Phantasy Star Fate  (ラトヤ)
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Episode1 あなたと一緒に
第1話 〜移動と出会い〜


 

 

 

 

「よしっ!準備完了。士郎そろそろ行くよ。」

 

 彼女は俺の周りに魔法陣を描き、いくつかの宝石を置くとそう言った。

 

「遠坂、ホントにこれで成功するのか?」

 

「何、あんた私の腕を信用してないの?」

 

「冗談だよ。信用してるよ遠坂。」

 

「なら邪魔しないで黙ってそこに立ってなさい!」

 

「はいはい。」

 

 そう言うと俺は苦笑を浮かべた。

 今俺たちは第二魔法による並行世界への移動行おうとしている。

 

 

 

 第5次聖杯戦争のあと遠坂は時計塔にわたった。俺もその従者として同行した。

 遠坂はキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグに弟子入りし、卒業時には、二人目の第二魔法の成功者となっていた。俺も時計塔で魔術の基礎を学ぶことができた。

 

 時計塔を卒業後は苦しんでいる人を救うため世界中を回りあらゆる戦場に赴き苦しんでいる人々に手を差し伸べた。

 

 遠坂も時計塔に残って研究を続けないかという誘いがあったそうだが、

 

「お前まで俺の夢に付き合う必要はないぞ。遠坂は遠坂がしたいことをしろよ。」

 

「これは私の野望に関係するのよ。あんたが気にする必要はないわ。」

 

 などといい、それらをすべて蹴って俺についてきていろいろと力を貸してくれた。今ではとても感謝している。

 

 

 数年後、魔術を行使の影響であの弓兵のように髪は白くなりだし、肌は浅黒くなりはじめそれでも人々を救うため魔術を使い続けた。しかしそんなこと魔術協会が許すはずもなく俺はとうとう封印指定された。

 

 それからは多くの執行者たちが襲ってきた。しかしそれを全て撃退できるほど俺も力をつけていた。当然全てを撃退した。しかしこれ以上まわりに迷惑は掛けられない。

 遠坂だってまだ魔術協会から標的にされてないが俺と共に行動しているのだ。標的にされるのも時間の問題だ。

 

 俺のせいで遠坂が封印指定などされたら俺は俺を許せないだろう。そうなるぐらいなら俺は自らこの身を差し出す。

 

 しかしそれに遠坂は猛反対した。

 

 そして2人で話し合った結果、並行世界への移動という答えになり、現在に至るのである。

 

 

 

 

「あんた向こうの世界ではおとなしくしているのよ。」

 

「わかっているよ。向こうの世界からしたら俺は異物で目立ちすぎると世界の抑止力が働く可能性があるだろ。」

 

「わかっているじゃない。さぁ始めるわよ。」

 

 そういうと彼女は腰のホルスターから宝石剣を引き抜き前に突き出し呪文を詠唱始めた。

 

 呪文の内容はあまり分からない。

 

 しかし心配はない。

 

 時計塔において優秀な成績を残し、あの万華鏡ゼルリッチに教えを仰ぎ第二魔法の2人目の成功者までなった彼女が時間をかけて準備したのだ。失敗するはずがない。

 

 

 そして…

 

 

「―Anfang―!」

 

 魔法陣が起動はじめた。足の方から光の粒子となって消えていく。

 

「またな遠坂、元気でな。」

 

「ええ、こっちのほとぼりが冷めたら迎えに行くからそれまでおとなしく待ってなさい。」

 

 俺は忘れていた。遠坂の人間は…

 

「ところで遠坂、肝心の移動先の世界はどんな世界なんだ。」

「えっ!?」

 

 肝心な時にスキル『()()()()』を発動することを…

 

「あ!移動先の固定をしてない!!!」

「えっ?!それって「ごめん。士郎、どこに飛ばされるかわからないけど頑張って。健闘を祈るわ。」

 

 

 そういうと彼女は手を合わせて苦笑いを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

  なんでさ!!

 視界が真っ白になった。

 

 

 

 

  ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 

 

 そして俺は時空の狭間を流されていた。このまま流されてどこかの世界に到着するのだろう。そんなことを考えていると、

 

 

 

 

 

 急に何かに引っ張られていく。

 

 抗うことはできない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…誰か助けて……」

 そんな声が聞えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして引っ張る力がなくなり、体の各部位の感覚が戻ってきた。移動が終わったようだ。

 

 目を開けると目前には天まで届きそうなビルが立並ぶ景色が広がっていた。

 

  並行世界への移動は無事成功したようだ。しかしまた文明が発展した世界にきたものだ。まずこの世界について調べる必要があるが、それより先にこの違和感の正体を確認しなければならないな。

 

 違和感というのはいつもより目線が低い。

 体が軽い。

 手が短い。

 地面が近い。

 

 近くにショーウィンドがあったのでそこに自分の姿を映してみた。

 

 

 白髪の頭。灰色の目。ここまでは移動前と変わりない。問題は……

 

 

  体が若返っている。8歳ぐらいの肉体だ。あの無理やり横から引っ張られたのが原因だろうか。まったく目が覚めたら体が縮んでいたとかどこの名探偵だよ。

 

 次に俺は魔術回路の確認を行った。

 

解析(トレース)開始(オン)

 

 ……魔術回路本数27本……損傷なし

 

  よし。魔術回路は問題なさそうだ。だがまだ投影魔術は使わない方がいいな。肉体がまだ魔術回路に馴染んでない。今、投影魔術を使えば肉体が耐えられないかもしれない。身体強化なら少しぐらい使っても問題はなさそうだ。

 

 

 遠くから人々の悲鳴と爆発音が聞こえてくる。

 

「なんだ!?」

 

 どうやら人が襲われているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 すまん遠坂。やっぱり俺はおとなしくしてるなんてできない。

 

 

と俺は心の中で遠坂に謝り、爆発音のするほうに走り出した。 

 

 

 

 

 

 

     ◇  ◇  ◇ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 現場にたどり着くと人々が逃げまどっていた。その後ろからはみたことのない生物が迫っていた。

 

 なんだ?あの黒い生物は四本脚の蜘蛛のようなもの、血をたらふく吸って腹をパンパンにした蚊を何百倍したようなものなどいろんな形態したのがいる。しかしどの生物からも共通してとてもいやな感じがするな。

 

 

 

「きゃあ!」

 

 一人の少女が瓦礫につまずき転んだ。先行していた蜘蛛型の謎の生物の1匹がその赤い眼で少女をとらえて迫っていく。

 

「やだ!来ないで!」

 

 

 俺は足に身体強化をかけ走り出す。間に合うか。間に合っても何ができるのか……

 

 

 

 

 

 しかしここで動かなかったら必ず後悔する。頼む。もちこたえてくれよ俺の体!

 

 「投影・開始(トレース・オン)!!」

 

 

 蜘蛛型の生物が少女に目前に迫る。鋭利にとがった前脚を振り上げる。

 

 

 両手に干将莫邪を投影する。

 

「っ…!」

 体中に痛みが走る。肉体が投影魔術によって悲鳴を上げている。それでも走る。止まることはできない。

 

 

 

 前脚が振り下ろされた。

 

「いやっ!」

 

 

 

 

 

 

 前脚を右手の剣で弾く。

 何とか間に合った。

 

 俺は体を1回転させ蜘蛛型の生物の胴体に回し蹴りを放った。

 蜘蛛型の生物はそれにより10mほど飛び仰向けになり、脚をぴくぴくさせている。

 

 俺は後ろで体を震わせて泣いている少女に優しく話しかける。

 

「大丈夫?けがはない?」

 

 少女はうなずく。

 

「お母さんとははぐれちゃったの?」

 

 うなずく。

 

「お嬢ちゃん名前は?」

 

「……イオ」グスッ

 

「よし。イオちゃん立ってあの見えている人たちの集団のところまで全力で走って一緒について行くんだ。次はつまずいて転んだらダメだよ。生き残っていたら必ずお母さんと会えるから」

 

「本当?」グスッ

 

「うん」

 

「お兄ちゃんはいっしょに逃げないの?」グスッ

 

「俺は少しこいつらの相手をしてから行くよ」

 

「お兄ちゃんもあとから必ず来てね。」

 

「あぁ約束だ。さぁ立って」

 

 俺は泣き止んだ少女を立たして

 

「ほら行くんだ!」

 

 優しく背中を押してあげた。

 

 少女はこちらを向くと

 

「お兄ちゃん助けてくれてありがとう!!」

 

 それだけ言い、走り去って行った。

 

 

 初めて見るな。肌は白く角が生えていて眼の色が両方で違う。あれがこの世界の住民なのだろうか。いやしかし、逃げている集団の中にも彼女と同じような風体をした人もいれば耳の長い人もいた。そして彼女が俺を見て怯えてなかった感じ俺のような見た目のやつもいるってことか。そんなことより先にこっちだよな……

 

 ふりむくとさっき蹴り飛ばした蜘蛛型の生物が体勢をたて直してこちらを見ている。

 そしてそのまわりにはさっきまで後ろにいた謎の生物の集団がおいついてきたのだ。

 

  蚊型2体、蜘蛛型10体ってところか。蚊型は空を飛んでいるから厄介だな。まずは地上の蜘蛛型の先に片づけるか。

 

 

 そしてさっき蹴り飛ばした蜘蛛型が雄たけびを上げる。それを合図に謎の生物の集団が一斉にこちらに襲いかかってきた。俺も肉体に身体強化を施し謎の生物の集団に向けて走り出す。

 

 まず一番前の蜘蛛型の攻撃を左手の剣ではじき、胴体を右手の剣で切り上げる。蜘蛛型は悲鳴をあげて赤黒い粒子となって消えていった。

 

 そしてその奥にいるもう1匹の蜘蛛型の頭に向けて左手の剣を投擲する。

 

 頭の中心に的中した。

 

 それを引き抜き近くにいた蜘蛛型に突き刺し切り裂く。

 

 次の蜘蛛型に切りかかろうとしたとき、後ろから別の蜘蛛型がジャンプしてドロップキックを仕掛けてきた。

 

 おれはバク宙でそれをよけて着地と同時にその2匹を切り裂いた。

 

  これで5匹。こいつら単体ではそんなに強くない。これなら今の体でもどうにかできる数だ。問題はあの蚊型をどうやって仕留めるかだな。弓を投影できれば楽なんだがこれ以上の投影はあまり得策じゃ……

 

 まわりをみて違和感を覚える。

 

 

  さっきより蜘蛛型が増えてないか?5匹倒しから残り半分のはずだぞ。しかし今数えるだけで11匹はいる。なぜだ。

 

 答えはすぐに見つかった。

 蚊型が出した赤い球は地面着くとそこから蜘蛛型が生まれてきたのだ。

 

  そうかあの蚊型は蜘蛛型の卵の運搬係なのか。ならばやつらを先に片づけなければきりがないな。よし標的をあの蚊型に変更だ。前側はガードが堅そうだな。後ろ側を狙ってみるか。

 

 俺は目前の蜘蛛型の脚を切り落とし体勢を崩させてそれの土台に空中に飛び上がる。

 

 目標はその上を飛んでいた蚊型だ。

 

 まず俺は左手の剣を投擲する。

 

 蚊型はそれを避けて空中にいる俺に突進してきた。

 

 俺は右手の剣を両手持ちにしてそれを迎え撃つ。相手の頭に向かって振りかざした。

 

 蚊型はそれをガードした。

 

 だが俺の攻撃はこれで終わらない。この夫婦剣はお互いに引き合う性質がある。つまりさっき投げた剣は……

 

 さっき投擲した剣は弧を描いて戻ってき蚊型の臀部の赤い部分に突き刺さった。蚊型は悲鳴を上げている。

 

 やはりここが弱点か。

 

 俺は先ほど脚を切り落とした蜘蛛型に着地し剣を突き刺しとどめを刺した。

 

 蚊型が消えたことによって蚊型に突き刺さっていたもう1つの剣が落ちてき、それを片手で掴んだ。

 

 もう1匹を探す。

 

 もう1匹は運よく今こちらに背を向けている。

 

 10mはあるが剣を投擲し蚊型を仕留めた。

 

 剣を拾うために走る。

 

 その間にいた蜘蛛型を3匹切り倒しながら進んでいく。

 

 そして剣を拾う。

 

  よし。これでこいつらが増えることはない。残り12匹。お前ら覚悟しろ!

 

 

 

 

   ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 最後の1匹を切り伏せた。粒子となって消えていく。

 

 干将莫邪にひびが入り崩れていく。

 

  「はあ、はあ」

 

 

 瓦礫に背中を預ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  これは少しまずいな。

 

 

 

 遠くから別の謎の生物の集団が迫ってきている。

 

 

 普段ならこのぐらいの連続戦闘は問題ないのだが今この肉体は8歳のものだ。体力もそれ相応のものである。

 体力は先の戦闘で底をついている。このまま戦えばやられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことを考えている最中、集団は動きを止め来た道を引き返し始めて空間が歪んでその中に消えていった。

 理由はわからないが撤退したようだ。

 

 

 

  まだ安心はできない。とりやえず安全な場所に移動しないと

 

 

 そう思い体の動かそうとしたが……体に力が入らない。

 

 

 

  それに意識がもう……

 

 

 

 その消えかけの意識の中、声が聞こえる。

 

「おい!こっちにいたぞ。おい少年大丈夫……」

 

  どうやら助けが来たようだ。おれはそこで意識を手放した。

 

 

 

    ◇  ◇  ◇

 

 

  ここはどこだ?

 

 まわりには宇宙空間が広がっている。しかし息ができないわけではない。夢の中だろうか。

 

「…ようこそ…初めまして…守護者となる者…」

 

 声が聞えて振り向くとそこには黒髪で白衣のメガネをかけた女性が立っていた。

 

「……私は…シオン……この世界の■■■…」

 

「お前が俺をこの世界に連れてきたのか?」

 

「…私は…後悔している…自らの行いに…■■■1人に責任をおわせた…」

 

 会話は成立しそうにない。ところどころノイズで聞き取れないが聞くことに専念しかないようだ。

 

「…この世界…危機が迫っている…しかし…私は…今では…何もできない…

 ゆえに…貴方の助け…求める…世界と…彼女たち…救ってほしい…」

 

 そういうとシオンは消えていった。

 

 話からして彼女が俺をこの世界に引っ張ってきた張本人のようだ。この世界の危機っていうのはあの謎の黒い生物のことだろうか。彼女とは誰のことだろうか。

 

世界が変わり、肉体年齢が変わり、まわりの環境が変わり……

 

 

 

しかし変わらないものはある。

 

 

 

 

 

理想は元の世界と変わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『苦しんでいるすべての人を救いたい』

 

 

 

 

 




文才がない
文章力が欲しい
まぁそのうち力がつくことを望んで頑張っていきます。

メンタルがやられるの先か文章力が向上するのが先か……


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第2話 ~修了任務~

 A.P.238 2/20

 

 

「…おい!おい相棒!起きろよ。そろそろ時間だぜ。」

 

「ん…もうそんな時間か。」

 

 夢を見ていた。

 俺がこの世界にきて初めてダーカーと戦い、シオンと出会ったあの日の……

 

 

 10年前のあの日、意識を失った後、目を覚ますと見知らない病室にいた。アークスに保護されてこの病院に運び込まれてたらしい。アークスが俺の居場所がわかったの は、どうやらあのイオっていう少女が助けを呼んでくれたそうだ。のちに病室に母親とともに現れて、「ありがとうお兄ちゃん」と改めて感謝の言葉を残していった。

 

 

 回復した俺は、記憶喪失としてふるまった。

 その方が今後都合が良いと思ったのだ。

 

 

 そして「僕は魔法使いなんだ」なんていうおじさんは現れず身元もわからない俺はアークス児童施設に預けられることとなった。

 

 そこには親を失って行き場のない子どもたちがたくさんいた。

 

 俺はその中で暮らしていった。

 

 そして俺は図書館などでまずこの世界について調べた。

 

 

 

 

 ここは全長500kmほどの巨大な球状の宇宙船『マザーシップ』を中心として無数のアークスシップによって構成された船団『オラクル船団』である。なんでもはるか昔、自分たちが住んでいた星が住めない状態になったヒューマンたち叡智を結集してこの船団を作ったそうだ。

 エルフのような耳を持つニューマン

 サイボーグのキャスト

 角とオッドアイをもつデューマン

 この3つの種族はヒューマンから遺伝子操作や手術によって生まれた種族である。今、アークスシップにはこの4種族がともに暮らしているのだ。

 マザーシップには一般市民や普通のアークスは許可なく立ち入ることが許されてなく、何があるかは公にはされていない。

 誰かがそこで全アークスシップの管理をしているだとか。

 最強のアークスを作る人体実験が行われてるとか。

 秘密機関があるだとか。

 様々な噂が飛び交っている。

 

 

 

 次に魔術に関して、

 魔術はこの世界では神秘性が薄れてほとんどが失われているようだ。

 しかし失われずに残った一部は科学技術に支えられてフォトンと呼ばれるエネルギーとして俺の知る世界とは違う発展を遂げている。

 

 

 

 そしてこの世界で一番重要な存在『アークス』

 正式名称は『Artificial Relict to Keep Species』。

 その頭文字をとって『ARKS(アークス)』と呼ばれている。

 

 仕事は発見した惑星の調査や各アークスシップの警備で、目的は『種の存続』と『ダーカー及びダークファルスの殲滅』である。

 ダークファルスとはダークフォトンを扱う正体不明の全宇宙を脅かす敵対勢力で、ダーカーはダーカー因子で形成されたダークファルスの眷属である。蟲系、魚系、有翼系、玩具系など様々な存在が確認されている。

 

 

 俺はこの世界で動きやすいようにアークスになることにした。アークスになればいろんな権限を得ることできる。

 運がいいことにここはアークスによって運営されている児童施設だ。アークスは人材を探しているらしくてアークスの適正検査がたびたびおこなわれていた。

 

 アークスになるには条件はただ一つ

 

 フォトンを扱う才能があること

 

 ダーカーはフォトンでしか倒せない。さらにダーカーを倒すとわずかながらダーカー因子を体内に取り込んでしまう。大量に取り込むとダーカー因子に飲み込まれて、ダークファルスの傀儡となってしまう。ミイラ取りがミイラになっていたら意味がないので、ダーカーと戦うアークスにはそれに耐えて体内のダーカー因子を浄化してくれるフォトンを扱う才能が必要なのである。

 

 

 俺には、フォトンを扱う才能があるようだ。フォトンの元となっている魔術を扱えるのだから当然といえば当然である。

 検査の際、俺の力が失われた魔術であることがばれてしまうのではないかと心配だったが、検査はそこまで詳しく調べるものではなく気づかれることは無かった。

 

 

 

 そうして俺はアークスの士官学校に入り、アークスになるための座学や訓練を受けた。そして現在、その修了任務場であるナベリウスへ移動のための小型船キャンプシップの中である。

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 

 

 

 

 

「こんな時に寝てられる気が知れないぜ。」

 

「こんなこと緊張する必要もない。」

 

「さすが首席。言うことが違うね。」

 

「そういう言い方はやめてくれ。ただ単に俺はみんなより少し多くの場数を経験してきて、こういうことに慣れているだけだ。」

 

「お前、俺とあまり年変わらないよな。どんな人生送ってきたんだよ。」

 

「想像に任せるよ。それよりもお前は気張りすぎじゃないか?」

 

「当然だぜ。このこの試験が終われば念願のアークスになれる。そうすればその権限を使って今までより広い範囲でユク姉を探すことができる。気張るなって方が無理ってものだぜ!」

 

「そういえば、お前のお姉さんは10年前の事件で…」

 

 

 

 

 

 

 俺の姉ちゃん、ユク姉は10年前のダーカー襲撃のときに行方不明になった。気が強くていつも優しい姉ちゃんだった。

 

 あの日、家には俺とユク姉の2人だけだった。いつものように一緒に遊んでた。

 

 そのなかダーカーの襲撃が始まった。

 

 爆発音が聞こえてユク姉は俺に「外の様子を見て来るからアフィンはここで隠れてなさい。姉ちゃんが迎えに来るから大人しく待ってるのよ。」と言い、家を出て行った。

 俺は隠れながらユク姉が迎えに来るのを待った。しかしユク姉は帰ってこない。

 

 10分…20分…と時間だけが過ぎていく。

 

 1時間が過ぎたころに足音が聞こえてきた。

 

 ユク姉が帰ってきたと思ったが足音は逃げ遅れた住民を捜索に来たアークスのものだった。そして俺はアークスに連れられて避難所へ行った。そこには両親の姿があった。

 

 

 しかしそこにもユク姉の姿は無い。

 

 

 

 アークスに捜索願を出して探してもらった。しかし見つからずユク姉はあの日、行方不明となった。

 

 

 

 

 

 

「ユク姉は必ずどっかで生きている。世間では行方不明者はダーカーに連れ去られもうこの世にはいないなんて言われてるが、俺はそんなこと信じない。ユク姉は生きてる。そしてどこかにいるユク姉を俺が必ず救い出すんだ。」

 

「…そうか。少しでも手が掛かりが見つかるといいな。」

 

 ピピッ

 

 通信が入る。

 

「準備いいですかお二人さん。修了任務の説明を始めさしてもらいます。今日、お二人のオペレーターを担当するメリッタです。修了任務はナベリウスの森林の調査になります。最近、森林でダーカー因子に侵食され凶暴化した原生種が確認されてます。お二人にはナベリウスに降りてもらい、その捜索と対処をしてもらいます。抵抗してきた場合仕方がありませんが、出来るだけ対象を傷つけずにダーカー因子の浄化を行ってください。ではお気をつけて。」ピッ

 

「よし!行くぜ相棒!」

 

「おう!」

 

 そう言って俺たちは転送装置に飛び込んだ。

 

 

   ◇  ◇  ◇

 

 

 転送された俺たちはダーカー因子に侵食された原生種の捜索を始めた。

 

 ……20分後

 

「このエリアにもいない。あーー!本当にいるのかよ!」

 

「文句言ってないで次のエリアに行くぞ。」

 

 

 その時

 

 

「おうおう。ルーキーども、もう任務への愚痴か。随分と生意気じゃねえか。」

 

 声のした方を見ると赤い髪で顔に傷のある男が立っていた。

 士官学校で講師として何度か来ていたゼノ先輩だ。

 

「うわぁ!ゼノ先輩!そういうことじゃ……」

 

「こら!ゼノ。あまり新人をからかうんじゃないの。あんただってよく愚痴ってるじゃない。」

 

 ゼノの後ろから一人の女性が現れた。

 

 いつもゼノ先輩と一緒にいるエコー先輩だ。

 

「なんだよエコーちょっとからかうぐらいいいじゃねえか。」

 

「だめ!」

 

「ちっ!まぁいいや。お前たちこんなところにいるということはもうアークスなれたのか?」

 

「いや、まだアークス研修生です。」

 

「俺と相棒は今、修了任務の最中なんですよ。先輩たちは任務ですか?」

 

「うん、そうだよ。」

 

「懐かしいな、修了任務か〜。思い出すぜ。あの時はエコーが緊張しまくりでな。キャンプシップでは、何度もトイレに行ったりしてシップの片隅で生まれたての子鹿みたいに震えてるんだよ。それに通信が来るたびに驚いて変な声出して、一番傑作だったのが任務の最中にーー「ゼノ〜。彼らの任務の邪魔しちゃ悪いわ。早く行くわよ。二人とも修了任務頑張ってね。」」

 

「「……はい。」」

 エコー先輩、笑顔だけど目が笑ってない。

 ものすごく怖い。

 

 

「おい、引っ張るなよエコー。じゃあな2人ともーー!」

 

 エコー先輩とゼノ先輩が去っていく。

 

「なぁエコー急にどうしたんだよ?そんか!修了任務のときの話されて恥ずかしいのか?ん?どうなんだエコー?………もしもしエコーさん〜」

 

 あ……エコー先輩がロッドを持った。

 

「おい、ロッドなんてもって何をするつもりだ!!ちょっ待て!?」

 

 ぎゃあああああああ!!!!

 

 

 

「………」

 

 

「………」

 

 

「……女って怒らせたら怖いな。」

 

「…………あぁ。」

 

 相棒の顔色が悪い。昔、女の人と何かあったのか?

 もしかしてその時のせいで白髪に…

 

「おい。今失礼なこと考えているだろ。」

 

「イイエ、ナニモカンガエテイマセン。」

 

 

 なぜわかった!?

 

 

 

 

   ◇  ◇  ◇

 

 

 

 

 ゼノ先輩とエコー先輩と出会ってからさらに20分後

 

 俺たちは草の繁みの中にいた。

 

「あれが報告にあったダーカー因子に侵食された原生種だな。」

 

「目標は3体のウーダン。ダーカー因子の場所は頭、背中、腕に確認。」

 

 ダーカー因子は本格的に侵食を始めると体のどこかに蕾のようなものとして現れる。そして侵食の進行度によりその蕾が開花する。

 蕾が開花して完全に闇の傀儡に変わる前に、このダーカー因子をフォトンをまとった武器で攻撃し浄化してやれば体内のダーカー因子も同時に浄化される。

 

 

「よし。俺が突撃するからアフィンはバックアップを頼む。」

 

 そういうと相棒は両腰にぶら下げていたツインダガーを引き抜き、フォトンを巡らせていく。

 

 

 アークス武器は大きく分けて3つある。

 フォトンを巡らせることで切れ味や威力を上昇させる近接武器

 フォトンを弾丸として撃ち出す射撃武器

 フォトンを流し込み武器に登録されたテクニックに変換して放つ法撃武器

 

 俺の武器は射撃武器のアサルトライフル

 相棒の武器は近接武器のツインダガー

 

 

 俺は片手で腰のアサルトライフルを引き抜き、もう片方の手で腰のポーチからスタングレネードを取り出した。

 

「準備完了。相棒いつでもいいぜ。」

 

「よし。行くぞ 3…2…1…行くぞ!」

 

 その合図とともに俺はスタングレネードを3体のウーダンの真ん中に投げ、目をつぶる。

 

 3体の真ん中でスタングレネードが弾けて光を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 閃光がおさまり目を開き、アサルトライフルを構える。

 すでに相棒が1体目のウーダンのダーカー因子を切裂いて、2体目にむかっていた。まだ2体とも閃光により目が見えていない。

 

 そして2体目の腕のダーカー因子も切り裂いた。

 

 

 

 

 

 …その時

 

 

 

 3体目が近くの岩を持ち上げて、投げようとしていた。

 

 嗅覚か聴覚で捉えたのか。それとも野生の直観か。

 正確に相棒を狙っている。

 そんなのはお構いなしに相棒は突っ込む。

 

 俺は狙いをすまし……引き金を引いた。

 

 弾丸は一直線に飛んでいき、岩の中心を貫き、砕いた。

 そして相棒が頭のダーカー因子を切り払った。

 

「よし。任務完了っと。」

 

「お疲れ、アフィン。」

 

「お疲れ相棒、というか俺のバックアップいらなかったじゃないか。お前なら1人で余裕だっただろ。」

 

 相棒の戦闘技術は群を抜いている。士官学校でアークス研修生どころか講師の先生でもそうそう勝てる人はいなかった。

 

「そんなことはないぞ。最後の射撃は助かったよ。」

 

「そうか。それならいいや。よし任務も終わったし任務達成の報告してさっさと帰ろうぜ。」

 

 すでにウーダン達は正気を取り戻しこの場を去っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?アフィン、今何か声が聞こえなかったか?」

 

「いや、何も聞こえてないぜ。」

 

 ピピッ

 

 通信が入る。

 

『管制よりアークス各員に緊急連絡!惑星ナベリウスにてコードD発生!空間侵食を観測。警戒してください!』

 

「な、なんだこれは⁉︎」

 

 俺たちの周りの空間に黒い霧が発生し、

 

 

 

 

 そこから大量のダーカーが現れた。

 

 

 




PSO2のストーリーをやってたのは1年以上前
fateの知識はアニメのみ

fateの設定ってどうやった? PSO2の設定どうやった?このキャラこんなしゃべり方やった?
想い出しながら悩みながら書いてます。

ざっくりとした説明となってしまいました。すみません。

フォトンの原作と違う点
・魔術がもとになっている←だからシロウの投影の武器でダメージをあたえれました。
・人にもダメージは与える

矛盾が生まれてきたらどうにか頑張ります。



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第3話 ~謎の少女と不穏な影~

『管制よりアークス各員に緊急連絡!惑星ナベリウスにてコードD発生!空間侵食を観測。警戒してください!』

 

「な、なんだ⁉︎」

 

俺たちの周りに空間に黒い霧が発生した。

そこから大量の蜘蛛のような外見のダーカー、ダガンが現れた。

 

『ダーカーの出現を確認。全アークスに通達!最優先コードによるダーカーへの戒厳令が下されました。』

 

「こいつらが……ダーカー?」

 

「アフィ「なんでだよ!どうしてだよ!ベリウスのはいないはずだろ!!なのにどうして「アフィン!!!」」

 

「は!相棒?」

 

「アフィン冷静さを失うな。戦場でそれは命取りになる。お前はアークスになるって決めたんだろ。ならアークスの敵であるダーカーと戦うこともわかっていたはずだ。」

 

「……あぁ、相棒の言う通りだぜ。こいつらはアークスの敵だ。俺たちが戦うべき相手だ!わりぃな相棒すこし取り乱しちまって。」

 

「よし。なら行くぞ。今は目の前の敵に集中しろ!」

 

「おう!」

 

俺たちは背中合わせにしてそれぞれ武器を構える。

 

背中の敵は相棒がどうにかしてくれる。俺は目の前の敵に集中するんだ。

 

アサルトライフルを握る手が汗でにじんでくるのがわかる。

 

近戦じゃ俺に戦うすべはない。接近される前に仕留めないと。ならば先手必勝だ!

 

まず敵全体に銃弾をばら撒く。1発に威力はそれほどないが敵を怯ませることはできる。その間におれは次に動作に移る。

 

腰のポーチからさっきとは別の爆弾を取り出し、敵の中心に投げ込む。

 

爆弾が弾けるとダガンたちがそこに吸い寄せられている。

 

グラビティボムは特殊な重力を発生させて敵を吸い寄せる。そして…

 

俺は弾倉を切り替えてアサルトライフルを構え、狙いを定める照射位置を固定する。

 

ダガンが密集している地点が明るくなっていく。

 

この技は隙は大きいが威力は抜群…

 

「サテライトカノン!!!」

 

ダガンどもに強力はレーザー弾が降り注ぐ。

 

ダーカーどもは一掃された。

 

「こいつらそんなに強くないじゃん。びびって損したぜ。1撃で片付いちまった。」

 

 

 

 

「アフィン油断するな!」

 

 

 

 

レーザー弾の発光で見えていなかった。1匹仕留め損なっている。

残った1匹はジャンプして俺との距離をいっきに詰めてきた。

 

やばい!今、弾倉はサテライトカノン用のレーザー弾だ。弾倉を切り替えてる暇はない。

 

距離を取ろうと後ずさりしようとすると足元にあった石につまずき、尻餅をついてしまった。ダガンは目前まで迫っている。

 

 

 

 

 

 

やられる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「右に避けろ!!」

 

 

 

 

その言葉に従い、体を少し右にそらす。

 

「!!」

 

俺の元いた場所に矢…

 

ではなくダガーが通過した。

 

そのダガーはダガンに突き刺さり、ダガンは消えていく。

 

振り返ると相棒が他のすべてのダガンを倒したらしくこっちに向かって歩いてきてる。

なんだか顔が険しいが、とりあえず……

 

「助かったぜ相棒。」

 

「助かったではないわ!戯けが!」

 

あ、やばい。相棒の口調が変わってる。これは何度か経験がある。

相棒が説教するときの口調だ……

 

 

そして相棒の説教が始まった。

 

「何だあの取り乱しは!さっきも言ったが敵と対した時に冷静さを失えば命取りになるんだぞ!

確かにナベリウスはダーカーの出現例はない。だから修了任務の場所に選ばれてる。しかし任務内容はなんだった?」

 

「……ダーカー因子に侵食された原生種に捜索です。」

 

「ではなぜそのダーカー因子の塊であるダーカーがいるという可能性を考えなかった。その考えまで至っていたならばあの状況で取り乱すことも無かっただろう!」

 

「……おっしゃる通りです。」

 

「そして戦闘だ!バックアップがあるかもわからない状況で隙の大きい技を使用して、油断し、レンジャーが接近を許し、俺が助けに入らなかったら死んでいたんだぞ!」

 

「……はい。」

 

誰か助けてくれーーー!!

 

ピピッ

 

『全アークスに通達。コードDの発令を解除。警戒レベルを引き下げます。アークス研修生は安全を確認後、帰還してください。』

 

「帰還命令か。」

 

よし助かった!

 

「続きは帰ってからだだな。」

 

「………。」

 

……神よ。この世に救いはないのか。

 

◇ ◇ ◇

 

 

「よし。準備はいいか?テレパイプを使うぞ。」

 

「……おう。」

 

「どうした?元気がないぞ。」

 

「大丈夫だ。」

お前のせいだよ!

 

「ん?」

 

「なんだ?また声が聞こえたのか?」

「ああ。あっちの方から聞こえた。」

 

「そんなに気になるなら一度行ってみるか。」

 

そして俺たちは相棒が声がしたという方向へ行ってみた。

 

茂みを掻き分け進んで行くとそこには

 

銀髪の少女がいた。

 

「…たす…け…て」

 

パタリッ

 

「お、おい?!」

「おい、大丈夫か?!」

 

倒れた少女を相棒が抱き上げる。

 

「疲労で気を失っているだけだな。命に別状はない。」

 

「なんだ、よかった。けどなんでこんなところに?見たところヒューマンのようだけど。アークスか?」

 

「いや、武器を持ってないところを見ると一般人じゃないか。」

 

「なんでこんなところに一般人が?はっ!まさかダーカーに連れ去られていて逃げてきたとか。」

 

「その可能性はあるかもしれないな。とりあえずアークスシップに連れ帰ってこの子が起きるのを待つしかないな。」

 

「そうだな。」

 

「メリッタさん。こちらアークス研修生のシロウとアフィンです。任務中に身元不明の少女と遭遇、保護しました。外傷はないが気を失っています。救護班の手配をお願いします。」

 

『こちらメリッタ、今からそちらに救護班向かわせます。そちら座標を教えて下さい。』

 

相棒がここの座標を教えると『わかりました。至急向かわせます。』といい、通信が終わった。

 

「俺たちは救護班がくるまでここで待機だな。」

 

「ああ、そうだな……っ!!

アフィン!この子を頼む!」

 

「え?!」

 

「すぐに戻る!」

 

そん言うと相棒は少女を俺に預けて、走っていった。

 

 

 

『…助けて』

ダーカーが出現する前に聞こえていた声。

 

10年前この世界に来る時に聞こえた声と同じ声。

 

ダーカーを倒したあとにも聞こえた。俺とアフィンは声の方向へ行ってみた。そこには1人の銀色の髪を持った少女がいた。

少女は倒れてしまった。どうやら気を失ったようだ。

 

この子が声の主なんだろうか。もしかしたらシオンが俺をこの世界に連れてきた理由と関係するかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしこの子のこんな綺麗な銀色の髪を見ていると、1人の少女のことを思い出してしまう。

 

 

 

 

 

俺が未熟だったために救えなかった彼女を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……ようやく見つけた。』

 

さっきと違う声が聞こえた。それと同時に一瞬、ある方向から凄まじい殺気が飛んで来た。

 

アフィンは気づいてない。だが殺気は明らかにこの子を狙ったものだった。しかも正確にはわからないが相当に実力者だ。この場で戦闘になったらこの2人を守りながら戦うのは無理だ。ならばこっちから仕掛けるしかない。

 

アフィンに少女を預けて俺は殺気のした方へ走り出す。

 

俺はこの世界に来てから投影魔術は1人で訓練するときは使っていたが、人前では使わないようにしている。この世界で魔術はすでに失われたもの、使えるものが現れたとなれば、それをほっとかない連中が現れるだろう。

 

しかし今はそんなことは言ってられないかもしれない。それほどの相手だ。

 

そんなこと考えるながら殺気のした方へ急ぐ。

 

◇ ◇ ◇

 

少し行くとそこには崖に囲まれた少し開けた場所があった。その真ん中には仮面を被り、黒く体型がわからないほどの分厚い衣服を身に纏った者が一人が立っていた。

 

「……お前は誰だ?」

 

と問いかけてきた。声は仮面を被ってるからか、男とも女とも判断出来ないくぐもった声だ。

 

「貴様こそ誰だ?なぜ彼女を狙う?」

 

「…教える気はない。お前には関係のないことだ。」

 

 

その時

 

「はぁぁぁ、おらっ!!」

 

 

仮面の者がいた地面が一人の男によって砕かれていた。仮面の者はバックステップをしてそれを避けていた。

 

「おいおいおい、ダーカーが出現してる聞いて気まぐれで来てみれば、まさかダークファルスと出会えるなんてよ!ふははははははっ!」

 

いきなり現れた男はそう言い放った。

 

「…邪魔が入った。」

 

と言うと、仮面の者は黒い霧を発生されてその中へ消えていった。

 

「ちっ、にげられちまったか。なかなか楽しめそうだったのに。まぁいい、うまそうな獲物が1匹残ってるからな!」

 

そう言うと男はこっちを向く。

 

「おいシーナ!こいつは誰だ?」

 

さっきまで気づいてなかったが男の後ろにエメラルド色の髪で目を隠した少女がいた。

 

少女は空中にpc端末を展開すると何かを調べ始めた。

 

「ゲッテムハルト様、その方の名前はエミヤシロウ。ただいま研修生であり、戦闘、座学ともに優秀な成績を取られています。特に対人戦はとても高い評価を得ています。」

 

「ほ〜、それはいいな。おいそこのお前!今から俺と戦え。」

 

やはりか。薄々感じていたが、こいつは戦闘狂だ。

 

「俺はあんたと戦う気などない。」

 

「そんなことは知らねぇ。これは命令だ。俺と戦え。それとも命の危機を感じれば、少しはやる気が出るか!!」

 

ゲッテムハルトがこちらに向かって走り出した。

 

戦闘は避けられないか。

 

ツインダガーを握る手に力を込める。

 

 

「マシな顔になったじゃねぇか。少しは俺を楽しませてくれよ。おらっ!行くぞ!」

 

ゲッテムハルトが拳を振り上げる。

そこには籠手がはめられておりフォトンが込められている。直撃すれば、ただでは済まないだろう。

 

拳が振り下ろされる。

 

 

 

 

 

 

 

ガキンッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしその拳が俺に届くことはなかった。

 

 

「おい、ゲッテムハルト。お前、どういう考えで仲間に攻撃してんだ。」

 

そこに現れたのはゼノさんだった。

 

ゼノさんは俺たちの間に割って入り、ゲッテムハルトの拳をソードの腹で受けたのだ。

 

「ちっ、ゼノまたお前か。いつも俺の邪魔しやがって。

興が醒めちまった。帰るぞシーナ!」

 

「はい、ゲッテムハルト様。 それでは失礼します。」ペコッ

 

「とろとろすんな。置いて行くぞ。」

 

シーナと呼ばれる少女は、こちらに一礼するとゲッテムハルトの後を追い、走って行った。

 

「大丈夫かシロウ?」

 

「あぁ、大丈夫だゼノさん。」

 

「すまねぇな。知り合いが迷惑かけちまって。全くあいつは……」

 

 

「しかしなんでゼノさんがここに?」

 

「お前たちが少女を保護したっていう連絡が来てな。アークス研修生だけでは心配だからって一番近くにいた俺たちにお前たちの補助の命令が下りたってわけよ。それで急いで指定の座標に向かってたら、少し違う方向からすごい音がしたんでな。エコーに先に行かせて俺はその音の原因を調べにここへ来たら、お前がゲッテムハルトに襲われていたということだ。それよりお前はなんでこんなところにいるんだ?少女の発見地点で待機してるはずだろ。」

 

 

俺は少女発見してからゼノが助けに入るまでの経緯を話した。

 

 

「まったくお前は無茶をするな。お前の言う仮面の者の特徴からしてそいつはダークファルスだろう。詳しい話はまた後で聞くとして、とりあえずお前たちが保護したっていう少女のところまで戻るぞ。」

 

 

◇ ◇ ◇

 

……あれがダークファルスか。

 

少女を保護している地点に戻ってる最中俺はさっき出会った仮面の者について考えていた。

 

確かに凄まじいダーカー因子は感じられた。しかしなんと言うか、俺たちとは少し存在が違うように感じた。ダークファルスとはそういうものなのか……

 

そんなことを考えてるうちに俺たちは少女のもとに戻ってきてた。

 

「相棒!」

「あっゼノ!遅いわよ。シロウくんも待機しとかないとダメじゃない。」

 

俺はアフィンとエコーさんにもゼノさんにした話と同じ話した。

 

「本当か相棒?まったく気づかなかったぜ。」

 

「シロウくん、無茶しちゃダメだよ。」

 

「エコーそれでこの子の容体はどうなんだ?」

 

「うん、シロウくんの推測通り疲労のよって気を失ってるだけだよ。」

 

「そうか。それはよかった。」

 

 

 

 

 

その後救護班が到着し、少女はアークスシップに搬送されて、俺たちもアークスシップに帰還し任務の報告をした。

 

 

 

◇ ◇ ◇

A.P.238 2/20

 

 

次の日

俺とアフィンは士官学校の教官室に呼び出されていた。

 

「予期せぬことが起こったが二人とも修了任務ごくろうだった。」

 

 

 

 

 

 

「今日お前たちを呼んだのは、修了任務の結果を言い渡すためだ。」

 

「「……はい。」」

 

 

「……二人とも合格だ。明日から晴れて君たちはアークスだ!」

 

 

「よっしゃー、ありがとうございます。」

「ありがとうございます。」

 

「しかしお前たちはまだまだ直さなければならないところがたくさんあるぞ。まずアフィン!お前は予期せぬことが起こると大きく動揺するのと、すぐに調子に乗るのを直せ!」

 

「うっ、……はい。」

 

「そしてエミヤシロウ!お前はできることが多いためにすべてを自分だけでどうにかしようとするところがある。今のところはそれでもいけるかもしれないが、必ずどこかで自分一人ではどうにも出来ないことが出てくる。

お前はもう少し人に頼ることを覚えろ!」

 

「…はい。」

 

「お前たち2人はまだまだ未熟だ。それを心に刻みこみ、これからはアークスとしてしっかり任務をこなしていくように!」

 

「「はい。」」

 

 

 

 

 

 

 

 

士官学校を後にした俺たちは昨日保護した少女がいるメディカルセンターに様子を見に行くことにした。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

メディカルセンターの少女がいる部屋に来た俺たちはこの子の看護官のフィリアさんに容体を聞いていた。

 

「昨日からずっと気を失ってままね。もうすぐ起きると思うんだけど。」

 

「そうですか。この子に素性について何かわかったことはありますか?」

 

「アークスではなかったわ。わかってると思うけどアークスになると顔と名前そしてDNA情報がデータベースに登録されるのだけどこの子のDNAで検索をかけたところ一致するデータはなかったわ。」

 

「なら一般人ってことですか?」

 

「たぶんそうじやないかな。」

 

 

 

そんな時

 

 

「……んっ、あれ?…ここはどこ?」

 

少女が起きた。

 

「ここは、メディカルセンター。あなたがナベリウスで倒れているところをこの二人が助けてくれたのよ。」

 

「……ナベリウス?」

 

「そうナベリウス。あなた自分の名前はわかる?」

 

 

 

「……………マトイ。………………私の名前はマトイ。」

 

 

 

 




次回から更新が少し遅くなるかも……

リアルが忙しくなってきた。


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第4話 ~ナベリウスの調査~

FGOで先週、アルトリアの日にガチャひいたらセイバー来た思ったらでオン
   昨日、ガチャ引いたらアサシン、エミヤかと思ったらカーミラ
zeroイベント終わる気がしない。

そんなことはほっといて第4話です。どうぞ。


「…………マトイ。……………私の名前はマトイ。」

 

「マトイちゃんね。私はフィリア。そしてこの2人が……」

 

「俺はアフィン。よろしくな。」

 

「俺はシロウだ。」

 

「………シロウ。…あなたがエミヤシロウ?」

 

「シロウ君、知り合いだったの?!」

 

「いや知り合いじゃないと思うんですけど。マトイ、俺とどこかで出会ったか?」

 

「…わからない。……けどなぜかあなたの名前は浮かんできた。」

 

「ねぇ、マトイちゃんはどうしてナベリウスにいたの?どこから来たの?」

 

「……わからない。……何も思い出せない。」

 

「フィリアさん、もしかしてこれって…」

 

「ええ、たぶん記憶喪失ね。」

 

「記憶喪失?!それって治るんですか。」

 

「どうとも言えないわね。シロウ君はわかってると思うけど一生思い出せないこともあれば少しずつ思い出すこともある。なにかの切っ掛けで急に思い出すこともあるわ。」

 

「そうか相棒も…。なあ!マトイちゃん何か覚えていることはないか!少しでもいいんだ!」

 

「……う………えっと…その………」

マトイはベットの脇にいた俺の腕に隠れるようにしがみついてきた。

 

急にこんな状況なら怖がるのも無理はないか。

 

「アフィン、お前の気持ちもわからなくはないが、彼女も記憶を失って大変なんだ。今日は休ませてあげよう。」

 

「……そうだな。ごめんなマトイちゃん怖がらして。」

 

「ではフィリアさんあとはよろしくお願いします。俺たちはこれで。マトイも今日はゆっくり休むんだよ。」

 

「……うん。」

 

俺たちは病室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてメディカセンターのロビーに俺たちはいた。

 

「あぁ、もしかしたらユク姉の行方の情報が分かったかもしれないのに、記憶喪失じゃな。」

 

「彼女の記憶が戻るのを気長にまつしかないな。」

 

 

「いたいた。シロウ君!」

 

「フィリアさん。どうしたんですか?マトイはどうしたのですか?」

 

「彼女なら寝ちゃいました。シロウ君にお願いがあって。」

 

「俺にお願いですか?」

 

「そうです。記憶を取り戻すには記憶を刺激する必要があります。現在、彼女の忘れられた記憶に関わってた可能性のあるのはあなただけです。あなたと関わることで彼女の記憶を刺激できるかもしれません。それにシロウ君を知ってるのはあなたが記憶をなくす前に関わっていたからかもしれません。シロウ君の記憶も取り戻すキッカケになるかもしれません。これからシロウ君が任務で忙しいなるのは承知の上でのお願いです。時間に余裕がある時でいいので彼女に会いに来てくださいませんか?」

 

「お互いにとってその方がよさそうですね。わかりました。できるだけ彼女に会いに行くようにします。」

 

まぁ俺が記憶喪失というのは嘘なんだが……

 

「ありがとう。それではよろしくね。」

 

そうして俺はマトイの記憶を取り戻すのを手伝うこととなった。

 

 

◇ ◇ ◇

A.P.238 2/27

 

 

それから数日、俺はアークスとしての任務をこなしつつ合間を見てはマトイの病室を訪れていた。

 

「そろそろ退院出来るんだってな。」

 

「……うん。今日か明日には退院できる。フィリアさんが外の世界と触れることで記憶が戻るかもしれないからって。」

 

「それはよかった。どこかに部屋でも借りるのか?」

 

「まだ1人暮らしは心配だからダメだって。」

 

「ということは誰かの家に泊めてもらうのか。」

 

まぁマトイの担当の看護官のフィリアさんのところだろう。

 

「………あの…それでね――」

ピピッ

 

『シロウさんに任務の依頼が来ました。至急クエストカウンターにお越しください。』

 

ピッ

 

「ん、任務か。すまないマトイ。話の続きはまたこんどな。」

 

「………うん。任務頑張って。」

 

「おう!」

 

病室を後にした俺はクエストカウンターに向かった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

そしてクエストカウンターにたどり着き

「通信を受けてきたんだが……」

 

「はい。シロウさんには今回ナベリウスの調査の任務依頼がきてます。詳しいことは依頼主から聞いてください。」

 

そして俺は依頼主がいるという場所に向かった。

 

「あんたが今回の依頼主か?」

 

「はい。あなたがエミヤシロウさんですね。ありがとうございます。本当に助かります!申し遅れました私はロジオといいます。今回エミヤさんには惑星ナベリウスの地質調査のサンプルを採取してきほしいのです。」

 

「ナベリウスのですか。なぜまた?」

 

「学者として惑星の成り立ちなどを調べているのですが……ナベリウスの情報だけが少し足りないのです。アークスの誰もが最初に行く惑星だしもっと情報があると思っていたのですが不思議ですよねぇ。」

 

「そう言われるとそうですね。」

 

「本当は私が直接調査に行けたらいいのですが、残念ながら私はアークスではないのでそれは出来ません。アークス同伴なら不可能ではないのですが、それには上の承認が必要になってきます。このような調査には承認は下りないでしょう。アークスの誰かに代わりにサンプルを取ってきてもらうのが現段階で出来る精一杯のことなんです。」

 

「話はわかった。その任務受けさせてもらうよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナベリウスに到着した俺は早速指定されたポイントに向かっていた。

 

「ちょいとそこ行くアークスさん!」

 

めんどくさそうなので無視

 

「ああっ!無視しないで、そこのアナタ!」

 

俺の行く道を阻むように似た顔をした少女が2人いた。

 

「ふふん、ルーキーさんにセンパイのあたしが、ちょいと助言でもしてあげよう!!」

「いや、結構です。」

 

来た道を引き返す。

 

「まってまって!すこしだけでいいから!少し覗くだけでいいから。」

 

「パティちゃん、ただの客引きになってるよ。」

 

「ここを通りたくば私を倒してからにしろ!」

 

「…パティちゃんじゃ、()()()さんに瞬殺されると思うよ。」

 

「うるさい!アークスに必要なのは実力じゃないの!知識と情報なの!()()()君もそう思うでしょう。」

 

「それよりなぜ俺の名前をしてるんだ?」

 

その言葉は聞くとパティと呼ばれる少女は笑みを浮かべながら答えた。

「ふふふふふふふふっ、知ってるよ~知ってるよ~名前以外もいっぱい知っているよ。エミヤシロウ。10年前の事件でアークスに保護され、児童施設に預けられる。事件の影響でそれ以前の記憶は失っている。その後、アークスの士官学校に入り首席で卒業。趣味は料理。家事全般が得意。たびたびアークスシップで掃除している姿が目撃されている。通称『アークスのブラウニー』」

「なっ?!」

 

「私たちは姉妹でアークス兼情報屋をやらしてもらってます。私がティアでこの五月蝿いのパティちゃんです。」

 

「2人合わせてパティエンティア!!ってティア、五月蝿いってどいうことよ!!まぁいいや。そんなわけで私たちは情報屋、新人アークスの情報なんてすぐそろっちゃうんだから。さぁさぁどうする?私の助言を聞く?聞かない?君には力ではかなわなくともあらぬ噂立てて君を社会的に抹殺するはできるよ。ふふふふふっ。」

 

「くっ!それは…」

 

「どんな噂がいいかな~。エミヤシロウは自分の部屋に女の子を住まわせて毎日イチャイチャしている。しかしそれでは飽き足りたず金髪や巨乳の女の子たちなどタイプの違う女の子をたびたび部屋に連れ込んでる、とか。それともロリコン?シスコン?幼女に自分ことを『お兄ちゃん』と呼ばして、連れまわしている、とか。それともーー」

 

「こらっ!」

「いて!」

 

「パティちゃんそれじゃもう脅迫だよ。シロウさんすみませんうちのバカ姉が。パティちゃんはただ自分の知ってる情報を誰かに話したいだけなのですよ。時間に余裕があるなら聴いて行ってあげてくれませんか。そうすればこの面倒くさいのが黙ると思います。」

「なっ!」

 

「急ぎの任務でもないし、あらぬ噂を立てられてもかなわないからな。少しだけ聴いていくよ。」

 

「パティちゃんの話を聞いてる人なんてほとんどいないのでそんな根拠もない情報を信じる人もいないと思います。けどありがとうございます。ほら!パティちゃんシロウさん話聴いてくれるって!」

 

「う〜ティアが最近私に冷たい………。昔はもっと――」

「パティちゃん!!シロウさん聴いてくれるって!!」

 

「はっ!そうかそうか、そんなに聴きたいか!仕方がないな〜。センパイとして助言をしてやろう!わははははっ」

 

……立ち直り早いな

 

「よし!まずはアークスについて教えてあげよう!アークスって一口で言うけどみんながみんな正義の味方ってわけでもないんだよんね~」

 

「アークスの大多数は規律を守り正しき行いをする人達なんだけど、組織の肥大化に伴って一部が徐々に腐敗してきているの。性格よりも、力が求められる世界だし仕方が無くもあるんだけどね。」

 

「戦い大好き!敵味方関係ない!みたい人がいるようになっちゃったんだよね。こういう人たちに目をつけられたりするとほんっとしつこいから面倒だよ。気を付けてねー!」

 

数日前のことが思い出される。

 

「まさか…ゲッテハルトも…」

 

「あちゃ~、すでに出会ってたか。そうそう彼も戦い大好き!敵味方関係ない!の人だよ!」

 

「けど彼は最初からあんな感じではなかったそうで、戦い好きで口は悪いけど仲間思いの人だったそうなんです。しかし10年前のダーカー襲撃から人が変わり、まわりすべてが敵だって噛みつく今のようになってしまったそうです。」

 

「10年前のダーカー襲撃はまだ私たちがアークスになる前だから何があったか情報が少ないんだよね。けど最近のことならいろんな情報がそろってるよ~。何から聞ききたい?」

「ほら、パティちゃん行くよ。気は済んだでしょ。私たちは情報収集しに来たのだから。シロウさんも付き合ってくれてありがとうございました。」

 

「あっちょっとティア!待ってよ!」

 

立ち去る2人のを見送ったあと再び指定されたポイントに向かった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

その後任務を問題なく終えた俺はロジオさんにサンプルを届けるために彼の研究室を訪れていた。

 

「ロジオさんはいますか?」

 

扉を開けてすぐにいた女性が

 

「ロジオ先生ですか。少しまっててくださいね。ロジオ先生!お客さんですよ-!」

 

そういいながら彼女は研究室の奥に消えていった。そして戻ってくると、

 

「先生は今、用事で外出中ようです。あと5分~10分ぐらいでお戻りになると思いますので少しお待ちください。」

 

そのまま俺は応接室のような部屋に通され、そこでロジオさんが来るのを待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後扉が開いた。

ロジオさんが来たかと思ったがそこにはロジオさんではなく、湯飲みがのった御盆を持ったメガネをかけた男がいた。

 

男は俺の前に湯飲みを置くと、向かいの椅子に座った。

「すみません。ロジオさんは、研究熱心なんですが熱心過ぎて気になることあるとそれを調べるために急にぶらりと姿を消すんですよ。今日みたいに置手紙があればいいのですが、何もなかった日には研究室のみんなで捜索ですよ。」

 

男性がため息を漏らす。

 

「それは大変ですね。」

 

「ええ、あっすみません。自己紹介がまだでした。僕の名前はライトといいます。」

 

「俺はシロウです。」

 

「シロウさんはどうしてロジオさんに会いに来たのですか?」

 

「ロジオさんにナベリウスの地質調査のためのサンプルを取ってくるように頼まれたんだ。」

 

そう言いながらサンプルの入ったバックを見せた。

 

「ナベリウスの調査ですか……」

「すみません!エミヤさんお待たせして!」

 

「やっと来ましたか。では僕はこれで。」

 

「うん。ライトくん、ありがとう。」

 

ライトさんは扉から出ていき、かわりにロジオさんが向かいに座った。

 

俺はとってきたサンプルを渡して採取したまわりの状況を簡単に説明した。

 

「ありがとうございます。これで研究を進めることができます。」

 

「いえいえ、これぐらいいつでも手伝いますよ。」

 

その後俺たちは少し世間話をして俺は、研究室をあとにした。

 

「時間はすでに5時をまわっているし、マイルームに帰るか。」

 

マイルームとはアークスに支給される自室である。1人暮らしをするには十分すぎるぐらいある。なのでアークスは1つの部屋を趣味の部屋にしたり、クラブハウスのように改装して、人を呼ん騒いだりしている。

 

夜ごはんは何にしようか。冷蔵庫に何があったか。などを考えていると自室の前にいた。

 

 

マイルームのドアの前に立つとドアが自動で開くと………

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ……シロウおかえり……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マトイがいた。

足元には数個の段ボールが置かれていた。いくつかは開けられていてそのなかには衣服や歯ブラシなどの日常品が入っていた。

 

 

 

 

 

 

まさか………

 

 

 

 

 

「今日から……シロウの部屋に泊めてもらうことになったの。だから…その……よろしくね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……なんでさ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




展開に悩む。いろいろ独自の設定、展開いれて原作と変わってくると思います。
うすうすわかってるかもしれないが主人公は原作のように時間逆行は今のところさせるつもりはないです。


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第5話 ~アキと龍族~

遅くなりました!
すみません。
では第5話どうぞ!


「今日から……シロウの部屋に泊めてもらうことになったの。だから…その……よろしくね。」

 

「……なんでさ!!!」

 

「その…フィリアさんが…」

 

その時一通のメールが届いた。

 

『差出人:フィリア

  宛先:シロウ君

シロウ君、すでにわかってると思うけど、マトイちゃんを泊めてあげて欲しいんだよね。マトイちゃんから言ってもらうように言っておいたんだけど朝、君に言いそびれたらしいの。ならサプライズの方がいいという結論に至りました。』

 

なぜそうなる?!

 

『心配しないで。生活に必要なものはすでに私が買いそろえて君のマイルームに送ったから。』

 

いやそれよりなぜ俺の部屋なんだ。

 

『今、なぜ俺の部屋なんだって思ってるでしょ。』

「なっ!!」

『私のところに泊まってもらえたら良かったのだけど、夜勤とかあって部屋を明けることが多いのですよ。マトイちゃんも知ない人のところに急に放り込まれるのは嫌だろうし、だからマトイちゃんがなついてるあなたに白羽の矢が立ったわけよ。だからマトイちゃんをよろしくお願いします!」

 

「……」

 

展開が急すぎていまいち心の整理がついてないが

 

「事情は大体わかった。けどいいのかマトイは?こんな…俺の部屋で?」

 

「うん。他の人とは怖いから嫌だけど……シロウとだったらいいよ

…………シロウといたらとても落ち着くの。」

 

 

「それでもやはり男女が一緒に過ごすのはな。」

 

「シロウは…私と一緒にいるのはいやなの?」

 

マトイが上目遣いで聞いてくる。

 

「うっ、そんなことはないぞ!マトイがいいならいいよ。幸い部屋はいくつか空いてるし。」

 

「…ありがとう///」

 

 

マトイに部屋を案内することにした。

 

「ここがリビングでこっちがトイレでこっちが風呂場、そしてこっちが俺の私室、マトイは向かいのこの部屋を使ってくれ。」

 

「うん。わかった。」

 

その後、フィリアさんから荷物が届き、マトイの部屋に運びこんでいた。

 

「もうこんな時間か。そろそろ夜ご飯にするか。それにしてもすごい量だな、まだ全てマトイの部屋に運びきれてないぞ。女の子には必要なものがたくさんあるとは聞いたことがあるがこれほどとはな。」

 

そう言いながら俺はリビングの台所に向かい、調理を始めた。

 

料理が出来上がりに近づくと

 

「あっいい匂い。」

 

部屋で荷物の荷ほどきをしていたマトイがやってきた。

 

「もう少しでできるからな。悪いがマトイそこの棚から皿をとってくれないか?」

 

「うん…わかった。」

 

マトイが棚から皿を持ってくると、

 

「はいシロウ。きゃっ!!」

段ボールに躓いた。

「危ない!!!」

 

皿が割れる音が鳴り響く。

 

 

「マトイ、大丈夫か?」

俺は前からマトイを抱き抱えるようにこけそうになったマトイを支えた。

 

「うん…私は大丈夫。けど…ごめん…お皿割っちゃった。」

 

「そんなこときはする必要ない「あ~、任務疲れた。」」

 

アフィンがマイルームに入ってきた。

 

「悪いな相棒、腹へっちまって、またうまい飯くわして……えぇぇぇぇ?!マトイ?!」

 

アフィンから見たら俺たちは抱き合っているように見えるだろう。

 

「なんでマトイが相棒の部屋に?!それにそれは……もしかして…二人とも付き合っているのか?」

 

「「えっ、あ…」」

 

アフィンの言葉にマトイと俺は自分たち現状を理解するとすぐに離れた。マトイは恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にしてる。

 

「相棒…最近毎日マトイの見舞いに行ってると思ったら、そういうことだったんだな。しかし出会って数日で…相棒は手が早いな。」

「ちがっ、アフィンこれにはわけが!」

 

「ああ………相棒とマトイの関係を…今思えばそうだよな。同じく記憶を失った者同士、同じ境遇で心が惹かれ合わないわけがないよな。2人水入らずのところ邪魔して悪かったな。どうぞ続けてくれ。邪魔者は退散させてもらうよ。お幸せに!!」

そういうとアフィンは扉から出ていった。

「おい!待てアフィン!くっ!マトイ皿の破片には触れるなよ。すぐに戻る!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだ、こけそうになったマトイを相棒が助けただけなのか。それにしても相棒を大変な頼まれごとをされたな。」

 

「え、大変な……………やっぱり……私がいると迷惑?」

 

「おいアフィン!そんなことないぞ。」

 

「でも……」

 

「マトイ……知ってると思うけど俺は料理を作るのが好きなんだ。けどそれには食べてくれる人がいない意味がないんだ。マトイがいてくれた方が俺は嬉しいよ。迷惑なんてない。マトイはここにいていいんだよ。」

 

「……シロウ」

 

「そうそう、マトイはここにいていいんだよ。」

 

「そういうことだマトイ。さて話も落ち着いたところで夜ご飯とするか。」

 

そう言って台所に向かった。

 

「それにしてもマトイがうらやましいぜ。」

 

「え…なんで?」

 

「シロウを飯はめちゃくちゃおいしんだ。それをこれから毎日食べれるマトイがうらやましいな~って。」

 

「それほどのものではないよ。」

 

「おっ相棒、またまた謙遜して。で今日の夜飯は何なんだ?」

 

「今日は森林アユのトマト煮とサラダとナベルダケのスープだ。」

 

「お~!うまそう!」

「おいしそう。」

 

「冷めないうちに食べてくれ。」

 

その後、3人で夕食を食べ、食べ終わるとアフィンは自分のマイルームに帰っていき、俺とマトイはフィリアさんからの荷物の整理に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

A.P.238 3/3

 

 

 

 

 

 

 

 

今日の任務は惑星アムドゥスキアの火山地帯の調査だ。今回は同行者もいるそうだ。同行者とは現地で合流することになっている。

俺はキャンプシップに乗り、アムドゥスキアに向かった。

 

そして到着し、同行者との合流ポイントに向かう。

 

「火山地帯はやっぱりあついな。あれが今回の同行者か。」

 

「お、来たな。君がシロウ君だね。私はアキという。研究者をやらせてもらっている。この先の最深部の調査をしたいんだが、最近ダーカーの目撃情報が多くてね。一応私もアークスなんだが戦闘はあまり得意じゃないので、君についてきてもらうことにしたんだ。頼りにしてるよルーキー君」

 

「期待に添えるよう頑張ります。」

 

「うむ。では行こうか。」

 

俺たちは最深部に向かった。

 

 

 

 

 

 

その道中

 

「アキさんはなんの研究をしてるのですか?」

 

「私は龍族の研究をさせてもらってるよ。シロウ君は龍族についてどこまで知ってる?」

 

「龍族ですか。惑星アムドゥスキアに住む種族で、会話が可能な個体もそれなりにいて、彼らは独自でダーカーを撃退している。」

 

「そうだな、彼らは独自でダーカーを撃退できる。だからこそアークスは不要という方針なのだろう。彼らはアークスの協力を拒み続けている。私はそれは危険だと思っている。ダーカーを完全に滅ぼせるのはフォトンだけだ。彼らはそれを持たない。龍族がその屈強は力でダーカーを倒しても残り滓のようなものは残留してるはずなんだ。」

 

「戦いを続ければ、彼らはダーカー因子に侵食されるということですか。」

 

「そうだ。最近、ダーカーの目撃が増えているためその傾向は加速していると私は考えている。実際に彼らの協力を得られればいいのだが、さっき言ったように龍族はアークスを不要としている。昔から交流は少しあったが良好な関係ではないのだよ。今回は龍族との交流が目的だ。龍族と接触をし、彼らの信頼を得たいと思っている。交流は私がやるから君は護衛を頼むよ。」

 

そんなことを話していると

 

龍族の死体を発見した。体には大きな傷がある。

 

「すこし失礼するよ。」

 

そういうとアキさんは躊躇なく、手をその傷口に突っ込んだ。

 

「シロウ君、辛いようなら無理して見なくてていいぞ。」

 

「……ああ、そうさせてもらいます。あの岩陰で休んでいるので終わったら声をかけてください。」

 

「うむ。わかった。」

 

死体はもう見慣れている。しかしそれの中をいじるというのは………見ていて気持ちいいものではない。

 

そうして俺はその場から離れた。

 

 

 

 

数分するとアキさんが戻ってきた。

 

「やはり私の推測道理だったよ。」

 

「何かわかったのですか?」

 

「体内の調べさせてもらったらそこからダーカー因子が見つかったよ。やはり彼らはすでにダーカー因子に侵食され暴走している。しかもあの傷は龍族によるものだ。」

 

「つまり彼らは同族で殺し合っていると。」

 

「ああ、悲しいことにそうだろう。これは一刻も早く彼らをとめなければならない。」

 

 

「グォオオオッーーー!」

すぐ近くで雄たけびが聞えてきた。

 

俺たちはその声のもとに向かって走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてそこにいたのは、龍族のディーニアンとダーカー因子に侵食されたヴォルドラゴンだった。

 

「あれはすでにダーカー因子の侵食が大分進んでいますね。」

 

「助かるかどうかは五分ってところだね。」

 

 

『ロガ様、静まりください。なぜ暴れるのですか。お答えください、ロガ様!!』

 

ディーニアンがヴォルドラゴンに訴えかけているようだ。

会話が頭に響いてくる。これが彼らの念話か。

 

「説得は無駄だ竜族のキミ!ダーカー因子の侵食を受けて正気を失っている。」

 

アキさんがディーニアンに声をかけた。

 

『アークスか、今貴様たちにかまっている暇はない。去れ!』

 

アークスと龍族の関係が良好でないのは本当のようだ。

 

「そうは言うが、目の前のそれをどうするつもりだね。」

 

『……ヒ族のロガ様は我らが標。だがこのまま暴れられるならば仕方がない。同族殺しは掟の侵犯。掟を破りしものはカッシーナの元へ…』

「…カッシーナ。竜族に伝わる神話でいうところ地獄龍か。なるほど、つまり殺すということか。」

 

『……賢しいアークス、何を考えている?』

 

「なに、ただ助かる命を見捨てられないだけだ。」

 

『貴様らならロガ様を鎮めることができると、そういうことか。』

 

「ああ、そうだ。だからここは私たちに任せてくれないか。」

 

『……わかった。ここは貴様たちに従おう。』

 

そして龍族に聞こえない声でアキさんが俺に

「これは一種の賭けだな。手を貸してくれシロウ君。」

 

助けられれば彼らの信頼を得ることができるが、しかし助けられるかは五分五分。

 

「はい。必ず助けましょう。」

俺は自分にも言い聞かせるようにその言葉に答えた。

 

『グオオオオオオオオオオーーー!!!』

ヴォルドラゴンが再び雄たけびを上げる。その雄たけびはとても痛々しくまるで助けを求めるようであった。

 

ダーカー因子の侵食は今も続いている。1秒でも早く浄化しなければ、助かる可能性が刻々と下がっていく。

 

腰からツインダガーを引き抜き、

 

ヴォルドラゴンに向かって走り出した。

 

侵食核が顔のすぐ後ろ、首の右側に見える。もうすぐ花が咲きそうだ。急がなければ。

ヴォルドラゴンとの距離が10mと迫ったとき、

 

ヴォルドラゴンが炎を吹いた。俺は咄嗟に左に避けてすぐに体勢を立て直して侵食核を潰すため再び走り出す。

 

 

侵食核までもう少し

 

 

 

しかしそう簡単にはいかない。真横から振り回された尻尾が迫っていた。身の危険を感じたヴォルドラゴンが敵を引かせるために己を中心に回転し尻尾を振り回したのだ。

何とかガードすることはできた。しかしあの巨体に遠心力がのった一撃だ。人間が耐えられるものではない。そのまま吹き飛ばされてしまった。

 

 

何度か地面を転がったあとどうにか体勢立て直し、立ち上がった。

 

 

「ゴァッ!」

ヴォルドラゴンがその顎で地面を叩いた。

 

何かくると思い、ヴォルドラゴンを凝視し、警戒を高める。

 

「前ではない!下だシロウ君!!」

 

下を見るとそこは赤く膨れ上がってきていた。

 

「ッ!!」

 

瞬時にそこから飛びのく。すぐにそこからはマグマが噴出した。

 

「大丈夫かね?」

アキさんが俺に駆け寄ってきた。

「はい!」

 

「一筋縄ではいかないね。何か考えるはあるのかい?」

 

「……はい。策はあることにはあるんですが、それにはアキさんの協力が必要になってきます。」

 

「私は研究者だがこれでもアークスの端くれ、戦闘もそこそこできるさ。それにキミに任せっぱなしというのも申し訳ないしな。」

 

「わかりました。では作戦を伝えます。」

 

俺はアキさんに手短に作戦を伝えた。

 

「それだけでいいのかい? それぐらいなら問題はない。」

 

「ええ、後は俺がやります。」

 

「では行くとしようか。彼もそろそろ我慢の限界のようだ。」

 

ヴォルドラゴンが口の中に炎を溜めていた。

 

「そのようですね。無理は禁物です。危険だと思ったらすぐに引いてください。」

 

「了解だ。」

 

ヴォルドラゴンが炎を吐き出した。炎は一直線に俺たちに向かってきている。

俺とアキさんは互いに左右に避けた。そしてそのまま二手に分かれて、ヴォルドラゴンを中心に円を描くように走る。

 

 

 

『まずアキさんはヴォルドラゴンが飛ばないように銃弾を撃ち続けて牽制してください。』

 

 

 

アキさんは走りながらヴォルドラゴンの羽に銃弾を浴びせ続けている。

 

 

 

 

そしてヴォルドラゴンを挟んで一直線になったところで俺たちは方向転換しヴォルドラゴンに向かっていっきに走る。

 

 

奴の尻尾での攻撃は攻撃力は高く、攻撃範囲も広く、とても厄介な攻撃だ。

しかし来るとわかっていれば対処できなくはない。

 

逆に他の攻撃手段、特にまだ見ていない攻撃手段で来られた方が時間が惜しい今は厄介だ。

ならば対処できるあの攻撃を出させればいい。

俺一人で突撃すればどんな攻撃が来るかはわからない。しかし2方向から攻めればあの攻撃が来る可能性が高くなる。

 

 

左右から走りこんでくる俺たちを見て、ヴォルドラゴンは……

 

 

己を中心に尻尾を振り回してきた。

 

よし来た!勝負はここからだ!

 

その瞬間アキさんは、走るのをやめて尻尾のリーチの外まで後退する。

 

俺は脚に力を込めてヴォルドラゴンの懐に飛び込む。

 

 

あの攻撃を避けて奴に近づくには二つの方法がある。一つ目の方法は上に避けることだ。

しかし上に避けてしまっては空中で身動きが取れず、恰好の的になってしまう。

 

ならば取るべき選択はただ一つ奴の懐に飛び込むことだ。

しかしこの方法にもリスクはある。タイミングを間違えればあの攻撃をモロに食らってしまう。

あれを食らえばただでは済まない。

 

さらに脚に力を込めて地面を蹴り加速する。

 

尻尾ぎりぎりのところで俺の後髪をかすめて通り過ぎた。

 

そして俺は一回転してきたヴォルドラゴンの侵食核に狙いを定めて踏み込み剣を振るう。

ヴォルドラゴンも自分を攻撃が失敗に終わったことに気づき、すでにその眼で俺をとらえている。その爪で切り裂くため前脚が突き出してくる。

 

『グオオオオオオーーー!』

「うぉぉぉぉぉぉーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の剣の方が奴の爪が届くより先に侵食核を切り裂いた。

ヴォルドラゴンは力なく倒れていった。

 

「さすがだねシロウ君。」

ヴォルドラゴンが倒れたのを確認して近づいてきた。

「問題はここからです。侵食核は浄化しました。間に合っていれば正気に戻るのですが…」

 

「間に合っていなければまた暴れ出すだろうな。その時はひと思いに素早く殺してやるのが彼のためだ。」

 

「……そうですね。」

 

 

 

ヴォルドラゴンが目を覚ました。

剣を持つ手に力を籠める。

 

『ぐ……。これ…は……。』

 

『ロガ様!正気に戻られましたか!』

 

「賭けではあったがうまくいったようだな。」

 

『賢しいアークス。何をした?』

 

「簡単な話さ、体内のダーカー因子をフォトンで浄化したのだ。」

 

『……アークスの力か。』

 

「安心するのはまだ早いぞ。これからもこれと同じことがもっと起るぞ。」

 

『貴様の目的は何だ。』

 

「キミたちと話しをさせてくれ。今アークスと龍族に必要なのは対話だ。」

 

『………………わかった。我はヒのエン。』

 

「私はアキ、そして彼がシロウ君だ。」

 

『アキにシロウ。無礼を詫びる。そして感謝する。ロガ様を救いしその力。この恩は決しては忘れない。』

 

 

その後アークスのアキさんと龍族のエンの対話は続いた。

ダーカーの脅威について、アークスの力について、龍族の現状について………

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ある研究室に男が残って一人研究を続けていた。

 

「なんだこの検査結果は?!」

 

男は一人研究室で検査結果の数値を見て驚愕していた。

 

「この数値は異常だ。ここ最近出始めただけではこうはならない。これではまるで………これはもう一度詳しく調査しなければならないな。」

 

 

 

 

 

 




投稿は週一を目指していたんですけどね。
リアルが忙し過ぎて…

これから投稿ペースが落ちます。
すみません。


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第6話 ~VR空間~

遅くなりました!!

では第6話どうぞ。


A.P.238 3/11

両手に現在を携えた男が十数体のダーカーに囲まれていた。

 

ダーカーは数の利を活かして一斉に男に襲い掛かる。

 

 

 

しかし男はその剣で次々と迫るダーカーの攻撃を防ぎ、躱し、隙を見つけて確実に1体ずつダーカーを切り裂いていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその場にいたすべてのダーカーが切り裂かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『目標殲滅を確認、仮想戦闘を終了します。』

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

非番の今日は、午前中はマトイとアークスシップを散歩をしながらいろんなところを回っていた。その後昼食を食べ、俺はVR空間の中にいる。

 

『目標の殲滅を確認、仮想戦闘を終了します。』

 

 

 

訓練が終わり、休憩所に向かうとそこにはマトイがいた。

 

「お疲れシロウ。強いね。」

そう言うとタオルを渡してきた。

 

「ありがとうマトイ。退屈だろう?先に帰っていてもいいのだぞ。」

 

「ここにいる。」

首を振って答える。

 

「そうなのか?まぁマトイの好きにしたらいいけど。」

 

「うん」

 

そんな時休憩所の扉が開いた。

「お〜、シロウ元気してたか。」

「やぁ、シロウ君久しぶり。」

 

「ゼノさん、エコーさん久しぶりです。」

 

「その後ろの女の子………あの時保護した女の子か?」

二人が入って来た瞬間、マトイは俺の後ろに隠れていた。

 

「そうです。ほらマトイ挨拶しといたら?この二人も君が倒れている時に助けに来てくれた人たちなんだから。」

 

マトイは俺の後ろのから出てきて

「マトイです。よろしくお願いします。」

 

「おう、よろしくなマトイ。」

「うん、よろしくねマトイちゃん。」

 

「しかしシロウ、こんな可愛い子と同棲してるだなんてな。」

 

「本当だわ。マトイちゃん、シロウに酷いことされてない?何かあったらすぐに相談にのってあげるからね。」

 

俺とマトイが一緒に住んでいるのは多くの人に広がっているのだ。原因はわかっているアフィン(あのバカ)だ。

 

「エコーさん、それちょっと酷くないですか。俺は女の子を悲しませることはしませんよ。それに同棲ではないですよ。ただ一緒に住んでいるだけです。」

 

「ふ~ん。本当なのかね?

まぁ冗談はさて置き、シロウ暇なら久しぶりに俺と1戦やらないか?」

 

VR空間はアークスのトレーニングルームだ。仮想空間を作り、訓練を行う。ダメージなどの直接被害は肉体になく、少しの痛みと衝撃が伴う程度だ。なのでこの空間では、怪我の心配なく訓練を行うことが出来る。

 

「良いですね、お相手します。」

 

「よし来た、じゃ早速やろうぜ。」

 

そう言うとゼノさんは近くにあった端末を操作し始めた。

 

「えっと空いてるんは……お!あったあった。設定は………仮想戦闘、対人…1vs1……1本勝負……よし。じゃ行こうぜシロウ。」

 

「マトイちゃん、私たちはここで座って見てよっか。」

 

エコーさんが空いていた椅子に座り、テーブルを挟んで向かい側の椅子に座るよように促した。

 

「あ、…はい。」

 

「行ってくるよ、マトイ。エコーさんマトイをよろしくお願いします。」

 

マトイは人見知りなところがある。けど記憶を取り戻すために多くの人と関わったほうが良い。今回はエコーさんに任せよう。

 

 

そうして俺はゼノさんの後に続きVR空間に入って行く。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

VR空間の真ん中で二人は向かい合う。

その手にはすでに互いの武器が握られている。

シロウはツインダガー

ゼノはその身の丈ほどのソード

 

「いつでもいいですよ。ゼノさん。」

 

「よし。じゃあ行くぜ!」

 

その言葉を合図に互いに駆けだし中央で衝突する。

 

 

 

 

 

ツインダガーを使うシロウではソードを使うゼノに力勝負で勝てるはずもなく、少し押し飛ばされる。

 

ゼノはそれにより空いた空間を利用して突きを放つ。

シロウはそれを横にをよける。ゼノは両手に力を込めて突き出した剣を横に振るう。しかしシロウは上体をそらすことでそれもよける。

 

その後もゼノは攻撃を仕掛けていくが、シロウに一撃も入れられないでいた。

シロウは少しずつ後退しながらそれらを冷静に避けて、避けることができないと攻撃は両手の剣でいなし軌道をそらしていのだ。

 

それでもゼノは隙を与えないためにも剣を振り攻め続けた。

 

しかしゼノの体力も無尽蔵というわけではない。当然ずっと剣を振り続けるなんてことは不可能だ。

 

そしてゼノは限界が近づき、つい力ない一振りを放ってしまった。

 

 

 

 

 

シロウはそれの待っていたかのように

両手の剣に全体重を乗せて弾き返した。

 

ゼノの体勢は崩れ、そこからシロウが攻勢に転じた。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

ここは先ほどまでゼノとシロウがいた休憩所。現在、エコーとマトイは椅子に腰かけていた。

 

「さっきは冗談交じりで言っちゃったけど、本当にどう?困っていることとかない?」

 

「心配ありがとうございます。けど大丈夫です。」

 

「そうか。それじゃシロウ君との同棲は上手くいってるんだね。」

 

「へっ?!…いや、同棲とかじゃなくて……住まわせてもらっているだけで……」

 

「どっちでもいいわ。シロウ君との生活はどうなのよ?」

 

「シロウとの生活は……その…楽しいです。それと…ごはんがとてもおいしいです。」

顔を赤らめながら答える。

 

「あ~、もうマトイちゃんシロウ君に胃袋つかまれちゃったか。まぁ彼の料理なら仕方が無いか。私も昔食べさせてもらったことがあるのだけど、とても美味しかったわ。その上家事も全てこなせるらしいし………女としてなんかすごい悔しわ。」

 

モニターを見るとシロウに剣をはじき返されて体勢を崩しているゼノの姿が映っていた。

 

「あ~あ、攻めきれなかったか。シロウ君はやっぱり上手いね。」

 

「ゼノさんとシロウってよく戦うの?」

マトイがエコーに質問を投げかけた。

 

「そうだよ。士官学校に特別講師として行ったときにね、とても強い訓練生がいると聞いてね。それを聞いた私たちはその訓練生を見に行ったの。そこにいたのがシロウ君、当時から教官でも倒せないほどの力を持ってたわ。それでね、それを見たゼノが訓練が終わったあとシロウ君に剣を教えてほしいって頼みにいったのよ。」

 

「えっ、アークスが訓練生にですか?」

 

「そうなのよ。私も彼も驚いていたわ。シロウ君は「俺はまだ人に教えられるほどではないので」って断ったわ。ならば剣術を見せてくれとゼノが頼んで模擬戦闘することになって、それ以来彼らはこんな感じに模擬戦闘してるわ。シロウ君は嫌がっているけどゼノは彼のこと師匠と思ってるそうよ。」

 

「師匠?二人の武器は全く違うのになんで?」

 

「私もそこは疑問に思ってゼノに聞いてみたの、彼曰く「シロウの剣は守ることに重きを置いたものでそれにあれは才能ではなく努力で身に着けた剣だ。使う武器が違っても今の俺には参考になる。」らしいわ。」

 

「そうなんですか。」

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

ゼノさんの剣をはじき返した俺は首をめがけて剣を振るう。

 

 

 

 

剣と剣がぶつかる音が空間に響く。

 

ゼノさんは弾かれたソードを力で無理やり引き戻し防いだのだ。

俺は防がれた剣を引き戻し逆の剣で脇腹を狙う。

しかしこれも防御されてしまう。ゼノさんはその大きい剣を起用に動かいて俺の剣を防いでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ、シロウ。俺もなかなかうまくなっただろう。」

 

「そうですね。」

 

つばぜり合いをしながら言葉を交わす。

 

 

「こっからはまた俺の番だぜ。」

俺の攻撃を耐えきったと思っているゼノさんは得意げに笑みを浮かべている。

 

「それはどうですかね!」

俺は足払いをして、ゼノさんの体勢を崩す。

「なっ?!」

 

何とかこけるのだけは阻止したようだが、

その踏ん張りの効かない状態では何もできない。

 

俺はゼノさんの剣を片方の剣で弾き、

もう片方の剣で肩口から胸まで切り裂いた。

「くっ!」

 

ゼノさんが倒れていく。

 

 

『戦闘不能相当ダメージを確認……勝者エミヤシロウ』

 

 

「剣の使い方はうまくなりましたけど、それだけに意識しすぎですよ。」

 

「ちぇっ、また勝てなかったか。なぁお前はその歳でどうやってそれだけの実力を手に入れたんだ?」

 

「それは、秘密です。」

別世界からきて実際の年齢はもっと上です、なんて言えるわけない。

 

 

「俺も疑問があったのですが。ゼノさん、どうして()()()()()()()()()()を使って戦うのですか?」

 

「やっぱり気づいていたか。………俺はもとはレンジャーでハンターの適正は低いんだ。」

 

「ならどうして?」

 

「10年前、俺には力がなかった。守るべきものはたくさんあった。しかし守ることができなかった。あんな思いはもうしたくない。大切なものをこれ以上失いたくない。そんな思いから俺はレンジャーをやめてハンターになったんだ。ハンターならばその剣でその体で自分を後ろにある大切なものを守ることができると思ったんだ。」

 

「………。」

俺もその気持ちはよく分かる。俺も同じだ。

誰かが傷つくは見たくない。だから俺は剣を握り護るべきものの前に立つ。

 

「あ、この話エコーには言うなよ。あいつが知るとめんどくさそうだから。」

 

「わかってますよ。じゃ戻りましょうか。」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「お、帰ってきた。ゼノまた勝てなかったね~。」

「うるせえ!」

 

「二人ともすごかったよ。」

「ありがとうマトイ。」

 

俺とゼノさんも椅子に座り、4人でテーブルを囲む。

 

「そういえば、シロウ。お前もあの謎の部品を見つけたんだってな。」

 

「謎の部品?……あ、あれですか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の任務のとき俺はフーリエと惑星リリーパに来ていた。

昔、フーリエがリリーパに助けてもらったことがあったらしくて、そこで恩返しをしたいが彼らは臆病で滅多に姿を現さない。そこで探すのを手伝ってほしいと頼まれて断ることができず、リリーパ族探しを手伝うこととなった。なんとかリリーパ族は見つけることができたが機甲種に襲われていた。それを助けた俺たちは逆に恩返しされることとなり、お礼としてあの謎の部品を手に入れたのだ。自分で解析しても何もわからなかったので、とりあえずカウンターに解析をお願いしたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの部品がどうしたのですか?」

 

「俺もナベリウスの凍土地帯で同じような物を見つけたんだが、そのとき仮面を被ったダークファルスが襲ってきたんだ。たぶん狙いはあの部品だと思う。そっちは大丈夫だったか?」

 

「いえ、こっちにあいつは現れなかったですよ。………しかしそれは何かありますね。あれはなんなんでしょう?」

頭を悩ませていると、

 

「あ、シロウ。そういえば、用事があったんじゃなかったっけ?」

マトイの言葉で、思い出し時計を見る。

 

「お、もうこんな時間か。ゼノさんエコーさん用事があるので失礼します。マトイはどうするんだ?」

 

「もう少しエコーさんと話してたいから、ここにいる。」

 

「マトイは私が責任もって君の部屋に届けるよ。」

 

「じゃ、よろしくお願いします。」

マトイとエコーが仲良くなったようで良かった。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

今朝こんなメールが届いていた。

『差出人:ロジオ

  宛先:エミヤさん

この前お願いした調査のことで、あなたに伝えたいことがあります。午前中は用事が入ってしまいましたが、昼過ぎには終わると思います。

場所は私たちが初めて会った場所で5時に待ってます。』

 

 

そして今指定された場所にいるのだが……

 

約束の時間を過ぎてもロジオさんが姿を現わすことはなかった。

 

俺は仕方がなくロジオさんの研究室を訪ねることにした。

 

 

研究室の扉を叩き、

「ロジオさん、いますか?」

 

そうすると中から人が出てきた。

「あなたはこの前の…。すみません、先生は今日は朝から用事といって外出したまままだ帰ってきてません。」

 

「そうですか。お邪魔しました。」

 

まだ用事が終わってないのだろう。

 

俺は研究室を後にしてマイルームに帰ることにした。

 

「まだマトイは帰ってないか。」

 

あることを思い出す。

 

「そういえば、今日は端末を持っていくのを忘れてたのだったな。」

 

自室に入り端末を探す。

 

目的の物はすぐに見つかった。そしてメールが1件きている事に気付いた。

 

ロジオさんからのメールだった。

内容は意味の分からないもので、ただの8ケタの文字と数字だった。

 

メールの内容に疑問も覚えたが、時計を見るとそろそろ夕食の準備を始めなければならない時間だったので、ただ「今日は何の話だったのですか?それとさっきのメールはどういう意味ですか?」という文を送り、台所に向かった。

 

その後マトイは帰ってきた。

送り届けてくれたエコーさんとゼノさんも夕食に誘い、4人で食卓を囲んだ。

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

次の日、俺は上層部に呼び出されていた。

 

「俺に何か用ですか?」

一介のアークスの俺がこんな所に呼び出されるなんて明らかにおかしい。

 

「単刀直入に言う。今朝早くにナベリウスで学者のロジオの死体が発見された。」

 

 

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




だんだん原作から離れて行ってる。
まぁ気にしないが

クラリッサの部品捜索はほとんどカット
VR空間でアークスどうしの戦い
ロジオは生存せず



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第7話 ~死の理由~

 今回は短めです。

では第7話どうぞ!


「単刀直入に言う。今朝早くにナベリウスで学者のロジオが死体で発見された。」

 

 

「……え?」

 

 

「彼の死体には端末が握られていて,最後に送られたメールの宛先が君である。」

 

シロウの目の前にあるファイルが表示された。通信記録だろうか。メールの送信した時間と内容が記されている。

 

「それは昨日の彼の通信記録だ。最後とその1つ手前のメールに見覚えはあるか?」

 

「あります。両方とも昨日のロジオさんから送られてきたものです。」

 

「君は彼の研究に関わっていたのかね?」

 

「1度、任務で研究のためのサンプルを採りに行った程度です。」

 

「君は研究についてどこまで知っている?」

 

「いえ、ほとんど知りません。」

 

「最後のメールの内容はどういう意味だ?」

 

「いえ、わかりません。」

 

「…………そうか、ならばもう下がっていいぞ。」

 

「はい。」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

その後すぐにロジオの死は、すぐに公表された。しかしその内容はシロウを驚愕させるものだった。

 

内容は

ロジオ(学者)の死体が今朝.ナベリウスにて発見された。胸に切り裂かれた跡があるため、ダーカーか原住種に襲われたものと思われる。昨日、彼は無許可でキャンプシップを使い、1人でナベリウスに向かった模様。今朝それに気付き探索チームを派遣したが、彼を生きたまま連れ戻すことは出来なかった。無許可のキャンプシップの使用、アークスを連れずの惑星探査は禁止されている。処罰として彼の研究チームは解散、研究室の封鎖、研究資料は全て没収、研究の続行を禁止とする。なおどのように彼がキャンプシップを誰にも見つからずに使用出来たかはただいま調査中。

 

 

おかしい。ロジオさんは違反まで犯してそんな危ないことをするはずがない。それならば始めから俺に調査を頼むはずがない。それにさっきのロジオさんに関する尋問は明らかにおかしいかった。俺が研究を知っているとマズイことでも………あの最後のメールは………

 

 

 

シロウはすぐさまあるところに向かった。

 

 

「あのメール、ロジオさんは俺に何かを伝えようとしたんじゃないのか?」

 

 

たどり着いたのは、ロジオの研究室だ。

 

 

中に入るが誰も人はいなかった。

 

そしてシロウはロジオのデスクの向かう。

そこにあったデスクトップを起動される。

そしてメールにあった8桁の文字と数字を打ち込むとロックが解除された。

 

「やっぱりあれはpcのパスワードだったんだ。ならばここに俺に伝えたかったことがあるはず……」

 

シロウはpcの膨大なファイルの中を探す。

 

「おそらく俺が手伝った研究に関しての話と言っていたな。ならば最近のファイルで……」

 

そうして絞っていくと、2つのファイルにたどり着いた。

 

1つは『ナベリウスの地質調査結果』

もう1つは『ナベリウス地質研究記録』

 

シロウはまず調査結果のファイルを開いた。そこにはいろんな数値が記されていた。しかし専門的なことが分からないシロウはそのファイルを閉じ、もう1つのファイルを開いた。そこには研究の経過が記されていた。

 

ーーー

A.P.238 2/26

ナベリウスの地質データが足りないためアークスに調査を依頼することする。

 

A.P.238 2/27

エミヤさんからサンプルを受け取り検査にかける。

 

A.P 238 3/3

検査結果が出た。詳しい数値は別記するが、明らかにおかしな点がある。ダーカー因子の痕跡が遥か昔からあることがわかった。これは自ら赴き調査する必要があると思われる。調査のためナベリウスの調査の申請をすることにする。

 

A.p.238 3/10

アークス帯同のもとナベリウスの調査が許可された。1回目の調査が明日行われる。上からアークスが派遣されるくるそうだ。この研究はここまで私一人でやったいたが、検査結果が本当なら私に一人では手に負えない。なので明日、調査が終わったら研究室の仲間と研究の協力を仰ぎたい者に話そうと思う。

 

ーーー

 

 

「………」

 

シロウはこれが伝えたかったものだと理解した。

 

目的を果たしたシロウはpcの電源を落として、研究室を出ようとするが

 

 

扉の外に誰かいる!

 

 

人の気配を感じたシロウはここで見つかり、怪しまれないため近くのデスクの下に身を隠した。

 

入ってきたのは見知らない男たちだ。

 

「お邪魔します。誰かいますか〜?っているわけないか。」

 

「バカなことやってないで、さっさと仕事終わらせるぞ。」

 

「はいはい。それにしても上がここまで徹底して研究を続けられないようにするなんて、どんな研究してんすかね?」

 

「知らない方が身のためだ、お前消されるぞ。」

 

「冗談でしょ?」

 

「お前、上のお抱えの暗殺者のことを知らないのか?」

 

「暗殺者?」

 

「ああ、俺たちみたいな末端には正体は知らされてないが、上に楯突いた者、知ってはいけない情報を知ってしまった者はその暗殺者によって殺されるらしい。ここのリーダーの死はそいつの仕業だろう。」

 

「マジっすか。それは怖いっすね。」

 

「だから上からの命令は疑問を抱かずに、実行する。それがここで一番長生きするコツだ。少し話すぎたな。さぁ仕事に取り掛かろう。俺はpcのデータから取り掛かるから、お前はその辺の資料を運んで行ってくれ。」

 

「了解っす!」

 

そい言うと一人は研究室の奥に消えていき、もう一人の男は、近くにあった資料を持って部屋から出て行った。

 

シロウは奥の男から死角であることを確認し、素早く扉の前にまで移動し、外にも誰もいないことを確認し部屋から出て行き、その場から離れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度離れたとこでベンチに腰掛け、頭の中を整理する。

 

 

ロジオさんは知ってはいけないことを知ってしまい、暗殺された。知ってはいけないことは、あの研究結果だろう。ならば、その研究に少しだが関わっている俺も気をつけた方がいいだろう。それにしても暗殺者か…………

 

 

シロウはため息を吐き、背もたれにもたれかけながら天井を仰ぎ呟く。

 

 

 

「どの組織にも闇部分というものはあるのだな。」

 

 

 

 

 

 

 





今回の話は全て妄想ですww


ここから物語が動き出します。

次回予告『最後の欠片』



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第8話 ~最後の欠片~

気づけば
UA3900
お気に入り60

こんな駄作にありがとうございます!
これからも頑張っていきます!

では第8話どうぞ!


シロウは今、惑星アムドゥスキアの浮遊大陸に来ている。

 

 

 

 

依頼していた解析が終わったようなので結果を聞いてみればあれは何らかの武器の部品であるらしい。

そこで残りの部品も見つけてきてほしいと依頼されのだ。

 

シロウは手始めにまだ部品が見つかってない浮遊大陸に向かったのだが。

 

 

 

 

 

「着いたのはいいがどこから探すか。」

 

この広大な大陸からあるかもわからない物を探しと思うと気が遠くなる。

 

 

「おっシロウ君ではないか!」

 

振り向くとそこにはアキさんがいた。

 

「アキさんお久しぶりです。」

 

「久しぶりだね〜。そうだ紹介して……おい!早く来ないか!」

 

(「まってくださいよ先生!」)

 

誰か走ってくる。

 

「はぁはぁ、先生が進むの速すぎるのですよ。ってエミヤさん?!」

 

「ライトさん、お久しぶりです。」

 

「なんだ二人とも知り合いか。」

 

「はい、以前ロジオさんの研究室でお会いしました。」

 

「そうか…………ロジオ君のことは残念だったな。惜しい人物がなくなった。ライト君は今、私の助手として働いて貰っている。ちょうど助手が欲しくてな。上に誰か優秀な者を付けてくれと頼んだら、予想以上に優秀なのが来たよ。」

 

「いえいえ僕はそんな……」

 

「謙遜するな。おっと、こんなことしている場合ではないな。さぁ行くぞライト君!」

 

「少し休ませて下さいよ!」

 

「なに〜、まったく体力ないな。仕方がない少し休むか。」

 

ライトは喜び、近くの岩に腰かけた。アキは呆れながらそれを見ていた。

 

「ところでシロウ君はここでなにをしているのだ?」

 

「探し物を頼まれまして、しかしこの広大な大陸をどう探す迷っていたところです。」

 

「そうか………ならば我々と来るか?今から龍族の長と接触しょうと思っている。君の探し物も龍族に聞けば何か情報を持っているかもしれないぞ。それに私も君のような実力者が付いてきてくれたならば心強い。助手は頭は頼りになるが戦闘では役に立ちそうにないのでな。」

 

そういいながらアキは、岩の上で休憩をとっている助手を見る。

 

「そうですね。じゃそうさせてもらいます。」

 

「うむ。よし、休憩終了だ。さぁ行こう!」

 

「えっ、もうですか!」

アキはそんな声の無視してすでに歩き始めている。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「長のとの接触って具体的にどうするのですか?」

 

「なに簡単なことさ。誰か龍族に頼むんだ。」

 

「また大雑把な計画ですね。」

 

「そうですよ。そんなんじゃだめですよ先生。現に今朝から龍族にしつこく声をかけすぎて逃げられいるじゃないですか。もう一度帰って計画を練り直しましょうよ。」

 

「だがなライト君、そんな悠長なことを言ってられる時期ではないのだ。急がなければこの惑星の命すべてが喰われるのだよ。ダーカーの浸食は、龍族が考えている病とはわけが違うぞ。惑星全体に広がり、命を蝕むものだ。だが閉鎖的な彼らは聞く耳を持たない。取返しがつかなくなる前に龍族の長…ロの一族に出会い、協力を取り付けねばならない……おっ、ちょうどいいところに龍族が行くぞ二人とも!!」

 

そしてまたアキは走り出した。

それを追うようにシロウとライトを走り出す。

 

 

 

 

 

近づいてみるとその龍族の様子はおかしかった。

 

「どうやらダーカーとの戦闘をしていたようだね。だいぶダーカー因子の浸食されている」

 

「まだあれならば間に合うんじゃ。」

 

「うむ。とりあえず交渉の前に救助だな。」

 

 

そして龍族にさらに近づくと

 

『……ぐ、アークスか。何をしに来た。』

 

「君を助けに来たのだよ。」

 

『触れるな!アークスの施しは受けん。』

 

「まったく私たちはただ仕事をするだけだ。すなわち君の中のダーカーを滅ぼす。」

 

『我の内にダーカーだと…』

 

「なにを今更、キミ自身がよく分かっているだろ。内からこみ上がる衝動に……まぁもしキミがこのままダーカーに成り下がりたいというならば、邪魔はしない。」

 

『……戦いの末で果てるなら本望。我らの誇り愚弄するな!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…キミたちこそ、どこまで命を愚弄せれば気が済む!」

 

アキが声を荒げる。

 

 

 

 

 

「誇りという聞こえのいい言葉を言い訳にするなよ龍族!その誇りとやらのために今までの歴史をすべて消し去るつもりか。目を背けるなよ龍族。聡明なキミたちならわかるはずだ。このまま狂う龍族が増えればどうなるか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………。貴様たちならばダーカーに正確に、正常に、対処できるというのか?』

 

「私だけでは無理だ。私はアークスとしてはでき損ないだからな。しかしここには、優秀なシロウ君がいる。任せたまえ。」

 

『その名ヒのエンより聞いた。貴様たちがそうか。』

 

「そうだ。ではまずキミから処置を始めよう。シロウ君、ライト君手伝ってくれ。」

 

「はい。」

「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

処置は無事終わり龍族は正常に戻ることができた。

 

『貴様たちはロの一族と接触したいと?』

 

「ああそうだ。」

 

『……わかった。恩は返す。話を通してやろう。お会いになるかはわからない。それでもいいならついて来い。』

 

「あぁそれで構わない。」

 

 

そして龍族についていく。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

『目的の場所はこの先だ。……言っておくが勘違いするなよ。我は貴様たちを認めたわけではない。恩を返すだけだ。なれ合うつもりはない。』

 

「ああ、わかったよ。」

 

『…ふん。』

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、

シロウたちの後方の空間が歪み黒い靄が発生した。

 

 

 

「まさかダーカーか?!」

 

 

 

 

 

しかしそこからはダーカーではなく

仮面のダークファルスが現れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『貴様何者だ!龍族の領域に無断で入るとは!』

「や、やばいですよ先生!」

「あれが噂の仮面のダークファルスか!」

 

 

『貴様たち先にいけ。この無礼者とは、我が戯れよう。』

 

 

「……邪魔するならば貴様を殺す。」

 

 

仮面のダークファルスは背中に背負った大きなソードを引き抜き、構える。

 

 

『は!面白い!我らの力その身に刻め。』

 

龍族も武器を構えるが

 

龍族の前にシロウが立った。

 

『貴様どういうつもりだ。さっさと行け!邪魔だ。』

 

「すまないが、ここは俺に任せてくれないか。俺はこいつに少し用がある。」

 

「シロウ君?」

「エミヤさん?!」

 

『…………………今は従おう。残りの連中は我について来い。』

 

「ありがとう。えっと〜」

 

『我が名はコのリウだ。』

 

「あぁ、ありがとうなコのリウ。」

 

「シロウ君本気なんだね。」

 

「はい、二人とも早く行ってください。俺なら大丈夫です。」

 

「ダ、ダークファルスに一人で挑むなんて無茶ですよ。」

「ほら行くぞ。ここにいればわたしたちは足手まといなだけだ。」

 

「……そ、そうですね。気おつけてくださいね。」

 

そして二人はコのリウを追ってこの場を去って行った。

 

 

 

シロウは仮面のダークファルスに問いかけた

 

 

 

「あの部品はなんなんだ?なぜお前はあれを探している?」

 

 

「あれは貴様たちが持って良いものではない。今すぐ我に預けよ。」

 

 

「あの武器もお前の正体もわかっていない今、それに従うわけにはいかないな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そうか……ならば……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴様を殺し奪うだけだ。」

 

 

 

そう言い放つ仮面のダークファルスはソードの切っ先をシロウに向けて突進した。しかし仮面と対峙してから警戒度を引き上げていつ攻撃が来ても良いようにしていたシロウは、焦ることなく腰からツインダガーを引き抜き、2本の剣で仮面の剣の軌道をそらす。

 

奇襲が失敗した仮面はすぐさま剣を引き戻し、大きく後ろに飛びのいた。

 

 

二人の間に距離が出来る。

 

 

距離がある状況ではリーチの長い方有利である。つまりソードを扱う仮面の方が有利なのだが、

 

あまりにも空きすぎている。これではお互いの攻撃は届くはずはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし仮面のダークファルスの攻撃は届いた。

 

 

後ろに飛びのいたあと、剣を一振りした。だだ振ったのではない。剣にダークフォトンを乗せて振った。それにより飛ぶ斬撃が生まれシロウへと襲い掛かったのだ。

 

「なっ?!」

驚きより反応が遅れたシロウはその攻撃を受けること選択をした。

 

「くっ!」

 

シロウはそれを剣で受けるがあまりの威力に押されてしまう。

 

斬撃はシロウを切り裂こうと次々飛んでくる。

 

シロウは全てを受けきるのは無理と判断し横に飛び退き、斬撃を避ける。

 

 

 

「(あの攻撃は見たことがある!ソードのPAのソニックアロウだ。しかしなんでダークファルスがアークスの技を使うんだ?)」

 

 

 

そんな疑問が生まれてきたが、戦闘中にその答えを考えている暇はなく次々斬撃は飛んでくる。

 

「(やつには聞きたいことはいくつかあるが、まずこの状況をどうにかしないとな。)」

 

飛ぶ斬撃により、シロウは自分の剣の届く範囲(リーチ)に入れないでいた。

 

 

 

 

 

そして斬撃を避けていく中、シロウはタイミングを計る。

そして仮面のダークファルスが剣を降り、一息つく一瞬。

 

その短い時間をシロウは待っていた。

 

 

 

 

 

 

その短い時間にシロウは、ツインダガーの普段より多めにフォトンを流し込み、PAを発動する準備をした。

 

 

 

 

 

 

 

そして再び仮面は斬撃を飛ばす。

 

シロウはその攻撃に合わせてPAを放つ。

 

 

「ブラッディサラバンド!」

 

シロウが振り抜いた剣から飛ぶ斬撃が放たれた。

 

放たれた斬撃は仮面の斬撃と衝突し、

 

舞い上がった砂塵により仮面のダークファルスの視界を奪った。

 

 

 

 

 

 

 

そしてその舞い上がった砂塵の中からシロウが現れた。

 

仮面のダークファルスは咄嗟に剣を横に振るうが

 

「そんな攻撃は当たらない!」

 

シロウはそれを掻い潜り仮面の懐に踏み

 

一閃

 

「くっ!」

 

腕を捉える。

 

仮面のダークファルスは武器を落とし、シロウが剣をその首にあてる。

 

 

 

「お前は本当に俺を殺す気でいたのか?()()()()()()()()()()を使って俺に勝てると思っているのか。」

 

仮面の攻撃は全て強力ではあったが、力任せにただ剣を振っているに過ぎなかった。

 

そんな攻撃がシロウに当たるはずもなかった。

 

 

「答えろ!なぜ彼女を狙っていた!お前の本当の目的はなんなんだ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(「あなたに何がわかるの。」)

 

何かをとつぶやいたその瞬間仮面のダークファルスの全身から赤いオーラが湧き出した。

 

湧き出したオーラは衝撃波を生み出し、シロウを吹き飛ばした。

 

「っ?!」

 

「我はダークファルス『仮面(ペルソナ)』。アークス(貴様ら)の敵だ。』

 

仮面が傷口を抑えながら立ち上がる。背後には黒い霧が立ち込め始めた。

 

マトイ(彼女)を殺せ。さもなくば彼女は残酷な末路を辿ることになる。」

 

 

「なっ?!、待て!それはどういうことだ!」

 

体勢を立て直したシロウはすぐさま仮面に向かって走ったが、仮面は黒い霧の中へと消えていった。

 

 

「くそっ!取り逃がしたか。しかし最後の言葉は………ヤツは何を知っているんだ。」

 

シロウは仮面の言葉の真意を考えるが答えは出なかった。

 

 

「とりあえず、アキさんたちと合流するか。」

 

 

シロウがアキたちを追いかけようとしたその時、空中から突如クォーツドラゴンが突進してしてきた。

 

 

地面に突き刺さったクリスタルで覆われた頭を引き抜き、その眼でシロウを捉える。

 

 

シロウは武器は構えようとしたが、

 

『お前がシロウか?』

そのの見た目には似合わない幼く可愛らしい声が響く。

 

「…………そうだが。」

クォーツドラゴンから全く敵意が感じられないことから敵ではないと判断し、武器を下す。

 

『ロ・カミツ様がお呼びだ。お前を迎えに来た。』

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

クォーツドラゴンに連れられ、辿り着いた場所にはアキさんやライトさんもいた。

 

「お〜.シロウ君無事だったか。」

 

「はい、なんとか。ロ・カミツに呼ばれたって聞いたのだが、どこに?」

 

「あ〜、それはだな…」

 

『よくぞ来てくれた。感謝する。私はロのカミツ。今はワケあって姿を見せることは出来ない。許してくれ。』

アキさんが答えを言う前に声が聞こえいてきた。

 

『さて私がが貴方をここに呼んだのは貴方に聞きたいことがあるからだ。答えてくれるか?』

 

「ああ、構わない。」

 

『では、…貴方は何者だ?この世界の者ではないな。』

「っ!!」

 

『貴方から感じる魂。この世界の者とは少し違う。案ずるな。この会話は他の者には聞こえない。貴方からも我に伝えたいことは強く念じれば我がそれを読み取ろう。

私は龍族の長だ。貴方が龍族の救世主となるのか。それとも害する者なのか。私は龍族の長として見極めなければならない。』

 

「そうか、わかった。」

 

『あぁ、その通りだ。俺は別の世界から来た人間だ。』

 

『目的はなんだ?何故この世界(ここ)来た?』

 

『何故って………シオンに頼まれたんだ。この世界を人類を救ってくれって。俺はそのためにここにいる。』

 

『そうか、彼女が………。嘘ではなさそうだな。貴方を信じよう。コのレラよ、大儀であった。もう休んで良い。』

 

『は!ありがたきお言葉。』

 

そう言うとコ・レラと呼ばれるクォーツドラゴンは飛び立って何処かへ行ってしまった。

 

俺が危険と判断した時のために待機させていたんだろう。

 

「じゃ次は俺からの質問いいか?」

 

『それには及ばぬ。そなたが尋ねたかった物とはこれのことであろう。』

そうすると目の前にクリスタルが現れた。

 

『何時かしらそれはここにあった。眠るように、ただ静かに……しかし最近、それは目覚めた。まるで何かに反応したかのように。そしてそこに現れたのが貴方だ。』

 

俺が手を近づけるとそのクリスタルは光を放ち、形を変えていく。

 

そして光が収まるとそこには、他の部品のよく似たものが現れた。他と違うのは真ん中で光球が青鮮やかに光り輝いている。

 

『盟約には盟約を、恩義には恩義を、私は貴方にこれを託したい。受け取ってほしい。』

 

「ありがとう。」

 

「シロウくんそれが君の言っていた探し物かい?」

 

「えぇ、そのようです。」

 

「うむ。シロウ君の目的も私たちの目的も果たしたことだ。そろそろ帰るとしようか。龍族の長よ、また来るよ。」

 

『ああ、待っていよう。』

 

「うむ、では帰るぞ。シロウ君、ライト君。」

 

「はい。」

「は〜、やっと帰れる。」

 

そして俺たちはテレパイプの設置場所に戻るろうとした時、

 

『最後に聞かせてくれ。』

またロ・カミツの声が聞こえてきた。

 

 

 

『そなたが世界を救うために立ち向かおうとしているものは、この世でもっても邪悪で凶悪で強大なものだ。お前一人の力ではどうにもならないかもしれない。命を落とすかもしれない。それを知ってなおお前は戦うのか。』

 

『あぁ、そうするさ。』

 

『別の世界から来た貴方がそこまでしてこの世界のために動く義理はないはずだ?何故だ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その質問に俺は迷わずにこう答える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それは、俺が衛宮士郎(正義の味方)だからだ。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




やっと更新できた。
更新遅くなってすみません。

体調崩して入院していました。




まぁやっと原作のep1の6章ぐらいまで来ました。
予定ではep1は10話ほどで終わらしたかったのですけど終わりそうないですねwww


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第9話 ~残された者~

ドライが始まりましたね。とても楽しみです!
fgo頼光と茨木来た!



それでは第9話どうぞ!


俺は見つけられた全ての部品を持ってそれを持ってアークス船団の128番艦『テミス』にある人物に会うため向かっていた。

 

刀匠ジグ 。アークス船団の128番『テミス』に工房を持つアークス一の武器職人である。彼の作った武器は創世器にも匹敵すると言われている。

しかし最近は熱を失い、武器製作をしていないと噂されていた。

 

実際会ってみるとその噂は本当だった。

 

早々に追い返されそうになった。

 

 

しかし見つけてきた部品を見せる興味を持ったようで、その目には熱が再び宿り,武器の復元の依頼を受けてくれた。

 

なんとか武器にしてくれそうだ。

 

あれが完成すれば仮面の目的が少しはわかるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

武器の復元を依頼したその帰り俺は懐かしい人物と出会った。

 

「おーい!シロウ、ひっさしぶり!」

 

「ウルクか。久しぶり、施設を出て以来か。元気してたか?」

 

 

彼女はウルク。彼女は10年前の襲撃の被害者で両親を失ってい、俺と同じ児童施設に預けられた一人だ。

 

 

 

「うん!元気してたよ!」

 

ウルクは笑みを浮かべながらそう答えた。

 

「あ!そうだシロウ見て見て!」

 

ウルクは首から下げていた名札を俺に見せた。

 

そこにはウルクの名前と写真と…

 

「アークスシップ…職員…ってお前アークス職員になったのか?!」

 

彼女の夢はアークスになることであった。しかし適正がなく諦めるしかなかった。ならば裏方としてアークスを支えたいと思いアークス職員になろうとしたが、アークス職員にも適正は必要らしくウルクはなることができなかったのだ。

その後、彼女は自分の夢が絶たれて意気消沈していた。慰めようにもアークス適正があり、アークスになる道を選んだ俺が掛ける言葉は見つからなかった。

 

「えへへ、どうよ。」

 

「よかったじゃないか。けどどうやって?」

 

「いや~、毎日毎日お願いしに行ったらお偉い人が現れて特別に許してもらえたんだ。なんでも諦めずに頑張るものだね!」

 

「そうか、それは良かったな。おめでとうウルク。」

 

「うん。ありがとう!」

 

「このことはテオドールには教えてやったのか?」

 

「うん。一番に教えてやったよ。そしたら自分のことのように喜んでたよ。」

 

「あいつもそれだけうれしかったんだよ。あいつ自分がなんとなくアークスになってしまったことで少しお前に引け目を感じていたからな。」

 

「…うん、知ってたよ。けどこれからは私があいつの尻をただいてこき使ってやるんだ!にっしっし。」

 

 

「それは大変だな。そうだ!今度俺の部屋に来いよ。ティオドールも他の施設出身のやつも呼んで祝いでもやろう。」

 

「おっ、ということは久しぶりにシロウの手料理が食えるってわけか!」

 

「ああ、腕によりをかけて作ってやるよ!」

 

 

後日、俺の部屋にウルクの就職祝いを行った。

 

テオドールや他の施設出身者、そしてアークス職員のなるならアークスとも交流があった方いいと思い何人かのアークスも顔合わせを兼ねて招待した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはあるアークスシップ

 

 

俺は石碑の前に立っていた。

 

俺は定期的にここにと訪れている。

 

この石碑には、10 年前のダーカーの襲撃で亡くなった人たちの名前が掘られている。

 

 

 

 

 

 

「……シーナさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10年前のダーカー襲撃の時、俺は研修生だったがアークスと組んで救助に当たっていた。

 

結果は最悪、過去最大の被害だった。

市民からの多数の死亡者、そして行方不明者。アークスの戦死、何より最大の被害が、2代目クラリスクレイスの戦死したことだった。2代目クラリスクレイスはその顔を表に出ししたことはなかった。しかし彼女はアークスの最大戦力である六芒均衡の一角なのだ。その彼女の戦死は人々に動揺を走らせた。

 

そしてシーナさんもこの騒動の中亡くなったアークスの一人だ。

 

気が強く世話好きでとても優しく俺からして姉のような存在っだった。

 

そんな彼女が亡くなった。

()()()の目の前で

 

 

 

 

 

この事件は多くの人の人生を狂し変えてしまった。あれ以来ゲッテムハルトは復讐に走るようになり、シーナさんの妹は自分の行いを悔いて、彼女の名を名乗り自分を殺して彼女の代わりにとばかりに彼に付き従っている。

 

 

 

 

 

俺はあの事件で自分の無力さを思い知らされ、ハンター転職を決意した。それ以来俺は剣を磨いた。

 

 

そしてもう一つあの事件から続けていることがある。それがあの事件の真相を探ることだ。ハンターに転職してから、俺はときどきあの事件の資料を見ることにしている。

 

あの時の無力感と決意を忘れないためだ。

 

だが何度か見直した時、ある違和感を感じた。そこで俺は他の過去の襲撃事件の資料を引っ張り出してきて、見比べた。

 

このダーカー襲撃事件は他とは異質だったのだ。

 

 

そこから俺はその真相を知るために秘密裏に一人調査をして、度々ここに報告に来ているのだが未だ真相にたどりつけないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は石碑の前で屈み込み、

 

「今回もまたいい報告は出来そうにないです。アークスが関わってるのはわかったのですけど、そこから進めてないです。」

そう言いながら持ってきた花束を供えた。

 

 

 

俺は立ち上がり、

「じゃ、シーナさんまた来ます。次来る時はいい報告出来るように頑張ります。」

 

 

 

そう言って俺はその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ディアなんでここにいるの!」

 

「ごめんさないお姉ちゃん……その…お姉ちゃんの手伝いがしたくて……」

 

 

私がそういうとお姉ちゃんは呆れたようにため息をついた。

 

 

「あのねディア「いいじゃねえのか。一緒に連れて行って。」

 

 

お姉ちゃんが何か私に言おうとしたところを近くにいた男性が割って入っていた。

 

「え?!」

 

私の我儘が通るとは思ってなかったので素っ頓狂な声を出してしまった。

 

「なんでお前が驚いているんだよ。お前が行きたいって言ってきたんだろが。」

 

「あっ、はい。」

 

何度か出会ったことがある。お姉ちゃんの恋人で名前はゲッテムハルト

 

「ちょっと待ってゲッテムハルト!この子を連れ行くって?!」

 

「ああ、そのままの意味だ。ただし」

 

お姉ちゃんの恋人は私の前に屈み込み、私の目を見てこう言った。

 

「ここから一番近い避難所までだ。そこまで俺たちの救助を手伝ってもらう。それと1人で行動しないこと、指示にはすぐに従うこと、いいな、守れるな?」

 

「はい、守ります。」

 

「よし!よく言った!」

 

そう言いながら彼は私の頭を乱暴にくしゃくしゃと撫でた。乱暴で髪の毛が少し乱れてしまったが嫌ではなかった。むしろ自分を認めてもらえたようで嬉しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シーナ……」

 

誰かが私を呼ぶ

 

「おい!シーナ!」

 

「は、はい!」

 

 

思い出すは10年前の記憶

忘れようにも忘れられないあの時の記憶

 

 

「おいシーナ!ぼーっとしやがって。自分のやることわかってるのか。」

 

「はい。必ず目的のものを手に入れて見せます。……しかしあのような得体のしれえない男の言うことを信じていいものでしょうか…」

 

「お前はそんなこと気にせずに言われたことさえしていればいいんだよ!」

 

「そう……ですね。すみません勝手が過ぎました。」

 

 

 

 

そうだ私は言われたことをすればいい。

 

 

 

ただ彼の望みが叶えばそれでいい。

 

 

 

 

 

それが私の贖罪となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シロウとウルク、テオドールは同じ施設出身にしました。
今のところ他の同じ施設出身者を出す気はないです。


シーナ(姉)ってこんな感じかな。原作で出できてなかった(と思う)
イメージ的には妹と真逆の性格?
ゼノの設定を改変


なんか勢いで書いたところが多いのでまた書き直すかも……

次はテスト期間が終わったくらいに次の更新できれば…






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第10話 ~ダーカーの襲撃~

みなさん久しぶりです。一か月振りの更新です。

いろいろ忙しくてこんなに間が空いてしまいました。

それでは第10話どうぞ。


的に向かって両足を踏み開き(足踏み)

上体を安静させる(胴造り)

 

弓を番え(弓構え)

弓矢を持った両腕を上に持ち上げる(打起)

 

|弓を押し弦を引いて両拳を左右に開きながら引き下ろす《引分け》。

 

的を狙い静止()矢を放つ(離れ)

 

姿勢を保ち、的を見据える(残心)

 

 

矢は的の中心をとらえている。

 

緊張を解き、一息吐く。

 

 

 

 

ここはシロウのマイルームの一部、改造し作った訓練部屋の弓道場である。

 

朝はいつもこうだ。ストレッチとランニングをした後、矢を射て剣を振る。

 

鍛錬の後かいた汗をシャワーで流し、普段着に着替えて朝食は何にするかを考えながら廊下を歩いていく。

 

 

 

そうして台所のある部屋につくとマトイがいた。

「シロウおはよう。」

「おはようマトイ。」

「今日は何からすればいい?」

「そうだな、今日は和風で行こうと思うからな。味噌汁を作るの手伝ってくれ。」

「うん、わかった。」

 

いつからかマトイはただ住まわせてもらうのは嫌、料理を手伝わせて欲しいと言ってきた。

シロウもそれを承諾し二人で台所に立つのが最近の常だ。

シロウは料理をして何か記憶が戻るきっかけになればと思ったがそれはなかった。もし記憶を失う前に料理をしていたならば体が覚えているのと思っていたのだが、その手つきを見る限りその可能性はなさそうだった。

 

それでもマトイは慣れないながらも一生懸命やっていた。

そんな姿を見てシロウは料理を前の世界で料理を教え始めた頃の後輩の姿と重ね、思い出していた。

 

 

 

「よし。そろそろ完成するからマトイ皿を出してきてくれ。」

「うん、わかった。ちょっと待っててね。」

皿に盛り付け、朝食が完成する。そしてマトイとシロウは朝食を食べた。

 

食べ終わると片付けをし二人はそれぞれの準備を始めた。シロウは任務でマトイは定期検診の日なのだ。

「じゃ行こうかマトイ。」

「うん。」

マイルームを出たシロウはマトイをメディカルセンターに送り届けてクエストカウンターに向かった。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

「今日の任務はなんですか?」

「アフィンさんの今日に任務はナベリウス森林の生態調査ですね。」

 

 

 

ナベリウスか。修了試験の任務以来だな。

ナベリウスにはあれ以来ダーカーは現れたという報告はない。

だから今日の任務は安全で問題なく終わるはずである。

 

のだが、

 

「またあの時みたいに急にダーカーに囲まれりしないよな。」

あの時らかそれなりの時間が経ち、任務をこなしている。

その際、何度かダーカーと遭遇し戦闘になっている。それでも……怖いものは怖い。

 

 

「ダメダメだ!マイナスなことを考えちゃダメだよな!そうだ!ポジティブに行こう!」

俺は深呼吸し、

「ダーカーなんて怖くないぞ!いつどこらかかかってきても相手になってやる!全て俺の銃で消し炭にしてやる!」

シップ内に警報音が鳴り響く。

「な、なんなんだぁ?」

『緊急事態発生!!アークスシップの一隻がダーカーの襲撃を受けてます!出撃可能なアークスは至急現地に向かって下さい。』」

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、………うそだろ……」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

任務に出る直前、一隻のアークスシップがダーカーの襲撃を受けているという通信がきた。

『緊急事態発生!!アークスシップの一隻がダーカーの襲撃を受けてます!出撃可能なアークスは至急現地に向かって下さい。 場所はアークスシップ第128艦【テミス】。

繰り返します。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー。』

 

 

その通信を聞いたシロウはアークスシップ間転送装置ではなく、キャンプシップに飛び乗り現地に向かった。

アークスシップがダーカーに襲撃された際は他のシップへの被害をなくすためにアークスシップ間転送装置は使用出来なくなる。

 

キャンプシップで向かう最中に再び通信が入る。

『シロウさん。ダーカーの侵入を許してしまっています。最優先事項は逃げ遅れた市民の救出です』

「あぁ了解した」

その後担当区域の指示があった。

『---です。どうかご武運を』

通信が切れる。

「では行くとしようか」

キャンプシップが第128艦に近付いて来たので転送装置に転送先を打ち込み、起動させ、飛び込んだ。

 

 

 

転送が終わるとマップを開き、自分の位置を確認

正確にシロウの担当区域に転送されていた。

 

 

 

 

 

 

 

「相棒!」

後ろから声がしたので振り向くとそこにはアフィンがいた。

「アフィンお前もここの担当か。」

「あぁ、てっきり新人アークスはベテランと組まされると思っていたんだけどな。」

「なぁなんらかの事情があるのだろう。それよりまずは人命だ。行くぞアフィン!」

「おう!」

 

 

そこからシロウとアフィンはダーカーを殲滅しながら、担当区域は隈無く探察した。レンジャーであるアフィンとファイターながらレンジャーのアフィン以上の索敵能力を持つシロウがいるため危なげなく探索は問題なく続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで最後だな。」

「あぁ、ダーカーが山ほどいたな…」

「ことあとは次の指示が来るまでその場で待機だったよな。」

「あぁ」

「よし、じゃ連絡だ。」

 

アフィンが通信を入れる。そうすると次の指示が帰ってきた。

 

「相棒次は---うぉ!」

瞬間爆発音響いた。

「びっくりした。隣の地区からか?っておい相棒?!勝手なことしたらまずいって!!」

シロウはすでに走り出していた。

「すぐ戻る!!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

ダーカー襲撃の通信が入り、アークスシップ職員である私にも指示が下った。

 

アークスの後方支援それが私の任務だった。前線で戦うアークスに比べれば安全なものだ。

しかしヘリで移動している最中ダーカーからの攻撃により撃墜されてしまった。墜落していく最中、私は死を覚悟した。しかし私たちは助かった。ヘリの墜落するスピードが急に緩まり気づけばヘリは地上に着陸していた。操縦士もダーカーの襲撃を受けた時に頭を打ち、気を失っているが無事だ。

 

何とかヘリから抜け出し、操縦士をヘリから引きずり出した。すぐに後ろでは漏れ出したガソリンオイルに引火しヘリが爆発を起こし炎上している。

 

助かりはしたが状況は最悪、私たちは前線に放り出されてしまったのだ。

 

気を失っている操縦士を近くに寝かせて、

「こちらウルク!移動中にダーカーの襲撃を受け、操縦士が負傷!救援をお願いします!」

私は通信で助けを求めた。

「こちらウルク!誰か応答お願いします!」

しかし通信は何度呼びかけても誰からも応答がない。

 

「どうして通信が繋がらないの!」

 

 

そうしていると目の前の空中に黒い靄が発生し人型で羽をもったダーカー(ソルダ・カピタ)が3体現れた。

その手にはパルチザンが握られている。

 

その赤い眼が(標的)を捉える。

距離を少しずつ距離を詰めてくる。

 

目の前のダーカー(脅威)から逃げないと。

 

私の本能がそう叫んでいる。

 

私にアークスの適正はない。つまりダーカー因子に対する耐性がない。少しでも攻撃受ければその傷からダーカー因子が体内に侵入し、やがて私はダーカーなり果てるだろう。ダーカーの攻撃を受けることは私にとって死である。

 

怖くて怖くて仕方がない。足も手も震えて今もすぐでもこの場所から逃げ出したい。

私がここに残ったって後ろの彼が助かるわけではない。私が殺されたあとに殺されるだろう。それでも私はここで逃げたらいけないと思った。彼を見捨てることはできないと思った。

 

ダーカーがその右手に持つパルチザンを突き出し突進してくる。

 

覚悟を決める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を瞑ると瞼の裏に映るのは私を育ててくれた両親の顔、両親が亡くなってから施設で一緒に育った家族(仲間)たち

 

これが走馬灯なのかな。

 

今までの記憶が流れていく。

記憶の中でよく泣いている少年がいる。

私の弟のような存在。

 

私が死んじゃったらあいつ泣くんだろうな。

 

 

 

 

 

 

「ごめんね。テオ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい。いつになっても痛みが来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けるとそこにはダーカーおらず、一人の男が背中を向けて佇んでいた。

「全く君は無茶をする」

「シ、シロウ?!」

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

助けが来て安心したウルクは地べたに座り込んでしまった。

シロウが近くのダーカーをあらかた片付けると戻ってきた。

ウルクはこれまでの経緯を話した。

 

 

「そうか、救助の通信を入れたが応答がなかったと。」

 

「うん、そうなんだ」

 

「操縦士の方さっきみたが君の見立て通り気を失っているだけだ。今すぐ処置が必要なほどではない。そのうち目を覚ますだろう。だがここは危険だ。場所を移動しよう。」

良かったっとウルクは思い、腰を持ち上げ立ち上がろうとするが出来ない。

「ウルク?」

「あはは…ごめん腰が抜けちゃって立てそうないや。」

 

気を失ってた男性と腰が抜けて立てない女性の二人を担いで移動するの流石にシロウでも不可能だ。

それに気づいたウルクは、

「シロウ、私は後からでいいから彼を先に安全なところに連れて行ってあげて。」

自分を置いていくようにシロウに言った。

「ダメだ。それでは君が危険すぎる」

「でも……」

「心配するな。方法はある。あいつを呼んで正解だったな。」

「あいつ?」

 

シロウの言葉にウルクら首を傾げる。

そこから数分待つと

 

 

「ウルク~!」

 

「テオ?!」

 

テオドールが泣きながら走ってきていた。

 

「ウルク!!」

 

テオドールがウルクに泣きながら抱き着く。

 

「うわ!えっ?!ちょ?!テオなんでここに!」

 

「ぐすっ、ウルクがここにいるって聞いて」

ウルクがシロウを見る。

「あぁ俺がさっき教えた。」

 

 

 

 

 

「僕は………僕は君のことが…心配で…ぐす」

さらにテオドールが泣く。

「ごめん!ごめんテオ!心配させてごめん!ほら私はちゃんと生きているから」

そういいながらウルクはテオドールの頭をなでる。なでながらいつもテオが泣いている時はこうしてあげていたっけ、変わらないなと思っていた。

「ウルク~」

「だからほら泣き止んで、ね」

「うん。」

テオドール袖で目を擦った。

 

 

 

 

 

 

 

テオドールが泣き止むとシロウが口を開いた。

「そろそろいいか。俺は気を失ってっている操縦士を運ぶからでテオドール、お前はウルクを頼む。」

テオドールは頷きはウルクを背に担ぐ。

 

担がれているウルクはテオドールの耳元で呟く。

「その……テオ、ありがとうね。」

テオドールは操縦士を担ぎながら歩くシロウを見る。

「それはシロウに言ってあげてシロウがいなければ君は死んでいた。僕は……君が本当に危ないときに近くさえいれなかった。」

そういいながら俯く。

「そんなことないよ。シロウにも感謝してるけどテオが来てくれて私とっても嬉しかっ…たよ…」

背中から寝息が聞こえる。安心したのか疲れたのかウルクは寝てしまった。

「ウルク?」

肩あたりにある顔を見るととても安らかな寝顔だった。

「これからは必ず僕が君を守るからね。」

テオドールはその寝顔に約束をした。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

画面には様々な位置の監視カメラの画像が流れていた。

 

そこにはウルクとテオドールの姿が映っていた。

 

「予定通りに行かなかったか。」

 

男はテオドールの潜在能力に目をつけて実験体にするつもりだった。

ウルクを事故に見せかけて殺し、ダーカーに憎悪をいだいた彼を誘惑し取り込むつもりだったのだが失敗した。

しかし他にもやり方はいくらでもある。

 

それよりも問題は

「エミヤシロウ…」

自らの計画を瓦解させたこの男だ。

 

「まぁよい。今回のもう一つの目的は達成された。」

男は視線を移す。その見つめる先の画面には純白の杓を持った少女が走っている。

瓦解した計画はさほど大事なものではなかった。ただの遊びだ。その遊びを邪魔したからと言って排除するほど男も暇ではない。真の計画は滞りなく進んでいる。

 

そして画面の前から離れる後ろの水槽の前に立つ。

「今回新しい実験体(おもちゃ)が手に入らなかったのは残念だが、遊べる実験体(おもちゃ)はまだまだある。」

男は笑みを浮かべて、男は水槽の中の(おもちゃ)に目をやる。

 




今回でテオドールの闇落ちのフラグをおりましたww

エピソード2の最後はどうしよかな~

次回は「終わりの始まり」です。

更新はたぶん9月になると思います。




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第11話 ~白杓と巨躯~

みなさん久しぶりです。
やっとここまで来ました。

では第11話をどうぞ。


『テミス』のダーカー襲撃から数日が経過し復興が進む中、俺は任務に出ていた。

 

内容は惑星ナベリウスの古代遺跡の調査、そのためナベリウスに来ていた。

 

「今日はよろしくね。」

「よろしくな。」

「よろしくお願いしますゼノさん、エコーさん。」

ゼノさんとエコーさんが今回に任務の同行者だ。

「いや~シロウがいると安心感が違うぜ。」

「ちょっ!ゼノ私は!」

「はいはい。エコーさんも十二分に役立ってますよ。」

「なんか最近私の扱いが雑になってない。」

エコーさんがむくれながら言う。

「いい加減独り立ちしろってことだよ。お前さぁ俺がいなかったらどうするんだよ。」

「なっ!あんたなんかいなくても別に何も変わらないわよ!……ああもう!こんなバカほっておいて早く行きましょうシロウ君!」

エコーさんが先に歩いて行った。

「たく、なんなんだよ。まぁあんだけ元気があれが大丈夫か。それより」

そこからゼノさんの顔つきが変わった。

「シロウも気づいているかもしれないがなんだか嫌な空気だ。気を付けていこうぜ。」

俺もそれには同意で頷く。

「ちょっと~二人とも速く来なさいよ!」

「はいはいわかりましたよ。」

 

「相変わらず仲が良いですね。」

その声は俺たちの背後から聞こえた。

声のいた方を見ると一人の男性がいた。

「あ、あんたはカスラさん」

「こんにちはゼノさん、エコーさん。君は初めてだね。」

「初めましてエミヤシロウです。」

「あなたがエミヤさんですか。話は聞いてます。新人に新人離れした逸材がいると。私はカスラ。ただのアークスです。」

「おいおい、カスラさん。あんたがただのアークスなら俺たちはどうなるんだよ。なぁ六芒均衡の3カスラさんよぉ」

 

六芒均衡。それはアークス最大戦力。創世器に選ばれた6人。

俺は昔、1の席に座る英雄レギアスを見たことがある。

過去に偉業を成し遂げた様々な英霊と出会ったことのある俺から見て、レギアスがその身から醸し出すその雰囲気は彼らと遜色なかった。

俺の推測だが六芒均衡は英霊になりえる人たちなのだと思う。

 

「いえいえ私なんて。そんな」

「おいおい、カスラさん謙遜するなよ。」

「いえいえ純粋な戦闘ならばみなさんの方が上ですよ」

カスラは苦笑いしながらそう答える。

 

「貴方たちは調査ですか?」

「ああそうだが」

「………そうですか。みなさん気を付けてください。公表はされていませんが六芒均衡に出動命令が出されています。」

 

 

六芒均衡の存在意義はアークスとは違う。アークスの目的が『種の存続』と『ダーカー及びダークファルスの殲滅』なのに対して、六防均衡の目的は『アークスの存続』である。アークスとしても活動は行うが六芒均衡の活動はそれよりも優先される。つまり六芒均衡として出動命令が出るということはアークスの存続が危ぶまれるほどのことが起こり得る可能性があるということだ。

 

「それはあまりいい話じゃないな……」

 

次の瞬間、地鳴りがした。

「きゃっ!い、今のなに?!」

「地震か?!いや地震というか何かが蠢いたような、」

「震源地はあちらのようで……」

カスラが震源地と思われる方向を見て、その先にあるものに気づき固まった。

「カスラさん?」

「すみません。私は今から震源地に向かい調査を行おうと思います。そこでお願いなのですが、協力願えませんか。こういう時は人手は多いに越したことはないんで」

カスラは3人に聞く。

「もちろんだカスラさん。」

「えぇ同行させてもらいます。」

「はぁ私も行くわ。シロウとゼノだけじゃ無茶しそうで心配だし」

ゼノとシロウは即答し、エコーが呆れたように答える。

 

「3人ともありがとうございます。では急いでいきましょう!」

「おう!」

「ああ!」

「ええ!」

カスラの掛け声に3人が答え、震源地の方向に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

震源地と思われる地点に到着するとそこには大きな石碑があった。

そしてその前には少女とそれを見守る男がいた。その2二人は知った人物だった。

 

「ゲッテムハルト!お前ここで何をしてんだ!」

 

ゲッテムハルトはゼノの声に反応して振り向く。

「ゼノにカスラに、それにエミヤシロウか。」

「おい!俺の質問に答えろ!」

「お前たちも感じているだろ。このピリピリするような感覚。今から最高に面白いことが始まるんだよ。」

「お前狂ったか!」

「ああん、狂った?あぁ狂ってるよ。俺はとうの昔に狂ってるよ、10年前のあの日からな!」

「ゲッテムハルト、お前…」

ゲッテムハルトが痺れを切らして

「おいシーナ!まだなのか!!」

シーナに怒鳴った。

「すみませんゲッテムハルト様!」

そう言うメルフォンシーナの手には純白の杓が握られていており、フォトンを流し込んでいる。

 

シロウはその杓に見覚えがあった。それはシロウが武器職人のジクに修理を頼んだものそのものだ。数日前のダーカー襲撃の際に無くなったと聞き、ダーカーに持ち去られたものだと思っていたがのだが。

 

「それはクラリッサ!なぜそれをあなたが?!それは10年前に失われたはずです!」

 

クラリッサとは1代目クラリスクレイス、2代目クラリスクレイスが使用していた創世器だ。10年前、2代目クラリスクレイスの戦死とともに失われたとされていた。どうやらバラバラになって各地に散りじりになっていたようだ。

 

「それを使って何を……」

カスラは少し考え、ある答えにたどり着く。

「まさかあなたたち封印を解くつもりなのですか?!」

「ほぉ、さすが六芒均衡様だな。」

「自分たちがなにをしようとしているがわかっているのですか!」

「くく、当然だ。それでなきゃここまでしねぇよ。」

「くっ、3人とも後で説明はいくらでもします。今は時間がありません。今すぐに彼女からクラリッサを取り上げて下さい!」

 

 

カスラの鬼気迫った顔を見て、2人は状況を飲み込み、カスラともに動き出す。エコーだけが状況を理解できずにオロオロしている。

 

駆ける3人の前にゲッテムハルトが立ち塞がる。

 

「邪魔はさせねぇぞ!」

「俺がこのバカを抑える!2人は先に行ってくれ!」

 

しかし3人は進むことができなかった。

 

 

なぜならゼノ、シロウ、カスラの目前には赤い障壁が現れたからだ。

 

 

 

 

 

「くっ!」

「こまりましたね。この時間が惜しい時に」

ゲッテムハルトはスイッチのようなものを取り出し、手の上で遊ばせる。

「アークスから念の為くすねてきておいてよかったぜ。」

どうやらあれがあの障壁の起動スイッチのようだ。

「あの障壁はスイッチか基点となっている機器を破壊すれば消えるはずです。」

その言葉でゼノとシロウはあたりを見渡す。すると赤い障壁の両端に機器があった。

「シロウさんが左側、私が右側、ゼノさんはまっすぐ彼女に向かって下さい。」

「あぁわかった。」

「シロウさんもお願いします。」

「任された。」

 

「時間もねえし、仕方がねぇな」

障壁はすぐに破壊されると判断したゲッテムハルトは踵を返してメルフォンシーナの元に近づく。

「ゲッテムハルト様?」

ゲッテムハルトは無言でメルフォンシーナの後ろに立つと、

 

 

次の瞬間彼女の腹部をその手で貫いた。

「うっ!」

腹部から血垂れ流しながら倒れていく。なんとかクラリッサを杖にように地面につき体を支える。クラリッサはまるで彼女の生命力を吸うが如くさらに輝きを増す。

 

そしてとうとうメルフォンシーナが地面に伏して倒れた。

しかしフォトンの供給量が十分に達したのか。彼女の手から離れても輝きは失われず、回転しながら浮き上がっていく。

 

「おい!大丈夫か!」

障壁が消えてゼノがたどり着き、倒れていたメルフォンシーナを抱き起こす。

メルフォンシーナはか微かな意識が残っていた。

「ゲッテムハルト様……シーナは…お役に…たちましたか…」

「あぁ、よくやったシーナ。」

「そう…ですか。それは良かったで…………」

メルフォンシーナは意識を失った。

 

「ゲッテムハルト!お前自分が何したかわかっているのか!あの人の妹を手にかけたのだぞ!」

「うるせえ!これはあいつの為なんだよ!シーナもそれを望んでた!」

ゲッテムハルトは彼女に見向きもせず上を見上げて柱に吸い込まれていくクラリッサを見ながらそう答える。

「お前!!」

「二人とも!そこは危険です!そこから離れて下さい!!」

ゼノはメルフォンシーナを抱き上げて後退する。しかしゲッテムハルトはその言葉には従わない。

 

柱がどす黒く輝き出し、再び地鳴りがしだす。まるで柱が鼓動しているようだ。

その前に佇むのはゲッテムハルトただ一人。

「さぁ出てこいよ!ダークファルス!お前は強んだろ!最強なんだろ!なら俺と勝負しろ!」

ゲッテムハルトは腕を広げて叫ぶ。

「今まで何もかもを奪ってきたんだろ!次は俺が奪ってやるよ!!!」

 

 

そして柱から黒い靄が噴き出した。

 

靄はゲッテムハルトを覆い出した。

 

「おい?!なんだこれは?!」

ゲッテムハルトは必死に武器を振り回し、靄を振り払おうとするが靄が振り払われていく気配はない。

靄のゲッテムハルトを覆い、纏わりつく。

 

「こんなの聞いてないぞ!くそ!くそ!」

 

靄がゲッテムハルトを取り込んだ。

 

「シ、シーナ……俺は…俺は…我は…我が」

叫び声は止み、靄は晴れていく。

 

中には肌は黒くなり髪の毛は紫に変わり、全身を黒と紫のスーツで身を包んだゲッテムハルト、いやゲッテムハルトだったものぎ項垂れていた。この場にほとんどの人間が理解した。彼が彼でなくなったことに。それほど男の雰囲気が別人に変化したのだ。

 

「ここは…我は…」

「ふっ」

声を漏らす。

「そうかそうか、ふはふははははははははははははははははははははは!!」

高らかな笑い声と共に体を起こす。

「久しいぞ甘美なる大気よ、うれしいぞ旋律なる清玄よ。我が闘争のための万象よ、長く長く待たせてしまったな」

 

「おい!お前は何者だ!!」

ゼノが問いかける。

「アークスか、畏怖せよ。我が名はダークファルス『巨躯(エルダー)』」

 

「ダークファルス…エルダー?!」

 

「滾る滾るぞ!体の底から滾ってくるわ!この身体が闘争を求めている!喜べアークス初の戯れの相手、貴様たちに与えよう。」

 

 

巨躯が殺気をアークスに向けて放つ。

 

 

「エコー」

ゼノがエコーに話しかけるがエコーは状況が呑み込めずに固まっていた。

「おいエコー!」

「はっ!ゼノ?」

ゼノの声で戻ってきた。

「エコーこの子を連れて今すぐ撤退しろ。」

そう言いながらゼノは抱えていた少女をエコーに預ける。

「撤退ってゼノはどうするの?」

「この場に残る。」

「残るって、あんたひとりで?!そんなの無茶だよ!」

「いやエコーさん俺も残るよ。」

シロウが前に出る。

「カスラさん、俺とゼノさんで時間を稼ぎます。なのでその間に二人を頼みます。」

「……わかりました。お二人さん無茶はしないで下さい。さぁエコーさん行きましょう」

カスラがエコーに呼びかけるが動こうとしない。

「ゼノ…」

「何してる!奴さんがいつまででも待ってくれるとは限らない。今のうちに早く行け!」

「でも…ゼノ…」

それでもエコーは逃げようとしない。

カスラが力づくでも連れて行こうかと思い近づこうといた時、怒号が響いた。

「お前がいたら足手まといだって言ってるんだよ!!!!さっさと足手まといは消えろ!!」

「っ!!」

声の発生源はゼノだ。

それを聞いたエコーは少女をを抱えたまま走り去ってしまった。その瞳に涙を浮かべながら。そしてカスラもこちらも一度見てからそれを追いかけていく。

 

「……ゼノさん」

「いいんだシロウ。それよりも今は目の前の敵だぜ。」

ゼノの目はまっすぐと巨軀を見据えている。

 

「準備は整ったか。猛きアークスよ。」

「なんだ待っててくれたのか。」

「逃げるような腰抜けには興味はない。この身が求めるのは強き者との闘争のみだ。」

そういうと黒いフォトンが巨軀の両腕に集まりだす。

それを見てゼノとシロウを臨戦態勢に入る。

「ほ〜、なるほど、自ら殿を買って出るだけの実力はあるようだな。」

臨戦態勢に入ってからの雰囲気を感じ感心している。

「では開戦といこうか!」

そういうと巨軀は地面を蹴り駆け出した。

その先にはゼノがいる。その巨体では考えられない速度で迫る。ゼノの選択は防御。ゼノは大剣を自らの前に構え、巨軀の一撃に備える。

 

 

巨軀が拳を振り上げ、

 

「まずは邪魔な貴様からだ」

 

拳が振り下ろされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこでゼノに意識が途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!!」

意識が戻ると腹部と背中から腰にかけて激痛が走る。

視界も戻り出し、ぼんやりと周りを見渡す。

自分は岩の前に倒れ込んでいた。

 

ゼノは自分の状況を確認しながら何が起きたかを思い出す。

 

「確か攻撃を剣で受けて……。!!」

ゼノは思い出した。自らに何が起きたかを。

 

ゼノの手に握る剣を見る。名刀などではなくただの無銘の剣ではあるが自分がハンターに転職してから共に戦い抜いてきた相棒が無残にも粉々に砕かられていた。

 

ゼノの身に何が起きたらそれは簡単だ。ただ強大な一撃を受けたのだ。剣はその一撃に耐えることができず、砕け散り、その拳は勢いが緩まることなくゼノを捉え、吹き飛ばし、岩に叩きつけたのだ。

 

 

 

もしあの場でシロウではなくカスラが残っていたならばこの結果は変わっていたかもしれない。しかし今回残ったのはシロウだ。

 

だから巨軀は最初の

一撃で、

最速で、

全力で、

ゼノ(邪魔者)の排除を行った。

 

 

ゼノは身体の痛みに耐えながらを戻った視界でシロウの姿を探すと、それはすぐに見つかった。

 

シロウの巨軀が互いの拳と剣を構えて向かい合っていた。

 

一瞬自分が気を失ってから時間はそれほど経っていないのかと思ったがが二人周りを見るとそれが違うということがわかった。

 

岩に砕かれ、草木切り裂かれ、地面が抉られている。その中心に二人はいるのだ。

 

シロウは目の端でゼノの意識が戻っていることに気づき安堵し、また意識を目の前に集中させる。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

「ふっ!」

そしてまた二人は動き出す。

巨軀が拳を繰り出せばシロウはかわし、シロウが剣を繰り出せば巨軀は黒いフォトンを纏った拳で弾く。それの繰り返しである。

 

「なかなか楽しい闘争よな。しかし貴様まだ手の内を隠しているな」

 

「相手に手の内をバラす馬鹿なぞおらん。」

 

「そんか、ならばーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

力づくでこじ開けようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨軀は拳を地面に向かって放った。纏ったいた黒いフォトンは地面に送り込まれ、地面を伝い、下からシロウに襲いかかった。

 

突然の攻撃にシロウは虚をつかれた。なんとか下からの攻撃は剣で防ぐが目前には巨軀が拳を振り上げている。

 

先ほどからの下からの攻撃でシロウの腰は浮いてしまっているため避けることは出来ない。よって取れる選択は1つだけ剣での防御だ。しかし相手はゼノの大剣を一撃で砕くのだ。小剣で受けたものならばひとたまりもなく砕けるだろう。

 

シロウは自分と巨軀の拳の間に両手の剣を割りこませる。当然一撃の元に破壊された。しかしシロウは双剣を破壊したことで少しズレた拳をうまく身体を捻り紙一重でかわす。

 

そして態勢を立て直す。

 

しかし状況は最悪。

 

武器を失ったシロウに再び巨軀が襲いかかる。

 

「シロウ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『投影(トレース)ーーーーーーー開始(オン)』」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シロウの両手に干将莫耶が投影され、巨軀の放った拳を全て弾き返した。

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

ゼノは驚愕していた。武器を失い万事休すかと思われた矢先、シロウが何か呟くとその両手に白と黒の双剣が現れて、巨軀の攻撃を防ぎきったのだ。

 

そこからシロウは攻勢に転じた。

 

今までかわすしか許されなかった攻撃を今は弾くことが出来る。それにより相手の体勢を崩すことが可能となった。

 

「はぁ!」

「くっ!」

シロウは少しずつ巨軀は削っていく。直撃は避けているが、巨軀の身体には少しずつ傷が増えていく。

 

 

 

 

 

 

 

巨軀はそんな劣勢な状況を楽しんでいた。しかし1つの心残りがある。

 

それはこれほどの強敵に全力を出せないことだ。今の巨軀は一部が封印から解かれただけなのだ。本当の全力を出すには残りの封印を解かなければならない。

 

しかし目の前の強敵はそれをする隙さえも与えてくれないだろう。

 

巨軀がどうには隙は作れないかと考えていると目の前に黒い霧が発生した。

 

異常事態にシロウも巨軀もそこから離れた。

 

その中からその右手に大きな盾を携えたダーカー、ガウォンドが現れた。ガウォンドは巨軀を守るようにその前に立つ。

 

「やぁ久しぶりだね。」

「久しぶりだね。」

 

空中に2人の幼い子どもが現れた。

 

「お、お前たちは!!」

 

「む、双子(ダブル)か。」

 

「「やあ巨躯(エルダー)」」

 

「なんの邪魔をしに来た」

 

「邪魔なんてしないよ」

「君に協力しにきただけだよ」

 

「協力だと…」

 

「「うん、僕たちがこのアークスを抑えておくから()()をとってきなよ。君も早く全力を取り戻したいだろ」」

 

「ふん、そこのアークスよ!この場は一旦預ける。また会いまみえようぞ」

 

そう言うとエルダーは塔に向かって飛んで行った。

 

「おい、待て!」

 

「おっと」

「行かせないよ~」

 

シロウの追撃は双子によって遮られる。

 

巨躯は塔の中に吸い込まていった。

 

「もうなにをしても無駄だよ。」

「もう巨躯の復活は止められない。」

 

「おい!待てお前ら!」

 

ゼノは砕かれた大剣を握りしめて立ち上がるが双子とガウォンドは消え去った。

 

「くっそ!」

 

「ゼノさんここは撤退しましょう。」

シロウがゼノに駆け寄る。

「……。ああそうだな。」

 

ゼノとシロウはその場を離れていく。シロウはゼノに肩を貸そうとしたがゼノは自分で歩けるとそれを断った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

撤退しながらゼノの中には今いろんな感情が渦巻いていた。

後悔

怒り

無力

焦燥

ゼノの頭の中はいっぱいだった。

だから気づくことができなかった。

 

 

「ゼノさん!!」

 

 

自分がシロウに引っ張られていることも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()ことも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




設定・変更点
六芒均衡は英霊になり得る人
カスラではなくシロウが残る
マリアが来る前に巨躯が撤退


今回初の7000字越え

やっぱり思う自分に文才がないこと
しかしそんなことは初めからわかっていたことだ!

投稿始めたころは周1で頑張ろう思っていましたが今や月1に
それでも完結は必ずします。

なのでみなさんこれからもよろしくお願いします。


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第12話 ~始末屋の少女~

ひさしぶりで~す。

エクステラ買いました。メインストーリーのネロが終わりました。
ネロがかわいかった。


では第12話どうぞー



「今回君にはこの男を始末ほしい」

男は少女に写真を渡した。少女は無言でその写真を見つめる。そして顔を覚えたのかその写真を破り捨て、コスチュームと一体化しているツインダガーを一振し、姿を消した。

 

「全くうるさい虫が多くて困る。」

 

 

 

 

 

 

 

少女は標的となる男の後を追っていた。男はナベリウスの遺跡に来ていた。そこでダークファルス『巨躯(エルダー)』と名乗る男が現れてその男と白髪の男がほかの仲間を逃がすために残った。

 

少女もその場に残った。手助けをするためではない。標的の男を始末するためだ。

 

もし標的が死ねばそれを報告すれば良く、生き残ったとしてもその後に始末し報告するだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いは双子(ダブル)の介入により終止符が打たれた。男は生き残った。

少女は気持ちを締め直し行動を開始した。

 

男は何やら考え事をしていて周りに全く気を配ってない。

もう一人はすぐ後ろを歩きまわりを警戒しているが少女には関係ない。

 

 

 

 

 

 

息を殺して、足音を殺して、近づき、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダガーを振り抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

始末屋の振り抜かれた見えない斬撃はゼノを捉える。だがシロウが引っ張ったおかげで即死は間逃れたが、その刃はゼノを切り裂いた。

 

 

そこにトドメを刺すよう第二の斬撃が迫る。

「くっ!『投影開始』!」

シロウがゼノの前に数本の剣を投影し、第二の斬撃は防がれる。

 

「っ!!」

 

少女は驚愕していた。自分の能力を使えば相手は自分を見る事は出来ないはずなのにシロウの視線は少女に向けられている。

 

 

 

 

標的には即死には至らなかったがそれなりの傷を与えた。数分もすれば死ぬだろう。

 

少女は一直線にシロウに向かった。少女が優先したのは目撃者の排除である。

シロウは両手に白と黒の双剣を構える。

 

少女の刃が振り、シロウの首を切り裂こうとする。しかしシロウは右手の剣でそれ抑えて、左の剣で反撃する。

 

少女は大きく後ろに飛び反撃をかわす。

 

少女がシロウから離れるとシロウは少女が見えていないのか周りをきょろきょろしている。

 

自分の能力はしっかりと発動している、そう確信した少女はシロウを時計周りに回り込む。そして背後から一呼吸の間に接近する。

 

 

だが接近するとシロウの眼は少女を捉える。少女を見つけ応戦してくる。

 

 

少女はそこからは能力に頼った暗殺を諦めて戦闘に移った。

 

 

 

右の刃を振りぬくとシロウに止められた。ならばと少女は回りながら飛び上がり逆の刃で攻撃する。

そのまま回転を利用して両手の刃で攻撃を繰り返す。回転を力も相まってそれなりのスピードとパワーが出ているがシロウはそれを防いでいく。

 

地面に着地するとすかさず屈みシロウの首にめがけて右手を突き出して跳び上がる。

 

斜め下からの攻撃は人間にとって避けにくい攻撃のひとつである。しかしシロウはそれを上体をそらして躱す。そして躱すだけではなく無防備にさらされた腹部に蹴りを入れる。

 

「くっ」

 

少女は突き出していた腕は逆の刃でガードできたが吹き飛ばされてしまった。

 

 

すぐに体勢立て直して走りだし再び刃と剣を交える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからどれだけ時間がたっただろう。

数秒なのかそれとも何十分もたったのか。

 

決着はまだつかないでいた。

 

少女の剣は正確に急所を狙っている。決まれば即死は間逃れない。

 

急所目掛けて最速で最短で刃が放たれていく。

 

暗殺者としての剣さばきだ。少女は暗殺者であって剣士ではない。ただ純粋に相手を迅速に殺すのみに特化している。

 

少女には圧倒的に対人戦闘経験が足りていない。

それが少女が目の前の男を仕留めきれてない原因であった。

 

 

 

「「っ!!」」

 

 

 

打ち合いを続けていると誰かが近づいて来ていることに、二人は気づいた。

 

先に行動したのは少女だ。これ以上姿を見られるのは良くないと判断し、シロウから一定距離を取りその能力で姿を消し、撤退撤退していった。

 

シロウは近づいてくる人物が誰かは気になったが、すぐゼノの元に向かい傷の具合を確かめた。

 

傷は深く、出血が多い。内臓も傷つけられている。

ここで応急処置をしてアークスシップに連れて帰っても手遅れになるだろう。ゼノはそれほど危険な状態である。

 

「シ…シロウ…」

「ゼノさん喋らないで下さい!」

 

シロウはその状況を打破する方法を記憶の中から探していた。

 

 

 

そこへ現れたのがーーーー

 

 

「おいおい、なんだか嫌な予感がして気になって来てみればあんたたちここで何を……ゼノ坊その傷はどうしたんだい?」

 

口元を隠したキャストの女性だ。

 

「ちょっとバカマリア!待ちなさいよ!」

女性の後ろから灰色の髪のポニーテールの少女が肩で息をしながら追いついて来た。

 

「遅いぞ馬鹿弟子!」

「うるさい!キャストのあんたと一緒にするな!って何よこの状況?!」

少女は倒れてるゼノを見て驚いていた。

 

「サラ、今すぐシャオにゼノ坊を助けるようにいいな。こいつはここで死ぬのは惜しい人間だ。」

マリアはサラに誰かと連絡を取るように言った。

 

「わかってる!…シャオ聞こえてる?」

 

「おい!あんたたちは一体何者なんだ?」

 

「うっさい!その男は助けるから黙って見てなさい!!」

 

「あ、あぁ」

シロウは圧倒されてしまった。

 

「(何故だか彼女には逆らえない気がする…)」

 

「シャオ!聞こえてるでしょ!この人を!………えっ、そんなことどうだっていいわよ!それより早くしなさい!」

 

 

サラは手をゼノの身体に置き、目を瞑る。

「よし、これで、」

少女はフォトンをゼノに送り込む。

 

 

「なっ?!」

 

 

そうするとゼノに傷が塞がり悪かった顔色を徐々に戻り始めている。

 

シロウは驚いた。

 

「それはレスタなのか?」

 

レスタ

それは光のテクニックに分類される回復のテクニックである。フォトンで細胞に活性化を促して傷を癒すものだが

 

まさか内臓まで治すとは、しかし杖などの補助なしで、この少女のフォトン量がそれ程のものだということか、とシロウが考えるが

「これはレスタじゃないわ。だから傷はまだ治ってない。」

サラがそれを否定した。

「ではなんなのだ?」

 

「それは……「その話は後でいいかい。」」

 

サラが何かも言いかけたのをマリアが遮った。

マリアは先ほどから遠くを見つめている。その視線の先には先ほど巨軀が吸い込まれてた石碑がある。

 

その石碑は鼓動し、邪悪な雰囲気を醸し出してる。

 

「あれが出てくる前にこの場を離れるよ。ここにいるメンバーでは到底対抗出来ない。」

 

そう言うとマリアは自分たちのキャンプシップがある地点へシロウたちを誘導する。

 

シロウもゼノを連れてそれに着いていく。

 

そして4人は無事に惑星ナベリウスを脱出することが出来た。

 

シロウが窓を見るとナベリウスに星も壊せそうな巨人が現れた。足はなく、腕は6本あり、その皮膚はまるで岩が集まったかのようにゴツゴツしている。

 

巨人は姿を現わすとすぐに消えていった。

 

「あれがダークファルス巨軀の真の姿だよ。」

振り向くとそのにはマリアがいた。

 

「いろいろ知りたそうな顔をしているね。ここまで見られだんだ。全て話すよ。」

 

 

 

マリアが落ち着いた場所で話たいといい、4人を乗せたキャンプシップはアークスシップ……ではなくアムドゥスキアに到着した。

 

 

惑星に降りるとそこはこの前に任務でいった火山洞窟とは違い、とても美しく、神聖の空気を漂わした場所であった。 龍族たちの姿がそこらに見える。

 

「ここはね、龍族たちにとって神聖な場所で神祭壇と彼らは呼んでいる。アークスは知らない場所さ。肉体を失った魂はここに還ってきて、また新たな肉体を得るそうだ。」

そう言いながら通り過ぎたフロアには卵が多く置かれており、数人の龍族がその世話をしていた。

 

マリアに着いて行くとそこには正方形の大きな石碑があるフロアにたどり着いた。

 

「やぁ久しぶりだね、元気してたかい!少し匿ってほしい!」

 

『マリア、久しいですね。いいでしょうあなたの願いを受け入れましょう』

 

「それとこいつらと話がしたい。どこか落ち着ける場所を頼む」

 

『ならばここでいいでしょう。ここならば同胞たちが無闇に近づくことはありません。それに我も其方とその者の話に興味がある。場所を提供するのだ、それぐらいは構わないであろう。』

 

シロウはその声に聞き覚えがあった。

 

『久しいですねエミヤシロウ。』

 

その声の正体は龍族の長のカミツである。

 

「えぇ久しぶりです。」

 

「さぁ許しも出たことだし、とりあえず座ろう。」

マリアがそう切り出し、4人はそれぞれ手頃か岩に腰掛けて向かい合った。

 

 

 

 

 

 

 

 




う~ん。
すこし無理やりすぎたかな。

まぁいいかww

次回は説明回になるかな…




最後にお気に入りが100超えました!皆さんありがとうございます!



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第13話 ~真実~

お久しぶりです。FGO祝第一部完結
ラストは感動の嵐



年末は忙しかったですが何とか投稿出来ました。

では13話どうぞ。


「まずは自己紹介からだな。私はマリア。六芒均衡の2をやらせてもらっている。そしてこいつが私の馬鹿弟子のサラだ。」

 

「ちょっと!何よその言い方!まったく…私はサラ。事情があってアークスじゃないんだけどよろしく。」

 

そしてゼノも自己紹介を終わらし、

 

「エミヤシロウです。」

 

「ほ〜あんたが、」

 

マリアはシロウの名前を聞くとなんだか興味深そうな顔をした。

 

自己紹介を終える。

 

「そろそろ本題だ。まずは40年前に倒したはずの巨軀が何故存在してるのか……それは倒せなかったからだよ。」

 

 

そのからマリアが語ったのはアークスの表の歴史には出て来ていない裏の歴史。

 

巨軀を倒すことはできず、当時の六芒均衡の5、初代クラリスクレイスの命を犠牲になんとか封印したのだ。

 

 

「アークスや市民を安心させるために倒したという嘘をついたのか?」

 

「あぁ最大戦力を犠牲にまでして倒せなかったとなれば市民は不安に陥り、アークスはダークファルスを倒せない存在と思い込んでしまう。このことを知ってるのは六芒均衡とアークスの上層部の一部の人間だけだ。あんた達もこの話をここ以外でするんじゃないよ。」

 

シロウはマリアが何故アークスシップではなく、ここで話たのか理解した。

 

「もし話たらどうなるんだ?」

ゼノが疑問を投げかけた。

 

「それは…「口封じに殺される」」

 

その疑問に答えたのはシロウだった。

 

「驚いたね、知ってたのかい。そうだ。秘密を知ってしまった者は上層部お抱えの始末屋に殺される。」

 

「俺は2人、その標的になった可能性がある者を知ってる。1人目は地質学者のロジオさんだ。」

 

シロウは話した。彼がナベリウスの地質を調査している最中に異変を見つけ、上に報告したあとに死んだこと。そして自分が彼の研究室に忍び込んで聞いたことを。

 

「それは十中八九、口封じに消されてるね。」

マリアがシロウの話しを聞き、頷く。

 

「そして2人目はあんただゼノさん。先ほどその始末屋らしき者から奇襲を受けた。ゼノさんなんか心当たりはあるか?」

 

「心当たり……あるな。」

 

ゼノは少し考え、答えた。

 

「俺は10年前の事件について調べているんだ。」

 

「10年前の事件……あの大規模なダーカーの襲撃のことかい?」

 

ゼノは首を縦に振る。

 

 

 

「俺はその事件を調べていてある事に気づいた。他の襲撃と比べて圧倒に多い被害と行方不明者数」

 

その言葉を聞き、シロウとマリアは厳しい顔になり、サラの顔が曇った。

 

「俺はそれに疑問を覚えていろいろ調べた結果、何らかの形でアークスの上層部が関わっていることが分かった。」

 

当時ゼノが現場に到着した時には多数のダーカーの侵入を許してしまっていて、避難も十分に終わっていなかった。それが多くの被害を生んだ。

 

アークスはダーカーの侵入の感知が遅れてしまったためにこのようなことになってしまったと発表したが、調べていくうちにそれが意図的に行われたことが分かった。

 

「それで始末屋に命を狙われたと」

 

「ああ、そうだろうな。だが逆にあの事件には上層部が関わっていることが確定したわけだ。」

 

ゼノは今はすでに無い切られた傷を撫でながらそう答える。

 

「嬢ちゃんが助けてくれたおかげだ、ありがとうな。」

ゼノは頭を下げ、サラに感謝の言葉を述べた。

 

「そういえばゼノさんの傷はまだ治ってないと言っていたな。あれはどういうことだ?」

 

シロウが思い出し方のようにサラに問いかける。

 

「それはね、あなたの傷ついた器官が治るまでその働きを肩代わりしてるのよ。」

 

シロウもゼノもその言葉に驚いた。そのような技術は聞いたことが無いからだ。

 

「じゃ嬢ちゃんが俺の傷を肩代わりしてくれてるのか?平気なのか?」

 

「私じゃ無いわ。私はある事情でとある人と繋がっていてあなたに私のフォトンを流し込んで一時的にその人と繋がりを作ったの。だからあなたの傷を肩代わりしてるのは私じゃなくてその人よ。」

 

「それが君たちの会話に出て来たシャオか。」

シロウが聞くと

 

「ええそうよ。」

 

「他者の生命活動を肩代わりするなど聞いたことないぞ。

そいつは何者だ?」

「………それは言えないわ。けど心配しなくてもあなたに不利になるようなことを彼はしないわ。」

 

「そうか、なら仕方がない。無理やり聞き出すわけにもいかないし。まぁ命があるだけマシだな。それよりも俺には気になることがあるんだな〜」

 

ゼノがシロウを見る。

 

 

「…シロウ。巨軀との戦いの最中に使っていたあれはなんだ?」

 

「ゼノ坊何があったんだい?」

 

ゼノはシロウと巨軀の戦いで見たものを話した。

 

「ただ武器を転送したんでしょ」

サラが言う転送とはアークスが開発した武器の転送技術だ。アークスは基本的には携帯する武器は1つだ。しかし中には状況によって武器を切り替えながら戦うアークスもいる。その武器の持ち運びを楽にしている。登録さえしていれば武器を転送してくれのだ。

 

「いや、あれは転送じゃない。転送はもっと時間がかかる。」

 

そう転送は時間がかかる。新たな武器が少しずつ転送される。その間は無防備になる。敵が目前に迫っている状況で転送によって武器を切り変えるのは自殺行為だ。

 

「わかった話すよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は魔術使いなんだ。」

 

 

 

 

 

 

「魔術使い?……魔術って古い文献などに載ってる今のフォトン技術の元となったあれかい?」

 

「ええそうです。俺の使える魔術は投影魔術です。」

 

「「「投影魔術?」」」

 

「投影魔術とは見たことのあるものを、俺の場合は武器を複製することが出来るんです。」

そういいながらシロウはその手に一本の大剣を投影した。

「おい、それは……」

「ええ、そうです。ゼノさんを剣を複製しました。」

ゼノはそれを手に持ち眺めながらまったく同じだとつぶやいた。

「武器なら何でも複製できるのかい?」

マリアがシロウに疑問を投げかけた。

「はい、その構造さえつかめれば可能です。」

全ての武器が投影できるわけではない。その構造がわからなければ投影はできない。

英雄王ギルガメッシュが持つ乖離剣エアがそれだ。

 

「へ~、ならこいつはどうなんだい。」

マリアは右手を挙げる。

そうすると武器の転送が開始された。

送られてきたのは1本の斧だ。

シロウには見ただけでわかる。あれはただの武器ではない。神造兵器ではないかと。そう思えるほど存在感を醸し出していた。

 

「それは創世器ですか。」

「ああそうだ。私の創世器『閻斧ラビュリンス』だ。」

創世器は破格の性能を得た六芒均衡の専用武装である。

というより創世器を扱えるものが六芒均衡に選ばれる。

 

シロウは解析をかけてみるが全く構造が見えない。

まるで武器自体が意思を持っているかのようにこちらの侵入を拒んでいる。

 

「無理そうです。俺にはそれが武器とは思えない。投影したとしても見た目だけ似せた中身が空っぽの贋作が出来るだけです。」

 

 

「そうかい。武器とは思えないか。それが分かるだけで大したものだよ。」

 

マリアはラビュリンスを見てカラカラ笑いながら答えた。

 

そこへゼノが疑問を投げかける。

「なぁ魔術って遥か昔に失われたはずだろ。じゃあなんでシロウはその失われた魔術を使えるんだよ?」

 

「それは……」

シロウは悩んだ

ここで真実を言ったところで信じてもらえるのか、と

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ。」

 

少年の笑い声が聞こえる。4人は正方形のキューブの上を見る。そこには足をぶらぶらさせながら座っている少年がいた。少年はそこから飛び降りるとこちらに近づいてきた。

 

「シャオ!なにあんた結局出てきたの!まったくさっき『僕の正体は二人には秘密にしといてね』って言ったくせに!」

 

「うん、いったね。そっちの方が面白いかなと思ってね。実際サラが二人に説明しながらいろいろ悩んで考えて面白かったよ。」

 

少年は悪戯を成功させた子供のような笑う。

 

「あんたって本当にむかつく!私の心を勝手に覗くな!」

 

「仕方がないじゃないか。僕と君との関係上ね。」

 

「あーもう!………はぁ言い合っても仕方がないわ。こいつが言っていたあなたの傷の肩代わりをしているシャオよ。」

 

サラは諦めてゼノとシロウに紹介をする。

 

「よろしくね。ゼノ。そしてエミヤシロウ。いや、こう呼んだ方がいいかな---------

 

 

 

 

『異世界の錬鉄の英雄』さん」

 

「「異世界?!」」

 

サラとゼノが驚いていた。マリアは少し驚き、なんだか納得したような表情を浮かべていた。

 

「なぜそれを知っている?」

 

「僕はシオンの縁者()なんだ。だから君のことも彼女から少し聞いているよ。」

 

「そういうことか。ああそうだ。俺はこことは別の世界から来た。俺が元いた世界では神秘性は少なからず残っていて魔術も残っている。俺がこの世界に来たのも、その魔術の到達点の副産物だ。」

 

その後シロウは自分がここはできた経緯を大まかに話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シ、シロウさん!無事だったんですね!」

 

「ええ、心配かけてすみません。」

 

俺はマリアさんとアークスシップに帰ってきた。帰還した時刻はすでに12時を超えていた。そこへ受付カウンターの女の子が話しかけてきた。

 

どうやら俺とゼノさんは行方不明の扱いになっていたようだ。

 

ゼノさんは帰ってきていない。

ゼノさんの目的を達成するにはこのまま行方不明の方が動きやすい。それに一度命を狙われているのだ。アークスに戻ったところでまた命を狙われるだけだ。マリアも残るように言ったので、ゼノはあのまま龍祭壇に残った。

 

始末屋はゼノを殺したと思っているだろう。

実際あのままではゼノさんの助かることはなかった。

 

問題はその姿を見てしまった俺だ。

もしかしたら次は俺が標的になるかもしれないな。

 

俺のところに始末屋が来るなら対処できる。あの少女の能力は厄介だが一定距離まで近づけば感知できる。

 

元の世界で執行者の中には気配遮断や暗殺まがいことをしてきた輩はいた。

これくらい対処できなければ俺は生きてはいないだろう。

 

しかしもし俺ではなく周りにその目が向けられたらどうするかだ。

 

「一番危ないのは……」

 

そんなことを考えながらロビー入るとベンチに俯きながら座っている人を見つけた。

 

目が合った。

 

するとすぐにその銀色の髪を揺らして走りってきて俺の胸に飛び込んできた。

 

「シロウ……よかった無事で。」

 

シロウの胸を顔を埋める。

 

「エコーさんから聞いて、シロウが時間稼ぎのために残ってまだ帰って来てないって、シロウが居なくなるじゃないかって心配だった」

 

 

「そうか、すまないなマトイ。」

 

マトイがシロウを見上げる。

マトイの瞳には涙が浮かんでいる。

 

「私を1人にしないで……1人は嫌なの。とても寒くて怖い。私はもう一人は嫌……」

 

マトイの肩が震えている。

シロウはそっとマトイを抱きしめる。

 

「俺はマトイをひとりにしないよ」

 

「本当?」

 

「あぁ約束だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




シャオとサラは確かこんな感じの設定だったような、間違えていたら書き直します。





とうとうこんな駄作にも評価に色が付きました!!
評価して下さった皆さんありがとうございます!!
作者のモチベーションが上がりました!

では皆さんよいお年を!


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第14話 ~接触~

時はダークファルス巨躯が復活を果たし、シロウたちが立ち去ったあと、宇宙を漂う宇宙船を上に巨躯は人型に戻り立っていた。

「ふははは、やっとこれで全力を出せるぞ。かの惑星で我を押しとどめた者、そしてシロウといったか、あの若き者と。くふふっ……ふはははははっ!楽しいぞアークス!闘争は良い!我をもっと楽しませろ!」

 

「まったく君は」

「僕たちの目的は忘れてないよね」

 

巨躯が振り向くとそこには双子がいた。

 

「忘れてはおらん。だが闘争は我の本能、止めることはできぬ」

 

「忘れてないならいいよ」

「お遊びもほどほどにね」

 

それだけ言い残すと双子は姿を消した。

 

巨躯はそこからはるか遠くに見えるマザーシップを眺める。

 

「楽しませてもらうぞ。せいぜい足掻け、アークスよ。」

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

病室の扉が開き、シロウとマトイが入っていく。

 

病室にはベットに横たわる少女とそれを見守る女性が1人。

 

「シロウ君!!無事だったのね!じゃゼノも!ゼノも……

ゼノはどこなの?」

エコーさんはゼノを探すがその姿はない。

 

「ゼノさんとは途中で逸れてしまって行方がまだわかってないんだ。」

 

嘘である。ゼノは生きているしどこにいるかも知ってる。しかしそれが知れ渡りばまたゼノの命は危ぶまれる。最悪近しい人間を人質にゼノを誘き出すかもしれない。だからゼノの生存は隠すしかなかった。エコーにさえ。

 

「嘘でしょ。ゼノ……」

 

エコーは項垂れる。

 

「まぁどうせあいつのことだ。どこかでしぶとく生きてるでしょうね。全く人の心配も知らないで。」

すぐに顔を上げて俺たちに笑顔を見せるエコーさん。明らかに作り笑いであることがわかる。

 

「私は疲れたし、そろそろマイルームに戻るね。」

椅子から立ち上がり病室を出て行ってしまった。

 

それと入れ替わりに看護師さんが入って来た。

「エコーさんお辛そうですね。」

 

「私たちにできることはないのですか。」

マトイが看護師に聞くがその首を横に振る。

「今は1人でそっとしてあげておいた方がいいと思います。」

 

そう言いながらベットに横たわる少女の点滴を取り替えている。

 

「………うっ、ここは?」

 

少女が目を覚ました。

 

「良かった、目が覚めたのですね。ちょっと待ってて下さいね。ドクターを呼んできますから。」

 

そいういと看護師さんは病室を後にした。

 

「そうですか。私はまた生き残ってしまったのですね。」

少女は誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いた。

 

「すみません。エミヤさん、ゲッテムハルト様はどうなったのですか。」

 

「彼は……ダークファルスに取り込まれてしまった。」

 

「そうですか。やはりあの情報は嘘だったのですね。」

 

「おい。その情報とはなんだ?誰からーーー」

 

その瞬間部屋に白衣に来た男性が入って来た。後ろには先ほどの看護師が付き添っている。

 

これからいろいろと診察をするらしく、病室を出るように言われたシロウとマトイは後日出直すことにし、マイルームに帰って行った。

 

 

 

しかしシロウはここで聞くべきであったとのちに後悔した。

 

 

彼女が口にした言葉の詳細を聞くために次の日、病室に足を運んだが彼女に会うことはできなかった。

 

彼女は反逆罪で捕縛、軍事裁判に掛けられこととなった。そして人との接触を禁止されたのだ。

 

病室の前には常に誰かが見張っていて近づけない。

 

シロウがあの言葉の詳細に聞く機会を失ってしまったのだ。

 

 

◇ ◇ ◇

 

あれから数日

 

ダークファルス巨軀の復活が嘘のように何もない日々が続いていた。

 

『みんな~ありがとう!』

 

『現在人気急上昇中のアークスのアイドルのクーナさんのライブ会場からでした。次のライブは-----

 

見えているテレビにあるアークスシップのライブ映像が流されている。

 

「さぁそろそろ行かなければ、」

 

「シロウ、今日も任務?」

 

あの日からマトイは俺が任務に行くたびに心配してくる。

 

だから俺は出来るだけ安心されるために優しい声で答える。 

「大丈夫、必ず帰ってくるよ。」

そう言いながらマトイの頭をなでる。

 

「そうだ。渡したいものがあるんだ」

 

「渡したいもの?」

マトイが首を傾げる。

 

少し待っていてくれと言い残し俺は自室から1つの箱を持ってきて、それをマトイに渡した。

 

「開けていい?」

 

「あぁ、いいぞ」

 

マトイが蓋を開けるとそこにはネックレスが入っていた。

革の紐に先に銀の剣の装飾が施されている。その柄のの部分には紅く光る宝石が埋め込まれている。

 

 

それは俺が手作りしたお守りだ。俺の魔力が注ぎ込まれていて、つけている者に危険が及んだ時に防衛機能が働く仕組みになっている。

 

前の世界で遠坂から作り方を習い、ここ数日でやっと完成した。一般の魔術師ならばこんな簡易なものは数時間で完成させるであろう。やはり俺は異端の魔術師であることを再確認させられた。

 

そんな話はさておき、マトイは開けた箱の中身の興味深々に見つめている。

 

俺は箱からネックレスを取り出しマトイに後ろを向くように促す。

そして後ろを向いたマトイの後ろからネックレスを付けてやる。

 

つけ終わるとマトイがこちらを向き、

 

「似合ってる?」

 

「似合っているよ」

 

「そっか、えへへありがとうねシロウ!」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

任務先は惑星アムドゥスキアの空に浮かぶ幻想的な浮島、通称『浮遊大陸』。

シロウはある調査のために此処にきている。

 

最近アークスの間で目撃されるようになったエネミーの探索である。

見た目は龍族に似ており、巨大で骨が透けるほどやせこけているそうだ。

神出鬼没でいろんな場所で目撃されている。突如現れては見境なく周辺の生物に襲い掛かる様からアークスは『暴走龍(クロームドラゴン)』と呼んでいる。

 

手がかりはほとんどなくまるで雲をつかむようなものだ。

 

「まったくこれだけの情報でどうやって探せというのだ。」

 

シロウは任務への愚痴をこぼしながら任務を続ける。

 

そうするとどこからか歌声が聞こえてきた。風切り音が混じってはっきりとは聞こえないが誰かがどこかで歌っている。

 

「どこかで聞いたことがあるんだよな………そういえば最近マトイがよく見えいるアイドルの名前はなんていったって。」

 

思い出そうと記憶を探るシロウだったが

 

「___おっとそんなこと考えている場合ではないな」

 

シロウの眼の前に黒い霧が発生し次第に濃くなっていく。

これはダーカーの出現するときの特有な現象である。ダーカーたちはこの霧を出入りして移動を行う。

 

意識の切り替え、新たに新調したツインダガーを構える。投影した夫婦剣を方が使いやすいがどこで誰が見ているかわからない。なのでシロウはアークス規格の武器を使ってる。

 

霧の中から次々とダーカーが現れてくる。

右腕が盾のように発達したガウォンド、それと鏡合わせのように左腕が発達したグウォンドが一体ずつ、空中を泳ぐダガッチャが5体。

 

「全部で7体、いや____」

 

シロウは1振りの剣を逆手に持ち替えて自らの背後の何もあるはずのない空間に突き刺した。

 

しかし剣はには手ごたえがあった。

 

そのにはダーカーの姿があった。ディカーダが瞬間移動で相手の背後に回り込んでいた。

 

ディカーダはその爪を振り上げたまま動きを止め、粒子となって消えていった。

 

「8体だったか」

 

 

シロウはまずはガウォンドに向かって走り、懐に潜り込む。

「はっ!」

 

一撃でコアの外装を砕き、2撃目でコアを破壊する。

 

 

シロウはすぐさまその場から飛びのく。

その場には盾が振り下ろされていた。

 

シロウが跳んだ先には待っていたようにダガッチヤが牙を向けて待っていた。しかしシロウは自分が着地するより先にダガーを投げつけ口の中のコアに突き刺した。体勢の悪い中での投擲はコアを破壊できるほどの威力は生まれなかったのでシロウはその上に着地する。それによりコアは完全に破壊された。

 

着地すると両サイドから2体のダガッチャが襲い掛かってきていた。

 

すぐさま剣を引き抜き同時に左右のダガッチャのコアに剣を刺す。

 

「これで残りは3体……っ!」

シロウが残りの3体を見据えた瞬間、巨大な生物が横から突進してきた。

 

その姿は角に黄色い布がまかれている以外報告にあった暴走龍の特徴と一致している。

 

グウォンドは突進と同時にその強靭な顎で砕かれ、残り2体のダガッチャは1体は踏みつぶされ、もう1体は逃げようとするが捕まり、握りつぶされた。

 

倒されたダーカーは粒子となり暴走龍に吸収されていく。

 

「グオォォォォォォ!!」

 

暴走龍が咆哮を上げる。

 

あまりの音にシロウを耳を塞ぐ。

 

咆哮が止むと暴走龍は黒い霧を発生させてその中に消えていった。

 

「あれが暴走龍、なるほど転移能力を持っているのか。神出鬼没でであることに納得がいく。ダーカーを倒して力に変えているようだが、あれではそのうち自らがダーカーになり果てるだろう。ひとまず少しでも情報が手に入ってよかった。帰還してこれを報告するとするが………君もあれが目的か、それとも俺を殺しに来たのか」

 

シロウを後ろに始末屋の少女が姿を現した。腕に着けた刃はシロウの首にあてられている。

 

「まったく今日はよく後ろに立たれるな」

 

「あなたはやっぱり私が見えているのね。どうしてですか?」

 

「それは教えられないな、企業秘密というやつだ」

 

「命と情報どっちが大事ですか?」

 

「嘘だな、君からはこの前のような殺気が感じられない。」

 

刃を下し、語りだす。

「私は人形です。命令通りに動きます。貴方をここで殺さないのは命令されてないからです。貴方は私のことを報告していないようですね。それは懸命です。報告していればあなたは消されてますよ。今まで何人もそうなってきました。」

 

「俺がそうそう簡単に消されると思うか」

 

「ええ、貴方、腕はたちますが、それだけではどうにもなりません。」

 

「それはそれはご忠告痛み入る。なにかお返しをしないといけないな」

 

「感謝なんてしなくていいです。。私は事実を述べただけです。それに私も収穫はありました。理由はわからないけど貴方は私が見えているということが。これから貴方を近くで仕事するときは見られないように気をつけるとします。」

 

そういうと少女は去っていった。もう姿は見えない。

 

 

 

 

「人形か。」

 

シロウは少女が消えていった方向を見ながらそうつぶやいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




EP1は正直あまり思いつかなかったし、無理やり感がやばくなりそうですwww
ブッ飛ばしていきます。あと3話ほどの予定

頑張っていきます。皆さんお付き合いください。



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第15話 ~アイドルの少女~

あるところに1人の少女がいた。

少女は幼い時から真っ白の部屋で育ってきた。

少女は一人ぼっちだった。しかしある時1人ではなくなった。弟ができた。名前はハドレット。龍族で全身が水色で小さくてとても可愛いかった。

 

少女とハドレットはモルモットだった。

苦しむ毎日。

少女の唯一の安らぎはハドレットと一緒にいることだ。

龍族の成長は早く、出会ってから数年だが初めてはあんなに小さかったのに今ではもう少女よりも大きくなっていた。

少女は実験が終わるとハドレットにもたれかかりながら歌を歌う。ハドレットもその歌を子守唄にして眠りにつく。互いに励まし合いながら苦しい日々を暮らしていた。

 

ある時

実験の結果が芳しくない少女に『透刃マイ』の適切があるとわかると大人たちは彼女を暗殺者にしようした。少女は暗殺の訓練が始まった。

 

ハドレットの姿はみるみる変わっていった。実験によるものだ。あの美しかったハドレット骨が見えるほどやせ細っていた。今にも死んでしまいそうだった。

 

 

少女の暗殺は続いた。そして周りからは始末屋と呼ばれるまでになった。

 

少女の仕事が増えた。情報収集である。そのために上からはアイドルをやるように言われた。アイドルとして接近すれば相手を油断して情報を引き出しやすくなる。

 

 

 

 

表はアイドル、裏では始末屋、それが私。

 

 

 

 

そして

 

 

 

 

唯一の家族で心の支えだった彼は私を裏切った。

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「ハドレット!待て!逃げるな!」

 

クーナは肩の傷を抑えながら叫んだ。

 

ハドレットは見向きもせずどこか消えていく。

 

「くっ!また逃げられるたか!」

 

クーナは荒ぶった気を落ち着かせて振り向く。

 

「それで、またあなたですか。」

 

すこしイラついた口調で振り向くと視線の先には白髪のアークスがいた。

 

「同じ者を標的にしているのだ。こうやって鉢合うのは必然だと思うけどね。」

 

「普通は私がいることにも気づかないはずなんですが。では私は任務に戻るのでこれで、」

 

「待て。」

 

クーナは傷ついた肩を抑えながらその場を立ち去ろうとするがシロウがそれを止める。

 

「その肩に傷の治療をさせてくれ。」

 

「こんなのどうってことないで…ってちょっと!!」

 

シロウは傷を気をつけながらクーナの華奢な体を持ち上げて近くの岩に座らせる。

 

「さぁ傷口を見せてくれ。」

 

クーナも諦めたのか。素直に従う。

シロウはどこから出したのか。消毒液、ガーゼと手早く傷口の処置を行っていく。

 

「質問しても?」

 

「ああ構わない」

 

「どうして私に構うのですか?」

 

「苦しんでいるに人を見るとほっておけなくてね。」

 

「わたしはあなたの仲間を殺したのですよ。憎くないのですか?」

 

「俺はそれでも目の前傷ついた君を助けたいと思ってしまったんだよ。」

 

「あなたは相当のお人好しですね。」

 

「よく言われるよ。こちらからも質問してもいい構わないか?」

 

「はい、わたしが答えれることなら」

 

「君とあの龍との関係について教えてくれ。」

 

「!!………それを聞いてどうするのですか?」

 

「いや何、少しでも君の力になれるかもしれないと思ったのでね。」

 

「あなたに出来ることは何もないと先日教えたはずですが。……いいでしょう、あなたの治療が終わるまで暇なので少し昔話をしましょう。」

 

 

クーナは少しずつ自分とハドレットのことを語り出した。

 

 

「---そして彼は私を裏切って、私を置いて、施設から逃げ出した。」

 

「………」

 

「同情は不要です。こんな仕事はもう慣れました。」

 

「彼が裏切った理由は知っているのか?」

 

「知りません!わかりませんよ!私はそこにはいなかった!」

少女の声を荒げるがすぐに元の口調に戻った。

「すみません、取り乱しました。……裏切者は裏切者です。ハドレットが裏切ったと、そう伝えられたから…私はその命令に従うだけです。」

 

「君はそれでもいいのか?」

 

「…………治療はもう終わったようですね。ではこれで失礼します。」

 

クーナは立ち上がり、そそくさと立ち去っていく。

 

シロウはその場で考え込んだ。

 

ハドレットはダークフォトンの侵食が進み、すでに手遅れであることは分かっている。早く楽にしてやるのが彼のためだ。

 

しかし何も知らないまま彼を殺して彼女の心は救われるのか。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「やあ、久しぶりですね。シロウ君、今日はどうしたんだい?」

 

「アキさんは最近よく出現している暴走龍について何か知っていますか。」

シロウはまず情報を集めるために龍族に詳しい彼女を訪ねた。

 

「暴走龍かい…………そうだね。彼らはさしづめ龍族のアークスといったところだね。龍族がダーカーを倒すことはあるがそれはただ自分たちの住処を守るためだ。しかし彼はどこだろうとダーカーの居るところ現れる。ダーカーの殲滅が任務のアークスと同じだという事さ。」

 

「なるほど」

 

「しかし彼らはダーカー因子を浄化する術を持っていない。龍族たちは皆屈強だがそのうちダーカー因子に侵食されダーカーになるだろう。暴走龍たちがダーカーだけでなく近くにいるアークスなどに危害を加えていることが証拠だよ、()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

「そうですか。ありがとうございます。」

 

 

それからしばらく経ってから

 

 

 

「やぁ久しぶりだね。、あんたも大変だねぇ」

 

「いえいえ、このように監視対象に接触して危険性がないか調査し、報告が私の仕事の一つなんでね」

 

「おやいいのかい監視対象()にそんな話をして」

 

「今さらでしょう」

 

「それもそうか。そうだ先ほどシロウ君が私に暴走龍について聞いてきたよ。」

 

「そうですか。アキさんは龍族について詳しいですからね。よい判断でしょう。」

 

「期待はありがたいんだがね。」

 

「それをなぜ私に?」

 

「なにただの世間話さ。」

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

アキと別れたあとも情報を探したが一向に見つからず数日が過ぎた。

 

 

 

 

 

 

 

 

シロウはどうしたものかと考えながら市街地を歩いていた。

 

 

龍族ということで自分の知る中で一番彼らに詳しそうなアキさんのもとに向かったが有益な情報は得られなかった。ほとんどがデータベースに載っているものだ。

始末屋(彼女)の言う通りなら暴走龍はアークスが生み出したもの、その情報はどこかにあるはずだ。アークスの情報はすべてマザーシップで管理されている。おそらく俺が求める情報もそこにあるだろう。しかし一介のアークスである俺では入ることさえできない。できるのはアークスの上層部と六防均衡などの人たちだ。彼らに変わりに情報を引き出してきてもらえればいいが、そうなると俺がアークスの機密を知り調べていることがばれてしまう。それは避けるべきだ。それ以前に俺はあまり彼らとそれ程つながりを持っていない。マリアさんはこの前話した感じ的にアークスに不信感を抱いているのでバレても問題はない。しかし彼女も裏でいろいろと動いているのでそれの邪魔はできない。そのほかに知り合いだと彼だが・・・・

 

「お久しぶりです、シロウさん」

 

歩いているシロウに声をかける一人の男性がいた。

 

この男こそシロウが思いついた人物であるカスラだ。

 

「お久しぶりですカスラさん。」

この男は何を考えているか読めない。何等かの目的のために動いてるのはわかるがそれがわからない。初めて会った時からそう感じている。敵か味方かわからない。信用していいものか。

 

「そう警戒しないでください。私これでも結構高い地位にいるんですよ。」

 

「ええ知ってますよ。なんせ六防均衡ですからね」

 

「マザーシップにある研究所にも出入りしていて、暴走龍の実験の資料も閲覧したことがあります。」

 

「!!」

 

今ままでそっけない対応していたシロウの反応が変わったことをカスラは見逃さなかった。シロウはしまったという顔をした。

 

「やはりそうですか。」

 

「秘密を探る俺を処分しに来たか?」

シロウが身構える。

 

「いえいえ、そんなことはしませんよ。それにあなたが探っているのを上は知りません。」

 

「ではなぜ?」

 

「アキさんに頼まれましてね。」

 

 

「あんたが人に頼まれてだけで動くとは思えないが。何が目的だ。」

 

「えぇ、ただ人に頼まれただけでこんなことはしません。

あなたにここで貸しを作っておこうと思いまして。アキさんもそれを見越して私に頼んだでしょう。」

 

「わかった、話を聞こう。」

 

 

 

 

その後カスラは語った。

ハドレットの廃棄処分が決まっていたこと

クーナが次の実験対象となっていたこと

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

『みんなー!今日はありがとう!』

 

私が手を振るとファンのみんなが声援を上げて答えてくれる。

 

その声援を背に私はステージを後にする。

 

廊下を歩き、用意された控え室に入る。

 

衣装から私服に着替え、ソファーに座り込む。

 

クーナは数日前のことを思い出していた。

「なんであの時、あの人にあんなに話してしまったんだろう。」

 

 

 

するとコンコンっとドアを叩く音がした。

 

「マネージャーさん?ちょっと待ってくださいね〜」

 

マネージャーと思いドア開けるとマネージャーはいなかった。

 

そこにいたのは白髪で褐色の肌の男がいた。

 

「あれ?ファンの人かな。こんなところまで来てくれるのは嬉しいけど、ここは関係者以外立ち入り禁止なんだよ。あたしに会いたかったらライブに来てね!それなら私は大歓迎だから、ほら、見つかる前に早く!」

 

彼とあったことが有るのは始末屋の時だけのはずだからこのまま他人のふりを続ければ……

 

しかしエミヤは笑みを浮かべながら、

「始末屋とアイドル、本当の君はどっちなんだ。」

 

「気づいていたのですか」

 

「その隠している肩の傷もそうだが、何より見た目は変えられても声は変えられないからな。」

 

「あの時ですか。外では歌うものではないですね。早く入って下さい。誰かに見られたら困りまよ。」

 

「『話題沸騰のアイドルがスキャンダル!』ということか、アイドルも大変だな。」

 

「この場を見られたら大変なのはあなたですよ。私結構ファンから愛されているから。帰り道背中に気をつけてね。」

 

「おっとそれは大変だな」

 

 

二人は部屋に入り、向かい合わせに座る。

 

「それで何か用ですか?」

 

「ハドレットについての情報を手に入れたんでな。それを教えに来た。」

 

「っ!!」

 

 

 

 

 

シロウはカスラから得た情報をクーナに教えた。

 

 

 

 

 

話を聞き終わるころにはクーナの表情は張り詰めたものから驚きの表情へ変わっていた。

 

 

 

「そんな……じゃもしかしてハドレットは私を守るために…」

 

「ああ、おそらくな。」

 

「どうして……そこまで…」

 

「弟なんてそんなものだ。大切な姉のためなら命だろうと厭わない。たとえ裏切り者の汚名を被ってもだ。」

 

「うぅ…ハドレット…ごめんね。あんたは私を裏切ってなかった……なのに私は何も知らないで…」

 

クーナの瞳から涙が溢れ出した。

 

シロウは泣いているクーナを静かに見守った。

 

部屋にはクーナのすすり泣く声だけが響いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「飲みたまえ、少しは落ち着く。」

 

シロウは控え室にあった紅茶を淹れて泣きやんだ私の前に差し出した。

 

クーナは紅茶を一口飲んだ。

 

「……美味しい。」

 

控え室に添えつけてある紅茶は何度か飲んだことがある。しかしここまで美味しいかったことはない。紅茶の葉が入った袋を見たがいつもと同じものだ。

 

「うむ。それは良かった。このようなものでも淹れ方一つで美味しく出来るが。……足りないな。今度マイルームに飲みに来てくれ。美味しい紅茶を振る舞うよ。」

 

「始末屋を自分の部屋に誘うなんてあなたやっぱりおかしな人ですね。」

 

 

「いやなに、俺の淹れた紅茶がこと程度だと思われることが癪でな。伝えることは伝えたし、そろそろ行くとしよう。」

 

シロウは立ち上がりドアに向かい歩いていく。

 

ドアノブに手を掛けると止まりシロウは聞いてきた。

 

「君はこれからどうするんだ?」

 

私は……

 

「ハドレットを追うわ。任務だからじゃない。バカな弟を助ける救うために」

 

「そうか」

 

それだけを言うとシロウは部屋から出て行った。

 

 

 

 

ハドレット、待ってなさい。あなたは私を救ってくれた。今度は私があなたを救う番よ。

 

 

 

クーナの決意は固まった。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

数日後、また暴走龍が現れたという報告が舞い降りた。

場所は最悪。アークスシップの市街地。

 

偶然近くにいたシロウは市民の避難誘導をしていた。

 

その最中、確認したツノに黄色いバンダナを巻いた暴走龍の姿を見た。ハドレットである。

 

避難誘導が終わるとシロウはハドレットを追いかけた。

 

その先には

 

始末屋の姿のクーナがいた。

 

「あなたもここに?」

 

「近くにいたもんでな。君もか」

 

「ええ、わたしも今日ここでライブがある予定だったので近くまできてました。」

 

「クーナ、先ほどハドレットの姿を確認した。」

 

「えぇ私も姿を確認しましたが、すぐに転移してしまいました。」

 

「転移先がわかればいいんだが」

 

シロウは辺りを見渡す。

 

ハドレットが暴れたあとがそこら中に残っている。

 

 

特にスピーカーの周りが目立って破壊されている。

 

「スピーカー……」

 

「スピーカーがどうしたのですか?」

 

「もしかしたら君を探しているのかもしれない。彼は君の歌が好きだったと言っていたな。」

 

「ええ、そうですが。」

 

「もしかしたら君の歌を求めて彷徨っているのかもしれない。」

 

「そんなことありえ……いやでも…」

 

「むやみやたらに探すよりはましだ」

 

「そうですね。それならば彼の目的地は……」

「一番君の歌が流れている…」

 

「「スフィアアリーナ!!」」

 

 

 

 

シロウとクーナはライブが行われる予定だったアリーナに向かって走り出した。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

アリーナの前の広場まで来るとクーナの歌声が聴こえてくる。アリーナの巨大なディスプレイから宣伝用のクーナが歌う姿が大音量で流されている。

 

そして暴走龍の咆哮が響いていた。

 

 

「やはりここか」

 

「ハドレット……」

 

いち早くハドレットの元へ向かうためクーナは速度を上げる。

 

しかしシロウはその場で立ち止まり後ろを向いた。

 

 

クーナも立ち止まり後ろを振り返るとそこには複数の黒い霧が発生しており、そこから次々とダーカーが現れてくる。 10から20体はいるだろう

 

「先にいけ、俺はこいつらの相手をしてから行く。」

 

クーナは頷き、再び走り出した。

 

シロウは自らの後ろの地面に大量の剣を投影しバリケードのように突き刺す。

 

そして1本自ら手の中に投影し、ダーカーの群れに向ける。

 

「ダーカーども、ここから先は行き止まりだ。1匹たりとも通れると思うなよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハドレット!!」

 

 

シロウの足止めの間、クーナはハドレットの元にたどり着いていた。

 

しかしハドレットはすでに空間転移を行おうとしていた。

 

そこにクーナは叫ぶ

「ハドレット!あんたはいつも秘密主義で身勝手で……だから私も勝手にするわ!身勝手にあんたを救うわ!待ってなさい!ハドレット!」

 

ハドレットは黒い霧の中消えていく。

 

その後クーナは外に戻った。アリーナの前の広場につくと、そこにはダーカーの姿はなくダーカーが倒された後に残る特有の黒い粒子が漂っていた。

 

その中心には1人の男が佇んでいた。

 

男はこちらに気づくと歩み寄ってくる。

 

「この短時間であの数を1人で片付けてしまうなんて」

 

「それよりどうなったのだ?」

 

「それに関してだけど。あなた、私の為に何か出来ること無いかって言っていたわよね?」

 

「ああ。」

 

「じゃ、最高のステージの準備よろしく!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




連日投稿

結構の省略

クーナの過去は捏造

これからもいろいろ変えて行きます。


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第16話 ~姉弟~

短め


「ここは?」

 

クーナは連れて来られた場所に着くと疑問を投げかけた。

 

「ここは龍族が催しを行う際に使う場所だ。ここならば誰にも気づかれない。」

 

浮遊大陸のある場所、キューブによって作られた巨大な建造物の中にクーナとシロウはいた。

 

「龍族の長に相談したら、快くこの場を貸してくれたよ。『かの哀しき龍、その身、手遅れなれど、手向けが必要、生まれ出でし場、その身が変わろうとも、龍族の心がある限り、その心はテリオトーとともにあるべき、眠る場は用意する、送る責務は貴方たち』だそうだ、どうやら彼女なりに暴走龍に気をかけているのだろう。」

 

 

「龍族の長って……あなた本当に何者ですか」

 

 

クーナは自分で頼んでおきながらも呆れた顔でシロウを見る。

 

 

「まぁいいです……では始めましょう」

 

 

クーナはそういうと目を瞑り、ゆっくりと息を吸い、歌い始めた。

 

 

 

 

 

するとすぐにハドレットが空間を破り、現れた。

 

 

 

「来ましたね、ハドレット。…………思えば私たち姉弟のように育ってきたのにケンカなんてことはしませんでしたね。」

 

ハドレットは動かない。

 

「こう言うのはなんですが仲は良かったと思います。嬉しいときも、悲しいときも、辛いときも、一緒で……お互いに足りないものを補いあってずっと、ずぅっと……」

 

「……私はあんたがいなくてもしっかりやっていけるから、心配しなくてもいい……お姉ちゃんが終わりにしてあげる。始末屋らしく、誰にも気づかれず、穏やかに、安らかに、送ってあげる。だから最後の最後はびっくりするぐらい大暴れして見せなさい。」

 

 

「ここはあんたのために用意したステージ、そして観客は彼と私だけ、それでも明るく、激しく、鮮烈に!記録は始末され、どこにも残されない。けど裏に生きる私たちだからこそ見てくれた人の記憶に残るように!それが偶像ってものよ!あたしが目指し、あんたが支えてきたものの、全てよ!あんたはこのクーナの弟なんだからそれぐらいやってみなさい!」

 

まるでハドレットはそれに応えるように咆哮を上げる。

 

「シロウ、貴方の力を貸してください。」

「ああ、そのつもりだ。」

 

 

「さぁ姉弟ケンカ始めるわよ!」

 

 

 

 

クーナとシロウはハドレットに向かい駆け出した。

「右足から削ります!」

「了解した。」

 

クーナが指示を飛ばすとシロウはそれを了承し実行に移す。

 

ハドレットは2人を薙ぎ払うかのように腕を振るうが、そんな大振りな攻撃は簡単に避けられてさらに接近を許す。

 

 

2人の接近を嫌がったハドレットは飛び上がり、天井に張り付いた。

 

ハドレットが天井を移動すると天井が岩が落ちて来た。

 

シロウとクーナはそれを避けながらハドレットが降りてくる瞬間を待っていた。

 

しかしハドレットは降りて来ず、天井に張り付いたまま、咆哮を上げた。

 

するとに黒い霧が発生しだした。

 

そしてそこからダーカーがわらわらと姿を現した。

 

シロウとクーナはこの前の市街地のこともあり、ダーカーの出現は予想していた。

 

「クーナはハドレットだけに専念しろ!ダーカーは俺が…!!」

 

シロウがその言葉を、言い終える前にハドレットはそのダーカーの集団の上に飛び降りて、ダーカーを喰らった。

 

ハドレットの姿が変わっていく。

胸は膨らみ青く発光し、前足から黒い棘、背中からは羽が生えてきた。

 

ハドレットは前足を地面に叩きつけた。するとシロウとクーナそれぞれの足元の空間に歪が走った。

二人はすぐさまそこから飛びのく。

 

二人が飛びのいてすぐ歪が走った空間から赤黒い先の尖った柱が突き出してきた。

 

そしてまたシロウとクーナの足元の空間に歪が走る。

 

二人は次々突き出してくる柱を避けながら反撃の隙を伺っている。

 

そして攻撃のインターバルを読み切った二人はハドレットに向かって突撃した。

 

再び右足を削っていく。

 

そしてとうとう耐えかねたハドレットは膝をついた。

 

項垂れてその頭が地面に近づいた。

 

クーナはついた膝を足場にハドレットの頭部へ飛び上がった。

 

 

 

 

ハドレットが散弾のようにブレスを放った。

 

「くっ!」

空中にいたクーナは避けることが不可能、刃で受けるしかなかった。

 

ブレスは直撃こそしていないが、体重の軽いクーナは刃でガードした際の衝撃で飛ばされた。

 

数十メートル飛ばされた後クーナは地面に落ちた。

 

 

 

痛みに耐えながらもすぐさま立ち上がるが、

 

前を向くとそこには8つの赤黒い巨大な弾がこちらを向いていた。

 

「っ!」

 

そしてそのすべてがクーナに向かって発射される。

 

 

 

刃ではガードしきれないほど物量、除けようにも痛みでまだまともに動けない。

 

万事休す、

 

 

 

そう思った時が、

 

 

 

熾天覆う七つの円環(ローアイアス)!!」

 

クーナの前にシロウが割り込み、七つの光の花弁が展開された。

 

7枚の花弁は決して欠けることなく、2人を守りきった。

 

「クーナ大丈夫か!」

 

「ええ、助かりました。もう大丈夫です。」

 

「ならば、行ってこい。」

 

2人の視線の先には膝をつくハドレットの姿がある。

 

クーナは意を決して、ハドレットを向かって駆け出す。

同時にシロウはその手に黒い弓を投影する。

 

クーナはハドレットに接近する。

ハドレット再び巨大な弾をクーナに撃ち込む。

 

 

 

しかし全てシロウの矢によって迎撃されてしまう。

 

そしてシロウの一矢がハドレットの頭に直撃する。

 

その衝撃でハドレットの攻撃が止んだ。

 

 

 

その隙はクーナはハドレットの眼前まで迫った。

 

そして眼が合う。

 

クーナの中で今までのハドレットとの思い出が蘇る。

 

(楽しい時、辛い時、互いの支え合った過ごした、

 

私の唯一の家族

 

心配させないためにここで刃を鈍らせるなんてことはしない。

 

死んでいく弟に、新たなた旅に出る弟に、これだけは伝えたい)

 

 

 

「今までありがとう」

 

クーナの刃がハドレットに深々と突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

----------------------------------------------------------

 

 

 

 

ハドレットは力なく倒れた。

 

 

 

 

 

 

もうすでに虫の息のハドレットに近づく2人、

 

するとシロウがあることに気づく。

 

「・・・・・・・・」

 

「クーナ、きみを呼んでいるぞ。」

 

「何!何を伝えたいの!」

 

「…きみの…うたを………」

 

 

現実は残酷である。

最後を言葉を言い終えることさえ許さない。

 

 

 

 

 

「ハドレット!!」

 

 

 

 

ハドレットの身体は黒い粒子となって崩れ去った。

 

 

その場にはシロウとクーナとハドレットの黄色いバンダナが残されるだけだった。

 

 

 




次でやっとEP1が終わるぞーーー!

EP1だけで1年以上かかってしまいました。




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第17話 ~龍の想い~

連日投稿
前話を読んでない人は先に前話をどうぞ


僕は小さい時から研究施設で育った。

 

ある時、小さな少女と一緒に過ごすことになる。

 

僕は会話は出来ないが理解は出来る。

 

出会うと早速少女は話しかけて来た。

 

「初めまして!私はクーナ!あなたの名前は?」

 

言葉を伝えることが出来ないので答えることが出来ない。

出来たとしても自分には名前が無いので意味がないことだ。

 

「名前ないの?」

 

少女は察してたようだ。

 

「じゃ私がつけてあげる!う〜ん……」

 

悩みながら僕の首につけられたタグをみた。

 

「じゃハドレット!君の名前はハドレット!どう気に入った?」

 

タグには実験体の識別番号が記されている。

彼女のは97、僕は100

 

なんともない、安直な名前、だが今までのように番号で呼ばれより断然よかった。

 

それになぜかその名前で呼ばれるととても心が暖かくなる。

 

「よかった!喜んでくれたみたいだね!」

 

少女は屈託のない笑顔でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それが僕とクーナの出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから少女、クーナとの生活が始まった。

彼女は苦しい生活の中の支えだった。

 

 

僕は彼女の歌が好きだ、聴いていると心が安らぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕はずっとこの研究施設で育った。ゆえに家族の記憶がない、いたかどうかもわからない。

 

 

 

 

 

けどもし家族がいればこんな感じなんだろうか。

 

 

 

クーナは僕にとってお母さん…いや違うな

 

 

 

 

僕の頭を撫でながら歌っているクーナを見る。

 

 

 

 

 

頼りないけどかわいくて優しいお姉ちゃんってところかな

 

 

 

 

彼女がいればどんな辛いことにも乗り越えられる

 

 

 

僕はあの時そう思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

しかしその生活は長くは続かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

クーナの実験は止んだ。

 

 

 

 

その代わりに始末屋として訓練が始まったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

そしてついに人を殺した。

 

 

 

 

 

その日、彼女はずっと部屋で泣いていた。

 

慰めてあげたい。しかしできない。

 

僕は彼女に何も言葉をかけてあげることが出来ないことを恨んだ。自分の無力を恨んだ。

 

自分に名前を、安らぎをくれた彼女に何かを恩返しをしたい、今がその時のはずだ。しかし何も出来ない。

 

彼女に寄り添って一緒にいることしか出来なかった。

 

 

 

 

 

始末屋の仕事をこなすごとに彼女の感情はだんだん失われていった。

 

始末屋として生きるための心の防衛機能。

 

僕はそれも見ているのがとても辛かった。

 

 

 

 

だがある時からそんな彼女にも感情を露わにする時が増えていった。それは情報収集のために始めたアイドル活動の話をする時だ。

 

普段は自分の始末屋の仕事については話さないが、情報収集(アイドル活動)のことは話すようになった。

 

実験施設の中、始末屋として闇の世界で暮らしていた彼女が急に表の世界に立つのだ。不安はったかもしれないがアイドルは彼女の性に合ったいたようだ。口では「ただの仕事だの、めんどくさい」などといっていたがその言葉とは裏腹にその顔は今までの険しい顔ではなく楽しそうな表情だった。

 

「聞いてよ、ハドレット!ライブって凄んだよ!観客がいて、とてもキラキラしててもう凄いだから!」

 

僕も嬉しかった。

 

彼女が感情を取り戻し始めたこともだが、彼女の歌がいろんな人を認められていることが嬉しかった。

 

 

そして会うたびに彼女はその歌を僕のためだけに歌ってくれるそれがどれだけ誇らしかったか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の実験は続いていた。龍族の造龍計画。

 

龍族を改造してダーカーと戦わせようという計画だ。

 

他にも実験を受けている同族がいるのは知っている。

 

実験は上手くいってない。

 

ダーカー因子を吸収して、力が増すことはできる。しかしそのダーカー因子を浄化する力がどうしても備わらなかった。

 

これではまだ実践投入出来ない。

このまま投入したところでダーカーを増やすだけである。

 

 

僕は研究員の会話を盗み聞きし、情報を得ていた。

 

 

 

 

ある時、研究員の会話を聴いていると

 

「もともと龍族という連中はやはり体質的にダーカー因子を自己浄化出来ん。今回の実験でこれまで以上の成果を出せない場合この実験は凍結せよとの上からのお達しだ。」

 

「凍結ですか。じゃこの実験体どもは凍結保存ですか?」

 

「いや、こんな馬鹿でかい連中を冷凍保存していては場所がいくらあっても足りない。全て処分だ。」

 

そうか僕は死ぬのか。

 

「次の実験はなんなのですか?」

 

「アークスの生産と強力だ。まぁ生産に関しては他の部署がアークスのクローン化に成功しているからな。こちらの担当は造龍計画の最終目標であったアークスの強化だ。実験体には被験体97番を使う。」

 

耳を疑った。

 

「97番ってたしか…あのクーナですか。けど彼女は確かアイドル活動してましたよね。始末屋の仕事はいいとしてもアイドルが急に居なくなったら問題になりません?」

 

 

あんな(アイドル)の遊びだろう。適当に理由をつけて引退とさせればいい。」

 

 

「そうですか。彼女の歌は好きだったですけどね。」

 

「なんだお前反対なのか」

 

「いやいや、彼女は身体の性能は一級品です。それを弄れると思うと興奮が治りませんよ。そんでもって、あの美声の悲鳴が聞けるなんて、最高じゃないですか!」

 

「やはりお前はここに向いてるな。さっさとこれを終わらせて次の実験に移ろう。」

 

興奮している男を横目にもう一人の男がコンソールを操作しだした。

 

クーナが次の実験体?

 

クーナがアイドルを辞めさせられる?

 

 

だめだ!だめだ!

 

せっかく彼女があの時の彼女に戻ってたんだ。

 

こんな暗いところではない、明るい世界に出れたんだ。

 

 

 

こいつらがいてはクーナは幸せにならない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では実験を開始する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、僕の中で何かが弾けて意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

気が付けば、どこかはわからない場所にいた。

 

 

 

うっすらと思い出す。

 

 

自分の中のダーカー因子が自分の負の感情に反応して暴走し、その場にいた研究員を殺し、施設を壊し、脱走をしてきたことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕の体は実験によってすでに体はダーカーのみしか受け付けないようになっている。

 

 

本能が生きるためにダーカーを喰えと囁く

理性が生きるためにダーカーを喰うなと叫ぶ

 

 

ダーカーを喰わなければ餓死、

喰えば精神の浸食

 

 

肉体の死か、精神の死か。

 

どちらにせよ自分には死しか待っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

意識がないときがある。気が付けば周りは倒されたダーカーや、傷ついたアークスがいる。そして思い出す。

 

 

 

 

もう時間がない。意識がある時間が短くなっていっる。

 

ダーカー因子の浸食が進んでいる証拠だ。

 

 

 

 

 

 

彼女の歌が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

もう限界だ。精神が保っていられない。

いま自分がどこにいるかもわからない。

 

どこからか彼女の歌が聞こえる。体が勝手にそちらに向かう。

 

気が付けば彼女が目の前にいた。

 

そして彼女は待ってろと言った。なら僕は待つ。

 

この心が持つまで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女が呼んでいる。行かなきゃ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いは終わった。

戦いの最後、彼女は笑顔を浮かべながら「ありがとう」と言った。

 

 

 

こちらこそありがとう…名前をくれて…家族になってくれて…

 

 

身体の力が抜けていく。死ぬのだろうな。

 

もう体の感覚はない。体が消え始めている。

 

 

 

 

彼女見送られながら逝けるのだ。

これ以上はない。

 

 

 

 

 

 

しかし心残りならある。

 

 

 

彼女はステージはキラキラ輝いていたといっていた。

たぶんそこで歌っている彼女の姿もキラキラと輝いて美しいんだろうな

 

 

 

 

そんな彼女を見たかったな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----------------------------------------------

 

ハドレットが消え、その場にはハドレットのつけていた黄色いバンダナだけが残されていた。

 

「ハドレット……」

 

クーナはそのバンダナを拾い上げると彼の名前をつぶやく。

 

「クーナ、少しついて来てくれないか」

 

クーナは今すぐに帰りたかった。一人になりたかった。

今泣くわけにはいかない。部屋で一人ならそんな情けない姿を誰にも見られることもない。

しかしシロウを言葉を断ることができなかった。

行かなければいけない気がした。

 

クーナは無言のまま頷き、シロウについていく。

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

「ここは龍祭壇、龍族たちの聖地で、彼らは死ぬと魂はここに帰ってきて新たな身体を得るそうだ。」

 

「じゃハドレットも!」

 

「あぁ最後のとき彼は自我を取り戻していた。ならばここにいるかもしれない。」

 

「そっか、ハドレットがここに……ならやることは決まっているわね。」

 

クーナは胸にバンダナを握り込んだ手を当て、歌を歌い出した。

 

歌を歌うをハドレットをの思い出が頭に浮かんできて自然と涙があふれてきた。

 

こんなところで泣くきなかったんだけどな

 

その姿はとても儚く尊いものだった。

近くにいた龍族や通りかかった龍族も、誰もが動きを止めてその姿にその声に見ほれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハドレット聞いていてくれたかな」

 

クーナは何もない空間に語り掛けた。

 

返事はない、

 

そう思っていたのだが、何処からかか細く今にも消えそう弱弱しい鳴き声が聞こえた。

 

クーナはまわりに訴えるが誰もが聞こえてないと言う。

 

 

クーナは声が聞こえる方に走り出した。

 

その先には一つの部屋がある。その中にはたくさんの卵がある。

 

クーナは部屋に入ると徐に一つの卵の前に座り込んだ。

 

卵はまるで彼女を待っていたかのように揺れがして卵の殻が破れていく。

 

卵から鮮やかな水色の龍が孵化した。

 

龍はその弱弱しい足取りで目の前のクーナのもとに向かう。

 

その行動は初めて見た者を母親と認識する生物の本能なのか

はたまた別の何かなのか

 

それは誰にも分らない

 

クーナは黙って龍が自らの元に来るのを待ち、両手で大切に抱き上げて胸の高さまで持ち上げる。

 

「きゅ~」

 

かわいらしく鳴く龍の顔はクーナの瞳からおぼれ落ちた涙によって濡れていた。

 

龍はそれを全く嫌がらずクーナに体を寄せていた。

 

クーナはさらに強く抱きしめる。

 

 

 

 

 

 

 

「おかえり、ハドレット」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇどうやってクーナさんのライブのチケット手に入れたの?人気過ぎて入手困難で有名なんだよ」

マトイは隣に立つシロウを質問を投げかけた。

「いや、任務で関係者と一緒になってな、お礼としてチケットをくれたんだ。」

「そうなんだ。あ、アンコールが始まった」

 

二人の目線の先にはステージに立つクーナの姿がある。

 

『みんなアンコールありがとう!!じゃあ特別にもう一曲だけ!!』

 

そういうとクーナは高らかに手を上げる。

するとそこに一匹の水色で首に黄色いバンダナを巻いた小さな龍が舞い降りた。

小さな龍はクーナの手から肩に移り、上に向かい氷ブレスを放つ。

 

放たれた氷ブレスは勢いを失い、雪のようにクーナをまわり降り注いぐ。

 

『これは私の大事な家族に向けて作った曲、』

 

クーナその中でゆっくりと大切に曲名を告げる。

 

 

 

 

 

『〜永遠のencore〜』

 

 

 

 

Episode1 END




これにてEP1は完結です。

いろいろと変更、ねつ造しました。

水色の小さな龍のイメージはSA〇のピナです。

龍祭壇で歌ったのも『永遠のencore』です。
本当は『永遠のencore』の歌詞を載せたかったのですがそれはできないので気になる人は調べて聴いてみてください。



皆さんの感想、評価とても支えになっています。これからも頑張っていきます。

では次はEP2で会いましょう。


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