奴は僕/俺が育てた! (海帝ーガイゼル)
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「第1話、俺だって準最強クラスのヴィラン!」
僕はこうなりたいんだーー!!
って頑張るのは凄いと思います。
ハーメルンさんでももっとヒロアカ増えて欲しいと思って書き始めました。
生まれた時と言っても覚えているのは5歳位だろうか、その頃から分かっていた。
自分は他人とは違う特別なのだという事が。
僕は地方の人口が3000人位の小さな村に生まれた。
コンビニも無く小さな酒屋と飲み屋が何軒かしか無い、山が多くてイノシシやシカが割とそこら辺にいるような処だ。
そんな田舎町にあっても特に山奥にあった僕の家、周りには爺さんと婆さんしかおらず学校に行くには車で30分、歩いて2時間ちょい掛かるリアルな山奥だ。
両親が忙しかったため小4位から歩いて下校していた僕にとっては、周りの子供たちが遊んでいる中ひたすら歩いて帰るのがそれなりに苦痛であり当然寂しくもあった。
たびたび道草を食っては婆ちゃんに心配をかけたりもしたが、それもしょうがないと言えばしょうがない。
うちの周りには一緒に遊んでくれるような子供がいなかった。
だからしょうがないんだ。友達がいなくても・・・。
幸いな事に、と言うべきなのかは分からないが僕は学校の成績は良かった。
少子化が進みクラスに20人位しか生徒がいないと言うのに、僕は一体何と戦っているのだろうか。
毎日毎日走って登下校しては家に帰っては勉強。
そして10時には就寝。
特に何もしていないのに腹筋は綺麗に割れ、この前のテストの偏差値は76だった。
・・・僕は一体何と戦っているのだろうか。
僕は将来、実家の家業を継ぐつもりだ。
ここ10年くらいで軌道に乗った我が家の会社は、地元に根付いたプランで独占状態。
もう下手に戦わないほうが良いんだ、と言う感じに上手くいっている。
中学3年、今年受験を控えた年になってもどうやら将来安泰っぽいと世の企業戦士の方に怒られそうなことを考えている自分がどうにも不思議に思えた。
現実感が無い。
今生きてますって感じがしない。
そんなに頑張っても無いのになんかできてしまう。
強いて言えば友人は出来ないがそれもまあ、こんなもんかと思えてしまう。
ーーだから、もういいよね・・・。
泥に呑まれ薄れて行く意識の中で、僕はリセットボタンを押すってこんな感じかなと最後に思った。
◇ ◇ ◇
・・・畜生。
「キリはある。何故って?」
・・・畜生が!
「私が来た!!」
まさか・・・あんな奴が来てるなんて。
「TEXAS・・・
平和の象徴。国民的ヒーロー・・・
・・・SMASH!!」
オールマイト。
俺はドロだ。
泥ドロ、ヘドロ。
社会の汚いものを便所の水で煮詰めたようなきったねえ泥だ。
親も知らんドロだ。
生まれてすぐに個性が発現していた俺は、親に捨てられゴミ捨て場でゴミを飲み込む只の泥だった。
マズいゴミ、不味いゴミ、痛いゴミ、旨いゴミ。
来る日も来る日もゴミを啜る俺にとっての天恵。
人間は旨かった。
運よくゴミ捨て場に寝ていた酔っぱらい、口から耳から目から入り込み溶かし、何時もの様に啜ろうとした俺にとっての幸福。
目が開くと言うのだろうか、翅のなかった生き物が翅を与えられたような、イヤそれ以上の変化だろう。
酔っぱらいの意識と脳、躰を乗っ取った俺は知った。
俺はニンゲンと言う生物で、俺のドロは〈個性〉なのだと。
この日、俺は生まれたのだ。
俺はドロだ。ドロ泥、ヘドロ。
身体によくない悪い泥だ。
俺の個性は〈ドロ〉。
何処からでも入り、浸み込み染めて行く。
打撃は無効、熱には有毒なガスを生み、氷結系は苦手。
強力な〈個性〉を持ったボディを乗り換えながら生きてきた。
ほんの少しだけ有毒な我が「ドロ」によって、並の躰ではすぐにボロボロになる。
そんな俺の悩みを解決してくれるのが〈ヒーロー〉だった。
〈個性〉はピンキリではあるが、奴らは皆一様に強靭な肉体を持っている。
調達も騒ぎを起こせばすぐにやって来るため、非常に楽だ。
氷結系の〈個性〉にさえ注意すれば俺に負けは無い。
この日もそう思っていた。
あのバケモノに会うまでは・・・。
「TEXAS・・・SMASH!!」
四散するドロ泥、ヘドロ。
そして薄れて行く俺の意識。
泥を固めて作った目っぽい器官が2リットル位のペットボトルに詰められて行くのが何となくわかる。
地面には詰め切らなかったであろう、泥が飛び散ってはいるが、そこに俺はいない。
最大で一軒家くらいまで巨大化した事もある俺自身でも知らなかった事だが、どうやら俺は泥を固めた器官に意志が宿るのであろう、しっかり固めた筈の歯には俺がいないのが分かるのは不思議ではあるが、そういう事なのだろう。
ドロと一緒に溶けてしまった俺の意識が覚醒したのは、案外早かった。
そう気づいたのは取り敢えず近くにいた一番強力そうな〈個性〉の旨そうな〈ボディ〉を取り込んでからだ。
存外に強力な〈個性〉。
これからオールマイト相手に逃走しなければならないのだが、これならワンチャンあるか?
思わずドロ泥にも熱が入るが、ドロの中の冷静な俺が直ぐに否定してくる。
爆炎系の〈個性〉は強力だが派手で目立つ。
現にBOOOM、BOOOM抵抗されるため人が集まり、目立つ目立つ。
それに加えてペットボトルから急激に体積を増やしたために、今の俺は鈍いドロ。
戦隊ヒーローにやられた再生巨大怪人が妙にどん臭くなる典型のようなドロ泥だ。
鈍くなったドロ泥でこの状況ヤベえーってかこの餓鬼しぶてえーと考えながら逃げる準備をする。
それにしてもオールマイトは何時になったら来るのだろう。
がおーー。ヘドロ怪獣だーー。
取り込んだ餓鬼の乗っ取りは中途半端にしか進まず、周りをヒーローや野次馬に囲まれながら徒に町を破壊する姿はまさにそんな感じだった。
依然としてオールマイトは来ない。
乗っ取りはもうすぐで上手くいきそうではあるが、周りのヒーローたちを爆砕していったところでオールマイトが来れば勝てないだろう。
中途半端に逃走すればSMASHされて今度こそやられてしまう。
オールマイトの影にびくびくしながらもヘドロ怪獣を続けていると、餓鬼が突っ込んできた。
〈個性〉のカオリのしない〈無個性〉の餓鬼。
「かっちゃん!!」
邪魔だ、目障り、何をしに来た。
「なんでって・・・わかんないけど!!!」
「君が 救けを求める顔してた」
邪魔を・・・来たかオールマイト!
「プロは・・・
ドロを固めろ、早く!速く!
いつだってぇーー命懸け!!!!!!」
間に合え!!
「DETROITーーSMASH!!」
「も~~なんであたしが、こんな後始末みたいなこと・・・」
〈個性〉は巨大化、コイツは無理だ。
いや、それ以前に俺が薄い・・・意識が弱い。
「くっさ!何よコレ?」
しかし、オールマイトの攻撃で雨が降ってくれたのは幸いだった。
天候をも変える一撃〈DETROIT SMASH〉。
そのおかげで水分が獲れ、意識が戻るのが早まった。
「もう~~。ホント最悪。」
オールマイトの一撃、それに合わせて俺は固めてあった俺を飛ばし逃がした。
残された俺はオールマイトの攻撃を受け四散、相当量の俺を残しておいたから何日かピクピク生きているだろう。
じわじわと自分が死んで逝くのは相当クルものがあるが最強ヒーローから逃げるためにはしょうがなかった。
「きゃああああああああああああーーー!!!」
とにかく・・・今はここから離れて・・・新しい〈ボディ〉を・・・。
見つけた、見つけたぞお!
増強型の新しい〈ボディ〉、うまそうだああああ!!
数日前に散々な目にあった餓鬼共と同じくらいの餓鬼。
少し薄暗い路地に通りがかったのを見てすかさず襲ってみると予想通りの〈個性〉の強さ。
歓喜の余り泥の表面が泡立つのを感じた。
ベチャベチャとドロを叩きながら抵抗を続ける〈ボディ〉の両の腕が力なく落ちると、泥の体に力が満ち溢れて来る。
素晴らしい!この力が有れば奴に報復できる!
俺は急激に泥の中で俺がより濃く、より強くなっていくのを感じた。
力、力。力こそがパワー。
しかし急激なパワーアップのせいだろうか段々と意識が・・・っく!
コイツの〈個性〉は何だ?・・・意識が・・・うぅ。
ベチャベチャと〈ボディ〉の周りを覆っていた泥が落ち、いや口や鼻に吸い込まれていく。
馬鹿な・・・こいつの〈個性〉は増強型のはず!
糞っ・・・喰われ・・・。
・・・そうして俺の意識は消えて行った。
指が痛い。
たった3000字ちょいで指が痛い。
ブラインドタッチ?って奴が出来るようになりたいです。
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