逃げる?違います。明日への前進です。 (吹雪型)
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プロローグ

今はアカメが斬る!が自分の中で流行ってます。


目が覚めたら………辺り一面白い場所に居た。

 

「いや、ここ何処よ?」

 

「目が覚めたかね?稀に見ぬフツメンよ」

 

誰が稀に見ぬフツメンじゃ!何気にレアっぽいし!と思いながら後ろを振り返ると杖持って白くて長い髭の爺さんが居た。

 

「爺さん誰?そして此処は何処?」

 

「ワシはお前さん達で言うと神じゃよ。此処は生と死の狭間じゃよ。まぁワシがお前さんを此処に連れて来たんじゃがな」

 

「何でこんな所に?てか、神様て………病院一緒に行こうか?」

 

「いや、ワシボケてないから。まぁ今回君を此処に連れて来た理由じゃがな、君は本来まだ死ぬ予定では無い人間だったのじゃよ。だから君を転生させる事にした訳じゃ。間違えで死なれると色々面倒じゃから、ぶっちゃけ辻褄合わせじゃ」

 

ぶっちゃけて………適当過ぎる。てか、俺なんで死んだっけ?

 

「ストーカーから可愛い女の子庇ってナイフで腹刺されてのショック死じゃよ。まったく、彼処で生き残ればあの可愛い女の子と色々出来たのにの〜。残念じゃの〜」

 

「な、なんだってー!」(血涙)

 

「しかも本当に死んだ理由が、ワシが間違えでお主の書類シュレッダーにかけちゃったんだ(テヘペロ」

 

「な、なんだってー!」(憤怒)

 

「まぁまぁ落ち着け。悪いと思ってちゃんと転生させるでの。その転生装置がこれじゃ!」

 

ババーン!という効果音と共に出てきたのはルーレットである。……もう一度いう、ルーレットである。

 

「て、ルーレットかよ!……まぁ死んでしまったのは仕方無い。内容はどうなっている?」

 

・コープスパーティー

・バイオハザード

・北斗の拳

・ブルージェンダー

・地球防衛軍

・マブラヴオルタ

・アカメが斬る!

 

…………………え?生き残る自信無いんすけど。てか、最後の奴は知らないし……でも枠大きいから死亡率高そう(小並感)

 

そして何より…………圧倒的ラブコメ要素が無ーい!どうすんだよこれ!今すぐ逃げたい!

 

「お主の目は節穴かね?良く見たまえ。枠は小さいが、ラブコメ要素もあるぞい」

 

え?と思いながら良く見たらありました。

 

・いちご100%

・To LOVEる

 

あ、あれは………俺の青春時代を共に過ごしたバイブル。

 

「神様、1つ聞きたい。良いかな?」

 

「なんじゃい?言ってごらん?」

 

「ラブコメ関係に当たったら、ラッキースケベ下さい(真顔)」

 

この選択に後悔は無い(キッパリ)

 

「お、おう。分かったのじゃ」

(なんじゃ今のプレッシャーは……此奴出来る!)

 

それじゃあスイッチオン。ポチッとな!

 

「ちょ!ワシが言うのも何だけど躊躇は無いのかね?」

 

「人生の中で勝負所はある。ならば、今この時この瞬間が俺の勝負所だ」

 

ザワ……ザワ……

 

そして当たった所は………アカメが斬る!でした♡

 

「ち、畜生!」(号泣)

 

さらば俺の青春……さらば俺のバイブル達よ……

 

「ま、まぁ何じゃ、チートやるから元気だせ」

 

「え?マジで」

 

「……立ち直り早いのお主」

 

「と言うか、アカメが斬る!とは何ですか?」

 

「まぁ中世の和洋中が混ざった様な世界じゃな。ただ、危険種という化け物や帝具や臣具といった超兵器がある。更に政治関係は腐敗しておるから重税や汚職、賄賂てんこ盛りじゃよ。後は銃とかもあるかの〜」

 

中々ハードな場所やね。

 

「まぁMS出せとかは無理じゃがな」

 

そうだな。あまり無理言うのも何だしな。

 

「じゃあ、自分の時間流を加速させる加速装置もどきと、弾出せる能力下さい。因みに両方とも成長有りで」

 

「………それぽっちで良いの?」

 

「あんまり無茶言うのも大人気無いし」

 

「うーむ。まぁ良かろう」

(しかし、少ないの〜。仕方無い、将軍級の器と年上キラーやるわい。これで恋愛関係は問題無かろう)

 

「じゃあ行くかな?あー、でもなー、もう少しだけ「ポチッとな」へ?」

 

パカ←足元が消えた音

浮遊時間0.2秒

 

「あああああああぁぁぁぁぁぁぁ━━━━━━━━━━━━ 」

 

「達者での〜」

 

こうして俺はアカメが斬る!の世界に行く事になりました。



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今の現状

アカメが斬る!の世界に転生して早5年経ちました。え?幼少時代?授乳プレイとか赤ちゃんプレイを言えとな?嫌です。これらは全て俺が墓まで持って行きます。異論は認めません!

 

「シュウー、ご飯よ」

 

「はーい」

 

母親がご飯作ってくれたので居間に行く事に。因みにシュウは自分の名前になります。

 

「何だシュウ。お前さんまた悪さでもしようとしたのか?ん?」

 

と意地悪く言うのは親父である。

 

「いやいや、僕良い子だから。ボクワルイコチガウ」

 

「まったく、棒読みになってるぞ」

 

「まあまあ、あなた落ち着いて。もうご飯ですから」

 

「それもそうだな」

 

「「「頂きます」」」

 

ご飯食べながらで申し訳ないが、今の自分の状況を説明しよう。自分がいる場所は小さい村。村は北側に位置する場所でコダ村と言う。今は雪は積もっては無いが冬になると結構積もる為春から秋に食料を集めなくてはならない。又税も納めないといけない為中々厳しい。森深くには三〜二級の危険種が居る為子供は基本家の手伝いをするか、森の浅い場所での食料調達である。まぁ子供なので遊ぶんだけどな。

後一応銃はあるが子供は触れない。親父はボルトアクション式のライフル持ってる。弾の種類も前世と余り変わりは無い感じである。

ただ、銃は数が少なく整備も面倒な為もっぱら弓やボウガン、槍に剣が主流である。

 

ついでに能力についても説明しよう。ます加速装置もどき。これはカッコ良くアクセルブーストと呼ぼう。最初使った時0歳ぐらいだったかな?世界が1/2のスピードになったよ。ただ、5秒持たずに気絶した。脳に負荷が掛かるから仕方無い感じかな?まぁ直ぐに寝れるから良く使って気絶してたよ。お陰様で1/2では平気になった。

で、今は1/3の世界を修業中である。この状態で筋トレとかすると筋肉がヤバイ。でもって頭の中がガンガンする。しかし、恩恵は凄まじい。同世代と比べてると普通に圧勝である。能力使うと無敵である。だって攻撃が見えるんだよ?まぁその世界について行く為に筋トレしてる状態でもある。身体がついて行かないと意味無いからね。

弾を出す能力についてだが、これは1つ進化しました。弾だけじゃなく、まぁ玉も出せる様になりました。パチンコ玉は勿論の事、飴玉も出せました。確かに玉と弾発音は同じだけどさ。取り敢えず良しとしました。いやー、しかし飴玉は嬉しかったな。コーラ味とかソーダ味とか出せるし。それに村に甘味なんて無いからさ。勿論代償はある。自分のカロリー消費である。なのでご飯食べたら一個か二個は出して食べるのが細やかな幸せである。

 

「ご馳走様。じゃあ外で食料調達してくるよ」

 

「森の深くまでは行くんじゃないぞ」

 

「気をつけて行ってらっしゃい」

 

「はーい。行ってきまーす」

 

さて、彼奴らと取引しに行くかな。

 

 

 

 

「よう。待ってたぜ」「へへへ、待ちくたびれたぜ」「バレる前に早く入れよ」

 

俺か向かったのは森の少し深い所である。其処には今日の取引相手がもう居た。

 

「なんだ、もう来てたのか。早いな」

 

「そんな事はどうでも良いさ。今日はオレ達の番だからな!気合い入れて持って来たぜ!」

 

そう言うのは3つ年上のタケシ君8歳。

 

「今日は奮発して干し肉やパンを持って来たんだぜ!ついでに今日のお昼ご飯のオニギリ6つ!」

 

それなりの量の食料が俺の前に置かれた。しかし、干し肉か。

 

「干し肉か。親にはちゃんと言っただろうな。勝手に持って来たやつじゃ無いよな?」

 

「勿論!オレ達はキチンと家の手伝いやって貰ったんだ!なぁお前ら!」

 

うんうんと頷く残り二人。

 

「まぁ嘘ついて無いなら良いけどさ。こっちに面倒な事が来たら二度と甘味食べれないからな」

 

「分かってるって!だから早くくれよ!因みに俺はオレンジ味!」「マスカット!」「イチゴ!」

 

そう、此処は飴玉取引場所である。因みに他の子供達も知ってる。あくまで子供達だけである。何故なら子供達も甘味は欲しいから。大人にバラしたら全員貰えなくなる為、皆黙ってます。又、勝手に保存食の持ち込みも禁止である。

 

こんな感じに能力向上させる為にほぼ毎日やってます。雨の強い日や雪の多い日は諦めて貰うしか無いが。

 

まぁこんな感じで平和な村人ライフを送ってます。

 

 

それから更に2年たったある日、俺にとって人生の分岐点に当たる日が来てしまうのである



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戦いの準備

その日は朝から濃い雲が立ち込めていた。空気も湿気っていた為いつ雨が降るか分からない状態だった。

 

「父さん遅いね。如何したんだろう?」

 

「そうね。今日も狩りに行くと言ってたから。はぁ、税がこんなにも多いから無理しなくちゃいけ無いと言ったけど。心配だわ」

 

確かに心配だ。悪い事が起きなければ良いんだけど。

 

ドンドンドン

 

「あ!帰ってきたわ。今開けるわ!」

 

だが、何時も親父はノックと同時に声も出していた。しかし今回は声は聞こえ無い。

 

「あなた、おかえ……えっと、タカノリさん?あの人は?」

 

タカノリさんの他3人が居た。皆狩り仲間だ。

 

「奥さん、良く聞いて欲しい。旦那さんは…………一級危険種、土竜に殺された」

 

「…………え?」

 

ピシャッ!ゴロゴロ!

 

遂に雨が降り始めた。そして母親が崩れ落ちた。

 

「嘘よ。そんなの嘘よ!あの人が死ぬなんて!何かの間違いよ!………探すわ。今から探しに行か無いと」

 

「奥さん!聞いてくれ!俺だって言いたくは無いよ!だけどな、あいつはオレ達を逃がす為に囮になったんだ。そして家族を頼むと言われた!だから!だから!……クソッ!」

 

皆嗚咽を漏らす中俺は………心の中が熱くなっていた。頭の中は冷静である。

 

「タカノリさん、その銃は……父さんの?」

 

「あぁ、シュウ君のお父さんの銃だよ。お父さんは土竜の目に弾を当てたんだ。凄い名手な人なんだよ」

 

そう涙ながらに言いいながら俺に銃を渡してくれた。7.62mm弾を使用するボルトアクション式。7歳の子供であれば撃てもし無いしもつのも精一杯だろう。だが、体力が無駄に付いてる自分には問題無かった。

 

それから狩り仲間の人達は帰って行った。暫くの間俺達の家族の税は払ってくれるらしい。それが父親に対する償いだと考えて。

 

 

 

朝一、俺は準備をしていた。先ず敵を知る事から始めなければならない。父親は土竜に食い殺された。なら、俺が土竜を殺す。それが父親に対する敵討ちだ。

母親はまだ部屋に引きこもってる。なら、そうなった元凶を潰すまでだ。

 

父親の部屋に入ると銃の整備道具や危険種についての本があった。その全てを覚える。土竜だけじゃ無い他の危険種も気を付けないといけないから。

 

先ずは銃の整備、そして危険種について。やる事やったら首洗って待ってろよ?土竜。

 

 

 

 

 

父親が死んで半年以上が過ぎた。母親はようやく立ち直っては来た。だが、やはり無理はしている感じだ。

俺も親父の狩り仲間にお願いして近接戦闘の訓練を受けていた。まぁ関節部分を狙うとか逃げるコツとか。特別な訓練は特に無かった。ただ、射撃の練習は為になった。

 

俺はアクセルブースト、そして弾の生成。この2つが自分の最大の長所である。土竜は強い。並の攻撃は意味は無い。なら、関節部分もしくは脆い部分を狙うしか無い。

地の利は向こう、防御力、耐性も勝ち目なし。だが、此方は知性と理性がある。絡め手で仕留めるしか無い。

 

1ヶ月前に商隊が来た。その時サブマシンガンが売っていた。見た目はMP28対人用だが弾をバラ撒くには適してる。何より片手でも撃てる。だから迷わず購入した。手持ちのお金?7.62mmを大量生成して物々交換です。

 

 

 

 

日が出る前、俺は父親の写真の前で手を合わせる。土竜を狩る。父親の銃、MP28(名称不明な為)、マチェット、煙幕玉5個、閃光玉5個、火打石、水筒、そして手榴弾5個。まだ子どもの身体だ。だが、やるしか無い。やらなければ村に土竜が来るかも知れない。これ以上好き勝手させるか!

 

俺はそっと立ち上がり小声で

「行ってきます」

 

と言った。



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敵討ち

森の中を歩く。舗装されてない道無き道を通るのは体力を使う。だが、無駄に体力がついてる自分には問題無い。ただ、何処から危険種が出てくるか分からない。集中力も必要だ。

 

想像していたより森は暗く、そして厳しい所だ。そして最初の自然の洗礼を受ける事になる。

 

「「「「「「グルルルルル」」」」」」

 

「狼タイプの危険種か」

 

気が付けば10匹ぐらいに囲まれていた。全然気が付かなかった。これが、狩り。これが、戦い。これが、弱肉強食に生きてる連中。右手MK28を構え、左手にマチェット。手に力が入る。背中を襲われない様に木を後ろにする。

 

しかし連中はまだ襲って来ない。何故?考えろ。俺の今のポジションを。周りは敵、茂みは丁度少ない場所。背後は木。………じゃあ、上は?

 

上を見ると1匹居た。俺は躊躇無く撃った。

 

ダダダダダダダダダッ

 

銃声を皮切りに周りの危険種も一斉に襲って来た。

 

「セカンドブースト!」

 

周りが1/2の世界になる。ゆっくり、確実に射撃する。そして身体を捻って避けると同時にマチェットで切り裂く。この時骨に当てない様に気をつける。抜けなくなるとか洒落になら無い。

 

撃つ、叩きつける、リロードする。長い様な短い戦い。

 

「この野郎!」

 

ザシュッ プシャ ドサッ

 

最後のやつだろうか。周りは静かだ。ただ、俺の荒い息だけが残って響いていた。

 

 

それからキノコ型やウサギ、はたまた昆虫や木、岩などの危険種と戦闘する事1週間ぐらいたっただろうか。奴が居た。

 

「間違いない、土竜だ。しかも左目が潰れてる。しかし………何だ、デカイな」

 

いやー、敵討ちしたいが……出来るかな?だって大きいよ?装甲厚そうだし。良くて関節部分ぐらいか?

それで此方の最大火力は手榴弾、次にボルトアクション。無理ゲーじゃね?

 

「だからと言って今更引き下がるのもアレだよな〜」

 

此処まで来たらやるしか無い。まぁ、無理なら逃げよう!そうしよう!よし、行くぞ!

 

 

 

 

 

土竜は現在お食事中だ。ならその背中が見える位置に陣取る事にする。先ずライフルで狙撃して気を惹きつける。で、近づいて来たら閃光玉4つを一気に投げつける。ついでに煙幕玉も投げつける。動きが止まったらトリプルブースト使って一気に接近。そして土竜の口の中に手榴弾5個プレゼント!後は全力で逃げる!良し!完璧なプランだ!

 

 

 

狙撃位置に到着。

 

「ステンバーイ………ステンバーイ………GO!」

 

ダンッ ガチャン ダンッ ガチャン ダンッ ガチャン

 

土竜に当たり此方を向く。しかしそのまま射撃続行。

土竜が接近。ハッキリ言おう。怖い、逃げたい、でも、逃げれ無い。なら、やるしか無い。

 

閃光玉を投げつける。身を隠し待つ。そして、辺りが明るくなる。

「キシャアアアァァァァァ!!!!」

 

土竜の悲鳴が聞こえる。奴が口を開けてる。今しか無い!煙幕玉を使うのは止めて一気に接近する。

 

「トリプルブースト!」

 

全力疾走。手榴弾5個以外の武器を放棄して身を軽くする。一気に接近する。全身の筋肉を極限まで使う。奴は気付いてない。いや、気付いてるかも知れない。何故なら奴の腕がこちらに降り下がる。しかし最小限で避ける。そして腕を伝い一気に登る。奴の口はまだ空いてる。

 

「受け取れやあああぁぁぁぁぁ!!!」

 

手榴弾5個を口に投げつける。2つ外し、3つ入った。後は全力で走る!

 

 

 

 

そして………

 

 

ドガアアアアアアアァァァァァン!!!!!

 

 

土竜の喉近くで爆発した。中で爆発したから首が吹っ飛んだ。

それを見届けて俺は一気に気が抜けて意識が落ちた。ただ、ただ、満足感は十二分にあった事は間違いなかった、

 



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帰還。そして旅立ち

「う………ん……………んあ?知らない天井だ」

 

いや、実際は空が広がっているんだけどね。

えーと、確かトリプルブースト使って一気に接近して手榴弾ぶち込んで………そうだ!土竜はどうなった!

 

ガバッと起き上がり周りを見渡すと有りました。土竜の死体がありました。血がまだ垂れてるからそんなに長時間気絶した訳では無いみたいだ。

 

「やったんだ……俺。信じられねぇ。けど、やったんだな」

 

今はとても晴れやかな気分だ。復讐からは何も生まれないと言うが、自分にとっては前に進む為に必要な事だったのかな。

 

「さーて、土竜の牙でも持って帰るかな!早くしないと血の匂いで他の危険種が寄って来るだろうし」

 

手早く、スピーディーにそして無駄無く迅速に牙を取る為に土竜の死体に向かった。

 

 

 

 

 

………2時間後

 

 

「よし!土竜の牙取ったどー!」

 

え?時間が掛かりすぎ?仕方ないじゃ無いか!マチェット刃こぼれしてるし、何気に土竜の牙の根元とか硬いし。どないせっちゅーねん。ワイはまだ7歳や!いや、もう直ぐ8歳やけどな!せやけどなぁ………以下略

 

 

 

 

さて、気を取り直して帰りますか。と、言っても夜まで待った方が良い。星座で大体の場所は分かるはずだ。

それにしても、実戦で初めてトリプルブースト使ってみたが特に問題無いようだ。今は平気だけど、後から筋肉痛とかなるかな?頭痛も特にしなかったから多分トリプルブーストの短時間使用は大丈夫かな。後はこれを長時間使用出来る様にしないとなぁ。

 

俺は夜になるまでゆっくり休む事にした。

 

 

 

しかし、この復讐劇が自分の中の考えを大きく変える出来事の序章でしか無かった。

 

 

 

「さて、帰ろうか。武器よし!リュックよし!土竜の牙よし!」

 

帰ったら先ず土竜は倒したぞー!て皆んなに自慢してやろう。きっとスゲ〜て褒めてくれるだろうな!そしてお姉さん方々からモテモテになっちゃうだろうなぁ〜。いや〜参ったな〜照れちまうぜ〜///

あれか?俺もリア充の仲間入りかな?かな?悪いな読者諸君!私は勝ち組に入らせて頂きまーす!

 

 

この時俺は呑気に考えていた。父親の敵討ち。これしか目に入ってなかった。他の事に目が向いてなかった。もっと周りを見ていれば良かったと後悔する事しか出来なかった。

 

 

「そろそろ村に着くな。温かいご飯が待ち遠しいね。いやー、しかし、やっぱり母ちゃんには怒られるかな?怒られるよな〜。何だか家に帰りたく無いよ」

 

 

帰りたくても、もう帰れない。それが、現実だった。

 

 

 

 

 

村が焼け落ちていた。最初目に映った光景を上手く理解出来なかった。何があった?悪い冗談?こんな事ってあるの?見た現実を受け入れられなかった。

俺は走った。トリプルブースト使って家まで走った。信じられない。家路の周りは焼け落ちた後。タケシ君の家も、近所のお姉さんの家も、そして………俺の……家も。

 

「…………………………………………何だこれ?」

 

これが現実だ。冷静な自分が言う。信じられるか!家出た時は皆いたじゃ無いか!

だが、これが全てだ。冷静な自分が再度言う。そして、俺は………現実を………受け入れた。

 

 

何にやられたのか調べてみた。すると知らない死体が数体あった。格好からして盗賊と思われる。今度は村の敵討ちか?母親の敵討ちか?頭の中がグルグルして………そして。

 

 

「………アホくさ」

 

こんな言葉が出た。人も危険種も大した違いは無い。弱肉強食。森の中で学んだ事。そして、今のこの現状。結局辺境の村の出来事だ。誰も相手なんかしない。

 

「此処に居ても仕方ないか」

 

そう自分に言い聞かせて俺は歩き出した。取り敢えず近くの村に行く事にする。其処で休もう。

 

歩く、歩く、歩く。ただ、生き残る為に歩く。

 

 

村の門を出た時、ふと思った。そう言えばあのセリフ言ってなかったな。

 

「ここはコダ村です」

 

そう言って再度歩き出した。



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取り敢えずダイジェスト

あの日から8年が経った。行く当ても無く、頼る当ても無い状態がある意味良かったのだろうか、悲しむ前に生き残る事を優先して生きてきた。そして、何気に旅人になって楽しんでいた。

 

まぁ取り敢えずこの8年間の事を簡単に話そう。

 

8歳の時

近くの村に行ったがコダ村状態だった為、食料とお金を確保。そのまま更に北へ向かう。

北方要塞に着いた為其処で暫く居つく。そして土竜の牙を売り払い暫くの路銀にする。そこで槍の道場があった為見学する事にした(無断でな)。勿論トリプルブースト使用しての見学だ。次いでに槍を買う事にした。そして思い出しならが槍を振るう。

しかし、師範の人に見つかり説教を受ける。だが負けない。

 

更に繰り返す事15回、遂に見学許可された。粘り勝ちである。トリプルブースト使って筋肉の動き、バランス、型、きっちり覚える。

 

そこにヌマ・セイカという北方要塞の王子が来た。王族とかびっくり!何でもこの道場のもと師範だとか何とか。槍を持てば全戦全勝だとか。1人づつ対戦して指導していった。俺?見学だけだしね。しかし、声を掛けられる。

 

「君はやらないのかな?」

 

「お金払ってないので見学だけです」

 

と返事した。が、ついでだから手合わせしようと言われたので了承。

 

トリプルブースト使うも結果惨敗。しかし、素質があると言われ連行される。それから1年半みっちりしごかれる。

 

10歳の時

何とか北方要塞から脱出し東の方へ行く。取り敢えず海があるので釣りがしたい。

 

道中盗賊や危険種が出たが問題無かった。寧ろヌマさんと愉快な仲間達(家来の方々)の方がヤバい。

港に着いたので釣りしてたら近くで剣の稽古してた。それも見学してみた。

しかし即行でばれたが、「まとめて面倒見てやるから来い!」と言われたので行きました。

 

ブースト無しでの手合わせをした。しかし結果惨敗。特にパワー負けが半端ない。まぁ子供だから仕方ないか?後ブースト頼りがヤバい。

 

12歳の時

南の方へ向った。道中はやはり盗賊と危険種と出会った。治安悪過ぎ。

 

そして何か戦闘民族と出会った。やたらテンション高かった為俺も同じくテンション高くしてみた。

………何故か仲間入りした。

 

しかし、ここの人達の戦い方はヤバい。色々野生的で攻撃的、更に疾い動きで見失う。特に赤い奴がヤバい。いつも「ミジュク!ミジュク!クハハハ!」と小馬鹿にする。いつか締める。

 

13歳の時

帝国に反旗をだすと言い出した。いや、最初から出てたがだいぶ大きくなって来た。

こんな少ない戦力じゃあ無理だと言ったが、地の利は我々に有る!と言って聞かない。そもそも防戦がメインなら消耗するだけだ。

取り敢えず死にたくないので、西に行くと伝えた。特に引き止めはなかったが、見送りもなかった。そりゃそうだよなぁと内心溜息つきながら移動してたら頭に衝撃が走った。

 

「ククククッ。ミジュク!ミジュク!」

 

まさかヘンターさんからの見送りがあった。更に、

 

「オマエ、マダヨワイ。チカラナイ。ダカラスピードヲイカセ。コレヤル」

 

そう言ってククリナイフを2本くれた。べ、別に嬉しくなんて無いんだからね!しかもアドバイスまでくれるとか…。ちょっとだけ泣いた。

 

何気に他の人も見送りに来てくれてた。だから俺は、

 

「ありがとうございました!!!さようなら!!!」

 

感謝の気持ちともう二度と会えないだろうと思う気持ちを大声に出した。鼻声になってたが仕方ない。

正直悔しい、死に行く連中を止めれない無力が情け無い。でも、それでも、生き残って欲しいと神様に祈るのは自由の筈だ。

 

悲しさと悔しさを吹き飛ばしたくてフォーブースト使って西に向った(アクセルブーストは修行継続してます)

 

そして14歳の時、革命軍に所属する1人のお姉さんに出会う事になる。

 



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西の国と50口径と飴

14歳の時

 

今俺は西の国の門に居る。この国に入る道中相変わらず盗賊と危険種にこんにちはして来たが、珍しく危険種の亜種に出会った。

元は一級危険種のサソリ型の奴だったのだが、進化したのか分からないが途轍もなく硬い装甲で身を包んでいた。しかし、間接部分は特に変化無かったのでスピードを活かして敵を翻弄しつつククリナイフで切断して達磨状態にした。

まぁ、今回は其奴の装甲を何とか引っぺがして背負いつつの入国しようとしてるのだが…………重いです。はい。

 

北→東→南と行ってようやく西の国に来た。

この国はどうやら錬金術とか独自の文化が発展してるみたいだ。なら、アレ作ってもらうかな?丁度良さげな素材もある訳だしな。

 

「次………怪しい奴だなお前。顔を見せろ」

 

門番に止められました。職務に忠実で偉いですね。

 

「はい、どうぞ。因みに此奴は南から来る途中で斬り刻んだ危険種の装甲だよ。まぁ素材としてちょっと使って貰おうかなと思って持ってきたんだ」

 

特に嘘を吐く必要無いのでそのまま伝える。

 

「ふーむ。手配書は無いみたいだから良いだろう。ただし、暴れたりして憲兵の世話にはなるなよ。はい、通っていいぞ」

 

「どうもでーす」

 

軽いノリで入国を果たした俺は早速鍛冶屋へ行く事にした。錬金術が使える奴にも会いたいな。

 

 

 

取り敢えず鍛冶屋に到着した。しかし、中に入ってみると無人である。

 

「こんにちはー!誰か居ますか!」

 

「でっけー声出さんくても聞こえとるわ!馬鹿者が!」

 

何故か怒られました。

取り敢えず事情を説明して作れるか尋ねてみた。

 

「MP28の本格的な整備をして欲しいんです。結構ガタが来てて。無理なら諦めますよ。後、リボルバータイプの銃を作って欲しいんです。この素材を使って。出来ますか?」

 

俺は今だに現役そうな爺さんに聞いた。

 

「何じゃそんな事か。出来るわ!そんな事の為にわざわざデッカい声出すとわ。最近の若いモンは……ブツブツ」

 

「じゃあ話は早いな。この50口径の弾を使用したマグナムを作ってくれ。装弾数は5発。弾は一応50発置いておくよ。じゃああと「待て待て待て!小僧!今口径の大きさが何じゃって⁈」50だよ。50口径」

 

俺と爺さんの間に沈黙が流れた。

 

「バッカモーン!!そんな銃が撃てる訳が無い!!」

 

「大丈夫だよ。確かに引き金は重い。反動も大きい。だけど、オートマチックで作れとは言ってない。あくまでリボルバータイプで作ってと言っている。それともあれかな?作る事が出来ないの「出来るわ馬鹿者!」じゃあ話は早いな。撃てるかどうかは自分が判断するよ」

 

俺と爺さんの間に再度沈黙が流れる。

 

「…………はぁ。最近の若いモンわ無茶するわい。…………5日後に来い」

 

そう言って爺さんは鈴を鳴らした。すると弟子だろうかな?素材を持って行った。

 

「じゃあ5日後に」

 

そう言って出て行こうとすると、

 

「お前さんはこの銃で如何するつもりじゃ?」

 

と聞いてきた。

 

「生き残る為さ」

 

そう言って出て行った。

 

 

 

お金はある。危険種狩ればボチボチ手に入るからな。しかし、甘味は無い。何故なら基本帝都に向かうからだ。

 

「今日はソーダ味にしよう」

 

俺は棒付きで出した。そう少し進化して棒が付け足せる様に成りました。まぁ、ぶっちゃけ意味無いけどね!

 

「こうやって前世の味を堪能出来るのは俺ぐらいかなぁ」

 

そんな事をのほほんと考えてたら声を掛けられた。

 

「ねぇ?その飴さ、何処で手に入れたの?」

 

声の方へ向くとヘッドホンとリボンを付けた可愛いお姉さんがいた。後、飴咥えてた。

 

「この道を真っ直ぐ行って右角にある駄菓子屋で売ってたよ」

 

だだ、今の俺はのほほん状態。つまり面倒くさかったので適当に追っ払う事にした。

 

「本当!?ありがとう!じゃあね〜」

 

そのまま可愛いお姉さんは行った。

 

あー、飴美味しいなぁ。時々水を飲むのも最高です。

 

タッタッタッタッ

 

何故かさっきの可愛いお姉さんが走ってきた。何かあったんかね?

 

「君ー!駄菓子屋無かったよ!」

 

ちょっと怒った顔をしている。仕方ない。

 

「あー、ごめん間違えちゃったかな?左角にあるかな?」

 

取り敢えず適当に返事した。

 

「左角にも無かったよ」

 

平坦な声で返ってきた。……ちょっとだけマズイかな?かな?

 

「あー、この辺の駄菓子屋なのは間違い無いよ。ほら!俺今日この国に来たし!」

 

取り敢えず適当に言い訳してみる。効果は薄そうだが……。

 

「じゃあ君も一緒に来て」

 

「えー、だが断る(キリッ)」

 

沈黙が流れる。

 

「ふーん。そんな事言っちゃうんだ〜。良いのかな?もし私が『この子スカートめくりします!』って大きな声で――「さぁ!駄菓子屋探しに行こう!丁度歩きたかったし!」宜しい!」

 

のほほんタイム終了しました。

 

「あ、そう言えば自己紹介して無いね。私はチェルシー。宜しくね」

 

この可愛いお姉さんはチェルシーさん。

 

「自分はシュウです。宜しくお願いします」

 

「もう、そんなに固くならなくても大丈夫だよ。ほら、行こう」

 

そう言って手を出してきた。今この手を握ら無いときっと居心地の悪い空気になるんかな?と思いつつ手を握る。

 

「良し!じゃあしゅっぱーつ!」

 

「おー」

 

「声が小さいぞ〜!」

 

「おー!」

 

何故こうなった………。

 

 

 

 

 

 

*年上キラー発動します。



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飴がバレた

取り敢えず駄菓子屋探す事約数十分、その間色々話してた。

 

何処からきたの?お母さんは?から始まり暗い雰囲気や明るい雰囲気を出したりと色々忙しい人やねと思いつつ質問に答えていた。

 

「ならさ、今のこの国……帝国についてどう思う?」

 

真剣な表情で問われた。だから今の帝国に対する評価を伝える事にした。

 

「まぁ、色々遅れてる感じかな?特に人権関係と治安維持。千年経ってたったこれぐらいの進歩しかしてないとかありえないね。やっぱり帝具とかの所為かね?あのとんでも兵器が怠惰の原因の1つだろうね。ただ、文字や計算関係の教育はどの地方も大差無かったからそこは評価するよ」

 

「………そう」

 

かなーり真剣な雰囲気になってる。何でやろ?あれかな?帝国に不満でもあるのかな?

 

「あのね、もし私が革命軍に入ってるって言ったら………どうする?」

 

どうする?どうするとな?

 

「うーん………別に何にもしないかな?だってさ、このご時世だよ?帝国に不満がある奴なんて腐る程いるし。むしろ不満が無いよ〜なんて言う奴は金持ちぐらいじゃね?」

 

今時近所の人が革命軍に入ってるって言っても誰も驚か無いんじゃね?

 

「ふーん……そっか。そうだよね。うん!ありがとう!」

 

何か知らんが感謝された。……あれ?駄菓子屋かな?

 

「チェルシーさん、あれ駄菓子屋じゃない?」

 

「え?あっ本当だ!駄菓子屋さんだ!良かった見つかって」

 

かなり嬉しそうだな。何で………あっ、ソーダ味の飴か?

 

あれ?この状況ちょっとヤバくね?嘘ついたのがバレる?………バレるな。

 

「あ、あのさ、僕ちょっと用事思い出したから帰るね。それじゃあ!」ビシッ

 

と言いつつ離脱しようとするが手が繋がったまま。

 

「えー、此処まで来たから一緒に買おうよ。お姉さんが奢ってあげるよ?」

 

と可愛らしく言ってくれる。しかし、ソーダ味はマズい。バレるとマズい。何処から出したの?とか言われたら………どないしよう。

 

「えーと……ほら!俺習い事あるし!」

 

「………」

 

沈黙が流れる。ここは我慢比べだ。

 

「ふーん………習い事………ね〜。じゃあ、しょうがないかな?駄菓子屋さん見つけてくれてありがとうね。それじゃあ、またね」

 

と、あっさり手を離して駄菓子屋に向かって行った。おやおや?俺の芝居に騙されたか?いや〜、俺役者デビューした方がいいかな?w

 

しかし、こんな時裏路地に行くのは間違いである。あえて俺は表通りを通る事にする。ふふふ、自分の策士っぷりが半端ねぇな。

 

ルンルン気分でコーラ味棒付きを手から出して口に入れたその時………

 

「へぇ〜手から出てくるんだ。何か手品みたいだね」

 

 

 

そんな言葉が直ぐ横から聞こえた。

 

 

「は?チェルシーさん?え?何処??」

 

左右を見てもチェルシーさんは居ない。幻聴?それにしてはリアルボイスだったよ?

 

頭の中が若干混乱してると更に声が聞こえた。

 

「取り敢えず裏路地行こっか。そこでなら姿を出せるしね」

 

……よく分からない状態の中取り敢えず裏路地に行く事にした。

 

 

 

 

そんな訳でやって来ました。裏路地です。

 

「えーと、裏路地来ました。何かカツアゲされそうな気分です」

 

「アハハハ〜、例えが微妙だよ。まぁ、約束通り姿出すね〜」

 

そうチェルシーさんが言うと背後からボンッと音がした。そして振り返るとそこには可愛い笑顔のチェルシーさんがいました。

 

「やっほーさっきぶりだね」

 

明るい雰囲気だ。しかし、目は笑ってねぇ。そんなに飴が欲しんか?普通ので我慢しなさい!

 

「どうも、さっきぶりです。一体何やったんですか?凄く気になるんですけど!」

 

「知りたーい?」

 

「知りたーい!」

 

「じゃあ青い飴と茶色い飴頂戴!」

 

スッと手を出すチェルシーさん。

 

「はいどうぞ」

 

ポンッと渡す俺。しかし、この時飴を渡した事を後々後悔する事になる。

 

「やったー!パク…………‼️美味しい!何これ!」

 

チェルシーさんが興奮してる。あー、これがカルチャーショックか。初めて見たわ。

 

とシミジミ思ってるとチェルシーさんが思い出した様な顔をした。

 

「あ、そうそう。さっき姿が現れた理由を教えてあげよう。それはね、この帝具【ガイヤファンデーション】の力だよ」

 

帝具

1000年前、帝国を築いた始皇帝の命令により造られた48の超兵器。始皇帝の「ずっとこの国を守っていきたい」という願いのもとに開発された超兵器である。しかし、500年前の内乱により半数近くが行方不明となっている。

 

ザックリ言うとこんな感じかな?しかし、 始皇帝が今の帝国を見たら発狂するだろうなぁ。

 

「へぇ。見た感じ高価な化粧道具にしか目えないけどね。でもさ、化粧道具と姿が見えないのと関係あるの?」

 

「あ〜、それはね小鳥に化けたんだよ。小鳥になってシュウくんの肩に止まってたんだよ。こんな風に」

 

そう言うとボンッという音と共に小鳥が出現。そして俺の肩に留まる。

 

「ね?凄いでしょう」

 

小鳥なのにドヤ顔してるのが見て取れた。

 

「はぁ〜。帝具何でもアリなんだな。こりゃあ色々気を付けないとヤバイかもな。帝具自体の事は旅の途中で知ってたけど、全然理解してなかったよ。俺、良くこの6年間生き残って来れたなぁ」

 

本当改めて気を付けないと、俺は死ぬ。まぁ、死ぬ前に逃げるけどね。

 

「そっか、ちゃんと反省する所は偉いとお姉さん思うよ」ナデナデ

 

そう言って頭を撫でられる。

 

「さて、難しい話はここまで!表に「ひゅー!中々可愛い姉ちゃんじゃねーの!ハハハ!」……何こいつら」

 

何処から湧いてきたのか分からんがゾロゾロと出てくる。その姿はさながら台所に出てくるGそのものであった。

 

「へへへ、表通りに行きたいのかな?だったら俺たちの相手をして貰おうか?通行税って奴だな!勿論金も出せよ。まぁ、出さなくても無理矢理出させるけどな!」

 

ゲラゲラゲラゲラ

 

周りの連中が笑う。一体何処に笑い所があったのか真剣に悩む。

 

「シュウくんは先に逃げて。私が時間稼ぐから」

 

チェルシーさんがカッコ良く言ってくれる。しかし、俺はこれは聞いておきたかった。

 

「チェルシーさん、さっきの連中のセリフ………笑い所ありました?僕全然共感出来なかったんだけど!もう、気になって気になって多分夜眠れないかも!」

 

「………………えっと」

 

「「「「「「「「…………………」」」」」」」」

 

何故か皆静かになった。何でやろ?

 

「あー、ムカつくわー、マジムカつくわー。このガキ女の前で嬲り殺してやろうぜ」

「それがいいわ」「社会の厳しさって奴を教えねぇーとな」「マジ殺す」

 

何やら殺気立ってる。何でやろ?

 

「シュ、シュウくん!何言ってるの!今そんな事はどうでも良いの!早く逃げ「逃げ道なんてねぇーよ姉ちゃん!ギャハハ!」…くっ」

 

チェルシーさんの悔しそうな顔、そしてチンピラ共のゲッスイ顔、そしてのほほんとしてる俺。

 

なーんか俺場違いだな。

 

「まっいっか。全員………皆殺しでさ」

 

「え?シュウくん?」

 

「あ?皆殺しだと?やれるもんならやって「ドスッ」…え?ちょ、な?」

 

チンピラの1人にククリナイフを投げる。そして、俺は駆け出した。

 

ヒュンッ ザスッ フォンッ

 

「死ねっ!ガキが「ザシュッ」カペッ!」

「クソがー!「ドスッ」グハッ」

「ふざけ「ズバッ」ひぎぃ」

 

斬る、刺す、移動、相手の武器も使用して潰して行く。アクセルブースト使うまでも無く淡々と仕留めていく。

 

舞う血吹雪、煌めくククリナイフ、響く悲鳴、しかし俺は冷静に敵に致命傷を与えていく。後々後悔しない為に………確実に仕留めていく。

 

最後の1人になってしまったチンピラ。

 

ザッザッザッ

 

「ま、待ってくれ!なっなっなっ!落ち着けって!俺達も別にな!

 

ザッザッザッ

 

悪気があった訳じゃ無いんだよ!嘘じゃねぇよ!許してくれ!頼む!

 

ザッザッザッザ

 

……うっ…くっ……もう、こんな事しねぇよ。だ、だから許して「ドスッ」…う…な…なん…で……

 

「俺が死にたくないから」

 

「ドシュッ」………グハッ」バタッ

 

ふぅー、終わった終わった。チェルシーさん無事かな?

そこには目を点にして放心状態のチェルシーさんが居た。

 

「チェルシーさん平気?怪我無い?」

 

取り敢えず外傷は無さそうだけど平気かな?

 

「え⁈あ、う、うん!平気だよ!てっゆーか、シュウくんこんなに強かったの⁈」

 

何か凄くビックリしてた。

 

「いやー、強くは無いよ。勝ちたい勝負は全部惨敗だし。それに、このぐらい出来ないと帝都周辺の国々を旅出来ないよ?」

 

旅して色々見て、経験するのは楽しいからね。だから強くなる必要はあるけどね。

 

「さて、返り血は浴びてないから表通りに出よっか。ここに居ても仕方無いし。ついでにお腹減ったよ」

 

キュ〜と腹がなってしまった。恥ずかピー。

 

「あ、アハハハ!シュウくん面白ーい。良し!助けてくれたお礼にご飯を御馳走してあげよう!」

 

とても得意げな表情で御馳走してくれる宣言頂きました。

 

「え!まじで!やったー!じゃあ、西の国の郷土料理食べたい!」

 

「オッケー。お姉さんに着いておいで」

 

そう言って手を差し出してくるチェルシーさん。

 

「分かった!」

 

元気よく返事をして手を握る俺。

 

「それじゃあ、出発!」

 

「おー!」

 

西の国の郷土料理を堪能する為に俺達は歩き出した。



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ちょっとだけラブ入ります

前から気づいていたが、主人公の容姿について何も決めてなかった件について。




………どないしよう( ºωº )


俺達は今西の郷土料理を食べている。そしてチェルシーさんが遂にあのお願いをして来た。

 

「ねぇ、シュウくん1つお願いがあるんだけど良いかな?」

 

上目使いで聞いてくる。あざとい!あざといが………可愛いから許しちゃう♡

 

「モグモグ、ゴックン。お願い?無茶言わなければ良いよ」

 

「あのね…………私にあの青と茶色の飴頂戴!」

 

あー、あれか。確かに食べた時興奮してたもんな。まぁ、誰にも言わない様に口止めしておけば良いかな?

 

「別に良いよ。ただし、他言無用でお願いします。じゃないとあげれないよ」

 

「大丈夫だよ。約束は守る方だしね。それにあの味の為なら何だってしちゃうかも!」

 

今、何でもすると言ったな?言ったな?………いやいや、落ち着けって俺は紳士だ………いやしかし、此処は画面の向こうの為にも人肌脱ぐ必要が………以下略

 

「……てば、ねぇーってば!シュウくーん!」

 

「はっ!あ………何か、ゴメンナサイ」

 

「???」

 

この時チェルシーさんは本当に?な状態でした。

 

 

 

「で、飴が欲しいんだったっけ?何個ぐらいいるの?」

 

まぁ精々20個ぐらいかな?

 

「うん!200個頂戴!」

 

………桁が足りませんでした(白目)

 

「え?に、200個?何でそんなにいるの?」

 

「私ね、革命軍の仕事柄長期間やるやつもあるの。そんな時、この味を食べれないと思うと不安で……。それに、シュウくん旅してるんでしょう?だったら尚更ストックが欲しくて……」

 

(´・ω・`)ショボ-ン

 

「チェルシーさん………」

 

俺……やっちまったなぁ。遂あの時は軽いノリで上げたけど、まさか此処まで深刻に考えてたなんて。しかも顔文字まで出して悲しさアピールするとは…←メタ発言注意

 

でも200個かぁ………そんなに食べると太りますよ。とか言ったら殺されるよな。自分空気読めますから(キリッ)

 

「うーん、今すぐ欲しいの?欲しいなら出すよ。ただ、更にメニュー追加する事になるけど」

 

「メニュー追加?何で?」

 

「飴をタダで出してる訳では無いんだよ。自分のカロリー消費して出してるからね」

 

「へぇ〜、あ、だからメニュー追加なんだね。いいよ、それぐらいなら。じゃあ、青いのが100個と茶色が100個ずつでお願いね!」

 

可愛い笑顔が見れたので良しとしましょう。

 

こうして俺はご飯を食べつつ飴を出し続け、結局ソーダ、コーラ、そしてサイダー味も追加で300個作る事に成っちゃいました♡

 

いやー、女の勘って怖いっすね。他の味もあるんでしょう?とか言われちゃったもん。

 

 

 

 

「いやー、お会計が中々の数字だったからお姉さんびっくり。でも、全然後悔して無いのが不思議よね〜」

 

自分の財布の中身と飴の入った袋の中身を見比べながらホクホク顔で言ってる。まぁ、後悔して無いなら良いのかな?

 

「さてと、じゃあそろそろお別れかな?飴沢山ありがとね」

 

「市販のやつも食べて下さいよ。そうすれば多少誤魔化せるでしょう?」

 

「あはは〜、まぁそうだね。うん、そうするよ」

 

「はい、そうして下さい。それでは、またいつの日か会いましょう」

 

「うん。またね」

 

俺達は別れる事になる。まぁ、死なない限りまた会えるでしょう。……ん?背後に気配?

 

「て、チェルシーさん?どうしまし「お礼…チュ」……へ?」

 

「じゃあね///」

 

タッタッタッタッ

 

「……………………マジかー。遂にモテ期が来たんかな?」

 

頭が全然回らなかったが胸の中は無茶苦茶暖かかったです。

 

しかし、それからチェルシーさんとは会えなかった。まぁ、革命軍入ってるのだから仕方無いのかな。そんなこんなで5日間が経った。

 

 

 

俺は今鍛冶屋にいる。今日も元気な声で行きまする!

 

「こんにちは!武器取りに来ましたシュウでーす!」

 

「デッケー声出さんくても聞こえとるわ!」

 

ノッシノッシと裏の作業室から出て来た爺さん。

 

「いやー、此処まで来たらさ引き下がるのは負けだと思ってさ……ついね(モジモジ)」

 

「何を言っとるんだ貴様は。まったく、最近の若いモンは…ブツブツ」

 

「さて、遊びは此処までにして早速本題に入ろうか。MP28の整備と50口径のマグナムは出来たのかな?」

 

俺は真面目な雰囲気を出して聞いた。まぁ、命が関わる事だからな。おふざけは中止だ。

 

「出来とるぞ。50口径の方じゃが射撃にも耐えれるからまず暴発はせんじゃろう。後はお前さん次第じゃよ。それからサブマシンガンの方じゃが素材が余ったからその素材を使って修理したわい。だが、命中率と連射、耐久性は向上したものの重量は重くなった」

 

「どれどれ?ふむ、まぁ問題無い重さだね。マグナムの方もいい感じだ。ありがとうね爺さん。お金置いとくよ」

 

俺はそう言って出て行く。

 

「ふん!精々無駄に生き残るんじゃな!」

 

ありがたいツンデレのお言葉頂きました。

 

 

 

 

それから更に1年経ったある日、俺は人生初の帝具使いと戦う事になる。




主人公の容姿については以下の案があります。
1.頑張って考える
2.ギャルゲーの主人公風でいいんじゃね?
3.もう読者の想像力に任せる!

因みに2番をお勧めしたい。理由?想像しやすいでしょう?(`・∀・´)


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不審は影

15歳の時

 

昼ご飯を食べてた時、こんな話を聞いた。

 

「首斬りザンク?マジかよ!この国にいんのかよ!」

 

「あぁ、間違いねぇ。この前この周辺の盗賊の首全部取れてたらしい。これから夜出歩くのは止めた方がいい。」

 

「だな。まったく、シリアルキラーとか勘弁して欲しいぜ。そんな奴こそ帝都に行けっつーの!」

 

「まったくだぜ」

 

首斬りザンクねぇ。気になった為聞いてみる事にした。すると、中々のクレイジーな奴だった。

 

首斬りザンク

いわゆる辻斬りに堕ちた男だ。かつては帝国最大の監獄で首斬り役人だったが、何十年も毎日のように命乞いをする人の首を斬っているうちに癖になってしまい、監獄で斬っているだけでは物足りなくなり辻斬りになった。帝具「スペクテッド」を盗んだことで討伐隊が組織されるものの姿をくらます。

 

はぁー、中々面倒くさそうな奴だね〜。取り敢えずお礼を言って席を立つ。

 

まぁ、夜出歩かなければ問題無いかな?あー、でもお金少なくなってきたな。今度危険種狩りに行くか。

 

 

 

しかし、この選択が後々自分の首を締める結果となる。

 

 

 

しばらく町を散策してたが、そろそろ帝都に向かおうかな?と思う今日この頃。

そんな事を呑気に考えてたら懐かしい人に声を掛けられた。

 

「あ!シュウくーん!久しぶり!」

 

タッタッタッタッと小走りで此方に向かって来るのはチェルシーさんだった。

 

「おろ?チェルシーさん?わー、懐かしい。ほっぺのチューは最高てじ「一々声に出さんでよろしい!ビシッ←チョップの音」いやー、ついね」

 

だいたい1年振りかな?懐かしいなぁ。少し背が縮んだかな?

 

「いや、それはシュウくんの背が伸びたからだよ」

 

「あれ?俺声に出しましたっけ?」

 

「顔に思いっきり出てたよ。まったく、その辺は全然変わってないみたいでお姉さん安心したよ」

 

何故か得意げな表情になるチェルシーさん。そして解せぬ顔をする俺。パワーバランスはチェルシーさん一強なのは誰の目にも明らかだった。

 

「しかし、いつ戻って来たんですか?」

 

「3日ぐらい前かな?いや〜正直シュウくんに会えるとは思ってなかったから会えて良かったよ」

 

おやおや?これは俺に惚れちまったかな?いやー!参ったな!モテる男は辛いねぇー!イヤッフゥー!

 

「………あのね、また飴の補充したの!お願い!また作って!」

 

 

………あ、うん、分かってたよ。うん。べ、別に泣いてないし!

 

「あれ?何か鼻赤いよ?どうしたの?」

 

「べ、別に!何でも無いし!飴が欲しいの?じゃあ、またご飯を奢って貰おうかな?」

 

「オッケー。じゃあ夕御飯時に此処に集合でいい?」

 

「勿論。じゃあまた後で」

 

 

 

 

そして夕飯時。

「へぇー、じゃあチェルシーさんは首斬りザンクの帝具回収に来たの?」

 

「ん〜、どちらかと言うと偵察が目的かな?ほら、私誰にでも化けれるし」

 

何ともあっけからんとした様子だ。まぁ戦闘するのは別のグループが行うみたいらしい。

しかし、帝具回収ね。中々本格的にやってるんだな革命軍は。いや、帝国も馬鹿じゃ無いから同じ様な部隊がいてもおかしくないか。帝具使いの部隊がさ。

 

帝具同士の戦闘は必ずと言って良いぐらい、何方かが死ぬ。強大な力故の弊害だな。

 

「まぁ、死なない様に気を付けて下さいね。俺にはそれぐらいしか言えないっす」

 

ほぼほぼ他人事なので在り来たりな台詞しか出て来ない。

 

「えー!お姉さんがピンチになったら助けてくれ無いの?」(上目使い)

………あざとい。あざといが………良い!

 

「勿論助けますよ。だからその間に逃げて下さいね。自分も後で逃げますからな!ハッハッハッ!」

 

「もう、シュウくんったら。……くすっ、でも、ありがとうね。心配してくれて」

 

そう言って笑顔になるチェルシーさん。いやー、やっぱり可愛いっすね」

 

「もう!何いきなり!恥ずかしい…」

 

「あれ?俺声に出してました?」

 

「うん。バッチリ出てたよ」

 

oh!恥ずかピー!

 

 

 

 

「飴沢山ありがとね。すっごく助かっちゃった」

 

「まぁ、ご飯ご馳走してくれるなら別に良いけどね。それじゃあ、お仕事頑張ってね」

 

「うん。シュウくんも夜は出歩かない様に気を付けてね。それじゃあね〜」

 

そう言って俺達は分かれる事になった。

さて、明日は危険種狩りに行きますかね?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん〜愉快愉快。ナイトレイドの1人がいるとはねぇ。一体どんな顔をして斬られてくれるかな?実に愉快愉快!」



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首斬りザンクと初対面

sideチェルシー

 

私はザンクについて情報を集めている。だけど、中々情報は集まらない。あるにはあるけど、噂に尾ひれがついた物ばかり。せめてどの辺りに出没したかの目撃情報は欲しいかな?

 

「うーん、流石は辻斬りって所かな?全然姿が掴めないや」

 

そう呟き私はソーダ味を食べる。いや〜、美味しいから心が癒される〜。

 

「さて、もう夜中になっちゃったなぁ。そろそろ引き上げるか………あれ?シュウくん?」

 

そこにはシュウくんが居た。こんな時間に出歩くのはダメッて言ったのに!

 

「シュウくーん!何やって…て、何で逃げるのー!」

 

何故かシュウくんは逃げて行く。マズいよ。今この街の夜は本当に危ないのに。

 

「シュウくん!待って!寧ろ早く宿に帰りなさーい!」

 

私はシュウくんを追いかけた。普通なら無視しするのが一番なのに、私はそれが出来なかった。

 

 

 

シュウくんを追いかけると、広場に来た。人気は無い。やはり首斬りザンクの影響が大きいのだろう。

 

「シュウくん、こんな夜中に、出歩いちゃだめでしょう!」

 

私は息を切らして呼吸を落ち着かせてから顔を上げた。しかし、そこにはシュウくんでは無く………

 

「今晩は、御嬢さん」

 

知らないおっさんが居た。

 

「なっ!ま、まさか!……貴方は!」

 

こんな芸当が出来るのは帝具使いぐらい。なら此奴は!

 

「そのとーり!御嬢さんの探し人の首斬りザンクだ!会いたかったのだろう?いやー、嬉しいね〜。こんな可愛い御嬢さんからのアプローチはな!」

 

シャキンッ シャキンッ

 

ザンクが戦闘体制になる。

 

「くっ!」

 

私は考える。この状況をどうするか。

 

「逃走準備?仲間に連絡?そもそも1人で来たから絶望的?と、考えただろう?」

こいつ……帝具の力か。

 

「そのとーり!御嬢さんの持ってるガイヤファンデーションと同じさ!ただ、御嬢さんにとって余り嬉しく無い事を教えて上げよう。御嬢さんの帝具と私の帝具は相性最悪でね〜。つまり、今この状況は御嬢さんにとって絶望的なのさ!」

 

来る!そう考えた時にはもうザンクは目の前にいた。

 

シュバババッ!

 

「あぐっ!」

 

私の両足と両腕に同時に痛みが走る。切断はされて無い。けど、これは………

 

「安心しろ。俺はこう見えて繊細な攻撃ができる。つまり、なます切りにする事なんぞ造作も無いのだよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……くっ、はぁはぁ」

 

身体中が痛くて熱い。苦しい。頭が回らない。

 

「クックックックッ。苦しいか?辛いか?そうだよなぁ、身体中が痛くて堪らんだろう。安心しろ、首斬りの達人が介錯してやろう」

 

ザンクはそう言って私の首を掴み上に持ち上げる。足が地面から離れる。苦しい、呼吸が出来ない。

 

「か……かはっ………あっ」

 

ザンクの歪んだ笑い顔が見える。目の前がどんどん暗くなる。

 

 

あぁ、そうか、これが報いってやつなのかな?初めて殺した時、それから色んな奴を暗殺した時、いつか自分も殺される。それが今なんだ。

 

「……!…………!」

 

ザンクが何か言ってる気がする。……けど、もう…………

 

 

 

『えー!お姉さんがピンチになったら助けてくれ無いの?』(上目使い)

 

 

『勿論助けますよ。だからその間に逃げて下さいね。自分も後で逃げますからな!ハッハッハッ!』

 

 

シュウくん……

 

 

 

 

「…………………け…………よ……」

 

「んん〜?死ぬ間際の遺言?良いよ〜、聞いてあげるよ?だから、ハッキリ言ってごらん?」

 

 

 

 

「……たす………けに来てよ………シュウくん」

 

 

 

 

「………………イイね。イイね!イイね!その表情!決めた!俺の生首コレクションに入れてやるよ!」

 

ザンクが腕を振るい上げる。 私はぎゅっと目を瞑る。そして…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドオォン!!!!

 

 

大きな銃声が聞こえた。

 

「ぬぅ!不意打ちか!」

 

ザンクが私を放り投げる。地面に叩くつけられたが痛みがある。………死んで無い?

 

そして、1番聞きたい声が聞こえた。

 

「不意打ち上等ですけど、何か問題でも?」

 

銃口をザンクに向けたままのシュウくんが居た。

 

「シュウくん……」

 

「まぁ、助けるって約束したしね。それに、可愛いお姉さんを助けるのに理由が必要ないしね」

 

その台詞は間違いなくシュウくんだ。

 

「首斬りザンク、此処から先は俺が相手しよう。まぁ、野郎じゃ盛り上がらないが我慢してくれや」

 

シュウくんから殺気が一気に強くなる。

 

「いやいやいやいや。寧ろ好都合!君の首を斬った後の展開が楽しみで仕方が無いね!」

 

テンションが更に上がり殺気が出るザンク。

 

 

 

 

対峙する2人。1人は帝具使いの首斬りザンク。1人はちょっとチート持ちのシュウ。

 

今日、何方かが死ぬ。

 

 

 




主人公の容姿は若干幼い感じにします。ほら!年上キラー持ってるし?後はそこにギャルゲー主人公を混ぜ合わせれば、はい!完成!
程よく想像しやすいやろ!←手抜き乙


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決着

遂に、シュウの奴が…技名を出したぞー!
❗️←これがマークです(ノ)´∀`(ヾ)


ザンクとシュウが出会った理由。それはシュウの行動の昼頃にまで遡る事になる。

 

 

 

お昼時

今日は朝から危険種狩りに来ていた。首斬りザンクとか言う危険人物がいる為なるべく早めに引き上げようと考えてるからだ。

 

「さーて、少し小休憩してから帰るかな」

 

朝から狩りに集中してた為結構な戦果を得たが、少し早起きし過ぎたかな?

 

「丁度良い木陰と芝生もある。しかも風が気持ちいい」

 

俺は危険種の素材が入った鞄を枕にして横になった。

 

 

………………8時間後

 

 

やっべ!寝過ぎた!しかも夜だから寒いし。良くこの温度の中で寝れたな俺。

 

もう、門は閉まってるだろうから抜け道探して入るかな。

 

そう思いながら抜け道を探す為に帰路に着く。そして意外とあっさり見つかり進入。

 

「いやー、サッサと帰ろ。首斬りザンクとか言うキチガイが居るし。後はこの角曲がって広場に出れば近道だ」

 

この行動によりシュウはザンクとチェルシーに会う事になる。

 

 

 

 

 

さて、まずどうするか。サブマシンガンで牽制射撃。そしてマグナムで仕留め

 

「ほぉ。実に堅実な戦い方だな。確かにお前が持っているマグナムとやらか?それを喰らえばひとたまりも無いのは事実だね」

 

なっ!心が読まれた?……あの額に付いてるやつか?

 

「ピンポーン。その通り。帝具スペクテッド、五視の能力が1つ”洞視”。表情を見る事によって相手の思考が分かるのさ。観察力が鋭いの究極系だな」

 

成る程な。もしかしたら……あの能力も有るのかな?

 

「ザンク、お前に1つ聞きたい。………透視能力もあるのか?」

 

これだけは絶対に聞いておかねばならない。

 

「正解だ。透視能力もある。お前さんが持ってる武器はサブマシンガン、マグナム、ククリナイフ、そして、丸い玉が4つ、更に弾倉は3つだ。正解の褒美に干し首やろうか?」

 

「…………干し首持ってるの?」

 

気になってつい聞いてしまった。

 

「勿論!何と言ってもオレのコレクションだからねぇ!で、欲しいか?」

 

「いや、いらね」

 

即答しました。

 

「何だ。折角上げようと思っていたのに……悲しいねぇ!」

 

ザンクが一気に接近してくる。速い!サブマシンガンで牽制射撃をする。

 

ダダダダダダダダダッ

 

 

 

 

 

 

ニヤリッ

 

ザンクの口元が歪んだのが見えた。

 

ギャギャギャギャギャギャギャキン!

 

「な!」

 

全部捌きやがった!ザンクが間合いに入る!

 

「終わりだ!」

 

くっ!トリプルブースト!

 

ザンクの攻撃が遅くなる。しかし、それでも速い!体を反らす。ザンクのナイフが通り過ぎる。しかし、下段から更に追撃が来る。体を捻り右に跳ぶ!そこから射撃開始する。

 

ダダダダダダダダダッ ドオォン!

 

「ふっ!無駄だ!」

 

ギャギャギャギャギャギャギャン! キン キン キン

 

9mmは捌きマグナムは避けるか。至近距離からならイケると思ったがダメだな。しかし、ザンクとスペクテッドと相性が良いのだろう。じゃなきゃ弾を捌く何ぞ出来るかよ。

 

「その通り!オレと帝具スペクテッドの相性は抜群でね。お陰様で身体強化もされてるのさ」

 

ザンクが自慢気に語りだす。ちっ!厄介な。しかし、チェルシーさんも今どうなってる?

 

「あぁ、あの御嬢さんなら君を見て安心して気が抜けて意識が無いよ。残念だったねぇ。遠くに逃げる様に指示が出せなくて」

 

確かにそうだなぁ。だがなぁザンク、これだけは言っておくぜ。

 

「ザンク。俺は、お前の帝具スペクテッドについてそこまで驚きは無い。いや、想定の範囲内より少し出てる程度だ」

 

「何?そんな余裕があるのかな?」

 

「あるさ。スペクテッドの能力。俺は良く知っている。そう、過去に何度も妄想した。何度も何度も……妄想した。………そう女子更衣室の壁を透視したり、銭湯の女子風呂を透視したり、街で見かける綺麗なネーチャンの服を透視したり!はたまたカップルがホテルに入った後の営みを透視したりと!何度も妄想したわ!」(°Д°)クワッ!!

 

◝('ω'ω'ω')◜デデーン

 

「な………なんだと……て、全部覗きじゃねぇか!ふざけるな!」

 

「ふざけて無いわ!だったら洞視で確認してみろや!」

 

そう言われてザンクは洞視を展開する。

 

「くっ!貴様、本気だったのか!こんな…こんな…アホみたいな展開があってたまるか!」

 

アホとは何だアホとは。失礼な。

 

「つまりだ。その帝具スペクテッドは俺に相応しいと言っても過言では無い!さあ!戦おうか!そして、最後まで立ってる者がスペクテッドに相応しい!俄然やる気が出てきたぜ!」

 

心も頭も熱くなってテンションが高くなった時、今1番聞きたく無い声が聞こえた。

 

「………シュウくん……そんな事考えてたの?」

 

 

 

 

 

 

世界が止まった。

 

 

 

 

 

「えっと……ほら……あ、相手のリズムを崩す為に言った…ウソダヨ」

 

声が裏声気味だが気にしちゃダメだ。

 

「………そう。取り敢えず、頑張ってね。私まだ動けそうに無いから。ゴメンね」

 

チェルシーさんの態度がちょっと冷たい気がするが、気にしちゃダメだ!(若干涙目)

 

「もう良い。これ程戦いの中で馬鹿にされたのは初めてだ。最後まで立ってる奴がスペクテッドに相応しい?なら、最後まで立って見せろ!」

 

 

ズズズッ カッ!

 

 

「な……なん……え?君は…あの時の………」

 

 

 

sideチェルシー

シュウくんの様子がおかしい?

 

「シュウくん!シュウくん!どうしたの!シュウくん!!」

 

「”幻視”その者にとって1番大切な者が目の前に浮かび上がる。御嬢さんが此処まで来る時に見た者も”幻視”によるものだ。愉快愉快」

 

あの時のシュウくんはそういう事。

 

「シュウくん!目を覚まして!今見てるのは幻よ!」

 

「無駄無駄。1人にしか効かぬが催眠効果は絶大。そして、どんな者であろうと

 

 

ジャキン コツ コツ

 

最愛の者に手をかける事など不可能

 

 

コツ コツ コツ タッタッタッタッダ!

 

 

愛しき者の幻影を見ながら死ね!シュウ!」

 

 

「シュウくん!逃げて!!」

 

 

シュウくんが死ぬ。嫌!思わず目を閉じてしまう。

 

 

しかし、

 

 

ドオォン! ギイイイイィィン!

 

 

確かにシュウくんの銃の音が聞こえた。

 

sideシュウ

 

ドオォン! ギイイイイィィン!

 

 

 

 

「な、な、何故だ!1番愛する者が視えた筈だ!なのに何故!」

 

 

 

「…………あの子はもう、此処には居ない。今頃、他の男とチョメチョメしてるに違いない!(血涙)畜生!あのジジィが俺の書類をシュレッダー何ぞに掛けなければ今頃!畜生!もう許さねぇ!ザンク!お前は……俺の……逆鱗に思いっきり触れやがった!」

 

しかも、何気に相手の顔が朧げだったし!最愛と言うより、寧ろ女々しい自分を再確認しただけじゃねぇか!

 

「ザンク、お前今マグナムを至近距離で受け止めたな。この勝負俺の勝ちだ」

 

「な、何だと!たかが幻視を破ったぐらいで調子に!」

 

「武器にヒビ入ってるぞ。そして、腕は痺れてないか?なら、後は分かるな?」

 

(しまった!武器が!折れる!)

 

ガチャン ガチン シャキンジャキン

 

「悪いが接近戦で、全力で殺らせて頂く。手加減なしだ。覚悟!」

 

ダッ!

 

「ぬうあああ!死んでたまるかあああ!!」

 

ファイブブースト!

 

ガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!!

 

(先に殺す!未来の動きが読める俺が有利!!

 

ガガガキンギャギャギャギャリン!!!!

 

グッ!…即座に殺しきれん!寧ろ捌くで手一杯だと!バカな!バカな!一体何だその速さは!こんなことが!)

 

ギャギャギャバキンッ!!!!

 

 

 

「なっ!」

 

「終わりだ」

 

ザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッ!!!!

 

 

五斬烈風❗️

 

 

 

「ガハッ!」 ドサッ

 

 

 

「ザンク、お前はもう寝とけ。……まぁお前との会話は嫌いじゃ無かったから、死ぬまで見ててやるよ」

 

「グハッ……ハァ、ハァ、ゆ、愉快……愉快。最期を……看取って…貰える……とはな。

 

 

 

 

 

ありがとよ……シュウ」

 

それきり、ザンクは動かなくなった。

 

「あぁ、どういたしまして。」ドサッ

 

あー、頭痛い。かなり集中したからなぁ。ちょっとシンドイや。

 

「……!…………!」

 

誰かの声が聞こえる。誰だっけ?とても大切な人の声だと思うんだけどな。

 

そこまで思って、俺の意識はプツリと切れた。



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手紙と帝都

誤字報告、評価ありがとうございます
なんだかんだで良く続けてるなぁと思ってる今日この頃w

皆さんの時間潰しに使えたら幸いです( ^ω^ )


 

「うーむ、ここは?」

 

眼が覚めると知らない天井だった。あぁ、言うべき台詞言えなかったなぁ。

くだらない事を考えてると人の気配を感じた。

 

「おや?気が付いたかね?良かったよ。あの首斬りザンクを倒した英雄が寝たきり何ぞ笑い話にもならんからな」

 

知らない中年ぐらいの男性がいた。多分医者だろう。

 

「此処は病院ですか?」

 

「あぁ、病院だが軍の医療施設と言った方がいいかな。おっと勘違いしないでくれ。キチンとした治療と聞きたい事があるから此処に連れて来たのさ」

 

多分不安な表情が顔に出たのかな?気を使われてしまった。しかし、聞きたい事か。

 

「聞きたい事は首斬りザンクを倒した経緯ですか?」

 

「それもあるが、1番聞きたい事は帝具スペクテッドを何処にやったのかが聞きたい。もっとも気絶してた君に聞いても意味は無さそうだがな。何か知ってる事はあるかな?」

 

帝具か……現場に無かったのか。

 

「さあな?ザンクを倒すのが精一杯だったからね。ただ、あの帝具は結構危険な物だったよ。戦う前からもう自分の武器が全部筒抜けだったし。まあ透視能力かな。それから表情から考えてる事が分かってしまう洞視。それから最愛の者を見せる幻視。後は相性が良いと身体強化も付くよ」

 

嘘を言いつつ、話を帝具の性能に切り替える。

 

「ふーむ。中々危険な物だね。それに身体強化か。しかし、その状況の中生き残り更にザンクを倒してしまうとはな。素晴らしい!如何だろうか、ウチの軍に入らないか?」

 

何か勧誘された。そして若干空気がヤバい感じになる。俺の勘が言っている。このままだと軍に強制入隊されると!

 

「自分はまだまだ修行中の身。ザンクを倒したものの気を失ってる様では駄目です。故に旅人となり様々文明や文化、さらに武芸や武術を学ばなければならんのです!」

(訳:拘束されたくねぇ。他の国とか観光したい!ついでに技を盗みたーい!)

 

それっぽい顔で伝え更に続ける。

 

「と、言うわけで自分は旅に出ます。看病ありがとうございました!それでは!」シュパッ ダダダダダダー!←逃げてる

 

そして残される男性。

 

「……………仕方ないか。ああ言う手前の者は無理矢理勧誘しても意味は無いからな。願わくば敵として出会わない事を祈ろう」

 

男性は溜息を吐きながら部屋から出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅー、此処まで逃げれば問題無いだろう。しかし、チェルシーさんは一体何処に消えたのやら」

 

そう言いながら何と無くポケットに手を突っ込むと紙が入ってた。紙なんぞ入れたっけ?と思いつつ出してみると、手紙が入ってた。

 

中を読んでみると如何やらチェルシーさんからの手紙みたいだった。

 

【シュウくんへ。何だかとても大変な状況になっちゃったね。でも、ザンクから私を助けてくれてありがとう。………とってもカッコ良かったよ。】

 

おやおや?カッコ良いとな?嬉しい事言ってくれるじゃ無いの!

 

【本当はもっとお話しとか、お買い物とかも一緒に出来たら嬉しかったんだけど、革命軍としてのお仕事もあって如何しても報告し無いといけ無いの。今回は首斬りザンクについても報告し無いといけなかったから尚更ね。】

 

そっか、何と無く予想は出来てたけどね。

 

【それからザンクの持ってた帝具も回収させて貰うね。理由は一応革命軍からの指令の1つに帝具回収も含まれてるから。】

 

まぁそうだよな。………でもスペクテッド欲しかったな。

 

【そしてもう1つ個人的理由があるの。】

 

個人的理由?

 

【シュウくんにスペクテッド渡したらエッチな事にしか使わ無いから。だから尚更渡すわけにはいか無いの】

 

……………………………………/(^o^)\ナンテコッタ

 

仕方ないじゃ無いか!透視能力だよ!エッチな事に使って何が悪い!いや、寧ろ使ってやらなくちゃ失礼だよ!

 

と自分自身を正当化しても結局虚しさしか胸の中には残ら無いのが悲しい。

 

【そういう訳だからスペクテッドは回収しちゃうね。今度会う時はもう少し落ち着いた時に会いたいね。それじゃあ、またね】

 

手紙はこれで終了である。納得できる様なでき無い様な微妙な気分だが仕方無いからスペクテッドは諦めます。

 

「さて、適当に危険種の素材換金して帝都に行きますか!ぐるりと帝都の周りを回ってきたし。いざ!都会ライフを楽しみましょう!」

 

そう言いながら飴を出し咥え換金所に向かう。あ、ザンクの懸賞金どうしよう?うーむ、足が付くからやーめた!安全第一さ〜。

 

面倒事はゴメンだよと言わんばかりに歩き出す。そして、16歳の時帝都に入る事になる。

 

 

彼は帝都で何を見るのか、誰を信じるか、誰を殺すか、それはまだ誰にもわから無い事である。

 

 

 

 

人が次第に朽ちゆくように国もいずれは滅びゆく

千年栄えた帝都すらもいまや腐敗と生き地獄

人の形の魑魅魍魎が我が物顔で跋扈する

 

 

それでも彼は生き残る為に足掻く




ようやく原作開始になりますね。いやー、長かったw



P.S戦闘描写ムズイッス(^q^)


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帝都入り

遂に、メインキャラとの邂逅だー!


帝暦1024年 16歳 現在

「フーフフフーン♪」

 

適当に鼻歌を歌って馬車に乗りながら帝都に向かう。丁度馬車も帝都に向かうみたいなので、護衛ついでに乗せて貰ってる。

帝都についてはやはり最初に出てくる言葉は腐ってる。そして、危険種よりタチの悪い人が沢山いる事。

 

同じ人間なのになぁ。中々ままなら無いものだね。

 

そう、考えてると前から気配がした。何か来る。

 

「馬車を停めてくれ」

 

「え?何で?」

 

「前から気配がするから」

 

「気配?」

 

ミシ ミシミシミシ ドコォオォォォン!!

 

「ど、土竜だあああああ!」「こんな街道に出るなんて!」「ウホ!いい危険種♂」

 

逃げろー!と言いながら美しいフォームで逃げて行く2人組。中々速いじゃないの♂

 

そして残される俺と土竜。

取り敢えず馬車から離れる事にした。馬車壊されるのも可哀想だしね。

 

「ヴオオオオオオオ!!!!」

 

土竜が叫びながら腕を振るい上げる。

俺はマグナムを構え引き金を引いた。

 

ドオォン!ドオォン!ドオォン!ドオォン!ドオォン!

 

「ギイイイイイイイイイイ‼︎」

 

土竜がそれなりのダメージを受け動きを止める。スピードローター使ってリロードする。そして一気に土竜に接近。

 

キンキン キリン キン カラン

 

空薬莢が地面に落ちた時。俺は土竜の肩の上にいた。

 

「頭に50口径受けて耐えれる?」

 

ジャキン ドオォン!

 

土竜の装甲を貫通して弾が内部に侵入する。土竜の動きが一瞬動きそして……。

 

ドシイイィン

 

土竜は死んだ。呆気ない。

 

まっこんなもんか。昔はドキドキしたものだがなぁ。

などとしみじみ思ってると声を掛けられた。

 

「凄かったなシュウさん!」「まさか危険種を1人で倒してしまうなんて!」「中々やるなお前!」

 

1人増えてた。

 

「まぁ、これぐらいはどうにでもなるさ。ところで君はどちら様で?」

 

「おう!俺はタツミって言うんだ!近いうち帝都で有名になる男の名前だから覚えといた方が良いぜ‼︎」

 

「へぇ、じゃあこの色紙にサインくれ」スッ

 

「良いぜ‼︎」

 

((なんで色紙とペン持ってるんだろう))

 

快くサインをしてくれるタツミ。ちょっと不思議そうな顔をする2人。

 

 

 

危険種の素材回収して帝都に向かう。タツミも如何やら帝都に向かうみたいだから一緒に行く事にした。

 

「へぇー、村を救う為に帝都に出稼ぎかよ。偉いな」

 

「まぁな!………ただ、俺の他に後2人一緒にいたんだけど夜盗に襲われて散り散りになっちまって」

 

「それは……御愁傷様としか言えんな。だが、その2人も帝都に向かってるんじゃないか?」

 

「あいつ等強いから心配はして無いけど。ただ、イエヤスって奴が凄い方向音痴だから集合場所の帝都に辿り着けるかどうか……」

 

「うーん、ドンマイだな。後は祈っとけ。祈るのは無料だからな」

 

俺はそう言いながら飴をタツミにあげる。

 

「あぁ、ありがとうな。多分大丈夫さ。サヨはしっかりしてるし、イエヤスも身体は頑丈だしな!」

 

そう自分に言い聞かせるタツミ。さっきよりはマシな顔にはなってるから大丈夫そうだ。

 

「集合場所も決めてるなら問題無いだろう。後は運次第さ……ん?あれは帝都か?」

 

「え!マジで!」

 

遠くに見える長い城壁。間違いない帝都だ。

 

「おおおおお!デッケー!アレが帝都か!スッゲー‼︎」

 

タツミのテンションMAXになる。確かにデカイ。そして中々栄えている感じだ。一応タツミには忠告はしておく。

 

「タツミ、これは忠告だ。まず甘い言葉美味い話は信じるな。そして、権力者には逆らうな。死にたくなければな」

 

「おう!分かったぜ!しっかしデッカいなー!」

 

…………忠告意味無さそう。

 

そんなこんなで帝都に入る。そこで商人2人と別れる事になる。そして俺達は危険種の素材を換金した後別れる事になる。

 

「タツミ、お前はこの後如何するんだ?」

 

「軍に入るから兵舎に行くよ。シュウは?」

 

「俺は観光だな。折角素材換金したしね。美味いもんでも食べてくるわ。じゃあ、就活頑張れよー。後お前の同郷の奴見かけたら声掛けとくわ」

 

「おう!ありがとな。じゃあな!」

 

こうして俺達は別れる事になる。俺は早速帝都ガイドブックを買って観光する事にした。

 

 

 

 

そして夜。

 

いやー、中々楽しかったな。美味しい名物品も食べれたし良かった。流石ガイドブック。明るい所、楽しい所だけしか書いて無い事なだけはあるぜ。満足満足。

 

こうして俺の帝都観光1日目は終了した。

 

 

 

 

 

それから暫く帝都の観光と同時に皇拳寺の技を見に行ったりした。ただ、皇拳寺は結構有名だった為意外に使い手は多く特別得られる物は無かった。しかし、基本がかなり出来てはいるので油断し無い方が良いだろう。

 

と真面目に考えてたら目の前に大量の荷物を持ったタツミに出会った。………何やってんだアイツ?

 

「タツミ?お前……兵舎に行って軍に入ったんじゃ無いの?」

 

「うげっ!シュウ!いやー、これには深い訳があるんだよ」

 

と、話し始めるタツミ。何でも帝都は絶賛不景気な為軍に入る人が多く抽選で選んでる状況。そんな中胸の大きいお姉さんにホイホイついて行って有り金取られた。そして現在は助けてくれたアリアさんの護衛やってる……らしい。何やってんだ此奴。

 

「タツミ〜、お前最初に言ったじゃん。美味い話は信じるなと」

 

「いや〜………面目ねぇ」

 

しかし、タツミの奴は有り金無しの状態か。……仕方ない。これも何かの縁かな?

 

「タツミ。手を出せ」

 

「手?何で?」

 

「良いから出せって」

 

そう言って俺は手持ちの半分を渡してやった。

 

「い、良いのか!いや、助かるけどさ」

 

「まぁ、出世払いで良いよ。利息もいらね。もしくはこの借りを別の形で返してくれれば良いよ。ほら、そろそろ行けよ。護衛の人が待ってるぜ」

 

「あっ!本当だ。マジで助かるぜ!必ず借りは返すよ。またな!」

 

タツミは戻って行った。まぁ頑張れよーと思いつつ俺も帝都を歩く。中々広いから観光には時間はかかるだろうけど。楽しいから良いけどね。

 

そう思いながらコーラ味棒付きを出して口に入れた。

 

 

 

街を探索してると帝都住民の顔が随分暗いなと感じた。明るい奴は小綺麗で一定の収入が有るのだろう。しかし、それ以下の者や異民族かな?結構暗い雰囲気が出てた。

後賞金首も出てた。ナイトレイドという連中だ。帝都の豪富や貴族、はたまた帝国役人を主に暗殺している。

 

ついでに首斬りザンクも有った。剥がしとけよな。

ザンクのやつだけ剥がして捨てておく。

 

ナイトレイドねぇ。彼等は何を思って暗殺をやってるんだろうか。正義?それとも復讐?まあ、此方に被害が無ければいっか。

 

飴を咥えつつ歩き出す。そして…………絶賛迷子になった。

 

いや!迷子じゃねぇし!ちょっと土地勘が無かっただけだし!多分あっちに行けば大丈夫な筈!そして……

 

 

 

 

完☆全☆迷☆子

 

だ、大丈夫だ……も、も、問題にゃい〜!(噛んだ)この程度なら対処出来るし!

 

こんな感じにオタオタしてたら救いの女神様が現れた。

 

「ややっ!私の正義センサーに反応アリ!そこの君!何かお困りですかな?」

 

何と帝都警備隊の方が来てくれました!(感涙)

 

 




タグ……もう少し増やそうかな?


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セリューさんとコロちゃんと飴

そこには帝都警備隊の女性がいた。ポニーテールで可憐な女性がいた。恐らく年は若干上かと思われる。

 

「帝都警備隊所属、セリュー・ユビキタス!正義の味方です!」

 

(`・ω・´)ゞビシッと敬礼しながら所属と名前を教えてくれた。

 

「えっと、自分はシュウと言います。実はお恥ずかしながら迷子になってしまって。取り敢えず大通りに出れば大丈夫なんですが」

 

「それは大変です!この辺は余り治安が良いとは言えません。さあ、こっちです。はぐれ無いで下さいね!」

 

そう言ってセリューさんは手を握ってきた。手柔らかいなぁと思っていると、

 

「キュウ!キュウウー!」

 

変な鳴き声が聞こえた。声の方へ向くと犬?らしき生き物が居た。うん、犬似た何かだ。

 

「コロちゃんお腹空いたの?我慢してね」

 

「あのー、それは一体…」

 

「あぁ、この子はコロちゃん!帝具ヘカトンケイルです。ご安心下さい。悪以外は無害ですから!」

 

そうセリューさんは言う。しかし、中々愛嬌のあるね。

 

「コロちゃん飴とか食べれます?」

 

何となく聞いてみた。

 

「大丈夫ですよ!基本何でも食べますから!」

 

じゃあ早速サイダー味を与えてみる。

 

「噛まずに舐めるんだよ」ホイッ

 

「キュウウー」パクッ コロコロ

 

「キュウウー!キュウウー!キュウウー!」

 

何か興奮した。

 

「わっ!コロちゃん嬉しそう!そうなに美味しかったんだね」

 

「セリューさんもどうぞ。イチゴ味だけど」

 

「え?良いんですか?ありがとうございます!」

 

セリューさんも飴を咥える。ついでに俺もオレンジ味を咥える。

 

何となく飴を食べて和んでると、裏路地の定番とも言える方々がホイホイやって来た。

 

「おいおいおいおい。お前らここらは俺達『ドラゴンバスターズ』の縄張りだぜ?まあ、有り金全部置いてけば許してやるがな!勿論警備隊も例外じゃねぇぜ?ねーちゃんは体で払えば金は半額にしてやるよ!」

 

ぎゃはははは!と笑う周りの連中。うーむ、やはり笑いどころは共感出来ない。残念である。

そんな如何でも良い事を考えてると……横から禍々しい気配がして来た。セリューさん?

 

「そうか…。つまりお前達は悪という訳だな?なら、今この場で正義の名の下に断罪する!!」

 

「ガルルルルル!!」

 

セリューさんとコロちゃんの顔が半端なく凶悪になっとるー!これじゃあどっちが悪か分かんねぇなwww

 

まぁ警備隊のセリューさんが断罪する言ったし、大事にはなら無いか。

 

「正義しっ「ダダダダダダダダダダダダダダッ」え?」

 

俺は迷う事なく引き金を引いた。

 

ドラゴンバスターズの悲鳴と銃声が一番大きい筈なのに……

 

キン キン キリン カン カン キンキン

 

空薬莢の音の方が良く聞こえた。

 

 

「終わった終わった!さってと大通りの案内お願いします」

 

リロードしながらそう言った。しかし、弾が直ぐに無くなるのはいかんな。ドラムマガジンにした方が良いかな?そっちの方が楽かな?

 

「あの、えっと……だ、大丈夫でしたか?」

 

セリューさんが心配?そうに聞いてきた。

 

「あっさり引き金を引いたのが意外だった?」

 

だけど俺は確信を聞いた。

 

「え!えっと、別にそんな事は」

 

「俺はね、自分の安全を確保しただけさ。セリューさんに任せても良かったけど、時間掛かりそうだったし。だったら直ぐに終わらせた方が良いやと思ってね。取り敢えず大通りまでの案内お願い出来ますか?」

 

「は、はい!大丈夫です。さあ!こっちです!」

 

そう言ったセリューさんは案内してくれた。手は繋いでくれなかったけど。

 

 

大通りに着くまでセリューさんは結構色んな人に声を掛けられてた。その殆どは感謝の言葉や労わりの言葉だった。

 

「さあ!ここから真っ直ぐ行けば大通りに出ますよ!」

 

お陰でセリューさんも元通りになったかな?

 

「ありがとうございます。コロちゃんもありがとうな」

 

「キュウ!キュウ!」

 

それでは!と言ってセリューさんは走ってパトロール再開しようとしたが、俺は声を掛けた。

 

「セリューさん。1つだけ忠告したい。良いかな?」

 

「忠告…ですか?」

 

セリューさんは不思議そうな顔をして此方に振り返った。

 

「正義と言う言葉を軽々しく言わ無い方が良いよ」

 

その瞬間セリューさんから表情が消えた。

 

「…………それはどう言う意味ですか?」

 

平坦な声。感情を押し殺してる感じだろう。

 

「正義なんて見方によって変わるからだよ。例えばちょっと前に南の蛮族が帝国に反旗を翻したのは知ってるよね?何故彼らが反旗したか分かる?」

 

「悪の事なんて分かる必要なん「そこに正義が有ったからだよ」……え?」

 

「誰の目から見ても無謀な戦いだ。負ける事は必須だった。なのに何故1万人以上の人間が戦いを選んだのか。簡単に言えばさ仲間を守りたかったのさ。セリューさんが街の皆んなを守りたいのと同じだね」

 

「同じ?悪が私と……同じ?そんな…そんな事は無い!だって悪なんだよ!逆賊だったんだ!だったら「無抵抗な子供や赤ん坊を殺す事も許されるの?」…!!」

 

セリューさんの言葉が詰まってしまった。

 

「セリューさん。俺は貴方の考えを否定はし無い。だって、街の人達は少なくともセリューさんに助けられてるだろう。だけどね、相手の考え……いや、信念と言っても良い。それを理解して何故反抗するのか、何故戦うのか、それを考えて欲しい」

 

「考える?」

 

セリューさんの表情は前髪で見え無い。だけど伝える。

 

「そう、セリューさんは今1つの考えに固定されてると感じたんだ。だからもう少し柔軟に考え、そして対応して欲しい。まぁ、この忠告は道案内の恩返しみたいな物さ」

 

そう言った俺は大通りに向かう。しかし、

 

「じゃあ、何故……何故パパは凶賊に殺されたの!?パパは……殺される事なんてして無いのに!!」

 

泣きながらセリューさんは俺に問う。

 

「セリューさんのお父さんがどんな凶賊に殺されたのかは分からない。だけどコレだけは言える。似た信念が武力でぶつかれば、最悪何方かは死ぬ事もある。そして、さっき言った南の蛮族達。彼らも皆殺しにされる様な事なんてして無いよ」

 

それを聞いてセリューさんは座り込んで泣いてしまう。更にコロちゃんがメッチャ唸り声あげてる。怖っ!

 

「セリューさん、俺は貴方みたいな人は今の帝国に……いや、この国の市民達には必要な存在だ。じゃなかったら、あんなに沢山の人達から声を掛けられる訳無いだろう?考えを改めろとは言わないよ。ただ、考えて欲しい。思考を止めないで欲しい。固定しないで欲しい。じゃないと、死んでしまうからね」

 

そう言って再び歩き出す。今度は呼び止められなかった。

 




本作主人公事シュウは基本相手の考えや思想を否定しません。寧ろフォローするぐらいです。
達観する所もありますが、理由は7.8歳の出来事によるものになるかな?


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ちょっだけ大胆になります♡

なんだかんだでセリューがヒロイン化しそう。
そんなつもりはなかったけどな。





ま、いいか。←オネスト大臣風


セリューさんと別れた後、俺は武器屋、もしくは鍛冶屋に行く事にした。前から思ってたが、MP28の弾倉をドラムマガジンにしたかったのだ。連射が強化された結果直ぐに弾切れしてしまう為だ。

武器屋に行ってみたが物は無かった為、鍛冶屋の店主に話をして3日後に取りに来る様に言われたので了承した。

 

あっさりやる事が終わってしまったので適当にぶらついてると貸本屋を見つけた。Night Bookと看板があるので其処に入ってみた。

 

店内に入ると中々の品揃えでビックリした。流石帝都に構えてる店だなと感心した。

 

そして、R指定の漢達のロマンが詰まったエリアに堂々と進入した。そして……

 

「……マーベラス」

 

そんな言葉が出た。10冊以上を借りてレジに並ぶ。周りに客は居なかった為、同い年ぐらいの店員に質問してみた。

 

「この本は誰がラインナップしたん?」

 

すると店員はニヤリと笑い、

 

「俺がやったよ」

 

と言った。暫く見つめ合ってから熱い握手を交わすのは必然だった。

 

 

 

互いに自己紹介をした。名前はラバックという。年も近いから店員だと思ってたが店長だった。確かに納得出来る品揃えだったから問題無さそうだ。

 

「いやー、素晴らしいね。特に趣味とセンスが。しかも年も近いと来たもんだから脱帽ものだよ」

 

「いやいや、そのセンスを理解してるシュウも立派なもんだよ」

 

と互いに褒め合いながら話は盛り上がった。

 

 

気が付けば夜になってしまったのはご愛嬌。

 

「じゃあまた借りに来るよ」

 

「おう!期待して待ってな。じゃあな」

 

今夜は色々捗りそうだな(意味深)と考えながら帰路に着く。

 

そして、その日の夜中ナイトレイドによる貴族暗殺が行われた。

 

 

 

 

 

 

次の日はやはりナイトレイドの暗殺で巷は賑わっていた。何でもその貴族は地方から来た無知な者や田舎者を拷問して楽しんでいたとか。

 

地方から来た田舎者………タツミ平気か?

 

何故かタツミを思い浮かべたが、直ぐに消した。まぁ腕はあるみたいだし、それにいずれ帝都で有名になる言ってたし大丈夫大丈夫!

 

そんな風に軽く考えながらチョコ味の飴を出して口に放り込んだ。ん〜甘々〜。

 

街を再び散策してると帝都警備隊の集団がいた。何やら隊長らしき人が指示を出してた。気になったので気配を消して隊長さんの背後に隠れる。

 

「良いか!お前ら。昨晩もナイトレイドによる暗殺が行われた。これ以上、この帝都で賊共の好き勝手にさせるな!良いな!」

 

「「「「「「はい!」」」」」

 

気合の入った返事だ。若いって良いなぁ。

 

「なら早速聞き込み及び警備強化だ!怪しい奴は直ぐに引っ捕らえろ!よし、行け!」

 

「「「「「「了解!」」」」」ザッ!

 

全員が一糸乱れぬ敬礼をする。だからついでに一言添える。

 

「ついでに首斬りザンクの手配書剥がしといてくれたまえ。奴はもう死んだからな。諸君!頼んだぞ!」

 

なるべく偉そうに言う。すると、

 

「「「「「「了解!」」」」」」ザッ!

 

気持ちの良い敬礼キター!と内心喜んでいると隊員達が一瞬止まり此方を凝視する。次いで隊長さんも此方を向く。

 

「お前は一体誰だ!というかお前ら何気合の入った敬礼してる!間違えるな!」

 

「「「「「「す、すみません。つい。」」」」」」

 

怒る隊長と謝る隊員。更に、

 

「プフー!怒られてやんの!www」

 

煽る俺。場の雰囲気は最悪になると思っていたその瞬間

 

「あれ?君は……シュウ…くん?だったかな?」

 

正義の味方のセリューさんが居た。

 

「あ、あなたは…大通り手前で大泣きし「何でそれを言うのよ!バシンッ⁉️←ビンタ威力強」へぶらい!」

 

クルクルクル←三回転中 バタ←力尽きた

 

シーンとなる空気。

 

「はあ、はあ、はあ………オーガ隊長!彼は私が責任を持って指導します!宜しいですね!」ギヌロン←鋭い目線

 

有無を言わせない目線と迫力。

 

「あ、あぁ、良いだろう。キチンと指導しろよセリュー。良し!他の者も見廻り開始!行け!」

 

「「「「「「りょ、了解!」」」」」」ザッ!

 

若干どもったが返礼をする。そして解散する帝都警備隊のメンバー。

 

「ほら、コロ行くよ!」ズルズルズルズル

 

「キュ、キュウ!」トコトコトコ

 

シュウを引きずりながら何処かに行くセリュー。それについて行くコロちゃん。

 

「…………まぁ、シュウと言ったかな?自業自得だな。さて、俺も仕事真面目にやるか」

 

何となく真面目に職務に付き始めるオーガ。きっとセリューのビンタと眼力にビビったわけでは無い……筈。

 

 

 

 

 

目が覚めるとセリューさんの顔があった。ついでに胸当ても見えた。さらに言えば木陰にいるみたいだ。

此処まで状況を確認した後、今の体勢について考える。後頭部は柔らかい何か。そして横になってる。更に先程の状況から察するに………膝枕来たんじゃね?

 

 

 

そっかー、膝枕かー。良し!気絶した振りしとこ。柔らか〜い感触と女の子の優しい香りを楽しもうと考えた瞬間

 

「キュウ!キュウウ!キュウ!キュウウウウ!」ピョン

 

コロちゃんが俺の顔にダイブして来た。

 

「コラ!コロちゃん!遊んじゃ駄目でしょ!…ん?あ、目が覚めたみたいですね!」

 

バレました。残念。

 

「うん。コロちゃんが俺の顔にダイブした瞬間に目が覚めたよ。それまで気絶してたみたいだ。うんうん。コロちゃん……目を覚ましてくれてありがとな!」グリグリ

 

「ギュ!ギュウウウウ!」グリグリグリグリ

 

互いにデコを擦り付け合う。そう、互いに分かってる事だからな。

 

「あの……先程はビンタしてしまって、ごめんなさい。まさか自分でも彼処まで行くとは思わなくて……」

 

謝るセリューさん。いやー、謝られても困っちゃうぜ。

 

「仕方無いですよ。寧ろ最初に警備隊の人達にちょっかい掛けたのは俺だしね。まぁお互い様って訳でさ。迷惑かけたお詫びにマスカット味の飴ちゃん上げます!コロちゃんにもブルーベリー味をプレゼント!」

 

そう言って飴をあげる。セリューさんとコロちゃんの空気が大分軽くなった感じだ。

 

「くす。分かりました。お互い様という訳ですね。飴頂きますね」

 

「キュウ〜」

 

暫く飴を舐めてるとセリューさんが声を掛けてきた。

 

「あの、昨日の晩にナイトレイドによる貴族暗殺が有ったのはご存知ですか?」

 

少し暗い表情で聞いてきた。

 

「あぁ、知ってるよ。地方から来た田舎者を拷問してたんだっけ?悲しいね。同じ人間なのになぁ」

 

「拷問だけでは無いんです。……捕らえた人達を薬漬けにしたり病気に感染させ、それを日記に書いてあったそうです」

 

セリューさんは俯いたまま話してくれる。

 

「しかも、その貴族の護衛には………警備隊の人達が居たんです」

 

更に続ける。

 

「私は…帝都警備隊。だから帝都の人達を守らなくては駄目なんです。………なのに、こんな事を守る為に警備隊に入った訳じゃあ……無いのに」

 

少し震えるセリューさん。きっと泣くのを我慢してるのだろう。

 

「こんな時こそさ、考えて考えて。悩んで悩みまくって、自分で答えを見つけるチャンスだよ。勿論、考えるのを止めて只々命令に従うだけでも良い。選ぶのはセリューさんだよ」

 

少し冷たい言い方になってしまった。

 

「でも、解からないから……どうして良いのか解からないから!だから!……うっ…ぐす」

 

あー、また泣かしちゃったよ。コロちゃんが睨んでくる。だから怖いって。

 

「答えは自分自身で探すしか無いよ。誰かに言われてそれを目標にする。間違っては無いよ。だけど直ぐに崩れ落ちてしまう。だから自分で答えを探すのさ。自分で答えを出せたならきっと、どんな言葉にも惑わされ無くなる。だから俺は冷たく言うようだけど自分で答えを出して欲しいんだ。それはセリューさんの力にもなってくれるさ」

 

これしか言えないな。結局セリューさん自身の問題だ。

 

「今はまだ時間ある。だからゆっくり考えなよ。色んな物を見たり聞いたりして自分で判断すれば良いさ」

 

そう言って俺はセリューさんの太ももに頭を乗せた。

 

「…え?えっと……何故私の足に?」

 

「いやー、何か仕事サボるのは駄目だーって言いそうだから妨害してみた。序でにちょっと眠たい。コロちゃ〜ん、こっちおいで。一緒に寝よう」

 

「…………キュウ」

 

今度はコロちゃんは協力してくれた。まぁ下心そんなに無いしね。

セリューさんがワタワタしてるけど眼を瞑る。さあ、夢の世界へlet's go!

 




うーむ………タグ付け足すか


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セリューの春?そして短期アルバイト始めます。

サブタイトル考えるの結構ムズイのな。


セリューさんの膝枕を2時間程堪能して目が覚めた。いや〜、我ながら大胆な事をした。起きた時セリューさんと目が合った時はもう赤面必須でしたが………ありがとうございます!

 

「さて、セリューさんはこれから如何します?調査開始?」

 

まだ赤面のセリューさんに聞いてみる。俺?勿論ドキドキしてますけど?何か?

 

「ふえ?あ、そ、そうですね!聞き込み開始します!えっと…その……ありがとう。それでは!」ビシッ!

 

セリューさんは敬礼して脱兎の如く走って行った。コロちゃん?めっちゃ引き摺られて行きました。大丈夫かな?

 

「後はセリューさん次第ですよ。答えなんて最初から沢山ありますよ。だから貴女だけの答えが見つかりますように」

 

最後1人呟いてしまったが、偶には感傷に浸るのも悪く無いさ。

俺も歩き出す。さて、今日は何処を見て廻ろうかな?飴を出して咥えながら移動した。

 

 

 

sideセリュー

 

私は帝都警備隊所属セリュー・ユビキタス!正義の味方です!

 

 

と、今でも思ってはいるのですが絶賛悩み中です。昨日迷子になっていたシュウさん?くん?…多分君だね。シュウくんを助けたのですが………私の在り方を考える言葉を沢山言ってきて、もう頭がパンクしそうです。

 

でも、悩み考える事が必要だと言っていたので考えます。

私はシュウくんにパパは何故凶賊に殺されたの?と聞いてしまいました。今思えばシュウくんは私のパパの事は知りません。なのにシュウくんは答えてくれました。

『似た信念が武力でぶつかれば、最悪何方かは死ぬ事もある。』この言葉が私にはとても重要で大切な言葉に感じました。パパも皆んなを守る信念が有った。そして……凶賊にも信念があったのでしょうか?

 

「キュウウゥ」

 

「あ、コロちゃん。…うん、大丈夫だよ。今は考える事を止めちゃ駄目なんだと思うから」

 

コロちゃんに心配されてしまいましたが、それでも私は悩む事を止めません。いつか、パパの信念と凶賊の信念を理解しないといけ無いから。私が前に進む為にも。

 

「考える事も任務も頑張ります!さあ!聞き込み調査開始です!」

 

私はコロちゃんにそう言って暗殺現場の周辺調査に向かいます。

 

遅れて仲間と合流しましたが、皆さんなんだか温かい目で見てきます。何故でしょう?

 

「セリューにも遂に春が来たか………今夜は赤飯かな?」

 

仲間の1人が真顔でそんな事を言ってきました。てっ!赤飯!何で!

 

「いや、だってさ、膝枕してたじゃん」

 

……………見られてました。は、恥ずかしい///

 

私は言い訳しようとしましたが言葉が出ず、結局黙ってワタワタしてました。

 

皆んなからは茶化されるは弄られるは、今夜はご飯ご馳走するから馴れ初めを聞かせろ!とかもう散々です。でも……否定の言葉は不思議と出ては来ませんでした。

 

 

side シュウ

 

あの後大通りに戻り、自分なりにナイトレイドの事を調べてみた。すると中々の使い手がいるみたいだった。何故なら全員が帝具持ちらしい。少なくとも手配書に出てる連中は皆帝具持ちだ。間違いなくそれ以外にも居るだろう。案外今この人混みの中にも居るのかもな。

 

もう1つ分かった事がある。ナイトレイドの行動時間は案外夜が多い。一般人からの顔バレ防止の為だろう。なら夜適当にぶらついてると案外鉢合わせするかも知れんな。

 

ちょっだけ危ない事を考えながら歩いてると、帝都警備隊隊長さんが目の前に居た。

 

「ん?お前は確か…セリューに連れて行かれたシュウって奴か。よく生き残れたな!ハッハッハッ!」

 

うん、まぁあのビンタ喰らった後なら心配されるわな。

 

「どうもこんにちは。改めて自分はシュウと言います。帝都には観光がてら来てます」

 

「そうか観光か。俺は帝都警備隊隊長のオーガだ。まっ!セリューの知り合いならそう悪い奴じゃねぇわな。んでだ、お前に1つ聞きたい事がある」

 

オーガさんが真面目な顔をで聞いてきた。

 

「聞きたい事?何ですか?」

 

「首斬りザンクが死んだのを何で知ってる?まだ一部の奴しか知らねぇ情報だ」

 

さっさと知ってる理由を言えと目が語ってた。

 

「俺が殺したから」

 

だから教えた。

 

「ほう…お前の様な奴が首斬りザンクを殺したか。これは傑作だな!ハッハッハッ!」

 

オーガさんは如何やら信じて無いみたいだった。まぁ逆の立場なら同じだろうけどね〜。

 

「まあいい。お前が首斬りザンクを殺したか、今ここで試してやろう。なーに、峰打ですましてや「これで良いですか?」…は?」

 

俺は帝都警備隊隊長のオーガに対してククリナイフを首に当てていた。

 

(こいつ!いつの間に⁉︎目で追えなかっただと!このオーガ様が!)

 

「もう良いですか?自分今から甘味屋に行きたいので」

 

帝都ガイドブックにも紹介されてたけど、中々美味いからまた来たのだよ。

 

「で、信じるか信じ無いか何て如何でも良いです。首斬りザンクを打ち破った手柄が欲しければどうぞ。ただ、俺の邪魔や命を狙うなら………ザンクの後を追わせてやる。あいつお喋りが好きだからね。話相手になってくれるか?」

 

俺はオーガに警告した。此奴からは下衆の匂いがプンプンしてるからな。それでも来るなら人前でボコボコにして社会的にも職場的にも消してやる。そして……最後は…………

 

「…………あぁ、分かった。邪魔もしねぇし、命も狙わねぇよ」

 

「……………」

「……………」

 

ふん。嘘は多分ついて無いか。目に怯えが見えたし。ま、手を出すなら殺せば良いか。別に帝都に拘ってる訳でもないし。

俺はククリナイフを片付けて甘味屋に行く事にした。オーガからの視線は感じなかった。

 

sideオーガ

 

ヤバい。この一言しか言えなかった。この帝都の街じゃあ俺様は王様だ。

だが……奴は…………そんな物通じ無い。あの眼を俺は知っている。そう、危険種の眼だ。権力なんぞ関係無い。ただ敵なら殺す。そんな眼だ。

 

あいつ、シュウと言ったか。首斬りザンクを仕留める腕前。奴も帝具持ちか?しかし、帝具らしき物は見当たらなかった。あのデカイ銃が帝具?にしてはオーラが無い。

 

 

 

なら、帝具無しで……殺ったのか?………それこそ一握りの奴だけだ。だが、奴の速さは異常だ。そして、あの速さも本気じゃねぇ。

 

手を出すか出さ無いか………答えは決まってる。手を出さ無いだ。例え権力があろうと奴は喰い破る。俺は今の立場を守る為に保身に走る。少し前の俺様なら屈辱以外何物でも無いと思うが、この時は本気で保身に走った事を後悔して無い。

 

 

side シュウ

やっぱり美味いなこの名物品は。ちょっとお高いけど我慢出来る値段だしね。そんな事を考えながら今後に展開について考える。

やはり1番なのは自分が更に強くなる事だ。誰にも邪魔される事なく旅するならこれは重要だ。次に武器だ。今はMP28と50口径マグナム、ククリナイフ×2がメインだ。ただ、帝具持ちの連中に対して1番有効なのは実はククリナイフだ。銃は直ぐに弾道を見切られて回避されてしまう。なら、回避でき無い距離で撃つか散弾を使用するかだ。

 

「小型のショットガン欲しいな。出来ればポンプアクションかレバーアクションが良いな」

 

多分ショットガンぐらいなら売ってるだろう。少なくともダブルバレルタイプなら見た事はある。

そうと決まれば先ずは資金稼ぎの為に危険種狩りをする。若しくは短期アルバイトを探す。

 

ただ、今日はもう遅いから明日から働きます。

 

 

 

次の日から帝都周辺の危険種狩りに行ったのだが戦果は著しく、仕方無く短期アルバイトに変更した。ウェイター、荷物運び、夜逃げの手伝い、イカサマの手伝い等をやって忙しい毎日を過ごしていたら帝都警備隊隊長オーガが切り刻まれて死体として発見された。



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例外があるのは仕方無いさ

あれだね。完璧にセリューヒロインになってるよ。


おかしいなぁ?

まぁ良いんですけどね!


警備隊隊長オーガが死んで暫く経ってから更に、北の異民族の要塞都市が陥落した。

 

しかし、北の勇者ヌマ・セイカは死ぬ最後にこの様な言葉を残したと言う。

 

「私には弟子がいる。誰よりも才能がある弟子が…だ。齢8歳にして私の攻撃を目で追い、10歳にてこの本丸から要塞都市の外に逃げ出した才能。必ず………必ずや!貴様ら帝国に仇なす存在となるだろう!何故なら貴様らの怠慢と傲慢を見続けているのだからだ!例え我々を滅ぼそうとも……必ずや帝国の災いとなるだろう!」

 

そう言いながらも身体中から血を流し、そして立ったまま死んだそうだ。

 

 

その言葉は瞬く間に各地に広がり、それが誰なのか両軍共探す事になる。

 

そして、その噂を聞いた主人公ことシュウはと言うと………

 

「へぇ〜、ヌマさんにそんな凄腕な弟子が居たんだな。スッゲーなおい。きっと将軍級の器があるに違いない」

 

との言葉を残した。実にあっさりとした感想だった。

 

 

 

 

帝都宮殿 謁見の間

「申し上げます。ナカキド将軍、ヘミ将軍両将軍が離反!反乱軍に合流した模様です!」

 

ザワッ……ザワッ……

 

「戦上手のナカキド将軍が…」「反乱軍が恐るべき勢力に育っているぞ…」「早く手を打たねば帝国は…」

 

周りの将兵が狼狽えていると、

 

「狼狽えるでないっ!初戦は南端にある勢力!いつでも対応できる!反乱分子を集めるだけ集めて掃除した方が効率が良い!」

 

そう、まだ10歳程の皇帝が将兵を一括す

 

「………で、良いのであろう大臣?」

 

一括…一括………うーん。

 

「ヌフフ。流石は陛下、落ち着いたものでございます」モグモグ

 

そう、帝国裏の支配者であるオネスト大臣である。

 

「遠くの反乱より近くの賊。今の問題はこれに尽きます。西の国では首斬りザンクが打ち破られ帝具は持って行かれ所在が不明、帝都警備隊隊長は殺され、私の縁者であるイヲカルは殺される!更にヌマ・セイカの最後の戯言に踊らされる帝国国民!!」グチャッグチャッグチャッ

 

「やられたい放題!悲しみで体重が増えてしまいますっ!」モグモグモグモグ!

 

ここで悲しみは関係無いと言えば死ぬので誰も言わない。

そして、オネスト大臣の顔が歪む。

 

「もう、穏健である私も怒りを抑えきれません!!北を制圧したエスデス将軍を呼び戻します」

 

その瞬間謁見の間に衝撃が走る。

 

「て、帝都にはブドー大将軍がおりましょう!」

 

「大将軍が賊狩りなど彼のプライドが許さないでしょう」

 

大臣はキッパリと言い切った。

 

「エスデスか…彼女ならブドーに並ぶ英傑、安心だ!」

 

「異民族40万人を生き埋め処刑した氷の女ですからな。それまでは無能な警備隊に活を入れなさい!最早生死は問いません!1匹でも多く賊を狩り出し始末するのです!!」

 

その時のオネスト大臣の顔は歪みきっていた。

 

 

 

sideセリュー

オーガ隊長が殺されたと聞いた時、思考が止まってしまった。私は……パパに続いて……師である……オーガ隊長を……また賊によって失ってしまった。

 

 

 

だから私は……復讐に走った。

 

 

 

 

 

 

そして、夜に身を潜め続けて……ついに!この時が来た!

 

「見つけた」

 

私は賊に対して蹴りを打ち込んだ。

 

ガゴオオン!

 

「敵⁉︎」「マイン気をつけて下さい!」

 

私は手配書を見ながら呟く。

 

「…やはり、顔が手配書と一致。ナイトレイド、シェーレと断定!所持してる帝具から連れの女もナイトレイドと断定!」

 

待ち続けた…

 

「夜ごと身を潜め待っていた甲斐があった………」

 

この時が来た……

 

「やっと……やっっっっっと巡り会えたな…ナイトレイド‼︎」

 

パパと師であるオーガ隊長の!

 

「帝都警備隊!セリュー・ユビキタス!絶対正義の名の下に悪をここで!!!

 

『似た信念が武力でぶつかれば、最悪何方かは死ぬ事もある』

 

……っん!………くっ!」

 

こんな時にシュウくんの言葉を思い出した。そう、私にはとても重要で大切な言葉。でも、今は!迷ってちゃ駄目‼︎

 

 

 

 

確固たる信念有る凶賊。迷い信念無き正義。

 

それでも戦いは始まろうとしていた。

 

 

 

side out

 

コッ コッ コッ 時計台の音が響いている。

 

 

「……正体がバレた以上、来てもらうか死んでもらうしか無い訳だけど…」

 

コッ コッ コッ

 

返事は無くただ睨み続けるセリュー。そして、指を指して宣言する。

 

「賊の生死は問わず。ならば……正義…いや、私が処刑!若しくは捕縛する!!」

 

言葉に迷いが出ているセリュー。しかし、

 

「パパはお前達の様な凶賊と戦い殉職した。そして、お前達は師である隊長を殺した…!」

 

引き返す事は無い。

 

「絶対に許さない‼︎」

 

 

 

帝具同士の激突は、その威力故に確実に”死”を呼び込む

 

これから始まる戦いもまた…

 

例外では無い

 

 

 

 

だが、彼ならこう言うだろう

 

「例外が無ければ作れば良いじゃない!」byマリーアントワネット風

 

と、軽い感じに。

 

 

「殺る気満々?なのかしらね?でも……」

 

ジャキン!

 

「先手必勝!」

 

バララララララ!!!!

 

マインの帝具浪漫砲台パンプキンが先に銃撃を開始する。しかし、セリューは動かない。

 

「キュアーッ!」

 

コロがセリューと弾丸の嵐の前に出る。そして…弾がコロに直撃した。しかし、着弾地点は煙に包まれる。

 

「やったか……?」

 

フラグを立てるマイン。しかし、

「グルルルルルル」シュウウウウウウ

 

巨大化してセリューの盾になるコロ。

 

「…!マイン、やはりアレは帝具です!」

 

「みたいね。しかも生物型って奴ね」

 

マインとシェーレは反撃に備える。しかし、セリューは動かない。

 

「……貴様ら凶賊は捕縛しようとも死刑は確定している。だから、コレだけは聞いておく。……何故オーガ隊長を殺した?隊長は殺される様な人では無かった!答えろ凶賊!!」

 

セリューが憎しみの視線と質問を投げかける。

 

しかし、マインとシェーレは冷たい視線で答える。

 

「何故殺したか?依頼が有ったからよ。あんた達が守ってる帝国国民の1人からね」

 

「私達は基本依頼を受けて暗殺を行います。ただ、対象は悪事を働く者ですけど。今回のオーガ暗殺は一般人の復讐によって依頼された物ですから」

 

その言葉を聞いてセリューの眼が見開く。

 

「う、嘘だ!隊長が誰かに恨まれる?……そうか、隊長や私達警備隊に逮捕された連ちゅ「無実の罪で殺された恋人の仇だったそうです」……え?」

 

シェーレが淡々と伝える。そしてセリューの動きが止まる。

この時マインは撃つか迷っていた。しかし、セリューからの殺気が殆ど無くなっていた為警戒止まりになっていた。

 

「オーガはね、油屋のガルマが悪事を働くたびに代理の犯罪者をでっち上げられてたのよ。そして、賄賂を貰っていた。

 

嘘だ……そんなの嘘だ………

 

そして、1人の依頼人によって殺されたのよ。

 

有り得ない……だって、だって!私達は帝都警備隊なんだ……。だから!

 

あぁ、その依頼人捕まえても意味無いわよ。だってその人性病になるまで身体売り続けてもう長く無いから」

 

 

 

 

 

………は、はははは。正義なんて……無いじゃない。

 

 

「………………………………」

 

俯き、動かなくなるセリュー。余りに隙だらけで攻撃が止まるマインとシェーレ。

 

「マイン、如何します?逃げます?」(ボソボソ)

 

「そうね、さっさと逃げましょう。いつ他の警備隊が来るか分からないし」(ボソボソ)

 

2人は逃げる体勢をとる。しかし、

 

「………それでも、お前達は凶賊。だから……此処で!捕縛する!それが帝都警備隊なんだ!」

 

セリューの眼に力は無い。しかし、職務を全うする正義感は健在だ。

 

「…如何やらやる気は出て来たみたいね」「私としては逃げた方が良いと思いますけど」

 

軽口を叩き合うものの警戒する2人。

 

 

 

そして…

 

「トンファガン!」

 

ドドドドドドド!

 

セリューが射撃をする。そして左右に避けるマインとシェーレ。

 

「コロ!突っ込んで鹵獲!腕の一本ぐらいなら潰せ!」

 

「グルルアァアアア!」

 

コロがシェーレに突っ込み口を開ける。しかし、

 

ジャキン!!!!ドシイイィン!!!!

 

「……すいません」ピュン

 

シェーレの帝具万物両断エクスタスが両断する。しかし、

 

「ギュオオオォオ!」

 

帝具ヘカトンケイルは直ぐに再生する。

 

「パンプキン!行っけー!」

 

キュイイン カッ!ドゴオオオン!

 

コロが吹き飛ぶがセリューの所まで戻されるが、直ぐに再生する。

 

「シェーレ気を付けて!文献にあったでしょ!生物型の帝具は体の何処かのコアを破壊しない限り再生し続けるって!心臓無いからアカメの村雨も効かないだろうし」

 

「中々面倒な相手ですね」

 

拮抗する3人。次に動いたのはセリューだ。

 

「コロ腕!」「キュウウウ……」ずるっずるっ

 

コロ腕が巨大化。そして、

 

「吶喊!粉砕!」

 

「キシャアアアァァァァァ!!!!」

 

セリューの命令に従うコロ。しかし、立ち塞がるのはシェーレ。エクスタスを盾にする

 

 

そして、ぶつかる両者。

 

ガガガガガガガガガガガガ!!!!

 

嵐の様な攻撃をするコロ。それを凌ぐシェーレ。更にセリューは追撃を加える。

 

ピイイイィィィィィ!

 

周辺の警備隊を呼び込む笛。絶望がマインとシェーレを襲う。しかし、両者の眼は悲観して無い。

 

「嵐の様な攻撃、援軍も呼ばれた……これは、まさにピンチ!!!」

 

キュイイイイイイン!

 

「だからこそ行けええええ!!!」

 

ドカアアアアアアアアアアン!!!!

 

ピンチになればなるだけ火力が上がるパンプキン。その威力はクロの動きを止める。しかし、ヘカトンケイルの修復能力は伊達では無い!

 

「くっ!もう、修復を始めてる。なんて生命力!」

 

悔しがるマイン。

 

「コロの耐久性はそんな攻撃なんて…!!」

 

そして土煙を利用してシェーレがセリューに接近する。

 

「帝具は道具。なら、使い手を仕留めます!」ジャキン!

 

狙いは最初から私!

 

シェーレに気付き迎撃体勢を取るセリュー。しかし、帝具には奥の手が存在している。

 

「奥の手!エクスタス!!!」

 

カッ!!!!

 

シェーレのエクスタスから発光が走る。目潰しを喰らうセリュー。しかし、僅かに見えるシェーレの攻撃を防ぐ。

 

ガガガガガガガガガ!!!!

 

「くうううううう!!」「はああああああああ!!」

 

僅かに均衡する2人、しかし………

 

ガツッ

 

「あっ」足を引っ掛けてしまうセリュー

 

「…………」冷静な動きで仕留める体勢を取るシェーレ

 

 

 

 

如何して?如何してこんなに強いの?私と何が違うの?立場?それとも悪だから?

 

『正義なんて見方によって変わるからだよ』

 

見方?

 

『相手の考え……いや、信念と言っても良い。それを理解して何故反抗するのか、何故戦うのか、それを考えて欲しい」

 

考え?………信念?

 

『自分で答えを探すのさ。自分で答えを出せたならきっと、どんな言葉にも惑わされ無くなる』

 

ジャキン!!!エクスタスの刃が開く音が……

 

『自分で答えを出して欲しいんだ。それはセリューさんの力にもなってくれるさ』

 

自分で……答えを……出す?

 

 

 

………あ、そっか。難しい事じゃあ無かったんだ。相手も同じなんだ。強い信念があるから戦えるんだ。

 

なんだ、簡単な事だったんだ。私も自分自信の信念を見つければ良かったんだ。パパや隊長の仇や復讐じゃ無く、自分自身の信念を……

 

「すいません」

 

謝ら無いでよ。考えや信念の意味を今更分かったんだよ?だから………

 

 

 

 

シュウくんに答え伝えたかったな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さよなら、シュウくん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシッ!グイッ! ジョキン!!!

 

 

「!!!くっ!」

 

お腹、斬られた。……でも、致命傷じゃ無い?誰かに頭引っ張られた?誰に?

 

 

 

「取り敢えずこれでも喰らっとけ」

 

ドオォン! ギイイィン!!

 

1番会いたい人の声が聞こえた。振り向くと………銃を構えてるシュウくんが居ました。

 

「ごめん。来ちゃった♡」

 

ふざけた言い方だけど、隙は無い。シェーレも警戒体勢を取る。

 

「セリューさんは、1度コロと一緒に下がってください。」

 

「だ、大丈夫だよ!私まだ「コロのコアがバレかけてるけど?」ッ!コロ!」

 

コロ方を見ると修復が間に合ってない状態だった。

 

「と、言うわけで」

 

ジャカ ダダダダダダダダダダダダダダッ ドオォン!

 

シュウくんはマインとシェーレに向かって射撃をする。私はその間にコロを呼び戻す。

 

「コロ!セリューさん連れて後退な。セリューさん、治療しないと死ぬぜ。お前の主人だろ?守ってやれよ?」

 

そう言ってコロに指示をだして私とコロの前に立つ。コロは一瞬止まるものの私を担いで走り出す。

 

「ま、待ってコロ!私「セリューさん、今の貴方は戦力になりますか?」ッ!」

 

冷たく突き放される。……だけど!

 

「死ぬつもりは無いから安心してよ。2人が逃げる時間ぐらい稼げるさ」

 

そう言って前を向くシュウくん。私は最後にコレだけ伝える

 

「シュウくん!私……私!答え見つけたから!聞いて欲しいから、だから……だから!死なないで!!」

 

シュウくんは片手を上げて返事をしてくれた。シュウくんとナイトレイドの2人が離れる。どうか、無事に戻って来て!

 

 

 

 

「わざわざ待っててくれたのですか?いや、見た目通り優しい方なんですね。今度デートしませんか?」

 

軽くナンパしてみる。銃を構えてたまんまだけどね。

 

「お誘いは嬉しいですけど、私帝都付近は出歩けませんから。すいません」

 

そりゃそうか。手配書に描かれてる顔と同じだもんな。

 

「ちょっとシェーレ!あんた何謝ってるのよ!こいつ敵よ!敵!」

 

「あぁ、すいませんマイン」

 

ふーん、ピンクの髪の子はマインちゃんね。

 

「マインちゃんもありがとね。わざわざ待っててくれて」

 

「ふん!帝具使いが居るのと居ないのとじゃあ逃げれる確率はいない方が断然いいわ!」

 

確かにな。だが、逃げるコロとセリューさんを撃たなかったのはやはり優しさ故だろうな。

 

「ま、帝都警備隊が来るまで俺の相手を頼むよ。それに、個人的な借りも返せそうだしね。その後は警備隊の相手を宜しくね」

 

再度銃を構え直す。因みに個人的な借りとはセリューさんの膝枕で2時間寝た事。

 

「ふん!あんたをサッサと倒して帰らせて貰うわ!行くわよ!シェーレ!」

 

「はい!マイン」

 

さあ、第二ラウンド開始だ!




今更だけど、主人公の服装が決まってない件について。



いやまぁ、あれだよ?想像してる時はちゃんと形にはあるんだよ?
ホントダヨ、ウソジャナイヨ( ¯•ω•¯ )


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ナイトレイドと俺

通算UAが1万超え?
お気に入り200?
ちょっとびっくりました。


皆さん、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))


都合良くシュウが現れた理由。それは1時間程前まで遡る。

 

 

1時間前

いや〜、夜逃げの手伝い楽しかったな。何か色々切羽詰まってる感が半端なかったし。でも今日でアルバイトも終了かな?理由はね、ポンプアクション式のショットガンを買えたからさ。見た目はイサカM37。序でにドラムマガジンも用意出来たしね。明日は危険種相手にショットガンの練習かな?

 

ルンルン気分で帰路に着いて広場近くに行くと銃声が聞こえたので首を突っ込み現在に至る。

 

 

 

 

 

さて、帝具使い2人が相手か。1度帝具使いと戦った事はあるけど、ギリギリの勝利だったし。いや、気絶したからダメだな。………だけど、今回は時間稼ぎ。なら………

 

睨み合う両者。そして、

 

トリプルブースト

 

世界が1/3になる。銃を構え直し射撃開始!

 

ジャキン ダダダダダダダダダダダダダダッ

 

「…………」

 

しかし、シェーレは動く事なくエクスタスで全て防ぐ。更にマインがパンプキンを構え射撃する

 

バラララララララララッ

 

俺は全弾回避する。しかし、その瞬間シェーレが接近。

 

「……いきます」「ッ!来るか!」

 

フォン!かなりの速さでエクスタスを振るう。あのハサミ、斬るだけじゃ無く打撃としても使えるのか。しかも身体強化もされてそう。

 

「随分重そうな帝具だけど、相性抜群なクチかな?」

 

「はい。お陰で重たいエクスタスも軽々と扱えますね」

 

ご丁寧にどうも!て、また射撃が来るか!

 

バラララララララララッ

 

更に避ける。

 

「ちょっとあんた!避けるんじゃ無いわよ!当たらないじゃ無い!」

 

「避けるに決まってるだろう!無茶言うな!」

 

ダダダダダダダダダダダダダダッ

バラララララララララララララッ

 

射撃の応酬、更に

 

「すいません」「だが断る!」

 

シェーレの攻撃も来る。斬撃と銃弾を避けつつ1度距離を置く。

 

こいつらの連携ヤバいわ。勝てる気がし無い。1人仕留めようとすると、必ず邪魔が入る。仮に閃光玉や煙幕玉を使っても何方かが対応するかな?しかも身体強化とかされてるとかチートだ!チート!

 

仕方無い。やはり仕留めるのは厳しいな。欲張らずに堅実に行くか。それに、もう少しで警備隊も来るだろうし。

 

 

 

 

 

 

ファイブブースト

 

 

世界が1/5になる。

 

狙うはシェーレ。行くぞ!

 

ダッ!

 

「!」「速い!」

 

シュウの速度に反応するシェーレとマイン。

 

ダダダダダダダダダダダダダダッ カチン

 

射撃しながら接近。更に弾切れのMP28を放棄してイサカM37を構える。

 

「いくら弾を防げても、広範囲の攻撃は防げ無いさ!」

 

「ッ!」

 

ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン

 

シェーレは回避する。その動きに合わせてマインの射線と被るように動く。しかし、それはシェーレの攻撃を受ける可能性が高い事も意味している。

 

ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン ダァン!

 

更に撃ち弾切れになった為イサカM37を放棄。シェーレの間合いに入る。

 

エクスタスを振るうシェーレ。体を反らし避けながら更に接近して、50口径のマグナムをシェーレの顔の横近くに構える。シェーレもエクスタスを、

 

「喰らえ!マイン!」

 

シェーレの動きが一瞬止まる

 

「ッ!マイン!避けて 「ドオォン!」あぐっ!」

 

シェーレの耳の直ぐで50口径が炸裂。只でさえ威力が抜群な50口径。その威力を出す為の火薬量は伊達では無い。

 

「シェーレ!」

 

「……ごめんね。最初からシェーレさん、貴女狙いでした。まぁ、当てるのが無理なら銃声を使うまでさ……て、聞こえて無いか」

 

シェーレは耳を押さえ此方を睨む。更にマインがパンプキンを此方に向けるは。しかし、俺もマグナムをシェーレに向ける。

 

一時の間。しかし……

 

「居たぞ!交戦しているぞ!」「応援を呼べ!」

 

帝都警備隊が集まりだす。

 

 

やっと来たか。もっと早く来いよな……。しかし、ナイトレイド2人を捕獲したなんて……俺、遂にモテ期突入じゃね?警備隊の美女、美少女とかから「素敵♡抱いて♡」みたいな風にYO!

 

真面目な顔をしつつ今後の展開(妄想)に期待をする。……しかし、その一瞬の隙をシェーレとマインは見逃さない。

 

「エクスタス!!!」

 

カッッ!!!!!

 

辺り一面が光に包まれる。

 

「なんだ!この眩しさは‼︎」「用心しろ!何が起こるかわからん!」

 

そして、その光をモロに浴びたシュウ君は………

 

 

 

 

「目があああああ!目があああああ!あああ!」←

 

………………

 

「マイン行けます!」「オッケー!逃げるわよ!」

 

そんな言葉を最後に言いながら逃げて行った。

 

 

 

光が収まった時はナイトレイドは居なくなっていた。そこには警備隊と

 

「ぬおおぉぉ………眼がヤバいわ。なんも見えないわ………」

 

眼を抑え、蹲るカッコ悪い姿のシュウが残されていた。

 

 

「君大丈夫?取り敢えず詰所まで来てくれるかな?勿論拒否権は無いよ」

 

冷酷に職務を全うする警備隊。

 

「え?明日じゃ駄目ですか?それに今眼がヤバいし。更に眠たいし」

 

取り敢えず抵抗する。しかし、

 

「駄目です。さあ行くぞ。今夜は寝かさないぜ♂」ガシ ガシ

 

両肩を抑えられ連行されるシュウ。

 

「俺は無実だーーーーー!!!そして徹夜は嫌だーーーーーー!!!」

 

 

最後の最後が締まらないシュウだった。




1人は信念の確率、1人は生存。一応戦力的には互角にします。


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フェクマと悪寒

遂に、あの人が降臨します!長かった〜。


あの後長い長〜い事情聴取を受けた後、眼の検査を軽く行って貰い解放された。

いやー、かなり真面目に事情聴取受けたから帝都警備隊は結構真面目なんだなと感心した。

しかし、セリューさんとは結局会えず残念である。ま、怪我も結構深かったから仕方ないかな?

 

そして、ナイトレイドについても考える。今回は帝具使い2人と戦った訳だが………良く生き残れたな俺。あの連携は中々侮れない、ファイブブーストにも対応されてたし。ただ、一対一ならマインなら殺れるがシェーレの方はちと厳しいか?でも、大振りの武器は俺にとっては鴨に等しい。なら時間を掛けずシックスブーストで勝負する?うーむ……微妙か?まっ!ヤバくなれば逃げればいっか!

結局この結論に行き着くのは性分かな?

何だかんだで昼前だからな。取り敢えず軽く何か食べて寝るか。

 

そう考えお腹を膨らます為に飯屋に行った後惰眠を貪ったのだった。

 

 

 

 

 

結局あの後丸一日程惰眠を貪った後、フェクマ(フェイクマウンテン)の危険種相手にイサカM37の練習をする。

装弾数は5発。近距離からの面攻撃は中々だ。しかし、やはり散弾故の宿命か中距離から撃つと威力、命中率は低下する。

ただ、人間相手なら中距離でもいけるかもしれんが帝具使いは勘弁して貰いたい所だ。

 

暫く練習していると、思わぬ人物と出会う事になる。何と…タツミとリーゼントの男性と出会った。

 

「え?タツミ!お前こんな所で何やってんの?そして、そちらの方は?」

 

まさかタツミと出会うとは思わず驚きの声を出してしまう。

 

「うえ!シュウ!お前こそこんな危険な場所で何やってんだよ!」

 

「何って……ショットガンの練習かな?この前新調したばかりだからな。しっかり使いこなさないとな!」

 

俺はそう言ってイサカM37を見せる。

 

「ほお。ちゃんと自分の武器を使いこなそうとしているのか。感心だな。おっと、自己紹介がまだだったな。俺はブランだ。ハンサムって呼んでも良いぜ!」

 

リーゼントの男性はブランさんと言うらしい。自己紹介しながら握手を求める。しかし、ハンサムか……呼んでみるか?

 

「自分はシュウと言います。宜しくお願いします。ハンサ……!(な、何だこの悪寒は!これ以上、言ってはいけ無い気がする!)…えと、ブランさん」(冷汗)

 

「おう!宜しくな!」ガシッ!

 

互いに握手する時には悪寒は収まっていた。一体何だったんだろう?

 

「所でタツミは同郷の奴とは会えたのか?確か…サヨとイエヤスだったかな?」

 

俺がそう聞くとタツミの顔に暗い影が落ちる。

 

「あぁ、会えたよ。………死んじまったけど」

 

あ……そっか、死んじゃったのか。

 

「じゃあ、そいつらの分まで生き残れよ?そして、お前が死んだ時に沢山土産話してやれよ?」

 

なるべく明るく言う。

 

「……っああ!そうするぜ!」

 

タツミも理解したのか明るく返事をする。

 

「シュウ、何ならお前もフェクマにいるなら一緒に修行するか?俺は今兄貴に鍛えて貰ってるんだ!兄貴は凄いぜ!スッゲェ強いんだ!」

 

そんなに強いのか……悪い人じゃ無いし良いかも。

 

「ブランさんが良ければご一緒しても?」

 

一応聞いてみる。

 

「あぁ、勿論良いぜ!」

 

気持ち良く許可が降りる。

 

「2人とも、傷付いたりしたら俺がベースキャンプで手厚く介抱してやるからな!///」

 

「何でそこで顔が赤くなるんだよ!!」

 

タツミが吠える。

 

(さっきの悪寒はこれかー!!)

 

シュウは戦慄する。

 

それから暫くの間フェクマにて気配の察知や観察眼を養う事になる。そしてブランさんのパワーとスピードの攻撃はかなりヤバい。多分首斬りザンクやナイトレイド2人よりも強いかもしれん。

 

しかしブランさん、何処かで見た事がある様な……無い様な……何処だったかな?

 

そんな事を考えながらフェクマにて修行する事になる。

 

 

 

同時刻 王宮 謁見の間

 

謁見の間には幼い皇帝、オネスト大臣、そして…性格ドS、強さ帝国最強のエスデス将軍が居た。

 

「エスデス将軍」 「はっ」

 

皇帝が名を呼び、エスデス将軍が形式通りの返事をする。

 

「北の制圧!見事であった!褒美に黄金1万を用意してあるぞ」

 

「ありがとうございます。北に備えとして残して来た兵達に送ります。喜びましょう」

 

黄金1万をあっさり部下に渡す豪傑っぷりを発揮する。

 

「戻ってきたばかりですまないが、仕事がある。帝都周辺にナイトレイドを始め凶悪な輩が蔓延ってる。これらを将軍の武力で一掃して欲しいのだ」

 

皇帝はエスデス将軍に仕事をお願いという名の命令を下す。

 

「……分かりました。ただ、1つお願いがございます」

 

「うむ。兵士か?なるべく多く用意するぞ」

 

先に予測できたのだろう、兵士を揃えると提案をだす。しかし、

 

「賊の中には帝具使いが多いと聞きます。帝具には……帝具が有効」

 

一旦言葉を切り再度口を開く。

 

「6人の帝具使いを集めて下さい。兵はそれで充分です。帝具使いのみの治安維持部隊を結成します」

 

あまりに無茶な要求に皇帝は眼を見開く。

 

「……将軍には三獣士と呼ばれる帝具使いの部下がいたな?更に6人か?」

 

流石に渋る皇帝。しかし…オネスト大臣が擁護する。

 

「陛下、エスデス将軍になら安心して力を預けられますぞ」

 

「うむ、お前がそう言うなら安心だ。用意出来そうか?」

 

オネスト大臣の言葉をアッサリ信じてエスデス将軍の願いを了承する。

 

「勿論でございます。早速手配しましょう」

 

「これで帝都も安泰だな。余はホッとしたぞ!」

 

「まことエスデス将軍は忠臣にございますな」

 

オネスト大臣がエスデス将軍の擁護をするのは当たり前だ。互いに協力する事によって欲を満たす事ができる。利害の一致。裏切りの心配が無く帝国にとって、オネスト大臣にとっての最高の切り札だ。

 

「エスデス将軍には苦労を掛ける。将軍には黄金だけでは無く別の褒美を与えたいな。何か望むものはあるか?爵位とか領地とか」

 

気を良くした皇帝はエスデス将軍に尋ねる。

 

「そうですね……。あえて言えば……」

 

一旦言葉を切るエスデス将軍

 

「言えば?」

 

その続きを促す皇帝

 

 

 

 

 

「恋をしたいと思っております」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皇帝とオネスト大臣が眼を見開き止まる

 

 

 

 

「…そ……そうであったか!将軍も年頃なのに独り身だしな!」

 

「しかし将軍を慕ってる者が周囲には山程おりましょう?」

 

先に言葉を発したのは皇帝だった。それに続くオネスト大臣。しかし、

 

「あれはペットです」

 

バッサリ斬り捨てるエスデス将軍。

 

「…では誰が斡旋しよう。この大臣などどうか?良い男だぞ!」

 

「ちょっ!……陛下!!」

 

皇帝がオネスト大臣を進める。普段の信用が返ってきた瞬間だ。

 

「お言葉ですが大臣は高血圧で明日をも知れぬ命」

 

「これで健康です失礼な」モグモグ

 

「ではどういうのが好みなのですか将軍は?」

 

お寿司を食べながら聞くオネスト大臣

 

「…ここに私の好みを書き連ねた紙があります。該当者がいれば教えてください」

 

用意周到なのだろか、手紙を胸元から出すエスデス将軍。

 

「わかった見ておこう」

 

こうして皇帝との謁見は終了となる。

 

 

 

 

 

そして、オネスト大臣とエスデス将軍が歩きながら悪巧みをする。

 

「相変わらず好き放題のよだな。大臣は」

 

「はい気に食わないから殺す。食べたいから最高の肉を頂く。己の欲するままに生きることのなんと痛快なことか。フフフフフ」

 

「…本当に病気になるなよ」

 

互いに軽口を言い合う。内容は全然軽くないが。

 

「しかし妙なことだ。私が闘争と殺戮以外に興味が湧くとはな。自分でも戸惑っているが……何かそんな気持ちになるのだ」

 

「あぁ、生物として異性を欲するのは至極当然でしょう。その気になるのが遅すぎるぐらいですよ」

(恋と言う言葉は全然似合ってませんが)

 

内心辛口な大臣。

 

「成る程、これも獣の本能か。まあ今は賊狩りを楽しむとしよう」

 

「それと別件ですが、エスデス将軍はヌマ・セイカの最期の言葉覚えてます?」

 

唐突に聞いてくる大臣。

 

「あぁ、覚えているぞ。まさか、最期は命乞いでは無くあの様な死に方だったからな。中々骨のある奴だったぞ」

 

敵ながら天晴れと付け足す。

 

「そうですか。なら、2日程前警備隊とナイトレイドが戦闘したのもご存知ですよね?」

 

「勿論だ。で、それがどうした?」

 

続きを促すエスデス将軍。

 

「いえね、帝具使い2人に対して警備隊の帝具使い1人が応戦したのですが、重症を負ったんですよ。……ただ、この話は続きが有りましてね。どうやら一般人がナイトレイド2人相手に応戦した後撃退したそうです。まあ、帝具は回収出来ませんでしたが」

 

「ほう……一般人がか?有り得んな。何処かの国の間者と言った方が信じるぞ」

 

エスデス将軍は呆れながらに言う。

 

「私もそう思います。ただ、報告書を見るとあながち間違えでは無さそうなんですよ。そして、その報告書の内容とヌマ・セイカの言葉が微妙に合うんですよねぇ。報告書見ます?」

 

大臣はそう言いながら報告書を渡す。

 

「どれ……。ふむ」

 

報告書内容

名前 シュウ

年齢 16

外見 黒髪の少年

所持してる武器 サブマシンガン、大口径リボルバー、ポンプアクション式ショットガン、ククリナイフ2本

出身地 北方面にあるコダ村。尚8年前に壊滅した模様

その後の行動は北方要塞に2年程居着き、賊や危険種を狩りつつ東へ向かう。2年程東の方で過ごし、また賊や危険種を狩りつつ南向かう。そこで更に2年程過ごす物の南方の状勢悪化の為、同じ様に狩りをして西方へ向かう。そして帝都入りしたのが1ヶ月程前で現在に至る。

 

「ふむ。確かに8歳の時で北方要塞に入り10歳で出て行くか…。合致するな」

(しかも、私の好みとも合致してるな。帝具使い2人と戦い生き残ってるのか。なら将軍級の器もあるだろう。後は無垢な笑顔だけか……)

 

「そうでしょう?更に西の方も丁度彼が居る時に首斬りザンクが殺られた時期と一致するんですよねぇ。中々面白い事ではありません?」

 

中々痛快そうに笑うオネスト大臣。

 

「もし、帝都の見回りの時に見つけたら見極めて欲しいのですよ。それで、帝国に仇なす者なら始末しませんといけませんからねぇ。グフフフフ」モグモグ

 

「ふん、まあいいだろう。次いでで見極めてやるさ。今は賊狩りだ」

(この時に無垢な笑顔を見れれば………)

 

 

 

同時刻 フェクマ

 

 

ゾクッッッ!!!!

 

「( 'ω')ふぁっ!!!」ジャキン!シャキン←マグナムとククリナイフ構えてる

 

「どうしたシュウ?敵か?」「うん?気配は無いが?何か感じたのか?」

 

「い、いや……別に……なんでも無いよ」

(スッッッゲェ!悪寒が走ったけど……大丈夫か?俺?)

 

 

 

王宮 渡り廊下

「それですが…帝具使い6人は要求がドS過ぎます」

 

流石に苦言を言う。しかし、

 

「だが、ギリギリ何とかなる範囲だろう?」

 

確信した言い方で返した。

 

「揃える代わりと言ってはなんですが、私居なくなって欲しい人たちがいるんですよねぇ」

 

「フ…、悪巧みか」

 

こうして彼らの様々な思想を渦ませながら進めていく。

 




エスデス将軍降臨キター!!!!

よし!タグ付けたそう!


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旅の話とシュウの考え

ブランはブラートの偽名にしてます。
まぁ多少繋がりがありますけどね。


シュウの身に悪寒が走った日の夜、タツミとブランさんとで夜食を食べながらシュウは今まで旅をして来た事を面白ろ可笑しく話していた。

 

「いやー、北方要塞は中々壮観な場所だったな。後、ヌマさん…あ、ヌマ・セイカって言う王族に拉致られるとか訳わかんなかったなぁ。まっ!2年ぐらいで逃げ出したがな!」

 

「へぇー、何か北方要塞スゲェ所だったんだなぁ」

 

「スゲェなんてもんじゃ無いよ!王族も民も互いの存在を誇りに思ってたしな!……ま、それでも負けちゃっただけどね。出来れば再戦したかったけどな。……勝ち逃げしやがって」

 

「………えと」「…………」

 

タツミとブランさんは沈黙するが、

 

「まっ!自分達が選んだ道だ。仕方ない事さ。俺がどうこう言って解決する訳じゃ無いしな!」

 

特に気にする事無く話始めるシュウ。

 

「そうか。当人達が納得してるなら良いがな」

(この切り替えの良さ。若干16歳でこんな風になるか?アカメでも此処までの切り替えは出来ねぇぞ)

 

ブランは内心帝国の影響が此処まで出るのかと悲観する。

 

「その後は東へ向かい、そして南へ行ったんだがな。その時に戦闘民族の仲間になったわ」

 

「え?何で仲間になったんだ?」

 

タツミが当然の疑問をぶつける。

 

「何か相手が無駄にテンション高かったから、俺も同じ様にテンション上げたら仲間になった。きっとシンパシーを感じたに違い無い!」

 

いや、シンパシーって。2人が微妙な顔をする。

 

「と言っても南の状況は知ってると思うけど、壊滅しちゃったからね。俺は壊滅する前に逃げた訳さ。最初は見送りなんて無かったけど、俺を何度も小馬鹿にしてた奴が見送りに来てこのククリナイフをくれたのさ」

 

そう言ってククリナイフを見せる。焚き火に煌めくククリナイフは今でも新品同様に見える。

 

「因みに全員じゃ無いけど、他にも見送りに来てくれた時は泣いたなぁ。でも泣き顔を見せるのは恥ずかしいから走って行ったけどな!……とは言うものの、バレてる気がするけどね」

 

「ほえー、じゃあそのククリナイフくれた奴はどんな奴がだったんだ?」

 

「フード被って赤い仮面つけてる奴だったよ。もう無茶苦茶速くてさ、俺の今の戦闘スタイルのモデルでもあるよ」

 

「はぁー、そいつもすごい奴だったんだな」

「…………」

 

タツミは感心していたが、ブランは黙ったままだ。しかし、

 

「…………シュウ、お前悔しく無いのか?」

 

ブランは聞くべきでは無いと分かっていながら聞いてしまう。

 

「悔しい?……あぁ、北方要塞と南の部族壊滅された事?仕方ないと思ってるよ。だって結果は分かりきってた事なのにその道を進んだのは彼らだ。ただ、当時は悔しいと感じたのは確かだね。何せ、自分の力不足を実感した瞬間だしね。それからはもっと強くなら無いといかんなと思ったよ」

 

しかし、随分とあっけからんと言ってしまうシュウ。その姿は実に自然体だ。

 

「……そうか」

(仲間の死を何とも思って無い訳では無い。しかし、余りにも軽過ぎる)

 

「その後西に向かったんだがな、錬金術とかで中々面白い国だったよ。因みにな、その国に居た時なんだがな中々可愛いお姉さんと知り合いになれたのだよ!どうだ!羨ましいだろう!」

 

胸を張るシュウ。

 

「因みにホッペにチューを貰ったんだぜ〜。羨ましいだろう!」

 

更にニヤけ顔になる。

 

「何だよ。別に付き合ってるわけじゃないんだろう?」

 

タツミが1発で確信を突く。

 

「そ、そりゃあ、相手も立場ってもんが有るんだよ。あ、そうそう、丁度その国に居た時に首斬りザンクと出会ったよ」

 

かなり大きな事を言うシュウ。その瞬間ブランの目が見開く。

 

「首斬りザンクだと!出会ったって……シュウ、お前ザンクを如何した?」

 

「……殺したよ?だってチェルシーさん殺そうとしてたし。あ、チェルシーさんがさっきチューくれた人ね」

 

これもあっさりバラしてしまう。多分信じて貰えないのと、時間も大分経つから大丈夫だろうと思っているんだろう。

 

「なあ兄貴、首斬りザンクって誰?」

 

タツミが話しについて行けずブランに聞く。

 

「首斬りザンクは帝具使いの辻斬りだ。以前は帝国の首斬り役人だったが、辻斬りに堕ちた男だ」

 

ブランが簡潔にザンクについて話す。

 

「しかし、ザンクとの会話はちょっと楽しかったな。奴の帝具についても多少は予想出来てたから尚更楽しかったな。因みに、ザンクの奴は干し首コレクションを常に持ってるらしくてな、何か正解すると貰えたみたい。因みに俺は拒否ったけどね〜」

 

「干し首コレクション……うげっ」

 

タツミは顔を歪める。ブランは眉間に皺をよせる。

 

(此奴……間違いない。ヌマ・セイカの言ってた愛弟子だ。………しかし聞いている人物像とかなり違う。いや、違い過ぎる。噂が一人歩きし過ぎてる?それだけ民衆は期待してるのか?)

 

「まあ、倒したと言っても俺も気絶しちゃったから引き分けかな。後、ザンクの帝具は他の奴に回収されたから無いよ。スペクテッド欲しかったなぁ。あの帝具があれば合法的に色々覗き放題だったのになぁ〜。……ハァ〜」

 

最後にそこそこ重い溜息をつく。やはり覗き放題に未練があるらしい。

 

「何か分かんねえけど、元気出せよ!首斬りザンク倒した時点でお前やっぱり強いじゃん!」

 

「え?そう?そんなに煽てても飴しか出せないぜ?ほらよ」

 

互いにじゃれ合うタツミとシュウ。しかし、シュウは更に爆弾発言をする。

 

「あ、後は最近のやつだとナイトレイドのシェーレとマインと戦ったわ」

 

その瞬間、タツミとブランは目を見開き沈黙するが内心……

 

((こ、此奴かシェーレとマインが言ってた奴かー!!!!))

 

と。

 

「あの時はヤバかったなぁ。何がヤバいって?帝具使い同士の連携攻撃とか半端なく死ぬかと思ったわ。俺帝具持ってないんだよ?」

 

そう言いながら若干不貞腐れる。

 

「よ、良く生き残れたな。で、戦った時の感想はまだ無いのか?」

 

ブランが話の先を急かす。

 

「ん?そうだな。狙い目はマインだったな。ただ、マインを狙ったとしてもシェーレが邪魔するのは必然。なら、先に護衛のシェーレの動きを止めるまでだったよ。無理に殺す必要は無い。それに、シェーレはマインに甘いと感じた。だから嘘をついてシェーレの動きを止めて耳元でマグナムの銃声をプレゼントしたのさ。……シェーレさん耳大丈夫かな?」

 

戦った状況を簡潔に話すシュウ。そしてシェーレの耳の心配をする。

 

「ああ、それなら大丈夫だよ。手先の器用な仲間が居るからな。直ぐに治療出来たよ」

 

タツミが大丈夫だと伝える。

 

「そっか、なら良かったよ。鼓膜破れただろうから一生失聴だなんて後味悪いからな」

 

そしてホッとするシュウ。

 

「「「………………………………」」」

 

沈黙する3人。

 

 

 

 

「タツミ1つ聞いても良い?お前今……大丈夫って言ったよな?……何で知ってるの?」

 

取り敢えず聞いてみるシュウ。

 

「えっと………そのー………………」

 

沈黙するタツミ。その横で頭を抱えるブラン。

 

「お前……まさか……………ナイトレイドに入ったのか?」

 

まさに、確信を聞いてしまうシュウ。

 

「あ、兄貴!俺やっちまったよ!どうしよう!」

 

「落ち着けタツミ。こうなったら話すしかねぇ。……シュウ、俺達はナイトレイドなんだ。そして、俺はナイトレイドのブラートだ」

 

辺りが沈黙する。焚き火の木が爆ぜる音だけが響く。そしてシュウが口を開いた。

 

「そっか、タツミはナイトレイドに入ったんだな。就職おめでとう!良かったな無職にならなくて!」

 

場違い過ぎるコメントだった。

 

「え!?いや、まぁそうだけど。驚かねえのか?俺、暗殺稼業ナイトレイドに入ってる事にさ」

 

「何で?お前が選んだ道だろ?なら、後悔する事なく行けよ。もっとも、どんな道を選んでも結局後悔するだろうけどな!あっはっはっは!」

 

全然気にして無いシュウ。そんな態度にブラートは唖然としてしまう。だからつい聞いてしまう。

 

「シュウ、お前今の帝国をどう思う?」

 

ブラートは神妙な顔で聞いてくる。

 

「似た様な質問を以前された事あるけど、人権関係と治安維持が全然駄目。文字や計算関係の教育はどの地方も大差無い。それぐらいかな?」

 

シュウの答えは以前と変わらない。それぐらいしか思ってないのだろう。だが、ブラートは納得出来てない。

 

「罪無き人が死刑台に送られる。一部の人だけが私欲や贅沢を満たす。殺戮や虐殺すら容認する国なんだぞ!お前の恩師のヌマ・セイカや、南の戦闘民族もその欲の為に皆殺しにされたんだぞ!!それで、何とも思ってないのかよ!!!答えろシュウ!!!!」

 

ブラートは吠える。シュウに今の帝国の現状を再度問う。

 

「…………ま、仕方ないんじゃない?だってヌマさん達や南の民族も滅びの道を自分達で選んだんだ。もっと上手くやれば良かったんだ。帝国に虐げられてる連中と連絡をしっかり取っていれば、来たる時に一斉発起すれば良かったんだ。要は大局を見据える事が出来なかった。ただ、それだけさ」

 

しかし、シュウは実にアッサリとした感想だった。そして更に続く。

 

「それに、帝国はもう長くは無いよ。反乱軍との戦いに勝とうが負けようが帝国は滅びるしか無いのさ。知ってます?大衆とは怠惰で無責任で臆病な存在何ですよ?そんな存在が強大な力を持つ帝国に反旗しつつある。いや、もう反旗している。それがどれだけ危険な事か帝国は理解していない。だから帝国は終わりなのさ」

 

シュウはそう言って言葉を切る。その言葉にブラートは言葉を失う。

 

「シュウ、お前……結構考えてるんだな」

 

タツミが感心した様だ。

 

「当たり前です。考える事は人にとって素晴らしい武器なのさ。だから俺は考え続けるのさ。さて、この話は終わりだ終わり。次ばタツミの話をしてくれよ」

 

「え?俺の話?うーん、特に面白くないぜ?」

 

「構わねえよ。お前の剣技は何処で習ったとか、故郷はどんな所か教えてくれよ」

 

「そうだなぁ、まず………………」

 

タツミとシュウは話し始める。それを静かに聞くブラート。しかし、ブラートはまだ納得して無いのか少し険しい顔をしていた。

 

「あ、因みに次はブラートさんの話をして下さいね。せっかく百人斬りのブラートに会ったんだ。何でナイトレイドに入ったのか知りたいし」

 

シュウはブラートに昔話を求めた。ブラートは驚いた顔をしつつも、「あぁ、良いぜ」と了承したのだった。

 

 

 

 

こうして男3人の昔話は若干のしこりを残しつつ盛り上がったのだった。




感想の返信なんですが、出来るだけ返信したいのですが仕事の都合疲れて無理な時もありますのでご勘弁を。
え?小説は書いてる?それはそれ、これはこれ!


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シュウの感情

早朝。俺はブラートさんと山頂にいた。何故かと言われたら山頂に来て欲しいと言われた為だ。

 

「こんな朝早くに一体何のご用ですか?しかもタツミ抜きとは」

 

そう、タツミ抜きで山頂にいるのだ。

 

ブラートは此方を向いて口を開く。

 

「……シュウ、武器を抜け」

 

剣を抜きながら一言だけいう。その瞬間ブラートの気配が変わる。

 

「……………マジで?ま、抜けと言われれば抜きますがね」

 

銃を抜きながら軽く言うシュウ。しかし、油断はして無い。

 

「……………行くぞ!」

 

その瞬間ブラートは地を蹴った。

 

「………………」

 

MP28を構え躊躇無く射撃をするシュウ。しかし、全弾弾かれ避けられ接近を許す。

 

「うおおおお!!」

 

気合一閃。真正面から斬りつけるブラート。だが、身体を捻り避けるシュウ。

 

ドゴオオオン!!

 

ブラートの斬撃により地が割れる。だが、シュウは冷静にマグナムをブラートに向ける。しかし、

 

「ふん!」

 

一気に最高スピードに乗ったブラートの斬り上げの攻撃にシュウのマグナムが吹き飛ぶ。

 

「ちっ!」

 

舌打ちしククリナイフを出しながらMP28をブラートに向けようとするが、

 

「甘い!」

 

ブラートの蹴りにより吹き飛ぶMP28。だが、構わずククリナイフで斬りつける。だが、

 

「予測出来た攻撃に意味は無いぞ!!」「だから何だ!!」

 

先に予測してたブラートは防ぎ、更に斬撃を追加するシュウ。

互いに攻撃をし剣で受け止め、そして避ける。

 

「シュウ!お前は大切な仲間を失いながら何も感じないのか!お前に託された思いに気付かないのか!どうなんだ!答えろ!!!!」

 

一瞬の互角な攻防はブラートの斬撃によりシュウは吹き飛ぶ。吹き飛びながら体勢を整え着地する。

 

「………何も感じない?………だと?」

 

ブラートの問いに口を開くシュウ。

 

「そうだ!お前には軽さしか無い。仲間を大勢失いながら仇も取ろうともしない。そんなお前に俺は聞いているだよ!!!!」

 

ブラートが叫びながら一瞬で間合いを詰める。そして上段から気合一閃を再び斬り込む。

 

 

この時、シュウはファイブブーストを起動していた。だからいつも通り避ける戦法を取る筈だった。何故ならシュウの戦闘スタイルはスピード重視。パワーはマグナムや手榴弾等で補っているからだ。

 

 

……だが、

 

 

ガキイイイィィィィン!!!

 

 

真正面から受け止めたシュウの姿があった。

 

 

「……何も感じないと言ったな」

 

ククリナイフで受け止め、俯きながら聞くシュウ。

 

「ああ、言ったさ」

 

ブラートも剣に力を込めながら返事をする。

 

 

 

 

 

「何も感じてない訳無いだろうがあああああああ!!!!!」

 

その瞬間シュウは力を受け流しブラートに斬り掛かる。

 

ギン!ガギン!シャアアア!

 

自分の出せる最大のスピードで斬り掛かるシュウ。それを防ぐ事に集中するブラート。

 

「皆んな死んだ!父さんも母さんも村の皆んなも死んだ!ヌマさん達も南の仲間達もみんなみんな死んだ!!!!だから俺はこの時代が憎いんだよ!この弱肉強食の時代がな!!!!!」

 

感情を爆発させるシュウ。そして更に斬撃のスピードは増す。

 

「父さんは危険種に殺された!仇を取ったら母さんと村の皆んなが賊に殺された!……その時分かったんだ!結局今の時代はこんなんだって!旅をして余計に確信したよ!」

 

勢いは止まらずブラートに傷を付ける。

 

「帝国が悪い?ああ!そうだよ!悪いよ!憎いよ!何せ帝国によって知り合った人の半分以上は殺されてる!!だけどね、それ以上に誰もこの時代を変えようとし無い事が何よりも憎い!!!!」

 

「なら、お前が変えれば「千年間一体何をしていた!」…!」

 

シュウがブラートに問う。

 

「帝国が出来て千年。未だに文字と計算ぐらいしか地方に広がって無い状況。危険種相手に対する武器も無い村が当たり前。……一体何やってたんだよ!え!それにいきなり変える事何て不可能なんだよ。ゆっくり、時間を掛けてやって行く事が当たり前なんだ。なのに…………なのに…………」

 

再び拮抗状態になる。

 

「だから、俺は俺なりのやり方をする。……いずれ帝国は滅びる。その時、俺は間近でその瞬間を見届けてやる!!今まで逃げ続けて来たけど、この時は命を賭けてでも見届ける!例え死んだとしてもな!!!そして、その場面を死んだ皆んなに教えてやるんだよ!!!それぐらいしか俺には出来ないんだ!!!」

 

回し蹴りをして一旦距離を取る。そしてブラートは口を開く。

 

「シュウ………お前の想いは……よく分かった。すまなかった。……だがな、命をそんな事に賭けるんじゃねえ!!!」

 

ボコオォ!

 

ブラートの拳がシュウの顔に入る。が、

 

バキッ!

 

「よ、余計な…お世話じゃ!」

 

シュウの拳もブラートの顔に入る。それから互いに武器を捨て殴り合う。互いに拳、蹴り更には頭突きをする。そして相手の攻撃を全て避けずに殴り合う2人。

 

 

しかし、この瞬間ブラートの勝利となる。スピードに分があるシュウが回避をせず、パワーと耐久力に分があるブラート。

 

そして…………

 

 

ドサ はあ、はあ、はあ。

 

 

 

辺りに呼吸だけが響く。

 

 

 

「痛いな……マジで痛いわ………」

 

今の状態を口に出すシュウ。

 

「はあ、はあ………シュウ、駄目元で聞くが、俺達の仲間になら無いか?」

 

ブラートは期待して無い声で聞いてくる。

 

「遠慮する。……俺は俺なりにやって行くさ。気持ちは嬉しいけどね」

 

答えは拒否。しかし、もう言葉に棘は無かった。

 

「そうか。さて、少し休憩したらタツミの所に戻るか。心配するだろうからな」

 

「了解。あー、疲れた」

 

何となしに空を見上げるシュウ。彼の目に何が見えているのか。それは本人のみがみぞ知る事である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それからシュウ、後で俺がベースキャンプで手厚く介抱してやるからな!///」

 

頬を赤く染めるブラート。

 

「怪我軽いから平気だわ。さてと!早くタツミの所に戻ろう!」

 

痛いのを我慢して走り出すシュウ。

 

「おーい、遠慮はしなくても良いんだぜ♂」

 

追うブラート。語尾に危険な香りを含む。

 

「嫌じゃー!!!」

 

身の危険か、はたまた別の危険を感じたのか悲鳴上げつつ全力で走るシュウ。

 

 

相変わらず締まりの無いシュウであった。

 




感情と考えは別物です。


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エロくは……無いよ?

遂にこの時が来たぜ!後悔はして無い!


あの後タツミに何があったのか聞かれたが、のらりくらり逃れ最後にタツミのズボンのチャック全開である事を指摘して話は終わった。

そして俺はフェクマから下山する事を2人に伝え別れた。

 

ただ、別れる際ブラートの熱い視線が怖かったです。………どうしてこうなった。

 

 

 

*年上キラー「ゴメンナサイ。間違えちゃいました(・ω<) テヘペロ」

 

 

しかし、俺はフェクマから下山した事を後悔する事になる。ただ、フェクマに残ったら残ったで後悔はしてただろうけど……。

 

 

 

 

フェクマから下山してから2週間ぐらいたっただろう。傷も大分癒えてはきたが、まだ多少痛いのは仕方ない。特に最後の殴り合いは真剣だったので尚更だ。

ただ、ファイブブーストは帝具使いやブラートの様な格上と戦ったお陰か普通に使えるレベルになっていた。更に嬉しい事にシックスブーストも5分ぐらいなら平気だ。それ以上は頭がヤバいけどね。

なんだかんだでレベルアップしてるので更に身体作りが必要だろうな。やる事が一杯で大変だ!

 

そんな事を思いつつ俺は帝都のメインストリートにある土産屋にいる。何故土産屋にいるかって?その土産屋にブドー大将軍とエスデス将軍のデフォルメされたグッズが販売されていたのだ。

ブドーバッチにエスデスバッチ、団扇から鉢巻、更には御守りと来たもんだ。まぁエスデスグッズの方が多いけどね。やっぱりこのエスデス将軍は美人何かな?スタイルはええんかな?見てみたいもんだな!

 

グッズを買おうか迷いつつ下心満載な俺は背後にいる人物に全然気付かなかった。

 

 

 

 

side エスデス

私は今帝都の警備と挨拶回りをしている。大抵の者は私の姿を見ると道を開けて頭を下げるか壁際まで下がり近くの者と話す。しかし、私を見ると皆同じ反応だから少々つまらん。

そんな中土産屋の近くを通る時、黒髪の少年を見つけた。鼠色のコートを着込み背中にはポンプアクション式のショットガンを身につけていた。

偶々似た格好をしている。そう思った……だが、私は土産屋に足を運んだ。まぁついでに挨拶回りも必要だろうしな。

 

カッ カッ カッ カッ

 

店員が私の姿に気付いた様だ。慌てる姿が滑稽だ。だが、少年はまだ気付いては無い。

 

「うーむ、どっち買おうかな?ブドーバッチかエスデスバッチか……。マグナムの先端に付けてオシャレしたいしな。MP28の先端にも欲しいな。イサカは如何しよう?」

 

そう少年は言いながら中々の大口径のリボルバーを取り出す。間違いない、この少年が報告書に合った子だろう。

私はまだ気付いて無い少年の横顔を見る。真剣な表情でブドーバッチと私のバッチを見比べている。しかし、アッサリ結論は出したみたいだ。

 

「よし!エスデスバッチにしよう!人気なのはエスデス将軍の方だろう。美人と言うお墨付きだし!それにブドー大将軍は引きこもりだし。尚且つおっさんだしな!すいませーん!エスデスバッチ3つとエスデス団扇1つ下さーい!」

 

如何やら私のグッズを買うのを決めた様だ。いい事だ。しかし、店員は口パクをしている。恐らく私の所為だろう。しかし、この少年は違った。

 

「………えっと、『わたしは、ホモ、です』………ホモはフェクマでお腹いっぱいだよ!馬鹿野郎!」

 

店員の口パクに言葉を付け足したのだ。しかも内容が面白い!更に店員は首を横に振り口パクをする。

 

「…………何々、『わたしは、ドS、です』…そうか、俺はどっちでも無いわ。つうか、まだ童貞ですから分かりませんが何か問題でも!」

 

少し惜しい気がする内容だ。だが、店員は更に首を横に振り口パクを再開する。

 

「………うーんと、『店長の加齢臭がキツイ』悪口はいかんぞ悪口は」

 

「んな事言ってねぇよ!隣を「ガシッちょっと裏に行こうか(満面の笑み)」て、店長!ち、違いますって!あいつがバタン←ドアを閉める音」

 

「……………」

「……………」

 

互いに沈黙する。すると少年が先に口を開く。

 

「中々楽しそうな職場だね。えっと、エスデスバッチ3つと団扇1つで……あー、細かいのが無いけど良いや。お金置いとくよー!釣りは要らね!」

 

そう言って少年は土産屋を後にする。しかし、私は少年を呼び止めた。

 

「そこの少年。少し良いか?」

 

「はい?………WOWスッゴイ美人発見」

 

これが私と少年……いや、私の運命の恋人シュウとの最初の会話だった。

 

side out

 

 

 

 

土産屋でエスデスバッチと団扇買ったらスッゴイ美人に声掛けられた。……でも、この人バッチの人に似ている?

 

「えっと、失礼。何かご用ですか?」

 

「大した事では無い。ただ、確認したくて声を掛けただけだ。君はシュウという名前で合ってるか?」

 

何故か名前を知ってる美人さん。

 

「……そうです。でも、何故名前を?そして、貴女は一体……」

 

「あぁ、まだ名乗って無かったな。私の名はエスデスだ。帝国軍の将軍だ。少年、君が買ったバッチと団扇のモデルでも有る!」

 

少しドヤ顔するエスデス将軍。しかし、何故将軍クラスの人が俺を?

 

「以前ナイトレイドの帝具使い2人と交戦して撃退したそうだな。その時の警備隊の報告書を読ませて貰ったのだ。だからもう少しその辺りの事を詳しく話したい。良いかな?」

 

取り敢えず拒否する理由が無いので大丈夫だと伝える。

 

「なら、場所を移動しよう。場所は……そうだな、甘味所の甘えん坊にしよう」

 

そうエスデス将軍は言いながら先導する。その後に続きながら考える。

 

なーんか面倒事になるか?いや、上手く誤魔化せば問題ないか?ま!俺なら何とか出来る!

 

そして最後に自分に問う

 

そんな気構えで大丈夫か?

 

そして答えは勿論

 

大丈夫だ。問題無い。

 

と。

 

 

フラグである。

 

 

 

 

 

甘味所甘えん坊

実はここ偶に来ていたりする。名物品が中々美味いのだ。

 

「エ!エスデス将軍!こ、これはこれは!本日はどの様な御用で!」

 

あー、店主さんガッチガチになってる。

 

「そう畏るな。挨拶回りと客として来ただけだ。これからは私が帝都の警備をする」

 

「ははー!心強い限りですエスデス様!こ……これはほんの気持ちです」

 

おっ!賄賂だ賄賂!初めてこういう所見たわ。エスデス将軍はそのお金を摘むと、店主の目にガッツリ押し込み、

 

「私に賄賂はいらん。次やったら痛い目に合わせるぞ」

 

と。ただ、店主の「ぎゃー!もう充分痛いです!」のコメントを聞いた時はだろうなと同意した。

 

「さて、名物を貰おうか」

「自分も同じ物お願いします」

 

椅子に座りながら注文する。それから直ぐに注文の品が来たが、何時もより2割り増しで来てた。ラッキー!

 

「では、改めて質問させて貰おうか。ナイトレイド2人と交戦した時の状況について聞きたい」

 

「まぁ、良いですよ。多分報告書と殆ど変わら無い内容ですが」

 

そう言いながら当時の状況を話す。アルバイトの帰りに偶然発見。そして警備隊の知り合いが殺されかけたので助けた。相手を負傷させるも目潰しされ逃す。

 

「成る程。しかし、帝具使い2人相手に無茶をするものだ。勝算は有ったのか?」

 

「勝算はありません。何せ帝具使い2人との戦闘ですよ?連携もかなり出来てました。だから自分の目標はセリューさん……あっと知り合いの警備隊の方です。セリューさんを逃す事、足止めを行い警備隊の増援を待つ。この2つを達成出来れば良かったので」

 

元々勝ち目が無いなら無いなりに戦えば良いだけの事。それに……

 

「何より俺が生き残れば良い事でしたしね」

 

そう、1番はやはり死な無い事。

 

「……そうか。中々良い事だな。それが君の強味なのだろう」

(生き残ろうとする強さもある。殆ど完璧だな。後は無垢な笑顔だけだ。さあ!笑顔を見せろ!)

 

心無しかエスデスの周りに謎のオーラが出始める。それに気付かないシュウ。

更にリーチがかかる。

 

「強味……ですか。確かに、何時も思ってます。自分が旅をしている時や賊、危険種を殺す時も……。生き残ることを考えます」

 

この時代を生きて学んだ事。それは弱肉強食だからこそ生き残る力が必要なのだと。

 

「でも、俺はあんまり強く無いんですよね。いや、大抵の人よりは強いですよ?……でも、殆ど勝ちたい戦いに勝てて無いからな」

 

しかも勝ちたいと思う人の殆どの連中はあの世行きと来たもんだ。

少し黄昏た表情をするシュウ。

 

「そうか。シュウ、お前には輝く何かがあると私は感じている。だからそう悲観するな。お前はまだ若い。これから強くなれるぞ」

 

エスデス将軍がシュウを慰める。その姿を見た甘えん坊の店主は目を見開く。

 

「エスデス将軍……。帝国最強と謳われてる人に其処まで言われたら悲観なんてしてられませんね。何か自信が出てきました!ありがとうございます!」(無垢な笑顔発動)

 

更に、

 

*年上キラー「前回のお詫びに1.5倍のボーナスタイム入ります!( 'ω')و ̑̑」

 

 

 

「………………………あ」

 

 

 

トクン

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、1人の乙女が恋に堕ちた瞬間だった。

 

 

 

 

 

「シュウ、お前は今はまだ弱い」

 

エスデス将軍立ち上がりながらはシュウに言う。そんなエスデス将軍を見上げるシュウ。

 

「だから……今から私の物にしてやろう!そして私がお前を鍛え上げてやろう!」

 

そう言いながら高速で胸元から首輪を出して一瞬でシュウの首に首輪を付ける。

 

「……え?え?……さっきの感動的な事が全部台無し何ですけど?良いの?」

 

突然の展開について行けないシュウ。しかし、エスデス将軍は気にしない。

 

「何、安心しろ。最初は戸惑うかもしれんが時期に慣れる。だから「ガチャガチャ カチャン」……む?」

 

目を瞑りシュウに語りかけていたが、首輪を一瞬で外してファイブブーストを使いダッシュで逃げ出すシュウ。更に、

 

「俺を拘束したければやってみろ!わっはっはっはー!逃げ足は誰にも負けた事が無いわ!」

 

自信満々な笑顔を見せながら走り去るシュウ。

 

(今の笑顔も良い!)

 

そんな笑顔すら良いと感じる乙女フィルター。しかし、伊達に帝国最強を謳われてる訳ではない。

 

「やれやれ、染めがいのある奴だ。だからこそお前を私の物にする!!!!」パチンッ

 

その瞬間シュウの前に氷の壁が出来る。そして勢いが止まらず壁に突っ込むシュウ。

 

「え?ちょ!「バコン!!」はぶっ!」バタ…

 

顔面から勢いよく突っ込み鼻血を出しながら倒れ……そうなシュウを優しく抱き抱えるエスデス将軍。速い!

 

「鼻血が出てるな。………ふむ。ペロ、チュッ。続きは私の部屋でな。今はこれで我慢してくれ」

 

そう言いながら鼻血を舐めとり、氷を鼻に当てるエスデス。シュウ?ガッツリぶつかった為意識を無くしてます。勿体無い!

 

 

こうして、シュウはエスデスにお姫様だっこされながら共に王宮に向かって行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな一部始終を見ていた奴が屋根の上に居たが、余りの展開に呆然としていたのは仕方ない事だった。

 



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爆睡とチェルシー

久々のチェルシー。ちゃんとチェルシーっぽさ書けてるかな?


「………うん?…………知らない「目が覚めたようだな」………はい。ここは一体?」

 

言いたかったなぁ。ま、良いけどさ。俺は確か首輪を外してダッシュで逃げてそれから………氷に阻まれたのか。しかし、その後の展開に惜しい事があった気がする……何故だ?

 

「ここは王宮の私の部屋だな。ま、今はゆっくり休むと良い。私は少し所用があるから出て行くが、逃げ出したりしたら王宮の近衛隊が直ぐ来るからな。最悪殺されても文句は言えないから、まあ大人しくしておく事だ。では、後でな」ポンポン

 

そう言って頭を優しく叩きながら出て行った。これは逃げれるチャンス!俺を拘束するなんて百年早い早い!

 

そう思い早速立ち上がり辺りを見渡す。俺の武器一式とコートも置いてあった。置いといても良いんか?後、何故か首に首輪が着いてた。しかも何か施錠部分パワーアップしてるし……。

取り敢えず首輪は放置してドアを開けると………

 

「「……………………」」

 

「……あ、ども」

 

バタン

 

…………ガッツリ見張りがおるやないかーい!何だよあのガッチガチの兵士は!あれが近衛か?取り敢えずコミュニケーションから始めるぞ!

 

「こ、こんにちは。飴食べます?」

 

「「……………………」」

 

「知ってます?この部屋エスデス将軍の下着が出たまんまなんなんですよ?」

 

「「…ッ………………」」

 

「………見ます?」

 

「「…ッ…ッ…………」」

 

耐えたか。まあ、

 

「うそなんですけどねw」

 

「「…………………#」」

 

「でわー」バタン

 

作戦は失敗した。繰り返す作戦は失敗!寧ろ悪化させちゃった!仕方なく大人しくしてる事にする。部屋の探索?自分紳士ですからしません(キリッ)

 

しかし、やる事無く景色を見たりドラゴンの危険種に手を振ったりしてしばらく暇をしてるといつの間にか眠ってしまったのは仕方ない事だった。

 

 

 

 

 

 

 

シュウが王宮のエスデスの部屋で寝てしまった少し前の時間。ナイトレイドのアジトに新しい仲間が補充要因として来たのだった。

 

 

side チェルシー

今回は久々の帝都の調査の為に、帝都暗殺チームに配属される事になった。……まあ、帝都行きを希望したのは私なんだけどね。

 

「そろそろ、この辺りにある筈なんだけどなぁ〜……お?アジト発見!」

 

私はソーダ味を咥えながらアジトに向かった。ストックが心配なんだよなぁ〜。帝都でシュウくんに会えないかな?

余り期待はしていないけど、思うのは別に良いよね?

 

 

 

「あら?どちら様ですか?」

 

メガネを掛けたチャイナ服の女性が本を読んでいた顔を上げた。

 

「私はチェルシー。今回こっちに配属される事になってた筈だけど、話し聞いてない?」

 

「えーと………すみません。覚えてません……あぁ!メガネメガネ〜」

 

そう言いながら頭を下げる。更にメガネを落とす。うーん、中々この人も濃い人だなぁ。

 

「シェーレ?如何したの?て、あぁ、あんたが補充要因のチェルシー?私はマインよ!あんたの先輩になるんだから敬いなさい!」

 

ツインテールの小っちゃい子はマイン。そして話は通ってたみたいだからホッとする。

 

「改めて私はチェルシー。帝都の偵察と暗殺要因として来たから宜しくね。因みにアカメって子と同じくらい任務遂行して来たけどね〜」

 

私は先輩に「私の方が上よ!ホッホッホッ!」と暗に伝える。マインも直ぐ分かったのだろう。目を吊り上げる。

 

「ところで他のメンバーは?」

 

人の気配が少ない為聞いてみる。すると今は良識派の文官の護衛と偽ナイトレイド討伐に出ているそうだ。因みに、シェーレは未だ本調子では無い為療養中である。よってマインもお留守番。

 

「後、レオーネって奴が今エスデスの動向を探ってるわ。多分戻ってくるのは未だ先の筈「ただいまー」て、レオーネ?早いわね。如何したの?」

 

金髪でグラマーボディの女性、レオーネがそこに居た。ただ、小難しい顔をしていたが。

 

「いやー、何かさ変な状況だったから取り敢えず戻って来た」

 

変な状況?と聞いて皆首をかしげる。

 

「マインとシェーレに聞きたいんだけど、以前警備隊の帝具使いと戦ってた時邪魔した奴がシュウって奴だよね?」

 

「…!」

 

シュウと言う名前に反応するチェルシー。

 

「そうよ。それが如何したの?」

 

「やっぱりあいつがシュウなのか……如何すんだろあいつ?」

 

何やら諦めムードを出すレオーネ。しかし、チェルシーはそれどころでは無かった。

 

「ちょ、ちょっと良い?えと……私はチェルシーて言うんだけど聞いても良い?」

 

「ん?あぁ、新しいメンバーだね!私はレオーネ宜しくね。で、聞きたい事って?」

 

「まず最初にマインとシェーレに聞きたいんだけど、シュウって人さ大口径のリボルバーとサブマシンガンとククリナイフ持ってなかった?」

 

お願い!別人であって!そう祈るチェルシー。しかし、

 

「はい、そうです。中々強い方でした」

 

「合ってるわよ。何よあんた、知り合い?」

 

「………ッ!………うん。以前助けられた事があるの」

 

少し沈んだ声になるチェルシー。

 

「ふーん。そんなに気にしなくても良いんじゃ無い?だって、内の男子全員そいつと知り合ってるし」

 

「そう………え?知り合ってる?」

 

「しかもナイトレイドだとバレたのに全然気にした素振りも無し。実際タツミの手配書は出てないしね。まったく、タツミはほんっとに馬鹿なんだから!」

 

余りの展開に言葉を失うチェルシー。

 

「そ、そうなんだ。はぁ……何か疲れた。あ、そうだ!レオーネ!シュウくん如何なったの?」

 

今度はレオーネに聞くチェルシー。チェルシーとしてはシュウの身に何かあったのか1番知りたい所。

 

「いやさ、最初はエスデスの動向を探ってたんだけどシュウの奴がエスデスと一緒に甘味屋まで行ったんだ。で、その時にエスデスは何を思ったのか分からないけど何故かシュウの首に首輪をつけるんだ。だけどシュウの奴は逃げ出したんだ。結構速く逃げてたけど氷の壁にモロにぶつかった後、エスデスに鼻血を舐め取られてお姫様だっこで王宮に連れて行かれた」

 

「「「……………………え?連れて行かれたーーーーー!!!」」」

 

3人の声が重なる。中々良い感じだ。

 

「って、いうか!鼻血舐め取られたって如何いう事!そこ詳しく話しなさいよ!」

 

チェルシーはレオーネに掴みかかる。それに対して落ち着けのジェスチャーをするレオーネ。

 

「あー、取り敢えず命の危険は無いと思うよ。だけど何で連れて行かれたのかはサッパリだけどね」

 

命のやり取りの雰囲気は無かったと聞いてホッとするチェルシー。しかし、

 

「でさ、チェルシー。あんた突っ込みどころか鼻血の所なの?なーんか、怪しいわね。ちょっと詳しく話しなさいよ!」

 

野生の感が働いたのだろか、レオーネはシュウとチェルシーの関係が怪しいと感じだ。

 

「え!べ、別に何も無いわよ。気のせいよ!気のせい!」

 

「本当かな〜?」

 

気のせいと言い張るチェルシー。それを怪しむレオーネ。

 

「でも、チェルシーはシュウさんの事をシュウくんと呼ぶんですね」

 

しかし、シェーレから何気無く言われた台詞。これが決定打となった。

 

この後チェルシーはシュウとの馴れ初めを全て吐く事になる。チェルシーは何とか凌ごうとするも、そこは流石ナイトレイドの実力者達。無駄な抵抗だった。

 

 

 

side out

 

 

 

side シュウ

うわあああぁぁぁぁぁ!!!!完全爆睡しちゃったあああぁぁぁぁぁ!!!!

 

いやね、理由はあるんだよ?ベッドふっかふかだったんだよ。前世のベッド以上にふっかふか何だよ?そりゃ寝ちゃうよ!……そして何よりベッドにエスデスさんの匂いがだなぁ……(自主規制させて頂きます。ご了承ください)

 

 

やはり何処まで行ってもスケベ心を忘れないシュウにある意味脱帽です。そんな事お馬鹿な事を考えてたらドアが勢いよく開いた。

 

「シュウ!……ふぅ、良かった。ちゃんと大人しくしていた様だな。良い子だ」ナデナデ

 

エスデスはシュウが逃げ出したのか若干心配していたのだろう。まあ、いきなり拉致されれば大抵の人は逃げ出す。

 

「いやー、ベッドふっかふかだったから寝ちゃいました。それより、用事は済んだのですか?」

 

「うん?あぁ、何とかな。それよりだ、お腹減っているだろう?先ずはご飯にしよう。王宮の料理は中々美味いぞ」

 

そう言ってシュウの手を握りながら食事に行く。

 

「王宮の料理かぁ。結構楽しみですね!」

 

なんだかんだで順応能力が高いシュウはあっさり今の状況に溶け込んでしまう。

 

「そうか、楽しみか。なら、料理長には気合を入れて貰うとしよう」

(よかった。特に不満がある訳では無さそうだ。やはり私達は運命なんだ!)

 

「いや、普通で大丈夫ですよ?」

 

自然に会話しつつ食堂に向かう2人。ある意味シュウの順応能力に助けられてるエスデスであった。

 

 

 

 

そして、エスデスが遅くまで戻らなかった理由。三獣士の戦死が確認された為であった。

 

 

 

また、ナイトレイドのブラートも戦死していたのだった。



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R指定は守ります(キリッ)と模擬戦

一回間違えて消してしまって再度書き直したんよ。


あれだね、テンションだだ下がりになっちゃうねw


シャアアァァァァ

 

シャワーの音が聞こえる。俺は今ベッドの上で座った状態で絶賛ピンチである。何故かって?

 

 

 

 

 

 

 

 

俺、今夜エスデスさんと寝るらしい。

 

 

 

 

 

 

御飯を食べ終えた後、自分の寝る部屋について尋ねると、

 

「何を言っている?お前は私の部屋で寝るのだぞ」

 

と真顔で言われた。部屋はまだ有るでしょう?と聞いたら、

 

「部屋は有るが用意はせん。何故ならシュウは私のベッドで一緒に寝るのだからな!」

 

ドヤ顔でいうエスデスさん。………いや、部屋有るなら用意してよ。と思う俺は悪く無い。そして現在である。

 

マジでどうする?逃げる?いや、夜だから警備は更に厳重だろうし。諦める?それに俺段階を追って行きたい派だし………どうしよう?

 

そんな風に悶々と考えてたら「キュキュキュ」と蛇口を閉める音が聞こえた。そして、

 

「ふぅ、待たせたなシュウ」

 

「いえ、大丈夫で…………マジかYO」

 

何とエスデスは裸Yシャツでご登場。固まるシュウにエスデスは話し掛ける。

 

「何だ、緊張しているのか?フ…可愛い奴め」

 

そして固まってるシュウの隣に座る。

 

「いや!……その、何と言ったら良いのやら。えっと……良くお似合いで」

 

もう一杯一杯のシュウくん。頑張って!

 

「そうか?私は寝る時はいつもこの格好だからな。フフ、嬉しいか?」

 

若干悪戯な目をするエスデス。

 

もうシュウくんは色々な事を今晩卒業してしまうのか!

シュウの理性は「耐えろ」だの「我慢しろ」「R15指定なんだぞ!」などとゴチャゴチャ言っている。しかし、本能は「行け、ただそれだけだ」と簡素な言葉だった。実に漢らしい本能だった。

 

しかし、エスデスはちょっと悲しそうな顔をして、

 

「本当は今夜色々したかったのだが、明日は予定がある。その時シュウにも来てもらう。だから残念ながら今夜は寝るぞ」

 

その言葉を聞いてホッとした様な残念な様な顔をするシュウ。

 

「そ、そうですか。じゃあ、僕あっちのソファーで「今夜は何もし無いから一緒に寝ろ!」いや……あ、はい分かりました」

 

これ以上刺激するのはマズイと判断したシュウは大人しく頷いた。そしてシャワーを浴びることをエスデスに伝えた。

 

「ふぅ、しかしこういう趣向は中々斬新で面白い……いや、面白いとは少し違うか?まぁ、どちらにしてもシュウと居るのは良い」

 

エスデスは今の状況に満足気な雰囲気を出す。そして、

 

「……あ、シュウの匂いがする」

 

………あんたもかい。

 

 

 

 

 

翌朝

俺は今とても幸せな気分だ。何だか温かく柔らかい何かに顔を包まれてる。更に良い匂いもするし。

だから少し頭を動かし二度寝する事にする。しかし、

 

「……………ん、…………んん……すぅ」

 

誰かの寝息が聞こえた。………誰だ?

 

薄っすらと目を開ける。すると、変わったマークが見えた。何のマークだったかな?と考えて…………思い出した。

確かエスデスさんの胸元にあったマークじゃね?………て事は……………俺………顔を谷間に埋めちゃってる?

 

 

 

マジで?マジなん?………良し!寝たふり寝たふり!

 

 

この時、煩悩が圧勝したのは誰の目から見ても明らかだった。そしてシュウのスケベ心はいつでも健在なのが改めて分かった瞬間だった。

 

 

 

 

 

「んん〜!ふぅ、おはようシュウ。良く眠れたか?」

 

「はい!とても幸せな気分です!」

 

「ふふ、そうか。なら良かった」

 

会話が噛み合ってる様で噛み合って無い。しかし、問題無く進む所は脱帽です。

 

「さあ、顔を洗って着替えたら朝食だ。次いでに少し軽く運動もするぞ」

 

「運動?……あぁ、手合わせですね。分かりました」

 

直ぐに意図を理解したシュウは了承した。

 

 

 

 

 

場所は闘技場。将軍職についてるエスデスにとって一言いえば直ぐに使える場所だ。

 

「さあ、先ずはシュウの戦闘技能を見せて貰おう。勿論普段使う武器を使って貰うぞ」

 

「え?でも自分銃使い「構わん」……際ですか」

 

銃なんて脅威では無いと暗に言うエスデス。しかし、シュウは納得はいかない。

 

(だったら後悔させてやるさ。それで死んだとしても恨むなよ)

 

シュウは頭を戦闘に切り替える。

 

「シュウ、いつでも来い!私が全力で受け止めてやろう!」

 

エスデスも切り替えたのが分かったのか構えを取る。

 

 

 

side シュウ

(隙が無い)

 

いざ戦いが始まったと同時に思ったのがコレだ。まるで手足の先から呼吸まで見られてる様な錯覚を覚える。圧倒的に違い過ぎた。

 

 

 

だからと言ってこんなチャンスは無い。帝国最強とのマンツーマン。やるだけやってやる!

 

俺はMP28とマグナムを再度握り締める。そして………

 

ファイブブースト!

 

ダッ!

 

俺はブーストを発動して駆け出した。そして一気に距離を詰めマグナムを構える。

 

「この一撃は防げるか?」

 

引き金を引いた。

 

それと同時に氷の壁が出現する。

 

ドオォン!!!

 

50口径の弾は真っ直ぐに氷の壁に突っ込みめり込む。しかし、途中で止まる。俺は目を一瞬見開く。

 

「お前の銃はかなりの威力がある。しかし、防いでしまえばそれ以上の力を出す事は出来まい?」

 

「くっ!」

 

まさか一瞬で俺の弱点を見極められた?だが、これならどうだ!

 

ドオォン!!!ドオォン!!!ドオォン!!!

 

同じ箇所に続け様に撃つ。すると流石に耐えられなかったのか氷は砕け散る。

 

やった!そう思った。しかし、エスデスの姿は無い。何処だ?左右を素早く見るが姿は無い。……上か!

 

反射的に上に向かってMP28を撃ちながら左に跳ぶ。それと同時に氷の雨が降ってくる。

俺は更に右左と跳び回避する。だが、直ぐ横にエスデスが長剣を構えながら急接近する。

 

回避は無理か!

 

そう判断した俺は銃を捨てククリナイフを構え、エスデスの攻撃を防ぐ。

 

ガキイィン!!!

 

上段からの重い一撃。しかし、直ぐに受け流そうとするも間に合わず引くエスデス。

 

「うん。今のは良い反応だ。あそこで銃に固着していたら死んでたからな」

 

エスデスは評価していた。だが、俺は全力だ。だから一気に接近戦で勝負に出る。

 

「行くぞ!!!」ダッ!!!!

 

一気に加速してエスデスに接近。しかし、エスデスも簡単に接近はさせない。氷の槍を此方に大量に飛ばしてくる。

俺はククリナイフで受け流し、必要最低限な動きで身体を捻りながら接近。エスデスの目が見開く。

 

こんな芸当アクセルブースト能力が無ければ無理だなと内心苦笑いしつつ接近。しかし、エスデスは接近戦も圧倒的だった。

 

右から斬りかかるも氷の盾で防がれ、左で斬るも長剣で受け止められる。回り込むも反応され防がれる。だから、更に加速させる必要がある。追い付かれない加速が。

 

 

 

シックスブースト!

 

 

 

更に速くなる。攻撃速度は苛烈になる。

 

 

しかし、届かない。最初は良かった。エスデスの驚きの顔が見れた。だが、暫く経つと

 

ガキイィン!!!

 

「良いぞ!素晴らしい速さだ!確かにそれならパワーより加速に力を入れた方が良い!……だが、パワー上げを疎かにし過ぎだ!!!」

 

ブオオォン!!!

 

エスデスは長剣に力を入れ、防御姿勢のままの俺を吹き飛ばす。そして飛ばされながらも体勢を整え着地。

一気に距離が離れる。………届かない。加速だけじゃあダメなのか?パワーは銃で補うでは無理があるのか……。

 

シックスブーストの限界が近づく。しかし、まだ諦めない。跳ばされながらもマグナムを回収出来たのは僥倖だ。だから再度近づく為に足に力を入れる。

 

一気に距離を縮める。エスデスは氷の壁を貼る。だが、それが狙いだ!

 

ドオォン!!!

 

氷に当たる。するとヒビ割れで止まる。だが、相手の姿は見えにくくなる。今がチャンス!

俺は回り込みエスデスの横に付く。エスデスもそれに反応する。だが、構わない。マグナムを構えながら、

 

「これが俺の戦い方だ!!!!」

 

エスデスは氷を再度張る。しかし

 

 

 

カチン

 

 

 

 

 

 

………………やっちまった。リロード忘れてたん。

 

 

「……………………………………………はぁ」

 

あ、何か嫌な予感がする。そう、この感覚。お母さんに悪い事がばれた時に似てる気がする。

 

「シュウ、お前の銃の運用方は認めよう。………だが、残弾の確認はキチンとしろ!!!!!」

 

ドカアアアァァァァ!!!!

 

エスデスの美しい蹴りが俺の腹に食い込む。そして吹き飛ばされる俺。

 

「すいませんでしたあああぁぁぁぁぁ!ドカン!←壁にぶつかる音、ゴフッ!」

 

壁に叩きつけられた俺は意識を失う。そして意識を失う前に思う事、それは………空と同じ水色かぁ。清楚っぽくて良いです。

 

 

何が?とは聞かないでくれたまえ。ただ、紳士達なら分かるだろう?

 

 

 

side out

 

side エスデス

「はぁ、仕方の無い奴だ。まあ、想像以上の強さだったから良しとしよう。特に速さに関しては合格だ。それに、まだまだ伸びると確信出来た。これから私が更に鍛えてやろう!」

 

私はそうシュウに宣言したが、どうやら気絶してしまった様だ。

 

「ふむ、そろそろ時間なのだがな。仕方無い。私が運んでやろう」

 

私は優しくシュウをお姫様抱っこする。うんんん〜、やはりこうしてシュウを近くに感じるのは良いな。それに、何だかんだと言いながら反抗もし無いし。フフフ……やはり私達は運命なのだな。

 

私はそっとシュウに口付けをしたりスリスリしながら特別警察会議室に向かう事にした。

そう、今日は私の部下になる帝具使い6人が来る筈だからな。




この小説はR15指定をキチンと守らせて頂きます!ギリギリいけるでしょう?


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発足、イェーガーズ

後書きにおまけがあります。

何となく書いてみましたw


シュウが気絶している頃、6人の帝具使いのメンバーが集まり始めていた。

 

 

side セリュー

私は今王宮の廊下を歩いています。理由は帝具使いだけの少数部隊のメンバーに選ばれたからです。

正直私が選ばれるとは思って無かったので、少しドキドキしてます。

 

集合場所の特別警察会議室に向かう途中、

 

「あら?セリューちゃんじゃ無い。貴女も特別警察会議室に?」

 

Dr.スタイリッシュに出会いました。

 

「Dr.スタイリッシュ!お久しぶりです!そうです。私も会議室に向かう途中です」

 

「あら、そうなの。なら一緒に行きましょう」

 

そう言ってDr.スタイリッシュは先に進みます。

 

「あの、Dr.スタイリッシュ……この前の治療ありがとうございました。それと…折角強化して貰ったのに外して貰って……その………ごめんなさい」

 

私は以前までは身体の中に武器を仕込んでいました。……でも、シュウくんの戦いを少しだけ見ました。そして、衝撃を受けました。何故なら帝具使い2人に対して一歩も引いて無かったのです!帝具を持ってないのに関わらず。

だから、私は安易に強くなるのはコロちゃんに失礼だと思ってしまったのです。

 

「セリューちゃん、別に謝らなくても良いのよ。だってセリューちゃんが選んだ事なのよ?……それに、以前の貴女より今のセリューちゃんの方が絶対強くなってるわ」

 

「え?以前より……強い?そ、そんな事……無いですよ」

 

私は暫く安静にしていたし仕込み武器を外した後の後遺症があるか確認したりと、まともに訓練を行ってないのです。

 

「うーん、身体と言うより……心かしらね?オカマの勘だけどね。でも、オカマの勘は良く当たるのよ?」バチコーン☆

 

そう言ってDr.スタイリッシュはウインクをしました。

 

心………。

 

「……Dr.スタイリッシュ。私は自分の信念を見つけれました。私はその信念に向かって頑張って行きます!例え……その信念によって避けられない戦いがあったとしても。それでも、私は負けません!」

 

私は帝都に居る人達を守りたい。例え悪人だろうと、私は守ります!それが私の信念です!……あ、勿論悪人は法でキッチリ裁いて貰いますよ?絶対に逃がしません。

 

「そう、なら頑張りなさい。応援してるわ」

(手駒としてはもう使えないわね〜。ま、良いわ。頑張りなさいセリュー)

 

そうこうしてる内に特別警察会議室に着きました。するとDr.スタイリッシュが私にお願いして来ました。

 

「セリューちゃん、一つお願いが有るのだけれど良いかしら?」

 

「お願いですか?はい!別に構いませんよ?」

 

すると、何処に持っていたのか分かりませんが薔薇の花束を私に渡しながら言います。

 

「この薔薇を部屋の入り口にばら撒いて欲しいのよ。花道を歩くのがスタイリッシュな事なのよね」

 

よく分かりませんが、了承しました。

 

「では、私から入室しますね。失礼します!「バターン!」帝都警備隊所属セリュー・ユビキタス!アンド、コロです!」(`・ω・´)ゞビシッ

 

中には拷問官の方、お菓子を食べてる女の子、そしてちょっと田舎っぽい男性が居ました。

そして私は持っている薔薇の花束を床にばら撒きます!バサァァ!

 

「Dr.スタイリッシュ!準備が出来ました!では、私はこれで!」

 

私は役目を果たし空いてる席に向かいました。

 

「第一印象に気を使う……それこそがスタイリッシュな男のタシナミ」

 

どうやらDr.スタイリッシュは決め台詞を言えた様です。良かったです。

 

「アラ、見るからに田舎者だけどアナタ中々のイケメンじゃ無い!」

 

どうやらDr.スタイリッシュのお眼鏡に叶う男性が居た様です。

 

「あたしが磨いてあげるわ。ヨロシクね!」バチコーン♡

 

Dr.スタイリッシュはウインクをしてアピールをしますが、相手の方は青ざめてます。……大丈夫かな?

 

それから爽やかな男性の方が来て6人になります。椅子の数も6個でしたので多分これで全員でしょう。

拷問官……では無く焼却部隊から来たボルスさんからお茶を貰い少し皆さんと話をしていると、再度ドアが開きました。

 

 

そして、仮面を着けた女性と…………何故かお姫様抱っこされてるシュウくんが居ました。

 

 

 

 

 

…………えっと、なんで?

 

 

 

 

side out

 

変な状況に一瞬みんなの思考が止まる。しかし、

 

「……た、大尉。後退しましょう………数が多すぎます………むにゃ」

 

お姫様抱っこされつつ寝言を言うシュウ。そんな姿を見て和むエスデス。そして、寝てるシュウを優しく床に置いてから頭を人撫でしてから、

 

「お前達見ない顔だ!ここで何をしている!」

 

いや、あんたが何してるんだよ。数名の心中が一致する。そしてウェイブが説明をしようと声を出した。

 

「おいおい、俺達はここに集合しろって…「ドゴッ!」!!!」

 

ウェイブがエスデスの蹴りを受け吹き飛ぶ。

 

「…賊には殺し屋も居る。常に警戒を怠るな!」

 

エスデスはランに向かい攻撃をするも、防がれる。そして、

 

「コロ!右から回り込んで!ハアアアアア!」

 

セリューがトンファーで攻撃を掛ける。しかし、体術のみで対処されコロも顔に氷を貼られる。

 

「連携で挟み込むのは良し。しかし、殺気が剥き出し過ぎるぞ!」

 

軽くいなし評価するエスデス。そこにクロメが参戦。

 

「巫山戯られても、此方は加減できない」

 

クロメの的確な攻撃によりエスデスの仮面が割れる。そして素顔が割れる。

 

「エ、エスデス将軍!!」

 

皆んなが唖然としてる中、遂にシュウが目覚める。

 

「た、大尉ーーー!!!「ガバ!」…………は?……夢か……ふぅ。?、ここ何処?」

 

場違い満載なシュウは只々首を傾げるだけだった。

 

 

 

 

あの後全員着替えてから廊下を渡りつつ軽く話をする。

 

「セリューさん久しぶりですね。お腹は大丈夫なんですか?」

 

「はい!大丈夫ですよ!しっかり治療しましたから」

 

シュウはエクスタスに斬られたセリューを心配するも大丈夫だと言われホッとする。

 

「そっか、なら良かったよ………いや、実際見てみないと分からないからな。うんうん!今からお腹見せて貰えます?」

 

早速セクハラに走るシュウ。そしてコロが威嚇する。

 

「ふぇ?み、見せるですか!無理無理ですよ!そ、それに、恥ずかしいし……」

 

実に一般的な事を言うセリュー。しかし、シュウは引かない。いや、引けないんだ!

 

「いやいやいや、これは跡が残ってないか確認だよ?決してヤラシイ気持ちは無いよ?本当だよ?」

 

下心満載なシュウ。更に唸り声を上げるコロ。顔を赤くするセリュー。しかし、そんなシュウに遂に鉄槌が下される。

 

「………ほぉ、シュウ。随分と楽しそうだな」

 

帝国最強、ドSの女、エスデス将軍が半端ないオーラを出しながら背後に居た。

 

「……………………いや、その…………ぼ、僕は純粋にし、心配をしてまして………はい」

 

冷や汗が止まらないシュウ。そして………

 

「私以外に手を出そうとするな!!!!!」

 

ドカアアアァァァァ!!!!!

 

悲鳴も上げる暇も無く20メートル以上吹き飛ばされるシュウ。3回ほどバウンドした後、海老反りになりながら滑る。その姿はさながらドリ◯顔負けのポーズだった。そして、飛距離は恐らく自己最高新記録達成しただろう。

 

「「「「「「………………………」」」」」」

 

「………はぁ、セリューと言ったな」

 

唐突にセリューを呼ぶエスデス。

 

「は、はい!」

 

緊張するセリュー。ま、人間が横に真っ直ぐ飛ばす人から声を掛けられれば緊張するか。

 

「先に言っておくぞ。シュウは私の物だからな!覚えておけ!」ビシ!

 

指をセリューに差しながら宣言するエスデス。しかし、セリューは目を見開きながら反論する。

 

「…!シュ、シュウくんはまだ誰の物ではありません!それに、その命令には従えません!」

 

真っ直ぐに言い返すセリュー。しかし、

 

「ほぉ。私は昨日シュウと寝たぞ」

 

爆弾発言投下。

 

「わ、私だって膝枕しました!」

 

更に投下。

 

「……………………」

「……………………」

 

睨み合う2人。しかし、そこに意外な人物が仲裁に入る。

 

「エスデス様、一つ宜しいでしょうか?」

 

まさかのオカマ、Dr.スタイリッシュだった。

 

「………何だ」

 

ドスの効く声を出すエスデス。しかし、

 

「恋は………戦いです。その戦いを一方的に終わらす事は不可能ですわ。現にセリューちゃんは上司であるエスデス様に反抗してます。ならば、シュウ君に決めて貰う他有りません!そして、普段使う武力では無く女子力を使う必要がありますわ!!!!!」シュパッ!

 

Dr.スタイリッシュはポーズを決めながらそう宣言する。

 

「恋とは……乙女にとって……大切な大切な!物なのです!それは決して武力で折ることは出来ません!………ただ、コレだけは言えます。私は何時だって恋する乙女の味方ですわ!」バチコーン☆

 

そう言ってセリューに向かってウインクをかますDr.スタイリッシュ。しかし、納得がいかないエスデス。だが、更に援護が入る。

 

「エスデス将軍。恋は武力では解決はしません。寧ろ根気が必要になります。私も結婚するまで2回も振られましたし」

 

既婚者なボルスだった。

 

「………………ふん。まあ良い。この話は後でゆっくりするとしよう。よし!では、今から陛下と謁見後パーティだ!」

 

エスデスは別の爆弾発言を投下。

 

「い、いきなり陛下と!」

 

「初日から随分飛ばしてるスケジュールですね」

 

ウェイブとランは吃驚しながら言う。

 

「面倒事はチャッチャと済ませるに限る。それぞれの自己紹介は次回以降で良いだろう」

 

実にアッサリと言う。

 

「それよりエスデス様。私達のチーム名とか決まってるのでしょうか?」

 

「…………うむ。我々は独自の機動性を持ち、凶悪な賊の群れを容赦無く狩る組織……。

 

 

故に

 

 

特殊警察【イェーガーズ】だ」

 

エスデスは凶悪な笑みと共に言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして地面と熱い抱擁をしているシュウは王宮の警備をしていた近衛兵により医務室に運ばれた。

 




西暦1940年
昆虫の変異が確認されるも放置される。

1942年
昆虫の巨大化が確認される。それに対してドイツ、日本は調査開始。よって戦争は一時保留になる。

1950年
日本北海道に巨大昆虫を確認。近くの村、街を襲う。しかし、第3艦隊による艦砲射撃により殲滅するも被害甚大。同年世界に対して巨大昆虫に対する対策を求めるも殆ど無視される。

1951年
日本、ドイツ、イタリアは対巨大昆虫に対する兵器を開発開始。

1960年
世界各地に巨大昆虫の出現を確認。しかし、人類側が優先になる。

1962年
航空特化の巨大昆虫出現。人類は劣勢になる。

1965年
対巨大昆虫兵器AM−05が開発される。AM=アーマード・モデル、05=試作5号機
同年、地上型昆虫に対して有効である事が確認される。


そして、西暦1995年。人類は劣勢になったまま戦線を維持していた……。



side シュウ
俺は今AMのコクピットの中にいる。実戦だ。
型は10型。旧式だが、信頼性はある為未だに現役だ。

「よう、ルーキー。緊張してるか?」

上官であり部隊の隊長である大尉から通信が来た。

「た、大尉!はっ!だ、大丈夫であります!」

「はっはっはっ!そうか、大丈夫か。なら、お前は今日戦いが終わった後は好きな奴に告白な!」「え?マジっすか!」「頑張れよ!俺はあの子に賭けるかな?」「じゃあ、俺は食堂にいる子に賭けるか?」

大尉が冗談で言うと周りの仲間も茶化しに来る。まあ心配されてるのだろう。

「か、勘弁して下さいよ〜」

「なら、生き残れよ。よし!各員再度機体、武器の再チェックだ。後数分で砲撃が開始されるぞ!」

「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」

機体、武器のチェックをしてるとレーダーに感を発見。

「隊長。2時の方向に感ありです。すぐ消えましたが」

「レーダーの故障じゃねぇの?」

仲間の1人が茶化しにくる。

「た、隊長!震音に感あり!此方に接近してます!」

全員に緊張が走る。

「総員警戒態勢!HQ!HQ!こちら第27トマホーク中隊。2時の方向に震音あり!警戒せよ!来るぞ!」

「HQ了解。そちらに対して砲撃開始する」

暫しの沈黙……そして、

ヒュウウウウゥゥゥゥゥ ドオオオオオオン!!!!

その砲撃音を皮切りに一気に砲撃の雨が降る。そして、遂に俺の初めての実戦、会敵だった。




「撃ちまくれ!!!!!」
「リロードする!カバー頼む!」

「ジャス3がやられた!穴を埋めろ!」
「何だよ!この数は!支援砲撃はどうなってんだよ!」

「動け!敵を撹乱しろ!」
「うわああああ「ザアアアアア プツ」…」

「前線はもう維持出来ない!後退許可を!」
「後退は許可出来ない。繰り返す後退は許可出来ない!」





我々は……無力だった。




「た、大尉!後退しましょう!数が多すぎます!」

俺は大尉に進言した。仲間の半数は奴らに食い殺されたか潰されたかのどちらかだ。

「く!仕方無いか。近くにいる部隊と連携して後退する!第二防衛ラインまで退がれ!」

機体を後退させながら若干安堵する。このクソッタレみたいな場所から離れる事が出来る。

「っ!シュウ!右!!!!」

「え?うわ!」ドガッ!ガシャン!!!!

俺の機体に衝撃り倒れる。モニターを見ると……カブトムシの様な奴が口を開けて此方に接近してくる。

「う、うわああああああ!!!!!」

俺は迷わず引き金を引いた。

ドドドドドドドド!!!!

20ミリの弾が敵をミンチにする。しかし、後ろからどんどん迫ってくる。

そして………



カチン

「!」

機体のリロード警報が鳴っている。残弾も0だ。もうお終いだ……敵が近づく。

「あ、あ………あ」

体が動かない。ションベンも漏らした。だけど………もう。

「シュウ!!!!動け!!!!」

「!…っく!うわあああ!!!!」

操縦桿を引き上げ機体を立ち上げる。その間に大尉の機体が敵を食い止める。

「無事か!」
「は、はい!何とか!」
「よし!なら後た「た、大尉!前!!!」!!!」

見た事の無い新型が現れたのだ。周りの機体から射撃されるが効果は今一つ。そして

「シュウ!逃げろおおおお!!!」

大尉の機体が胴体から真っ二つにされた………

「た、大尉ーーーーー!!!!」





という夢を見たんだ。



byシュウの夢からお送りしました♡


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年上キラー「偶にはシュウを助けます!(`・ω・´)キリッ」

シュウが医務室にいる間に謁見は終了。残念ながら陛下と大臣との顔合わせは叶わなかったが、パーティには何とか目覚めた。

 

そして、食事担当はウェイブ、シュウ、ボルスの三人だ。

 

「ウェイブ君。ほうれん草は1番最後。すぐにシナッとなっちゃうからね!」

 

「あ、すいません。いやぁ…でもなんか俺、ボルスさんが優しい人で安心しましたよ」

 

ザンッ

 

「………私は……優しくなんか無いよ…」

 

ウェイブの言葉に落ち込むボルス。

 

「おいおいウェイブ。拷問官の人は基本優しさは無いと思った方が良いぜ。ね?ボルスさん」

 

「………私は……拷問官じゃ無いよ…」

 

シュウの言葉に更に落ち込むボルス。頑張れ!

 

「…………マジ?」

 

シュウはボルスさんとウェイブに聞く。

 

「あぁ、焼却部隊の人だってさ」

 

「へぇ…焼却部隊なんだ……。俺知ってるよ。疫病に掛かった街を丸ごと燃やしたり、反乱軍に協力してる疑いのある街を燃やしたりと。大変ですよねー。特に精神面が持た無い職業でしょう?」

 

意外な事に焼却部隊についてい知ってるシュウ。そんなシュウに聞くボルスさん。

 

「シュウくんは、私が怖く無いのかい?」

 

「うーん、別に怖くは無いよ。ただ、俺が立ち寄って仲良くした村の人達も燃やされた事あるからさ」

 

呆気からんと言うシュウにボルスは反応する。

 

「ッ!だったら、私が憎いとは思わ無いのかい?私は……罪の無い人達を…………」

 

ボルスは自分の手を見つめながら言葉を止めてしまう。

 

「…………責めて欲しいの?それで満足?だったら今直ぐ焼却部隊やめた方が良いですよ。身体は良くても精神面が駄目になっちゃうし。それに帝国関連で涙を流さ無い奴なんて………今更ですよ」

 

シュウはボルスを慰めつつ自分にも言い聞かせていた。そして半分以上は諦めだ。

 

「シュウくん……」「シュウ…」

 

今度はボルスとウェイブが言葉に詰まる。しかし、

 

「………それに、もし報いを受ける覚悟があるなら俺がマグナムで頭吹き飛ばしてあげますよ?それが嫌なら生きる事に専念すれば良いさ。寧ろ、人を殺して報いを受ける気がある奴なんていないですよ」

 

これまた実にアッサリと言うシュウ。そんな姿を只々見ている事しか出来なかったボルスとウェイブだった。

 

「まぁ、これは自分の考えですよ。さあ!もう少しで鍋も出来ますし切り替え切り替え!」パンパン!

 

シュウは気分を変えようと明るく言う。そして、その雰囲気が分かったのか苦笑い気味だが頷く2人。何となく仲良くなれそうです。

 

そんな男3人で話をしてる間、女性陣も話は弾んで………うん、弾んでますよ?

 

 

 

 

「隊長!隊長はご自分の時間をどう過ごされているんですか?」

 

セリューはエスデスに質問する。その間クロメはコロを茶化す。

 

「そうだな、狩りや拷問。またはその研究だな。………ただ今は」

 

そこで言葉を切るエスデス。

 

「………シュウを如何にして私色に染め上げるかに全てを費やしているがな///」

 

頬を染めるエスデス。まさに恋する乙女の顔だ。もっとも、言ってる事は乙女とは無縁だが。因みにこの時シュウはビクッ!としていたのは秘密。

しかし、それに過剰に反応するセリュー。

 

「そ、染め上げる!そんなのダメです!絶対ダメです!」

 

「ほう?何故駄目なのだ?」

 

「な、何故って……シュウくんの意思が1番大事だと思うんです!」

 

セリューは実に一般的に反論する。しかし、相手は色々規格外なお方。

 

「フ…なら問題あるまい。何故ならシュウの奴は殆ど反抗していない。つまり、それはシュウの意思だと言っても過言では無い!」

 

ドヤ顔するエスデス。しかし、シュウが聞けばこう言うだろう。

 

「逃げる隙無いじゃん」(真顔)と。

 

しかし、それで納得する筈も無いセリュー。しかし、丁度鍋が出来たので一端お開きに。

 

 

 

皆んなで鍋を突きつつ互いに自己紹介をする。

 

帝国軍将軍エスデス

帝国海軍所属ウェイブ

焼却部隊所属ボルス

帝都警備隊所属セリュー

帝国暗殺部隊所属クロメ

教師ラン

医者兼研究者スタイリッシュ

 

 

 

NEET(旅人)シュウ

 

 

 

待てやゴラァ!(ドス声)何でニートなんだよ!しかも(旅人)て別に紹介されてるし!可笑しいやろ!責任者呼んで来い!責任者……(以下省略させて頂きます。ご了承下さい)

 

 

 

 

 

 

 

互いにつつがなく自己紹介も終わり食事をしつつ談笑タイムに入る。その時エスデスがシュウに「あ〜ん♡」しようとしてセリューがキレたりと多少ゴタツいたが殆ど問題は無かった。

 

「所で隊長、一つ宜しいですか?」

 

「ん?ボルスか。どうした?」

 

ボルスがエスデスに質問する。

 

「シュウ君は一般の方ですよね。何故イェーガーズに居るのか気になりまして」

 

ボルスは当たり前の事を言う。

 

「そうだな……シュウは部隊の補欠として、そして感じたんだ」

 

一端言葉を切る。そして、

 

「シュウは私の運命の恋人になると///」

 

その台詞に反応するセリュー。しかし、耐える。続いてランが質問する。

 

「なら、何故シュウ君の首にあんな頑丈そうな首輪が着いているのですか?」

 

「あぁ……最初は簡易な物だったのだが、直ぐに外されてしまったのでな。より頑丈な物にしたんだ」

 

エスデスはランに頑丈になった経緯を軽く説明する。

 

「…えっと、そうでは無く……何でシュウに首輪させてるんですか?」

 

ウェイブが遂に突っ込む。

 

「……愛しくなったから無意識にカチャリと」

 

「ペットじゃなく正式な恋人にしたいのなら、違いを出す為に外されては?」

 

ウェイブとランに諭されて悩むエスデス。

 

「……………」

 

「……………………」顎に手を添えてる。

 

「…………………………………」更に上を向く。

 

「………………………………………………」目を瞑り真剣に考えてる。

 

そこまで悩むのか?悩む事なのか?

エスデスを除く皆んなの心の声が一致した瞬間だ。

 

「いや、着けたままにしよう」ドドン!

 

決断した瞬間だ。

 

「えー、着けたまま何ですか?首周り洗う時洗いにくいんですけど」

 

突っ込みどころが微妙に変なシュウ。

 

「シュウ、お前は間違いなくモテる。現にセリューはお前に惚れてる「ちょっ!た、隊長なにを!」「まあまあ落ち着いて下さい」「先ずは話を聞こうぜ!」つまり、シュウの所有者である事を証明する為の首輪は必要だ!」

 

確信した顔のエスデス。顔を真っ赤にするセリュー。それを抑えるランとウェイブ。

そしてセリューに惚れられてる宣言されたシュウは………

 

(マジか!マジなん!つまりセリューさんにもっと過激なスキンシップもOKか!俺にもモテ期キターーーーーー!!!)

 

内心大喜びだった。しかし、シュウの足元にセリューのボディーガードが接近。そして

 

ガブ!!!!

 

結構強めに脛を噛まれるシュウ。

 

「イタタタ!て、コロちゃんお前かよ!だがな、俺のフィーバータイムは邪魔させな「ガブー!!!!」ぎゃああああ!!!!」

 

下心をコロに察知され痛い目を見るシュウ。………少しは学習しましょうね。

 

 

 

この後シュウはエスデスを隊長とする特殊警察イェーガーズの補欠になる事を言われた事に対して入隊を拒否する。

しかし「何、安心しろ。私がしっかり鍛えてやる」の言葉に悩み………補欠として了承する。

 

シュウが特定の所に所属する事はまず無い。何故なら旅人としての生活を確立している為である。しかし、今回は帝国最強と謳われているエスデスからの直接の指南をしてくれる。つまり、自分自身の強化に持ってこいと判断した為である。そして、より強くなる事により旅を快適にする為である。

基本生き残る事に重点を置くシュウにとって、自身の能力であるアクセルブーストの強化は必然的であった。ここ最近負けが続いているシュウも流石にマズイと感じてる。また、格上との戦いは自身の能力強化、身体強化にも繋がる為一時的であるがイェーガーズに所属する事になる。

 

因みに、シュウの中ではエスデス≧ナイトレイドと考えている。

 

そんな事がありつつ食事はお開きとなる。因みに、シュウは残った魚の頭等を鍋に入れて出汁を取っているのは皆んなには秘密にしている。

 

そして、最後にシュウはエスデスに聞く。

 

「エスデスさん。俺の部屋あります?」

 

「何を言っている?これからシュウは私と寝るのだぞ?」

 

「ですよねー」

 

しかし、それを許さない正義の味方セリュー・ユビキタス!

 

「ダメです!そんな不埒な事なんて絶対ダメです!!!」

 

「何を言っている。私達は今夜色々やるつもりだ。なら、問題あるまい?」

 

色々やるとは一体何をやるんですか?

 

「だ………だったら!私も一緒の部屋で寝ます!」

 

まさかの展開にシュウは驚く。

 

「セリュー、私の部屋だぞ?寝れるのか?これからシュウと色々するのだぞ?」

 

それでも止まらないエスデス。流石にヤバいと感じるシュウ。

 

「エ、エスデスさん。流石にちょっとマズイかと。やはり別の部屋を「却下だ」……じゃあ、普通に寝ましょう?それに俺、段階踏んで行きたい派ですし……ダメ?」

 

何と無くチェルシーの真似で上目遣いをして見るシュウ。そして、この瞬間奇跡は起きる。

 

 

 

*年上キラー「年上キラー!イキマース!」

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

エスデスとセリューが沈黙する。そして

 

「ま、まあ、シュウが段階踏んで行きたいのならやぶさかでは無い。私も多少は譲歩してやる///」

(くっ!シュウの奴!何だあの上目遣いは!反則じゃ無いか!///)

 

「そ、そうですね。私も少し我儘言ってましたかな?は…ははは///」

(えー!何アレ!反則だよ〜///)

 

正に年上キラーがここぞとばかりに力を発揮した瞬間だった。良くやった!

 

 

取り敢えず落ち着いて各人用意された部屋に向かうのであった。因みにシュウはエスデスの部屋です。

 

 

 

 

 

 

 

ついでに言うとエスデスさんの寝る格好は裸Yシャツ。………年上キラー云々よりシュウの理性が持つかどうかが問題なのは仕方無い事だった。




修羅場っぽくするの難しいです。


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信念と小鳥

再浮上〜


翌朝

シュウはエスデスの抱き枕になりつつ、後頭部に当たる柔らかさを堪能していた。

 

(いや〜、最初は拉致られたからどうなるかと思っていたが中々良い状況ですなー!役得役得!)

 

今の状況にすっかり順応していた。そんな風にエスデスの柔らかさと匂いを堪能していると、窓に小鳥が1匹居たのを見つけた。

何て事無い普通の小鳥だ。しかし……何処かで見た様な…………気がする。しかもこっちガン見してるし。………まっ!思い出さ無いなら大した事じゃ無いさ!今は柔らかさを堪能する!

 

思考を放棄して煩悩を優先するシュウ。そしてエスデスが目覚める。

 

「……んん〜。ん?おはようシュウ。よく眠れたか?」

 

寝起きだが優しく問いかけるエスデス。

 

「あ、おはようございます。しっかり眠れました」

 

「ふふ、良かった。……最初お前を連れて来た時拉致した形になってしまったから、少し不安だったんだ」

 

そう自分の不安を少し話すエスデス。やはり拉致した事は多少負い目があったらしい。

 

「まあ最初は逃げようかな〜と思ってましたが、今はエスデスさんからの戦闘訓練とか受けれるから良いかな?と。後、知り合いも居たから平気だし」

 

どうやらシュウも多少考えてるらしい。流石に役得だからとかは言えんだろうが…。

 

「そうか…。なら、私がキッチリ指南してやるぞ!」ギュウウウ!

 

エスデスは嬉しくなってシュウを強く抱きしめる。

 

「はい!よ、宜しくお願いします!」

(ウヒョ〜!二つの膨らみが当たる当たる!これが「当ててんのよ!」てやつか〜。最高だぜー!)

 

………………やっぱり役得に訂正します。

 

ダラシない顔をするシュウ。そして、そんなシュウをずっと見つめる小鳥。………その目は暗かったりする。

 

 

 

 

朝の素敵な時間を堪能したシュウは朝食を食べる為に先に食堂に向かっていた。流石に女性の着替えの時は出て行きます。紳士ですので(キリッ)

 

先に居たのはクロメとウェイブだった。

 

「よお!昨日は休めたか?」

 

「休めたよ。やっぱり将軍クラスのベッドはフッカフカだからね〜。後は…………俺の理性が何処まで持つかが問題だかな!」

 

何故か胸を張るシュウ。

 

「そ、そうか。まあ頑張れよ。何かあれば相談に乗るぜ!」

 

「そう?じゃあ早速何だけど自分の部屋が欲しいんだけど、どうしたら良いかな?」

 

ウェイブに早速相談するシュウ。

 

「えーと…………うん。頑張れよ」

 

なんか励まされた。

 

「仕方無いか………。ところで、クロメちゃんはお菓子好きなの?」

 

朝からポリポリとクッキーを食べてるクロメに質問するシュウ。

 

「モグモグ……うん、お菓子は好き。だからこのお菓子は上げない!」

 

何故か防御体制を取るクロメ。

 

「おいおい、偶には海産物を口にした方がいいぞ」

 

「そしたらウェイブみたいに磯臭くなる」

 

「えっ!マジ?俺臭う?」

 

クロメの言葉を間に受けるウェイブ。

 

「いや臭わないから。でもクロメちゃんはお菓子好きなんだね。じゃあ、飴をあげよう。因みに味はイチゴな」ポン

 

「ありがとう」コロコロ

 

3人で談笑しているとラン、ボルス、セリュー、スタイリッシュ、そして最後にエスデスがやって来た。

 

 

 

朝食を食べた後にこれからの予定を軽く話す事になる。

 

「諸君も知っているだろうが、最近ギョガン湖に山賊の砦が出来たのは知ってるな?」

 

「勿論です。帝都近郊における悪人達の駆け込み寺……。いつか必ず討伐したいと考えていました」

 

エスデスの言葉にセリューは頷く。

 

「うむ。我々はナイトレイド等の凶賊を倒す事が目的だ。だが居場所が掴めない相手は後回しにして、まずは目に見える賊を潰していく。恐らく今夜辺りに襲撃するだろう。各員準備はしておくようにな」

 

エスデスは顔が若干凶悪な顔になる。そして、ボルスが手を挙げて質問する。

 

「敵が降伏してきたらどうします隊長?」

 

「……降伏は弱者の行為……。そして弱者は淘汰されるのが世の常だ」

 

エスデスは切り捨てる様に命ずる。

 

「…………私は………帝都に居る人達を守りたい。そして、この帝都に居る人達がより安全になるのなら……私はやります!それが私の信念ですから!」

 

自分自身の信念を確立したセリューに迷いは無かった。そして、

 

「………でも隊長。流石に降伏した者は法で裁く必要があると思います。例え、死刑になるのが確定していたとしても……私は法で裁く必要があると考えます」

 

更にエスデスに対し進言する。

 

「……………イェーガーズには現場である程度裁決が出来る特権がある。それでも裁判に掛けるのか?」

 

エスデスはセリューに問いかける。そしてセリューは……

 

「はい。私は人を裁く程偉い人では有りませんので」

 

真っ直ぐに見返したセリューがそこにいた。

 

「…………ふぅ。現場の判断はお前達にある程度は任せている。なら好きにしろ」

 

エスデスは溜息を吐きつつセリューの行動を認めた。恐らくセリューの言葉に迷いが無く説得は無駄と判断したからだろう。

 

「はい!ありがとうございます!」

 

セリューは笑顔で返事をする。その笑顔は自信溢れ、誰もが見惚れる程の美しく眩しい笑顔だった。

そして、そんな笑顔に見惚れるイェーガーズメンバー。更に惚けて見ているシュウ。そんなシュウを目敏く見つけるエスデス。

 

「ゴホン!さて、改めて言うが皆んなには最低でも一人数十人は殺して貰う事になる。これからはこんな仕事ばかりだ。キチンと覚悟は出来ているな?」

 

エスデスは再度全員に問う。

 

「私は軍人です。命令に従うまでです。このお仕事だって……………誰かがやらなくちゃいけない事だから」

 

ボルスの軍人としての決意は固い事が伺える。

 

「同じく……。ただ命令を粛々と実行するのみ。今までもずっとそうだった」

 

クロメもボルス同様迷いは無い。

 

「俺は…大恩人が海軍にいるんです。その人にどうすれば恩返し出来るかって聞いたら、国の為に頑張って働いてくれればそれでいいって。………だから俺やります!勿論命だってかける!」

 

ウェイブは一瞬迷うものの覚悟を決める。

 

「私はとある願いを叶えるために、どんどん出世していきたいんですよ。その為には手柄を立てないといけません。こう見えてやる気は満ち溢れていますよ」

 

ランの気迫は充分。

 

「アタシの行動原理は至ってシンプル。それはスタイリッシュの追求!!お分かりですね?」

 

「いや分からん」

 

Dr.スタイリッシュの行動原理を一言で切り捨てるエスデス。

 

「かつて戦場でエスデス様を見た時に……思いました。あまりに強く…「バッ」余りに残酷…「ババッ」ああ…神は此処に居たのだと!!!「シュパッ!」。そのスタイリッシュさ!是非アタシは勉強したいのです!」

 

STYLISH!!!

 

各人の信念、気合い、覚悟全て揃っていた。そして、我らが主人公シュウはと言えば……

 

(エスデスさんの本気はスタイリッシュ戦法なんだね………俺もエスデスさんの指南を受けたらスタイリッシュになるんかな?………大丈夫かな?)

 

変な所を心配していた。そして……全員がシュウを待っていた。

 

「……?皆さんどうしました?」

 

「いや、どうしましたって。皆んな覚悟を決める為に言ったんだからさ……お前は無いのか?そう言うの」

 

ウェイブが突っ込みを入れてくれた。

 

「え?俺も?うーむ……皆んな程大した覚悟なんて無いよ。俺は今も昔も変わらず生き残る為に戦うだけさ。だってほら、俺軍人じゃ無いし。唯の旅人だし。まあ、今はイェーガーズに所属してるからやる事はキチンとやるよ」

 

覚悟や信念では無く、生存本能を中心にしているシュウ。育った環境が違う者達の差が此処に見えてしまう形となってしまった。

 

「そ、そっか。じゃあしょうがねぇか。まあ気合い入れて行こうぜ!」

 

若干空気が悪くなったのを察したのかウェイブは明るく言う。

 

「なんかゴメンな。目的はあるけど、それを言うつもりは無いんだ。ただ、皆んなの覚悟とかは凄く伝わったよ」

(時代の終焉……つまり帝国崩壊を間近で見るなんて、イェーガーズの皆んなには言えんな)

 

内心ちょっと申し訳ないと思うシュウ。しかし、今更引き下がるつもりは無い。

 

「ふむ、皆迷いが無くて大変結構……そうでなくてはな。良し!夜まで時間はある。よって其れまで自由に行動すると良い」

 

エスデスから自由行動を許される面々。そしてシュウは昨日出汁を取っていた鍋を確認しに行く。

 

「……ズズッ……うん!美味い。厨房に行って薄力粉貰おう!」

 

久々に出汁の効いたうどんを食べれると思い、シュウのテンションはやや高めだ。そして早速厨房に向かい薄力粉、塩、水を貰い作り始める。

最初はちょっと物珍しさから見てた皆だが、結局飽きて自由行動に入っていった。しかし、

 

「シュ、シュウくん……その、今大丈夫?」

 

セリューがシュウに話し掛けた。

 

「うん?大丈夫だよ。でもようやく落ち着いて話が出来そうですね」

 

「そ、そうだね!所でシュウくんは今何作ってるの?」

 

「うどん作ってるんだ。今夜皆に食べて貰おうと思ってね」

 

そう言いながらコネコネする。

 

「へぇー、なら私も手伝おうか?」

 

「いいの?じゃあ一緒にコネコネしよう。コロちゃんもやろうぜ!」

 

「うん!」「キュウウ!」

 

そして、シュウとセリューとコロはうどん作りに入りながら話をする。

 

「でも、シュウくんがイェーガーズに居るなんてビックリしたよ。だってシュウくん旅人なんでしょう?」

 

「そうなんだよね。ほら、前にナイトレイドと戦ったでしょう?で、街で偶々会った時に戦闘状況をエスデスさんに話したら……拉致られたわ。何でやろうな?」

 

改めて言い直して首を傾げるシュウ。

 

「あ、あはは……。でも、あの時のシュウくん凄かったなぁ。私少しだけシュウくんの戦ってる所見たけど、帝具使いに一歩も退かなかったもの。………本当にかっこ良かったなぁ」

 

シュウの戦闘を思い出してちょっぴり顔を赤くするセリュー。

 

「そうかな?結局逃したし最後は情け無いオチだったけどね〜。それに、あの時は勝つよりもセリューさんを逃す事と警備隊が来てくれれば良かったしな」

 

「そうなんだ。やっぱりシュウくん強いんだね。あの状況で其処まで考えてたんだ……。私ももっと頑張らないと!」

 

改めてセリューは自分自身に強くなる事を誓う。

 

「そうだ、さっきエスデスさんに意見した時凄く輝いてたよ。前みたいに切羽詰まった感じが無くて余裕がある感じだったよ」

 

「あ……うん!私ようやく自分自身の信念見つけたの!私、この帝都にいる人達を護りたい。そこに善悪は関係無い。あ、でも悪は後でキッチリ裁いて貰います!」

 

セリューは自分の信念をシュウに伝える。

 

「そっか………イェーガーズに入ってるんだ、これから様々な所で様々な人と信念をぶつけ合う事になるよ。でも、セリューはもう負けないよ。だって自分で見つけた信念なんだ。それに自分に自信が無いとエスデスさんに意見なんて出来ないだろうしね!」

 

「も、もう!アレは仕方ないの!だって……私そこまで偉くないもん…」

 

ちょっといじけるセリュー。そんなセリューに萌えるシュウ。

 

「いやいやいや、中々カッコ良かったよ?流石セリューさんだね!よっ!お姫様!」

 

「クス、何それ?……でもありがとう。シュウくんに会えてなかったら、私きっと色々後悔してたかも。だからシュウくん、改めてありがとう!」

 

セリューは笑顔でシュウに感謝する。その笑顔にときめくシュウ。

 

「……えっと…まぁ、俺そんな大層な事して無いし!そ、それにセリューさんが決めた事だし?うんうん!」

 

なんだかんだとラブコメ展開するセリューとシュウ。コロちゃん?苦々しい顔をしながらうどんに八つ当たりしてます。

 

そして………そんな2人をジッと見つめる小鳥が居たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

うどんを作り終え昼頃になったので昼食を食べに行こうとしたシュウ。しかし、なんと無く視線を感じて其方の方に向く。すると、其処には朝見た小鳥が居た。

 

「あれ?まだ居たのかな?」

 

小鳥に近寄るシュウ。

 

「中々人懐っこい小鳥だね。よしよし〜」ナデナデ

 

人差し指で小鳥を撫でる。しかしシュウは撫でながら考える。

 

「やっぱりどっかで見た小鳥だよなぁ。何処だったかな?………うーむ………………」

 

悩むシュウ。そして飴をなんと無く出して口に含む。

 

「……………………………………あ」

 

もしかしたら………いやいやいやそんな無いよ。でも…………

 

「………も、もしかして………チェルシー………さん?」

 

小鳥に話し掛けるシュウ。すると

 

「………正解!ようやく気づいてくれた!遅いよ!」

 

小鳥…もとい、チェルシーは少し怒りながら言う。

 

「いやー、流石に気付かないよ。でも、チェルシーさんも帝都に来てたんだね。やっぱり偵察ですか?」

 

「それも有るけど、シュウくんの安否を確認しに来たの!エスデス将軍に連れて行かれてすっっっごく心配したんだからね!」

 

「あー、まぁ何とかなってますよ。取り敢えず今はイェーガーズに補欠で入ってます。理由はエスデスさんからの直接戦闘の指南をしてくれるからですね。帝国最強からの戦闘指南だ。こんなチャンス滅多に無いからね。それにある程度したら帝都から抜ける予定ですよ」

(最低でも反乱軍が帝都に来る前には逃げないとな。目的達成する為にはフリーにならないと動き難いからな)

 

目的……いや、執念を達成する為に行動するシュウ。その眼には暗い影が見え隠れする。

 

「そっか。でも、あんまり長居しないでね?じゃ無いと私達殺し合う事になっちゃうから」

 

「チェルシーさんと殺し合うのは勘弁だね〜。ま、何とか隙みて逃げますよ」

 

「うん!気を付けて逃げてよ?」

 

何と無く明るい雰囲気になる。しかし……

 

「……ところでさ、シュウくん今朝は凄くエッチな顔してたよね?何してたのか説明して欲しいな」

 

チェルシーは有無を言わせない言葉で言う。

 

「うえ!べ、別に何もして無いよ?ただ、エッチな夢を見たんじゃね?……ほら!俺思春期だし!」

 

言い訳になって無い言い訳をする。

 

「エスデス将軍の胸大きいもんねー。仕方ないよねー」

 

「そうそう!ギューてやられちゃったからもう堪りませんでした!」

 

「…………………………」

 

「……………………すいませんでした」

 

情け無く土下座するシュウ。

 

(エスデス将軍だけじゃ無く、あのセリューて人とも親しくなってるし!もう!シュウくんのバカ)

 

内心ヤキモチ妬いてるチェルシー。しかし、絶対に表には出さない。

 

「兎に角!シュウくんはエッチ過ぎるんだから絶対に手を出しちゃダメなんだからね!」

 

「………スキンシップは「ダメです」あ、はい」

 

スキンシップすらダメと言われたシュウは落ち込む。

 

「…………!」(俺良い事思い付いた!)

 

しかし、タダでは転ばない。

 

「じゃあ、チェルシーさんとスキンシップはダメですか?」

 

下心満載な顔で質問するシュウ。

 

「え!そ、そんなの無理に決まってるでしょう!///」

 

小鳥なので赤面を伝えれない事が残念です!

 

「えー、ほら僕も男の子だし〜、やっぱり色々ある訳で〜、つまり〜、チェルシーさんに付き合って貰うしか無いという事です!」(ガッツポーズ)

 

勝った。この時シュウの心は勝利を確信していた。

 

「えと、えっと……うー…………す、少し「シュウ君?あ、いたいた。皆食堂にいるから食べに行こう?」……ホッ」

 

どうやらボルスさんはシュウを探しに来てくれてたみたいだ。優しい!

 

「え?…あ、そうですね。分かりました。今行きます」

 

チラッとチェルシーを見る。チェルシーはサッサと逃げ出した。

 

(あー、やっぱり無理かー。残念ですたい)

 

肩を落としつつボルスの元に向かい食堂に行くのであった。

 




チェルシー登場!(小鳥バージョン)


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山賊とロマン

皆で昼食を食べた後、俺はクロメに声を掛けた。

 

「クロメちゃん、この後手空いてたらさ手合わせお願いしたいんだけど良いかな?」

 

帝国暗殺部隊に所属していたクロメの実力はトップクラス。そこに何処まで付いていけるか試したいと考えるシュウ。

 

「えー、面倒くさいから嫌」

 

しかし、そう上手くはいかない。

 

「うーん………じゃあ珍しい味の飴を上げるからさ。ほらこれ」ポン

 

カルピス味(棒付き)の飴を出すシュウ。それを咥えるクロメ。

 

「パク……………うん、良いよ」

 

あっさり落ちたクロメ。現代の味半端ねぇと内心思うシュウであった。

 

 

 

 

闘技場の使用申請はあっさり通った。恐らくエスデス将軍が設立したイェーガーズの名前が大きいと思われる。

そして、今はシュウとクロメのみ。互いの武器はククリナイフ、刀のみ。

クロメの刀は帝具八房。しかし、今回は帝具の能力は使わない。代わりにシュウも銃の使用をやめる。

 

互いの技術のみが試される状況となる。

 

 

 

 

sideシュウ

「さて、準備は良いか?」

 

「何時でも構わない」

 

そう言ってクロメは八房を構える。

 

(やっぱり隙は無いな。まあ、やるしか無いけどね)

 

この時までシュウは6割勝てると踏んでいた。理由はクロメは帝具能力の使用無し、又ファイブブースト、シックスブーストを使える様になっていた為だ。しかし、

 

(対峙してるから分かるけど………クロメの奴全然油断して無い)

 

開始早々両者睨み合う。そして………

 

 

 

ファイブブースト!

 

 

俺は一気に駆け出した。そのままの勢いで右手に持ってるククリナイフで斬り裂こうとする。

 

「……………!」

 

キン!

 

軽い音がする。クロメは俺の攻撃を受け流す。そしてそのまま此方に斬りかかる。

 

「くっ!」「……………」

 

左のククリナイフで防ぐも、直ぐに重みが無くなる。そしてそのまま俺の右に移動しながら八房を振り上げる。

その斬撃を回避して回し蹴りをしながら一旦距離を取る。

 

「……………………」

「………………強い」

 

勝てるなんて甘かった。防戦だけで精一杯だ。だけど………攻めるしか無い!

出し惜しみはしていられない!

 

シックスブースト!

 

更に世界が遅くなる。その世界を通常速度で駆ける。しかし、

 

ヒュン!キン!ガン!キン!ギャキン!

 

シュウの一瞬の擦れ違いによる斬撃は全て防がれる。それどころか……

 

ピッ! ツツー

 

「ハア……ハア……マジかよ」

 

頬を斬られるシュウ。

 

「………シュウ、貴方は速い」

 

唐突にクロメは話し掛ける。

 

「多分私が出会った中で1番速いかもしれない。でも…………お姉ちゃんの方がキレがあるよ!」

 

クロメが動き出す。

 

(キレ?つまり……技術不足なのか?くっ!こんな処に来て改めて力不足を実感するとはな!)

 

シュウも構えを取りながら攻め込む。

 

クロメが八房を振り上げる。それを防ごうとするシュウ。しかし、直ぐに切り返され逆手に取られ肩を斬られる。それでも蹴りを入れようとするシュウ。だが、アッサリ回避される。

 

「つ、強いな。だが、俺だって伊達に色んな所に旅してたわけじゃ無い!」

 

自身を加速させ斬りかかるシュウ。

 

(スピードは此方にある。しかし、それ以外が劣ってる!特に剣術とか!)

 

自身の弱点を再認識しながら攻撃を再開する。

 

シュウはクロメの間合いに入る。クロメは冷静に八房を横薙ぎに

 

バッ!

 

シュウは地面を蹴り上げ砂でクロメの目を潰す。

 

「ッ!」

 

クロメも一瞬動きを止める。その隙をシュウは逃さない。

 

(先ずは得物を蹴り飛ばす!)

 

シュウの回し蹴りが八房を遠くに飛ばす。

 

(獲った!)

 

俺は一気にククリナイフを薙ぎ払う。しかし、そのタイミングを予め分かっていたのかクロメは腕を掴み、そのままの勢いで背負い投げをする。

 

ドシィン!

 

「ガハッ!」

 

そして地面に叩きつかれたシュウの首に、クロメはシュウのククリナイフを突き付けた。

 

勝敗は決したのであった。

 

 

side out

 

「負けたよ。残念だ……最初は勝てると思っていたが……そんな事無かったぜ」

 

シュウが若干落ち込んでる中、クロメは話し掛ける。

 

「……シュウ、貴方は強い。そして速い。でも、それだけ」

 

「………それだけ?」

 

シュウはクロメに問い掛ける。

 

「技術はある。速さもある。だけど、直線的過ぎる……だから見切られる」

 

「………………成る程」

(もう少し変則的な動きが必要か。考えたら南の戦闘民族の皆んなも結構バラバラな攻撃で見切れんかったし)

 

シュウは自分の戦闘スタイルの改善点を自分なりに模索する。

 

「じゃあ、私は戻るから」

 

そう言ってクロメは戻ろうとする。

 

「あ、分かった。そうだ、付き合ってくれた礼に飴やるよ。ほら」ポン

 

今回はヨーグルト味にした。

 

「ん、ありがとう。じゃあね」パク

 

そのまま飴を口に含みながら戻って行った。

 

「さてはて、体力作りに技術向上とやる事多いね。だけど、必要な事なので頑張ります!」

 

独り言を言いながらククリナイフを片付けて身体を鍛え始める。やはり体力が基本だと改めて痛感しながら。

 

 

 

 

クロメとの戦闘後、シュウは体力作りと戦闘スタイルを模索していると夕方になっていた。

 

「あ、そろそろ夕飯の時間か。……ふぅ、良し!うどん作るぞ!」

 

美味しい物食べて夜に備えねばな!

駆け足で食堂に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

シュウがうどんを作っていると、ボルスとウェイブも手伝ってくれたので早く出来た。そしてお味の方は………

 

「うん!美味い!中々いい出汁が出てるな。ありがとなウェイブ!」

 

「いやー、まさか余った魚がこうなるとは凄いよな」

 

「うん。本当だよね。私も今度家族に作ってみるよ」

 

料理出来る男3人は盛り上がっていた。

 

「あー、ボルスさん結婚なさってるんですよね。だったらこんな料理もありますよ?」

 

「え?どんな料理だい?」

 

「お!俺も教えてくれよ!」

 

男3人は盛り上がる。

 

 

 

ズルズルズル

 

料理出来ない女3人と男2人はちょっと寂しそうだ。

 

(料理ぐらいなら私も出来る!……ただ、野戦料理だがな!出来ないわけではない!作ろうと思えば作れる!)

 

誰ともなく言い訳するエスデス。

 

(う、美味い………こんなの勝てっこないよ〜。うー、シュウくんのバカ)

 

何故かシュウに八つ当たりするセリュー。

 

「ズルズルズル………お代わり」

 

食に走るクロメ。

 

(これは私も料理出来るようになった方が良いのでしょうかね?)

 

ちょっと危機感を感じるラン。

 

(なーんてスタイリッシュな…いえ、STYLISHな味なのかしら!このコク、味の深み、もう完璧ね!)

「シュウくん!あたしもお代わり!」

 

出汁に興奮しお代わりするスタイリッシュ。遂にSTYLISHになる。

 

こうして楽しい夕飯は終わりを告げた。

 

 

 

 

食べ終えた後、ボルスさんがお茶を用意していた時に遂に来たのである。

 

「エスデス様!ご命令にあったギョガン湖周辺の調査が終わりました!」

 

「……ほお、このタイミング丁度いいな。食後の運動にはもってこいだ。作戦を決めた後直ぐに行くぞ!」

 

その瞬間全員の気配は変わる。戦いに備える為の気配に変わったのだ。

この後、作戦の詳細を軽く行ない直ぐに現地に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ギョガン湖 山賊の砦前

 

エスデスを除くイェーガーズのメンバーは砦前にいた。因みエスデスは全員の戦いぶりを見物するそうです。

 

「地形や敵の配置は頭に叩き込みましたが、作戦はどうしましょう?」

 

ランはなんとなしにして聞いてくる。

 

「そうですね。山賊を逃さない為に二手に分かれるか、電撃作戦で素早く全員で片付けて行くか」

 

シュウは簡単に作戦を考える。しかし、

 

「んふ。安心して頂戴。賊は逃さない様に私の手駒を用意してあるから……出てきなさい!強化兵の皆さん!!」パチンッ

 

ズザザザザザサァァァ!!!!

 

何処からともなく現れる変態…もといDr.スタイリッシュの強化兵達。

 

「うお!」「いつの間に!」

 

「彼等は私の帝具神ノ御手【パーフェクター】で強化手術を施した私兵…将棋で言うと歩の役割になるわ」

 

驚くウェイブとボルスに自慢げに言うDr.スタイリッシュ。

 

「へぇ。他に何が出来るんですか?」

 

何となく気になり聞いてみるシュウ。

 

「この帝具は手先の精密動作性を数百倍に引き上げる……んもう!最高にスタイリッシュな帝具なのよ!」ワキワキワキワキ

 

手をワキワキしながら更に自慢する。

 

「ついでにあなた達がどんな怪我しても死んでない限りアタシが完璧に治療してあ・げ・る♡体に武器までくっ付けちゃうオマケ付きよ♡」

 

Dr.スタイリッシュの言葉に若干引き気味になるメンバー達。しかし、シュウはと言えば……

 

(目からビームやロケットパンチとかロマン溢れる武器とか作れるんかな?ちょっと……いやいや、落ち着け俺!)

 

ちょっと興味があるご様子。

 

「治療は嬉しいけど、支援型の帝具なら戦闘中なら常に護衛は………あ、だから強化兵なのか」

 

「んふ!そうよ。でも、その優しさはプライベートに取っておいてね♡」

 

ウェイブに迫りならが言うスタイリッシュ。ウェイブの顔は青くなるけど。

 

「では、正面から行きますか。Dr.スタイリッシュの私兵が取り零しを仕留めてくれるでしょうし」

 

ランが皆んなに言って意見を聞く。特に反対意見も無いのでそのまま歩いて正門まで向かう事にした。

 

 

 

 

「………!敵だ!皆集まれ!!」

 

ギイイィィィ

 

正門が開き賊がワラワラと出てくる。

 

「おいおい!お前達ここが何処かわかってんのか?」

「正面からとかいい度胸じゃねぇか!」

「生きて帰れると思うなよ!!」

 

弓、剣、槍、銃等を此方に向けながら山賊は吠える。

 

「うっはーっ!可愛い女の子2人に綺麗な女もいるじゃねぇか!たまらねぇなぁ……連れ帰って楽しもうぜ!」

 

山賊が下品な笑いをする。そんな中山賊に問い掛ける奴がいた。

 

「可愛い女の子2人は分かるけど……綺麗な女は誰よ?………ま、まさか!オネエのDr.スタイリッシュの事なのか!」

 

「あらやだ!アタシ!……もおぅ、大胆なんだから♡でも、ゴメンなさいね。アタシイケメンが好きなのよ♡」バチコーン♡

 

シュウが驚愕した顔をする中、Dr.スタイリッシュは体をクネクネさせながらウインクをかます。

 

「ちげーよ!その金髪の女だよ!何でオカマを連れ帰るんだよ!誰得だよ!」

「そうだ!そうだ!」「ふざけんな!」「舐めてんじゃねぇぞ!ガキが!」

 

シュウとスタイリッシュに罵声を浴びせる山賊達。

 

「……………でも金髪の人……男だよ」

 

シュウがポツリと山賊に言う。

 

「「「「「「………………………」」」」」」

 

沈黙が辺りに漂う。そして、

 

「「「「「「お、男だとー!!!」」」」」」

 

「ち、畜生!」「ふざけんな!」「オレ達の期待を返せや!」「そうだ!そうだ!」「………アリだな♂」

 

山賊の悲しき叫び声が響き渡る……数名問題無い奴もいるけど。

そんな中セリューが前に出る。

 

「まずは私とコロで道を開きます。……コロ!行くよ!」

 

「キュウウウウ!」

 

セリューはトンファーガンを構え突撃する。それに追従するコロ。

 

「セリューさん援護しますよ」

 

シュウはMP28を構えセリューの邪魔をしない様に射撃する。

 

即席の連携だが中々良い流れだった。セリューはトンファーガンと体術を使い、コロはセリューの護衛兼山賊を狩りながら互いにカバーしていた。そして、シュウは銃を使いセリューとコロのフォローに徹していた。

 

1分もしない内に門外に居た山賊は壊滅状態。逃げ出そうとする山賊はシュウが射ち殺して終わった。

 

そしてそのまま各員戦闘に突入する。

 

side シュウ

 

どうも皆さんこんばんは!現在山賊の砦を襲撃中です!

 

 

でも、逸れて孤立しちゃった♡ついでに山賊に囲まれてます。更にMP28は予備共に弾切れです!

 

「このクソガキ!覚悟はいいか!やれ!お前ら!」

 

「「「「「うおおおおお!!!」」」」」

 

山賊が槍を此方に突き出す。それを紙一重で回避。そしてイサカM37でお返し。

 

ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン ダァン!ジャコン

 

モロに直撃を受けた奴はミンチになる。周りの連中も痛手を負う。

 

「このクソ野郎がああああーー「ダァン!」カペッ!」

 

1人がアサルトライフルを此方に向けるものの、アッサリやられる。イサカの弾も丁度切れたのでアサルトライフルを貰います。

 

うん、キチンと整備されてるみたい。流石に武器ぐらいは整備するか。

敵の攻撃を避けながら動作チェックをして射撃開始。

 

ドドドドドドドド!ドドド!

 

アサルトライフルの火が吹くのと同時に山賊から悲鳴が上がる。しかし、容赦はしない。

 

 

 

 

 

「さて、こんなもんかな?「ガハッ!」……まだ生きてたのか」

 

俺は弾切れのアサルトライフルを捨ててイサカをリロードしながら近づく。

 

「ゲホッ…………ハア……ハア……」

 

もはや虫の息か……。俺は銃口を山賊に向ける。すると、山賊は突然笑い出した。

 

「く……くくく……はっはっは!グッ!……ハア、てめぇ……何て目してんだよ……」

 

「目?普通の目だろ?」

 

普通以外どんな目してるのさ?

 

「オレは……一度だけ……特級危険種を見た事がある。………帝国軍にいた時に……うぐ!……ハア……そいつと同じ目してるぜ……この化け物が!」

 

…………………何それヤバくね?俺は特級危険種クラスのガンつけが出来るんか?

 

「………せ、精々……殺されねぇ様に気を付けな………。お前の……様な………奴は必ず……殺される………か……らよ…………」

 

そう言って山賊は死んだ。後味悪いなぁ……飴でも出すか。因みにサイダー味にするぜ!

 

俺は特に気にせず山賊を討伐を始めた。そして何かモヒカンでムキムキの中ボスみたいな奴が出てきた。

 

「うおおおおおーーー!!!!」

 

そいつは雄叫びと共に銃口を此方に向ける。しかし、俺はマグナムを抜きサッサと頭を撃ち抜く。

 

ドオォン! ドサ ガチャン!

 

中ボスはアッサリ死んだ。………しかし、此奴……中々ロマンがある銃持ってるじゃないか!見た目はドイツ産のMG42に見える。しかし……しかしだ!……マガジンはドラムマガジンでは無く、背中に背負ってるランドセルからベルト給弾方式にしてるじゃ無いか!

 

これは……俺に……使えと本能が言っている!

 

俺は本能に従いランドセルを背負いMG42を構える。

 

重い!重いよ!だけど、この重さがトリガーハッピーの為の重さだよ!!

俺はテンションMAXで山賊を探す。スピード重視の戦闘スタイル?……今日はお休みです。

 

それから山賊を探していると何か待ち伏せしてる集団と出会った。そして俺は声を掛けた。

 

「よう!ここで何してんだ?」

 

何と無くフレンドリーに話しかける。すると、

 

「今、コッチに敵が来るらしい。しかも帝具使いだ。だがよ、相手は人間。つまりこれだけの銃弾からはよけられねぇよ!」

 

こちらに顔を向けず前を向いたまま返事をする山賊。

 

「つまり、待ち伏せして撃ち殺すわけだな」

 

「おうよ!それに頭もこれなら上手く行くって言ってたからな!何が帝具使いだよ。頭はこの帝都近郊じゃあ最強の山賊なんだぜ!」

 

「成る程な。つまり、この作戦で敵を一網打尽にするって訳か!」

 

「連中が此処に来た事を後悔させてやらねぇと…!来たぞ!皆構えろ!」

 

「「「「「おおう!!!」」」」」

 

いやさ……待ち伏せ何だからさ声のボリュームは下げようぜ?まあ……直ぐに終わらせるか。

 

ジャキン

 

「ロックン……ロール(ボソ)」

 

ボボボボボボボボボボ!!!!

 

山賊の悲鳴が響き渡る。俺はそれを打ち消す様に引き金を引き続ける。

腕が吹き飛ぶ奴、頭が無くなる奴、身体中穴だらけになる奴……それでも俺は的確に仕留めていった。

 

 

 

 

「シュウか。お前こんな所にいたのかよ」

 

声はウェイブだったが、見た目はフルアーマーになっていた。

 

「おおウェイブか!何だよその鎧!カッコいいじゃん!」

 

「お!お前もこの鎧の良さが分かるか!」

 

「分かる分かる!どんな攻撃も防いでくれそうだし」

 

「分かってるじゃねぇか!此奴は帝具【グランシャリオ】だ」

 

やっぱり帝具か。しかし、帝国兵の鎧もこんな感じだよなぁ。昔からデザインはあまり変わらないんだな。

 

「というかシュウ。お前のその銃はどうした?」

 

「山賊から奪った」

 

「……そ、そうか。まあ、何にしても無事で良かったよ」

 

この後ウェイブと共闘しながら山賊を討伐していく。攻撃が効かない前衛、圧倒的火力の後衛。バランスが良く次々と殲滅していった。

 

side out

 

あの後、他のメンバーと合流し山賊を殲滅させた。そして投降者が居るか確認する。

しかし、全員投降者確保は無し。理由を挙げるなら降伏せず逃げるか戦うかの何方かしか選ばなかった山賊が悪いと。

此方も慈善事業では無いので仕方ない所はある。

ちょっとだけしょげているセリューさんに声を掛ける。

 

「セリューさん。無事で何よりです」

 

「あ、シュウくん……うん、シュウくんも無事で良かった」

 

「……投降者を確保出来なかったのは残念です。でも、それに拘って死んでしまったら残念所では無いですよ。だから、今は生き残れた事を喜びましょう!」

 

「シュウくん………そうだね。ありがとう!」

 

シュウはセリューを慰めつつ周りを見渡す。山賊の砦は半壊。山賊の死体も様々な状態だ。バラバラやミンチ、果てには黒焦げ。いやー、悪い事はしない方が良いね!

 

「諸君、ご苦労だった。無事賊を狩る事が出来たな」

 

そこにエスデスが皆に声を掛ける。

 

「中々良い戦いで良かったな。まあ、これで互いの事も多少は理解しただろう」

 

いやー、皆個人プレーだったな……あ、俺もかw

 

「さて、もう夜も遅い。帝都に帰還するぞ」

 

エスデスはそう言って帝都に向かう。イェーガーズメンバーもそれに続く。

 

(危険種と同じ目か………ふっ、最後に中々気の利いた事を言われたもんだな)

 

シュウは飴を咥えながら心の中で毒吐くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、シュウ。今日は良く頑張ったな!ご褒美に私が背中を流してやろう!///」

 

唐突に大変な事を言うエスデス。

 

「いやー、流石に遠慮します」

(このままだと、近い将来理性が吹っ飛んで襲うか襲われるかの何方かの未来しか見えねぇ……どうしよう?)

 

割と本気で心配するシュウであった。

 



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フェクマと迷子

フェクマ 時刻夕方

 

俺は今迷子になっている。悪気は無かったんだ。でも、早く戻らないとウェイブが………エスデスさんに拷問されてしまう………どないしよう!

 

俺は途方にくれならがら、何故こうなったのか思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

山賊狩りをした後数日が過ぎていた。その間クロメ、ウェイブ、エスデス、セリューそしてDr.スタイリッシュの私兵と模擬戦闘等をしていた。理由は中々外出許可が下りない為だ。

しかし、流石誰もが一流の戦闘技術の持ち主ばかり。中々厳しい試合ばかり。でも………アクセルブーストは遂にセブンブーストまで使用可能になり、身体強化はかなり向上した。やはりイェーガーズとの戦闘訓練は正解だったな。

 

……ただ、Dr.スタイリッシュの私兵と試合したが……実際には殺し合いでしたよ。Dr.スタイリッシュ曰く「怪我なら直ぐ治せるから、思いっ切り殺っちゃっても大丈夫よ!」バチコーン☆との事でしたので。

 

 

 

でも実際何人か殺っちゃったけどな!

 

 

 

そして、暫くしてエスデスさんから数日間フェクマにて山狩をすると言われた。メンバーはエスデスとクロメのペア、ウェイブとシュウのペアで夜に入れ替え再度山狩する流れになる………筈でした。

 

 

 

フェクマ

 

side シュウ

 

俺は今ウェイブと共にフェクマに居る。

 

「海の危険種にゃ詳しいが…山となるとさっぱりだぜ」

 

「ここはフェイクマウンテン。名前の通り危険種が擬態してるから気を付けないと危険だぜ?……ほら、そこの足元にある岩も危険種だよ」

 

「うお!マジかよ!」

 

そう言いながらウェイブは剣で危険種を叩き潰す。俺達は雑談しなが歩いていた。

 

「しっかし、宮殿内じゃこんな事言えないけど……お前も大変だよな。何かあれば相談に乗るぜ?」

 

ウェイブは俺を気遣ってくれてるみたいだ。

 

「まぁ大丈夫だよ。こんな展開昔から日常茶飯事だしな!いやー、ここまで来たら身体の力を抜いて流れに身を流した方が良いんだぜ?」

 

「そ、そうか……お前も結構苦労してんだな。でもよ、なんか俺とお前ってさ似てるところあるよな」

 

「似てる?何処が?」

 

「えっ!?………どう言ったら良いか………してきた苦労が同じっつうか、これからする苦労が同じっつうか………」

 

「ああ………納得したわ」

 

何となく互いの考えが同じだと理解出来ました。

 

「まぁ…せっかくだし似た者同士仲良くしようぜ!」

 

ウェイブは努めて明るく言う。しかし、俺はそんなウェイブに銃口を向ける。

 

「………ウェイブ」

 

「ッ!シュウ!お前何を!」

 

一瞬間が空いた………そして

 

ドオォン!!!

 

俺は引き金を引いた………ウェイブの背後にいる危険種に対してな!

 

「キシャアアアァァ!!!」

 

「ッ!助かったぜ。借りは返す!」

 

「気にすんな!囲まれてるから気を付けろ!」

 

ゾロゾロと危険種が現れる。

 

「へっ!ゾロゾロとお出ましかぁ。海のと違って食えそうにねぇな」

 

「数は多いが強くは無い………ウェイブ勝負しようぜ?多く倒した方が帝都の高い飯奢りな!」

 

そう言って俺はマグナムとMP28で危険種を撃ち殺す。

 

「うお!マジか!負けねぇぜ!!」

 

俺達は危険種を叩き潰す為に突っ込んで行った。

 

 

 

 

 

(このままだと負けそうだな………。よし!此処はもっと多いところを探してウェイブよりスコアを伸ばすぜ!)

 

そう思った俺はウェイブから離れて更に危険種を狩り始める。どうやらウェイブも同じ考えのようで向こうからも破壊音が聞こえた。ウェイブに負け無いように更に危険種を探す。

 

そして………

 

「ふぅ、こんなもんか?良し!ウェイブ俺の勝ち………アレ?ウェイブ?……んだよ、彼奴迷子か?ダッセーなおいw」

 

俺はウェイブを小馬鹿にしながらウェイブを探す。

 

数分後

 

「おーい!ウェイブ!早く出て来い!迷子になったのは黙っててやるからさ!」

 

ちょっと心配になり始める。

 

1時間後

 

「ウェイブくん?……そろそろおふざけは止めて出てきて欲しいんですけど!」

 

何か……ヤバいんじゃね?と思い始める。

 

数時間後

 

「ま、まさか…………俺…………迷った?いやいやいや、そんな馬鹿な事があってたまるか!信じないぞ!ウェイブ!頼む!出てきてくれー!て言うか、このままだとウェイブがヤバいんじゃね?エスデスさん関係でさ!」

 

自分の心配とウェイブの未来に心配する。

 

そして冒頭である。

 

 

 

……いやね、言い訳じゃ無いんだがな……何処も似たような山と森なんだよ?しかも曇り空じゃん?もう直ぐ夜だけど星見え無いし。……仕方無い、もう少し探してみるか。それでも見つから無いなら諦めて野宿だな。

 

何か久々の野宿だなぁと考えながら再度歩き出す。

 

そして夜になる。

 

「さて、今日は此処で野宿する………ん?灯り?………こんな場所に?」

 

何故こんな場所に灯りが?山賊かな?と思いつつ灯りに向かうのだった。

 

side out

 

side ナイトレイド

 

「ん?結界に反応!しかも……速い!」

 

そろそろ就寝時にラバックが皆んなに警告する。

 

「敵か!何人だ?」

 

「反応は1つ。だけど、もう直ぐ其処まで来てるぜ!」

 

全員に緊張が走る。武器を構え直ぐに臨戦態勢を取る。そして…………

 

ドカアアア!!!

 

ドアが破壊される。

 

「ヒャッハー!!汚物は消毒DA☆ZE!!」

 

銃を構えて物騒な事を言うシュウが居た。

 

「………て、あれ?タツミ?それにマインちゃんにシェーレさんにチェルシーさん?ついでにラバックまで………てか、ラバックお前エロ本屋の…じゃ無かったNIGHT BOOKの店長じゃ無かったかっけ?」

 

シュウは頭に?マークを出しながら聞いてくる。

 

「シュウくん!どうやって此処に来たの?」

 

チェルシーはシュウに質問する。

 

「いやー、何と言ったら良いのやら………フェイクマウンテンで山狩してたら迷子になって此処まで来ちゃったんだ!」パチ☆

 

お茶目にウインクをかますシュウ。そんなシュウに少しドキッとするチェルシー。

 

「おい!お前は俺の事をエロ本屋の店長だと思ってたのか!」

 

「ラバック……今度借りに行くからラインナップ宜しくな!因みに今度はコスプレ関係でお願いします」

 

真顔でエロ本借りに行くと宣言する。そしてラバックの質問はスルーする。

 

「はぁ…焦って損したぜ。で、シュウはこれから如何するんだ?」

 

「ん?一泊させて欲しいかな?じゃないと野宿決定だしね」

 

「んー、俺は別に良いと思うけど……みんなは如何なんだ?」

 

タツミは全員に確認を取るも特に反対意見は無かった。

 

「じゃあ、お言葉に甘えて一泊させて貰うよ。………ところで部屋は用意してくれますか?」

 

何となく敬語になるシュウ。

 

「空き部屋はあるぜ。てか、何で敬語だよ?」

 

「いやー、俺今エスデスさんと一緒の部屋で寝てるからさ」

 

この台詞にラバックの目が見開く。そしてチェルシーは若干不機嫌になる。

 

「え!マジで!何で一緒の部屋に居るんだ?」

 

「部屋あるでしょう?て聞いたらさ、有るけど用意し無い!……て言われてさ〜」

 

有るなら用意してくれ〜と虚しく言うシュウ。そして、そんなシュウに質問するラバック。

 

「じゃ、じゃあ…お前は……今………エスデス将軍と………同衾してるのか!」クワッ!

 

ラバックが血走った目でシュウを見る。

 

「そうなんだよね。いやー、良く抱き枕にされるから色々あるんだよ……そう、色々な………フッ」

 

シュウはラバックに上から目線で見る。

 

「べ……別に悔しくないし?あの残虐非道のエスデス将軍だし?うんうん!全然悔しくないし!」

 

そんなラバックの瞳から一筋の涙が零れ落ちる。

 

「因みにエスデスさんは寝る時Yシャツ1枚がデフォルトだぜ。これが何を意味しているか………お前なら分かるだろ?」

 

「……ッ!ち、畜生!何でお前ばかりが!!!」

 

ラバックは地面に崩れ落ち、世の中不公平だと嘆き悲しみながら床を何度も叩く。まさに勝ち組と負け組がハッキリした瞬間だ。しかし、そう簡単に上手く行かないのが彼の人生だ。

 

「………ふ〜ん。シュウくん楽しそうで良かったね」

 

超絶不機嫌のチェルシーが其処に居た。

 

「あ……いや……そのー、何と言いますか………………すんません、自分調子乗ってました」

 

シュウは素早く、しかし下品に見えない速度で丁寧に土下座をした。その一連の流れはまさにベテラン域だ。

 

「ふん!まったく。私がどれだけ心配したのかシュウくんは全然分かってないよ!」

 

「いやいや、心配してくれてるのは分かります。だって、あの危険な王宮に何度か来てくれてましたし」

 

そう、チェルシーさんは危険を承知で小鳥に変身して何度かシュウに会っていたのだ。偶に怪しまれる時が有ったけど「チェルは俺にメッチャ懐いてるから!」頬擦りしながら元気良く言って無理矢理誤魔化したのは仕方ない事だった。

 

因みにチェルとはチェルシー小鳥バージョンの名前である(命名シュウ)

 

「うっ……まぁ分かってるなら良いけど……。でも、本当にすっっっごく心配してるのにイェーガーズに順応し過ぎだよ!」

 

「ほらー、そこは持ち前の性格と育った環境故ですよー」

 

はっはっはっ!と気楽に笑うシュウ。それでもヤキモキするチェルシー。しかし、そんな2人を見て何となく察する周りのメンバー達。

 

「そういえば、シュウは飯食ったのか?」

 

「ん?あぁ、適当な果物や危険種倒して食べたよ。だから後は寝るだけさ」

 

「ならお風呂入って行けよ。しかも露天風呂だぜ?」

 

「え!マジで!露天風呂なのか!入る入る!いやー、迷子になって良かったぜ!」

 

タツミに露天風呂まで案内して貰うシュウ。そしてシュウとタツミが居なくなった瞬間女性陣が盛り上がる。

 

「ちょっとチェルシー!あんた王宮に行ってたの?危ないじゃ無い!まあ、”好きな奴”が拉致されたら心配なのは分かるけどさ」

 

「そうだよ。”好きな奴”が心配なのは分かるけどね〜」

 

「まあまあ、チェルシーも”好きな人”が心配だったのだから仕方ないかと」

 

「………なっ!…なっ!///」

 

マイン、レオーネ、シェーレから好きな人と強調されながら何度も言われて赤面して何も言えないチェルシー。

 

「そうか……チェルシーはシュウが好きなのか。なら、バレ無い様に会いに行くように!」

 

最後にアカメが締める。そんな言葉に最早口を閉ざすしか出来ないチェルシー。

しかし、そんなチェルシーを見てラバックが吠える。

 

「ちくしょおおおおおお!!!何で!何で!彼奴こんなにモテてるんだよおおおおお!!!タツミはタツミでレオーネとシェーレから気に入られてるしいいいいい!!!アレか!シュウも年上キラー持ってんのかよおおおおお!!!」

 

再度地面に崩れ落ち男泣きしながら床を何度も叩く。しかし、そんなラバックをスルーする女性陣だった。

 

 

 

 

「しかし、アレだな。初めて会った時から何となくだけどタツミとは気が合いそうな気がするんだよな」

 

「あぁ、確かに俺もそんな感じはするんだよなぁ。何でだろう?」

 

「うーん……何でじゃろ?」

 

何となく首を捻る2人。

 

 

 

*年上キラー(シュウ)「やっぱり僕達の影響かね?」

*年上キラー(タツミ)「間違いなくです!」

 

 

 

 

「ウッハー!露天風呂だー!しかも結構広いじゃん!」

 

「じゃあ俺は行くから。後は好きにしても良いぜ」

 

そう言ってタツミは露天風呂から出て行った。

 

「おう!サンキュー。いやー、露天風呂とは中々ナイトレイドも恵まれてますなぁ」

 

ルンルン気分で服を脱ぎ、いざ!入浴!

 

「いやいや、体を洗ってから入浴だろ?」

 

そう言ってから体を綺麗に洗うシュウくん。最初は左腕の二の腕から洗い始め、そして次に右腕、胸、背中と洗っていき………(誰も得し無いのでカットします。はい!カット!)

 

 

 

 

 

 

 

「さて………これから如何するかな?」

 

温泉に浸かりながら先の事を考える。

取り敢えずイェーガーズに戻ってもう少し鍛えたいかな?そしてイェーガーズとナイトレイドとの戦闘中に逃げれば良いかな?……よし!この流れで行こう!

 

超大まかな流れを考えて温泉を楽しむシュウ。そして何となくウェイブの事を考える。

あぁ……ウェイブ平気かな〜?多分大丈夫だろうな〜。あいつ頑丈だろうし〜……ふぅ、温泉気持ち良いなぁ〜。

 

ウェイブの心配?をして空を見上げる。するとウェイブの姿が何となく見えて……

 

『シュウウウウウウ!!早く戻って来いいいいいいーーー!!!マジでヤバいんだからーーー!!!」

 

 

 

…………………………………良し!見なかった事にしよう!

 

問題を先送りして温泉を楽しむ事にしたのだった。



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歪みと悪寒と……波乱の予感

翌朝

ナイトレイドのアジトに一泊してしっかりと睡眠を取り、朝食の支度の手伝いをして御飯を食べてるシュウ。此処でもしっかり順応している。

 

「モグモグ……しかし、凄いボリュームだよな。いつもこんなメニューなのか?」

 

「ああ、アカメが調理担当だから大抵ボリューム満点のメニューになるよ」

 

胸焼け確実だな……いや、これが強さの秘訣なのか?

 

「シュウ、しっかり食べろ。じゃ無いと力が出ないぞ」

 

「おう。分かったよ」

 

しかし、この食い意地クロメちゃんに似てるなぁ……いや、見た目も似てるか?

 

「なぁアカメちゃん、1つ聞いても良い?」

 

「ん?何だ?」

 

「クロメって子知ってる?」

 

その瞬間アカメの雰囲気が変わる。

 

「……あぁ、知ってる。………妹だ」

 

………………マジで?

 

「い、妹さんなの?今クロメちゃんはイェーガーズに居るよ?このままだと殺しあうのは必然だよ?」

 

「………私はクロメも連れて来たかった。だが、クロメは帝国に残る事を選んだ。……シュウ、クロメは何時も何かを食べていなかったか?」

 

「あぁ、クッキーを何時も食べてたよ。御飯食べる前にも食べてる時もあるかな」

 

「………そうか」

 

アカメちゃんは結構沈んでしまった。まぁそうだよな……姉妹で殺しあうかも知れないのだからな。

その後ナイトレイド全員が来て朝食を取り始める。するとラバックがイェーガーズについて質問する。

 

「そう言えば、イェーガーズはどんな帝具使いが居るんだ?」

 

「うーん……そうだなぁ」

(教えるのは良いけど……フェアじゃ無いよな。でも、ナイトレイドにはなるべく生き残って欲しいんだよね。そう………反乱軍の要となっているナイトレイドにはさ)

 

シュウは己の歪んだ目的達成させる為に教える事にした。

 

「帝具は鎧型のグランシャリオ、火炎放射器のルビカンテ、治療も出来て応用性の高いパーフェクター、飛行型のマスティマ、生物型のコロちゃん位かな?」

 

「治療も出来る奴なんて真っ先に倒したいわよね。出来ればパーフェクターはこっちが欲しいし。しかも応用性が高いんでしょう?尚更よ」

 

マインの言葉に全員が頷く。

 

(まぁ、マッドサイエンティストなDr.スタイリッシュにはぴったりの帝具だしね。かなり厄介だろうけどね)

 

「でも、シュウくん良いの?その……帝具の事言っても」

 

チェルシーさんが若干不安な表情で聞いてくる。

 

「ん?………罪悪感が無いとは言わ無いよ。でも、必要な事だから………そう、必要な事なんだ」

 

シュウは自分に言い聞かせる様に呟く。その姿は罪人そのものの雰囲気だった。

 

「んー、まぁ何にしても厄介な事に変わりは無いよね。イェーガーズの強さは如何なのさ?」

 

「…………多分ナイトレイドと互角ぐらいかな?ただ、エスデスさんは別格だ。イェーガーズメンバーより頭2つ3つ飛び抜けてる。賢い奴なら戦わない事を選ぶさ。そもそも、エスデスさんの帝具が何なのか分からないし。……あ、そうだ…クロメちゃんの帝具て何なの?八房て名前しか知らないんだけど」

 

「………【死者行軍 八房】切り捨てた者を呪いで8体まで自分の骸人形にできる帝具だ。人形のスペックは生前のまま自在に操れる。能力を解除すればただの死体に戻る」

 

「おいおい!って事は、クロメに斬られたら最悪そのまま敵にまわっちまうって事かよ!」

 

「しかも死んでるから救いようが無い」

 

「村雨もエグいけど…八房も大概よね…」

 

「確かに八房は厳しいそうですね」

 

「まぁ、私は基本戦闘には参加し無いけど……余り関わら無い方が良いかな?」

 

アカメの説明にタツミ、レオーネ、マイン、シェーレ、チェルシーが感想を言う。

 

「しっかし、やっぱり1番知りたかったのはエスデスの帝具だよな。どこまでどれだけ凍らせることが出来るんだか」

 

ラバックの言葉に皆沈黙する。

 

「……確かにエスデスは強いが………弱点はある」

 

「……それは?」

 

「生きている事、心臓があるという事だ。……ならば、私が斬る。例え帝国最強であろうとも!」

 

アカメは立ち上がりそう宣言する。皆も雰囲気は明るくなる。

 

「アカメ……」

 

「へへっ、流石俺達の切り札だぜ!そうこなくちゃ!」

 

「大口叩くじゃ無い優等生。言った以上実現させなさいよ」

 

「村雨を1発当てれば良いんだから……まっ、作戦次第で何とかいけそうか」

 

「そうですね。私も微力ながらお手伝いさせて頂きます」

 

「さっすがアカメちゃんだね〜。うりうり〜」

 

全員の気合充分。そしてチェルシーはアカメを撫でる。

 

(んん〜?エスデスさんに勝てるかな?………あの氷結構硬いけどな。まぁ、帝具には帝具が1番だし大丈夫でしょう!)

 

シュウはそう考えて自分を納得させる。

 

(しかし………俺完全に空気だよなぁ……………如何しよう?)

 

若干自分の立場を不安に考えてもいた。そして………

 

「ああああ!!!しまった!こんな所で呑気に話し込んでる場合じゃねぇ!ウェイブがやばいんじゃ無いか!」

 

早速イェーガーズの1人が脱落するかも!などと物騒な事を言って場を乱すのは何時もの事である。

 

 

 

同時刻 王宮 拷問室

 

「…あの………何ていうか……本当に申し訳ありませんでした。このウェイブ深く反省しております」

 

しくしくと泣きながら石抱きの拷問を受けるウェイブ。ギザギザの床に正座させられ、分厚い石を太股に乗せられている。そして、そんなウェイブを冷酷に見つめるエスデスが居た。

 

「シュウから目を離したのも注意散漫だが、帝具を使ってまで見つけれ無いとは情けない……クロメ石!」

 

「んっ」ゴトッ

 

「あだだだだだだだ!!」

 

クロメがウェイブの上に更に石を追加する。それに悲鳴を上げるウェイブ。

 

「まったく、何の為にお前と組ませたと思っていたんだ。シュウがいずれ逃げ出す事など容易に想像はつく。それを未然に防ぐ為にお前と組ませたと言うのに……クロメ、火」

 

「ん!」ポタタっ

 

「あっつつううう!!」

 

更にロウソクが追加される。頑張れウェイブ!元はと言えばシュウが撒いた種だけどな!

 

「ウェイブ…お前技量は完成されているが、メンタルが甘い。反省する事だ」

 

「……はい」しくしく

 

そして、エスデスはウェイブに警告する。

 

「…………次に失態を犯したら……私自らお前を…処罰する。肝に銘じておけ」

 

それは強者のソレだった。

 

ゾッ!!!

 

「……ハイ」

 

ウェイブは次失態すれば死ぬと理解した。

 

「隊長!申し訳ありません。フェイクマウンテンを山狩りしてもシュウくんは見つからず……コロでも追跡不可能でした!」

 

セリューもシュウの探索を終えたものの見つける事は出来ず。

 

「ヘカトンケイルの本分は戦闘だろう。気にするな。スタイリッシュの方はどうだったんだ?あいつも探しているんだろう?」

 

「はい、独自に動かれてる様ですが……まだ連絡入りませんね」

 

「ハア……まあ………望みは薄いか」

 

セリューの言葉に落胆してしまうエスデス。

 

「隊長、シュウ君の件なんですが……もし、仮に敵として彼が現れた場合、私達はどの様に対処すればよろしいですか?」

 

ランが今後の懸念材料となる可能性を伝える。

 

「……………正直……シュウの事は今でも好きだ。近い内手に入ると確信していたから尚更手放したくは無い。………だが、それよりも部下の命が優先だ。生け捕りが望ましいが…………敵として来た場合難しいだろう。それはお前達も良く理解してる筈だ」

 

エスデスの言葉に頷くイェーガーズメンバー。

 

「………いざとなれば生死は問わん。以上だ」

 

エスデスの表情に迷いは無い。

 

「……了解しました」

 

「……だ、大丈夫ですよ!それにシュウくんはフェイクマウンテンで迷っただけなんですよ?だから殺す必要性は「セリュー、コレは命令だ」……っ!………了解……しました」

 

エスデスの言葉に頷くしか無いセリュー。そしてエスデスは立ち上がり窓まで行く。

 

(もし………殺される様なら其処まで男ということだが、お前はそんな弱者では無い。強さもある、将軍級の器もある……そして何より生き延びる強かさを持っている)

 

窓まで辿り着き外を見る。

 

(不思議なものだな……シュウとはまた会える。そんな気がする……いや、会ってみせる。その時は問答無用でこの気持ちを……ありったけの想いをお前にぶつけてやるからな!

 

 

 

覚悟しろシュウ!!)

 

 

 

 

同時刻 ナイトレイドアジト

 

ゾクッッッ!!!!!

 

「(°д°)ふぁ!?」ガタ!

 

突然臨戦態勢を取るシュウ。

 

「……どうしたシュウ?」

 

「い、いや………別に?」

(これはフェクマの時と同じ?………うーむ、よく分からんが気を付けよう!)

 

シュウは取り敢えず周りに注意する事を決めたのだった。

 

 

 

夕方

 

パキッ

 

「ちょっと!まだ見つからないの!一体何処まで行ったのよ!あの子は!」

 

「お、落ち着いて下さいスタイリッシュ様。まだ匂いは残っております」

 

「まったく、アタシの手術で嗅覚を強化した者が居たから実戦投入して見たけど……無駄だったかしらね?」

 

まさかのDr.スタイリッシュだった。しかも今まで探していたみたいです。

 

「ッ!スタイリッシュ様!前方に糸の様な結界があります」

 

「あら本当?”鼻””耳”そっちはどう?」

 

「はい、彼方からまだ匂いはしております」

 

「前方から微かに人の声が聞こえます」

 

鼻と耳の言葉にニヤリと笑うスタイリッシュ。

 

「やっと本性が見えたわね。フフ、あの子どーも怪しいと思ってたのよね。唯の旅人にしては環境適応力があり過ぎだもの」

 

「流石スタイリッシュ様の鋭さには鼻高々です!」

「目からウロコです」

「耳に念仏です」

 

「いらないわよ、そんなヨイショ」

 

それから数分歩き続け……

 

「ビンゴ。オカマの勘って当たるのよねぇ。フェイクマウンテンからは随分離れたけど……

 

 

 

 

 

ナイトレイドのアジト見ーーーっけ♡」



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楽園へ……

|´-`)チラッ

キョロ(・ω・`三´・ω・)キョロ

| ・ω・)ノ ⌒ 「楽園へ……」

|彡サッ! 「楽園へ……」


夜 ナイトレイドアジト

 

その日結局シュウは晩飯をご馳走になり、そろそろ帝都に戻る事を伝えた。

 

「え?もう戻るのか?」

 

「あぁ、今は晴れてるし星座も見えるから迷わないだろうしね」

(あんまり長居すると情が移りそうだし)

 

「えー!もう一泊ぐらいして行きなよ!別に誰も困らないし。ねっ!皆!」

 

チェルシーはシュウの腕に抱き着きながら皆に同意を確認する。そしてシュウは……

 

(ウホホホーイ!柔らかい感触に良い匂いかセットで来たぜ!……ッ!この感じ…ラバック……………フッ)(ドヤ顔)

 

「く、クソッタレ!!!」

 

「ちょっと!クソッタレってどういう事よ!」

 

シュウのドヤ顔が憎たらしく、遂罵声を浴びせるラバック。しかし、チェルシーは過敏に反応する。

 

「まあまあ、落ち着いて下さいチェルシーさん。僕は怒っていませんから」

 

「シュウくん……まあ、シュウくんが良いなら別に良いけど」

 

シュウには勝ち組気分の為か余裕があり落ち着いた対応をする。まさにゲスい奴である。

結局もう一泊する事になったシュウ。この選択が彼にとって1つの決断をする事になる。

 

 

 

 

 

side シュウ

どうも!皆さんこんばんは!シュウでーす!俺は今ラバックと共に楽園を覗きに行く所です。

始まりはラバックがコソコソと皆から離れていったのを偶然見つけた為、後をつけたのだ。そしたらラバックは露天風呂が見える位置に陣取り、其処から覗く準備をし始めた。

 

「ラバック……お前………」

 

「ッ!………シュウか。悪いが止めるなよ。コレは俺にとって大事な事なんだ!」

 

ラバックは此方に振り返りながら言う。その目には一切の迷いは無かった。

 

「ラバック……止めやしねぇよ。寧ろ俺も付き合うぜ!」(キリッ)

 

「シュウ……」

「ラバック……行こうぜ?」

「ああ!」

 

「「俺たちの楽園を覗きに!!!」」(ボソ)

 

俺達はこの瞬間兄弟となった。

 

 

 

エントリーNO.1 アカメ

鍛え抜かれた肉体はある種の芸術である。艶やかな黒い長髪、そして出てる所は出ている素晴らしいスタイル。これは期待が高い!

 

「良いか?今からアカメちゃんが水浴びをする時間だ。……しかし、我らナイトレイドのトップエース。簡単には行かない」

 

「分かった。一瞬でも良いさ。必ず……必ず!見ようぜ!」

 

「おうよ!」

 

待つ事数分……遂に来た!しかし………

 

「……あれ?服着てる………マズイ!ラバック!撤収……って速い!」

 

ラバックはアカメが服を着ている姿を見た瞬間逃げ出したのだ。

 

「ッ!セブンブースト!」ダッッッ!!!

 

シュウもこのままではマズイと判断。よって己の能力と肉体を最大限駆使して逃げ出したのだった。能力の無駄使いだ。

 

「……………逃したか」

 

ポツリと呟くアカメ。流石トップエースである。

 

 

「戦果は……無しか」

「次があるぜ!兄弟!」

「おうよ!」

 

だが諦めない2人である。

 

 

エントリーNO.2 シェーレ

ほんわか天然美少女。スタイル抜群で母性溢れる素晴らしい女性だ。是非とも1度は甘えてみたい!

 

覗きポイントを変更して再度覗きをチャレンジする2人。

 

「シェーレさんか〜。あの人なら見つかっても許してくれそうじゃね?」

 

「……いや、そんな甘い考えは捨てた方が良いぜ。じゃ無いと………死ぬぜ?」

 

「マジで?……分かった。気を引き締めよう」

 

「しかし、シェーレはスタイル良いからなぁ。覗きがいがあるぜ!」

 

「そうだよなぁ。あのスタイルであのおっとりした性格だもんなぁ〜」

 

2人はダラシない顔をする。しかし、仕方ない事だろう。彼らはまだ思春期真っ盛りなのだから!

 

「……しかし、遅いな。まだ来ないのかな?」

 

「これは…………不味い!嵌められてるぞ!シュウ!撤収だ!」

 

「畜生!またかよ!コレじゃあ期待が高い分虚しさも人一倍だぜ!」

 

シュウとラバックは一旦諦めて撤収するのであった。

 

 

 

 

「ん〜、多分この辺だろうけどね〜。……逃げたかな?」

 

「全く、ラバックだけじゃなくシュウまで覗きをするなんてサイテーよ!」

 

覗きを防ぐ為レオーネとマインが見回りをしていたのだった。

 

 

 

エントリーNO.3 NO.4レオーネ、マイン

まさかのコンビ。1人はナイトレイド1番の巨乳であり姉御肌のお姉様!そのスタイルは正に暴力的であり、男は獣になっちまうぜー!

そして、もう1人は小さいながらも儚い存在。まるで妖精を思い浮かべる可愛らしい女性だ!しかし、性格はツンデレなので注意が必要だ!

 

 

 

「……覗く。絶対に覗いてみせる!此処まで来たんだ!やってやるさ!」

 

「おうよ!シュウその意気だぜ!」

 

2人の気合は充分だ!……しかし

 

「……なぁ、此処遠くね?レオーネさんとマインちゃん……米粒サイズだよ?」

 

そう、バレない為に離れて覗いているのだが……

 

「コレじゃあ、背景見てるだけじゃん!意味無いじゃん!こう……キャッキャウフフな光景が見たいんだよ!」

 

「仕方ねぇだろ!完全に警戒されちまってるんだからよ!」

 

吠えるシュウに怒鳴り返すラバック。

 

「……くそ!このまま何も出来ないまま無駄死になんざ御免だぜ!」

 

「だが如何するんだ?もう皆警戒しちまってる。今日は引き上げた方がいいんじゃないか?」

 

「…………だったら………警戒されて無い所から見ればいい」

 

シュウは唐突に言う。

 

「無理だ。いくらお前でもあの警戒網を突破したとしても……死ぬだけだ」

 

「いや……ある。覗くのが無理なら………一緒に入る……つまり、混浴すれば良いじゃ無い!」

 

ドヤ顔のシュウの言葉にラバックは目を見開く。

 

「ば、馬鹿野郎!もっとダメに決まってる!そんな事したらお前は!」

 

「ラバック………このまま終わらせる訳にはいかない。お前だって悔しいだろ?見たいのに見れない。『これはサンプルです。食べれません』正に今がその状態なんだぞ!そんなのクソくらえだ!」

 

吐き捨てる様に言い放つシュウ。まるでこの世に幸せは無いと言わんばかりだ。

 

「シュウ……お前」

 

「止めるなよラバック。例え……今日死んだとしても悔いはねぇよ。寧ろ、胸張って逝けるさ」

 

そう言ってシュウは歩き出す。その歩みに迷いは無い。

 

「ラバック、1つ頼みがある。良いか?」

 

「……何だよ?」

 

「今から逝く事を最後まで見届けて欲しい。そして、それを後世に語り継いで欲しいんだ。俺が無駄死にで無かった事の証としてさ。いやまぁ、死ぬつもりは無いぜ?……唯の保険だからさ」

 

シュウは振り返る事なく言うと再度歩き出す。

 

「シュウ……くっ!分かった。分かったからよ……死ぬんじゃねえぞ!生きて……生きて帰ってこいよ!馬鹿野郎!!」

 

ラバックは若干涙声で言い放つ。シュウは片手を上げてそのまま歩く。その後ろ姿はまさに漢の姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

因みに言っておきますけど彼は無断で混浴しに行ったので、これっぽっちも偉くも無い事です。

 

 

 

 

俺は今温泉に繋がる廊下を歩いている。それこそ自然体でだ。室内に人の気配は少なく、恐らく俺とラバックを探す為に外に出ているんだろう。これはチャンスだ!行くぜ!

 

エントリーNO.5 チェルシー

お茶目で可愛い年上のお姉さん。スタイルはモデル体型で出てる所は出ている。又、暗殺技術はピカイチだが戦闘技術は並より上程度。しかし、それ故か1番女性らしい雰囲気がある。これは期待が高い!

 

 

さてさて、早速温泉に…「あれ?シュウか?」ッ!

其処にはタツミが居た。

 

「た、タツミ君か。如何したのかな?僕は今から温泉に入ろうと思っていてね」

 

焦る必要は無い。普通の事を普通に言うだけだ。簡単な事さ。

 

「そうなのか?だけどまだチェルシーが入って無い「ハッ!ドコッ!!!←鳩尾アタック威力強」グアッ!……シュ……ウ……お前……何を……」

 

タツミは目を見開き今の状況を理解出来ていない様子だ。

 

「タツミ……お前は運が無かった。唯それだけだ。取り敢えず、お休み」

 

俺はタツミにトドメを刺してタツミを隠す。そして何食わぬ顔をして温泉にいくのだった。

 

 

右よーし、左よーし、前よーし、後ろよーし。素早く脱いで籠の中に服を入れる。仕舞う場所は………1番端の下にしよう。いや別に深い意味は無いぞい?偶々見にくい場所に着替えを置いただけだし?うんうん、全然不自然じゃ無いね。

と言うわけで……いざ、参る!!!

 

シュウの『間違えて(大嘘)混浴しちゃった、でもワザとじゃ無いから許してね♡大作戦』が決行されたのだった。

 

 

数分後

 

ガラガラ

 

目標(チェルシー)進入音を確認。これより姿をチラ見する。

俺はチラッと顔を出し姿を確認すると直ぐに引っ込める。

 

……………チェルシーさんの姿を確認。これより作戦を開始する!!!

 

ここに1人の漢の戦いが始まったのである。

 




後半へ続く!←ネタが思い付かないだけです(真顔)


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キターーー!!!

露天風呂

 

俺はこれからどうやってチェルシーさんに接近するか考える。手持ちの武器は桶、タオル、アヒルのおもちゃ、石鹸である。

 

真面目に考えた結果桶を頭に被りゆっくり接近する事にした。そしてタオル、アヒルのおもちゃ、石鹸を桶の上に乗せて行く。これで誰かの忘れ物だと勘違いするに違いない!←(ヾノ´°ω°)ナイナイ

 

よし、ミッション開始!

 

 

お湯の中は少し白く濁っている為前が見えない。しかし、それはチェルシーさんからも見えないという事。つまりお湯の中から接近するのは正しい選択なのだ!←覗かない事が正し(ry

 

ゆっくり、焦らず…しかし確実に接近して行くシュウ。今彼の頭の中にはチェルシーの裸体を覗く事に全てを使っている。それこそ彼の持つ将軍級の器が此処ぞとばかり発揮している。気配を消し、お湯と一体化する事に成功している。シュウは神から与えられた将軍級の器を完全に使いこなせているのだ!

 

……だが、将軍級の器もまさか覗きの為に発揮されるとは夢にも思わなかっただろうが。

 

 

 

そして……遂にチェルシーさんの輪郭を捉えた。シュウの心臓がバクバクと興奮し始める。

 

(もうちょい…もうちょい……ッ!キタキタキタキター!!!)

 

シュウの目に映し出されたのはタオルで重要な部分が隠れている以外の裸体が全て見えた。程よい大きさの胸!くびれた腰!ムッチリとした太もも!しかし彼は更に刺激を求める。

 

(くっ!タオルが邪魔だ!温泉の中にタオルは駄目だよチェルシーさん!…でも、もうちょい近づけばイケる!)

 

チェルシーさん駄目出ししつつもに更に接近するシュウ。

 

(胸と太もも付近にタオルが凄く邪魔だ。こう……手でお湯を仰げばイケる筈!)

 

無理やりお湯の流れを手で作りタオルを退かそうとするシュウ。しかし……彼は一つ忘れている事がある。それは………

 

(何か……頭がボーとして来たな。湯当たりでもしたかな?)

 

違うそうじゃない。

 

(それに……何か苦しい……………あ)

 

そう、彼は人間である。魚類では無いのでエラ呼吸は出来ません。

 

(ヤバイヤバイ!このままでは死んでしまう。こ、呼吸が出来る場所は何処だ!クソッ!お湯が濁ってて元の場所が分からん!)

 

絶賛ピンチである。

 

(ちょ!ま、マジでヤバイ。本気……いや真剣と書いてマジでヤバイ。本当にマズイって!い、息が……出来ない………)ブクブクブク

 

遂に息を吐き出してしまったシュウ。それに気付いたチェルシー。

 

「え?何?アレ」

 

あっちこっち移動しながら結構な勢いでブクブクしているシュウ。その泡に困惑しつつ警戒するチェルシー。そして……

 

ザッパーーーン!!!

 

「プハーーー!ゲホゲホゲホ!オェーーー!ゲホ!スーーーハーーースーーーハーーースーーーハーーー………ふぅ、空気最高」

 

シュウ危険区域内浮上

 

そしてシュウとチェルシーの目がバッチリ合う。

 

「………」

「………」

 

互いに言葉が出ない。シュウは誤魔化すのは無理と理解しつつどうするか考える。チェルシーに至っては全然気配が無かったのにいきなり現れたシュウを見て思考停止中。

最初に口を開いたのはシュウだ。

 

「や……やあ。き、奇遇ですねチェルシーさん。いやー、まさか温泉でバッタリ鉢合わせしてしまうなんてビックリですね!」

 

清々しい程の嘘を言うシュウ。しかしチェルシーはまだ思考停止中。

 

「ふぅ、あんまり長く温泉に入ってると湯当たりしちゃいそうですから先に出ますね!それでは!」ビシッ

 

片手を挙げながら危険区域(温泉inチェルシー)から離脱を図るシュウ。

しかしチェルシーは俯いている為表情が見えない。そしてゆっくりとシュウに接近する。

 

「ち、違うんですよチェルシーさん!いや何が違うと言うと何なんだろうね?と思うんだけどさ!それでもアレだよ!アレ!」

 

言い訳になって無い言い訳をするシュウ。更にチェルシー接近。

 

「えーとですね……ええ、そうです。覗きました!これでもと言わんばかりに覗きました!でも安心して下さい!重要な場所はタオルで見えなか「シュウのエッチーーーーー!!!!!///バヂーーーーーン←ビンタ威力極強」ふべっつあ!」ドバーン

 

開き直りつつも大事な箇所は見えなかったと主張するシュウにチェルシー(顔真っ赤バージョン)のビンタが炸裂した。

 

ビンタをモロに喰らったシュウの意識は遠退きつつも……

 

(顔真っ赤にしたチェルシーさんマジ可愛いなぁ)

 

チェルシーの可愛さに萌えていたのであった。

 

 

 

sideチェルシー

 

私は思いっきりシュウくんにビンタを喰らわせた後直ぐに脱衣所に向かった。

 

(ぜ、全部覗かれた?…覗いたってシュウ言ってたし。……つまり重要な場所以外全て見られたって事?)

 

それを意識した瞬間只でさえ羞恥心で真っ赤になってしまっている顔が更に熱くなった。

 

「もう〜シュウくんのエッチ!///」

 

私はそう呟きながら着替えて体を冷やす為に台所に向かう。何か冷たい物でも飲んで落ち着きたい。

 

でも、覗かれたって事は…………責任取って貰う必要が…………。

 

「!!!///」

 

だ、だめ。これ以上この事を考えると湯当たりする!

 

そう思いながら台所に向かうのであった。



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チーム スタイリッシュVSナイトレイド+1

単語本5巻が無くてフカツに買いに行った………。
いざ読み直しながら書こうとしたら布団の中に……………(´;ω;`)ブワッ


side シュウ

 

突然だが、人は夢を見る。

それは己の願望が夢として現れる事もあるし、色んな事がごっちゃ混ぜの様な夢もある。はたまた何かから逃げる夢や殺されてしまう夢もある。

かく言う俺も夢を見ている…………そう……悪夢を…………

 

 

 

 

 

 

 

周りは暗い……でも雨が降っている。傘も差さずにずっと濡れた状態で立っている。ザアアアアア……とずっと雨が降り続けている………。

しかし、妙な事にその雨は滑りがある。服に体に妙にへばり付くのだ………。

顔を手で拭うとやはり滑りがあり気持ちが悪い………。

だが、俺はこの滑りを知っている。そう、血だ。何故雨がなのに滑りがあるのか………そして何故その滑りが血に似ているのか………。

 

 

周りが少しずつ明るくなる。そして……目にする光景は………紅い……紅い……紅い地面に水溜りに雨だ。

何故紅いのだ?何故紅い雨が降っている?

 

 

 

ゆっくりと………顔を………上を見上げる………………

 

 

 

そして…………

 

 

 

見た物………者………者達が…………

 

 

 

 

 

!!!!!!!

 

 

ガバ!!!!

 

「ハッ!ハッ!ガァ!ハア……ハア……ハァ……はあ………はあ…………クソッ!またあの最低最悪な悪夢か…………最悪な目覚めだ………」

 

何時もの悪夢。紅い雨と地面の夢。だが……妙な事に顔を上げた先の光景は思い出せない。それが良いのか悪いのかは分からない。だが……その先を好んで見たいとは思わない。

 

「どうせ悪夢だ。結末も最悪だろうからな」

 

結局悪夢なのだから最後まで悪夢なのだろう。しかし、

 

「あー、今夜はもう寝れんな。二度寝したら同じ夢を見そうだし。うーん………仕方ないな、少し散歩するか」

 

そう思いさっさと準備をする。しかし、誰がベッドまで運んでくれたのだろう?確か……チェルシーさんにめっちゃくちゃ痛いビンタ喰らってから意識が無いし。

後でチェルシーさんには謝っておこう。まぁ、後悔はして無いがな!←

 

散歩する為に武器を装備。再度チェックして良し!完璧!早速出掛けますか。

 

 

 

夜 ナイトレイドアジト

 

さてと、何処に行こうかな。川とか湖の周辺に行くか。

 

場所を決めて歩き出した次の瞬間……

 

「ッ!!なんだ?いきなり気配が!!」

 

いきなり多数の気配を探知した。俺はマグナムとMP28の銃口を気配のある方へ向ける。しかし、いきなりこれだけの気配……ヤバイ状況だ!

 

警戒態勢を取るシュウ。しかし、次々と気配は増えていく。

 

 

 

 

 

 

そう、遂にDr.スタイリッシュが動き出したのだ。

 

 

side out

 

 

 

時間をほんの少し遡る。

 

side Dr.スタイリッシュ

 

「スタイリッシュ様、強化兵の招集及び配置が間も無く完了します」

 

あたしは耳から報告を聞き頷く。

 

「そう、なら全て揃い次第……スタイリッシュに攻撃開始よ♡」

 

もう直ぐ強化兵によるナイトレイドのアジトに攻撃する。そしてナイトレイドと言う素敵な実験材料を手に入れること。

次いでにシュウくんも実験材料にしてしまいましょう。あの子、帝具使いと互角以上に戦えてるんですもの!きっと素晴らしい素材に違い無いわ!んふふ〜楽しみね〜♡

 

 

 

そして待つ事数分経ち強化兵の配置は完了した。なら、そろそろ桂馬も進入及び攻撃を開始する筈。

それから暫くすると耳からシュウが目覚めたと報告があったが、どうやら夢見が悪かったらしい。

しかし、そのまま二度寝するのでは無く起きるとの事。

 

「目、シュウくんが出てきたら言いなさい。耳、桂馬の状況を把握して頂戴」

 

「「了解しました」」

 

誰1人として絶対に逃さないわ!

 

「あっ!スタイリッシュ様。シュウです!シュウが今アジトから出てきました!」

 

目から報告があがる。

 

「スタイリッシュ様、桂馬も1人仕留めましたとの事です」

 

耳からも報告があがる。

 

「良いわ!タイミングもバッチシね♡……さあ、

 

 

チーム スタイリッシュ!熱く激しく攻撃開始よ!!」

 

あたしはチーム スタイリッシュに攻撃命令を出す。更に、

 

「良い!?なるべく死体は損壊しないで持って帰るのよ!生け捕りなんか出来た人は一晩愛して上げるわ♡」

 

ご褒美も追加させる。これで皆んなやる気マンマンになるわね♡←(´°д°`)エー?

 

「しかし、良いのですか?エスデス様に賊の事をお知らせしなくて」

 

目が聞いてくる。だけどそれだけはダメ。

 

「ダメよ!そんな事したらシュウくんを手に入れれ無くなるじゃ無い!ナイトレイドにシュウくんと言う最高の実験材料を独り占めしなくてどうするのよ!何の為に全ての強化兵を持って来たのか分からなくなるじゃ無い!」

 

シュウくんはかなり強いわ。あたしの強化兵を普通に殺せるだけでも強いのにイェーガーズに対しても普通に戦えてるんですもの。しかも相手の技術や技量なんかもスポンジみたいに吸収するのよ!

それにエスデス様にバレたらあたし………うん、考えるだけ無駄ね。

 

「絶対に手に入れるわよ!あんな素材そうそう無いんだから!それに……カクサン、トビー、ヒショウ、アンタ達の戦闘能力も確かめるチャンスだし」

 

あたしはそう言いながら特別な強化兵に目を向ける。

 

「ワッハハ!!この鋼以上の筋肉に俺の頭脳と体力で敵を倒してみせます!!」

 

「最高のコンディションです。誰にも負ける気がしません」

 

「お任せ下さいスタイリッシュ様。オリジナルを遥かに超える戦闘能力が有るのです!しかも相手は帝具無し。スタイリッシュ様に勝利の報告を致しましょう!」

 

三体の強化兵が殺気を漲らせる。

 

「じゃあ、アナタ達もビンビンに暴れてきなさい。手筈通りにね!!」

 

その言葉に戦場に向かう。

 

「……さあ、ショーの始まりよ!ゾクゾクするわ♡」

 

 

side out

 

side シュウ

 

まさかDr.スタイリッシュの強化兵がいるとは思わなかった。しかも話し合いの余地は無いまま攻撃して来た。

まぁ、帝国に仇なすナイトレイドのアジトから普通に出てきたら敵か内通者にしか見えんな。実際イェーガーズの帝具について伝えた訳だから内通者になるのかな?

 

などと、考えながら強化兵の頭をマグナムで吹き飛ばしククリナイフで首を斬り飛ばす。MP28は火力不足な為暫くお留守番。

因みに必ず頭か首を狙って攻撃してる。理由は他の部位に攻撃しても普通に動くからだ。流石はDr.スタイリッシュの強化兵だ。

 

アジト内でも戦闘してるらしく結構派手な音がしてる。これは…Dr.スタイリッシュは結構な数の強化兵を投入しているな。イェーガーズも居ると考えるとかなりヤバイ状況だ。

 

戦いながらこの先どうするか考える。しかし、打開策はナイトレイドと協力して対処するか隙を見て逃げるか……俺イェーガーズから逃げ切る自信無いんすけど………。

そんな時強化兵の中から1人変わった奴が声を掛けてきた。

 

「これはこれは、貴方がシュウでいらっしゃいますかな?我が名はヒショウ!貴様を倒す事によって私はスタイリッシュ様に勝利の報告をしなければならないのだ!」

 

何か全体的にヒョロっとした奴が居た。ただ腕と足の筋肉がムキムキになってる………バランス悪いなコイツ。

 

「さあ!私と戦えシュウ!オリジナルである貴様を倒し私は本物のヒショウになるのだ!」

 

ヒショウはそう言いながら背中に挿してある刀を抜く。しかしシュウは……

 

「オリジナル?……ま、まさかお前はDr.スタイリッシュに作られた……俺のクローンなのか!?………こ、こ、こんな不細工でバランスの悪い奴が俺クローンだなんて認めたく無いよーーー!!!!」

 

シュウは声を大にして叫んだ。その瞬間シュウの周りの強化兵とヒショウが止まる。

 

「だってそうじゃん!クローンだったらもう少しイケメンになって欲しいもん!もしくは俺に似てる筈じゃん!なのにこんな……こんな……変な奴が俺のクローン……クローン………」

 

めちゃくちゃショックを受けてしまい遂に体育座りをしてしまうシュウ。周りの強化兵がヒショウを見る。ヒショウは顔真っ赤になる。

 

「ち、違うわ馬鹿もん!私は貴様のクローンでは無い「え?そうなん!なーんだ良かった。もし俺のクローンだったら俺もああなる可能性があったもんなぁ。クローンじゃ無くて良かった良かった」………き、貴様……コロス!!!コロシテヤル!!!」

 

シュウの言葉にヒショウはキレて刀で斬りかかる。その速さはシュウの速さと遜色無い速さだ!

 

「シネエエエエエエーーーーー!!!!!」

 

一気に接近して斬りかかる。並の相手では対処出来ないだろう。しかし……

 

 

 

ヒョイ サッ

 

「うお!!!!」

 

シュウは紙一重で避けつつ足を引っ掛けてヒショウのバランスを崩す。そしてヒショウは対処出来ない。

 

ジャキン

 

シュウはマグナムをヒショウの後頭部に狙いを定め………

 

カチ ドオォン!!!

 

躊躇無く引き金を引いた。

 

その瞬間ヒショウの頭は吹き飛びそのまま地面を滑りながら死んだ。

 

呆気なく倒されたヒショウを見た強化兵達は一瞬思考が止まるが一旦距離を取り始める。

 

「さあて、続きを始めるか?まぁ俺は死にたく無いから……お前らが死んでくれ」

 

そう呟きながらシュウはマグナムをリロードしてからしまい、ククリナイフを二本装備して強化兵に斬りかかった。

 




オリジナル エネミー

・名前 ヒショウ

・コンセプト 高速化による一撃離脱

・モデル シュウ

元々盗賊のリーダーであり戦闘能力は高い。Dr.スタイリッシュの強化手術にも耐えれただけの耐性と才能はある。しかし、Dr.スタイリッシュから「アンタはシュウくんのコピーよ」の台詞にシュウに対して敵意を持つ様になる。
本人の基本スペックが高い為、強化された身体にも直ぐに慣れた。二本の刀を装備しており、高速化による肉体強化されながらもすれ違い様に相手を斬り殺す技量もある。
ただ、モデルがシュウであるが根本的に内容が違っている為シュウの劣化版以下になってしまっている。
アクセルブーストが無い為高速化の視界確保が難しく、また相手の速度が遅く見える訳でもない。

本作ではこの回のみの登場になり、又半分位しか出て来ない悲しき存在になってしまった……なんかゴメンね。


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シリアス展開……+♡

シェーレ好きの人は嬉しい展開になるかな?w


side シュウ

 

シュウは強化兵に対して圧勝であった。マグナムとククリナイフ、そしてイサカを使い捌いていく。

 

「「「「グアアアァアアア!!!」」」」

 

長刀、爪型、槍、トンファーを持つ強化兵が攻め立てる。しかし、シュウには当たらない。それどころか…

 

「お!槍じゃん!懐かしいな〜。ヌマさんに教えて貰った技術は今でも錆び付いては無いんだぜ?」

 

槍を奪い、そのまま強化兵の首を斬りつける。そして刺し、打ちつけ、捌き、流れる様に強化兵を叩きのめして行く。

 

シュウは様々所に旅をしていた。その場所に居座る度に様々な先人達に教えを乞い(盗み見る)、そして自身の力の糧にした。強くなり旅し続ける事。そして……何も失わない為に強くなった。

彼は強くなった。しかし……時代は残酷で彼の守りたい者や居心地の良い街や村は消えていった………彼を残して。

 

「…………ヌマさん。見てる?……俺さ、強くなったよ………

 

 

ビュン! ザシュッ!!

 

槍捌きもさ……ヌマさんに負けない自信があるだ………

 

 

ブゥオン! ズバッ!!

 

 

………なのに、もう……ヌマさん……貴方は居ない。貴方だけじゃ無い……皆んな居なくなった。

 

 

ドッドッドッ!!! ドサ

 

 

 

………俺は死なんぞ。絶対にだ。何を犠牲にしたって良い。必ず……この時代を終わらせる引き金を引いてやる!!そしてこの時代の終焉を間近で見るんだ!!!死んじまったら何も残らないじゃ無いか!!!

 

 

 

ガッ!ヒョイ ドス!!!

 

 

 

………いや……残ってるか……残された者には憎しみと憎悪だけがさ」

 

 

俺は今の気持ちを忘れる為に敵を殺し続けた。だが、紅い血が妙に目に付いた………そう、あの悪夢の様な。

 

 

 

……

 

………

 

…………

 

 

 

 

 

気が付けば俺の周りに居た強化兵は死んでいた。………ハァ……参ったな。悪夢を見たせいか気持ちがナイーブになってる。

でも、死ぬとしても無駄死にだけはゴメンだね。せめてこの時代を潰す切っ掛けを作ってからだね。

 

気分転換にサイダー味(棒付き)の飴を出し口に含む。やっぱりサイダーとコーラは鉄板だわ(確信)

 

周りの気配を探ると左向こうでまだ戦ってるみたいだ………あ、凄い光の塊が天に向かって行った。何だあれ?

 

気になり光の方へ向かうと、鎧姿の奴とマインちゃんが居た。向こうもこっちに気付いたみたいだ。

 

「よっ!マインちゃんは無事みたいだね。そっちの鎧姿のはどちら様で?」

 

「あら?アンタ生きてたのね。まっ!この程度の奴らに手こずる私じゃ無いわよ!こっちのはタツミよ」

 

無いむ……もとい、細やかな胸を張りながら答えるマインちゃん。

 

「よう!シュウ。無事だったみたいだな。良かったぜ」

 

タツミは純粋に心配してくれる。

 

「おう、まあな。しかし、タツミも遂に帝具使いになったのか。その帝具もグランシャリオに似てるな」

 

俺はタツミの帝具に対して素直な感想を言う。

 

「まぁ、元々この帝具【インクルシオ】と同じ鎧型の帝具だから似てるんじゃ無いか?」

 

タツミが答えてくれる。しかし……インクルシオか……

 

「確かインクルシオってブラートが使ってなかったっけ?イェーガーズに居た時そう聞いてたけど?」

 

ブラートも帝具使いだ。その帝具が確かインクルシオだった筈だ。ブラートの姿が見えなかったから別の場所で仕事してると思っていた。しかし、2人の雰囲気が暗くなる。俺はその雰囲気を見て察した。

 

「あ……兄貴はな「いや、分かった。すまなかったな。知らなかったとは言え無神経だった」…そ、そんな事ねぇよ。なっ?マイン?」

 

「そ、そうよ!別にアンタが謝る必要は無いわよ!」

 

2人は気にするなと言ってくれる。相変わらず優しい奴らだな。

 

「そっか。まだ敵は残ってるから気を引き締めよう!」

 

その優しさが隙になら無い様に警戒を促す。その時空に陰が走る。月を後ろに何が飛んでいた。あれは……エアマンタかな?

 

「何だ?あれは…!新手か?」

 

「あれは特級危険種エアマンタだよ。珍しいなこんな所を飛んでるなんて。新手の可能性は有るな」

 

「ちょっと待って!今確認する」

 

マインちゃんがパンプキンからスコープ?の様なヤツを出す。

 

「…!ボスよ!援軍ね!」

 

「おお!良いタイミングだぜ!そしてズリィ!」

 

マインちゃんがナイトレイドのボスを確認。そしてタツミは何か興奮してる。まあ、気持ちはわからんでも無いがな!

 

「……何でよ?」

 

「あんなカッコイイ物に乗って登場だぜ?俺も乗りてぇ!!」

 

「味方がピンチの時に颯爽と現れるパターン……正しく物語の主人公みたいで羨ましいぜ!」

 

タツミは興奮しシュウは主人公みたいだと羨ましがる…………君はこの物語の主人公だよ?

 

「あんた達のセンスおかしいわよ?タツミは前々から思ってたけど」

 

マインが二人に呆れながら言う。すると後ろに陰が!

 

ゴッ!!!!

 

「よくもやったな!!この野郎オオオオオ!!!」

 

「グホオッ」

 

ズザザアアァァ

 

レオーネがマインの背後にいた奴を蹴り飛ばす。そしてそのまま首を締めながら持ち上げる。

 

「私はなぁ…奇襲するのは好きだけど、されるのは大っっっっっ嫌いなんだよ!丈夫に強化されてるっぽいが…その分楽に死ねると思うなよ」

 

ジャイ◯ンみたいなセリフをトンデモない表情で言うレオーネ。その姿を見てる3人はドン引きです。

 

「……ケヒッ!」ドシュッ

 

敵が靴から隠し刃物を出し蹴りかかる。しかし、

 

ガキィ!!!

 

「こいつ…さっきもこうやって…防っ」

 

ボギ! ドゴオオオン

 

レオーネは歯で防ぎ首をへし折り力の限り地面に叩きつける……オーバーキル!

 

「……ワオ。半端ねぇッス」

 

「ね…姐さん今の大丈夫?」

 

シュウは唖然としタツミはレオーネに声を掛ける。

 

「変身した私は治癒能力も高まってるからこれぐらいならな」

 

更に、

 

「皆無事か!!」

 

「おう!」「後は…シェーレだけね」

 

アカメとラバック、チェルシーが合流。しかし……此処で奇跡が起こった。

 

「皆さ〜ん。ご無事で良かった」

 

シェーレが少し遅れて登場する。

 

「おう!シェーレか!無事でよ………」「ん?どうしたタツ………」「シェーレ無…………」

 

男3人が固まる。その姿を見た女性陣がシェーレを見る。そして固まる。

 

「すみません。遅れました」ペコリ

 

1番最後だったのが駄目だと勘違いしたシェーレが謝る………が、そうでは無かった。

 

「な、な、な……何でアンタ下着姿なのよ!」ビシッ!!!

 

マインが思いっきりツッコミを入れる。そう、シェーレは自分の素晴らしいスタイルを上下お揃いの紫色の下着と薄い紫色のニーソ姿で現れたのである。因みに頭を下げた時に2つのメロンが揺れた為男性陣の目を釘付けにした。ヤバイぜ!

 

「はい……。実は寝る前に水を飲もうとしたら着替えに全て水を掛けて仕舞いまして……すみません」ペコリ プルルン

 

下着姿の経緯を話しながら頭を下げる。その際男性陣の頭と目が動く。

 

「てっ!タツミ!アンタ達何見てるのよ!アッチ向きなさい!」

 

マインの指摘に男性陣は視線を逸らす。しかし、

 

「「うおおおお!!!最高!!!最高!!!」」

 

ラバックとシュウはダラシない顔をしつつガッツポーズを何度も撮りながら大きな声を揃える。タツミ君?コッソリ握り拳を作ってます。

 

そして無表情のチェルシーが口に咥えていた針を取りだしながらシュウに近づく……シュウは興奮の為気付かない。そして……

 

「えい♡」プス

 

シュウの首に針を刺した。

 

「…?……!!!!!あああぁぁぁぁぁ!!むっちゃ身体中が痛えええええ!!!何だこりぁあああぁぁああ!!!」

 

シュウは身体中の激痛に悶える。

 

「うん!今のはね拷問用のツボを刺したんだ♡凄く痛いでしょ?」

 

可愛らしい言い方でトンデモない事をするチェルシー。その姿に皆ちょっと引いてる。

 

(な、何故だ?何故チェルシーさんはこんな事を?………!そうか、分かったぞ!)

 

如何やらシュウはチェルシーが怒った理由を理解した様だ。流石主人公だ!

 

「ご安心下さいチェルシーさん!露天風呂でチェルシーさんの裸をほぼ見ましたが負けてませんよ!寧ろ自信を「///!!!!!ドスッ!!!」あ………アーーーーーーー!!!!!!!♂」パタ(白目)

 

人体から出てはいけない音を出したシュウは余りの激痛に気絶した。

 

その身体を張ったシュウのコントさながらの姿勢に皆からの同情の視線は無かった。

 



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信念と執念の擦れ違い

オリジナル展開にした方が執筆速度が速い件について


 

……

 

………

 

side シュウ

 

「はっ!……じ、状況…は?」

 

気絶から目を覚ましたシュウは周りを見る。

 

「あ、シュウくん。今は無理…しない方が良いよ」

 

チェルシーさんが声を掛けてくる。

 

「いや…いや……この程度の痛みならもう大丈夫さ。しかし……身体が……痺れて力が出んのはいかんな」

 

そう言いながらククリナイフを取り出し躊躇なく左腕を刺した。

 

「ちょっと!シュウくん!な、何を!」

 

「…ッ!良しッ!目が覚めた!俺は……イケる!」

 

俺はそう言いながら巨大危険種に目を向ける。彼処で戦ってるなら行くしかないだろう。

 

「待ってシュウくん!ダメだよ!まだ……身体の痺れがあるし、何より私が刺した痛みもあるでしょう!」

 

チェルシーさんが俺を引き止める。だが止まる訳には行かないんだ。

 

「この程度の痛みなら何度も味わって来た。身体の痛みなら平気さ。心の痛みの方が…精神的にキツイのはチェルシーさんも知ってるでしょう?…その痛みを知ってるからナイトレイドにいるんでしょう?」

 

「…シュウくん」

 

平気さ。全然余裕さ……だから。

 

「Dr.スタイリッシュを止める。強化兵とは言え元は人間だ。人を物として扱うならそれ相応の扱いを受けても文句は言わせんさ」

 

これ以上知り合いを失ってたまるか。Dr.スタイリッシュ…アンタの性格は嫌いじゃなかったよ。

 

「じゃあ、行ってきます」ダッ!!!

 

俺はセブンブーストを発動して一気に巨大危険種に向かう。

 

 

……

 

………

 

「タツミ!アカメ!それと……イケメン!大丈夫か!」

 

俺は3人に声を掛ける。

 

「シュウ!平気なのか!」

 

「シュウ?無理はするな!下がれ!」

 

「まだ身体の痺れがあるだろう。下がれ」

 

3人は俺を下がらせ様とする。すると巨大危険種からDr.スタイリッシュの声が聞こえた。

 

「あら?シュウくんじゃ無い?あの毒を受けて動けるなんて大したものね!やっぱりアタシの目に狂いは無かったわ!シュウくん!貴方もアタシの糧にして上げるわ!!!!」

 

巨大危険種の頭にDr.スタイリッシュが居た。

 

「ッ!Dr.スタイリッシュ!お前……其処まで堕ちたか!」

 

「堕ちた?バカ言わ無いで頂戴!アタシは至高の帝具を超えるのよ!!!」

 

ドシイイィン!!!

 

Dr.スタイリッシュが腕を振り下ろす。

 

「成る程な!その姿は…アンタの欲望を体現したって訳か!よく似合ってるぜ!!!」

 

腕に飛び乗り一気にDr.スタイリッシュに近づく。しかし、

 

「そう簡単に近寄らせ無いわ!!!」

 

腕を上げつつ触手みたいな物を展開する。

 

「チッ!」

 

MP28をDr.スタイリッシュに向け発砲。しかし触手が全て防ぐ。

 

「ウフフフフフ!やっぱり身体の痺れが残ってる見たいね。あの大口径のリボルバーを撃たないのが一番の証拠よ!!!」

 

触手が俺を襲う。しかし避けれる速度だ!

 

「シュウ落ち着け!無闇に突っ込むな!」

 

「っ!……チッ…分かった」

 

アカメの言葉に従い一旦引く。

 

「さあ!纏めてアンタたちを糧にして上げ「ダアアァァン!!」ッ!」

 

光?俺は光の方へ目を向ける。其処にはエアマンタとマイン……知らない女性が居た。多分あの人がナイトレイドのボスだな。

そして、パンプキンの攻撃に体制を崩すDr.スタイリッシュ。

 

「これで詰みだ!Dr.スタイリッシュ!」

 

アカメとタツミが行く。その背後に着いて行く。

Dr.スタイリッシュも腕を振り上げ迎撃しようとする。

 

ボゴッ!!!

 

イケメンが腕を相殺する。

 

「〜〜〜〜〜!!まだまだよ!!!!」

 

更に触手を出す。

 

「その攻撃はさっき見たぞ!!!」

 

タツミとアカメの前に出てククリナイフで触手を切り刻み進路を作る。

 

「行け!!!タツミ!アカメーーーーー!!!」

 

「うおおおお!!!」「ッ!」

 

キン!!!

 

 

 

 

 

 

「葬る!」

 

 

 

 

ピッ!!!

 

 

 

 

ズ…ズズ…ズズズズズ

 

「…………ま……まだ色んな人体実験……したかったのに………な……何故アタシがこんなっ………不幸な目に」

 

ドクン!!!!

 

 

ズウウウウウン!!!!

 

 

 

 

 

「五体満足で楽に死ねた分…お前はまだ幸せだろう」

 

アカメは言う。

 

「己の欲望を正に体現したまま死んだんだ…これ以上の死に方が何処にある」

 

シュウは皮肉を混ぜながら言った。

 

 

 

イェーガーズ残り「6」人

 

ナイトレイド残り「9」人

 

 

……

 

………

 

 

Dr.スタイリッシュとの戦闘の後。俺はナイトレイドと別れて帝都に向かう事を告げた。

 

「な、何で!シュウくんも一緒に行こうよ!」

 

「そうだぜシュウ。このまま1人で帝都に行くのは危険が高すぎる」

 

「そうよ。アンタも大人しく来なさい!まっ!下っ端としてこき使ってやるわよ!」

 

チェルシー、ラバック、マインが引き止める。他の連中も心配そうに此方に視線を向ける。

 

「確かにな……。だが、まだ離れる訳には行かない。それにイェーガーズには戻らないよ。戻ったら殺されるだろうしね」

 

今回はDr.スタイリッシュのみだった。だが、連絡用の強化兵を用意してる筈だ。だから俺がナイトレイドと一緒に居たのはバレてるだろう。

 

シュウは確信した表情で内心思っていた。←まぁ……Dr.スタイリッシュの性格を考えたらそんな事し無いけどね!

 

「それにバレない様に軽く変装するさ。だから心配すんなよ」

 

「で、でも!」

 

尚も食い下がるナイトレイド達。いやはや本当に気持ちのいい連中だな。

 

「シュウ…と言ったな。私はナジェンダだ宜しく。ナイトレイドのボスをやっている」

 

銀髪で眼帯と義腕を告げたクールビューティな女性が握手を求めながら言う。

 

「初めまして、シュウと言います。ただ、皆の気持ちは嬉しいけど一緒に行くのは断らせて頂きます」

 

握手しながら言う。多分この人を説得出来れば大丈夫だろう。

 

「そうか…。だが、何故だ?我々は一時的とは言え共闘した仲だ。いや、寧ろ共に戦ってくれる仲間と言ってもいい。なのに何故此方に来無い?それに皆の言う様に今君が帝都に戻るのは危険だ」

 

ナジェンダさんは心配そうに言う。

 

「……ナジェンダさん……無理なんですよ。ナイトレイドの信念と俺の信念……いや、執念か……噛み合わ無いんです。目標は一緒でも、その過程が駄目なんです」

 

此奴ら優しい。今の時代には勿体無い位だ。……だからこそ駄目なんだ。

 

「執念か……。良ければ聞かせて貰えないか?……君の執念を」

 

ナジェンダさんは少し緊張しながら聞いてくる。

 

「………良いですよ。それは………

 

 

 

 

 

 

風が吹く。強い一陣の風が吹く

 

 

 

シュウの口元が動く

 

 

 

ザアアアアアアァァァ

 

 

 

風が森を揺らし雑音を出す

 

 

 

 

 

………ですね」

 

 

 

 

ナジェンダは………目を見開き……固まった

 

「……そうか。だが、死んだ者達は「判って無いな」ッ!」

 

「コレは……俺の……オレ達の……戦争なんだ!……だから一緒には行けない」

 

1人じゃ無い。ちゃんと居る……目を閉じれば……皆が見える。忘れた事なんて……

 

 

「無いんだよ」

 

 

胸に手を当て呟く。

 

 

 

 

side out

 

 

……

 

………

 

side チェルシー

 

私達は今エアマンタに乗っている。ただシュウくんは乗ってい無い。

 

「ボス……1つ聞いても良いですか?」

 

「……シュウの執念に付いてなら言わんぞ」

 

「!な、何でですか!」

 

「そうだぜボス。何でシュウを連れて来なかったんですか?」

 

「まぁ、野郎がこれ以上増えるのは嫌だが……流石に無理にでも連れて来た方が良かったのでは?」

 

私に続いてタツミとラバックも聞いてくる。ラバックはこの高さににビビってるけどね。

 

キン ジュボ フゥー

 

「駄目だ。無理に連れて来ても途中で裏切る可能性がある。アレだけの力が有りながら行成背中からバッサリ殺られるのは嫌だろう?」

 

ボスはとんでも無いこと言う。

 

「ボス!幾らボスでも言って良い事があるよ!」

 

流石に今の台詞に皆の視線を受けるボス。

 

「……フゥ。お前達……あいつはな………帝国の犠牲者でもあり………反乱軍の……犠牲者でも有るんだ」

 

その台詞に皆が目を見開く。

 

「ボス…それってどう言う事?だってシュウくんは……ずっと旅をして来たんですよ?だから帝国の悪事をずっと見続けて……あ」

 

私は……嫌な事を考えてしまった。でも……そんな事

 

「チェルシー……お前が今思ってる事だ。そして…彼奴はそんな不甲斐ない私達を恨んでいる」

 

私は嘘だと思いたい。だってそうでしょう?……帝国の悪事を止めれ無い反乱軍。一枚岩では無い帝国と反乱軍。それを見続けて来たシュウくんは………。

 

「だから諦めろ。あいつは……諸刃の剣だ。然もかなり凶悪な……いいな?この話は終わりだ」

 

他のメンバーはまだ判って無いからだろう。私やボスに聞いてくる。でも……言える訳無い。

 

 

 

 

 

 

シュウくんが敵になる可能性は高いという事が…………

 

 

 

 

 

side out

 




はい、此処から少しオリジナル展開となります。原作から少し離れますね。ただ、ナイトレイドが強化中主人公も強化し無いといけ無いから(汗)



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そうだ!刀を買おう!

Dr.スタイリッシュとの戦闘後の一週間後。シュウは帝都に居た。そして帝都に自分の手配書が出回って無いか確認したが見つから無かった。

 

(あれ?おかしいな?……手配書が出回って無い。普通にアレだけの事をした後を考えたら有る筈なんだけど…………無いなら無いで良いんだけどね)

 

内心そんな事を考えながら帝都を見て回る。

因みにシュウはイェーガーズに戻るつもりは今の所は無い。理由は2つある。1つは念には念を入れて気をつける為。もう1つは……

 

(アレだよ。戻るタイミングを外しちゃったんだよ!それに、ずっと居無い状態だったから戻ったらエスデスさん直々のお説教、拷問、監禁、後はウェイブにめっちゃくちゃ怒られそうだしな!こっちの考えがメインじゃ無いし。うんうん!決してビビってる訳じゃ無いし?うんうん!決してビビってる訳じゃ無いし!!大事な事だから2回繰り返しただけさ!)

 

……君は子供かね?

 

 

 

 

 

シュウは現在武器屋に居る。何故なら新しい武器を買う為だ。

 

「さてさて、お目当の刀はあるかな?」

 

そう、シュウは刀を買うのだ。理由は如何してもククリナイフだとリーチの差が出てしまう。逆に槍だと間合いに入られたら対処が難しい。だから刀を買うのだ。

因みに刀にした理由は彼が元日本人故に刀を選んだだけである。

 

しかし、中々刀は見つから無い。有るには有るが……余りよろしくない。店員に聞いてみると此処にある刀は帝都で作られた刀だと。本物の刀は東方の方から輸入してるが数は多くない。また、その刀身の美しさから上流階級の芸術として買われてしまう為滅多に出無い。

 

シュウは店員に感謝を言って店を出た。

 

「何てこった……刀に其処までの価値が有ったとは……諦めて長剣にするか?」

 

しかし、諦めきれず他の武器屋に足を運ぶ。

 

 

……

 

………

 

「此処で4軒目か……そろそろ良い刀が出てきて欲しいなぁ」

 

そう言いながら飴を口に入れながら店に入る。少し古ぼけているがちゃんと武器は展示してあった。

 

「えっと…刀…刀…「あっ!いらっしゃいませー!」あ、どうも」

 

店員が声を掛けて来たので頭を軽く下げる。しかし、見て回るものの無かった為諦めて明日探そうと思い何となくレジを見ると…レジ横にある樽の中にに刀と長剣が乱雑に詰まれて有った……。

その樽の中を物色すると1本だけボロボロの刀が有った。その刀を見てみると『帝国軍刀・陽炎・開発二課』と明記されて有った。

 

「帝国軍の軍刀か……思ったより悪く無いな。刀身は綺麗だし、そこそこ硬そうだから問題無いな。すみません、この刀下さい」

 

値段は樽に書いてある金額だとか……安いなおい。中々の良い刀だと思うんだがな。ま、日頃の行いが良いからかな?

 

ルンルン気分で帰路に着いたのであった。

 

 

……

 

同日 帝都メイン通り

 

side エスデス、セリュー、ラン、コロ

 

キョロ キョロ

 

エスデスとセリューは右へ左へと視線を巡らしていた。

 

「隊長にセリューさん?どうかされました?」

 

「……つい、人が多いとシュウをさがしてしまう」

 

「え?…あー、私も隊長と同じ…ですね」

 

ランの質問に答えるエスデスとセリュー。

 

「そうですか。しかし、中々見つかりませんね。2人共シュウくんの居そうな居場所に心当たり等は無いのですか?」

 

「……そうだな。やはり私の側にいる事が1番の筈なのだがな…ハァ一体何処にいるんだ」

 

「…!(我慢我慢)…うーん、シュウくんの事だから……もしかしたら隊長のお説教が嫌で逃げてたりして………」

 

「…………」

「…………」

「……キュウ」

 

1発で原因を言い当てたセリュー。そして、その考えに納得したエスデス、ラン、コロ。

 

「確かにお説教はするし、次は逃さない様に何時でも一緒に居るつもりだ。だが、拷問等はせんぞ」

 

少し不貞腐れてしまうエスデス。

 

「ま、まぁ何となくシュウくんが戻らない理由が分かりましたね。尤も、推測の域ではありますがね」

 

しかし、恐らく当たっていると確信している。

 

「所で隊長、何時でもシュウくんと一緒に居るとは何処まで一緒に居るつもりですか?」

 

セリューがエスデスに質問する。若干殺気が出てるのは気にしてはいけない。

 

「勿論言葉通りだ。目の届く範囲には絶対に居させるつもりだ。それにシュウの為に更に強化した首輪を用意したんだぞ!」ジャラリ

 

何故かドヤ顔で言うエスデス。更により強化した首輪を胸元から出す……四次元ポ◯ット……いや、四次元bustかな?

 

「で、でしたら私が隊長の代わりに見張ります!隊長はお仕事があるでしょう?」

 

「フッ…安心しろセリュー。仕事なら最悪ランに丸投げするから問題は無いさ」(ドヤァ)

 

「え!ちょ、ちょっと隊長それは流石にマズイと思いますが?」

 

シュウが関わると乙女回路優先になる為、周りに多数の被害が及んでしまう。

 

キャイのキャイのと乙女2人と男1人に1匹は帝都を見て回るので有った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて、後でウェイブに軽く拷問でもするか」

 

エスデスは何処かに出掛けるかのように言う。

 

「あの……隊長?そろそろ許して上げても良いのでは?」

 

「そうですよ?もう大分反省してましたし…」

 

流石に止めに入るランとセリュー。軽い拷問とは言え痛いもんは痛い。

 

「いや、駄目だ。ウェイブのメンタル面を徹底的に鍛える事にした。そうすれば、もう2度とあの様な事はしなくなるさ」(キッパリ)

 

あの様な事とはシュウを見失った件。

 

「……そうですか。ただ、ウェイブも仲間であるのですからもう少し軽くして上げては如何でしょうか?」

 

説得が無理と判断したランはせめて軽い…本当に軽い拷問にする様に進言する。

 

「………良いだろう。まぁ、ウェイブのメンタル面さえ鍛えれれば何でも良いがな」

 

だったら最初から軽くして上げて下さい。と内心思うランとセリューであった。

 

side out

 

side ウェイブ

 

ゾク!!!!!

 

「クソ!またか!また拷問なのか!!シュウ、頼む…頼むから……早く戻って来てくれーーーーーー!!!」

 

危機感を感じたウェイブは何度目か分からない叫びを上げるのであった。

 

side out

 

 

……

 

………

 

side シュウ

 

突然だが俺は現在旅人である。決してNEETでは無い。しかし…働か無いとお金が無くなる。そもそも帝都周辺の危険種狩りは帝都警備隊の仕事の1つでもあるので殆どい無い始末。

よって俺はそこそこ金持ちのボディーガードをやる事にした。

因みにボディーガードの相手は金貸しの頭だ。名前は…忘れた(´∀`*)テヘッ

 

え?どうやってボディーガードになったのかって?…こう、物理的に周りのガードの人をグーパンで殴り倒しながら「俺を雇いませんか?あ、給料は日給でお願いします」と直接交渉しただけだよ?←

 

そんなこんなで俺は今金貸のボディーガードです。

 

 

 

 

 

 

俺は今陽炎を片手に河原に来た。そして陽炎を抜き目を瞑る。思い出すのはアカメとクロメの剣技。

 

ゆっくりと息を吸い…そして吐く。それを繰り返しながら思い出す。

 

陽炎を振るう。アカメとクロメの斬り方を模倣する……が

 

「上手く行かないなぁ」

 

やはりキチンとした教師とかが必要だよなぁ。と内心思う。それでも刀を振り続けるシュウ。

 

1時間以上思い出しながら様々な動きをしていたが、やはり1人では厳しいみたいだ。

 

少し諦めかけた時声を掛けられた。

 

「小僧、お前さん刀の振り方がなってねぇな。それだけじゃあ無く持ち方もなってねぇ。フッ…そんな扱いしてりゃあ、その刀が泣くぜ」

 

袴姿にキセルを加えてるオッサンが居た。茶髪で短髪で色黒、そして鋭い目力がある。しかし、右目から右頬には切り傷の痕だろうか、かなり深い痕が有った。目は無事の様だが?そして渋カッコいいと言う言葉が似合うオッサンである。

 

「……んな事は言われんでも分かってるよ!でも師範クラスの人がい無いんだから自分でやるしか無いじゃん?」

 

俺はオッサンにそう返しながら練習に戻る。

 

「……なら、俺が教えてやろう。なぁに、気にするこたぁねぇよ。俺はこう見えつ暇なんでな」

 

そう言いながらキセルを吹かす。

 

俺は疑いの視線を混ぜながらオッサンを見た。

 

 

 

 

 

 

 

帝都の中で出会う2人。この出会いがシュウにとって忘れる事の無い出来事になる。

そして、彼の心と執念に多大な影響を与える事になるとは……誰も……彼自身も予想は出来なかった。

 

 

 

帝国の闇が蠢く時代。

今は嵐の前触れの静けさか…。

その中で生きる事に足掻き続ける事を選んだシュウ。

さあ、足掻け!生き残る為に!時代の終焉を見る為に!!

 




帝国軍刀・陽炎・開発ニ課

帝国軍の兵器開発部第2課が制作した物。合金のみを使用し危険種等の素材は使ってい無い。しかし硬さを優先して作られた刀である為実践向きである。
陽炎の名称については不明である。


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稽古と闇

刀の扱いを自分なりに模索してたらシブメンのオッサンが刀術を教えてくれるらしい。

 

「おっと、そういやぁ名乗って無かったなぁ。俺はゲンて言うんだ。お前さんは?」

 

「……自分はシュウです。なら一手お相手お願いします」

 

シュウは名乗りながら刀をゲンに向ける。

 

「おっ?良いね。話が早くて助かるぜ。いつでも良いぜ……来な」

 

ゲンは袖から腕を出しながら言う。しかし、

 

「刀……抜か無いんですか?」

 

そう、ゲンは刀を抜いて無かった。

 

「スゥー……フゥー………抜かせてみな」

 

キセルを吹かしながら挑発した。

 

ピクッ

 

シュウの片眉が動く。

 

(まぁ、俺は大人だし?わざわざ本気出すつもりは無いよ?……だからザンク倒した速度でやるわ)←|ω° )オイッ

 

ファイブブースト

 

一気にゲンに接近して刀を振り下ろす……が、

 

ガシッ! ドシイイィン!!

 

ゲンはシュウの腕を的確に掴み力を受け流し、一気に地面に叩きつけた。

見事な背負い投げである。一本!

 

「う…嘘ん……こん……こんなあっさり…背負い投げされるとか………無手に負けるのか………俺」

 

ショックを受けるシュウ。恐らくセブンブーストを使っても結果が変わら無いと悟ったのだろう。

 

「まぁ、速さは中々だったが真っ直ぐ突っ込んで来りゃあ対処出来るわな。後、刀の間合いが若干ズレてるからそこも修正だな。それと殺気を隠せ」

 

あっさりシュウを倒しただけでなく、問題点も見つけて指摘する。

 

「…………………………師匠!ご指導宜しくお願いします!」(キリッ)

 

キメ顔でお願いするシュウ。未だに倒れてるけど。

 

「おう」フゥー

 

そんなシュウを見ながら了承するゲンであった。

 

 

……

 

………

 

side シュウ

 

師匠…いや、ゲンさんからの指導は苛烈を極めていた。(師匠は柄じゃ無いから名前で呼べと言われた)イェーガーズ…いや、今までやって来た中で1番ハードな内容だ。

 

基本実践方式。次に模擬刀は使わ無い。

木刀使いましょう?と言ったら「ダサいからヤダ」と言われた……。

 

因みにゲンさんも刀を使ってる。黒い刀身の刀だ。名前は無く黒い刀身だから黒刀(コクトウ)と呼んでる。

 

………

 

「グッ!」

 

「だから攻撃する際に強い殺気を出すな。だからバレるんだ」

 

俺の一撃をあっさり防ぎ逆に斬りかかる。いや、これで手加減されてるって……マジかー。

ゲンさんの一撃を避け一旦距離を取る。

 

「さて、そろそろ終わりだ。…そうだな、次の俺の攻撃を防いだらこの黒刀をやろう」

 

ゲンさんはとんでも無い事を言う。しかし、俺はそれに乗った。気合いが補充された。

 

「よし!来いやああああ!!!」

 

「……行くぜ」

 

一瞬呆れた表情をした気がするが気のせいだな!ゲンさんが一気に近づく。しかし、セブンブーストを使ってる俺には見える。

 

(…ふっ、勝ったな)

 

ゲンさんは上段からの攻撃を展開する。しかし見えてる俺には関係はッ!

 

ドカッ!!

 

「グヘッ!」

 

ゲンさんの下段からの蹴りに顎がクリーンヒット。

意識が一瞬飛ぶ…そして、黒刀が突き付けられていた。

 

 

……

 

「か、勝てねぇ」

 

俺は地面に寝転びながら言う。最後の攻撃は見えていた。なのに反応出来なかった……。

 

「それはなシュウ坊、お前さんは殺気で見てるからだ。だから反応出来なかったんだ。見えてはいたんだろ?」

 

殺気……で?俺は無言で頷く。

 

「ま、コツさえ掴めばどうにでもなるさ。それにコイツは中々エグい攻撃だからな。特に強い連中にはかなり効くぜ?」

 

ゲンさんは少し口元をニヤけさせながらキセルを吹かす。そしてそのまま歩き出した。

 

「また明日この時間な」

 

そう言い残しながら去っていった。

 

「半端ねぇな……あの強さは。並の帝具使いなら殺されてるよ」

 

俺はそう呟きながらもう少しだけ寝転んだ。

 

 

 

side out

 

 

side ゲン

 

「いらっしゃい……また、アンタかい。飽きもせずに来るね」

 

「ふん。こんな寂れた居酒屋に来てやってるんだ。感謝して貰いたいもんだ」

 

俺は今居酒屋『オカン』に居る。俺が帝都に来てから世話になってる店だ。

そして、このいけ好か無い女はオカンの女将のミラだ。

 

「余計な御世話よ。…それで、何時ものかい?」

 

「あぁ、何時ものとツマミを適当にな」

 

何時ものやり取りをして席に着く。しかし、この時間は客が居ないな。

 

「アンタが来るのが早過ぎなのよ……で、何か良いことでも有ったのかい?」

 

「ん?…別に……何も」

 

「…そうかい。まあ、話したくなったらいいな」

 

別に良いことでは無いがな。ただ……教えがいのある奴が居ただけさ。

 

「ま、その内な」

 

俺はそう呟いた。

 

 

……

 

飯も食い終わって店を出る。ただまぁ、軽く酔っちまってシュウ坊の事を少し話したのがいけねぇな。お陰で今度連れて来なけりゃ酒は出さねえとか言いやがる……勘弁してくれ。

 

そして俺は雇い主の屋敷に向かう。先代には世話になり、その先代の亡き後を継いだ息子の護衛だ。

だが…俺にはもう何かを守る力は無いんだよ。

 

「お疲れ様です。ゲン様、カーネスキ様が及びです」

 

「おう」

 

俺は門番に一言言いながら向かう。

 

……

 

「待っておったぞ!ゲン」

 

「は、一体何用で?」

 

この雪ダルマみたいな奴が先代の息子のカーネスキだ。全く、何食ったらこうなるか逆に聞きてえもんだ。

 

「うむ。ここ最近小さな金貸し共が悪巧みを企てておる。ここら一帯は我が家の敷地同然だ!にも関わらず好き勝手にするゴミ共が居る!」

 

一体何時からここら一帯がお前の家の敷地になったんだ?まあ、今更か…。

 

「そこで我々は近々ゴミ掃除をする事にする。その時は貴様の武勇を存分に発揮せよ!それが我が父に対する恩返しになるだろう!!」

 

如何やら遂に始まるらしい。何時かはやるだろうと思っていたが……このボンクラは本物のボンクラになっちまったか。

 

「それと……貴様の妻と子の手紙を預かっておる。これだ、受け取れ!」ポイッ

 

カーネスキは俺宛の手紙を投げて寄越した。俺は軽く頭を下げ部屋から出た。

 

side out

 

side カーネスキ

 

「ムッシャムッシャ…おい!酒を持って参れ!肉も忘れるで無いぞ!」

 

「カーネスキ様、1つお聞きしたいのですが宜しいでしょうか?」

 

ワシの席から1番離れてる奴が声を掛ける。ワシは許しを出して近くに来させる。大きい声を出すのは中々に体力を使うからな!

 

「ゲン様の妻と息子は居るのでしょうか?私はまだまだ新参者故に見た事が有りません。もし宜しければご紹介をお願いしたい所存であります」

 

ワシはその台詞を聞き……大爆笑した。

 

「ワッハッハッハッハーーー!!ゲンの妻子に会いたいか?ハッハッハッハッーーー!!これは傑作じゃわい!」

 

他の者もワシに同調して笑う。新参者だけが付いてきてはい無いがな!

 

「えっと……何故笑われるのでしょうか?」

 

「そんなもん最初から居らん。ワシが殺せと命じたからな」

 

元々親父がゲンが帝国軍にやった尻拭いをする為に妻子を安全な場所に避難させ匿っていたが……何故ワシが面倒を見なければならんのだ?くだらん。

 

「さ、左様でしたか…なら、ゲン様はこの事は「知っておったら未だに護衛何ぞやっとらんわ!ワッハッハッハッハ!」…そ、それもそうですね。失礼しました」

 

そう一言言って元の席に戻る。しかし…

 

「未だに偽の手紙を本物と勘違いしているとは、つくづく間抜けな奴だ!ハッハッハッハッーーー!!」

 

ワシは気分良く杯の中の酒を一気に飲んだ。

 

side out

 

 

……

 

………

 

 

屋敷から出たゲンは夜道を歩く。そしてキセルを取り出しながら手紙も出す。

 

マッチに火を付ける。そして……手紙に火を付ける。

まだ封が開いてない手紙が燃える。キチンと燃えたのを確認した後キセルに火を入れる。

 

ゲンの表情に感情は無かった。



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時代は喜劇を望む

ねえ、知ってる?実はまだ原作6巻辺りの話なんやで?










マジちくわー( ¯•ω•¯ )


side シュウ

 

ゲンさんの稽古を始めて1ヶ月が過ぎた。その間に居酒屋オカンに行ってご飯をご馳走になったり、刀の扱い方を細かく教えて貰ったりしていた。

中でもゲンさんには奥さんと息子さんが居るらしく自慢された。奥さんは奥ゆかしく綺麗な人で、息子さんは俺と同じか少し上だと言う。

ただ、昔帝国軍にいた時ヘマをしてしまい離れ離れになってしまったらしい。

 

中々ゲンさんも波乱な人生を送ってるなぁと思ってしまった。

 

ついでに自分の過去話もした。親が死んだ事、仲間や家族と呼べる者達はもう半分以下しか居ない事など。

それを話したら女将さんのミラさんに抱き締められた。……何となく母親を思い出してしまい少し鼻の奥がツンとした。

ゲンさんもゴツゴツした手で頭撫でてくるもんだから……余計に泣きそうになった。

 

そんな風に稽古をして、終わったら一緒に居酒屋オカンに行ってご飯を食べる。いつもご馳走してくれるので嬉しい。そして、何より……家族みたいな感じが良かった。

 

ずっと続けば良い……そう思ってしまう。信念、復讐、執念……今は、今この時だけは全てを忘れる事が……俺の望みだ。

 

 

……

 

 

「……い、おい!」

 

「え?あ……何ですか?」

 

少しボーとしていたようだ。

夜の護衛をしていると声を掛けられる。

 

「おいおい、しっかりしてくれよ。今頭がお前を呼んでるから呼びに来たんだよ」

 

「そうなん?ふーん、じゃあ行くよ。此処の持ち場は誰が?」

 

「俺がやっとくから行って来い」

 

同僚に持ち場を任せて頭の所に向かう。

 

トントン

 

「シュウです」

 

「おう、入れ」

 

扉を開けると他の年配の方々がいた。その中に頭は上座に座っていた。

 

「まあ、座れや。お前を呼んだのは……もう直ぐ俺たちは戦争をする」

 

頭はそう言った。……何となくそう思ってたので特に驚かない。最近銃とか弓矢、剣買ってるし。

 

「其処でだ、お前には此処で俺たちの護衛をやって貰う。何が何でも俺たちを守れ!以上だ」

 

頭はそう言うと別の人と話し始めた。

軽く頭を下げて出て行く。飴を出して口に含みながら考える。

 

(戦争…ねぇ。唯の抗争じゃん。ま、この辺に強い奴の話は聞か無いし大丈夫だろ……強いて言うならゲンさん位かな?でもゲンさんは暇人らしいから関係無いか)

 

俺は特に気にせず部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運命がゆっくりと動き出す。

まだ……誰も気付いていない。

 

 

 

 

 

 

 

……

 

………

 

アレから2週間が過ぎた。ゲンさんとの特訓は相変わらずハードだが強くなってる実感がある。

因みにエイトブーストまで後一歩ぐらいだと思う。しかし上手く行かない。実戦での使用は今は無理だ。代わりにセブンブーストは大分慣れてきた為余裕と言ってもいいだろう。

 

しかし、相変わらずゲンさんの攻撃はエグい。ゲンさん直伝の刀術は殆ど模倣も出来てるし打ち合いなら互角か一歩劣るぐらいだろう。だが、殺気の乗らない攻撃が中々に対処が難しいのが現状だ。

 

「くぅー!また負けた……悔しい!」

 

俺は地面に倒れながら言った。

 

「まだまだ動きが青いんだよ……いや、動き自体は問題ねぇか。後は俺のフェイントに気を付けりゃ教える事は無くなるぜ」

 

ゲンさんは嬉しそうに笑いながら言う。

 

「……そっか。もう直ぐ……終わっちゃうのか」

 

声に出してしまった。お互い分かっていた事だ。

 

「スゥー………フゥー………これが最後の別れじゃねぇんだから心配すんな。またオカンで飯でも一緒に食えば良いさ」

 

ゲンさんは何でも無いかの様に言う。そうだよな…

 

「そうだよね!だったらゲンさんに認めて貰える様に頑張るよ!」

 

「おう、その意気だぜ」

 

俺もゲンさんもお互い笑顔になる。しかし…

 

「シュウ坊、急で悪いんだがなこれから3日間位会えそうにねぇんだわ。多分オカンにも行けねぇ。すまねぇな」

 

ゲンさんは申し訳無さそうに言う。

 

「……何かあったの?」

 

「まあ、ちょっと野暮用がな」

 

理由を聞いてみたが曖昧に返された。多分教えてはくれないだろう。

 

「……うん、分かった。じゃあ、また3日後にオカンで何時もの時間に会おう!」

 

俺はなるべく明るく声を出す。

 

「おう。じゃあ俺は先に上がるぜ。シュウ坊は如何する?」

 

「もう少し型の練習をするよ」

 

そう言いながら背を向けて陽炎を構える。多分情けない顔してるだろうし。

 

ポン グシャグシャ

 

ゴツゴツした手が頭を撫でて来た。

 

「お前は偉いな。頑張れよ」

 

そう言って去って行った。

 

「………良し!先ずは初手の型から復習だ!」

 

俺はゲンさんに教えて貰ったり技を思い出しながら陽炎を振るった。

 

side out

 

 

 

side ゲン

 

ガラガラガラ

 

「まだ準備中……ゲン?珍しいわね。何時もより早いじゃ無いか。……アンタ遂にボケちまったかい?」

 

ミラが何時もの様に悪態を付く。

 

「……ミラ、お前さんには色々感謝してる」

 

「……アンタ、本当にボケちまったのかい?」

 

失礼な奴だ。まあ、その方が気が楽だがな。

 

「先日医者に身体を診て貰った。………長く無い…とな」

 

以前から医者にはキセルを辞める様に言わ続けていた。だが、辞めれなかった。このキセルは妻からの贈り物だからよ。

 

「ま、自業自得なんだがな…スゥー……フゥー……」

 

「ゲン、アンタ…その事をシュウちゃんは知ってるのかい?」

 

ミラがシュウ坊の事を聞いてくる。

 

「スゥー………フゥー………いや、知ら無えな。だが、遅かれ早かれこうなってた」

 

シュウ坊……すまねえな。

 

「俺はそろそろ帝都を出る。まぁ、最後のご奉公と言ったところかね?」

 

「ご奉公…?アンタ、あのボンクラに「もう良いんだ」!何が良いんだい!?アンタの妻子はあのボンクラに殺されたんじゃ無いか!!なのに……何で……アンタは………」

 

ミラは感情を露わにして俺に問い詰める。

 

「スゥー……フゥー……、妻と息子が死んで……俺は何もかもが如何でも良くなっちまったんだ。いや、報いを受けたんだと感じた。軍人時代に色々暴れ回って…悪さして……無実の奴だと分かっていながら殺して来た。妻が出来て、そして初めて息子が産まれた時……俺は今までトンでも無い事をし続けてきた事に気付いた。そして、恐怖したんだ。……だから、コイツは当然の報いなのさ」

 

そう、散々好き放題やった奴の報いだ。今更良い子ちゃんぶったって意味は無え。

 

「じゃあな、ミラ。達者でな……それと、3〜5日程店を閉めとけ」

 

俺はそう言ってミラに背を向けて出て行った。

 

「………バカ。アンタは本物の大馬鹿野郎だよ!!!」

 

side out

 

 

……

 

side シュウ

 

そろそろ抗争があるという事で、俺は鍛冶屋にいた。マグナムのオーバーホールと言った所だ。

このマグナム、1級危険種の亜種を素材にしてる為こう言ったしっかりとした店に見て貰う必要があるのだ。

 

店員にマグナムを見せどうかと聞いたら、

 

「うーむ、珍しい素材ですので少し時間が掛かります。大体5日間程掛かります。あ、値段は此方になります」

 

…仕方ないか。ま、マグナム無くてもMP28とイサカが有れば平気だろう。

そう思い俺は鍛冶屋にマグナムを預けたのだった。

 

 

……

 

「あれ?オカンが閉まってる。ミラさーんいますかー?」

 

返事が無い。けど気配はある。

 

「……まあ、自分空気読めるし?1人になりたい時もあるか」

 

そう思い俺は別の飯屋に行く事にした。途中何度も居酒屋オカンが見えるまで視線を送った。

 

 

 

……

 

………

 

それから3日後、遂に抗争が始まった。

外の天気はどんよりとしており、何時雨が降ってもおかしくは無かった。

 

「おい、シュウ!お前は此処で頭達を守れよ!オレ達はカーネスキ派の連中を叩き潰して来るからよ!」

 

「ん、いってらっしゃい。あ、序でにパン買ってきて」「買わ無えよ!」

 

何故かプリプリ怒りながら出かけて行った皆様方。

やれやれ、下らん抗争に巻き込まれるとか……(゚⊿゚)ツマンネ

 

しかし……

 

「此処の守り……結構な使い手が多い気がするな。いや、確かに先遣隊の方が多いけど…それにしては多いよな?」

 

首を捻って考えてると頭が他の連中にも聞こえる様に答えを言った。

 

「お前ら!カーネスキ派には『鬼神のゲン』が居る。だが、此方にも多数の使い手を用意して向かわせた。だが、最悪な時は貴様らにも闘って貰う!金は払ってるんだ!頼んだぞ!!」

 

………鬼神…の……ゲン…?

 

(いやいや、まさか。偶々同じ名前なだけさ。だって、ゲンさんは暇人だって言ってたし………だけど、此処ら辺でアレだけの使い手が居るか?)

 

俺は嫌な予感がした。そして…空を見上げる。

 

まるで……あの日の様な天気だと思った。そう、父親が死んだ日もこんな天気だったと。

 

side out

 

side ゲン

 

「……来たか」

 

俺はそう呟くと前へ歩く。周りの下っ端もそれに追従する。

 

「貴様が『鬼神のゲン』か!我が名は「良いから来いよ」!貴様、武人としての誇りは無いのか!!」

 

何やら下らねえ事をほざいてる奴がいるが……

 

「そう言うのは試合でやりな」

 

そう言いながら一瞬で近づきソイツを叩っ斬った。

 

「ば、馬鹿な!『隼コタロウ』が、ああもアッサリと!」

 

敵さんのリーダー格の奴が動揺してるが知ったこっちゃ無い。

 

「死にたくなけりゃ逃げな。俺は無視しといてやるよ」

 

そう言って敵に斬りかかった。

 

 

 

……

 

………

 

「良くぞやったぞゲン!褒めてつかわす!その勢いのまま手勢を半分連れてゴミ掃除をして参れ!ハッハッハッハッーーー!!!」

 

そう言ってカーネスキは屋敷に戻って行った。

俺は歩き出す。その後ろに他の連中が追従する。

 

 

……

 

「き、来たぞ!」「先遣隊は殺られたのか!」「頭達に報告を!」「敵襲!敵襲!武器を持て!!」

 

敵さんの屋敷からワラワラと出てきた。やれやれ、これで終わりかね?

 

「良し!ゲンよ!先に斬りかかれ!我々はその援護をする!行け!!」

 

知らねえ奴が命令してくる。まあ、如何でも良いさ。サッサと終わらせて殺るだ………ッ!

 

「……ゲン………さん?」

 

…………俺の目と耳が遂にイカれたのだろうか。いや、イカれてた方がマシだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………シュウ坊。お前……何で其処に居るんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時代の闇が2人を引き合わせる。

殺し殺される戦場で引き合わせる。

その喜劇を見たいと言わんばかりに……。




『鬼神のゲン』
ゲンが帝国軍に居た時に異民族側から付けられた通称である。
反抗するものは容赦無く、又帝具使いも退けた事もある。その戦い方は圧倒的で一対一なら敵無しであった。
また、味方の損害も省みない戦法も取るため部下からも恐れられていた。その為敵味方共に恐怖を与え続けていた。
尚、その味方の犠牲が高い為帝国軍から査問が行われるなど通称通り鬼の様な生き様であった。

『隼コタロウ』
隼の様に速い速度で移動する事を得意とし軽量のサーベルを使う。剣術は並程度だが、素早い移動速度により敵を翻弄させる。
尚、ゲンにより一刀両断される。


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親子

だいぶ暗い雰囲気になってます。
それでも大丈夫なら読んでくれると嬉しいです。


 

side シュウ

 

嫌な予感程良く当たる。今、目の前に居るのはゲンさん。現在俺に刀術を教えてくれてる人……そして、鬼神のゲンと呼ばれてるらしい。

ゲンさんの強さは良く分かっている。勝てる確率なんて良くて2割ぐらい。勝てるかと聞かれれば無理と即答するぐらいだ。

しかし、こんな状況なのに俺はイマイチ考えが纏まらなかった。寧ろこの時代に対する不満や怒りが込み上げてくる。

 

(一体……どれだけ俺から奪えば気が済むんだよ。もう……故郷も……家族も無い。仲間や知り合いも半数以下。そして…今回は俺の命か?……はっ!笑えねぇよ)

 

いつの間にか内心愚痴ってるぐらいだ。しかし、それは唯の現実逃避なだけだ。

 

「……シュウ…………来い」

 

ゲンさんが俺に声を掛ける。来い?そっち側に付けと?……いや、違う。ゲンさんはそんな人じゃ無い。

俺はゲンさんに焦点を当てる。ゲンさんは黒刀を握ってる。

 

 

 

 

あぁ、やっぱりこうなるのか。戦いたく無い……けど、死ぬのは嫌だ。だって……死んだら皆の仇が出来なくなる。

 

 

 

俺はMP28を抜きつつ自分にブーストを掛けた。

 

 

 

 

セブンブースト

 

 

 

引き金を引く時、妙に重く感じた。

 

 

9mmの弾丸がゲンさんを襲う。しかし、ゲンさんは自分に当たる弾丸だけを全て弾く。そして、そのまま距離を詰めて来る。

俺はバックステップしながら左手でイサカを構える。

 

(散弾は避けるしか無いよ?ゲンさんの間合いには絶対に入らない。それに銃で足に当てれば殺さずに済む!)

 

殺さずに終わらせる。それが一番だ。だからイサカの引き金を引く。

しかし、弾は当たらない。右へ左へとゲンさんは高速で移動しながら更に接近して来る。それどころか味方を盾にして来る。

 

「ッ!邪魔だよ!退いてろ!!!」

 

周りの連中を退かす為に言う。しかし、連中はゲンさんに群がっていく。

 

「鬼神のゲン覚悟!!」「仲間の仇だ!!」「報酬増額の糧になれや!!」「くたばれや!」

 

周りの連中が一斉にゲンさんの間合いに入る。

 

「馬鹿!間合いに入るな!!」

 

声を出して引き止める。そして……

 

 

ザンッ!!!!!!!

 

 

全員が胴体と泣き別れした。

 

 

キン

 

 

ゲンさんが黒刀を鞘に収める音だけが聞こえた。

 

「……チッ!」

 

俺は舌打ちしながら煙幕弾を生成してピンを抜きゲンさんに投げつける。

一瞬でゲンさんの周りに煙幕が出来る。その隙に離脱した。

 

 

……

 

 

「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ」

 

町の入り組んだ道を走る。場所なんてもう何処なのか分からない。だけど、これで良い。

 

(何とか撒いたかな?それに、この抗争が終われば何時も通り居酒屋オカンに行けば普通に会えるかもだし)

 

淡い期待を若干混ぜながら自分にそう言い聞かせて心を落ち着かせる。すると雨が降り出して来た。

 

「……雨か」

 

空を見上げる。雨が顔を打つ。

あの場所から逃げたけど、雇い主は死んだだろうな。申し訳ないけど命あっての物種だ。許せとは言わない……ただ、戦力をキチンと把握してから仕掛けなかった雇い主の落ち度だ。

それに他の味方も殺られたか逃げたかの何方かだろう。

 

息を整えながらこの先の事を考えようとした時……

 

 

ゾクッ!!!!

 

 

殺気を感じた。

 

 

(ゲンさん……何で?如何して?)

 

俺は今の場所を移動しながらイサカを構える。

 

(こっちに戦いの意思が無いのはわかってる筈。何でだ?と、兎に角ゲンさんから距離を取るしか無い。後、間合いには絶対に入る訳にはいかない。入ったら味方の連中と同じになる)

 

泣き別れはゴメンだ。だから逃げる。

 

……

 

逃げ続けたら広い道にでた。下町の大通りと言った所だろう。雨は更に強くなり人通りは無い状態だ。

しかし……ゲンさんが居た。そう先回りして待っていた。いや、殺気を出してこの場所に俺が誘導された。

 

ザアアアァァァァァ

 

雨は止む気配は無い。

お互い睨み合う状態になっている。先に口を開いたのはゲンさんだった。

 

「……中々逃げ足が速いじゃねえか。追うのに苦労したぜ。全く、あんまり年寄りの手を煩わせるんじゃねえ」

 

軽く言ってる感じだが殺気は強くなってる。

 

「ね、ねえゲンさん。俺達別に戦う必要は無いじゃ無いか。今回はこっちの負け。それで良いじゃ無いか?だからさ……刀から手を離して欲しい……んだけど」

 

「…………」

 

ゲンさんは唯此方を見てるだけだ。そして、

 

「…行くぞ」

 

一言だけ言った。

 

「ッ!」

 

俺は反射的にイサカを撃つ。もう、足を撃つとかの問題じゃ無い。このままだと……俺は………

 

 

「銃なんざ不粋な物使うなよな。折角刀術教えたんだ……そっちを使え!」

 

一瞬で距離を詰められる。しかし、此方もセブンブーストを使ってるから回避をッ!

 

ギン!!!

 

殺気を感じ咄嗟に身体を捻る。しかし……その殺気はフェイントであった。何故なら、

 

ガシャン

 

イサカが中心から無かったからだ。

 

「ッ!」

 

イサカを手放しMP28を向ける。だが、ゲンさんは予想していたのだろう。返す刀でMP28を3分割にする。

 

ガシャンガランガラ

 

「……さあ、来い」

 

最早ゲンさんの間合いにいる。咄嗟に手慣れているククリナイフを抜き更に間合いに入る。

だが、この選択は間違いだった。ゲンさんの間合いに入ってる時点でククリナイフでは無く、陽炎を使うべきだった!!!

 

ギイイイィィィン!!!

 

二刀のククリナイフは黒刀により吹き飛ばされる。更にゲンさんの蹴りにより俺自身も吹き飛ばされる。

 

「さあ、刀を抜け。お前の全てを見せてみな。これが……最後の試験だぜ?」

 

ゲンさんは黒刀を俺に向ける。

 

「ハァ…ハァ…………………」

 

陽炎を抜き構える。ゲンさんと同じ構え。しかし、俺は伊達に色々な武術を学んだ訳ではない。確かに中途半端な感じなのは否め無い。だが、それらを一つにする事……今この時に全てを纏める!出来なければ………死ぬだけだ。

 

構えを変える。力を抜き1番合う型にする。

 

「ほう……それがお前のやり方か。良いぜ、先手は譲ってやる」

 

厳密に言えば俺に型は必要無い。型を作ればその形に固定される。なら、その日その時に合う型にすれば良い。

 

「………手加減無しだ!」

 

エイトブースト!!!

 

唯闇雲に突撃はし無い。フェイントも混ぜながら接近する。そして一気に近づく。

 

一瞬のスレ違い……その間に12回刀を交わした。

その内の3回が俺の体を斬り裂く。

 

「グッ!…まだだ!!!」

 

更に斬りかかる。時に力を抜き、槍のように突き刺し、刀術を使い、フェイントを混ぜながら斬る。

 

「ほう…やるじゃねえか」

 

ゲンさんに多少の斬り傷を与えるものの、此方のダメージは中々に痛い。腕、足、腹に深い斬り傷が出来ていた。

 

「ハァ…ハァ…ハァ…………まだ、終わって無い」

 

1番厄介なのが殺気によるフェイントだ。殺気を出しつつも、実際は全く別の所を攻撃してくる。この一瞬の間にそれを行う事がどれだけ難しい事か。一体ゲンさんはどんだけの場数を踏んでるんだ?

 

俺は再度斬り掛かる。生き残る為に………

 

 

 

……

 

………

 

 

 

ザアアアアァァァァ

 

バチャン

 

俺の体が倒れる。雨は更に強くなる。雨が俺の体の体温を奪っていく。

 

「……立て」

 

ゲンさんの声が聞こえる。身体中が痛い。

 

「立て!」

 

更に強い声で言う。斬り傷が痛い。

 

「立て!!!シュウ!!!」

 

体を起こす。しかし、上手く起きれ無い。深い斬り傷や打撲……後アバラもやられてる。

 

地面は赤い……血だ。誰の?……俺の?………それとも…………誰かの?

 

 

赤い……赤い……紅い……紅い雨……………

 

紅い……紅い……紅い……紅い大地…………

 

紅い……水溜り……紅い……雨…………………

 

 

 

 

 

 

ドクン!!!

 

 

 

 

 

 

死ぬ訳にはイカナイ……この時代に血の代償を支払って貰うまで………。この大地をこの時代に住む全ての人に支払って貰うまで。帝国軍……反乱軍……そして愚民共。お前らの怠惰が今を作ったんだ。お前らの怠惰がこの状況を作ったんだ!!!

 

 

 

 

だから支払って貰う。そう………皆が望んでる。俺には分かる。死んだ皆の無念を貴様等に支払って貰う!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

「うがあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

 

潰す……邪魔する奴は全部潰す…………

 

「血の代償を貴様等に支払って貰う!!!!!」

 

俺は陽炎を握りゲンに斬り掛かった。

 

side out

 

 

 

 

 

side ゲン

 

「グッ!!」

 

シュウの奴が立ち上がった時、あいつは吼えた。そして、血の代償とか言いながら俺に斬りかかる。

直線に来る。それじゃダメだろ?

軽く防ぎ背中を斬るビジョンが見える。だからその通りにする………しかし、俺は腹を斬られた。

 

「シュウ……お前……この土壇場で覚えたのか?」

 

「…………ッ!死いいいねえええええええ!!!!」

 

シュウの眼は淀んでる。いや、憎しみ…苦しみ……そして、哀しみが見えた。

 

「………そうか、お前をそんな風にしちまったのは」

 

 

 

俺の様な奴……か。

 

 

 

………ならば、俺はお前を………

 

 

「来い!シュウ!!!お前の全てをぶつけて来い!!!!」

 

side out

 

 

……

 

………

 

 

「グッ……ハァ…ペッ!……ハァ…ハァ…」

 

死ね無い……死んではいけ無い……時代の終焉の引き金を引く為に……時代の終焉を見届ける為に!!!

 

「シュウ……次で最後にするぜ。………そうだな、俺の攻撃を防ぎ尚且つ当てれたら………この黒刀をやろう。どうだ?乗るか?」

 

……………ゲン……さん

 

ヂャキン

 

「………………フゥー……」

 

構えを作るシュウ

 

「フッ……そう来なくちゃな」

 

チャキン

 

構えを作るゲン

 

強い雨が降り続ける。お互い満身創痍……しかし………

 

「………ッ!!!!」

 

ナインブースト!!!!

 

ドッッッ!!!!!

 

シュウは駆ける。様々な武術を……ゲンに教えて貰った刀術を……技を織り交ぜながら………

 

「でやあああああああ!!!!!!!」

 

「うおおおおおおおお!!!!!!!」

 

 

 

近づく2人……そして交差………

 

 

 

キイイイィィィン!!!

 

 

 

 

 

 

 

ヒュンヒュンヒュン トッ!

 

 

 

 

刀身の先が地面に刺さる。その刀身は銀色に輝いていた。

 

 

 

「………シュウ坊………お前に教える事は全て終わりだ…………合格だ……………良くやったな」

 

 

 

 

 

ドサ

 

 

 

 

side シュウ

 

「…………ッ!ゲンさん!!!!」

 

俺は陽炎を放り投げゲンさんの所に駆け付ける。

 

「ご、ごめ、ごめんなさい!こ、こんな風に……あ、血、血が……今、医者呼ぶから!「ガシ」ゲンさん?」

 

「良いんだ……もう」

 

ゲンさんは血を流しながら言う。

 

「な、何言ってるんだ!まだ、間に合うよ!だから!」

 

「もう……俺は……先が短いのさ。キセルを吸い過ぎた所為もあるが……な。だが……このキセルは妻からの最後の……送り物だからよ」

 

最後…の送り物?……

 

「ゲンさん……奥さんと子供が居るんじゃ?」

 

「もう…居ないんだ。だから……もう……良いんだ」

 

そんな……だって…居酒屋で自慢してじゃ無いか………

 

「子供が出来た時……俺は……いつか報いを受けると思った。………それが……コレさ……グッ」

 

「もう…良いよ……分かったからさ……喋っちゃダメだよ。医者を」

 

「お前を見た時……息子を……家族を思い出した。お前には感謝してる。………シュウ坊……この黒刀を……貰ってくれねえか?………息子が大きくなったら……あげるやつだったんだ」

 

ゲンさんが黒刀を俺に渡してくる。俺はその黒刀を受け取る。

 

「……名前は…………息子と一緒に考えたくてな………付けて……無いんだ…………悪いな」

 

「……ゲンさん……もう…分かったから……だから……死なないでよ」

 

どんどんゲンさんの体温が下がってるのが分かる。そして…その表情も……何度も見てきた表情になって行く。

 

「お前は……優しい子だ。だから……死んだ奴らも背負っちまってよ……更に………俺の為に涙も流してくれる」

 

「ゲンさん!!!」

 

「シュウ坊………お前はお前だ。死んだ奴はもう………生き返らねえ…………だから………お前はお前の為に生きても良いんだ。悪くねえ、全然悪くねえ!」

 

お……俺は……俺は………ッ!

 

「分かったからさ…自分の為に生きるから……だから………死なないで……1人にしないでよ………一緒に生きてよ………

 

 

 

 

 

お父さん!!!」

 

「ッ!………………フッ」

 

ポン グシャグシャグシャ

 

俺の頭を乱暴に撫でてくれる。

 

「生きろよ………息子よ」

 

スッ パチャ

 

「……ゲンさん?……ゲンさん?!………嫌だよ………こんなの………嫌だよ……目を……開けてよ………鍛錬………まだ………終わっ……う……あ………」

 

 

ザアアアアアアアァァァァァァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雨脚は更に強くなる。その雨音の中に微かに聞こえる声。それを掻き消すように雨は降り続ける。

 

side out

 

 

……

 

………

 

居酒屋オカン

 

ドンドンドン ドンドンドン

 

「何だい?今日はやっては……シュウちゃん!それに………ゲン?」

 

其処には雨に濡れたシュウと目を閉じてるゲンが居た。そしてシュウの眼からは雨とは別の物が流れていた。

 

「……ミラさん。ゲンさんを……お願いします。俺……俺が……言えた義理じゃ無いのは分かってます。だけど……だけど!」

 

「分かったわ。ゲンをコッチに寝かせて」

 

ミラはシュウを誘導する。今のシュウはとても脆く見える。

 

「ミラさん……ゲンさんの奥さんと子供は……誰が殺したか知ってます?」

 

「…ッ!シュウちゃん。それを知って如何するんだい?まさか……仇打ちとか言うんじゃ無いだろうね?」

 

「違いますよ………俺が……やりたいんだ。もう………これ以上………ゲンさんの様な人を作りたく無いんだ。ただ……目星はついてる。ゲンさんの雇い主でしょ?」

 

シュウは1発で言い当てた。それに反応したミラを見てシュウは立ち上がる。

 

「ミラさん……俺は…俺の為にやる」

 

そう言いながらシュウは外に出て行く。

 

「ま、待ちな!シュウちゃん!…ッ!シュウちゃん?」

 

扉を出た瞬間シュウは何処にも居なかった。ただ、暗い夜の闇と雨だけが見えるだけだった。

 

 

 

……

 

………

 

カーネスキ邸

 

side カーネスキ

 

「ワッハッハッハッハッーーー!!酒が進む進む!おいっ!酌をせい!ワッハッハッハッハッーーー!」

 

カーネスキの前にはカーネスキに楯突いた連中の幹部連中の首が置いてあった。

 

「これでカーネスキ様の権力はここら一帯は不動の物となりました!おめでとうございます!」

 

1人の部下が頭を下げると周りの連中も頭を下げる。良い良い!実に良い気分だ!

 

「これでワシは父上を超えたも同然だな!それだけでなく更にワシの所に金が流れる訳だ!今日この日は我がカーネスキ家の記念日となるだろう!ワッハッハッハッハッーーー!」

 

最高の気分だ!最早ここら一帯にワシに逆らう奴なんぞ居らん!

 

「さあさあ!貴様らも今日は無礼講じゃ!どんどん酒を飲め飲め!ワッハッハッハッハッーーー!」

 

周りもワシを褒め称える。ワシは今間違いなく人生の絶頂期に居るのは間違い無い!!!

 

「……ッ………て……」

「な………………」

「はや………銃を………」

 

「ん?何やら外が騒がしいですね?少し見てきます」

 

そう言って1人の部下が外に出る。しかし

 

プシャアアアアアア

 

赤い血が障子を染め上げた。

 

「な、て、敵襲だ!」「馬鹿な!敵は殆ど潰したのだぞ!」「おい!貴様ら!金を払ってるんだ行け行け!!!」

 

雇われの傭兵崩れが障子をぶち破る。その瞬間胴体と泣き別れしていた。

 

ドシャアドシャア

 

「ひっ!ひいいいあああああああ!!!!は、はよう!はよう!敵を殺せ!!!!」

 

ワシは周りの連中に命令する。すると敵が此方に来た。

 

黒髪が濡れて表情は見えぬ。しかし…武器は刀だけだ。しかし……あの刀は。

 

「あ、あ、あの刀!ゲンです!ゲンの刀です!!!」

 

ザワッ!!!!

 

ば、馬鹿な!あの鬼神のゲンが死んだだと!!

 

「こ、殺せえええええ!!!!」

 

一斉に斬りかかる部下達……しかし、

 

ザンッ!!!!!!

 

全員が胴体と泣き別れした。更に敵はワシの部下を次々と切り捨てる。

 

……

 

 

「ば、馬鹿な……あ、有り得ん!こんな事……あり得ん!!」

 

周りの部下はもう居ない。たった1人に斬り伏せられたのだ。

 

「ま、まて!お前の望みは何だ?金か?女か?良いだろう……全て用意してやろう。だから……見逃して来れんか?ん?」

 

ワシは寛大な気持ちの持ち主。つまり、此奴をワシの子飼いにすれば全て収まる。

 

「そうじゃ!お前をワシの部下にしてやろう。そうすればここら一帯ではやりたい放題じゃぞ?」

 

奴はゆっくりと此方に来る。返事は無い。

 

「待て待て待て待て!!ワシを殺しても何にもならん「ヒュン!」……!!!う、腕があああ!!!」

 

それを皮切りにワシの身体は斬り刻まれる。

 

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!!!!!!!

 

刀の振るわれるのと同時にワシの身体から血が吹き出る。致命傷では無い。此奴は………

 

「や、止めて………止めて………くれ」

 

ワシはもう……立てん。仰向けになりながら命乞いをする。

 

「立て」

 

「………は?」

 

「立て!」

 

ヒュン ビュジュ!

 

「ヒギャア!……グッ……立てば……み、見逃してくれるのか?」

 

「……………」

 

相手の返事は無い。だが、刀を再度構える。

 

「グッ……フッ……ウグッ!………ハア…ハア…ハア…た、立ったぞ」

 

その瞬間……ワシの身体はバラバラになった。

 

 

side out




黒刀(コクトウ)
ゲンが帝国軍に所属していた時、軍のお偉いさんを上手く使い軍を引き連れて超級危険種討伐に向かった。超級危険種には逃げられたがツノの一部の素材を入手に成功。その素材を元に作られた刀である。
硬さはと斬れ味は同じ帝具の刀型より勝り打ち勝つ事が可能。また、その硬さから鎧型の帝具にも有効である事が分かった。
(*補足として陽炎が最後まで耐えれた理由はシュウの技術による物である。また、硬さを重点に置かれた設計思想があったからでもある)
この討伐によって帝国軍2万5千が壊滅した。

カーネスキ
金が好きだからカーネスキ 以上!

ほら、アカメが斬る!てこんな感じでモブの名前付けてるやん?


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後日談

これで暗い話は一端終わります。
中々話が纏まらないから難産ですた……


 

あの後、俺は居酒屋オカンに戻りそこで倒れた。そして次に目が覚めた時は病院?の様な所に居た。

 

「……おや?目が覚めたか。いやはや、こんなにも早く目が覚めるのは想定外だったな」

 

白衣を着た爺さんが居た。多分この人が治療してくれたんだろう。

取り敢えず身体を起こそうと力を入れるが………全身に途轍も無い痛みが走り顔を歪める。更に脂汗まで出た。

 

「これこれ、今は絶対安静だよ。全く、斬り傷や打撲だけじゃなく全身にダメージを受けてる。どんな戦い方をしたのやら」

 

医者は呆れ顔で言う。

 

まぁ、エイトブーストだけでなく無理してナインブーストまで使ったんだ。そりゃあ、身体壊すわな。

更に思い出したかの様に頭痛までして来た。

 

「さて、今の君の現状を伝えよう。まず、絶対安静。次に無理に身体を動かさない。最低でも1ヶ月は激しい運動は厳禁だ」

 

医者はそう言うと薬を出す。

 

「取り敢えず痛み止めの薬だ。本来なら注射にしたかったが、今の君の現状を考えると飲み薬にした方が良いだろう」

 

医者に手伝って貰いながら飲む………美人のナースお姉さんや美少女ナースにやって欲しかったな……。

 

「ふん!私も出来れば美少女に薬を飲ませたかったよ。勿論口移しでな!!」

 

「お巡りさん、この人です」

 

くだらないやり取りをしながら他の事を聞く。

そして分かった事はカーネスキ家は壊滅、更に他の金貸しも巻き込みながら死んだので殆どの借金回収が不可能になったらしい。

更に治安悪化の原因が根刮ぎ居なくなった為、現在帝都警備隊が指揮している。

 

そして、ゲンさんについては無理だったそうだ。

 

 

分かってた事だ。俺の手で……やったんだ。誰よりも理解している。

 

暗い雰囲気になったのを察したのだろう。医者は俺にこう言った。

 

「彼奴は今年一杯の命だった。何度も止めたがな。それに……彼奴の死に顔はとても穏やかだった。君のお陰だろう。だから気にやむ事は無い」

 

………ゲンさん。

 

「あの、一つお願いがあるんです」

 

俺は医者に無理を言う事にした。

 

 

……

 

集団墓地

 

ゲンさんは……そこに居た。墓石には確かにゲンと書いてあった。

 

「全く、連れて行かなきゃ暴れるとか変な条件を出すとは……しかも肩を貸せとか言うし……私も年なんだよ?」

 

医者が愚痴を言うが気にしない。

 

「………ゲンさん。御家族と会えましたか?俺は……もう大丈夫です。慣れてますから………」

 

…………言葉が出て来なくなった。でも続ける。

 

「ゲンさん……俺は優しい奴なんかじゃ無いですよ。俺は今の時代が嫌いだ。俺から全てを奪った今の世が大っ嫌いだ。だから……これ以上奪わせ無い為にも今の時代を潰すよ」

 

それに死んだ人達の事は忘れる事は出来無い。

だから……この時代をぶっ潰す!!!何が何でも、全てを利用して叩き潰す!!!

 

 

そして大量に出る犠牲も……覚悟の上だ。

 

 

 

「じゃあね、ゲンさん……さようなら」

 

俺はゲンさんに背を向けて歩き出す。もう二度と来無いだろう。いや、来れる訳が無いんだ。

 

 

 

 

シュウは墓地を背にを向けて歩く。自分の道を歩いて行く。例え……それが大罪人の道だとしても。

 

 

 

……

 

居酒屋オカン

 

「ミラさん居ます?」

 

「…おや?シュウちゃんじゃ無いか。身体は大丈夫なのかい?」

 

俺はミラさんに顔を出しに来た。そして何時も通りのミラさんの対応に少しホッとした。

 

「うん……いや、あんまり大丈夫じゃ無いかな。身体中痛いし、頭痛もするし」

 

「だから安静にしろと言うとろうに!」

 

俺の台詞に誰かがツッコムが無視する。

 

「そうかい。なら、ゆっくり身体を休めな。身体が1番大事だからね」

 

ミラさんは優しく言ってくれる。

 

「……ミラさん。ゲンさんをありがとう。俺が言えた義理じゃ無いけど」

 

「シュウちゃん。ゲンはね、あんたの事とっても大事にしてたんだよ。だからゲンが死んだのは……シュウちゃんを助けたかったんだと私は感じてるよ」

 

「……助ける?」

 

「そうさ。ゲンは無駄死になんてしない奴さ。だけど、シュウちゃんの為なら命だって張れたのさ。だから気に病む必要は無いんだよ」

 

………ゲンさん。

 

 

 

『シュウ……次で最後にするぜ。………そうだな、俺の攻撃を防ぎ尚且つ当てれたら………この黒刀をやろう。どうだ?乗るか?』

 

……………ゲン……さん

 

 

 

 

最後……あの言い方は最初の頃に言われた時に似てたな。だから何と無く周りが見える様になれた気がする。

 

………あぁ、そっか。わざわざ次で最後にする何て言ったのは俺の為だったのか。

 

俺の限界がもう直ぐだと気付いて………。

 

「………俺……ゲンさんの為にも生きるよ。だから………また此処に来ても良いかな?」

 

俺はミラさんに聞く。するとミラさんが優しく抱きしめてくる。

 

「勿論さ。何時もおいで。御飯作って待ってるからね」

 

「……うん」

 

若干目が熱くなったが我慢した。これ以上泣くと泣き癖が付きそうだ。

 

「我慢しなくて良いんだぜ?寧ろ我慢は身体に悪いと医者として言わせて貰おう」(キリッ)

 

変なオッサンがなんか言ってるが無視だ無視。

 

「それじゃあ、ミラさん……行ってきます!」

 

「ええ、いってらっしゃい。身体に気をつけるんだよ」

 

俺は頷いてミラさんに背を向け歩く。

今も俺が見えなくなるまで見守ってくれてる。

だから歩く。力強く、しっかりとした足取りで歩く。身体中が痛いけどミラさんを安心させる為に歩く。

 

……

 

「シュウくん。そんな歩き方すると身体に響くだろう?どれ、私が肩を貸そう。なーに、気にすることは無いよ。私は医者だからね!」

 

「おいこらテメー、空気読むや。今まだ後ろにミラさんが見てるだろ!」

 

「いやいや、だからと言って患者に無理させる訳にはいかないよ。ささ、遠慮するな」

 

……こ、この野郎。

 

「お前友達居ないだろ」

 

「は!居るし!めっちゃ居るし!ああー、この後も予定が「患者は友達じゃ無いぞ」………お、お前なんか嫌いだ!」

 

「子供かあんたは!」

 

ギャーギャー言いながら歩いて行くシュウを見てミラはホッとしたのであった。

 

 

………

 

 

シュウが医者と戯れてる時、帝都警備隊とイェーガーズがカーネスキ邸の調査を行っていた。

 

side イェーガーズ

 

「ほう、これは中々の惨状だな」

 

「はい、カーネスキ邸の殆どの死体は半分にされてます。また大広間の上座に居た死体はバラバラにされてました。その死体は皮膚の表面を斬られた後バラバラされたと思われます」

 

エスデスがランの報告に耳を傾ける。

 

「しかし…どれも刃物による死体か。ナイトレイドとは別口かも知れんな」

 

「如何やら闇金同士の抗争が有った様です。生き残った者は女性や家使いが殆どで、戦闘力の無い者達のみでした」

 

この情報を聞くと尚更ナイトレイドとは別口の可能性がでた。ナイトレイドはその職柄目撃者は全員始末するからだ。

 

「ふむ、今回は無駄足だったかも知れん」

 

「まだ他の場所でも戦闘が有ったそうです。もう少し調べてみては?」

 

しかし、エスデスは首を横に振る。

 

「このカーネスキ邸の奴らを殺した奴には興味はあるが後は残りカスだけだろう。その辺は帝都警備隊に任せる」

 

「分かりました」

 

エスデスとランはカーネスキ邸を後にして残りのメンバーと合流する。

 

「お前達、如何だったか?何か情報を得たか?」

 

「隊長!お疲れ様です。このカーネスキ邸の所に鬼神のゲンと呼ばれてる人がいたそうですが死体は今の所出てきて無いとの事です」

 

「鬼神のゲン…?……あぁ、昔帝国軍で暴れてた奴だったか?面識は無いが中々強いと聞いている。是非手合わせ願いたいものだ」

 

セリューの言葉に頷くエスデス。その時警備隊の人達が話をしていた。

 

「すいません、武器の置く場所って何処でしたっけ?」

 

「ん?あぁ、そこの馬車だよ。なんだ、まだ武器落ちてたのか?」

 

「はい、ショットガンとサブマシンガン。後は刀とククリナイフが一本づつです」

 

この台詞を聞いたイェーガーズ達。何とな〜く視線を移す。

 

「隊長ー!ククリナイフもう一本追加です。いやー、屋根の上に刺さってたから取るのに時間が掛かりましたよ」

 

「よし、じゃあ片づけ「ちょっとその武器全部見せてみろ」?エ、エスデス将軍!は、はい只今!」

 

警備隊の隊長と隊員は直ぐに武器を見せる。

 

「……なあ、このサブマシンガンとショットガン……それにククリナイフ……」

 

「これってもしかして……」

 

「シュウのだね」

 

ウェイブ、ボルス、クロメが言う。

 

「隊長…セリューさん?大丈夫ですか?」

 

「…………」「…………」

 

ランが2人に声を掛けるものの返事は無い。そして、

 

「今直ぐ全ての死体の身元を確認しろ!!今直ぐだ!!私達も確認する!!」

 

「はい!隊長!!」

 

2人は猛ダッシュで死体を確認しに行った。

 

「シュウの奴死んだとかバカの事すんなよ!」

 

「私も行くよ!」

 

「…………」ポリポリ

 

「やれやれ、困りましたね」

 

他のメンバーも確認しに行くので有った。

 

 

……

 

全ての死体を確認したがシュウの死体は無かった。

 

「ふむ、この抗争にシュウが参戦していたのは間違い無いだろう。ラン、セリュー、お前達はもう少し範囲を広げてこの抗争に関わる事を調べ上げろ」

 

「了解です」「了解しました!」

 

2人はすぐさま行動に移した。特にセリューからは気迫が漲っていた。

 

「さあ行くよ!コロ!絶ッッ対にシュウくんを見つけるんだから!」

 

「キュウウー!!」ズリズリズリー

 

そして他のメンバーにも指示を出していくエスデス。

そして、空を見上げる。雨上がりでとても気持ちの良い青空が広がっている。

 

(シュウ……お前は絶対に逃さん。必ず捕まえてみせる。お前の為に奥の手も開発した。だから待っていろシュウ!!)

 

エスデスは必ずシュウを捕まえる事を改めて誓うのであった。

 

 

side シュウ

 

ゾクッ!!!!!!

 

「………フッ、もう慣れたぜ」キリッ

 

「独り言ですか?何か悩みがあるなら相談にのりますよ?私は医者ですから!」(ドヤ顔)

 

(この医者本当にKYだよな!)

 

side out

 



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年上キラー 危険度小

主人公のチートをそろそろ生かさいとな!

後、誤字報告ありがとうございます!とても助かります('ω'*)


ゲンさんと死闘をした日から1週間が過ぎた。そして……

 

「ホスト・魅惑の館へようこそ!」

 

「「「「「「ホスト・魅惑の館へようこそ!」」」」」」

 

「さあ、ごゆっくりどうぞ」

 

「「「「「「さあ、ごゆっくりどうぞ」」」」」」

 

俺はホストクラブで働く事になった。

 

………いや、何言ってんのか自分でも良く分からなくなってきた。

 

上の空で本日何度目か分からない現実逃避をする為に1週間前の出来事を思い出すのであった。

 

 

……

 

………

 

1週間前 1日目

 

俺は安静にする様に言われていたが横になるのが嫌だった。何故ならずっとゲンさんやミラさんとのやり取りを思い出してしまうからだ。

因みに現在はアクセルブーストは使用不可である。出来るには出来るが、頭痛が酷くなるから駄目だ。無理に使った為のペナルティだな。暫くはアクセルブーストの使用は無理だな。

 

そして、最初にマグナムの回収と武器の補充を行う事にした。

先ずはマグナム。修理は終わったので普通に受け取り終了。

次にククリナイフが吹き飛んで行方不明な為別のナイフを買う事にした。

そこそこ頑丈なサバイバルナイフを6本買う事にした。あのククリナイフは異様に硬く、斬れ味も落ちなかった為重宝していたのに………ごめんヘンターさん、無くしちゃった。

そして、銃も買う事にした。サブマシンガンかアサルトライフルの何方を買うか迷ったが、威力不足は否めない為アサルトライフルを買う事にした。

どんな奴にしたかって?見た目L85に似てたのを買いました←

いや、一応試射したよ?弾倉は落ちなかったし大丈夫大丈夫!それにドラムマガジンもオマケで貰えたからラッキーだよ!

次にショットガン……を止めてグレネードランチャーを買う事にした。見た目M79グレネードランチャーだ。

後、序でに拳銃でニューナンブM60も買った。理由は手の平サイズで隠しやすかったからね。

更に銃に穴を開ける工具も買って店を出た。何で工具を買ったのかって?エスデスバッチを銃に取り付けたいからさ。

 

その後メインストリートから少し離れたお洒落な喫茶店の席に陣取り穴あけ作業をしていた。

後店員が嫌そうな顔してた。

 

2日目

穴あけ作業中。序でに飲み物と昼と晩の御飯を注文する。後店員の態度が雑になった。

 

3日目

穴あけ作業終了。それでエスデスバッチを付けた。良い感じた。序でに首輪も弄ったら外れた。これで首周りが洗い易くなった。後は適当にぼーとしながらお茶飲んでた。すると年上のお姉さんからナンパされた。でも身体と頭がまだ痛いから断った。

店員が偶に無視する……悲しい。

 

4日目

また年上のお姉さんからナンパされた。でもまだ身体と頭がまだ痛いから断った。……と言うか俺モテるっけ?もしかしてモテ期来たんじゃね?序でに周りの席にいる人達から視線を受けてる気がする。

店員の態度がいきなり良くなった。序でにお茶がサービスされた……何故?

 

5日目

指定席が用意されてた。そして周りの人……と言うかマダムと言ったら良いのかな?めっちゃ多くね?まぁ、如何でも良いか。ナンパは無かった。モテ期は気の所為だった様だ。

店員から店長が対応してくれる様になった。

 

6日目

何か……視線を感じる。しかも他方向から。敵意は無いから良いけど。何か鬱陶しい。でもサービスが良くなったから居座る。

店長からのサービス量が増えた。

 

7日目

何時も通り座ってたら1人の男性が声を掛けてきた。

 

「君、ホストにならないか♂」

 

「………は?」

 

これが、魅惑の館のオーナーとの最初のやり取りだった。

 

「いや、突然ですまないね。だが、君には才能がある!女性を口説き、落とし、そして貢がせる才能が!!!」

 

「いや無いです」(キッパリ)

 

と言うか女性に貢がせんなや……いや、ホストだから良いのか?

 

「そんな事は無い。周りのマダム達を見たまえ!皆君に夢中だ!さあ、私と一緒にホストをやろう!……そう言えば自己紹介がまだだったね。私はリョーマと言う。宜しくね」

 

「自分はシュウです。ホストはやらない。今身体中が痛いからね。だからほっといてくれ」

 

俺はそう言いながらお茶を飲む。

 

「………心は痛くは無いのかね?」

 

ジャキン

 

俺はマグナムをリョーマに向ける。

 

「余計な御世話だ。失せろ」

 

だが、リョーマは引かない。

 

「私は両刀だ。だから……君を放ってはおけない!」

 

「両刀関係無いだろ!つか、完全下心満載じゃねえか!」

 

「それでも君をホストにしたいんだ!それに……ただ、お茶を飲むだけだと色々考えてしまうのでは?だったら少し身体を動かすと良い。ああ、ウチは重労働は無いから大丈夫さ」

 

「…………チッ」

 

調子狂うな。

 

「取り敢えずこれ私の名刺だ。何時も来てくれ給え。待ってるから……シュウ、お前が来るのを待ってる!」ドン←机ドン

 

「もう良いから行けよ。面倒クセェ」

 

そう言ってリョーマは去っていった。………重労働じゃ無いね。

俺は名刺を見た。別に自分がイケメンでは無い事は知ってる。ただ、気分転換になるならな……。

内心溜息吐きながらお茶を飲んだ。

 

 

 

因みにナンパされたり視線を独り占めした理由の最大の理由は此奴の所為です。

 

年上キラー「何か主人が元気無いな……せや!ワイの力で元気付けたろ!( ✧Д✧)و グッ!」

 

 

 

そして…何と無く名刺に書かれてた場所に向かったのであった。

 

 

……

 

「ハア……何やってんだろう俺?」

 

何度目か分から無い溜息を吐く。

 

「やあ、ヒカルくん来てくれて嬉しいよ。今日は私や他のメンバーの動きやお客様とのやり取りを見て覚えて欲しい。皆さーん!今日は新人が来てるから気合い入れて行くよー!」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

「まあ、宜しくお願いします」

 

「ヒカルくんは基本的に皆のヘルプをやって貰うから頑張ってね」

 

因みにヒカルくんとは俺の源氏名になる。名前の由来は無い。

 

「さて、先ずは自己紹介していこうか。右から順にジン、カイト、リュウジ、リョーマ、カエデだ。私が居ない時はジンくんがリーダーになるんだ。他のメンバーも頼りになるから分からなければ聞けば大丈夫さ」

 

「そうですか。ま、仕事は仕事。頑張りますか」

 

気持ちを仕事に切り替える。溜息は終わり。

 

そして開店の準備を手伝いながら仕事を覚える。

 

「さあ、皆さん並んで。そろそろ開店だからね。ヒカルくんはドアを開けてね」

 

「はい。じゃあ開けます」

 

ドアを開け様とした瞬間……何か凄く嫌な予感がした。

 

「あの……リョーマさん……凄く嫌な予感がするんすけど」

 

「何だい?緊張しているのかい?……仕方ないな。後で俺の部屋に来な♂」

 

「行かないです」

 

俺しーらない。俺が戦場で培った感が言ってるんだけどな。

 

 

 

ま、いいか。

 

「じゃあ開けます」

 

ギイイイイィィィィ

 

「「「「「「ホスト・魅惑の館へ開ようこそ!!!」」」」」」

 

しかし………悪夢が………始まろうとしていた。

 

「あらー!!リョーマちゃんが居るじゃない!!嬉しいわ〜❤︎」

「キャー!!もしかして今日は皆勢揃い!!❤︎」

「なら、全員指名よ指名!!楽しみだわ〜!!❤︎」

 

ドガドガドガドガドカー!?!?

 

ご立派な肩幅で無精髭の剃り跡が残ってる………お、お、オカマが大量に入ってきた。

 

この時俺は扉の影に隠れていた。しかし、直ぐにバレるのは間違いない。今はとにかく気配を消す事。俺は壁に立て掛けてある備品だ。そう、備品だ!

 

「うわああああ!!だ、誰かー!!」「た、助け………」「へ、ヘルプ!!!ヘルプ!!!」「ああ……ま、ママ」「い、嫌だー!!!」「く、来るなー!!!うわあああ!!!」

 

………誘惑の館から恐怖の館にクラスチェンジしてるよ。

 

ドシン ドシン ドシン ドシン

 

「あら、皆もう始めちゃってるのかしら?」

 

「あ、リーダー!今始まったばかりよ!それに今日はリョーマちゃんが居るわ!」

 

クワ!!!!

 

「何ですって!!!リョーマサマー!!!今行きますー!!!❤︎❤︎❤︎」

 

ドシン!!ドシン!!ドシン!!

 

足音?が向こうに行く。兎に角今は扉を閉めよう。逃げたいけど……仕事だし……でも。

 

「ブチュ〜❤︎キャー!キスしちゃったわ!///」「じゃあ私も///」「私もやる〜///」

 

ブチュ〜ブチュ〜グチュ〜ヌチュ〜ヌチャヌチャ

 

………うん、無理だわ(確信)

 

「さあ、前日に特級危険種のエビルバードを狩ったのよ!お金の心配はしなくて良いわ!先に前払いよ!!!」

 

ドジヤアアァァァン

 

「さあ!!!今日は無礼講よ!!!皆気合い入れて行くわよ!!!❤︎」

 

「「「「「「うおっしゃあああああ!!!!」」」」」」

 

………神よ……お助け下さい。

 

俺は久々に神さまって奴に助けを求めた。まぁ、意味無いから祈らなかったんだけどね。

 

 

……

 

悪夢が始まってどの位時間が経ったのだろうか。兎に角粘度の高い音がずっと聞こえてたし……悲鳴も途中で聞こえなくなっていた。何回かヘルプと呼んでいた気がするが無視した。そして漢達の声だけが聞こえていた。

 

「そう言えば……今日は誰が扉を開けたのかしら?」

 

ドクン!!!

 

「そう言えばそうね…………まだ、この中に居る?」

 

ドッドッドッドッドッドッ!!!

 

(ま、マズイ。マズすぎる。このままじゃあ喰われる!!!)

 

俺は気配を消しながらカウンター裏に移動する。そして丁度カウンター裏に入れた時1人のオカマが扉に向かう。

 

(あっぶねー。マジでホストヤバすぎ!ホスト舐めてた)

 

「居ないわね……何処かしら?」

 

ズン ズン ズン ズン

 

(………く、クソ!アクセルブーストはまだ使えん。使ったら気絶するか脳が破壊されるかの何方かだ!それに身体もまだ治ってないし!)

 

ズン ズン ズン ズン

 

(こ、コッチに来る!も、もうダメだ………此処が俺の死に場所か………フッ……どうやら……年貢の納め時の様だな)ポン パク

 

最後にコーラ味を出して口に含む。そして……

 

「アッ!!リュウジくんが目を覚ましたわ!!て事は他のメンバーもそろそろ目を覚ますわ!!!❤︎」

 

「何ですって!!!今行くわー!!!」

 

遠ざかる足音……た、たしゅかった……。

 

「う……あ……へ、ヘル……ヘルプ……」「ヒ……ヒカル……助け………」「も……もう……止め」

 

「「「「「「「いただきまーす!!!❤︎❤︎❤︎」」」」」」」」

 

「「「「「「うわあああああああああ!?!?」」」」」」

 

………許せ。

 

 

……

 

気が付いたらオカマ軍団は居なくなっていた……。残ってるのは大量のお金と空ビンに食い散らかした皿………そして素っ裸の男6人だけだった。

何という無残な姿だろうか。体中テカテカしてるし、キスマークが大量に付いてる。そして…全員が泣いていた。声を出さず……ただただ、泣いていた。

 

そしてふと思った。

これ、俺が片付けと掃除すんのかな?……ま、仕方ないな。しっかり片付けしよう。

 

扉の方へ足を向けた。closeの看板を立てる為に。

 



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年上キラー 危険度小→大

合計ユニークアクセス数10万突破ありがとうございます!
序でにお気に入りが1000行ったら何かしら番外編でもやろうと考えてます。
なので、この小説「逃げる?違います。明日への前進です」で登場した人気キャラ上位5名を決めたいと思います。
原作キャラ、オリキャラ何方でもOKです。感想の所に1名選んで下さい。期限は4月22日までとします。
ご協力宜しくお願いします。

では、本編どうぞ


あの惨劇があった次の日。俺は誘惑の館?に向かっていた。

 

「しっかし、昨日はある意味凄かったな。見た訳じゃ無いけど間違い無くR-18行ってたんじゃないかな?……後あの濡れ場は需要あるんか?」

 

この小説はR-15小説ですのでご安心下さい。

需要は………と、特に批判の感想とか無かったから大丈夫じゃね?(滝汗)by吹雪型

 

くだらない事を考えながら誘惑の館に着く。しかし、誰も居ない……と言うか臨時休業の貼り紙が貼ってあった。

 

「おいおい、初っ端からお休みかよ!どうすんだよこれ」

 

しかも俺キチンとスーツ姿で来たのに。因みにスーツの色は白でネクタイは紺色だ。

 

「白スーツ……俺は新郎かな?相手居ないけどなw」

 

仕方ないかと考えて帰ろうかと思ってたら声を掛けられた。

 

「あの……誘惑の館の方ですか?」

 

「ん?そうですよ」

 

其処にはドレス姿のキメッキメな女性が居た。

 

「お店は開店するのですか?」

 

「あー、臨時休業ですね〜……うーむ、お店入ります?」

 

「宜しいのですか?」

 

「大丈夫大丈夫!この鍵ぐらいだったらチョチョイとね」

 

鍵を開けて扉を開ける。

 

「準備まだ出来てませんが良ければどうぞ」

 

「………では、失礼します」

 

そう言って女性は入店して行く。そしてこの台詞を言う。

 

「ホスト・誘惑の館へようこそ」

 

初めてお客様に対してキチンと言えた。

 

「……宜しくお願いします」

 

ご丁寧に頭を下げるキメッキメの女性。そして中に案内した。

 

……

 

席まで案内して飲み物を聞く。

 

「何か飲みますか?と言っても殆ど無いんですけどねぇ………何か飲み物有ったかな?」

 

そう呟きながらシュウはカウンターまで行き飲み物を探す。

 

「あ!見つけた。赤ワイン1本とシャンパン1本とオレンジジュースがありますけど飲みますか?」

 

「そうですね……では赤ワインをお願いします」

 

女性は赤ワインを注文する。しかし、食材も飲み物も殆ど残ってねぇ…。

取り敢えず赤ワインを注ぎながら自己紹介をする。女性の名前はナズナさん。本来ならオーナーであるリョーマさんを指名したかったらしいが………俺以外全滅しちゃってるからなぁ。

 

「ゴメンね。昨日オカマ軍団が来て……皆……やられちゃってね。全く……無茶しやがって」

 

「オカマ軍団ですか?……【乙女戦団】の方々が来られたので?」

 

………乙女?戦団?

 

話を聞くと1級、特級危険種狩りをメインに行なっている傭兵軍団だ。帝国国内を移動しつつ年に数回王都に来る連中だ。王都のホスト巡りが大好きで金払いが非常に良いのだが……再起不能者が続出する事で有名だ。

しかし、金払いが非常に良い為無下にする事も出来ないのが現状だ。

 

多分だけど…あの容姿では相手にはされないのが分かってるからこそ、大量の金を払い好き放題する。その為に高レベルの危険種狩りを行なってるのでは無いか?

そう考えると非常に納得した。確かにあの大金の前には多少の事なら我慢するだろう。

 

俺はホストが本職じゃ無くて良かったと心の底から思った。

 

「所で、今日は何故此処に来たのかな?」

 

チラリと左手の薬指を見ると指輪の跡がある。

 

「いえ、少し飲みたくなりまして」

 

「そっか……愚痴や悩みなら吐いた方が良いよ。此処はホストクラブだからお客様がスッキリして欲しいからね」パチ

 

お茶目にウィンクをする。

 

「………誰にも言わないですか?」

 

「言わないよ。お客様をリラックスさせるのが俺の仕事さ。さあ、言っちまえYO!」

 

ナズナさんは少し赤ワインを飲みながら少しずつ喋った。

 

……

 

まあ、要約すると夜の性活が殆ど無くなり旦那は浮気中だそうだ。

 

「ナズナさん、普段家でも俺に接してる感じ?」

 

「そうですね……私は貴族故に淑女でいなけばなりません」

 

「………もしかして夜の性活も?」

 

ナズナさんは頷く。

 

………………こりゃ重症だ。仕方ないな!

 

「もう〜ナズ太君は仕方ないな〜(ガサゴソ)パララタッタター♫【コスプレは好きですか?全5巻R-18仕様】」

 

「………え?」

 

俺は懐からコレクションを出す。それを見て固まるナズナさん。

 

「取り敢えずコレを持って彼方の個室に入って下さいね。見終わったら戻って来て下さい」

 

「え?え?え??」

 

「ささ!時間は有限さ。ハリーハリー!」

 

俺はコレクションとナズナさんを個室に入れた。

 

「さあて、出掛ける準備をしますか!」

 

 

……

 

暫くすると顔を真っ赤にしたナズナさんが出てきた。後若干内股気味だろうが気にしてはいけない。

 

「さあ、出かけますよ!お付きの方には連絡済みですからね!」

 

「え?で、出掛けるのですか!」

 

「流石にホストと出掛けたでは不味いから、現地の護衛と買い物に!で行きますよ」

 

俺は着替えている。まぁスーツ姿は嫌いでは無いが…新郎さんはちょっとなあ。

 

「あ、あの何処に行くのですか?」

 

決まってるじゃ無いか!

 

「服屋さんに行くんだよ」(ニッコリ)

 

俺はとても良い笑顔でそう言った。

 

……

 

それから先はナズナさんのコスプレ大会だった。顔を赤らめ、涙目の人妻……ゴクリ!堪らんタイ!俺は欲望に忠実になり次々にナズナさんに着替えさせた。

段々慣れてきたのか少しばかし積極的になってくれたのは良かった。

例えば「この服を着て前屈みになると旦那さん喜びますよ!」とか「これなら誘惑する必要は無いですね。旦那さんの方からホイホイ襲うでしょう」と言って言葉巧みに誘導して積極的に着替えさせたのだ。

 

……計画通り(ゲス顔)

 

因みに服は大量に買いました。

 

……

 

「いやー、楽しかったなぁ。合法的にコスプレさせたからオカズが大量大量!」

 

「な、何言ってるんですか!ヒカル君のバ、バカッ///」

 

大分打ち解けた様だ。さてと、最後の仕上げだ。

 

「ナズナさん。貴女はこれから旦那さんの気持ちを取り返す為に戦わなければならない。例えコスプレしようとも今の性格ではダメです」

 

「そ、それは……」

 

「ナズナさん。貴女も分かってる筈だ……だからそんな貴女この言葉を贈りましょう。『昼は淑女、夜は娼婦』これを実行出来れば最高です」

 

「え、えっと……夜は娼婦?ですか?」

 

ナズナさんの頭にハテナマークが見える。

 

「例えですよ。実際に娼婦になるのでは無く、娼婦みたいに旦那さんを誘惑するんです。あのコスプレ本を読んだ貴女なら理解出来る筈だ」

 

「!………分かりました。やってみます!」

 

ナズナさんの気合いは充分だ。

 

「では、今夜健闘をお祈りします。御武運を」ビシッ

 

「は、はい!」ヒシ

 

俺の敬礼を真似してくれるナズナさん。

 

「……大丈夫ですよ。ナズナさん優しい人だから直ぐに旦那さんを取り返す事が出来るさ。だから自信を持って下さい。そして」

 

俺は今ホストだからナズナさんに壁ドンする。

 

「成功したら報告に来なさい。良いね?沢山サービスするからさ」

 

顔を近付け人差し指をナズナさんの唇に当てながら言う。

 

この時彼奴が動いた。

 

年上キラー「お?人妻落とすんか?そっか、今ホストやってるもんな!よっしゃ!任しとき!( ・ㅂ・)و ̑̑」

 

 

 

 

「//////」コクコクコク

 

其処には女の顔をしたナズナさんが居た。

 

(………あれ?やり過ぎたか?いやいやいや、俺はホストだからお客様に最高の時間を提供するのが仕事だから問題無いさ!)

 

問題を先送りにする事にした。

 

 

 

この時からだろう。俺がホストとして調子に乗り始めたのは……。

 

……

 

次の日から誘惑の館は開店した。皆はこの前の出来事は無かった事になっていたので、そっとしといた。

そして、ナズナさんが来店して来た。つまり……

 

「おや?ナズナさんじゃ無いですか……昨日はお楽しみでしたか?(小声)」

 

「は、はい……///」

 

この流れは鉄板だろう。

 

それからナズナさんを筆頭に色々と指名が入ってくる。何だかんだと対応していき、その都度顔を赤くするお客さん。

 

そして奴の暴走に気付かないシュウ。

 

年上キラー「うおおおお!!!俺に!!!任せとけええええ!!!(°Д°)クワッ!!」

 

様々な年上の女性がを落としていき、数日後には遂にお店No.1の座を獲得したのだった。

 

そして、それが原因でとんでもない事になるとは彼は……まだ気付かない。




・乙女戦団
漢の娘達が大量に所属している。全員が中々の戦闘力を持つ凄腕集団。しかし、見た目とは裏腹に乙女な心を持つ為無駄な殺傷はしない。
王都のホストクラブが何より大好きで、大金を支払いお目当の男性に積極的にアピール?する。
また、ホストクラブ関係者からは『悪夢の再来』と呼ばれ恐れられている。

・【コスプレは好きですか?全5巻R-18仕様】
シュウのコレクションの一つ。今日の夜は君に決めた!


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年上キラー 危険度大→制御不能

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シュウがホストを始めて3週間ぐらいたっただろう。もう身体は完治したが、アクセルブーストはセブンブーストまでしか出来ない状態だ。

しかし、刀術をベースに様々な技術を掛け合わせた力は十二分な戦闘力を持っている事に変わりは無いだろう。

 

そして……

 

「きゃー!ヒカル君ー!」「ヒカル様ー!こっちこっち!」「ヒカルくーん!」

 

ホスト・誘惑の館から黄色い声が聞こえる。

 

「……お待たせしました。ヒカルでえッス!本日も皆さんからのご指名頂きました!!」

 

クル!シュパッ!シャキーン!

 

ポーズを取りながらキメ顏で締めるシュウ。そして…

 

「「「「「きゃー!!!ヒカル君ー!?!?///」」」」」

 

コレである。

 

「あ、あの!コレ、ヒカル君の為に買ったの!」「あ、あたしも!ヒカル君に似合うネックレス!」「私も!」「私も!」

 

キャイのキャイのと声をあげる女性陣。するとシュウはこう言った。

 

「皆ありがとうね。でもね、俺は皆のだからそのプレゼントは受け取れないよ!だから、それは旦那や他に貢いでる奴らに上げちゃってー!フゥ!⤴︎」

 

アホみたいな事を言うシュウ。こんな事言えば普通は怒られるだろう。しかし、

 

「「「「「ヒカル君優しい〜///」」」」」

 

コレである。

 

そう、シュウはめっちゃくちゃ調子に乗っていた。人生初の超モテ期にそれはそれは調子に乗りまくっていた。

 

そして、この惨状の張本人は…

 

年上キラー「制御不能!繰り返します。制御不能!直ちに職員は退避してください(ノ;・ω・)ノアワワ」

 

暴走してた……と言うか制御出来てないし。

 

ドヤ顔で天狗になってるシュウに……天誅が降ろうとしていた。

 

 

……

 

side イェーガーズ

 

本日、イェーガーズにエスデスから召集命令が下った。理由はシュウに関する情報をまとめる為だ。

 

「さて、今回集まって貰ったのは言うまでも無いな。何かしら情報は集まっているか?」

 

エスデスは全員に問う。するとセリューが手を挙げた。

 

「隊長!シュウくんらしき人物が武器屋で銃とナイフを購入したそうです。また、腰には刀を差していたとの事です!ですので、間違い無くシュウくんは王都に居ます!」

 

セリューの報告を皮切りに次々と報告が上がっていく。しかし、どれも決め手に欠けていた。

 

「くッ、やはりあの喫茶店でお茶を飲んでいた時がチャンスだったか……」

 

悔しそうな顔をするエスデス。他のメンバーも思案顔だ。しかし、1名だけ場違いな雰囲気を出してる人がいた。そう……ランだ。

 

「……あの、隊長。多分シュウくんの居場所が分かりました。ただ…」

 

「何!本当かラン!でかしたぞ!場所は何処だ!」

 

「流石です!ランさん!で、シュウくんは何処ですか!」

 

ランは言い淀むもののエスデスとセリューの気迫の前にアッサリ降伏する。

 

「怒らないで下さいね。………色街に居ました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時……世界が止まった。

 

 

 

「「………………あ?#」」

 

やっぱり怒りました。

そして、怒りのオーラを出す2人。

 

「ラン……それはどう言う事だ?詳しく話せ。拒否は許さん」

 

「そうですよ。私達仲間なんですから、キチンと全部詳しく話して下さい」

 

エスデスとセリューからとばっちりを受け、顔を引き攣らさせるラン。憐れである。

 

場が混沌と化した中………ウェイブは目を瞑り腕を組み落ち着いていた。

 

「隊長、セリュー、先ずは落ち着くんだ。じゃ無いとランが喋れない」

 

ウェイブはエスデスとセリューに苦言を言う。

 

「む?……確かにな。すまなかったなラン」

 

「あー、私も少し冷静では無かったですね。ごめんなさい」

 

「いえいえ、お気になさらず。しかし、ウェイブは妙に落ち着いてますね」

 

ランはウェイブが落ち着いてるのを見て違和感を感じた。

 

「ん?……別に大した事じゃねえよ。ただ………彼奴を取っ捕まえるのは俺だ。誰にも邪魔はさせねぇ……。今までの拷問の借り……返してやる」

 

「ウ、ウェイブくん落ち着いてお茶でも飲みなよ?」

 

「ボルスさん……俺は誰よりも落ち着いてますよ」

 

ウェイブが暗黒面に突入してた。シュウが蒔いた火種が段々大きくなる。

 

「そ、そうですか……では、早速シュウくんの居場所を説明しましょう」

 

ランは改まってシュウの居場所について説明する。

 

そしてホスト・誘惑の館にいる事を伝えたのだった。更に今日シュウは誘惑の館に出勤すると言う。序でに今1番人気で源氏名はヒカルと言う。

 

「よし!今日の夜、店が営業中に行くぞ。それまで全員ゆっくり休め。もし……シュウが抵抗する様であるなら多少痛めつけても構わん。……彼奴の強さは並の帝具使い以上だ。心して掛かれ!」

 

エスデスの言葉に全員が気を引き締める。そして、各々に部屋を出て行った。そして部屋に残り窓から空を見上げるエスデス。

 

(しかし……シュウの奴はホストでNO.1になっているのか……………ん?シュウは今ホスト?つまり………………ッ!いや待てよ!コレは……合法的にイケるチャンスだ!!!)

 

何かを閃いたエスデス。きっと彼女にとって素晴らしい事になるに違いない。

シュウ?知りません。

 

 

 

 

 

 

 

シュウが調子に乗り、次第にアホになって行く・・・

黒刀を受け継いだあの凛々しい姿も、今やこの有様だ。

年上キラーの暴走が、我が物顔で跋扈する・・・

天が裁けぬそのアホを、ホスト・誘惑の館の中で始末する・・・

我等全員、特殊警察イェーガーズ・・・←

 



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出会い…そして別れ………序でにホスト辞めます

メッセージ送信でも構いませんので、人気投票のご協力宜しくお願いします。

自分の好きなキャラクターを遠慮せずお願いします。ただ、まだ未登場のキャラクターはご勘弁宜しくお願いします。


時刻は夜中。色町が賑わいを見せ始める。それはホスト・誘惑の館も例外では無い。営業開始から既に2時間が経過し、NO.1ホストのヒカルが今日もめっちゃ調子に乗っている。

しかし……その夢の時間を叩き潰す連中が迫っていた。

 

side イェーガーズ

 

「此処ですか。シュウくんがいる場所は」

 

「そうですね。しかし隊長は何故我々だけ先に行かせたのでしょうか?」

 

「さあ?どうでもいい」ポリポリ

 

イェーガーズはエスデスを除いて全員が誘惑の館から少し離れた場所にいた。

 

「取り敢えず此処で待っていよう。直ぐに隊長が来るさ」

 

「その通りです。今は心を落ち着かせましょう」

 

「……何か会話が噛み合ってない」ポリポリ

 

ボルスとウェイブの会話にツッコむクロメ。しかし、クロメのやる気の無さが半端ねえ。

 

それから暫く待つと……

 

「諸君待たせたな」

 

エスデスが来た。

 

「あっ!隊長………」

「ん?…………え?」

「な、何やってるんですか?隊長?」

「えっと………」

「……勝負服?」ポリポリ

 

セリュー、ラン、ウェイブ、ボルス、クロメの順だが、クロメが1番冷静だった。

 

「どうした?何か問題でも?」(ドヤ顔)

 

そう、クロメが言った勝負服。それは完全にシュウの為に着飾ったエスデスが居たのだった。

水色をベースに黒と白を程よく織り交ぜてある。更に髪はアップに纏めてあり色気もアップ!それにネックレス、ピアス、髪飾りなども着けてあり完全装備で来たのであった。

 

「さて、私はこれよりシュウが居るかどうか内部調査を行う。お前達は此処で待機していろ」

 

尤もな事を言うエスデス。しかし、その建前を誰が信じるだろうか……いや、居ない。

 

「で、でしたら!私も行きます!」

 

セリューが立ち上がる!しかし……

 

「セリュー、今のお前では私の引き立て役にしかならんぞ!」ビシ!

 

「ガーン!!!」

 

胸を張り更に指を刺したながらドヤ顔するエスデス。セリュー?ショック受けて口で擬音が出ちゃった。

 

「………うっ………うわああああああん!!!コロ!!!服屋に行くよ!!!」

 

「キュウー!」ズザザザザザサ

 

泣きながら服屋に行くセリュー。でも、もう夜中だから開いて無いよ?

 

「……セリュー、私はこの戦いは負けんぞ。では行ってくる」

 

そう言い残しエスデスは誘惑の館に入店した。その後ろ姿を唯々見つめるしか出来なかった他イェーガーズだった。

 

side out

 

side シュウ

 

今日も絶好調だ。このままホスト王に俺はなる!

 

「ヒカルくんお疲れ様。水飲む?」

 

リーダーのジンさんから水を貰う。くう〜労働後の水は美味い!

 

「ヒカルくん。今日は大物の娘達が来るそうだ。恐らくこの誘惑の館が出来て以来の超VIPが来る。だから今以上に気合を入れる必要があるだろう。だから、今回その娘達が来たら全員で対応する」

 

成る程ね。だからこれ以上お客を呼び込んで無いのか。

 

「分かりました。皆んなでその危機を乗り越えましょう!」

 

「ヒカルくんがそう言ってくれると心を強い「バターン!」ッ!何だ?」

 

そこにはリョーマさんが息を荒げてそこに居た。

 

「ひ、ヒカルくん?君……何したの?」ガタガタガタ

 

リョーマさんは震えていた。

 

「何とは?俺はお客さんに手は出してませんよ?」

 

お店のルールである為そんな事はしません。

 

「と、兎に角……ヒカルくん。君を指名している。入り口に居る」

 

リョーマさんの顔色が悪い。そんなに凄いお客様が来たのかな?

 

本来なら彼の危機察知能力が発動するだろう。しかし、モテ期に浮かれ年上キラーが暴走した中でシュウの危機察知能力が若干低下していたのだった。

 

「フッ……お任せ下さい。どんな相手でも落として見せますよ!何たってホストNO.1ですから!」(ドヤ顔)

 

………危機察知能力の……若干の低下……うーむ。

 

「では、逝ってきます」キリッ

 

俺は自信に満ちていた。どんな苦難も乗り越えられる。そう思っていた。

 

「お待たせしました!ご指名を受けましたヒカルでえッ……………………………………………………は?」

 

いつも通りポーズを取りながらお客様の前に出た…………なのに…………そこに居たのは………

 

 

 

 

 

 

 

「ほう……白いスーツ姿か。良く似合ってるぞシュウ。うむ、今度大臣に頼んで私とお揃いの戦闘服でも作って貰うか」

 

とんでもなく着飾ったエスデスさんが居た。うん…凄く似合ってますね。後……源氏名でお願いします。

 

「あ……あの……えっと……………」

 

(こ、言葉が出ねえー!どうするんだよ!これ!えー?俺死ぬん?)

 

「さて、個室に案内してくれるか?代金は…お前な指名金はこんなもんだろう」ポイ

 

ドシャアアァァァァァン!!!

 

袋詰めされた大金が床に置かれる。以前来た乙女戦団よりも多過ぎる。

 

「…………ひ、一つ聞いても良いですか?」

 

「ん?何だ?」

 

「えっと……ホストに遊びに来たので?」

 

「フッ…お前が居ると聞いたから来たまでだ!それにお前を独占出来るなら、この程度の端金等払ってないのと変わらん!」ドドン

 

何あれ凄いイケメン!惚れてまうわ〜。

 

取り敢えずエスデスさんはお店にお客様として来た。で、俺はホスト。ならば……

 

「わ、分かりました!全身全霊を掛けておもてなしさせて頂きます!」

 

そう、俺はホストなのだ。働いてるのだ!NEETでは無いのだ!

 

「では、此方の個室に案内します!逝きましょう!」

 

俺は手を差し出す。

 

「…………そうか。なら頼むぞシュウ」

 

その手を取るエスデス。

 

欲望と欲情そして…様々な思想が渦巻く中シュウはホストとして……現実逃避をする事にした。

 

 

因みにこの出会いの影響の結果。

 

年上キラー「あ、直ったわ。良かった良かった(*´∀`)-3」

 

暴走は収まりましたとさ。

 

………

 

「えっと…何か飲み物飲みます?」

 

「ならば、シュウの為に1番高いのを頼むぞ」

 

初っ端から飛ばして行くエスデスさん。

 

「分かりました!ドンペリンタワー入ります!」

 

取り敢えず声を掛ける……が、返事無い。

 

「…………ですよね〜」

 

泣きたい………。

 

「ちょ、ちょっと様子を見て「ダメだ」…え?うわ!」

 

そのまま腕を掴まれて抱き締められる。

 

「ん〜♪この匂い。間違い無くシュウの匂いだ。それに、お前が私の前から消えるのは許さん」

 

エスデスさんの方が良い匂いですよ?

 

「ムググ……プハ!じゃあ、据え置きの飲み物でも飲みます?」

 

「そうだな。頂こう」

 

据え置きの冷蔵庫からワインを出す。グラスに2つ注いで乾杯する事に。

 

「では、乾杯」「ああ、乾杯だ」キン

 

そのまま飲もうとしたら腕を掴まれた。

 

「シュウ……お前は今……ホストだな」

 

「え?ええ、そうですね」

 

その瞬間…エスデスの眼に欲情が走る。

 

「なら……口移しして貰おうか。拒否は無い」

 

遂に……牙を剥き始めた。

 

「………マジですか?」

 

「ああ、マジだ」

 

えー…………マジかよ………あれ?でもコレって……役得じゃね?

 

「ほ、本当に良いんですか?エスデスさん?」

 

「ああ!ドンと来い!序でにさん付け禁止だ!」ドドン

 

俺はエスデスさ……エスデスの要望を聞く。

 

「分かりました。そ、それでは……」

 

一口分を口に含みエスデスの方を見る。エスデスも心なしか顔が赤い。

ゆっくりと近づく。本当に良いのか?良いのか?俺!

 

しかし……声が聞こえた。初めて聞く声だった。

 

?????「ええんやで。相手もそれを望んでるんや。寧ろやらなきゃ相手に失礼やで(*'ω')」

 

………よく分からんが確かに失礼だな。よし!

 

互いの距離が短くなる。エスデスの肌やっぱり綺麗だなぁ。そして…

 

「んっ……///」「んふ…///」

 

口移しした。

 

全部口移しが終わった……が

 

ガシッ!

 

「んっ!」「んふ♡」

 

そのまま顔を両手で挟まれる。動けません。

 

「ん…んぐ………ん〜……///」

「んっ……んふ……んん…///」

 

此処から先は内緒にしとくよ。強いて言うなら暫く大人の時間を過ごしました。

 

………

 

「はあ…はあ……半端なかった///」

 

「さて、次はお礼に私からやってやろう!///」

 

「え!」

 

どうやらまだまだ大人の時間は続くようだ。

 

………

 

口移しから様々要求に答えた。抱き締められるは勿論の事、膝枕や服脱がされたり……これ以上言うのは止めとくよ。

 

ただ、コレだけは言っておこう。後悔はして無い(キッパリ)

 

「さて、そろそろ帰るとしよう。他の連中が待ち惚けになってるからな」

 

「そうですか。じゃあ、出口まで送るよ。さあ、お手をどうぞ」

 

お互い着崩れた服装を直していく。服装についての突っ込みは禁止だ。

 

出口まで腕を組みながら連れて行く。

 

「じゃあ、俺は此処までだ。エスデス……また、来てくれるかい?」

 

「勿論だ。だから…今日の最後に///」

 

目を瞑るエスデス。そして、エスデスの顔に手を添えるシュウ。

2人の距離が零になった。

 

「……では、また明日来る///」

 

「お待ちしております///」

 

こうして俺たちの一時の出会いが終わった……。ホストとはそんな物だ。悲しいけど……これが現実なのよね。

 

エスデスが見えなくなるまで俺は見送った。

 

 

……

 

……ちょっと待て!可笑しくねえか?エスデス…さんは……俺を殺しに来たか、拷問しに連れ戻しに来たんじゃあ……無いの?

 

俺の頭の中は???状態になってしまった。

 

「と言うか……ホスト廃業だな。うん…辞めよう」

 

俺は着替え室に向かい着替えるのだった。序でにリョーマさんにも退職する事を伝えたのだった。

 

side out

 

side エスデス

 

素晴らしい時間を過ごした。想い人とあんな風に出来るとはな!やはり私の考えは間違って無かったな!

 

「諸君待たせたな!」(ニッコリ)←スッゲー良い笑顔

 

私はイェーガーズのメンバーに声を掛ける。しかし…

 

「「「「「………………」」」」」

 

何故か白い目で見られた。そしてセリューが声を掛けてくる。

 

「隊長……シュウくんは?」

 

………………………………あっ。

 

場が沈黙する。

 

「んっ!ごほん!シュウは…確かに居た。良し、これより突入するぞ!」

 

私は誤魔化すために声を張り上げた。しかし、

 

「隊長!シュウくんと楽しんだんですね!恋人ごっことか口移しとか抱き付いたりとかしたんですね!」

 

涙目になりながら確信した風に言う。

 

「何を言うか。そんな事はして無い!」

 

「嘘です!だって、私が隊長の立場ならやりますもん!」

 

くっ!セリューに嘘が通じない。

 

「しかも隊長!素でシュウくんの事忘れてるし!よっぽど楽しんだんですね!うわああああああん!!」

 

遂に泣き出したセリュー……はあ、仕方ないか。

 

「セリュー…今度1日シュウと一緒に帝都の警備に当たれ。場所はお前達に任せる」

 

「うええええ………え?良いんですか?ズズッ」

 

まぁ、これぐらい良いだろう。

 

「隊長命令だ」

 

「……ッ!はい!」ビシッ

 

良し!では改めて。

 

「これよりホスト・誘惑の館に突入する。クロメ、ウェイブお前達は裏口に廻れ。ランは上空から監視だ。行くぞ!!!」

 

「「「「「了解!!!」」」」」

 

よし!シュウ待っていろよ。今、連れ戻す!

 

今、イェーガーズがシュウに対してようやく牙を剥いたのだった。



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シュウの強さの再確認とオチ

メッセージ送信でも構いませんので、人気投票のご協力宜しくお願いします。

自分の好きなキャラクターを遠慮せずお願いします。ただ、まだ未登場のキャラクターはご勘弁宜しくお願いします。


side シュウ

 

着替えを終えて武器も装備した。恐らくエスデスさんは偵察として最初に来たのだろう。そして次はイェーガーズが来るはずだ。しかし、何処から出て行くか。どうせ裏口も誰か居るだろうし。ならば…あえて正面から行くかね。

 

「じゃあ、リョーマさんとその他の人達お元気で!」

 

L85とM79を持ちながら出口に向かう。

 

「あ、あのシュウくん1つ聞きたいのだが……良いかな?」

 

リョーマさんが聞いてくる。

 

「何ですか?」

 

「君は一体……何者なんだ?」

 

…………そうだなぁ。

 

「大罪人になる予定の男さ」

 

俺はそのまま出口に向かった。

 

……

 

扉を開ける前に気配を探す……思った通り誰か居るな。よし!行くぜ!

 

俺は扉を開けた。其処にはエスデスさんとセリューさんにボルスさんが居た。

 

「あ!シュウくん!良かった……。本当に居たんですね!」

 

「その通りだ!何故なら私が最初に内部調査を行ったからな!」

 

「隊長はただ遊んでいただけでしょう!」

 

「まあまあ、セリューさん落ち着いて」

 

「キュウキュウ!」

 

中々の面子でお出迎えですな。

 

「さて、まず結論から言いましょう……俺はイェーガーズには戻りません」

 

「「「「ッ!」」」」

 

戻らないと言われないと思っていたのだろう。

 

「な、何故だ!」「やっぱり隊長が好き放題するから!」「待て!そんな事は無い!シュウもノリノリだったからな!」「やっぱり隊長が原因ですよ!」「2人とも落ち着いて下さい!」

 

内部崩壊の危機が迫るイェーガーズ。

 

「俺が戻らない理由……それは」

 

「「「それは?」」」

 

俺は一拍置いて言った。

 

「戻ったら拷問、説教、監禁、最期に処刑でしょう?痛いの嫌だし死にたく無いから戻りません!」

 

どう考えてもDr.スタイリッシュを殺した事は伝わってる筈だ。絶対に戻らんぞ!

 

「待て!拷問も処刑はし無いぞ!……まぁ、説教と監禁はするがな!」

 

説教は分かるけど、監禁もするんですね。

 

「………拷問と処刑はし無いの?」

 

「する理由が無いだろう」(真顔)

 

エスデスさんはそう言った。

 

(あれ?……Dr.スタイリッシュは自分が死んだ後の事を考えて無かったのか?…………え?じゃあ俺が戻らなかったのは完全に無駄だったの?えぇ……マジかYO!)

 

しかし、その理由を言える訳も無く別の理由を考える。そして直ぐに思い付いた。

 

「…まあ、イェーガーズに戻る必要が無いんですよね。覚えてます?俺、仮で所属してるんですよ?理由は強くなる為だ。だが…俺は強くなった。だからもうイェーガーズに残る必要は無いんですよね」

 

俺はそう言いながら殺気を出す。それに反応する3人。

 

「………そうか。ならば……その驕りを叩き潰してやろう!!!セリュー!ボルス!遠慮はするな!!!」

 

「「はい!」」

 

その瞬間俺はL85をエスデスに向け引き金を引く………ただ、一瞬だけ人差し指が引き金を引くのに躊躇した気がした。

 

ドドドドドドドドッ!!!

 

エスデスは氷の壁を作る。それと同時にグレネードを発射。周りには民間人が居るから煙幕弾です。

 

エスデスの周りに煙幕が出来る。その煙幕に突っ込み氷の壁を蹴りながら誘惑の館の上まで跳んだ。

 

「じゃあね〜バイバイキーン」シュパッ!

 

建物の屋根を伝って逃げッ!

 

ヒュンッ

 

「チッ!ランさんかよ!ならこっちからもお返しだ!」

 

ドドドッ ドドドッ ドドドドドッ!!!

 

俺はセブンブーストを使いながら右へ左へと避けながら射撃する。

 

「クッ!当たりませんね。それに、これ以上近づけば彼の間合いに入りかねません」

 

ランはそのまま一定の距離を取り続ける。

 

「フッ!帝具使いは最早敵では無いわ!」

 

グレネードランチャーを上空に向け撃つ。煙幕が出来てそのまま町中に逃げ込む。

 

「余裕余裕!てか、まだアクセルブーストが本調子じゃ無くても帝具使い相手に逃げれるとかやっぱり俺TUEEEE!」

 

そのまま走ってると気配を感じた。

 

ドゴオオオン!!!

 

「おっと。今度は誰かな?」

 

マスクを着け、薙刀を持つ男が居た。

 

「………お前誰だよ?」

 

そう言いながらL85で射撃するが、避けられそのまま薙刀の間合いに入る。しかし、

 

「中々速いけど、無駄無駄!薙刀じゃあ俺には当てれんよ!」

 

ヒラリヒラリと避けていく。しかし…

 

チャキン ダン! ダン! ダン! ダン!

 

「おっと!新手か?」

 

金髪美女がリボルバーで撃ちながら接近してくる。更に

 

ビュウン!!!

 

「うお!その薙刀伸びるんかい!孫◯空かよ!」

 

薙刀を避けながらリボルバーを狙い撃つ。

 

ドドドッ ドドドッ!

 

見事リボルバーのみ破壊した。まぁ、セブンブースト使ってると基本スローモーションになるからね。

 

その時殺気を感じた。

 

「クロメちゃんか!ちょっとは手加減しても良いんだよ?」

 

「私はシュウを連れ戻す。それに手加減する必要は無い」

 

クロメの攻撃は速さを増す。流石に銃だけじゃ対処出来んな!

 

マスクマンとクロメのコンビネーションに手を焼いてると……金髪美女が視界に入った。

無表情なのだが……心なしか(´・ω・`)ショボ-ン←見たいな顔してた。

 

(何であんな風になってんだ?……あぁ、リボルバー壊しちゃったからかな?)

 

2人の攻撃を避けながらそう思った。

 

「全く……仕方ねえな!ホラよ!」

 

俺はL85と予備弾倉を投げ渡す。

 

「それ貸してやるから元気出せよ。おっと!だから当たるかよ!」

 

そう言いながら俺は再度2人に視線を向けッ!

 

ドドドドドドドドッ!!!

 

「チッ!中々やるじゃ無いか!お前達の連携技はな!」

 

「……シュウ、あなた馬鹿?」

 

クロメちゃんが呆れた顔してるが気にしない。

 

「あんまり俺を甘く見るなよ?……行くぜ?」

 

一気にクロメに接近する。L85の弾幕と薙刀を避けながらクロメの間合いに入る。

 

「ッ!」「フッ!」

 

必殺!殺気だけ!

 

ギン!!!!!

 

その瞬間、黒刀をクロメの首に寸止めした。

 

「あっ………」

 

「これでようやく1勝出来た。じゃあな」

 

クロメちゃんが止まってる間に俺は手に煙幕弾を生成して投げたのだった。

 

 

……

 

「シュウくん!」

「キュウくん、大人しくした方が良いよ?」

「キュウ!キュウ!」

 

「おっと、今度は2人のと1匹か」

 

セリューさん、ボルスさん、コロちゃんが現れた。

 

「てか、ボルスさん。ルビカンテは使えなく無い?だって此処帝都だよ?」

 

「うっ!バレた…」

 

そりゃバレるだろう。その時、セリューさんが前に出てくる。

 

「シュウくん……私では勝てないのは分かるよ。だって……シュウくんからは強者独特のオーラを感じる。ううん、覇気と言ったら良いのかな?」

 

「そうか……でも、それを感じる事が出来る様になってるならセリューさんも強くなってますよ」

 

俺……覇気とか出てるんだ。知らなかった……。

 

「だから、私は私なりに強くなります!コロ!1番装備!」

 

「キュアーッ!!!」

 

コロが巨大化したと思ったら右腕からトゲトゲの鉄球が付いている。まさか……アレは!!!

 

「コロ!泰広球!!!」

 

「キュウウウウウウ!!!」

 

ドゴオオオン!!!

 

コロの攻撃を避けながら思う……。アレは……あの形状はッ!!!

 

「ガン◯ムハンマーだ!!!」

 

スッゲー!ガンダ◯ハンマーだよ!ガ◯ダムハンマー!!!やっべー!アレには勝てんわ。

 

「くっ!羨ましいぜ!しかし今日は見逃してやる!」

 

そう言い残しながらグレネードランチャーを発射して逃走した。

 

……

 

更に入り組んだ道を走ってると上から気配を感じた。

 

「シュウウウウウウ!!!逃がさねえええ!!!」

 

ドゴオオオン!!!

 

「おいおい、ウェイブか?……はっ!何とまあ殺気がバリバリじゃねえか?」

 

「………………」

 

俺の台詞を無視するウェイブ。これはガチで殺りにきてるな。

 

「シュウ。お前は俺がとっ捕まえる。お前には分からんだろうな……俺の今までの苦痛がな!」

 

「苦痛…だと?」

 

「そうだ!お前を見失ったあの日から……俺は……毎日毎日隊長から拷問され続けてんだよ!!!あれ全部軽いやつとか言ってても痛いもんは痛いんだよおおお!!!」

 

つ、つまり……ウェイブがこうなっちまったのは………。

 

「俺の所為か?」

 

「他に誰が居る!然もホストで遊び惚けていると聞いた時はマジで殺ってやろうかと……」

 

ウェイブ………

 

「ごめんなさい」

 

俺は頭を90度曲げて謝った。

 

「いや、許さん。シュウ!覚悟!!!」

 

ウェイブが一気に接近する……が

 

バギィイイイイン!!!

 

「グアッ!!!」

 

キン

 

「そんな技もへったくれも無い突進攻撃は怖く無いんだよな……。序でに言うと帝具使いに対してもな」

 

俺はグランシャリオを黒刀で叩っ斬った。

 

「うっ……ぐっ!……シュウ……お前!」

 

「ウェイブ、俺は帝具使いに対してはある一定の距離を置いて何時も戦っていた。まあ、時々その距離を無視する時もあるがな。だが…もう距離を置く必要が無くなったんだよ」

 

そう、この黒刀について軽く調べたんだよ。そしたら黒刀の素材は超級危険種だった。つまり…

 

「お前達の持つ帝具と同じ素材の武器を持ってるんだ。まあ、特殊能力は無いけど打ち合う事は勿論の事今のウェイブの鎧だって砕けれる訳だ」

 

帝具使いとの戦力差はある程度縮まった訳だ。

 

「ま、中には例外的な帝具もあるけどさ。それでも……同じ土俵に立ててる事は大きいぜ?」

 

俺はウェイブにそう言い残し立ち去った。

 

side out

 

……

 

それから暫く逃げ続けたが遂に広場に追い詰められてしまった。

 

「シュウ!お前は凄いぞ!まさかたった1人で私達から此処まで逃げれたのたがらな!確かに今のお前の強さなら驕りでも何でもなかったな!」

 

エスデスが興奮気味に褒めてくれる。しかし、シュウとしては出来ればエスデスとの戦闘は避けたい。余りにも差が大き過ぎる。

 

「だが……もう鬼ごっこは此処までだ。此処から先は私が相手になろう!お前の強さを見せてみろ!!!」

 

エスデスは腰に付いてる剣を抜く。しかし、エスデスの強さはどう考えても桁違いだ。

 

「出来ればエスデスさんの相手は……したく無いなあ」

 

「フッ…そう連れないことを言うな!!!」

 

一気に接近してくるエスデス。シュウのアクセルブーストの限界も近い。ならば此処は逃げの一手で!

 

「シュウウウウウウ!!!」

 

ドゴオオオン!!!

 

「ウェイブか!」

 

ウェイブは再度シュウの前に立ち塞がる。

 

「………シュウ。俺は負けねえ……負ける訳にはいかねえんだよ!俺とグランシャリオは……共に強くなるんだよおおおお!!!!!」

 

(グランシャリオ!お前も悔しい筈だ!!そうだろう?帝具だろうが道具だろうが関係無い!!!俺は…お前と共に強くなる!!!だから力を!!!共に強くなる力を!!!!!)

 

ドッッッ!!!!!!

 

「な、何だ!」「コレは!」

 

シュウとエスデス、そして他のメンバーも目を見開く。

 

「うおおおおおお!!!!!!グランシャリオ!!!!!!」

 

 

カッッッッ!!!!!!!!!

 

 

辺り一帯が眩い光に包まれる。そして…

 

 

 

 

 

 

【グランシャリオ・リヴァイブ 見・参!!!】

 

 

 

グランシャリオが進化した。頭部はより鋭角上になり、背中の肩部分と腰、更に脹脛の所にブースターが追加され又拳の部分はより装甲が厚くなっていた。

 

 

「シュウ……お前は俺が……捕まえる!誰にも譲らねえ!!!」

 

シュウに指を差し宣言する。

 

「……ハッ!少しばかしバージョンアップしたぐらいで調子に乗るな!」

 

シュウ!お前の台詞はどう考えてもやられ役の台詞だぞ!言い直せ!

 

「行くぞ!!」

 

グランシャリオ・リヴァイブのブースターに火が点く……そして、

 

ドンッッッ!!!!!!

 

「うおおおおおお!!!インパクト・ブロー!!!!!!」

 

ウェイブが突っ込む。

 

「速くなかったがそれだけだ!」

 

シュウは応戦する事を選ぶ。そして!

 

ドドドドドドドドッ!!!!!!!!

 

 

一瞬の連続攻撃の後、2人は交差する。

 

 

 

 

パキン カンカン カラン

 

グランシャリオ・リヴァイブの頭部パーツの一部が斬られる。

 

「ガハッ!」 ドッ

 

膝を着いたのは……シュウだった。

 

「あ、当たった……のか?」

 

ウェイブは己の拳を見つめる。

 

「クッ!少し掠っただけでこのダメージかよ……反則だろうがよ……グッ!」

 

シュウの受けたダメージは予想以上に大きい。

 

「だがな……ウェイブ!まだ、俺は負けてねえぞ!」

 

シュウの戦意は落ちてない。

 

「シュウ……次で仕留め……………」

 

ウェイブも応戦しようと構えるが固まる。

 

「?……何だ?」

 

周りを見ると他のメンバーも固まっていた……と言うか、シュウを見つめてる?……いや、シュウの背後を見つめていた。

 

シュウの背中に影が走る。シュウは振り返る……其処には…………コロがいた。巨大化したコロが居たのだ。そして……口を開け……

 

 

 

パク

 

 

 

「「「「「「あっ」」」」」」

 

 

 

モグモグモグモグ

 

 

 

シュウを咥え、そのまま口の中に入れたのだった。

 

 

 

「プヘッ!!ちょ、ちょっと待って!このオチは無いだろう?!そうじゃ無いか!ウェイブがパワーアップしたのに!俺はコレか「ジュルン!」……………プハっ!!悪かった!俺が悪かったよ!だから許し「ジュルン!!」……………………プフっ!はあ……はあ……はあ………コレは無いだろう?そうだろう?…だからさ「ジュルン!!!」………………………………うぐぐっ……ふう…ふう……多分コレが最後だわ。段々吸われる力が強くなってきてな……フッ………どうせ、俺はこう言うオチがお似合いなんだろ?分かってんだよ!!!「ジュルン!!!……ゴクン」………」

 

 

戦いとは……虚しいものだ。イェーガーズ全員がそう思ってしまった。

 

「キュウ!」∠( 'ω')/シャキーン

 

最後のキメポーズを取ったのだった。

 

こうして、シュウの逃走劇は幕を閉じたのだった。

 

 

……

 

王宮 イェーガーズ待合室

 

「じゃあ、コロ。シュウくんを出してくれる?」

 

「キュウ!」

 

モゴモゴモゴ ペッ! ベチャア!!!

 

そこには唾液まみれのシュウが吐き出された。

 

「…………………………………」ブツブツブツブツ

 

何やら喋ってるシュウ。

 

「えと……シュウくん大丈夫?」

 

セリューが声を掛ける。

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい………」

 

何やらトラウマが出来たようだ。

 

「た、隊長!シュウくんが!シュウくんが!」

 

「シュウ!しっかりしろ!もう安心しろ。此処にはお前を傷付ける奴は居ないからな?」

 

セリューとエスデスはシュウを気遣う。

 

「こ、コロ?お、お前……腹ん中に何が居るんだよ!!!声が…声が聞こえるんだ……苦しい…痛い…此処から出してと……一体何が居るんだよ!!俺ホラー系とか苦手なんだよー!!!」

 

そのまま頭を抱えて踞るシュウ。

 

「キュウ?」

 

コロはただ首を傾げるだけだった。

 

この後唾液まみれのシュウは風呂に入れられてスッキリさせた後、エスデスを筆頭に全員からお説教を受ける事になったとさ。

 




グランシャリオ・リヴァイブ
ウェイブとグランシャリオが互いに強くなると決めた瞬間出来た。元々の装甲厚は変わらないが、肩、腰、脹脛にブースターが付きスピードによる一撃離脱戦法が出来るようになった。
また、ブースターを使う事により更に高く跳ぶ事が出来るようになった。打倒シュウを目指した結果得る事が出来た。

コロ・十王の裁きバージョン
原作ではセリューに装着する筈の武器をコロに付けた。その結果コロ自体の戦闘力が強化された。但し、自爆装置は取り付けては無いものの超強力な五道転輪炉は持ってる。


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帝国→南の島→帝国

アンケートご協力ありがとうございます。
後はその結果と自分の偏見←を混ぜて行きます!


イェーガーズ全員からお説教を受けた後無くしていたククリナイフを返してもらった。如何やら回収してくれていた様だ。それから数日経った頃、帝都周辺では新型危険種が異常発生していた。

この件に関してはイェーガーズで独自に調べた結果、最初は密林や鉱山に出現程度だったが先日には村の民家に押し入り住人を食い殺した。

また新型危険種の特徴として姿形が人間に近い事、更に僅かながら知性がある事が判明した。更に個々の身体能力は高く、帝国兵や腕自慢の武芸者にも多数犠牲が出ていた。

 

今回の任務は新型危険種の排除及び捕獲であった。

 

……

 

 

「そらよっと」

 

シュウは新型危険種を黒刀で真っ二つにしていく。

 

「コロ!5番!閻魔槍!」

 

「キュアーッ!!!」

 

コロはドリルを装備し危険種に突っ込む。

 

「しっかし、コロの持つ武器はロマンが溢れてて羨ましいな。セリューさん何処であんな素晴らしい武器を手に入れたんですか?」

 

シュウは気になって聞いてみる。

 

「あれはDr.スタイリッシュにお願いしてた武器何ですよ。元々コロを強化したくて相談したら沢山武器をくれたんですよ!」

 

「キュウ!キュウ!」

 

嬉しそうに教えてくれるセリューさん。コロも満更では無いようだ。

 

「へぇ〜、じゃあ後でDr.スタイリッシュの部屋に行ってみるかな?もしかしたら余り物の武器とか無いかな?」

 

「シュウくんに武器はもう要らないと思いますよ?」

 

だってロマンだよ?欲しいじゃないか!

 

「よし!粗方片付けたな!シュウ、セリュー、一旦集合しようぜ」

 

ウェイブから声を掛けられたのでイェーガーズ全員が集合する。

 

「さて、危険種の捕獲も成功した。残りの処理は後続の連中に任せよう。次は南側の方へ移動するぞ」

 

エスデスさんが全員に命令を下す。

 

「さて、シュウこっちに来い」

 

「はい分かりました」

 

ガチャン

 

「これで良し。では行くぞ!」

 

何されたかって?首輪に鎖を付けられました。

流石に戦闘中は鎖は外してくれるけど、それ以外は鎖と首輪がセットの生活だ。基本エスデスさんと一緒だが席を外したりする時は別の誰かが鎖を持つのだ。

 

いやー…………本当に勘弁して下さい。

 

「あのー、俺充分反省してますから鎖だけでも「ダメだ」ですよねー」

 

何事も諦めが肝心だ。

ここ数日、新型危険種を狩ったり捕獲したり人助けしたりボルスさんにビビる民間人を宥めたりと色々忙しい毎日を送っている。

 

………

 

帝都 イェーガーズ本部

 

エスデスさんとランさんは皇帝と大臣の所に新型危険種の報告に行ったので、残りのメンバーは休憩時間になった。

 

「ほらコロ〜飴だよ〜」ポイ

 

「キュウ!」パク

 

「シュウくんとコロは仲良しですね」

 

暇だったのでコロに飴をあげる。セリューさんはそれを見て和んでる様だ。

 

「皆、お茶が入ったよ」

 

ボルスさんがお茶を淹れてきてくれた。

 

「いつもすいません」「ありがとう」

 

「いいのいいの、好きでやってるんだから♪」

 

ウェイブとクロメちゃんはボルスさんからお茶を貰う。

 

「はい、シュウくんにセリューちゃんとコロちゃんも」

 

「あ、ども」「ありがとうございます」「キュウ!」

 

少しお茶を飲むとウェイブの様子が変なのに気付いた。

 

「どうしたウェイブ?茶柱が沈んだのか?」

 

「ちげーよ。ただ…悔しいんだよ」

 

ウェイブは続ける。

 

「ボルスさん良い人なのに……さっきの商人みたいに皆外見で判断して……」

 

ウェイブ……お前。

 

「………人の事言えるの?」

 

「うっ…!そうだった!」

 

ウェイブ……お前。ハア⤵︎

 

「ウェイブ君。前にも言ったけど……私は優しくなんかないよ。疫病に罹った人達を村ごと焼き払った事もあるし、無実を主張している人も処刑命令でもやしたの……」

 

ボルスさんは自分の手を見つめる。

 

「だから私は……数え切れない人から恨みを買ってると思う」

 

「でもそれは軍人として命令で!」

 

「誰かがやらなきゃいけない事とは言え業は業……助けた人にああいうリアクション取られるのも……報いだと思ってる」

 

ボルスさんの言葉にウェイブが元気付け様とした時だった。

 

「あーなたっ♡」「パパー♡」

 

凄い美人と可愛らしいお子さんが居た。てゆーか……あなた?

 

「ややっ!どうしてここへ?」

 

「貴方ったら一緒に作ったお弁当忘れていっちゃうんだもの♡」

 

「こいつはしまった!」ぺしっ

 

「パパのうっかりものーっ」

 

ボルス一家は輝いていた。まるで独り身の者達に対する当てつけの様に!!←偏見です

 

そしてボルスさんは家族が支えてくれてるから平気だと言った。その姿を見て皆何となくホッコリした雰囲気だ。しかし……

 

パキンッ!

 

「おっと!この湯飲み古くなってたみたいだ」

 

「シュウくん大丈夫かい?」

 

「平気平気。新しい湯飲み持って来ますよ」

 

シュウはそう言って待合室から出た。………しかし、本当は強く握った所為で割れてしまった。

 

 

 

………

 

 

 

 

「………家族…か」

 

シュウはポツリと呟く。しかし、その声色には感情が含まれていた。

 

「ボルスさんは全部持ってるもんな……俺は全部奪われたのに………」

 

シュウは自分の今までの境遇を思い返していた。彼は殆どの親しい人達を奪われ、壊され、殺されたのだ。その中にはボルスさん率いる焼却部隊が焼き払った村もあった。

 

「………………運が無かった……仕方無い………」

 

そう呟くシュウ。しかし、

 

「……でも、今は力がある。帝具使いをも殺せる力を得た。もう、奪われ側じゃ無い……俺が……俺達がこの時代から何もかも破壊し尽くしてやるんだ!………だから……俺は……俺は………」

 

自身の在り方に苦悩する。しかし、今更引くわけには行かない。

 

「俺は時代を殺す。その犠牲は覚悟の上だ……例え……ボルスさんの様な家族が……犠牲になろうとも」

 

シュウは自身にそう言い聞かせ、考えを纏めてから、新しい湯飲みを持って皆の所に戻ったのだった。

 

 

……

 

少ししてからシュウはセリューさんと一緒にDr.スタイリッシュの開発、研究室に来た。この部屋でコロの装備を作ったそうだ。しかし……

 

「よく分からん部品しか無いな」

 

「そうですね。コロ用の十王の裁きはもう出来ていたので拝借しましたが、他の部品については分かりません」

 

「キュウ〜」

 

セリューさんとコロが申し訳なさそうに言う。

 

「まぁ、何か無いか探してみるよ。あればラッキーぐらいに思えば良いしね」

 

「なら私も手伝います!」

 

「キュウキュウ!」

 

取り敢えず二人と一匹で探してみる。でもやっぱりガラクタしか無いな……ん?これは。

 

「スイッチと何かの部品か?………あ、これ遠隔操作様のやつか」

 

多分遠隔操作に使う装置だろうな………これ貰っておこう。

 

・シュウは遠隔装置のスイッチと部品を手に入れた。

 

遠隔装置をポケットに入れるとセリューさんから声を掛けられた。

 

「シュ、シュウくん!あのね、ちょっといいかな?」

 

「ん?何ですか?」

 

セリューさんを見ると少し顔が赤い。

 

「あ、あのね…こ、今度一緒に…帝都を…その……パトロール一緒に行かない?///」

 

「パトロールですか?良いですよ」

 

その瞬間セリューさんの顔が綻んだ。

 

「本当に!まだ新型危険種でバタバタしてるけど、落ち着いたら一緒にパトロール行こうね!約束だよ!」

 

「分かりました。美少女との約束は守るから安心して下さい」キリッ

 

(やっぱりセリューさんは可愛いなぁ。そう思うだろう?コロ)チラッ

 

「キュウ!」コクコク

 

この後、俺は美少女と言われてまた赤くなったセリューさんと一緒にパトロールに行く約束をしたのだった。因みにルートはセリューさんが決めてくれるそうな。

 

「じゃあ早く新型危険種を排除しないと!行くよコロ!」

 

「キュウー!」

 

そのままセリューさんは危険種狩りに行ってしまった……。

 

「えっと……取り敢えず付いて行くか」

 

俺もセリューさんとコロについて行くのだった。

 

 

……

 

夜 帝都近辺 上空

 

side シュウ

 

俺は今エスデスさんと一緒にドラゴンに乗ってパトロールをしている。

理由をエスデスさんに聞くと俺と一緒に月を見たかったからそうだ。そう言われたら行くしか無いな!

 

「如何だシュウ。此処から見る景色は中々良いだろう?」

 

「この高さから見る景色なんて無いから凄く新鮮です!」

 

「ふふっ、そうか良かった」ギュウ

 

しかし、この景色以上に背中に当たる2つの膨らみの方が素晴らしい!いやー、本当に役得役得!

 

俺は景色とエスデスさんの胸の感触を楽しんでると、ふと下の方に人影らしき物を見つけた。

 

「あれは……新型危険種か?」

 

「むっ?無粋な奴だ。仕方無い…パトロールはパトロールだ。シュウ…行くぞ」

 

「行くぞって…え?」ヒョイ

 

エスデスさんは俺をお姫様抱っこすると……下に落ちた。

 

「ッッッ!!!いやあああああああああ!!!」

 

俺は恥もクソも関係なくエスデスさんに抱き着きながら悲鳴を上げた。

 

ドシイィィン!!!

 

衝撃と共に着地した様だが……大丈夫?

 

「……シュウ」

 

「は、はい?何ですか?」

 

エスデスさんが妙に真面目な表情で俺を見る。

 

「もう一回やっても良いか?」

 

「え?紐無しバンジーですか?嫌です」

 

何て事を言うんだ!心臓に悪いよ!

 

「いやな、お前の方から抱き付いてきたのが初めてだったから……ついな」

 

ついじゃ無いよ!

 

「抱き付くぐらいなら何時でもやりますよ!だから勘弁して下さい!」

 

「本当か!よし、ならば止めておこう」

 

上機嫌になるエスデスさん。そして改めて周りを見ると誰もいなかった。

 

「ふむ、如何やら逃げ出した様だな。仕方無いか」

 

「そうですね………取り敢えず降ろしてもらって良いですか?」

 

「ん?…………まあ、良いだろう」

 

何か間があった気がするけど気の所為だよね?

しかし……気配は徐々に増えてきてるな。

 

「エスデスさん来ますね」

 

「ああ……殺るぞ」

 

その瞬間俺とエスデスさんは危険種を瞬殺した。

 

……

 

「いや、本当に瞬殺でした……これから如何します?」

 

「………シュウ、まだ来るぞ」

 

「え?………あ、本当だ。下から来ますね」

 

俺達は他の乱入者を待つ事にした。すると、

 

「おやおや、隠れる時間もくれないとはな……やるじゃん。流石帝国最強と言われるだけある…………て、テメェ……シュウか?」

 

………ん?今、名前呼ばれた気が………。エスデスさんの方を見るとキョトンとした顔してた。珍しいのを見たわ。

 

「ん〜…………………どちら様で?」

 

「て、テメェ……やっぱり気に食わねえ野郎だな!おい!」

 

知らないから素直に言ったのに火に油を注いだ様だ。

 

「チッ!まあ良いさ。エスデスと出会った時点で今回のオモチャ遊びも終了だしな」

 

「どうやら色々と知ってる様だな。拷問室まで案内してやろう」

 

「あ、ならついでに名前聞き出して貰っても?俺あの人知らないからさ」

 

いや、だってマジで知らないんだもん!

 

「クッ……まあ、折角だ……アンタにはデカいオモチャを片付けて貰うとするか!!」

 

【帝具 シャンバラ】 発動!!!

 

「な…なんだ!」「ちょっと!アンタ本当に何も」

 

バシュウウウゥゥゥ

 

 

……

 

………

 

同時刻 南の島

 

ザザーン ザザーン

 

波の音が聞こえる。そして…眩しい太陽の光が。季節は夏……つまり、夏は女性を大胆にする!!!

 

「て、違う違う。ここは何処だ?幻覚でも見てるのかな?」

 

幻視系だとザンクを思い出す。

 

「……いや、幻覚などでは無いだろう。潮の香りや海風…気温湿度…全て本物だろう」

 

「つまり……別の場所に飛ばされたと?」

 

「恐らくな。さっきの奴の能力だろう」

 

「しかし、帝具は本当に何でも有りですね。いやはや……少し自分の力を過信し過ぎてましたね」

 

ちょっと反省だな。それが出来なければ死ぬのは俺だ。

 

「フッ、偉いぞシュウ。ちゃんと自分の駄目な所を修正できた事はな」ナデナデ

 

「いやー、それ程でも///」

 

何故か和んでしまった。

 

「さて、取り敢えず周辺を見てみようか」

 

ズドオオオオ!!!

 

エスデスさんは氷タワーを作り出し上から現在地を確認する。

 

「おお……辺り一面海とは………凄いなこれは」

 

「これはまた綺麗な景色だな」

 

俺達は暫く景色を眺めていた。

 

「何だかセリューには悪いが、デートしてるみたいだな私達は」

 

「………えと、デートですか?随分と落ち着いてますね」

 

するとエスデスさんは帝具は未知の部分が多い為、思考を柔軟にする必要があると言う。

その台詞を聞いて成る程と思う。流石帝国最強であり将軍職に就いてる人だ。今まで沢山の帝具使いと戦って来たのだろう。

 

「さて、話を戻すが…まるでデートだなこの状況!」ガバッ

 

「だから落ち着き過ぎですってば!」

 

何となくイチャつく俺達。しかし、それに待ったをかける奴が居た。

 

ゴゴゴゴゴゴ ザアアアアア!!!

 

其処にはDr.スタイリッシュと似た巨大危険種が居た……つまり、今回の新型危険種も………?

だが、もしDr.スタイリッシュが作った危険種だとしても奴はもう居ない。なら一体誰が?

 

「巨大危険種!!こんな物までいたのか!!」

 

更に巨大危険種は一気に此方に近付く。

 

「……来るか」

 

「私とシュウのデートを邪魔する者には容赦せん!」

 

ザッ!!!!!!!

 

「貴様の様な奴は串刺しのし甲斐がある!」

 

 

『ヴァイス シュナーベル!!!』

 

 

その瞬間、俺は1つの氷を掴みそのまま巨大危険種に接近する。

 

「なっ!シュウ!!!」

 

氷が止まるが関係無い。他の氷を足場にして蹴り上げる。そして…

 

ザン!!

 

「あぎゃあああぁあああぁあ!!!」

 

キン

 

「攻略法が分かれば簡単だ」

 

俺はそのまま弱点を斬りながら地面に降りた。

 

side out

 

side エスデス

 

「シュウ……見事だ///よりお前に惚れてしまうとはな///それに、せっかく必殺技名も叫んだのに……///」

 

私はシュウのあの動きに惚れ惚れしてしまった。帝具使いでは無いのに関わらず、あの氷の動きに反応する。それに巨大危険種の弱点と思われる場所を的確に破壊する。

 

「やはり私達は運命なのだな!///」

 

バキッ!!!!!!

 

……まだ邪魔する者が居たとは。

 

「シュウ…今度は私がお前を惚れさせよう!そして貴様には相応しい死を与えてやる」

 

 

 

パキン ゴゴゴゴッ ギュオオオオ!!!

 

 

 

『ハーゲル シュプルング!!!』

 

 

 

ドオオオオオオン!!!!!!

 

 

 

「……隕石落とし?」

 

シュウの言葉が聞こえた……あまり惚れてはくれて無い様だったが。

 

side out

 

side シュウ

 

その後巨大危険種は現れず、取り敢えず休憩を終えたら島を探索する事にした。

 

蟹や変な花、更にはウリボーなども居て……探索は楽しかったです。

いやー、何というか……童心に帰ったよ。時間があったら多分秘密基地とか作ってたな(確信)

序でにエスデスさんは上着を脱ぎ下着姿になってくれたのは最高だったよ……。俺、あの胸に毎日抱き着かれてると思うと感無量だ。ありがとうございます!!!

 

探索してる内に日が暮れてしまった。

 

「いやー、楽しかったけど……如何しましょう?」

 

「まあ、良いではないか。それに場所がはっきりしたぞ。今、私達が居る場所は帝国より遥か南東の無人島だな」

 

「あぁ、まぁそれぐらいですかね。星も全然ずれてますしね……如何やって帰りましょう?」

 

俺はエスデスさんに聞いてみる。しかし、

 

「つまり…この無人島に私達は二人きりというわけだ///」

 

ッ!こ、これは…まさか!

 

「さて、そんなお前に選択肢をやろう。お前の運命だ……私はどれを選んでも受入れよう」キリッ

 

・此処で一緒に暮らして家族を作る

・帝都に戻り結婚式を挙げる。和、洋、中のバリエーショ全てやる!

・そろそろ次のステップに行くぞ!具体的に言うと……(この小説はR15やで!)

 

……………え?コレ全部……エスデスルートEND(確定)じゃね?

 

「いやー、嬉しい選択肢なのは分かりますが……そろそろこの辺で」

 

「ふふっ…やれやれ、つれない奴だな。まぁ良いだろう。一応戻る方法に心当たりはあるから安心しろ」

 

流石エスデスさんだ。

 

「さて、お前の協力も必要だ。行くぞ」

 

「はい!」

 

……

 

「アレですか……」

 

「やはり私達が飛ばされてきた地点に秘密があったか」

 

「マークが無ければ意味が無いのか………」

 

「それは分からん。だが、あの発動範囲を見るに一度に移動できるのは数人程度。そして大量のエネルギーを消費するとみた。だから連発も出来まい」

 

エスデスさんはあの一瞬で相手の帝具を分析する。

 

「なら暫く見張ってれば良いのですか?」

 

「いつか門が開くかも知れん。それにこの島に危険種を放り込んだのもあいつだろう。これが戻る方法その1…で、より具体的な方法2に行く前に…」

 

「行く前に?」

 

ムギュ

 

「折角二人きりなんだ!お互いもっと分かり合おう!」

 

何でやねん!エスデスさんの胸の感触ならもう分かってるよ!←

 

それからお互いの事を話す事にした。

俺は子供の頃村が全滅したから各地に旅する事にした。そして各地で武術を学び危険種や盗賊狩りをしていた。ついでに帝具使いとも戦ったが微妙な勝ちだったなど話した。

 

そしてエスデスさんの話も聞いた。これまた子供の頃に村が全滅。しかし、その場に残り危険種狩りをしていた。そして獲物がいなくなった為帝国軍に仕官した。

 

北の異民族は仇だと聞いたが……特に憎くは無かったらしい。しかし40万人生き埋めにしたのを聞いたら……コスト削減と見せしめだった。

そして……父の死は弱肉強食故に死んだから仕方ない……と。

 

境遇は似ている。だが、根本が違っていた。

弱肉強食のこの時代が嫌いなシュウ。

弱肉強食のこの時代が平気なエスデス。

 

「エスデスさんは……強いんですね」

 

「?…まあ、こんな時代だ。強い奴が勝つ。弱い奴は強い奴に従うのが通り。弱者は死ぬのも通りだ」

 

まさに……この時代に適応した……いや、最初からこの考えだったのだろう。この考えを修正しなかった父親にも問題があっただろうし。

 

序でに俺はエスデスさんの帝具について聞いてみた。するとエスデスさん俺の手を掴み自身の のシンボルマークに触れさせこう言った。

 

「これだ」

 

よく分からなかった。要約すると超級危険種の生き血を飲んだとの事。ただし、今まで血を飲んだ者は自我を破壊され発狂したそうだ。

つまり……今も超級危険種の血が入ってる?

 

「ふっ、そんな不安そうな顔をするな。ちゃんと飼いならしてるから心配するな」

 

そう言いながらエスデスさんは抱き締める。

 

だが、これは……早い所イェーガーズから抜けた方が良い。今確信した……こんなにも想ってくれてるのは嬉しいが、俺はこの時代が嫌いなんだ。

 

「そ、そう言えば…二つ目の戻る方法は?」

 

「それはな、乗り物を調達だ。この辺りにはエアマンタやオーシャンドラゴンの生息地と文献で見た。空を注意深く見てれば奴等が飛んでくるだろう」

 

それって……

 

「アレですか?」

 

「ッ!言ったそばから現れたか!…間の悪い」

 

エスデスさんはそのままエアマンタに向かう。俺もついて行く。

 

「如何やって捕まえるんですか?」

 

「氷の矢で撃ち落とした後調教する!逃がすか!」

 

成る程。あの距離ならマグナムでも届くかな?

 

ドオォン! キュイイン!!!

 

エアマンタはフラフラと下降して行く。

 

「よっしゃ!当たった!」

 

「良くやったシュウ!では、調教するぞ!」

 

こうして俺達はエアマンタを調教、治療したのち帝国に戻る為の2週間程の旅をする事にした。

 

まぁ、道中の危険種や賊は基本的にエスデス無双だった。そして途中で逃げようとしたがエスデスさんの奥の手『マカハドマ』により捕まってたりとバタバタした帰還の旅をしたのだった。

 

因みに道中鎖は繋がりっぱなしで奴隷と勘違いされたので外されたのだった。

更に混浴の温泉も一緒に入ったり、カップル専用イベントなども参加したりと旅を満喫したのだった。←

 

 

……

 

???「あれ?ゲートB……誰も通らねえ。それどころか……島に居ねえじゃねーかよー!!!………これ、親父にバレたら……ヤベーやつだわ」(滝汗)

 

1人の男が頭を抱えていたのは仕方ない事だった。

 




ヤバイよヤバイよ!チェルシー成分が少ないよ!ヾ(・ω・`;)ノぁゎゎ


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番外編

注意!本編とは一切関係ありません。その事を留意した上でお願いします。
それでは、どうぞ!


さあ始まりました!本編とは全然関係無いけど合計ユニーク10万とお気に入り1000行った記念!

司会は私ミスターがお送りします!では、ゲストとして我らが主人公シュウさんに来て頂きました!

 

「はい。シュウです。皆さん宜しくお願いします」

 

はい、在り来たりな言い方ありがとうございます!「ちょっと在り来たりって!」ではですね、今回は過去の感想からも参考にしてやって行きますので。それではサクサク始めましょう!

 

最初は第5位! 年上キラーさんです!

 

……では、シュウさんはあちらの席に行って下さい。

 

「は?……俺年上キラーじゃ無いよ?」

 

いいからいいから!

 

「えぇ…」(困惑)

 

はい、それでは年上キラーさんです!

 

『はい!どうも初めまして。年上キラーです(`•∀•´)✧』

 

はい、初めまして。それでは早速質問しますね。

ズバリ!今1番好感度の高い人は誰でしょうか?

 

『やはりエスデス将軍ですね。何故なら1.5倍キャンペーン中に来ちゃいましたからね。まぁ、彼女の場合僕が居なくとも多分惚れてたかと思います( *´艸`)』

 

成る程。ありがとうございます。

序でに時点では誰でしょうか?私としましてはセリューさんだと思いますが?

 

『実はそうでも無いんですよね。時点はチェルシーさんなんですよ!何故なら混浴しちゃってますからね!それにザンクの時にシュウは命の恩人、ピンチに助けに来たヒーローでしたからね!いやー、あれから彼女は意識しまくりですよ!(*゚∀゚*)ムッハー』

 

おお!それは素晴らしいで「あのー、一体何の話を?」今いい所なんだからシュウさんはシャラップ!

 

「…………」(解せぬ)

 

さて、いい所と言いつつそろそろ次に行きたいと思います。年上キラーさん、ありがとうございました。

 

『此方こそ、ありがとうございました(・ω・)ノシ』

 

では、シュウさんは席に戻って下さい。

 

「……はあ」トコトコ

 

はい、では続いて行きましょう!

 

第4位 チェルシーさんです!

 

「やっほー。皆ありがとうね」

 

4位おめでとうございます。

 

「流石チェルシーさんですね。やはり上位にいました」

 

はい!やはりと言いますでしょうかね!さて、では早速質問しますね。シュウさんと混浴したのでその後の処遇はどうお考えで?

 

「ちょっと!何聞いてんの!」

 

「っ!!!///」

 

はい!赤面頂きました。ありがとうございます!

 

「お前、それがやりたかっただけだろ?」

 

………では、改めて。もし、シュウと対決する時があったら如何します?

 

「あ、この司会無視しやがった」

 

「え…えっとね。手加減はし無いよ。でも…出来れば戦いたく無いかな?てゆーか、シュウくんはいつまでイェーガーズに居るのよ!!!」

 

「はい!お答え頂きありがとうございました!」

 

はい、ありがとうございました。

 

「ちょっと!私の質問に答えなさい!」ガバッ

 

「うひょひょーい!良い匂いがするー!」

(待って下さいよチェルシーさん!)

 

言ってる事と思ってる事が逆ですよ?

 

「え?」

「…………///」プス

 

 

 

暫くお待ち下さい。

 

Nowloading……Nowloading……Now

 

はい、続きまして第3位!セリュー・ユビキタスさんです!

 

「こんにちは!皆さんありがとうございます!」ビシッ

 

「おめでとうございますセリューさん」

 

「ありがとうシュウくん」

 

さてセリューさんにはある方から手紙を貰ってますので、そちらの方を読ませて頂きます。

 

セリュー・ユビキタスさんへ

 

貴女がこの物語でヒロインとして活躍してる事はとても素晴らしいと思います。原作を読んでる身としては少々不安な所もありますが、これからも頑張って下さい。

 

「はい……ありがとうございます」(ちょっと涙目)

 

ただ……最初はヒロインにする予定も無かったし、寧ろ原作より早々に退場して貰おうと思ってました!←

 

「………え?」

 

いやね、ギャップの差が凄いじゃん?顔怖いじゃん?それでヒロインは無理だろ?と思うじゃん!だけど……ストック作って無い為キャラが動くの何ので、結局こうなっちゃいました(テヘペロ)

そして最後は諦めて「ま、いいか」なんてなっちゃいましたし!兎に角これからも頑張って下さい!ではノシ。

 

「………私って……私って……一体…」(〣ズーン)

 

はい、お手紙ありがとうございました。では、席にお戻り下さい!

 

「おい司会!この状態で次進めるんかい!」

 

時間は有限だよ?

 

「こいつ……司会失格だろ!セリューさん!元気出して!ほら、席に戻ろう?」

 

「………シュウくん……私って……一体……グスッ」

 

「ほら、先ずは鼻かんで?はい、チーン」

 

「うん……」

 

さて、取り敢えず暫く待ちますのでご了承下さい。

 

Nowloading……Nowloading……

 

では続きまして第2位はこの方!

 

エスデスさんです!

 

「ふむ…私が2位とはな。少々残念だが仕方あるまい。諸君!ありがとう!」

 

はい、では早速質問しますね。南の島から帝国に戻る途中何かありましたか?

 

「そうだな……新婚旅行の予行練習が出来た感じだな」

 

「ブフッ!ちょ、ストレートに言い過ぎ!」

 

「他にも一緒にデートしたり、混浴したりと色々やったが……初夜が迎えれなかったのは残念だが……近い内にやるから問題あるまい」

 

「………oh///」

 

おやおや?……随分とお楽しみでしたね?

 

「喧しい!」

 

「それに、最初は首輪と鎖を付けてシュウと一緒に観光したが奴隷と勘違いした奴が居たから粛清してやったな」

 

「居ましたね。あの後……あの人大丈夫だったのかな?」

 

「運が良ければ生きてるだろう」

 

でも……それって最初から首輪付けなければ……

 

「そしたら逃げるだろう」(真顔)

 

「うわー、エスデスさんからの信頼値がストップ安だコレ」

 

じゃあ仕方ないですね!www

 

「てめー!笑ってんじゃねえよ!」

 

因みに奥の手を開発されたとか?

 

「無視なの!」

 

「うむ。シュウは素早い動きをする。だから捕まえるのは至難の技だろう。故に逃げ道を塞ぐか動きを止める技を使うしか無い。だから私

は時空そのものを凍らせる『マカハドマ』を開発したのだ。まぁ、愛故に出来たのだがな///」

 

「………oh〣」

 

はい、ありがとうございました。以上エスデスさんでした!

 

では、最後の第1位はシュウさんになります。

ほらほら第1位ですよ!しっかりして下さい!

 

「お、おう!そうだな!皆さんありがとうございます!これからも頑張って行きます!」

 

因みに1位になった理由は感想から1番多くコメントがあったので選ばれました。

リーゼントや青いツナギの方が待ってますよ?

 

「なにその理由!怖いわ!いや、今から逃げるわ!」ダッシュ!!!

 

エスデスさん!お願いします!

 

 

『マカハドマ!!!』

 

 

 

Nowloading……Nowloading……

 

 

 

はい、では質問します。ズバリ!あの3人の中から誰を選ぶので?

 

「何が…ズバリよ?」

 

もう!ネタは上がってんだよ!往生せいや!

 

「いやー……そう言われても……この先どうなるか分からないし。だから……この戦いが終わったら……俺の素直な思いを伝えるんだ」←

 

……………………え?(フラグ立てたぞコイツ)

 

ゴホン。さて、因みに何か欲しい物とかあるんですか?

 

「そりゃ帝具とか欲しいよ?それにさ知ってる?他の殆どの小説にはオリジナル帝具とか無限の剣とか色々あるじゃん?主人公してるじゃん?こっちじゃウェイブが主人公みたいになってるじゃん?俺は?せめて帝具ぐらい用意してくれよ!寧ろ最初の時にスペクテッドあったじゃ無いか!「他所は他所!!!ウチはウチ!!!黒刀とククリナイフとマグナムで我慢しなさい!!!」…………おかのした」

 

はい、それではそろそろお時間です。皆さん今回の企画のご協力ありがとうございました!

 

「ありがとうございました」(ちょっと涙目)



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師匠と弟子の本当の別れ

2週間が経ち漸く帝都に帰還できたエスデスとシュウ。しかし、その間オネスト大臣以下汚職文官達は徹夜しながら必死にこの事を隠し続けた。普段そんなに仕事しない汚職文官もそうだし、オネスト大臣の食事にハムが1つ分食べないぐらい大変な事だったのだ。

 

王宮

 

「いやはや。エスデス将軍よくご無事で何よりです。それに君はシュウ君だっかね?初めまして。君の事はエスデス将軍からよく聞いてますよ。中々の腕前を持っているとか?」

 

そこには諸悪の根源オネスト大臣が居た。

 

「すまなかったな大臣。正体不明の帝具使いに南の島まで転移されてな。まあ、次奴を見つけたら手心加えた拷問をしてやるさ」

 

「………転移の帝具…ですか?それは大変でしたね〜」

(あの馬鹿息子があああああ!!!!)

 

どうやら速攻バレた様だ。

 

「ゴホン。それよりも、また最近ナイトレイドが帝都周辺に現れてるとの情報がありました。つい先日も財政官ゲバゼが暗殺されました」

 

「ほう、それは楽しみだな。私が戻ったからには好きにはさせんさ」

 

オネスト大臣の情報にエスデス将軍は凶悪な笑顔を見せる。

 

「ヌフフフ。頼もしい限りですね。まあ、今は帰還の旅でお疲れでしょう。今は身体を休めて下さい。それから、シュウ君にはコレを」

 

オネスト大臣はシュウにある物を渡す。

 

「コレは……軍…服?」

 

其処には白い軍服、上着、十字マークの帽子があった。まさかと思いシュウはエスデスを見る。するとエスデスはとても良い笑顔だった。

 

「……ど、どうもです」

 

「では、私はこの辺で失礼しますよ。やれやれ、漸く食欲が戻って来ましたよ!今日はパーティでもやりますかね!」

 

そう言いながらオネスト大臣は軽い足取りで戻って行った。

 

「さて、シュウ。私も少し仕事を片付ける。お前は休んでいると良い。それからその服は何時でも着て良いからな!」

 

そう言いながらエスデスも執務室に向かった。

 

「…………どうしよう……コレ。取り敢えず……片付けておくか」

 

途方にくれるシュウが残されたのだった。

 

 

……

 

数日後、ランからエスデスに報告が上がった。ナイトレイドのアカメやマインと思われる人物が東のロマリー街道沿いで目撃された。

 

「イェーガーズ全員を招集しろ」

 

ナイトレイド、イェーガーズ。

両者の戦いの時は近い。

 

 

人が次第に朽ちゆく様に国もいずれは滅びゆく……

新国家の誕生を目指す者達、国を護る者達…そして、執念を果たす者……

思想、理念、目的、全てを違えた彼等は

避けられぬ運命によって、衝突の日を迎える。

 

しかし、その中に諸刃の剣が牙を剥く。

その牙は……果たしてどちらに災いを齎すのか。

 

 

 

「もう直ぐ始まる。大きな戦争が……時代を変える戦争が………なら……俺は……その戦争の引き金を喜んで引こう」

 

その者は自らの武器を装備し……戦場に赴くのだった。

 

 

……

 

side シュウ

 

イェーガーズ全員がナイトレイドを追って次の日にはロマリー街道に着いた。

イェーガーズの第1目標はナイトレイド討伐だ。しかし、俺は第2目標がある事を察した。

このまま東へ向かえば安寧道と言う宗教団体が居る。昔から良く安寧道産の木彫り像や石像など良く見ていたからだ。俺は宗教に興味は無かったから安寧道は無視していたが……この状況下だ。神にでも縋りたい気持ちは良く分かる。

つまり、今安寧道には大量の信者がいる。そして、他の地方にも信者は居る。もし、安寧道本山が主導で帝国に反乱を仕掛けたら………かなり帝国にとっては脅威になるだろう。

 

暫く考え込んで居るとエスデスさんからの話がまとまっていた。

 

「私とセリューとランはナジェンダを追う。クロメとウェイブとボルス、そしてシュウはアカメを追え」

 

この決断に皆目を見開いたがエスデスさんが決断した事だったので反論は無かった。

 

「常に周囲を警戒しておけ。そして相手があまりに多数で待ち構えていたようなら退却して構わん。ガンガン攻めるが特攻しろと言ってる訳じゃないからな。帝都に仇なす最後の鼠だ。着実に追い詰め仕留めて見せろ!!」

 

「「「「「「了解!!!」」」」」」

 

さあ、始めようじゃないか……誰もが望んでる戦争をな。

 

 

……

 

アカメを追って南へ向かう。その間に俺はある武器の再点検をしていた。

 

「なあ…その銃もしかして」

 

「おう、ロマン銃だよ」

 

ウェイブの質問に答える。そうロマン銃……まさかここで再登場!MG42です!

でも、流石にMG42を撃ちながら動くのはちょっと難しい。基本は固定して撃つ銃だしね。

出来れば山賊?盗賊?狩りの時みたいにウェイブが壁になってくれれば楽なんだけどな。

 

「と、言う訳でウェイブ!期待してるぜ?」

 

「おう!任せとけ!まあ、その銃が火を吹く前に終わらせるけどな!」

 

「言ってろよ!」

 

俺とウェイブが気楽に話してる中でボルスさんは少々自信なさげだ。しかし、ウェイブがフォローをする。これなら大丈夫だろう。

 

「なんて調子のいい事言ってるけど、ウェイブが1番足引っ張りそう」

 

「何おうっ!」

 

ウェイブがクロメに弄られてるか……仕方ねえな。ここは俺がフォローしてやるか!

 

「安心しろウェイブ、お前の分まで戦うさ」キリッ

 

「それはどういう事だよ!」

 

余計に怒らせてしまった。

 

「大体、俺だってグランシャリオ・リヴァイブに進化したんだぜ?ナイトレイド相手でも充分対処出来るさ!」

 

「でも、ここぞって時に弱そう」

 

「ウェイブ言われてるぜ?頑張れよ〜」

 

「シュウは如何なんだよ?お前は大丈夫なのかよ?」

 

俺か?勿論さ。

 

「大丈夫だ。問題無い」キリッ

 

「シュウは大丈夫だよ。だって普通に強いもん」

 

まさかクロメちゃんから問題無いと言われるとは……。

 

「ほら3人共喧嘩しちゃダメだよ!」

 

ボルスさんが注意する。すると前方に案山子?があった。

 

「中々奇抜な案山子だな。池…面……イケメン?」

 

「うん。案山子だね…しかも、これ以上無いってくらい怪しいね!罠だったら大変だ。用心して調べよう」

 

ボルスさんの台詞に皆頷き馬から降りて近づく。俺?降りて無いよ。だって見るからに怪しいよ?普通近づかないよ。

MG42を背負い直しながら思った。寧ろ……グレネードで吹っ飛ばしたらダメかな?

などと考えてると……クロメが狙撃された。

 

「チッ!スナイパーだ!物陰に隠れろ!」

 

俺はそう言いながらグレネードを狙撃が来た方向に撃つ。次弾は煙幕弾にして更に撃つ!

その時、案山子がイケメンに化けた!彼奴は…確か帝具人間のイケメン!

 

「クロメ!危ねえ!!!」

 

ガッ!!!

 

イケメンの攻撃を防ぐウェイブ。しかし…

 

「うおっ!!」

 

そのままウェイブは遠くに飛ばされてしまった。

 

「ウェイブ!!……無茶しやがって!!」

 

俺はL85をイケメンに対して撃つ。しかし効果は無い。

 

「やっぱりコロと同じで物理攻撃は意味無さそう」

 

その時、気配を多数確認する。まさか……

 

そこにはナジェンダ、アカメ、レオーネ、タツミが居た。恐らくシェーレはマインの護衛だろう。

 

「ナイトレイド…?しかもこれは全員!?東は全くのフェイクだったんだね」

 

「クロメにボルス…そしてシュウか。イェーガーズの中でもクロメとボルス、お前達は標的だ。覚悟して貰うぞ」

 

ナジェンダの言葉にボルスは少し沈黙した後口を開いた。

 

「数え切れないほど焼いてきたから……刺客に狙われてもしょうがないと思ってる……。でも

私は……死ぬ訳にはいかない!!」

 

ボルスは戦闘態勢を取る。そして、その間にクロメはアカメとの邂逅を果たしていた。そして…

 

「お姉ちゃんを八房のコレクションに加えてあげれるもんねぇ」

 

ズッ!!! ボコッ ボコボコッ ボコッ!

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

「こ、これは……まさか……超級……危険種か!!」

 

俺は流石に驚いてしまった。死体とはいえ超級危険種。しかも……あれはデスタグールじゃねえか!!

 

「さぁ……帝具戦の始まりだ……何人死ぬかなぁ?」

 

クロメのそんな台詞が何となく聞こえた。

 

 

……

 

アカメとクロメが戦闘を始める。しかし、ボルスが援護するもタツミによってアカメは難を逃れる。しかし、その追撃はデスタグールの攻撃だった。

 

ゴオオオォオオオ!!!!!!

 

そして俺は…タツミに対して攻撃を仕掛ける事にした。しかし、そこで見たのは……まさか……そんな………

 

「ヘンター……さん?」

 

「ウ……ミ、ミジュク……モノ?」

 

………そうだよな。分かってた……死んでる事は。ヘンターさん強いもんな。だから……最後まで戦ったんだ。皆の為に……。

 

「…………ヘンターさん。ここはお任せします」

 

俺はタツミに対してはヘンターさんと別の危険種にに任せる事にした。だけどさ……流石にキツいな……これは。

 

仕方なくボルスさんの援護をする事にした。

 

「て、結構苦戦してる?」

 

俺は崖の上からL85をドラムマガジンに替えてから援護射撃をする。本来なら黒刀かククリナイフを使ってやりたいが……あのルビカンテの炎に巻き込まれるのはゴメンだからな。

 

援護射撃、炎、そして護衛。これらが揃っていながらアカメに攻撃が当たらない。

 

「……マジかよ。あの避け方は凄い!」

 

「凄い避け方された!?」

 

流石アカメだ!と思いつつグレネードを撃ち込む。しかし、アッサリ躱される。

そんな中、ボルスはアカメに何故反乱軍に入ったのかを問う。そしてアカメは…

 

「私の心が、そちらが正しいと決めたからだ。己の信じる道を歩んだまで」

 

己の信じる道……か。それがアカメの信念か。

 

「でも、その信念ごと燃やすのが私のお仕事!」

 

ボルスさん……貴方は真面目なんだな。だから燃やせるんだ……だから無実な村や村人達も………ん?レオーネか!

 

ドドドドドドドドッ!ドゴオオオン!!!

 

「おっと!危ないじゃないか!」

 

「そっちの拳の方が危ないわ!」

 

俺はレオーネの攻撃を避けながらククリナイフを抜く。

 

ファイブブースト

 

「オラッ!」「いきなり!」

 

俺はレオーネの腹を切り裂いて、そのままの勢いでアカメの方に蹴った。その時だった…

 

ドオオオオオオン!!!!!!

 

デスタグールの方で大きな音が聞こえた。

 

「マジかよ……デスタグールやられたんじゃないか?それに、ヘンターさんは如何なんだろう?ボルスさーん!一旦クロメちゃんと合流しましょう!煙幕いきます!」

 

「うん!分かった!煙幕お願い!」

 

ポシュウ ポシュウ ポシュウ

 

俺はボルスさんに最後の援護をした後、ヘンターさんが気になり一旦タツミの所に戻る事にした。

 

……

 

俺がヘンターさんの所に着くと……決着は付いていた。

 

「ッ!シュウか…」「あ……シュウくん」

 

ヘンターさんは……死んでいた。……いや、最初から死んでたんだ。だから……

 

「タツミ……チェルシーさん、ありがとう。ヘンターさんを……解放してくれて」

 

「シュウ……此奴と知り合いだったのか?」

 

「ああ、俺の……師匠だ。俺の戦闘スタイルの最初のベースを作ってくれた人だ」

 

一陣の風が吹く。

 

「シュウくん……あのねッ!」

 

チェルシーさんが声を掛けようとした時、猿の危険種が近づいて来た。そして、そのままチェルシーさんに攻撃を仕掛けようと身をかがめる。

 

「お前……邪魔だよ」

 

ザンッ!!!!!!!

 

猿が邪魔だったから黒刀でバラバラにした。

 

「シュウ!助かったぜ」

 

「………タツミ。一応俺はヘンターさんの弟子なんだよ」

 

タツミとチェルシーは眉を潜める。

 

「師匠がやられたまんまだと、弟子までダメになるじゃん?ま、敵討ちってヤツ?ああ、安心しなよ。殺しゃしねーよ……ただ、ヘンターさんの弟子として……お前を見過ごせん」

 

俺はククリナイフを抜きブーストを掛けた。

 

エイトブースト!

 

「待て!シュウ!俺達は別にッ!」

 

「安心しな、気絶させるだけだ」

 

ガッ!!!!!!

 

タツミはククリナイフの突きをモロに受け吹き飛ぶ。しかし、追撃は止めない。

 

ガガガガガガッッッッ!!!!!!!!

 

高速で動き回りながらタツミに斬りかかる。ただ、インクルシオを身に付けてる以上ダメージは無いだろう。

 

「クッ!この!」「当たらんな」

 

タツミの攻撃を紙一重で避けていく。そして…

 

ジャキン

 

「流石に頭に50口径受けたら衝撃は通るよな」

 

ドオォン!

 

「ぐあっ!シュウ!お前!!」

 

「1発じゃダメか……じゃあ」

 

タツミが再度攻撃するも軽く避ける。

 

ドオォン!ドオォン!ドオォン! ドサァ

 

「悪いなタツミ。暫く寝ててくれ」

 

ヘンターさん……これでミジュクモノ卒業になるかな?

 

「シュウくん!何やってるの!」

 

「チェルシーさん……コレは意地なんだ。ナイトレイドとか、イェーガーズとか、民の為とかそんなんじゃ無い!俺の……俺自身の為の戦いだ。ヘンターさんは最初から死んでる……だけどさ……覚えてたんだよ。ヘンターさんは………」

 

「シュウくん……」

 

「本当に……感謝してる。俺は……ヘンターさんを殺せなかった。例え……死体だとしても……嬉しかったから。だから……ヘンターさんを殺してくれて……ありがとう」

 

俺はそのまま背を向ける。今……顔を見られたく無い。

 

ガシッ ギュウ

 

チェルシーさんが俺の背中に抱き付いてきた。

 

「……離して下さい」「嫌」

 

………頼むからさ。ちょっと1人にしてくれ。

 

「だって……シュウくん泣いてるんだもん!放って置けないよ!!」

 

「……ッ………」

 

泣いてない。目から涙に似た成分が出てるだけ。でも………少しだけ。

 

「甘えて……良いですか?」

 

「うん……」

 

俺はチェルシーさんの胸に顔を埋めた。興奮はしなかった。ただ……涙が止まらなかった。

 



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自分の選択。

スッゲー迷った。この話は多分賛否が分かれると思います。
それでも、読んでくれると嬉しい!


あの後直ぐにタツミが目を覚まし、俺とチェルシーさんが抱き合ってる現場をバッチリ見られてしまった。

 

「えっと………何か……ゴメン」

 

「「……ッ///」」

 

俺とチェルシーさんは何も言えなかったのだった。

 

「じゃあ、そろそろ俺は行くよ。タツミ、チェルシーさん……死ぬなよ」

 

「お、おい!シュウ!」

「シュウくん!」

 

俺はエイトブーストを使いクロメちゃんの所に向かった。

 

……

 

クロメはマイン、シェーレ、ナジェンダ、イケメンと対峙していた。しかし…

 

「ヌルヌル美少女キタコレ!」

 

「シュウ……後で隊長とセリューに報告するね」

 

すんません!でも、マインちゃんとシェーレさんのヌルヌルお宝シーンは滅多に見れないんだ!

 

「さて、取り敢えずグレネードを受け取りな!」

 

グレネードをナイトレイドに撃ち込む。代わりにマインからの射撃が来るが右に避ける。

しかし、イケメンとシェーレが一気に突っ込んでくる!

 

「シュウ…覚悟」「すみません」

 

しかし、アクセルブースト中だから黒刀を抜きながらイケメンの攻撃を避けながら背中を斬り、そのままシェーレと打ち合う。

 

ガキイィン!!!

 

「どうよ?この黒刀……エクスタスとも打ち合えるんだぜ?」

 

「ッ!強いですね!」

 

流石にエクスタスに挟まれたら黒刀も折れるだろう。しかし、打ち合うぐらいなら大丈夫だ!

更にシェーレと打ち合う。しかし、イケメンも直ぐに復活して攻撃を仕掛ける。更にマインからも射撃が来る!

 

(これはマズイかも!ピンチです!)

 

内心そう思ってると……影が見えた。

 

「私も居るんだよ?」

 

その瞬間……エクスタスを持つシェーレの右腕が斬られた。

 

「ッ!くあっ!」

 

「シェーレ!!この!!」

 

マインの狙いがクロメに移る。しかし…

 

「シュウ!一旦引くよ!」「分かった!」

 

俺はイケメンの攻撃を避けながら、マインにL85を撃ちまくる。

 

その時だった……ボルスさんのいた方向から大爆発が起こった。

 

カッッッッ!!!!!!

 

ゴオオオォオオオ!!!!!!

 

俺はその爆発の爆風に紛れながら撤退した。

 

 

……

 

「さっきの爆発は一体………まぁ良い。取り敢えず逃げるか……今は死ぬ訳には行かないからな」

 

俺は森の中に身を隠しながら合流地点に向かう。

 

……あれ?………あの人影は………

 

……

 

「ボルスさんじゃないですか。無事だったんですね」

 

「あっ……シュウくんも無事だったんだね」

 

ボルスさんと合流した。しかし、ボルスさんの帝具が無い。

 

「ボルスさん…ルビカンテは?」

 

「うん……使えなくなっちゃったから自爆させたよ」

 

そっか……ボルスさん………帝具無くなったんだ。

 

「じゃあ…ボルスさんはもう大量に敵を倒す事が出来なくなったんだね……つまり………もうお役目御免なんだね」

 

「シュウくん?」

 

俺はゆっくりとボルスさんに近づく。

 

「俺ね……この時代が嫌いなんだ。大っ嫌いなんだよ。だから……この時代に生きてる人達には血の代価を払って貰うつもりなんだ。だからルビカンテは丁度良かったんだよ」

 

「血の…代価?シュウくん…何を言って…」

 

「もっと早くに反乱をやってくれれば良かった……俺が生まれる前に帝国が滅んでくれれば良かった……でも、愚民共は立ち上がらなかった……弱肉強食を受け入れていたんだ」

 

俺の言葉を聞き続けるボルスさん。

 

「ねえ、ボルスさん……覚えてます?初めて会った時にこう言ったの」

 

 

 

『シュウくんは、私が怖く無いのかい?』

 

『うーん、別に怖くは無いよ。ただ、俺が立ち寄って仲良くした村の人達も燃やされた事あるからさ』

 

 

 

 

「実はアレ続きがありましてね……ボルスさんが燃やした後の村に……俺……戻ったんですよ」

 

「ッ!!!」

 

流石に現場に居たのは想定外だったのだろう。

 

「あの村はね…俺が旅の途中で助けてくれた村だったんだ。その年は不作でね……それでも、薄いスープにカッチカチのパン、そして果物が少しだけ。これがどれ程彼らにとってご馳走か知ってましたか?知らないですよね?帝都育ちの貴方には分からないでしょうけどね」

 

俺の中のドロドロとした何かが段々と大きくなる。

 

「何で燃やされたか調べましたよ……知ってます?表向きは反乱軍に協力してたから。でも実際は帝国役人に賄賂を渡さなかったからですよ。不作だった……渡す物も…金も無い……それでも役人は賄賂を要求した。その結果……貴方達が派遣された。流石の役人も焦ったでしょうね……村人だけを排除しようとしたら村そのものを灰にされたんですから!はっ!滑稽だよ……実に……降らない」

 

駄目だ…止まらない……止められない……

 

「恩返しのつもりで大型危険種を狩ってたのが良かった……お陰で……生き残れた。ボルス……貴方よく言ってますよね……報いを受けるってさ」

 

「……ッ…シュウ……くん」

 

ゆっくり近づく……黒刀に手を乗せる。

 

「シュウくん……一つ良いかな?」

 

「遺言ですか?」

 

俺は思っていた。どうせ命乞いだろうと……しかし……違った。

 

「家族に……妻と娘に………すまないと……」

 

その瞬間……目の前が真っ赤になった。

 

「ッ!!!家族を思う気持ちが有るなら!!!最初から!!!考えて!!!行動しろや!!!!!」

 

ナインブースト!!!!!!

 

一瞬で距離を詰める。

 

 

本当に……良いのか?

 

 

黒刀を力強く握る。

 

 

殺せば……奥さんと娘さんはどうするの?女子供だけで生き残れると思ってるか?

 

 

黒刀を抜き上に振り上げる。

 

 

…………これじゃあ、下衆共と何も変わらないよ?

 

 

ッ!!!!!!!

 

 

「黙れええええええ!!!!!!」

 

 

俺は黒刀を振り下ろした。

 

 

舞う鮮血……ゆっくりと倒れる巨体。

 

 

 

 

 

「グッ……アレ?……シュウ…くん?」

 

「…………」

 

 

 

斬れ無かった………分かってた事だ。ボルスさんは……自分の信念を持ってるから……優しすぎるから……だから……こんな辛く、苦しい任務もやり遂げて来たんだ。

 

 

 

「ボルスさん……2つ選択肢を上げます。1つはこのまま俺に殺される。もう1つは帝都に戻って奥さんと娘を連れて逃げるか……選んで下さい。それと2つ目を選んだら……二度とその面見せるな。もし…俺の前に現れてみろ……家族もろとも皆殺しにしてやる」

 

「……良いのかい?」

 

「お前なんか……殺す価値すら無いんだよ……。分かったら失せろ」

 

黒刀を鞘に収めながら言う。

 

「シュウくん…ゴメンね。謝っても許してくれないのは分かってる。だけど……」

 

「精々…生き残れるよう頑張って下さいね。貴方は抹殺リストに入ってるみたいですしね。それに、帝国が滅んでも多分ボルスさんは命狙われますよ。まぁ……ど田舎ぐらいだったら平気じゃ無いかな?特に北の方とかさ。ほら、40万人生き埋めにされたからあんまり人は近付かないだろうしね」

 

何やってんだろう……俺。

 

「シュウくん……ありがとう。それじゃあ行くね……元気でね」

 

そのまま去って行くボルスさん。

 

「ボルスさん武器は?」

 

「え?……あ」

 

……あぁ、本当に……何やってんだろう。

 

「このロマン銃を上げるよ。これ持ってサッサと失せろ」

 

「ありがとう……シュウくん。元気でね」

 

そう言ってボルスさんは去って行った。

 

「………これで良かったんだろうか」ポン パク

 

ミント味の飴を口に含み思う。ボルスさんが最低のクズ野郎だったら躊躇はしなかったし、普通に斬ってた。でも……イェーガーズとして接して悪い人では無く、優しく、信念を持つ強い人だと分かった。

 

「…………?そこに居るのは誰だ?出て来い」

 

俺は気配を感じ黒刀を再度握る。しかし直ぐに止めた。

 

「えっと……やっほ。さっきぶりだね」

 

「なんだ……チェルシーさんか」

 

警戒を解く。少し間が空いた。

 

「シュウくん。ボルスを見逃したの?」

 

「そうです。この選択が合ってるかなんて解らない。でも……後悔はして無い」

 

「………そっか。でもシュウくん。もしかしたらボルスの奴、そのまま帝都に戻って大臣とかに密告したりして〜」

 

「うげっ!其処までは考えて無かった!」

 

チェルシーさんのもう1つの選択にビビる俺。

 

「まあまあ、もしイェーガーズに残れなくなったらウチに来なさい!何時でも待ってるからね……何なら……私と一緒に行く?」

 

「チェルシーさん……」

 

これ……落としてから持ち上げるパターンじゃね?でも、惚れてまうわ〜。

 

「それで、シュウくんは如何するの?」

 

チェルシーさんは真面目に聞いてくる。

 

「まだイェーガーズに残るよ。それでさ……ナイトレイドは安寧道の人を暗殺するでしょう?」

 

俺はカマをかけてみる。

 

「うん。そうだよ。安寧道の教主の補佐……ボリック。此奴は大臣が送り込んだスパイだからね。だからボリックを暗殺すれば安寧道も動き出す」

 

ビンゴ………ボリックか。

 

「分かった。なら、協力しよう。出来るだけイェーガーズの目を…特にエスデス将軍の目を惹きつけて欲しい。その隙に……俺が殺ろう。まあ、後は現地で連絡するよ」

 

「え!でも、危ないよ!」

 

「俺が1番ボリックに近付けれる。ならば、俺が適任だ。その事をナイトレイドに伝えて欲しい。それじゃあ、俺は行くよ」

 

エイトブースト

 

「あっ!待って………消えた」

 

後に残されたチェルシーはナイトレイドの合流地点に移動するのだった。

 

 

……

 

「あ、クロメちゃん」

 

「シュウ、無事で良かった。ボルスさんは?」

 

「ボルスさんは……死んだよ。流石にあの爆発じゃあね」

 

「そっか……仕方ないね。街に向かおっか」

 

俺は咄嗟に嘘をつく。取り敢えず信じてくれたみたいだが。

俺とクロメちゃんは集合地点のロマリーの街に向かう。しかし、クロメちゃんの様子がおかしい。

 

「クロメちゃん大丈夫?何か……調子悪そうだけど?」

 

「う、うん…平気。おそらく隊長は戻ってくる。それまで…慎重にいこ……」

 

その時クロメちゃんが倒れそうになったから支えた。

 

「おいおい、調子悪いなら無理すんなって」

 

「へ、へーき。お菓子を食べれば…大丈夫」

 

そう言ってクロメちゃんはお菓子を食べる。

 

「そのお菓子……大丈夫なの?」

 

「うん……あげないよ?」

 

食い意地なのか、それとも……仕方ない。

 

「ほら、乗りなよ」

 

「え、別に良いよ」

 

「良いから……俺は早く街に戻って休みたいからさ」

 

「…………うん、分かった」

 

クロメちゃんを背負い走る。……軽いな。

 

「シュウ………ありがと」

 

「気にすんな」

 

俺達はロマリーの街に戻りエスデスさん達と合流するのだった。

 




ボルスの生存。正直凄く迷いました。
原作通りチェルシーに殺されるパターンと今回の様に生かすパターンと主人公が殺すパターン……。
最後まで迷いましたが生かしました。


あと1つ……MG42はボリック暗殺編で使う予定だったのにー!ストック作らないからこうなるんだー!←


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安寧道と観光…周辺警戒さ

side チェルシー

 

私はナイトレイドの合流地点にラバックと一緒に戻っていた。あの後、直ぐにラバックが来たからだ。

それに、ボリック暗殺にシュウくんが協力してくれる事を伝える為だ。でも……何時ものシュウくんとは違っていたのが少し気掛かりだった。

 

「しっかし、シュウの奴が協力してくれるとはなぁ。これで今回の作戦の成功率はかなり上がるぜ?」

 

「うん…。確かに私達からしたら助かるけどね」

 

でも…シュウくんは何時もと違う雰囲気だった。

 

「まあ何にせよ、その情報を皆んなに伝えよう!それから判断しても遅くは無いぜ?」

 

ラバックはそう言ってきた。そうだね。

 

「じゃあ、急いで戻ろっか?愛しのボスに良い報告したいしね?」

 

「ちょっ!何言ってんだよ!そんなんじゃねぇーし!ただ、俺はだな……」

 

私はラバックをからかいながら合流地点に戻った。

 

………

 

「………そうか。シュウの奴がな」

 

「はい。ナジェンダさん、これはチャンスですよ!シュウと上手く連携出来ればボリック暗殺の成功率はグンッと上がります」

 

ボスは私達からの情報を聞いて思考中だ。ただ、良い事に続いて悪い事も起きていた。

 

「シェーレ……腕大丈夫?」

 

「はい、今は痛みはありませんから大丈夫です」

 

そう、シェーレは右腕を失う重症を負ったのだ。これでナイトレイドの戦力低下は免れない。

 

「でも、レオーネは大丈夫なんだよね?不思議よねぇ」

 

「まあ、私とラバ限定のコンボだけどな!普通じゃ治らん!この治癒力こそがライオネルの奥の手!『獅子は死なず!』」ドドン

 

どうやらレオーネは大丈夫な様だ。良かった。

それからマインがカッコつけれなかったのを弄ってたら、タツミがマインに同情するも逆切れされる。

 

「安心しなよ。タツミにはチャックの称号があるんだから〜」

 

「それを言うなよー!!」

 

マインとタツミを弄ってたらボスから皆んなに声を掛けた。

 

「よし、皆んな聞いてくれ。先ずはシェーレ……残念だが次の作戦には出れないだろう。よって、安寧道に着いたら現地の革命軍の密偵と合流し本部に戻れ。その後の処遇は本部に任せる」

 

「……はい。分かりました」

 

シェーレは落ち込んだ様子だ。仕方ないだろう……もう、目と鼻の先だったのにリタイアするのは。きっと、誰よりも悔しいはずだ。

 

「ふっ、心配するな。何も解雇する訳じゃ無い。お前の失った腕は義腕にして貰える様要望書は出しておく。それに、今は本部には帝具『パーフェクター』がある。義腕の調整も早い内に終わるだろう。後はお前次第になるがな」

 

「っ!…はい!」

 

「さて……次はシュウの件についてだ。彼奴に関しては現地で判断する。チェルシー、シュウとの連絡役を頼む」

 

「了解です」

 

ボスはシュウくんについては保留にする様だ。まあ、妥当な選択だと思うかな?

 

「え?ボス、直ぐに協力して貰わないんですか?」

 

「……恐らく大丈夫だろうと私は思っている。我々革命軍と奴の目標は同じだからな。今回に関しては信用しても良いだろう。だが、念には念の為だ」

 

ボスはそう言って話を切り上げた。

それから私達はキョロクに向かう事にしたのだった。多少のわだかまりを胸に抱いたまま。

 

side out

 

同時刻 ロマリーの街

 

side シュウ

 

「そうか……ボルスは死んだか」

 

俺はエスデスさんにボルスさんの死亡を伝えた。

 

「良い奴だったがな……残念だ」

 

エスデスさんの表情は無かった。

 

「さて、諸君。任務御苦労だった。しかし、先程早馬で大臣から護衛の任務が入った。我らはキョロクに向かうぞ」

 

……護衛任務。場所はキョロク……安寧道の本山か。

 

「その護衛対象がナイトレイド遠征の標的かもしれんという事だ」

 

遂に……きたか。

 

「私達を道中で叩いておき…本命はそちらと言う訳ですか」

 

「今回の戦いではナジェンダにしてやられた」

 

エスデスさん達は盗賊団と交戦したらしい。しかも、エスデスさん達が通る事は外部からの情報。しかも盗賊団の掃除までやらされた訳だ。

 

「だが、同じ手は二度食わんぞ……キョロクで必ず蹂躙してくれる」

 

エスデスさんから禍々しいオーラが出てる……ナイトレイド大丈夫かな?

 

しかし……思った通りに事が運んでくれて嬉しい限りだ。ボリック……お前は俺が殺す。誰でも無い……この俺が……必ず。

 

こうしてイェーガーズはキョロク入りの為に出発する。

 

 

……

 

ナイトレイドとの戦闘から数日後。

 

安寧道 本拠地 キョロク

 

「うーむ、やっぱこういう服は落ち着かねぇな」

 

ウェイブとクロメちゃんは少し居心地が悪そうだ。

 

「……ねぇ、シュウくん……どうかな?///」

 

「セリューさんの魅力がしっかりと出ていて綺麗ですよ」キリッ

 

「はうっ!///」

 

当然の様に褒めるシュウ……て言うか慣れてない?

 

「シュウくんは随分と落ち着いてますね」

 

「ん?そりゃあ……俺は以前ホストでスーツ着てたからな。慣れてるのさ」

 

そう……ホストで培った経験が此処でも活からせていたのだ。つまり……女性(年上)を口説くのも慣れてるのさ!←

 

年上キラー「君が望むなら……何処までもついて行くよ( ・`ω・´)キリッ」

 

お前ら………

 

「まぁ、せっかくの歓迎会だ。開き直って楽しめ……何か面白い余興があるかもしれんしな」

 

本命の御登場です。相変わらず綺麗な人だな〜と感心してると。

 

「ところで……どうだ似合うか?」

 

「勿論さ。エスデス、君の美貌がとても出ていて……素敵だよ」キリッ

 

「フッ!そうか…///」ムギュ

 

褒めたら抱きしめられた。

 

年上キラー「俺はお前の味方やで(`・ω・´)キリッ」

 

何故俺がこんなにも褒め上手になってるかって?スーツ着たらホスト思い出したから……つい///←

 

本当に……お前らは………

 

ちょっとだけバタついたが、遂にボリックとの邂逅を果たした。

 

「いやぁ…最近身の危険を感じて大臣に戦力の補給を要求したしたが……まさか、帝国最強といわれるエスデス将軍が来てくださるとは。心強い事この上ありせんぞ!」

 

あの男がボリック……遂に………此処まで来たんだな。

不思議なものだ……もっと熱くなるもんだと思っていたが……俺は……冷静だ。

 

自分自身の心境に驚きつつも、ボリックの話を聞く。ついでにアクセルブーストを使い料理を皿に盛り食べる。

これで俺が料理を食べてる事に誰も気づかないだろう………口の中はモゴモゴしてるけどね。

 

するとエスデスさんは天井裏に居る存在に気づいた様だ。それを聞いて意識を集中すると……確かにいた。

 

「流石。お気付きでしたか」パチンッ

 

「こやつらこそ、教団を牛耳る為に帝国から預かった暴力の化身……

 

『皇拳寺羅刹四鬼!!』」

 

「ほう、帝都にいないと思えば此処にいたのか」

 

「将軍様が来て下さったおかげで、目下護衛に専念させていたこの鬼達を攻撃に使う事が出来ます」

 

ボリックは自慢気に言う。

 

「ま…待ってください!この街には帝具使いのナイトレイドが潜入してる可能性があります!そいつらと戦うのに帝具…無し……………あれ?問題……無い?」

 

セリューさんは俺を見る……と言うかみんなが俺を見る。ヤバい!飯食ってるのがバレた!

 

「モグモグ………ウッ!ムー!ムー!」ドンドン

 

ヤベ!水が欲しい!

 

「はい、水」「ンーンンー」ゴクゴク

 

クロメちゃんナイスフォロー!助かったぜ!

 

「あー…中々、頼もしい……援軍ですな!」

 

ボリックの頬が引き攣ってるけど気にしない。

 

こうしてイェーガーズとボリック、羅刹四鬼は互いに自己紹介をしつつ邂逅を終えたのだった。

 

 

……

 

次の日、俺は街の周辺警戒と言う名の観光に行く事にした。勿論、置手紙を用意して出掛ける。

え?何でイェーガーズの皆んなには言わないかって?言ったら鎖付きになるんだよ!まだ許されないんだよな……。

 

門番に軽く挨拶をして街中を歩く。しかし…帝都より賑やかだ。いや、生き生きしているのか……やはり縋るものがあればそれだけで気が楽になるしな。

 

他の所にも足を運ぶと鉱山らしき場所を見つけた。そこも中々の活気が溢れていた。何となく1人捕まえて話を聞いてみた。すると、豊富な地下資源がありそれがこの地域一帯を支えているとか。

 

「豊富な資源に宗教とか……どんだけ恵まれてる事やら」

 

勿論帝都に渡す税も多いだろうけど、それでも賄える量があるのだろう。

 

そのまま更に街中を探索する。ついでにアイスも買う。だって暑いもん。

 

「おやおや〜、こんな所で単独行動ですかな〜?」

 

「?…あ、羅刹四鬼のスズカさんでしたっけ?」

 

其処にはスズカさんが居た。

 

「良いのかな?勝手に単独行動してて。後でお仕置きされるんじゃ無い?///」

 

何故か顔を赤らめるスズカさん。

 

「ふっ……怒られると分かっているなら後悔しない様に思いっきり観光……周辺警戒をするのさ!」

 

「今思いっきり観光て言ったよね」

 

「言ってない」キッパリ

 

「言ったよね」

 

「言ってない」キッパリ

 

「……言った「言ってない」……ハア」

 

スズカさんは溜息を吐いた。お疲れかな?

 

「じゃあ、そういう訳で周辺警戒します……もし、エスデスさんにこの事言っても恨みませんよ。ただ………ナイトレイドとの戦闘中、背中には気を付けるんだな!」←

 

「思いっきり恨んでるじゃ無い!」

 

さあ、知らんな。

 

などと下らないやり取りをしつつ一緒に観光する事になる。

 

「へぇ、帝具無しでイェーガーズに所属してるんだ。君強いんだね」

 

「帝具を5つ回収してる羅刹四鬼も大概だと思いますけどね」

 

お互い話しながら観光する。

 

「アレも宗教施設ですか?」

 

「ん?そうだよ。本当……他の建物も立てれば良いのにね」

 

しかし……アレだな。

 

「街の外には遺跡とか無いんですか?」

 

「あるよ」

 

(; ・`д・´)ナン…ダト!?

 

「つまり…遺跡からお宝発掘とかあるんですか!」

 

「んー、確か以前有った筈だよ。金で出来てた仏像が見つかったとか」

 

「ロ、ロ、ロマンだー!」

 

うわー、行きてー!でも、今仕事中だし…あぁ、でも行きたい!トロッコとかに乗って冒険したい!

 

「ふふ。子供だね」

 

「子供でも構わない……。まぁ、時間が出来たら遺跡探索でもするわ」

 

こうして俺はスズカさんと夕方まで観光をして………エスデスさんに怒られた。

 

「全く……どうしてお前は単独行動をするんだ。心配するだろう?」

 

「だって……ロマンが「言い訳しない!」…はい」

 

「ハァ…ハァ…最高///」

 

俺は普通に正座だけど……何故かスズカさんは逆さ吊りにされて喜んでた。

 

「………気持ち良いんか?」

 

「うん、凄く良い///」

 

あ、此奴重度のMだわ。とりあえず……放っておこう。先ずは……この説教地獄に耐えねばな。

こうしてよく分からない状態で説教を受けたのだった。

 



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セリューだって強くなってるんだ!

次の日、俺はスズカさんにお願いして模擬戦をやって貰う事になった。因みに二つ返事で了承してくれた。何でも逆さ吊りのお礼にだとか。

……取り敢えず深く考えるのをやめる事にした。

 

「流石に模擬刀になりますが宜しいですよね?」

 

「えぇ、構わないわ。寧ろ普通に武器使ってくれても良かったのに」

 

おや?随分な事を言いなさりますな。

 

「なら……使っても良いか今から判断すれば良いですよ?」

 

「ふーん……ま、別に良いけどね。じゃあ、始めよっか」

 

お互い睨み合う…………行くか。

 

ファイブブースト

 

俺はアクセルブーストを使い一気に接近し木刀を振るう。しかし、相手は羅刹四鬼だ。俺の攻撃を受け流す。

 

「チッ!……合気道て奴か」

 

「おっ!知ってるの?そうだよ。力任せの攻撃は私には効かないよ」

 

そうか……なら、受け切れない速度で潰すまでだ。

 

セブンブースト!

 

先程より更に速いスピードで接近。流石にスズカさんの表情に余裕が無くなる。

 

バシンッ!!!

 

そしてそのまま木刀を振るう。更に受け流そうとする手を木刀で払う。

 

「あらら……深爪になっちゃった。流石に模擬戦だから本気は出さないだろうと思ってたんだけどね………少し本気でやろっか」

 

ここからが本番か………良いぜ。

 

「来いよ……潰してやんよ」

 

俺はスズカさんを挑発した。

 

「じゃあ遠慮無く!!」

 

その瞬間スズカは身体を動かしながら接近してくる。そのまま木刀を構えカウンターを狙う。

 

「それ!」

 

しかし、スズカの腕がいきなり伸びた。

 

「ちょっ!何それ!アンタはゴ◯人間かよ!」

 

「ふふふ…まだまだこんなもんじゃないよ!」

 

更に攻撃速度が増す。しかも全然動きが読めない。カウンターは無理だ!

 

「じゃあ、此方から行くぞ!!」

 

だが、俺の速度も速い。だから木刀の間合いにスズカを入れた突き攻撃をするが……

 

「それ!」グイン

 

有り得ない動きで避けた。いやいや、

 

「骨格可笑しいだろ!」

 

「そりゃそうだよ?私達羅刹四鬼は壮絶な修行に加えてレイククラーケンの煮汁を食べていたから体の操作は自由自在なのよ」

 

えー……そう言う問題か?でも、本人はそう言ってるし。

 

俺は胡散臭いと思いつつスズカを見てると別の人から声を掛けられた。

 

「いやいや、本当だからね?そんな胡散臭い顔しないの」

 

羅刹四鬼のメズさんが来た。

 

「やほー。何か楽しそうな事やってるじゃん?スズカ!次アタシがやるから宜しく」

 

「別に良いけど、私が終わらせちゃっても文句言わないでね?」

 

どうやら連戦になるみたいだ。だが……帝具使いじゃ無い奴らだ。

 

「今から来ても良いですよ?別に帝具使いじゃ無いんでしょう?俺、イェーガーズからガチ逃げして結構やれましたからね」

 

そう言って挑発する。

 

「へぇー、人は見かけによら無いとは言うけど……じゃあ、遠慮無く!!!」

 

そこから乱戦状態になる。幾ら骨格や体格を自由自在に操れたとしても、此方はアクセルブーストがある。

だから2人の攻撃を避け、受け流しながら隙を見て攻撃をする。

 

「いやー……正直びっくりしたね。帝具持って無いのにそんだけ強いとか。ちょっと自信無くしちゃうな」

 

「ふふ、そうだね。私達みたいな修行をやってた訳じゃ無いだろうしね」

 

そりゃそうだ。俺は別にビックリ人間じゃ無いからね。

 

「じゃあ……私達のもう1つの技を見せてあげよう」

 

メズが髪留め?みたいな物を外す。

一瞬の静寂…………ん?何か……2人がテカテカし始めたぞ?アカン……俺の危機察知センサーがヤバイと言ってる……気がする。

 

「何で……テカテカしてんの?」

 

「あ、気づいた?まあ油っつーかアタシの汗だね」

 

「骨格だけじゃ無く本当に体の操縦が自由自在なのよ」

 

成る程……よし!よく分かった!

 

「じゃあ、僕用事あるで……それじゃあ」ビシッ

 

そのまま2人に背を向けて道場を出ッ!

 

ベチャア!ベチャア!

 

「やめろよ!それめっちゃベタベタするだろ!暫くベタベタしたのに触れたく無いんだよ!」

 

ベタベタしたのを見ると……コロの腹の中を思い出す。

 

「まあまあ遠慮しないの。考えてみなよ…美女2人がベタベタしてる状況なんて滅多に無いんだよ?」

 

「そうそう、だから遠慮しないでね!」

 

その瞬間一気に接近してくる。

 

「来るな!」

 

俺はアクセルブーストを使い逃げる。しかし……俺……運が無いんだろうなぁ。2人が攻撃する度にローションが舞い、そして地面に落ちる。つまり……足場が無くなる訳だ。

 

ズリィー!

 

「あっ!しまった!」

 

ローション踏んで転けた。しかも……濃度高いローションだから立てない。

 

「た、立てない!はっ!……分かった!降参!降参します!だから……こっち来なくて……良いよ?ホラ!飴あげるからさ!」

 

「「………………ニヤァ」」

 

あ……………オワタ。

 

「そーれ!」

「キチンと止めは刺さないとね」

 

ベタベタの2人が来る。動けない俺………。

 

「いやああああーーー!!!」

 

この後3人でローション塗れのくんずほずれずな状態になり……結構楽しかったです。←

何か模擬戦もへったくれも無くなってどうでも良くなったよ。まあ……結構役得感はあったから良かったかな。結果良ければ全て良し!!

 

こうして羅刹四鬼2人との模擬戦?は終わった。………このベタベタした体と服どうしよう?

 

 

……

 

あの後着替えてから広場に来て暫くボーとしてる。すると1匹の小鳥が肩に止まった。

 

「チェル、暗殺決行は何日なんです?」ポン パク

 

棒付きのメロン味を出しながら聞く。

 

「教団の設立日になるよ。それまで私達の方でも地形を把握して動いてるから」

 

大体1ヶ月ぐらい先か……。

 

「分かりました。此方からは羅刹四鬼というかなり強い連中が街中で警戒及び攻撃を行ってます。イェーガーズは基本ボリックの護衛になってますが警戒の為街中に出ます」

 

「羅刹四鬼……うん、分かった。ありがとう……シュウくんは大丈夫なの?」

 

チェル……もといチェルシーさんは心配そうに聞いてくる。

 

「大丈夫ですよ。俺が動くのは設立日なのがわかりましたから。寧ろナイトレイドの方が危ないですよ?」

 

「……うん。でも、無理はしないでね?約束だよ」

 

「分かりました。約束します」

 

それを聞いてチェルシーさんは飛んで行った。

 

「チェルシーさん………嘘ついてゴメン」

 

無理するさ。例え……この命に代えてもな………。

 

「でも死にたく無いのが本音だよなぁ〜」

 

飴を咥えながらそうぼやくのだった。

 

それから数日経ったある日、羅刹四鬼のイバラ、シュテン、メズの戦死が確認された。

しかし、此方も反乱軍の密偵を討伐する。

 

「くっ!相手は1人だ!行くぞ!」

 

「囲んで仕留めるぞ!」

 

俺は今反乱軍密偵を発見してその討伐をしている。

 

「安心しろ……お前らの死は……無駄にはしない」パク

 

プリン味を咥えながらL85とM79グレネードの引き金を引いた。

 

相手の悲鳴が聞こえる。しかし確実に殺していく。

 

 

引き金を引くのに躊躇はしなかった。

 

 

「俺の邪魔は絶対にさせない……絶対にだ」

 

そう呟きながら確実に始末していった。

 

 

……

 

side セリュー

 

私は今羅刹四鬼のスズカさんと一緒に街中を警戒しています。しかし、ナイトレイドの姿は見えません。

 

「やはりこう人が多いと見つけるのは至難ですね」

 

「なら私高台から探してみようか?賊とか見分けれるし」

 

「そうですね。お願いします」

 

スズカさんはあっさり高台に登って行きます。

私は暫く街並みと人々を見ます。何と言いますか……帝都に比べて活気があります。でも特別裕福な感じには見えません。ただ…本当に人々に活気がある感じです。

 

「キュウ〜」

 

「うん……でも、今はナイトレイドに集中です!」

 

コロに心配されてしまいましたが気持ちを切り替えます。

 

「おっ!ねぇ、セリューちゃん!遠くに賊を見つけたかも!」

 

私はそれを聞いてスズカさんと一緒に賊の後をつける事にした。

 

……

 

旧遺跡 跡地

 

「あの女は……シェーレと一緒に居たナイトレイドのマイン。隣の奴は……仲間か」

 

私は考えます。この状況をどうするか。

 

「おっ!ビンゴだったみたいね。でも、持ち場を離れて良かったのかな?お仕置きが飛んでくるんじゃ無い?ハアハア///」

 

何故でしょうか……スズカさんは興奮してます。

 

「大丈夫です。臨機応変に対応する事は問題有りませんから。それに隊長達は直にボリック護衛してますから」

 

「………そう」

 

何故でしょうか……スズカさんがガッカリしてます。

 

「取り敢えず、コロ9番都市探知機」

 

「キュウ!」パカ

 

私はコロの口の中にある探知機を見ます。結果私達以外は誰も居ません。

 

「スズカさん!この事を隊長に報告お願いします。私はあの2人が動き出したら足止めします!」

 

「あーい!」

 

スズカさんを隊長の元に行かせます。

 

「そのまま動かないで欲しいけど……やっぱり動くよね。良し!コロ!2.7.8番の組み合わせで!」

 

「キュアーッ!!!」ガシャン ガキン ジャキン

 

コロを巨大化させ武装を装備させます。

 

「一斉射撃!!!撃て!!!」

 

「キュウウウ!!!」

 

ドドドドドドドドッ!!!バシュバシュ!!!

ドゴオオオン!!!ドゴオオオン!!!

ダダダダダダダダダダッ!!!

 

コロから色んな砲撃を飛ばして行きます……大丈夫かな……アレ?

都市探知機を見るとまだ反応はありました。

 

「コロ!あっちの方に逃げてる!逃さないで!」

 

「キュウウウ!!!」

 

更にコロから砲撃させます。

 

……

 

「コロ、行くよ!」

 

「キュウ!」

 

私はコロに砲撃を止めさせて近づいて行きます。都市探知機の反応は2つありますが1つは離れて行きます。多分スズカさんを追ったのでしょう。

 

「急がないと!スズカさんが危ない!」

 

私は近くの反応にある所に向かいます。そこに居たのは……ナイトレイドのマインでした。

 

「ナイトレイドのマインですね。大人しく投降しなさい!今増援を呼んで直ぐに駆けつけて来るでしょう」

 

「………そう。やっぱりアンタ、他の連中と何か違うわよね。因みに投降はし無いわ!」

 

マインは投降の意思は無くパンプキンの銃口を此方に向けます。

 

「浪漫砲台パンプキン……貴女が窮地に陥れる程威力が増す帝具ですね」

 

「そうよ!何よ、今更怖気付いたの?」

 

私は考えます。倒す事も必要です。しかし、今はスズカさんが増援を呼びに行ってる。なら!

 

「コロ!手は出さ無いで!」

 

「キュウ!!!……キュ?」

 

「なっ!」

 

更に私はトンファガンの弾を抜きます。そして……トンファーを放棄します。

 

「ッ!アンタ…まさか!」

 

「コレで……貴女の窮地な状況は緩和されましたね」

 

パンプキンの最大長所を潰します!そして私は……素手喧嘩でいきます!

 

「それでも、遠慮はし無いわよ!」

 

マインはそう言いながらパンプキンで此方に射撃します。

 

ババババババババババッ!

 

私は右へ左へと避け、遺跡の残骸を盾にしたりしながら距離を詰めます。

 

「キュウ!キュウ!」

 

コロが声を掛けてきますが、まだダメです!

 

「行きます!」

 

「ッ!近づかせない!」

 

私は更に近づいて行きます!確かにマインの射撃は正確で弾幕もあります。でも……シュウくんの動きの方が速い!!!

 

「ハアアアアアッ!!!!」

 

私は地面を蹴り土埃でマインの目潰しをします!

 

「くっ!距離を!」

 

取らせません!行きます!!!

 

「やあああああ!!!」

 

間合いに入った!

 

「貰います!!!」

「くううううう!!!ガハッ!!!」

 

私は自分のありったけの技をマインに打つけ吹き飛ばします。しかし…

 

「クッ!被弾しましたか……やはりパンプキン相手に無手は無理がありましたね。コロ!援護して!」

 

「キュウウウ!!!」ジャキン

 

マインを仕留めようとしたその時でした。

 

「うおおおおお!!!やらせねえぞおおおお!!!」

 

ドゴオオオン!!!

 

「コロ!!」

 

ナイトレイドのもう1人が戻ってきました。スズカさんは………クッ!

 

「コロ!一旦引くよ!マインに向けて弾幕張って!」

 

「キュ、キュウウウ」

 

ドドドドドドドドッ!!!バシュバシュ!!!

ドカアアアァァァァン!!!

 

私はマインに向けて撃つようにコロに言います。恐らくインクルシオの方が助けるでしょう。今の内に撤収です。

 

ナイトレイドを捕らえる事は出来ませんでしたし、スズカさんも……失ってしまいました。でも、今は逃げてこの事を隊長に伝えなくては。

それに、インクルシオはブラートでは無く別の男性でした……何処かで見た様な……気がしますが気の所為でしょう。

 

こうして私達は無事撤収を完了し隊長に報告しました。スズカさんは残念ながら遺体も見つかりませんでした。

しかし…数日後に帝都で出会い悲鳴を上げてしまったのは恥ずかしかったです///

 

side out

 




Qこんな感じにイェーガーズが強くなっててナイトレイドは大丈夫か?

A大丈夫…だ。も…問題…問題…無い?かな?←


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戦争への引鉄

side シュウ

 

羅刹四鬼が全滅した。そして、セリューさんがナイトレイドと戦闘した後負傷した。

羅刹四鬼を倒したのは流石だと思った。あの身体能力保持者を倒したのだ。ナイトレイドの戦闘力は未知数だと言えよう。しかし…そこそこ交流のあったスズカさんとメズさんを失った時は少々気落ちしてしまったが。

でも、セリューさんが無事で良かったのは確かだ。マインにタツミ相手に良く逃げれたものだと感心したぐらいだ。やはりセリューさんも強くなってる。特に冷静な判断をする様になってから無理しなくなってるし。

 

次の日、セリューさんのお見舞いの品物を買う為に街に出た。フルーツ盛り合わせと甘くて冷たい飲み物でも買って行こう。

 

「お姉さん、このフルーツとコレとコレの盛り合わせを下さい。お見舞いで使うので」

 

「はーい!分かりました」

 

それから少し街外れの高台にある遺跡に来た。特に意味は無く、唯何となく来ただけだった。強いて言うなら街を眺めたかったからかな。

暫く眺めてると後ろから数人の気配がした。そちらに視線を向けると…教主様が居た。

 

「何だ…教主様か………………教主様!?」

 

「あ、お気になさらずに。楽にしていて下さい」

 

びっくりした。何でこんな所に来てるんだか。

 

「しかし、コレも何かのご縁でしょう。折角ですから数分お話を良いですか?」

 

「勿論構いませんよ。ささ、此方にどうぞ」

 

取り敢えず隣の席を進める。

それから他愛の無い話をする。実は一応顔合わせはしている。まあ流石に安寧道本部に居るわけだからね。なので俺がイェーガーズなのも知っている訳だ。それから俺は軽く自分の今の近況を話す事にした。今でもイェーガーズに戻ると必ず鎖を付けられるとか、ウェイブが俺に対する憎しみ故に帝具が進化してダークヒーローみたいになってるとか。

下らない話だったが真剣に考えて相談に乗ってくれてたのは嬉しかったです。

 

「そう言えば、安寧道は教主様が1代目でしたよね?」

 

「はい、そうですよ。私は生まれつき他人の傷を癒したり予知夢を見たりする不思議な能力を持っていたんです。そうして治したり、予言したりするうちに私を奇跡の人と崇めてくれる方々が増えてきて……。そんな皆さんのてで安寧道が作られて今に至るのです」

 

「治癒能力に予知夢ですか……」

 

この人………帝具使いか?いやでも……能力2つが全く繋がり無いから違う?

 

「しかし、中々な能力のお持ちで。ウチの隊長は帝具使いと言いますか……危険種使いみたいな感じ何ですよね。こう氷を操る能力何ですよね………あれ?」

 

教主様て……もしかして危険種の生き血飲んだタイプ?

…………これ以上考えるのは止そう。俺の野生の感が警告出してるし。

 

「まあ、教団の維持は大変でしょうけど頑張って下さい」

 

「ええ、幹部や信者の方々の為にも私なりに頑張って行きますよ」

 

教主様の心の器は広そうだ。

 

「所で……予知夢を見られるそうですね。なら、これから先どうなるか知ってますか?」

 

「………そうですね。ですが、私の予知夢はごく稀に外れる時もあります」

 

「そうですか……まあ、でも安心して下さい!貴方は必ず俺が守りますよ!」

 

(だから……帝国に反乱する時は頑張って信者を煽って下さいね?)

 

俺は営業スマイルで自分の内心を隠す。

 

「さて、それでは自分はこれで失礼します。中々楽しく話せて良かったです。ありがとうございます。それでは」

 

「ええ、此方こそありがとうございます」

 

こうして俺は教主様と別れた。ただ……あの人優しすぎる人だから反乱してくれるかな?……まあ、なる様になるか。

そんな事を考えてると再度声を掛けられた。

 

「シュウさん、背負い続けるのは立派な事です。誰にも出来る事ではありません。しかし…誰かに頼ってみては如何でしょうか?きっと……貴方の見る世界が変わる筈です」

 

「それは……予知夢ですか?」

 

教主様は頷く。そうか……

 

「お気遣いありがとうございます。考えておきます」

 

そう言って再度歩き出す。取り敢えず今の忠告を含めて考えを一旦保留にして、セリューさんの為に冷たいジュースを買う事にした。

 

 

……

 

side 教主

 

私は彼の夢を見た。とても…悲しく、辛い夢でした。そして彼の最後は……ですが、彼の周りには素敵な女性の方々が居るようです。ですから全てを背負う必要は無いのです。

 

「私の予知夢が外れる事を祈ります。貴方の在り方に涙を流す人達は多いです。ですので……どうか」

 

私は祈りを捧げます。例え……変えれる事がなくとも私に出来ることはこの位なのですから。

 

side out

 

side シュウ

 

教主様と出会いの後、俺はセリューさんに会いに来ていた。

 

「セリューさん。これ果物と冷たいジュース」

 

「わあ!ありがとうございます!」

 

「キュウ!キュウ!」

 

「あ、ごめん。コロの分すっかり忘れてたわ」

 

「ギュア!!!」ガーン

 

何かコロの顔がスゲーショック受けた顔してる。

 

「それで、怪我の具合は?」

 

「お腹に被弾しまして、でも内臓系は無傷だったのが救いでした」

 

「そっか。今はゆっくり休んで下さい。あ、果物食べます?」

 

「頂きます」「キュウ!」

 

「おう!コロの分も剥いてやんよ!」

 

セリューさんは問題無いようだ。恐らく次の戦闘には出れる筈だ。ナイトレイドは厳しい戦いになるだろうなぁ。

 

それから更に数日が経つ。ナイトレイドは静かで来る気配は無い。しかし…恐らく強行して来るだろう。

少し広場で黒刀を振るってると小鳥が此方を見ている。俺は黒刀を振るうのを一旦止める。すると肩に止まった。

 

「まずは此方から。セリューさんとコロは護衛に出ます。ただ、セリューさんはまだ完治して無いので後方に配置されると思いますが。後、まだ誰が何処に配置されるか分かりません。恐らく配置については当日前夜になるかと」

 

「そっか、分かった。こっちはこの前の戦いでシェーレが右腕を失って、今は反乱軍本部に戻ってるよ」

 

マジかよ……でも、そうだよな。

 

「それと、暗殺決行は明後日になるよ。ボリックが大聖堂で夜通し祈りを捧げる日が月に一度有るから。その日に私達は動くよ」

 

明後日か……よし!

 

「分かりました。俺も準備しておきます?あ、後………エスデス将軍の奥の手を教えます。『マカハドマ』と言いまして、時空を凍らせてその場に居る人を停めます」

 

「ッ!……なに……それ」

 

流石に動揺は隠せないみたいだ。

 

「なので、必ず攻撃は受けると考えて下さい。ただ、1日1回が限度みたいです。何とか凌げれば良いんですけどね。序でに言いますと、この技を知ってる人は限られてます」

 

と言うか……俺しか知らないんじゃ無いかな?

 

「なのでブラフとして使えれば良いかと」

 

「………シュウくんは大丈夫なの?」

 

「勿論」

 

大丈夫な訳が無い。しかし…やるしか無い。

 

「そう……。今回はかなり厳しい戦いになる。だけど、この暗殺を成功させれば安寧道は反乱を起こしてくれる。そうすれば、それに乗じて西の民族と私達反乱軍も一斉に行動を起こす」

 

「分かりました。必ずボリックを仕留めましょう」

 

それを伝えるとチェルシーさんは飛んで行った。

 

「…………………………」

 

言葉は出なかった。ただ、今は無心で黒刀を振り続けた。

 

 

暫く黒刀を振るっているとエスデスさんとランさんが此方に来た。

 

「シュウ、鍛錬か?」

 

「あ、エスデスさんにランさんお疲れ様です。そうです、もう直ぐナイトレイドも来るでしょうから少し復習も兼ねて」

 

「ほう…そうか。なら、久々に私直々に相手をしてやろう。ランまだ時間はあるな?」

 

「はい、大丈夫です。それに自分もシュウくんの強さを見てみたいですしね」

 

そんな感じで鍛錬場に来た訳だ。

 

「あの時はお前の実力を把握出来てなかったからな。思いっきりぶつけて来い!」

 

「エスデスさん相手に手加減しても意味無いのは骨身に沁みてますからね!行きます!!!」

 

とは言うものの切り札の殺気とナインブーストは使わないがな!

 

エイトブースト!!!

 

接近しながら黒刀を振るう。エスデスは氷の槍を此方に飛ばしてくる。

 

「見えてるんだよ!」

 

黒刀で弾きながら隙間を縫って更に近く。

 

「やはりお前の動体視力は素晴らしいな!」

 

エスデスは剣を抜き此方に近く。

 

「行くぞ!」「来い!」

 

黒刀と剣が交差する。フェイントも入れながら振るうも氷の壁が邪魔をする。

 

(やっぱり勢いをつけて振るわないと氷は砕けれんな)

 

ウェイブのグランシャリオを砕けたのは相手も此方も勢い良く突っ込んでたからだ。

 

「やっぱり強いですね!勝てるビジョンが見えませんよ!」

 

そう言いながらマグナムを撃つ。

 

ドオォン!ドオォン!

 

「直ぐに武器を切り替え対応するのも良いことだぞ!」

 

氷の壁にヒビを入れて黒刀を振るい砕く。しかし剣で受け止められてしまう。

 

(やっぱり段違いで強さの次元が違う……帝具もそうだけどエスデス自身が1番ヤバイ!)

 

兎に角自分のありったけの技をエスデスに打ち付けたのだった。

 

 

……

 

「ぐは!……ハア、ハア……もう…無理」ドサ

 

力及ばす倒れる俺。

 

「シュウ……お前の強さはかなりの物だ。そもそも、私と戦って此処まで粘れたのだ。寧ろ誇れ」

 

エスデスさんはいつも通りだった……いや、少し服が傷付いていた。

 

「………服だけかぁ……キツイなぁ」

 

そう呟き空を見上げる。

 

「ふふ、まぁ私は強いからな!その私の服に傷付けただけでも上出来だ!さあ、今はゆっくり休むと良い。ラン、水とコップはあるか?」

 

「はい、此方に」

 

いつの間に用意してたか分からないが……出来る男はやはり違うな!」

 

「氷は私が入れてやろう!」

 

そう言ってコップに氷を生成してくれるエスデスさん。

 

「ありがとうございます。頂きます」

 

「では、シュウ。私達はそろそろ行くからな」

 

俺が水を飲むのを確認した後、エスデスさんとランさんは鍛錬場を後にした。

 

「………………ナイトレイド、マジで大丈夫かな?」

 

いやー、ちょいと厳しすぎませんかね?色々さ。

 

尚更俺がボリックを仕留める必要があると思ったのだった。

 

 

……

 

それから2日後。俺は自分の武器を再度チェックする。L85、M79グレネードランチャー、黒刀、ククリナイフ2本、煙幕弾とグレネード各2個、そしてM60ニューナンブ。

 

M60は右腕の袖の下に隠し、他はいつも通りに装備する。

 

「良し!なる様になるしかねえ!行くぞ!」

 

俺は自分に気合をいれて大聖堂に向かった。

 

 

大聖堂

 

イェーガーズの配置はウェイブとセリューさんが表で防衛。ただ、セリューさん自身はまだ怪我が完治して無いのでコロの後ろで指示を出す感じだ。ランさんは空から警戒。そして、エスデスさん、クロメちゃん、俺は中で待機組だ。

しかし大聖堂は中々の広さだ。それにガラスもこれまた美しく魅入ってしまうだろう。しかし、そんな所で戦闘するとはな。

 

「随分と罰当たりだなぁ」パク

 

ジンジャエール味を出して加える。え?そんな場所で飴を食べるなって?大丈夫だって、どうせ此処も派手にボロボロになるさ!←

 

そんな感じに自己弁護してると衛兵が連絡に来た。

 

「た、大変です!賊が数名、突然中庭に現れて!」

 

「やはり今晩を選んだかナイトレイド、読み通りだ」

 

「な、中庭!?直ぐそこでは無いか!」

 

衛兵の言葉にビビるボリック。まあ、自分が殺されるかも知れないからビビるわな。

 

「クロメ、シュウはボリックを徹底マーク。離れるな!」

 

「「了解!」」

 

「しょ、将軍!将軍が直に守って下さい!しかもあの男は頼りになりませぬ!お願いいたします!」

 

頼りになら無いとは失礼な!アレか?最初の第一印象が悪かったかな?

 

「普段顔を立ててやってる分デンとしてろ。みっともない。それに、シュウはお前の持つ私兵の誰よりも強いからな!」

 

そう言ってハイヒールをボリックの顔面にめり込ませる。痛そう(小並感)

 

そうして暫く待っていると、遂にナイトレイドが来た。ナジェンダ、レオーネ、イケメン帝具だ。

俺…イケメンの名前知ら無いんだよな。

 

「久しぶりだな。ナジェンダ」

 

「エスデス…」

 

現将軍、元将軍が睨み合う。

 

「折角来たんだ。私の帝具を馳走してやろう!その後色々話そうでは無いか……拷問室でな」

 

「遠慮しよう。お前とはあまり口を利きたくない」

 

「つれない奴だな。奥の手も用意したんだぞ?」

 

「奥の手………」チラ

 

ナジェンダが此方を見る。だからウインクした。

 

「ふっ……時空を停めるのだろう?それは厄介だな」

 

「ッ!!……ナジェンダ……お前何処でそれを?」

 

流石に動揺してしまうエスデスさん。

 

「言う訳が無いだろう?レオーネ!スサノオ!行くぞ!!」

 

「おお!」「了解した!」

 

ナイトレイドは戦闘の構えを取る。

 

「チッ!まあ良い。後で拷問室で話して貰う……行くぞ…………ナイトレイド!!!」

 

パチンッ!

 

その瞬間氷の塊が上に出来る。

 

「俺の後ろに!!」

 

イケメ……スサノオは氷の塊を一気に砕く。

 

「どんな力持ってるんだ?」

 

L85を構えながらつい言ってしまう。

 

「これはどうだ?」

 

氷の矢を飛ばすエスデス。しかし、スサノオは難なく対処する。被弾しても直ぐに修復するのも帝具ならではだろう。

 

「お前……報告にあった生物型帝具か?フッ!これは俄然面白くなってきたな!」

 

「此方からも仕掛けるぞ!」

 

「ああ!!」

 

スサノオとレオーネはエスデスに対し攻勢を仕掛ける。

正直な話、助けてやりたいのはある。だが、俺はボリックを殺す事がメインだ。だからクロメと屍を何とか動かしてくれれば良いんだが……。

 

アクセルブーストで見るとエスデスの動きについて来れてない。

 

ドドドドドドドドッ

 

レオーネに向け射撃しつつエスデスの攻撃範囲からズラす。

こんな感じにしか援護出来ない。しかもやり過ぎると此方が怪しまれるし。

この攻防だけでもナイトレイドの損耗は激しい物だ。特にスサノオはモロに攻撃を受けていたし。

 

「中々面白い素材達を見つけたものだ。確保するとしよう」

 

エスデスは氷の波を出してナイトレイドを分断する。と言うか、この状況で確保出来るエスデスの戦闘力には唖然とする。

 

「お前には聞きたい事が沢山ある。特に奥の手に関してはな!」

 

「グッ!」

 

ナジェンダが首トンされる。ナジェンダを救おうとするレオーネも叩き潰される。そしてスサノオは!

 

「凍れ…」

 

バギイイィィン!!!

 

「捕獲……完了」

 

圧勝だった……言葉が出ないくらい圧倒的だ。

 

エスデスはレオーネに近付く。そしてレオーネの体を切り刻み始める。

 

「エスデスさん!何やってるんですか!」

 

流石にこれには声を掛けざるを得なかった。

 

「こいつの治癒能力には興味があってな。見ろ、もう修復し始めてる」

 

「だからと言って!」

 

くっ!やはりこの人の業は半端ないな。どうする?……いや、落ち着け。俺はボリックを殺すのだ。だから………

 

その時エスデスが身体を下げる仕草をする。そして現れたのはインクルシオを装備したタツミだった。

 

「インクルシオか…!中身はブラートでは無いのは知っている。だが、一度戦ってみたかったぞ!」

 

エスデスはそう言うとタツミに攻撃を仕掛ける。タツミも何とか攻撃を捌くが直ぐに吹き飛ばされてしまう。

 

「グッ!!」

 

「そんなものか!インクルシオ!!!」

 

しかし、ナジェンダが何かをしようとしていた。そして、

 

『禍魂顕現』

 

ナジェンダからスサノオにエネルギーが渡ってる?

 

「ナジェンダ?………何をしている?」

 

「ここまで生き残ってる私達は皆しぶとい。氷漬けにしたからといって油断しない方がいいぞ…………行け!スサノオ!ボリックを倒せ!!!」

 

バギイイ!!!

 

「私の氷が…奥の手か!しかし、あの状態から発動できるとはな!」

 

スサノオとタツミが一気にエスデスを攻める。しかし……届かない。

 

2人が吹き飛ばされるもスサノオは大剣を召喚して此方に向かって!!

 

『天叢雲剣!!!』

 

エスデスは氷の壁を作り大剣の勢いを止める。

しかし…

 

「よっと。ボリックさんご無事で?」

 

「あわ、あわわわ」

 

………もう少しビビらせれば逃げるな。

 

先程の攻撃でボリックは救えたがクロメの護衛のマスクがやられた。しかし、金髪美女は健在だ。

 

「戦闘を楽しみ切れんとは………護衛任務は今後はやらんぞ」

 

エスデスの頭上に氷の槍の塊が出来始める。

 

パキ パキパキ

 

ズオオオオオ!!!

 

えっと……多すぎません?

 

「もう、捕獲はせん。核ごとすり潰してくれる!」

 

大量の氷の槍がスサノオに向かう。

 

「最強の攻撃力をその身で味わえ!!」

 

『八咫鏡!!!』

 

エスデスの攻撃を反射する。

 

『八尺瓊勾玉!!!』

 

そしてそのまま此方に接近するスサノオ。

 

だが……ボリックは俺の獲物だ!黒刀を握り迎撃態勢を取る。

 

「私の前では全てが凍る」

 

 

『摩訶針特摩』

 

 

エスデスが奥の手を使ったのを聞いた……次の瞬間、スサノオに剣が刺さっていた。

 

そこから先はエスデスの圧倒的な力によりナイトレイドを叩き潰していった。そして……誰も立ち上がらなくなった。

そんな中ボリックがレオーネに近づこうとする。

 

ドガッ!ズザザザアァァ

 

「ホゲェ!な、何をする!」

 

俺はボリックを壁際まで蹴り飛ばす。

 

「何するじゃねえよ。此処は危険区域だぜ?そんな中勝手に動かれては困るんだよ!空気読めや!」

 

ガシャアアアアアン!

 

ナイトレイドのアカメとマインが窓から浸入して来た。

 

「このタイミングで新手か!」

 

氷の塊を向けるがマインの砲撃により爆散する。

そして、そんな中アカメが此方に来る!

 

ガキイイイン!

 

黒刀で対処しながらアカメに言う。

 

「ボリックに近付くぞ」「ッ!」コク

 

そのまま刀を交えながらボリックに近付く。しかし、クロメも乱入して更に混沌と化す。

 

ドガッ!!

 

「ふぐううう!!」

 

バギッ!!

 

「ひぐううう!?」

 

クロメの攻撃を邪魔しながらアカメをボリックの方に誘導しつつボリックを蹴り飛ばす。

 

そして……ボリックは逃げ出した。

 

「…………ッ」パチン

「……………」コク

 

俺はアカメにウインクをする。アカメもそれを察してクロメに集中する。

 

俺はボリックを追ったのだった。

 

 

……

 

side ボリック

 

「はあ、ひい、はあ……あ、あんな所にいたら命がいくつあっても足りぬわ!」

 

私は隠し通路を走ってる。このまま大聖堂から逃げ切れば安心だわい!

 

「おやおや?大聖堂から離れるのは危ないですよ?……ボリックさん」

 

「ッ!な、なんだ貴様か。なら貴様は私の護衛をしろ!何の為のイェーガーズだ!将軍以外使えんのか!」

 

私はこの小僧に何度も蹴り飛ばされたのだ。全くもって許し難い!大体最初初めて会った時から頼りない奴だったんだ!

 

「いえいえ、此処の方が危ないんですよ。大聖堂にはエスデスさんやクロメちゃんが居るからまだ、安全なんです。だけど……此処には居ないんですよ」

 

「何を言ってる!貴様が私を守れば良かろう!」ドン

 

な、何だ?

 

そして……

 

 

 

ボスッ

 

 

私の胸に……衝撃が………

 

「だから言ったでしょう?此処より大聖堂の方が安全だと」

 

ボスッボスッ ボスッボスッ

 

更に衝撃が……走る……力が抜ける。奴の手には銃が握られていた。

 

「き、さま……まさか………裏切……り………」

 

「最初から貴方を殺す事を考えてましてね。ようやく来たチャンスですからね」

 

その台詞を聞いた瞬間……私の意識は暗転した。

 

side out

 

side シュウ

 

M60を袖の下にしまいC4爆弾を3kgぐらい生成する。そして遠隔操作の端末を差込準備完了。

 

「それじゃあ、さよならボリック。あんたの死は精々利用してあげますよ」

 

そう言ってスイッチを押した。

 

 

 

ドカアアアアアアアアアアン!!!!!!

 

 

あ、これ……ヤベェかも!

 

ナインブーストを使い大聖堂に逃げたのだった。

 

……

 

何とか大聖堂に向かった時にはスサノオしか居なかった。

 

「自らを盾として仲間を逃す時間を稼ぐか。ナジェンダの部下は甘い奴ばっかりだな」

 

「俺は帝具人間だ。奥の手も使い切った……この役目は適任だ」

 

「………お前名前はスサノオでいいのか?」

 

「…そうだ」

 

ジャッ!!

 

「帝具ではなく戦士としてその名を覚えておいてやろう!」

 

「…………」

 

「命の散り際…その最後のあがきで!楽しませてみせろ!!!!」

 

「おおおおおおおおお!!!!」

 

 

ガキイイイン!!!!!!

 

 

結果はスサノオの敗北に終わった。だが、あの戦いを見れた事は忘れはしないだろう。

そして……恐らく俺も疑われるだろう。特にエスデスの奥の手に関しての情報は………。

 



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ラブコメです

イェーガーズはボリック暗殺を防ぐ事が出来ないまま帝都に帰還する事になった。

今回の件はイェーガーズ…と言うよりエスデスとシュウの間に確執が生まれるのは必然に思われていた。エスデスの奥の手をナイトレイドが知っていた事、そしてその奥の手はシュウにしか見せていない事。

更にボルスの死を偽り報告したシュウは流石に不味いと判断していた。遅かれ早かれ逃走する事を決めていた。

そしてシュウは逃走を図ろうとしたものの……

 

「あの……そろそろ抱きしめるのは「ダメだ」………oh」

 

帝都に帰還中もそうだし、戻ってからもずっと一緒に居る状態なっていた。

エスデスは馬鹿ではない。寧ろ頭の回転は速い方だ。なので誰が情報を漏らしたのかはわかってる筈。しかし、それを分かった上での行動だとすれば将として失格だろう。だが、恋する乙女にそんな事は関係無い!

更に四六時中くっ付いてるエスデスとシュウを見てヤキモチを焼くセリューも混ざり、更に場が混沌と化してしまっていた。

 

因みにボルスの妻子は家には居らず、家の中はもぬけの殻状態であった。帝都警備隊は捜索したものの見つける事は出来ず、人攫いにあい行方不明になったと判断し現在その繋がりのある組織を洗い出し中らしい。

 

(ボルスさん……やっぱりアンタは優しすぎるよ)

 

そんな風に内心シュウは思いつつ、エスデスに抱き締められながらこの状況をどうするか考えるのだった。

 

side シュウ

 

イェーガーズ本部 執務室

 

俺は今首輪に鎖が繋がった状態でランさんとチェスをしていた。

 

「で、鎖は外してくれないんですよね?」コト

 

「隊長命令ですからね」カタ

 

「しかし…ランさんは違うと信じてますよ!」コト

 

「すみません。私もまだ死にたくありませんから」カタ

 

そう、エスデスさんは再度イェーガーズに対し鎖を付けるよう指示を出したのだ。

 

「ですよねー」コト

 

「そうなんです」カタ

 

「………本当……如何してこうなった」コト

 

「確かにシュウくんだけに集中してるのは可笑しいですね」カタ

 

表向きの理由はボリック暗殺を防げなかった為。でも本当の理由はナイトレイドとの繋がりがある可能性があるからだろう。

 

「やれやれ、参りましたな」コト

 

「まあまあ、鎖だけで済んで良かったと思えば良いのでは?」カタ

 

確かにそうだよなぁ……そして、負けそう。

 

チェスに集中してると扉が開いた。誰が来たかと思えばセリューさんが来た。

 

「あ、あの…シュウくん、ちょっと良いかな?」

 

「勿論良いですよ?」

 

「えっと……その」チラ

 

チラッとランさんを見るセリューさん。それを察して席を立つランさん。

 

「私も大丈夫ですから。はい、セリューさんこれ鎖です。それではシュウくん」

 

ランさんはそう言って席を外した。ヤダー空気読める男とかス・テ・キ///

 

「それでね…時間あるかな?」

 

「ありますよ」

 

と言うか今は暇なのよね。

 

「じゃ、じゃあ!明日…わ、私と一緒に、帝都の見回りに行かない?///」

 

何故か顔を赤くするセリューさん。

 

「勿論良いですよ。明日ですね。何時頃行きます?」

 

「えっと…じゃあ10時頃に行こう!」

 

「分かりました。じゃあ10時に此処で待ち合わせで良いですか?」

 

「うん!じゃあ明日ね!それじゃあ、私準備があるから!」

 

そう言って直ぐに部屋を出て行ったセリューさん。

 

「………あ、久しぶりに1人になれたわ」

 

そんな風に考えながら再びチェスに目を向けるのだった。どうすればこの状況から逆転できるか考える為だ。

 

 

次の日、俺は通常通りの格好をする。ただ、武器に関しては黒刀とククリナイフとL85だけにしている。

 

「シュウくん、お待たせ」

 

「あ、セリューさ…………よく似合ってますよ」キリッ

 

其処にはワンピース姿のセリューさんが居た。緑色をベースにしたワンピースにアクセサリーに腕輪とペンダントをしていた。そして靴はヒールを履いてより大人っぽい雰囲気が出ていた。

 

「あ、ありがとう///じゃあ、行こっか///」

 

そう言って手をチョロっと出すセリューさん。

勿論握ります!いや、握らせて頂きますとも!!!

 

こうして俺たちは帝都見回りという名のデートに行くのだった。

 

 

……

 

そして俺達がやって来たのは、ホストに行くきっかけになったお洒落な喫茶店だった。

 

「じゃあ、俺はこの紳士の……まあ、後これで良いや」

 

「なら私はこの貴婦人の午後の優雅な時間とミルクティーで」

 

この喫茶店、メニューもお洒落にしてるつもりなんだろうな。でも、内容分からないよ……。

 

暫く待っているとケーキと紅茶にミルクティーが来た。

 

「そう言えば、イェーガーズに入ってからこんな風に話すのは中々無かったから少し新鮮ですね」

 

「う、うん。でも、初めてシュウくんに会った時は迷子だったからね。まさか、そこからイェーガーズに繋がるなんて全然想像出来ないよ」

 

確かにそうだよなぁ。

 

「ははは!まあ、イェーガーズに入ったお陰でセリューさんと会えたのは良かったですよ」

 

「ふえ!///い、いきなり……そんな…恥ずかしいコト……///」

 

俺の台詞に顔を赤くするセリューさん。いかんいかん。ついホスト時代の癖が……。

 

それから少しお喋りしながら喫茶店を出て、帝都のメインストリートに来ていた。

 

「ねえねえ!この服とかどうかな?」

 

「似合ってますよ。と言うか、セリューさん可憐何ですからこの服も似合いそう」

 

「か、可憐///」

 

それからウインドショッピングをしたり、セリューさんの元同僚達に出会い「セリューを宜しく頼む」と握手されながら言われ「分かりました!絶対に泣かせません!」と言ったらセリューさんに同僚諸共ビンタ喰らったりした。

 

楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。気が付けば夕暮れになっていた。

 

「シュウくん!コッチに来て下さい!」

 

「分かりました!何処までもついて行きますよ!」

 

手を握られながらとある古びた教会に来た。その教会に入りそのまま上に向かっていく。

そして……

 

「シュウくんにこの景色を見せたかったから……」

 

「おお!これは綺麗ですね」

 

夕暮れのオレンジ色が帝都の街を染めている。そして空も薄い紫色でまるで、ファンタジーの世界だ。

 

「私、小さい時良くこの景色を見てたんです。辛い時や悲しい時。そんな時に見ると何となく楽になったんです。でも、帝都警備隊に入ってから……全然見に来てなかったんです」

 

「そっか……此処はセリューさんにとって大切な場所なんだね」

 

「うん……。私……シュウくんに会えて本当に良かった。だって、あのままシュウくん出会わなかったら……きっと何も考えずに悪を殺してたと思う。ううん、殺してた。だけど……相手の信念を感じたりする様になったら色々変わったの」

 

「セリューさん……」

 

「本当に色々シュウくんには助けられてるの……だからシュウくん……私はシュウくんが好きです///」

 

その瞬間セリューさんは俺にキスをした。

一瞬なのか…それとも長くキスをしたのか良く覚えてない。ただ、夕日はすっかり隠れてしまっていた。

 

「じゃあ……帰ろっか」

 

「えっと……俺は……その」

 

「シュウくん。私、隊長もシュウくんが好きなのは知ってる。だからシュウくんも真剣に考えて欲しいの。そして……結論が出たら教えて……私、待ってるから」

 

「………分かりました。真剣に考えます」

 

「うん…」

 

そう言いながら手を差し伸べて来た。だから握り返し、そのままイェーガーズ本部まで戻ったのだった。

 

side out

 

 

……

 

帝都警備隊 詰所

 

「緊急!緊急案件です!」

 

「如何した!何があった!」

 

1人の隊員が息を切らして全員に言った。

 

「セリューが……セリューが……教会の所で恋人とキスしてた!!!」

 

一瞬の静寂…そして、

 

「「「「「な、何だってー!!!」」」」」

 

「やっぱり今日決めると思ってたわ」「くそ!マジかよ!あの恥ずかしがり屋のセリューが」「今日はめでたいな!よし!飲もう!」「俺も付き合うぜ?」「あ、私も!」

 

こうして帝都警備隊全員にこの話が伝わり、更に街中の住民にもそれが伝わり、セリューが街を見回る際に至る所でおめでとうと言われる事になった。

この件に関してセリューは顔を真っ赤にして街中に言いふらした帝都警備隊に対しコロをけしかけるのだった。

 

 

……

 

「キュウ〜」

 

因みに今日のコロはセリューの部屋でお留守番でしたとさ。

 



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帝都にタンブル・ウィード現る

ボリックが暗殺されて3ヶ月が経過した。

遂に安寧道が帝国に対し武装蜂起したのだ。更に安寧道の信者や帝国に虐げられた多くの者が各地で呼応する形となった。

時を同じくして西の異民族が大軍で帝国に侵攻して来たのだ。

 

しかし、帝国も対応に乗り出す。西の異民族に対しエスデス軍を派遣し侵攻を防ぐ。

そして、人員不足を補う形でワイルドハントなる組織が結成されたのだった。

 

帝都市内

 

side シュウ

 

「帝都の中はまだまだ平和って感じだな」

 

「……そうだね」

 

「危機管理が無い…と言うか、エスデス将軍にブドー大将軍が居るから安全だと思ってるんじゃ無いかな?」

 

「でも、そのお陰で帝都に混乱が無くて良かったです」

 

「キュウ!」

 

俺たちはイェーガーズは適当な喫茶店でケーキを食べながら喋っていた。

 

「なぁ、いつまで気落ちしてんだよクロメ」

 

「…だって肝心な時に役に立てなかったから」

 

「確かに俺たちは任務に失敗しちまったよ。だからこそ隊長が居ない今、しっかり帝都の治安を守っていかないと」

 

「そうですよ!此処で名誉挽回すれば大丈夫です!」

 

「キュウ!キュウ!」

 

ウェイブとセリューさんとコロがクロメちゃんを元気つける。

 

「ほら、俺の分のケーキもやるから!」

 

「!……そうだね。2回も敵に吹き飛ばされたウェイブが切り替えてるんだから私も切り替えなとね!」

 

ドスッ!

 

「お…おう」

 

今何か刺さった音が聞こえた。

 

クロメちゃんも元気が戻ったみたいで良かった。

近くでピエロの大道芸がやっていた。ピエロ姿か……まだ仇は取れてないんだよな。

昔立ち寄った町で子供が殺される事件が起きた。しかも………その殺されるまでの過程がな。そして子供を殺された親から頼まれたのだ。仇を討って欲しいと。

 

何と無くピエロを見てるとランさんも近くでピエロを見ていた。ウェイブが話し掛けに行ったけど直ぐに此方に戻って来た。あ、そうだ。

 

「セリューさん、帝都に太っピエロ姿の男性を見た事ありますか?」

 

「ッ!!!」

 

「え?うーん……見た事は無いですね」

 

「そうですか……まぁ見つけたらイェーガーズ権限で確保して貰って良いですか?ちょっとそいつに用事が有りましてね」

 

そう言って俺はケーキを食べようとする。するとランさんが話し掛けて来た。

 

「シュウくん……その太ったピエロに何の用事があるんですか?」

 

「ん?………秘密」

 

再度食べようとしたが……腕を掴まれて止められた。

 

「シュウくん……答えて下さい」

 

ランさんの目が真剣だった。

 

「………敵討ちを頼まれたんだよ」

 

「ッ!……敵討ち……ですか。ありがとうございます」

 

そう言って腕を放すランさん。もしかして……ランさんも関係があるのか?

 

憶測で物事を考えてみるが……よく分からないので保留にする。そしてケーキを食べようとしたが………無くなってた。

 

「キュウ?」モグモグ

 

「お前が犯人か!」

 

俺はコロのホッペをプニプニしまくった。

 

 

……

 

それから数日が経ち色々情報が入って来た。悪い意味でだが。

新しく組織されたワイルドハントだが………帝都を荒らしまくってるらしい。この情報を聞いたセリューさんはワイルドハントに殴り込みに行こうとしたが皆んなで抑えた。

更に南の反乱軍も暴れており中々帝国にとって厳しい状況だろう。

 

俺は黒刀とククリナイフ以外の武器を武器屋に預けて簡易メンテナンスして貰った帰りだ。

そろそろ帝都から逃げないとな……でも、セリューさんに対して俺は如何する?一緒に逃げる?無理だ。セリューさんは帝都市民を守る為に残るだろう。それが彼女の信念だ。

 

暫く考えながら歩いていると……秘密警察ワイルドハントと出会った。うん…多分ワイルドハントだろう。顔合わせして無いからね。

 

「ようようよう!これは役立たずのイェーガーズじゃねえかよ。しかも…よりによってお前かよシュウ!」

 

「………?」

 

顔にバッテンマークが付いてる奴が話し掛けてきた。誰だ?

 

「ほう、あやつはイェーガーズなのかえ?」

 

「おう……。てな訳でだ……久しぶりだなシュウ。テメェに舐められた借りは返させてもら「お前誰?」……は?」

 

一陣の風が吹く。更にタンブル・ウィードが転がっていく。

 

タンブル・ウィード?アレって……西部劇とかにあるヤツじゃあ……。

 

「…ッ……ッ!て、テメェはよぉ……何処まで人を舐めりゃあ気がすむんだよ!シュラ様だ!思い出し「いや知らない」………ッ!」

 

一陣の風が吹く。更にタンブル・ウィードが2個転がっていく。

だからアレってこの帝都にある物じゃ無いからね!

 

「……シュラ殿。ヤツはお主と知り合いなのか?」

 

「知り合いじゃねえよ!彼奴はな!俺様をコケにしやがったんだよ!!」

 

何やらワイルドハントはギャーギャー騒いでいるが……帰って良いかな?

 

「おい、シュウ……この俺様を……シュラ様をよお!覚えてねえのか!」

 

俺は頷く。と言うか……後ろにいる太ったピエロ……彼奴仇じゃね?

 

「…ッ!……俺は!……大臣の息子だぞ!!!」

 

息子だぞ!!!

 

息子だぞ!

 

息子……

エコー音

 

「……………あぁ、ファザコンか。今思い出したわ」

 

「「「「「ファザコン?」」」」」

 

ファザコンと言ったらワイルドハント全員がシュラを見た。

俺はそれを尻目に昔を思い出していた。

 

 

……

 

あれは西の国に居た時だっただろうか。首切りザンクと戦う3ヶ月前だったかな。

当時は確かに15歳。西の街中を歩いていたらカップルに絡んでる奴が居た。

 

「へえ……お前中々美人じゃねえかよ。決めたぜ。お前今から俺のオモチャにしてやるよ」

 

「ひっ!嫌!離して!」

 

「ウッ……グッ…………」

 

男性が倒されており、女性が拉致されかけていたのだ。

 

「いやー、普通はナンパするだろ?何で拉致しようとしてんだよ。て言うか、彼氏持ちの女性に手は出さねえだろ」

 

「あ?……何だテメェ」

 

「常識人ですけど何か?」

 

これがファザコンとの最初の会話になる。

 

「おい、俺様に舐めた態度取ってると如何なるか分かってんのか?ああ!」

 

「拉致しようとしてる犯罪者に偉そうに言われる筋合いはねえよ」

 

俺たちは睨み合う事になる。その間にカップルは何とか逃げようとするも男性が中々立ち上がれない。

 

「このシュラ様を前に良い度胸してるじゃねえかよ!俺様はオネスト大臣の息子だぞ!!お前が俺様に楯突いたからお前の家族、親族、全て皆殺し決定だよ!!!ギャハハハハハ!!!」

 

「…………居ねえよ」

 

「ハハハハハ……ハ?」

 

俺の台詞に笑いが止まるファザコン。

 

「だから居ないから……家族も、親族も……全部」

 

野次馬もそれを聞いて沈黙する。

 

「てな訳で……覚悟は良いか?」

 

「は?ふざけんじゃ「ドコォ!」ほぐあ!」

 

ドカ!バキ!ボグ!バシバシバシ!!!

 

確かに反撃も来たがアクセルブーストを使えばあら不思議!相手の動きが見えてしまうんです!便利でしょう?

 

「おい、聞こえてるか知らねえが言っとくわ。帝都に戻ってパパに泣きつけよ。パパ〜!僕一般人にのされたの〜だから助けて〜ってな!ハハハハ!かっこ悪(真顔)」

 

意識があるか分からんが一応言っておいた。

 

ファザコンをボコボコにした後、カップルの男性の方を介抱した。2人から「ありがとうございます!」と何度も言われたのは印象に残ってたな。

 

 

……

 

「てかさ、ファザコン……結局自分の切り札が通用しなかったんだろ?で、お父さんに泣きついたのか?」

 

「ウルセェ!!!お前!マジで殺す!」

 

ま、普通言えないよな。まさか一般人にのされました〜何て。俺でも恥ずかしくて言えないわ。

 

場の雰囲気が最悪な状況なのに更に追加が入って来た。

 

「ワイルドハント!貴様ら!よくも先生とその家族を…!我ら皇拳寺の門下生として、例え法で罰されても必ずお前達を討つ!!」

 

皇拳寺の門下生はワイルドハントと……俺を囲んだ。

 

……ん?ちょっと待て。

 

「俺はワイルドハントじゃねえよ!間違えんな!」

 

そう言って門下生側に入る。

 

「え?……えと……ええい!ワイルドハント!覚悟!」

 

「江雪……如何やら食事の時間になりそうだ」

 

「こいつら、おととい壊したオモチャの仲間か……いいねぇ、忠義の士だねぇ。お前ら手ェ出すな「ドゴォ!!」ほぐう!!」ドサアアァ

 

俺はファザコンを殴り飛ばした。周りが沈黙する。

 

「良し!一件落着!」

 

「いや、どこが一件落着じゃ!」

 

何やらロリっ子が言ってくる。

 

「おいおい、今ファザコンが命令しただろ?「手ェ出すな」てさ。なら、ファザコン連れて引き上げなよ。俺が……お前達を見逃してやるよ」

 

殺気を出しながら言う。それに反応するワイルドハント。辺りは一触触発状態だ。しかし…

 

「イェーガーズだ!何をやっている!」

 

その時ウェイブの声が聞こえた。

 

「お!ウェイブじゃん。ランさんも居るのね」

 

「シュウくん…またやらかしたんですか?」

 

「待て!その言い方だと毎回問題を起こしてるみたいじゃ無いか!」

 

そんな事言ったら何を今更みたいな顔された。

 

「なん……だと……?」

 

ば、バカな……俺の様な……模範的な人間が何処にいる?いや、居ない!

 

「シュウくんは模範的な人間では無いので」

 

「ランさん!心を読まないで!」

 

取り敢えず門下生は解散させ、ワイルドハントもいつの間にかファザコンを回収して消えていたのだった。

 




タンブル・ウィード
西部劇などで登場するコロコロ転がってる草。
日本語では「回転草」と呼ばれれるオカヒジキ属ヒユ科の植物。
また近年では大量発生しており、転がりすぎて子供達を喜ばせちゃうタンブルウィード。


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物は言い様

あの後周りの片付けをやっていたら街の人達から感謝された。ワイルドハントを撃退したイェーガーズは頼りになるとか、流石エスデス将軍率いる部隊は違うとか。

ねぇ、知ってる?ワイルドハントはイェーガーズの補強部隊として出来てるんだぜ?

それからイェーガーズの執務室に戻りランさんから説教を受けていた。

 

「畜生……エスデスさんが居ないから説教はもう無いかと……」

 

「そんな甘い事はありません!兎に角、表立ってワイルドハントに喧嘩を売らないで下さい」

 

「売ってないよ!寧ろファザコンが絡んで来たんだよ!」

 

「シュウ、そのファザコンてなに?」

 

クロメちゃんが聞いてきたので簡単に話した。

 

「成る程…面識があったのですね。しかも最悪な形で」

 

「お前なぁ、如何して何時も厄介事の中心に居るんだよ」

 

「まあまあ、シュウくんもわざとじゃ無いんだから」

 

「………自業自得」

 

散々な言われようだ。セリューさんしか味方が居ない!

 

「キュウ?」

 

「お前も居たな」ヒョイ

 

何となくコロを持ちあげたのだった。

 

「でも……あんな警察が許される国っておかしいだろ……」

 

ウェイブか唐突に言う。

 

「今回は俺がファザコンを殴り飛ばして終わらせたけど……他の所は結構酷いんだよね?」

 

「そうです。警備隊の同僚から聞きましたけど、罪をでっち上げて好き放題やってるとか……許せません!」

 

「キュウ!」

 

「………そうですね。この国はおかしい。間違ってるからこそ変えなければいけません」

 

ランさんの雰囲気が殺気立っていた。

 

「………ラン、最近のお前マジで様子が変だぞ」

 

「……………」

 

「と言うか、そろそろ何を考えているのか話しても良いんじゃない?」

 

「………そんな大層な事は考えていませんよ」

 

「じゃあ話しても大丈夫だね」

 

クロメちゃん上手い!そしてランさんの話はきになる!

全員でランさんに詰め寄り話を聞く態勢になる。

 

「………分かりました」

 

そこからランさんの過去の話になる。

元々教師だったランさんはジョヨウと言う比較的豊かな地域で治安もすこぶる良い場所だった。子供達も勉学に打ち込むゆとりがある為、将来有望な場所でもあった。

しかし、ランさんが留守の間に子供達は皆殺しにされていた。更に悪い事にジョヨウの役人は、治安最高の地方都市の名目の為にこの事件を闇に葬った。

 

この事があり、ランさんは国を中から変える事を決意し現在に至る。

 

「とにかく、死んだ生徒達の為にも……私は帝都でものし上がって権力を手にしなくてはいけません」

 

ランさんはそう締めくくった。この後ウェイブもランさんに協力すると息巻いており明るい雰囲気になったのだった。

 

 

……

 

深夜。そんな時間にランさんとクロメちゃんが逢いびきしていた。

……いや、冗談だよ。たぶんワイルドハントの所に向かったのだろう。

 

「やれやれ、表立って喧嘩を売らないでとか言っておきながら自分は裏から喧嘩を売るとはね」

 

そう呟きながらコーヒー味の飴を出しながら気配を消しながら後をつけて行った。

 

……

 

それからワイルドハントの詰所に行ったランさんは太ったピエロ……名前はチャンプだったな。そいつを連れて廃墟に行った。

そして、廃墟に入って行った……いや、如何考えても殺す気満々でしょう?

思った通り廃墟から爆音や銃声、更にチャンプの野太い悲鳴が聞こえて来た。ランさんやってんなぁ。

 

暫くしてランさんは廃墟から出て行った。恐らくクロメちゃんの所に向かったのだろう。

俺は廃墟に入りチャンプの様子を確認しに行った。一応敵討ち頼まれてたしね。

 

「ゔ……ぐっ……あの……ヤロヴ……許さねえ」

 

あらら、まだ生きてたのね。

 

「大丈夫ですか?酷い怪我してますね」

 

「ッ!テメェか……今はテメェに……構ってる暇がねぇんだよ!!!失せろ!!!」

 

元気そうで何よりです。

 

パンッ

 

「……あ?」

 

俺はM60ニューナンブでチャンプの胸を撃ち抜いた。更に、

 

パンッ パンッ

 

頭に2発撃ちこむ。チャンプは倒れる。その身体に更に心臓に2発撃ち込んだ。

 

「トドメはキチンと刺さないとね」

 

最後の締めにマグナムで頭を撃ち抜いたのだった。

 

……

 

side ラン

 

ドオォン!

 

「ッ!銃声?」

 

私はクロメさんを持ち上げながら廃墟に視線を向ける。あの銃声は…シュウくんの銃?

 

「オラオラ!余所見してる余裕があるのかよ!」

 

エンシンが此方に真空の刃を飛ばしてくる。

 

「クッ!」

 

何とか避けクロメさんを地面に降ろします。

 

「ありがとう!」

 

「いえ、まだ来ます!」

 

そんな時でした。

 

ドドドドドドドドッ!

 

「うお!新手か!」「きゃっ!危ないな!もう!」

 

この銃声は間違いありません。

 

「真打登場!何つって」

 

シュウくんが来ていました。如何やら尾行されていたらしいですね。

そんな時でした。ワイルドハントのコスミナが狙撃されました。

 

「狙撃だ!!物陰に!!」

 

そうシュウくんは言うと狙撃が来た方向にグレネードを撃ち込みます。

 

「なんだ!?」

 

「おおおおおおお!!」

 

「ナイトレイドか!!」

 

エンシンはインクルシオの攻撃を避けますが、その隙にアカメが接近。そして…

 

ザンッ!!!

 

「ぐうっ……つ………つえぇ………」

 

エンシンはアカメに敗れました。やはり……強いですね。しかも…戦力差は此方が不利ですし。

 

「シュウくん!クロメさん!此処は一時撤退します!」

 

「ッ!」「分かりました!煙幕を喰らえ!」

 

シュウくんナイスアシストです!

 

私はそのままシュウくんとクロメさんを抱いて上空から撤退しました。

 

……

 

「いやー、まさか本当にワイルドハントに喧嘩を売るとは……いや、売る所か殺しに行ってましたね」

 

「え……えぇ…まぁ」

 

「……………」ポリポリ

 

私達はイェーガーズの執務室でシュウくんからお説教を受けてました。

 

「そう言えばランさん昼に言ってましたよね。表立って喧嘩を売らないでと……裏からなら良いんですか?いやー、大人って汚い!汚いわ!」

 

何故かオネエ口調になるシュウくん。

 

「貴女もよ!クロメちゃん!全く……2人揃ってもう!」

 

「……ツーン」ポリポリ

 

クロメさんは反省する気は無いですね。

 

こうして……私の子供達の敵討ちは取れました。後はこの国を中から変える事に集中して行きます。勿論、ワイルドハントも注意して行きます。

 

「あ、因みにチャンプまだ生きてたので此方で仕留めましたから」

 

「………本当にすみませんでした」

 

今回は流石にシュウくんに頭が上がりそうにありません。

 

side out



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執念と思いの天秤

ここ最近の状況はワイルドハントは今や王宮に引き篭もり、帝都は比較的安定を取り戻した。そして西の異民族討伐に向かっていたエスデスさんが帝都に戻って来た。

それからナイトレイドの手配書を見るとタツミとラバックの手配書は無かった。セリューさんはタツミを見た筈だが……それよりマインの方が気になり、うる覚え状態だった様だ。

一応書いて貰ったらしいが明らかに違う為今回は帝都警備隊のみの配布となったらしい。

 

しかし……如何見てもタツミじゃねえよな。なんでチョビ髭が有るんだ?

 

 

……

 

side シュウ

 

1週間後 イェーガーズ本部

 

流石にそろそろイェーガーズ……と言うより帝都から逃げないと不味いよな。

飴を咥えながらそう考える。

もう全面戦争まで秒読みだ。例えエスデスさんが帝都に戻てたとしても反乱軍の侵攻に変わりは無いだろう。

セリューさんには申し訳無い……だが、果たすべき事は果たす。例え歴史に残らなくとも構わない。賛辞なんて要らない。俺は……皆んなの無念を果たすまでだ。

 

俺はそう結論付けた。最低野郎だな……俺は。

 

そこからの行動は我ながら早かったと思う。

たまたま今日は皆んなイェーガーズの本部に居なかったのだ。だから自分の武装を全て持ち、後はお金を少しだけ持ち残りは放置。着替えも無しで行くわけだから流石に逃げるとは思わないだろうな。

首輪に付いてる鎖はいつの間にか外される様になっていた。まぁ王宮までつける意味はあんまり無いからな。

 

「皆んな……さようなら」

 

俺は誰も居ない執務室を後にしたのだった。

 

 

……

 

帝都郊外

 

帝都郊外まで来た。後はこのままフェクマに行く事にする。彼処はそこそこ危険種や木の実が有るから食べ物には苦労しない筈だ。

 

そう考えてると1組のカップルが居た。こんな時間にイチャつくとは許せんな……イェーガーズ権限で逮捕したろうか?………ん?アレ?

 

「………もしかして………タツミと……ラバック?……なのか?」

 

「ッ!な、なんだシュウかよ」

 

「脅かすなよ。心臓に悪い」

 

そいつはすまなかった………でもお前ら……。

 

「付き合ってるの?」

 

つい聞いてしまった。だって……ラバックの奴女装してるんだよ?

 

「馬鹿野郎!んな訳あるか!」

 

「勘違いするな!」

 

必死に否定する2人。大丈夫だ……俺はちゃんと理解してるぜ!

 

「いや絶対勘違いしてるよな!違うからな!」

 

「分かってるって。恋愛は自由だ。だから……俺達は友達だぜ!」(優しい眼差し)

 

差別なんてしません!絶対にだ!

 

「だから違うって言ってるだろうが!」

 

「じゃあ何やってんだよ?」

 

聞いてみたら帝都内の偵察らしい。

 

「チェルシーさんは?」

 

「チェルシーは今帝都内の偵察と情報収集に行ってるよ。流石にチェルシーだけに任せっぱなしなのもな」

 

「そっか……ま、チェルシーさんにも宜しく伝えといてよ。それじゃあ頑張れよ。じゃあな」

 

「お前は何処に行くんだ?」

 

タツミが聞いてくる。

 

「俺はフェクマに行くんだよ。まぁ……そろそろきな臭くなって来たからな」

 

「そっか……まぁ、それはそれで俺達からしたらラッキーだよな!」

 

「そうだな。シュウが居なくなればイェーガーズの戦力は更に下がるしな」

 

その時だった。

 

パキイィィィィ!!!

 

「「「!?」」」

 

「シャンバラ!!!」

 

バシュウウウゥゥゥ!!!

 

……

 

………

 

「な、なんだ!……て、此処は宮殿じゃ無いか!」

 

まさか嵌められたのか!

 

「そうだよ!お前ら2人は罠に掛かったって訳だ!!」

 

「マジかよ!」

 

シュラ……だったかな?の攻撃を避けるラバック。しかし、

 

ドッ!!

 

「峰打ちですまぬ…江雪」

 

「ッ!」「ラバ!!」

 

更にタツミに……羅刹四鬼のスズカが抱きつく。てか、生きてたの!!

ついでにロリっ子がタツミに抱きつくが……アレは噛み付いてる!

 

「…ッ!イッインクルシオオオオオ!!!!!」

 

タツミはインクルシオを装着する。しかし……俺は如何する?まだイェーガーズを抜けた事はバレてない。それに、俺を完全無視してるのが証拠だ。

 

「ほう……ナイトレイドか。まさか宮殿にまで来るとはな」

 

そうだった……エスデスさんが帰ってたんだ。

 

「…この殺気。誰だ宮殿内で騒ぐのは」

 

ブドー大将軍まで………。

 

「ワイルドハントの待ち伏せ。プラス騒ぎを起こせばすぐ最強クラスが駆け付けてくるセキュリティ……詰みだぜ!そして、手柄はこのシュラ様のモンだ!!!」

 

俺は……如何する?タツミ達を攻撃する?じゃ無いと……怪しまれる。

 

「お二人さんよ!!コイツはナイトレイドだ!!生け捕りにして仲間の情報を吐かせる!殺すのは後だぜ!!」

 

そうさ……切り捨てる事が正しいんだ。そうだろう?俺は死ぬ訳には行かないんだ。

 

 

友達を見捨てるのか?

 

 

友達ならまた作れば良い。だから……これで良いんだ。

 

 

あいつら見殺しにしたら反乱軍の士気は低下するよ?

 

 

大丈夫だ。此処まで来たんだ……今更引く訳無いだろう?士気ぐらい如何にでもなるさ。

 

 

タツミは透明化してシュラ、スズカ、ロリっ子を纏めて吹っ飛ばす。

 

 

本当に良いのか?

 

 

ああ………良いんだ………コレで。

 

 

タツミはラバックを背負う。しかし…エスデスが一気に接近する。

 

「逃がさんぞ!ナイトレイド!!!」

 

「ッ!!」

 

 

また逃げるのか?大切な者を見捨てるのか?

 

 

俺は……俺は……ッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

「チクショオオオオオオ!!!!!!」

 

ドドドドドドドドッ!!!

 

「ッ!……シュウ!何を!?」

 

俺はエスデスに向けて発砲した。

 

「クソッたれ共があああああ!!!!」

 

更にブドー大将軍にも発砲。その時!

 

「シュウ!テメェ!裏切りだったか!!!」

 

シュラが一気に接近する。しかし、シュラの攻撃を紙一重で避け蹴り飛ばす。

その時だった……シュラのポケットから帝具が見えた。アレだ!

 

エイトブースト!!!

 

俺はエイトブーストを使い一瞬で帝具を盗む。

 

「タツミ!!!脱出するぞ!!!」

 

「シュウ!!!」

 

俺はラバックを背負ってるタツミに向けて帝具を向ける。

 

「取り敢えず安全な場所に運んでけえええ!!!」

 

カッッッ!!!!!!

 

俺は前方に帝具を使用する……そして、タツミとラバックだけが……消えた。

 

「なっ!俺は!?…ッ!そうか!」

 

確か…シュラの奴は地面に向けて使ってた筈だ。なら!

 

「こうか!!」

 

俺は直ぐに地面に向けて帝具を使う……が動かない。

 

「ッ!このポンコツが!!!」

 

その時殺気を感じた。

 

「江雪、馳走の時間だ」

 

「これでも喰らえ!」

 

俺はポンコツ帝具を投げ視界を遮る。そしてマグナムを握る。

 

ザンッ!!!!

 

「拙者は江雪一筋…ッ!」

 

侍が帝具を斬り捨てる。だが、時間は稼げた。俺はマグナムの引き金を引いた。

 

ドオォン!!!

 

「イゾウ!!!」

 

更に俺はマグナムでスズカやロリっ子、シュラに牽制しリロードしながら考える。

 

(どうする…どうする?先ずは1人殺れた。だが、もう逃げれる状況じゃ無い)

 

しかし…考えても答えは出ない。更に…

 

「シュウ!何故だ!」

 

「エスデスか!」

 

黒刀を抜き対処する。

 

「何故…裏切った?」

 

「裏切りる?はっ!俺は最初から帝国の敵だよ!」

 

俺はエスデスと斬り合う。上、右、左と更に速い斬撃を交えていく。

 

(絶対に距離は開けない!開けたら集中砲火確実だ!それに……今が切り札を使う時だ!)

 

幾重の斬撃を交えさせる俺とエスデス。その姿はさながら演舞の様だっただろう。

 

(ッ!此処だ!エスデス覚悟!!!!)

 

ナインブースト!!!

 

更に加速。それに目を見開くエスデス。

そして黒刀を上段から振り下ろし1番の殺気を出す。

エスデスは……その殺気に食いついた。

 

ガキイィィィィン

 

エスデスは剣で防ぐ。そして黒刀が空を舞う。

 

「?…ッ!!!!」

 

手応えが無く違和感を感じたのだろう、気付くのが速い。しかし…手遅れだ。

俺はマグナムをエスデスの胸に押し付ける。そして……

 

 

カチ

 

 

引き金に指を掛けた。その時だった……今までのエスデスとの思い出が……走馬灯の様に見えた気がした。

 

 

 

 

 

一瞬の静寂

 

 

 

 

 

 

カチ

 

 

カチ カチ カチ

 

俺は…引けなかった。

 

「ッ!………ッ!ッ!」

 

しかし、その隙を見逃す相手じゃ無い。エスデスは右手で俺の腕を掴もうとする。咄嗟に避けるもマグナムは掴まれてしまう。

 

「凍れ!」

 

パキパキピキ

 

マグナムが!

 

俺はククリナイフを抜きエスデスに向け斬り込む。だが…氷の壁が邪魔をする。それだけでは無く、氷の壁を動かされククリナイフ一本手放してしまう。

 

「距離を!」

 

俺はグレネードを撃ち込む。一瞬だけ視界は遮る事が出来た。

 

「ま……マジか……俺……こんな時に!」

 

俺はエスデスを殺せなかった事……引き金を引けなかった事に意識を向けてしまった。その時だった。

 

ドシュウ!

 

「ッ!ガハッ!!……スズカ…か」

 

「余所事を考えてる余裕が有るの?」

 

スズカは爪で俺の太腿と横っ腹と肺を刺した。

 

「クソが!!!」

 

左手に持つグレネードを捨てL85を向ける。しかし…ロリっ子が俺の左腕を噛む。

 

「ッ!!このロリがああ!!!」

 

ククリナイフを振り下ろすも避けられる。そして……左腕に力が入らない。

更に悪いことは続く。

 

「陛下の宮殿で暴れる者は私の帝具が裁く」

 

「ッ!」

 

 

『アドラメレク』

 

 

避けられない。そう悟った。足を負傷して機動力が鈍ってる俺に……この攻撃を避ける術が無いと。

だから最後の抵抗をする。右手に持つククリナイフを盾にしてバックステップをする。だが……間に合わない。

 

 

そして………

 

 

パキイィィン!!!

 

ククリナイフが折れた。

 

ドボッ! ガゴオオン!!!

 

ブドーの拳とパイルが俺の腹に食い込む。

 

 

バチィィィィ!!!!

 

 

「ッッッ!!!!!!」

 

俺は……意識を………失いかけた。

 

……

 

………

 

「ッ………ッ!………」

「………………………」

「……………ッ……」

 

ボヤける視界の中声が聞こえる方に視線を向ける。3人ぐらいが固まってるのが見える。

俺はもう一つの切り札……M60を取り出す。

 

「……はぁ……ぐぅ…………」

 

痛い……身体中に焼けた鉄を入れられた感じだ。だが……

 

チャキン

 

目に力を入れて照準を……シュラに向ける。そして……

 

 

 

 

 

パンッ

 

 

 

1発の弾丸がシュラに向かう。その弾丸は……奴の心臓を撃ち抜いた。

 

「ッ!……ッ!ッ!」

 

何言ってるか分からん……だが、コレだけ言っとく事にした。

 

「テメェ……は、道……連れだ……」

 

そのまま意識が暗転した。

 

 

……

 

………

 

気がつくと俺は牢屋に居た。身体はまだ痺れて動きそうに無かった。

 

(タツミ……ラバック……無事かな………俺…こんな事する……柄じゃねえよな……)

 

暫く天井を見てると声が聞こえた。

 

「お!気がついてるみたい」

 

「それなら話は早いの」

 

そこにはスズカとロリっ子が居た。

 

「何だ……お前らか……尋問しに来たか?……残念だったな……俺から何かを聞き出せると思うなよ」

 

と言うか……話す事無いんだよね。

 

「それも有りじゃが違うぞ。捕虜の運命と言えば尋問か慰み者と決まっとるじゃろ」

 

「お姉さん達2人で少年捕虜を思う存分辱めようってこと」

 

そう言いながら近づく2人。てか……お姉さん?

 

「1人は分かる。だが……ロリっ子よ……無理に背伸びするなよ」

 

「妾はお主より年上じゃ!」

 

あー、この子無理して背伸びするタイプだわ。

 

「そうか……ほら、飴やるから無理すんなって」ポン

 

唯せさえ体力消耗してるのに飴を上げる。しかし、後悔はして無い。

 

「要らんわ馬鹿モン!」

 

「あ、じゃあ私が貰って良い?」

 

「ダメじゃ!これは妾が貰った飴じゃ!」

 

結局食べるロリっ子。

 

「さて、気を取り直して……責めるのは私の趣味とはちがうけどね///」

 

「あのインクルシオの奴もそうだったが、妾は性欲とは縁遠かったがの。お前らの血を吸って熱くなったわ///」

 

このロリっ子……やっぱり腕を噛んで血を吸ってたのか。それで力が抜けたのか。

 

て、んな事考えてる場合じゃねえ!これはピンチだ!貞操的な意味で!

遮る者も邪魔する者も居ない……つまり……卒業しちゃうんですか!←

 

こんな状態でもスケベ心は健在で何よりです。

 

「それじゃあ…いっただきまー……」

 

あぁ、キスから始めるんですね〜←

 

 

ゴッッッッ!!!!!!

 

ドクドクドク

 

そこにはエスデスが居た。スズカ?壁と熱いキスしてるよ。そして……エスデスのオーラが半端無いぐらいヤバいんですけど。

 

ギロッ

 

「今後…シュウに指一本触れるなと仲間に伝えておけ」

 

……………ヤベ……漏らしそう(本音)

 

「…分かった。こちらは遊び…やり合う気はないのじゃ」

 

そう言ってロリっ子はスズカを連れて出て行った。

 

残されるエスデスと俺。

 

「……えと……じゃあ、僕もこの辺で………」

 

身体の痺れ?どうでも良いわ。兎に角俺も逃げる!

 

「まて!お前は行く必要は無い!」

 

ですよねー

 

「全く……色々言いたい事、聞きたい事は沢山あったが……」

 

ぎゅっ

 

「お前が無事なのを見れて全て吹っ飛んだ。シュウ……無事で……良かった………本当に………」

 

「エス……デスさん……?」

 

震えてる?…いや、泣いてる……のか?

 

………そんな事が……あって堪るか!

 

バッ!!!

 

「ッ!シュウ?」

 

「もっと……もっと……非道になれよ!アンタは傲慢で自己中で……周りの事は気にしない!そして……戦闘狂で弱肉強食を象徴する人だろうが!!!」

 

そうさ……この人は……俺の知り合いの半分は殺した人だ!

 

「だから……優しくするな!俺は……アンタの敵なんだよ!最初からな!敵なんだ!そんな事……エスデス……アンタが良く分かった筈だ」

 

「………………シュウ」

 

そう、最後……黒刀を振り下げた殺気は本物だ。間違い無く本物なんだ!

 

「全てを奪われた……このクソみたいな時代に……帝国に。そして、そんな時代が大好きなエスデス。はっ!相性は最悪だね!………分かったら失せろ……顔も見たく無いんだよ」

 

「………………………」

 

エスデスは俯いて帽子のツバで表情が見えない。

暫く俺の息づかいだけが聞こえる。

 

「シュウ……それでも私はお前を愛してる」

 

「ッ!……世迷い……事を!」

 

「なら……お前は……どうなんだ?何故……あの時、私を撃たなかった?」

 

「……………それは」

 

何故撃たなかった……か。言える訳が無い。

 

「た……偶々、指が……攣っただけです」

 

「そんな嘘が私に通用するとでも?」

 

………………。

 

「なら……少し待っていろ」

 

そう言ってエスデスは牢屋から出て行く。そして直ぐに戻って来た………俺のマグナムを持ってだ。

 

「さあ……撃ってみろ」

 

そう言って俺にマグナムを渡す。

 

「…………何のつもりですか?」

 

「言葉通りだ。今なら指は攣ってはいまい……さあ…撃て」

 

そう言いながら此方に近づく。そして……俺の手にマグナムを握らせ……胸に銃口を当てた。

 

「…ッ……正気じゃ無い……こんな事」

 

「わざわざお前の為にあの時の状況を再現したのだぞ?……それに、この距離なら私は死ぬだろう。流石に氷の壁も……この距離だと意味が無いからな」

 

それを分かっていながら………クソッ!

 

「クッ……撃てるさ……ああ!撃てるさ!!後悔して……死んで行け!!!」

 

俺はマグナムを握る力を入れる。人差し指にトリガーを掛ける。

 

その瞬間……様々な思い出が見えた。今度はハッキリと見えた……見えてしまった。

 

 

初めて会った時、甘味所で一緒にデザートを食べた時、抱き枕にされた時、模擬戦をしてボコボコにされた時、一緒に上空から見た景色、南の島での探索、それから帰還する旅の出来事、恋人専用イベントで優勝した時、混浴した時、ホストに来てくれた時……

 

 

 

 

そして、キスした時

 

 

 

 

 

 

あぁ、そうか………俺は………この人が好きになってしまったのか。

仇を好きになるとか……何処の恋愛小説だよ。

 

 

 

 

 

 

ガシャン

 

 

マグナムは床に落ちていた。

 

「…………………………」

 

言葉は出なかった。

 

「シュウ………」

 

ぎゅう

 

ただ、何も言わずに抱き締めて来るエスデスに反抗する気は無かった。

そして……何故だろうか………涙が止まらなかった。

復讐…信念……それらを果たす事が出来無い自分が不甲斐なく泣いてるのか……それとも、好きな人と今居られる事に安堵しているからか……俺には分からなかった。

唯、今はこの温もりに甘える他無かった。

 




遂に……此処まで来たか………

さあ、この後の展開は……どうしよう?←


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シュウが選んだ道

シュウが牢獄されてる間、ワイルドハントは戦力を大幅に低下する事になった。

先ずはイゾウ。マグナムに心臓を撃ち抜かれ即死。そしてシュラも心臓を撃ち抜かれたものの、口径が小さいのが幸いしたが現在意識不明の重体だった。

 

side ドロテア

 

「それで大臣よ、本当に良いのか?」

 

「ええ、構いませんよ。息子もまた動ける様になるなら本望でしょう」

 

妾はシュラの状況を大臣に伝えたら「じゃあ、強化して使える様にして下さい」と言われたのじゃが……。

 

「本当に本当に良いのか?強化すると言う事はじゃな、理性を無くすと言う事じゃぞ?コスミナと同じになるのじゃぞ?」

 

自分の息子なんじゃからもう少し何か言うと思うのじゃが。

 

「構いませんよ。それで反乱軍を足止め出来る様になるなら安い物です。確かに息子には期待してました。現に貴女を呼んだ事は高く評価しています。しかし……帝具を持って無い者に殺られるとは……。ま、また一から息子を作りますから」

 

「………そ、そうか」

 

改めて思うが……帝国の末期には言葉がでんわい。

 

妾は改めてコスミナとシュラを見る。コスミナには賢者の石を使っておるから攻撃に使えるが、シュラの方はまだ始めたばかりじゃからな。まだまだ時間は掛かるが決戦には間に合うじゃろう。

 

side out

 

こうしてドロテアと大臣は様々な事をこなして行き反乱軍に備える事になる。

イェーガーズもシュウが戻ら無い事に戸惑いがあったもののエスデスにより混乱は無くなる。

そして、ナイトレイドも不安に包まれていた。

 

side チェルシー

 

私は帝都内の偵察を終えて郊外の集合場所に向かったが誰も居なかった。流石に不味いと判断した為、小鳥に化けて周辺を捜索したがタツミもラバックも見つけれなかった。

だから私はナイトレイドのアジトに戻り状況を伝えた。

 

「帝都のタツミとラバックが戻って来なかったのか……」

 

「うん、私も集合場所に暫く待ってたけど……来なかったの」

 

「ワイルドハントを見つけて戦いになってるとか?」

 

レオーネが戦闘の可能性を指摘する。

 

「分からない。私も空が捜索したけど戦闘音すら無かったし、そんな痕跡も無かったから」

 

「……タツミ、ラバック」

 

皆、意気消沈としてしまう。

 

「私、今から帝都のシュウくんに会ってくる。それでタツミ達の状況が分かるかもしれない」

 

「待てチェルシー、危険だ。タツミとラバックが戻って来ない以上何かに巻き込まれたのは必然だ。今は……大人しく情報を来るのを待て」

 

ボスがそう指摘する。

 

「でも!直ぐに分かった方が良いでしょう?もし、ワイルドハントに捕まってたりしたら……」

 

私の言葉に皆沈黙してしまう。

 

「………分かった。だが、行くなら明日だ。今日は絶対に行くな……良いな」

 

私はそれに頷く。

タツミ…ラバック……お願い生きてて。

 

しかし、状況は一変する。それは伝書鷹だ。

 

「これは革命軍本部から?…………………ッ!チェルシー……良い知らせと悪い知らせがある」

 

ボスは私を名指しで言う。皆も首を傾げる。

 

「先ずは良い知らせだ。タツミとラバックは今革命軍本部に居るそうだ」

 

え?革命軍本部?

 

「如何やらワイルドハントに嵌められたらしいが無事脱出出来たみたいだな」

 

ボスの台詞に皆安堵する。

 

「良かった……」「全く!タツミにラバックは本当に迷惑が掛かるんだから!」「とか言いつつめちゃくちゃ心配してたのはマインだったよ?」「そ、そんなわけ無いでしょう!」

 

取り敢えず無事なのが分かりホッとする。

 

「そして悪い知らせだ……。我々ナイトレイドには基本的には関係無い形になる。しかし…そうでは無いだろう」

 

「ボス如何いうこと?」

 

マインが聞く。

 

「……イェーガーズのシュウがタツミとラバックを逃す手助けをした。そして……一緒に脱出して居なかった」

 

……………………え?

 

「ボス、それって如何いうこと?」

 

レオーネが先を促す。

 

「タツミとラバックは反乱軍本部の近くに転移されたが、シュウは見つからなかった。もしかしたら後から脱出したかも知れんが……恐らく宮殿に取り残された可能性が高い」

 

その台詞を聞いて目の前が真っ暗になる。

 

「そ…そんな。だったら今直ぐ「落ち着け!」で、でも!」

 

「良いか、今はダメだ。先ず最初に転移された場所が宮殿だ。そして今は厳戒体制を敷いてる筈だ。鼠1匹たりとも見逃さないだろう。先ずは情報収集だ!帝都内に居る内偵者に連絡して調べさせる。チェルシー…お前も明日、帝都内に偵察に行ってもらう。良いな?」

 

「………了解」

 

ボスの言葉がイマイチ頭に入らなかった。けど、今日から暫くは宮殿に侵入するのは厳禁なのは分かった……。

 

「シュウくん………どうか無事でいて」

 

私にはコレしか言えなかった。

 

side out

 

 

……

 

side シュウ

 

あの後、エスデスは一端出て行き。暫くしたらご飯持って来た。如何やら手作りらしい。

 

「ご飯作れましたっけ?」

 

「お前の為に覚えたんだ」

 

それに得意料理らしいので美味しかったです。

 

「さて、シュウ。お前には二つ選択がある。一つは私に従えば罪は帳消しだ。直ぐにここから出す。話はつけて来た。たが……拒否した場合は重罪人として見せしめに公開処刑されり」

 

「………ふっ…帝国らしいな。公開処刑とか好きですもんね」

 

今までの広場で何人公開処刑された事か。

 

「お前の場合は闘技場での公開処刑になる。更に私とブドーが処刑に居る」

 

「随分と豪勢ですね。たかが一人に対しては中々手が込んでますね」

 

皮肉を言う気にもならない位の対応で涙が出てきそうだな。

 

「シュウ……私に従え。それで全てが丸く収まる」

 

「…………あの時、彼奴らを逃した時に覚悟はした。この命……今が使い所だと。お陰で反乱軍、ナイトレイドの士気は低下する事なく帝都に攻め入る訳だ」

 

「シュウ………」

 

「エスデスさん………申し訳ない。俺は帝国には降りたくない。この国に全てを奪われた。今更……自分だけ悠々に生きるなんて出来るか」

 

そうさ、皆はもう居ない。なら、その無念を果たしてやるまでさ。

 

「良い土産話が出来て良かったよ。最後の最後にナイトレイドを逃しただけでなく、ファザコンも殺せたんだからさ………きっと、皆も褒めてくれるさ」

 

まだまだ生きて居たかったがな………。死にたくは無い。けど、帝国に降るのはもっと嫌だ!

 

「帝国に降るのでは無い!私のものになると考えろ!」

 

「それの何処が違う!同じじゃ無いか!」

 

「ッ!……シュウ、今一度考えろ。お前が死ねば悲しむ奴は沢山居るだろう?私は……お前に死んで欲しくない」

 

悲しむ……奴?

 

考えてみた………何故だろうか………可憐な人とお茶目な人が真っ先に思い浮かんだ。

 

「………少し、考えさせて下さい」

 

今はコレしか言えそうに無い。

 

「分かった……だが、夜明けまでには答えを出せ。出なければ……お前は処刑だ」

 

そう言ってエスデスは出て行った。

 

「…………考える時点で………答えは出た様なもんだよな」

 

俺は一人そう呟いたのだった。

 

………

 

夜明け前、エスデスさんは来た。

 

「シュウ、答えは出たか?」

 

「………………俺は

 

 

 

 

 

……

 

 

 

 

side イェーガーズ

 

イェーガーズはナイトレイド侵入の知らせがあり暫く執務室待機の命令を受けていた。何時でも動ける為だ。

 

「シュウの奴何処行ったんだろうな?」

 

ウェイブが何となくボヤく。

 

「そうですね、少なくとも逃走とかでは無いと思いますね。もしそうだとしたら……多分全員拷問でしょうからね」

 

ランが冗談の様に言うが……冗談じゃ無いのは全員が分かっていた。

 

「それにしても、隊長はシュウの居場所は知ってるんですかね?」

 

「分からない。でも、隊長は特に焦った様子は無かった」

 

セリューの台詞にクロメがエスデスの態度を分析する。

 

そんな時だった。

 

ガチャ

 

「諸君、待たせたな。本時刻を持って警戒態勢を解除。後は近衛のみで対応する。ご苦労だったな」

 

エスデスが執務室に入って来て警戒解除を伝える。

 

「「「「了解」」」」

 

「さて、諸君に改めて紹介するメンバーがいる」

 

この時期に新メンバー?と皆は首を傾げる。

 

「さあ、入って来い」

 

そうエスデスが言うと一人の少年が入って来た。

しかし、全員その少年を見て首を更に傾げる。何故ならその少年を良く知ってる人物だからだ。

強いて言うなら、エスデスとお揃いの白い軍服を身に付けてるぐらいだろう。

 

「どうも、シュウです。正式にエスデス軍所属になり、イェーガーズに編入する事になります」

 

そこにはシュウが敬礼しながら言ったのだった。

 

何故シュウがエスデス軍所属になったのか……少し時間を遡る。

 

……

 

牢屋

 

「シュウ、答えは出たか?」

 

エスデスは夜明け前に来た。

 

「………………俺は………帝国には付かない」

 

「ッ!!シュウ!「だが…」……」

 

エスデスはシュウの言葉を待つ。

 

「エスデス軍になら入ります。俺は絶対に帝国には付かない。あくまでも、エスデスさんにつく。それが認められなければ処刑で構わな「ガバッ!」フブ……ムグググ」トントン

 

エスデスは嬉しさのあまり抱き付いてしまう。

シュウは台詞をキチンと全部言えず悲しむ。

 

「そうかそうか!良し!ならば大丈夫だ。これよりシュウは私の軍に所属する形になる。まぁ今はイェーガーズ所属でも問題あるまい。彼処もある意味私の部下なのだからな!」

 

ドヤ顔のエスデス。そんな様子を見るシュウは若干選択をミスしたか心配する。

 

(俺は帝国にはつかない。しかし、エスデス軍に入る。つまり……詭弁でしか無いのは分かってるが……エスデスさんには従うが、帝国には従わない。うん、完全に詭弁だコレ)

 

兎に角自分言い聞かせているが全く意味を成してない。

 

「さて、もう暫く此処で待っていろ。直ぐに手続きを済ませるからな!」

 

軽い足取りで出て行くエスデス。きっとそのままオネスト大臣の所に向かうのだろう。

 

そして暫く待つとエスデスが来てそのまま自室に連れて行かれた。

 

「さて、今から改めてイェーガーズに紹介する。が、その前に着替えと体を洗っておけ。私は外で待っててやろう!」

 

そう言い残すとエスデスは出て行った。因みにシュウには自室は有りません。

 

「本当……俺の部屋は最後まで用意する気無いんだもんな」

 

そうボヤきながら体を洗って着替える。すると、白い軍服が見えた。

シュウは暫くその軍服を手に取り見続ける。

 

「…………ケジメかな」

 

そう呟くと軍服に袖を通したのだった。

 

因みにこの軍服を見たエスデスはあまりの嬉しさに押し倒したが、流石に不味いと途中で気付きお互い服装を正したのちイェーガーズに向かったのだった。←

 

……

 

イェーガーズ執務室

 

「と、いう訳で皆さん宜しくお願いします」

 

皆沈黙する。

 

「まあ、今まで仮イェーガーズだったので」

 

それっぽい事を言うシュウ。

 

「お前……まだ仮で居たのか?と言うか、その格好は?」

 

ウェイブが呆れながら言う。

 

「特に意味は無いよ。強いて言うならケジメだな」

 

「まあ、これで正式に仲間になったと考えれば良いのでは?」

 

「そうですよ!シュウくん!改めて宜しく!それと…似合ってるよ!」

 

「モグモグ」

 

「キュウ!キュウ!」

 

概ね良好な反応だった。

 

「さて、今更自己紹介などは必要あるまい。では、諸君解散!」

 

こうしてイェーガーズはそれぞれ自室に向かったりパトロールに向かったりしたのだった。

 

「シュウは私と暫く一緒だからな」

 

「ですよねー」

 

ま、最後はこうなります。

 



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帝国の切り札とエスデスの奥の手

シュウがエスデス軍に所属してから2週間が経った。

現在革命軍本隊は帝都に向け驚異的な速度で進軍していた。帝国の鈍りきった地方軍では数も士気も勝負出来る相手では無かったのだ。

更に打倒帝国を支持する民衆は、この暗黒時代を終わらせれるならと物資を進んで献上したり志願したりした。内応を取り付けていた太守以外にも無血開城する城が殆どで、抗戦すれば内部の民が暴動を起こすからだ。まさに、身から出た錆であった。

そして遂に要害シスイカンまで迫っていた。しかし、其処にはブドー大将軍率いる近衛兵が守っており鉄壁の要塞と化してした。

よって、シスイカンでの大規模な戦闘は起きる事は誰の目にも明らかだった。

 

ナイトレイドも全員揃いシスイカンを目指していた。ブドー大将軍を討つために。

 

side ナイトレイド

 

タツミとラバックはドラゴン系の危険種に乗りナイトレイドに合流。そのまま革命軍本隊と合流を果たす。

 

「それで、いつ攻めるのだ?」

 

「はい、明日ナイトレイドがシスイカンに進入。その後に内部が混乱し始めたら我々革命軍本隊も攻め込みます。ただ…」

 

「分かっている。ブドーは我々ナイトレイドに任せてくれ」

 

「お願いします。御武運を」

 

ナジェンダと革命軍本隊の指揮官は打ち合わせを終える。

そしてナイトレイド全員に作戦を伝える。

 

「いよいよ明日か」

 

「ああ……厳しい戦いになるだろうな」

 

全員がそれを覚悟していた。

 

「チェルシー……チェルシー!」

 

「…えっ!あ、ゴメン。ぼーっとしてた」

 

チェルシーは心此処に有らずだった。

 

「チェルシー、内偵からの情報だとシュウに関しては何も無かった。つまり、あいつも脱出に成功した可能性が高い。だから今はこの戦いに集中してくれ」

 

「はい……気を付けます」

 

やはりチェルシーはまだシュウの安否が気になるのだろう。内偵からの報告でもシュウに関しては何も無かったのだ。

 

「さて、チェルシー。まず、シスイカンに我々が侵入する。その後に騒ぎに乗じてシスイカンに侵入して貰う。そして、シスイカンの城門を開けてから隙をみて離脱又は遊撃に回れ。タイミングはお前に任せる」

 

「了解です!」

 

直ぐに切り替える辺り、流石暗殺のプロだと言える。

 

「この戦いは厳しい物になる!だが、この戦いは避けられるものでは無い!ブドーを倒しシスイカンを落とせば中立勢力の有力者達も蜂起する!総員!!!この一戦は必ず勝つぞ!!!」

 

「「「「「「おう!!」」」」」

 

ナイトレイド全員が覚悟を決める。この戦いは多数の犠牲が出ると。

しかし、やらねばならないと。

 

 

 

 

今此処に帝国の分岐点の戦いが始まろうとしていた。

誰もが厳しい戦いになると予想出来る。

しかし、その戦いに身を投じて行く戦士達。

暗黒時代を終わらせ平和の世を現実にしようとする者達。

帝国繁栄をさらなる物とし、平定の世を築こうとする者達。

 

だが、何方も想いは同じなのだ……この戦争を終わらせるのだと。

 

 

……

 

………

 

次の日、イェーガーズはブドー大将軍が居ない間は帝都防衛に回っていた。それはエスデス将軍とて変わらず、今回シスイカンに関しては関わる事は無かった。

そして、シュウは現在エスデス将軍と共に王宮の廊下を歩いていた。

 

side シュウ

 

「エスデスさんはブドー大将軍の援護には行かないのですか?」

 

「ん?行ったら行ったで邪険にされるだけだ。奴はプライドが無駄に高い奴だからな。それに、彼奴と近衛兵だけで充分だろう」

 

エスデスさんはそう言いながら廊下を歩く。

因みに俺たちが向かってる場所は……帝国の切り札を見に行く為だ。何故切り札を見に行くのか。理由は俺がこう言ったのだ。

 

「このままだと帝国は負けますね」

 

と。するとエスデスさんは帝国……と言うよりオネスト大臣には切り札があるとか。それで見てみたいと言ったら、アッサリ了承して見に行く訳だ。

 

「でも良いんですか?勝手に見に行っても」

 

「何を言うか。私が許可したのだ、問題あるまい」

 

ドヤ顔のエスデスさん。マジで半端ねえッス!

 

そうこうしてる間に頑丈な扉の前に来た。そして見張りの近衛兵に開けるように指示を出し開けさせた。

 

「さあ、コレが帝国の切り札だ!名前は……確か『シコウテイザー』だったな」

 

エスデスさんは切り札の名前を言う。しかし……

 

「きょ、巨大……人型兵器ですか!!!」

 

その大きさに流石に在り来たりな言葉しか出なかった。今居る場所は['ω']の部分だろう。それだけでもデカイ。更に下を見ると……下が見えねえ………。

 

「まあ、私も奥の手を開発したのだ!最早反乱軍など取るに足らん。寧ろ、帝具戦になるだろうから……楽しみだ」

 

エスデスさんは凶悪な笑みを浮かべる。相変わらずこの笑顔だけは怖いわ。

暫くシコウテイザーを見ていると、頭部の後ろに誰か居た。

 

「ん?なんじゃお主らか。一体何の用じゃ?」

 

まさかのロリっ子が居た。

 

「貴様こそ。此処は関係者以外立ち入り禁止だぞ」

 

「妾は大臣から依頼された事をやってるだけに過ぎんわ」

 

依頼か……。

 

「このシコウテイザー……1000年以上経ってるんですよね。て事は……オーバーホール?」

 

「シュウ、オーバーホールとは何だ?」

 

あれ?伝わらなかったみたいだ。

 

「オーバーホールは徹底的に点検して元の状態に限りなく近い状態にする事です。でも、1人でそれは……無理だよなぁ」

 

「お主の言う通りじゃ。確かに1000年以上経っておるから色々ガタが来とったからメンツナンス止まりじゃがな。ま、後は別の形で改良する事でより強力にしたのじゃ!」

 

ロリっ子が此方に来ながら言う。別の形ねぇ。

 

「まさか、奥の手を取り付けたとかだったりしてね」

 

適当に言ってみる。するとロリっ子の目が見開く。

………マジで?

 

「お主の言う通り、このシコウテイザーに奥の手を取り付けた。コレで此奴はより強固で強力になったのじゃ!さて…妾の仕事は終わりじゃ。後は大臣に報告したらコスミナに食事を与えねば為らんのでな」

 

そう言いながら扉に向かっていった。

 

「………奥の手ねぇ」

 

絶対碌な物では無いだろうな。

 

「シュウ…シコウテイザーが気になるのか?」

 

「そりゃあ、巨大人型兵器……ロマンが有りますからね。近くで見たいのが本音ですね」

 

「なら彼処から行くと良い」

 

そこはさっきまでロリっ子が居た場所だ。しかも此処からだと死角になってる。

 

「良いんですか?触っても?」

 

「無論だ。私も近くで見たり触ったりしたからな!」

 

何故か胸を張るエスデスさん。なら、遠慮無く。

 

「じゃあ見てきます!」

 

俺はシコウテイザーに乗りに行った。

 

「………確かこの辺からロリっ子は来たよな」

 

少しロリっ子が居ただろうと思われる場所に来て周辺を見渡す。すると、首の裏側にハッチ?……いや、蓋かな?それらしい物があるので近く。

しかし、当然ネジで閉まってる訳だが……。

 

「こんな時こそ銃に使う工具が役に立つ筈!」

 

少し時間が掛かったがアッサリ開いた。すると、中にはフラスコに禍々しい液体の入ったのが大量に入っていた。

 

「コレが……切り札?どうする?急がないと怪しまれる……ん?これ導線?」

 

フラスコの1番上に何かしらの装置が繋がってる。多分この装置がフラスコの中身をシコウテイザーに流す役割をしてる……かも知れない。

 

「一か八かの南無三!」

 

そう言いながら導線を切り取りそのまま蓋をしてネジを締め直し元に戻す。

 

「さて、他の場所でも見てみるか」

 

そう言いつつも結構楽しみながらシコウテイザーを堪能した。

途中エスデスさんも来て一緒にロマンについて語ったら以外と食い付いてきて楽しかったです。

 

因みにシコウテイザーの股関節部分に仕掛けをしたのは秘密♡

 

 

……

 

暫くシコウテイザーを堪能して出る。更にエスデスさんの奥の手も見せて貰った……と言うか出して貰った。

 

「氷の……兵士ですか?」

 

「そうだ。対軍仕様だ。今は別の所に大量に作ってる訳だ」

 

この氷硬いからな。半端な攻撃は通じないだろうな。

 

「さあ、他に何かしたい事とかは有るか?」

 

「いや、もう無いですね。強いて言うなら鍛錬「なら私と帝都にパトロールにいくぞ!///」ふぐっ……」

 

だから最後まで言わせて!でもって胸の感触最高!

 

シスイカンではナイトレイドと革命軍が共にブドー大将軍と近衛兵相手に激戦していた事、そして……ブドー大将軍の戦死にシスイカン陥落を俺とエスデスさんはパトロールと言う名のデートを終えてから知ったのだった。

 

………え、いつの間にか最終局面になってませんか?

 



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ダークヒーローはカッコいいのさ

【大将軍 死す!】

 

この報はたちまち帝国全土に駆け巡り大きな衝撃を与えた。

更にシスイカンも革命軍に奪われる形となり帝国軍の士気はガタ落ちする。

趨勢を見ていた有力者達も、ナジェンダの予想通り反帝国を掲げ次々と蜂起。

今まさに大兵力が丸裸の帝都に迫りつつあった。

 

しかし、革命軍には悪い事も続く。革命軍本隊も大打撃を受けただけで無く、ナイトレイドのマインが意識不明の重体。そして…ナジェンダを庇ったラバックも重症を負った。

更に帝具パンプキン、クロースティールを失う形になる。この知らせは帝国にも知らされる事になり、帝国軍は若干の士気向上する形となってしまった。

 

side ナイトレイド

 

マインとラバックが戦力として抜け、正面から戦えるメンバーはタツミ、レオーネ、アカメの3人にまでになっていた。

 

「ラバック、平気か?」

 

「まあ……な。暫く……安静にしてるわ」

 

ラバックはナジェンダを庇った結果左腕と左脚を失う事になった。クロースティールを使いブドーの攻撃を防ぎナジェンダを守った結果だ。

 

「すまん……ラバック」

 

「ナジェンダさん……俺は………ナジェンダさんを守れて……よかった。だから……出来れば感謝の言葉の方が……嬉しいぜ」

 

ラバックはナジェンダを安心させる様に言う。

 

「ああ、そうだな。ラバック…ありがとう」

 

「へへ……嬉しいね」

 

ラバックはナジェンダの言葉に素直に喜ぶ。

 

「マイン……お前がブドーを仕留めてくれたから此処までこれた。だから、今はゆっくりラバックと一緒に休め」

 

「……………」

 

マインはパンプキンにより精神エネルギーを使い切り植物状態となっていた。

 

「マイン戦いが終われば皆で迎えに行くぞ……な」

 

「ああ…………その時は結婚してくれ。マイン、愛してる」

 

そう、ボリック暗殺後の帰還中にタツミとマインは付き合う事になっていた。

そして、卒業までしていたのだ!←

 

こうして、マインとラバックは後方の革命軍本部に向かい治療に専念するのであった。

 

ブドー大将軍との戦闘により様々な傷跡を残された形となったナイトレイド。しかし、最終局面までもう僅かな時間しか残されていない。

 

side out

 

side シュウ

 

「そうか……ナイトレイド2人が重症又は死亡か」

 

ブドー大将軍を失い、更にシスイカン陥落した事により直ぐに革命軍は来ると思っていたが一旦退いた様だった。向こうもかなりの損害を受けたみたいだからな。

 

「それと、反乱軍の動向ですが一体となって帝都を包囲するようですね」

 

「やはり全軍揃うのを待ってるのでしょうか?」

 

「恐らくそうでしょう」

 

俺たちイェーガーズは反乱軍の今後動向を予想していた。

 

「功を焦って前に出てきた軍から叩こうと思っていたが、しっかりと統制が取れているな」

 

「こっちを少しでも侮ってくれるとやり易いんだけどね」

 

「それは無いだろうな。どんな形であれ1000年以上帝国は維持し続けた大国だ。然もその本山を攻め込む訳だ。俺が反乱軍だったらキチンと足並み揃えて確実に潰すよ」

 

敵の総大将は優秀だな。キチンと理解した上で来てる訳だからな。

それぞれが意見を出し合い今後の対策をする。しかし、帝国を見限る兵士は後を絶たない状況ではこの先厳しい物となるだろう。

 

(まあ……どの道帝国には滅んで貰う事には変わらない。ただ……出来ればフリーになりたかったがな)

 

仕方ないと割り切る。それに、今はエスデス軍所属の身。頑張って生き残りますかね。

 

暫くするとウェイブが戦力差について悲観するもエスデスさんが一蹴する。そして窓の外を見せ兵力差はどうにでもなる事を教え安心させる。

 

(でも、貴女も戦う人だ。つまり…氷騎兵を操る集中力がお座なりになる。兵力差は無いと思って行動しないと俺死ぬわ)

 

確かに氷騎兵は強い。直ぐに直るし普通に硬い。しかし……操る人は指揮官では無い、武人だ。

 

(誰だったな?前世の記憶で、指揮官には指揮官の、兵士には兵士の戦いがある……て言ってた人が居たな)

 

つまり……指揮を放棄する指揮官は無能以外何者でも無い訳だ。

 

(個では無双を誇るかも知れない。けど……結局潰される)

 

俺はどうやってエスデスさんを生かせるか考える……が、何も思い付かない。

 

(それどころか……牢屋で考えた時に色々気付いたんだよな……自分の気持ちに。良し!決めた!)

 

「俺……この戦いが終わったら……自分の気持ちに決着を付けるんだ!」

 

「お?如何したんだシュウ。改まって何かするのか?」

 

ウェイブが聞いてくるが秘密だ。

 

「まぁな。兎に角、俺なりに頑張るよ」

 

「……そうか。なら、先ずは帝都のパトロールにでも行くか!」

 

俺はウェイブの誘いに乗る事にする。

 

「あ!なら私も行きます!」

 

「キュウ!キュウ!」

 

「ウェイブが奢ってくれるなら」

 

セリューさんにクロメちゃん、コロも続く。

 

「私は少し報告書を纏めて来ます」

 

「なら私は残った兵士達の士気を上げつつ、隊の整理をする。帝都内部は任せたぞ」

 

そう言って2人は席を外したのだった。

 

 

……

 

どう考えても結局帝国は滅びる未来しか見えない。例え帝国が勝とうとも国の内部はズタズタだし、多数の犠牲が出た中で上手く税を回収出来るとは思えない。

反乱軍と言えども、元は自国民なんだからな。

つまり、勝っても負けても帝国衰退は確実。なんだかんだ言いつつ目的は達成出来そうで良かったかな。

 

今後の事を考えつつ皆と帝都内をパトロールしている。帝国は滅びる。なら、より確実に滅んで貰いたいものだ。

 

暫く考えながらパトロールしてると………皆と逸れてた。

 

「あれ?……また俺迷子?いやいや、場所は知ってるから迷子じゃねえし!」

 

それに俺は成長している。その場から離れない方が良いのだ!つまり、近場の喫茶店に入って皆を待てば良いのだ!

 

暫く喫茶店でのんびりしてると相席に誰か座った。

 

「?……あ、チェルシーさん。久しぶり!」

 

まさかチェルシーさんに会えるとは!いやー、本当に久しぶりな感じがするなぁ。

 

「っ!久しぶりじゃ無い!すっごく心配してたんだよ!なのに喫茶店でのほほんとしてるし!」

 

怒られました。聞けばタツミとラバックは革命軍本部近くに転移したらしい。

 

「そっか。彼奴らは無事だったか……この借りは大きいから必ず返してねと伝えて欲しい」

 

「そんな事より!シュウくんは今何してるの!然も…その格好……」

 

まあ…突っ込まれると思ったけどさ。

 

「うん。あの後処刑かエスデスさんに付くか選べと言われてね。詭弁だが、帝国には意地でも付きたく無いからエスデス軍に入隊してイェーガーズに所属する事になったんだ。この格好はケジメだね」

 

「ケジメって……シュウくん………このままだと私達……」

 

チェルシーさんは言い淀む。

 

「分かってる。だけど安心して欲しい。俺は俺なりに動く予定だ。無駄に革命軍と戦闘はし無いよ」

 

「…………本当?」

 

「本当だよ」

 

「本当に本当?」

 

「本当に本当だよ。てか、無限ループになるから此処までで」

 

「…………うん、分かった。シュウくんを信じるよ」

 

お互いしんみりとしてしまった。

 

「チェルシーさん。この戦いが終わったら伝えたい事があるんだ」

 

「え?伝えたい事?」

 

「うん。全てが終わったら必ず言いたいんだ」

 

俺は真剣に言う。

 

「……それって、今じゃダメなの?」

 

「ダメだね。全てが終わってからじゃ無いと意味無いしね」

 

暫くの間沈黙する。

 

「ん、分かった。仕方ないから待ってて上げよう!有難く思いなさい!」

 

「うん。助かるよ」

 

ちょっと明るい雰囲気になる。

それからお互いの近況を話して解散する事になった。

因みに心配掛けた罰で飴を100個程要求されたから喜んで生成しました。

 

「さて、自分の気持ちにもケジメをつけ無いとな。例え最低と言われようとも……これが俺の気持ちだからな」

 

紅茶を飲みながらそう呟いた。

 

因みにチェルシーさんと一緒に居たのをウェイブ、クロメちゃんにバレて、セリューさんへの口止めを要求されたので喜んで奢らせて頂きました……畜生!彼奴ら遠慮無く注文しやがって!

更にセリューさんとコロも合流して俺はメニュー表を見て追加注文するのだった。

 

 

……

 

ブドー大将軍が倒された弊害はかなり大きな物となっていた。

現在、敵の1部隊が攻めて来た。そしてその対応にエスデスさん一人で行く事になった。

つまり、宮殿は手薄になったと考えて侵入する者が現れた訳だが………。

 

「クッ!此処にも敵か!」

 

「しかし、ヌマ様の仇!取らせて頂く!」

 

……やっぱり見た事ある格好だし、何よりヌマさんを知ってる人だった。

 

相手の攻撃を避ける。ただ、それだけ。

 

「こいつ……足止めか?だが、何故?」

 

多少冷静になった様だ。

 

「お前ら、こっちに来い。此処にいたら死ぬぞ」

 

「何を言う!元より覚悟の上「無駄死にしたらヌマさんは喜ぶのか?」っ!貴様ヌマ様を知ってるのか?」

 

「兎に角、攻めるなら革命軍と一緒に攻めた方が良い。単身で攻めても……ヌマさんや南のバン族の二の舞だぞ」

 

兎に角この人達は逃がす。今しかチャンスは無い。

 

「………貴様は……何者だ」

 

1人が聞いてくる。

 

「何者だって構わ無い。ただ…知り合いを殺したく無いだけさ」

 

「………っ!貴様、まさか!」

 

「兎に角こっちに来い!早く逃げ無いと他のイェーガーズが来るから!」

 

俺はそう言って侵入者を逃した。ただ…1人だけ俺をずっと見ていたけど何も言わなかった。

 

侵入者を逃し、他の侵入者を探すがもう片付いた後だった。仕方ないとは言え……悲しい物がある。

 

「さあ……もう直ぐ戦争だ。誰もが望む戦争だ。その時に思いっ切り戦うと良いさ」

 

帝国時代終焉の戦争だ。

 

 

……

 

あの後ウェイブがアカメを取り逃がしたらしい。しかし、特に罪になる訳では無く不問になった。

だが、ウェイブの様子が少し変な気がする。

 

因みにエスデスさんに皇帝から慰労でご馳走が届けられたが………多過ぎるのでイェーガーズ全員で食べる事になった。

 

「あれ?クロメちゃんは?」

 

真っ先に食べると思っていたが居ない。

 

「クロメなら任務に向かった。闇の部隊の一員として召集がかかった。反乱軍の陣に要人暗殺へ向かったのだろう」

 

「「「「ッ!!」」」」

 

「断る事も出来たが、クロメ自身が望んでな」

 

皆あまりの事に呆然としてしまう。

 

(反乱軍にはアカメが居る……つまり、暗殺対策はされてるんじゃ無いか?今から援護に向かう?いや、そもそもクロメが何処に居るのか分からん)

 

考えるも手詰まりだ。クロメちゃん………死ぬんじゃ無いぞ。じゃ無いとデザート食べちまうからな。

 

……

 

………

 

クロメちゃんは無事に戻って来た。しかし、少し落ち込んでる様子だ。多分仲間が沢山死んだのだろう。

因みにクロメちゃんのケアはウェイブがやる事になった。

 

「………なあ、あの2人さ………付き合ってるの?」

 

「え?……ど、如何なんでしょうね?」

 

「いやいや、如何考えてもあの甘酸っぱい空気は付き合ってるでしょう!」

 

俺はランさんにそう言う。

 

「確かにこの前も良い雰囲気でしたからね。恐らく付き合っては無いでしょうが、互いに想ってる感じでしょうね」

 

何あいつら!いつの間に青春なんて送ってんの!…………あ、俺もか←

 

「ま、静かに見守りますか」

 

「そうですね。変に関わると痛い目にあいますからね」

 

俺達はそう言いながら解散した。

 

……

 

暫く外を見ていた。すると……誰かが外に出て行くのを見た。

 

「アレは………クロメちゃん?」

 

こんな時間に何処に?

 

「仕方ないな。バレ無い様に着いて行くか」

 

暫く後を追うと帝都近郊のギヨウの森に入って行った。

 

「ああ、そうか。クロメちゃんも決着をつけに行ったのか」

 

何となくそう思った。止めに行くのが正しいのかも知れん。だが、あの姉妹の間に割って入る権利は俺には無い。

 

「なら戻るか。願わくば……姉妹が無事に生き残れる様に」

 

祈るしか出来そうに無かった。

 

……

 

俺は王宮に戻りクロメちゃんが戻って来るのを待つ為に外で待っていた。すると、ウェイブが此方に走って来た。

 

「シュウ!!クロメを見なかったか!?」

 

「………見たよ」

 

「本当か!?何処に行った?」

 

「その前に一つ聞きたい」

 

俺はウェイブに聞く。

 

「クロメちゃんは良く言ってたよな。姉と決着をつけたいと。なら、邪魔をするのはヤボってもんだろう?」

 

「そんなの間違ってる!!!」

 

…………ウェイブ。

 

「姉妹で態々殺し合う必要は無い!!!そうだろう!!!なら、俺は止める!!!」

 

「それは仲間としてか?」

 

なら言わない。絶対に言わない。

 

「いや……違う」

 

違う?なら、一体……

 

「俺はクロメが好きだ!!!だから止める!!!」

 

………………………そうか。

 

「なら、仕方ないな。クロメちゃんなら彼方に向かったよ。帝都近郊のギヨウの森に向かった。彼処は誰も近付かないけど建物があったからね」

 

「助かる!」

 

ウェイブはそのまま、グランシャリオ・リヴァイブを身に付け向かって行った。

 

「俺には止める権利は無い。だが、ウェイブ……お前になら有る。好きな女を救く権利がな。惚れた女ぐらい救って来いよダークヒーロー」

 

そう呟き俺は部屋に戻った。

 

 

……

 

翌日、ウェイブとクロメは戻って来なかった。

そしてイェーガーズは2人の捜索に当たる。俺はギヨウの森にまで行く。

 

「コレは……八房か」

 

間違い無いクロメの帝具八房だ。それと……ある錠剤を拾った。多分強化薬だろう。

 

「………もしかしたら必要になるかもな」

 

俺は落ちてた物を拾いポケットに仕舞った。出来ればこんな物には頼りたくないがな。

 

「ウェイブ…………フェクマの借りはチャラだからな」

 

俺はそう呟いてイェーガーズ本部までゆっくりと戻ったのだった。

 

 

 

イェーガーズ 残り4人

 




フラグが立ちました


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信念を持つ者達の決戦

俺はエスデスさんにウェイブとクロメが行方不明または死亡と伝えた。八房も粉々にされた状態で発見された為、恐らく死亡扱いになるだろう。

 

「随分……寂しくなっちゃいましたね」

 

「キュウ〜」

 

セリューさんが唐突に言う。

 

「そうですね。もう、イェーガーズも4人になりましたからね」

 

「うん」

 

「でも、まだ戦いは終わってません。寧ろ此れからが本番ですよ」

 

若干落ち込み気味のセリューさん。しかし、落ち込んでる時間はもう無いと暗に言うランさん。

因みにエスデスさんは皇帝に氷騎兵を見せて皇帝を安心させていた。

 

暫く待つとエスデスさんが戻って来た。

 

「やれやれ、宮使いと言うのも面倒くさい物だ」

 

「まあ、それで皇帝が安心なさるなら良いのでは?」

 

少しエスデスさんは愚痴が入っていた。その時だった。

 

「失礼します」

 

誰かが入って来た。あ、羅刹四鬼のスズカだ。

 

「何の用だ」

 

エスデスさんの機嫌はMaxで悪くなる。

 

「このスズカ、決戦時に大臣と将軍との伝令役に任命されましたので。宜しくお願いします」

 

………………………

 

何だろうこの沈黙。凄く胃に来る。

 

「私の前にヌケヌケと顔を出す根性は気に入った。好きにしろ」

 

「はい!」

 

どうやら大丈夫な様だ。

 

「もしシュウにちょっかいかけて見ろ。この前の牢屋より更にキツイのをぶつけてやる」

 

「ッ!!は、はい!///」

 

この前の……あの新しい壁ドンか。よくよく考えると良く生きてたなこの人。

 

 

 

 

 

決戦の時は明日にまで迫っていた。

空は晴れており正に決戦日和だ。

何方も互いの信念、執念のぶつかり合いになる。

犠牲は過去最大規模になると誰もが予想出来る。

だが、誰もそこから目を背けず前を見据える………目の前の敵を討つ為に。

 

 

 

 

決戦当日

 

side シュウ

 

イェーガーズの配置はセリューさんは北の城門の防衛。ランさんは上空から遊撃。そしてエスデスさんは北の城門防衛で俺はその援護にあたる。

 

「いやしかし…360度敵に囲まれてるとは。これこそ帝国の人望故なんでしょうな!」

 

こんな状況だと皮肉しか出てこんわ!

 

「何を言うか。見渡す限りの敵……素晴らしいでは無いか!」

 

「360度一斉に掛かってくるつもりですね……ハアハア///」

 

この2人は本当にブレ無いな。しかし、防衛戦力が全然足りないだろうな。どう見ても向こうは此方の3倍以上の戦力がある。敵が犠牲に目を瞑り攻めて来たら間違い無く潰されるな。

 

ポン ナデナデ

 

「安心しろシュウ。氷騎兵で十二分に対処出来る」

 

エスデスさんは俺を安心させる為に頭を撫でる。そんな時敵の大砲から砲弾が此方に飛んできた。

 

「見ろっ!挨拶代わりに大砲が飛んで来るぞ!!」

 

やっぱり戦闘狂の気持ちは分から無いな。

 

「さあ!開戦の花火と行こうか!!!」

 

エスデスさんは氷の矢で砲弾を全て迎撃する。

敵も更に攻勢を仕掛ける。特級、超級危険種を大量に攻め込ませる。しかし、此方も同じ様にドラゴン型の危険種を大量に向かわせる。

 

「ははは!!!最終決戦に相応しいセレモニーだな!!!」

 

いや、どう見ても怪獣映画にしか見えないよ。

更にエスデスさんは氷騎兵を敵陣に攻め込ませる。

すると、インクルシオが出てきて氷騎兵を全て倒す。しかし……

 

「インクルシオの形が……違う?タツミの奴ウェイブみたいに進化したのか」

 

タツミの成長にインクルシオの進化。間違い無く革命軍の中核に位置する戦力だろう。

 

暫く戦闘は兵士同士のぶつかり合いだった。ただ、氷騎兵の存在は両軍兵士には大きく写っていた。

帝国軍兵士は氷騎兵を盾にして戦い、革命軍兵士は氷騎兵と帝国軍兵士を両方に1人づつ当たっていた。革命軍には数がある。だからこそ1対多数の戦術が取れる。しかし、氷騎兵の存在がその戦術の邪魔をする。

それでも革命軍の帝具使いは氷騎兵を集中的に攻撃していく。しかし、直ぐに湧いて出てくる氷騎兵に手を焼いてる状況だ。

 

ふと思った。たった1人でこの状況を作ったエスデス。この戦いが終われば彼女は敵味方から恐れられ1人になる可能性が高い。

なら、俺は側に居よう。それしか出来そうに無いからな。

 

「将軍!シュウくん!帝都の中から火の手が上がりました!!」

 

「予め反乱軍の密偵達が入り込んでいたのだろう。民を扇動して中から城門を開ける気だな。まぁ、問題無い。工作は潰せば良い…こういう時の為の特殊部隊だ」

 

そうこうしてる内にエスデスさんは自ら出撃する。

 

「やはり、自らの手で蹂躙せねばな」

 

そう言い残しエスデスさんは敵陣に突っ込んで行った。やっぱりこうなったか。

 

「じゃあ、俺も北の城門に行くわ」

 

「えっ?シュウくんも行くの?」

 

「氷騎兵の動きが鈍くなるだろうからね。じゃあ行ってくる」

 

俺はそのまま北の城門に向かう。そこにはセリューさんが居る筈だしな。

 

「セリューさん!」

 

「あっ!シュウくん!如何したの?」

 

「もう直ぐで北の城門が破られるから気を付けて!」

 

俺はセリューさんとコロの近くに寄る。

 

「ッ!分かった。コロ!2、7、8番の殲滅装備!」

 

「キュアー!!!」

 

コロは巨大化して肩にミサイルやら腕に大砲やらと……全身ロマンになっていた。

 

「コロ……お前………めっちゃカッコイイんですけど!!!」

 

「キュウ?……キュア!!!」∠( 'ω')/シャキーン

 

やべっ!ポーズもカッコイイじゃん!

 

「マズイぞ!城門が破られるぞ!!!」

 

「「「ッ!!!」」」

 

誰かが言った次の瞬間……城門が破られた。

 

「コロッ!!一斉射撃!!発射ッ!!!」

 

「キュアー!!!」

ドドドドドドドドッ!!!バシュバシュ!!!

ドゴオオオン!!!ドゴオオオン!!!

ダダダダダダダダダダッ!!!

 

その瞬間、コロから大量のミサイルや砲弾が敵に向かい大爆発を起こす。

 

「今の内に迎撃態勢を!」

 

しかし、先程の砲撃の仕返しと言わんばかりに大量の大砲の砲弾が飛んで来る。

セリューさんはコロが守ってるので問題無いが他の兵士は駄目だった。更にそのまま敵が押し寄せてくる。

 

「この先を行かせるわけにはいかん」

 

俺は黒刀を抜き敵に突撃する。

敵が間合いに入った瞬間一刀両断していく。

 

ザンッ!!!

 

更にファイブブーストを使い敵に突撃し城門外の大砲部隊に向かう。

 

「て、敵だ!!迎撃「ドンッ!」ハグッ」

 

L85を撃ちながら大砲部隊に攻撃する。更に、M79グレネードランチャーに切り替え弾が入ってる箱に撃ち込む。すると……

 

ドカアアアアアアアアアアン!!!!!!

 

大爆発を起こした。序でに他の弾薬箱にもグレネードを撃ち込みながら黒刀に持ち替えて攻撃を続ける。

 

(絶対に脚を止める訳には行かない!このまま敵を撹乱する!!)

 

俺は無我夢中で城門を守り続けた。

セリューさんとコロ、更にランさんも駆け付けて来たお陰で北の城門は守れた。しかし、門が破壊されたので敵も北の城門を重点的に狙っていた。

暫く膠着状態になる。しかし、撤退の合図がなる。帝都を見ると煙に包まれていた。

 

「…………フッ。ざまあ無いな。かつての栄光もこのザマだ。後は革命軍の帝具使いが何とかするだろう」

 

そう呟き俺は撤退した。

 

そして……帝国の切り札が動き出す。

 

 

 

 

 

その瞬間………戦場に一線の光が走る。

 

 

 

 

 

 

ドオオオオオオン!!!!!!!!!

 

 

 

革命軍の一部分の兵士達が消えた。

 

「な……何だコレは。コレが………帝国の切り札……シコウテイザー」

 

更にシコウテイザーは細かいビームを出し革命軍を吹き飛ばしていく。

 

(成る程な。対軍仕様のエスデスに対物仕様のシコウテイザー……確かに効率は良いな。チッ!仕掛けを起動させるか?)

 

その時だった。誰かがシコウテイザーに向かって行く。アレは……

 

「タツミ……なのか」

 

そして、シコウテイザーに一発かました。

 

ドゴッッッッ!!!!!!

 

此方まで響く重たい音。シコウテイザーは押し負けた。

 

「ハ……ハハハ……流石タツミだ。やる事が半端ねえな」

 

シコウテイザーはタツミと革命軍で何とかなると確信した。仕掛けは無駄になりそうだが構わないさ。

 

因みに、この時オネスト大臣はシコウテイザーの奥の手粛清モードを起動しようとしたが、シュウが引っこ抜いた導線により起動せず暫く唖然としてしまっていた。

 




この話からラストまで0時予約したので宜しくお願いします!


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信念と自己の戦い

シコウテイザーとタツミは激戦を繰り広げていた。そして、セリューさんやランさんも戦いに身を投じていた。

更にウェイブまでもが参戦しタツミの援護に当たる。

そもそもシコウテイザーを帝都内で使用したらどうなるか。答えは簡単、帝都内に甚大な被害が被る訳だ。

つまり、タツミがシコウテイザーの間合いに入り更にウェイブまでもが参戦した時点でシコウテイザーは帝都内での戦闘を余儀無くされる。

シコウテイザーを守る部隊。間合いに入れさせない帝具使いなどを用意して無い時点で帝国は破滅の道を自らの手で進んで行ったのだ。

いや、エスデスさんが間合いに入れさせない為の存在なら無駄だろうな。

 

そんな時だった。俺はある人物と出会う事になった。

 

 

……

 

帝都内

 

side シュウ

 

随分ボロボロになったな。だが、コレで帝国は終わりだ。後はエスデスさんをどうやって説得して逃げつつ2人に会えるかだな。

 

そう考えてたら……宮殿側からアカメが来て出会った。

 

「ッ!シュウか」

 

「アカメ…ちゃん」

 

お互い暫く睨み合う。しかし、アカメは目を逸らし言う。

 

「お前は標的では無い」

 

そのまま立ち去ろうとする。しかし…

 

「アカメちゃん……3つ聞きたい事が有るんだ。良いかな?」

 

殺気を出しアカメを止める。

 

「先ずは一つ目。チェルシーさん何だけどさ……この戦いが終わったら殺すの?ほら、口止め的な感じでさ」

 

「そんな事はし無い。そして私がさせない」

 

アカメは真剣な眼差しで言う。

 

「なら良かった。二つ目、イェーガーズのセリュー・ユビキタス。この人は暗殺対象なの?」

 

アカメは首を横に振る。

 

「彼女は暗殺対象では無い。寧ろ帝都の治安維持に貢献してるから暗殺する必要が無い」

 

良かった……だが、次が本命だ。

 

「じゃあ三つ目。これが本命と言って良いだろうな。帝国軍の……エスデス将軍は……如何なんだ?この戦いが終わっても暗殺対象なの?」

 

その瞬間、アカメから殺気が出てくる。

 

「あいつは争いを権化した存在だ。新しい世界に必要無い」

 

「大丈夫だよ。俺が……何とかするから」

 

「無理だ。お前では抑えれない」

 

お互い殺気を更に強く出す。

遠くで爆音がなる。今でもタツミとウェイブがシコウテイザーと戦ってるのだろう。

 

 

「そうか……如何やら………話し合いは無理の様だな」

 

 

黒刀を握る。

 

 

「シュウ……諦めろ。彼奴だけは生かせておけない」

 

 

アカメも村雨を抜く。

 

 

「やってみなければ分からんだろ」

 

「やってみても結果は変わらん」

 

 

お互い睨み合う。

 

 

「シュウ」

「アカメ」

 

 

どちらも譲れないモノの為に。

 

 

「「お前を」」

 

 

全身に力を入れる。

 

 

「葬る!!!」

「狩る!!!」

 

ダッッッッ!!!!!!

 

ガギイイィィィン!!!!!!

 

俺はアカメ………を殺す。

 

……

 

………

 

ガキィン!

 

刀と刀がぶつかる。

 

ギイィン!

 

何方も一歩も引くつもりは無い。

 

「コレで!」

 

エイトブースト!!!

 

スピードが上がるが俺の視界はゆっくりだ。だが、その中でもアカメの速さは速い!!!

 

ガキイイィィィン!!!

 

「見えてるんだよ!!!」

 

ビュン!!! ピッ

 

アカメの腹部を軽く斬る。

 

お互い睨み合い再度刀を構える。

 

バッッッッ!!!!!!

 

尋常では無い速度で斬り合う。一斬必殺の村雨よりアカメの方が厄介だとつくづく思う。

 

チャキン!

 

「ッ!!」

 

ドオォン!!!

 

距離にして約5メートル……それで避けられる。

更に撃ち込むが全弾回避され間合いを詰められる。

お互い一歩も譲らない。

 

「やっぱり当たらないね。本当に速くて……狙い辛いくて堪らんよ」

 

「そう簡単に当たる程……弱くは無い」

 

刀と刀を交えながら言う。

 

「なら……此奴を使うか」

 

「…?……ッ!それは!」

 

俺はクロメが持っていただろう強化薬を手にする。

 

「アカメ……俺は本気だぞ。今まで奪われ…壊され続けて来た人生。だが……これ以上やらせん!!!」

 

俺は躊躇無く嚙み砕き飲み込む。

 

 

 

ドクンッッッ!!!!!!

 

 

 

「グッ……ウ………アッ…………………フゥ………イクゾ」

 

ナインブースト

 

「ッ!!!!」

 

ガキイイィィィン!!!

 

アカメは俺の渾身の一撃を防ぐ。しかし、次はどうか?

 

今までに無い速度でアカメに斬りかかる。アカメに斬り傷が増えていく。

 

一端、お互いの距離が開く。その時……アカメも何かを飲んだ。

 

「ッ!……フッ……考えてる事はお互い同じか」

 

「私はエスデスを斬るまで死ぬ訳には行かない」

 

上等……なら。

 

「俺は全てを賭けてお前を斬る!!!」

 

「……行くぞ!!!」

 

ガキイイィィィン!!!ギイィン!ギャイン!!!ジャアアァン!!!

 

薬による強化。それによりお互いの腕力も強化される。そして……

 

キイイイィィィンンン

 

黒刀と村雨が宙を舞う。そう、お互いの手から離れてしまったのだ。

この時、アカメの反応が速かった。直ぐに素手喧嘩に移行して3発良いのを貰ってしまう。

 

「グッ!!クソ!!」

 

俺もククリナイフを抜き斬りかかるがアカメも地面に落ちてる剣で対処する。だが……

 

パキイィィン

 

剣は簡単に折れる。このククリナイフは伊達じゃねえぞ?

しかしアカメの体術は俺より強かった。ククリナイフの斬撃をいなされ逆に拳や蹴りが来るのだから。

 

(やはりお前の存在が……1番厄介だな!)

 

その時……

 

ザンッ!!

 

黒刀と村雨が地面に刺さった。

 

一瞬の静寂。そして…

 

バッ!!! ジャキン!!!

 

「……ッ」

「ッ!コレは」

 

アカメの手に黒刀。

俺の手に村雨。

 

「クッ!だが、今更退くわけ無いだろうが!!!」

 

俺はアカメに斬りかかる。アカメは冷静に俺の攻撃をいなしそして、

 

ヒュウン! ピッ

 

「はあ……はあ……」

 

「如何した……シュウ。剣筋が荒くなってるぞ」

 

バレてる。薬の効果が切れかけてるのもある。だが、それ以上に村雨を握った時………

 

「アカメ……そろそろ決着を付けよう。お互いその方が良いだろう」

 

俺はマグナムを取り出しリロードしながら言う。

 

「………良いだろう」

 

黒刀を構えるアカメ。

 

(アカメは存在そのものが強い。そして…このままなら俺は負ける。なら……アカメが知らないやり方で勝つ)

 

そう、俺にはチートがある。アクセルブーストと弾薬生成が……それで仕留める!

 

 

 

一陣の風が吹く。遠くでまだ爆音が連続して聞こえる。

 

長い様で短いこの戦い。

 

 

チャキ

 

 

アカメが黒刀を握る力を入れる。

 

 

チャキン

 

 

俺はマグナムを向ける。

 

 

ダッッッッ!!!!!!

 

ドオォン!!!

 

アカメが来る方に撃つ。しかし避けられる。

 

ドオォン!!!

 

更に撃つ。しかし……当たらない。

 

ドオォン!!!ドオォン!!!

 

距離が狭まるが擦りもしない。

 

ドオォン!!!

 

最後の弾を撃ち切る。アカメは最低限の動きで避ける。

 

マグナムから空薬莢を出す。

 

アカメは一直線に来る。今この瞬間に左手で村雨を構えても防げないだろう。

 

空薬莢がシリンダーから全て出た瞬間、マグナムを持つ右手の親指をシリンダーに当て念じる。

 

 

50口径 生成

 

 

1発で良い。

 

アカメとの距離は5メートルを切った。

 

シリンダーを戻し……アカメに銃口を向ける。

 

「ッ!!!」

 

アカメは目を見開く。だが……もう避けれないだろう。

距離3メートル……1番的の大きい胴体を狙えば良い。50口径だ……何処にでも当たれば………

 

 

「俺の勝ちだ」

 

 

 

 

 

 

 

ドオォン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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再会……

「ッ!!!」

 

アカメが目を見開く。しかし…もう手遅れ。

 

「俺の勝ちだ」

 

 

 

ドオォン!!!

 

 

 

 

 

弾頭がゆっくりと銃口から飛び出る。

空気を切り裂きアカメに向かう。

アカメも抵抗する様に身体を捻ろうとするが手遅れ………。

 

しかし……帝国の闇は俺に牙を剥いた。

 

 

ビュウウウウンンンン!!!!!!

 

 

「「ッ!!!」」

 

 

俺とアカメの間に一筋の赤いビームが走る。然も……その間には50口径の弾頭がある。

 

50口径の弾頭はシコウテイザーのビームにより僅かに軌道がズレてしまった。

 

そして……アカメは…………掠った程度で済んだ。

 

「ッッッ!!!!こんな……事が!!!」

 

バックステップをして距離を開け村雨を構える。アカメも黒刀を構え此方に接近。

 

「うおおおおおお!!!!!!」

「はああああああ!!!!!!」

 

お互い全てを使い斬り合う。

 

一瞬距離が開く。アカメと俺は刀を構え直し……

 

 

 

「アカメエエエエエエ!!!!!!」

「シュウウウウウウウ!!!!!!」

 

 

 

 

お互いが交差……

 

 

ザンッ!!!

 

 

 

 

 

 

静寂……しかし…誰かの怒声や爆音等が聞こえた。

 

 

 

 

「アカメ……お前は、全てを……背負っているのか?」

 

俺は聞きたかった。村雨を握った時に感じた思い。斬った者達の意志を感じたのだ。

 

「あぁ、そうだ。それが私に出来る……唯一の償いだ」

 

「……そうか」

 

やっぱり……アカメちゃんは強いな。

 

「ならば………全てを背負い続けたアカメと………自己に走った俺とでは………俺が負けるのは…道理な………訳だな」

 

俺の体に痛みが走る。全身の力が抜け……地面に倒れた。

 

「はあ……はあ……はあ………」

 

致命傷だなぁ……コレは。

 

「うおおおおおお!!!!!止まれえええええ!!!!!!」

 

この声は……?

 

「タツミ!無茶だ!!」

 

アカメの声が聞こえる。そうか……タツミの声か。

俺はタツミの方に視線を向ける。タツミはシコウテイザーを押し戻そうとしていた。

 

「……全く……ガフ………最後まで……世話が掛かる……奴だな」

 

俺は懐からスイッチを出し……押した。

するとシコウテイザーの股関節の場所から大爆発が起きてそのまま真下に崩れた。

 

ポイ カンカラ

 

俺はスイッチを捨て仰向けになる。

 

「シュウ……お前が?」

 

アカメが問う。

 

「タツミに……伝えてくれ………最初の借りも…………合わせて…ゴボッ………ハア………デカイぞってな」

 

空を見る……もう直ぐ夕方か…………。

 

「アカメ……俺は後悔………して無いぞ」

 

「シュウ……お前は何故?」

 

「好きな人に……死んで……欲しく無い…………誰もが……思う事だろ?」

 

「……シュウ」

 

「夕陽か………赤色は……好きじゃ無い………だけど…………この夕陽の色は…………嫌いじゃ……な………………………………」

 

 

 

 

 

 

 

俺は霞む視界をゆっくりと閉じた。

 

 

 

side out

 

 

アカメはシュウを見る。動く気配は無い。

そして、己が持つ黒刀をシュウの右手に握らせ自分は村雨を握った。

 

「そこに居るのはナイトレイドのアカメ!」

 

「ッ!」

 

そこにはセリューが居た。

 

「………今は貴女に構ってる状況ではありません。だから、私は貴女を…………………え?シュウ……くん?」

 

アカメの足元に血を流し仰向けで倒れてるシュウを見つける。

 

「………………シュウ…くん?…………嘘……だよね」

 

返事は無い。ただ、そこにあるだけだ。

 

「………い、いやああああああ!!!!!!シュウくん!!!!!!」

 

セリューはシュウに近づく。アカメはそのままセリューを無視して次の標的に向かう。

 

「シュウくん!目を……目を覚まして!ねえ!…シュウくん……目を………覚ましてよぉ………」

 

「キュウ……」

 

セリューはただ泣くしか出来なかった。そう、任務よりシュウを選んだのだ。

 

「アカメ………何があったの?」

 

「チェルシー………」

 

そこにはチェルシーも居た。そして…状況を把握した。

 

「アカメが………殺ったの?」

 

チェルシーはアカメに問う。

 

「そうだ。任務の障害になるからだ」

 

「そんな!アカメなら殺す事なく「無理だ」……無理って」

 

「シュウは本気だった。そのシュウに手加減しながら戦うのは………無理だ」

 

セリューの泣き声だけが辺りに響く。

 

「シュウ……くん」

 

チェルシーもシュウに近付く。そして……膝をついてしまう。

 

「こんなのって………あんまりだよ」

 

チェルシーも俯いてしまう。肩が震えてる………ただ静かに涙を流すしか出来なかった。

 

シュウの死に涙を流す二人。そんな中、ナイトレイドの最終目標が現る。

 

「ほう、此処に居たか……アカメ」

 

「エスデス……」

 

そこには悠然とした姿のエスデスが居た。しかし…

 

「ん?………シュウ…………そうか」

 

エスデスはセリューとチェルシーを見て……シュウを見た。そして…全てを悟った。

 

「シュウが弱かったから死んだ……ただ、それだけだ………だが、何だ……この気持ちは」

 

エスデスは呟く。自分に言い聞かせる様に。

 

「エスデス……覚悟は良いか?」

 

村雨を構えるアカメ。

 

「フッ……今のお前は満身創痍だな。そんな中で私に勝てるとでも?」

 

「それでもお前は倒す……これ以上戦いを生み出す事はさせない!」

 

アカメは殺気を立たせる。

 

「気概は良し。だが…そんな状態でどうやって倒す?」

 

そう、シュウとの戦闘によりアカメはかなりの体力を使ってしまった。

 

「アカメ!無事か!」

 

「ん?この声は…ナジェンダか!」

 

そこには帝具使い10人と革命軍兵士を引き連れたナジェンダが居た。

 

「アカメ待たせたな……エスデス!そろそろ覚悟を決める時だ!!」

 

本来なら革命軍でエスデスを囲んでから事を構えたかった。しかし、今アカメを失う訳にはいかない。

 

「フッ……フフフフ……アッハハハハハ!!!この程度の戦力で私を倒すつもりか?」

 

ザワッ!!!

 

ナジェンダに帝具使い、そして革命軍兵士は目を見開く。

 

「見せてやろう……対軍用の奥の手の真の姿を見せてやろう」

 

パチッ

 

氷騎兵が砕けその力がエスデスに戻って行く。

 

「味方がいなくなったからこそ出せる技といかいものもある」

 

ズ…ズズッ…ズズズズザアアア

 

「これは!?」

 

「氷騎兵に割いた力が!」

 

「エスデスに戻ってきているのか!?そんな…使い方が………ッ!用心しろ!」

 

徐々に力を増していくエスデス。

 

「ナジェンダ……それに反乱軍将兵諸君。本来なら……この大地……国土そのものを攻撃した上で反乱軍を潰すつもりだったが……止めた」

 

「「「「ッ?」」」」

 

まさか国土そのものを攻撃出来るとは思わなかったのだろう。しかし…それを止めたとなると………

 

「この力は全て貴様らに充ててやろう!!!シュウを……殺した事を後悔しながら死んで行くと良い!!!」

 

ドンッッッッ!!!!!!

 

エスデスから途轍も無いオーラが出る。

 

「こんなの………人間じゃ無い」

 

誰かが呟く。

 

「クッ!相手は一人だ!此奴を倒せば全てが終わる!行くよ!!!」

 

帝具使い、革命軍将兵はエスデスを囲み攻める。

 

「緩いな」

 

パキイイイィィィン!!!!

 

囲んでいた帝具使い、将兵は一瞬で無力化された。

 

「こんな……事が」

 

「良い顔をしてきたなナジェンダ。そうでなくてはな……。今までのミッションはわたしを倒さずとも成立したな。だが、今度は私を倒さなくては終わら無いぞ?」

 

エスデスは革命軍に近づく。

 

「さあ、最強の力の前に平伏すが良い!!!」

 

エスデスは革命軍に牙を剥いた。

 

 

……

 

アカメは革命軍の中に紛れ込んで居た。エスデスを仕留める為にだ。

しかし、エスデスはシュウを殺したのがアカメだと理解していた。つまり…

 

(お前だけは必ず殺す)

 

しっかりマークされていた。例え他の帝具使いや革命軍将兵を殺そうとも、視線はアカメに向いていた。

 

そんな中セリューとチェルシーは未だに動いていなかった。本来なら逃げるべきこの状況下。しかし…シュウが残した物は大きな物であった。

 

side エスデス

 

シュウが死んだと理解した瞬間……世界がとてもつまらない物になった。

色が無く……まるでモノクロの世界にいるような気分だ。

きっと私はもう笑う事は無いのだろう。

戦いの中私はとても冷静であった。もっと熱く、楽しい筈の戦いが………酷くつまらない物になった。

本来なら国全土を凍らせるつもりだった。しかし……それは意味が無い事に気付いた。私に出来る事……せめてこの場にいる反乱軍を皆殺しにしてやる。それがシュウに対する手向けだ!!!

 

「さあ!!!来い反乱軍!!!貴様らに残された道は私を倒す!!!これが全てだ!!!」

 

だから容赦も手加減もし無い。全員皆殺しだ。

 

帝具使いが連携して来たが……普通に対処した。これがシュウなら更に懐に入り込んで来るだろう…ッ!!

 

ガキイイイン!!!

 

「ッ!エスデス!」

 

「隙をついたつもりか?甘いな!!!」

 

アカメをいなしながら考える。アカメの存在は厄介だ。なら……

 

「お前は特別仕様で相手をしてやろう!」

 

厚い氷の壁を作り革命軍の邪魔は入れさせない。

 

「さて……覚悟は良いか?アカメ」

 

「エスデス……お前を葬る!!!」

 

アカメが一気に接近して来る。しかし…

 

「あまいわ!その程度の速さなら見慣れてる!!!」

 

……ここでもシュウを重ねるとは。

 

セリューとシュウ、それともう一人の女を見る。あの2人は……まあ良い。

 

「貴様は楽に殺されると思うなよ?徹底的に潰した後に殺してやる」

 

構えを取る。

 

「…………哀れな奴だ」

 

「フッ…哀れだと?笑わせる「お前じゃ無い」……何?」

 

アカメが誰に対して言ったのか……

 

「お前では無い……シュウに対して言っただけだ」

 

それを聞いた瞬間……決めた。

 

「シュウが……哀れだと?」

 

「そうだ。お前の為に戦い、お前の為に死んだ彼奴は……無駄死にをしたのだと」

 

こいつは今すぐ殺すとな!!!

 

ガキイイイン!!!

 

「お前は……お前は!!!」

 

「ッ!!!フッ!!!」

 

アカメが懐に入り込んで来る。しかし…

 

「お前の腕力では破れまい」

 

どの道私が勝つ。

 

アカメが距離を取る。そして……アカメは自身の手を村雨で斬る。

 

「うっ……ぐ………あ…アアアッ……………ガアアア………」

 

まさか………

 

「人を捨てたか……」

 

「私は多くの人を斬り続けて来た。怨み…悲しみ…志半ばで倒れた者たち…………村雨は全てを覚えている。ならば…私はその全てを受け入れる!!!」

 

ドンッッッ!!!!!!

 

「妖刀に相応しい奥の手だな。だが……私には勝てん!!!!!!」

 

「葬る!!!!!!」

「負けん!!!!!!」

 

私はアカメに対し全力で相手をする!!!負ける訳にはいかんのだ!!!!

 

 

side out

 

 

 

 

side ???

 

此処は……何処だろう?

 

白い空間に居る。何か大切な事があった気がする。

まあ…考えても仕方ないな。

 

そう思いつつ歩く。

 

 

……

 

………

 

どのくらい歩いたのだろうか。ずっと歩き続けても周りは白い。方向感覚もハッキリ言って無い状態だ。

 

すると目の前に黒い点が見えた。取り敢えずその黒い点がに向かって歩く。

どんどん近付く黒い点……いや、人影?

 

「?……アレは……嘘だろ?」

 

俺は走る……人影に向かって。

 

「父さん!母さん!」

 

「よう!シュウ」

「まあ、大きくなったわね」

 

な、何で両親が?

 

「久しぶりだな我が弟子よ」

 

「ヌ、ヌマさん!それに、他の人達も!」

 

「ククク……ミジュクモノメ」

 

「ヘンターさん……それに……皆」

 

「よう。シュウ」「元気だったか?」「シュウにいちゃーん!」「彼女は出来たのか?ガッハハ!」

 

其処には……皆が居た。そう、皆が……だ。

 

(あ……そうか。俺は……もう………)

 

 

「………………あ、そうだ。皆に土産話があるんだ!色々あるからさ!」

 

 

俺は今までの事を話した。ムカつく事や辛い事…楽しい事や嬉しい事…帝具使いとの戦闘や危険種狩りとか……全部話した。

皆静かにそれを聞いてくれていた。そして…話して気付いた。

 

俺、結構……楽しい旅を送っていたみたいだ。

 

「…………………………」

 

気が付けば俺は黙っていた。

 

「シュウ………良いのか?」

 

「え?……」

 

父さんが唐突に聞いてくる。

 

「我が弟子よ……こんな途中で終わらせる様に育てた覚えは無いぞ!」

 

「ヌマ……さん」

 

「へへ、俺達以外にも飴が欲しがってる奴が居るんだろ?」

 

「タケシくん……」

 

「マダ…マダ……キタエナオシダナ」

 

「ヘンターさん」

 

「お前はまだやる事あるんだろ?」「ほらっ!頑張って!シュウちゃんなら行けるわ!」「シュウくん!頑張って!」

 

「でも、俺……皆の仇を……その相手を!」

 

「何を悩んでんだ……シュウ坊」

 

この声は…………

 

「ゲンさん………」

 

其処にはゲンさんとゲンさんに寄り添う女性と子供が居た。

 

「言っただろう?お前は……お前だ、お前の為に生きても誰も責めねえよ。周りを見てみな。責めてる奴はいるか?」

 

ゲンさんに言われ皆を見る。

 

皆……頷くだけだった。

 

「シュウ……アンタは立派で優しい子に育ってくれて、母さんは嬉しいよ」

 

「母さん…」

 

「シュウ。ありがとうな……もう、私達は大丈夫だから」

 

「父さん…」

 

「弟子よ。身体は大切にな」

 

「キタエナオシ……ガンバレ」

 

「シュウちゃん、いってらっしゃい」「お前なら出来るぜ?行って来い!ガッハハ!」「飴待ってる奴を待たせんなよ!」「気を付けなよ」「無茶し過ぎるなよ!ちゃんと頼れよ!」「女3人悲しませんなよ!」「ハーレムとか男だねえ」「精々生きて来い!」「次の土産話期待してるからな!」

 

 

 

 

 

 

………………皆……よし!!!

 

「行ってきます!!!!!!」

 

俺は駆け出した。皆からの声援が聞こえる……なら、その期待に応えなきゃあ男じゃねえ!!!

 

 

 

走る…白い空間を全力で走る。

 

 

ファイブブースト!

 

 

まだ足りない

 

 

シックスブースト!

 

 

まだまだ全然足りない

 

 

セブンブースト!!

 

 

もっと速く!

 

 

エイトブースト!!

 

 

もっともっと速く!!!

 

 

ナインブースト!!!

 

 

まだだ!まだ足りない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テンブースト!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

………

 

 

 

 

 

side シュウ

 

目を覚ましたら……セリューさんが涙を流しながら呟いていた。

 

「シュウくん……膝枕好きだから………こうしてると………目を覚ましてくれる筈だよ」

 

如何やら俺はセリューさんに膝枕されてるらしい。視線をズラすとチェルシーさんが左手を握っていた。そしてチェルシーさんも泣いていた。

 

その時、剣がぶつかる音が聞こえた。そっちに視線を向ける。

 

「上か!!!」「葬る!!!」

 

考えるより身体が動いた。

 

テンブースト!!!

 

身体を起き上がらせ右手に黒刀を握りエスデスとアカメに向かって行く。

 

 

間に合えええええ!!!!!!

 

 

俺はエスデスを退かし黒刀を上に構える……そして

 

 

ガキイイイン!!!!!!

 

村雨と黒刀がぶつかる。そして…その衝撃をモロに受けた俺は……

 

ブシャアアアアアア

 

「ギャアー!!!血がー!斬られた所から大量の血がー!そして出てはいけない大切な何かも出ちゃうよー!!!」

 

再度皆と再会仕掛けたのだった。

 




最後まで締まらない。それな主人公クオリティー!


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色んな事に決着つけます!

「も、もうダメかも……ガク」

 

ヤバい位血が出たわ。こうトバーッと。

 

「シュウ!しっかりしろ!待ってろ直ぐに氷で塞ぐ!」

 

パキパキパキパキ

 

冷たっ!でも傷口は塞がるし痛みも麻痺するからこの処置は良いな。

 

チャキン

 

音がした方に視線を向ける。そこにはアカメが再度村雨を構えていた。

 

「ちょっ!ストップストップ!!今は待ってくれアカメ!」

 

「…………」

 

ああ、ダメだ……止まる気配がし無い。その時だった。

 

「「シュウくん!!」」

 

セリューさんにチェルシーさんが此方に来た。そして……

 

ガバッ!

 

「アーッ!だからちょっと待って!本当に痛いんだってば!フリじゃ無いんだよ!?」

 

「バカァ……シュウくんのバカ!すっごく心配したんだから!!!」

 

「死んだフリするのも大概だよ!シュウくん!!」

 

2人は泣きながら抱き着き文句を言ってくる。多分俺一回死んだからフリじゃ無いよ?

 

エスデスさんも抱き着く二人に特に言う事は無く、ただ俺を見続けていた。

 

「でだ、アカメ……少し時間をくれないか?今しか……チャンスが無いからな」

 

「…………それは「良いじゃねえか……アカメ」ッ!タツミ」

 

そこにはボロボロのタツミが居た。

 

「よっ……シュウ。お前も生きてたんだな……良かった…本当に」

 

「タツミもな」

 

タツミのお陰でアカメは村雨を下ろしてくれた。良かった……。

 

「俺……三人に伝えたい事が有るんだ」

 

「「「?」」」

 

三人は少し首を傾げる。

 

「スー………ハー…………………………

 

 

 

俺は三人が好きだ!誰か一人を選ぶ事が出来ない位三人が好きだ!!!こんな奴だけど一緒に居て下さい!!!!!」

 

俺の本心を伝えた。ハーレムなんてキャラじゃ無い。しかし……それでも俺は三人が好きだ…大好きなんだ!!!

 

「「「……………」」」

 

三人は押し黙る。そして…セリューさんが最初に口を開いた。

 

「私も……シュウくんが好き。だから……本当は私を選んで欲しいけど…………シュウくんが二度と死な無いって約束してくれたら………良いよ///」

 

天使がそこに居た。

 

「まったく……優柔不断なのはタツミぐらいで充分よ!……でも、私とも約束して。二度と居なくならないって……そうしたら………良いよ///」

 

此処にも天使が!

 

「シュウ………それがお前の望みか?」

 

エスデスさんが聞いてくる。だから俺は目を逸らさずに頷く。

 

「俺は……三人と一緒に居たい。誰か一人でも欠けるのは嫌だ。こんな奴だけど……ダメかな?」

 

エスデスは此方を見続ける。そして……

 

「まったく……お前は。本当は私を選んで欲しかったがな………」

 

エスデスさんは続ける。

 

「だが……私一人ではお前を縛る事は出来ん。イェーガーズでも何度も逃げ出してたからな」

 

目を瞑りエスデスさんは語る。

 

「まあ……器の大きい所を見せてやるのも……第一夫人として必要な所だからな!シュウ……私とも約束しろ。もう二度と離れないと」

 

「約束します」

 

そう言うとエスデスさんは俺にキスした。

 

「「あーっ!!!私もー!!!」」

 

二人共覆い被さってきた。しかし……嬉しい重みだ。

 

てか……ちゃっかり第一夫人宣言してませんでしたか?

 

そうこうしてるとアカメが近付く。

 

「シュウ………良いのか?」

 

アカメが俺に問う。質問の内容は無い……しかし、俺には伝わった。

お前も奪われ続けて来たのだろう……と。

 

「ああ………コレで…良いんだ」

 

俺は真っ直ぐにアカメを見て返事をした。

 

「そうか………」

 

アカメはそう呟くと………村雨を鞘に戻した。

暫くすると氷の壁の向こう側に革命軍が居る事に気付いた。大砲やら攻城兵器で氷の壁にぶつけてるのだ。

 

「やれやれ、せっかちな奴らだな」

 

「取り敢えず撤退しません?と言うか、俺……このままだと死んじゃうんですけど」

 

「そうですね。でも……どうやって」

 

「そこは私に任せなさい!」

 

ボンッ

 

チェルシーさんは危険種のエアマンタに変身した。確かにコレなら逃げれるな。

 

「アカメ、タツミ……私革命軍抜けるね。勝手でごめん」

 

「いや、チェルシーが選んだ事だ」

 

「チェルシー、シュウと幸せにな」

 

「……二人共ありがとう」

 

チェルシーはアカメとタツミに最後の別れを言う。しかし…エアマンタが喋るのは違和感が有るな。

 

「アカメ……貴様との勝負……私の負けだ」

 

「エスデス……」

 

エスデスがアカメに話し掛ける。

 

「フッ……貴様だけでは無くシュウにも負けたからな。私もまだまだ弱者だという事だ」

 

そう言い残し俺を持ち上げてエアマンタに乗る。

 

「俺、エスデスさんに勝った事ありましたっけ?」

 

「ナイトレイド二人を逃した時に勝っただろう」

 

ああ……あの時か。引き金引け無かったからノーカンだと思ってたわ。

 

その後セリューさんとコロもエアマンタに乗り、俺達は空から革命軍の包囲を突破して退却したのだった。

 

 

side out

 

 

……

 

帝国崩壊

 

帝国最強が居なくなった帝都には革命軍に反抗する者は居なかった。

誰もが戦いが終わったのだと感じた。

しかし……オネスト大臣はまだ生きていた。

 

side オネスト

 

オオオオオオオオオ!!!!!!

 

「ふん!今更反乱軍の屑共が雪崩れ込んできた様ですが遅い遅い!」

 

私は長生きする為に身体をしっかり鍛えてるのでね!そう簡単には捕まりませんよ!

 

「賢い者が最後まで生き残ること!これは世の中の鉄則です!しかし…何故シャンバラが壊されたのか。クソ!馬鹿に預けるのでは無かった」

 

私はあの馬鹿息子に八つ当たりする。

 

「大体、折角強化したのに関わらず目を覚まさないとは……実に情け無い」

 

壁の一つの煉瓦を押して通路を開く。その時…!

 

ドコッッッ!!! ボギィッ!!!

 

「はごおおおぉおおぉぉおおお!!!」

 

私はゴロゴロと何度も回転した。一体誰が!?

 

「なっ!?お、おおおお前は!?」

 

そこには薄汚い貧民のナイトレイドが居た。

 

「ば、馬鹿な!何故生きている!?」

 

「まさか私まで危険種と混じってたとは……自分でもビックリだよ」

 

(クソ!こんな屑の気配に気付かなかったとは!駄目だ……立てん!)

 

「でも、お陰でほんのちょっと時間が出来た……」

 

「さっさと地獄に行けえええ!!!」

 

タン タタァン タン タン

 

私は貧民に銃を撃つ。しかし……全て受け止められた………。

 

「こ、この化け物め!コッチに来るな!!!」

 

こんな時の為の馬鹿息子だろうに!!!

 

「あの役立たずめ!!!」

 

「何の話か知らないが………コレが最後のドブさらいだ!!!」

 

や、やめろおおおお!!!!!!

 

ドボッッッ!!!

 

「ぐおあ!ぐあぁ……わ、私のお腹が……な、何て事を…このクズ…!」

 

私はクズを見る。すると……クズはクズみたいな笑みを浮かべる。

 

「……あぁ。長生きの為に徹底的に体鍛えてるんだったよな?」

 

クズはそう言うと私を引きずって行く……ッ!ま、まさか!このクズ!!!

 

「やめてえ!!!それだけはやめてえ!!!」

 

しかし…クズは………

 

「……聞けないなぁ。私はロクデナシだから……容赦なんて無いんだわ」

 

こんな……こんな!終わりがあって堪るか!!!

 

「こ、こ、ここで終われるかあああ!!!まだまだ私は人生を!!!」

 

「だからさぁ……楽しんで来いよ人生を。ぽいっ」

 

浮遊感に包まれる。上は空が広がる……下には………反乱軍のクソ共が!!!!!!

 

「こんな終わりがあって堪るかあああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!」

 

 

 

side out

 

 

side レオーネ

 

「レオーネっっ!!!」

 

「レオーネ!無事だったか!」

 

「お?アカメにタツミ!てか、タツミ…何かアンタ混ざってない?」

 

そこにはアンタとタツミが居た。でも、タツミの頭に角が生えてるよ。しかも目が十字になってる……。

 

「まあ……これ以上インクルシオと混ざるのは危険だとは言われたよ。ただ……インクルシオには感謝してるよ」

 

「そっか……」

 

「レオーネ!酷い怪我じゃ無いか!直ぐに医者を!」

 

「いや……もう良いんだ」

 

私の体は私自身が良く分かってる。

 

「何を言ってる!タツミも生き残って手当てを受けたんだ!お前も!」

 

ぎゅ

 

私はアカメを抱き締める。

 

「私は……もう良いんだ」

 

「………ッ!!」

 

アカメも分かってくれたみたいだ。

 

「姐さん……諦めんのかよ?」

 

「タツミ………自分の事だからね」

 

「ッ!!シュウだってアカメに斬り殺されたのに復活したんだぞ!!なのに!そんな簡単に諦めんなよ!!!」

 

そっか……シュウ生き残ったの……ん?斬り殺された?

 

「ちょっとタツミどう言うこと?」

 

タツミとアカメから話を聞く。

 

「はあぁ?……あいつも大概だよね。帝具使いじゃ無いのに復活とか……しかも女三人に告白して逃避行?……何処の恋愛小説よ?」

 

聞いてるだけで鳥肌たったわ。

 

「ッ!そうだ!姐さん……俺の血を飲んでくれ!」

 

「ちょっと待ちなよ!タツミ!私はあのガキ擬きじゃ無いわよ?」

 

「俺の体はタイラントと混ざってる……でも、タイラントの血を飲めば!」

 

タツミ……やれやれ、断れそうに無いなこれは。

 

「分かった分かった。飲むよ……大人しく飲まないとアンタまたインクルシオ装着しそうだしね」

 

「姐さん……」「レオーネ!」

 

私はタツミの腕に噛みつき血を吸う。

 

「あ、そうだ。もしタイラントの力まで手に入れちゃったら……責任…とんなさいよ///」

 

「え?…責任?」「???」

 

やれやれ、まだまだ子供だね〜。

 

私は何とか一命を取り留めた。そしてタイラントの影響も少し出た為……責任とって貰う事にした。

 

 

side out

 

 

……

 

………

 

帝国崩壊か3ヶ月の月日が経った。

新国家が樹立したものの腐敗した文官等の多くは居なくなっており、混乱も無くスムーズに政務は行われていった。

最後まで帝国に使え悪事に手を染めず国を支えた骨太な文官達もまた力を尽くす。

民を苦しめる多数の法は廃止され、市民達も喜び働いた。

安寧道の反乱も帝国が滅んだ事で自然と収まっていった。

 

新国家の運営は安定していた。

そして、命が軽く扱われていた暗黒時代から天下泰平の優しい時代へ。

 

 

side シュウ

 

俺は今東の港町に居る。まあ…ぶっちゃけ国外逃亡です。

俺、セリュー、チェルシーの手配書は無かったけど……やはりエスデスの手配書はあった。

しかも……破格の金額だった。これはさっさと此処から出て行けと暗に言われてる様な物だな。

 

「シュウ!船の予約取れたよ」

 

そこにはチェルシーが居た。

 

「ありがとう。助かるよ」

 

「気にしないで。私達……夫婦でしょう?///」

 

コレだ!まだ慣れてないから赤面する物の嬉しそうに言うもんだから……堪らん!!!

 

「どうしたの?ガッツポーズなんかして?」

 

「俺勝ち組確定だから」グッ!

 

「シュウ!チェルシー!船はどうなったの?」

 

「キュウキュウ!」

 

「バッチリよ」

 

セリューも来て両手に華だ!

 

「シュウ………私はいつまでフードを被らねばならんのだ?」

 

後ろからエスデスも抱きついてくる。最高だわ。

 

「もう少しですね」

 

「そうか……しかし、帝国最強と言われた私が敵前逃亡するとはな。中々面白い物だな」

 

皮肉気に言うエスデス。それに苦笑いする二人。だが……違うよ。強いて言うなら………

 

その時だった。向こうの倉庫で爆発が起きた。そして…

 

「グアアアアアアア!!!!!!ジュウウウウウウ!!!!!!ドゴダアァァァァ!!!!!!」

 

見たことも無い大型危険種が現れた。しかも……

 

「今……シュウの事呼んでませんでした?」

 

三人の妻とコロがこちらを見る。俺は自分を指差す。

 

「俺?」

 

暫くその場に留まると大型危険種と目が合った。

 

「ジュウウウウウウ!!!!!!ゴロズウウウウウ!!!!!!」

 

あ、俺だわ(確信)

 

俺はマグナムを抜き5発連発で射撃する。しかし、全て弾かれる。

 

だが……俺はもう奴の目の前に居て黒刀を構え………

 

ザンッッッッ!!!!!!

 

大型危険種の頭部を斬り飛ばした。

 

キン

 

「傍迷惑な危険種?だったな……あーあ、港がボロボロに………よし!皆んな!今の内に乗船!行こう!」

 

俺は皆に声を掛けて乗船する。あ、そうだ。

 

「エスデス。俺達は逃亡とかじゃ無いんだよ?」

 

「私達は逃げるのでは無いのか?」

 

エスデスは聞いてくる。だから…妻達に言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「逃げる?違います。明日への前進です」

 

 

 

 

 

 

 

 

……

 

………

 

 

 

秘密警察イェーガーズ

帝国時代末期に当時極悪非道で帝国最強と呼ばれていたエスデス将軍により設立された、ナイトレイド討伐を主目的とした組織。

新国家の公式史書にもイェーガーズの存在は書かれていた。

メンバーの数は七人。

その内一名のみが新国家の為に残った。

 

しかし…後々、このメンバーが八人では無いかと言われる事になる。

イェーガーズのメンバーであり、新国家に残り尽力したランの残した書物によると、八人目は仮でイェーガーズに所属していた事。

また戦争直前にエスデス軍に入隊しイェーガーズに入ったとされる。

そして…その八人目を調べると様々な所で暗躍して居たと分かった。

だが真実か嘘かは迷宮入りとなるだろう。

しかし……この八人目の存在が帝国崩壊の足掛かりを作ったとされる事が事実であると分かった。

 

後の歴史家達は彼の事をこう呼ぶ事になる。

 

 

 

「帝国の闇が産んだ大罪人」

 

 

 

であると。

 

 

 

 

END




はい!完結しました!

完結させるのに一年近く掛かりました。ただ、途中4ヶ月ぐらい放置しちゃったから読者の皆さんも「まさか、完結させるとは」(驚愕)と思ったでしょう。
ぶっちゃけ自分がそう思いましたwww
取り敢えず自分なりのアカメが斬るを書いて見ましたが……如何でしたでしょうか?二次小説等の小説投稿は初めてで少し不安もありましたが、感想などでアドバイスや誤字報告してくれたりしてありがとうございます。
皆さんの時間泥棒出来たらとてもとても嬉しく思います!←最低発言



此処まで続けれたのも感想などもそうですが、ユニークアクセスやお気に入りや評価を見て「ああ、読んでくれてるんだなぁ」と思い完結出来ました。

さて、あまりグダグダしても仕方無いのでこの辺で。
皆さん、ご愛読ありがとうございました!


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