このすばのカズマさんがウィッチャーになって俺TUEEするみたいです (蒲鉾と竹輪)
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本編
メタ空間でなんとか神にクレームを!!


やるっていったけどやっちゃったぜ。タイトルはもっとマシなのにすればよかった。正直、後悔している。


 カズマは現在メタ空間にいる。ここは、何処にでもあり何処にもない。天国でもなければ、地獄でもない。上位世界のようでそうでもない。神が魂を管理しているような、していないような。時間や場所が存在しない空間。とにかくメタ空間であることは理解できる。其処は、洞窟の中のように薄暗く、境界はない。カズマは現在、椅子に座って待ちぼうけている。なぜ彼がここにいるかといえば、RADとミュータントまみれの前の世界でラスボスに会ったら、何もしないまま、回りの人間がラスボスを説得し改心したため、彼はメタ空間に強制送還となったのだ。彼は、楽でいーや。と思いつつ。アクアを迎えに行って一向に戻ってこないハヴォック神を待ちぼうけている。体感的には、すでに3日くらい立っているので寂しいを通りすぎてこのまま放置されると発狂してしまいそうだ。なにせこのメタ空間、椅子以外にはなーんにもないのだ。現代人である彼にとってインターネットやゲームを取り上げられるのはとても苦痛だがウエイストランドではそれ以前に、命がヤバイのであんまり気にしていなかったのだがこんなに暇だと流石に気になる。それに、流石に誰も話し相手がいないのは流石にキツイし腹は減らないが3日も何も食べていないのだ。発狂しそうになりながらもカズマは、大声で怒鳴る。

 

「おい!俺のこと。忘れているんじゃないだろうな!!」

 

 どこからともなく男でも女でも、機械のようでそうでもなさそうな声が聞こえてくる。

 

「いやー。メンゴ、メンゴ。いろいろ手間どちゃって」

 

 カズマは怒りをこらえきれずに叫ぶ。

 

「メンゴじゃねーぞ!こんなに長い間、放置しておいて許されると思ってんのか?!」

 

「えー。すみません。謝罪するから怒らないで。説明を聞いてね」

 

 特に、声色や態度が変わらずにどこからともなく声が聴こえるがその状況はカズマをさらに苛立たせる。

 

「おい!なんとか神!謝罪するなら姿くらい見せろや。本気で謝罪する気あるのか?」

 

「そんなこと言われたって私には、実体がないから姿なんてないし出来ないよ。お詫びの品はちゃんとあるからそれで許して」

 

ハヴォック神はカズマの性格を知り尽くしているためそう言う。彼は絶対にげんきんな性格だ。

 

「折菓子とかそんなんじゃないだろうな」

 

「大丈夫。ちゃんとした恩恵だから。お楽しみは後で取っておいてまずは説明を聞いてくれる?」

 

「なら聞いてやろう。あと詫びの品が大したものじゃなかったら許さないからな」

 

「まずは、fallout世界にアクア君を迎えにいったわけだけど…」

 

「そういえばアイツいないな。一緒じゃないのか」

 

「問題があったんだ。とてもじゃないがしばらくのあいだ彼女は復帰出来そうにもない」

 

「なにがあったんだ?」

 

「とにかく見せられないような状況になっている。彼女も一応神だから対処方法に議論が紛糾している。私は、彼女の時間を巻き戻すのが一番いいと思うけど、慎重派の反対も大きくて意見が割れて決着がつかずにアクア君も君もほったらかしになってしまっているんだ」

 

「別にいいよアクアなんて。さっさと<このすば世界>に転生させてくれ、それに、こんな何もない空間にはもう一分一秒たりともいたくない」

 

「君もメタな事言うなぁ。けどそれはムリだよ」

 

「ここはメタ空間だろ?なんでムリなんだ」

 

「契約の問題だよ。転生後の世界に持っていくモノにアクア君指定したのに現在彼女は外界に降りれるような状況ではとてもないんだ。となると契約が履行出来ないから契約を履行するためにもアクア君が無事復帰するまで君は転生できない」

 

「いつまで、待てばいいんだ?」

 

「そこが問題なんだ。神なんていってもお偉方は会議のための会議をするような連中だからね。正直、アクア君が復帰するにはメタ空間時間で何十年も何百年もまたなきゃいけなくなるだろう。当然君はその間、食事や娯楽もなしにここで待ちぼうけ食らうことになる」

 

「おい!ふざけんなよ!!責任者をだせやあああああ」

 

「そこで、さっきいったお詫びの品なんだけど私の一存でアクア君が復帰するまで君の願いを叶えたいと思う」

 

「それマジ?」

 

「マジだよ。君の望みは異世界ファンタジーで人生やり直すことだったね。このすば世界に転移することはできないけどほかの世界なら転移することはできる」

 

「さっき転生は出来ないっていったよな?」

 

「転生じゃなくて転移だから問題ない。君は、前回死んだわけではないからね。アクア君が復帰するまでの時間その世界で過ごして貰おうってわけだ」

 

「どんな世界なんだ?前回は、詳しく聞かずにえらい目みたからな」

 

「ちゃんと王道の西洋風ファンタジーの世界だよ。その世界で君には俺TUEEしてもらおうってわけなんだ」

 

「おー。ようやくそれっぽい展開になってきたな」

 

「君には、その世界でウィッチャーになって貰おうと思う」

 

「ウィッチャー?」

 

「いわゆるモンスタースレイヤーだね。銀の剣を背負い、旅をしながら怪物退治をして報酬を得るんだ」

 

「いわゆる冒険者みたいなモノか?銀の剣とかカッコイイな」

 

「いや、違うと思う。まぁ、やることは変わらないかな?」

 

「本当に俺TUEEできるんだろうな」

 

「その辺は間違いなくできるよ。なにせ、前回からの引き継ぎありだからね。すでに君は人外というか生物かどうかすら怪しいレベルにまで改造されているからステータスはその世界ではありえないくらい高いよ。さらには、持ち込み有りだから銃のない世界じゃ無双状態だよ」

 

「弾とかどうするんだよ?」

 

「毎日0時に最大値まで補充しよう。ちなみにこの特典はこのすば世界に行っても機能する。更に、およそ68kg(150ポンド)までのアイテムイベントリを追加しよう。イベントリーはポケットスペースだから盗まれることはない。イベントリに入れたアイテムと装備しているアイテムもこのすば世界に引き継ぎ可能だ。今の君なら70kgは余裕だろうからだいたい合計で140kg分かな?」

 

カズマは、そのチート恩寵に機嫌を直した。

 

「それマジ?」

 

「マジだよ。手続きがミスったりもたついているお詫びだからね。ただ今から転移する世界はどっちも魔法有りの世界だから未来兵器でも防御呪文とかで防がれるし、流石に大隊クラス以上の軍隊を相手にするのはムリだよ」

 

「それ本当か?手続き上のミスとかあるんじゃないだろうな」

 

「抜かりはないよ。それでは持ち込みアイテムとスキルを確認してみよう」

 

<特殊能力>

頭にテスラ・コイル(魔法、薬物にかかわらず精神操作、催眠を無力化)

プライマルアーマ(人外化のため装甲及び体力、俊敏の基礎値に大幅なボーナス)

加速装置(実際に加速できるわけではなく時間が遅くなったように感じるだけ一日3回まで)

RAD耐性(放射線、及び毒物耐性)

アイテムイベントリ(約68kgまで収容可能なポケットスペース)

 

<装備>

山刃(何の変哲もない鋼の山刃、頑丈)

サイレンサー付10mmピストル(チートその1)一日78発

.44マグナムリボルバー(チートその2)一日48発

スコープ付.308セミオートライフル(チートその3)一日180発

ガウスライフル(いわゆるレールガン、超チート)一日30発

携帯型核ランチャー(頭のわるい武器)一日6発

ポータブル・トランス・ポンダー(テレポート装置。見た目おもちゃ)

ステルスボーイ(5分透明化、超チート)一日3回

アーマード戦闘服(いわゆる特殊繊維の戦闘服)

クレジットカード(とある人物から買った謎のアイテム)

 

「おお、ファンタジーに銃とか邪道だけど豪華だ」

 

「気にいったみたいだね。ただ、最初からウィッチャーと言うわけではないから転移してすぐに無双できるわけではないよ。まずは、ウィッチャーの近くに転移させるから、その人に師事してウィッチャーになるんだ」

 

「別にこれだけあればそんなことしなくても十分だろ?」

 

「確かにそうだけど、怪物は特殊な方法でしか倒せない奴もいるし、レイス系とかがどうにもならないよ。それに、剣術や魔法だって使いたいだろ?なら、異世界を甘く見ずにまずは訓練から始めたほうがいいよ」

 

「分かった。いやーようやくそれっぽくなってきた。じゃあさっそくお願いするよ」

 

白昼夢の如く回りの景色が切り替わった。




アクア様リストラのお知らせ。なお、カスマさんは現時点でゲラルドさんより強いです。火力と射程に差がありすぎるからね。


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助けるのは美少女だと思いました?残念、おっさんです

すでにテンプレを外れ初めている件


 白昼夢のように光景が変わるとカズマは草原の小丘の上に立っていた。其処は、放射能に汚染されていない息を呑むような大自然、都会人ならばその美しさに感動したかもしれない。しかし、彼は地方出身者であるため、そこまでの感慨は持たないかも知れない。

 どちらにせよ、カズマは転移してそうそうに周りの風景を楽しんでる状況にはなかった。前方、200mほどの距離で一人の男が刃渡り1mを超える大剣を武器に怪物と戦っている。おそらく、あのなんとか神が言っていたモンスタースレイヤー<ウィッチャー>だろう。ウィッチャーと戦っている怪物は、曲がった嘴に鷲の上半身に獅子の下半身と鬣を持つ色鮮やかな全長5mほどの怪物、いわゆるグリフィンだろう、しかも2匹だ。男は、防御魔法で攻撃を防いだり、鮮やかな身のこなしでグリフィンの攻撃を躱している。時折、火の魔法で牽制したりもするが劣勢は明白だ。なにせ、相手はグリフィンだ、熟練のウィッチャーでも空を飛ぶ巨体とその鉤爪には一対一でも油断ならない大敵であるのに2匹の番いのグリフィン相手では手数の差でウィッチャーといえどもジリ貧で敗北するのは目に見えている。

 カズマは腰のガンベルトから.44マグナムリボルバーを取り出し左手で構える。もちろん片手撃ちだ。RAD汚染による変異、マッド・サイエンティスト共の人体改造、そして民兵組織での訓練とミュータントやレイダー、ロボットとの数多くの実戦を経験してきた彼にとって.44マグナムといえど片手撃ちで十分ピストルを制御できる。そして.44マグナムリボルバーはグリズリーやヘラジカを狩るのに十分な威力を誇っている。間違いなくグリフィンにも通用するだろう。カズマはリボルバーの撃鉄を起こしいつでも打てる状態にしておく。そして、右手には山刃を軽く握る。山刃とはマタギが使う刃物で簡単に言えば鉈に刃先のついた刃物だ。とにかく頑丈で、下草や枝を切り払ったり、得物を解体するのにとても便利だ。カズマは怪物の攻撃をいつでも防御できるように右手に装備しておく。ここまでの準備を手早く一秒以内に行うとカズマはウィッチャーであろう男に軽く駆け足で走りながら近づき大声で声を掛ける。

 

「そこのあんた!ウィッチャーだな?援護する!頭を低くしていろ」

 

 カズマは、男との距離を50m以内に詰めるとグリフィンがウィッチャーを攻撃する瞬間を狙って怪物の頭部を狙う。怪物も攻撃の瞬間は隙だらけで加速装置を使う必要はない。引き金を引きシリンダーからマズルフラッシュが漏れ銃声が2発草原の小丘にこだまするとそれだけで怪物の運命は終わりを告げ、ウィッチャーを攻撃するときの勢いをそのままに、姿勢を低くしたウィッチャーの上を通り過ぎ草原の上を転がり躯を晒す。銃声を聴いたことにより驚いたのか、それとも番いを殺されたことに怒り狂ったのか、もう一匹のグリフィンは、攻撃の対象をカズマに変えてくる。カズマは冷静に考える。シリンダーの残りは4発相手が飛行していることを考えればムリに頭を狙わずに胴体を狙うほうが無難だろう。.44マグナムならたとえ打ちどころが胴体だったとしても4発もぶち込めばたとえ怪物であろうとただでは済まない。カズマはリボルバーを腰だめにして空から強襲をかけてくる怪物に4発ぶち込む。もちろん全弾命中だ。怪物は、カズマのはるか手前に落下する。怪物はタフなのかそれとも当たりどころが悪かったのか.44マグナムを4発喰らっても微妙に息があり、手足をピクピク震わせている。そのままほかっておいても死ぬだろうが、カズマは怪物の死角にはいるように怪物の後方に回り込んで右手に持った山刃を怪物の首筋につきたて止めを指す。コレは、死の苦痛から開放させる。彼なりの礼儀、優しさともいえる。放射能とミュータントにまみれた世界で数月過ごした彼はすでに平均的日本人的な価値観などは有していない。それどころか、命を奪う行為に暗い愉悦さえ感じるようになってしまっている。たとえそれが同じ人間であろうともだ。そんなカズマはウィッチャーに近寄り声をかける。

 

「普通に余裕だな。おい、あんた。大丈夫か?怪我していないか?」

 

 ウィッチャーの男は息を切らし、地面に座り込みながら、カズマを警戒し睨み見つけながら好意的とは言えない無愛想な表情で話しかける。

 

「グリフィンの鉤爪で深手を追った。そこに落ちている袋から<春ツバメ>をとってくれ」

 

「わかった。<春ツバメ>ってなんだ?」

 

「ウィッチャー用の赤い霊薬だ。飲めば傷が治る」

 

「こいつか?ほれ」

 

ウィッチャーは、カズマから赤い霊薬を荒っぽくぶんどるとガラス瓶の半分ほどを飲む」

 

「鎖帷子に帯鎧(バンデットアーマ)えらく重装備だな。動きがわるくなるんじゃないか?それに背中に大剣が二本、なんか意味あるのか?その鎧、重いだろ?脱ぐなら手伝おうか」

 

 ウィッチャーは、カズマの質問には答えず。大きく息を吐いた後、カズマの言動を無視し意図的に低い声色で話掛ける。

 

「あんた何者だ?それにそんなに彫りの浅い顔立ちの人間は見たことはない」

 

 ウィッチャーは、カズマがあっさりグリフィンを倒したことで魔術師もしくは怪物だと警戒しているがメダルに反応はない。

 

「助けてやったのにご挨拶だな。俺はサトウ・カズマ、前が苗字で、後ろが名前だ。あんたは?」

 

「聞きたいのはそう言うことじゃない」

 

 ウィッチャーの蛇のような目の瞳孔が見開き光輝く。そして、ウィッチャーは左手で三角形に印を結ぶ。彼が使った魔法は<アクスィー>と呼ばれるものでウィッチャーが使う簡単な魔術だ。効果は、一時的に相手を精神操作したり耄碌状態にすることができる。しかし、カズマの頭にはテスラコイルが入りっぱなしのため薬物、魔法問わずにその手のモノは通用しない。カズマは、魔術をかけられたことに気づきもしないままぶっきらぼうに再度質問する。

 

「こっちは、名乗ったんだからそっちも名乗るのが礼儀だろ?あんたの名前は?」

 

 ウィッチャーは跳びはねるように起き、華麗なステップで2歩後退して間合いを取ると銀の剣に手をかけ<クエン>の印を結ぶ、<クエン>は防御魔法で、相手の攻撃を2,3回完全に防ぐシールドを形成する。シールドを貼り続けることもできるが30秒も貼ること出来ない。

 

「なぜ、効かない!!」

 

「あんた俺に何かしたのか?」

 

「お前は、悪魔なのか」

 

「いや人間だよたぶん。それよりも、助けてやった味方に対して失礼なんじゃないのか?もっと友好的に挨拶くらいはかわそうぜ」

 

 カズマは、そう言って、ウィチャーが落とした霊薬<春ツバメ>を拾いおもむろに飲み干す。相手の警戒を緩めるためというか格好をつけるためにそういう行動を起こす。厨二病的ロールプレイだが完全に逆効果だ。

 

「霊薬って酒なんだな。クソマズイけどアブサンよりはイケるな。とりあえず食事にしないか?俺は何か燃えるもの集めてくるからお前は、竈を作ってくれ」

 

 そう言ってカズマは藁と枯れ枝を集める。ウィッチャーは、その行動を無言で背負った剣に手をかけたまま見つめる

 

「見ていないで手伝ってくれ」

 

 カズマは、テキパキと枯れ枝と藁を集め、石を積み簡易な竈を作ると倒したグリフィンに山刃つきたて肉を剥ぎ取り、小さく切って枝に串刺していく。彼が作ろうとしているのはグリフィンのケバブだ。

 

「ライターを持ち込むの忘れた。あんた火の魔法を使えたよな。竈に火をつけてくれ。俺はまだ魔法は使えないんだ」

 

 ウィッチャーはカズマを睨みつけたまま小さく印を結ぶ<イグニ>と小さくつぶやき左手を軽く振ると竈に日が灯る。

 

「おお!カッコイイな」

 

 カズマは感激しつつ、竈から少し離れた地面にケバブを突き刺す。直火で焼かないのは中までしっかり火を通すためだ。

 

「あんた、塩とか香辛料はもっていないか?このままじゃ味気ないからな」

 

ウィッチャーはカズマを睨みつけながら棘のある言い方で言い放つ。彼は、カズマの質問には答えない。

 

「人間は普通グリフィンを食べない」

 

「そうか?発光してるラッドローチよりマシだと思うけど?で塩はあるのか?ないんだな。まぁいいか」

 

 はっきりいってカズマの基準はウエイストランドで過ごしたことにより大幅に下方修正されており、この世界においては完全にずれていると言わざるを得ない。てかこいつはすでにドラウナーを美味しそうとか言いかねないレベルの怪物なのだ。

 

「獣臭くて硬いけど、しっかり鶏肉しているな。しかも、RAD汚染されてないなんて最高じゃないか。あんたも食べるか?」

 

 そういってカズマはウィッチャーにグリフィンのケバブを差し出す。ウィッチャーは、当然受け取らないが、彼の警戒心は多少溶けたようだった。

 

「食べないのか?まあいい。そういえばまだ名前を聴いて無かったな」

 

「俺は…」




現状、目指している方向性は異世界版山賊ダイアリーです。よってヒロインとか出てきませんたぶん。


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主人公(笑)

頭のなかだけで物語を書くとこうなるという悪い見本みたいな内容。


 その男は、ウィッチャーとしては珍しく鼻あて付きの鋼の兜かぶっている。鼻あて付の兜と言っても顔を覆うようなものではなく、鉄メットに鼻あてがついただけの物で音を聞き分けられるように耳は保護をしていない。真面目にあご紐をしっかりと絞め、深くかぶっている。髭と髪の色は灰色だがノミやシラミがつくのが嫌で北方人にしては珍しく剃りあげている。その男のみたくれは、まさに筋肉の塊といった風貌であり、腕も足も丸太の如く太く不自然に血管が浮かび上がっており、顔にも体にも傷がある。その風貌にふさわしく、装備品も鎖帷子の上に板金板の帯鎧(バンデットアーマ)という重装備なのだが万事華美を良しとした中世的な価値観の世界にあって、野盗が装備するにしても飾り気のない実用一辺倒の品であった。武装は、刃渡り1mほどの両刃の銀の剣に同じく両刃の鋼の剣、腰には2本投斧をたずさえ、幾つか爆薬も持っている。伝統的なウィッチャーの装備だ。石弓(クロスボウ)はもっていない。

 

 (ゲームだと石弓は弱いが現実的に考えて、石弓兵が20人もいれば野戦ならウィッチャーは、適当に引き撃ちされるだけで封殺されるだろう。カズマが強いのも同じ理由。攻撃半径500m以上あり、しかも一撃必殺の上、連射してくるので手も足も出ない。ただし、ウィッチャーに5m以内に近寄られると普通に負ける)

 

 彼の名はグリフィス、通称『うろつき熊のグリフ』という熊流派のウィッチャーだ。ウィッチャーには養成所があり各流派ごとにスタイルが異なる。たとえば、バランスの狼、軽装備の猫、(サイン)のグリフィン、毒の蛇そして重装備の熊と言った具合だ。

 

 ウィッチャーは、魔法で人工的に作られた変異体であり、怪物退治を生業とする職業柄から人の不幸に漬け込むという偏見が生まれ必然的に人々の恨みを買い憎悪の対象になっていた。歴史上、怒り狂った民衆がウィッチャーの養成所を襲ったことすらある。そして今では世界中にわずかな数のウィッチャーしかいない。

 そんな彼らも現在では公然と敵意を向けられることはなくなり中立的な立場で怪物退治を行っている。

 

 グリフは現在、警戒すべき相手と対峙している。男は、若干細身の中背、黒髪にエキゾチックな異国の風貌で男娼になればその珍しさから人気になることは間違いないであろう(男娼のあいては男)意匠はずいぶんと違うがスコイア・テルが着るような緑色の服を着ている。しかし、見た目からエルフではありえないだろう。男の見た目は若者だが自身と同様見た目の通りの年齢とは限らない。

 男はどこからともなく現れ、未知の道具でつがいのグリフィンを瞬殺しグリフを助けた。一般常識的に人間がウィッチャーを助ける事自体信じられない。ましてやつがいのグリフィンにウィッチャーがいるとはいえ一人で加勢するなんてどんなバカでもやらないだろう。故に<アクスィ>の印をかけて未知の道具、そしてなぜ助けたのか聞き出そうとしたが軽率だった。

 グリフは、戦闘の焦りで<アクスィ>も効かない人間には効かないし、効かない時は、効かないと言うことを失念し、安易に印に頼ってしまった。基本的に<アクスィ>は、武装した相手や知識のある上流階級の人間には使うべきではない。失敗しようが、成功しようが精神操作されて気持ちのいい人間などはいない。気づかれれば敵対関係に陥る可能性が大きい。故に彼は<アクスィ>の多様はしてこなかった。

 もっともカズマに効かないのは、彼に魔法的な抵抗力があるわけでも精神力が高いわけでもない。単に石ころに<アクスィ>をかけているのと同じだからだ。テスラコイルに精神操作の魔法が効くわけ無い。(魂や生命を操作する魔法なら別、故に死霊術は効く)だから、カズマも魔法にかけられたことに気づいていなかったのに、経験上、<アクスィ>の失敗は、敵対行動と見放されると思い防御行動をとってしまった。幸いにも相手は好戦的ではなく、酒というだけで霊薬を飲み干し、マイペースにそこのグリフィンを捌いて一緒に食べようとかのたまった。どうやら友好関係を築きたいらしいがそう言う訳にはいかない。なぜなら、男は、ウィッチャー用の霊薬を飲んでもなんともないからだ。

 

「俺は…助けられたことには感謝しているが名乗る前に、先ずは俺の質問に答えてくれ」

 

「なんでだ?」

 

「お前が、魔術師なら名前だけで俺を呪えるような手練かもしれないからな」

 

「俺は、今のところ魔法は使えない。使っては見たいと思っているけど」

 

 グリフは疑問に思う。なぜ魔術師でもないのにグリフィンを倒せるのかと。たとえばウィッチャーを倒すのには完全武装の軍隊、2個小隊もあれば十分なのだが、怪物、まして飛行する連携の取れたつがいのグリフォンとなると中隊でも足りないかもしれない。つまり目の前の男はそれ以上の怪物という認識を持っていた。

 

「では、なぜグリフィンを倒せた?その道具はなんだ?」

 

 そういってグリフはカズマの腰のガンベルトを顎でしゃくる。カズマは少し考えてから銃が存在しない世界であることを考慮し、相手に分かるように答える。

 

「コレは銃だ。筒の中にあんたが腰にぶら下げているのと同じ爆薬と金属片を一緒に詰め込んで、火薬を爆発させて金属片を飛ばす武器だ。銃がなけりゃ怪物なんかと戦おうなんて思わないよ」

 

「爆薬?にしては嗅いだことのない匂いだが…それに火縄や魔法なしでどうやって点火しているんだ?」

 

「くわしい仕組みは俺も知らない。作ったのは俺じゃないからな」

 

「そんな物を持っているだなんてお前は何者でどこから来た」

 

「俺は、サトウカズマ職業は…傭兵だ。なんとか神に飛ばされてここに来た」

 

「そんなことを聞きたいわけじゃないが。おそらく、聴いても仕方ないみたいだな。嘘をついていないならばお前にも状況がよくわかっていないようだ…さて、本題に入ろう。霊薬を飲んでなぜなんともない?」

 

「え?あれってなんかあるのか?もしかして毒とか?」

 

「普通の人間には毒だ。そろそろ、効果が出てきてもいい頃なんだが…」

 

 カズマは、異世界で過ごしたことにより、通常の人間よりは、毒や疫病に対して耐性があるがそれは物理的な耐性であり魔法的な耐性ではないので霊薬は普通に毒なのだ。それでも普通の人間よりも効きづらいのか今までなんともなかったのだが意識をするととたんに効いてくる。視界がぼやけふらふらしてくる。カズマの意識はそこで途絶えた。

 

 

 ここは、北方諸国の大国4ヶ国の国境が交わる付近にある寒村。寒村と言ってもそれは現代人の感覚であり、50戸近くの家があり、(モット)で囲まれ領主館(マナーハウス)があり、集会場件簡易な教会、酒場が存在する周辺地域を束ねる大きな村だ。

 グリフは、怪物対峙の報酬をもらうべくグリフィンの頭を討伐の証として、領主館の代理人と酒場であっていた。領主に会えないのは、別の場所にいるので当然なのだが。領主館にさえ上がらせてもらえないのがウィッチャーという身分を表している。永遠の炎教会所属の騎士やハンターならば、たとえ領主に煙たがられていたとしても、領主館にあがり、領主の代理人に儀礼的に酒くらいは振る舞われる。

 村の酒場では、領主の代理人、そして依頼者である村長がもめていた。グリフは仕事をこなし討伐の証をもって来たのだが土壇場になって金の支払いで依頼者と領主の代理人が揉めているのだ。二人が揉めているのは、まさかウィッチャーがつがいのグリフィンを一人で退治できるとは思っていなかったのだ。二人の計画は、村にたまたまやってきたウィッチャーに前金で端金を渡し、ウィッチャーの信用を立てにひとりで怪物退治に向かわせ(断れば風聞が悪くなると脅して)そして、領主の傭兵、だめなら永遠の炎教団のハンターがやってくるまでの時間稼ぎになって野垂れ死にしてもらう予定だったのだ。

 二人は、金をどちらが出すかでもめているが、ウィッチャーを相手取る度胸はなく、ここで彼を始末しようという気は起らなかった。グリフは、グリフィンの頭を酒場の客に見せびらかすようにテーブルの上に置いている。彼は普段はここまではやらないが、依頼人から直接請け負わずに領主館にいって、仕事の受領を領主の代理人の立会のもとで契約を交わして(ピンハネされるが)、報酬の受け取りに酒場を指定した。酒場の客は、味方ではありえないが、この状況でやらずぶったくられることはないだろう。いくら口止めをしても噂というものは風より速く伝わるもので、それがグリフの安全、報酬を約束しているのだ。彼は、両腕を組んで押し黙って二人が結論を出すのを待っている。

 

 一方カズマは、酒場の酒が染みこんだ小汚いテーブルに肘をかけ、頬を方杖して、ぼーっとしていた。別にまだちょっとふらふらするが霊薬の毒の影響のためほーっとしているわけではなく単にやることがないからだ。

 店の中では、酒焼けしたおっさん、おばはん共が、ダイスポーカーというチンチロリンのようなゲームに勤しんでいたり、グウェントと呼ばれるカードゲームで賭け事をしている。

 なぜカズマがそれらの賭け事に参加していないのかと問われるとそれは種銭がないからではない。カズマはグリフから歪んだ金貨を数枚貰っている。金貨なのだが薄汚れていてあまり綺麗ではないし、歪んでいて形も不揃いである。価値の方は、分からない。相手にされないからだ。

 北方人は排他的で特にこのような田舎の酒場で、よそ者、しかも明らかに北方人ではないものが…少なくともこの酒場では受け入れられることはなかった。賭け事に参加しようと挨拶して、無視されるのはまだいいほうで、公然と唾を吐きつけられることさえあった。

 仕方ないので、一人で酒でも飲もうと店主に声をかけるも『おまえには売れない』といわれ『金ならある。足りないのか』とコインを出しても『それで十分だがやはり売れない』とにべもなく断られた。酒場を追い出されないのはウィッチャーと一緒に来たからにすぎない。(店主としてはウィッチャーと一緒に追い払いたいだろうが)

 

 グリフは、口論している二人に辟易したのか口を開く

 

「そうやって、ハンターや領主の軍勢が来るまで待っているつもりか?ここまでまって来ないということはもう来ないってことなんじゃないのか」

 

 口論している二人は、痛いところを突かれたように押し黙る。もっとも彼らはそこまで考えていたわけではなくただ単に領主が金をだすか村が金を出すかで揉めているのだ。依頼人の方が、『人の不幸に漬け込んで、法外な金額を受け取ろうというのか!』とまくし立てるので、グリフは、反論する。

 

「グリフィン2匹なら妥当な金額だ。永遠の炎教団がみかけじゃいくら無償で怪物退治してくれるといってもグリフィン2匹なら領主はこの金額以上のお布施を司教にしなければいけないだろうな」

 

領主の代理人が口を開く

 

「しかし…」

 

間髪入れずにグリフは口を挟む

 

「まけてやるから領主と村で割り勘しろ。足りない分は物資をくれればそれでいい。布や食料はあるんだろう?」

 

領主の代理人と目を合わせる。それに合わせて、グリフは二人に右手を差し出すと二人は握手に答えようとはせずに嫌そうな顔でそれぞれ手形を切り酒場の店主に渡す。

 

「まかないきれない分は店主と相談してくれ」「…」

 

そう言って二人は背筋を曲げながらそそくさと店を出て行く。酒場の店主は、ウィッチャーのコインを数えチップを抜き取り硬貨袋に入れて渡す。

 

「足りない分は、干し肉に、黒パン、小麦粉、反物、蒸留酒で貰おう。内訳は任せる。もし足りなかったら…」

 

酒場の店主は、無表情でグリフに尋ねる。

 

「なぁウィッチャー?なんでウィッチャーをやっている?」

 

グリフは答える。

 

「ウィッチャーになるようなヤツが商会に丁稚奉公させてもらえるのか?」

 

 飲んでる連中からどっと笑いが起こる。『そりゃそうだ』『それもそうか』と。

 グリフは、店主からウォトカの入った瓶とピエロギ(ポーランドの餃子のような物)の乗った皿をぶんどるとカズマが座ってるテーブルの上に皿と瓶を置くと話しかけてくる。

 

「荷物を馬に括りつけたら夜明けを待たずに出発しよう」

 

カズマも甚だ同感であった。




手形ってあるんでしょうか?あったとしてこんな田舎の領主代理と依頼主の村長に切れるもんでしょうか?まぁ、村長クラスで切れないとかなり不便なんで切れるということにしま
す。常に現金でやり取りできるわけないでしょうし。あ、手形といっても約束手形でも小切手でもなくて売掛みたいな感じなやつです。単なるツケ払いの覚書です。たぶん、複式会計はありません。

しかし、書いているとどんどんウィッチャーの世界感に引っ張られるな。しかも3じゃなくて1寄りに。鬱だ。

作者のゲラルドさんのイメージは若い時にやったこともあって1で固定されちゃっててかっこいいことやっても説得力がさっぱりなかったりします。3でも、養女ほかっておいて宝探ししたり、カードゲームしてたり。まぁ私が悪いんですが。


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メンタル的な意味でハード

コミカルな前作と打って変わって趣味全開なんでご容赦下さい。


 流れの商人風の男が、役者のように大げさに表情筋を動かしながら、カズマとウィッチャーに声をかける。

 

「陰気な村の酒場でだれも相手してくれない。相手をしてくれないか」

 

グリフは相手を一瞥し、カズマの方を少し見ると、頭を立てにふった。カズマはと言うともう少し愛想よく返事をする。

 

「あんたもよそ者なのか?相席したいなら構わないよ」

 

「助かるよ。俺の名は、ゴウンター・オーディム。流れ者で昔は鏡の帝王とか鏡の達人とか言われていた」

 

グリフは、ウォトカをコップに移さずに瓶ごと煽り無視する。

 

「辛気臭いウィッチャーだ。まあ、この酒場の連中よりマシだがな」

 

カズマは返答に困り、はにかみながら話題を変える。

 

「昔は鏡職人だったのか?」

 

オーディムは大げさなジェスチャーをしながら、答える。

 

「いや、商人だ。なんでも売っているぞ。()()()()な。そこの二匹のグリフィンのお頭はあんたらが狩ったんだろう?」

 

「ああ。しかし、この村の連中は、目の前にグリフィンのお頭があるというのに酒の話題にさえしやしない」

 

「アレだけ大物なんだ。懐も暖かいだろう。一杯おごってもらっても?」

 

「あんたそれが狙いか。まあ1杯だけならいいぜ。エールでいいか?」

 

「いや、シードルのほうがいい」

 

オーディムは手で店主を呼びシードルを注文する。なぜかカズマと違って断られない。

 

「本来なら吟遊詩人の英雄談になるはずだった二人に」

 

カズマとオーディムはジョッキを傾けシードルを煽る

 

「平たい顔のあんた。他の奴らとは違うな」

 

「そりゃそうだろ。外国人だからな」

 

「商売敵が何をやっているのか偵察に来たが…あんたのことは気に入った。もっとしゃべりたいがそろそろ店じまいみたいだから先に行かせて貰おう」

 

オーディムは、席を立ち店を出て行く。

 

「流れ者どおし助け合わないとな。おごってもらったんだ、今度、会ったら何か助けよう」

 

カズマは、グリフの方を見て話す

 

「社交的なヤツもちゃんといるじゃないか。代わりに、奢らされたけど」

 

グリフはカズマの質問には答えずに、気難しい表情をしたままウォトカを煽る。

 

「あんたも社交的じゃないんだな。俺より社交的じゃないなんてそれはそれで問題あるんじゃないのか?」

 

グリフは、珍しく答える

 

「口は災いのもとだ。特にこんな田舎の酒場じゃな」

 

カズマと同じ年くらい男の酒場の奉公人が酒場の店主に耳打ちすると酒場の店主はこちらによってきて言う。

 

「荷物と荷物運びのロバを一匹くれてやるからとっとと村の柵の外に出てくれ。二人共だ」

 

グリフは、席を立つと

 

「目録だけくれればすぐに村を出て行く」

 

といい。店主は、押し付けるように伝票を渡す

 

「出て行ってくれ」

 

 

 モットを出て2,3時間歩いているがまだまだ夜の帳は明けそうになく、月明かりだけが夜道を照らしている。隊列はグリフが最初から持ってきているポニーが一匹と村で手に入れたロバが一匹どちらも大荷物を背中に抱えている。時折遠くで聞こえる狼もしくは野犬の遠吠えのせいで普段夜は柵の中にいるロバの方は怯えているため首筋を撫でてやりながら街道を歩いている。街道と言っても石畳などということはなく、人や、荷馬車が通った跡があるだけで、側溝さえないが、今のところ水たまりには遭遇していない。季節は、すでに秋、夜風はすでに冬の訪れを感じさせ、楓の木が色鮮やかに染ろうとしている。

 

 カズマは、戦闘服の上に毛皮のコートを着たはいいものの運動するとすぐに暑くなるため結局のところ脱いだりしながら。ブツブツと小言で文句を言っていた。

 

「なんだよ。俺TUEEできるのはいいけど、ああいう場面なら普通こんな筋肉ダルマのおっさんじゃじゃなくて、ビキニアーマの女ウィッチャーを助けてラブロマンスなのが定番じゃないのか」

 

「しかも、グリフィン2匹倒しても村人は全然讚えてくれない。勝利を祝して乾杯ぐらいしてくれてもいいのに?」

 

「これが王道ファンタジーの異世界?前から思っていたけどあいつ詐欺なんじゃないか」

 

 この違いは、日本人であるカズマと洋ゲーファンタジーの世界ばかり管理しているハヴォック神の認識の差から来ている。いや、ラノベやJRPGでも、古いやつはこんな感じのものも多いのだが、今やっても売れないし、作者のように細かいことを気にする人がうざっ…声が大きいのであえて最近はガチ設定なのはみんなやっていないんだと思う。それに、設定したはいいものの細かいことを気にしていると矛盾が気になって何も書けなくなるし、内容以上にコンスタントに世に出てこないと埋もれる。批判するわけではなく別に作者はそれはそれでいいと思っている。図書館までいかずにただで物を気楽に読めるいい時代だ。ただし、クソ翻訳の洋書はなんとかしてほしい。結局英語版買う羽目になる。Kindleやgoogle先生あるから英語でもなんとかなるけど疲れる。

 

 まあ、余談は置いておいて、村社会なんて現代日本でもこんなものだ。モットを出るとき放浪者なら消えても問題ないだろうと熊手で刺されない分運がいいのだが。カズマの期待値が大きすぎたため齟齬が発生しているのだ。前方遠くに焚き木か篝火の火が見える。

 

「なぁグリフィス。あっちの方に篝火が見える。そこで夜明けまで休まないか?」

 

「なぜだ。疲れたのか?」

 

「俺はいいけどロバのほうがダメだ。怯えている。夜の間はもっと人気のあるところにいさせてやったほうがいいんじゃないか」

 

「うまい考えとはいえないな。野盗や山賊かもしれない。俺もこの辺の地理には詳しくない」

 

 中世的世界観において人口は、耕作面積に制限される。百姓の3男や4男などはうまく、奉公人や小作人、芸術家になったり開拓村に入り込めたりすれば万々歳で軍人や傭兵、船乗り、炭鉱夫、荷揚げ等になるのが一般的でそれすらあぶれる人間も少なくない。つまりはそういうことだ。柵の外の敵は、狼や怪物ばかりが敵ではなかった。

 

「その時はこいつで返り討ちにしてやるさ」

 

 カズマは、胸のガンベルトからサイレンサー付きの10㎜ピストルを取り出す。.44と比べれば弱いが、それでも自動車のドアを貫通する威力がある。たとえ相手が鎧、兜をしていても、盾を持っていようとも人間が着用できる鉄板の暑さで防ぐのは到底不可能な上、連射が効きしかも静かだ。

 

「そいつもそのうち慣れると思うが…お前の言にも一理あるか」

 

「先ずは泊めて貰えるかどうか交渉しよう。戦闘は最後の手段だ」

 

 結局のところ、相手は山賊のたぐいであり、こちらが商会に所属していない。地元のものでもない流れ物と見るや問答無用で襲撃してきた。もちろんカズマとグリフの敵ではまったくなく、たちどころに瞬殺された。それでも連中の士気が高いのか、それとも無鉄砲さ故かはたまた単なる自殺か、最後の一人まで抵抗した。

 グリフは彼らが根城にしている廃村の中央に死体を集め油をかけてまとめて火葬している。なんでも、ちゃんと葬らないと幽鬼になるかもしれず危険なのだそうだ。彼は、専門家でその辺のことはぬかりなく行う。余裕があればだが。

 

 カズマはと言うとポニーとロバを馬屋に停めた後、廃村の壊れかけた家を物色件クリアリングしていた。そのうちの1軒から一人の少女を発見する。彼女は、ボロ布を纏、両手を柱に繋がれ、猿轡をはめられている。彼女は人間ではなく尖った耳をしている。エルフだ。よく見ると体中があざだらけだ。カズマは、ベタなシチュでのヒロイン発見に高揚しつつ最大限格好をつけ話しかける。

 

「お嬢さん、つらい目にあっただろう。族はもういない。今、開放する」

 

カズマは山刃で、彼女を拘束している縄を切り落とす。少女は、怯えた表情のままだ。

 

「なにもしない。怖がらなくていい」

 

 そう言って。彼女の手を引き、家の外に出ると、リカーブボウを手に持った男のエルフがグリフに悪態をついていた。なんでも一昨日、山賊に娘を攫われたらしい。カズマと少女を見るや否や『人間!娘から手を離せ!』と大声で叫ぶ。少女の怯えの色がより強くなるが緊急事態なのでカズマは気がつかない。

 

「娘を助けてやったのに、弓をこちらにむけるのか?心配しなくてもちゃんと自由にしてやる」

 

 そう言ってカズマは、紳士に、少女をつないでいた手を離すとエルフの父親は、弓をしまい、ナイフを取り出しカズマへの警戒を緩めないまま。怯え、動けない少女を力ずくで引き寄せる。カズマはこの状況にゲンナリしていた。テンプレならこのまま逃避行なのにあっさり親父が出てきてはどこが王道なのかと小一時間ほど問い詰めたくなる。これでは、ロマンスどころではない。

 

「人間、どう言う風の吹き回しか知らないが、ウィッチャーはともかくお前には死んでもらう」

 

グリフが間髪入れずに助け舟をだす。

 

「こいつは俺の従者だ。此処にいた山賊共は俺たち二人でやった。お前に倒せるのか?」

 

「一人だと思っているなら大間違いだ」

 

 藪の中から4,5人エルフが飛び出てくる。彼らは、腰にリスの尻尾をぶら下げている。彼らは、スコイア・テルといい人間に森へ追いやられたエルフのゲリラだ。ゲリラと言っても高尚なものではなくただのテロリストと言ってしまっていいだろう。一触即発の状況を打開すべくグリフが口を開く。戦闘を行えばカズマ抜きでも全滅するのは彼らの方なのだが避けられる戦闘は避けるべきだ。

 

「全員出てくるとは…今度やるときは一人くらいは伏せて置くんだな。それに山賊すら攻めあぐねていたのに俺たちを相手にできると思っているのか?見ていたんだろう?エルフはもっと賢いと思っていたんだがな」

 

 実際のところグリフはエルフが人間よりも賢いなどとは思っていないが。エルフが持っている人間への優越感を刺激する。逆効果かもしれないが今回はそのようなことはなかった。エルフは弓を引いたまま退いていく。しばらく立ち、安全と判断したカズマはグリフに話しかける。

 

「グリフ、助けてやったのになんであいつらあんなに敵対的なんだ?」

 

「俺からすれば人間とエルフがよろしくやっていけるわけないというのが常識なんだが…それにあの娘が助かったとは言い切れないかもしれない」

 

「なんで?父親が引き取ってめでたしめでたしなんじゃないのか?」

 

「一昨日攫われたと言っていたろう。彼女の傷はむしろそれより前の物の方が多いように見える。身内と山賊どっちの方がマシなんだろうな」

 

カズマは、はっと表情を変え藪の方を見る。

 

「助けようなんて思うなよ。コレが最善という場合だってある」

 

その冬、グリフィンから救った村はスコイア・テルに襲撃され、何も残らなかった。山賊は、単なる山賊ではなかったのだ。それは、また別の話である。




おさらいのためにウィッチャー1やり直しているけど、ほかはまあいいとして(良くないけど)そこらの農民に適当な指輪渡してカードにしたりとかとんでもないな。


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コミカルなタイトルつけたいけど思いつかない

 捏造設定ですけど、狼や蛇以外の流派もこんな感じでほぼ壊滅状態なんじゃないでしょうか。



 旅というものは不思議なもので、旅の相手へのそして世界への理解を深める良い機会である。カズマ達一行は現在エイダーンの首都ヴェンガーバークをスルーしてポンター川の支流沿いを南下している。時たま、領地の兵が呼び止めて通行税(川沿いなので税金がある。船にのっているわけでもないのに)を支払わせようとしてくるが。現在、永遠の炎教団の信徒の格好をしているためか、基本的にまけてもらえたり、スルーされたりしている。どうしても食い下がってくる場合は、グリフが<アクスィ>の印を使い事無きを得ている。ただし、グリフいわく、永遠の炎は魔術を否定しているのでこういうことはやらない方がいいらしい。事実、他にも目があるときは迂回したり、酒を渡したりしている。なぜ、田舎道を通らずに、フードを深くかぶり、身分を隠して、川沿いを歩いているのかといえば単純に荷物が多すぎるからだ。

 グリフもカズマも山賊を倒した後、貧乏性という点で意見が一致し、廃村に有った小型の荷馬車に詰めるだけの物を詰め込んで、ポニーに引かせているのだ。ポニーがヘタれれば人間が荷馬車を引く、というかカズマとグリフの方が馬よりも持久力が優れており、二人並んで荷馬車を引っ張る時間の方が長いくらいだ。ベアリングがない時代の荷馬車は重く、車軸に定期的に油を差す必要があった。ちなみに、食品以外は、使わないし売らないのでほぼ無駄になるのはお約束である。

 

 すでに一週間以上も徒歩で男二人旅を続けていれば、流石にお互いのことがわかってくる。グリフは悪いやつではないし、カズマも怪しいが悪いやつ裏のあるやつとは思われていない。ジェダイみたいで格好いいから俺もウィッチャーになりたい。とグリフに言ったら。『まあ、異世界人なんて、敗残兵や孤児よりも生きる道はないだろうから構わないか。もっともお前の場合は、どうとでもなりそうだが』と皮肉たっぷりに言われた。カズマは、こちらに来て短いがウィッチャーがというより北方人事態こういう性格のヤツが多いと感じ始めている。

 さりとてカズマは、このグリフという相棒に感謝していた。本当なら綺麗なネーチャンの方がいいが誰かとちがって戦闘以外(もちろん戦闘でも)でも役に立つ。火を自由に付けたり消したり、爆薬を川に投げて魚を採ったり。(グリフ曰く、もったいないが火薬シケらせるよりはマシ)ウィッチャーの超人的な感覚により避けられる戦闘は避けたりする。何より、物静かな性格で自分が転ぶ前に注意してくれたりするのでこの世界のガイド役としては申し分ない。

 ただし、彼と一緒だと、いや、そうでなくとも大きな街の城塞の中に入るのは危険を伴うかもしれない。そもそも、街道で合う人間、合う人間、ドワーフはもうちょいましだが。こちら外国人だと言うことがわかると平然と罵ってくるのだ。人が多い町中だと、集団で有ることの優位性から、囲まれて丸裸にされても、やった相手が法で裁かれないだろう。もちろん、そのような事態になればステルスボーイを使って逃げるが…『ウィッチャーになれば外国人であっても少なくとも表立って襲撃される危険はないだろう』とグリフは言う。

 

 いやな世界だロクに観光もできないなんて土人もいいとこである。もっともこの世界において彼らの対応が狭隘とはいえない。

 上級吸血鬼やら魔術師やら悪魔やらドップラーやらが実在するこの世界においては彼らが異物に対してましてや他国の後ろ盾がない個人ならばそういう対応をとって当然と言える。

 ウィッチャーが自由に行き来できるのは、連中もウィッチャーなんかに化けないだろうというある意味信用の側面が大きいのは否定出来ない。

 

 グリフは休んでいるときは、瞑想をしていたり、詩集を読んでいたりする。詩集の作者はダンデリオンという人物でその本には、ブラビケンの殺し屋の英雄談が綴られているらしい。その英雄はウィッチャーらしく、カズマも北方人の真似をして

 

「あんたいつもその本を読んでいるな。その英雄みたいになりたいのか?」

 

と皮肉を言うとグリフは率直に

 

「こんな活躍をしてみたいが俺には無理だな。こんな事をしていたらすぐに死んでしまう。まあ、吟遊詩人の話だし盛ってあるんだろう」

 

と笑顔で言い放ったのでカズマは面を喰らってしまった。そうやってふたりは旅を続ける。

 

 

 ここは、エイダーンとリリアの境目の山岳地帯、熊流派の現在の本拠地はここのどこかある巨大な洞穴だ。(捏造ですあしからず)

 何百年も前は、もっとまともな拠点があったものの、民衆の襲撃により焼け落ち、現在ではまず人間は立ち寄らないであろう山と森林の奥深くに移動してある。もっとも、山や森は、エルフやドワーフの領域なのだが、ここはマハカムではないためそれほどいない。木枝の隙間からふと空を除くと悠々と翼竜が空を舞っている。こちらには興味がないのか、それとも、森林をかき分けて怪我をするリスクを負ってまで襲う価値がないと判断しているのか。遥か遠くに去っていった。グリフが珍しく舌打ちをして、ぼやく。

 

「フォークテイルか…トマーシュのやつ何を…奴には無理だな。ヒルダの婆さんがやってくれるわけないし。トロールや小人連中は気づいてもいないだろう」

 

といい大きくため息をつく。やがて、一見、道とは見えない道は、崖にぶつかり途切れる。グリフが崖に向かってなにかアイテムを掲げると幻術が解けて大穴が姿をあらわす。

 

「トロールがいるがそいつは味方だ。攻撃するな」

 

「トロールって?」

 

「喋る岩だ」

 

しばらく洞窟を歩くと、松明に火が灯った広い空間に出てくると其処には、身長2mを超える岩トロールがいた。

 

「グリフひさしぶり。あいかわらずクマみたい。そいつだれ?トロールそいつしらない」

 

「こいつは、仲間だ。仲良くしろ」

 

「よ、よろしく」

 

「あたらしいなかま。うれしい。トロールなかよくする」

 

「いいやつだな」

 

「ああ、此処に居るのは人間以外は、いいやつだな。いや、お前以外、全員人間じゃないか」

 

 洞窟を更に奥に進むと、光が差し込む。どうやら洞窟の先は切り立った崖になっており、カルデラ、もしくはクレータ状の地形になっている。崖の下に大空洞が存在し、其処に存在するログハウスが彼らの本拠地のようだ。話によると彼らは、この地に住むトロールやドワーフと奇妙な共生関係にあるらしい。

 

 グリフは、大声で叫ぶ。声が洞窟に反響して煩い。

 

「婆さん!トマーシュ!いるのか!!」

 

返事が帰ってくる。年老いた女性の声だ。

 

「クマみたいにうろついている奴がようやく帰ってきたか。中に入りな。それに婆さんとはなんだ。あんたよりは年下だ」

 

 老婆が扉を開けグリフとカズマはログハウスの中に入り、広々とした部屋に案内される。彼女の名はヒルダといい魔術師であるのにもかかわらず若作りをしていない、しかも、こんな辺境でドワーフやトロールの相手をしている変わり種だ。故に、他の女魔術師とは当然面識はない。

 

「二つ名通りうろつくのは構わないが、もう一ヶ月早く帰ってきて冬支度を手伝ってくれないか?此処には、俺とグリフあんたしかいないんだドワーフ共は背が低いしトロールは数勘定も出来ないんだぞ。そして、そいつは誰だ?」

 

 彼はトマーシュ、グリフよりもかなり若いウィッチャーだが、すでに旅をしていない。たまに下に降りてドラウナーやグールを狩っているくらいだ。グリフはそんな彼に苛つきながらも彼の行動を黙認している。自分がいなくなったらもう彼しかいないのだから。そして彼は此処を維持するだけで精一杯なのだ。怪物退治どころではない。

 

 熊流派の世間の評判は悪い。猫流派も悪いがそういう意味で悪いのではなく、数が少なすぎて評判にさえならない。いや、存在している事そのものを知られていないという意味で猫より悪いと言える。

 新たなウィッチャーを作り出すにも倫理的に問題が有る以前にウィッチャーになるための草の試練に使う変異誘発液の材料集めさえままならないのが彼らの現実であった。正直に言おう。彼らに、フォークテイルやマンティコアは手に余るのだ。まともなウィッチャーがグリフしかいないのだから。




俺は、ウィッチャー2をどうやってクリアしたんだ?すでに心が折れ始めている。もう年なのか?ダクソ3もあのざまだしな。


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下書きではまともなタイトルなんですよ

このすばでたとえるならいまだにギルドにいって冒険者カードをもらうだけの話です。まだまだそんな話が続きます。
テンプレならヒルダの婆さんはロリ吸血鬼だろうに此処じゃ単なるババアです。
なんで熊流派かって?そりゃ装備が格好いいからよ。


「そいつは誰だ?ここに外部の人間を連れてくるなんて、後で何があるのかわからないぞ?」

 

 トマーシュは、カズマへの警戒を隠そうともせずに言い放つ。トマーシュがウィッチャーになる前に熊流派この拠点に逃げ隠れすることになった歴史を顧みれば、その警戒は、当然といえる。この拠点が表に出れば、税を取られるようになるくらいならまだいいが、以前のように襲撃されてはかなわない。

 

「こいつは、サトウ・カズマ。命の恩人で見ての通り北方人ではない」

 

 カズマは、日本人らしく、愛想よくはにかみ笑いを浮かべお辞儀をする。

 

「はじめまして、よろしく」

 

 トマーシュは、そんなカズマの挨拶には答えようとはせずにグリフに問いかける。

 

「助けられた?あんたが?一体なにがあった?」

 

「ポンター峡谷近くの村で(近いと言っても20里は離れている)グリフィンを2匹討伐する依頼を受けた。俺は、グリフィンを巣からおびき寄せ一匹ずつ撃破していくつもりだった。普通グリフィンのつがいは警戒のため一匹は巣に残るが今回は運がわるかった。彼が援護に入らなければ危なかったかもしれない」

 

「たくさん疑問は残るが一つづつ聴いていこう。まず、なぜ受けた?」

 

「受けなければウィッチャーは信頼出来ないという風聞を広げると脅された上に、前金を、押し付けられた。流石に断れなかった」

 

「グリフ。あんたならグリフィンが1匹なら問題ないだろう。だが相手は2匹だ」

 

「さっきも言ったように、一匹づつおびき寄せる作戦だったんだが経験が仇になった」

 

「経験?あんたは過去の栄光に取り憑かれているか、いつも読んでるその詩集に影響されすぎて戦力を誤ったんだ。ウィッチャーといってもせいぜい熟練の暗殺者4,5人分といったところだ。それはあんたが教えてくれたことだ」

 

「さっきも言ったとおりだからと言って受けない訳にもいかないだろう?それがウィッチャーの仕事だ」

 

「今更、お小言を言っても仕方ないし、あんたより弱い俺が言っても説得力がないのも承知で言うが、旅をするなとは言わない。だが、生きて帰ってきてもらわなければ困るという事を忘れないでくれ」

 

「で?彼に助けられたと言ったな。グリフを助けて貰ったことには感謝するがなぜウィッチャーなんぞ助けた?ましてやグリフィン相手だ」

 

カズマは思考するが特に思い浮かばないためその時の状況を包み隠さずに話すことにした。

 

「この世界に飛ばされたら、目の前でグリフィスと怪物が戦っていたんだ」

 

「答えになっていないな。それは、状況であって理由ではない」

 

「理由なんてなんでもいいだろ?」

 

「質問を変えよう。なぜ、怪物と戦おうと思った」

 

「倒せると思ったからな」

 

「見た目からして北方人ではないのは解るがそれでも自殺以外で一人でグリフィン相手にする人間はいないと思うがなぜ倒せると思った」

 

「俺にはコレがあるからな。たとえ相手がグリフィンでも余裕だ」

 

そう言ってカズマは、.44マグナムリボルバーを腰のガンベルトから取り出しトマーシュに見せる。

 

「一体それが何だと言うんだ?」

 

トマーシュはカズマの言っていることが理解できない。ひょっとしてこの男の頭はイカレているんじゃないのだろうかと勘ぐっている。もちろんそれは正解であるといえる。

 

「俺はカズマがそいつでグリフィンを倒すのを目の前で見た。俺はそいつが火薬の力を利用した石弓(クロスボウ)のような物だと認識している」

 

「だったら有効なのは理解できるが、こいつにそこまで威力があるのかにわかには信じられないな?すこし触ってもいいか?」

 

「いいけど、なぜか他人は触れないぞ。グリフィスもさわれなかった」

 

そう言ってカズマはトマーシュに.44マグナムリボルバーを手渡すと2秒ほどで.44マグナムリボルバーは、姿を消した。

 

「俺が異世界から持ち込んだ物は、俺の手を離れると自動的にイベントリに行くみたいなんだ」

 

 そう言ってカズマは空中に右手を延ばすと手品のように.44マグナムリボルバーが右手に握られる。イべントリの使い方はいれたい物や出したいものを意識して握るとしまえたり、取り出せたりする。重量オーバーになると入らないが、異世界から持ち込んだアイテムは重量オーバーでも入る。しかし先にイベントリに持ち込みアイテムが入っているとその持ち込みアイテム分の重量は計算されるようだ。トマーシュは感心した用につぶやく。

 

「魔術師か…ならグリフィンを倒せるのも納得だな」

 

しかし、ヒルダは異論を唱えた。

 

「魔術じゃないよ。このボンクラ。こいつは手品の類さ」

 

ヒルダは専門家のため魔術ではないことが理解できるため手品の類だと断言した。ヒルダは、カズマに気になることを質問する。

 

「あんたさっき異世界から飛ばされたとか言っていたね」

 

「ああ、俺は、異世界人だからな。言っておくが頭は狂っていないぞ」

 

 そんなことはない。とっくの昔に狂っているがそれは置いておこう。ちなみにカズマが異世界人だとカミング・アウトしても彼らにはそれほど問題ではない。此処は異世界が公然とあると言うかそもそも人間の祖先が異世界人であるため。異世界が有るというのは魔術師やウィッチャーには常識である。

 

魔軍の騎行(ワイルドハント)といい此奴といい。次なる、天体の合の前触れでなければいいが…まぁ、考えても仕方ないわい。私らの手に余る」

 

「事情はわかった。だが、なぜ彼を連れて来たんだ?命の恩があるとか言うなよ?」

 

「こいつの見た目を見てみろ。少なくとも北方では、此処に来るのが一番マシだ。それに右も左も分からないから危険はないと判断した」

 

「で?此処に住まわせるのか?ドワーフだったら反対しないし、ハーフリング(D&Dが元ネタ。いわゆるホビット)は、一人か二人までだがいいだろう。だが、人間やエルフはダメだ。俺たちが此処で主導権を握れているのは相手がトロールやドワーフだからだ、他の連中だったら、俺達より数が多くなった時点で軒先を貸して母屋を取られるぞ」

 

「心配するな。カズマが異世界から来たのは聴いただろう。こいつに横の繋がりはないから心配ない」

 

「では、春になって彼が出て行ったらこの拠点の場所がバレるリスクはどうする?まさかこの穴蔵(と言っても直系2kmある巨大な窪地)にずっと閉じ込めて置くのか。彼がいいなら別にいいがそうじゃない時はその時は…」

 

「ウィッチャーになれば問題ない」

 

「おいおい。俺がウィッチャーになる前みたいにまた子供をさらってウィッチャーに仕立てあげるのか?俺は反対だ」

 

「それだとお前をウィッチャーにした時にもう駄目なことをやっていることになる」

 

「実際、駄目なことだろう。俺とグリフ、二人だけになってしまった時点で熊流派はもう終わっているんだ。だから、あんたも伝統にくくらず引退したらどうだ?別に無理して命がけで怪物退治の旅ををする必要は薄いだろう?ここに引きこもっていても少なくとも食い物だけには困らないからな」

 

 熊流派のウィッチャーとトロールとドワーフはこの地を100年以上の時間をかけて開拓し、少なくとも食料供給に関してだけは外部に依存する必要はない。それが、熊流派の出不精に拍車をかけてしまっても居るが。グリフは反論はせずに元気をなくしたように俯く。齢ではトマーシュよりすっと上だが。口では彼に勝てなかった。

 

「百歩譲って、彼がウィッチャーになることを承認していたとして、失敗したらどうなるかってことをちゃんと伝えてあるのか?」

 

「こいつはウィッチャー用の霊薬を飲んでも目立った障害はなかった。草の試練にもまず耐えられるのだろう。ならば是非ともウィッチャーになってもらいたい」

 

「あんたが仲間を増やしたいのは解るがそれ本当か?」

 

「嘘ならもっとましな嘘をつく」

 

「それはそうだが。グリフなんでウィッチャー用の霊薬を一般人に飲ませたりしたんだ?毒だしもったいないだろう?」

 

「こいつが勝手に飲んだんだ」

 

トマーシュはカズマの方を睨み、カズマはバツが悪そうに頭をかく。

 

「どうやら本当みたいだな。だがもっとも肝心なことを忘れている。婆さん説明してくれ」

 

「あんたから見りゃそりゃババアだろうがもうちょいましな言い方が有ると思うがね」

 

「前置きはいい」

 

「草の試練に使う材料のうち、フォークテイルとマンティコアからとれる物はこの穴蔵にはないってことさ」

 

「フォークテイルなら帰ってくる途中でみた。マンティコアなら、山の奥まで行けば一匹くらい居るだろう」

 

「本当に?だがこの時期に俺とグリフ二人共この場所を抜ける訳にはいかないし、もちろんあんた一人でいかせる訳にもいかない」

 

その時ドワーフが両手を広げ一斉にログハウスに入ってくる。

 

「おお、熊よ帰って来ていたのか?」

 

トマーシュが頭を抱えながら効果の無い忠告する。

 

「入るときは声を掛けるなりノックくらいはしてくれ」

 

「ガハハ。まぁいいじゃないか俺達の仲だ。それで、頼んでいたものはあるのか?」

 

「労いの言葉もなしか」

 

「熊なんて労って何になる。で、戦利品は?」

 

「マハカム産の蒸留酒ならあるが」

 

「おお、さすがは熊だ一杯やろう。そこの坊主は、なんだ?のっぺらぼうな顔をしやがって」

 

「俺は、サトウ・カズマ。よろしく」

 

「なんだ?熊よ。こいつをお前みたいにする気か?後任が見つかればようやく引退ってところだな。それで俺達の仕事が楽になるなら何よりだ。ガハハ」

 

「なんだか、勝手に話が決まっているけどまぁいいや」

 

トマーシュはゲンナリしたような表情を浮かべながら

 

「悪いんだが…その話は後だ、お前は風呂にでも入って疲れを落とすといい」

 

グリフが言う

 

「俺も入ってきていいか?」

 

「あんたはダメだ。ドワーフ共と持ってきた荷物の整理をしてからだ」

 

「なぜそんなに対応に差がある?」

 

「そりゃこいつは、今のところあんたの命の恩人でお客様だからな。当然だ」

 

「ケケケ。どっちが年長物だかわかりゃしないねこりゃ。わたしゃいつもとおり薬草園の面倒に言いってくる」




ゲラルトさんはサラブレット持ってたり、食道楽していたり、装備品買いまくったりしてりゃそりゃ金ないわて感じです。とくにローチの維持費は頭痛いでしょう。サラブレットは道草って訳にはいかないですし。
ここの人らは生産がそこそこ自己完結できるんでそこまでお金に困っていなかったりします。半端な貴族、騎士よりも田舎の庄屋の方が豊かだろうしね。
扶持100戸程度(600~800人前後の村)の領主じゃ馬と防具と従者、調度品、交際費etcでマジ首がまわらないんじゃないでしょうか?
ホモくさいけど全員ノンケなんであしからず。


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補足:おおまかな世界観と歴史について

 このすばタグに釣られて着た方も、前作から読んでくださっている方もおそらく大半がなにコレ?って感じでそっ閉じしてくださっているだろうと思います。また、今現在読んでくださっている方も地理関係とか、設定とか分かんないと思います。正直作者も英語WIKIみても分かんないです。ゲームも1と2はMODあるけど英語版だしね。原作読め、ポーランド語見ろって?無茶いうなし英語わかんないからハリーポッターでさえ読むのに10年以上かかったというのに。

 

 それでは、この世界の歴史から紹介していきたいと思います。WIKIに乗っている程度のことですけど間違っていたらご指摘お願いします。

 

舞台は北方諸国、主要な国は、レダニア、テメリア、ケイドウェン、エイダーン。南方に遥かに大きいニルフガード帝国が存在する。

 

約1500年前、天体の合が起き、3席の船に乗って人間がこの世界に現れる。同じ時に怪物も現れ始める。

 

数百年前、魔術師とウィッチャーが登場。

 

数百年前、エルフと人間の敵対関係が決定的になる。→古き血脈に記述がある。ララの話。

 

500年くらい前、人間の優勢が決定的となり、エルフやドワーフは自らを亜人と認めざるを得ない状況になる。

 

10年くらい前、第一次北方戦争、ニルフガードが北方諸国に進行を開始、シントラが落ちるも撃退に成功。

 

数年前、第二次北方戦争、ニルフガードが北方諸国に進行を開始、エルフが帝国に味方し、ウリヘッド旅団を結成したり、エイダーンが勝手にリリアを帝国に売り渡したりしたものの、リリアの女王の活躍とブレンナの戦いでの女魔術師会の活躍により辛くも撃退、ヤルーガ川の対岸へ押し返し、休戦。上記のどちらかの北方戦争でエルフ国家ドル・プラサンナが帝国に従属。戦争により疫病や貧困が蔓延し永遠の炎教団が拡大。→原作小説

 

戦間期、フレミングローズ結成、休戦条約に基づきウリヘッド旅団のエルフを消毒、残党がスコイア・テルに。リヴィアで農民が暴動を起こし非人間族を虐殺。→原作小説終了

 

3年前、ケイドウェンがエイダーンにポンター峡谷の領有権めぐってちょっかいを開始。

 

2年前、(いまここ)サラマンドラがケィア・モルヘンからウィッチャーの変異の秘密を盗み出す。→ウィッチャー1

 

1年前、テメリア王、エイダーン王暗殺、暗殺を指示したのが女魔術師会であることが判明し、もともと鬱陶しく思っていた王たちにより魔女狩り開始。場合によっては、ポンター峡谷が独立。→ウィッチャー2

 

北方諸国の混乱をつき、ニルフガード帝国が北方諸国に侵入。第三次北方戦争開始。混乱によりテメリア、エイダーンはたいした抵抗も出来ずに併合される。

 

レダニアがケイドウェンを奇襲。たいした抵抗もなく併合。ウィッチハンター結成→ウィッチャー3へ

 

 おおまかな流れはこんな感じだと思います。これだと地名がチンプンカンプンなんですが、地理とかはネットに転がっているので検索してください。

 

 あと、方針として、地理描写、時間描写、物価描写は曖昧な表現にします。分かんないことが多いので矛盾があってもいいようにという逃げです。しかたないね。

 

※リリアはラエリアと読むのかも。英語聴いてもどっちか分かんない。



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風呂回(トロール)

 風呂は、大空洞からかなり離れたところに有り露天風呂になっているそうだが、別に滾々と温泉が湧き出ているといううわけではない。この辺では温泉なんぞいくら掘ろうが出てこない。ではどうやって水を温めているのかというと火の(エレメンタル)を遊水地から水をひっぱてきた露天風呂の隅っこに鎮座させボイラー代わりに利用しているのだ。火の(エレメンタル)はヒルダの婆さんの個人的所有物なのだが。火種を採ったりボイラーや暖房代わりにしたりしている。おそらく世界広しといえども火の(エレメンタル)をそんなことに使っているのはここくらいのものだろうが此処には自慢する相手も倒すべき相手もおらず飾っておくよりはずっと有意義な使い方と言えた。火の精もまんざら嫌そうではなくニート生活(精霊的な意味で)を満喫している。

 

 カズマは密かに風呂を楽しみにしていた。異世界転生して以来、前の世界ではRAD汚染されたシャワーくらい浴びたことはあるがまともに風呂に入る機会はずっとなかった。

 ウキウキ気分で脱衣所で服を脱ぎ、露天風呂に入ると其処にはトロールの先客がいた。彼は、熱い方が好きなのか火の精の近くで入浴している。

 

「おまえだれ?あったことない。みたことない。のっぺらぼうなかお。はなひくい」

 

「俺は、サトウカズマだ。よろしく」

 

「おまえにんげん。ドワーフちがう。ここにいるわからない。てき?」

 

「グリフに連れられて此処に来たんだ」

 

「グリフ。ここでいちばんとしうえ。でも、くまみたいにうろうろ。おちつきない」

 

(ここに来てから、なんかグリフの印象が違うな。俺の印象じゃ格好いいジェダイなのにこいつらの評価はまるで遊び人みたいだ)

 

 それはそうである。彼らの評価ではこの拠点では仕事の多い春夏秋に一人働かずに割に合わない怪物退治にうろつきまわり、仕事のない冬の間だけ戻ってくるのだからトロールからすら顰蹙を買うのも当然と言える。とは言え、彼が外から持ってくる物品は貴重で、彼のみやげ話も娯楽の少ないこの穴蔵では最大の娯楽と言えた。

 

「グリフ。にんげんつれてきた。すごいひさしぶり。あたらしいなかま」

 

カズマはトロールに行儀よく愛想を浮かべると、露天風呂の脇においてあった風呂場の掃除道具から木桶を取り出しかけ湯をする。

 

「おまえ。なにやってる。からだそうじする」

 

「いや、湯船に入る前に体を洗うのはマナーだろ」

 

「トロール。いつもそんなことしていない。でもまなーだいじ。いまからそうする」

 

カズマは、この風呂汚いなぁと思いつつも。かけ流しなのでまぁいいかと思考した。

 

「トロール。せなか。うでとどかない」

 

「しかたない、洗ってやるよ」

 

カズマは、トロールの背中に湯をぶっかけ。掃除道具のデッキブラシのようなもので背中を洗う。

 

「おお、きもちいい。ありがと」

 

「どういたしまして」

 

トロールと意気投合したカズマは久々の長風呂を楽しんでいた」

 

 

すでに、周辺は暗くなり、大空洞にこの穴蔵及び洞窟の知性あるものすべてが集合していた。内訳は、魔女が1人、ウィッチャーが2人、トロールが4体、エレメンタルが1体、ドワーフが19人だ。グリフが、石に座り全員に話かける。

 

「皆、晩飯前に話すことがある。今日から此処に住むことになったカズマだ」

 

カズマは頭を描きながら起立すとドワーフの1人が皮肉を言う

 

「弱そうな奴だな。そんなやつ此処につれてきて変異体にしてどうする?それとも会計係にでもするのか?ここじゃクラウンもオレンも使えないがな」

 

「こいつは、俺の目の前でグリフィンを倒した。本当のことだ」

 

ドワーフは真には受けずに皮肉を言う

 

「グリフィンを?そりゃすごい」

 

ほかのドワーフがカズマに質問する

 

「なあ、若造、算数はできるか?」

 

バカにしているのかと思いつつ角を建てないように素直に答える

 

「そりゃ、足し算、割り算、引き算、掛け算くらいは出来るけど」

 

「そりゃすごい。なぁ熊よ。こいつを変異体にするのは勿体無くないか?羊の世話とか倉庫の管理とかさせた方が有意義だと思う」

 

中世的世界観において、教育と言うのは贅沢であり、字がかける、数勘定できるというのはそれなりに貴重な存在だった。

 

「俺は、こいつをウィッチャーにする」

 

「ようやく代わりになりそうな奴が見つかってお前さんは引退する気になったということだな。それはそれでいいことだ。頭目がずっとこの穴蔵にいないのは問題があるからな」

 

グリフは少しうつむいて

 

「そう言うことだ」

 

といい。ヒルダの婆さんとトマーシュが目を合わせたあと、トマーシュが発現する

 

「外はどうなっている」

 

「相変わらず。と言いたいところだが今年は違う。戦争が始まった」

 

「また、貴族の反乱か?それともニルフガードが止めを刺しに来たのか」

 

「ケイドウェンがポンター峡谷をめぐってエイダーンに攻めてきた」

 

「本当に?あの王じゃ。エイダーンは一方的にやられているだろうな」

 

「それがそうでもないらしい。ドラゴンを殺ったとかいう眉唾な女英雄がヴァージェンで指揮を取ってエイダーンに勝ったらしい。このまま冬に入れば戦争も終わりだろう」

 

「まぁ、私らには政治の話はどうでもいいし、関わるべきではないね。なにせウィッチャーは中立なんじゃから」

 

「それで、グリフあんた戦争まっただ中のポンター峡谷に行ったってことか?あんまり賢い行動をとはいえないな」

 

「死体を狙うグール共を始末してやろうと思ったんだがそこまで行けていない。その前に、カズマに助けられたからな」

 

「そうじゃなくて、危険じゃないか?」

 

「別に、軍に近寄らなければいいだけの話だ。トマーシュ」

 

 そう、この時代、戦争だからといって地域一帯が戦場になったりはしない。無線通信前の世界では命令が届かないし、何より分散すると、各個撃破の餌食ならまだしも寝返ったり、勝手に戦端を開いたり統制が取れず危険だからだ。だからといって別働隊を置かないということはないが。だからといってウィッチャーが軍とトラブルを起こせば勝算はないに等しいのでトマーシュの懸念も当然と言える。

 

「それで戦争前からそんな傾向があったんだが。下ではエイダーンのコインはあまり使われていないようだ。通行税すらクラウンを要求される」

 

「関所を通るのにクラウンだって?いくらなんでもありえないだろ」

 

「関所もそうだが関所以外でもそうだ。エイダーンじゃ戦争で貴族に対する王政府の統制がきかなくなり、欲に目がくらんだ領主が各々勝手に通行税を取っている。おかげで何処も流通が停滞している。正直、4ヶ国の国境沿いが一番マシかもしれないな。スコイア・テルさえいなければだが」

 

ヒルダの婆さんが口を挟む

 

「スコイア・テルか、奴らが此処に気づかなければといいが」

 

ドワーフが呑気に発現する

 

「な~に。100年以上も外には知られていないんだ。心配することはない」

 

「まあ、それは来るべき時に備えるということで良しとしよう。見つかるときは見つかる」

 

「ようするにいきあたりばったりというところか。熊らしいね」

 

グリフはヒルダの言を無視し

 

「さて最大の問題なんだが、この穴蔵の周辺でフォークテイルがのさぼっている」

 

ドワーフの1人が慌てて発現する

 

「そいつは大変だ!早く上にいる山羊共を穴蔵に入れないと食われちまう」

 

「それで、グリフとトマーシュで倒すのかい?わたしゃ今回はパスだ。フォークテイルなんてまっぴらだ」

 

グリフが目を輝かせ

 

「俺が行こう」

 

と言い。にべもなくトマーシュが

 

「俺と、カズマで行く。彼の実力を見ておきたいし。たまには、あんたも俺の苦労を味わうべきだ」

 

グリフは捨てられた子犬のような表情を浮かべながら頷くしかなかった。




私はこの世界じゃトロールの方が人間やエルフより好感もてるんですよね。


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