ハイスクールD×D モンスターでクリーチャーな俺 (misuta)
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第1話

※注意
・オリジナル主人公で怪我や障害を持っています。
・顔文字がよく出てきます。
・他作品のモンスターやクリーチャーが出てきます。
・他作品のネタも出てきます。
・もしかしたらグロ描写も出てくるかもしれません。(極力控えますが)


これらが苦手な方はブラウザバックをお勧めします。

それでも大丈夫な方は是非楽しんでもらえたらと思います。


初めまして、俺は門星 剛(かどほし ごう)。

駒王町に住んでいて、駒王学園3年生の学生だ。

これから進路について考えていこうとする普通の学生…なんだけどな。

実は俺は人と違う所がある…厨二じゃないぞ?

 

それは昔、俺は火事で顔に大火傷を負ってしまい生死の境を彷徨ったことがある。

現代医療の全力で奇跡的に助かった…が、残念ながら顔は火傷の跡で酷い顔になっている。

皮膚移植するにもグチャグチャの顔には難しいらしいので仕方なく包帯を巻いている。

 

そしてもう一つ、

 

「門星君、またね!」

「剛、また明日なー!」

「…ぁ…ぃ」

「あはは、無理して喋らなくて大丈夫だって」

『バイバーイ(・ω・)ノシ』

「うん、じゃあね!」

 

火事と顔の件がショックになって声が出なくなってしまった。

なので、携帯用のホワイトボードでコミュニケーションを取っている。

同学年は入学から慣れているので普通に接してくれるが、

下級生からは体のデカさと、この風貌で恐れられている。

その為か『駒王学園のモンスター』って陰口もあるらしい…苗字が門星でモンスターってかw

え、審議不可?(´・ω・`)ソンナー

まぁ…それ以外は特に問題はない、と思う。

 

同級生達はこの陰口に怒っていたなぁ。

特にリアス・グレモリーさんと生徒会長の支取蒼那さんの怒りようはすごかった…。

元々彼女たちが俺に対する偏見を無くそうと頑張ってくれたから同級生たちが普通に接してくれたからな。

本当に感謝感激って奴だね!

 

だから俺も生徒会の仕事を手伝ったりと学園でのボランティア活動もしている。

「感謝したい」と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!

いや、言ってみたかっただけ。

 

「こらー!待ちなさい変態共!」

 

「…?」

 

廊下を歩いているとどこからか女子の声が聞こえる。

あぁ、また彼等か…確か兵藤、松田、元浜の三人組だっけ?

そんなアグレッシブさは感心するよ…いや、しちゃダメか?

ふと曲がり角で急に表れた例の三人組にぶつかる…すげぇ吹っ飛んだな。

因みに俺は身長は2m近く、体重は120㎏とヘビー級…デブじゃないぞ!

あ、彼らは怪我してないかな?

 

「げぇ、モンスター先輩!?」

「馬鹿、それは禁句だぞ!?血を吸われて殺されるぞ!?」

「ロードローラ持ち上げて落としてくるぞ!」

『 し ね ぇ よ (´°ω°`) 』

「「「サーセン…」」」

 

俺はWRYYYYYとか言わないぞ。

それ絶対調子こいて2回も宿敵に負けるパターンの奴や!

多分タンクローリー持ってきても負けるぞ!

馬鹿なぁぁぁ!このGOがぁぁぁ…このGOがぁぁぁッ!?とか叫んで粉々になって死ぬで。

195㎝の長ランと学帽の奴に要注意!

 

「あ…か、門星先輩」

『こいつらは俺が説教するから君達は練習してきな(´∀`)』

「は、はい!」

『大会に向けて頑張れ~(・ω・)ノシ』

 

剣道部の彼女たちを帰して、もう一仕事だな。

振り向くと3人組が逃げようとしたから制服をガッチリ掴んで阻止。

伊達にデカい体をしていないぞー?

ヒャッハー!O☆HA☆NA☆SHI☆TIMEだぁぁぁ!

 

『お前ら女子生徒に対する迷惑行為はダメ。ゼッタイ(`・ω・´)』

「だって俺たちモテないですし…」

『そういう事するから余計にダメなんだろうが!( ゚Д゚)ゴルァ!!』

「先輩は興味ないんですか!?女体の神秘に!!」

『俺だって男だからそれはわかるけど、少しは理性を持てや。猿か、てめぇら( ゚Д゚)y─┛~~』

「先輩、何でそんなに速く筆談が出来るんですか…顔文字ついてるし」

『慣れだ。そして顔文字は可愛いからだ!(`・ω・´)』

「「「そんな理由!?」」」

『って話が逸れた!(;´∀`)とにかく、次同じ事したら…!』

「「「同じ事したら…?」」」

『 本 気 で 怒 る (#^ω^)ビキビキ』

「「「すいませんでしたぁぁぁッ!!」」」

 

唸りながら書いたら3人は土下座して謝った…全く悪い奴らではないのにねぇ。

特に兵藤なんて顔は悪くないんだから行動さえ改めればモテると思うのに。

とりあえず罰として俺と一緒に花壇の植え替えを手伝わせる刑に処す。

何だかんだ言ってちゃんとやってるから本当にもう少し言動改めればねぇ…。

あ、こら!花はもっと丁寧に愛情を持って植えろ!

 

 

ふぅ、スーパーの特売に間に合ってよかった。

あの特売は奥様方が修羅の国の住人になる場所だからやばいわ。

特売王と名乗る巨大な馬を駆る奥様に勝てたのは運が良かった…。

これで買い物は少ししなくても大丈夫だ。

もう、ファンファーレ流れてレベルアップしても良いくらいだ。

お、そうだ。この裏道を使って早く帰ろう。

ここは暗くて廃倉庫の近くを通る道だから昼間も不気味だけど何も出ないだろ。

お化けなんてないさ、お化けなんて嘘さ。

 

「おやおや…デカくて食い甲斐がある奴が来たねぇ」

「!?」

 

廃倉庫の近くを通った瞬間、薄気味悪い声が聞こえた。

甲高い男の声でも低い女の声でもない何とも言えない声に全身に鳥肌が立つ。

逃げようと走り出そうとしたが、目の前のソレは俺の前に立ち塞がった。

緑色の肌に象の牙よりもデカい角、そして俺よりも巨大な体躯。

おいおいおいおい嘘だろ、ここはRPGの世界じゃねぇぞ!?

 

「…ぅ、ぁ」

「怖くて声が出ないかぁ? 安心しろ、すぐに殺して食ってやるからよぉ」

「…!」

「逃げるのかぁ? ちょっとだけ遊んでやるぞぁ♪」

 

俺が全速力で逃げるもアイツはまるで狩りを楽しむかのように追いかけてくる。

咄嗟に持っていたスーパーの袋を振り向き様に顔へ向けて投げるもまるで効果が無い。

体力が尽きてきた俺にさらに悪いニュース…行き止まりだ。

追い込まれた…他に逃げ道は!?

辺りを見回しても何もない、万事休すとか冗談ではない。

 

「追いかけっこはお終いかなぁ? さて、どこから食おうかなぁ♪」

 

後ろからの声に俺は振り向いた瞬間に巨大な手によって捕まってしまった。

無理矢理解こうにも力が違い過ぎてどうにもならない。

畜生、もう駄目なのか…?

 

「決ーめたぁ♪頭から丸齧りだぁ」

「…ぁ」

「頂きまぁぁぁす♪」

 

死にたくない…こんな奴に殺される何て嫌だ。

 

死にたくない、死にたくない、死にたくない!

 

嫌だ、嫌だ、嫌だァァァァァッ!!

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」

「な、なんだぁ!?」

 

俺が叫んだ瞬間…顔が熱を帯びて全身に力が入り、化物の手を無理やり抉じ開けた。

拘束が解けた俺は転がるように脱出をする。

立ち上がろうとすると体がずっしりとしているがそれ以上に力が満ち溢れているような感覚がした。

いつの間にかゴツくて黒いコートを着ていて、手には金属製のようなグローブを着けていた。

顔の包帯は無くなっていていたが…待て、ちゃんとした皮膚がある?

この感覚…火傷の跡が無い? 一体全体どういう事だ?

 

「お前…神器持ちかぁ!?」

「…?」

「答えろぉぉぉ!」

 

神器って何?

そう思ったが化け物が俺に向かってきて攻撃しようとしている。

だが、どういうことか…さっきと動きが遅く見える?

これなら…さっきのパワーを使えば攻撃できる!

化物の攻撃を避けながら、カウンターで顔面に拳を叩き込む。

するとどうだ、軽々と化け物が吹っ飛んでいった。

信じられない事の連続だったが、ボンヤリしている暇はない。

相手は俺を殺そうとしている…ならやり返しても文句はないだろ?

 

「まっ待てぇ!来るなぁ!」

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッ!!」

「ギャアァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

化物が命乞いしてきたが俺は声を上げながらめちゃくちゃに殴ると化け物はまるで人形のように簡単に壊れていく。とっくに死んでいるのだろうけど俺は必死に殴り続けた。手を抜いたらまた殺されるかもしれないと言う恐怖が俺の自制心を殺しているのだろう。

気が付いた時には化物はまるでミンチ…肉塊みたいになっていた。

何て力だ…まるで【暴君】というような姿、これじゃあ本当にモンスターだ。

自分の変化を改めて見てみると思わず頭を抱え込む…何か後頭部に違和感があるな?

まるでレスラーの覆面のような作り…もしかして。

マスクを取るような動作をしてみるとそれは簡単に取れて、手には白い肌の坊主頭の覆面があった。

そして、俺の格好はボロボロの制服と取れかけた頭の包帯…元に戻った。

 

「…ぇ」

 

声も出ない。

この覆面で変身できるのか?

何となくだけどそれだけは理解できた。

とにかく帰ろうかと思ったが体が言う事を聞かない。

あれだけ暴れたせいなのか、疲れてそのまま意識が遠退いてきた。

倒れた瞬間に誰かの声が聞こえたけど、もう…眠い。

 

 

「あの肉塊は…!」

「討伐対象のはぐれ悪魔…何でこんな無残な状態に?」

「部長誰か倒れています!」

「え、門星君…!?」

 




閲覧ありがとうございます!

仮面ライダーとかヒーローに変身するのはよく見ますが、
クリーチャーに変身する主人公がいても面白いなと思って始めてみました。
因みに最初に出てきたのは分かる方は少ないかと思いますが「バイオハザード2」に出てきた【タイラント(T-103型)】です。
まだ見た目がまだ人間っぽいので良いかと思いました←
これからも色んな人型クリーチャーに変身します。

もし、このクリーチャー(出来れば人型)に変身してほしいとかありましたらコメントなどでどうぞ(笑)
感想などお待ちしております!

それではまた!


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第2話

 

 

あれ…ここどこよ?

知らない天井どころか知らない場所とか笑えないぞwww

うん、草生やしても意味ないのは知っている。

こんな血と錆だらけの遊園地とか完全にホラーゲームじゃないですかやだー。

これで後ろ振り向いたら何かがいるパターンだろコレ?

はい、くるっと振り向いても何もいない―。

 

「やっほー♪やっと会え―あべしっ!?」

 

振り向いたら血塗れなピンクウサギの着ぐるみとかトラウマだわぁぁぁ!!

思わず顔面を殴り飛ばしたけど俺は悪くねぇっ!俺は悪くねぇっ!!

遊園地とかの着ぐるみっぽいけど血塗れとか子供が見たらどうするんだ!?

モンペが来るぞぉぉぉッ!

子供が真似したらどうするんだって?

知るかぁぁぁッ!てめぇが叱れやぁぁぁぁぁッ!!

 

「ひどいじゃないか! 僕みたいな可愛いキャラにやる対応じゃないよ!」

『お前みたいな血塗れウサギなんて知りません(゚д゚)』

「あ、そうか自己紹介がまだだったね?

 初めまして、僕はロビー君!

 可愛い可愛い、プリティーでラブリーでキュートで皆に愛されるマスコットだよ♪」

『( ゚д゚)、ペッ』

「返事が唾吐き!?流石にひどいよ!?」

 

血塗れウサギことロビー君の少しウザったい自己紹介を軽くスルーして本題を聞かなければ。

宿主とは何なのか? あの覆面は何なのか? 俺の体はどうなってしまったのか?

ロビー君は俺の疑問をわかっているかのように話し続けた。

ウザくなったらまた唾吐いてやる。

 

「まずは神器についてだけどね」

 

どこからか取り出したのか知らないが巨大なホワイトボードで説明を始める。

普通だったら厨二臭いとか思っていたが、先程まで変身して化物を叩き潰したから信じるしかない。

しかし、こいつ説明とか進め方が上手いな。

学校の先生みたいだな。

 

「ここまでいいかい? じゃあ次に宿主の神器について話すよ?」

『あぁ、頼む』

 

俺の覆面…いや神器の名は【創られし生物は化物也】(モンスター・オブ・クリーチャー)

具現化された覆面にそれぞれクリーチャーやモンスターの力が込められていて、俺がそれを被る事によってその化物になれるらしい。

俺が使っていた黒コートの白ハゲは【タイラント】って名前らしい。

特性は圧倒的なパワーと頑丈さ、そしてリミッター解除時の戦闘力アップだそうだ。

他にも覆面には種類があり、その時の状況や俺の状態によって現れる覆面が変わるとの事。

但し、タイラントはいつでも出す事が出来るらしく、緊急時はそのまま変身できるらしい。

 

しかし、俺は覆面外せばただの人間。

外した時に攻撃されればダメージ受けるし、覆面が破壊されたら変身が出来なくなるから注意。

変身シーンは攻撃しちゃいけないのは暗黙の了解ではないらしい。

あらやだ世知辛い世の中。

そして思った事があるから訊いてみるか。

 

『他のクリーチャー達ってどんなのがいる?(・ω・)』

「色々!としか言いようがないなぁ…試しに会えるよ?」

『襲い掛かってこない?(;゚д゚)ゴクリ…』

「大丈夫、大丈夫♪皆~宿主に挨拶ー!」

 

ロビー君がそう言った瞬間、俺の周囲に多くの人影が現れた。

だからビックリするわ!!

そしてみんなデカい上に巨大な武器もっている奴とか多すぎやしませんかねぇ…。

囲まれているだけでめっちゃくちゃ怖いんだけどぉ!

 

「大丈夫だよ♪みんな宿主の事を気に入っているから襲わないよ?」

『怖すぎて嫌だぁぁぁ!。゚(゚´Д`゚)゚。』

「可愛い僕がいるでしょ☆」

『( ゚д゚)、ペッ』

「君、本当は余裕あるでしょ!? 因みに彼らの姿は変身出来るようになればわかるよ」

 

ウザくなったから唾吐いた、後悔も反省もしない。

でも親しみやすい奴で正直助かっているけどねぇ…ウザいけど。

確かに俺が変身したタイラントの姿はハッキリ出ている。

手を後ろに組みながら真っ直ぐ立つ姿、まさに軍人の待機状態って感じでカッコいい。

俺と目が合うと敬礼したので俺も敬礼し返す。

確かに見た目は怖いが悪い奴じゃないみたいだ。

 

「さて、そろそろ君が目覚める頃だね。もし、何かあったら僕を呼んでね!」

『どうやって?(´・ω・`)』

『こうやって念じれば答えるよ』

『こいつ直接脳内に…!?』

 

やり取りしていると辺りが暗くなってきた。

どうやら目覚めようとしているのは本当の様だ。

ロビー君が手を振っている姿が最後に見えた瞬間、真っ暗になった。

 

 

 

知らない天井だ。

いや嘘です…俺の部屋の天井です、はい。

どうやってここへ帰ったんだ?

あの裏道で倒れたのは確かなんだったけど…夢遊病?

それか今までが壮大なファンタジーなドリームがカムトゥルーしたか?

だとしたら本を書いて賞を取って夢の印税生活ぅぅぅ!

 

「おはようございます、門星先輩」

「…ぇ?」

「あ、無理に喋らなくて大丈夫ですよ?」

 

俺の馬鹿なドリームが炸裂した瞬間に声を掛けられて思わず声を出そうとしてしまった。

何で駒王学園のマスコットと称される塔城 小猫ちゃんがいるんですかねぇ…。

偶然和菓子屋で会って、そこから美味しいお菓子を教え合うくらいの知り合いだけど自宅までは教えていないはずだが?

あ、ホワイトボード持ってきてくれた。良い子だわ。

じゃなくて!

 

『何でここにいるの?(;^ω^)』

「昨日、道端で倒れていた先輩を発見したので運びました。それで今朝様子を見に来ました」

『それはすまない事を…え、運んだ?(;゚Д゚)』

「はい」

 

いやいやいやいや、気絶したこんなデカい奴を運べるのは無理でしょw

140㎝ないくらいの女子が200㎝の俺を運べるかを何でも相談教室に訊いても無言で切られるわw

でも…嘘吐くような子じゃない。手段はどうあれお礼はしないとな!

 

『そうか、ありがとうな塔城(・ω・)ノ』

「小猫でいいですよ、門星先輩」

『じゃあ俺の事も剛でいいぞ( ^ω^ )』

「はい、剛先輩」

『朝ごはん作ってあげるから待っててくれ。パンでいいか?』

「フレンチトーストが食べたいです」

『( ゚Д゚)ゞ リョーカイ!!』

 

相変わらず甘いのが好きなんだなぁ。

感情にあまり変化が無いけどおいしいお菓子を食べている時に嬉しそうな顔をしているのが可愛いんだよね。

可愛い女の子の笑顔の為なら頑張る。

誰だってそーする。俺だってそーする。

 

 

 

朝食を済ませて色々身支度した俺は小猫と学校へ向う。

途中ですれ違う人たちの目線が痛いわぁ…誰だ「美女と野獣」とか言った奴は?(・言・)

小猫が可愛いから大きくなったら美女になるのは間違いないけどな。

野獣って言った奴はアイアンクローしてやるから俺の前に出てこい。

ホラホラホラ(迫真)(°言°)

 

「あ、剛先輩。今日の放課後にオカルト研究部へ来てもらえませんか?」

『オカ研? 確か…グレモリーさんと姫島さんが所属している?( ・ω・)』

「はい、部長が呼んでいますので」

『あぁ、わかった( ・ω・)b』

 

小猫が関わっているから恐らく昨日の事…だろうな。

悪い人たちじゃないのはわかっているけどとりあえず行くだけ行ってみよう。

学園に着いても俺と小猫が一緒に登校している事に周りが騒然としている。

小猫も特に気にしていないみたいだし俺も気にしてない。

 

彼女と別れた後に変態3人組と遭遇。

何故か怒り狂ってた松田と元浜が俺と小猫が登校している事に腹立てて襲い掛かってきた。

 

速攻魔法発動!

 

両手でアイアンクロー!

 

俺の両手と握力を消費して相手の頭部に激痛を与える!!

 

『自分勝手な嫉妬で他人を攻撃するんじゃねぇ!(# ゚Д゚)ゴルァッ!』

「「ぎゃあぁぁぁぁぁッ!」」

「あ、先輩聞いてください!」

「?」

 

兵藤がいきなり声を掛けてきたが両手は今塞がっているので筆談が出来ない。

顔を向けるとすごい嬉しそうな顔をしているので、良い事があったのだろう。

どうせ好みのエロ本が手に入ったとかそういうのだろう。

彼女が出来たとかそんな爆弾発言が来るわけ―

 

「俺、彼女出来ました!」

 

あったよ。

思わずアイアンクローしていた手が緩んで二人を落としてしまった。

明日…槍が降らないよな?

帰りに鉄製の傘を買わないと…ド○キで売ってないかなぁ(白目)

 

 




閲覧ありがとうございます!

ようやく原作のスタートに繋げられました!
ぶっちゃけ今回は主人公の能力説明回です。
今回出てきたロビー君はサイレントヒル3に出てきたマスコットです。
今作ではモンスターオブクリーチャーの意思伝達係をやってくれます。
あまりにウザいと剛に『( ゚д゚)、ペッ』をされます。

ヒロイン?決まってないですよ←

引き続き感想やリクエストなどはお待ちしています!
それでは、また!


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第3話

 

 

『彼女が出来た…だと?(;・ω・)』

「はい! 天野 夕麻ちゃんって可愛い子が俺に一目惚れしたって言ってくれたんです!」

『…昨日の今日ですごい事が起きるもんだな(;゚Д゚)

 とりあえず、おめでとう兵藤(*´∀`)』

「アザッス! あ、俺の事はイッセーって呼んでください」

『おぅ、わかった。俺も剛でいいわ』

 

少し…いや、かなりビックリしてとんでもないこと考えていたわ。

こいつはスケベだが良い奴なのは何となくわかっていたからな、これで少しは落ち着くだろう。

そして俺は「イッセーのスケベはワシが治した(キリッ」ってコメント出せるだろう。

とにかく先輩として素直に祝福して年上の貫録を見せつけよう。

正直に言えば告白されるとか羨ましいのぅ…俺も可愛い女の子に告白されたい(´・ω・`)

こんな顔だから絶望的なのは知っているけどさぁ。

おっと目から汗が…( ;∀;)

 

「日曜日にデートする予定なんですけど…デートって初めてなので正直不安で」

『俺もデートした事ないからアレだけど、人付き合いで大切な事くらいは教えてやるよ』

「マジッスか!? お願いします!」

『まずは待ち合わせの時間よりも早く着いてだな…』

 

俺が出来るのは後輩のデートが成功できるようにアドバイスする事くらいだな。

学園コメディならこっそりついて行って様子を見るとかするんだろうけど、

そんな無粋な真似は出来ねぇ…門星 剛はクールに去るぜ。

背中で男らしさと哀愁を漂わせるのがポイントよ?

イッセーに人付き合いの常識程度を教えてから俺は教室へ向った。

あっ松田と元浜を放置していた!

まぁいいや、俺に攻撃したのが悪い。インガオホー。

 

 

ぬわああああああああん疲れたもおおおおおおおおおおおん!

やめたくなりますよ~授業ぉ…。

いや、やめちゃ駄目なんだけどな!(反語)

さてさて、放課後になったからオカルト研究部に行かないとな~。

この門星 剛…約束は破らず、実行する事を信条としている!(`・ω・´)

当たり前だよなぁ?

するとグレモリーさんが俺の所へ来た。相変わらず綺麗な紅髪ですなぁ~。

 

「門星君、小猫から聞いたと思うけど」

『おぅ、今から行こうと思っていたんだ』

「じゃあ案内するわ。ついて来て」

 

という事で、グレモリーさんにホイホイとついて来た訳だけど。

他の生徒の視線と声が響くw

おい、また美女と野獣って聞こえたぞ?

野獣先輩って言った後輩、後で屋上で俺と決闘(デュエル)な。

 

まさか誰も使っていない旧校舎にあるとはな…オカルト的な雰囲気バッチリだわ~。

ある意味ロビー君みたいなのが出て来るんじゃないのか?

もし後ろを振り向いて何かが出たら顔面パンチ(タイラントver.)だ。

慈悲はない。

 

「ここよ。ようこそ、オカルト研究部は貴方を歓迎するわ」

 

グレモリーさんが如何にもな感じの扉まで案内されると扉が開かれる。

見事な洋館の一室…そしてその中でどら焼きを食べている小猫を発見(゚Д゚)

しかもシャワー室もあるとかここで暮らせますわw

家具も充実してて確実に俺のアパートよりいい物件なんですが、家賃おいくらですか?

 

「あらあら、ようこそ門星君。お待ちしていましたわ」

『どうも( ・ω・)ノ』

 

おや、あの長い黒髪ポニーテールな大和撫子は姫島 朱乃さん。

グレモリーさんと合わせて学園の2大お姉さまが一室にいるとは、他の生徒がいたら大騒ぎだ。

俺は大騒ぎする程の声が出ないから静かだぜ?

その分、脳内とホワイトボードはうるせぇけどな!(^q^Ξ^p^)ウェーイwww

 

「初めまして、門星先輩。僕は木場 祐斗と申します。よろしくお願い致します」

『これはご丁寧に、こちらこそよろしく( ^д^)ノ』

 

あー確か、イケメン王子って噂の木場君か。

クラスの女子生徒もよく言っていたなー。

爽やか笑顔なイケメンとか…ずるいわー(´・ω・`)

でもいい奴そうだから許そう、先輩として許さなければ(TдT)

 

「…塔城小猫です…今朝ぶりですね」

『あ、その店は日曜日限定で美味い羊羹売っているからチェックしときな m9(゚д゚)ビシッ!』

「!…情報、ありがとうございます」

 

小猫は相変わらずだなぁ。

頭を撫でてあげたいが嫌がるだろうなぁ…。

肩車してあげるからとか言ってみるか?

おい、事案発生とか言うな。

年齢は2歳差だぞ!いい加減にしろ!

 

とりあえずソファーに座ると姫島さんが紅茶を煎れてくれた。

どれどれ…美味ぇw

スイーツを合わせるとしたらケーキもいいがこれはスコーンとかが合うだろうな。

今度作ってみるか?…あ、小猫がこっち見てスイーツの予感を察知したなw

 

「さて、門星君…昨日は貴方が廃倉庫近くの裏道で倒れていたけれど。何があったのかを話してくれないかしら?」

 

ある程度ティータイムが落ち着いてきたら部長用のデスクみたいな所からグレモリーさんが話しかけてきた。

それが本題だからな、真面目に話そう。信じてもらえるかどうかは別だけど。

俺は鞄から少し大きめなホワイトボードを出してその時の様子を書いていく。

 

買い物帰りに裏道を通ったらデカい化物に襲われた事。

逃げた末に追いつかれ、捕まって喰われそうになった事。

咄嗟に神器モンスター・オブ・クリーチャーが発動してタイラントになり、肉塊になるまで殴り殺した事。

そして神器を解除して倒れた…と。

説明し終えるとみんな真剣な表情で俺を見ていた。

どうやら俺が重度の厨二病患者という目で見ている訳ではなさそうだ。

 

「まさか、クラスメイトが神器の保持者だとは夢にも思わなかったわ…」

『信じるとは意外だったな』

「今度はこっちが話す番ね」

『ほぅ?』

「私たちは悪魔なの」

 

( ω)Ξ゚Ξ゚ ピューンッ

 

( ω)つ゚つ゚ パシッ

 

(つω⊂) ゴシゴシ

 

( ゚ω゚)

 

(;゚ω゚)ハイィィィ!?

 

悪魔…だと?

てっきり同じ神器持ちで化物から街を守ろう的な展開だと思っていたらまさかの展開!?

え、これ神器授けたから代価としてお前の命を頂くぞ的な展開になるのか!?

(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 

「あらあら…部長、門星君が震えていますわ」

「え、何で?」

「剛先輩、恐らく考えている事はないから大丈夫です」

 

あ、そうなの?

さらに話を聞いてみるとこの世界には悪魔・天使・堕天使の3勢力が争っていたらしい。

んで、この駒王町はグレモリーさんが次期当主として君臨…か。

同級生がとんでもない権力者だった件について。

悪魔と言っても羽根があるくらいで人間とは変わらないのね。

どうやら悪魔の世界ではチェスに例えて悪魔に転生させて下僕を得ていくらしい。

んで、あの肉塊も主人の許を抜け出したはぐれ悪魔で悪さをするお尋ね者だったと。

…まさか?

 

『もしかして…俺も悪魔に?』

「神器を持っているだけで他の勢力に狙われる可能性がある。出来れば手元に置きたいの」

『俺は普通に暮らしたい。それは人間である事も含めてな』

「この街の人を、クラスメイトを失いたくないのよ。お願い…」

 

 

……

 

………

 

はぁ…( -ω-)

そんな強い意志の籠った目は絶対折れないだろうな。

俺が普通に学校へ通えるのもグレモリーさんと生徒会長のおかげだ。

親も火事で死んで親戚には化け物扱いされて遠縁になった。

恩返し…と思えば俺自身は納得出来るか。

覚悟? 俺は出来ている。

 

『俺は醜い、声も出ない、モンスターとも呼ばれ、神器でとうとう化物になった』

「そんな事は…!」

『…けど、そんな俺を人間として扱ってくれた人に恩返しをしたい』

「…それって?」

『俺で良ければ協力しよう、グレモリーさん。ここへの入部もセットだろ?』

「…えぇ、ありがとう!」

 

俺は決意を固めて返答するとグレモリーさんは微笑んでお礼を言った。

男はねぇ、そういう笑顔には弱いんですよ…。

化物も悪魔もそんな変わりないしな。

グッバイ、俺のヒューマンライフ。

 

グレモリーさんが取り出してきたのはチェスの駒。

あるのは騎士1個、戦車1個、僧侶1個、兵士8個…後はみんなが持っているという事か。

それぞれ特性があるらしく聞いてみた。

騎士…速度UP

戦車…パワー・防御UP

僧侶…魔力UP

兵士…キングが定めた敵地でのみ女王、騎士、戦車、僧侶の特性を得られる。

何これ面白い。

 

『んで、俺はどれ?( ・ω・)』

「戦車ね」

「戦車ですわね」

「戦車でしょうね」

「…戦車」

『ですよねー(´・ω・`)』

 

うん、知ってた。

タイラントの事考えたら絶対そうなるよね。

早速グレモリーさんが戦車の駒を持って俺に近づける。

これって痛くないよね?

羽が生えるって何か痛そうじゃない?

ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

 

「あれ? 反応しない?」

 

しないんかい!?

壊れているとか?

不良品とかマジ勘弁よ(´・ω・`)

全部試してみたけど全部駄目だった…不良品じゃないですかやだー。

俺のあの覚悟や台詞が空回りとかすげぇ恥ずかしい…(ノω\*)

誰も保存してないよね!?

 

「転生できないのは仕方ないわ、協力者として居てもらっていいかしら?」

『グレモリーさん達に協力するって言ったからには、二言はないさ(`・ω・´)』

「ありがとう、あと私たちの事は名前で呼んで構わないわ。よろしくね、剛君」

『こちらこそよろしく、リアス部長ヽ(・∀・)ノ』

 

俺とリアスは握手をして今回の話はまとまった。

悪魔にはなれなかったが、このメンバーとは仲良く出来そうだ。

これからは普通に暮らせるかどうかわからないけどね。

少し不安ですわぁ。

 

ん、小猫からメール?

写メ?…『俺で良ければ協力しよう、グレモリーさん。ここへの入部もセットだろ?』

ほわぁぁぁぁぁ!!Σヽ(°Д°;)ノ

あの時の台詞を書いて決めた写メがぁぁぁ!!∑(ー言ー;)

消してくれぇぇぇぇぇっ!限定羊羹買ってあげるからぁぁぁぁぁぁっ!!




閲覧ありがとうございました!

ようやく初期オカ研メンバーと合流を果たせました。
剛は見た目が悪魔だからなれなくても問題ありません←
次回はイッセー死す←

今回みたいに小猫に出し抜かれる場面が増えそうw

それでは、また!


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第4話

 

おいすー(・ω・)ノ

俺は門星 剛、オカルト研究部に所属したばっかりの新入部員だ。よろしくな!

挨拶は絶対に欠かしてはならない、古事記にも書いてある。

さて、今俺がいるのはここ駅前です。

人が多いと視線が痛いのよねぇ。おい、写メ撮ろうとすんな!

肖像権守れや!(# ゚Д゚)ゴルァッ!

 

「あれ? 剛先輩?」

 

写メを撮ろうとしたバカップルを睨んで威嚇(迫真)していると後ろから声かけられた。

振り向くと私服姿のイッセーがいた。

しっかり服装が決まっているという事は…。

 

『おぅ、イッセー。これからデートか?』

「そうなんですよ!ちゃんと先輩の教わった通りに待ち合わせの時間の15分前に着きました!」

『よし、偉いぞ( ´∀`)b』

「ちゃんと成功したら明日また報告しますね!」

『待ってるぞ~(・ω・)ノシ

 さて、お邪魔虫にならないように俺は行くよ。じゃあな』

 

門星 剛はクールに去るぜ…。

俺も可愛い女の子とデートしたいぉ…(´;ω;`)

ちくしょう、今日は限定羊羹のフルセット(小豆、芋、抹茶)を買ってやる!

誰にも俺は止められねぇ!ヽ(`Д´)ノ

ん? 小猫からメール?

「羊羹買いに行ったら店先に大きい馬と筋肉隆々な奥様がいました」

おい、特売王じゃねぇか…!小猫、そいつには手を出すなぁぁぁっ!

 

 

 

あぁ、ちくしょう…特売王め、あいつまた強くなりやがった。

あの気功波を繰り出せるようになったとかあいつ神器保有者だろ絶対w

というか人間か? 本当に人間か!? あいつはぐれ悪魔とかじゃないのか!?

何とか引き分けた…その隙に小猫が買えたみたいだし少し分けてくれるからいいとしよう。

俺も鍛えないとなぁ…隣室のあの人にまたスパーリングお願いするかな。

 

さて、夕方になっちまったしそろそろ帰る…か?

あれ…公園付近の人がいない?

いつもなら犬の散歩している人とかランニングしている人とか必ずいるはずなのに?

それにあの時のはぐれ悪魔みたいな雰囲気…嫌な予感。

 

『おい、ロビー君』

『はいはーい!可愛いロビー君だよぉ☆』

『( ゚д゚)、ペッ』

『うん、もう慣れたけどさ…ところで何か用?』

『近くに悪魔とかいるか?』

『ちょっと待ってね…人間と堕天使がいる。宿主、急いだ方がいいかも?』

『襲われるているのか!?』

 

ロビー君に気配を察知してもらった瞬間、俺は走って公園へ入る。

すると、そこには光の槍に刺されたイッセーと黒い翼が生えた女の姿。

こいつが、イッセーを殺したのか?

俺は急いで駆け寄るとイッセーを抱き抱えて意識を確認させる。

冷たくなってきている、血を流し過ぎたのか…。

呼吸もしていない…死んだ、のか?

 

「あら、結界に巻き込まれたのかしら…しかもイッセー君の知り合いだったの?

 残念ながら彼は殺しちゃったわ。それを見た貴方も殺さないとね?」

 

堕天使が赤い光を発した槍を俺に向ける。

たかが人間だと思っているんだろう、虫を踏み潰すくらいのそんな感覚で。

そっとイッセーを降ろして、俺は覆面を具現化させて立ち上がる。

俺の中で衝動が起きる…俺の良い後輩であるイッセーを殺したこいつを…。

 

叩 き 潰 す ッ ! !

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」

「こいつ、神器を!?」

 

覆面を付けた瞬間にコートとグローブを身に纏いタイラントとなった俺は吠える!

堕天使はタイラントを見て少し怯んだ、こいつは見かけ倒しじゃない。

俺を殺すなら…てめぇも原型不明な肉塊になるくらい殺される覚悟があるんだろうなぁ!?

覚悟はいいか? 俺はできてる!!

 

「死になさいっ!」

「お゛お゛お゛お゛お゛っ!」

「槍を弾いた…がっ!?」

 

投げられた槍を拳で弾くと俺はタックルして後ろの噴水諸共思いきり叩きつける。

この程度で済むと思うなよ?

そのままマウントポジション取って殴り続けようとしたが咄嗟に空を飛ばれた。

ちっ! 空を飛んだら何も出来ねぇ!

 

「人間如きが私に攻撃加えるなんて…後悔なさい!」

 

空中から槍を放たれる。弾くしか出来ないのは歯痒い…っ!

なら原始的に行こうか!

槍を弾いて近くに落ちていた噴水の大きい破片を拾って投げる!

 

「そんな物に当たるか!」

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!」

「え…ぐぉっ!?」

 

堕天使が残骸を砕いた瞬間にジャンプした俺は拳を腹部に叩き込む。

本当は顔面にしたかったが跳躍力が足りなかった。

だがタイラントの馬鹿力で腹パンはかなり効くはず!

しかし、ここで死なないとなるとはぐれ悪魔より強いのかもしれない。

決して油断はできない。

 

「この下等種族がぁぁぁ! ぐっ…次に逢ったら確実に殺してやる!!」

 

思わぬダメージを受けた堕天使が表情を崩すほど激昂すると空飛んで逃げて行った。

殺気はすごいがダメージが効いていたんだな。

良かった…これ以上こっちも続けられるかどうかわからなかった。

覆面を外して元の姿に戻ると疲れがズシンと出てきた。

タイラントのパワーと硬さはすごいが扱うのにはかなり体力使う。

やっぱり…鍛えるかぁ。

 

 

イッセー…俺がもっと早く来れたら助けてあげられたかもしれなかったのに。

血溜まりの中、既に動かなくなったイッセーの許に歩み寄って目を閉じさせる。

ごめんな、本当に…ごめんな。

…ん? ポケットから何かが飛び出してきた…チラシ?

それは魔方陣が描かれたチラシみたいな紙、すると魔方陣が大きく描かれ現れたのは。

リアス部長?

 

「貴方ね、私を呼んだのは…あら、剛君?」

『リアス部長、すまない。イッセーが堕天使に殺された。俺が駆けつけた時にはもう…』

「大丈夫よ、彼が私を呼んだ。どうせ死ぬなら私が拾ってあげるわ」

『出来るのか?』

「えぇ、だって私は悪魔よ?」

 

リアス部長は不敵な笑みでそう言うとイッセーの死体を抱えて消えた。

全く、悪魔ってすげーな。

俺は何故かなれなかったけど。…化物でも守りたいものを守れるようになれるよな?

強くならないと…目の前で知っている人が殺されるのはもう嫌だ。

 

 

 

その日の夜、帰った後にトレーニングをしたのでぐっすり眠れた。

けれど、目的は快適な睡眠じゃない。

夢の中を歩いている感覚、念じるように意識するとあの血と錆だらけの遊園地へとたどり着いた。

ベンチには血塗れウサギ着ぐるみのロビー君が座っていた。

 

「あ、ようこそ~♪やっぱり来ると思っていたよ、宿主!」

『タイラントの他に手を貸してくれる奴はいるのか?』

「戦った後にガッツリ体を鍛えてからここまで来るなんて人間辞めてない?」

『いいから答えろ。ロビー君』

「うーん、前も言ったけどみんな宿主の事は気に入っているから力は貸してくれるよ?」

『でも、俺が弱いから使えないんだろ?』

「そうだね~。特に精神面、心が弱いと力に喰われるよ♪」

 

グロテスクな見た目で怖い事を笑いながらさらっと言いやがる。

まぁ人間に過ぎた力だとは思っている。

無暗に力を求めたら本当に化け物になっちまうか。

 

『精神面を鍛えるにはどうすればいい?』

「簡単だよ、ここで皆と遊べばいいんだよ♪」

『随分と簡単に言ってくれるよ…絶対グロい事なるぞ?』

「大丈夫大丈夫♪タイラントがいるから」

「………(サッ)」

 

ロビー君がそう言うと俺の後ろにいつの間にかタイラントがいた。

相変わらず敬礼して挨拶してくれた。敬礼し返す。

するとタイラントが覆面になって俺の顔に覆いかぶさる。

変身すると二つの人影が俺らの前に出てきた。

トンファーみたいな武器を持った奴と巨大な斧を持った奴。

それぞれ丁寧にお辞儀したり、少し頭下げるだけと挨拶している。

前から思ったが意外と礼儀正しい奴らだな。

 

さて、まずはタイラントを満足に動かせる様にしないと…!

 

 




『壊した噴水?』
『何の事ですかねぇ?(すっとぼけ)』
『公共物の老朽化故の崩壊って怖いね!(震え声)』
by門星 剛

閲覧ありがとうございました。

タイラントの初戦闘です。
はぐれ悪魔(モブ)?あれは蹂躙です←
剛の神器は修行していけば他のクリーチャーが使えるようになります。
強くて有名なクリーチャーがいつ出るかは楽しみにしてもらえばと思います!

リクエストはいつでも受け付けていますのでお気軽にどうぞ!

それでは、また。


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第5話

UAが2500、お気に入りが50件超えてる…だと!?
本当にありがとうございます!
これからもよろしくお願いします!


俺は兵藤 一誠。

 

昨日から変な事の連続で正直混乱している。

確かに昨日は天野 夕麻(あまの ゆうま)ちゃんとデートした筈。

しかし、今日になって姿も形もない。

電話番号やメールアドレスも無ければ誰も存在すら覚えていないという。

松田と元浜にも紹介した筈なのに知らないの一点張り。

寧ろおかしくなったのかと心配されたとか心に来るぜ…。

剛先輩なら…!

そう思って探してみてもどこにも見当たらない…明日なら会えるだろう

 

そして気のせいか、朝がすごく怠い。

月曜日の怠さだと思うけど何か力が入らないくらい嫌になる感覚。

その代わりに夕方になると変に力が溢れてくる様な気がする。

さっきまで松田の家でDVD鑑賞会していたけど視力と聴力が変に研ぎ澄まさられている。

何かがおかしい…俺の体はどうなっちまったんだ!?

 

無我夢中で走って辿り着いたのは昨日のデートへ行った公園…噴水壊れていたっけ?

そんな事を考えていたら昨日の夢みたいな感覚…気が付くと後ろにはコートの男がいた。

 

「これは数奇な物だ」

 

男が不気味にそう言って睨んだ瞬間に俺は咄嗟に逃げ出した。

全力で走り続ける…とにかく逃げないとやばい事はわかっている。

コートの男は夕麻ちゃんのような黒い羽根を広げて俺の前に立ちはだかった…!

 

「下級な存在はこれだから困る…ふむ、主や仲間の気配無ければ消える素振りも魔法陣も無し。

 貴様、はぐれだな? なら殺しても問題ないな」

 

コートの男が光の槍を出して構える…俺はまた逃げ出そうとしたが槍が放たれた。

同じ殺される夢ならあんなオッサンより夕麻ちゃんのような可愛い子の方が…!

槍が俺に刺さろうとした次の瞬間だった。

 

「う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ!」

 

獣のような咆哮が聞こえたと同時に俺は誰かに抱きかかえられ、地面に転がった。

おかげで槍に刺されることはなかったが同時に危機が舞い込んできた。

何故なら、俺のすぐ近くに白い肌をしたハゲの大男が俺を見下ろしていたからだ…。

めちゃくちゃ怖ぇよ…!

 

 

 

 

 

( ・ω・)ノ <ウィ~ッス!

あ、すいません。門星です。

昨日あれだけ腹に大きい穴が開いていたイッセーがちゃんと生きている。

どうやらリアスが悪魔の駒を使って転生させたらしい。

あれ、不良品じゃなかったんですねぇ(;゚ω゚)

え、だとしたら俺が不良品だって?

HAHAHAHAHA…面白い事言ってくれた君には夢の中で血と錆だらけの遊園地であいつらと遊ぶ権利を与えよう!

あの遊園地で血塗れウサギや多数の化物と握手!…ただし全力で握り潰されるけど。

 

リアスの部長命令としてイッセーと接触はしないで見守っていて欲しいと言われた。

どうやらあの堕天使が自分がいた記憶と記録を消したらしくイッセーが混乱している。

俺を探していたようだが、残念ながら簡単には見つかってあげられないぞ☆

 

『宿主、さすがにキモいよw』

『ウザ―(゚Д゚)―ッ!!』

『新パターン!?』

 

あのウサギめ、変な茶々入れてきやがるようになったな。

ウザレベルが上がったら着ぐるみの顔を反転させて混乱させてやる。

おっと話が逸れた。

まぁ、俺が全部の事情を話したって訳が分からなくなるに決まってる。

下手したら俺が厨二病と言われる…後輩から冷たい目で見られるとか死にたくなるぜ?

 

俺がこそこそとイッセーを見張っていたら不審に思われるだろう。

そう思って同級生達には変態共を更生させる為に見張っているって伝えたら皆に応援された。

さらには生徒会長にすげぇ期待している顔で応援してくれた…いつか本当に更生させないとなぁ。

「変態共を更生させる」「後輩も守る」

「両方」やらなくっちゃあならないってのが「先輩」のつらいところだな。

 

放課後、イッセー達は松田の家でエロDVD鑑賞会するらしい。

うらやま…ゲフンゲフン!

部長命令をきっちり遂行しないと!

張り込みにはアンパンと牛乳とは言うが、俺にはお握りと緑茶がある。

朱乃が用意してくれたんだけどこのお握りは美味い!

梅干し、鮭、おかかとかシンプルで最高ですわ。

 

あ、イッセーが出てきた。

勘付かれると面倒だから息を殺して見張る…ストーキングミッションだ。

こちら、門星…ターゲットが移動、追跡する!

そういえばもしお巡りさんに追跡している所を見つかったら何て言い訳しよう…。

 

イッセーの奴、足が速いな…ロビー君のナビが無ければ見失っていたわ。

ここは昨日の公園…あいつやっぱりあの堕天使の事を引きずっているのか。

初めての恋人に上げて落とされる所か殺されるとかトラウマじゃ済まないぞ。

あの堕天使、今度会ったら顔面が変形するくらい徹底的に殴らないとな。

 

『他の子も遊びたがっているよ? 皆あれは酷いって怒っているし~』

『あぁ、それはご愁傷様なレベルだわ…てか意外と優しいのなお前ら』

『ん?…宿主、来たよ!』

 

ロビー君の声に俺はダッシュで公園へ駆け出す。

やっぱ見えない壁…結界が邪魔している。

なら、変身だ。タイラント!

変身した俺は見えない壁に向けて拳を思いきり振るうと一部が砕ける。

そこに両手を入れて思いきり広げると何とか体が入った。

イッセーの声が聞こえる…あとは男の声?

堕天使は他にもいるのか!?

槍を放とうとしている…間に合ぇぇぇぇぇ!!

 

「う゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛っ!」

「うわぁっ!?」

 

一気に跳んでイッセーを抱えて地面に転がる。

イッセーがいた場所には青い槍が刺さっていた…ギリギリセーフ!!

俺は立ち上がって堕天使が攻撃してこないか警戒しながらイッセーを見る。

え、何でそんな怖がるのよ(´・ω・`)

 

…あ、俺今タイラントだった。

無表情で白いハゲの大男が見下ろしていたらそりゃあ怖いわな。

こいつ自身は真面目で良い奴なんだぞー。無口で威圧感があるけど。

プルプル、ボクワルイタイラントジャナイヨー(棒読み)

 

「何奴…コートにグローブの大男?

 そうか、貴様がレイナーレ様に手傷を負わせた奴か!」

 

コートの堕天使が槍を構えながら俺を警戒する。

レイナーレ?…あぁ、あの堕天使の本名か。

やっぱり夕麻は偽名か。

イッセーを騙して殺した奴の名前なんざ興味なかったわ。

 

「堕天使に歯向かった罪は重いぞ、レイナーレ様に代わって殺してやる!」

 

さて、パワーなら全然負ける気がしないが堕天使は空を飛ぶからな。

タイラントだとスピードと軽さが無いからこいつの出番か?

左手に新たな覆面を出そうとした瞬間、向こうも槍を放つが背後から赤い光が槍を弾く。

…どうやら必要無さそうだな。

 

「この子達に手を出さないで頂戴?」

 

リアスキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!!!

公園突入前に連絡しておいて良かった…ワンコールのみが緊急連絡だと言われていた。

えっ使い魔を寄越せばいいだろって?

俺 人 間 (#´∀`)

 

「何奴だ!?」

 

堕天使は咄嗟にリアスに向かって槍を投げて来るが小猫が弾いた。

え、強くね?…あ、戦車だったわこの子。

そうには見えないけど小柄な女の子が怪力ってギャップは嫌いではない。

寧ろロマンだ!

 

「貴様ら…ぐぉっ!?」

「うふふ♪」

 

弾き返された槍を掴んで一気に向かってきたが雷が落ちて堕天使は飛ばされた。

え、朱乃って雷出せるの?…悪魔って何でもありなのね。

何で部員の能力を知らないって?

後で教えるって言われたから知らなかったんですー。ほんとですー。

 

「赤い髪…そうか、グレモリー家の者か?」

「御機嫌よう、堕ちた天使さん」

「この土地は次期当主の管轄という事は…そいつらはそちらの眷属か」

 

俺は眷属じゃないんですけどねー。

落ちた帽子の埃を払いながら堕天使は

 

「この子達にちょっかいを出すなら容赦はしないわ」

「今日の所は詫びよう、だが下僕を放し飼いにしない事だな。我々が散歩がてらに狩ってしまうかもしれん。

 特に大男の方は私の上司に歯向かったのだ…あり得ん話ではないぞ?」

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛…」

 

堕天使が飄々と語りながら最後に俺を睨む。

散歩がてらか…なら俺も同じ感覚でお前らを見つけたら潰していいんだと捉えるぞ?

全く、喋る事が出来たらこういう挑発が出来るんだけどねぇ。

返事代わりに唸って威嚇しておこう。

(「・ω・)「 ガォー

 

「ご忠告痛み入るわ。私の方ももし同じ真似したら躊躇なくやらせてもらうから、そのつもりで」

 

リアスの目つき…あぁ本気だわ。

学校の時も一度やると決めた事にはやり通す意志が強かったからな。

この子達って俺も入っているんだよね…人間とはいえちょっと悔しい。

心身の鍛錬をもっとやらないと。

 

「その台詞…そっくりそのまま返そう。グレモリー家の次期当主よ。

 我が名はドーナシーク…再び見えない事を願おう!」

 

堕天使、ドーナシークはそう名乗ると飛んで消えた。

ロビー君から気配が消えたと知らせが来たのでとりあえず一安心だな。

俺はタイラントの覆面を外して元の姿に戻る。

するとイッセーが声を上げた。

 

「ご、剛先輩!? リアス先輩達も何で…夢だとしても訳がわからねぇよ…っ!?」

『あ~…落ち着けイッセー(;・ω・)』

「さすがにこの状況で落ち着けないわよ、小猫」

「えいっ」

「デュクシッ!?」

『当て身!?Σヽ(°Д°;)ノ』

 

完全に混乱しているイッセーをどうにか落ち着かせようとするが全く聞こうとしない。

リアスは仕方ないという感じに言うと小猫がイッセーの首筋にチョップした。

恐ろしく速い手刀、俺でなきゃ見逃しちゃうね!

何かこれ言うと生きたまま魚に食われそうだからやめとこう…。

 

「彼は私が預かるわ。剛君も一日お疲れ様、お蔭で助かったわ」

『役に立つ事が出来て何より( ・ω・)b』

「剛君も戦えるのは知っているけど、無理して戦おうとしちゃ駄目よ?」

『あれ、気づいてたか(;-ω-)』

「部長としてもクラスメイトとしてもちゃんと見ているのよ、私は」

 

クスッと笑いながらリアスはイッセーを抱えた小猫と一緒に魔法陣へ入ると消えた。

全く…敵わないなぁ。

あぁいう事言われると断れないとかチョロいな俺は。

┐(;´∀`)┌ ヤレヤレダゼ…

 

「うふふ、リアスがそう言ってくれるのは剛君が大切な仲間だからですわ」

『あれ、朱乃も一緒に帰ったんじゃなかったのか?』

「せっかくですからお夕飯をご一緒にと思いまして。一日あの子を見守っててお疲れでしょうし」

『お握りも貰ったのに飯もとか…ありがたやありがたや(-人-)』

「あらあら、では私の家へどうぞ♪」

『ゴチになりますっ!』

 

このあとめちゃくちゃ飯をご馳走してもらった。

俺より料理が上手くて美人と飯食えるとか最高かよ。

やはり日本人なら和食だな。

お 米 食 べ ろ ! !

 




『なぁ、ロビー君。アイツ出せなかったけど落ち込んでない?』
『ちょっとガッカリしてたけど大丈夫そうだよ~』
『すまねぇ(;・ω・)』

閲覧ありがとうございました。

ドーナシークが出てきました…アニメ版の声とか最初の雰囲気は好きですよ。
なのでいつかは剛と戦う時が来るかもしれません。
どのクリーチャーと戦わせようかな(ゲス顔)

次の更新も早く出来るように頑張りたいと思います。

それでは、また。


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第6話

 

ドーナシーク襲撃から次の日、夢の中であいつらと「遊んで」いたので少しぐったりして起きる。

いや、体の疲れはないよ? 精神的にぐったりしている感じ。

慣れたとはいえ、血と錆だらけの遊園地にいるだけでも人によっては不眠症待った無しだ。

嫌な年間パスポート(無料)である。

 

朝は学校へ行くとやたらと騒がしい。何か事件でもあったのか?

近くの女子生徒を見たらこの世の終わりみたいな顔だった。

男子生徒は血眼みたいなすげぇ目だったし。

って何だ、リアスとイッセーが登校しているだけじゃねぇか。

 

「剛、お前はあいつを更生させるんじゃなかったのか?」

「そうですよ、門星先輩!もしかしたらお姉さまがアイツの毒牙に…!」

『お前ら落ち着けや(´・ω・`)』

 

まぁ、事情を知らないとこうなるよな。

俺も神器も無くてオカ研に入ってなかったらこの状況はビックリするわ。

てか何で俺が変態共を更生させる話が広まっているんだよ?

おい、いつ拷問と処刑をするのかとか物騒な事言うな。

俺はそんな役職に就いた覚えはねぇよ。

 

「「うわぁぁん、門星もぉぉぉん!」」

『うるせぇ!(#゚Д゚)』

「「ひでぶぅぅぅっ!?」」

 

松田と元浜が某猫型ロボットに出てくるダメガネのように泣きながらこっちに来た。

あまりに喧しかったのでダブルラリアットで黙らせた。

何か最近こいつら俺によく絡んで来るな!?

とりあえず前に寄せてきた苦情を説教するから正座させよう。

学校にエロい本とグッズを持ってくるな!

(# ゚Д゚)ゴルァッ!

 

 

 

「はい、先輩。約束の羊羹です」

『すまないねぇ(´・д・)』

「それは言わない約束ですよ?」

「はい、お茶ですわ」

『すまないねぇ(・д・`)』

「あらあら、それは言わないお約束ですわ」

 

放課後、俺と小猫は部室でお菓子を食べている。

日曜日限定の羊羹を小猫に分けてもらった…俺の好きな芋羊羹!

早速食べようとしたら朱乃がお茶を煎れてくれた、渋めで羊羹と合って最高か!

しかし二人とも打ち合わせしてもいないのにその台詞出るものなのか?

 

因みにリアスは俺が座っているソファの後ろにあるシャワー室でシャワー中だ。

え? 何でそんな冷静にいられるのか?

少しくらいはラッキースケベくらい発動してみろって?

やめてください死んでしまいます(社会的に)

 

芋羊羹を食べ終えてゆっくりお茶を飲んでいると誰かが来た。

佑斗とイッセーだった。

そういえば佑斗が迎えに行くって言っていたな。

女子たちが騒がしかっただろうに…お疲れさん。

 

「何だこの部屋は…って剛先輩?」

「先輩も一昨日入ったばかりなんだ」

『よろしくな、イッセー(・ω・)ノ』

「彼女は1年の塔城小猫さんだよ。こちらは兵藤一誠君」

「あ、どうも…」

 

佑斗の紹介で小猫は羊羹食べながら会釈をするとイッセーも挨拶をした。

ちゃんと挨拶はしないとな。

って顔に出過ぎてるぞイッセー…マスコットキャラとして人気だからな小猫は。

思えばここにいる奴は全員何かしら有名だよな。

おいおい、シャワーに気づいて鼻の下を伸ばすなイッセー。

ほら、小猫にイヤらしい顔って突っ込まれたwww

m9(^Д^)プギャーwwwwww

 

さてさて、リアスが着替え終えた所で説明が始まる。

オカルト研究部はあくまで仮の姿、リアスの趣味みたいなもの。

そしてリアス達が悪魔だと言うもイッセーは胡散臭いなという顔をしている。

まぁ俺も同じような反応だったから気持ちはわかる。

 

『イッセー、嘘くさいと思うかもしれないが本当だ』

「先輩も悪魔なんですか?」

「剛君はただの人間よ」

『I'm a normal human(■ω■)』

「…剛先輩は神器持っているからノーマルじゃないです」

『あ、はい(´・ω・`)』

 

小猫に羊羹を齧りながら突っ込まれる。

渾身の筆談が無駄になってしまった…orz

少し落ち込んでたら小猫が羊羹一切れくれた。

この子すごく優しい子なんです(´;ω;`)

そんなやり取りしている間に悪魔と堕天使、そして天使の三つ巴状態の話まで終えていた。

 

「ここまでは理解できたかしら?」

「いやー…普通の高校生には難易度の高いお話というか…」

 

イマイチ信じ切れていないか…ならイッセーには悪いがこの話をしておこう。

 

『天野夕麻…覚えているよな?』

「!?」

『デート前に俺に会っていたし、彼女の存在を俺に教えた筈だ』

「…先輩は、先輩はこの事をオカルト扱いするつもりかよ!?」

 

イッセーはいきなり俺の胸倉を掴んで凄んできた。

ソファに座っている俺を立ち上がらせる程の力…これが悪魔の力か。

こんな事を言われて殴らないのが優しいよな、本当に。

するとリアスは一枚の写真をテーブルに投げた。

それは登校しているイッセーと…夕麻、変装しているレイナーレだ。

 

「彼女は存在していたわ。天野夕麻は堕天使、昨日貴方を襲った者と同じ存在」

「だって松田や元浜も知らなくて連絡先なんかも!」

「力を使ったのよ、私が貴方のご両親にやったように」

 

俺は直接レイナーレの正体を見たから効かなかったんだろうな。

はたまた神器の影響か。

…ってご両親? え、リアスはイッセーの家に泊まったの?

だから一緒に登校したのか…うらやまゲフンゲフン!

俺? 朱乃の家で飯食った後に普通に家に帰ったよ?

お泊りイベント? ねぇよ、そんなもん!

 

「貴方を殺すという目的を達成したから彼女は自分の記憶と記録を全て消したのよ」

「何で俺を…!?」

「貴方に危険なものがないかを確認してなかったから殺したって所かしら?」

「…そういえば夕麻ちゃん、セイなんとかって」

「神器(セイクリッドギア)」

「特定の人間が有する大いなる力、歴史に名を残す人物の多くはそれを持っていると言われていますわ」

 

あー、ロビー君も同じ事を言っていたな。

歴史上の人物はあんな力を持っている物なのか?

ウザい兎が語りかけて来たり化物達が集う遊園地に連れてこられたり…。

って事はイッセーも?

 

「剛君も神器を持っているわ。彼は覆面を被る事で変身する力を持っているの」

『モンスター・オブ・クリーチャーって名前だ』

「あ、あの白ハゲ!」

『こいつはタイラント、他にもいる』

 

リアスが説明してくれたので俺は左手にタイラントの覆面を出す。

こらこらイッセー、白ハゲとか言うな。お前を助けたのはこいつなんだから。

他にも出せるけどそれは使う時でいいや。

そして、イッセーも神器を出そうとする。

一番強い存在…俺の場合はやはりタイラントのような存在だったな。

力を持っている奴を更なる力でブチ破るような暴君…。

だから名前もタイラントか、こいつは。

 

「駄目だ…やはり何かの間違いでは?」

「いえ、堕天使がそれを恐れて殺したのは事実よ」

「だとしたら俺が生きているのっておかしくないですか!?」

『お前、ポケットに魔法陣が描いてあったチラシ入れてたよな? あれでリアスを召喚したんだよ』

「そう…そして上級悪魔グレモリー公爵家の娘、リアスグレモリーの下僕悪魔として生まれ変わったのよ!」

 

いきなりリアスは背中から悪魔の羽をバッサーと広げた。

デビルウィングで空飛べるとかいいなー。

こっちにも空を飛べる奴はいるだろうからそいつの力が使える時が楽しみだ。

しかし、イッセーの神器…どんなのか楽しみだな。

 

 

 

この後は悪魔の仕事だから俺は帰っていいと言われた。

チラシ配りくらいしか手伝えないから仕方ないよな。

リアスや朱乃、小猫を呼んだのに俺が出てきたら詐欺だわなwww

寧ろ変身した姿で出てやるか?

 

『僕の姿で出れば大丈夫だよ!』

『寝言は寝て言えや、血塗れウサギ』

『僕がすごく可愛いからって嫉妬は良くないよ、宿主w』

『カーッ(゚Д゚≡゚д゚)、ペッ』

『汚っ!?』

 

ロビー君に変身したところで血塗れウサギとか誰得だよ。

可愛いとか戯言は血を綺麗にしてから言えって話だ。

一応ロビー君も戦えるらしいが、弱いだろアイツ。

遊んだ事あったけど鉄パイプで殴るだけだったから奪ってホームランにしてやった。

 

お、はぐれ悪魔に遭遇した裏道…もういないから通っても平気だろ。

歩いていても何もなく、静かな道だ。

人間が相手でも可愛い女の子ならともかくこんな包帯の巻いた大男相手に絡んでくる事はないだろ。

よっぽどの変質者か俺が悪魔の関係者だと嗅ぎつけるような奴くらいだw

 

「おやおやぁ~。そこのおにぃ~さ~ん? 貴方人間なのに悪魔の気配がしますねぇ?」

 

うわぁ、出たよ。これはどっちだ…両方か?

白い髪形の神父服っぽい奴が俺の目の前にいた。

目つきが明らかに猟奇殺人鬼っぽいんですけど…。

絶対殺しに来るパターンじゃないですか、やだー!

 

『誰お前?』

「ちゃんと話しなさいとか人に名を訪ねる時は自分から!ってママから教わらなかったんですかぁ!?」

『俺、障害で喋れないし親もいない』

「あ、それはごめんちゃい。俺はフリード・セルゼン。とある悪魔祓いの組織に所属している少年神父でござんす」

『門星剛』

 

やたら変なテンションの奴に捉まったな…変な小躍りしながら自己紹介するな。

とりあえず名前だけ書いておこう。

こういうタイプは変に怒らせると面倒だから話に付き合って曖昧なまま別れるのが良いな。

 

「もん、すたー?…面倒なお名前ですね!キラキラネームってやつ?」

『知らん、俺は帰るぞ。学生は忙しいんだ』

「そうは問屋が卸さないってもんですわ、テメェは悪魔と繋がっているんだろ?気配がプンプンしてやがるぜぇ?」

 

神父…フリードが懐から銃と剣の柄みたいな物を取り出した。

おいおい、エアガンだったとしても日本じゃ逮捕されんぞ?

しかも光の剣とかライトセーバーじゃね?

ここは宇宙大戦争の舞台か!?

 

「クソみたいな悪魔と仲良くするクソ以下の野郎には選ばせてあげるぜ?

 細切れor蜂の巣…最期のオーダーはどっちぃぃぃ!?」

 

そう言いながら斬りかかろうと一気に飛び込んでくるフリード…すげぇ速い!?

タイラントのスピードじゃ当たりはしないだろう、ならこいつの出番だ!

左手に覆面を出して急いで被る、昨日出せなかった分まで暴れさせてやる!

剣が俺の首を刎ねようとするが寸前に止める。

 

「フシュルルル…!」

「こいつ姿が…もしかして、神器ですかぁ!?」

 

こいつは【ミショナリー】

貫頭衣を着て頭に袋を被っている人型クリーチャー。

手には伸縮する刃が付いた金属製のトンファーを持っているのが特徴だ。

こいつも喋らないし、いつも頭が痙攣しているが強いぞ?

特性はスピードとトンファーでの技!

剣戟をガードするくらいなら容易い!

 

「なら蜂の巣ならどーですかぁ!」

「グルルルッ…!」

「近距離の銃弾を防ぐとか化物ですかぁっ!?」

 

フリードが光の銃を撃つも正面ならこいつは防ぐ!

ロビー君曰くショットガンも防ぐ事が出来る程、ミショナリーの技量が高いらしい。

そして光と音にはやたら敏感な性質だからこいつには相性抜群だな。

次は俺からも行くぜ!

トンファーに付けられた刃がさらにリーチを増していく。

フリードは防戦する一方だがダメージを受けていない…それがこいつの戦闘力の高さを物語っている!

もう数えきれないほど打ち合っていると向こうも息が上がっている。

俺も少し疲れているが手を休めたら殺される…互いに距離を離すと向こうは壁の上までジャンプする。

 

「ふひー…さすがにこんな化物が相手なんて奇想天外予想外!

 今回は退かせてもらうが次回は両方フルコースに決定!って事でばいばいきーん!」

「グルっ!?」

 

分が悪いと感じたのか懐から何かを投げたと思ったら強烈な光が目を襲い、思わずトンファーで遮る。

気が付くとフリードは姿を消していった。

とりあえず助かったな…ジリ貧でこっちがピンチになるところだったかもしれないのだ。

向こうが潔く退いてくれた事に感謝しよう。

 

 

 

『という訳でミショナリーの姿はこれだよ♪』

『………(ペコリッ)』

『こちらこそよろしくな(・ω・)ノ』

 

夜、眠っていつもの遊園地へ行くとロビー君の隣にトンファーを持ったクリーチャーが立っていた。

ミショナリーは丁寧にお辞儀するのでこっちもお辞儀する。

こいつは丁寧な奴だな。

ロビー君が言うには真面目で宿主の言う事には絶対らしい。

寧ろ言うこと聞かない奴がいるのか…不安だわ。

 

少しずつ新しい仲間が増えていくけどこれからどんな奴が出て来るのか。

…楽しみ半分怖いわぁ。

とりあえず僕は可愛いだろアピールしてくるロビー君がウザいからミショナリーに命令して顔を反対向きにしてもらおう。




『前回は出せなくてごめんな(;・ω・)』
『フシュルルル…(フルフル)』
『良い奴だなお前(´・ω・`)』
『反対向きにされて見えないよ~』


閲覧ありがとうございました。

今回から登場したクリーチャー【ミショナリー】
サイレントヒル3に出てきた2面のボスです。
ゲーム内では雑魚扱いされた奴ですが、個人的に好きなので出しました。

感想でクリーチャー希望出していただいてありがとございます!
全部は無理ですが少しでもご期待に添えられるように頑張りたいと思います!

それでは、また。


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第7話

※軽めな処刑シーンがありますので苦手な方はご注意ください。


「悪魔祓い…エクソシストね。怪我は無かった?」

『ミショナリーのおかげでな』

「ミショナリー?…宣教師って意味よね?」

『名前の由来は知らないが悪魔祓いの相手には有利な事は確かだ』

 

朝、教室でリアスとは隣の席の為、昨日の事を教えた。

当初はクラスメイトから羨望と嫉妬の視線が突き刺さったけど慣れた。

今は互いの情報交換ですごい役に立っている。

因みにリアスは小声、俺は密談用のメモ帳で会話している。

 

「イッセーの事だけど…」

『悪魔の仕事やらせたんだろ?ちゃんと出来ているのか?』

「神器が発現したわ」

『ほほぅ…それは良かったな』

「同時に堕天使側にもバレたわ」

『/(^o^)\ナンテコッタイ』

 

イッセーの堕天使エンカウント率やばくね?

死んで、悪魔になって、襲われて、襲われての災難続きとか笑えないな…。

お祓いしてもらった方がいいんじゃね?

あ、駄目だ。悪魔だからお祓いしたら多分死んじまうわ。

というより俺も結構襲われてる?…うそ、私のエンカウント率高すぎ…!?

 

「そこでハッとした顔の門星、答えをわかっているようだから黒板の問題解いてみろ」

 

先生にツッコまれた…授業聞いてないからわからねぇや。

リアス、答えを教えてくれ~…な、なに…無視しやがった、だと!?

しかも微妙に笑い堪えてやがるとかこいつ、確信犯かぁっ!?

これも計算のうちかぁ!?リアスゥゥゥゥゥッ!

ん、メモ帳に何か書いてある…?

 

『貴方はこれも計算の内かリアスと考える!』

『当然、このリアス・グレモリーは何から何まで、計算尽くよ?』

 

ち、チクショォォォォォォォォォォォッッ!!

ウワァァ━━━━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━━━━ン!!!!

 

※このあとめちゃくちゃ怒られた。

 

 

 

 

 

 

「剛先輩、何で隅っこで体育座りして落ち込んでいるんだろう?」

「授業を聞いてなくて先生に怒られたそうです」

「あらあら、意外と繊細なんですわねぇ♪」

 

おのれリアス…この恨み晴らさないでおくべきか~!

と言う程恨んではいないけど普通の学生としてショックだわぁ。

小猫も淡々と傷口を抉らないで…心の傷がぁ。

そして朱乃からは嗜虐的な何かを感じて怖いんですけどぉ…。

 

当の本人はイッセーの説教中だ。

何でも悪魔なのに教会の間近まで行こうとしたらしい。

自殺願望か?…何か理由があるとは思うがまぁ良くない事だ。

また殺されるとかシャレにならないしな。

 

俺よりもあいつが落ち込んでいなければいいけどな。

大方、リアスに怒られたから挽回したいなとか考えて無茶しなければいいが。

確かに俺も喧嘩っ早いけどあいつも行動的な所があるだろう。

先輩として些か心配ではある。

 

「剛先輩、落ち込んだ時はプリンを食べましょう。先輩のお勧めの店で」

 

小猫が俺の制服の襟を掴んで引っ張っていく。

プリンはお前が食べたいんだろ…俺も食べたいけどさぁ。

佑斗も朱乃もニコニコしないで止めてくれよぉ…。

俺ちゃんと歩けるよぉ(´・ω・`)

 

俺が旧校舎の廊下まで引き摺られていくと朱乃に呼び戻された。

何でも大公からはぐれ悪魔討伐の依頼が来たらしい。

え、俺も行くの?…悪魔の戦い方とか教えたいし俺の能力もきちんと見たい?

あぁ、筆談での説明だけだったからな。

時間があればパラパラ漫画描いてあげたかったけどねぇ。

 

どうやら全員、この魔法陣ではぐれ悪魔の住処へ転移するらしい。

人間でも魔方陣に入れば大丈夫らしい。

やべぇ、こんな魔法体験できるとか…オラ、ワクワクすっぞ!

空飛んだり魔法に憧れたっていいじゃない、にんげんだもの byごう

 

 

 

 

 

 

転移したのは町から外れた廃屋みたいな所…俺を襲った奴も廃倉庫にいたんだよな。

やっぱり人間喰うんだな、こいつら…被害者のご冥福を祈っておこう。

しかし無断で廃屋とかに棲みやがって、ちゃんと家賃を払えや。

俺だってきちんとアパートの家賃払っているんだからな。

謎の怒りを燃やしていると全員廃屋へと進み始めた。

ε≡≡ヘ( ゚Д゚)ノ マッテー!

 

中は如何にも廃墟な感じ、そしてあの時と同じ嫌~な感覚がある。

いつ襲い掛かってくるかわからないし覆面を出しておこう。

奇襲に対応できるようにミショナリーを選択。

頑丈な奴ならタイラントで肉塊になるまで殴る。

 

リアスがイッセーに説明している間、佑斗はいつの間にか剣を装備している。

小猫と朱乃は辺りの気配を察知している。

二人とも武器は無くても戦えるからな…と考えているとロビー君から連絡が来た。

はぐれ悪魔が来たと。

 

「不味そうな匂いがするわ、でも美味そうな匂いもする…甘いのかしら、それとも苦いのかしら?」

 

柱の陰から出てきたのは黒髪の美人さん、しかも全裸かよ。

イッセー、鼻の下伸ばしている場合じゃねーぞ。

下半身見てみろ、化物そのものだぜ?

俺を襲った奴より巨大だな…スピードはなさそうだがどう出るか?

 

「はぐれ悪魔バイサー。主の許を離れ己の欲望満たす為だけに暴れまわる不逞の輩、万死に値するわ。

 グレモリー公爵の名に於いて貴女を吹き飛ばしてあげるっ!」

 

リアスかっこいいー!ヾ(*´∀`*)ノ

俺もそういう決め台詞言いたいわー(´・ω・`)

厨二? 何の事ですかねぇ?

変身しても咆哮と鳴き声しか上げられないから憧れるんだい!

ヽ(`Д´)ノウワァァァン

 

「小賢しい小娘ね、その髪の色と同様に肌を血の色で染めてやるわ!」

 

バイサーがそう叫ぶと同時に胸からレーザーみたいなのを出してきた。

俺はイッセーの頭を掴んで一緒に地面に伏せて避ける。

後ろの壁が溶けている…何つー攻撃だ。

てか元主は何でこんな下品な攻撃をする奴を下僕にしようとした?

悪趣味過ぎんだろ。

 

じゃあ、今度はこっちのターンだ!ドロー…はしないか。

佑斗が騎士特有のスピードでバイサーの下半身にある巨大な両腕を斬り飛ばす。

しかしすごいな、ミショナリーと良い勝負が出来る速さだ。

今度機会があればやってみたいな。

 

次に小猫が出た瞬間に下半身の巨大な口が小猫に迫るがカウンターで殴り飛ばす。

これは気持ちいいくらい吹き飛ばすなー。

タイラントと腕相撲でもしてみたい…サイズが違いすぎるから無理や。

(´・ω・`)ソンナー

 

そして朱乃が雷撃を一気に浴びせる。

やっぱりすごいな。これで即死しないなんて余程硬いのか…あれ、何か朱乃の頬が赤くね?

あの時の嗜虐的な目線、今の朱乃の高潮した表情…あっ(察し)

この人…Sだ、それも究極のドが付くタイプ。

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

「朱乃、もういいわよ」

「もうお終いなんて…ちょっと残念ですわね♪」

 

俺、今まであの人にお茶煎れてとか頼んでたの…?

怒らせたら怖いんだろうな…気を付けよう。

朱乃が離れてリアスが止めを刺そうと歩み寄っていく。

既に手には赤黒いオーラみたいなのを出してバチバチ鳴らす。

さて、ここまで弱らせたのなら俺の出番はないかな。

…ん? 斬られた腕がまだモゾモゾとしている?

 

「…ふふっ」

「何が可笑しいの?」

「貴様も…道連れだぁ!」

「なっ!?」

 

斬り飛ばしたはずの2本の巨大な腕が突然リアスに襲い掛かる。

他の奴らは気付くのに遅れて行動が遅い。

リアスも油断していたのか気づいた時には腕が迫っていた。

けど、既に2つの影が動いていた!

 

「部長ぉぉぉっ!」

 

咄嗟に気づいたイッセーが左手に赤い篭手を発現して1本の腕を殴り飛ばす。

腕は吹き飛んで柱に叩き付けられた。

あれがイッセーの神器か、効果は知らないけどナイスだ。

もう1本はどうしたかって?

 

「グルルルルルッ…!」

 

俺が既にバラバラにしたよ。

全く、ミショナリーじゃなかったら間に合わなかった。

リアスも油断するようじゃまだまだだな。

俺もあの時気付かなかったら手遅れだったけどな…。

さて、ちょっとイライラしてきたから【遊ばせて】もらうぜ?

今度の新しい覆面でなぁ…?

 

俺の左手には黒くてボロボロな覆面が現れた。

そのまま被ると俺の体は変化する。

全身の筋肉が増大して、上半身には無数の針が突き出ている。

血塗れのボロイ布きれを身に纏って手にはギロチンの刃を鎖で括り付けたような巨大な斧。

 

こいつは【処刑マジニ】

体型はタイラントみたいだが、こいつのパワーは全て斧を振るう為だけのパワー。

殴り殺すという生易しい事はしない…こいつの得意な事はもちろん。

処刑だ、慈悲はない。

 

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛…」

「く、来るな!」

 

バイサーは引き攣った顔で叫ぶが俺のクラスメイトに危ない目に遭わせたのはどこのどいつだ?

今回は止めは部長が刺すだろうから…これで我慢してやるかな。

バイサーの足の前に立ち止まって斧を振り上げる。

お仕置きの時間だよ、ベイビー。

 

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!」

「ギャアアアアアッ!!」

 

一撃で足を断つとバイサーは悲痛の叫びを上げる。

あまりにうるせぇからもう一度斧を振り上げて違う足を断つ。

お前に喰われた人間の痛みはこんなもんじゃねぇぞ?

本当ならもっと思い知らせてやりたいがお前を裁くのは俺じゃない。

ここの当主であるリアスだ。

少し気が晴れた俺は覆面を外しながらリアスの許へ向う。

 

『勝手な行動をしてすまなかった。後は任せる』

「助けてくれてありがとう。わかっているなら何も言わないわ」

 

それだけ言葉を交わすとリアスはバイサーの許へと向かう。

もう既に殺してくれと叫んでいる…悪魔がこんな事言っているなんて情けないと思う。

リアスが赤黒いオーラ…滅びの魔力を解き放つとバイサーを一瞬で打ち消した。

はぐれ悪魔討伐はこれで終わった。

 

 

 

 

 

 

ちょっとやりすぎたかと思っていたが皆不思議と平然としていた。

あのくらいは問題ないとかメンタル強すぎぃっ!

イッセーは大丈夫か…なんか落ち込んでいた。

どうやら自分が兵士だと教えられた事がショックの様だ。

確か兵士の特性ってあった気がしたが?

まぁ、地道に頑張れ…俺には応援しか出来ないけど。

 

処刑マジニも無事に使えたし、今後もこういう時もあるだろう。

弱い精神だと力に喰われる…ロビー君が言っていた事は本当だろうな。

力に溺れたらはぐれ悪魔みたいになるんだろう。

普通に暮らしたい俺が絶対になってはいけない。

そう心に誓った。

 

「あの時の剛君…すごく激しかったですわぁ」

 

朱乃さんそんなうっとりとした表情でこちらを見ないでくださいお願いします…。

(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル




『処刑マジニ、これからもよろしくな( ・ω・)ノ』
『ぅ゛ぅ゛っ!(プンプン)』
『え、何か不機嫌だぞ…?(;・ω・)』
『暴れ足りないんだって~』
『あー…遊んでやるから我慢してくれ(;-ω-)』
『ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ(コクンッ)』


閲覧ありがとうございました。

今回登場したクリーチャーは【処刑マジニ】
バイオハザード5の1面ボスです。
こいつも自分のお気に入りクリーチャーなので出しました。

バイサーは犠牲になりました←
いつになったら1巻が終わるんだろw
ちまちま書いていきますのでこれからもよろしくお願いします。

それでは、また。


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第8話

※処刑と言う名の蹂躙シーンがありますので苦手な方はご注意ください。


はぐれ悪魔を集団リンチと言う名の討伐をした後、

みんなは悪魔の仕事に行く為、俺は帰宅した。

昨日襲撃されたので小猫がついていこうとしたけど明るくて広い道で帰ると伝えて止めさせた。

俺の為に言ってくれるのは嬉しいけど仕事はちゃんとしないとね。

少し頬を膨らませたのが可愛いのぅ(*´∀`)

 

え、私が少し落ち込んだのでプリン食べたい?

もうお店やってないから手作りしか出来ないよ…それでいいの?

一応作れるけど、俺が作ったものでもいいのか。

やるならキッチリ作る。クッ○パッド先生の御力を借りよう!

 

 

 

何とか小猫と取引を終えて俺は帰宅する。

辻斬り変態神父には遭遇しなかったけど…あいつ悪魔の契約者を殺しそうだな。

また逢ったらとっ捕まえてリアスに出そう。

一応人間みたいだから殺したら犯罪者の仲間入りしちまう。

 

自宅のアパートに電気が点いている…?

え、泥棒? 俺の部屋に盗む物ねぇぞ?

まさか昨日の神父が嗅ぎつけたのかと予想してそっと玄関に入る。

この靴…あぁ、あの人か。

 

「おかえりなさい、剛君。勝手にお邪魔していたわ」

『お久しぶりです、麗さん』

 

部屋に入ると銀髪で眼鏡をかけた女性が座っていた。

この人は岐富 麗(きふ れい)さん。

火事で両親を亡くした俺の後見人として引き受けてくれた方だ。

親戚は怪我と障害を持った俺を気味悪がって施設に入れて縁を切りやがった。

中学3年生の時くらいから麗さんが後見人として現れ、

親戚共が奪ったと思われた親の遺産を預かっていて俺の高校生活の支援をしてくれた恩人。

今は3か月に1度くらい俺に生活費をまとめて渡しに来てくれる。

 

「帰りが遅かったけどどうしたの?」

『最近、部活を始めましてね…』

「あら、そうなの。あんまり遅いと危ないわよ?」

『はい、そこは気をつけています』

 

実は数回襲われていますなんて言えないよなー…。

この人にだけは俺も頭が上がらないし、厨二病だなんて思われたら怒られるわ!

実の子供のように厳しくも優しくしてくれる人だから親がいない俺にとっては親代わりみたいなものだ。

怒られた事?

な、ないにきまっているじゃないですか―いやだなーぼくいいこだよー。

不良数人を病院送りにしたら正座でお説教3時間コース喰らっただけだよ(震え声)

 

「じゃあ生活費はいつもの場所に置いておいたから無駄遣いしないようにね?」

『ありがとうございます』

「あとカレーも作っておいたから食べてね」

『ご馳走様です!』

 

麗さんの料理は絶品だからこれは嬉しいニュース!

しかし、こんな美人でスタイルも良くて家事も万能とか旦那さんは幸せ者だなー。

帰っていく麗さんをしっかり玄関まで送って、飯にしよう。

中辛のビーフカレーとか俺の大好物!

カレー(゚∀゚)ウマウマ

食い終わったらプリンでも作ろう。そうしよう。

 

 

 

朝、いつも通り登校するとリアスから昨日の事を教えてもらった。

イッセーが仕事しに尋ねたら家主が惨殺されていて、犯人は俺を襲った変態神父。

さらにイッセーが会ったシスターも奴らの仲間だったと。

ふむぅ、なかなかすごい展開になってきたな。

 

『シスターは悪い子じゃないんだろ?』

「えぇ、でも堕天使の仲間としているからこちらに引き込むのは危険よ」

『俺は直接会った訳じゃないから何とも言えないけど、イッセーの性格は知っているだろ?』

「そうね…きっとまた彼女と接触するわね」

『男ってのはな、本当にすべき事を見つけたら馬鹿になるもんさ。

 だから信じてあげてもいいだろ。アイツにはとんでもない可能性があるんだろ?』

 

イッセーの神器は自分の力を2倍にするものらしい。

だが、それだけならリアスが拾うのか?

実はロビー君もイッセーの内なる何かを感じているらしく、注意しろと言うくらいだ。

どうしようもないスケベな奴だがあの熱い真っ直ぐな精神だ、何かあるな。

 

「…わかっているわ。あの子は私の可愛い下僕、信じない訳ないでしょう?」

『流石の器やでぇヽ(*´∀`)ノ』

 

リアスの言葉に少し安心した俺は顔文字付きのホワイトボードを見せる。

それに対してリアスは少し拍子抜けしたのか、ため息を吐かれた。

すまんな、真面目な時は真面目だが脳内とホワイトボードは喧しいのだ。

 

「もう、真面目になったと思ったら変に茶化さないの」

『サーセン(;^ω^)』

「あと剛君にも協力してほしい事があるけどいいかしら?」

『おぅ、何すればいい?』

 

リアスの頼まれた内容を聞いた俺は即座にオッケーした。

何が起きるかわからないが、後輩が成長しようとしているんだ。

先輩が協力しない訳にもいかない。

リアスもだけど俺もそういう所は甘いみたいだ。

 

あ、プリンは全部員の分作って部室の冷蔵庫に入れた。

普通のでもいいけど敢えて牛乳プリンを作ってみた。

見た目も味も好評で小猫が嬉しそうに食べていたのを見てホッコリ。

(*´ω`*)

 

 

 

数日もしない内にそれは起こった。

 

イッセーが例のシスター…アーシアって子と遊んでいたら案の定、堕天使レイナーレが襲ってきた。

応戦するも力の差があり、やられてしまいアーシアも連れ去られた。

あの堕天使、本当に性格と根性が悪いな。

目的はアーシアの神器を自分の物にしようとしているらしい。

ロビー君が言うには神器を抜かれたらその人物は死ぬと。

 

リアスがイッセーの頬を叩いて諭すもイッセーは止まらない。

眷属も抜けてでも一人で助けに行くと豪語した。

俺は敢えて何もせずにソファに座りながら聞いている。

本気で行くのか、こいつ…殺されるようなものだけどな。

 

イッセーは兵士だからと言うが実際は違う。

俺もあの時の説明を思い出した、兵士ならではの特性を。

プロモーション…敵地ならでは戦車、騎士、僧侶、女王にもなれる万能の駒。

ただの捨て駒という訳じゃない。

そして、神器が想いの強さによって力が変わる事も教えた。

 

「急用が出来たわ。私と朱乃は少し外出します。

 遅くなるから剛君も先に帰っていいわよ」

「部長!まだ話は―」

「いい事? プロモーションしたとは言え駒1つで勝てる程、堕天使は甘くないわ」

 

説明を終えたリアスは朱乃と一緒に魔法陣へ転移した。

「プロモーションしたとは言え駒1つで勝てる程、堕天使は甘くない」か…。

制止の言葉に聞こえたろうが、佑斗と小猫は真意を把握しただろう。

俺も静かに部屋から出る…勿論帰る為ではない。

廊下に設置されている魔法陣へ入ると俺は転移した。

後輩の邪魔はさせないぜ?

 

 

 

「ほぅ、グレモリー嬢かと思えば貴様か」

 

転移した先は以前バイサーと戦った廃墟だった。

そこにはコートと帽子を纏った堕天使、ドーナシークがいた。

朱乃が既に使い魔で奴の場所を特定したのでそこへ飛ばせるように魔方陣を敷いてくれたのだ。

ここなら誰の迷惑にもならないだろう。左手に覆面を出せるようにしておく。

 

『何だよ、俺じゃ不満か?』

「喋れない?…フリードの奴が言っていたのは本当だったか。

 まぁ、貴様を殺しておけばレイナーレ様への評価が上がる」

『俺を簡単に殺せると思うなよ?』

「神器を持っているくらいで付け上がるな、人間風情が!」

「グルルルルル…ッ!」

 

向こうが光の槍を投げてきたので俺はミショナリーの覆面を被る。

被ると同時に回避行動をしてドーナシークに向けてダッシュする。

アイツはタイラントの俺しか見た事ないのでスピードに驚くもすぐに槍を手元に呼び出して俺のトンファーに応戦する。

こいつは変態神父の様な速さはないが、槍を上手く使ってトンファーを捌いている。

距離を離せば奴は飛んで投擲攻撃をしてくるだろうし、もしかしたら他に攻撃手段を隠しているかもしれない。

 

「あの時とは速さが違うが、まだ戦いの経験が少ないな!」

「グルッ!?」

「さて、貴様は空が飛べないようだが…人間と言うのは不便だな!」

 

槍を回転させて俺のトンファーを弾いた瞬間に胴体に蹴りを入れてその隙に奴は空を飛んでいく。

この廃墟はバイザーくらいの巨体が入る程の広さがある。

人間サイズが飛ぶにしても困らないだろう。

有利になったと思ったドーナシークは槍の投擲を始めた。

以前槍が降るって言った時があったけど実現しちまったよ。

 

持ち前のスピードとトンファーで避けるが防戦一方ではジリ貧…負けてしまう。

タイラントや処刑マジニでは耐久力があってもスピードがないから駄目だ。

まだ新しい覆面も出せない…とにかく考えろ!

必死に防ぐ俺の姿に奴は攻撃を緩めずに続ける。

 

「どうした? 少しは抵抗したらどうだ?」

「グルルルッ!」

「そういえば、あの下級悪魔は小娘を助けに行く気でいるらしいがレイナーレ様には敵うまい。

 話を聞いた時もそうだが、思い出すだけで腹が捩れて仕方がない!

 

 

 

 あんな幼稚な恋人ごっこで浮かれていたなんてな!」

 

 

 

ブチッ。

俺の頭の中で確かにそんな音が聞こえた。

後輩の事を、イッセーの事を、

わ ら い や が っ た な ?

 

俺の中で黒い感情が燃える。

怒りと殺意…この気持ちに反応したのか俺の力が溢れてきた。

神器は想いの強さで強くなる…こういう事か。

なら俺がしたい事はわかるな?

それに応えろ…モンスター・オブ・クリーチャー!!

 

「フシュルルルルルッ!」

「何だ…この殺意と力は!?」

「フシュッ!」

「動きが見え…ぶっ!?」

 

俺の変化にドーナシークは冷や汗を掻いていた瞬間に俺は柱に両方のトンファーを投げて刺し、

それを足場にして高くジャンプする、この一連の流れの速さに奴は反応する事は出来なかった。

ジャンプ中にタイラントに変身して顔面を思いきり殴って真下に叩き落とす。

そして着地してから背中を踏んづけて背中の羽を両手で掴む。

 

「き、貴様…やめろぉっ!」

「お゛お゛お゛お゛お゛っ!」

「ぐあぁぁぁぁぁっ!」

 

ブチブチと音を立てて羽根を無理やり引き千切った。

無論、もう片方も引き千切ると奴はさらに悲鳴を上げる。

痛いだろうな、でも止めない。

こんな少しの痛みで終わらせる訳にはいかないだろう?

光の槍を出そうとした手を思いきり踏みつけて潰す。

少しの抵抗もさせない。これは討伐や処刑でもない…暴力による蹂躙だ!

 

「がっ!?ぐぇ!?ぎゃ!?」

 

何度も奴の手足を踏み潰して動けなくする。

普通の人間なら頭が余裕でペシャンコになる破壊力だ。

少し頑丈なのが不幸な所だな、気絶すら出来ないんだからな。

尤も、気絶しても顔面を蹴っ飛ばすか殴って叩き起こすが。

 

もう動けないし意識がギリギリの様だから止めと行こう。

今度は処刑マジニに変身する。

こいつの巨大な斧を見てドーナシークは自分の未来が見えたようだ。

命乞いのつもりだろうか、こう言った。

 

「ま、待て!それだけの力があるなら我らと来ないか!?

 レイナーレ様が儀式に成功して上の方々に認められれば、貴様も良い暮らしが出来るぞ!?

 今は私を逃がすだけでいい!そしたら金でも女でも好きな物をくれてやる!!」

 

 

……

 

………は?

 

後輩を馬鹿にして、今度はリアス達を裏切れと?

そうすれば今以上の良い暮らしが出来て見逃せば好きな物が貰える?

それは素敵な提案だ。あんなアパートに住まなくてもいいし、スーパーで特売王と戦わなくてもいいな。

ふ ざ け ん な よ ?

 

俺はな、普通の暮らしが好きなんだよ。

火事のせいで家族も、家も、顔も、声も全て失って、憧れたのは普通の暮らしだ。

上の奴らに認められたいのは結構だ。

けどよ、やり方を間違えたな?

 

「悪い条件では無い筈だ! 私は必ず約束を守る!」

 

同級生と他愛のない交流をするのも、生徒会の手伝いや学校ボランティアをするのも、

イッセー達が馬鹿やっているのを叱るのも、佑斗にお勧めの本を紹介してもらうのも、

小猫と菓子を食べるのも、朱乃に美味い茶を煎れてもらうのも、リアスと勉学に励むのも、

特売王や奥様方と特売品を賭けて戦うのも、麗さんの世話になるのも!

俺が大好きな、普通の暮らしなんだよ!!

 

「だからその斧を振り上げるのはやめろ! やめてくれ!」

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!」

 

ドーナシークで必死に叫ぶも俺は斧を振り上げる。

逃げたいだろうがタイラントに滅茶苦茶にされた体は動けない。

だから見ているしか無い…この斧の行方を。

残念ながら止める気はない。

 

何故ならテメェは3つの間違いを犯した!

1つ目はイッセーの純粋な気持ちを笑った事!

2つ目はリアス達を裏切りさせようとした事!

そして、最後は…。

 

俺の暮らしを侮辱した事だぁぁぁぁぁっ!!!!

 

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!!!!」

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 

 

ウチ、ミッテルトはグレモリーの悪魔共が裏口から出てこないか見張っていたらグレモリー家の次期当主とその眷属が現れた。

他の三下達は表から出て行ったと聞いた時は予想が外れて悔しかったッスけど、本当に邪魔になりそうな2人が目の前にいるだから問題無し。

教会にはあのイかれ神父のフリードの他に多くの悪魔祓い達がいるし、レイナーレ姉様が儀式で更なる存在へと高まればこいつらにも勝てる計算!

さすがにウチだけで相手は厳しいからカラワーナとドーナシークを呼んだ筈だったけどカラワーナしか来なかった。

 

アイツ、バックれやがったんスか!?

最初はそう思ったけど、すぐにグレモリーの眷属が魔方陣を展開して出てきたのは…。

コートを着た白いハゲ頭の大男が何かを抱えて現れた。

アイツはレイナーレ姉様に歯向かったという神器持ちの人間…当然抹殺対象ッス!

 

「剛君、その抱えている物を彼女達に見せてあげなさい」

「あ゛あ゛っ」

 

グレモリーがそう言うと人間とは思えない悍ましい声で答えた奴は抱えていた物を目の前で捨てた。

それはあまりに衝撃的過ぎるモノだった。

無理やり引き千切られたと思われる2枚の黒い翼、

血だらけで手足が砕かれたのか変な方向に曲がった四肢の血塗れの体、

そして帽子が被られていた…ドーナシークの生首だった。

その顔は恐怖に引き攣った形相をしていた。

 

「これは…どういう事ッスか?」

 

ウチもカラワーナも突然のドーナシークの死体に言葉が出なかった。

何とか発せたのがさっきのウチの台詞…。

これは戦闘というより、処刑…いや、暴力的な蹂躙だとハッキリしていた。

人間がここまでやるのかと言う程の異常性だ。

 

奴がコートから何かボードみたいのを出してグレモリー達に見せる。

すると空気が突然変わる…この殺意はグレモリーから発している物だとわかった。

カラワーナも感じたらしく急いで逃げようとするも既に結界が張られていて逃げられない。

後ろから冷たい声が聞こえた。

 

「あらあら、どこへ行く気ですの? 逃がしませんわ♪」

「貴方達…私の下僕を笑ったそうね?…万死に値するわ」

 

振り向いた瞬間には赤い光が迫ってきて何が起きたかもわからずに意識が途絶えた。

 

 

 

俺がドーナシークの死体とパーツ3点を運んで転移してから展開が早かった。

リアス達も俺がここまでやるとは思っていないようで驚いてたが、

理由をボード(何故か懐にあった)に書いたらリアスも朱乃も怒った。

俺も後輩を愚弄された為怒ったが、リアスの怒り様は違う。

彼女は情愛が深い…だから当然自分の眷属を笑われたら、滅ぶしかないな。

 

「そろそろ教会へ向いましょう。朱乃、準備して」

「わかりましたわ」

『俺も行く』

「えぇ、お願いするわ。敵地だから変身は解かないようにね」

『了解』

 

朱乃が展開した魔法陣へ入ると俺とリアスは教会へと向かった。

イッセーや佑斗、小猫達が無事であるといいが…。

もしレイナーレが元気だったらドーナシークのように【蹂躙】してやりたいが、

決着はアイツが着けるんだ。

だってリアスが言っていたのだ。

イッセーはリアス・グレモリーが誇る「最強の兵士」だと。

 




『ぅ゛ぅ゛ぅ゛(ゴマンエツー)』
『今度はどうしたコイツ(;・ω・)』
『処刑が出来て満足なんだって~』
『あ、そう(;゚Д゚)』
『趣味が断頭処刑だもん』
『予想してたけど怖い!:(;゙゚'ω゚'):』

閲覧ありがとうございます。

処刑と言うより蹂躙やっちまいました←
剛はマジでキレると何をしでかすかわからない若者です←
普段、本気で怒らないからこそ怒らせると大変な目に遭います。
皆様も知人でそういう人がいたら怒らせないようにして下さい←

それでは、また。


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第9話

転移したのはどこかの地下室みたいな所、祭壇みたいなのと磔みたいな十字架がある。

ハッキリ言って趣味が悪い! 堕天使にも悪趣味な奴らがいるのか!?

周囲には覆面被った如何にも悪趣味なオッサン共が佑斗と小猫相手に戦っている。

さすがに2人とも強いとはいえずっと戦っているのはまずい!

俺とリアスはすぐに援護を開始した!

 

「佑斗、小猫、助けに来たわ」

「部長!」

「剛先輩も…」

 

リアスが周囲の銃を持った敵を消滅させて、俺は二人の死角にいる剣を持ったオッサン共を殴り倒す。

ドーナシークやフリードよりも弱いから片付けるのは容易かった。

俺に殴られた奴は…「見せられないよ!」状態になっているけど気にしない気にしない。

せーとーぼーえーって奴です(暴論)

 

『宿主の暴力性って怖いね~』

『9割5分テメェらのせいだよ』

『神器だから宿主の性格です~。僕の可愛さはノーカンです~』

『(∩゚д゚)アーアーきこえなーい』

『今度はそう来た!?』

 

血塗れウサギの戯言は聞こえないふりして神父を全員ジェノサイドした。

死体は全てリアスが消したので証拠隠滅!やったね!

尤も、こいつらも非公式な存在だろうから誰にも心配されない、認知されない可哀そうな奴らかもな。

心の中で冥福を祈ってやろう(-人-)

3秒だけな(ゲス顔)

 

 

 

俺達が地上へ上がった時にはどうやら決着が着こうとしていた所だった。

イッセーが左手の篭手で思いきりレイナーレをぶん殴ってステンドガラスごと外へぶっ飛ばした。

あの一撃の力、とてつもない力を感じた…形状も変わっているし、あれが本当の姿なのか?

とにかく、言っておこう…よくやったイッセー!!

 

倒れそうになったイッセーを佑斗が支えた。

こいつ、大腿部に槍を貫かれたのに倒したのか…とんだ根性だな。

あの長椅子で倒れている少女、アーシアの為にここまで戦えるなんてな。

正義のヒーローみたいな奴だよ、全く。

 

「部長!? 先輩まで!?」

「用事を済ませてきたから彼と地下室まで転移してきたわ」

『そしたら2人が神父共と大立ち回りしていた』

「お二人のおかげで助かりましたよ」

「何だ、心配して損したぜ…」

「部長、持ってきました」

 

するといつの間にか小猫がぶっ飛ばしたレイナーレを引き摺ってきた。

まぁこんな奴はこのくらい雑な扱いしても構わないだろう。

リアスの前まで引き出されたレイナーレは動けずに睨む事しか出来なかった。

一応リアスの傍に立って攻撃してこないか警戒はしておこう。

 

「初めまして、堕天使レイナーレ。私はリアス・グレモリー、グレモリー家の次期当主よ」

「グレモリー一族の娘か!」

「以後、お見知りおきを…短い間でしょうけど。

 あと、それから貴女のお友達は私と彼の手で消し飛ばしたわ」

「貴様はあの時の…!」

『また会ったな。もう会う気は無いが』

 

俺がそれぞれの翼の羽をレイナーレの前に落とす。

1枚だけ血塗れなのは…ドーナシークのだな。

次に逢ったら殺してやるとか言っていた癖にこの様とは情けないな。

自業自得って言う言葉がお似合いだ。

 

消し飛ばしたという言葉にイッセーは唖然としていた。

佑斗が言うにはリアスは紅髪の滅殺姫(べにがみのルイン・プリンセス)という異名持つ程。

やべぇ、異名がカッコいい件について(厨二心)

そしてリアスはドーナシークの件で堕天使が何かを企てていたのを察していたらしい。

チェスは先読みが大事とは言うがここまでとはな…俺の頭じゃ無理だわ。

(ヾノ・ω・`)ムリムリ

 

そしてイッセーの篭手が変化している件では予想外だった。

使い手の力を2倍にする龍の手(トゥワイス・クリティカル)だと思われていたが、それは仮の姿。

本当は13種類しかない神滅具(ロンギヌス)が1つで、

10秒毎に力を倍加させる赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)だという事。

え、何その連続パワーアップ…チートやん。

後輩の神器がとんでもない件について(´・ω・`)

 

「さて、消えてもらうわよ?」

「イッセー君、助けて!」

「夕麻ちゃん…!?」

 

リアスがとどめを刺そうとしたした瞬間、レイナーレはとある女の子の姿に変えた。

それはイッセーが付き合っていた天野 夕麻という姿。

こいつ、どこまで腐ってやがるんだ…!

俺が怒りのボルテージを上げながらもイッセーを見守る。

佑斗と小猫が駆けつけようとするもリアスが制止した。

 

「私を助けて!」

「お前…どこまで…っ!

 

 

 

 ………部長、頼みます」

 

そう言ってイッセーは後ろを向くと静かにそう言った。

俺は通り間際にイッセーの頭を優しく撫でた。

もしかしたら恋愛がトラウマになっただろうし、女が怖くなったかもしれない。

こんな、こんな腐った性根の阿婆擦れのせいでなぁ!

 

「そんな、イッセーく「剛、1回だけ殴っていいわ」

「お゛お゛お゛っ!」

「ぐぇっ!」

 

リアスが俺の心情を察したのか、醜く縋ろうとする奴を殴っていいと許可をくれた。

その瞬間に俺は右の拳で思いきり顔面を殴って床に叩き付けた。

本当ならこのまま死ぬまで殴り続けたいがリアスが俺を呼び捨てするくらい怒っているんだ。

部長命令は守らないとな。

 

「う、ぐ…ぇ?」

「私の可愛い下僕に言い寄るな…吹き飛べ」

「あ、あぁぁぁぁぁっ!」

 

ほんの一瞬のやり取りで奴は消し飛ばされた。

黒い羽根が舞い散る中、緑色の光がゆっくり落ちてきた。

あれは…2つの指輪?

どうやら、アーシアの神器がこれらしい。

リアスが受け取ると彼女に返そうとイッセーに言う。

本来の持ち主に返してあげないとな。

 

 

 

変身を解いた俺は壁を背にして静かに事を見守る。

アーシアを守る事が出来なかった自分自身に泣くイッセー。

その気持ちは俺も痛い程よくわかる…お前を守れなかった時、俺もがむしゃらになっていた。

今でも強くなりたい気持ちはあるから自分を鍛えている。

お前にもその気持ちがあれば絶対強くなれる。

 

「前代未聞だけど、やってみる価値はありそうね」

 

そう言ってリアスがポケットから取り出したのはチェスの駒…形状は僧侶。

なるほど、悪魔の駒で転生させるのか!

彼女は人間や悪魔なども回復させる事が出来る神器の持ち主。

仲間としても頼れる存在になるな。

 

丁度タイミングよく朱乃が転移してイッセーに説明している間、

俺はリアスの指示で彼女をそっと抱えて床に寝かせる。

シスターが悪魔に転生か…考えてみるととんでもない組み合わせだな。

けど、それもまた面白いかもな。

 

結果は成功、無事に悪魔へと転生したアシーア・アルジェントは生を得た。

さて、お邪魔になるだろうから俺もリアスと一緒に転移しますわ。

門星 剛はクールに去るぜ…。

 

 

 

「剛君、ちょっといいかしら?」

 

部室へ戻ってそろそろ帰ろうとするとリアスに呼ばれた。

また何か頼み毎かと思ったら魔法陣が描かれた紙と指輪が付いたペンダントをくれた。

眷属でもないのに今回の件で色々働いてくれたお礼らしい。

この紙を自宅に貼っておくと、この指輪の魔力で部室から自宅まで転移できるらしい。

これは便利!ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ

 

「人間のままなのに色々とやらせて助かったけど申し訳なくて」

『部員で且つ協力者なんだ。色々やるのは当たり前だろ?』

「あと、少し屈んで目を瞑って」

 

そう言われて屈んでから目を瞑ると額に温かい感触…え?

今、何が起きた?

目を開けるとリアスの綺麗な顔が目の前にあった。

額の感触…そういう事かぁぁぁ!(*ノノ)

 

「部員を可愛がってあげるのも部長の務めよ♪って顔がすごい赤いけど大丈夫!?」

『…気にするな(*ノノ)』

「そ、そう? とにかくこれからもよろしくね、剛君」

『俺も皆のように呼び捨てでいい。同じ部の仲間として揃えようぜ』

「それもそうね…よろしくね、剛」

『こちらこそ、リアス』

 

そう言って俺らは握手して互いの絆を深めた。

これからも騒動が舞い込んでくるだろうが、俺は戦うぞ。

恩人や友人を守る為に、成長していく後輩を守る為に、

そして…俺の愛するこの生活を守る為に!

 

 

【旧校舎のディアボロス編 完】

 




『………(ゴマンエツー)』
『何でタイラントもご満悦なんだよ(;゚Д゚)』
『あの堕天使の顔を殴れてスッキリしたんだって』
『こいつが一番怒っていたのか!?Σ(゚Д゚;)』
『無表情だけど感情豊かだよ?』
『お、おぅ…(゚∀゚;)』


閲覧ありがとうございます。

ようやく第1巻終わりました!
次回は日常編と簡単なキャラ紹介をしてから第2巻へ突入します。
次に剛の処刑や蹂躙を喰らうのは誰でしょうね?←
新たなクリーチャーも出てきますのでご期待ください!

それでは、また。


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第10話

今回は短編集になります。


 

【聖女と初対面】

 

「剛君、クリームのホイップは出来ました?」

 

朱乃に言われて俺は先程まで手掛けていた生クリームが入ったデカいボールを渡した。

何をやっているかって?

アーシアが悪魔に転生してリアスの眷属に仲間入りしたんだ、歓迎会の準備だよ。

そして新入部員の歓迎会でもあるんだから俺が手伝う。

当たり前だよなぁ?

 

んで、俺は菓子作りと力仕事が得意だからこうして朱乃とケーキ作ってんの。

どうせ朱乃のエプロン姿見て鼻の下伸ばしているんだろって?

馬鹿野郎、俺はイッセーじゃねぇんだ。

…朱乃の家で飯食いに行った時はエプロン姿にデレデレしてたけどな!

朱乃のエプロン姿とか新妻みたいで滅茶苦茶似合うに決まってんだろバーロー!(逆切れ)

 

「まぁ、素晴らしい出来ですわ~。やっぱり男手があるとお菓子作りも助かりますわ♪」

『…それはいいけど、やけに近くないか?(;・ω・)』

「あらあら、剛君は恥ずかしがり屋さんですわねぇ♪」

 

何でキッチンは広いのにこんな近くで作業しているんですかねぇ。

時々目線がこっちに来ているから少し寒気がするんだけど…。

いや、こんな美女とケーキ作れるとかクラスメイトとか後輩に知られたら嫉妬の目線が俺に突き刺さるだろう。

松田と元浜だったら竹槍を持って俺に襲い掛かるだろう…来たら殴るけど。

 

俺はなるべく意識しないように焼いたクッキーにチョコペンで文字を書いていく。

「Welcome Asia Argento」を筆記体で書けばこれで終わり…そういえば、俺ってアーシアと話した事ないじゃないのか?

教会へ行った時は神器抜かれていて意識が無かったし、転生直後は邪魔しちゃ悪いと思ってリアスと転移したし。

…初対面でいきなり顔面ミイラ大男の俺と会うとか大丈夫か?

怖がらせなければいいけど。

 

「どうしましたの?」

『いや、初対面で俺と会うのは衝撃大きいだろうなって思ってな』

「確かに剛君の風貌と体格では驚きますけど、とても優しい人だっていうのはすぐにわかりますわ」

『そんなもんかねぇ( -ω-)』

「本当に怖い人が初対面の人の為にこんなに手の込んだ事はしないですもの」

 

朱乃は笑顔のままそう言うと俺が作った生クリームを焼いたスポンジに塗っていく。

駄目だねぇ…昔みたいに人目を気にしてビクビクする癖が抜けないもんだね。

せっかく受け入れてくれる場所と仲間がいるんだから感謝しないとな。

さて、気を取り直してケーキに飾る苺を切りますか。

 

そのままトラブル無くケーキを完成させて時間が来るまで冷蔵庫に入れる。

片づけをしようとキッチンを見ると余った生クリームとクッキーがある。

勿体ないからちょっとアレンジしておこう。

 

 

 

そろそろ全員が集まる頃だろう。

冷蔵庫に入れておいたケーキを皿ごとカートに置いて、下には朱乃が入れた紅茶とティーセットがある。

ケーキが崩れないようにゆっくりカートを押して移動させて朱乃が扉を開けてくれた。

丁度全員揃ったみたいだな。

 

「あらあら、皆さんお揃いね。さぁ、新人さんの歓迎会ですわ♪」

『朱乃と俺の特製ケーキで歓迎だぜぇ(*´∀`)』

 

皆がケーキを見て喜んでいく中、俺はアーシアの目の前に立って片膝立ちになってボードを見せた。

 

『初めまして、アーシア・アルジェント。駒王学園3年の門星 剛だ。

 火事で顔が包帯だらけで声を出せない障害を持っているが、仲良くしてくれるとありがたい。

 ∩( ´∀`)∩ドウゾ(っ´∀`)っヨロシク』

 

やはりアーシアは俺の風貌を見て少し驚き、イッセーを見る。

イッセーも大丈夫だと頷くとアーシアはとても優しい笑顔で返してくれた。

 

「初めまして、アーシア・アルジェントと申します。

 先程は驚いてしまい申し訳ありませんでした。私の方こそよろしくお願い致します」

 

え、何この子…ガチで聖女やん(錯乱)

こんなすげぇ良い子なのに魔女だと追い出した教会は馬鹿なの? 死ぬの?

イッセー、この子を泣かせたらアイアンクロー(タイラントver.)待った無しだからな?

俺も泣かせたら修行の難易度ベリーハードにするから(戒め)

 

あ、そうだ。

勘違いされていると思うから言っておこう。

 

『因みに俺は悪魔じゃないからな?( ・ω・)』

「…え?」

『神器は持っているけど人間だからな?(;・ω・)』

「…えぇ!?」

『やっぱり悪魔だと思われてたか…(;-ω-)』

「ごごごごめんなさいっ!あぁ、主よ、罪深い私にお許し下さ…はぅっ!?」

『悪魔が神に祈ったらアカンって…(´・ω・`)』

 

 

 

【早朝鍛錬】

 

朝の5時前、夢の中の遊園地で鉄パイプを持ってミショナリーと遊び終えた俺は起きる。

夢の中なのに斬られたり殴られるとすげー痛いんだぜ?

遊びが終わるとナースが数人出てきて治療してくれる。

ナイスバディなんだけど顔が無いんだよなぁ(遠い目)

いや、すごい優しくて丁寧に治療してくれるよ?

 

『だってアイテム渡したのに嫌がるんだもん~』

『お前、ハーブとか栄養ドリンクで怪我が治るとか俺を馬鹿にしてんのか?』

『ちゃんと治るもん!君にホームランされた時に使ったもん!』

『観覧車に直撃してピザ屋に落ちた時か…』

『おかげであのクソウサギと喧嘩しちゃったから大怪我だよ!』

『お前もクソウサギだろうが(;゚Д゚)』

 

あの遊園地にはピザ屋があるのだが、そこのマスコット達とロビー君は仲が悪いらしい。

可愛いウサギは一体だけでいいと言う謎の概念が駆り立てられるとか。

というかハーブとかで回復したのかこいつ。

 

さて、何で俺がこんな時間に起きたか。

リアスがイッセーの鍛錬をするというので混ぜてもらおうと思ている。

ジャージに着替えて待ち合わせの公園まで軽くランニングをする。

頭の中で某ボクシング映画のテーマソングを流しながらやるとテンションが上がる。

今ならチャンピオンとベルトを賭けて戦える気がする!

 

公園で体操とストレッチ、シャドーボクシングをしていると自転車のベルが聞こえる。

振り向くと走っているイッセーと後ろで檄を飛ばしているリアスがいた。

悪魔は朝になると弱いらしく、かなり怠くなるらしいが慣れれば問題ないらしい。

確かに今のイッセーの動きはあの教会の時とは全く違う。

 

『おはよう、お二人さん( ・ω・)ノ』

「あら、おはよう」

「剛先輩…おはよう、ございます…」

『無理に喋んなくていいから呼吸を整えろ(;・ω・)』

 

その後、イッセーはリアスを上に座らせて腕立て伏せしていた。

女性とはいえ人を乗せて腕立てはキツい、けど崩れたら男としてカッコ悪いからな。

俺は隣で片腕立て伏せをしている…まぁ元々の筋力があるしタイラントや処刑マジニは筋力に依存する。

基礎体力が重要になるのは俺もイッセーも同じって所だ!

 

「ハーレム王に、俺はなるッ!」

 

隣で何か戯言が聞こえたが気のせいだろうか?

鍛錬中で無かったら俺が上に乗っかってやろうと思っていたのに…残念。

リアスが言うには誰か来るらしいけど…おや、誰か来た。

バケットを持ったアーシアが走ってきた。

あ、転んだ(´・ω・`)

 

どうやらアーシアの下宿先を決める兼ね合いがあるらしい。

女の子が一人暮らしするんだから安全な所が良いな。

因みに希望は? え、イッセーの家…だと!?

(;゚Д゚)(゚Д゚;(゚Д゚;)ナ、ナンダッテー!!

 

とりあえず俺の連絡先を渡しておくから何かあったら呼んでくれ。

もしイッセーが無理矢理手を出したら先輩としてキッチリ潰してけじめをつけさせるからな?

何を潰すって?

言わせんな、恥ずかしい!(*ノノ)

 

 

 

【お隣さん】

 

俺は独りでアパートに住んでいる。

体格がデカい俺には少々狭いけど居心地は良い所。

麗さんが見つけてくれたからすごい感謝をしている。

そしてアパートだから当然、隣にも人が住んでいる訳だ。

 

別に仲が悪い訳ではない、寧ろ良好だ。

スーパーの特売とかうっかり買いすぎた時は分け合うし、

料理も作りすぎたらお裾分けするくらいだ。

調味料の貸し借りも問題なく出来る。

 

何より、俺のトレーニングも付き合ってくれるのが大きい。

近くの空き地でスパーリングしていると観客が沸いて勝手に賭けが始まってしまうのが難点だが。

しかも知らないオッサン達が実況・レフェリー・セコンドと致せり尽くせり…暇人か?。

解説は特売王が必ず来てくれる…家事はどうした?

 

夜、いつものように帰宅して夕飯のカレーうどん(5人前)を食べていると、

隣から地が唸るような低音ボイスで泣いている声が聞こえる。

何かトラブルかと思ってドアを開けて外へ出てみると見知った顔がいた。

…イッセーと泣いている隣人だった。

 

『イッセー、何してんの?(;・ω・)』

「え、剛先輩!? ここ先輩の家なんですか!?」

『そんなことよりお前、お隣さんのミルたん泣かせるとか最低だぞ?

 とっとと謝れや(´・ω・`)』

 

ミルたん…俺の隣の部屋に住んでいる、魔法少女になるべく日々努力を怠らないすごい人だ。

服装を魔法少女に固め、グッズやDVDで研究をしているのだと。

去年の夏休みに魔法少女になる為にいい方法が無いかを聞かれ、

異世界へ行ってみたら? と冗談半分に言ったら本気で行ってくる行動力があり、

お土産も忘れずに持ってきた気配りのある本当にいい人だ。

因みに身長は俺よりデカい。

 

「え、いや…魔法少女にしてくれって言われましても…」

『それが無理でも出来る事をやればいいだろうが(#´・ω・`)』

「いやいや、何で先輩がそんなに怒っているんですか!?」

『あと5秒以内に行動を起こさなかったら蹂躙する(#゚ω゚ )』

「分かりましたからそのマスクを仕舞ってくださいよ!?」

 

そりゃあお前、仲良い人を泣かされたら怒るに決まってんだろ?

俺が左手にタイラントの覆面を出すとイッセーが慌てて泣いているミルたんを慰める。

何だ、やれば出来るじゃねぇか。

 

「魔法少女にしてくれるのかにょ!?」

「それは無理ですけど相談くらいには乗りますから!」

「じゃ、じゃあ一緒に魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブを観るにょ!」

『良かったな、ミルたん! 同志が増えるし、そこから生まれる魔法があるかもしれないぞ?』

「あ、門星君! 門星君も一緒にどうかにょ!?」

『まだ飯食ってる途中だから喰い終わったら行くわ~(・ω・)ノ』

「先輩も観てるのかよ!?」

 

馬鹿野郎、最近の魔法少女アニメは侮れないぞ?

ドラグ・ソボール顔負けの熱い演出と泣けるシナリオ構成は観る価値がある。

そこに出てくる格闘技はリアル志向で参考になるし。

ミルたんとのスパーリングで再現しているくらいだぞ?

とりあえず部屋に戻って飯を食べ終えて行こう。

 

この後、めちゃくちゃ泣ける展開で全員が涙を流した。

。・゚・(ノД`)・゚・。

 

 

 

【お隣さん2】

 

俺は独りでアパートに住んでいる。

体格がデカい俺には少々狭いけど居心地は良い所。

麗さんが見つけてくれたからすごい感謝をしている。

そしてアパートだから当然、隣にも人が住んでいる訳だ。

え、それはもういいって?

 

左隣の部屋がミルたん。

今度は右隣に住んでいる人の話だ。

ん? どうせデカい奴がいるんだろって?

200㎝超えの人間がそんなにいる訳ないだろ! いい加減にしろ!

因みに俺の身長は205㎝、ミルたんより7㎝も低いんだぞ!

十分デカすぎる? アッハイ(´・ω・`)

 

隣に住んでいるのは大学生のお兄さん。

西洋文化に深い関心を持っている人で中世ヨーロッパの文化が専攻らしい。

普通に頭がいいからたまに勉強見てもらっている。

お礼に料理やお菓子をご馳走しているくらいだ。

 

ミルたんもすごいがこの人もずこい。

俺はミルたんとスパーリングしたり鍛えているけどこの人に隙が見えないんだぜ?

ガードが固いって言うんだろうな…親しい人にも一切の隙を見せない。

でも紳士的な人で警戒心や不快感を持たせない社交性もある。

そして騎士道を重んじている所も評価が高い。

 

「やぁ、門星君」

『おはようございます、堀井さん』

「この間のクッキーサンド美味しかったよ、ご馳走様」

『いえいえ、余り物で申し訳ないですが…』

「また勉強見て欲しい所があったら言ってね。じゃあ僕は講義があるから行くね」

『ありがとうございます。お気をつけて~』

「あはは、甲冑着ているから大丈夫さ」

 

そう、常に甲冑を着ているのが堀井さんだ。

なので素顔を見たことが無い。

でも紳士だから問題ない。うん、仕方ないね。

最初の頃は疑問に感じたけど慣れって怖い。

 

 

 

 

夕方、俺がスーパーへ買い物に帰ったら堀井さんと会った。

何か様子が変だった…いつものように爽やかな紳士ではなく、少し考え事している。

悩み事でも出来たのか、相談に乗ろうかと思ったが…俺はふと気づいてしまった。

それは…っ!

 

頭 に 矢 が 刺 さ っ て る ぅ ぅ ぅ っ ! ?

工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工

 

え、何これ…この世は戦国時代じゃないぞ?

でもあの硬い甲冑、しかも頭部に見事矢が刺さっている…ワザマエッ!

堀井さん、あんた戦国武将に命を狙われてるの!? 相手は那須与一か!?

ゲンジバンザイ! \(^o^)/

何かとんでもない事になりそうだから…放っておこう。

 

翌日、堀井さんに恋人が出来た。

何でもあれは矢文で隙の無い堀井さんに気づかれずに射抜いた実力と手紙(ラブレターらしい)にフォーリンラブしたとか。

最近の女子力って武芸習うの?

ま、まぁ…堀井さんに春が訪れたのは良い事だ。

俺は堀井さんに携帯で彼女さんの写真を見せて貰う事にした。

相手はスーザンという海外から来た留学生らしい。

きっと美人さんなんだろうな。どれどれ…ん?

 

 

 

(  Д ) ゚ ゚

 

 

 

こ い つ も 甲 冑 か !

我慢して庇護してみたけど我慢限界じゃぁぁぁい!

麗さん、何故ここを紹介した!?

俺以外にまともな奴は住んでないのかこのアパートは!?

ヽ(`Д´#)ノ ムキー!!




『宿主も変人だよwww』
『あ゛?(#・∀・)』
『いやいや、見た目もだけど空き地でスパーリングとか無いからw』
『ミショナリー、こいつを縛ってピザ屋に置いとけ(#´∀`)』
『フシュルルル(ペコリ)』
『いやぁぁぁっ!?』

閲覧ありがとうございました。
今回は短編集みたいな感じでやってみました。
もう1話やったら第2巻に突入します。
駒王町って妙に変人が多いのは気のせいでしょうか←

それでは、また。


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第11話

 

 

【生徒会】

 

さて、今日も元気に生徒会の手伝いに行こう。

前回は花壇の植え替えをやったから次は農園の草むしりとかかな。

生徒会室へ辿りついて、開ける前にノックしてもしもーし。

ノックは叩く回数で人物に対してか変わるから注意な、礼儀は大事!

 

「どうぞ」

 

ドア越しから声が聞こえたのでゆっくり開ける。

失礼しますという一言は必要なんだけど俺は喋れないからボードを先に差し入れる。

これだけで誰が来たかは一発でわかるんだけどね。

ボード入れてから入ると3人の姿がいた。

 

『どうもー。手伝いに来たぜ( ・ω・)ノシ』

「こんにちは、門星君」

 

俺に挨拶してきたのは生徒会長の支取 蒼那。俺の恩人の一人だ。

この人とリアスが学校で俺が孤立しないように声かけたり友好に接してくれたから今の学校生活がある。

どんな人物にも分け隔てなく接するその姿勢は同学年とは思えない雰囲気だ。

生徒会長として人気があるのも頷ける。

 

「いつもお手伝いして頂き、ありがとうございます」

『俺が好きでやってるんだから気にしないでおくれ。

 (´・ω・`)』

 

こっちは副会長の真羅 椿姫、俺のクラスメイトだ。

結構近寄りがたい雰囲気だと思われるが優しいよ?

冷静で厳格な性格だけど周囲をしっかり見てて気づいたことはしっかり言える。

副会長になるのも納得がいくよねぇ。

 

「門星先輩、今回は書類の整理ですけどいいですか?」

『おぅ、任せろ d( ゚д゚ )b クワッ!!』

「いつも思うんですけど、何で一瞬で顔文字まで書けるんですか…」

 

こいつは書記で最近入った匙 元士郎。イッセーと佑斗の同学年。

支取に惚れているみたいで最初は俺が彼女に惚れているんじゃないかと思って冷たく当たっていたが、

俺が手伝いする理由を説明したら男泣きしながら非礼を詫びて今のように接している。

そこまで感動する話じゃないのにすげぇ泣かれたからドン引きしたわ…。

 

古い書類を分別する仕事を受け持った俺は匙と一緒に進めていく。

まぁこんなに溜まっているなんて…俺がスッキリさせてやる

…書類の事だからな?(ゲス顔)

あ、真羅がお茶を煎れてくれた。あざーす!

 

「最近、部活に入ったみたいですね」

『オカルト研究部な』

「リアス先輩の所へ入ったんですか!?」

『まぁな。なるべく手伝いはするから心配するな。

 ( ・ω<)b』

「という事は…知っているんですね?」

 

支取が真っ直ぐ俺を見て訊いてきた質問…まぁそのままの意味だろう。

オカルト研究部に入って悪魔や堕天使などの人外を知って、戦い、殺したのだ。

最近はロビー君を介さなくても何となく判るようになってきた。

支取達も悪魔だという事を。

 

『知ってるよ。んで、ここの面子もそうだろ?』

「はい、私達も悪魔です。私の本名はソーナ・シトリー、シトリー家の次期当主です」

「そして私と匙は転生した悪魔です。生徒会のメンバーは皆そうです」

「門星先輩も悪魔になったんですか?」

『残念、俺は何故か悪魔になれなかった。神器は持っているけどな』

 

支取達が羽根を広げて正体を現す。やはり的中していたか。

この学園に二人の悪魔、それも名門の次期当主がいるとは驚きだわ。

何で名門だとわかったか?

一応、悪魔事情はオカ研の皆に教わっているんだよ。

元72柱なんだろ?

 

因みに支取は王、真羅は女王、匙は兵士らしい。

しかも匙は兵士の駒を4つも消費したというポテンシャルの高さ。

神器を持っているんだろうな、イッセーと切磋琢磨出来そうだな。

でもこいつも人を軽視する部分があるからそこを直さないとなぁ。

 

「あら、それは残念ですね。貴方なら強い悪魔になれたと思ったのに」

『もし俺が悪魔にするんなら駒は何だと思う?』

 

あの時はオカ研全員にも戦車と言われたが(別にショックではないけど)

ふと気になったから質問してみた。他意はない。

もしかしたら新しい評価もあるかもしれない!

 

「戦車でしょうね」

「戦車かと」

「戦車しか想像が出来ないですね…」

『ですよねぇ(´・ω・`)』

 

どうせパワー馬鹿だよ。(´Д⊂グスン

いいもん! 小猫とお揃いが出来たかもしれないんだもん!

この話を本人にしたら少し嬉しそうだった。悪魔になれなくてゴメンね…?

あの時のガッカリ顔は未だに脳裏に焼き付いてるよ…。

つД`)・゚・。・゚゚・*:.。

 

 

 

【使い魔ゲット?】

 

前略、後見人の麗さん。お元気でしょうか?

私は元気です。元気過ぎて特売王とスパーリングしちゃいました。

また強くなってました、あの世紀末覇者的な奥様。

でも旦那さんの前では純粋無垢な乙女だそうです。

それ聞いて少し笑ったらブッ飛ばされました。

(´;ω;`)

 

何で俺はこんな暗くて魔境的な森にいるんだろう?

でも空には綺麗な満月があって素敵ぃ♪

なんて浸れるかぁぁぁっ!

(`皿´)ムッキー!!

 

確かイッセーとアーシアが悪魔として使い魔を持つ事が必要であって。

その為には使い魔マスターなる人物に会わなければいけない。

それは月に1度、満月の日のみ。

ここまではOK?

さぁ、本題を聞こう!

 

『何で俺も? 人間だぞ俺(;・ω・)』

「せっかくの機会だし、剛だけ仲間外れは可哀そうでしょ?」

「もしかしたら先輩に懐く使い魔がいるかもしれません、帰ったら拗ねます」

『アッハイ(;-ω-)』

 

という事らしい。

いや人間に懐いちゃ駄目じゃね?

俺のアパート、ペット禁止だから。

まぁ、珍しい生き物が見られると思えば悪くはないかもな。

んで、その使い魔マスターなる奴はどこに?

 

「ゲットだぜぃ!」

 

うわぁ…木の上に帽子を後ろ被りしている半ズボンとランニングシャツのオッサンがいた。

「ママ―あれ何ー?」「見ちゃいけません!」案件じゃねぇか。

通報するか?…いや、ここは人間界じゃねぇか。

となるとタイラントでぶん殴るか…?(゚ω゚)ジー

 

「うふふ、大丈夫ですわ剛君。彼が使い魔マスターですから」

「そう、俺の名は使い魔マスターのザトゥージだぜぃ!

 俺にかかればどんな使い魔も即座にゲットだぜぃ!」

「彼は使い魔に関してのプロフェッショナルなんですのよ」

『お、おぅ(;゚Д゚)』

 

と、とりあえず朱乃がそう言っているんだから悪い奴ではないんだろう。

どんな生き物に対しても専門家の知識は必要だからな。

イッセーが女の子みたいな使い魔を欲しがっているのは安定だから放っておくとして、

アーシアは可愛いのが欲しいらしい。

確かに可愛いのはいるみたいだ。小猫の使い魔のシロとか朱乃の小鬼とかな。

リアスのコウモリは人型に変身出来るから有能だわ。

 

その後は使い魔マスターの案内で色々な生物に出会った。

格闘重視のウンディーネ…特売王かと思ったがアイツの威圧感と筋肉の方がすごい。

緑色の鱗がある人型生物…巨大な爪で襲い掛かってきたからタイラントでぶん殴った。

腐ってたり頭が半分割れたり触手が映えている犬…見た目がアレだからミショナリーでバラバラにしてやった。

グロテスクな色した巨大な毒蛇…危険すぎるので処刑マジニで首を落とした。

 

『最初以外危険な奴らしかいねぇ!何て日だ!!』

「この森には色々なのがいるんだ、運が悪いとあぁいうのが出るんだぜぃ…おっ!?」

『今度は何だ…(;-ω-)』

「蒼雷龍(スプライト・ドラゴン)…子供とは珍しいぜぃ」

「ドラゴン!?」

「可愛いです~」

「ケットするなら今の内だぜぃ?」

『イッセー、お前赤龍帝の力があるんだからいいんじゃないのか?』

 

木の枝にいる小さな青いドラゴン、雷撃を使うなんてすごいな。

しかもこれで子供だから成長したらすごそうだ。

生でドラゴンを見れて感心していると上から何かが落ちてきた。

咄嗟に避ける…緑色の粘液みたいだが、スライムか?

 

上から降ってきているというより誰かが投げてきた感じだな。

誰かの悪戯か、ちょっと見てみるか。

何か後ろが喧しいけどすぐに戻ればいいだろ。

この時、後ろを振り返れば良かったと後悔したのは言うまでもないorz

 

 

 

投げてきた方向へ向かって歩くとそこには3体の石で出来た巨人がいた。

所謂ゴーレムか? それぞれ茶色、灰色、金色と色が違う。

俺に気づいたのか、にやついたような目で俺にスライムを投げてきた。

ほほぅ、俺に喧嘩を売るとは…無駄な事を!

(゚∀゚)ヒャッハー!

 

タイラントに変身した俺は近くの小さな木を引っこ抜いてバットの様に振ってスライムを打ち返した。

それが金色のゴーレムに当たると他の2体が怒っている。

全く、悪戯してきたのはどっちなんだ?

ここはきっちりとどっちが上かを教育してやらないとなぁ?

(#^ω^)ビキビキ

 

『やっちゃえー宿主ー!』

『フシュルルル!』

『ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!』

 

完全に格闘技の試合を観戦するスタイルだなお前ら?

ビールとピザもあるけど飲み食いできるの?

しかもミショナリー、もう酔ってる!?

処刑マジニ、ビールをバケツで飲むなし。

まぁいいや、ゴングはねぇけど気にするな!

ラウンド1~…ファイッ!!

 

 

 

 

「これで契約終了、よく出来ましたわ。アーシアちゃん」

 

アーシアがスプライト・ドラゴンのラッセーとの契約を無事完了した。

はぁぁぁ…スラ太郎が全滅したのは本当にショックだったぜ。

あんな素敵なスライムがいたなんて夢のようだったのに…。

木場もザトゥージもスライムに目隠しされていたからあの光景を独り占め…あれ?

 

「あれ、そういえば剛先輩は?」

「…そういえばいませんね」

「おいおい、この森で迷っちまうと危険だぜぃ?」

「まずいわね、急いで剛を探しましょう!」

 

部長がそう言った瞬間、少し地面が揺れた。

まるで巨大な何かが地面を叩いたような振動…もしかして先輩が襲われたのか!?

全員がそう思って急いでその方向へと向かう。

 

少し移動すると折れている木とかが目立つ開けている所へ着く。

巨大な足跡と木が引っこ抜かれて投げ捨てられているのが痛々しい。

ザトゥージが言うには悪戯好きな凶暴なゴーレム3兄弟がいるらしい。

もしかして先輩は…!?

 

「お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」

 

倒れて重なったゴーレムの上で咆哮を上げていた。

えぇぇぇ!? そこは苦戦している場面だろぉぉぉ!?

いや、無事に越したことはないんだけどぉ!

てか何してんスか先輩アンタ!

あ、部長の頬と眉がピクピクしている。

先輩、すいません。

無力な俺には止められません!

 

 

 

I'm a Winner!!

ヾ(*´∀`*)ノキャッキャ

いやぁ、敗北を知りたい(キリッ)

(`・ω・´)

というのは冗談だけど本当に勝ってしまった。

 

まさか普段のスパーリングで会得していたことがこうも通用するとは思わなんだ。

そう考えるとミルたんや特売王は間違いなくこの森で頂点に立てるぞ?

特売王、ウンディーネが弟子入り志願するぞ! やったね!!

お礼に今度何か作って二人にあげよう。

 

因みにフィニッシュはそれぞれ違うぞ。

茶色には顔面パンチ、灰色には一本背負い、金色にはキン○バスターを入れて仕留めた。

こいつら耐久力とパワーはすごいけどスピードがイマイチだしデカいから楽だった。

鉄拳制裁? いえ、教育的指導です(ドヤァ)

さて、早く戻って合流しないとリアスに怒られ…。

 

「楽しそうね? 剛」

 

あ、オワタ\(^o^)/

覆面外してからのジャンピング土下座で許してくれるかな?

麗さんに3時間コース喰らった時に実践したけど効かなかったなぁ。

美人が怒るとめちゃくちゃ怖い(真理)

地面の上で正座していると痛い(涙目)

許してくださいorz

 

後なんかボコった3匹なんだけど、起き上がって仲間になりたそうにこっちを見ていた。

いやいや、俺人間だから使い魔とかいらないんだけど…。

それにこんなデカいのアパートに置いたらそれこそ特売王にブチ殺される。

え、小さくなれる? 何だ先に言えよ。

フィギィアサイズになった3匹をポケットに入れて持って帰ろう。

ザトゥージ曰く茶色はゴーレム、灰色はストーンマン、金色はゴールドマンらしい。

名前は…ゴムレス、ユーガ、ゴルドンでいいや。

喜んでいるみたいだしいいか。

 

こうして俺の初めての使い魔(?)をゲットだぜ!

どうしてこうなった!

あ、でもこいつら愛嬌があって可愛いからいいや(錯乱)

家事教えたらやってくれるかどうか試そう。

 

 




『宿主、やっぱり人間辞めてない?』
『石の仮面被った覚えはねぇ!』
『ゴーレム種を従わせるとか神器持っていてもあり得ないよ?』
『でもあいつら可愛いからな』
『僕の方がk』
『( ゚д゚)、ペッ』
『せめて最後まで言わせて!?』

閲覧ありがとうございました。
蛇足的な内容かもしれません。
次は簡単に剛のプロフィールとかを乗せてから2巻に突入します。

それでは、また。


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キャラ設定

※ここの作品にしか出ないキャラクターとクリーチャーのみしか紹介しません。


 

門星 剛(かどほし ごう)

 

本作の主人公、駒王学園3年生の17歳。身長205㎝ 体重120㎏と巨体。

昔、火事によって両親を亡くしてしまう。また自身も顔に大火傷を負い生死を彷徨ったが奇跡的に助かったがショックで声が出なくなった。

唸る事は出来るがそれ以外は発声が出来ないので普段からホワイトボードを持ち歩いて筆談する。

そして顔の火傷はアーシアの神器でも治らないので包帯を巻いている。

イメージとしては北斗の拳のジャギの素顔(顔が変形してしまう前)にるろ剣の志々雄真実みたいな火傷(顔のみ)をしているイメージです。

巨体と風貌で【学園のモンスター】という陰口も叩かれているが本人は気にしていない。

 

性格は喋れない分、中身は明るくてすごいうるさい。筆談でも同じテンション。

義理堅く、世話になった人たちには協力も惜しまない。

そして世話焼きな所もあり、後輩達の成長を嬉しく思っている。

しかし、本気で怒れば徹底的に相手を許さない。

ブチ切れたら何しでかすかわからない若者の代表なので逃げる事を勧める。

 

趣味は料理とスイーツ巡りと体を動かす事(主にミルたんとのスパーリング)。

 

最近は使い魔達の森で喧嘩売ってきたゴーレム達をボコったら仲間にしてほしいと迫ってきたので渋々飼っている。

現在は掃除と洗濯を教えて役に立てるかどうか様子を見ている。

 

神器【創られし生物は化物也(モンスター・オブ・クリーチャー)】を所持しており、覆面のクリーチャーに変身する。

神器の中の世界は血と錆に覆われた遊園地でその中にクリーチャー達が住んでいる。

剛は自分の意志でそこへ行くことが出来て、歩き回ったり戦ったりすることが出来るが怪我すると痛みもあるし血も出たりとリアル。

中にあるアイテム(ハーブや栄養ドリンクなど)を使うと回復が出来るらしいがそんなもんで治るかという理由で使わない。

現在は覆面が3種類+αが確認されている。

 

・タイラント…最初に変身したクリーチャー。パワーと耐久性が高く格闘戦向き。リミッター解除がある。本体は軍人みたいに気質なのか、剛には敬礼したり意思を汲み取って行動している。

 

・ミショナリー…刃が付いたトンファーが武器のクリーチャー。スピードとテクニックが高い。本体は真面目で剛には従順で、命令は必ず遂行する頑固者。

 

・処刑マジニ…巨大な斧を武器にして戦うクリーチャー。スピードも遅くノーガードだが、攻撃力は抜群でとどめに使われる。本体は少し子供みたいな性格で暴れたりなかったりすると怒るが剛に遊んでもらうと喜ぶ。

 

・ロビー君…神器の意思伝達を主に行う謎のマスコット。自分が可愛いと言うのは譲れない。ピザ屋のマスコットとは戦争中。剛と一番コミュニケーションを取れていて、一番剛を気に入っているがウザいと剛に唾を吐かれる。

 

・ナース…神器の中に住んでいる顔が無いナースで複数いる。剛が怪我をすると治療してくれる。無駄にナイスバディ。

 

・ピザ屋のマスコット…遊園地内にあるピザ屋の5体のマスコット達。ロビー君とは仲が悪く、特に兎のマスコットとは血塗れになるまで喧嘩する。

 

 

 

岐富 麗(きふ れい)

 

両親を亡くした剛の後見人として面倒を見ている銀髪の眼鏡をかけた女性。

定期的に剛に生活費を渡してくれてその時にご飯を作ってくれたり悪い事した剛を厳しく叱ってくれる。

なので剛は彼女には頭が上がらない。

特売王とは知り合いらしく、スーパーで互角以上の戦いをしているところを目撃されている。

 

 

 

特売王(とくばいおう)

 

近くの激安スーパー「セイキマツ」で特売品を狙って日々戦いを繰り広げている奥様方の頂点に立つ覇王的奥様。

普段から黒くて大きい馬に乗っている所を目撃されている。

女の戦場の中、男なのに頭角を現している剛を高く評価して本気を出し始めている。

因みに、剛の住んでいるアパートの管理人でもある。

病弱だけど医師の旦那さんと仮面を被っている厨二の長男と寡黙で眉毛が濃い次男の4人家族。

ぶっちゃけ見た目はラ○ウそのものである。

 



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第12話

いつの間にかお気に入りもUAも評価もスゴイ事になってる…。
本当に皆様には感謝の言葉しかありません。ありがとうございます!


 

 

最近、リアスの様子が少し変だ。

少し考えている素振りかと思ったら憂いな表情を浮かべている。

どうしたかと訊いてみても何でもないの一点張り。

…怪しい、実に怪しいぞ。少し情報を集めて見ますか。

壁|-`).。oO(調査、せずにはいられない!)

 

「で、私に相談ですか。姫島さんとかに相談出来たのでは?」

『悪魔でかつ次期当主という同じ立場である支取の方が何か知っているのではと睨んだのさ。

 ( -Д-)y─┛』

「学校でパイプ加えて何恰好を付けているんですか?」

『これはハッカパイプですぅー。お菓子だからセーフですぅー。

 ( ^3^)y─┛』

「お菓子は基本的に持ち込みは禁止です。匙、没収しなさい」

『なん…だと!?』

「門星先輩、ガキじゃないんですから…うわ、力強っ!?」

『匙の馬鹿ー! ヘタレー! スケベー!

 ウワァァ--。゚(゚´Д`゚)゚。--ン!!』

「それは兵藤でしょうが! いいから寄越せコラ!!」

 

放課後に生徒会へ突撃して調査してみたものの、匙にハッカパイプを没収されたorz

いや、調査=探偵=パイプだろ?

雰囲気作りに持ってきたのに失敗だったわ。

やっぱり悪魔の力には勝てなかったよ…神器使えば勝てたのに(負け惜しみ)

あ、呆れた顔した真羅がお茶を淹れてくれた。よし、機嫌直そう!

且⊂(゚∀゚*)ウマー

 

「もし、悪魔の事情があった所で人間の貴方には関係無い筈よ?」

『確かに関係ないな』

「それでも首を突っ込む心算ですか? 匙にも力で負けた貴方ではどうしようもないと思わないんですか」

『悪魔とか関係ない、友達として助けたいじゃダメか?』

「殺されますよ?」

『そこまで念押しするという事は悪魔の事情か、邪魔したな。

 真羅、美味いお茶ご馳走さん。匙、それ明日返せよ』

「あ、門星君!」

 

支取の反応と言葉で悪魔関係だとわかった俺は生徒会室を出る。

悪魔かー…貴族とか面倒な仕来たりとか多そうだからな。

想像するには地位や財産の相続問題か、政略結婚ってところが妥当かな。

確かに一般人…庶民の人間が口出しできる問題ではない。

難しいね(´・ω・`)

イッセー辺りが結婚式に凸ってリアス攫うとかやりそうだなw

俺? 俺は後を追う奴らを足止めする役だよ?

そんなドラマの主人公みたいなことは出来ないってwww

 

『どっちかというと宿主は政略結婚を企む側だよねw』

『謝るなら3秒以内だぞ(#^ω^)ビキビキ』

『ごめんなさいっ!』

 

馬鹿野郎、俺みたいな清い心を持つ俺がそんな事企むか。

え、アーシアの前で俺は清い心を持ってるって言えるのかって?

………ごめんなさい調子こいて自惚れました反省しますorz

聖女様には勝てなかったよ…。

(つД;)

 

 

 

さて、他の皆が悪魔の仕事へ言ったらリアスと話してみますかー。

遅くなっても家まで転移が出来るとか楽だなぁ。

素敵なキッチンでお菓子や料理(材料は自前)も出来て、

ゆったりしたソファで茶を淹れてほっこりして読書して、

旧校舎の外で筋トレして部室のシャワーを借りて家に帰るとか最高だよ。

使えるものは最大限使う…ビバ、オカルト研究部!

ヾ(*´∀`*)ノ キャッキャ

 

『ねぇねぇ宿主、もし部室が襲撃されたら?』

『あん? そんなの怒るに決まってるじゃん』

『中から火をつけられてたら?』

『火事で全て失った俺にそれ言うのか? 火をつけた奴に瞬獄殺待った無しだ』

 

部室に向かって歩いていると嫌な質問をするロビー君にイライラする。

しかし、何か悪魔の気配が強いような気がするな。

みんなの他に誰かいるんだろうな…そのくらいしかわからねぇや。

でも来客がいるから今日は部室に来るなとも言われてないしな。

そんな事考えてたらロビー君がとんでもない事を言ってた。

 

『だって…部室の中から火が上がってるよ?』

 

その一言に急いで旧校舎を見ると部室に火が見えた。

みんなぁぁぁぁぁ! 今助けるぞぉぉぉぉぉぉっ!!

廊下に置いてあった消火器を持って突撃と同時に照射ぁぁぁっ!!

ヒャッハー! 汚物(火事)は消毒(消火)だぁぁぁぁっ!!

(#゚∀゚)

 

 

 

「人間界は久しぶりだぁ…逢いに来たぜ、愛しのリアス」

 

俺達の目の前に炎と共に現れたのは赤いスーツを着た金髪のホストみたいな野郎だった。

誰だこいつは…そう呟くと銀髪のメイドさん、グレイフィアさんが教えてくれた。

ライザー・フェニックス…フェニックス家の三男で部長の婚約者だという。

こんないけ好かねぇ奴が部長の婚約者ぁ!?

 

ソファに座って部長の髪や腿を撫でる仕草はすげぇ腹が立つ…!

朱乃さんがいつもの口癖が無いくらい冷たい接しているくらいだしな。

すると部長が立ち上がって結婚はしないと言い切った!

だが、ライザーは部長の顎に手を添えて迫った…この野郎!

 

「俺もなぁ、リアス。フェニックス家の看板を背負っているんだよ。

 名前に泥を塗られる訳にはいかないんだっ!」

 

するとあの野郎、俺らを一瞬睨んでから部長に向けた言葉でこの場に緊張を走らせた。

殺意も籠っているような目つきは少し怯んでしまった…。

剛先輩がこの場にいなくて良かったかもしれない。

そう思えるくらいだった。

 

「俺は君の下僕を全部焼き尽くしてでも、君を冥界に連れ帰るさ」

 

その言葉を聞いた部長も目つきが鋭くなり、魔力が溢れてきた。

同時にライザーの魔力も溢れだした瞬間、殺し合いが始まりかねない空気に、

動けたのはグレイフィアさん、一人だけだった。

その場を止めようとするも突然扉の方から凄い音が聞こえた。

 

次の瞬間には視界が白くなって見えなくなった。

俺でも一瞬だけ見えたのは…。

血眼で消火器を放射しながら突撃した剛先輩だった。

えぇぇぇっ!? 何してんのあの人!?

 

 

 

あれ、火種がない? 消火出来たのか?

やったぜ!(達成感)

本当に火事は怖いからな…毎日が火災予防デーにするべきだ。

天ぷら揚げている時に火をかけたまま鍋から離れるとか狂気の沙汰じゃねぇぞ!?

絶対するなよっ!? m9(#゚Д゚ )

 

「げほっげほっ…何事だ!?」

「イッセー、窓開けて!」

 

何か知らない人がいる…どこのチャラいホストだ?

リアス…学校にホスト呼ぶとか何考えてんの?(;・ω・)

馬鹿なの? 貢ぐの? その金でシュークリーム買おうぜ(願望)

あれ、銀髪のメイドさんもいる…どこかで見たことがあるような?

 

「さっきのは貴様の仕業か!?…ん? 何故人間がここにいる?」

「彼は私達の協力者よ。手は出さないで頂戴」

『え、このチャラホストは悪魔なの?(´・ω・`)』

「誰がチャラホストだ!?」

「彼はライザー・フェニックス、元72柱のフェニックス家の者よ」

 

俺に気づいたチャラホストが吠えながら俺を睨む。

しかし身長は俺の方がデカいので特に怖くない。

ヤンキー高校の馬鹿どもの方が凄い顔してきたしな。

向こうから殴ろうとしてきたから病院送りにしてやったけど。

立派な正当防衛だから(震え声)

 

しかし、フェニックスね…確か悪魔の方はフェネクスと呼ばれていたみたいだが、

こいつらはフェニックスの名が正しいみたいだな。

あくまで不死鳥と区別付ける為の物らしいし。

そんなすごいネームがこのチャラホストとか…ねぇわ~。

(´・ω・`)

 

『お前、部室の中に火をつけるとか何考えてんの? 放火魔か? ここを全焼させる気か?

 (#゚Д゚)』

「火…? あぁ、あれは俺の転移魔法だから室内でも燃えねぇよ」

『そうか…こちとら火事で家と両親と顔と声を失っているから過敏になっててな。

 いきなり消火器ぶっ掛けたのは謝る。申し訳ない』

「そ、そうか…」

 

俺も人殺しそうな目つきをライザーに向けて詰め寄るも、

向こうは燃えはしないし燃やす気もないという。

…トラウマは嫌だねぇ。

すぐに過剰な反応してこういう行動を取っちまう。

(´-ω-`)

 

とりあえず一言だけ謝っておいて隅っこで静かにして居よう。

何かお話の空気を折っちまってすごい居辛い。

メイドさんもじっとこっち見てる…やっぱりあの人だよな?

いや、そうだとしてもここにいる理由が分からないし…。

 

「…旦那さま方もこうなる事は予想されておりました。

 お二人の意見が決裂された場合、最終手段を仰せつかっております」

「最終手段…どういうこと? グレイフィア」

「お嬢様がどうしてもご自身の意志を貫くと仰るのであれば、

 ライザーさまとレーティングゲームで決着をつけるようにと」

 

さっきの話と小猫が俺のボードで事情書いてくれたので事情は把握。

政略結婚説の予想は的中かぁ。

純血の悪魔って少ないらしいからそういう考えも必要なんだろうけど。

今のご時世、悪魔の出生率の低下も問題らしい…厄介だね。

(;・ω・)

 

そして今レーティングゲームって言ったな?

確か爵位を持った悪魔が下僕とチェスのように戦わせて競うものだったよな。

だから悪魔の駒もチェスに見立てている。

しかし、チャラホストこと、ライザーはそれに対して嘲笑うように言った。

 

「俺はゲームを何度も経験しているし、勝ち星も多い。

 それに対して君は経験がないどころか、公式な参加資格すら無い筈だが?」

『参加資格?(・ω・)』

「本来レーティングゲームに参加出来るのは成熟した悪魔だけですわ」

「そしたら滅茶苦茶不利じゃねぇか!?」

「…それだけじゃないです」

 

小猫の言う通り、不利なのはゲームの経験だけじゃない。

チェスに見立てて競技をするのなら、必ず必要になるのは駒の数。

言うなれば下僕の数だ。

イッセーや匙のように多数を使用するのは珍しい例と考えなければ、こいつは…。

 

「リアス、念の為確認しておきたいんだが君の下僕はこの面子で全てなのか?」

「だとしたらどうなの?」

 

するとライザーは笑いながら指パッチンすると魔法陣が展開された瞬間、火が上がった。

燃えないと頭で理解しているが体が反応して消火器を掛けようとする。

咄嗟に小猫が俺の腕を抑えてくれたので掛ける事はなかった。

ごめんよぅ(´;ω;`)

 

魔法陣から転移してきたのは15人の女性達…こいつらがライザーの駒か。

やはり揃えてきている…人数上の不利も当然出てくる訳だ。

こちらはリアスを入れても6人(俺は悪魔ではないので除外)…半数以下だ。

さて、どうしたものか…って何でイッセー泣いてんの!?

(;´゚д゚`)エエー

 

「お、おいリアス…この下僕君、俺を見て号泣しているんだが…」

「その子の夢がハーレムなのよ」

 

ほら、ライザーも呆れてる…すいませんねぇ、うちの子が。

あ、向こう側もドン引きしている…ごめんなさいねぇ。

ほら、金髪ドリルの子もキモいとか言ってあげないで…。

あとでちゃんと教育(説教)しておきますので。

ヽ(д`ヽ)。。オロオロ。。(ノ´д)ノ

 

「なるほどね…ユーベルーナ」

「はい、ライザー様」

 

とりあえずイッセーの頭を引っ叩いて黙らせるとライザーが一人の名を呼ぶ。

すると女性がライザーの許へ近づくといきなりキスを始めた。

それも深いの。すげぇ情熱的に。

…うん。

 

 

馬 鹿 な の っ !?

 

工エエェェ(´゚д゚`)ェェエエ工

 

 

 

いや、ごめん。馬鹿だわ。うん、馬鹿。

テメェの下僕だからキスしようが何しようが構わないけど場所を考えろや!

後輩と聖女がいるんだからよぉぉぉっ!?

とりあえずアーシアと小猫は見ちゃいけませんよー。

両手で2人に目隠ししておいて安心。

 

「お前じゃ一生こんな事出来ないだろ? 下級悪魔君?」

「うっせぇ! どうせ部長と結婚しても他の女とイチャイチャしてんだろ! この種まき焼き鳥野郎っ!」

 

やべぇ、馬鹿が二人いる…もうこいつら殴って黙らせた方がいいのかと思ってしまう。

でも下手な行動したらあのメイドさんにすげぇ怒られそうな予感がする。

何でだろ、すげぇ冷や汗がする…行動起こしていないのにこっち見てるもん…。

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

そしてイッセー上手い事言ったなwフェニックスだから焼き鳥www

これは座布団あげざるを得ない!

10枚貯めたらフルコース料理作ってやろう…ってアイツ熱くなりすぎてないか?

神器…赤龍帝の篭手まで出しやがった…ここを戦場にするつもりか!?

 

「レーティングゲームなんて必要ねぇ! ここで全員ぶっ倒してやるっ!」

「ミラ」

 

イッセーが飛び出すと同時にミラと呼ばれた木製の棍を持った少女が飛び出してきた。

馬鹿、少女だからって油断するな!

俺は咄嗟に持っていた消火器を投げる。

すると消火器に気づいたミラは棍で消火器を弾き飛ばしてから鋭い突きを放つ。

その瞬間に俺はイッセーを突き飛ばして退かした瞬間に腹にその突きが刺さる。

突かれる寸前、棍を両手で受け止めたにも関わらず勢いは止まらずに天井へ投げ飛ばされる。

天井へ叩き付けられた瞬間、意識を失った…。

 

 

 

 

 

 

「剛! 剛!!」

「先輩、しっかりしてくれ!」

「アーシアちゃん、すぐに剛君に回復を!」

「は、はい!」

「剛先輩…目を開けてっ!」

「小猫さん、揺らしちゃ駄目だ!」

 

剛先輩が俺を庇って攻撃を受けた…俺も悪魔で神器を持っているというのに!

あの少女に油断して動きも何も見えなかった。

俺が弱いから先輩が…ちくしょうっ!

すると焼き鳥野郎のムカつく声が響く。

 

「ふん、あの赤龍帝の篭手の持ち主がこんな人間に庇われるとは、実に下らんな!?

 そこのミイラも馬鹿だな、弱い人間の癖に悪魔を庇うとは笑えてくる!」

「…テメェッ!!」

「やめなさい、イッセー!

 わかったわ、レーティングゲームで決着をつけましょう」

 

先輩の事を馬鹿にされた事で頭に血が上った俺はあいつをぶん殴ってやろうとすると、

部長は怒った口調で俺を止めるとレーティングゲームを受けた。

不利だとわかっていても、俺だけじゃなくて剛先輩を馬鹿にしたアイツをブッ飛ばしてやる…!

あんな焼き鳥に部長は渡さないし、先輩の事も謝ってもらう!

 

「承知いたしました」

「ライザー…必ずあなたを消し飛ばしてあげる!」

「楽しみにしているよ、愛しのリアス。次はゲームで会おう!」

 

 

 

 

 

 

『宿主! 宿主! 起きてよぉ!』

 

やけに喧しい声と揺さぶられる感覚に目を覚ますといつもの遊園地…じゃないな。

病室…ナース達がいる病院か。

何故か遊園地の中に病院があるんだよな。

錆はないけど血痕だらけで汚い…掃除しろよ。

そしてベッドの周りでお前ら囲むな、怖い。

 

『うるせぇ(;゚Д゚)』

『良かった! 生きてた!!』

『あのくらいで死んでたまるか』

 

うるさいのでゆっくり起き上がるとロビー君達が喜んでいる。

全く、イッセーを庇って受け止めるつもりが失敗したとは…人間じゃ無理か。

覆面被る時間もなかったとはいえ無茶は駄目だな。

そういえば怪我はないな。

あれだけの衝撃だから体に穴が開いたかと思ったが…精神世界には関係ないのか。

 

『心配かけて悪かったな。さて、そろそろ起きないと』

『宿主! 死んだら駄目だよ!』

『わかってる。俺だって死にたくないんだ』

 

俺が生身で悪魔に喧嘩を売るには脆弱過ぎたってのはよくわかった。

次からは過信せずに神器に頼らないとな。

目標は覆面を即座に付けられるようにする事だ。

さて、起きますか…あれ何か聞き覚えのある声が聞こえる?

あ、そしてすげぇ嫌な予感がする(戦慄)

 

 

 

 

 

「すいません、先輩…俺のせいでっ!」

「心配はいりません。彼は生きています」

「どういう事、グレイフィア?」

「少々御待ち下さい…」

 

俺は涙を流して先輩に謝るとグレイフィアさんがそう言って先輩に近づく。

アーシアのおかげで傷はないのに目を覚まさないのは深刻な状態だと思うけど。

何か蘇生の術でも知っているのか?

でも部長も知らなそうだし…一体何を?

グレイフィアさんがそっと先輩の耳元で囁いた。

 

 

「剛君、そろそろ起きないと

 

 

 

 

 怒 り ま す よ ? 」

 

『はい麗さん、只今起きましたぁぁぁぁぁっ!!

 オハヨウゴザイマス━━━(゚Д゚|||)━━━!!』

 

「「「「「「………えっ?」」」」」」

 

俺が目にしたのは顔面真っ青で飛び上がるように起きた剛先輩だった。

麗さんって誰?

もしかして先輩とグレイフィアさんって知り合い?

えぇぇぇぇぇぇぇっ!?




『という訳でフェニックス達をどうしたい?』
『…(リミッター解除+滅殺)』
『…(四肢を切り落として嬲り殺し)』
『…(くびきりしょけい)』
『じゃあ蹂躙するで満場一致だね!』
『怖い会議だな!?Σ(゚Д゚;)』


閲覧ありがとうございました!
ようやく2巻に突入しました。
さて、今回は誰が蹂躙されるのでしょうか←
そこも楽しみにしてもらえればと思います。
次回も早めに更新できるように頑張ります!

それでは、また。


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第13話

「何で人間の貴方が悪魔の攻撃を防ごうなんて無茶をしたの?」

『後輩を守るのが先輩の役目かと…』

「それは昔、あなたが不良学生達と喧嘩した時にも聞いたわよ?

 あの頃から無茶をするのは変わらないのね」

『はい、返す言葉もございません…』

「それに神器も使わないなんて考えが短絡過ぎると思わないのかしら?」

『脳筋ですいません…』

「私ではなく、心配してくれたお嬢様達に謝るべきでは?」

『皆さん、ご心配おかけして申し訳ありませんでした』

 

剛先輩が起き上がって早々グレイフィアさんの説教を受けていた…床の上を正座で。

先程までのメイドではなく、まるで俺を叱っている時の母さんみたいな感じだ。

俺達に先輩は両親が亡くなって後見人がいるとは聞いていた。

確か名前は…岐富 麗だったよな?

きふ れい…グレイフィア・ルキフグス…という事は!?

 

『麗さん…もう勘弁してください( ;Д;)』

「…反省しているようだから今日は此処までにしてあげるわ」

『ありがとうございます…っ!』

「あと30分正座したらね」

『いやぁぁぁぁぁっ!?。゚(゚´Д`゚)゚。』

 

涙流している…あぁ、デカいから正座が辛いんだな先輩。

足が痺れているのを必死に耐えているのにあと30分…ご愁傷様です。

お詫びに俺の知っている美味しいお菓子を買ってあげよう…。

そんな先輩を尻目に部長とクレイフィアさんが話を続けた。

 

「グレイフィア、貴女と剛の関係って…?」

「それはまた後日お話し致します。お嬢様、ライザー様とのレーティングゲームは10日後になります」

「10日後?」

「お嬢様とライザー様の経験、戦力差を鑑みて、そのくらいのハンデはあるべきかと」

「悔しいけど、認めざるを得ないわね。その為の修行期間としてありがたく使わせてもらうわ」

 

10日間…今の俺じゃあライザーの下僕にも勝てない。

しっかり強くなって焼き鳥野郎を見返してやるし、部長も渡さない!

先輩、見てて下さい! 俺、頑張って強くなりますから!…うわ、ほぼ白目になって耐えている。

小猫ちゃん、拗ねて先輩の足裏を突っついちゃダメぇぇぇ!

朱乃さんも楽しそうに見てないで止めてあげてくださいぃぃぃ!

 

 

 

や、やっと…立てるようになったぉ。

麗さん、いやグレイフィアさん(こっちで呼ぶように言われた)の説教マジでキツい…。

正座している間に大体の話は聞いてる…明日から10日間修行だろ?

俺は人間だからゲームには出る事は出来ないけど、サポートぐらいはしないと。

なので修行にはついていくつもりだ…俺も鍛えたいし。

因みに小猫が「先輩、来ますよね?」って足裏突っついて来るし、

朱乃も「もちろん一緒に来てくれますわ」と俺の意志関係なく承諾してたし。

帰って着替えとか準備しないと…動け俺の足ぃぃぃっ!

・゚・(つД`)・゚・ ウェ―ン

 

 

 

 

 

 

本日は晴天、山を登るには良い日だなぁ!

景色がすげぇ良いし、空気美味いし、最高かよ。

スパーリングと筋トレとかで体を動かしてはいるけどこういう山登りは良い!

なぁ、そうだろイッセー…あれ?

 

「ぜぇっぜぇっ…!」

『なんでそんなに息上がってんの?(;・Д・)』

「いや、何で先輩は平気なんですか…人間ですよね!?」

『日々の鍛錬の成果だが?(´・ω・)』

 

全く失礼だな、山登りのプロはこんくらいの山は余裕で行けるぞ?

まぁ、俺よりもデカい荷物を背負っているし早朝から登っているんだから仕方ないな。

俺がリアスに頼み込んで別ルートで行くようにしておいたから俺ら以外は誰もいない。

だって強くなりたいって言ってくれたんだ。

それなら先輩として後輩を鍛えてやらないとだな。

 

『ほらほら、もう少しでリアス達と合流出来るから頑張れ』

「はい…っ!」

『水が欲しかったら俺に言え、スポーツ飲料とかもある』

 

無論、一方的な扱きは心を折ってしまうからフォローもしっかりする。

俺も早朝から山登りで疲れるけど体力もあるし山登りは初めてじゃない。

夏休みとか鍛錬目的で富士山とか登ったこともあるから、このくらいの山は楽しんで登れる。

声が出ないから山彦が体験出来なかったのはちょっと悔しかった。

(´・ω・`)

 

そんなこんなで休まずにリアス達と合流できた。

みんな私服かぁ、ジャージ組の俺達が田舎者だわw

佑斗はイッセーと同じくらいの荷物を背負っているけど流石に息を切らしていない。

小猫は…その荷物、何㎏あるんですかねぇ?

俺の身長も超えているんですけど…。

Σ(゚Д゚;)

 

ん? どうした小猫?

私服姿はどうですかって、似合うに決まってるじゃないか。

何か機嫌良くなっているけど…どうした?

朱乃も腕に抱きつきながら訊いてくるのやめてー。

似合っているし、当たっているんですけどぉ。

 

『…当たっているんだけど?』

「当てていますわ♪」

『Σ(゚∀゚;)』

 

顔が一瞬で真っ赤になった俺はイッセーを連れて残り道をダッシュした。

だから美人にそうやられたら嬉しいし恥ずかしいに決まってんだろぉぉぉっ!?

俺だって健全な男子高校生、イッセー程じゃないが興味もあるし憧れる。

けど、こんな風貌じゃ一生縁が無いと思っているから耐性が無いんだよ!

イッセー、ペース遅くしたらケツキックだからなぁぁぁ!(横暴)

 

 

 

先にリアスの別荘に着いた時にはイッセーは死んでいた…誰がこんな事をしたんだ!?

あ、俺ですサーセンw

とりあえずぶっ倒れてるイッセーを木陰に運んでスポーツ飲料渡して飲ませた。

熱中症対策にはスポーツ飲料で水分と塩分の補給が一番だ。

 

最後のは置いといて、イッセーをここまで扱くにも訳がある。

ブーステッド・ギアは確かに強力だ。

連続倍加すればタイラントの耐久も、ミショナリーのスピードも、処刑マジニの攻撃も凌駕する。

けれど、そこまでパワーアップするには本人の力をつけないといけない。

1が倍加したところで2にしかならない。

これはリアスにも言われており、この合宿で強くさせる。

お、回復した。こいつの根性は素晴らしい、絶対に強くなると俺は思っている。

 

全員別荘に到着してすぐに修行開始する。

10日間の少ない期間だ、悠長にしている時間はない。

みんなが着替えている間は俺とイッセーは呼吸を整えて体力を回復させる。

あとは体操とストレッチをして動けるようにしておく。

イッセー、体が硬いぞ? もっと押してやろう(ゲス顔)

 

それぞれ修行を行っていく。

イッセーが佑斗と木刀で剣術の特訓している間、俺は小猫と模擬戦を行う。

覆面はどれ使ってもいいとの事だから、小猫相手にはタイラントを使おう。

俺が変身をするとリアス達といるアーシアがビックリしていた。

あ、モンスター・オブ・クリーチャー見るのは初めてだったな。

 

「剛さん…ですよね?」

「そうです、剛先輩は覆面被ると変身します。しかも変身出来るのは3種類あります」

「す、すごいですぅ…」

『説明しようと思ったのに…(´・ω・`)』

「先輩、行きますよ?」

「お゛お゛っ!」

 

俺が唸って拳を構えるといきなり小猫が俺の懐に入って横っ腹を殴ろうとした。

初手から肝臓打ちとか怖いな!

右腕でガードしながら左の拳で速さ重視の一撃を打ち込む。

するとさらにしゃがみ込んで避けると俺の腹に蹴りを入れる。

しかもご丁寧に鳩尾を蹴るとは容赦がない!

痛いけど動けるのはタイラントの耐久性のおかげだ。

 

喧嘩スタイルは駄目だ、ならこれはどうかな?

ステップを踏みながら動いて小猫の狙いをずらしていく。

こちとらスーパーで特売を狙って戦っている身だ。

色々と戦法は変えられる!

さて、全力で相手するぜ…小猫っ!!

 

 

 

 

 

 

剛先輩が強いのは知ってはいた。

教会の地下でも悪魔祓い達を相手に苦戦する事もなかったし、堕天使も倒している。

こうして戦ってみても色んな格闘技を知っているかのように戦法が変わる。

それだけで私は思い知らされる…上には上がいる事を。

先輩はダメージを受けているようだけど、動きのキレが良くなっている。

ガードしても腕ごと粉砕しそうな打撃はいつもの優しい先輩とは想像が出来ないほど鋭い。

一度捕まれば蹂躙され兼ねない気迫もある…!

その重圧感でとてつもない疲労感が私を襲っている。

 

「お゛お゛お゛っ!!」

「えいっ!」

 

先輩の強力な打ちおろしの右ストレート…まともに受けたら倒される!

咄嗟に思いついたのはカウンター、正中線に叩き込んでも効かない先輩にはこれしかない。

ギリギリで先輩の攻撃を避けて顎に全力のアッパーを叩き込む。

これで倒れなかったら…あ、倒れた。

しかも良くやったと言わんばかりにサムズアップしながら倒れている。

自分の方がダメージ大きいと言うのに。

本当に…優しい人。

 

 

 

 

 

 

強いわー。

小猫、めっちゃ強いわー。

こうも身長差があるとすげぇやりにくいしカウンターも上手いとか…。

間違いなくスーパーで活躍できるわ、あの子。

今度欲しい特売品の時は誘おうかな~。

 

「大丈夫ですか、先輩」

『おぅ、生きてる(;・ω・)b』

「回復しますぅ」

『ん、ありがとう』

 

小猫が俺の許へ来るとタイラントの覆面を外しながら尋ねた。

力があるから俺の覆面取れるのね…覆面は力入れないと取れないようになっているのだ。

中身は人間だから簡単に外れたら困る。

そう思ってロビー君には言ってある。

アーシアもすぐに駆け寄って回復してくれる…打ち身だらけの体が治っていく。

けれど火傷痕はやっぱり治らないのは不思議だな。

まぁ、贅沢は言えないから仕方ない。

…おっ?

 

「少し、休んでください。先輩との戦いは実戦みたいで色々学べます」

『それはいいけど、汗だらけだから汚いぞ?』

「大丈夫です」

 

小猫が俺の頭を持ち上げると自らの膝に置いた。

まさかの膝枕である。

たまに部室のソファで俺の膝で眠っている時はあるけどな。

学校の連中に自慢したら殺されるな、俺。

リアス、ニヤニヤしながらこっち見んな。

俺だって恥ずかしいし下手に断ったら小猫が拗ねるだろ。

 

『次はどうすればいい?』

「そのまま佑斗と模擬戦してもらっていいかしら? 体力は平気?」

『5分で呼吸整える』

「そう、無理はしないでね」

 

 

 

呼吸を整えた俺は小猫の頭を軽く撫でてから佑斗と模擬戦をする。

小猫は少し顔を赤くしている…恥ずかしいのなら膝枕しなければいいのに。

え、違う?

あっそうですか(´・ω・`)

 

騎士の佑斗はこいつしかないだろ。

ミショナリー…スピードとテクニックで対抗するしかない。

俺だけ刃物使うのも気が引けるので佑斗にも神器を使ってもらう。

斬り合う訳にもいかないので得物が手から離れたらそれまでと条件をつける。

 

「先輩、胸を借ります!」

『よく言うぜ…まぁ、がっかりされない様に頑張るわ』

「行きます!」

 

そう言った瞬間に佑斗の姿は消えた。

いや、右だな!

右のトンファーで防ぎながら左のトンファーを振るうも空を斬ってしまう。

速さがとんでもないな…ミショナリーの目で追えない訳でもない!

しばらくはそっちの土俵でやらせてもらう!!

 

 

 

 

 

 

門星 剛先輩…僕の先輩であり覆面で変身して戦う人間。

最初にその姿を見た時は一時期、噂をされた「学園のモンスター」の名がついてもおかしくない風貌だった。

けれど交流してみてわかったのは、見た目で人を判断してはならないって事だ。

喋れないけど明るく振る舞っているし、コミュニケーションを好む。

本を読むことを知ってから話題を持ってきてくれるし本を借りたりする。

そして悲惨な過去を受け入れている事から強い人だとわかった…。

そんな先輩が戦ってくれるなら僕も本気出さなければ失礼だ!

 

「グルルルッ!!」

「この速さでも見えている!?」

 

スピードを上げても、先輩は寸前で気づいて刃が付いたトンファーで器用に斬撃を捌く。

カウンターも鋭くて速い、確実に剣の持ち手を狙っている。

鉄壁のような守りの隙を突かなければ…!

一瞬でもスピードを緩めてしまった瞬間、先輩のトンファーの連撃が襲い掛かる!

 

「しまった!?」

「フシュルルルッ!」

 

けれど見えたのは…攻撃に移る際の僅かな隙。

僕はトンファーと刃の繋ぎ目に一閃を繰り出して跳ね上げる。

すると先輩のトンファーが腕から離れて真上へ飛ばされる。

さらに出来た隙でもう片方のトンファーも剣で叩き落してから先輩の首に剣を突きつけた!

先輩は両手を上げて降参のポーズをした。

 

 

 

 

 

 

佑斗も強いじゃねぇか!

何が胸を借りますだよイケメンめぇぇぇっ!(逆切れ)

あの連撃する瞬間にトンファーを飛ばされるとか予想できねぇし!?

ごめんよ、ミショナリー…。

。・゚・(ノД`)・゚・。

 

「大丈夫ですか、先輩?」

『本当に強いな…あんなところを狙うとか』

「たまたまですよ、こっちも負ける所でした」

『本当によく言うぜ…もう一本やるぞ!』

「えぇ、よろしくお願いします」

 

まだ疲れていないからやったるぜぇぇぇ!

小猫ともまだまだ修行付き合うし、処刑マジニも出してやるぜぇぇぇ!

このあと滅茶苦茶模擬戦をした。

最後の最後で二人に勝った俺はガッツポーズしながら倒れてそのまま運ばれた…。

 

 

 

『何で夕飯、じゃが芋尽くしなの? ここドイツなの?

 (´・ω・`)』

「すいません、魔法での調理で皮むきやりすぎました」

『ばかやろう(´゚ω゚`)』

 

明日から食事関係は全部俺がやろう。

幸いキッチンも立派だし材料もいっぱいある。

とりあえず、この大量のじゃが芋料理を消費しないと…。

ポテサラとポタージュうめぇ…。

つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚




『2人とも負けてごめん…』
『…(フルフル)』
『…(フルフル)』
『気にしなくていいって。寧ろ力不足で申し訳ないって』
『優しいなお前ら(´;ω;`)ブワッ』
『ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!(プンプン)』
『お前は明日使うからな(´;ω;`)ブワッ』

閲覧ありがとうございました。

お気づきの方は多いと思いますが、剛の後見人はグレイフィアでした。
何故彼女が後見人になったかは後々のストーリーで出す予定ですのでお待ちください。
そして、今回は剛は負けが多いのは、力があっても人外との戦いの経験が足りないので負けてしまいます。

特売王?
ミルたん?
人間です、誰が何と言おうと人間です←

それでは、また。


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第14話

 

「ぐぬぬぬ…」

『…あいつ、何やってんの?(;-ω-)』

「さぁ、透視能力でも身に付けたいのでしょうか?」

 

じゃがいも祭りした後は風呂入って一日の疲れを癒す筈だったが、

馬鹿1名が女湯の仕切りの壁に引っ付いて唸っていた。

これだけで通報できるくらい怪しいし、執念を感じる。

と言うのも、飯の最中の事だった。

 

リアスが風呂に入ろうとする際、過剰に反応したイッセーに覗きたいのかと言った。

俺はどうせまたからかう心算だろうと思ってポテサラを食べていた。

すると一緒に入るかという話に発展…あまりからかったら可哀そうだろ?

朱乃は「殿方の背中を流してみたいですわ~」とノリノリだ。

ん?…今、こっちを見たのは気のせいかな?

アーシアも話を振られて顔を真っ赤にしている…聖女様もからかったらアカンで。

これで小猫もOKだったらイッセー夢の混浴だろうけど、

案の定「嫌です」と言われて撃沈w

さらにはジト目と「覗いたら恨みます」の追撃コンボwww

プギャ━━━━━━m9(^Д^)━━━━━━!!!!!!

…小猫もこっちを見ているのは気のせいだ。

あー、明日のポテサラの応用レシピ考えないとなー(棒読み)

拗ねてもダメ(´・ω・`)

 

という事があった。

全く、エロ根性も盛んとは恐れ入るぜ…。

欲望に正直なのが悪魔らしい生き方かもしれないけどな。

でもここは先輩として注意しておくか。

 

「ふんぬー!」

『うるせぇ! (#゚Д゚)ゴルァ!!』

「ぎゃっ!?」

 

風呂で騒ぐな。

とりあえず拳骨で頭をぶっ叩いて風呂に沈めておいた。

こんな広くて良い風呂を楽しめないのは風流じゃない。

心の洗濯だぜ、風呂は。

顔の火傷痕が少し沁みるが、これはもう慣れるしかない。

 

 

 

夜、やけに豪華なベッドで眠るも俺はいつも通りあの世界へ行く。

神器の使い方も研鑽しておかないといけないし、種類も増やさなければ。

遊園地へ辿りつくとロビー君とタイラントが俺を待っていた。

俺の考えを既に読んでいたんだろう。

 

『あ、宿主! そろそろ宿主もステップアップを目指そう!』

『それは俺も考えていた。タイラントもそうだろ?』

『…(コクッ)』

『じゃあ新たに遊ぶ面子を用意しておくね! あのチキン共をぶっ殺せるように!』

 

ロビー君は上機嫌に物騒な事を言いながら人影を呼んできた。

…またデカい奴を呼んできたな。

やっぱりちゃんと挨拶するんだ…こちらこそどうも。

そして奥にはナース達も応急セット用意して待機してた。

相変わらずのセクシースタイル、顔はないけど。

 

『よし、来い。タイラント』

『…(ビシッ)』

 

俺が呼ぶとタイラントは敬礼して覆面となって俺の顔に貼り付く。

変身した俺は拳を固めて人影たちを見据えて向かっていく。

こいつらの力も欲しいけど、まずは俺がやるべきなのは…。

タイラントのリミッターを解除させてあげる事だ。

こいつの本気を俺は知らない。

 

 

 

 

 

 

「おはようございます、先輩!」

『おぅ、おはよう…早速始めるぞ?』

 

剛先輩との特訓プログラムは早朝から始まる。

他の皆が起きる前に俺はこっそり起きて外で先輩と筋トレを行った。

朝が弱いのは少しずつ慣れてきたがまだ怠い…けど泣き言は言っていられない。

本気で強くしてくれると先輩は言ってくれたのなら応えられないのは男が廃る!

…というより反語したら変身した先輩にぶっ殺されるだろう(震え声)

 

筋トレが終わると先輩が持ってきたグローブとミットでひたすら殴る練習。

ブーステッド・ギアが武器なら拳の打ち方を知らないのはおかしいとの事。

小猫ちゃんが教えてくれた正中線に向けて抉りこむように打つ。

時折、ミットでのカウンターが来て避けれずに喰らう。

生身での先輩の攻撃も避けられないならまだまだという事。

焼き鳥野郎の兵士にすら負けてしまう。

悔しい思いを拳に入れて打ち込む!

 

その後は生身の先輩とスパーリングを徹底的に行った。

互いにヘッドギアとグローブを着けてやるも先輩は一切容赦しない。

体格を活かしたインファイトで殴りこんできたと思えば、いきなり足を使ってヒットアンドアウェイをしたり、

キックボクシングのように蹴りを放ったりと色々戦法を変えて俺を完膚なきまで叩きのめした。

アーシアの回復が無かったら全身がボロボロになっていたと思う…。

目を覚ましたら正座した先輩と涙目で説教していたアーシアの姿が見えた。

 

 

 

 

 

 

やぁ、おはよう( -ω-)ノ

ただいま朝の5時、イッセーのガチンコ強化プログラムの時間です。

これはリアスの特訓とは別に俺がイッセーを鍛えるもの。

前日の早朝山登りと一緒で強制ではない。

こいつが望んでやっている事だ。

風呂場のエロ顔が打って変わって真面目な顔でやっている。

本当に面白い奴だな。

 

因みにメニューは筋トレ、ミット打ち、スパーリングのシンプルな内容だ。

ブーステッド・ギアで戦うなら拳で殴る練習はしておいて損はない。

格闘の術は小猫が教えているみたいだが、俺のは格闘とは別だ。

こいつには「どのように相手をぶん殴ればいいか」を叩き込む。

 

小猫のように冷静にカウンターを叩き込めるタイプじゃない。

俺みたいに状況に応じて戦法を変えられるタイプでもない。

どちらかというと一気に相手を畳み掛けるタイプだろう。

分かりやすく言えばミドルレンジで一撃必殺のパンチをガツンガツンと放つ感じか。

 

10日間でどこまで出来るかはわからないがやるだけやってやる。

後悔を残さずにやり尽くした方が良い経験になるだろう。

…あ、やりすぎた。急いでアーシアを呼ばないと。

その後「や、やりすぎですぅ!」と涙目で怒られた事に関しては真摯に受け止めます。

(;´Д`)スンマセン…

 

因みに、朝食はポテサラをアレンジしてオムレツを作った。

味も見た目もは好評!

さすが、俺!!( ̄ー+ ̄)キラーン

昼はカレー風味のポテサラサンドを作っておこう。

 

 

 

今日はリアスは悪魔の現状について話してくれた。

俺は支取から話は聞いていたから知っているけど改めて事情は把握。

寿命が長い代わりに出生率が低い…そりゃあ両家はリアスとライザーを政略結婚させたい訳だな。

けど、俺は反対する…大学卒業までという約束を違えて結婚させようって考えは少し腹立つ。

子供は親の道具じゃない。家繁栄の為の道具でもない。

しかも俺人間だから知った事じゃないしー(棒読み)

 

とりあえず堕天使と天使の陣営の事は俺も覚えておこう。

堕天使はアザゼル率いる神の子を見張る者(グリゴリ)と、

天使は神を筆頭にミカエル率いる熾天使(セラフ)か。

メモしておこう。

c⌒っ゚д゚)っφ メモメモ...

 

んで、アーシアがエクソシストの持ち物として聖水と聖書を紹介してくれた。

ぶっちゃけ聖水は悪魔であるアーシア自身にも危険すぎるから俺が持っておくことにした。

作り方もあとで教えてもらえるみたいだし、覚えて損はない。

聖書は…アーシアがどうしても持ち歩きたいらしいから預からないけど読んだらダメージ喰らうよ?

ほら、言わんこっちゃない…。

(´・ω・`)

 

 

 

そんなこんなでこの合宿も9日目が終わろうとしていた。

この自然の良い夜景を楽しむのも最後だと思うと寂しいな。

まぁ、俺自身も戦いの経験を積めた。もう少しでスキルアップも出来る。

イッセーに関してはブーステッド・ギアを発動させずに修行させていたから実感が湧いていないだろう。

こいつの場合は10日目の最後の仕上げだ。

しかし、拳の打ち方や避け方は最初と大違いなのは断言しておく。

みんなイッセーより強いのは年季が違うからだ。

自信無くしてなければいいがな…。

 

さて…そろそろ向こう(遊園地)で修行するか。

俺は立ち上がって屋敷に戻ろうとすると離れに誰かいる。

リアスとイッセー…?

こんな時間に何やって…ここで邪魔する無粋じゃねぇぜ俺は。

気づかれないように俺はそっと屋敷に戻った。

すると目の前には浴衣姿の朱乃がいた。

 

「あら、剛君」

『朱乃、どうした。眠れないのか?』

「いえ、部長がどこに行ったのか気になっていましたので」

『俺みたいに外の空気でも吸っているんじゃないのか?』

「…そういう事でしたのね。少しお話してもよろしくて?」

『ん、構わんよ』

 

俺は朱乃の誘われるがままにダイニングルームへ行く。

お茶を煎れようとしたら朱乃がやってくれた…紅茶うめぇw

夜だから菓子は出ないけど紅茶だけで楽しむのも乙だ。

すると隣に座っている朱乃が話し始めた。

 

「リアスはグレモリー家の次期当主…これは覚えてますわね?」

『あぁ、名家だからこそ名前だけが独り歩きして個人が見られないって事だろ?』

「そうですわ、リアスがライザー様との婚約を嫌がる理由はそこにあります」

『貴族社会は面倒だよなぁ。まぁ、あいつには良い所があるから大丈夫だろ』

「良い所?」

『懐刀として、親友として王を支える女王もいれば、

 エースとして活躍する騎士、寡黙だけど仲間想いな戦車、妹のように可愛がられる僧侶、

 そしてエロくて無鉄砲だけど本気で王の為に突っ走る兵士と優秀な下僕がいるんだからよ』

「あらあら、恩返しの為に人間を辞めようとした優しい殿方もおりますわ」

『…あの時の台詞は忘れてくれ』

 

全く…こいつも俺が困っている姿を見て楽しいんだろうか。

俺が少し呆れた顔して紅茶を啜る…うめぇ。

しかし、朱乃が俺にそんな話をするなんざ珍しい。

カップを置いて朱乃の目をまっすぐ見て言った。

 

『ライザー戦、不安か?』

「…剛君がみんなのサポートをしてくれたおかげで修行はとても捗りましたわ。

 でも相手はフェニックス、特性はご存じだと思いますが…」

『不死身、だろ? 死なない敵が相手とはどうすればわからねぇな』

「それもレーティングゲームも勝ち星も多いですわ。負け星も懇意にしてもらっている家にわざと負けているだけですわ」

『実質負けなしか…だからどうした?』

「え?」

『本当に死なないなら何故、戦争でフェニックス家も衰退した?』

「!?」

 

これはふと思った疑問だ。

本当に死なない存在なら大戦も関係なく栄え続けて悪魔の世界を支配できているはずだ。

恐らく再生をも上回るデカい一撃か、精神的に潰せば死ぬんじゃないかと考える。

朱乃もリアスも不死身=無敵と考えているから負ける気でいる。

考え方を変えれば少しは違うだろう。

 

『今回のレーティングゲームのキーマンは…言わなくてもわかるだろ?』

「イッセー君の…赤龍帝の力ですわね!」

『これで少しは希望が見えただろ? 明日、あいつがどのくらい成長したかをお披露目だ』

「本当に、剛君がいて助かりましたわ…」

『俺で良ければ協力しようって言っただろ? 俺は』

「うふふ、忘れたかったんじゃなかったんですの?」

『忘れてぇけど約束を忘れる程、無粋な野郎じゃねぇよ。

 ほら、片付けはやっておくからもう寝な。寝不足は体に良くねぇぞ』

「殿方が添い寝してくれたらよく眠れそうですわ♪」

 

全くそういう事を野郎の前に言うなっての。

顔赤くしたのを誤魔化すように俺は急いでティーセットを片付けに行った。

こいつみたいな美人に言われると緊張しすぎて心臓に悪いわ…。

て、照れてないんだからねっ!

(*´∀`*)

 

 

 

「ブーステッド・ギアを使いなさい、イッセー」

 

翌日の最終日、朝食後の特訓の前にリアスがイッセーに命じた。

これは俺とリアスから修行中に使う事を禁じていたのだ。

本題が本人の力を底上げするんだから頼ってしまうだろ?

ここで許可するという事は…成果のお披露目だ。

 

「相手は祐斗でいいわね?」

『いや、俺が行く。神器も使うぞ』

「剛…じゃあ任せるわ」

 

リアスの提案に俺が割り込むと彼女が承諾してくれた。

祐斗にはジェスチャーで謝ると笑顔で許してくれた…イケメンめぇ。

俺とイッセーは離れた場所で相向かいに立つ。

互いに神器を発動させる。

 

「ブーステッド…ギア!」

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!」

 

イッセーの左腕にはブーステッド・ギア、俺は処刑マジニの姿になる。

こいつの全力を引き出すには死を覚悟させるこいつがいい!

俺は斧をイッセーに見せつけるように構える。

…お、怖がるどころか覚悟を決めた面構えしてやがる!

さて、どこまで倍加出来るかな?

 

『Boost!』

「ストップ!」

 

2分…12回か! しっかり成長しているな。

恐らく前までは2、3回くらいが限度だっただろう。

リアスに指摘された驚いているな。

先輩として嬉しいぜ…今度は戦闘面でも試させてもらうぜ?

 

「始め!」

「行くぜ、ブーステッド・ギア!!」

『explosion!』

 

篭手から声が響いた瞬間にイッセーからオーラが見える。

2分間の倍加でここまで強くなるもんか!

やっぱりチートだな、その篭手は。

こいつは手加減無しでやらないと俺がやられる!

 

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!!」

 

俺は斧を振り上げながら地面を砕くような勢いで走り、一気に振り下ろす!

するとイッセーは左に避けて斧を殴って破壊した。

驚いた俺はミショナリーに変身して距離を取るとリアスの指示でイッセーの手から魔力の塊が出る。

そんな小さい魔力では何も出来ない筈だ…そう思った俺は一気に距離を詰めようと走る。

 

「撃ちなさい!」

「こぉぉぉのぉぉぉぉぉっ!!」

『宿主、避けてぇぇぇっ!』

「グルッ!?」

 

リアスの声にイッセーは小さい塊を俺を放とうとする。

そんなのトンファーでガードすればいいと考えていたが、

咄嗟にロビー君の声が聞こえた俺はすぐに右へ転がり込む。

その瞬間、巨大レーザーみたいな一撃が俺の走っていた所を喰らうように放たれ、そのまま後ろの山を消した。

 

 

 

( ゚Д゚)

 

 

 

(゚Д゚)

 

 

 

………何、あれ?

山が削れているんですけど…え、あれさっきので?

さっきまであそこ走っていたよな?

下手したら俺消し飛ばされていたんじゃね?

 

 

……

 

………

 

工工工エエエエエエェェェェェェ(;゚Д゚)ェェェェェェエエエエエエ工工工

 

怖っ! 超怖っ!?

ロビー君が警告出してくれなかったら俺消し炭にすらなってなかったわ!?

うわぁぁぁぁぁ!!

ロビー君マジありがとう!

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

と、とりあえずイッセーもこれで自信を持てただろう!

今回の合宿は大成功だと思いたい、俺も良い修行期間になった!

ゲームは参加できないけど、皆の応援はしよう。

ぶっちゃけ俺の手でライザーをボコボコに出来なかったのはすごい残念だが、代わりにイッセーがやってくれるだろう。

リアス、朱乃、祐斗、小猫、アーシア、そしてイッセー!

月並みの言葉しか言えないが…頑張れよ!

 




『ほら、僕も役に立つでしょ!』
『いや、本当に助かったわ…ありがとう』
『もっと褒めて!可愛いとか言ってもいいよ!?』
『調子に乗るな( ゚д゚)、ペッ』
『ひどい!?』
『ぅ゛ぅ゛…(グスン)』
『斧は今タイラントたちが直しているから待ってくれ…ごめんな』

閲覧ありがとうございました!

修行編はあまりクリーチャー達が活躍できていませんので申し訳ないです。
でも必ず活躍する時は来ますので安心して下さい!
そして必ず新たなクリーチャーも出ますのでお楽しみにしてもらえればと思います!
感想欄に出して頂いている奴です←

それでは、また。


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第15話

風音ユウ様、誤字報告ありがとうございます!


 

22時…そろそろ行くか。

俺が戦う訳ではないのに緊張してくる…大丈夫、皆ならやってくれる!

応援する為に俺は制服を着たままの姿で自宅の魔法陣へ入る。

首にかけてあるネックレスの指輪が光ると部室前の廊下へ転移された。

中へ入ると既にリアス達がいたので挨拶しておく。

イッセーとアーシアはまだ来ていない…まだ集合時間ではないからな。

 

『お茶を煎れてくる…良いハーブティーを持ってきた』

「あら、では私が煎れますわ」

『サポートは俺の役目、朱乃はゲーム前なんだからリラックスしてろ。

 ( -ω-)』

「あらあら…」

 

いつも通りに振る舞おうとする朱乃の頭に手を置いて諭した。

俺はキッチンへ向かってお茶を煎れに行く。

…空気が重いな、当たり前か。

リアスの一生が決まる大事なゲーム…楽観視は出来ねぇ。

本当なら俺もゲームに出たいが神器持っているとはいえ人間。

悪魔のゲームには参加できない。

グレイフィアさんにもそれは言われた。

見ているだけと言うのはすげぇ歯痒い。

お湯を沸かしている間、色々と考えていると服の裾を引っ張られる感覚に気づくと小猫がいた。

 

「剛先輩」

『小猫、今お湯を沸かしているから部室で待っててくれ』

「先輩は合宿でサポートしてくれたおかげで皆強くなれました。

 だから見てて下さい…必ず、勝ちますから」

『おぅ、お前達なら奴らにも勝てるさ。

 小猫の活躍も期待しているからな( ^ω^)』

 

俺はそっと小猫の頭を撫でて伝えると少し満足した顔で小猫は部室へ戻った。

そうだな、みんな模擬戦で俺と戦い、経験も技術も上げた。

イッセーにも俺が教えられることは教えたしあいつは出来ている。

負ける要素はないと俺が信じてやらないとだな。

お湯も沸いた…さて、お茶を煎れるか。

ティーセットの準備をし終えて部室に持っていくと丁度イッセー達が来た。

 

 

 

『皆に言いたいことがある』

 

ある程度ティータイムでリラックスしている時に俺は前に立って手を叩いてみんなの視線を集めさせる。

これが俺の出来る最後のサポートだろう。

ならば、最大限の後押しはさせてもらおう。

ここで士気を上げる!

鞄から大きなホワイトボードを出して書いて皆に見せる。

 

『これから戦うフェニックスは、不死鳥と言われるがそんなのは伝説に過ぎない』

「どういう事だよ、先輩」

「イッセー、静かに…剛、続けて」

『恐らく奴は再生能力が秀でているだけだ。なら再生を上回るくらいの攻撃で心をへし折れ。

 戦いにおいて精神が折れればどんな肉体を持っていようとも無意味だ。

 不死という言葉をお前たちは重く捉え過ぎている。

 とある軍人は言った、「視点を変えれば不可能が可能になる」とな。

 だからこそ言う! 勝てる!! いや、勝ってこい!!!』

 

俺は最後まで書ききると堂々と皆に見せた。

このメッセージ、伝わってくれればいいが…。

するとドアのノック音が聞こえた。

入ってきたのは支取と真羅、どうやら彼女達がゲームの中継係として志願したようだ。

ライバルだけど何だかんだ心配してくれているんだな。

本当に良い悪魔だ…どこからか「当たり前でしょうが!」って匙の声が聞こえた気がする。

 

「リアス様、準備は宜しいですか?」

 

魔法陣が現われるとグレイフィアさんが現われた。

そろそろゲームが始まろうとする訳だ。

今回のゲームは魔王様が観戦していると…へぇ、リアスのお兄さんなのか。

ふーん…ってえぇぇぇぇぇっ!?

Σヽ(°Д°;)ノ

 

戦争で亡くなった魔王ルシファーの跡を継いだサーゼクス・ルシファーか。

だからリアスはグレモリーの次期当主としている訳か。

なるほど、今回の件もやはり絡んでいたのだろうか?

今更推測してもどうしようもないな。

 

「そろそろ時間です、ゲーム参加される皆様は魔法陣へお入りください。

 協力者は観戦用の場所へ後程ご案内致します」

 

グレイフィアさんがそう言うとリアス達は魔法陣へ入っていく。

俺はいつものボードに持ち替えて見送りにいこう。

 

『アーシア、みんなのサポートを頼んだぞ?』

「は、はい! 頑張ります!」

『祐斗、自分の持ち味を活かしてこい!』

「わかりました。先輩の修行は無駄にしません」

『小猫、自慢の格闘で蹴散らして来い!』

「はい、剛先輩」

『朱乃、油断はするなよ?』

「あらあら、わかっていますわ」

『イッセー、焼き鳥野郎をぶっ飛ばしてこい!』

「おぅ、見ててくれ先輩!」

『リアス、さっき言った通りだ…武運を祈る!』

「ありがとう、剛…貴方のメッセージ確かに受け取ったわ!」

 

一人一人に言葉を贈るとそれぞれ転移していく。

最後まで見送った俺はボードを抱えたままグレイフィアさんを見る。

そんな息子の成長を見守る母親みたいに見ないで下さいよ。

流石に恥ずかしくなりますわ…。

(*/∀\*)イヤン

 

「剛君は観戦用の部屋へ転移するわ。魔王様もいるから粗相のないようにね」

『はい、わかりました』

「お嬢様のサポート、本当に感謝しているわ。ありがとう」

 

その言葉を聞くと俺は転移された。

 

 

 

 

 

 

飛ばされた場所はまるでどこかの貴賓室みたいな場所だった。

確かに人間が悪魔たちの場所へ行ったら騒ぎになるしトラブルになるだろう。

俺にちょっかい出す奴がいたら叩き潰すだろうし。

グレイフィアさんの配慮はありがたいな。

 

「君が協力者の門星 剛君だね?」

 

声を掛けてきたのはリアスと同じ赤い髪をした男性…サーゼクス・ルシファー。

見かけからして魔王って感じがあるな…。

とりあえず失礼が無い様にしよう、グレイフィアさんにも言われてるし。

悪魔の作法はわからないが、挨拶しないと。

 

『はい、駒王学園3年生、オカルト研究部の門星 剛と申します。

 この度は人間である私に同席の機会を頂き感謝しております。

 魔王サーゼクス・ルシファー様』

「そんな畏まらないでくれ、魔王以前にリーア…リアスの兄として接して欲しい」

『わかりました…ではサーゼクスさんで』

 

少し緊張したが何て事は無かった…普通の優しいお兄さんだった。

ゲームが始まるまで学校でのリアスの事とか訊いてくる妹さん想いの人だ。

どうやら今回の件も良い顔をしていなかったようだが両家の親同士によるものだったと。

嫌だな、貴族の世界は。やっぱり普通の暮らしが良い。

 

「妻のグレイフィアから聞いたが君も神器を宿しているのかい?」

『はい、モンスター・オブ・クリーチャーという神器ですね。

 覆面を被る事で変身して戦います』

「変身…それは興味深い! 是非とも今度見せて貰いたい!」

『は、はい…機会があれば構いませんが(;・ω・)』

「お、そろそろ始まるようだ」

 

いや、何と言うかノリが軽すぎない?

子供みたいな一面もあるな…ってやはりグレイフィアさんの旦那さんか、この人。

この人も怒られているんだろうな…親近感が出てきた(ホロリ)

ゲームが始まったので観戦しよう、みんな頑張れ!

 

 

 

体育館で小猫とイッセーがライザーの兵士3人と戦車1人と戦っている。

その中には俺をブッ飛ばしたミラという女の子もいた。

小猫は雪蘭(シュエラン)という中国服を着た女の子と戦っている…功夫の達人だな。

手足に炎を宿して攻めてくるが小猫は的確に避けている、最小限の動きだ。

掠りはしたが大丈夫そうだ…イッセーはどうだ?

棒術のミラとチェーンソーを持ったイルとネルの双子を相手にしている。

俺の特訓が功を成したのか、上手く避けている。

 

《こんなの剛先輩と比べたら怖くもねぇよ!》

 

おい、チェーンソーより俺の方が怖いってか?

確かにミショナリーで追い掛け回したことはあったけどさぁ…。

ある程度強化してから反撃に出るんだろうけど油断するなよ?

調子に乗るのがお前の悪い所なんだ。

( -ω-)

 

俺がそう考えている内に小猫が反撃していた。

相手の蹴りを受け止めてカウンターで殴るとそのままタックルを仕掛けた。

向こうが油断していたおかげだろうな。

一々動きを止めてお喋りなんてしてたら命取りだ。

いつも行ってるスーパーだったらとっくに入口まで吹き飛ばされているぞ?

 

お、漸く強化し終えたイッセーが反撃に出たか。

…?

カウンターで一撃加えるのは良いが軽く叩く程度?

女性だから手を出せないとか言ったらタイラントでケツにタイキックするぞ?

 

《洋服崩壊!!》

 

そう言って指を鳴らした瞬間3人の衣服が弾け飛んだ。

 

 

( ゚Д゚)

 

 

(゚Д゚)

 

 

( ゚Д゚)

 

 

(;゚Д゚)何やってんのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?

 

 

「はははっ! なかなかユニークな技を使うんだね、彼は」

『うちの後輩がすいません…後で説教とタイキックしときます。

 (;´Д`)』

「タイキック?」

 

\イッセー、アウトー!/

あんなエロ技をいつの間に習得しやがった!?

エロ根性も立派過ぎて涙が出てくるわ…(´Д⊂ヽ

敵から「最低」「けだもの」「女の敵」とか言われてるし、

小猫がすげぇジト目で見てるぞ…小猫にもタイキックしてもらうか(無慈悲)

あ、小猫もところどころ服が破れて下着が見えている。

おい、エロい目で見るなイッセー!

 

2人が体育館から出た瞬間に落雷で体育館が消し飛んだ。

雷…朱乃の魔法だな、いつ見ても凄まじいな。

当然中にいた4人はリタイア。

これでもまだ数は不利…油断しないで頑張れ!

 

そういえば祐斗は…!

おぉ、3対1なのに圧倒している!

森の中の罠に上手く嵌っていたからより優位に進められたな!

これでより優位に…え?

 

《リアス様の戦車、1名リタイア》

 

嘘だろ…小猫が!?

俺は思わず立ち上がってしまった。

どうやらライザーの女王、ユーベルーナの魔法で爆発したようだ。

傷ついて消えた小猫を見て俺は動揺してしまった。

 

「落ち着くんだ、剛君。彼女は死んでいないよ」

『本当ですか!?』

「リタイアした者は然るべき場所へ転移して治療受けるんだ」

『…そこへは行けますか?』

「ゲーム中の悪魔との接触はルールで禁じられている…君が行ったら負けてしまうよ」

「!!」

 

俺の考えを読んでいたのかサーゼクスさんは冷静に俺を諌めた。

これで俺が無理して行ったら皆の努力が無駄になる。

何も出来ない辛さに俺は拳を手すりに叩き付けながら座った。

イライラしているとサーゼクスさんが俺の肩に手を置いて話した。

 

「何も出来ない事は確かに辛い、けれど君の気持ちを胸に秘めて頑張っている者達もいる。

 それを見届けるのも残された者の役目じゃないかな?」

『………ご迷惑をお掛けしました』

「気にすることはないよ、ほら見てみるといい」

 

画面を見てみると朱乃がユーベルーナと戦っていて、

イッセーは祐斗と合流して陸上競技場で懸命に戦っている。

そしてリアスとアーシアは本校舎へ向けて攻めていた。

誰も必死に動いて戦っている。

それを見た俺は自らの行動を恥じて両手で思いきり頬を叩いて気合を入れる。

俺は皆を信じて送り出したんだ、最後まで見届けよう!

何があったとしても!!

 

 

 

祐斗がカーラマインという騎士と一騎討ちしている…騎士道を重んじた奴だ。

イッセーは…囲まれている!? しかしあの金髪のドレスの子はライザーに似ているけど。

妹…!?

え、あいつハーレムの為に妹を眷属にしたのか?

どんだけ馬鹿なんだよ…さっきの俺の覚悟を返せやぁぁぁっ!!

ゴ━━━━(# ゚Д゚)━━━━ルァ!!

 

全く…(#-Д-)

俺が怒りを通り越して呆れている間も祐斗とイッセーは戦っていた。

祐斗は神器の魔剣創造(ソード・バース)で色んな属性の魔剣を創って戦い、

イッセーのドラゴン・ショットで相手の戦車を撃破…洋服崩壊も使ってたな。

ふざけているし倫理的にアレだが女性限定で隙を作るには効果的だ。

しかし良い事ばかりではないようだ。

 

朱乃が優位戦っていた途端に向こうの女王が何かの小瓶を使ったと瞬間に回復した。

サーゼクスさんが言うにはあれは「フェニックスの涙」と言う回復アイテムだとの事。

そんなのを使っていいなんて聞いていないぞ!?

朱乃はそのまま敗れてしまいリタイアしてしまった。

 

そして屋上ではリアスとライザーが戦っているがかなりやばい状況…。

打開するにはイッセーのブーステッド・ギアが必要だ。

イッセー、間に合ってくれ…何だ!?

ブーステッド・ギアの形が変わった? また進化したのか!?

そして祐斗の魔剣創造の力を受け取って地に放つと広範囲で魔剣が地面から出てくる。

これによりライザーの妹以外は全員リタイアした。

倍加の譲渡とか…ますますチート染みてやがる!?

だが、祐斗はライザーの女王によって闇討ちに遭いリタイア…っ!

イッセーは急いで校舎へ入っていく。

 

ん?

待てよ…あいつ何回も自身の限界まで倍加していないか?

さらに能力の覚醒とその使用、すげぇ嫌な予感がする。

怪我はまだアーシアがいるからいいとして体力が持つのか?

そう思った瞬間に予感は的中した。

画面から見えたのは血を吐いて倒れているイッセーだった。

 

俺は立ち上がって画面に向かって思いきり叫びたかった!

あれだけ無茶な俺の修行にも耐えたのに…限界を超えてまで頑張ったのに!

くそっくそ! 何で俺も一緒に戦えない!?

神器持ってたってこれじゃあ何の意味もないだろうが!!!

サーゼクスさんは俺の気持ちを読んだのか止めようとはしない。

俯いてた俺の耳に入ったのはリアスが投了…リザインを宣言した事でゲームが終了したアナウンスだけだった。

 

「残念だったね…でも皆よく頑張ってくれた」

「…」

「君が言いたい事はわかる、治療している皆の所へ転移してあげよう」

『ありがとうございます』

「君は納得がいかないだろうけど、これは悪魔の世界の事だ。人間には関係のない事だよ?」

『わかっています』

「物わかりが良いな。君とはまた会いたいな、【神器を披露してくれる機会】も兼ねてね」

 

サーゼクスさんがそう言って魔方陣を展開した瞬間、俺は医療室みたいな部屋に転移された。

小猫も祐斗も朱乃も現われた俺を見た瞬間、泣きそうな顔したり俯いた顔をする。

そんな顔を見たくない俺は3人とも抱きかかえて何も言わせないようにした。

お前達は頑張った…本当によく頑張った。

だから泣かなくていい、謝らなくてもいい、自分を責めなくてもいい。

余計な言葉すら掛けられない障がいは…今だけ役に立った。

 




『フシュルルル?』
『え? 宿主がこの結果を受け入れるのかって?』
『フシュルルル(コクンッ)』
『さぁ、どうなるかわからないけど。

 …そんな大人しい人間が僕達の宿主にはなれないよ?』


閲覧ありがとうございました。
さて、剛のスーパーイライラタイムはここまでですね。
次回からは皆さんが大好きな【アレ】を始めるかもしれません←
そして新たな覆面が登場します←

それでは、また。


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第16話

※オリジナル敵が出ます。
※拷問に近い蹂躙シーンがありますので苦手な方はご注意ください。


 

レーティングゲームから2日間、イッセーはまだ目を覚ましていない。

アーシアが付きっきりで看病していて俺はメールで状況を聞く事しかできない。

誰もいないオカルト研究部の部室で独りでソファーに座って時間を持て余していた。

朱乃達はリアスとライザーの婚約パーティーに行った…眷属として付き添わなければならない。

人間の俺には招待状も来やしない…ケチだな。

さぞかし美味い飯が…悪魔って何食べるんだろう?

トカゲとか蛙とかゲテモノ料理しか出なかったら嫌だな。

 

そんなこんなで色々と考えていたら腹が減った…あれからあんまり食っていなかったな。

全く困った…家に帰っても買い物していないから冷蔵庫には碌な物が無い。

コンビニでカップ麺でも食べようかと考えていたら突然魔法陣が現われた。

出てきたのはグレイフィアさんだった。

 

「家にもいないと思ったらこんな所にいたの」

『…何となく、ですよ』

「イライラすると家にも帰らない癖は変わらないわね、食事も摂っていないでしょ?」

 

流石グレイフィアさん、俺の癖は全部覚えているんだろうな。

手に持っているバスケットを俺に渡してくれた。

開けてみると握り飯と卵焼きが入っていた…これも俺の好物だ。

 

『ありがとうございます』

「それを食べたらサーゼクス・ルシファー様からお手紙を預かっているの。ちゃんと読んでおきなさい?」

『はい』

 

そう言ってグレイフィアさんは転移して消えた。

とりあえず食べよう…空きっ腹でイライラになっているのもあるだろう。

相変わらずあの人の料理は優しくて懐かしい味だった。

少し涙も出てきたのは何でだろう…。

 

食べ終わった俺はサーゼクスさんからの手紙とやらを開封してみる。

中に入っていたのは魔法陣が描いてある紙が2枚と手紙…。

もしかしてパーティの招待状か?

そう思った俺はとりあえず読んでみる。

 

 

……

 

………

 

そういう事か。

妹の、皆の力になりたいなら直接会場に殴りこんで来い、か。

悪魔達のホームグラウンドに人間が独りで殴り込み…最悪の場合は八つ裂きにされるだろうな。

人間が無関係なのにわざわざこんな事を書いてくるなんて何を考えているんだ?

こんなの…。

 

 

 

 

 

 

ゲームが終わってから2日…イッセー先輩は目を覚ましていない。

剛先輩も普段通りに振る舞っているつもりだけど、明らかにイラついていた。

最初は私が不甲斐無かったので怒っていたのかと勇気を出して言っても首を横に振るだけ。

朱乃先輩や祐斗先輩が声を掛けても何も変わらなかった。

考え付いたのは、ゲームに対して納得していないのだと。

けれどもこれに関してはもう抗議する事は出来ない…先輩は人間だから。

悪魔の問題に首を突っ込む事すら出来ない。

 

パーティ会場ではライザー・フェニックスが部長を連れて姿を現した。

ライザーは高らかに声を上げて会場にいる悪魔貴族達に挨拶をしていた。

ここで終わるとは思えない…私達がそう思っていた瞬間、背後から凄い音と共に扉が派手に吹き飛んだ。

見張りをしていた悪魔が倒れていて、立っていたのは…。

 

「やっとですか…」

「ようやく、お出ましだね」

「あらあら、元気そうで何よりですわ」

 

駒王学園の制服とダークグリーンのロングコート。

左手の赤い篭手と両手に嵌められた金属製のグローブ。

2人が揃ってくるのはさすがに予想していませんでしたが、必ず来るとは思っていました。

 

「き、貴様らは!?」

「イッセー!? 剛!?」

「部長ぉぉぉぉぉっ!」

「う゛う゛う゛う゛う゛!」

 

 

 

 

 

 

手紙を読み終えた俺はロビー君に声を掛けた。

殴り込みに行くことを伝えた瞬間、タイラント達も張り切っていると言われた。

俺のイライラはこいつらも共有していたらしく、心配していたとの事。

吹っ切れた俺を見て全員張り切って殴り込みに行く気だ。

心配かけてすまないと謝ると皆は許してくれた。

 

タイラントは両方の拳をガツンッとぶつけて気合を入れて、

ミショナリーはお辞儀をしてどこまでも着いていくと意志を伝え、

処刑マジニは嬉しそうに斧の手入れをしていた。

…怖っ!

 

タイラントに変身した俺は手紙の中にある魔方陣を展開した。

そして入るとやけに豪華な建物の前に飛ばされた。

庭もすげぇ広いし貴族半端ねぇなオイ。

さて、乗り込もうかとしたら誰かが転移してきた。

イッセー…!

 

「剛先輩!」

『イッセー…お前大丈夫なのか?』

「アーシアが看病してくれたおかげでバッチリです! もしかして先輩も?」

『あんなアンフェアなゲーム、納得できるか。イラつくからぶっ壊しに来た』

「俺もッスよ! 部長をあんな奴に渡したくない!」

『なら、行くぞ…ドラゴンとクリーチャーで殴り込みだ!』

「おぅ!」

 

互いに戦う事を決めた俺達は拳をぶつける。

まさかイッセーも復帰出来たとは思ってもいなかったからありがたい。

1人でも仲間がいるだけで違う。

尤も…俺の中には多くの仲間(クリーチャー達)がいるけどな。

 

入口から入ろうとしたら見張り役の悪魔に招待状があるのか訊かれた。

押し退けて行こうとしたら邪魔してきたので頭を掴んで壁に叩き付ける。

悪魔って頑丈なんだな、悪魔祓いにやったらグロテスクな事になったのに気絶しただけだ。

イッセーも他の見張り悪魔を殴り飛ばしている。

下級の悪魔程度が怒り狂った俺達を止められるか!

大広間っぽい扉に向けて見張り悪魔を同時に殴り飛ばすと扉が吹っ飛んだ。

 

「き、貴様らは!?」

「イッセー!? 剛!?」

 

大広間には大勢の悪魔がいて、奥にはリアスとライザーがいた。

あ、朱乃たちもいる…黒い和服も似合うな。

祐斗もタキシードと髪型が決まってる…イケメンめぇ。

小猫はピンクのパーティドレス…可愛すぎぃ!

支取もいるな。さすが貴族の令嬢と言うだけあって気品があるわ。

さて、まずは周りをビビらせるか。

 

「部長ぉぉぉぉぉっ!」

「う゛う゛う゛う゛う゛!」

 

イッセーが叫ぶと同時に俺も唸り声を上げると周りの悪魔たちが凍りついたかのように動かない。

ライザーの命令で見張り悪魔が動いたが朱乃、祐斗、小猫が片付けてくれた。

その行動力が素敵すぎぃ!

キャ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

 

周りの悪魔達がどういうことだと騒いでいると「私が彼らを呼んだのだよ」と言って現れたのは…。

魔王サーゼクス・ルシファー。

相変わらず重厚そうなマントで威厳があるなぁ。

俺も欲しい(厨二)

サーゼクスさんの言葉にリアスもライザーも驚いていた。

 

「どういう事ですか、サーゼクス様!?」

「何、余興の一環だよ。可愛い妹の婚約パーティを派手にしたいからね」

「赤龍帝のガキはわかりますが、あの隣の化け物は?」

「正体が見たいのかね? では、手は出させないから見せて貰えないかな?」

 

敵地で変身解きたくないけど魔王からのお願いは断れないよなぁ。

仕方ない…見せますか。

両手を後ろに回して覆面を外して元の姿に戻る。

するとライザーは俺を見て驚く。

 

「貴様は…あの時のミイラ人間!?」

『ミイラとは失礼だな(#゚Д゚)』

「彼は神器を有していて、はぐれ悪魔や堕天使を仕留める程の力を持っている」

「つまり余興と言うのは…」

「フェニックス対ドラゴン…伝説の力を持つ者同士の戦いというのはどうだろうか?」

「いいでしょう! このライザー。身を固める前の最後の炎をお見せしましょう!」

 

おー話がどんどん進んでいるねー。

とりあえずはイッセーとライザーの一騎打ちか。

俺は殴りこんできたのはいいけどすることが無いよね?

自分その辺の料理食べてていいすか?

ってKYな事言ったらみんなに怒られそうだから我慢しとこ。

(´・ω・`)

 

「魔王様、差し出がましいとは思いますがよろしいでしょうか?」

「君はフェニックス卿の弟の…」

「ブラッド・フェニックスでございます。是非私にあの人間との勝負をさせて頂きたいのです」

 

何か偉そうな金髪のオッサンが人間だとわかった俺を睨みながら出てきた。

聞いた感じだとライザーの叔父か…って俺指名かよ!?

えーこんなオッサンに指名されても嬉しくもなんともねぇや…。

(´・д・`)ヤダ―

 

「可愛い甥の婚約パーティを盛り上げる為にも一役買おうかと思いまして」

「君もそれでいいかね?」

『私は一向に構いません』

「ふん、一瞬で死ぬ覚悟くらいはしておき給え…人間風情が」

 

オッサンが吐き捨てるように臭い台詞を言って睨んでくるが、

そんなので俺がビビると思うのか?

よし、そっちも覚悟してもらおうか!

プライドが高すぎる貴族が恥を掻いたらどうなるか見てみたいんだよなぁ…!

( ゚言゚ )

 

 

 

サーゼクスさんが用意してくれたのはレーティングゲームのような異空間。

所々に駒に見立てた石柱が特徴的だな。

俺は左手に出した覆面を持って待っていると炎の中からオッサンが出てきた。

スーツを脱いでYシャツとズボンだけと言うラフな格好だ。

格好つけてあの一張羅で来てくれたら笑ったのにw

 

「さて、灰になる覚悟は出来たかな?」

『その前にお願いがあります』

「今更命乞いか?」

『もう戦いたくなくなったら【降参】して下さいねwww』

「このクソガキぃっ!!」

 

ふと思ったけどフェニックス家はみんな沸点低いのかな?

少し煽っただけで炎が溢れているんだけど。

そんなにカリカリしてたらストレスで禿げるぞ?

でもあのオッサンの生え際が何か怪しいわ。

あっ(察し)

 

さて、そろそろ変身しますか。

俺はタイラントの覆面を被って変身した瞬間、いきなり炎が周囲に燃え盛る。

ジャンプして逃げるにもまるで檻のように囲まれる、さらに少しずつ近づいてくる。

おいおい、ドネルケバブの肉じゃねぇぞ俺は。

 

「フェニックスを愚弄した罰だ、このままゆっくり焼け死ね! フハハハハハハッ!」

 

炎の壁で見えないけど余裕そうな声が聞こえる。

これで勝ったつもりとか…嘗めんじゃねぇぞ?

俺はそのまま炎へ向かって走って突っ込んだ。

すると異空間外からイッセーやリアス、オカ研の面子の声が響く。

 

確かに炎は怖い。過去のトラウマだって未だにあるし火傷が疼くような気がする。

けどな、友達や後輩が立派に戦っているのに何も出来なかったあの歯痒さと悔しさに比べたら…。

こんな炎より怒りの方が燃えているんだよ!

炎の檻を突破した俺は高笑いしてたオッサンに向かって走る。

近づいたら後は簡単、思いきり…殴るんだよぉぉぉっ!!

 

「う゛お゛お゛お゛お゛っ!!」

「馬鹿な…っ!?」

 

顔面を殴られたオッサンはふっ飛んでいくがここで油断はしない。

ミショナリーにチェンジして走って追いかける。

立ち上がろうとした瞬間に両手にトンファーの刃を突き刺す。

そして痛みで歪めた顔面を右足でシュート! 超! エキサイティング!!

流石に悪魔は頑丈だ、まだまだ元気があるからまだまだ攻撃は緩めない!

 

突き刺したトンファーを無理矢理抜いて今度は足に突き刺す!

動けない所で処刑マジニにチェンジして斧で胴体ごと刎ね飛ばす!

フェニックスだから死なないだろ、ライザーも腕がふっ飛んでも再生したし。

再生しても戦意喪失するまで繰り返すだけだな!

 

今度は生えたばかりの胴体をボッコボコに殴ろうとタイラントにチェンジした瞬間、

俺の真下に魔法陣が現われて大爆発が起きた。

咄嗟に後ろへ跳んで直撃を免れるも爆風に巻き込まれて石柱まで叩き付けられた。

爆発した周囲は炎で激しく燃えている…ただの爆発じゃないな。

するとオッサンが笑いだした。

 

「くそ、人間如きが調子に乗りやがって…さすがに私の焼夷魔法には耐えれなかったようだな!

 言っておくが、まだこれは序の口だ。灰になるまで燃やしてやる!!」

 

焼夷魔法…兵器で言うナパーム弾みたいな魔法かよ!?

爆発と炎上のコンボはさすがにタイラントでも何度も直撃するのはまずい。

しかし俺の危惧に関係なく魔法陣はあちこちに現れた…無差別爆撃かよ!

異空間といえどサーゼクスさんが用意してくれた場所だぞ!?

 

地面、壁、空中からと魔法陣が展開される中俺は直撃だけ避けるように走って避ける。

だが爆風と炎によってタイラントの頑丈なコートとグローブやブーツはボロボロになっていく。

変身してもダメージは当然俺自身も受けている…今まで平気なのはタイラント自身の力だろう。

そして、俺のやせ我慢のおかげだ。

痛いとか辛いで戦いを逃げる様なヘタレた根性は持ち合わせていねぇ!!

 

もう少しで奴に届きそうな距離まで走るが…しまった。

周囲は炎で囲まれて逃げ場所が無い。俺を誘導しやがったな。

 

「チェックメイトだ、人間! 言っておくが私は降参など認めん!

 名家であるフェニックスを侮辱した貴様を殺して、この婚約パーティーを飾らせて貰う!」

 

名家とか貴族とかまだそんな事言ってやがる…下らねぇ。

俺のいる地面と真上と同時に魔法陣が現われた逃げられねぇなコレ。

 

「爆ぜろ!!」

 

 

 

 

 

 

「剛先輩!?」

「剛!」

「ははは、叔父上の焼夷魔法はやはり凄まじいな! あれでは骨も残らないだろうな」

 

映像を通して先輩とブラッドの試合を見てた俺と部長は思わず叫んだ。

あいつ本気で先輩を殺そうとしやがる…駆けつけたい気持ちがあるが手出しは禁止されている。

すると画面からブラッドの声が聞こえる。

 

『如何でしたか皆様、この爆発は悪魔の未来を願う祝砲としてさせて頂きます。

 赤龍帝、爆発で仲間を失うなんてレーティングゲームでも体験しただろう?

 リアス嬢の戦車も騎士も女王も惨めに炎の力に敗れた光景をな!』

「うるせぇ、先輩は死んでいない!」

『ふん、死んださ…貴様も自慢の甥であるライザーが片付けるだろう。

 貴様らは不死であるフェニックスには勝てないんだよ!』

「てめぇ…!」

 

我慢できなくなった俺が飛び出そうとした瞬間に聞こえたのは…。

 

『 う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ ! ! 』

 

地獄から来たと言われたら納得せざるを得ないような叫びだった。

そして燃え盛る炎から出てきたのは…タイラント。

いや、タイラントに似た何かだった。

 

 

 

 

 

 

あー…あの爆発でコートもグローブもブーツも全部駄目になったわ。

ごめんなタイラント…全裸だぜ俺達。

パーティ会場のど真ん中で全裸公開とか何の処刑だよコレ。

腹立ってきたのにオッサンの声が聞こえて余計に腹立つ。

そして奴の言葉は…。

 

「赤龍帝、爆発で仲間を失うなんてレーティングゲームでも体験しただろう?

 

 リアス嬢の戦車も騎士も女王も惨めに炎の力に敗れた光景をな!」

 

引いてはいけない引き金を引いた。

 

「貴様らは不死であるフェニックスには勝てないんだよ!」

 

 

…あ゛?

この言葉を聞いて俺は当然ブチ切れた。

小猫や祐斗、朱乃が惨めだと?

どれだけあいつらが頑張って、戦って、傷ついて、悔しくて、泣いてたのを知らない癖に…。

 も う ゆ る せ ね ぇ っ ! ! 

 

タイラント、お前の最大の力と恐怖…見せてやろうぜ。

そう頭の中で思った瞬間に体に変化が起きた。

ドクンドクンと心臓が激しい鼓動を刻む。

すると全身の筋肉が肥大して上半身の肌が金属みたいに硬化した。

これにより露出している心臓が覆われて弱点が無くなったと言ってもいいだろう。

そして最大の変化は両腕だ。

人間の手ではなく、巨大な爪が片手に4本ずつ付いている。

 

タイラント…いや、【スーパータイラント】!

ブラッドを処刑…いや、蹂躙してやるぞっ!!

まずはお前の声を聞かせてやれ!

 

「 う゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ ! ! 」

 

叫んだ俺はゆっくり炎の中を歩くと体が軽く感じる。

新たな姿を見たオッサンは驚いた顔をしていた。

そりゃあ殺したと思った敵が生きててパワーアップしていればな。

知ってるか? 勝ったと思いこんだ瞬間に油断していると負けるんだ。

人、それをフラグという!

 

「貴様、生きて…っ!?」

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」

 

オッサンが何を言おうとしていたが構わずに走って近づいてから左の爪を胸に突き刺した。

悠長にお喋りをしている暇はないだろ?

俺は忙しいんだ、てめぇを蹂躙するのにな!

魔法を発動させる余裕なんて与えないほど苦痛を与えてやるからな?

 

突き刺したオッサンをそのまま地面に叩き付けると俺は顔面を蹴っ飛ばす。2点目!

そのまま馬乗りになって顔と胸、腕をひたすら爪で引っ掻いたり突き刺し続けた。

さっきからやめろとか言っているけど気にしない。

不死身なんだろ?

だったら人間の攻撃なんかにビビるなよコラ!

元気が無くなってきたから立ち上がってまた顔面を蹴っ飛ばす!ハットトリックぅぅぅ!!

 

どうやらこのオッサンは魔法中心で戦うタイプか。

マウントポジションを取られても対処する方法なんざいくらであるのにしない。

てめぇの魔法とフェニックスの特性に慢心したのが仇となったなぁ?

 

おっと飛んで逃げるなんて真似はさせねぇよ!

そのまま腹や顔面を何度も踏み潰していたら、もううめき声くらいしか聞こえなくなった。

言ったよなぁ? 戦いたくないなら降参しろってよぉ!!

さらに爪で突き刺して無理矢理四肢を引き千切っていく。

再生する前に首も落とすか。

右手を手刀のように揃えて突き刺そうとした。

 

『そこまでだ、もう決着は着いた』

 

サーゼクスさんの声に俺はピタッと止めた。

流石に魔王様の言葉は無視できないな…とりあえず顔面蹴っ飛ばして終わりにした。

あっこれで4点目ね。

顔をよく見たら白目で涙流して気絶していた。汚い面だな。

そして異空間の空を見るとみんなドン引きしている…え、やりすぎた?

仕方ない、蹂躙だもの←

 

左の掌で顔を触れると俺は元の姿に戻る。

やはりズボンと顔の包帯以外は燃えてボロボロだった…ズボンも燃えてたらやばかった。

どうやったら戻れるんだろうと思ったら朱乃が転移してやってきた。

 

「お疲れ様ですわ、剛君」

 

そう言って俺に新しいボードとペンを用意してくれたのか渡してくれた。

 

『ありがとう、朱乃( ^ω^)』

「最後のは私達の為に怒ってくれたのですか?」

『さて、どうだろうな( -ω-)』

「うふふ、態度で出やすいのは小猫ちゃんの言う通りですわね」

 

朱乃が手を差し出してくれたので掴まるとそのまま飛んで異空間を出た。

すれ違う様にオッサンの眷属らしき悪魔たちがオッサンの許へ飛んで行った。

これで少しはイッセーが戦いやすくなればいいけどな。

オッサンの敗因は言わないでおくか、油断したまま負けろ焼き鳥野郎。

 

 

 

パーティ会場を出るとやはりドン引きされているじゃないですかーやだー。

てっきり逆上して俺に掛かってくるのかと思ったけどそうでないならいいや。

するとサーゼクスさんが拍手しながら俺を出迎えてくれた。

 

「凄まじい戦いだったね。さて、せっかく勝ったのだから褒美を与えよう」

 

え、マジで?

周りの悪魔がざわついて一部の悪魔が「人間などに褒美を!?」と反対していた。

俺的に無事に帰れれば御の字くらいの事したと思っただがなー。

じゃあ叶えてもらおうかな、俺の我が侭を。

 

「何が欲しいのかな? 巨額のお金かな? それとも絶世の美女かい?」

『レーティングゲームのやり直しを希望します』

「ほぅ、この場でそれを言うのかい?」

『はい、イッセーとライザーの一騎打ちをゲームの再戦として希望します』

「ほぅ…ライザー君、ドラゴン使い君もどうかな?」

 

俺が希望を伝えると周りがさらに騒がしくなる。

おい、何を考えているんだ人間とか言った奴は俺の前で言えや。

(#´・ω・`)

あまりうるさいので覆面を取り出して睨んだら周りが黙った。

サーゼクスさんがイッセーとライザーに意見を求めた。

 

「えぇ、いいでしょう。私がまた勝てば問題はありませんですし」

「その方が手っ取り早いから俺もやります!」

「ちょ、イッセー!?」

「なら、話は纏まったね」

 

リアスの心配を他所にイッセーとライザーは二つ返事で認めた。

本当なら俺がリアスを奪還してもいいけど、イッセーの手で取り返した方がいいだろう。

男ならリベンジで勝ってから奪い返してこい!

勝てる確証があるのかって?

そんなの戦ってみないとわからないし、俺の後輩は同じ敵に二度負ける奴じゃない。

 

『イッセー、俺が言いたい事はわかるな?』

「はい、必ず勝ってきます!」

『なら良し、ほら交代だ』

「はいっ!」

 

俺とイッセーは思いきりハイタッチを交わして選手交代した。

イッセーの目を見た俺は安心した、俺の特訓をやり通した時よりも目が輝いてる。

心配するのが野暮なくらいだ。

見せて貰うぜ、ドラゴンの本当の力を!

そしてリアスと一緒に俺達の許へ帰って来い!!

 

 




『スーパータイラントの力はどうだった?』
『怖いくらいの力だけど暴走しなくてよかったわ…』
『宿主が鍛えられている証拠だよ!』
『因みに最初の時にスーパー化したら?』
『目につくもの全て壊したり殺すくらいかな♪』
『(; ゚Д゚)』

閲覧ありがとうございました!
少し空けてしまって申し訳ないです…。
色々書いてたら時間かけ過ぎてしまいました、そして新しいクリーチャーは次回になります←
ヒントとして「ある意味主人公」とだけ教えておきます←
次回も少し早めに更新できるように頑張ります!

それでは、また!


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第17話

あ、どうも。

先程までオッサン…確かブラッドだっけ? を蹂躙した剛です。

とりあえずこれでレーティングゲームをやり直した。

イッセー対ライザーの一騎打ちで再戦する形にな。

選手交代した俺は何をしているかと言うと…。

 

「全く貴方は色々とやらかしてくれましたね…って聞いているんですか?」

『暴れたら腹減った…食べていい?(´・ω・`)』

「まだ駄目です」

『(´;ω;`)』

「泣いても駄目です」

 

会場の隅っこで支取に怒られています。

リアスを救いに来たんだからいいだろー?(・3・)

あっはい。すいません黙ります。

(´・ω・`)

 

「相手は焼夷の不死鳥と呼ばれたブラッド・フェニックス…殺されたかもしれないんですよ?」

『オッサンが一人ではしゃいで俺を指名したから悪い。しかもみんなを侮辱した』

「あの発言は…確かに聞いていていいものではなかったけど」

『俺を愚弄なら勝手にすればいい。けど俺の仲間を愚弄した奴には一切容赦しない。全力で蹂躙する』

「…っ!?」

 

一瞬だけイラッとしてしまった俺の雰囲気を初めて間近で見た支取は少し怯えた。

全く、まだ気が晴れていないのか…イラついている時の俺はあまり見せたくない。

何度か深呼吸して落ち着かせて雰囲気を変える。

そして頭を下げる、怯えさせたのだから当然だ。

 

『…悪い』

「い、いえ…こちらこそ煩く言ってごめんなさい」

『いいのよ。心配してくれるのは嬉しいし、ありがたいよ』

「でも…」

 

支取が何か言おうとしたが俺の腹が鳴った。

神器使って暴れると本当に腹が減る…もう我慢できなぁい。

唖然としている支取に俺はボードを書いて見せた。

 

『本当に腹減ったから食べていい?(´・ω・`)』

「…ふふ。そんな事言われたら私が意地悪しているみたいじゃないですか」

『そこまで言わんよ。とりあえず何の料理があるか教えてくれ』

「引き止めてしまったお詫びに取ってきますよ」

『ありがたやありがたや(-人-)』

 

 

 

私が料理を取って渡すと、彼はとても美味しそうに食べていた。

初めて会った時から彼はこんな感じだった。

2年前、私とリアスが町の不良に絡まれていたのを助けてくれた時も。

自分よりも他人の為に動いていた、その後も不良達に目をつけられて大喧嘩までしたらしい。

何故そこまでするのかと問うと、彼はこう言った。

 

『不良とか関係ない、同級生として助けたいじゃダメか?』

 

生徒会室の時と同じ事を躊躇わずに言っていた。

だからわかっていた。

リアスの為ならどんな悪魔にも真っ向から歯向かう程の覚悟があると。

それでも引き止めようとしたのは…。

 

「うふふ、彼はどうでしたか?」

「相変わらずの頑固者でした。本来なら悪魔との諍いに巻き込みたくなかったのですが」

「でもこうして部長の為に動いていますもの、彼は後悔しませんわ」

「わかっています…当の本人がアレですもの」

 

姫島朱乃の言葉に私も納得しながら彼を見た。

大勢の悪魔の中、平気な顔をして料理を食べている。

普通ならばすぐに逃げていてもおかしくはない。

彼なら例え、赤龍帝の兵藤君が負けてもリアスを連れて逃げるだろう。

しかし彼は…。

 

「本気で兵藤君がライザー・フェニックスに勝つと信じているんですね」

「えぇ、イッセー君は剛君と本気で殴り合って鍛えられたんですもの」

 

 

 

飯を食い終わると同時にイッセーとライザーの試合が始まろうとしていた。

とりあえず10人前くらい食べた記憶がある。

デザートは…帰ったら冷蔵庫にあるアイスでも食べよ。

ジョッキに入れたオレンジジュースを片手に試合を見させてもらう。

 

画面から見えるのは相対する二人の姿。

って10秒でライザーを倒すとか大きく出たなイッセーw

あ、ロビー君。俺がブラッドを倒した時のタイムは?

 

『大体10分ぐらいかな?』

 

そのくらいか、あの魔法を避けていた時間が長かったからな。

ライザーは魔法特化ではないから接近戦も通じているだろうしバランスタイプか?

そう考えると短期決戦が望ましいとこだな。

長期戦で体力削られた結果が前のゲームだからな。

 

「オーバーブーストぉぉぉ!!」

『Welsh Dragon Over-Booster!』

「禁手・赤龍帝の鎧!!」

 

掛け声と共にブースデッド・ギアの水晶が光ると瞬く間にイッセーが赤い鎧に身を包んだ。

え、何あれ…すっげぇカッコいいんだけどぉぉぉぉぉ!!

篭手があるんだから鎧があってもおかしくはないわな!

やべぇ、スーパータイラントと同じくらい度肝抜かれたんだけど!?

 

『宿主、あの子とんでもない事したよ…』

『はっ?』

 

イッセーが見た事もない力を発揮してライザーと渡り合っている。

その中、ロビー君の呟きに俺は反応した。

とんでもない事?

禁手って所謂パワーアップだろう?…それがどうした?

 

『確かに禁手は神器の力を高め、ある領域に至った者が発揮する力の形。

 でも、そんなのすぐには出来ないんだよ?』

『…何かを代償にしたって事か?』

『僕の見解が正しければあの子は…』

 

周囲がどよめき出した、10秒経った後イッセーの鎧が解除されてしまったのだ。

そして左手に何かを持っていた…銀の十字架!?

悪魔があんなの持ったらどうなる事くらい…おい、まさか?

左腕を代償に禁手しやがったのか!!

 

『左腕がドラゴンになっているよ』

『…俺よりも無茶をしているじゃねぇか!?』

 

しかし既に禁手が解かれていてライザーが止めを刺そうとした瞬間、イッセーは懐から何かを取り出した。

あれは聖水!?

皆には危険だからと俺が預かっていたが、ここへ突入する前イッセーに渡した物だ。

けどあれがライザーみたいな上級悪魔に効くのか?

 

『宿主、赤龍帝の力を思い出してみて』

『倍加…譲渡…!?』

 

そういう事かと分かった瞬間に、倍加された聖水がライザーの顔に掛かる。

なるほど、あれならダメージはデカいし精神的にダメージも来る!

さらに十字架と聖水を付けた左手で倍加させる…これはとんでもない一撃だ。

もう勝利が確定したと思った俺はジョッキのジュースを一気に飲み干して立ち上がる。

その瞬間に、勝敗が決まった。

 

 

 

 

 

 

歩いて外の庭まで出るとイッセーがグリフォンを召喚していた。

サーゼクスさん、いざとなった時の脱出経路まで用意してあるとは流石だなぁ。

とりあえずイッセーにはリアスを送り届ける役目をさせておこうw

兵士なんだからそのくらいやっとけ( ・∀・)ニヤニヤ

 

「剛、本当にありがとう」

『困ってた友達を助けた、それだけだ』

「あの時と同じ事言うのね」

『お礼したいならケーキバイキング全員分奢りでいい。支取も含めてな』

「ふふ、勿論そうさせてもらうわ」

『イッセー、ちゃんと送り届けろよ』

「任せてくれ、先輩!」

 

イッセーとリアスを乗せたグリフォンが飛び立つのを見送る。

無事に目的達成したし後は帰るかぁ。

帰ってアイスを食べよう…と思っていたけど。

まだ、俺に用事がありそうなお客さんがいるんだよな。

 

「見つけたぞ! 貴様、よくもブラッド様を!」

「テメェのせいで主も家名もボロボロだ。どうしてくれんだ、おい!」

「当然、死んで償ってもらうからな」

 

白銀の甲冑を纏った騎士みたいな若い男、

全身に傷があり、鋼のような巨躯の男、

そして魔術師みたいな壮年の男と3人がいた。

確かこいつらはブラッドの眷属か。

 

『あれはサーゼクスさんの余興での中だ、文句はあの人に言うべきでは?』

「黙れ! 貴様だけは殺して汚名を返上する!」

『ブラッドの命令か?』

「あの方はまだ目を覚ましていねぇ、だからテメェの首を手土産にするんだよ!」

『じゃあお前達の独断だな?』

「貴様には関係ない…死ぬがいい!」

 

魔術師がそう言うと俺の足元に魔法陣が浮かんできた。

咄嗟に近くにいた支取を突き飛ばして魔法陣から出した瞬間、

地面からから炎が噴き出して俺はそのまま包まれた。

 

 

 

「門星君!?」

 

聞こえるのは支取の叫び声…無事なら良かったわ。

 

「あらあら、また彼を焼くなんて芸が無いですわね」

「先輩の怖さを先程の試合でもわからないなんて…」

「…ちょっと軽率すぎます」

 

さすがに皆はわかっているのね。

こういう俺を信じてくれる仲間がいるって本当にいいな。

孤独しかなかったガキの頃とは比べ物にならないほど幸せだ。

信じあえる友達がいる…俺が憧れた普通の生活。

それをいきなりぶっ壊そうとするとはなぁ。

 

『タイラントはスーパー化の影響で疲労しているから休ませないと駄目だよ?』

 

…あいつは?

 

『彼の力は強すぎるよ? 下手したら暴走するよ?』

 

なら、ミショナリーと処刑マジニに手伝わせる!

お前らも暴れたいんだろ?

俺の体力を全部使ってでもあいつの制御をするから付き合え!!

 

『………(ペコリッ)』

『ぅ゛ぅ゛っ!』

『あははは、さすが宿主だ! なら先のステップへ行こう♪』

 

 

 

「ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛っ!!」

「馬鹿な!? ブラッド様程ではないがあの炎を消しただと!?」

 

咄嗟に処刑マジニへと変身してた俺は斧を高速で振り回して炎を掻き消した。

向こうが驚いているが無視して左手で顔を触れると覆面が外れて人間に戻る。

そして右手にミショナリーの覆面を出す。

あいつを制御する方法…こうするんだ!

2枚の覆面を上に投げて両手を思いきり叩くと覆面は融合していく。

 

「覆面が…」

「融合した!?」

「何か出てきます」

 

これには朱乃達も想像していなかったのか驚いている。

当たり前だ、俺だって驚いているんだから。

ぶっつけ本番で上手くいくとは思っていなかった。

力を貸してくれるんだな、あいつ。

 

出てきたのは四角い金属製の箱、金庫だ。

真下にいる俺を目掛けて落ちてくる。

これをどうするって?

そんな決まっている…被るんだよぉぉぉっ!!

 

両手で金庫を受け止めてそのまま被る。

俺の姿は変わる…まるで精肉工場にいるようなエプロン姿と手袋、そして頭には金庫。

左手には棘が付いた巨大な金属製のピッケルハンマー。

そして腰には血塗れで棘が突き出ているズタ袋。

 

「な、また変身した!?」

「見かけ倒しだ、行くぞ!」

 

甲冑の男と大男が剣と棍棒を取り出して襲い掛かってくる。

恐らく、ナイトとルークだろう。

スピードとパワーで攻めるつもれなのだろうが、無駄だ。

こいつの名前は【ザ・キーパー】

見た目は怪力そうだろう? けどこいつはな…。

 

『………』

「な、速…ぐぁぁぁっ!?」

 

処刑マジニとほぼ同じパワーがありながらミショナリー並みのスピードを持っているんだよ!

甲冑の男の剣を避けながら腹に思い切りハンマーを打ちつける。

ふっ飛ばされた奴はそのまま噴水に直撃して気を失った。

うわ、高そうな甲冑がぼっこぼこに凹んでる。

堀井さんが見たら泣くだろうなこれ。

 

「その金庫頭を砕いてやらぁぁぁっ!!」

 

さて、次は大男か。

デカい棍棒で俺の頭を予告して攻撃とかするアホだろうか?

そんなのハンマーで棍棒を弾いて、無効化にする。

ところで、ブラックジャックって武器を知っているか?

布袋に小石とかを詰めて殴る武器だ。

こいつは棍棒と違って、ある程度の柔軟性を持ちながら衝撃が体内に浸透し、外傷が残りにくい。

 

だから、使い方は簡単。

思いきり振って相手を叩きのめせばいいだけだ!

袋を一気に振り回して大男の頭部に叩き付ける!

スパーンッと気持ちいい音と何かが刺さる音がした。

 

「ぶぅえ!?」

 

まぁ、棘があるから中も外も痛いんですけどねぇ(ゲス顔)

本当にこの袋は何が詰まっているんだ…見たいけど怖い!

大男も一撃で仕留めたらあと残ってるのは魔術師のオッサンか。

俺は背負っている金属製の箱から円盤を取り出して投げる。

魔術師に目掛けたが外れてしまい奴の斜め後ろへと落ちた。

 

「爆弾…ではなさそうだな。ここは退いた方が…ひぃっ!?」

 

おっと逃がさねぇぞ?

大地を思いきり踏みしめて走ると中々速いスピードで動ける。

想像してみろ、デカい奴が想像以上のスピードで走ってきたらどうする?

後ろへ逃げようとするよな…そこにあるものを忘れてな。

 

「な、何だこれは!?」

 

奴が踏んだのは円形の金属板…そこから有刺鉄線が伸びて脚にギチギチに絡みつく。

ザ・キーパーはこういった有刺鉄線トラップも扱えるほど器用な奴だ。

因みに鍛冶も出来るから処刑マジニの斧とかはこいつが直しているらしい。

裏側では色々と世話になっていたとは…。

 

魔術師は恐怖心と焦りで何も出来ずに怯えていた。

安心しろ、別に処刑も蹂躙もしねぇよ。

喧嘩もやりすぎたらまたグレイフィアさんに怒られちまう。

話はあの2人より通じそうだからな、ボードで会話しよう。

 

『2度と俺達に手を出すな。次は…てめぇの主と同じように蹂躙する』

「わ、わかった…! もうお前達には関わらないから助けてくれぇぇぇ!」

『賢明だな、主人に恥を掻かすなよ…あと1発は1発だ』

「え?…ぎゃばぁ!?」

 

手を出さないように念を押してからハンマーを真上に振って奴の顎を捉えた。

すると有刺鉄線が千切れてそのまま真上へ吹っ飛ばした。

1回俺を燃やしたのだ、これでお相子だ。

ダメージ量が違う?

 知 ら ん な ぁ ( ^ 言 ^ )

 

 

 

『ごめーん、待ったぁ?☆』

「先輩、あの戦いの後にそれはおかしいです」

「あはは、それにしても恐ろしい強さでしたね」

『ザ・キーパーか? ぶっちゃけ2体分の力だから滅茶苦茶疲れ…た』

 

キャピキャピした感じで行ったら小猫にツッコまれた…。

苦笑いしてた祐斗もザ・キーパーの強さには驚いたようだな。

しかし今日はやばい。

タイラントのスーパー化と2体分の体力を消費するザ・キーパーの使用で体が疲れたどころではない。

ふらっとした瞬間に朱乃と支取が俺を支えてくれた。

 

「あらあら…」

「もう今日は帰りましょう…門星君を休ませないと」

『すまんのぅ(´・ω・`)』

「大丈夫ですわ、剛君はゆっくり休んでください」

 

朱乃にそう言われた瞬間に俺は安心したのかそのまま眠くなり意識が途絶えた。

これでリアスの騒動はようやく終えた…。

イッセーは自らをドラゴンとの契約で代償として差し出した。

俺も神器が進化していくとどうなるのか…不安がないと言えば嘘になる。

でも、これがあるから今の皆と戦えるという満足感が俺の不安を塗りつぶしていた。

 

 

皆を守る為なら、俺はいくらでも戦う。

ようやく手に出来た俺の居場所…手放したくない。

もしそれを壊す奴が出てくるのであれば、俺は化物に身を変える事は厭わないだろう。

俺はもうこれ以上…何も失いたくない。

 

 

 

【戦闘校舎のフェニックス編 完】




『ということでザ・キーパー、よろしくな』
『…(コクッ)』
『本当に金庫なんだな(゚Д゚;)』
『ちゃんと見えるし聞こえるから問題ないでしょ?』
『まぁ…な。ところで金庫の中身は何なんだ?』
『中身は見ない方が…』
『…(パカッ)』
『ぎゃぁぁぁぁぁぁ!? Σ(゚Д゚lll)』


閲覧ありがとうございます。

1か月もお待たせして申し訳ないです…これでようやく第2巻終わりました。
次回はまた日常編をしてから第3巻へ突入します。
皆様の応援やクリーチャー希望が次の話を書く気力になります!
これからもよろしくお願いします!
え、第3巻の被害者?…誰でしょうね?←

そして今回出したクリーチャーはPSYCHOBREAKに出てくるボス「ザ・キーパー」です。
まさかのDLCで主人公になった異色のクリーチャーです。


それでは、また。


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第18話

 

【更生】

 

 

よぉ、門星だ…悪いな今日は少し機嫌が悪い。

別に神器を使うような事態でも処刑や蹂躙する訳でもない。

いや、もしかしたらするかもしれん。

目の前の正座している馬鹿3人組をどうするか考えているんだからよぉ…。

(#^ω^)ビキビキ

 

『てめぇら、何でここに正座させられているかわかっているか?』

「わかりますけど剛先輩! 膝の上に置いてある重石は何ですか!?」

「重いし痛ぇぇぇぇ!」

「地面の上だから石が脚に食い込むぅぅぅ!?」

 

馬鹿3人組を地面に正座させて膝の上に重石を乗せた。

イッセーはツッコむ元気がありそうだし…もう少し追加しておこう。

あ、そんな叫び声上げるなよ。

まるでぼくがいじめているみたいじゃないかー(棒読み)

 

『何で正座させられて重石載せられているかわかるか? わからないなら追加するぞ?』

「はい、女子生徒の更衣室覗いていました!」

「はい、教室で秘蔵のコレクション広げていました!」

「はい、1年生の3サイズを見抜いてノートに纏めていました!」

『バッカモォォォン!(#゚Д゚)ゴルァ!!』

「あっ!」

「べっ!」

「しっ!」

 

それぞれの悪行を白状させて一人一人に拳骨を入れる。

暴力? いいえ、愛の鞭です。

生徒会の会長であるソーナから許可は貰っている。

え、何で名前呼びか? あの騒動の後、名前で呼んで欲しいと言われたんだよ。

それを聞いた匙からすげぇ血眼で何があったんだと問い詰めたられたわ…。

説明したら納得してくれる辺り良い奴だわ。

さてと、そんな事より…。

 

『次やったら本気で怒るって言ったよなぁ? だからその腐った根性を叩き直してやる!!

 ゴラァァァァァ!!!!! ヽ(#゚Д゚)ノ ゴラアァァァァ!!!!!』

「やべぇ!? 先輩が鬼教官モードになってる!?」

「知ってるのか、イッセー!?」

「とりあえず前後に『サー』をつけて素直に従うんだ!」

「どこの軍曹だよ…!?」

 

俺は大きいボードを取り出して書いて3人に提示した。

門星と生徒会全員で考えた制裁メニューだ、終わらせるまで帰さん!

リアスには特訓と称して許可を得たから夜までには終わらせんとな。

まぁ、こいつら次第だな。

 

「制裁用の特別鍛錬メニュー!?」

「え、球技大会用のグラウンド整備ぃぃぃ!?」

「新校舎の窓拭きを全部…だと?」

『わかったら返事しろぉ!!(#゚Д゚)』

「「「Sir,Yes Sir!」」」

『ふざけるな! 大声だせ! タマ落としたか!』

「「「Sir,Yes Sir!!」」」

『生徒会の面子が監視しているからサボったら全力でタイキックだからな!!』

「「「Sir,Yes Sir!!」」」

 

それぞれの重石を退かしてから生徒会の皆に松田と元浜を任せておく。

イッセーはその場で早朝トレーニングの筋トレをしようとしたが俺はそれを止めた。

ふと気になった事がある。

 

『何となく、あの二人に合わせていないか?』

「え、何の事ですか?」

『悪魔になった事で人間と友達付き合いが続けられないのを不安になっているんじゃねぇかって事だよ』

 

俺の指摘にイッセーはハッとした顔になる。

何でわかったって?

ぼっち歴は俺の方がはるかに長いんだぞ?

人との付き合い方を合わせてしまう雰囲気が何となくわかるんだよ。

昔の俺を見ているようだわ。

 

『悪魔だとはバラせない…けどお前らはそんな簡単に切れる縁か?』

「いや…松田も元浜も俺と同じ馬鹿でエロいけどいい奴なんだ。簡単に切れやしない」

『ならそれでいいんじゃねぇか、お前が不安になる心配はないだろ。

 何かあればあいつらはガンガン言える仲だろ?』

「…はい」

『そしたらまた馬鹿みたいに騒げばいいんだよ、そう言う奴らがいるのは羨ましい事だ』

「剛先輩…」

『さて、制裁メニューはしてもらうぞ? 俺とガチスパーリングだ…覚悟は良いな?』

「…あぁ! 今度こそ先輩からKO勝ち狙うぜ!!」

『やってみろ、ひよっこ!』

 

さて、合宿以来のガチスパーリング…少しは成長したかな?

 

 

 

「終わり…」

「ました…」

『はい、お疲れさん。ちゃんとサボらずに出来たようだな』

「うわ、イッセーが死んでる!?」

「何があったし…」

 

二人が終わって戻る頃にはイッセーとのスパーリングも終わった。

結果としては生身での戦いはまだまだ負けねぇよ?

最後は奴の渾身の拳に合わせて左のカウンターで沈めた。

にしても俺の攻撃も避けられるようになってるし拳のキレが上がってるしで成長してるな。

先輩として嬉しいよ、うん。

 

とりあえず二人に帰りの支度をするように言って先に行かせよう。

イッセーはオカ研の部室のソファに寝かしておけばリアス達がどうにかしてくれるだろう。

やべぇ、またアーシアに怒られそう(;゚Д゚)

聖女様に怒られるとか俺のヘタレ精神にダイレクトアタックなんですけど。

 

イッセーを部室へ運んで軽く手当してから寝かしておく。

丁度アーシアが来たから治癒をお願いしておいた。

流れるように言って帰れば何事も無い筈…え、何?

何でこんなボロボロなんだ? またやりすぎたのかって?

HAHAHA! そんな事………すいません、涙目で怒らないでください(最敬礼)

 

 

 

帰りに松田と元浜を連れて俺のお勧めのラーメン屋に連れて行った。

無論、2人とも頑張ったから俺の奢りだよ。

後でイッセーも連れて行かないとな。

ここのラーメンは美味いぞ~。

 

「え、何でもいいんですか!?」

『おぅ、好きなだけ喰え』

「さすが先輩! そこに痺れる憧れる!」

『全く調子いいな…ほら、メニューから選べ』

 

こうやって接してると本当にこいつらは悪い奴らじゃないんだよなぁ。

エロい事さえしなければ変わってくると思うんだけど…禁止とか抑えつけは逆効果か?

どうにかならんかな?

 

『宿主、宿主! いい方法があるよ~』

『何だ? 俺が変身して脅すのは駄目だぞ?』

『そんな事しないよ~! まずねぇ………という事だけど』

『…大丈夫かそれ?』

『うん、平気だよ…多分♪』

『多分!? 今多分って言ったよ、この血塗れウサギ!?』

『大丈夫大丈夫~ロビーを信じて~♪』

 

という事でロビー君の発案に乗る事にしたけどすげぇ不安。

でも打開策が無い以上やるしかないかな…。

先に言っておこう、すまない二人とも。

俺の神器の実験台となってくれ←

餃子も付けていいから…。

。・゚・(ノД`)・゚・。

 

『お前らに良い物を渡そう』

「え、何ですか?」

「これは…アイマスク?」

『良い夢が見られるアイマスクだ』

 

俺は鞄から出す振りをしてアイマスクを具現させて二人に渡す。

ん? 今奥の席にいる銀髪のイケメンと目が合ったような…気のせいか。

俺が渡したのは普通の黒いアイマスク…小さくMoC(モンスター・オブ・クリーチャー)ってロゴが入ってる。

どうやら変身能力はないらしく、これをつけて寝る事で発動するとの事。

その効果とは…。

 

 

 

 

 

 

「ぎゃあぁぁぁ!?」

「許してぇぇぇ!!」

『あ、宿主来たね』

『…なぁにこれぇ(;´゚д゚`)』

 

深夜、いつも通り遊園地で修行しようとしたら松田と元浜がいた。

その後ろにはナース達が二人を追いかけてる。

どういう状況なんだとロビー君に聞いてみた。

とりあえず簡単にまとめると、

 

①あのアイマスクは遊園地への招待券みたいな物(寝ると強制的に連れてかれる)

 

②松田と元浜はアイマスクしたままナースの耳かきやマッサージを提供してもらっていた。

 

③エロ欲を出した二人はアイマスクを外してナースの姿を見て絶叫しながら逃走。

 

④真面目な性格のナース達は仕事を全うしようと増援を呼んで追いかけっこ開始。

 

⑤現在に至る。

 

優しいナース達に甘えさせて少しでもエロ欲を抑えさせる作戦だったんだがな。

さすがにトラウマ植え付けちまったかな?

とりあえず止めに行くか…おーい、ナース達全員ストップー!

もう大丈夫だから戻っていいぞー。お疲れ様ー!

 

『松田、元浜、大丈夫か?』

「か、門星…」

「先輩…?」

『大丈夫か、怖かったろ?』

 

ナース達が引き上げていくのを見ると二人はその場で腰を落とした。

俺は二人の前に立って大丈夫か聞きに行くと俺の足元に縋り付いた。

うわ、涙と鼻水がズボンにかかる!?

まぁ現実世界に影響はないけど気分的にちょっと嫌だわ。

とりあえず屈んで二人を慰めるべきか。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」

「もうエロい事はやりませんから許してくださいぃぃぃ!」

『あー…( ̄Д ̄ ;)』

 

ちらっと物陰に隠れているロビー君達を見るとそのまま説教に入れと合図している。

処刑マジニ、こいつらは処刑しないから斧を仕舞いなさい。

ザ・キーパー、もし娘さん(美人で病院の受付をしている)が口説かれてたら俺が出てた? こいつらが死ぬからダメ。

本当は俺が悪いだろうけどここは最大のチャンスかな。

 

『性欲は誰にでもあるし興味を持つのは悪い事じゃない。でもTPOを弁えないとだよな?』

「はい、もう学校では覗きもセクハラとかエロい事しません!」

「心を入れ替えて真面目に学業やって役に立てる人間になります!」

『本当にそれを約束出来るか?』

「「はいっ!」」

『じゃあ明日から頑張れ、今はゆっくり休みな』

 

両手を二人の前に差し出して指を鳴らすと二人は遊園地から姿を消した。

これで意識が途絶えて朝までぐっすりの筈だ。

何か色々ありすぎて疲れたわ…けど折角来たんだ。

処刑マジニ、覆面になれ。ザ・キーパーは俺と遊べ。

 

 

 

 

 

 

朝、いつも通り登校するとやけに学校が騒がしい。

何があったと思いきや原因が分かった。

あの二人が真面目に勉強を始めているのだ。

これにはイッセーも唖然としていた。

 

「先輩、一体何をしたんですか? 洗脳?」

『出来る訳ねぇだろ(;゚Д゚)』

「おい、イッセー! お前も勉強しようぜ!」

「まずは成績上げて今までの汚名を返上しようぜ!」

「お、おぅ…」

 

二人の熱意に押されたイッセーは渋々自主勉強を始めた。

更生には成功した…でいいのか?

まぁ、これでこいつらの評価が上がればいずれ彼女もできるだろ。

ん? ソーナとリアス…どうした?

え、洗脳魔法は冥界でも違法?

だから出来ねぇって言ってんだろうが!

(#゚Д゚) プンスコ!

 

 

 

 

 

 

【出会い】

 

 

「部長って剛先輩とクラスメイトなんですよね?」

「えぇ、三年間も一緒のクラスだったわね」

「初めて剛先輩と会った時ってどうでした?」

「剛と出会った時?」

 

ふとイッセーから訊かれた質問に対して私は思い返してみた。

彼、門星 剛との初めて会った時の事。

今では私達の協力者として積極的に動いてくれる頼もしい味方。

でも当時は流石に少し警戒したわ。

あの風貌で内面も知らなかったからというのもあった。

 

 

 

駒王学園に入学して間もない頃だった。

私はグレモリーの次期当主として学園はもちろん周辺の事をしっかり把握しようと色々歩いていた。

その時はたまたまソーナも一緒に来てくれて視察がてら買い物もしていた。

少し裏道を使って近道をしようとしたら隣町の不良高校の学生に絡まれてしまった。

 

「おい、姉ちゃん達美人だな。俺らと遊ばねぇ?」

「赤髪の方はおっぱいでけぇ!」

「黒髪の方が俺の好みだなw」

「やべぇ、養豚所の豚を見る様な目とか…///」

 

染めた金髪やピアス、如何にもな感じの不良達に私とソーナはどうしようか少し悩む。

さすがに人間相手に悪魔が本気出すのは問題だ。

お兄様やソーナの姉にこの事が知られれば…色々と危ないわ。

何か一人だけ明らかに被虐嗜好の人がいるけど無視した方が良さそうね。

魔法で眠らせようとしたその時だった…彼が現われた。

 

「あぁん? 何だテメェ?」

「ザッケンナオラー!」

「スッゾオラー!」

「やべぇ、殴られたら痛そう…///」

 

目の前に立っていたのは真新しい駒王学園の制服…サイズは明らかに特注の大きさ。

手には学校指定の鞄とホワイトボード。

顔には包帯が巻かれている巨漢…クラスで後ろの席で静かに座っていた剛だった。

彼は不良達の前に立ち塞がりながら書かれたボードを後ろの私たちに見せた。

 

『ここは俺に任せて、すぐに逃げて m9(・∀・)』

 

それを見た私達は急いで引き返して逃げたわ。

 

「あ、逃げられた!?」

「テメッコラー!」

「ナンコラー!」

「やべぇ、興奮してきた…///」

 

急がないと彼が大変な事になってしまう。

すぐに交番へ駆けつけた私達は警察官と一緒に路地裏へ戻ると彼はいなかった。

そこにいたのは顔面を殴られて気絶している不良が三人と顔面にビンタされて悶えていた不良だけだった。

そして落ちていたのは…新作メロンパン発売のチラシだった。

 

 

 

「うわー…やっぱり先輩強かったんですね」

「翌日には買ったメロンパンを食べていたわ」

「ところであの不良の中にドが付くMがいたような…」

「気にしなくていいわ」

「アッハイ」

「本当は続きがあるんだけどまた後でね」

「あ、もう部活の時間ですね」

『お疲れ様ー。メロンパンうめぇw(^q^Ξ^p^)』

 

イッセーがそう言った瞬間に剛がメロンパンを食べながら入ってきた。

パン屑を部室に落とさないようにしなさいよ?

みんなの分も買ってあるらしくて私も思わず食べてしまった。

うん、美味しいわ。

最近剛のお菓子を食べる機会が増えたから…色々と気をつけないと(戒め)

 

 




『何であのドMにはビンタなの?』
『…殴ってくれなければ通さないとかしつこかったから』
『殴ればよかったのに』
『何となく嫌だった(;-ω-)』
『………(ビシッ)』
『次はタイラントがビンタするってw』
『首が吹っ飛んじゃうから駄目(;-ω-)』



閲覧ありがとうございます。


次回から第3巻へ突入します。
次の被害者は既に決まっています(ゲス顔)
聖剣問題に剛がどう絡んで動くのか?
新たなクリーチャーも出しますのでご期待ください←


それでは、また。


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第19話

 

ドーモ、皆=サン。カドホシゴウです。

今日の部活はイッセーの家で行うと部長の提案によりイッセーの家へお邪魔…するはずだったんだけど。

グレイフィアさんから呼ばれたので俺は家へ帰る事にした。

どの道、悪魔の契約に関しての事らしいから俺は行く意味が無い。

 

イッセーはなかなか契約が取れないみたいだ。

ミルたんはイッセーをすごく褒めていたけどな…まぁ願いが願いだからな。

人間である俺からしてみれば頑張れとしか言えない。

ガン( ゚д゚)バレ

 

さて、今日は買い物しないでまっすぐ帰った。

転移魔法ばっかで楽をするのは少し気が引けるから早く帰れる時は徒歩で帰る。

アパートへ帰って鍵を…空いてる?

グレイフィアさん、もう来たのか…待たしてしまったな。

 

『ただいま帰りましたー』

「あぁ、おかえり。勝手にお邪魔してて申し訳ない」

 

扉を開けたら高級そうなスーツを着たサーゼクスさんがいました。

とりあえず、閉める。

表札を確認、「門星」…うん、俺の名前だ。

魔王城(人間界・駒王町支部)とか書いてないよな?

もう一度開ける。

 

『ここは冥界で魔王城ですか?』

「ここは人間界で君が借りてるアパートだよ」

『ですよねぇ…何でサーゼクスさんがここに!?

 すいません、すぐお茶を煎れます!(゚Д゚;)』

「いやお構いなく、君と話がしたくて来たんだ」

『話…ですか?』

 

話とは何だろうか?

まさかこの前のパーティーぶち壊した時のか?

そんな魔王様が出張るような事はして…。

 

・突入する際に護衛していた悪魔の大半をボッコボコ

・フェニックス公爵の弟であるブラッドを蹂躙

・パーティー内の料理を勝手に飲食(10人前くらい食った)

・喧嘩仕掛けたブラッドの眷属を半殺し(噴水もぶっ壊した)

 

あれれー? 結構やってるぞー?

どうしよう、慰謝料とか修理費とか請求される流れか!?

俺そんな金も財産もねぇよ…(゚д゚lll)

内臓売れとか魂よこせとか言われたらどうしよう…。

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

「えーと…何か顔が青いけど大丈夫かな?」

『内臓や魂は勘弁して下さい(´;ω;`)』

「…えっ?」

『えっ?』

 

 

 

「ハハハ…その件はもう大丈夫だよ」

『すいません…(-Д-;)』

 

ゴレムス達(フィギュアサイズ)がお茶を煎れてくれたので少し落ち着いた。

さっき俺が考えていたことを恐る恐る訊いてみたらどうやら違うらしい。

恥ずかしい真似をした…(;´Д`)

それで本題は何なのだろうか?

 

「実は君に頼みたい事があるんだ」

『頼み…ですか?』

 

冥界で権限を強く持っておられる魔王様が只の人間である俺に頼み?

因みにこれは謙遜でも何でもない。

調子乗ったら間違いなく死ぬからな…どこぞの不死鳥みたいな事になる。

名前言ってないから侮辱にも名誉棄損にもならないよね?

 

「その前に、君は堕天使の組織については知っているかな?」

『はい、神の子を見張る者(グリゴリ)ですね』

「ならばコカビエルと言う名前も?」

『確かグリゴリの幹部でしたね』

「よく勉強しているね、その通りだよ」

『妹さんのご教授のおかげです』

 

俺がそう答えると少し嬉しそうにしているサーゼクスさん。

この魔王様、少しでもリアスの事を話すと上機嫌になるな。

良いお兄さんって感じですごい親しみ持てるわ。

そんな兄を持つリアスは幸せ者だな。

 

「では話が早い。実はそのコカビエルがこの町に潜んでいるという話があるんだ」

『…目的は何なんでしょうか?』

「それはまだわからないが、良い事ではないのは確かだね」

『俺は何をすれば?』

「剛君には少し調査を頼みたい…変わった事や人物がいたらすぐに知らせて欲しい」

『リアス達に、この話はしたんですか?』

「いや、彼女達に言えば事を大きくしてしまう可能性がある。

 だからこの事を内密にして欲しい」

 

ふーむ…確かにリアスにこれを言えば責任感を強く持つ彼女の事だ。

大きく場を動かしてしまう恐れはある。

相手は幹部クラスの堕天使…レイナーレ達とは訳が違う。

だから慎重に事を進めなければならない。

そうなると人間である俺が街をうろつく事には何も問題ない。

幸い独り暮らしで帰りが遅くても心配ない。

俺の事を知る堕天使はレイナーレ達しかいないしあいつらは既にこの世にはいない。

調査くらいなら問題ないだろう。

 

『わかりました。出来る範囲で協力致します』

「ありがとう。君には色々と借りを作ってしまって申し訳ない」

『いえ、俺は後見人のグレイフィアさんやクラスメイトのリアスには恩がありますので』

 

これは俺の本音だ。

そりゃあ普通に暮らしたい俺としては厄介事は遠慮したいけど、

二人には色々と恩があるから少しでも返せるなら出来る事はやりたい。

 

するとサーゼクスさんはスーツの内ポケットから何かを取り出して俺に渡した。

これは…魔法陣が描かれた小さなノート?

中身を見ても普通のノートだ…これは一体何ぞ?

 

サーゼクスさんが言うには、

何かを見つけたり気づいたらこのノートに書き込んでからノートを閉じる。

すると中の書き込んだ情報がサーゼクスさんの手元に届くようになるらしい。

謂わば自動送信機能付きの手紙になるってことか。

筆談する俺にピッタリなアイテムだなw

 

この後、サーゼクスさんは予定があるという事で帰って行った。

その間際に封筒を渡してくれたが何なんだろうか?

封筒にはグレイフィアさんには内緒だと書いてある。

開けてみたら茶色いおっさんが写っている紙がいっぱいあった。

 

………今日は特上寿司にしよう(^q^)

 

 

 

 

 

 

『祐斗が変…?』

「はい、最近心に非ずって感じで呆然としているんです」

『何か心当たりはないのか?』

「そういえば…イッセー先輩の家で部活した後でしたね」

『なるほど、イッセーは何か分かるか?』

「いや、その前に何で二人共そんな剛速球で投げ合いをしながら会話できるんですかねぇ…?」

 

イッセーがそうツッコミを入れた。

因みに俺と小猫が球技大会に向けてキャッチボールをしながら会話している。

そりゃあ、ちゃんと練習しないと勝てないだろが。

部活対抗戦はドッチボール…野球部とか手強いで?

因みに全クラス対抗戦はバスケだ、デカい俺は勿論スタメンだ。

 

イッセーが言うには幼い頃に幼馴染と撮った写真に聖剣が写っていたと。

聖剣…エクスカリバー、アロンダイトとか伝説上に語られる武器だよな。

因みに日本神話では十束剣や天叢雲剣とかが有名だな。

何で知ってるんだって?

こういうのは厨二もそうだけど男のロマンだろ!!

 

しかし何で祐斗と聖剣が関係するんだろうか?

悪魔と聖剣は確かに相性最悪だろうし…教会側と何かあったのか?

うーん、俺のオツムでは想像がつかない…おい、馬鹿とか言った奴は俺とガチスパーリングな。

俺が悩んでも仕方ない、機会があれば少しあいつと話をしてみるか。

 

『イッセー、お前も練習すんぞ』

「おぅ、部長が優勝目指しているって言ってたしやってやるぜ!」

「行きますよ、イッセー先輩」

「って小猫ちゃん最初から全力投球は…ぐわぁっ!?」

 

俺は祐斗の悩みはそこまで深刻ではないだろうと楽観視していた。

それがまさか、あんな事になろうとは誰も予想していなかっただろう。

 

 

 

 

 

 

あー、楽しかった球技大会が終わってしまったぁぁぁ!

えっ飛ばし過ぎ?(´・ω・`)

回想すると長いから簡単にね。

手抜きとか言った奴は例の遊園地にご招待だぞ?

(゚言゚)

 

 

・午前は全クラス対抗戦のバスケ。俺は身長と体格を活かして活躍しようと意気込む。

 

・俺だとデカいし強すぎると他クラスから苦情が殺到し、ソーナから申し訳なさそうに参加を自粛するように言われる。

 

・落ち込んでオカ研のみんなに慰められると生徒会の計らいでバスケ部エースとエキシビジョンマッチの1on1が行われた。

 

・僅か1点差で負けてしまったものの、みんなから称賛の拍手を送られる。(ここで少し感動して泣いたのは秘密)

 

・午後は部活対抗戦のドッチボール。俺はリザーバーとして旗振って応援。

 

・野球部との対決だったが案の定イッセーだけが狙われて草不可避www

 

・だが剛速球練習の成果か、上手く受け止めてカウンターを決めていく。

 

・しかし祐斗が試合中でもボーッとしてて危なかったがイッセーがすぐにフォローして事なきを得た。

 

・さすがに危ないので残りは俺が祐斗の代わりに出て優勝を果たした。

 

 

簡単にまとめ終えた瞬間、部室内に乾いた音が響く。

リアスが祐斗の頬を叩いた…その表情は明らかに怒っていた。

そりゃあ仕方ないと言えば仕方ない。

悪魔とはいえ試合中に集中力欠けば怪我をするし、これが戦闘やレイティングゲームだったら最悪死んでる。

 

張りつめた空気の中、俺は腕を組んで祐斗を見つめる。

この様子だと…祐斗は変わりないな。

俺はそっと部室を出て、そのまま旧校舎の外に出る。

あぁいう雰囲気は苦手なんだよな…口を挟むのも野暮だし。

空の空気を吸おうにも天候は見事に雨振りだ…悲しい感じがするよな。

 

すると祐斗が走って旧校舎から飛び出してきた。

放っておけない俺はそのまま走って追いかける。

ここで後輩を放って置く程、俺は冷たい人間じゃない。

くそ、やっぱり速いなこいつ…待て!

 

 

 

「ここまで僕を追うなんて…部長の命令ですか?」

 

廃倉庫前まで追いかけた所で祐斗は立ち止まって振り向く。

その目は以前のような優しい目ではなく何かに取りつかれたかのような虚ろな目。

俺も祐斗も傘を差さずに走ったからずぶ濡れだ。

でもそんな事は気にしていられない。

 

『俺の勝手だ。祐斗、お前は何を抱えている?』

「そんな事を聞いてどうするんですか?」

『問いに答えろ。聖剣に対して何を抱えているんだ?』

 

俺が問いかけながら歩み寄ろうとしたが出来なかった。

祐斗は魔剣を手にして俺に向けたからだ。

…これが何を意味しているのか、わかっているのか?

 

『これが答えか? 冗談でも笑えねぇぞ』

「先輩には関係ありませんよ。これ以上僕に関わらないで下さい」

『嫌だと言ったら?』

「…僕は先輩を斬りたくありません」

 

…はぁ、人間関係って難しいな。ぼっちの方が楽だったかもしれんな。

けどここで退くような奴じゃないってわからないのか?

俺は右手にタイラントの覆面を出すとそのまま顔に触れて変身する。

すると祐斗はもう一振りの魔剣を出して二刀流に構えた。

まさかお前と喧嘩するとはな…買うのは慣れているぞ?

 

「お゛お゛お゛お゛お゛っ!」

「はぁぁぁぁぁっ!」

 

降りしきる雨の中、金属グローブと剣がぶつかる音が響いた。

 




『宿主って何で運動できるのに部活しないの?』
『生徒会の手伝いやボランティアをやってるのもあるけど』
『けど?』
『スイーツ巡りがしたいからだ(`・ω・´)キリッ』
『女子じゃんwww』
『うるせぇ!(#゚Д゚)ゴラァッ!』
『ちょ、鉄パイプでケツバットは駄目…アーッ!』


閲覧ありがとうございます。


皆さんが空中戦や水中戦を考慮して提案して頂けるのは嬉しいです!
そろそろ飛べる奴は出しておかないといけないですよね…。
皆さんの提案は色々と参考にしていますので感謝しています!
あ、次回新しい奴を出します←


それでは、また。


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第20話

 

祐斗の持ち前は何と言ってもスピードだ。

本気で来られたら並大抵の人間には見えないスピードで動けるだろう。

他にも視野の広さを活かしたキレのある剣技はミショナリーと互角以上に戦える。

本来ならタイラントでは捉えきれないだろう。

なのに、何故タイラントで挑んだのか?

それはな…今のこいつならタイラントでも捉えられるからだ。

 

「ぐっ!?」

 

祐斗の剣に合わせてガードしながら受け流すとそのまま近づいてボディに一発入れる。

威力の加減しているとはいえ俺の一撃を喰らってまだ動けるのは流石だ。

だがいつもよりスピードもキレも悪いし、何より技が雑すぎる。

こんな状態の祐斗と戦うのは俺自身が嫌だ。

だから早く終わらせてやる。

 

魔剣創造(ソード・バース)!」

 

距離を離して祐斗は俺の足元に大量の魔剣を創造して動きを止めようとする。

最悪、俺は体中が串刺しになるだろう。

けれど、はっきり言うぞ。

こんな雑な剣の創りでタイラントを止められると思うなよ!

やるなら本気でやれ、中途半端に挑むなんて…嘗めんじゃねぇぞガキが!!

 

俺は無理矢理、剣の山にタックルをして全て折っていく。

本来ならこんな事は出来ないが気持ちがブレているまま創られた魔剣なんて簡単に折れるとロビー君が言っていた。

このまま突っ込んで気絶させてやろうと突っ込む俺に対して祐斗は剣を構えて迎え撃とうとする。

次で決まる…そう思っていたが、背後からの声に決着は着かなかった。

 

「た、助けて…ぐあぁぁぁ!」

 

何だと思い、俺も祐斗もそっちへ注目する。

そこには神父服を纏ったオッサンが血塗れで倒れていた。

どうしたんだ? 俺達の戦闘に巻き込まれた…訳ではないな。

オッサンに駆け寄ろうとしたが物陰から出てきた人物によってそれは出来なかった。

 

「やっほ~! おっひさだね~。誰かと思えばクソ悪魔のクソ色男君とそのクソ共に協力している化物(モンスター)君じゃあーりませんか!」

「フリード・セルゼン…!」

 

うわぁ…また出たなマジキチ神父。

出来れば二度と会いたくなかった!

しかし、持っている得物が前とは違う…?

ライトセーバー擬きじゃなくて変わった形の剣?

 

「まだこの街に潜伏していたのか?」

「素ん晴らしい再開劇に、あたしゃ涙ちょちょ切れまくりっスよ!クッフフフフ!」

『こっちは今取り込み中なんだ、邪魔しねぇでさっさと帰れや』

「そうはいかねぇんですぜぇ…この前のお返しとあんたへのフルコースが残っているんだからよ~!」

 

フリードは楽しそうに剣を振り回しながらそう宣言すると俺らに剣先を向けてくる。

俺はミショナリーに変身してトンファーを構える。

流石に祐斗もこの状況では俺と並んで魔剣を構えていた。

だが俺らが相手なのにフリードは逃げようともしなかった。

決定的な勝機があるのか、それとも秘密兵器でも持っているのか…?

するとフリードの剣が光を放つ…なんだか暖かみのある光だ。

 

「その輝き…オーラ、まさか!?」

「丁度いい、試させてくんねぇかな!? どっちが強いかさぁ…。

 テメェのクソ魔剣アーンド化物のクソトンファーと…聖剣、エクスカリバーとさぁ!!」

「!?」

 

聖剣…エクスカリバー、だとぉ!?

何であいつがそんな物を持っていやがる?

いや、それでところじゃない…こんな時に最悪なタイミングじゃねぇか!

祐斗が暴走しねぇようにフォローするしかないか?

 

「先輩、手出しは無用ですよ?」

 

あ、駄目だこれ…完全に聖剣しか見えていない。

俺が先に仕掛けようとした瞬間に祐斗が飛びかかった。

やばくなったら無理矢理と飛び込んででも祐斗を助けないと…。

ミショナリーで不意打ち…出来るかもしれないがフリードが前より強くなっている。

ここはあいつの出番かな、不意打ちは得意な方だろうし。

俺は右手から新たな覆面を出しておく。

 

「っ!?」

 

祐斗の腕が聖剣で僅かだが斬られた。

少しだけなのに黒い煙を上げているし、祐斗が膝をついてしまった。

聖剣ってあんなに威力があるものなのか!?

これでぶった切られたら命が無い!

俺は迷わずに覆面を付け替えて姿を変えると一気に走った。

 

「とどめだっちゃ!」

「シャァァァァァッ!」

「おわぁ!?…何ぞあの化物は!?」

 

フリードが剣を振るおうとした瞬間に変身した俺が飛びかかって奴を後退させる。

全身が黒く、スマートながらも筋肉質な体型で槍のように長い尾がある。

そして特徴的なのは異様に長い後頭部と目や鼻、耳と感覚器官がない風貌。

こいつは【エイリアン】

名前からしてどっかの宇宙から来たんだと思う。

 

流石に聖剣を持ったフリードでもこの姿の俺に警戒してすぐには手を出してこない。

俺は祐斗を庇うように前に立って戦闘態勢に入る。

するとフリードの耳元に何かが光った。

仕掛けて来るかと思った俺は尻尾を鞭のようにしならせて攻撃する。

だがフリードは軽々とそれを避けて距離を取ると残念そうにしていた。

 

「悪ぃ! お呼びが掛かっちまったって事ではい、チャラバ!」

 

あの時と同じように閃光が視界を奪うとフリードはどこかへ消えた。

…まぁ、今回は奴を倒す事が目的じゃないからいいとしよう。

それよりも祐斗は大丈夫か!? 少し呆然としているな。

傷は深くなさそうだが…とりあえず俺の家へ連れて行こう。

このままじゃ風邪ひいちまうし。

 

 

 

 

 

 

『大丈夫か?』

「はい…ご迷惑をお掛けしました」

 

僕は剛先輩に肩を貸してもらい、先輩のアパートまで連れていかれて治療をしてもらった。

先輩の部屋には使い魔の森で見た小さいゴーレム達が家事をしていてずぶ濡れの僕らを見てすぐにタオルなどを用意してくれた。

傷口はまだ浄化が残っているけど少しずつ消えている。

先輩は慣れた手つきで消毒をして包帯を巻いてくれた。

 

『こんな時間か、せっかくだ飯食っていけ』

「え、でも…」

『食っていけ。すぐに作るからシャワー浴びてこい、そのままじゃ風邪ひくぞ』

 

先輩はそう伝えて台所へ行くと金色のゴーレムがタオルを用意してくれた。

これでは帰れないと諦めた僕はそのままシャワーを浴びに浴室へ行った。

ふと気づけば先輩はフリードとの戦いからここまで来るのに何も訊いてこない。

…話すまで待っててくれるという事なのだろうか。

 

『悪いな、時間がなかったから炒飯とインスタントのスープだけどいいか?』

 

シャワーから上がると部屋着なのかジャージ姿の先輩がテーブルに料理を置いていた。

申し訳なさそうにしていたが先輩の料理の腕は普段から知っている。

互いに座って手を合わせてから頂く。

やはり美味しい…普段から仕事の契約でも料理している僕がそう思えるくらいだ。

何よりも暖かみのある優しい味に少し涙が溢れてくる。

 

『祐斗、大丈夫か? やっぱり傷が沁みるか?』

「いえ…先輩、この後僕の話を聞いていただけますか?

 外ではあんな事言っておいて厚かましいとは思いますが…」

 

この人も悲惨な過去を背負って生きていた…それなのに他人を思いやる気持ちがある。

僕が覚悟を決めて言うと先輩は黙って頷いてくれた。

普段から言葉を発せないからこそ表現するその頷きと目は何が何でも受け止めるという強さを感じた。

だからこの人は…あんなにも強いんだ。

 

 

 

 

 

 

飯を食ってたら祐斗がいきなり泣き出した時は俺の炒飯が不味かったのかと思って焦ったわ。

いや、その前に傷口が沁みたのか心配するところだろ←

何はともあれ…祐斗が少し俺に心を開いてくれて良かったわ。

あのまま仲違いして暴走させちまう訳にはいかない。

 

しかし、聖剣エクスカリバーか…思った以上に厄介だ。

持ち主があのマジキチだしな、再戦は免れない。

一先ずはこれはサーゼクスさんに報告かな。

例のコカビエルと何か関係があるかもしれない。

祐斗の話を聞いてから報告をしよう。

 

飯を食い終わって、お茶を煎れてから改めて祐斗の話を聞いた。

聖剣計画…聖剣を扱える人間を生み出そうとして多くの人を施設へと入れた。

祐斗もその一人だという事か。

実験は毎日続いたが結局失敗…祐斗達は処分される事となった。

 

このあたりで胸糞悪い話だと少しイラついた。

アーシアの件といい、祐斗の件といい…教会腐ってやがんな。

そして何とか生き延びて脱出した祐斗はリアスと出会い悪魔に転生して今に至る…か。

これは聖剣を恨んでもおかしくないな。

 

復讐は良くない、今すぐ止めろ!なんて言える程俺は高尚な人間でもない。

俺だってあの火事が放火だったらその犯人を捜し出してぶち殺すわ。

おい、お前らぶち殺すに反応すんな! ハウス!

全く血の気がありすぎだろこいつら…。

 

「…これが聖剣に復讐しようとしている理由です。僕が生きる意味です」

「…」

「え、先輩?」

 

俺は祐斗の頭をガシガシと撫でてから俺の考えを伝えた。

 

『そんな悲しい事を言うな。それでお前は満足かもしれんがお前の仲間は本当にそれを望んでたか?』

「…!」

『残された側は色々と背負っちまうけどよ、向こうは残した人の幸せを願っているかもしれない』

「幸せなんて、そんな事を僕に許されるとは…」

『この学園の思い出も否定しちまうのか?』

「………」

『まぁ、ゆっくり考え直してみろ。迷ったら俺に話せよ? 先輩として、仲間として受け止めてやる』

「ありがとう…ございます」

 

丁度雨も止んできたし、乾燥機も終わってるな。

結局、祐斗は帰って行ったが表情は少し変わっていた…まぁこれで少しは抑えてくれるといいが。

様子を見るしかないな…明日リアスには報告しておくか。

その前に例の手帳に書かないと。

 

【聖剣エクスカリバー】を持った【堕天使側のはぐれ神父】と遭遇。

裏で指示を出している者がいる可能性ありっと。

手帳にそう書いてそのまま閉じると裏表紙の魔方陣が光った。

ちゃんと送れたか確認する為手帳を開いてみるとページが真っ白になっていた。

すげぇ、本当に書いた文面が消えてる!

魔法の力ってすげぇw

 

浮かれていた俺はテレビで格闘技を見ていたユーガに足の小指をぶつけて自爆した。

 

 

 

 

 

 

「明日は悪魔側と接触をするぞ」

「はいはーい。わかったわ」

「幼馴染と会える嬉しさはわかるが任務があるのだから浮かれすぎるなよ、イリナ」

「わかってるわよ、ゼノヴィア」




『よろしくな、エイリアン』
『シャァァァ!』
『おいおい、涎出てるぞ(゚Д゚;)』
『あ、待って宿主。この子の体液は…』
『ハンカチが溶けたぁ!?Σ(゚д゚lll)』
『遅かったかぁ』
『シャァァァ…』


閲覧ありがとうございます。


今回出したクリーチャーはSF映画でお馴染みの「エイリアン」からエイリアンです。
このシリーズは割と好きでしたので思い切って出してみました。
いずれは暴れさせる予定ですので活躍する時を楽しみにしてもらえればと思います。

最近は更新が遅くなってきましたが皆様の感想やリクエストなどが励みになっていますので頑張ります!


それでは、また。


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第21話

 

「おはようございます、剛君」

「おはようございます」

『ソーナと椿姫、おはよう。歩きながら読書は危ないぜ?』

「大丈夫ですよ、心配には及びません」

『と言いつつ本を仕舞ってくれるとはさすが会長だな~。なぁ、椿姫』

「ふふ、そうですね」

「二人とも、茶化さないでください」

 

朝、いつも通り登校しているとソーナと椿姫に声掛けられてそのまま一緒に登校している。

歩きながら片手で本を開いているのでやんわりと注意すると大丈夫と言いながら本を仕舞うソーナ。

俺は褒めて椿姫に同意を求めると少し微笑んで答えてくれる。

クールに装っても頬が少し赤いぜ~?

(・∀・)ニヤニヤ

 

あまりからかうと後が怖いから程々にしておかなければって痛い!?

俺が悪かった! 謝るから脇腹を抓るのは反則だろ痛い痛い!!

椿姫も隠れて笑っていないで助けて!?

そんな馬鹿なやり取りしている間にも学校に着こうとしていたが…。

 

「…!」

「会長?」

『どうした?』

 

突然立ち止まったソーナに俺も椿姫も立ち止まってどうしたのかと訊いた。

忘れ物でもあったか? と思ったが校門の前に見慣れない格好をした二人組が立っていた。

白いフードを被った二人組…しかも青い髪メッシュの方は布に巻かれた大きい物を背負っている。

…何だこいつら?

 

「…聖剣?」

 

ソーナの呟きに俺と椿姫は一気に警戒をする。

聖剣を持っているとなるとこいつらは教会側か堕天使側だな。

まさか他の生徒がいる中でドンパチするつもりじゃないよな?

考えていると二人組は俺らに声を掛けてきた。

 

「失礼、学園の生徒会長であり、シトリー家の者で間違いないか?」

「えぇ、ソーナ・シトリーは私ですが」

「私達は教会から派遣されたんだけど、この学園にいるグレモリー家の次期当主さんとお話がしたいの」

 

教会関係者がリアスと話がしたい? しかも聖剣を持ってか?

本気で事を構えるつもりじゃねぇだろうな?

だが、もし本気でそうするならソーナに態々話がしたいなんて言う事はない。

それでどうする気だ?

 

「…わかりました。では、明日の放課後に彼が案内します。

 彼は人間ですからその方が心配はないかと」

 

うわーい、俺に丸投げ! /(^o^)\ナンテコッタイ

まぁ、悪魔側の協力者だけど人間だから斬られることは…フリード的にはアウトなんだよな。

ロビー君、聖剣で滅ぶ危険性がある奴いるー?

万が一があると怖い。

 

『いないけど斬られたらダメージは受けるからね』

『そうか、サンキュー』

『宿主、油断は禁物だよ?』

 

ロビー君と少し話していると二人組は俺に視線を向けている。

明らかに異端者を見るような目だ。

見た目で判断されているのは慣れているからいいけどな。

とりあえず、自己紹介しておくか。

 

『門星 剛だ。喋る事が出来ないから筆談で申し訳ない』

「カトリック教会所属のゼノヴィアだ」

「プロテスタント教会から来た、紫藤 イリナよ」

『明日、俺が案内するから夕方前にここで待ってて欲しい』

「わかった、では我々はここで失礼する」

「また明日~」

 

俺は明日の待ち合わせを決めると二人は立ち去っていく。

…信仰の為なら人間すら斬り捨てるかのような雰囲気だったな。

あぁいうのは妄信的で怖い。

俺みたいに自分の生活を愛する考えになれないのかね?

神様なんざ助けてもくれないってあの火事で思い知ってる。

 

「いきなりごめんなさい、剛君」

『別に案内くらいならいいけどよ』

「リアスには私から話しておきますので、決して周囲に口外しないで下さいね」

『はいよ。さっさと教室へ行こうぜ』

 

少しばかり不安を抱えながらも俺は二人に教室へ行こうと促す。

また祐斗が荒れなければいいが…そこはフォローするしかないな。

可愛い後輩の為だ…おい、BLを想像した奴は正座しろ。

エイリアンの唾液を飲ませてやる!

 

 

 

教室に入るとリアスから昨日の祐斗の様子を訊かれた。

厳しく叱った手前、心配だったんだろうな。

ちょっと喧嘩しちまったが心配はない。

時間はかかるだろうから様子を見るしかないと伝えた。

 

『お前は主なんだ。叱る時は叱る、褒める時は褒める。それをしっかりすればいいだけだ』

「そうね…祐斗の事、また頼めるかしら?」

『あぁ、そのつもりだ。野郎の事は野郎に任しとけ』

「ありがとう、剛」

 

本当は聖剣の事とか色々あるが、今は黙っておこう。

教会の奴らの話と言うのは恐らくフリードが持っている聖剣の事だろう。

そう考えると堕天使側が聖剣を盗んだという事になるのか。

悪魔の殲滅が目的か…危険だな。

 

「剛? どうしたの?」

『いや、今日のスイーツをどこで買うか悩んでたわ』

「あんまり食べすぎると太るわよ?」

『グレイフィアさんと同じ事言わないでくれ…』

 

この前、買い込んだプリンがバレてそう言われたんだから…。

とりあえずお子さんにどうぞって3つあげたけどさ。

グレイフィアさんとサーゼクスさんのお子さん、

ミリキャス君は写真を見せてもらったけどお二人にそっくりだわ。

赤い髪はサーゼクスさん、顔はグレイフィアさん譲りだな。

さぞかしすごい良い子なんだろうな~って褒めたら嬉しそうだった。

 

向こうも俺の事は話を聞いていて会いたいと言っているそうだ。

よーし、お兄ちゃん思いきり遊んでやるしお菓子も作っちゃうぞ☆

その時までにお菓子作りの腕を上げておかなければ。

パウンドケーキでも焼くかーと考えていると先生が来たので授業に入る。

先生、いくらデカくて目立つからって俺ばかり指すのはいじめですか?

 

 

 

 

 

 

『この部屋にグレモリー嬢が待っている。くれぐれも粗相が無いように』

「あぁ、わかっている」

「案内ありがとうね」

 

次の日の放課後、俺はゼノヴィアと紫藤の二人と合流して旧校舎へと案内する。

オカ研部室の扉の前まで案内してから俺は一応注意していく。

まぁ、こいつらがこれを守るかどうかはわからんが。

俺はノックしてから扉を開ける。

 

『部長、件の教会からの使徒を連れて参りました』

「ご苦労様、剛。下がっていいわよ」

 

俺は二人を連れてきた事をリアスに報告してから一礼する。

人間ながらもこんなデカい奴を従えているんだとちょっとしたアピール(俺発案)をしとく。

その後、朱乃が二人をソファまで案内してお茶を出していた。

俺は万が一の際に備えて扉の傍に立っておく。

さて、どんな話が聞けるかと例の手帳とペンを用意しておく。

 

すると静かに扉が開くと祐斗が入ってきた。

早まった真似をするなよ?

それを伝えるように祐斗を見ると頷いてくれた。

少し落ち着いたところで会談が始まった。

 

 

 

7本あったエクスカリバーの内6本は教会側が保管されていた。

エクスカリバーが大戦で壊れてしまい、その欠片を集めて7本の剣を作ったのは祐斗から聞いている。

しかし堕天使側に3本を奪われてしまい、取り返すべくやってきたと。

犯人は既に分かっているらしく、堕天使の幹部クラスであるコカビエルの仕業だという事。

 

コカビエル…サーゼクスさんの話と一致したな。

聖剣を使って何かをしようと企んでいるって事か…今の段階でまとめて送っておこう。

一通り書いて静かに手帳を閉じて文面を送る。

俺のデカい手に隠れているから誰もこのマジックアイテムには気づかないのは幸いだ。

 

二人とも、聖剣を持っている事から二人だけで取り返そうとしているのか?

ゼノヴィアの布に巻かれている破壊の聖剣(エクスカリバー・デストラクション)と、

紫藤の腕のアクセサリーに化けている擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)。

それぞれ能力がある訳か…フリードが持っているのも何か能力があるんだろう。

祐斗、そんな怖い顔で聖剣を見るな。

殺気を放っている祐斗を軽く小突いて注意する。

 

そして要件と言うのは、ざっくりと言っちまえば悪魔側に手を出すなという事。

教会本部の意向はもし堕天使と手を組んで聖剣をどうにかしようと言うのならば悪魔を滅すると。

…随分なな物言いでイライラする。流石にリアスも怒っている雰囲気だ。

グレモリー家の次期当主であり、魔王様の妹だぞ?

そんなプライドを投げ捨てる様な真似をするはずがない。

 

どうやらゼノヴィアもそんな馬鹿な真似はする筈がないとわかっていたらしい。

だが、それは教会側には一切協力しないという事。

聖書にも出てくる堕天使を相手に聖剣を持っているとはいえ2人だけで勝てるのか?

奥の手があるのだとしても厳しいんじゃないかと思う。

 

まぁ、それは俺の知った事ではない。

荒れるかと思った会談は何とか無事に終わり、2人が退室しようとした矢先…。

立ち止まって何を見ているかと思ったら、視線の先にはアーシアがいた。

これにより事態は荒れる事となった。

 

 

 

「もしやとは思ったが…アーシア・アルジェントか?」

「は、はい…?」

 

突然掛けられた声に私はしどろもどろに答えました。

何か用でもあるのでしょうか?

けれど次に返ってきた言葉は胸が苦しくなる思いでした。

 

「まさかこんな地で、魔女と出会う事になるとはな」

「あー、貴女が魔女になったという元聖女さん?

 堕天使や悪魔をも癒す力があるといって追放されたとは聞いてたけどまさか悪魔になっていたとはねぇ」

 

魔女…教会から追い出されるまで散々と浴びせられた言葉。

私は俯いて体を震わせる事しかできませんでした。

言い返せない事で、私はさらに言葉の雨をこの身に受けてしまう。

 

「聖女が悪魔になるとは…堕ちれば堕ちるものだな」

「ねぇ、アーシアさんはまだ主を信じているの? 悪魔に身になってまで?」

 

悪魔になっても、私はまだ捨て切れていません…ずっと信じていましたから。

どうにかそう答えると目から涙が止まりませんでした。

主に祈っても激しい頭痛はしますし、聖書を読んでも同じように頭痛がします。

それでも、私は捨て切れませんでした。

するとゼノヴィアさんがこう言いました。

 

「なら、私達に斬られるといい。例え君が罪深くとも、我らの主は救いの手を差し伸べてくださる筈だ」

 

ゼノヴィアさんがそう言って私の目の前に立って剣を掲げようとしました。

やはり、こうなる事が私の宿命なのでしょうか?

そう思った矢先に私を守るように立ち塞がったのは…イッセーさんでした。

 

 

 

「ふざけんじゃねぇ!!」

 

さっきから言いたい放題の二人組にブチ切れそうになった瞬間。

イッセーが小猫の制止を振り切ってゼノヴィアの前に立つ。

どうやら俺の前に我慢が出来なくなったようだ。

それを見た俺は逆に少し冷める事が出来て良かった。

 

「てめぇ達で勝手に聖女だと祀り上げて置いて…アーシアなぁ、ずっと独りぼっちだったんだぞ!」

 

…そうだったな。

イッセーがアーシア自身を見て、接した事で孤独から解放したんだ。

独りがどれだけ辛かったのかを理解してあげたのもアイツだった。

 

「聖女は神の愛だけで生きていける。友情や愛を求めている時点で聖女の資格など無かったのだ」

「何が信仰だ、神様だ…アーシアの優しさを理解できない連中なんて皆、馬鹿野郎だ!」

「君はアーシア・アルジェントの何なのだ?」

「家族だ! 友達だ!! 仲間だ!!! お前らがアーシアに手を出すのならお前らを全員敵に回してでも俺は戦う!!」

 

素晴らしい覚悟を見せてくれたイッセー…流石じゃねぇか。

本当にこいつはこういう時に決めてくれる。

その覚悟は俺も乗らせてもらうぜ?

ロビー君、お前らもその時は暴れてやろうぜ!

 

「なら僕も混ぜてもらえるかな?」

「祐斗…」

 

あぁ~やっぱり来ちゃったか。

リアスが心配するから大人しくしてて欲しかったが無理だよな。

このままバトルに入るとまずいからとりあえず一旦場を仕切るぞ?

手を思いきり何度か叩くと注目を一気に集める。

 

『そこまで戦いたいなら模擬戦で白黒つけろ。ただし殺す事は厳禁だ…いいな?』

 

俺がホワイトボードで書いた内容にイッセーや祐斗、教会の二人組が頷いた。

全く、粗相するなと言ったのにしまくるしイッセーも熱くなるし祐斗も暴走するし。

これでルール守らなかったらプッツンしてぶん殴るからな?

教会? そんなの関係ねぇよ。信仰なんざこれっぽっちも興味ない。

そんなのよりコンビニのスイーツの方がよっぽど救われるわ。

 

とりあえず朱乃に周囲の結界を貼るように頼んで、イッセー達は外へ出て行った。

俺は深呼吸してイラつきを落ち着かせてからリアスに頭を下げた。

 

『勝手に決めて、すまない』

「いえ、ここで暴れられるよりはいいわ…寧ろ感謝するわ」

『ぶっちゃけ、イッセーがあそこで出なかったら俺がブチ切れていた』

「…そっちの方が拙かったわね」

 

俺もそう思う(他人事)

いや、その前にリアスもキレそうになったじゃん?

なんて余計な事を言うと怒られそうだから言わないけどね。

とりあえず少し呆然としているアーシアの頭を撫でる。

 

「ご、剛さん…」

『イッセーの言う通りだ。お前にはイッセーだけじゃない、俺らもいる。

 過ぎ去った過去に囚われるな。前を見て堂々と歩けばいい』

「は、はい!」

『いい返事だ。ほら、イッセーと祐斗を見守りに行こうぜ』

 

俺のメッセージにアーシアは返事して俺と外へ出る。

…小猫、俺のをシャツを引っ張るな。伸びる。

え、頭撫でられて羨ましい? いや、お前いつも要求してくるだろうが。

自分からやるのがズルい?…後でやってやるから。

 

 

 

 

 

 

俺らも外へ出ると朱乃がちょうど結界を貼っておいたくれたみたいだ。

こんな所誰かに見られたら大騒ぎだ。

するとゼノヴィアと紫藤が羽織っていた外套を脱いで戦闘態勢に入ろうとしていた。

うわぁ、身体の線が浮き出ているスーツとか何かエr…痛っ!?

おい、朱乃と小猫は何で俺の腕と脇腹を抓ってイテテテテテテテテ!?

 

「あらあら、剛君?(暗黒微笑)」

「先輩の馬鹿…」

『((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル』

 

鍛えているのに何で明確に痛い所を知っているんですかねぇ?

俺もイッセー程じゃないけどそういうお年頃なんですよ…あ、すいません黙ります。

だから雷撃とグーパンを引っ込めてくれると僕すんごい嬉しいんですけど!?

俺、人間だから死んじゃうよ!?

 

気を取り直して改めて見てみる。

ゼノヴィアのエクスカリバー・デストラクションは布を取り払われた。

鍔の部分が斧、そして幅広いの刀身は重そうだが名の通り破壊力がありそうだ。

それを軽々と扱えるという事は純粋にパワータイプか?

 

そして紫藤のエクスカリバー・ミミックもアクセサリーから日本刀のような剣に変わる。

刀身を変えたり姿そのものを変えられる特性なら紫藤はテクニックが高いと見ていい。

祐斗とイッセーはこれをどう戦うつもりだろうか?

 

『全員準備できたか? 先程も言ったが殺す事は許さん』

「あぁ、わかっているよ」

「上にバレたらお互い大変だもんね」

「それに先輩にぶっ飛ばされたくないですし」

「………」

『祐斗』

「…はい、わかっています」

『…よし、合図は出さないから好きに始めろ』

 

俺は全員の了承を得るとそのまま下がってリアス達の許へ戻る。

すると4人はそのまま戦い始めた。

後は俺が出張る事が無いのを祈るだけだ。

やはり祐斗は冷静さが欠けているから魔剣創造の特性とスピードを活かせてない。

イッセーは素手で戦うから聖剣に触れないように戦うから不利だな…ん?

 

あいつ、何か狙っていないか?

 

 




『そういえば、剣を使う奴っているのか?』
『いるよ? ミショナリーも一応刀剣使いに入るけど』
『へー、他にどんなのが?』
『腕にブレードを仕込んでいる子とか大きい刃物を扱う子とか』
『絶対まともな騎士とか剣士じゃねぇだろうな(゚Д゚;)』
『当たり前だよ、クリーチャーだもん』


閲覧ありがとうございます。


コカビエル戦が遠い(白目)ぶつけるクリーチャーは決まっているんですけどねぇ。
その前にケルベロスを蹂躙するクリーチャーも考えておかないと←
皆様のリクエストがあって助かります←
次回は展開次第ですが新しいクリーチャー出せるように頑張ります!


それでは、また。


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第22話

結局、教会組との模擬戦はイッセーも祐斗も負けてしまった。

祐斗はやはり聖剣に意識がいっぱいでスピードも活かせずに真正面から戦えばそうなる。

こればかりは本人次第となるから俺にはどうしようもない。

早く吹っ切れてくれる事を祈る。

 

んで、イッセーなんだが…。

スケベ心が発動しやがったのか【洋服崩壊】狙おうとしたが小猫が紫藤にそれを教えた。

小猫曰く「女性の敵」…まぁ、そうだろうな。服だけが吹っ飛ぶとか嫌だわ。

んで紫藤も勿論それが嫌だから必死に避ける。

そして事件が起きた。

 

イッセーが突っ込んだ先にアーシアと小猫がいて二人に触れてしまった。

んで転んだ際にうっかり発動して二人の服が弾け飛んだ。

いや、「ありがとうございます!」じゃねぇよwww

あ、小猫のアッパーが決まったぁぁぁぁぁ!

全く、こいつもいつか矯正させないとな。

 

とりあえず素っ裸のアーシアと小猫に俺の制服のシャツと下に来ているTシャツを被せといた。

サイズがデカすぎてごめんなー。

小さい女の子がダボダボしたシャツを着てるって何かエr…何でもないですよ朱乃さん!

とりあえず小猫は俺のTシャツを着ながら匂い嗅ぐのやめてくれ。

汗とか野郎の匂いは文句言わないで…え、違う? 安心する匂いがする?

よくわからんが嫌じゃないならいいが。

朱乃は俺の身体をガン見しているけど気にしないでおこう。

制服は魔力で復元させられるとか便利すぎぃ!

 

結局イッセーが立ち上がって続けるも聖剣が掠っただけで力が入らなくなり倒れた。

本当に悪魔にとっては有害としかならない剣なんだな。

二人はそのまま聖剣を戻して立ち去ってしまった。

コカビエルを相手に命を引きかえてでも聖剣を奪還もしくは破壊する…か。

俺も人の事は言えないが馬鹿な真似をしやがる。

それも神の名の下にか?…下らねぇ。

 

『神なんて不明確なのにしか縋りつけないなんてかわいそうだよね~』

『…神器がそれ言ってもいいのか?』

『まぁ、僕らは特殊だからね。それに僕の可愛さの方が神の愛とやらより有益でしょ?』

『( ゚д゚)、ペッ』

『久々にやられた!?』

 

ロビー君もこう言うくらいだ。

宣教師という名を持つミショナリーも別に神はどうでもいいらしい。

え、という事はこいつ何の宗教の宣教師なんだ?…少し気になる。

まぁ、俺に力を貸してくれるなら何だっていいか。

 

そして、祐斗は聖剣を追う為にリアスの許から離れると決断した。

当然、リアス達は反対するも祐斗は黙って出て行ってしまった。

部室は暗い空気に包まれて俺も溜息しか吐けない。

どうすりゃいいのかと。

 

 

 

 

 

 

結局そのまま解散となり、家に帰ると丁度誰かと鉢合わせた。

俺よりデカい体躯をしている魔法少女のコスプレ…ミルたんだ。

スーパーの袋を持っている所を見ると買い物帰りなんだろう。

 

「あ、門星君おかえりだにょ」

『ん? ミルたんも買い物帰りか』

「そうだにょ、スーパー【セイキマツ】で特売していたにょ」

『今日特売の日だったか。すっかり忘れていたわ』

「門星君、もしかして悩みがあるにょ? ミルたんで良ければ話を聞くにょ」

 

一目で悩んでいるのを見抜かれたか…。

たまに俺が悩んでいるとミルたんは見抜いて相談に乗ってくれる。

間違った事を言っても怒らずに優しく諭してくれるし俺より家事がすごいし…どこまでハイスペックなんだこの人は。

すぐにイライラしてしまう俺より人間の出来が違うよな。

 

『ちょっと人間関係が拗れて…後輩が目先の目的に先走って孤立になりがちな状態なんだ』

「なるほどだにょ。門星君は優しいから他の人の問題もすぐに解決しようと動くことがあるから少し待ってみるにょ」

『事態がどう転ぶかわからない状況だから動かずには居られなくて』

「待つ事は悪手ばかりじゃないにょ。その子の事を考える子は他にもきっといるはずだにょ。

 だから他の子達が門星君に助けを求めて来たら動けばいいと思うにょ」

 

詳しい事を話してもいないのにあっさりとアドバイスをしてくれた。

普段は魔法少女らしい仕草が多々見られるけど、こういう時のミルたんは真面目に答えてくれる。

確かに祐斗の事を考えているのは俺だけじゃない。

あいつらもきっと何か考えているんだろう…。

 

『なるほど…何か少し気が楽になったよ(´-ω-)』

「それは良かったにょ。門星君ならきっと解決できるにょ」

『ありがとう、ミルたん。お礼に今度グッズ集めの手伝いするわ』

「ほんと!? それはすごい助かるにょ!」

 

という訳で、魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティヴの限定版フィギュアの買い物の手伝いをすることになった。

チラシを見せて貰ったけど今のフィギュアはよく出来ているな。

家には家事をこなすフィギュアサイズの奴は3体いるけど。

最近、暇な時はテレビで文字や格闘技の勉強もしているらしい。

 

 

 

 

 

 

次の日の放課後、スーパー【サザンクロス】で買い物を終えて帰っているとメールが来た。

携帯を見てみると小猫からだった…新作スイーツの情報か?

えー何々?

『教会の二人組を拾ったので先輩の家でご飯食べさせてください』だって?

 

 

( ゚Д゚)

 

 

( ゚Д゚ )

 

 

( ゚Д゚)

 

 

(; ゚Д゚)ファッ!?

 

 

いや、本当にどういう事だ!?

飯食わせろって…材料は買い物したばっかりだからあるからいいけど。

とりあえず今から帰って作るから連れてこいって返信してっと。

急いで帰るぞぉぉぉぉぉっ!!

ε≡≡ヘ(;゚Д゚)ノ

 

 

 

「何だこのオムライスは…卵がとろっとろのふわっふわでデミグラスソースも美味すぎる!」

「お米に味噌汁…それに豚肉の生姜焼きなんて最高すぎるわ!!」

『麻婆豆腐とチンジャオロース出来たぞー。

(;・ω・)』

「ご飯のおかわり下さい! 特盛で!!」

「私にも白いお米を貰えるか!?」

『はいよー(;-ω-)』

 

という訳で俺の家で大食い大会みたいな食事風景が広がっている。

余ったら俺の夕飯にしようと思って作っているがすげぇ勢いで食い尽くしている。

作っている方としてはここまで一心不乱に食べている所を見ると何か嬉しいわ。

将来は料理人になって食堂でも開こうかなと考えてしまう。

 

「やっぱり先輩の作る料理はすげぇな」

「最近は凝ったお菓子も作りますしね」

「料理だけじゃなくてお菓子も作るとか門星先輩の女子力凄すぎだろ…」

 

しかし…イッセーと小猫はともかく、まさか匙までいるとは思わなかった。

ソーナの指示で動いているとは思えないから…独断で?

うわぁ…後が怖いぞ。まぁ、もしもの時は出来る限りの弁護はしてやるよ。

あいつの事だから俺の必死の弁護も一蹴しそうだけどな(震え声)

 

炊いておいた釜の米を全て食い終わった二人は食後の祈りを捧げていた。

俺へ神の祝福を祈られても、だったらこの火傷や障がいを治してくれ。

って言ってもどうせ出来やしないんだから祝福なんてどうでもいい。

結局買ってきた食材を全部使ったし作るの疲れたから夕飯は牛丼屋にでも行こう(白目)

片付け…ゴムレス達がやってくれているから楽だわ。

 

 

 

ゼノヴィアがお茶を啜って一息ついたところで本題が始まった。

ここでイッセーが出した提案は聖剣奪還・破壊の協力を申し出た。

この様子だとリアス達には何も言ってねぇな…イッセー達は。

全く…困った後輩達だ。

俺がリアスや朱乃、ソーナに告げ口するかもという可能性を考えていないのだろうか?

 

そんな事考えていたら話は纏まったようだ。

一本くらいなら任せてもいいと…まさか飯で釣れるとは思わなんだ。

いや、向こうとしても戦力が多い方がやりやすいと判断したか。

聖剣使いは言え二人しか寄越さないとか教会側は楽観視しすぎだろ。

相手は堕天使の幹部だろ?…俺も加わった方が良いか。

 

「この件は剛先輩も協力をお願いします」

『…お前、リアス達に何も言わずに俺には飯食わせろとか手伝えとか少し身勝手じゃないか?』

 

イッセーが俺に頭を下げて頼んできたが、はいそうですかと簡単に受けられる内容じゃねぇ。

悪魔の世界に大問題になり兼ねない事はわかっているんだろう。

敢えて俺は一度突き放してみる…ピリピリした空気に小猫と匙は顔を青くする。

そりゃあそうだ。俺が怒っている時と同じ空気なんだから。

教会組も冷や汗掻いている中、イッセーは真っ直ぐな目で言った。

 

「甘ったれた事言っているのは承知してますし、説教も制裁も受けます…だから!」

『祐斗の為に協力してくれって事だろ?』

「…はい」

『はぁ…( -ω- )どうせ、駄目なら動くしかねぇか。

 わかったよ、手伝ってやる』

「ありがとうございます!」

 

本当は最初から受ける気でいた。ミルたんのアドバイス通りになるとは思わなかったし。

ただ、これはデカい騒動になり兼ねない事だ。半端な覚悟は許されない。

俺よりも怖いリアスやグレイフィアさん、はたまたサーゼクスさんが出てくる事だってある。

そんなリスクを背負えるほどの覚悟があっての事かを訊いてみたが…。

どうやら愚問だったようだ。

俺だって祐斗は可愛い後輩であり大事な仲間だ、出来る事はやってやる。

携帯を取り出して皆に伝えた。

 

『そうとなれば祐斗を呼んでおく。これ以上は狭くなるから公園だ』

 

 

 

 

 

 

『あれ? 宿主は話し合いしないの?』

 

祐斗を公園に呼んでイッセー達が向かう中、俺は家に残ってロビー君達の世界にいた。

不思議そうに俺を見るロビー君は首を傾げながら話しかけてきた。

俺は錆びたベンチに腰かけるとエイリアンが寄ってきた。

こいつは見た目に合わず、意外と甘えたがる…涎は垂らすなよ?

エイリアンの頭を撫でながら俺は問いに対して答えた。

 

『俺はあいつに伝えるべき事は伝えた。これ以上はしつこいだけだ』

『ふーん。ところで次の敵は堕天使の幹部でしょ?』

『コカビエルな…幹部だからドーナシークやレイナーレとは比べ物にならない強さだろうな』

『そりゃあそうだよ~。油断はしないでよ?』

 

ロビー君は呆れ半分な声で言いながら俺の隣に座る。

おい、この錆びたベンチが壊れないか?

というかこの遊園地は血と錆だらけとかやめて新装しろ。

匠を呼べ、匠を。

 

『わかっている( -ω-)』

『頑張っているもんね、宿主は。このまま行けばステップアップできるよ♪』

『ステップアップ…禁手か?』

『そう! 赤龍帝に負けていられないよ!』

 

神器が神滅具と張り合っても仕方ないと思うのにロビー君は何故か燃えている。

別に俺は羨ましいとは思っていないのにな。

俺がこうして仲間と居られるのはお前らが力を貸してくれたからなんだぞ?

感謝はしているんだぞ? 恥ずかしいから言わないけど。

 

 

 

 

 

 

イッセーから無事に祐斗が協力してくれるようになったと連絡が来た。

小猫も必死に説得してくれたそうだ…よくやったぞお前ら。

そして匙も祐斗の過去を聞いて号泣しながら協力すると約束してくれた。

涙もろいけど男らしいな、ソーナの前でもそうした方がいいぞ。

んで、今俺らは何しているかと言うと…。

 

『神父の格好でフリード達をおびき寄せる…か』

「似合っていますよ、先輩」

『ありがとよ…嬉しくねぇけど(;゚Д゚)』

 

以前、レイナーレ達が拠点としていた廃教会で集っていた。

神父の服を着ている俺と小猫は外で見張りをしている。

俺のは着るには小さいので神父服を羽織って帽子を深く被って包帯が見えないようにする。

全員が用意できたみたいだから早速二手に分かれる事にした。

 

イッセー・小猫・祐斗・匙は町の東側を。

ゼノヴィア・紫藤、そして聖剣の余波を受けない俺で西側を回る事にした。

何かあれば携帯で連絡を取り合うようにして別れた。

 

 

 

「門星 剛」

『何だ?』

「兵藤 一誠から話は聞いている。神器で戦えるそうだな?」

『あぁ、堕天使や悪魔とも戦った事がある』

「悪魔の協力者じゃなかったら教会で働かないか誘ったのに残念~」

『信仰心はねぇから諦めてくれ』

 

俺らは人が少なそうな場所を歩いて辺りの警戒をしている。

一応、囮として俺も祐斗から一本の魔剣(軽いだけ)を借りてそれに布を巻いて偽装する。

これで何か釣れればいいが…すると指導の携帯から音が鳴った。

どうやら向こうの方で釣れたみたいだ。

俺は二人のように速く動けないから先に行ってもらうしかねぇな。

 

『先に行け! 俺も後を追う!』

「わかった。イリナ!」

「えぇ、ではお先に!」

 

 

 

 

 

 

二人がすごい速さで向かっていくのを見送ると俺もロビー君のナビで向かおうとする。

ミショナリーに変身して全力で走り抜けば何とか間に合うだろう。

けれどロビー君が言ったのはイッセー達の方向じゃない。

俺に降りかかるであろう何かの方向と避けろと叫ぶ声だった。

 

『宿主! 上から攻撃、避けて!!』

 

咄嗟に偽装した剣を捨てて左へ飛び込むと小さい光の槍が俺が立っていた場所へ突き刺さっている。

光の槍…だと!?

こんな攻撃してくるのは堕天使だよな。

という事は上には…?

 

「ほぅ、人間のエクソシスト風情にしてはよく避けたじゃないか?」

 

5対、つまり10枚の黒い翼の堕天使…こいつがコカビエルか!?

おいおいおいおい…いきなりラスボスが現われるとか聞いてねぇぞ!

幸い俺がまだ聖剣をもっているエクソシストだと思っているのか?

ここで退いたら奴はイッセー達の方へ行くだろう。

…覚悟を決めるしかねぇ!!

 

「その聖剣を渡してもらおうか? 力を封じて隠そうとしても無駄だ」

 

地上に降りてきたコカビエルは俺を睨みながら威圧してくる。

ブラッドのおっさんよりもやばい雰囲気があるとしか言えない。

俺は羽織っている神父服と帽子を投げ捨てていつもの制服姿になると右手に覆面を出す。

こいつは融合している暇すらない…だとしたらこいつで相手だ!

タイラント、最初からスーパー化だッ!!

 

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」

 

覆面を着けた瞬間に全身の筋肉が膨大・硬化して両手から鋭い爪が飛び出てきた。

スーパータイラント…融合無しで制御できるクリーチャーで最強のパワーだ。

スピードや耐久も高いからコカビエルとも戦えるだろう。

そう思ってはいる。

 

「何だ、ただの囮か。俺は神器とやらに興味は無いが暇つぶしだ、相手になってやろう」

 

俺が剣を使わずにスーパータイラントになった事でコカビエルは少し落胆している様子だったが、

暇つぶし程度で俺と戦おうとしている…腹立つが戦力差はそういう事だ。

だったら殺意全開でぶっ飛ばさせてもらうぜ。

行くぜタイラントォォォォォッ!!

 

「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」

「簡単に死んでくれるなよ、人間?」

 

 




『まさか堕天使の幹部と鉢合わせになるなんてねぇ』
『………』
『ザ・キーパーどうしたの?』
『………』
『嫌な予感がする?…大丈夫だよ、多分ね』
『………?』
『僕らの宿主はそんな簡単には死ねないよ♪』



閲覧ありがとうございます。


新しいクリーチャー? 出せませんでした(土下座)
剛はいきなりのコカビエル戦に新たなクリーチャーを出す余裕が無かったので単独で最も力が出るスーパータイラントを選びました。
尚、勝てるかどうかは別です←
次回は必ず新クリーチャーを出したいと思います…いや、出します(断言)


それでは、また。


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第23話

 

「せっかくだ、ハンデをやろう。俺は飛ばないし槍も一本しか出さない…破格の条件だろ?」

 

コカビエルは余裕そうにハンデを付けてきやがった。

普通の人間にここまでしてくれるなんてありがたい話だ。

倒せるかはわからないが手傷をより多く付けられれば今後の戦いが楽になるだろう。

よし、ならこっちから攻める!!

 

「お゛お゛お゛お゛お゛っ!!」

「ほぉ、動きも速さも悪くないな」

 

一気に接近してから左手の爪での突きを繰り出すと奴は槍で防ぐ。

全力のスピードも当然読まれていたか…これならどうだ?

ノーモーションからの右爪の突きを奴の腹を目掛けて繰り出す。

だが、槍を器用に振り回して防いだ瞬間、俺の左肩に穂先を突きつける。

ドーナシークよりも槍の技術が高い…っ!

 

「小手先だけの攻撃は俺に効かんぞ? もっと全力で来い!」

 

突きつけるだけで攻撃しようともしない…遊ばれてるな。

仲間が襲われている中でこんな遊ばれているなんてイラつきが増してくる。

無論、ここで熱くなったら駄目だ。

落ち着いて攻撃を重ねていけば、一撃を与える事は出来る!

 

両手の爪を使った突きや引っ掻き、スピードと技術を使ったフェイント、

持ちうる格闘技もフルに使って攻撃するも全て防がれる。

まだだ! まだ力が足りない!!

限界まで出しきれ、タイラントぉぉぉぉぉっ!!

 

「ふむ、力と速さが増してきたか。ここまでやるとはな、褒めてやるぞ人間!」

「ウ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ッ!!」

 

徐々に体の熱が高まっていくと動きも力も増していく。

速度と重さを増した攻撃が少しずつ奴の防御を崩していく。

このまま行けば攻撃が通るかもしれない…!

だが、俺は大切な事を忘れていた。

 

「だが、その程度では俺を倒せん」

「っ!?」

 

こいつは『わざと攻撃をして来なかった』という事を。

最高速度の突きを躱した瞬間に俺の腹に槍を突き刺した。

血が喉奥から込み上げてきてそのまま吐血した。

俺を刺した槍をそのまま持ち上げて振り抜かれた瞬間に俺は壁に叩き付けられた。

咽る様に血を吐きながら立ち上がろうとするが力が入らない。

 

奴は俺が捨てた剣を拾ったが偽物だと判った瞬間に破壊した。

そして俺の方へ向き直す。止めでも刺すつもりだろうか。

只では死なないぞ…生まれたての小鹿のように震える足を無理やり使って壁伝いに立ち上がる。

目だけは真っ直ぐと奴を睨みつける、まだまだ戦えるぞ俺は!

 

「瀕死の状態でも俺に立ち向かうか?」

「………っ!」

「チャンスをやろう、小僧。俺は近々グレモリーの娘が根城にしている学び舎を中心に暴れる予定だ」

「!?」

「俺は戦争を再び起こす。止めたければ貴様も来るがいい、俺に勝てればな?」

 

奴はそれだけを言い残してどこかへ飛んで行った。

駒王学園で暴れるどころか戦争を勃発させるだと…?

体力に限界を感じて変身を解除した俺はタイラントが守ってくれたダメージを全身に感じる。

血反吐を吐き、腹から多量の出血しながらも手帳に急いで書く。

やばい…血を流し過ぎたせいか思うように書けない。

意識が朦朧として、きた…。

 

 

 

 

 

 

『ナース、もっと回復アイテムを宿主に! 処刑マジニとザ・キーパーはタイラントを培養カプセルに入れて!』

 

遠くから聞こえる涙声、この声はロビー君か。

周りがバタバタとしている…また病院にお世話になっちまったか?

目も開けられないし体も動かない。

本当に危険な状態なんだろうな。

 

『くそ、いきなりコカビエルと戦闘だなんて予想外にも程があるよ! 宿主も何で逃げなかったのさ!?』

『フシュルルルルッ…』

『ミショナリー…わかっているよ、宿主が仲間の為に戦う人だって事は』

『シャァァァッ…』

『大丈夫だよ、エイリアン。宿主はすぐに元気になるさ』

 

そうか…俺が死ぬとこいつらも消えてしまう。

俺の命は俺だけの物じゃない、こいつらがいなければ俺は既にはぐれ悪魔に喰われていたしな。

目を覚ましたら謝らないとな…そしてもっと強くならないと宿主として相応しくない。

こいつらの力だけ借りて大物気取りになっているなんて、何て恥ずかしい真似をしちまったんだろう。

 

『………』

 

先程から俺の真後ろに立っている奴もそれを言いに来たんだろうな。

何となくだがわかるんだ…お前、俺と一緒で喋れないんだろ?

お前の存在はどこか親近感が湧くし似ている…。

 

『………』(スッ)

 

そいつはある方向を指し示すと光が見えた。

どうやらまだ俺は生きているようだ、ありがたい。

何れお前と遊べたら思いきりやろうぜ。

じゃあ、またな。

 

『………』(フリフリ)

 

手を振って見送ってくれるのを背中に感じて俺は光の方へ歩いていく。

 

 

 

光が一面に広がったと思うと、すんなりと目を開ける事が出来た。お、体も動かせる。

いきなり目を開けた事でロビー君を始め、皆驚いていた。

身体を見ると刺された痕は残っているが傷口が塞がっている。

ナース達の医療技術は世界一ぃぃぃぃぃぃっ!

するとロビー君がいきなり抱きついてきた。

 

『宿主ぃぃぃぃぃ! 目を覚まして良かったよぉぉぉぉぉ!』

『俺が悪かったから離れろ! 暑苦しいし着ぐるみの血が付く!』

 

それでも放してくれないロビー君に続いてエイリアンも飛びついてきた。

甘えるのは良いけど涎は拭いてくれぇぇぇ!

ミショナリーも両手で顔を覆って涙流しているしナース達も泣いている。

処刑マジニも飛び跳ねて喜んでいる。ザ・キーパーは恐らく娘さんの所へ報告しに行ったのだろう。

 

『皆すまなかった…判断を誤って死に掛けちまった』

『本当だよ! タイラントがダメージを庇ってくれなかったら死んでいたんだよ!』

『そうだ、タイラントは!?』

『何とか生きているよ。今は培養カプセルで治療中』

『そうか…あいつにも悪い事をした』

『後でちゃんと謝るんだよ? あの一族は死に掛けても復活するけど』

『あぁ、わかっている。また後で来る』

 

この世界で回復が出来たのなら現実でも大丈夫だろう。

あんなところで倒れたままなら騒ぎになっちまうから早く目を覚まそう。

そう思った俺は病室にある鏡に触れると体が吸いこまれるような感覚を感じ、一気に現実へと戻る。

 

 

 

 

 

 

「お、ようやく覚ましたな、兄ちゃん」

「…?」

 

目を覚ませば見覚えのない部屋…起き上がって見るとやけに高級そうなソファで寝かされていた。

声を掛けられた方へ向けば、前髪が金髪で後ろが黒髪というかなり攻めた髪型をしている男がいた。

どうやらこの人が倒れている俺を助けてくれたのだろう。

お礼を言わないとな…えーと、ボードはどこだ?

探していると男が俺のボードを差し出してくれた。

 

「もしかしてこれを探しているのか? 筆談という事は喋れないんだな。ほらよ」

『ありがとうございます。介抱してくれた事も感謝します』

「はははっ。デカいし怖そうな風貌なのに礼儀正しいんだな」

『礼儀は重んじろと後見人に教わっているので』

「色々と事情がありそうだな。所でお前さんは時間とか大丈夫なのか?」

 

そう言われて俺は携帯を見る…あれから1日は経っているし皆から連絡が何度も来ている。

何っ!? コカビエルが戦争の火種にする為にこの街を滅ぼす…だと!?

今すぐ駒王学園に向かわなければっ!!

立ち上がって緊急の用事があるので急いで行く事を伝えた。

 

『後日お礼に伺います! お名前だけでも教えてください』

「大した事はしてねぇから気にするな。ほれ、急ぎなら早く行ってやれ」

『…すいません、失礼します!』

 

 

 

「あの馬鹿の所へ行っちまったか…ま、お前さんとはすぐにまた会えるだろう。

 神が忌み嫌う化物共(・・・・・・・・・・)に魅入られた兄ちゃんよぉ?」

 

 

 

 

 

 

「もう終わりか? グレモリーの娘!」

「何て、力なの…!?」

 

俺達は駒王学園の校庭で宣戦布告してきたコカビエルに挑んでいた。

ソーナ会長達は学園の周囲に結界を貼っているので動けない。

最初に地獄の番犬、ケルベロスが数匹出てきた。

思った以上にタフなケルベロスに手こずっていると、聖剣使いのゼノヴィアが加勢に加わり、木場も戻ってきた。

 

しかし皆殺しの大司教、バルパー・ガリレイによって4本の聖剣エクスカリバーは結合されてしまった為はぐれエクソシストのフリード・セルゼンの手に渡ってしまう。

さらにコカビエルも戦いに加わり、かなりの劣勢を強いられた。

その最中に、かつての木場の仲間達の想いが形として現れた事で神器が禁手に至り、

双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)』と成してエクスカリバーに勝てた。

 

この時バルパーは何かに気づいてしまったが、その瞬間にコカビエルによって殺された。

あと残されたのはコカビエルだけだがこいつがかなり強い。

見た事もない程の巨大な光の槍で体育館を木端微塵にしてしまい、

俺達が総出でいくら攻撃しても全く通用しない。

その中でとんでもない事実がわかってしまった。

 

剛先輩が既にコカビエルと戦って負けてしまった事、

朱乃さんが堕天使の子供である事、

そしてアーシア達が信仰していた神が死んでいた事。

 

特に神の死という事実はアーシアやゼノヴィアが崩れ落ちてしまう程だ。

そして俺がブーステッド・ギアで溜めた力を譲渡した部長でも通用しなかった。

どう考えても絶望的な状況で、俺は諦める訳にはいかない!

剛先輩の敵を討つのも、皆が住むこの町を守るのもそうだ!

そしてハーレム王になる俺の計画をこいつなんかに邪魔されてなるものか!!

 

俺は立ち上がって向かおうとした瞬間に後ろから何かが通り過ぎた。

それはとてつもない速さでコカビエルに向かっていく。

咄嗟に避けたコカビエルもだが俺達もブレーキをかけて止まったそれを見た。

誰もがここに来るとは思っていなかった人だった。

 

「何だ貴様は?」

「グルルルルルッ!!」

「剛、先輩…?」

 

 

 

 

 

俺は外へ出た瞬間、ミショナリーに変身しながら走った。

タイラントの時と同様にいつもよりスピードが上がっている。

走りながらロビー君に連絡してタイラントの容態はどうかを確認する。

どうやら回復はしているらしく、戦える状態にあるらしい。

だが自分の力不足を感じて後悔しているとか。

 

『タイラントに伝えておけ。リベンジするぞって』

『宿主がそう言わなくても、タイラントもその気満々だよ』

 

なら心配はいらないな。

一気に駒王学園まで走ると一度門の前で止まる。

ソーナを始めとした生徒会の皆が結界を貼っていたのだ。

ミショナリーを初めて見た椿姫や匙たちは警戒していたが、変身を解いた瞬間に俺だとわかって安堵していた。

そしてソーナは声かけてきた

 

「剛君!? 今までどこへ行ってたんですか!?」

『匙がいるという事は話は聞いていただろ? あの後俺はコカビエルと遭遇して半殺しにされた』

「何ですって!?」

「門星先輩が半殺しに!?」

『もう回復したから今は大丈夫だ。俺は奴にリベンジをしに来た、通せ』

「…ダメだと言っても諦めませんよね?」

『その時は力尽くで結界をぶっ壊してでも通るぜ?』

「はぁ…この戦いが終わったら匙同様にお仕置き受けてもらいますよ?」

『後で説教でも何でも受けてやる…生きて帰ってくるから心配すんな』

「約束ですよ?」

『わかってる』

 

すると結界が一部開いて通れるようになった。

俺は頭を下げてから再びミショナリーに変身して最高速度で走りながら校庭へ向かう。

両手のトンファーを構えて立ち上がろうとするイッセーの横を通り過ぎてコカビエルへ攻撃する。

だが、瞬時に気づいた奴に避けられてしまい当たらなかった。

すぐにブレーキを掛けた俺は体ごと向き直して構える。

 

「何だ貴様は?」

「グルルルルルッ!!」

「剛、先輩…?」

 

コカビエルが問いかけるとミショナリー自身が唸りを上げていた。

俺は変身を解いて奴に姿を見せる。

すると奴は怪訝そうな顔をしていた、まさか1日で回復するとは思っていなかっただろう。

俺だって思わなかったし。

 

「貴様、あの傷を回復させてきたというのか?」

『負けっぱなしは嫌だからな、リベンジだ』

「昨日今日で俺を倒せる力があると思っているのかぁ? これは愉快だな!」

『戦争がしたいんだろ? なら俺とお前で戦争だ』

「待ってくれ、先輩! 俺もやらせてくれ!!」

 

突然、イッセーがそう叫んで俺の隣に立った。

お前も皆もボロボロにやられている中、ちっとも諦めずに戦うつもりか。

全く無茶苦茶で馬鹿な後輩だな…と言っている先輩が無茶苦茶で馬鹿だから仕方ねぇか!

 

「何人で挑んでこようが俺は一向に構わん、だが急げよ? 残された時間はあと僅かだ」

 

向こうもそう言っているんだ、遠慮なくやらせてもらうぜ?

タイラント、準備は良いな?

右手にタイラントの覆面を出すと、普段無表情な奴がやる気満々な顔をしている。

サポートは処刑マジニ、お前に任せるぜ?

左手に処刑マジニの覆面を出す。相変わらず暴れたいのか、お前は。

 

覆面を真上に投げて両手を思い切り叩く…そう、覆面の融合だ。

ザ・キーパーでも良かったけど今回はタイラントのリベンジでもある。

なら、タイラントの融合で戦わせてやるのが筋ってもんだろ!

融合して落ちてきた覆面を受け取って被る。

 

すると肉体が変化していき、筋力が増大し体中から触手のような物が現われる。

服はダークグリーンのコートではなく、真っ黒なロングコートになるが右肩が露出している。

一番の異形は顔だ。

タイラントは白い肌のスキンヘッドだが、こいつは違う。

所々に筋組織が露わになっていて、口は歯茎が剥き出しで右目は手術痕の様に潰れている。

 

タイラント以上の異形でありながらもタイラント以上の力を持つ者。

名は…【復讐の女神(ネメシス)

リベンジマッチには相応しい名前だろう?

さぁ、復讐戦争の時間だぞ!

コカビエルゥゥゥゥゥッ!!

 

「ウ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛ッ!!」

「行くぜ、コカビエルッ!!」

「さぁ、かかってこい。赤龍帝と覆面人間!」

 




『しかし見事に傷が塞がったな…』
『そりゃあナース達が頑張ったからね』
『手術した痕はないけど薬か何かか?』
『えーと、調合したハーブ(バイオ仕様)のを傷口に詰めて…』
『Σ(´Д` )』
『そこに栄養ドリンク(静岡仕様)を3本くらい入れて』
『Σ(゚Д゚;)』
『んで注射器(サイブレ仕様)を1本ぶっ刺して傷口直したよ』
『((((;Д; ))))ガクガクブルブル』
『まぁ嘘だけどね♪』
『おい(゚Д゚#)』


閲覧ありがとうございます。


皆様大変お待たせしました。
今回の新クリーチャーは、リクエストとして多かったクリーチャーの一体で、
バイオハザード3のトラウマで有名な追跡者こと「ネメシス」です!
ゲーム界のクリーチャーとして真っ先に挙げられる存在なので次回はその活躍を楽しみにしてもらえるとありがたいです!


それでは、また。


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第24話

大変遅くなってしまい、申し訳ありません。


 

俺とイッセーは二人してコカビエルに飛びかかる。

奴の事だ、受けてから返すやり方で応戦するだろう…ならそのガードごとぶっ壊す必要がある!

タイラントのリベンジでもあるんだ。力を貸せ、ネメシス!!

そしてタイミングは俺に合わせろ、イッセー!!

 

「ウ゛オ゛オ゛ッ!」

「何だと…昨日より、力を増してるだと!?」

「隙だらけだ…ぜ!!」

「ぐっ!?」

 

俺が先陣を切って奴に殴りかかると前のように片手でガードしてくるが、

ネメシスのパワーはスーパータイラントや処刑マジニよりも上なのでそのままガードを崩す。

奴が体勢を崩してる合間にも俺の背後にいるイッセーがそのまま飛び上がって顔面を殴る。

無論、俺はその瞬間も逃さずに追撃する。先程殴った勢いで体を捻って後ろ蹴りで胴体に突き刺す。

すると少し吹っ飛んでいくもすぐに体勢を立て直して片手には槍を出した。

 

「ははは、面白い…! 貴様らの連携は中々に面白いぞ! これならどうだ!?」

「先輩!」

「ドイテロッ! イッセー!」

 

思わぬダメージが入った事でコカビエルは笑いながら槍を投げてくる。

体育館が吹っ飛んでいるのはどうせ、こいつの槍だろう。

だったら…俺も道具を使わせてもらうぜ!

俺はイッセーを退く様に叫ぶと右手から触手が伸びていく。

 

「手から触手!?」

「ますます神器の力を手にしていますわ…」

 

リアスや朱乃達も驚くのも無理はない、こいつがネメシスの力だ。

触手が放たれた槍に絡みつくと俺は右腕を振るって槍をコカビエルに叩き込む。

だがコカビエルも両手に光の剣を出して槍を受け止めるとそれを打ち消した。

その隙にイッセーが奴へ向って飛び掛かっていく。

俺が教え込んだ格闘術を上手く駆使して戦っている。

 

「ははははは! あそこまでやるとはな。いよいよ化物だな貴様の仲間は!」

「先輩は…化物、じゃねぇ!」

「息が上がってきているぞ? 動きも遅くなってきたぞ赤龍帝ぃ!!」

「っ!?」

「!」

 

俺がここに来るまでの間、リアス達と戦ってきたのだろう。

明らかに体力が消耗している…。

イッセーの動きが鈍くなった瞬間に奴の拳が顔面に当たって俺に向かって吹っ飛んだ。

俺は咄嗟にイッセーを片手で受け止めた。

ぐったりしているせいか力が感じられない。

 

「すまねぇ、先輩…」

「休ンデロ、俺ガ戦ウ」

「はぁ、はぁ…俺は…まだ!」

「交代ダ…リアス、コイツヲ頼ンダ!」

「え、ちょっと!?」

 

無理にでも行こうとするイッセーを行かせまいと思った俺はリアスに向けてイッセーを投げた。

リアスと朱乃の二人がイッセーを受け止めるとそのまま寝かせた。

文句なら後で聞くし、詫びならいくらでもしてやる。

その前にコイツをブッ飛ばしておかねぇとな!

拳を握りしめて俺は真っ直ぐコカビエルに向かう!

 

「ヴォォォォォォォッ!!」

「まだまだ俺を楽しませろぉぉぉっ!!」

 

そこから繰り広げられるのは打撃と打撃の応酬。

互いに重く、鋭い一撃を入れてぶん殴り合う。

少しでもへばったら一方的にやられるデスマッチ…燃える!

けどこいつは2体分の体力を使うから本気で叩きのめす!!

 

コカビエルの拳に合わせて左のカウンターを顔面にぶち込むと僅かに怯んだ。

ここから一気に畳み掛ける様に殴り続ける。

ボディを打ちつけて身体を「く」の字にさせた瞬間に頭を掴んで顔面に膝を入れる。

そこから右のフック、左のショートアッパー、右のストレートのコンビネーションで思いきり吹っ飛ばす。

これで仕留めれば良かったが、流石に堕天使の幹部クラス…立ち上がりやがった。

 

「っ! 調子に乗るなよ…化物がぁぁぁ!」

 

激昂したコカビエルが翼を出すと空へと飛びだし槍を数多展開してくる。

触手で捌くには骨が折れるな…。

 

『宿主、ネメシスにも飛び道具あるよ~』

『マジか、使わせてもらうぞ!』

『OK♪地面を思い切り踏んでみて!』

 

ロビー君の言う通りに地面を思い切り踏むと下から細長い緑色のコンテナが現われた。

早速開けて中身を取り出すとズッシリと重みのある長い筒…ロケットランチャー!?

こんなもん扱い方わからねぇぞ!!?

すると右手の触手が勝手にロケットランチャーに連結して自然に構えられるようになった。

ロビー君曰くネメシスの意志が触手を通して武器に連結する事で使い方が勝手にわかるそうだ。

いやいやいや、あり得ねぇよ!?

 

そんな事していると上から大量の光の槍が降り注いでくる。

お前らが使う重火器なんだ、信じてるぞ!?

ネメシスが使うロケットランチャーにはスコープがないけど視認で行ける!

ミサイル…発射ぁぁぁっ!!!!

 

「ヴォォォォォッ!!」

 

放たれたミサイルが光の槍に当たると大爆発を起こして多数の光の槍は爆風によって砕け散った。

なんつー威力だよ…これ絶対人間が扱う物より強いだろ!?

煙が晴れない内にコンテナに入っている予備のミサイルを装填していると頭上の光が強くなった。

見上げてみると、とてつもなく巨大な光の槍が出来上がっていた。

コカビエルは冷や汗を掻いた状態で俺を睨んで叫ぶ。

 

「そこまでやるようになったとは…貴様は危険だ! 本気で殺らせてもらうぞ!!」

 

俺に槍を向けた瞬間に俺も装填を終えて構える。

ロビー君曰くあれだけ巨大な槍だと一撃で破壊できるかどうかはわからないそうだ。

再装填は間に合わないし、このまま逃げても広範囲の槍の威力で俺らは全滅。

ならばやるしかねぇだろ?

 

片膝を地面に着いて構えると誰かが来た。

おい、危ねぇから退けと言おうとしたがそいつは下からロケットランチャーを左手で支えた。

この赤い篭手は…イッセーか。

左腕のブーステッド・ギアは光を失っていない…ずっと倍加をしていたのか?

 

「オイ…」

「剛先輩、俺は強くなりたい」

「夢ノハーレム王ノ為カ?」

「それもだけど…部長達を守れる強さがなければ意味が無いんだ」

「…ココカラ生キテ帰レタラ、鍛エテヤル」

 

全くてめぇがそう言う事を言っちまったら、俺の示しがつかねぇじゃねぇか!

ネメシス、俺の全ての体力を持って行って構わねぇ!

確実にコカビエルを仕留める一発をぶち込むぞ!!

タイラントと処刑マジニは狙いがブレないようにしっかり支えてくれ!!

赤龍帝に負けるんじゃねぇぞ!!

 

「これで、終わりだぁぁぁっ!!」

 

コカビエルが槍を放つ準備が出来たのか俺達に向けて放とうとする。

見た事もない巨大な光の槍はまるで太陽みたいな明るさだが不思議と恐怖はない。

覚悟決めた後輩の前でビビる訳にはいかないだろ?

「覚悟」とは、暗闇の荒野に、進むべき道を切り開くことだッ!!

 

「行くぜ先輩!!」

『Transfer!』

 

イッセーから倍加の力が贈られる…ロケットランチャーが赤くなり砲身がドラゴンの形へと変貌した。

あの威力を何重にも倍加させたものだろ? とんでもない力が感じられる。

槍の向こう側にいる奴にぶっ放してやる!

ターゲット・ロックオン!!

 

「行クゾ、イッセェェェッ!!」

赤龍誘導弾(ドラゴン・スティンガー)!!」

「「ファイアァァァァァッ!!!!」」

 

俺が引き金を引くと龍の咆哮に似た発射音と共に放たれ、凄まじい反動に俺とイッセーは吹き飛ばされた。

放たれた赤いミサイル巨大な槍とぶつかり、そのまま貫通していき真っ直ぐコカビエルに直撃する。

そこから響き渡る奴の苦痛の叫び声と大爆発の轟音。

当然爆風も凄まじく校庭にいるリアス達も吹き飛ばされそうになるくらいだった。

 

 

 

爆風が収まってようやく立ち上がると視線の先には全身ボロボロになったコカビエルが宙に浮いていた。

かなり疲弊しているけどまだ倒しきれていないのかよ!?

俺はもう一度ロケットランチャーを装填しようとするがさっきの砲撃の反動が取れていない。

くそっ手が震えて力が入らねぇ!

イッセー達も戦闘状態になれていないしまずいぞ!?

 

「お、俺は…まだ、まだ負けては!!」

「いいや、お前の負けだ。コカビエル」

 

コカビエルが再び巨大な槍を展開しようとした瞬間、空から声が聞こえた。

すると覆っていたはずの結界がガラスみたいに砕け散って白い光が舞い降りた。

白い全身甲冑に透き通るほど綺麗な光の翼が印象的な姿だった。

あの甲冑姿…どこかで見たことあるな。

 

「白い龍…白龍皇か!」

 

コカビエルの発言に思い出した、イッセーの禁手形態に似ている。

つまりこいつも神滅具の一つ…。

するとコカビエルは先程の様に巨大な光の槍を白龍皇に放とうとする。

だが、白龍皇が片手を翳すと翼から声が聞こえた。

 

『Divide!』

 

その瞬間に光の槍が半分、また半分と小さくなっていき瞬く間に消えていった。

【半減】…? ブーステッド・ギアは【倍加】の逆となる訳か。

これが二天龍…恐ろしい能力だな。

すると一瞬で白龍皇はコカビエルに攻撃を仕掛けて一撃で倒した。

 

地面から巨大な魔方陣が浮かび上がり砕け散った…これで町は大丈夫なのか。

しかし俺らが全力でやって倒せなかったコカビエルを消耗していたとはいえ一撃…。

幸い俺達に敵意はなさそうだ。

どうやらアザゼル…堕天使のトップからの命令でコカビエルの連行が目的だったようだ。

 

その後、イッセーの篭手からの声…ドライグと白龍皇の翼…アルビオンとの会話が起きていた。

すると奴は俺とイッセーを見て何かを思ったのだろう。

最後にこう言い残した。

 

「強くなれよ、赤龍帝とそこの神器持つ人間。お前達と戦えるのを楽しみにしている」

 

そう言った瞬間にコカビエルとフリードを抱えて凄い速さで飛んで行った。

強くなれ…か。

イッセーだけじゃなくて俺にもそんな声を掛けられるとは思わなかった。

全く、俺の普通の生活はどこへ行っちまうんだか。

 

ネメシスの覆面を脱いだ瞬間、疲れが限界を超えて俺はそのまま地面に倒れて眠ってしまった。

 




『という訳でネメシスだよ!』
『色々と酷使しちまってすまない…』
『…気ニスルナ』
『コイツ喋れるの!?Σ(゚Д゚;)』
『そうだよ?だから本編でも宿主も片言だけど喋れたじゃん』
『あっそうだった(・ω・;)』
『…長クハ話センカラナ?』


閲覧ありがとうございます。


お久しぶりです。
長い間スランプに陥ってようやく書けても書き直しの連続で参りました…。
リハビリしようにも上手くいかない現状ですが放置してしまうのも申し訳ない気持ちです。これからはゆっくりリハビリしつつも連載は頑張りたいと思いますのでこんな作者で良ければこれからもよろしくお願いします。


それでは、また。


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第25話

 

目が覚めると、俺は自分の家であるアパートの寝室にいた…どうやらあのまま寝ていたようだ。

珍しくロビー君達の所へ行かずに眠りこけていたのか。

大怪我から復活して間もなく、全力でコカビエルと戦っていたから当然か。

身体が動かないから筋肉痛になっちまったか…?

 

いや、待て。これは布団の中に誰かいるぞ。

ゴムレス達が寝ぼけて俺の布団に入ってきたか?

たまにあいつら寝ぼけてやらかすからな、全く犬や猫じゃねぇんだから。

それにしては感触が違いすぎる…柔らかいし温もりがある。

 

「すぅ…すぅ…」

「んっ…」

 

左右両方から聞こえた声に俺は誰がいるのかと首を動かして確認する。

右には髪を下した浴衣姿の朱乃が、左に静かに寝息を立てているパジャマ姿の小猫がそれぞれ俺の腕を抱きしめて寝ていた。

何だ、人肌が当たっていたのか。そりゃあ暖かいに決まっている。

原因もわかったしもう一眠りするか…おやすみー。

 

 

……

 

………って!

 

眠れるかぁぁぁぁぁっ!?Σ(゚Д゚;)

 

 

 

「あらあら、先に起きてしまいましたか?」

「おはようございます、剛先輩」

 

あぁ、おはよう…じゃなくて!

とりあえず二人を起こした俺はここまでの経緯の説明を求めた。

これ俺が喋れたら驚きの余りに叫んでいるからな!?

あ、でもこれで誰か来たら俺が署に連行じゃね?

ラノベ主人公のようにはなれませんね、こんチクショウめ。

 

「コカビエルとの戦闘の後、剛君はその場で倒れて眠っていましたから」

「私と朱乃先輩で家まで運んできたのです」

『あー…迷惑をかけたな、すまない。訳はちゃんと話す』

「その話は部長達がいる時にしましょう」

「それでは、朝食の準備を致しますわ」

『じゃあ俺が作るわ』

「先輩はまだゆっくりしてて下さい。私と朱乃先輩でやります」

「可愛いゴーレムさん達も手伝ってくれるそうですし」

 

二人が立ち上がって台所へ向っていく姿を見送る。

ゴムレス、ユーガ、ゴルドン達も既にお湯を沸かしたり新聞を回収したりと動いているみたいだ。

仕込んだ立場ではあるが、どんどん家庭的になってきたなこいつら。

 

 

 

飯を食い終わって朱乃と小猫と一緒に登校した俺は昨日滅茶苦茶になるまで戦っていた校庭で足を止めた。

削れた地面も粉砕された体育館もまるで何事も無かったかのように綺麗に元通りになっていた。

リアスとソーナ達が一晩でやってくれましたって奴か、悪魔はすげぇな。

さてと、まずはソーナに会いにいかないと。

すると後ろから誰かが走ってきて声かけてきた。

 

「門星先輩!」

『匙か、昨日はサポートありがとうな』

「先輩こそ無事で良かったです! 会長達も心配していましたから顔を出してあげてください!」

『元よりそのつもりだ。説教も待ってるらしいからな』

「あぁ…ご愁傷様です」

 

まるで戦場へ向う人を見送るかのような遠い目で匙は言うが大げさだな。

確かにお仕置きとか言っていたがどうせ説教されるくらいだろ?

あいつは厳しくて厳しいと言うが心配してくれる優しい奴だって。

俺は匙に手を振りながら別れて生徒会室へと向う。

 

 

 

「さて、申し開きがあれば聞きますよ?」

『あれ? これってお互いの無事を祝う和やかな場面じゃあねぇの?』

「ちゃんと答えなさい」

『アッハイ(;゚Д゚)スイマセン』

 

生徒会室へ行ったらそこにはすげぇ冷ややかな笑みを浮かべたソーナがいた。

そして生徒会長の机の前で正座させられた。え、何これ裁判?

椿姫にどうにか助けてくれないか目線で問いかけても目を瞑って首を横に振っていた。

やべぇ詰んだわコレ\(^o^)/

まぁ、どの道にしたって正直に話すつもりだったから問題ねぇけど。

 

『可愛い後輩が自棄になっていたから先輩として解決できないか行動しただけだ。以上』

 

単純明快な答えだ、猿にもわかるだろ?

猿と言えば近くの喫茶店のチョコバナナパフェが食べたくなってきた、今日行こうかな。

そんなこと考えているとソーナから深いため息が聞こえた。

頭を抱えているなんて疲れたら休んだ方がいいぞー?

 

「もう貴方に悪魔と他の陣営の問題に首を突っ込まないで下さいと諭しても無駄だとはわかっています」

『いや、俺もなるべく突っ込みたくないよ? 結果的にそうなる事が多くてだな…』

「言い訳はもう結構です。昨日の宣言通りにお仕置きを受けてもらいます」

『それで許してくれるならバッチ来いщ(゚д゚щ)』

「では、お尻叩き500回を受けてもらいます」

 

何だケツ叩きか…ファッ!?Σ(゚Д゚;)

え、古典的過ぎない? 高校3年生になって同学年の女の子にケツ叩きされるとか絵的にキツくない!?

俺それをご褒美と言ってしまう業界の人間じゃないし、そんな趣味もないよ!?

しかも500回とか多すぎぃっ!!

ふえぇぇ…俺のケツが真っ二つに割れちゃうよぉぉぉっ…。

 

『待って、俺が悪かったから女の子だらけの空間で大の男がケツ叩きとか勘弁してくれませんか?』

「駄目です。それに匙もちゃんと1000回受けましたから貴方だけ御咎め無しなんて出来ません」

『匙ェ…』

「匙の半分だけで済むんですからすぐに終わります」

『俺、人間! ソーナ、悪魔! 悪魔、力強い、俺のケツ、割れる!』

「何で片言なんですか…? 大丈夫です、ちゃんと手加減はします。それでも痛いですけど」

 

土下座して頼み込んでも完全に俺のケツがロックオンされている。

手加減とか言いつつその手に魔法陣が出ているんですけど!?

ちくしょう、こんな所にいられるか! 俺は自分の家に戻るぞ!!

すぐに土下座から逃走モードにトランスフォームして扉を開けようとしたが開かない。

あれれー? おかしいぞー?

扉に魔法陣が出て開かないようになっているぞー?

 

「ごめんなさい、剛君」

『椿姫ぃぃぃぃぃっ!?(;゚Д゚)』

 

扉の近くに立っていた椿姫が少し笑うのを耐えながら言っている…。

 ナ ン テ コ ッ タ イ /(^o^)\

そして後ろから肩を軽く叩かれる…あぁ、もう振り向きたくない。

 

『お願い、何でもするから許して!( ;ω;)』

「ん? 今、何でもするって言いましたね?」

『出来る限りの事はするから!』

「反省しますか?」

『反省します!』

「じゃあ、私ではなく代わりに椿姫にやってもらいましょう。椿姫」

「はい、会長」

『ギャアァァァァ━━━(゚Д゚|||)━━━!!!!!!』

 

違う、そうじゃない!

ソーナが駄目だとかそういう事じゃなくて!

ケツ叩き自体を辞めて欲しいという俺の願いを!!

聞き入れてくれませんかねぇぇぇぇぇっ!!!

 

「剛君、四つん這いになりなさい」

 

あ、もう駄目だこれ。これ以上逆らえねぇや。

ちくしょう、こうなったら変身してダメージを肩代わりしてもらうしか…!

耐久性が高いタイラントに変身しちまえば…ってあれ?

何で覆面が出ない!? おいロビー君!?

 

『宿主、流石にそれは駄目だよw大人しく受けた方がいいよwww』

『このクソウサギがぁぁぁぁぁぁ!!(゚Д゚#)』

 

テメェ、またボコボコにしてから縛ってピザ屋にブチ込んでやるからな!!

ん? いつの間にか俺四つん這いになってる!?

ところで生徒会の皆さんは何で僕を抑えているんですかねぇ?

あれ、これ完全に詰んだ?

 

「やりなさい、椿姫」

「はい、会長…では剛君、行きますよ?」

 

あ、ちょっと待てまだ心の準備が…あ゛ぁぁぁぁぁっ!?

 

 

 

 

 

 

『もうお婿に行けない…。・゚・(ノД`)・゚・。』

「先輩も尻叩きを喰らったんですね…」

『イッセー、俺のケツ4個になってない?』

「先輩が割れてないと思えば割れてないと思いますよ」

『じゃあケツが6個になってるわ…痛いよぉ…』

「俺も部長から1000回喰らいましたから気持ちはよくわかります」

『お前も喰らったんかい』

 

オカルト研究部の部室のソファに座っている俺はひたすら泣いた。

マジで500回やるとは…痛くてガチで泣いた。

お蔭で教室の椅子に座るのも一苦労したわ!

クラスメイトや先生には筋トレのし過ぎで腰を痛めたって事にしたからバレてねぇけどよ…。

女の子からケツ叩きをされて座れませんとか死んでも言えるか!!

 

「今回の件は確かに剛はよく頑張ってくれたわ。でも一度殺されかけたってのは怒られて当然よ?」

『もう反省しているよ…だから勘弁してくれ(´;ω;`)』

「本当に神器持ちとはいえ貴方が人間である事には変わりないのだから」

『返す言葉もない…』

 

リアスからのお小言にしょんぼりしていると隣に座っている小猫がドーナツを分けてくれた。

ありがてぇ…ありがてぇ…!

傷心した俺は貰ったドーナツをボソボソと食べていると、

祐斗が部室に入ってきて俺の前に立つと、頭を深々と下げた。

 

「先輩…この度は多大な迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ありませんでした」

『…祐斗』

「あの時にかけてもらった言葉が今になって漸く理解できました…それなのに裏切るような真似を!」

 

祐斗は頭を下げたまま言葉を続ける…全く、真面目なイケメンだな。

そんな事で俺が怒ったままだと思っているのか?

俺は立ち上がってあの時の様にまたガシガシと頭を撫でた。

 

「…先輩?」

『馬鹿野郎が、心配させやがって。よく帰ってきてくれた』

「ありがとう…ございます」

『そういう時は「ただいま」って言うんだよ』

「は、はい…ただいま、帰りました」

『おぅ、おかえり』

 

俺は歓迎の意を込めて祐斗の背中をバシンッと叩くと少し痛そうにしていた。

ゲンコツと行きたいところだが反省しているからこれでチャラにしてやる。

イッセーなんかどんだけゲンコツとかタイキックを喰らっていたか…。

まぁ、あと俺のダメージが抜けてないからな!ケツのダメージがな!!

 

 

 

「失礼する」

「お、お前は!?」

 

こうして祐斗の騒動も一段落した所で、皆でお茶を飲んでいると扉が開いた。

誰が来たのかと思ったら思いがけない人物にイッセーが声を上げた。

青い髪に緑色のメッシュを入れた女性…ゼノヴィアだ。

何でここにいるんだ?

駒王学園の制服を着てるし…まさか?

 

「新しくグレモリー眷属になった騎士のゼノヴィアよ」

 

リアスの言葉を聞いて俺の予想は当たっていたと確信した。

どうやらゼノヴィアは神が死んだという事実を知ってしまい、

今まで信仰に生きていた人生が破綻してしまった為に悪魔として転生したと。

え、神ってマジでいないの? そうなのか、ロビー君。

 

『うん、昔の大戦で当時の魔王達と一緒に死んだよ?』

『それって教会派の連中が大丈夫なのか?』

『さぁ~ね~。熾天使達がどうにかしているんじゃない? 僕らは興味ないけどぉ』

 

ロビー君は心底どうでもよさそうな感じで答えた。

こいつらも赤龍帝とかと同じ理由で神器にされたんだろうな…。

しかし、ゼノヴィアがそんな重大な情報を知っちまったって事は…?

 

『お前、ひょっとして教会から…?』

「あぁ、禁忌を知った異端の徒として追放された」

「待ってくれ、イリナは?」

「イリナは本部へ帰った。彼女が神の不在を知ったら立ち直れないだろう…私より信仰が深かったからな」

 

やっぱり追放されたか…相変わらずクズしかいないのか教会は。

あぁいう組織体制はどうにも好きになれない。

するとゼノヴィアはアーシアの前に立つと頭を下げて謝罪した。

今となってはアーシアの気持ちがわかり、自身の発言でどれだけ傷つけたか自覚したのだろう。

…どうやら、彼女はいい意味でも悪い意味でも真っ直ぐだ。

 

ゼノヴィアの誠心誠意込めた言葉にアーシアは笑顔で許した。

大切な人たちに囲まれた今の生活に満足している…か。

その言葉には俺も激しく同意だ。

俺もアーシアも独りぼっちだった頃から、こうやって多くの仲間に囲まれた生活に変わった。

どれだけ素晴らしい物かはよくわかる。

 

「門星 剛…これからもよろしく頼む」

『おぅ、俺の事は剛でいい。こちらこそよろしくなゼノヴィア』

「あのコカビエルと殴り合える程の実力…今度手合わせを願おう」

『それはいいけど俺は人間だから程々にしてくれよ?』

 

ゼノヴィアとも握手を交わして新たな仲間として歓迎した。

こいつはデュランダルというとんでもない聖剣を使えるらしい。

祐斗と共にリアスの騎士として並ぶわけか。頼もしいぜ。

こうしてより結束したオカルト研究部は活動を始めていく。

 

 

 

「ところで、剛」

『ん? 何だリアス』

「貴方、私達に隠している事は無いかしら?」

『?…いや、ねぇよ?(´・ω・)』

「じゃあ質問変えるわ、お兄様に何か頼まれなかったかしら?」

 

ジト目で俺を見つめてリアスは俺に問い詰める。

もしかして、例の調査依頼の事…?

いや、俺はあの手帳は誰にも見せてないし話してもいないからバレる筈はない。

何か面倒そうだからとぼけておこう。

 

『いいや、俺みたいな人間がそう簡単に魔王様と会える訳ないだろ』

「じゃあこれに見覚えはないかしら?」

「?!」

 

あれ? 何でリアスがあのノートを持っているんだ?

馬鹿な、まさかあの時にうっかり落としちまったのか!?

いや、待て待て。あれはいつも俺のズボンのポケットに…確か、ほらあった!

すると俺が出したノートを見てリアスの目つきがもっと鋭くなった。

はっ…しまった!?

 

「何で剛がお兄様の魔法陣が描かれているノートを持っているのかしら?」

『イヤーフシギダナー(;゚Д゚)』

「グレイフィアに言うわよ?」

『すいません、サーゼクスさんからコカビエルの調査依頼を受けていました』

 

俺はその場で且つ瞬時に綺麗な土下座をして許しを請いた。

グレイフィアさんにだけは、グレイフィアさんにだけは言わないでくれ!

もう長時間正座でお説教は嫌だよぉ…怖いよぉ…。

((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

 

「わかったわ、言わないからちゃんと経緯を知りたいから経緯をこのノートに書きなさい」

『はい、喜んでぇ!(;゚Д゚)』

 

俺はリアスから受け取ったノートに詳細を全て書いた。

正座しているとケツが痛い…早く終わってくれないかなぁ。

ノートに書き終えるとリアスに渡す。

そろそろ正座は崩しても…あっ駄目ですよね、はい。

ノートを読み終えたリアスはノートを閉じる。

すると白い光が出てすぐに収まった…どこかで見たな。

 

『あのー…もしかしてそれは?』

「貴方が持っているノートのグレイフィア直通版よ」

『Σ(゚Д゚;)ファッ!?』

「そしてグレイフィアからお仕置きする事も頼まれているの♪」

 

そんなニッコリしている笑顔が凄い怖いのは気のせいですかねぇ!?

もうこうなったら最悪窓から飛び降りて逃げるぞ、例え足首を挫いても俺は逃げるぞ!!

すると俺の足元に魔法陣が現われた…何これ?

魔法陣から出ようとしても見えない壁があるんですけど…。

そして俺の後ろにはいつものように微笑んだ朱乃がいた。

 

「ごめんなさい、剛君」

『朱乃ぉぉぉぉぉっ!?(;゚Д゚)』

 

あれれー? おかしいぞー!?

この展開どこかで見たよねぇ!?

気のせいかな、俺のケツがジンジン痛むんだけど…まさか!?

もう形振り構っていられねぇ!

土下座なんかいくらでもやってやる!!

 

『すいません、心から反省しているので…』

「ソーナから受けたのはお尻叩き500回だったわね? じゃあもう500回受ければイッセー達と一緒ね♪」

『何…だと…!?』

「大丈夫よ、朱乃がやってくれるわ」

 

どこが大丈夫なんですかねぇ!?

Sの極みに達した人に何を頼んでくれてんの!?

ちらっと後ろを振り向くと頬を赤くしてそわそわしている朱乃がいた。

戦闘準備万端じゃないですかー! 嫌だー!!

 

「うふふ、大丈夫ですわ剛君。痛いのは最初だけですから…」

『(((((((( ;゚Д゚))))))))ガクガクブルブルガタガタブルブル』

「四つん這いになって下さい、因みに動くと痛いですわよ?」

 

え、ちょっと待ってせめて覚悟だけ決めさせて…あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!!??

 

 

 

もう隠し事はやめよう…仲間に隠し事するのはとてつもない代償なんだとものすごく思い知らされた。

その後アーシアにケツを治して貰う姿の情けなさと8個くらいに割れたであろうケツの痛みに泣いた。

ひたすら俺は泣いた。

。・゚・(ノД`)・゚・。

 

 

【月光校庭のエクスカリバー編 完】




『いやw宿主がお尻叩きされているとか草生えるwww』
『…(トントン)』
『宿主は横暴な時もあるしたまにはやられてもいいよねwww』
『…(トントン)』
『もう誰だい?w今笑っているのにwww(クルッ)』
『(#^ω^)ビキビキ』
『あ、オワタ』


閲覧ありがとうございます。


お久しぶりです。またお待たせしてすいません。
ようやく3巻が終わりました。
これから戦いも激しくなるので新しいクリーチャーも既存のクリーチャーもどんどん暴れさせたいと思います!
なのでこれからもよろしくお願いします。


それでは、また。


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第26話

 

『…ロビー君、確かここだよな?』

『うん、間違いないよ!』

『よく覚えていたな、助かったぜ』

 

あの激闘を為したコカビエル戦後の日曜日、俺はある所へ訪れた。

それは奴に半殺しにされて倒れた俺を介抱してくれた人の家だ。

緊急時と言えど、恩人の名前も訊かずに出ていくのは流石に失礼過ぎたからな。

もしグレイフィアさんに知られたらお説教は確実な案件だぞ。

 

さて、インターホンを鳴らすか。

その前に…カメラが付いてるからホワイトボードに書き込んでおけばいいだろう。

『先日、介抱して頂いた者です。お礼に参りました』っと。

よし、書けたから早速ポチッとな。

少しするとドアが開き、中から先日の男が出てきた。

 

「お、あの時の兄ちゃんか。体は大丈夫か?」

『お陰様で今は元気になりました』

「そうかそうか、なら良かったよ。まぁ上がってくれ」

『はい、ではお邪魔致します』

 

中へ通されると高級なホテルみたいな内装に少し驚いた。

まぁ俺のアパートとは段違いな家賃だろうな…あれでも好物件なんだけど。

ただ大家があの特売王だから他の人達の迷惑かけたり家賃を滞納しすぎたりしたらヤバい事になるだろう。

 

とりあえず菓子折り(中身は俺の特選焼き菓子の詰め合わせ)を渡したら、せっかくだと少しお茶にする事になった。

向こうは適当なコーヒーで悪いなと言っていたが…恐らく高級な奴だぞこれ。

オカ研で紅茶やらコーヒーやらが揃っているから多少の味はわかる。

 

「んで、あの時の用事は大丈夫だったのか?」

『えぇ、何とか間に合いました』

「大分急いでたから気にはなってたんだよ。

 

 

 

 この町が滅ぶかどうかの瀬戸際だったんだろ?」

「!?」

 

いきなりの言葉に俺はコーヒーのカップを落としそうになったが何とか溢さずに済んだ。

何故、その事を知っている!?

この事はサーゼクスさん達にしか話していないし、教会側の奴なら態々俺に接触する意味が無い。

となると考えられるのは…!

 

『貴方は…堕天使ですか?』

「なるほど、見た目の割には鋭いな。正解だ」

 

俺の問いに感心したかのように男が言うとゆっくり立ち上がって羽根を広げた。

6対…12枚の漆黒のような羽根。

リアスが講義してくれた記憶が確かなら、こいつは間違いない。

神の子を見張る者(グリゴリ)の…!

 

「俺はアザゼル、堕天使の頭をやっている」

 

アザゼル…何故そんなとんでもない奴が俺の目の前にいるんだ!?

堕天使の総督って事はコカビエルよりも強いなんて事は言うまでもない。

例え、ネメシスでも死ぬ気で逃げられるかどうかも分からない…。

すると男…アザゼルは羽根を仕舞って座った。

 

「あぁ、さっきのは只の自己紹介だ、驚かせて悪かったな」

「…?」

「お前さんにはあのコカビエルの馬鹿が迷惑掛けちまったし世話になったからな。

 あくまで総督として挨拶に行こうかと思ったら、そっちに来させちまったよ。

 これじゃあ面目が立たねぇや」

 

ハハハと笑いながら話すアザゼルに俺は唖然とするしかなかった。

とりあえず話を聞いてみると、どうやらあの聖剣騒動はコカビエルとその一味の暴走によるもの。

事態の収拾する為にあの白いドラゴン、白龍皇を派遣したと。

あの時、コカビエルにやられた俺を拾ってくれたのもあの白龍皇らしい。

 

「しかしお前さん…そういえば名前なんだっけ?」

『門星 剛です』

「じゃあ剛、お前が持っている神器は【モンスター・オブ・クリーチャー】だろ?」

『そうですけど、何で俺の神器を知っているんですか?』

 

突然俺の神器を当てたアザゼルに驚きながらも少し警戒した。

レイナーレみたいに神器持ちを殺したり神器を無理矢理抜こうとしてするんじゃないかって思ってしまうのも無理はないだろう。

 

「俺は趣味で神器の研究をしてて色んな神器を見てきたが、お前のはかなり特殊でな」

『特殊…ですか』

「そう、神すら嫌悪する程の化物共の魂が多く封印されていると言われている」

『前の持ち主はいたんですか?』

「今までの持ち主は毎晩悪夢を見る所為で不眠症に陥り、最期には気が狂って自殺とかそんな記録しかないな」

 

あぁ、やっぱり歴代の保有者もあの遊園地に行くのね。

慣れなきゃ寝るのも嫌になるだろし、不眠症になれば精神はボロボロになるだろう。

俺も最初すげぇ怖かったし、影だけどあいつらに囲まれた時は泣きそうになった。

すっかり慣れた今じゃ近くのコンビニへ行くくらいな感覚で行けるぞ。

 

「だから是非俺の研究の為にも、今の能力とか教えてくれないか」

『えーと、一応悪魔側の協力者という立場なので独断では…』

「サーゼクスには許可を取ってある。お礼に焼肉を奢るぞ? お高い奴だぞ?」

『門外不出にして頂けるのなら(^q^)』

 

待て、俺は焼肉食べたいからだとかそんなんじゃないんだ!

趣味とはいえ謎が多き神器の研究と言う重大な分野には知識の共有は必要な事なんだ!

だから! 決して!!

【他人の金で焼肉が食べたい】とかじゃないんだ!!!!

 

 

たかいにく はじめてたべた うますぎる

 

            ~門星剛、心の一句~

 

 

あの後、アザゼルさんと話して色々わかった。

どうやら今は悪魔も天使も堕天使も例の大戦でどこもかなりの損害を受けてボロボロだと。

聖書の神も先代の魔王も死んだからそりゃそうか。

そんで今は小競り合いも儘ならないから各陣との首脳会談を開くそうだ。

まさかコカビエルの一件でこうなるとはな…。

 

だが、これで平和的に事が進めば争いもなくなるのは良い事じゃないかとは思っている。

三陣営の戦争で人間界にも影響出るのは勘弁してほしい。

俺みたいに火事や災害などで親も亡くしました、家もありませんといった被害者は出てきて欲しくないからな。

和平は本当に望ましい。

 

 

 

 

「これは営業妨害よ!」

 

部室でお茶をしていると、リアスが声を荒げて怒っていた。

どうやらイッセーの契約のお得意様というのがアザゼルさんだったようだ。

やっぱり神滅具である、赤龍帝の篭手に興味を示さない訳ないしな。

うーん…ここは俺も言っとくか。この前は隠し過ぎて怒られたし。

ふえぇ、もうおしりぺんぺん(悪魔級)はいやだよぉ…。

 

『リアス、実は俺も以前から堕天使の総督と接触していた』

「何ですって!?」

「え、先輩も!?」

 

俺が書いた内容にリアスやイッセーだけでなく部員全員が驚いていた。

別にどうこうされた訳じゃないから安心してくれ。

大丈夫だから小猫は俺のシャツの裾を掴むな、伸びる。

ほれ、俺のお手製苺プリン(生クリームマシマシ)食べな。

 

『道端でコカビエルにやられたって言ったろ? その時に俺を助けてくれたんだ』

「私の可愛いイッセーだけでなく、剛にまで手を出そうとしていたなんて…万死に値するわ!」

『とりあえず落ち着け、リアス。お前がここで怒ってもどうしようもねぇだろ』

「…っ! 確かに取り乱したわ、ごめんなさい」

 

俺に諭されて少し冷静になったのか謝るリアスに俺は気にするなとボードに書いた。

でも俺やイッセーの事を大事にしてくれてるのは、すごいありがたいがな。

どうやらアザゼルさんが言っていた首脳会談の話はリアスにも伝わっていたらしい。

普通ならこの町でサーゼクスさんとアザゼルさんが偶然出くわしたら…とんでもない事だ。

 

少し考え事してたらイッセーとリアスが何かイチャついていた。

お前ら、そういうのは他所でやれよ…リアスの胸に抱かれているイッセーの顔がすげぇきめぇ。

くそぅ、羨ま…けしからん!

俺の見え隠れする嫉妬を抑えていると、部室の扉前から魔法陣が現われて誰かが出てきた。

 

「随分と賑やかだね。何かのイベントかい?」

「お兄様!?」

『おや。こんにちは、サーゼクスさんにグレイフィアさん』

「ちょ、剛先輩! 相手は魔王様!」

 

突然現れたサーゼクスさんとグレイフィアさんに挨拶するとイッセーにツッコまれた。

うーん、本人からはリアスの兄として接してくれって言われたしなぁ。

もし冥界へ行く事があって礼儀が必要な場所だったら流石に俺も合わせるよ。

仕方ないよね、俺悪魔じゃないし。

 

『宿主の見た目とキレた時は悪魔みたいだけどねw』

『血塗れウサギに見た目が悪魔とか言われたくないわ(#^ω^)ビキビキ』

『あ、キレた時のは否定しないのね?』

『よし、今夜のネメシスの兵器試し撃ちの的はお前な?』

『いやぁぁぁぁぁ!?』

 

ロビー君といつも通りのやり取りしているとサーゼクスさんはアーシアとゼノヴィアへの挨拶を終えていた。

どうやら今回はプライベートで来たという…はて、この学園で用事なんて?

近い内にやる事なんて…公開授業か!

あ、やっぱりサーゼクスさん来る気満々なのか。

 

「グレイフィアね! お兄様に伝えたのは!?」

「彼女も後見人として剛君が勉学に励む姿を見たいそうだ。二人はクラスが同じだから丁度良かった」

 

そうだ、グレイフィアさんは毎回こういうのは参加してくれるんだった。

今にして思えばあの人ビデオカメラでバッチリ撮影するんだよな…。

あらやだ恥ずかしい! 授業の予習しとかねぇと!

リアスはそれでも納得していない様子…気持ちはわからんでもないが。

 

「安心するといい、ちゃんと父上も来る」

「そう言う問題ではなくて、お兄様は魔王なんですから仕事が…」

「仕事もするんだよ。例の会談をこの学園で執り行うつもりでね」

 

その発言に全員が驚いた。

アザゼルさんが言っていた首脳会談をこの学園でやるとは…。

えーと、悪魔側はサーゼクスさんで堕天使側はアザゼルさん。

天使側はどんな奴が来るんだろ…変な奴じゃない事を願いたい。




『サテ、覚悟ハ出来テイルナ?』(inネメシス)
『ごめんなさーい! 謝るから試し撃ちの的は許して!』(磔の状態)
『ナラ俺ハ許ソウ』
『ほっ…じゃあ縄を解いt『ダガ、コイツ(トミーガン)ハ許スカナ!?』
『いやぁぁぁぁぁっ!?』


閲覧ありがとうございます。


かなりお久しぶりです。前回から一年以上もお待たせしてすいません。
ハイスクD×Dもアニメが4期に入って、少しずつ書く気力も出てきました。
更新は相変わらずのマイペースでやっていくとは思いますが、これからもよろしくお願いします!


それでは、また。


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第27話

「じゃあそろそろ行くわ。夕飯は作っておいたからちゃんと食べるのよ?」

『ありがとうございます。グレイフィアさんの料理はいつも楽しみにしてます』

「ごめんなさい、本当はもう少し居てあげたかったのだけど…」

『いえいえ、ミリキャス君が待ってますからね』

 

あの後、グレイフィアさんは俺の家で夕飯を作ってくれた。

母親がいない俺にとって誰かが作ってくれた飯をありつけるのは本当にありがたい。

しかし、グレイフィアさんには仕事とお子さんであるミリキャス君がいる。

俺なんかの為に時間を割いてくれるなんて感謝しきれない。

 

「剛君、今自分なんかの為にって思ったでしょ?」

『…はい』

「確かに私は本来は血縁関係はない、ただの後見人よ。でも私にとってあなたも大事な子供。

 そうやって無意識に自分を卑下する癖は感心しないわ」

『…わかりました』

「今の剛君にはお嬢様達が、あなたを大切に想う仲間がいるんだから。

 それにあなたには前向きに生きて欲しい…亡くなられたご両親もきっとそう願っている筈よ」

 

俺の頬に両手を添えて優しく微笑むグレイフィアさんに何だか懐かしさを感じた。

初めて俺と会った時もこうやって微笑んでくれたっけか。

 

 

 

ふと、昔を思い出した。

あれは6年前、俺は火事で両親、家、顔、声…全てを失った。

入院して生死を彷徨っていた時に少しだけ意識が戻った時に聞こえたのは親戚達の声。

 

『おい、見たか? あの火傷で爛れた顔、皮膚移植も無理らしい』

『醜くて気持ち悪い…化物みたい!』

『どうする? うちは引き取らんぞ、あんなのを養う余裕はない』

『あたしだって嫌よ! あんなのがいたらうちの子がいじめられるわ!』

『しかもショックで障がいを負う可能性もあるらしい』

『はぁ? 余計にお荷物じゃないか』

『仕方ない、施設に入れよう。口裏はしっかり合わせろよ?』

『あいつらの遺産は?』

『何、俺に任せておけ。こいつには全て燃えたと言えばわかるまい』

 

昔は優しく遊んでくれたりしていた親戚達の本心が聞こえた時には俺は静かに涙を流しながらまた意識を失った。

この時から自分の価値という物が無いんだと思い始めた。

退院した後、やはり俺は養護施設へ入れられた。

あの時の親戚の仮面被った顔と猫を被ったような声、上っ面だけの言葉は今でも忘れられない。

あれから一度たりとも会っていない…事実上の絶縁だろう。

 

中学時代もこんな顔と障がい、そして成長してデカい体も相まって誰も寄ってこなかった。

遊ぶ友達もいないし、施設内の子供にも怖がられている。

多感な時期にこんな生活していた所為か既に捻くれていたのかもしれない。

だが、そんな時に俺の人生の転機が訪れた。

突然現れたのは銀色の髪に眼鏡をかけた綺麗な女性。

その人は優しく微笑んで俺の手を両手で握りながらこう言った。

 

「初めまして、あなたの後見人の岐富 麗と言います。よろしくね、剛君」

 

 

 

「剛君…?」

『あ…いえ、初めてグレイフィアさんとお会いした時を思い出しまして』

「ふふ、あの頃の剛君は荒んでいたものね」

『…あの時は色々とご迷惑を掛けました』

「年頃の男の子だもの。仕方ないわ」

 

そう、あの時の俺は半分捻くれ者だったからよくグレイフィアさんに反抗をしていた。

しかし相手が相手だ。

その都度、俺は長時間の正座と説教を喰らっていたし、暴力で訴えようものなら…。

よし、この話は止めよう! 今にして思うと魔王様の奥方に喧嘩を売った俺が馬鹿だった!!

 

 

 

公開授業の前日、いつも通り登校する為に歩いていると門の前にオカルト研究部の皆と見慣れない奴がいた。

暗めの銀髪にやたらとパンクなファッションの男…何処の父兄だ、公開授業は明日だぞ?

しかもそんな攻めた服装で…これはお子さん恥ずかしいわなぁ。

近くまで来ると、どうやらひと悶着ありそうな雰囲気。

 

「剛先輩!」

『イッセー、そいつは誰だ?』

「久しぶりだな、門星 剛。俺はヴァーリ、白龍皇だ」

『あなたが白龍皇…あの時は助けて頂いてありがとうございます』

「気にするな。おかげで面白い物を見させてもらったからな。あと敬語は不要だ」

 

面白い物…俺の神器の事だろう。

アザゼルさんからヴァーリの事は聞いている。戦う事が好きな奴だと。

まさかここでイッセーと戦うとか言うつもり…ではなさそうだな。

どうやら挨拶に来たらしいが真意はどうなのかわからない。

するとヴァーリは俺の顔をじっと見て何かに納得したのか、「なるほど」と呟いた。

 

「人間だが禁手化へ至らずにコカビエルを追い込んだその実力と神器…興味深いな」

「白龍皇、言っておくけれど彼に手を出すのも許さないわよ?」

「わかっているさ、じゃあな」

 

そう言って立ち去るヴァーリの姿を見送ってから気づいた。

俺の右手がいつのまにかタイラントの覆面を出していた事を。

アイツの闘志に体が反応していたのか、それともロビー君が勝手に出したのか。

当のロビー君に聞いても『そろそろ、かな』と呟くだけだった。

 

 

 

 

そして公開授業、当日になった訳だがとりあえずサーゼクスさんとグレイフィアさんに挨拶は勿論。

リアスの父親と初めて御逢いして挨拶した時はかなりビックリした。

だって、めっちゃくちゃ若く見えるんだもん。

でもこうして見るとサーゼクスさんとそっくりだわ。

ちょい厳しそうな感じに見えるけど普通に良い人(悪魔)でした。

 

今日の公開授業は数学の授業だった。

結構難しい所まで進んでいたけど予習はしてあったから問題解答を指されても問題なく正解した。

口答は指されないけど黒板での問題解く時とかは指されやすいからな。

グレイフィアさんがビデオに撮りながら少し微笑んでいた。やったぜ。

 

授業が終わり、イッセー達と合流していると手には粘土で作ったリアス像があった。

すげぇ、めっちゃよく出来てる!

しかも裸体で作られているけどこんなナイスバディなのk…痛っ!?

今俺の手に静電気が走った! 夏だぞ!?

後ろ向くといつもの笑みを浮かべた朱乃がいた。

…違うよね?

 

すると体育館の方へ走っていく男子生徒達の姿が見えた。

魔女っ娘の撮影会ぃ? ミルたんが来たのかな?

不思議に思っているとリアスと朱乃の反応を見るともしかして知り合いなのか?

そう思って俺らも体育館へ行く事にした。

 

「もう一枚お願いしまーす!」

「視線をこっちに!」

『うわぁ…(;゚Д゚)』

 

うわぁ…。

ガチで撮影会やってるよ。しかも魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブのコスだわ。

何で詳しいって? 俺のお隣さん、ミルたんやぞ?

グッズの買い物も付き合ったし、鑑賞会もしてるんだぞ。

いや、実際に面白いからオススメだぞアレ。

 

心の中で宣伝をしていると匙がやって来て解散をさせた。

しっかり生徒会として活躍しているな。さすがソーナの兵士。

しかしこのミルキーコスの人、誰かに似ているんだよな…。

と思っていると入り口からソーナがやってきた。すると。

 

「ソーナちゃん!」

「っ!?」

 

ミルキーコスの人がソーナに気づいて名前を呼ぶと駆け寄っていく。

ん? もしかしてソーナのご家族の方ですか?

俺が何となく気づくと朱乃が教えてくれた。

この方はセラフォルー・レヴィアタンさん。ソーナの姉であり、四大魔王の一人だと…え!?

サーゼクスさんと同じ役職なの!? パッと見で魔法少女にしか見えないよ!?

しかも超ど級のシスコン…コカビエルの時に呼んでたら間違いなくアザゼルさんに戦争吹っ掛ける恐れがあるらしい。

それで外交担当だとか…外交とは!?

 

魔王ってキャラが濃くないとなれないって規約でもあるのかな?




『白龍皇め、言ってくれるね~』
『禁手化ヲセネバ用ハ無イヨウナ言イ方ダッタナ』
『………』
『シャァァァ…!』
『なら、見せてあげようじゃないか。僕らの【禁手化】を』

閲覧ありがとうございます。


安○先生、早く戦闘(蹂躙)シーンが…書きたいです。
聖剣編は蹂躙出来なかったのでその分、今回はクリーチャー達の蹂躙を思う存分やってやろうと考えています。
さて、今回は誰が剛の堪忍袋の緒をブチ切れさせるか…?
色々と楽しみにして頂ければ幸いです。


それでは、また。


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第28話

『封印された眷属を解放する?』

「えぇ、旧校舎に立ち入り禁止の扉があったでしょ? そこに封印してあるの」

『へぇ…それは俺も立ち会って大丈夫なのか?』

「別に人間を取って食べるような子じゃないわ」

 

オカ研の部室で朱乃がいれてくれた紅茶を飲みながら持参したシュークリームを堪能していた俺はリアスから言われた言葉を聞き返す。

その封印されている眷属はビショップ…確かアーシアと同じ駒だ。

思い出してみれば俺に入れようと試した時も駒は一つだけだったな。

何でも能力が危険だから封印されてたらしい…何それ怖い。

いや、俺のもある意味危険か。歴代所持者が自殺してるし。

 

『酷いよねぇ、夢の中で数回会っただけで不眠症になって自殺するんだから』

『どう考えてもお前の所為だろ…』

『こんなに僕が可愛いのに!?』

『はいはいかわいいかわいい( ´_ゝ`)』

『雑ぅ!!』

 

ロビー君とそんなやり取りしながら俺達は封印されている扉の前まで移動した。

リアスが手を翳すと、立ち入り禁止のテープが赤い光となって消えて鍵も開錠される。

息を呑んでゆっくり開けようとするのを俺は静かに見守る。

さて、何が出て来るやら…?

 

「いやぁぁぁぁぁっ!」

 

開けて入ろうとするといきなり悲鳴が聞こえた。

いきなりだからびっくりしてタイラントに変身するところだったわ!

右手に出した覆面を消しながらよく見ると暗い部屋の真ん中に子供が入れるサイズの棺桶。

何か薔薇の装飾とかが入ってて何かオシャレだわ。

 

「何事なんですかぁ…?」

「封印が解けたのですよ」

 

泣いてるような声で言う棺桶を朱乃が優しく声掛けながら開ける。

中にいたのはうちの学園の女子制服を着た金髪の子がいた。

あらま、可愛らしい女の子。でも気のせいか、何か違和感が…?

おいイッセー興奮すんな、気持ち悪い。

 

「この子は男の子よ」

「…え? 部長、今なんと?」

『見た目は女の子だが実際は男…男の娘って奴か。初めて見たわ…』

 

俺が感じていた違和感の正体がわかって少しスッキリしているとイッセーとアーシアがすげぇ驚いていた。

どうやらこいつは女装趣味があるらしい。いや、似合っているけどさ?

こうもピッタリと女装が決まるなら服を探すのは楽しいだろうな。

因みに俺のは大きいサイズしか着れないから決まった店(ミルたんに教えてもらった)しか行けない。

 

リアスがこの男の娘をあやす様に抱きしめながら教えてくれた。

こいつはギャスパー・ヴラディ。

リアスのもう一人の僧侶で、吸血鬼と人間の間に生まれたハーフ。

そして駒王学園の一年生、という事は小猫の同級生か。

あ、確かによく見ると吸血鬼みたいな牙が見える。

 

「いやぁぁぁ! 何か怖い人がいるぅ!!」

『(´・ω・`)』

「大丈夫だよ、ギャーくん。剛先輩は迫力があるけど優しい人だよ」

『(´;ω;`)ブワッ』

 

ふと俺と目が合ったギャスパーはさらに泣き出した。

いや、怖がられるのは慣れてるけどこうも泣かれると凹む。

そっと小猫がフォローに回ってくれた優しさに全俺が感動の涙を流した。

とりあえず暗いのもなんだから電気つけよう。

 

電気のスイッチをつけると意外とファンシーな内装だった。

こうして改めて見ると女の子にしか見えない。

これが俺と同じ男だぜ? とてもじゃないけど女装とか出来ないわ。

ミルたん? 覚えとけ、あの人は別だ!

 

しかし、封印されてるとはいえ引き籠りの女装好きショタにしか見えないこいつの能力…一体何だろ?

何とか外に連れ出そうとイッセーがギャスパーの腕を掴んだ瞬間に奴が消えた。

 

あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!

イッセーがギャスパーを連れ出そうとしたらギャスパーは部屋の隅で泣いていた。

な…何を言っているのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…。

頭がどうにかなりそうだった…。催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。

もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…。

 

朱乃が言うには「停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)」という神器らしい。

能力は視線に入ったものの時間を停止させる…何それ強い。

時間を止められるとか強すぎるだろ!?

だがコントロールが出来ず、興奮状態になると自動で発動して停止させてしまうらしい。

なるほど、そんな強力な力だからこそ制御が難しい…そんな所か。

 

その後何とか部室まで連れていく事に成功したが当のギャスパーはいつの間にか段ボールに入っていた。

こらこら、どこぞの傭兵だお前さんは。そしてイッセーも蹴って怖がらせるな。

そんなイッセーを注意(アイアンクロー)してると、

リアスと朱乃と祐斗は会談の用事で出かけるのでその間ギャスパーの教育をしてほしいと頼まれた。

 

『俺がいると必要以上に怖がるだろうから俺は抜けた方がいいか』

「ごめんなさい、剛は悪い人じゃないって言うのはわかってくれる筈なんだけど」

『なぁに、少しずつ慣れれば大丈夫だろ。気にするな』

「剛は皆が無理しないように見ていてくれるだけでいいから」

『はいよ、気をつけて行って来い』

 

それだけ話してリアス達を見送ると早速ゼノヴィアがギャスパーを連れ出していく。

なーんか嫌な予感がするぞぉ…あの脳筋娘がやりそうな事は大体わかる。

イッセーと小猫にゼノヴィアがやりすぎないように言っておいたから大丈夫だろ…多分。

とりあえず俺も行こうとしたら携帯電話にメールが届いた。

おや、これはアザゼルさんからだ。

 

えーと、何々?

散歩がてら会談の場所である学校に行くから案内してくれ、か。

あんた堕天使の総督なのにそんな自由でいいのかな?

尻拭いしているであろう部下さん達は大変だろうなぁ…。

 

 

 

「何だ剛。ここにいたのか」

『捜しましたよ。案内頼むなら待ち合わせ場所くらい書いてくださいよ…』

「すまんすまん、赤龍帝や悪魔達がどんなもんか見に行ってたわ」

『もうやだこのじゆうじん…』

 

旧校舎から少し離れたくらいで着物姿のアザゼルさんと合流した。

どうやら祐斗の神器を見に行きがてらイッセー達に顔を出したようだけど、

ついでギャスパーの眼と匙の神器についてもアドバイスしたらしい。

アザセルさんは溜息をつく俺を尻目にケラケラと笑っていた。

 

「赤龍帝もお前くらいに神器を使いこなせればヴァーリの奴と並べられると思うがな」

『イッセーの底力を軽く見ない方がいいですよ。あいつはあっという間に俺を凌駕しますから』

 

これは真実だ。

俺は毎日体を鍛え、さらに夢の中で戦闘経験を積んでいる。

だがそんな努力も、強くなる為のコツを掴んだイッセーに瞬く間に追い越されていく。

人間と悪魔、神器と神滅具、違いはあれど後輩に追い越されるのは嬉しくもあるが悔しいのもある。

禁手化…祐斗やヴァーリ、そして僅かだがイッセーも至った。

俺はまだそこへ辿りつけてはいない。

 

「剛、お前は禁手化が欲しいのか?」

『…要らないと言えば嘘になります。でも無暗に力を求めれば己を喰われます』

「モンスター・オブ・クリーチャーは多くの化け物の力をその身に宿すからな。その可能性もあるだろ」

『俺の神器はこう言っています。きっかけさえあればすぐに至れると』

 

ロビー君の言っている事が間違っていなければの話だ。

俺の成長ぶりは予想以上らしく、力の引き出し方も上手いらしい。

きっかけかぁ…死に直面しそうな場面とかになれば出るのだろうか?

そもそも俺だけそんなのになる事態になったら…後が怖い!

 

 

 

その後、アザゼルさんと別れた俺はイッセー達がギャスパーの訓練をやっていた体育館へ行った。

しかし、訓練の結果は失敗。ギャスパーは再び封印されていた部屋に引き籠ってしまった。

イッセーは合宿の時のように自らを追い込むような特訓を選んだようだが、それは間違っている。

お前はお前、ギャスパーはギャスパーだ。全員がそのやり方で良い訳がない。

 

俺があの時そういう特訓をしたのは「イッセーはこれをやり遂げる」と確信した上で考案した。

だから、まずは相手を知らなくてはならない。

それを無視して無理な訓練させるのはそれはやらせている側によるただの自己満足に過ぎねぇ。

本当は俺がそれを指導しなくてはいけないのだろう。

 

けれどイッセーは王になりたいと言った。

なら自分が後輩を導ける様にならなくてはそんなは無理に決まっている。

成功も失敗も成長するには必要不可欠な物だ。

全部俺が甲斐甲斐しく世話をするのもあいつの成長する機会を奪っちまう。

忙しい最中に呼んでしまったリアスには本当に申し訳ないがな。

 

そろそろフォローをしようと思い、ギャスパーの部屋へ行こうとしたら既にイッセーが部屋の前で座ってギャスパーに語りかけていた。

あぁ…そうだよな。お前はそう言う奴だったよ。

何事にもとことん真っ直ぐに突き進めるのがイッセーの良い所の一つだ。

これなら俺のフォローはいらないだろうな。

そう考えた俺は踵を返して部室に戻ると小猫とゼノヴィアとアーシアが話し合っていた。

 

「剛、お前に訊きたい事がある」

『俺にか?』

「どうやったらギャー君が外に出られるかを考えているんです」

「イッセーさんだけに任せる訳にもいかないので…」

 

ようやく力尽くじゃ駄目だと気付いたか、イッセーと共々成長したと喜ぶべきかな。

さて、問題は外、若しくは他人に対する恐怖感が拭えないってことだろ?

あいつも俺みたいに爪弾き者にされたんじゃないかなと見ているが…。

とりあえず情報の整理してみよう。

 

『まずはあいつの行動を思い返してみろ』

「行動だと?」

『小猫はともかく俺らは初対面だったろ? その時は俺らの顔を見て話したか?』

「棺桶に…隠れていました」

「私が初めてギャー君に会った時もすぐに隠れていました」

『だろう? 他人に顔を見られるのが怖いんだろうな』

「それはわかる気がします。私、人と面と向かって話すのが苦手なので…」

『電話越しだとどうだ?』

「それだと大丈夫なんです」

「…なるほど、そういうことか!」

 

話をしていく内にゼノヴィアが何かを思いついたのか、そのアイディアを皆で聞いた。

それは顔を隠せばいいんじゃないかという。なるほど、どうやら俺の変身から連想したらしい。

かといって俺の覆面を貸すわけにはいかない、アイマスクは寝たらロビー君達にお出迎えされるから無理。あいつ死ぬぞ。

ふと、テーブルに置いておいた俺が買ってきた茶菓子が入った紙袋が目に入る。

 

…これならいけるんじゃね?

 

 

 

「落ち着く…なんかいい感じ…」

 

結果は成功、やったぜ。

紙袋をハサミで目出しの穴を作って顔に被せる作戦だった。

だとしても小猫、段ボール箱から出すためにニンニク投げるなよ…エグいぞ?

このニンニクは俺が引き取って今日の夕飯にしよう。ガーリック炒飯とか最高だぞ。

 

ギャスパーもこれで少しずつ仲間に慣れていけば外へ出れるようにもなるだろう。まずは一歩前進したという事で。

ところで、イッセー。

扉越しに聞こえたんだけどギャスパーに時を止めてもらって何をしようとしたんだ?

怒らないからその素敵なオカルト部男子の連携とやらを聞かせてもらおうか?

おい、逃げんなコラ。エイリアンに変身した俺から逃げられると思うなよ!

 




『えっお前、正式名称はゼノモーフって言うの?』
『シャァァァッ(コクッ)』
『エイリアンってまんまの名前にしちまったよ…』
『でも宿主がつけた名前でいいって。ね?』
『シャァァァッ(コクッコクッ)』
『尻尾めっちゃ振ってる…』
『そんなエイリアンのゲームもあるよ!』
『へぇ、せっかくだからやってみるか』



『ギャアァァァァ!!Σ(゚д゚lll)』


閲覧ありがとうございます。


ようやく戦闘シーンが書けるぞ(白目)
最近はフロム系統からクリーチャー出したいとは考えてはいますが、悩みますね!
因みに一番好きなキャラはダークソウル3のジークバルト氏です。
もう少し進ませて戦闘シーンに行こうと思いますので是非楽しみにして頂けると嬉しいです。


それでは、また。


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第29話

長らくお待たせしました(白目)
あとオリジナル敵が出ます。


放課後、俺とイッセーは朱乃に呼ばれて石段を歩いていた。

てっきりこいつが何かやらかしたんだろうかと思っていたら違うらしい。

 

「すっげぇ長い石段ですね」

『山の神社って大体こんな感じだよな。意味がある所にはあるらしいが』

「へぇー。ところで神社って悪魔にとって超アウェーですけど、朱乃先輩は何でこんな所に呼んだんですかね?」

『さぁな。でもあいつがここに住んでいるのは知っている』

「マジですか!? 先輩たち、そんな仲なんですか!?」

『うるせぇ。飯に御呼ばれされたから行った事あるだけだ』

 

コカビエルとの戦いの後に俺の家で寝てた時はあったけどな。

しかも小猫もいたし…これ学園で知れ渡ったら大変な奴だわ。

喋る言葉が出ないけどな!

あー…せめてネメシスくらいでいいから喋れたらなぁ。

 

「いらっしゃいませ、お待ちしていましたわ。お二人とも」

 

そう言って俺らを出迎えてくれたのは巫女服姿の朱乃だった。

リアスはどうやら会談に向けて最後の打ち合わせでいないらしい。

それで朱乃はとある方をお出迎えする為に別行動していると。

とある方? アザゼルさんか?

 

石段を登り切って神社に到着すると俺と朱乃は普通に鳥居を抜けていくがイッセーは少し躊躇していた。

ここは先代の神主さんが亡くなって無人となった神社をリアスが朱乃の為に確保してくれたらしい。

だから神社としての効力は無くなっているから悪魔でも大丈夫だとの事。

それを聞いてイッセーは恐る恐る鳥居を抜けた。

 

「彼らが赤龍帝とコカビエルを追い詰めた人間ですか」

「っ! 誰だ!?」

「初めまして、兵藤 一誠君。そして門星 剛君。私はミカエル、天使の長をしています」

 

上から聞こえた声にイッセーはそう叫んで身構えたら空が金色の光で埋め尽くされた。まぶしっ!?

見えたのは5対、つまり10枚の金色の翼。そしてミカエルという名前。

確か熾天使の1人だったよな。つまりは天使側のお偉いさんという事か。

人は良さそうだけど、どうも教会の連中に良い印象が無いからなぁ。

 

その後、挨拶はそこそこに神社の中で話を進めた。

どうやらミカエルさんの目的はイッセーにとある武器を授ける為だそうだ。

龍殺しの聖剣、アスカロン。

赤龍帝であるイッセーにはやばい代物だけどそれをくれると言うのなら悪い話ではないな。

因みに俺には何もなかったのが残念、まぁ貰っても困るけどな。

無事にイッセーがアスカロンを赤龍帝の篭手と融合したのを確認したらミカエルさんは消えていった。

まぁ、近日中に会談があるから忙しいんだろうな。サーゼクスさんも忙しいみたいだし、アザゼルさんは知らんが。

 

 

 

『あれ、イッセーは?』

「イッセー君ならギャスパー君の特訓の為にと学校へ戻られましたわ」

『あいつらも熱心だな』

「そうですわね。さぁ、お茶をどうぞ」

『あぁ、頂きます』

 

ミカエルさんが帰った後、俺はお手洗いへ行ってたらイッセーも姿を消していた。

あれからギャスパーは少しずつ頑張っているようで、おっかなびっくりではあるが俺と話そうともしている。

イッセーの気持ちに応えようと努力しているのは本当に良い事だ。とりあえずギャスパーの力を悪用しようとしたイッセーには説教(物理)したから大丈夫だろう。

煎れてもらったお茶を飲みながら俺は朱乃に対して薄々と気付いたことがある。

まるで何かを言おうか言うまいか、少し躊躇っているようにも見える。

ならば、俺から切っ掛けを作ってやろう。

 

『朱乃、話したい事があるなら聞くぞ?』

「!! 御見通し、だったのですね」

『ギャスパーじゃないが俺も昔は忌み嫌われてて、他人の顔を窺って過ごしていたんだ。お前が今、どうしようか躊躇っているのはわかる』

「そう、ですか」

『話したくないなら野暮な詮索はしねぇ。でも、お前が話すというのなら俺はきっちりと聞いてそれを受け止めてやる』

 

真っ直ぐ俺は朱乃の眼を見ながらボードを見せるとゆっくりとだが話し始めた。

朱乃は堕天使の幹部、バラキエルと人間の間で生まれた子供…つまりハーフだという事だった。

何となく、堕天使に対して何かあるとは思っていたが、まさか血縁関係であったとは俺は想定していなかった。

てっきりイッセーの様に堕天使に殺されたか…よくよく考えたらここに朱乃の家族がいない。

そこから考え得る事はある程度想像できる。そうか、お前も家族が…。

 

ゆっくり立ち上がり、俺に背を向けて巫女服を肌蹴させるとバサッと音を立てて現れたのは見慣れた「悪魔の翼」と「堕天使の翼」だった。

人間と堕天使のハーフが悪魔になればそれぞれの翼を持つ者へとなるのか。

俺はその相反する翼を生えた背中を見つめて考えていると朱乃は自嘲するかのように言った。

それは自らを俺を突き放そうとしているかのように。

 

「この黒い翼が嫌で、私はリアスと出会い悪魔になったの」

 

どうしようもないと謂わんばかりに諦めかけて自棄になりそうな言葉は、

 

「けれども、その結果が悪魔の翼と堕天使の翼を併せ持った悍ましい生き物。穢れた血を持つ私にはお似合いかもしれません」

 

俺の過去…ガキの頃と重なって、外面は泣いてはいないけど心は崩れそうな程泣いている。

 

「貴方も堕天使がお嫌いでしょう? イッセー君やアーシアちゃんを手に掛け、貴方も殺されかけ、それもこの町を破壊しようとした堕天使の血が入っている女なんて…」

 

もしに俺自身の声があるなら、朱乃に向かってこう言いたい。「ふざけるな!!」と。

 

「剛君、何を!?」

 

俺は机を叩く勢いで立ち上がると顔の包帯を掴んで無理矢理取った。

現われたのは未だに火傷で醜く爛れた顔面を朱乃は驚きながらもそれを見た。

今までこんな顔は他人に見せるモノではないと思っていた俺は何があっても包帯は取らないでいた。

イッセーや佑斗と風呂入った時もタオルで隠すくらい徹底して見せなかった。

 

『悍ましいだろ? 醜いだろ? 俺を捨てた親戚達が化物だと罵った顔だ』

『誰もが俺に目を背けて陰でも言われた。【化物】だと』

『死のうとも思っていた時もあった。けど俺は生きる事を選んだ』

『俺を家族だと! そう言ってくれた人がいたから俺は少しずつ前を向く事が出来た!』

 

手持ちのボードでは長い文章は書けない。それでも俺の伝えられる言葉はしっかり伝えたい。

俺はグレイフィアさんの言葉に救われた、ならば俺も救えるように言葉を差し出す!

 

「でも私は堕天使の血が…」

『そんなの関係ねぇ、姫島朱乃は姫島朱乃だ! 堕天使の血が流れようともな! 』

「私は、私…」

『お前が勇気を持って話してくれたからこそ俺もこの素顔を晒した』

 

最後に俺は朱乃の目の前に座り込み、あいつの眼を真っ直ぐ見つめながら最後の言葉を書いたボードを掲げた。

 

『俺は朱乃の『全て』を受け入れる! だからお前もこんな醜い俺の『全て』を受け入れてくれないか?』

 

次の瞬間、俺の胸にドンっと衝撃が走った。

朱乃が俺に抱きついて震えて、嗚咽の声を上げている。

参ったな、女を泣かせるなんざ男として失格なんだが…俺が出来るのは優しく抱きしめてやる事しか出来ねぇ。

でもこれで朱乃のトラウマが少しでも解消してくれれば、それでいい。

 

 

 

「ありがとう…剛君」

 

ようやく落ち着いた朱乃が俺から離れ、お礼を言った。

お互い向き合って座っていると朱乃は少し恥ずかしそうにしている姿はすごい可愛い。

美人系なのに可愛いとか反則じゃね?

よくよく考えてみたら俺がさっき書いた言葉…告白みたいだな!?

 

『というかプロポーズじゃない?』

『おわぁ!?Σ(゚Д゚;) 今まで黙ってたのにどうした!?』

『そりゃあ空気読むよぉ! 宿主の一世一代の大勝負、みんなで見守っていたんだから!!』

『そんな大げさな…(;´Д`)』

 

プロポーズだなんて。そもそも俺みたいな人間じゃあ釣り合わないだろうが。

相手は将来有望なグレモリー眷属の女王だぞ。

やばい何か今更恥ずかしくなってきた…!

 

「剛君、先程のお返事だけども…」

『あぁ、あれは…その何というか…変な事言っちまってすまねぇ!』

「私も貴方の全てを受け入れるわ。そのお顔も私にはとても愛らしく思います」

 

そう言って朱乃は両手で俺の顔に触れて、顔に近づけてそっと頬に口づけた。

いきなりの事に俺は頭が真っ白になり固まってしまった。

するとガタッと音がして急いで振り向くと様子を見に来たであろうリアスもいた。

どうやら先程のを見ていたらしい…マジか。

すごい動揺しているであろうリアスは顔を赤くしながら訊いてきた。

 

「ふ、二人とも…一体何していたのかしら?」

「うふふ、男女がいるのなら想像できると思いますが部長には刺激が強かったかしら?」

「なっ!?」

『ふぁっ!?』

 

何でここでリアスを煽るんですかねぇ!?

先程の素であろう口調からいつも通りのドSになっているし!

やめて! リアスがめっちゃプルプルしているから!

「私だってイッセーと…」とか小声で聞こえるし、これ確実に俺も巻き込まれ―――

 

「あなた達! 正座ぁっ!!」

 

あ、はい。

このあと滅茶苦茶足が痺れるまで説教された。

解せぬ。

次の日にはめっちゃ不機嫌な小猫に脛を蹴られた。

大いに解せぬ。

 

 

 

来るべき会談の日。

俺は小猫とギャスパーが暴走しないようにお守り役として部室で待機している。

本当ならコカビエルを追い詰めた協力者として会談に顔を出すべきだと言われてはいるが、ネームバリューとしては赤龍帝であるイッセーがいればいいだろう。

それに俺は手柄が欲しくて戦った訳ではない。

住んでいる街が滅茶苦茶になったら生活できないし、コカビエルに関してはリベンジしたかったからだ。

 

『という訳でギャスパーよ。今日はここで俺と小猫とお前でお菓子パーリィ(巻き舌)だ!』

「お菓子パーリィ(巻き舌)だよ、ギャー君」

「は、はい! パリィ(巻き舌ならず)ですね!」

 

何その一撃必殺を込めたカウンターみたいなの。

まぁそんな事はどうでもいい。今日はこの日の為に…手作りホールケーキ(苺たっぷりショートケーキ)用意しましたぁ!!

小猫は段ボールいっぱいにお菓子を出してくれたし、これはまさに宴だ!

あとはお茶さえ煎れればお祭りワッショイ!!

 

俺はお茶を煎れようと立ち上がった瞬間に何かを感じた。

おいロビー君、数は10って所か?

 

『さすが宿主、正解だよ! 因みに魔術師っぽい感じだから遠距離攻撃には注意!』

 

ならミショナリーで行こう、さぁ暴れるぞ。

俺の楽しみなお菓子パーリィを邪魔しにきた事、後悔させてやる。

 

 

 

「何だ、こいつは!?」

「グルルルルル!!」

「動きが速い!…ぎゃあ!?」

 

外へ出ると悪趣味な格好をした女達が旧校舎を囲んでいた。

ドアを開けた瞬間にトンファーの刃で2人程斬りつけてから蹴り飛ばしてやった。

残った連中がフードからビームを出すも常に動き続けているミショナリーには当たる事が無い。

ここで突破口を開いてから新校舎へ逃げ込んで纏まった方がいいだろう。

 

「少しはやるじゃないか! 人間にしては、な!!」

「グルル!?」

 

突然声が聞こえた方へ向くと魔力で出来た球が飛んできたので左へ跳んで避けた。

だが確かに避けたはずなのに背後に強い痛みを感じ、俺は前へ転がったがすぐに起きる。

何故避けたのに当たった!? すると目の前にいたのは…。

 

「人間風情には勿体ないが名乗らせてもらおう! 僕の名はジナディン・レヴィアタン! 旧魔王レヴィアタンの末裔である!!」

 

褐色の肌をした男が盛大に名乗りを上げていた。だが、おかしいのはここからだ。

その名乗りを上げた同じ顔をした男が「4人」いる…似ているとかそんなのではない、全くの同一人物だった。




『何か宿主と戦う相手って変なの多くない?』
『知らんがな(´・ω・`)』
『もうちょっと僕の可愛さと勝負できる敵が欲しいよね!(ドヤァ)』
『( ゚д゚)、ペッ』
『そういう事するから変なのが来るんだと僕は思うな!?』

閲覧ありがとうございます。


ようやく戦闘シーンに入れました…テンポが悪くて猛省です。
今回はオリジナル敵として出させて頂きました「ジナディン・レヴィアタン」は設定としてはカテレアの弟です。
こいつは強敵(生贄←)ですので剛が苦戦(蹂躙)します!
次回はいよいよアレ出せますのでお楽しみに!


それでは、また。


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第30話

 

来るべき会談の日。

俺は小猫とギャスパーが暴走しないようにお守り役として部室で待機している。

本当ならコカビエルを追い詰めた協力者として会談に顔を出すべきだと言われてはいるが、ネームバリューとしては赤龍帝であるイッセーがいればいいだろう。

それに俺は手柄が欲しくて戦った訳ではない。

住んでいる街が滅茶苦茶になったら生活できないし、コカビエルに関してはリベンジしたかったからだ。

 

『という訳でギャスパーよ。今日はここで俺と小猫とお前でお菓子パーリィ(巻き舌)だ!』

「お菓子パーリィ(巻き舌)だよ、ギャー君」

「は、はい! パリィ(巻き舌ならず)ですね!」

 

何その一撃必殺を込めたカウンターみたいなの。

まぁそんな事はどうでもいい。今日はこの日の為に…手作りホールケーキ(苺たっぷりショートケーキ)用意しましたぁ!!

小猫は段ボールいっぱいにお菓子を出してくれたし、これはまさに宴だ!

あとはお茶さえ煎れればお祭りワッショイ!!

 

俺はお茶を煎れようと立ち上がった瞬間に何かを感じた。

おいロビー君、数は10って所か?

 

『さすが宿主、正解だよ! 因みに魔術師っぽい感じだから遠距離攻撃には注意!』

 

ならミショナリーで行こう、さぁ暴れるぞ。

俺の楽しみなお菓子パーリィを邪魔しにきた事、後悔させてやる。

 

 

 

「何だ、こいつは!?」

「グルルルルル!!」

「動きが速い!…ぎゃあ!?」

 

外へ出ると悪趣味な格好をした女達が旧校舎を囲んでいた。

ドアを開けた瞬間にトンファーの刃で2人程斬りつけてから蹴り飛ばしてやった。

残った連中がフードからビームを出すも常に動き続けているミショナリーには当たる事が無い。

ここで突破口を開いてから新校舎へ逃げ込んで纏まった方がいいだろう。

 

「少しはやるじゃないか! 人間にしては、な!!」

「グルル!?」

 

突然声が聞こえた方へ向くと魔力で出来た球が飛んできたので左へ跳んで避けた。

だが確かに避けたはずなのに背後に強い痛みを感じ、俺は前へ転がったがすぐに起きる。

何故避けたのに当たった!? すると目の前にいたのは…。

 

「人間風情には勿体ないが名乗らせてもらおう! 僕の名はジナディン・レヴィアタン! 旧魔王レヴィアタンの末裔である!!」

 

褐色の肌をした男が盛大に名乗りを上げていた。だが、おかしいのはここからだ。

その名乗りを上げた同じ顔をした男が「4人」いる…似ているとかそんなのではない、全くの同一人物だった。

 

 

 

4人の旧魔王の末裔…戦力差でみると絶望的な場面だ。

タイマンならどうにかできたかもしれないが、強者との包囲戦は少々まずいかもしれない。

背中のダメージはミショナリーが庇ってくれたとはいえ痛みが残る。

物理攻撃ならまだしも魔力のダメージは苦手だ、ちくしょうめ。

 

「ほらほら、早くしないと本丸が攻められるよ?」

 

ジナディンの1人が指でその方向を示すので見てみると、魔術師数人がわらわらと旧校舎へ入っていく。

まずい、あの程度の敵なら小猫は問題ないがギャスパーは戦える状態じゃねぇ!

もし人質にでも取られたら非常に危うい…速攻でこいつらを各個撃破していく。

ジナディン達を視界から外さないように動いてから変身!

 

「シャァァァァァァッ!!」

「ほぅ、姿が変わったか」「ふふ、情報通りだな!」「その姿は恐らくスピード型といったところかな?」「ならばこうしよう!」

「!?」

 

エイリアンに変身し直して縦横無尽に動こうとすると空中からの魔法陣が展開されてレーザーのような攻撃を繰り出していく。

それを回避しながら攻撃は難しい…俺の変身するクリーチャー達で唯一、遠距離攻撃が出来るのはネメシスだけだ。

こいつは何となくだが、『俺の神器と戦い方を知って』いる!?

誰かが裏切って情報を売った? 誰が? 何の為に?…ちっ、それは今考えてもどうしようもない!

ダメージ覚悟でいくか…タイラントと処刑マジニで融合、ネメシス!!

 

「ヴォォォォォッ!」

「コイツがコカビエルを追い詰めた形態か!」「確かコイツの攻撃は…」「人間の兵器と触手…!」「くそ、僕の腕に!?」

「マズハ、テメェカラダッ!」

 

両手で覆面を融合させて顔に付けるとネメシスに姿を変えた俺は一番距離が近いジナディンに向けて右腕に寄生している触手を伸ばす。

触手はジナディンの左腕に絡ませることが出来たので思いきり引っ張りながらダッシュで駆け寄って距離を詰めながら顔面に左ストレートをぶつける。

だが手応えが無かった…何故だ? 確実に全力でぶん殴ったはずだ。

すると殴られた筈のジナディンが笑って、俺の左腕を腋に挟んで抑えた。

 

「ふふ、ふふふふふ! そんな醜い顔でもわかるよ、何故攻撃が通じないのかってね」

「…テメェハ、分身ノ方ナノカ?」

 

「ご名答。確かに僕は分身魔法の使い手だ。本来、分身魔法は術者の力を人数分で割って作り出すものだ」

「…ッ!?」

 

するとある程度距離が離れていた内の一人が俺の背後に近づいて短剣で刺す。

右腕の触手を解除して背後の奴を捕らえようとするも素早い動きで避けては斬られる。

左腕は殴った奴により抑えられて動かせねぇ。

効かなくても腹を思い切り蹴って距離を離そうとするとまた違う奴が俺の目の前に出てくる。

 

「全部の力を割っては君みたいに一体ずつ倒そうとする。術者を含めて弱くなるんだから当然だ!」

「グッ!?」

 

触手を解除して右腕で迎撃しようとするも向こうの拳の方が速く俺の顔面を捉える。

こいつは一撃一撃が重い、攻撃力重視のタイプか!?

俺が反撃しようにも素早い方の奴が背後から俺の首をがっちり固めて絞めてくる。

ダメージを抑える防御力、触手すら躱すスピード、攻撃力を底上げパワー…となるとあと一人はまさか?

 

「だから僕は『力の割り方』を変えたのさ! 攻撃、防御、スピード、魔力をそれぞれに特化して割る事で補える!」

「「「戦いは数だ、戦力が多い方が勝つんだよ。人間」」」

 

最後の一人が両手に魔法陣を出して俺に向けると光弾を連続で撃ってくる。

それに合わせて俺を抑えてた3人のジナディンは自分達が攻撃に当たらないように光弾の方向へ俺を突き飛ばした。

迫りくる光弾を目前に俺が出来たのは両腕で頭をガードするだけだった。

そして奴の放った光弾に当たった瞬間、俺は爆発に包まれた。

 

 

 

「ははははは! これで奴も吹き飛んだだろう!」

「コカビエルを追い込んだと言っても!」

「僕の分身魔法の前では何も出来はしない!」

「所詮は非力で下等な種族だよ、人間は!」

 

ちくしょう、全身が痛ぇしネメシスのコートもボロボロじゃねぇか。

何が下等種族だ、吹き飛んでなんかいねぇよ馬鹿野郎。

レイナーレ達みたいな事言いやがって。

ここは無理にでも小猫とギャスパーを連れてリアス達と合流した方が良さそうだ…ん?

この感覚…時が止まってる!? でも何故か俺も奴も動けるぞ?

 

『宿主は僕らの力であの吸血鬼の神器を防いだけど、奴は何もしていないみたいだね』

『え、今何気にすげぇ事言ったな。あと待て、ギャスパーの敵の手に落ちたって最悪じゃねぇか!?』

 

ロビー君の言った事が本当なら非常にやばいぞ!? こんな所でお寝んねしている場合じゃない!

味方全員が時間停止してて敵が動けるとか全滅待った無しだぞ!?

痛みを無理やり我慢して立ち上がろうとすると…皆がいる筈の新校舎に爆発が起きた。

ちっ、やられたか!? あそこにはリアス達や3大勢力のトップとグレイフィアさんが!

 

「おや、姉上がやってくれたみたいだね」

「すぐに行かないと僕らの分が無くなってしまう」

「サーゼクスやセラフォルー、ミカエルとアザゼルの首は姉上が持ち帰るだろうから…」

「残りの奴らは僕らが頂こう!」

 

最早俺の事など気に留めなくなったのか、分身していたジナディンは魔法を解いて一人になった。

空には多数の魔術師たちが総攻撃をしている光景が見える。

俺が過ごした校舎も校庭も体育館もボロボロになっていく。ちくしょう、てめぇら好き勝手にしやがって。

手の力が入っていく、少しずつだが回復しているみたいだ。

 

「あ、そうだ! あの銀髪の殲滅女王と言われたグレイフィア・ルキフグスは殺さないでおこう。僕の物にしたい!」

 

…は? 聞き捨てならねぇ台詞が聞こえた。

 

「昔からあの顔と体は僕の好みだったんだけど強いし、サーゼクスが邪魔だったんだよな!」

 

物にしたい? 俺の事を大事な子供と言ってくれたグレイフィアさんを?

 

「ふふふふふ、楽しみだなぁ…好きなだけ犯し、弄りまわして遊び尽くせるような玩具にしよう!」

 

玩具? てめぇは俺の大切な人を…玩具にしたいだと?

 

「そうと決まれば急いで姉上の許へ行かなければ!」

「フッザケンナァァァァァァァァァァァッ!!!!」

「な!? こいつまだ…いや、それ以前に何故動けるんだ!?」

 

怒りのあまり叫びながら体を無理やり起こして立ち上がる。

ボロボロになった全身からは血が流れているがそんなのは気にならない。

問題は目の前のクソ野郎が生きている事すら許せねぇ程に、俺は怒り狂っている。

殺してやる…俺の感情が、心がそう叫んでいる。

 

『宿主、君に最高にハッピーなお知らせだよ!』

 

立ち上がって奴を睨んでいるとロビー君が声かけてくる。

悪ぃが今はそんな暇はねぇ、今すぐあいつをぶち殺さねぇといけねぇんだよ。

俺の神器なら邪魔してくれるなよ!

 

『今の君なら出来るよ! 【ステップアップ】さ!!』

 

ステップアップ…神器の進化の事をロビー君はそう呼んでいる。

ここにきてようやくか、遅いんだよ馬鹿野郎。

それで、今度は何が出来る?

ちゃんと奴を仕留められるくらいのステップアップだろうな!?

 

『もちろんさ! 君が望んでた物だよ!!』

 

ならOKだ!

こうなったら身体でも寿命でも魂でも持っていけ!!

俺に! 力を!

 

『さすが宿主、最高だよ君は…なら行こうか』

 

 

 

 

 

 

創られし生物は化物也(モンスター・オブ・クリーチャー)禁手(バランスブレイク)




閲覧ありがとうございます。

ようやく書けてここまで来ました。
書いてて長くなる前にここで切らせてもらって、次回は調子のった彼(ジナディン)がどこまで頑張れるか応援してあげてください←


それでは、また。


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第31話

※今回は残虐なシーンがあるので苦手な方はご注意。


創られし生物は化物也(モンスター・オブ・クリーチャー)禁手(バランスブレイク)

 

 

ロビー君の言葉が俺の中に響くと同時にネメシスの変身が解除される。

敵の目の前で変身を解くのは自殺行為だと思うだろうが、心配はいらない。

既に右手に3枚、左手に2枚のマスクを手にしていた俺はそれを地面に放り込む。

あの下衆野郎は俺を警戒していたがすぐに分身して攻撃態勢を取って向かってくる。

 

「馬鹿めが! 変身を解くとは焼きが回ったか!!」

「死にかけて頭がおかしくなったとも言うべきか?」

「これ以上僕の手を煩わせるな!」

「下等生物らしく大人しく死ね!!」

 

ジナディン達がそう叫んで全員で突撃してくる、本来なら避けなければ俺は死んでしまうだろう。

だが、その必要はない。俺の神器は、進化しているのだから。

 

「Ready!」「Action!」

「「「「!?」」」」

 

突然俺を中心に吹き荒れる旋風、いや鎌鼬はジナディン達を切り裂いて弾き出した。

いつの間にか俺の目の前には5人の影が並んでいる。

巨大なハンマーを持った、ボロボロの布で顔を隠している大男。

ガスマスクを被り、背中に大型タンクを背負った男。

全身に赤いタトゥーを入れ、両手に斧を持った男。

そしてデカいハサミのような武器を持ち、雑技団のような衣装を着た男女のペア。

全員が俺の方へ向くとそれぞれ名乗りながら跪く。

 

Sledgehammer(ハンマー男)・リチャード。御身の前に」

Corroder(硫酸男)・ジョン。御身の前に」

Chopper(斧男)・ハーベイ。御身の前に」

Scissorman(シザーマン)・ルディ。御身の前に」

Scissorwoman(シザーウーマン)・ジャニス。御身の前に」

 

「「「「「我らが主よ、ご命令を」」」」」

 

全員が声を合わせてそう言うと俺に視線を集める。

俺はジナディンに向けて人差し指を指してから親指を地面に向けて降ろす。

わかりやすく言えば、奴を蹂躙しろ。手段は一切問わない、好きにやれ!

言葉では出せないが、こいつらは俺の神器だ。すぐに行動へ出る。

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

その一言で全員姿を消して、それぞれ分身しているジナディンの許へと現れて戦い始めた。

俺は地面に手を置くと辺り一帯に巨大な時計が地面に現れ周囲は光の壁で覆われる。

自分が変身しない代わりに多重の召喚、そして召喚した奴の行動が限定される代わりに敵を逃がさない。

一対一に特化していた【創られし生物は化物也】とは違い、集団戦に特化したこの神器。

 

名は【創られし者達の仮面舞踏会(マスカレイド・オブ・クリーチャーズ)

 

 

 

「何だ、この馬鹿げたパワーは!?」

「グハハハハハッ! そんなもんか? 主をイジメていた時の勢いはどうした!?」

「ぐっ!」

 

リチャードが相手にしているのはパワー型の分身体。

ハンマーを振らせまいと柄を持って力比べをしているが、リチャードの方が圧倒的に強い。

向こうも全力で対抗するが簡単に振り切られてしまい、隙だらけになった瞬間ハンマーの一撃が腹に思いきり撃ち込まれる。

そのまま吹き飛ばされた分身体は見えない壁に叩きつけられるとよろよろしながらも立ち上がろうとするが、

目の前には邪悪な笑みを浮かべたリチャードがハンマーを振り上げていた。

 

「今度は俺が、お前をイジメてやろう」

 

 

 

「ぐあぁぁぁぁっ!? め、目がぁぁぁ!?」

「何だ、お前は頑丈が取り柄なんだろ? どうした、少しは耐えてみろよ?」

 

ジョンは防御型の分身体と戦っていた筈だが、突然分身体は顔を抑えて何やら喚いていた。

こいつの武器は硫酸…しかも人外でも溶かせるくらい特別製らしい。

そんな物を目に掛けられたら…既に奴は目から血を流して失明しているようだ。

何とか立ち上がって破れかぶれに攻撃するもジョンに当たるはずもなく、逆に蹴り飛ばされて転がっていく。

 

「疲れただろう? 風呂でもどうだぁ?」

 

 

 

「僕の速さについてこれる、だと!?」

「おいおい、そのくらいで俺と速さ比べか?」

 

ハーベイはスピード型の分身体の速さに合わせて戦っている。器用に両手の斧で奴の短剣による攻撃をいなしながら。

分身体は自前のスピードで一度距離を取ろうとするとハーベイは斧を投げて牽制し、見えない壁を蹴り空中へ舞う。

投擲された斧を躱した隙を突かれた分身体はハーベイに顔面を蹴られて完全に足を止めてしまった。

しまったと思ったのだろう、しかしもうその時には目の前にハーベイが斧を構えていた。

 

「我が主を愚弄した罪は重いぞ!」

 

 

 

「さーて、さてさてさて! 二人がかりは卑怯とか、そんなつまらん事を言うまいな!」

「お前は主を4人がかりで嬲っていたものね、チョキチョキ!」

「ほざくな!」

 

一番後ろにいた魔力特化型の分身体の目の前には両手の刃物を振り回しながらハイテンションに煽るルディとジャニス。

プライドが高い奴にはこの煽りは耐えきれないのか、魔力に物を言わせてレーザーを放つが二人はオーバーな動きで躱していく。

まるで何かの劇団のように息をピッタリ合わせて避け続けて、一瞬で分身体に接近して両手の刃物を合体させて手足を狙う。

何とか回避しようとしたが、間に合わずに手足はざっくりと深い切り傷を負った。

 

「うっ、人間ごときの神器風情が…!」

「なぁなぁ」「ねぇねぇ」

「「怒った?」」

「貴様らぁぁぁっ!!」

 

さらに煽っていく二人に分身体はさらに魔法を増やして攻撃を激しくしていく。

ん? こっちにも魔法の攻撃が!?

するとジャニスがテレポートして俺をひょいっと抱えると攻撃から避ける。

まさかのお姫様抱っこにびっくりしたが…ありがとう、助かった。

 

「主様、危険な目に合わせてごめんない…すぐにあいつを、バラバラに切り刻んできまーす!」

 

俺をそっと降ろしながらそう言ってまたテレポートをした。するとすぐに向こうであの旋風と砂嵐が吹き荒れた。

それと同時に巨大な刃みたいな光も見えると同時に分身体の悲鳴も聞こえる…恐らくあの砂嵐の中でえげつない事が起きているんだろうな。

すると、地面に描かれた時計から鐘の音が聞こえた。

これは俺の禁手化展開の限界が近い合図…全員遊びは終わりだ、すぐに片付けろ!

 

 

 

「うおぉぉぉっ!」

「まっ待て、やめ―」

 

「ふははは、硫酸風呂の湯加減はどうだぁ?」

「ぎゃあぁぁぁぁぁっ!」

 

「死ぬがいい!」

「た、たすけ…っ!?」

 

リチャードは、片手で分身体の首を掴んで空中へ放ると全力でハンマーを振り下ろして分身の頭をかち割って殴殺し、

ジョンはドラム缶を召喚すると動けない分身体を放り込んで硫酸を大量にドラムカンの中へとぶち込んで溶かし、

ハーベイは分身体に逃げられないように片足を掴むとそのまま引きずり込んでもう片手の斧で奴の首を刎ね飛ばした。

そして、残ったのは…。

 

「ひゃははははは!」

「きゃははははは!」

「や、やめろ! やめてくれ!!」

 

旋風と砂嵐が治まって見えたのは、巨大にギロチンの刃が縦に振り子運動しているその真下に拘束されているのは手足を切断された分身体…いや、ジナディン本体だった。

抵抗しようにも手足は既に無く、ひたすら目の前のギロチンに恐怖していた。

因みに二人は愉快に笑いながら踊っていた…楽しそうで何より。

俺はルディに処刑するのを待つように手で制して、奴の許へ向かう。

 

こいつが何かしらの組織で動いているのは確かだ。

そして、何故こいつが俺の神器の能力を知っている? エイリアンは初見で推測していたが、ネメシスの特性は熟知していた。

絶対俺の情報を売った奴が絶対いるはずだ。

真っ先に浮かぶのはアザゼルさんだが、もしあの人が流したとならばエイリアンの特性も知っていなければおかしい。

 

「主様からの尋問だ、答えなければ拷問になるぞ?」

「誰が人間如きに話すものか…あぁぁぁ耳が、耳がぁぁぁ!!」

「私達は拷問でもいいんだよぉ? きゃははっ!!」

 

俺を睨みながらルディの言葉を拒否しようとするとジャニスに片耳を切り取られた。

悪いな、俺はその辺のブレーキはぶっ壊れているから本気で拷問するぞ?

リチャード達が戻ってくると分身体の死体を引き摺るとジナディンに見せつける。

それを見ると完全に顔を青くして喚く事はなくなった。

 

その後、いくつか尋問して色々と情報を手に入れた。

こいつらは禍の団(カオス・ブリケード)という、大雑把に言っちまえば三大陣営の和平や協調路線に反対し破壊と混乱を振りまく過激派のテロリストだ。

んで、このテロリスト共は一枚岩でなく色々と派閥があるらしい。

ジナディン達は「真なる魔王の血族」としてサーゼクスさんやセラフォルーさん達を排除して自分たちの世界を作るのが目的と。

その為にオーフィスという無限の力を持つ龍の力を借りてとか…他力本願かよこいつら。

 

そして、俺の情報を売った奴もわかった。

確かにネメシスの力を見ていたな、コカビエルを追い詰めた所も。

何のつもりか知らんが、俺達を裏切るなんて覚悟は出来ているんだろうな?

白龍皇、ヴァーリ!

 

「もう話せるだけ話した! だから僕を助けてくれ!!」

 

は? 何を言ってやがる。誰も助けてやるなんて一言も言ってねぇぞ?

てめぇはさっきまで何を言っていたか忘れたのか?

俺を子供だと、家族だと言ってくれた人を犯したいとか好き勝手言ったのは何処のどいつだぁ!?

もうてめぇの命乞いすらも聞きたくねぇ。俺はギロチン台のレバーに手をかける。

 

「やめてやめてやめてやめてぇぇぇぇぇ!!」

 

黙れ。

 

俺がレバーを思いきり引くとギロチンは振り子運動を止めてそのまま垂直に落ちた。

汚ぇ断末魔と共にデカい音を立ててジナディンは切断された…縦にな。

すると奴から魂みたいなものが浮かび上がるが、それは地面の時計へと吸い込まれていく。

その時も奴の断末魔が響いたが吸い込まると同時に消えていった。

 

この神器に殺された奴はどうやら魂ごと神器に取り込まれて永遠に苦しむらしい。

同情はしない、俺を全力で怒らせた奴の末路には相応しいとも思う。

すると神器の限界も来たのか地面の時計が消えていき、5人も徐々に消えていく。

 

「時間、です」

「今宵は我らを召喚して頂き、感謝いたします」

「我らは時計台(クロックタワー)の魔の配下」

「御用があればいつでも馳せ参じます」

「いつでもお呼びくださいな!」

 

それぞれそう言うと消えていき、マスクになると俺の手元に戻る。

これが、俺の禁手【創られし者達の仮面舞踏会(マスカレイド・オブ・クリーチャーズ)】。ようやく俺もイッセー達に追いついた、か。

さて、喜んでいる暇はねぇ。

小猫やギャスパーを助けねぇと…走って向かおうとしても神器の負担による疲れと先ほどのダメージで体がかなり重い。

足を引きずるように何とか旧校舎へ向かうとすると、出入り口からイッセーとリアスが小猫とギャスバーを連れて出てきた。

 

 

 

「剛先輩!?」

「っ! 酷い怪我…!」

「先輩死んじゃ嫌ですぅぅぅ!」

「剛! しっかりしなさい!」

 

大丈夫だ、心配いらねぇよって…しまった。

筆談用のボードとペンがねぇから話すことができない俺はそのまま小猫に担がれてしまう。

本当にこういう時に喋れねぇのは本当に不便で困る。

言いたい事があるのに言えないのはもどかしいと思いながら俺は運ばれていった。




【創られし者の仮面舞踏会】
マスカレイド・オブ・クリーチャーズ

モンスター・オブ・クリーチャーがバランスブレイクする事によって進化した神器。
コンセプトは「一斉ボスラッシュによる集団リンチ」
剛が召喚するクリーチャーのマスクを地面に投げることで召喚し、
地面に手を置いて辺り一帯を「舞台(ステージ)」として設定することで発動する。
発動したら敵を全滅させるか神器保有者の剛が任意で解くか剛を殺さない限りは誰も出られないし入れない。
なお、剛は変身ができないので必ず護衛が必要なのが難点。

今回のステージは『クロックタワー』だが、種類はいくつもある模様。


閲覧ありがとうございます。

長らくお待たせしまして申し訳ありません。
皆様でいくつか予想していただいた方もいましたが剛の禁手化はいかがでしたでしょうか?
楽しんで頂ければ幸いですし、皆様の感想や評価でのんびりですが頑張っていこうとは思っていますのでよろしくお願いします。

そして今回はあのカプコンの名(迷)作で名高い「クロックタワー3」の奴らを出してみました。
あいつらアホですしすぐ気絶しますが、主人公(アリッサ)でないと倒せない不死身と地味にチートです。
今作では剛の配下としてキッチリと働きます。

それでは、また


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第32話

1年経ってないから失踪じゃない、セーフセーフ←


あの後、俺は戦いに参加は出来なかった。

校舎前に運ばれた俺はサーゼクスさん達が展開しているバリアの中へ避難させられた。

怪我と疲労でボロボロの俺を見たグレイフィアさんはすぐに駆け寄って診てくれた。

ジナディンから得た情報を伝えようとしたが、寝てなさいと言われ手から魔法陣が出てそれを当てられるとそのまま眠りについてしまう。

 

気づくと俺はいつもの血と錆に汚れた遊園地のベンチで横になって寝ていた。

ゆっくり起き上がって、ふと隣のベンチを見るとロビー君が座っている。

あいつも俺に気づいたのか拍手をしながら出迎えてくれた。

 

『やぁ、宿主。神器の禁手への進化おめでとう♪』

『そんな悠長な事言ってて大丈夫なのか? どう見ても劣勢だろ!?』

『大丈夫じゃないの? どの道、宿主が戦えてもすぐに限界は来ていたからあの悪魔の判断は正しかったと思うよ』

 

ロビー君の言葉に多少は納得していたが、それでも悔しい気持ちもある。

わかってはいた。あのまま戦い続けていれば途中で変身が解けて倒れていたことなんざ。

でもイッセーは、ライザーやコカビエルらと戦っていた時は最後まで戦っていた。

あいつが悪魔で俺が人間だからとか、そんな事で甘えていたんじゃ先輩として面目がねぇ!

 

『おい、ロビー君』

『もっと鍛えるから誰かと遊ばせろ、でしょ? 全くすごくわかりやすいなぁ宿主は』

『うるせぇ。面子は…時計塔の奴らを全員呼べ、戦闘態勢でだ』

『んー? いきなり彼らを? 』

『タイラント、ミショナリー、処刑マジニは覆面になって俺の許へ来い』

 

俺がそう指示すると3枚の覆面が飛んできて俺の手元へと渡る。

そして遊園地の中心の広場から時計塔が出現されると鐘の音が響き渡ると共に全員が出てくる。

俺の指示を聞いていたのか既に全員戦闘態勢に入っていた。

そして俺もタイラントに変身してすぐにスーパータイラントへと変化させ、全員に命令する。

遠慮なく、殺す気でかかってこいと。

 

 

 

「…?」

「剛君、目が覚めましたね!」

「先輩…よかった」

 

時計塔の奴らに100回程ぶち殺されたくらいでふと目覚めると、そこは俺の自宅だった。

布団で寝ていた俺の傍には朱乃と小猫が座っているのが見えた…どうやらまた手間を掛けちまったみたいだ。

ゆっくり体を起こすと怪我は既に治っているようで、あの戦いから丸一日は経っているとの事。

こうしているという事はどうやら戦いは無事に勝てたようだ。

 

二人から話を俺が眠った後、やはりジナディンの言う通りヴァーリが裏切ったか。

それでイッセーと一騎討ちする為にあいつの両親を殺すと宣言した…そりゃあ誰だってブチ切れる。

でもイッセーは戦いながらも成長してヴァーリを打ち破る事が出来たっと。

全く…ようやくこっちが禁手出来たと思ったらまーた離されたかぁ。

ヴァーリの白龍皇の力すらも取り込んだとか規格外にも程があるだろうが、無茶しやがって馬鹿野郎。

でもよくやった。流石だよイッセーは。

 

『事情はわかった…二人とも大変だったのに看病してくれてありがとうな』

「そんな事ないですわ、あなたの為ですもの」

「私たちはこれからここに一緒に住むんですから看病くらいは当然です」

『そっか、一緒に住むのか。 ち ょ っ と 待 っ て ぇ ? 』

 

小猫の言葉に動揺した俺はホワイトボードの文字が途中ちょっと変になったが何とか読めるだろう。

どうやらその後の話でまずはアザゼルさんがオカルト研究部の顧問になったと。

何やってんのあの自由人…まぁ俺たちの神器をしっかり成長させる為だというのは納得するけど。

そんで問題はこっからだ。

イッセーの神器のパワーアップにはスケベ心が必要でその為にゼノヴィアがイッセーの家で居候するのも変な話だが、まぁアーシアがいるからまだいい。

そんで何故二人は俺の家に? 俺はスケベでパワーアップせんぞ?

 

「グレイフィア様から直接頼まれましたの」

「先輩はすぐに無茶をするから普段の生活から見張って欲しいと言われました」

『グレイフィアさんから言われたら何も言えねぇじゃないですかやだー』

 

そりゃあ断れないよね! 俺も嫌だなんて言ったらグレイフィアさんからお説教をされるからな!

まぁ俺の体がデカいから広めの物件だし、物置にしてた部屋を片付ければ女性用の部屋は何とか確保できるか…?

ゴムレス達は元々俺の寝室かリビングで寝てるからプライベートは大丈夫だろ。

何を慌てているって? 美人二人がいきなり今日から暮らすんだから慌てるだろうが!?

 

『あー…何て言えばいいかわからんが。こんな奴と一緒に暮らすことになってすまんがよろしく頼む』

「先輩はこんな奴ではないですし、謝る事はないです」

「えぇ、剛君は素敵で優しい方ですもの。私達も貴方と一緒に住めるのはとても嬉しいですわ」

『そうか…ありがとうな』

 

こうして今まで一人で暮らしていた俺にいきなり同居人が二人も増えた。

神器を発現してから驚くほど俺の生活は変わっていく。

戦う事で痛みや苦しい事などもあるがこうして一緒にいてくれる仲間が増えていくのはとても嬉しい。

だから俺は強くなりたい。愛するこの生活を護る為にも。

 

『二人には隣の物置を部屋として使ってくれ。今片付けるから』

「そう言うと思いまして色々とお掃除させていただきましたわ」

「そしたら先輩のコレクションも見つけてしまいまして…先輩もえっちなんですね」

「あらあら、剛君も男の子なんですから女体に興味を持つのは当然ですわ」

『  ! ? 』

 

 

 

「おー、会談の時はご苦労さん。カテレアの弟ジナディンの相手は大変だったろ?」

『正直な話、あいつが油断して俺を怒らせてくれて良かったですよ』

「あの連中は人間なんざ玩具以下として扱うからな、それがお前の禁手化を引き起こしちまったと」

『あれ、何で俺が禁手したの知っているんです?』

「あんな鐘の音を響かせてカテレアと似た魔力が突然消えればわかるに決まってる」

 

今オカルト研究部の部室には俺とアザゼルさんだけで話している。

ジナディンから拷問で得た情報を報告するとちゃんと合っていたようだ。

俺達の役に立ってよかったな、でも許さんから神器の中で苦しめ。

というか、どんな感じで苦しんでいるんだろうか? 気になるけど聞くのも怖いから止めとこ。

 

「とりあえずお前さんの禁手についてはレポートでまとめてくれ。新しい化物達の情報もな」

『わかりました。しかし本当に俺たちの神器をしっかり見てくれるんですね』

「おぅ、大船に乗ったつもりでいてくれや。そうだ剛に渡すものがあるんだった」

 

そう言ってアザゼルさんが取り出したのは黄色いビー玉サイズの水晶玉と、黒い首に巻けそうな装置…咽喉マイクだ。

咽喉マイクは喉元に装着して、声を出した際に喉元の振動を拾って音声を相手側に届けるもの。

しかし咽頭が無いわけでもなく心理的な部分で声が出せない俺には無用の長物では?

そう考えているとアザゼルさんが説明してくれた。

 

「こいつは俺が作ったものだ。コカビエルの時と今回の働きの報酬として受け取ってくれ」

『それはありがたいですが、喋れないのに咽喉マイクは無意味では?』

「そこは使ってみてのお楽しみだ、まずはそのマイクを付けろ」

 

促されるまま咽喉マイクを装着する。コードが無いから着けた所で邪魔に感じることはない。

そして今度は水晶玉を喉に当てろと言われ、同様にやってみると水晶玉が光って俺の喉に吸い込まれていく。

突然のことに驚いたがアザゼルさんの「成功だな」という言葉に大丈夫だと信じたい。

するとアザゼルさんが俺のホワイトボードを取り上げて何かを書いて俺に見せた。

 

「これを大きい声でハッキリと読んでみろ」

 

そこには「アザゼル提督は天才」と書いてあった。人に何を読ませんだ、このおっさんは。

それに長年声を出す訓練しても出ないのにそんな都合のいいことが起きるわけがないから適当に言ってみよ。

 

『ネコと和k…キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!

「待て、お前は今何を言おうとした?」

 

今俺の口から声が出た!

まるで〇っくりみたいな合成音声だけど確かに俺が! 喋った!!

俺がいきなり喋れた事に困惑しているとアザゼルさんは笑いながら話してくれた。

 

これはの声帯や咽喉と連動して合成音声で喋れるようにした人工神器の応用品だと。

情報を伝達する時に俺が負傷して筆談が出来なかったり戦闘時に誰かと連携や連絡する時に話せないのは痛い。

しかし、これなら例え何に変身しても話す事ができるようにもなるから情報伝達が捗る。

 

『ありがとうございます! 長年のトラウマが一つ解消されました…!』

「あぁ、でも学校や私生活では筆談にした方がいいぞ。あくまで試作の人工神器だからな」

『確かに人間のとは違う技術ですからね、気をつけます』

 

そうこう話しているとリアス達が部室へやって来た。

朱乃と小猫から話は聞いていたがみんな無事で良かった…限界を超えて戦ったイッセーも元気そうだ。

せっかくだから筆談で無く、きちんと話してみるか。

 

『よう、心配かけてすまなかったな。門星 剛、復活したぜ!』

 

そしたらオカルト研究部の部室にキェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!という声が響いた。

俺もさっき叫んだけどうるせぇ…でも楽しいな。そんな仲間たちに囲まれた俺は思わず笑ってしまった。

 

【停止教室のヴァンパイア編 完】




「ものの見事に時計塔の奴らにボッコボコにされたねぇ」
『待て、本当に不死身かあいつら?』
「神に封印される前はとある一族にしか倒せない存在だったよ?」
『なにそれこわい』
「でも今は宿主がいないと表にも出てこれないからねぇ」
『だから戦闘の時はあんなに張り切っていたのか…(震え声)』


閲覧ありがとうございます。
また暇を見つけてちょいちょい書いていきたいです。
その時はまたよろしくお願いいたします。

それではまた。


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