宇宙刑事ギャバン 居場所をなくした二人 (赤バンブル)
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居場所をなくした二人

宇宙刑事ギャバンをベースに制作していこうと考えた取り敢えず短編。

評価によっては継続していこうと思います。


???

 

 

「おい、織斑千冬が決勝にで出るぞ!」

 

「マジかよ!? アイツ、自分の家族よりも名誉を選んだのかよ!」

 

怪しい男たちが向こうで声を上げながら言っている。俺は失望した。

 

 

 

 

千冬姉は俺よりも名誉を選んだのか。

 

 

 

しばらくすると男たちが俺の方へとやってくる。ああ、俺ここで殺されるのかな?

 

「小僧、お前には気の毒だが消えてもらうぜ。」

 

男のうちの一人が拳銃を俺の頭に突きつける。撃つなら早く撃ってくれ。さっさと死んだほうが気が楽だ。

 

「小僧、何かいい残すことはあるか?」

 

「なら千冬姉に伝えてくれ。アンタには飽き飽きした。俺はアンタのことが大っ嫌いだってな。」

 

「確かに聞いた。じゃあ・・・・・」

 

「待て!」

 

そのとき誰かの声が男たち全員を振り向かせた。するとどうだろうか。

 

男たちは何か漫画とかで言う早撃ちで全員眉間を打ち抜かれて倒れた。俺はただ茫然とした。

 

「大丈夫か、君?」

 

向こうから男の人が駆け寄ってきて俺の体を調べる。

 

「よかった、どこも怪我がないようだな。」

 

男の人は安心する。

 

「・・・・・なんでだよ。」

 

「ん?」

 

「なんで俺のことを助けたんだよ!」

 

俺は思わずその男の人に怒鳴り散らした。男の人はいきなりの出来事に少し目を丸くしていた。

 

「俺には何もないのに・・・・・誰にも必要とされていないのに・・・・・なんで助けたんだよ!俺なんか生きてる価値なんてないんだよ!」

 

俺、織斑一夏は泣きながら男の人に怒鳴った。男の人は黙って俺の話を聞いていた。

 

「家族にも見捨てられて・・・・俺なんか生きている資格なんか・・・・・」

 

「馬鹿野郎!」

 

「!?」

 

男の人は俺のことを殴った。いきなりなもんだから俺は痛みよりも男の人の顔を見た。

 

「何故そこで諦めようとするんだ!お前はまだ生きているんだぞ!男はな、生きている限り戦い続けるんだ!どんな時も、どんなことにも挫けることなく・・・・前を突き進まなければいかんのだ!」

 

「・・・・おじさん。」

 

「・・・・今の君には確かに何もないのかもしれん。だが、君はまだ若いんだ。また、一から始めることもできる。」

 

「うう、ううう・・・」

 

「男はぐずぐずするもんじゃない・・・・・!」

 

男の人は咄嗟に後ろを振り向いて銃の引き金を引いた。よく見るとそこには死んだはずの怪しい男のが銃で撃とうとしていた。

 

「おのれ・・・・・銀河連邦警察め・・・・。」

 

男は倒れるとその場で死体は消滅してしまった。

 

「やはりマクーが絡んでいたか。」

 

「い、今のは!?」

 

「詳しいことは後で説明する。こちらも急がねば・・・」

 

男の人は俺の手を引っ張り急いで走っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本 ???

 

「では、警備を怠るなよ。」

 

「了解しました。」

 

外では警察が私が不審な行動をとらないかどうか見張っている。おかげで私は一人ぼっちだった。

 

全て姉さんのせいだ。姉さんが日本政府から逃げ出さなければ。

 

「・・・・お父さん、お母さんお元気ですか?この手紙を呼んでいる頃には、私はもう・・・・」

 

私、篠ノ之箒は今どこにいるか分からない両親宛てに遺書を書いていた。はっきり言うと、自殺を考えているんだ。姉さんのせいで私たち家族はバラバラにされた。そのおかげで私は今政府の管理下で苦しい生活を送っている。今まではいつかきっと会えると信じ続けていたが、もう疲れた。

 

「よし、これで全部整った。」

 

私は遺書を封筒に入れると家の二階へと上がっていく。流石に警備している警察でも私が二階から飛び降りれば対処しきれまい。もう、こんな生活はウンザリだった。でも、一つだけ悔いが残っている。

 

「もう一度、一夏に会いたかった・・・・・?」

 

私は思わず泣きたくなったとき、外の異変を感じた。外がやけに静か過ぎた。いつもなら警官がいろいろ連絡を取ったりしているはずなのに。私は変だと思い、玄関の方へと行こうとした。そのとき

 

「篠ノ之箒を見つけ出せ!連中の話ではこの家にいるはずだ!」

 

私は思わず背筋がゾッとした。外の警官たちが殺されていたのだ。その上に不気味な怪人と覆面を被った男たちが今に家の中へと突入しようとしていた。

 

「な、なんなんだアイツら!?」

 

私は急いでその場から引き下がろうとした。しかし、その直後、レーザーが私の顔のすぐ近くを通っていった。思わず立ち止まってしまい私は唖然とした。

 

「貴様が篠ノ之箒だな?やっと見つけたぞ。」

 

怪物は笑いながら私を見る。

 

「貴様を見つけるのには苦労したぜ。なんせ他の連中は血の気が多いダブルマンを送っちまったせいで捕まえる前に殺しちまったんだからな。」

 

私はその言葉に思わず唖然とした。

 

「殺した?お父さんもお母さんも?」

 

「困ったもんだぜ? 篠ノ之束への人質にしようと思ったのに、実際コンタクトを取ったら『はいはい、束さんはそんなことには全然興味がないから~』だとさ。 そんであんまりにもムカついたから・・・・・」

 

「ふざけるなああああ!!!!」

 

私は怒りのあまりに怪物を殴り飛ばした。そして、もう一発お見舞いしようとしたら戦闘員みたいな奴らに抑えられる。

 

「離せ!離せええええ!!!」

 

「痛てぇじゃねえか! 全くこの家族は母親以外血の気が多いぜ。 我等マクーに敵うと思っているのか?」

 

この怪人ダブルマンは殴られたところを抑えながら私の方を見る。

 

「なあに、俺は他のダブルマンとは違う。てめえは篠ノ之束に対しての人質として・・・・・」

 

そのとき私達の足元にカプセル状の何かが転がってきた。

 

「ん?なんだこれ?」

 

戦闘員が取ろうとした瞬間、それはすごい煙を上げて爆発した。

 

「なっ、なんだ!?」

 

ダブルマンは思わず私を離して思わぬ事態に戸惑う。離された瞬間私は他の誰かの手に引っ張られその場から離れて行く。

 

「だ、誰・・・・」

 

「大丈夫!私にしっかり掴まって!」

 

女の人の声だった。私は精神的に疲れたのか、ただその人に引っ張られていくだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本 見知らぬ山奥

 

「もうすぐでマリーンが来るはずなんだが・・・・」

 

ボイサーは宇宙船の外で腕時計を見ながら言う。その隣では一夏が大人しくしていた。

 

「あの・・・・ボイサーさん。」

 

「ん? なんだい一夏君。」

 

「ボイサーさんって本当に宇宙人なんですか?どう見ても日本人にしか見えないんですけど・・・」

 

「ハハハ、まあ確かに日本人にしか見えないな。でも、私はこれでもバード星人なんだ。」

 

「なんか信じられないけど、こんな宇宙船まで見せられちゃな。」

 

一夏はそう言いながらそこら辺の岩にしゃがみ込む。宇宙船の中でニュースを見たが一夏の誘拐についての話はなかった。

 

「ここまで情報を隠蔽してしまうとは。 この地球が銀河連邦警察に見放されるのも時間の問題だな・・・。」

 

ボイサーは苦笑しながら言う。

 

「そう言えば、ボイサーさん。 ボイサーさんはどうして地球に来て、ひっそりと活動しているんですか?」

 

一夏の質問に対してボイサーは自分の首に付けているペンダントを開いて見せる。ペンダントにはボイサーと一人の女性の写真が貼ってあった。

 

「死んだ妻の故郷なんだ。ここにいると妻が近くにいるように感じるんでね。だから銀河連邦警察が見放そうとしても、私はこの星のマクーの犯罪を阻止している。」

 

「そうなんですか。」

 

一夏は正直不味いことを聞いたと思って後悔した。

 

「すみません。なんか失礼なことを聞いて。」

 

「気にしなくてもいい。ところで一夏君は本当にいいんだね?お姉さんに会わなくても。」

 

一夏は黙って首を縦に振る。

 

「正直、千冬姉に会っても今まで通りになって何も変わらないんと思うんです。だから俺もボイサーさんみたいに宇宙刑事になって陰からでも誰かを守るような人になりたいんです。」

 

「そうか、でも宇宙刑事の訓練は厳しいぞ?」

 

「そんなの覚悟の上です。」

 

「ハハハ、頼もしい限りだな。」

 

二人がそう会話している間、女性の声が聞こえてくる。

 

「ゴメン、お待たせ!」

 

「おっ、やっとマリーンが来たようだな。」

 

ボイサーと一夏は声のした方を見る。向うではマリーンらしき人物が手を振りながら来る。しかし、一夏はそのマリーンが引っ張っている少女に驚いた。

 

「ほ、箒!?あれってもしかして箒か?」

 

マリーンが到着すると一夏は放心状態になっている箒を揺さぶる。

 

「おい、箒!しっかりしろ!」

 

「・・・・・・」

 

「箒!」

 

一夏は箒を揺さぶる。すると箒は我に返る。

 

「い、一夏?一夏なのか!?」

 

「久しぶりだな、でもどうして箒が・・・・」

 

「ううう・・・・・うわあああああああ!!!!」

 

箒は一夏の胸の中で泣き出した。

 

「どうしたんだよ!急に!?」

 

「殺されたんだ!お母さんとお父さんが・・・・・怪物どもに・・・」

 

箒は泣きながら答える。

 

「君やご両親を襲ったのは、宇宙犯罪組織マクーだ。」

 

「マクー?」

 

箒はボイサーの方を見る。

 

「奴らの狙いは、おそらく篠ノ之束を手駒にし、この星を犯罪に溢れた星に変えることだろう。」

 

「でも・・・・姉さんのためだけに・・・・どうして・・・・お父さんやお母さんまで・・・・どうしてなんだ!」

 

「箒、少し落ち着け。」

 

「落ち着いていられるか!姉さんのために殺されたんだぞ!お前に家族を殺された気持ちがわかるか一夏!」

 

「・・・・・俺は捨てられたんだ。」

 

「え?」

 

一夏は拳握り絞めながら言う。

 

「俺は・・・・・顔も覚えていない両親に捨てられ、たった一人の家族だった千冬姉にも捨てられたんだ。」

 

「ち、千冬さんに?」

 

「昨日、モンドグロッソの決勝だっただろう?俺、あの時誘拐されたんだ。」

 

「誘拐・・・・」

 

「千冬姉の事だからきっと俺を助けに来てくれると信じていた。でも、結局千冬姉は自分の栄光の方を選んだ。もし、ボイサーさんが俺のことを助けてくれなかったら、俺は今頃死んでいた。」

 

箒は段々自分が言っていたことの情けなさを感じ始める。

 

「俺はそのとき、自分はもうどうなってもいいと思ったんだ。けど、ボイサーさんが言ってくれたことで少しは立ち直れた。俺はまだ生きているんだ。だから、新しい俺を見つけるためにも俺は生き続ける。それがどんなに辛く、挫けそうでも。」

 

「一夏。」

 

「さて、私もそろそろ他の任務に行かなくては。ところで篠ノ之君。」

 

ボイサーは箒の方を見る。

 

「は、はい。」

 

「一夏君はこの星を離れて私と同じ宇宙刑事を目指していこうと考えているが、君はどうする?この星に残ってまた政府の管理下に戻るか、君のお姉さんを探しに行くか。それとも、君もバード星にいくか。どちらにしても君の自由だ。」

 

「わ、私は・・・・・」

 

箒は一瞬戸惑うがすぐに決断する。

 

「私もバード星に行く!今のままじゃ私も変わらないし、マクーを倒さなければお父さん、お母さんの無念も晴らせない!」

 

箒の決心した顔を見てボイサーもマリーンも安心した顔をする。

 

「ではマリーン、彼らを頼む。」

 

「わかったわ、あなたも無理しないようにね。コム長官も心配しているんだから。」

 

「わかっている。では、一夏君、篠ノ之君。またどこかで会おう、今度は宇宙刑事として。」

 

「「はい!」」

 

かくして、一夏、箒はマリーンの手によってバード星へと旅立って行った。

 

 

 

 

 

 

 

その数日後、地球では第二回モンドグロッソ決勝での千冬の優勝、一夏の行方不明、そして日本政府の重要人物保護プログラムに登録されていた篠ノ之一家の謎の殺害事件が、ニュースを通じて報道された。一夏については千冬は捜査の続行を求めたが、犯人の所在も解らぬ為に打ち切り、箒に関しては遺体が確認できない為に生存の可能性があったが、それ以上の情報を掴むことがなく、ただ時が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後 とある惑星

 

「・・・・・・コチラ一夏、コードネーム『ギャバン』。バード星、応答願います。」

 

「こちら、本部。どうぞ。」

 

とある惑星の任務を終え、一夏は帰還する前に任務完了の報告をしていた。彼の隣には箒が立っている。

 

「コム長官、惑星ガンマーでのマクーの鎮圧を完了しました。」

 

『ご苦労だった。任務が終わってすぐで悪いがすぐに戻ってきてくれないか?大事な話がある。』

 

「大事な話?わかりました。すぐに向かいます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バード星 銀河連邦警察本部

 

「え?地球のボイサーさんとの連絡が途絶えた?」

 

「派遣した宇宙刑事が裏切ったのですか?」

 

本部に戻ってから一夏と箒が聞いたことは地球にいたボイサーから通信が途絶えたということだった。

 

「信じられんことだが本当だ。それともう一つ、地球でのマクーの活動が活発になってきている。」

 

「ついにドン・ホラーが動き出した可能性があるのよ。」

 

「ドン・ホラー・・・・父さんと母さんを殺したマクーの首領・・・。」

 

箒は拳を握り締めながら言う。

 

「君たちには行方がわからなくなったボイサーに代わって地球に行ってきてもらいたい。この仕事は君たちが地球生まれだからこそ任せられることだ。」

 

「・・・・・地球か。」

 

一夏は思わず口にする。

 

懐かしくもあり、嫌な思い出のある地球。それでも、彼にとってはかけがえのない故郷なのだ。

 

「一夏。」

 

「わかってる、マクーの犯罪は必ず阻止して見せます!」

 

「それでこそ我等銀河連邦警察が誇る宇宙刑事だ。それとマリーン、例の物を。」

 

「はい。」

 

マリーンは二人に銀色のブレスレッドを渡す。

 

「長官、これは?」

 

「それは新型のコンバットスーツだ。」

 

「どうしていきなり新型を?」

 

「君たちには地球のIS学園に行ってもらうからだ。」

 

「「え?」」

 

二人は驚いた顔をして言う。

 

「ちょ、長官。俺たちもう二十歳ですよ!?学園になんて・・・・」

 

「わかっている。 だから年齢も偽装しているし、地球の方にも問い合わせてある。」

 

「そ、そんなこと言われても・・・・・なあ、箒も・・・」

 

「一夏ともう一度青春か・・・・・それも悪くないか。(ポッ)」

 

箒は少し顔を赤くしながら言う。

 

「お前な・・・・。」

 

「まあ、二人とも将来は夫婦になるんだから、仲良くして行って来てくれ。」

 

「「長官!!」」

 

二人は顔を赤くして答えた。箒の右手の薬指には宝石が付いた指輪が光っていた。

 

 

 

 

 

 




次回はキャラ紹介制作(予定)。


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登場人物紹介

ネタバレ注意!

皆さんから続々と次の話を期待している声がありますがギャバンのあの熱いドラマとかを再現する自信がなくて不安になっていますが一様登場人物及び登場予定人物を一部紹介します。


主人公側

 

 

 

 

「俺は守って見せる!箒と故郷の地球を!」

 

一条寺 一夏/ギャバン

 

本作の主人公。年齢二十歳で旧姓は織斑。姓名は過去の自分と決別するために変えた。誘拐事件の時ボイサーに救助されて宇宙刑事を志すようになる。姉の千冬との仲はイマイチではあるが、今でも姉のことを考えることがある。箒とは訓練自体からチームを組んでおり、仲間と言うよりもパートナーとして見ている。訓練後の各惑星任務の中で、彼女に対する恋愛的感情を持つようになり、現在は恋人同士である。地球にいたボイサーの連絡が途絶えたため、急遽故郷である地球に行くことになった。蒸着するコンバットスーツは旧作ギャバンと同じデザイン。 姓は初代ギャバンこと一条寺烈から。

 

 

 

 

「私は・・・・絶対に私と同じ存在をもう作らせない。」

 

十文字 箒/レディギャバン

 

本作のヒロイン。年齢は二十歳、旧姓は篠ノ之。両親をマクーに殺され、敵を討つべく宇宙刑事を志した。 この時に過去の自分を変えようと姓名を変えた。 事件から数年が経ち、大人としての自覚を持ち、現在は復讐ではなく飽くまでも「自分と同じ存在」を作らせないというのをモットーにしている。一夏とは幼馴染ということもあり、訓練生時代からチームを組んでおり、一夏とはパートナーで恋人同士である。地球に着く任務の前に告白しており、地球に帰還時には既に恋人同士になっている。一夏と共に地球に向かうが親を見殺しにした姉の束に関しては複雑な思いをしている。 コム長官の秘書マリーンには助けてもらったこともあり、姉のように尊敬している。蒸着するコンバットスーツはギャバンを女性体形にしたような感じ。 姓は二代目ギャバン、十文字撃から。

 

 

 

 

「頼んだぞ、二人とも。」

 

コム長官

 

一夏と箒の上司であり銀河連邦警察の最高責任者。一夏と箒を宇宙刑事として育て上げ、地球へと向かわせる。二人に対しては親ぐらいの愛情があり、二人が結婚することも前提に考えている。

 

 

 

 

「無理しないようにね。一夏、箒。」

 

マリーン

 

コム長官の秘書。箒を救った人物。箒を実の娘のように思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

連載された場合に登場する予定の人物

 

 

 

 

 

 

「今の地球じゃ、マクーの手に堕ちるのは時間の問題かもしれないわ。」

 

スコール・ミューゼル

 

元亡国企業の幹部で銀河連邦警察日本支部の司令官。。亡国企業がマクーの傘下に入り、志が変わってしまったため脱退し、現在は銀河連邦警察日本支部の隠れ蓑「IS企業 スカイミューゼル」を設立し、代表を務めている。彼女の話では一夏誘拐以前に組織がマクーの傘下になってしまっている。裏からギャバンたちのバックアップをしている。コンバットスーツをISの待機サイズにまで収縮させる案も彼女が考えた物。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「スコールがやるなら私もやるさ!隊長だろうが、宇宙刑事だろうが!」

 

オータム

 

元亡国企業出身の宇宙刑事。主に海外に出ている。組織はスコールが脱退したため、共に銀河連邦警察に入った。口は悪いが、ギャバンたちの力量は認めている。企業内では実働部隊隊長で巻紙礼子と名乗っている。コム長官のことは親近感を持って「おっさん」と呼んでいる(本人公認)。

 

 

 

 

 

 

 

「私・・・・失敗作なんだ。姉さんの。」

 

エム/織斑 マドカ

 

オータム同様元亡国企業出身で組織内で作られた千冬のクローン。一夏を「ギャバン」と呼んで実の兄のように慕っている(箒に対しても姉のように見ている)。スコール曰く「三人でいると親子に見える」と言われるほど。本来はIS搭乗者になるための調節を受けるはずだったが、亡国企業がマクーの傘下に入ってしまったため、彼女も失敗作として処分されるところをオータムに救出されて今に至る。普段は会社内で大人しくしている。

 

 

 

 

「私は一体どうすればいいんだ・・・・・。」

 

織斑 千冬

 

一夏の元姉でクラス担任。誘拐事件時に一夏を救助できなかったことを引きずっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙犯罪組織マクー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔空空間に引きずり込めー!」

 

ドン・ホラー

 

宇宙犯罪組織マクーの首領。地球を植民地にして犯罪に溢れた星にしようと企んでいる。普段は魔空城におり、部下がピンチになると「魔空空間」を発生させる。

 

 

 

 

 

 

 

「ちーちゃん、ちーちゃんなら裏切らないよね?」

 

篠ノ之 束

 

ISの開発者であり、箒の実の姉。第一話では入るのを拒んでいたが箒が行方不明になったのを機にマクーの技術を取り入れるべく敢えてマクーのメンバーに入る。他人に対しては素っ気ない態度をとるが千冬や一夏、妹の箒に対しては今でも大事に思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、私に任せろ。」

 

ハンターキラー

 

マクーの指揮官で元宇宙刑事。

 

 

 

 

獣星人ダブルマン

 

マクーの上位戦闘員。主に前線で指揮を執る。

 

 

 

 

 

 

 

その他

 

 

 

「お前はまだ生きているんだぞ!なぜ諦める!」

 

ボイサー

 

一夏を助けた宇宙刑事。現在は消息を絶っている。

 

 

 

 

 

「例え年上になろうと、宇宙刑事になろうと、お前は一夏で俺の友達だ。」

 

五反田一家

 

五反田食堂を経営しており、ギャバンたちの理解者。特に弾は一夏と箒が店を訪れ、再会した時は号泣していた。 蘭は好意を持っていたが、一夏には既に箒がいた為にショックを受けていたが、後に受け入れる。 二人の母親の蓮は、一目見て一夏だと分かっていた。

 

 

 




元々、短編として考えていたのでどうしようかと考えていますが・・・・・皆さんの応援次第ではできるだけギャバンを目指して書いて行きたいと思っています。


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帰郷

一様、続きを書いてみましたが十分に再現できていないと思います。
自分の実力不足ですが・・・・。

この作品続くのか・・・・・?

注意

キャラ崩壊のオンパレード


一夏と箒は超次元高速機ドルギランに乗り、地球へと向かっている頃、宇宙の異次元空間にある魔空城に、「とある人物」がマクーのメンバーとして迎え入れられていた。

 

「申し上げます、ドクター束をお連れしました。」

 

指揮官ハンターキラーは部下のダブルマンを引き連れ、魔空城の広間に兎耳のカチューシャ、胸元が開いたデザインのエプロンドレスを身に付けた女性を連れてくる。周りには多くのマクーの戦闘員とドン・ホラーの秘書ホラーガールが不気味な笑い声を響かせながら並んでいた。

 

「・・・・・お前が篠ノ之束か?」

 

広間の中央にその巨体を鎮座させ、一見巨大な石像のような姿をした首領ドン・ホラーは目を光らせながら束に向かって言う。

 

「そうだよ、私が天才の束さんだよ~。」

 

「嘗て日本政府から逃げたと聞いたが、我がマクーに入ったからには裏切りは許さぬぞ。裏切った場合は死あるのみだ。」

 

「はいはい、それは分かったから。ところで、例の話にあった「束さん専用研究室」は用意してあるんだろうね?」

 

ドン・ホラーの言葉を無視して束は質問してくる。

 

「貴様、ドン・ホラーに向かって!」

 

一人のダブルマンが注意をしようとしたときドン・ホラーは制する。

 

「例の研究室はすでに用意してある。後は好きな研究でもするがよい。実験に出すのも貴様の自由だ。」

 

「いや~わかってるね~ドンちゃんは。」

 

「ド、ドンちゃん!?」

 

束の呼び方にハンターキラーは唖然とする。そんな彼を他所にドン・ホラーは全員向かって言う。

 

「よく聞け。我等マクーは地球を植民地化し、犯罪に溢れた星にしなければならない。人間どもから善なる心を奪い取り、悪の魂を植え付けるのだ。奪えるものはなんでも奪え。女共の手で腑抜けになった軍隊を血祭りにあげろ!」

 

「「「「「ゲエエ!!」」」」

 

「「「ゲエエエ!!!」」」

 

戦闘員たちは了解したのかのように奇声を上げながら敬礼する。

 

「シャコモンスター!」

 

ダブルマンが言うと中央の床が開き、白い甲殻類のような怪人が現れる。

 

「行け!世界各地に前線基地を築き、そこを拠点にマクーの恐ろしさを見せつけるのだ!」

 

 

 

 

かくして魔空城からマクー戦闘母艦が発進され、地球近辺に到着すると更に武器や資材を積んだ戦闘円盤が世界各地へと密かに降りたって行った。

 

 

マクーは宇宙海賊でありこれまでにいくつもの星の全ての財宝、人材を独占していった。そして、今地球が彼らのターゲットにされたのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地球 スカイミューゼル社

 

「司令、ドルギランを確認しました。」

 

一人の女性オペレーターが報告する。

 

「そう、やっと来たようね。ゲートを開いて収容してちょうだい。」

 

「了解しました。こちらスカイミューゼル社。ドルギラン、聞こえますか?ここからは我々の誘導に従ってゲートから着陸してください。」

 

『了解、こちらドルギラン。指示をお願いします。』

 

会社のビルの隣にある雑木林の山が二つに割れゲートが現れる。ドルギランはそこからゆっくりと着陸していき、見えなくなるとゲートは閉じて元の山に戻った。

 

「着陸完了しました。」

 

『本機から降りてロビーに来てください。司令がお待ちしています。』

 

「了解。」

 

一夏はそう言うと箒と共にドルギランから降りて行く。

 

 

 

 

スカイミューゼル社。

 

それは表ではIS企業として経営しているが実は真の姿は銀河連邦警察の地球支部なのだ!

 

ここでは司令官スコール・ミューゼルを中心に各スタッフ、メカニックがあらゆるメカニズムを管理しておりマクーの犯罪に備えているのだ。

 

 

一夏と箒は通路を歩いてロビーを目指していた。するとそこへ一人の少女が走ってきた。

 

「ギャバン!」

 

「マドカ!久しぶりだな。スコールさんがバード星本部に来て会った時以来か。」

 

一夏は嬉しそうに言うとマドカと呼ばれている少女は彼に抱き付いた。

 

「元気そうだなマドカ。」

 

「箒姉さんもお元気そうで何よりです!」

 

「そう言えばオータムさんは?いつもなら一緒にいるのに・・・・」

 

「今、アメリカで確認したマクー地下秘密基地を破壊しに出かけました。今回は危なそうだからお前は留守番していろって・・・・」

 

マドカは膨れっ面で言う。

 

「ところでスコールさ・・・じゃなくて司令官は?」

 

「ロビーで待ってます。先に行って会って来なさいって言われたので。」

 

「そうか。」

 

まるで親子のような会話をしながら一夏たちはロビーに歩いて行く。二人がロビーに到着すると眼鏡に豊かな金髪に豊満な身体をもった美女、スコールが歩いてきた。

 

「久しぶりねギャバン。」

 

「お久しぶりです、スコール地球方面司令官。」

 

一夏と箒は彼女に敬礼する。

 

「三年・・・・いや、六年ぶりの地球の大地を踏んだ感想はどうかしら?」

 

「まだ複雑ですね・・・・・こっちは俺が離れた頃とちっとも変わっていませんから。」

 

一夏は複雑そうな顔で言う。それを見てスコールは一瞬気まずそうな表情をした。

 

「さて、着任してそうそう悪いけど通信室に来て。コム長官から連絡があるから。」

 

「コム長官が?」

 

「貴方に言い忘れたことがあるそうよ?」

 

そう言いながら四人は通信室へと行く。通信室に到着するとスコールは早速コム長官と連絡を繋げた。

 

『すまないな、君たちに一つ大事なことを言い忘れてしまっていた。』

 

「大事なこと?」

 

『地球ではハンターキラーと名乗る男に気をつけてくれ。』

 

「例の裏切った宇宙刑事ですか?」

 

『ああ、彼はマクーのメンバーに入っている。』

 

「ここは俺たちの故郷です。マクーの好き勝手にはさせませんよ。」

 

『くれぐれも油断するな。』

 

『幸運を祈ります。一夏、箒。」

 

「ありがとうございます、マリーンさん。」

 

二人は敬礼をして通信を終える。

 

「学園入学まであと1週間残っているけどどうする?必要なものはこっちで揃えるけど?」

 

「取り敢えず調査に行こうと思います。」

 

「あら、もういきなり?折角時間があるのだからマドカと出かけてきたら?」

 

「ですが・・・・」

 

「行こうよギャバン!箒姉さんも!」

 

マドカは急かすように二人に言う。その光景はもはや家族にしか見えない。

 

「分かった、今日はどこかへ出かけようか。」

 

「やったー!」

 

「では司令、俺たちちょっとドライブに行ってきます。」

 

三人は通信室から出ようとする。

 

「あ、ちょっと待ちなさい。」

 

スコールはポケットからカードを取り出し一夏に渡す。それは一夏と箒の自動車免許書だった。

 

「無免許運転はまずいでしょ?」

 

「ありがとうございます。では。」

 

そう言うと一夏たちは通信室から出ていく。

 

「司令、アメリカのオータムさんから通信です。」

 

「回線を回して。」

 

スコールは真面目な顔になり通信を行う。

 

『こちらオータム、コードネーム「シャリバン」。聞こえるか、スコール?』

 

「ええ、聞こえるわよ。」

 

『アメリカ方面のマクー基地は殲滅完了。けど、ボイサーの行方の手かがりになりそうなものは見つからなかった。』

 

「そう、わかったわ。戻ってきていいわよ。」

 

『了解。スコール、私にもたまには休日をくれよ。いくら私でもここ数日連続任務じゃきついぜ。』

 

「そんなこと言わないの。もうあなたの後輩が今着任したのよ?」

 

『お!ギャバンたちが来たか!っで今は?』

 

「マドカとドライブに行ったわ。」

 

『よ~し、私も急いで帰ってアイツらに稽古でもつけるとするか!』

 

そう言うとオータムは通信を切る。

 

「全く、さっきまで疲れたと言っていたのに……どこからあんな元気が出てくるのかしら?」

 

スコールは思わず笑いながら言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある高速道路の真下

 

「きっとUFOは昨日の夜この辺に降りたはずよ!」

 

長い髪を後ろで無造作にクリップでまとめ、かなりラフな服装をした少女が言う。

 

「でもよ・・・・よりによってなんで俺と数馬まで付き合わなきゃなんないんだよ?」

 

彼女の後ろにいる赤い長髪にバンダナを巻いた男、五反田弾は呆れた顔で言う。

 

「いいじゃないの、お兄い! どうせ今休みなんだし、こういう暇つぶしでも・・・・」

 

「とか言って、本当は宇宙人がいるんじゃないか、って期待しているんじゃないの・・・・」

 

「それ以上言わないの!」

 

少女、蘭は兄である弾にヘッドロックを仕掛ける。

 

「ギブギブ!ちゃんと付き合うから許して!!」

 

「おい、二人とも!あれを見ろよ。」

 

御手洗数馬はトンネルをのぞき込んで言う。二人も覗いてみると驚くべきものを目にした。トンネルに入ってくるトラックの運転手が、全員宇宙人の顔をしているのだ。

 

「こ、これは・・・・・」

 

「ねえ!ねえ、どう?私の感に間違いはなかったでしょ?」

 

蘭は誇らしげに言う。次のトラックは来る様子がない。

 

「お兄い、数馬さん、こうなったら奥まで調べて見ましょうよ!」

 

「マジで言っているのか、蘭?」

 

「面白そうじゃないか弾。俺もその案に乗った。」

 

「おい、数馬・・・」

 

「よし、そうと決まったら出発!」

 

三人は奥へと進んでいく。三人はどんどん奥へと進んでいくが、途中で行き止まりに差し掛かった。

 

「この辺のはずだったけど・・・・」

 

「さっき通ったトラックはここで止まってるけどもの抜けの殻だ。」

 

「人が消えたのは変だけど・・・トラックだけ残るって変だな・・・・。」

 

 

そのとき、弾が落とし穴のボタンを踏んだとは誰も思わなかった!

 

 

落とし穴が発動し、三人は地下の入口へと落ちていった。

 

「「「ええええ~~!!!!」」」

 

三人は絶叫しながらも地下のトンネルを滑り落ちていく。そして、マクーの地下秘密基地へと落ちてしまった。

 

「痛てて・・・・」

 

「痛い・・・・」

 

「大丈夫か、二人とも・・・・!」

 

二人に声を掛けようとした瞬間、数馬は慌てて声を小さくして、二人を引っ張って物陰に隠れた。

 

「どうしたんだよ数馬?急に・・・・」

 

「あれを見ろ!」

 

「!!」

 

弾たちは唖然とする。目の前では、マクーの戦闘員たちが基地の建造を着々と進めていた。

 

「やっぱり宇宙人の秘密基地だったのよ・・・・・」

 

「蘭の直感が当たりやがったぜ・・・。」

 

「取り敢えず気づかれる前に外へ逃げよう。」

 

三人は顔を合わせて言うと、慎重に物陰に隠れながら移動する。

 

「ねえ、お兄い。」

 

「なんだよ。」

 

「アイツらまさか、侵略宇宙人じゃないの?」

 

「たぶんな。」

 

「でも、今の政府じゃ信じてくれないと思うよ? 女尊男卑の社会の影響で、自衛隊もIS部隊以外はみんなお払い箱になっているからさ。」

 

「だよな・・・ああ、俺たちが死ぬまで何も手を出さなければいいけど・・・」

 

弾はため息をしながら言う。 三人は基地の上へ上へと慎重に上り、出口もそう遠くないと判断した。次の階段を昇ろうとしたとき、三人は慌てて物陰に隠れ直す。上から三人のダブルマンが降りてきたからだ。三人は通り過ぎた後急いで階段を昇ろうとした。

 

「あっ。」

 

一瞬の油断だった。

 

蘭は急いで上に上がろうとしたあまり、何が入っていたのか分からない缶を蹴ってしまった。缶は音を立てながら落ちていく。

 

「しまった・・・・」

 

「みんな急いで逃げるぞ!」

 

三人は急いで階段を昇り、手あたり次第走っていく。

 

「ゴメン、二人とも私のせいで。」

 

「謝る暇があるなら走れ!」

 

三人は迷路のような基地を走り回りどうにか地上に出ることができた。

 

「やっと出られた。」

 

「急いでここから離れるぞ!さもねえと奴らに捕まって標本にされちまうぞ!」

 

「いや~!結婚もしていないのに!」

 

三人は逃げようとしたときもう既にマクーの戦闘員とダブルマンが彼らを包囲していた。

 

「しまった!囲まれた!」

 

「秘密を知ったからには生かしてはおけん!」

 

戦闘員たちは弾たちに襲い掛かる。

 

「数馬!蘭を連れて逃げてくれ!俺が囮になる!」

 

「え!?おい、弾!」

 

弾は数馬に蘭を任せると戦闘員たちに突っ込んでいく。戦闘員たちは容赦なく弾に斬りかかる。

 

「うおっと!危ねえ!」

 

弾は何とか回避していく。

 

「蘭ちゃん、今のうちに逃げよう。」

 

「でも、お兄いは!?」

 

「そんなことを言っている間に逃げないと俺たちも・・・・・」

 

「ギイイ!!」

 

そんなところに、別の戦闘員が蘭たちを襲う。

 

「うわあ!」

 

「もうダメ・・・・」

 

そのとき、一台の車が戦闘員を突き飛ばした。車からは一人の男性と女性、少女が降りてくる。

 

「「え?」」

 

二人は唖然とする。その男性は二人がよく知っている顔だったからだ。

 

「箒、マドカ。蘭と数馬を頼む!」

 

男はそう言うと弾の方へと走っていく。弾は既に避けるのが精一杯で今にも切り捨てられそうだった。

 

「もう、だめ・・・・ああ、一夏。俺はお前の後を追っていくのか・・・・」

 

弾が諦めかけたとき、男は彼に斬りかかろうとした戦闘員を蹴り飛ばし、弾を助けた。

 

「大丈夫か?」

 

「え?」

 

弾は驚いた顔で男の顔を見る。それは数年前に死んだと思っていた友人と同じ顔をしていたからだ。

 

「い、一夏?どうして・・・」

 

「逃げろ、弾!」

 

一夏は弾を突き飛ばす。すると次の瞬間シャコモンスターは彼に襲い掛かり投げ飛ばす。弾は急いで走って箒たちがいる場所へと行く。

 

「お兄い、大丈夫?」

 

「ああ、でもどうして一夏が?」

 

「お前も思ったか?」

 

「ああ、初対面なら俺たちの名前を言わないはずだ。でもアイツ死んだんじゃ・・・・」

 

三人は訳がわからないと思っている中、一夏はシャコモンスターに苦戦していた。

 

「くっ!弾たちがいるが、止むを得ないか!」

 

一夏は構えを取る。

 

「蒸着!」

 

一夏は右手を空に向かって伸ばす。すると一瞬にして彼は銀色のコンバットスーツに身を包んだ戦士へと姿を変える。

 

「え?」

 

「ええ??」

 

「「「えええええええ!!!!!」」」

 

三人は思わず大きな声で驚く。マクーの戦闘員たちも同様に驚いていた。

 

「貴様、何者だ!」

 

「宇宙刑事、ギャバン!!」

 




今回は「宇宙刑事ギャバン」の第一話をベース制作しました。
次回はシャコモンスターとの戦闘になりますが書ける自信は・・・・

マドカ・・・・子供っぽくしすぎちゃったかな。


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友との再会

取り敢えず第一話ベースの後半。

なんか戦闘描写が下手なのでそのうちタグに戦闘描写下手を追加する予定です。


「宇宙刑事、ギャバン!!」

 

宇宙刑事ギャバンがコンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか0.05秒にすぎない!では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!!

 

「蒸着!」

 

一夏はある程度の動作を行い右手を空に翳す。

 

するとスカイミューゼル社にあるコンバットスーツ電送装置が作動する。

 

『了解。コンバットスーツ、電送シマス。』

 

電送装置によりコンバットスーツは分子分解・電送し、一夏の体に吹き付けられるようにしてコンバットスーツが構成されていき蒸着が完了する。

 

「宇宙刑事だ。生かして返すな!」

 

いつの間にかその場にいるハンターキラーが言う。

 

「貴様がハンターキラーか!この卑怯者!」

 

「ふん!地球は間もなく我々マクーものとなるのだ。かかれ!」

 

「「「ギイイ!!」」」

 

ハンターキラーが命令すると戦闘員たちは短剣を構えギャバンに襲い掛かる。

 

ギャバンは一対複数なのにも関わらず巧みなテクニックを使って圧倒する。一人が襲うとキックで撃ち返し、戦闘員が突っ込んでくるときは足を引っかけて倒す。いくらマクーの戦闘員たちと言えどギャバン相手では分が悪かった。

 

「すげえ・・・・」

 

「一夏、強え・・・」

 

弾たちは目を丸くしながらその光景を見る。

 

「あれ?さっきまでそこにいた女の人は?」

 

「箒姉さんならもう既に基地に潜入しています。」

 

蘭が気にしていたことをマドカが答える。

 

「そう言えばアンタ・・・・千冬さんにそっくり・・・」

 

「気のせいです。」

 

「そ、そうですか・・・。」

 

一瞬マドカから殺気のようなものを感じたため、弾たちはこれ以上質問するのをやめた。

 

「くっ!退け!」

 

ハンターキラーは状況が悪いと判断し、その場から離れて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

マクー地下秘密基地

 

「てい!」

 

「ギイイ!!」

 

箒のキックに戦闘員たちは次々と倒されていく。

 

「ここが動力室か。」

 

箒は腰に付けてある時計みたいなものを取り出し、セットする。

 

「時間のセットはよしっと。」

 

そう言うと彼女は急いでその場から離れて行く。

 

 

 

 

 

地上

 

「後はお前だけだぞ!」

 

「シュシュシュシュー!」

 

ギャバンはシャコモンスターと睨み合っていた。そこへ箒が戻ってくる。

 

「一夏!もうすぐ基地が爆発する!」

 

「分かった!」

 

そう言うとギャバンは箒を抱き上げ高く飛んで行く。無論、シャコモンスターも後を追う。

 

「皆さん、伏せて下さい!」

 

マドカ含め弾たちは伏せる。

 

すると基地が大爆発し、周辺は地震が起こったと見間違えるぐらいに揺れた。

 

 

 

 

 

 

魔空城

 

「宇宙刑事ギャバンめ・・・・。」

 

ドン・ホラーは怒りを感じているのか目を光らせる。

 

「魔空空間に引きずり込め!地軸転換装置を作動せよ!」

 

戦闘員は指示通りにレバーを引き、地軸転換装置を作動させる。

 

 

 

ドン・ホラーは地軸を操り、ブラックホールに似た魔空空間を作り出すことができるのだ!

 

 

 

出力を現すゲージがどんどん上昇し、レバーから火花が出る。ホラーガールは訳の分からない呪文を言い始める。

 

 

 

 

 

 

ギャバンたちのいた場所でも異変が起き、発生した魔空空間にシャコモンスターは吸い込まれて行ってしまった。

 

「な、なんだ!?あのブラックホールみたいなもんは!?」

 

弾たちには非現実的な出来事すぎて混乱していた。

 

「サイバリアーン!」

 

ギャバンが呼ぶと赤いサイドカーのような乗り物サイバリアンが飛んでくる。ギャバンは飛んで舟の部分に乗ると魔空空間へと飛んで行った。

 

「・・・・行っちゃいましたね、ギャバン。」

 

「ああ、後は・・・・」

 

「おい、ちょっとあんた等。」

 

箒とマドカは後ろを振り向く。そこには警戒している弾たちの姿があった。

 

「いくつか聞きたいことがある。あれは一夏なのか?」

 

「・・・・ああ。あれは確かに一夏だ。」

 

「アンタは?」

 

「私は十文字箒、一条寺一夏のパートナーだ。」

 

「一条寺?」

 

「まあ、関わってしまったから取り敢えず支部に連れて行くか・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔空空間

 

「とおぉ!」

 

ギャバンはサイバリアンから降り、着地する。周りには未知の空間が広がり足元はガスで何も見えなかった。シャコモンスターの姿はなく、辺りを見回す。そのときエレクトロソナーに何か反応があった。

 

「あれは?」

 

直方体ような物体がギャバンに向かって落ちてくる。ギャバンは避けるが今度は横から同じものが飛んでくる。

 

「レーザーZビーム!」

 

ギャバンは指先から光線と飛ばし物体は破壊する。物体は粉々に吹き飛んだが今度は物凄い爆風がギャバンに向かってくる。これも彼のレーザースコープが反応した。

 

「バリヤー!」

 

ギャバンは自分の前方に光の壁を形成し、難なく退いた。

 

(なんて恐ろしい世界なんだ・・・。これがマクーの力なのか?)

 

ギャバンがそう考えていた直後、ガスの中から何かが迫っていた。

 

「むっ!」

 

ギャバンは迫ってくる物体をシャコモンスターだと見抜いた。ギャバンは勢いよくジャンプする。

 

「スパイラルキック!」

 

キックはシャコモンスターの腹に直撃する。しかし、シャコモンスターは少し後ろに下がっただけで再び構えを取る。

 

 

 

魔空空間でベム怪獣は魔空エネルギーを得て地上の3倍のパワーを持つ事が出来るのだ!

 

 

 

「行くぞ!」

 

ギャバンはシャコモンスターに勇敢に立ち向かっていくがシャコモンスターはスピードを武器にギャバンを翻弄していく。隙をついてシャコモンスターはギャバンを後ろから取り押さえ後ろへと投げ飛ばす。しかし、ギャバンはそれを利用し近くにある壁を利用してそのままシャコモンスターに体当たりを喰らわせる。シャコモンスターは再びガスの中に潜み、姿を消す。

 

(また姿を消したか!)

 

ギャバンがそう感じたのも束の間、シャコモンスターは彼の目の前に現れ、背中から怪光線を発射する。ギャバンはジャンプで避け、シルバービームを発射する。ビームは命中するが怯む様子はなくそのまま格闘戦に移行する。それでも取っ組み合いをしている最中に再び謎の物体が二人の目の前に落下し、避けた隙をシャコモンスターのタックルを受けてしまいギャバンは空間のさらに奥地へと飛ばされていく。

 

「うおお!!」

 

今度は荒れ地の砂漠に落ちる。シャコモンスターは隙を与えず襲い掛かる。

 

「この・・・」

 

ギャバンは投げ飛ばすがすぐに態勢を取り直し、地走り破壊光線を発射する。ギャバンはすぐに避けるがシャコモンスターはすぐに砂に潜り、砂の中から無差別に爆破していく。その爆発にギャバンは翻弄されていく。

 

「くそ・・・・レーザースコープ!」

 

ギャバンのゴーグル部分が光り敵の居場所を探し始める。そして、今接近してきていることがわかった。

 

「レーザーZビーム!」

 

ギャバンは指先から放ちシャコモンスターに直撃させる。シャコモンスターは大爆発を起こしたが今度は巨大な隕石が迫ってきていた。流石にこれだけはギャバン自身だけではどうにもならない。

 

「電子星獣ドルゥゥゥゥ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイミューゼル社

 

「司令、箒さんが民間人にギャバンの姿を見られたそうです。」

 

「そう、相手はだ・・・」

 

「大変です!ドルギランからドルが分離して発進しました!」

 

「え!?」

 

スコールは想定外のことが起こり思わず驚く。

 

(ドルまで呼び出すなんて・・・・一体どうなっているのかしら。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔空空間

 

ギャバンが隕石から落下してくる小型隕石を避けている間にドルは咆哮をあげながら魔空空間を通り抜けてきた。

 

「ギャアアアア!!」

 

ドルは早速ドルレーザーを発射して隕石を破壊する。

 

「ふう、これで取り敢えず・・・・」

 

「油断は禁物だぜ!」

 

「何!?うお!?」

 

後ろから襲い掛かってきたダブルマンの攻撃をギャバンは避ける。

 

「不意打ちとは卑怯な・・・」

 

「ふん!俺たちにとって勝負は勝てばいいんだよ!勝てばな!」

 

「よし、行くぞ!」

 

ギャバンは剣を取り出し構える。両者ともに、剣を構えながら向き合い、緊張が走る。

 

「行くぞ、ギャバン!覚悟!」

 

「来い!」

 

両者共に剣を斬りつける。しばらく打ち合いの状態が続いたがダブルマンの方は焦りを感じ始めたのか持っていた盾を捨て、両手で構える。

 

「うおおお!!」

 

「なんの!」

 

ギャバンは力を込めて斬りつけてきたダブルマンの剣を弾き飛ばす。

 

「し、しまった!」

 

「今だ!」

 

ギャバンは剣を構えエネルギーを集中させる。

 

「レーザーブレード!」

 

剣の刃が輝きを放つ。

 

「小癪な!」

 

ダブルマンは急いで剣を拾いギャバンに突っ込む。だがギャバンにあっけなく避けられる。

 

「ギャバン・ダイナミック!」

 

ギャバンのレーザーブレードの光がダブルマンの体を斬りつける。

 

「ぎゃあああああ!!!」

 

ダブルマンは体が真っ二つに切断され大爆発した。それと同時に魔空空間が解除され、元いた場所にギャバンは立っていた。

 

「終わったか・・・・しかし、これはまだほんの始まりに過ぎないのか。」

 

「一夏!」

 

箒が走ってくる。その後ろには弾、数馬、蘭の姿もあった。

 

「・・・・・。」

 

「司令には話を付けた。後はお前の好きにしてもいいそうだ。」

 

「・・・そうか。」

 

ギャバンは弾たちを見る。

 

「お、お前・・・・本当に一夏なのか?」

 

ギャバンはコンバットスーツを解除して一夏の姿に戻る。

 

「ああ、久しぶりだな。弾、数馬。そして、蘭もな。」

 

「うう・・・・馬鹿野郎!生きているなら生きているって、どうして今まで連絡もしてくれなかったんだよ~!」

 

弾は思わず泣きながら抱き付く。

 

「お前が死んだなんて聞いたときは蘭はすごく凹んでいたし、俺も数馬も友達として何もできなかったことを後悔していたんだぞ!!」

 

「アイツ泣きすぎだろ・・・。」

 

「お兄い・・・・」

 

「すまなかったな、弾。」

 

一夏はこの時、変わらぬ友の友情に感動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイミューゼル社 ロビー

 

「じゃあ、今の一夏は俺たちよりも年上って言うことか。」

 

弾たちはスコールの説明を聞いていた。

 

「銀河連邦警察って言うのも初めて聞いたな。」

 

「そんな・・・一夏さんにもう恋人がいたなんて・・・」

 

蘭は若干ズレている所で泣いていた。

 

「これが私が今教えられることだけど、あなたたちはこのことを秘密にしてもらえるかしら?もちろんご両親にもよ?」

 

「わかってます。俺たちもほんの出来心で、そのマクーとかいうやばいのにも出くわしたし。」

 

「あの・・・」

 

「何かしら、五反田君?」

 

「その・・・・宇宙刑事になれますかね?俺も?」

 

弾の質問に思わずスコールは噴き出した。

 

「た、確かに訓練を積み重ねれば慣れないこともないけど・・・・」

 

「え!?マジっすか!」

 

「でも、きついわよ?」

 

「ど、どんなものですか?」

 

熱心に聞いている弾たちを他所に一夏は窓から外の景色を眺めていた。

 

「ボイサーさん、あなたは一体どこへ・・・・」

 

「一夏、考えても始まらない。少しずつでも手かがりを見つけよう。そうすればきっと・・・・」

 

箒はそっと一夏の手を握る。

 

「あ!そうだ!一夏!」

 

何かを思い出したのか弾は一夏を呼ぶ。

 

「なんだ弾?」

 

「そう言えば、千冬さんにはこのことは言ったのか?」

 

弾の質問に一夏は一瞬固まる。

 

「いや、千冬姉には何も言っていない。なにもな・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜 五反田食堂

 

「「ただいま。」」

 

弾と蘭は二人そろって家の中に入る。

 

「あら、お帰り。今日はずいぶん遅かったわね?」

 

二人の母親蓮は珍しそうに言う。二人は一瞬身震いする。

 

「ああ、ちょっと懐かしい友達に会ったもんだから、夢中に話しをしていたらこんな時間になっちまったよ。なあ、蘭。」

 

「そ、そうなのよ。お兄いったら、まるで子供みたいにはしゃいじゃってさ!」

 

「そうなの。」

 

「お~い、蓮!早くこっちに来てくれ!」

 

「あ、は~い!今行きます!」

 

弾の祖父厳の呼びかけで蓮は急いで厨房の方へと行く。

 

「俺たちも早く手伝うか。」

 

「そうね、流石に一日何も手伝っていないって言うのは、おじいちゃんに悪いし。」

 

二人はさっさと着替え、厨房の方へと行った。厨房では厳が中華鍋を豪快に振って調理をしていた。

 

「おお、帰ってきていたか。」

 

厳は二人に気づく。

 

「蘭、済まねえがそこに置いてあるのを向こうのテーブルの客に運んできてくれ。」

 

「はい。」

 

蘭は盆に注文の品を乗せると急いで客の所へと持っていく。

 

「お待たせしました、こちら焼き魚定食にな・・・・」

 

言いかけたとき蘭は一瞬固まる。注文をした客、それは今日再会した一夏の姉・織斑千冬であった。千冬はまるで生気を感じない顔で、注文した品が来るのを待っていた。

 

「・・・・・・・」

 

「え、あ、あの・・・・」

 

「・・・・ん?ああ、すまないな。」

 

ぼーっとしていたのか、千冬は蘭に気づいていなかったらしい。

 

「え~、ご注文の焼き魚定食になります。」

 

「ああ、ありがとう。」

 

千冬に礼を言われた後、蘭は置き終わると逃げるかのように厨房の方へと引き上げていった。そして、千冬の様子を見た。千冬はまるで死んだ魚のような眼で食事をしていた。

 

「・・・・・どうしたの、蘭?」

 

後ろから蓮が声を掛けてきた。

 

「あ、お母さん。」

 

蘭は千冬の方を指さす。

 

「千冬さんね、もうあれから三年も経つのに忘れられないのよ。」

 

「・・・・・」

 

「だって一夏君が亡くなってずいぶん経つでしょ?千冬さんにとっては唯一の家族だったし・・・・」

 

母の説明している間蘭は一夏に言われた言葉を思い出す。

 

「俺が生きていることは千冬姉には絶対に言わないでくれ。蓮さんや厳さんならまだいいが、俺も千冬姉に会う心の準備が整っていないんだ。だからくれぐれも気をつけてくれ。」

 

「言わないでくれ、か・・・・」

 

蘭はそう言いながら、作業へと戻っていく。

 

 

今の千冬に、一夏の生存を伝えるのは正しいのか、正しくないのか。

 

 

それは蘭では、どうしても決められないことだった。

 

 

 

 

 

 

 




原作・・・読もうと思うのですが予算と時間の都合により中々手に付けられようがありません。現在ギャバンの見直しをしていますがどこまで行けるのか。

次回も投稿できたらまたよろしくお願いします。


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蒸着!レディギャバン

女性版ギャバンことレディギャバン初登場。

運が良ければ続けるかも。

入学編まで書けると言いな・・・・。


スカイミューゼル社 訓練室

 

「とぅおー!」

 

「遅い。」

 

「いでっ!?」

 

青いコンバットスーツを着た弾を赤いコンバットスーツの宇宙刑事、シャリバンとなったオータムが跳ね除ける。ここ数日この調子だ。一夏の力になるため宇宙刑事を目指す弾であったが身体能力は悪くないものの動きが素人のため訓練用のスーツでの練習でもオータムに一発も攻撃を当てられない始末だった。当然オータムは手加減をしている。

 

「いててて・・・・・」

 

「ほら、立て五反田。」

 

「オータムさん強すぎっすよ。もう少し手加減してくれたっていいじゃないですか。」

 

「バカ、そんなこと言っていたらギャバンのような一人前になるまであと十年、いや百年たっても無理だぞ。」

 

「ひゃ、百年!?」

 

弾は思わず跪く。そんな弾をオータムはやれやれと言いながらも引っ張っていく。

 

「次は射撃訓練だ。たまにはど真ん中に当てて見ろ。」

 

「オータムさん、一夏はこんな訓練を六年も繰り返していたんですか?」

 

「まあ、私が初めてバード星に行った時には既に訓練生は卒業していたからな。でも、元亡国企業出身の私でさえも訓練に一年以上費やしていたんだ。それも軍の訓練が楽なものに見えるほどにな。」

 

「うひゃ・・・・・」

 

「まあ、そんなわけだ。本来ならバード星の訓練学校に行かなくちゃいけねえけどお前に限ってはこの宇宙刑事シャリバンことオータム様が直々に教えてやっているんだ。それに身体能力的にはそこそこいいからすぐにでもなれるさ。」

 

オータムは笑いながら言う。弾はため息をつきながらも次の訓練へと移るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある山の乗馬コース

 

一方一夏たちは学園に入学するまでの残りの数日間をマドカと一緒に過ごしていた。そして今日は乗馬クラブで乗馬を楽しんでいた。

 

「ギャバン!箒姉さん待ってよ~!」

 

マドカはビクビクしながら馬に乗っている。一夏と箒はその姿を見ながら思わず笑っていた。

 

「怖がるなよマドカ。慣れれば楽しいもんだぞ?」

 

「こういう体験はあまりないからゆっくり動かせばいい。そうすれば自然に馬だって動いてくれるぞ。」

 

そういいながら三人は近くの湖で馬を止めて一休みすることにした。一夏は持っていた新聞を見てマクーの事件がないかどうか確認していた。

 

「ここ数日、羊や馬、子犬や家畜までもが謎の盗難・・・・・・・・・そして子供の誘拐か・・・・・・」

 

「それも昔一夏が住んでいた地域に近いな。でも、こうも連続で盗難や誘拐が起こるなんて変なものだな。」

 

「そう言えばギャバン。」

 

マドカは一夏の方を見ながら言う。

 

「どうしたマドカ?」

 

「その・・・・・千冬姉さんには会わなくてもいいの?」

 

マドカの質問に一夏は思わず黙った。

 

「そうだな・・・・・」

 

「もしかして会うのが怖いの?」

 

「そうかもしれないな。なんせ三年前に勝手にいなくなったんだ。それで帰ってきたところで受け入れてくれるとは考えられないんだ。」

 

「ギャバン・・・・」

 

「一夏・・・・私は千冬さんに会うべきだと思う。」

 

「箒?」

 

「私はもう母さんと父さんにはもう会えない。でも、一夏にはまだ千冬さんが残っているんだ。千冬さんもきっと一夏が生きていると信じているし、会いたいと思っているはずだ。だから会いに行った方がいい。」

 

箒に言われると一夏は何も言えなくなってしまった。

 

「・・・・・・・箒の言うとおりだな。よし、弾たちを通して会えるようにやってみるか。」

 

一夏はそう言いながらまた馬に乗り、移動を始める。箒たちも後に続いた。その帰りの途中だった。一夏たちが車で帰っていると途中でふと一人の虫網を持った老人の姿を目に捉えた。一夏は読んだ新聞の記事を思い出す。

 

(確か、盗難にあった一部の証言には盗難に遭う少し前に近辺で虫網を持った奇妙な老人が歩いている姿を見たというのがいくつかあったな・・・・・まさか・・・・)

 

一夏は一旦車を止めてその老人の後を追うことにした。

 

「どうしたんだ一夏?急に車を止めて。」

 

「すまない、ちょっと気になることがあったから少し行ってくる。箒はマドカと一緒にいてくれ。」

 

そういうと一夏は車から降りる。そして物陰に隠れながら老人を追跡していく。できるだけ感づかれないように移動したが感の鋭い老人なのか一夏の姿を一瞬確認すると老人とは思えぬ素早さで逃げていった。一夏は後を追うが大量の廃車が置かれている場所まで来るとすでに老人の姿はなかった。

 

「おかしい・・・・・老人がまるで消えるように移動していた・・・・・俺でも追いつけない速さで移動するとは・・・・」

 

「一夏!」

 

そこへ箒が駆けつけてきた。

 

「箒!勝手にこっちに来ちゃダメだろ。」

 

「すまない、やっぱり心配だったからつい・・・・」

 

箒が申し訳なさそうに謝っていると前方後方から突然車が走ってきた。二人は慌てて避けようとするが間に合わず車は双方激突し大爆発を起こした。爆破した現場にハンターキラーとマクーの戦闘員たちが来た。

 

「・・・・・やったか?」

 

「ハンターキラー!」

 

「むっ!」

 

ハンターキラーたちが後ろを見ると積み重ねられた廃車の上にギャバンともう一人コンバットスーツを身に包んだ女性が立っていた。

 

「ギャバン!そしてそっくりな女が一人・・・・・しいて言うならレディギャバンと言ったところか!」

 

「そう、私はギャバンのパートナー。宇宙刑事レディギャバン!」

 

「かかれ!」

 

ハンターキラーが言うと同時に彼の周りのほかに隠れていた戦闘員たちが一斉に現れ二人に襲い掛かってきた。ギャバンとレディギャバンは、巧みな格闘術で戦闘員たちを蹴散らしていく。

 

「ギィ!」

 

「ギィイ!!」

 

二人の宇宙刑事の攻撃に戦闘員たちは次々と倒れて行った。そこへ鳥の顔をした怪人コンドルモンスターがギャバンの腕をロープのようなもので拘束した。

 

「ケケケケー!」

 

「むっ!?」

 

「ギャバン!」

 

レディギャバンはすかさずコンドルモンスターに攻撃を加えようとするが目からのレーザー光線で視界を阻まれてしまった。気が付いた時には怪人の姿はなくギャバンのみがいた。

 

「大丈夫か?一夏。」

 

「ああ。」

 

『ギャバン、貴様らの尊敬するボイサーは地獄に堕ちた。我々マクーに逆らえば誰だろうが同じ運命をたどる・・・・・』

 

「ボイサーさんが!?どういうことだハンターキラー!!」

 

ギャバンは周囲に叫ぶがハンターキラーから返事が返ってくることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スカイミューゼル社 司令室

 

マクーの攻撃を退けた一夏たちはスカイミューゼル社に戻るとすぐにスコールにそのことを報告した。

 

「地獄に堕ちたね・・・・・」

 

「スコール指令、あなたはハンターキラーがなぜ我々銀河連邦警察を裏切ったかわかりますか?」

 

「私も同じく気になります。」

 

「わからない所が多いけどハンタ-キラーを地球に派遣要請をしてきたのはボイサーなのよ。」

 

「ボイサーさんが?」

 

「ええ、その後どういう理由で裏切ったのかはわからないけど彼が派遣された後ボイサーとの連絡が途絶えたわ。」

 

「じゃあ、ボイサーさんはまだ生きている可能性があるんですね!?」

 

「死亡したという確証はないわ。でも生きているとも言い切れない。」

 

「俺は信じます!ボイサーさんはきっと生きているって!」

 

一夏は真剣な目で言った。命を助けてもらった理由もあるが両親がいなかった彼にとってボイサーは父親の代わりのような人でもあるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

織斑家

 

「・・・・・・一夏、お前が私の目の前からいなくなってもう三年か・・・・・」

 

千冬は写真立てに貼ってある幼い頃の一夏と自分の写真をソファに寝っ転がりながら見ていた。一夏を失ってから彼女の人生は後悔しか残らないものへとなっていた。

 

三年前の一夏の誘拐発覚後、彼女は表彰式を放り投げてまで犯人の潜伏場所に向かった。しかし、このとき一夏はすでにボイサーに保護されて去った後だったため、すでにもの抜けの殻であり痕跡もほとんど残っていないがために捜査も断念せざる終えなかった。彼女はその後捜査に協力してもらったドイツ軍に恩を返すために一年間軍で教官を務めたのちに帰国。その帰り家の前で待っていた二人に千冬は驚いた。

 

「五反田・・・・凰。お前たち・・・・」

 

それは一夏と仲が良かった二人、弾と鈴だった。鈴は千冬に近づいたと思ったら平手で千冬の顔を思いっきりはたいた。

 

「!?」

 

千冬は突然の行動に驚いていたが鈴の顔を見たときさらに愕然とした。鈴の顔はすでに涙で濡れていた。

 

「どうして・・・・・・どうして一夏を助けなかったのよ!!」

 

鈴はさらに千冬の顔をはたいた。千冬は尻餅をついたが鈴は構わず馬乗り状態になってはたき続ける。

 

「一夏は何も悪くないのに!ただアンタの応援に行っただけなのに!どうして、どうして死ななくちゃならなかったのよ!!」

 

「鈴、やめろ!」

 

弾は鈴を抑える。鈴はそれでも千冬のことを攻撃しようとする。

 

「離しなさいよ!弾!」

 

「俺だって千冬さんを殴ってやりたいっていう気持ちは同じだ。でも、殴ったところで一夏は帰ってこないだろ!」

 

弾に引っ張られながらも鈴はもがき続ける。

 

「何がブリュンヒルデよ!何が英雄よ!アンタはたった一人の弟を見殺しにするただの人殺しよ!人殺し!!」

 

鈴は泣きながら叫び続ける。弾も何か言いたそうだったが千冬がすでに生気を感じさせない目をしていたため鈴を引っ張りながら千冬の前から去って行った。鈴の平手で千冬の顔は腫れていたが千冬にとってそれ以上に鈴の言い放った言葉が心に突き刺さった。

 

この後に彼女は現役を引退、しばらく引きこもった生活をしていたが今年IS学園からの誘いで教師になることにした。

 

 

 

「凰も五反田も私のことを憎んでいるだろうな・・・・」

 

千冬は写真を置くと再び寝っ転がって天井を見る。後二、三日でこの家を去ってIS学園に行かなければならない。一夏の死をいい加減に受け入れなければならないと思っているのだがどうしてもできない。それが彼女のことを苦しめていた。そんな時玄関のチャイムが鳴った。千冬は居留守をしようと思ったが何度も鳴らしてくるため仕方なくいくことにした。玄関では蘭が立っていた。

 

「五反田・・・・・」

 

「あ、あの・・・・・明日にうちの店に来てもらえませんか?」

 

「え?」

 

「千冬さんに会わせたい人がいるんです。」

 

「会わせたい人?誰なんだ?」

 

「それはちょっと言えないんです。でも、どうしても会ってほしいんです。」

 

千冬は少し疑問に思っていたが断る理由もなかった。

 

「・・・・分かった、明日でいいんだな。」

 

「はい!絶対に来てくださいね!」

 

蘭はそう言うと頭を下げて去って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔空城

 

そのころマクーではハンターキラーと宇宙生物学の権威黒星博士がドン・ホラーにある計画の経過を報告していた。

 

「動物・子供での実験は大成功、『ベム計画』は間もなく成人での実験を残した最終段階になりました。」

 

「よくやってくれた黒星博士。次の実験で・・・・それもISを扱うことができる女性を使うがよい。女性ならば他の使い道もあるからな。この実験が成功した後に人間の女、子供を次々と改造して各方面の星へと送り込むのだ。」

 

「はは・・・・・しかし、一つだけ例外を使ってもよろしいでしょうか?」

 

「何?」

 

「ブリュンヒルデという呼び名で有名な織斑千冬を実験対象第一号として加えたいのです。世界最強とまで言われている彼女でしたら『ベム計画』での宇宙に送る兵士としては最適でしょう。」

 

「ほう。」

 

 

ベム計画とは地球の生物をあらゆる環境で生きていける生物へと改造し、他の星へ生物兵器として送り込むという悪魔のような計画である!黒星博士は実験の第一・二段階として動物・子供を縮小させて捕らえ実験、改造に成功したため次の段階として人間の大人を実験対象としたのだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方でその会話を盗聴している人物がいた。自分の研究室に籠っている束だ。

 

「ちーちゃんを実験対象に!?そうはさせないよ!」

 

束は黒星博士たちの会話を聞いた瞬間、それまで操作していた画像を切り替えて何やらの作業を始める。

 

「束様、いったい何をするつもりなのですか?」

 

彼女のそばで研究資料をまとめている少女は彼女の行動を見ながら言う。彼女が暗号メッセージで銀河連邦警察地球方面支部に匿名で送っているのだ。

 

「こんなことをしたらドン・ホラーが黙ってはいませんよ。」

 

「大丈夫、クーちゃんが黙っていればばれないから。いくら協力するからと言って束さんのISまで利用はさせないよ~!」

 

束はベム計画に関するデータ及び現場のマップを送信する。

 

「これでちーちゃんは大丈夫・・・・・後は・・・・」

 

束はハッキングして得た銀河連邦警察の構成員の写真を見る。プライベートのものではあったがそこには一夏と箒が寄り添っている写真があった。

 

「後はお願いね、いっくん、箒ちゃん・・・・・。」

 




今回は元ネタ「大変だ!黒星博士のベム計画を阻止せよ」ですが今回登場したレディギャバンは「時空戦士スピルバン」のダイアナレディを元ネタ(発想は)にしました。ベム計画は原作ではまだ小動物まででしたが今回は子供の実験にまで進行しています。

次回はついに一夏と千冬の再会。


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急げ一夏!千冬を救え!

魔空空間までもっていくつもりが・・・・・


スカイミューゼル社 司令室

 

「では司令、少しの間行ってきます。」

 

「せっかくの家族との再会なんだから別にこっちのことは気にしないで会って来なさい。」

 

「わかりました。では。」

 

一夏は頭を下げながら司令室を後にしていく。部屋の外ではすでに箒とマドカが待っていた。

 

「待たせたな、それじゃあ行こうか。」

 

「ああ。」

 

「早く行こうよ!」

 

マドカは急かすように言う。一夏たちは急いで待ち合わせ場所にしている五反田食堂へと向かうのであった。一方のスコールは一夏が去った後、バード星本部への提出するための書類をまとめていた。そこへ通信が入る。

 

「私よ。」

 

『司令、先ほど本部に奇妙な暗号メッセージが送られてきました。』

 

「暗号?」

 

『解析が途中なのですが途中まで解読できたので。』

 

「内容は何なの?」

 

『ベム計画ニ注意セヨ。織斑千冬ガ狙ワレテイル。』

 

「ベム計画?狙われている?それもギャバンの実のお姉さんである織斑千冬を?」

 

『まだ解析の途中なので断言はできませんがこのことをギャバンに知らせておきますか?』

 

「・・・・・・・・・いえ、まだいいわ。あなたたちは残りの部分の解読を急いでちょうだい。」

 

『わかりました。』

 

通信を切るとスコールは不安そうに窓の外の方を見る。外では準備を整えて車に乗って出かける一夏たちの姿があった。

 

「これは大変な一日になりそうね・・・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、蘭に店に来るように頼まれた千冬は自分に会いたい人物が何者なのかと考えながら五反田食堂を目指して歩いていた。マクーに狙われているとも知らずに・・・・・。

 

 

「・・・・・・・・まさか、束が私を訪ねに来るはずがないしな・・・・・。」

 

千冬は唯一心当たりがあるのは束ぐらいだった。しかし、自分や妹である箒以外の人間には全くと言うほど興味を持たない彼女がわざわざ亡き弟である一夏の友人を通じて自分に会いに来るように言うのだろうか?でも、弾が何か言いたいのなら直接自分の家に来るはずだし、他に思いあたる者がいない。

 

(まさか・・・・・・・いや、それはない。確かにあの現場にはアイツの遺体は愚か血痕すら見つからなかったがもうあれから三年も経つんだ。生きているとはとても・・・・・)

 

「千冬さんー!」

 

その時自分を呼ぶ声が聞こえ千冬は目の前を見る。気がつけば蘭が走ってきていた。

 

「五反田。」

 

「なんか中々来ないもんだから迎えに来ました。さあ、早く家に行きましょう!」

 

彼女に手を引っ張られながら千冬は足を速めた。

 

「まっ、待ってくれ五反田。お前たちのうちに行く前に一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」

 

「聞きたいこと?」

 

蘭は足を止めて千冬の方を見る。

 

「この際だからはっきりと言ってくれ。いったい誰が私に会いたいと言ったんだ?考えてみたが私にはそんな輩はいないし、お前たちを通じてまで会おうという者もいない。いったい誰が・・・・・」

 

「あ~!もう!こんなところで言っても信じてもらえないと思って言わなかったのに!いいですか!あなたに会いたいと言った人は・・・・・」

 

「五反田、後ろ!」

 

「え?」

 

千冬に言われて蘭は前を向きなおすとそこには虫網を持った奇妙な老人が近づいてきていた。

 

「あれって確か最近の誘拐事件とかの現場の証言にあった老人の特徴と・・・・・・・」

 

「はあっ!」

 

「きゃあ!?」

 

二人は突然広がった虫網に捕まってしまった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蘭たちが襲われるちょっと前の五反田食堂

 

「・・・・・・遅いな。」

 

弾は店の中をぐるぐる歩き回りながら待っていた。その様子を蓮と厳は不思議そうに見ている。

 

「弾、あなた誰を待っているの?蘭は千冬さんを呼びに行くって出かけて行ったし・・・・・」

 

「おめえ、まさか変な奴らとつるんだりとかしてんじゃねえだろうな?」

 

「ひでえな!母さんもじいちゃんもきっと会えばびっくりするって!」

 

「じゃあ、誰なのか教えてくれてもいいんじゃないの?」

 

そんな会話を親子でしている中、店の戸が開いた。

 

「あら、誰かしら?まだ準備中にしてあるのに。すみませんけどまだお店は・・・・・・」

 

蓮が言いかけたとき思わず言葉が止まった。厳も思わず口が開いてしまった。無理もない、目の前に死んだとばかり思っていた一夏が店に入ってきたのだから。

 

「・・・・・・。」

 

「・・・・い、一夏君!?」

 

「わ、儂らは亡霊でも見てるのか!?」

 

「母さんもじいちゃんも落ち着けって!コイツは正真正銘の一夏だよ!」

 

「・・・・・・お久ぶりです。蓮さん、厳さん。」

 

一夏は頭を下げながら挨拶をする。蓮は思わず何度を顔を見る。

 

「今までどこに行っていたの!?千冬さんも私たち家族もみんなあなたのことを心配していたのよ?」

 

「心配させてしまって本当にすみませんでした。」

 

「弾!おめえはこんな大事なことを儂や母さんに伝えずに隠しておったのか!」

 

「こ、これには深いわけが・・・・・・」

 

弾は必死に説明しようとする。そのとき、外から蘭の悲鳴が聞こえた。

 

「今のは蘭の!?」

 

「確か、千冬さんを迎えに行くって・・・・・まさか!」

 

二人は慌てて店から出る。

 

「一夏君!弾!」

 

「すみません蓮さん!でも、蘭と千冬姉が危ないんです!説明は後でします。」

 

そういうと二人は急いで声がした方に走って行った。現場には既に箒とマドカが来ていた。

 

「箒!」

 

「すまない一夏。一歩遅かった。」

 

箒は落ちていた携帯と写真を見せる。

 

「こ、これは蘭の携帯!」

 

「くそ!マクーの奴、千冬姉と蘭をいったいどうしようってんだ!」

 

一夏は悔しそうに写真を見る。写真にはまだ幼かった頃の一夏と千冬が一緒に写っていた。そこへ箒の通信機がアラームを鳴らした。

 

「はい、こちら箒です。」

 

『私よ。』

 

「スコール司令。」

 

『ギャバンはそこにいる?』

 

一夏は箒から通信機を受け取る。

 

「はい、変わりました。」

 

『あなたのお姉さんが連れていかれたと思う場所が分かったわ。改造される前に急いで。』

 

「改造!?それはどういうことですか!?」

 

『今朝、匿名であなたのお姉さんがマクーの実験対象にされるという情報が届いたのよ。信憑性に欠けているから伝えなかったのだけれども先ほど解読が終わってマクーが密かに地球の人間を改造して他の星へと送り込む「ベム計画」が全貌が分かったのよ。』

 

「ベム計画・・・・」

 

「奴らが考えそうなことだ。」

 

『マップはそちらにインプットしておいたわ。急いでちょうだい。』

 

スコールの通信が終えると通信機に目的地点のマップが表示された。

 

「一夏、頼む!俺も一緒に連れて行ってくれ!蘭にもしものことがあったら俺は・・・・・」

 

「弾、気持ちはわかるが今のお前ではまだマクーとは戦えない。ここは俺と箒に任せて蓮さんと厳さんを守っててくれ。」

 

「・・・・・・わかった。頼む。」

 

「箒、マドカ。急ぐぞ!」

 

「わかった。」

 

そう言うと三人は車に乗って行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙食開発研究所

 

宇宙食開発研究所。

 

そこはかつて宇宙進出のための宇宙食を研究していた施設であったがISの登場による女尊男卑の社会に押され閉鎖され、現在は扱われていない。しかし、それは飽くまでも表向きの事情であって実はマクーの人体実験などを行う施設へとなっていたのだ!

 

そして、ここに千冬と蘭は捕らえられていた。

 

「くそ!ここから出せ!」

 

千冬は檻の中から叫ぶが所員たちは薄気味悪い笑みを浮かべながら何やらの装置を調整していた。黒星博士は笑いながら千冬たちの閉じ込められている檻の方へと行く。

 

「ふふふふふ・・・・・・いくら叫んでも無駄だ。これから貴様たちは宇宙の他の星に行くための兵士に改造されるのだからな。」

 

檻の中には千冬と蘭以外に小さい子供が何人かいた。どの子供も泣きながら助けを求めていた。

 

「帰りたいよー!」

 

「お母さんー!」

 

「大丈夫、きっと正義の味方が助けに来てくれるから。」

 

蘭は泣いている子供たちを励ます。

 

「私はどうなろうが構わない。だが五反田と子供たちは解放しろ!」

 

「ははは!どのみち装置の調整が終わればあなたが最初の対象となるのですよ、ブリュンヒルデ。」

 

「それは昔の話だ。今の私はその辺にいくらでもいるごく普通の人間だ。」

 

「あなたが何を言おうとも世界ではいまだにあなたが最強だと信じているのです。未だにね。」

 

黒星博士の改造手術が始まろうとしている中、一夏たちは密かに研究所の敷地内へと乗り込んでいた。

 

「マドカ、レーザービジョンだ。」

 

「了解しました箒姉さん。レーザービジョン!」

 

マドカは胸のペンダントを翳すと姿が黄色のインコへと変わる。一夏はインコになったマドカをジャケットの胸ポケットにしまうと敷地内へと侵入して行く。すると仕掛け罠が作動し、あちこちから矢が飛んでくる。

 

「一夏、避けろ!」

 

箒の叫びで一夏は紙一重に矢を避けた。

 

「危ねえ・・・・箒も気をつけろ!連中、どうやら待ち伏せしているようだ!」

 

一夏が言うとどこからともなく戦闘員たちが短剣を持って襲い掛かってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験室

 

「博士、装置の調整完了しました。」

 

「よし、織斑千冬を檻から出せ。」

 

黒星博士が言うと同時に所員は檻から千冬を拘束して連れてくる。

 

「千冬さん!」

 

「五反田、どうやら私はここまでみたいだ。」

 

千冬はそう言いながら装置に固定される。

 

「あなたは実に運の言い方だ。これから先あなたはその高い能力を存分に引き出して生きがいのある生き方ができるのですから。」

 

「言い訳はいい。やるならさっさとやれ、覚悟はできている(どうやら私も罰を下される時が来たようだ。何もかも失った私にはふさわしい無様な末路だな。)。」

 

千冬は装置に固定されながら覚悟した。

 

「よし、それでは実験を・・・・・」

 

「待て!」

 

そのとき、扉が何やらの衝撃で吹き飛び戦闘員が倒れこんできた。その勢いに乗じて一夏と箒が所員たちを蹴散らしていく。

 

「い、一夏?」

 

千冬は目を疑いながら拘束を解く一夏を見る。信じられないことだった。

 

「千冬姉、早くここから出るんだ。」

 

「お前は・・・・・・・・お前は本当に一夏なのか!?」

 

「今はそれどころじゃない!」

 

一夏はジャケットの胸ポケットからインコを取り出す。

 

「マドカ、子供たちと蘭を外に誘導してくれ!」

 

一夏がインコを放つとインコはたちまちマドカに姿に戻り、蘭と子供たちが閉じ込められている檻を解く。

 

「さあ、急いで!」

 

「ありがとうマドカ。」

 

蘭たちが逃げた後、倒れていた所員たちは全員戦闘員の姿へと戻っていく。

 

「こ、こいつらは人間じゃなかったのか!?」

 

千冬は戸惑いながら一夏と箒の方を見る。

 

「まさかこんなところで実験をしていたとはな。マクーの考えていることは油断ならないぜ。」

 

「ハハハハハハ!!」

 

黒星博士は笑いながらダブルマンの姿へと変わる。

 

「流石ギャバン!だがここで生きて帰れると思うなよ!」

 

「一夏、ここで戦うのは奴らの思う壺だ。いったん外に出よう。」

 

「そうするしかなさそうだな。」

 

一夏たちは戦闘員たちを撃退しながら外へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙食開発研究所 敷地外

 

「蘭さんはこのまま子供たちと一緒に逃げてください!私はギャバンたちが出てくるのを待ちます。」

 

「わかったわ!さあ、みんな急いで!」

 

蘭は子供たちを引き連れて逃げて行った。マドカが少し待つと箒が千冬を連れて外に出てきた。

 

「箒姉さん!ギャバンは?」

 

「一夏は今戦っている。私も合流するからマドカは千冬さんを頼む。」

 

箒はそういうと一人戻ろうとする。

 

「待ってくれ篠ノ之!お前といい、一夏といい、いったいどうなっているんだ!?」

 

「詳しい話は後でします。」

 

箒はそういうと構えをとる。

 

「蒸着!」

 

すると光の粒子が箒の体を覆い、全身を銀色の装甲で覆った戦士へと変わった。

 

「あ、あれは・・・・・」

 

「宇宙刑事、レディギャバン!」

 

レディギャバンは急いで研究所の敷地内へと戻って行った。

 

 

 




この作品の裏設定(本編中に書けるかどうかわからないので)

ミミー

本作では一切触れていませんがコム長官の娘で宇宙刑事訓練養成所で後進の育成に携わっている(これはシャイダーの設定から)。ちなみにマドカがレーザービジョンを使えるのはバード星に行ったとき彼女の教えを受けていたため(このときに自分の所持していたものと同型のものをマドカに渡している)。ちなみに原作ではギャバンのパートナーだった。

スコールたち元亡国企業のメンバー

現段階では明確にはしていないが銀河連邦警察に入った経緯は本作オリジナル設定の「D/B計画」が途中で破棄されたこととIS部隊の解散が大きな理由になっている。

・「D/B(ブリュンヒルデ・ドローン)計画」
亡国企業が上層部が考案した千冬のクローン生産計画。偶然入手することができた千冬のDNAを元に彼女の能力を引き継いだクローンを生産し、IS部隊の戦力増強するための計画。スコールは元々この計画には賛同しておらず(もしこの計画が実現すれば彼女の率いている実働部隊「モノクローム・アバター」の立場が危うくなることもあったがそれ以前に非人道的な計画であったことも挙げられる)、オータムでさえも恐怖を感じさせるほどのものだった。結局この計画は亡国企業がマクーの傘下に入ったことによって破棄することが決定され、マドカもこのとき他の失敗作同様に廃棄される予定だった。

・モノクローム・アバター隊
現在スカイミューゼル社で働いているスタッフの一部がこの隊の元メンバー。亡国企業がマクーの一部になった時に解散され、スコールの命令で処分されかけていたマドカを保護するために組織内でクーデターを起こした。このときにベム怪獣の手で数名が死亡、オータムもこのとき「アラクネ」を大破させ、コアも使い物にならなくなってしまった。その後はスコールも組織から離反したこともあって大半のメンバーが去って行ったが残りは彼女と共に銀河連邦警察の元に行くことになった。

・マドカ
千冬のDNAを元に作り上げられた13番目のクローン(設定にあったエムとはこのときに振り分けられていた個体番号)。彼女の前までの個体はIS適合性がなかったことと、テロメアが短いという理由で廃棄されていた。彼女は唯一その条件をクリアした成功体なのだがオリジナルの千冬とは違い、精神面が脆いなどで兵器としての課題が多かった。施設にいた時期は自分を実験体としか見られておらず、自分を一人の人間として扱ってくれたスコールとオータムぐらいにしか心を開いていなかった。計画が破棄されたと同時に記録の抹消のために過去の個体同様処分されそうになったが、オータムたちの手によって救出される。その後はスコールたちと共に銀河連邦警察に保護され、しばらくバード星で暮らすことになったがこのときに訓練生だった一夏と箒に出会う。スコールや彼らとの交流で心を開いていき、現在の性格になるに至る。



次回はやっと魔空空間。


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再会、一夏と千冬

次回ができればやっとIS学園入学編へ・・・・・・。

今回は前回の続きなのでそんなに長くないかも。


宇宙食開発研究所 

 

一方、一夏の方も屋外に出てマクーの戦闘員たちと死闘を繰り広げていた。

 

「ふん!蒸着!」

 

一夏は右手を上空に翳してポーズを決めると一瞬にしてギャバンの姿になる。

 

「宇宙刑事、ギャバン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙刑事ギャバンの蒸着タイムは、わずか0.05秒にすぎない!では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!!

 

「蒸着!!」

 

一夏はある程度の動作を行い右手を空に翳す。

 

するとスカイミューゼル社にあるコンバットスーツ電送装置が作動する。

 

『了解。コンバットスーツ、電送シマス。』

 

転送装置によりコンバットスーツは分子分解・電送し、一夏の体に吹き付けられるようにしてコンバットスーツが構成されていき蒸着が完了する。

 

 

「おのれ!全員かかれ!」

 

「千冬姉や蘭にまで手を出すとは許さんぞ!」

 

ギャバンは戦闘員たちに向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔空空間 魔空城

 

「宇宙刑事ギャバンめ・・・・・」

 

ドン・ホラーは目を光らせながら言う。

 

「申し訳ございません。まさか研究施設の居場所がバレていたとは・・・・・・」

 

ハンターキラーはおどおどとしながらも謝罪する。

 

「言い訳など聞く耳は持たん!魔空空間に引きずり込めっー!地軸転換装置を作動せよ!」

 

戦闘員たちは装置のレバーを引く。

 

 

ドン・ホラーは地軸を操作して魔空空間という一種のブラックホールを作り出す事が出来るのだっ!

 

 

 

出力を現すゲージがどんどん上昇し、レバーから火花が飛び散り、戦闘員たちが衝撃で吹き飛ばされ、ホラーガールは『ティキリキヤンヤンリキヤンヤンティキリキヤンヤンアンアンリキ』と訳の分からない呪文を唱え始める。

 

コンドルモンスターと交戦しているギャバンたちの目の前に空間に入り口が現れ、コンドルモンスターは空間へと吸い込まれて行ってしまった。

 

「サイバリアーン!」

 

ギャバンが叫び声をあげると同時に空のかなたからサイバリアンが飛んでくる。

 

「チュウ!」

 

ギャバンは掛け声と同時にサイバリアンへと飛び乗る。

 

「ギャバン!」

 

そこへレディギャバンが走ってきてジャンプする。ギャバンはそれを抱き止めると一緒に魔空空間へと突入していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔空空間

 

「この辺にはいないようだな・・・・」

 

ギャバンたちは魔空空間を見ながら消えたコンドルモンスターを探していた。

 

「こうなったら二手に分かれるしかない。ギャバンはこの辺を、私は向こうを探してみる。」

 

「了解した。」

 

「外で千冬さんが待っているんだ。無理はしないでくれ。」

 

「箒もな。」

 

そう言うとギャバンはレディギャバンと別れて地上に降りる。地上に降りたギャバンは早速コンドルモンスターの捜索を始める。すると長い何かがギャバンの首に巻き付いた。

 

「ぐっ!?」

 

ギャバンが後ろを振り向くとそこにはコンドルモンスターがいた。コンドルモンスターは拘束したギャバンをいいことに振り回す。

 

「ぬうう!」

 

ギャバンは拘束を解くとコンドルモンスターと格闘戦を始める。

 

 

ベム怪獣は、魔空空間において地上の三倍のパワーを発揮することができるのだ!

 

 

コンドルモンスターは鞭を取り出し、近くにある生物の骨らしきものを巻き付けるとギャバンに向かって投げる。ギャバンはすかさず骨らしきものを拳で打ち砕いていく。

 

「グワアアア!!」

 

続いては槍のような武器を投げつけてきた。

 

「ぬっ!?」

 

ギャバンは槍を取ると急に全身に電流が流れた。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

あまりの電流にギャバンは倒れる。槍はコンドルモンスターの元へと戻って行き、すかさず電流を飛ばしてくる。

 

「なんの!」

 

ギャバンは避けながら接近しようと試みる。しかし、砂埃が晴れた後コンドルモンスターは姿を消していた。

 

「逃がさん!レーザースコープ!」

 

ギャバンの両目が光り周囲を確認する。すると見えなかったコンドルモンスターが槍を構えながらこちらに向かってきているのが確認できた。

 

「カアアアアアアア!!!」

 

「レーザーZビーム!」

 

ギャバンは右腕から光線を放つ。見えているとは気づかないコンドルモンスターは当たった瞬間もだえ苦しむ。

 

「ギ、ギイ!?」

 

コンドルモンスターは倒れこみ大爆発を起こした。

 

「よし、次は・・・・・・」

 

「そこまでだギャバン!」

 

「ん!?」

 

ギャバンが後ろを振り向くと崖の上の方でダブルマンが剣と盾を持ち臨戦態勢を整えていた。

 

「フハハハハハハハ!!今度は俺が相手だ!」

 

ダブルマンは勢いよく崖から飛び降りて斬りかかる。ギャバンはガードをするが盾で突き飛ばされる。ギャバンもすかさず剣を出す。両者は剣の打ち合いへとなったがギャバンは一瞬の隙を逃さずダブルマンの盾を切断する。

 

「むむ・・・・おのれ!トゥワア!!」

 

ダブルマンは距離を取るべく大ジャンプをする。

 

「チュウ!」

 

ギャバンもジャンプをして追う。だが着地した瞬間ギャバンの動きが止まった。それはダブルマンが取り押さえている何かが原因だった。

 

「ち、千冬姉・・・・・・・」

 

それはマドカと一緒にいたはずの千冬の姿だった。千冬は手足をロープで拘束されたうえに口をふさがれ、ダブルマンの剣が首元へと迫っていた。

 

「武器を捨てろ!さもなければこの人質の命はないぞ!」

 

「う・・・・・・」

 

ギャバンに決断が迫られる。マクーが千冬を実験対象に選んだのはもう一つ理由があった。それはギャバン、一夏と千冬が姉弟であり、千冬を人質に取ればギャバンが手出しできないということにある。ダブルマンは脅していく。

 

「どうした!姉を見殺しにするつもりか?ギャバン!」

 

「んん!んんん!!!」

 

千冬は叫ぶかのように何かを言おうとしているがギャバンには届かない。ギャバンは止む得ず剣を捨てようとする。

 

「そうだ・・・・そのままおとなしく・・・・・」

 

「スパイラルキック!!」

 

「何!?うわあ!?」

 

勝利が見えたと感じたダブルマンは突如後ろから攻撃をしてきたレディギャバンの攻撃によって千冬を手放してしまう。

 

「ギャバン!今だ!」

 

「レーザーブレード!」

 

ギャバンは剣の刃にエネルギーを注ぎ込み光の剣と姿を変える。

 

「く、くそおおおおお!」

 

ダブルマンはがむしゃらに突っ込んでいく。

 

「ギャバン・ダイナミック!!」

 

ギャバンはレーザーブレードでダブルマンを真ん中から一刀両断にする。

 

「グ、グワアアアアアアアア!!!」

 

ダブルマンは断末魔の悲鳴を上げながら大爆発した。途端、魔空空間は解除され、ギャバンたちは元いた場所に戻ってきていた。千冬はレディギャバンに拘束を解かれ自由になる。千冬はギャバンを見る。

 

「・・・・・・一夏なんだな?本当に一夏なんだな!?」

 

千冬はギャバンに近づきながら言う。ギャバンは蒸着を解き、一夏の姿へと戻る。

 

「一夏・・・・・・・」

 

「久しぶり、千冬姉。」

 

一夏は千冬の震える声に対して照れくさいのかぎこちない笑顔でに言う。

 

「一夏ぁぁぁぁーーーーーーーーー!!」

 

千冬は思いっきり一夏を抱きしめて泣き出した。

 

「一夏、一夏・・・・・・・」

 

「ゴメン、何も言わないでいなくなっちゃって。」

 

大粒の涙を零す千冬に対して一夏は落ち着かせるように言う。それでも千冬は泣き止まない。その光景を箒は少し離れたところで見守っていた。

 

「・・・・・よかったな、一夏。千冬さんに会えて・・・・・」

 

両親をマクーに殺されてしまった箒にとっては羨ましい光景だった。そこへマドカが慌てて走ってきた。

 

「箒姉さんごめんなさい!ダブルマンに襲われて千冬姉さんを・・・・・・」

 

「マドカ・・・・」

 

「あっ・・・・・」

 

マドカも状況を理解し、姉弟の再会をそっと見守った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、一夏たち三人は千冬と共に五反田食堂へと車で向かっていた。

 

「そうか、篠ノ之の両親は私と五反田を襲った組織に殺されたのか・・・・」

 

「はい。」

 

「そして、そこにいる私にそっくりなマドカは亡国企業が計画した私の・・・・・・・・・すまなかったな。」

 

「オータムとスコール司令、それにギャバンのおかげで今では少し気が楽になりました。今は千冬姉さんのことを憎んだりはしてません。それによかったです、ギャバンと千冬姉さんがちゃんと会うことができて。」

 

車内で千冬は一夏たちのこれまでの経緯を聞いていた。そのほとんどが世界でもまだ把握しきっていないものばかりで千冬は困惑したが一夏や箒、そしてマクーの存在を知ったからには信じざるを得なかった。

 

「本当にゴメンな千冬姉。俺、正直昔千冬姉に合わせる顔がないって思っていたんだ。散々迷惑かけたのに今更になって戻ってくるなんて・・・・・・」

 

「それは違う。悪いのは私の方だ。私がしたばかりに世界を混乱させ、その上にお前が狙われているにもかかわらず守ってやれなくて・・・・・必ず守って見せると誓っていたのに・・・・・・」

 

「二人とももうその話はやめましょう!もう五反田さんの家に着くんですから。」

 

マドカに言われ二人は話を止める。

 

「・・・・・・マドカの言う通りだな。ありがとう、一夏。帰ってきてくれて。」

 

「ああ、ただいま。千冬姉。」

 

二人は三年ぶりの再会に思わず笑顔で笑った。

 

「それと篠ノ之。三年間の間、一夏のことを支えてくれてありがとうな。」

 

「私の方が一夏に助けられた方です。昔は荒れていましたから。」

 

「そう言えば小学生の頃、一夏が何気にこんなことを言っていたな。『箒はまるで女版ジャ〇アン』だって。」

 

「あっ。」

 

「一夏!」

 

箒は思わず顔を赤くして一夏に言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔空城

 

「ベム計画の実行が不可能となったか・・・・」

 

ドン・ホラーは目を光らせながら言う。そこへ束がピョコっと現れる。

 

「おやおや~ずいぶんお怒りのようだけどどうしたのかな~?」

 

束の言い方にマクーの戦闘員たちは思わず止めようとするがドン・ホラーが敢えて言う。

 

「ベム計画が銀河連邦警察に知られた。」

 

「なるほどなるほど~これじゃあ計画の実行が不可能になったね~。」

 

「黙れ!篠ノ之束、まさか貴様が情報を漏らしたんじゃないのか!?」

 

ハンターキラーは思わず束を疑う。ドン・ホラーの脇ではホラーガールが薄気味悪く笑っている。

 

「え~~でも束さんは今回の件では研究室に籠っていたから詳しいことはわからないよ~?」

 

「貴様!」

 

「よさぬか!これによりベム計画は中止。引き続き別段階で進行中の計画を実行せよ!」

 

「はいは~い!ドンちゃんに頼みたいことがありま~す。」

 

「・・・・・・・聞こう。」

 

「束さんの方はね、一回魔空城から地球のラボに戻ろうと思うんだよね。まだあっちの研究中のやつもあるし・・・・・それに血の気の多いハンターちゃんが私がいると気に入らないようだし。」

 

「貴様・・・・・俺を侮辱する気か!」

 

「だって~ハンターちゃんいつも束さんが来るだけで怒るじゃん~。」

 

束は泣いた振りをしながらハンターキラーに文句を言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙刑事ギャバンとレディギャバンの活躍によりマクーのベム計画は阻止された。

 

一夏も千冬と再会し、本当の兄弟の絆を取り戻した。しかし、一夏は織斑に戻るのはもう少し待ってほしいと言った。

 

それは彼の命の恩人であり、自分の人生を大きく変えてくれたボイサーを見つけるまでだった。

 

そしてマクーとの戦いが終わるその日まで・・・・。

 

 

蒸着せよ!宇宙刑事ギャバン!!レディギャバン!!

 

 

 




・千冬がダブルマンに捕まった理由(本編でなかった描写)

マドカと共にいたところ魔空空間に向かう途中だったダブルマンに奇襲によって捕まった。ちなみに魔空空間に普通でいられたのは「宇宙刑事シャリバン」の時も確かに多様な描写があったため。

・現在の千冬とマドカの関係

一様織斑姉弟の仲間入りです(しかし、一夏はまだ一条寺のまま)。

・その後の五反田食堂

結局、スコールとオータムまで訪れることになり、弾は正式に宇宙刑事の訓練を受けることに(それまでは蓮や厳には内緒にしていたためオータムからの直伝だった)。

次回書くとしたら学園編になるので恐らくしばらくマクーの出番はないかも。


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