迷宮図書館の館長さん【休載中】 (零崎妖識)
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プロローグ

零崎妖識(ぜろざきあやしき)と申します。それではどうぞ。


平行世界。ほとんどこの世界と変わらないが少し違う、一種の異世界。ほんの少し違う行動をした世界として分岐した世界。詰まりそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そう、捉える事が出来る、と言う事となる。その中の一つ、我々が東方Projectと呼ぶ世界の近く、世界と世界の間に、その建物は存在した。

 

 

【迷宮図書館】

 

 

辿り着くには、少なくとも一回目は迷い込むしか無い、不思議な図書館である。少し中を覗いてみよう。

 

入り口を入ると大広間。円形の大部屋で、天井が見えない程高い。壁の代わりに本棚があり、一つ一つが人一人分よりも高い。本棚と本棚の間には通路があり、何処までも続いている。また、一部の本棚には上階への階段が付いている。もちろん、地下への階段も。

 

部屋の奥にはカウンター。乱雑に本が置かれている。注意書きも有る。利用者へのようだ。

 

【迷宮図書館へようこそ。利用者の方は以下の規則を守って貰います。

一、大声を出さない

二、喧嘩をしない

三、本の貸し出し期限は絶対遵守。ただし、本によって期限は違います

四、図書館内は迷宮となっているのでお気をつけください。妖怪、魔物、モンスターの類いは、利用者の方、もしくはそのお連れ様以外現れませんのでご安心を

五、図書館内で迷っても責任は負いませんのでご了承ください。

六、地下深くには本物のダンジョンが存在します。が、死にはしないのでご安心を

八、本を読む際は、何があっても自己責任で。どうしようもない場合以外、館長は関与しません。介抱はしますが

九、もし図書館内で喧嘩をするのであればゲームで解決を。ただし、《十の盟約(改)》に従ってゲームを行って貰います。

【一つ】この図書館内(地下ダンジョンを除く)におけるあらゆる殺傷、戦争、略奪を禁ずる

【二つ】争いは全てゲームによる勝敗で解決するものとする

【三つ】ゲームには、相互が対等と判断したものを賭けて行われる

【四つ】"三"に反しない限り、ゲーム内容、賭けるものは一切を問わないが、生命だけは賭ける事を禁ずる

【五つ】ゲーム内容は、挑まれたほうが決定権を有するが、弾幕ごっこなど、少なからず周りに被害を与える可能性があるものは禁ずる

【六つ】"盟約に誓って"行われた賭けは、絶対遵守される

【七つ】集団における争いは、全権代理者をたてるものとする

【八つ】ゲーム中の不正発覚は、敗北とみなす

【九つ】以上をもって館長の名のもと絶対不変のルールとする

【十】みんななかよくプレイしましょう

 

以上のルールを守れない場合、館長が制裁を加えるのでご注意を】

 

「うーん」

 

カウンターの背後の椅子、そこには一人の少女が居た。彼女がこの図書館の館長のようだ。

 

蒼色の髪に同色の瞳、濃紺のローブを着て、サンダルを素足履きしている。年齢は、見た目十五歳ほど。スレンダーな体型であるが、胸に関しての描写は少女の尊厳の為止めておく。

 

服には名札が付いていた。

 

【迷宮図書館館長:水華(みずはな)夏流(なつる)

 

……以外にも、日本人のようだった。




魔法少女みそぎ☆マギカと言う小説も書いております。よろしければそちらもどうぞ。


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余白「設定その一」

設定。オリキャラが出たりしてきたらその二書きます。


・迷宮図書館

その名の通り、内部が迷宮となっている図書館。一応地図は有る。一部が飲食可能なスペースになっている。

 

とある人外数名に頼んで館長が建てた。

 

ありとあらゆる本が揃う。日記、漫画、小説、攻略本、幻書、魔道書となんでもござれ。ただし、多過ぎて何があるのか覚えきれてない。

 

・内部構造

何が何だかわからないレベルでの迷宮。物理法則を無視している部屋、重力が可笑しい部屋、水没している部屋、森の中、火山の中、嵐の中、もはや異世界としか思えないが、そもそもどの世界にも属していないため、正真正銘の異世界である。

 

書架が大半を占めるが、一部カフェテリアやゲームスペース、実験室がある。

 

地下深くには大きなダンジョンが存在する。何が出ても可笑しくない。ドラゴン、ゾンビ、タイラント、クリーパー、バシリスク、魔女、毛玉etc.

 

もちろん、内部構造は常識が仕事をしていない。詰まりはカオス。一部は一辺一メートルの立方体で世界が構築されてる場所も。そこでは黒曜石は最強のブロック。異世界の癖に異世界に行ける。

 

注意書きは省略。補足として、館長が認めた場合に限り、館長立ち会いのもと、弾幕ごっこ含むガチバトルが出来る。

 

入り方は、少なくとも一回目は迷い込むしかない。もしくは、誰かに連れてこられる。迷い込むのは悩みのある人、何かに追われて偶然入り込んだ人など。時々、道に迷って辿り着いたと言う凄い人がいたりする。二回目以降は図書館に行きたいと念じれながら何かの境界を超えると入れる。出る場所は基本入った場所。館長に頼めば自由な場所に出られるが、イメージに失敗すると[かべのなかにいる!]状態になってしまう。

 

入り込むモノは時間軸を問わないため、死に別れた人物と出くわすことも。死んだ者も来る。

 

・館長

本名【水華夏流】「みずはななつる」と読む。

 

見た目十五歳。本来の年齢は千近い。蒼色の背中まで伸びたロングヘア、同色の瞳、濃紺のローブを着て、胸元に名札を付けている。背は普通。霊夢ぐらい。まな板に近い微乳。あんまり気にしてない。ローブの下はワイシャツ。部屋着はワイシャツにジーンズ。動きやすいから。おしゃれなにそれおいしいの?交友関係が広い。色々な世界に知り合いがいる。

 

もともとは東方世界に住んでいたが、能力のおかげで別世界に渡れた。一番仲が良いのはパチュリー。本好きなので。

 

八雲紫とはそこそこ仲が良い。信頼はしているが、信用しきってはいない。ちなみに、図書館を建てるのに協力したモノのうち、二人はパチュリーと紫。紫も色々な世界へ遊びに行っている。

 

能力

【あらゆる本を読める程度の能力】

どのような言語で書かれていても本が読める。つまり、魔道書使いほうだい。

 

【あらゆる本が解る程度の能力】

どんな本が欲しいか、それを念じるだけで本の題名、能力、副作用などが解る。

 

【あらゆる本を呼び寄せることが出来る程度の能力】

そのまま。題名が解ればその本を召喚出来る能力。なお、召喚出来るのは図書館内の本だけ。【王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)】の本版と考えていただければ。どちらかと言うと【ダンタリアンの書架】に近い。

 

【あらゆる本を写す程度の能力】

所謂写本。写したい本を手に持ち、念じれば発動。転写元と全く変わらない複製品が創り出せる。図書館にある本の半分くらいはこの能力で転写した物。

 

【本の中のモノを扱える程度の能力】

本の中のモノを扱える。物質、能力を問わない。ただし、元となる本が手元にないと使えない。ラノベ持たせたら最強、哲学書持たせたら最弱?

 

 

・本の種類

普通の本(小説や漫画など、何の効力も持たない、珍しくもない本)の説明は無し。

 

【珍書・奇書】

何の目的で書かれたのか、全く解らない本。夏流は解るが、面倒なので言わない。

例、〔ヴォイニッチ写本〕など。

 

魔道書(グリモワール)

主に魔法使いが魔術、もしくは魔法の研究用に書いた本。〈原典〉と呼ばれる物の一部は、本文の一部を見ただけで発狂するかもしれないレベルでやばい。夏流は平気。能力のおかげでもあるが、慣れたと言う部分が大きい。夏流は本に関してはチートクラス。

例、〔法の書〕、〔ネクロノミコン〕など。

 

【妖魔本】

妖怪などの、怪しく異なるモノに関して書かれた本。妖怪が書いた本も含まれる。何かが封印されてる時もある。

 

例、〔幻想郷縁起〕、〔友人帳〕など。

 

【幻書】

この世に無い知識を記した本。魔道書や妖魔本も一部含まれる。読み手を自ら選び、読み手以外が使うと本来の力は発揮し無い。また、一定条件下で封印が解ける。そのために、貸し出し期間を徹底している。

例、〔ステュクスの盾の書〕、〔妖精の書〕など。

 

一般記録(ホームレコード)

一人の人間の生き様を描いた本。月の光で本に焼き付けるしか書く方法が無い。閲覧不可。

 

上天記録(イサリックレコード)

星座を形作る星の記録。星の光からでしか作れない。閲覧不可。




能力多いな(自分で考えた癖に)


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一頁目「お客さん」

作中で出た本は後書きで解説します。


夏流はある人物と会っていた。人物というか、人外なのだが。

 

【パチュリー・ノーレッジ】

 

西洋の東洋魔術師と呼ばれる、七曜の魔女である。

 

彼女は夏流の親友であり、同時に、図書館のお得意様でもあった。

 

パチュリー自身も大図書館を紅魔館の地下に持っている。何故この図書館に来るのかと言うと、彼女が知らない本が大量に存在しているからである。

 

もちろん、彼女も本の提供はした。しかし、パチュリーの図書館の蔵書量をもってしても、ここの蔵書量には全く敵わないのである。

 

「精霊魔法に関する本って置いてある?」

 

「在るけど、前読んでなかったっけ?」

 

「確認し直したいのよ。一度目と二度目だと、大分印象が変わることが多いもの」

 

「そ。じゃあ、パラケルススの四大精霊を呼び出せる、〔妖精の書〕で良い?」

 

「確か、炎の精霊(ジン)を呼び出せる奴も無かった?」

 

「〔千の嘆きの書〕ね。両方、次の満月までが期限よ」

 

「ありがとう。今度、咲夜の紅茶を持って来るわ」

 

バタンッ

 

「夏流ー、パチェこっちにいるかしらー?」

 

「あら、レミィ。パチェがここにいるって確信して来てるでしょ?」

 

「様式美ってヤツよ。パチェ、一仕事お願い出来るかしら」

 

「はいはい、わかったわ。じゃ、次の満月までにはちゃんと返すわ」

 

キィ、バタン

 

「ふぅ、さて、何を読もうかな〜」

 

コーヒーを注ぎながら、次読む本を思案する少女。だが、コーヒーを淹れ終わった直後、新たな客がやって来てしまった。

 

「……此処は、一体……」

 

 

少女は怒っていた。繰り返す事しか出来ない自分に対して。

 

「また、ダメだった……!」

 

さて、このセリフで、解る人は解るだろう。時間を遡りある少女を救おうとする少女。暁美ほむらである。

 

彼女は時間を遡っている最中だった。つまり、時間の境界を超えようとしている最中なのだ。

 

だからこそ、彼女は招かれた。

 

「……此処は、一体……」

 

 

黒髪ロングで、学校の制服を着た少女が入ってきた。

 

「いらっしゃい」

 

「……貴女は誰かしら。此処は何処なのか、きっちり答えて貰うわよ」

 

夏流へ向けて拳銃を構える少女。対して夏流は、一冊の本を開き、

 

「迷宮図書館へようこそ」

 

挨拶をした。

 

 

「随分余裕ね。貴女、銃を突きつけられてるのよ?」

 

「防げるモノを何で恐れなきゃならないの?」

 

「……貴女は何者なの」

 

「迷宮図書館館長、水華夏流」

 

「此処は何処かしら」

 

「迷宮図書館。迷い辿り着く迷宮の書架。ま、ゆっくりしていきなさい」

 

「ふざけないで。……此処が魔女の結界だとしたら、貴女を殺せば出れるかしら?」

 

「結界は張られてるけど、多分貴女が思ってる結界と私が張ってる結界は違う」

 

タァン

 

「……いきなり何するの。驚いたじゃない」

 

「……何で弾が急に止まったのかしら」

 

銃弾は、謎の少女ーーー水華夏流の前で止まっていた。

 

「〔ステュクスの盾の書〕。一千の槍でも貫けない最強クラスの防護結界を張る幻書。貴女が何をしたいのか解らないけれど、悩みを聞くぐらいなら出来る。何故、そこまで焦っているの?」

 

「……まどかを、大切な人を守らなきゃいけないの。貴女にかまってる暇はない」

 

「……まどか、ね」

 

一冊の本を虚空から取り出す夏流。

 

「見つけた。鹿目まどか、見滝原中所属の女子。大きな因果を抱えている。関連項目として何人かの名前が在るけど……暁美ほむら、であってる?」

 

「ッ!?……何でわかったの?」

 

「曰く、出来事の方から書き込まれる辞書。出来事自身が書き込むから、何でも解るの」

 

「……なら、ワルプルギスの夜の攻略法も載ってるのかしら?」

 

「さあ?もう戻しちゃったし、解らないわね。取り出すの面倒だし」

 

「……此処は、図書館って言ってたわよね」

 

「ええ。どんな本でも在るわ」

 

「なら、ワルプルギスの夜に勝てる本はあるかしら」

 

「もちろん、色々あるわ」

 

「なら、貸して貰えるかしら?必要なの」

 

「いつ、ワルプルギスの夜とやらと闘うのか知らないけど、直前に借りに来なさい。貸し出し期限をオーバーするかもしれないし」

 

「如何すれば此処に来れるの?」

 

「此処に来たいと念じながら、何かの境界を越えなさい。鳥居をくぐるでもいいし、部屋を移るでもいいし。そうすれば、此処に来れる」

 

「……また来るわ」

 

「ええ。何時でも歓迎するわ」

 

扉を開け、図書館を出る。すると、いつも通りのーーーループ直後の病室に辿り着いた。夢だったのか、そう思ったが、拳銃の弾は確かに減っている。少しぐらい、期待してみるのも、いいかもしれない。

 

 




〔妖精の書〕
パラケルススの四大精霊を召喚出来る。出典は【ダンタリアンの書架】。名前が載って無かった気がするので名前は創作。

〔千の嘆きの書〕
炎の精霊を召喚出来る。【ダンタリアンの書架】出典。

〔ステュクスの盾の書〕
一千の槍でも貫けない盾。【ダンタリアンの書架】出典。

〔辞書〕
名前無し。とあるSSに載っていたアイテム。【人類は衰退しました】と【魔法少女まどか☆マギカ】のクロスSS出典。題名は【魔法少女は衰退しました】。


だいたいがダンタリアンの書架から出ている状況。

追記 パラケルススの本、ダンタリアンの書架一巻に名前載ってたので変更
【精霊の書】→【妖精の書】


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二頁目「日常」

「ふむ、ここは私に任せて貰っても?」

 

図書館の一角にある喫茶店。先程まで客だった者がカウンターに立っていた。

 

「ありがとう。じゃあ、MAXコーヒーでも淹れてくれる?」

 

「あれは糖分が多すぎる。菓子類は暫く食べるな」

 

「ケチ」

 

「お前の健康を心配して言ってるんだ」

 

「私を心配するぐらいならさっさと行ってあの子救ってきなさいよ、エミヤシロウ(アーチャー)

 

エミヤシロウ。未来の英霊である。何故彼がここに居るか?簡単だ。彼がまだ“衛宮士郎”だった時にここに迷い込んだことがあるのだ。その後、彼は落ち着きたい時にここに来る様になった。

 

因みに、彼の初恋の相手もここに来ることがある。

 

バタンッ

 

「シロウ!ここに居たのですか!」

 

ちょうど来た。

 

「いらっしゃい、セイバー」

 

「ナツル、私の事はアルトリアで良いと何度言ったら解るのですか」

 

「はいはい。で、何しに来たの?アルトリア」

 

「シロウを捜しに来ました」

 

「だってさ、アーチャー?」

 

「他の英霊の座に軽々と遊びに行くな、セイバー」

 

「いいでしょう?あなたと私の仲ですもの」

 

「……若干、遠坂が混じってなかったか?」

 

「気のせいでしょう。そう言えばナツル」

 

「何?」

 

「セイバークラスを駆逐出来る本は在りますか!?」

 

「どうしたの、急に」

 

「似た顔のセイバークラスが多すぎるのです!」

 

「乙。今のあなたの心境は?」

 

「セイバーに会えばセイバーを斬る、神に会えば神を斬る。主に、セイバーばかりを増やす神を!」

 

「じゃ、この本で良いかしらね。【大いなる女王の(うた)】。戦争の結末を自由に操れる秘呪が記されてる。終わったら返してね」

 

「ありがとうございます、ナツル。さぁ、シロウ、行きましょう!打倒、全セイバー!」

 

「全セイバーだとお前も打倒されるだろう。私は暫くここでのんびりしてるよ」

 

「わかりました。では、行ってきます」

 

「気をつけてねー」

 

 

「なぁ、ナツル。さっきここに父上様が来なかったか?」

 

「来たけど、似たような顔のセイバーが増えてるから駆逐するって言ってたけど。あなたも気をつけて?モードレッド」

 

「ちょっとあの人が行った聖杯戦争に乱入してくる。合法的にあの人と闘えるチャンスだ!」

 

「ちょっと待って?【破却宣言(キャッサー・デ・ロジェスティラ)】貸してあげる。アルトリアに幻書貸しちゃったから」

 

「ありがと。行ってくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

「何か、結ばれた物を解いたりする力を持つ本は在るかしら?」

 

「使用用途をちょっと教えて?」

 

「知り合いを助けたいのだけれど、どうしても彼女に縛られて置き去りにされてしまうの。どうしたら良いかしらね」

 

「アーチャー、行ってくれば?」

 

「ふむ、困っているなら手を貸そう」

 

「誰この人」

 

「アーチャー。英霊よ。あなたの知り合いが大変な事になる原因は知らないけど、こいつに吹き飛ばして貰えばいいじゃない」

 

「強いの?」

 

「仮にも英霊よ。強いに決まってる」

 

「アーチャーだ。よろしく」

 

「暁美ほむらよ。力を借りるわ」

 

「頑張ってねー」

 

 

「さて、何を読もうかしらって、あら?」

 

自分以外居なくなった図書館。本を読もうとしていた少女は何かを見つける。面倒事に巻き込まれると解っていながらも、彼女はソレを拾う。いい話のタネになる、と。

 

「青い……人形……?」




【大いなる女王の詩】
戦争の結末を自由に操る女神モリガンの秘呪が記されている。【ダンタリアンの書架】出典。

【破却宣言】
ある魔女が持っていた、全ての魔術を防ぐ術が記載されている書。アストルフォが師匠である魔女から譲り受けた。が、名前を忘れてしまい、【魔術万能攻略書(ルナ・ブレイクマニュアル)】と言う名前で憶えていた。ロジェスティラとは、アストルフォに本を譲った魔女の名前。師匠の名前を、アストルフォは忘れていたと言う事になる。【Fate/Apocrypha】出典。


こっちでも出しちゃったよ青い人形。


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三頁目 「Mary(と愉快な仲間たち)」

キャラほーかいちゅーいです?


赤い目を持つ青い人形。ソレを拾った瞬間、図書館に変化が起こった。図書館は夏流とリンクしている。夏流は図書館内の異変を察知出来るのである(地下ダンジョンは無理)。

 

異変が起きた場所。そこは元々は存在しなかった部分だった。しかし、扉が出現している。扉の上には看板があり、

 

【ゲルテナ展 Weiss Guertena】

 

と書かれていた。

 

「美術館……かな?何にせよ調べてみないと」

 

扉を開け、中に入る。やはり美術館ではあるが、どこか不気味である。

 

「取り敢えず、此処に主のような者が居るなら、そこに向かいましょうかね」

 

一つの本を取り出す夏流。その本の表紙には【〈魔神〉オティヌス】と書かれている。

 

「〈憑依 《魔神オティヌス》〉」

 

宣言する。オティヌスの力の一部が夏流に流れてくる。全知全能。北欧の主神(オーディン)の知識を手にした夏流は、この美術館の構造、この美術館に主はいるのか、どこにその主はいるのかを確認した後、本を虚空へとしまった。主神の力を憑依させるのは疲れるのである。

 

新たに取り出したのは【天翼種(フリューゲル)について】と書かれた本。

 

「〈空間転移(シフト)〉」

 

一度視認した場所であれば何処へでも移動出来る、デタラメのような転移魔法。目的地に到着した夏流が見たのは、黄色の薔薇を持った、金髪の女の子だった。

 

 

私は寂しかった。本物の世界に行ってみたかった。だから、二人を自分の世界へ連れてきて、どちらかと自分を交換しようとした。でも、二人には自分の正体がバレちゃった。彼のライターで私の本体である絵画(Mary)は焼かれちゃった。彼女を悲しませたくはない。だから彼は生かしておかなくちゃならない。外に出たい。けど、誰かと交換しなくちゃ出られない。悩んでいたら、いつのまにか焼かれてた。

 

よかった、外に出れたんだね。あの人とも再開して、楽しそうにしている。今の私は記憶の残滓みたいなものなのだろう。死ぬ直前の数秒間。もうすぐ私は消える。二人を見るのも終わり。彼女たちが幸せに暮らせますようにーーー

 

 

会いたいよ、イヴ、ギャリー……

 

 

 

気付いた時、私は、みんな(ゲルテナの作品たち)と一緒に、美術館の中にいた。

 

「こ、ここは?」

 

[どこだろうね]

 

[びじゅつかんにみえるけど?]

 

[ギャリーたちいる?]

 

「ちくわだいみょうじんです?」

 

「[[[誰だあんた]]]」

 

青い目の人形が話していると、なんか変なこと言ってきたなんか変な奴がいた。(・ワ・)←こんな顔したちっこいの。じっと見てたら、変な音がした。そっちを見ると、蒼い髪の毛の、本を持った女の人が立っていた。




人衰タグ追加確定。青い人形とかの、メアリーを除く美術品の会話は[ ]で表し、壁などに絵の具でセリフが書かれていると認識してください。少しすると、書かれたセリフは消えます。環境に優しいです。


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四頁目「魂魄を本物に」

メアリーが原作と比べて精神が幼くなっています。あと、ギャリーにもデレています。


前回の本の説明忘れてたので今回やりますね。


少女は困惑した様子で此方を見る。彼女の近くには三体の、赤い目を持った青い人形と、何故か妖精さんがいた。

 

「にんげんさんひさしぶりです?」

 

「久しぶりね、妖精さん。で、そっちの貴女は誰かしら?」

 

「……メアリーよ。ここはどこかしら。後、貴女の名前は?」

 

「水華夏流よ。ここの入り口には、ゲルテナ展って書かれてた。後、Weiss(ワイズ) Guertena(ゲルテナ)とも」

 

「やっぱり……でも、なんで?私は確かに焼滅したはずなのに」

 

「生と死の境界を越えたのね。だから、ここへ迷い込めた。何故美術館も転移したのか解らないけれど、貴女、悩みや願いがあるんじゃない?ここは迷宮図書館。どんな本でも取り揃え、どんな悩みも聞いてあげれる。聞かせて?」

 

[びじゅつかんなのにとしょかん?]

 

「美術館が図書館の一角に転移したの。てか、その絵の具落ちるでしょうね」

 

「すこしすればしぜんにかえりますが?」

 

「悩みの前に、こいつについて聞いても良いかしら、ナツル?」

 

「妖精さんは妖精さんとしか言いようがないわね。正体不明、けれど謎の科学力を持つ。そこに居るだけで世界が面白可笑しくなる。そんな常識はずれな存在」

 

「なるほど、要するに何も解らないってこと?」

 

「余り解らないってこと。少しは解る」

 

[メアリー、おねがいをいいなよ]

 

[あいたいんでしょ?ふたりに]

 

[このひとならなんとかなるんじゃない?]

 

「……わかった。私は、ある二人に会いたい。もう一度、あの二人と笑いたい!」

 

「良いけど?」

 

「軽っ」

 

「けど、貴女この美術館に縛られてるわね。ちょっと調べるけど、良い?」

 

「ええ。二人に会えるのなら何でもするわ」

 

「いま、なんでもするって「妖精さんは黙ってて」あひー」

 

 

 

 

「結果。貴女の肉体は絵の具で、魂は人工物。魂魄共に不完全ね。肉体はともかく、本物の魂を持たないとこの美術館は出れないみたい」

 

「じゃあ、どうすれば……」

 

「錬金術でなんとか出来るけど?四通りの方法が思い浮かんだけれど、もう少しありそうね。どれでも良いよね?」

 

「覚悟は出来てる。お願い」

 

夏流は一冊の本を取り出す。題名は【黄金錬成(アルス・マグナ)】。錬金術関連の本の中でも、最上位のクラスに含まれる本。

 

さらにもう一冊。【山の翁】と書かれた本。かの暗殺教団の、全ての長の情報が載った本。

 

【山の翁】を開き、〈百の貌のハサン〉を憑依させる。そして【黄金錬成】を開き、詠唱を開始。元々簡略版だったと言う事もあり、詠唱は二分程で終わった。

 

【山の翁】を虚空に放り込み、メアリーを見据えて言う。

 

「魂魄を本物にしろ」

 

 

 

 

「魂魄を本物にしろ」

 

何かが変わった。何が変わったのかは解らない。しかし、確実に変わったのである。

 

「成功ね」

 

【黄金錬成】を仕舞いながら、彼女は告げた。自分が、人間になった、と。

 

「貴女の能力ーーー絵の力は残ってるし、自由に使える。あとは、貴女が会いたい人を呼ぶだけ」

 

「こっちから行くんじゃダメなの?」

 

「あっちからも自由に来れるようにしとかなきゃでしょ。一回何かしらのカタチで招かれないと、自由に入り込めないの。じゃ、広間に行くわよ。掴まってなさい」

 

虚空から【天翼種について】を取り出す夏流。

 

「〈空間転移〉」

 

独特の音と共に、広間へたどり着く。

 

驚き、周りを見渡すメアリーと青い人形をよそに、夏流が次に取り出したのは【幻想郷縁起(げんそうきょうえんぎ)】。

 

「〈憑依《八雲紫》〉」

 

スキマ妖怪の力を憑依させる夏流。紫が誰かを招待するときに取る手段。夏流は、メアリーが会いたいと言っている二人の名前を、メアリーを調べている時に聞いている。さあ、誘拐の時間だ。

 

「スキマへ没シュート」

 

 




【〈魔神〉オティヌス】
オティヌスについて書かれた本。全知全能にもなれるし、主神の槍(グングニル)使えるし、弩使えるしでチートの塊。しかしこのレベルなら他にも有ったりする。元ネタは【とある魔術の禁書目録】の〈魔神〉オティヌス。

【天翼種について】
天翼種と言う種族について書かれた本。チートの塊。天翼種とは、とある世界において、〈戦神〉アルトシュが生み出した戦闘種族。肉体と言う概念があまり意味を持たず、存在そのものが一つの魔法。彼女らが持つ最強の一撃、〈天撃〉は、フルパワーなら一発で海を蒸発させきれる。五パーセントで海を割れる。〈空間転移〉は、視認している場所、確認した場所、行った事のある場所なら、ノーリスクで何処へでも、何処までも行ける。ルーラ顔負け。空間を無理矢理押し通るので、甲高い音が出る。元ネタは【ノーゲーム・ノーライフ】の天翼種。

【黄金錬成】
本来の詠唱と、簡易版の詠唱が載っている。簡易版は短いが、一回の詠唱で一回しか使えない。言葉を発するだけで世界を塗り替える、錬金術の最高峰。だが、同じレベルの本は最低でも後三、四冊程ある。元ネタは【とある魔術の禁書目録】のアウレオルス=イザードの〈黄金錬成〉。

【山の翁】
ある暗殺教団の歴代の長に関して書かれた本。一人一人違う力を持つ為使い勝手がいいらしい。〈百の貌のハサン〉は、百の人格を実体として顕現出来る力を持つ。元ネタは【Fate/Zero】のアサシン。もちろん、staynightの真アサシンなども載っている。〈百の貌のハサン〉の中にはチビアサシンもちゃっかり居たりする。良かったな一部の紳士共。

【幻想郷縁起】
稗田家が発刊する、歴代の阿礼乙女が編集した幻想郷についての本。名物や有名な妖怪や妖精、神や人間、地域について書かれている。この幻想郷縁起は九代目である稗田阿求が編集したもの。時々改訂される。茶目っ気たっぷり。元ネタは【東方Project】。


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五頁目「また会えた」

ギャリー視点オンリー。夏流涙目。


街を歩く。友人ーーいや、今となっては世界で一番大切な人ーーとの待ち合わせ場所に向かっている。彼女はもう待ってるかもしれない。やっぱり、彼女はもう待ってた。

 

「ごめんなさい。待たせたかしら、イヴ」

 

「ううん、私も今来たところだよ。ギャリー」

 

 

 

 

アタシ達は数年前、とても恐い出来事に巻き込まれた。ある美術家の展覧会に来ていたアタシ達は、その美術家の世界に取り込まれてしまったのだ。その美術家の名は、ワイズ・ゲルテナ。最高クラスの才能を持っていた美術家だ。彼らが遺した作品達は皆命が宿っているかのようで、実際、仮初めとはいえ命を持っていたのだ。アタシは、そこで二人の少女と出会った。

 

イヴ、そしてメアリー。

 

三人で脱出しよう、一緒にマカロンを食べようーーー

 

そう、誓った。

 

しかし、それが叶うことは無かった。

 

メアリー。彼女の父はゲルテナだった。ゲルテナは生涯独身であり、子供はいない。つまり、彼女はゲルテナの作品だと言うこと。

 

彼女は外へ出たがっていた。しかし、外へ出るには、誰かと存在を交換しなければならかった。それを知ったメアリーは、自分を悪役へと仕立て上げ、アタシ達に自ら(Maryの絵画)を燃やさせたのだ。アタシ達がそれを知ったのは、燃やし尽くした後。青い人形が教えてくれた。

 

アタシとイヴは、事件の後、すぐに再会出来た。もっとも、記憶は封印されていたのか、イヴはレモンキャンデーを食べるまで、アタシはイヴから借りた、彼女の名前が刺繍されているハンカチを見るまで思い出せなかったのだが。

 

「ギャリー、着いたよ」

 

暫くして、イヴはアタシに告白してきた。説得はした。自分なんかより良い相手がいると。けれど彼女は聞かなかった。だから、条件を付けた。三年間、アタシのことを好きでい続けたら、付き合っても良い、と。一昨日がその三年目。アタシ達は結婚を前提に付き合い始めた。今日はイヴの両親への挨拶をしに、イヴの家へと来たのだ。

 

「開けても良いかしら」

 

「うん、良いよ」

 

扉を開けて中へ入る。が、床を踏みしめる感覚が無い。見ると、両端がリボンで結ばれた、暗い内部に目が蠢く空間が口を開けていた。

 

「へっ、キャアアアァァっ!?」

 

「ギャリー!?」

 

慌てて中へ入って来たイヴも落っこちる。

 

長い様な短い様な浮遊感の後、突然視界が開けて背中に硬い物があたる。

 

「痛っ」

 

「きゃうっ」

 

イヴがアタシの上にのしかかる。

 

「あっ、ギャリーごめんなさい!平気!?」

 

「アタシは大丈夫。それよりここは……?」

 

 

 

「ほんとに、ほんとにイヴとギャリーだ……!」

 

 

 

背後から聞こえてきた、聞き覚えのある声。しかし、彼女は焼滅したはず、アタシ達が、燃やしてしまったはずーーー

 

「また会えた!やった!久しぶり!イヴ!ギャリー!」

 

振り返ると、そこには記憶と寸分違わぬ、メアリー(と青い人形三体)が立っていて、アタシ達に抱き付いてきた。

 

 

「私、主人公のはずなのに空気……」




次回、シリアスブレイク。


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六頁目「家族」

シリアスをブレイク仕切れてるかな……?


どうも、夏流です。今私はブラックコーヒーを飲んでいます。本来私は甘党です。二頁目でアーチャーにMAXコーヒー淹れてくれって頼んでます。何故私がブラックコーヒーを飲んでいるのか。それは……

 

「えっ、イヴとギャリーって婚約してるの!?おめでとう!」

 

「ありがとう、メアリー」

 

「ふふっ、貴女も外に出れるようになれて良かったじゃない」

 

「うんっ」

 

……など、ピンク色のオーラが見えそうな位甘ったるい空気を、三人(イヴ、ギャリー、メアリー)が醸し出しているからである。正直に言おう。

 

「リア充爆発しろッッッッ!!」

 

「ふぁっ!?急にどうしたのよ!」

 

「あんたらが甘ったるい空気醸し出してるからだよ!お陰様で私のキャラが崩壊してるじゃない!」

 

「あらすじにはきゃらほーかいちゅーいですとかかれてますが?」

 

「居たのね、妖精さん」

 

「ふくにしがみついておりました」

 

[コントだね]

 

「ええ、コントね」

 

 

 

 

「ナツル……だったかしら?」

 

「ええ。何かしら、ギャリーさん?」

 

「ギャリーでいいわよ。それでだけど、メアリーを如何するつもりかしら?」

 

「如何もしないわよ。でも、彼女の仲間が此処にいる以上、彼女は此処で暮らさせようかしら?」

 

「無個性とかも転移したのね……。ま、メアリーが幸せなら良いけれど、メアリーを悲しませる様なら、容赦しないわよ?」

 

「平気よ。今、とある計画を立てているの」

 

「へぇ、何かしら?」

 

「メアリー家族化計画」

 

「……へ?」

 

「メアリーを私の家族にでもしようかと。でも、マフィアとかのファミリーって概念のほうが近いかな?」

 

「え、なんでそんな事しようと?」

 

「私も少し寂しいのよ。楽しくなりそうなら色々してみようとね」

 

「……メアリーが良いならそれで良いわ。はぁ……頭痛くなってきた」

 

「頭痛に効く幻書あるけど」

 

「要らないわ。それじゃあ、アタシ達は帰るわね」

 

「ええ、攫ってごめんなさい」

 

「メアリーに会えたから良いわ。イヴー?帰るわよー」

 

「わかった。またね?メアリー」

 

「うん、またね。イヴ、ギャリー」

 

「ええ、また来るわ」

 

ガチャッ キイ バタン

 

「……行っちゃった」

 

「また会いに行けば良いじゃない」

 

「うん、そうだね」

 

「ところでメアリー?」

 

「何?ナツル」

 

「貴女、私の家族にならない?」

 

「へ?」

 

 

 

 

「なるほど、私とナツルが寂しく無いように、ね」

 

「此れからも増える予定だけどね」

 

「良いけど、名前どうするの?」

 

「個人名持ってる子はその名前にして、種族名とかしか持って無い子は適当に名前つけるわ。苗字は……どうしよう?」

 

「苗字は適当で良いんじゃない?」

 

「そうね。じゃあ、貴女は此れから【メアリー・ゲルテナ】ね」

 

「うん。……この子達は?」

 

「名前要る?」

 

[へーき]

 

「だってさ」

 

「これからどうするの?」

 

「そうね、じゃ、美術館の改造をお願い。雰囲気が暗いもの」

 

「りょーかい。ナツルは?」

 

「少し、何処かの世界をふらふらして来るわ」

 

[サボり?]

 

「息抜きと言いなさい。暫く図書館から出て無いのよ」

 

「ふーん、図書館の管理はどうするの?」

 

「これが有るから平気」

 

取り出したのは、《現在休館中》と書かれた看板。

 

「それで本当に平気なの?」

 

「此処で本を借りパクしようとしたり、盗もうとしたりした人は、此処の恐ろしさを知ってるから」

 

「何があったの……」

 

「知らない方がいいわね」

 

「はぁ……、行ってらっしゃい」

 

「行ってきます」

 

さて、どの世界に行こうかな?そうだ、ランダム転移にして……えい。私は扉の中に飛び込んで行った。




メアリー定住。此れからも定住者は増える予定。男は増えない。男の娘は解らない。女の子は確実に増える。


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七頁目「深海棲艦」

家族候補が出ます。


ほんの少しの間、暗い場所を通る。転移場所をランダムにしたから、設定に時間がかかっているのかな?あ、光が見えてきた。

 

「どこの世界かな〜ってうわぁぁぁぁっ!?」

 

暗いトンネルを抜けると、そこは海の上でした。

 

はい、ボケてないで説明します。世界ーー不明。現在地ーー何処かのの海の上空。わーどーしよー。

 

「て、んな事言ってる場合じゃねぇ!」

 

書架から一冊の本を取り出す。

 

「〈憑依《アーサー王》〉!」

 

取り出した本は【円卓物語】。憑依させたのはアーサー王。かの騎士王は湖の精霊とやらの加護で水の上に立てるのだ。無事着水。

 

「ふぅ、焦った」

 

が、一難去ってまた一難。なんか変な口がある魚雷っぽいモノが現れたのだ。そいつと睨み合っていると、背後から衝撃が来た。倒れる前に本を書架に戻す。濡れるといけないし。結局、意識を失うのだが、直前に見えたモノは、変な帽子を被った色白の女だった。

 

 

 

 

「……ん」

 

此処は何処?私は誰?……何て事は無く、此処が何処か解らないだけで済んでいる。洞窟のようだが……

 

「目ガ覚メタノカ」

 

「ッ!?」

 

ベッドの隣には、ビキニ姿の色白短髪の女がいた。

 

「……貴女、名前は?」

 

「普通、自分ノ名前ヲ言ッテカラ聞クモンダト思ウガ」

 

「ああ、ごめんなさい。私は水華夏流。貴女は?」

 

「重巡洋艦ノ、重巡リ級ダ」

 

確定、艦娘の世界だ。深海棲艦に捕まってしまったらしい。

 

「……捕マッタ何テ考エテルナラ違ウ。人類ト深海棲艦ハ和解シタ」

 

「え、本当?」

 

「本当ダ。オ前ハ、マア、艦娘デモ深海棲艦デモ無イ者ガ海ノ上ニ立ッテイタラ、恐クモナル」

 

「混乱した結果、襲われた、と」

 

「ソウダ。スマン」

 

「別に良いわ。ところで、深海棲艦と艦娘って和解したのよね。何で傷だらけなの?」

 

そう、このリ級は傷だらけなのだ。

 

「一部、深海ノ者トハ和解ナンカ出来ナイトイウ人間ガ居テナ……。ソレニ、此方側ニモ同ジ思考ノ者ガ居ル」

 

「で、貴女が襲われたって事?」

 

「イヤ、此ノ基地ガ、ダ」

 

「……私、さらっと危険地帯に連れてこられたの?」

 

「本当、スマナイ」

 

「はぁ……諦めるとしましょう。で、何か頼みたいの?瞳の色に期待が混じってるけど」

 

「アア、此ノ基地ニ居ルトアル深海棲艦ヲ預カッテクレナイカ?」

 

「何故?」

 

「此ノ基地ガ狙ワレルトイウ事ハ、此ノ基地ニ居ル全テノ艦ガ狙ワレルトイウ事。何処へ逃ゲテモ同ジダロウガ、オ前ハ人間ナノニ海ノ上ニ立ッテイタ。オ前ナラ、ナントカシテクレルダロウト言ウ期待ガアル」

 

「貴女達はどうするつもりかしら」

 

「此処デ戦ッテ、名誉ノ戦死デモ遂ゲルサ。アノ子ガ無事ナラ、此処ニ居ル艦ハ全員未練ハ無イダロウ」

 

「……それで、その子は何処?」

 

「今起キタ所カナ?マ、会イニ行ッテ見ルカ」

 

 

 

 

「入ルゾー」

 

「良いよー」

 

「あれ?深海棲艦にしては発音が流暢ね」

 

「彼奴ハ特別ナンダ」

 

ガチャ

 

「よく来たなーリ級ー。アレ?そっちの人は?人間?」

 

「アア、オ前ヲ預ッテモラウ事ニナッテル」

 

「水華夏流よ。よろしく」

 

「おー、よろしく!俺の名前は戦艦レ級ってんだー。よろしく」




【円卓物語】
円卓の騎士について詳しく書かれた本。騎士王の表記はアーサー王となっているが、所々アルトリアとなっている。型月世界の品。出典は【Fate/】


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八頁目「艦娘」

二人目。


戦艦レ級。通称【超弩級重雷装航空巡洋戦艦】。【サーモン海域の悪夢】。空を飛ばない宇宙戦艦ヤマト。詰まる所、凄い可愛い癖に凄く凶悪な奴(by作者)。

 

 

そんな奴を預かれと。可愛いから良いけど。

 

「それで、俺を預かるって事は、此処が戦場になるかもって事?」

 

「アア、ソウダ」

 

「何故この子を生かそうと?」

 

「此奴ハナ、今此処デ一番最後二生マレタンダ。此処二居ル全員ノ妹デアリ娘デアル……家族ヲ守ルノハ当然ダロウ?」

 

「ええ……そうね」

 

「オ前二預カッテモラウ理由ハモウ一ツアル。此奴二色々ナ事ヲ知ッテ貰イタイカラダ」

 

「あら、それなら私は適任ね。そもそもこの世界の住人じゃないもの。この世界では知り得ない事を教えてあげるわ」

 

「アア、頼ンダ。南ノ方二協力シテクレテイル鎮守府ガ在ル。ソコニ向カッテクレ」

 

「行く前に一つ渡しておく」

 

本を取り出す。

 

「幻書と言う、在るべきでは無い知識を記した本よ。この本の題名は無いから、【航海日誌(ログブック)】と呼んでいるわ。読み上げた通りの出来事が起こるけれど、元からこの本に書かれている事しか起こらない、海でしか使えないから注意してね」

 

「フム、アリガトウ。使ウ事ガ無イノヲ祈ルヨ」

 

「ええ。健闘を祈るわ」

 

「頑張って、生き延びてくれよな。俺がこっちに戻ってきた時に全員死んでました、じゃ許さねーから」

 

「フフ、頑張ルトスルヨ。サ、モウ行ケ。何時来ルカ解ラナイカラナ」

 

こうして、私達は深海棲艦の基地を出た。ま、相手が船に乗ってる限り平気でしょう。あの本、船が転覆しかね無い程の嵐に見舞われた船の航海日誌だし。

 

 

 

 

何事も無く鎮守府に到着……とは、行かなかった。艦娘がうつ伏せで漂っていたのだ。回収した後、鎮守府に到着した。リ級から連絡は来てるらしく、客間に案内された。あ、この艦娘入渠させないと。

 

一度部屋を出て入渠ドックに案内して貰う。そして、お風呂に艦娘を投入。さて、この子が気がつくまで部屋に居ようか。

 

「あ、俺も風呂入って良い?」

 

「あ、良いですよ」

 

答えたのは鳳翔である。案内役だとか。にしても、この子はどの艦娘なのか。白髪ロングでセーラー服の、小学生並みの身長。更に帽子にⅢのバッジ。イヤーダレナンダロウナー(棒)。

 

さて、おふざけは此処までにして。多分彼女は駆逐艦【響】でしょうね。思い当たるのがその子しか居ない。起きたら詳しく話を聞こう。

 

 

 

 

数時間後

 

入渠させてた艦娘が起きたらしい。早速ドックへ向かう。あ、レ級は30分程でお風呂から上がって来ました。

 

「やあ、気がついたみたいだね」

 

「……貴女達は誰だい?」

 

「私は水華夏流。君は暁型二番艦の響で間違い無いかな?」

 

「ああ。でも、それ以外思い出せないんだ。前世……船だった頃も殆ど思い出せない。ロシア語も無理かも」

 

「いや、ロシア語は別に良いでしょ。にしても、落ち着いてるね」

 

「そりゃね。貴女は優しそうだし」

 

「そんなことないけどね。結構エゲツないわよ」

 

「それで、そっちのレ級との関係はなんだい?」

 

「預かった」

 

「預けられた」

 

「そ。まあ良いや。私はどうすれば良いんだい?」

 

「そうねー。あ、そうだ!」

 

「うん?」

 

「貴女、私の家族にならない?」

 

「え?」

 

「そーいえば俺も夏流の家族になるのかー」

 

「え?え?どういう事なのか説明してくれないか?」




作者がロシア語全くと言っていい程解らないので、響の癖にロシア語封印。ゴメンね。二人にはオリジナルの名前つけます。


【航海日誌】
ある船の航海日誌。書かれている事を引き起こせる幻書。元々は、ある船の船長のペットであるオウムがこの幻書だった。幻書は、正確に書かれているのならコピーでも同じ効果を発揮できる。オルゴールなどに転写して、音として残しても平気。出典は【ダンタリアンの書架】。


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九頁目「おかえりなさい」

あ、ありのままに4/12に起こった事を話すぜ!私はリア友がFate/goをやっていて、ちょうどガチャを回す所だったからボタンを押させてもらったんだ。そしたらジャンヌオルタが出たんだ。アヴェンジャークラスの奴、詰まりは限定のSSRが、だ。一つ、言わせてもらいたいのは、何故そのガチャ運が私のやっているデレステの方で発揮されないのだ!

ふぅ(賢者モード)。本編どーぞ。


響に詳しい説明をした後、二人に名前を付ける事にした。響の名前を【冬鳥(ふゆとり)響華(きょうか)】に、レ級の名前を【灰谷(はいたに)秋那(あきな)】と言う名前に決めた。

 

 

 

 

さて、もう三日程この鎮守府に居る。そろそろ図書館に帰らないと。メアリーが心配だし。

 

「さて、二人とも。心の準備は?」

 

「俺はヘーキだよ」

 

「私も平気さ。早く行こう」

 

「ん。〈憑依《八雲紫》〉」

 

スキマを開く。二人は若干驚いている。

 

「さ、行くよ」

 

「おう!」

 

「ああ!」

 

そんなに気張らなくても良いんだけどね〜。

 

 

 

 

「とうちゃ〜く……て、あれ?」

 

「ん?どうしたんだいって、何だいこれ?」

 

「おー、すげー」

 

図書館に到着したと思ったら、其処はジャングルでした。なぁにこれぇ。

 

確かに図書館内には遺跡とかジャングルとかになっている部分もあるし、【夜の女王】と言う本を咲かせるサボテンなどが植えてあったりする温室とかも有る。けど、私が外部から図書館内に転移する時は必ず広間に転移する。間違えることは無い。

 

周りを見渡す。うん。ちゃんと広間だ。考えろ。どうしてこうなってる?……あれ?この植物、何処かで見た気が……

 

「って、あれか!」

 

「わっ、急にどうしたの?」

 

「ちょっと寒くなるかもだけど我慢しててね?」

 

この植物はとある幻書の効果で出て来たモノ。【開拓者の書】。植物の様な装丁の本。満月の夜に暴走し、その直前にしか再封印出来ない本。曰く、異世界の住人が侵略する目的で書いた本である。幾つもの古代文明が、この本の暴走でジャングルに沈んだ。

 

しかし、異世界のモノであろうと、前提として植物なので火には弱い。が、燃やしたら、周りの本と【開拓者の書】が焼滅してしまう。だから、凍らせる。

 

【ヘルの賛歌】。古代エッダの神話詩。描かれた情景は氷の地獄、ニブルヘイム。そして、其処を統べる女王、ヘル。彼女の力を借りる幻書。さあ、

 

「凍り付けぇぇぇ!!」

 

パキキキ、パキンッ

 

植物が凍り付く。さて、大元ーー【開拓者の書】が開かれた場所を探そう。そして、原因となった人物を懲らしめよう。あの本は、封印が弱まってたとしても、誰かが開かない限りこうはならないからね。

 

 

 

 

大部屋の一つ。其処に原因が居た。既に本は封印してある。

 

「で、何か申し開きは?」

 

「「レミリア(魔理沙)が悪い」」

 

「パチェ」

 

「二人共よ」

 

「よし二人共。新しい技の実験台になりなさい」

 

「「ごめんなさい」」

 

「許さない」

 

居たのは、《普通の魔法使い》【霧雨魔理沙】、《永遠に赤き幼い月》【レミリア・スカーレット】、《七曜の魔法使い》【パチュリー・ノーレッジ】の三人。だが、パチェが本を開けたとは考えられ無い。パチェは本の虫だが、休館中の時は安全だと確信出来る本以外開けないのだ。詰まり開けた犯人は、悪戯好きの二人、レミィと魔理沙だと解る。今度、燕返しでも食らわせよう。

 

「ごめん、パチェ。よろしく」

 

「ええ。責任を持って、連れて帰るわ」

 

二人はパチェに持って帰られた。

 

 

 

 

「メアリー、居るー?」

 

「あ、おかえりなさい。あの植物は?」

 

「封印したわ。そうそう、新しい家族が増えたわよ」

 

「ほんと!?何処にいるの?」

 

「広間。さ、早く行きましょう」

 

 

 

 

「初めまして!メアリー・ゲルテナよ。よろしく!」

 

「おう!俺は灰谷秋那だよ。よろしく!」

 

「プリヴィエート。冬鳥響華だよ。よろしくね」

 

「みんな仲良くね。あ、図書館内の地図渡しとく。住む場所は自分で決めてね。何処も安全な筈だから。一様、決めたら私に報告する事。良い?」

 

「「「うんっ(おー)(ダー)」」」

 

こうして、図書館は少し(?)賑やかになった。




【夜の女王】
本を咲かせるサボテン。肉食。十三年に一度だけ花を咲かせる。その花の花弁が書物になっている。その書物で獲物を誘き寄せて、充分な栄養を摂ると花を散らす。本の内容は、食べられた者の記憶と言う話があったり。出典は【ダンタリアンの書架】。

【開拓者の書】
植物の様な装丁の本。異世界の者が侵略の為に書いて送り出したらしい。解放されると、この世界には存在しない植物となり、テラフォーミングを行いながら、少なくとも町一つを呑み込む。過去に解放した文明は例外無く滅びた。しかし、植物なので燃やしたり凍らせたりすれば簡単に攻略出来る。燃やすと本も燃えてしまうが。出典は【ダンタリアンの書架】。

【ヘルの賛歌】
古代エッダの神話詩。氷の国ニブルヘイムの女王、ヘルの力を借りる事が出来、周囲を凍り付かせることが可能。出典は【ダンタリアンの書架】。原作では、これを使って【開拓者の書】を攻略した。


キャラクターのオリ名を付ける際は、何かしらのテーマを持って付けています。次のオリ名には春が入り、その後は色か方位ですかね。


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十頁目「新たな家族」

自重?何それ美味しいの?


ーー地下ダンジョンーー

 

アア、腹ガ減ッタ

 

獲物ガイナイ?

 

獲リ尽クシタカ

 

上ニハ美味イモノハアルノカナ?

 

 

 

 

地下ダンジョン前。何か嫌な気配がする。地下ダンジョンにはヤバイのが沢山居て、何が居るのか、把握仕切れない。しかし、地下のモンスター共が上に来ることは無かった。

 

「何が起こってるのかしらね」

 

ダンジョンに結界張って置こうかな?

 

「ッ!来た……!」

 

強大な気配。現れたのは……

 

「ガアアァァァァアアッッ!!」

 

ティラノサウルスの前足を発達させ、翼を付けたようなモンスター。

 

「ティガレックス……!」

 

《轟竜》ティガレックス。

 

特別な攻撃は持たないが、それを補って余りあるパワーを持つ、生態系を破壊するモンスター。

 

「よっぽど腹が減ったのね……」

 

餌を用意する時間は無い。そんな事をしていたらメアリー達が食べられてしまう。……あれ?メアリーが能力使って、穴とか壁とか創れば平気なんじゃ?

 

「……まあ良いわ。貴方は倒す!〈アイスメイク《ランサー》〉!」

 

【氷の造形魔法】。才能ある者が読めば、氷の造形魔法が使用出来る魔道書。

 

因みに、最近パチェから、指定した物を浮かせられる指輪(一度指定したら変えられない。条件に合う物が追加された場合はそれも浮かせられる)を貰ったので、図書館の本を指定した。手に持ったままだと闘う時に邪魔だ。

 

「グルガァァァァッ!」

 

よし、効いてる。しかし、油断していた。

 

「ガァァァァッ!」

 

「ッ!突進!?」

 

突進。単純な技だが侮れない。全体重が攻撃に関わるため、威力が大きい。

 

「くっ!」

 

【ステュクスの盾の書】で防御する。取り出すのが一瞬遅かったら当たってた。

 

!マズイ!もう一つ、こいつと同じレベルのモンスターが上がってくる!

 

「流石にヤバイかも……」

 

モンスターが姿を見せる。イビルジョー。ティガレックスに並ぶ《恐暴竜》。同時に攻撃されたら、盾が破れることは無いが、無視出来ないダメージを喰らうだろう。

 

だが、心配は杞憂に終わった。なぜなら、

 

「……ティガ、そこまで……」

 

何故かイビルジョーの上に乗っている少女がティガレックスを止めたからだ。

 

 

 

 

「ごめんね、うちのティガが……。最近、獲物が捕れないみたいで……」

 

「謝罪は受け取るけれど、こちらも感謝させてもらうわ。彼奴を止めてくれてありがとう。私は水華夏流。貴女は?」

 

「……クリーパーカー」

 

「種族名かしら?」

 

「……うん。クリーパーの……突然変異……。ボクも、詳しくは知らない……」

 

「……貴女、ティガレックスやイビルジョーと仲が良いの?」

 

「ボクは動物と話せる……。あと、すぐに仲良くなれる……」

 

「地下には一人で?」

 

「うん…。でも、みんなが居るから…寂しくは、無い……」

 

「……ふふっ。ねえ、私の家族にならない?その子達の面倒も見てあげれるけど」

 

「……ホント?嬉しい……」

 

「家族なら、名前が必要ね。うーん……そうだ、【春宮(はるみや)小楢(こなら)】はどうかしら?」

 

「春宮……小楢……良い、名前……」

 

「他の家族には、この後紹介するわ。この子達は……一旦、地下に戻して貰える?」

 

「わかった……」

 

 

家族がまた増えました。




【氷の造形魔法】
形を造り、形を奪う魔法。【氷】、【木】、【記憶】などがある。氷の造形魔法の中でも幾つかに別れ、普遍的な物は【物体】と【動体】。【薔薇】とかもある。また、命と引き換えに、あらゆるモノを封印出来る【絶対氷結(アイスドシェル)】がある。ただし、封印して居る氷自体が発動者なので、伊吹萃香の能力なら復活させれるかもしれない。出典は【FAIRYTAIL】。

次回は設定集かな?


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余白「設定その二」

設定集その二。


主人公

 

水華(みずはな) 夏流(なつる)(オリジナル)

種族 人外(詳しくは決めていない)

備考 図書館館長。詳しくは設定その一を参考。

 

 

家族

 

 

メアリー・ゲルテナ(ib)

 

種族 元絵画の現人間

 

能力

???

 

備考 ワイズ・ゲルテナに描かれた絵画。燃やされた後、迷宮図書館に美術館ごと転移。作品も一緒。

 

住居 『美術館』メアリーと一緒に転移して来た美術館。

 

 

冬鳥(ふゆとり) 響華(きょうか)(艦隊これくしょん)

 

種族 艦娘(暁型駆逐艦ニ番艦 響)

 

能力

???

 

備考 記憶喪失。だが、一部だけであり、自らが響だという事は覚えている。艦船としての記憶はほとんど無い。ロシア語も同じく。しかしフリーダムである。

 

住居 図書館内『海の町』イメージはW7(ウォーターセブン)

 

 

灰谷(はいたに) 秋那(あきな)(艦隊これくしょん)

 

種族 深海棲艦(戦艦レ級)

 

能力

???

 

???

 

備考 俺っ子。無邪気。だが賢い。運動が好き。家族も好き。普通の発言で喋れる(深海棲艦は基本的にカタカナ発音)。響華とは仲が良い。

 

住居 響華と同じ家。

 

 

春宮(はるみや) 小楢(こなら)(マインクラフト)

 

種族 クリーパーカー(クリーパーの突然変異)

 

能力

動物と仲良くなれる程度の能力

動物と仲良くなれる。モンスターでも平気。

 

動物と話せる程度の能力

動物と話せる。モンスターも平気。元々がクリーパー(モンスター)の為発現した。

 

???

 

備考 何時の間にか地下ダンジョンに居た。ボクっ子。緑髪。クリーパーの顔のイラストが入っている緑のパーカーを着ている。ダンジョン内の動物、モンスターと仲が良い。そのモンスターが倒されてしまったときは、そんな運命だったんだと諦める。一番仲が良いのはティガレックス(ティガ)とイビルジョー(ジョー)。

 

住居 『地下ダンジョン 平原エリア』にある家。

 

 

全員の家に、相互の家に行き来可能な扉が付いている。その扉を使わない場合、広間まで一番時間がかかるのは小楢。『海の町』の中心には塔が在り、その扉を通ると図書館の部屋の一つに出られる。

 

 

〜住居決めの様子〜

 

・響華、秋那の場合

 

響華(以下 響)「何処にしようかな」

 

秋那(以下 秋)「あ、俺も一緒で良い?」

 

響「良いよ。何処か良さそうな場所はあるかい?」

 

秋「うーん……あ、この『海の町』って所は?海あるっぽいし」

 

響「へぇ、行ってみて良さそうだったらここにしようか」

 

 

 

 

秋「おー、キレー!」

 

響「ハラショー、良い景色だ」

 

秋「潜れば美味いものも有るかな?」

 

響「有ったとしても私は取りに行けないから、秋那に任せっきりになるよ?」

 

秋「俺が潜ってる間釣りしてれば良いんじゃない?」

 

響「ああ、その手が有ったね。……ここで良い?」

 

秋「おう!んじゃ、家を決めるか」

 

響「そうだね」

 

 

・メアリーの場合

 

メアリー(以下 メ)「ねぇ、あなた達は何処が良い?」

 

青い人形(以下青)1[メアリーはどこがいいの?]

 

メ「イヴ達に会える所」

 

青2[それ、そとのせかい]

 

青3[じゃあ、これまでどうりびじゅつかんでいいんしゃない?]

 

メ「そうね。でも、イヴ達のとこに行くのに時間がかかるのよねぇ」

 

青2[イヴとギャリーに、びじゅつかんにつながるえをあげれば?]

 

青1[りょうほうからいききかのうにして]

 

青3[そうすればかんたん]

 

メ「良いわね!それじゃ、美術館の模様替えをしましょう。徹底的に可愛くしてやる!」

 

青2[かわいすぎてもだめかもね]

 

 

・小楢の場合

 

小楢(以下 小)「…これまで野宿だったから…家…どうしよう……」

 

ティガ「グルルル(地下ダンジョンが良いの?)」

 

小「うん…キミ達に……会えるし…」

 

ジョー「グル……グルルルル(そう……ありがとう)」

 

ティガ「グルルルルル(そう言えば、平原に小さいけど家が有ったような気が)」

 

小「……ホント?…そこなら…キミ達も一緒に……」

 

ジョー「グルルル(暮らせるね)」

 

ティガ「グルルルルルルル(でも、オレら入れないぞ、ジョー)」

 

ジョー「グルッ!?(嘘っ!?)」

 

小「……確かに……小さかったら……二人は入れない………」

 

ジョー「グルルルゥ(どうしよう……)」

 

夏流(以下 夏)「小楢ー、ちょっと良いー?」

 

小「うん…何……?」

 

夏「これを渡そうとね」

 

小「これは……?」

 

夏「そこのティガレックス、イビルジョーと仲が良いんでしょ?そのチョーカーを着けてれば、そこの二匹の意思で、ちっちゃくなったり大きくなったりできるわ。ついでに、言葉が翻訳される様にもしといたから、私達も貴女の通訳が要らなくなるし、貴女はその二匹と一緒に暮らせるし、一緒に出かけられる。どう?」

 

小「……ありがとう………ッ!」ダキッ

 

夏「きゃあ!?ち、ちょっと、いきなり抱きつかないでー!」

 

ティガ「グルルルー?(キマシタワー?)」

 

ジョー「グルルルル(違うでしょ)」




“???”はまだ作中に出て来ていない能力です。持ち主は、知っている場合と知らない場合が有ります。メアリーと小楢は知っていますが、響華と秋那はどんな能力を持っているのか知りません。何処かで使う事になりますが。


新情報が溜まってきたら、その三を出します。

さて、次回からタグの一つが息をし始めるかも……?

追記
ティガの一人称を少し変更。


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十一頁目「聖杯戦争」

さあ、カオスの始まりだ。


「よう、やってるか?」

 

「誰かしら」

 

「オレだよ、オレ」

 

「おれおれ詐欺かしら?」

 

「いや、違うから」

 

もちろん解っている。モードレッドだ。

 

「で、何しに来たの?」

 

「いや、【破却宣言(キャッサー・デ・ロジェスティラ)】の返却に。結局父上との決着付かなかったし、あの人何処行ったんだ、全く」

 

「……アルトリア、何処行ったか分からないの?」

 

「すまん、全く分からん」

 

「ちっ、捜しに行くしか無いようね。彼女に貸してる本、そろそろ返却期限なのに」

 

「マジか……速く捜さねぇと」

 

モードレッドも、返却期限をオーバーして酷い目に遭ったことがある。彼女の為に詳細は伏せておく。暫くの間、自分の座に引き篭もったと言えば十分だろう。

 

「しかし……何処を捜すんだ?手掛かりねぇぞ?」

 

「んー、どうしよう……」

 

ガチャッ

 

「ふむ、久し振りだな、ナツル。それにモードレッド」

 

入って来たのは赤いアーチャー。彼も、随分と久々に会う気がする。

 

「久し振りね。何の用?」

 

「いや、セイバーを捜していてな。此処にも居ないとすると、もう行ってしまったか……?」

 

「彼女がどうかしたの?」

 

「私が聖杯戦争に召喚される様な気がしてな。多分だが、第五次の聖杯戦争、衛宮士郎とアルトリア・ペンドラゴンが初めて会った戦争だ」

 

「断言出来る理由」

 

「ただのカンだ」

 

ドヤ顔。私とモードレッドは二人してアーチャーを睨む。

 

「はぁ……まあ良いわ。その線で調べてみるとしましょう」

 

「む?どうした?」

 

「彼女、未だ幻書返却して無いのよ。だから、催促しに行こうとね」

 

「彼方に彼女が居たら手伝おう。それではな」

 

「あ、一つだけ。暁美さんの知り合い、ちゃんと救えた?」

 

「ああ。暫くしたら、また本を借りに来るんじゃないかね?」

 

キィ、バタン

 

「夏流ー、お客さん帰ったのー?」

 

「まだオレが居るよ。てか、此奴誰だ?」

 

「俺は灰谷 秋那。夏流の家族だ。そっちは?」

 

「モードレッド。此処の客だよ。いつの間に家族なんて作ってたんだ?ナツル」

 

「最近拾って来たのよ。後三人居るわ」

 

「ふうん。……ん?」

 

「ん?魔力……?」

 

コウンッ

 

何か魔力を感じたと思ったら、目の前に魔法陣が出現した。何コレ?

 

「夏流、何コレ」

 

「これ、聖杯戦争の魔法陣じゃん。サーヴァント召喚用の」

 

「え、そうなの?」

 

「ああ、人によって違うんだが、これは召喚用の魔法陣だ」

 

「……なるほど、此処が英霊の座に近い空間だからこれが……」

 

「夏流、行くの?」

 

「ええ、行くわよ。この先にあの騎士王が居るならね!女は度胸!!」

 

「ナツルが聖杯戦争に行ってる間の管理とかはパチュリーだっけ?其奴に任せとけば良いか?」

 

「そうして頂戴。秋那、みんなに宜しく。私の宝具によっては貴女達も召喚される可能性があるからね」

 

「おう、任せろ」

 

「それじゃあ、行ってきます」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

こうして、私は聖杯戦争へに参加した。

 

 

 

 

「素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。

降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

繰り返すつどに五度

ただ、満たされる時を破却する

 

ーーーーーAnfang(セット)

 

ーーーーーー告げる

 

ーーーー告げる

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ

 

誓いを此処に

我は常世総ての善となる者、我は常世総ての悪を敷く者

 

汝三大の言霊を纏う七天

抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よーーー!」

 

ーーーバシュッ

 

「ふぅ、陰気な所ね。さて、

 

エクストラクラスサーヴァント、“コレクター”よ。

 

其処の三人、誰が私を呼び出したマスターかしら?」




注意
この先、オリ鯖多数、パワーインフレが起こります。また、staynightもzeroも、二次創作しか知りません。タグに無い作品のキャラが出ます。タグがない理由は、……文字数オーバーしちゃうんです。

取り敢えず、原作鯖は二人しか出ません。他は色んな作品から取って来ました。苦手な人はブラウザバック推奨です。

オリ主がエクストラクラスの理由はオリ主を本来の枠に入れるのが難しいのと……とあるクラスの英霊が思い浮かば無かったからです。

次回、他鯖登場


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十二頁目「間桐」

オリ鯖登場。正直に言おう。オリ鯖強化し過ぎた感。反省はしている。後悔はしていない。


「カカカッ、エクストラクラスとは、ある意味とんでもない者を呼び出したのう、桜」

 

「……その桜って子がマスターかしら?」

 

今、言葉を発したのは気色悪い老人。その他には、ワカメの様な髪型の少年と、召喚陣の前に立つ少女。おそらく、この少女がマスターだろう。……桜?

 

「……そこの老人、名前は何かしら」

 

「ふむ、儂は間桐臓硯と言う。お主を召喚した桜の祖父じゃ」

 

間桐臓硯。ああ、アーチャーの言ってた蟲爺か。よし、殺ろう。

 

「私の真名はまだ教えないでおくわ。知らないでしょうしね。……かわりに、真名解放はしないけど宝具を見せましょうか?」

 

「へぇ、面白そうじゃないか。見せてくれ」

 

あ、ワカメが漸く喋った。まぁ良いや。私は虚空から一冊の本を取り出す。

 

「ふむ、かの英雄王と近しい宝具か。だが、本では勝負にならんな」

 

「ええ。でも、普通の本では無いわ」

 

本を朗読する。宗教儀式の祝詞に似た、異国の言葉。すると、臓硯が苦しみだした。

 

「ぐっ……なんじゃ、その、本は……!」

 

教えるつもりは無い。

 

「ぐ、ぐぁぁぁぁっ!」

 

間桐臓硯を構成していた蟲が崩壊する。それと同時に、桜も倒れた。

 

「っ!マスター!」

 

「はぁ、はぁ……平気、です。それより、お爺様は……?」

 

「今頃、地獄の最下層にでも行ってるでしょうよ」

 

使った幻書は、【窓なき館の死者祭宴の書】。死者を冥府最下層(ミクトラン)へと導く、失われた古代アステカ文明の書物。あの爺さんは既に、肉体的には死んでいるため、幻書の効果が現れたのだ。

 

「……まさか、あの爺さんが殺られるとはな」

 

「そう言えば、貴方は誰かしら?」

 

「僕は間桐慎二。お前のマスターだ」

 

「あら?私のマスターはこの子でしょう?」

 

「……いいえ。私は戦いたく無い。ですから、貴女のマスター権は、あの人に移動させます」

 

「……そう、よろしくね。無茶な命令には従うつもりは無いけれど」

 

「ふん。まあ良い。お前の真名は何だ?」

 

「教えないわよ。貴方、あっさりバラしそうだし、それに、戦いには置いて行くわ」

 

「なっ、何でだよ!」

 

「魔力無いし、ヘタレっぽいから」

 

あ、撃沈した。

 

 

 

 

同時刻、穂群原学園校庭。そこで、二騎のサーヴァントが打ち合っていた。

 

「くっ、重いな!」

 

「ふん、貴様も中々やるじゃないか、人間のくせに」

 

赤い外套の男と、魔女の様な帽子の、マントを着けた少女。その二人は、白黒の中華剣と黄金に輝く、少女の背丈を越える槍で戦っていた。

 

「槍か。なら、お前はランサーかね?」

 

「答えると思うか?逆に聞くが、剣を使うということはセイバーと思って良いのだよな?」

 

「答える必要はないな」

 

言い合い間にも、二合、三合と打ち合う。しかし、徐々に赤い男の方が押されていた。

 

「ふん、その程度か」

 

「くっ」

 

「っ!誰だ!」

 

ダタダッ

 

「ちっ、此処までだな、人間。元から力量を試せとだけ言われているし、聖杯戦争は一般人には秘匿すべき物だ。運が良かったな」

 

タッ

 

「……行ったか」

 

何者かに見られていた。恐らく、あの男だろう。しかし、本当にあの少女がランサーなのか?何時ものランサーは、青タイツの男の筈……

 

「アーチャー、追い掛けるわよ。目撃者が心配だわ」

 

「分かった。行こうか、マスター」

 

マスター(遠坂凛)の言葉で我に返る。ああ、あの少年を救わなければ話にならない。でなければ、彼女に会えないのだからーーー。




【窓なき館の死者祭宴の書】
死者を冥府最下層へと導く、古代アステカ文明の書物。本来は、魂魄の内の魂を奪われた、生ける屍(リビングデッド)を冥府へ送る為の書。蟲爺は肉体的には死んでるし、行けるんじゃね?と思い使ってみた。出典は【ダンタリアンの書架】。

オリ鯖一号さんの予想をしてみてね。初っ端から最強クラスのサーヴァントだけど。


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余白「図書館にて。また、とある少女達の参戦(無理矢理)」

夏流が召喚された後の図書館にて。また、それ以外のとあるお話。


書いたデータが一度吹っ飛んでまた一から書き直しだよチクショー。


よう。俺は灰谷秋那。夏流の家族だ。え?今話せてる理由?さっき来たパチュリーって奴に教えてもらった、俺の能力の一つだな。

 

【ありとあらゆるものを狂わせられる程度の能力】。

 

これで、俺の精神をほんの少し狂わせて、メタい事を言えている。でも、今俺って誰に説明してんだろ。……ま、いっか。

 

 

 

 

残りの家族ーーーメアリー、響華、小楢を広間に呼ぶ。さて、どう説明しよう。っと、来た来た。

 

「よし、全員来たな」

 

「ねぇ、アキナ。ナツルは如何したの?」

 

メアリーが聞いてきた。俺はみんなに説明する。夏流が聖杯戦争に参加した事、後の事をパチュリーに任せた事、もしかしたら俺達が夏流に呼ばれるかもしれない事。

 

「秋那、夏流なら心配しないで平気だよ。リアルチートなんだし」

 

「……うん……。空腹のティガを、抑えられる人は、ほとんどいない……。夏流は……凄い……」

 

……うん、心配無いな!そう結論付けた俺達は、いつ呼ばれても良いように準備を始めた。する事あんま無いけど。

 

 

 

〜小楢視点〜

 

……話合いが終わった。ボクも、ティガ達に話して来ないと……。そう言えば、響華がモノローグ?には三点リーダー?を付けない方が良いって言ってたけど……何のこと?

 

 

 

 

「……だから、ボクと、来てくれる?」

 

「いや、オレは元からそのつもりだぜ」

 

「僕もだよ」

 

上から、ボク、ティガ、ジョーの順番。……今、ジョー達はちっちゃくなってる。大型犬、ぐらい……?

 

「小楢、オレ達はお前のパーカーのポケットの中に居るから、必要になったら呼んでくれ」

 

「ティガ、出るのも入るのも僕等だけじゃ無理だから」

 

「ティガ……おっちょこちょい……」

 

「な、何言うんだ二人とも!」

 

こうして、ボクの準備は、終わった。……メアリーは、画材の用意を、響華と秋那は、ダンやの用意を、しているらしい。でも、すぐに終わるはず……。

 

いつ、呼んでくれても良いからね?夏流。

 

 

 

 

ーーーばかみたい、ばっかみたい。とある少女は笑う。緑柱石(エメラルド)のような緑の髪、透き通った磁器のような肌、髪と同じ色の瞳、鮮血のような深紅の衣服。そして、左の瞳には、金属の眼帯が。中央に鍵穴の穿たれた、古い錠前のような眼帯ーーー。

 

彼女の近くには、白衣の青年が立っている。従者のようであり、医師のようであり、研究者のような青年。

 

彼らが見つめるのはとある水盆。既に失われた文明の文字が書かれた盆には、水が張られている。其処には、とある屋敷が映っていた。

 

屋敷の中には、二つの人影。一人は青年。フロックコートを着た、軍人のような身のこなしの、まだ幼さの残る男。

 

もう一人は少女。透き通るような白い肌に、漆黒の衣装をまとう小柄な少女。彼女の黒衣はレースとフリルでゆったりと膨らんではいるが、その輪郭を包むのは、金属の手甲や無骨な腰鎧。彼女の胸元には、リボンの代わりに古びた金属の箱が結ばれていた。銀の鎖で縛られた、巨大な錠前が。

 

景色は移る。屋敷から、荒野へと。

 

映るのは軍用のサイドカー。バイクに乗るのは、法衣(カソック)のような丈の長いコートを着た男。

 

座席に埋もれるのは小柄な少女。目隠しのような大きなゴーグルで顔の半分を覆っている。雪のような白い肌と、長い銀髪。精緻な工芸品を思わせる、人形のような少女。彼女の服には革製のベルトがあちこちに縫い付けられ、彼女の動きを制限するようにきつく縛り上げている。少女が動かせるのは首から上と、両腕の手首から先だけ。その拘束衣の至る所で、古い錠前が鈍く輝いていた。数は九つ。非人道的な服である。

 

再び、水盆に屋敷が映り、二つの景色が同時に見れるようになった。

 

青年は一冊の本を取り出す。異世界を旅した男が書いたとされる、古い本。

 

本が開かれた時、水面は波打ち、景色は見えなくなった。波紋が収まり、景色が映った時には、二組の男女は消えていた。

 

ばかみたい、ばっかみたい。

 

少女は笑う。誰かを笑うように、虚空を見上げて。

 

「ねぇ、見てるのでしょう?あなたの好きにはさせないわ。引っ掻き回して上げるから、楽しみに待ってなさい、

 

 

 

駄作者さん(かみさま)?」




最後の三組の男女は、とある小説のキャラです。

……第一案とは、全く違う道筋になってしまった。


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十三頁目「最後の」

グダグダになって無いよね?


走る、ただ、逃げるために。少年ーーー衛宮士郎は逃げていた。学校から帰ろうとして校庭を見たら、槍を持った少女と、二刀を扱う男が戦っていた。そして、少女に気付かれた。

 

「くそっ、何がどうなってるんだよ!」

 

もうそろそろ平気か、と振り向く。誰も居ない。しかし、

 

「そう簡単に逃げ切れると思ったか?人間」

 

衝撃。腹を見ると、槍の穂先が飛び出していた。少年は、自らの死を実感しながら、意識を手放した。

 

 

 

 

「うわっ、びっくりした。何が起こったんだ?」

 

「そんな事も解らないのですか、ヒューイ。これは幻書の効果に決まっているのです」

 

「幻書?誰が使ったんだ?」

 

「紅の読姫なのです」

 

「……まさか教授が僕らを見ていたのか?」

 

(イエス)。しかし、ここはどこなのですか?」

 

「僕は解らないけど、幻書なら異世界って事もあり得るね」

 

「……それよりも、コレはどうにかしなくて良いのですか?」

 

「ん?コレ?……って、人じゃないか!……よし、まだ生きてる。ダリアン、貸してくれるかい?」

 

「仕方ないのです」

 

 

 

 

 

「……あれ?生きてる?」

 

目を覚ました少年は驚愕した。あの時、確かに自分は致命傷を負っていた筈なのに。

 

「……とりあえず、家に帰ろう。まだこの辺に居るのかも知れないし」

 

 

「……ねぇ、アーチャー。さっきのランサー、確かに衛宮くんを追いかけたわよね」

 

「ああ。本来なら殺されている筈だが……奇跡でも起こったのか?」

 

「ま、無事なら良いわ。衛宮くんの護衛……もとい、監視を続けましょう」

 

「心得た。(しかし、何が起こったんだ?ランサーに殺されかけるのは確定した歴史の筈だ。……一体、この戦争で何が起ころうとしている?)」

 

 

 

 

「……あの人間は殺した筈だ。何故生きてる?……いや、刺した位置が悪かったか、五十%の可能性が、彼奴が生き残る方を選択したか……。まぁ、もう一度殺せば良いだけだ」

 

 

 

 

「……ふぅ」

 

衛宮邸、土蔵。衛宮士郎が魔術工房として使っている場所だ。彼は逃げ延びた後、ここで精神を落ち着かせていた。

 

「しっかし何だったんだ、一体。まさか、魔術関係か……?」

 

……確かに、彼、衛宮士郎は魔術師である。しかし、彼が使う魔術は、否、使える魔術はほとんど無い。

 

同調(トレース)開始(オン)

 

手に持つものは鉄パイプ。これを強化しようとしている。が、そんな暇は、彼には与えられなかった。

 

ギィ

 

「ん?誰だ?……っ!!」

 

「先程ぶりだな。もう一度殺しに来たぞ、人間」

 

土蔵の入り口に立つ、槍を持った少女。無機質な目でこちらを見つめ、槍を振り被る。しかし、事態は一変する。

 

ゴゥッ!

 

「っ!ちっ、土壇場でサーヴァントを召喚したか」

 

「な、何だ!?」

 

強風が土蔵の中に吹き荒れ、目を瞑ってしまう。風が止み、目を開けると、今まで其処に居なかった筈の人影があった。

 

「問おう、汝が私のマスターか」

 

青いドレスのような鎧を着けた少女ーーー第五次聖杯戦争、最後のサーヴァントが召喚された瞬間だった。




……次回辺りに、主人公出さないと…。


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十四頁目「読姫」

ようやく儚月抄買ったよ三曲とも良い曲だったよZUNさんマジ神主(意味不明?)


何処からか、大きな魔力を感じる。誰かがサーヴァントを召喚したのだろうか。……まあ、今は目先の問題を解決する方が優先よね。

 

「どうしたんだ?」

 

「蟲蔵から嫌な気配がするのよ」

 

私達はリビングにいるが、下の方から嫌な気配がするのだ。し始めたタイミングは、魔力反応の三十分くらい前だろうか。上がって来ない理由が気になるが、とりあえず此方から出向くとしよう。

 

 

 

 

「……何この状況」

 

蟲蔵の中心、其処には、睨み合う男女が居た。法衣の様なコートの男と、拘束衣の様な服の少女。傍らには軍用サイドカー。……一様知り合いなんだよなぁ、この二人。

 

「何してんのよ、二人とも」

 

「……何故ここにいる。ここは何処だ」

 

「オイオイ、ハル。良いのかヨ、質問に答え無いデ」

 

「黙っていろ、ガラクタ」

 

苛立っている様な声色の、ハルと呼ばれた男と、何処か嫌味な口調の、ガラクタと呼ばれた少女。もちろん、少女の方はそんな名前では無い。

 

「説明よろしく、フラン」

 

「オウ。荒野を走ってたらいつのまにかここに居たッテ感じダナ」

 

「……それ、幻書の仕業じゃないの?」

 

「なんだと?だとしたら読姫の仕業か!」

 

「黒の読姫は関係無いんじゃない?あの鍵守は悪戯に人を転移させたりしないだろうし」

 

「ダナ。紅いチビすけが原因ダロ」

 

「犯人はどうでも良い。俺は幻書を燃やし尽くすだけだ」

 

先程、会話に上がった読姫、鍵守というのは、幻書を管理する本の姫と、その門守である。図書館の幻書の半分くらいは、黒の読姫の提供だ。

 

「ま、やった奴もこっちにくるでしょ。見てるだけのゲームなんて詰まらないんだしね」

 

「んジャ、その間世話になるゼ」

 

「勝手に決めるな、フラン」

 

(ハル)少女(フラン)が一時的な仲間になりました。

 

 

 

 

「ねぇ、後はあの子を送れば終わりかしら?」

 

「ええ、そうですね」

 

紅い少女と白衣の青年が話す。目線の先には、(この世界では)モトラドと呼ばれている自走二輪車に乗った、一人の少女が居た。

 

「ふふ♪彼女まで送られたら、あの人はどんな反応をするのかしら?ねぇ、“教授”、私達の実験目的は?」

 

「この世界を俯瞰している作者(神様)への反抗ですね。この後、僕達も行きますよ、“ラジエル”」

 

教授と呼ばれた男は本を朗読する。既に二組男女を異世界へと送った幻書を。

 

そして、二人も消えた。教授とラジエルーーー紅の読姫とその相棒。二人が目指すのはーーー。

 

 

 

 

「……メアリー、ちょっと…良い……?」

 

「ん?如何したの?」

 

「……響華と秋那は、まだ、来ないの……?」

 

「んー、ちょっと待って?……家には居ないみたいだけど……」

 

[メアリー、おてがみあるよー]

 

「あら、ありがとう。……はぁ!?」

 

「ッ!?な、何……?」

 

「あの二人……勝手にナツルの所に行っちゃった!」

 

 

 

 

魔都、冬木市。その名が魔術の世界において、更に進化する事になるのを知っている者は、何処ぞの紅い吸血鬼、唯、一人ーーー。




紅の読姫の名前が出ましたね。残りの二人の名前も出てますけど。

ラジエルが送った少女、誰なのか分かりますか?

紅い吸血鬼、もうお分かりですよね?

響華と秋那が夏流の所に(まだ到着してないけど)行けたのは、二人の能力が無意識的に発動したからです。

そろそろオリ鯖(バーサーカーとかキャスターとかアサシンとか)も出さなきゃ……。


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余白「周囲の様子、動き出す戦争」

生き残りはAUOではありません。しかし、優雅(笑)が召喚したのはAUOですよ?


言峰教会。冬木市の魔術師なら、必ず知っている教会。冬木の聖杯戦争を監視するこの教会に、何時もは見られない人影があった。

 

「ふむ、何の用だね?」

 

「いやぁ、そろそろ聖杯戦争が本格的に始まるんじゃないかな〜って、思ってねぇ。遊びに来ちゃった♪」

 

「勘がいいな。先程、最後のサーヴァントが召喚された様だ」

 

「わぁお、タイミングバッチシィ?」

 

「ああ。君の願いも叶えられるのではないかと思える面子だよ」

 

「ヘェ〜。じゃ、頑張って聖杯の器を奪わないとねぇ。だから綺礼ィ、飴ちょうだーい」

 

「ほら」

 

ガサゴソ、ポイッ

 

「ありがとぉ。あむっ。……!?かりゃい〜!水ー!」

 

「ククッ。ほら、水だ」

 

「ゴクゴクッ、プハァッ。…何するのさ、綺礼」

 

「愉悦の為だが?」

 

「愉悦は人間に対してやりなよぉ。僕は綺礼側なんだからさぁ?」

 

「そうだな。さて、そろそろ始めようか、第四次聖杯戦争の生き残りである復讐者(アヴェンジャー)?」

 

「何かしこまってんのぉ?ま、良いけど。あははっ、待っててねぇ?()()()〜」

 

ーーーアレンもねぇ?

 

 

 

 

ーーーアインツベルン城

 

 

「あら、新たなサーヴァントが召喚されたようですね。最後のサーヴァントが」

 

「如何するつもりなの?()()()()()()

 

「どんな奴なのか確認しに行くだけでございます。それでは」

 

「待ちなさい。今行くのは得策ではないわ」

 

「……最初に、私は私が認めたマスターにしか従わないと言いましたよ?私が認めたマスターはあの御二方のみ。従って、あなたの指示を聴く気は一切ございません♪」

 

「……はぁ。どうせ令呪使っても無効化されるし良いや。いってらっしゃい、バーサーカー。殺さないようにね」

 

「分かってますよ?私も、()()()()()()()()()()()()()()、楽しみたいですしね」

 

聖杯戦争史上、最凶のサーヴァント(バーサーカー)が空を駆ける。目指すは、衛宮邸。

 

 

 

 

ーーー柳洞寺

 

「ふふふ、神に等しい力を持つランサーに、剣を使うアーチャー。私でも敵わない程強いバーサーカーに、謎の乱入者。あと、本物のセイバー。面白い事になってきたけれど、正直面倒ね。……それにしても、何故、貴女が参加しているのかしら?夏流……」

 

「■■■様、お茶でございます」

 

「あら、悪いわね。あと、名前じゃなくて、キャスターって呼んで頂戴、アサシン」

 

「幻想郷での癖が抜けないもので。と言うか、無理矢理私を呼んだのはマスターですよね?」

 

「ええ。彼女にはちゃんと言ってあるから気にしなくても大丈夫よ?」

 

「食料は……」

 

「届けさせるわよ。さぁ、美しき我等の郷の為に、勝ち抜きましょう?」

 

「畏まりました。……話は変わりますが」

 

「何かしら?」

 

「彼処にいきなり出て来た彼女は誰ですか?」

 

「私も聞きたいわね、それ」

 

 

 

 

ーーー所変わらず柳洞寺

 

一人の人間が、一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)に乗って呆然としていた。

 

「ねぇ、キノ」

 

「なんだい?エルメス」

 

エルメスと呼ばれたモトラドは聞く。

 

「ここ、どこ?」

 

キノと呼ばれた人間は答える。

 

「ボクが聞きたいよ」

 

「とりあえず、あそこに居る人達に聞いてみれば?」

 

「片方は、周りを白い球体が漂ってて気になるけど、仕方がないか」

 

 

 

 

ーーー紅い館

 

「ふふふっ。揃ったようね、戦争(チェス)の駒は」

 

「ええ。けれど、如何するつもりなの?レミィ」

 

「決まってるじゃないか。あのスキマだけに良いとこを持って行かせるか!私達も乗り込むぞ!咲夜、用意をしろ。パチェ、地下室の封印は?」

 

「残念ながら、フランは参加する気満々みたいだけれど?」

 

「ちっ、仕方がない。美鈴、フランのお守りをしろ。パチェ、向こうに行く準備は?」

 

「あとは、魔法陣を起動させるだけ。夏流がいる場所に転移するわ。あと、私は迷宮図書館の番をしてなくちゃならないから参加出来ないわ」

 

「わかっているさ。もしもと言う時は参加してもらうがな」

 

「ええ。そのもしもが来ない事を願うわ」

 

「お嬢様、準備が整いました」

 

「こっちも平気ですよ〜」

 

「早く行こうよ、お姉様!」

 

「ああ、行くぞ!」

 

ーーー冬木市へ!




もはや、作者の手を離れて活動しているような気がする。キャラが勝手に動くってこういう事か。


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十五頁目「乱入」

自分でも展開がわからないカオス状況


間桐邸、蟲蔵。

 

ハルとフランにこの世界の事を教えて送り出した私は、再びここに戻ってきていた。パチュリーから、レミリア達がこちらに来ると言われ、一番迷惑にはならなそうな場所に移動した結果だ。

 

ゴウッ

 

強風。展開されている魔法陣からは、パチュリーの魔力がした。

 

「来てやったぞ、夏流。なかなか面白そうな事に参加するそうじゃないか。我々も混ぜて貰うぞ」

 

「御断りしたいのだけれど?」

 

「残念だがフランがやる気なのでな。それに、彼奴にだけ良い思いはさせたく無い」

 

「彼奴?誰の事?」

 

「決まっているだろう。あの忌々しいーー」

 

「お嬢様、家主への挨拶をしなければ」

 

「ああ、そうだったな。案内してくれ、夏流」

 

「騒がしくなりそうね……」

 

 

 

 

ーーー衛宮邸

 

 

槍兵と青い少女の闘いは、拮抗しているかに見えて、槍兵が終始押していた。

 

少女は不可視の何かで金色の槍を防ぐが、防がれた直後には次の攻撃を繰り出している。少女が攻撃する事は殆ど無い。

 

「ふん、そんなものか?人間」

 

「大口を叩いているわりには、其方も決め手に欠けているのでは?」

 

お互いに攻めきれずに、数合打ち合う。そこで、戦局が動いた。

 

膨大な魔力の襲来。

 

魔術には絶対の自信を持つランサーでも眼を見張る程、圧倒的な量。

 

「私も交ぜてくれませんか?そろそろ、戦闘欲が高まって参りましたので」

 

天使のような少女。圧倒的な存在感を纏い、頭上には、幾何学的な模様を描き廻る光輪、人を浮かせるには小さすぎる、腰から生えた羽。

 

その全てを上回る程の殺気。

 

「ちっ、バーサーカーか」

 

「なっ、理性を保っている!?」

 

そこに一人へたり込む少年ーー衛宮士郎は、

 

「キュゥ……」

 

失神していた。

 

 

 

 

「不味いな」

 

「どうかしたの?アーチャー」

 

「バーサーカーが乱入した」

 

「バーサーカー!?なんでこんなタイミングで?」

 

「詳しくはわからんが、ただ、闘いたかっただけと取れる発言をしていた」

 

「……それ、狂戦士(バーサーカー)じゃなくて戦闘狂(バトルジャンキー)じゃないの?」

 

「ランサーがバーサーカーと言っていたが?」

 

「……ま、如何でも良いわ。私達も行くわよ」

 

「待て、今行くのは駄目だ。少なくとも、あのバーサーカーが居なくなるまでは」

 

「あら、逆らう気?こっちには令呪が有るのよ?」

 

「ここはバーサーカーが居る場所からは遠いからか、君は感じていないようだな。膨大な魔力と殺気を」

 

「……膨大な魔力?あのバーサーカーは魔術を使えるの?」

 

「そこまでは解らん。だが、君でも太刀打ち出来ないだろう。いや、現存する全ての魔術師が協力しても深手を追わせることすら出来ないだろうな」

 

「何よそれ。反則クラスじゃない」

 

「今はただ、バーサーカーとランサーが消えるのを待つしかない」

 

「くっ……」

 

 

 

 

「……あら?」

 

「如何したのですか?マスター」

 

「新たな乱入者のようね。それも、私達の知り合い」

 

「へぇ、キャスターさん達の知り合いかー。どんな人達ー?」

 

「まだ誰かは解らないので、答えようが無いですわ。……さて、この世界について理解は出来たかしら?キノ、エルメス」

 

「ええ。ありがとうございました」

 

「ありがとー」

 

「暫くは此処に居なさいな。アサシンが守ってくれるから安全でしょうしね」

 

「みょん!?わ、私はまだ半人前です!無理ですって!」

 

「限界を超えなさい」

 

「みょーん!」



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