

 

「…騎士カリムに感謝することね。でも今度やったら…?」

 

「ひいっ、もうしませ~んっ?!」

 

…やれやれ、これで一件落着?なんだけど…

 

「あ~、なんかムシャクシャする~っ…ちょっと異世界で呪文ぶっぱなしてくるわ。」

 

「あ、わたしもついてっていいリナ?!」

 

「別にいいわよアメリア。それじゃあなのは、ご飯いらないって寮母さんにいっといて。」

 

うん、わかったの。…でもこの時はまさか、リナちゃんとアメリアちゃんが他の平行世界に迷い込んで大暴れするなんて想いもしなかったの…(笑)。




はい、このあとリナとアメリアは現在荒潮提督さんの「マテリアルズ・ストラトス」で展開中のコラボ回に巻き込まれた、ということになります。

ちなみに次回は2人とも帰ってくるのでご安心を。

SPパロディの募集は活動報告にて継続して行ってるのでどしどしご応募お願いします!


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はいすくうる〈11〉 アカデミー・フェスタ(導入編)~開店?!喫茶・MIDORI‐YA!~

今回は作者のセレクトですまっしゅ2巻からです。

予告していた「獅子の試練を乗り越えて」は、時期尚早ということでSts編で書かせて戴きますのでご了承を。

なお今回のお話は3話ぐらい跨ぐかもしれません。


NO SIDE

 

異世界に跳ばされたリナ達(現在展開中の荒潮提督さんの「マテリアルズ・ストラトス」コラボ編参照)も無事生還し、夏休み…はあっさり終わり、

 

リナ「作者、はしょりすぎっ?!」

 

…夏休みはまたゆくゆくに…ともあれ2学期を迎えたリナたちは…?

 

SIDE:リナ

 

「あ~、平和っていいわね…つくづくそう思うわ。」

 

秋の柔らかい日差しを受けながらあたしはしみじみつぶやく。

 

「ホントホント、…まさかリナが呪文ぶっぱなした反動で2人して異世界にとばされた挙げ句に、あんな奴と闘う羽目になるとは…ねぇ?!(ジト目)」

うっ…(汗)。

 

「あんたには悪い事したとは思ってるわよアメリア。…でもあんたも思いっきりぶん殴れて気持ち良かったんじゃないの?」

 

あたしの返しにアメリアは視線を逸らしつつ…

 

「…そりゃまぁ…爽快そのものだったけど…てへっ♪」

 

…てへペロで誤魔化そうとしたアメリアにあたしはスリッパ・ストラッシュをかます。

 

スパパーン!

 

「痛っ?!…何すんのよリナっ!」

 

「かわいこぶるからよ、この暴力全開巫女。」

 

「何ですってぇ~!」

 

 

「まぁまぁ、そんぐらいにしとき。わたしらに心配かけたんは2人共一緒やからな?」

「はい…」

 

「反省してまーす…」

 

はやてに諌められたあたしとアメリア。

 

「でも良かったよね、こっちの時間は1日も経ってなかったんだから。」

 

…そう、向こうの世界で色々あって、結構滞在してたから失踪扱いかな?…と思ってたんだけど帰ってみたら次の日の早朝だった。

 

まぁ門限破りってことになってこっぴどく寮母さんに怒られたんだけどね。

 

「…一夏さんやマテリアルズのみんな、元気にしてるかなぁ…?」

 

「確かあっちの世界にはこっちには無い兵器があると仰ってましたわよねリナお姉さま?」

 

「…ISは兵器じゃない、宇宙開発用のツール…パワードスーツよ。そこんとこ誤解しちゃダメよククリ?」

「す、すいません…」

 

まぁ謝る必要はないけどさ。

 

あたしたちだって束さんの話聞いてなきゃ兵器としてしか認識できないよね、ISって。…それぐらい進んだ技術だからなぁ。

 

「マテリアルズってわたしやフェイトちゃん、はやてちゃんがベースなんだよねぇ?」

 

「うん。でも見た目は全然違うし、性格なんて逆だから…」

 

大人しい…というより寡黙なシュテルにアホの子丸出しのレヴィ、傲慢キャラのディアーチェ…コピーというよりはっきり別人よね。

 

「そうなんだ…一度会ってみたかったなぁ…。」

 

…何となくだけど、また会える気がする。それも今度はこっちの世界で。

「…一夏とは再戦を約束してるからね。今度はそれぞれパートナー連れてのタッグマッチ、ユーノとコンビだったら負けないわよっ!」

 

「うっわ~、リナとユーノのタッグなんてどんな拷問だよ…その一夏って奴に同情するぜ、全く。」

 

ちっちっちっ、甘いわねヴィータ。

 

「一夏さんの必殺技…アブソリュート・ブレイカーっていうんですけど、リナのギガ・スレイブ・バースト・ブレイカーと相討ちだったんですよ?!」

 

「「「「「えっ…マジで…(すの)?」」」」」

 

マジよマジ。ほんとにあの時は一瞬何処かの川が見えたわ…

 

「リナちゃん、それって三途の…?!」

「…多分ね。まぁ向こう岸に故郷のねーちゃんが見えたからUターンしたんだけど。」

 

「噂には聞くけどどんだけ怖いんやリナちゃんのお姉ちゃんって…(汗)」

 

それは聞かないではやて…ま、まぁとりあえずその話はおいておきましょ。それより…

 

「いよいよだよね、学院祭…楽しみだなぁ!」

 

「翠屋の出店するって許可とったの、なのは?」

 

「うん!お母さんからも『頑張ってね。』ってメール来たよ。」

 

あたしたちのクラスは出張喫茶店・翠屋を出店する事になってる。

 

いまや翠屋は時空管理局の御用達としてミッドチルダでも大人気。そのパティシエの娘が直々に…という事でクラスの総意で決定したのだ。

「パティシエはなのはちゃん、リナちゃんがウェイトレスのリーダーで、わたしは料理とみんなのコスチュームのプロデュースや。絶対に売上1位を狙うで!」

 

やる気満々ね、はやて…って料理はともかく、何よそのコスチュームのプロデュースって…

 

「いやぁ~、うちのクラスはわたしらを含めて美少女ぞろいやからなぁ?ここは〈コスプレ喫茶・MIDORIYA〉でいこうかなって…あっ、桃子さんの承諾は得てるで?!」

 

…桃子さん何してんのっ?!…ふと横を見てみればなのはが…

 

「なの…なの…?!」

 

…駄目だ、ゲシュタルト崩壊寸前だ…。

 

「ちなみに衣装提供は逢魔堂さんやで♪」

「母さんもかいっ?!」

 

今度はあたしがヤバい…八神はやて、まさに恐るべき陰謀だわ…

 

「なんや、リナちゃんとなのはちゃんは反対なんか?」

 

「「当然(なの)っ!!」」

 

あたしとなのはの怒号が被る。

 

しかしはやてはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。…なんかやな予感が…

 

「そうか残念やな~…せっかくユーノくんと良牙くんにもコスプレしてもらおう思てたんやけどなぁ~っ?」

 

ビクッ?!

 

…な…ユーノと良牙のコスプレ?!そ、それは…

「良牙くんのコスプレ…み、見てみたいの…」

 

なのはも視線が泳ぎ始めてる。

「良牙くんは格闘ゲームの主人公なんか似合いそうやなぁ…ス〇Ⅱのリ〇ウとか、な。」

 

「くうぅ~っ?!」

 

…あ、なのはが堕ちた。でもあたしはそんな程度じゃ…

 

「ユーノくんは某逆刃刀持ちの剣客さんやな。雰囲気似とるやろ?」

 

ブッ!

 

ば、抜〇斉ユーノっ?! あたしは鼻血を出しながら頭の中で妄想してしまう。…いかん、このままじゃ…

 

「そや、リナちゃんには和服着てもうてユーノくんの彼女のコスプレしてもらおか。お似合いや思うで?」

 

ブブ~ッ?!

 

はやてが放った止めの一撃であたしの心はノックアウト!

「し、仕方ないわね…その代わり絶対に1位をとるわよ?!」

 

「勿論や!ふっふっふっ、今年の学院祭はもろたで!」

 

ほくそ笑むはやて。

 

「…さすが〈最後の夜天の主〉ね…完敗だわ。」

 

「…いや、そんなところで感心するなよリナ…」

 

ヴィータに呆れ返られたけど事実だから仕方ない。

 

でも学祭は楽しくなりそうだわ。…トラブル起きなきゃいいけど。

 

「良牙くんのコスプレ…はうぅっ?!」

 

「なのは、帰ってきてぇ~っ!」

 

…あの2人は何やってんだか…

 

 




次回はいよいよ事件が起こるっ?!

次回「はいすくうる〈12〉 アカデミー・フェスタ(事件編)」

活動報告にて引き続きタイトルネタ募集、追加してMIDORI‐YAウェイトレスのコスプレを募集しています。詳しくは活動報告を。

次回も見てくんないと…

「コスプレさせんで?!」

(BYはやて)


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はいすくうる〈12〉 アカデミーフェスタ(邂逅編)~異世界からの訪来者~

今回から少しずつコラボ(マテリアルズ・ストラトス)が絡んできます。

お楽しみいただけると嬉しいです!


NO SIDE

 

初めて迎えるSt.ヒルデの学院祭にリナやなのはたちは、はやてプロデュースのコスプレ喫茶〈MIDORI‐YA〉をする事に。準備も着々と進むなか、学院内では妙な噂が…?

 

SIDE:リナ

 

「…幽霊?」

 

「うん…なんか出るんだって。」

 

学院祭を間近に控えたある日、クラスメイトたちの間で流れていたのは夜中の校舎に現れる幽霊?の噂。

 

「…なんでも、夜な夜な現れては模擬店で準備している食べ物や飲み物を荒らしてるって…」

 

「…やだ、怖い~っ?!」

 

んっ?…ちょっと待って…?

 

「あのさぁ…それって幽霊なんかじゃなくて、ただの食材荒らしじゃないの?」

 

「…え、えっ?…そーなのかっ?!」

 

あたしの言葉にさっきまで耳を塞いで聞かない振りしてたヴィータが反応する。…この子、自分も魔法的な存在のくせして幽霊とか苦手なのよね~。

 

「よく考えてみて。そもそも幽霊はご飯なんて食べないわよ?」

 

「あっ…!」

 

ヴィータはあまりにも単純な答えに顔を赤らめ…

 

「…そうと解りゃ怖くねーっ!…でもどうすんだ?」

 

う~ん…うちのクラスは今のところ被害は無いけど…はやて、どうする?

 

「そやなぁ…まぁそんな迷惑な輩がおったら皆もおちおち準備できひんしなぁ。…しゃあない、わたしらで幽霊退治といこか?」

 

…ま、それが順当なとこね。…で、幽霊に関する情報は?

 

「なんでも青色のツインテールの女の子で、見つかったら超スピードで逃げてくらしいよ?」

 

「一昨日の晩は2年生の模擬店のカレーが寸胴ごと食べられたって?!」

 

「なんか大きな鎌を持ってたって聞いたけど…」

 

………

 

「…リナ、まさかと思うんだけどこれって…あの子なんじゃあ…」

 

「…可能性は高いわね。全く…『こっちの世界に遊びに来い』とは言ったけど…はぁ。」

 

情報を確認したあたしとアメリアはとある世界で知り合った少女に思い当たりため息ひとつ。

「えっ、リナちゃんとアメリアちゃん何か心当たりあるのっ?」

 

「まあね…はやて、この件はあたしとアメリア、あとフェイトの3人で動いてみるわ。」

 

「そうしてくれるか?まぁリナちゃんに任しといたら安心やわ、頼んだで!」

 

「ふふんっ、まっかせなさ~いっ!」

 

こうしてあたしたちの幽霊捕獲(?)作戦はスタートしたのだった。

 

 

 

時間が過ぎて今は夜の8時。あたしたちは空いた教室に罠を仕掛けて待機中なんだけど…

 

「ほんっとに大丈夫なのアメリア…?」

 

「大丈夫ですっ!もしあの子が犯人ならこれで捕まえられますっ!…たぶん。」

 

たぶんって…ちなみに仕掛けられた罠って、定置式のバインドの上にはやて特製のカレーが置いてあり、カレーを取るとバインドが発動する仕掛け。

 

「いくら〈あの子〉がアホの子だとしてもさすがにこれはないんじゃ…」

 

あたしはそういいながら傍らにいるフェイトをちらり。

 

「ど、どうしてわたしを見るのっ?」

 

さあてね。…仕方ない、しばらく様子を…

 

ガサッ、ガサガサッ!

 

物音と同時に閉めていたはずの教室の扉がすうっと開き中に何かが入ってきた。…薄暗くてよく分からないけど人間らしいのは間違いない。

 

『クンクン…カレーのにおいがするぞ…あ、見ぃ~つけたッ!』

侵入者はトラップに一直線に近づいていく。そして…

 

バギッ!

 

『ん~、なんだこれは~っ?!でもMAXパワーのボクにはこんなものっ なんとも…』

 

…今の声…間違いない、あの子だわっ!でもなんでここに?

 

ブチッ!

 

侵入者はバインドを力任せにぶち切り、逃走を図る。…もしかしてにげられる?!

 

ゴチンっ!

 

『あだっ?!』

 

…アンタ、今いったいどこにぶつかったのよ…

 

「…アメリア、電気つけて?」

 

「は~いっ…(パチッ)…やっぱり貴女だったんですね、レヴィ。」

 

明かりを付けるとそこにいたのは、あたしとアメリアが訪れた異なるミッドチルダで出逢った少女、レヴィ・ラッセル。

 

その正体は向こうの世界のフェイトを元に構成された〈力のマテリアル〉。

 

スピードはフェイト並み、パワーはヴィータに匹敵する…これってチートじゃない?

 

「ひょえ?…えっ、リナリナにアメりん?!…なんでこんなとこに?」

 

「…それはこっちの台詞よまったく…」

 

「えっ、この子ってわたしにそっくり…?」

 

あたしたちの後ろからフェイトが除き込みながら声をかけてきた。

 

「…あれっ?へいと?!…なんでここにいんの?」

 

「へ、へいとっ?」

相変わらず人の名前まともに呼べないのかレヴィ…そのくせして恋人だけは名前ちゃんと言えるってのは不思議なのよね~。

 

「…レヴィ、その子は〈この世界〉のフェイトよ。それでフェイト、この子はレヴィ。あたしとアメリアが平行世界に迷い込んだ時に世話になった子よ。」

 

「ほら話したじゃないですか、なのはさんやフェイトさん、はやてさんを素体として産まれたマテリアルの1人ですよ。」

 

あたしとアメリアの説明で納得する2人。

 

「お~、それじゃボクの知ってるへいとじゃないのか~。ま、よろしくへいと♪」

 

「…フェイトだよ。よろしくね、レヴィ。」

2人の自己紹介も終わり次に聞きたいことは…

 

「ところでレヴィ、あんたどーやってこっちの世界にきたのよ?確か自由に行き来は出来ないって…?」

 

「それはボクが聞きたいっての?!突然空に穴が開いたって思ったら皆吸い込まれて…気がついたらここにいたんだよっ!」

 

空中に穴?!それってあたしたちと同じ…ん、皆?

 

「…ちょっとレヴィ!〈皆〉ってあんた1人じゃないのっ?!」

 

「うん。一夏にシュテルん、王様、それとユーリも一緒だったんだ。でも…目が覚めたら誰もいなくて…」

 

…!!

 

「まさか時空の狭間に閉じ込められたんじゃ…」

「それは大丈夫じゃないアメリア?もしそうなってもあの子たちだったら自力で脱出できると思うから…たぶん。」

 

実際あの面子がその程度で苦難に陥るなんて想像できないもん。

 

「…それでここが何処か分かんないし、全然知らない場所だし、お腹ペコペコで困ってたら…あちこちでいいにおいがするから♪」

 

「するから♪じゃないっ?!」

 

スパパーン!

 

あたしは懐からスリッパを取り出すとレヴィのどたまを一閃した。

 

「あだぁ…何すんのリナリナっ?!…ってそのスリッパどこからっ?!」

 

「こっちの女子高生のマストアイテムなのよこれはっ!」

「えっ、ほんとにっ?!そう言われてみれば便利な気も…「「いやいやいやいや、そんな訳ないから。」」…え、そーなのっ?」

 

あたしの出任せを真に受けたレヴィにツッコミをいれるフェイトとアメリア。

 

…てか信じるなよレヴィ…。

 

「…で、ここ何処なのリナリナっ?!ボクの知ってる世界じゃないのは解るけどさ…?」

 

一夏や王様たちがいないせいかレヴィの表情は不安げ。

 

「…アンタの思ってる通りよレヴィ。そっちの世界と比べると何年か前だとは思うけどね。」

 

確かあっちのなのはたち、23歳っていってたから…7年ぐらいずれてんのかな?

「…で、ここはst.ヒルデ魔法学院高等部…あたしたちの通っている学校の校舎。」

 

「…せんとひるだ?!…あ、ヴィヴ…「いっちゃダメ~っ?!」…ほぇっ?!」

 

あたしは慌ててレヴィが喋るのを止め、念話で釘をさす。

 

『…こらレヴィ!あの子たちの事はなのはたちには内緒じゃなかったのっ?!』

 

『…あっ、そ~だ忘れてた。ごめんごめん。』

 

まったくもう…あたしたちは向こうの世界に行ったときに未来の出来事(一部だけど)を知ってしまった。その上、何故か記憶封鎖もうまくいかなかったりしてちゃんと覚えてる。

 

(まさかなのはやフェイトに娘…しかも…あ、これも秘密だった、いけないいけない…。)

「で、元の世界に帰る方法なんだけど…」

 

『リナ、あたしは一度行った世界にだったら道は繋げられるけど?!』

 

…マジで?!…ほんっとに頼りになるわねL様って…でどうするレヴィ、1人で帰る?

 

「そんな…一夏や王様たちを置いて帰るなんてあり得ないって?!帰るならみんな一緒に帰るっ!」

 

「よく言ったわレヴィ!あたしたちも探したげるから頑張ろっ?…そうなるとまずは何処に寝泊まりするかだけど…」

 

あたしが思案してると…

 

「あの…レヴィってわたしが素体なんだよね?だったらわたしの部屋に来ない?…学校には親戚の子が学院祭の見学に来た事にして。」

フェイトナイスっ!それだったら問題ないわ。

 

「…それに母さんやアリシアお姉ちゃんにも紹介したいし…。」

 

…あれ?…フェイトの話を聞いてレヴィは目が点に…

 

「えっ…お姉ちゃんって…へいとにはお姉ちゃんがいるのっ?!」

 

「うん…もしかしてそっちの世界じゃお姉ちゃんは死んだままなの…かな?」

 

あ、そうか。あっちの世界のテスタロッサ姉妹はフェイトと妹のシャルロット、フーカだけでアリシアは居ないんだった。

 

「お姉ちゃんとお母さんにレヴィを見せたら驚くだろうなぁ…」

 

そりゃ…、ね。はぁ…この学院祭、波乱の予感しかしないわ…。

NO SIDE

 

こうして再び出会う事となったリナたちとレヴィ。果たして一夏たちは何処にいるのか…そしてどうなる学院祭?!

 

 




いよいよ次回から学院祭当日!新たなトラブルメーカー(レヴィ)を加えて波乱は必至っ?!

次回「はいすくうる〈13〉アカデミーフェスタ(学院祭編)(仮)」

感想、評価、ご指摘などお待ちしています!


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はいすくうる〈13〉アカデミー・フェスタ(再会編①)~弾ける肉塊、猫の楽園~

明けましておめでとうございます。

本年もご愛顧よろしくです!


NO SIDE

 

学院祭準備に追われるリナたちに降りかかった幽霊騒動。その元凶は異世界で出会ったフェイトそっくりの少女、レヴィ・ラッセルだった。

 

リナは一夏たちと合流を目指すレヴィを保護し、学院祭の助っ人をさせる事にしたのだった…。

 

SIDE:リナ

 

「は~っ、この子がレヴィちゃんかぁ…」

 

「ほんとフェイトちゃんにそっくりなの…」

 

あたしがレヴィをみんなに紹介したら、予想通りの反応。まぁ、簡単にいったらフェイトの分身だからね?でも…

 

「どうしたのレヴィ、なんか疲れてるみたいだけど…」

 

「…ありしあとぷれしあのおばちゃんが寝かせてくれなかった…」あ~~~っ…なんとなく風景が目に浮かぶ…

 

「そういえばレヴィって性格的にはアリシアさんよりだよね?」

 

アメリアのいう通り、レヴィはフェイトというよりアリシアっぽいイメージがする。

 

「もしかして、ママが最初からあんな感じだったらフェイトもこうなってたかもね~♪」

 

あ、アリシアだっ!久しぶり~っ!

 

「やっほ~リナ!助っ人に来たよ。」

 

「今日はよろしくなぁ、アリシアさん。衣装はこれな?」

 

はやてがケースからコスプレ衣装をアリシアに手渡す。

 

「今日のテーマはずばり、『チーム・アニマるん』…動物系コスやっ!」

はやてのいう通り、あたしたちは皆動物をモチーフにしたコスに身を包んでいる。

 

因みにあたしは赤いキャップに赤のスカジャン、オーバーオール…までは普通なんだけど、この耳と尻尾は…猿っ?!

 

「それはデ〇ー〇ィーコ〇グの格好やな。ちなみにド〇キーコ〇グは良牙くんにお願いしたわ。」

 

…やっぱり〇天堂の子猿さんだったか…でもなんで良牙なの?なのはが拗ねそうな気がすんだけど。

 

「ん~?イメージ以外のなにもんでもないなぁ?なのはちゃんは今日は厨房でホットドリンクの担当や。」

 

「はやてちゃ~ん…」

 

厨房の中からなのはが出てきた…のはいいんだけど、なによそのコスプレはっ?!

 

簡単に言っちゃうと黒ウサギのイメージ(なのセンツ1巻のコス)なんだけど…異様なのは何故かお腹からでてる臓物。

 

「お~、よう似合っとるわ~!やっぱりハラキリクロウサギはなのはちゃんで正解やったわ!」

 

は、ハラキリクロウサギっ?!なにその尖ったキャラ選択は?

 

「えっ、リナちゃんも宇宙怪獣とかの方がよかったか?それならそーと…」

 

「いいえ結構ですっ?!…ほら良牙、客引きに行くわよっ!」

 

「お、おいリナっ待てよ…」

 

このままいたらヤバいっ!あたしはゴリラ姿の良牙の手を引っ張り廊下へ行こうと…

 

「あ、リナちゃん、忘れもんやっ!…はいっ!」

そう言ってはやてが投げ寄越したのはフェレット …もしかしてユーノっ?

 

『や、やぁリナ…』

 

ユーノは念話で話しかけてきた。…まぁここはミッドだから普通にしゃべっても大丈夫なんだけどなぁ?

 

『ははっ、つい昔の癖がね…一緒についていっていいかな、リナ?』

 

…?! …し、仕方ないわね~今回は特別よ?

 

ふと後ろを見ると生ぬるい目のはやてと、ハンカチを噛みながら涙目のなのは…

 

「良牙くんだけじゃなくてユーノくんまで…リナちゃんズルいの!」

 

「まぁまぁ…明日はなのはちゃんも良牙くんとデートできるよう段取りしとくから我慢しといてんか?」

「ほんとっ?!…じゃあ我慢する…」

 

…なんか近頃のなのはって良牙が絡むと人が変わってる気が…(汗)

 

「…それじゃあ行ってくるわ。レヴィ、あんたも来る?」

 

「何か食べさせてくれるっ?」

 

仕方ないわね~、今日は奢ったげるわ。で、なにが…「もちろんカレーっ!」…聞くまでもなかったか。

 

「それじゃ他の喫茶店を偵察がてら覗くとしますか。良牙とユーノもそれでいい?」

 

「あぁ、それでいいぜ。」

 

『僕もそれで構わないよ。リナと一緒に食事するのも久しぶりだし。』

 

…そ~言えばユーノって最近無限書庫に籠ってたのよね。…何調べてたのよ?

『…実は最近、次元漂流者が異常に増えてるんだ。…良牙やレヴィみたいにね。』

 

…確かにそうかも。あたしは中学の卒業の日にゼロスに聞いた話を思い出す。

 

『平行世界の次元の壁が脆くなっています。イレギュラーが発生するかも…』

 

(一度ゼロスと話しておいた方が…ん、通信…ゼロスから?!)

 

あたしが回線を開くと、そこには何故かコックコートに身を包んだゼロスの姿。

 

『あ、リナさん。よかった、出てくれないかと思いましたよ…』

 

いつになく真剣なゼロスの表情にあたしたちにも緊張が走る。

 

「なにがあったのゼロス?アンタがそんな顔するなんて…」

 

「…僕が単独でレストランを開いてるのはご存知ですよね?」

 

ゼロスの言葉にあたしは頷く。…ゼロスはあたしたちの〈MIDORI‐YA〉には参加せず、単独でレストラン〈ZEROS〉を開いていた。

 

なんでも突然料理の騎士が舞い降りたとか…う~ん、意味が分からん。

 

『…幸い、店は大繁盛で人手が足らなくなりまして…そんな時に「リナさんの知り合い」という方が手伝いに来られたのですが…』

 

ん、知り合い?…思い当たる人がいないんだけど…?

 

『…その方が「ハンバーグを焼かせて欲しい」というのでお任せしたら…爆発するんですよ、ハンバーグが。』

…はいっ?!

 

「…ハンバーグってこっちの世界では爆発するものなのか、リナ?」

 

「そんなわけないでしょーがっ?!ゼロス、その子の特徴教えてっ?」

 

あたしはゼロスにその子の事を尋ねる。

 

『…金色の長髪で、小柄なおとなしい少女ですよ。確か名前は…』

 

「その子の名前って…ユーリだよねっ、ゴキブリくん?」

 

『ゴ、ゴキブリっ?!…っていうか貴女は?』

 

相変わらずストレートな物の言い方ね、レヴィ…ゼロスにそんな口聞けるの、あんたぐらいよ?

 

『確かにユーリさんと名乗っておられましたが…リナさん、その方はいったい?見たところフェイトさんの縁者の方とお見受けしますが…?』

 

さすが鋭いわねゼロス。

「当たりよゼロス。この子の名前はレヴィ。前に話したとは思うけど、あたしとアメリアが迷い込んだ平行世界にいるフェイトを素体にした〈力〉のマテリアルよ。」

 

「お~、よろしくな~ゴキブリくん?」

 

『…ゼロスですってばぁ…とにかくお知り合いでしたら迎えにきてあげてくださいませんか?』

 

…だってさ。ユーリって怖がりだから慣れないところで怯えてるはず。

 

「ゼロス、あたしたちの食事はアンタ持ちね?…もちろんOKよね?」

 

『仕方ありませんね…それじゃお待ちしていますよ。』

 

よっし、ただ飯ゲット!ゼロスの奴、大食いはあたしだけとたかくくってるだろうけど、レヴィも相当なもんだから…ね♪

「よかったぁ~♪ユーリが見つかって。さぁ迎えにいくよリナリナっ!」

 

あたしたちはレヴィにひっぱられつつゼロスのお店に向かった。

 

 

 

NO SIDE

 

一方その頃、〈MIDORI‐YA〉でも事件が起きていた。開店早々、突如として猫が大量発生、猫カフェの様相を呈していたのだ。

 

SIDE:はやて

 

「…なんやこれはっ?!…何が起きたんや!」

 

「は、はやて、落ち着いて…」

 

…フェイトちゃん、それは無理な相談やで?…今の店内はそれぐらい猫が溢れている。それも野良猫だけじゃなく飼い猫らしきのまで…

「まぁみんなおとなしいのが救いやけどな…原因は何や?!」

 

わたしは店内を見渡す。ちなみにわたしのコスは某〇田信〇の野望の松〇〇康。…いわゆるタヌキの扮装やな。

 

フェイトちゃんが選んだんはチワワのコスプレ。なんでそれにしたんやろ…謎や。

 

「…主はやて、猫が、猫がとまりませんっ!」

 

落ち着きやアインス、ナハトヴァールやないんやから…

 

…でもほんと、これっていったい…ん?

 

よく見ると、猫たちのほとんどは一定の方向…というか、奥の席に向こうとるな?…何かあるんか?

 

わたしとフェイトちゃんが恐る恐るその席に近づくとそこにいたのは…えっ?!

「な、なのはちゃん?」

 

そこに居たんはなのはちゃんにそっくりな赤い髪の女の子。猫に包まれとるけど…重くないんやろか?

 

「あの~、どちらさんやろか?」

 

わたしが尋ねるとその子は…

 

「八神はやてにフェイト・テスタロッサ…〈こちらの〉世界でははじめまして…ですね。私の名前はシュテル・スタークス。…こことは別の世界の高町なのはを素体として生まれた〈理のマテリアル〉です。お見知りおきを。」

 

…! そんじゃこの子がリナちゃんやアメリアが迷いこんだ世界の…

 

「…で、なんでこんなに猫が寄ってくんねや?」

 

「?…いつもの事ですが…別に普通では…」

いやいやいやいや?!

 

「普通はこんなには寄ってこんで?!」

 

「なんと?!」

 

全然表情変えんまま答えるシュテル。レヴィといいオリジナルとは性格は正反対みたいやな?

 

「突然開いた次元の穴に吸い込まれ、気が着いたらこの世界に…ミッドチルダなのはわかったのでサーチをかけたらあなた方がこの学校に通っていて、リナやアメリアの存在も確認できたので…情報収集と家族を探しにきました。」

 

なるほどなぁ…さすが〈理のマテリアル〉、やる事が理にかなってるわ。

 

「そうか…レヴィは保護できてるから安心し。」

 

「…!感謝します、はやて、フェイト。」

 

「気にすることないで。そっちの世界じゃアメリアたちが世話なったんやさかい、今度はわたしらの番や。」

 

「…そうですね。お世話になります。」

 

それじゃ今日はこのまま〈アニマルコス&猫カフェ〉で営業やな…ふう。

 

 




次回も誰かと出会いますよ~

(BYユーリ)


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はいすくうる〈14〉 アカデミー・フェスタ(再会編②)~襲来、闇統べる王~

いよいよマテリアルズ最後の1人です。

それでは本編、どぞ!


NO SIDE

 

とうとう始まったStヒルデ魔法学院祭。

 

喫茶店〈MIDORI‐YA〉を開店させたリナたちだったが、初日早々に問題発生!

 

リナは1人レストランを経営するゼロスから、「知り合いを保護しているので連れ帰ってくれ」と連絡をうけゼロスの店に向かう。

 

一方〈MIDORI‐YA〉では異世界からの来訪者・シュテルの影響で猫カフェと化し、予想外の展開を見せていた。

 

SIDE:リナ

 

(…どうやったらこんな店出来るのよ…)

 

あたしたちがゼロスの店にたどり着いて最初の感想がこれだった。

 

『ははっ、凄いねこれは…』

「模擬店レベルを越えてるぞこれは…。」

 

「…多分、魔法で構築して組み上げたんでしょうけど…」

 

実際、ゼロスは前世で壊れたガラス張りの温室を一瞬で修復したことがある。しかもアイツにとっては「銅貨2枚分の労力」だったらしいから。

 

「…ま、行ってみましょ?」

 

あたしがそう言った途端…

 

ちゅど~んっ!

 

店の奥…多分厨房の辺りから爆発音と煙…間違いない、あの子ね…はぁ。

 

あたしたちが店の中に入ると、意外にも店内は落ち着いた雰囲気。お客さんもふつ~に食事してる。

 

「というか、さっきの煙はどこいった?!」

「…厨房と客席は結界で隔離してますから影響は無いですよ。…お待ちしてました、リナさん、それに皆さんも。」

 

厨房から現れたのはコックコートに身を包んだパシり魔族ことゼロス。そして…

 

「リナさん、それにレヴィもっ!…逢いたかったですぅ~!」

 

その後ろから飛び出して来たのは…レヴィと同じ世界から来た少女、ユーリ・エーベルヴァイン。

 

究極に可愛らしい外見とは裏腹に、その魔力はあのナハトヴァールに匹敵する〈紫天の盟主〉。

 

決して怒らせてはいけないタイプだ。

 

「おー、ユーリっ無事だったんだね…よかった…もしユーリになにかあったらボク…」

珍しくしおらしいレヴィ。やっぱり心配だったの…

 

「…これで王様に怒られずにすむよ、ほんとによかったぁ~。」

 

心配してたのはそっちっ?!

 

「はぁ~っ、感心して損したわ…ま、とにかくゼロス、約束通り…」

 

「…仕方ありませんね。我がレストランのコースを堪能していただきますか。…お客様を席にご案内して。」

 

ゼロスはそうウェイターに告げると、厨房に戻っていった。

 

案内されたテーブルに座りふと横を見るとそこでむさぼり食ってたのは…

 

「シ、シャーリー?!アンタどうしてこんなとこいんのよ?」

 

そう、そこにいたのはシャーリー。

「あ、リナさん!それにユーノ司書長に良牙さんも。お疲れ様ですっ!」

 

…いや、お疲れ様はいいんだけどさ…あんた仕事はどうしたのよ仕事は?

 

「…実は夢枕にワニを持った八重歯の可愛い女の人が現れて、『Stヒルデの模擬店を完全制覇しろ』と…」

 

「なんじゃその夢はぁ~っ?!」

 

そんなお告げが何処にあるってのよ、まったく…で、どれだけ制覇できたのよ?

 

「えっ?1年生はあと〈MIDORI‐YA〉さんで終わりですよ?」

 

…なん…だと?

 

あんたこの学院祭に1年生だけでどんだけの模擬店があると思ってんのよ?!

 

「でもほんとーの事だしー?!」

 

なんかしゃべり方まで別人に?!

 

「…お待たせしました。前菜の…」

 

お、あたしたちの料理が来たみたいね。ゼロスの料理なんて思えば前世でも食べた事無かったけど…大丈夫かな?

 

「「おいひ~っ!!」」

 

「うめぇ…こんなの食べた事ないぜ!」

 

レヴィ、ユーリ、良牙は脇目も振らずにひたすら食べてる…そこまでなのっ?!

 

あたしもとりあえず前菜のカルパッチョを一口…こ、これは?!

 

あっさりとした口当たりの中に濃厚なコク…でもこの味何処かで…あっ?!

 

「ちょっとゼロスっ!なんでこの世界にあたしたちの世界のニギタケがあるのよっ!」

 

…ニギタケは地球でいうところの松茸やトリュフにあたる高級食材のキノコ。もちろんこの世界に存在するわけがない。

 

「…僕を誰だと思ってるんですか?料理の白騎士である僕にとっては容易いことです。」

 

なんなのよそのふざけた能力は…?まぁ美味しいからいいけどさ。

 

それから小一時間、あたしたちはコースだけでなくアラカルトも完全制覇(もちゼロスのおごり)!

 

「…あ~おいしかった!ゼロス、あんたなかなかやるじゃ…ってあれ?」

 

ふと回りを見渡すとウェイターの人たちが閉店準備を始めてる。

 

「…おかげさまで食材切れです。リナさんはともかく、シャーリーさんとレヴィさんが予想外でしたよまったく…」

 

…えっ…(汗)…ごめん、あたしの分は払うわ。

 

「いいですよ、約束ですから。それよりレヴィさんと仰いましたか…貴女はこことは異なる世界のフェイトさんを素体としたマテリアル…という事でよろしいですか?」

 

「…?うん、そふだよ~、(モグモグ)それがどふかした?」

 

こらレヴィ、しゃべるなら口の中空にしてからにしなさいっ!

 

「ふわぁ~い…」

 

「で、それがどうしたのよゼロス?卒業式の時言ってたあれと関係あんの?」

 

あたしの問いかけにゼロスは頷く。

 

「さすがですよリナさん。貴女もお気付きの通りこのところ次元世界の壁が揺らいでいるみたいで、各地で次元漂流者が発生しています。」

うん、それユーノから聞いた。で?

 

「…その原因が貴女の転生にあるらしいことは以前伝えた通りなんですが…実はその影響が他にも現れているんですよ。」

 

「なっ?!…何が起きたっていうのよ?」

 

ゼロスは意味深にふぅとため息をついた。

 

「…簡単に言うと、『目覚めるはずのない、目覚めてほしくない』存在…そう、〈異端者/イレギュラー〉とでもいいましょうか。…とにかくそういう存在が目覚めの兆候を見せはじめているんですよ…。」

 

…〈異端者〉?あたしはその言葉に絵も知れぬ不安を感じた。

 

「その中でも1つの反応が活発化しています。…残念なことにその特異点は特定できませんが、目覚めは近いかと。」

 

マジか…あたしは天を仰ぎながら思いを馳せる。

(なによ〈異端者〉って?!…また厄介な事が起こるっていうの?…ま、この身に降りかかる火の粉は振り払うだけだけど。)

 

『お~いリナ、はやてから通信だよ!開いていい?』

 

はやてから通信?なんかあったのかしら。…あたしが頷くと、目の前にはやての顔が映し出される。

 

『あ、リナちゃん?食事中のとこごめんな!?』

 

「いいわよ、今終わったところだから。…なんかあったの?」

 

あたしの問いにはやては少し間をおいて応える。

 

「…うん、大きく分けてふたつな。1つはちょっと前にこっちにシュテルちゃんが来てな…今猫カフェと化しとるわ。」

「え、シュテルんいるのっ?!」

 

「よかったですぅ~!」

 

話を聞いてたレヴィとユーリも喜ぶ。…シュテルは相変わらずみたいね。

 

『それでもう1つなんやけどな…リナちゃん、ドッペルゲンガーって知ってるか?』

 

?…確か多重存在…自分とそっくりな姿をした何かが所々で出没しては姿を消す現象、もしくはその存在の事よね?

 

『実は少し前から学院祭の運営委員会に、わたしのそっくりさんがあちこちの模擬店に現れてはトラブル起こしてるってクレームが来とるんよ。でもわたしはずっとお店におるしなぁ…』

 

ん?それってもしかして…?

 

『…もしかしてわたしの生き別れのお姉ちゃん?』

 

「違~うっ?!…それって王様…あんたを素体としたマテリアル・ディアーチェなんじゃ…」

 

「何、もう閉店だと?怠慢じゃないのか…店主を呼べ、我が説教してくれるわ!!」

 

…今の声…どうやら当たりみたいね。

 

「王様ぁ~!!」

 

「ディアーチェぇ~っ!!…逢いたかったですぅ!」

 

その声を聞いたレヴィとユーリは扉のところで店員と揉めていた少女…ディアーチェ・K・クローディアに飛びつく。

 

「どわっ…おぉ、レヴィにユーリ!お前たちも無事だったか…心配したぞ。」

 

ディアーチェは2人を確認すると嬉しそうに頭を撫でる。

 

「やれやれ…お久しぶり、ディアーチェ。元気だった?」

 

「ん、お前…逢魔リナかっ?!…ということは此処は…?!」

 

「そ、此処はあたしたちの住んでるミッドチルダよ。…次元の穴に落っこちたんだって?」

 

あたしの言葉にディアーチェはばつ悪そうに顔を赤らめる。

 

「し、しょうがないだろうが?!咄嗟の事で回避出来なかったのだ!」

 

ま、別に責めてる訳じゃないんだけど。

 

「ということは、後は一夏だけだね…どこにいるんだろ一夏…」

 

レヴィの呟きにすぐさまディアーチェが反応する。

 

「何?!…それではシュテルの奴も…」

 

『シュテルちゃんはこっちで保護してるで?…あんたがディアーチェちゃんか?』

 

「…お前は子鴉?!…そうか、こっちの世界にもいるんだったな。いかにも、我がディアーチェ・K・クローディア。闇統べる王とは我のことよ!」

 

『…厨二病?』

 

「たわけ!子鴉、お前だけには言われたくないわ?!」

 

たはは…さっそく話が弾んでるわね。

 

後は一夏だけ…早く見つかるといいんだけどね。




「一夏~、早く逢いたいよぉ~っ!」

(BY レヴィ)


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はいすくうる〈15〉 アカデミー・フェスタ(閑話休題編)~がーるずとーく?そして…

今回は閑話休題、短めです。

ガールズトークがうまく書けたか心配だ…(ドキドキ)


NO SIDE

 

レヴィ、ユーリ、シュテルに続き王様ことディアーチェも合流。

 

 

残るはレヴィの思い人・織斑一夏。しかし初日は見つからず、とりあえず部屋割りを決める事となったのだが…。

 

SIDE:レヴィ

 

「…それじゃ、はやての部屋に王様とユーリ、あたしたちの部屋にシュテル、…ってことで。」

 

うん、ボクはそれでかまわないけど…王様やシュテルんは?

 

「我は構わん。こちらが世話になるのだからな…ユーリ共々よろしく頼むぞ子鴉?」

 

「任しとき王様!2人とも着せ替えがいがあるから楽しみやわ~っ。」

 

「えっ?えぇっ?!」

 

…どーやら子鴉ちんは王様とユーリでコスプレするみたい。

 

「…私も問題無いですよ。こちらのなのはと話すのが楽しみです。…確か彼氏がいると聞いているのですが。」

 

お~、シュテルんはがーるずとーく?

 

「…にゃはは、まぁ…そっちの世界のわたしは彼氏いないの?」

 

「…はい、彼氏はいませんが…フェイトという伴侶はいますよ?」

 

「…はいっ?!」

 

…にゃのはとへいと、こっちの世界じゃ仲は良いけどイチャイチャはしてないんだよね~、なんか不思議。

 

「…そっちの世界じゃわたしとなのはが付き合ってるの?」

「はい、それはもうラブラブで…」

 

…盛り上がってるなぁ…よし、今日はボクもシュテルんとリナリナの部屋に…

 

ガシッ!

 

「へっ?」

 

いきなり肩をつかまれ後ろを振り向いたらそこにはありしあ。

 

「レヴィはあたしとフェイトの部屋でしょ?!…今夜も寝かさないよ?」

 

ふ、ふえぇ~っ?!ありしあとぷれしあのおばちゃん、寝かしてくれないもんなぁ…まぁ、お姉ちゃんとお母さんみたいで嬉しいんだけどさ。

 

「…ごめんねレヴィ、お姉ちゃんと母さんが…」

 

謝ることはないってへいと?別にやな訳じゃじゃないから。それよりも気になんのは…

 

「はは~ん、一夏のことが心配なんでしょレヴィ?」

 

リナリナが察したように声をかけてくる。

 

「だ、だって…どんだけ一夏のデバイスに通信入れても反応ないなんて、今までなかったし…」

 

「大丈夫よ、あの一夏があんたや家族をほったらかしにしてどこかに行っちゃうなんてありえないって!」

 

リナリナ…うん、そうだよね、一夏は必ず帰ってくる!

 

「うんうん、やっと笑顔がでたわね。まぁ、明日はアリサやすずかも助っ人に来るし、あたしとアメリア、マテリアルズの皆で探しに行こっか?」

 

「えっ、わたしと良牙くんのデート…?」

 

「なのはと良牙はデートしながら探してもらうわ。一夏の映像データはデバイスに転送しとくから。」

 

…さすがリナリナ、抜け目がない。

 

「…そういえばリナとアメリア、お前らの彼氏をまだ紹介して貰っておらぬな?」

 

「「?!」」

 

あ、王様の一言でリナリナとアメリん固まった。

 

「わ、わたしの彼氏のゼルガディスさんはクロノ提督の副官で…今は遠距離恋愛なんですっ!」

 

そういうアメリアは何だか寂しそう。でもわかるなぁ…ボクも一夏が1日いないだけで耐えられないもん。

 

「あ、あたしの彼氏はね、え~っと…」

 

「やぁリナ、それにみんなもお疲れ様…あれ、リナどうしたの?顔真っ赤にして…」

「…うるさいこのド天然?!…どーしてこのタイミングでくるのよ全く…」

 

えっ?ま、まさかリナリナのダーリンって…ししょちょーなの?

 

「なんと。…まさか師匠がリナの彼氏だったとは…驚きです。」

 

「わたしもビックリですぅ~っ!」

 

シュテルんもユーリも驚いてる…そりゃそうだよね。

 

「…しかしあのリナの心を射止めたのがあの優男とはな…。いったいあいつの何処に惚れたんだ?」

 

王様の疑問に答えたのはリナリナ…じゃなくにゃのは。

 

「にゃはは…こっちの世界のユーノ君はリナちゃんの前世の旦那様の転生 体なんだよ。ガウリイ・ガブリエフっていって、凄腕の剣士だったんだって。」

へ~っ…でもししょちょーはししょちょーでしょ?

 

「ところがどっこい!ユーノ君、剣の才能も受け継いだらしくてな、今ではシグナムやフェイトちゃん相手でも互角以上やねんで?」

 

「うん、特に居合いが得意で気を付けないと一撃だよ。」

 

マジで?!…そーいや、こないだ別れる時に「次会った時はペアで対戦」って言ってたよーな。

 

「もう、せっかく内緒にして驚かしてやろうと思ってたのにバレバレじゃないのっ!」

 

リナリナは色々バレて顔真っ赤。…でも羨ましいなぁ。ボクも早く一夏と会いたいよぉ…どこにいるの、一夏?

 

NO SIDE

 

こうして少女たちがガールズトークに花咲かせてる頃、時同じくして学院から少し離れた森の中に1人の少年が倒れていた。…言うまでもなく織斑一夏、その人である。

 

一夏の側には白い髪の毛の少女・白雪がやはり気を失っていた。そして…

 

『…やっとみつけた、ご主人たま…でも今のあたしじゃ助けられない…あたしのオリジナルと夜天の管制騎、彼女たちに会わなくちゃ…』

 

暗闇の中、一夏たちを不安げに見守っていた『何か』は意を決したかのように踵をかえすと、

 

『…もう少しだけ待っててご主人たま。すぐ助けを呼ぶから!』

 

そう心に誓い麓へと降りていった…

SIDE:リナ

 

チュンチュン…

 

小鳥のさえずりであたしは目を覚ました。

 

「ふわぁ~っ、よく寝たぁ…ってまだこんな時間?まだ朝の5時じゃない?!」

 

ふと周りを見渡すと、なのはやシュテルはスースー寝息を立てて眠ってる。

 

(…まだ起こすのは可哀想だし…仕方ない、散歩にでも行くか。)

 

あたしは散歩着のトレーナーに着替えるとドアをそっと開け、外に出た。

 

「はぁ~、たまには早起きもいいもんね。さて、そこいらでも…ん?」

 

あたしの視線の先には、1匹のキツネ…ってこれ、ハネキツネじゃない?!

 

…でもナハトとはカラーリングが違う。紫色のナハトに対してこの子は翠色。この子いったい…と思ってたら?

 

『…やっとみつけた…助けて…あたしのご主人たま…イチカを………』

 

ハネキツネは念話でそう告げると気を失ってしまった。

 

「ち、ちょっと?!…ダメだわ、かなり衰弱してる…」

 

あたしも回復[リカバリー]程度は使えるけど、ここまで弱ってたら逆効果になるかも…

 

「L様、アメリアとレヴィに回線繋いで!急いで!」

 

『あいよ!でもこの子…いや、後で話すよ。今は…』

 

『…ふわあ~、どうしたのよリナ、こんなに朝早く…』

 

『…ふにゃあ、このカレー辛すぎるよぉ…もっとハチミツかけてぇ…むにゃ…。』

 

…どんな夢見とんだレヴィ(おまい)は…ま、一発で目覚めさせてあげるから!

 

『…緊急事態よ。ハネキツネを1匹保護したんだけど、どうやら一夏のことを知ってるみたいなの。だから…』

 

『…!(ドビュン…ゴチンっ)…痛っ?!なんだよもう~っ!(ドビュ~ン)』

 

『…行っちゃった…でも何にぶつかったんだろ?』

 

さあてね?…とにかくアメリア、あんたもすぐにこっちに来て?この子、大分衰弱してるみたいだから復活[リザレクション]かけて欲しいのよ、お願い。」

 

『わかった、すぐにそっちに向かうから待っ…』

 

「リナリナぁ~っ!」

 

のあっ?!レヴィ、もう着いちゃった…いくら何でも速すぎない?

 

「だって、だって…それより一夏の手がかりって?!」

 

…まぁ落ち着きなさいっての。まずはこの子が目を覚ましてからね。…でも何か起きそうな予感がするわ。

 

「いちかぁ~っ?!」

 

あぁうるさいっ!!




はい、短めの割には色々ありましたね(笑)。

次回はいよいよマテストチームが全員集合?!…さらに謎のハネキツネの正体はっ!…こうご期待ください。

皆様のご感想、ご指摘、評価が励みになりますので、どしどし書いてやってください。

(ご感想のレスは極力します!)


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AFコラボ編
AFコラボ編序章…紫天の一家と蠢く異端


いよいよコラボ編がスタートします。

いよいよ集う紫天の一家、そして?

それでは本編どうぞっ!


NO SIDE

 

突如リナの前に現れたハネキツネ。異世界の住人である一夏を主と呼んで気を失ってしまった。

 

リナはレヴィとアメリアを呼び、アメリアに応急処置を頼む。果たしてこのハネキツネの正体は…?

 

SIDE:リナ

 

「…おまたせ、リナっ!」

 

 

声がした方を見上げるとアメリアとはやて、そしてアインスとナハトの姿。

 

「あれ?はやてはともかくアインスとナハトは何で?!」

 

「いや、たまたま主はやての部屋を訪ねていてね。ハネキツネと聞いたからもしかしたらナハトが役立つかと…」

 

な~る…さすがアインス、いい判断だわ。早速ナハトは翠のハネキツネに近づきクンカクンカと匂いを嗅ぐ。

「キュイ?…(ペロッ)」

 

さらになめてみて確認。

 

「キュイッ!」

 

…どうやらナハトと同じ存在…魔法に関係する生物で間違いないみたいね。

 

「…じゃアメリア、回復お願いね?」

 

あたしの願いにアメリアは頷くと呪文の詠唱を始める。

 

『…聖なる癒しの御手よ 母なる大地の息吹よ 願わくば我が前に横たわりしこの者を その大いなる慈悲にて救いたまえ…復活[リザレクション]!』

 

アメリアが呪文を唱えるとその掌に魔力が集まりハネキツネの体に注ぎ込まれていく。

 

「…呼吸が落ち着いてきたわ。多分もう大丈…な、なにっ?!」

…魔力光に包まれたハネキツネは更に強い輝きを放ち辺りが見えなくなる。

 

「…ち、ちょっとアメリア、いったい何暴走させてんのよっ!?」

 

「…わたしはただリザレクションかけただけよっ?!なんにも変な事なんて…」

 

あたしとアメリアが言い争ってる間にも光は強さを増し…そして光が消えたその跡に残っていたのは…

 

年の頃は5~6歳ぐらいだろうか。アインスやリインと同じ翠色の髪の毛をショートカットにまとめた『超絶美少女』。

 

『…リナ、言ってて恥ずかしくない?…自分で自分の事を超絶美少女って…』

 

L様それは言わないのが華よ…そう、そこに居たのは幼い頃のあたしそっくりの少女。違うのは髪の色ぐらいじゃない?

「…んっと…これ、リナリナとししょちょーの…こど…」

 

「ちが~うっ?!」

 

確かに似てるけど…まだしてないから。

 

「…ま、まさかリナちゃん、うちのアインスと…」

 

「(スパパーン!)…はやて、いい加減にしないと…叩くわよ?」

 

「…叩いてから言わんといてくれるか?!でも実際、顔はリナちゃんそっくりで髪の毛の色はアインスと同じやからな…ま、そんなわけは…」

 

『いや、そう間違ってないよ?』

 

え、どういうことよL様?

 

その時、ハネキツネ娘がむずむずと動いて目蓋を開く。その瞳の色はやはりアインスと同じ翠色…

「…やっと目が覚めたみたいね。大丈夫?」

 

あたしが声をかけると彼女は目をぱちくりさせて衝撃の一言。

 

「あ、オリジナルと夜天の管制騎さん…やっと会えたよ…」

 

えっ、オリジナルって…あたしの脳裏に浮かんだのは横にいるレヴィ、そして…

 

『やっぱりそうなんだ…リナ、そしてアインス、この娘はこの世界の夜天の魔導書からリナを素体として産まれた、システム構築体(マテリアル)…そう、そこにいるレヴィたちとほぼ同じ存在だよ。』

 

L様の説明にレヴィはきょとんとしてる。どーやら理解が追いついていないみたい。

 

「…リナリナ、この娘って…」

 

『あー、ぶっちゃけ簡単にいうと…アンタたちの遠い親戚みたいなもん?』

 

「おー、そうだったのかーっ?!」

 

L様の説明にレヴィは納得したみたいけど…それでいいのか?

 

「で、あんた名前は?あるんでしょ、名前?」

 

あたしの問いに彼女は頷く。…なんか自分と話してるみたいでやりずらいなぁ…。

 

「…あたしの名前は破邪の殺戮者[リヒト・ザ・スレイヤー]。でも、普通にリヒトって呼んでほしいなぁ?」

 

「OK、それじゃリヒト目覚めて早々悪いけど、一夏のところに案内してくれる?」

 

「ね、ねぇリヒト?…一夏は大丈夫なの、大丈夫なんだよね、ね?!」

落ち着きなさいレヴィ!まったく…一夏がからむと見境なくなるんだまから。

 

「命に別状は無いけど、衰弱して気を失ってる。…とばすよ、付いてきて!…翔封界[レイ・ウイング]!」

 

リヒトはそう言うと空中へ浮かび上がる。あたしのマテリアルだから使う魔法もスィーフィードみたいね。

 

「それじゃあたしとレヴィ、アメリア、アインス、ナハトは一夏を助けに行きましょ。はやては王様たちに連絡とってくれる?…信号は出しとくから。」

 

「わかった、直ぐに連絡とって合流するわ…リナちゃんたちも気をつけてな?」

 

あたしたちは頷くとリヒトの後を追って一夏の元を目指す。…一夏待ってなさいよ、すぐたすけたげるから!

 

NO SIDE

 

一方その頃…気を失っている一夏は夢を見ていた。

 

SIDE:一夏

 

…寒い…確か俺はレヴィたちと一緒に時空の穴に吸い込まれて…はっ?!

 

俺の目の前に広がっていたのは、謎の触手に捕らわれて磔にされた家族や親友たち、そして…

 

「レヴィっ?!」

 

…誰よりも愛する思い人だった。くそっ、今すぐ助けに…えっ?

 

しかし俺の身体は何故か全く動かない…どうして?

 

やがて辺りの触手が動きだし…

 

「ま、待て…止めろ、止めてくれ…!」

 

磔になった箒やセシリア、千冬姉やマドカの胸を貫いていく。

 

「…嘘だろ…止めろ…俺の大事な人たちに手を出すなぁっ?!」

 

いくら俺が叫んでも触手は止まらない。

 

シュテルが、ユーリが、王様が命を奪われ、そしてついに…

 

「や、やめろぉ~~~っ?!」

 

思い人(レヴィ)が貫かれる瞬間、俺の視界はブラックアウトし…

 

SIDE:レヴィ

 

「ねぇ、一夏、…ねぇ、ねぇってばぁ?!…お願い、目を覚ましてよぉっ?!」

 

ボクたちはリヒトの案内で連れてこられた森の中でたおれてた一夏と白雪を発見!すぐさまアメりんが回復呪文をかけてくれたんだけど…

 

「落ち着いてレヴィさんっ?!」

これが落ち着いていられるかぁ!だって呪文をかけて大丈夫かな?と思ったら急にうなされだしたんだもん…。

 

「うぅ…止めろ、止めてくれ…」

 

一夏、とっても苦しそう…

 

「大丈夫よレヴィ。復活の呪文は効いてるから直ぐに目を覚ますわ。」

 

リナリナ…うん、そうだよね!

 

「や、止めろ…そいつは…レヴィだけは…」

 

えっ…ボクは側に寄り添うと一夏に声をかける。

 

「一夏、ボクはここにいるよ!だからお願い、戻ってきて…一夏ぁっ!!」

 

…その時、一夏のまぶたがピクッと動いたよーな…一夏っ?

 

「あ~…うるさいぞレヴィ、ってレヴィ?!」

突然一夏がガバッと身を起こし…えっ?!

 

「レヴィ…良かった…本当に良かった…!」

 

あわっ…い、一夏っ?!ハグしてくれるのは嬉しいけど…みんな見てるよ?!

 

「夢を見てたんだ…得体の知れない何かに箒や千冬姉、それにお前たちも殺された…」

 

そう言う一夏の瞳には涙が浮かび身体は小さく震えてた。

 

…そっか…ボクはそんな一夏をぎゅっと抱きしめる。

 

「大丈夫だよ…ボクはどこにも行かないから…」

 

「えぐっ…レヴィっ…」

 

「…あ~、盛り上がってる所悪いんだけど…久しぶりね、一夏。」

 

リナリナが申し訳無さそうに声をかけてきた。…そーいや居たんだっけ。

 

「あれ…リナにアメリア?お前たち元の世界に帰ったんじゃあ…?」

 

一夏は2人の顔を見てびっくりしてる。

 

「…ここはあたしらの住むミッドチルダよ。今度はアンタらがこっちに迷い込んだ…って訳。」

 

「そうか…そうだ!王様たちは…?」

 

こんな時でも家族を心配する一夏。

 

「大丈夫だよ一夏!みんな…」

 

ボクがそう言いかけると空から声が。

 

「「「いちかぁ~っ(×3)」」」

 

王様、シュテルん、ユーリが空から舞い降り、駆け寄ってきた。

 

「一夏貴様、我を心配させるとは偉くなったものだな?…だが安心したぞ。」

 

「何事もないようで…まずはほっとしました。」

 

「ぶじでよかったですぅ~っ!(グスッ)」

 

「みんな…心配かけてごめんな?」

 

うんうん、これでみんな揃ったし元の世界に…

 

「それなんだけどさ…?」

 

どーしたのリナリナ、なにかてーあん?

 

「実は今、あたしらの学校学院祭なんだ。…せっかくこっちの世界に来たんだし、学院祭が終わるまでこっちにいたら?」

 

おー、グッドアイデアだよリナリナ!

 

「一夏は良牙やユーノの部屋に泊まればいいし、こないだの再戦もしないとね…どう?」

 

「それは良いアイデアですね。私もこの世界のなのはと一戦交えたいと思ってましたから。」

「…そうだな、少しの間世話になるか?」

 

「あの~っ…?」

 

ん?…あ、この子のことを忘れてた。一夏、この子りひと?って言ってボクたちに一夏の居場所を教えてくれたんだよ?

 

「そうなのか?!…ありがとなリヒト。」

 

「そんなのなんでもないよ!ご主人たまの為だもん。」

 

「ご、ご主人たま?!…それに良く見るとリナにそっくりだなお前…?」

 

まー、その辺りはあとでLさまが教えてくれるって!…それより今日からはがくいんさい、めいいっぱい楽しむぞーっ!

 

NO SIDE

 

こうして異世界であるミッドチルダに再び集結した一夏たち。

 

だがその頃次元の狭間では異形の存在…異端者[イレギュラー]が蠢き始めていた…

 

SIDE:???

 

…ちっ一夏の奴め、あいつだけ次元の狭間に閉じ込めてやろうと思ってたのに…運のいいやつめ。

 

ただ、一夏たちもだがあのリナって奴にもこの間は酷い目に遭わされたからなぁ…

 

だが今の俺はあの頃とは比べ物にならない力を手に入れたんだ!必ずや復讐してやる、このア〇〇がなぁ?!




はい、いよいよ出てきた異端者。ただこいつはコラボ編のみ登場のいわゆるゲストです。

正体は…しばらく内緒ですがわかる人にはわかるかも。

それでは次回はリナVS一夏の2ndバトル?(しかもペアマッチ)

皆様のご感想、ご指摘、評価などお待ちしています!


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コラボ編1 開幕直前!超絶バトル

この話の後半のモトネタわかる方、多分心友になれそうな気がします。(笑)




NO SIDE

 

最後まで行方の解らなかった一夏も遂に見つかりようやく揃った紫天一家。

 

リナの提案により一行は学院祭に参加する事に…

 

SIDE:一夏

 

突如起こった謎の次元震に巻き込まれ全員バラバラに跳ばされてしまった俺たち。

 

ところがまさかその先がついこの前俺たちの世界に迷い込んで一緒に戦った2人の少女・逢魔リナと八神アメリアの住む、別軸のミッドチルダだったとは…意外と狭いもんだな、世界って。それにしても…

 

「…どーしたの、一夏?まだ身体が痛い?」

 

考え事しながら歩いてた俺に話しかけてきたのはレヴィ。

「あ、あぁ悪い。そうじゃないんだ。…おんなじミッドチルダのはずなのに、こんなに違うなんて不思議だな…って思ってな。」

 

「…そうだな。チビひよこ(アリシア)は我らの世界には既に存在しておらぬし、クロハネ(アインス)も消える事なく子鴉の元におる。それに…?」

 

相槌をうった王様が視線を移した先には…

 

「…はい良牙くん♪ア~ン!」

 

「…なぁなのは、どうしてもしなきゃ駄目か?」

 

「ダ~メッ!…昨日デート出来なかったから今日は目一杯楽しむのっ!…ダメ?(上目遣い)」

 

「ぐっ?!…ひ、一口だけだぞっ?!」

 

「うんっ!あ~…」

…なのはさんってあんなだったか?!

 

「…いえ、師匠とは仲は良かったとは思いますがここまでは…」

 

「でもでもっ、とっても楽しそうですぅ~っ!」

 

そうだよな…フェイトさんといる時のなのはさんも幸せそうだけど、それとも違うような…

 

「まぁ…それは良かろう。それよりリナとの待ち合わせは確か…」

 

「こっちよ一夏!」

 

待ち合わせていたグラウンドに着くとそこには仮設の試合場、そしてリナとアメリア、ユーノさん、そして初めてみる男性の姿。

 

「遅かったじゃないの…逃げたかと思ったわよ?」

 

「まぁリナ落ち着いて…織斑一夏くんだね?僕は逢魔・S・ユーノ。リナとは義理の姉弟で恋人同士でもある…って、向こうの世界の僕とは…」

「はい、ユーノ司書長にはお世話になってます!…ところでそちらの方は?」

 

俺の問いかけに男性が応えてくれる。

 

「あぁ、自己紹介がまだだったか。…俺の名前はゼルガディス・グレイワーズ。リナたちとは前世からの付き合いで…その…」

 

挨拶の途中で何故か顔を赤らめ言葉を詰まらせるゼルガディスさん…何で?

 

「…も~っ、ゼルガディスさんったらてれちゃって♪実はゼルガディスさんとわたしは将来を約束した仲なんですっ!」

 

そう言ってアメリアはゼルガディスさんの腕をとり抱きつく。

 

「ば、馬鹿!やめろアメリア、恥ずかしいっ!」

 

「え~っ、いいじゃないですかぁ?」

 

「むぅ…ボクたちもアメりんに負けてられないね一夏…えいっ!」

 

おわっ、レヴィ飛び付くなっ?!まったく、妙なところで張り合うなよ…

 

「ははは…まぁ時間が迫ってるから歩きながら話そうか?」

 

ユーノさんに促されて俺たちは再び歩き始めた。

 

「…ところで我らに手伝ってほしい事があるというのは?」

 

「実は今日ここでインターミドルの大会をやるんですけど、わたしたちエキシビションの模擬戦頼まれたんですよ~。」

 

「それで初めはあたしとユーノ対アメリアとゼルでやるつもりだったんだけど…せっかくだから一夏とレヴィ、こないだの続きやんない?今度は2対2でさ。」

う~ん…確かにこの間は決着つかなかったしな…どうする、レヴィ?

 

「やろうよ一夏!ボクと一夏のペアならリナリナたちにだって負けないって!」

 

「そうだな…わかった、その挑戦、承けるぜ!」

 

「そうこなくっちゃ!でもあたしとユーノのコンビ、嘗めたら痛い目見るわよ?」

 

「一夏くんとレヴィちゃんの事はリナから聞いてるからね…お手柔らかに頼むよ?」

 

リナとユーノさんも気合い十分だな。…でも俺たちの世界のユーノさんってどちらかと言うと後方支援型だからなぁ…リナの呪文詠唱をサポートするのかな?

 

「それで俺とアメリアなんだが…」

ゼルガディスさんが話を続ける。…この人も相当できそうだな、雰囲気が伝わってくる。

 

「王様とユーリだったか?あんたらに相手して貰いたいんだが…駄目か?」

 

ゼルガディスさんの言葉に王様とユーリは顔を見合せ…

 

「…ほう、〈闇統べる王〉と〈紫天の盟主〉に戦いを挑むか…よかろう、アメリアとは一度戦ってみたかったからな。」

 

「わたしもがんばりますよ~っ!」

 

「あの…わたしは…?」

 

シュテルが寂しげに呟く。…紫天の一家であいつが一番の戦闘狂〈バトルマニア〉だからなぁ…

 

「…それじゃシュテルちゃんはわたしとしようか?」

そう言ってきたのは…なのはさん。

 

「…よろしいのですか?せっかくのデートの最中なのに…」

 

「デートはいつでも出来るけどシュテルちゃんがいるのは今だけでしょ?それなら答えは一つだよ…ね、良牙くん?」

 

「あぁ、そうだな。俺はいいから全力全開でいけよ、なのは!」

 

…どうやらシュテルの相手も決まったみたいだな。

 

それにしてもこの前の対戦は痛み分け…と言うかやり過ぎちまったからな…(汗)

 

「その辺は大丈夫よ。今回は普通の学生相手に見せるエキシビションだから集束砲撃とユニゾンは無し。あくまでも魔法を使った戦闘技術、そして…」

「…ペア2人のチームワーク勝負って訳か…上等だぜっ!」

 

「そんじゃあ決まりね!あたしたちは今やってる試合が終わったら乱入する演出になってるから…」

 

それなら順番はどうするんだ?やっぱクジとかで決めんのか?

 

「そうね…なのははデートの途中だから最初にしよっか?それで王様たちがその次。あたしたちと一夏たちは当然メインで…それでいいでしょ?」

 

まぁ順当だな。

 

「…へへっ、今度こそ決着つけてやるぜリナっ!」

 

「じょ~だんっ?!あたしとユーノが組んで負ける訳無いじゃない…ね、ユーノ♪」

 

「…はは…まぁベストを尽くすよ。」

「ぜったいにボクらが勝~つ!ねっ、一夏♪」

レヴィの言葉に頷いた俺はウォーミングアップを始めた。

 

NO SIDE

 

『それまでっ!勝者、…』

 

パチパチパチパチ…

 

 

試合が決まると同時にまばらな拍手がおきる。

 

会場を見渡すと観客席の半分以上は空席だった。

 

Stヒルデは教会系のどちらかといえばお嬢様学校。…が故に、こういった格闘技などは敬遠される傾向にあった。

 

(あ~ぁ、毎年ながらレベル低いよなぁ…)

 

(もう少し有名な選手とか呼べねぇのかよ!)

 

そんな愚痴をこのイベントの主催者であるストライクアーツ同好会の会長ヨーコ・グシケーンは苦い顔をして聞いていた。

(こんな低予算で有名な選手とか呼べる訳ないでしょうが!…それにしてもあのアメリアって子、大丈夫なんでしょうね…)

 

数日前に腕試しに訪れた1年生・八神アメリア…胸は大きいがどちらかといえば小柄なこの少女に部員はなすすべもなく倒された。

 

ヨーコはすぐさま勧誘したものの、断られてしまう。なんでも時空管理局の嘱託魔導師をしてる関係で忙しいらしい。

 

それでも頼み込むヨーコに根負けしたアメリアは学院祭のイベントに助っ人の形で友達と参加する…といってくれたのだ。

 

…しかしメインイベントが終わった今現在、彼女らの姿は無い。

 

(…もしかしてからかわれたっ?!でも彼女のあの瞳…嘘をついてるようには…)

「会長?もうすぐセレモニーが終わります、時間を稼ぐにも限界が…」

 

「…わかってるわよ、くっ?!」

 

ヨーコはマイクを奪い取り終了の挨拶を始めようとする。

 

「……本日はどうもありがとうございました。これにて全ての日程を終り…」

 

『ちょっと待ったぁっ?!』

 

まさにその時天を突き刺すような張りのある少女の声がヨーコの挨拶を止めた。

 

(な、なんなの今の声?…アメリアって子とは違う気がするんだけど。)

 

呆気に取られたヨーコは声のした方…入場ゲートを見つめる。そこから出て来たのは…

 

「…ちょっと待ちなさいよ!そっちが呼んどいて『今日は終わりました』?!…ふざけんじゃないわよ!」

ゲートから出てきた女の子…茶髪のポニーテールに小柄な身体、控えめな胸。…でもこの子、何処かで見たような…

 

(お、おいマジかよ?!あれってもしかして…)

 

(間違いない…あの人、この学校だったのか…」

 

廻りの観衆もざわめく中、彼女の罵声は続く。

 

「つーか、来いっていったのそっちでしょ?…助けてほしいって言ったのあんたらでしょーが?!」

 

彼女は喋り続けながらリングにあがりヨーコからマイクを奪い取る。

 

「…こちとら模擬店で忙しいところどーしてもっていうから来てやったのに終わっただぁ???…んなもん、終わったんだったらもっかい始めたらいいだけじゃない!」

よくみると彼女の後ろから数人の男女…八神アメリアの姿もある。

 

ヨーコはアメリアに近寄り話しかけた。

 

「ち、ちょっとアメリアさん?助っ人に来てくれたのは嬉しいんだけど…あ、あの人はいったい…?」

 

アメリアは苦笑いを見せつつ…

 

「わたしはどこか高いところから名乗りをあげたかったんですけどね。でも盛り上がってるみたいだし、リナに任せましょ?」

 

その名前を聞いた途端にヨーコの顔が青ざめていく。

 

「えっ…それってもしかしなくても、色々な意味で有名な〈あの〉…リナさん?」

 

「はい♪多分あってますよ、そのリナさんで。」

 

(…なんて人連れてきてくれたのよ~っ?!)

 

ヨーコが心底頭を抱えるなかでもリナは止まらない。

 

「ほらほら、もっと声だして盛り上げて!ほら拍手!」

 

廻りの観客を煽って会場のテンションをあげていく。

 

会場の席が1つ、また1つと埋まり始め…気がつけば超満員の立ち見状態に。

 

「なっ…どうして?」

 

「さっき情報をライヴ動画で配信したんですよ。リナだけじゃなくわたしやなのはさん、ユーノさんも出場するから見に来てねっ…てな感じで。」

 

「…それって〈エース・オブ・エース〉に〈無限書庫の司書長〉?…それにあんた八神って考えてみたら…〈夜天の騎士〉なんじゃ…?」

「…ハハハ…世間ではそう言われてるみたいですね。」

 

突如現れた有名人たちにヨーコはじめスタッフは戸惑いを隠せない。

 

「…さぁ、アンコール・バウト第1試合は〈エース・オブ・エース〉高町なのはと、〈星光の殲滅者〉シュテル・ザ・デストラクターの一騎討ちよ!」

 

第1試合から激戦必至、果たして戦いの行方は…

 

「ちょこっと待っててね♪」

 

ズコッ!




はい、バトルまでいきませんでした、僕が悪かったです、ごめんなさい!

次回はメインイベントの前まではいきたいですね。

こっちで書ききれない声優ネタは超番外編で書きたいと思うので…


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コラボ編2 開幕!白き聖星VS紅き明星

今回はなのはVSシュテルです。

どんなバトルになるのか…ではどうぞっ!


NO SIDE

 

リナたちと一夏たちの対抗戦、口火を切るのはなのはとシュテル。2人は気合い十分で試合に臨もうとしていた…。

 

SIDE:なのは

 

わたしは青コーナー側の入場口に待機してる。側にはセコンドの良牙くん。

 

「…大丈夫か、なのは? 」

 

「うん、ありがと良牙くん。シュテルは強いとは思うけどわたしもオリジナルの意地があるからね…負けないよ。」

 

わたしが顔をあげると反対側の赤コーナーにはシュテル。…赤を基調としたわたしのと色違いのバリアジャケットを身に纏い手にはレイジングハートに似た魔法の杖。

 

「…あいつ、本当になのはのコピー…」

 

「良牙くん、それは言っちゃダメだよ!…確かにあの子は向こうの世界のわたしをベースに産まれたのかもしれないけど、あくまであの子はシュテル・スタークスであって高町なのはのコピーなんかじゃない!…良牙くんにはそれをわかってほしいの…。」

 

…この世に自分は1人だけ。コピーやクローンだとしても人格が別ならそれは別人。

 

「…あぁそうだな。じゃなのは、思いっきり戦って勝ってこい!」

 

「うん、全力全壊でね!」

 

良牙くんに励まされ、わたしは椅子から立ち上がった。…さぁ、勝負だよシュテルちゃん!

 

SIDE:シュテル

 

ふふっ…ふふふっ…

「…どうしたシュテル?」

 

「なにか面白かった?」

 

…一夏、レヴィ…すいません。…私としたことがたぎる気持ちを隠せてなかったみたいですね。

 

今、私の反対側のコーナーに陣取る少女、高町なのは…私たち本来の世界の彼女とは似て非なる存在。

 

話によれば彼女のデバイスは古代ベルカの神の力が宿っているとの事…経験では負けない自信はありますが。

 

「…ま、どの世界でもなのはさんは強敵だってことだろ?それなら自分の力を出しきればそれでいいんじゃねーか?」

 

「そーだよっ!シュテルんは強いんだから自信もって…ね?」

 

…そうですね。全力全壊、フルパワーでぶつかるとしましょうか。

わたしは立ち上がると相棒であるデバイス・ルシフェリオンに声をかける。

 

「いきますよ、ルシフェリオン?」

 

『はい、我が主。』

 

さぁ、熱き闘いの始まり…心のたぎりはフルドライブです!

 

 

 

NO SIDE

 

「え~っ、それでは逢魔リナさんプロデュースのアンコールバウト第1戦を…」

 

「あ、ちょっと待って?」

 

ヨーコが仕切ろうとした所をリナが止める。

 

「実はスペシャルMCを呼んでるの。もうすぐ来ると…『おっ待たせ~っ!』…来たみたいね。」

 

元気な声と共に舞い降りてきたのはアリシア・テスタロッサ。何故かバニーガールの格好での登場だ。

「素敵よ~、アリシア~!」

 

「お姉ちゃん、頑張って~っ!」

 

スパパーンッ!

 

「なにしてんのよあんたらは?!」

 

そこにいるはずの無い(というよりいちゃいけない)親バカとシスコンをリナがスリッパで叩く。

 

「何って…娘の応援よ?!」

 

「…同じく姉の応援…なんだけど?」

 

「プレシアさんもフェイトも今日は模擬店の助っ人でしょーがっ?!…今頃はやて、パニくってるわよまったく…。」

 

「それは大丈夫よ、ちゃんと置き手紙してきたし…ねぇフェイト?」

 

「うん、母さん♪」

 

「置き手紙だぁ~っ?!」

 

 

 

その頃、〈喫茶・MIDORI‐YA〉では…

 

 

『…あとよろしくお願いね♪…P&F』

 

 

………

 

………………

 

「何考えとんのやあの親バカと姉フェチはぁ?!…そうでなくても地球から助っ人借りてるのに…」

 

「…まぁまぁはやてちゃん、そんなに怒ってたら背ぇ伸びないよ?」

 

「大きなお世話やすずかちゃん?!わたしかて気にしとるんやからなぁ?!」

 

「いつまで漫才やってんのよ2人とも?!もうすぐケーキが焼き上がるから皿の準備!」

 

騒がしいはやてとすずかを叱ったのは意外にもアリサ。

「なんや?いつになく真剣やなアリサちゃん?!」

 

「当たり前でしょ?!可愛いものはわたしのためにあるんだよ…ねぇレオポン♪」

 

アリサはそういいながらテーブルの上に置いていたレオポンのぬいぐるみに手をかけ…

 

ブチッ!

 

「ひいっ?!」「ア、アリサちゃん?!」

 

なんとアリサはレオポンの腕を引きちぎり、ミトンにしてケーキを取り出した。

 

「にゃんにゃん…今日も可愛くできたよ、ねぇレオポン?」

 

『…いったいアリサちゃんどないしたんや?わたしの目からみてもケーキは完璧やし…。(汗)』

 

『さ、さぁ…?なにか可愛いもの好きのパティシエでもとりついたんじゃ…(滝汗)』…ご機嫌のアリサを余所に、本気で不安な2人だった…。

 

 

SIDE:なのは

 

…なんかはやてちゃんたちが面白い事になってる気がする。

 

まぁそれはさておき、試合開始まであと少し。わたしはシュテルちゃんと握手をかわし健闘を誓いあう。

 

「…負けませんよ、なのは。」

 

「うん、わたしも全力全壊でいくよっ!」

 

わたしたちは互いに距離をとって空に浮遊する。

 

辺りはL様が結界張ってくれてるから、多少だったらびくともしないはず…多分。

 

「…そっれじゃぁアンコールバウト第1戦・高町なのはVSシュテル・ザ・デストラクター…リリカルファイト、レディ…Go!」

アリシアさんの試合開始のコールと共にお互いに誘導弾を展開しつつ高速機動を開始する。

 

「いくよ、アクセルシューター!」

 

「…受けてたちます!パイロシューター!」

 

わたしとシュテルちゃんの放った誘導弾が見事に全弾衝突、辺りは桜色と緋色の花火が咲き乱れる。

 

「…さすがですね、なのは。わたしたちの世界の彼女にも負けてませんよ?」

 

「…シュテルちゃんも凄いよ、わたしのアクセルを全部撃ち落とすなんて…」

 

わたしは距離を維持しつつショートバスターを連発する。でも…

 

「無駄です…ディザスターヒートっ!」

 

シュテルちゃんの放った速射砲に撃ち落とされる。…物凄く正確な射撃だよ。

 

「…誘導、速射ときたら次は…全力で撃ち合ってみる、シュテルちゃん?」

 

「…それも一興ですね。それにしてもその呼び方は…わたしの世界のなのはにはシュテルと呼ばれているもので。」

 

あ、そうなんだ。わたしもそう呼ぼうか?

 

「…いえ、今の呼び名も新鮮でいいと思います。それではいきましょうか、なのは?…ルシフェリオン、ブラストヘッド!」

 

シュテルちゃんの呼びかけに答えて彼女のデバイスが砲撃モードに。わたしのより細身な感じがする。

 

「うんシュテルちゃん!…レイジングハート、バスターカノンモード!」

 

『はい、なのは!』

 

わたしも砲撃モードに切り替えて魔力の充填を開始する。お互いの杖先に魔力がチャージされ…いくよ!

 

「ディバイーン…バスターッ!!」

 

「ブラストッ…ファイアーッ!!」

 

桜色と緋色の砲撃が上空で激突、大爆発をおこす。ここまではほぼ互角だね、シュテルちゃん?

 

「…そのようですね、なのは。貴女は収束に、わたしは集束に長けてるという違いはありますが。…仕方ありません、先に切り札を切るとしましょう。」

 

シュテルちゃんはそういうと、ルシフェリオンを消した。…何をする気なのかな?

 

「…ルシフェリオン、クローモード!」

シュテルちゃんの声と共にその拳に魔力の爪が。…これは近接戦闘特化モード?!

 

「貴女は砲撃と比べれば近接戦闘は不得手でしたからね。…いきますよ!」

 

シュテルちゃんは瞬時加速で距離を詰めてくる。…しまった、反応が…間に合わない?!

 

「…唸れ焔拳!ヴォルカニック…ブロゥ!!」

 

シュテルちゃんの炎熱の魔力が付与された拳は、わたしが咄嗟に張ったプロテクションを簡単に突き破りボディーを直撃!わたしは地上に叩きつけられる。

 

「がはっ?!」

 

『なのは?!』

 

…一瞬意識が飛んだその直後に見えたのは上空で魔力弾をチャージするシュテルちゃん。

「止めです…〈奥義・星光裂蹴拳/せいこうれっしゅうけん〉!」

 

シュテルちゃんはチャージした魔力弾を足で更に焔を纏わせ蹴り込んできた。

 

『なのは、あれは…喰らうと不味いのでは…?!』

 

「…仕方ないね。わたしも切り札を使うよ、レイジングハートっ!モードチェンジ…!」

 

その瞬間にシュテルちゃんの魔力弾が…

 

SIDE:シュテル

 

ドッカーン!

 

わたしの放った魔力弾はなのはに直撃、爆煙をあげ視界を遮った。

 

(…手応えはありました。KOできてなくてもかなりのダメージは与えられてるはず…)

 

わたしは思いに耽りながら爆煙の向こうを見つめる。ですが…

 

「…いててっ…まさか近接戦闘を仕掛けてくるとはね…ちょっと油断しちゃったかな?」

 

…煙が晴れたその先にはなのはが立っていた。しかも…

 

「…なのは、その姿はいったい…?初めて見る姿です。」

 

そう、なのはの外見が大きく変わっていました。…バリアジャケットはいつものフレアスカートではなく、強いていうなら 拳法着というのが一番近いですね。カラーリングこそ白と青を基調としていますが。

 

さらに髪型もいつものツインテールではなく、ちょうどあの鉄槌の騎士のような三つ編みに。

 

そして相棒であるレイジングハートは…なるほど、左腕の手甲。…ということはこれは…まさか?

 

「…まさかシュテルちゃんも同じ事を考えてるとは思わなかったよ。そう、これはわたしが良牙くんと協力して編み出した近接戦闘フォーム…〈早乙女〉だよ!」

 

わたしは驚きを隠せません。…元の世界のなのはは『弱点を鍛えるより長所を伸ばす』タイプでしたが、この世界の彼女は『弱点も長所もどちらも鍛える』主義だったみたいです。

 

「それじゃこっちの番だね…いくよ?!」

 

なのはがそう宣言した途端に地上にいたはずの彼女がわたしの目前に?!

 

「なっ…速いっ?!」

 

「くらえ、ファイア・マロン・ラッシュ!」

 

なのはは超高速のジャブで攻撃、わたしはガードを試みるも数発くらってしまいました。

 

「よし、いいぞなのは!その調子だ!」

 

セコンドについていたなのはの思い人…良牙とか言いましたか。

 

どうやら彼が指導したみたいですね。

 

「まだまだいくよ!それっ!」

 

勢いに乗って攻めかけてくるなのは、でも隙だらけですよ?

 

わたしはカウンターを狙って拳を撃ち込む…こ、これはバインド?!

 

「…引っ掛かったねシュテルちゃん。これで決めるよ…〈ライジング・ドラゴン・ウェーブ〉!」

なのはの放った竜巻を避けきれず、わたしは地面に叩きつけられる。すかさず起きようとしたのですが…

 

「これで勝負あり…だね?」

 

その前になのはの拳がわたしの顔面で寸止めされる。

 

「…参りました。今回はわたしの負けみたいですね。」

 

『そこまで!アンコールバウト第1戦、勝者・高町なのはっ!』

 

レフェリーのコールと共になのはの手があげられた。

 

ふう、完敗です。…ですが久々に魂がたぎる闘いでした。

 

「シュテルちゃん!」

 

なのははわたしに近寄ると左手を差し出してきました。わたしもそれに応えて握手。

 

「よき闘いでした。できればまた。」

 

「うん!またやろうね!」

 

NO SIDE

 

こうして第1戦はなのはの勝利に終わった。

 

これを見ていたアメリアとゼルガディスたちは自分たちも続くと意気高揚し…

 

ディアーチェとユーリもまた、シュテルの借りを返すべく闘志を燃やすのであった…

 

つづく

 




どうでしたでしょうか?
次回は第2戦、紫天の王&盟主VS夜天の巫女とその守護者です。

間違いなく大激戦です。(笑)

ご感想、ご指摘、評価などいただけたら幸いです。



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コラボ編3 夜天VS紫天!

原作スレイヤーズの新作がドラマガ掲載決定!でヤッホイの作者です。

それでは本編どうぞ!



NO SIDE

 

対抗戦の緒戦、なのはVSシュテルはあらたなフォーム〈早乙女〉により近接戦で圧倒したなのはに凱歌があがった。

 

SIDE:一夏

 

『勝者、高町なのは!』

 

観客席で試合を観戦していた俺たちは呆気にとられていた。

 

「え~っ、シュテルんがあんなに簡単にぃ?」

 

「…マジかよ…」

 

なのはさんが強いのは俺たちの世界でもそうだけど、シュテル相手に近接戦でも圧倒するなんて…

 

「…我が思うに、シュテルの奴は〈理〉に走りすぎたかもしれんな。」

 

ん?どういうことだ王様?

 

「…シュテルはこちらの世界のなのはも近接戦を苦手と考えたからあの戦術を選んだ。しかし実際にはあやつは対策を立ててきた…我らの知るなのはとは違う形でな。」

 

ディアーチェはそう言いながら立ち上がりバリアジャケットを着装する。

 

「さぁ次は我とユーリの出番だ。シュテルの仇をとるとするかのぅ…なぁユーリ?」

 

「わたしも頑張りますぅ!…それじゃあ、行ってきます!」

 

ディアーチェとユーリは入場ゲートへと向かっていく。代わりに帰ってきたのはシュテル。…意外に大丈夫そうだな、シュテル?

 

「一夏、レヴィ…すいません、負けてしまいました。」

 

「謝ることないよシュテルん!…そうだよね一夏?」

 

「あぁそうだな。ってかなのはさん強すぎだよ…なんなんだ、あの〈早乙女〉ってフォーム?」

 

見たとこ近接特化の形態みたいだけど…

 

「はい、確かにその通りなんですが…あの時のなのはからは魔力を感じられませんでした。」

 

えっ?!魔力なしでどうやって?

 

「…推測でしかないのですがあれは…」

 

SIDE:リナ

 

「…咸卦法特化モード?!」

 

アメリアとゼルが試合のスタンバイに向かった後、帰ってきたなのはと良牙から聞いたのは新フォーム〈早乙女〉の真の姿。

 

「うん。ほら、わたし良牙くんに咸卦法教えてたでしょ?」

 

…そーいやそうだったわね。

 

高い魔力持ってながらリンカーコアの不全のせいで魔法が使えない良牙。

 

それをカバーするために魔力と闘気を融合して爆発的な力を得る咸卦法をマスターしているなのはが教えてたはずなんだけど…?

 

「そしたらレイジングハートが『近接戦に使えるように』って構成してくれて…それから良牙くんと2人で秘密の特訓を…♪」

 

こらそこイチャイチャするなぁ~っ?!まったく暑苦しい…

 

「でもなんなのよその早乙女って名前は?」

 

あたしの問いに答えたのは良牙。

「あぁ、それは俺のライバルだった奴の名字だ。バリアジャケットもそいつの服装をイメージしてる。」

 

ふ~ん…でも咸卦法特化モードって事はその間魔法は…

 

「うん、簡単な魔法ならともかく砲撃やブレイカーは無理だよ?でもこれから先、魔法が使えない状況で戦うこともあるかもしれないし…ね。」

 

…そういえばあたしも前世でマゼンダに封印されて苦労したっけ。咸卦法はあたしも使えるし考えてみるのもいーかも。

 

『まもなくアンコールバウト第2試合が…』

 

アナウンスが試合の始まりを告げる。…負けるんじゃないわよアメリア、ゼル!

 

SIDE:アメリア

『それではアンコールバウト第2試合、ゼルガディス・グレイワーズ&八神アメリアVSロード・ディアーチェ&ユーリ・エーベルヴァインの試合を始めるよ~!お互い、握手よろしくっ!』

 

アリシアさんの指示でわたしと王様、ゼルガディスさんとユーリが握手をかわす。

 

「我を楽しませてくれよやんちゃ姫?」

 

「そっちこそ期待してますよ王様っ!」

 

「よろしくお願いしますっ…え~と…ゼガルディスさん!」

 

「それを言うならゼルディガスだろうがユーリ?」

 

「…すまない、ゼルガディスだ。」

 

「「「「………………」」」」

一瞬にして辺りの空気が凍りついた気がする。

「す、すいません!わざとまちがえたんじゃ…」

 

「分かっている。…昔からしょっちゅうだ。」

 

憮然とした顔のゼルガディスさん。

 

「まぁまぁそう怒らずに…それじゃ2ndバウト・リリカルファイト、レディ…ゴーッ!」

 

アリシアさんの開始の合図と同時にわたしは王様を、ゼルガディスさんはユーリと対峙する。

 

「ふん、我の相手はアメリアか。夜天の拳の力、見せてもらうぞ!」

 

ディアーチェはそう言いながら誘導弾を展開…って何あの凄まじい誘導弾の数っ?!

 

「貴様らを嘗めてるとシュテルの二の舞になりかねんのでな、最初からとばしていくっ…唸れ!エルシニアダガー、ドゥームブリンガー!」

ディアーチェの放った誘導弾と魔力刃がわたしに襲いかかってくる。

 

「うわっ、たっ…いきなりこれですか王様っ?!」

 

わたしはなんとか避けようとしたけど避け損ねた魔力刃が襲ってくる…えぇい、それならっ!

 

「…霊王結魔弾[ヴィスファランク]!…どりゃあ~っ!」

 

チュドーン!

 

わたしは魔力を拳に籠めると王様の魔力刃をぶん殴り粉砕した。

 

「…?! 相も変わらず常識はずれな…だがまだ序の口だ、覚悟するのだな?」

 

「それはこっちの台詞です。正義は必ず勝つんです!」

 

「…ちょっと待て、我は悪ではないぞ?」

(…見た目はまんまラスボスですけどね。)

 

言葉をのみこんでわたしはゼルガディスさんとユーリの方を見たらとんでもないことになってたぁ~っ!

 

ユーリは早々に本気の覚醒モードしかも呪文の雨あられでゼルガディスさんが近づけない。

 

「早く助けに行かなきゃ…(ポコン)あでっ?!な、何よ今のは…げっ。」

 

後頭部に魔力弾をあてられ振り向くとそこには腕を組んでお怒り顔の王様。

 

「…対戦途中の相手をほったらかしにして他者の助太刀…我も嘗められたものよのぅ…?」

 

…ヤバい、こめかみに怒筋が…(滝汗)

 

「…我を見くびった罪、思いしれ!アロンダイトっ!」

ディアーチェの放った砲撃は一直線にわたしの元へ。

 

「くっ…防壁[プロテクション]!」

 

わたしは咄嗟にシールドを張って砲撃を防ぐ。でも…

 

ゴワンッ!

 

「うわっ?!」

 

砲撃を防御したと同時に発生した衝撃波でわたしは地面に叩きつけられた。

 

「痛たっ…何よ今のは?」

 

「とどめだ、ダインスレイヴ!」

 

…あれってなのはさんのA.C.S?あんなのくらったら…でも激突のダメージで身体が痺れて…もうダメッ?!

 

「諦めるなアメリアっ!」

 

えっ?!わたしが思わず閉じた目を開くとそこにはゼルガディスさんがシールドを展開してディアーチェの突進を防いでいた。

「なにっ?!ぬぅっ、小癪なっ!」

 

「ゼルガディスさんっ!」

 

わたしはなんとか立ち上がるとゼルガディスさんの隣へ。

 

「アメリア、ラ・ティルト、いけるか?」

 

「はいっ!」

 

わたしたちは呪文の詠唱を始める。ディアーチェは攻撃の反動なのか動こうとしない。…今がチャンス!

 

やがて呪文が完成し…いっけーっ!

 

『『崩霊裂・重[ラ・ティルト・スクエア]!!』』

 

完成した呪文は蒼い焔の柱となってディアーチェに襲いかかる。…よし、これなら!

 

「…と思うたか、甘いわっ!」

 

ディアーチェはそういうと手に持った〈紫天の書〉を前に翳す。いったい何を…

「見るがいい、〈王の威光〉!」

 

紫天の書が光を放ったかと思うと、蒼い焔の柱が吸い込まれて消えた。

 

「えっ…え~っ?!嘘でしょ?!」

 

「そんな…信じられん?!」

 

さらにディアーチェが違うページを開くとそこから巨大な魔力の輪が飛び出しわたしたちを拘束する。…これってバインド?!

 

バインドは強固で振りほどけそうにない。でもディアーチェも地面に膝をついて苦しそう。なんとか脱け出せれば…。

 

「…確かに我もさっきの呪文は効いた。それは誉めてやるぞ2人とも。だが…忘れておらぬか?この試合は2対2だということを。」

 

それとどうじに上空が明るくなる。空を見上げたわたしが見たもの、それは…

 

「…ディアーチェをいじめちゃ、め!ですよ♪」

 

…絶望の光を放つユーリの姿だった。(涙)

 

「いっきますよ~!…エターナル・セイバーっ!」

 

わたしの意識はあっという間に無くなった…

 

NO SIDE

 

『勝負あり!勝者…ディアーチェ&ユーリ組!』

 

ユーリの大技が炸裂し、彼女らの勝敗が決まった時…

 

「あ~あ、アメりんたち負けちゃった…やっぱユーリは強いよね。」

 

「まぁぶっちゃけ俺たちの中で1番強いからなユーリは。…それより次は俺たちの番だぜレヴィ?」

 

「うん!リナリナとししょちょーは強いと思うけど、ボクたちが勝~つ!」

 

一方のリナたちは…

 

「…強すぎだよあの2人…」

 

「…まぁユーリは能力だけならアインスと五分かそれ以上だから…正直ヤバいかなぁとは思ってたんだけどね。」

 

「ははは…それ、先にアメリアたちにいってあげれば…」

 

「言ったって聞く子じゃないし。それよりあたしたちよ…一夏とレヴィは強敵よ。ユーノ、あんたの剣技にかかってるんだからね?」

 

「大丈夫だよリナ、君は僕が必ず護って…ってどうしたの、顔が赤いよ?」

 

「…やかましい、この天然クラゲ!」

 

…頂上決戦まであと少し…




次回はいよいよリナ&ユーノVS一夏&レヴィの最強対決!

果たして会場は無事ですむのか?(何を今さら)

ご感想、ご指摘、評価などいただけたら励みになります!

(新規の方もお待ちしてます!)


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コラボ編4 大激闘!スマッシュすれいや~ず!(前編)

いよいよリナと一夏が激突します(レヴィとユーノもですが)。

それでは本編どうぞ!


NO SIDE

 

リナたちと一夏たちのバトルも1勝1敗の五分となり、最終戦であるリナ&ユーノVS一夏&レヴィの一戦を残すのみとなった。

 

(…凄かったよな最後の攻撃!)

 

(1試合目の高町さんも…あんな技見たことないぜ?!)

 

(ユーリちゃんハァハァ…げふっ?!)

 

「ええぃ、ユーリをそんな目でみるなこの塵芥がっ!」

 

「にゃはは…ディアーチェちゃんはユーリの事が大好きなんだね♪」

 

「ぐっ…ま、まぁ否定はせんが…」

 

「…それよりもうすぐ最後の試合が始まりますよ。」

 

「おぉそうであった。志し半ばで散ったアメリアたちの分まで…」

「「散ってない!」です!」

 

SIDE:リナ

 

…何やってんだかあいつらは…ま、おかげでリラックスはできたけどさ。

 

「さぁ皆さまお待たせしました、本日最後の大トリ・メインイベントっ!時空管理局のリーサルウェポン、逢魔リナと無限書庫の最強司書長・逢魔ユーノのラブラブカップルに挑むのは…」

 

あ、こらアリシア?!どさくさ紛れになに言ってんのよっ!…あながち間違ってないのが悔しい。

 

「…時空を越えてあらわれた最強チャレンジャー、織斑一夏&レヴィ・ザ・スラッシャー、こちらもラブラブカップルだぁ !…ちなみにレヴィはあたしの親戚だよ♪」

 

「…なるほど、あれがレヴィさんの彼氏ですか…確かに底知れぬ物を感じますね。」

 

そうでしょ?見かけは優しげだけど結構……ってのわっ、ゼロス?!あんたいつの間に?

 

「それはひ・み・つ、です…一夏さんの力を見させていただこうと思いましてね…セコンドにつかせて貰いますけど構いませんよね?」

 

…どーせ「嫌だ」って言ってもつくんでしょーが…でもお店の方はいいの?

 

「…おやご存知ないんですか?リナさんたちのお店のお菓子が爆発的に売れてる影響でほとんどの模擬店が開店休業ですよ?」

 

…はい?確か今日はアリサが「任せて♪」っていうからお願いしてきたんだけど…何があったのかしら?ま、繁盛してるなら無問題だけどね!

 

「…以上2組の最強カップルが織り成すバトルは興奮必至!試合開始の前にリナ、一夏、セットアップ頼むよっ!」

 

 

ハイハイ…それじゃいこっかユーノ?

 

「そうだね。多分激戦にはなると思うけど…勝ちにいくよ!」

 

…おっ?珍しくやる気満々ねユーノ。

 

「感じるんだよ、一夏くんから〈強者〉のオーラがね…正直、同世代だったら近接戦なら互角なのはフェイトぐらいだから…。」

 

な~る、納得。

 

「…ということらしいけど?」

 

あたしがそう言って振り向いた先には対戦相手である一夏とレヴィ。

 

「ユーノ司書長にそう言ってもらえるなんて光栄っす!…もちろん全力で相手させてもらいます!」

「リナリナもししょちょーもつよそーだけど、ボクと一夏のコンビが最強!だから負けないよ!」

 

どーやら2人ともやる気は十分みたいね。…それじゃ声を揃えていくわよ!

 

『ナイトメアハート・ルシフェリア…』

 

『ゴルンノヴァ・ガーディアン…』

 

『いくぜっ!セイバーハート…』

 

『バルニフィカス…』

 

『セ~ット・ア~ップ!(×4)』

 

それぞれの魔力光に包まれ、バリアジャケットを装着した4人。いよいよ戦いの幕があがる…

 

SIDE:一夏

 

セットアップを終えた俺とレヴィは会場上空でリナたちと向かい合う。

 

リナのバリアジャケットは前に何度かみてるけど、ユーノさん(司書長は長すぎ!)のバリアジャケットは…

 

「お~、カッコいいぞししょちょー!サムライみたい!」

 

レヴィの言う通り、ユーノさんのバリアジャケットは俺たちの知ってるそれは別物。

 

戦国武将が着るような陣羽織のような白の上着に 同じ白のハーフパンツ。

 

金色の長い髪は後ろで束ね、いつもかけてる眼鏡はかけていない。

 

そしてその右手にはシグナム師匠のレヴァンティンを細身にした感じの長剣…柄には蒼い宝玉がついてる。

 

「あれっ?ユーノさん眼鏡はかけなくて大丈夫なんですか?」

俺の質問にユーノさんは頷く。

 

「うん、実戦中に眼鏡は危ないからね。デバイスの方で調整してるんだ。」

 

なるほど、言われてみれば当然か。

 

「一夏…今日こそは決着つけるわよっ!」

 

「あぁ…いい試合にしようぜ!」

 

右手を差し出してきたリナと握手をかわし、お互い距離をとる。

 

『準備はOK?それじゃいっくよ~!リリカルファイト・レディ…GO!』

 

よーし、いくぜっ…て、え?

 

「ユーノさんがいないっ…!」

 

「…ここだよ。」

 

えっ…俺たちが気づいた時にはユーノさんが俺の目前に?!ヤバいっ!「一夏はボクが護る!どりゃあ~っ!」

 

間にレヴィが割り込んでバルニフィカスで受け止める。

 

「サンキュ、レヴィ!…それにしても…?」

 

なんなんだいまのスピードは?!下手すりゃISの瞬時加速を越えてるぞ?

 

「…逢魔抜剣術縮地法〈神脚/しんきゃく〉。初見で見えたのか、凄いね?」

 

「ううん、全然っ?…だけど一夏が狙われそうな気がしたから!」

 

本能的行動か…まぁレヴィのおかげであっちの初手は…

 

「おあいにくさま、次はあたしの番よ!」

 

しまった?!ユーノさんの先制攻撃はリナの為の時間稼ぎかっ?

瞬く間にリナの周囲を大量の魔力弾が展開していく。

「いくわよ…獣王牙操弾[ゼラス・ブリッド]スプレッドシフト!]

 

リナが放った誘導弾…でもなのはさんのアクセルと比べたら弾数も少ないし誘導性も低そうだな。

 

俺は魔力消費を避けるために回避しようとした…その時!

 

「油断大敵よ一夏…ブレイク!」

 

誘導弾が目の前で散弾、まさしく魔力弾の雨になって降り注いできた!

 

「なっ…プロテクション?!」

 

俺は咄嗟にシールドを張って防御する。くっ!魔力がジリジリ削られて…

 

「今よユーノ!」

 

「あぁ!天剣一刀…雲切!」

体勢を立て直す間もなくユーノさんの居合いが直撃、シールドを切り裂いて…ズガァァァン!!

 

「一夏ぁっ?!」

 

レヴィの声も虚しく俺は地面に叩きつけられる。

 

「…?! い、いってぇ~っ!」

 

咄嗟にヴィヴィオのセイクリッドで防いでダメージは軽減したけどな。

 

「…もう怒ったぞ~くらえ、光翼連ざ~んっ!」

 

すかさずレヴィが魔力刃を飛ばして牽制してくれた。…今度はこっちの番だ、いくぞレヴィ!

 

「うん!バルニフィカス、スプライトフォーム!」

 

レヴィは高速戦闘用のバリアジャケット・スプライトフォームに変身する。これならさっきのスピードにも対応できるぜ!

 

「さぁ、ここからは俺たちのターンだ…受けてみろ、クラウソラス!」

 

「電刃衝乱れうち…よけれるもんならよけてみろ~っ!」

 

俺とレヴィは速射性の高い攻撃でリナたちの動きを封じる。

 

「くっ…なかなかやるね一夏くんたちも。」

 

「それにしても器用ね、一夏…はやての呪文でしょ、今の?」

 

あぁ、俺の持ってる〈白夜の書〉は〈夜天の書〉の写本みたいなもんだからな…ここだけの話、なのはさんのスターライトブレイカーだってつかえるんだぜ?

 

「マジ?!なんちゅ~チートなのよそれっ?」

 

「…L様使ってるお前に言われたくねーよリナ。」

 

L様ってリナがもといた世界の創造主だったんだろ?この間もうちの世界でやりたい放題だったし…。

『でもあれでも稼働率50%だよ、一夏?あたしがフルパワーで暴走したら世界が破滅するからね。』

 

…やっぱりこいつら魔王だ。(汗)

 

「大丈夫だよ一夏心配無いって!どーせボクたちが勝つんだからさ!」

 

レヴィ…そうだな、そのつもりでやらなきゃな!

 

「続けていっくぞーっ! …バルニフィカス、モード・ブレイバーっ!」

 

レヴィはバルニフィカスを大剣に変型させると動きを止めたユーノさんに突っ込む。

 

「いっけ~!雷光輪!…」

 

「くっ?これは…ライトニングバインド?!」

 

捕縛を確認したレヴィはブレイバーを大きく振りかぶる。

「…からの…追の太刀・きょっこーっ!!」

 

レヴィが放った十文字の斬撃はユーノさんに直撃!…今度は俺の番だ、いくぜリナっ!

 

「…エクセリオンバスター・フォースバーストっ!」

 

「…なんの!魔竜烈火咆[ガーヴ・フレア]!」

 

俺とリナ、2人の放った砲撃魔法は空中で激突し大爆発!辺りが激しく揺れる…

 

「あちゃ、やり過ぎたか…」

 

「心配はいらないわよ、アンコールバウトの3試合はL様に結界張ってもらってるから。」

 

爆煙の晴れたその先にはリナが仁王立ち。やっぱりあれでも押しきれないか…でもユーノさんは…?

 

「一夏、あんたね…ユーノの事舐めてない?あれくらいの攻撃で…」

 

ドガッ!

 

「ふぎゃぁ~っ?!」

 

「レヴィ?!」

 

見るとユーノさんの蹴りでレヴィが吹き飛ばされていた。そんな…どうやってバインドを抜けたんだ?

 

「…狙いはよかったんだけどね…なのはやアインスのバインドと比べたら弱かったから咸卦法で拡散させたんだ。」

 

そんな方法が…って咸卦法って何?

 

「咸卦法っていうのは逢魔流に伝わる身体強化法でね…簡単に言うと魔力と気力を融合させるんだ。今回はその時にバインドの魔力を使ったと言うわけ。」

 

「簡単にいうけどユーノ、それあんたにしかできないオリジナルでしょ?あたしやなのはだって無理なんだから…。」

 

…本当にこの人ユーノさんか?実は双子の兄弟とかなんじゃ?

 

「いちちちっ…あ~、びっくりしたぁ?!でも効いてないし、まだまだいっくよ~!」

 

レヴィは大丈夫みたいだな。…よし勝負はこれからだ、絶対に勝ってやる!

 




この作品での咸卦法はネギま!の物とは似て非なるものです。どうかご了承ください。

次回は決着、そして物語が動く?


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コラボ編5 大激闘!スマッシュすれいや~ず!(後編)

やっと大会編決着です!それでは本編、どうぞ!

番外編…その頃の客席

「…うちのユーリに欲情するとは…ある意味見る目があるとも言えるが…女子であるお前が何でだ、北〇和う〇らっ!」

「だ、だってそのつ〇ペタな胸にズッキューンでしたもので…」

「…まぁ我らの作者様の恩情で抱き石で正座5時間&我の説教で勘弁してやる…感謝するのだな。」

「びぇ~~~んっ?!」

(BY ディアーチェ&〇浦〇〇ず〇)


NO SIDE

 

とうとう始まったリナ・ユーノ組VS一夏・レヴィ組の最終決戦。

 

一夏たちは変則的な剣術を使うユーノとリナの効果的なサポートに戸惑うも序盤を五分で乗りきり戦いは後半戦へと…

 

SIDE:レヴィ

 

あ~びっくりしたぁ…ししょちょーが『ふんっ!』ってやったらバインドがきえちゃうんだもん…

 

「ねぇ一夏、あんなのありなの?」

 

「…別にルール違反してる訳じゃないしな。考えてみればアインハルトのバインドブレイクと同じようなもんだろ?」

 

…うん、納得した。でもどーやって攻めようか?

 

「…待てよ?ユーノさんが予想外にチートだから戸惑ったけど、高速の近接エキスパートと移動砲台の組み合わせって事だろ?それなら…」

…あ、なにょはとへいと!ということは…

 

「あぁ、俺はリナ、レヴィはユーノさんをマッチアップしつつ互いを援護する…出来るな?」

 

「うん、わかった!」

 

ししょちょーは強いけど一夏といっしょだったら怖くないっ!

 

「油断はするなよ?リナはもちろん、ユーノさんもどんなかくし球があるか判んないからな。」

 

「らじゃー!」

 

さぁ、第2ラウンド開始だよ!

 

SIDE:リナ

 

ふう…予想以上にしっかり連携してるわねあの子たち…もっと個人プレーに走るかと思ってたけど。

 

「うん、いいコンビだと思うよ…僕たちには負けるけどね。」

とーぜんでしょ!あたしたちに勝てると思っているんだったら大きな間違いよっ!

 

「でもどっちもカードは切ったからね…あとは総力戦だよ。」

 

「わかってるわよ…」

 

…多分一夏たちはあたしらを分断、1対1の形に持ち込もうとするはず。

 

ならばこっちはそれを逆手に…ユーノ!

 

「あぁ、わかった!」

 

あたしに一夏、ユーノにレヴィがあたるみたいだけど…思い通りにはさせない!

 

「それじゃかかってらっしゃい!…獣王牙操弾[ゼラス・ブリッド]!」

 

あたしは誘導弾を展開し2人を分散させる。

 

「…よし、予定通りいくぞレヴィ!」

「うん一夏っ!かくごだししょちょーっ!」

 

「…悪いけどぼくの相手は…君だよ一夏くんっ!」

 

そういってユーノは剣を持ってない左手を一夏の方にかざす。

 

「…錬鉄召喚、アルケミックチェーン!」

 

呪文と共に現れた強固な鎖がユーノと一夏の左手首を繋ぐ。

 

「な…なんでユーノさんがこの技を?…ってかこの形はまさか…?」

 

「そう、いわゆるチェーンデスマッチだね。ここからは1対1だ…君と僕のね。」

 

「いちかっ?!今助けに…?!」

 

そうはさせないわよ!

 

「風魔咆裂弾[ボム・ディ・ウイン]!」

「ひえっ…きゃあぁぁ~っ?!」

 

突如起こった暴風にレヴィは身体を取られ吹き飛ぶ。あの娘は確かにスピードでは誰にも負けないけど、弱点もある。軽すぎるのだ。

 

怪力なのと、機動の安定性は繋がらない。あたしは向こうの世界でそのことに気づいた。

 

さらに言うならレヴィは通常、戦闘時にISを纏っているからない時の安定感に欠ける。

 

修行が足りないとまでは言わないけど、IS使えない状況も想定してないと…ね。

 

「…く~、言い返せないぞ~なんかくやし~!…でもまだ負けたわけじゃないっ!リナリナ倒して一夏を助けにいくぞ~っ!」

 

さすがにすぐさま戻ってきたわね…ま、予想通りではあるんだけどね。

でもアンタ…あたしが近接戦闘苦手だと思っているんだったら見当違いよ?!…そりゃユーノやアインスみたいな人間辞めてる奴には叶わないけどさ…」

 

『人間辞めてるは酷いよ?!』

 

…あちゃ、聞こえてたか。ま、そういうわけで…いくよL様っ!

 

『…悪夢の王の一片よ 世界(そら)の戒め解き放たれし 凍れる黒き虚無の刃よ 我が力 我が身となりて 共に滅びの道を歩まん 神々の魂すらも打ち砕き…神滅斬[ラグナ・ブレード]!』

 

あたしは両の手に小太刀程度の長さの虚無の刃を発動させる。

 

「げ…そんなの反則じゃあ…」

 

おあいにくさま、禁止したのはブレイカーとユニゾンだけ、あんただってザンバー使ってるでしょ?!

「あ…そーいえば…」

 

それにこれは非殺傷設定だから、死ぬほど痛いかもしれないけど死ぬ事はないと思う…んだけどなぁ?

 

「さらっとぶっそーな事言うな~っ?!…でも当たらなきゃどうってこと無いよね!」

 

さ、それはどうかしら?とにかく勝負よレヴィ!

 

NO SIDE

 

こうしてリナvsレヴィ、ユーノvs一夏の2つの図式が出来上がり再び激戦が始まる。

 

ブレイバーを軽々振り回し襲いかかってくるレヴィに対し二刀流の神滅斬で牽制するリナ。

 

一方ユーノと一夏の方は…

 

SIDE:一夏

 

ちくしょう、またしてもリナたちにしてやられたぜ。…まさか組み合わせをスイッチするなんてな。

それにしても、なんでユーノさんがキャロちゃんの錬鉄召喚使えるんだ?

 

「アルザスのとある地方民族を調べてるとき面白そうだから覚えてみたんだけど…一夏も知ってるの?」

 

「知ってるもなにも…あ?!」

 

言いかけて俺はヤバいことに気づく。…もしこの世界にキャロちゃんがいるのならまだ5~6歳くらい、まだフェイトさんと出会ってない可能性も…迂闊には話せないな。

 

「…いえ、なんでも…」

 

「…なるほど解った。あまり深くは聞かないでおくよ。」

 

察してくれたのか…本当凄いなこっちのユーノさん?!

 

「それじゃこっちからいくぜ?セイバーハート、ブレイドモード!」

俺の声に答えるように得物が長刀へと姿を変える。

 

「なるほど、それが君の得手かい?」

 

「…鎌でも戦いますけど、ユーノさんの長剣とは相性が悪いですからね…。」

 

鎖で左手を封じられた今、両手持ちのサイズモードは使えない。けど、ユーノさんもチェーンの影響で得意の居合いが使えないはず。

 

「先手必勝!迅竜…一閃っ!」

 

俺が放ったのはシグナム師匠から教わった神速の打突攻撃。刃先から産み出された衝撃波がユーノさんに襲いかかる。

 

でもユーノさんは剣の峯で軽々と受け止めると…

 

「次はこちらの番だね…神鳴流奥義…斬岩剣!」

ユーノさんは剣に魔力を充填し振りかぶると飛び込んでくる。でもこれならカウンターで…

 

「いいのかい、そんなゆっくりしてて…ほらっ!」

 

…おわっ?!鎖が引っ張られて俺は体勢が崩れて…しまった?!

 

ユーノさんの剣戟はなんとか受け止められたけどさらに…

 

「続けていくよ…九頭竜閃!」

 

目にも止まらない連続の突きが襲いかかってくる。でも…さっきのといい、この技といい…

 

「これって漫画の技じゃないんですかユーノさんっ?!」

 

ネ〇まとか、る〇剣とか…知ってる俺も俺だけど。

 

「あぁ、そうだよ。オリジナルの技を習得していかないと義父さんに勝てないからね…。」

 

ユーノさんはそういって一旦距離をとり構える。

 

ユーノさんのお義父さん…って確かリナのお父さんで、凄腕の剣士なんだっけ。

 

「…とにかくチートな人でね。魔法なしだったらヴォルケン全員でもなぎ倒すし、アインスと生身で戦っちゃうし…」

 

「なんなんですかその怪獣は?!」

 

やだ怖いその人。

 

「でも僕は義父さんに勝たないとリナをお嫁さんに貰えないからね。頑張らないと。」

 

?!…さらっと発言してるけどそれって…

 

『こらっユーノ?!こっちが硬直してしまうようなことゆーなっ!』

 

リナから念話がとんできたけど…あきらかに動揺してるなあいつ…。でもそれじゃユーノさんは…

「あぁ、僕は将来リナと添い遂げる。それが僕の中に眠るガウリイさんとの約束であり、僕の思いそのものだから。…ちょっと話しすぎたかな?」

 

ユーノさんはそう言うと鎖を解除し両手で剣を構える。

 

「時間も無くなってきたみたいだし、最後の一振りといかないか?砲撃でも構わないよ。」

 

ユーノさんの挑戦…受けなきゃ男じゃないぜっ!

 

「わかりました…全力で挑ませてもらいますっ!」

 

俺は長刀を正眼に振りかぶり詠唱をはじめる。…王様、力を借りるぜ!

 

SIDE:リナ&レヴィ

 

『こらっユーノ?!こっちが硬直してしまうようなことゆーなっ!』さらっと天然発言を暴発させたユーノにあたしは念話をとばす。

 

ま、まぁ…あいつがあたしの事を思ってくれてるのは嬉しいんだけどさ。

 

「いいなぁリナリナ…ししょちょーがリナパパに勝ったらけっこんするの?!」

 

いつの間にか寄ってきたレヴィ…戦いの途中なのに?

 

「…まぁそうね。何年かかるか解んないけど。」

 

何せ相手はチートなうちの父さん、だからなぁ…。

 

「それよりあんたはどうなのよレヴィ、一夏と結婚するつもりなんじゃ…?」

 

あたしの問いに意外にも表情が曇るレヴィ。

 

「ボクもそう思ってたけど…考えてみたら言われたことないんだ、『結婚しよう』って。一夏、ボクと結婚する気ないのかなぁ?!…グズッ。」

そう話すレヴィの目には涙。そっか、この子も恋する乙女なんだなぁ…

 

「…最後の一振りといかないか?砲撃でも構わないよ。」

 

「わかりました…全力で挑ませてもらいますっ!」

 

そーこーしているうちに男同士で盛り上がってるのはいいんだけど…えっ、ユーノのやつまさか…〈アレ〉使う気なんじゃ…?横見るとレヴィも不安そうなんだけど…。

 

『L様…〈混沌の海〉…いける?!』

 

『…もう発動してるよ、周りにバレないように薄めにね。』

 

さすがL様抜け目がない。ここの中なら例えビッグバンが起きたって外の世界は大丈夫だ。

 

「えっ?これってこの前リナリナが言ってたL様のおな…」

『お腹じゃなくて胎内!全てが産まれた場所…〈混沌の海〉だよ。』

 

まぁその辺りはまた…それよりユーノと一夏よっ!…レヴィ、あいつが使おうとしてるのって…

 

「うん…一夏の使える広域近接攻撃の中で一番強力なやつ…」

 

「やっぱり?!ユーノはユーノであんなの…やっぱ竜破斬なんて教えるんじゃ…」

 

「えっ? どーしてししょちょーが竜破斬使えんのっ?!あれって適性が…」

 

「あんた忘れたの?こっちのユーノはガウリイの転生体だって事。…ガウリイ自身は魔法なんて使えないクラゲ頭だったけど、考えてみたら光の剣あそこまで使える時点で魔力はあったのよね…そこにユーノの天才的頭脳がプラスされたら…」

 

こうなるのは当たり前…か。

 

ま、結界は張ったから、あとはお互いの彼氏応援しない、レヴィ?

 

「さんせーっ!でも一夏は絶対負けないよ!」

 

「それはこっちのセリフだっての。ユーノ、負けるなぁ~っ!」

 

SIDE:ユーノ

 

はは、相変わらずだねリナは。

 

「すいません、ウチのレヴィも騒がしくて…」

 

気にすることないよ一夏。最高の応援だろ、あれは?

 

「はいっ、もちろんですっ!」

 

それじゃ僕も準備始めるかな?

 

『黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我闇に誓わん…』

僕の詠唱を聞いた一夏の表情が変わる。

 

まぁそうなるよね。一度でもリナのアレを見たら。

 

ただ彼の詠唱からもただならぬ魔力を感じるから今持てる最大の技で勝負する!

 

『我らが前に立ち塞がりし 全ての愚かなりしものに 我と汝が力持て 等しく滅びを与えんことを!…ゴルンノヴァ、頼むよっ!』

 

『承知した、我が主。』

 

次の瞬間、ゴルンノヴァが赭き光を纏い巨大な光剣に姿を変える。

 

これが僕の今持てる最大奥義…名付けて竜破斬・終の太刀(りゅうはざん・しまいの太刀)!

 

見れば一夏もチャージ終了みたい…うん、あっちもヤバい攻撃みたい。

「へへっ、いきますよユーノさんっ…エクスカリバーっ!」

 

先に動いたのは一夏。紫天の王・ディアーチェの呪文を放って更に…

 

「これは…歌?!」

 

一夏はセイバーハートを仕舞い、歌を奏でながら突っ込んでくる。

 

「まだ何かあるのか…でもっ!」

 

僕は僕の技を信じるっ!

「くらえっ!竜破斬・終の太刀!!」

 

降り下ろしたゴルンノヴァから放たれた赭き光が一夏の黒き砲撃を飲み込む。

 

どうだ、決まったか?…僕は辺りをサーチ、次に…えっ?!

 

爆煙の中から現れたのは、ぼろぼろになった一夏。さっきまでの姿とは違い両手に手甲…まさか格闘モード?

「へへっ、〈絶唱〉で強化してなかったらKOだったぜ…でもこれなら!」

 

『ディバィーン…バスターっ!』

 

再び起こる爆煙。この時誰もが一夏の勝利を確信しただろう。…ただ1人を除いて。

 

「…この天然クラゲ!負けたら承知しないわよっ!!」

 

涙声で叫ぶリナの声。

 

「リナ…でもこれで決まらないなら…」

 

「…残念だけど…もう一撃…『牙突・零式』!」

 

「がはっ?!」

 

僕は一夏のゼロ距離砲撃を咸卦法で防御、ギリギリながらもゼロ距離の牙突をボディに入れた。そして…僕は意識を失った。

 

NO SIDE

 

『り、両者ノックダウン~っ!こ、これは…』

 

地面に倒れこんだユーノと一夏にリナとレヴィが駆け寄り…2人ともバツマーク!

 

『な、なんと両者KO、引き分けでーすっ!』

 

アリシアが試合の終わりをコール。…こうして、後にstヒルデで伝説となった試合は終わりを告げた。

 

だか時同じ頃…異端者(イレギュラー)が新たな動きを見せ始める。

 

『くくくっ…精々楽しんでるがいいさ、一夏、リナ!お前らには最悪の苦しみを与えてやるからな…。』

 

闇の発動まで、もう僅か…。




はい、皆様の予想は当たりましたか?それとも…?

次回からいよいよ異端者が暗躍します。リナたちの運命はいかに?

しばらくはマテストと調整しながらになりますが 、書き進めてはいきますので応援やご指摘、評価などいただけたら幸いです!

ところで前書きに出た彼女、今の読者ご存知なのだろうか…(汗)


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コラボ編6 急転!悪鬼蘇る

久しぶりの更新です。

活動報告を見て心配してくださった皆様、ご迷惑をおかけしました!


NO SIDE

 

伝説となった模擬戦から一夜明け、学園祭は後半戦、3日目を迎えた。

 

SIDE:リナ

 

「…あ~、暇ね~っ…。」

 

学園祭3日目の昼下がり、あたしたちは喫茶店MIDORI‐YAの店内で絶賛待機中。

 

昨日アリサがやり過ぎたせいかはわからないけど、きょうはお客が全然こない、全くこない、ほんとにこない…

 

「アリサちゃんのスイーツ、とっても可愛かったから馬鹿売れしたしな…たぶんその反動じゃないやろか?!」

 

店長のはやてもぼやくしかないみたい。

 

ちなみに今日のコスプレのテーマは「学校の制服」。

はやては清澄高校、フェイトは陽海学園、あたしは真似木ヶ丘学園の制服…ってどこから仕入れてきたのよこんなの?

 

「それは企業秘密や。繋がりのある学校探すのは苦労したで?!」

 

…なんじゃそりゃ…訳の解らない事を宣うはやてを無視してフェイトの方を向くと…

 

「アルフ、その制服かわいい…どこの制服なの?」

 

「ん~、麻帆良学園だったっけか?まぁかわいいのはかわいいんだけど…なんかこれ着てからおトイレが近く…あ、漏るですぅ~っ?!」

 

ピュ~!

 

…あ~あ、あんなに慌てて…間に合えばいいけど。

 

今日はアリサとすずか、ククリはお休み。厨房はなのはとはやてが、ホールはあたしとフェイト、あと買い出し中のアメリアとプレシアさんなんだけど…。

「ただいま~っ!」

 

「おかえり…ってプレシアさん…その格好…」

 

今日のテーマに漏れずアメリアたちも学校の制服に身を包んでる…んだけど、千川高校のアメリアはともかく、プレシアさんその制服は…?!

 

「え、私立きらめき学園の制服だけど…なにか文句でも?」

 

いや、文句はないんだけど…何よそのどこぞのお店みたいなネーミングの学校名はっ?!…それになんで若作りモードなのよ?

 

今のプレシアさんは外見17歳ぐらい…まぁいつもの状態であのコスされたら周りが腐海と化しそうだけど。

 

「あまりに酷くない?!」

 

あたしはプレシアさんの嘆きをスルーして窓から外を覗く。秋晴れのいい天気、賑わう生徒たち…平和よね~。

ん、あれは…レヴィ?

 

「はやて、ごめんちょっと出てくる!」

 

あたしはそういうと窓から飛び出し、レヴィを追いかける。あたしの見間違いじゃなけりゃ…レヴィ、泣いてた。

 

昨日は一夏といい感じだったのに…なにがあったんだろう?

 

あたしがしばらく探し回ると…いた!

 

「お~いレヴィ、いったいどうしたって…」

 

「あ…リナリナぁっ?!」

 

ドカッ!

 

「げふっ…レヴィ、いきなりは高速タックルはやめてほしいんだけど…本気で死ぬかと思ったわよ。」

 

「…ご、ごめんなさい…」

 

…レヴィが普通に謝った?!

「どうしたのよレヴィ、何があったの?」

 

あたしが尋ねるとレヴィは表情を暗くする。

 

「…一夏が…ボクに隠れて女の子といちゃいちゃしてた…。うわぁ~ん、浮気されたぁ~っ!」

 

「…それ何かの間違いじゃないの?だって一夏は…」

 

そう、一夏は今日、ユーノから居合い術を教わるために管理局の訓練施設に行ってる。学園にはいないはずだけど…?

 

「でも一夏にもリヒトにも通信が繋がらないし…」

 

えっ?!…あたしは念のためユーノと連絡をとる。

 

『やぁリナ。なにかあったの?』

 

程なくしてユーノと通信が繋がる。

「ユーノ、そこに一夏いる?」

 

『一夏に用事かい?…一夏、リナが話があるってさ。』

 

画面が右にスライドするとそこには汗だくだくの一夏。

 

『おうリナ、なんか用…』

 

「いちかっ?!」

 

あたしを押し退けてレヴィが前に飛び出す。

 

『おわっ?!…ってなんだレヴィか…お前泣いてんのか?』

 

一夏はレヴィのただならぬ泣き顔に表情が変わる。

 

「一夏、いちおー確認するけどあんたずっとそこにいたのよね?」

 

『あぁ、朝からずっとユーノさんと練習してた。』

 

『僕も保証するよ。なにかあったの、リナ?』

あたしとレヴィは互いに頷きあうとこれまでの経緯を説明する。

 

『はぁ、俺が他の女子といちゃいちゃ?!そんな事有り得ないって!』

 

『でも気になるね…一夏そっくりの存在がいるのは間違いないみたいだし…うん、僕と一夏も今からそっちに向かうよ。僕たちが合流するまで無理はしないで。』

 

「わかった。出来る限り早く来てよ?」

 

通信を切ったあたしとレヴィは一旦はやてたちと合流しようとしたら…あら、そのはやてから通信?

 

『リナちゃんっ?!あ~よかった、無事やったんやな。』

 

はやて、いったいどうしたのよ急に通信なんて? なにかあったの?

『リナちゃん大変や、学園中で行方不明者が多数出てるんよ!しかもな…』

 

『アリサちゃんやすずかちゃん、ククリちゃんとも連絡がつかないの!今フェイトちゃんやアメリアちゃんが捜索を開始したけど…。』

 

な…?!もしかしてこれって関係が…?

 

「…あ、あれって…リナリナ?!」

 

何かを見つけたらしいレヴィが指差す先…そこにいたのは…な、なんで〈アイツ〉がこんなところに?!

 

「…もしかしてさっきいちゃいちゃしてたのもアイツっ?!」

 

…ありうる。というよりそれしかないかも。

 

…元々が似てるから認識阻害の魔法かければ簡単には気づけないはず。

「おいこら、まて~っ!」

 

あ、馬鹿っ! そんな大声だしたら…?!

 

『……………!!(ニヤリ)』

 

ほら、やっぱり気づかれた!…でもアイツ、なんかほくそ笑んだように見えたけど…?

 

アイツは振り向くと逃げ出し始めた。レヴィはソニックムーヴでそれを追う。

 

あたしも翔封界[レイ・ウイング]で上空に上がり空から追っかける。だけど…

 

(この動き…あきらかに誘ってるわね…)

 

やがてアイツは人気のない校庭裏へたどり着くと立ち止まった。

 

「もうここまでだぞっ、かくごしろ~っ!」

 

レヴィがそういった途端…

バシュン!

 

「…えっ、これって…?」

 

やっぱり…封鎖結界!

 

「まんまとひっかかたなぁ、レヴィ・ラッセル…それに逢魔リナよぅ!」

 

「あいにくだけど引っ掛かったのはレヴィだけ。あたしは気づいてたわよ。…とっくに消滅したと思ってたんだけど、しぶといわね…織斑秋羅(おりむらあきら)、いやほんとは違うんだっけ?」

 

あたしは苦笑いでからかいつつも周りを見渡す。

 

(変ね…姿は見えないのに何かの気配を感じるわ。)

 

「ひゃあはははっ、相変わらずご挨拶だな逢魔リナっ!」

 

下品な笑いを浮かべる秋羅…うん、ぶっとばそう。

「なんで一夏のふりしていちゃいちゃしたんだ?!」

 

レヴィが怒鳴るのもどこ吹く風。

 

「そうすればてめぇが引っ掛かるからだよレヴィ。…まぁつまんねぇおはなしはここまでだ。まずはお前らを無力化してやるよ…こいつらで、な!」

 

秋羅が手を空にかざすと、辺りの時空に歪みが…やっぱり伏兵か。

 

やがてそこから現れたのは…えっ、嘘…嘘でしょ?!」

 

だって時空の歪みから現れたのは連絡がつかなかったアリサ、すずか、ククリ。そして大量の女の子たち。

 

アリサたちはそれぞれバリアジャケットを纏ってるんだけど何時もと色が違う。

 

まるで宵闇のような漆黒のジャケット、それに持ってるデバイスも同じ色。

 

他の女の子たちも同様だ。

 

「あらリナ!アキラ様の邪魔するバカ女ってアンタだったの?」

 

「駄目だよリナちゃん…ご主人様のいうことはちゃんと守らなきゃ?!」

 

「そうですわ、アキラ様は絶対神そのもの。逆らうなんてあり得ませんことよ!」

 

「な…?!」

 

惚けた眼差しを秋羅に向けながら口々にアイツを誉め称えるアリサたち。

 

「ちょっとアンタ、いったいあの子たちに何をしたのよ!」

 

「ん…俺はちょっとしたお願いをしただけだぜ?…『俺の忠実なお人形になる』ってお願いをなぁ!ひゃあはははっ!!」

 

やっぱりそうか…でもアリサやククリならともかく、吸血鬼の真祖の末裔のすずかまで支配するなんて…

「アンタ本当に秋羅?まるで別人じゃない。」

 

「ひゃあはははっ!!俺は確かにお前たちに消滅させらせそうになったさ。だが、〈あのお方〉が俺のわずかに残された魂の欠片を復元し更に新たな力を与えてくださったんだよっ!!」

 

…やっぱり黒幕がいたか。だれだ、そんなはた迷惑なことを…

 

「ひゃあはははっ、あのお方…〈冥王〉さまには足向けて寝れないぜぇ、まったくよう!!」

 

…なるほど、黒幕は冥王…め、冥王っ?!

 

あたしはその言葉を聞いた途端に絵も知れぬ悪寒に教われた。

(…冥王ってまさか…ううん、元の世界のアイツはL様に完全消滅させられたはず…)

 

「あん?!もしかして冥王さまって聞いてびびったのか?意外とびびりなんだな!」

 

「だ、だれが?!あたしはびびってなんか…」

 

あたしが言い返そうとしたその時、頭上と両サイドから殺気!

 

「フレイムウイップ!」

 

「アイスブランド!」

 

「ローゼスミュート!」

 

「くっ…ナイトメアハート、セットアップ!」

 

あたしはバリアジャケットを纏うと全力でバリアを展開、3人の攻撃を受け止めた。

 

「仕方ないわね…レヴィ、アンタは秋羅の足止めをお願い…じきになのはやユーノ達が助けに来るわ、それまでなんとか持ちこたえるのよ!」

「う、うん!頑張ってみる!」

 

頼むわよ…さてこちらは…?

 

「いくらアンタでもわたしたち3人まとめては無理ゲーじゃない?」

 

アリサの焔の鞭を避けるとあたしはナイトメアハートをかざし…

 

「いくわよ…烈閃槍[エルメキア・ランス]っ!」

 

精神力にダメージを与える魔法の槍を放つ。これで気を失ってくれたら…

 

「あぁぁ~ん♪」

 

あ、あれ…なんか悲鳴が予想と大幅に違うんですけど…

 

「き…気持ちいい…♪」

 

アリサはすぐに起き上がり再び構えを取る。

 

「…あぁ、言うのを忘れてたな?今のそいつらは 痛みを快楽に感じるように調整してある…精神的にも肉体的にもな。」

 

「なっ?!」

 

不味いっ…一撃で気絶させないとじわじわやってたんじゃアリサたちの心が持たない。でも強力な呪文を唱えたくても…

 

「次々いくよ…アイススピアー!」

 

「そこですわ、ローゼスショット!」

 

3人が矢継ぎ早に放つ魔法でどんどん魔力が削られてく。

 

(これじゃ多勢に無勢だわ…ユーノ、なのは…誰でもいいから早く…)

 

でもあたしの思いはむなしく…

 

「はぁ、はぁ…」

 

数分もしないうちにあたしは地面に膝をついてしまう。

 

「レ、レヴィ…あ、あぁ?!」

 

その傍らにはまったく動かないレヴィ…気を失っているようだ。

(しまった…完全に相手を見くびってたわ…)

 

「これで終わりねリナ?…さぁ立ちなさい?」

 

あたしの両脇をすずかとククリが抱え強引に起こすと秋羅の前につれてかれる。

 

「あたしをどーするつもりよ…?」

 

精一杯に強がるあたしを見て嫌みな笑いを浮かべる秋羅。ぶん殴ってやりたいけどすずかとククリの力が予想外に強く身動きが取れない。

 

「…お前とレヴィには利用価値があるからな。こいつらと同じように俺の忠実な操り人形になってもらおうか?」

 

秋羅はそういうとあたしの胸に手をかざし魔力を集め始める。

 

「おっと、下手な抵抗なんてすんじゃねえぞ?でないと…」

 

こっちはアリサたちを人質に取られてるようなもん。抵抗なんてできやしない。

 

(い…嫌!こんなやつのいいなりになんか…お願い、だれか…)

 

ピシッ…パリンッ!

 

『ディバイーン…バスターっ!』

 

結界が割れると同時に桜色の砲撃…なのはっ?!

 

「ちっ、邪魔がはいったか…まぁいい、おい…」

秋羅はあたしの首根っこをわしづかみにすると睨み付けながら…

 

「一夏に伝えときな…大好きなレヴィちゃんを返して欲しかったら、明日の正午にこの場所にこいってな…こないだの女どもも一緒で構わないぜ。」

 

言い終わると秋羅は手を放す瞬間に爪をあたしの首に突き立てる。

 

「くっ?!」

 

チクッとした痛みと共になにかが注ぎこまれたのがわかった。まさか…毒?

 

秋羅はポケットから地図らしき紙を取り出すと地面に放り投げ、気を失っているレヴィを肩に担ぐ。

 

「そいつは俺からのプレゼントだ。リベンジマッチだったら受けてたつぜ…ひゃあはははっ!じゃあな!」

 

秋羅とレヴィ、そして女の子たちは再び時空の狭間に消えていった。

 

それと同時に…

 

「リナっ、大丈夫?!」

 

「大変、ひどい怪我だよ…」

 

ユーノとなのはが近寄ってくる。そして…

 

「リナ、レヴィは?一緒だったんだろ?」

一夏…

 

「…ごめん、アイツに…織斑秋羅に拐われちゃった…」

 

薄れ行く意識の中であたしは言葉を絞り出す。

 

「なっ…嘘だろ?アイツは俺たちの手で消滅させた…」

 

あたしは地面に落ちてる地図を指差し…

 

「アイツから伝言よ。レヴィを返してほしかったら明日の正午にその地図の場所に…」

 

…もう限界…あたしは失いつつある意識の中で…

 

(覚えてなさいよ秋羅…必ずギチョンギチョンにしてやんだから…)

 

SIDE:一夏

 

「…リナ、おいリナっ?!」

 

リナは秋羅からの伝言を伝えると気を失ってしまった。

 

ユーノさんが首を振る。

 

「…命に別状はないみたいだけど、大分衰弱してる。…すぐに治療を!」

 

「アメリアちゃんには連絡とれたからこっちに向かってくれるって!」

 

喧騒の状況の中、俺の頭の中は秋羅とレヴィのことで一杯だった。

 

(秋羅のやつ…わざわざ別次元にまで俺を追っかけてきた?…いや、そもそもアイツがこの世界に誘い込んだのかも…それにしてもどんだけしぶといんだ、あの男は?!…レヴィ…必ず助けるから無事でいてくれよっ!)

 

俺はリナに託された地図を握りしめ心に誓った…

 




はい、とうとう現れた懲りない男・秋羅。(笑)

ただ今回は黒幕さんの介入&入れ知恵で手こずらせてくれそうです…作者を。

次回は対戦前の葛藤を書ければなぁ…と思います。

皆さま方のご感想やご指摘、評価などお待ちしています!

(低評価の際はできうる限りコメントをお願いします。)



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コラボ編7 オーバードライブ、その名は…

説明回&独自設定満載です。

では本編どうぞ!


SIDE:リナ

 

『…ナ、リナ…』

 

…どこからか呼ぶ声がしてあたしは目を覚ます。

 

「…?…こ、ここは…?」

 

あたしが目を覚ますとそこは何もない世界。でもあたしにはこの世界に心当たりがあった。

 

『目が覚めたよーだね、リナ?』

 

そこにいたのは、金色の髪と瞳、そして3対6枚の翼を纏った…あたし。

 

『…この姿見せたことはなかったよね、リナ?』

 

「…うん、L様…いや、〈金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア〉ルシフェリア…で良かったんだっけ?」

 

あたしが改まって言うとルシフェリアは、はらはらと手を振りながら応える。

 

「あ~、いつも通りL様でいいよ?正直、畏まれても…ね。」

 

あたしもその方が助かるわ。で、ここって…〈混沌の海〉よね?

 

『そ。アンタの精神だけをナイトメアハートの中に連れてきた、って訳。ちょっと大事な話があってさ。』

 

「大事な話?」

 

真剣な顔で話すL様の様子にあたしも表情を引き締める。…いったいなんの…

 

『ん~、ちょっと待って、もうすぐ…あ、来た。』

 

突如空間に黒い次元の狭間…まさか?

 

「…お待たせしましたねリナさん。それにL様…でよろしかったんですよね?」

 

「…ゼ、ゼロス?!」

そこに現れたのは元・獣神官、自他共に認めるパシり魔族ゼロスだった。

 

「…一応〈名薗森 寛/なぞのもり ひろし〉って人間名があるんですけどね…僕もよく忘れますけど。」

 

「『忘れるんかいっ?!』」

 

思わずシンクロして突っ込みをいれるあたしとL様。

 

…で、アンタはなんでここに?

 

「貴女も知りたい事があるんでしょう?そう…〈冥王〉様の事とか。」

 

…!

 

「アンタがそう呼んだってことは…やっぱりアイツなの、ゼロス?」

 

あたしの反応を見てゼロスは薄ら笑いをして頷く。…ほんといい性格してるわよねコイツ…

「…はい。僕としてもお付き合いは遠慮したいんですがね…とはいえ、まだ復活の痕跡が見えるだけで、これが本人なのか覇王様の時のように残滓的な物なのかは分かりません。」

 

え?居場所とか知ってるんじゃないの?

 

「『携帯電話は繋がるけどGPSがない』っていったらわかります?…まぁそんな感じです。」

 

な~る、分かりやすい例えだわ。で、そんな冥王様がなんで全く異世界のしかも転生者の秋羅に力を貸すのよ?

 

「貴女もご存知でしょう、我々魔族が何を糧に生存しているかを。あの織斑秋羅という男は一夏さんとその家族、そしてリナさんとアメリアさんに怨みがある…そこにつけこんだんでしょうね。」

またはた迷惑な…そんなの只の逆怨みじゃない!いいわ、懲りてないんならもう一度消滅させてあげ…

 

『それがそうもいかないんだリナ。アンタ、気を失う前に秋羅に何かされたの覚えてる?』

 

あぁ、そういえば…結局あれってなんだったの?

 

『あれ、厄介な代物だったんだよね…あれは…』

 

SIDE:なのは

 

「魔力結合阻害薬?!」

 

聞き慣れない言葉にわたしたちは戸惑いを見せる。

 

ここは時空管理局の会議室。謎の襲撃者に襲われたリナちゃんを治療室に運び込んだわたしとユーノくん、一夏くんはリナちゃんを診察、治療したシャマル先生の説明を受けていたんだけど…?

「えぇ…リナちゃんはまだ意識は戻ってないけど、命に別状はないわ。ただ、その敵に投与された薬によってリンカーコアが不全を起こしてるの。…そう、良牙くんと同じ状態ね。」

 

そんな…それじゃリナちゃんは呪文が…?

 

「…もっとも、薬は即効性のもので効果は一時的だから…だけど明日の正午には間に合わないわね。」

 

そうですか…それじゃ今回はリナちゃんは…

 

「くそっ?!」

 

ドガンッ!

 

わたしの後ろで壁を殴り呻く一夏くんは悔しそう。

 

「俺の…俺のせいでレヴィは拐われ、リナもこんな目に…あの似非兄貴め、この間確かに消滅させたはずなのにどうしてこんなことに…?!」

「一夏、君の気持ちはわかるけどいまさら悩んでも意味がないよ。それよりもこれからどう動くかだよ。」

 

うん、ユーノくんのいう通りなの!

 

「でも事は深刻やで、なのはちゃん。」

 

「なのは!リナの容態は?!」

 

「はやてちゃん!フェイトちゃん!それに良牙くんまで!」

 

「シャマルから連絡受けてな…リナの容態は?!」

 

「それが…」

 

シャマル先生はさっきわたしたちにした説明をし、さらに一夏くんが今度の敵について話してくれる。

 

「まず今回の事件を起こしたバカだが…名前は織斑秋羅。神様転生だかなんだかで俺の兄貴に成り済まし、世界を自分の思うがままにしようとした男だ。」

「なっ…どこにでもおるんやなそんなやつ…。」

 

「続けていいか?秋羅は神様からもらったという力で俺やレヴィたちが通うIS学園を牛耳ろうとしたんだが、最初の1回目は未然に防ぎ、やつは拘束されたんだ…だが…」

 

「再び現れたんだね、そいつ…」

 

フェイトちゃんがそう言うと一夏くんは言葉を止め頷く。

 

「あぁ、やつは再び現れた。消滅したはずのナハトヴァールの力を宿して…な。」

 

…い、今とんでもない事聞いたような…

 

「最強の力を得た秋羅は、俺を逆怨みして殺そうと挑んできた…でも、復活したリインフォース…アインスさんや白雪、それにみんなの力を借りて倒す事に成功したんだ。」

「…で、捕らえたやつを粛清する時に参加したのがリナ…というわけだな、一夏?」

 

王様、それにシュテルやユーリも!

 

「みんな来てくれたのか?!」

 

「当たり前だろうが!あの変態転生者、どうやって復活したか知らぬが…」

 

「今度こそ必ず滅殺します。」

 

「ぶっとばしますよぉ~!」

 

家族であるレヴィちゃんを拐われてみんな怒ってるみたい(シュテルちゃんは解り辛いけど)。

 

「…つらい戦いになるぞ…これを見てくれ。」

 

わたしたちは一夏くんが差し出した手紙を読んでみる…こ、これってそんなっ?!

 

「アリサちゃんやすずかちゃん、ククリちゃんが敵方に?」

 

「しかも行方不明になった女生徒たちまで…ということは?」

 

「あぁ、おそらくレヴィも操られてる覚悟はしといた方がいいだろうな。」

 

「…という訳やから、シグナムやザフィーラにも出てもらうわ。」

 

「あとナーガとアリシアもね。レヴィは私たちにとっても家族同然、絶対に赦さないわ…ねぇ母さん?」

 

みんな気合い十分…これならやれる!

 

「残念ながらリナちゃんは今回はドクターストップね。目が覚めたら言っておくわ。」

 

「シャマル先生、リナちゃんをよろしくお願いします。」

「はい、任されました!」

 

…リナちゃん、馬鹿転生者は必ず倒してくるからね!

 

SIDE:リナ

 

『…という訳。どうやらこの薬、〈冥王/あのばか〉が造った特製らしくてさ…あたしでも解呪はできないんだ。』

 

あたしはL様の説明を爪を噛みながら聞いてた。

 

こんちくしょー、あんな方法でやられるなんて…でもアイツ…

 

『そ、アイツもボロ出してる。…本気で一夏潰すだけが目的なら1人だけ呼び出せばいいんだから。それを王様たちまで倒そうと欲張って「助っ人OK」って…あいつバカでしょ絶対?!』

 

うん、なにを今更。

 

でも魔法使用不可は痛いな~。こんな事になるんだったら、なのはの〈早乙女〉みたいなモード用意しとくんだった…ってどうしたのL様?

 

『…ねぇリナ?!あたしの新モード試す気はない?』

 

新モード?!それって一体…?

 

『モード名は反魂〈オーバーソウル〉モード。魔力の代わりに魂の力を使って起動するフルドライブを越えたオーバードライブモードだよ。』

 

魂の力?!それってまさか…?

 

『…そう、このモードの欠点は使用者の生命力を使うって事。まぁいきなり死ぬとかいうんじゃないから安心して。ま、せいぜい1年とか?』

 

「いいわよそれぐらい。あと何年ってわかってる訳じゃないんだし。」

『ま、そう言うと思ったよ。…判った、今回は魔法使用不可だから…うんリナ、あたしと手を重ねて目を閉じて…。』

 

「う、うん…?」

 

あたしはとりあえずL様のいう通り目を閉じる。

 

『心を開いて…〈ナイトメアハート・ルシフェリア〉モード・オーバーソウル…リリース!』

 

L様の詠唱と同時にあたしの身体…いや、魂から力が抜けていくのが分かる。少し重破斬[ギガ・スレイヴ]を唱えた時に似てるかも。

 

『形態変化…フォーム・修練闘士〈セヴァール〉!…覚醒、影技〈シャドウ・スキル〉っ!』

 

L様の声に反応するかのようにあたしは新たなバリアジャケットに包まれる。

黒と赤を基調とした軽鎧タイプのコスチューム…両手両足にはハードシェルタイプの装甲。

 

『うん、これでOK!これなら魔法なしでも戦えるよ。リナ、あとはこの子…セヴァール・フォームの管制人格・エレが教えてくれるから…』

 

…L様?姿がぶれてるんだけど…

 

『悪いね、オーバードライブ中は管制人格が入れ替わるんだ…そんじゃあとは頼んだよリナ、エレ…』

 

L様の姿がかき消え代わりに現れたのは大柄な女性。身体は極限まで鍛えられあげていながらも愛らしく憎めない顔立ちの美人だ。

 

『…てな訳であんたがリナかい?アタイの名前はエレ・ラグ。これからあんたにアタイの戦闘術〈武技言語〉を伝授するよ!』…武技言語?聞き慣れない言葉に戸惑ってると…

 

『ま、目覚めるまでまだ時間はあるし、みっちり仕込んでやる…覚悟しとけよ?!』

 

 

上等よっ!その武技言語ってのがよくわかんないけど、あの変態転生者をぶっとばせるんならなんだってやってやるわ!!

 




次回からいよいよバトル開始です。

なるだけ早く仕上げるつもりなので皆様応援よろしくお願いします!

なおコラボ先の『マテリアルズ・ストラトス』の荒潮提督さんの方で恒例のイベント(笑)を活動報告で募集されてますのでよろしければご参加お待ちしています。(うちからもリナとユーノが参戦します!)


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コラボ編8 血戦直前!一夏の想い、秋羅の悪意

今回も説明回&独自設定です。

そして後半は…では本編どうぞ!




SIDE:一夏

 

チュンチュン…

 

「ん…いつの間にか眠ってたのか…?」

 

昨日の夜はみんなと一緒に遅くまで秋羅対策会議していたはず…ふと周りを見ると王様やシュテル、ユーリ…フェイトさんやはやてさんも寝息をたてて眠ってる。

 

時間を見るとまだ早朝4時、まだ薄暗いはずだ。

 

「ん…?そういやなのはさんがいないな…どこいった?」

 

俺は着替えを済ませるとドアをそろっと開けて表へと出た。

 

「ううっ、さすがに朝は冷えるな…さて、ちょっと身体でも…あれ、なのはさん?」

 

一夏が見つめた先には射撃訓練をするなのはの姿。

空き缶をシューターで落とさないように撃ち続ける…初歩的な訓練だ。

 

(…流石なのはさん、こういう訓練があの強さに繋が…)

 

「9998、9999…」

 

?!…今何て言った?

 

「10000!…よし、ノルマ終わりっ!!」

 

…やっぱり聞き違いじゃなかったか…俺はなのはさんに近寄り声をかける。

 

「なのはさん、おはようございます!」

 

「あ、一夏くん!…おはよう、少しは寝れた?」

 

昨日は拐われたレヴィの事が気になって寝付けなかった。ま、少しは寝れたけどな…

 

「…そう。…ちょっと話そっか?」

俺となのはさんはベンチに腰かけた。

 

「…こうやって2人で話すのはじめてだね?」

 

そういえばそうかもな…自分の世界じゃなのはさんは「歳上の先輩」だから、こんな風に話すこともなかったから。

 

「やっぱりレヴィちゃんの事が心配?」

 

「ま、そうっすね。いままで秋羅とは何回も戦ってきたけど、こんな搦め手使ってきたのは初めてだから…」

 

ふとレヴィの事が頭に浮かぶ。アイツ、ひどい目にあってるんじゃ…?

 

「…アリサちゃんやすずかちゃんも操られてるみたいだし…もしレヴィちゃんが敵に回ったら、一夏くんは戦える?」

 

「…正直わかんないっす。レヴィと俺が戦うなんて考えたこともなかったから。…でも、必ず取り返します!」

俺の言葉になのはさんは嬉しそうに頷く。

 

「うん、頑張ってね!わたしたちもアリサちゃんたちや他の女の子をなんとかしないと…」

 

「…そういや、こっちの世界のアリサさんやすずかさんは魔導師なんですよね…俺の知ってるお2人は普通の一般人だからビックリしましたよ。」

 

俺はこの機会に疑問に思ってた事を聞いてみる。

 

「うん、2人ともジュエルシード事件の時に魔導師になったから…もうベテランさんだよ。」

 

「お2人の魔導師ランクってどれくらいなんですか?」

 

俺たちの世界のユーノさんやアルフが確かAランクだったよな?それぐらいは…

「えっと…確か半年前(中学卒業時)に調べた時は2人ともAAAだったよ?

 

ブッ?!

 

俺は思わず吹き出してしまう。あの2人がAAA?!

 

「アリサさんたちとヴィータ師匠が同じランク?」

 

それだけでも驚きなのに…

 

「…え、そっちのヴィータちゃんって闇の書事件の頃と変わってないの?こっちのヴィータちゃん、S-だよ!」

 

な…

 

「…参考までに他の方々は…?」

 

「えっと…シグナムさんとアメリアちゃんがS+で、わたしとフェイトちゃん、ユーノくんがSS。はやてちゃんが総合でSSSでリナちゃんが空戦SSS…アインスさんは測定不能だって。」

「…あれ?ヴォルケンリッターって魔力ランクは一定以上には上がらないはず…」

 

「にゃはは…夜天の書が復活したときに防衛プログラムのなはと(ナハトヴァール)、それにL様が干渉したからね。」

 

そんなチートな…あ、通信…はやてさんからだ。

 

『おはようさんなのはちゃん。…お、一夏くんもそこにおるんか、ちょうど良かったわ。確か指定場所はフラナガン郊外の海の上…やったな?』

 

そう、秋羅とアリサさんたち操られた人たち…そしてレヴィもそこに現れるはず。

 

「はい…すいません、折角の学園祭の最中に…」

 

『それは言ったらあかんで一夏くん!…別にあんたらが悪いんちゃう、悪いのはその秋羅とか言う変態さんや。ましてやウチらもアリサちゃんたちを拐われてリナちゃんもあの状態やしな?』

そうだった、もうこっちの世界とも無関係じゃないんだ…

 

『とりあえずウチらも1度部屋に戻って身支度整えるわ。…ほな現地でな!』

 

そう言ってはやてさんは通信を切った。

 

「それじゃわたしも1度部屋に戻るね?…一夏くん、必ず勝つよ!」

 

「はいっ!」

 

(レヴィ…待ってろよ、たとえお前が敵にまわったとしても、俺は必ずお前を取り戻す!そして…)

 

なのはさんが去って1人俺は決意を新たにしたのだった。

 

SIDE:リナ

 

『さて、戦い方を教える前に改めて簡単にアタイの事を説明しとくわ。…アタイの本名はエレ・ラグ。元は古代ベルカ時代の一王国、「傭兵王国クルダ」の闘士さ。』

「傭兵王国?なによその物騒な国名は…。」

 

あたしとエレはウォーミングアップをしながら話を続ける。

 

『クルダは住む住人すべてが傭兵で、「クルダ流交殺法」という格闘術を習得してる。…で、その根幹になるのが「武技言語」ってわけだ。』

 

それなのよ…なんなの、その武技言語って?

 

『ま、自分の目で見るのが一番いいか?…はあぁっ!』

 

エレが気合いを入れると辺りの風景が…これは森の中ね。

 

『いいか、よく見てろよ?』

 

エレは自然体に構える。…いったいどんな技を…?

 

『…我は無敵なり…我が影技に敵うもの無し…』

な、なに…エレの気が膨大に膨れ上がって…これって自己暗示?…いやこれは…

 

『…我が一撃は無敵なり…クルダ流交殺法影技・裂破(レイピア)っ!!』

 

エレの蹴りと同時にとてつもない衝撃波が放たれ…

 

ズガガガガガッ…!

 

森の大木を粉砕して薙ぎ倒した…これが武技言語?!

 

『いっとくけどまだ本気の10%も出しちゃいないかんね?』

 

あれで10%以下…いける、これなら魔法無しでも戦える!

 

「でも…自己暗示の類いかと思ってたけど、どちらかといえば〈言霊〉だよねこれって。」

 

『まぁそうかもね?自分の言葉をどれだけ信じれるかが技につながるから。』

 

 

あたしは拳を構えると1本の樹を見据える。

 

「あの『我が…』ってやつは決まった文句があるの、エレ?」

 

『ん…?いんや、別に言葉に力を籠めるためのものだから自分の好きなようにしたらいいよ。』

 

彼女は手をぱたぱたとさせて答える。

 

「そう?じゃあ…」

 

『…我が一撃は虚無なり…虚無の前には全てが無力、虚無の力は無敵なり!』

 

言霊と共に構えた脚に力が籠る…いっけぇ~!

 

『クルダ流交殺法影技・爪刀/ソード』!

 

あたしの放った蹴り一撃で目の前の巨木がへし折れた…やったぁ!

 

『へぇ…見よう見まねでそこまで…お前素質あるよ。これだったら頑張れば時間内に完成できるかもな…リナだけの〈奥義〉を!』

 

奥義…あたしだけの?

 

『あぁ。それとお前の字名(あざな)もな。…ま、それは後でな。それじゃ残された時間はアタイが相手してやる…気合い入れろよっ!』

 

そう言って構えた瞬間…

 

ドガッ!

 

「うわわっ…?!な、何すんのよいきなりっ!」

 

エレのいきなりの奇襲をあたしはギリギリ手甲でガードする。

 

『…おい、これはおままごとじゃない…命をかけた実戦だと思え!でないと…命はないぞ?』

 

そう言うエレの表情は真剣そのもの。

 

「そうね…。わかった、全力でいくわよ!」

 

あたしは目を閉じると両の掌に力を集中させる。

『右手に気、左手に魔力…なんとか使えそうね。合成、咸卦法!』

 

…どうやらアイツの薬ってのは〈呪文結合の阻害〉だけみたいね。あたしの身体に爆発的な力が宿る。

 

『お、珍しい技じゃねーか?』

 

まーね。ただなのはみたいに格闘の師匠はいないから…ということはアンタが師匠って事になるのかなエレ?

 

『そうなんのか?人に教えるのって義弟のガウ以来だかんなぁ…』

 

えっ、アンタ弟居たんだ…?ま、時間も惜しいし、修行お願いします…エレししょー!

 

こうしてあたしが精神世界で修行を開始した頃…

 

NO SIDE

 

「ふひゃはははっ!とうとうやってきたぜこの時が!」

 

下卑た笑い声をあげるのは…言うまでもなく異端者・織斑秋羅。

 

その傍らにはアリサ、すずか、ククリをはじめとする秋羅の人形と化した少女たち。そして…

 

「こいつもそろそろだな…」

 

秋羅が右を振り向くとそこには漆黒の魔力球。…あまりの黒さに中はうかがい知れない。

 

「…さぁ、そろそろ目覚めて貰おうか…〈俺の花嫁〉?」

 

秋羅が魔力球に触れると魔力球はスッと消え失せ、中から現れたのは…レヴィだった。しかし様子がおかしい。

 

その姿は薄い布一枚に包まれ、瞳には意志が感じられない。口許には虚ろな笑みを浮かべている。

「…さぁ、最後の仕上げだ…レヴィ、お前の相方を返してやるよ。」

 

そう言って秋羅がポケットから出したのはレヴィのデバイス・バルニフィカス。だが本来の色ではなく紫に鈍い光を放っている。

 

「…お前用に調整した特別製だ。さぁ、セットアップしろよ?」

 

レヴィは虚ろな表情のままコクンと頷くと、デバイスを受けとり胸の前に掲げ、そして…

 

『…ドゥンケルハイト、セットアップ…!』

 

次の瞬間レヴィの身体を紫色の光が包み込み、新たなバリアジャケットへと変化する。

〈レヴィのスプライトフォーム(色は紫)にパレオ風のミニスカート(色は透明)〉

さらに髪型はいつもの水色のツインテールではなく、紫色のロングヘアー。

 

「…くくく…さぁ、生まれ変わった気分はどうだレヴィ?」

 

秋羅の言葉に応えるように開いたその瞳には先ほどまでとは違い、紫色の邪悪な光が宿っていた。

 

「うん…とってもいい気持ち…♪」

 

まるで一夏を見るようなうっとりした表情で秋羅を見つめるレヴィ。

 

「それじゃ教えてくれよ…お前の新しい名前、お前が倒すべき敵、そして大好きなご主人様の名前をな!くくく…」

 

「はい♪…〈ワタシ〉の名前はレヴィ・ツェアシュテールング。大大好きなご主人様の秋羅サマの為に、憎き愚か者の一夏は〈ワタシ〉が殺します。…そしたら秋羅サマ、誉めてくれる?」

無邪気な…しかし邪悪な笑みを浮かべ話すレヴィの姿を見て秋羅は満足そうにレヴィの頭を撫でる。

 

「あぁ、上出来だ!自分の元恋人に殺され、絶望しながら死んでいけよイチカっ!!…ひゃ~っはっはっはっはっはっ…!」

 

運命の対峙まであと少し…果たして一夏やなのはたちの運命は?…そしてリナは間に合うのか?!

 

それは、次回の講釈で…

 




はい、いよいよ次回から(本当に)バトル開始です。

あとコラボ先の荒潮提督さんの活動報告で募集されてるイベントはこちらのコラボ終了後に掲載されますのでお間違えなきよう。(なるだけ早く頑張ります!)


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コラボ編9 血戦開幕!そして…魔王降臨?

すいません、間があきました。リアルが忙しかったもので…


NO SIDE

 

陽が天高く昇る頃、なのはと仲間達は秋羅が指定した海岸へと向かっていた。そして一夏たちもまた…

 

SIDE:一夏

 

「…ここだな、指定場所は…」

 

時間を確認するとまだ余裕がある。

 

「なのは達はまだのようですね。」

 

まぁまだ時間前だからな。でもなんなんだ、この澱んだ空気は…?

 

「恐らくあやつが近づいてる…あの変態がな。」

 

王様の言葉で俺たちに緊張感が走る。…でも俺たちは絶対に負けねぇ!必ずレヴィやアリサさん達を取り返してやる!

 

(それに俺は決めたんだ…あいつに伝えるって、ほんとの気持ちを。)

「お待たせ~!」

 

「これで全員集合だね。」

 

なのはさん、フェイトさん、ユーノさん!…それにはやてさんとリインにシグナム師匠、ヴィータ師匠、ザフィーラ、アメリアとゼルガディスさんにアインスさんまで!

 

「あたしたちもいるよ~!」

 

あっちから来たのは…アリシアにアルフとプレシアさん!…それに…あれ、貴女はまさか?

 

「はじめまして、私の名前はリニス。元はプレシアの、そして今はアリシアの使い魔です。」

 

やっぱり!…リニスさんの事は俺たちの世界のプレシアさんやフェイトさんから聞いてたけど、こっちの世界では死んでないんだな。

「向こうのプレシアやフェイトが見たら狂喜乱舞しそうですね。」あぁ…でもフェイトさんの師匠であるリニスさんの力は頼りになるぜ!

 

…で、〈アレ〉はなんなんだ?

 

「ほーほっほっほっほっ!わたしの名前は白蛇のナーガ!…リナの永遠のライバルにしてテスタロッサ家のユニゾンデバイスよ、覚えておくといいわ!」

 

…!

 

(…この人か…リナが言ってた『自称ライバルを名乗る金魚の糞』って…)

 

黒の棘つきビキニアーマーとマントを身に纏い、首にはドクロのネックレス…何処のラスボスだよ?

 

「…あれでも前世じゃ一応わたしの姉さんだから…うん。」

アメリアの姉ちゃん?…確かアメリアって前世じゃ王女様だったよな?って事は…げっ。

 

「でもあれって死んだ母さんの形見だから…あんまりきつく言えないのよ。」

 

母さんの形見?!…アメリア、お前の母さんって事は王妃様だよな?

 

「…いかん、考えるのはよそう。」

 

「多分その方が賢明であろうよ。それより…」

 

王様が辺りを見渡して言葉を続ける。

 

「やはりリナは間に合わなんだか…奴を欠くのは痛いぞ?」

 

そう、この場に逢魔リナはいない。まだ回復してないのか…。

 

「うん…ここにくる前に病院にも寄ってきたんだけど…まだ目を覚ましてないって。」

なのはさんが心配そうに話す。

 

『…ひゃあはっはっはっはぁ!雑魚が雁首並べてよく来たなぁ一夏よぉ!』

 

…!今の声は…!

 

「どこにいやがる秋羅!正々堂々出てきやがれ!」

 

『まぁ慌てるなよ一夏。』

 

秋羅の声と共に空中に次元の穴が!

 

『俺はこの奥で待ってるぜ、いとしのレヴィちゃんと一緒にな?!ま、その前に…こいつらの相手でもしてもらおうか?』

 

秋羅の声と共に時空間が歪み大量に現れたのは…

 

「な、なんですかこれは~!」

 

それはよくゲームとかに出てくる下級の悪魔みたいな化け物だった。

「レッサーデーモンにブラスデーモン…なんでアイツが使役できるの?」

 

『ひゃあはっはっはっはぁ!これがあの方から戴いた俺様の力の一部だぁ!どうだ、恐れ入ったか?!』

 

………

 

「…てめぇバカか?」

 

「あん?」

 

俺はあきれ果てるしかなかった。

 

「…てめぇの言うあの方ってのが誰かは知らねぇがな、そんな貰い物の力使って喜んでる時点でてめぇに怖さなんてねえよ!」

 

『………。そ、それはここまで来てから言うんだな!…やれ、てめぇら!』

 

秋羅の命令に従って魔物たちが襲い掛かってくる。1匹1匹は大したことなさそうだけど、ここで削られるわけには…

「ここは我らに任せておけ一夏!」

 

「あなたたちは敵の本拠へ!」

 

シグナム師匠、プレシアさん!

 

「おめーの露払いはあたしたちがしてやる!」

 

「レヴィたちの事は任せたよ!」

 

ヴィータ師匠にアリシアも…はいっ!

 

「白雪、ユニゾンだ!…リヒトもいけるか?」

 

「うん!がんばる!」

 

 

俺は右手に白雪、左手にリヒトの手を取りダブルユニゾン!…淡い茶色い髪に翠色のアッシュ、瞳は銀と翠のオッドアイか…派手だな、おい。

 

『ご主人たま、変わったところはない?』

 

今の声はリヒトか?いや、特に何も…いや、これは?!

(あ~、秋羅の馬鹿ヤロー…ぶっ飛ばしてぇ~!)

 

な、なんだ今の衝動は…?

 

『…今のはあたしのオリジナルの影響。あたしとユニゾンすると見境なしに敵をぶっ飛ばしたくなるんだ。』

 

…マジか?…でもあの変態相手なら問題ないぜ!

 

「リイン、わたしらもユニゾンや!」

 

「はいですぅ!」

 

「ゼルガディスさん、わたしたちも!」

 

「承知した…ユニゾン・イン!」

 

はやてさんとアメリアもユニゾン…ゼルガディスさんってユニゾンデバイスだったのか?

 

「マジカル・ホーリー・プリンセス・アメリア、ここに降臨です!」

おぉ、金髪のロングヘアーにまるで勇者みたいなバリアジャケット…カッコいいじゃねーか!

 

「へへっ、似合うでしょ♪」

 

はやてさんは安定のリインとユニゾンか…ん?

 

「ナーガ、貴女はフェイトとユニゾンよ…いいわね?」

 

「ほーほっほっほっほっ!よろしくてよ…ユニゾン・イン!」

 

フェイトさんとナーガも?…何時ものよりフリフリした衣装だけど、可愛らしい。

 

バルディッシュも形が違う。…斧の部分が円月刃になってる。

 

まさかとは思うけど…

 

「…わたしはあんな笑い方はしないよ?ほんとだよ?!」

 

俺の視線の意図に気づいたのか、苦笑いで否定するフェイトさん。…よかった。

 

「よし!それじゃわたしとなのはちゃん、フェイトちゃん、それにアメリアとアインスに一夏くんとマテリアルズのみんなで乗り込むから、あとのみんなは援護頼むわ?そんじゃ…突撃やぁ~っ!」

 

はやてさんの掛け声と同時に俺たちは突入を開始する。

 

「紫電…一閃!」

 

「ラケーテン・ハンマー…ぶっとべ~っ!」

 

「これでも喰らえ…鋼牙!」

 

ヴォルケンリッターが前面の敵を薙ぎはらい…

 

「サンダーレイジ!」

 

「魔竜烈火咆[ガーヴ・フレア]!」

「フォトンランサーファランクスシフト!」

 

プレシアさん、アリシア、リニスさんのテスタロッサ一家が強力な砲撃で殲滅していく。

 

「み、皆さんすごいですぅ!」

 

「よし、突入できた!…なんだここは?」

 

突入したその先にはだだっ広い異空間が広がっていた。

 

「…よく来たわね織斑一夏。」

 

「ご主人様を害する愚か者は…」

 

「排除しますわっ!」

 

そこにいたのはアリサさん、すずかさん、ククリとその他大勢の女の子たち。

 

「アリサちゃん、正気に戻って!」

 

「…なに言ってんのよなのは?わたしは正気よ…あんたたちこそアキラ様の邪魔をするなんて…そんなんだから良牙みたいなヘタレを好きになるのよ…」

ピクン!

 

「…今なんて言ったのアリサちゃん?」

 

尋ねるなのはさんの声が一段低くなったの

は気のせいじゃないと思う。

 

「あら聞こえなかった?良牙なんて魔法も使えないヘタ…ひっ?!」

 

次の瞬間…なのはさんの全身からとてつもない怒気が発せられる。

 

「あ~、アリサちゃんたち終わったなぁ…な、フェイトちゃん?」

 

「うん…いくら操られてても、逆鱗にふれちゃったら…ねぇ?」

 

はやてさんとフェイトさんが半分諦めたように呟く。

 

「は、はやてさん…これはいったい?!」

 

「…なのはちゃんと良牙くんは5歳の頃出会ったきり、やっとつい最近再会して今ラブラブ状態なんやけど…」

 

「…その反動か、良牙の事を馬鹿にされるとぶちギレちゃうんだ…わたしたちは〈魔王降臨〉って呼んでる。」

 

…なっ?!

 

「…3人ともどうしちゃったのかなぁ…?わたしと良牙くんは運命のベストカップルなんだよ?…それを『魔法が使えない』?『ヘタレ』ぇ?!」

 

…なのはさんの顔から表情が消える…はっきりいって怖い。

 

「いくら3人とも彼氏がいないからってそんな言い方はないんじゃないかなぁ…どう思うすずかちゃん?」

 

「わ、わたしは言ってないよ?ねぇククリちゃん?」

 

「わたくしも言ってませんわ…アリサさんだけですわよ、おっしゃったのは…」

「ち、ちょっと2人ともずるくないっ?!わたしはただ…」

 

「…少し静かにするの。とりあえず3人とも…」

 

なのはさんは1度言葉を切り、そして…

 

「…少し、頭冷やそうか?」

 

「「「ひい~っ?!」」」」

 

だ、大丈夫なのかあの3人?

 

「…まぁなのはちゃんも殺しまではせんやろ。仕方ない、あっちの女の子たちはわたしとアインスで面倒みるわ。」

 

「テスタロッサは一夏たちと一緒に親玉を叩け!」

 

はやてさん、アインスさん…

 

『お別れはすんだのか一夏ちゃんよぉ?』

 

そのムカつく声は…とうとう現れやがったなクソ秋羅!

異空間の奥から現れたのは因縁の宿敵・織斑秋羅。そして…

 

「レヴィ…?」

 

秋羅に寄り添うように現れたのは、秋羅に拐われていたはずのレヴィの姿だった。

 

『あぁ、紹介がまだだったなぁ…おい、名乗ってやれよレヴィ?』

 

「はい、秋羅サマ♪…〈ワタシ〉の名前はレヴィ・ツェアシュテールング。秋羅サマにお仕えする破壊の使者だよ!…織斑一夏、大好きな秋羅サマのためにキミは〈ワタシ〉の手で殺してあげる♪…覚悟してね?」

 

…?!

 

…覚悟はしてたけど…

 

『ひゃ~はっはっはっはっ…どうだ一夏、愛しのレヴィちゃんを寝とられた気分…「黙れよ。」…あん?』

 

「黙れっていったんだよ!…みんな、レヴィは俺1人で相手する。みんなは秋羅を頼む!」

 

「うむ。…レヴィは任せたぞ、一夏。」

 

「必ず連れ帰りましょう!」

 

「頑張ってくださいっ!」

 

王様、シュテル、ユーリ…頼んだぜ!フェイトさんとユーノさんもお願いします!

 

「うん、任せて!」

 

「大丈夫。一夏こそ気をつけて!」

 

俺はレヴィの方を振り返ると…

 

「さぁレヴィ、かかってこいよ!たまには殴り合いの喧嘩もいーんじゃないか?」

 

「…キミらしいなぁ…いいよ、勝った方が正しいってことでいいんだよね?」

心底嬉しそうに笑みを浮かべながら応えたレヴィは右手にデバイスを具現化させる。…ツイン・ブレイバーって感じの双剣で色はどす黒い紫だ。

 

「この子はドゥンケルハイト。秋羅サマが〈ワタシ〉のために調整してくれた相棒だよ。」

 

…やっぱりバルニフィカスも弄られてたか…

 

「今の〈ワタシ〉はさいきょ~だよ?それでもやるの、一夏?」

 

「…あぁ!俺はお前に伝えたい事があるんだ。本当のお前…レヴィ・ラッセルにな!」

 

『ご主人たま、これを使って!』

 

頭の中にリヒトの声が響き俺の右手に一振りの日本刀が現れる。…なにか不思議な力を感じるな。

 

『その刀は〈神刀・蓮花〉…破邪の神刀だよ。その刀ならレヴィの身体と魂を支配してる闇の力にダメージを与えられる。』

 

マジか、それはありがてぇ!

 

「いくぜレヴィ!」

 

俺は蓮花を構え、レヴィとの〈最初で最後の真剣勝負〉を始めた。

 

NO SIDE

 

こうして一夏たちと秋羅軍の全面対決が始まった頃…

 

「リ、リナちゃん?!…いったい何が起こってるの?」

 

見詰めるシャマルが困惑している。

 

ナイトメアハートが放つ結界によりリナの身体に近づけないのだ。しかも…

 

「ぐっ…がはっ?!…まだまだぁ!」

 

時々寝言と共に全身に傷が現れる。恐らくナイトメアハートがなにかしているのだろうが…。

 

(…お願いだから無理はしちゃ駄目よリナちゃん、L様…)

 

今のシャマルに出来るのはただ祈るだけだった…

 




次回はリナ復活?!なんとかGW中には書きたいですね。


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コラボ編10 誕生!新たな修練闘士

GW中に書ききれなかった…本当にごめんなさい!


SIDE:リナ

 

「はぁ、はぁ…」

 

「…どうしたリナ?アンタの力はそんなものなのか?」

 

あまりの痛みに膝をついたあたしにエレの怒声がとぶ。

 

組手を始めてからもうどれくらいたったかわかんない…エレの放つ交殺法にあたしのダメージは蓄積してる。

 

「…まだまだぁ!」

 

あたしが気合いを入れ直すと全身の傷が消える。ここはあたしの精神世界、あたしが折れない限りは倒れることはない、はずなんだけど…?

 

(やば…回復が追いつかないっ?!)

 

確かに身体の傷は消えてるもんの、残っている疲労感、これって…

「…肉体の方にダメージが与えられてる…?」

 

「そうさ、言っただろ『魂を削る』って。今リナの魂と身体は同調してるからこの世界で受けたダメージはそのまんま身体に受けてる。一応ナイトメアハートがある程度〈回復/リカバリー〉を持続的にかけてるけど…」

 

…自慢じゃないがあたしはその手の呪文は得意じゃない。身体が受けているダメージに回復が追いつかない、ということか。

 

「…それに時間も迫ってる。戦いに参加するつもりなら次の組み手がラストチャンスだね。」

 

…もう時間?!あともうちょっとで完成するのに…

 

 

「ねえエレ…最後の組み手、アンタの最大奥義でお願い!」

あたしの提案にエレは一瞬驚いた表情を見せた後ニヤッと笑う。

 

「アンタならそう言うと思ったよ…でも失敗したら死ぬまでは行かなくてもしばらく寝たきりだよ…それでもいいのかい?」

 

「上等よっ!限界の向こうにしか成功は無い…そんな気がすんのよ、なんとなくだけどさ。」

 

それに必殺技覚えれなきゃなのはや一夏たちの足手まといにしかなんないしね。

 

「…判ったよリナ。それじゃあ構えな…最後の稽古だ!」

 

あたしとエレは互いに一礼を交わし構える。

 

「…クルダ交殺法・影技、エレ・ラグ…」

 

「…Stヒルデ魔法学院1年、逢魔リナ…」

『『参るっ!!』』

 

先に動いたのは…エレ!

 

「…我は無敵なり、我が影技に敵う者なし…」

 

エレの武技言語に反応して彼女の足に闘気が宿る…どうやら蹴り技みたいね。さあて、あたしも…

 

「…我が一撃は虚無なり、虚無の前には全ては無力…」

 

あたしは自分の知りうる最強の武器…前世のパートナーが、そして今は最愛の少年が持つあの剣をイメージし、足に力を籠める。

 

「…我が一撃は無敵なり!クルダ流交殺法・影門『最源流』死殺技…〈神音/カノン〉!!」

 

…? 何も出ない…いや、これは…振動波?!

 

あたしはエレに合わせるように…

「…虚無の力は烈光なり!…クルダ流交殺法・独門奥義…〈烈光剣/ゴルンノヴァ〉!!」

 

振り抜いた右脚は光と化し、エレの神音ごとエレを呑み込んだ!

 

「やったっ?!」

 

今のは手応えあった、これでダメなら…?!

 

「いちちちっ…いや~、今のは効いたぜ、リナ?」

 

爆風の中から現れたのはズタボロになったエレの姿。…決めきれなかった?!

 

「…いや、奥義ごと呑み込まれたんだからアタイの負けだよ。…これでアンタは今日から今世の初代修練闘士〈セヴァール〉だ。やったなリナ!」

 

勝った…なんとかなったみたいね。

 

「それにしても…なんだ今の技は?光の剣って感じだったけど。」

 

「あ~、それで大体あってるわよ。実際巷では光の剣で通ってるし。…さぁ、それじゃあ馬鹿転生者ぶっ飛ばしに行くとしますか!」

 

あたしは元の世界に戻ろうとする。

 

「あ、その前に…アンタの修練闘士としての字名考えたんだけど…聞いてくれないか?」

 

そう言うエレの姿が薄れていく。

 

「…近代クルダ流初代修練闘士・逢魔リナにこの名を贈る…汝が字名は〈虚無/エンプティネス〉也!」

 

虚無…うん、気に入ったわ。ありがと、エレ。

 

「そんじゃなリナ。必ず勝つんだぞ!」

当然!あたしはエレの差し出した拳と拳を重ねる。

 

次の瞬間、意識が反転して…

 

ガバッ!

 

「うわっ?!…リ、リナちゃんっ…目が覚めたのね!」

 

シャマル先生…ずっとついてくれてたんだ。

 

「シャマル先生…今何時なの?」

 

「え…あ、12時を回ってる…もう始まってるわね。」

 

それを聞いたあたしは立ち上がろうとしたが…

 

ズキッ!

 

「くっ…?!」

 

「無理しちゃダメよリナちゃん?!あなたが寝ている間に何をしてたのかは判らないけど…本当にいく気なの?」

 

心配そうな表情のシャマル先生。

「うん…大丈夫。魔法はまだ使えないけど、戦う事はできるから。だから…行くわ、なのはたちを助けに!」

 

シャマル先生はため息をつくとバリアジャケットを身に纏う。

 

「はぁ…わかりました。でもその前に…〈癒しの風〉!」

 

シャマル先生の治癒魔法であたしの傷や疲労が回復していく。

 

「これでよし…こんなことになるんじゃないかと思って、いつでも転送装置を使えるようにはしてあるわ。わたしも一緒にいくけど…いいわね?」

 

シャマル先生の言葉にあたしは頷いて立ち上がり…

 

「ナイトメアハート、オーバーソウルモード・リリース…フォーム・〈虚無/エンプティネス〉!」

新たな力であるバリアジャケットを展開する。

 

『準備は出来たみたいだね、リナ?』

 

うん。…力を貸してねエレ!

 

「さぁシャマル先生行きましょ、皆が待ってるわ!」

 

…待ってなさい織斑秋羅、アンタの陰謀は…叩き潰してやるわ!

 

NO SIDE

 

こうしてリナが目覚めた頃海上の結界内では一夏とレヴィが一騎討ちを繰り広げるなか…マテリアルズとフェイト、ユーノは思わぬ苦戦に追いやられていた。

 

SIDE:ディアーチェ

 

「…パイロシューター!」

 

「フォトンランサー!」

 

シュテルの誘導弾と黒ひよこ(フェイト)の直射弾が秋羅に襲いかかる。しかし…

バシュン!

 

『はっ!無駄無駄っ!そんなもん効かねぇよ!!』

 

いずれも命中する直前で消滅する…ええぃ、またか?!

 

戦闘開始から10分近く経過したが、いまだに我らの攻撃は当たっておらぬ。全て打ち消されてしまうのだ。

 

「エターナルセイバー!」

 

『無駄だって言ってるだろぅ?!』

 

ユーリの攻撃も片手をかざすだけで打ち消してしまう…こ奴、こんなに撃たれ強かったか?

 

ユーノが我に提案する。

 

「…これじゃ埒があかないね。ディアーチェ、僕とアメリアで斬り込むから牽制頼めるかな?」

 

…うむ、やってみるか。我は紫天の書を開き、デバイス・エルシニアクロイツを頭上に掲げる。

 

『我が敵を射抜く剣の兵よ 紫天の光の元 軍勢となりこの空を埋め尽くさん…剣兵召喚、乱数展開!』

 

我が詠唱に応え大量の黒き剣が展開する。

 

『…滅ぼせ、レギオン・オブ・ドゥーム・ブリンガー!』

 

無数の剣が秋羅に襲いかかると…秋羅は流石に打ち消し切れないのか手に漆黒の錫杖を具現化させ打ち払う。

 

「今だ!」

 

「いっけぇ~っ!」

 

すかさず左右からユーノとアメリアが襲い掛かる。

 

『はん、しゃらくせえ!』

 

しかし秋羅はユーノの剣戟は錫杖で受け止め、アメリアの拳を避けるとカウンターで膝を腹に合わせる。

「げふっ?!」

 

「アメリア?!」

 

「2人とも回避を…ディザスターヒート!」

 

それでも動きの止まった秋羅を狙ってシュテルが炎熱砲撃を放つ。

 

ドガァーン!

 

砲撃はあやつを直撃、爆炎があがる。

 

「やりましたか?」

 

「…いや、まだじゃ!」

 

我の声と同時に爆炎の中から無数の魔力弾が撒き散らされる。

 

「ちっ?!あれでも駄目か…?」

 

『ひゃ~あはっはっはっはっ…弱ぇ~なぁおい!』

 

爆炎が消え去り中から秋羅が現れる…何、無傷だと?!

 

「…不味いね、これは…」

ユーノの表情に焦りが見える。

 

確かにこのままではじり貧だな…じゃが!

 

「我々は負けるわけにはいきません…そうでしょうディアーチェ?」

 

「シュテル…あぁ、そうだな。」

 

クロハネや子鴉たちも頑張っておるのだ…やがて奴らや高町も合流すれば勝機も見える!

 

「仕方ない、もう一踏ん張りだのう…いけるかシュテル、ユーリ?」

 

「もちろんです、王。」

 

「一夏さんには負けてられませんっ!」

 

一夏のためにもここは譲れん…この塵芥は我々で食い止める!

 

SIDE:一夏

 

「いくよー…雷光閃・極光!」

「くっ…煌竜!」

 

レヴィはなんの躊躇いもなく剣戟を打ち込んでくるのを俺は蓮華で弾き返す。

 

『マスター、彼女の攻撃には非殺傷設定がかかっていません。直撃を喰らうと…』

 

白雪が分析結果を報告してくれる。…秋羅に操られてる時点で予測はしてたけど…

 

「ねぇ~一夏ぁ~、もっと遊ぼうよぉ~♪」

 

まるで子供のように甘えた口調で斬りかかってくるレヴィ。…でもその目は狂喜に満ちている。

 

リヒトは蓮華でダメージを与えれば…と言ってたけど、レヴィの剣戟が鋭すぎて飛び込めない。

 

(くそっ、何かいい手は…?)

 

その時…

 

ドガァーン!

 

な、なんだ今のは?…音のした方を見るとどうやらシュテルが砲撃魔法を使ったらしい。でも…

 

『ひゃ~あはっはっはっはっ!弱ぇ~なぁ、おい!』

 

…?! ディザスターヒートを喰らって無傷?!

 

ユーノさんや王様にも焦りの色が隠せない。

 

(…くそっ、こんな時あいつがいてくれたら…?)

 

その時頭に浮かんだのはここにはいないリナの姿。…あいつならこんな時…

 

『あ~、なにごちゃごちゃ言ってんのよ?!そんなもん、何も考えずにみんなまとめてぶっ飛ばせばいいのよ!』

 

…うん、リナならそう言うな。…そうだ、ユーノさんに教わったアレ…試してみるか?

俺はレヴィと距離を取ると自然体に構える。

 

「…お、なにするつもり一夏?」

 

「ま、見てなって…『右手に気、左手に魔力…反する力よ、合わさりて更なる力となれ!』…咸卦法!」

 

ゴウッ!

 

俺の魔力と気力が合成され俺の基本能力が底上げされる。さらに…

 

「…こりゃすげえや…シュテルがなのはさんに負けたわけだ。」

 

俺の姿は女性から本来の男性のものへと変わっていた。

 

ユーノさんの話では発動するだけで能力強化の他にも色々とオマケ効果があるとか言ってたけど…さすがユーノさん曰く〈究極技法/アルテマ・アート〉って言うだけあるわ。

「…一夏…うん、やっぱりそのほうがカッコいい!」

 

何故か敵であるレヴィが喜んでる…ま、悪い気はしないけどな。

 

「さぁ、楽しいパーティーの時間だぜレヴィ?…悪い夢は俺が醒まさせてやるよっ!」

 

 

「じょ~だんっ?!秋羅サマの為にも、一夏はボ…〈ワタシ〉が倒すっ!」

 

ん?今なにか違和感が…気のせいか。

 

俺は蓮華を構え直し、再びレヴィと合間見えるのだった…。

 

NO SIDE

 

その頃結界の外ではヴォルケンリッター&テスタロッサ一家とデーモン軍団の戦いが続いていた。

 

「「「サンダーレイジっ!!!」」」

プレシア、アリシア、リニスによるサンダーレイジの競演で数十体のレッサーデーモンが消滅する。

 

「駆けろ、隼っ!」

 

『シュトルムファルケン!』

 

シグナムの放つ剛弓が数体のブラスデーモンを射抜き…

 

「…鋼の…軛っ!」

 

「チェーンバインド!」

 

ザフィーラとアルフの獣人コンビが戦場を制圧する。しかし…?

 

「…くそっ、数が多すぎる!」

 

そう、彼女たちの倒した魔族の数はすでに1000を越えていた…だがその数は増える一方。その理由は…

 

『グガーゴゥ?!』

 

一際大きい蜘蛛型の魔物が次々とデーモンを産み出しているのだ。

「畜生…あれも秋羅って奴の力かよ?!」

 

ヴィータがグラーフアイゼンを振り回しながらぼやく。

 

「このままじゃ押し負ける…しかし…」

 

無論、シグナムたちも魔物を狙うのだが…デーモンが楯となって立ちはだかる上に、魔物が張る多重障壁に阻まれてしまっていた。

 

「…このまんまじゃ埒があかねぇ…一か八か突貫するっ!」

 

ヴィータはアイゼンをラケーテンフォームに切り替え魔物に突っ込もうとした。…その時!

 

『…クルダ流影技・重爪〈チェンソウ〉!』

 

突如空から舞い降りた何者かが多重障壁ごと魔物を蹴りで切り裂いた!

 

「い、今の声は…?」

 

「来るとは思ってたが…ナイスタイミングだぜ、全く…!」

 

「ふう…どーやら間に合ったみたいね。」

 

皆が見つめるその先にいたのは…新たな闘衣に身に纏った逢魔リナ、その人だった。




その頃のなのはさん。

…レイジングハートを頭上に掲げ魔力を集めるなのは。その見つめる先には…

「「「た、助けて…お願いプリーズ…」」」

既にボロボロの3人が仲良く?バインドでぐるぐる巻きにされていた。

「…さぁ、覚悟はできた?受けてみて、これがわたしの全力全壊!」

『星光集束斬〈スターライトブレイカー〉!』

…その後桜色のぶっとい砲撃を受けた3人は…言うまでもないか。

予定ではコラボ編はあと2~3回、がんばります!


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コラボ編11 取り戻した絆…そして愛

投稿が遅れてすいません。リアルが忙しくて…


それでは本編どうぞ。


NO SIDE

 

修行を終え新たな力を得たリナはシャマルと共に一夏たちの戦う戦場に参戦する。

 

SIDE:リナ

 

ふう…どーやらナイスタイミングだったかな?

 

でも、魔族が出てきたってことは…やっぱり黒幕はアイツか…はぁ。

 

「それにしても…こいつら、リナの元いた世界の魔物だろ?こないだの覇王みたいな奴がまだいるのかよっ?!」

 

「えぇ…とあるところの情報が正しいなら…覇王の100倍は鬱陶しい相手よ。まだ確定はしてないけど…」

 

まったく…前世でL様が存在ごと消滅させたはずなんだけどどうして蘇ったんだろう?

 

「それよりリナさん、貴女魔法が使えないはずなのにどうして空を…」

 

…あ~…

 

「この状態…〈オーバーソウル〉モードっていうらしいんだけど、自然治癒力が上がってるらしくてさ、翔封界[レイ・ウイング]ぐらいだったらなんとか使えるぐらいには回復したわ。」

 

それでも今回は攻撃呪文は使えないだろうけどね。

 

「ま、今回はこのモード・セヴァールで…『修練闘士だとっ?』」

 

な、なによザフィーラいきなり…?

 

「修練闘士と言えば古代ベルカの闘士の中でも最強の称号。それをリナ、お前が…?!」

 

そっか、ザフィーラたちヴォルケンリッターも古代ベルカの人間(?)だっけ。

「ま、その話はまた後でね。今はあの馬鹿転生者からレヴィを取り返すのが先決よ。一夏たちは…あの先ね。」

 

あたしは次元の歪みに視線を移す。

 

「あたしとシャマル先生は一夏たちの援軍に廻るわ。みんなはこのままデーモンを殲滅して!」

 

「あぁ、わかっ…」

 

『星光集束斬[スターライトブレイカー]!』

 

「「「みぎゃ~ぁっ?!」」」

 

…今の断末魔は…(汗)

 

あたしとシャマル先生は頷きあうとデーモンたちの攻撃をかいくぐり次元の歪みに突入すると、そこにいたのは…

 

 

「「「ち~ん…」」」」

 

予想通りなのはにKOされたアリサたち3人の姿だった。

 

「あ~あ…なのは、それぐらいにしてあげたら?」

 

「あ、リナちゃん!…身体は大丈夫なの?」

 

あたしが声をかけると気がついたなのははこっちに寄ってきた。

 

「ん。…心配かけてごめんね。…それよりあの子たちこそ大丈夫なの?」

 

シャマル先生が3人を治療するのを見ながら、あたしはなのはに尋ねる。

 

「うん、問題はないはずだよ?…たぶん。」

 

たぶんって(汗)…まぁいいか。

 

 

「…アリサちゃんたちは大丈夫、だいぶ精神は衰弱してるけど命に別状はないわ。3人はわたしに任せてリナちゃんとなのはちゃんは一夏くんたちを!」

「うん、わかったの!…ところでリナちゃん、そのバリアジャケットって…?」

 

 

「これはあたしの秘密兵器。今回は魔法はほとんど使えないからこれで秋羅の奴をぶん殴るわ!」

 

「…それってわたしの〈早乙女〉と同じ格闘モードだよね?リナちゃん今度一槍、お願いできないかな?…ダメ?」

 

 

そういうなのはの瞳は…断れないわね、これは。

 

「…そういや…なのはとはまだやってなかったよね、『本気の全力全壊勝負』?…わかった、卒業までに必ずやりましょ。」

 

「本当に?約束だよ!」

 

心底嬉しそうに頷くなのは。…いつからこの子こんな戦闘狂に…?(汗)ま、それは後の話ね。今は秋羅をしばいてレヴィを取り返す、全てはそれからよ!

 

NO SIDE

 

その頃秋羅とマテリアルズの闘いはお互いに均衡状態であった。

 

一方的に攻めているディアーチェたちだったが、秋羅の絶対防御の前に攻撃が通らない。

 

その上、秋羅が素振りばかりで攻撃してこない為にむしろ精神的に追い詰められつつあった…。

 

SIDE:ディアーチェ

 

「ブラストファイアー!」

 

「無駄だっていってんだろうが!」

 

シュテルの放った炎熱砲は秋羅の錫杖で打ち払われる…ええい、またか?!

 

「はぁ、はぁ…なんなのあれ…AMF[アンチ・マギカ・フィールド]?」

 

フェイトの疑問に答えたのはユーノ。

 

「いや、AMFは一定範囲に効果を発揮するけどあれは呪文に応じて無効化させてるみたいだね。…それに僕やアメリア、フェイトの近接攻撃は普通に防いでる。」

 

…確かに。ならば…?

 

「ユーノ、アメリアと黒ひよこで近接攻撃で牽制し、我等で多方向から強力な砲撃をぶちこむ…しかないな。」

 

「そうだね。それじゃアメリア、フェイト…いくよ!」

 

 

「うん!」「任せて下さい!」

 

ユーノたちは秋羅の懐に飛び込んで剣戟を繰り広げる。秋羅も流石に3対1、簡単にはいかぬらしく動きを止めて対応する。

 

 

「王、今こそ好機かと。」

「うむ。…いくぞシュテル!」

 

我とシュテルは秋羅を囲むように陣取ると、それぞれ魔力を集束しはじめる。そして…

 

「集え明星(あけほし)、全てを焼き消す炎となれ!…ルシフェリオン・ブレイカー!」

 

まずはシュテルの炎熱集束砲が秋羅を襲う。

 

「はっ、諦めの悪いやつらだな!そんな技効かないって…うおっ?!」

 

シュテルの炎熱砲は秋羅の目前で防御されてはいるもののダメージを与えている…

 

「やはり一定の魔力ダメージを無効化させるバリア…ならばそれ以上の威力ならば!」

 

我は魔力を充填させ前方に魔法陣を展開させる。

「絶望に足掻け塵芥…喰らえ、エクスカリバー!」

 

詠唱に応えるように魔法陣から発生した3本の光が集束砲撃となる。

 

秋羅は防御しようとするが…

 

「…?!」

 

ドッカーン!

 

限界を越えた攻撃を無効化できず2人の集束砲が直撃、大爆発を起こす。

 

爆炎が立ち上る中、ユーノが近寄ってくる。

 

「やった…かな?」

 

「…多分、な。というかこれで決まらんなら…」

 

そう呟いた次の瞬間…

 

『いってえーじゃねえかよ?!…これはお返しだ!』

 

異質な声と共に超高速の魔法弾が無数に我等に降り注ぐ。不味い、これは避けれん?!

「ディアーチェ?!…貴女方は私が護ります!インペリアルガードっ!!」

 

ユーリの魄翼が我等を包み込むように拡がり魔力弾を防ぐ。しかし…

 

「ううっ…ダメですぅ?!」

 

何、ユーリの魄翼を貫いただと?魔力弾はそのまま無情にも我等にダメージを与える。

 

「くっ…大丈夫か皆?!」

 

廻りを見渡すと皆一様にダメージを喰らっておる…特に我等を庇ったユーリは魄翼がズタズタになっておる。

 

「すまぬユーリ…しかしあやつあの攻撃に耐え…な、なんだと?あれはまさか…?!」

 

爆炎が消えた後現れた物…それはまるで悪魔のような姿へと変貌した秋羅だった。

「あやつ…とうとう人間辞めおったか…」

 

悪態をついてはみたが…状況は最悪以外の何者でもない。

 

「はい…皆少なからず傷を負ってますし、わたしや王の魔力も心許ないです。何よりユーリの傷が心配です…まさか魄翼があそこまで…」

 

…確かにユーリがあそこまでやられたのは誤算であったわ…

 

「まさかこの姿になるとは思わなかったぜ?だがもうお前らに勝ち目はねぇ…おとなしくやられちまいな?ひゃ~っはっはっはっはっ!」

 

下卑た高笑いと共に再び現れる無数の魔力弾…これは不味いな。

 

「さぁ…これで終いだ…くたばれぇ!」

 

(くっ…せめてユーリとシュテルだけは…)

我は皆の前に立ちはだかり盾になる。その時…

 

 

「「そうはさせない(わ)!!…」」

 

我等の目前に桜色と翠色の魔力壁が発生し攻撃を防ぐ。

 

「なのはとシャマルか?!」

 

言葉に応えるようになのはとシャマルが現れる。

 

「シャマル先生、皆の治療を!…ここはわたしたちで!!」

 

…無謀だ、たった一人で相手できるほどこやつは…ん、「わたしたち」?

 

「…喰らいなさい、クルダ流交殺法影技・裂破(レイピア)!」

 

突如天上から閃光が秋羅を襲い、それを避けたように見えたその時…

 

「ぐぅお~っ?!」

な、あやつの右手が肩口から消し飛んだだと?…それに今の声、まさか貴様か…リナっ?!

 

「おっまたせ~っ!…主人公は最後に登場って決まってんのよ!!」

 

そう言って我等の前にそびえ立ったのは、見たこともない格闘衣を身に纏った逢魔リナ。

 

「みんな酷い傷…すぐに治療するわ、癒しの風!」

 

湖の騎士の回復呪文で我等の傷が瞬時に癒されていく。

 

「おいおい…せっかくここまで追い込んだのに最初からってやり過ぎじゃね~のか、〈正義の味方〉のリナさんよぉ?!」

 

秋羅はぼやきながらも吹き飛んだ右腕を再生させる。…貴様も大概だと思うがな?

「じゃかましいこのド変態転生者!…言っとくけど、あたしは正義の味方なんかじゃない。あたしはただあんたみたいな他人の力借りて威張ってる奴が赦せないだけよ…と言うわけで、今からあんたをボッコボコにするから覚悟なさい!」

 

リナたちは改めて構えをとる。

 

「どうやら終わりが近いみたいですね、王。」

 

「あぁ…これであやつらが…ん?」

 

「王様~、無事やったか?」

 

更に駆けつけたのは子鴉とクロハネ。これなら我等の出番は…ふむ?

 

「おい、子鴉…そのチビスケとのユニゾンを解け。代わりに我が力を貸してやる。…不本意ながらな。」

「ほぇ…なんでや王様?シャマルの回復だけじゃ足らなんだ?!」

 

「いや、我とシュテルはさっきの集束砲撃で魔力が不足しておる。其れならばオリジナルである貴様らとユニゾンをしてみるのも一興かと思うての…どうじゃ?」

 

「それは名案です、ディアーチェ。世界は違えど、貴女やなのははわたしたちのオリジナルなのですから適合率は100%…まさしく最強かと。」

 

「そやな…リイン、ユニゾンアウト。皆の援護を頼むわ。」

 

「はいです、マイスターはやて!」

 

子鴉はチビスケとの融合を解除すると我と手を繋ぐ。

 

「さぁいくぞ…『夜天と紫天、2つの力今ここに!…ロード・ディアーチェ、ユニゾン・イン!』」

次の瞬間、我の姿は溶け紫の光となって子鴉を包み込む。子鴉…そしてリナ、一夏とレヴィは任せたぞ!

 

NO SIDE

 

紫の光を取り込んだはやて…その姿は一変していた。

 

被っていた帽子は無くなり、髪の毛は毛先にディアーチェと同じ銀色のメッシュ…瞳も左目が翠色のオッドアイに変化する。

 

更に騎士服も白の部分が紫になりその背中には白と黒の3対6枚の翼…その姿は神々しささえ感じられる。

 

「すごい…こんなのアインスとユニゾンした時以来や…王様、ありがとな♪」

 

『礼ならあやつをぶちのめしてからにしろ。それとシュテル…』

 

「心得ております王。…さぁなのは、あなたもわたしの力を。『聖星と明星、2つの力今ここに!シュテル・ザ・デストラクター…ユニゾン・イン!』」

 

シュテルもまた深紅の光となりなのはの身体に。

 

髪の毛は淡いアッシュブロンドにツインテールの先が赤いメッシュ、瞳は赤と蒼のオッドアイ。

 

バリアジャケットの青の部分が深紅に変わり、レイジングハートも焔を纏っている。

 

「うわぁ…フルドライブとはまた違う感じだね、レイジングハート?」

 

『そうですね…フルドライブが貴女の力の底上げならこれは上乗せ…と言ったところでしょうか。』

 

新たな力を得たなのはとはやて。そして…

「ちょっと、あたしを忘れるんじゃないわよ!…さぁ覚悟しなさい秋羅!もうあんたの時間は終わり。たぶんそろそろ一夏の方も…ま、あっちが終わるまでは遊んであげるわ、さっさとかかって来なさい!」

 

リナが秋羅に向かって手招き、挑発する。

 

「ち、畜生…ふざけやがってっ?!俺は最強の存在、てめえらこそ皆殺しだぁ!」

 

いよいよ闘いは最終局面を迎え…

 

SIDE:一夏

 

〈推奨BGM:rainbow flower〉

 

俺とレヴィはいつ果てるとも判らない剣戟を繰り広げていた。

 

「…どうしたレヴィ、息があがってんぞ?!」

「そういう一夏こそ…振りが鈍くないっ?!」

 

楽しそうに攻撃をしてくるレヴィ…正直いつもと何も変わりがないように感じてしまう。

 

「はははっ…やっぱり一夏といると楽しいや。…なのに、どうしてこんなことに…?」

 

レヴィ?…もしかしてお前…

 

「ボク、こんなことしたくない!でも…ボクの中にいる〈ワタシ〉が『一夏を殺せ』って…一夏を殺すぐらいならボクは…グスッ…」

 

…やっぱり本来の意識を取り戻しかけてるんだな…それなら!

 

「それ以上言わなくていいレヴィ。」

 

「ほぇ?」

 

一瞬呆けたレヴィの一撃を受け流すと、俺は間合いを開ける。

 

「いいかレヴィ、よく聞けよ?…一度しかいわないからな?!」

 

俺は構えを解くと言葉を続ける。

 

「レヴィ、お前は俺にとって〈恩人〉で、〈仲間〉で、〈家族〉で…そして…誰よりも大切な………俺の恋人だぁぁっ!」

 

「…!!!」

 

「だからかつてお前が俺を助けてくれたみたいに、今度は俺がお前を助けてやる!」

 

「いち…かぁ…」

 

「たとえ世界中の誰もがお前を見棄てても、俺が選ぶのはお前だけだ…レヴィ、俺はお前が…好きだ、大好きだぁぁっ!」

 

…言ってしまった。だが後悔はない。そう思いレヴィを見ると…涙?

「一夏が…一夏が言ってくれた…ボクの事を大好きだって…嬉しいよぉぉっ!」

 

その時、レヴィの胸から禍々しい黒い結晶が…あれはまさかレリック?…と言うことは!

 

「白雪、レストリックロック!」

 

『はい、マスター!』

 

発動した捕縛の輪はレヴィを締め付ける。

 

「…レヴィ、ほんの少しだけ痛いの我慢できるか?」

 

「はは、まるでにゃのはだねそれ…大丈夫、我慢する。それより早く!」

 

レヴィの身体は自分の意思に反してバインドをほどこうと目論んでる。

 

「ナハト、蓮華の力を最大限のフルパワーだ。ユーノさん…あなたの技お借りします!」

 

俺は蓮華を振りかぶると呪文の詠唱を開始する。

 

『黄昏よりも暗きもの 血の流れよりも紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに闇に誓わん…』

 

ブシュッ!

 

くっ?!…やっぱりスイーフィード式は相性あってないみたいだな。

 

「一夏っ?!」

 

大丈夫だレヴィ…俺はお前の為ならなんにだって耐えて見せる!

 

『…我等が前に立ち塞がりし 全ての愚かなりしものに 我と汝が力持て 等しく滅びを与えん事を!』…砕け散れ、闇の呪縛!

 

「竜破斬剣・終の太刀!」

 

ズガガガガッ!

 

蓮華から放たれた紅い剣撃は一直線にレヴィの胸にあるレリック(?)を直撃、結晶は次第にひび割れそして…

 

ドッカーン!

 

大爆発と共に爆煙が辺りを立ち込め、視界を遮る。

 

「レヴィ、大丈…」

 

「ボクは平気だよ…」

 

煙の中から現れたレヴィはぼろぼろになりながらもゆっくりとこちらに歩いてきた。

 

「…ヴィヴィオだって自分で立てたんだから…ボクの方がお姉さんなんだぞ?」

 

目の前でよろけたレヴィを俺は抱き締めてやる。そして、口づけを交わした。

 

「あ…一夏…あふんっ?!」

 

「悪いなレヴィ、今まで言えなくて…お帰り、レヴィ。」

 

「…うん…ただいま、一夏♪」

 




やっと次回でバトルが終わりそうです(安堵)。

エピローグ含めコラボ編もあと2回、頑張ります!


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コラボ編12 秋羅の真実…そして終焉の時

コラボ編もいよいよ大詰めです。なんとか5月中に終わるかな…?


NO SIDE

 

壮絶な戦い(と愛の告白)の末、レヴィを奪還する事に成功した一夏。

 

しかし、攻撃の余波によりレヴィはかなりのダメージを負ってしまった。

 

SIDE:一夏

 

「あいたたっ…?!」

 

「大丈夫かレヴィ?…ごめんな、手加減出来なくて。」

 

謝る俺にレヴィは大きく横に首を振る。

 

「ううん、一夏は悪くないよ?だけど…この身体じゃ秋羅のヤツぶん殴るのは難しいかなぁ?」

 

 

…確かに。俺の竜破斬剣・終の太刀を喰らって立ってるだけでも奇跡的だからな。

 

『ご主人たま、あたしをユニゾンアウトして!』

頭の中にユニゾン中のマテリアル、リヒトの声が響く。

 

『リヒト、どうした?』

 

『ご主人たま、あたしはマテリアルだからご主人たまだけじゃなくレヴィや王様、シュテル、ユーリともユニゾンできるんだ。だから…』

 

…!そうか、そういうことかっ!

 

「よしリヒト、ユニゾンアウトだ!」

 

俺の言葉に反応したリヒトが融合を解き、姿を顕す。

 

「それじゃリヒト、レヴィをよろしく頼むな?」

 

「了解しましたご主人たま!そんじゃいくよ…ユニゾン・イン!」

 

リヒトは翠色の光と化すとレヴィの胸へと吸い込まれ…

 

「うぉ~っ?!みなぎるぞパワーっ!」

 

レヴィのバリアジャケットが白っぽい翠に変わり、デバイスは…やはり翠色のライオットスタイル。ただ形状はサンドロック改のショーテル…って言ったらわかって貰えるのか?

 

「すごいよリヒたん!これならあの馬鹿ぶっ飛ばせるよっ!」

 

『あは、リヒたんかぁ…ま、それもいいかな。とにかくあたしとユニゾンしたらオリジナルの影響受けちゃうからね?ま、今回は気にしなくてもいいけど。」

 

当然っ!あのアホ秋羅なんぞぶっ飛ばしてなんぼだっ!

 

『それじゃ早速行こうかご主人たま?…多分オリジナルも来てるっぽいよ?』

 

…え、リナも来てるのか?…あいつ確か魔法使えないんじゃ…でも、あいつにはL様がついてるからなぁ~っ?

 

『なんかご主人たまを待ってるみたいだよ?』

 

「…ゲ、マジか…そんじゃ待たせるのもなんだし、行くとするかレヴィ?」

 

「うん、一夏!…腕組んでも、いい?」

 

…う~ん、本来は真剣な場なんだけどなぁ…特別だぞ?

 

「うん、ありがと♪そんじゃアホ秋羅をぶっ飛ばすぞ~っ!」

 

ふとレヴィの方を見ると…レヴィは顔を赤らめ俯いてしまう。

 

なんでだろ、無性にレヴィが可愛く見える。

 

「今度こそあの腐れ馬鹿、完全消滅させてやる!…いくぞ、レヴィ!!」

 

「うん!…一夏と一緒だったら何も怖くないよっ!」

 

俺とレヴィは手を繋ぐと物凄く騒がしい音のする方へ向かった。すると…

 

「へへん、どうしたのよ秋羅…そんなんじゃいつまでたっても当たんないわよ?」

 

「ち、ちくしょう…なんで攻撃が当たらねぇ?俺は世界最強のそんざ…」

 

「あんたなんか1万人の中にも入らないわよっ!…あたしだってトップ100に入らないんだから。」

 

そこでは格闘家の格好をしたリナが秋羅を子供扱いにしていた。

 

「…あ、一夏にレヴィ!よかった、無事助けだせたのね!」

 

「ああ、なんとかな…それよりリナ、お前で100傑に入らないなんて…嘘だろ?」

あの強さでそれは無いだろ…

 

「あ~、あたしの強さってL様があってのことだからね~?…ま、故郷の姉ちゃんみたいな化け物もたくさんいるし(汗)。」

 

マジか…前々から聞きたかったんだけど、前世のお前の姉ちゃんって…?

 

「それは聞かない約束よ一夏…ま、ぶっちゃけ言うとプラズマ・ドラゴンぐらいだったら包丁で倒しちゃうし、上位魔族の呪力結界程度だったら素手で破っちゃうような人だから…はぁ、赤の竜神の騎士〈スィーフィード・ナイト〉の名は伊達じゃないわ全く。」

 

…それ人間かぁ?…駄目だ、考えないようにしよう。うん、そうしよう。

 

「てめぇ一夏にレヴィ?!…馬鹿な、あの呪いを破ったっていうのか?」

 

あいにくだな秋羅…俺とレヴィの絆はあんなちんけな呪いなんかじゃ縛れない!

「…ってか、もうばらしていいかな~っ秋羅、お前のホントの名前!」

 

「…………?!…ば、馬鹿やめろっ!それだけは止めて…」

 

レヴィの言葉に狼狽える秋羅。そういやコイツ転生する前の名前ってあるはずだよな…なんでレヴィがそれ知ってんだ?

 

「んっとね…ほら、操られてる時に一時魂を共有されてたからさぁ…」

 

なるほど。よしレヴィ俺が許す、教えろよこの馬鹿の真の名前を…!

 

「んっふっふ~、りょ~かい一夏!…この秋羅のホントの名前は…〈山田権兵衛/やまだごんのひょうえ〉だよ~っ!」

やまだ…ごんのひょうえ…だとっ?別に男らしい良い名前なんじゃ…

 

「何いってやがるっ?!こんなダサい名前のおかげで俺の前世は最悪だったんだよっ!誰も俺を認めねぇ、一念発起して告白した女には『あんたみたいなグズとは付き合えない』って言われる始末…転生してやっと主役の座を手にしたと思ったらグズのはずの一夏が俺よりチートの上にモテモテなんて…そんな不条理あってたま…」

 

「「不条理なのはお前だ(アンタよ)っ!!」」

 

ゴキッ!

 

秋羅の正面からリナのシャイニング・ウィザードが秋羅の顔面を、背後から俺のキンシャサ・ストライクが秋羅の延髄をダブルクリティカルヒット!

 

「…いって~じゃねえか?!不意討ちなんて卑怯じゃねえのかよ一夏ぁっ!」

「てめぇみたいなやつに言われたかねーよっ!…それよりてめぇ、なんで首こっち向いてんだ?」

 

…そう、秋羅の首は背後の俺の方を向いていた。…どうやら本気で人間辞めたみたいだな。

 

「…まぁイイサ…コンナおもイドウりにナラナイ世界…潰してヤルヨ!」

 

そう叫んだ次の瞬間、秋羅の体は何十倍に膨れ上がり…異形の姿を顕す。

 

「フヒャハハハハッ…ドウダ、コレガオレノホントウノチカラダッ!」

 

 

え、嘘だろ…まさか、まさか…

 

「ナハトヴァールって、どんだけワンパターンなんだよてめぇはよ!」

 

「全く…この面子の前でその姿をさらすなんて、自殺行為よ?」

 

いくらナハトヴァールが強いとしても、俺たちには遠く及ばない…それを今から証明してやる!

 

「…さぁ、いよいよラストスパートや!」

 

「リイン、私とユニゾンだ…いけるな?」

 

「はいです、お姉ちゃん!」

 

アインスさんはリインとユニゾンし本来の力を取り戻す。更に…

 

「なはと、お前も頼むぞ!」

 

『キュイ♪』

 

なはとはアインスさんの左腕にパイルバンカーとして装備され、右手には黒い魔剣が具現化する。

 

『真なる祝福の風、今ここに!…紛い物の闇よ、必ず滅してやる!』

 

うわ、すごい迫力…アインスさんも本気だな。

それによく見るとはやてさんとなのはさん…それってまさか、王様とシュテルか?!

 

『ふっ、やっと気付きおったか一夏?』

 

『レヴィも無事でなによりです。』

 

そうか、オリジナルの2人となら融合率は完璧だからな。

 

「わたしたちも忘れないで!」

 

「悪は全力で滅します!」

 

フェイトさん、アメリア…

 

「さぁ、化け物退治だよ一夏!」

 

「バカはボクが千枚切りにしてやる、覚悟しろーっ!」

 

ユーノさん、レヴィ…

 

「さ、ちゃっちゃといこか?!」

「勘違い転生者にはお仕置きなの!」

 

「秋羅…いや、山田権兵衛!アンタの下らない野望、ここで終わらせてあげる!行くわよ一夏!」

 

リナ…あぁ、コイツとの宿因はここで終わらせるぜ!

 

NO SIDE

 

〈推奨BGM:Sleyers 4 the futers (with 一夏&マテリアルズ)〉

 

最後の激戦の幕開けは秋羅の魔力弾乱射から始まった。

 

「ミンナフットビヤガレェーッ!」

 

しかし、最強の力を得たリナや一夏たちにその程度の攻撃など通用する訳もなく、軽々と回避していく。そして…

 

「我々で斬り込むぞアメリア!」

「はい、アインスさん!」

 

切り込み隊長をアインスとアメリアの夜天コンビ。

 

「切り裂け…紫電一閃!」

 

「ぶち抜け、ジャスティス・シュラーク!」

 

アインスが襲いかかる触手を切り払い、空いた懐に飛び込んだアメリアが土手っ腹に言葉通りの正義の鉄槌をぶちこむ。

 

「ゲフッ?!マダマダコンナモンジャヤラレハ…?」

 

「じゃ、こんなのはどう?ジェットザンバー!」

 

「僕もいくよ…魔を絶つ太刀…斬魔剣・極の太刀!」

 

 

続けて放たれたフェイトとユーノの斬撃は秋羅ヴァールの足を全て薙ぎ払いその動きを封じる。

「まだまだいくで…なのはちゃん!」

 

「うん、はやてちゃん!」

 

更に自らのマテリアルの力を得たなのはとはやてが魔力をチャージしていた。

 

『我の呪文を使うがよい子鴉!…吠えよ巨獣、ジャガーノート!』

 

まずは、はやてがディアーチェの必殺技・ジャガーノートを放ちさらに…

 

「シュテルちゃんの力、貸してもらうね!光と炎、双つの星が闇を穿つ…いっけ~っ、エクセリオン・ディザスター・A.C.S!」

 

なのはがレイジングハートに炎を纏わせ突撃、前面装甲を破壊する。

 

「ソ、ソンナ…ナンデコンナ…オレハサイキョウノハ…」

 

「そんなこともわかんないの?…だからアンタはダメなのよ!」

 

「ナン…ダト?!」

 

思わずぼやいた秋羅に辛辣な言葉を返すリナ。

 

「いくらアンタが強い力を持ってたって、頼るべき仲間も愛すべき大切な人もいないんじゃ宝の持ち腐れ…最後の忠告よ、大人しく負けを認めなさい?」

 

「…フザケルナァ!オレガホシイノハチカラトサカワラナイシモベダケダァ!」

 

「…処置なしだなこりゃ…仕方ねぇ、最期はできるだけ苦しまねぇように消し去ってやるよ。…いくぜみんなっ!」

 

一夏の声に従うように全員が秋羅の周りを包囲するように展開する。

SIDE:リナ

 

あ~、予想はしてたけどやっぱり認めなかったか、自分の弱さ。

 

ま、それができるならとっくの昔に改心してるってか。

 

「これで決めるわよ!見せてよね、みんなの全力全壊!」

 

「あぁ!愚者よ闇に沈め!…」

 

「…愛と、勇気と、希望の力を今ここに…お願い、ウィングクリス!」

 

おいこらまてアメリア!アンタまたあの赤ずきんネタかいっ!

 

「これで終わらせる…雷光一閃!」

 

「永久にさよならや…響け、終焉の笛!」

 

まずは第1陣のメンバーの攻撃ね…それじゃ、いっちゃって!

 

「…ディアボリック・エミッション!」

 

「…バーニング・フラーッシュ!」

 

「…プラズマザンバー!」

 

「ラグナロク!」

 

アインスの広域魔法、アメリアの不死鳥、そしてフェイトとはやての集束砲撃が秋羅ヴァールの装甲を剥ぎ取っていく。

 

「アガガガガ………?!」

 

「まだまだ!…君の輪廻、ここで断ち切ってやる!」

 

「覚悟するの!…全力全壊・轟熱滅砕!!」

 

さらに弱った秋羅にユーノとなのはが近寄る。

 

「…天剣一刀・超雲切!」

 

「…炎聖王集束斬〈ブレイズ・スターライトブレイカー!〉」

ユーノが秋羅の本体を切り離し、残った部分はなのはが至近距離からの炎熱集束砲撃で焼き尽くす。

 

「バカナ…ソンナバカナ…オレハ…?!」

 

もはや秋羅は上半身のみ、抵抗などできるはずもない。

 

「覚悟はいいか、秋羅…いや山田権兵衛?決めるぜリナ、レヴィ!!」

 

「…さよならごんのひょうえ~!」

 

「最期の一撃よ、観念しなさい!」

 

あたしと一夏、レヴィはそれぞれ構える。そして…

 

「轟雷爆殺!…雷神滅殺・きょっこうざ~んっ!!」

 

「あばよ権兵衛…我流・撃槍砲雷…絶槍!!」

 

レヴィの集束砲撃、そして究極形態のエクスドライブ(XD)モードに変化した一夏の雷撃が秋羅…いや、権兵衛を撃ち抜く。

「ウギャァァ~ッ?!」

 

「止めは頼んだぜリナ!」

 

りょ~かいっ!あたしは魔力と気力の全てを右脚に込め、武技言語を発動させる。

 

『我が力は虚無なり、虚無の前では全ては無力…虚無の力は烈光なり!』

 

さぁ、久遠の彼方へ消え去れ、権兵衛!

 

『クルダ流交殺法・独門奥義…烈光剣・神殺〈ゴルンノヴァ・カオス〉!』

 

ズッカーンッ!

 

あたしの放った蹴りは極太の光の帯となって権兵衛に激突!

 

「ソ、ソンナ…オレハサイキョウノハ…」

 

バシュン!

 

権兵衛…いや、最期くらい秋羅って言ってやるか。

 

秋羅の身体は消滅し、後に残されたのは黒い宝珠(オーブ)。

 

「…どーやらこれがあいつの正体みたいね。一夏、これはあんたに預けとくわ。どーせまたやんでしょ、粛清?」

 

「あぁ!今度こそは完全に消し去ってやるぜ!…リナも手伝ってくれるんだろ?」

 

仕方ないわね…ま、乗りかかった船だしね。

 

「ユーノ、あんたも手伝いなさい。」

 

「うん。僕でよければ手伝うよ。」

 

「それじゃそろそろ帰ろうか?みんなぼろぼろだし。」

 

なのはの声にみんな頷く。

 

…こうして後に「P・M(パラレル・ミッドチルダ)事件」と呼ばれた出来事は終わりを迎えた。

 

まだ全てが解決した訳じゃないけど、あともう少し一夏たちと遊ぶとしますか。

 

 




はい、事件は無事終わりました。

次回は後日譚、エピローグです。

ご感想やご指摘、評価などよろしくお願いします!

あと、活動報告にてリリカルすれいや~ず!のキャラクター人気投票始めました。皆様のご参加、お待ちしています!


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コラボ編エピローグ いつかどこかで

よ、ようやくコラボ編の終わり…淋しさ半分、嬉しさ半分です。

それではエピローグ、お楽しみいただけたら幸いです。


SIDE:一夏

 

突如現れた次元の穴に吸い込まれた俺とレヴィ、王様、シュテル、ユーリは平行世界のミッドチルダへと飛ばされ、そこで以前知り合った魔導師・逢魔リナと八神アメリアと再会する。

 

彼女らの通うSt.ヒルデ魔法学院は学院祭の真っ最中、俺たちも楽しむ事にしたんだけど…

 

そこに現れたのは俺の兄貴に成り済ました上、数々の騒動を巻き起こした 変態転生者・織斑秋羅だった。

 

秋羅は拐ったアリサさんやすずかさん達を洗脳、手駒にしてリナとレヴィを襲う。

 

その結果リナは魔法を封じられレヴィは秋羅に拐われ洗脳されてしまった。

 

だけど2つのミッドチルダの総力を合わせた戦いはほんの少しの苦戦をしながらも、秋羅はフルボッコ。

そして俺は…遂にレヴィに想いを伝え、レヴィもそれを受け入れてくれた。

 

 

 

という訳で俺たちは、学院祭の最終日を満喫している最中なんだが…

 

「…いいのかリナ、お店ほったらかしにして?」

 

「大丈夫よ。アリサやすずかたちに任せてきたから。あの子達のせいで苦労したんだから…罰よ。」

 

…容赦ねぇなおい?!一応あの人達も被害者だぞ?

 

「それにこっちはこっちで大変なんだから…一夏、あんたたちも頼むわよ?」

 

そう言ってリナが見上げた先、そこには…

 

『チャリティーコンサート in St.ヒルデ魔法学院』

「…有志が集まって恵まれない子供のためにコンサートするんだ。一夏とレヴィには例のアレで参加してもらうわ。」

 

アレって…ツヴァイウイングか!よ~し、やるかレヴィ…いや、『翼』?!

 

「もちろんだよ一夏…じゃなかった、『奏』!…ところでリナリナは何歌うの?」

 

レヴィの質問にニヤッと笑みを浮かべるリナ。…こいつ、なんか企んでやがるな絶対。

 

「ふっふ~ん、それはな・い・しょ。それと一夏、あんたに歌ってほしい歌があんのよ。…これなんだけど。」

 

歌ってほしい歌?どれどれ…ぶっ?!

 

「ま、マジかよリナ?!これって…企画ものだろっ?」

「そん時はあたしと良牙となのはも一緒よ。コンサートには笑いもなくっちゃね。」

 

ぐうぅっ…し、仕方ねぇ、リナたちには迷惑かけたしな。

 

「そろそろ開演や。初っぱなは誰やったっけ?」

 

「わたしとシュテルちゃん、それにユーリだよ。」

 

オープニングはなのはさんたちか…やる以上は全力でいくぜ!

 

NO SIDE

 

こうして始まったチャリティーコンサート。

 

オープニングは…

 

「ひらりひらり春色の~♪」

 

なのは、シュテル、ユーリによる『踊れ〇唄〇夢宴』。戦国〇女の扮装をした3人が軽やかに踊り舞いながら歌い上げていく。

『夢見てた未来~♪』

 

さらにフェイトとアリシアが「Des〇iny´s Pre〇ude」を熱唱、ステージは更なる盛り上がりを見せていく。

 

そして前半戦のメイン、リナは…

 

『災い転じて粘り勝ち 最後の最後まで行こう!♪』

 

「fr〇nt br〇aki〇g」を歌いきり、完全に観衆を魅了していた。

 

「やっほ~、みんな盛り上がってる?!」

 

ウォォォ~ッ!

 

「それじゃここでちょっと一休み、こんな曲はどうかな?…なびき姉ちゃん、よろしくっ!」

 

リナの呼び掛けに現れたのは…ドテラを着た奏こと一夏。歌うのは…

 

『こたつを出て 出迎えよう お年始くる おじさんおばさん♪』

 

ズコ~ッ!

 

会場が思わずずっこけた。

 

そう、一夏が歌ったのは「こ〇世で〇〇お正月が好き」だった。

 

さらに畳み掛けるように良牙が「拝啓、なのはさん」を、更になのはとのデュオで「海鳴からの手紙」を歌い上げる。

 

因みに良牙となのはのイチャイチャぶりにこのあとの休憩タイムではブラックコーヒーとなぜか青汁が飛ぶように売れたとか。

 

さてそんなこんなでコンサートは進行しいよいよ最後のパートに…

 

「え~、それじゃ最後は異世界から来てくれた彼女たちにまかせちゃお~!お願い、〈ツヴァイウイング〉!」

MCのアリシアの声に応えるように、野外ステージの上空から現れたのはイチカとレヴィ…じゃなく、〈ツヴァイウイング〉の奏と翼。

 

「みんな~、お待たせ!わたしが〈ツヴァイウイング〉の風鳴 翼、そして…」

 

「俺が〈ツヴァイウイング〉、天羽 奏だぁ!ライブもあと少し、最後まで突っ走るよ!…曲は、「逆光のフリューゲル」!」

 

ツヴァイウイングの代表曲に会場が再び盛り上がっていく。

 

「やっぱりあやつらは2人で1人だな、シュテル?」

 

「えぇ、〈ツヴァイウイング/2つの翼〉とはよく言ったものです、ディアーチェ。」

 

「なんだか2人の間が更に近づいた気がしますぅ~!」

ライブを見ながらそんなことを話すマテリアルズの面々。

 

「…そういえばリナの姿を見てないが…途中で何処へ行きおった?」

 

「あ、リナちゃんだったら「準備がある」ってユーノくん連れて何処かへ行ったよ?」

 

ディアーチェの疑問に答えたのは、なのはだった。

 

(師匠を連れて…?何か企んでますね、リナさん。)

 

シュテルはそう思いつつも、面白そうなので黙っている事にした。

 

そうこうしている内に翼が「絶刀・天羽ノ斬」を激唱し、奏も「君と云う 音奏で 尽きるまで」を歌い上げた。

 

「まだ元気は残ってる?それじゃもう1き『ちょっと待ったぁ!』…えぇっ?!」

続けて歌おうとして止めたのは、リナだった。

 

「あんたらばっか目立ってずるいわよ?今度はあたしたちの番よ…今日のために最高のパートナー準備したんだから!」

 

次の瞬間、曲と同時に入ってきたのは…

 

『夜に浮かんだ無垢な月は~♪』

 

白い陣羽織に身を包んだ絶世の美少女。顔を赤らめながら唄うその姿に、辺りの観客はざわめく。しかし…

 

「…のうシュテル、あの少女もしかし…」

 

「…なくても、師匠ですね間違いなく。」

 

「…やはりか?!」

 

そう、美少女の正体は女性化の魔法で変身したユーノだった。ちなみに声は水橋ボイスではなく小清水さんのそれである。

これには流石のツヴァイウイングも吃驚するしかなかった。

 

「おいこらリナっ!それは反則だろっ?!」

 

「何言ってんのよ、アンタも似たよーなもんじゃない〈か・な・で〉さん?」

 

「ぐっ…?!」

 

ユーノはなんとか歌いきる。恥じらう表情はもはや女性顔負けである。

 

「ま、みんな驚いたところでこの曲全員で歌うわよ…「f〇〇l W〇ll」!」

 

『ゆっくりと 流れていく 雲のように♪』

 

みんなでの大合唱で盛況のままライブは大成功!そして時は過ぎ…

 

SIDE:リナ

 

「…とうとうお別れだなリナ。今回は助かったぜ、マジで。」

 

「何いってんの…前回はあたしやアメリアが助けて貰ったんだからおあいこよ?」

 

学院祭も無事に終わり、一夏たちが元の世界に帰る日がやってきた。

 

「ま、これからは会おうと思えばいくらでも会えるんだし…ね?」

 

そう、L様の力によって造られた転移ゲートにより一夏たちの世界とこちらの世界は往き来できるようになったのだ。

 

…もっとも、パラドックスを防ぐためあたしたち以外は内緒なんだけどね。

 

「リヒトも元気でね…一夏のこと、頼むわよ!」

 

「まかせて!オリジナ…リナもユーノと仲良くね♪」

 

「「なっ…?」」

思わぬ反撃にあたしとユーノは顔が真っ赤に。

 

「はははっ…リナリナ、顔真っ赤ーっ!」

 

「うっさいわね~…あ、そうだレヴィ、あんたに渡すものがあるんだ。」

 

「えっ、ボクに?なんだろ?」

 

あたしはポケットから取り出したのは魔力体の結晶。

 

「これはアンタに埋め込まれてた結晶をL様に浄化してもらったの。多分ISに組み込めばパワーアップできるんじゃない?…束さんだったら。」

 

「うん、ありがとー!これでボクはまたさいきょーに近づいたぞーっ!」

 

「…世話になったなリナ、それにそなたらも。」

 

「お世話になりました~っ!」

 

「なのは、今度会うときは負けませんよ?!」

 

「うん、シュテルちゃんも元気でね!」

 

「あ、そうだ一夏ぁ、ちょっと耳かして?…ゴニョゴニョ…」

 

そう言ってアリシアがなんか一夏に耳打ちする。

 

「…わかりました。」

 

「約束だよ?」

 

一体何を話したのかしら?

 

「さぁ、それじゃ帰るとするか…サヨナラはいわないぜ、リナ!」

 

「えぇ…またね、一夏、レヴィ?」

 

「バイバーイっ!」

 

バシュン!

 

移転ゲートに入った一夏たちは姿を消した。

 

「…次に会えるのは何時なんだろうね、リナちゃん?」

 

なのははなんだか淋しそう。

 

「また逢えるわよ…いつかどこかで…ね。さ、帰りましょ?」

 

あたしたちは日常に戻った…そう思ってた。

 

だけど…

 

SIDE ??

 

「…少しは期待したんだけど…所詮はサンプルだったね。」

 

まぁ、僕の計画の礎にはなってはくれたみたいだけど。

 

封鎖空間には閉じ込められてるけど、力は確実に戻ってきてる…具現化できるまではあと2~3年後かな?

 

僕は目の前にある魔力球の中に眠っている少年を見つめる。

 

こいつこそが真の〈異端者/イレギュラー〉。

 

「…君には期待してるんだよ…ミ〇ギ?」

 

まぁしばらくは束の間の平穏を楽しむといいさ、リナ・インバース…いや逢魔リナ。この僕、〈冥王〉フィブリゾが復活するそのときまでね!




これにてコラボ編は終了、次回からはいよいよストライカーズ編に突入します。

快くコラボに応じてくださった荒潮提督さん、本当にありがとうございました!この場を借りて御礼申し上げます。

なお引き続きキャラクターの人気投票行っております。詳しくは活動報告にて。


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TRY‐StrikerS編
六十、始動する 新たな星の 物語


いよいよストライカーズ編の始まりですが補足設定・ナカジマ家です。

(全て独自設定)

※家族構成はなのセントよりです。…なのでクイント健在の8人家族です。

※ただ、6人姉妹の順番は①ギンガ②チンク③ディエチ④スバル(姉)ノーヴェ(妹)〈双子〉⑤ウェンディとさせていただきます。

※あとノーヴェはなのセントのロリノーヴェがそのまま成長しています。

※いうまでもないかも知れませんがお隣はマッドな科学者の親戚の叔父さん一家が住んでます(笑)。




NO SIDE

 

PM(パラレル・ミッドチルダ)事件から約半年。リナたちが2年生に進級した頃…

 

SIDE:スバル

 

「え~っ、皆さんはこれから1年間、様々な訓練を受けていただき立派な管理局の…」

 

 

『ねぇスバル姉、どうしてどこでも校長先生の話って長いんだろ?』

 

『そうっスよね~、それでまぁ大体…』

 

ドサッ

 

あ、また倒れた。…これで3人目だよ?

 

「ま、これくらいで倒れるよーじゃ訓練耐えれないとは思うけどね。」

 

 

 

わたしの名前はスバル・ナカジマ、12歳。わたしと双子の妹のノーヴェ(あとここにはいないけどギンガ姉)は1年半前に起きた大規模な空港火災に巻き込まれた。

 

危うく命を落としかけたその時、わたしたちを助けてくれたのは…管理局の〈エース・オブ・エース〉、高町なのはさんと〈魔を滅する者/デモン・スレイヤー〉逢魔リナさんだった。

 

 

その日から2人はわたしたちにとって憧れと同時に…

 

『あの人たちみたいに強くなりたい…』

 

その想いを胸にわたしたちは魔導師を目指して勉強、そしてストライクアーツを学ぶ。

 

そして今日、わたしとノーヴェ、そして妹のウェンディは時空管理局武装隊の陸士訓練校に入校した。

 

「…と言うわけで、早速だが本日より訓練を始める。各員はこの後割り当てられた部屋に荷物を持って移動するように。…なお部屋のルームメイトは当面のパートナーとなる。試験と面接から選んだ組み合わせだ、喧嘩なんかしないように。1時間後、訓練を開始する。以上だ!」

あ~、やっと話が終わったよ~!

 

「あ、スバル姉!」

 

後ろからした声に振り向くとわたしとそっくり(髪型はセミロング)の双子の妹・ノーヴェと、パイナップルみたいな髪型をした1つ年下の妹・ウェンディ。

 

「スバルねーちゃんはなん号室?あたしとノーヴェねーちゃんは31号室ッス!」

 

ん~と、わたしは…32号室。2人とは別室かぁ…ま、隣同士だし、2人部屋だから元々1人はあぶれるんだよね。

 

「32号室…あんたも?」

 

横からした声に振り向くと、そこにいたのは落ち着いた雰囲気の女の子。オレンジ色の髪の毛をツインテールにしてる…少し年上っぽいかな?

 

「あ、はい!…スバル・ナカジマ、12歳です。今日からコンビ組ませていただきます…よろしくお願いしますっ!」

わたしが挨拶すると、彼女はあまり関心が無さそうに返事する。

 

「…あくまで仮コンビだけどね…ティアナ・ランスター、13歳よ。ま…よろしく。」

 

ランスターさんはそう言うと手荷物のバッグを肩に抱える。

 

「荷物置いたら早めに行こっか、準備運動きっちりやりたいしね。」

 

「は、はいっ!」

 

…はぁ~、ランスターさんかぁ。大人っぽいし、綺麗な人だなぁ…

 

「そんじゃスバル姉、また後でね♪」

 

「遅れないよ~にするッスよ~!」

ノーヴェとウェンディも部屋に入っていく…いけない、わたしも早く準備しなきゃ?!

 

わたしはバッグを肩にかけると先を歩くランスターさんの後を追いかけた。

 

その頃学長室のブラインドから外を覗く2人の少女の姿があった。…時空管理局保護管理官アリシア・テスタロッサとその妹で同執務官のフェイト・テスタロッサの姉妹である。

 

SIDE:フェイト

 

「ふふ…新人さんたち、みんな元気だね。」

 

ブラインドを下げながら話すアリシアお姉ちゃん。

 

「えぇそうね…今年も元気な子達が揃ったわ。もっとも、7年前のあなたたちには負けるけどね。」

 

そう返してきたのはこの訓練校の学長にしてわたしたちの恩師でもある、ファーン・コラード三佐だ。

 

「…ま、あなたとなのは、それにリナは3ヶ月の短期プログラムだったから…」

 

「はい、その節は本当にお世話に…」

 

コンコン!

 

「どうぞ、開いてるわよ?」

 

ノックの音にコラード先生が応える。

 

「失礼しまっす!」

 

ドアが開くと、わたしの副官を勤める執務官補佐、シャリオ・フィニーニ(シャーリー)、そして…

 

「…初めまして、エリオ・モンディアルですっ!本日は見学させていただきありがとうございます。」

後ろから入ってきたのは赤毛の髪の少年。

 

この子はエリオ・モンディアル。訳あってわたしとお姉ちゃんがとある研究施設から救助、保護した子供だ。

 

「はい、しっかり勉強していってね。」

 

「シャーリー、ごめんね~っ!エリオ、いい子にしてるんだよ?」

 

「はいっ、それじゃいってきまーす!」

 

ガチャン

 

シャーリーとエリオは挨拶を済ませると学校の見学に向かった。

 

「…かわいい子ね。あの子が例の…?」

 

「うん、あたしとフェイトで救助した子だよ。あたしは本当は管理局には入ってほしくはないんだけど…」

それはわたしも同意見…あの子には平和に暮らしてもらいたいから。

 

「でも最終的には本人に決めさせたいと思ってます。…今日はあくまで社会見学ですけどね。」

 

「そう。…でもあんなちっちゃかった貴女たちがもう子供を育ててるなんて…わたしも老けるはずだわ。」

 

そう言うとコラード先生の眼に鋭い光が灯る。

 

「さあて、それじゃ本題に移りましょうか。…想い出話をしに来た訳じゃないでしょ?」

 

「あ~…やっぱりバレちゃった?」

 

「はい、実はお願いが…」

 

わたしはお姉ちゃんの隣に座ると話を始めた。

 

…その頃、訓練場に集まったスバルたちは…

SIDE:ティアナ

 

「…では順番に訓練用のデバイスを選択しろ。自ら持ち込みの者は受け付けで登録申請を行うように…分かったか!」

 

「はいっ!」

 

トレーニングウェアに着替えた他の訓練生が銘々杖やスピアを手に取るなか、あたしはバッグから自分の相棒である拳銃型のデバイスを取り出す。

 

これは兄さんがあたしの為に作ってくれた特製でアンカー機能やカートリッジシステムも装備してある。

 

「へぇ…拳銃型なんだ?」

 

そう話しかけてきたのはルームメイトになったスバル・ナカジマ訓練生。

 

「…まぁね。あんたも持ち込みなの?」

スバルが装備していたのはローラーシューズと右手にはナックル型のデバイス。って事は…前衛か、後衛型のあたしとは相性は悪くないかも。

 

「うん!このリボルバーナックルは母さんから貰ったんだ。本当は両腕ぶんあるんだけどお姉ちゃんと片方ずつ分けたの。」

 

「あ、スバル姉!」

 

「やっと見つけたッスよ~!…この人がスバルねーちゃんの相方さんッスか?」

 

「ノーヴェ、ウェンディ!…あ、紹介するね。こちらティアナ・ランスターさん、わたしのルームメイトでパートナー。で…ランスターさん、こっちの2人はわたしの妹で…」

 

紹介された2人は軽く会釈して…

「ノーヴェ・ナカジマです。スバル姉は双子の姉です。」

 

「ウェンディ・ナカジマです!ナカジマ家の末っ子ッス、ねーちゃん達ともどもよろしくお願いするッスよ!」

 

2人とも気さくに挨拶をしてくれた。

 

「ティアナ・ランスターよ。ま、よろしくね…。」

 

改めて2人をみるとノーヴェは双子だからか顔はスバルによく似てる。ボーイッシュなスバルに較べると少し髪が長めで可愛らしい印象だけど。

 

一方のウェンディは…頭をひっくくってまるでパイナップルみたいな頭だ。ちょっとやんちゃそうな感じ。

 

「…次31番、ノーヴェ・ナカジマ、ウェンディ・ナカジマ組!準備はいいか?」

「あ、わたしたちの番だ!」

 

「それじゃ行ってくるッス!」

 

最初の訓練はラン&スロウ。障害物の前まで走って移動し、1人が相方を持ち上げ障害物を乗り越えさせる。そして今度は上の人間が下の相方を持ち上げるという、基礎的な訓練だ。

 

「さて、それじゃお手並み拝見…ええっ?!」

 

あたしは内心年下だと思って甘く見ていたんだけど、いい意味で予想は裏切られる。

 

スバルと似てるローラーシューズを履いたノーヴェ、そしてホバーボードに乗ったウェンディはあっという間に障害物の前までたどり着く。そして…

 

「いくよウェンディ!」

 

「あいよ、ノーヴェねーちゃん!」

 

ノーヴェはウェンディのトスアップで障害物をよじ登るとウェンディを引っ張りあげ、ここまでの最速でクリアした。

 

「な、な、…なんなのよあの子達…?」

 

あれでホントに12歳と11歳なわけ?

 

「やるなぁノーヴェたち…『次、32番!』…あ、出番だよランスターさん!わたしたちも頑張ろうね!」

 

…そうだ、あたしには主席卒業っていう大目標があるんだ、こんなところで立ち止まれないっ!

 

「いくわよスバル!」

 

「うんっ!」

 

そう言ってあたしは飛び出そうとした。そのとたん…

 

ドンッ!!

 

スバルがローラーシューズを加速させ猛ダッシュで飛び出しあたしはその反動で転倒してしまった。

 

『32番、なにやってる!罰として腕立て伏せ20回!』

 

「「は、はいっ!!」」

 

あたしとスバルはその場で腕立てを始める。

 

「…ちょっと、足が速いのはよく判ったからもっと落ち着いて。妹たちがあんだけできんだからあんたもできんでしょ?」

 

「ご、ごめん…」

 

仕切り直して再スタート…よし、今度はうまくいった!

 

障害物の前まで来たあたしはスバルに指示する。

 

「スバル、あんた力ありそうだからあたしを押し上げて。…今度はちゃんとやってよ?」

「う、うんっ。…1、2の…3っ!!」

 

「?!」

 

…次の瞬間、あたしの身体は障害物の遥か上空に…あの馬鹿、何処まで放り投げ…って、お、落ちるぅ~っ?!

 

「ランスターさんっ?!はあっ!」

 

落下地点に滑り込んだスバルがなんとか追い付いてキャッチしてくれたものの…

 

「…(怒り)…32番!訓練中断、グラウンド30周だ!」

 

…あぁ、やっぱり…こりゃ前途多難だわ…

 

この後あたしとスバルはひたすらグラウンドを走る羽目になった。

 

…でも、あたしはまだ気づいていなかった。

 

この馬鹿力でお花畑なオツムの少女とその姉妹が、あたしの運命のパートナーになるって事を…ね。

SIDE:フェイト

 

「…去年起きた空港火災、非公開ですが原因は古代遺物〈ロストロギア〉です。おそらく密輸品だと…」

 

わたしの説明を神妙な顔で聞くコラード先生。

 

「それでね、ここんところ古代遺物ばかり狙って出没する魔導兵器がいるの。わたしたちは〈ガーゴイル〉って呼んでるんだけど…」

 

アリシアお姉ちゃんが説明を補足する。

 

「…〈ガーゴイル〉は魔力を中和するAMFに近い能力を持っていて、並の魔導師では太刀打ちできないぐらいの力を有しています。…先生にお伺いしたいのは、〈ガーゴイル〉に対抗できる魔導師を育成するにはどれくらいの時間がかかるか、そしてそもそも育成できるのか?ってことなんです。」

わたしの質問にコラード先生は少し思案して答える。

 

「…なるほどねぇ…でも、本気で育てるならわたしの古巣…今は貴女たちの親友が所属してる本局の戦技教導隊に依頼するか、いっそのこと貴女たちが素質のある子達を育て上げた方がいいと思うけどね。」

 

その答えにわたしとお姉ちゃんは顔を見合せる。

 

「やっぱそうなるのか~?」

 

「もちろんそちらでも動いては貰ってるんですが、将来的な準備の意味もあって…」

 

「あらまぁ。…まぁ、せっかくだからもう少し詰めた話をしましょうか…ついでに貴女たちの近況も聞きたいしね。いいかしら?」

 

「いいよ~っ!」

 

お、お姉ちゃん…一応コラード先生は上司なんだからもう少ししゃべり方を…

 

「ん?」

 

いや…なんでもないです…(汗)

 

 




久々の川柳タイトル…な、懐かしい…

しばらくは導入編というか新メンバーがメインでリナたちはスポットです。

といいつつ次回!

「六十一、ドラまたで 恐れおののく 村の民」

次も見てくんないと…

「君に届け 無問題(モーマンタイ)♪」

「えっ、なにそのソラミミ?!」

(BYリナ&作者)

※活動報告にて引き続きキャラクター人気投票やってます。詳細は活動報告の「人気投票」をご覧ください!


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六十一、ドラまたで 竜の峰では 大騒ぎ

予告とタイトル変更しました。あと少し短めです。

では本編、どうぞ!


NO SIDE

 

スバルたちナカジマ姉妹とティアナが運命の出逢いを果たしたその時同じ頃、リナとアメリアは時空世界の1つ、アルザスへと赴いていた。その目的は…

 

SIDE:リナ

 

「「竜の巫女?」」

 

今回の依頼人であるヴィレさんからでたその言葉にあたしとアメリアは聞き返した。

 

「…はい。このアルザス地方には〈竜の峰/ドラゴンズ・ピーク〉と呼ばれる秘境があり、数多くの竜が暮らしております。」

 

『…ねぇリナ、〈竜の峰〉ってわたしたちのいた世界の…』

 

会話の途中でアメリアが念話で話しかけてきた。

 

『…ん~、直接は関係ないと思うわよ?多分ドラゴンがたくさんいるからそんな名前がついたんじゃないの?』

 

そんな間にもヴィレさんの話は続く。

 

「…そして我が村には代々〈竜の巫女〉と呼ばれる竜を制御する力を持った少女が産まれ、その者が竜族の長と折衝にあたることで永らく事なきを得ていたんじゃが…」

 

「嫌です。」

 

「…そう言わずに続きを…?」

 

「だから聞きたくないです。」

 

「どうして?!」

 

「だってどーせ『実はお願い事が…』って言うんでしょ?面倒事になるのが目に見えてるし…」

 

「そんな…ただ竜の峰に1人で行って帰ってこない巫女を連れ帰ってほしいだけじゃよ?」

 

「そんなのアンタの後ろにたくさんいるおにーさんたちに行ってもらえば?…あたしたちもそんなにヒマじゃないのよ。」

 

 

あたしはわざと突き放すように答えを返す。…これには理由がある。実はこの仕事、ゼロスから頼まれたのだけど…ぶっちゃけ依頼人が胡散臭い事この上ないのだ。

 

ヴィレさんは自称村長を名乗ってるのだが、白髪の長髪に左目には眼帯、着流しの着物ってどちらかといえば…

 

(村長より盗賊の頭って感じよね~っ…それに…)

 

その後ろにいる男たちも善良な村民というよりはどう見てもごろつきにしか見えないし…

 

「…もちろん連れ帰って戴ければ報酬は弾みますよ。巫女の名前はキャロ・ル・ルシエ、歳は7歳です。恐らくフリードという名の子竜を連れているはずです…そちらは無理なら始末して戴いても結構ですよ?…巫女さえ無事ならね。(ニヤリ)」

 

 

…?!

 

『リナ…こいつら…』

 

うん、判ってるL様…間違いなくこいつら何か企んでる…。

 

「はぁ…判ったわよ、あたしらも上には逆らえないしね…」

 

あたしは答えながらアメリアと念話で打ち合わせる。

 

『アメリア、キャロって子はあたしが探してみるからあんたはあいつらを尾行してみてくれる?…絶対なんか裏があるわ!」

 

『判ったわリナ!もしこの人たちが悪なら…』

 

『…ぶん殴るのは合流してからよ。また始末書書きたいの?』

 

あたしとアメリアはコンビで動く事が多いんだけど…この子、直感で動いて見境なしにやっちゃうからね。

 

『う…わかった、連絡する…』

 

わかればよろしい。さーて、竜の峰は…あっちね。

 

「それじゃ先にいくわよネカネ…〈翔封界/レイ・ウイング〉!」

 

「OK、リ…じゃなかったアンナ!すぐ追い付くから。」

 

一応考えておいたコードネームで呼んだんだけど…間違いかけたよねアメリア?

 

(ま、あの子の父親も馬鹿姉もその辺り空気読めないところあったから…遺伝なのかな?)

 

そんな事を考えつつあたしは竜の峰の麓に辿り着く。

 

「ふ~ん、この辺りには見当たんないか…峰の奥に迷いこんでるなら厄介よね…。」

 

いかな竜の巫女とはいえ幼い少女、連れてるのが子供の竜じゃ…ん?

バッサ、バッサ…

 

山頂から1匹のドラゴンがこちらに向かってくる…結構大きいわね。

 

「ちょうどいいわ、聞いてみるとしますか。『おーい、そこのドラゴンさーんっ?!』」

 

あたしが念話で呼んでみると反応するドラゴンさん。

 

『…我を呼んだのはお前か?…このヴォルテールに何の様だ?!』

 

どうやら警戒しているみたいね…

 

『別に怪しい者じゃないわ。少し人を探してるのよ…子供の竜を連れた女の子なんだけど…』

 

あたしがそう言った途端に目付きがきつくなるヴォルテール…やな予感。

 

『竜を連れた女子だと…お前やはりあの連中の仲間か!巫女は貴様らには渡さぬ、命が惜しくば即刻立ち去れ!さもなくば…』

やっぱり…説明するのもめんどくさいしなぁ…仕方ない。

 

 

『いきなり〈竜破斬/ドラグ・スレイブ〉っ!』

あたしはあさっての方向に呪文をぶっ放す。放たれた砲撃はヴォルテールの真横を通りすぎ…

 

ドッカーン!

 

峰の崖を跡形もなく吹き飛ばした。

 

『………………』

 

『…見ての通りよ。あたしはあなたを倒せるのに倒さなかった…あたしは敵じゃないわ。』

 

あたしは言葉を選びながらヴォルテールを説得する。…脅迫って言わないでぷりーず。

 

『…う、うむ。…しかし今の魔法…まさか貴…いやあなた様はあのドラまたリナ…どの?』…ちょっと待て。

 

『ヴォルテール、何でアンタがその渾名を知ってんのよ?!』

 

『おぉやはりそうであったか!それならそう言ってくれれば直ぐに長老さまの元へお連れしたものを!』

 

ん、長老?!…まさかとは思うんだけど。

 

『さ、我らが棲む谷に案内させていただきましょう。竜の巫女も長老も其処に居られますが故。』

 

仕方ない、行ってみるとしますか?

 

あたしはヴォルテールの後を追って竜の峰の奥へ。…あれ、茨が茂って行き止まりになってるけど?

 

『グゥーオゥ…』

 

ヴォルテールが発した声に反応して茨が開き道が現れた。…なるほど、秘密の入り口って訳か。

『…ヴォルテール、戻ったぞ。…長老に客人だ。』

 

ヴォルテールの声に2匹の竜が近寄ってくる…どうやら見張りみたいね。

 

『なんだ、その小娘は?』

 

『ヴォルテール殿、人間は立ち入らせては…』

 

竜の1匹があたしをつまみ上げようとする。

 

『…その方は〈あの〉リナどのだ…そなたら死にたいのか?』

 

ヴォルテールの声に竜の動きが止まり…

 

ズシン!

 

あたしの前でUターンして後退る。

 

『こやつ…いやこの方があの伝説のドラまたリナ?!』

 

…だから何であたしの前世(黒歴史)を知ってん…?

『…ゼロスから聞いてはいたが、久しいなリナ・インバース…いや、今は逢魔リナ…だったか。』

 

そう言いながら奥から現れたのは、青いローブを身に纏った金髪の初老の男性とピンクの髪の女の子。側には赤色の子竜もいるし、この子がキャロね。それにしても…

 

「やっほ~、久しぶり♪…まさかあなたに逢うとは予想外だったわ…〈黄金竜/ゴールデン・ドラゴン〉の王、ミルガズィアさん。」

 

こんな姿をとってはいるが、この人(?)の名前はミルガズィア。竜族を統べる黄金竜の長老だ。

 

でもミルガズィアさんはあたしの前世での知り合い、どうしてこの世界に?

 

「我らが棲む竜の峰は異世界同士でも繋がっておる。竜族のみが通れる〈竜の門/ドラゴンズ・ゲート〉によってな。それにしてもあの〈赤眼の魔王〉との戦いから幾千年、再び逢見えようとはな。」

…えっ、あっちの世界ではそんなに経ってるの?そりゃミルガズィアさんも老けるはずだわ。

 

「…で、その子が?」

 

「うむ、この少女がお前の探しておる竜の巫女だ。…心配するな、この者は味方だ。挨拶しておくといい。」

 

ミルガズィアさんの言葉にキャロはうなづくと、こっちに近寄ってきてポケットの中から何かを取り出してあたしに手渡す。…これって、メモ?

 

どれどれ…

 

『キ、キャロ・ル・ルシエです…よろしくお願いしますっ!』

 

「めんどくさっ?!」

 

あたしは思わず声をあげる…って遠い昔に似たような記憶が…デジャヴュ?!

「ミルガズィアさん、もしかしなくてもこの子…極度の人見知り?」

 

あたしの問いに大袈裟にうなづくミルガズィアさん。

 

「うむ。実は私も会話が成立するまで3日かかった。」

 

しかも筋金入りっ?!

 

…まさかと思うけど…〈あの子〉の転生体、なんていわないでしょうね…?

 

「…逢魔リナよ…よろしくね。」

 

あたしが挨拶を返すとキャロはまたメモを手渡す。

 

『…昔どこかでお会いしましたか?』

 

…!

 

「…たぶん気のせいよ。それより…訳ありなんでしょ、事情を聞かせてくれる?」

 

ややこしい事になりそうだと思いつつ、あたしは話を聞くことにした。




キャロが誰の転生体か判った人は通だと思います。

次回!

「六十二、「ウチに来る?」 今紡がれる 縁(えにし)かな」

それでは次回も…

『リリカル、マジカル、頑張りますっ!』

「…メモじゃなくて声出しなさいよ…」

(BY キャロ&リナ)

※引き続き活動報告にてキャラクター人気投票継続中です。詳しくは活動報告の「キャラクター人気投票」を参照してください。


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六十二、「ウチにくる?」 今紡がれる 縁(えにし)かな

とうとうやって来た熱中症シーズン…今年こそは耐えてみせるっ!(やけくそ)


SIDE:リナ

 

ゼロスの依頼で辺境の次元世界・アルザスを訪れたあたしとアメリア。

 

依頼に疑問を抱いたあたしたちは手分けして調査を開始。竜の峰[ドラゴンズ・ピーク]を探索していたあたしは〈竜の巫女〉キャロを発見したんだけど、どうやらこの子、前世で縁があるみたい…おまけにあのミルガズィアさんまで現れるし、どうなってるのよもう?!

 

「…誰に向かって話しておるのだリナよ?」

 

気にしないで、ただのぼやきだから。

 

「…ところでミルガズィアさん、なんでさっきからキョロキョロしてんのよ?」

 

明らかに挙動不審な長さまに尋ねる。

「…いや、もう1人…招かざる客だがな。」

 

『そんな事言わないでくださいよミルガズィアさ~ん?』

 

声と共に歪んだ空間から現れたのは…

 

「…やっぱりでたわねゼロス。」

 

そう見た目はどこのご家庭にもいるゴ〇ブリっぽい少年、だがその実態は獣王ゼラス=メタリオムに仕える獣神官・ゼロス。

 

今は力をセーブされてるとはいえ、はっきり言って関わりたくはない相手だったりする。

 

「…で、何しに来たのよゼロス?」

 

「いえ、色々判った事があるので教えて差し上げようと思いまして。…その少女の事も、〈あのお方〉の事も…ね。」

…?!

 

〈あのお方〉って…まさか?

 

「…〈冥王〉フィブリゾか。」

 

「はい。巧妙に魔力反応を誤魔化しておられるようですが、確実に力を蓄えられてるようです。…まぁ、まだまだ時間はかかるみたいですが。」

 

相も変わらず顔色1つ変えずに話すゼロス。ほんっと、何考えてんのか判んないのよねー、こいつは。

 

「でもあんた、一応上司なんでしょフィブリゾって。リークしちゃっていいの?」

 

「いいんじゃないですか?ぶっちゃけ苦手…って いうか嫌いなんですよあの方。それに金色の…L様に滅ぼされた為に我等魔族とは縁切ってますから。」

 

え、そうなの?それじゃなんで冥王様って呼ぶのよ。確かガーヴの時は魔竜王って呼び捨てにしてたわよね?

 

「まぁ長年の…慣例というか癖ですね。実際ガーヴさんの時も百年ぐらいは敬称つけてましたし。…それはそうとして、彼女…キャロさんでしたっけ?」

 

ゼロスがキャロの方を振り向くと彼女はミルガズィアさんの後ろに隠れ、ボソボソと耳許で囁く。

 

「…『怖い』らしいぞお前の事が。」

 

「…転生されて別人格になられても人見知りは治らないとは…『三つ子の魂百まで』とはよくいったものです。」

 

「…転生って…ゼロス、やっぱりキャロはあの子の…?」

 

あたしの言葉にほくそ笑みながら頷くゼロス。

 

「はい。彼女の前世は貴女のお知り合いのあのお方で間違いありません。もっとも、今の段階では以前の記憶は無いようですが。」

 

…やっぱり!

 

「…以前お話した通り、貴女がこの世界に転生したことにより、貴女に近しい存在の方たちもまたこの世界に転生しています。…もっともアメリアさんやゼルガディスさんのように以前の人格のままの方たちもいればユーノさんのように力と記憶のみを有される方、そしてキャロさんのように記憶も無くされた方と様々ですがね。」

 

なるほどね。…ユーノも記憶はあるけど人格はユーノのものだし、もしかしたらキャロも切っ掛け次第で記憶が戻るかもね。

「それで?お前はどうしてこの子を探していたのだ?」

 

「ん~、簡単に話すとね…」

 

あたしはこれまでの経緯を説明する。

 

「村の長老だと…バカな、それはあり得ん。…キャロは確かに竜の巫女の力は有するが、そのあまりの力ゆえに村を追放されたのだから。…他でもない長老の手によってな。」

 

なっ…それじゃやっぱりあいつら…

 

『リナ、聞こえるー?』

あ、アメリアだ。

 

「これはまた久しい顔だな、セイルーンの巫女よ。」

 

『ほえっ?!もしかしてミルガズィアさんですか?』

 

さすがにアメリアも驚いたみたいね。

「それはそうとアメリア、あいつらの正体判った?」

 

『もちろんよリナ!やっぱりあいつら指名手配中の誘拐組織よ。ということは…いいんですよね、ぶん殴って。』

 

…どんだけ殴りたいんだおまいは…ま、あたしもだけど。

 

「すぐにそっち行くからシグナルだして。合流したらやっちゃいましょ!」

 

 

 

 

 

…というわけで数十分後、あたしたちの前にはヴィレほか数名のごろつきどもが顔面モザイク状態でふん縛られていた。

 

「ううぅ…何をしやがる、俺は依頼主…」

 

ヴィレ、しゃべり方が素に戻ってるわよ…ま、取り繕ったところでもう遅いけど。

「あんたらが誘拐組織なのはもう確認ずみなの。大人しく観念して正直に話したらこれ以上は手をださないわ…どうする?」

 

「へっ、お前らみたいなお嬢ちゃんに脅されても何も怖くねーよ!!」

 

ボコボコにされててよくそこまで強気になれるわね…

 

「どーする?もうちょっと鉄拳制裁しとく?」

 

腕ぐるんぐるん回しながらアメリアが聞いてくる。そーねー…ほんとはあんまりやりたくは無いんだけどなぁ…

 

「ちょっと質問を変えるわ。あなたたち、逢魔リナの噂って知ってる?」

 

話題が変わって少し間が空いたもののヴィレが答えた。

 

「あぁ…時空管理局の都市伝説だろ?犯罪組織を壊滅させる事に総てをかけてるS級の魔導師で、潰された組織は1000ではきかないらしいぜ。なんでも小さい頃に家族を犯罪組織に皆殺しにされたらしくてな、確か茶髪の貧乳だっ…て…えっ?!」

ヴィレは話の途中で絶句し、身震いを始める。

 

…どーやらあたしが誰か判ったみたいね。…しかし夜天の書の管制騎とタメはれるよーな親、そんで伝説の剣を自在に操る義弟…間違っても犯罪組織程度にはやられないけど。

 

ま、ちょっと脅してやるか。

 

「あんた…よく見りゃ似てるわね、姉さんを殺したやつに…」

 

ちなみにあたしに姉はいない…前世にはいたけど。

 

「…ってことはお前があの…」

 

「強盗殺し〈ロバーズ・キラー〉の魔を滅す者っ?!」

 

…まてやコラ。どーしてあたしの異名ってこんなのばっかなのよ!

 

「ま、インガオホーってやつ?」

こら、そこのアメリア!そんなこと言ってると…?

 

「ということは…そこのお前は夜天の暴れ巫女っ…ガボッ?!」

 

「誰が暴れ巫女よ、誰が?!」

 

…いや、あんたでしょアメリア…それこそ自業自得なんじゃないの?

 

「…ま、あたしたちが誰か判ったところであんたらの雇い主は誰よ?素直に言えば半殺しで勘弁しといたげるわ。」

 

「あの…ちなみに…言わなかったら?」

 

ヴィレの質問にあたしは満面の笑みを浮かべて…

 

「…全殺し?」

 

「言います言います言わせてください!俺たちの雇い主は…ぐっ?!ぐわあぁ~っ?!」

 

な、何?黒幕の名前を言おうとしたヴィレたちが頭を押さえて苦しみ出した?

 

「ち、ちょっとどうしたのよあんたら?」

 

「あが、あが…」(ガクッ)

 

その場に倒れ込むヴィレとその一味。いったい何が…

 

「リ、リナ…こいつら死んでる…」

 

そんな…あたしはあわててヴィレの脈をとるが、確かに死んでる。

 

「どうやら〈あの方〉が絡んでおられるとみて間違いなさそうですね。」

 

ゼロス…やっぱそうなの?

 

「えぇ…もっともご本人じゃないようですがね?これは魔法ではなく科学的な自殺装置…まずいことを話しそうになったら作動するよう仕込んであったんでしょうね。」

そんなものが…ってちょっと待って?!

 

「それってアイツに協力者がいるって事?」

 

「恐らくは。前にも言いましたが〈あの方〉はまだ具現化には至っていません。まだ直接介入するのは無理なはずですからね。」

 

アイツだけでも厄介なのに仲間までいるのか…あ~面倒この上ないわね。

 

それはそうとして…あたしは同行していたミルガズィアさんとキャロの方を見る。

 

「それでミルガズィアさん、今後の事なんだけど…」

 

「うむ、〈冥王〉が関与していると判ったからには我等竜族もそなたらと協力する事を約束しよう。…その上で逢魔リナ、お前に頼みたい事が…」

 

そういうミルガズィアさんの視線の先には、おどおどと不安げにこちらを見るキャロの姿。

 

「…頼みと言うのはあの子を保護してやってほしいのだ。この竜の峰で養うのは容易いが…この子は幼くして近しい者に裏切られたにも関わらず、人を慈しむ心を失っておらん。」

 

ミルガズィアさんはキャロの頭を撫でながら話を続ける。

 

「お前に再び合間見えたのも何かの縁なのかもしれん。頼む、どうか…」

 

あたしはミルガズィアさんの問いかけには答えずキャロに近寄ると、しゃがみこみ視線を合わせる。

 

「…………?あ、あの…?」

 

「あ、ちょっと待って。確かここに…あ、あった!」

 

あたしはカバンの中から通信用の耳かけ型のマイクを取りだし、キャロの耳にセットする。

 

 

「これなら声が小さくても大丈夫…ほら、しゃべってみて?」

 

「えっ?…あ、ほんとだ、これなら普通に…ふふっ♪」

 

ふふっ、やっと笑ってくれたわね。

 

「…なんだか不思議です。今日初めてあったはずなのに、以前にもこんな事があった気が…」

 

 

…!

 

「それでキャロ、あんたはどうしたいの?…ここにいれば悪い人に襲われる事は無いわ。それとも…」

 

あたしの意地の悪い質問にキャロは頭を振る。

 

「いいえ、わたしリナさんについていきます。わたし見たいんです…わたしの知らない世界を!」そう宣言するキャロにはさっきまでのおどおどした様子は全く感じられない。…決意は本物みたいね。

 

「…じゃあ今日たった今から、あんたはキャロ・ル・ルシエじゃない。あたしの義妹(いもうと)逢魔キャロなんだからね…わかった?」

 

あたしの差し出た手を取ったキャロは満面の笑みを浮かべて頷く。

 

「…はいっ!これからよろしくお願いします…リナお姉ちゃん!」

 

ぶぶうぅ~っ?!

 

キャロのお姉ちゃん呼びに思わずあたしは仰け反ってしまった。

 

ユーノの姉さん呼びは半分冗談だけど、この子のは真面目だから破壊力が半端ないわ…

 

「やれやれ、落ち着くところに落ち着いたみたいですね…それでこれからどうされます、リナさん?」

 

「そうね…一旦ミッドチルダに帰るとしますか。キャロの手続きもあるしね。」

 

それにしても、あたし繋がりの転生者ってまだいるんだろうなぁ…どうか極力かかわり合いになりませんよーに。

 

…ま、無駄な願望だとは思うけどね。




体調重視で書いてるので遅筆ぎみです。

それでは次回…

「六十三、訓練も たまには休んで 遊ぶこと」

次回も見てくんないと…

「ディバインバスタァ!」

(BY スバル)


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六十三、訓練も たまには休んで 遊ぶこと

※この作品はイノセント要素を含んでいますが、オリジナル設定も多々あります。

なので今回登場した一部キャラクター(名前は伏せておきます)の年齢は原作と違う人物もいるのでご了承ください。

では少々遅くはなりましたが本編、どうぞ!


NO SIDE

 

スバルたちナカジマ姉妹とティアナが訓練校に入ってからはや半年…訓練は順調に進んでいた。

 

SIDE:ティアナ

 

パシュッ、パシュッ!

 

わたしの放った誘導弾は木々の間をくぐり抜けその先の的に命中する。

 

『よーし、32番ティアナ・ランスター合格だ!次!』

 

ふぅ…なんとかギリギリうまくいったみたいね。

 

「ティアナ姉ちゃん、お疲れっす!」

 

背後から声を掛けられ振り向くとそこにいたのはウェンディ。

 

「お疲れウェンディ。あんたはどうだったの試験?」

 

「あんなの楽勝でクリアっすよ!」

そう言ってデバイスを構えポーズを取るウェンディ。

 

この子のデバイス…ライティングボードだっけ?

 

「あんたよくそんなゴツいデバイスで精密射撃できるわね…感心するわ。」

 

わたしの誉め言葉にウェンディはきょとんとしてる。

 

「ほぇ?でもディエチ姉ちゃんはこれよりもっとデカイ大砲みたいなデバイスで2km先の的に当てるっすからね~♪」

 

なによその人怖いっ?!

 

ドゴォォォンッ!

 

あ、今の音って…?

 

「スバル姉ちゃんっすね、見るまでもなく。」

 

あたしたちミッドチルダ組とは少し離れたところで、スバルたちベルカ組はミット打ちをしていた。

「いったぁ…こらナカジマ姉、少しは手加減しろよ?!」

 

「あは、ごめんねーっ。」

 

「まったくスバル姉ったら…次はあたしの番だよ?」

 

「あ、そんじゃあたしが ミット持つよ。」

 

…あの子達もうまくやってるみたいね。

 

『訓練生は全員集合、ミーティングを行うぞ!』

 

おっと、臨時集合だわ。

 

この訓練は咄嗟の事態に対応できるようにっていう事らしい。

 

「みんな集まったか?…明日は施設のメンテナンスの為訓練は全休日とする。自主練も禁止だから各自体を休めるなり、外出して気分転換するなりするように。…以上!」

休日かぁ…嬉しいのは嬉しいんだけど突然言われてもねぇ…

 

「ねぇねぇランスターさん!」

 

「わぁ?!…なんだスバルか。驚かさないでよ?」

 

後ろから声をかけてきたのはスバルとノーヴェ。

 

「「てへぺろ?」」

 

…うん、ノーヴェは可愛いけどあんたのそれは殺意を感じるわスバル。

 

「なんでっ?!…ま、それはそれとして、ランスターさんは明日の休みどうするの?」

 

それなのよね…別に予定はないし、ちょっとぶらぶらと買い物でも…

 

「ね、それならさぁ、あたしたちと一緒にいかない?」

 

「今ギンガお姉ちゃんに『訓練休み』って言ったら、明日会おうって。それで『ルームメイトの子にも会いたい』って…どうですか?」

そうねぇ…この子達のお姉さんにも興味があるし…

 

「そうね…たまにはいいかもね。」

 

「うん、それじゃギン姉にも伝えとくね!」

 

ま、たまにはあたしも羽を伸ばすとしますか。

 

 

 

そして翌日…あたしたちは銘々私服で駅前に集まっていた。

 

スバルは水色のパーカー、ウェンディは緑のタンクトップ。そしてノーヴェは…白と紺のセーラーにハーフパンツ。

 

「馬子にも衣装とはこのことね…」

 

こうしていると、みんな何処にでもいる普通の女の子なんだけどなぁ…

 

「スバル、ノーヴェ、ウェンディ!」

 

声のした方を見ると、髪の長い女の人…この人がスバルたちのお姉さんかな。

 

「…おい、そこにいるのはティアナか?」

 

「へっ?…え、えぇ~っ?!」

 

その女性の後ろにいた男性の姿を見てあたしは思わず叫んでしまう。だって、そこにいたのは…

 

「に、兄さんっ?!どうしてこんなところに?」

 

そう、そこにいたのはあたしの兄であるティーダ・ランスターその人だったのだから…

 

SIDE:スバル

 

「「「…えっ、ギン姉、この人と付き合ってるのっ?!」」」

 

とりあえず入った喫茶店であたしたちはいきなり衝撃的な話を聞いた。

「うん。ティーダさんには訓練校の時に指導して貰ったのが縁で、度々連絡は取ってたの。それで私が管理局に就職したのを切っ掛けに…」

 

「はぁ…」

 

いや、そんな「運命の出逢い」みたいに言われてもねぇ…?

 

「ま、それでギンガが今日妹たちに会うってんでそれじゃ挨拶でもと思って来たんだが…まさかティアナの友達だったとは、世間は狭いな。」

 

「それはあたしのセリフよ兄さん?!今まで特定の人と付き合わなかったのに、初めての彼女がルームメイトのお姉さんって…そんな偶然あるっ?!」

 

「まぁまぁランスターさん落ち着いて…」

 

あたしはいきり立つランスターさんをなだめる。

「ま、そういう事になったからよろしくね。」

 

「…ちなみにギン姉、うちのパパりんとママりんはこの事を…?」

 

ウェンディの質問にギン姉は照れながら答える。

 

「ティーダさん、こないだ挨拶に来てくれて…父さんはムスッとしてたんだけど母さんが0.1秒で『了承』って…」

 

「「「「早っ?!」」」」

 

なにその即決?!まるでどこかのオレンジ色の謎ジャム作る主婦?

 

「ま、まぁ…あたしたちはもちろん歓迎だよ。ね、ノーヴェ、ウェンディ?」

 

「うん!」「もちろんッス!」

 

「………………」

 

あれ?どうしたのランスターさん、苦虫噛み潰したような顔して…うちのお姉ちゃんが気に入らない?

「いや、そうじゃないんだけど…ティーダ兄さんとギンガさんが付き合うって事は、ゆくゆくはあたしとあんたたちって義姉妹になるって思ったら…」

 

あ。でも…

 

「それじゃあたしたちはランスターさんの事はなんて呼べば…?」

 

だってティーダさんもランスターさんだもんね。

 

「…別に呼びたいように呼べば?…ま、親しい友人にはティアって呼ばれてるけど。」

 

んじゃこれからはティア姉と呼ぶね…「いいでしょティア姉?」

 

「…嫌って言っても呼ぶんでしょ?…勝手にしなさいよ。」

 

うんする~!

 

「…さ、話が落ち着いた所でメシにしようか?スバルちゃんとウェンディちゃんはギンガ並みに喰うって話だから、安くて旨いレストラン予約してるから楽しみにしてなよ?」

やった~っ!さ、たくさん食べるぞ~っ!

 

「…兄さん、2人の食欲舐めてると財布の中身が…」

 

「…あぁ分かってる。ギンガからきいてるからな。…と言うかギンガもそれくらい喰うんだよ!だから支払いはゲンヤさんと折半の約束なんだ。」

 

ティーダさんの言葉にティア姉の顔が凍りつく。

 

「嘘でしょ…あんな大食いがまだいるのっ?!」

 

そっか、父さんが支払ってくれるなら安心だね!

 

こうしてあたしたちはレストランで昼食会。ちなみにあたしとウェンディ、ギン姉の3人でお店の食材を余裕で食べ尽くした。

 

その後はあたしたちはティーダさんに連れられてウィンドウショッピング。で、ギン姉はティア姉に話があるって…何の話かなぁ?!

SIDE:ティアナ

 

「コーヒーでよかった?」

 

「は、はい…。あの、お話って?」

 

あたしとギンガさんはスバルたちが買い物してる間ショッピングセンターの屋上で一休み…と思ってたらギンガさんは話があるみたい。いったい何が聞きたいんだろう?

 

「うん、あの子達が訓練校でちゃんと出来てるか心配で…ティアナさんに迷惑かけてないかと思って。」

 

あー、そういう事ね。

 

「心配いりませんよ?あの子達、訓練校では最年少組ですけど実技・座学共に上位…というよりトップクラスです。上手くやってますよ。」

 

実際…ウェンディは座学で少し劣るけど、あたしとスバル、ノーヴェの3人が主席の座を争っている…いわばライバルだったりする。

「そう…良かった…!」

 

「あたしからも聞きたい事が…どうしてあの子達は管理局員を?」

 

確かにミッドチルダは9歳から就労可能だけどそんなのは一部の例外だし、あの子達は両親も健在でしかも2人とも管理局の尉官らしい。

 

スバルやノーヴェならちゃんとした学校に通わせて花嫁修業させそうなもんなんだけどなぁ…?

 

「あ、あの子達話してないんだ…ティアナさんは1年前にあった空港火災覚えているかしら?」

 

それって空港まるごと壊滅したアレですよね?…それが何か?

 

「スバルとノーヴェはあの火災に巻き込まれたの。…まぁ、わたしもなんだけどね。」

えっ…(汗)…今なんかさらっとトンデモ発言聞いたよーな…

 

「3人で任務中のお父さんに会いに来て巻き込まれたの。しかも3人ともバラバラで1人きり…はっきり言って死を覚悟したし、スバルたちもそうだったと思う。でも…」

 

でも…なんですか?

 

「出会ったのよ、わたしの…わたしたちの憧れにね。」

 

 

ギンガさんはそう言うと胸元からロケットの付いたペンダントを出した。…あれって確かスバルたちも…?

 

ギンガさんがロケットを開くとそこには金髪の少女の写真。この人は…?

 

「フェイト・テスタロッサ執務官。…わたしの命の恩人で憧れで…目標なの。」

…フェイトさんはあたしでも知っている管理局のエースの1人だ。って事は…?

 

「そう、スバルを助けてくれたのは管理局の「エースオブエース」・高町なのは二等空尉。そしてノーヴェの恩人は「悪夢の女王/クイーン・オブ・ナイトメア、逢魔リナ一等空尉。…フェイトさんも含めてあの人たちを助けられるような魔導師になるのがあの子達の目標なの。」

 

あたしは知らなかった。あの子達にそんな過去があったなんて…だけどあたしだって!

 

「ふふっ…どうやら貴女も相当の負けず嫌いみたいね。…あの子達をお願いね、ティアナ?」

 

「はい、ギンガ姉さん!あたしの方こそ兄共々よろしくお願いします!」

あたしはギンガさんの手を取って答えた。…さ、そろそろあの子達帰って…

 

「おぉ、そこにいるのはギンガくんじゃないかね?!」

 

な、何?!唐突にかけられた声に振り向くとそこにいたのは…白衣に身を包んだ壮年の男性と秘書っぽい服を着た美人の女性。

 

「あら、ジェイルおじさまに一架さん!こんな所で会うなんて…」

 

どうもナカジマ家の知り合いみたいだけど…なんか胡散臭いなぁ。この時そう感じたあたしは悪くないと思う。

 

…でもまさかこの人が、「無限の欲望」と呼ばれるほどのマッドな科学者で、ましてや近い将来に義理の伯父になるなんて…思うわけ無いじゃない?!




現在活動報告にて各種募集を行っております。

ご感想、ご指摘、評価なども含めて皆様からのお言葉お待ちしています!

それでは次回「六十四、親戚の 伯父さん実は… 変わり者?」

次も見てくんないと…

「クロスファイア…シュートっ!」

(BY ティアナ)


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六十四、親戚の 伯父さん実は… 変わり者?

今回はスカさん祭りです。(笑)

では本編どうぞ!


NO SIDE

 

スバルたちと共に休日を楽しむティアナの前に現れた謎の男性・ジェイル。どうやらもう一波乱ありそうな予感…?

 

SIDE:ジェイル

 

ふむ…気まぐれに一架の買い物に付き合ってみればギンガくんに出逢うとはね…

 

「ジェイルおじさま、表でお逢いするなんて珍しい…また籠ってらしたんですか?」

 

はは、まぁそんなところかな…ところでそちらのお嬢さんは?多分初対面だと思うのだが…?

 

「あ、紹介が遅れました。こちらはティアナ・ランスターさん。わたしがお付き合いしているティーダ・ランスターさんの妹さんで、スバルたちとは訓練校の同級生だって。」

 

「あの…ギンガさん、こちらの方は一体…?」

 

おっと、こちらも名乗らないと無作法と言うものだね。

 

「失礼、私の名前はジェイル・スカリエッティ。しがない科学者さ。こっちは娘の一架、まぁよろしく頼むよ。」

 

私は簡単に自己紹介をする。

 

「はぁ…スカリ…エッ…ティってまさかっ…あの『無限の欲望/アンリミテッド・ディザイア』?!」

 

おや、私の異名を知っているとは…私も意外に名が知れてるようだね。

 

「知ってるも何も…監理局の最高評議会に名を連ねていたにも関わらず、野に下り姿を消した孤高のマッドサイエンティスト。まさかこんなところに普通にいるなんて…?」

「…父様…」

 

おや一架、私の事はドクターと呼んでくれと言っているだろう?

 

「…失礼しましたドクター。それはそうと、ドクターはご自身の知名度を過小評価し過ぎです。もう少しご自重していただかないと…」

 

「あの~ジェ…ドクタージェイルはどうして最高評議会を辞められたんですか?そのままいれば一生安泰なのに…?!」

 

 

ふむ…このティアナと言う子は中々に聡明なようだね…?

 

「聞きたいかね?それならば…「…ドクターにお任せしたら暴走するので私が…よろしいですね、ドクター?」ぐぅ…?」

 

…せっかく私の武勇伝を語るつもりが…釘をさされてしまったみたいだね。

まぁ仕方ない、説明は一架に任せるとしようか。

 

SIDE:ティアナ

 

「…それではティアナさん…でしたか、これから話す話はくれぐれも他言無用でお願いします。いいですね?」

 

神妙な面持ちで話す一架さん。…考えてみたら、彼女ってゆくゆくは義理の従姉妹になるんだよね?

 

あたしが頷くと一架さんは話を再開する。

 

「貴女の仰る通り、私たちの父はかつて管理局の 最高評議会の一員として開発部門のトップに君臨していました。ですが、評議会の方針が変わり自らの思う研究が出来なくなった父は野に下る決意をしたのです。」

 

そんな事が…あれ、でも?

「一架さん、博士って何の研究を?」

 

「…父は人体の可能性について研究していました。その中で開発した障害のある人の体をケアする義肢の技術に評議会は目を着け…あろうことか兵器への転用を命じたのです。」

 

な…?

 

「貴女もご存知でしょうが、時空管理局は優秀な魔導師を求めています。しかし実際には最高評議会が求める高ランクの魔導師はそうはいないのが現実です。」

 

一架さんの言葉に頷くあたし。…だからこそ訓練校で魔導師を目指す者が後を絶えないのだ。

 

「…ですが最高評議会は父様に求めたのは体を機械化した『戦闘機人』、そして人工的に造り出したリンカーコアを埋め込んだ『人工魔導師』の開発だったのです。」

まさか…時空管理局は多次元世界の平和管理を目指した組織よ。そのトップがなんでそんなことを?

 

「…確かに管理局の存在意義は文字通りなのですが…その中でも最高評議会は所謂『管理局至高主義』、すなわち全ての世界は管理局に管理されればいいという考えの面々の集まりなのです。」

 

「まぁ、そんなふざけた思想には付き合いきれないのでね…三下り半をつけさせてもらったよ?」

 

「それじゃなんで『無限の欲望』なんて異名が?」

 

今の話聞いただけじゃむしろいい人にしか思えないんですけど…ってどうしたんですか2人ともばつ悪そうな顔して?

 

「いや、それは…父様からお話に…」

「それは狡くないかね一架?!…まぁ仕方ない、私の口から話すとしよう。私は管理局を退職する際、評議会の差し金で退職金を貰えなかったのだよ、一銭たりともね。ただそれでは男1人で娘5人は養えん。」

 

む、娘5人?!そんなにいるんですか一架さん?

 

「…正確には8人姉妹よ。うち3人は離婚して出ていった母さまに引き取られたわ。」

 

「…続けても良いかね?そんな状態で退職金0はキツイ…というか懲戒免職ではなく自主退職なのにそれはあり得なくないかね?」

 

「まぁ確かに…」

 

「そこで私は管理局のメインコンピューターをハッキングして退職金をがっつり…いや正当に下ろさせていた…」

 

「それは横領なんじゃないですか~っ!それにそんなのすぐにバレるんじゃ?」

 

あたしの当然の疑問に答えるジェイルさん。

 

「それは心配ないよ?その後直ぐに痕跡は跡形もなく消したし、我々一家の戸籍も偽造したからねぇ。」

 

「ちなみにいただいた退職金は管理局の年間予算の10年分です。」

 

「それぼりすぎーっ?!…まさか『無限の欲望』ってそこから…?」

 

あたしの呟きに仰々しく頷くジェイルさん。

 

「どうもそうらしいね。いや、私は中々にカッコいい二つ名だと思ってるのだがね。」

 

…だめだこの人…マッドにもほどがある。

 

「でもおかげで私をはじめとする姉妹は不自由なく学校にも通うことができてるのですから。それに父様も無職ではないですし。」

 

えっ?仕事なさってるんですか?

 

「あぁ、地球に管理局時代の知り合いがいてね?その女史が興した魔導師シミュレーターの運営に協力しているのだよ。」

 

「へぇ…って、それ『ブレイブ・デュエル』の事?!」

 

「ほう、知っているのかね?」

 

…知ってるもなにも…あたしと兄さんはそのゲームのトッププレイヤーとして結構有名だったりする。

 

地球からミッドチルダにも展開して爆発的なブームとなったこのゲームに携わってるなんて…

「正直、蓄えは十分あるのでね。まぁぼちぼち楽しい仕事だよ。」

 

「ちなみに私達姉妹もプレイヤーとして参加してますよ、『セクレタリーズ』…ご存知ない?」

 

…?!

 

「あ…もしかしてあなた『ウーノ』?!」

 

セクレタリーズってのは突如乱入してきた陣営でチートな能力でやりたい放題する無法者集団。

 

よく見れば一架さんはそのリーダー格・ウーノにそっくりだった。

 

「私は一目で気づきましたよ…『双銃のティアナ』さん?」

 

一架さんの言葉にあたしの顔は真っ赤に。

 

「あ、あの一架さん?その話はスバルたちには内緒に…?」

 

「えっ、あの子たち気づいてないの?おかしいわね…あの子たちもブレイブ・デュエルやってたのに?」

 

えっ…非情な一言に今度は真っ青になる。

 

「あ、いたいたぁーっ!」

 

「あれ、ジェイル伯父さん?」

 

「一架姉も久し振りッス!」

 

そこに帰ってきたスバルたち。手には銘々袋を持ってる。

 

「ジェイルさん、お久し振りです。」

 

「君は確か…そうか、ティアナくんは君の妹か。」

 

兄さんもジェイルさんの事…あ、挨拶に行ったって言ってたっけ。

 

「さ、それじゃそろそろ時間ね…門限までに帰るわよあんたたち。」

 

「おや、もう帰るのかい?」

 

「うん、訓練校の門限厳しいから。」

 

「そうか…デバイスの調子はどうかね?」

 

えっ…この子達のデバイスってジェイルさんが?

 

「うん!伯父さんが訓練校の入学祝にって。」

 

「絶好調ッスよ、ジェイルのおっちゃん!」

 

「そうかね、それはよかった。卒業したらバージョンアップしてあげるから楽しみにしていたまえ。その時はティアナくんのも見てあげよう。…どうやら親戚になるみたいだしね。」

 

あ…はい、お願いします!

 

「それじゃギン姉、ティーダ兄!」

 

「ジェイル伯父さんに一架姉もありがとね!」

「今日はどうもありがとうございました!」

 

みんな駅まで見送りに来てくれて…なんか今日はとっても楽しかった。

 

「…ありがとね、スバル。」

 

「ん、なんか言ったティア姉?」

 

「なんでもないわよ♪」

 

「…?変なティア姉。」

 

こうしてあたしたちの休日は終わりを告げたのだった…

 

NO SIDE

 

「…ということがあったのだよ、プレシア女史。」

 

「ふ~ん、あなたの姪っ子たちが管理局にね…最高評議会の事は教えたの?」

 

ジェイルの正面のモニターに映るのはブレイブ・デュエルの運営責任者であるプレシア・テスタロッサ。

 

「あぁ、私の知ってる範疇でね。あの子達はしっかりしているから流される事は無いと思うよ?」

 

「それはよかった…ノーヴェくんやウェンディくんはうちの子達の愛弟子だからね。」

 

もうひとつのモニターに映るのはジェイルと同じ年くらいの男性。ジェイルと比較すると温厚そうな印象を受ける。

 

「…で、僕とジェイルに何の用かなプレシア女史?ブレイブ・デュエルの運営は順調だと思うけど…?」

 

男性の質問にほくそ笑み、プレシアが答える。

 

「…率直に言うわ、あなたたちの力を私の娘達に貸してほしいの。…『無限の欲望』ジェイル・スカリエッティ、そして…『天空の叡智』グランツ・フローリアン!」

 

今ここに「管理世界の三大頭脳」が集まっていることを知るものは誰もいなかった。




どうだったでしょうか?

さて次回ですが、以前活動報告で告知した通り99話(本編次話)→100話(記念後書き)→リリすれSP1話と連続投稿する関係で書き溜めするため遅くなります。

盆前後には投稿出来るようには頑張ります!

では次回「六十五、今出逢う ファーストタッチ 旦那様♪」

次も見てくんないと…

「フリード、ブラストレイ!」

「アギャア!」

(BY キャロ&フリード)


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六十五、運命の ファーストキッスは 偶然に♪

連続投稿は厳しいみたいなので先行投稿します。

あとサブタイ少し変えました。

それでは本編どうぞ!


SIDE:リナ

 

あたしとキャロが姉妹となってはや1年余り…キャロはSt.ヒルデの初等部に編入し、めきめき実力を伸ばしていた。

 

そもそも竜の巫女に選ばれたということはそれだけの素質はあったのだろうが、今あの子には周りにいくらでもいい先生がいるし根が素直だから成長著しい事この上ない。

 

「どうしたのリナお姉ちゃん、わたしの方じっと見て。」

 

「うん、キャロはいつ見ても可愛いなぁって。」

 

「あひゃあ?!…もう、リナお姉ちゃんたら?」

 

あたしの返しに顔が真っ赤になるキャロ。ふふ、そんなとこが可愛いのよねぇ。

 

「それよりリナお姉ちゃん、わたしの格好変じゃないかなぁ?」

そういうキャロの姿はピンクのワンピースドレス。

 

「大丈夫、とても似合ってるわよキャロ。」

 

「へへ…ありがと、リナお姉ちゃん♪お姉ちゃんも似合ってるよ。」

 

ちなみにあたしの出で立ちはピンク色のパーティードレス。

 

「ありがと。…だけど、何でピンクのお揃いにしたかったの?」

 

ちなみになんであたしがこんな格好してるかというと…あたしたちはクロノとエイミィの結婚式に招待されていて、ここは来賓の控室だったりするのだ。

 

「だってお姉ちゃんとお揃いが良かったんだもん!」

 

…キャロは幼い頃に親族から見放されて寂しかったのか、あたしの家族やなのはたちには直ぐになついた。それでもあたしとユーノ以外は「さん」付け…甘えるのはこの2人にだけなのだ。

 

「でも二つ名通りだよね、『ピンクのリ…」

 

「…ちょっと待てぃ?!」

 

グワッシ!

 

あたしはキャロの頭を鷲掴みにするとそのまま持ち上げる…所謂アイアンクローの体勢ね。

 

「リ、リナお姉ちゃ…ん?」

 

怯えた表情でこっちを見るキャロ。

 

「キャロ、誰からその話聞いたの?正直に答えて。じゃないと…」

 

「…じゃないと?」

 

キャロの問いかけにあたしは満面の笑みで…

 

「1週間ニンジンのみ食べ放題にしてあげる♪」

「言います言います?!…っていうか別に隠す気もないし!…この間お使いでフェイトさんのお家に行ったときに…」

ふんふん、それで?

 

「その時会った妙な服装をした胸の大きいお姉さんが…」

 

ほほぅ…なるほどね…。

 

あたしはキャロから手を放すとポケットの財布から500円玉を取りだし床に放り投げた。すると…?

 

「ほーほっほっほっほっ!今ここでお金の音が『お前が元凶かぁっ?!』へぐぅっ?!」

 

どこからともなく現れた結婚式にそぐわない格好をした何かをあたしは全力全壊のハンマーフックでぶっ飛ばした。

 

「…ちょっと、なにするのよリナ?!」

 

めり込んだ壁から起き出してきたのは言うまでもなく〈自称〉あたしのライバル、その実態は露出過多のユニゾンデバイス・ナーガ。

「あんたが人の妹にいらない知識をおしえるからよナーガ!だれがそんな黒歴史を教えろっていった?」

 

あたしは前世で魔導師として実力を認められ、〈称号の服/デイグリー・ローブ〉を贈られたんだけど…その時のローブの色がピンクだったせいで 色々と恥ずかしいめに…

「でも事実じゃないの、ピンクのリナちゃ…ひいっ?!」

 

なおも戯言を言おうとするナーガにあたしはアイアンクローをかます…L様の手で。

 

「ち、ちょっとリナそれは…『やかましぃ。』」

 

ギリギリギリギリ…!

 

「痛い痛いいたいっ?!」

 

ナーガの頭蓋骨が凄い音たてて軋んでる…ま、ナーガはこれぐらいじゃ死なないから、うん。

「キ、キャロちゃん助けてぷり~ず…」

 

「リ、リナお姉ちゃん…?!」

 

さすがに怖くなったのかキャロが声をかけてきたけど…

 

「…何、キャロ?あたしは忙しいんだけどなぁ…?」

 

「…おトイレに行ってくるね。」

 

あたしの冷めた笑みに何かを察したのかそそくさと控室を出ていくキャロ、そして絶望の表情のナーガ。

 

「…さ、式が始まるまでまだ時間があるし…ゆ~っくり昔を語りましょ、ナ・ー・ガ?」

 

「ひ、ひえ~っ?!」

 

 

SIDE:キャロ

 

『…ひ、ひえ~っ?!』

 

…今出てきた控室から悲鳴が聞こえたけど…聞こえなかった事にしよう、うんそうしよう。

そう決めたわたしはトイレに急ぎ足で向かった。

 

「あれ、トイレはどっちだっけ…あ!」

 

標識を見つけたわたしは曲がり角を急いで曲がる。

 

「えっ…」

 

するとそこには1人の男の子が…駄目、ぶつかる~?!

 

ドガシャ~ン!

 

予想通りその男の子はぶつかりわたしを押し倒す形に。そして…

 

Chu♪

 

(…えっ、今のってまさか?)

 

驚いて目を開いたわたしの唇はその男の子に…これって…ファーストキッス?!

 

「あ、あの…?」

 

「あ…ご、ごめんなさい!大丈夫でしたか?」

男の子はすぐ起き上がると手をとって起こしてくれた。

 

改めて男の子を見ると…年は同じくらいで赤い髪の毛を短めにしている。そしてなにより…

 

(か、カッコいい…♪)

 

…もしかしなくてもこれって運命の出逢いだよね?

 

「…はい、わたしは平気です。すいません、慌てていて…」

 

「僕の方こそごめんなさい。僕はエリオ・モンディアル。君は?」

 

男の子は自己紹介してくれた。エリオくんって言うんだ…

 

「あ、すいません。わたしの名前は逢魔キャロっていいます。」

 

「逢魔って…もしかしてリナさんの妹さん?」

 

 

えっ、お姉ちゃんを知ってるんですか?

 

「知ってるも何も…僕の保護責任者はアリシアさんとフェイトさんだから…」

 

アリシアさんとフェイトさんはリナお姉ちゃんの小学生時代からの親友でわたしも会った事がある。

 

「そうなんですか…。」

 

「でも怪我が無いようで良かった…女の子に怪我させたらアリシアさんたちに怒られちゃうから。…君もクロノさんの結婚式に?」

 

「はい!あの…さっそくなんですけど…」

 

わたしはエリオくんの手を取り目を見つめる。

 

(はしたないかな…でも!)

 

「…あなたが好きです。お付き合いしてくださいっ!」

「…はいっ?!」

 

…リナお姉ちゃん、見つけたよ、わたしの旦那さま♪

 

NO SIDE

 

クロノとエイミィの結婚式が始まり、式場は厳かな雰囲気に包まれるなか…

 

「あれ、グレイシア姉さんは来てないの?リナ、見てない?」

 

「あ~、なんか急用を思い出したから欠席するってさ。ご祝儀はあたしがまとめてだしといたから。」

 

「ふ~ん…ま、姉さんがいると何かと台無しになりそうだからそっちの方がいいかも。」

 

リナに相づちをうつアメリア。確かにナーガがいれば高笑いで式はぶち壊し間違いないだろう。

 

「…それよりキャロ…あんたエリオとなんかあったの?腕なんか組んで嬉しそうに。」

 

リナの隣に座っているキャロはその隣のエリオの腕をとってニコニコしている。一方のエリオは顔を赤らめて緊張の面持ちだ。

 

「うん、さっきエリオくんにわたしの初めてのキッスあげたから結婚の約束を…」

 

「え、ちょっ…だからあれは不可抗…?」

 

「…ぬぁんですってぇ~っ?!…ていうかなんなのよファーストキッスで即結婚って?」

 

「えっ?…でもこの間はやてさんが『初めての人に全てを捧げるんやで?』って…?」

 

「…は~や~て~…あとでシメル。」

 

ゾクッ!

 

「…どうしたのはやて?」

 

「顔色が悪いようですが?」

「いや…なんかどっかから物凄い負のオーラを感じてな…気のせいやと思いたいんやけど。」

 

どうやらナーガ以外にも余計な情報源がいたようである…とりあえず合掌。そして…?

 

SIDE:?????

 

「見ーつけた、わたしの王子様♪」

 

たまたまママとお呼ばれした結婚式場で見つけたカッコいい男の子。

 

同い年ぐらいでハンサムだし…まぁ合格よね。

 

写真は撮っておいたし、後でネットで調べよっと。

 

「ルーテシア、お家に帰るわよ~!」

 

「は~い、ママ♪」

 

わたしの名前はルーテシア・アルビーノ。あの男の子はわたしのものよ!




いかがだったでしょうか?

ちなみに結婚式のあと、式場の裏の樹に簀巻きにされたナーガとはやてがぶら下げられて…合掌。(笑)

次回は予定通り記念の後書き回の予定です。

SPも含めなるだけ早く投稿するつもりなのでご容赦を。

あと活動報告にてコラボ募集してます、よろしければご覧ください。


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特別回、めでたいな なんだかんだで 祝100回

(記念後書きみたいな物)


予告通り記念の後書き回です。

原作のあとがきがどこまで再現できてるか心配ですが…楽しんで戴けたら幸いです。


進行…タカヒロオー[作者]、ロード・オブ・ナイトメア[L様]、魔王シャブラニグドゥ[部下S]

 

 

 

 

 

作者…「どうも、皆様猛暑の中いかがお過ごしでしょーか?タカヒロオーです。」

 

 

L様「38億のあたしのファンお待たせ~っ!全宇宙のアイドル、L様だよ~っ♪」

 

 

部下S…「どーも、L様のマネージャー兼進行役の部下Sです。」

 

 

L様…「いや~、久々の後書きだけど…なんでこのタイミング?てっきりストライカーズ終わってからだと思ってたんだけど…?」

 

 

作者…「うん、俺も最初はそのつもりだったんだがな?↑のタイトル見てみそ?」

L様…「ん?…祝100回?」

 

 

作者…「そ、この後書き回が投稿100話目になるの。正確に言えば設定が2話分あるけどね。」

 

L様…「は~、なんだかんだでもう100回いってたんだ?」

 

 

作者…「それに加えてはいすくうる編とコラボ編が終わっていわゆる幕間?って感じなんで、その辺の裏話とか、あとこそっと活動報告でやったキャラ人気投票の結果発表とかやっちゃおうかって。」

 

部下S…「そういえばやってましたねぇ人気投票…」

 

 

L様…「とうとうあたしの時代の幕開け…」

 

 

作者…「あ、それは多分ないから安心しろ。と言うわけで最初は…」

 

 

 

※裏話~はいすくうる編

 

 

部下S…「はいすくうる編は幕間的な扱いなんですよね?」

 

 

作者…「そ。もともとマテリアル編は書く予定にしてなかったから。」

 

 

L様…「なんで書かなかったの、人気あるエピソードなのに?」

 

 

作者…「…一番の理由は劇場版の存在だな。あれでゲーム版のBOA、GODと劇場版の2ルートができてしかも劇場版の完結がいつになるか解らんかったから。」

 

 

部下S…「あぁ…2ndA´sから次までだいぶ開きましたしねぇ…(しみじみ)」

 

 

作者…「あとはお話の都合。本編として描くとなるとスレイヤーズ要素を付け加えないと…マテリアルズの3人はSPに出てきた魔法の鏡でなんとかなってもGODがなぁ…?」

 

 

L様…「ユーリやフローリアン姉妹が繋がらないって訳か。」

 

 

作者…「そういうこと。…ってわけで番外編って感じの『はいすくうる編』を始めた訳なんだが… 」

 

 

部下S…「何か問題でも?」

 

 

作者…「以前書いたえくすとら編(無印とA´s の幕間)と比べて書きにくかった…えくすとら編はコミック版のなのはがベース(例外あり)で、はいすくうる編はスレイヤーズSPがもとネタなんだけどアレンジの仕方間違えたかな~って。」

 

部下S…「結構苦労してたんですねぇ…」

 

 

作者…「で、そうこうしてるうちに荒潮提督さんと約束してたコラボが先にあっち(マテリアルズ・ストラトス)ではじまったんだけど…」

※裏話~コラボ編

 

作者…「その頃こっちで書いてたのが「アカデミー・フェスタ」(スレイヤーズすまっしゅ②巻収録)のパロディなんだけど、この作品に出てくんのが『大鎌を振りかざして学校内を徘徊する女教官』。それでリリカル世界の大鎌といえばフェイトなんだけど…なんか違うなぁと。」

 

 

L様…「まぁ、あの話でフェイトが犯人でしたじゃあ普通すぎるわよね。」

 

 

作者…「それでふと『レヴィだったらオチ付けれるなぁ』って思ってな?…でもホントは顔見せでコラボはもうちょい後のはずだったんだ。」

 

 

部下S…「それがなんで一気にコラボに突入したんですか?」

 

作者…「それは…若気の至りというか?」

 

 

L様…「誰が若気の至りだ、40代後半のおっさんが。」

 

 

作者…「人の年齢をさらっとばらすなぁ~っ?!…ま、まぁそういう訳で気が付いたらマテリアルズどころかユーリまで。ここまで来たらコラボ突入だぁ!って。」

 

 

L様…「相変わらずの行き当たりばったりね…」

 

作者…「おう!…とは言ってもプロットは荒潮提督さんと相談済みだったからな。」

 

 

部下S…「今回の黒幕の織斑秋羅はどうやって決めたんですか?」

 

 

作者…「秋羅が黒幕ってのはコラボが決まった時に決めてた。どうやって向こうの面々に怒りを向けさせようと思ったら…あのクズしか思い付かんかった。それともう1つ…」

 

L様…「もう1つ?」

 

 

作者…「荒潮提督さんとこで節目節目で開催されてた粛清イベント。2回目ん時にリナも参加させて貰ってここからコラボはじまったんだけど…その時参加出来なかった人がいたみたいだったんで『2度あることは3度ある』→『3度目の正直』もありかなと思って、荒潮提督さんに秋羅の復活と粛清イベントを打診したらOK貰えたから。」

 

部下S…「なるほど…それじゃ次は新キャラのリヒトちゃんについて。」

 

作者…「リヒトは皆も知っての通りマテリアル娘。シリーズに登場するハネキツネが元。もともとA´s編でナハトを出したんで何人かの感想やメッセージで「リヒトは出ないんですか?」と聞かれて、これは出さなきゃとは思ったものの…ね?」

 

 

L様…「?…何かあったの?」

 

 

作者…「いや、ナハトはナハトヴァールの残滓から生まれたっていう設定がマテリアル娘。にあったからいいけどリヒトはただのハネキツネだから…同じ姿してんのにそれはないだろと思ってさ。」

 

 

部下S…「それで出来たのが〈リナを素体にしたマテリアル〉っていう設定なんですね?」

 

 

作者…「うん、なのはやフェイト、はやてにマテリアルがいてリナにいないのはおかしいって思ったから。」

 

 

L様…「でもリナのマテリアルなのに何で一夏の元へ行ったの?」

 

 

作者…「リヒトを誕生させるにあたって荒潮提督さんに引き取っていただく前提で書いてたからね。だからマテリアルというよりは性能のいいユニゾンデバイスっていう書き方になってる。」

 

L様…「は~…ちなみに人間の時のリヒトってモデルがいるんだって?」

 

 

作者…「作中でも言ってる通り顔は幼いリナだけど、性格も含めた全体なイメージとしては…『東京レイヴンズ』のコン。正直なところ『ノーゲーム・ノーライフ』のいづなと迷ったけどね。」

 

 

※そしてStrikersへ!

 

 

 

部下S…「そして現在進行形のSts編なんですが…結局六課の敵って誰なんですか?」

 

 

作者…「今話せる段階だとまずはリナの宿敵・冥王フィブリゾとその配下たち、そしてご存知管理局最高評議会だよね。」

 

L様…「冥王のバカはまだ具現化できてないのよね?」

 

 

作者…「うん、でもちょこちょこ干渉はしてるよ。キャロの件とかね。」

 

部下S…「あと気になるのはフィブリゾが言ってた異端者[イレギュラー]のミ〇ギですよね…何者なんです?」

 

 

作者…「それこそ内緒…って言いたいけどちょっとヒント。①別原作からの転生者②見た目は平凡な少年で学生服③口癖は「僕は〇くない」…これくらいかな?

 

 

L様…「③はほぼ答えじゃないって気がするけど…いいの?」

 

 

作者…「ま、そのまんまでる訳じゃないしね。」

 

 

※人気投票結果発表!なんだけど…?

 

 

 

部下S…「それではここからは予てより募集してましたキャラ人気投票の結果発表です!」

 

 

L様…「一応参加してない人の為に説明しますと…投票は1人1回で持ちポイントは5ポイント。振り分けは自由だけど小数点以下やマイナスポイントは無効…だったわよね?」

 

 

作者…「そ。それでポイント上位のキャラには短編の主人公になってもらう特典つき。…だったんだけど…」

 

 

L様…「ん、どうかしたの?」

 

 

作者…「…有効投票者6人、有効ポイント数30ポイント…思ったより集まらなかった…でも!ある意味スレイヤーズっぽい結果に!」

 

部下S…「それでは結果発表!まずは得票数1の8位タイから!」

 

 

L様…「ドキドキ、ドキドキ♪」

 

 

部下S…「8位タイは5人です。フェイト・テスタロッサさん、八神はやてさん、響良牙さん、山田権兵衛(やまだごんのひょうえ)さん、そして…我らがL様です!」

 

 

L様…「…はいっ?!」

 

作者…「はい、御苦労さん。…短い夢だったな。」

 

 

L様…「(ヴゥオン!)」

 

 

作者…「あ、こら、神滅斬発動するなっ?!…いいじゃんか、俺や部下Sは0票なんだぞ?」

 

 

L様…「うっ、それを言われたら…とりあえず票をいれてくれた烈 勇志さん、ありがとね♪」

部下S…「さぁ発表に戻って次は得票数2、5位タイの3人です!」

 

 

作者…「5位タイは…主人公の1人・高町なのはさん、そして逢魔キャロちゃんとヴォルテールの主従?コンビだぁ!…代表してキャロさん挨拶を。」

 

キャロ…「出てきたのはつい最近なのに…とても嬉しいです!投票してくれたaki ecoさん、ありがとうございました!」

 

 

作者…「さぁどんどんいくぜぇ!次は得票数4票で第4位…おおっと、ここで出てしまった主人公・逢魔リナだぁ!」

 

 

部下S…「それでは鶴橋の焼肉屋で肉をやけ食いするリナさんにインタビューを。」

 

 

L様…「…なんで鶴橋なのよ…」

 

 

リナ…「ま、トップじゃないのは残念だけど、次こそは1位とるわよ!応援してくれた直樹さん、烈 勇志さん、立花フミさん…どうもありがとね♪」

 

 

部下S…「実はリナさん、投票してくれた人数では1位だったんですよ。」

 

 

L様…「さぁ、残すところはトップ3?」

 

 

作者…「おう!…とは言っても3人1位(得票数5)なんだけどな。」

 

 

部下S…「それではまず1人目は…見た目は地味でも意外と策士?月村すずかさん!」

 

 

L様…「ぬぉっ、すずか凄いじゃん!」

部下S…「続けて2人目!嫁候補(リナ)を抑えて亭主関白?!逢魔・S・ユーノ!」

 

 

作者…「それで3人目なんだがこれは俺から発表するわ。…並み居る本編キャラをさておいてコラボ編から入ってきたのはロリ狐っ子・リヒト!以上3名が第1回人気投票、栄えある1位です!」

 

パチパチパチパチ!

 

 

L様…「今の拍手いったいどこから…?」

 

 

作者…「まぁちっちゃい事は気にすんな♪それじゃ1人ずつ挨拶しとくれ。」

 

 

すずか…「こんな形で1位なんていいのかなぁ…?あ、でも投票してくださったHarveiさん、どうもありがとうございました!出番は少なくなりますがこれからも応援してください!」

ユーノ…「まさかリナより上になるなんて思ってなかったから吃驚だよ…でもキャロも含めて3人逢魔家からランク入りしたのは素直に嬉しいかな?投票してくださった立花フミさんと烈 勇志さん、本当にありがとうございました!これからも愛する姉と妹を護るため頑張ります!」

 

リナ…「なっ…きゅ~う…」

 

キャロ…「お、お姉ちゃ~ん?!」

 

 

作者…「…え~、ユーノの天然発言にリナがKOされた模様ですがまぁほっときましょう。では最後にリヒト、よろしくな?」

 

 

リヒト…「まっかせて~!えっと、投票してくれたstanさんどうもありがと~!あたしは向こうの世界で頑張るからよかったら「マテリアルズ・ストラトス」もよろしくね~!…あ、アメリアお姉ちゃんが凄い剣幕で出ていったけど?」

L様…「とりあえずstanさんは用心してね~…もう遅いと思うけど。」

 

 

作者…「と言うわけでこんな結果になりましたがいかがだったでしょうか?また第2回もやりたいとは思うのでお楽しみに!」

 

 

 

※Stsの展望・そして…?

 

 

 

L様…「さて、今後の話だけど…転生者はまだ出てくるの?」

 

 

作者…「ん~、今のところ決まっているのはあと3人かな。2人はまぁキャロみたいな感じで記憶はないけど…ってやつ。」

 

 

部下S…「もう1人は?」

 

 

作者…「リナの心を折れる唯一の人物。」

 

L様・部下S…「「げっ?!」」

 

 

作者…「その人をオリキャラとして出すつもり。詳細は本編をお楽しみに…だな。」

 

 

L様…「いよいよ最後になったけど、言っとくことある?」

 

 

作者…「連載を始めたのが2年前の3月。その時はまさかこんなに続くとは思ってませんでした。100話は1つの目標ではありましたがゴールはここではなく、新しい目標に背中を押されている気分です。Sts、そしてその先のvividまで書き続けますので引き続き応援よろしくお願いいたします!」

 

 

L様…「お別れの挨拶は終わった?それじゃあ…」

 

部下S…「あの~L様、その手に持ってらっしゃるものは…?」

 

 

L様…「え?南極産の氷山ですけどなにか?」

 

 

作者…「いや、なんで俺たちに向けて投げつけようと…」

 

 

L様…「だってあんたここんとこ毎日『暑い暑い』ばっかり言ってたから涼しくしてあげようかと思って…ついでに部下Sも封印しようかなって。」

 

 

作者…「それはいくらなんでも涼しすぎ…」

 

プチっ

 

L様…「あ~、作者と部下Sはしばらく避暑?に入ったので最後のご挨拶はあたしが。…連載開始から約2年半、リリすれはやっとここまでたどり着きました!まだまだStsもvivid編も続きますが皆様の応援が力となります。新規の読者の方も古参の方も分け隔てなく接する所存なのでご感想やご指摘などよろしくお願いします!以上、影のヒロインことL様でした、バイビ~!

 




いかがだったでしょうか?


近々別枠にてリリカルすれいや~ずすぺしゃる(短編集)と称してリヒト、すずか、ユーノをそれぞれ主人公としたSSを発表するのでお楽しみに。

本編はいよいよ六課結成に向けて動く予定です。(サブタイ未定)

それでは次回もリリカル・マジカル…

頑張ります!

(BYタカヒロオー)


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六十六、恩人と 再会の時 すぐ側に

いよいよSts編本格始動です!

時間はかかりそうですが頑張ります!




SIDE:スバル

 

「んっ、んっ…よし、準備OK!」

 

ウォーミングアップを終えたあたしはビルの屋上から町並みを見渡す。

 

町並みっていってもここには人なんて住んでいない…ここは時空管理局の訓練施設だから。

 

あたしは今日ここで行われる陸戦魔導師Bランクの昇格試験を受けるために来たのだ。もちろん…

 

「こんなところにいたのスバル?探したじゃない!」

 

「ごっめ~んティア姉!なんか待ちきれなくってさ…」

 

あたしの最高のバディ・ティア姉も一緒だ。

 

「ま、気持ちは分からなくもないけどね…時間よ!」

ブーッ!

 

「はい、皆さん集まってますね~っ?!」

 

ブザーの音と共に現れたホログラフに映ったのは少し幼い印象の少女。

 

「わたしは本日の昇格試験の試験官を勤めさせていただきます、八神リインフォース・ツヴァイ空曹長です。よろしくお願いしますです!」

 

「「よろしくお願いします!」」

 

リイン空曹長の挨拶にあたしとティア姉は敬礼を返す。

 

「はい、良いお返事です!…確認しますが、ショートカットのあなたがスバル・ナカジマ二等陸士、そしてお隣がティアナ・ランスター二等陸士。本日受験するのは陸戦Bランクで間違いないですね?」

 

「はいっ!」「間違いありませんっ!」

 

あたしたちの返事に頷くリイン空曹長。

 

「はい、それでは試験内容を説明します。あなた方二人にはこれから制限時間内に出現する仮想敵を倒しながら指定されたゴールを目指して頑張って貰います。あとこの試験会場では他にも数組のペアが試験に挑んでいるのであなた方も負けないよう頑張るですよ!」

 

「「はいっ!!」」

 

 

他の人達…うん、負けられないよね。だってその中には…必ず全員合格しよ~ね、ノーヴェ、ウェンディ?

 

あたしはそんな事を思いつつ、試験開始のシグナルを待つのだった。

 

 

SIDE:ノーヴェ

 

「1、2、1、2…」

 

あたしはウォーミングアップしながら今日のパートナーを待っていた。

 

本当は妹のウェンディとコンビ組みたかったんだけど、残念ながら今日は別チーム…今頃は違うスタート地点で試験開始を待っているはず。

 

「それにしてもコンビの子まだかなぁ~?そろそろ試験始まっ…」

 

「あ、あの~…ノーヴェ・ナカジマさん…ですか?」

 

あ、やっと来たのかな?はい、あたしがノーヴェ…え?

 

あたしが振り向いた先にいたのは…ピンクの髪の可愛らしい女の子。

 

「あの…逢魔キャロ、9歳です。本日はノーヴェさんのコンビを務めさせていただきます…どうかよろしくお願いします!」

 

か細いながらもはっきりとした声で挨拶する少女・キャロちゃん。

 

「うん、あたしがノーヴェ・ナカジマだよ。よろしくねキャロちゃん。」

 

「は、はい。こちらこそ!」

 

う~ん、初々しくてかわいいなぁ…ん?今確か…?!

 

「ね、ねぇキャロちゃん?あなたの名字の『逢魔』ってまさか…逢魔リナさんと関係が?」

 

「はい、リナお姉ちゃんはわたしの義理のお姉ちゃんですよ。ノーヴェさんの事はお姉ちゃんから聞いてたので…」

 

リナさんがあたしの事覚えてくれてた?!あたしはそれだけで胸が熱くなる。

 

「でも…あれ?確かエントリーネームは…?」

 

確認してみるとキャロちゃんの名前は「キャロ・ル・ルシエ」になってる。

 

「あ、それはお姉ちゃんが内緒にしとけって。わたしも色々あったんで…」

 

そっか…まぁ、あたしも余計な詮索はしないよ。ところでリナさんは元気にされてますか?

 

「はい、元気すぎるくらいで今日もお仕事だって朝早くに出ていきましたよ。…そろそろ時間のようですね。」

 

ビーッ!

 

『受験生の諸君、おはよう。本日の試験官を務める、八神リインフォース・アインス一等空尉だ…よろしく頼む。』

 

ブザーの音と共に画面に映し出されたのは翠色の髪をロングにした女性だ。

あたしとキャロちゃんは敬礼を返し次の言葉を待つ。

 

『確認するが…赤い髪の方がノーヴェ・ナカジマ、小柄な方がキャロ・ル・ルシエ…それで今日は陸戦Bランクの昇格試験で間違いないな?』

 

「「はいっ、間違いありませんっ!」」

 

「うん、いい返事だね。それでは間もなく試験開始だ…準備はいいかい?」

 

アインスさんの言葉に頷くあたしとキャロちゃん。

 

キャロちゃんの服装は比較的軽装だけどフード付きのロングコートに両手にコア付きの手袋…あれがデバイスかな?

 

「…それではready…go!」

 

いよいよスタート!あたしは愛機のデバイス・ジェットエッジをフル稼働させて飛びだ…いけない、キャロちゃん?…え?!

 

 

『…[翔封界/レイ・ウイング]!』

 

 

ゴワァッ!

 

「どぅわっ?!…それってリナさんの…?」

 

そう、キャロちゃんが使ったのはリナさんが得意としている高速飛行の呪文。あたしもマスターしようと勉強したけど適性がないのかとうとう覚えられなかったのに…?

 

 

「すいませんノーヴェさん、呪文の発動に時間がかかっちゃって。やっぱりリナお姉ちゃんみたいに上手くはいかないなぁ…」

 

いやいやいやいや、十分だって?!…あれ?

 

あたしはふと出た疑問をキャロちゃんに尋ねてみた。

 

「キャロちゃん、翔封界使えるんだったらなんで空戦魔導師を目指さないの?」

 

翔封界が使えるなら十分空戦できるはず…なのになんで?

 

「あはは、実は…わたしまだ低空飛行しかできなくて…高度をあげるとコントロールできなくなっちゃうんです。」

 

地面すれすれをあたしと並走するように飛びながら話すキャロちゃん。…なるほどね。

 

「それよりノーヴェさん、前方に障害発見、頑張って行きましょう!」

 

見ると前方に小型のターゲットが…よし、いこうキャロちゃん!

 

それにしてもキャロちゃんとリナさんが姉妹なんてね~?世間では恐怖の対象(汗)なリナさんだけど、意外にどっかでキャロちゃんの事見てる気がするなぁ…なんとなくだけど。

 

「[氷結弾/フリーズ・ブリッド]!」

 

キャロちゃんが放った氷結魔法が無数のターゲットを氷漬けにする。…さすがリナさんの義妹だけのことはあるなぁ。

 

「ま、あたしも年上だし…頑張らないと、ねっ!」

 

バキッ…バキバキッ!

 

あたしの振り抜いた右足がターゲットを粉砕!…なんだかこの子との相性いいかも?!

 

「よし、この調子で行くよキャロちゃん!」

 

「はいっ、ノーヴェさん!」

 

よ~し、リナさんに誉めてもらえるようにがんばるぞ、お~!

 

こうして新たな世代の少女たちが奮起していたころ、おなじ会場の離れた場所では…?

 

 

SIDE:リナ

 

「…へっぐちん?!」

 

う~みゅ、誰かあたしの噂をしているよ~な…?

 

「あれ、リナちゃん風邪?」

 

隣でタッチパネルを操作していたなのはがあたしのくしゃみに振り向く。

 

「そんなんじゃないわよ、多分誰かが噂でもしてんでしょ。それより準備はできた、なのは?」

 

あたしはそう言いながらモニターに映る映像を見る。

 

映ってるのはあたしの義妹・キャロ、そして…

 

「ノーヴェ・ナカジマ…あの時の子がこんなに大きくなってるなんてね~。」

 

4年前に起きた空港火災の時に助けた女の子。あの時はめそめそ泣いてたあの子が今では…

『どりゃあっ!』

 

キャロの呪文で動きの止まったターゲットをバキバキ蹴り飛ばしてく。

 

「やっぱりあの子がノーヴェだったのね。…向こうのノーヴェとはちょっと雰囲気違うけど。」

 

以前迷い込んだ異世界で出会ったノーヴェはベリーショートでボーイッシュな感じだったけど、こっちのノーヴェは元気な女の子のイメージ。

 

「ま、素直ないい子に育ったみたいで何よりだけどね…キャロとも仲良くなったみたいだし。」

 

「わたしも吃驚だよ…あの時助けたスバルがこんな立派になって…ううっ…」

 

ち、ちょっとなのは何泣いてんのよ…そんなに感動したの?

「ううっ…久々に台詞しゃべったよぅ…」

 

ドンガラガッシャーン?!

 

「ち、ちょっとなのは?!」

 

「だってだって~?!みんな出番があったのにわたしだけ…忘れられてたのかなって。」

 

あんまりメタな発言は止めてよね全く…

 

「それよりそろそろ時間じゃない?早く行かないとみんなゴールしちゃうわよ。」

 

「あ、そうだね…それじゃわたしはスバルとティアナの所にいくからリナちゃんは…」

 

「わかってるわよ…ノーヴェとキャロん所に行ってラストバトル…でしょ?」

 

あたしはそう言うとバリアジャケットを纏ってナイトメア・ハートを構える。

 

「あ、リナちゃんこれこれ!」

 

そう言ってなのはが渡したのは…某世界で一番有名な子猫のお面。

 

「それで一応顔隠してね。…まぁすぐバレるとは思うけど。」

 

そう言うなのはは何故か般若の面。…正直、むちゃくちゃ怖いんですけど…ま、いっか♪

 

「さ、あたしを驚かせてよね、ノーヴェ、キャロ…楽しみにしてるわよ♪」

 

「…リナちゃんの方がよっぽどおっかないの…」

 

 




いかがだったでしょうか?

別枠にて新たに短編集・「リリカルすれいや~ずすぺしゃる!」も開始してますのでよろしければ。

それでは次回「六十七、マジですか? まさかあの呪文(わざ)使うとは…」

次も見てくんないと…

「「リボルバー…」」

「ナックル!」「スパイク!」

(BY スバル&ノーヴェ)



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六十七、現れた 般若と猫の 化身かな

なかなか先に進まない…もどかしい限りです。

と言うわけでサブタイ変更してます。それでは本編どうぞ!


SIDE:スバル

 

今あたしとティア姉、ノーヴェ、ウェンディは管理局魔導師陸戦Bランク目指して昇格試験に臨んでいる最中。

 

ティア姉とコンビを組むあたしは順調にターゲットを破壊し先へと進んでいく。

 

「思ったより順調じゃないスバル?このペースだったら余裕で制限時間クリア出来るわよ。」

 

ホントに?!ま、大型ターゲットが残ってるから油断は禁物だけどね。

 

「とか言って噂してたら…来たわよ!」

 

あたし達の進路を邪魔するように現れたのは大型のガシェットドローン。攻撃力、防御力ともに高い強敵だ。けど!

 

「ティア姉、懐に飛び込むから援護お願い!」

 

「任せなさい!クロスファイア…シュートっ!」

 

ティア姉の放った魔法弾はガシェットのバリアに打ち消される…けど、これは想定済み!

 

あたしは動きの止まったガシェットの懐に飛び込むと右腕のリボルバーナックルに魔力を込める。…この程度の相手、〈アレ〉を使うなんて勿体ない!

 

「リボルバー…ブラストっ!」

 

…撃ち…砕けぇ~っ!

 

メリメリッ…バキッ!

 

あたしの渾身の鉄拳はガシェットの装甲を容易く撃ち抜き、中枢部のコアを破壊する。

 

あたしとティア姉が飛び退いた瞬間、ガシェットは煙を吐き出し動作を停止する。

「やったねティア姉…びくとりぃ~!」

 

「こら、調子乗らないの!…でもこれでターゲットはほぼ全滅ね。あとは…」

 

あたしとティア姉はハイタッチを交わしながら喜びあって…

 

『とぉころがそぉはいかないんだな~?』

 

?!

 

「誰よ今の声は…『わぁたしだぁよ?』…いつの間に後ろに?!」

 

突如響いた謎の声に振り向くとそこには…白と青を基調としたバリアジャケットを着た、般若面の…女性?

 

『どぉうして疑問符がつぅいてるのかなぁ?』

 

だって顔が見えないし…じゃなくて?!

 

「あんた一体誰よ!わたしたちは…」

『管理局魔導師陸戦Bランクの昇格試験でしょ?』

 

あ、しゃべり方が普通になった。…声質は変わらず怖いけど。

 

『わたしは今回の試験のラスボスだよ。…実はね、今回の試験のメンバーはある意図があって集められたんだよ。』

 

「ラスボス?…ある意図?」

 

なんなんだろ?

 

『あ、ちなみに昇格試験は今のターゲット破壊で合格だから。だからここからはエクストラステージ…やりたくなけりゃ終了でもいいけど?』

 

「冗談でしょ?こんな面白そうな事見逃せるわけないじゃん…ね、ティア姉?!」

 

あたしは横にいるティア姉と目を合わせる。

「そうね…意図ってのも気になるしね。で、あんたを倒せばクリアなの?」

 

ティア姉の言葉に般若さんは手を左右に振って否定する。

 

『にゃはは、それはそれで面白そうだけど…今回はこれ。』

 

そう言って般若さんは胸元から1枚のステッカーを取り出し自分のお腹に張り付ける。星の形をした紋章みたい。

 

『…ルールは簡単、制限時間内にこのステッカーを奪い取れたらあなた達の勝ちで、逃げ切ったらわたしの勝ち。…これは通称〈エンブレム〉。わたしの友達が通ってた学校で行われてる選抜試験なんだ。』

 

般若さんは空中にタイマーを表示させる…残りは20分ぐらい?

 

『さ、鬼ごっこしよっか?準備はいい?』

 

あたしとティア姉は互いを見会うと頷く。

 

「スバル、気合い入れ直していくわよ、この人…」

 

うん、分かってる。この人…強いっ!

 

…というか、あのバリアジャケット…顔は隠してるし声も変えてるけど…間違いない、『あの人』だ!

 

「ティア姉、全力でいくよ!」

 

『うん、いい気合いだね?それじゃあReady…Go!』

 

掛け声と同時にあたしとティア姉は般若さんを襲う。

 

…必ずそのエンブレムと仮面剥ぎ取って、びっくりさせて見せるよ…『なのは』さんっ!

 

 

NO SIDE

 

スバル達が謎の般若(?)との試練に挑み始めた頃、会場のあちこちで同じような状況…選抜試験〈エンブレム〉が開始されていた。

 

この昇格試験に隠されたもう1つの意味それは…

 

「…それにしても昇格試験を利用して新部隊のメンバーを選抜するなんて…相変わらず無茶するね、はやて?」

 

「いや~、それほどでも♪」

 

「褒めてないよっ?!」

 

試験会場の上空に飛ぶヘリコプターの中で明るく話をしていたのはアリシアとフェイトのテスタロッサ姉妹とちびたぬ…じゃなかった、八神はやての3人だった。

 

「いやな、優秀すぎる逸材はすぐ上に引き抜かれるやん?それやったら試験自体をわたしらが仕切って使える子は芋づる式に引っこ抜いたろう思うてな。」

 

「またそんな発言を…陸のお偉いさんから睨まれるよ?」

 

はやての危ない発言に流石にフェイトが注意する。

 

「ふん、レジアスのおっさんやったら心配要らへん、無問題(モーマンタイ)や。…管理局の創設時の〈陸の英雄〉か知らんけど、あんなカタブツの言うことなんか聞いてたら何も先に進まへん。…幸い、リンディさんやレティ提督、クロノ君も後ろ楯として後見人になってくれてるから大丈夫、心配あらへんわ。」

 

 

「そうだね~…ま、それよりこの子達がはやてが選んだ候補生?」

そう言ってアリシアが見詰めるモニターに映っているのはスバルとティア、ノーヴェとキャロ。もう1つのモニターにはウェンディ、そして…

 

「あれ?もしかして…、ルールー?」

 

「あの子の事知ってるのお姉ちゃん?」

 

ウェンディと共に戦う9歳ぐらいの少女を見て何かに気づいたアリシア。

 

「うん、ルーテシア・アルビーノちゃん…ほら、あたしが保護官の研修でお世話になったメガーヌさんの娘さんだよ。」

 

「あ、アリシアちゃんも知ってたんや。この子も中々のもんやで…ベルカ主体の召喚術師なんやけど、適性はスィーフィードらしいてな。」

 

「「スィーフィード?!」」

はやての言葉に驚くフェイトとアリシア。

 

「そもそもわたしの部隊のフォワードメンバーの選考基準は『わたしらとの縁』やからな。リナちゃんとこのキャロ、わたしらが助けたナカジマ姉妹にその縁者のティアナ…」

 

「ここにはいないけどうちのエリオもだね?」

 

「そうや…やけど、それを理由に採用したら縁故採用やってなるからな~…」

 

「だからこんな回りくどいやり方なの?」

 

「ま、裏道はいくらでもあるって事やね。…お、こっちも始まるみたいや。」

 

「リナ、無茶しなきゃいいんだけど…」

 

3人が見詰めるモニターにはノーヴェとキャロが試験官と対峙していたのだが…?

 

SIDE:ノーヴェ

 

『よくここまで辿り着いたわね2人とも♪でも本番はここか…あれ、どしたのよ呆気にとられて?』

 

…そりゃ呆気にもとられますって…課題の大型ターゲットを倒したあたし達の前に現れたのは「最終課題」だって言う女性なんだけど…

 

「「なんでキ〇ィちゃんのお面なんですかっ?!」」

 

思わず2人の声がハモってしまうのも仕方無いと思う。

 

『え?一応顔隠しとこうと思ってさ。それより昇格試験はさっきのデカブツで終わり。…ここからはエクストラステージ、あたし達の部隊の選抜試験なんだ。』

 

選抜試験?それって…あれ、キャロちゃんはなんで頭抱えてんの?

 

「…それならそうと朝から言ってくれてもいいと思うんだけどなぁ…リナお姉ちゃん?」

 

え?…えぇ~っ?!

 

た、確かに言われてみれば細部は微妙に変わってるけどそのバリアジャケットには見覚えが…ホントに?!

 

『あ、こら?…んもぅ、バレちゃ仕方無いわね…』

 

そう言って取った仮面の下から現れたのは、4年前より少し大人っぽくなった…でも輝くような笑顔の女性。

 

「もう駄目じゃんキャロばらしちゃ。…4年ぶりだねノーヴェ、元気してた?」

 

「リナさん…はいっ!」

 

でも近寄ろうとしたあたしを手で制止したリナさん。

 

「そっか、元気なら良かった。ホントならここで感動のハグでもしたげるとこなんだろうけど…まだ試験中だからね。」

 

リナさんはポケットから1枚の紋章を取り出すとバリアジャケットのお腹に貼り付ける…あれって悪魔?

 

「この〈エンブレム〉を時間内に奪い取るのが最終課題よ。あたしは逃げ回るけどこっちからは攻撃はしないから。制限時間は…20分。」

 

リナさんは空中にタイマーを表示させる。

 

「…キャロちゃん、あたしが突っ込むから牽制お願いできる?」

 

「はい、わかりました!」

 

あたしたちは頷きあうとリナさんの方に向き直り構えを取る。

「…準備はできたみたいね。それじゃあ…」

 

「Ready…Go!」

 

「〈氷結弾/フリーズ・ブリッド〉!」

 

「いくよリナさんっ!リボルバー…スパイクっ!」

 

開始と同時に放たれたキャロちゃんの氷結弾の合間を縫ってあたしは先制の蹴りをかます。でも…?

 

「…ふぅん、ストライクアーツか…なら?!」

 

リナさんが蹴りを受け止めた瞬間光を放ったかと思うと、リナさんのバリアジャケットが格闘型に。…これって?

 

「お姉ちゃん、オーバーソウルモードはやり過ぎだよ?!」

 

「大丈夫よ、今回はジャケットだけだから。ノーヴェが格闘型なんならあたしも合わせないとね。…ミッドチルダ初代修練闘士・逢魔リナ。本気は出さないけど、手は抜かないわよ?」

「当然ですよ、でも必ず勝ちますよリナさん!」

 

「んもぅ…でもわたしも頑張りますっ!」

 

あたし達のエンブレム(部隊証)をかけた戦いが幕をあけた…憧れのリナさんと同じ部隊に入れるチャンス、絶対見逃せない!




ウェンディー&ルールー

「「出番は~?!」」


すまん!次回はあるから我慢してくれ!

それでは次回「六十八、起動する みんなの夢の 部隊なり」

いよいよ六課起動、チーム分け発表です。原作とはだいぶ違うのでお楽しみに。


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六十八、起動する みんなの夢の 舞台なり

宮古島から初投稿になります。

では本編どーぞです。


NO SIDE

 

魔導師ランクの昇格試験を受験するスバルたちの前に現れたのは彼女たちの憧れである高町なのは、逢魔リナだった。

 

そしてウェンディとルーテシアの前にも最終関門である試験官が現れたのだけど…

 

SIDE:ルーテシア

 

「ほーほっほっほっほっ!どーしたのかしら、かかってこないのかしら2人とも?」

 

かかってこいって…確か課題ってエンブレム…鬼ごっこだったよね?

 

なんで鬼が攻撃してくんのよ?!

 

と言うか白蛇の覆面かぶってるけどあれって間違いなくアリシアさんとこのナーガお姉さまだよね?!

 

あの人を試験官にする事自体間違いなんじゃないのぉ?!

 

「まぁまぁルールー、文句ばっかりいっても始まんないッスよ?それよりも時間も少ないしなんとかエンブレム取っちゃわないと。」

 

…ま、それしか道はないのは判ってるんだけどね?

 

「それじゃワタシが突っ込むッスから援護よろしくッスよルールー!」

 

…ウェンディだっけ、この人も大概フレンドリーっていうか馴れ馴れしいっていうか…まぁ嫌いなタイプじゃないけど。

 

「仕方ないわね…アスクレピオス、ゼナファモード発動。」

 

わたしの声に反応してデバイスが光を放つと黒かったバリアジャケットが白く変化、アスクレピオスもハードシェル装甲に包まれる。

アスクレピオスは元々わたしのママのデバイスだったんだけど、譲ってもらったわたしが初めて発動した時にこのモードの事に気付いた。

 

まるで昔から…それこそ前世からわたしの物だったみたい。

 

ちなみに正式名称は〈アスクレピオス・ゼナファ〉。

 

「さぁナーガお姉さま、受けてみて…〈閃光の吐息/レーザー・ブレス〉!」

 

わたしの声に応えるように現れた無数の閃光の一つ一つが収束された光線となってナーガお姉さま?を包み込み大爆発する。

 

「みぎゃ~っ?!」

 

「やったッスか?!」

 

…ううん、あの人はこの程度の攻撃じゃあ…

「ほーほっほっほっほっ!なかなか面白い業使うじゃない?!でもわたしを倒すには力不足ねっ!」

 

邪魔だったのかマスクを脱ぎ捨てたお姉さま。…いや、頭から血ドクドクでてるし…相も変わらずタフだなぁ…でも。

 

「油断大敵ッスよ?」

 

「ほぇ?」

 

ビュ~ン…べりっ!

 

デバイスに乗っかって背後から忍び寄ってきていたウェンディが背中に貼ってあった白蛇のエンブレムを剥ぎ取り試験終了…わたしとウェンディはハイタッチで喜びあう。

 

「「イエ~イッ♪」」

 

「そ、そんなぁ…」

 

ナーガお姉さま、そろそろそのすぐ調子に乗るクセ治したほうがいいですよ~?…多分無理だとは思うけど。

『はい、2人ともお疲れさんや。これで試験は終了やねんけど、あとでお話があるんよ。』

 

声と共にスクリーンに現れたのは八神はやて二佐。ロストロギア〈夜天の書〉の最後の主にして、わたしの目標…というか憧れの人。

 

うちのママとは仲が良く、わたしも家族ぐるみの付き合いをさせてもらってる。

 

「はやてさん、試験官の選定間違ってません?ナーガお姉さまは試験官からは1番かけ離れてる気がするんですけど…?」

 

『あ~っ…仕方なかったんよ、フェイトちゃんとアリシアちゃんはわたしと一緒やし、教導官の資格持ってる人で空いてたのがナーガさんしか居らんかってなぁ…ほんまにごめんなぁ?』はやてさんは両手を合わせて謝る。…ってナーガお姉さま、教導官の資格持ってらしたんですか?

 

『ナーガさんは資格だけやったらほぼ全て取得しとるからな…あれでいて隠密行動時には無呼吸で1時間くらい行動しおるし…』

 

…何ですかそのチートぶり…でも考えてみればお姉さまって〈前世〉でも色々出来ましたよね、性格が個性的なだけで。もっとも、そのおかげで〈前世のわたし〉は自分を確立する事ができたんだけど。

 

『…そろそろ他の会場も決着つく頃やな。そんじゃ訓練センターのロビーに集合や…待ってるで?』

 

そう言うとはやてさんのモニターが消える。

 

「はぁ~っ…ルールー、あの有名な『豆たぬ三佐』と知り合いだなんて…うちの姉ちゃんたちはあの人のお友達に命を救われて、この仕事を選んだッスからね?世間は狭いもんッスね。」

えっ…ってことは、ウェンディのお姉ちゃんってあの空港火災に…

 

「うん、そのうち2人はこの施設の何処かで試験受けてるッス。大丈夫ッスかねぇスバル姉ちゃんとノーヴェ姉ちゃん…」

 

「ふうぅ~ん…」

 

と言う事は…うん、はやてさん何か企んでるわね間違いなく。

 

ま、その辺は後で聞かせてもらえるでしょうし、ウェンディ、とりあえずセンターに行こっか?

 

「賛成~!もうお腹ペコペコッスよ?!」

 

こうしてわたしとウェンディは試験会場を後にする…あれ、なんか忘れてるような…ま、思いだせない事だったら大した事じゃないっしょ♪

 

その頃…

 

「う~ん…あの閃光とデバイス…どこかで見覚えが…?」

 

試験会場のど真ん中でナーガが胡座をかいて座り込みなにか考えてた。

 

「ん~っと…あ!…前世の世界であんな感じの白い魔法の鎧着たエルフの子…確か…メ……スだったかしら。…だからわたしの事を『お姉さま』っていったのね…」

 

どうやらルーテシアもまた、縁に結ばれていたようで…

 

一方他会場で繰り広げられる戦いも終わりに向かいつつあった。

 

スバルとティアナは培ったコンビネーションでなのはを追い詰め、最後はスバルとなのはのディバインバスターが相撃ちしたところでティアナがエンブレムを奪い取った。

「やったわよスバル!」

 

「うん!〈エンブレム〉、取りましたよなのはさん!」

 

「…お見事。まさかディバインバスターが使えるなんて思わなかったの。2人ともよく頑張ったね。…とくにスバル、あの空港火災以来だね…4年ぶりかな?また逢えて嬉しいよ。」

 

「な、なのはさ~ん!」

スバルはなのはと再会を果たし…

 

そしてリナとノーヴェ、キャロの試験もまた…

 

SIDE:ノーヴェ

 

「そんなんじゃエンブレムは渡せないわよ、ノーヴェ、キャロ?」

 

「はぁ、はぁ…」

 

「大丈夫、キャロちゃん?」

 

リナさんとあたし達との鬼ごっこ…〈エンブレム〉。

 

キャロちゃんが誘導弾や拡散射撃で牽制し、その隙を狙ってあたしが突っ込むんだけど…

 

「なんで背後からの攻撃迄避けられるの?」

 

「…リナお姉ちゃんのセヴァールモードは近接特化だから、魔法は使えないけどその分人間が本来持つ五感が最大限になるんですよ。」

 

肩で息をしながらキャロちゃんが答える。

 

「ほらほら、あと3分しかないわよ♪」

 

…絶対遊んでるよね、リナさん…あ、なんか腹立ってきた。

 

「…キャロちゃん、1分時間稼いでくれるかな?」

 

「なにか策あるんですかノーヴェさん?」

うん、まだ完璧とまではいかないけど…なんとか完成させたあの呪文なら?

 

「…わかりました、1分ですね?…連鉄召喚・アルケミック・チェーン!」

 

キャロちゃんが召喚した数本の鎖がまるで蛇のようにリナさんに襲い掛かる。

 

「…!なかなかやるじゃないキャロ!でもまだまだ~っ!」

 

鎖によって避けるスペースが狭くはなり、リナさんは避けるだけで精一杯に。…よし、今だ!

 

『…黄昏よりも昏きもの 血の流れより紅きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに闇に誓わん…』

 

「…?!…ノーヴェ、あんたそれって…ふ~ん面白いじゃない、受けてたってやろうじゃないの!」

リナさんは動きを止め、バリアジャケットを元のスタイルに戻すと魔力の充填を始める。

 

 

『我が前に立ち塞がりし 全ての愚かなりし者に 我と汝が力持て 等しく滅びを与えんことを!』

 

…いくよリナさん、これがあたしの成長の証です!

 

『『〈竜破斬/ドラグ・スレイブ〉!!』』

 

あたしが竜破斬を放つと同時に、リナさんは無詠唱で同じ呪文を放つ。

 

ズガガガガ!

 

2つの竜破斬はお互いのほぼ中央で衝突した。本来はリナさんの方が圧倒的のはずだけど…

 

「くっ、やるわね…やっぱり無詠唱でいきなりだと出力が足んないか…」

「よし、これなら…えっ?!」

 

しかしそれでもリナさんの方が強いらしくジリジリ押され始める。

 

「まっさか竜破斬マスターしてるとは思わなかったけど、そうやすやすとは負けてられないってのよ!」

 

…リナさんさすがです。でも…

 

「リナお姉ちゃん、これな~んだ?」

 

「ふえっ、キャロ?…あ~っ?!」

 

キャロちゃんが手に持ってたのはリナさんのエンブレム。…そう、キャロちゃんはあたしとリナさんが砲撃戦してる間…リナさんの注意が逸れている隙を狙って、鎖でエンブレムを掠めとったのだ。

 

「ふふっ、油断大敵だよ~お姉ちゃん♪」

「…参った。うん、時間も残ってるし…最終テストも合格よ。」

 

やったぁ!あたしは隣にいたキャロちゃんを抱き抱えて喜ぶ。

 

「ありがとうキャロちゃん!よくあたしの意図見抜いてくれたね!」

 

一応竜破斬撃つ時に目配せはしたんだけど…まだ9歳なのに機転もきくし、将来が楽しみだよ、うん。

 

「いえ、そんな…それよりノーヴェさんこそ竜破斬なんて…誰から教わったんですか?」

 

「えっ、誰って…4年前にリナさんに助けられた時に初めて見て、そこから動画とか観ながら独学…かな?」

 

「ち、ちょっと…嘘でしょ?」

 

あたしとキャロちゃんの話を聞いていたリナさんが驚く。

「スイーフィード式の呪文はカオス・ワーズを理解してないと発動すらしない…ましてや竜破斬を独学でなんて、あんたどんな頭してんのよ?!」

 

そう言われても…ねぇ?

 

「…まぁいいわ。ノーヴェ、キャロ、あんたたちはあたしの部隊に内定よ。しっかり鍛えたげるから覚悟しときなさい…わかった?」

 

「「…はいっ!!」」

 

 

即答するあたしとキャロちゃん。

 

やっと見えたリナさんの背中…必ず追い付いてみせるよ!

 

NO SIDE

 

こうして終わりを告げた昇格試験と言う名の選抜テスト。

 

スバル、ティアナ、ノーヴェ、キャロ、ウェンディ、そしてルーテシアは着替えをすませ、訓練施設のロビーに集まっていた。

「はいみんなお疲れさんやったな?まずは全員陸戦魔導師Bランク合格や。…そんでな?」

 

総括の挨拶を始めたはやては一度言葉をあける。

 

「みんな試験の途中で試験官から聞いた思うけど…実はあんたら全員わたしが今度編成する実験部隊にスカウトしたいんよ。みんな思惑はあるやろけど…」

 

はやてはそう言ってみんなの表情を確認する。

 

「あたしは勿論参加しますよ!なんてったって憧れのなのはさんに鍛えてもらえるなんて…夢みたいです!」

 

まず名乗りをあげたのはスバルだった。さらに…

 

「あたしとキャロちゃんはリナさんに直々に言われましたから…ね、キャロちゃん?」

「はいっ!」

 

ノーヴェとキャロがそれに続き…さらにウェンディ、ルーテシア、そしてティアナも頷く。

 

「うんうん、ありがとな~!」

 

「…で、八神二佐。部隊の名前は何て言うんですか?」

 

ティアナの質問に頷くはやて。

 

「…部隊の正式名称は、管理局的には『古代遺物管理部・機動六課』。すなわち所謂ロストロギアの探索・管理が仕事やな。でも…」

 

「でも…何ッスか、ちびたぬ…じゃなかった八神二佐?」

 

余計な事を言いそうになったウェンディを軽く睨むとはやては話を続ける。

 

「…ここだけの話、この部隊の真の目的は他にあるんや。ま、それはおいおいな。あんたらはリナちゃん、なのはちゃん、フェイトちゃんらの下で実働班として働いてもらうで…ええな?」「はい!(×6)」

 

思いが集いいよいよ始まるはやての…そしてリナやなのはたちの理想の部隊、機動六課。

 

果たしてどんな運命が彼女たちに待ち受けているのだろうか…

 




すいません、チーム分けまでいけなんだ…

次回は結団式、そして初訓練までいけたらなぁ…と思ってますが…(弱気)

それでは次回「六十九、初訓練 白き魔王と 合間見え」(仮題)

なるべく早く投稿できるように頑張ります!


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六十九、初訓練 現れたのは プチ魔王?

台風の影響で時間が空いたので投稿します。

今回は初訓練と六課の構成の解説、そして…?

ま、詳しくは本編でどぞ!


SIDE:スバル

 

…それぞれが運命の再会を果たした昇進試験からはや1ヶ月が過ぎた頃…

 

あたしとティア姉、ノーヴェ、そしてウェンディは所属していた災害救助隊から出向する形ではやてさん(本人の意向でそう呼ぶ事に)が新設する実験部隊「古代遺物管理部・機動六課」に配属される事に。

 

結団式も無事に終わり、あたし達は各部隊に振り分けられた。…ここでもう一度簡単に部隊の編成を整理しておこうかな?

 

まず主に事件の捜査を担当するチーム〈ライトニング〉は…

 

隊長…フェイト・テスタロッサ執務官(一等空尉待遇)/副隊長…八神ヴィータ三等空尉/隊員…ウェンディ・ナカジマ二等陸士、エリオ・モンディアル三等陸士

 

次にロストロギアの探索やそれを奪おうとする輩の討伐が目的のチーム〈スターズ〉。

 

隊長…高町なのは一等空尉/副隊長…八神シグナム二等空尉/隊員…スバル・ナカジマ二等陸士、ティアナ・ランスター二等陸士

 

そして、コードネーム〈異端者/イレギュラー〉と呼ばれる特殊事項を主に扱うチーム〈ナイトメア〉は…

 

隊長…逢魔リナ三等空佐/副隊長…八神アメリア二等空尉/隊員…ノーヴェ・ナカジマ二等陸士、逢魔キャロ三等陸士

 

 

この3チームがフォワード…所謂実働部隊。

 

それとは別にサポートチームとして…八神シャマル医務官を長とする医療班、ヘリコプター等であたし達フォワードを現場へ運ぶ輸送班などがある。

またデバイスやその他機械を開発・整備するのがチーム〈ブレインズ〉。

 

リーダーにフェイトさんのお母さんでもあるプレシア・テスタロッサさんを据えたこのチームは掛け値なしにチートな技能集団で、あたしの叔父さん、ジェイル・スカリエッティもその一員。…噂話ではあたしたちのデバイスを改造するため連日の徹夜だとか…ご苦労様です。

 

そしてこの超個性派集団を纏めるのが部隊長である八神はやて二等空佐、そしてチーム〈ロングアーチ〉。

 

指揮官に八神リインフォース・アインス三等空佐、副官に八神リインフォース・ツヴァイ空曹長。

 

更に補佐としてグリフィス・ロウラン准陸尉、ルーテシア・アルビーノ候補生(菅理局未所属の派遣待遇)がサポートに廻る。「…それにしてもよくこれだけの面子を揃えたものね、うちの部隊長殿は…上層部からクレーム出なかったのかしら?」

 

 

訓練場に向かいながらティア姉が話しかけてくる。

 

「ん~、はやてさん曰くクレームはなかった訳じゃないけど、部隊の後見人のレティ提督やリンディさんが全て抑えきったらしいよ?」

 

「マジ?…はやてさんの人脈、恐るべしだわ。」

 

うちのお父さんや聖王教会にもコネあるし…あ。

 

「あ、スバルさん、ティアナさん!」

 

「おはようッス!」

 

「今日から訓練開始だね!」

 

「皆さんよろしくお願いします!」

 

エリオ、ウェンディ、ノーヴェ、キャロも合流しあたし達は指示された訓練場へ。

 

「あ、みんなおはよ~!昨日はよく眠れたかな?」

 

そこにいたのはなのはさんとサポートスタッフのシャーリーさん。

 

「はいっ!(×6)」

 

「うん、いい返事だね。…いよいよ今日から訓練を開始します。まず最初にこれを返すね?」

 

シャーリーさんからみんなに渡されたのは昨日預けた自分達のデバイスだった。見たとこ変化はないみたいだけど…?

 

「えっと…デバイスに計測用のICチップ組み込んでるから少しだけ大切に扱ってね?」

 

「計測用のICチップ?」

計測っていったい何を計測するの?

 

「今日の訓練で実戦中の運動能力や魔力値を測定して今開発中のあなた達の新しいデバイスに反映させるんだ。」

 

「…って訳だから、今日の訓練は実戦形式。シャーリー?」

 

「は~い!スイッチ、ポチっとな♪」

 

シャーリーさんが端末のキーを叩くと何もなかった広い敷地に人工の建造物が…

 

「な、何よこれ…?!」

 

「凄いッス、カッコいいッス!」

 

「へへ~ん、どうだ!わたしとルーちゃんが共同開発した疑似訓練施設だよ!」

 

あっと言う間に街ができちゃったよ…でもここでどんな訓練を?

「今日はね…かくれんぼでもしよっか?…でておいで!」

 

なのはさんの呼び掛けにふよふよと空から降りてきたのは…2頭身のSD化したなのはさん。あれって確か…チヴィット?

 

「スバルたちはブレイブデュエルしてたから知ってるかな?この子はわたしのチヴィットの〈なのなの〉。この子が街の中の何処かに隠れるから、制限時間内に探しだして捕まえるのが今日の課題だよ。」

 

 

何だ…意外と簡単そうな…

 

「制限時間は30分、見つけられなかったらもう1回だよ。魔法も使ってOKだけど、なのなのも反撃するからね?」

 

なのはさんがそう言うとなのなのは手に持ったレイジングハート?を振り上げ魔法弾を放つ。

ドッカーン!

 

魔法弾によって壁に穴が開いた…ダメだ、楽じゃないよこれ…(汗)

 

「あと妨害用に小型のガシェットもばら蒔くから。あ、これは潰したぶんはリセットしないから安心してね。スタートは5分後、それまでに作戦考えててね。」

 

なのはさんに言われわたし達は作戦会議。

 

「…どうするティア姉?」

 

「とりあえずフロントアタッカーの3人は外部のガシェットを壊しつつターゲットを探索。ウェンディとキャロ、あたしで建物の内部を探索するわ。できれば1回でクリアしたいけど難しいと思うからガシェットは出来る限り壊して。」

 

ティア姉の作戦に全員が頷く。

「準備はできた?そろそろ時間だよ。」

 

あたし達は目を合わせると頷きあう。

 

「それじゃいくよ?…3、2、1…GO!」

 

なのはさんの号令であたし達は訓練施設に飛び込んでいく…待ってなよなのなの、必ず捕まえてやんだからね!

 

NO SIDE

 

若手フォワードの訓練が始まった頃、少し離れたところから眺めていたのはシグナム、ヴィータ、アメリアの副隊長トリオだった。

 

「なんだ?お前らは訓練に参加しないのか?」

 

「…うっせ~なぁ…まだまだひよっ子だかんな、あいつら。」

 

「わたし達はもう少し馴れてからですね。暫くはなのはさんにお任せです。」

「そうか…なんにしろ大切な若い力だ、大事に育てないとな。」

 

シグナムの言葉に頷くヴィータとアメリアは訓練施設の方に視線を向けた。

 

一方その頃…

 

SIDE:DARK

 

ミッドチルダとは薄紙一枚隔てた異空間…そこにいたのは2人の少年。

 

1人は年の頃10歳くらい、女の子と見間違うほどの美少年。だがその身体から放たれている禍々しい魔力は明らかに人有らざる者…〈冥王/ヘルマスター〉フィブリゾ。そして…

 

「ここは…あの世かい?」

 

「やぁ…お目覚めのようだね。残念ながらここはあの世でもましてや君の住んでいた〈地球〉とも違う平行世界だよ。」

 

もう1人は年の頃で言うとリナやなのはと同じくらいだろうか。短い黒髪の平凡な顔立ち。服装も学生服だが…フィブリゾとはまた違う得体の無さがあった。

 

「そうか…やっと勝てたと思ってたのになぁ…」

 

残念そうに呟く少年。その割には残念そうに見えない気はするが。

 

「…まぁ心配しなくていいよ。君の嫌いな〈主人公〉キャラがこの世界には一杯いるからね…思い切り暴れてくれると嬉しいかな?」

 

「ま、仕方ないか。…僕が悪い訳じゃ無いんだし…ところで君、名前は?」

 

「僕の名前はフィブリゾ。右腕として活躍、期待しているよ…ミソギ・クマガワ。」

…そう、彼の名前は球磨川 禊(くまがわ みそぎ)。平行世界の地球において猛威を振るった〈負完全/マイナス〉。

 

「まぁ僕たちが動けるようになるのはもう少し先だから。それまでに準備を整えるとしようか。…せいぜい頑張って僕らのエサになるがいいさ、逢魔リナ!」

 




いかがだったでしょうか?

次回は訓練の決着なんですが、その後にあるはずの初出撃はSS01と合体したオリジナル、そして以前予告していたコラボ回となります。

現在宮古島にて出張が続いており執筆が思うようにいきませんが頑張って進めますので応援よろしくお願いします!


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七十、訓練の あとに待ってた 初任務

年内宮古島かもしれん…

スレイヤーズ新作はともかく、なのはの劇場版は円盤待ちかなこりゃ(涙)


NO SIDE

 

遂に結成された〈古代遺物管理部・機動六課〉。

 

スバルやノーヴェたち若手フォワード陣は初訓練で、チヴィットの〈なのなの〉を相手にした探索・確保ミッションに挑むことに。

 

SIDE:キャロ

 

『…3、2、1…は~い残念、もう1度最初からだよ♪これで4回目かな?』

 

「5回目ですよ、なのはさん…ちょっとみんな、集合?!」

 

ティアナさんの声にみんなが集まり作戦会議。

 

「はぁはぁ…なんなんっスカ、あの〈なのなの〉っ?!アクセルシューターは放つわラウンドシールドで防御するわ…まんま白い悪魔のコピーっスよ、あれ?!」

ウェンディさんは息を切らしながらまくし立てる。…白い悪魔って、某連邦軍のMSじゃないんだし…ねぇ?

 

「まだバインド使わないだけましだよウェンディ…だってなのはさんの飛び方の特徴まで再現してるからね。」

 

リナお姉ちゃんから聞いたんだけど、チヴィットはそれぞれのモデルになったプレイヤーの行動パターンや能力を再現してるらしいから。

 

「…でもどうします皆さん?なんとかガシェットは全滅させたから後はチヴィットだけですけど…?」

 

「…わたしに考えがあるわ。いい?ゴニョゴニョ…」

 

ティアナさんによると、今回の〈なのなの〉の動きにはある法則があるらしくて…

「…だから、スバルとノーヴェでチヴィットをこのT字路に追い込んで。それでウェンディとエリオはT字路の両側から挟み撃ちよ。」

 

「でもさティア姉…なのなの空飛べるんだしさ、上に逃げちゃうんじゃ…」

 

「…大丈夫、ビルの上にわたしとキャロがスタンバイしてるから。キャロ、こないだ話してたアレ…やってくれる?」

 

こないだ話したアレって…あっ、フリードの事ですか?

 

「そう。アレだったらチヴィットが空に逃げてきても撃墜できるからね。」

 

「はい、判りました!頑張ろうね、フリード!」

 

「キュイ♪」

 

わたしの呼び掛けに上機嫌で応えるフリード。…ふふっ、フリードも暴れたかったみたいだね。

「よし、作戦も決まったし、成功させて今度こそ訓練終わらせるわよ…いいわね、皆?!」

 

「はいっ!(×5)」

 

フォワード陣全員の声がハモり、各ポジションに散らばる。

 

『…どうやら準備はOKみたいだね…それじゃ頑張ってね、READY…GO!』

 

なのはさんの号令と同時にエリオ君とウェンディさんは指定の場所に回り込む。

 

わたしはデバイスに魔力を籠めると…

 

「行くよ、フリード!『…紅蓮の空に走る紅き閃光、我が翼となりて天に舞え。来よ、我が竜フリードリヒ!』」

 

フリードの能力を覚醒させる召喚呪文を詠唱する。ちなみにこれはまだ不完全版。リナお姉ちゃんから許してもらえるまで完全版はお預けなの。

『〈竜魂召喚/ドラゴンズ・フォール〉!』

 

詠唱が終わると同時にフリードは赤い光に包まれ、一瞬にして赤い鱗に包まれた大人の翼竜に姿を変える。…うん、うまくいったよ!

 

「…チビ竜の時は可愛らしいけど、成長すると厳ついわねフリードって。」

 

あはは…でも、フリードって産まれた時は白かったのに急に紅くなったんだったっけ。

 

それで長老さんが「その竜は災いを呼ぶ邪竜だ」って言い出して…今思うとそれが村を出ていったきっかけだったのかも。

 

でも産まれた時から一緒に暮らしてたフリードを殺すなんてわたしには出来なかったから…

 

「…なにしんみりしてんのよキャロ?」

はっ?!…いけないいけない、今は訓練中だから気合いいれなくちゃ!

 

(そうだぜキャロ。この俺の力、使いこなしてくれよ…)

 

?!

 

なんなんだろ、今頭の中に声がしたような…気のせいだよね?

 

『こちらスバル!目標を予定ポイントに追い込んだよ!』

 

「よしっ!ウェンディ、エリオ!」

 

『これで決めるっすよ!ライディング・スラッシュ!』

 

『行くよストラーダ!ソニックムーヴ!』

 

T字路に突き当たった〈なのなの〉は左右から来たウェンディとエリオを確認すると上空へと回避する。

 

「よっしゃあ、予想通り!…止めよキャロ、フリードっ!」

「はいっ、ティアナさん!…フリード、ブラストレイっ!!」

 

「アンギャ~!」

 

ボワッ!

 

わたしの命令でフリードは焔の弾を発射、上昇してきたなのなのに命中させた。

 

「……………?!」

 

 

焔に包まれた〈なのなの〉は髪の毛チリチリになって墜落、地上のスバルさんにキャッチされた。

 

よし、みっしょん・こんぷり~と…ぶぃっ!

 

『お見事。もう2~3回かかるかなって思ってたんだけと、なかなかのチームワークだったよ。』

 

『それじゃもう一度集合して。デバイスを回収して分析しちゃうから。』

 

「はいっ!(×6)」

 

ふ~っ、どうにか終わったよ…フリードもご苦労様。

 

「アギャ♪」

 

フリードは元の子竜に戻ってわたしの肩の上に。

 

「さ~て、宿舎に戻ってシャワー浴びるわよ。…ところでなのはさん以外の隊長陣は?」

 

「ん~と確か、はやてさんはフェイトさんやアリシアさんと一緒に管理局で会議中のはずだよ。」

 

「リナさんは?」

 

えっと、リナお姉ちゃんは…アメリアさんと外出してたはず…

 

『ごめん、そこにノーヴェとキャロ…あ、いたいた。』

 

「「リナさん/お姉ちゃん?!」」

 

目の前に現れたホログラフスクリーンに映っていたのは逢魔リナ三等空佐…わたし達〈チーム・ナイトメア〉の隊長さんでわたしの義理のお姉ちゃんでもある。

 

『悪いんだけどさ、シャワー浴び終わったら2人とも会議室に来てくんない?詳しいことはその時話すわ。』

 

「「わかりましたっ!!」」

 

返事を返すと画面が消える。

 

「わたし達だけってなんなんだろね、キャロ?」

 

「さぁ…?」

 

何かわからないけど、とんでもない事がありそうな気がするなぁ…ね、フリード?

 

「ワギャ?」

 

NO SIDE

 

それから数分後、六課の小会議室にはリナとアメリア、ノーヴェ、キャロの姿があった。

「「出向?!」」

 

「えぇ…明日からわたし達〈チーム・ナイトメア〉は、とある管理外世界で観測された異質な魔力反応を調査するため現地へ赴きます。」

 

「これは特務班であるあたし達の初仕事になるわ。ま、あたしやアメリアもいるし、現地には協力者もいるからそう危険にはならないと思うけど…気合い入れていくわよ、わかった?」

 

「はいっ!」

 

「精一杯がんばります!」

 

リナの言葉に敬礼で返すノーヴェとキャロ。

 

「…でも、管理外世界って何処なんですかリナさん?」

 

ノーヴェの質問にリナは思わず苦笑い。

 

「いい質問ね。今回の任務先は第97管理外世界・地球…海鳴市よ。」

「…リナお姉ちゃん、それって?!」

 

キャロは驚きの表情。

 

「そ。ちなみに現地の民間人も何人か協力してくれるわ。」

 

「民間人ってまさか…いや、いいです…」

 

「と・に・か・く!他の子達よりも一足早くなったけど、これがあたし達の初仕事。必ず成功させるわよ!」

 

「お~っ!(×3)」

 

…とまぁ、リナたちが盛り上がっていたその頃、海鳴では…

 

SIDE:???

 

バシュン!

 

夜更けの海鳴市の上空で次元が歪み、そこから現れたのは1人の少年だった。

 

年の頃はリナ達より少し下に見えるが白い髪の毛に黒のメッシュ、ライダースーツに身を包んだその姿は大人びて感じる。

 

顔に装着した眼鏡と辺りの暗さのせいで瞳の色はうかがい知れないが、ただ者ではないオーラを漂わせていた。

 

「ふぅ…ここで間違いないのかな、キリク?」

 

『あぁ…間違いなくホラーの反応を感じた。それもかなりの大物だ。』

 

「そう…でもここは何処なんだろう?何か懐かしいように感じるんだけど…」

 

少年は辺りを見渡しながら気配を探っているようだ。

 

『…おい、誰か来る…なんだこの凄まじい闘気は?!』

 

「そこにいるのは誰だい?」

 

背後から声をかけられ振り向くとそこにいたのは…

 

「…ユーノさん?!」『…バカな、ユンユンだとっ?』

「君たちは…?」

 

これが異世界の〈魔戒騎士〉秋月タカヤとの出逢い、そして異形の存在〈ホラー〉との闘いの幕開けだった。

 

 

 

リリカルすれいや~ず!×「魔法少女リリカルなのはvivid~守りし者」コラボ、始まります。




今回のコラボは本編の中なのでナンバリングはそのまま継続します。

皆様のご感想、ご意見、評価等よろしくお願いします!


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七十一、魔戒騎士 呆気にとられる この世界

夜更かしできないのが辛い…(共同生活なので)

でも執筆頑張ります!


NO SIDE

 

リナ達の故郷・第97管理外世界〈地球〉の一都市、海鳴市に発生した異質な魔力を探知した機動六課はそれを調査するためリナ率いる特務班〈チーム・ナイトメア〉を派遣する。

 

一方、海鳴市にある事情で滞在していたユーノは異世界から現れた謎の少年・秋月タカヤと邂逅していた…。

 

SIDE:タカヤ

 

な、何でユーノさんがここに?確かにここは地球上のどこかではあるはずだけど…

 

『…?!…おいタカヤ、もしかしてここは平行世界の地球なんじゃ?』

 

「平行世界?そうか、それなら…」

 

平行世界なら同じ人物がいても不思議は無いか…

「…どうやら君達、訳ありみたいだね。僕の名前は逢魔・スクライア・ユーノ。君の名前は?」

 

逢魔?何処かで聞いたような…

 

『逢魔だって?!もしかして古より〈退魔の一族〉としてあの有名な逢魔家か?』

 

…!

 

「そうか、思いだしたよ…遥か遠い昔、平安時代に九尾の狐に呼ばれたご先祖さま(四代目・睛狼/セロ)と一緒にホラーと闘った魔を封じる一族…」

 

「…その話を知ってるとは…お前、〈魔戒騎士〉だな?」

 

「義父さん?!」

 

鋭い声に下を見下ろすとそこにはベストに半袖のTシャツ、ジーパン姿の壮年の男性が。

 

(いつの間に…キリク、気づいてた?)

 

『い~や全く解らなかったぜ。それでいてこの鋭すぎるオーラ…ヤバいぜこのオッサ…』

 

「こら、聞こえてるぞそこのメガネ。…せめてお兄さんと言え」

 

『ひいっ?!』

 

はははは…でもこの人、間違いなく強い。それにユーノさんのお義父さんって…?

 

「紹介するよ。この人は逢魔神威。逢魔家の現当主で僕の義理の父、そして…越えるべき壁だよ。」

 

「逢魔神威だ…まぁよろしく頼まぁ。」

 

神威さんは右手をかざして挨拶する。

 

「はじめまして…僕は秋月タカヤ。お察しの通り魔戒騎士です。それで…」

『俺はキリク。タカヤの相棒の魔導装具だ。』

 

僕とキリクは自己紹介をすると神威さんに尋ねる。

 

「神威さん、魔戒騎士の存在を知ってるって事は僕達が追い続けている存在についても…?」

 

「ああ、勿論知ってるさ。ホラー…確か人間の〈負の感情を依り代として魔界から現れ、その人間に取り付いて他の人々を襲う魔獣で良かったんだよな?」

 

神威さんの答えは的を射たものだった…概ね間違っていない。

 

「へぇ…スィーフィード世界の魔族でいうとレッサーデーモンと近いところもあるけど、似て非なるものなんだろうね。」

 

スィーフィード?…聞き慣れない言葉に尋ねようとした僕の言葉を神威さんに遮られる。

「まぁ今日はウチに泊まれよ。ご先祖さまから代々受け継がれてんだ、〈魔戒騎士〉さまは大事にしろってな。」

 

(…どうする、キリク?)

 

(そうだな…ここはお言葉に甘えるとするか。いくらここが平行世界の地球上だとしても相違点が多すぎる…ユンユンみたいにな。)

 

確かに…僕達の世界のユーノさんは一流の魔戒騎士だけど、目の前のユーノさんは逢魔流の退魔剣士。どちらが強いとかは比べられないけど、計り知れない実力の持ち主には違いないはず。

 

「…分かりました、此方としても情報は欲しいですからね。」

 

「そう言ってくれると助かるよ。ところでタカヤくん…」

 

「タカヤでいいですよ、ユーノさんの方が年上なんだから。」

 

「そうかい?じゃあタカヤ、さっき初めて出逢ったのに驚いた顔してたのはそっちの世界にも僕がいるからかな?」

 

流石ユーノさんは鋭いな…ま、隠す事でもないか。

 

「はい。僕と同じ魔戒騎士です。」

 

「そうか…うん、納得だよ。」

 

「それはそうとユーノさん、今は新暦何年なんですか?見たところ僕の知ってるユーノさんより若く感じるんですけど…」

 

「うん?今は新暦74年、僕は19歳だよ。」

 

やっぱり。話に聞くJS事変の頃か…って事はノーヴェはまだスカリエッティの元に…?

『もしもしユーノ、聴こえる?』

 

「あ、通信だ…ごめん、出てもいいかな?」

 

「あ、はい。お気になさらずに。」

 

聞いた事のない声だけどやけに存在感を感じるなぁ…

 

「ここにいるよリナ。なにかあったの?」

 

ユーノさんが返事すると現れたのは栗色の髪をポニーテールにした女の子…意志の強そうな顔つきをしてる。

 

『あ、父さんも一緒なんだ…ん、そこの彼は何者?』

 

「彼は秋月タカヤくん。…次元航行者だよ。」

 

「はじめまして、秋月タカヤといいます。しばらくユーノさんのお世話になる事になりました。どうかよろしくお願いします。」

 

僕が自己紹介すると彼女…リナ?さんも返してくる。

 

「そりゃご丁寧にどーも。あたしは逢魔リナ。そこにいる逢魔神威の一人娘でユーノの義理の姉…そんでもって婚約者(フィアンセ)よ♪」

 

…?????…

 

えっ、え~っ?!

 

「ユ、ユーノさん、フィアンセって…?!」

 

「…ま、色々あってね。でも僕とリナは前世でも夫婦だったみたいだから。」

 

ぜ、前世って…でもなのはさんとは…?

 

「なのは?なのはは確かに大事な友達だけど僕が愛しているのはリナだけだよ。」

 

『…バカ、カッコつけるなっ?…恥ずかしいじゃない♪』

リナさんは照れて顔真っ赤だけどまんざらでもないみたい。

 

『…あ、話が逸れちゃったわね。あたしとアメリア、それにうちのチームで明日から海鳴市の異常魔力について調査しにいくからあんたも協力してくんないかなと思って。』

 

異常魔力?!…それってもしかしなくても…?

 

『あぁ、間違いなくホラーだな。…おい、ユンユン?』

 

「…できればユーノって呼んで欲しいところだけど…もしかして君たちの追っている存在と関係が…?」

 

僕はユーノさんと目を合わせ頷く。

 

「えぇ、恐らくは。…リナさん、もし差し支えなければ僕達も協力させて貰えませんか?」

 

「そりゃいいや!おいリナ、この話俺も絡ませてもらうぞ…構わないな?」

 

『父さんも?!…どーせダメだって言っても無駄なんだろうし、いいわよ。…タカヤだったっけ、後で知ってる情報提供してもらうかんね?』

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

リナさんは悪戯っぽく笑って受諾してくれた。

 

この世界の管理局の状態は解らないけど、やっぱり理解してくれる協力者がいてくれるのは有難い。

 

「ところでリナ、今回の任務は君のチームと僕達だけかい?」

 

『うんにゃ、民間協力者って事でアリサとすずかにも頼んどいた。2人とも二つ返事でOKだってさ。』

 

え?アリサさんとすずかさんって…?!

 

「あの~、アリサさんとすずかさんってアリサ・バニングスさんと月村すずかさん…ですよね?」

 

僕は恐る恐るリナさんに尋ねる。僕の世界の2人は魔法の存在は知っててもただの一般人だったはず。そんな2人をホラーとの戦いに巻き込むのは…

 

「そうだけど…あ、もしかしてタカヤたちの世界の2人も魔法が使えないの?」

 

「『…はい?』」

 

「タカヤ、この世界の2人は嘱託の空戦魔導師なんだ…なのはたちと同じ頃からね。」

 

「『…………』」

 

…ユーノさんの言葉に思わず絶句する僕とキリク。それでもキリクは反論する。

『…ま、魔導師って言ってもどれくらいの実力…』

 

『2人とも空戦AAAよ。あたしやなのはたちには届かないけど戦力としては申し分ないわ。』

 

『……………』

 

(き、キリク大丈夫?)

 

(…なあタカヤ、お前の魔導師ランクっていくつだった?)

 

ちなみに僕の魔導師ランクは総合B。魔戒騎士としての力は加算されてないから仕方ないんだけどね。

 

どうやらこの平行世界、思った以上に違いがあるみたいだ…ね。

 

『そんじゃ明日のお昼に翠屋で打ち合わせしましょ?うちの子達もユーノお兄ちゃんに会いたがってるから。』

 

「わかったよ。じゃあ。」

ユーノさんがそういうとリナさんが画面から消えた。あの人がユーノさんの思い人か…

 

『でもユンユン、さっきリナが言ってたうちの子達ってのは何なんだ?』

 

「リナが隊長をしてる部隊のフォワードの子達だよ。2人いるんだけどどっちも可愛らしいけどしっかりした子達だよ。」

 

へぇ、ユーノさんがそこまで言うなんて…会うのが楽しみだな。

 

でも僕は知らなかった。 その内の1人が僕の世界で一番大事な人だって事を…




次回はリナたちも合流…そして運命が動き出す?


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七十二、次々と 混乱招く その出逢い

今回は説明回です。だらだらしてたらごめんなさい。


NO SIDE

 

異世界の〈魔戒騎士〉・秋月タカヤとその相方・魔導装具のキリクが海鳴市でユーノや神威と出会ったその翌朝、リナ率いる〈機動六課特務班・チームナイトメア〉もまたこの地に赴いていた…

 

SIDE:リナ

 

バシュン!

 

転送ポートの扉が開くとそこはあたしの親友の1人であるアリサ・バニングスの実家の庭だった。

 

「リナ久しぶりね。元気してた?」

 

「アメリアちゃんも久しぶりだね?」

 

「やっほ~、アリサ久しぶり!」

 

「すずかさんもご無沙汰してます。」

 

出迎えてくれたのはそのアリサとこちらも親友の月村すずか。2人とも嘱託魔導師として家業を継ぐために海鳴に残っている。

 

「なのはたちは元気にしてるの?」

 

「…今頃若手をビシバシ鍛えてると思うわよ、多分。」

 

なのはとフェイトのチームは今日も訓練してるはず。

 

「で、この子たちがあんたらの教え子…ってなんだ、キャロじゃん。」

 

「お久しぶりです、アリサさん、すずかさん!」

 

キャロはあたしの義妹として引き取られた後しばらくは海鳴の実家で暮らしてたからアリサとすずかは顔馴染みだ。

 

「…そっか、リナちゃんと一緒のチームになれたんだね。それでもう1人の子は…?」

 

「ど、どうも…ノーヴェ・ナカジマです。お2人には空港火災の時にお世話に…」

 

「…あ~、リナが救助した子だ!」

 

「ナカジマ三佐の娘さんだね。」

 

2人は空港火災の時を思い出して感慨に耽っている。

 

「まぁ今回は2人ともお願いね♪…じゃ、翠屋にいくとしますか。」

 

「翠屋?翠屋って…?」

 

ノーヴェが不思議そうに尋ねる。

 

「翠屋は、なのはさんの実家の喫茶店ですよ。なのはさんのお父さんの士郎さんの入れるコーヒーと、お母さんの桃子さんが作るシュークリームが絶品なんですよっ!」

 

キャロが翠屋を熱く語る。こっちで暮らしてる時に連れていってあげたらすっかり虜になっちゃって。

 

「なのはさんのお父さん…お母さん…(ガクガクブルブル)」

 

あれどうしたのノーヴェ?なんか震えてるけど。

 

「なのはさんの両親って…やっぱり悪魔みたいに強くて恐いんですか?」

 

ズコッ!

 

あ、あのね…

 

「…大丈夫よノーヴェ。士郎さんも桃子さんも優しい人達だから。」

 

っていうか別になのはも普通の女の子だからね?!…多分。

 

「そうなんですか?スバルお姉ちゃんからは羨ましがられたんですけど…」

 

あ~、スバルはなのはの事尊敬してるから。…多少百合ってる気もするけど。

 

「心配いらないわよ、あんたも桃子さんのシュークリーム食べたら納得するから。さ、行くわよ?」

アリサは待ちきれない様子だ。

 

「そうね…父さんやユーノも待ってるはずだし、次元渡航者…確かタカヤって言ってたっけ?にも会いたいしね。」

 

あたしはそう言うと翠屋へ向かう事にした。

 

カランカラン~

 

「いらっしゃい、リナちゃん久し振り~♪元気してた?」

 

「あ、美由希さん!」

 

出迎えてくれたのはなのはのお姉さんの美由希さんだった。

 

「美由希さん、お早うございます!」

 

「ご無沙汰してます美由希さん。」

 

美由希さんと面識のあるアメリアとキャロが挨拶し、アリサとすずかも会釈する。

「うんうん、皆元気そうで何よりだよ。ところでそっちの子は初めてだね?」

 

「は、はじめまして…ノーヴェ・ナカジマです。よろしくお願いします。」

 

「わたしは高町美由希。高町なのははわたしの妹だよ、よろしくね。…奥の席でユーノくん達待ってるよ。」

 

美由希さんの案内で店の奥の個室に行くと…

 

「やぁリナ、待ってたよ。」

 

「おっせ~ぞリナ、待ちくたびれたぞ?」

 

ユーノと父さんが声をかけてきた。…おんなじ事言ってる筈なのにどーしてこんなに印象違うんだろ?不思議だ。

 

「お待たせ~。そこにいるのが例の渡航者ね?」

あたしはユーノの隣に座ってる少年に目を走らせる。年はノーヴェ達と同じくらいだけど、実戦を潜り抜けたであろう風格を感じる。

 

「はじめまして、秋月タカヤと…?!」

 

タカヤは挨拶の途中で言葉を詰まらせる。その視線の先には…?

 

(…ノーヴェ?)

 

そう、タカヤが見つめていたのはノーヴェだった。…まさかタカヤ達の世界って〈平行世界〉でノーヴェと知り合いだとか?

 

ま、とりあえず詳しい話を聞くとしますか?どうやら敵の正体を知ってるみたいだしね…

 

SIDE:タカヤ

 

「お連れ様がお越しになられました~。」

 

美由希さんの声がすると同時にドアが開き、昨日通信で話したリナさんが入ってきた。「やぁリナ、待ってたよ。」

 

「おっせ~ぞリナ、待ちくたびれたぞ?」

「お待たせ~。そこにいるのが例の渡航者ね?」

 

「はじめまして、秋月タカヤと…?!」

 

挨拶しようと立ち上がった僕の視界に2人の少女が入る。

 

1人はキャロ・ル・ルシエさん。自分の世界においては家族同然の人だ。

 

確か僕の記憶ではエリオさんと一緒にフェイトさんのチームだったはずなんだけど…平行世界で少しぶれてるのかも。

 

でもその後ろにいた少女の姿に僕とキリクは驚きを隠せなかった。

 

(お、おいタカヤ?!…ろ~ちゃん〔キャロ〕は兎も角、あれは…)

(うん…雰囲気は違うけど、あれはノーヴェだ。でも何で?)

 

ノーヴェはまだこの頃はスカリエッティさんの元にいるはずなのに…

 

(それにしてもあまりに可愛すぎじゃねーか、ノーヴェ嬢ちゃん?ツンツンしてないし、どっちかというとロリ…)

 

「?…あの~、あたしの顔に何か?」

 

「い、いえ?!僕の大事な知り合いに似てるもので…秋月タカヤです。これからしばらくよろしくお願いします!」

 

『俺はキリク、タカヤの相方の魔導身具だ。よろしくな!』

 

「あたしはノーヴェ・ナカジマ。もう1人の子は逢魔キャロ…リナさんの義理の妹さんです。短い間になりますがよろしくお願いします!」

「う、うん…」

 

(JS事変の頃というと…ノーヴェは16歳位?でも僕より幼げに見えるよ…ねえ、キリク?)

 

(あぁ…それにろ~ちゃんのチビ竜、アイツもなんか感じるな。上位ホラーに匹敵する力を感じるぜ。)

 

確かに…フリードの色は白かったはず。なのにこの世界のフリードは焔のように赤い。

 

(一体この世界はどうなって…?)

 

「それでは今回の任務について特務班〈チーム・ナイトメア〉副隊長であるこのわたし、八神アメリアが説明させていただきます。」

 

ショートカットの見知らぬ少女が立ち上がり名乗りをあげる。

 

『八神?…ってことは、はや~や(はやて)の親戚か何かか?』

キリクの言葉に僕の隣に座ったリナさんから出たのはまたも予想外の答えだった。

 

 

「アメリアは正義の巫女…5人目のヴォルケンリッターよ。多分あんたらの世界にはいなかったでしょ、タカヤ?」

 

5人目のヴォルケンリッターだって?…だめだ、ちょっと混乱してきた…

 

「…あたしやアメリアに関しては後で説明したげるから今は…ね?」

 

「わかりました…」

 

僕は気を取り直してアメリアさんの方を向く。

 

「今回わたし達に与えられた任務は、ここ海鳴市に発生した異常な魔力に対する調査です。参加するのはチーム・ナイトメアの4人とユーノさん、アリサさん、すずかさん。そして…秋月タカヤさんと逢魔神威さんにも協力していただきます。」

「それで…タカヤはその魔力の正体を知っていて、それを追いかけてきたって事でいいのよね。」

 

リナさんの問いかけに僕は頷き…ホラーという異形の存在、そして遠い過去に逢魔一族と協力してホラーを討伐した経緯を説明した。

 

「…なるほどね。わたしが出会った怪異とも違う存在みたいだし…」

 

すずかさんが納得した様子で話す。この世界のすずかさんは、魔法とかじゃなく何か不思議な力を感じる…〈怪異〉ってのと関係あるのかな?

 

「…つまり、この海鳴の地に再びそのホラーってのが復活した…と言うことですね、タカヤさん?」

 

「はい。ホラーには基本的に対抗できるのは魔戒騎士だけです。ですが逢魔一族の退魔術、それにリナさん達の使う魔法…スィーフィードでしたっけ?」

「そうよ、この世界とは違う世界の〈魔族〉の力を借りた呪文…ならそのホラーってのにも効果があるはず。」

 

リナさんの言葉に僕は頷き話を続ける。

 

「そうですね…皆さんに協力して戴けるなら心強いです。」

 

「こちらこそあんたみたいなスペシャリストがいるのはありがたいわ。よろしくねタカヤ、キリク?」

 

『おぅ、任せときなリッちゃん!』

 

「リ、リッちゃん?!」

 

…キリク、人に勝手にニックネーム付けるのはダメだよ…リナさん面食らってるから。

 

『…なかなかいいネームセンスしてますね。僕にも付けていただけませんか?』

 

「『なっ?!』」

 

突如聞こえた謎の声に、僕とキリクが驚き振り向くとそこにはおかっぱ頭の細身の青年が立っていた。

 

「い、いつの間に?!」

 

『…なんだこの禍々しい魔力?…まさかホラーか?』

 

でも周りのリナさん達は平然としてる…

 

「…相変わらず神出鬼没ね、ゼロス。」

 

「まぁそれが僕のカラーですからね…」

 

青年は飄々とした態度…この人は一体?僕とキリクの混乱は治まる処ではなかった…




次回からいよいよホラーが動きます。

皆様のご意見お待ちしています。


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七十三、こらゼロス! ホラーの正体 アイツなの?

結局スレイヤーズ最新刊は買えなかった…多分本土だな(涙)


NO SIDE

 

遂に邂逅を果たしたリナ達チーム・ナイトメアと異世界の〈魔戒騎士〉秋月タカヤ。

 

平行世界との違いに戸惑いを隠せないタカヤとキリクの前に現れたのは神出鬼没の見た目好青年、中身は腹黒、〈名薗森 寛/なぞのもり ひろし〉こと獣神官ゼロス。

 

一体彼は何の目的でこの場に現れたのか…

 

SIDE:リナ

 

「…で?あんたは何でここにいんのよ?機動六課所属でもないし協力依頼もしてないのに…」

 

あたしは嫌みたらしくゼロスに言い放つ。

 

今まで話してなかったけどゼロスはSt.ヒルデを卒業したあと、時空管理局に所属せず嘱託魔導師の形でなんやかんやと動き回ってるらしい。

 

「僕は中立の立場ですから、外から面白おかしくちょっかい出すのが好きなんですよ。リナさんもご存知でしょ?」

そのせいであたし達がどんだけ苦労したと思ってんのよ?!…ま、命を助けてもらった事もあるけどね。

 

『ち、ちょっとリッちゃん待ってくれ…?その禍々しい魔力、普通の人間とは思えねぇ…ホラーとも違うみてぇだし、一体何者なんだソイツ?!』

 

あ、キリクはゼロスの素性を察したみたいね。

 

「ゼロスの事を話す前にあたし達の事を話しとくわ。…あたしとアメリア、ユーノは前世の記憶が存在するの。」

 

「前世の記憶?それは一体…」

タカヤは不思議がってる…まぁ無理もないわね。

 

 

「あたし達は遥か昔、スィーフィードと名付けられた世界で一緒に冒険をした仲なの。とはいってもあたしとアメリアは記憶も人格もそのまま転生したけど…」

 

「僕は受け継いだのは記憶だけって違いはあるけどね。僕の前世での名前はガウリイ・ガブリエフ。旅の剣士で、リナとは数々の困難を乗り越え…そして結ばれたんだ。」

 

「そして…そんなわたし達の旅の記録はこの世界に残されてるんですよ。いわゆるライトノベル『スレイヤーズ!』としてね。」

 

『…?!…ライトノベルって、そんな弛くていいのかよっ?!』

 

ユーノ、アメリアの告白にキリクが突っ込む。

「いいじゃない、事実なんだし。キャロとノーヴェには今まで言ってなかったけどね。」

 

「はい…初めて聞きました。」

 

…ほんとはあんたらが集められたのにも関係があるんだけど、今は話さないでおくわ。キャロはともかく、ノーヴェに関してはまだ確信持ててないしね。

 

 

「脱線したから話を戻すわね…で、このゼロスなんだけどコイツも前世の知り合いなのよ。…魔王の側近、獣王ゼラス=メタリウムに仕える〈獣神官/プリースト〉。これがゼロスの正体よ。」

 

 

「『なっ?!』」

 

魔族と聞いて慌てて身構えるタカヤ。

 

「心配いりませんよ。今は人間と同化して魔力はがた落ちですし、リナさん達と敵対する気もないですしね…」

相変わらず飄々とした雰囲気で話すゼロス。でも、平気で笑いながら目の前の人間の首をかっ切る奴だからなぁ…油断は出来ないけど。

 

『…まぁ俺も元ホラーだしなぁ、あまり突っ込まない事にするか。短い間だが宜しくな、〈ゼロロ〉?』

 

「おや、それが僕の呼び名ですか。可愛らしい名前ですねぇ…」

 

「…それで、ゼロスさんはどうして此処に来たんですか?何か企んでるんじゃ…?」

 

アメリアの疑問に首を横に振りながら答えるゼロス。

「それはヒ・ミ・ツです。…って言いたい所ですけど、別に隠す事じゃないからお教えしますよ。だって僕の前世のお仕事絡みですから。」

お仕事絡みって…まさかっ?!

 

「ゼロス、まさかこの一件に写本が関係してるって事?!」

 

「えぇ、恐らくは。でもその前に…タカヤさんとおっしゃいましたか?貴方のご先祖が倒したホラーの名前は…〈魔獣甲冑・ズイヌフィア〉で間違いありませんか?」

 

『…?!…ゼロロ、アンタが何でその名前を知ってんだ?』

 

「やはり…リナさんやアメリアさんならこの名前、ピンとくるのでは?」

 

えっ、名前って言われても…ズイヌフィア、ズイヌフィア…ん、魔獣甲冑?…あ?!

 

「そうか、そういう事か!それなら確かに写本…〈異界黙示録/クレアバイブル〉が絡んでいても不思議じゃないわね…。」

 

でもアイツが相手だとすると…実戦に慣れてないキャロとノーヴェは苦戦しそうだわ。

 

「そういうわけなので、僕も協力させて戴きます。ただし…」

 

「分かってるわよ、もし写本が存在したら処分する…でしょ?あたしらは別に必要ないし、構わないわよ。タカヤもそれでいいわよね?」

 

「そうですね…むしろお願いしたいくらいです。」

 

よ~し決まりっ!このメンバーならまず負けは無いわね。

 

ボーン、ボーン…

 

翠屋の柱時計の鐘が鳴った…もう7時か。

 

「さ~て、それじゃ手分けしてパトロールしましょうか?2人1組でコンビ組んで何かあったら直ぐ連絡、決して無理や無茶はしないこと。いいわね、キャロ、ノーヴェ?」

「「はいっ!」」

 

うん、いい返事ね。それじゃアミダくじでコンビを決めましょ。って訳で…?

 

 

 

〇あたし&キャロ

 

〇アメリア&ゼロス

 

〇アリサ&すずか

 

〇ユーノ&神威

 

〇ノーヴェ&タカヤ

 

の5チームに。ホラーがどれほどのもんか知らないけどチーム・ナイトメアの初任務、必ず成功させてやるわ!

 

SIDE:ユーノ&神威

 

「…なぁ、ユーノ。」

 

「何ですか、義父さん?」

 

僕と義父さんは町外れの路地を捜索していた。空を飛べる者同士のペアは上空から、そうでないペアは地上を探索している。

「すまねえな、お前は空飛べんのに俺が飛べないせいで…」

 

「仕方ないですよ、義父さんは魔導師ですらないんですから。」

 

辺りを見回しながらすっかり暗くなった路地裏を駆け抜ける。

 

「そうか…それはそうと、何で約束を破った?俺に勝つまでお預けだったはずだろ、リナに手を出すのは?」

 

うっ…?!

 

「…すいません!この間の食事会の時に酔い潰れたリナが無性にいとおしくなって…」

 

「酔い潰れたって…あいつ、未成年なのに飲酒したのか?こりゃ後で説教だな。」

 

あ、しまった!この話は内緒にしとくんだった?!

 

「あ、あの…?」

 

「まぁそれはいいさ…それよりどうすんだ?」

 

「もちろん責任は取りますよ。必ずあなたに勝って、リナを伴侶に迎えます!」

 

「お~その意気だ。ま、簡単には負けないけどな。…どうやらお出ましのようだな。」

 

…!!

 

僕たちの目の前の現れたのは、黒に金色の装飾が施された甲冑を纏った異形の兵士…これがホラー?!

 

「…らしいな。一つ言っておくが、伝承では…」

 

「返り血を浴びるな…でしょ?タカヤから聞きました。」

 

なんでもホラーの返り血を浴びた人間はホラーのご馳走らしく、激痛に見舞われるらしい。

「ま、そんな間抜けにはウチの可愛い娘はやれないからな?…逢魔流当主・逢魔神威…」

 

「…同じく師範代、逢魔・S・ユーノ…」

 

「「罷り通る!!」」

 

僕と義父さんは剣を抜くとホラーを強襲する。海鳴の平和は僕達で護ってみせるっ!

 

NO SIDE

 

ユーノ達がホラーと遭遇したのを皮切りに、海鳴市内の各所で眷族ホラーが発生、パトロール中のメンバーと遭遇していく。そして…

 

SIDE:タカヤ

 

ヴゥオン…

 

「…タカヤさん、これって…?!」

 

「うん…間違いない、ズイヌフィアの眷族ホラー、〈ズィヌフ〉だ…気を付けて!」

 

ノーヴェのエアライナーでビルの上から探索していた僕達の前に現れた眷族ホラーの一団。

 

(一匹一匹は大したことないけど…結構数が多いな。)

 

僕は手に持った魔戒剣斧オウガを剣形態に切り換えて構える。すると…

 

 

ゴゴゴゴゴッ!

 

 

『なっ…なんだこの封鎖結界は?!こんな堅固な結界みたことねーぞ!』

 

辺りを黄金色の魔力光が包み込んでいき、外界から切り離される。これってシャマル先生の結界より強い気が…?

 

『ん~、これで10倍がけってトコ。まだまだ余裕だけどね~♪』

 

頭の中に念話が響き渡る。リナさんに似た声だけど…どこか違うような。

『あ、アンタ達にははじめまして、かな?あたしの名前はナイトメアハート・ルシフェリア。逢魔リナのデバイスだよ…みんなからは〈L様〉って呼ばれてるけどね。』

 

L様?!物凄く人間臭いデバイスだなぁ…あれ、どうしたのキリク?

 

『この魔力…普通の魔力じゃないっていうか…何なんだよアンタは?』

 

『ん~っ…何だって言われたら〈元・神様〉であり〈元・世界の根底〉かな?…ま、今は只のデバイスだよ。』

 

いや、「只の」じゃないと思うんだけど…?

 

『とにかく、この一帯は完全に封鎖したから、魔法・必殺技使い放題だよっ!殺りたいように殺っちゃいな!』

…今物騒な事言ったような…後でリナさんに聞いてみよう。

 

僕はオウガを振りかぶると目前のズイヌフを一刀両断に。よし、これなら…?

 

『黄昏よりも昏きもの 血の流れより赤きもの 時の流れに埋もれし 偉大なる汝の名において 我ここに闇に誓わん…』

 

僕の後ろでノーヴェが呪文の詠唱を始めた…けどなんだこの呪文は?

 

『これは…嬢ちゃんの言葉に魔力が宿ってるのか?それにしてもとんでもない魔力だぜこりゃあ?!』

 

僕が数戟打ち込みホラーを倒す間にも、ノーヴェの詠唱は続く。

 

『…我等が前に立ち塞がりし 全ての愚かなる者に 我と汝が力持て 等しく滅びを与えん事を!…タカヤさん、避けてくださいっ!!』

 

ノーヴェの警告に身を避けて振り返ると…

 

 

『いっけぇ~!竜破斬[ドラグ・スレイブ]!』

 

ノーヴェが放った赤い砲撃は身を避けたタカヤの真横をすり抜け、ホラーの一団を丸呑みにする。

 

「な、な…なんて威力の砲撃魔法なんだ…。これがスィーフィード式の呪文?!」

 

『マジかよ…いくら眷族だからって一撃で全滅なんて有り得ないぜ…』

 

あまりの威力に呆気にとられた僕とキリク。

 

「やりましたねタカヤさん!」

 

「うわっ?!」

 

不意に後ろからした声に振り向くと、ノーヴェが頬を寄せ抱きついてきた。

(…落ち着けタカヤ…この子はノーヴェであってノーヴェじゃない。平行世界のノーヴェなんだ…?!)

 

そう思いつつも、意識してしまう。

 

「どうしたんですか、顔が赤いですよ?」

 

「な、なんでもないよっ?!…それより凄いね、今の呪文。」

 

ノーヴェは身体を放すと照れ臭そうに鼻を掻く。

 

「へへっ、ドラグ・スレイブって言って、リナさんの得意呪文なんですよ…まだ不完全なんですけど、タカヤさんがサポートしてくれたから。」

 

『…確かに、ちょっと呪文が長いか…単独だとキツいかもな。』

 

ノーヴェの言葉に同意するキリク。

「でもタカヤさんの方が凄いです。タカヤさんって何歳なんですか?」

 

「えっ僕?僕は18歳だけど…」

 

「じゃ、あたしの方が年下ですね♪…タカヤさん、お願いがあるんですけど…?」

 

…?なんだろ、お願いって?

 

「…タカヤさんの事、〈お兄ちゃん〉って呼んでいいですか?」

 

…?!

 

(おい、タカヤ?!)

 

(解ってるよキリク。でも…)

 

健気な瞳でこっちを見るノーヴェ。

 

「うん、僕で良かったら。」

 

「…!…ありがとう、タカヤお兄ちゃん!」

 

平行世界の人間に深くは関わっちゃいけない事は解ってるけど、僕にはノーヴェの申し出を断る事は考えられなかった。

 

…そう、その考えが浅はかだったとしても…

 




次回はお風呂回…なのか?(謎)

次回も見てくんないと…

『リリカル、マジカル、頑張るぜ!』

(BY キリク)


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七十四、皆でいく 仕事の後は お風呂屋へ(前編)

予告通りお風呂回です。

でもお色気はありません(笑)


NO SIDE

 

ノーヴェが初遭遇したホラーに竜破斬[ドラグ・スレイヴ]をぶちこみ、タカヤを呆気にとらせていた頃、他のエリアでも…?

 

SIDE:リナ

 

『…神滅斬[ラグナ・ブレード]!』

 

あたしの虚無の刃がホラーを切り裂き…

 

「フリード、レイ・ブラスト!」

 

「ワギャァ!」

 

キャロの指示でフリードの火炎弾がホラーを焼滅させる。…どうやらこの辺りのホラーは全滅したみたいね。

 

「よくやったわキャロ。フリードもお疲れさん。」

 

「ありがとうリナお姉ちゃん!」

 

「ワギャ!」

こら、任務中は「お姉ちゃん」は無しって言ったでしょ、もう…

 

「あ…ごめんなさい…」

 

ま、別になんて事は無いんだけどさ。

 

「あ、リナ!」

 

「2人とも大丈夫だった…ようだね。」

 

声のした方を見ればアリサとすずか…あんたらこそ大丈夫なの?

 

「あん?〈烈火の武偵〉と〈怪異殺しの後継者〉を舐めんじゃないわよ?」

 

「あの程度だったらアリサちゃんの焔の弾丸とわたしの氷の刀で瞬殺だよ♪」

 

そりゃそうよね…アリサとすずかはAAAクラスの空戦魔導師。下級の魔獣なんかじゃ相手になんない。

 

「でも気を付けて。もしホラーがアイツをベースに作られたのなら…魔導師にはキツい相手だから。」

前世でもアイツの魔法防御には苦戦したからなぁ…。

 

「ま、なんとかなるでしょ?それより…」

 

「必殺、『平和主義者クラーッシュ』!」

 

「頑張ってくださいアメリアさん。陰ながら応援してますから。」

 

「任せてください!悪しき存在はわたしが一掃しますっ!!」

 

…いや、仕事しろよゼロス…そんでアメリアも調子に乗らないの!

 

「タカヤが言ってたでしょ、ホラーの返り血を浴びたら危険だって。…よく普通に殴れるわね?」

 

「そんな呪い正義の心があれば平気ですっ!」

 

平気なわけあるかぁ~っ?!…いや、アメリアに限らずセイルーン王家の人間って色々チートだしなぁ。ナーガあたりなら毒の海でも普通に泳げそうだし。

 

「どうやら今日の処はあちらも様子見の尖兵、といった感じの様ですね。肝心の写本の気配が感じられません。」

 

え、そうなんだ?じゃこれ以上の探索は無意味か

 

「…タカヤ、ユーノ、聞こえる?こちらナイトメア01、リナよ。」

 

『こちらタカヤ。どうしましたリナさん?なにかありましたか?』

 

『こちらユーノ。どうやら今日は空振りみたいだね。』

 

そうね…ま、初日から成果が出るとは思ってもないし、一旦翠屋の前に集合ね。

 

『了解、直ぐに戻るよ。』

 

『僕もすぐに…あ、ノーヴェ、一度離してくれないかな?』

 

『…は~い…』

 

なんでタカヤの背中に抱きついてんのよ、ノーヴェ?

 

で、翠屋に集まってみると…あれ、母さんと桃子さん?

 

「お帰りリナ、キャロ?」

 

「他の子達もお疲れ様。」

 

母さん、珍しいじゃない…なんか用でも?

 

「あんた達にこれを渡したくてね。…はい、スーパー銭湯の特待券♪」

 

あ、これ最近オープンした…どうしたのこれ?

 

「この間商店街の福引きで当たったんだけど行く機会がなくてね。ちょうど人数分あるから入ってきたらと思ってさ。」

 

「サンキュー母さん。ありがたく使わせて貰うわ。」

「リナお姉ちゃん、銭湯って何?」

 

「あたしも初めてです…」

 

フォワードの2人は聞きなれない言葉に戸惑う。…そっか、ミッドチルダには無いもんね、銭湯。

 

「銭湯ってのは皆で入る大きなお風呂屋さんのことですよ!わたしも久し振りですっ!」

 

アメリアもなんだか嬉しそうだ。

 

「父さんは引率者で…男4人女6人か。タカヤは銭湯行った事ある?」

 

「いや、実は行った事ないんです…基本、旅をしてる間は野宿なんで川で水浴びとか?」

 

『俺もスーパー銭湯ってのは初めてだな…ずっと昔に湯屋には行った事あるんだが…』

 

 

あら意外…でも、それだったらちょうどいいじゃない。今日は任務終了、皆でスーパー銭湯行ってゆっくりしましょ?

 

「「わ~いっ!」」

 

「ち、ちょっとリナさん、そんな悠長な…?」

 

タカヤが難色を見せるけど…

 

「まぁいいじゃありませんかタカヤさん。恐らく親玉のホラーは今日は出て来ませんよ。…辺りに気配を感じませんでしたからね?」

 

「むう…分かりましたよ。」

 

ゼロスにあしらわれ敢えなく撃沈。それじゃ父さん…

 

「ちょっと待ちなさい、もうすぐ…あ、来たわ!」

 

「お待たせいたしましたアリサお嬢様。」

 

そこに現れたのは超高級クラスのワゴン車…運転してるのは勿論「バニングス家のスーパー執事」、鮫島さんだ。

 

「お久しぶりですリナ様、アメリア様。」

 

「こんばんは鮫島さん!」

 

「ご無沙汰してます!」

 

「さぁ、話はあとあとっ!湯上がりのコーヒー牛乳がわたしを待ってるんだから!」

 

アリサが他の皆を急かせる。ちなみにあたしはフルーツ牛乳派だけどね。

 

「俺はもちろんビー…」

 

「それは義父さんだけでしょ?」

 

ま、運転しないからいいけど…飲み過ぎないでよ父さん?

 

「わーってるって…リナ、お前近頃ほんとに時雨に似てきたな…」

父さんの戯言は放っといて…みんな乗った?じゃ、スーパー銭湯「海鳴スパーランド」へしゅっぱーつ!

 

SIDE:キャロ

 

なんやかんやでやって来ましたスーパー銭湯!

 

「ふぇ~っ…」

 

「凄く広い…」

 

初めて銭湯に来たわたしとノーヴェさんは呆気に取られてしまった。

 

「こらこら、ぼーっとしてるんじゃないの。まずは大浴場に行きましょ?」

 

「うん、それがいいかも、初めての子達もいるしね。」

 

アリサさんとすずかさんに連れられたどり着いたのは大きな浴槽のある大浴場。

 

「まずは身体を洗って湯船に入るのはその後よ。いい?」

「は~い!…おいでキャロ、背中流したげる。」

 

「あ、お願いしますノーヴェさん!」

 

わたしとノーヴェさんは身体を洗いっこしたあと、湯船に浸かる。

 

「は~っ…甦る~っ♪」

 

「ほんと、いい気持ち…♪」

 

アリサさんとすずかさんは先に湯船に入ってまったりしてる…あれ、リナお姉ちゃんとアメリアさんは?

 

「…あの2人ならサウナに行ったわよ。汗かいた後の水風呂がいいんだってさ。」

 

「あ、いいな~あたしも行ってこようかな?キャロはどうする?」

 

う~ん、行きたいのはやまやまなんだけどなぁ…

 

〈サウナ…10歳以下の方はご遠慮願います。〉

 

「それじゃキャロちゃんはわたしと露天風呂に行こっか?」

 

「すずかさん…はいっ!」

 

「アリサちゃんはどうするの?」

 

「あたしはもう少しまったりしてるわ…風邪引かないようにしなさいよ?」

 

そう言って湯船に浸かったままのアリサさんを置いてわたしとすずかさんは露天風呂へ。

 

「うわ~っ、星が綺麗…」

 

「今日は風が無いからそんなに寒くないかもね。」

 

わたしとすずかさんは湯船に浸かり星空を見上げる。

 

「ねぇキャロちゃん、機動六課はどう?訓練とかついていけてる?」

「はい。わたしやエリオくんはまだ成長途上だからって、リナお姉ちゃんやなのはさんが別メニュー組んでくれてるので。」

 

一見スパルタな2人だけどフォワード陣それぞれに適したメニュー組んでるから。

 

「そう、ならよかった。じゃそろそろ上がろうか?」

 

そうですね…あ、流れ星!

 

「ほんとだ珍しい…キャロちゃんは何かお願い事した?」

 

「へへっ、内緒♪…さ、上がりましょ。」

 

でも流れ星が見れるなんて…何か良いことあるかも?

 

NO SIDE

 

こうして魔法少女たちがスーパー銭湯で戯れていた頃…

 

「…キュルゥ…」

 

スーパー銭湯の駐車場に舞い降りた光の中から現れたのは、狐と栗鼠の中間みたいな小動物。毛色は白銀…間違いなくこの世界の生き物では無い。

 

小動物はふらふらと浮き上がり、1台のワゴン車の空いている窓から侵入する。

 

運転手の老人は運転席で仮眠を取ってるのか、うつらうつらしていて侵入に気が付いてないみたいだ。

 

果たしてこの小動物の正体はいったい?…キャラ増やしすぎじゃねーのか作者(タカヒロオー)よ?

 

次回も風呂場回だよ!




来週末には本土に帰れそうなので宮古島からの投稿は今回が最後かな?

やっと帰れるぞ!


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七十五、皆で行く 仕事の後は お風呂屋へ(後編)

宮古島2ndシーズン…まさかまた来るはめになるとは(苦笑)




SIDE:リナ

 

「♪~」

 

「…ちょっとアメリア…あんたまた大きくなってない、胸?」

 

あたしはバスタオルに包まれたアメリアの胸元を見ながらぼやく。

 

「へへ、実は…。」

 

サウナの暑さのせいか、顔を赤らめながら答えるアメリア。

 

まったく…いったい幾つなのよ、サイズは?

 

「えっと…86のD?」

 

「なっ…?!」

 

アメリアの答えに思わず絶句するあたし。こちとらやっと78のAで『お待ちかねのAカップ~♪』って浮かれてたのに…

 

「…で、でもリナさんの胸って型良いですよね、美乳だと思うんだけどなぁ…。」

 

慌ててノーヴェが間に入ってごまかそうとするけど、あたしは騙されない。

 

「そういうあんたもあたしより大きいよーな気がすんだけど…正直に言いなさい、怒んないから。」

 

「…81cmです。」

 

それを聞いた瞬間、あたしはその場に崩れ落ちる。自分で言っててなんだけどまさか4つも年下の子に負けるとはっ…?

 

「くっ…どーやらあたしの負けのようねアメリア、ノーヴェ。」

 

「いや、別に何も勝負は…」

 

「それよりそろそろ上がりませんか?皆も待ってると思いますよ。」

 

え…あ、待ち合わせの時間か…そんじゃ休憩室に 行ってなんか飲もうか。

 

「「は~い♪(ほっ…)」」

 

それはそうと男連中は何やってんだろ?ユーノやタカヤはともかく、父さんとゼロスが心配なんだけど。

 

SIDE:タカヤ

 

「「へっくしょんっ?!」」

 

あれ、神威さんとゼロスさんどうしたんですか、くしゃみなんかして?

 

「…いや、多分誰かが噂してんなこりゃ?」

 

「…おそらくリナさんあたりじゃないですか?彼女なら遠慮なんかありませんから。」

 

う~ん…確かにあの人ならありえそうだ。ふと横を見るとユーノさんも苦笑いしてる。

 

『おう、そうだ。ユンユンに聞きたい事があったんだ。…リッちゃんやノーヴェ嬢ちゃんが使ってる魔法、あれって魔族の力が媒体なんだよな?』

 

洗面器の湯に浸かったキリクがユーノさんに尋ねる。…確かに少し気になるかも。

 

「うん。…リナやノーヴェの使ってる[竜破斬/ドラグ・スレイヴ]は元の世界の魔王であるシャブラニグドゥの力を借りて放つ呪文だよ。カオス・ワーズっていう特殊な言語を用いるんだけどね。」

 

成る程…でもリナさんのデバイス…L様でしたっけ?

 

「あの封鎖結界…ノーヴェの竜破斬でもヒビひとつ入らなかった…シャマル先生の結界より遥かに堅いですよねあれ?」

 

「比べるのはシャマルさんが可哀想と思いますよ。何せあの方の異名は[金色の魔王/ロード・オブ・ナイトメア]…僕たちの前世の世界の根源その物なのですからね。」

「更に言うなら古代ベルカ神話に伝わる女神でもある…マスターであるリナが暴走したら冗談無しに世界は滅ぶよ、間違いなく。」

 

なっ…?!

 

「まぁリナもなんだかんだ言っても人間の範疇だからL様の能力の半分も引き出せたら御の字だよ。それ以上は暴走の危険性があるからね…」

 

ユーノさんの言葉に言葉が出ない僕とキリク。

 

(世界の根源、神話の女神…ホラーどころの騒ぎじゃないよキリク?)

 

(あぁ…下手をすりゃ原初ホラー以上の存在だぜ…リッちゃんのデバイスで良かったよ、ホントに…ん?!)

 

どうしたのキリク?

 

(いや…なんかホラーの気配を感じた気がしたんだが…多分気のせいだろ。)

 

そう?それならいいんだけど。

 

「さ、そろそろ上がるとするか。リナたちも待ってるだろうしな。」

 

神威さんに従い風呂を上がった僕達は先に上がっていたリナさん達女性陣と合流した。

 

「ヤッホー、遅かったじゃんユーノ?」

 

「ごめんごめん、色々話しててさ。」

 

ユーノさんとリナさんは仲良さげに話してる。…やっぱりこの2人、何処かで繋がってるんだな。

 

「…タ・カ・ヤさんっ♪」

 

ムニュ

 

「うわっ…ノ、ノーヴェ?!」

 

後ろから抱き付いてきたのはノーヴェ…押し当てられた胸、そしてお風呂上がりの石鹸の匂い…

(ま、まずい…このままじゃ僕の理性が…?!)

 

「こ~ら、タカヤが困ってるじゃない?湯冷めしちゃうから早く着替えてらっしゃいノーヴェ、キャロ?」

 

「「は~い♪」」

 

僕が戸惑ってるとリナさんがうまく誘導してくれた。

 

「ありがとうございますリナさん。お陰で助かりました。」

 

「良いわよ別に。ってかノーヴェとなんかあったの?えらく気に入られてるみたいだけど。」

 

「えぇ、実は…」

 

僕は自分の世界のノーヴェの事、そしてパトロール中の出来事を説明した。

 

「ふうん…でどうすんのよ?」

 

そう言うリナさんの表情は真剣そのもの。

 

「そりゃあんたの世界ではノーヴェは歳上でしかも大事な人なのかもしんないけど、あの子は別人なんだから絶対にあの子を泣かせるような事はしないで…約束できる?」

 

「…はい。約束します。」

 

僕がそう言うとリナさんは笑みを浮かべる。

 

「それならよし!あたしが言うことは無いわ。じゃ、身支度したら駐車場に集合ね?」

 

そう言ってリナさんはその場を離れ、残されたのは僕1人。

 

(リッちゃんのいう通りだぜタカヤ…この世界の嬢ちゃんはタカヤの知ってるノーヴェとは別人だ。何時かはお別れしなきゃならないんだ…判ってるよな?)

 

キリクの忠告…自分では判ってたつもりだったけど、それは甘かったと痛感させられてしまう。

(…かと言って、無下に冷たくするのもおかしいし…どうしたら?)

 

(別に普通に接したらいいんだよっ?ただ必要以上に関わるなってだけだ。)

 

キリクの言葉に自問自答しつつ駐車場に向かうと…

 

「さぁ、帰って晩酌でもすっかな?ゼロス、お前はもう呑めんだろ、付き合えよ。」

 

「それはいいですねぇ。ありがたくご相伴させて…」

 

「別にいいけどほどほどにしなさいよ、明日も仕事なんだからさ?…あれ、どうしたのキャロ?」

リナさんが先に車に乗り込んだキャロさんに声を掛ける。すると…

 

「リナお姉ちゃん、車の中にこの子が…?」

 

降りてきたキャロさんが胸に抱いていたのは栗鼠ぐらいの大きさの小動物。毛色は白銀色で外見は小さな狐にも狼にも見える。

 

「クルルゥ…♪」

 

抱かれた子狐?はキャロさんにすっかりなついてるみたいだ。

 

「ねぇリナお姉ちゃん、この子わたしが飼いたいんだけど…ダメ?」

 

キャロさんのおねだりに困惑するリナさん。

 

「ん~、飼うのはいいけどフリードもいるのに大丈夫なの?」

 

そりゃそうだよね…見た目は小さくてもフリードは火竜。一瞬に飼うのは…ってあれ?

 

「クルルゥ♪」

 

「アギャア♪」

 

子狐?はフリードを見つけるとキャロさんの胸から抜け出し一緒に遊び始めた。

 

「…どうやら大丈夫みたいね。でも何なのかしらこの子?びみょ~に魔力感じるんだけど…ユーノ、ゼロス、判る?」

 

リナさんに尋ねられたユーノさんとゼロスさんだったけど、2人とも首を横に振る。

 

「ごめん、僕は解らないなぁ…ゼロスはどう?」

 

「いや…僕にも解らないですね。お役に立てず申し訳ないです♪」

 

…ゼロスさんが全然申し訳なさそうに見えないのは僕だけなのかなぁ?

 

「仕方ないわね…その代わりちゃんと最後まで面倒見ること、いいわね?」

 

「うん!ありがとうリナお姉ちゃん!…そうだ、名前を決めなきゃ。」

 

キャロさんは子狐?を抱き抱えて少しの間思案する。

 

「う~ん…よし、あなたの名前は〈シル〉に決定!よろしくね、シル?」

 

「クルル…クルゥ♪」

 

どうやら名前も決まったみたいだ。

 

「うん、正体が解らないのは少し不気味ではあるけど…いざというときはL様もいるからね。」

 

ユーノさん…あ!

 

「あの…ユーノさんにお願いしたい事があるんですけど?」

 

「僕に頼み事?」

 

僕は今思い立った事を頼んでみる。それは…

 

「ユーノさん、僕と剣術で試合して貰えませんか?」

 

…ノーヴェの事で迷いだらけの今の状態を脱け出す為にも、ユーノさんみいな強い人と闘って気合いを入れ直す。

 

「分かった。明日の朝でいいかな?」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

「やるからには手加減はしないよ?」

 

「勿論です。お互い全力で!」

 

よし、後は勝ち負けはともかく全力全開でぶつかるだけだ!




お楽しみいただけたでしょうか?

皆様のご感想、ご指摘、評価…そして励ましの声援お待ちしております。


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七十六、激突す 破邪と魔戒の 模擬試合

すいません、間が開きました。

それでは本編、どうぞ!


NO SIDE

 

ホラーとの邂逅、そしてお風呂屋での一幕から一夜開けた早朝の逢魔家。タカヤはユーノとの模擬戦を控え日課の朝練に励んでいた…

 

 

SIDE:タカヤ

 

ブンッ!ブンッ!

 

『準備は出来たかタカヤ?』

 

「うん、身体は十分暖まったよキリク。」

 

逢魔家の庭を借りて素振りで身体をほぐした僕は魔戒剣をしまう。さすがに模擬戦にこれは使えないからね。

 

「おっはよー、早いわねタカヤ?」

 

「おはよう、タカヤお兄ちゃん!」

 

声のした縁側の方を振り向くとそこにいたのはパジャマ姿のリナさんとノーヴェだった。

「あ、おはようございますリナさん。ノーヴェもおはよう。」

 

「朝から頑張るわね~…毎日やってんでしょ?」

 

まぁ、「継続は力なり」って言いますしね…ユーノさんは?

 

「ユーノだったら早朝トレで今ごろは走り込みしてるはずよ。…そろそろ帰ってくんじゃない?」

 

「おはようリナ!みんな早いね。」

 

話している最中にジョギングウェア姿のユーノさんが帰ってきた。

 

「タカヤもおはよう。準備は万端かい?」

 

「はい!今日は手合わせよろしくお願いします!」

 

「こちらこそ。それじゃ道場へ行こうか。」

 

ユーノさんに促され、僕らは逢魔家の道場へと向かった。

 

NO SIDE

 

場面は変わって逢魔家の道場。既に中央ではユーノとタカヤがそれぞれ刃引きした模造刀をさげ、その傍らにはリナ、アメリア、ノーヴェ、アリサ、すずかが見守っていた。

 

(キャロは絶賛睡眠中)

 

やがて道場の扉が開き、この道場の主である神威が現れる。

 

神威に何時もの飄々とした雰囲気は無く真剣そのもの。

 

「さて…これより〈逢魔流・皆伝〉、逢魔・S・ユーノと〈魔戒騎士〉、秋月タカヤの試合を始める。武器は今手に持っている模造刀のみ、戦闘不能・戦意喪失を持って勝敗を決める。格闘戦も認めるが急所への攻撃は反則とする。…2人とも、準備はいいか?」「「はいっ!!」」

 

2人はそれぞれ構えを取る。

 

タカヤは正眼に構え、ユーノはいわゆる帯刀の状態で右手を柄にかけ、体勢を低くする。

 

「…あれは居合いの構え…な~る、ユーノは短期決戦を選んだか。」

 

リナの呟く通り、ユーノの抜刀術は神速…並の剣士では見切る事はまず不可能。

 

「…しかも鞘に納めないで抜刀するって…あれ〈巌流・つばめ返し〉?何でユーノがあの技知ってるのよっ?」

 

アリサがぼやくのも無理はない。〈巌流・つばめ返し〉は江戸時代の剣豪・佐々木小次郎の一族に伝わる秘伝技で、アリサもその末裔である親友が使ったのを見ただけなのだから。

「あ~…逢魔家の書物庫には古今東西あらゆる武芸の秘伝書が眠ってるから。そんなもんユーノが黙って見逃すと思う?」

 

「ううん、思わない。」

 

「文系剣士の面目躍如、ですね。」

 

「と言うかさ…それ何処の無限書庫よ?!」

 

「さ、無駄話はこれぐらいにして…試合に集中しましょ♪」

 

SIDE:タカヤ

 

改めてユーノさんと相対した僕は、正眼に構えつつ目の前の人を見る。

 

僕の世界のユーノさんが肩書き通り〈魔戒騎士〉とすれば…目の前のユーノさんは〈破邪の剣聖〉。

 

『あぁ、何て言ったもんか判んないが、静かな…それでいて強い意志の力を感じるぜ。油断するなよ、タカヤ?』

キリクの忠告に僕は頷いて応える。

 

「勿論だよキリク。元々僕達の世界でもユーノさんは実力者だからね。」

 

『それならいいんだがな。…そろそろ始まるぞ。』

 

ルール説明を終えた神威さんが一歩下がり…

 

「それでは…始めっ!」

 

試合が始まったその瞬間…

 

シュン!

 

一瞬にしてユーノさんは距離を詰め、模造刀を凪ぎ払う。

 

「なっ?!…でも居合って解ってれば!」

 

しかしその光速の居合をかろうじて僕は刀ではじく。

 

恐らく僕とユーノさんの実力は拮抗してる。パワーと防御力、体力では僕。スピードと剣技、魔力ではユーノさんといったところ。

「予想以上に堅いね…さすが魔戒騎士といったところかな?」

 

そう言ってつばぜり合いから距離をとるユーノさん。

 

「はは…。初めてですよ、居合が来るって判ってて受け止めるのが精一杯なんて…」

 

思わず冷や汗が頬を伝う。

 

『…マジかよ、俺が今まで見たホラーでもあそこまで速いのは見たことないぞっ?!』

 

…でも、今のでスピードは見切った、今度はこっちの番だ。

 

「行きますユーノさん!…でやぁぁぁっ!!」

 

僕は刀を構え直しユーノさんとの距離を詰めると渾身の一撃を撃ち込む。

 

「ぐっ…やるね。これだけの一撃、父さん以外じゃ久々だよ。なら…」

ユーノさんは刀の刃を滑らせ攻撃をいなすと両手に構えた刀を左手に持ちかえ、弓を引くような構えから…

 

「…いくよ、〈牙突・零式〉!」

 

至近距離から放たれた突きに僕は慌てて後方に宙返りして回避する。

 

「はぁ、はぁ…何て強さなんだ…」

 

「…そりゃそうでしょ。」

 

僕の呟きに答えたのはユーノさんじゃなく観客のリナさん?

 

『おい、そりゃどういう意味だリッちゃん?』

 

聞き返したキリクにリナさんは言葉を続ける。

 

「あたしとユーノ、それにアメリアは前世の記憶があるっていうのは昨日話したわよね?」

 

そう、僕とキリクは昨日の夜にその話を聞いた。

 

「ユーノの前世はあたしの前世のパートナー、ガウリイ・ガブリエフ…あいつは一言で言ってしまったら〈剣技の天才〉。どんな状況も剣一本で切り抜ける凄腕の剣士だったわ。けど…」

 

『…?…けど何だよ?』

 

キリクの疑問にリナさんは空を仰ぎながら答える。

 

「…ガウリイには知識と理解力が皆無だったのよ。そのおかげで前世でどんだけ苦労したか…」

 

成る程…あの剣技は天性のものだったのか。

 

「でもそれはガウリイが勉学に励む環境になかったから。その点ユーノは…あんたも知ってるでしょ?」

…!

 

ユーノさんは無限書庫の司書長を史上最年少で拝命できる学力の持ち主。魔導師ランクもAAAランクだ。

 

そこにガウリイさんの天性の剣の才能が加われば…?!

 

「勘違いしないでほしいけど、ユーノがガウリイから受け継いだのはあくまで素質だけ。その素質を開花させたのは…ユーノの努力よ。」

 

「リナ、それぐらいにしといてくれないかな?正直恥ずかしいよ…」

 

ユーノさんは物凄く照れ臭そうに手を振って否定する。

 

「それより…試合を続けようか。まだ出しきってないだろう、全力?」

 

「勿論です!はあぁぁっ!」

 

僕は刀を振りかざしてユーノさんを切りつけるも、全てギリギリのところで避けられる。

 

「くっ、なんで当たらないんだっ?!」

 

『落ち着けタカヤ、剣筋が粗くなってるぜ!』

 

焦りからなのか、それともユーノさんの技術なのか…

 

「…そろそろ終わりにしようか。…はあっ!」

 

ユーノさんの放った一閃は僕の模造刀を弾き飛ばす。そして…

 

「これで…王手、かな?」

 

ユーノさんの剣先が僕の目前に突き立てられる。

 

「…そこまで!勝者、ユーノ!」

 

神威さんが試合の終わりを告げる。

 

(…手も足も出なかった…完敗だ。)

打ちひしがれる僕にユーノさんが手を差し出してくる。

 

「お疲れ様。怪我はさせてないつもりだけど…大丈夫?」

 

「はい。いい勉強をさせて貰いました。」

 

ユーノさんの手を取り立ち上がる。

 

「リナから聞いたけど…迷いは晴れたかい?」

 

「…正直、判りません。だけど、道は見えた気がします。」

 

そう。僕にできるのはノーヴェを傷つけない事。

 

兄貴分と慕ってくれるのは嬉しいし彼女の力にはなりたいけど、最後の一線だけはけじめをつける。

 

「そう、それは良かった。」

 

「ね~、男同士で世界に入るのもいいけどさ…そろそろご飯にしない?」

 

リナさんの声に手を上げてOKサインのユーノさん。

 

あれ、そう言えばキャロさんは…?

 

「キャロは昨日が夜遅かったからね…まだ寝てるわよ。」

 

そうか…こっちのキャロさんはまだ9歳ぐらいだったっけ。

 

「とはいえ、そろそろ起こさないとね。ノーヴェ、頼んでいい?」

 

「は~いっ!」

 

元気な声で返事をして駆けていくノーヴェ。

 

(…あの笑顔、絶対に曇らせない!)

 

そう思いつつ、ユーノさんと僕はシャワーを浴びに向かうのだった。

 

NO SIDE

 

こうして終わったタカヤとユーノの模擬試合はユーノの勝利に終わった。

 

まだタカヤの迷いは晴れたわけではないだろうが、一歩進んだのは間違いないだろう。

 

だが…

 

「キャロ~、そろそろ朝ご…」

 

クラッ…

 

(あ、あれっ…?)

 

《…目覚めよ、内に眠りし紅き…》

 

一瞬立ち眩みを覚えたノーヴェの頭の中に、得体の知れない声が…

 

(…あれ、聞こえなくなった…?)

 

「むにゃむにゃ…おはよー、ノーヴェさん…」

 

はっとして前をみるとキャロが寝ぼけ眼で此方を見ていた。

 

その傍らにはフリードとシルの姿。何故かフリードが一歩後ずさる。

 

「お、おはようキャロ。もうすぐご飯らしいから早く着替えなさい!」

 

「は~いっ♪」

 

(でも…なんだったんだろ、今の声?…気のせいよね、うん。)

 

ノーヴェは自分を納得させキャロを急かす。

 

…どうやらこの事件、一筋縄ではいかない予感が立ち込め始めたようだ…

 




う~ん、ペースが上がらない…

なんとか今年中にもう1回は投稿できればとおもいます。

皆様のご感想やご指摘、評価などよろしくお願いします!


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七十七、まさか今 現れるとは あの妖狐

今年初めての投稿になります。待っていてくれた方、本当にお待たせしました!

(でも短めです。)



NO SIDE

 

リナたち〈チーム・ナイトメア〉と魔戒騎士・秋月タカヤのホラー探索は2日目を迎えた。

 

ホラーは闇夜にしか現れない…と言うことで、それぞれに分かれて現場検証や聞き込みを行うことにした。

 

ユーノとすずかは一旦ミッドチルダの無限書庫に手掛かりを探しに戻り、ノーヴェとキャロはアリサに連れられ商店街に聞き込みに。

 

そしてリナとアメリア、タカヤは…

 

SIDE:リナ

 

「…本当にこの公園で間違いないのキリク?」

 

あたしたちはタカヤとキリクの案内で高台にある小さな公園を訪れていた。

 

あたしやアメリアもこの公園の存在は知ってたけど…?

「えぇ…。見た目の痕跡こそ消されてますが、間違いなくこの公園内でズィヌフィアは人を殺めそして…」

 

「喰らいやがった、ってわけだ。骨の一つ、血の一滴すら残さずに…な。」

 

公園内を一目視るなり断言するタカヤとキリク。

 

「…でも、タカヤさん達はどうしてそんな事が判るんですか?」

 

アメリアの疑問に答えたのはキリク。

 

「魔戒騎士や魔導具にはホラーや被害者の残留思念が見えるんだよ…まぁ、俺達にとっては基本だな。」

 

「ちなみにリナさんの後ろにいるんですけどね…」

 

びくぅっ?!

 

「な、何がよ…?!」

 

引きつった表情であたしが尋ねるとキリクが楽しそうな声で…

 

「決まってるだろ?ホラーに喰われた被害者の怨念だよ。…ん?もしかしてリッちゃんまさか…?」

 

それ以上言わないでっ?!

 

実はあたし、前世の頃からそーゆー幽霊話とか駄目だったりするのだ。

 

「あ~、そういやそうだったっけ。でもゴーストとかは平気なんでしょ?」

 

「ゴーストは呪文一発で吹き飛ばせるから問題ないけど…幽霊みたいに実体のはっきりしないのは苦手なのよっ?!」

 

何て言うか生理的に受け付けないって感じ。

 

「ほぅ…ちなみに犠牲者の怨念だけどよ…リッちゃんの後ろに立ってるぜ、怨めしそうに♪」

 

「楽しそうにいうなぁ~っ?!…いい加減にしないとL様に捻り潰して貰うわよ?」

 

「ひえっ?!それだけは勘弁してくれ~っ!…っていうか、L様の方がよっぽど怖くないか?!」

 

あたしの脅しにびびってるキリク。ふん、いい気味だわ。

 

「…どうやら犠牲者はホームレスの浮浪者だったようですね。たまたまこの公園で寝ていた所を襲われたみたいです。」

 

「それは不運でしたね…。この敵は必ずわたしたちがとりますから!」

 

お~、アメリアも気合い十分じゃん。

 

「それに、久々に思いっきりぶん殴れそうだし。」

 

…あんたの本音はそっちかい!…まぁアメリアの事だからそんなことだとは思ってたけど。

 

「…そういや昨夜もふつーにホラーどついてたよな、あの子?!リッちゃんやユンユンもそうだけどよ~、あんた等の前世の世界は化け物ばっかなのか?!」

 

化け物とは失礼ね~?そうはいってもあたしやアメリアぐらいだったら、それこそ掃いて捨てるくらいいるわよ?ま、ガウリイクラスの剣士はそうそう御目にはかかれないけどね。

 

「で?他に何か手掛かりは無かったのタカヤ?」

 

あたしの問にタカヤは渋い表情で応える。

 

「いえ…。この方は殺されてから時間が経ちすぎていて、あまり意志が残ってないんです。ただ…」

 

ただ、なんなのよ?

 

「どうやら、目的は復讐みたいですよ、リナさん。」

 

「ゼロス?!…復讐ってどーいうことよっ?!」

 

あたしに怒鳴られたゼロスは大袈裟にやれやれといったパフォーマンスをとり、代わりにタカヤが質問に応えてくれる。 

 

「…今より遥かなる昔、この世が平安時代と呼ばれていた頃…僕の先祖である4代目魔戒騎士・秋月靜狼(あきつき・せろ)はこの地に召喚され、貴女の先祖である当代の逢魔家当主であった逢魔瑠那(あいま・るな)と共にズィヌフィアを封印する事に成功しました。しかしその封印は千年の時を封ずる事しか出来ずに…今回に至るわけです。」

 

なるへそ…ということはターゲットは秋月の末裔であるタカヤと逢魔の一族…?

 

「あとはそのとき力を貸してくれた妖狐・玉藻前(たまものまえ)と護鬼たちもだな。」

 

ふうん…あれ?

 

「ねぇキリク、その玉藻前ってあの伝奇物に出てくる玉藻御前の事?」

 

「なんだリッちゃん、知ってんのか?でもどうしてまた?」

 

あたしはキリクの質問には答えず、別行動しているアリサに通信を繋げる。

 

「どうしたのよリナ、なんかあった?」

 

「アリサ、あんたの相方の使い魔の名前はタマモだったよね?」

 

「「なっ?!」」

 

そう、アリサの相方を務める男性の使い魔の名前はタマモ。古の昔に伝わる伝説の妖狐・玉藻御前は転生を繰り返し今は使い魔としてアリサたちが経営する武禎事務所の助手を務めていたりするのだこれがまた。

 

「そんな…こっちの世界に来て色々あったけど、一番びっくりしましたよ?!」

 

まぁタカヤが驚くのも無理は無いとは思うけどね。あたしはタカヤから聞いた話をアリサに伝える。

 

「…うん、わかった。すぐに合流させる。翠屋で待ち合わせしましょ?」

 

そうね、タマモには当時の事聞いて見た方がいいかも。…それにしても、どんどん話が大袈裟になってる気がするんだけど。

 

「まぁまぁ、とりあえずタマモさんにお話しを聞くとしましょう。タカヤさんもそれで宜しいですね?」

 

ゼロスの言葉に頷くタカヤ。

 

こうしてあたしたちは翠屋に向かうことにした。…騒がしくなりそうね、はぁ…

 

 

SIDE:タカヤ

 

所は変わってここは再び翠屋。僕たちとアリサさんのグループは既に合流してタマモさんの到着待ちだ。

 

「…それにしても、玉藻前までいるとはな…この世界には驚かされるばかりだぜ?」

 

キリクがぼやくのも判る。それにしてもタマモさんは…?

 

カランカラン~♪

 

扉が開く音に振り向くと、入ってきたのは1人の少女。見た目はひと昔前の女子高生って感じ…ルーズソックスって久々に見た気がする。どうやらお客さん…

 

「あ、タマモ!こっちよこっち!」「…えっ、え~っ?!」

 

アリサさんに呼ばれた少女は笑顔を見せるとこっちに近寄ってくる。まさかこの少女が…タマモさん?

 

「紹介するわ。この子がタマモ、現代の玉藻御前よ。タマモ、この人たちが…」

 

「…あぁ、魔戒騎士…秋月の末裔だろ?少しアイツの…セロの面影があるからな。わたしはタマモ。あんたのご先祖様には世話になった…まぁよろしく。」

 

アリサに促されてぶっきらぼうに挨拶するタマモさん。

 

「びっくりしたでしょ、伝説の妖狐が女子高生って。」

 

「あぁ、まったくだ。だがこの凄まじいまでの妖力…玉藻前に間違いないぜ、こりゃ?」

 

キリクの言う通り、この人(?)が玉藻前…まさか逢えるとは思って無かったけどね。

 

「さ、聞かせて貰いましょ、ズィヌフィアとの事。」

 

僕たちが席に着くと、タマモさんは古の昔を思い出すように喋り始めた…。

 

 

 

 

 

 

 

 




リアルが忙しくなかなか進めなくて…次回はなるだけ早く投稿します。

皆様のご感想、ご意見、評価などよろしくお願いします!


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七十八、翠屋で 語られるのは なんとやら

本当に遅くなってすいません!




SIDE:タカヤ

 

…あの伝説の妖狐、玉藻前がこの世界に存在するだけでも驚きなのに、それがアリサさんのパートナーの使い魔でしかも…?

 

「…なぁアンタ…ホントに玉藻前なのか?確か1000年前に出逢った時はもっと色っぽい姐さんだったような気がしたんだが…?」

 

当時の魔戒騎士・秋月靜狼(あきつき・せろ)の相方でもあったキリクもいう通り玉藻前のイメージはミステリアスな傾国の美女って感じに思ってたんだけど。

 

「そーいうあんたもかっこよくなったじゃんキリク。なんか今風でさ。その子が今の魔戒騎士かい?」

 

そう話し掛けてきた玉藻前…今はタマモさんだったっけ?

 

今の彼女の格好は一言で言うとひと昔前の女子高生。ルーズソックスなんてなかなか見ないよ近頃。

 

「はい、秋月タカヤといいます。よろしくお願いします、タマモさん。」

 

「タマモでいいよ、タマモで。転生を繰り返したせいかも知れないけど、堅苦しいのは苦手なんだよな…ま、挨拶はこれくらいにして本題に入ろうか?…美由希さん、アイス抹茶オレひとつ。」

 

タマモさんは飲み物を頼むと僕たちの真向かい…アリサさんの隣に座る。

 

「さて、何から話す?千年前の顛末はキリクも知ってんだろ?」

 

「あぁ…ズィヌフィアには魔法や妖力が効かずに苦労したよなぁ?だけど最期はお前や護鬼たちの協力のおかげでなんとか千年の時封じる事ができた。だがよ…」

 

うん。ズィヌフィアを封じていた封印がゆるみ、奴はこの海鳴市に再び甦った。そしてその目的は自らを封じた魔戒騎士や逢魔の子孫たち…僕やリナさん、神威さんたちへの復讐。

 

「…って事はあたしもその中に含まれるって訳だね、リナ?」

 

「そういう事。ま、あたしは前世の因縁もあんだけど。」

 

タマモさんに返事したリナさんの表情は険しい。それはユーノさんやアメリアさんも同様だった。

 

「そういえばゼロロもそんな事言ってたなぁ…アイツの元の存在と戦ったとかなんとか?」

 

キリクの言葉に頷くとリナさんは話を続ける。

 

「ええ、ズィヌフィアはあたしたちが前世の世界で戦った魔獣ザナッファーの生成技術が用いられているわ。魔法や妖術が効きづらいのは多分そのせいね。…もっとも、能力は本家の足元にも及ばないんでしょゼロス?」

 

「はい、恐らくは陰陽道という異なる技術を用いた事が原因じゃないかと。確かに通常の武器はほとんど効果はありませんし、魔力耐性も高いですが無効化ではありませんからね。」

 

「魔力の無効化っ?!…リッちゃん、アンタ魔法効かない相手にどうやって勝ったんだよ?」

 

呪文の無効化といえばAMF(アンチ・マギカ・フィールド)があるけど、あれは物理攻撃には効果がなかったはず。

 

「ま、まぁいいじゃない?!そんな大したことして…」

 

「…リナったらザナッファーの魔力無効化が及んでいない傷の中に手を突っ込んで体内で[火炎球/ファイア・ボール]を炸裂させたんですよっ?!」

 

言葉を濁すリナさんに続いてアメリアさんが代弁する。…えっ、そんな事したら大怪我するんじゃ…?

 

「…突っ込んだ手はグズグズに大火傷になったわ。いや~、あの痛さったら…」

 

「当たり前ですっ!!あの時わたしが[復活/リザレクション]使える前提での作戦だったとは思うけど、無茶にも程があるわよっ?!」

 

アメリアさんに叱責され申し訳なさそうに頭を掻くリナさん。

 

「いーじゃん、結果オーライだったんだから。ま、とにかくザナッファーに比べたらズィヌフィアはそれほどの脅威じゃないわ。…単体ならね。」

 

リナさんは一旦言葉を句切るとハーブティーを一口飲み、話を再開する。

 

「…だけどズィヌフィアには卷族のズィヌフがいるわ。あいつらもある程度の魔法耐性があるから一定以上の魔法で薙ぎ払うしかないのよね、まったく。」

 

そうか…昨日はズィヌフィアが居なかったから大技一発で済んだけど、連携されたらそうもいかないか。

 

「それはそうとして…ノー~ヴェ~?あんた[竜破斬/ドラグ・スレイブ]使うなってあれほど言ってたのに何で使ったのよ?」

 

「(ギクッ?!)そ、それはその…ごめんなさいっ!タカヤさんに良いとこ見せたくてつい…」

 

「あ~ん~た~は~っ?!」

 

「リ、リナさんっ?グリグリは痛いですぅっ?!」

 

「まぁそんなところだとは思ってたけどさ…。で?大丈夫だったの、身体の方は?」

 

「あ…はいっ!特に問題は…。ご心配かけてすいません!」

 

リナさんに頭をグリグリされたノーヴェは慌てて謝る。…でも、ノーヴェの身体を心配って、どういう事?

 

「気になる?まぁ大した話じゃないんだけど。そもそもスィーフィード式の呪文ってさ、ミッドチルダやベルカとはまた違った適性が必要でね。あたしやアメリアみたいな転生組は問題ないんだけど、大抵の人は魔力を過剰に使用してしまうのよ。」

 

「まぁ、フェイトさんも子供の頃に[覇王]グラウシェラーの力を利用した雷撃呪文を開発したらしいですけど、戦闘スタイルが近接メインになったせいもあって近頃は使ってないですからね。確か…[ダイナスト・ファランクス]でしたっけ?」

 

「まぁアレもナーガとユニゾンすれば使えなくはないんだけどね。それからすると完全オリジナルでカオス・ワーズを組み込んで魔砲を開発したなのははやっぱ天才よね。まさかあたしも魔力の過剰消費を[散布された魔力を収集・再利用]するなんて発想で解決…」

 

ち、ちょっと待って?!フェイトさんのはFランサー・ファランクスシフト、なのはさんのは言うまでもなく…?

 

「…間違いなくスターライトブレイカーだよなぁ…って事はうちの世界の2人よりも強いって事かぁ?」

 

異世界の呪文を取り込んで強化されたブレイカー…考えるだけで恐ろしくなる。

 

「ごめんごめん、話が脱線しちゃったわね。スィーフィード式の呪文は完全に転生したあたしやアメリアはもちろんだけど、ユーノみたいに記憶を宿らせて転生した場合もある程度は使えるわ。そしてキャロも推測でしかないんだけどあたしの前世の知り合いの転生者らしいのよね。」

 

「えっ、それってホントなのリナお姉ちゃん?」

 

リナさんの告白に驚くキャロさん。どうやら初めて知ったみたい。

 

「うん。本当はあんたが自分で思い出すまで黙ってるつもりだったんだよね…確証が掴めてないから。でも、ノーヴェが竜破斬を使えるのは何でなのかは全くの謎なのよこれが。…多分ゼロス辺りはなんか知ってるんじゃないの?」

 

「僕だって知らないものは知らないですよ…まぁ知っていても教える気は無いですけどね♪」

 

相変わらず飄々とした表情でリナさんの追及をはぐらかすゼロスさん。

 

「まぁもしかしたら…ってのはあるんだけど、まだそれは内緒。大魔王の呪文だし、しばらくは大技に頼らず勝てるようにみっちり基礎からって事で。それよりも…なんだか外が暗くない?」

 

えっ?でもまだ午前中…こ、これは?!

 

窓の外を見るとそこには漆黒の闇が広がっていた。

 

「…リナ、聞こえる?」

 

「ユーノ?これってまさか?」

 

「あぁ、どうやら先手を取られたみたいだ。擬似的な闇属性の封鎖結界が海鳴市を包みこんでる。」

 

ユーノさんからの緊急通信は海鳴を襲った異変の報告だった。

 

「僕とすずかもすぐ急行するよ。だからリナたちも無茶はしたらダメだよ?」

 

「あたしを誰だと思ってんのよ?ズィヌフィアの1匹や2匹、あたしたちで吹っ飛ばしてやるわ!心配はしてないけど美由希さんたちはとりあえず待機していて。」

 

「うん。リナちゃんたちも気をつけるんだよ?」

 

リナさんの言葉に美由希さんたちは苦笑いで答える。

 

「さ、いくわよみんなっ!…勝利はあたしたちの為にあるっ!」

 

…何でだろ、リナさんの言葉には物凄く力を感じるよキリク。

 

「あぁ全くだ、負ける気は微塵も起きねえや。」

 

待ってろズィヌフィア、千年前の宿縁はここで断ち切るっ!

 

 

 

  

 

 

 

 




次回はいよいよバトル開始…出来るといいなぁ…(願望)



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七十九、動き出す 禍つの鎧と 謎の影

約2ヶ月振りの更新です。

待ってくれていた皆様、あとコラボ先の作者であるオウガ・Ω様、お待たせいたしました!




NO SIDE

 

海鳴市を突如包み込んだ闇の結界。緊急の事態に装備を展開したリナ達[チーム・ナイトメア]と魔戒騎士タカヤの前に立ちはだかったのは、倦族ホラー・ズィヌフの大群だった。

 

「…こりゃまた大層なお出迎えだこと。どうやらズィヌフィアはいないみたいね…?」

 

「いいえ、ズィヌフィアはおそらく…近くまで来ていますよ。ホラー特有の重い空気を感じます。」

 

リナの言葉に反応するタカヤ。その手には既に得物の魔戒剣斧・オウガが握られている。

 

「どうしますリナさん?コイツらだけなら良いですけど、親玉まで出てきたら…?」

 

心配そうに尋ねてくるノーヴェにリナは苦笑いを浮かべながら応える。

 

「愚問ねノーヴェ、みんな纏めてぶっ飛ばすに決まってるでしょ!アメリア、アリサ、キャロはこの辺りのズィヌフの殲滅をお願い。そんでもってあたしとタカヤ、ノーヴェはズィヌフィアを探しだして決着をつけるわ。ゼロスは…どうすんの?」

 

「僕はリナさん達のチームと合流しますよ。『写本』がからんでいるならそれは僕の管轄ですから。」

 

ゼロスはそう言うと、自らの本体とも言うべき黒い錐を具現化させ周囲のズィヌフを一掃していく。

 

「あ、ゼロスさんズルい~!アリサさん、キャロ!」

 

「うん…行くよ、フリード!」

 

「ギャオ!」

 

「こっちは任せなさいっての!」

 

それと同時にアメリアたちはズィヌフに向かって突貫し前方に道が開けた。

 

『…この反応は…居やがったぜ、ズィヌフィアだっ!』

 

キリクの声に視線を向けた先には、一際大きな体躯の鎧武者。その手には巨大な斬馬刀が握られている。

 

『…やっと来やがったか…千年前/この間の怨み、今こそ晴らさせてもらうぜ?秋月の騎士と逢魔リナっ!』

 

SIDE:リナ

 

ズィヌフの大群の先に待ち構えていたのは他とは明らかに違う甲冑の騎士…あいつがズィヌフィアねっ!

 

「…でも、おかしいですね…タカヤさんの事はともかく、リナさんの名前まで知っているのは。」

 

確かにゼロスのいう通り。タカヤの事は魔戒騎士特有のオーラでも感じたんだろうけど、あたしの事を名指ししたと言うことは…過去に面識のある人間?!

 

まぁ転生者はそれこそ星の数ほどぶっ飛ばしたからなぁ…

 

『ええぃ、なにゴチャゴチャ言ってやがる?!…まさか俺様の事を覚えてねぇとは言わせねえぜ!』

 

いや、覚えてないも何も…いや待てよ、この妙にイラッとする喋り方どこかで…あっ?!

 

「まさか…アンタは確かに4年前、跡形も無く消滅させたはずなのに…どんだけしつこいのよ?」

 

「リナさん、アイツの正体に心当たりがあるんですか?」

 

「多分ね…久しぶりね、山d…」

 

『その名前でよぶなぁぁっ?!』

 

あたしが本名で呼ぼうとするとズィヌフィアはそれを全力の大声で阻止する。

 

『黒歴史の名前で呼ぶんじゃねぇぇっ!今の俺は魔獣甲冑の王、ズィヌフィアだっ!』

 

黒歴史って…付けてくれた親が泣くわよ?

 

『そんな事はどうだっていいっ!俺が望むのは織斑一夏と逢魔リナ…お前ら2人に復讐する事だけなんだよぉぉっ!』

 

…で?

 

『へっ?』

 

「いや、あたしと一夏に復讐したとして、アンタその後はどうするつもり?どーやら人間捨てたみたいだけど、どーせ何も考えてないんでしょ?」

 

よくいるのだ、後先考えずに善からぬ事を企む輩が。

 

『…グウォ~、相も変わらず馬鹿にしやがって?!』

 

いや、馬鹿にされて当然だとおもふ…全然成長してないんでやんの。

 

「タカヤ、ノーヴェ…油断は禁物だけど、一気に片をつけるわよ!あたしが呪文で牽制するからあんたらは近接戦闘を仕掛けて…いいわね?」

 

「「はいっ!」」

 

あたしの指示に頷くと2人はズィヌフィア目掛けて突貫する。さ~て…

 

『喰らいなさい、[魔竜烈火咆・拡/ガーヴ・フレア・ブレイク]!』

 

あたしのカオス・ワーズに応えるように放たれた赤い魔力砲は突貫するタカヤ達の背後で無数の魔力弾に拡散、辺りのズィヌフを捲き込みつつズィヌフィアへと襲い掛かる。

 

『はっ?!そんなの効かな…なにっ?!』

 

ズィヌフィアは避けようともせず魔法障壁で受け止めた…つもりだったら甘いわよ!

 

あたしの魔力弾は奴の障壁を破壊し本体に命中、体勢を崩す事に成功する。

 

『ば、馬鹿な?!俺の障壁はその程度の呪文じゃ破れないはずなのに、何故っ?!』

 

うん、確かに竜破斬でもザナッファーの障壁は破れないんだから、魔竜烈火咆…しかも拡散型じゃ本来びくともしないはず。

 

でも、実はここ最近この呪文の威力が目に見えて上がってきてる…ちょうどキャロとフリードが家族になった頃ぐらいかな?

 

(これってやっぱり…フリードがアイツの転生体ってのが一番しっくりくるわね。)

 

これは今度ちゃんと確認しておく必要ありよね。まぁそれは後の話っ!

 

「タカヤ、ノーヴェ、後は頼んだわよっ!」

 

あたしは突貫する2人に檄を飛ばしつつ、次の呪文の詠唱を始めた。

 

SIDE:タカヤ

 

ズィヌフィアに斬り込む僕達の後ろから放たれたリナさんの拡散弾は魔法障壁を容易く破り奴に命中!ダメージこそほとんど無いみたいだけど、予想外の状況に動揺を隠せてない様子だ。

 

『…すげえなリッちゃん…ズィヌフィアの防御力にはセロですらてこずったのに。』

 

「でもチャンスですよタカヤお兄ちゃん!一気に決めちゃいましょう!!」

 

ノーヴェはエアライナーで間合いを詰め魔力をブラストエッジに充填、デバイスの足首についたギアが唸りを上げる。

 

「いっけ~、リボルバー・スパイク!!」

 

ドガーン!

 

『ぐぼぅっ?!』

 

ノーヴェの放った蹴りはズィヌフィアのボディにめり込み、苦悶の声をあげさせる。

 

『やるなぁ、ノーヴェ嬢ちゃん…魔力が通じないなら直接、って事か。』

 

それでもズィヌフィアはノーヴェの蹴り足を掴むと、そのまま…

 

『お返しだ、ぶっとびやがれっ!』

 

「えっ…きゃあぁぁぁっ?!」

 

「…危ない、ノーヴェっ?!」

 

地面に投げつけられたノーヴェは咄嗟にエアライナーを展開させ、そこを滑るように体勢を立て直す。

 

「大丈夫、ノーヴェ?」「はいっ!」

 

ぼくは剣を空に掲げ…

 

「いくよキリク、一気に決める!」

 

掲げた剣で円を描く。そこから放たれた光に包まれ、僕の身体に魔戒騎士の鎧が纏われていく。

 

「…魔戒騎士・惶牙(オウガ)、ここに降臨!…お前の陰牙、ここで断ち切る!」

 

「タカヤお兄ちゃん、カッコいい…♪」

 

金色に輝く鎧はホラーにとっては死神に値する。ズィヌフィアも本能的に萎縮している感じだ。

 

『さぁ時間が勿体ねぇ、さっさと…はぁ?』

 

どうしたのキリク?

 

『おかしいもなにも…どうして?』

 

キリクの動揺ぶりが皮膚越しに伝わってくる…一体何が?

 

『…これ、魔導刻を見てみろよタカヤ。』

 

魔導刻は僕達魔戒騎士が変身していられる時間を表示したものだ。通常は99.9秒しかないからこんな事してる場合じゃ…はいっ?!

 

そこに記されていたのは…

 

[∞(笑)]

 

ち、ちょっと待って?何時もの時間ですら変身には多大な魔力を消費するのに、無限大って…?

 

「あ~多分それ…あんたの仕業なんでしょ?L様。」

 

「『なっ?!』」

 

リナさんの言葉に絶句する僕とキリク。

 

『やっぱりバレるか。ま、たまにはいいんじゃないの。(やな予感がするとは言えないし。)』

 

何だろ、後半言葉を濁された気がするんだけど。

 

それでも時間を気にしなくていいのなら、落ち着いて戦える…いくぞ、ズィヌフィア!

 

「わたしもまだまだっ!」

 

「無理すんじゃ無いわよノーヴェ!タカヤ、ここで決着つけるわよ…いいわね?」

 

「はいっ!」

 

『嘗めやがって…てめえら纏めて捻り潰してやる、覚悟しやがれ!』

 

それはこっちの台詞だ、千年に渡る禍…ここで断つ!

 

NO SIDE

 

…こうしてチーム・ナイトメアとタカヤ、そしてズィヌフィアの戦いが本格化した頃、少し離れたビルの上から眺める3人の人影があった。

 

1人は学生服に身を包んだ、一見平凡そうな少年…球磨川禊。そして…

 

「…じゃあそろそろ動こうか…ドクター、ヨミ?」

 

「そうしましょうかミソギ…彼女たちが僕達のまいた餌に引っ掛かってくれればいいのですがね?」

 

ドクターと呼ばれたのは眼鏡を掛けたインテリそうな青年。白衣を纏ったその姿はまさしく医者か科学者を思わせる。

 

「…はともかく、ユーノとかいう子はまだ帰ってないんでしょ?…帰ってくるまでもつの、あの馬鹿?」

 

もう1人…ヨミと呼ばれた少女は長い黒髪に古風なセーラー服という出で立ち。その腰には不釣り合いな日本刀を携えている。

 

「まぁ大丈夫なんじゃないかな?一応切り札も渡しておいたし、僕達は今回は顔見せだからね。アイツがどうなろうが知った事じゃないから、うん。」

 

「ふーん。ま、私は私でやりたいようにやるだけだしー。」

 

「まぁもう少し高みの見物といこうよ。共倒れしてくれたら楽だしさ…多分無理だけど。」

 

禊は他人事のように呟くと、リナ達が戦う空に視線を戻す。

 

そう、とうとう動き出したのだ…冥王フィブリゾの尖兵「異端者/イレギュラー」が。

 

 

 

 

 

 




まさか2ヶ月もかかるとは…スランプとは恐ろしか。(汗)

皆様からの感想やメッセージ、御待ちしています。


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八十、甲冑ノ 砕ケシ跡ニ 出ル鬼

皆様お久しぶりです!

完結目指して頑張ります!




NO SIDE

 

遂に始まったチーム・ナイトメアと魔獣甲冑ズィヌフィアの闘い。その頃、ユーノとすずかの2人はミッドチルダからようやく海鳴へと帰還、リナたちに合流しようとしていた。

 

SIDE:ユーノ

 

バシュンッ!

 

僕とすずかが転送されたのは、夜の帳のように海鳴全体を包み込む漆黒の結界の前だった。

 

『…ユーノさん、すずかさん。その結界のせいで直接転送は無理みたいです。ごめんなさい!』

 

「仕方ないよシャーリー。なのはやフェイトたちも緊急任務で大変だろうから。大丈夫、この位の結界だったら突破できるよ。そっちも無理せず頑張ってね!」

 

『ありがとうございます…では御武運を!』

 

シャーリーからの通信が切れ、僕は隣のすずかの顔を見る。

 

「さてと…ゴルンノヴァの力を解放すればこんな結界楽勝…」

 

「待ってユーノ君!この結界だったらわたしに任せてくれる?」

 

すずか?

 

「この結界って平安時代の陰陽道を利用した物…だったら、『怪異』の類いだからわたしの力で!」

 

すずかはそういうと、指に嵌めたデバイス・スノーホワイトに魔力を込め1本の日本刀を具現化する。その刀って…まさか、「怪異殺しの妖刀」?!

 

「あれ、ユーノ君は見るの初めてだった?」

 

「うん…なのはやリナ姉さんから話は聞いてたけど…噂以上の妖気だ。」

 

確かすずかが高校時代に知り合った吸血鬼の女性から譲り受けた物で、『怪異』と呼ばれる存在に対して驚異的な力を発揮する代物…このタイミングでお目にかかるとはね。

 

「…わたしは元々夜の一族の末裔なんだけど、元の持ち主を無力化するために彼女の『怪異』を吸収した…と言うより、食べちゃったんだ。」

 

えっ?!

 

「その影響で、その子は不死の力を除けば…わたしが能力を返さない限りは普通の女の子。今は暦さん…わたしの高校時代の先輩と一緒にとある街で暮らしてるの。」

 

そんな事が…アリサといい、君たちも色々な体験してきたんだね。

 

「うん、だからここはわたしに任せて!…消し飛べ、邪なる結界よ!」

 

すずかが振り下ろした刀はまるで絹を切り裂くようにあっさりと結界を消滅させた。

 

「はは…退魔剣士形無しだね、これじゃ。」

 

「ふふ…さぁ、早くリナちゃんたちを助けに…」

 

「ざーんねーん、ここから先にはいかせないよー。」

 

えっ?今の声どこから…?

 

「ユーノ君上だよっ!」

 

すずかの声に空を見上げるとそこには日本刀を右手に携えセーラー服姿の長髪の少女がこちらを睨んでいた。

 

見た目年齢は同じくらいだけど、大人びた印象を受ける。

 

「あの、君は一体…ここはとても危ないから早く逃げたほうが…」

 

ぼくがそう語りかけるとその少女は不敵な笑みを浮かべる。

 

「知ってるー。だって…」

 

次の瞬間、少女は一気に距離を詰め襲い掛かってきた。…は、速い?!

 

僕はゴルンノヴァを展開させてかろうじて少女の剣戟を受け止める。

 

「…わたしたちがこの事件の黒幕だからねー、逢魔・S・

ユーノ、月村すずか!」

 

僕達の名前を知っているだって?僕はつばぜり合いから一旦距離を置き構え直す。

 

「ユーノ君、大丈夫?」

 

「僕は問題無いよ。それより…この人、強い。」

 

さっきの剣戟、受け止めるのがやっとだった。強さだけだったら父さんやアインスには及ばないかも知れないけど…

 

「はは、最初の一太刀で殺せなかったなんて久し振りだよ…さすがあの逢魔神威が後継ぎに選んだだけの事はあるよねー?」

 

?!

 

義父さんを知っているだって?

 

「…あ、自己紹介してなかったっけ。わたしの名前はヨミ。冥王フィブリゾ様の直属部隊[異端者/イレギュラー]の一員で[復讐者/アヴェンジャー]を拝命しているわ。ま、ここで死ぬあんたたちに教えても仕方ないんだけどさー、一応ね?」

 

「冥王フィブリゾだって?!それじゃあの転生者をよみがえらせたのも…?!」

 

「あ、それはわたしたちのリーダーの仕業。ちょっと…というか立派な変態だけど能力は認めるわ。それよりお二人さん、あんたたちにはここで私と遊んで貰うわよ。」

 

ヨミと名乗った少女は再び刀を構える。一見、適当に見えるけど全く隙が見えない。やはりこの人…強い!

 

「ユーノ君、どうする?」

 

「…リナには悪いけど、簡単には突破できそうにないね。僕が前衛で当たるからすずか、援護を頼むよ。」

 

僕はそう言うとゴルンノヴァをフルドライブさせ、居合の構えを取る。

 

「わかった、全力でサポートするよ。いくよ、スノーホワイト!」

 

『よろしくてよ、すずか!』

 

すずかは妖刀を引っ込め、スノーホワイトをロッドモードに展開する。

 

「ヨミ、貴女には聞きたい事もある。…逢魔流師範代、逢魔・S・ユーノ、推して参るっ!」

 

「面白い…あの人が選んだ後継者、精々楽しませて貰うわよ!」

 

こうしてユーノとすずかが謎の剣士・ヨミと相対してる頃、結界の中でも死闘…

 

「えーいっ、リボルバー・スパイク!」

 

バゴッ!

 

「ぐぼっ?!…えぇい、まだまだぁっ?!」

 

「ならばっ!」

 

ザシュッ!

 

「ぬぅおーっ?!…ば、な…最強のはずのこの俺が…?」

 

…ではなく一方的になっていた。

 

SIDE:リナ

 

………

 

「…ねぇ、L様?」

 

『なーにぃ、リナ?』

 

あたしは目の前に繰り広げられる茶番劇を見ながら自分のデバイスに話しかけた。

 

「…あいつ、本当に何しに出てきたのよ。」

 

あいつというのは勿論〈魔獣甲冑ズィヌフィア〉こと山田の権兵衛。いかにもラスボスでございーって出てきたのはいいけど、タカヤとノーヴェの2人に手も足も出ないんでやんの。

 

「あれだったら学院祭の時の方が厄介だった気がするんだけど。」

 

『まぁシリーズ追う毎にボスが弱くなるのがこの作品の伝統だからねぇ…』

 

…よし、捨ててしまえそんな伝統。あとメタな発言もやめろ。

 

「ひ、ひえぇっ?!」

 

そうこうしてるうちに、ズィヌフィアの再生スピードが落ちてきた。

 

あれだけいた眷属ホラーもかなり少なくなったし、こりゃあたしたちは出番無し…ん?

 

「観念するんだな、ズィヌフィア!」

 

「…こ、こうなったら…?!」

 

…最期の悪あがきなのか、ズィヌフィアは甲冑の懐から赤い宝石を取り出し…

 

「このままじゃ終われねぇんだよっ!」

 

ズィヌフィアが石を握りつぶすと、禍々しい魔力光が甲冑を赤く染め上げていく。これは…マズイ!

 

「がっはぁ!これだ、これだよ!俺が求めてたのはよぉ!」

 

「な、何だ?」「これっていったい…」

 

ズィヌフィアの突然の変貌にタカヤとノーヴェも驚きの色を隠せない。

 

「2人とも気をつけて!今のは…」

 

「えぇ、恐らく冥王フィブリゾの呪符(タリスマン)…リナさんの体内に眠るリンカーコアには及びませんが、かなりの魔力を秘めてるでしょうね。…もっとも制御できれば、の話ですが。」

 

ゼロス…いつの間に?それに今の話…

 

「がっ?!…グゥゥオゥ…あ、アイツラ、オレヲダマシ…うワァァァ?!」

 

ズィヌフィアを纏った魔力はみるみるうちにその姿を変えていく。その姿は…

 

「お、鬼?」

 

そう、そこに現れたのは途轍もなく巨大な身体に2つの面、4本の腕を持つ異形の鬼だった。

 

『お、おい嘘だろ?なんでアイツが…?』

 

「知ってるのキリク?」

 

あたしが尋ねると替わりに答えたのはタカヤ。

 

「えぇ、アイツの名前はリョウメンスクナノカミ…古の昔から伝えられる大鬼神です。」

 

…!

 

えぇい、なんでこんな面倒な?!でも…あたし達ならやれる!

 

今度こそ止めをさしてあげるから、覚悟しなさい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




待っててくれた人お待たせしました。

まだスランプから抜けたとは思えないけど、少しずつ進みます。

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