私の奇妙な大学生活 (ganmodoki52)
しおりを挟む

私の大学生活は少しずつ狂っていく。

めんどくさい・・・。

大学に向かうため、7時過ぎの電車に揺られながら私一色いろはは体全体を支配している気だるさと眠気と戦っています。

高校時代からの憧れだった葉山先輩を追いかけて通う事にした某有名大学。

元々すごい頭のいい訳では無い私は3年の1年間をほぼ勉強に傾け、また運にも恵まれてここに通う事が出来ました。

ただ

なんでガイダンスのためだけに何日も通わなくちゃいけないんですかね・・・。

受験が終わってからのぐーたら生活の弊害かこの麻の電車が辛い。

それに1コマ90分の授業も慣れてなくてとても長く感じます。高校の時より40分も長いとか狂気の沙汰ですよ。

トドメは文系学部だからなのか、ウェイウェイしてるのがクラスにいっぱいいる事です。

頭の回転がいい戸部先輩みたいなのがいっぱいいるんですよ、怖くないですか?

いや、そうじゃない人も居ますけど、顔を覚える必要を感じないというか何と言うか・・・。

 

電車が大学の最寄り駅に付き、大学の生徒達が一斉に電車から吐き出される。

降りた人間が階段へ向かうという同じ意志を持った動きを行う中、その流れに乗り遅れた私は

「きゃっ」

後ろの人とぶつかって転んでしまった。

1人が転んだからと言って人の意思の流れは止まらない。邪魔なものを見るような視線を軽く向けながら人々が通り過ぎて行く。

そんな中、

「その、大丈夫ですか?」

1人の男の人が手を差し伸べてくれた。

「あ、ありがとうございます。」

「では、気をつけてくださいね。」

そう言って男の人は去って行ってしまった。

結構イケメンだったなぁ・・・。

身長はそんなに高くないけど、メガネが似合ってて。でも、ちょっと変な髪型、アホ毛みたいなのが立ってたなぁ。て、

ブンブンブンブン

私は葉山先輩狙いなんです、葉山先輩以外は何ともない、そう、モブです。

思いっきり頭を降って雑念を処理する。

ついでに時計を眺めると少し危ない時間になっていた。

私は小走りでキャンパスに向かうのだった。

 

 

 

はあぁ・・・。

今日のガイダンスが無事終わり、新入生は皆帰路につく。私もその流れにいつもなら乗っていたのだが、

今日は葉山先輩のサークルに遊びに行くんです!

それまでの憂鬱な思いなど消え去り、早足で目的地に向かう。

てっきり葉山先輩は大学でもサッカーをやっているものだと思っていたので、辞めている事を知った時は驚きました。

しかも、参加しているサークルが、

散歩同好会

なんてねぇ・・・。私は部室棟の散歩同好会の前でため息を付きながらノックするのを躊躇していた。

5分ほどノックするかしないか迷いな、覚悟を決めて思い切ってノックする。

コンコン

「はいー。」

ガチャ

ドアが開き、私の思い人葉山先輩が出てくる。

「どうぞっていろはじゃないか!そうか、ここの大学だったな。いいよ、上がって上がって。」

「あ、はい。失礼します。」

葉山先輩が私の事覚えてくれていてしかもここの大学だった事も知ってくれてるなんて私なんて幸せなんだろう。少し舞い上がりながら中に入ると、

「おい葉山、このサークルは基本的に人を取らないって何回言っ」

そこにいたのは朝私に手を差し伸ばしてくれた人でした。

「すまない比企谷、いろはは俺の後輩なんだ。見学位はいいだろ?」

「チッ、俺は比企谷八幡、このサークルの会長だ。今朝は大丈夫だったか?」

「あ、え、一色いろはです。今朝はありがとうございました。」

なんだろう、イケメンなんだけどこの人すごい残念な感じが漂ってる・・・。なんか空気感というか、オーラというか。

「なんだ、2人とも知り合いだったのか、なあ比企谷いいだろ?お前の知り合いだったらこのサークルに入っても。もちろん、いろはが望めばだけど。」

「知り合いっていうか、今日転んでたのを起こしてやっただけだ。まあ、そろそろ後輩でも何でもいいから人数増やさなきゃ部室取られる所だったから構わない。んで、どうするんだお前は。」

「な、何ですかお前呼びって、私には一色いろはって立派な名前があってですねー。」

「そんな事は後でいい。入るのか、入らないのか、どっちだ?」

「後でいいって、あ、えーと入ってもいいんですか?」

あれ?なんか流れで入れそうだ。なんか比企谷先輩って意外と優しい?

「じゃあ決まりだな!な、比企谷?」

「チッ、これは今回きりだからな葉山。次やったらお前除名な。」

「本当にそれでいいのか?後々困るのは比企谷だぞ?」

「チッ」

あー、なんかなんとなく2人の関係性がなんとなくわかってきました。比企谷先輩、葉山先輩にかてないんですねー。

「まあ、いい。ようこそ散歩同好会へ。歓迎するぞ、一色いろは。」

私の大学生活はここから確実に狂っていくのでした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私はこのおかしな人達との学校生活に楽しみを覚えている。

 

大学に入学してから1ヶ月経ったゴールデンウィーク、特に行く場所の無い私はサークルの部室に来ていた。

「ねえ、先輩。なんでこんなに毎日集まってるのに私達は部室から1歩も出ないんですか?」

「なんでって、外に出るのがめんどくさいから。」

「ねえ、先輩。私がこのサークルに入ってから何回散歩に行きました?」

「ん?0回だな。そもそも昨年も行った記憶ねえぞ俺。」

「ねえ、先輩。じゃあなんでここは散歩同好会なんですか?」

「俺の前の会長が発足人だからな、その人に聞いてくれ。」

この人本当に適当だな・・・。

でも、このサークル前から人が居たのか。と言うかこの人他に人がいるサークルに入れたんだ。

ちなみに葉山先輩は教授の手伝いの為に不在です。

葉山先輩の事は葉山先輩って呼ぶのに何故かこの人は先輩と呼んでいます。名前が難しいから先輩でいいかって聞いたらいいって言ってくれたのでそのままですねー。

ピロロン

不意に先輩のケータイが鳴る。どうやらメールみたいだ。

へえー、メールする相手もいるんだ。

なんでさっきからこんな扱いなのかというと、1ヶ月の間この人を見ていてよくわかった、比企谷八幡という人は基本的に誰かに干渉する気が一切ないらしい。

例外は葉山先輩位だと思う。見た感じだと。

実際この部室に布団とか生活用品持ち込んで暮らしてるし。

ん?メールを眺めている先輩が動かない。そんなに長文メールなのだろうか?

画面から目を離した先輩の顔は真っ青になっています。

「おい!一色、すぐ隠れろ!マジでヤバイ!!」

「隠れるって何処にですか!?」

「じゃあこれにくるまってろ!」

そう言うと先輩はさっきまで自分がかけていた布団を投げてきました。

「ちゃんと敷布団の上でな!それと頭と足、間違っても出すなよ!」

何がそんなに問題なんだろうか・・・。でも、誰か来るって事ですよね。

仕方なく体が出ないようにして布団を被った。

すると

ドンドン

ノックが鳴るとドタドタと慌てて先輩が開けに行きます。先輩をこんなにするなんて、一体どんな人なんだろう。

「やっほー、比企谷くん!遊びに来ちゃった!」

「帰ってください・・・。」

「あら?ここの初代会長にそんな事言っていいのかな〜?」

「初代は陽乃さんでも今の会長は俺なんで。」

へえー、陽乃さんって言うんだ。どんな顔なんだろう、見たいなぁ。でも、隠れてろって言われた以上出るわけにはいかないな・・・。

「相変わらずここで暮らしてるの?」

「ええ、ここなら絶対遅刻しないんで。便利ですよ?」

「あれ?なんか布団膨らんでない?」

ビクッ

露骨に動揺する私と先輩。

私はバレないように息を殺す。

「いやー、最近なんか物寂しくなって抱き枕を買ったんすよ。そのせいで少し膨らんでてー。」

「へえー、比企谷くん私という存在がありながら抱き枕なんて使ってるんだ。へえー。」

あれ?寒っ!部屋の温度が一気に下がった気がする。

しかも、今の言い方って、そういう事?

へ、へえー。

「ところでさ、あと1分でも嘘をつき続けるようならこっちにも考えがあるよ?」

「はぁ・・・。一色、出てきていいぞ。」

先輩にそう言われ、私は被っていた布団を剥がし、敷布団の上にペタンと座る事にします。

初めて陽乃さんの姿を見て胸が高鳴りました。こんな綺麗な人見たことない、まるで女神のようだって感じで。

恋心とかではないですけどねー。

「初めまして、比企谷くんの抱き枕さん。雪ノ下陽乃です。」

「あ、えっと初めまして。このサークルに入らせていただいてます一色いろはです。」

「なるほどー、一色ちゃんね。覚えた覚えた。で、早速なんだけど一色ちゃん、最後に言い残したことある?」

前言撤回、この人ヤバイ。

女神というより魔王って言葉がしっくりくるようなオーラ纏ってますよこの人。

ここは穏便に穏便に

「雪ノ下先輩って今おいくつでしたっけ?年上の嫉妬って見苦しいですよ〜?あー、私より時間的余裕が無いからしょうがないですかね〜。年増、ですもんね。」

あれ?なんで私こんな挑発的に返したんだろう?

「あはははははっ。一色ちゃんおもしろいねー。調子に乗るなよ小娘が。」

「あ、それと私は先輩の事これポッチも好きじゃないので、気にしないで大丈夫ですよ?好きなだけイチャイチャしてください。私の前以外でお願いしますねー。」

何故か全力で挑発しているけど、なんでなんだろう。まあ、どことなくイラッとしたからなんですけど。

「あのー、お2人さん少し穏やかに出来ませんかね・・・。」

「「誰のせいでこうなってるのよ(と思うんですか)!!」」

「ハイっ」

仲介しようとしてくれていた先輩を足早に退場させ、雪ノ下先輩とまた睨み合う。

すると突然死角から教科書らしきもので視界が遮られた。

「はいはい、そこまで。陽乃さんもいろはも落ち着いて。」

教科書を差し出した主、葉山先輩の登場は緊迫した空気を軟化させる。

「あーあ、隼人来たから潰す気起きなくなっちゃった。やめやめ。」

雪ノ下先輩はそう言って先輩の方へ向かって、

「比企谷くん、暇な時はまた遊びにくるから!それじゃ!」

そう言い残して部室から出て行ってしまった。

「あのな、一色。あの人はここの初代会長の雪ノ下陽乃さん。今はここの大学院に通ってる。会長の席は俺に譲ってるけどまだここのメンバーだから。あの人は面白がってるだけだから気にしなくていいぞ。」

先輩は慌てて彼女のフォローに回る。

「先輩、やけに親密そうですけどどういう関係なんですか?」

「ただのサークルの先輩後輩だよ。」

「本当ですかー?」

「チッ、うざい。俺がそう言うからにはそう言うことだ。」

「まあ、比企谷と陽乃さんは本当に仲がいいけどな、勘違いする位には。」

「うるせえ、ほらもう帰れ!俺はこの後レポートやんなきゃならねんだ。」

このサークルに入ってわかった事が何個かある。

比企谷八幡という人は他人に干渉する事もされる事も苦手だと言うこと、葉山隼人という人はそれを面白がってるという事、雪ノ下陽乃という人は本気で先輩に恋心を持ってること、そして一色いろははこの場所にいることが本当に楽しいという事だ。

私はこのおかしな人達との学校生活に楽しみを覚えている。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

だから私はこの恋心を自覚する事を許さない。

 

6月、ジメジメとした空気が大学全体に流れ、またゴールデンウィーク明けからだんだんと講義にいない生徒が増えてくる頃。

私一色いろはは今日の講義を終え、散歩同好会の部室の中にいた。

「ねえ、先輩。あれから結局外に出てませんけど外に出る予定は「無い。」ですよねぇー。」

「ねえ、先輩。最近葉山先輩の姿を見ないんですけどどこいったんですか?」

「んあ?葉山なら今日は来るんじゃねーか。あいつ学友との掛け持ちだからな、忙しいんだよ。」

「へえー。先輩、なんで私達は活動があるわけでもないのに今部室にいるんですかね?」

「そりゃ今ここで2人で桃〇やってるからじゃねーか?と言うか俺はここが家みたいなもんだし、いつもいるぞ。」

「先輩、この〇鉄もう3週目ですけど飽きません?さ〇ま名人相手にならないんですけど・・・。」

「ばっかお前、たまにさく〇より閻魔の方が強いのはいつもの事だろ!それにそんな事言うと、ほらボンビー変化すんぞ。」

「大丈夫ですよ、どうせミニボンビーですし。」

同好会長である比企谷先輩とこんな他愛ない会話をしていると

バァン

「はろー!比企谷くん!!お姉さん研究やっと終わったからかまって欲しいなーなんて思ったり、いやあのね嫌ならいいのよ嫌なら、ただもし暇してるんだったらでいいんだけど、ってなんだ一色ちゃんもいたんだー。チッ」

ここの初代会長、雪ノ下陽乃先輩が恋する乙女全開で部屋に入って来た。と言うか何ですか最後の舌打ち!

「あ、陽乃さんちわっす。すいません、俺今桃鉄で忙しいんで。後にしてもらえます?」

「な、比企谷くんひどくない?私桃鉄以下!?」

「あ、陽乃先輩どーもー。舌打ちは聞こえなかった事にしてあげますから黙っててくれません?うるさくて集中出来ないんですよねー。って、ああ!ハリケーンになった!!嘘でしょ!?なんでこのタイミングで!!」

「あきらかに一色ちゃんの方がうるさいよね!?それに私先輩だからね?あと私このツッコミポジション非常に嫌なんだけど!?」

「そうだぞ一色。」

「さすが比企谷くん話がわかる!!ほら、会長としてちゃんと注意して、私先輩!」

「どんなにハリケーンボンビーが嫌だからって大声あげるのは良くない。隣の部室に迷惑だからな。それと、飛ばされた店は全部俺が買い取ってやるから。」

「そっち!?と言うか2人ともさっきから一切こっち見ないよね!?そんなに桃鉄楽しい?私の存在より大事?それはちょっと凹むと言うか自信無くすと言うか・・・。」

「まあ、先輩近くにいますからくっつけちゃいましょうかね。ハリケーン後々厄介ですし。」

「ふっ、甘いな一色、次の目的地は夕張つまり北海道。俺はここで北へ!カード を使う!さらばだ一色!!」

「あのー、やっぱり私は無視?無視なの?」

陽乃先輩が何か言ってる気がするけれども今はそれより

「何やってんですか先輩、北海道今移動中で北に無いですよ?」

「なんだとおおおおお!?!?ついいつもの癖で・・・、秋田まで飛んだよ?これ勝ち目無いよね?まあ、ハリケーンの脅威は去ったからセーフだな。」

「ねえ、ねえってば・・・、ぐすっ、すん。もういいよ・・・。」

陽乃先輩が完全にいじけてしまった・・・。

先輩が慌てて陽乃先輩の所へ向かう。

「陽乃さん、冗談ですから、ねー。大丈夫大丈夫無視しないしない。」

うわ、ヘタクソだ・・・。

必死になだめてますけど普段人と関わらないからだろうな、あきらかに戸惑っているし慣れてない。

のに、

「うっ、ほんと?もう、しない?約束だよ?」

えええ・・・。陽乃先輩チョロすぎですよ・・・。

まあ、好きな人に言われたらああなるのわかりますけど・・・。

好きな人・・・。恋心・・・。

葉山先輩を追っかけてこの大学、サークルに来たはずなのに、このサークルに入ってから、比企谷八幡という人に出会ってから葉山先輩への気持ちがわからなくなってしまった。

確かに、憧れではあったんだと思う。けどそれは遠くの存在だったからであって、今こうしてとても近い存在になった時深い気持ちがなんにも出てこなかった・・・。

それは絶対に先輩という存在が私の中に追加されたからだと思う。

もし、恋心が一緒にいて楽しいという事ならば間違いなくそれは先輩だと思う。

けどそれが恋心なのかどうか、私にはわからないでいる。

それに、先輩には陽乃先輩がいるから。

あの2人は美男美女で本当にお似合いだから。

私がこの恋心を自覚する事は許されないから。

ここまま消えてしまうまで耐えればいいんだから・・・。

「おい、一色!お前のターンだぞ?」

考え事は周りを見えなくするのは本当みたいで、気がついたら先輩はゲームの方に戻ってきていた。

「あ、すいませんぼーっとしてて、ってええ!?」

慌てて先輩の方を見ると先輩の膝の上に陽乃先輩がいた。

「あー、気にすんな。機嫌悪い時はこれが1番効くんだ。ったくめんどくさい。」

「比企谷くん?聞こえてるからね?ばっちり目の前で聞いてるからね?お姉さんまた傷つくよ?」

陽乃先輩は文句たらたらだけれど、させてもらえる事は嬉しいのか満面の笑みだ。恋する乙女、いいなぁ。

違う違う。何とも思ってない、何とも思ってないから・・・。

ガチャ

「やあ、って陽乃さんまたいじけたの・・・。ここの部室いる時の陽乃さんは普段と違い過ぎて困るよ。」

「おう、葉山。学友はクビになったか?」

「君は俺が学友から帰ってくる度同じ事を聞くね・・・。そんなにクビになって欲しいかい?」

「ああ、出来れば学校をクビになってくれるとありがたいとも感じてる。」

「ははっ、本当にクビになっていいのかい?明日からこのサークル無くなるけど?」

「えー、それは困るよー。私が作ったサークルなんだから私が院出るまでは有ってもらわなくちゃ!」

「だそうだよ?比企谷。」

「チッ、さすが学友さんだこった。で、そろそろ活動しろとか言われてきたんだろ?」

「お、よくわかったね。流石に活動しなさ過ぎだって会長に釘を刺されたよ。」

「んじゃ仕方ねえ、一色。どこ行きたい?」

「うぇ!?私ですか?」

「ああ、ちょっと遅れたけど新勧だ。お前の行きたいところ行くぞ。」

「えーっとじゃあ・・・。」

私は今このサークルの皆で過ごす瞬間が楽しいのだ。私の自分勝手で壊す事は許されない。

だから私はこの恋心を自覚する事を許さない。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私はこの全てを捨てることも厭わない。

 

私の為の新入生歓迎活動と台打って行われる事になった第1回の散歩同好会の活動。

行きたいところ、なんて先輩に唐突に振られた為私の口から出てきたのは

「えーっとじゃあ、浅草とかどうですか?」

というありふれた観光地だった。

そして開催日当日。雷門前に集合した私達だったのだが・・・。

「なあ、一色。本当にこんな場所でいいのか?もっとなんか他の場所でもいいんだぞ?てか帰ろう。な?人が多過ぎる。」

「ダメだよ比企谷くん。しっかり先輩として後輩の為に活動しないと〜。」

「その陽乃さんは、俺達の時は連れてってくれなかったんだけどね。」

「うっ、それは、ほら、私が論文で忙しかったから・・・その、ごめんね?」

「ほら、昔の話はいいんだ。今の話をするぞ、帰る、帰る、帰る、から一色、選べ。」

なんでこの人は集合地点で帰る気まんまんなんですか・・・。

「帰るわけないじゃないですか、行きますよ先輩。先輩には運動が必要です。」

ガシッ

先輩の袖を掴み、強引にスタートさせる。

「おい、引っ張んなよ!服伸びるわ!」

「ちょっと一色ちゃん!それ私の役目!と言うか譲って!」

まあ陽乃先輩はそう言いますよねー。それじゃあ、えーっと、

「そうですね〜。その、胸の大きくなる方法教えてくれたら・・・、いいですよ・・・。」

自分で言っておいて凄く恥ずかしい!段々声が小さくなっちゃったけど陽乃先輩聞き取れたかな?

なんでこんなお願いかと言うと、やっぱり陽乃先輩の凶悪なボディを見てると女子として自身を無くすと言うか、なんというか・・・。

いや、肌のキメ細かさなら年齢の分勝ってるとは思うんですけど・・・、それ以外は全敗と言うか・・・。

「その交換条件、乗った!ただ、肌のキメ細かさも負けてないと思うよ?なんなら今度見せてあげるよ?」

「あははは・・・。」

思いっきり心の中読まれてるじゃないですか!?

さすが先輩以外の事は完璧に近い事はある・・・。

「なあ、葉山。なんで女子2人は俺の両袖を掴んでこんな話してるんだと思う?」

「俺は邪魔かもしれないね。まあ、このままじゃ誰も活動報告しないだろうから居るけども。」

「おい、それ答えになってねえぞ。それとお2人ともそろそろ本気で服が伸びるので辞めてください、大人しく歩きますから・・・。」

そう言われ私は大人しく袖から手を離し、陽乃先輩は先輩と腕を組んだ。

「はあ・・・。それじゃあ、第1回散歩同好会の活動を始めますか。」

先輩の一言により、無事に私にとって最初の活動がスタートされた。

 

散歩がスタートしてから前に先輩陽乃先輩ペア、後ろに私と葉山先輩という構図で歩いている。浅草寺内は人が多いので、1列は邪魔ですからね、当たり前です。

「比企谷くん!お姉さん人形焼がたべたいな〜。」

「さっきアイス食べたばっかりでしょ?太るからダメです。」

前の2人はこういう会話や腕組みを見る限りカップルにしか見えないですねー。

私と葉山先輩は殆ど会話が無いですけど・・・。

ズキッ

前を見ていて胸の奥のどこかが傷んだ気がしたけれど、そんなものは無視する。無視するしかないから。

「なんだか子供に言うみたいな言い方でむかつく。それに余計な脂肪は胸に行くからいいんですー!」

ピキッ

私が思い悩んでる間に陽乃先輩は随分な事を言ってますね・・・。

「先輩!このおっぱい魔人にこれ以上栄養与えちゃダメです!この人女の敵です!」

「ふふふ。一色ちゃん、自分の胸に自信無いのはよくわかったから。大丈夫大丈夫、これからまだ伸びるよ。私もだけど。」

「やっぱりこの人敵です!先輩も何とか言ってください!」

「いや、俺が言う事無いからね?と言うか2人の会話に俺が突っ込める所無かったからね?言えるとすれば、」

「一色、あまり気にするな。お前は今のままでも充分、その・・・、かわいいぞ。」

ボシュッ

え?え?かわいい?今、先輩が、私のことかわいいって?

いやいや、まさか。先輩みたいな人が人をそんな簡単に褒めたりするわけないに決まってます。きっとこれは私の聞き間違いで、でも私の耳には先輩のかわいいって声がリピートされてて・・・・・・

「おーい、一色ー!こいついきなり動かなくなったけどどうしたんだ?」

「やっぱり比企谷くんにはたらしの才能があるみたいだね・・・。お姉さん心配になってきたよ・・・。ねえ?隼人。」

「比企谷に自覚無いのは陽乃さんも知ってるだろ?今までは陽乃さんがこれを喰らってた訳だしね。」

「ん?お前ら何の話してんだ?と言うか一色もどってこーい!ここで立ち止まってると他の人の邪魔になる。」

「はっ、あ、はい。ごめんなさい、もう大丈夫です。」

完全に幸せトリップに陥ってた・・・。ダメだ。違う。私じゃない。先輩は陽乃先輩と。

ズキッ、ズキッ

さっきよりもずっと胸が痛い。油断すると涙が出てきそうだ。こんな所で泣いたらきっと感づかれてしまう。

『そんなに辛いなら、逃げちゃえば?』

心の中の私がそう呼びかける。

そうだね、それがいいのかもしれない。

『逃げちゃうくらいなら、自覚しちゃいなよ。自覚する気が無いなら、なんで傷つくのさ。』

なんでって、そんなの

『先輩の事が好きだから、でしょ?ほら、やっぱり自覚してるじゃん?』

そんなこと、そんなこと、あっちゃいけない。だから私は。

「なあ、一色。何食べたい?今日はお前の日だ。好きなもの奢ってやる。葉山が。」

また黙り込んでしまった私を心配してか、先輩はそう問いかけてくる。

「結局俺なのか・・・。活動なんだから部費でいいじゃないか。」

「それもそうだな。で、何にする?」

「えっと、人形焼でお願いします。」

「流石一色ちゃんわかってる〜。と言うわけで比企谷くん買ってきて!」

「はいはい。んじゃ言ってくるから中の方で再集合な。」

そう言って先輩は人の波の中に消えていきました。

 

その後は、本当にあっという間で。

浅草寺で御参りして、人気だというメロンパンを食べて、皆でスカイツリーまで歩く。

その一瞬一瞬が、特別で、大学に入ってからの私の支えだって事を再確認して、そして。

「今日は私のためにありがとうございました。その、たのしかったです。また、先輩の気が向いた時に行きましょう。」

「一色ちゃんも比企谷くんという人がわかってきたみたいだね。また行きましょうなんて言ったら絶対行かないもんね、比企谷くんって人は。」

「まあ、俺が催促しない限り部室から動かないでしょうね。歩いてる時は誰よりも楽しそうな癖に。」

「いつどこで俺が楽しそうにしてたよ、どう見てもへろへろだろーが。絶対に気なんて向かないからな。一生引きこもってやる。」

「それなら私が養ってあげる、なんちゃって。」

「それなら本当に楽なんですけどね。なんちゃってならしょうがないっすね。」

「陽乃さんのこういうところは本当に残念だと思うよ。」

そんなやりとりを眺めながら

「はあ、楽しいな・・・。」

そう、私が呟くと、

「何言ってんのよ!これからもっと楽しくなるんだから!ね?」

「そうですね。まあ、それは会長次第かもしれないけどな。」

「ばーか。楽しくなるに決まってるだろ。このメンツだしな。」

先輩が今日一番の笑顔で笑っている。

はあ、その笑顔をまた見たかったな。

先輩、本当に本当にありがとうございました。

そして、さようなら。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼女の友達も・・・

7月、梅雨も明け夏の日差しが体中に降り注ぐ日常。

寄り道中のコーヒーショップで私は

「ねえ、いろはちゃん本当に大丈夫?」

「あはは、大丈夫じゃ、無いかな?」

自分が取っていたであろうノートを眺めて悶絶していた。

「いろはちゃん毎週授業いたよね?」

「いました。と言うか大学入ってからサボったこと無いです。」

「だよね?なのになんで6月終盤位からのノートがほぼ白紙なのかな?」

「はい、すいません・・・。」

「別に怒ってるわけじゃないの!ただ、このままだとテストマズいでしょ??」

「はい、仰る通りです・・・。」

ちなみに今こうして怒ってくれているのは瀬谷 加奈(せや かな)ちゃん。

大学に入ってすぐに出来た友達で、見ててわかるように面倒見のいい、いい子です。

「もしかして、例のサークルのせい?」

ギクッ

「え?いや?そんな事は、ないよ?もうずっと行ってないし。」

「えぇ!?行ってないの?あんなにお熱だったのに!」

「瀬谷ちゃん声大きい・・・。」

レジの方の店員さんの眉間に皺が寄っているのが見ていてわかる。

「あ、ごめんごめん。それで、どうしてまた行かなくなっちゃったのよ、確かにここ最近おかしいと思ったのよね。あれだけ暇な時間見つけてはサークル出てたいろはちゃんがこんなに誘いに乗る訳ないもんね。」

「え、もしかして私って相当付き合い悪い奴って思われてた?」

「逆に思われて無いと思ってたんだ・・・。」

「あははは・・・。ごめんね?」

「許してなかったら、こんなに心配してないよ。」

「瀬谷ちゃん・・・。」

「ねえ、いろはちゃん。その瀬谷ちゃんって言うのやめない?」

「え?」

「いや、あのね、私はいろはちゃんって呼んでるのに名字呼びだと、なんか傷つくって言うか、なんかいろはちゃんにとって私はそんなに仲良くないのかなって思っちゃって・・・。ごめんね!めんどくさいよねっ!忘れて忘れて!!」

瀬谷ちゃん・・・。そうだよね、こんなに私のこと考えてくれる友達だもんね。

名字呼びはちょっと他人行儀過ぎたかな。

「か、加奈ちゃん?」

あああ、恥ずかしいいいい!どうしてこう、人の名前を始めて呼ぶ時って緊張するんだろう。

ん?

呼んだはいいけど加奈ちゃんの反応がない。

加奈ちゃんの方を見ると、顔を真っ赤にして固まっている加奈ちゃんがいた。

「加奈ちゃん?大丈夫?おーい!」

「えっ、あっはい!ご、ごめんね?本当に久しぶりに名前で呼ばれて、なんか嬉しくって。」

そっか、嬉しくってか。そう言われるとこっちもなんか嬉しくなるな。

「え!?もうこんな時間!?!?」

ドタバタ

「ご、ごめんね、いろはちゃん。私時間が・・・。そ、それじゃあ、わからないとことか、ノート取ってない所は同じのコマのやつは見せてあげるから、それじゃ!」

加奈ちゃんはそう言って、店から出てった。

あー、そういえばもうこんな時間か・・・。

彼女の家は門限が厳しい。7時半には帰らなきゃ怒られるとか、どんな家ですか・・・。

今の時刻は6時半。そろそろ出ないと間に合わないのだろう。

と言うか、もうそんなに時間が経ってたんだ。

加奈ちゃんのノート見せてもらうつもりだったのに、結局見れなかった・・・。

はあ、私的には今から帰るのは少し早い気がして、お店近くの雑貨屋さんに足を運ぶことにした。

私はこの雑貨屋さんを結構気に入っていて、部室に買った雑貨置いてったりもした。

こんな事を思い出すとやはり先輩の事が思い浮かぶ。

先輩、先輩は今何をしてますか?

私が行かなくなって、寂しくしてますかね。

いや、そんなはずは無い。なぜなら彼は比企谷八幡だから。

そう、彼はきっと私と出会う前に戻った位にしか考えてないのだろう。

そんな事考えていたら、すっかり雑貨を見る気も失せてしまい、店を立ち去る。

はあ、本当に思い出も何もかも消えてしまえばいいのに・・・。

「おーい、一色ちゃん。ちょっとイイかな?」

雑貨屋さんの前で陽乃先輩に捕まったのはその時だった。

 

 

 

 

ああ、不自然に思われてないだろうか・・・。

帰り道の途中、私、瀬谷加奈は先ほどの立ち去り方に不安を覚えていた。

はあ、私も一人暮らしとかだったらもっと遅くまで居られるのに・・・。

私の両親は過保護だ。

中学、高校は女子高。無理言って共学の大学に通わせてもらったものの門限は7時半。

この歳になって出掛ける時に誰とどこに行くか親に言わないと出かけられないとか、正直ありえない。

それでも、私は両親が嫌いじゃない。

この過保護も、自分が愛されてる裏返しだと思えば痒いものだと思う。

まあ、その過保護のせいで友達がほとんど居ないのは少し両親を恨むレベルだが・・・。

私は友達が居ない。これははっきりしていた。大学に入るまでは。

やっと出来た友達。

笑顔が可愛くて、ぼーっとしてても、怒っていても、どんな顔も絵になる素敵な子。

いろはちゃんの顔だったらいつまでも見れる気がするな。

お父さん、お母さん、多分きっとこれは恋なんだと思うの。

恋は落ちるものなんてよく聞くけど、まさか本当に自分が恋に落ちるなんて思ってなかった。

けどこれは打ち明けられない恋。

打ち明けたら、全てが終わってしまう。

それでもこの気持ちを私は捨てることが出来ない。

騙して、ごめんね。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私は改めて決意し、戦う事を決める。

 

「一色ちゃん、最近どう?」

 

 

 陽乃先輩に捕まり、加奈ちゃんといたコーヒーショップに逆戻りしたわたしは店員さんの不審そうな視線と陽乃先輩の鋭い視線に挟まれて圧迫死しそうになっていた。

 

「別に普通ですよ?特に問題になるような事は…… 」

「最近部室来てないみたいだけどなんかあった? 」

 

 わたしの言葉をかき消すように陽乃先輩が立て続けに聞いてくる。

 やばい、結構本気出さないと簡単に陽乃先輩の世界に引き込まれてしまう。

 

「ですから普通ですって。何もないですよ? 」

「ふぅん……。ならいいけど、ちょっと聞いてもらってもいい? 」

「はぁ…… 」

「比企谷君、心配してたよ?もしかしたら自分が何かしたんじゃないかって 」

「それは違います!わたしが、わたしが勝手に行ってないだけなので…… 」

 

そう、先輩は関係ない。いや、関係あると言えばあるけれどそれは私の気持ちの問題。自分を縛るための最低限の努力。

 

「それはわかってるの。それがどうしてなのかを聞いてるんだよー?一色ちゃん? 」

 

満面の笑みを浮かべている陽乃先輩を見てわたしの頬がさらに引き攣る。

この人絶対わかってますよね??明らかにわかってて聞いてますよね???

 

「そんなのわかってるに決まってるじゃん。私を誰だと思ってるのかな?」

「さらっと心の中読むのやめてくれませんか……」

「ほら、こういうのははっきり自分で言うから意味があるんだよ!はやくはやく〜! 」

 

 

はぁ……。

できれば言わないで終わりたかったけどそういう風にはいかないだろうな……。

 

「わかりました……。言います、言いますから急かさないでください」

「おっ、物分りのいい子は私好きだよ〜?ほれほれ、早くしないとここに比企谷くん呼んじゃうぞ? 」

「冗談で言ってたとしても本当に笑えないので勘弁してくださいお願いします 」

 

わたしは目にも止まらぬスピードでテーブルに頭をつけていました。

いや、だってねぇ……。この人ほんとにやりかねないから……。

わたしは決心し、少しずつ、ゆっくりと語りだした。

 

「陽乃先輩、わたし…、わたし先輩が好きなんです。本当に好きになってしまったんです。けど、先輩には陽乃先輩っていうお似合いの人がいて。先輩が誰かと幸せそうにしてるのを見るのが辛いんです。それなら逃げちゃったら楽だなって、出会ってから今までを全部無しにしちゃったらきっとこれ以上辛くならなくて済むかななんて。なんででしょうね。出会ってたった3ヶ月ちょっとなのに日に日に想いが大きくなって……。でも、だめでした。無しにしたくて、忘れたくて離れたはずなのに頭の中は先輩でいっぱいで。毎日のように先輩に会いたくて会いたくてしょうがないんです。でも……」

「あー、もういいよ。これ以上は延々ループだろうし、一色ちゃんも辛いだろうし 」

 

 

そう言って陽乃先輩はわたしの言葉を遮る。

 

 

「その上で一つ言うとしたら、舐めんじゃねぇ。かな? 」

 

そう言った陽乃先輩の顔は笑ってはいるが、明らかに怒っていることがわかる。

 

 

「さっきから聞いてれば自分が悲劇のヒロインみたいな事言っちゃって、そんなんなら諦めなければいいじゃない。私に遠慮するなんて百年早いわ。何故なら私は『雪ノ下陽乃』よ?手に入れたいものはすべて自力で手に入れてきた。今回も自力で掴んでみせる。例えあなたが相手だろうと。はあ……。こんな遠吠えも出来ない負け犬に一瞬でも負けるかもと思った私が馬鹿だったわ 」

 

陽乃先輩の一語一句が胸に刺さる。確かに私は戦う前に逃げた。土俵に上がる事を拒否したのだ。それはなぜ?……目の前のこの人に勝てないと思ったからだ。それでいいと思った。……あの時は。今はどうだろう。流石に負け犬呼ばわりにはイラッとした。先輩じゃ無かったらキレてたかもしれない。けど、それと同時にこの人は「負けるかもと思った」と言った。もしかしたらお世辞かもしれない。

これは陽乃先輩の宣戦布告だ。かかってこい!相手になってやる!そういう事だろう。

 

「いいえ、『せいぜい足掻くといいわね。踏み潰してあげるわ』が正解よ? 」

 

うわぁ……、思ったより酷い事考えてる……。

 

「もしかしてまた怖気づいた?」

「いいえ、逆にありがとうございます。おかげで目が覚めました。…………譲って貰わなかったこと後悔しても知りませんよ? 」

「へぇ、そんな事言うんだ?私が尻に火をつけないとこのまま諦めてたのに。まあ、正々堂々やりましょう? 」

 

そう言って陽乃先輩は手を差し出してくる。私がそれを力強く握ると、向こうも思いっきり握り返してきた。

痛い、痛いけど絶対に負けたくない!

何分か握り合ったあと、流石に疲れたのでお互い手を離す。うわぁ……。真っ赤になってる……。陽乃先輩も、まじまじと手を見つめていた。

 

 

流石に時間も遅いからと、喫茶店を出る。お会計は押し切られて陽乃先輩にご馳走になった。しばらく歩いて駅に辿り着いた。

 

「流石に明日は部室顔出すんだよ?比企谷くん

可哀想だから 」

「わかってます……。本当にごめんなさい 」

「それは明日本人に言ってあげなさい。もちろん隼人にもね 」

「はい。……本当に今日はありがとうございました 」

 

そう言って深々と頭を下げる。

もし、今日陽乃先輩と会って無かったら、私は二度と部室に行かなかったかもしれない。そうしてたら私は一生後悔していたかもしれない。

かもしれないばかりだけど、その迷いを断ち切ってくれたのは間違いなく陽乃先輩で。

だから、私は去り際の背中にもう一度宣言する。

 

「私、負けませんから!」

 

私は改めて決意し、戦う事を決める。




更新に時間がかかり申し訳ありません。
次からはなるべく早く更新していきたいと思いますのでよろしくお願いします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。