高校でも暗殺教室 (紅音 葵)
しおりを挟む

茶番の時間
作者誕生日の時間


ハッピーバースデートゥーミー

ってなわけで、みんなに祝ってもらいます!

今回KJKが集めたのは

カルマ

中村

不破
茅野(雪村?)

です。


寮…カルマの部屋にて

 

カルマ「…ねぇ、KJK(駄作者)さん。まだ俺ら寮に入ってないよ?」

 

KJK「細かいことは気にしない。気にしない。」

 

カルマ「…で、何で俺の部屋に集まるの?」

 

KJK「君の部屋が一番寮の出入り口から近かったからだよ。」

 

カルマ「別に大部屋でもいいじゃん。入り口の近くのさ。」

 

KJK「あそこは使用料が取られるので。」

 

中村「全くいらない知識をたくさんありがとー。」

 

KJK「わかんないよ〜。いるかもよ〜?」

 

カルマ・中村「いや、いらないでしょ。」

 

KJK「いい加減にしないと泣くぞ‼︎」

 

カルマ・中村「はいはい。」

 

KJK「…たまには私の話も聞きません?」

 

渚「それで…何で僕らを集めたの?」

 

KJK「…今日6月22日だよね。」

 

柊「そうだね。」

 

KJK「…今日が何の日かわかる⁇」

 

一同「さぁ?」

 

KJK「みんなひどい…(泣)」

 

不破「ふふふ…私はわかるわ。今日が何の日か…。」

 

KJK「本当に⁉︎」

 

不破「ええ。今日は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こち亀40周年記念よ‼︎」

 

一同「あー‼︎なるほど‼︎」

 

KJK「いや違う‼︎

正確には違うくはないけど、私が求めていた答えじゃない‼︎」

 

カルマ「え、うそ。俺はそれで納得したんだけど。」

 

茅野「で、何の日なの?」

 

KJK「私の誕生日だよ‼︎」

 

一同「へー。」

 

カルマ「で?」

 

KJK「だからみんなひどいって‼︎」

 

中村「で、どうして欲しいの?」

 

KJK「祝って。」

 

一同「却下。」

 

KJK「何で⁉︎」

 

柊「めんどくさい。」

 

中村「それに友達に祝って貰えばいいじゃん。」

 

KJK「祝ってくれるような友達はみんなクラス違うんだよ‼︎しかも推薦クラスだから会うことすらない‼︎」

 

カルマ「あーはいはい。推薦もらえなかったバカなのね。」

 

中村「カワイソウニ、カワイソウニ。」

 

KJK「どうせね‼︎後中村さん棒読み〜‼︎」

 

カルマ「更新遅れるような駄作者にそんな義理ありませーん。」

 

渚「GWには卒業させるとか言っておいて、結局終わったの6月入ってからだよね。」

 

KJK「まだそれ恨んでんの、みんな‼︎」

 

カルマ「後、小1の時学校内で一番怖い先生と謳われた当時の担任に、ちょーーーと気にくわないとこがあったってだけでその先生を蹴ったって本ト?」

 

KJK「本当だよ‼︎10年くらいたった今でも私の家の伝せ……武勇伝だよ‼︎」

 

中村「あっそれからそれから…中1までクラスの中でも問題児レベルの自己中だったんだって?」

 

KJK「今は違うからいいだろ‼︎」

 

柊「あと…一時期某無料通信アプリのグループの中で流行った心理テストの『あなたの才能』みたいなので『女子力』って出て、男友達全員から『ないだろ、そんなもん。』って言われたとか…。」

 

KJK「言われたよ‼︎自覚はあるんだよ‼︎その辺は‼︎

 

っていうか、本当に誕生日祝って…。」

 

一同「だから却下。」

 

KJK「そんなこと言わないでとにかく祝ってよ‼︎何でもするから‼︎」

 

中村「じゃあ今後の展開教えて。後、私たちの質問にも答えて。」

 

KJK「おっし。来い。」

 

一同(本当に友達いないんだな、こいつ…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

Q1:なぜ小説を書き始めたの?

ハーメルンの別の小説をみて、「私の空想を書いてみたい」と思ったからだよ。

 

Q2:今後の展開を少し…

高1は基本平和だね。高2から少し本腰入れて、高3にこの話のコンセプトを書くつもりだよ。

 

Q3:今の所どれだけ完成してる?

高3は完璧(←最後から決めるやつ。)で、高1高2ともにニ学期まではできてる。今は三学期を考えてるかな…。

 

Q4:フラグ的な何かは入れる?

そりゃまぁ。

 

Q5:原作のやつは散々折ってたのに?

ううう…うるさい‼︎

 

Q6:ケータイはどうなった?

奇跡的に没収回避。

多分母親への説得が成功したな〜と。

 

Q7:よかったね〜。

はいはい。

 

Q8:ラスト、これからの更新スピードは?

週一で頑張ります。

ただ、期末まではさすがに勉強しないと今度こそ没収になるんで…(本当は現実逃避したいけど)頑張ります。

 

 

 

 

 

 

一同「お誕生日オメデトー。」

 

KJK「アリガトー。」




週一の執筆頑張ります。

あと今日まじでこち亀40周年記念です。確か。
父親が半年くらい前に言ってたのを聞いて衝撃的だった話ですね。

ではでは…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お茶会の時間

書きたくて書きました。
本編の質問消化会です。

今回呼んだのは

カルマ

将暉

の3人です。


【INカルマの部屋】

 

カルマ「…だからなんで俺の部屋なの?いつも。」

 

紅音「前にその理由は言ったでしょ?」

 

カルマ「別に紅音(駄作者)ん家でもいいじゃん?」

 

紅音「私の家は母親のおかげで近年稀に見る部屋の汚さなのよ。我慢して。」

 

柊「まぁまぁ…で、なんで私たちを集めたの?」

 

紅音「究極に暇だから。」

 

一同「じゃあ続き書け!」

 

紅音「君たち知らないでしょ?学生というものがいかに暇で、いかにすることなくて、いかにダラダラするものなのかを。」

 

将暉「言ってることが大体一緒だよな?」

 

カルマ「まぁ、紅音バカだから〜」

 

紅音「あのね?自覚はあるんですよ?でもさ…

 

 

 

 

 

 

 

君たちにそれ言われたらなんか腹立つ。」

 

カルマ「バカなのが悪い。」

 

紅音「特にお前だよ!カルマァ‼︎この天才野郎め!

『天は二物を与えず』っていうけどな!お前は一体何個持ってる?『性格』って要素除いたら全てにおいて完璧じゃねぇか!コンチクショウ‼︎」

 

柊「褒めてるね。」

 

将暉「褒めてるな。」

 

カルマ「ん?ありがと〜。」

 

紅音「本当にうるさい…グスン…。」

 

柊「まぁ、高校って大変だしね。」

 

将暉「まぁ頑張れ。」

 

紅音「将暉は中学受験が最初で最後の受験だもんね〜。いいよね〜気楽で。次の受験はどーせ就職活動でしょ?いや、お家の喫茶店継ぐのか。」

 

将暉「そういう設定にしたのあんただろ…。」

 

紅音「どーせね!私の願望ですよ!君たちの設定は‼︎

特に将暉とかは正直最初の設定ではいなかったし!君の設定考えたの君が出てくる一週間前くらいだし!」

 

将暉「まじかよ…。」

 

柊「でも『いる』って判断したから作ったんでしょ?」

 

紅音「いるっていうより…いた方が自然?

だから正直いなくてもこの話成り立ったりする。」

 

将暉「おい、こら。」

 

紅音「ちなみに君がリア充って設定、それは私の願望じゃない。

君の必要価値ってそれくらいだし。」

 

将暉「おい!」

 

紅音「あー、いや。もう一個あったっけな。今は言わないけど。」

 

将暉「言わないのかよ。」

 

紅音「今はね。そのうちわかるよ。…っていうか高一の途中でわかるよ。」

 

将暉「あっそっ。」

 

カルマ「で、結局のところ、なんで俺らを集めたの?」

 

紅音「たまぁにこんなコーナー作ります。近況報告やこの後のストーリー、そして質問回答コーナーです。」

 

柊「ふーん。」

 

紅音「そんなわけで、今回は前半は今後のストーリー展開、後半は質問コーナーでーす!」

 

将暉「にしては前振り長い。」

 

カルマ「この時点で1000字弱だよ?」

 

紅音「やかましいわ!」

 

柊「で、どうなるの?今の時点で女子部屋の会話が終わったことろだよね?」

 

紅音「まず、野外活動恒例行事の続きです。男部屋でのやましい会話ですね。」

 

将暉「お前ら、んなことしてたのかよ…」

 

カルマ「やましい会話?少なくとも俺はしてないよね?」

 

将暉「それは『してた』って解釈でいいのかな?」

 

紅音「とりあえず、それで野外活動1日目は終了です。そして2日目は完璧ネタ回になります。(そして1話で終わります)」

 

カルマ「まぁ…2日目は…ね?」

 

将暉「ネタ回って…佳奈、何したんだよ…」

 

柊「なんで私だって前提なの⁉︎」

 

紅音「そしてそのあと、とうとう学園イベントスタートです。2.3話書く予定です。」

 

カルマ「そんないうほどの学園イベントだっけ?」

 

紅音「細かいところを気にしたら負けです。」

 

柊「断じて細かくないと思うなぁ…」

 

紅音「そのあとに1話挟んで6月に移行するつもりです。ちなみに6月はとうとう学生全てから嫌われてるある行事です!」

 

将暉「ほぼほぼ言ってるし…」

 

柊「私は別に嫌いでは…」

 

カルマ「俺も。」

 

紅音「天才どもは黙れぃ!どーせコンビニ行く感覚でテストなんて受けてんだろ‼︎」

 

一同「それはない。」

 

将暉「つうか、今言ったよな?」

 

紅音「……きっ……気のせい……だよ!きっと!」

 

一同(言ったな。)

 

紅音「まぁそれ終わったら、ちょっと岡島に……あとはちょっと割愛。」

 

柊「岡島がどうしたの?」

 

カルマ「どーせまた何かするんじゃない?」

 

将暉「まぁ…だいたいどんな奴かは磯貝から聞いてるし…」

 

紅音「皆さんが言ってるのは完璧想像含め正解は半分くらいなので忘れてくださーい。」

 

将暉「そろそろ怒っていいよな?」

 

紅音「やめて。君怒ったら怖いの私が一番知ってるから。

とりあえず、今完成してるエピソードはこれくらいですね。運が良かったら年末まで普通にもちます。」

 

カルマ「本トかなぁ?」

 

紅音「本トです。多分。

さて、次は…質問コーナーでーす‼︎」

 

一同「あっ、用事思い出した。(ゾロゾロ)」

 

紅音「待て!君たち!待ちなさい!作者命れ…いや、待って!マジで帰らないで!お願い!帰らないでください‼︎」

 

__________________________________________

 

〜数分後〜

 

カルマ→イチゴ煮オレ

柊→チョコ

将暉→モ○のハンバーガー

 

一同「ありがとーございまーす!(ニコニコ)」

 

紅音「私ただでさえ金欠なのに…」

 

将暉「もう一個くれ。」

 

紅音「ざけんな、マジで。」

 

将暉「は?いいじゃん、別に。」

 

紅音「あんたのが一番お金かかってんだよ!」

 

カルマ「まぁ、それはさて置き、質問なに?」

 

紅音「…とりあえずカルマはフォローサンキュ。じゃあ、一つ目の質問は…

 

 

 

 

 

 

佳奈はカルマのこと好kフガァ!」(←殴られた)

 

柊「それついこの間本編でやっただろうが、コンニァロウ!

マジでふざけんな!いっぺん天に召されてこい‼︎」

 

将暉(←ものすごい腹抱えて笑ってる)

 

カルマ「え?紅音なんて?佳奈のせいで聞こえなかったんだけど…」

 

柊「聞かなくていい‼︎」

 

将暉「まっ…腹痛った…プ…いやぁ…今…クッ…初めて紅音スゲエって思…待って、マジで…クッ…腹…」

 

柊「笑うか喋るかどっちかにしろ‼︎」

 

紅音「紅音復活ー!」

 

柊「…ウッザ」

 

紅音「待って!今ものすごい殺意がこもってたよね⁉︎」

 

柊「…次の質問によったら、このコーナー永久にないから。」

 

紅音「怖いわ!

じゃあ次の質問は〜?

 

 

 

 

 

 

将暉って、彼女さんといつくらいから付き合いあるの?」

 

カルマ「確か物心つく前からじゃなかったっけ?」

 

柊「そーだね。確か家近いからとかいう理由で。」

 

紅音「へー、そうなのね。(カキカキ)」

 

将暉「俺への質問だよな⁉︎これ⁉︎」

 

紅音「ようは幼馴染とお付き合いしてるってことでしょ?いいね〜。」

 

柊「すごいいい子だよ〜。優しいし、明るいし、可愛いし、でも芯が通った。将暉じゃなくて私の彼女にほしい…!」←

 

カルマ「ぶっちゃけ将暉の彼女にはもったいないよね〜。」

 

柊「うんうん!」

 

将暉「キレるぞ、マジで…」

 

カルマ・柊「ごめんなさい。」

 

紅音「…やっぱ将暉怖いわ…。

じゃあ最後の質問です!カルマの初恋のエピソード教えて〜」

 

カルマ「ごめんね〜。無理だよ。それは。」

 

紅音「ん?なんで?」

 

カルマ「そもそもなんで俺が初恋の経験あるって前提なの?ない可能性もあるし、むしろない可能性の方が高いんじゃない?」

 

将暉「…もうやめといたら?紅音。こうなったらめんどくさいぞ?」

 

紅音「でしょうね。知ってた。

 

ではこの辺で…」

 

柊「いや、ちょい待ち、紅音?」

 

紅音「ん?どーしたの?」

 

柊「人にはなんか意味わからん質問してて、なんで自分は無傷で帰れると思ってんの?」

 

紅音「ん?私に質問したいの?

いいよ。どんとこい。」

 

柊「じゃあね〜…紅音、この作品のキャラ(原作含む)で好きなキャラだれ?」

 

紅音「うーん…E組でいったらカルマが一番好きだけど、もし私がそっちの世界いったら絶対に恋愛対象外だね。

 

で、個人的な『現実にいたら好きになるであろうランキング』でトップを争ってんのが磯貝と杉野。二人ともキャラ的に好き。純粋に仲良くなりたいのが渚とE組女子面々。

 

この小説で枠広げるんだったら将暉も結構好きね。『出てくる』って決めたの将暉が登場する一週間くらい前だけど(二回目)

 

もちろん佳奈も好きよ?個人的に『頑張って!』って気持ちもある。将暉と同じくらい好きかな?

 

でもやっぱり一番この小説のオリキャラで好きなのは、将暉の彼女さん。これから登場予定だけど、何よりいい子なのよ!みんなの仲間にしたいレベルの可愛さなの!加入させる予定はないけど。(今のところ)

 

 

以上!」

 

一同「なっが‼︎」

 

紅音「本当はもっと語りたいんだよ?でもこれ以上いったらただの自己満足になりそうで…」

 

カルマ「あっそっ…」

 

柊「…つまんな…」

 

紅音「佳奈サン?何言ってんのかな?」

 

柊「だって!私たちを散々いじり倒したんだよ⁉︎

なんでそんなやつほど無傷なの⁉︎」

 

紅音「それは私が兄貴と弟と父親のおかげで、男に幻想を抱いてないからだよ?」

 

将暉「ちなみに紅音の兄ちゃんと弟何年生?」

 

紅音「兄ちゃんは大学一年、弟は中一です。」

 

柊「3歳ずつか…。いいなぁ…。」

 

紅音「よくないよ?兄ちゃんはバカだし、弟は生意気だし。」

 

カルマ「年頃年頃。」

 

紅音「黙りなさい。

じゃあ、今度こそ終わりにしますね〜。

不定期でこんな感じで書いていきます。日曜には書かないと思いますが。」

 

将暉「んー、じゃあ帰r「ちょっと待ちなさい。将暉。」…なに、紅音。」

 

紅音「君と佳奈はいつもこのコーナー来てください。オリキャラとしての使命です。」

 

将暉・柊「はぁ⁉︎」

 

紅音「今回カルマを出したのは、部屋を借りたからです。」

 

カルマ「あっ、それだけなんだ。」

 

紅音「次これするときは将暉の彼女さんもいるかな。もしそうなら将暉の部屋か将暉の店でしますね。」

 

将暉「自分の部屋でやれよ!」

 

紅音「無理です。理由はこれの冒頭見てください。」

 

柊「まぁまぁ、将暉。」

 

紅音「よーし!じゃあみんな行くよ!これからも『高校でも暗殺教室』を〜⁉︎」「えっ⁉︎」「ちょっ…まっ!」

 

「「「「よろしくお願いします‼︎」」」」

 

将暉「先に言えよ⁉︎これ合わせんの大変なんだぞ⁉︎」




感想欄に質問を書いていただければこんな感じで答えていきます。
これからも『高校でも暗殺教室』をよろしくお願いします‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お茶会の時間 2時間目

ハッピバースデートゥーユー!佳奈!!

今日は佳奈の誕生日!
いつものメンツを集めましたよ〜!


とあるお部屋にて

 

柊「ふぅー…」

 

カルマ「はぁ…いいねぇ」

 

??「…おい」

 

紅音「おこたはいいねぇ。私の家には存在すらないんだよ…」

 

柊「まじでか」

 

紅音「マジで」

 

カルマ「それ、絶対に人生損してるって」

 

紅音「私もなんとなくそんな気がする」

 

??「…おい!」

 

紅音「しっかし…広いねぇ!私の部屋の3倍はあるんじゃね?」

 

柊「私もここ来るの小三以来だからなぁ…」

 

カルマ「同じく」

 

??「聞けよ…」

 

柊「で、今日はなんで私たちを集めたの?」

 

紅音「新たな質問が来たって言うのと、佳奈の誕生日だね」

 

柊「あ、やった」

 

??「………俺なんかしたっけ?」

 

紅音「そんなわけで、こちらのケーキをどーぞー!」

 

柊「わぁ!ありがとう!今初めて紅音のこと尊敬した!」

 

紅音「一言余計よ?佳奈ちゃん?」

 

カルマ「でもそれ作ったの、紅音じゃないよね?」

 

??「…俺だな…」

 

柊「えー…なぁんだ」

 

紅音「『なぁんだ』じゃないの。常識的に考えて、私が作れるわけないでしょ。料理能力皆無なんだから」

 

カルマ「佳奈よりはあるでしょ」

 

紅音「そりゃね」

 

??「…それはな」

 

柊「ちょっと?あなた達?」

 

紅音「まぁ、いいじゃんいいじゃん。企画者私だし」

 

??「……いい加減に反応しろよ…」

 

紅音「んーじゃあ、定番のあれいく?」

 

カルマ「最後にしない?どーせ締め決めてないでしょ?」

 

紅音「………何も言えないですね。はい」

 

柊「りょーかい!だったらこれはまた後でだそうか」

 

紅音「そーだね!んーじゃあ……

 

 

 

 

 

将暉、お願ーい!」

 

??(将暉)「いるってわかってんだったら反応しやがれぇぇぇ!!!」

 

紅音「ちょっとぉ、将暉ぃ。どーしたの?急に大声出して?」

 

将暉「どうもこうもねぇよ!!俺の部屋でお前らがくつろいでんのにも驚きなのに、なんで全員が無視ってくんの!?俺なんかやった!!?」

 

柊「まぁ…いいじゃんいいじゃん。たまには」

 

カルマ「そーだよ。減るもんじゃないし」

 

将暉「減るわ!精神的に!」

 

紅音「…将暉はうさぎなのかな?」

 

将暉「地味にわかりにくい例えはやめろ!第一寂しがりじゃねぇ!!!

 

あと……カルマぁ!!なんでいるんだよ!?次からは出てこない予定だったんじゃねぇのかよ!?」

 

カルマ「俺は紅音に呼ばれたからきた」

 

将暉「だったら…紅音ぇ!なんでカルマ呼んだんだよ!?」

 

紅音「私の執筆状態です。

将暉の彼女さん出す予定だったけど…まだ本編で出てきてないし、だからと言ってゲスト2人じゃ寂しいもん」

 

将暉「なぁにが『寂しいもん』だよ!

それになんでカルマなんだ!?渚でいいじゃねぇか!!」

 

カルマ「まぁいいじゃんか。これ多分最後だろーし。」

 

紅音「わたしもあくまでその予定だね」

 

柊「…ねぇ。将暉のことはほっといて本題いかない?」

 

紅音「よし。佳奈ナイス」

 

将暉「…本題って何?」

 

カルマ「質問回答コーナーでしょ?」

 

紅音「そーだよ。

じゃ、まず最初の質問。

 

『同じ中学の同じクラスのメンバーの入学を許したんだ!?理事長!』」

 

柊「あー…それ私も思ってた。」

 

紅音「この質問に関しては、理事長にお手紙を書きました。

ちなみに返信はこちらに」

 

柊「お!読んで!読んで!」

 

紅音「んー、じゃあ読みまーす。

 

『お手紙ありがとう。

 

ん?あの27人をうちの学校に入れた理由?

 

そんなの決まっているよ。

 

 

面白そうだからだよ!』」

 

一同「おいおいおいおいおいおい!!」

 

紅音「続きはあるから待ちなさい、君たち。

 

『って言うのは冗談で、みんなフツーに頭よかったからね。

 

少なくともA組(1番下のクラス)に入れるレベルにはいたよ。

 

もちろん寺坂君もね。』」

 

将暉「本人いないところで、散々なディスられ様…」

 

柊「っていうか…あの人言ったらシャレにならないって…」

 

紅音「『で、いざみんなが入学したら防衛省の人が来てね。

 

正直びっくりしたけど、面白そうだったからみんなをC組にしたんだよね〜』

 

だってさ」

 

柊「…結局面白そうだからだよね?」

 

紅音「細かいところを気にしたら負けです」

 

将暉「断じて細かくはないよな…」

 

紅音「将暉、とりあえず黙りなさい。

 

続いての質問は『肝試しの時に、懐中電灯の電池抜いたのってわざとですか?』」

 

柊「あれはガチで怖かった……」

 

将暉「……何があったんだ?」

 

紅音「『肝試しの時間』を読んでください。

 

それはさておき、この質問は1-Bの委員長、海野に聞きました」

 

柊「へ?海野に?」

 

将暉「へぇ。なんで?」

 

紅音「懐中電灯の管理をしていたのが海野だからです。

 

それはさておき、海野が懐中電灯の電池抜いたのは、電池がもったいないからみたいですね」

 

一同「ん?」

 

紅音「なんか懐中電灯に限らずに、電池って入れてたら使ってなくても勝手に消耗されるみたいね。

 

ちなみに海野って、備考ドケチだから…」

 

柊「はいはいはいはい。つまりは『電池もったいないから、使う時まで電池抜いとこう』ってこと?」

 

紅音「ま、そーだね」

 

柊「なにそれ!?私それだけであんな思いしたの!!?」

 

カルマ「気持ちはわかるから……落ち着こう。佳奈」

 

紅音「最後の質問は…って、私宛だ」

 

将暉「ん?なんて?」

 

紅音「『この小説を書こうと思った理由、高校でもつづかせようと思った理由は?』…だって」

 

柊「なんで他人事…」

 

カルマ「で、なんでなの?」

 

紅音「まともに話したら余裕で字数制限超えるので、超要約すると、連載終わる前の私の希望と、私自身がカルマのこと好きだからです。もちろんキャラ的に」

 

カルマ「へぇ、そーなんだ」

 

将暉「いや、要約しすぎな!もっとわかりやすく掘り下げて!!」

 

紅音「えー…元々言う気だったのに、そんなこと言われたら喋りたくなくなるなぁ…」

 

将暉「お前は『宿題する気だったのに、お母さんが注意するからやる気がなくなった』って言ってる小学生か!!!」

 

カルマ「ちょっと将暉、そういうのいいから…」

 

柊「ごめんねぇ。うちの将暉が!」

 

紅音「うん。いいよ」

 

将暉「扱いの差!」

 

紅音「あれっ?気づいてないの?

今回将暉はいじられポジだよ?」

 

将暉「マジでウゼェ…」

 

柊「…ちょっと茶番続きそうだし……

将暉の家の台所借りていい?」

 

柊以外「茶番なら今終わったから、やめなさい」

 

柊「いや、なんでよ!?」

 

紅音「まぁ要は、元々カルマのことは好きだったから、カルマが目立つ話を想像(ってか妄想)してたりしてたんですよね。

 

その時の話に登場したのが佳奈。

当時私は中二だったと思う。

 

当初は他の二次小説と同じく、オリキャラとして佳奈を登場させて、3-Eで1年過ごさせる予定だったので、カルマとは全く赤の他人でした」

 

柊「えっ?そうなの?」

 

紅音「そうそう。

 

で、原作が秋に突入してからは佳奈が出てくる話はほとんど出てなかったりします。今後出てくる予定のキャラの話が主だった記憶が……」

 

将暉「……あいつかな?」

 

柊「あれだね……うん」

 

カルマ「……うん…俺も察した」

 

紅音「今から言っておくと、その人物は高2で登場予定です。

ご覧の通りみんなの知り合いですね。

ちなみに紅音のいとこがモデルです」

 

カルマ「あっそっ」

 

紅音「で、当時pixivの夢小説を愛読していた私は、中3になってからある作品に出会います。それがこの作品を書くきっかけになった作品ですね」

 

将暉「へー。どんな話?」

 

紅音「言ったら思っきしネタバレになるから絶対言わない。

 

でもその時点でも書くつもりはなかった。頭の中に止めようとしたわけ。

ケータイ持ってなかったし、何よりpixiv向きじゃないって思ってたしね」

 

カルマ「あっ。紅音ってケータイ高校から?」

 

紅音「そーだよ。

 

で、私がハーメルンと出会ったのが中3の秋。

ちょうど文化祭の1週間前くらい」

 

柊「…鮮明に覚えてんのね…」

 

紅音「出会った作品が作品だったからね。

何しろ『ハーメルンの暗殺教室二次小説といえばこれ!』って作品だったし。

 

それを読んだ瞬間に決めました。

『ケータイゲットしたら、絶対にここで書きたい!』みたいに」

 

将暉「なるほどな〜。要は『元々妄想してた話を、先輩ハーメルン作者さんに習って書きたかったから?』ってとこ?」

 

紅音「そうそう。

 

まぁ、そんなことから話のオチ…っていうか向かってる所は変更する予定は全くありません。

『カルマの過去』って観点から見たら中二の時から変化0だし」

 

柊「あっ、そう」

 

カルマ「ん?ってことは、佳奈がまだただのクラスメイトの時から俺の過去は決定してた…ってこと?」

 

紅音「そうそう。

…なんか後半制作秘話みたいになってしまってすみません…。

 

以上で質問は終わりです」

 

将暉「…誰に言ってんの?」

 

紅音「質問してくださった方」

 

柊「意外と律儀」

 

紅音「うるさいな。

 

じゃあ将暉。さっきのケーキ出してきて~」

 

将暉「あったなぁ。そんなの。

 

はい、ドーゾ」

 

柊「ありがとー」

 

紅音「じゃあみんな!サンッハイ!」

 

一同「ハッピバースデートゥーユー。ハッピバースデートゥーユー。ハッピバースデーディア佳奈〜。ハッピバースデートゥーユー」

 

紅音「おめでと〜」

 

柊「ありがとー!」

 

紅音「んーじゃあみんな行くよ〜!」

 

将暉「あーはい。あれね」

 

紅音「これからも『高校でも暗殺教室』をぉ~」

 

カルマ「よろしく〜」

柊「よろしくね〜」

将暉「よろしく〜」

紅音「よろしくお願いしまーす!」




改めて、佳奈誕生日おめでとう!

そしてこれからも『高校でも暗殺教室』をよろしくお願いします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

1周年の時間

今日はこの作品を書き始めて丁度1年です。
1年前から読んでくださっている方も、最近読み始めてくださった方も、このようなまとまりの無い話を読んで下さりありがとうございました!


将暉の部屋にて

 

柊「Happy Birthday!」

 

将暉「誰に言ってんだそれ」

 

柊「無論この小説だよ?

なんと今日3月26日はこの小説の誕生日なのだ!」

 

将暉「メタいなおい」

 

柊「そんな重要な日に作者はいない!理由は簡単!最近ゲーセン行くのにハマってるからだ!」

 

将暉「呼んだら来るんじゃね?……めんどくせぇしウゼェから呼ばないけど」

 

紅音「呼っばれて飛っび出てジャッジャジャジャーン♪」

 

将暉「ウゼェ」

 

柊「そして呼んでない」

 

紅音「2人とも冷た!!」

 

柊「今日も自宅近くのゲーセン行っていいよ」

 

紅音「近くないわ!いつも電車使って30分くらいかかるトコ行ってるし!!何なら学校行く方が近いわ!」

 

将暉「おつ」

 

紅音「るっせぇ!!!」

 

柊「で、今日は何すんの?」

 

紅音「君たちに質問いくつかと今後の展開について」

 

柊「ふーん…」

 

紅音「そして今日からこちらのコーナーに来る子が!」

 

将暉「優かな?」

 

柊「ソラだね」

 

紅音「ってちょっとおおおぉぉぉ!?びっくりさせようとしたのにぃ!?」

 

将暉「んなもん予想出来んだろ」

 

紅音「はぁ…じゃあ今から出てきて頂きましょう…ソラー」

 

ソラ「はーい」

 

柊「天使ちゃーん。ここにいらっしゃーい、チョコあげる」

 

ソラ「やった〜」

 

柊「やーもうほんとに可愛い〜。将暉この子貰っていい?」(。-∀-)ヾ(´∀`*)ナデナデ

 

将暉「いいわけねぇだろ。返せって」

 

柊「やだ将暉君コワーイ。シットだ〜」

 

将暉「佳奈お前なぁ…」

 

紅音「いつこのコント終わります?おいてけぼりで悲しいんですが」

 

柊「紅音は黙ってて」

 

紅音「なんでよ!?」

 

将暉「ほんとに紅音は一旦黙って」

 

紅音「将暉に近々嫌がらせの小説書こう。今決めた」

 

将暉「なんで俺だけ!?」

 

紅音「男だから」

 

将暉「理不尽!」

 

ソラ「将暉に嫌がさせって…ねぇまさか…」

 

柊「まさか…ね…?」

 

紅音「将暉には二通りの嫌がらせがあるんだ。ストックしてんので。一つは将暉が嫌いなもので攻める。もう一つは文字通り放送事故を作る。どっちがいい?」

 

将暉「どっちも嫌だわ!」

 

紅音「OK、嫌いなもので攻めるね〜」

 

将暉「良くねぇ!!」

 

紅音「じゃあ代わりに夏休み位にかっこいいトコ見せる方向で。これで良いよね?」

 

将暉「有無を言わさぬ物言い!」

 

柊「将暉は一旦落ち着いて。私も当事者じゃ無ければ全然…」

 

紅音「放送事故の方は割と当事者」

 

柊「…はい?」

 

紅音「ソラちゃんは個人的に好きだから目立たせたいけど…しばらく時間かかるかも…」

 

ソラ「ん?大丈夫だよ〜」

 

柊「ソラはいいなぁ…作者にいじられないから…」

 

紅音「ソラにいじる要素ゼロでしょ」

 

将暉「確かに」

 

柊「うっ…耳が…」

 

紅音「ちなみにソラのイメージとしては、倉橋さんと片岡さんのいいトコ掛け合わしたような子ね。顔とか髪の長さはイメージ雪村先生」

 

柊「めちゃくちゃいい子。これは私が証言する」

 

紅音「さて、じゃあそろそろみんなに質問を「あっ用事ができた」っておぅい!!みんな待って!ソラも空気読んで帰らないで!ちょっ君たち作者命れ…いやほんとに帰って来てぇぇぇ…」

 

 

──10分後──

 

柊→チョコ

将暉→Mのマークのハンバーガー

ソラ→スコーン

 

一同「ありがとーございまーす」ニコニコ

 

紅音「ほんとデジャブだわこの展開…」

 

将暉「紅音…前より安上がりじゃね?」

 

紅音「悪かったな金欠なんだよ!!」

 

柊「ゲーセンの行き過ぎ」

 

紅音「事実だけど!今年はお年玉1人からしか貰えなかったの!」

 

将暉「そんなの知らん。ゲーセン行くの我慢すればって話」

 

紅音「悪かったな!じゃあ質問コーナー!行くよ!!」

 

柊「わぁ強引」

 

紅音「黙れぃ!まず将暉ぃ、お前らどこまで行ってr「それ以上言ったらお前のバラ色の高校生活ぶっ潰す」……すんません。大して素晴らしい高校生活では無いけどやめて」

 

将暉「新しいクラスで『こいつラブライバーでゲーオタだ』って言いまくるぞ」

 

紅音「そういう物理的なぶっ潰し方言うのまじでやめて!?それからゲーオタ宣言できるほどすごくない!」

 

柊「無謀に太鼓で『夏祭り』の鬼やって、物の見事に敗れたしね」

 

紅音「待って、なんで知ってるの!?」

 

将暉「その後の復活のやつも失敗したんだっけ?」

 

紅音「やめてまじで…」

 

ソラ「まぁ…それくらいにして…次行く?」

 

紅音「ソラちゃんまじで天使…」

 

将暉「…とりあえずその質問は死んでも答えねぇから。じゃ次は?」

 

紅音「はーい。じゃあ佳奈、スリーサイズ教えt「潰すよ?」何を!!?」

 

柊「なんでよりによってその質問?」

 

紅音「べ…別にいいじゃない?…ほらぁ…同じ女として…?」

 

柊「悪意持ってやってるでしょ!!それか人の地雷踏むの得意か!?」

 

紅音「あ、そうかもしんない」

 

ソラ「そこあっさり認めるんだ…」

 

紅音「あー!将暉いるからか!なるh「違う!」ってそうなの!!?」

 

柊「その話題次出したら、さっきの将暉の案採用で」

 

紅音「私がゲーオタって本物のゲーオタさんに失礼かと…」

 

将暉「紅音は分かってると思うけど…その流れで優に変な質問したりしないよな?」

 

紅音「えーと…いや…うん…一応あったけど将暉に殺られる気しかしないから……

 

 

 

次のコーナーいきまーす!!!」

 

将暉・柊「よろし」

 

ソラ「次のコーナーって?」

 

紅音「今後の流れです。夏休みくらいまでの。

次回やるのは将暉への嫌がらせ回ですね」

 

将暉「その案結局採用かよ!!!」

 

紅音「ふはははは!我慢しなさい!」

 

将暉「ざけんな!」

 

紅音「だからさっき言ったじゃん?夏休み位にカッコいいとこ見せてあげるから〜」

 

将暉「全力で意味わかんねぇ!」

 

紅音「で、それ終わったら梅雨明けまーす。ここでイベント入れるんで」

 

柊「ほうほう」

 

紅音「イベント終わったらテストかな?もしかしたらもう1個イベントか日常回入れるけど」

 

ソラ「それで夏休み?」

 

紅音「そうそう。夏休みもイベント企画中です!

で、将暉のカッコいいとこは夏休みの最後の方かな?」

 

将暉「ここまで言って大丈夫なのか…?」

 

紅音「変更あるかもだから。元々将暉の嫌がさせ回は岡島がやらかす回だったし」

 

将暉「そっちでいいだろ!」

 

紅音「そっちで書けたら書いてる。それに考えてみたら全力で必要ない話だったから。将暉の嫌がさせ回はそっから派生した話」

 

将暉「なんでそこまで俺に嫌がらせしたいんだよ!?」

 

紅音「え、キャラ」

 

柊「キャラだね」

 

将暉「よしお前ら後で話し合おう」

 

柊「やだコワーイ、ソラ助けて〜」

 

将暉「それで俺への嫌がさせ回の必要性は!?」

 

紅音「今のところない」

 

将暉「その話作る意味!!」

 

紅音「やー…そのうち出来るかなぁ…と。佳奈が料理下手って設定も今のところ要らないし?」

 

将暉「いやだからって「ちょっと待って2人とも」…何?佳奈」

 

柊「私は料理下手じゃない」

 

将暉「そこ今割とどうでもいい!」

 

柊「どうでも良くない!ていうかなんで将暉の基準に合わせんの!?」

 

将暉「佳奈それブーメラン!!!」

 

紅音「……ソラ、今のうちに終わらせよっか」

 

ソラ「う…うん」

 

紅音「じゃあ…

 

この1年間、こんな作品を読んで下さりありがとうございました。

次の1年もこんな調子でやって行きます。

これからも『高校でも暗殺教室』を…」

 

ソラ「よろしくお願いします!」




これからもこんな感じで進めていきます。
これからもよろしくお願いします!

(人物紹介の時間でソラの紹介文追加しました)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お茶会の時間 3時間目

将暉誕生日おめでとう!

という訳でいつもの3人を呼んでいます!


紅音「あぢぃ……」

 

柊「暑い……」

 

ソラ「すんごいジメジメする……」

 

将暉「……うん。気持ちは分かるが我慢しろ」

 

紅音「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!なんでせっかく室内にいんのに暑さ我慢しなあかんわけ!!?」

 

柊「お、関西弁」

 

将暉「だって……クーラーつけたら乾燥するし……」

 

紅音「女子か!私より女子か!

第1そんな乾燥気になるんなら、クーラーつけつつ加湿器かけろ!」(暑がりNo.1)

 

将暉「……なんだその状況……」

 

柊「そうだそうだ!クーラーつけろ!家に来た客には紳士に振舞え!」(暑がりNo.2)

 

将暉「心の底からうぜぇ!」

 

紅音「そうだ!自分でつけよう!リモコンは……と」

 

将暉「……おい。人の部屋あさんな」

 

柊「ついでに()()()()本も探そう」

 

将暉「ねぇよ!!!用ないなら帰れ!」

 

紅音「リモコン発見!ポチッとな」

 

将暉「ほんとに何しに来たんだよお前ら……」

 

柊「ん?ソラが『今日将暉の部屋行く』って行ってたから?それで将暉のバースデーって思い出した」

 

紅音「そんな訳で、将暉タンジョウビオメデトー。ケーキちょーだい」

 

将暉「なんで俺の誕生ケーキ自分で用意しなきゃダメなんだよ!」

 

紅音「盛大かつわざとボケただけじゃんか。気にしない気にしない♪」

 

将暉「紅音のボケってわざとっぽく聞こえねぇんだよ……」

 

ソラ「あ、あとケーキならここにあるけどどーする?食べる?」

 

将暉「あ、ありがとう」

 

柊「……夫婦みたい」

 

紅音「ヒューヒュー」

 

将暉「お前ら帰れよ!」

 

紅音「失礼だなぁ。そのケーキ私たち3人+カルマ含む有志の割り勘なんだけど…」

 

将暉「(ヤベェ無闇に帰れって言えなくなった)」

 

紅音「じゃあ佳奈の時と同様、誕生日定番のあれは最後で!

とりあえずケーキ食べよう!」

 

《5分後》

 

紅音「じゃあ恒例の質問タイm「さーて店番するかぁ!!!」待って!無視やめて!今回マジなやつだから!」

 

柊「ケーキ食べたことだし、私も帰ろー。ソラ一緒に行こ!」

 

ソラ「あー……えーと……うん」

 

紅音「ソラぁぁ!空気読んで帰ろうとしないで!ほんとにマジな質問だから!変なこと聞かないから!!」

 

将暉「念書書け」

 

紅音「書くよ!今回は!」

 

将暉「よし。じゃあ何?」

 

紅音「まぁ具体的には質問って言うよりも、この小説についての豆知識的なのなんだけど……『カルマと磯貝以外に、バイトしてる人いるの?』」

 

柊「あ、私一応してる」

 

ソラ「へぇ初耳。何してるの?」

 

将暉「まさか……飲食店じゃねぇよな…?」

 

紅音「怖いこと言うなよ……」

 

柊「なにが怖いのかは分かんないけど……コンビニバイトしてるよ。あかりも一緒」

 

ソラ「あ、コンビニか…。よかった(小声)」

 

将暉「優、忘れるな。コンビニにはレジ販売の食いもん作る作業ある」

 

柊「あー、あのコンビニのレジに売ってるあれ?なんか私がやろうとしたらあかりがやってくれるの。優しいよね〜」

 

一同(あかりちゃん(茅野)ナイス!!!)

 

ソラ「他は?バイトしてる人いるの?」

 

紅音「いちおー狭間さん、不破さん、前原はしてるみたいだね。

前者2人は本屋、前原は飲食店」

 

将暉「てことは…今のところ7人?」

 

紅音「将暉入れたら8人だね。まぁまだ1年の夏前だから増えたり減ったりあるかもだけど」

 

将暉「……俺のはバイトじゃねぇけどな」

 

柊「バイトでしょ」

 

紅音「将暉の学校バイト禁止だからねぇ。ま、バイトだけど。

 

じゃあ次の質問!『オリキャラの皆さん!兄弟姉妹いますか?』」

 

ソラ「いない」(キッパリ)

 

柊「いない」(キッパリ)

 

将暉「いない」(キッパリ)

 

紅音「将暉嘘つけやぁぁぁぁ!姉ちゃんいるだろ!」

 

将暉「え?……いないって多分」

 

ソラ「思い出したくもないのは分かるから……現実見ようね?」

 

柊「まぁ…私も正直好きでは……だけど」

 

紅音「私も好きではないけど……出したいなぁ……」

 

将暉「それ需要は?」

 

紅音「全くない」

 

将暉「じゃあやめろ」

 

紅音「あくまで『出したい』だから……出すとしても番外編になるんじゃない?」

 

将暉「心の底から2度と家に帰って来て欲しくないからな」

 

紅音「前向きに検討させて頂きます。

じゃあ最後は…『将暉の家の喫茶店って週休0日?ブラック?』」

 

将暉「木曜日曜の週休2日だよ……って綺麗に話すり替えたな!!!」

 

紅音「ん?なんの話?(ドヤァ)」

 

将暉「ドヤ顔しながら言うセリフではないのは確かだな」

 

柊「ていうかふと思ったんだけど……将暉はちゃんと部活してんの?」

 

将暉「というと?」

 

柊「将暉の店出てくる回、いっつも将暉出てきてるからさ。ウチと違って学校も近くはないし……」

 

将暉「してるよ………一応……」(ボソッ)

 

紅音「一応つったなあんた」

 

柊「しかも小声で」

 

紅音「まぁ将暉の店だし、出てこなかったら落ち着かない上に将暉の出番が少なくなるからね。バイt……もとい店番してない日もあるっちゃあるよ?」

 

将暉「今バイト言いかけたろ」

 

紅音「じゃあ質問終わったし、誕生日恒例のあれしよっか」

 

柊「いつもやってる『今後の予定』は?」

 

紅音「ぶっちゃけ今年入って進歩してないから書きようがない。前回と一緒になる」

 

将暉「話進めようなぁ?紅音」

 

紅音「いやもうほんとに申し訳気持ちでいっぱいです。マジでガチで」

 

ソラ「次はいつ更新?」

 

紅音「七月中になります…多分」

 

将暉「多分って」

 

紅音「でも今回の話書けたら書ける気がする!」

 

柊「その言葉に嘘はない?」

 

紅音「あ、待って怖い」

 

ソラ「……誕生日定番のあれは?」

 

紅音「ソラ、ナイスぅぅぅ!」

 

柊「じゃあみんな〜せーの」

 

一同「「「ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデートゥーユー♪ハッピーバースデーディア将暉〜♪ハッピーバースデートゥーユー♪」」」

 

紅音「おめでと〜」

 

将暉「ありがとー」

 

紅音「じゃあ今回はこれで……こんな話が全然進まない作者ですが見捨てず見守っていて頂ければ幸いです。

 

では、これからも高校でも暗殺教室を」

 

一同「「「「よろしくお願いします!」」」」




テストがあるので更新は7月中になりそうです。
やっと話が進んできたので、待って頂けると幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

作者帰還の時間

待っていて下さっていた方、お久しぶりです
受験も終わり、一息ついたので投稿させていただきました

ちなみに3年前の今日はこの小説が投稿された日です


将暉「……なんかすげぇ久しぶりな気がするな」

 

柊「奇遇だね。私も思った」

 

ソラ「いつぶりだっけ?」

 

将暉「1年半くらい?」

 

紅音「更新は1年6ヶ月10日ぶりですね」

 

将暉「あ、作者」

 

柊「生きてたんだ」

 

紅音「生きてるよ!?佳奈ちょっと失礼じゃない!?」

 

柊「今まで更新してなかったんだもん。何してたのよ今まで」

 

紅音「受験」

 

将暉「……おつかれ」

 

紅音「お前はしなくていいから言えんだよコノヤロウ!!」

 

ソラ「まぁまぁ……」

 

将暉「……で?何しにきたんだ作者は」

 

紅音「今後の更新及び展開について」

 

柊「質問コーナーは?」

 

紅音「ずっと更新してなかったのにあるわけないでしょ」

 

柊「確かに」

 

紅音「……そろそろ怒りたい……」

 

ソラ「作者さん落ち着いて…」

 

紅音「私が理性保ってるの100%ソラのおかげだからな。分かってるとは思うけど」

 

将暉「俺なんにも言ってないけどな」

 

紅音「将暉はキャラで巻き込んでる。異論は認めない」

 

将暉「なんでだよ!?」

 

紅音「え?キャラ」

 

柊「キャラでしょ。作者さんも言ってたじゃん」

 

将暉「相も変わらずひでぇな!!」

 

ソラ「とりあえず…作者さんも多分話あるからそれ聞かない?」

 

紅音「ありがとうソラ」

 

将暉「そこだよ。そのために来て俺らを呼んだんだろ?」

 

紅音「そうだね」

 

柊「出来るだけ簡潔に教えて」

 

紅音「んじゃあはっきり言います。この1年半くらいで設定割と変わったので高校入ってからの話少し改変してます」

 

ソラ「……つまり?」

 

紅音「もし本当にこの話楽しみたい方がいれば高校入ってからの話読み返した方がいいかもです……」

 

柊「なるほどねぇ…例えば?」

 

紅音「そうだねぇ、将暉」

 

将暉「なんだよ?」

 

紅音「前に『将暉のお姉ちゃん本編で出す予定ない』的なこと言ったよね?」

 

将暉「言ってたな」

 

紅音「出すことになった」

 

将暉「はぁ!!!?なんでだよ!!!?」

 

紅音「マジな話で彼女必要になったの。正直な話自分でもビックリしてる」

 

将暉「出さないようには出来ねぇのかよ!?」

 

紅音「出来るっちゃ出来るけど…色々改変した結果彼女にするのが一番いいなって」

 

将暉「うわ…ちょ……マジかぁ……」

 

紅音「いつ登場かはまだ未定だけど、多分1年のうちには出てくると思うよ」

 

将暉「もはや『マジか』以外の言葉出てこないからもういいわ」

 

紅音「あと高2の初めに出すって言ってたオリキャラは1年の夏休み明けに正式に出すことになった。これは単純にそっちの方がいいからだけど…」

 

柊「そうか……そんなに早くなったのね」

 

紅音「なったよ」

 

ソラ「他に変更は?」

 

紅音「思いつく限りはないかな」

 

将暉「本当だろうな」

 

紅音「ほんとだよ。強いて言うならオリキャラの数がえぐい事になってる」

 

柊「例えば?」

 

紅音「ここで全部書くとか鬼かよ」

 

将暉「そんなにいるのかよ……」

 

紅音「まぁ元々少なくはなかったし…そこの所は今後の楽しみにしていただければなぁ……って感じかな」

 

柊「なるほどね、私も楽しみにしてるよ」

 

紅音「ありがとう。ちなみにこれを伝えたかったからこの話書きました。そんな訳で今回はこれで終わりだね」

 

ソラ「あれっ?もう?」

 

紅音「うん。そんなわけでいつものやりまーす」

 

将暉「はいはい」

 

紅音「これからも『高校でも暗殺教室』をぉ……」

 

紅音「よろしくお願いします!」

 

ソラ「よろしくお願いします!」

 

将暉「よろしくお願いします!」

 

柊「よろしくお願いします!」




久しぶりなのでノリが行方不明の部分があるかもですが、見守っていただければ幸いです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定の時間
設定の時間


これ結構大事なので、覚えていてください。
(大雑把で大丈夫ですが)




この作品の設定について書きます!

 

まず、梅宮高校についてです。

 

本編でも書きますが(書きましたが?)この高校のクラス分けは基本入試の順位に関わります。

良かった者からC組、B組、A組です。

 

バイトOKで、全寮制です。

そして寮の部屋番号はクラス別です。

 

また特待生の特権として、学費の免除・学食での100円定食の購入可があります。

 

部活は全員入部が義務です。

ある部活は…

 

【運動部】(()がないのは男女別)

野球部(基本男子のみ)

サッカー部

陸上競技部(男女合同)

バスケットボール部

バレーボール部

卓球部

テニス部

柔道部(基本男子のみ)

水泳部

新体操部(基本女子のみ)

体操部(基本女子のみ)

ダンス部(基本女子のみ)

 

【文化部】(全て男女合同)

吹奏楽部

美術部

化学部

コンピュータ部

ESS

放送部

写真部

演劇部

合唱部

弦楽部

軽音楽部

文芸部

華道部

茶道部

料理部

電子工作部

 

【〜研究部・〜委員会】(全て男女合同)

マンガ研究部

映画研究部

鉄道研究部

新聞委員会

生物委員会

 

 

みたいな感じですね。

細かいところは本編で書きます。

 

そして次に、高校入学時点でのE組のスキャンダル状況です。

この作品でくっつける予定のカップルは

 

カルマー奥田

磯貝ー片岡

渚ー茅野

杉野ー神崎

千葉ー速水

前原ー岡野

 

です。

 

書いていくうちに必要があれば他にも書いていきますが、とりあえず今はこの6組についてです。

 

カルマー奥田は後で書きます。この話の中で一番力を入れたいので。

 

【磯貝ー片岡】

両方とも相手のことを意識しています。

そして両方が自分の気持ちを理解しています。

 

しかし、お互いがお互いとても謙虚なので、

「片岡には俺よりいい奴が…。」

「私なんかより、磯貝君にはもっといい子が…。」

みたいな感じですね。

……早よ付き合え。

 

【渚ー茅野】

茅野の渚への気持ちはご覧の通りです。

そしてまた、渚も茅野のことが好きです。

 

でも渚って原作でもこの作品でも書きましたが、自己評価低いんですよね〜。付き合うのはもうちょい先になるかな…。

 

【杉野ー神崎】

杉野の神崎さんへの気持ちはご覧の通りです。

一方神崎さんの方はと言うと、「友達として」杉野のことが好きです。

 

杉野ってヘタレだからな〜。(←イメージ)よっぽどの事がない限り告白とか絶対しない(っていうかできない)気がする…。でもこの二人のエピソードは実はもう完成しているので、出来はします。(でもこのエピソード、結構後半なんですよね…。)

 

【千葉ー速水】

双方共に相手のことを意識しています。

「名簿の時間」と同じく、二人きりで2.3回遊びにも行っています。

でもまぁ会話が続かない‼︎

今はこの二人のエピソードを考え中です。

 

【前原ー岡野】

岡野さんの前原への気持ちご覧の通りです。ただ原作の違い、完全に無自覚です。

前原は…どうなんでしょうね。非常にビミョーなんですよ。

 

個人的にはカルマー奥田の次の本命です。

この二人のエピソードは早い段階に出てきます。

そして多分一番最初にくっつくと思います。

フラグは高1の五月からの予定です‼︎

 

【カルマー奥田】

「名簿の時間」に書いていた「お互いに最も話しやすい異性」…。

全くもってその通りです‼︎

 

ですがはっきり言います。

「現時点で」それ以上の感情はありません。両方。

 

一時、「カルマの片思い」って設定も考えはしました。

でもそしたらびっくりするほど話が繋がらなくなって…。

 

ただここは私自身かなり力を入れる予定です。

もうエピソードも完成していますし。

 

でも…この作品の中でしっかりと付き合うようになるかはまだ未定です。多分番外編として書くことになるかな…。

 

 

 

 

 

以上です。現時点でのことなので、また次が出るかもしれないですが…。




変更がないように頑張っていきます。
ではでは…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定の時間 2時間目

設定の時間2時間目です!
今回は梅宮高校についてですね。


今回は梅宮高校の決まり(みたいなの)を書きます‼︎

今の所こんな感じです。(付け足すかも…。可能な限りしなくてもいいように頑張りますが‼︎)

 

《寮での生活編》

 

1:寮の部屋は学年及びクラスで分けられるものとする。

 

2:門限を19:00とし、それ以降の外出は受付で正式な届け出が必要である。ただし、バイトを行っている生徒は20:30までは認めるものとする。

 

3:家庭の事情などの例外を除き、23:00以降の外出の届け出は受理されない。

 

4:寮内での食堂は、平日は5:30〜8:00及び18:00〜22:00、土日祝は5:00〜22:00まで開いている。この間いつ寮内で食事を取ってもいい。

 

5:入浴時間については、各学年各クラスで決められた時間に入る。なお、原則20分である。

 

6:必要時に回される回覧板は1-A〜3-Cまで出席番号順に回されるものとする。

 

7:回覧板は教職員及び生徒会のメンバーが管理するものとし、その他の生徒が使用する際には正式な届け出が必要である。

 

8:男子生徒は女子寮に、女子生徒は男子寮に立ち入ることを固く禁じる。

 

9:同性の場合の部屋の行き来は特に規制しない。

 

10:これ以外にも、他の生徒の風紀を乱さないように自ら気を配る。

 

《学校生活編》

 

1:制服は、学校指定のものを着るものとする。なお、普段は制服の組み合わせ及び多少の着崩しは生徒の判断に任せる。

 

2:入学式や卒業式などの式典においての制服は、冬は指定のブレザーとズボンまたはスカート、夏は指定のシャツとズボンまたはスカートを着用する。

 

3:部活は基本全員入部が義務である。

 

4:委員会及び研究部に入部または参加する生徒は、他の運動部または文化部と兼部を行うこと。

 

5:男女交際は咎めないが、不純異性交際は固く禁じる。

 

6:学校内の食堂は昼休みのみ開いている。

 

7:生徒会指定の委員会は、風紀委員・美化委員・保健委員・体育委員・文化委員・図書委員の6つであり、委員会及び副委員長はそれらをまとめる役割を持つ。

 

《委員会編》

 

1:風紀委員は学校内の風紀を正すとともに、委員長及び副委員長の補佐に努める。

 

2:美化委員は学校内の美化を徹底すること。

 

3:保健委員はクラス内での怪我人や体調が優れない者への配慮を行い、球技大会及び体育祭などの行事では救護に回る。

 

4:体育委員は体育の授業において他の生徒の先頭に立ち、球技大会及び体育祭では全員をまとめる。

 

5:文化委員は11月の初めに行われる創立記念祭において、クラスはもちろん学校全体で結束し、まとめられるように努める。

 

6:図書委員は週一度の図書室当番を行い、月一度の街の図書館での手伝いに貢献すること。

 

7:なお、委員長及び副委員長を除く委員は任期を原則1年とし、委員長と副委員長は任期を原則3年とする。




こんな感じです。まぁまぁいる情報なので。

もっと説明したいところはまた近々本編で噛み砕いて説明します。
冒頭でいった通り付け加えがあるかもなので…その時は本編で連絡します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

設定の時間 3時間目

2ヶ月近く更新の間を開け、久々の更新が本編じゃなくて……

ほんとにすみませぇぇぇぇぇぇぇん!(スライディング土下座)

今回はC組みんなの部活についてです。


今更ですが…

 

1-Cの出席番号です!

 

1:赤羽 業(あかばね カルマ)

2:磯貝 悠馬(いそがい ゆうま)

3:岡島 大河(おかじま たいが)

4:岡野 ひなた(おかの ひなた)

5:奥田 愛美(おくだ まなみ)

6:自 律(おのず りつ)

7:片岡 メグ(かたおか メグ)

8:神崎 有希子(かんざき ゆきこ)

9:木村 正義(きむら ジャスティス)

10:倉橋 陽菜乃(くらはし ひなの)

11:潮田 渚(しおた なぎさ)

12:菅谷 創介(すがや そうすけ)

13:杉野 友人(すぎの ともひと)

14:竹林 孝太郎(たけばやし こうたろう)

15:寺坂 竜馬(てらさか りょうま)

16:千葉 龍之介(ちば りゅうのすけ)

17:中村 莉桜(なかむら りお)

18:狭間 綺羅々 (はざま きらら)

19:速水 凛香(はやみ りんか)

20:原 寿美鈴(はら すみれ)

21:柊 佳奈(ひいらぎ かな)

22:不破 優月(ふわ ゆづき)

23:堀部 糸成(ほりべ イトナ)

24:前原 陽斗(まえはら ひろと)

25:三村 航輝(みむら こうき)

26:村松 拓哉(むらまつ たくや)

27:矢田 桃花(やだ とうか)

28:雪村 あかり(ゆきむら あかり)

29:吉田 大成(よしだ たいせい)

 

次に所属している部活です!

カルマ→サッカー部

(入部理由→本編に掲載)

 

磯貝→テニス部

(入部理由→中学の時に入部していたため)

 

岡島→写真部

(入部理由→中学の時に入部していたため)

 

岡野→体操部

(入部理由→体を動かすことが好きだから)

 

奥田→化学部

(入部理由→理科、特に化学が好きだから)

 

律→コンピュータ部(名前だけ)

(入部理由→AIだから)

 

片岡→水泳部

(入部理由→中学の時に入部していたため)

 

神崎→華道部

(入部理由→中学の時に入部していたため)

 

木村→陸上競技部

(入部理由→走ることが好きなため)

 

倉橋→美術部&生物委員会

(入部理由→生き物みんな好きだから。美術部は部活見学で1番楽しそうだったから)

 

渚→ESS

(入部理由→英語が得意だから)

 

菅谷→美術部

(入部理由→絵を描くことが好きだから)

 

杉野→野球部

(入部理由→野球が好きなため)

 

竹林→コンピュータ部

(入部理由→中学の時に入部していたのと、律がいるから)

 

千葉→軽音楽部

(入部理由→中学の時入部していたため)

 

寺坂→柔道部

(入部理由→「体格がいい」という理由で先輩らに拉致され、先輩方に持ち上げられて入部した口)

 

中村→ESS

(入部理由→英語が好きだから)

 

狭間→文芸部

(入部理由→中学の時に入部していたのと、単純に本を読むのが好きだから)

 

速水→ダンス部

(入部理由→ダンス経験があり、興味を持ったから)

 

原→料理部

(入部理由→料理をするのが好きだから)

 

柊→演劇部

(入部理由→中学時代も演劇部と卓球部を迷っていた節があり、高校入学後に演劇部のレベルの高さを見て惹かれたから)

 

不破→美術部&漫画研究部

(入部理由→漫研はマンガが好きだから。美術部はマンガの模写のために絵の技術を上げるため)

 

イトナ→電子工作部

(入部理由→中学の時に入部していたため)

 

前原→サッカー部

(入部理由→サッカーが好きだから)

 

三村→放送部&映画研究部

(入部理由→映画研究部は映画が好きだから。放送は活動内容の一つである『映像編集』に興味を持ったから)

 

村松→料理部

(入部理由→料理をするのが好きだから)

 

矢田→ダンス部

(入部理由→ダンス経験があり、興味を持ったから)

 

雪村→演劇部

(入部理由→比較的にレベルの高い部活である上裏方も募集中とのことで、将来女優を行う上で参考にしようと思ったから)

 

吉田→電子工作部&鉄道研究部

(入部理由→鉄道研究部は乗り物自体に興味があるから。電子工作部はイトナに連れられて見学に行くと、将来実家を次ぐ上で必要なことが学べると実感したから)

 

 




こんな感じです。
何か質問があれば、活動報告の「質問コーナー2」にお願いします!

【追記】あ、あと高二のはじめに出すと言っていたオリキャラですが、この夏休みくらいに出てくるかもです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人物紹介の時間(ネタバレあり 経過更新)

第53話までのネタバレ紹介です。

これは本編ではないです…。
でも楽しんでいただければ!

ちなみにこれが完成形ではありません。
変更するたびお知らせするつもりです。

(12/31 柊佳奈と加藤将暉の欄に補足)
(3/24 曽良野優の紹介文追加)
(9/30 細部修正)


【柊 佳奈(ひいらぎ かな)】

 

誕生日:11月21日

 

身長:172cm

 

体重:5じ「黙れ。」…はい…。

 

血液型:AB型

 

好きな科目:数学・英語・国語

 

嫌いな科目:理科(苦手ではない)

 

得意科目:国語

 

苦手科目:家庭科(自覚なし)

 

趣味:TV(主にドラマ)観戦・卓球

 

特技:卓球

 

部活(中学):卓球

 

弁当or学食:学食派(特待生限定定食)

 

好きな食べ物:基本的に甘いもの。特にチョコとか。

 

嫌いな食べ物:言ったら全員に変な顔をされるが、焼肉やステーキの類が本気で嫌い。

 

見た目:黒髪のハーフアップヘア。

身長の割に顔が小さいので、スタイルが良い。

そして綺麗な顔が揃っている元E組の生徒に引けを取らないほどの美人。

 

 

カルマと保育園時代からの幼馴染。

小学生の頃全て同じクラス。

地元でも「仲良いねぇ〜。」と言われるほどの仲だったが、不思議と「そういう」噂が立ったことはない。

 

極度の暗所恐怖症。

 

小4頃からカルマのことが好きだが、本人は全く気付いていない様子で、事情を知っている女子たちはみんな不憫に思っている。

 

将暉とは(書類上では)いとこ。

母親がバツイチで、その後将暉の叔父である『Holly』の次期社長候補と結婚したらしい。

 

【元E組メンバー→柊の印象】

 

カルマ→副委員長として信頼してる。本人には絶対に言わないけど、「幼馴染」ってひいき目なしに、割と完璧な方だと思う。ただ…佳奈の料理は絶対に食べたくない…。

 

磯貝→ケイドロの時思ったけど、カルマの次に敵にしたくない。

 

岡島→片岡みたいだ…いろんな意味で。そしてケイドロの時、正直ガチで恐怖を覚えた。

 

岡野→…思ったより機動力が抜群で、びっくりした。

 

奥田→頭いいし、優しいです!

 

律→柊さんのおかげで、「恋愛感情」についての理解を深められました。

 

片岡→カルマが委員長ってすごく不安だったけど、佳奈が支えるなら問題ないかな…と思ってる。

 

神崎→本好きという共通点から、よく一緒に学校帰りに本屋に立ち寄る。近くにゲームセンターがあることから、そこに立ち寄り、対戦ゲームをするまでがいつもの流れ。(そして大抵私が勝つ)

 

木村→なんか片岡に結構似てる気がする。ただ、料理の下手さといい、女子力の低さは否めないような…。

 

倉橋→すっごい優しい!カルマ君への気持ちは純粋に届いてほしい。

 

渚→正直美人だし、スタイルもいい。…なんでカルマは他人の気持ちには気づいて、自分が関わったらあんなにも鈍くなるんだろう…。

 

菅谷→スタイルいいし、絵のモデルにしたい。

 

杉野→一度野球について話したことがあるが、なんかサッカー派だったみたいで相槌打った後色々用語説明求められて少し困った。

 

竹林→彼女の頭の良さや暗殺能力の高さには尊敬している。でも僕は三次元には興味がないもので。

 

千葉→ケイドロでタッチされた時は真面目にびっくりした。なんか…(色んな意味で)E組でやった初めてのケイドロを思い出した。

 

寺坂→もう二度とあいつの料理は食べたくない!(切実)

 

中村→基本的に話に乗ってくれる。でも下ネタを言うと、「莉桜女子なんだから…。」と言われる。

 

狭間→一度私が読んでいた本で話したことがあるが、それ以来全然本の話題をしないようになった。

 

速水→射撃能力が高くて、正直びっくりしている。それにこだわらず、初心者なのに全ての暗殺能力の高いことを純粋に尊敬している。

 

原→料理教えたい。そしてカルマ君に対する思いを純粋に応援している。

 

不破→ジャンプ勧めたい。少女漫画派らしいので…。

 

イトナ→村松以上に飯が不味い。今やあそこまで不味い料理が作れることに逆に尊敬の意を感じている。

 

前原→声かけたら割とすぐに、そしてガチめに振られた。

 

三村→すぐに名前は出てこないけど、似てる人テレビで見たことある。それくらい美人。

 

村松→料理教えたい。個人的には絶対に親父と会ってはいけないと思う。そんなわけで、絶対に実家に来て欲しくない。

 

矢田→メグみたいにスタイルいいし、本当に優しいし、絶対にモテると思う!

 

茅野→すっごく信頼できる!前の中学の時、「芸能人」って目で見なかった唯一の友達。

 

吉田→カルマと違い、危なっかしいとこはない…という印象だったが、柊の料理を見て完全にその印象が逆転した。あの時初めて寺坂を不憫に思った。

 

 

【柊→元E組メンバーの印象】

 

カルマ→…自分のことになると、結構鈍感。でも初めてクラスに入った時、いるってわかってたけどほっとした。いろんな意味で。

 

磯貝→クラスのリーダー的な存在。そしてイケメン。全てが。

 

岡島→もう取り返しがつかないくらいのド変態。

 

岡野→体柔らかいなぁ。元体操部って聞いて、すごい納得した。

 

奥田→化学が好きって聞いてびっくりした。すごくいい子だし、あかりが仲良くなったのが分かる気がする。

 

律→なんか…うん。チートだね。

 

片岡→女子なのにイケメン。彼女の謙虚さを、たまにいじらしく感じる。磯貝とくっついてほしい。

 

神崎→すごい美人。杉野の気持ちに早く気づいてほしい…。

 

木村→名前聞いてびっくりした。このクラスで上位に位置する機動力に尊敬している。

 

倉橋→天真爛漫で、話しててすごく楽しい。生き物への愛情はすごいと思う。

 

渚→一回腕相撲で勝って、すごい罪悪感を感じた。そして本人には絶対に言えないが、最初顔見た時に一瞬女子かと思った。

 

菅谷→絵、うますぎるから習いたい。

 

杉野→あそこまで一途だと、なんか応援したい…。

 

竹林→なぜか寺坂とよく帰ってんのを見る。尾行しようとしたら、あかりに「…後悔するよ?」って言われて止められた。

 

千葉→射撃がすごい。目が隠れてるのに、あそこまで当てられるんだ…。

 

寺坂→最初見たとき、『うっわ。悪そー。』って思った。今は『なんだかんだ言っていいやつだ。』とおもっていて、カルマやイトナとのやりとりを微笑ましく眺めてる。

 

中村→なんか気があう。ただ、下ネタを振るのはやめてほしい。

 

狭間→自分も本を読むのは好きだけど…感性が真逆すぎて話が合わない。だから一回してからもうしてない…。

 

速水→射撃がすごい。同じ女子でもこんなに違うのか…。

 

原→お母さん。最近はなんか…本当のお母さんよりお母さんな気すらしてくる。基本恋愛相談は回り回って最後はここに行き着く。

 

不破→ジャ○プとかサン○ーとかの話をよくふってくる。聞いてる分にはすごく楽しいのだが、同意を求められると返事に困る。

 

イトナ→寺坂によく毒を吐いてる。歴代のイトナ号を見たとき、そのスペックの高さにびっくりした。

 

前原→たらし。文句なしの女ったらし。そしてカルマ同様自分のことになるとすごい鈍感。…いつひなたの気持ちに気づくんだろう…。

 

三村→初めてテレビの知識で負けた、本物のテレビっ子。

 

村松→男子なのに料理が上手い。…なんでだろ。なんか腹立つ。

 

矢田→女子力の高さが羨ましい。あとは…うん。今は割愛。

 

茅野→なんか一緒にいたらすんごい安心する。渚のことは純粋に応援しているし、くっついてほしい。

 

吉田→バイクへの情熱がすごい。イトナと仲がいいのか、よく二人で出かけてるのを見る。

 

 

【呼び方】

男子はカルマ、渚、イトナ以外は全員苗字呼び捨て。

女子は今の所岡野・律・片岡・中村・速水・矢田・茅野は名前の呼び捨て、倉橋はちゃん付け、奥田・神崎・狭間・原・不破がさん付けである。

 

__________________________________________

 

【加藤 将暉(かとう まさき)】

 

誕生日:6月28日

 

身長:173cm

 

体重:58kg

 

血液型:A型

 

好きな科目:数学・物理

 

嫌いな科目:歴史・生物

 

得意科目:数学・体育・家庭科

 

苦手な科目:歴史・生物

 

趣味:サッカー

 

特技:料理・サッカー

 

好きな食べ物:特にまずくなければ、なんでも食べる。意外にも大食いである。

 

嫌いな食べ物:特にない

 

見た目:比較的に整った顔立ち。

茶髪(地毛)で、顔(というか雰囲気)は杉野みたいな感じ。

 

学校:蛍雪大学付属高校(中学からのエスカレーター)

 

部活:中高ともにサッカー

 

 

カルマ、佳奈とは幼馴染。

だが、小1でクラスが分かれてから、「放課後一緒に遊ぶ、仲のいい」友人に。

カルマと佳奈とは、小5,小6で同じクラスである。

 

父親はただのサラリーマンだが、母親の実家が大商社『Holly』の社長令嬢。

逆玉の輿婚である。

喫茶店「KATO」は、まだ将暉が生まれる前に始まった。

最初は母親の趣味本位だったが、意外と売り上げが高く、今まで続いている。

 

9歳年の離れた姉がいる。

万年反抗期のため高校時代から家出まがいの行動が多く、社会人になった今でもほとんど家に帰ってこない。

 

先述した通り、柊とは(書類上では)いとこという関係。

 

同じ高校に、彼女(ソラ)がいる。

つまりリア充。

リア充である。(二回目)

 

料理だが、村松並みに上手い。

喫茶店「KATO」に出される料理の中には、彼考案のメニューもある。

 

__________________________________________

 

【曽良野 優(そらの ゆう)】

 

誕生日:10月16日

 

身長:161cm

 

体重:内緒だそうです

 

血液型:B型

 

好きな科目:英語・音楽

 

嫌いな科目:数学・理科

 

得意な科目:英語・体育・音楽

 

苦手な科目:数字・理科(特に物理)・美術

 

趣味:ピアノ

 

特技:ピアノ

 

好きな食べ物:スコーン

 

嫌いな食べ物:パクチー

 

見た目:ショートカット(イメージ雪村先生)

可愛い。美人というより可愛い感じ。

 

学校:蛍雪大学付属高校(高校から)

 

部活(中学):無所属

 

部活(高校):バドミントン

 

カルマ・柊・将暉と幼馴染。

将暉とは小学時代6年間ずっと同じクラスで、小四の半ばまではよく一緒に行動していた。

カルマ・柊は小五・小六で同じクラス。

 

父親が大学病院の外科医部長。

母親譲りの文系脳を持つ。

 

将暉には気づいたら好意を持っており、晴れて付き合い始めたのは中2になってから。

 

中学は公立組だったが、その後将暉の通う蛍雪大学付属高校に進学。

 

『ソラ』は保育園時代からの愛着あるあだ名であり、自己紹介でも積極的に取り入れている。

彼女の「人と壁を作らない」性格のためか、家族と将暉を除く全ての知り合いから「ソラ」または「ソラちゃん」という風に呼ばれている。

 

なお将暉は付き合い始めてから「優」呼びである。(それまでは「ソラ」

 




今の所こんな感じです。

話が進むにつれて、(特に柊のところが)変更します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

番外編
コラボの時間ー欠けた月の満ちる頃


KJK初コラボ作品です!

湊さんよりちょっと遅めの投稿ですが、ぜひ、楽しんで読んでいただければ嬉しいです‼︎


今日はーー高校の文化祭。

 

中2の柊は、その文化祭にいた。

 

「もぉ…真由美ちゃんどこ?」

 

そう…柊は、従姉妹である林 真由美(高1)の文化祭に来ていたのだ。

 

会社勤めの両親は、本来休みのはずの日なのに、

「ごめん!急に仕事入った!」

というわけで…

 

結果、1人である。

 

で、そのお誘いの日に入ったLI○Eでは、

『10:00に正門前に来てね〜。迎えに行くから〜(^O^)/』

とあった。

 

 

そしてただいまの時間

 

10:20

 

 

はっきり言って、真由美は遅刻常習犯である。

しかしいくらなんでもこの遅刻はひどい。

 

そして先ほどLI○Eで

『ちょっと真由美ちゃん!今どこ?私正門前にいるんだけど(*`へ´*)』

と送ったところだった。

 

 

すると、すぐに既読がつき、返ってきたのこんな返事。

『あっ!ごめ〜んm(_ _)m

うち今ちょっと忙しいから、今から友達そっちに派遣しまーす( ^_^)/~~~』

 

…そろそろ怒っていいと思う…。

ていうか忙しいって言う割に早く既読ついたね…。

 

 

(ま、いっか…)

そんなことを考えながら、柊はそのままーー高校の正門前で待っていた。

 

 

…と、そこに

 

 

「ねぇねぇ、そこの君。いま1人?」

「ちょっと俺らとあっちでお茶でもどぉ?」

 

 

なーーーんかガラの悪そうな高校生に声をかけられた。

 

(やだなぁ…)

と思いつつ柊はこう答えた。

 

「ごめんなさーい。私今ちょっと人待ってるんですよ〜」

 

しかしそんな柊の言葉虚しく、その高校生たちは、

「イヤイヤ、さっきからずーーっとここにたってるじゃん?」

「待ってんのって男?やめちまいなよ。そんな女のコ待たす男なんてさ。」

「そんな奴より俺らと遊ぼーぜ」

 

 

見てたのかよ…。

これはまた、ややこしい…。

 

 

しかし、昔から人を怒らせないように済ますのはまぁまぁ得意な方である。

そんなわけで、柊はこう切り返した。

 

「いや?彼は悪くないですよ?私が待ち合わせの時間間違えちゃって〜。早く来ちゃったんですよ〜」

 

だが…

「いや、そんなこと言って、本トは彼氏待ちでしょ?」

「わざわざそんな奴庇わなくていいからさ〜」

「ほら、来なって」

 

そう言って、手を掴まれた。

 

「ちょ…やめてください!」

 

相手は、

「大丈夫だって〜」

とか

「そんな悪いことしないからさ〜」

とか言ってたけど…

 

そんな言葉は、柊の耳に入ってこなかった。

 

ただ彼女の頭の中にあったのは…

 

(誰か…助けて‼︎)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!その子嫌がってるでしょ!」

 

その瞬間、大きな声がかけられた。

 

その方向を見ると、ーー高校の制服を着た女子生徒。

 

すると、柊の手を掴んだ高校生たちは

「あァ?誰だお前?」

「別に関係ねぇだろ」

「…あー、わかった!自分がナンパされないからシットしてんだ〜」

 

 

そんな高校生たちに、その女子生徒は反論した。

「そういうことじゃなくて!嫌がってるのに無理やり連れて行こうとすることがおかしいって言ってるの!」

 

その言葉に激昂したのか、高校生たちは掴んだ手を放し、その女子生徒の方へと歩いていった。

「なんだ、お前?女だからって調子のんなよ?」

 

そう言って、その高校生たちは女子生徒に手を出そうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、

 

ウーウー…

 

 

どこからか、パトカーのサイレンが聞こえてきた。

 

途端に、高校生たちは焦りの色を見せる。

「お前…警察呼んだのか⁉︎」

「え…ええ!よびましたよ‼︎」

 

その女子生徒の答えに、高校生たちは

「チッ…お前ら、逃げるぞ!」

 

そう言って逃げていった。

 

 

その後ろ姿をみながら、柊はホッとした表情を浮かべた。

 

と、突如聞こえたのが…

「こ…怖かったぁ…」

 

 

…薄々感じてはいたが…

 

「警察、呼んでないんですね…」

「うっ…」

 

でも、と柊は言葉を続ける。

「本当に助かりました…。なんかしつこかったんで…」

 

その言葉を聞き、女子生徒はホッとした表情を浮かべた。

 

そして…

「ちなみに…あなたって、柊佳奈さん?」

「ん?」

 

 

『ごめん響!うち、学校で従姉妹のコ待たせちゃってるんだ。地下鉄が結構遅れてるみたいだから、代わりに行ってくれないかな?佳奈ちゃんっていう子なんだけど』

友達のまゆみんからそう連絡が来たのは、ついさっきの事だった。

従姉妹?まゆみん従姉妹いたんだ。

私も結構忙しかったので断ろうかと思ったが、結局行くことにした。

理由のひとつとしては、忙しい理由が「テストで赤点を取ったので再試の為の勉強」だったからだ。

…こんなかっこ悪い理由をまゆみんに言いたくない。

それと、もう一つは────

 

 

その子に、何となく興味があったのだ。

 

 

「───ええと…初めまして。まゆみんの友達の今村響です。まゆみんは地下鉄がちょっと遅れちゃって、少し遅れるみたい。あの、佳奈ちゃんって呼んでも…」

「あ、いえ!全然良いですよ」

恐る恐る聞いてみると、柊さん───佳奈ちゃんは、ぱたぱたと手を降って笑ってくれた。

いや、私の方が年上なのは分かってるんだよ?

でも…なんかこの子、私より大人びてるんだよなあ。

 

黒髪のハーフアップヘアに、スタイルの良い身体。

中学生なので幼さはあるが、すっきりとした美人顔。

声も落ち着いていて、彼女のどこをとっても優等生!な感じの子だ。

うっかりこっちが敬語を使ってしまいそうになる。

…この子、絶対赤点で再試なんてならないだろうな。

そんな事を考えつつ、私はおもむろに口火を切る。

「まゆみんは結構遅れちゃうみたいだから、代わりに私が来たんだけど…あの、私と文化祭回ることになっちゃうけど、一人で回ったほうが良い?」

「一人で回ると色々と不安なので、2人だと心強いですよ。あと、何て呼べば…」

「あっ、えーと…先輩って言うのは堅苦しいから、響ちゃんでいいよ。うん、敬語もやめてお友達になろう」

「敬語なし……こ、これでいい…かな?」

おお、普通の子だと敬語なしって言われると戸惑っちゃうのに、素直に敬語をやめてくれた。

この子絶対いい子だなと確信する。

せっかくこれっきりの出会いなんだし、仲良くなっておきたいよね。

それに、楽しく回って沢山思い出作って欲しいし。

「じゃあ回ろうか、佳奈ちゃん!」

「あ、うん。響、ちゃん」

 

これは、今から少し前────私が高校一年生の頃の話である。

 

 

響ちゃんは真由美ちゃんと同じクラスの友達らしい。

 

最初こそ「響ちゃん」呼びに慣れずに戸惑っていたものの、人に馴染みやすいという元々の性格も幸いして、5分も経つと敬語なしで普通に話せるようになった。

 

「そういえば、佳奈ちゃん1人できたの?」

「あー…ちょっと親が急に仕事入っちゃって…。

同じ学校の友達も用事あったみたいだし…。」

「そうなんだ。どんな子?」

「え…と…。芸能人でいえば、摩瀬榛名みたいな…?」

「へぇー!かわいい子なんだね‼︎」

 

…似てるというより本人なんだけどね…という言葉は胸の中にとどめた。

 

ーそれにしても響ちゃんって、あかりに似てる…。

顔とかじゃなくて雰囲気?みたいなのが。

あと、話しやすくてとっつきやすいところとか。

 

(素がいい人なんだろうなぁ…)

 

そんなことをかんがえていると、響ちゃんが口を開いた。

「そうだ!佳奈ちゃんってお化け屋敷とかっていける?」

「ええと…正直苦手かな…。そもそも暗いトコが怖くて…」

「そっかぁ…」

 

残念…とつぶやいた響ちゃんを見て、ん?と思った。

これって…

 

「もしかして…響ちゃんのクラスの出し物ってお化け屋敷?」

「あはは…。まぁね」

 

……。

 

「そうなんだ‼︎じやあ今から響ちゃんのクラス行こ‼︎」

「いや、いいよ⁉︎無理しなくて‼︎あれは怖いから‼︎」

「いや…怖さを楽しむのがお化け屋敷じゃ?」

「本当に怖いから!あれは仕掛けを知ってた私たちも怖かったくらいだし!」

 

…ん?どういうこと?

そんな私の気持ちが顔にも出ていたんだろう。

響ちゃんはそのまま説明を続けてくれた。

 

「いや…私たちのクラスの男子たちの中で『初めての文化祭だから盛り上ろう!』みたいな雰囲気になって…そしたらある男子が『お化け屋敷するんだったら、せっかくだし怖いの作るぞ〜‼︎』って言って…」

「結果、すごい怖くなった…と」

 

その私の言葉に、響ちゃんは無言で頷いた。

 

 

…っていうか、どこの学校にもいるよね〜。

こういう行事ではしゃぐ人って…。

 

 

「あっ、そうだ!ちょっと部活の先輩に『私たちのクラスの出し物に来て』って誘われてた!一緒に行こ‼︎」

 

そう言って、響ちゃんは私の手を引いてまた歩き始めた。

 

 

 

結局、お化け屋敷には行かない事にした。

まゆみんの従姉妹を怖がらせちゃうのは嫌だし、何より…私もそんなに行きたくなかったからだ。

いや、本当に怖いんだって。

「恐怖感を味わいつつ楽しむ」の「楽しむ」の部分が、皆の頭から完璧に抜け落ちてたんだって。

気づいたら本気で泣かせるスタイルになってたんだって。

完成したお化け屋敷にテストで入ってもらった新任の先生が半泣きになって出てきたのを見て、ようやく私達はとんでもないものを作ってしまったと悟ったのだ。

だから…正直、仕掛けが分かってても行きたくない。

「…お化け屋敷より、ずっと楽しいのがあるからそこ行こ!うん!」

「う…うん」

佳奈ちゃんを引っ張って、部活の先輩に「来てね〜」と言われていた所へ行く。

先輩のクラスの出し物、「メイド喫茶」へ入ると、いらっしゃいませ〜と揃った声に出迎えられた。

メイド喫茶って、女子も行っていいもんなんだ。ずっと男専用だと思ってた。

「あ!響じゃん、来てくれたの?ありがと〜」

出迎えたメイド役のうちの1人が、私に向かって手を振ってくれる。

「いえいえ、先輩のお誘いですから。…あ、この子は私の友達の従姉妹ちゃんです」

笑顔でそう返しながら、佳奈ちゃんを紹介する。

「初めまして、柊佳奈と言います。中2です」

「佳奈ちゃんって言うの?よろしくね」

先輩がそう言って、佳奈ちゃんに向かって笑いかける。

心温まる光景だ。

ニコニコしながらそれを眺めていると、先輩が「あ、ごめんごめん」と言ってメニュー表を取ってきた。

「ごめんねー、立ち話しちゃった」

「大丈夫ですよ。じゃあ、私達はそこのテーブルに───え?」

佳奈ちゃんと奥のテーブルに行きかけた所で、先輩にガシッと肩をつかまれる。

振り返ると、先輩は先程と変わらない笑顔でこちらを見ていた。

「え?あの、先輩?」

「事前に話さなかった私が悪いんだけどね。ていうかわざと話さなかったんだけど───

 

 

響ちゃん働く側だからね」

 

 

……………え? 働く側って、つまり…。

驚いている私に、先輩が猫耳カチューシャとメイド服を押し付けてくる。

「1回こういうの、響ちゃんに着せてみたかったんだよね〜。絶対似合うって」

「いや待ってくださいよ!働くなんて聞いてないし、猫耳カチューシャってこれ私だけですよね!?」

突然の展開に、佳奈ちゃんがぽかんとしている。ごめん、私も知らなかったんだ。

断ろうとして、気づく。

なるほど、わざと話さなかったのは私が逃げるからか。

メイド服に猫耳カチューシャなんて、私絶対嫌がるし。

さっすが先輩!さぁ、逃げる口実を探そうじゃないか!

「えー…えーと……あっ!」

必死で考えていると、不意に頭に名案が浮かんだ。

これなら切り抜けられる!

「あの!」

笑顔でメイド服を押し付けてくる先輩を、私は引きつった笑顔で押し返す。

「やっぱり無理ですよ、私は。嫌だっていうのもありますけど…何より、」

そこまで言ってから、私は佳奈ちゃんを先輩の前に突き出した。

「え?」

「ほ…ほら、この通り連れがいますし!」

急に前に出された佳奈ちゃんは、驚いて目を白黒させている。

佳奈ちゃん、口実に使っちゃってごめん。

でも、これしかもう策がない!

「佳奈ちゃんひとりで回らせるのは危険の一言に限ります。さっきだって、彼女ナンパされてたんですよ?」

これは本音だ。

佳奈ちゃんは可愛いし、しかも中2だよ?

危険だし、心配すぎる。

「────────そうね。仕方ないね」

ずっと話を聞いていた先輩が、そう言ってニコッと笑った。

お。分かってくれた?

私が期待に満ちた目を向けると、先輩はその笑顔のまま、私のものより少し小さいメイド服を出してきた。

「まだメイド服の余りあるし、佳奈ちゃんもやってみたら?」

…佳奈ちゃんを巻き込んだだけだった。

 

 

 

 

 

数分後。

私達は先輩の絶対の笑顔に圧され、結局メイド服を来てコーヒーやらケーキやらを運んでいた。

「はい、こちらカフェオレですー」

そう言いながらテーブルにカフェオレを置く私の頭には、可愛らしい猫耳がついている。

しかも服までフリフリのメイド服だ。

うわぁー…一生で1番着たくなかった服のセットだ。

先輩は似合う〜とか言ってたけど、絶対うそだ…こんなの恥ずかし過ぎる。

「げ、元気だして、響ちゃん」

落ち込む私に、佳奈ちゃんが慰めの声をかけてくれる。

そんな佳奈ちゃんの頭にも、色違いの猫耳がついていた。

正直言って似合ってる。すごい似合ってる。

完璧に美少女メイドなんだけど…罪悪感がハンパない。

「あの…何ていうか、ごめん。巻き込んじゃって」

「いやいや、大丈夫。むしろ貴重な体験だよ」

手をぱたぱた振りながら、そんな事を言ってくれる佳奈ちゃん。

天使かな。天使なのかな。

「休憩時間になったら、私達解放してくれるんだって。もうちょいで休憩時間だから、頑張ろうね」

「解放って……了解、頑張ろうね」

私の言い回しに、佳奈ちゃんがおかしそうにくすくす笑った。

そこから更に20分ほど経ち、休憩時間まで残り2分となった時。

「もうちょっとで休憩だし、2人とももう終わって帰ってていいよ。疲れたでしょ、お疲れ様」

先輩からそう言われ、私達は休憩時間より少し早く解放される事となった。

ああー!やっと自由だー!

先輩に会釈をして、着替えようと思った時。

「お、メイド喫茶なんてやってんじゃん!」

教室の戸が開いて、ガラの悪そうな男子高校生が2人入ってきた。

私達の高校…ではなさそうだ。凄く不良って感じがする。

「い…らっしゃいませー」

危なそうな2人に一瞬空気が凍ったものの、すぐに持ち直して先輩たちが挨拶をする。

「なあ、ここ座ろーぜ。で、メイドさん、メニューはどんなんがあんの?」

2人はテーブルにつくと、やってきた先輩に馴れ馴れしく話しかけ始める。

…うーん。なんかあの2人、危ないなぁ。

何かやらかしそう───私の勘がそう言っている。

心配だから、もう少し見ていよう。そう思って佳奈ちゃんと見ていると、不良のうちの1人が不意にこちらを見た。

「…お!なんだよそこの子、すげぇ可愛いじゃん!」

と、ガタッと席を立ちこちらに歩いてくる。

これって…佳奈ちゃんを狙ってるよね。

さっきナンパされてたくらいだし。

「響ちゃん…」

「大丈夫だよ、佳奈ちゃん」

「え?───響ちゃん?待って、違う…これは」

私は何か言っている佳奈ちゃんの前に立ち、こちらに来る不良を緊張した面持ちで見つめる。

佳奈ちゃんは絶対守る。怖い目になんか遭わせない。

「なあなあ、俺らとどっか行かない?ヒマなんでしょ?」

絶対、ぜっ────────え?

次の瞬間、予想外の事が起きて私は驚いて目を丸くする。

そう、なんと不良は私・の・腕・を・引っ張ってきたのだ。

え、私なの?佳奈ちゃんじゃなくて?

予想外の事だったために、私はされるがままに引っ張られてしまう。

「俺らと違うところで遊ぼうぜ?」

「────響ちゃん!!」

佳奈ちゃんの声に我に返った頃には、もう廊下に連れ出されていた。

…あれ、これヤバくない?

「これで3人っきりになったな」

振り返った不良の顔を見て、私は気がついた。

そうだ。この顔、校門で佳奈ちゃんをナンパしてた…。

じゃあ私を連れてきたのは、あの時警察を呼んだ(ように見せかけただけだけど)私への復讐で?

ああ、だから佳奈ちゃんは違うって言ってたのか。

佳奈ちゃんはターゲットが私だと気づいてたんだ。

でも、私は話を聞かなかったから…。

そんな事を考えている間に、私は暗い教室に入れられる。…って、ん?

なにこれ、電気を消してたとしても暗すぎる。

ここってひょっとして────…

私のクラス────お化け屋敷のゴール地点だ。

入り口から入ると受付の子に怪しまれるから、出口から入ったんだ。

ゴール地点は終わりの場所なので、驚かす仕掛けなんて何も無い。

ましてや今はおそらく休憩時間、新たに入ってくるお客さんも居ないわけで────。

…まずい。これホントに絶体絶命だ。

佳奈ちゃんや先輩あたりが、私のいる所を突き止めてくれれば良いんだけど…。

 

……To be continued




後編もお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

入寮の時間

地っ味〜に大事な設定がまぁまぁあります。
実はこれ、本編に入れようとして間に合わなかったやつなので…。

カルマ「自分からバカ見せる〜?」
KJK「どうせね!バカですよ‼︎」



4月5日。

今日は梅宮高校の入寮の日だ。

 

 

渚は男子寮(女子寮と入り口は一緒なので、実質男子棟だが)の3305号室だ。

 

荷物はもうすでに運ばれていたので、入学までその整理である。

 

 

荷物と言ってもそんなに大した量じゃない。

私服と勉強道具、その他必要最低限のもの。そして…暗殺用の道具一式。

私服や勉強道具はこっちでも買えるから、実質一番多かった荷物は暗殺用の道具だった。

 

渚は、ダンボール3つか4つの荷物の整理に勤しんだ。

 

 

 

荷物の整理が一息ついたので、渚はスマホの電源を入れた。

するとLI○Eに、おびただしい量の通知が届いていた。

元3-EのグループL○NEである。

 

そのグループチャットを開いて、一番最初に見えたのは…

「烏間先生からの伝言です!

殺せんせーの過去やE組であったシリアスな話は、柊さんを含め、これからC組に入ってくる人には伝えないように…とのことです!」

 

律である。

そんな話に、みんなは

「そりゃそうだろうな」

「佳奈ちゃんも気負っちゃったら大変だし…」

「烏間先生も手厚いね〜」

…といった反応だ。

 

そんなみんなのチャットを見て、渚は思わず笑みをこぼした。

 

そして、この28人でまた暗殺教室ができることをとてもうれしく感じた。

 

 

 

 

 

 

 

荷物の整理も終わり、渚は寮の中を歩くことにした。

 

寮は学校と違い、全く複雑じゃない。

 

寮の構造を説明すると…

 

3階:高1部屋

 

2階:高2部屋

 

1階:高3部屋・共同入浴場・食堂(男女共有)

 

であり、男子寮女子寮変わりはない。

 

…なるほど。すごく単純である。

 

今は2時。

少し遅いが、お昼時である。

そんなわけで、渚は食堂に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

で、食堂へと向かった渚は…

 

 

今目の前の光景にびっくりしていた。

 

カルマと磯貝が一緒にご飯を食べているのである。

 

ぶっちゃけこの二人が寮入りしていたことにも驚きだが…

 

「…何の組み合わせだろ…?」

 

なんか話をしているのでこちらからは話しかけづらいし(相手が磯貝だから真面目な話だろう)、だからといってこのまま突っ立っているのも目立つ。

 

 

…とりあえず、どこか座ろう…

 

そう思った。

 

 

その時。

 

「あれっ。渚?どうしたの?ここで突っ立って」

「ちょ!茅野‼︎」

 

渚はシーっと合図を出したが、時すでに遅し。

 

カルマと磯貝が気づき、渚の方に視線を送った。

 

「あれ?渚じゃん。どうしたの?そんなトコに立って」

「…いや…僕今来たところだし…」

「こっち来ればよかったのに」

「いや…何か二人話してたから…」

「ん?…ああ!大した話してないよ」

「…え?」

「ほらこっち」

 

そう言って、カルマは渚に手招きをした。

 

…うん。これはもう行かざるを得ない。

 

そんなわけで、渚と茅野は二人がいるところへと行った。

 

「二人って今何の話してたの?」

「ん〜?バイトの話」

「…ああ!そういうこと」

 

そういや磯貝君がこの学校来たのって、それが理由だったっけ。

 

「ちょっといい物件あったから、磯貝にそれ教えてたの」

「…なるほど。何か納得した」

 

だからこの組み合わせか…と思ったとき、

 

「カルマありがとな。この学校教えてくれただけじゃなくて、わざわざバイトまでさ」

「いいって。うちの親、いっつも旅行行ってて送金とか絶対にしないし」

「でもカルマって基本こんな面倒ごと嫌いだろ?昨日も『委員長やりたくない』みたいなこと言ってたし…」

「だからこれ、自分のためでもあるからさ。それにこれと委員長は別物でしょ」

 

…ん?

「…え⁉︎」

「待って!カルマバイトするの⁉︎」

 

カルマも磯貝も、こんな渚たちの反応をあらかた予想していたようで、大して驚かなかった。

 

そしてカルマは呆れたようにいう。

「…するけど?それが何?」

「いや…。カルマがバイトって…意外だな…と」

 

それを聞いたカルマはハァ…とため息をついた。

…ていうかこれ絶対に磯貝君にも同じこと言われたな。

 

そしてカルマはさっきと同様、呆れたように言った。

「俺さ、言っとくけど自分で『やる』って決めたことはちゃんとやるから」

「…その勢いで委員長もやったら?」

「委員長は磯貝の方が適任だって」

 

渚の言葉に、カルマは瞬殺で返した。

 

…ていうか今さらだけど、かなり空気やばくない?

 

 

 

 

「あっ!そういえば、カルマ君と磯貝君はL○NE見た?」

「ん?LIN○?今日はまだ見てないけど?」

「え…早く見た方がいいって!多分通知すごいことになってるよ‼︎」

「え?」

「なんで?」

「烏間先生からの連絡来てたの!結構大事なことだったから‼︎」

 

え〜うっそ〜…、と言いながらケータイの電源を入れたカルマは途端に動きが止まった。もちろん磯貝も同様である。

 

そして渚はというと…

 

「…茅野、ナイス」

その言葉に、茅野は渚同様ナイスポーズを返した。

 

 

「…たしかにグループが盛り上がってるな」

「一つのチャットでここまで通知たまったの初めてなんだけど…」

 

ていうか…と、カルマはつぶやいて、

「これ、どこまでセーフなの?」

「…と言うと?」

「だって俺らの副担『役』って…

 

 

二代目死神じゃん?」

「「「あー…」」」

 

そんなカルマの質問に、磯貝が答えた。

「うーん…とりあえず話題にしなきゃいいんじゃ?」

「聞かれたら?」

「…そこは知らないっていうか、適当にはぐらかすか…」

「佳奈って変なとこすごい鋭いよ?」

「ちょっ…ふたりとも!」

 

カルマと磯貝が話ていると、茅野が止めに入った。

「…とりあえず場所かえよ?ここだといつ佳奈が来ても文句言えないし…。」

「「「いや、そっち?」」」

「この話の当事者佳奈なんだからそこが第一優先でしょ?」

「うーん…まあいいや。でもさ…」

 

 

そしてカルマは続けて言った。

「佳奈の寮入り、明日だよ?」

「…え?」

 

どうやら茅野は聞いてなかったようで、カルマを今問い詰めている。

「ちょっと待って?それ何情報?」

「佳奈からメールできた。『今日防衛省で暗殺道具もらうから明日寮入りしまーす。』って」

「へぇ。メールで………ってメール⁉︎」

「…今度はなに?」

「いや…いまし連絡は○INEでするんじゃ…?」

「ID知らない」

「昨日一緒に帰ってたじゃん。聞かなかったの?」

「素で忘れてた。…ていうかそんな話にならない限り絶対に思い出さないでしょ。そんなこと」

 

でさ…とカルマは言って、

「結局どこまでセーフなの?これ?」

「「「あっ…」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから4人で話し合った結果、

『そういう話にならないように善処する。もしなったら知らないふりをする』

となった。

 

また磯貝がグループチャットにあげるそうだ。

 

 

入学式まであと6日。

またカルマと磯貝君のバイト先決まったらいつものメンバーで行こうかな…。

そう思いながら、渚は初めての寮生活を終え、ベットに入っていった。




部屋割りですが、男女ともに
1-A→31○○
1-B→32○○
1-C→33○○
2-A→21○○
2-B→22○○
2-C→23○○
3-A→11○○
3-B→12○○
3-C→13○○
で、○○のところは自分の男女別出席番号です。
ちなみに、律、イトナ、茅野(雪村)、柊がいるので、E組の時と時々番号は変わります。そこは悪しからず…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

部屋会の時間

お久しぶりです…
諸事情によりなかなか投稿出来ませんでした…
本編じゃなくて番外編ですが、次話に必要な話だったので…

日曜日にまた投稿予定です(あくまで予定)


梅宮高校は寮生活である。

しかし就寝時間に細かい規定はなく、夜更かしをする人も少なくない。

 

それでできた文化が、部屋会である。

 

仲いい子たちが集まってだべる。ただそれだけ。

 

規定上異性の寮には侵入禁止なので、それが不便だ、という人も……まぁいなくもないが。

本当にそれ以外の縛りもないため……

 

この部屋会には、他校生が来ることもしばしばである。

__________________________________________

 

男子寮の3301号室

 

カルマの部屋である。

そこには4班メンバーと1人のお客様──将暉がいる。

 

これと言った話をしてる訳ではなく、世間話をしている感じだ。

 

「やー、ここの部屋会って初めてだけど、意外と話せるな〜。

お前ら結構してんの?」

「まぁ…それなりにしてるよ。でもここまで話したのは僕らも初めてかな」

 

まぁ…渚たちの場合、部屋会の大半は暗殺計画な訳だが…

 

渚の言葉に続いて、カルマが口を開く。

「将暉も今度はソラ連れてきたら?どーせ将暉って過保護だからソラが来る時は一緒に来るんでしょ?」

「お前はほんとに一言多いよな…。まぁ、考えとくけど」

 

ところで、とつぶやき、

「将暉って、ソラになんて告ったの?」

 

そんなカルマのセリフに、渚と杉野は思わず吹いた。

 

 

一方の将暉はカルマの言葉に数秒フリーズし、

「……なんで?」

「ちょっとした好奇心?」

「おい」

「いいじゃん。ずっと気になってたしさ。なんなら小学校の時から『2人っていつどーやってくっつくのかな〜』って思ってたし?」

「いつからっ!?」

「ずいぶん前」

 

しれっとそう言い放つカルマに、将暉は絶句する。

 

でもさ、とつぶやき

「将暉とソラって、小4の終わりくらいから仲違い?してたじゃん?そっからどうやって仲直りしたのかくらいは知りたいし?」

「……お前な」

 

しかしそんなカルマの言葉に、渚は「そうなの?」と尋ねる。

 

「そうそう。ま、どっちが悪いかって聞かれたら将暉が悪いんだけど」

「わかってる!わかっててちゃんと反省してるし!」

「そりゃ反省してなかったら今付き合ってないでしょ。わかってるから怒らない怒らない」

 

そう言って完全に弄りモードに入っているカルマに、将暉は「うぜぇ…」とぼやく。

 

見ている2人も止めるのかと思いきや…

 

「あー、でもそーゆーことなら俺も気にはなるけどな」

「僕も。やっぱりソラって結構可愛いし…」

 

ここに…味方はいなかった。

 

 

「さあさあ、みんな言ってるよ?」

「…ほんとにうるせぇ…」

「だって気になるし?『将暉・ソラを見守る会』の副会長として?」

「…なんだよその会!」

「将暉とソラのこと知ってる奴らの8割くらいが所属する会だけど?あっ、渚と杉野も入る?」

「おい!まじでやめろ!」

「会員増えないうちに言った方が賢明だと思うよ〜?どうする?」

「でも言って困んのはお前の方だからな!俺は言ってもいいんだぞ!」

 

そんな将暉の言葉に、(何この会話)とひっそりと思う渚と杉野。

 

 

そんな将暉の言葉に、カルマは数秒考えるような動作をとり、

「んー…じゃあいいや。」

「えっいいの?」

 

あっさりと身を引いたカルマに、渚が思わず口を開く。

 

が、しかし…

「じゃ、代わりにソラとの進展具合教えて?」

 

その言葉に、将暉は片手を強く握りしめながら立ち上がる。

それを渚と杉野が必死になって止めた。

 

__________________________________________

 

「あー…もうこんな時間か…

俺そろそろ帰るわ」

「じゃあ俺玄関まで送るね〜。ちょうど飲み物買いたかったし」

 

お開きかな、と感じて、渚と杉野は自分の部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、ぐーぜん。佳奈も飲み物?」

「うん、そーだけど…部屋会、終わったとこ?」

「まーね」

 

将暉を見送ったあと、カルマはロビーでばったり柊と鉢合わせになった。

軽い話をし、会話が止まる。

 

と、柊が口を開いた。

「そうだ。将暉がソラになんて告ったか知ってる?」

「さっき部屋で聞いた」

「なぁんだ」

 

そんな話をしながら、カルマはロビーに常備してある自動販売機にお金を入れる。

 

そして呟いた。

「『ソラを守りたい』───か」

「しかも合ってるんだよなぁ…」

「あ、やっぱり?」

 

そう言ってカルマはボタンを押す。

 

それを見た柊は、

「えー…まだ好きだったんだ、イチゴ煮オレ(それ)

「いいじゃん。美味しいし」

「よくそんな甘ったるいの飲めるよねぇ…」

 

そこからは普通に世間話になった。

 




【あとがき】

紅音「ホントのところ将暉ってソラとどこまでいってんの?」
将暉「なんでどいつもこいつもそこ気になんだよ!!!」
紅音「興味関心ダイジダヨ?」
将暉「ほんとに黙れ」
紅音「その反応見てたら気になっちゃうよ?少なくともAはいってるとか想像(妄想)しちゃうよ?いいの?」
将暉「(無言で立ち去る)」
紅音「って待てぃ!!」

口割ってくれませんでした…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

本編
第1話 始まりの時間


暗殺教室、最終回が終わってしまいました…。
そんなわけで、「もし高校でも暗殺教室が続くなら」をテーマに書いていただきます!
最初の方はみんな中3ですが。

初投稿な上、既にある作品を引用した所もありますが、楽しんでいただけたら幸いです。


「ねぇねぇ磯貝、おまえこの学校どうよ。」

殺せんせーの話が終わり、みんなが自分の進路を決めようと悩んでいた休み時間、カルマが磯貝に話しかけていた。

 

…はっきり言って珍しい。

そもそも2人が話すことが滅多にないのに、カルマから話しかけるなんて…。

当然、クラスの目はその2人に集まった。

「…いや、ここ私立じゃ?」

その通り。カルマが持っていたパンフレットの表紙には「私立梅宮学園高校」と書いてあるのだ。しかし…

「いやいや、この学校特待生制度があるんだよ。しかもバイトもOKだし。磯貝のレベルだったら多分特待取れなくても公立受かるでしょ。」

「…マジで?」

「マジマジ。まぁこっから少し遠いけど、全寮制だから交通費もかかんないし。」

「全寮制か…。ここからどんくらい?」

「電車で30分くらい。」

「30分か。考えとく。」

以上会話終了である。が、その場にいた全員が同じことを思った。そしてその言葉を実際に口にした人がいた。

「ねぇカルマ。その学校のこともっと教えてくんない?」

 

 

 

中村莉桜である。

「いいけど、何が知りたいの?」

「まず、何人特待取れんの?」

「トップ3人。」

「定員は何人?」

「100人くらい。」

「…少なくない?」

「まぁね。だから倍率は結構高いけど。」

「そ。で、どこにあるの?」

「…おまえ行きたいの?」

「何で?」

「だって定員とか…なんか受けるみたいな質問してくるし。」

「いいじゃんいいじゃん、気になったから。で、どこにあるの?」

「俺の家の近く。」

「いやそうじゃなくて……は?」

先ほどカルマは高校まで30分くらいかかると言った。

…て事は、

「あんたこの学校30分もかけて来てんの‼︎」

「そぉだねぇ。悪い?」

「いや何でここ選んだの?」

「ん〜。知り合いがいないから?」

「意味わかんないし。」

「質問終わった?じゃもうすぐ授業だから。」

「ちょ、まっ…。」

カルマが話しを終えようとした時、

 

「ヌルフフフ。先生もその話気になりますねぇ。」

「…いつからいたんだよ、殺せんせー。」

「特待生制度の所からです。バイトもOKだとは優しい学校ですねぇ。」

「最初っからいたんじゃん。」

「で、その学校について教えていただけませんかねぇ。」

「…めんどくさい。これでも読めばぁ?」

「ニュア!」

カルマは持っていたパンフレットを殺せんせーに向かって投げた。

対先生ナイフを挟んで。

 

「殺せんせー、後で私にもそれ見してー。」

「あ、私も!」「俺も!」

「分かりました。後で教卓の上に置いておくのでみんなで見て下さい。」

…そして次の休み時間、教卓に人が集まったのは言うまでもない。




書いていて思いました。私やっぱり文才がない!
変な所があったら是非教えて下さい。
後投稿は、かなりローペースになると思います。次がいつになるかわからないので、その辺よろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 始まりの時間 二時間

数学と英語がムズイ。
何が言いたいか全くわからない。
そんなわけで、現実逃避しています。
どんな辛口感想も待っています!


その日の放課後、暗殺の訓練を終えて、カルマに対して質問攻めがあった。

「なんかいっぱい部活あるけど、何部が強いん?」とか、

「この学校高い所にあるっぽいけど、行くのしんどかったりする?」とか、

「制服っていつも自由に着れんの〜?」とか…。

 

「…みんな楽しそうだね。」

遠くの方でそれを見ていた渚が思わず呟いた。

彼自身、母親との『成人までは一緒にいる。』という約束があるため、少し輪から離れた所にいた。

「そーだな。まぁあいつ普段中心にいるような奴じゃないから、結構新鮮だけどな!」

「杉野は気になんないの?あの学校。」

「確かに気にならなくはないけど。梅宮高校って前に選抜出てたし。

…ただ…

 

 

 

神奈川なんだよなぁ。」

「あぁ、なるほど。」

結構有名な話だが、神奈川県といえば甲子園へ行ける確率が全国で最も低い。というか高校の数が多いのだ。

 

それと…と渚は続ける。

「…カルマってわざわざ神奈川の方から学校来てんだね。」

「なんでだろうな。あいつの頭ならもっと近くて偏差値高い所行けただろうに。」

「だね。」

 

とその時、

「その学校みんなで行けたら嬉しくなーい?」

と言った人が出できた。

「しかも全員、同じクラスになったらさぁ。」

「…中村、それどんくらいの確率だ?」

「可能性は0ではないよ。それに『他の学校にはない特別制度』も気になるし。」

「ていうかその制度について教えろよ、カルマ。」

「だから知らないって。俺はその学校の生徒じゃないし。」

「でも楽しそうじゃん?」

「みんなだって別に行きたいトコあんでしょ。」

「いや〜?私、やっぱりその学校に行きたーい。生物委員会って気になるしー!」

「ほらぁ、陽菜乃だってそう言ってるじゃん。現に私も行きたいし。みんなもそうだよね〜?」

「「「「「「「「「うん。」」」」」」」」」

「なんでだよ!別にわざわざみんなが同じトコ受ける必要なんて…」

「はい、文句は言わなーい。」

 

それを遠くから見ていた渚と杉野は、

「…やっぱり楽しそうだね。」

「渚は行かねぇの?椚ヶ丘と遜色ないトコだと思うけど?」

「…母さんとの約束あるし…。」

「…別に良くね?渚の母ちゃん前ほどその辺固執してないと思うけどな〜。」

「確かに興味はあるし、みんなが行くなら僕も行きたいけど…なんかなぁと。」

「やっぱ俺も受けよっかな。野球も結構強そうだし、何よりみんなと同じクラスになったら中村じゃないけど楽しいだろうし。」

「杉野も受けるんだ…。じゃあ僕も考えとこっかな。」

「おう!じゃあ俺ちょっとカルマと話してくるわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと全員がカルマの机から離れ、カルマが一息ついた時、

「カルマ、質問〜。」

「…何、杉野。」

「ちょっと二つくらい聞いていいか?」

「…いいよ。」

「おまえあの学校受けんの?」

「みんなが受けんなら受けるけど、全員受からなかったら…多分辞退するかな。」

「なんで?」

「家から学校が近いの嫌だから。」

「なんだそれ。」

「もう一つは?」

「あぁ。さっき中村も聞いてたけど…

 

なんでおまえこの学校来たんだ?」

「…さっき言ったの聞いたでしょ?」

「聞いたよ?で、なんで?」

「だから、知り合いがいないからだって。」

「本当か?」

「うん。」

「…そ。」

(…なんか嘘ついてる気がすんだけどな〜)

「悪かったな。じゃあまた明日な!」

「んー。」




変な感じで終わってしまいましたが、ぜひこの後の話を楽しんでください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 始まりの時間 三時間目

数学やっと終わった〜。

なので、投稿(という名の現実逃避)をしようと思います。



「ほほう、皆さんの志望校は梅宮学園高校…と。」

翌日のHR、いつもの一斉射撃が終わり殺せんせーがそう呟いた。

…そう。あの後結局みんなが梅宮高校を受験することになったのだ。

渚も母親に梅宮高校を受験したいと伝えると、「渚の人生だから」と二つ返事で了承してくれた。

 

「しっかし、みんながみんな今までの志望校を変えるって…本トにいいの〜?」

「良くなくて志望すっかよ。」

「これでみんな受かったらいいね〜。」

「みんな受かったらって…かなり不安な奴が一人いるけど?」

「…ちなみに誰だ?カルマ?」

「ん〜?寺坂以外に誰がいんの?」

「カルマ、テメェ!」

「まぁそういう冗談は置いといて、」

「置くな!」

 

そういう寺坂をカルマは無視して続ける。

「…前にも言ったけど、倍率が高いんだよねぇ。何しろ100人しか受かんないし。地元の頭いい奴全員受けるらしいし。仮に全員受かっても成績順にクラス分けするからさぁ。」

「同じクラスになれることはまぁないってことだな。」

「それに磯貝が特待とれなかったら入学しないんでしょ。」

「…ああ」

 

そんな時、中村がカルマに尋ねた。

「薄々思ってたけど、倍率って何倍くらいなの?」

それはみんなも思ってたことだった。

が、予想をはるかに上回る数がカルマの口から飛び出してきた。

「うーん…3倍は軽ーく超えるくらい?」

「…はい?」

「だから言ってるじゃん。倍率高いって。だから俺的には寺坂に限らずみんな受かるか不安だよ?」

「いや、高すぎだろ‼︎」

「なんか受かるか不安になってきた…。」

 

と、そこで殺せんせーが口を開いた。

「ヌルフフフ、皆さんずいぶん落ち込んでいますねぇ。」

「…何自信ありげなんだよ、殺せんせー。」

「当然です。皆さんは前に本校舎の生徒にテストで勝ちました。いくら倍率が高くても勝つことは可能なはずです。」

「うーん…。」

「先生に任せてください。全員合格を果たしてみせます。」

ーー確かに殺せんせーならうまくいくかもしれないーー

しかし……。

 

「…そううまくいくかなぁ。」

「なぜ?」

「さっきも言ったけど、地元の頭いい奴全員受けんだよね。それこそ『中学に私立に行った』奴も。」

「…マジか。」

「うん。しかもそういう奴って自分に自信がある奴ばっかりなんだよなぁ。例えば中学ではトップだったとか。」

「そのくせしておまえはあんまり受けんの乗り気じゃなかったよな。」

「家から近い学校やだから。」

「…やっぱり意味分かんねー。」

「まぁみんなが殺る気なら俺も別にいいけどねー。」

「ヌルフフフ、では決定ですねぇ。今日からヌルヌル強化勉強会を開きますね。」

 

ーーそれからみんなは勉強した。期末テストの時のように。

そして迎えた梅宮学園高校の入試の日…。

 

「みんな遅いってー。」

「おまえが早いんだろ。」

「まぁ遅刻魔のカルマにしたら珍しいっちゃ珍しいけどな。」

「家から近いって言っても一駅あるからね〜。それに入試の日に遅刻するほど俺も抜けてないし。」

「…まあな。」

という会話をするうちに学校に着いた。

が、なんか様子がおかしい。

やたらと人が集まっているのだ。

「なんだあれ?」

「受験者の親族か?」

 

「なんだろう。」

「さぁ…。」

と言いつつ、見てみると、

「「「「フレーフレーE組!」」」」

「「「「フレーフレーみんな!」」」」

ーー殺せんせーである。

((((何やってんだ、あのタコ‼︎))))

 

「何やってんだよ、殺せんせー!」

「ニュア!み、皆さんの応援をしようとしたのですが…。」

「……とりあえず、気持ちだけは受けとっておくよ。」

「てかそういうの結構プレッシャーになるからさぁ…。」

「…分かりました。ですが応援したいのは本当なので…皆さん頑張ってくださいね。」

「「「「はい。」」」」

 

こうして、僕らの戦い(テスト)が始まった!




テストの最中の描写はしません。
次は、テストの結果です。

来週中にあと一つ書くかもしれないです。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 始まりの時間 四時間目

テストから三日後、学校に結果が送られてきた。

「ヌルフフフ、それでは皆さん、結果を返却します。合格者は合格証が、特待生には特待生登録書が入っています。

 

…では、見てください。」

その瞬間、ガサガサっと封筒を開ける音がクラス中に響いた。

最初に声を上げたのは、磯貝だった。

「っしゃぁ!特待とったー!」

 

「マジで!」「よかったじゃんか!」「おめでとーう!」

それを皮切りに次々と「俺も受かったー。」「良かったー。」と、嬉しい声が上がった。

 

「で、一番心配だった寺坂はどーだったん?」

「ああ?俺か?」

と、封筒の中身を取り出した。そこには『合格証』の文字があった。

 

それを見たカルマは、

「お、寺坂が合格かー。じゃ、全員合格ってことでいいんだよな。」

「おいこら、どういう意味だ、それ。」

「さぁ?」

「でも、とにかく全員同じ高校に受かったんだな!」

「これでクラスも同じだったら良いね〜。」

「そうだ!カルマはどーだったん?」

「んー、俺?」

 

とカルマが見せたのは『特待生登録書』だった。そしてその下には「一位」とある。

 

「やっぱカルマ一位か。」

「磯貝はどうだったの?」

「あー…俺は三位だったんだよなぁ。特待取れたは良いんだけど、よくよく考えたらギリギリなんだなと思って。」

「まぁ、ギリギリでも取れただけいいじゃん。中には取れなかった奴もいる訳だし。」

「…そっか。」

「そうそう。」

とまぁ、そういう会話をしていた中で、どんどんと「ある」疑問が大きくなった。

 

「じゃあさ…

 

二位は誰?」

「「「「「「「「あ…。」」」」」」」」

 

確かに「自分が二位だ。」という人は出てきていない。

「ええと中村、おまえがその質問したってことは、おまえは違うんだな。」

「うん。」

「…じゃあ二位の奴は、このクラスにいないってことでいいんだよね。」

「良いでしょ、もう。」

「はぁ…、マジかー。」

「なんか問題でもあるの?」

「……ないけどさぁ。」

 

そんなカルマの言葉に、寺坂が

「じゃあ何だ、今の間は。」

「単純にあれだよ。知り合いじゃなかったらいーなーって。」

「あぁ、そういやおまえがこの学校受けた理由、『知り合いがいないから』だったっけ。」

「そうそう。」

「まぁ知り合いだったら仕方ないって割り切りゃいいじゃんか。」

「…知り合いの可能性が高いのが大問題なんだよな…。」

「ん?なんでだ?」

「まぁちょっと。」

「あんだよ。もったいぶりやがって。」

 

ーーそんなこんなで、僕らはすぐに暗殺に集中できるようになった。

もちろん、『もう一人の特待生』の存在も気になってはいたが、それをすぐに忘れるほどその日から暗殺に熱を入れた。

 

今日は二月十三日。

殺せんせーの暗殺期限まで、あと…29日




バレンタインですが、岡野さんが前原にチョコあげる所は完全にカットします。(今後の展開に関わることなので。)

次回は多分、バレンタインかなぁと考えています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 バレンタインの時間

宿題終わって、「やっと遊べるぞー。」って思ったのに、もうすぐ新学期ってどうなの?ねぇ?

私の容量が悪いの?それとも宿題が多いの?
まぁあと1日か2日は暇なんで、その間にパッと書いていきます。


全員合格の翌日、学校に着くと、岡島が(非常に分かりやすい)アピールをしていた。

「義理チョコでも余りでもいい!誰か俺にチョコをよこせぇー!」

 

「あぁ、今日バレンタインか。」

「なんともまあ分かりやすい…。」

…どうやら岡島は毎年一つ(もちろん母親から)しかチョコをもらえないらしい。

しかし…

「言っちゃ悪いが、当然じゃね?」

「前原ぁ。おまえだけは味方だと思ってたのにぃ〜。」

「失礼な。俺毎年結構もらうぞ。チャラ男のスキルをなめんな。」

「クッソ、いいか見とけおまえら。今年の俺はぜっっったい学校でチョコもらうからなぁ‼︎」

「「「「「「いや、無理だろ。」」」」」」

 

それを見ている女子たちはというと…

「岡島にチョコって…」「ないね。」

 

一方、その様子を遠くから見ていたカルマ・渚・杉野は…

「バレンタインねぇ。なんでみんなそんなに固執するんだろ。」

「カルマはどうなの、バレンタイン。」

「俺も毎年一つだよ。」

「あんまり変わんねーじゃん、岡島と。」

「いや?俺の家ちょうどこの時期『絶賛両親旅行中』だけど?」

「「ん?」」

「幼馴染がいんのよ。その子が毎年くれんの。」

「…何だその『this is 義理チョコ』は。」

「…ははっ、まぁねぇ。」

 

そんな中、杉野はやはり…

「ていうか、俺は神崎さんからもらいてぇ…。」

「神崎さんはみんなにわたしそうだけどねー。…少なくともおまえにはわたすだろ。」

「全く同感。」

「茅野とか奥田とかはどうなんだろ。」

 

そんな杉野の質問に、渚が答える。

「神崎さんと一緒じゃない?前に茅野、『神崎さんと一緒に作るんだ〜』みたいなこと言ってたし。」

「そっかー。まぁもらえるんだったら別にいいか!」

 

そんな話をしているうちにHRの時間になったらしい。

殺せんせーが、教室の中に入ってきた。

「ヌルフフフ、皆さんバレンタインのことで盛り上がっていますねぇ。…そうだ!皆さん今日は特別授業を行いません?」

 

((((((明らかにゲスい顔してる‼︎))))))

 

「っっっっって誰がするかぁ!んなもん!」

「すんげぇゲスい顔で、ゲスいこと言ってんじゃねぇ!」

「てか自分がしたいだけだろ!なんか学園モノっぽいイベントだから!」

「本音が見え見えなんだよ、このタコ‼︎」

先生の提案から一秒も置かないうちに、クラス中ブーイングと銃声の嵐に包まれた。

 

「だ、だ、だ、だっていいじゃありませんか!それに、高校皆さん同じなんでしょ?ほらっもしかしたら全員クラスが同じになるかもしれないですし、そのために皆さんの結束をより深くしようとか…」

「すでに、かなり深いわ!」

「第一全員同じクラスとかほぼ100%無理だし!」

「ニュア!そ、そんなこと言わずに…。」

 

そんな中、それを聞いていたビッチ先生が…

「あらっ面白そうじゃない、特別授業。なんなら私が教えようか?」

(((((なんかビッチ(先生)も乗ってきたし!)))))

ーーこうなったらめんどくさい。

「ヌルフフフ、では決定ですねぇ。あっ、ちなみに体育の授業はいつも通り行うということで。」

ーーこのようにして、僕らのバレンタインデー特別授業が始まった。




元々バレンタイン回1話で終らせる予定だったのに、意外と多くなりそうです。まぁ原作も3話ありましたし…。
個人的に変えたくない所はそのまま書く予定です。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 バレンタインの時間 二時間

単行本買いました。
暗殺教室佳境に入りましたね!

個人的には『卒業アルバムの時間』が結構楽しみなんですが。

あと3月どうするか決めました。ぜひ楽しみにしていてください。


「特別授業」と言いつつ、その日は一時間・二時間と普通に授業を行った。

そして三時間の体育の授業が終わって、やっと殺せんせーが僕らに言った。

「あぁ、男子の皆さんは着替えないでください。女子の皆さんは教室にいるビッチ先生の指示に従ってください。」

(((((何したいんだ、あのタコ!)))))

何が起きるんだ…とみんなが思う中、殺せんせーが、

「では皆さん…

 

 

ケイドロをしましょう!」

「「「「「「「「…はぁ⁉︎」」」」」」」」

 

 

 

 

…一方女子はというと、

「じゃあみんな、チョコ作るわよ。」

((((((((うん、だろうね。))))))))

「作るって言ってもさぁ、『この人にわたす!』って決まっている人の分は持ってきてんだけど?」

「そーそー。」

「あーじゃー友チョコでも作ればいいじゃない。」

「…それってこの企画の意味ないんじゃ…。」

 

そう正論をいう女子たちに、ビッチ先生が…

「黙らっしゃい、そこ‼︎いいから作るわよ‼︎」

「「「「「はーい。」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

裏山で、僕らは前回同様少し談笑しながら逃げていた。

「なぁ、なんで俺らケイドロしてんの?」

「…さぁ。」

「おーい、そんなにしゃべってたらまた烏間先生に殺られんぞー。」

時間は数分前にさかのぼる…。

 

「ケイドロって…なんでだよ、殺せんせー‼︎」

「問答無用‼︎ルールは以前と一緒。あ、でも追いかけるのは、烏間先生のみです。」

「…殺せんせーは?」

「牢屋に待機しています。」

「要は見張りな。」

「あ、今度は絶対に逃さないので。」

「…てかよく烏間先生乗ってくれたな。」

「訓練の一環だと言われたらな。」

「いや、明らかに違いますよね、これ。」

「なんですんのかの理由も見え見え。」

「まぁまぁいいじゃないですか。」

「仮にするにしても、ハンデくれよ。」

「そーだ。じゃないと勝てねーもん。」

 

ここで前と同じくブーイングが起こる。

そんな男子たちを見た殺せんせーは、

「うーむ、分かりました。では牢屋に入った人を一人だけ見逃しましょう。あっ、ただしラスト1分になったらダメですよ。」

「…かなり気にくわないけど…まぁいいか。」

「では、今から五分後に烏間先生が追いかけるので、皆さん逃げてください。あと制限時間は一時間なので。」

 

…と、今に至る訳なんだが…。

「冷静になって考えたんだけど…あれハンデじゃなくね?」

「確かに。」

「ま、どーせこの間に女子がチョコ作ってんだろーけど。」

「なんともまぁ、分かりやすい時間の稼ぎ方…。」

 

僕らは前と同じく四人一組に分かれて逃げていた。

…人数の関係で、僕の班は三人だが。

 

「でもさぁ、女子だってチョコ持ってきてるだろ。

この時間絶対意味ないと思うんだけど…。」

「全く同感。」

「僕も。」

 

杉野の言葉に、僕とカルマは同意する。

だが、今さら文句を言っても仕方ないので…

「ま、時間稼ぎとはいえやるか。」

「そーそー、これもあのタコを殺る『訓練』って思えばねぇ。」

 

 

ーー同時刻、モミの木の近くにて。

他の班同様、談笑をしている班があった。…他の班と違ったのは周りに無警戒だったことだろうか。

 

殺せんせーがくれたハンデについて、岡島が切り出した。

「一人だけ見逃すって…誰にすんだよ。」

「まぁ、機動力が高い奴になんだろな。」

「木村あたりか。」

「おい、俺を勝手に殺んな。」

「でもマジでそのあたりになんだろーな。」

そこにいたのは岡島・木村・菅谷・三村の四人である。

 

と、そこに…

 

文字通り『鬼』が来た。

 

「…岡島君、木村君、菅谷君、三村君、

 

逮捕だ。」

 

「「「「…はい?」」」」




結論

やっっっぱり烏間先生って怖いわ!
書いてるこっちも怖いもん‼︎

あとなんか3話にとどまらず5話はやりそうな感じになってます。
誰がどのセリフ言ってるのかがよくわからないし。

ちなみに班分けは、
①カルマ・渚・杉野
②磯貝・竹林・千葉・前原
③岡島・木村・菅谷・三村
④寺坂・村松・吉田・イトナ
となっています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 バレンタインの時間 三時間

前回と同じことを言うようですが、
烏間先生って…やっっっぱり怖い!

好きな方、本当にごめんなさい。
でも烏間先生って本気でケイドロしちゃダメだと思う。


男子がケイドロをしているころ、女子はというと…

「ねぇ、あれ殺せんせーじゃない?」

「…なんか警官のコスプレしてるよね。」

「ってことは…。」

「…男子ドンマイ。」

何かを察知した女子たち全員は男子たちに激しく同情した。

 

 

 

 

 

一方その頃牢屋では…

「…何すぐに捕まってんの、岡島?」

「…マジで悪い。」

岡島がカルマから叱責を受けていた。

 

「ちゃんと周り警戒してた?」

「…してないです。ふつーに話してました。」

「俺しろって何回も繰り返して言ったよね〜?」

「悪かったって‼︎てか殺気込めて話すのまじめにやめて‼︎おまえがやったらシャレにならん!」

「まぁ他にも言いたいことはあるけど、烏間先生が来たらヤバいからそろそろ切るわー。またあとでゆっっっくり話そっか。」

「怖いわ!てかなんで俺だけなんだよ!他にも三人い……通信切りやがったぁぁぁぁ‼︎」

「いや岡島、俺らを売るな。」

 

 

 

 

 

「…大変そうだね。男子も。」

「なんか早速捕まった人が四人もいるし。」

「四人一組で動いてるんじゃない?前みたいに。」

「だからって…すぐに捕まる?」

「まぁ…ね。」

「ちょっとそこ!口動かさずに手を動かしなさい!」

「「「「「…はぁーい。」」」」」

 

 

 

通信を切ったカルマは、杉野からチェックを入れられていた。

「カルマ、今のまぁまぁ怖かったぞ。」

「ん?そう?気のせいじゃない?」

「「絶対違う。」」

「気のせいだっ…て。」

そのとき、急にカルマは木の上に飛び乗った。

「どうした?」

という杉野の質問に対し、カルマはただ一言、

「察して‼︎」

その言葉にすぐに反応した渚はともかく、残された杉野は…

 

「杉野君

 

逮捕だ。」

 

 

一旦僕らは散ったけど、また別の場所で合流した。

「烏間先生マジで怖えぇわ…。」

「…同感。」

「…コレ、作戦立てないと…間違いなく殺られる気がする。」

「でも作戦って…前回はこれで撒けたのに…。」

「…もういっそ烏間先生捕まえるか?」

「はい?」

 

…きっと、いや間違いなくそのときの僕は(何言ってんの?)って顔をしてたと思う。それを見たカルマは、

「…ごめん、やっぱ無理。」

「…ていうか作戦以前に、二人で先生撒くのは無理でしょ?とりあえず他の班いかない?」

「…そーだね。あっ、それかどっかの班から一人引っ張り出すか。」

「…そっか。じゃあそうする?」

「俺、ちょっと欲しい奴一人いるから。」

と、カルマがある人物と通信を始めた。

「もしもし?

 

寺坂?」

 

 

 

静かだ。

先程まではわずかな話し声が聞こえた。

だが今は…

物音は『ほとんど』しない。

と、遠くで「カサッ」と音がした。

「何か」が動いた音だ。

次の瞬間、『鬼』はその方向へ向かっていった。

 

 

カルマは

「ふー」と(音にならない程度に)息を吐いた。

そして、彼の前にいる人の肩を叩き、尋ねた。

『成果はどうだった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イトナ。』

『バッチリだ。烏間は今ドローンの方に行った。』

『近くには誰もいないよね?』

『いない。全員の位置は把握している。』

『りょーかい。じゃあ続けて。』

そう。今カルマたちはチャットで会話をしている。

「もしかしたら烏間先生は俺らの声で居場所の特定をしてんじゃない?」という懸念からだった。

 

時間は数分前にさかのぼる…。

 

「もしもし?寺坂?」

「…嫌な予感しかしないが、なんだ?」

「突然で悪いんだけど…イトナ貸して?」

「あぁ?なんでだよ!」

「もう知ってると思うけど、俺の班の杉野が殺られてさぁ、」

「おまえ見捨てたな?」

「見捨ててないよ。渚が証人。」

「あぁそうか。でなんだ?」

「もともと三人しかいないのに一人殺られたからさ、結構ヤバいんだよね。で、ちょうど今思いついた作戦にイトナがいるからさ、貸してくんない?」

「あぁ、はいはい。」

「あと、これからの会話は全部チャット使って。もしかしたら烏間先生、俺らの声で場所調べてるかもしれないし。」

「はいはい、りょーかい。」

 

で、今に至る訳である。

残り時間は40分。残りのメンバーはあと10人。




前原「俺の出番なくね⁉︎原作では結構あるだろ‼︎」
KJK「前原ごめん。おまえの出番は高校入ってからだよ。入ったら増える予定だから…ちょっと我慢して…。」
前原「俺らいつ高校入るんだ⁉︎」
KJK「GWまでは待って…。六月には入学できるように私も頑張るから…。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 バレンタインの時間 四時間

バレンタインの時間と書いときながら、全然バレンタインの空気がない‼︎
一応次で終わる予定です。

あと今回はほとんどチャットで会話しているので書いてることと思っていることに少々ズレが出ることがあります。あまりにもありすぎる場合は是非教えてください。


あまりにもすんなりとことが進んだため、カルマは不信感を抱いていた。

(…何かおかしい。烏間先生ってこんなにチョロかったっけ?)

ドローンに烏間先生をおびき寄せる。作戦が成功した…と思っていたが…。

何というか、静か『すぎる』のだ。この山が。

OKの指示は出したものの…普通はこんなにも静かだと警戒する。

烏間先生が相手ともなればなおさらだ。

それも踏まえて次の作戦も考えていたのだが…。

(…一応指示出しとくか…。)

『寺坂?』

 

 

一方牢屋の方は…

「なあ殺せんせー、俺見逃してくんね?」

「あっ、ズリィぞ、岡島。俺らも逃げてぇよ。」

 

なんやかんや言って牢屋では脱走を志願する人が激増した。

そんな男子たちに殺せんせーは、

「黙らっしゃい‼︎さっきは言い忘れていましたが、復活の条件は『全員一致でその人の復活を望む時』のみです!」

「「「「「…はぁ⁉︎」」」」」」

「ふざけんじゃねぇ!」

「そんな条件クリアできる奴いねぇよ‼︎」

 

あまりの横暴とも取れる措置に、そこにいた5人はブーイングをしたが、

「いーえ‼︎ていうかそもそも早くに捕まった君たちが悪いんですよ〜。バーカバーカ。」

「「「「「ガキか‼︎」」」」」

「それに岡島君・木村君・菅谷君・三村君の四人はしゃべってたから捕まったんでしょう?そんなの自己責任ですよ〜だ。」

「…マジでウゼェ。」

「文句を言う暇あったら職務(計算ドリル)をしなさい!」

 

 

「なんだかんだ言って楽しそうだね、男子。」

「自分もやりたいかと言われたらやだけどね。」

そう言い、女子たちはチョコを作っていた。

 

 

 

一方その頃、カルマは寺坂に…

『寺坂?』

『次は何だ。』

『俺今から…

 

渚をそっちに派遣する。』

『は?』

『はっきり言って、渚殺られたら結構イタイからさ。』

『俺ら班よりおまえらの班の方がドローンから遠いだろ。だったらそっちの方が安全なんじゃねぇか?』

『だからこそそっちの方が安全なんだよ。』

『は?意味わかんねぇ。それに渚がこっち来たらおまえら二人になるだろ。』

『あぁ、そこは大丈夫。そういうことだから。じゃ。』

 

そして磯貝の班はというと…

(あと30分か…。)

と、そこに

『磯貝、新情報。』

『何、前原?』

『さっき殺せんせーが言ってたハンデ、「全員一致」じゃねぇとダメらしい。』

『どういう意味?』

『全員が「その人でいい」って言わないと見逃さないってことだと。』

『マジかよ…。』

その時、

(ん?カルマから?)

『磯貝?』

『どうした、カルマ。』

『あと30分の指示磯貝に任せるから。』

『は?何で?』

『多分俺ら今から烏間先生に捕まるから。』

『何で?』

『俺らが一番ドローンから遠いから。多分寺坂の班が最後まで残ると思うけど。』

『そっか。了解。』

『じゃあよろしく〜。』

 

 

ちょうどその頃烏間先生はというと…

(やはりドローンか。前にイトナ君が作っていたからな。ということは少なくともイトナ君はこの近くにはいないな。

…元に戻ってみるか。)

 

残り時間は30分。残りのメンバーは、あと10人。




現在牢屋にいるメンバー
ー岡島・木村・杉野・菅谷・三村ー
ですね。
まぁもしかしたら、原作以上の扱いする奴もいるかもしれないですね。(いい意味でも、悪い意味でも。)
ただ、それはそのキャラが好きだから、嫌いだからということではないので。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 バレンタインの時間 五時間

すみませんが、時間については、突っ込まないでください…



ドローンで烏間先生を観察していたイトナがカルマに変化を伝える。

『カルマ。烏間に動きがあった。』

『こっちに来てる感じ?』

『ああ。』

『OK。じゃ、磯貝に伝えるわ。』

 

その頃磯貝は、

(カルマは『寺坂の班が最後まで残る』っていってたよな。…じゃあ寺坂の班は動かさない方がいいのか?)

残り時間の判断を任された磯貝は…正直迷っていた。どの班をどう動かすか…。

 

と、そこにカルマから連絡が入った。

『磯貝。烏間先生俺らの班の近くに来るみたいだから、それを踏まえて判断よろしく〜。』

…寺坂の班は動かさない方がいいな。

確か牢屋からドローンまで10分程度かかるはずだ。

そしてカルマの班からここまでは5分弱、俺らが足止めできたとして…3分がギリギリか。

あと、残り時間は25分…

(…あれ? いけるか?)

 

 

ちょうどそのとき、カルマの班では…

「イトナ、来たぞ!」

「ああ。わかった。」

牢屋の近くにいたカルマとイトナは烏間先生を見つけると、別々の方向に走っていった。が、当然烏間先生の手から逃れられる訳はなく…

 

「カルマ君、イトナ君。逮捕だ。」

 

 

烏間先生が去った後…

「烏間先生さぁ、絶対『あのルール』忘れてるよね〜。」

「…可能性あるな。」

「磯貝は気づいたかなぁ。」

 

 

 

同じ頃、磯貝の班では…

『カルマとイトナが殺られたって。』

『予定通りだ。問題ないよ。』

 

そういう磯貝に、前原は尋ねた。

『…問題ないのか?』

『ないよ。そろそろ寺坂の班に指示入れるからさ。烏間先生来たら言って。』

(あと20分か…もし計算通りことが進めば、多分俺らは勝てるよな…。)

 

 

そして…

「烏間先生来たぞ!」

「「「了解!」」」

その声で、磯貝・竹林・千葉・前原は四方に散らばった。

…訓練の成果もあったのか、烏間先生が全員をタッチする(殺る)のに予想通り3分ほどかかった。

「あと10分強か…。」

「時間稼げたか?」

 

そう聞く磯貝に、千葉が答えた。

「…少しだけな。」

「…そろそろいくか?」

「そうだな。」

 

 

それから数分後、寺坂班にて。

「烏間先生来たよ‼︎」

「「「おう!」」」

その渚の声で、寺坂班も磯貝班同様に四方に散らばった。

ただ…磯貝班とは、機動力が大きく違っていた。

「渚君・寺坂君・村松君・吉田君逮捕だ。

 

…これで全員か。」

そう。烏間先生は確かに全員をタッチした。…が、

 

「はぁ?何言ってんだよ?あと一人残ってんだろーが。」

「まぁぜってー捕まんねーけどな。」

「…何?」

 

寺坂らに聞き返す烏間先生に、渚が解説した。

「だって烏間先生、あと5分くらい時間余ってますけど…

 

 

 

 

それまでに牢屋に戻るのはいくら烏間先生でも不可能でしょう?」

「‼︎しまった!」

 

時間は15分ほど前にさかのぼる…。

そしてそれは磯貝が寺坂にチャットを交わした時だ。

 

『ああ、寺坂。』

『磯貝か。なんだよ。』

『おまえさ、殺せんせーが俺らに出したハンデが「全員一致」だって知ってるか?』

『おう。渚から聞いた。』

『じゃあさ、見逃す奴木村にしてくんないか?』

『わかった。』

『あと、可能な限り時間使って。俺らも使うけど、あとの時間がなくなった方がいいから。』

『はいはい。』

『じゃ、よろしくな!』

 

…そう。ちょうど磯貝の班が捕まった時に木村が牢屋から復活したのだ。

つまり、烏間先生は絶対に木村を捕まえることは出来ない。

 

「ヌルフフフ。一時間経ちました。終了です‼︎」

「で、結局さぁ殺せんせー…これなんのためにやったの?」

「?いえ?意味など特にありませんでしたが?」

「「「「「「…はぁ⁉︎」」」」」」

「なんだよそれ‼︎俺らの頑張りを返せ‼︎」

「本当にただの時間潰しだったんだな!」

「ニュア‼︎で、でもクラスの親睦は深まったでしょう?結果オーライですよ。結果オーライ。」

「だからすでに深いんだよ‼︎」

「四時間前と同じことを言わすな‼︎」

「そんなことを言わずに〜。」

 

…こうして、3-Eとして最後のケイドロが終わった。

そして女子も準備が終わり、とうとう特別授業の本番となった‼︎




次回は昼休みに渡すのと、放課後に渡すのの二つをやる予定です。
是非楽しみにしてください‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 バレンタインの時間 六時間目

やっと日常回に戻った気がする…。



「さぁ皆さん、教室に戻りましょう。」

ケイドロが終わり、男子は全員教室に戻った。

女子はすでに着席しているようだ。

 

そして殺せんせーは、クラス全員が席に座ったのを確認すると、

「では…

 

チョコを渡してください‼︎」

「「「「「「「はぁ⁉︎」」」」」」

「何それ、意味分かんない‼︎何で先生の前でわざわざ渡さなきゃだめなのよ!」

「渡すにしても先生出て行って‼︎」

 

殺せんせーの言葉に、クラスのみんな(主に女子)がブーイングをした。それを見た先生は、

「ニュア‼︎…分かりましたよ‼︎出ればいいんでしょ!出れば‼︎」

出て行ってくれる分は別にいいのだが…なんか素直だ。

なので一応片岡が、

「…先生は教員室で待機ね?」

「え?」

「当たり前でしょ?盗み聞きされたらたまったもんじゃない。」

「ぬぬぬ…まぁいいでしょう。」

「OK!じゃぁ烏間先生、ビッチ先生、見張ってて〜。」

「ニュア‼︎」

 

「よし!殺せんせーも追い出したし、チョコ渡そっか!」

「うん!」

その声と同時にみんなが班に分かれてチョコを渡し始める。

 

まず一班…

「みんな〜、いつもありがとう〜。」

「陽菜乃もありがとう!また高校でも仲良くしてね!」

「もちろん!」

 

それを見た前原は、

「…女子同士でチョコ出回ってるけど、俺らにはないんかい。」

と、そこへ…

「磯貝君、木村、あげる。」

「「あ、ども。」」

「ちょっと岡野、ひどくね⁉︎」

「だって前原、毎年女子から結構もらうんでしょ?」

「いや確かにもらうけど!俺だけないって明らかにひどいだろ‼︎」

「はぁ…仕方ないからあげるよ。ほら。」

「なんだ、あったのかよ。サンキューな。」

「…うん。」

((((いい加減気づけよ、前原(君)‼︎))))

そのやりとりを見ていた一班のみんなは、前原に心の中で突っ込んだ。

 

一方では…

「あっ、磯貝君。」

「ん?どうした、片岡?」

「放課後ちょっと裏山に来てくれる?」

「?ああ、わかった。」

片岡が磯貝を呼び寄せていた。

 

次に二班…

「凛花、不破ちゃん、チョコあげる。」

「あっありがとう!」

「…ありがと。」

それを見た岡島は、

「中村ぁ、俺のはねぇの?」

と聞いたが、中村は

「うん。ない。」

「ひどくね⁉︎」

 

あまりにきっぱりと断られたので、岡島はかなり落ち込んだ。

「岡島にチョコはないよ。ねぇ。」

「うん。」

「ないわね。」

「くっっっっそお!おまえら数年後にチョコ渡さなかったの後悔しろ‼︎」

 

そんな岡島を横目で見つつ、速水は千葉に話しかけていた。

「千葉、放課後裏山の射撃場で。」

「ん。わかった。」

 

三班では…

「はい。みんな、チョコレート。」

「おう。ありがとな、原。」

原が三班の全員にチョコを渡していた。

 

そしてその後、寺坂は狭間に尋ねた。

「で、狭間はねぇのかよ。」

「しつこい男狭間嫌われるわよ、寺坂。あ、失礼。すでに嫌われてたわね。」

「るっせぇ‼︎ようはねぇんだな!」

「…一応あるけど、今ちょっとタイミングが悪いから放課後まとめて渡すわ。」

「?おう。了解。」

寺坂は若干の違和感を感じつつも、それを承諾した。

 

四班では…

「渚、カルマ君、杉野、はい、チョコ。」

「ん。ありがと。」

 

茅野・奥田・神崎が、渚・カルマ・杉野にチョコを渡していた。

「へへん、今回私は神崎さんと奥田さんと一緒に作ったのだ。」

「ははは、前に茅野言ってたもんね。」

「はい!私初めてチョコレートを作ったので、とても楽しかったです!」

「それは良かったぁ。」

そういう奥田に、茅野は安堵の表情を浮かべていた。

 

…みんな先生を追い出すことには成功したわけだが、クラスの目もあるこの場で本命を渡す人はほとんどいない。

多分放課後にまとめて渡すのだろう。

 

そうこうしてるうちにみんな一通り渡し終えたようで、殺せんせーが教室に戻ってきた。

そして放課後。普段は訓練を受けている人たちも、その日は裏山に行った。

そして教室では…

(…どうしよう。渡そうかな…。)

その少女は机の中にあるチョコレートの箱を見て迷っていた。と、

「おやおやおや?」

「それを一体どうしようというのかね?」

二人のクラスメート(悪魔)がその少女…茅野の後ろに現れた。




前回、放課後もするって言ってたのに…もし期待してくださった方がいたら、本当に申し訳ない‼︎
バレンタイン回は、あと一回か二回やります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 バレンタインの時間 放課後

今回は完全に原作に沿っています。



「え?何言ってるの、二人とも。余ったんだだよ。特別授業でチョコ作ったから。」

「へぇ〜、なぁんだ。私らはてっきりこの男にあげるもんかと。」

それと同時に中村が茅野に見せたのは…

 

 

渚とのキスの写真だった。

 

それを見た茅野は耳まで真っ赤にして、

「ゆるしてつかぁさい…ゆるしてつかぁさい…。」

とつぶやいていた。

茅野と渚。この二人をくっつければまとめていじれる…。

そう思ったカルマと中村は茅野を手伝うことにした。

 

 

 

 

 

 

茅野・カルマ・中村はその話をするために、体育倉庫に集まった。

「とはいえ、渚自己評価低いからねぇ。自分が異性に好かれるとか思っちゃいない。」

「そうそう。これ(キス)にしても『茅野に悪いことした』って言っててさ。ほぼ間違いなくちゃんと口に出さないと伝んないよ?」

 

順にそういう中村とカルマに、茅野は顔を赤くしながら言った。

「だって…お芝居でなら何回も演ったし、イメトレもしたけど…

本当(リアル)に誰かを好きになったの初めてだから…。」

「どーやって渡せばいいかわからないって?

じゃ、裏山行こうよ。本命渡してる奴いっぱいいると思うし。いつもの訓練の活かしどころだよ。」

カルマはそう言って茅野を促した。

 

そんなわけで裏山に行くことになったのだが…

 

【千葉・速水】

パパパァン

「ほら。当たったろ。」

「すっご。粒チョコでも命中率変わんないんだ。 約束だし全部あげる。尊敬してる。高校でもよろしく。」

「ん。サンキューな。」

 

「あの二人の射程距離はやっぱり独特だねぇ。」

「…絶対マネできないし…あれって本命なの?」

 

【寺坂組】

「想いのこもった手作りチョコよ。手紙も添えとくから、近いうちに返事よろしくね。」

手紙を読んだ寺坂達は…

「こめたの想いじゃなくて呪いだろ‼︎」

内容は…まぁそういうことだ。

「てか、さっき言ってた『タイミング』って手紙(これ)のことかよ‼︎」

 

「チッ、しまった。奥田さんからもらったシアン化チョコ、寺坂の下駄箱に仕組もうとしたのに…先越された。」

そういうカルマに、茅野は…

「チョコをチョコと思わない人たちが暗躍してる‼︎」

 

「…ていうか全っっ然参考になりそうなのがないよ〜。」

「んー…じゃ、あれはどう?」

 

【磯貝・片岡】

片岡が草むらから出してきたのは…

「え?こんなにもらっていいのか?」

「うん。ちょうど食べ盛りでしょ?弟さんと妹さん。家の近くにすっごく安い業務スーパーがあるからさ。」

「ほんとに悪いな。いつも。」

「うんん。へーき。」

 

「ね。目的も渡し方も人それぞれでしょ?」

「茅野ちゃんもそれ渡す時に一言二言添えればいいんじゃない?」

「ん…ありがと。二人とも。」

「いいよ、全然。…ただ…」

 

中村が指さした先には…

 

「ヌルフフフ。くっついておる、くっついておる。」

 

「…あのゴシップタコに見られんのは気にくわないよね。」

「ああ、それなら大丈夫。茅野ちゃん、『あれ』持ってきた?暗殺に使えそうだからって頼んでたやつ。」

「あっ、うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室にて…

「くっっっっそお‼︎おれの分のチョコがねぇ‼︎さては裏山に隠したな‼︎いいか渚!今年こそ俺は0個で終わらせないぞ‼︎」

そんなことを言いながら裏山へと去った岡島を渚は少し笑いながら見送った。と、その時コートの袖を引っ張った人がいた。

無論、茅野である。

 

「茅野?」

「…渚。ちょっといいかな?」

 

教室に入ったはいいが、茅野は全然喋らない。…どうしたんだろう?

 

と、

「…渚は、将来どうするの?」

ああ、将来の話か。

少し悩んで、

「んー…なりたいものがやっと少しだけ見えてきた感じかなぁ。」

僕はわかばパークでのさくらちゃんのことを思い出していた。

『先生以外に何があるの?』

純粋にそう聞かれて、初めて「先生」に憧れていた事に気がついた。

 

その時、殺せんせーが一心不乱に何かを見ている姿が目に入ってきた。

「殺せんせー?何見てんだろ…。」

そして先生を打とうとしたが…射程圏外だったことを知り、少しがっかりしたり。

 

ちょうどその時、

「渚。」

「ん?」

「ありがとう。いつも隣にいてくれて。」

その手には…バレンタインのチョコ。

「…え?僕に?」

「うん。」

「そんな。ありがとうってこっちのセリフじゃ…」

「じゃあね、渚!また明日!」

 

 

「いざってときには自分を殺して他人のために…か。」

「ああいうところは雪村先生に似てんのかもね〜。

 

で、殺せんせーに何仕掛けたの?」

「ああ、茅野ちゃんに一筆頼んで先生の机に置いたんだよ。…あんな効くんならちゃんと暗殺に使えば良かった。」

 

殺せんせーが見ていたのは…雪村先生の水着の写真だった。




渚の心情は完全な予測です。
バレンタイン、次回終わりです。

裏山にて…
岡島「くっっっっそ‼︎なんでねぇんだよ‼︎どこに隠してるんだ‼︎」
岡島、今年のチョコの数一個…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 バレンタイン 大人の時間

学校が始まったので、かなりペースが遅くなります。
ひどい時は週一になります。



椚ヶ丘にある高級料理店…バレンタインデーのその日はいつもよりも、賑わいを見せていた。

事前に予約を入れれば、完全個室であることも有名である。

もちろんその日は、個室も満席になっていたが。

 

その部屋の一つに彼らーー烏間先生とビッチ先生ーーがいた。

始めはバレンタインの話をしていたが、間もなくビッチ先生が本題を切り出した。

「で、どうなのよ。そっちは。」

「…何がだ。」

「暗殺の話。『地球爆破の確率が1%以下になりました。バンザーイ。』…とはならないと思うけど。…それに『1%』って私自身はそんなに低い確率じゃないと思うし。」

 

いつになく真剣な表情をしているビッチ先生を見て、烏間先生は悟った。そして…

 

「俺自身詳しいことを聞いているわけじゃないから、細かいことは言えない。だが…世界中で合同暗殺計画が進められていることは知ってる。」

「…そう。」

 

その日の帰り道、ビッチ先生は烏間先生に打ち明けた。

「私ね、地球が爆破した方がいいと思うの。

もし卒業までに殺せなかったとしてたら、どこかに必ず喪失感が残る。まして、国の暗殺であのタコが生徒達の目の前でなすすべもなく殺られたら?愛憎にまみれた暗殺者に残酷な恩師の死を見せつけられたら?

 

怖いの。挫折・無力・トラウマ…どれもあの子たちの将来を歪めそうで。純粋に暗殺を楽しんでたガキどもが醜い大人になるのを見たくないのよ。」

 

そう悲しそうに語るビッチ先生を見て、烏間先生も口を開いた。

「イリーナ。お前はこの仕事が終わったら暗殺者をやめろ。向いてない。」

 

それを聞いたビッチ先生は、烏間先生をにらみながら

「なんですって?」

 

それに構わず烏間先生は続けた。

「お前は情が深すぎる。この一年で、致命的に深くなった。そんな状態で仕事を続ければ、余計苦しみが大きくなるだけだ。」

 

ビッチ先生はそれと同時に烏間先生に銃を構えた。

その瞬間、烏間先生が動きを封る。

「…堅気さんは、ずいぶん簡単に否定するのね。私が今まで積み上げてきた痕跡を。たくさん殺したのよ。そんな私を世間は絶対に認めない。」

 

その言葉を烏間先生は否定した。

「そんなことはない。『全ての経験は(みち)を拓く道具(ルーツ)になる。』そう教えてくれたのは生徒達だ。たとえ彼らは何があってもそのことを糧にして未来につなげるだろう。

 

イリーナ。お前は防衛省(うち)で働け。その経験は、そこで必ず生きる。今まで殺した人は毎日神社に行って祈れ。それだけでいい。」

 

そして烏間先生はビッチ先生から銃を取り上げて、立ち去ろうとした。

「…神社って…私一応クリスチャンなんだけど。第一日本に身寄りもないし。」

 

すると、烏間先生は足を止めて言った。

「わからないか。

 

 

俺の家の近くに教会はないぞ。」

 

その言葉の意味が初めは分からなかったビッチ先生も、しばらく考えているうちに…

(ええええええええええええええええ⁉︎)

 

「ちょっとカラスマそれって…。」

「そういうことだ。」

「ちょっ、一つ屋根の下で男女が二人きりなんてふしだらな。」

「嫌なら一人で住め。」

「行くっ。()きます!」

 

夜の椚ヶ丘の街で、二人の声が響いていたという。




しばらくは原作通りにやる予定です‼︎

前原「おい、これ本当に俺らGWまでに入学できるのか?」
KJK「できるよ‼︎(多分)それにいくら遅くても6月までには卒業させるから‼︎」
E組一同「できねーじゃねーか‼︎」
KJK「…すんません。」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 プライドの時間

今回は少し長めです。


場所は椚ヶ丘の住宅街。

カルマは駅までの道のりで不良に絡まれていた。

 

「はぁ?」

「肩がぶつかったって言ってんだろ。」

 

そう主張する不良たちに対し、カルマは煽りをかける。

「そっちが広がってるからじゃん。あっ、それか謝んなかったら何かあんの?」

「…このガキ…。」

 

不良たちが切れたのを確認すると、カルマは笑いながら…

「ははっ、やるんだ。」

そして殴る体制に入った。

 

が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありませんでしたー‼︎」

…殺せんせーである。

「どうか担任の私に免じてお許しを!この通り靴ならいくらでもなめますんで!」

 

不良たちは(な、何かキモい上に靴溶けてねぇか?)と思い、

「ちっ、先公ならちゃんと生徒の態度ぐらい教育しとけ‼︎」

と言い、立ち去った。

 

それを確認した殺せんせーは、

「カルマ君。この時期に暴力沙汰はダメでしょう。」

「フン。」

「この一年で、ずいぶん成長した君ですが、そのケンカっ早さはなかなか直りませんねぇ。」

「…ある程度ケンカしてればバカもよってこないし。それに何で悪くないのに謝んなきゃダメなの?そんなことしたら…

 

自分の中の大事な刃を失っちゃうよ。」

 

そう主張するカルマに対し、殺せんせーは顔を×にしてこう言った。

「それは違いますよ、カルマ君。本当に優れた殺し屋は、仕事中に通行人とぶつかれば…迷うことなく頭を下げるものですよ。ターゲットを狙う彼らからすれば、目の前のいざこざは無駄(リスク)でしかない。

また、君が目指す官僚の世界でも利益のために理不尽に頭を下げないといけない時もある。」

 

そしてカルマの頭にポン、と触手()をのせ、

「では…君に合った頭の下げ方を教えましょう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、カルマは渚・杉野・寺坂・イトナと一緒に山を下りた。

 

いつもと違う表情を浮かべているカルマに対し、寺坂は、

「冴えねぇ顔してんな、カルマ。またあのタコに鼻っ柱折られたか?」

その言葉に対し、イトナは、

「うらやましいか、寺坂。お前のだんごっ鼻じゃ折りようがない。」

「ああ⁉︎」

 

そのやりとりを聞いたカルマは、イトナの方を振り向いて尋ねた。

「イトナはさぁ、最初会った時に言ってたじゃん?俺の方が強いとか弱いとか。そこらへんはもうこだわってないの〜?」

 

その質問にイトナは、

「あれは俺の言葉じゃなくて、触手の言葉だ。俺が本当に欲しかったのは…強ければ手に入るものではなかった。だからカルマ、お前の方が強い。それでいい。」

 

その回答にカルマは「ふーん。」と、気のない返事をした。

 

その時、

「ちょっ…離してったら‼︎」

 

「あの声…矢田さんじゃない⁉︎」

渚の声を皮切りに5人はその方向に走り出した。

そしてそこにいたのは6人の外国人だった。

 

「あーあ、やっぱ英語しゃべれねーか。日本の女は。」

「構わねーよ。体で会話できればな!ははははは。」

 

「おい、テメーら何やってんだ‼︎手ぇどけろや‼︎」

 

最初に口を開いた寺坂に、外国人達は

「ったく…頼むからヒトの言葉でしゃべってくれよ。」

 

すると…

「離せって言ってんの。うちの女子にあんたらの匂いがうつるんだよ。それか飼育係呼んでこようか、家畜共?」

 

外国人に対し挑発をしたカルマだったが…

 

「…なんだと?」

その外国人達はカルマに殺気を向けてきた。

そこでカルマは相手の実力に気がついた。

(…なんだこいつら。殺し屋か?どいつもこいつもめちゃめちゃ強い。)

 

その時外国人の内の一人が、

「おい、赤いチビ。いいからおとなしく女を差し出せや。そしたら殺しやしねぇよ。少し遊んだら返してやる。

世界中動き回ったから飢えててよ。聞く話によると、日本の女は何されても従順に従うそうじゃねーか。」

「…このやろう!」

 

一方後ろでは渚と杉野が小声で、

「殺せんせーは?」

「カナダにメープルシロップ絞りに行ってる。」

「…てかこいつらそれも予定の内なんじゃ?」

 

その時、もう一人の外国人が

「いや。俺はこのガキも逃がさねぇ。反抗的な目に侮辱の言葉。一つ社会のマナーを教え込まないと気がすまねぇよ。」

 

カルマは外国人達を見て、

(…こいつ一人だけでも余裕で鷹岡より強い。そんなのが合わせて6人。こっちの戦力は5人。この路上で不意を突けば1人か2人なら倒せるかもしれない。…でもそれまでだ。絶対に矢田さんは助けられない。なぜって…奥の奴が別格でやばい。下手すれば…烏間先生より。こいつらを本気にさせてしまったら…どんな結末が待っているか…。)

 

「…悪かったよ。」

「ああ⁉︎」

考えた末、カルマは謝る選択をした。

「謝るから、離してやってよ。みんな…卒業前の大事な時期なんだ。」

「日本語で謝罪の言葉が聞きてぇなぁ。ロッポンギで日本人ぶちのめした時に覚えたからよ。」

 

外国人にそう言われ、カルマは一瞬躊躇した。

が、昨日殺せんせーに言われた言葉を思い出す。

『カルマ君、プライドの刃は捨てなくていい。一度足元に置くだけです。』

カルマは胸に手を当てて、教え通りプライドの刃を足元に置いた。

そして、

「…すいませんでした。今日のところは勘弁してください。」

 

『置いた刃をまっすぐに見なさい。正しい志が宿った刃なら、地面でも煌々と輝いているはずです。』

 

「プ、ははははは!びびんなよ!ちょっとからかっただけだって!」

「はなからこんなガキに興味ねぇよ。」

「ちょっと泣きそうな顔すんなよ。あっ本当に泣いた?ははは!」

 

外国人達は矢田を離して立ち去った。最後にリーダー格の男が、

「すまなかったね。全員私の友人なんだが、少しクセのある奴が多くてね。」

 

外国人の全員いなくなったのを確認してからカルマは地面に手を伸ばし、プライドの刃を拾った。

そして胸に刃を戻した後、一息ついた。

「渚はすごいよね。鷹岡に平然とやってのけたんだからさ。」

「うんん。こらえてくれて本当に助かったよ。」

「あのタコが言うにはさ、社会に出たらこういうことしなきゃいけないんだって。…なんも得しなくね、これ?」

 

その質問に対して、矢田が答えた。

「十分だよ、カルマ君。おかげでこうやって無事に帰ってるんだから。」

「…無事が見返りねぇ。」

 

 

そして下校していると、本校舎の近くで「イトナ」と呼ぶ声がした。

そこに立っていたのは…

「よかった。学校に行けば会えると思ってた。」

「え…

 

 

父さん?」

「「「「「えっ…?」」」」」

「お前が今どこで暮らしているのかわからなくてな。『無事』でいてくれて本当によかった。」

 

『無事』という言葉に渚と杉野がカルマを小突いた。

「無事だってさ。」

 

「債務の整理がやっとついたんだ。これからは一緒に暮らせる。

声変わりしたな。背も伸びた。よく一人で頑張ったな、イトナ。」

「…うん。」

普段あまり表情を変えないイトナが嬉し涙を流していた。

それを見つつ、

(ま、今回はこれでよしとするか。)




ホウジョウサイドの話はカットします。
みんなが卒業するまでにあと10回はやると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 思い出の時間

ここは防衛省。そこでは少しずつ、しかし確実に巨大暗殺計画がなされていた。

司令官を始め、各国首脳の目の前には巨大な機械が置いてあった。

「…改めて見るとすごいサイズだな。これでまだ計画の一部だとは…。」

「やれるでしょうか?」

 

そのような部下の言葉に対し、司令官は、

「やれるやれないの問題ではない。その兵器は奴をいかにスムーズに、かつスマートに殺すためのものだ。そのシステムを理解してもらうために…ホウジョウ、君を呼んだ。」

 

ホウジョウと呼ばれた男は

「…おそれいります。」

と言った。

そしてその男は…

 

 

カルマが『烏間先生より強い』と評した男だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはE組。暗殺期限まであと二週間を切り、みんなが卒業に向けての準備をしていた時、いつも通り殺せんせーが口を開いた。

「ではでは皆さん、あと卒業まで一週間ほどになりました!

こんなめでたい時にすることといえばぁ…」

 

クラスのみんな(主に男子)が、

「おお〜?」

「宴だ、宴!」

と言っているさなか…

 

 

 

「編集作業です。」

「「「「「「「いや、何でだよ‼︎」」」」」」」

殺せんせーの言葉に、その場にいたほぼ全員が同時に突っ込んだ。

 

すると殺せんせーは、

「もちろん卒業アルバムを作るのです。E組だけの!」

 

「そっかぁ。学校全体のは作っちゃったもんね。担任が烏間先生ってことで。」

「そこに先生が一枚も写ってないのもかわいそうだよね。」

殺せんせーの言葉に対し、岡野と矢田が補足をした。

 

「いや…ばれない程度にちょくちょく写ってはいるんだけど…はっきり言ってこれじゃ心霊写真だな。」

「その通り‼︎だからちゃんとこの写真を使いたいんです。皆さんのスキをついて撮った秘蔵の自撮り写真は実に3万枚!

そんなわけで、今日はこの中から皆でベストな写真を選定しましょう‼︎」

「…いつの間にこんな撮ったんだよ…。」

「さすが覗き間先生。」

 

クラス全員がぞろぞろと教卓に集まっていったが…ただ一人、中村は向かおうとしなかった。

「私自分の写真見んの嫌なんだよね〜。」

「…なんで?」

「目ぇ小っちゃいから。」

 

しかしそういう生徒の所にも行くのがあの先生(タコ)である。

「心配ないですよ、中村さん!目を大きく加工したバージョンも用意しています。」

そう言いつつ、殺せんせーは中村に写真を渡した。

「…相も変わらず手厚いことで。」

「ね?だから皆と一緒に選びましょう‼︎」

 

 

そこで杉野が

「でもさ…ベタな写真は正規のアルバムで十分使ったよな。」

「もう一冊作るのなら…意外性のある写真とか?」

 

でも常に用意周到な殺せんせーである。

「お任せあれ。」

と言いつつ、速水に一枚の写真を見せる。

それを見た速水は恥ずかしさのあまり顔を赤くして、震えていた。

「クールビューティー速水、ペットショップにて。」

それはペットショップで速水がネコに頬ずりしていた写真だった。

 

「あとこれ。エアギター三村、夜の校舎にて。」

それを見て、三村は顔を真っ赤にした。

 

そしてその瞬間、速水と三村は

((い…いたのか!後ろに‼︎))

 

「まだまだありますよぉ〜。

姫系の服を試着するだけのプリンセス片岡。

ゴキブリが出た瞬間の乙女村松。

理科室にてベタな失敗をするマッドサイエンティスト奥田。

ゲーセンで悪徳ゲーマーを成敗する神崎有鬼子。

真夜中の校舎を裸で走るネイキッド岡島。」

 

自分の写真を見た岡島は、

「おい…ちょっと待て…。

ひょっとしてこんなかに…

 

 

 

俺のものすんげーヤバい写真もあるんじゃねぇか?」

「「「「「それ以上のがあんのか⁉︎」」」」」

 

「自分の探せ‼︎回収して捨てるんだ‼︎」

一連の恥ずかしい写真を見た皆は走って写真の所へ向かった。

「おやおや、編集作業に熱がこもってきましたねぇ。」

 

そして一同は自分の恥ずかしい写真を見つけると、破り捨てた。

(((こんなとこまで撮られていたとは‼︎)))

 

「では次は学校行事です。このあたりはどうでしょう、渚君?」

それらの写真には、試験・夏休み・学園祭…全て殺る気で挑んだ皆の姿があった。

(…本当に二度とない特殊な一年を過ごしたなぁ。)

 

でも殺せんせーは、

「ああ、でも撮りためた量じゃ全然足りない!目標は一万ページのアルバムを作ることなのに‼︎」

「俺らがどんどん破ってるしな。」

「てか広辞苑でも三千ページねぇぞ。」

殺せんせーの言葉に対し、イトナと寺坂が答えた。

 

すると殺せんせーは例の犬の着ぐるみを着て、

「皆さん、外に出なさい!服を変えて写真の幅を増やしましょう!」

 

それからみんなは生物史・日本史・世界史・宗教史など、色んなお題と衣装で写真を撮った。

「良いですよ、良いですよ!皆さんどんどん着替えて撮るんです!」

 

そんな殺せんせーを遠目で見つつ、茅野は口を開いた。

「なんかさ、この2月の殺せんせー…もちろん受験とか手伝ってくれてたけど…全体的に好き放題やってたよね。」

「うん…。僕らも振り回されてた。」

 

そんな会話をしている渚と茅野に、烏間先生が、

「多分、君たちに甘えているんだろう。」

「烏間先生。」

「この一年で、君たちは十分成長した。一人前になった生徒たちに、今度は自分が甘えたい…そう思っているんだろうな。」

「…そっかぁ。」

そして渚は烏間先生に、

「烏間先生にとっても…僕らはそういう生徒になれたでしょうか?」

「ああ。もし俺が困ったら、迷わず君らを信頼し、任せるだろうな。」

 

 

次の瞬間、烏間先生とビッチ先生も着替えさせられ、写真を撮られていた。

「⁉︎なんだ、これは。」

「烏間先生もビッチ先生も生徒に合わせてコスプレしなきゃ。試着ともいうべきですかねぇ。」

それを見た生徒一同は「ヒューヒュー」と二人を囃していた。

そしてビッチ先生は…

「カラスマ、初夜は待ったなし。」

「やかましい‼︎」

 

 

一通り写真を撮り終えた殺せんせーは、

「ふう、学校での撮影はこれで十分でしょう。」

と言いつつ、生徒全員を大きいカバンに入れた。

「ちょっと待て‼︎十分ならなんで俺らバッグに詰め込まれてんだ⁉︎」

「この校舎の中だけではとても足りない。世界中で皆さんと一緒に写真を撮るんです。」

「今から世界回るとか、冗談だろ⁉︎」

「ただの卒アルじゃ…」

 

そんなみんなの声をよそに殺せんせーはカバンに手をかけて、

「皆さん全員をゼロから持ち上げる力はありませんが…こうやってたっぷり反動をつければぁ…」

「「「「「全く聞いてない‼︎」」」」」

 

そして殺せんせーとE組全員は世界中に飛び立った。

その反動で、教室の写真が風に舞った。

そしてその中には…

 

E組全員で撮った写真もあった。

 

卒業の3月。

 

殺せんせーの暗殺期限まで…あと…




ネイキッド岡島の「それ以上のがあんのか⁉︎」というツッコミは、私が初見でつっこんだ数少ないものです。
あとは、夏祭りのときの磯貝に対する「え、食うの⁉︎」ぐらいでしょうか(笑)。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 確定の時間

しゃあ‼︎やっっっっとGWになったぜぇぇぇぇい‼︎
このGW中にあと2〜3話書きます‼︎


E組全員で世界中を回り、みんな帰ってきたときにはくたくたになっていた。

「い…一日で30カ国回るとか…。」

「しかも撮ってすぐにまた移動…。観光するヒマもなかった…。」

「なんでここまで…。」

 

そして肝心の言い出しっぺもかなり疲れていて、酸素ボンベを吸っていた。

その後みんなの質問に答えた。

「ヌルフフフ、楽しいからですよ。楽しいから手間暇かけて工夫して、力の限り取り組めるんです。

まずは自分が楽しむことです。皆さんもそういう場所を見つけてください。」

 

 

 

その日、渚は帰り道でこの一年のことを考えていた。

(…この二月は殺せんせーを、ターゲットとしてじゃなくって先生として見てきた。

少しずつ見えてきた。僕ら一人一人をちゃんと見て、自分の力が及ぶ範囲で頑張って…何より自分自身が楽しんでた。超生物でも人間でもやることは一緒なんだ。)

 

 

 

 

次の日、渚はわかばパークへ行った。

さくらちゃんに勉強を教えるためだ。

そしてその日はさくらちゃんの前には5冊のテストが置いてあった。渚が用意したものである。

 

「…このテストが合格点なら…」

「うん。自信を持って六年生に戻れる学力だよ。

それどころか一学期の間は勉強のことで悩まずに済む。余裕を持って新しいクラスに馴染めるよ。」

「…うん。」

そしてさくらちゃんは鉛筆を握り、テストを解き始めた。

それを見て、渚は

(僕の力は、暗殺の時に最も威力を発揮する。)

 

テストを解き進めるさくらちゃんは

(このテストが終わったら学校に戻る。このテストが終わったら学校に戻る。)

しかしそう考えているうちにいじめられていたときのことを思い出していった。

(このテストが終わったら…学…校…)

テストを解く手が止まり、意識の波長が乱れる。

 

それに気がついた渚は…

 

 

 

 

さくらちゃんの首元に手をやった。

 

そのおかげで波長が元に戻った。

それを確認し、渚が声をかけた。

「大丈夫。落ち着いて。やればできるから。」

「…やる‼︎」

さくらちゃんは元の速さでテストを解き始めた。

その晴れやかな顔を見た渚は、

(これが正しい刃の使い方かはわからない。でも、こんな顔が見れるんなら、きっと僕も頑張れるし、楽しいだろうな。)

 

 

翌日、渚は進路指導のために教員室に入った。

そして殺せんせーは渚に尋ねた。

「さて、渚君。君は何かなりたいものを見つけましたか?」

 

その質問に、渚は答える。

「僕は先生になるよ、殺せんせー。

 

先生みたいに速くないし、先生みたいに無敵じゃないし、先生みたいに頭も良くない。でも…殺せんせーみたいな先生に。」

 

それを聞いた殺せんせーは、顔を二重丸にして、

「うん。それがいい。君に合ってる。」

 

そして先生は続ける。

「君たちが必ず平等に授かり、いずれ平等に失う才能があります。

 

それは、若さです。その才能が逃げないうちに何回も失敗して修正し、立ち止まらずに前に泳いでいってください。」

そう言って、いつものように渚の頭にぽん、と優しく手を乗せた。

「はい!殺せんせー、また明日‼︎」

そう言うと、渚は帰途についた。

(暗殺の才能は必ず教師の仕事に生きる。第二の刃にこれを背負って、これからは第一の刃を磨くんだ。)

 

一方教員室では、殺せんせーと烏間先生が話していた。

「彼で最後か。進路相談は。」

「ええ、皆さん本当に私を感動させてくれた。

残る大仕事はアルバム作りですねぇ。しばらくは学校で寝泊まりになるでしょう。」

「…そうか。」

「あなたとイリーナ先生の関係の進展も記事にしなければ。これから五時間ほど取材をしますよぉ。」

「誰がするか‼︎帰る!」

 

そして烏間先生は帰り際にドアの前で立ち止まり、

「…教育にいいアルバムにしろよ。」

と言って、立ち去った。

 

 

 

 

 

帰り道で、烏間先生は思いにふけていた。

(…素直に認めよう。お前の作ったこの教室で、どれだけ多くのことを学んだか…生徒も、俺も。)

そして教室からある程度離れた場所で、烏間生徒は誰かに電話をかけた。

「…烏間です。」

 

電話の相手は

「報告を。」

と言い、烏間を促した。

 

「奴は今単体で教室にいます。この後しばらく動くことはないでしょう。」

 

そして相手は、

「ご苦労。」

と言い、電話を切った。

 

そして…

「聞いての通りだ。よって、予定通り今夜…巨大暗殺を実行する。」

その男…巨大暗殺計画の司令官は、手元のボタンを押した。

 

(このボタンを押した時点で…

 

奴の死が、確定した。)

 

そして…宇宙から校舎へ…まっすぐに光が放たれた。




どうしよう…殺せんせーの死亡フラグがめちゃめちゃ立ってる…。
これから10話くらいは、私が持つ(ひじよーーに少ない)知識を総動員するつもりです。まぁでもしばらくは原作に沿った内容かな。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 実行の時間

帰省しました〜。

さっき自分の知識を総動員するって言ったばかりなのに早速知○袋使った私がいます…。

あと原作と題名変えました。


E組のみんなが異変に気がついたのは、光が放たれた直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、防衛省の中は大騒ぎだった。

「第一射、校舎全域に命中‼︎」

「奴は?」

「今確認中です‼︎」

 

校舎の映像を確認している部下たちをよそに、司令官はその光の正体について話した。

「どうだ。校舎や山に傷一つ付いていないだろう。

これが…対超生物透過レーザー衛星。通称、『天の矛』だ。

中性子の周波数をもとにして、リクガメベースの反物質生物をエネルギー源とし、さらにそれらを巨大な粒子加速器で増幅した後に高度400キロから巨大なレーザーを発射する。

このレーザーは様々な障害物を透過して、触手のみを破壊する。

一切の前触れもなく学校全てを撃ち抜いた。いくら奴でも…。」

 

 

しかし…殺せんせーはすんでの所で脱出し、外にあった木に掴まっていた。

が、無傷なわけではなく、片手と触手が一本破壊されていた。

(校舎も服も無事なのに…触手だけが‼︎)

 

 

 

それを見た司令部の人々は、

「うおおおお…。」

「…嘘だろ?あれをかわすか⁉︎」

「音もなく光速で降ってくるレーザーだぞ⁉︎」

 

その状況を見た司令官は、

(なんという勘の鋭さ。どうりで今までどんな暗殺者を退けてきたわけだ。

 

だが…それで終わりではない。せっかく助かったんだ。試しに逃げてみろ、超生物。その先には…もう一つの兵器が稼働している。)

 

 

校舎から急いで離れようとする殺せんせーだったが、あるものを見て急ブレーキをかける。

 

そこにあったのは…

 

「対超生物透過レーザーバリア。通称『地の盾』‼︎

これはあの超生物を殺すものではなく、その場に止めるためのものだ。逃げ場はゼロ。このレーザーは矛と同じで触手以外の様々なものを透過する。つまりレーザーは地中まで透過しているわけだ。

 

 

 

…できればプランAの第一射で仕留めたかった。ここから先のプランBは非常に面倒だからな。

だがこれも想定内。地上部隊を!ケースB-1で緊急配備‼︎」

 

 

 

 

世界が一変した。E組のみんなは何が起こったのかすぐに察して学校へ急ごうとしたけれど…その直後に来たのは…烏間先生の自宅待機指示。

そこには、自宅待機のほかに「仕事」のことを一切話さないように、とも書かれていた。

 

装甲車両が…山につながる主要な道路を封鎖。

学校へレーザーを発射しているビルはすべて…一夜にして要塞のように生まれ変わり、100メートル以内の進入を禁じられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どーゆうことだよ‼︎

殺せんせーはどーなってんだ‼︎ケータイもつながんねぇ‼︎」

翌日、E組のみんなは椚ヶ丘の住宅街に集まった。

珍しく声を荒げる前原に、律が答える。

「…教室にある私の本体ともつながりません。山につながる通信及び電源はすべてカットされているようです。」

 

その時不破が…

「…私の家、クラスの中でで一番学校に近いんだけどさ、国から避難命令きてるんだ。兵隊さんがいっぱいいる。多分…この小さな街全体で一万人じゃすまないよ。」

 

渚たちは悟った。甘すぎた、と。E組全員がこれから卒業まで何事も無く終わると思っていた自分に。そして、自分たちの知らない所ですべて準備をしていたそのすさまじさと周到さに。

 

某朝の情報生番組のニュースキャスターが、閉鎖されている道路で

「椚ヶ丘市の丘陵地帯に突如現れた謎のドーム。これから政府が緊急発表があるようです‼︎」

 

 

しかし…政府が言ったことは国民を始め、僕らの予想もはるかに超えたものだった。

「えー…今回椚ヶ丘に現れたドームにつきましては、現在は国家機密とさせていただきます。」

…簡潔に言うと、あのドームのことについてはまた一週間後にお知らせする。その時に質問に答える…。というものだ。

だが、殺せんせーの暗殺をほのめかす内容も言っており、「昨年の月の爆破に関して。」ということだ。

 

 

 

場所は防衛省。そこでは司令官が天の矛のことを話していた。

「『天の矛』にも大きな弱点が三つある。一つは、エネルギーのチャージに時間がかかってしまうこと。フルパワーで撃つのに一週間はかかる。

 

二つ目は100パーセントまでチャージすると、衛星の場所が丸わかりになる点だ。エネルギーの一部が透過光として発散され、月よりも明るくなってしまう。だから第一射は出力を20パーセントほどに押さえて…闇の中から校舎に狙いを定めて撃った。だが…それがかわされたからには躊躇はしない。

地の盾で奴を完全に閉じ込めた今、ゆっくり時間をかけて100パーセントまでチャージし、山の全域を覆い尽くすレーザーを発射する‼︎

奴の死は決定している。あとは…不穏分子への対策のみだ。」

 

 

 

 

E組のみんなに烏間先生から送られてきたのは「レーザーの発射予定について」。それによると、発射されるのは三月十二日。

それは地球が滅ぶかもしれない(......)日の前日。

 

「…何勝手に決めていやがるんだ。ふざけんじゃねぇ。」

その寺坂の声と同時に僕らーーE組のみんなは学校へと走っていた。

 

中学校生活最後のミッション。殺せんせ。の暗殺期限まで、あと……7日‼︎




地味に大事な世論誘導をしていませんね。
今後の展開上必要なことなので、少し多めに見てください…。


あと冒頭でも書きましたが、帰省しました。
こっから卒業まで書くぜぇー(←多分無理)

まぁ作者の誕生日までにはみんな入学させるつもりです。

カルマ「ちなみにいつだっけ?」
KJK「6月の半ば〜後半くらいですね。」
渚「…5月までに卒業させるって言ってなかったっけ?」
KJK「渚ぁ〜(泣)」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 正論の時間

今悩んでいます。
卒業するまでにオリジナルストーリーを書くか否かを…。
作者びっくりするほど文才ないんで書かないかな…。


E組のみんなは旧校舎に向かっていった。

だが、道路はすでに閉鎖されていて、自衛隊の人たちがたくさん立っていた。

 

E組のみんなに気がついた自衛隊員は、

「⁉︎なんだ君たちは⁉︎」

「通せよ‼︎あの校舎の生徒だよ‼︎」

「行きたいんです‼︎あのバリアの中…殺せんせーの所へ‼︎」

自衛隊員の言葉に吉田と原が声を上げた。

 

突如現れたE組に対し、自衛隊員は乱暴に止めようとした。

そこに、烏間先生が出てくる。

「やめろ‼︎生徒に手荒くするな!」

 

「烏間先生!」

「なんすか、あれ‼︎」

「私たち何も聞いてないよ〜!」

 

烏間先生に口々に言うみんなに、先生は答えた。

「…俺も直前まで知らされなかった。事前にみんなが知っていれば…奴に計画がバレる恐れがあるからだろう。

全員揃っているならちょうどいい。『何も知らない。』と口裏を合わせるんだ‼︎」

 

そんな烏間先生に片岡が代表して声を上げた。

「納得できません。殺せんせーに会わせてください‼︎」

「…いや、ダメだ。行って人質に取られたら国も言い逃れができなくなる。」

「なっ…殺せんせーが人質なんてするわけ…。」

 

ちょうどそのとき、周囲が騒がしくなった。

マスコミのようである。

「ご覧ください‼︎あれは、あの校舎の生徒でしょうか⁉︎」

「少しお話しを聞いてもいいですか⁉︎」

「あの校舎の生徒として、何かこのことで知っていることがありますか?」

「一部の報道では今回のことや月の爆破の件は組織ぐるめの犯行であるという見方がありますが、実際にはどうなんでしょうか⁉︎」

 

 

「その組織の一員があなたがたの校舎に潜入し、脅していたという件については⁉︎」

 

 

半分正解で、半分大間違い。

そんなマスコミの大迷惑な詮索に、寺坂や村松は、

「るっせぇ‼︎テメーらの知ったことじゃねーよ‼︎」

「とにかくどけ、コラァ‼︎」

 

そしてマスコミに対しては、矢田と倉橋が弁解をする。

「わ…私たちのクラスに月の爆破の当事者はいません‼︎確かに今年新しく入った先生とかは何人かいますが、それは潜入とは言わないと思います‼︎」

「それに、脅してたって…私たちの先生はみんないい先生だよ〜‼︎」

 

その倉橋さん言葉にマスコミたちは、

「お?お?」

「おい。この子寄りで撮れ。」

「もしかして、その潜入教師にそう言えって脅されたの?辛かったでしょう?もう本当のことを言っていいのよ。」

 

そんな様子を見た磯貝は、

「みんな、一旦帰ろう‼︎警備もマスコミも野次馬もどんどん来てる‼︎こんな状態じゃ何も言えないし、聞いてくれない‼︎」

そしてE組のみんなは一旦その場から逃げていった。

 

少し離れた駐車場に着いたみんなは、そこで相談を始めた。

「で…どーすんだよ、これから。」

吉田の声に、片岡が答える。

「…とにかく状況を把握したいよ。何の情報も知らされていないんだから。」

 

「よし、じゃあ手分けしてバリアの装置や発生装置を偵察しに行こう。それでまた夜に作戦会議だ。

俺もなんて言えばいいのかわかんないけど…このまま終わっていいはずがない。」

磯貝の言葉にそこにいたみんなが頷いた。

 

そしてE組全員が偵察をした。

全員が全員何がしたくて、何がベストなのかはわからなったが、このまま先生と別れるなんて嫌だ、という気持ちがあった。

 

一方殺せんせー。なんとかしてバリアから脱出しようと地面を掘っていたが、地中まで覆われていることを知り、

(見事だ。さすがにこれは…無理ですかねぇ。)

 

そして司令部では

「あの生徒たち、あちこち探っているという情報が入った。

…まさかこんなにも早く動くとはな。このままだと面倒な事態になりかねん。」

そしてその言葉にホウジョウは…

「だから言ったのです。念のために『予防』をしておくべきだ、と。でも安心してください。処置のマニュアルはもう作っています。」

 

 

 

その日の夜。また同じ駐車場にE組全員が集まった。

「みんなの偵察をまとめると、バリアの周りには隙間なく見張りがいるってことだな。」

「野次馬、マスコミ、テロリスト…殺せんせーと外部との接触を避けたいのは確かだろうね。」

そう口々に言う前原と不破の話を聞きつつ、竹林が、

「各地の基地でもさらに増援が、集結の準備をしているみたいだ。明日になれば、どうあがいてもバリアの中には入れなくなる。」

 

「強行突破でしょ。今夜のうちにも。」

竹林の言葉に対し、カルマが言う。

もちろん全員がその意見に賛同した。

そして矢田が、

「そのあとに私たちから世間に今回何があったのか説明しようよ。あの先生がどんな先生なのかも…」

 

そのとき、二台の車がE組全員に近づき、そして去っていった。

そしてそのあとにはみんなの姿はなかった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

捕らえられたE組は、全員目隠しに手錠の状態で司令部に連れてこられた。

それを見た司令官が、

「迅速な仕事だ。さすがだな、ホウジョウ。」

「はい。全員無事に保護(・・)しました。」

 

そして床に全員降ろされ、みんなの目隠しが取れた。

その中の一人がカルマに、

「数日ぶりだな。弱虫ボーヤ。」

 

(…こいつら…あのときの‼︎こんな少人数で、あの一瞬で…俺ら全員拘束してかっさらったのか!)

 

 

「…ここは?」

そんな神崎の質問に司令官が答えた。

「今回の暗殺作戦の司令部だ。防衛省の施設を借りている。君たちはここで…暗殺完了まで我々の管理下に置かれることになる。」

その瞬間、全員がその言葉の意味を理解し、全員の顔が青ざめた。

「ちなみに親御さんにはもう連絡済みだ。マスコミの目を背け、全員に平穏と安全を確保させるため…とね。」

「…うそだろ?」

 

そんな司令官の言葉に、原が声を上げた。

「わ…私たちはそれでいいので、殺せんせーを殺すのを待ってください‼︎だって爆発の確率はたったの1パーセントですよ⁉︎殺す理由がないじゃないですか‼︎」

 

その言葉に、司令官はやれやれといった様子で答えた。

「子供には分からんだろうが…1パーセントという数字はね、地球を賭けのチップにするには高すぎるんだ。考えてみたまえ。1パーセントは普通に考えても宝くじが当たる確率よりもずっと高い。仮にそのことを国民に言ってみろ。どれだけ大衆が騒ぐことか…。

 

それに奴の前世(過去)…聞く話によればおそろしく残虐な殺し屋だったそうじゃないか。もし生かしておいたら何をするか分からんだろう?少しは殺された人のことも考えたまえよ。つまり、奴が死ぬのは…自業自得というわけさ。」

 

その言葉にかなりイラっときたのだろう。

寺坂がその司令官の顔を思いっきり蹴った。

そして…

「あのタコを…ごもっともな正論で語るんじゃねぇ‼︎

第一誰だお前‼︎名前も出ねぇモブの分際で‼︎」

 

モブという言葉に腹が立ったのだろう。

司令官が「なんだと⁉︎失敬な!私の名は」

 

しかしそれにかぶるようにホウジョウが、

「どうやら君たちはあの怪物に完全に洗脳されているようだな。

連れていけ。」

「はい。」

そしてホウジョウは、別室に連れて行かれそうになるE組を横目で見ながら…

「私もここで失礼するよ。君らのような輩が…あのバリアの中に入るのを阻止するのが私の仕事だからね。」




1年か2年ぶりにいとこに会いました。
かなりのわんぱく男子(小1)なんですが、それを見て思ったことは…
「人の子供って育つの早いなぁ。」
でした。(ちなみにそれを友達に言ったら「おばあちゃんか‼︎」と言われました(笑)。)


余談ですが、実は今後彼をモデルにしたオリキャラが出てきます。かなりあとのことになりますが…。
出てきたときに、またお知らせします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 困惑の時間

次回のやつとくっつけようとして諦めた作者です。

あと数えてみたんですが、卒業まで(原作通り進めて)10話ほどでした。
…私の誕生日までに終わりますように…。

中村「神頼みするくらいならさっさと書いたら?」
KJK「正論を言うな‼︎私の柔いメンタルが壊れる‼︎」


E組のみんなが別室に連れて行かれたあと、防衛省に烏間先生が来た。どうやら、みんなが監禁されたことを知ったらしい。

そんな烏間先生を司令官が迎えた。

「ああ、君がMr.烏間か。直接会って話すのは初めてだな。改めて名乗っておこう。各国から今回の計画の全指揮権を任された私の名は、」

 

しかしそんな司令官の声を完全無視して、烏間先生は司令官の胸ぐらを掴んで、

「そんなことはどうでもいい!生徒たちを監禁とはどういうことです‼︎」

 

すると、まるでその質問に答えるかのような声が聞こえてきた。

「作戦に支障をきたす。それ以外に理由がいるかね。」

 

烏間先生がその声の方向に振り向くと、そこにはホウジョウとその部下たちがいた。

 

烏間先生が驚いているのを見て、司令官が、

「驚いたかね。君ほどの実力の男なら…ホウジョウの名は知っていたよう。でもって私の名は…」

 

しかし烏間先生には司令官の声は聞こえていなかった。

その時に思っていたのはただ一つ。

(伝説の殺し屋の次は…伝説の傭兵か‼︎)

 

 

一方E組のみんなはというと…

「あいつら…私服全員分没取しやがった。」

「武器の持ち込みを用心したんだろ。まるで囚人だな。」

菅谷と杉野が口々に文句を言う。

そして不破も、

「本当に。手抜きに等しい待遇だわ。」

 

みんなが監禁された部屋はだだっ広く、壁に大きなモニターがあった。

そこには今日のニュースが流れている。

「…と生徒たちは組織ぐるめの犯行という見方を否定しているようにも見えますが…。」

「いえ、彼らは嘘をついている可能性が高いですね。」

「それはなぜ。」

「我々は生徒たちに『昨年の月爆破と今回のことは組織ぐるめの犯行である。そしてその組織の一員が教室内に潜入し、脅していた。』と言いました。それに対する生徒たちの回答が、『あの教室の先生はみんないい先生だ。』です。我々はいつその潜入者が先生として来たと言ったでしょうか?もしかしたら生徒のふりをして潜入したかもしれない。にもかかわらず、生徒たちはその潜入者が『先生』と言い切った。そこから生徒全員がその潜入者に脅され、口裏を合わせているとわかるわけです。」

「はぁ、なるほど。」

 

 

「何が『なるほど。』だ‼︎明らかに詭弁だろーが‼︎」

「常識的に考えても『脅された』って言えば『大人に』に決まってるのにね。」

アナウンサーの言葉に、寺坂と狭間が文句を言う。そしてそれはもちろんE組みんなが同じなわけで…

「殺せんせーが当事者なら私たちも当事者じゃん。それなのに私たちはこのことで何にも知らされずに、ただただ殺せんせーが殺られるのをポケーと見てろと?」

 

そんな中村の声をよそに、ニュースが流れ続ける。

「子供達はきっとこの一年で一生心に残る傷を負ったでしょう。早急にケアすることが大切です。」

 

場面は街頭インタビューに移り…

「ひどい…すごく純粋だった子供たちを脅すなんて…なんて残酷なことをさせる奴なの?」

「彼らと同年代の子供を持つ親として…いったいどんなことを言われていたのかと考えると辛くて…。」

 

(…何だ、これ。何で俺らのこともあの教室のことも何にも知らない赤の他人に…俺らかわいそ扱いされてんだ⁇)

 

丁度その時、部屋のドアが開き、烏間先生が何人かの見張りと一緒に入ってきた。

「五分だけですからね‼︎本当はあなたでもだめなんですよ!」

「…烏間先生‼︎」

 

そして渚は烏間先生に、

「…お願いです。ここから出してください。僕らは行きたいんです、学校に。」

「そーっすよ!烏間先生ならここから俺らを出せるでしょ‼︎」

 

渚とその言葉に賛同した木村を、烏間先生はちらっと見、そして…

「いや、君らが焦って動いた結果がこの監禁だ。ここまで行ったらいくら俺でもどうにもできない。

 

行きたければむしろ待つべきだったな。警備の配置が終わり持ち場が定まれば、人の動きが少なくなりより警備にスキが生まれる。5日目以降…といったところか。そこまで待てばもしかしたら包囲を突破できたかもな。

 

いや、万が一山のふもとを突破できても山の中でバリアに入る前に捕まっただろう。山の中を守っているのは.君らを拉致した精鋭部隊だ。『群狼』の名で知れ渡っている傭兵軍団。ゲリラ戦や破壊工作のエキスパートだ。30人にも満たない中で…世界各国の山岳や密林で恐れられてきた彼らには適任だろう。

 

そしてそんな猛者たちのリーダーが、『神兵』と表されるクレイグ-ホウジョウ。片手でライオンを引きちぎるという戦闘力を加え、地球上のあらゆる場所(戦場)で経験を蓄えた最強の傭兵だ。

 

さっき初めて直で見たが…あれは異常だ。どう考えても俺の3倍は強い。戦闘で一度奴を本気にさせたら勝ち目は絶対にない。

 

だから…諦めろ。」

「いやです‼︎」

 

渚は烏間先生に間髪入れずに反抗した。

「殺せんせーと…まだしたいことがたくさんある!話したいこともたくさんある!だから…お願いです‼︎行かせ…」

 

瞬間、烏間先生は渚の胸ぐらを掴み、床に叩きつけた。

「出せない。これは国の方針だ。よく聞け、渚君。

 

 

 

 

俺を困らせるな(・・・・・・・)

 

 

分かったか!」

 

渚はその瞬間、はっとした表情を浮かべた。

 

だが、渚は烏間先生の方を向いていたため彼の表情の変化に気づいた人はほとんどいなかったが。

 

すると、烏間先生の話を聞いた村松や吉田が、

「あんだよ。結局お前も自分が一番大事なんだな。」

「本校舎の先公と一緒じゃねーか。」

 

 

それに烏間先生は反論せず、

「…その通りだ。地位がなければ…肝心なときに誰も助けられない。…それに…俺の信念に基づいても、やはり奴は殺すべきだと思う。

 

君らもあと3日ほど頭を冷やして考えるんだな。」

 

そう言って烏間先生は出ていった。

それを見た寺坂が、

「…くっそ、烏間の野郎‼︎ここ一番で見捨てやがって‼︎」

 

だが…

「ははっ。本トに寺坂ってバカだよねぇ。」

「あんだと、カルマ‼︎」

「分かんないんだってさ。教えてあげなよ、

 

渚。」

 

 

そのカルマの言葉に促され、渚は口を開いた。

「…寺坂君。さっき烏間先生はっきりと『俺を困らせるな。』って言ったよ。」

「…?だから何よ?」

「こうも言った。

5日目以降は警備にスキが生まれる。

山の中には少人数の精鋭が潜んでて、そのリーダーは烏間先生の3倍は強い。」

そこまで言って、ようやく寺坂は気づいた。

 

さらに、

「前に烏間先生言ってたんだ。『もし俺が困ったら、迷わず君らを信頼し、任せるだろう』って。だから『困らせるな。』は、『君らを信頼し、任せる。』って意味だと思う。

『俺と君らの立場は違う。けど、可能な限り情報はやる。あとは君たちの意見を尊重する。』って。

だからみんなで考えて、整理しようよ。僕らがどうしたいのか。僕らに何ができるのか。…殺せんせーが何をするして欲しいのか。」

 

 

 

 

その頃、殺せんせーは、

(なすすべなし。世界中の誰もがそう思っているでしょう。

 

…だがあいにく私はマッハ20の怪物だ。幸いに、いくらでもできることはある。)

 

そして殺せんせーは…

 

 

「どの写真も捨てがたいですねぇ。思い切って増大ページとしますか。」

 

みんなに…卒業アルバムを作っていた。




番外編

寺坂「…ちなみに渚、お前いつ烏間の話の裏に気づいたんだ?」
渚 「あー…僕は烏間先生が『俺を困らせるな。』って言ったときなんだよね…。」
寺坂「そうか…カルマは?」
カルマ「ん?烏間先生が警備の突破法について言ってたときかな?」
寺坂「結構始めっから気づいてたんじゃねぇか!」

これを本編に入れようとしたバカな作者です…。

杉野「…どこに入れる気だったんだ⁇」
KJK「…卒業式あたりで…。」
カルマ「バカだね、完璧に。」
KJK「だから入れてないだろーが‼︎」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 信頼の時間

みんなは話し合った。

まず第一に殺せんせーに心から死んで欲しいと思っている生徒なんてE組にはいない。…聞くまでもないことだ。

第二にそれでも僕らは殺し屋だ。この一年必死に賭けた思い出を…他人に踏みにじられるのは絶対にいやだ。

 

「ってことはよ…俺らはまず何がしたいんだ?」

そんな寺坂の質問に、矢田が答えた。

「…決まってるよ。

 

多分殺せんせーも…やりたいことは一緒だと思う。」

 

 

 

 

 

 

 

その頃殺せんせーは、机や窓をピカピカに磨いていた。

「ヌルフフフ。肝心の手入れですねぇ。」

殺せんせーは、綺麗になったまどから外を眺め、そして思った。

(超生物である私に、今更恐れるものはない。ただ、一つ願いがかなうなら…また生徒たちに会いたい。)

 

 

 

 

 

(…会いたい)

 

 

 

 

 

そして同じ頃、E組のみんなも、同じことを思っていた。

(会いたい!会わなきゃ何も終わらない!)

 

 

 

「気持ちを抑えて今は待とうよ。

 

『三日ほど頭を冷やして考えるんだな。』っていう烏間先生の言葉の裏をよめば…三日待ってもレーザー発射には十分間に合う。烏間先生もそれまでにきっと手を打ってくれると思う。」

「そうだな…。みんな考えよう。もしここを出れた時に備えて…あらゆる作戦を立てておくんだ。」

不破と磯貝はそうみんなを促した。

 

それからみんなは、着々と殺せんせーのところへ行くための準備をし始めた。

何やら地図や装備品リスト、警備のタイムテーブルなどを広げる。

 

「あと三日。」

みんな、監視カメラの位置を確認したり、各自で戦闘訓練をしたりしている。

 

「あと二日。」

作戦を整理していた磯貝に、カルマが声をかけた。

「磯貝。もし山の中まではいれたら…そっからは俺にしきらせて。

 

…頼む。」

 

いつになく真剣なカルマに、磯貝はいつも通りにこっと笑い…

「ああ…任せた。」

 

そして…あと一日!

 

「…どーすんだよ。全く脱出のチャンスなかったぞ。もう今日だぞ、レーザーが発射されんの。」

そんな寺坂の言葉に全員がうつむいた。

 

とその時、誰かが部屋のドアをノックした。

「いいな。本当に顔を見るだけだぞ。こんなの上にばれたらどうなるか…。」

「わかっているわよ。一目見れば安心だから。」

 

入ってきたのは…

 

「はぁーい、E組のみんなぁ。心配したわぁ。元気だったぁ?」

…ビッチ先生である。その違和感てんこ盛りのハイテンションに全員が引く。磯貝にいたっては触角がしおれるほどである。

 

すると突然、ビッチ先生は竹林にキスをし始めた。

続いて、矢田・三村・神崎・渚に次々としていく。

 

あらかた終わったあと、

「みんな、元気?」

「ん?ん?」

「元気ならよーし。じゃ、帰るわ。」

 

かなり困惑している生徒たちをよそに、ビッチ先生は普通に帰ろうとした。

「おい、もういいだろ。」

「もぉーへーきよ。外にも見張りがいるんでしょう?

じゃまたね、ガキども。」

 

…そこにいたほとんどみんなの心の声が一致した。

((((何しに来たんだ、あのビッチ‼︎))))

 

「な…何しに来たのよ、ビッチ先生‼︎」

目の前で渚のキスを目撃し、茅野は怒りを見せていた。

 

が、渚が口を押さえたまま、表情を変えないのを見て、

「……渚?」

 

すると、キスをされた生徒の口からコードや筒など、様々なものが出てきた。

それは…

「………‼︎僕の爆薬一式だ。」

 

 

 

 

そして夜。

E組のみんなは裏口を爆破して脱出した。

 

そしてそこには、ビッチ先生がいた。

「遅いわよ。私の完璧な脱出マップがありながら。」

ビッチ先生の近くには、27人分…E組全員の靴が用意されていた。

 

矢田は自分の口に入っていた脱出マップを取り出し、

「ビッチ先生…これ…」

「カラスマから頼まれてね。

思いの外かかっちゃったわ。E組教師を口実に通い詰めて心開かせて…休憩室で見張り全員が談笑する習慣つけて、あんたらの脱出経路確保するまで。」

 

…さすがは世界トップクラスのハニートラッパー。

だが一つ気になることがある。

 

「どーやってこんだけの脱出道具口ん中詰め込んだんだ⁉︎」

「恐るべし。世界屈指の色仕掛け術…。」

 

そんな中、ビッチ先生はみんなに伝えた。

「…レーザーの発射時刻は日付が変わる直前ですってね。

どういう結果になるのかわからないけど…どちみち明日は卒業式なんでしょ。

 

卒業前の最後の授業よ。思う存分受けてきなさい。」

「「「「「……はい‼︎」」」」」

 

「逃げたことはすぐにバレる。包囲の警戒が強くなる前に!」

生徒たちが行動しようとするのをジッと見ていたビッチ先生だったが、そんな先生に片岡が声をかけた。

「ビッチ先生‼︎烏間先生と来て!どっちも私の大切な先生だから‼︎」

 

その言葉に始めはびっくりしたビッチ先生も、笑顔で

「…仕方ないわね。」

 

 

 

E組のみんなは自分の家に超体操着や、武器を取りに戻った。

そんなみんなを出迎えた律は、

「よくご無事で、皆さん‼︎お留守の間に空からの偵察は完璧です‼︎」

 

防衛省から少し離れたビルの上に、ドローンの発着場があった。

それを見た磯貝は、イトナに

「自律ドローン充電発着場か…よくこんなの準備してたな、イトナ。」

「本来は対殺せんせーの最終兵器の予定だった。律と組めば、ドローン(これ)の力を最大限に発揮できる。だが…どうやら違う相手に使うことになりそうだ。」

 

そしてそこで磯貝は最後の確認をする。

「山の周りの警備で突破できそうなのは…この、隣町の山を一つ越えたルートだけ。一時間後、この入り口に全員集合‼︎」

 

 

 

そして一時間後。

全員警備を突破し、E組みんながふもとのビルに集まった。

最後に磯貝がみんなに言う。

「いいか、みんな。時間がない。この潜入が間違いなく最後のチャンスだ。」

その言葉にE組全員集合頷いた。

 

そして…

「行くぞ。」

 

そのカルマの声を皮切りに、全員が動き始めた。

 

ーー最後の任務(ミッション)は、全員無事に登校すること‼︎

殺せんせずの暗殺期限まで…あと3時間‼︎




渚の家の中の出来事、個人的には好きなんですがカットしました。
いつもと違って特に理由はありません。
本当にごめんなさい‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話 開花の時間

そろそろ司令官がかわいそうになってきた…。


椚ヶ丘にある山の中…そこで息を切らして逃げている男がいた。

(ば…化け物の集団‼︎聞いていた話と全然違う‼︎)

その時、暗闇の中から手が伸びてきて、その男は悲鳴を上げた…。

 

 

 

 

 

 

一方司令部では…

「あのバリアの中に入りたいだと?」

「はい。脱出した生徒たちはおそらくあの校舎へ行くつもりでしょう。追い詰めらめた奴がやけを起こせば大惨事になりかねません。

 

しかし元同僚だった我々であれば、レーザー発射まで大人しくするように説得できます。」

 

そう言う烏間先生に司令官は答えた。

 

「子供が学校へ辿り着けるわけがなかろう‼︎二重三重に張った外部警備に加えて…山の中にはホウジョウの部隊。パラシュートの降下まで想定した配置だぞ!」

「ええ、ですから万が一の場合です。その時にはどうかご許可を。」

 

その言葉に司令官は(どうせ無理だろう。)と思いつつ、

「ああ分かった。もしもの時には君も行け。この私、「ありがとうございます。では失礼します。」の名におい…聞けぇ‼︎」

自分の名前にかぶせるように烏間先生がしゃべり、とても悲しくなった司令官は、近くの部下に

「なぁ…君は私の名前を知ってるよな…。」

「え…も、もちろんですとも…司令官!」

その時部下が(なんだったっけ…。)と思っていたのは言うまでもない。

 

一方烏間先生とビッチ先生は、

「…で、突破できるの。ガキどもは。」

「…」

 

 

 

 

場面は山の中に戻る。

その男…E組のみんなから逃げている外人は、

(悪夢だ‼︎何人いやがるのかわからねぇ‼︎それに引き換えに俺らの部隊は全滅だ‼︎)

意を決した外人はE組のみんなに銃を構えた。

「なめやが…。」

だがそれを言い終わらないうちに、両サイドから二人の生徒…磯貝と前原が出てきて思いっきり肘打ちをかました。

その男が気絶したのを見て、カルマが木から降りてきた。

「よし、磯貝、前原。ナイス待ち伏せ。」

 

そして男の顔を見たカルマは…

「あれ?こいつ知った顔じゃん。」

…E組のみんなからすると不幸の前兆である、あの悪い顔をしていた。

 

 

他の場所では、

「…ジェスの隊の通信が途絶えた…。」

「用心しろ。遭遇したらリーダーに伝えるんだ。」

 

しかし次の瞬間、彼らのうち二人の首に麻酔針が刺さった。

当然倒れる二人。その攻撃を仕掛けたのは誰か…言うまでもない。

それに気づいたリーダーは、

「‼︎スナイパーがいる模様‼︎前方後方注意されたし‼︎場所は…」

 

しかしそれを言い終わる前に、彼の上にまあまあ大きい石を抱えた原が落ちてきた。

乗られた外人は顔を岩にぶつけ、ものすごい音がした。

 

「…おい…今の死んだんじゃね?」

「失礼な。柔らかく包んだだけだよ。」

吉田の言葉に原が少し訂正を入れる。

ーーこの兵士がのちに全治2カ月になるのは余談である。

 

気絶した外人らを拘束していた吉田は、カルマに連絡を入れた。

「おーい、こっちも片付いたぞ、カルマ。」

「オッケー。律の情報が入り次第また次の指示出すから。」

「そっちの状況は?」

「んー?

 

 

 

 

 

人間エサ作ってる。」

 

…そう。その言葉通り、カルマはさっき捕らえたジェスの顔にいつものようないたずらをしていたのである。

そしてその餌食になったジェスはというと…

「ぎゃーー‼︎辛い酸っぱい苦い臭いしみる…きしょーい‼︎」

「痛みには強いみたいだけど、他の刺激にはてんで弱いね〜。」

…そういうカルマの後ろで渚は苦笑いをしていた。

 

ジェスが

「Ahhhhhhhhh!Ohhhhhhhhh!MyGod!」

と悲鳴をあげている傍ら、カルマは、

「悲鳴をエサにさらに増援を呼び寄せる。ここであと2.3人は始末したいよね。

いける?律。」

 

上からドローンで偵察していた律は、

「はい。今尾根づたいに3人ほど接近しています。

 

それとモミの木のある高台に固定機銃が設置されています。

スナイパーはとても優秀で、偵察ドローンをもうち落とします。

射程圏内に入らないように行動してください。」

「モミの木に固定機銃ね。オッケー。

じゃあヤマブドウの茂みからマテバシイ密集地を抜けるルートは?」

「はい。そちらでしたら大丈夫です。」

「りょーかい。

じゃあ寺坂。敵を倒して一本松まで進軍して。」

「おうよ!」

 

その瞬間、イトナが煙幕を張った。

そしてその隙に寺坂らは敵を制圧した。

 

そしてまた別の場所では…

「…今そこにガキが見え…え?」

次の瞬間、その兵士らは仕掛け網で捕らえられた。

そんな兵士らに、

「ちょっとビリビリしますからね〜。」

…矢田は普段通り朗らかな声でスタンガンを突きつけた。

そこには矢田の他にも岡島や倉橋、三村がいたが。

 

「普段から罠だらけだもんね、この山。」

「人間を想定して作ったわけじゃねぇけどな。」

そういう岡島の手にはエロ本が握られていた。

 

やられ、拘束された外人は思った。

(な…何という破壊力。まるで…音もなく通り過ぎた暴風雨。)

(完全に侮っていた…。力量を隠すために…あのとき頭を下げたのか…。畜生…大人じゃねぇか…。)

 

 

 

場所は烏間先生とビッチ先生の会話に戻る。

「あの山は彼らのホームグラウンドだ。あそこで一年、奴を狙い続けた。奴と遊び続けた。奴の授業を受け続けた。

今ではこの山なら…目をつぶっていても動けるだろう。よその山で人間相手に戦ってきたやつらとは…経験値が違う。

 

生徒たちには用心するように伝えておいたし、反対にやつらには生徒の実力を過少に伝えて油断させた。フフフ…。」

「ほんと、親バカねぇ。」

(指揮をとるなら赤羽業が最適だろう。あの悪魔的な頭脳で、利用できるものは何でも使う。まして、双方の戦う動機…『殺る気』の差は明らかだ。あの教室に場所を限れば…彼らは世界最恐の暗殺集団だ‼︎)

 

「だが…ここからが正念場だ。」

(あの男が本気を出せば…戦況は一瞬でひっくり返る‼︎

暗殺の基本を思い出せ‼︎さもないと君らは奴に会えずに散ることになる‼︎)

 

おおかたの敵を倒し、拘束したみんなの前に現れたのは…

「…失礼した。君達の力を低く見積もっていたようだ。これより…本当の私を伝授しよう。」

あの……ホウジョウだった。




あと5〜8話くらいで卒業します。
(このままいけば、たぶん私の誕生日に間に合いそうだ!)



中村「なんか忘れてるみたいだけどさ、作者GWに終わらせるって言ってなかったっけ?」
カルマ「本トだ〜。でどうなの?もうGW終わったけど?」
KJK「あんたらで私を責めんな!勝てるもんも勝てないわ‼︎」
カルマ「…て言ってますけど、渚どう?」
渚「多分僕でも勝てると思う…。」
KJK「私に味方はいないのか‼︎」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 登校の時間

最近今までの暗殺教室を見返しています。
茅野のことを含め、いろいろ気になったところはあったんですが、一番思ったのは…
(…カルマ荒れてるなぁ。)
でした。
結局のところ、あの教室で一番成長したのってカルマなのかな…とか思いました。


E組のみんなの前に現れたホウジョウは、眼鏡に手をかけて思った。

(ガキの頃から…眼鏡を外すのが戦闘開始のスイッチだった。

1秒足らずのその儀式(ルーティーン)が私の蛮性を解き放ち、どんな敵でも本能のままに蹂躙できた。

ここでも…やることは同じだ。)

 

そんなホウジョウの死角から、千葉速水のスナイパーコンビが攻撃を仕掛ける。

だがホウジョウは麻酔針を見ずに、簡単に捕まえてしまった。

「麻酔針か…。私の部下のライフルを使いたまえ。それがないと話しにならんぞ。」

 

そして再び眼鏡に手をかけ、

「では…いくぞ。」

 

その瞬間、カルマが背後からホウジョウに襲いかかった。

 

しかし…

「…ふん。小賢しい。」

そう言い、ホウジョウは持っていた銃でカルマを殴り飛ばした。

 

が、次の瞬間、ホウジョウの顔に向かって石が飛んできた。

誰が投げたのかを確認しようとした途端、眩しい閃光が放たれた。

 

そしてホウジョウの目がくらんだ隙に全員が襲いかかった。

矢継ぎに攻撃を仕掛けるE組に、ホウジョウは

(…こいつら。俺に戦いを『始めさせない』気か‼︎)

 

「一撃離脱ね。牢屋でみっちり予習()ったように。」

先ほど飛ばされたカルマがみんなにそう伝えた。そして思う。

(烏間先生の3倍強いのなら…逃げても絶対追いつかれる。戦いに入れば必ず負ける。

銃に頼らないのは、銃撃『戦』すら避けるためだ。多分…同士討ちを誘う技術も持っている。撃ち合いに持ち込まれたら圧倒的に相手の土俵だ。だから…)

 

そのとき、誰かがホウジョウの銃を蹴り落とした。

そしてすぐさま竹林がその銃を爆破させる。

 

(警戒を怠らずに、みんなで連携してチャンスを待って、標的の態勢が整う前にカタをつける。この1年、ずっと殺せんせー相手にやってきた殺し屋の基本だ!!)

 

 

律が操るサイレンサー付きのドローンが背後から針を放った。

その麻酔針は、前方に気を取られていたホウジョウの首元に刺さる。

 

「チッ…。」

ホウジョウは、自分の首に刺さった針を抜きつつ振り向いたが、そこには…

 

(なっ…いな…)

 

 

と、

パァァン

 

ホウジョウの目の前、絶妙のタイミングで渚の猫だましが決まった。

その影響で、ホウジョウは一瞬動きが止まる。

それを見計らい、渚がホウジョウの頭を掴み…

 

「カルマ‼︎」

呼ばれたカルマは、その声に答えるべくホウジョウのところへ行き…

 

 

ホウジョウの顔にかかと落としを決めた。

一方の渚もホウジョウの背中に膝打ちをしていた。

 

 

そうしてホウジョウは倒れた。

息を切らした渚とカルマが無言のハイタッチを交わす。

 

が、

「ちょっ…まだ動いてる!!」

「⁉︎」

 

そういう茅野の言葉通り、ホウジョウは起き上がろうとしていた。

慌ててみんなはトドメを刺す。

「ちゃんとトドメさせやクソッタレ!! カッコつけてハイタッチとかしてんじゃねー!!」

寺坂にそう言われ、渚とカルマは顔を赤くした。

 

E組のみんなによってボコボコにされたホウジョウは、拘束されて地面に転がされる。

「よし、みんな行くぞ!! バリアの中に入りさえすれば殺せんせーの勢力圏だ!!」

 

そんな中…

「……」

「…まだ意識あるよこの人。」

「攻撃全部食らったのに化け物すぎんだろ。」

「まともにやってたらゾッとするわ

 

…ってことで悪りーなオッサン これが俺等のいつもの殺り方なんだわ。おっとメガネずれてるぜ」

 

そう言って菅谷はズレた眼鏡を直して、みんなと一緒にさっと学校へと走って行った。

 

 

E組みんなが去り、一人になったホウジョウは、考えていた。

(全員が全員、銃を使って来なかったがゆえに…俺は彼らを殺すかどうかの判断が遅れた。

そうこうするうちに…行動の選択肢がどんどん奪われた。

最後まで…俺に戦闘のスイッチを入れさせなかった。

最後まで…俺に本気を出させなかった。

捕まっている間、ありとあらゆる考えを尽くしたんだろう。

…これが暗殺者集団3年E組か。)

 

そしてついにE組のみんなは旧校舎にたどり着いた。

地の盾は人間には全く効かないようで、普通にくぐって侵入できた。

 

そして森を抜けると、そこには…

 

「音だけでも…強敵を仕留めたのがわかりました。

成長しましたね。 皆さん。」

「殺せんせー‼︎」

そしてみんなはいつもの笑顔の殺せんせーに飛びついた。

 

 

司令部ではそんな様子をモニター越しに見ていた。

そして、山のふもとでは…

「生徒達が…『地の盾』を突破しバリアの中に入ったそうです。」

「上から話は通してある 。俺達も校舎へ行く必要があるからな。」

そう言い、烏間先生とビッチ先生はバリアに向かって歩いて行った。

「お…お気をつけて…。」

 

そう見送られつつ、烏間先生は

(…俺一人ではもうあの28人に太刀打ちできないな。

…生徒の成長とは 嬉しく、また…悔しいもんだ。)

と、微笑んでいた。

 

一方校舎の方ではみんなが泣きながら笑顔で殺せんせーに銃を撃っていた。

 

だから…誰も気がつかなかった。バリアの一部が一瞬開いて…また閉じたことに。

バリアをくぐれない何かが…侵入してきたことに…。

 

レーザーの発射まで…殺せんせーの暗殺期限まで…あと、90分。




次回は原作と変えます!
…まあ最後だけになるかもしれないけど…。

不破「おお⁉︎作者もオリジナル展開に持っていこうとしてるのか⁉︎」
KJK「うーん…オリジナル展開っちぁオリジナル展開か…。」
不破「変えるのって次回だけ?」
KJK「いや?次の次の回は結構変える予定だけど?」
中村「おー、作者が計画通りにことを進めようとしてるぞ〜。」
カルマ「明日は雨が降るかな〜。」
KJK「急に出て来るな!地頭ツートップ‼︎
あと私もやるときはやるぞ‼︎」
中村・カルマ「「じぁーねー。」」
KJK「聞けー‼︎」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第22話 次世代の時間

何気にあと一週間でテストです。
かなり順位が悪かったら(というか現実逃避したら)親からケータイ取り上げられるんで、ちょっと頑張ります。

そんなわけで、テスト終わるまで投稿をしません。(というかできません)下手するとひと月開くかもしれないですが、その時には連絡します。


空ではレーザーの光がこぼれ落ちそうなくらい輝いていた。

 

磯貝がレーザーの説明をし、それを聞いた殺せんせーは、

「なるほど…。レーザー発射は日付が変わる直前ですか…。」

 

そして殺せんせーは空を見上げ、思った。

(あの光なら…完全防御形態になっても、貫かれてしまうだろう。)

 

「殺せんせー…なんとかして逃げようよ!私達…人質にでも何でもなるから!」

E組全員がその倉橋の言葉に同意した。

 

が、殺せんせーは…

「どんなに人質を取っても…ここまで来たら世界各国はもう発射は止めないでしょう。

…下手をすれば地球の命がかかってますから。」

その言葉に渚やカルマを始め、みんなが何も言えずにうつむいた。

 

「…殺せんせーはわかってたの? こうなること。」

そんな速水の質問に、殺せんせーは答えた。

「もし仮に先生が爆発しなくても…これだけの強い力を持ち、自由に動く怪物を…世界各国が恐れないわけありません。どちらにしても可能な限り息の根を止めてしまいたい…と思うのが妥当でしょう。」

 

「…私たちがもっと早く来れてれば…捕まったりしなければ、他に打つ手があったかもしれないのに‼︎バリアの発生装置を壊すなり…テレビやネットに出まくってちゃんと事情を説明したり‼︎」

 

 

そんな不破の言葉にも、殺せんせーは異論を唱えた。

「そんな事をすれば …君たちはこれまで以上に危険視されて、より厳重な管理下に置かれたかもしれません。

先生もね、先生の力が及ぶ範囲で調べたんですが…発生装置の防備も完璧でした。

先生からの投石などにも備え、対空兵器まで配備してある。

おそらく…君たちの今の能力と装備では途中で捕まっていたでしょう。

それほど…この計画は完璧でした。

 

全世界の技術や時間、人員が惜しげもなく注ぎ込まれた。

世界中の英知と努力の結晶であるこの暗殺が…先生の能力を上回ったことに敬意を感じ、その標的(ターゲット)であったことに栄誉すら感じます。」

 

当然そんな殺せんせーの言葉を渚たちは素直に喜んでは聞けるわけがなかった。

「…じゃあ…私たちの努力は…無駄だったの…?」

 

そう落ち込む矢田の頭を殺せんせーは優しく撫で、言った。

「無駄な事などあるものですか、矢田さん。

君たちは…先生の爆発の確率が1%以下であると、宇宙まで行って突き止めてくれた。

先生の話を聞いて暗く沈んでしまったE組にまた明るさが戻り、そこからの1か月は…短かったけど本当に楽しかった。

その過程が…心が大切なのです。

これまでこの教室で習った過程の全てを尽くして君たちは私に会いに来てくれた。

先生としてこれ以上の幸福はありません。」

 

そこで寺坂が叫んだ。

「…もう時間切れでいいだろ。

たった1%だぞ!! たったそれだけのリスク、俺等は余裕で飲めんだよ‼︎

なんで政府も世間も!1番近くで過ごした俺等の話を聞こうとしねーんだ‼︎

 

このタコ、エロいくらいで何の危険も無えのによ!!」

「『どうせガキの言葉だから耳は貸さない。その代わりに哀れんであげる。』

…侮辱に等しいわ」

「納得できるかこんなん…」

「次会ったらあいつらぜってー…」

 

そういきり立つ寺坂らの頬をペトペト撫で、殺せんせーは落ち着かせようとした。

「寺坂君。

皆さん。

先生から君たちにアドバイスをあげましょう。

君たちはこの先の人生で…強大な社会の流れに邪魔をされ、望んだ結果が出せない事が必ずあります。

その時に社会に対して原因を求めてはいけません。

社会を否定してはいけません。

それは率直に言って…時間の無駄です。

そういう時は『世の中なんてそんなもんだ。』 …と悔しい気持ちをやり過ごしてください。

そしてやり過ごした後で考えるんです。

社会の激流が自分を翻弄するならば…その中で自分はどうやって泳ぐべきかを。

やり方は学んだはずです。

このE組で。

この…暗殺教室で。

いつも正面から立ち向かわなくていい。

もちろん避難しても隠れてもいい。

反則でなければ奇襲もしていい。

常識外れの武器を使ってもいい。

常に殺る気を持ち、焦らずに試行錯誤を繰り返せば…いつか必ず素晴らしい結果がついてきます。」

 

それを聞いたみんなはいつも授業を受けている時のように黙っていた。

 

「…ケッ。こんな時まで授業かよ。」

 

「ヌルフフフ。こんな時だからこそできる授業です。

教師たるもの、こういう絶好の教育のチャンスはのがしませんよぉ。

…でもね」

そう言いながら、殺せんせーはカルマや渚…そして寺坂を含めたみんなの頭に触れた。

 

「君たちが本気で先生を救おうとしてくれた事は…ずっと涙をこらえていたくらい嬉しかった。

本当ですよ。」

 

そんな殺せんせーを見ながら、渚は思った。

(…なんでそんないつもみたいに落ち着いてられるんだよ殺せんせー。

僕らに教えたこのE組に来なかったら…きっと普通にどこかで生きれたかもしれないのに。

…僕らは…殺せんせーの……)

 

 

ひとしきり語ったあと、殺せんせーは中村に問いかけた。

 

「…ところで中村さん。

山中の激戦でも君の足音だけはおとなしかったですねぇ。

どうやら…甘い匂いもするようですが?」

 

そう言いながら、殺せんせーはよだれを垂らしていた。

中村は、

「地獄耳で地獄鼻かい…」

と呆れつつ、腰のポケットから箱を取り出した。

 

「…月が爆発した日から今日でぴったり1年でしょ。

雪村先生は確か…今日を殺せんせーの誕生日にしたんだよね。」

 

中身は苺の乗った小さなケーキだった。

「小っちゃいけどブランドもんの高級ケーキだよ。これを崩さず持って来れた私の体術を褒めて欲しいな……って聞けよ‼︎」

 

話そっちのけで、殺せんせーはケーキに夢中になっていた。

 

「だって…だって!1週間ぶりのスイーツ‼︎」

「ああもうヨダレがたれる‼︎皆とっとと歌うよ‼︎」

 

そう言って中村はローソクを取り出した。

 

「サンハイ!!」

 

そしてE組のみんなはしぶしぶ歌い出した。

 

「ケッくせぇ仕込みしやがって……。」

と悪態をつく寺坂の頬を片岡がつねり、歌わしていたりしていた。

 

よだれを垂らす殺せんせーを取り囲み、みんなでハッピーバースデーを歌う。

それを聞きながら、殺せんせーは涙をこらえていた。

(…十分すぎる。

なんて身に余る…報酬を得たことだろう。)

 

その時ちょうどビッチ先生と烏間も旧校舎に到着し、聞こえて来る誕生日の歌に二人とも頬が緩んだ。

 

そしていよいよ殺せんせーはローソクの火を消そうと息を吸った。

 

「オラ吹き消せよ殺せんせー‼︎1本しかねーんだから大事にな‼︎」

 

緊張の面持ちで息を吸ったその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如現れた『何か』がケーキを粉々に吹き飛ばしてしまった。

それを見た殺せんせーは、かなり衝撃を受ける。

 

烏間が校舎の屋根を見上げると、そこには……

 

 

 

「ハッピーバースデー。」

「シ…いや…」

「柳沢…!!」

柳沢と二代目死神の姿があった。

そして…

 

「機は熟した。

世界一残酷な死をプレゼントしよう。」

 

その言葉に、二代目死神は拘束着のチャックを脱いだ。

「先生…僕が誰だか分かるよね?」

「…!!」

 

 

「子供達にも紹介しよう。

彼がそのタコから…

 

 

 

『死神』の名を奪った男だ。」

 

拘束着を破って…二代目死神は、真っ黒な触手を現した。




原作に沿ったのは、多分今回で最後です‼︎

私自身文才が無いのでとてつもなく間が開くこともあるかもしれないですが、温かく見守ってください。

以前も書きましたが、どんな辛口感想も待ってます‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第23話 二代目の時間

二週間くらい間があいてしまってすみません。

オリジナルストーリーに入りますが、柳沢が原作よりもクズです。

あと、オリジナルストーリーに入ったって言っても、原作と少しかぶります。


ちょうどそのころ司令室では…

「もっと早く行ってくれたら…早くにケリがついたかもしれんのにな。」

「なんだかんだ言って引き伸ばして…なぜかレーザー発射の直前だ。」

 

そういう研究者たちの目の前のモニターには何故か二代目死神や柳沢の画像が写っていた。

どうやら二代目死神と柳沢の行動は各国政府のお墨付きらしい。

 

(…個人的には気が進まんが…おそらくこれで実験データと標的のデータを回収できる。)

 

「1匹いれば対テロ戦争もカタがつく…『殺せない』無敵の超生物か…。」

「実用化したいというのがわが国の本音だろうな。」

 

 

 

 

 

 

 

そしてそのころ…学校では…

二代目死神が殺せんせーの前へと降り立った。

 

そして…

 

「死ね。」

「‼︎みなさん‼︎逃げ…」

 

 

 

殺せんせーが言い終わらないうちに、二代目死神が強烈な一撃を放った。

とっさに逃げた殺せんせーだったが、触手が二本破壊されていた。

 

その攻撃を見た殺せんせーは…

 

(は…速い‼︎イトナ君や…茅野さんの時以上に‼︎)

 

 

 

「気づいたか、モルモット。その男の触手にイトナの時以上の改良を加えた。」

 

二代目死神は殺せんせーに次々と攻撃を仕掛ける。

そして当然、殺せんせーの意識は全て触手に注がれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしその瞬間、二代目死神がまた殺せんせーの触手を破壊した。

 

その手には…あの対先生ナイフが握られている。

 

「えっ……」

 

それを見た殺せんせーは思わず驚いた声を上げた。

 

そして二代目死神は…その瞬間を見逃さなかった。

 

殺せんせーに触手で攻撃を仕掛けつつ、対先生ナイフを素早く操った。

…まるでE組のみんなを攻撃した時のように。

 

突然の出来事に殺せんせーは動揺し、また一本触手を失った。

 

 

 

一方生徒たちの方にも動揺が走った。

 

「ちょ…どういうことよ‼︎触手を使ったら能力が下がるでしょ⁉︎」

 

 

そう言う茅野の言葉に、柳沢が答えた。

「もともと技術は持っている男だからな。そこを消さないように且つ奴を殺れるようにした。

触手の副作用である『能力低下』をなくし、その代わりに触手の威力を上げた。」

 

「な…そんな事をしたら…激痛が‼︎」

 

そんなイトナの言葉も、柳沢は一蹴する。

「ふん。そんなものメンテをしていれば、なんの問題もないな。

 

そして何より違う点は…彼が自ら強く望んでこの改造を受けた事だ。

不出来なイトナ(おまえ)義妹(いもうと)とはわけが違う。

想像できるか?

人間の時ですら1人で君たちを圧倒した男が比類なき触手と憎悪を得た…その破壊力を。」

 

 

 

そして二代目死神が、殺せんせーに触手をさっき以上に強烈な一撃を仕掛けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

が、

 

 

「…なんの‼︎」

 

背後から襲い掛かる二代目の触手を殺せんせーは弾いて言った。

 

「……皆さん…さっきの授業で言い忘れていた事があります。

いかに巧みに正面戦闘を避けて来た殺し屋でも人生の中では必ず数度 全力を尽くして戦わねばならない時がある。

先生の場合…それは今です!!」




短いです。
とりあえず話が安定するまでこの長さの予定です。

あと5話くらいで中学生編は終了するので、結果が出るまでにぱっぱと書きます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第24話 生徒の時間

うそつきました。
今回は原作に沿っています。


先生の言葉によって、殺せんせーと二代目死神との戦いが始まった。

殺せんせーの動き、二代目死神の触手の動きやナイフさばき……

それらの動きは速すぎてE組のみんなの目は追いつかなかったが、全員がわかること。

 

…殺せんせーが圧倒的に押されている。

 

破壊された触手の再生により体力が削られている殺せんせーは、二代目死神の攻撃にギリギリ対応している程度だった。

 

 

そんな中、今までE組のみんなに触手の説明をしていた柳沢が動き出した。

殺せんせーに…あの圧力光線を放ったのだ。

 

 

二代目死神の攻撃に集中していた殺せんせーは、その光をまともに浴びた。

 

 

一瞬動きが止まった殺せんせーを…二代目死神は見逃さなかった。

 

二代目死神は…殺せんせーに触手を叩き込んだ。

 

 

そんな戦いを、E組のみんなは遠くから見ていた。

 

 

 

 

 

 

ビッチ先生もまた、そんな戦いを切ない表情で見ていた。

 

(…捉えられない音速バトル…。

でも…私には見える。

あの2人に暗くたぎった情念が。

この世で最も強い殺意は…愛を巡って産まれた殺意。

自分の愛を踏みにじった標的の心も体も全てズタズタに引き裂くまで…彼等は絶対に満足しない。)

 

 

 

そして殺せんせーも、初めて二代目死神と話したときのことを思い出していた。

 

あれは…たしか北欧の大富豪を殺ったとき。

 

 

『僕に殺しを教えて下さい‼︎』

 

幼い二代目死神が、当時の「死神」に頼み込んでいた。

 

『本気かい?私がさっき殺したのは君の父だよ?』

 

『関係ないです‼︎

裕福な暮らしで満たされなかったものが何か…父を殺したあなたを見たときにはっきりしました。

僕もあなたの技術(スキル)が欲しいです‼︎たとえ死ぬほど努力しても‼︎』

 

そう言って目を輝かせる少年。

そして2人は夜の闇へと歩き始めた。

 

 

…まだ善悪の区別のつかない少年だったが…その目には才能と、彼なりの夢と希望が溢れていた。

 

 

 

 

 

 

(ここに至って 明日と正気を捨てる前に…育て方はあったはずなのに。)

 

二代目に向かっていく殺せんせーだが、能力が違う二代目にボコボコに反撃される。

文字通り…手も足も出せない状況だった。

 

E組もそれぞれ武器を構えていたが、千葉が持っていた銃を落としてしまう。

カルマですら為す術なく固まってしまっている。

 

 

そんな戦いを見ながら…渚は思った。

(…次元が違う…。

違いすぎる戦い。

僕らが1年してきた努力が…全て無意味と思えるほどの。

烏間先生ですら手を出せない音速の対決。

ましてや僕等が何かできるわけもない。

逃げる事すらできない足手まとい。

…僕等は

殺せんせーの最大の…)

 

 

 

 

息を切らし、膝をつく殺せんせーに二代目死神の触手が迫ってくる。

絶体絶命…と思いきや、殺せんせーは自分の触手でうまく攻撃をいなし始めた。

 

 

さらに二代目死神の連続攻撃を、殺せんせーは見事にかわした。

 

「……かわし…始めてる?」

 

 

 

「フン…ならばこれはどうだ‼︎」

 

殺せんせーは地面に触手を突き刺すと、柳沢の圧力光線の光が届かないよう、地面を蹴って土煙でブロック。

 

 

 

その隙に二代目の懐へ。

襲い来る触手を至近距離で受け止めた。

 

(最小限の力で攻撃を逸らし、

土を使って光を防ぎ、

間合いを詰めて威力を殺す。

戦力差を工夫で埋めて示す姿。

…やっぱり先生はどこまでも先生です。)

 

二代目の触手を掴んで止めている殺せんせー。

 

「こればかりはっ…年季の差です‼︎」

 

二代目の攻撃を捌ききった殺せんせー。

 

「道を外れた生徒には…今から教師の私が責任を取ります。

だが柳沢、君は出て行け。

ここは生徒が育つための場所だ 君に立ち入る資格は無い‼︎」

 

その言葉にイラっとくる柳沢。

 

「…まだ教師なぞを気取るかモルモット。

…ならば試してやろう。」

 

柳沢のパチンと鳴らした指を合図に二代目が妙な動きを見せる。

 

「わからないか?

我々が何故『この』タイミングを選んで来たのか。」

 

二代目が生徒達の前に立つ。

そして、触手を振りかざした。

 

「パワー重視の全開攻撃をかわせない生徒達を標的に、全員死ぬまで操り出し続ける。

言っておくが、イトナのときの何倍もの力だ。もし生徒達に当たったら…どうなるだろうな?」

 

「いけないっ…。」

 

殺せんせーは、慌てて生徒のところに行った。

 

「守るんだよな? 先生って奴は。」

 

襲い来る二代目の触手の前に、殺せんせーは飛び出した。

 

そして…ドンっと大きな音が鳴り響いた…。

 

 

 




すみませんでした‼︎
次からは絶対に変えます。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第25話 私の生徒の時間

後半少々ご都合主義入ります。

そして相も変わらず短くて、その上すごいフラグを折ってます。

次回から完全にオリジナルストーリーに入るんで、待っててください!


今の攻撃で『僕等には』ダメージは無かった。

 

 

それはつまり…

二代目死神の全力の一撃を全て殺せんせ—が…一身に受けたということだ。

 

二代目死神の一撃を受けた殺せんせーは、ボロボロになっていた。

 

「殺せんせ—!!」

そんな殺せんせーを見たみんなは、大きな声を上げた。

 

 

そして、柳沢は…

「教師の鏡だなモルモット‼︎

自分一人なら逃げれるだろうこの強撃を…生徒を守るためだけに正面から受けるとは‼︎

さぁ『二代目』次だ‼︎」

 

その言葉を合図に二代目死神は再び生徒達を取り囲んだ。

 

「あ…」

 

とそこで再び殺せんせーが飛び出す。

 

そして…またズドンッと強烈な一撃が入る。

 

「次‼︎」

 

 

殺せんせーは、間髪入れずに繰り出される強烈な攻撃を正面から受け止めていた。

 

標的(ターゲット)と生徒がいっしょにいれば…『こうなる』のは目に見えていた。

不正解だったんだよ‼︎今夜校舎(ここ)に入って来たおまえ等の選択はな‼︎」

 

その言葉に、E組のみんなは衝撃を受けた。

 

その時…

 

「やめろ柳沢‼︎」

 

 

そう言って銃を構えたのは…烏間先生だった。

「これ異常生徒を巻き添えにするな‼︎さもなくば…」

 

しかし……二代目死神の触手で、烏間先生は拳銃ごと弾かれてしまった。

 

「…く…」

 

「黙って見てろ国家の犬。

おまえはもう俺らに勝てはしない。」

 

 

 

 

そんな様子を渚達は呆然とした様子で見ていた。

 

そして…思う。

 

 

(…ずっと…気づいてた。

気付いてたけど…目を逸らしてた。)

 

目の前では殺せんせーの体に何本もの触手が突き刺さっている。

 

「どんな気分だ⁉︎だ〜い好きな先生の足手まといになって絶望する生徒を見るのは‼︎わかったか‼︎お前の最大の弱点はな…」

 

 

(殺せんせーの最大の弱点…

それは…

 

 

 

 

 

 

 

僕等)

「なわきゃないでしょう!!」

 

その言葉を、殺せんせーは大声で否定した。

 

「正解か不正解かなど…そういう問題じゃない‼︎

彼等は命がけで私を救おうとし、強敵を倒してまでこの校舎にまで会いにきてくれた‼︎

その過程が‼︎その心が‼︎教師にとって最も嬉しい贈り物だ‼︎

弱点でも足手まといでもない‼︎

生徒です‼︎

ここにいる全員が…私の誇れる生徒達です‼︎」

 

殺せんせーは自分に突き刺さっている触手をググっと握る。

 

「…っそれに……生徒を守るのは……教師の当たり前の義務ですから…‼︎」

 

「そうかそうか。

だがな、そんなお前の努力もすぐに全て無駄になる。

その義務も今すぐ我々の手で否定しよう。…やれ、『二代目』。」

 

 

その言葉を合図に、二代目死神はまた触手を振りかざした。

 

そしてそれを殺せんせーに突き刺した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はずだった。

 

直後に聞こえてきたのは……

 

 

 

「ぐっ………。」

 

 

 

という声。

 

そしてそれを発したのは………殺せんせーでなく……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二代目死神だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




昨日活動報告に書きましたが、殺数買いました〜。

やっぱり結構わかりやすいです。殺単の時も思いましたが。

で、見終わった第一声は……



千葉と速水さんってやっぱ怪しい。(←超ゲス顔)
そもそも二人でスコープ覗くって…見ているこっちはカップルにしか見えん‼︎

こういうところは前原と気ぃあうわー(笑)。

でも律の反証可能性には笑った。さすが律。

とりあえず今は本編で二人の関係を書きたいと思っています。いつになるかはまだ未定ですが。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第26話 私の生徒の時間 二時間目

単行本買いました〜。

感想ですか…。そうですね。


自室で泣きました。←
親仕事で家にいなかったから、めっちゃ寂しかったけどね‼︎

今から「卒業アルバムの時間」がめっちゃ楽しみですね。
だって家族構成が描かれるんだよ‼︎E組のみんなの‼︎
アンケートの結果も楽しみですしね。

早く7月4日にならないかな…。


「ぐっ………」

 

 

 

そう言って二代目死神は……

 

 

 

 

 

頭を押さえて、うずくまった。

 

 

 

動揺が走った。

 

E組のみんなにも、殺せんせーにも……

 

 

そして柳沢にも。

 

 

しかし柳沢の顔から、動揺の色はすぐに消え去った。

 

「ふん…想像以上に早くに来たな。予定よりエネルギーを消費しすぎたか。」

 

 

そう言って柳沢は、背を向けてバリアの外へと歩いていった。

 

 

 

「なっ……放って帰るんですか⁉︎」

 

そんな殺せんせーに、柳沢は辛辣に言葉を返した。

 

「当たり前だろう。使えない奴は切り捨てる。イトナの時もそうだっただろう。」

「使えないって……。」

「それにどうせお前も『二代目』も…よっぽどのことがない限りもうすぐ死ぬ。

 

俺は、お前が死ぬことだけが望みだからな。

それに…俺には立ち入る資格がないんだろう?だったらお前で片付けることだな。」

 

その言葉に殺せんせーは言い返せず、柳沢はそのまま立ち去っていった。

 

 

 

取り残された二代目死神は…イトナの時と同様に暴走しそうな勢いだ。

 

 

そんな二代目死神を見ながら、殺せんせーはある日のことを思い出していた。

 

『この花は…?』

 

アジトで新聞を広げる死神がテーブルの上に活けられた花に気付いた。

 

一方二代目死神はというと、銃の手入れをしていた。

そして答える。

『道端の雑草や花を適当に摘んで飾ってみたんです。和ませる技術(スキル)も暗殺の役に立つかなって。…邪魔なら片付けますが。』

 

そう不安そうに答えた二代目死神を見た死神は…

 

『…………いや このままでいい。良いセンスだよ。私より上手い。』

 

それを聞いた二代目死神の顔がぱっと明るくなる。

 

 

『良かった‼︎じゃあこれから毎日飾りますね‼︎』

 

 

『それも良いけど、毎日するなら化学の勉強だ。今の君の化学レベルじゃ蚊すら殺せない。』

 

『う…』

 

 

 

(あの笑顔が『見えて』いたら…もっと違う人生に導けていたのだろうか…)

 

 

 

殺せんせーは二代目の触手に潜り、二代目死神の心の声を聴いた。

 

E組のみんなはそんな様子を固唾を飲んで見守る。

 

 

「……触手が僕に聞いてきた。『どうなりたいのか』を…。

 

 

僕は答えた。

 

 

 

 

 

 

あんたに認めて欲しかった。あんたみたいに…なりたかった」

 

そう言い、二代目死神は触手の仮面の下で涙を流した。

 

そしてそんな二代目死神に、殺せんせーは言った。

「今なら…君の気持がよくわかります。お互いに同じ間違いをしないように、もう一度勉強し直しましょう。

 

君はまだ若い。もう一回……やり直してみませんか?私も今度は君のことを……しっかり『見て』いますから。」

 

 

それを聞き、二代目死神の目から執着心が抜けた。

 

それを見計らい、殺せんせーは二代目死神の触手を抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

二代目死神はエネルギーを使い果たしたのか、その後地面に倒れこんだ。

しかし意識は少しとはいえあるようだ。

 

 

そんな中、

「…殺せんせーは本当にここからでれないの?」

「?なんで?」

「なんか…さっき柳沢が言ってたじゃん。『よっぽどのことがない限り』殺せんせーは死ぬって…。

 

なーんか引っかかってさ。」

 

そう言う中村に、カルマが言った。

「…よく聞いてたね。でも、言葉のあやでしょ。」

「…やっぱりそうだよね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありますよ。『先生』が生き残る方法。」

 

 

 

 

「「「「「…はい⁉︎」」」」」

 

 

 

突然そう言った人物に、E組のみんなが突っ込んだ。

 

 

 

「あるんです。僕の情報が確かなら…ほぼ間違いなく、『先生』は助かります。」

 

 

そう言ったのは、二代目死神だった。

 

 

 

 

 

 

「…まって。ちょっと整理させて。」

「ええ。でも時間が近づいているので、手短に。」

 

そんな二代目死神の言葉を、カルマが代表して整理した。

「…まず殺せんせーはさっき『自分の力が及ぶ範囲で色々調べたけど、発生装置の防備も完璧だった。先生からの投石とかにも備えて対空兵器まで配備してある。』みたいなこと言ってたよね。」

 

「…そんなに覚えていたことにびっくりしてるけど、言ってたね。」

「簡単に言ったら『何もかも完璧だった』ってことでしょ?で…どういうこと?」

 

カルマはそう言って二代目死神に振った。

 

二代目死神はうーん…と言いながら、言った。

「ええと…説明するにはあのレーザーの仕組みを言った方がいいよね。

 

簡単にいうとあのレーザー、中性子の周波数を元にして作られたんだ。

…ここまで言ったらわかる人も多いんじゃない?『先生』もわかったでしょ。」

 

 

中性子?

あのほとんどなんでも突き通す?

それがなにか……

 

 

 

 

 

…ん?

 

 

 

 

 

「「「「「あーー‼︎」」」」」

 

何人かの生徒がそう声を上げた。そして殺せんせーも驚いた表情を浮かべている。

 

 

「あ!じゃあプールに行けば…」

「殺せんせーが助かるかもしれない‼︎」

「いや、まて‼︎話が読めねーよ‼︎」

 

奥田と中村のトントンと進む話に、寺坂が突っ込んだ。

 

しかし…

 

「…寺坂って本トにバカだよねぇ。」

「ああ⁉︎」

 

そんな寺坂に、カルマが言った。

 

「前にテストに出たじゃん。まず中性子って何?」

「ああん?あれだろ。どんな物も突き通す放射線の…」

「そんな中性子でも突き通せないものがありまーす。それは例えば何?」

「ええと……ああ、あれだ。コンクリートとか…」

 

そこまで言いかけて、寺坂はハッとした表情になった。

 

そしてそれによってE組の全員がわかったようだ。

「…確かに殺せんせーの力が及ぶ範囲ではないな。」

「ああ。むしろ弱点だ。」

 

 

 

そして二代目死神は殺せんせーの方を向き、言った。

「確か『先生』…

 

 

 

 

 

 

 

水が苦手なんだよね?」




小説の初めのところに、新しく言葉を入れました。

本当に申し訳ありません‼︎

計算してみると、中学編は次で終わりそうです。
っていうか終わらせます。全力で。

そろそろ終わらないと、みんなの信頼もなくなりますし。

カルマ「もうすでにないよ。」
KJK「ひっっど‼︎」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第27話 卒業の時間

やっっと卒業できたー‼︎

どうだやったぞ!みんな‼︎

カルマ「へー、オメデトー。(棒)」
KJK「たまには真剣に褒めてくんないかなぁ⁉︎」


ちょうどそのころ、司令室では…

 

「…柳沢の暗殺計画が失敗したそうだ。」

「では……レーザーに頼るしかないのですね。」

 

レーザー発射まであと20分を切り、発射の準備が整った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

が……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「⁉︎司令官‼︎」

「?なんだ?」

「超生物の……あの怪物の生体反応が……

 

 

 

バリアの外に‼︎」

「⁉︎なんだと‼︎」

 

 

 

 

 

 

指令室が騒然とした空気になった。

 

そしてすぐさま全員が、事態の確認に急いだ。

 

「奴は…どこから出て行った⁉︎」

「今確認中です‼︎

 

…えっ…と…プ…プールから⁉︎」

「なっ………⁉︎」

 

 

ちょうどその時、

 

 

柳沢が指令室に戻ってきた。

 

「っ柳沢ぁ‼︎お前裏切ったか⁉︎」

そうそうに司令官が柳沢に詰め寄った。

 

 

それを聞いていた部下達が、(ヤバイ‼︎)というような表情になる。

 

「裏切った?どういうことです?」

「あれを見ろ‼︎」

 

そこには…殺せんせーの生体反応のある場所と、バリアの場所が映されていた。

 

 

それを見て、柳沢は一目で悟った。

…何が起きたかを…。

 

そして…

 

「司令官。なぜ…

 

私が裏切ったと?」

「決まっているだろう‼︎あのバリアの中に入ったやつの中で、レーザーとバリアの三つ目の弱点を知っていたのは君だけだ‼︎」

「『二代目』がそれに気づいた可能性は?」

「っ……。」

「私が奴の暗殺計画に裏切るわけがない。」

「だ…だが…」

「まだ何かありますか?」

その声には未だかつてない怒気が込められていた。

 

そしてまた、柳沢の目には…………

 

 

 

 

 

憎しみに満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の朝、某朝の情報番組では…

 

総理大臣の緊急会見の話題で盛り上がっていた。

 

内容は、今回のドーム出現について。当たり前だが……殺せんせーのことについては全く触れない内容だった。

 

 

簡単に言えば、

「あのドームは昨年の月爆破の原因究明のためのものであった。」

「あれほど厳重な警備をしたのはその実験に放射線を使用していたため。」

「人体に無害であることは確認していたが、念のために。」

…ということだ。

 

 

そんなニュースを聞き流しながら渚は………

 

E組のみんなは卒業式に向かって行った。

 

 

 

卒業式の呼名……今日は烏間先生だ。

みんなの返事を聞きつつ、渚は考えていた。

(殺せんせーは…『E組の制度は間違ってるから変えさせよう』とか…そういう事は1回も言わなかった。)

 

 

「潮田 渚‼︎」

「はい!」

 

 

(『理不尽な事が世の中にあるのは当たり前』

『それを恨んだり諦めているヒマがあったら…

 

楽しんで理不尽と戦おう』

その方法をいくつも教えてくれた。)

 

 

 

 

そして渚は卒業証書を受け取った。

そんな渚の目を見て、理事長が言った。

 

「いい目をするようになったね。担任の教育の賜物だ。…卒業おめでとう。」

「…はい。理事長もやりすぎない程度にお元気で。」

 

そんな渚たちの姿を…体育館の天井にいた殺せんせーも、涙ぐみながら見ていた。

 

 

 

そして…最後の花道。

多分…E組のみんなにとっては、椚ヶ丘の体育館を踏むのもこれが最後だろう。

 

そんな卒業生達の背中を見ながら…理事長は自分の生徒達を見送った。

 

 

 

 

 

 

全員が出て行ったことを確認した理事長は、自らの携帯電話の電源を入れた。

 

 

するとそこには…2・3件の不在着信があった。

懐かしく、見覚えのあるその名前に、理事長はおもわず笑みを浮かべた。

そして電話をかける。

 

3コールでその人物は出てきた。…当たり前だ。今日は日曜日なのだから。

 

そして…

「どうした?電話してくるなんて。」

『よー浅野。久しぶりだな。なんか前会ったときとずいぶん声が変わったか?』

「…相も変わらず鋭いな。」

『そりゃどーも。で?なんかあった?』

「そっちこそ。突然電話をかけるなんて、よっぽどだろ。」

『こっちは感謝と近況報告だよ。』

「感謝?されるようなことをした覚えはないが?」

『お前の学校からたくさんの優秀な生徒達をありがとうってことだよ。全員で27人。』

「ああ、そういえばそうだったか。」

『まぁ「彼」が受けたのは意外だったけどな。確かE組の生徒だっけ?なんで落とされたんだよ?』

「…『彼』は君が言ってたほど良い生徒ではなかったよ?…まぁ今はそうかもしれないが。」

『またまたぁ。君の息子が優秀すぎるんじゃないのか?』

「まさか。あれは……」

 

そんなこんなで10分ほど近況報告をして電話を切った。

そして、電話の画面を見た。

 

 

そこには…『大石(おおいし)良雄(よしかず)』の文字。

彼は「椚ヶ丘学園」の理事長の大学の同級生であり…

 

 

 

 

 

 

 

あの「梅宮高校」の理事長だった。




次回からとうとう入学です!
楽しみにしてください‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

高1の時間
第28話 新しい時間


さぁさぁ高校生編スタートです‼︎

これを読む上でまぁまぁ必要な話は以前書いた「設定の時間」に載っています。そちらもぜひ!


4月。

 

それは新しいことが始まる季節。

 

そしてまた…

 

 

元E組のみんなが高校生となる月…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は4月2日。

 

「梅宮高校」のオリエンテーリングの日だ。

 

同時にクラス発表もあるらしい。

部屋の番号もクラス分けで変わるそうで、まして三年間クラス替えはない。

 

クラスは入試の順位が良かった者からC組、B組、A組だそうだ。

 

元E組のみんなだけでなくその年のほとんどの入学者が、自分が何組になるのか期待に胸を膨らませていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渚はその日、椚ヶ丘から30分かかる梅宮駅に着いた。

改札を出ると…

 

 

「あっ、渚‼︎こっちこっち‼︎」

 

おなじみの4班のメンバーが全員そろっていた。

入試の時に一回行っただけだったので、「不安だから」とカルマにまた案内を頼んだのだ。

 

卒業式ぶりの再会に、みんな(特に女子たち)は、とてもはしゃいでいた。

 

とそこで、渚が口を開いた。

「あれっ、茅野髪…」

 

そう…茅野は梅宮高校を「雪村 あかり」として受けたので、黒い髪になっていたのだ。

 

「戻したんだ〜」

と説明する茅野を見て、カルマが渚に…

「『かわいいね。』って言わないの?」

 

 

「…カルマってやっぱりゲスいね…」

「さぁ?でも言わないと伝わらないよ?」

「う…」

 

 

そんな渚たちの姿を見て、茅野はもちろん女子3人は不思議そうにこっちを見ている。

覚悟を決めた渚は茅野の方へと歩いて行き…

「茅野、その髪かわいいね」

 

それを聞いた茅野は、真っ赤な顔をしながら…

「う…うん!ありがと…」

 

(((…これは長くなるなぁ)))

そんな渚と茅野の姿を見たカルマと杉野と神崎は同時に思った。

 

「っそういえば!渚も髪切ったんだね‼︎」

「あー…まぁね」

 

そう…渚も中学卒業と同時に髪を切ったのだ。

 

ただ…

「…なんか…あんまり変わってないな」

「う…」

「髪が長いから女子っぽく見えてたんじゃなくて、もともとの顔が女子っぽいのか…」

「…カルマ君、杉野やめたげて。多分渚それ結構気にしてるから」

 

 

そんな話をしながら、渚たちは梅宮高校についた。

入り口のところで各自封筒を渡される。

…どうやらその中にクラスが書かれているようだ。

 

ただ、「指示があるまで中を見るな」ということだったため、みんなカバンの中にそれをしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オリエンテーリングまでまだ時間があるので、みんな講堂で待っていた。そこでもまた元E組みのみんなに会ってはしゃいだり。

 

「あと30分で始まります。トイレなどは早めに済ませてください」

 

「あー、トイレか」

そんなアナウンスが流れ、渚がそう呟いた。

 

「カルマ、トイレってどこか分かる?」

「あー、確か事務室の近くが一番近かったと思うよー」

「ええと、事務室ってどこだっけ?」

 

 

 

 

 

 

そんなわけで、渚はトイレに行ったのだが…

「…そーいやなんでカルマってあんなにこの学校のこと詳しいんだろ…」

 

そう思いつつ、トイレをすませて講堂に帰ろうとした。

 

 

 

 

が…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…どこ?ここ…」

 

講堂に戻ろうとしたのはいいが……全く知らない場所に行った。

 

簡単に言えば迷った。

この際だから断っておくが、渚は方向音痴ではない。

ただこの学校の仕組みが複雑なだけである。

 

 

「カルマも連れて来れば良かった…」

 

そう思い、カルマにヘルプを求めようとした。

 

 

すると…

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?新入生?」

 

 

 

そんな声がして振り返ると、違う学校の制服を着た女子がいた。

多分彼女も新入生なのだろう。

 

「なんでここにいるの?講堂集合だと思うけど…」

「あぁ…迷っちゃって…」

「あー、結構複雑だもんね。この学校」

「ええと…何でここに?」

「私は理事長室に用があって」

 

…何で新入生なのに理事長室?

 

そう思ったけど…なんか野暮な気がしたのでやめといた。

 

…あれ?なんか大事なこと忘れているような…

 

「あ!講堂!」

 

やばいっ…と慌てていた渚に…

 

「講堂なら向こうの突き当たりの階段登ったとこだよ」

「…ん?」

「こっちの階段からは講堂行けないんだよ。…まぁ普通知らないよね」

 

(何で知ってるの⁉︎君もカルマも‼︎)

 

でもあと15分くらいしかないので、急いで行かないと結構やばい。

「ええと、君は行かなくていいの?」

「私はトイレに行くから…」

「うん、わかった!ごめん、ありがと‼︎また会った時ちゃんとお礼するね‼︎」

そう言って渚は走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…すぐに会えるんだけどな…」

そう呟いたその女の子の言葉は、誰も聞いていなかった。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第29話 新しい時間 二時間目

今回想像の中の話と、実際に書いた時の話がかなり違うことを実感しました…。

これも国語力のなさです…。


渚が講堂に着いたのは開始10分前だった。

 

「どーしたの?ずいぶん遅かったじゃん?」

「うん…ちょっと迷ってて…」

 

そんな渚の言葉に、カルマが…

「あー、確かに複雑だもんね、この学校。着いていけば良かった?」

「いや、違う学校の人が教えてくれたから大丈夫」

「…違う学校?この学校の生徒じゃなくて?」

「うん」

 

そんな渚の言葉に、カルマが「やっぱり…」と呟いた。

 

「?やっぱりって…何が?」

「ん?やぁ、こっちの話〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうこうしているうちにオリエンテーリングが始まった。

この学校の校長らしき人が話始めた。

 

内容としては思ったほど厚みはなく、「この学校の仕組みついて」とか「寮での生活について」とか…

 

とりあえず詳しいことは入学後に説明するようだ。

 

 

 

そしてとうとう…

 

「ではみなさん。封筒を開けてください」

 

途端に、ガサガサっと一斉に封筒を開ける音が聞こえた。

 

「えーB組だ〜」

とか

「まじか〜」

とか…いろんな声が聞こえてきた。

 

多分…A組とかB組とかの人たちの言葉だろう。

 

一方渚はというと…

 

「ん?…C組?」

 

その紙には「あなたはC組です」の文字。

それを見た瞬間はびっくりしたけど、カルマや…ほぼ間違いなく茅野とも三年間同じクラスだということだ。

 

はっきり言って、すごく嬉しい。

 

「何組だった?」

という茅野の言葉に、

「C組だったよ」

と返した。

 

「本当に⁉︎良かった〜。渚と三年間一緒だ〜」

「やっぱり茅野はC組だったんだ」

「うん‼︎」

 

 

…今考えてみればこの時から少しおかしなところはあったのかもしれない。

 

 

「では、A組の人たちから退出してください」

 

その声で、A組になったみんなが退出していった。

 

ちょうどそのとき、渚は先ほどの女の子を見つけた。

ついさっきまで壇上に立っていた校長に声をかけられ、彼女はついていった。

 

(?A組の生徒じゃないのかな?)

そう思いながら渚はそれを見ていた。

 

そして講堂に目を戻すと、椚ヶ丘の制服を着ている人がたくさんいた。

…というか半分くらい椚ヶ丘の制服だった。

 

「ねぇ、カルマ。A組になった人、椚ヶ丘にいないの?」

「…そうみたいだねぇ」

 

カルマは明らかに不審そうな顔をしていたけど、渚はそのときは何も思わなかった。

 

そう。そのときは(・・・・・)

 

「では…B組の人たち。退出してください」

 

そのときだ。初めて…違和感を感じたのは。

 

出て行った人たちは全員…違う学校の人たちだった。

 

逆に言えば、椚ヶ丘の生徒だけが(・・・・・・・・・)その場に残っていたのだ。

 

「…寺坂。お前アルファベットも読めなくなった?」

「うっせぇ‼︎俺が一番信じられないんだよ‼︎」

そういうカルマの言葉に寺坂はイラッとしたようで、クラス分けの紙を見せた。

 

…確かに「あなたはC組です」と書いてある。

 

…おかしい。絶対におかしい。

 

「え、待って。こっわ…」

そう言ったのは…

 

「いや、中村。お前言ってたじゃん。『みんなが同じクラスになったら嬉しくない?』って」

「まさか本当になるとは思わないでしょーが‼︎第一私のこの学校の志望理由それじゃないし!」

「いや、それだったら結構問題だろ…」

 

 

「では、C組の人たちは退出してください」

 

そう言われ、渚たちは退出した。

そして外で待っていた先生(と思われる人)に、教室まで案内された。

…すでに身をもって知っていたけど、かなり複雑だ。次移動する時はカルマと一緒に行動しなきゃ。

 

そんなことを考えつつ歩いていると、教室に着いた。

 

全員が教室に入ったのを確認すると、同行していた先生(多分)が、口を開いた。

 

「では、この席の通りに座ってください。もう少ししたら、担任と副担任が来るので…」

 

そう言って、教室から立ち去った。

その席順を見た渚たちは…

「「「「「「はぁ⁉︎」」」」」」

 

岡野 │ 前原 │ 片岡 │ 磯貝 │ 倉橋 │ 堀部

────────────────────

神崎 │ 木村 │ 不破 │ 三村 │ 矢田 │ 竹林

────────────────────

奥田 │ 杉野 │ 速水 │ 千葉 │ 原 │ 吉田

────────────────────

雪村 │ 潮田 │ 中村 │ 岡島 │ 狭間 │ 村松

────────────────────

◯◯│ 赤羽 │○○│ 菅谷 │○○ │ 寺坂

 

「なんだよ‼︎この明らか悪意のある席は‼︎」

「やぁ…悪意はないけど…ずいぶんと固まってるね……」

 

不安がほぼ確信になった瞬間である。

 

「…とりあえず…席につこっか。みんな」

そんな磯貝の言葉に、みんながしぶしぶ従った。

 

…ものの5分もしないうちに人が入ってきた。

見たことない人だ。

 

((((((…ん?))))))

 

知らない人だったからこそ、みんなは違和感を覚えた。

だって…担任が誰かは薄々わかっていたから…。

 

そしてその人物は、口を開いた。

「皆さん、お久しぶりですね‼︎これから三年間副担任『役』の…」

「「「「「お前かーーーーー‼︎」」」」」

 

声を聞いて全員がわかった。

その人物は…

 

「いやみんな、最後まで聞いて。僕は君たちの副担任『役』兼体育教師の補佐をします…

 

 

 

 

 

 

 

二代目死神こと、アードルフ=アホネンです。

みんなはもうわかっていると思うけど…担任『役』と担任はあの人たちですね」

「あぁ…やっぱり?」

「ええ。どうやら担任『役』の方は話があるそうなので…では入っていただきます」

 

 

(どーせあのことだろ…)

 

入ってきたのは…

 

「みんな、久しぶりだな」

「「「「「やっぱり烏間先生だ〜」」」」」

「良かった〜。ここでビッチ先生とかきたらどうしようかと」

 

そんな卒業式ぶりの再会に、みんなが楽しそうに話し始めた。

 

そんな空気の中、烏間先生が口を開く。

「わかっていると思うが…君らに少し依頼がある」

 

そう言って、ドアに向かって「来い」というジェスチャーを送った。

そして入ってきたのは…

 

「皆さん。お久しぶりですねぇ」

「「「「「やっぱりな」」」」」

「ニュア‼︎皆さんひどくないですか⁉︎」

 

やはり、殺せんせーだった。

そんな安心感からか、いつもの先生いびりが始まりそうなほどの、楽しそうな雰囲気。

 

 

そんなみんなを見つつ、烏間先生が話し始めた。

「実は、国がまた君らに暗殺依頼を出してきた。受けるも受けないも君らの自由だが…」

「どちみち私はこの教室で担任をする予定です」

 

 

 

そんな話を聞き、みんなは顔を見合わせた。

そして…

「「「「「はははは‼︎」」」」」

「どっちみち先生担任なんだ〜」

「だったらせっかくだし暗殺続けたいよね!」

「うんうん」

「てか、どんだけ国はあのタコ殺してぇんだよ」

「あっ。それ言えてる」

 

 

そんな風に、みんなは暗殺教室の存続を了承した。

 

 

 

 

 

 

「ヌルフフフ。では皆さん。また暗殺教室が始まったところで、新しい仲間を紹介しましょうか」

「え。新しい仲間?」

「はい。皆さんお忘れですか?『もう1人の特待生』の存在を」

「あぁ…そーいやいたな」

「そんなわけで入ってきてください‼︎」

 

 

そう言われ、その人物は入ってきた。

 

そして…

「皆さん、初めまして‼︎私は特待二位の柊 佳奈です!これから三年間よろしくね‼︎」

 

 

そんな彼女を見たみんなは…

(わぁ…美人…)

とか

(スタイルいいな〜。片岡みたいだな)

とか…結構な高評価だった。

 

 

 

 

 

そんな中…渚は驚きの表情を浮かべていた。

 

なぜなら彼女は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

渚に講堂への行き方を教えてくれた子だったからだ。




柊 佳奈についての紹介は、この作品で5月〜7月の間にする予定です。

ぜひ待っててください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第30話 驚きの時間

評価に色がついた〜‼︎
お気に入り50人‼︎


本当にありがとうございます‼︎

…はい、すごい興奮しています。



…あと誕生日が近い。


『柊 佳奈』を名乗ったその女の子は…

 

渚に講堂への行き方を教えてくれた子だった。

 

 

渚がびっくりしている中…となりに座っていた茅野がいきなり立ち上がり…

「え⁉︎佳奈⁉︎なんで?」

 

そんな茅野の言葉に…

「久しぶり〜、あかり!」

 

え?あかり(・・・)

 

「え?待って?どういう関係⁉︎」

そんな渚の言葉に、カルマが…

 

「やぁ…特待二位はある程度予想できてたけど…

 

 

 

 

 

 

 

まさか佳奈(・・)と茅野ちゃんが知り合いだったとはね〜」

「あっ、カルマも久しぶり〜。一位カルマだったんだ〜」

「どーせ気づいてたでしょ」

「あっ、ばれた?」

 

………………………………………………………ん?

 

 

「「「「「「はぁ⁉︎」」」」」」(本日二回目)

 

突然のみんなの大声に、柊とカルマはびっくりしたように体を震わせた。

 

「…何…突然…」

「元気だねぇ。カルマのクラスは」

「で、なんで茅野ちゃんと知り合ったの?」

「「「いや、お前らの関係の方が気になるわ‼︎」」」

 

カルマと柊のトントンと進む会話に、やっとみんなが追いついた。

そして答える。

「…関係って…ただの幼馴染だよ。ねぇ」

「うんうん」

 

 

そんな言葉に…

「あっ、バレンタインで言ってた…。毎年チョコくれる子だったっけ?」

「あー…あったね。そんな話も」

 

そういうカルマに…

「へぇ〜。チョコか〜」

「…言っとくけど義理ね」

「そう言われればそう言われるほど疑いたくなるのが人間の性でしょーが」

 

しかし中村の言葉に、カルマがそっけなく返した。

「期待させて悪いけど、俺らにそんな雰囲気ないから。ねぇ」

「ないね。絶対にありえない」

 

そんなすごくドライな対応に、中村は「な〜んだ。つまんね」と呟いた。

 

 

「で、なんで茅野ちゃんと知り合ったの?」

 

そんなカルマの言葉に、茅野が答えた。

「中学が一緒でね」

「ん?…あー、そういうこと」

「同じクラスで仲よかったよね〜」

 

そんな柊の言葉に、茅野が…

「…で…なんでこの学校に?あっちのほうがレベル高いでしょ?」

「ん?だってこの学校特待制があるじゃん。それにあの学校つまんなくなってさ」

「いや、どういうこと…」

 

 

そのとき…

「ニュア‼︎先生も話があるんです!柊さんへの質問は後にしなさい‼︎」

「えぇ…いいじゃん」

「ダメです!重要な話ですから‼︎」

「「「「「…はぁい」」」」」

 

そう言ってしぶしぶみんなは席に着いた。

それを確認した烏間先生が、口を開く。

 

「ここの理事長には当然このことは説明している。だから全員が同じクラスになったわけなのだが……理事長から『どうしても譲れない』と言われた点がいくつかあってな」

「その一つが、柊さんのこのクラスへの加入です」

「まぁ、そりゃ特待二位だしな〜」

 

「そして二つ目が…」

 

そう言って、殺せんせーは出席簿を取り出して…

 

「今から行う委員決めについてです‼︎」

「「「「「へぇ〜」」」」」

「ちょっと皆さん⁉︎先生これに関しては結構理事長と話し合ったんですよ⁉︎」

「話し合うも何も…委員長は磯貝で、副委員長は片岡で決まりだろ」

「だから話し合ったんですよ‼︎」

「いや、どういうことだよ⁉︎」

 

そんな中…

「そーだよ殺せんせー。委員長は磯貝、副委員長は片岡。全員の総意で決まりでよくない?」

 

そう言うカルマに、殺せんせーが言った。

「…カルマ君?」

「ん?何?」

知っていますね(・・・・・・・)?」

「なんのこと?」

「委員決めのことですよ‼︎知っているでしょう⁉︎」

「さぁ?」

 

そう飄々と返すカルマに、殺せんせーは諦めて説明を再開した。

 

「っとりあえず、委員長と副委員長は学校側ですでに決定しているそうです!」

「え、まじで?」

「ええ。これはこの学校の決まりだそうで…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスの中で、最も入試成績が良かった男女1名ずつがなるそうです‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

へぇ〜そうなんだ。

確かに磯貝君も片岡さんもトップではないね〜。

 

えっと…確かこのクラスのトップ2人…は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………………………ん?

 

 

 

 

 

 

んん?

あれ?

 

 

 

 

 

 

「「「「「「はぁぁぁぁぁ⁉︎」」」」」」(本日三回目)

 

…その日…たぶんこの一年で一番大きく、一番クラス全員のそろった声が…この新しいクラスで響いた。




もうすぐ期末テストなので、更新減らします。

次は私の誕生日回ですね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第31話 質問の時間

一か月くらい更新の間あけてしまって…

本当にすみませんでしたぁぁぁぁぁ‼︎(土下座)

本当なら昨日更新する予定だったんだけど…割と本気で予定が狂ってしまって…。


…題名の意味は後半になるにつれてわかってくるかなぁ…と。


「「「「「はぁぁぁぁぁ⁉︎」」」」」

 

その日三回目のその声は…

 

今までで一番大きく、今までで一番揃った声だった。

 

そして…

「ちょっと待って⁉︎うちのクラスのトップ二人って…柊さんとカルマだよね⁉︎」

「カルマが委員長⁉︎待って‼︎ありえないんだけど⁉︎」

 

その声のあとに、みんなは「ありえない」という言葉に満たされた。

 

そんな声を聞いた柊は、クスッと笑って

「やっぱりカルマのクラスは元気だね〜」

「そりゃどーも」

 

そんな中…

「殺せんせー。もうちょい理事長と話し合ってくれって〜」

「ていうか、カルマ絶対委員長の仕事サボるだろ」

「普通にカルマだけは委員長にしたらダメな気がする…」

 

 

そう口々に言うみんなを殺せんせーがたしなめた。

「まぁ、この学校の決まりだったら仕方ないじゃないですか。そこはもう諦めて…」

「「「「「「できるか‼︎」」」」」」

「第一当の本人が『やりたくない』って言ってんだから別にいいじゃんか〜」

 

 

そう口々に言うみんなを見て、殺せんせーは「うーん…。」と考えるような仕草を見せたあとに、こう言った。

 

「そうですね…。では来週の登校日に超体操服を持ってきてください。明日から寮入りですし、その頃にはほとんどの方が寮に入っているでしょう?」

「…何に使うの?」

「それはその時のおたのしみということで」

 

そう言って、殺せんせーは話を終わらせた。

そして、柊に話しかける。

「あ、柊さん。話が終わったので、席についてください。茅野さんの後ろで」

「かやの……?」

 

殺せんせーの声で、茅野が柊に「ここだよ〜」というように手を振った。

 

それを見て、柊が

「ああ!あかり(・・・)の後ろね!」

「ニュア!しっ失礼いたしました!」

「いや?わかったからいいよ?

そっかぁ。あかりここでは『茅野』って呼ばれてるんだね」

 

そう言って、柊は席についた。

 

それを見て、殺せんせーは

「…では今日話すことはあらかた終わったので…柊さんに質問していいですよ」

 

 

その言葉に、みんな(主に女子)は待ってました!とばかりに立ち上がり、柊の席に集まった。

 

早速倉橋が話しかける。

「ねぇ、佳奈ちゃんって呼んでいい?」

「うん!もちろん‼︎」

「よかったぁ〜。

あっ、佳奈ちゃんって中学どこだったの?」

「あぁ…白波中学…」

「へぇ、白な…え?」

 

解説しよう‼︎

私立白波中学とは東京都にある全国でもトップ3に入る共学校である‼︎そして、神奈川県との県境に位置し、都外からの生徒も多い学校である‼︎そしてスポーツも盛んで、文武両道がモットーの中学校である‼︎

 

「…なるほど…だからさっき茅野ちゃんは『なんで?』って言ってたのね」

中村が納得したように、相槌をうった。

「だってあの学校、勉強勉強で全然息つく暇もないんだもん」

「あー、だから『つまらない』…」

「そうそう」

 

なるほどね。という言葉を皮切りに、色んな質問が飛び交った。

好きな科目とか、好きなこととか…。

 

と、そこへ…

「そーだ‼︎佳奈ってカルマと幼馴染なんだよね‼︎

カルマって昔どんなんだったの?」

「ちょ…中村⁉︎」

 

そんな質問をした中村に、今まで黙って見ていたカルマが思わず声をあげた。

 

そんなカルマに中村が

「おやおやぁ?」

とゲスい顔をした。

 

「反応するってことは…何かやましいことでもあるの〜?」

「いや…そうじゃなくてさ」

「じゃあ別にいいじゃん?」

 

そう言う中村にカルマはイラッとしたのか、中村に言い放った。

「ねぇ、中村。俺時と場合によっては女でも殴るよ?」

「やぁだ、こわいこわい。佳奈ちゃん助けて〜」

 

そう言って全然反省の色が見えないのを見かね、カルマはため息をつき、

「…勝手にすれば?」

と言った。

 

ラッキー、と呟いて、中村はまた柊に向き合って、

「で、カルマって昔どんなんだったの?」

 

そう言う中村の言葉に柊は、うーん…、と考えるそぶりを見せ、言った。

「…多分今とあんまり変わんないと思うよ?」

「…え?」

「私との一対一のゲームに全く手抜きはしないし、ちょっと何か間違えただけで『バーカ』って言ってくるし…

 

 

 

 

 

 

 

あっ、あと何なら一回カルマに割と本気で頭叩かれたことあるし」

「あれ絶対に俺悪くないよね⁉︎」

 

(「悪くない」ってことはガチなんだ…)

カルマの言葉に全員の心が見事にシンクロした。

 

「えぇ〜。カルマ女子叩いたの?どーなの、男として〜」

「だから俺絶対に悪くないから!」

「どんな理由であれ、男が女子叩いただけでアウトでしょ」

「そもそもそれ俺らが小4の時の話だからね⁉︎仮に万が一俺が悪かったとしても時効だから‼︎」

「…やっぱりカルマが悪いんじゃん」

「悪くないって‼︎」

 

珍しく余裕がないカルマを見て、渚は思わず笑みをこぼした。

 

そして柊に、

「あっ、そうだ。柊さん、さっきはありがとう」

「いいよ〜全然。私もまだ時間に余裕あったし」

 

そんな会話を交わしている柊と渚を、茅野が不思議そうに見て言った。

「え?2人って会ったことあるの?」

「あー…。オリエンテーションの前にちょっと僕迷っちゃってさ…その時に講堂までの行き方教えてくれたんだ」

「そうそう。正直あの時、『なんで椚ヶ丘の生徒がここにいるんだろう?』って思ったんだよね〜。

でも仲良くなるチャンスだし、困ってる感じがしたからさ」

「ん?…もしかしてあの時、僕らと同じクラスになるのわかってた?」

「うん」

「…なんで言わなかったの?」

「殺せんせーに『もしE組の皆さんに会っても黙っててくださいね‼︎びっくりさせたいので!』って言われたから?」

「「その時すでに殺せんせーにあってたんだ⁉︎」」

 

その時、渚はちょうど気になっていたことを尋ねた。

「そういえば…なんで柊さんもカルマもこの学校のこと詳しいの?」

「あっ、それ私も思ってた〜」

 

その渚の質問に、柊は…

「あー。私の家、この学校からすごく近くてね。頑張れば3分くらいで着くんだよね〜」

「3分…?」

 

はっきり言って、ここから駅までが5分くらいだ。

…どういうこと…?

 

あれ?ていうか…

 

「計ったことあるの⁉︎」

「うん。だって私たち小学校の時よくここに遊びに来てたし」

「「…はい⁉︎」」

「だからここの理事長とも結構前から知り合いなんだよね〜」

「いや待って!色々突っ込ませて‼︎」

 

ちょうどその時。

「皆さん。柊さんへの質問は終わりましたか?

自由解散なので、その辺りは悪しからず」

 

はーい、と言い、みんなは帰る支度を始めた。

 

カルマ自身も帰る支度をしていた時、

 

「ねぇ、カルマ。

久々に一緒に帰らない?」

 

柊である。

それにカルマは、

「うん、いいよ〜」

と答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあね‼︎佳奈、カルマ君!」

「また来週‼︎」

「じゃあね〜」

 

そう言って、柊とカルマは電車を降りて、みんなと別れた。

 

「で、どうしたの?」

「ん?なにが?」

「なんか話があるから『一緒に帰らない?』って聞いたんじゃないの?」

「そう言うカルマもあるんでしょ?」

「まぁね」

 

そんなことを言いながら、2人は改札を出た。

「佳奈からどうぞ?」

「うん、じゃ…」

 

そう言って、柊はカルマの前に立って…

「カルマ背伸びたね。小学校卒業した時は本当にチビだったのに〜」

「俺がチビだったんじゃなくて、佳奈が大きかったんでしょ」

 

で、と言い、カルマは柊に向き合って言う。

「本題は?」

「…ごめん」

 

そう言って、柊は本題を話し始めた。

「二つくらいいい?」

「うん」

「じゃあ…カルマってさ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みんなから『カルマ』って呼ばれてるんだね」

「そりゃ、名前がそうだから?」

「だって小学校の時は…」

「それ以上言ったら怒るよ?」

「…わかった」

「もう一個は?」

「…カルマさ、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで私に話しかけてくれたの(・・・・・・・・・・・)?」

「…質問の意味がわからないんだけど?」

「だってカルマ言ってたじゃん?

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーー』って」

 

その言葉に、カルマと柊は立ち止まった。

そして…

「忘れた」

「…は?」

「俺言ったっけ?そんなこと。別の奴じゃないの〜?」

「えっ…いや…」

 

そしてカルマは柊に向き合って言う。

「俺からも一個いい?」

「どうぞ?」

 

そう言ってカルマは柊に質問を投げかけた。

それに柊は、「さあ?」と答えた。

 

「『さあ?』って…」

「カルマ頭いいし、すぐにわかるでしょ。

 

あっ私家こっちだから」

 

そう言って、「じゃあね!」と言い立ち去った。

 

しばらくカルマはそこに立ち止まっていたが、

「まぁいっか」

と言って、家に帰っていった。




はっきり言います。

私フラグは出しますが、わかりやすすぎて正直つまらないと思います。
今回がその最たる例です。

鋭い方はもうわかったかと思います。
でも、どうか楽しんで読んでください!

あっ、あと近いうちに茅野の表記を雪村にします。
その時また書くので…ではでは…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第32話 登校日の時間

寮入りは字数の関係でカットします。
また番外編に書きたいと考えています!


全員が寮に入り、今日は4月10日。

入学前の最後の登校日である。

 

渚は寮から杉野・茅野・カルマ・柊と一緒に学校に行った。

 

「ねぇ、みんなさすがにもう行き方覚えたでしょ?」

「寮からの登校は初めてだし、学校ついても教室までよくわからないし…」

「…教室までは複雑じゃないけどね」

 

そんな話をしながら、みんなは学校に向かった。

 

学校の中は複雑なのに、寮から学校までは結構簡単だ。

何よりやっぱり近い。

5分足らずで学校に着いた。

 

「さてと、俺らが一番か?」

そう言いながら、杉野がドアを開けた。

 

…たしかにまだ来ている人はいなかった。が…

「…ん?」

 

 

見えたのは…柊の席の後ろにあった、見覚えのある黒い大きい箱。

 

その瞬間、その中央にあったモニターの電源がついた。

そして…

 

「渚さん!カルマさん!杉野さん!茅野さん!お久しぶりです‼︎

そして柊さん!初めまして‼︎私、自律思考固定砲台こと、(おのず)(りつ)です‼︎」

「「「「律‼︎」」」」

 

 

そう。律である。

みんなの声に、律はこう答えた。

「申し訳ありません。本来なら以前の登校日に来る予定だったのですが…少し調整が遅れてしまいまして…」

「いやいや、そんな」

「律がいるだけで心強いって」

 

 

そんな話をしていると、どんどんとみんなが登校してきた。

そして、彼女がE組に来た時のように、律の周りに輪ができた。

 

「律戻ってきたんだ〜」

…というのが主な内容だった。

 

そんなこんなで時間になったらしく、殺せんせーが教室に入ってきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今日行うのは、身体測定と制服受け渡し。

 

そして…

 

「なぁ、殺せんせー。超体操服使って何するんだよ?」

「ですからその時のお楽しみです」

「そろそろ教えくれてもいいだろ」

「いいえ!まだです‼︎」

 

 

そんなわけで、今教室で着替えをしているのだが…

 

「…渚。そんな落ち込むなって」

「だって…身長…」

 

…その通り。

渚は去年と身長がほとんど変わっていなかったのだ。

それに落ち込んでいる渚を、杉野が慰める。

 

「まぁ…高校で伸びるって」

「本当に?」

「…多分」

「中学の時もそう言って伸びなかったけどね‼︎」

 

 

…渚に身長のこと言わないようにしよう。

そこにいた男子のほとんどが思った。

 

 

そんなこんなで全員着替えが終わり、みんなは校舎の裏に集まった。

 

全員集まったことを確認して、殺せんせーは口を開いた。

「ではみなさん!

 

 

 

 

 

 

 

ケイドロをしましょう‼︎」

「ん?ケイドロ?」

 

 

殺せんせーのケイドロをしたことがない柊を除き、その場にいた全員が黙った。

…頭に怒りマークを付けながら。

 

「「「「「「…ざけんなぁ!!!!!」」」」」」

「ニュア⁉︎なっなんでですか?」

「ったりめーだろうが‼︎」

「そもそもこうなんのわかっててよくやろうと思ったな‼︎」

 

そんな声が飛ぶ中、柊は『今までのケイドロ』を渚やカルマから聞いていた。

そして…

 

「…そりゃ、みんな怒るね…」

「でしょ?」

 

見るからにみんなに同情の目を向けていた。

 

そんな大ブーイングを聞き、殺せんせーは答える。

「いえいえ。今回は烏間先生は鬼じゃありませんし、先生も皆さんを追いかけません」

「…あえて聞くけど、殺せんせーは何するの?」

「牢屋で皆さんを迎えます」

「「「「「いい加減に見張りと言え‼︎」」」」」

 

そんな怒号が飛ぶ中、渚が殺せんせーに質問を投げかけた。

「…ええっと?なんでケイドロ?」

「よくぞ聞いてくれました!渚君‼︎

 

前の登校日に皆さん言ったでしょう?『委員長を変えて欲しい!』と!」

「…言ったね」

「そのためのケイドロです‼︎もし皆さんが勝てば先生も理事長との交渉頑張りますので!」

「…そこは絶対じゃないんだ…」

「ていうかそういう理由なら先生が鬼すればいいじゃん?」

「先生がするって言ったら皆さん怒るでしょう⁉︎」

「…そりぁ……まぁ……」

 

そういうやりとりをしたあと、殺せんせーはみんなと向き合って言った。

「そして、肝心の鬼ですが…

 

 

 

 

 

カルマ君と柊さんにやっていただきます‼︎」

「あぁ、委員長と副委員長候補?」

「その通りです‼︎」

「え?待って?」

 

そう言って止めたのは…

 

「これ…俺が鬼をするメリットないよね?」

「ん?どういうこと?」

「だから、勝ち負けって『みんなを全員捕まえるか捕まえられないか』でしょ?

で、みんなが勝ったら俺は委員長ならなくてよくなるかもしれない。

反対に俺らが勝ったら委員長にならなきゃいけない。

そして俺は委員長になりたくない。

こういう状況だったらみんなでもサボるでしょ?」

「あー…確かに…」

 

しかし…

「ヌルフフフ。先生がそんな簡単なことを想定してないと思いますか?

きちんと対策はしていますよぉ」

「…何?」

 

嫌な予感しかしないな…。

全員がそんなことを考えていた中、殺せんせーがあるものを取り出した。

 

「カルマ君。もし本気を出さなかったらこの写真を皆さんに見せますよぉ」

 

…ああ、顔がゲスい…。

 

カルマは殺せんせーが持っていた写真を無言で受け取った。

その写真を見るカルマの顔が固くなったのが見て取れる。

そして…

 

「ねぇ、殺せんせー」

「なんですか?」

「俺さ、この写真破った記憶あるんだけど?」

「写真は破れても、データが残っていたので」

「…へぇー。」

 

なんの写真かはわからないが、破ったのがいつかは暗黙の了解だ。

…ていうか逆にあの時しかないし。

 

あとカルマ。殺気がここまで伝わってきてるよ。

 

「あとカルマ君と柊さんが勝ったら、2人のいうことを聞きましょう。

…あっ、無茶なのはダメですよ?」

「…知ってはいたけどケチいね」

「いいから始めますよ‼︎

場所はこの裏山。制限時間は1時間です‼︎」

「「「「「「「「…はぁい」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…そんな訳で、今渚たちは裏山にいる。

「やっぱ、カルマが肝だよな〜」

「うん。だよね」

「ねぇ、茅野。柊さんってどれくらい運動神経いいの?」

「ええと…片岡さんくらい?」

「…前言撤回。柊も要注意だな」

「うーん…。でも運動神経が片岡さん並みってだけで、フリーランニングはできないと思うよ?やっぱりまだ訓練受けてないし。これからじゃないかなぁ」

「OK、茅野。ありがとう」

 

そんな感じで程よく情報交換をする。

そんな中、杉野が口を開いた。

「なんか、こんな感じで訓練って久々じゃね?雰囲気的にも最初のケイドロに似てるよな」

「あっ、それなんかわかるかも…」

「あの時は本気で烏間先生が怖かった…」

「あっ、でもカルマ君が考えた『水に潜る』って方法、効きましたよね!」

「ああ…そういやそれ考えたのカルマだったっけ」

「ほんとにそういうの、あいつらしいよな」

 

そこまで考えて…

「…あれっ?やばくない?」

「?なんでだ?」

「だって…」

 

そのあとの渚の言葉を聞いた杉野・茅野・奥田は顔を見合わせた。

そして…

 

「…やばいな」

 

初めて、自分たちの身の危険を感じたのだった。

 

 

 

 

 

 

一方こちらは岡島・不破・千葉・速水の班。

こちらもまたケイドロの話をしていた。

「でもよ、いくらカルマでも俺ら全員タッチするのは無理だろ。」

「…そういう油断が今まで早々に殺られてる原因なんじゃ…?」

「私もカルマは警戒すべきだと思う…」

「地味に痛いところを突くな!スナイパーコンビ‼︎」

 

そんな会話を聞いて、不破が口を開いた。

「まぁ、はっきり言って柊さんよりカルマ君警戒の方向かな。

やっぱり訓練でも上の方だし。柊さんは実力わからないけど…」

「仮に運動神経良くても、柊は訓練受けてないからなぁ。やっぱそういうハンデはあるんじゃね?」

「うーん…。まぁ、そうかな」

 

そんな会話をしていたからだろうか…。

彼らは、後ろの「ある人物」の存在に気がつかなかった…。

そしてその人物は、まっすぐに彼らのところへ向かっていった。

 

 

そして…寺坂・イトナ・村松・吉田の班は…

「…やっぱりカルマ警戒の方向か?」

「うーん。だろうな」

「いや、柊の能力がわからない限り俺は柊の方を警戒したほうがいいと思う」

「ん?そうか?」

「でもよ、よっぽどのことがない限り、訓練受けてない柊が俺らをタッチできるか?」

「…寺坂はバカだから黙っておけ。余計にバカがバレる」

「ああ⁉︎」

 

そんな会話をしていた寺坂たちに、ある人物が向かっていった。

 

 

そう…この時、みんなは知らなかった。

 

「えーと…岡島君、不破さん、千葉君、速水さん…」

 

椚ヶ丘のあの山が、みんなのホームグランドであるのと同じように…

 

「寺坂、村松、吉田、イトナ…」

 

「「逮捕ね〜」」

 

「「「「「「「「…は?」」」」」」」」

 

この山は…カルマと柊のホームグランドだということを…。




なんか今回の話2時間くらいで書けました〜。(1時間プロット・1時間打ち込み)いつもは倍以上かかるんで…。
もともと作ってた話ってのもあったと思いますが…。

じつは今の段階で、作ってる話は結構あります。
その時はスラスラ書けるんですが…その間が空白ってまぁまぁあるんですね。
その時の更新は本当に亀です…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第33話 ケイドロの時間

最近どうでもいいことに気づきました。

佳奈の苗字の「柊(ひいらぎ)」って、名前だと「しゅう」って読むんですね。←
なんか今後出てくるキャラの名前考えてる最中にふと気がついて…。
一瞬そのキャラに「柊(しゅう)」ってつけそうになりました。

気づいて良かったです…。


「本当だって!いきなり後ろから柊が来たんだよ‼︎」

「いやぁ…。どうせお前のことだし、近づいたのに気づかなかっただけじゃねぇの?」

「俺の他にも3人いるけどな‼︎」

 

鬼にタッチされ、牢屋へと向かっていた岡島は、三村にそんな電話をかけていた。

 

「タッチされた俺からのアドバイスだ。………柊はマジでやべぇぞ」

「いっつも一番に殺られてるお前が言っても信ぴょう性ゼロだけどな」

「これガチだから‼︎そんなこと言ってる間に、お前らの後ろにいるかもしんねぇし!」

「いや、まさか…」

 

すると…

「うわぁぁぁぁぁ…」

「三村⁉︎三村ぁ⁉︎」

 

「…悪い………

 

 

殺られた…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「三村さん、菅谷さん、竹林さん、逮捕〜。確保したのは柊さんです!」

そんな律の発言に、茅野を含め、渚たちは固まった。

 

「さっ…殺戮(さつりく)の裏山の再来だ…。どんどん殺られてるよ…」

「…確認だけどケイドロだよね?」

茅野の言葉に、渚がさりげなくツッコミをいれる。

 

そんな空気を吹っ切るように、奥田が口を開いた。

「いや…でも機動力が抜群の人とかもいますし…」

「あぁ。木村とか岡野とか…」

 

そういう杉野に、渚が答える。

「ねぇ、杉野。忘れてない?

鬼はあの…

 

 

 

 

 

 

嫌がらせが大好きなカルマだよ?」

 

「?は?」

 

そんな渚たちに答えたのは…

 

「片岡さん、木村さん、岡野さん、前原さん…逮捕〜。確保したのはカルマさんです!」

 

律の無情な声だけだった…

 

 

 

 

 

「…機動隊を全員殺るって…」

「…カルマ、マジで本気出してるねぇ…」

そう言ったのは矢田と中村である。

 

 

そんな二人のつぶやきに、倉橋が答える。

「カルマ君もそうだけど…思った以上に佳奈ちゃんがすごくない?」

「どんな弱み握られたらこうなんのよ…‼︎」

 

そんな話をしていると…

「磯貝さん、原さん、狭間さん、神崎さん、逮捕〜。確保したのはカルマさんです!」

「「「またぁ⁉︎」」」

 

そこにいた中村・倉橋・矢田の声がシンクロした。

そして矢田が律に尋ねる。

「…律。あと誰が残ってる?」

「はい。残りのメンバーは…中村さん、矢田さん、倉橋さん、渚さん、杉野さん、奥田さん、茅野さんの7名です‼︎」

「…残り時間は?」

「はい!あと30分ほどあります!」

「…絶対無理。これ勝てない」

「…だね」

 

この短時間で20人ほど殺っている。

そして殺せんせーが看守の限り、脱獄は不可能だろう。

…はっきり言って、残り30分逃げ切るなんて…

 

 

 

 

その時、

 

「げっ。佳奈だ!」

「「え⁉︎」」

 

そんな中村の声に、矢田と倉橋はその場から立ち去ろうとした。

 

その隙に、柊は中村をタッチする。

 

 

その場から立ち去ろうとする矢田と倉橋を見て、柊は木の上から飛び降りた。

 

が…

 

「いだっ……」

 

そう言って、柊は足を押さえてうずくまった。

 

「っう…。足ひねった…」

 

……………………

 

「大丈夫?」

「…うん。ごめんね。陽菜乃ちゃん」

「ううん。いいよ〜」

「…本当に大丈夫?」

「…本当にごめんね…。二人とも…」

「いいって。大じ「タッチ」……」

 

…………………………………………

しまったぁぁぁ!!!!!

そうじゃん。佳奈ちゃん鬼じゃん‼︎

 

「本当にごめんね…。二人とも…」

「いや。大丈夫だよ。そういうゲームだし」

「…ひとつ頼みごとがあるんだけど…」

「ん?なに?」

 

 

 

 

 

 

 

「肩貸して…?」

「「「ん?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中村さん、矢田さん、倉橋さん逮捕〜。確保したのは柊さんです!

しかし柊さんは足をくじいてしまったので、ここで離脱となります‼︎」

 

律が渚たちの班に、そんなメッセージを送った。

それを聞いた杉野は…

「…柊離脱?ってことは、今鬼ってカルマだけ?」

「そういうことだね」

「はぁ…よかったぁ。佳奈には悪いけど、そうじゃないと逃げ切れないもん…」

 

 

そんな中、それまで黙っていた奥田が口を開いた。

「あっ。それなら、ばらけた方がいいですよね!

その方が捕まえにくいと思いますし…」

「…さっすが、奥田さん」

 

 

そう言って、カルマは奥田の頭にポンっと手を置いた。

そして言う。

「それじゃぁ、早く行った方がよくない?茅野ちゃんもそう思うでしょ?」

 

そう言いながら、カルマは茅野の肩に手を置いて、茅野の顔を覗き込んだ。

そんなカルマの問いに茅野は…

「うーん…まぁそうだね」

「じゃぁ杉野は向こうで、渚は反対側行って」

「そーだな!さっさと逃げね……と?」

 

杉野は自分の肩に置かれた手を見て、完全に動きが止まった。

…そしてもちろん渚も。

「ん、じゃあ全員確保…と」

 

 

……………………………ん?

 

……あっ!!!!!!!

 

「「「忘れてたー‼︎」」」

 

 

そんな渚たちに、

「渚さん、杉野さん、奥田さん、茅野さん逮捕〜!確保したのはカルマさんです‼︎

泥棒全員確保‼︎よって警察の勝利です‼︎」

 

律がそう告げた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なに簡単に捕まってんだよ…渚」

「…ごめん。あれは…正直油断した」

「なんかさ…普段一緒にいる人がああいう感じで近づいてきたら、すごい自然体で気づかなくなるんだね…」

「今回のケイドロでわかったわ…カルマはマジで敵にしたくねぇ…」

「…どう捕まったんだ…お前ら…」

 

渚たちは自分たちが捕まった経緯を説明すると、

「…なるほど」

なんか…同情された。

 

 

 

「でもよ〜、これでカルマ委員長決定だろ?」

「なんか不安しかない委員長だな…」

「ほんとそれ」

 

 

しかし…

「…ケイドロやってる最中に気づいたんだけどさ…

 

 

カルマって意外と委員長あってんじゃない?」

「?渚?なんで?」

「だって…今までいろんな作戦考えてんの、結構カルマでしょ?」

「ん?」

「イトナ君のプールでの作戦とか、初めてケイドロやった時とか…なんなら3月に殺せんせーに会うための戦略立てたのもカルマじゃん?」

「…あー…」

 

言われてみれば…

「確かにそうかも…」

「まぁ、もしサボっても柊さんしっかりしてそうだし…大丈夫でしょ」

 

 

ところでさ…と渚はつぶやき、

「カルマってどこだろ?」

「「「あっ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「佳奈って絶対バカでしょ。なんでこの山で足挫くの?」

「…別にいいじゃん。やることやった後なんだから」

「相も変わらずどんくさいよね〜」

「…うっさいなぁ…」

 

カルマたちは今学校内の保健室にいる。

足に関してはケイドロが終わった後殺せんせーが治療してくれたようで、今固定されている状態である。

 

ん?保健室の先生?

これが運がいいことにいなかったんだよ‼︎

 

「そもそも俺前にさ、『もうこの山で変なことすんな』って言ったよね?」

「起こったものはしなかたないでしょうが‼︎第一今回は事故だし‼︎」

「どうせ防げる事故だったんでしょ?」

「だから!怪我するのを防げって色々無茶だからね!」

「気つければいいじゃん」

「……もういい。絶対この会話無限ループだから…」

 

 

そう柊が言い、二人の間に静寂が訪れた。

…気まずい

 

「じゃあ俺もう行くから」

そう言い、カルマは保健室から出ようとした。

が…

 

「カルマ、ちょっと待って」

 

そう言って、柊がカルマを引き止めた。

それにカルマは、

「…なに?」

 

そして…

 

「ちょっと…お願いがあるんだけど…」

「…なに?」

「カルマ…

 

 

 

 

 

 

 

 

あのこと(・・・・)黙っててくれない?」

 

カルマは一瞬考えて、

 

「ああ!あのこと?」

「…多分それであってると思う」

「うーん…まぁいいよ。

不本意だけど、俺佳奈に借りあるし」

「うん…。ありがと」

「あのこと知ってるのって他にだれ?茅野ちゃんとか?」

 

そのカルマの問いに、柊は答えた。

「いや…あかりは知らない」

「え?」

「この学校で知ってるのカルマだけだと思う」

 

だからさ…そう言って柊は、

「だれにもあのこと言わないでね?」

 

そんな柊の真剣な言葉に、

「…わかってるよ」

 

そう言って、カルマは保健室から出て行った。

 

 

 




なんか2話と同様変な終わりかたをしてしまいました。

この辺で切らないとダラダラ続いてしまうんで……。

次やっと入学です!

感想大歓迎ですよ‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第34話 入学の時間

最初に少し時事ネタ入れてみました。


4月11日。

今日は梅宮高校の入学式である。

 

 

そして今壇上では校長が熱弁を振るっていた。

 

「…というわけで、確かに皆さんは入試の成績順に分けられたクラスですが、どのクラスの人も同じくらい1位になり得るんです!

今No. 1じゃなくてもいい。君たちは特別なオンリーワンなのです‼︎

A組の皆さんも、C組の皆さんも、この学校でより勉強に励んでください。そして3年後に輝かしい未来を作っていきましょう!」

 

…とまぁ校長はどっかで聞いたことがある台詞(セリフ)(某アイドルグループの有名な曲の歌詞)を新高校1年生に言う。

 

「…ねぇ…これ大丈夫なの?」

「さぁ…」

 

そんな声も聞こえてくる中、入学式はどんどん進んでいく。

 

「それでは、理事長大石良雄より、皆さんに祝辞及びこの学校の方針を伝えようと思います」

 

そして、理事長が壇上に上がった。

「みなさん、入学おめでとう。この梅宮高校の理事長の大石良雄です。

えー、校長先生のお話が少々長かったようなので、私はちょっと手短かにしますね。

いつものことなので、皆さんもそのうち慣れると思いますよ」

 

 

…ずいぶんユーモアがある理事長で…。

何か…浅野理事長とは全然違うタイプだね。あれは。

 

 

みんながそう思っている中、理事長が話し始めた。

 

「今から手短かに、この学校の仕組みについて説明します。

この学校は大きく分けて二つの教育方針から成り立っています。

一つは自立。もう一つは自治です。

自治とは、読んで字のごとく、『自分』自身でこの学校を『治める』

そのため、私たち教師は基本的に生徒に干渉しません。

 

皆さんも先輩方を見て、『自立』と『自治』を身につけていってください」

 

待て。全くわからんぞ。理事長先生?

…まぁいいや。あとでカルマにでも聞こう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁっと終わった〜!」

「やっぱり校長が話長いわ」

「あれこれからいつもなんだよね…まぁ理事長が話短かったからよかったかな」

 

 

 

入学式が終わり、みんなは教室に帰った。

 

そんなみんなの言葉に、カルマが口を開く。

「なんかさ…理事長全く変わんないね…」

「あっ。私もそれ思った」

「そして相も変わらず説明が分かりづらい」

「ほんとそれ。あれ知らない人絶対に伝わんないよね?」

 

……………………………………

 

「「「「「「お前らいい加減俺らのことも考えろー‼︎」」」」」」

 

 

最近よくあるおいてけぼり状態。

なんか…もはや恒例化してる気さえする。

 

 

「あぁ…そういやカルマと佳奈ってここの理事長と知り合いなんだっけ?」

「そーだね」

「あれっ、てことはカルマと佳奈ってこの学校のこと詳しいんだよね?」

「ん?…まぁそうだね」

「じゃあさ…理事長が言ったことって…どーゆーこと?」

 

 

そんな中村の質問に、カルマと柊が答えた。

 

「だから、理事長が言った通り、生徒たち(俺ら)に先生たちは一切干渉しないの。そこはわかる?」

「さすがに…」

「だから生徒会の仕事として、『生徒間のトラブルの解決』があるの」

「…ん?」

「フツーの学校はなんかあったら先生が生徒に『停学』とか『退学』とか決めるでしょ?

この学校はそれを生徒会が決めるわけ」

「…まあ、理事長ってあの性格だからさ…なんていうか…放任主義?」

「…はぁ」

 

ただ単に面倒なだけなんじゃ…?

カルマや柊の説明に、みんなそう思ったが、それを口にする者は誰もいなかった。

 

 

その時、殺せんせーが喋り始めた。

「ではみなさん。本格的に高校生になりましたね!

正直式を見ている最中、去年の今頃のみなさんを思い出して…先生嬉しくって…」

 

…はいはい。いつものやつね。

 

「ええ…。そんなわけで、今から委員決めをしましょう‼︎」

「「「「「どういうわけだよ!!!!?」」」」」

 

この殺せんせーの言葉には、さすがにみんな突っ込んだ。

そしてそんなみんなの言葉に、(まるで言い訳のように)殺せんせーは答える。

「だって…本来なら昨日委員決めの予定だったんですよ…?でも…思いの外委員長決めが滞ってしまって…」

「…決めたんじゃなくて決まってたんだけどね」

「そこなんです!

本来委員決めする時間、このクラスはケイドロをしていたのです‼︎」

「まるで俺らが遊んでたみたいな言い方やめろ‼︎」

「で、今から委員決めなのな⁉︎」

「もちろんです!」

 

そして殺せんせーは、委員の説明を始めた。

「今ある委員は、風紀委員・美化委員・体育委員・保健委員・図書委員・文化委員です。任期は1年。まずは立候補です。風紀委員になりたい人!」

 

…………………。

 

「ねぇ、殺せんせー。仕事内容は?」

「ニュア⁉︎こっ…これは失礼。ええと…これには『風紀委員は学校内の風紀を正すとともに、委員長及び副委員長の補佐に努める』ってありますね」

「だったら磯貝と片岡が適任だろ。これって推薦いいよな?」

「ええ。もちろんです」

「じゃあ磯貝と片岡でいいと思うやつ〜」

 

その前原の言葉に、(磯貝と片岡以外の)全員が手を挙げた。

 

「え…。いや、立候補が優先じゃぁ…?」

「お前ら差し置いて立候補するやつとかいないだろ」

「本当なら二人に委員長やってほしかったくらいだし〜」

「私もさんせー」

 

 

そんな調子で、委員はどんどん決まっていった。

 

結果、

 

風紀委員(男女)…磯貝・片岡

美化委員(男女)…潮田・雪村

体育委員(男女)…前原・岡野

保健委員(男女)…杉野・不破

図書委員(一人)…狭間

文化委員(一人)…中村

 

…となった。

殺せんせーいわく、任期1年と言っても普通は3年やりきるらしい。

この教室で卒業まで共に過ごす仲間たち。

殺せんせーの暗殺教室が…また幕を開いた!




委員会の仕事内容は設定の時間2時間目を見てください。

カルマ「ねぇ作者さん。委員長の仕事ってなんなの?書いてないけど」
KJK「多いよ〜。
1.朝教員室に教室の鍵を取りに行く
2.みんなの出席をとる
3.学級日誌を書く
4.学級内の会計担当
5.学級内でなんらかの話し合いがあった時の司会担当
6.もし自分の学級内でトラブルがあった時の解決
7.その他様々な学校のイベントではクラスの結束を固め、その向上に努める」
カルマ「…やっぱ磯貝の方が適任じゃん」
KJK「いやぁ…。まぁ、頑張れ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第35話 体育の時間

今回渚目線で書いてみました。
違和感あったらじゃんじゃん言ってください。


高校生活最初の授業日。

 

朝のHRを知らせるチャイム。

殺せんせーはそのチャイムと同時に教室に入ってきた。

 

そして…

「ではみなさん。HRを始めます。日直の人は号令を」

「起立!」

 

そのカルマの号令に、全員が立ち、銃を構える。

 

「気をつけ!れー!」

 

その声と同時に、発砲が始まる。

 

そして殺せんせーはいつものようにその発砲を避け始めた。

「みなさんおはようございます。出欠確認をするので、カルマ君お願いします」

 

そんな殺せんせーの言葉に、

「えーと…磯貝」

「はい!」

「岡島」

「はい!」

「岡野」

「はい!」

「奥田さん」

「はい!」

「えっと…律」

「はい!」

「片岡」

「はい!」

 

__________________________________________

 

「矢田さん」

「はい!」

「えーと…茅野ちゃん」

「はい!」

「吉田」

「おう。」

 

ちょうどそれと同時に、発砲も終わった。

そして教卓の前でニヤニヤしている先生(タコ)にカルマは(ため息を吐きつつ)言った。

「はい、殺せんせー。全員出席」

「ヌルフフフ。素晴らしいですねぇ。しかし今日の命中弾は0です」

 

そう言って、殺せんせーはあのシマシマの顔になって、

 

「殺せるといいですねぇ。卒業までに」

 

僕らは殺し屋。ターゲットは先生。

 

「おや、1時間目は体育ですねぇ。先生ちょっと本場の四川でも食べに行ってきます」

 

そう言って、殺せんせーはいつものように教室から出て行った。

 

__________________________________________

 

 

高校入学初の体育の授業。

 

しかしそれはE組の時と同様、体育という名の…

 

 

訓練である。

 

今日の訓練で、僕らの前に立っていたのは烏間先生ではなかった。

立っていたのは…

 

「みんな〜前にも登校日の時言ったけど、これから3年間烏間先生と君たちの体育を担当するアードルフ・アホネンです。

僕のことは好きに呼んで。その方がみんなとなじみやすいと思うし」

 

……………

大丈夫?そんなこと言っちゃって…

 

 

「んー。わかった。じゃあアホせんせー」

 

…その場にいた(カルマ以外の)全員がずっこけそうになった。

てかビッチ先生のときといい、絶対に狙ってるよね?カルマ?

 

自分から言いだしたこともあり、何か複雑な表情を浮かべている。

 

 

そんな空気を吹っ切るように、磯貝君が口を開いた。

「…というか、烏間先生はどこでしょう?」

「ああ。烏間先生なら、今柊さんについてるよ」

 

 

__________________________________________

 

烏間先生はびっくりしていた。

1-1でナイフの勝負をしていたのだが…

 

(…早いし…的確だな。初心者としてはかなり上手なのでは…)

 

向き合ってみてわかったのだが、彼女は片岡並みの運動神経を持っていた。

体力・肺活量・体運び…そして…

 

「ピーーーーー!」

 

とそこで、戦闘終了の合図が鳴った。

 

はぁ…と息をついた柊に、烏間先生が言う。

「柊さん。よく動体視力が良いって言われないか?」

「?…あぁ、まぁ昔卓球やってたんで…」

「なるほどな」

 

卓球か…

 

自分自身も卓球で動体視力を鍛えた経験があるので、そういう柊の言葉に納得した。

 

「ナイフだが、今の柊さんの実力ならおそらく1・2ヶ月でみんなと合流できると思う。射撃は次回の授業で確認させてもらうが…」

「あっ。わかりました」

「あとはフリーランニングだが、以前のケイドロを見るに基礎は出来ていると思う。あとは受け身等の訓練だな」

「了解でーす」

 

そして烏間先生は時計を確認した。

まだ十分時間は残っている。

 

「よし、では今からナイフ術を教える。俺に当てられるようになったら暗殺の成功率も格段に上がるからな」

「はーい」

 

__________________________________________

 

 

さてその頃元E組のみんなはというと…

 

「…どうだった?磯貝君、前原君」

「……知ってはいたけど…」

「烏間先生より早えぇ…」

 

見ててだいだいわかってはいたが…

 

「………やっぱり?」

「「うん」」

 

もっと言えばそれだけでなく…

 

「あー、もう少し動き見ないと僕は殺れないよ〜。はいじゃあ、次の人〜」

 

…………………………………………………………

(((((すごく余裕でいらっしゃる!!!!!)))))

 

「…ぶっちゃけあれ殺せんせー以上に腹立つ気が…」

「……うん。ある意味最強人間だね」

 

そんなこんなしているうちに、チャイムが鳴った。

…ちなみに60分授業らしい。

 

「あー、もうそんな時間か。まだやってない人はまた次の授業でやるからねー」

 

はーい。というみんなの声で、高校生活最初の体育の授業が終わったのだが…

 

 

 

「…で、結局どうする?」

「?何が?」

「あの先生の呼び方だよ!」

そう言う杉野の言葉に、僕は「ああ…」とつぶやく。

 

そこでカルマが…

「いやぁ、アホ先生でいいじゃん」

「それがダメだから言ってんだよ!俺は‼︎」

「ん?なんで?」

 

そのカルマの言葉に、杉野は「うっ…」っと言葉を詰まらせた。

そして…

「…失礼じゃね?」

「そしたらビッチ先生はどうなんの?そっちも大概だと思うけど?」

「絶対に来ると思ったよ!その反論‼︎」

「ていうかさ、」

 

それまで黙って聞いていた僕は口を挟んだ。

「はっきり言ってビッチ先生の呼び方考えたのってカルマだったよね?」

「まぁ実質そーだね」

「……知ってはいたけど…カルマって嫌がらせの天才だよね」

「ん〜?ありがとー」

「いや、褒めてない…」

 

と、そこへ…

「なんの話してるの〜?」

「あっ、茅野、柊さん」

 

どうして一緒に?という質問に、

「さっきそこで一緒に会ったの〜」

 

そんな茅野の言葉に続けて、柊さんが口を開く。

「で、何の話してたの?」

「ああ、俺らの副担任『役』のせんせーの呼び方。さっきの体育の時間に考えたんだけど…」

「いや…さすがにあれはちょっと…」

「…どんなの考えたの…?」

 

そう尋ねた柊さんに、カルマが答えた。

「んー?アホ先生」

「いや。それはさすがにダメじゃない⁉︎」

「えー、じゃあ逆になんて呼ぶの?」

「うっ…それは…」

 

そう言って、柊さんはそこにいた数人の顔を一巡した。

そして…

 

「…それはそれでまた考えたらいいんじゃ…?」

「だからそれを考えて『アホ先生』はどう?って聞いてるんじゃん?」

「だって仮にもあの先生元『死神』なんでしょ⁉︎なんかすごい殺し屋だったらしいし!っていうかよくそんな人にそんなあだ名つけれるね⁉︎」

「でも、あの先生が『好きに呼んで』って………ん?」

 

あれっ?今さらっとすごいこと言わなかった…?

 

動きが止まった一同を見て、柊さんが口を開いた。

「…ん?どうしたの、みんな?」

 

その柊さんの問いに、茅野が答えた。

「え…待って⁉︎佳奈あの先生が元『死神』だったって…」

「ん?…ああ!先生たちから聞いたんだ〜」

「「「「はい⁉︎」」」」

 

いや、待って…

どういうこと⁉︎

だって烏間先生、そういうこと(・・・・・・)言ったらダメだって…(入寮の時間参照)

 

そんな僕たちの反応に気づいていないのかスルーしているのか、柊さんはそのまま話続けた。

 

「いやー、びっくりした。去年殺せんせー殺ろうとして逆に手入れされたんだって?…ていうか世界一の殺し屋がやれないのに、私たちが殺れるの?」

 

((((あっ。そうなってんだ…))))

 

嘘はつかない程度にいろいろ省いているその説明に、僕らは少しほっとした。

 

__________________________________________

 

ちょうどその頃、理事長室にて。

ある女性が理事長と会話を交わしていた。

 

「ーーですから私が彼らの保健医を務めます。

彼らの担任のこともありますし、訓練上彼らが保健室を利用する回数も多いと考えています」

 

そういう女性の言葉に、理事長は、

「ご自由に。生徒たちに危害がなければ…私はあなた方を咎めませんので」

 

そしてその女性は、

「では…失礼します」

 

そう言って立ち去って行った。

 

残された理事長は…

「あの浅野が認めた先生か…

どんな先生と生徒がいるのか…楽しみだな。」

 

 




その後、教室にて
カルマ「あれっ?次の授業もアホ先生?」
アホ先生「ん?そうだね」
前原「えー?なんでだよ?」
アホ先生「なんか先生が『口が痛いから、お願いします』ってさ』
((((((((あのタコ!!!!!))))))))

最後に出てきた女性は誰なのか…
近いうちにやります。(大してすごい伏線じゃない)

ちなみにいろいろ討議した結果、二代目死神の呼び方『アホ先生』になったそうです笑


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第36話 調理実習の時間

今回は、ネタ兼日常回です。

近々みんな野外活動に行くので、その前振りと思っていただければ…

寺坂「おい!作者‼︎お前俺に何させるんだよ‼︎」
KJK「君はある程度雑に扱っても許される気がしたから」
柊「作者さん…ひどい…」
KJK「うん…。なんかごめん」
寺坂「俺と柊との扱いの差な‼︎」


高校の授業が始まってから程なくして、殺せんせーが渚たちに告げた。

 

「皆さん!今日は調理実習をしましょう‼︎」

 

………………金欠なのね、殺せんせー。

 

当たり前っちゃ当たり前だろう。だってこの学校でまだ給料もらってないはずだし。

 

ぶっちゃけE組の頃にはよくあった光景だから、もはや誰も突っ込まない。

 

そんなことを言う殺せんせーに、カルマが質問した。

「殺せんせー。ちょっと質問〜」

「?なんですか?」

「調理実習の班ってさ、俺らで決めれるよね?」

「ええ、もちろんいいですよ」

「ん、りょーかい。じゃあ…」

 

そう言ってカルマは柊の方を向き、

「佳奈は俺らと同じ班ね〜」

「?うん。わかった」

 

 

 

 

__________________________________________

 

 

「ではみなさん。それぞれ役割を決めて調理してください」

 

そんなわけで、調理実習が始まったのだが…

「今回は俺が指揮とっていい?」

「えぇ…カルマ?」

 

普段こういうことでは完全にサボりを決め込んでいるカルマが指揮を執るって…

なんで?

 

しかしそんな考えを吹っ切るように、茅野が口を開いた。

「いいよ!全然‼︎ていうかむしろカルマ君が指揮とって‼︎」

「え…?茅野まで?」

 

 

…この二人の会話のわけは、これから比較的すぐにわかることになる。

 

 

 

 

結局カルマが指揮を執ることになったのだが…

「渚と奥田さんは野菜を切って。で、杉野と俺がこっちの火見るから、茅野ちゃんと神崎さんはそっち見といて」

「「「了解〜!」」」

 

だが…

「ねぇ、カルマ。私は?」

 

そんな柊の言葉に、カルマは、

「え…と…佳奈は…

 

 

 

 

できるまでそこでなにもせずに座ってて」

「ひどくない⁉︎」

 

カルマの結構ひどい言葉に、柊が思いっきり突っ込んだ。

しかし…

 

「…ごめん、佳奈。私もカルマ君と同じ意見…」

「あかりまで⁉︎」

「うん…。だって…ねぇ」

「うんうん」

 

そしてカルマはこう続けた。

「だって佳奈…

 

 

 

 

 

料理ド下手くそじゃん」

「…はぁ⁉︎」

「「『はぁ⁉︎』じゃない‼︎」」

 

 

そんなカルマと柊の話を聞きながら、渚は茅野に尋ねた。

「…どれくらい下手なの?」

「…白波中学の伝説になったくらい」

「いや、それだけじゃわからないから‼︎」

 

そんな渚のツッコミに、茅野が答える。

「えっとね…確かあれは中1の秋…中学入って初めての調理実習でのことなんだけど…出席番号順の班だったから私は食べてないんだけどね…

 

 

 

 

 

佳奈の料理を食べた人全員卒倒したレベル…かな…」

 

 

「「…はい⁉︎」」

 

茅野の言葉を聞いた渚と杉野は同時に突っ込んだ。

 

そしてカルマは…

「…やっぱり中学でもやったか…佳奈は…」

「『中学でも』ってことは小学校のときもやったんだね…」

「佳奈の料理は不味いの域超えて、なんか…才能だからね…」

「…食べたんだ」

「佳奈の料理食べたの小3の時だからね〜。その時まだ『佳奈の料理は不味い』って知らなかったし」

「ちなみになんで?」

「バレンタインのチョコ。それから絶対に手作りするなって言ったよ」

「…だろうね」

 

 

そんなカルマと茅野の会話を聞いて、渚・杉野・奥田・神崎は軽く恐怖を覚えた。

 

 

そんな会話を交わす二人に、柊が反論する。

「いやいやいや、私料理できるからね?」

「…それ本気で思ってたら、正直佳奈ってバカだと思う」

「よーーーーし‼︎じゃぁ私作ろうじゃないの‼︎作って美味しかったらカルマにここで土下座してもらうから‼︎」

「うん、やめよっか。食べ物がかわいそう」

 

そんな(かなり)ひどいことを言うカルマに、柊が挑発を仕掛ける。

「あれあれぇ?私に負けるかもしれないから怖いんだ〜」

「…って言ってますが、茅野ちゃんはどう思う?」

「佳奈、ごめん…私もカルマ君と同じ意見…」

「なんでよ⁉︎やっぱり二人ともひっっど‼︎」

「じゃあさ、サンドイッチなら作っていいよ。それ以上は冗談抜きで食べ物がかわいそうだから」

 

((((((((((めっちゃ下に見られてる‼︎))))))))))

 

どんだけ元がすごいんだよ…

みんなの心の声が揃った気がした。

 

…カルマがその言葉を『あえて』言ったと知るのは数分後だった…

 

 

 

__________________________________________

 

 

 

 

 

「はい!できたよ〜」

 

そう言って柊が差し出したのは…

「…なんだ。ふつーじゃん」

 

 

カルマと茅野があれほどいうからすごいのを想像していたが…

 

「…っていうか、柊さんの料理食べれたらカルマ土下座だよね…?」

「絶対にしなくて済むから大丈夫」

「これ見てどうして出てくるの…その自信…」

 

そんな渚の声を聞きながら、カルマは柊からそのサンドイッチを受け取った。

そして…

「ええと…そーだね。寺坂」

「ンあ?」

 

ちょっとこっち。とカルマは寺坂を手招きする。

そして…

 

「寺坂。これちょっと食べてみ」

「ああ⁉︎なんでだよ⁉︎」

「寺坂って体丈夫じゃん?」

「食いモン食べんのに体の丈夫さいるか⁉︎普通⁉︎」

 

そう言って、文句を並べる寺坂に、イトナが口を開く。

 

「というかサンドイッチを不味く作れるなんて、逆に褒められた才能じゃないか?」

 

だから行け、というイトナの声に押され、寺坂は柊の作ったサンドイッチを口にした。

 

 

 

結論から言おう。

柊の料理能力は…褒められた才能だった。

 

 

サンドイッチを口にした瞬間、寺坂は口を押さえて急いで外へ出て行った。…多分トイレだろう。

 

 

その様子を一部始終見ていたみんなは、

((((((((((…嘘だろ…?))))))))))

 

「だから言ったじゃん。佳奈は料理ド下手くそなんだって」

「いや、サンドイッチ不味く作れるなんて絶対にある種の才能だろ‼︎」

「まるでサ○デーのずっと休載している某農高漫画の主人公の兄の料理みたいね…あっ、それかジャンプで数少ない探偵ものの主人公の母親とか、この間ジャンプで連載終わったばっかりの恋愛モノのヒロインとか…」

「…不破さん?」

 

不破さんのメタい発言は置いといて、

「…カルマって…佳奈がこんなに料理できないのわかってた?」

「もちろん」

「…どういう経緯で?バレンタインだけでここまでひどいって気付かないよね。普通」

「だって小学校の頃に『やった』から」

「…ん?」

「小学校の頃の佳奈の伝説……行ってた小学校にちなんで『森竹小の七不思議』って呼ばれてたんだけど…

 

そのとき作ったのサンドイッチだったらしい」

「あぁ…」

 

 

これを聞いた全員が何かを察した。

そして…

 

「そんなわけでさ、みんな

 

 

絶対に佳奈には料理作らせないでくれない?」

 

そんなカルマの言葉に、みんなはすごく納得したのだった…




その後、サンドイッチは柊が美味しくいただきました。
柊「なんだ。フツーに美味しいじゃん」
茅野「いやいやいやいや」
カルマ「佳奈の味覚がおかしいんだって…」
柊「ひどいって!二人とも‼︎」



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第37話 バイトの時間

今回オリキャラ出てきます。



4月も終わりにさしかかった頃、渚、茅野、柊、前原、片岡、岡島は学校から歩いて10分ほどのところにある、喫茶店「KATO」にいた。

 

 

「うーん、イケメンだ」

 

彼らはある人物を見て、そんな声をあげた。

 

 

無論磯貝である。

 

 

その時、カラカラとお店に人が入ってくる音がした。

 

「いらっしゃいませ〜、何名様ですか?」

「はーい、2人です〜」

 

 

…いかにも磯貝目当ての女子高生である。

 

 

「ねぇねぇ、なんて名前〜?」

「…磯貝って言います」

「そーなんだ!でさぁ、磯貝君ってどこの学校?」

「ええと…梅宮高校ですね」

「へー!頭いいんだ!」

「ありがとうございます。ご注文が決まりましたらまた呼んでください」

「ええーーもうちょい話そうよ〜。」

「申し訳ありませんが、他のお客様がいらっしゃるので」

 

そう言って、磯貝はあのイケメンスマイルを出した。

 

 

 

そのやり取りを一部始終見ていたみんなは…

 

「いや〜磯貝は何やってもイケメンだわ」

「だよね〜だって私この間磯貝がラブレター貰ってんの見たもん」(by柊)

((((イケメンだ‼︎))))

 

「あっ…私もなんか前に貰ったなぁ…女子に」(by片岡)

((((イケない恋だ‼︎))))

 

「それにあれ見てよ。あの女子高生の逆ナンを見事にかわしてる!」(by茅野)

((((イケメンだ‼︎))))

 

「え?俺もなーんかめんどくさい子に絡まれたらスルーしてるぞ?」(by前原)

「嘘だね」(by茅野)

「嘘だな」(by岡島)

「絶対ありえない」(by片岡)

「前原が逆ナンスルーとか…明日殺せんせー殺す方が確率高いんじゃない?」(by柊)

「怒るぞ!お前ら‼︎」

 

「あっ、それから磯貝君、前に道迷った子供に声かけてたよ。『大丈夫か?』みたいに」(by渚)

((((イケメンだ‼︎))))

 

「お?子供なら俺も前助けたぞ?」(by岡島)

「岡島…子供に手出したら犯罪だよ?」(by柊)

「お前なぁ‼︎」

 

 

 

と、その時。

「あんまり騒がないでよ〜。他の人の迷惑になるし」

 

カルマである。

そんなカルマの言葉に、岡島が、

「…カルマが至極まっとうなこと言ってる…‼︎」

「…その言葉、喧嘩売ってるって捉えていいよね…?」

「悪かったって!てか今の冗談の範疇だろ⁉︎」

 

そのやり取りを見ていた前原は、

「岡島…。骨は拾ってやるから…」

「死んでねぇからな⁉︎」

 

そんなやり取りを横目で見つつ、渚が口を開いた。

「ていうか…本当にカルマよくバイトしようと思ったね…?」

 

その質問に、カルマは答えた。

 

「ここ、知り合いの店なの。小学校の時なんか塾の後によくここで集まってたし」

「迷惑じゃあ…?」

「向こうは収入増えるからって喜んでたけどね」

 

渚の言葉に、次は柊が答えた。

 

そして柊はカルマに質問を投げかけた。

「そーいやさ、将暉元気そうだった?」

「そりゃあもう。この間『久しぶり』みたいなこと言ってたし」

「やっぱり変わんないね。将暉だけは」

「いやぁ。あいつは変わる要素ないでしょ」

 

 

……………………………………

 

「「誰だよ!それ‼︎」」

 

みんなの心の声を、代表して岡島と前原が発した。

 

 

「あっ、聞いてた?」

「聞いてるぞ⁉︎で、誰だよ‼︎」

 

そんな岡島の言葉に、カルマが答えた。

「ああ、幼馴染だよ。佳奈より知り合い歴長い」

「ふーん」

「ほら、噂をすれば」

 

そう言って、カルマは入り口に目をやった。

そこにいたのは…

「カルマ…お前仕事しろよ……」

「はいはい、ごめんね〜将暉」

「お前な…」

 

そう言ってため息を吐いた少年…彼がその『将暉』だろう。

 

…中々整った顔をしている。

クラスの男子で例えると、杉野あたりか。

 

 

カルマは、わかってるって、とつぶやき、

「じゃあね〜みんな」

 

そう言って、厨房の中へと入っていった。

 

__________________________________________

 

 

厨房からスタッフルームに行ったカルマと将暉は、中で言葉を交わしていた。

 

「あれ…お前らの友達?」

「ん?そーだね。おんなじ学校の」

「へーそうか」

 

ていうかさ、と将暉は言葉を続けた。

「正直びっくりしたわ。お前がバイトするとか」

「…本トにみんなそれ言うよね。そんなに意外?」

「あっ、やっぱり言われてたんだな……

 

 

でも、大丈夫か?あそこにいる奴ら、多分これから何回も来るぞ?」

 

そう言って、将暉はある(・・)机をちらっと見た。

そんな将暉の言葉に、

「大丈夫だって。俺自分で『やる』って決めたことはちゃんとやるし、

 

 

 

 

 

 

何より、自分の選択『間違えたな』って思ったの、今まで2回しかないからさ」

「…そっか」

 

 

ちょうどその時、入り口からカラカラという音が聞こえてきた。

お客さんが来たらしい。

 

「あー、お客さん来たぞ。行ってこい」

「えー…別に将暉でも良いじゃん?」

「文句言わずに!はい‼︎」

 

はいはい、と言って、カルマは店に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……変わったな。あいつ」

 

そのつぶやきを聞いた者は誰もいなかった。

 

 

 




ー後日談ー
柊「ねぇ、将暉。私もここで働いていい?」
将暉「…厨房に絶対に入らないって誓えるならいいよ」
柊「いや、スタッフルーム厨房の奥じゃん!ていうかなんでよ‼︎」
将暉「…佳奈が厨房入ったらこの店潰れる…」
柊「?なんで?」
カルマ「俺さ…佳奈は一旦自分の料理がいかにすごいか見直したほうがいいと思うんだけど」
柊「だから!なんでみんなそんなに私の料理悪く言うの⁉︎フツーに美味しいじゃん‼︎」
カルマ「っていうんだけど、どう思う?将暉は?」
将暉「いや…。
…無自覚って怖いな…」
柊「本当にみんなひっっど‼︎」

あと何回かバイトの描写は書く予定です。(あくまで予定)
もう一つ。活動報告にて、少しアンケートを行います。よければそちらもよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第38話 ビッチの時間

ちょっと遅れてしまい、すみませんでした‼︎

題名で大体話はわかるかと…


その日の日付を黒板に書いていた渚はふと呟いた。

「…もう1ヶ月か…早いなぁ」

 

黒板に書かれた日付は『5月2日』

入学して、早くも1カ月。

 

ゴールデンウィークの途中の登校日。

その日はまた新しく高校生活が輝く日でもあった。

 

__________________________________________

 

朝のHRの前の時間。

柊はまた理事長室に呼ばれた。

 

 

「失礼します」

柊が理事長室に入ると、そこには理事長・烏間先生、そして…1人の女の人がいた。

 

(あの人誰だろ…)

すごい美人…と思っていると、烏間先生が口を開いた。

「柊さん、何度も呼び出してすまないな。今回はこいつのことなんだが…」

「ちょっとカラスマ!こいつって何よ‼︎」

 

(あれっ…?私たちよりずっと上だと思ってたけど…意外とあんまり年変わらない…?)

でも、こんなに仲よさげってことは…

 

「あれっ?もしかしてE組の関係者?」

「…飲み込みが早くて助かる…」

そう言って、烏間先生は言葉を続けた。

 

「こいつ…イリーナ・イェラビッチはこう見えて、元暗殺者だ」

「こう見えてって!」

「去年は奴の暗殺のためにあの教室へ英会話の教科担任として来た」

「ちょ…無視しないでよ!」

「今は訳あって防衛省(うち)で働くようになった」

「ちょっと!カラスマ〜‼︎」

 

…あの人ちょっっっとうるさいかなぁ…

 

一方同席している理事長はというと、下を向いてすごい笑いをこらえているのが見て取れた。

…笑いの沸点低いんだよな、あの人。

 

烏間先生も我慢の限界がきたようで、その先生の頭を掴んでこう言った。

「イリーナ、お前は黙ってそこに座ることもできないのか?」

「うっ…ええと…」

「そこに座れ。そして黙って待ってろ」

 

…うん……まぁまぁ怖いね。

そんな烏間先生の言葉に、その先生ーイリーナ先生はすごくしょぼんとした様子で理事長室のソファーに座った。

 

それを確認して、烏間先生は話を再開した。

「簡単に言うと、5月からE組の頃と同様に英会話の教科担任としてこのクラスに赴任することになった」

なんだかんだ言って、みんなと仲が良かったしな、と続ける。

 

ふーん、と相槌を打った柊はふと疑問に思った。

「元暗殺者ですか?なんの?」

「ハニートラップだ」

「…はぁ」

 

想像のその字もないとこからきた。

てっきり銃とかナイフとかが来ると思ってたよ!

 

「いや、イリーナは世界で1・2を争うハニートラッパーだ。その技術で何人もの男のところに潜って暗殺を行った。いわば潜入暗殺のエキスパートだな」

「あー…そうなんだ…」

 

 

それともう一つ…

「なんで今?」

「……色々トラブルがあって手続きが遅れた」

「はぁ…」

 

これは詳しく聞いたらダメな奴かな?

 

 

 

そんな感じで、話が終わりそうな雰囲気を感じたのだろう。

理事長室のソファーに座っていた先生が、柊の方に歩いてきた。

 

そして、

「あなた、佳奈(カナ)って名前だったわよね」

「?ええ、そうですが…?」

 

そう柊が言うと、その先生は柊の肩を掴んでこう言った。

「いい?私のことは『イリーナ先生』って呼ぶのよ!」

 

いいわね!と念を押す先生に、

(…なんでこんなに必死なんだ?この人…?)

と思いつつ、

 

「…はぁ。わかりました」

…ていうか、他にどんな呼び方するんだろ…?

 

__________________________________________

 

 

「はい殺せんせー、全員出席」

毎朝恒例の一斉射撃からのそのカルマの言葉にもみんなは慣れた。

なんだかんだ言いつつ、カルマは毎日出席を取っている。

 

 

「ヌルフフフ。今日も命中弾はゼロですねぇ」

 

そう言って、殺せんせーは授業を始める…かと思いきや

「今日は新しく先生が増えます。一応紹介を…」

「あー、はいはいはい」

「どーせビッチ先生だろ?」

「紹介も何もすでに知ってるし…」

「ニュア!そ…そう言わずにぃ」

 

(…ん?ビッチ先生?)

そんなことを考えながら、柊は先ほど会った先生が来るのを待っていた。

 

 

「はい!では入ってきてください!」

 

そう言われ、入ってきたのは…

「はい、やっぱりビッチ先生」

「ちょっと!あんたたち‼︎」

 

ひどくない⁉︎と言う言葉に、みんなが一斉に笑い始めた。

 

 

そんな中、柊は前の席の茅野に質問を投げかけた。

「ねぇ、あかり。あの人…イリーナ先生ってどんな人?」

「んー?見ての通りだよ?」

 

本当に幼いんだよなぁ、あの人。と呟く茅野を見て、(あっ…やっぱりか…)と思った。

 

「どんな感じの授業してたの?E組の頃」

「あー…」

 

さっきと異なり、茅野は言葉を詰まらせた。

そんな様子を見たカルマが代わりに答える。

 

「うーん、普通の学校だと訴えていいくらいのレベルだったね〜あれは」

「…どんな授業してたの⁉︎」

「まぁ、ビッチ先生って基本痴女だから?」

「は…はぁ」

「聞こえてるわよ!そこ‼︎」

 

そんなビッチ先生の言葉を完全に無視して、カルマは言葉を続けた。

「まぁ、またどうせ受けるし、その時のお楽しみでいいんじゃない?」

「…全くもって不安しかないんだけどね…」

 

 

「あれっ?そういや、なんで佳奈ビッチ先生のことイリーナ先生って呼ぶの?」

 

そんな茅野の質問が聞こえたのか、ビッチ先生はビクッと肩を震わせた。

 

一方柊はすごく純粋に答える。

「いや…。なんか先生に『私のことイリーナ先生って呼ぶのよ!』って必死に言われて…」

「あー、うん、はい」

 

すぐにその状況を察した茅野はそう返した。

そんな2人の会話を聞いてたカルマが口を挟む。

「ていうかさ、もうビッチ先生でよくない?渚も磯貝もそう呼んでるしさ」

「ふーん…そっか!」

「ちょっとカルマ!何余計なこと吹き込んでんのよ‼︎」

 

そんなビッチ先生のあがきもむなしく、

「でもみんなそう呼んでるんでしょ?私1人がイリーナ先生って呼ぶのも変だし‼︎」

 

そして

「よろしくね!『ビッチ先生』‼︎」

「キー!せっかく何も知らないことを利用してイリーナ先生って呼ばせようとしてたのに‼︎」

 

そんなビッチ先生の言葉に、一連の流れを見ていたみんなが笑った。

 

 

ビッチ先生が来て、また前みたいな雰囲気になった。

おかげで本当に楽しい3年間になるだろうな。




ビッチ先生、いつ登場させるかまぁまぁ悩みました。
でもここじゃないと他にタイミングないな、と思いまして…


あっ、後近いうちに名前変わるかも…。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第39話 野外活動の時間

ども。元KJKです。
名前変わりました。

さてさて!
みなさんお待ちかね、野外活動の時間ですよ‼︎
果たしてこれにどれほど時間をかけるのか!←




ゴールデンウィーク明けの登校日。

1-Cはある話で盛り上がっていた。

 

「みんな〜もうすぐ野外活動だから、班決まったら俺か佳奈に言ってね〜」

 

そんなカルマの言葉に、みんなが反応した。

「野外活動?」

「なんか理事長が言うには『クラスの親睦を深めるため』らしいけど…」

「ぶっちゃけすでに仲いいよね…」

 

しかし、なんだかんだ言って高校生活初の宿泊行事だ。

その話でみんなが盛り上がるのに、時間はかからなかった。

 

__________________________________________

 

 

カルマが柊に野外活動について話していた。

 

「班?」

「うん。殺せんせーがさ、『班決めは委員長さんにお任せします』って」

「へぇ」

「だからさ、俺らの班に入んない?」

「調理実習と同じ班だよね?入る‼︎」

 

 

そう言って、柊はカルマの提案に乗った。

 

こんな中、渚が口を開いた。

「っていうか野外活動での班活動って何するの?」

「ええと…初日がクラス内レクリエーションと肝試し。2日目が…」

 

ここで、カルマの言葉が止まった。

…どうしたんだろ?

 

「…カルマ?どうしたの?」

「…うん、佳奈俺らの班に誘って大正解だったね」

 

そう言って、カルマは持っていたプリントを渚たちに見せた。

 

理由はすぐに察した。

「あー…

 

 

 

 

このカレー作り?」

「うん、そう」

 

……うん…

カルマナイス。

 

「…ていうかさ、柊さんが作っても大丈夫な料理ってないの…?」

「ないね」

「そこまできっぱりと…」

「だってないし。あそこまで料理下手だと逆にすごいってくらい」

「そうなんだ…」

「あ、そーだ。くだんないこと思いついた」

 

そんなことを言い、カルマはいつもの悪い顔をしていた…

 

 

__________________________________________

 

 

そしてとうとう野外活動当日。

みんなは予定通りに全員が集合場所に集合した。

 

「あっ。ビッチ先生今回はフツーの服だ」

「何よ!悪い⁉︎」

「いや…むしろいいんじゃね?」

 

そんな会話をしていたみんなだが、バスに乗り込む頃、ほぼ全員がある(・・)人物に視線を集めていた。

 

「烏間さん。奴のことですが…」

「ああ、今回は実行しない」

「了解しました。あと、これなんですが…」

 

 

…うん…どうしよう。

すんごい突っ込みたいのに…

これって突っ込んでいいんだろうか…?

 

 

そんな空気の中、口を開いた人物がいた。

 

「ねぇ烏間先生。なんで園川さんいるの?」

 

(((((言った!カルマ言った!言ってくれた‼︎)))))

カルマ、マジでサンキュー‼︎

全員の心の声が揃った気がした。

 

そんなカルマの言葉に、烏間先生が答えた。

「あぁ…そういえばまだ言ってなかったな」

 

そして、

「園川はこのクラス担当の保険医になった。

訓練の関係から怪我をすることも増えるかもしれないし、だからと言ってあまり外部に奴の存在をバラしたくないからな」

「ふーん」

 

 

なるほど…とみんなは心の中で思った。

 

そんな中、口を開く人が1人。

「…ええと…園川さんって誰?」

 

柊である。

 

そんな柊の質問に茅野が答えた。

「あー佳奈は知らないよね。

防衛省の人でね、烏間先生の部下の人なんだよ」

「へぇ〜そうなんだ」

 

そんな様子の柊を見て、カルマが質問を投げかけた。

 

「あれっ?今回は佳奈知らなかったの?」

「うん…今回ばかりは何も言われなかったなぁ…」

 

 

と、そこで

 

「そうだ!バスの時間結構あるみたいだし、カラオケ大会でもしないか〜?」

前原である。

 

「ええ〜カラオケ?俺あんまり好きじゃないんだけど?」

「いいいじゃねぇか。だってしばらく暇だしさ」

 

そんなカルマと前原のやり取りの中、イトナが口を開く。

「俺は嫌だな。文字通りのジャイアンがいる」

「あぁ⁉︎どういうことだよ、イトナ‼︎」

「そのままの意味だ。うちのジャイアンは本物のジャイアンらしくすごく音痴だしな」

「るっせぇ‼︎」

 

イトナと寺坂の(一方的な)言い合いをみんなは見つつ、磯貝が前原の意見に賛成の意を伝えた。

 

「俺はいいと思うぞ。別にこのクラスでよっぽどな音痴のやつなんていないだろ?…柊は大丈夫だよな?」

「あぁ、佳奈は大丈夫。むしろ上手いし」

「よし!そうと決めたら歌おうぜ!」

そんなカルマの言葉に、前原がそう言った。

 

__________________________________________

 

そんなこんなで宿舎に着いた。

荷物を置いて、みんなが行ったのはまぁままぁまぁ広い部屋。

 

「ここでクラス内レクリエーションね」

「…何するの?」

「ええと、B組は大嵐やるらしい」

「…はぁ」

 

 

「それって誰情報?」

という質問に、柊が、

「海野って人。B組の委員長なんだけど」

と返した。

 

 

「まぁ、普通は『初めまして』の人とレクリエーションするからね。この機会に名前覚えよう!っていうのが目的ってのもあるし」

「なるほどなぁ」

「で、なにする?」

「「「「「…あっ…」」」」」

 

そんなカルマの言葉に、茅野が口を開く。

「大嵐して、鬼に3回なったら歌歌うとか…?」

「古典的だな、おい」

 

そんなツッコミが寺坂から入りつつ、カルマが答える。

「歌ならバスの中で歌ったじゃん?それに大嵐だったら1人のやつに固まる気がするんだよね〜」

 

だから、とカルマは言い、まくら(部屋にあった)を出して言った。

「爆弾ゲームでもしない?二回同じとこ止まったら罰ゲームで」

「「「「「…はい⁉︎」」」」」

 

 

そんなことをいうカルマは…

 

やはりいつものあの顔をしていた…




カルマは一体何を企んでんのか…
次回をお楽しみに‼︎

ちなみに葵は高1(てか今年)の野外活動でハンカチ落としと爆弾ゲームしました。ガチで。
その経験を少々入れてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第40話 野外活動の時間 2時間目

日曜日引っ越し初の投稿です!

今回は、カルマの企み出てこないです。
でも安心してください。考えてますよ‼︎(古い)



「…は⁉︎罰ゲーム⁉︎」

 

カルマの「爆弾ゲームをして、二回同じとこ止まったら罰ゲーム」という提案に、みんなが反対の意を示した。

 

「いや、待て‼︎そもそも何で爆弾ゲームなんだよ⁉︎」

まくら(これ)があったから」

「いや!色々突っ込ませろ‼︎」

 

そんな声が飛び交う中、声を上げるものがいた。

「ヌルフフフ。先生は罰ゲームの内容を知りたいですねぇ。内容によってそれをするかどうか決めましょうか」

 

…………………………………

 

「殺せんせー、いたんだ」

「ニュア⁉︎ひどくないですか⁉︎」

 

そう…殺せんせーである。

 

「…ていうかいつきたの…?」

「…べっ、別に給料入ったからコンビニスイーツ買ってたわけじゃないし?気付いたら集合時間過ぎてたわけじゃないし?」

「「「「「嘘つくの下手すぎだろ‼︎」」」」」

 

殺せんせーの弱点㊳

嘘をつくのが下手

 

「とっ…とりあえず罰ゲームだったらみなさん均等に分け与えられるゲームがありますよ」

「え?何?」

「まず最初に人数分の割り箸を用意します」

 

……………………………

 

「次にその割り箸の先に番号を…「爆弾ゲームにしよう。みんな」ニュア⁉︎まだ何も…」

どーせあれだろ…とみんなは心の中で思う。

 

そんなわけで、全員一致で爆弾ゲームをすることになった。

 

__________________________________________

 

「じゃあ、律。音楽よろしくね」

「了解しました!」

 

そして、ちょうどまくらを持っていたカルマから、スタートしようとした。

そして流れてきたのは…

 

『No.1にならなくてもいい〜(以下略)』

 

待て待て待て待て‼︎

 

「ちょっと待て、律‼︎なんで曲のセレクトそれなんだ⁉︎」

 

そんな三村の言葉に、律がいつも通り朗らかに答えた。

「はい!レコチョクランキングや今までの曲の売り上げ数、そしてこれから起こるであろうことを分析した結果、こちらの曲が半年以内に売り上げが伸びるというデータができたので!」

「はぁ、そうか…じゃなくて!」

 

そんな見事なノリツッコミをしたのは岡島である。

「他にねぇのかよ‼︎それとゲ○極はダメだろ!」

「…ていうか律のデータが正しかったら、またSM○Pなんかするってこどだよね…」

「次は解散か?」

 

こらこら…と心の中でツッコミを入れる数名の人。

そのうちの一人、渚が口を開いた。

 

「っていうか…別になんでもいいんじゃないかな?…やっぱり問題行動した人とかはともかく」

「俺も別にいいと思うぞ?

ファ○モンとかはどうだ?あそこ解散してまぁまぁ長いけどよ」

 

そんな前原の言葉に、律が答えた。

「了解しました!

ちなみに、今現在ソロで活動しているファ○キー○藤さんは、週刊○春に近いうちに記事を書かれるようですが?」

 

そんな律の言葉に、みんなは一斉にざわつき始めた。

「えっ、待て。怖い、それ」

「何をするんだよ…てか何したんだよ⁉︎」

「後者が正解だろーね。そうじゃないと『奴ら』に嗅ぎ付かれないだろうし」

「ほんと怖いわ…○春…」

 

 

そんな中、カルマが口を開いた。

「ねぇ、みんなさ〜

 

…早く爆弾ゲームしない?」

「「「「「「あ…」」」」」」

 

…結局爆弾ゲームを始めたのは、それからしばらく経ってからだった…




一旦ここで切ります。
またこの描写が出てくるので、お楽しみに!

爆弾ゲーム、その後談
前原「なぁ、殺せんせー。割り箸余ってるやつ全部くれない?」
殺せんせー「ニュ?いいですが…なぜ?」
前原「それはちょっと言えねぇな」

次回は肝試し回ですね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第41話 肝試しの時間

さぁて、皆さんのお楽しみ、肝試しの時間だよ!(…楽しみにしていただいてましたよね…⁉︎)




爆弾ゲームは、結局柊と殺せんせーに二回止まって終わった。

まぁ、殺せんせーに止まった時は二回とも

「え?…きっ、気のせいじゃないですかねぇ…」

みたいにごまかしていたが(そして全員一致で止まったことになったが)

 

そしてその二人をカルマが「罰ゲームの報告」と評して、先ほど連れ出したところである。

 

 

「なぁ、渚。次なんだっけ?」

 

そんな杉野の言葉に、渚が答えた。

「ええと…ああ、肝試しだね」

 

夜も更け、この野外活動は暑さを増していくように感じた。

 

__________________________________________

 

「さて、皆さん。集まりましたね?

それでわぁ〜?今から運命のペアくじ引きでーす!」

 

そこにいたのは、他クラスの女子である。

どうやらA組の委員長らしい。

 

ちなみにこの肝試しのルールは…

ー男女ペアを組み、指定されたルートを通るー

だけである。

 

まぁ、シンプルな…

 

「…っていうかさ、男女ペアってだけでゲスさが増すよね…」

「?…あぁ…そういうこと…」

 

…まぁ、当然そんなゲスい目的もあるわけで…

 

 

 

 

と、そこに

「…ねぇ、殺せんせー。私ちょっとお腹痛いから…肝試し休んでいいかな…?」

「ニュア⁉︎…ひ、柊さん?大丈夫ですか…?」

 

そう。柊である。

そんな様子を見たカルマが、

「え〜?佳奈大丈夫?休んだら?」

 

……………………………………

「「「「「「カルマが珍しく優しい‼︎」」」」」」

「明日雨降るのか…?うっわ、やだな〜」

「…あのさ…俺が誰かを心配したらダメなわけ?」

 

そう口々に言うみんなに、カルマが呆れたような声をあげた。

 

と、そこに…

「あれっ?でも柊ってさっきまで元気じゃなかったか?」

「いや…腹痛なんて突然くるでしょ」

 

そういう岡島の言葉に、カルマがすかさず反論する。

いや、まぁ、確かにそうなんだが…

 

と、ここで、とんでも爆弾が投げられた。

「…っていうか、確か佳奈ってこういうの(・・・・・)苦手だったよね?」

 

…茅野である。

………………うん。それってつまり……………

 

「…サボりたいんだな…」

「違う!」

「おい、柊〜。ちょっとそれはフェアじゃねぇだろ〜」

「だからほんとに違うんだって…!」

 

 

そんな中、口を開くのは、やっぱりというか…

「ヌルフフフ。では皆さん。こちらのくじをどうぞどうそ‼︎あっ、もちろん柊さんもですよぉ?」

 

…………………殺せんせーよ…………………

(((((((うん…顔、スゲェゲスいな…)))))))

 

そうして、みんなの肝試しが始まろうとしていた。

__________________________________________

 

ペアも決まり、柊は順番を待っていた。

 

「うー…私暗いとこ怖いんだけどなぁ…」

そして相手は

 

「何でよりにもよってイトナ⁉︎絶対いじられんの確定じゃん…!」

 

そんなわけで、その辺りをウロウロしていた。

 

と、その時…

 

「ちょっ!大丈夫か⁉︎」

「うっ…大丈夫…多分」

「それ、大丈夫じゃないって!早く保健の先生のとこ行かなきゃ‼︎」

 

そこにいたのは、お腹を押さえてうずくまっている男の子と、周りで心配している人2・3人。

全員この肝だめしのお化け役である。

 

この状況で声をかけるのは…声をかけてしまう(・・・・・・)のは元々の性格である。

「ええと…どうしたの?」

「あっ!柊さん!いいところに‼︎」

「ちょっとこいつ、腹痛で…」

 

そう言われ、指を指されたのはA組の男の子だ。(名前は知らない)

「ちょっとヤバくない?もうすぐ肝だめし始まっちゃうよ⁉︎」

「え…と…そうだ!代打を…」

 

そう言い、一斉にその場にいたみんなは柊の方を見た。

 

途端に危機を察した柊は、完全に言い訳を作る体制を整えた。

「ええと…私暗いところダメで…」

「そこをなんとか!」

「やぁ、でも…ね!私もうペアできちゃったし…‼︎」

「C組ってしばらく順番こないでしょ!それまでで大丈夫だから‼︎」

それでもなお食いさがる女の子を見て、

 

…よし逃げよう。

お化け役は、本当にごめん!

 

そう思い、逃げる体制をとった。

 

…が…

 

「…待とうか?柊サン?」

「…やだ」

「悪いけど、これ他のみんなのためだからさ」

「…ねぇ海野」

「ん?何?」

「…手、どけて?」

「ん?却下 (^_−)−★」

「待って⁉︎本当にやだって!」

「ごめんな〜これ他の100人くらいのためだから」

「全く悪いって思ってないよね⁉︎それ⁉︎」

「ん?思ってるよ?はい、じゃあ仕付けお願い」

「待ってよ!ほんとに嫌なんだけど⁉︎」

 

そんな柊の声虚しく、柊は変わりのお化け役に抜擢されてしまったのだった…

 

__________________________________________

 

「んーそれじゃああそこで脅かして。はいこれ、懐中電灯」

「うん、ありが…って待って⁉︎私ひとり⁉︎」

「?そうだよ?じゃあよろしく‼︎」

「ちょっ、えっ、待って⁉︎」

 

そんなわけで、今ひとりである。

(…まぁ、いっか。懐中電灯(これ)あるし)

 

そして、その電源を入れた。

カチッ

 

 

 

 

 

……………………………………

カチ、カチ、カチ、カチ…

 

(つ………

 

 

 

 

つかない⁉︎)

なんで⁉︎壊れてるの⁉︎

 

柊…大ピンチである…




【くじ引き直後】
〈ペア〉
カルマー奥田
磯貝ー片岡
岡島ー倉橋
木村ー矢田
渚ー茅野
菅谷ー中村
杉野ー神崎
竹林ー律
千葉ー速水
寺坂(お一人様)
イトナー柊
前原ー岡野
三村ー不破
村松ー狭間
吉田ー原

「「……殺せんせー、絶対仕組んだろ!!!!!」」
「さっ…さぁ…?なんのことでしょう…?」
「とぼけんなぁ‼︎」
「ニュア⁉︎」

いやぁ…今回で終わらす予定が…
すいません!ここで切ります!
次回もお楽しみに…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第42話 肝試しの時間 2時間目

書いたはいいが…なぜこんなにもラブラブしてるのか…?

あと「時間たつの早くね…?」って思っても無視してください!
この小説で『時間軸』を突っ込んだら負けです。


「皆さん!ペアはできましたね‼︎では今から肝試しをはじめまーす‼︎」

 

先ほどの女の子がそういうと、最初のペア(A組)の子たちが森の中に進み始めた。

 

と、そこへ

「おい、お前ら。柊知らないか?」

 

イトナである。

 

そんなイトナの質問に、菅谷が

「あー…そういやさっきから見てないなぁ」

 

と、そんな声が聞こえたのか、カルマが口を挟む。

「あぁ、佳奈ならさっき『まだ時間あるし、その辺歩いてくる』って言ってたけど?」

「ん?…そうか。分かった」

まだこの辺りは明るいし、佳奈も大丈夫でしょ…とカルマは思っていた。

 

 

 

しかし…

「あっ、ごめん‼︎…柊さんこっち帰ってきてない?」

「…ん?」

 

B組の女の子(後に知ったが、住さんというらしい)が、申し訳なさそうな顔で話しかけてきた。

その子にカルマが尋ねる。

「え?佳奈に用あるの?」

「あーうん。実は柊さんにお化け役の代役頼んでね」

「………は?」

「それで懐中電灯渡したんだけど…なんか電池が入ってなかったみたいで。だから帰ってないかなぁ…って」

 

そんな女の子の言葉に、前原が答えた。

「やぁ…まだ帰ってきてないな。

まぁ、お化け役だし、戻ってくることはねぇんじゃね?」

「…っていうかあいつ、肝試し嫌で抜け出したな…」

「あのさ、」

 

そんな微妙な空気の中、カルマが口を開いた。

「それ、佳奈が『やりたい』って言った(・・・ ・・・・ ・・・・・)?」

「ん?…はい?」

「いいから答えて」

 

そんな有無も言わないようなカルマの声に、その女の子は

「ええと…私はお化け役じゃないからよく知らないんだよね…海野に聞いてくれないかな…?」

 

…逃げたな。

 

その場にいたほとんどみんなが思った。

 

みんなの気持ちを知ってか知らずか、カルマが口を開いた。

「…まだ俺らの番になるまで時間あるよね?」

「え…?…まぁ、今始まったとこだし…」

「探すよ」

「「「「「…はぁ⁉︎」」」」」

 

そんな突拍子もないことを言ったカルマに、やはりほとんどみんながつっこみを入れた。

そして前原が続ける。

「いや…そんな無理やり呼び出さなくてもいいだろ。ぶっちゃけ探すの大変だし、柊だって…」

「佳奈は、

 

 

 

 

マジな方で暗所恐怖症だよ?」

「「「「「……は?」」」」」

 

カルマの発言に、カルマ以外のみんながそんな声をあげた。

…ん?カルマ以外のみんな?

 

「茅野も知らなかったのかよ⁉︎」

「…いや…今まで佳奈からは『こういう類のやつが苦手なんだ』としか聞いてなかったから…そっか…暗いところがダメだったんだね…」

うわぁ、佳奈に悪いことした…とつぶやく茅野に、

 

「いや…佳奈もあんまり自分で言うタイプじゃないし…単純な話『そういう所』を避ければいいわけだしさ」

 

別に仕方ないんじゃない?というカルマに、茅野は少し安堵の表情を浮かべた。

 

それに、とカルマは続ける。

「律がいるしね。それでどこにいるかくらい…」

「それのことですが…柊さんの携帯電話は旅館の中です」

 

………………………………うん

「片っ端から探すか」

「だね」

 

律の言葉に、カルマや前原が話す。

 

そんな中、磯貝が口を開いた。

「でもさ…あてはあるのか?探すにしても、場所がわからなかったら探しようがないだろ?」

「…ん?…ああ。それなら大丈夫。佳奈多分歩き回るようなことしないし。」

(⁇⁇)

 

どういうこと?という表情を浮かべるみんなに、カルマが補足を入れる。

「佳奈って本トに暗いトコ苦手だからさ、連れて行かれたトコにそのままいると思う。だから…」

「あっ、なるほど」

そーいうことね…とつぶやいたのは…

 

「つまり肝試しのルートのどこかにいるったことだよね?カルマ君」

「そ」

不破である。

 

あー、そういうことか。と納得するみんな中で、前原が口を開く。

「でもよ、そしたら肝試しの時に探す方が早くならないか?もうすぐ順番も来るし…」

 

そう言って、前原はちらっとB組の方を見る。

B組はもう順番が回ってきたようで、着々と進んでいっている。

カルマもそんな様子が見えたのだろう。

 

「んー…そうだね。あとどれくらいで回ってくる?」

「ええと……あと10組くらいかな?」

「…だったら、肝試しの時に探そっか」

 

最初に方にいたら全然間に合うが…何しろどこにいるのかわからない状態である。

最後の方にいたら間に合わない…

だから…みんな肝試しの時に探すことになった。

__________________________________________

 

柊は真っ暗な森の中、うずくまっていた。

ケータイを持っていたなら助けが呼べるのに…まぁ、持っていない。

だからそうやって待つしかないのである。

 

遠くから悲鳴が聞こえてくるたびに、体がこわばる。

 

「も…やだぁ…」

 

目からは生理的なそれが出てくる。

(だから嫌なんだよ…やなことも思い出すし…)

 

ー何………うと………のよ!

ー…っぱ、せい………いか……ち……ま…ね〜

ーどう……たし………はみ……して…ん……!

(違う!そんなこと………ないのに…)

 

「ごめんなさい…」

 

と、その時、ガサガサっという音が聞こえた。

ビクッと体を震わせる柊。

 

出てきたのは…

「…うっわ。お化けが号泣してる」

「!カルマ⁉︎」

 

なんで…とつぶやく柊に、カルマが答える。

「いや…なんでも何も…そのままずっとそこにいるつもり?」

「いや…でも…」

「はい、文句言わずに立〜つ」

 

柊を立たせたあと、カルマはみんなに「見つかった」という旨の話をした。

「っていうか、なんでケータイ持ってないの?持ってたらもっと早くに来れたんだけど⁉︎」

「うっ…すみません…」

「本ト世話の焼ける…」

 

そう言って、カルマは「はい」と手を出し、

「どーせ一人で歩けないでしょ?掴んでていいから」

 

その手をじっと見ていた柊は

「…ん、ありがと」

 

と言ってその手を受け取った。




〈その後〉
奥田「良かった!柊さん見つかったんですね!」
柊「うっ…迷惑かけてごめんね…」
奥田「いえ!無事で本当に良かったです‼︎」
カルマ「んーじゃあ残りの肝試し、楽しみますか」
柊「え゛⁉︎」

その後、すごい柊さんは怖い目にあったそうです…

お二人のお気持ちですが、ちゃんと書くのでお楽s(殴
柊「作者さん?寝ててね?」
カルマ「ん?気持ち…?」
…なんなんでしょうね。この落差は‼︎


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第43話 女子の時間

今回はこれが!こういうのが一番書きたかったんです‼︎


みんな旅館に帰り、渚・茅野・カルマ・柊の四人は一緒に歩いていた。

 

「ほんとにさ、なんで佳奈は断らなかったの?」

「断ったよ!いやだって言ったよ⁉︎でも海野が…」

「あー…あいつね…」

 

そんなカルマの言葉に、なーんか嫌な予感を感じた渚が、カルマに囁く。

「カルマ…くれぐれもまずいことはしないでよ…?」

「ん?大丈夫大丈夫。する予定はないから。」

 

………………………うん、やっぱり不安だ。

 

そんな会話をしていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「あっ三村と…岡島?」

「お!よう!カルマ、渚、茅野、柊」

 

旅館に大抵ある卓球場である。

 

そこで岡島が、柊に話しかけた。

「そうだ、確か柊って元卓球部だったっけ?勝負しねぇか?」

 

そんなお誘いに、柊は上の方を向き、うーん…とつぶやいて言った。

「ごめん、今回はパスで」

「へぇ、珍しい。なんで?」

「…すごい個人的なんだけど、旅館で卓球するのあんま好きじゃなくて…」

「ふーん」

 

そんなカルマと柊の会話に、岡島が

「そっか、じゃあまたの機会にな!」

 

 

__________________________________________

 

 

さて消灯1時間前になり、女子部屋はある種の沈黙に包まれていた。

 

彼女たちの中心にあったのは…とある紙。

 

その一番上に踊っていた文字は…「気になる男子ランキング」

 

結果はこうだ。

1位→磯貝 4票

2位→カルマ 3票

3位→渚・千葉・杉野・前原・吉田 1票

 

その結果を見て、中村がまず口を開いた。

「うーん…磯貝が1位なのは予想どおりだけど、まさかカルマが磯貝と僅差とは」

「まぁ、最近丸くなったしね〜」

「で、誰だ?入れた残りのお二方は?」

 

その様子から、カルマに入れたうちの一人は中村なのだろう。

 

そんな中村の質問に、奥田と不破が手を挙げた。

「へぇ。奥田ちゃんはカルマと仲良いからわかるけど…不破ちゃんはなんで?」

「ん?だってカルマ君って、一番漫画っぽい人じゃない?」

「…うん、そうだね。不破ちゃんはそんなんだった」

 

中村の結構ゲスい質問に、不破がすごい純粋に答えたため、なんか申し訳ない気持ちになったらしい。

 

と、そこに…

「みんな〜連絡〜」

「ほうほう、これは佳奈さんじゃないですか」

 

そんなゲスい顔をした中村を見て、なんか危険な匂いがしたのだろう。

「ええと…私ちょっと…ジュースでも買いに行ってくる!」

「逃がすか!」

 

〜数分後〜

「さぁてさぁて、大した質問じゃないから」

「そういう目をしてる時って、大概莉桜余計なこと考えてるよね⁉︎」

 

そんな会話を見ている他の女子(みんな)は苦笑いである。

 

「簡単だよ。うちのクラスで一番気になる男子はだーれだ?」

「…へ…?」

 

なんだ、そんなこと…とでも言いたげな顔である。

「だから言ったでしょ?大したことじゃないって」

「…やっぱり明日は雨降るのかな…?」

「ん?何か言った?」

「ハイ、ナニモナイデス」

 

んー、と、柊は考えるような素振りを見せ、

「ええと…正直なところ、クラスの男子のことまだよく知らないんだよね…そういう理由でカルマ」

そういう(・・・・)気持ちは?さっきの肝試しといい、助けてもらってたでしょ?」

「ない」

「じゃあカルマ以外だったら誰がいい?」

「うーん…磯貝あたりが無難か…?」

「ウン、デスヨネー」

 

収穫なしか…とつぶやく中村に、とんでも爆弾を投げた人がいた。

「へ?私てっきり佳奈はカルマ君のこと好きなのかと」

 

………………………………………ん?

 

「「「「「「え⁉︎」」」」」」

「ちょっと茅野ちゃん茅野ちゃん!それ、どういうこと‼︎」

「いや、あの…あかりサン?なんでそんな発想になるのかな…?」

 

そんな茅野の爆弾発言に、中村、柊と交互に茅野に尋ねた。

…もちろん正反対のそれで。

 

「いや、だって佳奈言ってたでしょ?『私幼馴染で、好き人いる』…みたいな」

「ほほう」

「いや…なんでそれがカルマだと⁉︎」

 

そんな柊の言葉に、中村が口を挟む。

「いやぁ佳奈の幼馴染はカルマでしょ?」

「誤解があるようだけど、カルマ以外にもいるよ⁉︎将暉とかもそうだし…」

「へぇ〜じゃあ将暉なんだぁ?」

「いや…それは違うけど」

「まぁ他にも共通の?知り合い?で佳奈の幼馴染いたけどね。違うって全否定してたじゃん」

「いや、その…ね!ユウとカルマはまた別だしさ…」

 

後半はゴニョゴニョ言っていたため、ちゃんと聞き取れたのはおそらく茅野くらいだろう。

 

まぁ、それはともかく…

「で?やっぱりカルマのこと好きなのね〜?」

「だからなんでそうなるの…」

「そうでしょ〜ここまで追い詰められてたらさ」

 

やー、騙された!と言う中村に、矢田が質問を投げかける。

「佳奈ちゃんはカルマ君のどこが好きになったの?」

「うわぁ…みんなが敵だ…」

 

観念したのか、柊は口を開いた。

「…正直よくわからないんだよね…好きってなんなのか。もしかしたらただ単にずっと一緒にいたからってだけかもしれないしさ」

「ん?」

「それに私に…

 

 

カルマと付き合う資格はないしさ」

 

⁇という表情をみんなが見せる中、中村が口を開く。

「ええ〜別に誰かと付き合うのに資格とかいらないでしょ」

「…そんなこと」

「ってことはカルマに告らないの?なぁんかもったいない気もするけどな〜」

「…告るつもりはない。今のままの方が全然楽しいし…」

「ふーん」

 

 

 

 

 

っていうかさ、と柊は続けた。

「他のみんなは誰に入れたの?私ばっかに聞いてくるけど」

 

その言葉に、肩をビクンとさせた人が数名。

そんなこと御構い無しに、柊は続けた。

「みんな〜?私を散々いじり倒したんだから言ってよ〜?」

「はーい。私はカルマ」

 

そう言ったのは

「莉桜は…うん、なんとなぁくわかる」

「でしょ?」

「残りは…奥田さんと…誰?」

「あっ私〜」

 

もう言わなくてもわかるだろう。不破である。

 

そんな不破に、柊が尋ねた。

「え?なんで?」

「だってカルマ君って男子の中で一番漫画っぽくない?」

「…あー…そういう」

 

そーいや不破さんはそうだ…と呟く柊を、相も変わらず不破は不思議そうに見ていた。

 

そんなこんなでもどかしくなったのか、柊が声を上げた。

「あー!もういいや!これだったら全然いじれない!1票投票した人攻めるよ!」

「おっいいね〜」

 

そんな柊・中村の言葉に、やはり反応するものが数名。

「じゃあ探るぞぉ」

 

 

 

と、その時

「あんたたち〜もうすぐ消灯時間よ」

ビッチ先生である。

 

(ナイスなタイミング!)

と思った数名の人たち。

しかし、彼女たちの希望はすぐに打ち破られることになる。

 

柊・中村とビッチ先生にすごく訴えかける目をしていた。

それを見たビッチ先生は…

「…ま、どーせあんたたちは消灯の後も喋るんでしょ」

「分かってる〜ビッチ先生」

 

 

そんな中、ビッチ先生はみんなの真ん中にあった結果用紙に目をつけた。

「ん?…イソガイの1位はわかるけど…なんでカルマも1位なのよ?」

「あっそれ入れたの私と奥田ちゃんと不破ちゃんと…」

 

そう言って、中村は柊の手を引いて

「最後に佳奈でーす」

「あら、リオとマナミは仲良いから?」

「そ」

「で、ユヅキはなんでよ?」

「もうその質問3回目…」

 

そう言う不破に変わって、矢田が代弁した。

「あーなんかカルマ君が一番漫画っぽいからだって」

「…そう…ユヅキらしいじゃない」

そんな言葉に、ビッチ先生はそんな言葉をあげた。

 

で、とビッチ先生は続けた。

「カナがカルマのこと好きなんて意外ね。なんかきっかけがあったの?」

「なぜよりにもよって私がカルマのこと好きだと⁉︎」

「それは大人の勘よ」

「待って!怖い‼︎」

 

物の見事に当てられた柊は、ビッチ先生に初めて恐怖を覚えた。

 

そんな中、中村が話題を変える。

「で、今は誰が誰に入れたのかを模索中ってわけ」

「あーなるほどね。…カナ、当ててみなさい」

「いいけど…なぜに?」

「この一ヶ月でどれくらいこのクラスのことがわかったかの…テスト?」

「意味わからない…」

 

そう言いつつ、柊は結果用紙を手に取り、

「えー…まず渚はあかりでしょ?」

「え゛…なんで⁉︎」

「なんとなく」

「ま、茅野ちゃんはわかりやすいからね〜。気づいてないの本人くらいじゃない?」

「うわ〜…」

 

恥ずかい…とつぶやき、茅野は真っ赤になった。

 

そんな中、柊は続ける。

「で、千葉は凛香」

「…なんで⁉︎」

「千葉に関しては、他が見当たらない」

「うっ…」

「で、杉野は…神崎さんかな?」

「うん、そうだね」

「(うわぁ…これ他意ないな…ドンマイ杉野)で、前原はひなた」

「本当になんで⁉︎佳奈も十分怖いよ⁉︎」

「ここは千葉と一緒だね。他が見当たらない」

「いや…でもあいつ!顔だけはいいじゃんか⁉︎」

「前原がチャラ男だってこと一ヶ月も見てたらわかるし…なんなら私、このクラス来てから一週間くらいで声かけられたし」

「…ふーん、そう」

「…すぐにきっぱりとふったからね?大丈夫だよ?」

 

(((((違う、佳奈(ちゃん)そこじゃない)))))

 

岡野が怒っている様子だったのをフォローした柊を見て、ほとんどみんなが心の中で突っ込んだ。

 

そして柊は最後にこう言った。

「ちなみに…1票投票じゃないけど、磯貝はメグでしょ?」

「…へ⁉︎」

「正直吉田はわかんないなぁ…ちなみに誰?」

「いや、それより前に!なんで私が磯貝君に投票したって…!」

「勘」

「やっぱり佳奈も怖いよ⁉︎」

「いやぁそんなのビッチ先生に比べたら、」

「「いや、怖い」」

「あーでも吉田は消去法でいけるか。残ってるのは、桃花と陽菜乃ちゃんと狭間さんと…原さん?ってことは狭間さんか原さんか…」

「ちなみに私だよ」

 

そういったのは…

「あ〜原さんか」

「そ」

「ふーん意外。なんで?」

「私たち、家が近くてね。幼なじみなんだよ」

「あーなるほど」

 

 

 

 

 

 

 

と、そこに、

『ブーブー』

「ひなた、ケータイ鳴ってるよ」

「ん?…あっ。ほんとだ」

 

そういって、岡野は電話を取った。

「もしもし?どーしたの?珍しい……ん?いいよ。何?

…うん……うん………うんうん……うん…………うん」

 

そんな感じで、岡野はひらすら相づちを打っていた。

 

と、突然、

「あー、

 

 

それ、私だ」

「「「「「…は?」」」」」

 

いや、何が⁉︎というツッコミが、みんなの心の中で起こる。

そんなことを知ってか知らずか、岡野は

「うん。そうそう。……うん?いや、いいよ。全然。

やー、うん。あー、じゃあ」

 

そう言って、電話を切った。

 

その瞬間

「ちょっと!今の誰から⁉︎」

「は?…え⁉︎」

「何が『私』なの⁉︎」

「どんな感じの電話だった⁉︎」

「待って!ちょっと待って‼︎」

 

そしてみんなが落ち着いた頃、岡野が口を開いた。

「ええとね…さっきの電話はカルマからで…」

「え?カルマからひなたに?」

「うん。珍しいよね」

「へぇ〜で、肝心の内容は?」

「…それは…ちょっと…」

「ええ〜〜⁉︎なんで?」

「すごい個人的なやつだから…ね」

「個人的な話をカルマと?」

「ん…まぁ」

 

え〜気になる〜

 

しかし、岡野はどれだけみんなが言っても、口を割ろうとはしなかった。

…それだけ言いたくないのだろう。

 

 

そして、柊が口を開いた。

「とりあえず、この結果は女子だけの秘密ね。知られたくない人も多いだろうし」

「まぁ、そーだろーね」

「だから、ビッチ先生以外の人には絶対に…」

 

そう言っていた柊は、目をやった方向に、あるものを見つけた。

…殺せんせーである。

 

殺せんせーは結果用紙を見て、持参のノートに結果を書いて…

「メモって逃げた!殺すよ‼︎」

「え、嘘!マジで⁉︎」

 

「ちょっと殺せんせー!何、人のプライベートおかしてんのよ‼︎」

「ヌルフフフ。先生のこの速さはこういう情報を集めるためにあるのです」

「絶対に違う‼︎」

 

そんなことをしていると、遠くから声が聞こえてきた。

「クッソ!どこだ‼︎あの下世話タコ‼︎」

 

…どうやら男子部屋でも何かをしたらしい。

 

消灯間近の時間に、その旅館では、みんなの殺る気に満ちた声が聞こえたという…




電話の主は一時渦中にいたカルマ。
いやぁ…どんな会話をしてたんでしょうねぇ?
(すごい気持ち持たしてますが、電話の内容は次の次です…)

あと、今活動報告にて、ちょっとしたアンケートもしています!
ぜひ回答お願いします!

次回は男子部屋の会話も覗いてみます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第44話 男子の時間

『女子の時間』と大体時系列は一緒です。



1日目のプログラムが終わり、消灯まで後1時間弱。

その時、男子大部屋は…

 

 

「「「「「………………………」」」」」

 

ある種の沈黙に包まれていた。

 

そして、

 

「「「「「…………よし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王様だーれだ‼︎」」」」」

「よっしぁあ!俺だ‼︎

じゃあ2番と10番はクラスで一番気になる子言え‼︎」(by前原)

「うっ…茅野…」(←2番 渚)

「…俺は速水…」(←10番 千葉)

「…まぁ、予想通りだな」

 

 

ここまで見ていたらわかるだろう。

これは王様ゲームである。

 

こうなったのは、大体10分ほど前に遡る…

 

__________________________________________

 

「みんな王様ゲームやろうぜ!」

「…なんでだ?前原?」

 

それは前原の一言から始まった。

そんな言葉に、磯貝が尋ねる。

 

それに前原は、

「一年ずっと一緒にいたこのメンツがまた一緒に部屋で一夜を過ごす!そしたら盛り上がるしかねぇだろ!」

「…で、なんで王様ゲーム?」

「ここには女子がいない…だからそんな変な命令はできない…だがしかぁし!」

 

ここで前原が床をバンバンと叩いた。

………前原ってこんなキャラだったっけ…?

 

そんなみんなの疑問をよそに、前原は言葉を続けた。

「女子がいないからこそできる話もあるだろう⁉︎だったらこの機会にしようと思わないか?」

 

そんな前原の言葉に、岡島が答えた。

「いいじゃんか。おもしろそーだし」

「だろ⁉︎岡島‼︎」

 

…まぁ、王様ゲームくらいなら…女子もいないし。

「んー…じゃあ俺も」

「俺も」

「僕も…しよっかな?」

「…みんながやるんだったら俺も」

 

岡島の声を皮切りに、みんなもやる、と言い始めた。

 

そして…今に至るわけだが…

 

__________________________________________

 

「「「「「王様だーれだ‼︎」」」」」

 

「あ、僕だ」

(((((やっとまともなのが来た‼︎)))))

 

言わずもがな、渚である。そして命令は…

 

「えっと…じゃあ12番の人は、一階の購買まで行ってなんかみんなでつまめるもの買ってきて」

「あっ、そっち系?」

「あー…分かった。買ってくるわ。」(←12番 木村)

「いや、木村かよ⁉︎」

 

ここでなんで木村が来るんだ…とみんなが嘆いてる間に木村が帰ってきた…って

 

「はえーな、おい!」

「いや、なんでだよ⁉︎」

 

 

と、そこへ…

「みんな〜業務連ら…ん?なんかおもしろそうなのやってんじゃん」

カルマである。

 

「お、カルマおかえり」

「え?何?王様ゲーム?」

「そうだけど…お前もするか?」

「あったりまえじゃん」

 

…この時点でほとんどみんなが

 

(((((…わぁ…カルマか…)))))

 

嫌ぁな予感はしていたのだ…

 

__________________________________________

 

「王様だーれだ!」

「あっ、俺だ」(byカルマ)

(((((ゲッ‼︎)))))

「んーじゃあ2番と5番と10番と12番の人はこのサンドイッチどーぞー」

 

…なんでそんなに準備よくサンドイッチがあるのか不思議だが、何しろ王様の命令は絶対だ。

2番と5番と10番と12番だった4人……渚、岡島、寺坂、前原はそのサンドイッチに手を伸ばした。

 

と、そこでカルマが口を開く。

「ちなみにこの中の一つに佳奈が作ったやつあるから〜」

 

……………………………………………

 

ピタっと4人の動きが止まった。

 

そんな微妙な空気の中、渚が口を開く。

「ええと…カルマ?気のせいかな?今『この中に一つ柊さんが作ったサンドイッチがある』って聞こえたんだけど…」

「うーん、残念だけど気のせいじゃないね」

 

………………………………うん

 

((((どれだ⁉︎どれが柊(さん)が作ったやつだ⁉︎))))

(((((よかった!番号当たらなくて‼︎)))))

 

思い思いに、みんなはその状況を見ていた。

それの様子を、カルマは楽しそうに眺めている。

 

「いやぁ。みんな必死だね〜」

「まぁ、生死かかってるしな…」

「生死って…」

 

確認だけど、これ王様ゲームだよな……と番号が当たらなかったみんなは思った。

 

「よし。俺はこれに決めた」

 

そう言って、寺坂は一つのサンドイッチを手に取った。

 

それを皮切りに、岡島、渚、前原と順にサンドイッチを取っていった。

 

「よーし。じゃあ『せーの』で行こうか」

「OK。じゃ、せーの」

 

その声で、四人は手にしたサンドイッチを口にした。

 

瞬間。トイレに走るものが一人。

「…………………寺坂。ご愁傷様………」

(((よかった!本当に‼︎)))

 

そんなことを考えつつ、岡島が

「っていうか…不味いの来ること覚悟で行ったからさ……このサンドイッチうめぇ…」

 

その言葉に、他の二人も無言で頷く。

そして、渚がカルマに質問を投げかける。

「…ちなみに誰が作ったの?」

「ん?俺」

「カルマかよ…」

「いいじゃん佳奈の料理食べるよりは」

「そうだな(断言)」

 

※ちなみにそれから寺坂は、しばらくトイレから出てくることはなかったようです。

 

「王様だーれだ!」

「よっっっっしぁ‼︎俺の時代が来たぞ!俺の時代が‼︎」(by岡島)

「岡島、うるさい」

「いいだろーが!よし、じゃあ5番は好きな奴の名前言え‼︎」

「いない。次」(←5番 カルマ)

「なんだ、カル…って嘘つけぇ‼︎」

 

そんな岡島に、カルマは訝しい表情を見せた。

「はぁ?嘘じゃないけど?」

「ふふん。俺はわかってるぞ、カルマ。

 

 

 

 

 

 

 

お前、柊のこと好きだろ?」

「あっ、それ俺も気になってた」

 

そんな岡島と前原の言葉に、カルマは

「…どこをどうやったらそんなバカみたいな考えが出てくるか気になるよね〜…なんならもう一回サンドイッチ食べる?次は佳奈特製のやつ」

「「…あっ、うん…スミマセン…」」

 

男子全員が、絶対にこの二人をいじってはいけないと悟った瞬間である。

 

 

「王様だーれだ‼︎」

「あっ。俺だ」(byカルマ)

(((((またかよ‼︎)))))

 

実質3連続である。

 

そんなことを御構い無しに、カルマは命令を続けた。

 

「はい、じゃあ13番の人は、初恋のエピソード言って」

「初恋か〜」

 

ここに来て、王様ゲームの王道が来た。

 

と、そこへ…

「なぁ、カルマ。俺ちょっとトイレ行ってくるわ」

前原である。

 

そんな前原の言葉にカルマは、

「ん、どーぞー。

 

 

 

 

 

って言うと思う?」

 

今にも部屋から出ようとしていた前原は、ピタっと足を止めた。

それを確認して、カルマが言葉を続ける。

「ねぇ、前原。トイレは行っていいから、その前に番号見せよっか?」

 

………………………………………

 

一瞬の沈黙のあと、前原は全力疾走で部屋から出て行った。

それを見たカルマは、

「木村」

「オーケー」

 

のちに渚が語るには、この時のカルマはみんなにとっては不幸の前兆でしかないあの(・・)顔をしていたという…

 

〜数分後〜

「はい、確保」

「さっすが木村。仕事が早い」

「あんまり広い旅館じゃないしな」

「お前らぁ!」

 

そんな様子の前原に、カルマが話しかける。

 

「はい、じゃあ前原。どーぞ」

「いや…別に俺13番じゃねぇし…」

「だったら逃げる必要ないよね?」

「…今まで初恋とかしたことないし…」

「初恋がまだの人間があんなに全力疾走で逃げたりしない」

「お…覚えてねぇんだよ!いつが初恋だったかとか…ほら、俺自分で言うのもなんだけどチャラ男だし?」

「繰り返して言うよ?

 

初恋覚えてないと、普通あんなに全力疾走で逃げない」

 

 

完全論破である。いや……この場合は自爆したという表現の方が正しいか…?

 

 

「ほら、早く言って」

「却下断る」

「王様の命令はー?」

「絶対じゃねぇぞ!フランス革命だって、王様の命令に逆らったからできたことで…」

「それは現実こっちはゲーム」

「ゲームが現実よりシビアであってたまるか‼︎」

「そもそもこれ始めたの前原なんだよね?言い出しっぺが何ゲームに逆らってんの?」

「別に…何がダメなんだよ!」

「ダメに決まってるでしょ?はい、早く言って」

「断固断る」

「へぇ〜そっかそっか。じゃあ…」

 

そういったかと思うと、カルマは別の人に視線を変えた。

「磯貝、教えて」

「了解。えっと、確か中1の時だっけ?」

「ちょ…磯貝⁉︎」

 

まさか磯貝までもが乗ってくるとは思わなかったのだろう。

そんな焦りの声が聞こえてきた。

 

「へぇ〜詳しく」

「確か振られたんだっけ?その女の子から」

「待て!俺は振られてねぇ!」

「でも実質振られたようなもんだろ。だって目の前でさ…」

「だー‼︎わかった‼︎自分で言うから、磯貝ちょっと黙れ‼︎」

 

そんな前原の言葉に、

「磯貝。ナイス」

 

カルマは磯貝に親指を立てていた。

 

 

 




【あとがき】
《お題:柊のサンドイッチについて》
渚「…ちなみにさ、カルマ。さっきの柊さんのサンドイッチ、どこで…?」
カルマ「ん?さっきした爆弾ゲームの罰ゲーム」
寺坂「待て、コラ‼︎意味分かんねぇ‼︎」
カルマ「さっきの罰ゲームで、佳奈にはサンドイッチ作ること、殺せんせーには材料買ってくることを言ったんだよね〜」
前原「考えることがエグいな、おい…」

次回は前原の初恋談ですかね?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第45話 初恋の時間

前回の続きです。

前半は前原sideです。


「あっ!前原君!明日新体操部、見に来てくれない?」

 

確かあれは…中1の夏だったと思う。

クラスの女子に、そんな頼みを受けた。

 

フツーに可愛い女子だったと記憶している。

名前は…確か『ミナ』ちゃん。

 

たまたま次の日は部活が早くに終わる日だった。

「新体操」というものに興味もあったし、当時チャラ男じゃないにしろ『女の子の誘いを断ること』は正直頭の片隅にもなかった。(多分姉貴たちの影響)

 

だから部活が終わった後、何気なく…本当に何気なく新体操部の部屋にふらっと立ち寄った。

 

どうやら大会が近かったようで、何人も練習をしている人がいた。

団体で練習している人。個人で練習している人。

 

…少し見ただけで、個人でやっている人は入って間もない一年生(つまり同級生)が多いことがわかった。

 

(へー新体操って言っても以外といろんな道具使ってんだな。リボンだけだと思ってた)

 

少し挨拶したら帰ろうか…そう考えて、『ミナ』ちゃんを探した。

 

 

 

 

 

と、その時。

 

ちょうど目線の先で、今にも演技をしそうな、リボンを持っていた女の子がいた。

個人みたいだったから、多分同級生だろう。

 

次の瞬間、

 

 

 

その女の子が、リボンを空中に投げた。

 

それも演技の一部なのだろう。

 

その女の子は、一回周ってさっき投げたリボンに手を伸ばした。

しかし、すんでのところで落ちてしまう。

その女の子はその時、悔しそうな表情を浮かべた。

 

その時、俺が思っていたのは「あー惜しい……」とかではなく…

 

「…すげぇ!」

 

思ったことが思わず声に出てしまった。

女の子が気づいてこっちを向くほどに。

 

でも俺はそんなことも御構い無しに、言葉を続けた。

「すげぇ綺麗だった!新体操って初めて見たけど、こんなに綺麗なんだな‼︎」

 

今考えてみると、その子はかなりびっくりした表情を浮かべていたように思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、『ミナ』ちゃんに連れられ、こう言われた。

「そうだ!前原君さ…この日曜日って予定ある?」

「ん?特にないけど?」

「そうなんだ!よかった!だったら日曜日の大会見に来てくれないかなぁ…?」

 

日曜日か…と思った。

正直一週間に一度の休みだ。

本当なら家でダラダラしてたいのだが…

 

多分あの子も出るよな…

 

そんな思いから、

「うんいいよ」

 

そんな言葉が口から出てきた。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そして迎えた大会の日。

 

どうやら一年でも新体操を入学前からやっている子も多かったようで、椚ヶ丘からと個人での入賞が多かった。

 

そして個人の部で優勝したのは…『ミナ』ちゃんだった。

 

表彰式のあと、『ミナ』ちゃんは俺の方に駆け寄ってきた。

「ねぇ!前原君‼︎見てた?」

「うん?ああ、見てたよ」

「ほんと!うれしい‼︎」

 

 

そんなことを話していると、あの女の子と目があった。

その子は…その子のことはずっと見ていたが、残念ながら入賞の出来なかった。

失敗はしていなかったと思うんだけどな…

 

そんだけ新体操って厳しいのか…と思っていたところだった。

 

 

すると、その子がこちらに歩いてきて…

 

 

そしてこう言った。

 

「前原君。

 

 

 

 

 

 

………………ミナちゃんをよろしくね」

 

__________________________________________

 

「そんでそのあと『ミナ』ちゃんに告られて、断りづらくなったから付き合うようになった…って感じだよ。なんかある?」

 

自分の初恋話を終えた前原は、そんな質問をした。

 

それに、岡島が言う。

「その子の名前は?」

「知らない…ってか聞くの忘れてた」

「おいおい……で、どんな子だったんだよ?」

「ええと…団子頭だったな。まぁ、新体操してるからだろうけど」

「顔は?」

「んーと…結構可愛かったと…」

「へぇ」

 

「っていうか、そこまで印象残ってんだったら普通、学校であった時に気づくだろ」

 

そんなことを言った吉田に、前原が答えた。

「それが会わなかったんだよ。それから。あとで新体操部行ったんだけど、その時やめててさ…」

「ふーん」

 

 

そんな中、

「要は誤解されたってことでしょ?その子に『誤解だ』って言えばよかったって思うの俺だけ?」

 

そんな質問をしたのは…

「…じゃあ逆にカルマはできるのかよ…」

「俺はできるよ。っていうかするね」

「絶対に嘘だ。思ってるより難しいぞ。その状況でいうの」

「っていうかさ、純粋に聞いたらいいんじゃない?知ってそうな人に」

「ん?…やぁ、俺知ってそうな子、誰も知らないし…」

「いるじゃん一人。新体操部とつながりありそうで、知り合い多そうな奴」

「は?誰だよ?」

「待って〜今から電話する」

 

(カルマが番号知ってるってことは、絶対にうちのクラスの子だな…)

それに気づいたのは何人いるのか。

 

そして、カルマは「ある人物」に電話をかけた。

 

「あ、もしもし?

 

 

岡野?」

「ちょっ⁉︎カルマ!!!?」

「実はさ〜ちょっと今岡野に聞きたいことあるんだけど、」

「カルマ!マジでやめろ‼︎今すぐやめろ‼︎」

「あーごめん。ちょっと待ってて」

 

そして、

「磯貝、木村。ちょっとそこのうるさい人抑えててくれる?」

「「りょーかい」」

「なんでだよ⁉︎」

 

 

そんな前原の声虚しく、カルマはそのまま話を続けた。

「やぁ〜ごめんごめん。でさ、ちょっと岡野に聞きたいことあるんだけどさ、実はこっちで王様ゲームやってて、俺が王様になったわけ。

それで『初恋のエピソード言って』って言ったんだけどさ、当たったのが前原で、あいつ『覚えてない』って言ってさ」

 

(((((あ…前原死んだな…)))))

 

まぁ、確かに本当のことは話せないけどさ…と、みんなは思う。

 

とりあえずドンマイ、前原。

 

「それで命令変えたの。『じゃあお前の初めての彼女のエピソード言って』って。そしたら話してくれたんだけど、なんか二人がくっつくの手伝ってくれた女の子がいたらしくって。『その女の子と仲良くね』みたいに?で後日お礼言いたくて後でその子の部活行ったけど、もうやめちゃってたみたいで。

ちなみに新体操部だったらしいんだけどさ、なんかその子について知らない?元体操部として」

 

そのあと、少しカルマは黙った。

 

そして…

「ふーん。そうなんだ。やぁ、ごめんねー。こんなこと聞いて。

…うん、じゃあまた明日ね〜」

 

そしてカルマは電話を切り、

「わからないってさ」

「あっ…そうか…」

 

そう言って、前原は少しほっとした表情を浮かべた。

 

 

そんな中、カルマが口を開く。

「…前原はさ、初恋の女の子わかったら、その子のこと好きになるの?」

「……は?」

 

意味わかんね…という表情を浮かべる前原に、カルマは「早く答えて」と促す。

 

「やぁ、別に…俺的にはもう終わった話だし、『また会えたらいいな〜』くらいにしか思ってねぇよ」

「ふーん、そっか」

 

まっ、とカルマはつぶやく。

「それ以上の詮索はやめとくよ。金欠タコのノートのページ減っちゃうし」

 

……………………ん?

 

その瞬間、みんなは一斉に襖の方に振り向いた。

そこでみんなが見たのは…

 

 

静かに襖を閉める…殺せんせーの姿だった…

 

………

 

そんな短い沈黙のあと、

 

「おい、みんな。ちょっと殺りに行くぞ」

「いや…被害者前原だけだろ?」

 

だったらなぁ…と呟くみんなに、カルマが言う。

「ちなみにさ、

 

 

俺がこの部屋入る前からあのせんせーいたから」

 

………うん。

「突っ込みたいことはいろいろあるが、とりあえず今はあのタコ追うぞ‼︎」

 

 

 

「あっ!こんなとこにいた!」

「こっちにいたぞ!殺れ‼︎」

「ニュア⁉︎はさみ打ちに⁉︎」

 

 

 

「……結局は暗殺になるんだね…」

「…うん…だね」

そんな様子を見た渚と茅野が呟いた。

 

「いや〜っていうかまだ1日目だけど楽しかった〜今から明日のカレー作り楽しみだもん」

「うん、そうだね」

「佳奈にはちゃんと別のことしてもらうしね」

 

そんなカルマの言葉に、渚が問いかける。

「…違うことって?」

「ん?それは明日のお楽しみで」

「怖いよ⁉︎さっきのサンドイッチもあったし‼︎」

「あぁ、そこは大丈夫。みんなには多分被害ないから」

「その多分ちょっと怖いかな!?」

 

しっかし、とカルマはつぶやいた。

「なんだかんだ言って、やっぱり楽しいよね。気兼ねなくいろんなことできるしさ」

「…何でだろうね。カルマが言うと、別の意味に聞こえる…」

「ん?気のせいじゃない?」

「あー…うん。そう…」

 

(絶対に違う…)

という思いは心の中にとどめた。

 

「まぁ、なんだかんだ言って、またみんなで一緒に旅行?みたいなの出来てるわけだしさ。このメンバーで旅行とか、フツーに楽しいじゃん?」

「うん、そうだね」

 

そんな空気の中、みんなの野外活動1日目は幕を閉じたのだった…




【あとがき】
前原「で、なんでカルマは殺せんせーいるってわかってて言わなかったんだよ?」
カルマ「ん?…ああ!あれ嘘だよ」
一同「なんでそんな意味不明な嘘ついたんだよ⁉︎」

野外活動編はおそらく次で終わりだと思います。
一泊二日なんでね。

ちなみにものすごいネタ回ですね。

感想を書いて頂いたらモチベ上がります。
ぜひよろしくお願いします!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第46話 野外活動の時間 3時間目

はっきり言います。
今回はネタ回です。


野外活動2日目。

今日やることは…

 

「では今から、カレー作りをしまーす。

A組は宿舎うら、B組はこちら、C組は…ちょっと離れてるけどそこの坂ちょっといったところで作って下さ〜い」

 

そんなわけで、みんなはそちらの飯ごう炊さん場所へと移動した。

 

「…っていうかさ、俺らがこんなに離されてるの、絶対に殺せんせーがいるってのもあると思うんだけど…?」

「ま、そーだろーね」

 

そんな会話をしながら、移動していた中、(こういう行事で一番の問題児である)柊が、口を開いた。

 

「っていうかさ、私カレー作るの小学生以来だよ。それ以来機会すらなかったし」

「…だろーねー」

「わー…楽しみ〜!」

 

いやいやいや…と言いたいところだが、みんなはあえて突っ込むことはしなかった。

 

 

そしていよいよ、

「えー、ではみなさん、作り始めてください。私はその間ちょっと本場の紅茶でも買ってきますが、くれぐれも先生の分のカレーも作っておくように!」

そう言って、紅茶の本場…イギリスへと旅立っていった。

 

「…つうか、カレーを紅茶で食うつもりか?あのタコ…」

「…で、どうするよ?あのタコのカレー?」

「ああ、俺らの班で作るよ」

 

そう言ったのは…

「…カルマの班はそこの料理音痴で手一杯だろーが」

「…ちょっと?寺坂?」

「ああ、佳奈なら大丈夫。()()()()()()()()はするから」

 

(((((??)))))

そんな空気の中、カルマが口を開く。

 

「ちなみにみんな。俺は今ちょっとした計画を立てていまーす」

「…嫌な予感しかしねぇ…」

「この計画は昨日の夜にLI○Eを通じて原さんにも許可を頂きました〜」

「…ん?」

「そんなわけで、今から殺せんせーの暗殺計画を発表したいと思いまーす」

「…は…はぁ…」

「そんなわけでさ…

 

 

 

 

 

 

 

佳奈には殺せんせー用のカレーを作る許可を出しまーす」

「「「すげぇ悪質な嫌がらせじゃねーか!!!」」」

 

あまりにもひどい計画に、思わずほとんどの男子が突っ込んだ。

 

そんな男子たちに、カルマがこう言った。

「まぁ、大丈夫でしょ。そんな込んだ計画じゃないし」

 

計画はこうだ。

1:柊がカレーを作る

2:原が殺せんせーにそのカレーを渡す

3:弱ったところで暗殺開始

 

「なかなかひどい計画だな!おい‼︎」

「殺り方が完全に嫌がらせの領域だ…」

「つうか、なんで原はそんな計画にOKしたんだよ⁉︎」

「んー…最初はね、食材が…みたいな感じで断ったんだけど、カルマ君が『大丈夫。殺せんせーには意地でも完食してもらうから』って言ったからね。断る理由がないじゃない」

「…ごもっともすぎて何もいえねぇ…」

「ちょっと待って。誰も突っ込んでないけどさ、『ちょっと食材が…』のくだりがよくわかんないんだけど?」

 

そんな柊の質問は全員完全無視して話を続ける。

「まぁそんなわけでさ、計画はそんな感じだから」

「っていうか、サンドイッチであれだぞ…?カレーとか作ったら冗談抜きで…あのタコヤバくね?」

「んー、ヤバいかもね〜。まぁ一応『ここにある食材しか使うな』とは言っておくけど」

「私も今ここにいるからね?伝わってるから!」

 

(((((…どうして大した材料ないのにあれほどの料理を作れんだ…?)))))

 

ちなみにそこにある材料は…

1:ジャガイモ

2:にんじん

3:玉ねぎ

4:牛肉

5:コンソメ

6:カレールー

だけである。

 

「…今し、この材料のカレーなんて幼稚園児でもちょっとは作れるぞ…?」

「だね。少なくとも将暉は作れてた」

「…確認だが味は?」

「ん?フツーに美味しかったと…」

「うん…なんとなくわかってた」

 

まぁ、そんなこんなで結局柊が殺せんせー用のカレーを作ることになったのだが…

 

 

 

 

ここで、柊の料理力のなさが露見されることとなった…

 

__________________________________________

 

「さて問題です。みんなはカレーを作るときにまず何をする?」

「ん?…野菜の皮むきじゃねぇの…?」

「もしくは牛肉の解凍とかだけど…それはすでにされてるし…」

「正解です。ではあちらを見てください」

 

そう言われ、見た方向には…

(切ってるな)

(何切りだ?あれ?)

(にんじんを輪切りしてんぞ?あいつ)

(皮むきは?)

(…してると思うか?)

(…でしょーね)

 

スタートから思いっきりアウトである。

にんじんはまだいい。まだ(超ギリギリオーダーラインで)殺せんせーにはばれないだろう。

でも…

 

「ごめん、佳奈。野菜とか切るのは俺らがするから」

「は…?えっ?なんか違う?」

「違う。この先が不安だからとりあえず材料貸して」

 

ー5分後ー

「はい、じゃあ再開して」

「ん、ありがと〜」

 

野菜・牛肉を切り分け終えた。

…本当に素晴らしい料理力だな。おい。

 

 

 

「では第2問。この次、みんななら何する?」

「野菜と牛肉炒める」

「だよね。じゃあ、あちらをどうぞ」

 

柊がしていたのは…

 

(…さっきの野菜と牛肉全部鍋に入れた)

(…水いれた)

(…オチが見えたな。これ)

(茹でに入ったぞ。あいつ…)

(…これ牛肉しゃぶしゃぶと化したな)

(…なんかこの料理のオチが大体読めてきて悲しいわ)

 

「では第3問。この後みんなはどうする?」

「どうするも何も…間違ってるし。いろいろ…」

「っていうかこの流れもういい…」

「じゃあ問題を変えよう。

野菜・牛肉を炒め終わって水を入れて煮込みます。次にみんなはどうする?」

「アク抜きした後コンソメ入れてからルー入れる」

「さすがにそれは…って言いたいけど、すでに色々やってるからなぁ…」

「はい、ではあちらをどうぞ」

 

 

(ん?…もう1個鍋用意した?)

(………水捨てたぞ、あいつ…)

(もう1個の鍋に水捨てた…)

(で、どうする?)

(…ルーいれた…あいつコンソメの存在忘れてんぞ…)

(…確認だが…あいつアク抜きは?)

(したと思うか?)

(そのコメントは差し控えさせていただきます)

(あっ、コンソメに気づいた。入れるか?)

(俺は入れるに500円)

(俺も)

(俺も)

(入れない選択肢はないのね…って入れたし)

(…あいつの料理力、もはや才能の域だろ…)

(で、さっきの茹でた野菜と牛肉は?)

(ルーに入れるか、ルーが戻されるか…)

(俺ならルーを戻すが…)

(いや、そもそもこうならねーだろ…)

(確かに)

 

※結局ルーは元の鍋に戻されました。

 

そして、

「できたよ〜」

「「「とりあえず、5.6ヶ所は突っ込ませろ‼︎」」」

 

ここまで思ったの、殺せんせー来てからだわ‼︎…というツッコミが入った。

 

そんなみんなの言葉に、柊は

「え?なんか変だった?」

「お前はとりあえず料理本を見返せ!話はそれからだ‼︎」

 

そんな村松の言葉に、カルマが口を挟んだ。

「まぁ…一番の問題は味だよね。んー…じゃあ味見は…

 

 

 

…ごめん、岡島」

「なんでだよ⁉︎」

「一瞬寺坂も考えたけど、何しろ2回連続でしょ?…いくら寺坂でも不憫すぎる…」

 

「カルマが寺坂に同情したぞ…」

「どんだけなんだよ…柊の料理って…」

 

そんな言葉をかわす磯貝と前原はともかく、こちらではちょっとした戦争が始まっていた。

 

「いや、っていうかそもそも味見とかいらねーだろ!」

「…ちゃんと暗殺道具として役に立つかの…実験?」

「だからそれがいらねーんだよ‼︎」

「まぁ、もしも万が一、絶対にありえないけど万が一のためだからさ」

「仮にしなければいけないとしよう!俺と寺坂とでその料理を食う負担が大きく違うだろ!絶対に‼︎」

「は?なんで?」

「寺坂はまずいっつってもサンドイッチだろ?俺は火通してるから!サンドイッチ以上に手ぇ込んでるから!」

「なんだかんだ言って、寺坂はあのサンドイッチ完食した。反対にこっちは一口でいい。負担は一緒。むしろ岡島の方が負担小さい」

「絶対に違う‼︎っていうか寺坂体力あるだろ⁉︎こんな時こそ使うべきだって!」

「寺坂は…さっき言ったじゃん?いくらなんでも不憫だって…」

「じゃあお前が食えよ⁉︎嫌なこと人に押し付けやがって!」

「…ねぇ、岡島?」

 

この瞬間、みんなが悟った。

…岡島が今、()()()()()()()()()()を言ってしまったと…

 

「さっきさ、お前が自分で言ったよね?

負担がどうこうって。」

「…?言ったけど…?」

「じゃあさ、

 

 

 

 

俺の負担ってどんぐらいだと思う?ねぇ?」

「え……と………?」

「おれが佳奈の料理食べたの…ってか食べさせられたの()()()()()()()()()3回はあるよ?」

 

要はさ、とカルマは続けた。

「このクラスで一番負担大きいの、多分…っていうか絶対に俺なんだよね〜。それでもまだ俺に食べさせる気?」

「ええ…と…」

「はい、決定ね。岡島どーぞ」

 

そんなわけで、岡島が生贄となった。

 

「…私が食べればいいって思うの私だけ?」

「佳奈が1番向いてないんだよ⁉︎」

 

そんなことを言う柊を、茅野が突っ込んだ。

 

そして…いざ、試食(という名の処刑)!

 

岡島はルーの方を一口食べた。

 

その瞬間、

 

バタン//

 

………………………………………………

 

「岡島…お前のことは忘れないからな…」

 

そのあと、柊もカレーを食べて、

「えー?別に美味しいじゃん?」

「「絶対にありえない」」

「なんでよ⁉︎」

 

__________________________________________

 

「みなさん、できましたか?」

そんなことを言って、殺せんせーは紅茶を持って帰ってきた。

 

そんな言葉に、みんなが「できたよー」といった言葉を述べた。

 

「ヌルフフフ、それはそれは。

ちなみに先生のカレーは誰が作ったのでしょうか?」

「あっ、私〜」

 

そう言って、原が手を挙げた。

そして、よそったカレーを持って、

 

「どうぞ、殺せんせー」

「ありがとうございます!原さんのカレーですか」

 

 

そう言って殺せんせーは、嬉々とした表情でそのカレーを口にした。

 

瞬間、殺せんせーは無言で買ってきた紅茶を一気飲みした。

 

そして尋ねる。

「これ…本当に原さんが作りました?」

「ん?作ってたよ?」

 

そんなカルマの言葉に、みんなが苦笑いをする。

 

そんな中、殺せんせーが口を開いた。

「ええと…先生お茶も無くなりましたし、もう結構ですので…」

「先生ー?せっかく原さんが作ってくれたカレー残すなんて、もったいないよね〜?PTAに言ったらどうなんのかなぁ?」

「ニュ…ニュアァァァァァァ!」

 

(言えるわけねぇじゃん…国家機密に…)

本当にチキンだな…。みんなはそんなことを思った。

 

そして…その素晴らし(くまず)いカレーを、殺せんせーは完食した。…というかさせられた。

 

まるで乗り物に酔った時のように今にも死にそうな表情の殺せんせーに、みんなは攻撃を仕掛ける。

まぁ、すべて躱されたが…

 

そして、岡島…

 

 

 

 

 

お前のことは忘れないよ…




岡島「死んでねーよ⁉︎」

後半急いだのは、大して重要じゃないからです。
今回書きたかったの、柊の料理力のなさなので…(おい)

お気に入りが80件になりました!
ありがとうございます!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第47話 入部の時間

さぁさぁ!みんなが入部しますよ!
今悩んでることといえば、みんなが入部するエピソードを書くべきか否かです()


野外活動が終わり、みんなは学校に向かっていた。

 

「今日から平常授業か〜。野外活動で色々あっただけに、ちょっと寂しい気もするな」

「色々…ね…」

「その『色々』って、ほとんど原因佳奈だけどね」

「本人いないところで言うなよ、それを…」

 

そんなことを話していたカルマ・杉野・渚に、

「あっ!ねぇ君たち!うちの部活に興味ない?」

「写真部は伝統のある部活でーす!」

「野球部は最近春の甲子園に出場しました〜!」

 

そんな言葉が飛び交う中、カルマが呟いた。

「あー…そっか。もうすぐ入部か…」

 

__________________________________________

 

「全員入部?」

 

HR前の教室で、片岡がそんな言葉を発した。

そんな彼女は色んな部活にものすごく勧誘されたらしい…

 

そんな片岡の言葉に、柊が答える。

「そっ。この学校、全員入部が絶対条件でさ。梅宮高校で絶対に守らなきゃいけない数少ない校則?みたいな?」

「へー」

「しかも野外活動終わったら本入部まで一週間くらい勧誘解禁だからね。チーム競技とかだと多いほどいいし」

 

だから片岡とかは優良株でしょ、とカルマが言った。

そんなカルマの言葉に、柊が補足を加える。

 

「ま、兼部してる人とかも多いけどね。研究部・同好会・委員会の人は兼部の義務あるし」

「え?そうなの?」

「うん。それに部活もバイト持ちの人のために大会前とかじゃない限り5:00くらいには終わるとこも多いはずだし。そんなに重く考えなくてもいいと思うよ?」

 

そんな柊の言葉に、カルマが無言で頷いた。

 

__________________________________________

 

「渚は何部入るか決めた?」

 

そんな茅野の言葉に、渚はこう答えた。

「うん。ESSに入ろっかなって思ってて」

「あー渚英語得意だから」

「うん。茅野こそ何入るか決めた?」

「うーん…まだ未定かな。色んな部活回ってから決めようと思って」

「あー、なるほど」

 

 

「…あれで付き合ってないんだよなぁ…」

 

そんなつぶやきを漏らすのは、

「まぁいいじゃん、カルマ。あかりも渚のこと好きになったのつい最近なんでしょ?」

「…最近…なのかな?少なくとも去年末からだってのは知ってるけど?」

「あかり、本当に全然好きになったきっかけ教えてくれなくてさ。どーいう経緯で?」

「……本人言いたくないこと俺が言ったらダメでしょ」

「うっ…正論…」

 

(実際のところは『言わない』んじゃなくて『言えない』んだけど…やっぱそれ言ったら殺せんせーの過去も言わなきゃ不自然だし)

 

そんなことを考えつつ、カルマは柊にこう言った。

「ちなみに佳奈はさ、何部入るか決めた?やっぱり卓球?」

「いや…ここの卓球部はなぁ…」

「…やめようか。そんなこと言うの」

「ですね、はい。

 

…カルマは何部入るの?」

 

そんな柊の問いにカルマは、「うーん…」と言いつつ、答えた。

「まだ未定かな?ま、運動部になるんじやない?」

「……そっか」

 

と、そこへ

「お?カルマまだ部活決めてないのか?だったらサッカー部とか…」

「却下」

「だよな…って返事はっや!!!」

 

前原である。

 

そんな前原に、カルマは

「ごめんね〜、前原。サッカー部だけは入る予定ないんだよ」

「…なんで?」

「えー?理由いる?」

「どうせそんなこというと思ったけどな!!」

 

だったら聞かなきゃいいじゃん?と言うカルマに、

 

「んー…まぁ、そうだけど…本当に無理か?」

「無理だね。本トに入るつもりないし」

「あー…うん。わかった」

 

以上会話終了である。

しかし…誰がこの話が続くと思っただろうか…

 

__________________________________________

 

「カルマ!マジでサッカー部入んねぇか!?」

「だから入らないって」

「そこをなんとか!な!!?」

「しつこい」

 

次の日渚が学校に来ると、前原とカルマがそんなやり取りをしていた。

 

「ええと…どういう状況?」

 

渚が茅野に問いかける。それに答えた。

 

「あー…前原君が部活の先輩に言われたんだって。『できるだけクラスのやつ連れてこい』って…」

「………なんでそれでカルマ?」

「運動神経良くってまだ入る部活決めてない人、カルマ君だけなんだってさ」

「ああ…なるほどね…」

 

「なっ!今は見学だけでもいいから!ほんとに来るだけ来てくんね!?」

「行ったら勧誘が激しくなるじゃん。だから行かない」

「だったら………そうだ!なんでも1個お前のいうこと聞くっていうのでどうだ!?だから部活見学だけでも……」

「………ほんとになんでもいいわけ?」

「いいから!」

「んー…じゃあちょっと考えとく」

 

(((((((なんて危険なことを言うんだよ!前原は!?)))))))

 

前原の死亡フラグが立った瞬間である。

 

__________________________________________

 

放課後、前原とカルマはサッカー部の見学に来ていた。

まぁ…(ほぼ)強制連行されたカルマは全く乗り気ではないが…

 

「やっぱり先輩つえーわ。俺あんなドリブルできねーし」

 

かくいうサッカー部は、練習の一環として4-4のミニゲームをしていた。

 

そんなことを呟いた前原に、カルマが口を開く。

「そんなに強い?」

「つえーよ。逆に何が悪いんだよ?」

「…白チームのキーパー下手だよね」

「…は?」

「だからディフェンス徹底しなきゃダメなはずなのに、攻め中心になってる。やっぱりキーパーを信用してないんだよね〜…これ絶対に赤チームが勝つよ」

「……ええと?カルマ?」

「ん?なに?」

「お前さ……………………

 

 

 

 

 

サッカー経験ある?」

 

そんな前原の言葉に、カルマは一瞬………本当に一瞬だけ表情を固くした。

そして

 

「帰る」

「はぁ!!?なんでだよ!?」

「そもそも強制的にここ連れてこられたんだよね。いつ帰っても俺の勝手でしょ?」

「いや、だったら質問に答えろよ!」

 

その時、2人が言い争う後ろでワッという声が聞こえてきた。

案の定赤チームが勝ったらしい。

 

そんな声はよそに、

「はぁ?別にいいじゃんか。それとも何?経験ある部活に入らなきゃダメなわけ?」

「……正論だけど!」

「だから帰る。来ただけ来たじゃん?」

「うっ…そうだけど…」

「じゃ、また明日ね〜」

 

(引き込めなかったか…)

そう思って、前原は少し悔しい表情を浮かべる。

 

と、その時、

「あれ?赤羽?」

2人の背中にそんな声がかかった。

 

その言葉に、2人は振り向く。

そこに立っていたのは…

 

1年先輩の和泉だった…………




カルマってやっぱり部活入るとしたら、サッカーかバスケだと思うんですよね(個人的に)
話の流れ的にも良いんで、サッカーにしました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第48話 入部の時間 2時間目

来週、『暗殺教室 365日の時間』が公開ですね!
ちなみに紅音は公開日翌日に見に行きます!(つまりはぴったり1週間後)
だから…おそらく土曜日はKJK垢は作動しないかな…?



「あれ?赤羽?」

そう言ったのは、1年先輩の和泉だった。

 

 

そんな沈黙を破ったのは―先輩の言葉。

「やっぱり赤羽じゃねーか!え?なんだ?入ってくれるのか?」

 

そう言って、満面の笑みを浮かべる部長に、前原が(ほぼ無意識に)

 

「え?なんで?」

と尋ねる。

 

そんな前原の言葉に、

「なんでって!こいつ小学生の時、スゲェやつだったんだぞ!

最近あまり見なかったけど、まだ続けてんだろ?」

 

そう言って、興奮している和泉に、カルマが言う。

「いや、昔の話だからさ。正直今はやってないんだよね。

 

あっ。俺バイトあるからそろそろ」

「えー?そうなのか?」

 

また来いよ〜とカルマを見送る和泉に、前原が尋ねる。

 

「ええと…?カルマと知り合いなんすか?」

「んー?そうだな!小学校の頃に少年サッカーで一緒だったしな!」

「…どんな感じで……?」

「いや、あいつすげーんだぞ?

どんなにマークされてても抜くし、何よりもシュート率はチームの中でもダントツだったしな!」

 

だからさ、と前置きし、

「な!前原!頼んだ!」

 

そう言って前原の肩を叩いた。

__________________________________________

 

次の日、前原はカルマの部屋の前にいた。

ちなみにただいまの時刻は6:00。

律に確認したところ、(当たり前だが)カルマは部屋にいる。

 

(部長は『意地でも、入るように説得しろ』って言ってたけど…なんか腑に落ちないんだよなー…)

 

前原も、昨日の晩ずっと考えていた。

なんでカルマはあんなにもサッカー部に入るのを拒むのか…?

 

はっきり言ってE組時代にも「暗殺サッカー」なるものはやっていた。もちろんカルマも参加していた記憶がある。

その時カルマは嫌々やってたか…?

 

そんなわけがない。

 

カルマの性格上()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

だったらなぜ?

一瞬出たのが『あのサッカー部に嫌な奴がいる』

しかしそんな考えはすぐに消された。

 

(もしそうだとしても…中学のサッカー部には入ってるはずだよな…椚ヶ丘のサッカー部つてフツーに強かったし…)

 

それに…カルマの言うことが本当なら、椚ヶ丘にカルマの小学校までの知り合いはいないはずだ。

そう考えると、当然のことながら中学のサッカー部に嫌な奴がいたことはないだろう。

 

だったら………小6から中学入るまでになんかあった……?

 

ここで前原の思考はストップしたのだ。

 

わからないから本人に聞こう。というかなり安直な考えだが……正直これしか方法がないのだ。

 

(カルマのことだし……口を割ってくれたらいいけどなぁ…)

 

そう思いつつ、前原は部屋のインターホンを押す。

 

少し間が空いてドアが開いた。

「ん〜?だ…れ?」

 

制服姿(いつものカーディガンはまだ着てない)で出てきたことから察するに、着替え中だったか…

 

(…なんか間が悪い時に来た感じ?)と思いつつ、前原は「よっ」と手をあげた。

 

…1,2秒の沈黙の後、カルマは何事も無かったかのようにドアを閉めようとした。

その動きをあらかた予想していた前原は、全力で阻止する。

 

「待とうか、カルマ?」

「…そっちこそドア壊れるからやめてくんない?」

「いや?ちょっと話があってさ」

「俺はない」

「俺はあるんだよ!とりあえず話したいから中入れてくんね?」

「新聞などの勧誘はお引き取り願いまーす」

「勧誘じゃねぇから!!」

 

その前原の言葉に、カルマのドアにかけてた力が弱まった。

 

そして…

「…じゃあ何の用?」

「…カルマに質問があるから」

「『なんでサッカー部入りたくないんだ?』以外でね」

「…わかってるのかよ…」

 

そりゃね、と呟くカルマに前原は続ける。

「でも…教えてくれないと納得いかねーんだよ。なんでカルマがそんなにサッカー部入りたくないのか」

「…簡単な話だよ。サッカーが楽しくなくなったからで」

「でも暗殺サッカーはしてた」

「それは殺せんせーがいたから」

「はっきり言って

 

 

そんなので殺せんせー殺せるなんて…1ミリも思ってないだろ?」

 

そんな前原の言葉に、カルマは黙った。

数秒の沈黙のあと、カルマは言葉を発する。

 

「じゃあもし前原が監督だとして…

 

 

()()()()()()()()()()()()()()?」

「…は?」

 

どうゆうことだ?という表情を浮かべる前原に、カルマは言葉を続ける。

 

「いらないよねそんな選手。だから俺はサッカーをやらない。

合理的でしょ?」

 

そう言って、カルマは悪びれもなく笑った。

 

 

__________________________________________

 

「なるほどね…だから私のところに泣きついてきたんだ」

「泣きついてきたんじゃない。カルマにできなかった質問の延長だ」

 

朝ごはんを食べるために賑わう寮の食堂。

そこで前原は…

 

 

柊と話をしていた。

 

「前原の話をまとめると、『なんでカルマはそんなことを言うんだ?根拠はあるのか?』ってところでしょ?」

「そーだよ。お前ならわかるだろ」

「わかるけどさぁ…カルマが言いたくないこと、私が言ったらダメでしょ」

「正論言ってる場合じゃねーんだよ!!」

「…前原、声が大きい…」

 

そんな柊の言葉に、前原はハッとして周りを見た。

…前原の大きい声に、こちらの方を見ている人がほとんどだった…

 

そんな様子を見て、前原は小声でカルマに話しかけた。

「で、なんでカルマはサッカーやめたんだよ?」

「…前原が聞いたら『なんだそんなこと』って言うよ。絶対に」

「…逆に『なんだそんなこと』レベルの話なのかよ…」

「それは違うよ?でも()()()()()()()()()()()

「いや…なにそれ?」

「それに、カルマがサッカーやめたの……

 

 

私のせいでもあるからさ」

「は………………………?」

 

意味わかんね…という表情を浮かべる前原に、柊が言う。

 

「言っとくけどカルマだって人間なんだからさ、嫌なことも辛いこともあるんだよ?」

 

カルマはあんまり表に出さないけどね〜、と呟く柊に前原が言う。

「…それはわかるけどさぁ…やっぱりどーしても納得できねぇんだよな…元々いい選手なんだろ?それを『俺はボールをゴールに入れれないから』で諦めんのもなぁ…って思うし」

 

何よりも、と前原は続ける。

「あいつ…絶対にサッカーやりたいと思うんだよな。少なくとも暗殺サッカーは楽しそうにしてたし…」

 

そんな前原の言葉に、柊は黙ってお茶を飲んだ。

朝ごはんを食べ終えたらしい。

 

お茶を飲み終え、柊は少し息をついた。

そして……

「ねぇ、前原。今何時?」

 

そんな柊の突拍子のない言葉に、前原は目を点にした。

そんな前原に、柊は「ほら、早く」と催促する。

 

「ええと…6時半…だけど?」

「…だったら間に合うよね?」

「いや、何に!?」

「だから前原…声大きいって…」

 

そんな柊の言葉に、前原は小声で喋る。

「で…何に間に合うんだよ…?」

「…授業始まるのって、8時半からだよね?」

「ん?…そうだっけ?」

「で、校門が閉まるのが8時20分。(ここ)から学校までが大体15分」

「…ええと?」

「つまり…遅くて8時くらいにここ出たらいいってことか…」

 

そこまで言って、柊はこう言った。

「前原、場所変えよう。ここだったら他に聞いちゃう人いるかもだしさ」

「へ?どこに?」

「学校行く用意全部持って、7時までに寮の裏集合!」

「はぁ、うん…了解?」

 

そう言って、柊はそそくさと片付けをして、食堂を立ち去った。

残された前原は……柊の言った言葉の意味がようやくわかり、急いで残っているご飯を口にかけ込んだ。

 

__________________________________________

 

そしてそれから20分後。

 

「…早く来たね。前原」

「ほとんど準備は終わってたしな」

「なんで私が前原のことをここに呼んだのかは、分かってるよね?」

「もちろん分かってる。

だから………………

 

 

 

 

こんな茶番の前に、さっさと教えろ!!!」

 

早々に茶番に突入しかけていたのを察した前原は、即座にツッコミを入れる。

 

そんな前原のツッコミを軽く聞き流し、柊は近くの壁に腰掛ける。

 

そして柊は一息をつき、こう尋ねた。

「前原が知りたいのって、カルマがなんであそこまでサッカーをするのを嫌うかだよね?」

「…というか、カルマの言葉の根拠な」

「りょーかい。じゃあ前原は今から三つのことを約束して」

「…おう」

「まず一つ目は…他言厳禁。絶対に誰にもこの話はしないって誓って」

 

そんな柊の言葉に、前原は(なんでだろう…)と疑問を覚えたが、反射で「うん」と言う。

 

柊は続ける。

「次は、この話でカルマを攻めない、カルマの弱みを握るようなことをしない」

「OK、わかった」

「最後に三つ目は…

 

 

 

 

これから私の言うことは、なんでも必ず実行すること」

「うん、りょーか…………は?」

 

頷きかけて、思わずとどまった。

 

 

今優位にたっているのは、紛れもなく柊だ。

頷いたら間違いなく死亡フラグだが…

 

(………仕方ないか…柊に聞くしか方法ねぇし…)

 

そう思い、前原は思い口を開けた。

 

「…わかった。なんでも言うこと聞く…でもせめて1個にしてくんね?」

 

そんな前原の訴えに、柊は少し黙った後にため息をついた。

(やっぱダメか…?)

と思った時

 

「………仕方ないな…いいよ。

じゃあ1個だけ私の言うことを実行する…で」

 

そう言って、柊は前原に向き合う。

 

 

 

 

「じゃあ…言うよ。

 

 

あれは小5の秋…




続きは次回ですね。
佳奈の誕生日が着々と近づいてきてますね…。
それまでに新キャラ登場させる予定だけど……間に合うかな……?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第49話 入部の時間 3時間目

映画見ました〜!
いや、もうね…ほんとに良かった!
アニメ見ていたけど、やっぱりね…ね!
やっぱり暗殺教室は神マンガ兼神アニメだって実感しました!(ああああ!語彙力!!)


小五の秋

その日は少年サッカーの県大会の決勝戦だった。

 

その日は…最初から違和感はあった。

 

いつものカルマと……何かが違う。

 

だから試合が始まる前に、思わず声をかけた。

「…ねぇカルマ。大丈夫?顔色悪いけど…」

 

そんな私の言葉に、カルマは

「?何言ってるの?大丈夫だよ。全然いつもどーりじゃん?」

 

意味わかんない、というような

なんともないような

 

そんな表情で、カルマは確かにそう答えた。

 

考えすぎか…

 

ちょうどその時、訳あって心配症になっていた私は、そんなカルマを…

 

ただの勘違いで終わらせてしまった。

 

 

 

なんであの時…意地でも止めなかったんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合は進んで後半に入った。

2-1で負けていたカルマたちのチームに…PKのチャンスが与えられた。

相手チームがファウルをしたのだ。

 

負け越したところでのPK

それは、カルマがいたチームに安堵をもたらした。

 

だって…チームの中には、()()()()()()()人がいたから…

 

それは、カルマだった。

元々のシュート率が高い上、PKを外したところは…チーム内のメンバーの何人が見たことがあるのか。

 

当然のことながら、ボールはカルマに託された。

 

カルマがシュートをする直前

カルマは…自分のTシャツのえりを、強く握った。

まるで…いつもはしないはずの緊張を、ごまかすように。

 

それは一瞬のようで…永久に続く時間のようにも感じた。

 

───やっぱりおかしい

()()()()()()()じゃない。

 

その状態のまま、カルマは2.3回、息をついたように見えた。

 

 

私がその時考えていたことは…ただ一つ。

───お願い…!カルマ蹴らないで!

 

 

 

──────蹴る人を替えて!!

 

そんな願いも虚しく…

 

 

 

カルマはボールを蹴った。

 

カルマが蹴ったボールは…素人目からもわかるくらい、『外した』とわかる軌道だった。

 

そして…その試合は、点差が縮まらずに終わった。

 

つまり…カルマたちのチームの負けだ。

 

試合後チームメイトの中では、カルマの失敗は『プレッシャーから』と片付けられた。

そしてもちろんカルマ自身も、「緊張したから」と言っていた。

 

でも…私は直感で分かった。

 

──違う。

 

カルマがプレッシャーを感じるわけないし、感じてもそんなものに負けるわけがない。

 

 

なんで…私はあの時止めなかった?

 

こうなることくらい、予想できたはずなのに…!

 

__________________________________________

 

…っていう話だよ。カルマは多分その日から…ボールを持つのが怖くなった…っていうか『ゴールに入れれない』って感じるようになったんだと思う」

 

そんな柊の話を聞き、前原は「んー…」と呟いたあと、こう言った。

「要はさ…カルマその日体調悪かったかなんかってことだろ?

それで外して…それを後々まで引きずるやつか?カルマって…」

「…体調で終わる話なら…どれだけよかったか…」

 

そんな感じの言葉を意味深に言う柊に、前原は(??)と思いつつも、感じ取る。

 

(あー…これ、これ以上触ったらダメなやつだ…)

 

そう思った前原は、

「…でもさ、柊が責任感じることなくね?

ってか正直俺は、柊の言葉を素直に聞かなかったカルマが悪いと思うけどな…」

「…聞かなかったんじゃなくて、()()()()()()んだけどね…」

 

ボソッと言われたその言葉は前原の耳に届かなかったようで、前原は思わず「ん?なんて?」と聞き返す。

 

そんな前原の言葉はお構いしに、「とりあえず、」と柊はつぶやいた。

「私も…カルマにはまたサッカーやってほしいと思ってる。

前原の言う通り、私もやっぱりカルマがサッカーしないのもったいないって思うし。それに…ちょうど私も前原と同じこと考えてたからさ。

 

 

 

だから…協力して。前原」

 

そんな柊の言葉に、前原は1.2秒その言葉の意味を考え…

 

そして言った。

 

「…あったりまえだろ!」

__________________________________________

 

『作戦は簡単。前原はカルマとサッカーで勝負して。可能ならPKで』

 

あとは私でやるから、とと言われた前原は、その時はその言葉に頷いたものの…

 

(…これ…下手すれば1番ムズくね?)

 

なんせ相手はカルマである。

ちょっとやそっとで話を聞き入れてくれるかどうか…

 

(…カルマには悪いけど…()()使うしかねーよな…)

前原は心の中でカルマに謝罪をしながら、殺せんせーの元へ歩いていった…。

 

 

 

 

そして放課後。

 

前原は渚や杉野と談笑しているカルマのところへ行って、

 

「なぁ、カルマ。ちょっといいか?」

「ん?なに?前原」

 

とりあえず逃げられなかったことにホッとし、前原は言葉を続けた。

「カルマさ…入る部活決めた?」

「また勧誘?前原って本トに懲りないね」

「懲りねぇよ。どー考えたってカルマがサッカーやらねぇのもったいないし」

「…で、用事は?ないなら帰るけど?」

 

そんなカルマの質問に、前原は

「…カルマ。俺と勝負しようぜ。もちろんサッカーで」

「却下」

「って来ると思ったから、俺は俺で考えたからな〜」

 

そう言って前原はケータイを取り出し、LI○Eを開く。

と、ほぼほぼ同時にカルマのケータイが鳴った。

 

慣れた手順でケータイを開いたカルマは、前原から送られてきたメッセージ…というか写真を見た瞬間に表情が固まった。

 

「もし来なかったら…

 

それ、クラスのグループに貼るけど?」

 

 




次回で入部の時間は終わると思います!

何気に明日佳奈の誕生日ですね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第50話 入部の時間 4時間目

遅くなって………すみませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!!(土下座)

書いてて気づいたんですが……最近渚出てきてないな………


「ねぇ、前原。これって絶対に脅迫だよね?」

「でもこうでもしないと来ねーだろ。お前は。

ま、俺への脅迫写真がなかったのが運の尽きだな」

 

絶対に磯貝から黒歴史聞いてやろ…とかいう物騒な言葉は聞こえなかったということで。

 

ちなみに前原に写真で脅されたカルマは今…

 

サッカー部部室で着替えていた。

 

既に入部した前原は普通に体操服で、カルマは先輩の体操服を借りて着替えている状況である。

 

「しっかしさぁ…ほんと先輩って器大きいわ!ここまで無理難題言っても協力してくれるしな〜どっかのタコとは大違い!!」

「本っト『無駄に』器大きいよね〜」

 

『無駄に』と部分をかなり強調させて言ったカルマは、

「で、なんの勝負?大事なとこ聞かされてないんだけど?」

 

…そう。まだカルマには『サッカーの勝負』としか言ってない。

 

(勝負の中身言ったら…あいつ写真で脅しても逃げるだろーしな…)

しかし、流石に限界だろう。

質問されたからには答えなきゃな…と思い、

 

「ん〜?PK戦」

「…………………は?」

 

前原の言葉に、カルマは思わずそんな声をあげた。

そんなカルマに前原は「なんだよ?」と聞く。

 

そんな前原の言葉にカルマは

「前原さ…今朝の俺の言葉忘れたの?」

「覚えてるぞ?確か『俺ボールを入れれないから』だっけ?」

「だったらなんでかな?」

 

そう言いながらため息をつくカルマの顔にはいらだちが見える。

しかし前原はそんなことはお構い無しに、

「カルマさ、なんでまだ部活に入んねーの?」

「………は?」

「フツーここまで勧誘されたら形だけでもほかの部活に逃げるだろ。本当にサッカーしたくないならなおさら」

「しつこく勧誘し始めてから俺のこと逃がそうとしないのそっちじゃん。昨日も今日もこーやって放課後まで時間使ってさぁ」

「今日は強制だったから分かる。でも昨日は…」

「前原はさ…結局何言いたいわけ?」

 

そう言って頭を抑えるカルマに前原は

「カルマ……

 

 

本当はサッカーしたいんだろ?」

 

思っていたよりも鋭く出たその言葉がカルマに届いた。

その言葉で、部室の空気が一瞬凍った………気がした。

 

まずかったか…?

 

質問してから2.3秒後。

カルマは大きなため息をつく。

 

そして前原の方へと歩きながら、

「…分かった。要は勝負受ければいいんでしょ?じゃ、俺先行って練習でもしとくから」

「…は…?カルマ…?」

 

そう言って、カルマは部室を出て行った。

カルマの、ありがたく意外で……しかし冷たい響きを持った言葉に、前原は妙な胸騒ぎを覚えた…。

 

__________________________________________

 

 

前原が部室を出た時、

「前原〜!」

 

その言葉に前原は振り向く。

そこにいたのは…

 

「…なんだ。柊か」

「なんだとはひっどい言い草」

「えーと…で、そこで大丈夫か?」

「んー…ちょっと見えにくいかも。でもいいや。もしかしたら中にも入ると思うし」

 

そんな柊の言葉に「そうか」と答える。

 

 

 

一方カルマは、宣言通りPKの練習をしていた。

まだキーパーはいないが…遠目で見てもカルマのボールが入っているのは明らかだった。

 

そんなカルマを見て前原は、

「…別にふつーに入ってるじゃんか」

「そりゃあの状態で入らなかったら私カルマのサッカーセンス疑うよ。キーパーいないし、何よりリラックスした状態じゃん?」

「んー?…そんなもんか?」

「やぁ、そーでしょ。前原だって本命相手だったら緊張してチキンになるんじゃないの?」

「いや、俺好きになった子基本みんな本命だけど?」

「……そーゆーとこじゃないのかなぁ……」

 

柊の言葉に、前原は頭に?を浮かべつつも、完全にスルー一手に走った。

 

と、そこに

「おーい前原!準備できたんなら早くこっちに来いよー!!」

柊と話していた前原に、和泉先輩からそんな言葉が飛んだ。

 

はーい、と返事をして、前原は柊に振り返る。

「じゃ、ちょっと行ってくるわ」

「んーいってらっしゃい」

 

そう言って走り去った前原を、柊は黙って見ていた。

 

__________________________________________

 

「んー、じゃあ勝負の中身は…っと」

 

ルールはかんたんである。

10回蹴り、より多くのゴールを決めた人の勝ち。

 

「で、勝った方にはなんかあんのか?」

「……負けた人間に一つ命令が言える…とか?」

「よし、採用」

「………え゛」

 

まじかよ…とつぶやく前原を、その場にいた全員(主に先輩)がスルーした。

 

「よし、じゃあ始めるか。どっちが先攻?」

「…カルマで」

「え?俺?」

 

ま、いいけどさ。とつぶやき、カルマはペナルティーマークについた。

 

そして前原はベンチで順番を待つ。

 

すると、

「やっほ、前原」

「柊。そこからは見えるか?」

「見える見える。少なくともPK見るには十分」

「そっか…」

 

でも…と前原はぼやく。

「これでほんとにカルマはトラウマ治るんだよな…?」

「そんなのやってみなきゃわかんないって」

「…そこはそうなんだ!」

「そうだよ。はっきり言って私が考えれる限界だしさ。この方法が」

「なるほど…だからカルマ君と前原君がサッカー勝負ですか。これは結果が楽しみですねぇ」

「真剣にやってんのにそーゆーのは………ってなんでいるんだよ!!!」

 

すごくナチュラルに会話に入ってきたのは、かつらを被り、スーツを着た殺せんせーである。

前原の言葉に、「ちょっと耳に挟んだので」と答える。

 

「…つうか来るんならちゃんと変装しろって………なんのコスプレ?」

「烏間先生です」

「クオリティひっっっく!!!」

「相も変わらずひっっくい再現度だな!!!普通にバレてるから!!!」

「まさかぁ、大丈夫ですよ。ちゃんと溶け込んでますし」

 

いや、バレてっから!という言葉は飲み込む。

殺せんせーよ…向こうで先輩達がひそひそ話してんだよ。こっちをむいて。

 

 

「それは置いといて…カルマ君は随分らしくないですねぇ。彼もあんなに緊張するんですね」

 

そんな殺せんせーの言葉に、前原は首を傾げる。

「へ?別にいつも通りじゃね?」

「いいえ。いつもにもなく緊張してますよ?柊さんならわかると思いますが」

 

そんな殺せんせーの言葉に、柊は黙って頷く。

「やっぱり最後があれだからさ。嫌な記憶ほど残りやすいって言うし…」

「…まぁ、それだけなら簡単でしょう。

 

本当にそれだけならねぇ」

 

そんな殺せんせーの言葉に、前原は首を傾げる。

一方の柊も、ほぼ表情に変化は見られない。

 

………なんだよ……変なの…

 

そう思いつつ、前原はカルマの方へと視線を移す。

 

カルマはボールを受け取り、額を拭っていた。

 

……なんだろう……

 

違和感を感じる。

 

 

 

そのままカルマは、流れるようにボールを蹴る。

 

 

そして結果は……

「あ…外した」

 

サッカー経験者でなくても分かるくらいにボールを外していた。

 

「…カルマの言ってたことはこれか…」

「そーだねー」

 

そんなこちらの会話はいざ知らず、カルマはキーパーからボールを受け取り、息をついた……ように見えた。

 

 

……やっぱり…なにかがおかしい…?

 

 

 

 

 

 

 

 

と、その時

「タイム!!!」

 

コート中にそんな言葉が響いた。

その言葉を発したのは…前原の後ろから。

 

3年の先輩がその声の主…柊に歩み寄り、

「なんだ?関係ないだろ?ちょっと口を挟むのは…」

「関係あります。カルマと話をさせてください」

「いや、でもね…」

「……ふぅん……

 

 

 

 

私が行ったらカルマがサッカー部(ここ)入る確率上がるかもなのに?」

 

最後の柊の言葉は、前原や先輩に聞こえるのがギリッギリの大きさだった。

だからカルマには多分聞こえてないだろう。

 

そんな柊の言葉に、その先輩はグッと言葉を詰まらせた。

 

そのまま柊は「じゃ」と言って、カルマの方へと走っていった。

 

そんな中、

「…なぁ殺せんせー。先生ってどこまで知ってんだ?」

「カルマ君がサッカーの大会でPKを外した…というところまでです。先生も聞いていたので」

「ふーん………っていたのかよ!!!」

 

なんのことでしょう?とすっとぼける殺せんせーを見て、前原は深くため息をつく。

そんな前原の様子を知ってか知らずか、殺せんせーの方は、

「でも、あの役は柊さんが適任でしょう。なぜカルマ君がその時ゴールを外したかを知ってるみたいですし。

なんでカルマ君がゴールを入れれなくなったかまでは先生もわからないので」

「別に……今でも外した時のことがフラッシュバックするからじゃねぇの?重要な大会だったみたいだし」

「もう一つ可能性はありますよ。むしろ先生はそっちの可能性ではないかと考えていますし」

 

そっちってなんだよ…と思ったが、それは胸に留めておく。

「しっかしあいつら…いつまで話してんだろ?」

「ニュ?…というと?」

「だってアドバイスくらいなら、ちょっと言ってすぐに帰ってこれんだろ。随分とまぁ時間かかんなぁ…と思って」

「まぁ、いいじゃないですか。ちゃんと2人で話し合うことも大切ですよ?」

「どっからどー見てもケンカだけどな!」

 

そう…殺せんせーと前原の2人が話している間、カルマと柊の2人は(声を張り上げてこそないものの)明らかに険悪な雰囲気に包まれていた。

 

まぁ…多分内容は…

「なんで俺に言ったのか……だろーな…」

「でしょうねぇ」

 

 

すると次の瞬間、

 

 

柊はカルマのシャツの襟を引っ張り、

「カルマ……

 

 

()()()()()()()こと!わかった?」

 

そんな柊の言葉に、カルマの表情が少し変わった……ように見える。

 

そんなカルマの変化を見てか、柊はカルマから背を向けて戻ってきた。

 

 

…なんだ今のは…

 

そう考えていた前原に、

「…前原君」

「ん?何?」

「……残念でしたね…」

「…は?」

 

と、その時。

「よっし、入ったー」

 

…………ん?

 

そんな柊の言葉に、前原は急いで殺せんせーからカルマの方へと視線を変える。

 

 

見えたのは…小さくガッツポーズをとるカルマの姿だった。

 

__________________________________________

 

「何が『俺はゴール入らない』だよ!思っきり入ってたじゃねぇか!!!」

「ごめんって〜おれもまさか勝つなんて思ってなかったし」

「っうか柊のあれなんなんだよ!あそこまで変わるなんかがあったってことか!!?」

「んー?さぁ?」

 

その通り。

このPK勝負はカルマが勝利を収めた。

 

でも、とカルマは続ける。

「前原もそんな大した被害ないでしょ?」

「あるわ!!」

 

まぁ…そのことで、前原の死亡フラグはより濃厚になったのだが…

 

「でもさぁ、あれ考えたの前原じゃん?自業自得。」

「俺もそれが採用されるとか考えてなかったんだよ!!!」

「ま、いいけどね。()()()のためにとっとくから」

「嫌な予感しかしねぇ……」

 

そう言いながら、2人は部室をあとにする。

 

 

と、そこには柊と殺せんせーが立っていた。

 

「げ……………殺せんせーいたんだ」

「ずっといましたよぉ。前原君に順番変わってからは場所変えましたが」

 

なにそれ…とため息をつくカルマに、殺せんせーが語りかける。

「カルマ君は後悔していますか?今日サッカーの勝負を受けたことを」

「ん?…別に…?」

「そうでしょう?

君は今日、何年も持っていたトラウマを克服できたんですから」

 

そう言って殺せんせーは、カルマの頭にポンッと触手を置く。

 

「1度失敗してもいい。それがトラウマになってもいい。

大事なのは、それを乗り越える力です。

 

骨は折れたら、前よりも強くなります。

それと同じく……失敗やトラウマを乗り越えれば、前よりもずっと強くなれるんです」

 

そう言う殺せんせーに、カルマは

「…ようは今回もせんせーの授業だったってわけ」

「ヌルフフフ。当たり前ですよ。こんな絶好の機会ですから」

 

それを聞いたカルマは、先ほど殺せんせーが触手を乗せたところに手を置いた。

 

 

 

 

 

「さてカルマ君。何か忘れてることがありませんか?」

 

そんな唐突な殺せんせーの言葉にカルマは、

「…ん?なに?」

「簡単な話です。野外活動が終わってから1週間経過しました。そろそろ勧誘期間も終わりです」

 

そう言って殺せんせーはある紙を見せ、

入部届け(これ)の提出…

 

 

明日の朝までですよ?」

 

ちなみにカルマ君以外全員が提出を終えています、という殺せんせーの言葉に、カルマは

「…ここで決めろと?」

「まぁ、そういうことです」

 

そう言われたカルマは、しばらく殺せんせーの持つ紙を見ていた。

そして…

 

「…殺せんせー、それと何か書けるやつちょーだい」

「ええ、どうぞ?」

 

そう言って殺せんせーはカルマにペンを渡す。

 

カルマは入部届けに文字をさらさらと綴り、

「はい。これでいい?」

 

入部届けを受け取った殺せんせーは、

「ほう…カルマ君はサッカー部に入るんですか?」

「んー?まぁ」

「ですが…なぜでしょうか?あれほど言っていたのに」

 

いつも見たくニヤニヤしながら言う殺せんせーに

「ぶっちゃけ断る理由もなくなったしね〜」

 

それに、とカルマは続ける。

「こんなしつこい勧誘がこれから来られても困るし。だったら最初からここに入るよ」

 

そんなカルマの言葉に、前原と柊はホッとした表情ん浮かべる。

一方の殺せんせーも、うんうん、と静かに頷いた。

 

 

 

「じゃあさぁみんな。帰りに将暉ん家来なよ。なんか奢るから」

「え!ほんとに!?行く行く!」

 

そう言って、カルマは手に持っている財布をポンポンと上に投げる。

一方の殺せんせーは、カルマの持ってる財布に妙なデジャブを感じて…

 

「…ニュァァァァァ!?そ…それ!先生の財布!!!」

「ん?…ああ!落ちてたからいいかなぁと思って」

「嘘いいなさい!ずっと服の中に入れていたのに!!」

「え?じゃあ返して欲しい?」

「当たり前です!」

「んー、じゃあどーぞ」

 

そう言ってカルマは殺せんせーに財布を投げる。

それを受け取った殺せんせーは、真っ先に中身を確認しようとし…

「…あの…カルマ君?」

「ん?なに?」

「その……中身が抜かれてるんですが…」

「ああ!はした金だと思って募金しちゃった〜」

「ニュア!この不良慈善者!」

「てかさ、そうでなくてもあのお金の量はまずいでしょ」

「仕方ないでしょう!!?月末なんですから!!!」

 

そんなカルマと殺せんせーのやり取りを見て、

「前原〜」

柊は前原に手を掲げる。

 

そして、

「…おう!」

 

パチン!と2人はハイタッチを交わした。




カルマサッカー部入部!

ほかのキャラが何部に入ったかはおいおいどっかで書きたいと思います。

ちなみに、明日か明後日にオリジナルを投稿しようと考えています!
興味がある方はぜひ!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第51話 親戚の時間

今年最後の投稿です!



「「「「「「では、始めましょう」」」」」」

 

……………うん?

 

「…ええと…殺せんせー?何を?」

 

それを尋ねたのは…

「あぁそうですね、柊さんは初めてですから。

ちなみに柊さん。みなさんの入部も終わり、次に迎える行事はなんですか?」

「…中間テスト?」

「そのとおり!中間テストを二週間後に控えた今!先生は生徒一人一人にマンツーマンで主に苦手教科を教えます!」

「だから殺せんせー分身してんだ!!?」

 

そう突っ込む柊を横目に、渚は黒板の端を見る。

 

今日は5月29日。

もう少しで高校生活2ヶ月目を迎えようとしていた。

 

__________________________________________

 

「あー…なんでカルマはこんなに頭いいのよ!?」

「…それは元からだろ…」

「まぁ佳奈の言いたいこともわかるけどね…」

「でも!私中学カルマよりもずっといいとこなんだよ!?なのになんでカルマと差ができるの…」

「まぁ…でも相手カルマ君だからなぁ…何しろ全国1位に1回だけとはいえ勝ってるし…」

「…そうなんだ…やっぱりあいつスゲー…」

「にしてもでしょ!!」

「…1ついいよな?佳奈」

「言うことわかってるからいらない」

「いや、言わせてもらう。

 

…それをわざわざ俺の店で愚痴りに来んな!!それになんで今日はこんなに集まってんだよ!?」

 

そう…今柊たちがいるのは、将暉の店である。

 

そんな将暉の言葉に、前原が答える。

「はは、わりーな将暉。

でも近場でだべれて勉強できる涼しいとこがここしかねぇんだよ」

「いや、そもそもだべろうとする時点で勉強する気ねぇだろ!お前ら!!」

「「「「「それはない」」」」」

「てか…図書館!あそこ行きゃいいだろ!参考書とか揃ってるし!」

「行ったけど埋まってたんだよね。ごめんごめん」

「お前らそれ思ってねぇだろ!!」

 

と、そこに

「まぁ、いいじゃんいいじゃん。ここの収入は増えるし、得しかないでしょ」

「居座るだろ!ほかの人が入れなくなるから!」

「悪いけど見逃してくんない?うちの担任テストにはヤる気だからさぁ」

「あー!もうわかった。今回はいいから、お前は自分の仕事しろ!」

「仕事も何も…何すればいいわけ?」

「…自分で考えろ!」

「うっわ丸投げ」

 

そう言いつつ、カルマはみんなとアイコンタクトをとった。

 

……………カルマ、ナイス。

どーも。

 

「ていうかさ、私達以外に誰も客来てないんだし、いいじゃん。

だから…将暉数学おーしーえーてー!!」

「普段はんな事言わないくせしてなんで今このタイミングでそれ言うんだよ!?新手の嫌がらせか!!?」

「…というか、将暉君は何が得意なの?」

 

そんな渚の言葉に、柊は

「んー?家庭科?」

「……怒るぞ…佳奈」

「ごめんなさい。それだけはマジで勘弁…」

 

ところで、と柊はつぶやき、

「将暉は将来なんか決めてんの?このクラス、ほとんどみんな決めてるからさぁ…」

「それは…………人それぞれじゃね?ちなみに俺は考えたことないけど…」

「あー…そっか。将暉は将来決まってんだ。高校は大学付属だし、就職も2つに1つだし」

「いや、ないようなもんだろ。確かに大学は内部進学だけど…」

「なんで?おばさんちの会社継ぐんじゃないの?」

「それはお前だろ…ってか継がないの?」

「私血繋がってないしさぁ。でも将暉は繋がってるじゃん」

「でも佳奈は次期社長の娘だろ?フツーに考えたらそっちだって」

「いや、私は……そーだ!間とって将暉のお姉ちゃんとかは?」

「いやもうあいつ働いてるし。ましてやあれが継ぐと思うか?社会人なってから1回も家に帰ってこないあの万年反抗期が」

「あー…ないね」

ん?

は…?

 

「「「「「「「はぁぁぁぁぁぁ!?」」」」」」」

 

完全に2人の世界に入っていたためか、将暉と柊はびっくりした表情でみんなを見る。

そんなことお構い無しで、

「え?まって…?どーゆー事?」

「話についていけねぇ……」

 

そういう中村と岡島に、

 

「あぁ、それね。結構めんどくさい話だ」

「え?………どーゆー事だ?カルマ」

「えっとね…『Holly』って会社知ってる?」

「あー…聞いたことある。」

「確か日本有数の商社じゃなかったか?」

 

そういう磯貝に、カルマは「そうそう」と言う。

 

「で、その社長の娘が将暉のお母さんで、息子が佳奈のお父さん」

「「「「「「…………え?」」」」」」

 

それはつまり……

「佳奈と将暉君って…いとこ?」

「書類上ではね」

 

そんな柊の言葉に、みんなは(???)という表情を浮かべる。

それを見たカルマが代弁した。

 

「ああ、佳奈の家のおばさんバツイチなんだよ。確か佳奈が生まれて結構早くに離婚したんだっけ?」

「そ。で、私が小学校入るくらいに再婚したの。それが将暉のおかーさんのお兄ちゃん?」

「…だな」

「あー…なるほど…」

 

そんなカルマの言葉に、そこにいたみんなが納得した。

 

 

 

 

「で、さっきから気になってたんだが…」

 

そして将暉はカルマを指さして言った。

「お前、仕事は!?何ナチュラルに話に入ってんだよ!!?」

「…なんで俺だけにいうかな。磯貝だって勉強してるじゃん?」

「だからだよ!磯貝は勉強してるけど、お前は喋ってるだけだろ!!」

「えー?なにそれ?」

 

ま、とカルマは呟く。

「別にいいじゃん。1人『お客さん』呼んだし」

「…クラスの奴か?」

「いや?だってさっき将暉迷惑そうだったでしょ?」

「つまりクラスの奴ではない…と。で、

 

 

 

だいたいわかるけど…誰だ?」

「ん〜?ソラ?」

「お前なぁ!!!」

 

ニコッ、という音が聞こえるくらいの満面の笑みで答えたカルマに、将暉が突っかかった。

 

「…ねぇ、佳奈。『ソラ』って誰?」

 

そんな中村の言葉に、柊が答える。

「んー…だいたい将暉と同じ感じの関係かな?」

「あっ、幼なじみ?」

「そだね。

 

 

ついでにいえば将暉のカノジョ」

「へ〜」

 

それはそれは…と中村はニヤニヤした表情を浮かべる。

 

 

と、その時。

喫茶店のドアが開く。

そして中をキョロキョロする女の子が1人。

 

…なかなか可愛い子である。

 

すると、柊は唐突に席を立ち、

「ソラー!!!久しぶりー!!!」

 

そんな柊の声に、その女の子────ソラは振り向く。

 

そしてこっちの方へ歩いてきて…

「佳奈もいたんだ。久しぶり!」

「いたよ?いつぶりだろ?卒業してから会ってなかったっけ?」

「そうだね。私中学は公立組だったから…」

 

そう言って笑うソラを見ているみんなはと言うと

(やっっっっべぇ!想像してた以上に可愛い!)

(うっわ!あんな可愛い子と付き合える将暉が本気で羨ましい!!!くっそ!!!)

(ってか…初対面でわかるくらい性格も可愛いぞあれ!あの3人の組み合わせで、どーなったらなんか子ができるんだ!?)

 

そうみんなが考えてることもいざ知らず、

「っていうか、カルマとソラに繋がりがあったのにびっくり!中学入ってからも会ったことあるの?」

「ん?いや?この間佳奈がいない時に来ててさ。その時」

「あーなるほどね」

 

そんな話をしていると、茅野が口を開いた。

「ねぇねぇ、『ソラ』ってどう書くの?結構珍しい名前だよね?」

「あっいや…ソラって苗字なんだよね。『曽良野』だから『ソラ』で…名前は『優』なんだ」

「ん?…あー!『ゆう』だとダブるから?」

「そうそう」

 

そんな茅野とソラの会話に、ほとんどみんなが頭の上に?を浮かべていた。

 

「え?……ダブるって…何が?」

「大した話じゃないから」

 

みんなの気持ちを代弁した前原に、あんまり気にしなくても大丈夫、とカルマはつぶやく。

 

「っていうか…いまさらだけど、将暉の学校って校則厳しいトコじゃなかった?バイトとかセーフなの?」

「アウトだね」

「……思っきりアウトだな……うん」

「え?見つかったらやばくない??」

 

ノーマルトーンで(むしろいつもの笑顔すら浮かべながら)そういうカルマに、将暉は

「……俺がやってんのは家の手伝いだから。給料は1銭ももらって…」

「るよね?見たよ。俺は」

「見つかったらそー言えばいいんだよ!んなもんバレるか!!!」

 

うわー、とからかうカルマを横目で見ながら、渚はソラに声をかける。

「ええと…ちなみにソラ…さん?はさ…」

「ソラでいいよ〜。さん付けされんの慣れてないし」

「あ…そう?じゃあ…ソラ…はさ、得意科目とかって…?」

「英語とか得意かな?私将暉と逆で文系でさ」

「あっ、一緒だ」

「ほんと?」

 

で、とソラはつぶやき、

「ごめん、2つ質問いい?

 

 

 

 

その子…見覚えあるんだけど……私だけかな?」

 

そう言ってソラが指さしたのは、渚の隣。

言わずもがな、茅野である。

 

そんなソラの発言に、その場にいた全員が「あー…」とつぶやく。

 

 

と、そこに

「あー、私昔はよくテレビに出ててね。磨瀬榛名って名前だったんだけど」

((((((まさかの本人がぶっちゃけた!!!))))))

 

茅野本人がそれをぶっちゃけたことに、みんながびっくりする。

 

そしてソラはと言うと…

「え……磨瀬榛名?え?……あの有名子役の??」

「そうだね」

「そうだな」

「俺らも初めて知った時びっくりした」

「俺も今初めて知ってびっくりしてるわ……」

 

そんな将暉の言葉に

「そーいや言ってなかったね!将暉には!!」

「なんでそんな朗らかに言うんだよ、佳奈!」

「だって私、あかりと中学一緒だもん。その時から知ってるし」

「は!?なんだそれ!!?」

 

そんな感じでワイワイ言っている2人を見て、

「……二つ目聞いていい?」

「いいよいいよ!」

「じゃあ…

 

 

 

みんな……名前教えてくれない…?」

 

そんなソラの言葉に、みんなの思考が少し止まる。

 

そして…

「いいよ!もちろん!!」

「みんなで自己紹介しよーぜ!」

 

茅野や前原を筆頭に、自己紹介が始まる。

 

それをカルマと将暉は遠くから見ている。

「……やっぱり勉強になんねぇじゃねえか…」

「まぁいいんじゃない?」

「……お前らなぁ…仮にもあの学校のC組だろ?

入学してすぐだからって怠けてたら、すぐに抜かれんぞ!」

 

そんな将暉の言葉に、カルマは思考が止まる。

「え?……どーゆー事?」

「どういうって…

 

 

 

お前ら入試の成績よかった奴らの集まりだろ?」

 

そんな将暉の言葉に、カルマは

「…そーいやそーだった」

「ん?何か言ったか?」

「別に?将暉も今度はソラ守れるよーにねー」

「……お前な」

「さーて、俺も混ざろっと」

そう言いながら、カルマもみんなの輪の中に入る。

 

結論:喫茶店での大人数勉強会は、全く勉強にならなかった\_(・ω・`)ココ重要!




今年は『高校でも暗殺教室』をありがとうございました!
ここでアンケートのお知らせです。
活動報告にてアンケートを行います。
アンケート⑤にて回答お願いします!

そしてアンケート④の回答もバンバン募集しています!

来年も『高校でも暗殺教室』をぜひお願いします!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第52話 テスト前の時間

前回の最後と少々(ほんとに少し)繋がってます。


テスト1週間前。

ある人物が理事長室を訪れていた。

 

「随分久しぶりだね。君もここに入るのは小学生以来じゃないか?」

「んー…そーかもね。理事長センセ?」

「で…なんの用だ?君だって意味もなくここに来るほど暇ではないだろう?」

「そりゃそうでしょ。仮にもテスト前だし。でも…つい最近すごい大事なこと思い出してさ」

「……というと?」

「ちょっと理事長センセーに見せて欲しいものがあってね。それで」

「他出厳禁のものじゃなければいいよ」

「いや、簡単だよ?」

 

そう言って、その人物は……『見せて欲しいもの』の正体を打ち明けた…

 

__________________________________________

 

「で……カルマはさっきからなにを見てんの?」

 

4時間目が終わった昼休み。

渚はカルマに尋ねた。

 

そう聞いた渚にカルマは、

「ん?これ?」

「そうそう。休み時間の度に見てたから…」

「あー…これ今朝理事長センセーからもらったやつなんだよね」

 

見る?というカルマの言葉に、渚は「え?いいの?」と答える。

 

「いーよ。どーせ後でみんなに見せるつもりだったし」

 

そう言って渡された紙を見た。

と、目に飛び込んできたのは…

 

 

1:赤羽 業(500)

2:柊 佳奈(495)

3:磯貝 悠馬(487)

 

それを見た渚は、静かに紙を裏返した。

 

そして…

「………一つ聞いてもいい?」

「ん?いいよ?」

「なんでこんなの持ってるの!?」

「だから今朝理事長センセーからもらった」

「……なんで?」

「頼んだから」

「簡単に貰えるもんなの!?こういうの!!?」

「こっちはちゃんとした理由あるし?理事長も『てっきり担任がそう言ってくると思ってた』って言ってたし」

「………やっぱりここの理事長先生って………なんていうか………すごいね」

「あれっ?今更?」

「いや……改めてすごいなって思った……うん…すごい」

「そんなのわかってることじゃん?ねぇ、佳奈?」

「なんでそこで私に振る!?」

 

ちょうど茅野・奥田・神崎と話していた柊は、思わずカルマに突っ込んだ。

それをカルマは完全に無視し、

「佳奈も見なよ」

「あ……うん。ありがと…」

 

そして柊も、渡された紙を見る。

しばらくじっと見た後、渚同様持っていたそれを裏返す。

 

そして第一声

「うん…………海野すごいね」

「うん。俺も思った」

「あの理事長のことだし、渚みたいに『どうやって手に入れたか』は聞かないけど……とりあえずかなり『予定』とは違ってた、ってわかった」

「俺も前将暉に聞いて思い出した」

 

勘の鋭い方はわかったであろう。

彼らが見ていたのは………

 

 

「まぁいいじゃんか。この学年だけ異常なんだって。学力別でのクラス分けじゃないし。そのための資料?みたいなのなんだよ。入試順位表(これ)は。」

「そもそもそんなのがあったことにびっくりなんだけど…僕は」

「……右に同じく」

「そりゃなかったらクラス分けできないじゃん。いつもならクラス分けした後はシュレッダーにかけるみたいだけど…」

「殺せんせーの件があったから残しておいた……と?」

「そーそー」

「なるほど…だから私が行ってもそれをいただけなかったわけですか」

「ふーん……って殺せんせー!?」

 

そんな殺せんせーに、カルマが

「やっぱり殺せんせーも行ったんだ。理事長センセーのとこ」

「そりゃ行きますよ。このクラスの担任ですし、当たり前でしょう?」

 

だから、とつぶやき、

「預かっておきますね。放課後に()()()()()()()で皆さんにも渡しますので」

「…なにが『だから』なんだか………」

 

まぁいいけど、と言いながら、カルマはそれ──入試順位表を殺せんせーに渡した。

 

__________________________________________

 

そして放課後。

 

「ではみなさん。帰る前に少し配りものがあります」

 

この学校、このクラスでは昼休みに教室にいる人間は極わずか。

理由は単純に食堂利用率が高いからで…

 

だから昼休みにカルマたちが入試順位表の話をしていたのを知っているのも、いつものメンツである。

だからほとんどの人はそれと初対面なわけで…

 

配られた瞬間、教室の空気は一瞬…ほんの一瞬だけ止まった。

そして前原が一言

「殺せんせー…なんでこんなもん持ってんだ…?」

「あれ、デジャヴ」

「お前かよ!」

 

 

そして順位は…

〈前略〉

4:海野 弘樹(486)

5:中村 莉桜(483)

6:竹林 考太郎(479)

95:近衛 野々(253)

96:寺坂 竜馬(240)

97:廣瀬 晴人(246)

 

 

……まぁ、何が言いたいかと言われれば…

「寺坂って本トバカだよね〜」

「っせぇ!!!」

 

しかしここで疑問。

「……薄々思ってたけど…ここって100人合格できるんじゃあ…?」

「…一応ここ私立だからさ『だいたい100になるように』してるんだろ…」

 

そんな磯貝の言葉に、全員が「なるほど」と納得する。

 

「で、みんな忘れているかもですが!」

 

ここで殺せんせーが口を開く。

「この学校、()()()クラス分けが成績順なんですよ!」

 

そんな殺せんせーの言葉に、全員の動きがピタッと止まった。

そして中村が、

「えっと…じゃあさ、C組(このくみ)って建前上、上位狙わなきゃまじでバレるの時間の問題…?」

「いや?そうでもないみたいだよ。合格したあとに気を抜いて順位がガタ落ちってのもあるみたいだし」

「ま、真ん中より上だったらセーフでしょ」

「なるほどね……要は………

 

 

 

 

最低でも全員50位以内……か」

 

そんな前原の言葉に、全員が顔を見合わせる。

 

そして…

「椚ヶ丘の時よりずっとむずくね…?」

「なんせ…ビリ2に寺坂がなぁ…」

「やっぱり……寺坂がね…」

「俺かよ!!!」

 

大事なことなので何回も言おう。

寺坂はぶっちゃけ梅宮高校に受かって進学した人の中ではほぼ最下位。

 

そして忘れている人もいるかもしれないが、梅宮高校は椚ヶ丘のと比べて遜色ない学校であり……

 

 

 

生徒の人数は、椚ヶ丘の半分以下である。




待っててくださって皆さん、ほんとにありがとうございます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第53話 テストの時間

久々の本編ですね…
ほんとにすみませんでした…


6月の初め──

 

この日は梅宮高校の一学期中間テストの日である。

 

それはまた…1-Cの人も同じで。

 

渚はちらっと前に立っている人を見る。

1-Bの担任であるその先生は、自らの腕時計に目をやっていた。

 

そして…

「始め!」

 

その言葉で、みんなは問題用紙を表に向けた───

 

 

__________________________________________

 

時は遡り1週間前──

 

「やっぱり寺坂がなぁ…」

「でもさ…寺坂に限らず、ふつーにやばいやつもいるだろ」

「…確かに」

「それも含めて全員で97人中50位以内…」

「いや、この表に律も入るから全員で98人だけど」

「なぜさらに不安を煽ることを言うんだよ!?」

 

みんな、そんな不安をつぶやく。

 

それはそうだろう。

下手すれば椚ヶ丘よりも厳しい条件である。

 

と、そこに

「ヌルフフフ。皆さんそんなことで悩んでいるんですかぁ?」

 

………そんなこと?

今「そんなこと」って言いましたか、殺せんせー(あんた)

 

 

みんなの心の声が一致した。

 

そんなみんなの声を知ってか知らずか、殺せんせーは口を開く。

「そんな皆さんに、先生からアドバイスです。

 

成功した勉強方法は、繰り返し行うのも一手ですよ」

 

………うん?

 

そんなみんなの様子を知ってか知らずか、殺せんせーは

「ではそれも踏まえて、明日以降も引き続きマンツーマン授業を行いますよぉ。

あ、あと皆さん1週間前だから部活はありませんよね?

何人かには『放課後ヌルヌル強化勉強会』をしますので、残っててくださいねぇ」

 

__________________________________________

 

「ま、殺せんせーのおかげでテスト範囲の内容はわかったけどな。」

「まーね。でも………

 

 

 

 

問題(こいつ)…すごく強いよね…」

 

二時間目に差し掛かり、数学IA。

 

すると後ろから柊が来て、問スターを倒す。

そして…

「そっちの方式使うんじゃなくて、こっちの方使わないと。

ちゃんと角度出す()り方は部屋会で教えたでしょ?」

 

 

__________________________________________

 

「佳奈は中学の時どんな勉強してたの?」

 

学校帰りに殺せんせーのアドバイスを踏まえて茅野が言った言葉である。

 

それに柊は

「んー…別にフツーだと思うよ?

課題とかやって、テスト前には教科書とかノートとか読んで…みたいな」

「そっか」

 

ていうか、と渚つぶやき、

「殺せんせーが言ってた『成功した勉強法』って…去年の2学期末のことじゃないかな?あれでみんなの成績上がったし…」

「あー…ってことは……勉強会?」

 

そんな2人に柊は「そんなことしてたんだ。みんな」と言う。

 

「だったら今日私の部屋でやる?4班のみんなで」

「佳奈が大丈夫なら全然大丈夫!何時からにする?」

「えっとじゃあ…」

 

__________________________________________

 

「いやぁ…やっぱりあの勉強法はほんとに良いよね」

「説明する側の理解も深まるし…殺せんせーも好きそう」

 

しかしやっぱり進学校。

どの教科も難しいし、複雑だ。

 

でも、とつぶやき、

「いつも通り行くよ!」

「…もちろん!」

 

 

そして…

 

「やめ!」

 

高校生活初のテストは終わりを迎えた。

__________________________________________

 

数日後──

 

「皆さん、テスト返却を行います」

 

そう言って殺せんせーはテストの結果が書かれた紙を見て、

「ではまず、このクラスの…

 

 

 

 

総合1位は…」

「「「「いやそこ割とどうでもいい!!!」」」」

「ニュア!?皆さん気になりません?」

「ならねぇよ!!どーせカルマだろ!!!」

「違いますよ!?カルマ君と柊さん同率です!」

「「「「だからどうでもいいわ!!!!!」」」」

「そーだよ。俺の順位どーでもいいからさ、早く寺坂の順位教えてくれない?」

「俺がクラス最下位前提かよ!!」

 

そんな言葉が飛び交う中で、

「ああ、寺坂君は大丈夫でしたよ。48位でした」

 

そんな殺せんせーの言葉に、クラスの中にあった緊張がほぐれた。

「それ…クラス全員50位以内に入ってるよね…?」

「ええ、もちろんですよ」

「よかったぁぁ…」

「やー、まぁ寺坂が1番不安だったけど?」

「カルマてめぇ!」

 

6月。梅雨に差し掛かる前に、みんなは無事に高校生活初のテストを終わらせることが出来たのだった。




次話は予定通り投稿出来ると思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第54話 犬の時間

紅音「さぁ!予告していた将暉への嫌がらせ回です!」
将暉「お前マジでざけんな!!!」



「…また?」

 

テストが終わりった6月半ば。

その日は月一で行われる委員会議の日である。

 

冒頭の言葉はC組の誰の言葉でもない。

 

委員長・副委員長会議が行われる会議室。

その言葉を発したのは1-Bの委員長である海野弘樹の言葉である。

 

簡単な話、1-Bの副委員長である住若菜がクラスの出金伝票を忘れたのである。

 

彼女自身、少し……いや、かなりのうっかり屋のようで、筆記用具や何やらを忘れてくるわけなんだが……

 

それを見た担当の先生は

「まぁ…今回の会議でそんなに大事なものじゃないし。また明日生徒会の人に直接渡せばいいから」

 

その言葉に、住は小さく「すみません」と謝る。

 

委員会議を始めてまだ少しだが、この流れは少しずつ恒例になりつつある。

 

それを見ているカルマと柊は

「飽きないねぇ、海野も」

「まあね…でもそこまで怒ることでもないだろーに」

「イライラしてんじゃない?最近雨多いし」

「あー…そっか…」

 

梅雨。

ジメジメした空気は人の心もジメジメさせるようで…

 

__________________________________________

 

「ねぇ将暉君。明日の朝までこの子お願いできるかな?」

 

時と場所が変わり、放課後の喫茶店「KATO」

そこには珍しく倉橋と岡野が来ていた。

その腕にはタオルに包まれた子犬が1匹。

どういう経緯か2人とも雨に打たれてびしょ濡れである。

 

それを見た将暉は

「………お前ら………

 

 

 

 

なんで喫茶店に動物持ち込むんだよ!!!」

「えぇぇぇ!!?違っ…」

 

なぜか唐突に怒った将暉に磯貝とカルマは

「まぁまぁ将暉は一旦落ち着いて。

倉橋も岡野もびしょ濡れじゃんか。このタオル使って。

俺今日委員会議だったし雨で部活なかったしで使ってないから」

「犬は一回俺が持っとくね〜。はい。俺も今日タオルつかってないから」

 

そんなテキパキ動く二人を見て前原は

「…磯貝がイケメンなのはいつもの事だけど…俺今初めてカルマのことイケメンだ、って思ったわ」

「カルマとかがイケメンって言うよりも将暉が心狭いよ。別に厨房の中入れてる訳じゃないし、お客さんもうちら以外いないんだから…あれくらいいいのにね〜」

「お前ら…全部聞こえてるから…」

 

こんな将暉の言葉を完全スルーして、中村は

「ところで陽菜乃はなんでここに犬を?」

「…ちょうど帰り道に捨ててあって。学校戻って飼育館に入れることも考えたんだけど…この子すごく濡れてたから、どっかあったかい所行こうかなって」

「でも寮はやっぱり常識的にダメかなってなってさ。やっぱ鳴き声とかもあるし」

「なるほど…で、この辺で家知ってるの将暉くらいだから」

 

そんな柊の言葉に、ふたりは頷いた。

 

その話の最中、将暉はというと……

「…で、なにやってんだよ」

「優に電話かけようと」

「……なんで?」

「………優の家って犬飼ってて。この家置いててもご飯もなにもないし。だから……」

「将暉」

 

カルマに呼ばれて、将暉は反射的にそちらを向く。

と、そこで見えたのは犬の顔で──

 

 

瞬時に他の6人の耳に悲鳴が入ってきた。

 

パッと見てみると、犬を抱えてケラケラ笑ってるカルマと……

「お前マジでふざけんな!!!やること小学生かよ!!!マジでこの店クビにすんぞゴラァ!!!!」

「いやいやごめんねぇ将暉w w w」

「笑いながら言うんじゃねぇ!!!」

 

それを見たみんなの頭に浮かんできたのは…一つの可能性。

それを代表して中村が口にする。

「ねぇ佳奈……もしかして将暉ってさぁ……

 

 

犬、苦手だったりする?」

「するね。多分私の暗所恐怖症並だと思うけど…」

「相当だね…」

「…で、カルマはそれを知っててやってる訳だ」

「趣味悪ぃ…さっきあいつの事『イケメン』とか言った俺をぶん殴りたいわ」

 

みんながそう口々に言う中、岡野が柊に「きっかけとかあるの?」と尋ねる。

「んー…ソラの家って昔柴飼ってて。小三くらいまで生きてたっけ…」

「ん?」

「小学校行く前くらいの時期かな?ソラの家で遊んでたらその子が将暉に襲いかかって……今考えてみたらその子はじゃれてるつもりだったんだろうなぁって思うけど…」

「あ、はい」

 

そんな話をしている柊たちに、将暉は

「ったり前だろーが!!!逆になんでみんなが触れるのかが不思議だわ!そんなのに噛まれたら死ぬだろ!!」

「死にはしないと思うぞ、死には」

「ワンちゃんはそんなに噛むことないから大丈夫だよ〜」

「『思う』とか『そんなに』とか100%大丈夫って根拠がねぇことよく言うよなお前らは!!」

 

いや、それもう色んな意味で詰んでない?

 

「やぁ…なんて言うか……完全に拒否してるね」

「でもソラは犬好きなんでしょ?」

「それとこれとは別だからねぇ…」

 

女子たちがそう話してる間、こちらでは

「ま、ごめんって。じゃあ将暉ん家のドライヤー貸して。乾かしたいから」

「自分で取ってけよ…場所分かんだろ」

 

そんな将暉の言葉に、カルマは真顔かつ黙って持ってた犬を持ち上げ──

「よし分かった。だから犬持ち上げんな!」

 

よろしく〜と言ってた将暉を送るカルマに、全員が「趣味わっる」と思った訳なんだが…

 

「ところで…陽菜乃はこの子の犬種って分かる?」

「んー雑種だね〜。見た感じはビーグルちゃんだけど…毛がくるくるしてるから…もう一方はプードルちゃんだと思うよ〜」

「……ビーグルって聞いたことあるけど……イメージつかないなぁ…」

「スヌーピーって言ったら分かるかな?あの子がビーグルちゃん」

「マジで!?でもスヌーピーみたく白くねぇよな…?」

「まれにいるんだよ〜。真っ白で生まれてくる子。普通は茶色か黒と白の2色になるんだけどね」

「へぇ…」

 

と、そんな説明をしていると、店のドアが開いた。

入ってきたのは……

 

「ごめん。将暉のヘルプできた!」

「あーソラ。久しぶり……ってほど会ってなくないか…?」

「噂の子は!?」

「カルマが持ってる」

 

それを聞いたソラは、一瞬動きを止め……

 

カルマに言う。

「ねぇカルマ君…」

「ん?何?」

「カルマ君さ…将暉になんかした?」

 

バレっバレじゃねぇか!!!!

そんなツッコミをみんなは心の中で留める。

 

とカルマは

「うん、した」

「悪びれもなく言ったぞこいつ!!!」

 

さすがに前原はこのツッコミは止められなかったらしい。

 

ソラもカルマのあまりの悪びれのなさに怒る気力も失くしたようで……

 

 

その時

「はい、ドライヤーどーぞ!」

「んーありがと〜。で、なんでそんなに怒ってんの?」

「誰のせいだよ!?」

 

そんな将暉をスルーして、カルマは柊に犬とドライヤーを渡す。

 

そして柊は犬を乾かしながら大体の話をする。

「つまり……1日この子を預かっててほしい……と」

「そうそう」

「んー……1日くらいならお母さんにもバレずに過ごせると思うから良いけど…明日どう渡せばいいかな?」

「ソラの家ってここから近い?もしそうならソラの家かここかで」

「うん。じゃあここでいいかな?」

「OK!」

 

そんな話をしている女子達に将暉は

「あー…じゃあ用事終わったら犬連れて帰って」

「……彼女が来ててそれはないんじゃないの?将暉クン?」

「うっせぇ!エセカルマ!!!」

「将暉は女子に優しくねぇなぁ。何なら俺が教えようか?その辺のすごいサル以外の女子は結構──」

「前原、お前ゆっっっくり後ろ向いてみ?」

 

前原が後ろを向くと……

「げ…岡野…」

「前原?覚悟は出来てるんだよね?」

 

そして岡野は前原にドロップキックをする。

そして前原は岡野の手によって天に召されていった──

 

 

 

 

………………

 

 

「いや、死んでねぇよ!!?」

 

__________________________________________

 

カルマ、磯貝のバイトが終わり、みんなは寮へと帰路につく。

と、その時前原が一言。

「そーいえばだけど……将暉ってキレたら怖いんじゃねぇの?こんなにいじって大丈夫なのかよ…」

 

そんな前原の言葉にカルマは

「ん?ヘーキヘーキ。将暉はこんな事でガチギレしないから」

「?……ああそう…?」

「そうそう。大声出して怒ったりつっこんだりするうちは全然大丈夫」

「あー…そうなんだ」

 

ガチギレしたら静かに怒るタイプの人間かな…とか思ったり。

 

「ま、そんな訳で前原もそろそろ一途になったら?」

 

……は?

「いやいやいやいや!どーゆー理由だよ!?」

 

カルマの言葉に前原がそう言う。

 

「まぁ前原ってなんだかんだ言って馬鹿みたいに鈍感だからねぇ…」

「は?俺鈍感じゃねぇし。むしろそーいうの鋭いぞ?」

「カルマじゃないけど俺からも言わせてもらう。前原は鈍い」

「どこが!?」

「どこがって……うーん…」

「ま、その時に痛いほど身にしみるでしょ」

 

そんなカルマ・磯貝の言葉に、前原は首を傾げた。




二学期に書く予定です(何をかは言わない)
次回からはある学校イベント書く予定です!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第55話 球技大会の時間

みなさんお久しぶりです。
ケータイ没収されて初の投稿です。

親の目を盗んで書いていますが、書けるもんですね、意外と。

ちなみに今日10月16日はソラの誕生日です。
その話題の『お茶会の時間』は書きたかったんですが、私事で書けませんでした。すみません……
ささやかにお祝いしていただければ幸いです。


「さぁみなさん!梅雨も終わり、夏に差し掛かります!熱中症に気をつけつつ、そしていい汗をかいて夏を乗り切りましょう!!」

 

梅雨が明けて暑くなった頃、殺せんせーがウキウキした顔でみんなに言った。

まぁ…そんなウキウキ顔には訳があって……

 

「そんな訳で体育委員の前原君と岡野さん(おふたり)は司会をお願いします!」

「「せんせーがすればいいじゃん」」

「二ュア!そんな事言わずに!この球技大会も重要な高校行事じゃないですか!!!」

 

そう、球技大会である。

こういう学生っぽいイベントに、殺せんせーはすごく興奮していた。

 

殺せんせーの指名により、前原と岡野が前に立ち、説明する。

「競技はサッカー・テニス・卓球・バスケの4つな。人数は、サッカーは男女8人ずつ。テニスは男女混合チーム3組……あ、卓球も。バスケは男女とも5人ずつ」

「私たちのクラスは男子が15人女子が14人だから2つの競技出る人がいるよ。あと、自分の所属してる部活の競技は出場禁止ね」

「じゃあみんな、この中からやりたいやつ選んで。早いモン勝ちで」

 

そんな前原、岡野の説明を聞き、真っ先に柊が声を上げる。

「はーい!私卓球した「「絶対にダメ」」ってなんでよ!?」

 

その言葉を遮ったのは…茅野とカルマ。

 

「絶対言うと思ったけどねぇ」

「私も思った」

 

そう苦笑する二人に、岡島が疑問を吹っかける。

「え、でも柊って確か中学ん時卓球部だろ?」

「うん、そうだね」

「じゃあよくね?今別に卓球部入ってるわけじゃねぇし」

「……それが良くないんだよねぇ……」

 

そんな茅野の言葉に、みんなは顔を見合わせて

「…弱いの?」

「いや、むしろ強い。強すぎるくらい」

「じゃいいじゃんか。何が問題なんだよ?」

「あーもうそれは実践しないと分かんないと思うよ?」

 

そんなカルマの言葉に、岡島を始め全員が不審そうな顔をした。

え?じゃあさ……

「……やってみてもいい?」

「やめなよ。トラウマになって二度と卓球できなくなるよ」

「いや、それはいくらなんでも盛りすぎでしょー……」

 

そんな岡野の言葉に、カルマは「さぁ?」と真意の読めない笑顔で言い放った。

 

「よーし、柊!勝負だ!放課後でいいよな?」

「……いいの⁉︎じゃあ私の実家(いえ)の近所に卓球場あるからそこでいい?」

「おう!本気で来い‼︎」

 

そう言う岡島に、カルマ・茅野の二人は神妙な顔で眺めていた。

 

───放課後

 

バイトがある数名以外のほぼ全員が柊が通い詰めてるらしい卓球場に集結した。

 

岡島は学校指定の体操服。一方の柊は……

「ん?ユニフォーム?」

「うん、中学の時のやつがまだ残っててさぁ。着れるもんだね〜意外と」

 

どうやらわざわざ実家に一旦帰って取りに戻ったらしい。

うん、柊って近いもんな。実家。

 

「で、ルールどーする?何ゲーム先取とか…」

「規定と一緒でいいんじゃない?11点で1ゲーム先取の3ゲーム先取で」

「あ、規定ってそうなんだ」

 

そんな矢田の言葉に、「うん、そーだよー」と快く答える。

 

「そーいや柊って野外活動の時卓球しなかったよな?卓球好きなのになんでだ?」

 

岡島は思い出したかのように、柊に質問を投げかけた。

 

それに柊は

「えー?当たり前じゃん?旅館でやる卓球なんて……

 

 

 

 

ただのピンポンゲームでしょ?」

「…………は?」

 

そんな柊の珍しいガチトーンに、全員柊の方に振り向く。

そして柊はいつものような笑顔を………正確に言えばいつもより怖いオーラを放った笑顔を向けた。

 

【10分後】

 

結果から言うと岡島は惨敗した。

圧巻のストレート負けである。

 

 

 

メンタルをズタボロにされた岡島は卓球場のスミでひたすらいじける。

 

そんな岡島を見て、

「…………柊ってさ」

「うん」

「………ぶっちゃけどんくらい強いわけ?」

 

そんな三村の質問に茅野は

「…白波高校ってさ…文武両道って言うけど、実際のとこスポーツ科と分かれてるの」

「……だろーな」

「だから運動部とかは大会ではスポーツ科が優先的に出されるし、キャプテンとかもほとんどスポーツ科なんだよね」

「うん」

「佳奈はもちろん普通科だったんだけど……まぁ色々あってスポーツ科の子と戦う機会が出来てね。簡単に言うと……そこで佳奈がぼろ勝ちした」

「……はい?」

 

茅野の言葉に、全員が絶句する。

 

そんな茅野の言葉を続けるように、カルマは

「まぁそんなもんだろーね。俺も佳奈が卓球で負けたことある相手1人しか知らないし」

「逆に1人いんのかよ!?」

「つかほんとになんで白波高校に内部進学しなかったんだよ!?ぶっちゃけここの卓球部って…」

「寺坂、ストップ」

 

その言葉に、柊は

「そうだよ。だからここの卓球部入らなかったんじゃん?」

「……気になんのはそこじゃなくて、なんでわざわざ外部受験したのかなんだけどよ…俺らみたく必須なわけじゃねぇだろ?」

「それについては言ったじゃん。白波高校に行くのが息苦しくて嫌だったの」

 

あー…そうだったな…、と寺坂はボヤく。

 

 

 

「とりあえず柊は卓球はやめろ。相手の戦意削ぐから」

「え?良いじゃん!それで勝てるんだよ?」

「柊はもはや良くないレベルで強いから却下」

 

えー…と訴える柊には申し訳ないが、これは柊以外の全員の総意だ。

 

 

「じゃあさ、球技大会で卓球することになった人は佳奈と練習する…って言うのは?それくらいならいいと思うけど?」

「……あー……それでいいか?」

 

そんな茅野の提案に、何人かが同意した。

 

………その提案が数日後激しく後悔することとなるのは、誰も知らない。

 




カルマはこの日、定休日(木曜日)でバイト休みです。(割とどうでもいい)

【あとがき】
寺坂「ちなみに…柊に勝ったことあるやつって?俺らの知ってるやつ?」
カルマ「ん?将暉」
寺坂「そうかそうk……は?」
茅野「え?」
カルマ「将暉。大事なことだから2回言うけど」

将暉の運動神経エグい説


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第56話 球技大会の時間 2時間目

1年半以上ぶりの投稿です。
待っていてくださった方、ありがとうございます。

「作者帰還の時間」にて連絡させて頂きましたが、高校入学時から全体的に以前と少し設定を変えました。
もしこの作品を楽しみにしている方がいましたら、念のために高校入学時から読み直すことを推奨します。


球技大会当日。

 

最初の全校集会にて体育委員長が全体のルール説明をする。

「この球技大会は縦割りで行います。他学年の足引っ張らないように」

言い方ぁ……とみな心の中で呟く。

 

そんな中、カルマは前に立つ生徒──生徒会執行部と思われる──の人数に違和感を覚えた。

委員長も合わせて12人いるはずの執行部員が足りない。

そんなことを考えながらも全校集会は終わり、球技大会が始まった。

 

__________________________________________

 

競技会場の一つであるサッカーグラウンドで、ある試合が終わった。

1-B女子vs1-C女子である。

 

どうやらC組が勝ったらしく、応援のメンバーと一緒に担当の生徒(サッカー部員)に結果を言いに行った。

 

「よかったね!途中ちょっと焦ったけど勝てたし!」

「決勝ゴールって佳奈だったよね?さすが」

「いやいや、あれはメグがいいアシストくれたからだよ。ありがとね、メグ」

「でも聞いたところによるとB組って運動神経いい子多いみたいね。サッカーとバスケにまとめてるみたいだけど」

「へぇ、道理で手強かったわけだ」

なるほど……と柊が呟く。

 

そーいえば、と一呼吸置き、

「次C組ってどこで試合あるっけ?」

「第二体育館で卓球…じゃなかったっけ?」

「あー……佳奈が猛特訓したやつね……」

「そんなに本気でやってないって…ん?」

 

そんな話をしていると、1人こちらに駆け寄る人がいた。

 

「前原?どうしたの?」

 

そう、前原である。

柊の言葉に前原が応える。

「あぁ、俺しばらく審判の仕事入ってないから試合見に行こうと思って。次どこでなんの競技か分かるか?」

「第二体育館で卓球」

「……っていうかなんで把握してないのよ体育委員が…」

「んなもんいちいち把握出来るわけないだろ!?」

「ん〜?そうかなぁ……?」

 

そんな話をしながら第二体育館へ到着。

ちょうど進行役をしていた生徒会執行部がルール説明をしている所だった。

 

男女混合のダブルスで、球は交互に打つこと

11点で1ゲーム先取の3ゲーム先取したチームの勝ち

その他サーブの決まりや得点の入り方などなど

 

「っていうか球技大会って本来のルールより緩くなってるんだね。ちょっとビックリ」

「そりゃそうだろ。その競技やってなかったら理解しにくいルールとかあるし……サッカーだとオフサイドとか」

「うん、野球派の作者さんもオフサイドあまり理解してないらしいしね」

「不破さん?」

 

そんな話をしていると……

「みんなもう来たんだ」

「あっカルマか」

 

そう、カルマである。

「そういやカルマこれに出るんだっけ?」

「そーだね。くじ引きでそうなったから」

 

説明しよう。

クラス内で競技を決める際、卓球は希望者が少なく、結果くじ引きで決定したのだ。

 

「そうは言っても昔から柊の卓球に付き合ってきたんだろ?それなりに出来るんじゃ……?」

「中学入ってから1回もやってなかったからね。多分人並みだとは思うよ。だからさすがに佳奈のあの猛特訓には異常だって思ったかな」

 

そしてカルマが言う通り、卓球の選手は柊(時々殺せんせー)からの猛特訓を受けたのだ。

 

「それではそろそろ始めます。出場する方は準備をしてください」

 

そんな執行部の言葉に押されて、

「あーそろそろ行ってくる」

「うん、じゃあ頑張って」

 

そうして試合が始まった。

__________________________________________

結論から言おう。

その勝負は得点係をしていた彼らの同級生を圧倒し、当然ながらA組相手に完勝した。

……少なくとも次彼らと戦うB組の生徒が戦意喪失になるのに十分なくらいには。

 

「おつかれ〜」

「で、どうだった」

「そうだね〜佳奈よりずっっっと弱かった」

「いやそれ比較対象おかしい」

 

カルマの言葉に茅野がツッコミを入れる。

そんな中柊が

「次の競技なんだっけ?」

 

それに片岡が

「第一体育館でバスケじゃなかった?男子の」

「あれっ?俺2試合連続なんだっけ?」

「そーだね頑張れ〜」

「はいはい行ってくるよ」

 

そう言ってカルマは第一体育館へ向かう。

 

C組男子バスケ代表は

赤羽 業

磯貝 悠馬

木村 正義

杉野 友人

前原 陽斗

 

対してB組男子バスケ代表

運動神経がいい生徒で取り揃えた5名のメンバー。

それを取り仕切る2人の男子がいた。

 

「さっきのA組とのサッカーの試合結構大変だったそ?お前いないから」

B組委員長、海野 弘樹

「そう言われても……俺サッカー部だし」

B組男子風紀委員、高橋 浩

 

B組男子を取り仕切るリーダーだ。




改めて、長らくお待たせして申し訳ありません。
しばらくはリハビリのためもあってこの量になります。
以前同様不定期更新になる可能性がありますが、これからも見守って下さると幸いです。
辛口コメントも大歓迎です!
これからもよろしくお願いします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。