真剣で毘沙門天に恋しなさい!S (月影陽光)
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第一話 武士道プラン始動

どうも、辻堂さんもかきっぱですが酔ったノリで投稿しちゃいました(テヘペロッ☆

たぶん、不定期更新にはなりますが更新されているのを見つけたら生暖かく見ていただければ嬉しいです。


 

僕、上杉謙信は小さな頃に偶然九鬼で働く大人達、学校の同い年の子供達が影で自分に対して言っていた言葉を聞いて泣いた。

 

 

 

 

化け物。

 

 

 

 

誰もいない川の辺で一人、膝を抱えて泣いていた。信用していた大人達や子供達が自分の事を化け物と思っていた事が悲しかった。

 

 

 

 

「ひっぐ、うぐぅ、うぅ、僕は、ば、うぐっ、化け物じゃ、ない・・・」

 

 

 

 

ガサガサ。

 

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

 

突然後ろの茂みが揺れた音に驚き、思わず振り向くとそこには長い黒髪の美しい少女が立っていた。

 

 

 

 

「あれ? 謙くん、泣いてるの?」

 

 

 

 

現れた少女、葉桜清楚が横に座り、何故泣いていたのか聞いてきたのでポツリポツリと話していく。謙信が大人達や子供達から、化け物と言われていた話を聞いた清楚は謙信を強く抱きしめた。

 

 

 

 

「謙くんは化け物何かじゃないよ! 少なくとも私や義経ちゃんに弁慶ちゃん、与一くんにクラウディオさんにヒュームさんは謙くんの事を化け物なんておもってない!」

 

 

 

 

僕を抱きしめながらそう言ってくれた清楚の瞳にも涙が浮かんでいることが、首筋に落ちた暖かな雫でわかった。

 

 

 

 

「私は謙くんは綺麗だと思うよ? 謙くんの宝石みたいな瞳、私は好きだよ」

 

 

 

 

僕の瞳を真っ直ぐに見つめながら笑顔で言ってくれたその言葉に、さっきとは違う暖かな涙が僕の頬をつたって行った。

 

 

 

 

僕は、俺はきっとこの時から……。

 

 

――け――おき――

 

 

―――んく――て――

 

 

「謙くん、起きて」

 

 

ユサユサ。涼やかな声と、俺を揺する振動で徐々に意識が覚醒してくる。俺の大好きな、一番愛しいその人の声。

 

 

「ん――。んあ?」

 

 

「やっと起きたね謙くん?」

 

 

 目を開けると俺を覗き込むようにして見ている清楚の微笑みが視界いっぱいに広がってきた。

 

 

「おはよう、清楚」

 

 

「はい、おはよう謙くん」

 

 

チュ

 

 

 額に柔らかな唇が当たったのを感じ、起き上がりお返しに清楚の頬にキスを返す。

 

 

「御暑いねぇお二人さん? イチャイチャするのはいいけどさぁ、もう着いたみたいだよ? 川神学園に」

 

 

  俺たちの前の席に座っていた弁慶が茶化しながらも到着したことを教えてくれる。外から開けられた車のドアから俺を筆頭に、清楚、義経、弁慶、与一の順に降りる。

 

 

 

 

 

 眼前にそびえるは川神学園正門。

 

 

 

この日、この時から始まる。

 

 

 

 

 

 

 

毘沙門天の生まれ変わりたる彼の物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の名は――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上杉謙信

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃ行きますか、武士道プランの始まりだ」

 




感想、誤字脱字の指摘お待ちしてます。



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第二話 蘇る英雄

どうも、やっと二話目投稿できました^^;

それではどうぞ


 

 

 川神学園校庭では、全校朝会が行われていた。

 

 

「皆も今朝の騒ぎをしっているじゃろう、武士道プラン」

 

 

 川神学園校長川神鉄心による説明が、全校生徒たちを前に始まった。

 

 

 

「この川神学園に、転入生が7人入ることになったぞい」

 

 

 

 学長の示した人数に、皆が驚きを隠せずざわめき始める。それもそのはずだ、おおやけに公開されている人数は3人。義経、弁慶、与一だけだからだ。

 

 

 

「武士道プランについては、新聞でも見るんじゃ」

 

「重要なことは学友が増えるという事じゃ。仲良くするんじゃぞ」

 

「競い相手としても最高級じゃぞい、何と言っても英雄じゃからの」

 

「武士道プランの申し子達は、全部で5人じゃ。残り二人は関係者。まずは3年生、3-Sに2人入るぞぃ」

 

 

 

 学長の話を聞き、3年生が騒がしくなる。

 

 

 

「ほう。私のクラスか…物好きな奴もいるものだな」

 

 

 

 3-Sの生徒である京極彦一がもの珍しげに言う。すると、となりのFクラスからは世界の武神と言われる川神百代が落胆していた。

 

 

 

「なんだSクラスか。私達F組にはこないのかー」

 

「残念で候。しかしこの時期にSとは、相当な学力で候」

 

「それでは、まず1人目。葉桜清楚、挨拶せい」

 

 

 

 すると、鉄心の声とともに、女の子が1人しゃなりと前に出た。そのまま、ゆっくりと壇上にあがっていく。

 その立ち振る舞いだけで、周りから感嘆の声が聞こえてくる。

 

 

 

「…これはこれは、なんという清楚な立ち振る舞い」

 

 

 

 男子達から、ほーっというため息が漏れた。

 

 

 

「こんにちは、はじめまして。葉桜清楚です」

 

「皆さんにお会いするのを、楽しみにしていました」

 

「これからよろしくお願いします」

 

 

 

 ふわり、と挨拶した後、男子達から歓声が巻き起こった。

 

 

 

「名前からして清楚なんですけど!」「なんか文学少女ってイメージだね! イイ感じだね!」「すっげぇ! 宴にグッズだしたら価値は間違いなくSR!」「ふわぁ~可愛い!」「生きててよかったあああああ!」「超清楚なんだけど!」「ででで、デラベッピン!!」

 

「なんだよカワユイのにSクラスとか…Fクラスにきてくれー」

 

 

 

 一部女子からも歓声が上がっていた。主に百合な方向の女子に。

 

 

 

「ハイハーイ、気持ちは分かるけど静かにネ!!」

 

 

 

 あまりの騒動に教師からの注意が入る。

 そんな中、一人の生徒が大きな声で学長に質問を求める声が上がる。

 

 

 

「が、学長! 質問がありまーす!!」

 

「全校の前で大胆な奴じゃのう。許可する、言うてみぃ」

 

 

 

 そう、彼女には現時点で大きな謎が一つあった。

 

 

 

「是非、3サイズと、彼氏の有無を!」

 

 

 

 そう質問した瞬間、一人の女教師の鞭によって生徒が張り倒された。

 

 

 

「全校の前でこの俗物がーっ!! 皆、私の教え子がすまん」

 

「アホかい! …まぁ確かに3サイズは、気になるがの」

 

「…ええっ」

 

「おいジジイ死ね!」

 

 

 

 すかさず百代から罵倒が飛ぶ。

 

 

 

「ごほん・・・」

 

「彼氏、というか婚約者ならいます」

 

 

 

 その瞬間、全校生徒が静まり返った。

 

 

 

『な、なにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!』

 

 

 

 全校生徒の驚きの声が響き渡った。

 

 

 

「なんでだよぉおおおお」「バカなっ! 嘘だと言ってよバアアアアアアアニイイイイイイイイ!!!!」「ウソダドンドコドーン!!」「ういうfhrhがhふjdbふいかshふじこ」

 

「静まれぃッッ!!」

 

 

 

 喝ッ、と学長の一括で阿鼻叫喚の地獄絵図状態だった生徒たちは即座に静かになる。

 

 

 

「うむ、それでは続けるぞぃ」

 

「葉桜清楚、という英雄の名前を聞いたことがなかろう皆」

 

 

 

 そう、葉桜清楚という名の英雄は存在しない。それこそが彼女の最大の謎であった。

 

 

 

「これについては、私からお話しさせていただきます」

 

「実は私は、ほかの四人と違いまして、誰のクローンだか自分自身でもあるときまで知りませんでした。葉桜清楚という名前は本当の私を知る前にイメージでつけた名前です」

 

「へーそうなのかぁ、自分自身を知らなかったのか。ん? てことは、今は知ってるって事だろ? 何で本当の名前を出さないんだ?」

 

「なぜ本当の名前を出さないのか、疑問に思っている人がいると思います。そのことについては、九鬼から然るべき時期に公表することになっているといわれているからです」

 

 

 

 2-Sでは九鬼英雄に親友の葵冬馬が清楚の正体を聞こうとしていた。

 

 

 

「それで、彼女はいったい誰のクローンなんですか英雄?」

 

「我が友トーマよ。彼女の正体が判明した騒動の時に我は居なくてな、彼女に限りは我も知らぬのだ」

 

「お? 人類の宝である九鬼英雄が知らなくていいのか?」

 

「フハハ、正体がなんであろうと、葉桜清楚は葉桜清楚でよい」

 

「そいつはごもっとも」

 

「それにしても存在感ある人だなぁ。大勢の前でも声がよく通る」

 

2-Fからも清楚の話題が聞こえてくる。

 

「正体が謎だからテレビでは放送されなかったのかぁ…」

 

「皆、テンションが上がってきたようじゃな、良いぞ良いぞ」

 

「それでは3-Sに入るもう1人の紹介じゃ。上杉謙信、でませぃ」

 

 

 

 上杉謙信。その名前が出た瞬間、生徒たちのテンションがさらに上がる。

 

 

 

「上杉謙信! まじでっ!!」「女か! 女であってくれ!」

 

 

 

 カランカラン、と下駄の音を鳴らしながら壇上に上がってきたのは白く長い髪を後ろで一纏めにした赤い瞳の女性と見まがう男子であった。

 

 

 

「皆さん初めまして、上杉謙信です」

 




はい今回はここまでです!

誤字脱字の指摘、感想よろしくお願いします^^


次回予告

「皆さん初めまして、上杉謙信です」 「てめぇら、清楚に手ぇ出したら殺すぞ?」

「ふん。ヒューム風に言えば、“まだまだ赤子”だな」「挨拶できたぞ、弁慶!」

「おおーい! 瓢箪が気になってたが、弁慶が酒飲んでるぞー!!」「フハハハ! 我、顕現である!」

「そんな老けた学生はいない!」






「お帰りなさい! パパ! ママ!」



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第三話 ドーモ。皆=サン。ウエスギケンシンです

皆さん一年半ぶりでしょうか? 覚えていますか? 長いことお待たせして申し訳ありません。

最新話投稿です。やっと重い腕を上げて書き始めました。大体週一くらいのペースで投稿することにしました。仕方ねーなまた見てやんよってカタいたら嬉しいです。

新規の読者様も歓迎です!

誤字脱字のしてき、感想と評価お待ちしてます!!
あ、批判などは受け付けておりません感想欄で見つけ次第削除させていただきます。


謙信が壇上に上がると今までの騒動が嘘だったかのように静まり返る。皆、壇上の謙信へと注目が向く。

 

「ドーモ。皆=サン。上杉謙信ですコレから同じ学び舎で切磋琢磨する仲間として、よろしくお願いします」

 

 そう言って壇上から皆を見回しながら笑みを浮かべる。瞬間、女子生徒のテンションが一気に跳ね上がると、あちらこちらから黄色い叫び声が湧き上がる。

 

「きゃぁあああああ!!」 「何処のブラックニンジャだよ!」「け、謙信さまぁッ! リリリリアル謙信様ききたぁああああああッッ!!?」

「めちゃくちゃイケメン系なんですけど! ゼッテー犯す系!!」 「いやぁあああん! あんなイケメンあり!?」

 

「はいはーイ! 皆静かに、まだ話の途中だヨ」

 

 体育教師であり川神院師範代のルーが注意を促す。すると、先ほどの事も有り学園長の喝が来る前に皆静かになっていく。

 

「ほっほっほ。よいのよいのぉ、ちゃんと学んでおるようで結構。謙信くんすまんのぉ」

 

「いえ、お気遣いありがとうございます。あー、んんッ。皆さん名前で解ったと思われますが、自分は上杉謙信のクローンです。ですが、上杉謙信という名と姿に惑わされず、一個人の、上杉謙信として接してくれると嬉しいです」

 

 一瞬だけ、どこか儚い表情を見せるが直ぐに素の表情に戻る。

 女子生徒たちはその一瞬の表情に魅せられたのか、母性本能を擽られたのか、どこかボーとした表情のまま固まっていた。

 

「後は……ああ、そうそう。男子諸君に一言だけ」

 

 ? 男子生徒たちは一体何事かと謙信の言葉を待つ。

 

「テメーら清楚にちょっかい出してみろ、潰すぞ?」

 

 ゾワッ――と、底冷えするようなその少しの殺気の篭った声に男子生徒達に冷や汗が流れる。そして先ほどの、清楚の、言った婚約者が誰であるか理解した。潰す? え? 何を? 大半の男子生徒が内股になっているなか。一人の女子生徒は声に込められた殺気に対して獲物を見つけた獣の様な笑みを浮かべていた。

 

「いい殺気だ。さすがは毘沙門天、上杉謙信のクローン」

 

「百代は謙信さま…んんッ、上杉謙信と戦いたいので候?」

 

 百代と同じクラスで弓道部部長の矢場弓子がそう聞く。もちろん戦いたいと反応が返ってくると思ったが、返ってきた反応は思っていたものと若干違うものだった。

 

「戦いたいさ。しかしなぁ、思っていたのとなーんか違うんだよなぁ。気の量もあまりないみたいだし、はっきり言って川神院の門下生レベルじゃないか?」

 

「ふん、彼我の戦力差を見切れないようでは、な?」

 

「!? なッ、いつの間に!」

 

「ヒューム風に言うなら、“まだまだ赤子”だな」

 

 今まで目の前の壇上にいた謙信がいつの間にか百代の背後に立っていた。武神と言われ、今まで幾度となく強者達と戦い、一度も負けたことのない百代があっさりと背後を取られたのだ。

 

「まぁいい。次の紹介もあるので、これにて挨拶は終とさせていただきます」

 

 また、今度は壇上に立ち一つ礼をするとそのまま壇上を降りて行った。

 

「ふ、ふふふ。まさか、まさかこの私があっさり背後を取られるなんてな。上杉謙信、アイツなら、私を楽しませてくれそうだ!」

 

 百代は無意識に闘気を体から溢れ出させるとギラついた目で謙信を視線に収める。

 

「こら百代ッ、気を収めんかバカもんが!!」

 

「おっと」

 

 鉄心からのお叱りでようやく、自分が闘気を出してることに気づいて気を収める。

 

「まったく、落ち着きのない奴じゃ。さて、次は2年生の紹介じゃ。2年生に入る生徒は3人とも2-Sになる」

 

 そう説明すると2-Sから声が上がる。

 

「ほほ。此方達のクラスに来るとは、命知らずな奴らよのぉ」 「まぁまぁ不死川さん、いいではないですか。英雄達と直に競え会えるのですから」 「確かに、私も武蔵坊弁慶に興味があると知りなさい」

 

「よいかの。まずは源義経。武蔵坊弁慶。2人の紹介じゃ。両方女性じゃ」

 

「それでは、源義経! 武蔵坊弁慶! でませい!」

 

 




いかがでしたでしょうか?1年半というブランクがあったのでうまく書けたか不安です。

それでは皆さん次の更新で会いましょう!


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第四話 川神水と川神煙管

四話です! 皆さんちゃんと書いてますよ?
我、書いてるよ?

感想評価おまちしてます

※ハルマさんからご指摘のあった「1位以下なら」を「1位から落ちたら」に修正しました。


壇上に現れたの東西交流戦の最後に助太刀に入ったポニーテールの少女。そしてもう1人は…。

 

 「ドーモ。皆=サン。一応ベン・ケーです。よろしく」

 

 皆が想像していた、どこぞのオッパイドラゴンの活躍する話に出てくるゴリマッチョのような武蔵坊弁慶ではなく。推定3サイズ 89 59 88のスラリと背の高い、癖っ毛が特徴の美人が壇上に現れた。

 

「結婚してくれーーーーーー!!!」 「ドーモ。ベン・ケーさん。タマムシです!!」 「てめー何勝手に夫婦になろうとしてやがる!」 「生き様を知った時から愛してましたァああああああ!!」 「え? それって実際┌(┌^o^)┐ホモォ…」 

 

「あんたら、アホの極みだわ…」

 

「ありえない系なんですけどー」

 

発狂したかのような男子のテンションに、先程まで謙信に対しての黄色い悲鳴を上げていた女子達は途端に冷静になっていく。反応としてはどっちもどっちである。

 

「つかさ、清楚とか見ちまうと…アタイ自身が薄汚れて思えてきてさー」

 

「わかるわぁ…ホント自信なくなっちゃうよ」

 

「んん…ごほんっ、え…と、えと」

 

「義経ちゃん、大丈夫だよ」

 

「落ち着いて義経。義経はやれば出来る子だよ」

 

「一度深呼吸だ、義経」

 

 挨拶をしようと、緊張している壇上の義経を応援するように、清楚、弁慶、謙信が声をかける。

 

「すー、はぁー。よしっ。源義経だ、性別は女だが気にしないでくれ」

 

「義経は、武士道プランに関わる人間として、恥じない振る舞いをしていこうと思う。よろしく頼む!」

 

 義経がペコリと、挨拶すると男子女子かかわらず歓声が上がる。

 

「こっちこそよろしくダッゼッ!!」 「義経ちゃーーん! こっち向いてぇーー!」 「お兄ちゃんとよんでくれーーー!!」 「俺はお兄たまでッ!!」 「お姉ちゃんって呼んで義経ちゃーーーん!」

 

「挨拶できたぞ、謙兄ぃ! 弁慶!」

 

 とたたたっ、と謙信と弁慶の所に報告に行く義経。その姿はどこか子犬を連想させる可愛さがある。

 

 

「ちゃんと聞いてたぞ。えらいえらい」

 

 謙信が頭をなでると、えへへと嬉しそうに頬をほころばせる。

 

「あのさ、義経。マイクまだ入ってる」

「あわわ…失礼した」

 

「緊張しすぎないことだね」

 

 そう言いながらも義経の頭を撫でながら弁慶は微笑む。

 

「頻りに、頻りに反省する」

 

「さてさて、女子諸君。次は上杉謙信に続き、武士道プラン二人目の男子じゃぞい」

 

「2-S、那須与一! でませい!」

 

「那須与一と言えば弓使い。まぁ女の子じゃないからキャラ被りもアリで」

 

「そんな基準でいいんだ」

 

 2-Fの椎名京と直江大和がそんな話をしていると次第に周りが騒がしくなる。那須与一が現れないのである。

 

 シーン

 

「あぁ? 出てこねーじゃねーか」

 

「恥ずかしがってるんですかね? 」

 

 しかし一向に出て来る気配はない。

 

「照れてるのかのう? よーいーち!」

 

「怖がらなくてもいいですよー! よーいーちーさーん!」 「2-Fの委員長…相変わらず優しいんだよなぁ」 

 

「あれ? いないようですネ」

 

「いきなりサボりとは、なかなかユニークな生徒ですね」

 

 徐々にザワつきが広がっていく。その状況を見て義経は慌て、弁慶は怒りをあらわにする。その中、謙信と清楚は仕方がないなぁといった表情でお互いを見合う。

 

「聞いてくれ皆、与一は、今、その、来てはいないが…あの…」

 

「照れ屋で、気難しい奴だが…与一はいい奴なんだ!」

 

「いない件は義経が謝る、だから与一の奴を許してくれ。すまない」

 

 そう言って義経が皆の前で深々と、頭を下げる。

 

「だから、皆、与一と仲良くしてやってくれ」

 

「はっー! 美味しい」

 

「っぱ…っぱ、すー…ふぅー」

 

「おーーーーい! 瓢箪が気にはなっていたが後ろで弁慶が酒飲んでるぞーーーー!!!」

「つか! 謙信の方は煙管ふかしてんぞ! なにやってんだあの2人ーーーー!!」

 

「弁慶! それに謙兄ぃまで、我慢できなかったのか?」

 

「申し訳ない」

 

「ふー…いやぁ、お恥ずかしい」

 

 弁慶と謙信が未成年がやってはいけないことを堂々とやってることに皆が唖然としてる中、義経が2人の弁解を始める。

 

「これはだな、みんなも知ってる川神水だ、断じて酒ではないぞ。それと、謙兄ぃが吸っているのは川神煙管だ。川神たばこを使っているから身体に害は全くない」

 

「なんだ、そうか。…って、ん? 川神煙管と川神たばこってなんだ?」

 

 クリスの疑問にほかの生徒も首をかしげる。はて、川神市に生まれた時から住んでいるが聞いた覚えがない。そう思っている生徒達に鉄心が説明する。

 

「皆、川神に住んでおるのに聞いたことが無いじゃろ?」

 

「川神煙管は、川神市にのみ生息する、竹齢100年を超える川神竹を使った煙管での。一本の値段が高級外車フェローリ一台分する逸品での、50年に一本しか作られん。」

 

 フェローリ一台分と聞いて皆の顔が引き攣る。

 

「さらに、川神たばこじゃが、これも川神市にしか生息しておらん物でな。栽培ができない上に野生でしか育たんことからめったに見つからん。その川神たばこの葉を熟成させて無添加で作ったのが、川神たばこじゃ。しかもこの川神たばこ、害がないどころか血の巡りが良くなる、精神が落ち着く、身体から毒素をだす、などの効果がある。ちなみにお値段50gで、時価じゃ。最低額でたしか大型バイクが買える値段だったかのう?」

 

 時価。大型バイクが買える値段。それを聞いた瞬間皆が謙信の持つ煙管に視線が向く。

 

「それにしても、あまりに特別待遇すぎませんか?」

 

 生徒の中からそんな声が聞こえてくる。確かに、武士道プランの申し子だからと言ってあまりに特別待遇すぎる。

皆の視線が鉄心に向くと、分かっているとばかりに1つ頷く。

 

「うむ、その代わり。弁慶は学年順位が学年で4位以下なら、即退学という念書ももらっておる。上杉謙信については、学年1位から落ちたら即退学に加え、定期的に学園からの依頼を請け負ってもらうと念書をもらっとる」

 

 

 先程までの謙信や弁慶に対する文句はどこへやら。弁慶と謙信の学園4位以上と学年1位宣言に早くも同じクラスになる生徒や同じ学年の生徒たちが2人をライバル視し始める。

ここに来て早くも武士道プランの効果が出て来てることに、教師陣も申し子たちも笑みを浮かべるのであった。




うん与一のシーンカットしたよ

だってね、オレの厨二心をえぐるんだもん!!

では次の話でまた会いましょう


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第五話 私の愛機は紅ハスです

徐々にお気に入り数も増えて来て私とても嬉しいです!

誤字脱字のしてき、感想評価お待ちしてます!


「おほんっ。少々話が脱線してしまったの、次で最後じゃ。共に1年生で武士道プランの関係者じゃ」

 

 正装で楽器を所持した集団が校庭の脇に現れ、生徒たちの視線がそちらに向かう。

 

「お? なんか行儀のいい奴らがたくさん出てきたぞ」

 

「おや? あれは高名なウィー○交響楽団…なぜ彼らがこんな場所に?」

 

 交響楽団は楽器のセットをすぐに済ますとそのまま演奏を始め出した。

 

「? もしかして、登場用BGM的なやつ?」

 

「この感じ…あの一族の予感しかしないわ」

 

 既に何人かの生徒たちは、登場する人物がどういった者なのか察しが付き始めていた。このような金のかかった登場をするなどあの一族しかいまい。

 そんな風に皆が思い始めると後ろの方から生徒たちのどよめきが起こった。何事かと皆の視線がそちらを見ると、そこには――。

 

 九鬼従者部隊が一糸乱れぬ姿で二列に並んで此方に歩いてくるではないか。さすがの川神学園の生徒たちも道を開ける。すると、壇上の前で止まり二列に並んだ従者たちがお互いの方を向き合い、肩に手を置き頭を下げる。一番前がするようにどんどん後ろの方まで同じ姿勢になっていく。

 最後の方まで行く頃には住者たちは綺麗な橋を作り上げていた。

 

「ちょっ!? なにあれぇ!」 「人間ブリッジってやつか?」 「さすが九鬼の従者部隊、一切の乱れがねぇ」「あれの下を潜ってくるのかね?」 

 

 生徒たちが従者達に目を奪われていると、後ろの方からどこかで聞いたような笑い方が聞こえてくる。

 

 

「ふっふっふっふっふ。ふーふっふっふっふっふ。ふーはっはっはっはっは!」

 

「我、顕現である」

 

 現れたのは小さな少女。しかし少女の額の十文字の傷が九鬼の血縁者であることを分からせる。

 

「フハハハ、何を隠そう、我の妹である!!」

 

「分かっとるわぁーーー!! それ以外の何があると言うのじゃ!」

 

「見た瞬間、心が震えたっ…圧倒的カリスマッ…! 俺の心をキャッチマイハートッ!!」

 

「このハゲ、最後もう何を言ってるのかわからんのじゃ…」

 

「じゅんは単純ですからね」

 

「おぉ~、冬馬がダジャレを言ったのだ!」

 

 そんな彼らを尻目に、彼女は悠々と壇上の上に降り立つ。

 

 「我の名前は九鬼紋白。紋様と気軽に呼ぶがいい!」

 

 「我は飛び級することになってな。武士道プランの受け皿にもなっている、この川神学園を選んだのだ。護衛どもの手間も省けるからな」

 

「われは退屈を良しとせぬ。一度きりの人生、楽しくやろうではないか! フハハハハーーーーーッッッ!」

 

 九鬼紋白の登場に皆がざわつく。九鬼英雄1人だけでも濃いのに更にもう1人増えたのだ。もはやカオスの領域である。

 

「おいじじい。もう1人の転入生はどうした?」

 

 百代が鉄心に質問を投げかける。そういえば、と皆が壇上を見やる。壇上にいるのは九鬼紋白とお付きの従者だけである。皆の視線が一度その従者へと向く。金髪の老従者だが、その姿からは一切の衰えを見せることはない。皆視線を戻し、思う。いくら九鬼や川神学園だからといって、いや、流石に、ねぇ? あの従者が転入生とか。しか1年生、ないないない。流石にない。

 

「さっきから紋ちゃんの隣に立っておるじゃろうが」

 

「おいおい、やっぱりそんなオチかよ。見てみろじじい。皆それだけは無いだろうと思ってたのに、このオチ。さすがにないわぁ」

 

 うんうん。と生徒たちが頷く。

 

「皆さんはじめまして、新しく1年S組に入ることになりました。ヒューム・ヘルシングです」

 

「そんな老けた学生はいない」

 

「ヒュームは特別枠、紋ちゃんの護衛じゃ」

 

 その説明に生徒たちが別に転入じゃなくてもよくね? と思うのは当然だろう。

「別に転入しなくてもいいんじゃないかぁ」

 

「そんな年配の方が来ても話題が合わない気が」

 

「お嬢さん、こう見えてもゲームなど好きですよ? 紅ハスが私のロボです」

 

「それエロゲーじゃねーか! 女子がしってるかよ!」

 

 2年F組の生徒からヤジを受けるヒュームを百代は観察するように見る。

 

「あの爺さんがヒューム・ヘルシングか…」

 

「強いで候?」

 

 矢場の質問に首を振りじっとヒュームを見る。

 

「強いなんてレベルじゃないな、九鬼家従者部隊の零番だ。だが想像していたより強くは…いや、上杉謙信のこともあるしなぁ。うかつな判断はできんな」

 

「ほう、少しは学ぶことがあったようだな? だが、俺に言わせれば“まだまだ赤子”よ」

 

 先ほどの謙信と同じように、百代の後ろに突然現れるヒューム。しかしそれを予想していたのか、百代は驚くこともせずヒュームに振り返る。

 

「流石に同じことをされても驚きませんよ。それに、強者の前で気を緩めるなんて、とてもとても」

 

「ふん」

(ほう。謙信の隠された実力を見抜けなかったのが、いい方向に作用したようだな)

 

ヒュームは少し口の端を持ち上げるが直ぐに元の仏頂面に戻る。

 

 




 どうだったでしょうか? 武士道プランの最初の段階はもう少し続きます。1~3話といったところでしょうか? 

 その後日常編やらなんやら書いていくと思います!

感想評価お待ちしてます。


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