ソードアート・オンライン ブロッサムフィール(改編版) (偽帝)
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第1話 《絶剣》の噂

2017/11/20更新
2018/07/25更新


カチャ、っと持っている刀を小さく動かすと雑魚モンスターは悲鳴を上げ、ガラスの砕けるような音と共に消滅した。

 

 

「・・・かーえろっと」

 

 

どうでもいい独り言が、洞窟に寂しく響く。

ゲームの中とはいえ武器を使っていない期間があると必ず腕が訛る。これはゲームに限ることではないと思うけど。

 

 

俺のメイン武器である刀は余り使わないんだけど、使わなかった結果、錆びたら元に戻すために無駄な出費が発生するので、時々こうやって家の近くにある簡単な洞窟で腕慣らしをする。決して無駄な時間ではない。

 

 

指をスワイプさせてメニュー画面を出し、アイテムの中から《転移結晶》を1回タッチすると、手の上に現物が現れる。

 

 

「転移、シルフ領・ヴィエント」

 

 

瞬時に俺の体は光に包まれ、洞窟から姿を消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

俺の名前はトウカ、17歳、って誰に説明してんだ俺は。

ヴィエントにワープし終え、草原に座り込む。あぁ、疲れた、運動不足ですね。

 

 

視線の先には綺麗な緑色の町並みと幾つもの塔がある。シルフ領首都・スイルベーンだ。

 

 

ちなみに俺の種族はシルフではなく闇妖精族(インプ)だが、ここシルフ領に自分の家を建てた。インプ領は洞窟っぽい建物ばっかりで真っ暗だから住み心地が悪い、なんか根暗な感じがする。完全に偏見だけど。

 

 

この場所からはスイルベーンがハッキリと見えるし、夜景も綺麗だからここにした。建設費と諸経費諸々で結構もってかれたけど、後悔はない。

 

 

芝生から立って、自分の家へと向かう。

 

 

「ただいま~、って一人か」

 

 

ドアを閉めて、一目散にベッドに飛び込む。ふかふかのベッドはほんとに気持ちいい。一生何もしないでこうしていたい。

 

 

ベッドの上でぐでーーっと寝っ転がったまま、指をスライドさせネットニュースの今日の話題的なものを見る。所謂、○×速報とか△□まとめみたいなやつだ。いつもそこまで熱心に見ないが、その中でも今日は1つだけ、気になるタイトルがあった。

 

 

『謎のプレイヤー<絶剣>待ち受けデュエルで脅威の34連勝!!!』

 

 

いや、強すぎでしょ。

34連勝て、疲れないのかな。尊敬する。

 

 

それにしても、絶剣なんて愛称のプレイヤーは聞いたこともない。多分、ゴリゴリの脳筋プレイヤーとかなのかな。予想に反して女の子とかだったら、なんかいいかも。

 

 

俺は詳細の部分を指でタッチして、表示された内容をに視線をやる。

 

 

書かれていた内容をまとめると、

 

 

・ある日、掲示板にデュエル募集の書き込みが。興味半分で指定された場所に行ったプレイヤーが今日まで立て続けに敗北、未だ勝利した人がいない。そしてほぼ瞬殺されてるらしい。

・新しく実装されたアインクラッド24層の小島で待っていて、もし勝つことが出来れば<絶剣>が使う11連撃のOSSをもらうことができる。

 

 

OSSをもらえるのか。これだけの強さを持っている相手のOSSを勝てばもらえるなんて得の多い話だ。

仮に、俺がデュエルを挑んだとして勝てるのだろうか。一応メインは刀だけど自慢出来る程上手くない。

 

 

「まあ、行くだけ行ってみるか」

 

 

後で後悔するより、デュエルして負けるほうが潔いし後で引きずらないだろう。

 

 

ベッドから起き上がって窓の方を見る。夕陽がスイルベーンの塔を照らしていて綺麗に反射していた。まあ、眩しいんだけど。

 

 

時間を確認すると今は午後4時過ぎ、おそらく《絶剣》はまだ誰かを待っているだろう。もしいなかったら・・・・・、まあその時はその時だ。

 

 

身支度を整えて、俺は絶剣のいる場所へと移動した。



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第2話 《絶剣》

転移結晶を使ったことで、一瞬で視界が寝室から自然溢れる外の景色に変わる。

 

 

着いたのはアインクラッド第24層。アップデートで新しく追加された場所だ。

 

 

ここに出現するモンスターがドロップするアイテムや、階の攻略に興味のない俺にとっては余程のことが無い限り行かない場所だ。家からも遠いし、ALOの他の場所よりも難易度が高い。

 

 

「・・・・・」

 

 

辺りを見渡しても一面の草原と木々が生い茂っているだけで、例の《絶剣》らしきプレイヤーはおろか、誰もいない。

もしかして場所を間違えたか?、と思ってもう一度情報を確認したけど間違ってはいないようだ。

 

 

とりあえずここにはいないので、適当に歩き進める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-------

 

 

数分歩いて探していると、ようやく絶剣がいそうな場所を見つけた。

 

 

大きな湖の真ん中に回りの木とは明らかに違う立派な一本の大樹が生えている。

 

 

そしてその下に広がっている自然と造られたようなバトルフィールド。目を凝らしてよく見て見ると真ん中に誰か立っている。

 

 

「あれが絶剣?」

 

 

大樹の方に向かって歩くと、徐々に立っている人のシルエットがはっきりとしてきた。

 

 

長い黒髪に、動き易そうだがしっかりとした装備。右手には黒い片手直剣を持っている。大樹の方を向いて立っているので顔は見えないが、見た目からして女だろう。

 

 

とりあえず予想していたマッチョ系ではないようだ、それは予想が外れて良かった。

 

 

おそらく彼女が《絶剣》で間違い無いだろう。

そして後ろ姿からでもわかる、絶対可愛い。

行くのが面倒くさい、という気持ちが勝って行くのをやめていたら後悔していただろう。

 

 

「・・・・・・」

 

 

今、彼女に声をかけていいのだろうか。

 

 

なんか集中しているようにも見えるから、声をかけづらい雰囲気というかオーラがある。でも一応挑戦者として来たわけだからどっちみち声をかけないといけない。

 

 

でもちょっと話しかけるなオーラを感じる・・・。

そうだ、このままいつ彼女が気づくか待ってみよう。

《絶剣》て肩書きがあるくらいだから、それこそ“気”みたいなのでこっちの存在に気づくかもしれない。

 

 

フィールドの真ん中に立っている《絶剣》から五歩くらい離れたところで俺は立って、静かに彼女の様子を見る。

 

 

というか、観察をする。

 

 

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」

「・・・・もぉ、話しかけてよぉ‼︎」

 

 

突然《絶剣》が振り返った。

あまりの振り返りの速さにちょっとビクっと驚いてしまう。

 

 

顔を見ると、《絶剣》ちゃんは想像以上の美少女だった。俺よりも何歳か年下なのだろう、少し幼い雰囲気がある。

 

 

彼女の艶のある長い黒髪がそっと揺れた。

 

 

「あの、君も挑戦者さんだよね?話しかけてくれると思ってずっと待ってたのにー!」

「それはごめん。気づくまで待って見てた・・・」

「むぅっ・・・」

 

 

頰をぷくっと膨らませた《絶剣》さんはじっ、と俺を見つめてくる。

 

 

可愛い顔の彼女と目を合わせてると、こっちが恥ずかしくなる。

もしかしてOSS狙いとか彼女を倒したいという目的以外にも、見た目が可愛いから一目見るためにデュエルした人とかもいるんだろうなあ。

 

 

ま、俺は一応OSS目的だからな、不純な目的では来ていない。想像以上の美少女だったから目的変更とかしてないからな、断じて。

 

 

「ボクの名前はユウキ!ここに来たならわかってると思うけど、《絶剣》て呼ばれてるんだ、よろしくね!」

 

 

「トウカだ。こちらこそ、よろしく。」

 

 

ユウキは小さくはにかんだ笑顔を見せる。

何だ、予想していたのと全然違う、可愛い、ただただ可愛い。

 

 

「なんか、こうやって自己紹介するのって恥ずかしいね。へへっ」

 

 

軽く握手して、お互いに数歩後ろに下がる。

 

 

「じゃあ早速始めよっかっ!あ、デュエルでは羽・魔法・アイテム何でも使っていいよっ!」

「え、良いのか?」

「うん、オッケーオッケー!」

「・・・わかった」

 

 

ニコニコしているユウキに片手を揚げて返事を返す。てっきり、メイン武器オンリーかと思って負け覚悟で勝負は半ば諦めてたんだけど、この条件なら勝てる可能性も少しはあるかもしれない。

 

 

自分の刀の柄に手を置こうとした時、<yuukiさんからデュエルの申し込みを受けました>とのメッセージが目の前に表示された。

 

 

直ぐに<Yes>を押すと画面が切り替わり、カウントダウンが始まる。

 

 

「~♪」

 

 

鼻歌を歌いながらユウキは右手で直剣を持ち数回振ると、ゆっくりと構えの形を作った。剣を持っている手を上にあげる、あまりみたことのないフォームだった。

 

 

まだデュエルは始まっていないが、流石《絶剣》と言われてるだけあって構えだけでも風格を感じる。その間にも、カウントダウンの数字は淡々と減っていく。

 

 

5、4、3、2、1・・・・・。

 

 

「0!いくよーっ!」

 

 

お互いのディスプレイに表示された数字が0になり、画面が消えたと同時にユウキは地面を力強く踏んで加速しながらこちらに向かって走ってきた。

 

 

ーーーーー速い

 

 

一瞬の瞬きをした時には、もうユウキの姿は目の前にあった。

 

 

「うりゃっ!」

 

 

ユウキの素早い横一線の剣戟を体を逸らすことでギリギリでかわし、少し後ろに下がる。 まともに食らっていたら結構なダメージだったかもしれない。

 

 

「まだまだだよっ!!」

 

 

さらに追撃しようと、ユウキが距離を詰める。

彼女の持っている直剣が紫色に光りだし、ソードスキルを放とうとしている。初見相手に最初から攻めるのは不安だが、このまま何も反撃しないで受け身になるわけにもいかない。

 

 

「っ」

「わわっ、なに!?」

 

 

ユウキが接近してきたタイミングを狙って、魔法を発動させる。彼女の足元に水色の魔法陣が浮かび上がって、一瞬で両足を凍らせた。

 

 

水属性氷系下級魔法・《アイス》。

種族に関係なく誰でも使うことの出来る初歩的な魔法だが、こういうときには便利だ。

 

 

数秒だとしてもちょっとした足止めができる。

続けて反撃の魔法を発動しようとした時、ユウキは自力で足についた氷を払ってさらに接近してきた。

 

 

勢いよくユウキが振り下ろした直剣を咄嗟に持っている刀で迎え撃つ。華奢な体からは想像できない力が刀に伝わってくる。見た目と力が比例していない。

 

 

直剣は正確に急所を突くように振り下ろされていて、まともに受けていれば確実に致命傷になっていただろう。

 

 

「おらっ!」

 

 

刀に力を入れて何とか押し返す。

ユウキが少し後ろに体勢を崩している隙を付いて、後ろに下がり距離を置く。

 

 

「今、ボクに追い打ちかけてれば勝てたかもよ?」

「そうかもな。でも身のこなしを見る限り追撃しても交わされそうだけど」

「あははっ。確かに、そうかもねっ♪」

 

 

ユウキは舌をペロっと出してニコっとする。今がデュエル中だということを忘れるくらい、屈託のない笑顔だ。

 

 

と、彼女に少し見とれて隙を見せていると、また一瞬で目の前まで距離を詰めてきた。

 

 

 

「はぁッ!」

 

 

剣と刀がぶつかる音が空気を張り詰めさせるように響き、火花が飛び散る。

さっき受けた一撃の力を考えて、最初から刀に結構な力を入れていても、なかなか押し返せない。

 

 

このままだと力負けして剣戟を受けるかもしれないと思い、素早く刀を放してまた後ろに下がろうとするが、それをチャンスと見たユウキにすかさず直剣を向けられる。

 

 

「ハッ!」

 

 

一撃、二撃、三撃と連続した剣戟を間一髪の繰り返しで一つずつ捌いていく。

捌き終わって安心しようとするのもつかの間、再びユウキの直剣が紫色の光を帯び始めた。

 

 

「そろそろ決めるよ・・・!」

 

 

今の言葉、例のOSSを使って決着をつけるつもりなのだろう。

そう考えている時に、視線を下に逸らしていたがまた顔を上げた時にはユウキはもう目の前にいた。

 

 

「やべっ・・・!」

「いくよッ!ハアアアアアッ!!」

 

 

ユウキの直剣が今までよりも深い紫色の光を放ちながら少しずつこちらに向かってくる。

 

 

駄目元で刀を斜めに持って防御の構えをとるが、強力なOSSを食らったら刀もろとも壊れるのは目に見えている。

魔法で対処できなくもないが初見のOSSに使うのは博打だ。

ユウキの直剣が俺の刀に触れる直前まで迫った、その時だった。

 

 

「へっ!?」

 

 

あと一歩で、というところでユウキが体勢を崩した。

何が起こったのかわからなかったが、足元を見てみるとさっき使った魔法の氷がまだユウキの足に付いていた。

 

 

つまり、滑ったということなのだろうか。

 

 

「いてっ!・・・う~・・・」

 

 

それはそれは勢いよく頭から転んだユウキは、立ち上がることもなく目を回して地面に倒れた。

うわ、一番痛い転び方だ。HPゲージが減ってるってことは、これもダメージ換算されるらしい。

 

 

「え・・・・・?」

 

 

これ、俺が勝ったと言えるのか?

 

 

ユウキは依然目を回していて、復活する気配がない。

 

 

 

なんか、パッとしない勝ち方だなあ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

このままずっと放っておくわけにもいかないので、とりあえず気絶しているユウキをお姫様抱っこして、大樹の近くまで運ぶ。

 

 

とりあえず、ユウキの目が覚めるまで待とう。

俺は隣に座って彼女の顔を見る。転倒したときは苦しそうだったが、今は落ち着いた表情に戻っていた。

 

 

「・・・・・・・はっ!」

 

 

突然、ユウキが目を覚ました。

 

 

「おはよう、元気そうで良かった。まさか、あのタイミングであんなことになるとは思わなかった。あんなこともあるんだな」

「ちゃんと下を見てなかったボクの不注意だよ。あはは♪」

「怪我は大丈夫か?」

「うん!たいしたこと無いよ、心配してくれてありがとうっ。あっ、トウカさんっ」

 

 

ユウキは慌てて立ち上がると、指をスライドさせてメニュー画面を表示させて忙しく指を動かしている。

 

 

「ボク負けちゃったから、約束のOSS、あげるねっ」

「そうだったな・・・」

 

 

戦いの結末の印象が強くて、勝ったらOSSをもらえるということを忘れていた。

 

 

俺も立ち上がって、ユウキから送られてきたメッセージに<OK>を押す。すると、手の上に巻物が出現した。

名前は『マザーズ・ロザリオ』とあった。

 

 

「それがボクのOSSだよ。あれ、どうしたの?」

「いや、あれで勝ったって言っていいのかなって思って」

「スキを突こうと思ったら自分にスキがあったからね、そこを対処できなかったからボクの負けだよ」

「そ、そうか・・・」

 

 

敗因は自分にある、ということか。剣士らしい。

 

 

「マザーズ・ロザリオ・・・?」

「うん、それがボクのOSSだよっ」

「そっか。とりあえず、今日はありがとう。またどこかで会えたらその時は一緒にクエストでもやろう。それじゃあ・・・・・」

 

 

軽く挨拶をして、俺は家に帰ろうと彼女に背を向けて歩き出そうとしたら、体が動かない。

ゆっくりと後ろを振り返ると、ユウキに抱きしめられていた。

 

 

「あの・・・?」

「・・・・・」

 

 

あれ、聞いてるのに無視?

何か用があってくっついただけかと思ったら、ユウキは背中に顔を埋めていた。

 

 

「トウカさんいい匂い・・・、落ち着く」

「そうですか・・・。それでご用件は?」

「あっ、ごめん!」

 

 

ハッと何か気づいたようにユウキは俺に回していた手を離した。

俺も振り返って向き合うが、彼女はさっきまでの凛々しい感じとは違って何か恥ずかしそうにしている。

 

 

「あの、トウカさん。お願いがあるんだけど」

「呼び捨てで良いよ。・・・叶えられる範囲で聞くけど」

「あ、あの!ボクをトウカの家に住まわせてください!!」

「え?」

「その、トウカの家に居候させてほしいなあって・・・」

「い、居候?」

「あのね、ボク《絶剣》って呼ばれて有名になっちゃってるけど、全然ユルドないんだ」

「知名度はあるけど儲かってはいないみたいな?」

「うん、そんなかんじで・・・」

 

 

ちなみにユルドとはALOでのお金の単位で、たぶん1ユルド=1円くらい。今のところ現金に換えるシステムはない。

 

 

「毎日ギリギリの生活をしてて、1日でその日のご飯と宿屋一泊分くらい稼げればいいくらい」

「それは厳しいな」

「うん・・・」

 

 

まさか噂の《絶剣》がデュエルに強いだけでほぼ無一文だったとは。

 

 

「でね、デュエルでボクに勝った人ならボクよりも良いところに住んでたりするかな、と思って!それでトウカに言ったの!」

「なら俺が負けていたら他の人になってたかもしれない、ってことか」

「そうだね。そう思うと、トウカが勝ってくれて良かったかも!」

 

 

仮に他の人が勝ってたらユウキはその人にお願いしてたのか。

そう考えると確かに、運要素があるとはいえ勝てて良かったかもしれない。

 

 

ユウキはちょっとだけ首を傾げながら上目遣いでじっ、と見つめられる。

 

 

「一緒に生活するの、ダメ、かな?トウカっ?」

 

 

そんなに目を潤ませながら見つめないで、可愛すぎる。

 

 

「・・・わかった。家で良いなら一緒に住もう」

「ほんとっ!?やったっ、トウカありがとっ!」

 

 

ユウキは不安そうだった顔を嬉しそうに明るくさせて、ぎゅっと勢い良く抱きついてきた。

 

 

「トウカぁ~、ありがと~!」

 

 

ぎゅっ、と離れないようにユウキは少し強めに抱きついて、頬擦りをしてくる。ぷにぷにですべすべしてそうなユウキの頬は見ているだけで触り心地がよさそうだ。

可愛い顔を見せてくれたお返しに、そっとユウキの頭に手を置いて髪を撫でてあげると、もっと嬉しそうに目を細めた。

 

 

たった数分間、会った時と今とで全く違う関係になった。

 

 

まさか《絶剣》のユウキに勝って、お願いされて今後一緒に住むことになるなんて思いもしなかった。

これからどうなるのだろうかわからないけどなんとなく楽しそうな気がして、自然と笑みが零れた。



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