平凡魔導士の下剋上 (東雲 颯)
しおりを挟む

新たなる始まり

「よし決めた!僕はこの高校に行く!」
冬真は封筒の中にある紙に自分の名前などを記入し違う封筒に入れてポストに入れた
そして春になり高校の入学式にいく冬真は学校の前まできて思わず驚愕してしまう
「この学校って、お金持ち学校なのか…?俺かなり場違いじゃない?」
と校門の前で1人つぶやいていると
「すいません、通してくれませんか?」
不意に声をかけられて慌てて後ろを向くと、そこにはとても顔が整った女の子が立っていた


「はぁー…明日からみんなは高校生か〜いいなー、俺も夢の高校生活をしてみたいよー草野ー」

 

僕は布団に横になりながら携帯電話を片手に通話していた。電話の相手は幼馴染の草野芽衣である

 

 

「そう言われても私には何もできないし、ちゃんと受験勉強を頑張らなかった冬真も悪いんだからね?」

 

「うぅ…おっしゃるとおりで」

 

「そんなに嫌なの?平凡って言われるの」

 

「嫌に決まってんだろ!?それが俺の悩みなんだよ?」

 

冬真は悩みを抱えている。それは小さい頃から言われている平凡人間というあだなである

顔も平凡、学力も平凡、運動神経も平凡、このように彼は誰が見ても平凡だと納得してしまうくらい平凡なのである

冬真は考え込んでしまいついつい通話していたのを忘れていた

 

「私は平凡なところもいいと…思う…けど…」

 

「ん?ごめん何て言ったの?」

 

「べ、別に何でもないよ!」

少し怪しく感じたがそれ以上追求はしなかった

 

「ま、僕の分まで楽しんでね!」

 

そう言うと、うん!っと返事がかえってきたの聞いて通話を終了した

僕の家はけして裕福とはいえない家庭のため、高校にいくこともできない状態だった。だから冬真も受験を諦めて働こうと思っていた。だが冬真の中にもやはり高校にいけないという未練があるようで落ち着かなかった

そんな時に母親から呼び出された

 

「冬真ー?ちょっと来て」

 

冬真は気だるげに返事すると母親の元にいった

 

「何?おつかい?」

 

「違うわよ、これあんたあてに封筒がきてるわよ?何でも

高校入学のご案内だそうよ」

 

冬真は母から封筒を預かるとその場で開け始めた

中には確かに高校入学の案内と、聞きなれない学校のパンフレットが入っていた

 

「魔法学校アスタルト?そんな学校聞いたことないな」

すると、パンフレットから白い紙が落ちた。それを見た冬真はおどろく

 

「え!入学日無料!?それに授業料も通常の半額!?学校で必要な物は全て学校側が負担!?」

 

驚きのあまり母親からうるさいと怒られてしまった。だがさすがに信じられない内容だった

これを見た冬真は心の中にある高校に行きたいという気持ちが膨れ上がるのが感じた。だが

 

「さすがにこんなうまい話詐欺だよなー」

 

やはり話しがすごすぎて嘘にしか感じられない。

そんな時に、携帯電話がなりだした。電話をかけてきたのはさっきまで通話していた草野芽衣だった

 

「もしもし冬真?いきなりかけてごめんね」

 

「いいよいいよ、で何?」

 

「私と同じ高校に通ってみない?」

 

冬真はえ?って返事しか返せなかった

 

「無理でしょ!第一、どの高校かもわからないし」

 

芽衣はあ、言ってなかったねと行った後に

 

「私はね、魔法学校アスタルトってところだよ!」

 

「え!?」

 

冬真は先ほどのパンフレットを見て気付いた。

この高校のやつはきっと本物だ!これで俺も高校に行ける

 

「どーしたの?何かあった?」

 

「いや、何でもないよ。まー考えとくよ!」

 

そう言って芽衣との通話を終了するとすぐに母親に紙を見せこの高校にいきたいと言った

母親は笑顔でいいわよ。と言ってくれた。

冬真は部屋に戻ると明日から高校生だ!と大声で言った為また母親からうるさいと怒られるのだった

そして、入学式当日突然の入学のために制服が届かなかった冬真は中学の頃の制服を来て入学式が始まる1時間前に向かった

そして冬真が学校の前まで来て驚愕した

 

「この学校ってお金持ち学校なのか…?俺かなり場違いじゃない?」

 

と校門の前で1人で呟いていると

 

「すいません、通してくれませんか?」

 

不意に声をかけられて慌てて後ろを向くと、そこにはとても顔の整った女の子が立っていた

 

「あ、ごめんなさい。」

 

そう言って横に避けるとその子はスタスタと歩いて行ってしまった。

 

「すごく可愛かったな…」

 

冬真は小さな声で呟いた。

 

「この学校にはあんな子がいっぱいいるのかな?だとしたらすごく楽しみだ!」

 

そして冬真は新たな生活に胸を弾ませながら魔法学校アスタルトの門をくぐるのだった

 

 

 




読んでいただきありがとうございます!
初めて小説を書いたので不自然なところや変なところがあると思いますがその時はご指摘ください
今回はバトルはなく、ただ主人公の話がメインです!
次の話では多分バトルが入ってくると思います!
是非、次の平凡魔導士の下剋上を読んでいただけると嬉しいです


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

限界解除<リミットブレイク>

冬真は何もできなかったので、せめて飲み物でもと思い少し離れた自販機まで足を運び飲み物を買っていた。そんな時にあることに気付く

「ん?空の黒いのはなんだ?…まさか魔物!?」

冬真は嫌な予感がした。

「水城!逃げろ!」

大声で叫び、全速力で水城の元へ走る。だが、魔物は空から一直線に水城めがけて落ちてくるため間に合わない
水城も、気付いたものの力が入らず立てずにいた

冬真は走りながら思った
平凡だろーが絶対にできないことなんてないんだ!
そう思いながら冬真は手を伸ばした


「この校舎でかすぎて、自分の場所すらわからねぇ!」

 

冬真は校門をくぐり校舎の中に入ったのだが、校長室への道どころか自分が今どこにいるのかすらわからずにいた

 

「1時間も早く来た意味なくなっちゃうじゃん!どーすればいいんだー!」

 

そう叫びながら頭を抱えながらキョロキョロしていた

もし人がいたならきっと不審者と言われてしまうだろう。

冬真がもうわからん!と諦めようとしていたら突然

 

「あれ?あなたさっき校門で道を塞いでた人?」

 

冬真は後ろを振り返ると、そこには校門のところで見た女の子が立っていた。

 

「もしかして新入生?制服着てないからてっきり中学生かと思ったよ」

「あ、はい!ぼ、僕はいきなり特待生として入学することになったので制服が間に合わなかったんです」

 

そう言うと女の子は納得したように頷いた

 

「もしかして、校長室に用があるけど場所がわからなくて困ってるとか?」

 

冬真はそうなんです。と少し恥ずかしそうに頭をかきながら答えた

 

「私も用があって今から向かうんだ。よかったら案内しようか?」

 

冬真は、断る理由もないので案内してもらうことにした

 

少し歩いていると大きな扉の前で案内が終わる

女の子は、扉にノックをして失礼します。といい扉を開けた。

その扉の先には椅子に座っている銀髪の女の子がいた

 

「待ってましたよ〜お二人とも〜」

 

とてもおっとりした声で話す女の子は、見た目では冬真たちと同い年ぐらいの身長で、顔は隣の女の子と変わらぬくらい美人だった。だが冬真は一つ疑問に思った

 

「あの〜、校長先生はいないのですか?」

 

その質問に、意味不明みたいな顔をした女の子が

 

「え?何言ってるの?この人が校長先生だよ?」

「そうですよ〜?私がこの魔法学校アスタルトの校長の、五十嵐ユリスですよ〜」

「え!?」

 

冬真はかなり驚いた顔をしていて、それを見た女の子は少しクスっと笑った

少し間が空き、冬真は深々と頭を下げ謝罪した

 

「いいですよ〜、若く見られるのは嬉しいですから〜」

 

本題からそれた話をしていたら、突然女の子が何かを思い出したかのようにポケットから紙を校長に渡した

 

「これで大丈夫ですか?」

「…はい、とてもいいと思いますよ〜」

 

女の子は校長から紙を返されそれをまたしまった

 

「私はこれで用事は終わったけど、君はまだでしょ?」

「あ!用事忘れてた!」

 

冬真はありがとうと女の子に伝えた、すると女の子はどういたしましてと笑顔で返した

 

「私はもう行くけど、何かあったら言ってね」

 

冬真は今一番知りたいことを聞くことにした。それは…

 

「えっと…君の名前が知りたい!僕は桐生冬真!」

 

そう言うと、そういえば名乗ってなかったねと行った後に

 

「私は君と同じ一年の水城凛だよ!よろしくね桐生くん」

 

そう言うと、またねと手を振りながら校長室をあとにした

 

「水城さんか〜…可愛いな…」

「心の声が漏れてますよ〜?」

 

校長の指摘ではっ!となる冬真はあわてて口を抑えた

 

「大丈夫ですよ〜?言わないですから〜どんどん言っていいですよ〜?」

「からかわないでください!」

 

そう言うと校長は少し笑った後に本題に入った

 

「冬真くん、君は今日から特待生としてこの学校に入ることになるのですがその前に君が選ばれた理由をせつめいしますね〜」

 

冬真はそれが1番気になっていた。校長はふふっと笑いながら理由を話し始めた

 

「そもそも、魔法学校に入れる生徒は少なからず魔法が使えないと入学できないのです〜。なので本当ならば冬真くんは入学できないのですが、今年から特待生制度というのが設立されたんですよ〜。それは普通の人間を特待生として学校に招き、魔法の勉強をさせて魔導士にするという制度なんですよ〜」

 

冬真は理解できた範囲で聞いてみた

 

「普通の人間が対象なら別に俺じゃなくてもいいんじゃ」

「選ばれた理由はわかってるんじゃないですか〜?」

 

冬真はなんとなく理由はわかっていた

 

「やっぱり…<平凡>だからですか?」

 

冬真にとってそれは悩みであり、嬉しいことではない理由だった

 

「でもそれだけじゃないですよ〜?」

「え?」

「魔法とは、強い信念や思いによってどんどん強くなっていくんですよ〜?なので、平凡人間と呼ばれるのが嫌だと思う冬真くんはその思いの強さですごい魔導士になれると思うんです」

 

冬真は言われてる意味がいまいち分からずにいたところ、校長ははなしすぎたと話題をかえた

 

「では次に本校の制服と教室の場所の地図をお渡しします〜。これを着てから教室に向かってください。」

「ありがとうございます!じゃあ俺も行きますね」

 

冬真が部屋を出ようとすると校長は

 

「最後にもう一つ、これからの生活は冬真くんにとってけしていい生活とは言えないでしょうが頑張って下さいね〜」

 

冬真はそれを聞き変に思ったが何も言わずに部屋をあとにする

 

「…さて、どこで着替えようかな」

 

 

 

 

 

 

 

トイレで着替え終わった冬真は、ひとまず自分の教室へと地図を見ながら向かった。到着して上を見るとAー1と書かれた教室までたどり着いた

 

「あと入学式まで30分しかないからみんな来てるよなー…仲良くなれる人いるかな〜」

 

不安になる気持ちを抑えてドアを開けるとそこにはなんと…

 

「て、誰もいねーじゃねーか!」

 

教室には誰もおらず静まり返っていた

 

「俺場所間違えた?使われてない教室に来ちゃったのかな?」

 

冬真は訳が分からず困っていると

 

「桐生くん?また迷子?」

 

と聞き覚えのある声で呼ばれたことに気付く冬真

 

「水城さん!?どうしてここに?」

「どうしてもなにも、ここが私の今日室だからだよ?」

「え!?同じクラス!?」

 

そう言うと水城は、自分の名前のシールが貼ってある机に向かって指差した

冬真は安心して自分の机を探すことにした。しかも、嬉しいことに机は水城の隣だった。

ラッキーと心でガッツポーズをとりながら話題を探して話し出した

 

「そういえば、みんな大丈夫なのか?このままじゃ入学式遅れちゃうのにねー」

 

と言うと、水城はキョトンとしながら

 

「え、まだあと1時間以上もあるけど…」

 

冬真は気付いた。自分が2時間も早くに家を出ていたことに…

冬真は恥ずかしくなり顔を見られないように隠したところ

 

「桐生くんっておもしろいね」

 

と言われ、余計に顔が赤くなる。でも仲が縮まった気がして少し嬉しくも感じた。その時、学校のブザーが鳴り出し放送から状況が伝わる

「魔物の群れが本校に向けて接近中、北から100、南から200です。直ちに戦闘体制に入りこれを撃退してください。繰り返します…」

 

冬真は突然のことで驚き固まってしまう。すると校長が教室に入ってきた

 

「冬真くんと水城さ〜ん、突然で申し訳ないですけど〜北の100お願いできますか?私は南に行くので」

「はい!任せてください!」

「え!ちょ、ちょっと待ってください!僕魔法なんて使えませんよ!?」

「そんなこともあろうかと、剣を持ってきました〜。」

 

そう言うと校長は剣を冬真に渡すが、もちろん冬真は魔法どころか剣術すら知らない人間である

 

「役に立てませんってば!」

「大丈夫ですよ〜?水城さんはかなりの実力者ですから見てるだけになるかもですよ〜?では、私はそろそろ行ってきますね〜」

 

そう言い残すと校長は姿を消した。冬真は不安ながらも水城について行くことにした

向かっている途中水城は冬真に

 

「大丈夫!私が絶対に守るから」

 

と言った。冬真はまさか女の子から守ると言われてなかったためにすこし複雑だった。外に出てみると、そこには100体の魔物がいた

あまりの迫力にあとずさる冬真の腕を掴んで敵のまえまでいっきに向かった。魔物も気付き襲いかかってくる

 

「桐生くんはここにいて?私がやるから」

 

そう言うと水城は、剣をさやから抜き魔物に切りかかっていき次々と倒していく。動きはとても早く目で追うのが大変なくらいだった

 

「さすがに多い、仕方ない」

 

水城は一度距離をおき、魔法を使った

 

「水神の敷地<ウォーターガーデン>」

 

そう唱えた途端、足元から水がでてきてそのままあたり一面を湖にしてしまった。

 

「水よ、魔物に聖なる裁きを!」

 

次の瞬間、水城の周りの魔物たちが次々と水の針に串刺しにされていく

「す、すげぇ…」

冬真はあまりの光景に驚きを隠せなかった。一瞬にして魔物たちが倒されていくからだ

だが、それでも魔物はまだ20体ぐらい残っていた。さすがの水城も疲れが見えてきた

きっとかなり魔力を使うのだろうと冬真は思った

 

「そろそろまずい…しょうがない」

 

水城は地面に手をつけ叫ぶ

 

「お願い!ウンディーネ!」

 

すると湖から水の精霊が現れた。ウンディーネと呼ばれる精霊は、湖の水を使い水でできた刀をいくつも生産し魔物にとばした

それをくらった魔物たちは次々と水圧で切り刻まれていく少し経つと、地上の魔物は全滅していた。魔力がきれたのか周りの湖や水の精霊は姿を消した

そして水城はその場に倒れこんだ。

冬真は急いで水城にかけるよと水城は

 

「あはは…少し魔力使いすぎたかも。ごめん、少しこのまま休ませて」

 

と言われた。

冬真は自分が何もできなかったのでせめて飲み物でもと思い少し離れた販売機まで足を運び飲み物を買っていた。そのとき冬真はあることに気づいた

 

「あれはなんだ?…もしかして魔物!?」

 

冬真は嫌な予感がした。

 

「水城!逃げろ!」

 

冬真は全速力で水城の元に戻ろうとした。だが、魔物は水城めがけて落ちてきているため到底間に合いそうにない

水城も気付いたようだが魔力切れの疲労のせいか立つことだできずにいた。

冬真は思った

僕が平凡だから水城を守れないのか?平凡だから…

 

「また諦めるの?いいの?そのままで」

 

ふと昔の記憶が頭をよぎった。前もそうだった、あの時も平凡だからと諦めてしまった。そのせいで…僕は…

嫌だ…水城ともっと話したい…もう誰も失いたくない…

…もう…絶対に諦めたくない!もう平凡人間という理由で逃げたくない!

そう強く思った。その時

 

「え?」

 

冬真は驚いた、届くはずのない手が水城を抱えていたからである。水城も驚いた表情をしていた。

 

「やった。守れた!」

 

その時冬真は、力がどんどん湧いてくるのを感じた。水城を地面におろすと校長からもらった剣を持ち魔物向かって宣言する

 

「俺が相手だ!絶対勝つ!」

 

魔物は遠慮なく冬真に襲いかかる、普通の人間ならすぐにでもやられてしまう攻撃だった。だが驚くことに冬真は魔物の攻撃を全てかわしていた。そして一気に間合いを詰めて冬真は魔物に剣を向ける

 

「これで終わりだ!」

 

そう言うと、魔物を一刀両断にした

弱い魔物とはいえ、初めて剣を使うにんげんが魔物を討伐したというのはあまり聞かないことだった。それに何より、魔物の攻撃は全てかわしたのはすごいことだった

 

「すごい…」

 

水城もとても驚いていた

 

「やった…やったよ水城さん!おれ初めての実戦で魔物を倒したよ!」

 

嬉しくて、すぐに水城の元に向かおうとした冬真だが

 

「…あれ?おかしい…な…体が…うご…か」

 

バタンっとその場に倒れこむ冬真

 

「桐生くん?桐生くん!」

 

やっと立てるようになった水城は急いで冬真の元へと駆け寄った

 

「ふふふ、やはり冬真くんはすごいですね〜。まさかあれを使えるとは…これからが楽しみですよ〜」

 

校舎の屋根から校長はこちらを見ながら笑みを浮かべていた。




どうも皆さん、東雲 颯です。
今度も平凡魔術士の下剋上を読んでいただきありがとうございます!
今回は前回と比べてかなり長くしました。そのせいか途中で変な感じになっていますが、どうか温かい目で見てくれると助かります!
今回はバトルを入れてみました。と言ってもかなり簡単なバトル内容にしてあります!バトルがメインの話はもう少し待っててください!
次の話も読んでもらえるとありがたいです!では


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

新たなる友と問題

冬真は勘違いをきていた。まーそれは仕方のないことだろう。下駄箱に手紙が入っていて、中には、私のパートナーになってください。できれば今日中にお聞きしたいので屋上で待ってます。と書かれているのだから大体の人は勘違いしてしまう

「まさか、水城が俺のことを…やばい…なんかすごく照れる。恥ずかしい…」

冬真は恥ずかしいのをこらえて屋上に向かう
扉を開けると、そこには水城がいた。冬真は水城に向かい

「手紙を読んだよ。俺まさか水城がそう思っていたなんて知らなかった…すごい嬉しかった。お、俺なんかでよければ…よろしく」

そう言うと水城は手を合わせ笑顔で返す

「本当に?ありがとう!やっぱり話せる相手じゃないとバトルパートナーには選べないよね〜」
「そうだよね!話せないとね!パートナーなんて…ん?バトルパートナー?」

冬真は意味がわからず首を横にかしげると、水城はあれ?って顔で説明をしてくれた

「え?聞いてなかったの?1学期が終わるまえにバトルパートナーを決めないといけないんだよ?紙にもパートナーになって欲しいって書いたよね?」

少し考えた後に、冬真は自分の勘違いだったということを気付いたのだ


冬真は夢を見ていた。思い出したくない過去の夢

初めて好きになった女の子に告白をして振られた夢を

 

「ごめん!別に嫌いじゃないけど…なんか普通すぎてなんかね…」

 

「なら僕は君の好きになるような人になるから!だから…」

 

「君じゃ無理だよ。だって…平凡人間なんだから」

 

「そんな…僕は…僕は…!」

 

夢の途中で目が覚めた

冬真は周りを見渡した

 

「ここは?俺は確か…」

 

そう、冬真は魔物との戦いに勝った後に気を失いその後のことをなにも覚えていないのだ

 

「目さめた?良かったー。」

 

横を見てみると、そこには水城が椅子に座ってこっちを見ていた

 

「あの後ずっと寝てたんだよ?入学式も終わっちゃったし…心配になったから見に来ちゃったよ」

 

「え!入学式終わっちゃったの!?まじか…」

 

冬真はもう一つ気になることがあった。

 

「もしかして、クラスの担任の話とか、自己紹介とかもすべて終わっちゃった…?」

 

水城は苦笑いしながらうなずく。それを見て冬真は絶望的な気分になった

その理由は、もうすでにグループに分かれている可能性が高いからである、そーなると友達を作るのもかなり難しいのである

 

「てか、水城さんはここにいて大丈夫なの?授業中じゃ…」

 

そう言うと水城は微笑みながら自分は先生から頼まれたと話してくれた

そのまま少し話しているうちに、冬真の体調もかなり良くなった。すると水城が急に質問をしてきた

 

「桐生くんはさ、魔術も使えなければ剣も習ってなかったのよね?」

 

冬真はうんと顔を縦にふる。それを見て水城はうーんと考えていた。そして口を開く

 

「桐生くんは<エクストラ魔法>ってしってる?」

 

「エクストラ魔法?んー…わからないわ」

 

「だよね…ごめん忘れて」

 

冬馬は不思議に感じたがそれよりも今は

 

「てか俺これからやってけるかなー?友達0とか無理だぞ絶対!」

 

そう、今は友達ができるかが1番の不安である

すると水城は大丈夫と笑いこちらを見て

 

「その時はわたしがいるから!頼ってくれてもいいからね」

 

「水城さんはなんていい人なんだ!僕今感動してます」

 

「そんな大げさな…」

 

と水城はある提案をした

 

「私の事は水城ってタメ口で言ってくれない?なんか水城さんだとなんか遠い気がして」

 

「あーわかった!じゃあ改めてよろしくね水城!」

 

そう言うと水城は嬉しそうに微笑む。それを見て冬真は顔を赤くする

 

「じゃあそろそろクラスに行こうか。あんまり遅いと怒られちゃうし」

 

冬真はうん!っと返事をするとベットから降りると、水城の後について教室まで向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…すごい緊張する…」

 

「まーすぐに慣れるから、肩の力抜いてリラックスしていこうよ!」

 

水城が教室の扉に手をかけ扉を開けると、今まさに授業中であったため、クラスの人や先生が一斉にこちらに注目した。

水城はそのまま自分の席に向かい座った。冬真も自分の席までいき静かに座った

 

「ねえねえ、君が噂の特待生?」

 

突然、後ろから声をかけられたので驚いた。冬真はうんと答えたところ

 

「ほぉ〜君が特待生か…あ、俺の名前は土門亮太<どもんりょうた>だ!亮太でいいよ!よろしくね特待生さん!」

 

「あ、こちらこそ!僕は桐生冬真よろしくね亮太!」

 

冬真は亮太に話しかけられたことが嬉しかったのか顔がニヤニヤしてしまっていた。すると

 

「良かったね話し相手ができて!これなら私は不要かな?」

 

「え!?いやいや水城とも仲良くしたいよ」

 

そう返すと、水城はクスクス笑いながらやっぱり桐生くんは面白いねと言ってきたためすこし照れていた

それを見ていた亮太が突然

 

「なあなあ、桐生って水城さんの知り合いなのか?」

 

この質問に対して

 

「ま〜、朝はいろいろあったし助けてもらったりもしたからね!仲良くなったよ!」

 

「ふふふ。詳しく聞かせてもらおうか」

 

そう言うと亮太は冬真の肩に手をおき、いえいえーと揺らし始めた。

さすがにうるさかったのか先生から注意を受けてしまった

 

休み時間になり、水城はトイレに行くと言って席を外したので亮太に今日の朝の魔物の話や、迷子だったのを案内してもらったことを話したところ、亮太は大爆笑をしそれを見た冬真は少しだけムカっときた

 

「いやーごめんごめん。まさか迷子になるとは…さすがに笑えるわ」

 

「あーもう話さなきゃ良かった!そこまで笑うことないじゃないか…」

 

「ごめんってば!許してくれー」

 

冬真はため息をつき、しゃーないと許すことにした

 

「でも、さすが<剣姫>。あんなことの後なのによく魔物を100体も倒せたな…さすがだわ」

 

「え?剣姫ってなに?てか、あんなことってなにさ?」

 

それを聞き亮太は唖然としていた。少し経って、そゆことかと納得していた

 

「お前が知らないのも無理ないよな、魔導士だけが知るニュースだし、二つ名も魔導士の中でしか呼ばれてないしな」

 

そう言うと、亮太は順々に話してくれた

 

「まず、剣姫ってのは彼女の二つ名さ。もともと魔導士は杖を武器に使っていたのだが、最近は剣を使う魔導士が増えている。その中で、優れた魔力コントロールと華麗な剣さばきで次々と魔物を退けていったのが水城さんってわけ。その戦いを見ていた魔導士機関が彼女に二つ名をつけた、それが剣姫というわけ!二つ名自体、付けられた魔導士はこの日本でも7人しかいないからな。相当すごい称号ってことさ!わかったか?」

 

全部は理解できなかったが、よーするにすごい人ということだけはわかった

 

「じゃあ次はそのニュースについてだが、それは彼女が危険種を相手に1人で倒したってニュースさ!」

 

「それってすごいことなの?」

 

亮太は、は!?と机をどんっとならした

 

「すごいなんてもんじゃねーよ!危険種ってのは、高ランクの魔導士たち100人が相手で倒せるような相手だぞ!?それを1人でって話さ…ハンパないぜ」

 

「そ、それはすごいね…」

 

だが、亮太はその後にまーでも、と話を始めた

 

「だが、その戦いで彼女はあまり魔力を使えなくなってしまう呪いにかかってしまったのさ。だから朝の魔物100体にもかなり苦戦したんだろ〜な」

 

「でもそれでも100体を倒すのはすごいことなんでしょ?」

 

「そりゃ俺らからしたらすげーよ」

 

冬真は水城の話を聞いていて、改めてすごいと実感した

少し話ていると水城がもどってきた。そしてチャイムがなり先生が入ってきた

授業が始まると冬真は朝の疲れなのか睡魔におそわれ、そのまま寝てしまった

 

「おい…起きろー…おーい」

 

冬真はそれに反応して目が覚めた

 

「んん…今何時?」

 

「もう4時だよ。放課後だよ」

 

冬真はまだボヤけている目を時計にやった

確かに時計の針は4時をさしていた

 

「やば…まさか1日ずっと寝てたなんてやばいな…」

 

「ま、今日はもう帰ろーぜ!」

 

亮太に連れられ席を立つ冬真は下駄箱のところまできてものすごい勘違いをする。

まーそれは仕方のないことであろう、下駄箱に手紙が入っていて、中には、私のパートナーになってください。できれば今日中にお聞きしたいので屋上で待ってます。と書かれているのだから大体の人は勘違いしてしまう

 

「まさか、水城が俺のことを…やばい…なんかすごく照れる。恥ずかしい…」

 

冬真は恥ずかしいのをこらえて屋上に向かう

扉を開けると、そこには水城がいた。冬真は水城に向かい

 

「手紙を読んだよ。俺まさか水城がそう思っていたなんて知らなかった…すごい嬉しかった。お、俺なんかでよければ…よろしく」

 

そう言うと水城は手を合わせ笑顔で返す

 

「本当に?ありがとう!やっぱり話せる相手じゃないとバトルパートナーには選べないよね〜」

 

「そうだよね!話せないとね!パートナーなんて…ん?バトルパートナー?」

 

冬真は意味がわからず首を横にかしげると、水城はあれ?って顔で説明をしてくれた

 

「え?聞いてなかったの?1学期が終わるまえにバトルパートナーを決めないといけないんだよ?紙にもパートナーになって欲しいって書いたよね?」

 

少し考えた後に、冬真は自分の勘違いだったということを気付いたのだ

冬真は勘違いのショックと恥ずかしさで倒れこむ

 

「桐生くん!大丈夫?もしかして私と組むのは嫌だった…かな?」

 

「え?あ、ああ…僕なんかでよければ…」

 

恥ずかしさのあまり水城の顔が見れない冬真は話を少し変えてみた

 

「でもなんで俺?他に魔法強い人や剣術が上手い人とかいるだろーに」

 

そう言うと水城は指を口のところまで持って行き

 

「今はまだ内緒」

 

と答えた。

あぁ…これを見た男子は惚れても仕方ないと思うほど可愛かったと冬真は内心で呟いた

 

「まーでもバトルパートナーって具体的にはなにするパートナーなの?やっぱりバトルとか?」

 

「んーまー大まかにはバトルのパートナーなんだけど、他にもいろいろなところで重要になってくるのがバトルパートナーだよ!」

 

いろいろとは?と聞きたい冬真だが、また先程みたいに内緒と言われたら理性が持ちそうにないので言わなかった

 

「あ、あとね…重要な話なんだけどさ…」

 

水城は変にモジモジしながら話をしてきた

 

「なに?なんか問題でもあった?」

 

「問題というか…その…」

 

冬真も気になるのかはやくはやくとせかす

水城はもう一度深呼吸をして

 

「これからは…一緒に暮らすことになるから…親にちゃんと伝えといてね?」

 

「…ん?聞き間違えかな?今さ一緒に暮らすとか言わなかった?」

 

「…うん…バトルパートナーはいつでもそばにいないといけないのがルールなの…だからこれからは学校が所有するマンションに2人で住むことになる…の」

 

それを聞いた冬真は、頭の中がオーバーヒートしていた

 

「じゃ、じゃーそうゆうことだから…またね?」

 

「え!あ、ちょっとま…って…」

 

冬真はやっと頭の中が働き出した。そして新たなる問題に直面した

 

「てか…女の子と一緒に暮らすなんて…親が絶対に許してくれねー!」

 

冬真は親をどう説得するのかで頭がいっぱいになっていた




どうもみなさん東雲颯です!
3話目は投稿が遅くなり申し訳ありません。
今回、新たなる友達との出会いもあり新たなる問題にも直面してしまいました。
次の話では、問題を解決できるのか?
そして、水城との生活はどうなるのか?
そしてそして、特待生としての運命とは?
次はまたバトルはありませんが、また平凡魔導士の下剋上を読んでいただけると嬉しいです!あと、冬真の一人称が僕だったり、俺だったりするのはあとあとストーリーで説明があるのでお楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

母の思いとお坊ちゃん

校長は背後から錆びついた剣を冬真に差し出した

「…嫌がらせですか?」

「違いますよ〜?今、冬真さんは剣が折れて使える武器が無いではありませんか〜」

そう、冬真はこの前の魔物との戦いであらかじめ貰っていた剣が刃こぼれして使い物にならなくなっていた。

「でも、さすがに武器がないからってこんな錆だらけの剣なんて…使えるんですか?」

そう言うと校長は少し悩んだ後にこの剣についていろいろ話してくれた

「そうですね〜…今の冬真くんでは使えませんね〜。ただ、この剣は冬真くんにしか使えない剣でもありますからね〜」

冬真はわけわからずに聞き返す

「えっと…今の僕は使えないのに僕しか使えないって矛盾してません?」

「まー今は…ですからね〜」

意味ありげに言う校長を見て、ひとまずその剣をもらえことにした

「まー錆びてはいますけどとても頑丈なので折れたりはしませんよ〜」

「なんか信じられません…」

その剣を鞘にしまい、冬真は屋上を後にする。校長はさよなら〜と手を振っていた


僕は今、問題に直面している。その問題とは…

 

「親に言ったら絶対に怒られるよなー…女の子と一緒に暮らすなんて…」

 

その問題とは、バトルパートナー同士のルールの事だ

バトルパートナーはいつでもそばにいないといけない。これがそのルールだ

 

「てゆうか…そもそも男女のバトルパートナーとかありなのか?」

 

そこが1番の気になるところだ。

バトルパートナーは一緒にいないといけないというのが異性でも良いのだろうか…それだけが疑問である

 

「大丈夫ですよ〜?異性だろうとパートナーはパートナーですからね〜」

 

「校長!?」

 

突然どこから現れたのかわからないが僕の後ろに五十嵐校長の姿があった

 

「で、でも…ほら、思春期だし!何かあってからじゃ遅くないですか?」

 

「大丈夫ですよ〜。信用している人しかバトルパートナーにはなれませんから〜」

 

そうゆうことではない気が…冬真はもういいですと、話しを切った

 

「じゃあそろそろ帰りますね?」

 

「あ、ちょっと待って下さ〜い」

 

校長は背後から錆びついた剣を冬真に差し出した

 

「…嫌がらせですか?」

 

「違いますよ〜?今、冬真さんは剣が折れて使える武器が無いではありませんか〜」

 

そう、冬真はこの前の魔物との戦いであらかじめ貰っていた剣が刃こぼれして使い物にならなくなっていた。

 

「でも、さすがに武器がないからってこんな錆だらけの剣なんて…使えるんですか?」

 

そう言うと校長は少し悩んだ後にこの剣についていろいろ話してくれた

 

「そうですね〜…今の冬真くんでは使えませんね〜。ただ、この剣は冬真くんにしか使えない剣でもありますからね〜」

 

冬真はわけわからずに聞き返す

 

「えっと…今の僕は使えないのに僕しか使えないって矛盾してません?」

 

「まー今は…ですからね〜」

 

意味ありげに言う校長を見て、ひとまずその剣をもらえことにした

 

「まー錆びてはいますけどとても頑丈なので折れたりはしませんよ〜」

 

「なんか信じられません…」

 

その剣を鞘にしまい、冬真は屋上を後にする。校長はさよなら〜と手を振っていた

下駄箱に行くと、そこには亮太が寄りかかって立っていた

 

「おう、遅かったな?どーした?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

そう言うと、亮太はふーんと言った後に思ったことを話し出した

 

「どうせ水城さんだろ?」

 

「そ、それは…」

 

図星をつかれた冬真は動揺が見られる、それを見た亮太はさらに鋭く

 

「まさか水城さんが選んだパートナーがお前とな…驚いたぜ」

 

「なんだよそれ…俺だって多少は動けるかんな!魔物も倒したし!」

 

亮太ははいはい、と返事をした後に冬真に質問をした

 

「なー?お前特待生ってことは、魔術も剣術も素人なんだよな?」

 

「うん、そーだよ?だから?」

 

その返事を聞き亮太はますます何かを疑問に思ったようだった。

しばらくして亮太が口を開いた

 

「なんで水城さんはお前を選んだのかな?他に強い人いるだろーに」

 

「そんなの俺が1番知りたいっての」

 

全くその通りだ。理由はただ話しやすいってだけしか聞いていないし、男と一緒に暮らすなんて普通は嫌だろーに

そんな風に思っていると亮太が思ったことを口にした

 

「お前ってさ、まさかエクストラ魔法が使えるとか?」

 

「いや、そんなの使えてたら特待生として入学なんてしてないよ」

 

さすがに疲れた冬真は、無理やり話を終わりにするとスタスタと家に向かった

そして家の前…

 

「…親に言わなきゃな…どーしよー」

 

冬真は不安で不安で仕方がなかった。

 

冬真は、母親と二人暮らしをしている

父の職業は教えてもらえなかったが、冬真が10歳の頃に死亡したのだ

それから母は女手一つで冬真を育てた分優しい反面、ダメなことはダメだと叱ってくれるよき母だ。

 

「…女の子と暮らすなんてダメって言われるよな…でも言わないとな」

 

冬真は、よし!っと気合を入れ母のいるリビングに向かった

 

「母さん!話があるんだけど…俺、学校でパートナーを作らないといけないんだけど、その相手が女の子でさ…そのこと暮らさなきゃいけないんだけど…」

 

「…あんたはその子のこと、どう思ってるの?」

 

冬真は、意外な返答にすこし戸惑っていた

 

「…良い人だと思う…それに…」

 

「それに?」

 

「…」

 

冬真は、好きだ…と言おうとしたが、彼の過去がその言葉に重りをつける

 

「でも、実はまだ悩んでるんだ…なんで弱い俺なんかと組むのかとか、俺はその子の足を引っ張るんではないのかとか…」

 

「…それは、冬真が平凡人間だから?」

 

「!?」

 

まさか実の母から言われるとは思ってなかったのか、かなり驚いている

 

「平凡だから自分じゃダメだと思ってるの?」

 

「うるさい…」

 

「平凡だから足を引っ張るんではないかと思うの?」

 

「うるさい」

 

「平凡だから…」

 

「うるさいって言ってるだろ!」

 

初めて親に対して怒った。生まれて初めて親に対して暴言を吐いた

 

「…ひとつだけ言うわ」

 

そう言うと、母は冬真にかけよった

 

「あんたは昔から平凡人間と言われてきた。それに悩んで苦しんでるのも知ってた、でもねこれだけは言える」

 

母は冬真を優しく抱きしめた

 

「冬真は、私とお父さんの息子よ。他の人から見たら平凡でも、私たちから見ればあなたは他の誰よりも素晴らしい子供よ?だからもっと自信を持ちなさい」

 

冬真は母からのその言葉がとても嬉しく感じた

母はそう言うと話を元に戻した

 

「なら約束して?その子を絶対泣かせないって。泣かせるようなことをしたら容赦なく家に連れ戻すから!」

 

「…ありがとう…母さん」

 

そう言うと、母は生活用品の準備をしなさい!とオッケーをしてくれた。

その夜は冬真にとって忘れられない出来事になったのは間違いないだろう

 

そして次の日の朝、朝食を食べて準備を終えた冬真はいつものように家を出る

 

「行ってきます」

 

「行ってらっしゃい…」

 

冬真はそれ以降後ろを向かなかった。

きっと、母は泣いているとわかったからである。

これからは冬真と母親は別々に暮らすのだから親としては寂しいだろう

それから冬真はもう通る事のない道を惜しみつつ学校を向かった

 

「…てか、惜しむも何も、まだ一回しか通ってないからなんとも思えないな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校に着き、教室に行くとそこには昨日と同じ水城のすがただけがあった

 

「おはよう!親に話してきたよ!オッケーだってさ」

 

「そっか…よかった!ならこれから私たちはパートナーだからよろしくね!」

 

「あぁ!よろしくな!」

 

そう挨拶を交わした。

これからはパートナーとして、いつでもそばにいられるのだから冬真にしては結構嬉しいことだ

そんな時だった

 

「君が特待生の桐生冬真くんか。話には聞いていたが、なんとも弱そうな男だな…平凡人間さん。」

 

ガラッとドアをあけて入ってきたのは、どこかお金持ちのお坊ちゃんみたいな感じの男だった

 

「しかし、なぜ水城さんが君なんかを…僕の方が断然良いはずなのに!」

 

冬真もすこしイラついたのか反論する

 

「ふーん、さては君、水城にパートナーになろうと誘って断られたのか?」

 

「な、なんだと?この僕を愚弄する気か!お前ごときゴミ虫が私に勝てるとでも思っているのか?」

 

「そのゴミ虫に水城を取られた気分はどうかな?」

 

冬馬は挑発を続け、相手はそれにまんまと乗せられていた

さすがに、見かねた水城が止めに入る

 

「ちょっと2人とも!いい加減にして!」

 

「あ…ごめん」

 

冬真は冷静を取り戻すが相手はかなり怒っていた

 

「ぐぬぬ…いいだろう、なら今度模擬戦をしよーじゃないか!」

 

「言わせておけば…いいぞ!その勝負受けて立つ!」

 

「え!?ちょっと待っ…」

 

男はニヤリと笑いながら、決定っとつぶやいた

 

「勝負内容はこちらで決めさせてもらう!もちろん勝った時の条件も飲んでもらうからな!」

 

そう言うと男は笑いながら教室を出て行く。

 

「なんだあの男…ムカつくやつだな」

 

「…どーしよ…」

 

冬真は水城の様子がおかしいことに気づく

 

「どーした?何か問題でも?」

 

「大有りだよ〜…」

 

水城の様子を見るにかなりまずいことらしい

 

「この学校の模擬戦のルールは知ってる?」

 

「え?…いや、全く」

 

「この学校の模擬戦のルールは、勝負に負けたものは言われたもの、もしくは言われたことをしなきゃならないの…」

 

「…え?てことはさ、もし負けて水城をあいつのパーティーにって言われたら…」

 

水城は小さく頷く

 

「えー!ごめん!本当にごめん!」

 

「いいよいいよ。決まったものは仕方ない!私が君の手助けをするから任せてよ!」

 

冬真は自分のした問題に頭を抱えた

 

「じゃあ、まだ時間もあるしすこし修行してくるね!」

 

そう言うと水城は急いで教室を出て行った。

1人になった冬真は嘆いていた

 

「くそ…俺のせいで…水城に迷惑をかけてしまった」

 

冬真はすこし考えてあることを決心する

 

「いつまでも守られるだけじゃ嫌だ!俺も修行して強くなる!」

 

その日から冬真と水城の修行がはじまる

 




どうもみなさん!東雲颯です!
今回の平凡魔導士の下剋上では、母の思いと平凡という理由でネガティブに考えてしまう冬真のことや、パートナーになれたのに、邪魔するキャラの登場話になってます
次回は水城や土門や校長に協力してもらいながら修行する話にしよーと思います!そして、やっと担任が登場します!またバトルがないですが次の次の話ではバトルメインの話になりますので待っててください!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

弱さと理性

きましたね〜冬真くん、君に少し話があるのですが〜」

「はい、なんでしょうか?」

「冬馬くん、なにか模擬戦の約束をしていませんか〜?」

そう言われ、冬真ははい。と答える

「別に悪いことではないんですが〜、このままでは確実に負けますよ〜?」

「え!そんなの、やってみないとわからないじゃないですか!」

「じゃあやってみますか〜?」

瞬間、校長はいきなり火の玉を飛ばしてきた

「うわ!?」

冬真は錆びた剣でかろうじてガードしたがかなりギリギリだった

「やっぱり反射神経はいいですね〜。でもさっきの魔法は火属性魔法の中でもかなり低ランクの魔法ですよ〜?それが切れないようではまだまだですよ〜」

確かに、剣姫と呼ばれる水城はあまり魔力が使えなくてもあそこまで強い魔力を使える。もし相手があのくらいの実力者なら勝ち目がない。でも…

「それでも…それでも、諦めたくないです!」

冬真は、あいつには負けたくないという感情が大きかったがそれとは別に水城とバトルパートナーを続けたいという思いも芽生えていた


 

僕は今…ものすごく走っている。

修行といった方がいいだろうか…とにかく、ひたすら走っているためかなり息が上がっている

 

「なんで…こんなに…ひろいんだよ!」

 

魔法学校アスタルトの校庭のトラックは一周2キロある

広い理由としては、生徒が多く魔法の授業や剣術の授業で、狭いとケガをする理由になりかねないからである

冬真は朝から走ったためかなり汗をかき疲れている

 

「大丈夫?やっぱりいきなり走ると体に悪いと思うよ?」

 

水城は汗はかいてるものの、息は全く乱れていなく疲れも見れない。

 

「いや…俺も強くならなくちゃ…」

 

「なんでそこまで?」

 

「…俺を選んでくれたから…」

 

そう言うと水城はえ?っと驚いてるように見えた

 

「俺よりも強いあいつじゃなく、俺を選んでくれたから、少しでも水城のためになることがあればそれをしたい」

 

「…え、えっと…」

 

まさかの発言に顔を赤くする水城

それを見て冬真も恥ずかしくなり顔をそらした

 

「き、桐生くんってさ、時々すごく男らしくなるよね。あと、僕って言うのに時々俺って言うし」

 

「お、男らしい!?ありがと!嬉しいわ!あ、なんか俺の方がかっこいいでしょ?」

 

「そんな理由?変なの〜」

 

人から見たら、この光景は恋人のような会話に聞こえるだろう

楽しく話しているとチャイムが鳴る

二人は慌てて教室に向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に戻るとクラスはガヤガヤと騒がしかった。亮太は冬真に気づくとこいこいと手招きをしてきた

 

「なんで今日はこんなに騒がしいんだ?」

 

「そりゃあ、新しい担任が来るんだからみんな気になって仕方ないんだよ」

 

新しい担任?冬真は初日の授業を爆睡で過ごしていたためその話すら知らなかった

すると、教室のドアがガラガラと開いた

 

「えぇー皆さん!今日からこのクラスの担任を勤めることになりました。緑川隆牙(みどりかわりゅうが)と言います。これからよろしく!」

 

そう挨拶をすると、女子がキャーキャーと騒ぎ出した

確かに、緑川先生は男から見てもわかるくらいイケメンである。その後は、授業という授業にならずに昼になった

 

「もう昼か、今日はすげー早く終わった気分がするよ」

 

亮太も首を縦にふる。水城もそうだねと笑っていた

 

「えっと、冬真くん!ちょっといいかな?」

 

「え?あ、はい!」

 

突然、緑川先生に呼び出しをくらいなにかしてがしたのかと不安になりながら冬真は緑川先生のあとについて行った

少し歩くと、そこは校長室だった

 

「あの…俺なにかしましたっけ?」

 

「あ、そう固くならないでいいよ!別に問題があって呼び出したわけじゃないからね」

 

そう言うと、緑川先生は失礼しますとドアを開けて入っていくのでそれについていく

そこには椅子に座っている校長がいた

 

「きましたね〜冬真くん、君に少し話があるのですが〜」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「冬馬くん、なにか模擬戦の約束をしていませんか〜?」

 

そう言われ、冬真ははい。と答える

 

「別に悪いことではないんですが〜、このままでは確実に負けますよ〜?」

 

「え!そんなの、やってみないとわからないじゃないですか!」

 

「じゃあやってみますか〜?」

 

瞬間、校長はいきなり火の玉を飛ばしてきた

 

「うわ!?」

 

冬真は錆びた剣でかろうじてガードしたがかなりギリギリだった

 

「やっぱり反射神経はいいですね〜。でもさっきの魔法は火属性魔法の中でもかなり低ランクの魔法ですよ〜?それが切れないようではまだまだですよ〜」

 

確かに、剣姫と呼ばれる水城はあまり魔力が使えなくてもあそこまで強い魔力を使える。もし相手があのくらいの実力者なら勝ち目がない。でも…

 

「それでも…それでも、諦めたくないです!」

 

冬真は、あいつには負けたくないという感情が大きかったがそれとは別に水城とバトルパートナーを続けたいという思いも芽生えていた

 

「そうおっしゃると思ってましたよ〜。そのために緑川先生もお呼びしたのですから〜」

 

「え?それってどーゆー事ですか?」

 

校長は、冬真の元に近づき後ろでもっていた木刀を差し出した

 

「それを使って、これから毎日緑川先生と剣術の修行と魔術の修行をして下さ〜い」

 

「え!いや、いいですよ。水城とも修行してますし」

 

「あれだけで勝てるなら、誰でも高ランク魔導士になれますよ〜?別にやっても損にはなりませんよー?」

 

確かに朝のランニングは体力はつくが、剣術や魔術を鍛えられてはいない

 

「わかりました。でも朝と放課後は水城と練習する約束なので昼休みとかでいいですか?」

 

「私はいつでもいいよ!生徒の手伝いをするのも先生の仕事だからね!」

 

「ではあとは、緑川先生にお任せしますね〜」

 

その会話のあと、僕と緑川先生は校長室を後にした

 

「時間も少しあるし、少し先生と一試合しないかい?君の今の実力を知りたくてね」

 

「あ、はい!」

 

返事をした後、緑川先生のあとについていき校庭まで着いた

 

「じゃあ一回本気できて!」

 

「わかりました。では行きます!」

 

木刀を両手で握り、前に構える

そのまま走り出し、相手に切り掛かる

だが

 

「え!?」

 

気づいた時には冬真は剣を飛ばされていた。先生は剣をこちらにむけている

 

「…大体の実力はわかりました。まず、剣術の時点でまだまだですね…まだ魔法が使えればいいのですがそれも…」

 

冬真は悔しかった

ここまであっさり剣を弾かれたことが

 

「もう一回、お願いします」

 

「いいぞ!何回でもこい!」

 

その後も何回も勝負をしたが、一度たりとも攻撃を当てることをできなかった

 

「んー…太刀筋はいいとは思うけど、スピードがないせいか動きがわかってしまう…どーしよーか」

 

冬真は初心者とはいえかなりへこんでいる。すると昼休み終了のチャイムが鳴った

 

「じゃあ今日はこれで終わりにしようか。頑張ってね」

 

「あ…はい」

 

その後の授業は自分の弱さと模擬戦のことで頭がいっぱいだったため、魔術の勉強はどんどん遅れていくことになる

そして、放課後になり水城との特訓も終えこれから住むマンションに向かおうとしていた

 

「…な、なぁ?本当に一緒に住むのか?」

 

「そうだよ?」

 

なんか普通の返しに少し心配になる

 

「あのさ?俺も一応男だよ?もしかすると、水城のこと…」

 

「え…い、いきなり変なこと言わないでよ!緊張しちゃうからさ…」

 

少しホッとした。一応恥ずかしいという気持ちはちゃんとあるようだ

少し歩くと大きなマンションが見えてきた

 

「うわ…さすが金持ち学校は違うな…」

 

そしてマンションの前まで来た。マンションは何件もたっていた

「私たちが暮らすのは…えっと…A-3だからあそこだ!」

 

水城が指をさしたのは、全部マンションの中でもかなりキレイで大きなマンションだった

 

「あぁ…水城だから…か」

 

「え?私が何?」

 

多分、Aとかってやつは生徒の強さ順で3というのはチームとしての評価?なのだと思う。そう考えるとなぜ俺たちが3なのかは水城のおかげだろう

 

「じゃあ入ってみよう?」

 

「お、おう!」

 

A-3の部屋にいき、入ってみるとそこは

 

「…見た目の割に普通じゃん」

 

想像してたのよりはるかに違くて少しがっかりしている横で、水城が下を向きながら冬真の背中をツンツンと触っていた

 

「!?なに!?」

 

「あ、あの…あそこ…」

 

水城はゆっくりと指をさす。

そこにはなんと…

 

「だ…ダブル…ベット…だと」

 

そこは寝床だと思うが、なぜか大きなベット一つだけだった

 

「…てことはまさか」

 

全ての部屋を見た冬真は気付いた

 

「…二つ欲しいものがすべて一つしかない…」

 

お風呂場も一つ洗面台も一つ洗濯機も一つ。

 

「や、やばい…ここに住んでたら理性が持たなくなる…」

 

すると、ツンツンとまた水城が触ってくる

 

「…な、なに?」

 

恥ずかしそうに下を向く水城は深呼吸をして冬真のことをじっと見て

 

「お、お風呂とか…覗かないでね?」

 

冬真はこの時、理性を保つのは無意味だと直感した




どうも皆さん!東雲颯です!
今回の平凡魔導士の下剋上は少しアップが遅れてしまいすいませんでした
今回は主人公の弱さと、これからどうなるかわからない理性の話でした!
次回はいよいよ運命の模擬戦を書こうと思います
果たして、冬真はあの男にかてるのか?
そしてあの男の名前も登場します!お楽しみに!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

封印と力

この度投稿がかなり遅れてしまってすいません



放課後、マンションの中で横に水城が寝ていた。ベットには仕切りを作ったため安心して寝ているようだ。

だが、冬真はやはり寝付けなかった

 

「…こんな状態でよく寝れるな。これから毎日寝不足かも…」

 

かなりの緊張で寝付けないので、仕切りの上から顔を覗いてみた

 

「…寝顔まじ可愛い…」

 

まるでそこには天使がいるかのような可愛い寝顔をしていた

結局、ずっと起きていたが特訓などの疲れで深い眠りについた

 

「うぅ…眩しい…」

 

「いい加減に起きて?遅刻しちゃうよ?」

 

起こされて、寝ぼけた顔で目をやると

 

「水城?…か、可愛い…」

 

「え、あ、ありがとう。じゃなくて急がないとご飯食べられないよ?」

 

そこには制服の上にエプロンを着た水城がいた。いつもと違く、髪を後ろで束ねているせいかその姿はとても綺麗だった

 

「て、え?ご飯って…まさか手作り!?」

 

「え!?うん、美味しいかはわからないけどね」

 

それを聞くと、ベットから勢いよく飛び起きそのままリビングへと向かった。テーブルの上には、焼かれたトーストと目玉焼きにサラダと牛乳が置いてあった

 

「おー!健康的!」

 

「やっぱり朝からしっかり食べないとねもたないからね」

 

時間があまりないため、急いで食べ始めあっという間に食べ終えた

 

「ふー…美味しかった〜ごちそうさまでした!」

 

「そんなに早く食べると健康に悪いよ?」

 

そんな会話をしながら、食器を洗って家を出る。今日も学校で特訓が待っているのでこれから先はしっかり起きようと改めて思った冬真だった

 

「おはよう!亮太」

 

「おー!おはよー」

 

亮太は後ろの席の友達である。意外と物知りで頼り甲斐のある友である

 

「それでそれで、昨日はどうだった?楽しかったか??」

 

「ふふふ…あれやこれやしかしてませんよ?」

 

「もー!何もなかったでしょ」

 

亮太とのふざけ話に水城も横からまざってくる、こんな感じで毎日過ごしていた

友と話したりしているときは、模擬戦や特訓のことを忘れられてすごい助かる。

こんな感じで1日が徐々にすぎていく

 

「あー…昼休みか…嫌だな〜」

 

「おいおい、負けてもいいのか?負けたら水城さん取られちゃうんだそ?」

 

「そりゃわかってるけどさ、俺って才能ないからせいぜい時間稼ぎにしかならないよ…はぁー…強くなりたい」

 

「そのための特訓だろ?頑張れよ!」

 

それは自分が1番分かっている。それでも楽して強くなれるならそれが1番嬉しいことだ

 

「桐生くん、行きますよー?」

 

「はぁーい。じゃあ行ってくるわ」

 

「おう!頑張れよー」

 

亮太と別れて緑川先生と校庭に向かう。緑川先生は昼休みに特別に特訓をしてもらっている優しい先生だ

 

「今日は風魔法を教えるよ」

 

「え!?まだ剣術もまだまだなのに魔法なんてできるんですか?」

 

「魔法は精神力が源だからね。別に剣術が出来なくても魔法はできる可能性があるのさ!」

 

校長も言っていた。思いが俺を強くするって…本当につよくなるのだろうか

 

「まーものは試しだ、どんどん教えるよー」

 

「あ、はい!お願いします!」

 

その後30分間みっちりと教わったが魔力的に、風の加護しか使えなかった。風の加護は自分や物などに風の力を少しだけ与える魔法だ、おもにスピードアップやパワーアップとして使われている

 

「んー…君はなにかおかしい」

 

「え!?ひどくないですか!?」

 

「あ、いや…そうではなく、何度も剣を交えているがどうも違和感がある。なにかもっと力が出せるのではないかと思わせるようななにかがあるはずなんだが…」

 

先生の言っていることがよく理解できなかった。

 

「まー僕は特待生ですか、先生の勘違いですよきっと。」

 

だが一つ思い当たることがある、それは魔物との戦闘の時に一時的に動きが遅く感じ自分のパワーが上がっていたことだ

 

「まー…とりあえず、風魔法を覚えるために頑張ろうか!」

 

「あ、はい!」

 

その後は、ひたすら剣術と風魔法を特訓した

そして放課後…

 

「じゃあ今日は、模擬戦も近いから少し本気でいくね!」

 

「え!?ほ、本気って…ちょ!」

 

かろうじて避けられた、特訓の成果か反射神経だけは良くなっていた

 

「いいよ!その調子!」

 

「避けるので精一杯だよ!どう考えても勝てないよ!」

 

だが、水城は遠慮なく攻めてくるため反撃しよーにもできなかった

 

「いくよー!はぁー!」

 

「すきあり!くらえ!」

 

水城の大ぶりの攻撃に隙ができていたためそこを狙ったが

 

「引っかかったね」

 

「な!?」

 

水城の足元から水のトゲがでてき冬真に刺さる寸前で止まった

 

「私の勝ち!惜しかったね」

 

「くそ〜!まさか誘い込まれたとは」

 

水城はそーゆー駆け引きが上手いうえに、魔力も高くとても強い魔導士である

 

「模擬戦役に立てる気しないわ」

 

まさしくその通りである

 

「まあまあ、じゃあもう一戦行くよ!」

 

「おう!こい!」

 

こーして水城や緑川先生の特訓のかいあってかかなりパワーアップができた

そして模擬戦当日、校庭に集められそこで模擬戦が行われる

 

「いよいよか、どれくらいいけるかな」

 

「大丈夫だよきっと。私もできるだけ早くそっちに加勢するから!」

 

作戦としては水城が渡来の方を相手にしている間に、間宮を相手にして時間を稼ぐのが作戦だ

 

「じゃあ試合が始まったら俺が突撃する。それを合図にお願い!」

 

「うん!気をつけてね?」

 

この会話を最後に白線へと並ぶ

他の魔導士や先生たちも見ているためかなり緊張する

そして遠くに間宮と渡来が見えた

 

「間宮…確か触れたものの硬度を自由に変えられるのがあいつの能力だよな」

 

間宮は魔法名<硬化シンボル>というのを使える。剣術もまあまあうまいためこの学園の強い方に属している

渡来は、おもに火属性の魔法を使うため水城には相性のいい相手だ

 

「絶対に勝とうね」

 

「…あぁ!絶対に勝つ!」

 

試合開始の笛がなった

 

「風の精霊よ!我に風の加護を!」

 

冬真の明日と錆びた剣に風が集まり出した

 

「いくぞ!間宮!」

 

そのままスピード上げ、間宮に向かって突っ込んだ。スピードは風の加護で早くなっているため間宮も驚いていた

 

「だが、まだまだそんなんでは僕には勝てないよ?」

 

間宮の前に急に土の壁が出てきた

 

「こんな壁、風の加護で吹き飛ばしてやるぜ!」

 

風をまとった剣で土の壁めがけて剣をふる。しかし剣は貫通していなかった

 

「なに!?硬い…」

 

「僕には得意魔法があるからね〜?ついでに土魔法も得意なのさ!」

 

土の壁から土の弾丸が飛んできた

量が多いため弾ける数にも限界があった

 

「うぅ…まだだ…まだいける!」

 

そのまま踏ん張り、一気に土の壁へと剣を突き立てる

 

「よし!これで壁はこわ…」

 

「君の行動は予測済みさ」

 

壁を突き抜けたが、そこには土の剣を持った間宮が立っていた

 

「避けられるかな!?」

 

「な!?うわー!」

 

その剣はやはり硬化されておりそれで攻撃された冬真はとばされ、その場に倒れて動けなくなってしまった

 

「う…くそ…」

 

「はぁー…正直特訓してるって聞いてたから少しは期待してたけどかなりつまらなかったよ。じゃあそこで水城さんが僕のものになるところを見てなよ」

 

時間稼ぎになるほど稼げてはないが、水城ならきっと大丈夫だろう。水城なら…

 

「水城…?なんであんなに…」

 

冬真は目を疑った。あの水城が渡来相手にかなり消耗していたからである

 

「あらあら、かなり消耗しているではないですか愛しの水城さん」

 

「…はめられたみたいね…まさか渡来君が雷魔法を使えたなんて…」

 

「なん…だと…」

 

渡来は火属性魔法が得意でそれ以外使えなかったはずじゃないのか?

 

「火属性が不利なら雷魔法で有利になればいいんですよ」

 

俺たちが特訓している間に間宮たちも特訓していたのか。それにしてもまずい状態だ

 

 

「水城さん?降参しませんか?これ以上はもう意味がないと思いますよ?」

 

「…私は…まだいけます…」

 

「…はぁー…美しい方を傷付けるのは心苦しいですが仕方ないですね…」

 

間宮は自分の剣に硬化魔法を使い水城に切りかかる、水城も対応しているが反撃するほどの魔力も体力もなくなっていた

 

「くそ!…結局俺は…役立たずなのか…」

 

自分のせいでこんなことになったのにすぐに負け倒れてしまった

情けない…

 

「僕は…好きな女の子さえ守れないほど弱いのか…なにをやっても平凡なのか…」

 

ここまで頑張ったのに情けないが、心の中で勝てないと諦めてしまっていた

 

「私は諦めない!勝ち目が無くても、絶対に諦めない!」

 

水城は叫んだ、冬真に言っているかのような大きな声で

 

「…また諦めるのか僕は…また逃げるのか…いや、嫌だ…俺も水城の助けになりたい…守りたい!」

 

冬真も水城に聞こえるように叫んだ

 

「ではマスター。そろそろ立ち上がって本気を出して下さい」

 

ん?どこからか声が聞こえ…

 

「なにを不思議そうな顔をしているのですかマスター。早く立ち上がって下さい」

 

「え!?剣から声が!?」

 

錆びた剣からなぜか女の子の声が聞こえてくる、先ほどのダメージとかで幻聴でも聞こえているのだろうか…もしかしてもう僕は死んでいるのでは…

 

「幻聴でもなければ死んでもいませんマスター。現実を見てください」

 

「と、言われてもな…そもそも経つほど回復してないし…」

 

「早くしないと負けてしまいますよマスター。早く本気を出してください」

 

本気と言われても…充分本気を出して負けたんだが

 

「魔物との戦闘を思い出して見てくださいマスター。あなたは不思議な力を出せませんでしたか?」

 

「あ…確かに。なぜか自分が格段に速くなり相手の動きが遅く感じた…」

 

「それがあなたの本当の力。限界解除<リミットブレイク>ですマスター」

 

「リミットブレイク…?なんだそれ」

 

いきなりいろいろなことが起きたので混乱していた

 

「それはマスターだけが使える、エクストラ魔法ですマスター」

 

「お、おお…そーなのか!よし!なら行くぜ!リミットブレイク!」

 

…そう叫んだがなにも起こらなかった

 

「使えねーじゃねーか!」

 

「私は魔法名を答えただけで使い方は言っていませんよマスター」

 

剣に軽くバカにされるとは…ものすごい屈辱だ

 

「魔法とは思いの力が具現化するものと言われております、ですから何か魔法に関係することを思えばいいのではないでしょうかマスター」

 

「んー…思いか」

 

思い当たる強い思いは一つしかない

 

「…なーお前名前はなんなの?」

 

「私には名前なんかございませんマスター。昔はある王に使えておりそこ頃はその方にエクスカリバーと呼ばれていました」

 

「んー…ならエクス?でいいか!よし!エクスよ、俺を平凡人間とバカにしてくれ」

 

「了解しました。マスターは本当に馬鹿でアホでなんの取り柄もない役立たずでそれに剣術もダメダメで魔法も…」

 

「それ以上言わないで!メンタル持たないから!」

 

これが効果あるかはわからない、でも試してみよう。思うんだ、平凡を超えたい…もう平凡なんて呼ばせないと。

 

「な、なんだ!?魔力が高まってきた」

 

「お見事ですマスター。さすが私を使いこなせる魔導士です」

 

 

どうやらリミットブレイクの発動条件はただ、平凡と呼ばれたくないっていう思いがあれば発動するみたいだ

 

「きゃー!」

 

「あ!水城!」

 

冬真が剣と話してる間に、間宮と水城の戦いは終わりそうだった

急いで水城の元に駆け寄る

 

「大丈夫か!?」

 

「ご、ごめんなさい…もう魔力がないの…本当にごめんなさい…」

 

腕を掴む強さと水城の流す涙が水城の悔しさをものがたっていた

 

「…あとはまかせて、俺が絶対に勝ってやるからさ!」

 

「…うん、お願いね」

 

水城は涙流しながらも笑顔で託してくれた。

そして歩きながら間宮に近づいていく

 

「かっこいいですねマスター。先ほどまでボロボロだったのに」

 

「お前は俺を慕ってるのか?それとも貶してるのかどっちだよ!」

 

「私には感情がないのでわかりかねます」

 

「いや!絶対馬鹿にして…うわ!あぶねー…」

 

石の弾丸が急に飛んできた、飛ばしたのはあいつだ

 

「いい加減にしろよカスが、いつまでもこの僕を無視するなんて…なめているにも程がある」

 

「はいはい。じゃあ…行くぞ!」

 

魔力が高まっているおかげでスピードもパワーもかなり高まっていた

 

「な!?くっ!ギャァ!」

 

素早く近寄り間宮に一撃を食らわせただが、錆びた剣のためダメージもあまり与えられなかった

 

「くそ!こんな剣じゃいつまでたっても勝てねー!」

 

「こんな剣で申し訳ありませんマスター。ですがマスターが扱える剣は私だけかと」

 

「お前はまた俺を馬鹿にしてるだろ!錆びた剣以外も使えるわ!」

 

この剣は一体なんなんだ?錆びてるくせに…

 

「マスター後ろから敵がきます。お気をつけください」

 

「な!?ぐ!」

 

かろうじて剣で守ったが重い鉄球で殴られたような思い一撃だった

 

「ぐ…な、なんださっきの」

 

「僕の体に傷を…傷をつけるなんて…貴様はもう許さない…殺す!」

 

そこには全身硬化シンボルで強化された間宮がいた

 

「これが僕の奥の手さ!行くぞ!」

 

「く!あんなの切れるわけない!」

 

スピードは変わってなくかわしながら何度も斬撃を食らわすが、かすり傷一つつかない硬さだ

 

「この僕の硬化ボディは並大抵のことではかすり傷すらつかないよ!」

 

「くそ!なんで錆びた剣なんだよ!ダメージ通らないじゃないか!」

 

「錆びた剣ですいませんマスター。ただ、今の姿は封印されているから錆びているのです。封印を解いてください」

 

封印を解けと言われても…解き方わからないからどーしよーもできないぞ?

 

「封印を解く方法は、剣に血を流し願えばいいのです。例えばこんな剣になれとかそーゆーふうにおっしゃっていただければそれでいいのです」

 

「くっ!間宮が邪魔でできないぞ!」

 

「ははは、強くなるとわかってる相手を倒すのは当たり前だろう?ほらどんどん行くぞ!」

 

何度もなんども繰り出されるパンチは思い一撃に硬い装甲のため太刀打ちできずに守るのが精一杯だった

 

「封印を解かないと勝てないのに…解くことができない!」

 

間宮の攻撃が続くせいで封印を解除ができないでいた

 

「これでもくらえ!アイアン・スタンプ!」

 

「ぐっ!うわ!」

 

まるで大きな鉄球を上から叩きつけられたような衝撃に、口から血を吐きその場に倒れてしまう

だが、冬真は倒れながらもニヤリと笑いエクスを自分口元に近づける。そして口の血を剣につけ叫ぶ!

 

「エクス!俺の最強の剣になれ!」

 

「了解しましたマスター。私はマスターを守る最強の剣となりましょう」

 

すると錆びた剣が輝きだした。その光はみるみる錆びがとけていき、まるで作りたてのようなまばゆい光を放つ剣へと変化した

 

「これが私の本当の姿ですマスター」

 

「お、おお…かっこいいな…」

 

だがさすがにダメージを食らいすぎた。正直先ほどまでの動きができる気がしない

 

「マスターはもう少し頑張ってください」

 

「はいはい…負ける気はないさ」

 

そう言って立ち上がるそして足にだけ全魔力を使いスピードを格段にあげた

 

「次の一撃でお前を倒す!」

 

「僕をなめるのもいい加減にしろよ!貴様の攻撃なんかこの僕には効かないんだよ!」

 

思いの力で強くなると言うのならまたこの思いも強さによって変わるのだろう

 

「平凡なんて呼ばせない!そして…水城は誰にも渡さない!」

 

そう叫び間宮に一気に突撃する

 

「こい!お前の技なんて僕にダメージはないのだから!」

 

「うぉー!!くらえ!俺の技!」

 

一気に間宮の頭から下に向け剣を振り下ろす

 

「平凡斬り!!!」

 

「なん…だと…」

 

ネーミングはかなりダサいがダメージは驚くほどだった。先ほどまでダメージどころかかすり傷一つつかなかった硬化ボディがたったいっせんで元の体に戻りそのまま吹き飛んだ

 

「僕が…この僕が…あいつに…負ける…だと」

 

「これが俺の思いの強さだ!」

 

それを最後に間宮は気絶し倒れた。そして試合終了の笛がなった

 

「勝った…勝った!やったよ水城!俺たち勝ったんだよ!」

 

水城の元までダッシュで向かう

 

「そうだね、私たち勝ったんだね…ありがとう桐生くん。」

 

「うん!ありがとう水城!」

 

そして、2人は軽く握手をした。これからのパートナーとしてよろしくの意味を込めて

会場から大声援と拍手が起こっていた

 

「へぇ〜、あんたの言ってた男なかなかやるじゃねーか」

 

「うん!私も驚いたよ…」

 

「お祝いの挨拶でもしたらどうだ?幼馴染なんだろ?」

 

「ううん、同じ学校だからいつかは会うしね。それに…私達は敵になるかもだしね」

 

そこには幼馴染の草野芽衣の姿とフードを被る謎の女もいたのだった




どうもみなさん!東雲颯です!
今回の話は模擬戦の話と久しぶりの幼馴染の登場シーンです
次回はキャラ紹介を少しだけさせてもらいます!
あと、投稿が遅れてしまったことすいませんでした。
次回からも度々遅れるかもですがよろしくお願いします!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

剣と人と謎

「私は人の姿になることも可能ですよマスター。というか、私はもともと人ですから」

「…あの〜…模擬戦でなにか頭でもぶつけました?てか頭ないけど…人が剣になるわけないだろ、俺をからかうのもいい加減にしろよな!」

「…ならもし、人間の姿になったらどーしますか?」

「そしたらお前の言うことなんでも一つ聞いてやるよ!」

「…一つだけとはケチですねマスター。」

こいつはいつも一言多いんだよな…まーなれるはずないんだから我慢我慢

「まーじゃあ?そこまで言うなら今すぐ人の姿になってみてよ」

「了解しました」

そう返事をすると、エクスは光を放ちながら上に浮いた。その光の中では剣が徐々に人の形になり、光がきえたところには冬真と同じくらいの年齢で胸は小さいが身長は水城ぐらいはある女の子が立っていた…しかも裸で

「うわー!」

「どうされましたマスター?あなたの命令通り人の姿になりましたよ」

「そ、そうじゃなく!な、なんで裸なんだよ!こんな所水城に見られたらどーなると思って…」

「水城様なら後ろにおられますが?」

冬真は恐る恐る振り向くと、そこには部屋着姿で首にタオルをかけている水城が立っていた
…終わった。


僕たちは選手控え室で治療されていた

 

「いってぇー!」

 

「あ、ごめん!少し強くしすぎたかも…」

 

「それくらいの痛みは耐えて下さいマスター」

 

控え室では治療し終えた水城が桐生の手当てをしていた

 

「…でも俺たち勝ったんだよな」

 

「うん!すごかったよ!桐生くん!」

 

俺たちは模擬戦をし、見事勝利を勝ち取ったのだ。かなり苦戦をしたがこの試合のおかげで強くなることもできパートナーとしての団結力もました

 

「それにしても…まさか聖剣が桐生を選ぶなんて…やっぱり桐生くんはすごい人なんだよ!」

 

「そ、そう?てか聖剣ってどゆこと?」

 

「え!?知らないの!?あの有名な聖剣エクスカリバーだよ!?魔導騎士の王アーサーが使っていた剣だよ!」

 

そんなにすごいのかこの剣は…俺からしたら馬鹿にする発言しかしない生意気な剣だ…第一、本当にそんな聖剣なのかすら…

 

「別に馬鹿にする発言はしていません、ただ事実を口にしたまでですよマスター。それに聖剣と呼ばれてるのはただ単に元の主人がそう呼んだだけですし」

 

「その発言が馬鹿にしてるって言ってんだよ!」

 

「まあまあ…」

 

これからこの剣とやっていくのは大丈夫なのだろうか…

 

「勝利おめでとうございます〜。私も久しぶりにワクワクする戦いでしたよ〜」

 

急にドアが開きユリス校長が入ってきた

 

「あ、校長先生!どうしたんですか?」

 

「今回はお二人にお話があってきました〜。まず一つ目は、勝利へのお祝いです。お二人には後程報酬をお送りします〜」

 

お!報酬を貰えるなんてありがたい!どんなやつだろうか

 

「そして二つ目は…二人には学校代表パートナーチームになってもらいます〜」

 

…え?パートナーチーム?なんだそれ

 

「えー!私たちがですか!?」

 

「そうで〜す!これは校内アンケートで決定しましたことなのであまり否定する人もいませんよ〜?」

 

「あ、あの…そのなんとかパートナーチームってなんなんですか?」

 

「パートナーチームは、二人一組のパーティーそれぞれ二組によって結成されている学校代表のタッグチームのことです。学校対抗代表戦のチームということです〜」

 

なぜ俺たちが?そもそも特待生の俺が学校代表なんて…

 

「それって水城がいるからですか?」

 

「それもありますが、あなたの力をみて決定しました〜」

 

そう言われ嬉しい反面、これからのことを考えていくと、のんびりとした学校生活は送れないだろう

 

「それと水城さん?あなたの呪いもそろそろ消えますので本気が出せるようになりますよ〜」

 

「…そうですか」

 

一瞬、暗い表情になった水城だがすぐにいつもの明るい表情に戻った

 

「じゃあ私はそろそろ戻りますね〜。次の模擬戦も楽しみにしてますよ〜?」

 

少し引っかかる言い方に嫌な感じがしたがでてってしまったので聞くことができなかった

 

「…俺ってなんだかんだ言って強いのかな?」

 

「そうだよ!あんな魔法使えるなんてすごいよ!」

 

「そ、そう?なんか自信でてきた!」

 

模擬戦に勝ったことで不安などが和らぎ、自信へと変わっていった

ただこの時はまだ知らなかった。この先に自信を失うことになる事を…

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、自分たちのマンションの部屋に戻りお互い疲れを癒すことにした

 

「お風呂先にいただくね?」

 

「うん!どうぞ!」

 

水城は家に帰ってすぐにお風呂場に向かった。冬真はリビングの椅子に腰掛け今日の事をふりかえっていた

 

「でも勝てたとはいえ、かなり危なかったな…もしあの時にエクスや魔法が使えていなければ勝てなかったよな〜」

 

「そうですよマスター。あの時私が色々言わなければマスターは負けていました。もっと感謝するべきです」

 

「お前はいちいちうるさい!剣なんだからしゃべるなよ!」

 

「では、剣じゃなければ話してもいいのですね?」

 

この剣は…何を言い出すかと思えば、剣は剣なんだから話しちゃダメなのは変わらんだろ…

 

「私は人の姿になることも可能ですよマスター。というか、私はもともと人ですから」

 

「…あの〜…模擬戦でなにか頭でもぶつけました?てか頭ないけど…人が剣になるわけないだろ、俺をからかうのもいい加減にしろよな!」

 

「…ならもし、人間の姿になったらどーしますか?」

 

「そしたらお前の言うことなんでも一つ聞いてやるよ!」

 

「…一つだけとはケチですねマスター。」

 

こいつはいつも一言多いんだよな…まーなれるはずないんだから我慢我慢

 

「まーじゃあ?そこまで言うなら今すぐ人の姿になってみてよ」

 

「了解しました」

 

そう返事をすると、エクスは光を放ちながら上に浮いた。その光の中では剣が徐々に人の形になり、光がきえたところには冬真と同じくらいの年齢で胸は小さいが身長は水城ぐらいはある女の子が立っていた…しかも裸で

 

「うわー!」

 

「どうされましたマスター?あなたの命令通り人の姿になりましたよ」

 

「そ、そうじゃなく!な、なんで裸なんだよ!こんな所水城に見られたらどーなると思って…」

 

「水城様なら後ろにおられますが?」

 

冬真は恐る恐る振り向くと、そこには部屋着姿で首にタオルをかけている水城が立っていた

…終わった。

 

「み、水城…さん?こ…これは誤解というか…べ、別に変なことしてないというか…」

 

「…」

 

その無言の返しが痛い!せめて何か反応してほしい…

 

「勘違いしないでね!?俺が裸にしたわけじゃ…」

 

「あ、うん!思春期だもんね…そーゆーことしたくなるのは男の子だから仕方ないと思うよ」

 

その反応がさらに痛い!確実に勘違いしているよ…どう弁解したら…

 

「申し訳ありません水城様。桐生さんがこの姿になれと言ったので仕方なく…」

 

「何言っての!?間違ってはないけどその言い方だと裸になれと言ってるよーにしか聞こえねーよ!てかなんでこの時に限って俺のこと苗字で呼んでんだよ!」

 

「…桐生くんも男の子なんだね…」

 

どんどん悪い方に話がいってしまいうの…なんだか疲れてきてしまった

 

「あー…もう思春期でいいよ〜、てかこいつもともと剣だからね?」

 

「違いますマスター。もともとは人間です」

 

水城はイマイチ状況が把握できていないため今まであったこと、そしてエクスが今裸の理由も説明した

 

「あ、なんだ…そーゆーことだったんだ!びっくりした〜」

 

「誤解が解けてなによりです…それにしてもエクスはなぜ剣になったんだ?」

 

「…それはまたいずれ説明します」

 

少しの間と暗い雰囲気に話題を変えなければと思ってしまう

 

「ま、まーその…これからはどーするんだ?人の姿で生活するのか?」

 

「はい、剣でいても暇なだけですので…あとユリス様にも挨拶をしなければなので」

 

「ユリス校長に挨拶?なんのために?」

 

「私はもともと封印されていたのですが、その時にユリス様によって少し封印を弱めてもらったので話せていたのですよマスター」

 

封印を弱めるなんて上級魔導士でもできるものはそういない。校長って一体何者なんだろ…

 

「ユリス様は日本魔導士の最強チーム、M4の一人ですよ」

 

「M4?それってなに?」

 

「そんなことも知らないのですか?ほんと平凡と呼ばれるだけあって魔導士としての知識が無さ過ぎですね」

 

「うるせー!もともと魔導士じゃない普通の一般人だから知るわけねーだろ」

 

「M4とは、日本魔導士協会が集めた最強の魔導士四人で結成されているチームのことですよマスター」

 

その強さを知らない冬真はとりあえず頷いた

 

「あ、そろそろお風呂はいってきたら?疲れとれなくなるよ?」

 

「あ!もうこんな時間か!入ってくるわ」

 

冬真が席を立つとリビングには水城とエクスだけになった

 

「…ねぇ?エクスちゃんってやっぱり桐生くん以外の人は使えないの?」

 

「はい、私はマスターと契約をしているのでそれが解除されたら他者のものにも扱うことができます」

 

「…契約を解除するにはどーしたらいいの?…あ!別に解除しよーとしてるんじゃなくて知っといた方がこれから対処しやすいかなと思って」

 

明らかに怪しい水城に少し不信感を抱いたエクスだが、これからのことを考えると話しておいて損はないと判断した

 

「契約した本人が契約を破棄、または契約違反を犯したりした時などに解除されます。ですが、基本的にこのようなことは起きたことがありません。それともう一つ…」

 

「もう一つは?」

 

「それは、契約者が死亡した時に解除されます」

 

水城はその時になぜ封印されていたのか、なぜ使うと死ぬと言われていたのかようやく理解できた

 

「…契約者は命を狙われやすいってこと?」

 

「はい」

 

エクスを使ったものは死ぬというのは、エクスを狙い契約を解除させるために争いが起きてしまい被害者がでたからだった。そのため、エクス自体を封印することで争いを鎮めたのだ

 

「てことは、これから先は桐生くんも狙われる可能性があるってこと?」

 

「それはまだ大丈夫かと思います。そもそも、私の封印が解除されたのはごく一部の人しか知らないことなので今はまだ安全だと思われます」

 

水城は頷き、このことは誰にも話さないと約束してくれた。少し経つと冬真がリビングに戻ってきた

 

「じゃあそろそろ寝よーか」

 

「ん?ああ、そうだね!」

 

二人はベットに向かい横になろうとしたが少し気になることがあった

 

「…エリスはどーするんだ?」

 

「私はあなたの剣であなたの盾ですのでご一緒させていただきます」

 

…え?同じベットに3人?

 

「大丈夫ですよ?私は触られても気にしませんので」

 

「別に触らねーよ!?」

 

「…私はあくまで剣なので変なことすると切りますよ?」

 

「え!?さっきと言ってること違くない?気にしないとか言ってたよね?」

 

そーこーしていると、横で水城が寝始めたため冬真たちも眠る事にした…なぜか冬真を真ん中にして

 

「…なんで俺真ん中なの?」

 

「マスターだからですけど?」

 

「いや、意味わからないから!」

 

結局、このようなやり取りが続き眠ったのは午前3時を回っていた

 

冬真達がマンションで休んでいた頃、校長室では

 

「…では先程申し上げた通り、行動をしてもらいたいのですがよろしいですか〜?」

 

「はい、大丈夫です。僕も彼はしっかり鍛えればいつかM4を抜くほどの強さを持つ魔導士になれると思っていますから」

 

「ふふふ、生徒会長がそういうのだから彼は素質があるのでしょうね〜」

 

「まーまだまだ弱いですがね…とりあえず、一回倒してしまっていいのですよね?」

 

「はい、貴方の力を見せつけてあげてくださいね?火雷さん」

 

「あはは、さすがに本気は出しませんけどね」

 

校長室では、ユリス校長と生徒会長の火雷鈴音の姿があった

 




どうも東雲颯です
今回は戦いのシーンはありませんが、水城の何かや、剣が人になるということがおきました。そして生徒会長なども名前だけ出てきましたね
次回は幼馴染と謎の女、生徒会長などたくさんのキャラが出る予定なので
感想などもお待ちしております


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

平和な生活

「んん…もう朝か、あんまり眠れなかったな」

 

起きた冬真は目をこすりながらリビングへと向かうとそこには…

 

「あ、おはよう!今日は起きるの早いね」

 

「おはようございますマスター。今日も面白い顔をしていますね」

 

「おはよう!いや、面白い顔って…これが普通の顔だわ!」

 

いつも通り、制服の上にエプロンを着た水城が朝ごはんを作ってくれていた。その横でエクスも料理の手伝いをしていた…同じ制服姿で

 

「…て、なんでエクスが制服着てるの!?」

 

「…?わたしも挨拶に行くと言ったではないですか」

 

確かに昨日、エスクはユリス校長に挨拶に行くと言ってはいたがまさか剣の姿でではなく人の姿でいくとは思っていなかったため冬真は少し驚いていた

 

「じゃあ今日は3人で登校するのか?」

 

「はい。良かったですねマスター、女の子に囲まれて登校できて」

 

「お前は剣だろーが!女として意識した事なんてないわ!」

 

その後何やかんや言い争っていたが朝ごはんができたら二人とも静かになった

 

「じゃあ片付けも終わったし学校行くかー」

 

「そうだね、じゃあそろそろ行こうか」

 

そーして3人は自分たちの家を後にした

 

「…なぁ?なんか俺たちすげー見られてないか?」

 

「そうかな?別にいつも通りだと思うけど」

 

水城はもともと剣姫の名が付くほどの魔導士なので学校では入学早々注目されているのだ

 

「まー水城からしてはこれが普通なのか…」

 

水城とパートナーになってから、嫌でも他人には注目をされるようになった桐生も今回だけは昨日よりも注目を集めている事に気がついていた

 

「すいません!一枚よろしいでしょうか!」

 

「え!?」

 

突然前からカメラを持った女の子が飛び出してきた。見た目は桐生や水城たちと比べてかなり小さいが制服を着ているところを見るに同い年だと推測した

 

「なんで写真?」

 

「あなた達を撮りたいからです!」

 

「その理由は?」

 

「昨日の模擬戦、初試合にして初勝利!そして何よりランキング上位の間宮選手を下した特待生!これはかなりのスクープです!」

 

注目されている理由がわかった。模擬戦でランキング最下位の特待生がランキング上位の間宮を負かしたのだ、注目されるのも納得できる

 

「えっと…ところで君は誰?」

 

「あ!失礼しました!私はあなた達と同じ一年生の篠原光と申します。新聞部に所属しています!」

 

新聞部に所属しているから俺たちの写真が欲しいという事か

 

「という事で、早速インタビューを開始したいのですがよろしいですか?と言ってもただ質問に…」

 

「あ、あれは風紀委員長の…」

 

水城がそう言うと、急に篠原はビクッとし急に顔色が悪くなった

 

「お、おい大丈夫か?」

 

「す、すいません…私は用事を思い出したのでこれで失礼します…」

 

そう言い残し、走ってどっかに行ってしまった。すると後ろからまた話しかけられた

 

「よう、特待生!それに水城!この前の模擬戦いい戦いだったなー」

 

「え、あ、はい。あの…どなたですか?」

 

その人は見た目は結構な長身だが髪は長くスタイルもすらっとしていてた

 

「あぁすまない、私はこの学校の風紀委員長で2年の戦場漸離だ!よろしく頼む」

 

「風紀委員長!?水城そんな人とも知り合いなの?」

 

「まー、私は剣姫だからね」

 

やはり水城はすごい…有名人なだけあって先輩の知り合いも多いみたいだ

 

「あ、水城に話があるんだった…ちょっと水城借りてくよー」

 

「え!?わ、ちょっと先輩!私歩けますから降ろしてくださいー!」

 

そう言うと、戦場は水城を担いで歩いて行ってしまった

 

「なんだったんだ?…まーいいか、行こうぜエクス」

 

「はい。校長室まで案内お願いします」

 

やはりエクスと歩いているせいか、注目されている。

 

「なーエクス。校長室まで剣の姿で行かないか?」

 

「いいですが、よろしいのですか?こんなとこで変身しては余計注目を集めるだけかと思いますが」

 

確かに…こんなところで変身されたらそれこそ質問やら注目やらされてしまうだろう。冬真は注目されながらも校舎に入り校長室の前まで辿り着いた

 

「着いたぞエクス、ここが校長室だぞ」

 

「そんなの見ればわかりますよマスター。私を馬鹿にしないでください」

 

そう言うと、エクスはノックもせずに扉を開けた。だがそこにいたのは校長ではなく一人の女子生徒だった

 

「あの…すいません。校長知りませんか?」

 

「離れてくださいマスター。この者はなにか危ない気がします」

 

エクスがとっさに冬真をかばうように前に立った。突然のことに冬真も混乱していた

 

「ふふ…さすが聖剣エクスカリバーだね。少し殺気を出しただけで戦闘体制に入るとはね、でも今は戦闘するつもりは無いよ?それに…」

 

その少女はニヤリと笑った

 

「もし勝負したとしても、勝敗は決定しているよーなものだしね」

 

「…そうですね。失礼いたしました」

 

「あ、ごめんね?少し意地悪し過ぎたかな?許してね」

 

冬真は二人の会話についていけずに混乱していた

 

「あの…貴方は誰ですか?」

 

「あ、名乗って無かったね。僕はこの学校の生徒会長をしている火雷鈴音です!これからよろしくね?特待生の桐生冬真君」

 

火雷の言葉にはなにかを感じた。

 

「あ、そうそう。ユリス校長は今は学校にはいないよ!」

 

「あ、そうなんですか…じゃあ仕方ないクラスに戻るか」

 

冬真とエクスが校長室を出ようとした時

 

「あ、そうだ。もう一つ用があるんだった」

 

急に引き止められ要件を聞くことにした

 

「桐生くん、明日の放課後僕と模擬戦をしてもらうよ。今回はシングル戦でね」

 

「え!?」

 

まさか模擬戦を挑まれると思っていなかったためかなり驚いた

 

「なんで俺と模擬戦をするんですか?」

 

「んーそうだね、強いて言うならば…期待の新人の力を見たいからかな?」

 

期待されてるのは嬉しいことだが模擬戦をやったばっかりなのでそこまでやる気になれない

 

「それに、君の幼馴染が君を強いと褒めていたからね」

 

「え!?草野が!?」

 

この学校に来てからまだ一度として会っていない草野が模擬戦を見て俺を褒めてくれたらしい…かなり嬉しかった

 

「というわけで、よろしくねー」

 

冬真たちは校長室を後にした

 

「…どうするのですかマスター。今のままでは結果は見えますが」

 

「特訓あるのみだ!絶対さらに強くなって勝ってやるぜ!」

 

この時からまた少しの間の猛特訓が始まったのだ

 

 

 




どうもみなさん、東雲颯です
今回は投稿が遅くなってしまい申し訳ありません
今回は戦闘シーンはありませんが新たなキャラが登場しましたね
次回の話も呼んでいただけるとありがたいです


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。