ウルトラマンネクサス ~VIOLET MEMORY~ (ダイタイ丸(改))
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第1話 邂逅 - トゥルー・ネクスト -

というわけで第1話です。

至らないところもあるでしょうが温かい目で見守ってください(汗)


 

 

俺は今でも、たまに夢に見ることがある。

 

 

絶え間なく鳴り響く銃声。

 

赤い花を咲かせて死んでいく人間たち。

 

 

その中を、阿鼻叫喚の地獄の中を一人走っていく。

 

 

死んでたまるか。

 

こんなところで死ねるか。

 

俺はまだ何者でもない。

 

だから生きなければ。

 

生きたい。

 

生きたい。

 

生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい生きたい。

 

 

その原初的な感情だけを持って、戦場を走り抜ける。

 

 

後ろから乾いた銃声が間をおかず連続で響く。

 

自分が駆け抜けた後を殺意のこもった鉄のつぶてがなぞっていく。

 

それはまるで、自分の命を刈り取りに来た死神の足音のようだった。

 

 

死神はゆっくりと、自分との距離を詰めていく。

 

 

そして刹那、銃弾が足に命中し俺は前のめりに倒れしまう。

 

熱く灼けるような痛みが足から伝わり、うめき声が漏れる。

 

 

発砲したと思われる男が後ろからゆっくりと近づいてくる。

 

醜く、歪に笑いながら男は拳銃を俺の額に突き付ける。

 

 

瞬間、俺はイメージした。

 

銃弾によって額に風穴を開けられ、骸となる自分自身の姿を。

 

 

死を覚悟し、目をつぶって俺はその瞬間に備えた。

 

 

 

鈍い音が、辺りに響き渡った。

 

 

俺は疑問に思った。

 

何故まだ意識があるのだろうか。

 

それ以前に痛みはおろか銃弾による衝撃すら感じなかった。

 

 

恐る恐る目を開けてみると・・・

 

 

自分を撃とうとしていた男は気絶しているのか、白目をむいて倒れていた。

 

 

そして、正面には・・・

 

 

夕日を背に浴びて佇む一人の男がいた。

 

男は手に棒状のものを持ち、たった今駆けつけたように息を切らしていた。

 

 

呆然とする俺に、男は手を差し伸べる。

 

 

「生きろ。生きて、命をつなげ」

 

 

その手を、俺は握りしめた。

 

 

ーーーーー

 

 

新宿大災害・・・ザ・ワンと呼ばれた原初のスペースビーストとネクストという呼称が付けられた銀色の巨人『ウルトラマン』との戦いから既に2年が経過していた。

 

だが、その記憶は忘却の海『レーテ』によって世界中の人々から忘れ去られていた。

 

TLTと名乗る組織の人間を除いてビーストの存在は闇へと葬られたのである。

 

だが、彼らは知らなかった。

 

ビーストとは闇を根源とするものであり、闇とは人のすぐそばにある普遍のものだということを。

 

そしてもう一つ、彼らは知らなかった。

 

闇がある限り、それを照らそうとする光もまた存在し続けることを。

 

 

ーーーーー

 

 

何の変哲もない草原で、彼は戦っていた。

 

 

地面にうずくまり、汗を拭わず、しかし決して落とさず手を動かし続ける。

 

もうかれこれ2時間も、彼はこの場所で作業をしていた。

 

わずかな油断もできない。それが即、死につながると知っているからだ。

 

 

やがて、作業すること数十分。

 

 

ガチャンという金属音が鳴り、彼は安堵した様子で顔を上げた。

 

夕日に照らされ顔が明らかになる。

 

 

黒い髪に端正な顔立ち、健康的な肌をした青年だ。

 

だが、折角の顔は機械油と泥にまみれて魅力半減である。

 

 

汚れた顔をタオルで拭き、立ち上がると先ほどまで彼が戦っていたものが姿を現す。

 

 

蓋のようなものが外された、円形の金属塊がそこにはあった。

 

重量の変化を察知して爆発する、いわゆる地雷と呼ばれる兵器である。

 

青年は今までずっと、この対戦車地雷の処理作業をしていたのだ。

 

 

青年はふうと放念するように息をつき、満足そうに夕焼けに染まる空を見上げる。

 

その姿はまるで一枚の絵画のように、様になっていた。

 

 

 

 

 

夕暮れが迫り、青年が荷物を担いで帰ろうとすると辺りに「おーい!センヤ!」と声が響く。

 

声の主に心当たりがあるのか、青年は苦笑すると声のした方角に顔を向ける。

 

すると向こうから走ってくる人影が見える。

 

人影は少年の前で止まると気さくに彼に話しかける。

 

「ハイ!センヤ、今日はどんなデカブツを片付けたんだい?」

「よおランディ。今回はこんなところさ」

そう言って、背中のバックパックからいくつかの地雷の部品を取り出して見せる。

 

するとランディと呼ばれた人物はヒュゥ!と口笛を吹き、部品を手に取り眺める。

 

「すごいな!対人地雷が八つに・・・対戦車地雷!?おいおい、お前さんはどこまでクレイジーなんだ?」

「ほめ言葉になってないぜ?」

お互いハハハと笑いあう。

 

「よし!暗くなる前に帰ろう。今日の晩飯はセンヤの好きなフォーだぜ」

「おっ!それは嬉しいね。仕事のし甲斐があるってもんだ」

 

 

そうして二人は地雷注意の看板を越え、地雷原を後にした。

 

 

ーーーーー

 

 

その日の夜・・・

 

 

外に出て、月を見ながら青年・・・出雲千夜はコーヒーを飲んでいた。

 

すると隣にランディが座り、酒の入った瓶とコップを差し出して一杯どうかと誘ってくる。

 

首を横に振るとつれないなぁと呟いて酒を飲み始める。

 

 

 

千夜は今、ベトナムに来ている。

 

理由は昼間やっていた地雷処理だ。

 

この国には冷戦時に埋められた地雷が大量に存在しているという。

 

最近は機械なども導入されているがまだまだ全てを撤去しきれていない状況だ。

 

だからこそ力になれると思い、地元で地雷処理をしているランディと共に働いているのだ。

 

 

 

少し考え事をしているとランディがそれにしてもと話しかけてくる。

 

「センヤ、お前は何でこんな危険な仕事に首突っ込んでるんだ?そりゃお前には才能があるけどよ」

 

その質問に、千夜は遠い目をして答える。

 

「そうだなぁ・・・こんな俺でも役に立てることがあるとおもったから、かな?」

「何だよそれ。お前ならもっと別のことでもそつなくこなせるだろ?」

「うん・・・でも、こうしてる方が俺らしいのさ」

「やっぱ変な奴だなぁ・・・でも、そこが面白いんだがな」

そう言いながら彼が酒をあおる。

 

そんな彼に千夜も聞き返す。

 

「じゃあさ、逆にランディは何で地雷撤去なんてしてるんだ?」

「お告げだよ」

「お告げ?どういうことだ?」

「昔な、夢で見たんだよ。俺の足元で死神が笑ってやがるんだ。俺はそいつを引っ張り出してその髑髏の顔をたたき割ったんだ。そしたら周りに急に人が出てきてありがとうだの礼を言うんだよ。それが心地よくてな。それで、地雷の撤去を始めたんだよ」

 

バカみたいだろ?と彼が笑いかける。

 

「そっか・・・夢か・・・」

「なんだ?お前も夢でお告げが来たか?」

「・・・わからない」

「じゃあよ、どんな夢だ?」

「・・・歩いてるんだ。ジャングルの中を」

「それで?」

「いや、それだけなんだ。ただ森を歩いてる、そんな夢だ」

 

ここ最近見る奇妙な夢の話をランディに聞かせる。

 

すると彼はウーンと考えてからこう言った。

 

「もしその夢がお告げなら・・・お前は何かを探すべきなのかもな」

「え?」

「ただ歩いてるってのはおかしい話だろ?何かしらの目的地があるはずだ。それを探すのがお前の使命なんじゃないか?」

「俺の・・・使命・・・」

「・・・ま、行くかどうかはお前の勝手だがな。俺も別の地区に移動するつもりだし、お前も新しいことをしてみたらどうだ?」

 

そう言って彼は先に帰っていった。

 

 

 

ランディが去った後、千夜はしばらく月を見て考えていた。

 

そして、ある決意を固めると家へと戻っていった。

 

 

ーーーーー

 

 

数日後、千夜はベトナムから単身ブラジルに渡っていた。

 

 

ランディに言われた自分の使命・・・それを見つけるため、あのジャングルに似た場所を探していた。

 

目的地は今なおそのほとんどが未開の地となっている森林地帯、アマゾンだ。

 

 

小型のモーターボートを借り、しばらく川を上っているとふと目に留まるものがあった。

 

 

本流から外れて流れる小さな小さな支流。

 

 

そう、丁度小型の船が一隻通れるほどの大きさである。

 

 

気になり、船の進路をそこに向ける。

 

 

うっそうと茂る木でまるでトンネルのようになっている川を進んでいく。

 

 

しばらく行くとコンクリート製の橋げたが見えた。

 

 

(こんな森の中に・・・一体何なんだ?)

 

不審に思い、船を止めて橋げたに上陸する。

 

すると森の奥に続く同じくコンクリートの道があることがわかる。

 

 

周囲を警戒しながら、ゆっくりと歩を進めていく。

 

 

しばらく行くと急に景色が開けてくる。

 

 

そこは切り立った渓谷の上だった。

 

 

下を見てもうっそうとしたジャングルしかない。

 

 

(はずれだったかな・・・)

 

コンクリの道は気になるがここは自分の目指す場所ではないようだ。

 

踵を返し、歩き出した次の瞬間

 

 

突然後ろから何者かに組み付かれ、刺激臭のする布を鼻と口に被せてくる。

 

抵抗する間もなく、千夜は意識を失った・・・

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

森の中をひたすら歩いていた。

 

どこを目指しているのかもわからず、ひたすら歩みを進めていく。

 

 

しばらく歩くと急に景色が開ける。

 

 

そこには、見たこともない奇妙な遺跡が佇んでいた・・・

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「はっ!」

 

突然目が覚め、跳ね起きるとそこは森の中ではなかった。

 

 

無機質な天井、自分の寝かされた簡易なベッド、どうみてもどこかの施設の中である。

 

 

「ここは・・・」

「あら、起きたのね」

呟くと隣からそんな声が聞こえてくる。

 

驚いて隣を見るとそこには女性が一人、座っていた。

 

白衣を型掛けにし、長い髪を後ろでまとめた若い女性だ。

 

状況が呑み込めず目をパチパチしていると女性の方から声をかけてくる。

 

 

「自分の状況わかってる?ケガはしてないようだし、体に異常はないはずだけど。喋れる?」

「あ、ああ・・・えーと・・・」

「なら結構。私は間宮花蓮よ。蓮の花をさかさまにして花蓮。ここの医者よ。よろしくね」

「あぁ・・・俺は出雲千夜。千の夜って書くの。えーと・・・ここって?」

「そうね・・・リーダーに確認取ってくるわ。ちょっと待ってなさい」

 

そう言うなり部屋を出て行ってしまう花蓮。

 

そんな彼女の様子にポカンとした後、慌てて自分の状況を確認する。

 

服装は着てきたジャケットを脱がされ、下のシャツだけになっている。

 

持ち物は隣の机に置かれており、金品を取られた跡はない。

 

「なんなんだよ・・・」

 

そうぼやいていると部屋の扉が開き、花蓮ともう一人男が入ってくる。

 

精悍な、抜身の刃のような印象の男だ。

レザー地の青黒の服を着、腰のホルスターには見たことのない拳銃が収まっている。

 

 

男は千夜の前までやってきて瞳を見つめる。

 

緊張した面持ちでいると男が突然、深々と頭を下げた。

 

予想外の反応に「へ?」と間抜けな声が漏れてしまう。

 

そんな俺にかまわず、男は姿勢をそのままに口を開く。

 

「・・・すまなかった。君が一般人だと思わなかったんだ。てっきり組織の者だと思い気絶させてしまった。本当にすまなかった」

 

声に悔恨を滲ませて男が謝り続ける。

 

「い、いや!勝手に入っていったの俺だから!てか、組織って・・・?」

「すまない。それに関しては何も話せないんだ。ただ一つ、俺たちは君の敵ではないということは理解してくれ」

「は、はぁ・・・」

「・・・自己紹介がまだだったな。俺は間虎怜士。怜士と呼んでもらって構わない」

 

そう言って男・・・怜士が手を差し出してくる。

 

握手ということだろうか。とりあえずその手を取ると彼は表情を変えないまま「うむ」と言って手を放した。

 

なんだか調子が狂う。ハハハとぎこちない笑みを浮かべるとまたも怜士が話し始める。

 

 

「君は安全が確認でき次第、街へと送り届けよう。見た限り旅行者だろう。俺がこんなことを言うのも変だがジャングルは危ない。今後は一人でああした行動はとらない方が身のためだ」

 

そうして怜士のお説教が始まる。

 

一人で熱弁(無論、表情は変えずに)を振るう怜士。

 

反応に困っていると花蓮がベッドに腰掛けてくる。

 

「ああなるとめんどくさいから放置でいいわよ。アイツすぐ熱くなるから」

「その割には表情を全く変えないんですけど・・・」

「そういう奴なのよ。アイツが表情変えるのは余程の事があったときだけ」

 

変な奴よねと前髪をかき上げながら花蓮が言う。

 

あんたもなかなかだよというツッコミは胸にしまっておいた。

 

 

 

そうして演説が五分を経過したその時

 

 

天井に設えられたスピーカーから耳障りなブザー音が響く。

 

 

「な、なんだ!?」

「・・・聞こえるか?こちら間虎だ、状況を・・・何?襲撃にあっているだと?場所は・・・わかった」

ブザーを聞いて驚く千夜とは対照的に、怜士はすでに状況把握を終えたようだ。

通信機をしまうと足早に部屋を出ていこうとする。

 

 

「お、おい!さっきのブザーはなんなんだ!?」

「すまないが急用だ。そして君はこの部屋から出るな。間宮、お前は俺に同行しろ」

「はいはい、さっさと行くわよ」

そう言い残して二人が部屋の外へ出ていく。

 

 

 

待っていろと言われ、とりあえずは数分待機していると外から銃撃音や爆発音が次々に響く。

 

 

「やっぱり普通じゃない。何が起こってるんだ?」

 

居ても立ってもいられず、扉を開け外に出る。

 

 

特に変わったところのない通路を走り、音の鳴る方へと走る。

 

 

音に近づくにつれ、何人もの人と通路ですれ違う。

 

 

 

銃で武装し、音の方へ急ぐ人。

 

突然の事態に混乱しているのか逆方向に逃げる人。

 

包帯を血に染め、担架で運ばれていく人。

 

 

かつて見たのと同じものがそこにはあった。

 

 

体が震える。

 

呼吸が早まる。

 

なにより、心が悲鳴を上げる。

 

 

「なんだ・・・ってんだよ!」

 

 

だが、足は止まらない。

 

確かめなければ気が済まない。

 

 

そして通路が終わり、外の広いスペースに出る。

 

 

恐らくは車両等を止めて置くスペースなのだろう。

 

だが今そこにはバリケードが設置され、内側には身を乗り出して銃を撃ち続ける人々が。

 

反対側には鋼鉄でできたライオットシールドを構えながらこちらに銃撃をしてくる謎の集団がいた。

 

 

おそらく敵と思しきその集団のシールドには一様に『TLT』の文字が刻印されている。

 

 

 

「敵をバリケードに近づかせるな!手榴弾でも何でもいい!奴らの盾を引きはがせ!」

 

そう指示しながら自らも大型の両手銃で銃撃するのは先の男、怜士だ。

 

 

「怪我人は早くこっちに退避しなさい!治療してあげるから!」

そう少し離れた場所で花蓮が他の怪我人を治療しながら叫んでいる。

 

 

 

まさしくそれは戦場であった。

 

 

 

そしてそれを認識した時

 

 

自分の中の、忘れかけていた感覚が目を覚ます。

 

 

 

倒れている負傷兵から銃や手榴弾などの装備を奪い取り、バリケードの端から目立たぬよう近くの茂みにジャンプする。

 

 

茂みに隠れ、敵集団がこちらに気づいていないことを確認し、ゆっくりと後ろに回り込む。

 

 

完全に真後ろに回り込んだところでまずは手榴弾を二つ手に取りピンを抜く。

 

 

そして集団とバリケードの間を狙って投げ、衝撃に備える。

 

 

 

一方の怜士は大型銃、ディバイトランチャーで敵部隊の盾を一人ずつ吹き飛ばしていた。

 

ランチャーはスタンモードになっているため、死にはしないはずだ。

 

対人戦を想定した改造が功を奏している。

 

(だが圧倒的に戦力差が大きい・・・どうすれば・・・)

 

 

すると刹那、二つの物体が飛来し丁度バリケードと部隊の間に落ちる。

 

それは、ピンの抜かれた二つの手榴弾だった。

 

 

「まずいっ!総員!退避!」

 

そう叫び、自らもバリケードに身を隠し衝撃に備える。

 

 

 

次の瞬間、爆発が起き敵部隊の動揺する声が聞こえる。

 

 

さらにその直後、何かが地面に落ちる音と共に閃光と破裂音がまき散らされる。

 

 

恐らくは閃光弾だろう。

 

バリケードに隠れていた怜士は目を灼かれることはなかったが、敵部隊は完全にパニック状態だ。

 

 

「チャンスだ!一気に制圧するぞ!」

 

誰が投げたのかなど気にしている暇はない。

 

手榴弾と閃光弾を投げた何者かに感謝しながら怜士は仲間と共に部隊の捕縛に移った。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

10分後・・・なんとか危機を乗り越えた一同は格納庫で奪った装備の点検や怪我の治療など各々自由に動いていた。

 

 

そして千夜は・・・

 

 

「いいか!戦場にど素人が出るということは即、死を意味する。挙句の果てに手榴弾を投げるなど愚の骨頂だ!たまたま成功したからいいようなもの、もし手元で爆発していたらどうする?それに万が一、バリケードの内側に手榴弾が来ていれば皆死んでいたんだぞ?お前はそもそも・・・」

 

延々と続く怜士のお説教を正座で受けながら、ハァとため息をついていた。

 

「なんでまだ会ってから一時間も経ってない人にここまで言われなきゃならんのですか・・・」

「あったりまえでしょ。あんた死にたいの?バカなの?」

隣に立っていた花蓮にも丸めた冊子でスパンと頭をはたかれる。

 

 

「そう言ったって、あの時俺のアシストがなかったら皆助かってなかったかもでしょ?」

少し不満げに、口をとがらせて言う。

 

すると花蓮がハァ~とあきれたようにし、口を開く。

「あのね、あそこはあくまで時間稼ぎが目的だったの。奥に戦闘機みたいなのが見えるでしょ?あれで射撃するつもりだったのよ。充電に時間かかるからその間の足止めだったってわけ」

 

そう言って彼女が指さす先には、見たことのない形の戦闘機が二機ずつ停まっている。

 

「プロトタイプチェスターアルファにベータ・・・威力だけなら空母一つだって落とせるわ。ま、操縦は難しいけどね」

 

そう言って再度、こちらを見て一言。

 

「つまり、あんたがしたことは余計なおせっかいどころか危険でしかなかったわけ。失敗した時の事とか全然考えてなかったでしょ。それをリーダーも私も怒ってるってわけ。理解した?」

「すんませんでした・・・」

 

そこまでボロクソ言われると流石に気落ちする。

 

がっくりうなだれると花蓮が背中を思いっきりバァンと叩いてくる。

 

「ぐえっ!?何するんだ!?」

「そんな簡単に男が落ち込んでるんじゃないわよ・・・結果的にはうまくいって怪我人の数も減らせたんだからオーケーと思いなさいよ」

 

そう、そっぽを向きながら励ますように花蓮が言う。

 

 

意外と不器用なのかなーとおもいつつ「・・・どうも」と呟く。

 

 

それを聞き、少し口を緩めつつも顔を背けてスタスタと花蓮は去っていった。

 

 

「いい人なんだな・・・」

「おい!俺の話を聞いているか!?」

 

お説教はまだまだ続きそうだ・・・

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

それから数分後、怜士のお説教が10分を経過したところで異変は起こった。

 

 

「間虎さん!基地の北東10キロの地点に謎の熱源を感知しました!」

部下と思しき若者がパソコンを持って怜士に報告する。

 

「熱源だと?動物ではないのか?」

「いいえ、最低でも90度はあります。ここまでの表面温度を持つ生物はいません」

「ならば一体・・・」

 

 

 

そう二人が考え込んでいると突然、大きな地鳴りが建物を襲った。

 

 

 

「うわっ!」

「くっ!何だ?状況を確認しろ!」

怜士がよろめきつつも部下に指令を飛ばす。

 

「そ、外の監視カメラの映像です!」

と一人の部下が映像を空中に投影する。

 

 

 

そこには二本の足で立つワニのような咢を持った異形の獣が映し出されていた。

 

 

「ビースト・・・」

若者が呟くと同時、轟音と共に建物が揺れる。

 

 

「各自迎撃態勢をとれ!武装は先ほど奪ったものでも構わん!チームガルーダは俺と来い!」

そう言って怜士がプロトタイプチェスターに足を進める。

 

 

「お、おい!何なんだ今の化け物!?」

思わず聞く俺の肩に花蓮の手がかけられる。

 

 

「悪いけれど説明している暇はないわ。早く逃げるわよ」

「逃げるってどこへ?」

「バカね。ここ『フォートレスブレイヴ』は地下施設よ?シェルターくらいあるっての」

 

言って手を引かれ、足早に階段へと引きずられていく。

 

 

「ここから下っていきなさい。私は負傷兵と一緒にエレベーターで退避するから。今度は言うこと聞きなさいよ?」

 

言うなり急いで走り去る彼女に千夜は言いようのない不安を感じていた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

一方、怜士は自身がリーダーを務めるチームガルーダの面々と共にプロトタイプチェスターに乗り込んでいた。

 

 

「アルファワンより各機に告ぐ。これよりビーストをタラスキュラと呼称、攻撃を開始する!」

「アルファツー、了解!」

「ベータワン、了解!」

「べ、ベータツー、了解!」

 

 

それぞれのチェスターからの了解を聞いて、怜士は叫ぶ。

 

「チームガルーダ、出撃!」

 

 

すると頭上のハッチが開き、青い空が見えるようになる。

 

 

四機のチェスターは垂直に上昇し、その後タラスキュラへと向かっていく。

 

チェスター達に気が付いたタラスキュラは口から青い火の玉を放射して攻撃してくる。

 

それを通常の戦闘機ではありえない軌道で回避し、ミサイルやレーザーキャノンでタラスキュラに攻撃を仕掛ける。

 

ダメージを受け、怒ったのか咆哮しながらチェスターを腕で振り払おうとする。

 

だが、それに当たるような彼らではない。

 

冷静にそれを回避し、その間にも攻撃を続ける。

 

 

「よし、同時攻撃で一気に決めるぞ!各機、なるべく近くで撃て!」

「「「了解!」」」

 

 

ミサイルで敵の注意をそらし、レーザーキャノンの照準を合わせながら肉薄していく。

 

 

そして、照準がぴったり合わさったところで部下たちに指示する。

 

「ファイア!」

 

 

同時に四機のチェスターはタラスキュラの胴と背中にそれぞれ一斉攻撃を仕掛けた。

 

 

しかし、攻撃が届くその瞬間

 

 

突然皮膚が脈動したかと思うとタラスキュラの体から猛烈な蒸気が噴出される。

 

 

「うわっ!」

突然の気流のせいでチェスターの制御を失い、森に不時着する。

 

他のチェスターも同じような状況のようだ。

 

 

「くっ!攻撃は届いたはず・・・一体なぜ?」

『どうやら原因はあの蒸気みたいですね』

通信機から若い男の声が響く。

 

「どういうことだ?」

『レーザーは空気中の障害物に弱いんです。そこを突かれる形になりましたね・・・』

 

悔しそうに怜士はコックピットのガラスを叩いた。

 

 

 

一方、障害が消えたタラスキュラは歩みを始める。

 

そしてフォートレスブレイヴの丁度真上で停止し、その手を地面に突き入れた。

 

 

「っ!皆待ってろ!」

 

怜士は仲間たちの無事を祈りながらチェスターの復旧作業を開始した。

 

 

ーーーーー

 

 

その数分前・・・

 

 

 

どうしても不安がぬぐえない千夜は花蓮を探し、格納庫を走っていた。

 

辺りを見回すも人の気配はない。

 

「もう流石に逃げてるよな・・・」

 

そう思い踵を返そうとしたその時、視界の端に動くものをとらえた。

 

急いでその方向に走るとそこには鉄骨に挟まれ、身動きの取れない男とそれを引っ張り出そうとする花蓮の姿があった。

 

 

「花蓮さん!大丈夫か!?」

「出雲千夜?何で逃げないのと言いたいところだけど手伝って!さっきの地鳴りで下敷きになったみたいなの!」

「あ、ああ!」

 

男を挟む鉄骨に手をかけ、思いっきり力を入れる。

 

すると耳障りな金属音と共に鉄骨が持ち上げられ、男を花蓮が引っ張り出す。

 

 

「行きましょう!エレベーターを待つ暇はないから階段でいくわよ!」

そう言って男を担ぎ、二人で階段へと向かう。

 

そして階段まであと5メートルというところでひときわ大きな揺れが襲う。

 

それと同時に天井が崩れ、大量の瓦礫が降ってくる。

 

 

ひときわ大きな瓦礫が上から落ちてくる。

 

 

迷わなかった。

 

 

千夜は全力を持って男と花蓮を突き飛ばした。

 

 

驚いてこちらを振り返る花蓮の顔が一瞬見え、千夜は瓦礫に飲み込まれた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

チェスターの復旧作業を終えた怜士は再び空を舞っていた。

 

 

レーザーキャノンでなんとかタラスキュラを基地から引きはがす。

 

「皆・・・無事でいろ!」

 

そう呟き再び照準を合わせる。

 

災厄を、滅するために。

 

 

ーーーーー

 

 

森を歩いていた。

 

 

つい先ほどまで何をしていたのか。

 

そもそも自分は誰なのか。

 

朦朧としながらも歩みを進める。

 

 

やがて目の前に、見たこともない奇妙な遺跡が出現する。

 

 

そしてさらに歩みを進めると、何かの祭壇のような場所にたどり着く。

 

 

そこには神秘的な雰囲気を放つ、石柩が佇んでいた。

 

 

手を伸ばし、石柩に触れる。

 

 

すると光が千夜を包み込み、石柩へと吸収された。

 

 

ーーーーー

 

 

光の海

 

 

表現するならばそんな空間に千夜は漂っていた。

 

 

そして、目の前には・・・

 

 

自ら輝きを放つ、銀色の巨人がいた。

 

 

巨人は何も言わず、千夜を見下ろしている。

 

 

「・・・俺を・・・呼んでいたのか?」

 

その問いに、巨人はゆっくりと首を前に倒す。

 

 

「俺・・・死んだ?・・・って花蓮さんは!?怜士さんは!?」

 

そう千夜が問うと巨人は右側を指さす。

 

 

そこには暴れる巨大なワニのような獣と、それに攻撃する戦闘機・・・チェスターの姿が映されていた。

 

 

「・・・なぁ、お前は何のために俺を呼んだんだ?」

 

その問いに、巨人は答えない。

 

 

ただまっすぐに、こちらを見つめているだけだ。

 

 

「・・・もし・・・もしお前が力を貸してくれるなら・・・皆を助けられるなら・・・」

 

そう呟き、巨人に向かって千夜は手を伸ばす。

 

 

 

「一緒に戦ってくれ!・・・ウルトラマン!」

 

 

 

すると、空間が光に満たされていく。

 

 

体から力があふれるのを感じ、千夜は戦場へと向かう。

 

 

命を、つなぐために。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

瓦礫に閉ざされた格納庫の壁に設えられた階段の踊り場で、花蓮は千夜の名を呼んでいた。

 

 

「出雲千夜!無事なら返事しなさい!」

 

そう何度叫んだだろうか。

 

だが、何度叫んでも彼は戻ってこない。

 

後悔と自責の念に心が満たされ、へたり込んでしまう。

 

 

彼女の心には今、絶望しかなかった。

 

 

それを拭いされる者は・・・

 

 

 

『俺が・・・皆の希望に・・・光になる!』

 

 

そんな声が聞こえた気がして、顔を上げる。

 

 

すると瓦礫の中から光が生まれ、空へと舞い上がっていく。

 

 

そしてビーストの正面に降り、強い光が辺りを照らす。

 

 

光が収まるとそこには・・・

 

 

光を具現化したような、銀色の巨人が立っていた。

 

 

「銀色の・・・巨人・・・」

 

 

光を、希望を見つけた瞬間だった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

光の巨人、ウルトラマンとなった千夜は敵・・・タラスキュラに目を向ける。

 

 

相手はこちらを見るなり、青い火の玉を放ってきた。

 

それを側転しながら躱し、攻撃がやんだところで一気に距離を詰める。

 

奴はワニに似た大きな咢で食らいついてくる。

 

それをつかみ、上に持ち上げ腹部に蹴りをお見舞いする。

 

怯む敵にすかさず拳打を打ち込み、最後はかかと落としを脳天に決める。

 

 

すると奴が皮膚を脈動させる。

 

先ほどのように蒸気が放たれようとした瞬間、頭上からミサイルの雨がタラスキュラに襲い掛かる。

 

悲鳴を上げ、悶えるタラスキュラ。

 

上空から旋回した一機のチェスターのコックピットから、怜士がサムズアップと共に口の端を僅かに上げる。

 

 

それに頷いて答え、満身創痍といったタラスキュラに視線を向ける。

 

 

そして左の手のひらを上に向け、右の手のひらをその上にかざしエネルギーをためる。

 

エネルギーが放電を起こすと同時、両手を十字に交差させ光の奔流『クロスレイ・シュトローム』を放つ。

 

 

まともにその攻撃を受けたタラスキュラは断末魔の叫びと共に青く輝く粒子となって消え去った。

 

 

 

それを見届けた後、銀色の巨人もまた光を放ち消えてしまった。

 

 

ーーーーー

 

 

巨人とビーストの戦いを、花蓮は瓦礫の上から見ていた。

 

 

巨人が消え、チェスターも近くに着陸している。

 

 

だが彼は、千夜は戻ってこない。

 

 

膝をつき、うなだれる。

 

自分はまた守れなかった。

 

医者のくせに、目の前の命すら守り抜けない・・・

 

 

「そんなことないよ。俺にはあんたの声が聞こえてたから」

 

 

ハッと顔を上げ、声のする方に顔を向けるとそこにはフラフラとよろめきながらも歩いてくる青年の姿があった。

 

 

「出雲千夜・・・千夜!」

いろんな感情がない交ぜになり、とりあえず目の前の青年を抱きとめる。

 

 

女性に抱き留められるのはそりゃ悪い気はしないが力が強い。あと、痛い。

 

「あたたた・・・流石に下敷きはキツイな・・・」

「当たり前でしょバカ!・・・ていうかどうやって抜け出したの?」

 

そう聞かれ、一瞬言葉を詰まらせる。

 

「・・・あ、あの巨人だ!あの銀色の巨人に助けてもらったんだ!」

「確かにあんたが埋まったあたりの瓦礫が光ったのよね・・・そっか、よかった」

 

一応、嘘はついていないし彼女も納得してくれたようだ。

 

 

セーフと心の中で呟くと向こうから「出雲!間宮!」と名を呼ぶ声がする。

 

 

そちらに目を向けると怜士がこちらに走ってくるのが見える。

 

 

「二人とも大丈夫か?出雲、お前ボロボロかつフラフラだが大丈夫か?」

「ああ・・・とりあえず、生きてる」

 

そうかと安堵したように息を吐き、退避命令を出した後、怜士が去っていく。

 

 

その姿をしばらく見送り、花蓮に肩を借りて歩く途中、千夜は花蓮に自分の意思を伝える。

 

「花蓮さん・・・俺、もうしばらくここにいるよ」

「え?どうしてよ」

「ここなら・・・俺のやれること、見つけられそうだから・・・」

そう言って、花蓮に笑いかける。

 

すると花蓮も笑い返し、歓迎の言葉を紡ぐ。

 

 

「いいわ。リーダーに掛け合ってみる。ようこそ、反乱のならず者集団『ナイトクローラー』へ」

 

 

 

 

 

 

 

to be continue

 

 

 




いかがだったでしょうか?

面白かった、つまらなかった、普通、こんなのネクサスじゃねぇ!など何でもいいので感想を頂ければ嬉しいです。

ちなみにタラスキュラはワニの怪物タラスクスが元です。

次回予告も一応しておきます。


次回


反乱者の集団『ナイトクローラー』とは?

なぜTLTと敵対するのか?

そして現れた新たなビーストを前に、ネクサスが変身を遂げる!


第二話 変身-ジュネッス-


お楽しみに!


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第2話 変身 -ジュネッス-

お久しぶりです。ダイタイ丸(改)です。

大分間が空きましたが毎回こんな感じで進めていきますはい(汗)

先日、溝呂木役の俊藤光利さんのツイートでネクサス放送から12年も経っていると知りました。
干支一周しましたね。

フュージョンファイトにもザギがいますし、そのうちネクサス勢も参戦するかも?


報告書

 

 

ビースト『タラスキュラ』による被害一覧

 

物的被害

 

・地下一階の貯蔵庫の天井、及び備蓄物の大半が使用不可

・チェスター各機の計器、電気系統にダメージ 交換推奨

 

人的被害

 

・非戦闘員負傷者12名 うち一人は民間人

・チェスターβ1操縦担当三倉朱美が左腕部を負傷 全治一週間

 

 

以上で被害報告を終わる。

 

担当:チームガルーダ副隊長小門優士

 

受領:ナイトクローラー総指揮官兼チームガルーダ隊長間虎怜士

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

「ほい、これが今回の報告書です」

「ああ、助かる」

 

自室で部下の一人、小門優士からの報告書に目を通した怜士は彼にすまないと謝った。

 

「へ?なんですかいきなり」

「いや、今回の戦闘で三倉が怪我をしたと聞いてな・・・俺の判断ミスだ。すまなかった」

「ああ、朱美ちゃんね。ま、そりゃ運転席の方が銃座より危険ですししゃーないですよ」

 

そう言ってナハハと笑う小門はチェスター操縦チーム、ガルーダの副隊長だ。

 

そして先日のビースト、タラスキュラによる襲撃の際に彼とタッグを組んでいる三倉朱美が負傷してしまったのだ。

 

 

「ま、でも一応フルーツとか差し入れしたほうがいいかもですね。アイツ甘いもの好きですし」

「そうか。ではそうする」

「喜ぶと思いますよ。じゃ、失礼しまーす」

 

 

小門が出ていき、しばし報告書に目を通していると一番最後の紙で手が止まる。

 

 

そこには顔写真と身体能力の詳細データが記載されており、名前の欄には『出雲千夜』とある。

 

 

「どうするべきか・・・」

 

 

表情を変えず、しかし少し困ったような声音で怜士は一人天井を仰いだ。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

一方、怜士の頭痛の種になりつつある千夜は地上の射撃場にいた。

 

 

手には大型の両手銃ディバイトランチャーを構え、周囲にはチームガルーダの面々がいる。

 

 

「じゃ、あそこにある的に当ててみ?」

「あいよー!」

 

元気に答え、ディバイトランチャーを構える。

 

しっかりと照準を合わせ、トリガーを引き絞った。

 

 

すると反動で上体がのけぞり、弾はあらぬ方向へ飛んで行った。

 

 

「あれ~?」

「ハハハ、そりゃ最初はそうなるさ。威力が馬鹿みたいにデカい分反動も強いからなー」

 

そう言ってガハハと笑うのは最初に的に当てるよう指示した男、襟角彰だ。

 

「アキラさん!危ないですよ。また隊長に怒られますよ?」

「そうよ、大丈夫?」

 

そうアキラに言うのはチーム最年少の少年、武藤空吾と女性パイロットの風吹歩だ。

 

「だーいじょーぶ。クーゴもアユちゃんも気にしすぎだって。な、新入り?」

「はいはい・・・打撲残ってるし正式採用もまだですけどね」

 

少し嫌味を込めて言うも、明は意に介さずガハハと豪快に笑う。

 

それに非難の眼差しを向けながらも、口元を僅かに緩めて千夜はもう一度銃を構えなおした。

 

 

 

ーーーーー

 

 

タラスキュラの襲撃から二日。

 

 

千夜はこの組織、『ナイトクローラー』に身を寄せていた。

 

いや、正確には組織と呼べるほど整ったものではない。

 

ナイトクローラーは秘匿組織、地球解放機構『TLT』から離反した者たちが結成した反乱チーム、レジスタンスであるからだ。

 

 

 

「ようするに、TLTのやり方が気に食わない奴らが集まったチームね。ま、南米支部にいた奴らばっかだけど」

 

二日前、銀色の巨人となってビーストを倒した後、瓦礫のダメージと筋肉痛の千夜を介抱しながら花蓮はナイトクローラーについて説明してくれた。

 

さらに、自分たちの本来の敵は正体不明の人を食らう怪物『スペースビースト』であること。

約二年前から人間とビーストの戦いは続いてるらしいことも教えてくれた。

 

 

「なぁ、ビーストっていったい何なんだ?」

「さぁ?・・・ただ、私は新宿大災害が怪しいと思ってるわ」

「あの隕石落ちたやつ・・・俺もその時は日本にいましたよ。親父がすげぇ心配してたけど」

「へぇ、お父さんは何の仕事してるの?」

「自衛隊員。ま、去年引退したけどね」

「もしかして手榴弾投げる訓練とかされてないわよね?」

「そんなわけないじゃない?で、なんで新宿大災害が怪しいの?」

「だって、名前からして『スペースビースト』よ?多分、新宿に落ちた隕石に乗ってたのよ。それで地球を侵略してる・・・そう考えるのが妥当じゃない?」

 

そんな花蓮の自論を聞きながら、漠然と千夜は考えていた。

 

(じゃああの巨人・・・ウルトラマンも宇宙から来たのか?てか、なんで俺はウルトラマンって呼ぶんだ?)

 

考えながら話を聞いていると花蓮がちょっと!と呼びかける。

 

「あいあい?なんだっけ?」

「全く・・・人と議論してる時くらいちゃんとしなさい」

 

(議論っていうか自論ですよねー。花蓮の自論の議論ってなんか韻踏んでてラップみたい)

 

そんなことを考えているもんだからまた注意され、今度は頭を叩かれる千夜であった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

少しボーッとしていると知らぬ間に話の争点が彰のズボラっぷりにすり替わってしまっているようだ。

 

空吾と歩の叱責を笑って明が受け流している。

 

 

そんなチームの面々を見ながら、千夜はふと疑問に思った。

 

「あの、何で皆さんはTLTから抜け出したんですか?ビースト倒すんなら多少の思惑の違いがあってもサポートがあった方がいいんじゃ?」

 

そう質問した瞬間、場の空気が変わるのが分かった。

 

 

さっきまで賑やかだった三人が途端に静かになり、嫌なことを思い出したかのような表情を見せたからだ。

 

 

「ご、ごめん。余計なこと聞いた・・・」

そう謝ると彰がいやいやと手を振ってくる。

 

「こっちこそ悪いね・・・ただ、まぁなんというか。誰だって話したくないことはあるってことよ」

 

ナハハと笑って見せるがその笑顔もどこかぎこちない。

 

 

微妙な空気が流れ、耐えかねていると後ろから声をかけられた。

 

「おい出雲!」

「怜士?何用で?」

そう問うと1枚の書類を掲げて手招きする。

 

「うちで働くんだろう?面接だ」

「あ、ああ!じゃ、皆さんあざーした!」

 

これ以上この場にいるのは無理であるし、千夜はおとなしく怜士についていくことにした。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

千夜が去った後も射撃場の三人は沈黙を保ったままだった。

 

 

ふと、歩が呟く。

 

「言えないわよね・・・あんなこと」

 

その呟きに、ほかの二人も同意見だった。

 

 

しかし彰はそれよりも千夜について、引っかかることがあった。

 

 

「出雲・・・?まさかね・・・」

 

 

ーーーーー

 

 

 

一方千夜はわざわざ個室に連れてこられ、怜士の面接を受けていた。

 

 

「血液型とかそういうのはいいので、聞かれたことだけ答えてくれ」

「了解!」

「ではまず動機からだな」

「えーと・・・やるべきことだから!」

「何故やるべきこととわかる?」

「野生の勘!」

「・・・・・・」

「うそうそ!嘘だから無言でなんか書き込むのやめてください怖いです!」

 

何やら書き書きする怜士に慌てて謝るとため息をついてから質問を続ける。

 

「小学生じゃないんだ。元気があるのはいいことだが真面目に、分かりやすく、明瞭に答えろ」

「りょうかい・・・」

「で、何故やるべきことなんだ?」

 

再度投げかけられるその問いに、千夜は内心焦っていた。

 

(どうすっかな~・・・ウルトラマンだっ!って言っても信じちゃくれないだろうし・・・)

 

結局、ウルトラマンという事を除いて、この場所まで足を運んだ理由を話すことにした。

 

「夢で見たんだよ。ジャングルを歩いてる夢。それでここに来たらいろいろあって・・・これがお告げかー!みたいな」

「ふむ・・・動機としては弱いがまぁいい。で、問題はここからだ」

 

そう言い、眼光を鋭くして怜士は続ける。

 

「先日の手榴弾、先ほどのディバイドランチャーの扱い。とても素人には思えん。お前は一体”何者”だ?」

「いやいや、手榴弾は偶然だし。それにランチャーだって明後日の方に飛んでったろ?」

 

そうあくまでも偶然と主張する千夜。

だが、怜士は鋭く続ける。

 

「さっき撃ったとき、お前は反動の大半を受け流せていた。銃を扱ったことがないものなら吹っ飛んでいる。俺が実際そうだったからな。それに二日前、手榴弾に続いてお前は閃光弾も投げていた。重さも構造も違う物を、爆発までのタイムラグも知らずに正確に同じ位置に落とす?それが偶然であるものか」

 

身を乗り出し、鋭い眼光で千夜を射抜きながら書類を突き付ける。

 

「過去の事は調べがついている。ベトナムで地雷処理をしていたそうだな。そんな専門技術をその歳で会得しているものが『ただの一般人』なわけがない」

 

まくし立ててから姿勢をもどし、少し口調を緩めて怜士は言う。

 

「・・・俺としては仲間の救助に尽力してくれたお前を疑いたくない。だが、俺には皆を守る義務がある。素性も分からない奴をそう簡単に内輪に入れるわけにはいかないんだ」

 

 

すると千夜は天井を仰ぎ、「まいったね・・・」と呟いた。

 

「わかったよ。ただし、こっちの全部をさらけ出すんだ。そっちにもそれなりの代償は払ってもらいますよ」

「交換条件か。いいだろう。わかる範囲でならこちらも情報を開示する」

 

そう怜士が言ったのを確認し、千夜は聞いた。

 

 

「じゃあ、あんたらは何でTLTから離反した?何か言いたくないことがあるんでしょ?」

 

 

そう問うと、怜士が目を泳がせる。

 

それを逃さず、千夜は畳みかける。

 

「こっちは洗いざらい話そうってんだ。なのにそっちはだんまりかい?」

 

 

しばらく迷うように額に手を当てていた怜士だったが、やがて観念したのかこちらを見つめてきた。

 

 

「いいだろう・・・ただし、お前の過去が先だ。いいな?」

「ああ、はぐらかしたらタダじゃおかないからね」

 

 

そして千夜は自らの過去を、闇をさらけ出す・・・

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

銃声と血、クソみたいな大人たち、あとは折檻か不味い飯。

 

 

それが子供の頃の俺の全てだった。

 

 

俺は生まれてすぐ捨てられたらしい。

 

本当の国籍だって、日本かどうかわからない。

 

そういうまっさらなガキは便利だ。

 

 

教える価値観次第では殺人マシーンにだってできる。

 

だからゴミ捨て場で泣いていた俺はテロリストに拾われた。

 

 

日本人系の顔だったからか、シノビという名をつけられ俺はテロリストとして育てられた。

 

 

ニッポンのシノビは必ず任務を実行する。

失敗すれば命はない。

だから必死になる。

だから強い。

 

そう何度も言い聞かされ続けてきた。

 

 

そんな俺を、人間として育ててくれたのは同じようにテロの道具にされていた子供たちだった。

 

彼らは大半がまっとうな暮らしをしていたものの、住んでいた場所がテロリストに襲われさらわれた者たちだった。

 

彼らは世界の事を教えてくれた。

 

それは他愛のないことだったけれど、その中から俺は大切なものをいくつも学んだ。

 

 

嘘をついてはいけないこと。

 

悪い子には魔物がおしおきに来ること。

 

誰かに優しくすればそれは自分に帰ってくること。

 

 

彼らから聞く話は、大人たちが言うことよりよっぽど輝いて、正しく思えた。

 

 

人を殺すのは悪いことかと聞いてみたことがある。

 

すると皆口をそろえて言った。

 

悪いことだ。

 

けれど、やらなければ死んでしまう。

 

生きるために必要なら神様は許してくれる。

 

 

今思えば、彼らは自分自身に言い聞かせていただけなんだろう。

 

でも、そうでもしないとおかしくなってしまいそうな世界だったんだ。

 

いや、とっくにおかしくなってたのかもしれないけど。

 

 

そうして俺たちはひたすら生きるために殺し続けた。

 

毎日のように繰り返される戦闘で一人、また一人と死んでいった。

 

 

 

そしてその日、俺は必死で逃げていた。

 

死にたくなかった。

 

何者かもわからずに死に行くのがとてつもなく怖かった。

 

 

そんな俺に、手を差し伸べてくれた人がいた。

 

 

出雲陽一。

 

それがその人の名だった。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

後から聞いた話によると、出雲陽一は友人の戦場カメラマンに用心棒を頼まれ有休をとって戦地に来ていたらしい。

 

そして戦地で逃げ回る少年兵の俺を見つけ、助けてくれたんだ。

 

 

その後陽一は日本に俺を連れて帰り、施設に預けるつもりだった。

 

だが、施設に着いたときの俺の瞳を見てその考えを改めたらしい。

 

 

見知らぬ人を、特に大人を憎悪するかのような眼差し。

 

 

その時、こいつを面倒見れるのは自分しかいないと思ったらしい。

 

 

「・・・なぁ、お前に選ばせてやるよ。施設で不自由なく同年代の子と仲良く暮らすか。それとも育児の事なんて全く分からないおじさんのところで先行き不安な生活するか。どっちがいい?」

 

 

迷わなかった。

 

俺にとって、出雲陽一という男は太陽のような存在だった。

 

必要な存在だったんだ。

 

 

 

そうして俺は養子になった。

 

名前は陽一が付けてくれた。

 

彼は名前を発表するときこう言っていた。

 

 

「明けない夜はないっていうが、それは一日経てば明けるってことじゃあない。

人によっちゃあ十日、百日、一年。それ以上も暗い中を這いずり回らなきゃならんこともある。

お前にもそんな時はきっとくる。

いや、もう経験したのかもしれんが・・・だからこそ、決して諦めるな。

人生ずっと闇なんてこたぁないんだ。

諦めずに一ミリでも西に向かえばいつか必ず夜明けは来る。光は見える」

 

 

千の夜を乗り越えられるような強さを持てるように。

 

だから俺は『出雲千夜』と名付けられたんだ。

 

 

 

それから俺は親父の教育を受けながら専門の学校に通った。

 

義務過程も事情を鑑みて何とかパスされたし、高校まで行くことができた。

 

 

でも二年前の災害でたくさんの人のために命を張る親父みたいに、もっと直接人の役に立ちたいと思った。

 

それで自分にできることを探して大学を中退して旅に出た・・・

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「ベトナムで地雷撤去してたのはまぁそういう過去があったから。設置する側も構造を分かってないと危ないからさ」

 

一通り話し終わり、改めて父陽一の存在の大きさを思い知る。

 

あの人がいなければ自分はあの戦場で死んでいただろうから。

 

 

「・・・そうか、すまない。まさかそんな過去があったとは」

「いやいや、むしろスッキリしたよ。あ、でも面接的にはマイナスかな?元テロリストだし」

そうおどけていうと怜士は素早くそれを否定した。

 

「違う。お前はまっとうな人間だ。強く優しい、優れた人間だよ」

「ありがとうございます・・・でいいのかな?」

「謙遜するな。お前は大した奴だよ・・・」

 

少しだけ口元を緩めて言う怜士に笑顔で返す。

 

 

「さて・・・次は俺たちの番だな・・・」

 

姿勢を正し、神妙な口ぶりに戻った怜士の話に千夜は耳を傾ける。

 

 

「俺たちがTLTを抜け出したのは・・・」

 

 

 

そう怜士が切り出したまさにその時。

 

 

天井のランプとスピーカーが作動し、基地全体に危機を知らせる。

 

 

「ビースト・・・!」

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

数分後、怜士はチェスターα1に搭乗し各員に指示を出していた。

 

 

ディスプレイにはジャングルを進んでくる一つ目のビーストが映し出されている。

 

その姿を確認し、怜士はチームに指示を出す。

 

「各機に告ぐ!これよりビーストを『スタグロプス』と呼称。全戦力をもってこれを殲滅する!」

 

「「「了解!」」」

 

隊員たちの返事を聞き、操縦かんを握る手に力を込める。

 

 

「出動!」

 

 

鋼の翼が空を舞う。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

戦闘開始から数分。

 

 

こっそり地上に出た千夜はチェスターとビーストの攻防を目の当たりにしていた。

 

 

クワガタのような角を持つスタグロプスの外皮は硬く、チェスターの武装では火力に欠けるようだ。

 

 

チェスターが不利と結論付けた千夜は懐から短剣のようなものを取り出した。

 

ウルトラマンとして戦った後、いつの間にか懐に入っていたものだ。

 

 

そしてこれが何なのか、千夜は誰に聞くまでもなく分かっていた。

 

 

「俺は誰かを守らなきゃならない・・・それが人殺しをした償いだ・・・だから力を貸してくれ!」

 

そう叫び、腰の横で構えた光の遺物『エボルトラスター』を一気に抜き放った。

 

 

 

 

 

光が千夜を包んでいく。

 

身体に力がみなぎる感覚と共に出雲千夜は再び銀色の巨人、ウルトラマンとなった。

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

「またあの巨人か!」

 

チェスターで飛んでいた怜士は目の前に現れた巨人を見据えて叫ぶ。

 

 

「隊長!あの巨人、味方でいいんですよね?」

そう無線で聞いてくる副隊長に怜士は答える。

 

「今はあの巨人を援護する!総員、気合を入れろ!」

 

そう言って怜士は照準をビーストに合わせた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

巨人・・・ウルトラマンとなった千夜はスタグロプスと改めて対峙する。

 

 

(あの角に挟まれちゃたまんねぇな・・・まずは翻弄するか)

 

方針を固め、スタグロプスが放ってくる炎弾を側転しながら躱す。

 

(素早く動くには・・・こうだろ!)

 

攻撃がやむ一瞬のスキをついて両手をクロスさせる。

すると残像が見えるほどの速度で敵の背後に回り込むことができた。

 

(行くぜ!)

 

 

接近し、パンチとキックの連打をお見舞いしてやる。

 

肉弾戦の訓練など、幼少期にとっくに体験済みだ。

 

一撃一撃に体重を込め、さらに同じ地点を執拗に攻撃してやると装甲に皹が入りはじめる。

 

 

(よし!いける!)

 

そう思った瞬間、スタグロプスが破裂した。

 

 

蒸気と外皮をまき散らし、ウルトラマンは後退。

 

チェスターは計器に不調をきたし、全機が落下していく。

 

 

(危ない!)

 

各機が自力で着陸態勢に入る中、チェスターβ1だけが不安定な姿勢のまま落下していく。

 

 

「くっそ!」

と毒づきながら操縦しているのは優士だ。

普段は銃座で射撃担当のため、こういったトラブルには弱いのである。

 

 

(間に合え!)

 

とっさにその場から飛び、ダイビングキャッチのような姿勢でなんとかチェスターを掴み激突を防いだ。

 

 

(よかった・・・)

 

チェスターを地面に降ろし、優士に頷くウルトラマン。

 

 

その隙を、”脱皮”したスタグロプスが見逃すはずもない。

 

 

背中に鋭い痛みを感じると同時、千夜は自らの失態に気づいた。

 

脱皮し、新たな姿となったスタグロプスは鎧を無くす代わりに鋭利なかぎづめを手に入れ、ウルトラマンを襲ったのだ。

 

 

(ぐっ・・・がぁ!)

 

苦しみ、しかしチェスターを守るためその場から動けないウルトラマン。

 

 

その胸のY字のクリスタルが赤く点滅し始めた。

 

 

「何だあれは?」

「危険信号かも!赤が警告色なのは万国共通ですから」

 

空吾の予想が当たっていると判断したチェスター達はそれぞれ攻撃をするが、優先目標をウルトラマンに決めたビーストは動かない。

 

 

「くそ!僕たちがもっと強ければ!」

 

空吾のその声は、その場にいた全員の気持ちの代弁だったに違いない。

 

 

もちろん、ウルトラマンとなっている千夜も例外ではない。

 

 

(こんなところで・・・!)

 

点滅が早くなるにつれ、身体から力が抜けていくのが分かる。

 

 

思い出すのはかつての戦場。

 

死なないため這いずり回ったあのころの記憶だ。

 

 

(死んでたまるか・・・やられてたまるか・・・!俺には力がいるんだ!もっともっともっともっと!)

 

 

それはきっと執念と呼ばれる感情だったのだろう。

 

 

そして”彼”はその呼びかけに的確に応えた。

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

チェスターで旋回しながら怜士は見た。

 

 

銀色だった巨人が黒い光を放ったと思ったとたん、ビーストが吹き飛ばされた。

 

 

そしてその後には、新たな姿に変身した巨人が立っていた。

 

 

「・・・黒い、巨人?」

 

新たな姿の巨人は黒かった。

 

黒の隙間には銀が光り、その黒も自ら輝くブラックオパールのような光沢をしていた。

 

 

「何だあの姿は・・・何故・・・」

 

何故こうも自分は不安になる?

 

 

ーーーーー

 

 

 

黒い姿・・・ジュネッスノワールに変身したウルトラマンは激高するスタグロプスを見据え、腕にエネルギーを貯める。

 

すると腕部のヒレのような部分から光の刃が伸び、武器のようになる。

 

 

独特の掛け声を残し、巨人がビーストの羽を切り付ける。

 

ビーストの悲鳴と緑の血をまき散らし、羽が地に落ちる。

 

 

その後も拳打脚打を浴びせ、時には腕の刃で切り付けながらスタグロプスを追い詰めていく。

 

 

(終わりだ・・・!)

 

 

最後の攻撃を放つべくウルトラマンは右手を伸ばし、その上に曲げた左手を載せてエネルギーを貯める。

 

 

そして左手を垂直に立てるとそこに右手を打ち付けるようにして逆L字を作った。

 

 

すると左腕から黒い光の奔流『イヴィルレイ・シュトローム』が放たれ、スタグロプスを呑み込んだ。

 

 

エネルギーを全身に受けたスタグロプスは淡い光の粒子となってウルトラマンの胸のクリスタルに吸収された。

 

 

 

そしてウルトラマンも光に包まれ、消えていった・・・

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

チェスターを着陸させ、ヘルメットを脱いだ怜士は自分の手を見る。

 

 

その手は細かく震えていた。

 

脳裏にはあの黒い巨人の姿がはっきりと焼き付いている。

 

 

 

「一体なんなんだ・・・この震えは!」

 

 

正体不明の恐怖を感じながら、怜士はただただ立ち尽くすしかなかった・・・

 

 

 

 

 

 

to be continue




というわけでどうだったでしょうか第2話。

今回はとりあえず千夜の背景がメイン。

他のガルーダ隊員も登場させておきました。
ちなみに、隊員たちの名前は人間に友好的な怪獣からつけました。
設定も更新するので見てみてください。

ジュネッスノワールはジュネッスの赤い部分を黒くして他の部分を明るくした感じです。



というわけで次回もお楽しみに!





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