遊戯王~先導の神聖騎士団~ (片倉政実)
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政実「どうも、片倉政実です」
勇騎「どうも、本導勇騎です」
政実「今回はオリジナルキャラの設定紹介となっています」
勇騎「例によって、作品が進んで新しい情報が出次第、更新していくんだよな?」
政実「そうだね。
さて……それじゃあそろそろ始めていこうか」
勇騎「そうだな」
政実・勇騎「それでは、どうぞ」


 

本導勇騎(ほんどうゆうき)

 

性別:男

年齢:16

趣味:料理、読書、散歩、音楽鑑賞

特技:料理、剣道

好きな物:友人(カードの精霊達を含む)、デュエル(ただし十代ほどではない)、十代達との会話

嫌いな物:傲慢なものや自分勝手なものなど

使用デッキ:【神聖騎士(ロイヤルパラディン)】などの『カードファイト! ヴァンガード』のクランをモチーフにしたもの、【E・HERO】

転生特典:精霊を視る力、PSYクオリア、呪縛(ロック)、惑星クレイの住人達のカードや精霊体(助っ人)

 

友人である神、ファルの力で転生をした高校生の少年。

生前は『カードファイト! ヴァンガード』が好きな少年だったが、ファル達神々の失態により交通事故で死亡した。

その後、ファルからその事情を聞いた後、それをしっかりと伝えてくれた事、そして今更その事について何かを言ってもしょうがないと考えた事でファルの謝罪を受け入れた。

その後、ファルとの会話によって自身に関する事(自分の名前や生前の家族や友人達の名前など)が死のショックによって抜け落ちてしまった事が判明し、その事実も受け止めた上で、唯一自分が好きだったと覚えていたもの、『カードファイト! ヴァンガード』に関係するものを元にし、自分に名前を付けた。

そして名前を付けた後、ファルからの転生の提案、そして別世界への扉の異常の解決の依頼を受け、『遊戯王GX』の世界への転生を決意する。その後、ファルから助っ人として『カードファイト! ヴァンガード』に登場するキャラクター達を紹介された後、3つの転生特典を受け取り、ファルに見送られる形で転生を果たした。

 

転生後は『遊戯王GX』の本来の主人公、結城十代やその妹である結城光、そして人間の姿を取って様子を見に来ていたファルが幼なじみとなり、楽しい生活を行っていたが、両親が事故死をしてしまった事で、親戚達から邪魔者扱いをされながら過ごすことになってしまった。

しかし、結城家から居候の提案を受け、それを快諾した。そして親戚の内の1つと養子縁組を交わした後、里親からの許可(それも快諾)をもらい、無事に結城家の居候(結城家の面々から家族のような扱い)となり、再び十代や光といった結城家の面々、そして時々訪れるファルとの生活を始めた。

 

結城家では家事全般の手伝いを請け負っており、十代達の両親が遅くなる日などは趣味を活かして十代達の夕食も作っている。

居候を始めた頃から手伝いを請け負っていたため料理の腕は良く、洗濯や掃除などもすんなりこなすため、結城家の中で家事について頼られる事もしばしば。

 

容姿は黒い短髪に茶色がかった瞳の二枚目だが、PSYクオリア使用時は瞳が深い蒼色に変わり、呪縛やЯ使用時は瞳が紅く変化する。

 

友人である十代達やカードの精霊達の事をとても大切にしており、彼らを馬鹿にしたりする者に対しては強い怒りを見せ、時には不完全な形でのPSYクオリアをデュエル時に発動することもあり、この時には相手を完膚無きまでに倒し勝利することをメインとした好戦的な性格へと一時的に変化する。

 

普段は仲間内でのツッコミを担当しているが、多少天然なところもあるため、その際には他のツッコミ担当にツッコまれる事もある。

 

 

【転生特典】

 

・精霊を視る力

 

その名の通り、カードの精霊達などの精霊達を視る事が出来る能力。同じくこの能力を持つ十代や光、雨竜達のみがいる場所では精霊達とも会話をするが、自身が転生者である事を知らない人物やこの能力を持たない人物がいる時(デュエル時を除く)にはアイコンタクトなどでコミュニケーションを取っている。

 

 

・PSYクオリア

 

『カードファイト! ヴァンガード』内において、特定の人物達が持つ能力。

カードの声を聞き、デッキの流れを読む事が出来る能力で、普段のデュエル時では一切使用しないが、怒りに任せた不完全な形での発動や対戦相手が強大な際には使用している。

意識的な使用時には正常な働きを見せるが、怒りに任せた不完全な形での発動時には、普段の勇騎とは違った好戦的な性格へと変化させるなど、多少マイナスな面も見せる。

そして時にはカードパックの購入時に使うこともあるが、これは自身も反則である事をしっかりと認識しているため、取得したカードの中で十代達にとって使えるカードがあった際は譲渡している。

 

 

呪縛(ロック)

 

『カードファイト! ヴァンガード』内でЯ(リバース)ファイターなどが使用する『リンクジョーカー』というクランやそれに関係したユニットが使用する能力。

使用時には、勇騎の両目の下に赤黒い涙のような模様が浮かび、勇騎の両手には同じく赤黒い輪のような物が出現し、それを使い対象を捉える事で、対象を別の次元へと幽閉し、他者から対象に関する記憶を消去することが出来る。

尚、この能力を手に入れた際、同時に実はЯ(リバース)の能力も得たが、どちらも勇騎自身は無闇に使う物では無いとしてる。

 

 

・惑星クレイの住人達のカードや精霊体

 

その名の通り、『カードファイト! ヴァンガード』に登場するキャラクター達のカードやそのキャラクター達の精霊体。

普段はそのクランの主だった存在達(リーダーなどだけではなく、強い力を持った存在など)のみが精霊体として勇騎の傍にいるが、本来は全てのカードに精霊体が宿っているため、同じ精霊を視る能力を持つ人物と共にいる時やデュエル時には軽い会話をしている。

 

 

【使用デッキ】

 

神聖騎士(ロイヤルパラディン)

 

主な精霊体:『先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード』、『神聖騎士獣 ういんがる』、『神聖騎士王 アルフレッド』

 

勇騎の使用するデッキの中で一番の使用頻度を誇る、『カードファイト! ヴァンガード』において聖騎士団がモチーフとなるクラン、ロイヤルパラディンが元となったデッキ。そして『暗黒騎士』の対となるデッキ。

デッキコンセプトは、魔法やモンスター効果でデッキや手札からモンスターを呼び出し、フィールド上にモンスターを揃えた後、サポートカードなどで強化し、攻撃を仕掛け勝利をするというもの。

 

 

『帝国』

 

主な精霊体:『帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード』

 

勇騎の使用するデッキの1つで、『カードファイト! ヴァンガード』においてドラゴンなどがモチーフとなるクラン、かげろうが元となったデッキ。

デッキコンセプトは、モンスター効果や魔法・罠などで相手モンスターを破壊し、専用フィールド魔法で手札を増強をしつつ、自分のモンスターによる攻撃で勝利をするというもの。

 

 

暗黒騎士(シャドウパラディン)

 

主な精霊体:『漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク』、『暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター』

 

勇騎の使用するデッキの1つで、『カードファイト! ヴァンガード』において闇騎士をモチーフとしたクラン、シャドウパラディンを元にしたデッキ。

デッキコンセプトは、『神聖騎士』と同様にモンスター効果や魔法で手札やデッキからモンスターを呼び出し、サポートカードなどで強化した後、一斉攻撃を行うこともあるが、基本的には呼び出したモンスターを『暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター』の効果のコストにし、強化した『暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター』などによる強大な一撃で勝利をするというもの。

 

 

 

 

毛利雨竜(もうりうりゅう)

 

性別:男

年齢:16

趣味:座禅、読書、写経

特技:料理、剣道、柔道、弓道

好きな物:友人(勇騎達やカードの精霊達を含む)、強者とのデュエル、静寂など

嫌いな物:騒音、悪人など

使用デッキ:『戦国』

転生特典:精霊を視る力、?、?、戦国カテゴリーのカード(おまけ)

 

ファルとは別の神の力で転生をした高校生の少年。

古くから続く家、毛利家の当主の息子で、おまけである使用デッキの戦国カテゴリーは家に代々伝わっていたものだったが、雨竜が触れた事で封印が解け、雨竜の使用デッキとなった。

 

試験デュエルでの十代と勇騎のデュエルを見た事で、デュエル・アカデミアでのデュエルを決意したが、勇騎とオベリスクブルー生のデュエルの中で勇騎が転生者ではないかと感じ、それを確かめるために入学式の翌日にデュエルを申し込んだ。そしてデュエル中の勇騎の様子を観察した後、デュエル後に勇騎本人に確認をしつつ、自身も転生者である事を明かした。

 

容姿は黒い長髪を麻紐で結んだ黒い瞳の二枚目で、女生徒から人気はあるが、本人曰く、今は恋に現を抜かす気は無いため、特に気にしていない。

 

友人達の事を非常に大切しており、普段はとても落ち着いているが、勇騎と同様に友人達を馬鹿にしたりする者に対しては静かな強い怒りを見せる。

 

 

【転生特典】

 

・精霊を視る力

 

勇騎や十代と同様の力で、主に勇騎や十代と共にいる時やデュエル中、そして一人でいる時には精霊達と会話をしている。

 

・?

 

・?

 

・戦国カテゴリー

 

雨竜が転生をした際、おまけとして付けられたカード群。カードのモチーフは戦国武将や姫、忍などの戦国時代の偉人達で、史実とは別の未来のようになっているため、本来であれば犬猿の仲である武将達も仲が良いなど、史実とは様々な違いが存在する。

 

 

【使用デッキ】

 

『戦国』

 

主な精霊体:『戦国の義勇将軍 長政』、『戦国の魔王将軍 信長』、『戦国の独眼将軍 政宗』など

 

雨竜が使用するデッキで、戦国武将や姫、忍などをモチーフとしたカードで構成されている。

デッキコンセプトは、その時その時のエースモンスターによって変わるため、変幻自在な戦い方をする事が出来る。




政実「以上が、オリジナルキャラの設定となります」
勇騎「まあ、今回はあまり後書きで話すことも無いみたいだな」
政実「あ、うん。まあ、新しい情報が出次第、随時更新していきますよくらいだからね」
勇騎「そうだな。
そして最後に、作品に対しての感想や意見、評価などもお待ちしております」
政実「それじゃあそろそろ締めていこうか」
勇騎「ああ」
政実・勇騎「それでは、また本編で」


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第0話 新たな先導者の誕生

どうも、片倉政実と申します。
これとはまた別の作品も連載させてもらっています。
タグにもありますが、遊戯王に関しては初心者ですので、拙い箇所などがあるとは思いますが、その際には指摘などをして頂けたら、とてもありがたいです。

それでは、第0話を始めていきます。

※この話はプロローグに当たるため、第0話としています。


「ここは……どこなんだろう……?」

目が覚めると、そこは全く知らない場所だった。周り一面が真っ白な空間で、他に見える物といえば少し先にポツンとある青色の扉だけだった。

 

「あそこに行ってみようかな、このまま立っていても何も始まらないだろうし」

 

そう思った俺は青い扉に近づき、その扉を開けた。扉の先は目が覚めた場所と同じく、真っ白な空間だったが、中心には何故か炬燵と木で出来た戸棚が置いてあった。

 

「えっと、何で炬燵と戸棚があるんだ?」

 

あまりにもミスマッチだったため、俺は首を傾げながら呟いた。

すると、

 

「うーん、そうだね……まぁ趣味みたいなものと考えて貰えたら嬉しいかな」

 

いきなりそんな声が聞こえてきたため、声の方に顔を向けると、そこには同い年くらいの少年が立っていた。

あ、もしかして……

俺はこの状況に思い当たる節があったため、彼に向かってあることを聞いてみた。

 

「もしかしなくても神様……とか?」

「うん、まあそうだよ。

……ただ、名乗る前に言われちゃうと、名乗った時の衝撃が薄れちゃう気がするんだけど……まぁいっか」

 

神様はそんな事を言いながら、俺に近づいてくる。

 

「とりあえず自己紹介だけはしておくね。僕は神様で、一応君のいた世界の関係者……いや、関係神って言うのが、正しいのかな……?」

 

神様はそんな神様っぽく無い口調で自己紹介をした。

神様って、もしかしてみんなこんな感じなのか?

俺が少し訝しげにしていると、

 

「そういうわけでも無いんだけどね、むしろ僕みたいなのが特殊といえば特殊だし」

 

神様はまるで俺の心を読んだかのように、俺の疑問について答えた。

 

「実際のところ読んだんだけどね。

……さて、雑談はここまでにして、そろそろ本題に入りますね」

 

神様がそう言うと、周りの雰囲気が張りつめたものへと変わった。さっきまで笑顔だった神様の顔付きも真剣なものへと変わっていた。

 

「本題っていうのは?」

「それは……貴方の死の原因が、私達であるということです」

 

その言葉を聞いた瞬間に、俺の脳裏にある映像が映し出される。俺に向かって走ってくる自動車、そして倒れている俺の周りに集まってくる知らない人達……

 

「そっか、やっぱり俺は死んでたんだ。薄々そうなんじゃないかとは思ってたけど……」

 

俺は自分が死んでいることを自覚し、少しだけ茫然とした。

わかっていたこととはいえ、いざその事実を直接的に突き付けられると、やっぱり堪えるな……

 

「すべては私達の失態によるものです、本当に申し訳ありませんでした……」

 

神様が深々と頭を下げてくる。その姿からは本当に申し訳無いと思っていることがひしひしと伝わってくる。

 

「神様、もう謝らなくても良いですよ」

 

そんな姿を見て、俺はふとそんな事を言っていた。でもそれは俺の本心でもあった。

 

「しかし……!」

「俺はもう気にはしてないですよ、確かに死んでしまったのはあなた方のせいかも知れない、でも貴方はそれを包み隠さずに話してくれた。それだけで十分です」

 

正直まだ少しショックではあるけど、でも死んだことをいつまでも恨めしく思うくらいなら、いっそのことすんなりと受け入れて、次にどうしたら良いかを考えた方が良い気がした。

 

「だから顔を上げてください、神様。俺は大丈夫ですから」

「……ありがとうございます、本来であればもっと責められても仕方がないのに……」

「これ以上この事を気にしていても、何も始まらない気がしましたから。

後、敬語じゃなくても良いですよ、神様。敬語だと何だか背筋がむずむずするというか、ちょっと違和感があるので」

 

そう言うと、神様は少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になってこう言った。

 

「わかりま……じゃないね、わかったよ。それと僕にも敬語じゃなくても良いよ。僕も敬語は苦手でね」

「ん、了解」

 

そう言って俺達は笑いあった。まるで昔からの友達みたいに感じるほどに俺達は気が合い、様々な事を話し合った。

……それから数分後のことだった。

 

「そういえば自己紹介の途中だったね、僕の本当の名前はファルっていうんだ」

「ファルか、よろしくな。

俺の名前は……えっと、何だっけ……?」

 

何故か名前が出てこなかった。

名前なんて当たり前のこと過ぎて、出てこないわけ無いのに……

 

「……家族の名前とかは?」

「家族の名前は……ダメだ、全く出て来ない……」

「……もしかしたら死んだ時のショックで記憶の一部が消滅してしまったのかも……」

「そう、なのか……?」

 

……参ったな、いくら気にしないことにしたとはいえ、前世についての記憶の一部が無いとなるとなぁ……

 

「本当にごめん、こうなると僕にもどうしようも無いんだ……」

 

ファルが申し訳無さそうに謝ってくる。

 

「いや、良いよ。ちょっとだけショックだっただけだから気にしないでくれ。

……でもそうなると、名前が必要になるな……」

 

名前、名前なぁ……何にしたもんかな……

俺は名前決めの案についてファルに聞いてみることにした。

 

「ファル、何か良い案は無いかな?」

「え? えーと、そうだね……何か好きだったものから取るのはどうかな?」

「好きだったもの、か……」

 

そうなると、あれかな? あれっぽい名前にするなら……

少し考えた後、ある一つの名前が浮かんだ。

 

「よし、これにしよう」

「お疲れ様、それでどんな名前にしたの?」

「あぁ、本導勇騎にしたよ。本当の本に誘導の導、勇気の勇に騎士の騎で本導勇騎」

「本導勇騎……うん、良い名前だと思うよ」

「ありがとう、ファル」

「どういたしまして、勇騎」

 

何とか新しい名前も決まって、また俺達の間に和やかな雰囲気が流れる。そして俺達はまた話を始めた。

それから何時間か過ぎた時だった。

 

「っと、そうだ。そろそろもう一つの本題に入らないと」

 

ファルが思い出したように、そんなことを言い出した。

 

「もう一つの本題?」

 

いったい何だろう……?

不思議そうな俺にファルが説明してくれた。

 

「勇騎には転生をして貰おうと思ってるんだけど、ちょっと困ったことがあってね」

「困ったこと?」

「うん、実は転生先が一つだけしか選べなくなってるんだ」

「えっと、つまり……どういうことだ?」

「本来なら僕達、神様が転生先を選ぶんだけど、今回に関しては特例として勇騎に選んで貰おうとしてたんだ。でも何故だか他の世界に転生者を送れなくなっているんだよ。ある一つの世界を除いてね」

「その世界は?」

「『遊戯王』の世界だよ」

「遊戯王って、あの遊戯王だよな」

「そうだね、勇騎がいた世界でもプレイヤー人口が多いやつだね」

「原因の目星も付いてないのか?」

「考えられるのは次元の歪みかな。強力な次元の歪みが発生すると、別の世界への扉が閉ざされることがあるんだ」

「なるほど、たしかにその可能性は高いかもな」

「それで勇騎には遊戯王の世界に転生をして貰って、そこで原因を突き止めてほしいんだ」

「それは構わないけど、遊戯王は昔やってたくらいで、ルールとかはうろ覚えだし、カードなんて一枚も無いぞ?」

「そっか……

よし、それなら。ちょっとだけ待ってて」

 

そう言うとファルは姿を消した。

数分後、ファルが帰ってきた。そしてその後ろには、何人もの人達を引き連れていた。

 

「お待たせ、ちょっとだけ手間取ったけど、何とかなりそうだよ」

「おかえり……って、もしかしてその人達は」

「勇騎にとってはとっても馴染み深い人達を連れてきたよ」

「確かにそうだけど、本当に良いのかな?」

 

俺がファルにそう聞くと、

 

「うん、大丈夫だよ。それにこれは本人達の希望でもあるから」

「本人達の希望?」

 

俺がそう聞くと、一番馴染みのある白い色の鎧の騎士が進み出て来た。

 

「その通りです、新たな先導者よ。今は我々の世界には影響はありませんが、これからはどうなるかはわかりません。

ですので、我々にも貴方を手伝わせて頂きたいのです」

「それはとっても助かるけど、本当に皆それで構わない?」

 

俺がそう聞くと、集まっていた皆が頷く。

 

「そっか、わかった。

皆、これからよろしくな」

 

俺がそう言うと、皆はもう一回頷き、光に包まれた。そして光が消えると、そこにはいくつものデッキが浮いていた。デッキ達は炬燵の上まで飛んでいくと、そのまま炬燵に着地した。

 

「ファル、ありがとうな、最高の助っ人達を連れてきてくれて」

「どういたしまして、勇騎。

彼らは一応向こうの世界では、カードの精霊として勇騎のそばにいてもらうことになってるよ。後はルールだけど、これは転生後に何とかするしかないね」

「そうだな。記憶が正しければ、だいぶ複雑だったような気はするけど、やってく内に何とかなるとは思う」

「そうだね。

後、勇騎には転生特典を三つ選んで貰おうと思うんだけど、何が良い?」

 

転生特典か……まず精霊を視る能力は必須だよな、そうじゃないと助っ人達とコミュニケーションすら取れないし。あと二つは……よし、これとこれかな。一つはかなり危ないけど、悪用さえしなければ良いとは思うし、たぶん大丈夫だろう。

 

「えっと……まず『精霊を視る能力』と『PSY(サイ)クオリア』、そして『呪縛(ロック)の使用』をお願いしても良いかな」

「うん、わかったよ。それじゃあこれらを使えるようにしておくね」

 

ファルはそう言うと、俺が最初に入ってきた扉の方へと歩いていき、扉の前で何かを唱え始めた。

それを見ながら俺は炬燵の上のデッキ達を取り、ファルの近くまで歩いていった。そして俺が近くで止まると同時に、ファルはクルッと俺の方へ振り返った。

 

「……よし、これでこの扉から転生が出来るようになったよ」

「……ということは、ここをくぐると俺の転生者としての生活が始まるわけか」

 

俺が少し緊張しながら聞くと、ファルは笑顔で答えた。

 

「その通り、後はこれも渡しておくね」

 

ファルが渡してきたのは、白い携帯電話だった。

 

「これは僕へと繋がる直通の電話だよ。一応僕も様子を見に来たりはするけど、何か急に困ったことがあったら、これを使ってね」

「わかった、ありがとうな。

……それじゃあ、そろそろ行ってくるな」

 

俺はそう言いながら、扉へと近づき、迷うこと無く扉に手を掛けた。

 

「色々とありがとう、ファル。

そして、行ってきます」

「うん。行ってらっしゃい、勇騎」

 

俺が扉を開けると、中から眩しいほどの光が広がった。俺はそのまま光の中へと進んで行った、そして目の前が光に包まれたと思った瞬間、俺の意識は光の中へと溶けていった。




どうも、片倉政実です。
第0話、いかがでしたでしょうか。もし楽しんで頂けたなら幸いです。
さて、前書きにも書きましたが、別の作品も連載させてもらっています。もしそちらも読んでいただけたら、とてもありがたいです。
両作品とも皆さんに楽しんで読んで頂けるように、力を尽くしていくつもりです。

それでは、また。


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第一章 デュエルアカデミア入学前
第1話 試験デュエル! 聖騎士王VS機械巨人


政実「どうも、片倉政実です」
勇騎「どうも、本導勇騎です。
……あのさ、まずひとつ言わせてもらって良いか?」
政実「あ、うん」
勇騎「違う方でも言われたろうけど、何でこうなった?」
政実「えっと……最初はひぃこら言いながら書いてたんだけど、途中から「believe in my existence」を聴きながら書いてたら、段々テンションが上がってきて……それで今回の展開になった感じ……かな」
勇騎「……まぁ良いか。後は後書きで話すことにして、今話さないといけない事を話さないとな。

この小説内のルールは、OCGの新エキスパートルールを採用しており、カードプールは第5期までのカードプールとなっています。
尚、リミットレギュレーションは以下の通りです

禁止カード
《ヴィクトリー・ドラゴン》
《混沌帝龍 −終焉の使者−》
《カオス・ソーサラー》
《カオス・ソルジャー −開闢の使者−》
《キラー・スネーク》
《黒き森のウィッチ》
《サイバーポッド》
《サウザンド・アイズ・サクリファイス》
《処刑人−マキュラ》
《聖なる魔術師》
《月読命》
《デビル・フランケン》
《同族感染ウィルス》
《ファイバーポッド》
《魔導サイエンティスト》
《魔導戦士 ブレイカー》
《八汰烏》
《悪夢の蜃気楼》
《いたずら好きな双子悪魔》
《王家の神殿》
《押収》
《苦渋の選択》
《強引な番兵》
《強奪》
《強欲な壺》
《心変わり》
《サンダー・ボルト》
《蝶の短剣−エルマ》
《天使の施し》
《ハーピィの羽根帚》
《ブラック・ホール》
《突然変異》
《遺言状》
《王宮の勅命》
《現世と冥界の逆転》
《第六感》
《刻の封印》
《破壊輪》
《ラストバトル!》
《リビングデッドの呼び声》

制限カード
《異次元の女戦士》
《E・HERO エアーマン》
《カードガンナー》
《クリッター》
《混沌の黒魔術師》
《スナイプストーカー》
《魂を削る死霊》
《ダンディライオン》
《ドル・ドラ》
《深淵の暗殺者》
《封印されしエクゾディア》
《封印されし者の左足》
《封印されし者の左腕》
《封印されし者の右足》
《封印されし者の右腕》
《風帝ライザー》
《マシュマロン》
《冥府の使者ゴーズ》
《メタモルポット》
《森の番人グリーン・バブーン》
《黄泉ガエル》
《オーバーロード・フュージョン》
《大嵐》
《巨大化》
《高等儀式術》
《サイクロン》
《地砕き》
《次元融合》
《死者蘇生》
《地割れ》
《スケープ・ゴート》
《洗脳−ブレインコントロール》
《団結の力》
《連鎖爆撃》
《手札抹殺》
《早すぎた埋葬》
《ハリケーン》
《光の護封剣》
《封印の黄金櫃》
《抹殺の使徒》
《未来融合−フューチャー・フュージョン》
《リミッター解除》
《レベル制限B地区》
《おジャマトリオ》
《グラヴィティ・バインド−超重力の網−》
《激流葬》
《死のデッキ破壊ウイルス》
《聖なるバリア −ミラーフォース−》
《ダスト・シュート》
《血の代償》
《停戦協定》
《転生の予言》
《光の護封壁》
《マインドクラッシュ》
《魔法の筒》

準制限カード
《暗黒のマンティコア》
《ネクロフェイス》
《闇の仮面》
《光と闇の竜》
《おろかな埋葬》
《増援》
《月の書》
《魔導師の力》
《魔法石の採掘》
《王宮のお触れ》

制限解除
《イエロー・ガジェット》
《グリーン・ガジェット》
《人造人間−サイコ・ショッカー》
《見習い魔術師》
《レッド・ガジェット》
《強制転移》
《貪欲な壺》
《無謀な欲張り》

以上がこの作品内のリミットレギュレーションです。
カードプールはたびたび追加していく予定ですが、シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムに関係するカードは現在未定です。
……っと、こんな感じで良いのか?」
政実「うん、ありがとう。それじゃあ早速……」
政実・勇騎「第1話を始めていきます」


「ハァッ、ハァッ……」

 

様々な人達が行き交う街の中を、俺達の走る音と声が通り抜けていく。本来ならば走る必要は無い筈なんだが、ある事情から急がなくてはいけなくなっている。

くそっ! あの時にしっかりとさせとけば良かった!

 

 

 

 

俺の名前は本導勇騎、神様に転生させてもらった一人の転生者だ。

転生した先は、ここ『遊戯王GX』の世界で、どういうわけかGXの主人公である遊城十代の家と俺の家が隣同士でかつ、母親同士が幼馴染みであったため必然的に幼馴染みになった。

そして何故か十代には原作にはいない妹の遊城光(ゆうきひかり)がいた。俺というイレギュラーの影響なのかは定かでは無いが、光とも小さい頃からよく遊んでいたため、幼馴染みとなった。

それから何年も過ぎ、俺と十代はデュエルアカデミアに入学することにしたのだが……

 

「ハァッ、ハァッ……十代、急げ! 入試に遅れるとか、洒落にならん!」

「ああ!分かってるよ!」

 

この幼馴染み、遊城十代の寝坊と電車の事故が原因で最初に述べた通り、入試の会場まで走ることになった。

 

「ハァッ、ハァッ……

そもそも何ですぐに起きなかったんだよ! 昨日は早めに寝たはずだろ!?」

「いやー、今日の入試デュエルが楽しみすぎて、あれから中々寝られなくってさ!」

 

お前は遠足前日の小学生か!

俺はそんなツッコミをグッとこらえ、入試会場へと走る。

 

『全く勇騎は朝から騒がしいね。十代の性格は昔から知ってるだろ?』

 

ユベル、それ以上減らず口を叩くなら、それ相応の行動をさせてもらうぞ?

 

『先導者よ。今はユベルに構わず、目的地へと辿り着く事が先決です』

『そうだよ。ガンガン進んでこう!』

 

アーメス、ヤツフサ……お前らくらいだよ、今俺にそう言ってくれるのは。

俺はその事に少し感動を覚えながら、十代と共にひたすら走り続けた。

このユベルは十代が持ってるカードの精霊で、アーメスとヤツフサは俺の持ってるカードの精霊だ。本来ユベルはこの時には十代の精霊となっている筈が無いんだが、これについてはまた別の機会に話すことにしよう。

 

 

 

 

駅から走り続けて幾らか経った頃、ようやく会場近くまで辿り着いた。

 

「頑張れ、十代! もう少しで会場だ!」

「おお! てことは、もう少しでデュエル出来るんだな!

くぅ~、早くデュエルしたいぜ!」

 

……ダメだ、このデュエル脳。早くなんとか辿り着かないと……

そんなことを考えていた時だった、

 

「うわっ!」

「おっと」

 

十代ともう1人の声が聞こえたので見てみると、十代がカードを拾い集めていた。どうやら通り掛かりの人にぶつかりそうになった時に、カードをばら蒔いてしまったようだ。

 

「全く……大丈夫か? 十代」

「勿論、大丈夫だぜ!」

「なら良いけど。

すいません、連れが迷惑をかけてしまって……」

「いや、良いよ。こっちにも非はあるから」

 

その人は穏やかな口調でそう言った。

 

「よし、これで全部だ!」

 

俺達が話している間に、十代がカードを拾い終えたようだ。

 

「本当にすみませんでした。

それじゃあ、俺達はこれで……」

 

そう俺達が再び走ろうとした時、

 

「入試会場へ急いでいるところ悪いが、少しだけ待ってもらっても良いかな?」

 

その人からいきなり呼び止められた。一体何だろうか……

 

「このカード達が君達の所に行きたがってたからさ」

 

そう言ってその人は俺達にカードを差し出した。

このカードはありがたい……でも何でこの人がこのカードを持ってるんだ?

 

「君のそのカードは元々知り合いが持ってたんだ。それが最近知り合いから『このカードが探している人がいるみたい』と言われて、このカードを譲り受けて、このカードが選ぶデュエリストを探してたんだ」

 

不思議そうな俺を見て、その人が説明してくれる。

そう……だったんだ。このカードはアーメスと関わり深いから、一緒にあった方が確かに良いしな。

 

「分かりました、ありがとうございます」

「あ、俺もありがとうございます」

「良いよ。それよりも、2人とも入試頑張ってね」

「「はい!」」

 

俺達はその人と別れ、会場へと再び走り始めた。

 

 

 

 

 

「ふぅ……何とか間に合ったな」

「だな。よし! 早速デュエルだ、デュエル!」

「お前は元気だよな……本当に」

 

何とか受付をギリギリで済ませ、俺達は試験時間までフィールドの近くで待つことになった。因みに俺は十代よりも受験番号は早いんだが、受付をギリギリで済ませたから、十代同様に特別な試験官が相手らしい。

 

「なぁなぁ、試験官は誰なんだ?」

「んー、確か……」

「試験官はワタクシなのーネ!」

 

一際大きな声が会場に響き渡る。その声の方を見ると、金髪の顔が白塗りの男性が歩いてきていた。

やっぱりこの人か……

 

「この人が試験官か?」

「そうだよ、名前はクロノス・デ・メディチ。デュエルアカデミアの実技担当最高責任者だよ」

「実技担当最高責任者……ってことは、強いんだよな! くぅ~! 早くデュエルしたいぜ!」

「お前は……まぁ十代らしいと言えば十代らしいか」

 

俺達がそんなことを話していると、

 

『受験番号110、遊城十代君、試験デュエルを行います』

 

放送で十代の名前が呼ばれる。どうやら十代かららしいな。

 

「おっ、俺の番か。んじゃ、行ってくるぜ!」

「おー、頑張ってなー」

 

十代は意気揚々とデュエルフィールドに歩いていった。まぁ、あいつなら問題ないだろう。

 

「俺は……あいつのデュエルを眺めてるか」

『先導者よ。あの試験官殿の戦法は分かっているのですか?』

「まぁね。俺の知ってる通りであれば、大体は分かってる」

 

アーメスと話しながら、俺は十代の試験デュエルを眺めていた。

 

『行くぜ、先生!』

 

おぉー、十代がフェザーマン出してるな。てことはアイツでも出す気だな。

 

『私は古代の機械巨人を召喚するのーネ!』

 

機械巨人出たか。まぁでも十代なら心配は無いか。

 

『ハネクリボーの効果で俺はこのターン、ダメージを受けないぜ!』

 

ハネクリボー……あの時に貰ったカードだな。と思ったら、十代が傍らのハネクリボーと触れあっている。

十代……デュエルに集中しろよ……

 

『フレイム・ウィングマンの効果で……』

『ペペロンチーノ!』

 

あ、クロノス先生が機械巨人に潰されてる。俺と十代達でやると、机の上とかが多いから、ソリッドビジョンは新鮮だな。ソリッドビジョンって凄いなぁ……

そして、デュエルは十代の勝ちっと。

 

『受験番号30 本導勇騎君 試験デュエルを行います』

 

……っと、俺の番だな。

俺は放送に従い、デュエルフィールドへと向かう。

 

「頑張れよ、勇騎!」

 

十代がすれ違い様にそう言ってくる。

 

「あいよ、俺の精一杯をぶつけて、勝ってくるさ」

 

俺は十代にそう言い、デュエルフィールドに登った。

 

「次は貴方なのーネ。私はクロノス・デ・メディチ。デュエルアカデミアの実技担当最高責任者ですーノ」

「受験番号30、本導勇騎です。よろしくお願いします」

 

俺がお辞儀をしながらそう言うと、

 

「うんうん、礼儀正しくてとてもよろしいのーネ。ですーガ、デュエルには一切手心を加える気は無いですーノ!」

「はい! 勿論です!」

 

俺は笑顔でクロノス先生にそう言い、デュエルディスクを構えた。

 

『さぁ、行きましょう! 我が先導者よ!』

「あぁ、やってやろうぜ! アーメス!」

 

そして、

 

「デュエ~ル!」

「デュエル!」

 

俺の試験デュエルが始まった。

 

 

 

 

本導勇騎 LP 4000

VS

クロノス・デ・メディチ LP 4000

 

 

 

 

「先攻は受験生からなのーネ」

「分かりました。

俺のターン、ドロー!」

 

えっと、手札は……

 

【神聖騎士獣 ういんがる】

【神聖騎士王の号令】

【孤高の神聖騎士 ガンスロッド】

【ドライブチェック!】

【双闘!】

 

初手がこれなら……こうだな。

 

「俺は手札からモンスターを1体裏側守備表示で召喚、カードを1枚伏せてターンエンドです」

 

 

本導勇騎 LP 4000

 

手札

【神聖騎士王の号令】

【孤高の神聖騎士 ガンスロッド】

【双闘!】

 

モンスターゾーン

【神聖騎士獣 ういんがる】(裏側守備表示)

 

魔法・罠ゾーン

【ドライブチェック!】(伏せ)

 

「私のターン、ドロー!

守ってるだけでは勝てないことを教えてあげるのーネ。

私はカードを2枚伏せて、手札から【大嵐】を発動するのーネ!」

 

【大嵐】

通常魔法(制限カード)

 

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

その瞬間、フィールド上に強い風が吹きわたる。それと同時にお互いの伏せカードが破壊された。

 

「破壊された【黄金の邪神像】の効果、セットされているこのカードが破壊されたことで、私のフィールドに【邪神トークン】を召喚するのーネ。2枚破壊されたので、2体の【邪神トークン】を召喚しますーノ!」

 

【黄金の邪神像】(おうごんのじゃしんぞう)

通常罠

 

セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分フィールド上に【邪神トークン】(闇属性/悪魔族/☆4/ATK 1000/DEF 1000)1体を特殊召喚する。

 

【邪神トークン】

トークン

闇属性/悪魔族/☆4/ATK 1000/DEF 1000

 

【邪神トークン】が2体……ってことは、あれだな。

 

「2体の【邪神トークン】を生け贄に捧げ、【古代の機械巨人】を召喚するのーネ!」

 

【古代の機械巨人】(アンティーク・ギアゴーレム)

効果モンスター

地属性/機械族/☆8/ATK 3000/DEF 3000

このカードは特殊召喚できない。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、

このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、

その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

このカードが攻撃する場合、

相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

 

クロノス先生のフィールドにとても大きな歯車などで出来た巨人が現れる。

間近で見ると凄いな……

 

「【古代の機械巨人】で守備モンスターに攻撃しますーノ!」

「伏せていたのは、【神聖騎士獣 ういんがる】です」

【神聖騎士】(ロイヤルパラディン)……

聞いたこと無いカテゴリーなのーネ……」

 

【神聖騎士獣 (ロイヤルパラディンビースト)ういんがる】

 

通常モンスター(オリカ)

光属性/獣族/☆4/ATK 1200 /DEF 1000

 

ういんがるは機械巨人の攻撃を受け、破壊された。

 

「すまない……ヤツフサ」

『ううん、気にしないで』

 

ヤツフサはそう言うと、そのまま俺の肩に乗っかる。

さて、こっからが問題だな……

 

「【古代の機械巨人】の効果を発動するのーネ!

【古代の機械巨人】が守備表示のモンスターを攻撃した時、 このカードの攻撃力が守備表示モンスターの守備力を超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与えられるのーネ!」

 

機械巨人がういんがるを破壊した時の衝撃が俺にじかに伝わり、俺のライフポイントが削られる。

 

「くっ!」

 

本導勇騎 LP 4000→2000

 

「私はこれでターンエンドなのーネ」

 

クロノス・デ・メディチ LP 4000

 

手札

 

モンスターゾーン

【古代の機械巨人】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

 

やっぱ効くな……2000ダメージも喰らうと。

でもこんなところで止まってられない!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカード

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

 

「俺は手札の【孤高の神聖騎士 ガンスロッド】の効果を発動!」

「手札から発動するモンスター効果なのーネ!?」

 

孤高(ここう)神聖騎士 (ロイヤルパラディン) ガンスロッド】

 

効果モンスター(オリカ)

光属性/戦士族/☆8/ATK 2600/DEF 2400

 

手札に存在するこのカードを公開し、デッキの一番上に置くことで、デッキから【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】を1枚手札に加える。その後、デッキをシャッフルする。

自分の墓地に【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】が存在する時、このカードの攻撃力が500ポイントアップする。

 

「【孤高の神聖騎士 ガンスロッド】をデッキの一番上に置き、デッキの中から【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】を1枚探しだし、手札に加え、デッキをシャッフルする。

すいません、シャッフルをお願いしても良いですか?」

「わかったのーネ」

 

クロノス先生は俺からデッキを受け取り、丁寧にシャッフルをする。

そして、クロノス先生からデッキを受け取ってから、俺は次の手に移った。

 

「そして俺は手札から魔法カード【神聖騎士王の号令】を発動!」

 

神聖騎士王(ロイヤルパラディンキング)の号令】

 

通常魔法(オリカ)

 

デッキの上から3枚までカードを確認する。その中に【神聖騎士】と付くモンスターがいた時、1体まで特殊召喚出来る。

その後、確認した他のカードをデッキに戻し、デッキをシャッフルする。

 

「俺はデッキの上の3枚を確認し、その中に名前に【神聖騎士】と付くモンスターがいた時、1体まで自分フィールド上に特殊召喚出来る!」

「なんですート!?」

 

その効果を聞き、外野から『何だよ、それ……』とかの声が聴こえる。

まあ、正直そんな声にも慣れてしまったけどな。

……さてと、何があるかな?

 

確認カード

小さな神聖騎士 マロン

テラフォーミング

連合軍

 

……うん、マロン無かったら危なかったな。

 

「俺は【小さな神聖騎士 マロン】を特殊召喚!」

 

【小さな神聖騎士(ロイヤルパラディン) マロン】

通常モンスター(オリカ)

光属性/魔法使い族/☆4/ATK 1500/DEF 1200

 

フィールド上に青と白の服装の眼鏡をかけた少年が現れる。

……マロンには悪いけど、次に繋がせてもらおう。

 

「俺は【小さな神聖騎士 マロン】を生け贄に捧げ……」

 

さぁ、出番だぜ。アーメス!

 

「立ち上がれ!偉大な先導者の分身!

手札から【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】を召喚!」

 

俺の目の前に聖剣を携えた白い鎧の騎士が現れる。

 

『さぁ、共に参りましょう。我が先導者よ!』

「了解、アーメス!」

 

先導(せんどう)神聖騎士(ロイヤルパラディン )ブラスター・ブレード】

 

効果モンスター(オリカ)

光属性/戦士族/☆6/ATK 2400/DEF 2000

 

このカードが召喚・特殊召喚・反転召喚に成功した時、手札を1枚墓地へ送ることで、相手フィールド上のカードを1枚選択して破壊する。

 

「所詮は攻撃力2400のモンスター。【古代の機械巨人】には敵わないのーネ!」

 

さて、それはどうかな?

 

「【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】の効果発動!

このカードが召喚・特殊召喚・反転召喚に成功した時、手札を1枚墓地へ送ることで、相手フィールド上のカードを1枚選択して破壊する!」

「んなっ! ということは……」

「その通りです! 俺は手札から【双闘!】を墓地に送り、【古代の機械巨人】を破壊します。

打ち砕け! ピンポイントバースト!」

 

ブラスター・ブレードが自分の剣を地面に差し込むとそこから雷が走り、その雷は機械巨人に当たると、機械巨人を破壊した。

 

「【古代の機械巨人】がこんなにあっさりと……」

「そして、ブラスター・ブレードでダイレクトアタック!

バーストバスター!」

「マンマミーア!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP 4000→1600

 

よっし、やっとライフを削れた。このまま行けたら良いけど……

 

「俺はこれでターンエンドです」

 

 

本導勇騎 LP 2000

 

手札

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

 

モンスターゾーン

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

 

「私のターン、ドロー!

……機械巨人を破壊したのには驚いたのーネ。でもそれだけではまだまだ甘いですーノ!

私は手札から【歯車街】を発動!」

 

歯車街(ギア・タウン)

フィールド魔法

 

「アンティーク・ギア」と名のついたモンスターを召喚する場合に必要なリリースを1体少なくする事ができる。

このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の手札・デッキ・墓地から「アンティーク・ギア」と名のついたモンスター1体を選んで特殊召喚できる。

 

歯車街……ちょっとマズイかな。

 

「そして【天よりの宝札】も発動するのーネ!」

 

【天よりの宝札】

通常魔法(原作効果)

 

互いのプレイヤーは手札が6枚になるようにカードを引く。

 

天よりの宝札……! それも確か原作効果だよな、あれって。

 

「さぁ、貴方も手札が6枚になるようにドローするのーネ」

 

まぁ助かることは助かるんだけど、これはこれでマズイかもな……

 

ドローカード

【双闘!】

【ドライブチェック!】

【神聖騎士王の号令】

【閃光の神聖騎士 イゾルデ】

【神聖騎士龍 ソウルセイバー】

 

ふむ……悪くは無いけど、良くも無いな。最後の攻めには使えるカードはあるけど、今はまだ準備が足りていないからな。

 

「更に手札から【磁力の召喚円 LV.2】を発動!」

 

磁力の召喚円 LV.2】(マグネットサークル レベル.2)

通常魔法

 

手札からレベル2以下の機械族モンスター1体を特殊召喚する。

 

「手札から【古代の歯車】を一体召喚しますーニョ!」

 

古代の歯車】(アンティーク・ギア)

効果モンスター

地属性/機械族/☆2/ATK 100/DEF 800

 

自分フィールド上に「古代の歯車」が表側表示で存在する時、

手札からこのカードを攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

えっと……てことは、

 

「【古代の歯車】の効果で手札からもう1体の【古代の歯車】を召喚!」

 

だよな。これで終われば良いけど、そうはいかないよな。

 

「【歯車街】の効果、このカードがある時『アンティーク・ギア』と付くモンスターを召喚するのに必要な生け贄を一つ少なく出来るのーネ。よって、フィールド上の【古代の歯車】1体を生け贄に捧げて、手札から【古代の機械巨人】を召喚するのーネ!」

 

再び【古代の機械巨人】がフィールド上に現れる。これはマズいな……これで【歯車街】が破壊されたら、目も当てられない……!

 

「ふっふっふ、恐れ戦くと良いのーネ!

手札から【サイクロン】を発動!」

 

【サイクロン】

速攻魔法

 

フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

やっぱり握ってたか……!

 

「【サイクロン】で【歯車街】を破壊、【歯車街】の破壊時効果で墓地から【古代の歯車】を蘇生召喚するのーネ!」

 

最悪だ……この後に来るのは、間違いなくあのモンスターだ。

 

「さぁ、その目に焼き付けるのーネ!

手札の【融合】を発動して、フィールド上の【古代の機械巨人】と【古代の歯車】二体を融合!

融合デッキから【古代の機械究極巨人】を融合召喚!」

 

古代の機械(アンティーク・ギア)究極巨人(アルティメット・ゴーレム)

融合・効果モンスター

地属性/機械族/☆10/ATK 4400/DEF 3400

 

「古代の機械巨人」+「アンティーク・ギア」と名のついたモンスター×2

このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。

このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が超えていれば、その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

このカードが攻撃する場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠カードを発動できない。

このカードが破壊された場合、自分の墓地の【古代の機械巨人】1体を選択し、

召喚条件を無視して特殊召喚できる。

 

やっぱり来るか…… こいつだけは出てきて欲しくなかったのに……

 

外野からも『入試デュエルで初めて見た……』とか『あいつ終わったな……』とか聴こえる。俺だって本来なら諦めたいところだ。

 

先導者(マイ・ヴァンガード)……』

「大丈夫だよ、アーメス。俺には今はまだ''こいつ''がいるから」

 

そう。今はまだ、だ。

あるカードを凌いだ後に引けなければ、俺の敗けは確定する。

 

「覚悟は良いのーネ?

【古代の機械究極巨人】で【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】を攻撃!(入試デュエルでこれを出すことになるとは、思わなかったのーネ……我ながらやり過ぎなのーネ)」

 

究極巨人の拳がブラスター・ブレードに迫る。そして当たる瞬間に、青い盾を構えた女性が立ち塞がる。

 

「それは、何なのーネ!?」

「……手札から【閃光の神聖騎士 イゾルデ】の効果を発動。

相手モンスターの攻撃宣言時、このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする」

 

【閃光の神聖騎士(ロイヤルパラディン) イゾルデ】

 

光属性/戦士族/☆4/ATK 1000/DEF 2000

 

相手モンスターの攻撃宣言時に発動することが出来る。

このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする。

 

「また手札からのモンスター効果……中々しぶといのーネ」

「負けられないですから……」

「は?」

「あいつが……十代が勝ったのに俺が負けてたら、あいつに合わせる顔が無いですから!」

 

そうだ、イゾルデが作ってくれたこのチャンス、無駄にするわけにはいかない……!

 

「入試デュエルでこんなにアツい受験生を見るのは、初めてなのーネ……それならば、全力で相手になりますーノ!

私はカードを1枚伏せて、ターンエンドなのーネ(伏せカードはリミッター解除、これを越えられるのーネ?)」

 

 

クロノス・デ・メディチ LP 1600

 

手札

 

モンスターゾーン

【古代の機械究極巨人】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【リミッター解除】(伏せ)

 

 

「俺のターン……」

 

ドクン……デッキに手を乗せた瞬間に、俺の鼓動の音が聴こえた。このドローで全てが決まる……なら、やってやる……!

 

「ドロー!」

 

ドローカードは……

 

ドローカード

【神聖騎士王 アルフレッド】

 

……来てくれたか、アル!

 

「手札から【神聖騎士王の号令】を発動!」

 

確認したカード

【神聖騎士獣】 ういんがる

【聖剣 ブラスター・ブレード】

【神聖騎士達の絆】

 

「【神聖騎士獣 ういんがる】を特殊召喚。

クロノス先生、度々申し訳ありませんが、シャッフルをお願いします」

「わかったのーネ」

 

クロノス先生からデッキを受け取り、俺はフィールドのアーメスとヤツフサを見据える。

 

『行きましょう、先導者』

『僕らの準備は出来てるよ!』

「あぁ、これで終わらせる!

フィールド上の【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】と【神聖騎士獣 ういんがる】を生け贄に捧げ!」

 

頼んだぜ、アル!

 

「降臨せよ、騎士達の主!

手札から【神聖騎士王 アルフレッド】を召喚!」

 

聖剣を携えた騎士とその相棒たる騎士獣の魂を継いで現れたのは、大きな白い鎧を纏った、鋭い眼光の一人の騎士王だった。

 

神聖騎士王(ロイヤルパラディンキング) アルフレッド】

 

効果モンスター(オリカ)

光属性/戦士族/☆10/ATK 3500 DEF 2800

 

このカードは特殊召喚することが出来ない。

このカードは装備魔法の対象にならない。

このカードが表側表示で存在する時、このカードの攻撃力と守備力は、このカードを除く自分フィールド上に存在する、名前に【神聖騎士】と付くモンスターの数×200ポイントアップする。

このカードが表側表示で存在する時、ライフポイントを1000ポイント払うことで、デッキから名前に【神聖騎士】と付くモンスターを1体特殊召喚する。

 

『私の出番か、先導者よ』

「あぁ。共に勝利を勝ち取ろう、アル!」

『承知した!』

 

そう言って、アルフレッドは自分の愛馬を嘶かせながら、相手のフィールドを睨み付ける。

 

「攻撃力3500……確かに強力ですーガ、この【古代の機械究極巨人】の攻撃力には程遠いのーネ!」

「【騎士王 アルフレッド】の効果!

ライフポイントを1000払うことで、デッキから名前に【神聖騎士】と付くモンスターを1体特殊召喚出来る!」

 

本導勇騎

LP 2000→1000

 

「な、何ですート?!」

「再び立ち上がれ! 偉大な先導者の分身!

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】!」

 

俺のフィールド上に二人の信頼し合う騎士達が並び立った。

 

「【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】の効果!

手札の【神聖騎士龍 ソウルセイバー】を墓地に送り、【古代の機械究極巨人】を破壊する!」

 

ブラスター・ブレードの放つ雷により、究極巨人がバラバラに崩れ落ちる。

 

「【古代の機械究極巨人】が……

し、かーし! ここで【古代の機械究極巨人】の効果を発動!

このカードが破壊された場合、自分の墓地の【古代の機械巨人】1体を選択し、召喚条件を無視して特殊召喚出来るのーネ!」

 

その言葉通り、究極巨人からおちた部品の一部達が組み上がり、【古代の機械巨人】の姿を作り出した。

 

「それでも俺達は越えていく!

【神聖騎士王 アルフレッド】で【古代の機械巨人】に攻撃! この時、【神聖騎士王 アルフレッド】の攻撃力は自身の効果で200ポイントアップする!」

 

【騎士王アルフレッド】ATK 3500→3700

 

「ここで伏せカードオープン!

【リミッター解除】!」

 

【リミッター解除】

速攻魔法(制限カード)

 

このカードの発動時に自分フィールド上に表側表示で存在する

全ての機械族モンスターは、ターン終了時まで攻撃力が倍になる。

このターンのエンドフェイズ時、

この効果を受けたモンスターを全て破壊する。

 

「【リミッター解除】は自分フィールド上の機械族のモンスターの攻撃力をターン終了時まで倍にするカード。これで機械巨人の攻撃力を倍にするのーネ! 残念だけど、返り討ちにさせてもらいますーノ!」

 

【古代の機械巨人】ATK 3000→6000

 

「まだまだぁ! それにチェーンして、手札から速攻魔法【ドライブチェック!】を発動!」

 

【ドライブチェック!】

速攻魔法(オリカ)

 

自分のバトルフェイズにのみ発動出来る。

自分のモンスターの攻撃宣言時に、デッキの上から二枚までを確認する。その中にモンスターカードがあった時、攻撃宣言をしたモンスターの攻撃力をその数×500ポイントアップする。

確認したカードは効果発動後に墓地に送る。

エンドフェイズ後にモンスターの攻撃力は元に戻る。

 

「このカードは自分のモンスターの攻撃宣言時に、デッキの上から2枚まで確認して、その中にモンスターカードがあった時、そのモンスターの攻撃力をモンスターカードの数×500ポイントアップするカードです」

「だとしても、最終的に4700までしか上がらないのーネ!」

「更にチェーンして、手札から速攻魔法【双闘!】を発動!」

 

双闘(レギオン)!】

速攻魔法(オリカ)

 

このカードは自分のバトルフェイズ時にのみ発動出来る。

自分のモンスターの攻撃宣言時、自分フィールド上にそのモンスター以外のモンスターがいた場合、1体まで選択する。

選択したモンスターの攻撃権を放棄し、そのモンスターの攻撃力を、攻撃宣言をしたモンスターの攻撃力に加える。

エンドフェイズ後にモンスターの攻撃力は元に戻る。

 

「更にチェーンですーノ!?」

「速攻魔法【双闘!】も自分のモンスターの攻撃宣言時に発動するカード。自分フィールド上に攻撃宣言をしたモンスター以外のモンスターがいた時1体を選択し、そのモンスターの攻撃の権利を放棄する代わりに、そのモンスターの攻撃力を攻撃宣言をしたモンスターの攻撃力に加える。

俺はブラスター・ブレードを選択し、その攻撃力―2400ポイントをアルフレッドに加える!」

 

【騎士王 アルフレッド】ATK 3700→6100

 

「こ、攻撃力6100?!」

「【双闘!】の効果が解決したので、次に【ドライブチェック!】の効果を発動!

ファーストチェック!」

 

確認カード

【沈黙の神聖騎士 ギャラティン】

 

「ゲット、モンスターカード!

続いて、セカンドチェック!」

 

確認カード

【閃光の神聖騎士 イゾルデ】

 

「ゲット、モンスターカード!」

「と、ということは……!」

「えぇ、【騎士王 アルフレッド】の攻撃力は1000ポイントアップします!」

 

【騎士王 アルフレッド】ATK 6100→7100

 

「行け! アルフレッド!」

 

橙色の鬣の青い馬に跨がったアルフレッドは、機械巨人に向かって跳躍すると、その体を自身の剣で切り裂いた。

 

「そんなバカなー!!」

 

クロノス・デ・メディチ

LP 1600→500

 

くっ……! 流石に削りきれなかったか。

 

「俺はこれでターンエンドです」

 

 

本導勇騎 LP 1000

 

手札

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

 

モンスターゾーン

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】(表側攻撃表示)

【神聖騎士王 アルフレッド】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

 

そして、クロノス先生にターンが渡る。

 

「わ、私のターン……」

 

クロノス先生のドローする手が、そして声が震えている。

「ドロー……」

 

ドローカードを見た、クロノス先生の顔が少しだけ明るくなった。

 

「私は手札から【古代の機械工場】を発動するのーネ」

 

【古代の機械工場】

通常魔法

 

手札から「アンティーク・ギア」と名のついたモンスターカード1枚を選択する。

選択したカードの倍のレベルになるように墓地の「アンティーク・ギア」と名のつくカードをゲームから除外する。

選択したカードはこのターンに限り召喚時に生け贄は必要なくなる。

 

「私は手札にある【古代の機械巨人】を選択しますーノ。そして墓地にある【古代の機械巨人】を2体ゲームから除外して、手札にある【古代の機械巨人】を生け贄無しで召喚するーノ!」

 

三度、【古代の機械巨人】がフィールド上に現れる。

 

「最後まで足掻かせてもらいますーノ!

【古代の機械巨人】で【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】を攻撃!」

 

「っ……!」

 

 

本導勇騎

LP 1000→400

 

 

再びクロノス先生のライフポイントが俺のライフポイントを越える。

 

「私はこれ以上出来ることは無いのーデ、これでターンエンドですーノ」

 

 

クロノス・デ・メディチ LP 500

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

【古代の機械巨人】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

 

クロノス先生の眼にはさっきまでの暗さは無く、デュエリストとしての誇りがあった。

それなら、俺も答えなきゃな。

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

【孤高の神聖騎士 ガンスロッド】

 

「行きます、【騎士王 アルフレッド】で【古代の機械巨人】に攻撃!」

 

 

クロノス・デ・メディチ

LP 500→0

 

デュエルディスクのブザーが鳴り、俺の試験デュエルが幕を閉じた。会場は静まり返り、声1つしていない。そんな中、クロノス先生が俺の方へ歩いてきた。

 

「お見事だったのーネ。入試の結果は後日、シニョール本導の元に送らせてもらうのーネ」

「わかりました。試験の相手をして頂き、ありがとうございました」

「最後まで礼儀正しくて、結構ですーノ」

 

そう言って、クロノス先生はフィールドから降りていった。それを見送ってから、俺もフィールドを降りた。

……ふぅ、何とかなったってところだな。

 

「勇騎ーー!!」

「……ん? あぁ、十代か。お疲れ様」

「お前もな! なぁなぁ、帰ったら俺ともデュエルしようぜ!」

……はい?

 

「ちょっと待て、十代。流石に俺も疲れてるんだが……?」

「えー! お前のデュエル観て、俺もう待ちきれないんだよ!」

 

こ、こいつは……

 

『クリクリー……』

『十代殿……』

『あはは……平常運転だね……』

 

ハネクリボーとアーメス、そしてヤツフサも呆れ気味だ。

 

『十代がやりたいと言ってるんだ。相手をしなよ、勇騎』

 

よし、ユベルには後でキツい仕置きをくれてやろう。

 

「はぁ、わかったわかった。これは他のクランにも手伝ってもらうことになりそうだ……」

 

俺は十代からの言葉に嘆息した。そして入試での心地よい疲れを味わいながら、俺と十代は帰路についた。

 

 

 

 

ほう……あの【E・HERO】使いともう一人はどうやら中々やるようだな。

是非ともデュエルしてみたいが、名前を聞いていなかったな……さて、どうするか……

 

「彼も中々やるみたいだな。クロノス先生すら知らないカードの使い手とは……」

「さっきの【E・HERO】使いの人もカッコよかったっすよね?」

 

……ん? どうやらさっきの2人について話しているようだな。

彼らなら名前を知っていそうだし、ちょっと聞いてみるとするか。

 

「すまない、少し良いか?」

「ん? 君は……」

「自己紹介がまだだったな。

俺の名前は毛利雨竜(もうりうりゅう)だ」

「毛利君だな。そういえば君も見たことが無いカードを使っていたな」

「あぁ、俺の家に伝わるカード達でな」

「そうなんっすね」

「君とも是非デュエルしてみたいものだ。

ところで何の用だったんだい?」

「先程の【E・HERO】使いともう一人の名前を知っていないかと思ってな」

「なるほどね。【E・HERO】使いの彼は遊城十代、もう一人は本導勇騎だ」

「すまない、助かった」

「構わないよ。それでは次はアカデミアで会おう!」

「それじゃあっす」

 

そう言って、彼らは会場を後にした。

遊城十代と本導勇騎……か。ふふ、早くデュエルしてみたいものだ。

それに応えるように、デッキの中の仲間達がカタリ、と音を立てた。




政実「はい、第1話いかがだったでしょうか?」
勇騎「さて、こっちは反省会しようか?」
政実「はい……」
勇騎「まずデュエルの内容だけど、ああなった理由は前書きで分かったけど、だいぶプレイングが酷い気がする」
政実「うん……反省してる。これから学んで改善していくつもり」
勇騎「じゃあ次だな。だいぶ俺の現在の状況についての紹介が雑なんだけど?」
政実「それはわざと。次回に色々書いてくつもりだったから」
勇騎「了解した。まだ言いたいことはあるけど、今回はここまでにしとくか」
政実「そうしてもらえると助かるかな」
勇騎「それじゃあそろそろ締めるか」
政実「そうだね。それでは」
政実・勇騎「また、次回」


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第2話 過去との決別! 先導者達の新たな旅立ち

勇騎「どうも本導勇騎です」
政実「どうも片倉政実です」
勇騎「さて、今回は俺や十代の事について触れる回なわけだけど……」
政実「うん……色々と考えた結果、今回みたいな展開になっちゃったんだよね……」
勇騎「……まあ、色々言いたいことはあるけど、それに関しては後書きで話すことにして……とりあえず、今回の注意点に行くぞ」
政実「うん。今回はデュエル無しの日常回です。デュエルをしている描写はありますが、デュエル自体は今回はありませんので、御了承下さい」
勇騎「そして、作中に法的な事柄に関する記述がありますが、作者はそういった事については勉強不足ですので、間違っている部分等があると思いますが、この作品内ではそれで通るということにして頂けると、ありがたいです」
政実「時間軸に関しては、勇騎達の中学卒業後にデュエルアカデミアの入試があったという想定になっています。そして最後に一部キャラの死亡描写、そして不快に思われるような描写が今回は含まれています、苦手な方は予め御了承下さい。
えっと、今回はこのくらいかな」
勇騎「了解。それじゃあ始めていくか」
政実・勇騎「それでは、第2話をどうぞ」


「フレイム・ウイングマンでダイレクトアタック!」

「くっ、流石に負けたか……」

 

十代とのデュエルを終え、俺はカードをデッキへと戻していく。

 

「へへっ、また俺の勝ちだな!」

 

十代もカードをデッキに戻しながら、誇らしそうにそう言う。

 

「全く……帰ってきてからずっとデュエルしてないか?」

「だってさ! あの試験デュエル観てたら、もうデュエルしたくてしたくてしょうがなくなったんだよ!」

「会場でも言ってたな、そんなこと」

「だからさ、もう一回やろうぜ!」

「流石に無理、そろそろ光も帰ってくる時間だしな」

 

時間を確認してみると、既に午後6時を回っていた。もうこんな時間か、そろそろ夕飯の準備をしないとな。

そんなことを思っていると、

 

「ただいまー」

 

玄関の方から声が聞こえた。どうやら光が帰ってきたらしい。

 

「ほら、十代。一回デュエルは止めて、夕飯の支度するぞ」

「ちぇっ、分かったよ……」

 

十代がデッキを片付けたのを確認し、俺達はリビングへと向かった。

 

 

 

 

リビングに着くと、ソファーに光が座り、テレビを観ていた。

 

「おかえり、光」

「あ、ただいま。お兄ちゃんに勇騎君、試験どうだったの?」

「当然、バッチリ勝ったぜ! な、勇騎」

「俺は少し危なかったけどな」

「そっか、それなら安心だね」

 

光は本当に安心したように笑いながら、俺達に明るく言う。

 

「光の方はどうだ? 最近デュエルを申し込まれることが多いって言ってたけど」

「バッチリ勝ってるよ、勇騎君から貰ったデッキ達とお兄ちゃん達と一緒の【E・HERO】のデッキのお陰で」

「それなら良かった。な、十代」

「だな。それにしてもデュエルをよく申し込まれるって、すごく羨ましいな」

「お前もよく申し込まれてた方だろ。それも全部倒してたし」

「それは勇騎も同じだろ?」

「あ、確かにそうだったな……」

 

そんな風に俺達が学校の事について話していると、

ジリリリ……ジリリリ……

リビングの電話が鳴り出した。俺は受話器を取り、電話に出た。

 

「もしもし……」

『あ、勇騎君。今日はお疲れ様、試験デュエルは勝てた?』

 

電話の相手は十代達のお母さんだった

 

「はい、俺も十代もバッチリ勝ちました」

『そう、なら良かったわ』

「ところで何かあったんですか?」

『実はね、今日は私もお父さんもちょっと仕事が長引きそうなの。それで三人でご飯済ませちゃって良いってことを伝えようと思ってね』

「分かりました、十代達にもそう伝えますね」

『助かるわ。それじゃあ切るわね』

 

その言葉を最後に十代達のお母さんは電話を切った。

 

「電話、誰からだった?」

 

電話が終わったのと同時に十代が聞いてくる。

 

「おばさんからだったよ。

二人とも仕事が長引きそうだから、先に食べてて良いってさ」

 

十代のお母さんからの伝言を伝えると、光は少し残念そうな顔になった。

 

「最近多いよね、こういうこと……でも仕方無いよね、私達のために頑張ってくれてるんだもん。協力出来るところは協力しないとね」

「だな。ところで勇騎、今日は何にするんだ?」

「んーと、そうだな……昨日のカレーが残ってるから、それでも良いか?」

「私は良いよ。お兄ちゃんは?」

「俺もそれで良いぜ?

んで、飯の後はデュエルしようぜ! もちろん、光もな!」

 

十代……まだやるのかよ……

 

「あはは……お兄ちゃんは今日も平常運転だね」

 

光が苦笑しながら十代にそう言う。

流石に光でもそうなるよな……

俺は少しだけタメ息をつきながらも、夕飯の準備を進めた。

 

 

 

 

「いただきます」

「いっただきまーす!」

「いただきます」

 

挨拶を済ませ、俺達は夕飯を食べ始めた。うむうむ、やっぱりカレーは一晩寝かせるに限るな。

 

「そういえばお兄ちゃん達は結果が来るまではどうするの?」

「俺は大会とかで力試しだな!」

「俺もそれに付き合おうかな。

……あ、でも明日は用事があるな」

「明日は……そっか、あの日だったね」

「ああ、だから少しだけ出掛けてくるな、十代」

「おう! 帰ってくるまでデッキの調整とかしてるぜ!」

 

十代はとびっきりの笑顔でそう言った。

 

「はぁ……この調子だと、明日もデュエル三昧コースだな」

「あはは……勇騎君も大変だね」

 

平常運転な十代に少し呆れながらも、俺は十代達と今日の事について話しながら、夕飯を食べた。

 

 

 

 

「さて、明日は何時くらいに行こうかな……」

 

夕飯を食べ終え、後片付けをした後、俺は部屋で明日の事を考えていた。

その中で、ふとあることを思い出した。

 

「思えば遊城家に世話になってもう長いよな……

あれから、10年だしな……」

 

俺は良い機会だと思い、10年前の事を思い出してみることにした。

 

 

 

 

――現在から10年前、俺は今と同じように十代達と一緒にデュエルをしたり、他の遊びをしたりと、仲良く遊んでいた。そんな中、ちょうど休みだったため俺達の様子を見ていた、十代達のお母さんの携帯に一通の電話が入った。その内容とは……俺の両親が交通事故に遭い、病院に運ばれたというものだった。俺は十代達のお母さんに車を出してもらい、急いで病院へと向かったが、病院に着いた時には既に母さん達は息を引き取っていた。

 

それから葬儀まで目まぐるしい日々が続いたが、正直それは辛くなかった。辛かったのは両親が死んでしまったこと、そして両親が死んでしまったことに対して、全く関心を向けない親戚達を見ることだった。親戚達はそれどころか俺の事すら邪魔者扱いをし、お互いの家に押し付けあっていた。

 

そんな中、遊城家の人達だけは常に優しかった。母親同士が幼馴染みだったのもあったのかもしれないが、それだけでも俺にはとても嬉しいものだった。

ある日、俺は十代達のお母さんからある提案をされた。それは俺が遊城家に居候するというものだった。方法は俺が親戚の内の一つの養子になった後に、頃合いを見て遊城家に荷物などを運び込み、そのまま居候するというものだった。そしてその案には遊城家全員が賛成しているとのことだった。俺はその案にすぐに乗ろうとしたが、それには様々な手順を踏む必要があったため、それからかなりの時間が経過した。

 

養子縁組が成立するまで、親戚達が俺の様子を見に来たが、親戚達が話すことは全て俺自体を邪魔者扱いするものだった。そしてそれは養子縁組が成立してからも一切変わることは無かった。

 

そして居候当日、俺は養家から荷物を運び出していた。その際に養親に対してお世話になった旨を伝えた時、養親達は清々したというような顔をしていた。俺はそれを見た時に、俺が自立出来るようになったら即離縁をしようと思った。

 

 

 

 

(……自分の事ながら、暗い内容ばっかりだな……)

ここまで思いだした時、俺は少しだけ暗い気分になっていた。その時、後ろから声がした。

 

「どうした? 怖い顔してるぞ、勇騎」

 

その声に振り返ると、十代が頭を拭きながら不思議そうな顔で俺を見ていた。

 

「ちょっと昔の事を思い出しててさ……」

「……ああ、なるほどな」

「あれからもう10年も経ったんだよな……」

 

この10年間、俺は遊城家の人達のお陰で、楽しい毎日を過ごしてきた。それでもやっぱり心のどこかで母さん達が今も生きていたらと考えてしまう。

……考えても、仕方無いのにな……

 

「なあ、勇騎」

 

突然、十代が声を掛けてきた。

 

「ん、どうした?」

「今の勇騎はどうしたいんだ?」

 

十代はいつになく真剣な顔で訊いてきた。

 

「今の、俺……?」

「そう、今この時を生きているお前自身は、これからをどんな風に生きたいんだ?」

 

これからをどんな風に生きたいか……そんなの昔から決まっている。

 

「死んだ父さんと母さんに死んだ後も心配されないような人生にしたい。これからも色々なことがあるかもしれないけど、それすらも自分の力で乗り越えて行けるようにしたい」

 

そうじゃないと転生させてくれたファルにも申し訳無いしな。

 

「そっか。勇騎、その時は俺達も力になるぜ。大切な幼馴染みだからな!」

「十代……ありがとうな」

 

十代は本当に頼りになるな。これまでもなんだかんだで十代の世話になってきたし、十代が幼なじみで親友で本当に良かった。

そして、これで……やっと明日を本当の意味で迎えられる。

 

「よし、少しでも励ましてもらった礼だ。俺が風呂から上がったら、約束通りデュエルしようぜ。アーメス達だけじゃなく、あのデッキも使ってな」

「オッケー! 今度は俺が勝ち越してみせるぜ!」

 

十代は早速デュエルの準備を笑顔で始めた。

俺が言い出したこととはいえ、全くこいつは……

心の中で思いながらも、俺は少しだけ十代とのデュエルが楽しみになっていた。

その後、十代が居眠りを始めるまで、俺と十代のデュエルは続いたのだった。

 

 

 

 

「父さん、母さん。墓参りに来たよ」

 

翌日の昼頃、俺は父さんと母さんの墓の前にいた。墓はそれなりに掃除をされているようだった、たぶん親戚の誰かがやってくれたのだろう。

(まあ、あまり良い顔をせずにやってたんだろうけど)

そんな事を思い、少し苦笑いを浮かべながら墓の掃除をした後、俺が墓に向けて手を合わせた。

(父さん、母さん。俺は結城家で楽しくやれてる。

だから、心配はいらないよ)

心の中で両親に語りかけていると、後ろから聞き馴染んだ声が一つ聞こえた。

そして振り返ってみると、そこにいたのは俺にとって馴染み深い存在だった。

 

「勇騎、久しぶりだね」

「ファル、やっぱり来てくれたか」

 

俺が微笑みながら言うと、ファルは少し哀しそうな顔で答えた。

 

「うん、僕も勇騎の御両親にはお世話になったから」

「そうだったな……」

 

ファルは俺が転生した後も、たまに俺の様子を見に来てくれていた。そのままの姿では無く、その時の俺と同い年の少年に姿を変えて。

その頃の俺は十代達と一緒に遊んでいたため、自然とファルもその中に混ざり、次第に十代達とファルも友達になっていた。

 

「あの事故は……今思い出しても悔やまれるよ……」

「ファル、“あの時”も言ったけど、あれはお前のせいじゃないよ」

 

 

 

 

あの時……それは俺が遊城家に居候し始めてから、一年が経った頃だった。

その時俺は、十代達と一緒にデュエルをしていた。そしてデュエルの決着が着いた時にいつの間にかいたファルが声を掛けてきた。

 

『勇騎、ちょっとだけ良いかな?』

『ん、ファルじゃないか、どうしたんだ?』

『ちょっと、ね』

『……? とりあえず分かった。

十代、光、少しだけ行ってくるな』

 

十代達に声を掛けた後、俺とファルは少し離れたところまで歩いていった。

 

『……この辺なら良いかな』

『それでどうしたんだ? アーメス達はもちろん、“あのクラン”も特に問題は無いけど……』

『彼らに関したことじゃなくてね。

実は……勇騎の御両親についてなんだ』

 

その言葉を口にした途端、ファルの顔はとても暗くなった。

 

『父さん達の事……?』

『うん……あの事故は僕の責任みたいなものだから……』

『ファル……それは違うぞ、父さん達は交通事故に遭ったわけだから、お前のせいなんかじゃない』

『ううん、あの事故が起きそうなのは分かっていたんだ。

でもそれをどうにかしようとした時には、既に……事故が起きてしまっていた。

だから僕の管理不足みたいなものなんだよ……』

『ファル……』

 

俺達が話していた時、後ろから声が聞こえた。

 

『ファル……それってどういうことなんだ?』

 

声の方を見てみると、そこには十代と光が立っていた。

 

『十代、光……俺達の話を聞いてたのか?』

『あ、ああ……二人の様子がちょっと気になってな。

それよりも管理不足ってどういうことなんだ?

勇騎とファルは何者なんだ?』

 

俺とファルは顔を見合わせた。

はたして十代達に俺達の正体について話しても良いのだろうか。だが、ここまで聞いてしまったからには、誤魔化すのは無理があるだろう。

俺達はお互いに頷くと、十代達に俺達の正体について話した。

 

『勇騎が転生者で……ファルが神様……』

『本当の事なんだよね……?』

『ああ、本当だ』

 

俺達の話を聞いた十代達は、お互いに顔を見合わせると、黙り混んでしまった。

それはそうだろう、幼馴染みが一度死んでいるやつで、その上もう一人の友達が神様だったなんて事を、この歳で受け止めろと言う方が酷だ。

……こうなってしまっては、俺は十代達と一緒にはいられないな。

 

『なあ、十代……』

 

俺が十代に対してそう言おうとした時だった。

 

『勇騎、たとえお前が転生者ってやつだったとしても、俺は怖いとは思わないぜ』

『私も勇騎君の事を怖いなんて思わないよ』

 

二人は顔をしっかりと上げ、いつも通りの笑顔で言った。

俺はその言葉に驚きながらも、十代達にその事について聞いてみた。

 

『十代、光……そうは言うけど、俺は一度死んでいるやつだぞ?

……それなのに俺が怖くないのか……?』

『確かにそうかもしれないけど、だって勇騎は勇騎だろ?』

『十代……』

『それなら俺も光もお前の事を怖がる必要は無いよな。勇騎は俺達の知っている勇騎なんだし』

 

その言葉を聞いて、安心感からか俺の目から涙がこぼれた。

本来なら怖がられ、拒絶されてもおかしくない筈なのに、十代達は受け止めてくれた。その事が俺の中にあった恐怖を消し去り、安心感を与えてくれた。

 

『十代……光……本当にありがとう……』

 

その時の俺にはそれしか言うことが出来なかった。

いや、その言葉以外の言葉を考えられなかった。十代達が受け入れてくれた事、その事が何よりも嬉しく、その事が俺の心の殆どを占めていたから。

 

『どういたしまして。それとファル、お前の事も俺達は怖くないぜ?』

『どうして……?』

『お前だって俺達の友達だからだよ』

『僕が……友達……』

 

その言葉を聞き、ファルの目からも涙がこぼれた。

やっぱり神様といえども辛いことは辛いのだろう。

(神様も根本は俺達と同じなんだろうな……)

 

『勇騎、ファル』

 

そして十代が俺達の方を見ながら、優しく語りかける。

 

『もしお前達の事を知って、みんなが怖がったりしても、俺達は絶対に怖がったりしないぜ。

だってさ……』

 

十代は一度溜めてから、満面の笑みを浮かべながら言った。

 

『お前達は俺達の大切な友達で、幼馴染みだからな!』

 

 

 

俺はここまで思いだし、懐かしい気持ちになった。

この言葉は今思い出しても、少し泣けてくる。やっぱりそれだけ俺達の心に響いたからだろう。

 

「なあ、ファル。あの時の事を覚えてるか?」

 

顔を伏せてしまったファルに対して、聞いてみた。

するとファルは、少し不思議そうな表情を浮かべながら返事をしてくれた。

 

「当然覚えてるよ。それだけ僕にとっても大事な思い出だから」

「俺にとってもそうだよ。あの時の十代達が受け入れてくれたから、今の俺がいるわけだからな」

「うん、そうだけど……それが一体どうしたの?」

 

俺が何を言いたいのか分からない様子のファルに、俺は昨日の夜に十代から問い掛けられた事を投げかけた。

 

「なあ、ファル。今のお前はどうしたいんだ?」

「今の僕がどうしたいか……」

「ああ。昔の事を引きずったままこれからも生きるのか、それともそれを乗り越えて行くのか、どっちだ?」

「僕は……」

 

ファルは少し考え込んだ後、俺の顔を見ながら小さな声で言った。

 

「……正直、今でもあの時の事を悔やんでるよ……」

「……ファル」

「でもそれだけじゃダメだよね。あの時の失敗を……後悔をこれからに活かしていかないと、僕はあの頃から先には進めないから。

だから……」

 

ファルは一度溜めてから、決心した様子で微笑みながら言った。

 

「僕はもうあの時の事について、いつまでも囚われないことにするよ。それが今の僕が出来る事の一つだから」

 

そのファルの顔はとても明るく、さっきまでの迷いなどは一つもないような様子だった。

(うん、これなら大丈夫だな)

 

「そうだな。

俺達は……今俺達が出来ることをやるしかないからな」

「うん、そうだね。

……ありがとう、勇騎」

「別に良いさ、だってお前は……」

 

俺は一度溜めてから、あの時の十代と同じような満面の笑みを浮かべながら言った。

 

「俺達の友達、だからな」

 

そう言った後、俺達は笑いあった。

その時の俺達の顔は太陽の光のように、とても輝いていた。

 

 

 

 

墓参りの後、俺達は一緒に遊城家に帰ってきた。

 

「十代、ただいま」

「おじゃましまーす」

「ん? おお、おかえり勇騎。

……おっ、それにファルじゃないか、久しぶりだな!」

 

俺達の声を聞いて、部屋から出てきた十代が明るく言うと、ファルはニコッと笑いながらそれに答えた。

 

「うん、久しぶり」

「正月に会って以来だな。

それにしてもどうしたんだ?」

「実はファルも墓参りに来てくれててさ。それで久しぶりついでにちょっと話そうと思ってたんだよ」

「おお、そうか!

なあ、ファル。久しぶりついでにデュエルしようぜ!」

 

本日も十代は平常運転みたいだな……全く。

 

「あはは……相変わらずだね。でも良いよ、僕も久しぶりにやりたいと思ってたから」

「よっし、じゃあ早速やろうぜ!」

 

そう言うと十代は部屋へと戻っていった。

やれやれ……少しだけ相手をするか。昨日今日と今回は十代にかなり助けられたしな。

俺とファルはお互いに頷いた後、十代の後に続いて部屋へと入っていった。

その後ファルが俺達の出発日まで泊まることになっていたりしたが、まあ良いことにしよう。

……うん、大丈夫……だよな?




政実「第2話、いかがでしたでしょうか」
勇騎「今回は本当にどうしてこんな風になったんだ?」
政実「それは……まず、オリ主と原作主人公が一緒に暮らしてたら、どうなるかなと思って……そしてそれをベースに考えていったら、いつの間にかこんなことに……」
勇騎「……なるほどな。まあ、今更言ってもしょうがないし。
今回についてはここまでにして、次に次回について話していくか」
政実「あ、うん……
次回から新章のデュエルアカデミア・1年生編に入ります」
勇騎「この章にはあの謎の受験生も出てくるんだよな」
政実「うん、どんなキャラでどんなデッキを使うかも大体は出来てるよ。といっても勇騎達ともまた違うコンセプトのデッキにはなってるんだけどね」
勇騎「了解。
さて……それじゃあ、そろそろ締めてくか」
政実「うん」
政実・勇騎「それでは、また次回」


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第二章 デュエルアカデミア・1年生編
第3話 デュエルアカデミア入学! 青の洗礼と暴龍の咆哮


政実「どうも、片倉政実です」
勇騎「どうも、本導勇騎です。今回も長いな、特にデュエルに入るまでが」
政実「船での会話から万丈目達とのやり取りまで全部やろうとしたからね」
勇騎「正直むちゃくちゃだと思うけどな。さて、今回はあのクランのデッキだな」
政実「うん、効果とか考えるのには苦労したよ……」
勇騎「まあその辺は後で話すとして、そろそろ始めていこうぜ」
政実「だね」
政実・勇騎「それでは、第3話をどうぞ」


「おおーー!! 勇騎、見てみろよ! 海だぜ、海!」

「分かったから、少し落ち着け。今そんなにスタミナ使うと、後からバテるぞ」

 

隣ではしゃいでいる十代に対して、俺は少し呆れ気味に言う。

全く……元気過ぎるのはやっぱり考えものだな。

まあ、でも……この潮の香りを感じながらっていうのは、悪くはないよな……

十代の様子に少しだけ苦笑いを浮かべながら、船が進む毎に感じる潮の香りを楽しんでいたその時、俺達の近くから声がした。

 

「あっ、君達はもしかして……」

 

その声に振り向くと、そこには眼鏡の少年がいた。

……というか、こいつは確か……丸藤翔だったよな。デュエルアカデミアのカイザー、丸藤亮の弟の。

俺がそんな事を考えていると、翔は顔をぱあっと輝かせながら俺達に近付いて来た。

 

「やっぱりそうだ! 試験デュエルでクロノス先生を倒してた、遊城十代君と本導勇騎君だ!」

 

翔は少し……いや、だいぶキラキラした目で俺達にそう言う。

 

「……ん? おう、そうだぜ!

それで、えっと……お前は……?」

 

翔の声に気づいた十代が、少し誇らしそうに言った後、翔に名前を聞くと、翔はニコッと笑いながらそれに答えた。

 

「僕は丸藤翔。君達と同じくデュエルアカデミアの新入生だよ」

「おお、そうなのか!

なあ、到着したらデュエルしようぜ!」

「十代、到着したらすぐに入学式があるから、デュエルやるならその後にしとけよ」

「入学式か……ちぇっ、それなら仕方無いか。

それじゃ、その後にデュエルしようぜ!」

「うん!

……あっ、そうだ。お願いがあるんだけど良いかな?」

「ん? 何だ?」

「十代君のことをアニキって呼ばせてもらっても良いかな?」

「ん? 何でだ?」

「僕、試験デュエルの時に十代君のデュエルを見て、とてもカッコいいと思ったんだ! だからお願い! アニキって呼ばせてもらえないかな?」

「おう、良いぜ!」

「ありがとう、アニキ!」

 

そう言った後、二人は笑いあった。

(はい、無事にアニキ呼びイベント回収っと)

俺はそんな事を考えながら二人の様子を見た後、船の行先に顔を向けた。

すると目的地のデュエルアカデミアがすぐそこに見えていた。

(そろそろか……)

 

「二人ともそろそろ着くみたいだから、降りる準備をしとけよ」

「「はーい」」

 

それから数分後に船は到着し、俺達はそのまま入学式の会場へと向かった。

 

 

 

 

「……それでは皆さんの生活が、とても実りある学園生活になることを祈っています。これで私の話を終わりとします」

 

そう言って鮫島校長は話を終えた。

“校長先生の話は長い”、学校のあるあるだな。

さてと、そろそろ起こすか……

 

「はぁ……十代。校長先生の話が終わったぞ。そろそろ起きろ」

「……ん、やっと終わったか」

「ああ、終わったよ。

……全く先生達に気付かれなかったのは幸運だったな」

 

十代の運の良さに少しだけ感心しつつ、俺達が話していると、クロノス先生が立ち入り禁止区域等について話を始めた。

一応聞こえていたけど、後で確認しとこ。たぶん校則とかに書いてるだろうし。

 

「これにて入学式を閉式します。新入生の皆さんは自分の所属する寮へと向かってください」

 

そして先生からの指示に従い、次々と他の入学生達が会場から出ていく。

 

「さて……十代、翔。俺達も行くか」

「そうっすね」

「だな!

よぉーし……! 寮に着いたら、早速デュエルだ!」

 

その前に荷物の整理があるだろうに、全くこいつは……

キラキラした顔をしている十代の横で、翔は苦笑している。

まあ、それが普通の反応だよな。

 

「そうと決まれば、さっさと行こうぜ!」

 

そう言うと十代は、走って会場から出ていく。

 

「まあ……いつも通りだな。それじゃ、俺らも行こうぜ、翔」

「うん!」

 

俺達も十代の後を追うように、会場を後にした。

 

 

 

 

「十代はどこかなっと……おっ、いたいた」

「あれ? 他に誰かいるっすよ?」

 

翔の言う通り、十代は誰かと話していた。俺達が十代達に近づいて行くと、

 

「おっ! やっと来たか、二人とも。遅かったな」

 

俺達に気づいた十代が、他の二人を連れて、逆にこっちへと近付いて来る。

 

「お前が走っていくからだろ、全く……」

「悪い悪い、次から気を付けるよ」

 

十代は笑いながらそう謝った。まあ、いつものことだから良いとするか。

俺がそんなことを考えていると、

 

「ん? 君は……本導勇騎君じゃないか?」

 

オールバックの方がそう聞いてきた。この時にいるってことは三沢だな。

 

「そうだけど、何で俺の名前を?」

「試験デュエルでクロノス先生を倒してたのは、君とこの十代だけだからね。

おっと、自己紹介がまだだったね。俺の名前は三沢大地、よろしくな」

「ああ、よろしく。三沢はどこの所属なんだ?」

 

ところでこのデュエルアカデミアには三つの階級があり、下から『オシリスレッド』、『ラーイエロー』、『オベリスクブルー』となっている。

因みに俺と十代と翔はオシリスレッドの所属だ。

 

「俺はラーイエローさ。

……といっても、君達のことを下に見る気は一切無い。同じ学生同士、切磋琢磨していこう」

「ああ、もちろん」

 

俺達はそう言いながら、握手を交わした。

原作だと空気とか言われてたみたいだけど、基本的には良いやつみたいだな。

俺がそんな事を考えていると、もう一人の方が話しかけてきた。

 

「次は俺だな。俺の名前は毛利雨竜、お前達と同じオシリスレッドだ」

「ああ、よろしく」

 

毛利雨竜か……苗字といい名前といい、何か古風な感じだな。

雨竜と握手を交わしながらそんな事を考えていると、雨竜が微笑みながら話し掛けてきた。

 

「その顔を見るに、恐らく古風な名前だと思っただろうな」

「え? ああ、まあな」

「俺の家は昔から続いている家でな。昔から俺の家では男子が産まれると、古風な名前を付ける慣わしがあるらしくてな。それで俺もこのような名前というわけだ」

「へぇ……なるほどな」

 

そういうことを聞いてから、雨竜を改めて見てみると、確かに和服とかが似合いそうな気がする。毛利という名字のイメージも手伝ってな。

 

「さて、話はここまでにしようか。勇騎達もまだ寮に行ってないだろ?」

 

三沢の声を聞き、俺は今何をすべきかを思い出した。

すっかり忘れてたな。三沢が言ってくれなかったら、まだ話し続けるところだった。

 

「君達のオシリスレッド寮はもう少し先だ。さてと、俺はもう行くよ」

「ああ、ありがとうな」

「別に良いさ、それじゃあ」

 

そう言って三沢はラーイエロー寮の方へと歩いていった。

 

「よし、俺達も行くか」

「だな!

あっ、そうだ。雨竜、寮に着いたらお前もデュエルしようぜ!」

「そうだな……俺もお前達の実力を直に見たいしな。良いだろう」

「よっしゃあ! 楽しみがまた増えたぜ!」

 

十代はとても嬉しそうな顔で喜びの声を上げる。

まあ、嬉しそうなのは良いとして、とりあえず寮に着かないとな。

 

「十代、楽しみなのは分かるけど、まずは寮に着かないとデュエルも何も出来ないからな」

「分かってるよ!

だから早く行こうぜ、俺もう待ちきれないぜ!」

「了解した。それじゃ、皆行こうか」

「「おー!」」

「承知した」

 

こうして俺達は再びオシリスレッド寮へ向けて歩き出した。

 

 

 

 

「これがオシリスレッド寮か……下調べ通りの見た目だな」

 

歩き出してから数分後、俺達はオシリスレッド寮の前に立っていた。

オシリスレッド寮は良い言い方をすれば、オーシャンビューだが、正確には崖の上に立っていると言うのが正しいかもしれない。

 

「……話には聞いていたが、これ程とはな」

「これが僕達の寮なんすね……」

「ここで俺達は生活するんだな!」

 

十代達から三者三様の感想が聞こえる。まあ、俺も下調べした時にはこんな感じかって思ったけどな。

 

「とりあえず各々の部屋に行こう。このまま立っててもしょうがないし」

「だな。

えっと……おっ、俺は勇騎と同じだな!」

「それで僕が……」

「俺と同じ、だな。よろしくな、翔」

「うん、こちらこそ!」

「よし、それじゃまずは荷物整理をして、それが終わったら寮の前に集合で」

「「了解!」」

「了解した」

 

声を揃えて皆が返事をした時、後ろから妙な声が聞こえた。

 

「おやおや、中々元気の良い新入生ですニャ~?」

 

そちらを見てみると、そこには大きな猫を抱いた眼鏡の男性が立っていた。

確かこの人は……オシリスレッド寮の寮長の大徳寺先生だったな。

 

「私の名前は大徳寺と言いますニャ。そしてこの子はファラオですニャ」

 

大徳寺先生は俺達の方へ歩いてきながら、自己紹介をしてくれた。

っと、俺達も自己紹介をしなくちゃな。

 

「俺は本導勇騎と言います。これからよろしくお願いします」

 

俺の自己紹介に続けて、十代達も自己紹介をする。

 

「うんうん、よろしくニャ。何かあったら私に言ってほしいニャ。出来る限りのことはしてあげられるかもしれないからニャ」

「ありがとうございます、大徳寺先生」

「別に構いませんニャ。さて、私は少し学校の方に行ってきますニャ。それではまた後でニャ~」

 

そう言って、大徳寺先生は校舎の方へと歩いていった。

(……何というか、変わった先生だな。

まあ、それはさておき、そろそろ荷物の整理をしないとな)

 

「さて、俺達も行動開始しよう。さっきも言ったけど、荷物の整理が終わったら、寮の前に集合な」

「「了解」!」っす」

 

こうして俺達は各々の部屋へと入っていった。

 

 

 

 

「中は思ったより広いな」

 

部屋の中を見てみると、壁際に机、その向かいに三段ベッドがあった。そして俺達の荷物は三段ベッドの下に置かれていた。

 

「まずはデッキを机に全部出しとくか。そしてこれはこっちで……」

「なあ、これはどうする?」

「そうだな……それはあっちにするか」

 

そんな風に荷物の整理を始めてから数十分後、ようやく整理が終了した。

(ふぅ……こんなもんかな)

 

「こんなもんで良いかな」

『お疲れ様です、先導者(マイ・ヴァンガード)

 

自分の机の椅子に座っていると、荷物の配置について知恵を貸してくれたカードの精霊、『ブラスター・ブレード』のアーメスが労ってくれた。

 

「うん、アーメスもお疲れさま 。さて、十代の方はどうだ?」

「俺も終わったぜ!」

「了解。

それじゃお待ちかねのデュエルタイムと行きますかね」

 

俺がゆっくりと椅子から立ち上がろうとした時だった。

 

「勇騎」

 

十代が微笑みながら俺に声をかけてきた。

 

「ん? どうした?」

「へへっ、これからもよろしくな」

「……ああ、こちらこそよろしくな。十代」

「おう!」

 

そして俺達は笑いあった後、デッキを持って外に向かった。

 

 

 

 

「翔達は……まだみたいだな」

「みたいだな」

 

翔達はどうやらまだ荷物の整理をしているらしく、外にはまだ出てきていなかった。

 

「まあ、とりあえず待つとするか」

「だな。

……ん?」

「どうした? デュエルの臭いでもしたか?」

「その通りだぜ、勇騎。方向は……あっちだ!」

 

そして十代が指差したのは校舎の方だった。

 

「本当にしてたのか、デュエルの臭い……」

 

十代の持つ特殊能力に俺は苦笑いを浮かべた。

何だか原作よりもデュエルの臭いに敏感な気がするけど、これも転生者の介入の影響なのか?

……そういえばこの後って確かあのイベントだな。

 

「なあなあ! 行ってみようぜ!」

「まずは少し落ち着け、十代。それにデュエルはどうするんだ?」

「あ、それもそうだな……

んーと……じゃあ、行ってみて戻ってきてからデュエルでどうだ?」

「行ってみて戻ってきてから、ねぇ」

 

確かに向こうにはデュエルフィールドがあるけどな……まあ、良いか。

 

「分かった、だけどまずは翔達が来てからな」

「ありがとうな、勇騎!」

「どういたしまして」

 

それからすぐに翔達が部屋から出てきたので、事情を説明して俺達は校舎の方へと歩き出した。

 

 

 

 

「うおーー!! でっかいデュエルフィールドだな!」

「確かにかなりの大きさだな」

 

校舎の探検をしていた俺達の目の前に現れたのは、とても大きなデュエルフィールドだった。

 

「ふむ、設備も最新のものみたいだな」

「これでデュエルしたら凄そうっすね……」

「良いな、それ!今からこれ使ってデュエルしようぜ!」

「十代、流石に勝手に使うのはダメだろ」

 

そう俺達が話していると、

 

「ここで何をしている! ここはオベリスクブルーの生徒のみが使うことを許された場所だ!」

「その通り、お前らオシリスレッドが来て良い場所じゃないぞ!」

 

そう言いながら、オベリスクブルーの制服を来た三人組が歩いてくる。

 

「使うことを許された、って誰がそんなことを?」

「はっ、そんなことはどうでも良いだろう! オシリスレッドはさっさと消えろ!」

 

オベリスクブルーの生徒の一人がそう言った時、真ん中にいた生徒が前に出てくる。

見た目的にたぶん万丈目だな。

 

「静かにしろ、お前達」

「でも、万丈目さん……!」

「聞こえなかったか? 静かにしろと言ったんだ」

「はい……」

 

万丈目の言葉でオベリスクブルーの生徒が黙り混む。そしてその様子を見て、十代がひそひそ声で話し掛けてきた。

 

「勇騎、こいつが誰か知ってるか?」

「万丈目準、万丈目グループの末っ子だよ」

「へぇ……強いのか?」

「確かな、俺も詳しくは覚えてないし」

「そっか。なら確かめた方が早いよな!」

 

そう言うと十代は、万丈目の目の前に立った。

 

「なあ、俺とデュエルしようぜ!」

「お前は……試験デュエルでクロノス先生を倒した遊城十代か。そしてその後ろのは同じくクロノス先生を倒した本導勇騎だな」

「ああ! だから……」

「断る。俺が何故オシリスレッドなぞの相手をしなければいけない」

 

思った通り、万丈目は十代からの申し出を断った。

ふむ、ならこうしてみるかな。

俺はニヤッと笑った後、馬鹿にするような調子で声を掛けた。

 

「……怖いのか?」

「……何だと?」

「そりゃあ怖いよなぁ……試験デュエルでクロノス先生を倒した相手だからなぁ。

まあ、そんなやつにどう言われようと俺達は何とも思わないけど?」

 

(さーて、どう来るかな?)

俺が万丈目達の反応を待っていると、万丈目の取り巻き達が予想通り噛みついてくる。

 

「お前失礼だぞ! この人は未来のデュエルキングと呼び声高い、万丈目さんだぞ!」

「お前らオシリスレッドとはわけが違うんだよ!」

「それなら尚更だろ。未来のデュエルキング様がデュエル申し込まれて、それを断るのはおかしい話だからな」

 

取り巻き達の言うことを利用して更に煽ると、万丈目の顔が赤くなっていく。

 

「貴様ぁ! オシリスレッドの分際で俺を愚弄するのか!」

「愚弄も何もそのままだろ。それにここはデュエル・アカデミアだ。実力を示したいなら、デュエルで示せよ」

「良いだろう……お前達二人に俺の強さを叩き込んでやる!」

 

万丈目が静かな怒りを込めながらデッキを取り出した時、近くから凛とした声が聞こえた。

 

「貴方達、ここで何をしているの?」

 

声の先には長い金髪のオベリスクブルーの女子生徒ー天上院明日香がいた。

 

「天上院君か。俺達は今このドロップアウト達に身の程を教えてやろうとしていたんだ」

「そんなことはどうでも良いし、そろそろ歓迎会が始まるわよ。早く戻ったらどうかしら?」

 

万丈目の様子に目もくれず、天上院は淡々とした様子で答えた。

 

「ちっ! 行くぞ、お前達」

 

万丈目は忌々しそうに俺達を見た後に、取り巻き達と共に去っていった。そして万丈目達が去った後、天上院は俺達に話し掛けてきた。

 

「貴方達、彼らの挑発に乗らない方が良いわよ。

……あいつら、ろくでもない連中だから」

「いや、どちらかと言えば俺の方が挑発……というか煽ってたけどな」

「そう。まあそれは良いとして……オシリスレッドの歓迎会もそろそろ始まるから、貴方達も戻った方が良いわよ」

「わざわざありがとな、えっと……」

「私の名前は天上院明日香。明日香で良いわ」

「そうか、俺は本導勇騎だ」

「俺は遊城十代だ! よろしくな」

「僕は丸藤翔っす」

「俺は毛利雨竜、よろしくな」

「ええ、よろしく。それじゃ、私も行くわね」

「おう、またな」

 

明日香が去っていった後に、俺達もオシリスレッド寮へと戻った。

 

 

 

 

ピピピ……ピピピ……

歓迎会が済み、俺と十代が部屋でゆっくりしていた時、俺と十代のPDAが鳴り出した。確認してみると案の定、万丈目からの呼び出しだった。

 

「今晩0時にアンティルールでデュエルか」

「だいぶ勇騎に色々と言われて、怒ってたもんな」

「思ったことを言っただけだよ。さて、行かないわけにもいかないし、さっさと行って終わらせてくるかな」

「それなら早く行こうぜ! デュエルが出来るんだったら、何でも良いぜ!」

 

十代は平常運転なり、だな。さて、今回はこいつらに活躍してもらおうかな。

そして俺は『神聖騎士(ロイヤルパラディン)』の他にもう一つデッキを持ち、十代と共に部屋を出た。

 

 

 

 

「お前らにも来てたんだな」

「ああ、どうやら俺達も目を付けられたらしいな」

 

部屋を出たところで、翔と雨竜と会ったため、俺達は一緒にデュエルフィールドへと向かった。デュエルフィールドに着くと、既に万丈目達が待っていた。

 

「よく来たな、ドロップアウト共。逃げずに来たことは誉めてやる」

「誉めてもらわなくても結構。やるならさっさとやろうぜ?」

 

俺が万丈目にそう言った時、取り巻きの一人が前に出てきた。

 

「万丈目さん、ここは俺にやらせて下さい。万丈目さんの手を煩わせる必要は無いことを証明して見せます」

「……分かった。だが、オシリスレッド相手に負けるんじゃないぞ」

 

万丈目はもう一人の取り巻きと共にデュエルフィールドの下へと下りた。

 

「十代、翔、雨竜。先にやらせてもらっても良いか?」

「俺は構わない」

「僕もっす」

「良いけど、俺の時間も残してくれよ~……」

「サンキュ。それじゃ行ってくるよ」

 

俺がデュエルフィールドに上がると、取り巻きの一人は既に準備万端のようだった。

 

「お前達オシリスレッドごときが、俺達とデュエル出来ることを感謝するんだな」

「感謝とかどうでも良いから、さっさとやろうぜ?」

「貴様……! その態度を改めさせてやる!」

 

取り巻きの一人が怒りに震えながら、デュエルディスクを構えた。俺もデッキをディスクにセットし、ディスクを構えた。

さて……頼んだぞ、皆。

 

「「デュエル!!」」

 

 

本導勇騎 LP 4000

VS

取巻太陽 LP 4000

 

 

先攻は……あいつか。というかあいつの名前、取巻だったのか……

 

「俺のターン、ドロー!

俺は手札から【ゴブリン突撃部隊】を召喚!」

 

【ゴブリン突撃部隊】

効果モンスター

地属性/戦士族/☆4/ATK 2300/DEF 0

 

このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了後に守備表示になり、次の自分のエンドフェイズ終了時まで表示形式を変更できない。

 

「そして【ゴブリン突撃部隊】に装備魔法【デーモンの斧】を装備する!」

 

【デーモンの斧】

装備魔法

 

(1):装備モンスターの攻撃力は1000アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、

自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。

このカードをデッキの一番上に戻す。

 

【ゴブリン突撃部隊】

ATK 2300→3100

 

ゴブリン突撃部隊の全員が武器をデーモンの斧に持ち替え始める。

何というかピッタリだよな、この組み合わせ。

 

「先攻は攻撃出来ないから、俺は一枚カードを伏せて、ターンエンドだ。命拾いしたな、ドロップアウト」

 

取巻太陽 LP 4000

 

手札 ?

 

モンスターゾーン ・【ゴブリン突撃部隊】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン ・【デーモンの斧】 ・?

 

取巻がニヤニヤしながらそう言う。

伏せが気になるけど、【ゴブリン突撃部隊】くらいなら何とかなるな。

 

「俺のターン、ドロー」

 

手札

【帝国の竜兵士 コンロー】

【スタンピング・クラッシュ】

【帝国の魔竜導師 キンナラ】

【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】

【帝国の補給部隊】

 

ドローカード

【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】

 

あいつはまだ来ないか。ならまずは、

 

「俺は手札からフィールド魔法【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】を発動する」

 

竜の帝国(りゅうのていこく) ドラゴンエンパイア】

フィールド魔法(オリカ)

 

名前に【帝国】と付くモンスターは攻撃力と防御力を500ポイントアップする。

名前に【帝国】と付くモンスターが効果によって相手のカードを破壊した時、自分はデッキからカードを一枚引くことが出来る。

 

「試験デュエルの時と違うデッキだと!?」

「生憎俺の仲間は【神聖騎士(ロイヤルパラディン)】だけじゃないんでね。

そして手札から【帝国の魔竜導師 キンナラ】を召喚!」

 

帝国(ていこく)魔竜導師(まりゅうどうし) キンナラ】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/魔法使い族/☆4/ATK 1600/DEF 1400

 

このモンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、相手モンスターを一体破壊する。

 

「【帝国の魔竜導師 キンナラ】の効果発動。このモンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、相手モンスターを一体破壊する。俺は手札から【スタンピング・クラッシュ】を墓地に送り、【ゴブリン突撃部隊】を破壊する!」

 

キンナラが何事か呟くと、ゴブリン達が苦しみ始めた。そしてそのまま倒れていき、その姿は消えていった。

……何というか、見た目がものすごくエグいな、この効果。

 

「【帝国の魔竜導師 キンナラ】が自身の効果で相手のカードを破壊したことで、【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果を発動」

「何!?」

「名前に【帝国】と付くカードが相手のカードを破壊した時、俺はデッキからカードを一枚引くことが出来る」

「ドローソースを兼ねたフィールド魔法だと!? ふざけやがって!」

「ふざけてなんかねぇよ。そしてドロー!」

 

ドローカード

【仮面竜】

 

【仮面竜】……リクルーターか。引きとしては悪くないな。

 

「そして【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】により、【帝国の魔竜導師 キンナラ】は攻撃力と守備力がアップする」

 

【帝国の魔竜導師 キンナラ】ATK 1600→2100 DEF 1400→1900

 

「行くぞ、【帝国の魔竜導師 キンナラ】でダイレクトアタック!」

「ぐあっ!」

 

取巻太陽 LP 4000→1900

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

本導勇騎 LP 4000

 

手札

・【帝国の竜兵士 コンロー】

・【帝国の補給部隊】

・【仮面竜】

 

モンスターゾーン 【帝国の魔竜導師 キンナラ】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン 無し

 

フィールドゾーン 【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】

 

 

 

 

さて、こっからどう出るかな?

そんなことを考えていると、十代達の方から聞き覚えのある声が聞こえた。

 

「どうやら間に合ったみたいね」

 

声の方を見ると、明日香が十代達のそばに立っていた。

 

「デュエルを観に来たのか?」

「ええ。試験デュエルでクロノス先生を負かした貴方達の実力を見たくてね」

 

十代からの質問に答え、明日香は俺達の方へと再び顔を向ける。そしてそれと同時に俺も取巻の方へ向き直る。

まあ、ギャラリーが増えたところで、やることは変わらないけどな。

 

 

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

取巻が力強くドローする。

 

「俺は手札から通常魔法【戦士の生還】を発動!」

 

【戦士の生還】

通常魔法

 

自分の戦士族モンスターを一体を対象として発動出来る。

その戦士族を手札に加える。

 

「俺はこれにより【ゴブリン突撃部隊】を手札に加え、そのまま【ゴブリン突撃部隊】を召喚する!」

 

再びフィールド上に【ゴブリン突撃部隊】が現れる。これだけならまだ良いんだけど、そうはいかないだろうな。

 

「そして手札から 装備魔法【融合武器ムラサメブレード】を発動! 」

 

【融合武器ムラサメブレード】

装備魔法

 

戦士族モンスターにのみ装備可能。

装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする。

モンスターに装備されているこのカードは、カードの効果では破壊されない。

 

【ゴブリン突撃部隊】ATK 2300→3100

 

攻撃力3100か。流石にこれはマズイな。

 

「そしてリバースカードオープン! 【最終突撃命令】!」

 

【最終突撃命令】

永続罠

 

このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上に存在する表側表示モンスターは全て攻撃表示となり、表示形式は変更できない。

 

【最終突撃命令】……! 【ゴブリン突撃部隊】のデメリットを無くしてくれるカードか。

 

「くらえ、ドロップアウト!

【ゴブリン突撃部隊】で【帝国の魔竜導師 キンナラ】に攻撃!」

「ちっ……!」

 

本導勇騎 LP 4000→3000

 

一気に削られたな……俺のターンでどうにかしないと……

そう俺が思った時だった。

 

「どうだ! お前の雑魚がいとも簡単に破壊されたぞ!」

 

……雑魚? コイツ、今そう言ったのか……?

 

「サレンダーするなら今のうちだぞ、ドロップアウト!」

 

サレンダー……? 俺が……?

そう思った瞬間、俺の脳裏に青い光の球体のイメージが浮かぶ。そしてその瞬間、俺の頭がクリアーになると同時に取巻に対しての強い怒りを感じた。

 

「……俺の仲間達を雑魚呼ばわりした挙げ句、サレンダー……だと?

図に乗るなよ、雑魚(モブ)風情が!」

「な!?」

「ははっ……ならお前に見せてやるよ……

お前が雑魚と言った俺の仲間達の力を!」

 

そうだ。サレンダーなんてあり得るわけがない。

俺が今望むのは、アイツへの完膚無きまでの勝利のみだからな……!

 

「……それで? まだターンを続けるか?」

「ドロップアウト風情がナメやがって……!

俺は手札からカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

取巻太陽 LP 1900

 

手札 ?

 

モンスターゾーン 【ゴブリン突撃部隊】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン 【融合武器ムラサメブレード】 【最終突撃命令】 ?

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

【帝国の増援部隊】

 

【帝国の増援部隊】か……中々良いタイミングで来てくれたな。

 

「俺は手札から通常魔法【帝国の増援部隊】を発動」

 

帝国(ていこく)増援部隊(ぞうえんぶたい)

通常魔法(オリカ)

 

デッキから攻撃力1500以下の名前に【帝国】と付くモンスターを一体選択し、特殊召喚する。

その後、デッキをシャッフルする。

 

「このカードにより俺はデッキから攻撃力1500以下の名前に【帝国】と付くモンスターを一体特殊召喚出来る。俺は【帝国の竜兵士 コンロー】を特殊召喚する」

 

帝国(ていこく)竜兵士(リザードソルジャー) コンロー】

効果モンスター(オリカ)

炎属性/ドラゴン族/☆4/ATK 1500/DEF 1200

 

このモンスターを生け贄素材としてモンスターを召喚した時、このモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

 

「更に【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】によりコンローの攻撃力と守備力がアップする」

 

【帝国の竜兵士 コンロー】ATK1500→2000 DEF1200→1700

 

「それがどうした! たったの攻撃力2000で【ゴブリン突撃部隊】を倒せると思ったのか!」

「……そして【帝国の竜兵士 コンロー】を生け贄に捧げて、手札から【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】を召喚」

 

帝国(ていこく)双頭竜(そうとうりゅう)バーサーク・ドラゴン】

効果モンスター(オリカ)

炎属性/ドラゴン族/☆6/ATK 2400/DEF 2000

 

このモンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、相手フィールド上のカードを一枚破壊する。

 

「【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】も【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果で攻撃力と守備力がアップする」

 

【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】ATK 2400→2900 DEF 2000→2500

 

「生け贄素材となった【帝国の竜兵士 コンロー】の効果で【帝国の竜兵士 コンロー】は墓地へと行かず、俺のフィールド上に特殊召喚される。そして【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】の効果、手札から【帝国の竜兵士 コンロー】を墓地に送り、【ゴブリン突撃部隊】を破壊する」

 

【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】が【ゴブリン突撃部隊】に対して炎を発射する。

そしてその炎を受けたゴブリン達は次々と姿を消していった。

 

「【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】が効果で相手のカードを破壊したことで、【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果を発動」

 

ドローカード

【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】

 

ようやく来てくれたか、ロード。

 

「そして手札から【帝国の補給部隊】を発動」

 

【帝国の補給部隊】

通常魔法

 

自分の手札が5枚以下の場合、枚数が5枚になるようにデッキからカードを引く。

 

「これにより俺は手札が5枚になるようにデッキからカードを引くことが出来る」

 

ドローカード

【帝国の竜騎士 バリィ】

【ドライブチェック!】

【超再生能力】

 

あのカードは来てない、か。

まあ良い、今回はロードだけでも事足りるからな。

 

「【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】でダイレクトアタック!」

「させるかよ! リバースカードオープン!【和睦の使者】!」

 

【和睦の使者】

通常罠

 

このターン、相手モンスターから受ける

全ての戦闘ダメージは0になり、

自分のモンスターは戦闘では破壊されない。

 

「このカードの効果で俺はこのターン、戦闘ダメージを受けない! 残念だったな、ドロップアウト!」

 

……へぇ、それくらいなら想定の範囲内だな。まだ焦るとこでも無い。

 

「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」

 

本導勇騎 LP 4000

 

手札

・【仮面竜】

・【帝国の竜騎士 バリィ】

・【超再生能力】

 

モンスターゾーン 【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】 【帝国の竜兵士 コンロー】

 

魔法・罠ゾーン 【ドライブチェック!】(リバース)

 

フィールドゾーン 【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】

 

 

「俺のターン、ドロー!

俺は手札から通常魔法【二重召喚】を発動する!」

 

【二重召喚】

通常魔法

 

このターン自分は通常召喚を二回まで行うことが出来る。

 

【二重召喚】……来るならアイツだな。

 

「【二重召喚】で俺はこのターン二回まで召喚が出来る。俺は手札から【神獣王 バルバロス】を妥協召喚!」

 

【神獣王 バルバロス】

効果モンスター

地属性/獣戦士族/☆8/ATK 3000/DEF 1200

 

(1):このカードは生け贄なしで通常召喚できる。

(2):このカードの(1)の方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。

(3):このカードはモンスター3体を生け贄に捧げ召喚する事もできる。

(4):このカードがこのカードの(3)の方法で召喚に成功した場合に発動する。

相手フィールドのカードを全て破壊する。

 

やっぱりか、そして次は……

 

「【神獣王 バルバロス】は生け贄無しで召喚した時、攻撃力が1900になる。だがこいつに繋げるためだから、問題はない!

【神獣王 バルバロス】を生け贄に捧げ、【偉大魔獣 ガーゼット】を召喚!」

 

偉大魔獣(グレートまじゅう) ガーゼット】

効果モンスター

闇属性/悪魔族/☆6/ATK 0/DEF 0

 

このカードの攻撃力は、生け贄召喚時に生け贄に捧げたモンスター1体の元々の攻撃力を倍にした数値になる。

 

「【偉大魔獣 ガーゼット】の効果、このモンスターの攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの元々の攻撃力の倍になる。生け贄に捧げたのは【神獣王 バルバロス】、よって攻撃力は6000になる!」

 

【偉大魔獣 ガーゼット】ATK 0→6000

 

「……」

「これがオベリスクブルーの力だ!

【偉大魔獣 ガーゼット】で【帝国の竜兵士 コンロー】を攻撃!

これでゲームセットだ、ドロップアウト!」

 

【偉大魔獣 ガーゼット】が拳を振り上げ、【帝国の竜兵士 コンロー】へと降り下ろす。

だが、それは赤い機械竜に乗った竜騎士によって阻まれる。

 

「何だと!?」

「……手札から【帝国の竜騎士 バリィ】の効果を発動。このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする」

 

帝国(ていこく)竜騎士(りゅうきし) バリィ】

効果モンスター(オリカ)

炎属性/戦士族/☆4/ATK 1000/DEF 2000

 

相手モンスターの攻撃宣言時に発動することが出来る。

このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする。

 

「ちっ! だが、【偉大魔獣 ガーゼット】を越えることなんて不可能だ! 俺はこれでターンエンドだ」

 

取巻太陽 LP 1900

 

手札 無し

 

モンスターゾーン 【偉大魔獣 ガーゼット】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン 無し

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

【帝国からの援護砲撃】

 

ははっ、このターンで全てのピースは揃った。

後は……栄光のエンディングを迎えるだけだ。

 

「ファイナルターンだ、取巻」

「……は? 状況が絶望的過ぎて、おかしくなったのか?」

 

おかしくなった……? いや、むしろ今はとても愉快で仕方ない……!

さあ……その力を以て、共に奴を下そう、ロード!

 

「イメージしろ……戦場を駆け、数多の敵を滅ぼした雄々しき竜の姿を!

俺は【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】と【帝国の竜兵士 コンロー】を生け贄に捧げ、こいつを召喚する。この世の全ての物を焼き尽くす黙示録の炎、【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】!」

 

帝国(ていこく)暴龍(ぼうりゅう)ドラゴニック・オーバーロード】

効果モンスター(オリカ)

☆8/炎属性/ドラゴン族/ATK 3500/DEF 2800

 

この効果は一ターンに一度しか使うことが出来ない。

このモンスターが攻撃に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、もう一度攻撃を行う事が出来る。

 

その言葉と共に、俺のフィールド上に大君主の称号、『オーバーロード』を冠する赤き竜が降り立つ。

 

『ようやく私の出番か。先導者(マイ・ヴァンガード)、本導勇騎よ』

「ああ。お前の力を貸してくれるか、ロード」

『良いだろう。我々の部下を雑魚と呼んだ愚者を共に滅ぼすとしよう!』

 

ロードはそう言うと相手を見据え、相手へ向けて唸り声をあげた。

 

「何かと思えばただの攻撃力3500じゃないか! そんなもの【偉大魔獣 ガーゼット】の足元にも及ばない!」

 

取巻は強がっているが、その声は震えており、恐怖の感情を隠しきれていない。

さて……次だ。

 

「【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】も【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果で攻撃力と守備力がアップする」

 

【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】ATK 3500→4000 DEF 2800→3300

 

「そして俺は手札から通常魔法【帝国からの援護砲撃】を発動」

 

【帝国からの援護砲撃】(ていこくからのえんごほうげき)

通常魔法(オリカ)

 

相手モンスターを一体選択する。ターン終了時まで選択されたモンスターの効果は無効になる

 

「【帝国からの援護砲撃】の効果、俺は相手モンスターを一体選択する。ターン終了時までそのモンスターの効果は無効になる」

「そ、そんな……」

 

【偉大魔獣 ガーゼット】ATK 6000→0

 

さあ、閉幕(エンディング)の時だ……

 

「さぁ……イメージしろ。永遠の焔に焼き尽くされし、己の魔獣の姿を!

【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】で【偉大魔獣 ガーゼット】を攻撃」

 

【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】から放たれた炎は【偉大魔獣 ガーゼット】の体を瞬時に包み込み、そのまま焼き付くしていく。そしてその姿が焼き付くされたと同時に【偉大魔獣 ガーゼット】の体は崩れ落ち、破壊された。

 

「う……うわぁーー!!」

 

取巻太陽 LP 1900→0

 

デュエルディスクからブザーが鳴り、俺達のデュエルは終了した。

それと同時に俺の体の力が抜け、さっきまでの怒りや憎しみが綺麗に消え去った。

……ふぅ、やっぱり怒りに任せて使うのは良くないな。

 

『大事無いか、先導者(マイ・ヴァンガード)よ』

「ああ、何とかな……」

『なら良い。だが、今のお前には、お前の身を案じる者もいる。

それを努々(ゆめゆめ)忘れるでないぞ』

「分かってるよ……今回みたいな使い方は今後は控える気だからさ」

『そうか。ならば私が言うことは何も無い。

ではな、勇騎よ』

 

静かに言うと、ロードは姿を消した。

 

「さて、アイツの様子は……」

 

俺が取巻の様子を見てみると、取巻は未だに信じられないといった顔つきだった。

 

「あり得ない……俺がオシリスレッドに負けるなんて……」

 

取巻はそう言いながらフィールドを降りていった。それを見届けてから、俺もフィールドを降りた。その瞬間、十代達が駆け寄ってくる。

 

「何とか勝ってきたよ……」

「お疲れ様、って大丈夫? 何だかフラフラしてるけど……」

「大丈夫だよ、ちょっと眠いだけだ」

 

心配してくる明日香に俺はそう答えた。

 

「それなら良いけど……そういえば貴方、デュエルの途中で何だか雰囲気が変わらなかった?」

「あ、それ僕も思ったっす」

 

明日香と翔が聞きたそうにしているが、本当のことは言えない。だから、

 

「あー……たぶん気のせいだろ。

アイツにあんなこと言われて少し気が立ってたからそう見えたんじゃないかな?」

 

俺は転生特典の一つ、『PSY(サイ)クオリア』の事を誤魔化した。

少し心苦しいけど、こうする他無いしな。

 

「さて、次は十代の番だな」

「だな。それじゃ気合いを入れていくか!」

 

十代は楽しそうに言うと、フィールドへ上がっていった。それと同時に万丈目もフィールドに上がり、デュエルを始めようとしたその時だった。

 

「……! ガードマンが来たわよっ!」

 

明日香が急にそう叫ぶ。それを聞き、万丈目は忌々しそうな顔になりながら、俺と十代を見てこう言った。

 

「ちっ! 勝負はお預けだ! だが、貴様らとは絶対に決着を付けてやるからな!」

 

そう言った後、万丈目と取り巻き達はフィールドを去っていった。そしてその後、俺達もすぐにその場を立ち去った。

 

 

 

 

「どうだった? オベリスクブルーの洗礼を受けた感想は」

 

校舎から出た俺達はお互いの寮へと向かいながら、話をしていた。

 

「ガーゼットが出た時はヒヤッとしたけど、それ以外はあまり大したこと無かったかな」

「ふふ、貴方はそのガーゼットすら平然と乗り越えていったけどね」

 

平然ととはまた違う気がするけど、ここは黙っておこう。

 

「十代は残念だったわね、もう少しでデュエル出来そうだったのに」

「ああ、折角デュエル出来ると思ったのにな……」

「それじゃその分、寮に帰ったら付き合ってやるよ」

「おっ、本当か!?」

「ああ、先にやらせてもらったからな」

「ありがとな、勇騎!」

「良かったっすね、アニキ」

「ああ! 寮に帰るのが待ち遠しいぜ!」

 

その後、俺達はオベリスクブルー寮の近くまで明日香を送ってから、オシリスレッド寮まで戻ってきた。

 

 

 

 

寮に帰った後、約束通り俺は十代とデュエルをしていた。

 

「何とか終わったな」

「そうだな。あー、万丈目ともデュエルしたかったぜ」

「勝負は御預けって言ってたし、何かの折りにやることくらいあるだろ」

「かもな。

……なあ、勇騎」

「何だ?」

「お前、デュエル中に“アレ”使ってなかったか?」

「……やっぱり気づいてたか」

「そりゃな。何年も一緒にいれば気づくよ」

「俺も使う気は無かったけどな。それに不完全な形で発動してたから、正確には使えてなかったかな」

 

俺は今日のデュエルを思い返しながら、十代にそう言う。

あのまま怒りに任せて使ってたら、取り返しのつかないことになってたかもな。

 

「まあそれについては勇騎が一番分かってるとは思うから、これ以上は言わないぜ。

よし、もう一回やろうぜ、勇騎!」

「もう一回って……はあ、これは明日は寝不足かな……」

 

俺はため息をつきながらも、デュエルの準備を始めた。

こうして俺と十代のデュエル漬けの夜は更けていった。




政実「第3話、いかがだったでしょうか」
勇騎「今回もオリカ無双みたいになってるな」
政実「一応既存カードとも組み合わせようとしたんだけど、書いてる内にどんどんオリカだけで進んじゃって……」
勇騎「まあ良いや。そして今回はヴァンガードでいうところの『かげろう』のデッキだったな」
政実「最初は陽炎とか炎竜みたいな名前にしようとしてたけど、最終的にしっくり来たのが帝国だったんだよね」
勇騎「なるほどな。そして次回はいつ出来そうなんだ?」
政実「正直まだ未定……」
勇騎「そんなんで大丈夫か心配になるけど、まあ良いことにして、そろそろ締めるか」
政実「了解」
政実・勇騎「それでは、また次回」


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第4話 騎士VS武将! 戦場に響く閧の声

政実「どうも片倉政実です」
勇騎「どうも本導勇騎です。今回はやっと雨竜とのデュエルだな」
政実「うん、かなり悩みながら書いてたよ……効果とかカード名とかがうまく決まらなかったりしたからね」
勇騎「歴史上の物との兼ね合いがあるからな」
政実「そういうこと。さてと、そろそろ始めていこうか」
勇騎「だな」
政実・勇騎「それでは第4話をどうぞ」


「うー……眠い、ひたすらに眠い……」

「大丈夫っすか? 勇騎君」

 

入学式の翌日、フラフラとしている俺の様子を見て、一緒に歩いている翔が心配そうに訊いてくる。

 

「何とかな……」

「昨日は、かなり遅くまで起きていたようだからな」

「ああ。十代のデュエルに付き合ってたら、わりと遅い時間になっててさ……」

「なるほどな」

 

俺の言葉を聞き、雨竜が納得したようにそう言う。

因みに当の十代はというと……

 

「よっし、今日からはりきって行こうぜ、勇騎!」

 

同じ時間に寝たとは思えないほど、元気に満ち溢れていた。

 

「……なあ、十代。お前も同じ時間帯に寝てて、何でそんなに元気なんだ?」

「へへっ、今日から色んな奴とデュエル出来るんだぜ? それなのに眠いとか言ってられないぜ!」

 

そうか、デュエル欲は眠気にも勝るのか……俺もそれくらいになれば眠気に苦労せずにいられるのかな……

俺がそんな事を考えていると、雨竜が話し掛けてきた。

 

「勇騎、頼みがあるんだが良いか?」

「どうした? 雨竜」

「今日の放課後に俺とデュエルをしてくれないか?」

「それは別に構わないけど……どうしてだ?」

「ただ単にお前の実力を肌で感じてみたいと思ったのと……一つ確かめたいことがあるからな」

「確かめたいこと?」

「ああ。もっとも今は言えないがな」

「……? まあ良いか。

分かった、それじゃあ放課後に寮の前でやろうぜ」

「了解した」

 

俺達がそんな事を話していると、それを聞いていた十代が俺達の話に入ってきた。

 

「雨竜! 俺ともデュエルしようぜ! お前のデッキを見たこと無いから、見てみたいんだよ!」

「勇騎とのデュエルの後でなら構わないが……」

「それでも良いぜ! デュエルが出来るんなら、いくらでも待ってられるからな!」

 

十代は嬉しそうにそう言う。

まあ十代らしいといえばらしいかな。

 

「よっし、そうと決まればさっさと学校行こうぜ!」

「学校に行く気満々なのは良いが、授業中とかに寝るなよ?」

「うっ……だ、大丈夫だよ。ほら行こうぜ、皆!」

 

十代の様子に何となく不安を覚えながらも、俺達は学校へと向かった。

 

 

 

 

「さて、勇騎とのデュエルで欲しい答えが得られれば良いが……」

 

昼休み、俺は購買に行くという勇騎達と一旦別れ、人目に付かない場所で話をしていた。

 

『雨竜よ。貴様の知りたいことは、あの勇騎という小僧がお前と同じ存在であるかであろう?』

「ああ。もしそうなら色々と話をしたいと思っている」

『ふむ、そうか』

「とりあえず現時点では、勇騎くらいしかいないからな。俺と同じと思われる奴は」

『あの十代や翔という小僧共が違うという理由は何だ?』

「まず翔は俺のデュエルを一度観ているが、お前達の名前に一切の反応が無かったからな。十代に関しては……ただ何となくだな」

『何となく……か。

まあよい、とりあえず今はあの小僧との戦に集中するとしよう』

「そうだな」

『そして、あの小僧共に儂や義弟達の力を存分に見せつけてやるぞ、雨竜よ』

「承知した」

 

そこで会話を終え、俺達は勇騎達がいる購買へと向かった。

 

 

 

「よっし、今日の授業終わり! 勇騎、雨竜! 早速デュエルしに行こうぜ!」

 

授業終了のチャイムが鳴り、先生が教室から出ていったと同時に、十代が俺達に声を掛けてきた。

 

「分かったから少し落ち着け。デュエルは逃げたりしないぞ?」

「待ちきれないんだよ!雨竜がどんなデッキを使うか気になるしさ!」

 

十代は子供のように目をキラキラさせながら俺に返事をした。

はぁ……まったく……

 

「すまないな、雨竜。十代が急かしちゃって」

「別に構わんさ。俺も早くデュエルしたいとは思っているからな」

「そっか。よし、俺も準備終わったし……それじゃあ行くか、皆」

「「おー!」

「承知した」

 

俺達は教室を出て、寮の方へと向かった。

 

 

 

 

寮に向かって歩いている途中、俺はあることが気になった。

 

「そういえば雨竜。昼に少しだけ別の用事があるって言ってたけど、何だったんだ?」

「ああ、ちょっとな。それについては機会があったらお前達にも話すから、今は訊かないでおいてくれ」

「ん、了解」

 

そんな事を話している内に、俺達はオシリスレッド寮に着いた。するとそこには三沢と明日香がいた。

 

「三沢、それに明日香も。どうしたんだ?」

「十代から君達がデュエルすると聞いたものでね」

「私達の知らないカードを使う、貴方達のデュエルを見逃すわけにはいかないもの」

 

うん、そう言ってもらえるのは嬉しいけど、その分プレッシャーが凄いんだけど……?

 

「……まあ良いか。それじゃあ始めようぜ、雨竜」

「ああ」

 

俺達は向かい合うと、同時にデュエルディスクを構えた。

 

「「デュエル!!」

 

 

 

 

本導勇騎 LP 4000

VS

毛利雨竜 LP 4000

 

 

 

 

先行は……俺か。

 

「俺の先行、ドロー!」

 

手札

【神聖騎士獣 ういんがる】

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

【神聖騎士王 アルフレッド】

【神聖騎士の絆】

【神聖騎士王の号令】

 

ドローカード

【導きの神聖騎士 ゼノン】

 

初手でブラスター・ブレードもガンスロッドも無しか……まあそれならそれでやるか。

 

「俺は手札から【導きの神聖騎士 ゼノン】を攻撃表示で召喚」

 

【導きの神聖騎士(ロイヤルパラディン) ゼノン】

効果モンスター(オリカ)

光属性/魔法使い族/☆4/ATK 1500/DEF 1800

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキの一番上を確認する。そのカードが名前に【神聖騎士】と付くモンスターだった場合、そのカードを手札に加える。それ以外の場合はそのカードをデッキの一番下に置く。

 

「【導きの神聖騎士 ゼノン】の効果を発動。このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキの一番上を確認する。そのカードが名前に【神聖騎士】と付くモンスターだった場合、そのカードを手札に加える。それ以外の場合はデッキの一番下に置く」

 

確認カード

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】

 

「確認したカードが【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】だったから、俺はこのカードを手札に加える。そして手札から【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】を発動!」

 

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

フィールド魔法(オリカ)

 

フィールド上に存在する名前に【神聖騎士】または【暗黒騎士】と付くモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする。

フィールド上の【神聖騎士】または【暗黒騎士】と付くモンスターが破壊または墓地に送られた時、手札から一枚を墓地に送ることで、そのカードを手札に加える。

 

「【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】の効果、フィールド上に存在する名前に【神聖騎士】または【暗黒騎士】と付くモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする」

 

【導きの神聖騎士 ゼノン】 ATK 1500→2000 DEF 1800→2300

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

本導勇騎 LP 4000

 

手札

【神聖騎士獣 ういんがる】

【神聖騎士龍 ソウルセイバー】

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】

【神聖騎士の絆】

【神聖騎士王の号令】

 

モンスターゾーン

【導きの神聖騎士 ゼノン】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン 無し

 

フィールドゾーン

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

 

 

「俺のターン、ドロー。

俺は手札から永続魔法【楽市楽座】を発動」

 

【楽市楽座】

永続魔法(オリカ)

 

この効果は1ターンに一度のみ使用できる。

手札からカードを選択し、墓地に送る。その後その枚数だけデッキからカードを引く。

 

【楽市楽座】……? 何だかどっかで聞いたような名前だな。

 

「【楽市楽座】の効果、手札からカードを選択し、それを墓地に送る。そしてその枚数だけデッキからカードを引く」

 

そう言うと雨竜は手札から三枚を墓地に送り、デッキからカードを三枚ドローした。

 

墓地に送ったカード

【戦国の鉄砲部隊】

【戦国の足軽部隊】

【戦国の騎馬部隊】

 

【戦国】って付くモンスターカードを墓地に送った……? 【ダーク・ネクロフィア】とかと同じ召喚方法のモンスターか……!

 

「最初から攻めこませてもらうぞ、勇騎。

自分の墓地に【戦国】と付くモンスターが三体以上存在する時、このモンスターは生け贄無しで召喚出来る。俺は手札から【戦国の義勇将軍 長政】を攻撃表示で召喚する!」

 

【戦国の義勇将軍(ぎゆうしょうぐん) 長政(ながまさ)

効果モンスター(オリカ)

地属性/戦士族/☆6/ATK 2300/DEF 2500

 

自分の墓地に名前に【戦国】とつくモンスターが三体以上存在する時、このモンスターは生け贄無しで召喚できる。

このモンスターが攻撃対象に選択された時、このモンスターは守備表示になり、守備力が500ポイントアップする。

 

雨竜のフィールド上に戦国時代を思わせる甲冑を纏った男性が現れる。

というか長政って……もしかして、浅井長政(あざいながまさ)か?

 

「行くぞ、長政!

【戦国の義勇将軍 長政】で【導きの神聖騎士 ゼノン】を攻撃!」

 

【戦国の義勇将軍 長政】が【導きの神聖騎士 ゼノン】に刀を降り下ろす。刀で斬られたゼノンは斬られた場所を手で押さえつつ倒れこみ、そのまま破壊された。

 

「くっ!」

 

本導勇騎 LP 4000→3700

 

「俺はカードを二枚伏せて、ターンエンド」

 

 

毛利雨竜 LP 4000

 

手札 ?

 

モンスターゾーン

【戦国の義勇将軍 長政】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

 

 

マズイな……一ターン目からダメージを受けるとはな。

でもこんなところで怯んではいられない。

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

・【聖剣 ブラスター・ブレード】

 

【聖剣 ブラスター・ブレード】……このカードなら何とかなるかもしれない。

 

「俺は手札から通常魔法【神聖騎士王の号令】を発動!」

 

神聖騎士王(ロイヤルパラディンキング)の号令】

通常魔法(オリカ)

 

デッキの上から三枚までカードを確認する。その中に【神聖騎士】と付くモンスターがいた時、一体まで特殊召喚出来る。

その後、確認した他のカードをデッキに戻し、デッキをシャッフルする。

 

 

さてさて、誰が来てくれたかな。

 

確認カード

・【小さな神聖騎士 マロン】

・【神聖騎士獣 ういんがる】

・【テラフォーミング】

 

ふむ、これならこうだな。

 

「俺は確認したカードの中から【小さな神聖騎士 マロン】を選び攻撃表示で特殊召喚する。そして雨竜、デッキのシャッフルを頼んで良いか?」

「ああ」

 

【小さな神聖騎士(ロイヤルパラディン) マロン

通常モンスター(オリカ)

光属性/魔法使い族/☆4/ATK 1500/DEF 1200

 

雨竜からデッキを受け取り、俺は次の手へと移った。

 

「フィールド上の【小さな神聖騎士 マロン】を生け贄に捧げて、俺はこのカードを攻撃表示で召喚する。

立ち上がれ、偉大な先導者の分身! 【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】!

そして【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】の効果で攻撃力と守備力が500ポイントアップする」

 

先導(せんどう)神聖騎士(ロイヤルパラディン) ブラスター・ブレード)

効果モンスター(オリカ)

光属性/戦士族/☆6/ATK 2400/DEF 2000

 

このカードが召喚・特殊召喚・反転召喚に成功した時、手札を1枚墓地へ送ることで、相手フィールド上のカードを1枚選択して破壊する。

 

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】ATK 2400→2900 DEF 2000→2500

 

俺の目の前に白い鎧を身に纏った騎士が現れる。

 

『私の出番ですね、先導者(マイ・ヴァンガード)よ』

「ああ。お前の力を貸してくれ、アーメス」

『承知しました』

 

さて……浅井殿には悪いが、ここで退場してもらおう。

 

「【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】の効果、手札から【神聖騎士獣 ういんがる】を墓地に送り、【戦国の義勇将軍 長政】を破壊する!

打ち砕け! ピンポイントバースト!」

 

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】が剣で地面を突いたと同時に、そこから【戦国の義勇将軍 長政】へ向けて雷が走る……!

 

「ふっ、やはりそう来るか。

伏せカードオープン! カウンター罠【影武者】!」

 

【影武者】

カウンター罠

 

自分フィールド上のモンスターが相手モンスターからの破壊効果の対象となった時に発動できる。

その効果の対象をこのカードに移し替える。

 

雨竜のフィールド上に黒い影が出現し、それは【戦国の義勇将軍 長政】の姿になった。するとブラスター・ブレードの放った雷が影の方へと進路を変え、そのまま影へと命中した。

 

「【影武者】……?」

「このカードは自分のモンスターが相手モンスターからの破壊効果の対象になった時に発動できる。そしてその効果の対象をこのカードへと移し替えることが出来る」

「なるほどな……なら次の手だ!

俺は手札から装備魔法【聖剣 ブラスター・ブレード】を【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】に装備する!」

 

【聖剣 ブラスター・ブレード】

装備魔法

 

このカードは【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】にのみ装備できる。

このカードを装備したモンスターの攻撃力を1000ポイントアップする。

装備モンスターが守備表示のモンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフにダメージを与える。

 

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】ATK 2900→3900

 

見た目としては変わらないけど、立っている時のオーラが強くなっているのを感じる。

 

「さあ、バトルだ!

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】で【戦国の義勇将軍 長政】を攻撃!

バーストバスター!」

「なるほど。確かにかなり強い力を感じるな、だがここで【戦国の義勇将軍 長政】の効果を発動! このモンスターが攻撃対象となった時、このモンスターは守備表示に変更され、守備力を500ポイントアップする」

 

【戦国の義勇将軍 長政】DEF 2500→3000

 

守りを固めた【戦国の義勇将軍 長政】に【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】が斬りかかる。刀と剣がぶつかり合い、両者が至近距離でにらみあう。そしてその戦いは【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】の剣が【戦国の義勇将軍 長政】の刀を撥ね飛ばし、長政の体を斬りつけたことで終結した。そしてその余波が雨竜を襲う。

毛利雨竜 LP 4000→3100

 

「ぐっ……! 俺にダメージが……!?」

「【聖剣 ブラスター・ブレード】の効果だよ。このカードを装備したモンスターが守備表示のモンスターを攻撃した時、守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけダメージを与える」

「なるほどな……だがそのくらい、俺達がはね除けてやる!」

「期待してるぜ、雨竜。俺はこのままターンエンドだ」

 

今のところは安心できるが、雨竜もまだ何かを隠していそうだから、油断せずに行こう。

 

 

本導勇騎 LP 3700

 

手札

【神聖騎士獣 ういんがる】

【神聖騎士王 アルフレッド】

【神聖騎士の絆】

 

モンスターゾーン

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【聖剣 ブラスター・ブレード】

 

フィールドゾーン

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

 

 

「俺のターン、ドロー。

……なるほどな。

俺は手札から通常魔法【合戦の狼煙】を発動する」

 

【合戦の狼煙】

通常魔法(オリカ)

 

デッキから攻撃力1500以下の名前に【戦国】と付くモンスターを一体選択し特殊召喚する。

その後、デッキをシャッフルする。

 

「【合戦の狼煙】の効果で、俺はデッキから攻撃力1500以下の名前に【戦国】が付くモンスターを一体特殊召喚出来る。俺はデッキから【戦国のうつけ者 吉法師】を特殊召喚する

そしてデッキのシャッフルを頼む」

「分かった」

 

【戦国のうつけ者 吉法師(きっぽうし)

効果モンスター(オリカ)

闇属性/戦士族/☆4/ATK 1500/DEF 1200

 

このモンスターが召喚・特殊召喚・反転召喚に成功した時、相手モンスターを一体選択し、そのモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントダウンする。

 

雨竜のフィールド上に髪を結った少年が現れた。

吉法師って織田信長の幼名だよな……何だか嫌な予感がする。

 

「そして【戦国のうつけ者 吉法師】の効果を発動、このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、相手モンスターを一体選択し、そのモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントダウンする」

 

【戦国のうつけ者 吉法師】が手に持った何かを【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】に投げつけた。

 

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】ATK 3900→3400

 

『ぐっ……! 一体何を……』

「たぶん……抹香だな。吉法師……織田信長は父親の葬儀の場で位牌に抹香を投げたらしいから。まあ抹香を投げた理由は諸説あるらしいけどな」

 

アーメスにそう言った後、ふと雨竜の方を見ると、何かを考えているようだった。

 

「雨竜? 他にはあるか?」

「……ああ、すまない。俺は手札からフィールド魔法【決戦の大地 関ヶ原】を発動する」

 

【決戦の大地 関ヶ原】

フィールド魔法(オリカ)

 

名前に【戦国】と付くモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする。

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーはバトルフェイズにモンスター1体でしか攻撃できない。

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーが受ける戦闘ダメージは倍になる。

 

「【決戦の大地 関ヶ原】の効果、名前に【戦国】と付くモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする」

 

【戦国のうつけ者 吉法師】ATK 1500→2000 DEF 1200→1700

 

「そして装備魔法【魔王の証明】を【戦国のうつけ者 吉法師】に装備する。

そして【戦国のうつけ者 吉法師】で【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】を攻撃!」

 

攻撃力の劣る【戦国のうつけ者 吉法師】で攻撃……?

てことは伏せカードにそれをサポートするカードがあるってことになるな……

 

「そして伏せカードオープン!

速攻魔法【国崩しの砲撃】!」

 

【国崩しの砲撃】

速攻魔法(オリカ)

 

フィールド上の表側表示モンスター1体を対象にして発動する。

そのモンスターの攻撃力を半分にする。

 

雨竜のフィールドに大砲が一門出現し、【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】に砲撃を開始した。

 

『ぐっ……!』

「アーメス!」

 

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】ATK 3400→1700

 

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】が砲撃により片膝をついているところに、【戦国のうつけ者 吉法師】が近付き、小刀で斬りつけた。

 

「くっ!」

 

本導勇騎 LP 3700→3100

 

まさかアーメスがこんな形でやられるとはな……

俺がそう思っていると、さらに雨竜が攻めあげてきた。

 

「そして【戦国のうつけ者 吉法師】に装備している【魔王の証明】の効果を発動!

【戦国のうつけ者 吉法師】と【魔王の証明】を墓地に送り、デッキからこのカードを召喚する。

【戦国の魔王将軍 信長】を特殊召喚!

そして【決戦の大地 関ヶ原】の効果で【戦国の魔王将軍 信長】の攻撃力と守備力が500ポイントアップする」

 

【魔王の証明(あかし)

装備魔法(オリカ)

 

このカードは【戦国のうつけ者 吉法師】にのみ装備できる。

このカードを装備したモンスターが相手モンスターを破壊した時、このカードと装備したモンスターを墓地に送ることで、デッキまたは手札から【戦国の魔王将軍 信長】を特殊召喚する。この効果で特殊召喚した【戦国の魔王将軍 信長】は召喚したターンは攻撃できない。

 

【戦国のうつけ者 吉法師】の周りに渦が発生し、その姿を包み込んだ。そしてその渦が消えたとき、その場にいたのは銀色の甲冑を身に纏い、赤いマントをはためかせた武将の姿だった。

 

【戦国の魔王将軍 信長】

効果モンスター

闇属性/戦士族/☆8/ATK 3000/DEF 2400

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、相手フィールド上のカードを一枚効果を無効にし破壊する。

このモンスターの攻撃宣言時、自分のフィールド上に【戦国の蝮姫 帰蝶】が存在する時、そのバトル中のみこのモンスターの攻撃力は500ポイントアップする。

 

【戦国の魔王将軍 信長】ATK 3000→3500 DEF 2400→2900

 

『ようやく儂を呼んだか、雨竜よ』

「出来ればもっと早く呼びたかったけど、手順があるからな」

『ふん、まあ良い。

今成すべきは我らがこの合戦に勝利することだ』

「その通りだ。さあ、やるぞ信長!」

『貴様こそ遅れを取るで無いぞ! 雨竜!』

 

雨竜と【戦国の魔王将軍 信長】がそんな話をしている。というか雨竜も持ってたんだな、精霊が宿っているカード。

 

「さて……ここで【戦国の魔王将軍 信長】でダイレクトアタックをしたいところだが、この方法で召喚した時は召喚したターンに攻撃することは出来ない。だが、【戦国の魔王将軍 信長】の効果で【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】は破壊させてもらう!」

 

【戦国の魔王将軍 信長】が火縄銃を構え、そのまま発砲した。その弾に【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】のカードが貫かれると、俺のフィールドに出現していた建物達が崩れ落ちていった。

……マズ過ぎる。この状況は実にマズ過ぎる。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

毛利雨竜 LP 3100

 

手札

 

モンスターゾーン

【戦国の魔王将軍 信長】

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

フィールドゾーン

【決戦の大地 関ヶ原】

 

 

……どうしたもんかな。ここであれさえ引ければ何とかなるけど……まあ迷ってても仕方無いか、ここはやるだけやるしかない。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカード

【神聖騎士王の号令】

 

よし、これならまだ一ターンは何とかなる。

 

「俺は手札から【神聖騎士王の号令】を発動」

 

確認したカード

【神聖騎士獣 ういんがる】

【神聖騎士達の絆】

【サイクロン】

 

「俺は確認したカードの中から【神聖騎士獣 ういんがる】を選択して特殊召喚する。そして手札から【神聖騎士達の絆】を発動する!」

 

神聖騎士達(ロイヤルパラディンたち)の絆】

通常魔法

 

フィールド上に存在する名前に【神聖騎士】と付く☆4以下のモンスターを一体選択して発動する。

自分の手札に選択したモンスターと同名のモンスターがいる場合、そのモンスターを特殊召喚出来る。

 

「【神聖騎士達の絆】の効果、フィールド上の名前に【神聖騎士】と付く☆4以下のモンスターを一体選択する。手札に同名のモンスターがいる場合、そのモンスターを特殊召喚出来る。

俺はフィールド上の【神聖騎士獣 ういんがる】を選択して、手札からもう一体を特殊召喚する!」

 

俺のフィールド上に二体の【神聖騎士獣 ういんがる】が並ぶ。

 

『だいぶピンチみたいだね、勇騎』

「ああ、まあな。

……すまないな、ヤツフサ。こんな形でしか出番やれなくて」

『あはは……別に良いよ。慣れてるから、気にしないで』

「次はもっと良い出番をやれるように努力するよ。

俺は二体の【神聖騎士獣 ういんがる】を生け贄に捧げ、こいつを召喚する。

降臨せよ、戦士達の主!

【神聖騎士王 アルフレッド】!」

 

神聖騎士王(ロイヤルパラディンキング) アルフレッド】

効果モンスター(オリカ)

光属性/戦士族/☆10/ATK 3500 DEF 2800

このカードは特殊召喚することが出来ない。

このカードは装備魔法の対象にならない。

このカードが表側表示で存在する時、このカードの攻撃力と守備力は、このカードを除く自分フィールド上に存在する、名前に【神聖騎士】と付くモンスターの数×200ポイントアップする。

このカードが表側表示で存在する時、ライフポイントを1000ポイント払うことで、デッキから名前に【神聖騎士】と付くモンスターを一体特殊召喚する。

 

『追い込まれているな、先導者(マイ・ヴァンガード)よ』

「ああ。だからお前の力を貸して欲しいんだ」

『良いだろう。俺の力で勝利への道を切り開くとしよう!』

 

【神聖騎士王 アルフレッド】はそう言うと眼前の【戦国の魔王将軍 信長】の姿を見据えた。

どうやらやる気は満々みたいだ。

 

「【神聖騎士王 アルフレッド】の効果、ライフポイントを1000ポイント払うことでデッキから名前に【神聖騎士】と付くモンスターを一体特殊召喚出来る。俺はデッキから【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】を特殊召喚!

これにより【神聖騎士王 アルフレッド】の攻撃力と守備力が200ポイントアップする!」

 

【神聖騎士王 アルフレッド】ATK 3500→3700 DEF 2800→3000

 

フィールド上に二人の騎士が並び立つ。

 

「さあ、やるぞ!

【神聖騎士王 アルフレッド】で【戦国の魔王将軍 信長】に攻撃!」

 

【神聖騎士王 アルフレッド】が馬を駆り、【戦国の魔王将軍 信長】へと走っていく。そして自身の剣を握り直し、【戦国の魔王将軍 信長】へと降り下ろした……!

それと同時に【戦国の魔王将軍 信長】が刀を抜き、【神聖騎士王 アルフレッド】を斬りつけようとしたが、【神聖騎士王 アルフレッド】がその刀ごと【戦国の魔王将軍 信長】を斬り、【戦国の魔王将軍 信長】は片膝をついた。

 

『……見事だ、異国の(つわもの)よ』

『貴公もな。またいつか戦場で相見えよう、信長殿』

『ふほ……そうだな。その日を楽しみにさせてもらうぞ』

 

その後、【戦国の魔王将軍 信長】は倒れ込み、破壊された。

 

「……」

 

毛利雨竜 LP 3100→2700

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

本導勇騎 LP 3100

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

【神聖騎士王 アルフレッド】

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

 

「……俺のターン、ドロー」

 

雨竜は自分がドローしたカードを見ると、目を閉じて笑った。そして、

 

「俺はなにもせずターンを終了する」

「本当に良いのか?」

「ああ、もう手は無いからな。

それならば潔く敗けを認めよう」

 

雨竜は落ち着いた口調でそう言った。

 

 

毛利雨竜 LP 2700

 

手札

 

モンスターゾーン

無し

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

フィールドゾーン

【決戦の大地 関ヶ原】

 

 

「……分かった。俺のターン、ドロー」

 

俺はアーメスにアイコンタクトを送り、指示を出した。

 

「【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】でダイレクトアタック!」

 

【先導の神聖騎士 ブラスター・ブレード】が雨竜に攻撃したと同時にデュエルディスクからデュエル終了のブザーが鳴り響く。

 

毛利雨竜 LP 2700→0

 

 

 

 

「ありがとう、勇騎。良いデュエルだった」

「どういたしまして」

 

そう言いながら俺達が握手をしていると、十代達が近付いてきた。よく見ると、翔達と同じ部屋の前田隼人先輩もいる。いったいいつからいたんだ……?

 

「勇騎! 雨竜! 良いデュエルだったぜ!」

「ん、サンキュ。正直ひやひやした展開ばかりだったけどな」

「それすらも君は乗り越えていったけどな。まだまだ君達のデッキについて研究が必要なようだな……」

 

三沢が考え込みながらそう言う。

 

「まあ研究するのは良いけど、やり過ぎないようにな」

「そうだな。明日香君はこのデュエルを観てどう思った?」

「そうね……」

 

それから暫くの間、俺達のデュエルの考察が続いた。

 

 

 

 

「それで? 確かめたいことって何だったんだ?」

 

明日香達と別れた後、俺と雨竜と十代はレッド寮の俺と十代の部屋で話をしていた。翔と前田先輩には先に戻ってもらっている。

 

「それを話すのは構わないが……十代、少しの間席を外していてくれるか?」

「ん? 何でだ?」

「それは……今から話すのはあまりにも現実離れした内容だからだ」

「あ、それなら大丈夫だぜ? 俺はそういうことは受け止められるし」

「しかし……」

「雨竜、大丈夫だ。十代を信じてやってくれ」

「……分かった。それでは話そう」

 

そして雨竜は話し始めた。

 

「まず勇騎達は転生というものを知っているか?」

「知ってるも何も……な、勇騎」

「だな。俺が転生者だから、俺と十代にとってはかなり身近なものだな」

「やはりそうだったのか。信長達を見て反応をしていたから、もしやとは思っていたが」

「まあ、前世で慣れ親しんだ戦国武将の名前が突然出てきたからな」

「それはそうだろうな。俺も初めて彼らを見た時には驚いた」

 

雨竜はその時の事を思い出したようで、少し懐かしそうな顔になった。

そういえば……

 

「雨竜、昼の用事ってもしかして……?」

「ああ。彼らと話をしていた。今日のデュエルの事や勇騎が転生者だった場合についてな」

 

やっぱりか。俺は十代と光がいたからそういう事をしなくても良かったけど、雨竜の場合はそうもいかないしな。

俺がそう考えていると、十代が雨竜に質問をした。

 

「雨竜はあのカード達をどこで手に入れたんだ?」

「彼らは俺の家に代々伝わっていたんだ。それに俺が触れた時にカード達が光輝いてな、それを見た父さん達がこのデッキをくれたんだ」

「なるほどな……」

 

この様子だともしかしたら俺とは違う形で転生してきたのかもな。ちょっと確かめてみるか。

 

「なあ、雨竜。お前が転生する時に神様には会ったか?」

「神様か……確かに会ったな。あの時に転生特典を決めてほしいと言われたんだが、俺には決められなくてな……その時に俺に相応しいカードを用意しておくと言っていたが、もしかしたらこのデッキのことだったのかもしれないな」

「そうかもな。

……雨竜、もし他の転生特典が分かるとしたら知りたいって思うか?」

「そうだな……分からないままよりは知っていた方が良いかもしれないな」

「分かった、後で俺達の知り合いの神様に調べてもらうように頼んでみるよ」

「確かにファルなら調べられそうだしな」

 

十代が少し笑いながらそう言う。出来ても出来なくてもファル用のお礼を用意しとこう。

 

「ありがとう、勇騎」

「お礼なら出来た時に本人に言ってあげてくれ。きっと喜ぶだろうから」

「ああ、承知した」

 

雨竜が微笑みながらそう言う。その顔からは安心したような様子が見てとれた。まあ自分と同じ様なやつがいて、更にそれを受け入れてくれるやつもいたわけだから、そうなるよな。

俺はそう考えた後、十代の方を見た。すると十代も俺の顔を見ていた。俺達は少し笑った後、同時に雨竜に手を差し出した。

 

「雨竜、改めてよろしくな」

「よろしくな、雨竜!」

 

雨竜は差し出した手を見た後フッと笑い、二つの手を取ってこう言った。

 

「ああ、よろしく頼む。勇騎、十代」

 




政実「第4話いかがでしたでしょうか」
勇騎「今回はあまり長くはならなかったな」
政実「そうだね。でもその分、デュエルまでの流れがおざなりかなとは思ってる」
勇騎「そこはこれからの課題だな」
政実「だね。何とか技術を上げていかないと……」
勇騎「そういえば第4話は元々俺が負ける予定だったんだっけ?」
政実「うん。でももっと先の話のつじつまが合わなくなりそうだから、急遽変更したんだ。だからまた別の回で負け回を書く予定」
勇騎「了解した。さて、そろそろ締めるか」
政実「だね」
政実・勇騎「それではまた次回」


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第5話 囚われた翔! 戦場を駆ける闇の騎士と片眼の龍 《前編》

政実「どうも、片倉政実です」
勇騎「どうも、本導勇騎です」
政実「今回の話は第5話の前編となっております」
勇騎「加えて1度投稿した話の再構成版でもあるな」
政実「うん、ゴッドバードアタックの下りがあまりにも杜撰だったからね」
勇騎「書いた本人がそう感じるってことは読んだ人達全員がそう思っただろうな」
政実「うん、その点については本当に反省してる……」
勇騎「まあそれについてはあとがきで言うとして、そろそろ始めてくか」
政実「うん」
政実・勇騎「それでは第5話の前編をどうぞ」


「……なあ。翔の奴、どうしたんだ?」

「俺に訊かれてもなぁ……」

「……同じく」

 

俺達は様子のおかしい翔の様子を見ながら、話し合っていた。体育の時間だというのに、とてもだらしない笑顔で笑っている様は正直怖い……

 

「何か良いことでもあったのかな?」

「良いことねぇ……クロノス先生の授業は……良いことでは無いしなぁ」

 

一応解説を入れると、この体育の前にレッド・イエロー・ブルーでの合同授業があり、その時に翔はクロノス先生から当てられたものの、上がり症のせいで答えられず、クロノス先生から嫌みを言われた挙げ句、明日香を除いたブルー生達から笑われるという仕打ちを受けていた。そこに十代が入試の時の事を持ち出し状況が一変、今度はクロノス先生が笑われることになり、クロノス先生は悔しさのあまりハンカチを噛み締めるということがあったのだった。

……やっぱりこれは良いことでは無いよな、たとえ良いことだったとしてもあんなににやつく程の事でも無いだろうし。

俺がそんな事を考えていると、

 

「まあ後で聞けば良いよな。それに翔があんなに嬉しそうなら邪魔するのも何か悪いし」

 

十代が翔の事を見ながらそう言い出した。まあ確かにそうかもな。

 

「そうだな、今は授業に集中するとしようか」

「承知した」

 

こうして俺達は今の嬉しそうな翔の事を放っておいてやることにした。

……ただ、何かを忘れてる気がするんだよなぁ。

俺はそんなモヤモヤした物を感じつつ、今日一日を過ごした。

 

 

 

 

その日の夜のことだった。俺と十代がデュエルをしていると、突然俺達のPDAが鳴り出した。

何だろう、この嫌な予感は……そんな予感を感じつつ、PDAの画面を見た瞬間に、忘れていたものを思い出した。

 

「あー、このイベントの日だったのか」

「イベント?」

「そう。簡単に言えば翔が覗き犯に間違えられてるから、それを助けに行かなきゃ無いって奴だな」

「それなら早く行こうぜ! えっと……場所はブルーの女子寮で、俺と勇騎と雨竜で来いってさ!」

「俺も画面は見てるから分かるよ。

さて……今回は誰に任せるかな?」

 

悩んだ末、俺は三つのデッキを手に取った。どれを使うかはあっちで決めることにしよう。

準備を終えた俺達はお互いに頷いた後に、一緒に寮の部屋から出た。

 

 

 

 

「翔ー! 助けに来たぞー!」

「アニキ! 勇騎君! 雨竜君! 」

 

寮の前で雨竜と合流し、俺達は桟橋からボートでブルーの女子寮へと来ていた。因みに翔はロープでぐるぐる巻きにされた挙げ句、桟橋に転がされていた。

流石に可哀想になるな、この光景……

 

「やっと来たのね、貴方達」

 

明日香が俺達を見ながらそう言った。

 

「これでも急いできたんだけどな。一応翔を捕まえた理由を訊いて良いか?」

 

俺が明日香達にそう訊くと、

 

「コイツが女子寮のお風呂を覗いたのよ!」

 

枕田ジュンコが翔を指差しながら、俺達にそう言い放つ。

……やっぱり理由はそれか。

 

「だから僕は覗いて無いッス! 手紙で呼び出されただけで……!」

「明日香さんがあんたみたいなのを相手にするわけ無いって言ってんでしょうが!」

「これがバレたら退学は確定ですわね、丸藤翔さん?」

「だから僕は覗いて無いってぇ……」

 

翔が枕田ジュンコと浜口ももえの二人からボロクソに言われ、少し涙目になっている。

……うん、早く助けてやろう。

そう思った俺は明日香に話しかけた。

 

「なあ、明日香。お前は翔が覗きに来たとは思ってないよな?」

「ええ。だからそのまま返してあげても良いのだけれど、それだとジュンコ達が納得しないのよね……」

 

明日香は少し考えるようなしぐさをした後にこう言った。

 

「だから私達と貴方達でデュエルして、全員に勝てたら返してあげても良いわ。ジュンコ達もそれで良い?」

「はい、明日香さん」

「私も異論はありませんわ」

 

明日香の提案に他の二人も納得したようだ。

正直これで納得してくれなかったら、どうしようかと思ってたから、本当によかった。

俺がそう思っていると、

 

「さて、最初は誰から来るの?」

 

俺達を見回しながら明日香がそう訊いてきた。どうやら向こうサイドは誰が行くかはもう決まったみたいだ。

 

「俺達はどうする?」

「俺はいつでも良いが……」

「俺もデュエル出来るなら、何でも良いぜ?」

 

ふむ……なるほどな。

それなら俺から行こうかな。そしてあっちはたぶん明日香が最後だろうから、十代を最後にして雨竜を二番目にするか。

 

「分かった。それじゃあ、俺から行くよ」

「了解した、頑張れよ」

「翔のためにも負けるなよ!」

「分かってるよ」

 

十代達にそう言ってから俺はデュエルディスクにデッキをセットした。

今回はコイツらに頼むとするかな。

明日香達の方を見ると、枕田が前に出てきていた。そしてそのままもう一隻のボートに乗る。

 

「俺の相手はお前か」

「そうよ! あんたなんかささっと倒して、あの変態を先生達に突き出してやるわ!」

「逆にささっと倒されないことを祈ってた方が良いぞ? コイツらは並大抵のことじゃ負けないからな」

 

コイツらは主人公の一時的な持ちデッキになったり、ラスボスになったりしてたからな。そんなやつらが簡単に負けるなんて……

 

「私があんなのに負けると思ってるのが、オシリスレッドの愚かなところよね」

 

……は?

 

「お前……あいつらの事をあんなのとか言ったか?」

「言ったわよ? どうせクロノス先生に勝ったのもマグレに決まってるわ!」

 

……よし、コイツには一切の容赦はしない。見せてやるよ、お前があんなのとか言った奴等の仲間の力を!

 

「デュエルの後でもそんなふざけたことが言えるか、楽しみにしといてやるよ」

「オシリスレッドの分際で……! あんたなんかぐうの音も出ない程に倒してやるわ!」

 

そう言いながら枕田がデュエルディスクを構える。

さて、いつまでそんな態度でいられるかな?

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

本導勇騎 LP 4000

VS

枕田ジュンコ LP 4000

 

 

先行は……俺か。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札

【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】

【暗黒騎士獣 フルバウ】

【奈落龍の咆哮】

【暗闇の暗黒騎士 マクリール】

【奈落龍の誘い】

 

ドローカード

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】

 

ふむ、初手で来てくれたのはかなり嬉しいな。よし、これで行くか。

 

「俺は手札からフィールド魔法【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】を発動!」

 

【神聖国家 ユナイテッドサンクチュアリ】

フィールド魔法(オリカ)

 

フィールド上に存在する名前に【神聖騎士】または【暗黒騎士】と付くモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする。

フィールド上の【神聖騎士】または【暗黒騎士】と付くモンスターが破壊または墓地に送られた時、手札から1枚を墓地に送ることで、そのカードを手札に加える。

 

「【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】の効果で、名前に【神聖騎士】と付くモンスターと【暗黒騎士】と付くモンスターの攻撃力と守備力は500ポイントずつアップする。そして手札から【暗黒騎士獣 フルバウ】を召喚する」

 

 

暗黒騎士獣(シャドウパラディンビースト) フルバウ】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/獣族/☆4/ATK 1500/DEF 1300

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】を1枚手札に加えることが出来る。その後、デッキをシャッフルする。

 

【暗黒騎士獣 フルバウ】ATK 1500→2000 DEF 1300→1800

 

俺のフィールド上に黒く輝く装甲を纏った獣が現れる。さあ、フルバウ。お前の主を呼び出してくれ。

 

「【暗黒騎士獣 フルバウ】の効果、このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】を1枚手札に加えることが出来る。そしてその後にデッキをシャッフルする、枕田、シャッフルを頼む」

「良いわ、貸しなさい」

 

枕田からデッキを受け取り、俺は次の手に移った。

 

「俺はカードを一枚伏せてターンエンドだ」

 

本導勇騎 LP 4000

 

手札

【暗闇の暗黒騎士 マクリール】

【奈落龍の誘い】

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】

 

モンスターゾーン

【暗黒騎士獣 フルバウ】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【奈落龍の咆哮】(伏せ)

 

フィールドゾーン

【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】

 

「あんなに強気だったわりには大したこと無いじゃない。私のターン、ドロー!

私は手札からフィールド魔法【ハーピィの狩場】を発動するわ!」

 

【ハーピィの狩場】

フィールド魔法

 

「ハーピィ・レディ」または「ハーピィ・レディ三姉妹」がフィールド上に召喚・特殊召喚された時、

フィールド上に存在する魔法・罠カード1枚を破壊する。

フィールド上に表側表示で存在する鳥獣族モンスターは攻撃力と守備力が200ポイントアップする。

 

 

【ハーピィの狩場】……てことは、枕田のデッキはハーピィデッキか。これはまた厄介な……

 

「そして私は手札から【ハーピィレディ1】を召喚するわ。そして【ハーピィの狩場】の効果を発動! あんたの伏せカードを破壊させてもらうわ!」

 

【ハーピィレディ1】

効果モンスター

風属性/鳥獣族/☆4/ATK 1300/DEF 1400

 

このカードのカード名は「ハーピィ・レディ」として扱う。

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、風属性モンスターの攻撃力は200ポイントアップする。

 

【奈落龍の咆哮】が破壊されたか……これは少しマズイかな。

 

「更に【ハーピィの狩場】と【ハーピィレディ1】自身の効果で【ハーピィレディ1】の攻撃力と守備力がアップするわ!」

 

【ハーピィレディ1】 ATK 1300→1800 DEF 1400→

1600

 

これならまだ何とかなるけどな……この後に何を出してくるかによっては状況が変わってくる。

 

「更に手札から【悪魔のくちづけ】を発動するわ!」

 

【悪魔のくちづけ】

装備魔法

 

(1):装備モンスターの攻撃力は200アップする。

(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、200LPを払って発動できる。

このカードをデッキの一番上に戻す。

 

【ハーピィレディ1】ATK 1800→2500

 

やっぱりフルバウを越えてきたか……!

 

「バトルよ! 【ハーピィレディ1】で【暗黒騎士獣 フルバウ】を攻撃!」

「くっ!」

 

本導勇騎 LP 4000→3500

 

「私は手札からカードを一枚伏せて、ターンエンドよ」

 

枕田ジュンコ LP 4000

 

手札

?(残り2枚)

 

モンスターゾーン

【ハーピィレディ1】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【悪魔のくちづけ】

 

フィールドゾーン

【ハーピィの狩場】

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

【暗黒騎士の集結】

 

良いカードを引いたな。これでアイツを出すことが出来る。

 

「俺は手札から通常魔法【暗黒騎士の集結】を発動する」

 

暗黒騎士(シャドウパラディン)の集結】

通常魔法(オリカ)

 

デッキの上から三枚までを確認する。その中に名前に【暗黒騎士】と付く☆4以下のモンスターがいれば一体まで特殊召喚する。それ以外のカードはデッキの一番下に置く。

 

「【暗黒騎士の集結】の効果により、デッキから三枚までを確認する」

 

確認したカード

【暗黒騎士獣 ドランバウ】

【サイクロン】

【暗黒騎士城 ドンナーシュラーク】

 

ふむ、この中だとコイツしかいないか。

 

「俺は確認した中から【暗黒騎士獣 ドランバウ】を選択し、特殊召喚する」

 

 

暗黒騎士獣(シャドウパラディンビースト) ドランバウ】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/獣族/☆4/ATK 1600/ DEF 1400

 

自分フィールド上に【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】が存在する時、このモンスターの攻撃力と守備力は500ポイントアップする。

 

さて……ドランバウには悪いが、コイツを召喚させてもらうか。

 

「そして俺は【暗黒騎士獣 ドランバウ】を生け贄に捧げて、コイツを召還する。

殲滅せよ、偉大なる先導者のもう一つの分身。我らの敵をその漆黒の剣で凪ぎ払え! 【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】!

そして【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】の効果により、攻撃力と守備力がアップする」

 

【漆黒の暗黒騎士(シャドウパラディン) ブラスター・ダーク】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/ 戦士族/☆6/ ATK 2400/ DEF 2000

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、手札を一枚墓地に送る事で、相手フィールド上のカードを一枚選択し破壊する。

 

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】ATK 2400→2900 DEF 2000→2500

 

俺のフィールド上に黒い鎧を纏った鋭い眼光の騎士が現れる。

 

「黒い、ブラスター・ブレード……?」

 

明日香からそんな声が聞こえる。

まあそう思うよな、俺も最初はそうかと思ったし。

 

「ようやくお前に出番をやれたよ、ユーノス」

『……出番なぞどうでも良い、今はあの小娘に我らの力を知らしめることが重要だ。我らの先導者よ』

「そうだな。さあお前達の力を見せつけてやろうぜ、ユーノス!」

『……承知した』

 

そう言うとユーノスは【ハーピィレディ1】の方へ顔を向けた。その瞬間、【ハーピィレディ1】が怯えたような顔になった。だが……

 

「そんなモンスターが出たところで破壊すればどうってこと無いわ!

リバースカードオープン! 【ゴッドバードアタック】!」

 

【ゴッドバードアタック】

通常罠

 

(1):自分フィールドの鳥獣族モンスター1体をリリースし、フィールドのカード2枚を対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

 

【ゴッドバードアタック】……! マズイのが出てきたな。

 

「【ハーピィレディ1】を墓地に送り、【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】と【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】を破壊するわ!」

 

【ハーピィレディ1】の姿が光に包まれ、俺のフィールドへとすごい勢いで飛んでくる。そして【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】と【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】を自身の爪で切り裂いた。それにより【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】は倒れこんだ後破壊され、【神聖都市 ユナイテッドサンクチュアリ】は建物が次々と崩れ落ちていき、そのまま破壊された。

 

「ユーノス……! くっ、俺はこれでターンエンドだ……」

 

本導勇騎 LP 3500

 

手札

【暗闇の暗黒騎士 マクリール】

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】

 

モンスターゾーン

無し

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

モンスターも伏せカードも無い、これはかなりマズイな……

 

「私のターン、ドロー! 私は【ハーピィレディ・SB 】を召喚するわ! そして【ハーピィの狩場】の効果で、【ハーピィレディ・SB】の攻撃力と守備力がアップするわ」

 

【ハーピィレディ・SB《サイバーボンテージ》】

効果モンスター

風属性/鳥獣族/☆4/ATK 1800/DEF 1300

 

このカードのカード名はルール上「ハーピィ・レディ」として扱う。

 

【ハーピィレディ・SB】ATK 1800→2000 DEF 1300→1500

 

攻撃力2000……これならまだ何とかなるけど……

 

「更に私は手札から装備魔法【守護神の矛】を発動し、【ハーピィレディ・SB】に装備するわ!」

 

【守護神の矛】

装備魔法

 

装備モンスターの攻撃力は、お互いの墓地に存在する

装備モンスターと同名のカードの数×900ポイントアップする。

 

【ハーピィレディ・SB】ATK 2000→2900

 

そんなのまで握ってたのか……!

 

「さあ、ダメージを受けなさい! 【ハーピィレディ・SB】でダイレクトアタック!」

「ぐっ……!」

 

本導勇騎 LP 3500→600

 

「やっばり大したこと無いわね。オシリスレッドごときがオベリスクブルーに楯突くことが愚かなことだと身に染みて分かったんじゃない?」

 

枕田がバカにしたように俺にそう言う。

愚か……ねぇ。俺は全くそうは思わないけどな。それにまだ勝負はついてない。こっから巻き返せば良いだけだ。

そう思った俺は枕田の方を向きこう言った。

 

「まだ勝負はついてないぜ? それなのにそんな言葉を吐いて大丈夫なのか、枕田?」

 

俺がそう言うと、枕田の顔がみるみる内に怒りに染まっていく。

 

「まだそんな減らず口を叩くとはね……なら良いわ!

あんたがそんなことを言えなくなるほどに叩きのめしてやるわ!

私はこれでターンエンド。さあやれるもんならやってみなさい!」

 

枕田ジュンコ LP 3600

 

手札

?(残り1枚)

 

モンスターゾーン

【ハーピィレディ・SB】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【守護神の矛】

 

フィールドゾーン

【ハーピィの狩場】

 

ならやってやるよ、こいつらと共に!

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカード

【暗黒騎士の集結】

 

「手札から通常魔法【暗黒騎士の集結】を発動」

 

確認したカード

【髑髏の暗黒騎士 ネヴァン】

【虚空の暗黒騎士 マスカレイド】

【暗黒騎士獣 グルルバウ】

 

なるほどな、それなら!

 

「俺は確認したカードの中から【髑髏の暗黒騎士 ネヴァン】を選択し、特殊召喚する!」

 

髑髏(どくろ)の暗黒騎士 ネヴァン】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/魔法使い族/☆4/ATK 1000/DEF 1500

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、ライフポイントを500ポイント支払うことが出来る。払った場合、デッキからカードを2枚ドローする

 

「【髑髏の暗黒騎士 ネヴァン】の効果を発動、このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、ライフポイントを500ポイント支払うことが出来る。払った場合、デッキからカードを2枚ドローする」

 

本導勇騎 LP 600→100

 

ネヴァンの持つフラスコから紫色の煙が立ち上ぼり、俺にまとわりつく。その後煙は徐々に消えていき、完全に消えた時、俺の手にはカードが2枚握られていた。

闇のゲームの時にはこの効果はあまり使いたくないな。……とりあえず気を取り直して、カードの確認をしよう。

 

ドローカード

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】

【知略の暗黒騎士 バイヴ・カー】

 

……! 来てくれたか、ユーノス!

 

「そして俺は【髑髏の暗黒騎士 ネヴァン】を生け贄に捧げて、手札からコイツを召喚する。

再び現れよ、偉大なる先導者のもう1つの分身!

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】!」

 

再び俺のフィールドに漆黒の鎧を身に纏った騎士が現れる。

 

「ユーノス、さっきはゴメン……」

『構わん。先も言ったが、我らにとって重要なことはあの娘に我らの力を知らしめることだ。そして……』

「そして?」

『我らの先導者が愚かでないことを証明する、それが我々の為すべき事だ』

「ユーノス……」

 

ユーノスにここまで言わせたんだ。この勝負、絶対に勝ってみせる!

 

「【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】の効果、このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、手札を1枚墓地に送ることで、フィールド上のカードを1枚破壊する。

俺は手札から【知略の暗黒騎士 バイヴ・カー】を墓地に送り、【守護神の矛】を破壊する!」

「……っ! 【守護神の矛】が……!」

 

【ハーピィレディ・SB】ATK 2900→2000

 

「そして【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】で【ハーピィレディ・SB】を攻撃!」

 

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】が無言で【ハーピィレディ・SB】の体を切り裂く。【ハーピィレディ・SB】は斬られた箇所を押さえながら片膝を着き、その後倒れこみそのまま破壊された。

 

「【ハーピィレディ・SB】まで……!」

 

枕田ジュンコ LP 3600→3200

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

本導勇騎 LP 100

 

手札

【暗闇の暗黒騎士 マクリール】

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】

 

モンスターゾーン

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

「負けるわけにはいかない、あんたみたいなやつに!

私のターン、ドロー! 私はモンスターを裏側守備表示で召喚してターンエンドよ」

 

枕田ジュンコ LP 3200

 

手札

?(残り1枚)

 

モンスターゾーン

?(裏側守備表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

フィールドゾーン

【ハーピィの狩場】

 

裏側守備表示……恐らくリクルーターだとは思うが、こんなところで臆するわけにはいかない。

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

【奈落龍の誘い】

 

「俺は【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】で裏側守備表示のモンスターに攻撃する!」

「破壊されたのは【ドラゴンフライ】よ! そして【ドラゴンフライ】の効果、このモンスターが戦闘によって墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下の風属性のモンスターを1体自分のフィールド上に特殊召喚出来るわ!」

 

【ドラゴンフライ】

効果モンスター

風属性/昆虫族/☆4/ATK1400/DEF 900

 

このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、自分のデッキから攻撃力1500以下の風属性モンスター1体を自分フィールド上に表側攻撃表示で特殊召喚する事ができる。

 

やっぱりリクルーターだったか。

 

「私はデッキから【ハーピィレディ1】を選択して、フィールド上に特殊召喚するわ! そして【ハーピィレディ1】自身と【ハーピィの狩場】の効果で攻撃力と守備力がアップする!」

 

【ハーピィレディ1】ATK 1300→1800 DEF 1400→

1600

 

【ハーピィの狩場】の破壊効果が魔法・罠だけなのが唯一の救いだな。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

本導勇騎 LP 100

 

手札

【暗闇の暗黒騎士 マクリール】

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】

【奈落龍の誘い】

 

モンスターゾーン

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

「私のターン、ドロー。私は【ハーピィレディ1】を生け贄に捧げて、【風帝ライザー】を召喚するわ!」

 

【風帝ライザー】

効果モンスター

風属性/鳥獣族/☆6/ATK 2400/DEF 1000

 

(1):このカードが生け贄召喚に成功した場合、

フィールドのカード1枚を対象として発動する。

そのカードを持ち主のデッキの一番上に戻す。

 

「【風帝ライザー】の効果、このカードが生け贄召喚に成功した時、フィールド上のカード1枚をそのプレイヤーのデッキの一番上に戻す。

私は【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】を選ぶわ!」

 

その声と同時に【風帝ライザー】が強力な風を作り出し、【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】へとぶつけた。【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】は自身の剣を地面へと刺し何とか堪えようとしたが、ついに力尽きた後に吹き飛ばされ、デッキの一番上に戻った。

……後で絶対に謝ろう。

俺はデッキの一番上を見ながらそう思った。

 

「そして私は手札から装備魔法【団結の力】を発動するわ」

 

【団結の力】

装備魔法

 

装備モンスターの攻撃力・守備力は、

自分フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体につき800ポイントアップする。

 

【風帝ライザー】ATK 2400→3200 DEF 1000→1800

 

「さあ、とどめよ! 【風帝ライザー】でダイレクトアタック! 」

「なら手札の【暗闇の暗黒騎士 マクリール】の効果を発動、相手モンスターの攻撃宣言時、このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする!」

 

【暗闇の暗黒騎士(シャドウパラディン) マクリール】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/戦士族/☆4/ATK 1000/DEF 2000

 

相手モンスターの攻撃宣言時に発動することが出来る。

このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする。

 

手札にあってよかった、マクリール。やっぱり守護者(センチネル)は偉大だな。

 

「手札から発動するモンスター効果……! 私はこれでターンエンドよ……」

 

枕田ジュンコ LP 3200

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

【風帝ライザー】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【団結の力】

 

フィールドゾーン

【ハーピィの狩場】

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカード

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】

 

「俺は手札から【奈落龍の誘い】を発動する」

 

【奈落龍の誘い】

通常魔法

 

自分のライフポイントを半分支払う。

支払った場合、デッキから☆6以下の【暗黒騎士】と付くモンスターを一枚特殊召喚する。

その後デッキをシャッフルする。

 

「俺はライフポイントを半分支払い、デッキから【知略の暗黒騎士 バイヴ・カー】を特殊召喚する」

 

本導勇騎 LP 100→50

 

【知略の暗黒騎士(シャドウパラディン) バイヴ・カー】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/魔法使い族/☆6/ATK 2000/DEF 2200

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキの一番上のカードを確認する。そのカードが名前に【暗黒騎士】と付く☆4以下のカードだった場合、そのモンスターを特殊召喚する。それ以外の場合はデッキの一番下に置く。

 

こうなったらコイツでどうにかするしかないな。

 

「【知略の暗黒騎士 バイヴ・カー】の効果、このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキの一番上を確認する。そのカードが名前に【暗黒騎士】と付く☆4以下のモンスターだった場合、そのモンスターを特殊召喚する」

 

確認したカード

【暗黒騎士獣 ドランバウ】

 

「確認したカードが【暗黒騎士獣 ドランバウ】だったので、俺のフィールド上に特殊召喚する」

 

これで手筈は揃った、後はコイツにご登場願うか。

 

「俺は【知略の暗黒騎士 バイヴ・カー】と【暗黒騎士獣 ドランバウ】を生け贄に捧げて、コイツを召喚する。

呪われし龍よ、出でて邪悪な力を振るえ! 【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】!」

 

【知略の暗黒騎士 バイヴ・カー】と【暗黒騎士獣 ドランバウ】の2体の周りに渦が現れ、2体がその中へと消えていく。そして突然その渦が真っ二つに引き裂かれ、その中から邪悪なオーラを纏った黒龍が現れた。

 

暗黒騎士龍(シャドウパラディンドラゴン) ファントム・ブラスター】

効果モンスター(オリカ)

闇属性/ドラゴン族/☆8/ATK 3500/DEF 3000

 

このモンスターは特殊召喚する事が出来ない。

このモンスターの攻撃宣言時、自分フィールド上のモンスターを二体まで選択し、墓地に送る。墓地に送った場合、ターン終了時までこのモンスターの攻撃力は墓地に送ったモンスターの数×500ポイントアップし、このモンスターが守備表示のモンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフにダメージを与える。

 

『我の力を欲するか、先導者(マイ・ヴァンガード)よ』

「ああ。俺に力を貸してくれるか、シング」

『……良かろう、この呪われし力、存分に振るうとしよう!』

 

シングはそう言うと、手に持っていた武器を一振りした。

頼りにしてるぞ、シング。

 

「さて、バトルといくか。【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】で【風帝ライザー】を攻撃!」

 

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】が【風帝ライザー】に近づき、何も言わずにただ武器を1振りし【風帝ライザー】を切り裂いた。

 

「くっ!」

 

枕田ジュンコ LP 3200→2900

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

本導勇騎 LP 50

 

手札

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】

 

モンスターゾーン

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

無し

 

後は枕田の引きとその後の俺の引き次第か。

 

「……私のターン、ドロー。私はカードを一枚伏せてターンエンドよ」

 

枕田ジュンコ LP 2900

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

無し

 

魔法・罠ゾーン

?(伏せカード)

 

伏せカード……おそらくミラーフォースとかだろうな。

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

【奈落龍の誘い】

 

……ふむ、今これを引いたか。

 

「俺は手札から通常魔法【奈落龍の誘い】を発動する。ライフポイントを半分支払い、デッキから【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】を特殊召喚する」

 

本導勇騎 LP 50→25

 

俺のフィールド上に3度漆黒の鎧を身に纏った騎士が現れる。

 

『さて、終幕といこう、先導者(マイ・ヴァンガード)よ』

「そうだな。

【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】の召喚時効果により、手札の【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】を墓地に送り、枕田の伏せカードを破壊する」

「そ、そんな……」

 

枕田の顔が驚愕の色に染まる。

 

「いくぞ、枕田。【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】と【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】でダイレクトアタック!」

 

【暗黒騎士龍 ファントム・ブラスター】と【漆黒の暗黒騎士 ブラスター・ダーク】が枕田に攻撃をしたと同時にデュエルディスクからデュエルの終了を告げるブザーが鳴り響いた。




政実「第5話の前編、いかがでしたでしょうか」
勇騎「さて、まずはやることがあるな」
政実「うん……全てのシャドウパラディン使いの皆さん、並びに全てのハーピィデッキ使いの皆さん、この度は本当に申し訳ありませんでした。これからはこのような事が無いように努めていきますので、これからもこの作品を読んでいただけたらと思っております。本当に申し訳ありませんでした」
勇騎「さて、謝罪もすんだところで。再構成版の内容は作者的にどう思う?」
政実「前よりはまだマシだけど正直プレイングはまだ杜撰だし、本当に自分はまだまだ勉強不足だと思ってる」
勇騎「まあそうだな。それについては書いていく間にどうにかするとしよう。さて、次回の更新予定は?
政実「出来る限り1~2週間くらいで……」
勇騎「了解。さて、そろそろ締めてくか」
政実「うん」
政実・勇騎「それではまた次回」


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第5話 囚われた翔! 戦場を駆ける闇の騎士と片眼の龍 《後編》

政実「どうもお久しぶりです、片倉政実です」
勇騎「どうも、本導勇騎です」
政実「前回から間が空いてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
勇騎「大体3ヶ月くらいだからな。理由は他のとこでも言ってるのと同じく、リアル生活が忙しかったからだっけ?」
政実「うん、今はだいぶ落ち着いてはいるんだけどね」
勇騎「ん、了解。そして今回は雨竜のデュエル回だな」
政実「そう、ただデュエル内容に全く自信が無いけどね……」
勇騎「まあそれらに関しては後書きで話すことにするか。さて、そろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・勇騎「それでは第5話の後編をどうぞ」


デュエル終了のブザーが鳴り響いた後、勇騎が俺達の方へと戻ってきた。

 

「ただいま。まずは1勝してきたぜ」

「ああ、お疲れ様」

「お疲れ様、勇騎! 良いデュエルだったぜ!」

「ん、サンキュ。次は恐らく浜口が相手だろうから……雨竜、頼んでも良いか?」

「ああ、承知した」

 

俺は返事をしながらデッキを取り出し、その中から数枚のカードを抜き出した。

……今日はコイツらの手を借りるとするか。特に理由があるわけではないが、その方が良いような気がするからな。

そう考えながらカードをデッキに戻し、俺は勇騎と十代の方に体を向ける。

 

「それでは行ってくる」

「おう。頑張れよ、雨竜」

「俺達がしっかりと応援してるから、安心してくれて良いぜ! 雨竜!」

「頑張って下さいッス! 雨竜君!」

 

勇騎達の声を背に、俺は勇騎が乗っていたボートに乗った。そして勇騎の予測通り、浜口がもう1隻のボートに乗る。

 

「あら……貴方が私のお相手ですのね、毛利雨竜さん」

「ああ、その通りだ」

「明日香さんから貴方の事は聞いております。先程の本導勇騎さん同様、見たことの無いカードを使ってくると」

「見たことの無いカード……まあそうだろうな」

 

確かに彼ら―【戦国】カテゴリーの仲間達は、本来ならばこの世界には存在し得ないカード達だからな。

 

「だからと言って私は恐れたりはいたしません。見たことの無いカードだとしても、私が負けるなんて事はあり得ませんもの」

「ほう……言ってくれるじゃないか……」

 

浜口の言葉に俺の中の闘志が沸き立つ。

元々このデュエルに負ける気は無かったが、尚更負ける事は出来なくなったな。

 

「俺の仲間達に勝てるというのなら……やってみせろ、浜口!」

「ええ、もちろんですわ!」

 

俺達はデュエルディスクにデッキをセットし、そのままデュエルディスクを構えた。

さぁ、見せてやる。数多の戦を越えてきた英雄達の力を!

 

「デュエル!」 「デュエル」

 

 

 

 

毛利雨竜 LP 4000

VS

浜口ももえ LP 4000

 

 

 

先行は……俺のようだな。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札

【戦国の足軽部隊】

【戦国の騎馬部隊】

【戦国の忍者部隊】

【妖封じの矢】

【武勇の絆】

 

ドローカード

 

【楽市楽座】

 

ほう、【楽市楽座】が初手で来たか。

 

「俺は手札から永続魔法【楽市楽座】を発動する。【楽市楽座】の効果、手札からカードを選択し、それらを墓地に送る。そしてその枚数だけデッキからカードを引く」

「手札からカードを墓地に送り、それと同じだけカードをドローする効果……つまりは墓地肥やしをしながら、別のカードを引き寄せる事が出来るということですね?」

「そういうことだ。俺は手札からカードを3枚墓地に送り、デッキからカードを3枚ドローする」

 

【楽市楽座】

永続魔法(オリカ)

 

この効果は1ターンに1度のみ使用できる。

手札からカードを選択し、墓地に送る。その後その枚数だけデッキからカードを引く。

 

墓地に送ったカード

【戦国の足軽部隊】

【戦国の騎馬部隊】

【戦国の忍者部隊】

 

ドローカード

【決戦の大地 関ヶ原】

【戦国の義勇将軍 長政】

【盗賊の七つ道具】

 

ふっ、早速来てくれたか、長政。

そう思いながら俺は【戦国の義勇将軍 長政】のカードに手を掛けた。

 

「さぁ、行くぞ!

自分の墓地に【戦国】と付くモンスターが3体以上存在する時、このモンスターは生け贄無しで召喚出来る。

義に生き、義を胸に抱きて戦場を駆けた猛将よ。守るべき者のため、今ここに立ち上がれ!

俺は手札から【戦国の義勇将軍 長政】を攻撃表示で召喚する!」

 

【戦国の義勇将軍(ぎゆうしょうぐん) 長政(ながまさ)

効果モンスター(オリカ)

地属性/戦士族/☆6/ATK 2300/DEF 2500

 

自分の墓地に名前に【戦国】とつくモンスターが三体以上存在する時、このモンスターは生け贄無しで召喚できる。

このモンスターが攻撃対象に選択された時、このモンスターは守備表示になり、守備力が500ポイントアップする。

 

 

俺のフィールド上に黒い甲冑に身を包んだ武将が現れる。

 

『どうやら私の出番のようだね、雨竜』

「ああ。共に勝利を勝ち取るぞ、長政!」

『もちろんだ!』

 

そう言いながら長政が腰に差した刀を抜く。

これで守りは万全だが、更にこのカードも出しておくか。

 

「俺は手札からフィールド魔法【決戦の大地 関ヶ原】を発動する。【決戦の大地 関ヶ原】の効果、フィールド上に存在する名前に【戦国】と付くモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする。そしてこのカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーはバトルフェイズに1体のモンスターしか攻撃が出来ず、このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーが受ける戦闘ダメージは倍になる」

 

【決戦の大地 関ヶ原】

フィールド魔法(オリカ)

 

名前に【戦国】と付くモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする。

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーはバトルフェイズにモンスター1体でしか攻撃できない。

このカードがフィールド上に存在する限り、お互いのプレイヤーが受ける戦闘ダメージは倍になる。

 

【戦国の義勇将軍 長政】ATK 2300→2800 DEF 2500→3000

 

「あら、中々盛りだくさんなカードですのね」

 

【決戦の大地 関ヶ原】の説明を聞き、浜口が落ち着いた声でそう言う。

ふむ……浜口が落ち着いているのが少々気になるな……何が来ても良いようにこの2枚を伏せておくか。

 

「俺は手札からカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

 

毛利雨竜 LP4000

 

手札

【武勇の絆】

 

モンスターゾーン

【戦国の義勇将軍 長政】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【妖封じの矢】(伏せ)

【盗賊の七つ道具】(伏せ)

 

フィールドゾーン

【決戦の大地 関ヶ原】

 

 

「私のターン、ドロー」

 

カードをドローした浜口が俺に話し掛けてくる。

 

「雨竜さん、私が貴方のカード達を見ても焦ったりしないのが気になりますか?」

「まあ……な」

「それならその理由を教えて差し上げますわ。

私は手札から永続魔法【黒蛇病】を発動します。このカードの効果はご存知ですか?」

「……一応はな」

 

浜口に返事をしつつ、俺は【黒蛇病】の効果を思い出した。

 

【黒蛇病】

永続魔法

 

自分のスタンバイフェイズ毎にお互いのライフに200ポイントダメージを与える。

2ターン目以後自分のスタンバイフェイズ毎にダメージは倍になる。

 

【黒蛇病】は発動したターン以降の自分のスタンバイフェイズ毎に、お互いのライフに200ポイントのダメージを与え、更に自分のスタンバイフェイズが来る度にそのダメージが倍になるカード……

これだけ聞けば双方に害のあるカードというだけだ。だが……

 

「それならば説明は要りませんね、そして私は【デス・ウォンバット】を召喚しますわ」

 

【デス・ウォンバット】

効果モンスター

地属性/獣族/☆3/ATK 1600/DEF 300

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

コントローラーへのカードの効果によるダメージを0にする。

 

くっ、やはり出てきたか。【黒蛇病】のデメリットを0にするカードが。

 

「【デス・ウォンバット】の効果、 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、コントローラーへのカードの効果によるダメージを0にする。

分かっているとは思いますが、これにより【黒蛇病】のダメージを受けるのは雨竜さん、貴方だけになりますわ」

「そうなるな」

 

浜口の言葉に俺はそう返した。

さて……この状況をどう打開していったものか……

 

「更に手札から通常魔法【光の護封剣】を発動致します。

このカードによって、 相手フィールド上に存在するモンスターを全て表側表示になり、このカードは発動後、相手のターンで数えて3ターンの間フィールド上に残り続けますわ。更にこのカードがフィールド上に存在する限り、相手フィールド上に存在するモンスターは攻撃宣言をする事が出来ません。

そして手札から通常魔法【マジック・ガードナー】を発動します。

【マジック・ガードナー】の効果、 自分のフィールド上に表側表示で存在する魔法カード1枚を選択し、カウンターを1個乗せる。選択したカードが破壊される場合、代わりにカウンターを1個取り除く。 私は【黒蛇病】を選択します」

 

【光の護封剣】

通常魔法

 

このカードは発動後、フィールドに残り続け、相手ターンで数えて3ターン後の相手エンドフェイズに破壊される。

(1):このカードの発動時の効果処理として、相手フィールドに裏側表示モンスターが存在する場合、

そのモンスターを全て表側表示にする。

(2):このカードが魔法&罠ゾーンに存在する限り、相手モンスターは攻撃宣言できない。

 

【マジック・ガードナー】

通常魔法

 

自分フィールド上に表側表示で存在する魔法カード1枚を選択して発動する。

選択したカードにカウンターを1つ置く。

選択したカードが破壊される場合、代わりにそのカウンターを1つ取り除く。

 

浜口が1度動きを止め、俺の方を向くと、

 

「さあ、雨竜さん。貴方はこの状況を乗り越えられますか??」

 

浜口は微笑みながら落ち着いた声でそう訊いてくる。

乗り越えられるか、か……正直なところ、まだ方法は思い付いてはいない。だが、

 

「浜口」

「はい、何でしょう?」

「乗り越えられるか、じゃない。俺はこの状況を乗り越え、その上でお前を倒す。それだけだ」

 

俺は浜口にそう言い放った。

というものの、今のところこれはあくまでも強がりに過ぎない。だが言ってしまったからには有言実行しなくてはな。

 

「ふふっ、それでは楽しみにさせていただきますわ。私は手札から2枚を伏せてターンエンドです」

 

 

浜口ももえ LP 4000

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

【デス・ウォンバット】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【黒蛇病】(カウンター1)

【光の護封剣】

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカード

【合戦の狼煙】

 

「俺は手札から通常魔法【合戦の狼煙】を発動する」

 

【合戦の狼煙】

通常魔法(オリカ)

 

デッキから攻撃力1500以下の名前に【戦国】と付くモンスターを1体選択し特殊召喚する。

その後、デッキをシャッフルする。

 

「【合戦の狼煙】の効果、デッキから攻撃力が1500以下の名前に【戦国】と付くモンスターを1体選択し、そのモンスターを特殊召喚する。そしてその後、デッキをシャッフルする。

俺はデッキから【戦国の侍竜姫 愛姫】を特殊召喚する。浜口、デッキのシャッフルを頼む」

「ええ、分かりましたわ」

 

戦国の侍竜姫(じりゅうひめ) 愛姫(めごひめ)

効果モンスター(オリカ)

光属性/戦士族/☆4/ATK 1200/DEF 1600

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【戦国の子竜 梵天丸】または【戦国の独眼将軍 政宗】を1枚手札に加える事が出来る。加えた場合、デッキをシャッフルする。

 

浜口からデッキを受け取り、俺は次の手に移った。

 

「【決戦の大地 関ヶ原】の効果で【戦国の侍竜姫 愛姫】の攻撃力と守備力が500ポイントずつアップする」

 

【戦国の侍竜姫 愛姫】ATK1200→1700 DEF1600→2100

 

「そして【戦国の侍竜姫 愛姫】の効果、 このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキから【戦国の子竜 梵天丸】または【戦国の独眼将軍 政宗】を1枚手札に加える事が出来る。加えた場合、デッキをシャッフルする。

俺はデッキから【戦国の独眼将軍 政宗】を1枚手札に加える。浜口、何度もすまないが、デッキのシャッフルを頼む」

「構いませんわ。それにしても……」

「どうした?」

「いえ、シャッフルをする機会が多いデッキなのだと思いまして」

「それについては否定しない」

 

浜口からデッキを受け取りながら俺はそう言う。

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

 

毛利雨竜 LP 4000 (光の護封剣 残り2ターン)

 

手札

【武勇の絆】

【戦国の独眼将軍 政宗】

 

モンスターゾーン

【戦国の義勇将軍 長政】(表側攻撃表示)

【戦国の侍竜姫 愛姫 】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【妖封じの矢】(伏せ)

【盗賊の七つ道具】(伏せ)

 

フィールドゾーン

【決戦の大地 関ヶ原】

 

 

「私のターン、ドロー。

そして『黒蛇病』の効果で、貴方には200ポイントのダメージを受けて頂きます」

「……ああ」

 

毛利雨竜 LP 4000→3800

 

まだ200ポイントではあるが、このまま長引かせるのは得策では無い。早々にどうにかしないとな……

 

「私は手札からモンスターを1体、裏側守備表示で召喚します。更に【デス・ウォンバット】を守備表示に変更します。そして伏せカードオープン、永続罠【グラヴィティ・バインド―超重力の網―】。このカードがフィールド上にある間、フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃する事が出来なくなります。」

 

【グラヴィティ・バインド―超重力の網―】

永続罠

 

フィールド上のレベル4以上のモンスターは攻撃できない。

 

「更に守りを固めてきたということか」

「ええ、その通りですわ。私はこれでターンエンドです」

 

 

浜口ももえ LP 4000

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

【デス・ウォンバット】(表側守備表示)

?(裏側守備表示)

 

魔法・罠ゾーン

【黒蛇病】(カウンター1)

【グラヴィティ・バインド―超重力の網―】

【光の護封剣】

 

 

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード

【兵糧補給】

 

【兵糧補給】……このタイミングで来てくれるとはな。

 

「俺は手札から通常魔法【兵糧補給】を発動する。このカードにより俺は自分の手札が5枚になるようにドロー出来る。俺の手札は2枚、よって俺は3枚ドローする」

 

兵糧補給(ひょうろうほきゅう)

通常魔法(オリカ)

 

自分の手札が5枚になるようにデッキからカードをドローする。

 

ドローカード

・【名刀・黒ん坊切景秀】

・【名刀・燭台切光忠】

・【大嵐】

 

この2枚に加えて【大嵐】まで来たか。これならば何とかなるかもしれないな。となると……そろそろコイツを出しておくか。

俺はそう思いながら手札のあるカードを手に取った。

 

「俺は【戦国の義将軍 長政】と【戦国の侍竜姫 愛姫】の2体を生贄に捧げてコイツを攻撃表示で召喚する。

奥州の地を統べた隻眼の竜よ、その勇ましき姿にて戦場を駆け、数多の敵を打ち破れ!

【戦国の独眼将軍 政宗】!」

 

【戦国の独眼将軍 政宗】

効果モンスター(オリカ)

風属性/戦士族/☆8/ATK 2800/DEF 2500

 

このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、デッキの上から5枚までを確認する。その中に名前に【戦国】と付くモンスターがいた時、2体まで手札に加える事が出来る。その後、デッキをシャッフルする。

このモンスターが戦闘によって破壊された時、デッキから名前に【戦国】と付く☆4以下のモンスターを1体特殊召喚する。その後、デッキをシャッフルする。

自分フィールド上に【戦国の侍竜姫 愛姫】または【戦国の侍竜智将 景綱】または【戦国の侍竜勇将 成実】がいる時、このモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントアップする。

 

俺がそう言った瞬間に、フィールド上にいた【戦国の義将軍 長政】と【戦国の侍竜姫 愛姫】の周りに渦が現れた。そして2体が渦の中に消えると、渦が1つに合わさった。そして渦が消えていくと同時に、その中から三日月の装飾を施した兜を被り、黒の甲冑を身に纏った武将が姿を現した。その武将はお互いのフィールド上を一目見ると、俺にこう訊いた。

 

『……雨竜よ、まだ儂の出る幕では無い様に見えるが?』

「今は確かにそうだが、直にその時が来る。だから少しだけ待っていてくれ」

『……承知した』

「すまないな、政宗」

『構わんさ、雨竜よ。だがその時には我らの力を存分に見せつけてやるとしよう』

「ああ、もちろんだ。」

 

俺は政宗にそう言い、再び浜口達の方へと顔を向けた。

 

「【決戦の大地 関ヶ原】の効果で【戦国の独眼将軍 政宗】の攻撃力と守備力は500ポイントずつアップする」

 

【戦国の独眼将軍 政宗】ATK2800→3300 DEF2500→

3000

 

「そして【戦国の独眼将軍 政実】の効果を発動する。このモンスターが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、山札の上から5枚を確認する。そしてその中に名前に【戦国】と付くモンスターがいた時、2枚まで手札に加えることが出来る」

 

確認したカード

【戦国の足軽部隊 】

【サイクロン】

【戦国の騎馬部隊】

【戦国の鉄砲部隊】

【戦士の生還】

 

ふむ……あまり良いとは言えない結果だな。だがせっかくだ、これとこれを手札に加えておくか。

 

「俺は確認したカードの中から【戦国の足軽部隊】と【戦国の騎馬部隊】を手札に加える。浜口、デッキのシャッフルを頼む」

「分かりましたわ」

 

 

 

「俺はこれでターンエンドだ」

 

毛利雨竜 LP 3800 (光の護封剣 残り1ターン)

 

手札

【戦国の足軽部隊】

【戦国の騎馬部隊】

【武勇の絆】

【名刀・黒ん坊切景秀 】

【名刀・燭台切光忠】

【大嵐】

 

モンスターゾーン

【戦国の独眼将軍 政宗】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【妖封じの矢】(伏せ)

【盗賊の七つ道具】(伏せ)

 

フィールドゾーン

【決戦の大地 関ヶ原】

 

 

「私のターン、ドロー。『黒蛇病』の効果で雨竜さんには400ポイントのダメージを受けて頂きます」

「……」

 

毛利雨竜 LP 3800→3400

 

「私は手札からモンスターを1体裏側守備表示で召喚します。そしてさっき裏側守備表示で召喚していたモンスターを反転召喚します。反転召喚したのは『デス・コアラ』、よって効果を発動し、雨竜さんには2400ポイントのダメージを受けて頂きます!」

「くっ……!」

 

毛利雨竜 LP 3400→1000

 

【デス・コアラ】

効果モンスター

 

闇属性/獣族/☆3/ATK1100/DEF 1800

リバース:相手の手札1枚につき400ポイントダメージを相手ライフに与える。

 

「私はモンスターを1体裏側守備表示で召喚し、ターンエンドです」

 

浜口ももえ LP 4000

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

【デス・ウォンバット】(表側守備表示)

【デス・コアラ 】(表側守備表示)

魔法・罠ゾーン

【黒蛇病】(カウンター1)

【グラヴィティ・バインド―超重力の網―】

【光の護封剣】

「俺のターン、ドロー」

 

ドローカード 【戦国の薬師】

 

【戦国の薬師】……今の状況では中々ありがたいな。

 

「俺は手札から【戦国の薬師】を攻撃表示で召喚し、ターンエンドだ。そして【光の護封剣】の発動から3ターンが経過したため、【光の護封剣】の効果は消滅する」

 

【戦国の薬師(くすし)

効果モンスター(オリカ)

水属性/戦士族/☆4/ATK 1200/DEF 1600

 

このモンスターを生け贄素材としてモンスターを召喚した時、このカードのコントローラーのライフポイントを1000ポイント回復する。

 

【戦国の薬師】 ATK 1200→1700 DEF 1600→2100

 

これで攻撃が出来るようにはなった、だが【黒蛇病】のダメージなどを考えると、俺に残されたターンはわずか1ターン……次の俺のターンで確実に決着を付けなくてはな。

 

 

毛利雨竜 LP 1000

 

手札

【戦国の足軽部隊】

【戦国の騎馬部隊】

【武勇の絆】

【名刀・黒ん坊切景秀】

【名刀・燭台切光忠】

【大嵐】

 

モンスターゾーン

【戦国の独眼将軍 政宗】(表側攻撃表示)

【戦国の薬師】(表側攻撃表示)

 

魔法・罠ゾーン

【妖封じの矢】

【盗賊の七つ道具】

 

フィールドゾーン

【決戦の大地 関ヶ原】

 

 

「私のターン、ドロー。【黒蛇病】の効果で雨竜さんには800ポイントのダメージを受けていただきます」

「……」

 

毛利雨竜 LP 1000→200

 

「そして前のターンに裏側守備表示で召喚していたモンスターを反転召喚します。反転召喚するのは【尾も白い黒猫】です」

 

【尾も白い黒猫】

効果モンスター

地属性/獣族/☆2/ATK 800/DEF 500

 

リバース:相手フィールド上のモンスター2体と

自分フィールド上モンスター1枚を持ち主の手札に戻す。

 

【尾も白い黒猫】……! 今の状況でソイツはマズい…!

 

「この子も【デス・コアラ】同様、リバース効果を持つモンスターですので、効果を発動します。【尾も白い黒猫】の効果、相手フィールド上のモンスター2体と自分フィールド上のモンスター1体を持ち主の手札に戻す。よって私は【尾も白い黒猫】を手札に戻し、雨竜さんには【戦国の独眼将軍 政宗】と裏側守備表示のモンスターの計2体を手札に戻して頂きます!」

「生憎だがそれを通すわけにはいかない! 伏せカードオープン! カウンター罠【妖封じの矢】! 」

 

【妖封じの矢】

カウンター罠(オリカ)

 

このカードは相手モンスターが効果を発動した時、発動できる。

その効果の発動を無効にし、そのモンスターの攻撃力と守備力を500ポイントダウンする。

 

俺のフィールド上に弓兵が1人現れ、【尾も白い黒猫】目がけて矢を放つ。そして矢が【尾も白い黒猫】に当たると、【尾も白い黒猫】は少し苦しそうにしながらその場に座り込んだ。

 

「【妖封じの矢】の効果、このカードは相手モンスターが効果を発動した時、発動出来る。その効果の発動を無効にし、モンスターの攻撃力と守備力を500ポイントダウンする。

よって【尾も白い黒猫】の効果は無効となり、更に攻撃力と守備力を500ポイントダウンさせてもらう」

「【尾も白い黒猫】の効果を躱されてしまいましたか……それでは私は何もせずにターンエンドです」

 

浜口ももえ LP 4000

 

手札

無し

 

モンスターゾーン

【デス・ウォンバット】(表側守備表示)

【デス・コアラ 】(表側守備表示)

【尾も白い黒猫】(表側守備表示)

 

魔法・罠ゾーン

【黒蛇病】(カウンター1)

【グラヴィティ・バインド―超重力の網―】

 

 

「俺のターン、ドロー!」

 

ドローカード 【戦国の侍竜智将 景綱】

 

【戦国の侍竜智将 景綱】……か。政宗もいることだ、ここはコイツにも力を借りることにしよう。

 

「俺はフィールド上の【戦国の薬師】を生け贄に捧げ、コイツを召喚する。

片眼の竜に仕え続けた智勇の将よ、その智で汝の主を勝利へと導け!

【戦国の侍竜智将 景綱】!

そして【決戦の大地 関ヶ原】の効果で、【戦国の侍竜智将 景綱】の攻撃力と守備力を500ポイントアップする」

 

【戦国の侍竜智将 景綱】(せんごくのじりゅうちしょう かげつな)

効果モンスター(オリカ)

地属性/戦士族/☆6/ATK 2400/DEF 2000

 

自分フィールド上に【戦国の独眼将軍 政宗】または【戦国の侍竜勇将 成実】が存在する時、このモンスターの攻撃力と守備力は500ポイントアップする。

 

【戦国の侍竜智将 景綱】ATK 2400→2900

DEF 2000→2500

 

【戦国の薬師】の周りに渦が現れると同時に薬師が持つ器から緑色の霧が発生し、俺を包み込む。そして霧が消え、渦も消えていくとそこには政宗同様黒の甲冑に身を包んだ男性の姿があった。男性はすぐに政宗の元へと歩き、片膝を突くと恭しく言った。

 

『政宗様。片倉小十郎景綱、ただいま参上いたしました』

『ふっ、ようやく来てくれたか、景綱よ。お前が来てくれて儂らは嬉しいぞ? のう、雨竜』

「ああ、もちろんだ。

……政宗、景綱。この戦、絶対に勝つぞ!」

『ああ。この戦に勝ち、あの小娘に儂らの力を見せつけてやるとしよう! さあ、いざ出陣だ! 景綱! 』

『承知しました、政宗様!』

 

2人が浜口の方を見据えたのを確認し、俺はターンを続けた。

 

「浜口、このターンで勝負を決めさせてもらうぞ!

【戦国の薬師】の効果、このモンスターが生け贄素材になった時、このモンスターのコントローラーのライフポイントを1000ポイント回復する。更に【戦国の侍竜智将 景綱】がいることで、【戦国の独眼将軍 政宗】の攻撃力と守備力が500ポイントアップする。それと同様に【戦国の独眼将軍 政宗】がいることで、【戦国の侍竜智将 景綱】の攻撃力と守備力が500ポイントアップする」

 

毛利雨竜 LP 200→1200

 

【戦国の独眼将軍 政宗】ATK 3300→3800 DEF 3000→3500

 

【戦国の侍竜智将 景綱】ATK 2900→3400 DEF2500→3000

 

「そして俺は手札から通常魔法【大嵐】を発動する!」

 

【大嵐】

通常魔法

 

フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。

 

「【大嵐】……私の守りをまとめて崩すつもりのようですが、それは通しません。伏せカードオープン、カウンター罠【アヌビスの裁き】。このカードの効果で【大嵐】の発動と効果を無効にし、更に【戦国の独眼将軍 政宗】を破壊します。そして雨竜さん、貴方にはその攻撃力分のダメージを受けて頂きます!」

 

【アヌビスの裁き】

カウンター罠

 

手札を1枚捨てる。

相手がコントロールする「フィールド上の魔法・罠カードを破壊する」効果を持つ魔法カードの発動と効果を無効にし破壊する。

その後、相手フィールド上の表側表示モンスター1体を破壊し、そのモンスターの攻撃力分のダメージを相手プレイヤーに与える事ができる。

 

「やはりそう来るか。ならばそれにチェーンし……伏せカードオープン! 【盗賊の七つ道具】!俺はライフポイントを1000払うことで、浜口の発動した【アヌビスの裁き】の発動を無効にし破壊する! 」

 

【盗賊の七つ道具】

カウンター罠

 

(1):罠カードが発動した時、1000LPを払って発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

毛利雨竜 LP 1200→200

 

「【アヌビスの裁き】が破壊された事で、【大嵐】の効果が発動される。これによりフィールド上の魔法・罠カードは全て破壊される!」

 

俺がそう言った瞬間に、フィールド上に嵐が発生し、全ての魔法・罠カードを破壊していく。だが、

 

「私は【マジック・ガードナー】の効果で置かれたカウンターを取り除く事で、【黒蛇病】を破壊から守ります」

 

【黒蛇病】のカードの周りに透明な壁が現れ、【大嵐】から【黒蛇病】を守っていた。そして嵐が止んだ時、【黒蛇病】だけが浜口の魔法・罠ゾーンに残っていた。

 

「私の守りを崩したのはお見事でした。ですが……このターンで勝負を決めることは不可能ですわ!」

「いや……このターンで終わらさせてもらう! 俺は手札から装備魔法【名刀・燭台切光忠】を発動する。」

 

【名刀・燭台切光忠(しょくだいきりみつただ)

装備魔法(オリカ)

 

このカードは【戦国の独眼将軍 政宗】にのみ装備出来る。

このカードを装備したモンスターの攻撃力を1000ポイントアップする。

装備モンスターが守備表示のモンスターを攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフにダメージを与える。

 

「【名刀・燭台切光忠】の効果、このカードは【戦国の独眼将軍 政宗】にのみ装備出来る。このカードを装備したモンスターの攻撃力を1000ポイントアップし、装備したモンスターが守備表示のモンスターに攻撃した時、その守備力を攻撃力が越えていれば、その数値だけ相手ライフにダメージを与える。

これにより【戦国の独眼将軍 政宗】の攻撃力は4800となる!」

 

【戦国の独眼将軍 政宗】ATK 3800→4800

 

「攻撃力4800の上に貫通効果ですか……ふふ、どうやら私の負けのようですわね」

 

そう言うと浜口は静かに目を閉じた。それを見た俺は【戦国の独眼将軍 政宗】に目配せをした。【戦国の独眼将軍 政宗】は俺の目配せに1度頷いた後、静かに刀を抜き【デス・ウォンバット】の姿を見据えた。

 

「【戦国の独眼将軍 政宗】で【デス・ウォンバット】を攻撃!」

 

【戦国の独眼将軍 政宗】は瞬時に【デス・ウォンバット】の所まで移動すると、その体を真っ二つに切り裂いた。そして切り裂かれた【デス・ウォンバット】が破壊されると、それによって発生した衝撃波が浜口を襲った。

 

「……」

 

浜口ももえ LP 4000→0

 

浜口のライフポイントが0になったと同時に、デュエルディスクからデュエル終了を告げるブザーが鳴り響いた。

 

 

 

 

「浜口、大丈夫だったか?」

 

デュエルが終了すると同時に俺は浜口にそう声を掛けた。すると浜口は微笑みながら俺にこう返した。

 

「ええ、少し衝撃が強かったくらいで、後は何ともありませんわ」

「そうか、それなら良いんだ」

 

浜口の言葉を聞き、俺は胸を撫で下ろした。

【決戦の大地 関ヶ原】の効果で戦闘ダメージが倍になっていたから心配になったが、この様子なら大丈夫そうだな。

俺がそう思っていると、浜口はクスクスと笑いながらこう言った。

 

「そう心配をなさらなくても大丈夫ですよ。デュエリストたるもの、このくらいは覚悟しておくべきだと、私は常に思っておりますから」

「そうか」

「ええ。さて、そろそろお互いの戻るべき場所に戻ることに致しましょうか」

「それもそうだな。まだ十代と明日香のデュエルが控えていることだしな」

「その通りです。では……」

 

そう言うと浜口は明日香達のところへと戻っていった。 さて……俺も行くとするか。

そう思いながら俺も勇騎達のところへと戻った。

 

 

 

 

「ただいま戻った」

「ああ、お疲れさま、雨竜」

「お疲れさま、雨竜! 雨竜も良いデュエルだったぜ!」

 

勇騎達のところに戻ると、勇騎はいつも通りの様子で、十代は興奮した様子で声を掛けてきた。

 

「2人ともありがとうな。さて……最後は十代だな」

「おう! 翔のためにも絶対に勝ってやるぜ!」

「それも大切だけど、いつものお前らしくデュエルを楽しむことも忘れずにな」

「へへっ、分かってるさ!」

 

勇騎の言葉に十代は笑顔でそう返す。そして俺達がそう話していると、

 

「十代、デュエルを始めるから早く来なさい」

 

声のした方を見ると、明日香がボートに乗った状態でこちらの方を見ていた。

 

「ああ、今行く!

よっし、それじゃあ行ってくるぜ!」

「ああ、頑張れよ」

「油断せずにしっかりとな」

「おう!」

 

そう言いながら十代はボートに乗り、先ほどまで俺達がいた位置に着いた。そしてそれから程なくして十代と明日香のデュエルが幕を開けた。

 

 

 

 

「これで終わりだ! ボルティック・サンダー!」

「きゃあああ!」

 

十代の【E・HERO サンダー・ジャイアント】の攻撃が決まり、十代達のデュエルディスクからデュエル終了を告げるブザーが鳴り響く。

 

「ふぅ……これで俺達の全勝だな」

 

十代達の方を見ながら、ホッとしたような表情で勇騎がそう呟く。

ふむ……勇騎にしては珍しいな。

 

「勇騎、何か不安な事でもあったのか?」

「え? 何でだ?」

「今お前がホッとした表情を浮かべていたのでな」

「ああ、なるほどな。うーん、たぶんそれは十代が最後まで楽しんでデュエルをしていたからだと思う」

「ほう?」

「十代のデュエルが始まる前に、俺が十代に楽しんでデュエルをすることを忘れるなって言っただろ?」

「確かに言っていたな」

「アイツの事だから本当はそんな事を言う必要は無かったんだけどさ。たぶん心の隅でちょっとだけ心配してたんだと思うんだよ。アイツが翔の為に勝つことだけに集中して、楽しんでデュエルを出来ないかもしれないってさ。でも結果的にアイツは最後まで楽しんでデュエルをしていた、だから俺は無意識の内にホッとした顔になってたんだろうな」

「ふっ、なるほどな」

 

俺達がそんな事を話していると、

 

「おーい、勇騎-! 雨竜-! 早くこっち来いよ-!」

 

声のする方を見ると、十代が手を降りながら大声で俺達の事を呼んでいた。そしてそのそばに未だに縛られている翔と明日香達も立っていた。

 

「そんな大声を出す必要も無いだろうに……まあ、良いか。よし、行くか、雨竜」

「ああ」

 

そう言い俺達は十代達のところへと向かった。

 

 

 

 

俺達が十代達のところへ着くと、十代が待ち侘びた様子でこう言った。

 

「おっ、勇騎達やっと来たな」

「やっとって程でも無い気はするけど……まあ、良いか」

 

そう言うと勇騎は1度翔の事を見てから明日香にこう言った。

 

「明日香、約束通り翔は返してもらうぞ?」

「ええ、もちろん良いわよ」

「よし。雨竜、十代、翔のロープ解くのを手伝ってくれ」

「了解した」 「おう!」

 

俺と十代はそう返事を返し、勇騎と一緒に翔のロープを解き始めた。

 

「アニキ、勇騎君、雨竜君、本当にありがとう!」

 

ロープが解けると翔はすぐに俺達にお礼を言った。

 

「別に良いよ、翔。友達を助けるのは当然のことだからさ」

「まあこれに懲りて、これからは今回みたいなことは慎んでくれよ?」

「うん……そうするよ。今回みたいな目に遭うのはもうこりごりだから」

 

翔は本当に反省した様子で俺達にそう言う。

この様子なら本当に大丈夫そうだな。

俺が翔を見ながらそう思っていると、十代が明日香達にこう言った。

 

「翔も返してもらったことだし、そろそろ俺達はレッド寮に戻るぜ」

「ええ、それが良いと思うわ。見回りのガードマンに見つかるとお互いに厄介だもの」

 

そう言うと明日香達はブルー寮の方へと体を向けた。

 

「それじゃあね、皆」

「ふん! 本導勇騎、今度はやる時は絶対に負けないわよ!」

「ふふ。それでは雨竜さん、ごきげんよう」

 

そう言いながら明日香達はブルー寮へと歩いて行った。そしてそれを見届けると、十代が欠伸をしながらこう言った。

 

「ふあぁ……さて、俺達も帰ろうぜ」

「そうだな。このままここにいても何も無いどころか、ガードマンに見つかる危険性もあるしな」

「だな。よし、皆撤収だ!」

「了解」

「了解した」

「了解ッス!」

 

そして俺達は来た時同様にボートを漕ぎ、レッド寮に向けて出発した。




政実「第5話の後編、いかがでしたでしょうか」
勇騎「今回はデュエルもストーリーも雨竜視点だったな」
政実「他のところでも同じような事をやってるから、こっちでもやってみようと思ってね」
勇騎「なるほどな。さて、デュエル内容に触れてくか。今回の相手のデッキはロックバーンだったな」
政実「うん……一応どんな感じなのかとかは調べつつ書いてはいるけど、正直自信が無いよ……」
勇騎「まあ前回のもそうだけど、実際に使ったこと無いからな。そしてこれに関しては色んなサイトとか調べて勉強していくしか無いな」
政実「うん。ただ他のとかリアル生活の合間を見ながらにはなっちゃうけどね」
勇騎「まあそれに関してはしょうがないな。さてと、今度は次回について触れていくか」
政実「次回はオリジナル回になる予定だよ。更新日は……まだ未定だけどね」
勇騎「了解した。さて、そろそろ締めてくか」
政実「うん」
政実・勇騎「それではまた次回」


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