Q艦娘が少ない場合はどうすればいい?Aじゃあ提督が戦おう! (宗也)
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序章 無人島鎮守府の提督
無人島に左遷された男


どうも初めまして宗也です。小説初投稿という訳ではありませんが、駄文が多いかも知れません。ですが、見ていただければ幸いです。

あと、提督が戦う描写は少し後になります。


「はぁ、あれから3年か。」

 

そう言い俺はみかん箱の上に置いてあるペットボトルの水を飲む。おっと、初めましてだな。俺は日本のとある地域にある鎮守府に所属している提督だ。地域と言ってもライフラインも建物もない無人島だけどな。DA○H島じゃねえかと思った皆様、正解だ。

 

「時が経つのは早いもんだ。」

 

歳は二十歳、もちろん男だ。3年前にある理由によってここの鎮守府の提督に着任した。階級は少佐、まあそんなことはどうでもいいだろう。

 

「しかしなぁ、ここに着任してから3年経ったが、未だに机がみかん箱ってどういうことなんだか。」

 

3年も経てば色々家具とか揃うはずだが、俺のいる鎮守府にはたくさんの問題があった。

 

「まず1つとしてなぁ、資材が支給されないってどういうことだよ!?」

 

問題点その1、資材が支給されない。普通なら着任した時に燃料や鋼材などが支給されるが、俺の所には支給されない。しかもここに着任してから3年経ったが、1回も海軍から資材が支給されない。

 

「あれですか?縛りプレイをしろってことですか!?海軍の奴等め。」

 

何度が資材の支給の申請をしたが、全て却下された。理由はお前に資材をやるくらいなら他の鎮守府に資材を支給した方がましだと。

 

「お陰で資材が少ないんだよな。」

 

3年かけて集めた資材は燃料1500、鋼材1500、ボーキサイト300、弾薬5000だ。弾薬の数がおかしいって?たまに他の鎮守府の奴等から貰うんだよ。有り余っているからくれてやるだと。

 

「だけどな、ボーキサイトがたまんねえんだよ。」

 

どうやって貯めたかって?自分で採掘してんだよ文句あっか?ここの島はボーキサイトが採れるんだよ。何故採れるかは知らんけどな。他の資材はたまにここにくる輸送船の人達から貰った。

 

「3年でこの量、泣けるぜ。」

 

そう思いながら水を飲む。本当ならコーヒーとか紅茶とか飲みたいが、ここの島には店が無いからな。雨水を沸騰させた水を飲んでるよ。

 

「次に、俺以外に人がいない。」

 

これも本来なら建造してくれる妖精や開発をしてくれる人、料理をしてくれる人などがいるはずなのだが、これも海軍の奴等がお前にはもったいないと言って誰一人寄越さなかった。マジで死ねばいいと思う。

 

「だから建造とか開発とか出来ねえんだよなぁ。」

 

そもそも電気が自家発電の時点でこの島で建造とか無理な話だけどな。施設とかもねえし。

 

「だから食べ物とかも自給自足、ハハッ、笑えねえ。」

 

そんな状況でもここの島で3年生きてきた俺を誉めたい。まあ、筋肉モリモリマッチョマンや、マシンガン等を持って暴れるマッチョマンに色々と生きる術を教えてくれなかったらやばかったな。決してコマ○ドーやラン○ーに出てくる人達じゃありませんよ?

 

「さて、今の時間は、朝の6時か。そろそろ飯にすっかな。」

 

と言っても食堂とか無いんですけどね!!あるのは木材を使って建てた一軒家みたいな建物しかない!!しかも執務室(笑)一室と艦娘用の部屋が六室しかないけどな。

 

「今日は、魚でも食べるか。」

 

さて、釣竿を持って歩いて3分の海岸に行きますか。今日は釣れるかねぇ。

 

「さてと、餌は手作りのルアーを使うか。よっと!!」

 

そう言い俺は釣りを開始する。あぁ、太陽が眩しいぜ。今日は晴れだな。

 

「…………。」

 

暇だな。ちょっと寝るかな。

 

「ふぁ~あ、おやす……おっ!!」

 

寝ようと思った時に釣竿が盛大にしなった。これは大物の可能性があるな!!

 

「久々の魚!!逃がしてたまるかよ!!」

 

お、重い!!だがこんなもの、気合いがあればどうって事はない!!

 

「おらぁぁぁ!!」

 

釣れたぁ!!よし、どんな魚な、ん、だ。

 

「「きゅ~~……。」」

 

な、なんか、女の子が釣れたぞ?しかも、これは戦艦の金剛型の姉妹だな。大破しているから誰かはわからんが。

 

「何で!?何で何もないここの島で釣れるんだ!?」

 

誰かが轟沈させたのか?とにかく、修理しないといけないな!

 

「と言うわけで、キャッチ&入渠!!」

 

金剛型姉妹を入渠施設目掛けてぶん投げる。

 

ザブーーーン!!

 

「よし、ちゃんと入渠施設に入ったな。」

 

施設と言ってもデカイ浴槽を木の壁で囲ったお粗末な物だけどな。天井はないぞ。でもシャワーは付いてるぞ。

 

「さて、沸かしますか。」

 

今は只の水風呂だからな。沸かさないと可愛そうだ。どうやって沸かすかって?入渠施設の外に水を沸かす物がある。ほら、戦国時代などの人が白米を食べるときに一生懸命火の近くでふーふーしてただろ?それを風呂版に変えたもの。説明下手ですまんな。

 

「飯は、そこら辺の草でも食べますか。」

 

醤油をかければ意外といけるぞ!!ただ50%の確率で腹を壊すけどな!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー、ふー。」

 

ぜぇ、ぜぇ、かれこれ一時間はこの火に息を吹き掛ける作業をしている。早く湯沸し器が欲しい!!

 

「もう疲れたモシャモシャ、やってられっかモシャモシャ。」

 

そこら辺に生えてた草を食べながら作業をしている。食物繊維はたっぷり取れるな!!

 

「うーん、はっ!ここはどこデスか?何でこんな所にいるんデスかネ?」

 

おっ!一人気が付いたみたいだな。しかもこの片言のしゃべり方、金剛だな。

 

「気が付いたかー?」

 

「気が付きましたヨ、って誰デスカ!?」

 

「それは後で説明してやるから入渠施設から出てくれないか?」

 

お湯を沸かすのもう疲れた!!出来ることなら止めたい!!

 

「わかりましたヨ、ほら、比叡もくるネ。」

 

もう一人は比叡か、ここの島に来て初めての艦娘が戦艦か、普通なら喜ぶんだけどなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たみたいだな。」

 

今は金剛と比叡を執務室(笑)のソファーに座らせている。俺?俺はみかん箱に座ってますけど何か?ソファーは艦娘用にとっておいた物を使ってる。

 

「貴方が私達を救出してくれた人デスカ?ありがとうなのデース!!」

 

うん、片言のしゃべり方、慣れないな。つーか人にあったのが二ヶ月振りだから涙が出そうになる。

 

「取り敢えず、自己紹介頼む。」

 

もう知ってるけど、念のためな。

 

「私は金剛といいマース!!よろしくデース!!」

 

「私は金剛お姉様の妹分の比叡と言います。よろしくお願いします!!」

 

「金剛に比叡、よろしくな。」

 

そう言い俺は二人に握手をする。何でするかって?昔の癖さ。

 

「ここはどこですカ?提督は貴方なのデスカ?」

 

「ここは日本のある地域の無人島だよ。一応、ここの地域の鎮守府の提督をしている。」

 

「提督なのにどうして軍服を着ていないのですか?」

 

比叡の言う通り、俺は軍服を着ていない。俺が今着ているのは白のタンクトップに白のズボンだ。軍服なんて支給されねえよ。

 

「色々あったんだよ。気にすんな。」

 

「ところで何故私達はここにいるのですカ?」

 

「んっ?朝食用の魚を釣ろうと思って海岸で釣りをしていた時に君達が釣竿に引っ掛かった。その時君達は大破していたからな、ほっとく訳にもいかないから入渠施設に目掛けて釣竿ごとぶん投げた。」

 

「ぶん投げたって、私達をですか!?」

 

何だ?何で比叡は驚いているんだ?

 

「まあ、その話はいいだろう。さて、金剛と比叡はこれからどうするんだ?」

 

「どういうことデスカ?」

 

「ここは他の鎮守府と比べて色々と問題点がある。」

 

問題点有りすぎてもうどうでも良くなったけどな。

 

「どのような問題点……もしかして提督がみかん箱に座っていることですか!?」

 

「比叡、それは違う。単純にまとめると資材が支給されない、ライフラインがほぼない、まともな食事がとれない、人が俺しかいないって事だ。」

 

ブラック鎮守府の中でもトップになれる自信があるぞ!!何も嬉しくねえ。

 

「つまり、出撃はおろか、まともな生活も出来ないってことデスネ!!」

 

「身も蓋もない事を言えばそういう事だ。で、どうする?君達はまだここの鎮守府に正式に所属されていないから海軍に連絡すれば他の鎮守府に行くことが出来るぞ?」

 

金剛も比叡も貴重な戦艦だからな。俺が海軍に連絡すれば海軍の奴等は喜んで金剛と比叡を回収しに飛んでくるだろう。

 

「でも、提督は私とお姉様以外の艦娘を持っていないじゃないですか!!」

 

「まあそうだな。ここ3年は全て俺一人でここの地域を守ってきたからな。艦娘が居なくてもあんまり変わらねえよ。」

 

「…………。」

 

さて、比叡と金剛はどうするのかねぇ。多分ここから出ていくだろう。

 

「さて、海軍のくそったれな奴等にれ「連絡しなくていいデス!!」はっ?」

 

「私はここに残るデス!!比叡もそれでいいデスカ?」

 

「お姉様がここに残ると言うなら私もここに残ります!!」

 

「いいのか?もっと待遇の良い鎮守府の所に行かなくていいのか?」

 

みかん箱に座っているような提督だぞ?

 

「大破して轟沈した私達を救ってくれた提督に恩返しがしたいのデス!!」

 

「私もお姉様と同様です!!」

 

「……そうか、わかったよ。そこまで言うならここに残るといい。ただし、相当きついからな?覚悟しておけよ?」

 

「「ハイ!!」」

 

やっべ、偉そうな事言ったけど、実際嬉しすぎて泣きそうだ。

 

「じゃあ飯の準備だ。行くぞ!!」

 

さて、ここからどうなるのかねぇ。

 

 



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提督は人間か?いいえ、人外です。

今回は提督の戦闘シーンです。うちの提督は最前線に出て戦うタイプの提督です。


「さて、今日の朝食は豪華にした。たんと食えよ!!」

 

「Hey!!提督!!1つ質問したいことがあるんですけどいいですカ?」

 

「んっ?どした金剛?言ってみろ。」

 

「ここは無人島なんですよネ?どうしてこんなに豪華なんですカ!?」

 

執務室(笑)のテーブルには白米、味噌汁、焼き魚、ほうれん草のおひたしが乗った皿が置いてある。

 

「何だ?不満なのか?」

 

「いえ、ライフラインはほぼないって言っておりましたので、てっきり魚だけとかと考えてました。」

 

「食事くらいは良いものを食べたいだろ?3年かけて色々なものを備蓄しておいたからな。」

 

肉や魚、米や酒などをたっぷりと備蓄してある。

 

「でも提督の机のみかん箱の上には水と草しかありませんけど。」

 

「俺はこれでいいんだ。実際備蓄しておいた食料などは艦娘が来たとき用に使うと決めたからな。」

 

そう言いながら俺は草にマヨネーズをかけて食べる。うっ、この草は不味いな。後で違う草を食べてこよう。

 

「提督!!私紅茶が飲みたいネ!!」

 

「お姉様!!流石に紅茶はないと思いますよ!!」

 

「あるぞ、ダージリンしかないけどな。」

 

「……なぜあるのですか?」

 

なんだよ比叡、そんな不思議そうな顔をして。金剛は紅茶が好きだと知っていたからな。だから紅茶の葉も栽培しておいた。

 

「流石提督ネ!!」

 

「淹れ方は期待するなよ金剛?」

 

「(もしかしたら、ここブラックじゃなくてホワイトなんじゃないかしら。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、朝食も済ませた事だし。何するかねぇ。

 

「そうだ、一発景気付けに建造でもしてみるか。」

 

「賛成ネ!!どんな人が来るのか楽しみネ!!」

 

「ですが提督?どうやって建造するのですか?確か妖精はいないんでしたよね?」

 

「比叡の言う通り、ここには妖精なんかいない。」

 

じゃあどうするのかって?簡単な話さ。

 

「じゃあどうするんですか?」

 

「自分で造る。金剛と比叡は危ないから離れておきな。」

 

「「ハイッ!?」」

 

さて、どの艦娘にするか。駆逐艦は……止めておこう。嫌な思い出が甦る。

 

「いっそのこと戦艦をもう一人増やすか、敵の脅しにもなるだろう。」

 

レシピは燃料400、鋼材600、弾薬30、ボーキサイト30だったかな?しばらく建造しなかったから忘れた。

 

「て、提督!!自分で造るって正気ですか!?」

 

「それしかねえだろ比叡。大丈夫だ、妖精よりも速く造ってやるからよ!!」

 

そう言い俺はハンマーを掴む。さて、3年振りの建造だ。気分が高揚するぜ!!

 

「提督って人間なんですかね?」

 

「わからないデース。だけど、提督は凄い筋肉を持っていますネ!!」

 

後ろで金剛と比叡が何か話しているな。まあ、3年もサバイバル生活をしてきたら嫌でもこうなるさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筋肉モリモリマッチョマン建造中……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来たぞ!!」

 

さて、建造で出来たのは。

 

「パンパカパーン!!私愛宕よ!!よろしくお願いしますね!!」

 

重巡だったか、まあいいか。にしてもスタイルいいな。

 

「提督、1つ聞きたいです。」

 

「何だ比叡?」

 

「重巡を造るのに普通は一時間半かかるのにどうして提督は30分で出来るのですか!?」

 

「長年の経験?」

 

と言っても二十歳ですけどね!!

 

「さて、ここら辺で金剛達がどれくらいの火力を持っているかテストしてみるか。」

 

「演習をするんですカ?」

 

「弾薬や燃料が勿体無いから却下。」

 

燃料は残り1000くらいだからな。いざって時の為に取っておきたい。

 

「あらあら、ではどうするのかしらぁ?」

 

「じゃあまずは金剛、俺に砲撃を撃て。」

 

「て、提督!!それは提督が死んじゃいますヨ!?」

 

「そんなくらいで死んでたらここの鎮守府に着任した次の日に死んでる。」

 

みっちりと鍛え上げたからな。死にはしない。

 

「い、行きますヨ?本当に行きますヨ!?」

 

「つべこべ言わずに来い!!」

 

「banking!!love!!」

 

って10メートルしか離れていないのに全弾発射かよ!!まあいいけどさ。

 

ズドォォォォーーーン!!!

 

「はっ!!つい全力でやってしまったのネ!!」

 

「お姉様やり過ぎです!!提督は木端微塵になってますよ絶対!!」

 

「これはやり過ぎかしらねぇ~。」

 

「ふぅ、火力は想定以上だな。流石は金剛型の1番艦だ。」

 

あー煙が目に染みる。意外ときついな。

 

「あらあら、ほぼ無傷ね。提督は人間なのかしら~?」

 

「ひどいな愛宕、俺は紛れもない一般Peopleだぞ?」

 

「戦艦の砲撃を受けてほぼ無傷な一般Peopleが居ますか!?」

 

現にいるぞ?ここにな!!

 

「これくらい耐えれないとここの鎮守府の提督は務まらんさ、次は比叡、お前だ。」

 

「ひえぇぇぇ!!撃ちたくないですよ!!提督が死んでしまいます!!」

 

「じゃあ撃たなかったら食事は俺と同じメニューな。」

 

「わかりましたよ撃ちますよ!!」

 

その後、比叡と愛宕の砲撃を身を持って体験した。流石に愛宕の砲撃を喰らった後は倒れそうになったけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は進み、夕食。

 

「ねぇ金剛?ここは無人島なのよねぇ?」

 

「そうネ!!昼間この辺りを散策したけど、森とか川とかしかなかったヨ。」

 

「なのにどうして今日はすき焼きなのかしらぁ?」

 

「いいじゃねえか愛宕、愛宕の歓迎会として用意したんだ。たんと食えよ。」

 

艦娘に不自由な思いはさせたくないからな。特に食事。

 

「それじゃあ、お言葉に甘えますね♪」

 

「ふぅ、ふぅ、温度はどうだ?丁度いいか?」

 

「提督!!自家発電って提督が自転車を漕いで発電してるんですカ!!」

 

「そうだぞ金剛、すき焼きを食べるにも鍋がいるだろ?鍋の水を沸かすのに電気が必要。だから俺が自転車を漕いで発電してお湯を沸かしてんの。」

 

これも一種のトレーニングさ。日々鍛練あるのみさ。

 

「それに、今付いてる電灯も俺が漕いでないと消えるからな。真っ暗な状態ですき焼きを食べたいか?」

 

「それは……食べたくないデスネ。比叡、提督の分も残しておくようにネ!!」

 

「わかってますよお姉様。提督、あまり無理をしないでくださいね。」

 

比叡はいい子だな。涙が出てきそうだ。

 

「よし、もう一頑張りだな!!行くぜ!!オラオラオラオラオラ!!」

 

「ねぇ金剛、本当に提督って人間なのかしら?」

 

「それは、私もわからないネ愛宕。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、俺は久し振りに肉を食べた。マジ美味しいです!!すき焼きはやっぱり牛肉だな。そして、今は深夜、金剛達は自分の部屋で寝ている。

 

「さて、書類も書き終わったし、見回りでもしてくるかな。」

 

書類仕事は慣れんな。羽ペンだから書きづらい。ボールペンがいい!!

 

「懐中電灯、懐中電灯っと。んっ?誰だ?」

 

執務室のドアの前に誰か立っているな。

 

「提督~?まだ起きてますか~?」

 

「何だ愛宕か、起きてるよ。これから見回りに行くところだ。」

 

「じゃあ私も付いていきますねぇ。」

 

何でだよ?まあ構わないが。

 

「と言っても20分程だぞ?」

 

「大丈夫よぉ、さぁ、行きましょう。」

 

愛宕に引っ張られるように俺は外に出る。星が綺麗だな。

 

「提督、1つ聞きたい事があります。」

 

俺が前、愛宕が後ろで歩いていると急に愛宕から質問が飛んできた。

 

「どうした?」

 

「提督は、何故そこまで艦娘に良くしてくれるのですか?何か過去にあったんですか?」

 

「何故そう言い切れる?」

 

「何となくです。」

 

やれやれ、愛宕には気付かれないと思ってたんだが、考えがちょっと甘かったか。

 

「詳しくは言えないがな、俺はある任務で艦娘を全滅させた事があるんだ。」

 

「全滅って、どういう意味ですか?」

 

「言葉を選ばすに言うと、俺が率いていた艦娘を全員轟沈させたんだ。」

 

あれは忘れられない。いや、忘れてはいけないんだ。

 

「そこか……むっ!どうやら敵が来たようだな!!」

 

海岸の向こうに一体だけ敵がいるな。あれは駆逐ロ級か。

 

「取り敢えず愛宕は金剛と比叡を起こしてくれ!!あいつ一体とは限らないからな!!」

 

「提督は!?」

 

「いいから行け!!」

 

愛宕は心配そうな目で俺を見た後に鎮守府の方に走っていった。

 

「さて、最近出てこなかったな。ちょっとストレス発散に付き合えや!!」

 

そう言い俺は艦装を着けて出撃する。

 

「!!!」

 

俺が出撃すると同時に敵は魚雷を撃ってくる。

 

「はぁ、別に避けるのは簡単なんだがほっといたら色々と面倒だからなぁ。」

 

砂浜に当たって爆発でもしたら鎮守府の建物が危ない。火でも移ったら大変だ。

 

「ならどうするかって?真実はいつも1つ!!」

 

俺が魚雷にぶつかればいいのさ!!ウラーーー!!

 

ドゴーーーーン!!

 

「ヤッタゾ!!」

 

「残念、それはフラグというもんだ。」

 

「!!!」

 

こんな魚雷、どうってことねえ。まだ金剛の砲撃の方が痛かったぞ!!

 

「今度は俺の番だな。喰らいやがれ!!」

 

俺は駆逐ロ級の砲撃を避けながら近付き、思いっきり拳骨を喰らわせる。その衝撃で駆逐ロ級は海に沈んでいった。

 

「他愛もない。もう少し骨のある奴……っておいおい。」

 

駆逐ロ級を倒したと思ったら近くに重巡リ級がいた。

 

「(愛宕達はまだ来ないな、だったら俺が沈めるしかねぇって事だ!!)」

 

そう言い俺は重巡リ級に突っ込む。リ級も俺を近付けさせないと砲撃してくるが、それを加速、減速で避ける。

 

「お前も一発拳骨喰らえ!!」

 

俺は駆逐と同様にリ級に拳骨を喰らわせる。だが重巡、沈んではくれなかった。寧ろ至近距離で砲撃をしてきた。

 

「マジかよ!!」

 

その砲撃を直撃してしまい轟沈、するわけねえじゃん!!

 

「生憎と、タフさは艦娘以上だからな。そんな砲撃で轟沈させようなんざ甘過ぎるな!!」

 

小破もいってないな。俺の生命力は600だからな!!簡単には沈まねえ!!

 

「しかし、拳骨でも沈ませる事は出来るけど時間がかかるしなぁ。」

 

機銃とか艦娘が装備している物があれば簡単に沈ませる事が出来るんだがなぁ。せめて鉄があれば、んっ?鉄で作られてる物があるじゃないか!!

 

「ちょっと距離を取ってと。」

 

確か砂浜に……あったあった!!

 

「これがあれば負けねぇ!!」

 

そう言い俺は再度重巡に突っ込む。砲撃してくるが、遅い遅い。

 

「喰らえ!!止まれの標識アタックーー!!」

 

俺は止まれの標識で重巡リ級を殴り飛ばした。どうやらかなり効いたらしく、沈んでいった。

 

「勝利!!っと、執務室に戻るかな。」

 

久々に戦った。今回は重巡だったからなんとかなったが、戦艦とか来たらやべえな。何か対策でも考えるか。

 

「ただいまっと。」

 

「「「て~い~と~く~?ちょっとお話があるんですけれど~?」」」

 

執務室に帰ったら金剛、比叡、愛宕が黒い笑顔で待ち構えていた。あっ、ヤバッ!!

 

「逃げるが勝ち「逃がさないわよぉ。」愛宕!?お前そんなに速く動けたっけ!?」

 

逃げようと思ったら愛宕が扉の前に立ち塞がってた。瞬間移動でもしたのか!?

 

「何故私達を出撃させなかったんデスカ!?提督一人無茶し過ぎデス!!」

 

「お姉様の言う通りです!!そんなにボロボロになって!!提督が死んだら私達どうすればいいんですか!!」

 

「俺は死なねえよ。こんなもの小破でもねえよ。」

 

ただ服がボロボロになっただけじゃねえか。血とかも多少しか出てないから大丈夫だ。

 

「反省の色無しね~、ちょっとお話が必要ねぇ。」

 

「必要ない!!」

 

「「「正座!!」」」

 

「……ハイ。」

 

その後二時間程説教されました。途中うたた寝したら愛宕に頬を引っ張られました。意外と痛かった。



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Q提督って何者?A人間を超越した人間です。

「ったく、説教するだけして、その後は寝るのかい。」

 

金剛、比叡、愛宕は俺に説教した後は執務室のソファーの上で寝やがった。まあ当然か。深夜に襲撃があった後、俺に二時間も説教したからな。

 

「全く、布団掛けないと風邪引くぞ?」

 

「うーん、提督~、大好きネ~。」

 

「お姉様ぁぁぁぁ……。」

 

「すぅ、すぅ。」

 

何だ、この可愛い生物は?こいつらの寝顔は女神ですか?

 

「取り敢えず、起こさないように静かに執務室から出るか。」

 

さて、何するかな。何もする事がないし釣りでもしますか。

 

「しかし、釣りしかしてねえな。まあ、ここの島に娯楽なんてないし。」

 

嫌いじゃないんだけどな。今日は何が釣れるのかねぇ。また戦艦とか釣れたりして。

 

「はぁ、朝日が眩しい。ってか、このシーン前にもあったな。」

 

まさか、まさかな。

 

「釣りは止めよう。そうしよう。」

 

寝よう、こんな朝日が照っている中で寝るのも悪くない。

 

「というわけでおやす。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筋肉モリモリマッチョマン睡眠中……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Zzz・・・」

 

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

ゴチーーーン!!

 

「痛ってぇ!!何だ何だ敵襲か!?」

 

気持ちよく寝てたら頭に何か激突したぞ!!

 

「きゅ~……。」

 

……また艦娘か。しかも金剛型。眼鏡をかけていないから榛名の方か。

 

「おーい、大丈夫か?」

 

「貴方は、誰、ですか?」

 

「ここの島の提督だ。大破してるじゃねえか!!何があった!?」

 

「お願い、わ、私達を、助け、て。」

 

そう言い榛名は気絶した。助けて?嫌な予感がして沖の方を見れば駆逐艦と正規空母が戦艦ル級三体と戦っていた。いや、逃げていると言った方がいいな。

 

「駆逐艦は響、正規空母は加賀か。そしてどちらも大破している。」

 

対して戦艦ル級はほぼ無傷、あれ?やばくね?

 

「駆逐艦……ッ!!」

 

くそっ、あの時の嫌な思い出が出てくる。

 

「あの時、俺は何も出来なかった。ただ艦娘が轟沈していく様子を見ることしか出来なかった。」

 

特に駆逐艦、轟沈したあいつらの表情は忘れられねぇ。

 

「もう2度と起こさない。そのために俺は3年間死物狂いで鍛えたんだ!!」

 

もう見捨てない、俺の目の前や管理している地域で轟沈なんかさせはしない!!

 

「榛名、お前は先に入渠してろ!!」

 

気絶している榛名をぶん投げて入渠施設に入れる。よし、これであと二人!!やり方が荒いって?気にすんな!!

 

「戦艦だろうがなぁ、俺の管理している地域で好き勝手やっている奴はボコボコにしてやるだけだ!!」

 

そう言い俺は艦装を装着して沖に出る。むっ!響に砲弾が行きやがった、響は諦めて身を屈めた、それを加賀は身を挺して守ろうとしている。

 

「艦娘を守るのは、俺の役目だぁぁぁ!!」

 

スピードを最大にして響と加賀の前に立ち塞がる。

 

ドゴーーーーン!!

 

「オワッタナ、大破シテイル時点デワレラニイドムカラダ。」

 

「おいおい、何処を撃ってるんだよ。」

 

「ナニッ!?」

 

俺は響に当たる砲弾を自分が当たりに行った。意外と痛てえな!!

 

「ちゃんと俺を狙ってくれなきゃ困るだろ。」

 

「「あ、貴方は?」」

 

「そんなのは後で説明してやる。そこにいろ。」

 

そう加賀と響に言い、戦艦ル級三体の前に立つ。

 

「何故イキテイル!?艦娘デモナイオマエガ!?」

 

「不思議か?だったらありったけの砲撃をぶちこんでみるといい。」

 

「ツヨキノシセイモソコマデダ!!」

 

そう言い戦艦ル級は一斉に俺に砲弾を当ててくる。ふっ、まだまだ温いな!!

 

「その程度の火力か?そんなんじゃ俺は沈まねえぞ!!もっとぶちこんでみな!!」

 

これだけ聞くとドM発言に捉えられるな。まあ、こんな島でトレーニングをしている時点でドMなんだろうけど。

 

「ハァ、ハァ。」

 

「どうやら全弾使いきったようだな。さてどうする?全弾俺にぶつけても俺は小破だぞ?まだ抗うか?」

 

流石に物理で戦艦三体に勝てるほど鍛え上げてない。だったらどうするか?弾薬を使い切らせればいいんだよ。

 

「ツヨガルナ!!オマエノステータスヲミレバ!?」

 

「ステータスを見ればなんだって?見てもこの状況は変わらねえぞ?」

 

俺のステータス、生命力400/600だぞ。何を驚いているんだか。

 

「オボエテロヨ!!イツカカリヲカエスカラナ!!」

 

そう言い戦艦ル級は去っていった。なんとかなったか。

 

「おいお前ら、大丈夫、じゃねえな!!」

 

加賀と響が沈みそうになっていたから慌てて引き上げる。限界を越えてまで逃げていたんだな。

 

「さて、もう一踏ん張りだ!!」

 

そう言い俺は砂浜まで全力疾走し、砂浜に上がる直前にジャンプして入渠施設の浴槽にダイブする。

 

「名付けて、ダイナミック入渠!!」

 

ザブーーーーン!!

 

あっ、予想より大きな音が鳴ったな。まあいい、加賀と響を浴槽に入れてと。よし、浴槽からジャンプしてと。

 

「アーンドふーふー!!」

 

着地地点に入渠施設のお湯を沸かす所にし、空中で竹筒を取り出し、着地と同時に火を付けてふーふーする。

 

「ふーふー……傷口が染みるぅぅぅ!!!」

 

あれだ、体中火傷していて出血もしている状態で水の中に入るべきじゃねえな!!

 

「ふーふー!!」

 

「て~い~と~く~?」

 

やべっ!!愛宕に見付かった!!どうする、どう切り抜ける!?

 

「私は提督ではありません。ただの筋肉モリモリマッチョメンのふーふーマンです。」

 

「あら、私はそのふーふーマンに用があってきたのよぉ。」

 

あっ、詰んだ。

 

「さぁて、こっちに来なさい♪」

 

「俺の傍に近寄るなぁぁぁぁ!!!」

 

「ダァメ♪さぁ金剛や比叡も待ってるわよぉ。」

 

襟を引っ張るなぁ!!俺のタンクトップが伸びる!!

 

「離してくれー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

筋肉モリモリマッチョマン連行中……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、これはどういう状況ネ?」

 

「色々あったんだよ、色々とな。」

 

愛宕に執務室に連行されて、リンゴ箱の上に座ってるよ。

 

「1つ1つ整理しましょう。まず入渠施設で爆音が鳴りましたけど、その原因は提督ですか?」

 

比叡から睨まれるような目で質問される。そんなに睨むなよ。

 

「ああそうだ、ちなみに何をしたかと言うと砂浜で寝ていた俺の頭にぶつかってきた艦娘を入渠施設目掛けてぶん投げた。」

 

少し頭にきてたからやった。反省も後悔もしていない!!

 

「ぶん投げたって、ぶん投げられた人を確認したら榛名だったネ。何があったんですカ?」

 

「戦艦ル級三体から逃げていた。その内の一体の砲撃に当たって吹き飛ばされたんじゃない。」

 

寝てたから詳しいことは知らんけどな。

 

「その後の状況は?」

 

「榛名だけでなく、正規空母の加賀、駆逐艦の響が戦艦ル級に狙われてたから助けた。」

 

「戦艦三体と戦ったんですか!?無茶し過ぎです!!」

 

おいおい、真正面から戦艦三体とやり合う程、俺はバカじゃねえよ比叡。

 

「戦ってねえよ。その時大破していた響を戦艦三体が砲撃を喰らわせようとしたから俺が代わりに受けた。」

 

「だからボロボロなのねぇ。」

 

「その後、戦艦三体に挑発して向こうの弾薬が無くなるまで俺が砲撃を浴び続けた。そして弾切れになったから向こうは帰っていった。」

 

戦艦だけで良かった。空母とかいたら終わってた。

 

「そして、響と加賀が轟沈しそうだったから引き上げて入渠施設に連れていったってこと。まあ、皆無事で良かっ「良くないネ!!っと、いきなり何すんだよ?」

 

俺が言葉を言い終わる前に金剛がビンタしてきた。まあ、避けたけどな。

 

「提督は人間デス!!そんなことしてたら命が危ないデスヨ!!」

 

「お姉様の言う通りです!!」

 

「命が危ないねぇ、はっ、そんなことは承知の上でやってんだよこちらは。」

 

そう俺が言うと金剛と比叡と愛宕が睨んできた。

 

「艦娘の為ならこの命、捨てる覚悟は3年前に出来てるんだよ。」

 

「じゃあ提督が死んだら誰が指揮を取るんですか!?」

 

「次の後任に任せるさ。」

 

「……提督の覚悟は伝わったネ。でも1つだけ聞きたいネ!!」

 

そう言い金剛は執務室の扉を開ける。開けた先には俺が救出した三人が立っていた。

 

「提督、助けてくれてありがとうございます!!」

 

「助けてくれてありがとう、スパスィーバ。」

 

「助けてくれたのはありがたいのですが、助け方がどうかと思います。」

 

顔を真っ赤にしながら頭を下げた榛名、榛名程ではないが顔を赤くしながら頭を下げた響、頭は下げなかったがお礼の言葉を言った加賀がいた。

 

「提督、話してくれるかしら?提督が何故身を挺してまで私達を守ろうとするのかを。そして、自分の身を犠牲にしてまでも私達に尽くしてくれるのかを。」

 

「特に私を見た時に悲しそうな顔をしていた。」

 

はぁ、愛宕は俺が昨日話そびれた話を聞きたいのか。周りを見れば全員聞きたそうにしてるし。そして響は見ている所は見ているのな。

 

「わかった、話してやるよ。3年前の出来事を。ただ、生半可な気持ちでは聞くんじゃねえぞ?」



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Q提督の過去って重い?A重いかもしれません。

UA2000突破!!

Σ(゜Д゜)

お気に入り登録62件!!

!Σ( ̄□ ̄;)

評価者3名 評価☆1二人 ☆2一人

(゜ロ゜;

とまあ、驚いています。評価が1だろうが感想で叩かれようがこの小説は続けます。完全に私的な趣味なので読むのが嫌な人はブラウザバッグを推奨します。大事な事なのでもう一度言います。読むのが嫌な人はブラウザバッグ推奨です。

今回は、提督の過去の話です。


「3年前、当時は17歳だった俺はその時から提督をしていたんだ。」

 

「階級はどれくらいだったのかしら?」

 

「階級は少将だ。今より階級が3つ上だな。」

 

俺のこの発言に金剛や比叡、愛宕が驚いていた。榛名も響も加賀も金剛達ほどではないが驚いていた。

 

「どうして現在の方が階級が低いネ?」

 

「それも教えてやるから待て金剛。小将と言っても17歳、天才と呼ばれてたから天狗になってたのさ。」

 

あれは思い出したくない。今思えばかなり酷かったな。

 

「どんなことをしていたの?」

 

「遠征のルート、雑務、その他諸々の仕事を艦娘に押し付けてサボっていたのさ。」

 

「oh……今の提督の姿からは想像出来ないですネー。」

 

金剛が苦笑いしながら言ってくる。今の俺は真面目人間に見えるのか?

 

「でも作戦の時には的確な指示をして戦闘に勝利していた。負けたことはほぼ無かったな。でも今みたいに俺自身が最前線に出ずに後衛で偉そうに指揮をとっていた。」

 

「3年前からその体型だと思っていた。」

 

響、何気に毒舌だな。好きでこんな筋肉モリモリマッチョマンになったわけじゃねえよ。

 

「で、17歳の時にある作戦があった。その作戦は成功して、帰投するとなった時、いきなり深海の奴等が出てきたんだ。」

 

「どれくらいの数だったのかしらぁ?」

 

「戦艦五隻、重巡十隻、空母五隻、駆逐二十隻だ。」

 

「「「「「「!!!」」」」」」

 

何であんな数が出てきたのかは未だにわからねぇ。レーダー反応が全くなかったからな。

 

「その作戦の時、俺は駆逐艦の艦隊の指揮をとっていた。それで上の奴等にどうするのかと尋ねたら、上の海軍の奴等は戦おうとはせず、撤退を選んだ。」

 

「それが普通ですね。」

 

加賀の言う通り、それが普通。でも、普通の撤退じゃなかったんだよ。

 

「だけど四十隻の艦隊から逃げられなかった。そこで、上の奴等はとんでもない事を言い出したんだ。」

 

「とんでもないことって、なんですか?」

 

「聞きたいか比叡?じゃあ教えてやる。駆逐艦を囮にして撤退ということを言い出したんだ。」

 

要するに捨て駒だ。駆逐艦で敵艦隊に突っ込み注意を引いてその他艦隊は撤退するということだ。

 

「俺は最後まで上の奴等の考えを否定した。駆逐艦でも立派な戦力だ。捨て駒に使うなと。だが上の奴等は、駆逐艦は役立たずだから捨て駒にするのが丁度いいと言って考えを改めようとはしなかった。」

 

「…………。」

 

「響には辛い話だな。外に出ても構わないぞ?」

 

響も駆逐艦、酷な話だろう。

 

「いや、最後まで聞く。」

 

「そうか、で、俺は上の奴等の指示を無視して駆逐艦の人達を助け出そうと指揮をとろうとしたが、時既に遅くもう駆逐艦全艦轟沈する直前だった。」

 

「助け出せなかったんですネ。ちなみに何隻いたんですカ?」

 

「その作戦は複数の鎮守府から艦娘を出していて、駆逐艦は十八隻居たな。」

 

金剛の言う通り、俺は駆逐艦を助けれなかった。あと少し早く指揮をとれれば救い出せたかもしれない。

 

「あいつらの表情は忘れられねぇ、あの絶望しきった顔。最後まで助けを求める顔、そんな顔を見ながら駆逐艦以外は撤退したんだ。」

 

もちろん、俺が乗っていた船もな。

 

「その後はどうなったの?」

 

「それも今言う榛名、本部に戻った後、俺は上の奴等に逆らった罰に、駆逐艦が轟沈したのはお前だと罪を擦り付けられたんだ。」

 

「ひどいネ!!提督は何も悪くナイネ!!」

 

「軍に就くとはそういう事なんだよ金剛、上の奴等がミスした事は下の奴等に擦り付けられるのさ。」

 

全部の軍がそうではないけどな。だがそれは少数だ。

 

「それで俺は階級を3つ下げられ、俺が管理していた鎮守府の艦娘は全員異動させられたんだ。」

 

「そ、んな!!酷すぎます!!」

 

「優しいな榛名は。だけどな、それで俺の罪は消えず、軍法会議にかけられて無人島に流刑となったんだ。」

 

死刑も考えたそうだが、お前なんかに使う道具すら勿体無いと言われたな。

 

「それと並行して、俺の体を使ってある実験をしようとしたんだ。」

 

「それは提督が戦艦等の砲撃を受けても倒れない事と関係あるのかしらぁ?」

 

「鋭いな愛宕は。そう、俺の体に戦艦以上の耐久性を持つ装甲を俺の体全体に張ったんだ。装甲と言っても薄い膜みたいなもんだけどな。」

 

透明な超強力マッスルスーツを着ていると思ってくれればいいかな。

 

「どうしてですか!?」

 

どうしてと言われてもわかんねえよ比叡。

 

「俺の憶測だが、艦娘以外の奴等でも深海の奴等に勝てるようにしたかったんだろう。艦娘の数は明らかに足りないし資源も無限にあるわけじゃねえからな。」

 

「それって、つまり!!」

 

「無人島に流刑とは言ったが、単なる実験の為に送り出されたんだろうな。ここの島は深海の奴等がよく出る場所でもあったからな。」

 

「提督は人間じゃないってことかしら?」

 

おいおい、俺は別に人間を止めた訳じゃねえよ愛宕。いや、戦艦の砲撃を受けて立ってる時点で人間やめてんのか俺。

 

「いや、人間だ。艦娘よりも耐久性に優れている人間とでも言っておこうか。けどこの実験は危険だった。まず被験者は薄い膜を張られてから1年経つと、必ず死ぬという結果が出ていた。」

 

「どうしてですか?」

 

「いくら薄い膜とは言っても戦艦以上の耐久性を持っているということになるんだ。重さは相当なもんだ。それで、1年経ってしまうと体が重さに耐えきれずスクラップになってしまうのさ。」

 

1回スクラップになる人を見たけど、えげつなかったな。

 

「ですが、提督は生きています。」

 

「かろうじて生き残ったと言った方が正しいな。重さが関係しているということは、それに耐えられるような肉体を作ればいいってことだ。」

 

「だから筋肉がモリモリなんですね。」

 

そういう事だ比叡。

 

「どうやって鍛えたの司令官?」

 

「駆逐艦、軽巡、重巡、戦艦の装備を盗み、俺の体に巻き付けて走ったり、筋トレしたりしたんだよ響。」

 

最初は駆逐艦、軽巡、重巡とランクアップしていきながらな。

 

「それで、1年経っても俺は生き残った。そこから海軍との連絡はしなくなった。」

 

そして、今に至るというわけさ。

 

「どうして、提督は実験を断らなかったんですか!?」

 

榛名が涙目になりながらそう叫んでくる。他の艦娘もどうしてと言いたそうな顔をしながら俺の方を向いてた。

 

「もう二度と艦娘を轟沈させないと決めたんだ。艦娘が死と隣り合わせで戦っているのに俺ら提督や海軍の奴等が安全地帯で指示を出しているだけってのが嫌なんだよ!!」

 

まるで艦娘を道具としてしか見ていない。そんな奴に俺はなりたくない。

 

「後ろで指示を出し、その指示で作戦が成功したら自分の指示が良かったと言い、作戦に失敗したら艦娘のせいだと責任から逃れる奴。そんな奴を俺は嫌と言うほど見てきた。」

 

「提督……。」

 

「だから自分の命を張って艦娘を守る。艦娘に砲撃が飛んできたら俺が代わりに受けてやる。」

 

一緒に戦ってこそ、艦娘との信頼が築けると考えているからな。

 

「これが俺のむか……んっ?封筒が届いているな。」

 

「さっき拾った。」

 

響が拾ってくれたのか。封筒の中身は何かねぇ。まあ、予想は付くけどさ。

 

「何々、゛お前の所に艦娘がいるらしいな。それを本部に渡してもらう、何、酷いようにはしないさ。拒否権はないぞ。安心しな、ちゃんと他の鎮・守・府に送ってやるからな。中将゛ははっ、くそったれがぁぁぁ!!!」

 

俺は封筒をビリビリに破き、踏みつける。

 

「ど、どうしたんデスカ!?」

 

「ふざけやがってふざけやがって!!何が酷いようにはしないさだ!!変なことをするのが目に見えているんだよ!!」

 

艦娘を脅して色々な事をする提督もある。暴力や性的暴力などな。

 

「しかも他の鎮守府に送ってやるからなだって?どうせいい所に入れる気ねえんだろ!!」

 

「て、提督!!落ち着いてください!!」

 

「はぁ、はぁ、くそったれが。すまない皆、急に叫んだりして。」

 

だけど、叫ばすにはいられなかった。このやり場のない怒りを何処にぶつければいいんだよ!?

 

「それより、封筒には何と書かれていたのですか?」

 

「……多分すぐに本部の奴等がここに来て君達を連れていくそうだ。俺に艦娘を渡さないつもりらしい。」

 

「ど、どうしてですか!?」

 

「それは本部の奴等が俺を気に入っていないからさ。だから……。」

 

と俺がそこまで言った時に急に視界が真っ白になった。くそっ!!フラッシュバンか!!

 

「お喋りはそこまでだ少佐、艦娘は連れていくぞ。」

 

「テ、テイトク!!どこできゃあ!!」

 

「金剛!?」

 

金剛の悲鳴が聞こえたと思ったら比叡、榛名、愛宕、加賀、響の悲鳴も聞こえてきた。何しやがったんだ!?

 

「中将!!金剛達に何しやがった!?」

 

「ほぅ、フラッシュバンをもろに喰らっても耳は平気なのか。だが聞いてどうする?少佐には関係のないことだ。では封筒の中身の文章通りに艦娘を連れていくからな。」

 

「提督!!提督ーーーー!!!」

 

「ではな少佐、さっさと死ぬことを勧めるぞ。」

 

その声が聞こえたと同時に俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッ!!痛ってぇ!!」

 

頭がズキンと痛む、あの中将の野郎。

 

「そうだ!!金剛達は!?」

 

俺は周囲を見渡したが、誰も居なかった。ついでに外は真っ暗になっていた。

 

「はぁ、またこの状況か。すまない、皆。」

 

何で俺は守ることが出来ないんだ!!もう二度と失わないと誓っていたのに!!

 

「……仕方ねえ、あの人に相談するか。」

 

そう言い俺はポケットの中から携帯電話を取り出してある人物に電話をかける。ちなみにここは電波が二つあるから問題ないはずだ。

 

「……もしもし、俺だ。」

 

「おお!!お前か!!2年ぶりだな!!元気か?精神も元気か?」

 

「精神も元気だったら電話をかけねえよ師匠。」

 

今電話をかけている相手は俺にサバイバルの知識を与えてくれたり、戦闘の技術を教えてくれた人だ。

 

「まあそうだな。お前が電話をかけてきた理由は知っている。取り戻したいんだろ?お前の艦娘を。」

 

「そうだ、だが場所がわかんねえ。何か知ってるか?」

 

「お前の所には確か金剛、比叡、榛名、加賀、愛宕、響がいたな。あってるか?」

 

何で知ってんだよ?恐えな!!

 

「ああ、あってるよ。」

 

「全員はわからないが、加賀、響の場所ならわかる。お前の鎮守府の近くの鎮守府だ。」

 

「その響と加賀が連れていかれた鎮守府ってどういう鎮守府なんだ?」

 

ホワイトな鎮守府だったら別に連れ返さなくてもいいんだがな。

 

「……ブラック鎮守府だ。艦娘の性的暴行が多いな。しかもクール系の艦娘を集めている。何でもそこの提督はクールな奴が崩壊する瞬間を見るのが大好きなんだとさ。」

 

「腐ってるな。わかった、情報ありがとう。」

 

「気を付けろよ?そこの鎮守府は艦娘だけでなく、兵器も充分にあるところだからな。」

 

「アドバイスありがとう。だけど、それがどうしたっていうんだ。こちとらは超苛酷な所で訓練とかしてたんだ。そんな兵器には負けねえよ。」

 

「そうだったな、じゃあ他の人の場所がわかり次第連絡する。」

 

その後、通話が切れた。やっぱり頼りになるな。どうやって情報を仕入れてるのかは知らんけど。

 

「あいつらは俺を怒らせた。覚悟して待ってやがれ。」



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Q提督の師匠ってどんな人?A提督よりも筋肉モリモリです。

「とは言ったものの、何も情報無しで乗り込むのは流石にまずいな。」

 

仕方無い、ある部屋に行きますか。

 

「よっと、うーん、狭いなここは。」

 

ある部屋ってのは執務室で俺がいつも机の代わりにしている段ボール箱の下に隠し階段を設置している。要するに地下室だ。

 

「まあ、俺一人しか入らないから別にいいんだけどな。」

 

その地下室には、発電機やパソコンなど、電子機器が置いてある。これは師匠が置いていってくれたものだ。本当にあの師匠何者だよ。

 

「さて、ハッキングでもしますか。」

 

近くにあったパソコンからハッキングする。響と加賀が連れていかれた鎮守府の情報が知りたいからな。ハッキングのやり方も師匠が教えてくれた。

 

「……よし、浸入成功っと。しかしセキュリティが全然だな。」

 

ハッキングして3分で内部に浸入出来るなんてな。

 

「えっと、何々。艦娘の数は30人、そこそこだな。主に使っている艦娘は長門、大和、陸奥、武蔵、霧島、扶桑か。ってか戦艦多すぎだろ。」

 

火力で押すタイプだな。

 

「それと、やっぱりな。性的暴行が多いな。そいつの艦娘はその暴行に耐えているのか。しかも中破しても入渠させて貰えず、そこの提督に奉公してくれたら入渠させているのか。」

 

くそったれだな。これじゃ艦娘の精神が崩壊するのも時間の問題だ。身体的な傷は高速修復材を使えば回復するが、精神は回復しねえからな。

 

「けど、海域はそこそこ開放している。演習に至っては勝率ほぼ100%か。ってよく見たら主に使っている艦娘の練度がほぼ99じゃねえか!!」

 

主に火力で押し切っているんだろうけど。

 

「もっと調べるか。ほぅ、前にも俺と似たような事をされた提督が演習で勝負したが、詳しい事は書かれていないな。」

 

恐らく、何かしたんだろう。

 

「そして、加賀と響を手に入れたい理由が……、表向きは正規空母と駆逐艦が足りないから分けてくれか。でも本当の目的は、クールな人の泣き面を見てみたいからだと?」

 

私欲の為に艦娘を使うんじゃねえよ!!こいつは痛い目を見てもらうか。

 

「とは言ってもなぁ、性的暴行の事を憲兵に報告してもうやむやにされそうだな。」

 

成績を残しているからな。有能な提督は悪事をしていてもうやむやにされるケースが多いからな。しかも俺は海軍のほとんどの人に嫌われてるし。

 

「ここは、誰にも文句を言われない方法で行きますか。っと、その前に師匠に電話してと。」

 

今は、午前0時。電話に出るかな?

 

「おっ!電話をかけてきたということは作戦が決まったって事だな!!」

 

「まあそんなところだ。師匠の力を借りたい。」

 

「OKOK!!任しておきな!!それと、何時に行動するんだ?」

 

「明日の午後0時に向こうの鎮守府に着く予定。」

 

本当なら今すぐに行きたいが、俺が憲兵に通報されたらヤバイからな。

 

「OK、お前の所に午前の10時くらいに行くからな。準備しとけよ?」

 

「わかってるさ、じゃあ切るぜ。」

 

ふぅ、師匠が来てくれるならなんとかなるな。さて、装備の確認……って何も無かったな。

 

「念のため用意して起きたかったんだがなぁ。鋼材使うのは勿体無いし、原始的な物ならなんとかなるか。」

 

早速準備するか。何を作るかは後々教えるぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

「やっべ、装備作りに夢中になって睡眠がほとんど取れなかった。」

 

作り終わったのが午前6時だったからな。約束の時間までに用意を済ませておくとなると三時間が最大だから三時間しか寝れなかった。

 

「まあ、慣れているけどさ。さて、そろそろ師匠が来る時間だ。海岸に行きますか。」

 

出迎えてやらないとな。

 

「その必要はない。ちゃんと浸入させて貰った。」

 

「……ノックぐらいしろよ。」

 

海岸に行こうとしたらソファーに師匠がいた。本当にいつ入ってきたんだ?

 

「その必要はねえだろ。俺とお前の仲なんだからな!」

 

そう言い師匠は軍帽を頭から外してくるくると回す。ノックをするのはマナーだと思うが。

 

「司令官!!ちゃんと断りを入れてから入るのですよ!!」

 

「おお、悪いな電。秋夜に会うのが久し振りだからな!ついテンションが上がっちまったよ。」

 

おい師匠、俺の名前をばらすな!!

 

「秋夜?誰の事です?」

 

「ぶどう箱に座っている人だ。ほら挨拶しな。」

 

全く師匠は……。ちなみに俺の名前は霧生秋夜だ。師匠の名は谷家剛志らしい。歳は35、階級は大将。

 

「初めましてなのです。電です。よろしくなのです!」

 

そう言い電はペコリとお辞儀をする。見た目は幼いのにしっかりとしているな。

 

「さて、積もる話はあるだろうが、それはくそな鎮守府に行きながら話すか。」

 

「そうだな、出発しないとな。」

 

そう言い俺と師匠と電は外に出てすぐ近くの海岸に行く。そこには艦娘が3人いた。

 

「おーいお前ら。俺の弟子に挨拶しな。」

 

そう師匠が言うと3人中2人の艦娘が師匠が殴ったり蹴ったりした後に俺の所に来た。いや!何で師匠殴られてんの!?

 

「いい攻撃だ。準備は万端みたいだな!!」

 

「し、師匠?何かしたのか?」

 

「秋夜、これは俺なりの挨拶の方法だ。こうすることによって艦娘の状態がわかる上に艦娘の仲も深まる!!」

 

いや、もっと違う方法があっただろ。バカなのか師匠は?

 

「もしかして、師匠はドMなのか?」

 

「ビンゴ!!よくわかったな!!」

 

艦娘に殴られてる時に笑顔だったそう予測するだろ普通。つまり、自分の欲求を満たしたいからだったのか。

 

「それより、俺の艦娘に挨拶しろよ。」

 

「わかってる。順番に挨拶してくれ。」

 

「最初はあたしからだ!!あたしは摩耶って言うんだ。よろしくな!!」

 

摩耶か、確か重巡だったな。にしても、スカートの丈が短すぎだろ。なんとかならなかったのかねぇ。

 

「よろしくな摩耶。」

 

「ところでよ、お前は何て呼べばいいんだ?提督だと二人いるからどっちかわからなくなるんだ。」

 

むっ、そう言えばそうだな。摩耶の提督は師匠だしなぁ。俺も提督ではあるけど……。

 

「秋夜でいい。あと敬語とかはいらねぇからな。」

 

「サンキュー!!堅苦しいのは苦手なんだ。提督の弟子と聞いてるから強いんだろうな!?」

 

「それは保証するぞ摩耶。俺と同じくらいの強さだ!!(ドヤァ!!)」

 

……師匠、どや顔しながら褒めてくれるのは嬉しいんだがな。

 

「なっ!!ど、何処触ってんだ提督!!この変態が!!」

 

摩耶の太股触りながら言うなよ。摩耶が顔を真っ赤にして師匠の顔面を蹴飛ばしたな。

 

「今日もいい蹴りだ摩耶!!俺は嬉しいぞ!!」

 

「ったく、秋夜!!あたしに変なことをするなよ?変なことしたら直ぐに砲撃を放つからな!!」

 

「しないから。摩耶の砲撃なんて喰らいたくないからな。特に対空砲撃。」

 

師匠の摩耶は改二にしているからな。対空番長の対空砲撃なんて喰らいたくない。

 

「まっ、よろしくな秋夜。」

 

「はいはい。次の人いいぞ。」

 

「俺の名は木曾だ。俺も摩耶と同じく変なことをしたら砲撃をぶちかますからな。」

 

いやしないから!!俺に警告してくるって事は師匠はどんだけ木曾や摩耶に変なことしてんだ!?しかも木曾も改二だから火力ヤバイじゃん!!

 

「俺を師匠と同じにすんなよ。ところで木曾ってどっかの舟幽霊に似ているな。」

 

「そ、それは……、気にすんなよ!!」

 

あまりにも似ていたからな。わからない人はggれば出てくるぞ。

 

「木曾ちゃん、ちょっと言葉が荒いですよ。」

 

「す、すまない鳳翔。つい熱くなりすぎたぜ。」

 

着物を来た人が木曾に注意したな。何だあれ、着物の人がら溢れ出る母性は。

 

「えっと、どちらさん?」

 

「申し遅れました。私、軽空母の鳳翔と申します。よろしくお願いします。」

 

鳳翔か、まるでお母さんみたいだな。料理とか作れそうだな。

 

「全員に挨拶したみたいだな!!」

 

「司令官!!もう変なことはしちゃ駄目なのです!!」

 

師匠、戻って来たんだ。そして戻ってきて早々電に怒られてるし。まるで子供に怒られてるお父さんみたいだな。見ていて微笑ましい。

 

「ついやっちゃうんだ!!」

 

「やめろ師匠、ところでいつここを出発するんだ?」

 

「もうすぐだ。鳳翔、秋夜にあれを渡して。」

 

あれってなんだ?鳳翔が袋を取り出したんだが。

 

「あれって何だ師匠?」

 

「これです。秋夜さん、遠慮なく召し上がってください。」

 

鳳翔から渡されたのは、おにぎりだった。やべっ、涙出そう!!

 

「秋夜さんはまともな物を食べていないと提督から聞きましたので、力を付けて頂く為に作ってきました。」

 

「どうもです。むっ!!旨い!!」

 

あ~懐かしい味だ~!!絶妙な塩加減、香ばしい海苔の香り。おにぎりの中に入ってるゴマ昆布の味。もう最高だ!!

 

「し、秋夜!!お前涙出てるぞ!!」

 

「旨ぇ、旨すぎる!!米を食ったのは3年ぶりだ!!」

 

「「ええええぇぇぇ!!?」」

 

摩耶と木曾が驚いているようだが、そんなものは気にしない。今はこの味を堪能せねば!!

 

「秋夜、そろそろ出発するぞ。さっさと食えよ。」

 

「わかってる。鳳翔、おにぎりありがとうございます。」

 

「いえいえ、あそこまで涙を流しながら嬉しそうに食べている姿を見れたので作った甲斐がありました。」

 

鳳翔、もうおかんと呼んでいいかな?

 

「さあ、くそな鎮守府をぶっ潰しに行くぞ!!」

 

「し、司令官。秋夜さんはどうやって海の上を渡るのですか?」

 

「そうだな、提督は海を走っていたけど、提督以外海を走れる人はあたしはいないと思うな。」

 

師匠、海の上を走ってきたのかよ。相変わらず滅茶苦茶な人だな。

 

「気にするな!!さっさと出発だ!!」

 

そう言い師匠は海の上を走り始める。って置いてくなよ!!

 

「師匠!!待ちやがれよ!!」

 

俺も海の上を走り始める。何で走れるかって?秘密だ!!

 

「まだまだ遅いな秋夜は!!修行が足らんぞ?」

 

「うっせ!!今に追い越してやんよ!!」

 

「……なあ摩耶。俺らいらないんじゃないか?」

 

「あの二人で充分落とせるとあたしは思うな。ったく、こき使わせやがって、クソが!!」

 

「まあまあお二人とも、そんなことは言わずに。何かあった時の為に私達が必要だと提督は言ってましたから。文句を言うのはやめましょう。」

 

「はわわっ!!秋夜さんも凄いのです!!」

 

付いてきた摩耶達がそれぞれ何か言ってるな。あと摩耶、お前口悪いな。

 

「さあ、俺達の旅はこれからだ!!」

 

「まだ始まってもねえから師匠!!ってかそれ最終回の台詞!!まだ終わらないから!!」

 



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Qこれから何が始まるんです?A大惨事対戦だ。

working!!この回の前半は読者様が見たくないシーンが含まれているかも知れません。見たくない方はブラウザバックするか、前半を飛ばして見るようにしてください。

さぁ、人類最強の三人(あと一人は途中で来ます。)よ、出撃開始だ!!


三人称視点

 

「ふっ、へへへへ……。」

 

ここは秋夜の隣の鎮守府。加賀と響が連れていかれた所だ。

 

「遂に手に入れた、建造やドロップで出なかった二人が遂に手に入れた!!」

 

執務室にいる提督が気持ちの悪い笑い方をしながらコーヒーを飲む。

 

「ふへへ……、アッチ!!コーヒーが鼻にかかった!!熱い熱い!!」

 

「提督、例の艦娘を連れてきました。」

 

「タイミング悪いな!!まぁいい、入れ。」

 

提督がそう言い執務室の扉が開かれる。執務室の前にいたのは、提督の部下らしき人物と、加賀と響がいた。加賀と響手には手錠が付いていた。

 

「ようこそこの鎮守府へ!!歓迎するよ、ふへへ!」

 

「くっ!!この手錠を外しなさいよ!!」

 

加賀が必死に手錠を外そうとしている姿を提督は涎を垂らしながら見ていた。

 

「たまんねぇ、たまんねぇなあその姿!!」

 

「何で外れないのよ!?」

 

「何ででしょうね~?にしても最っ高だねぇ!!」

 

そう言い提督は加賀に近付き髪の毛を掴む。それを見た響は提督の手に頭突きをしようとしたが、提督の部下に服の襟元を掴まれる。

 

「離せ!!提督がこんなことをして許されると思っているのか!!」

 

「あぁ許されるさ。お子様の響にはまだわからない話だろうがなぁ!!でも、必死に抵抗している響もいいねぇ!!今すぐに襲いたいくらいだ!!」

 

「汚らわしい手を離しなさい!!」

 

加賀は提督に蹴りを放つが、加賀が提督に蹴りを放った瞬間に加賀の髪の毛ではなく首を掴んで壁に激突させる。

 

「ぐっ!!は、はなしな、さい!」

 

「言っておくがお前らに付けている手錠はなぁ、練度を強制的に1にする手錠なんだ。練度1のお前ら何かに負けねえよ。」

 

「加賀さん!!お前も離せ!!」

 

響は脱出しようとじたばたするが、提督の部下が響を床に押し当てる。

 

「うっ!!な、何するの!?」

 

「はぁ、はぁ、こんな幼女を待ってたんだ!!その今にも泣きそうな目、俺の物にしてやりてぇ!!」

 

提督の部下も息を荒くしながら響を見ていた。

 

「さて、お前らにはここでのルールを教えてやる。もし、従わなかったら即解体だ。なぁに、そんな難しい事は言わない。俺達の欲求を晴らして貰えればいいのさ!!」

 

「い、嫌よ!!」

 

加賀は提督の手を振りほどこうと首を動かすが、微動だにしなかった。

 

「抵抗していられるのも今のうちだ。今ここでじっくりと教育して俺無しじゃ生きられない体にしてやる。ふへへへへ!!」

 

「提督!!俺はこの幼女の教育をしていいですか!!」

 

「お前にはいつも助けられてるからな。いいぞぉ、響はお前に任せる。俺は加賀を貰う。どんな声で泣くのか楽しみだぜぇ!!」

 

そう言い提督と提督の部下は顔を歪ませながら響と加賀に触れようとする。

 

「嫌、助けて。」

 

「おっ!早速泣き始めたな!!いいねぇ、普段感情を表に出さない女が泣く姿を見ると気分が高揚するねぇ!」

 

「誰か、助けて!!助けてよーーー!!!」

 

「無駄だぜ響ちゃん、今ここにいる艦娘は提督が教育済みだ。誰も助けになんか来ねぇんだからな!!」

 

そう言い提督と提督の部下が高らかに笑う。だがその数秒後。

 

「もも申し上げます!!提督!!」

 

「何だぁ?折角いい気分だったのに。用件はなんだ?」

 

「と、隣の鎮守府の奴等が攻めこんで来ました!!艦娘が四人、提督が二人、訳のわからない野郎が一人です!!」

 

「迎撃しろぉ!!艦娘は使うな。うちにある兵器だけで沈めてしまえ!!」

 

提督はそう言い伝令を伝えに来た人を追い出そうとするが、伝令の人は困った表情をしていた。

 

「そ、それが、提督二人と、訳のわからない野郎の計三人に我が隊が圧倒されております!!」

 

「馬鹿な!!艦娘ではなく提督に圧倒されているだぁ?」

 

提督はそう言い窓を開けて海の方を見る。

 

「なっ!本当に提督だけで我が隊を圧倒しているだと!?舐めやがって!!」

 

「どうしますか提督?」

 

「ふん、いい考えがある。俺に付いてこい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は少し遡り。

 

秋夜side

 

「ふんふん、お前もあの無人島に暮らして3年か、よく生きていたな。」

 

「師匠の教えのお陰だ。師匠に会ってなかったら俺はもうこの世には居なかったさ。」

 

「よせやい、照れるじゃねえか!!」

 

俺と師匠は水面を走りながら俺が過ごしてきた3年の内容を伝える。久しぶりに師匠と話すとなったから話が弾むな!!

 

「摩耶さん、司令官と秋夜さん、もう一時間以上走っているのにスピードが落ちないのです。どうやったらあんな風になれるのです?」

 

「あたしに聞くなよ……。大体艦装を付けないで水面を走れる事自体ありえねえのに、あの二人は簡単に水面を走ってるからな。」

 

「そこは血の滲むような努力をしたんですよきっと。」

 

「努力で水面を走れるなら誰でも走れるようになってるだろ……。」

 

後ろで摩耶達が話しているな。恐らく水面を走ってる事についてだろう。

 

「提督になるもの、これくらいの事は出来ないとな。」

 

「出来ないのが当たり前だぞ普通。」

 

「それは鍛練が足らん証拠だ。そう言えばもう一人助っ人を呼んでいたんだった。そろそろ合流するはずなんだが。」

 

師匠の知り合いか?どんな人が来るんだろう。俺以上に筋肉モリモリマッチョマンだったりして。

 

ブロロロロロ!!!

 

「この音は、来たみたいだな!!」

 

「来たって?えっ、マジか!!」

 

横から水上バイクに乗った人物がこっちに向かってくる。しかも大量のRPGを持っているし!!

 

「遅くなってすまない。」

 

「いや、いいってもんよ。急に呼び出してすまないな大佐。」

 

「師匠?この人ってまさか……。」

 

そんなはずはないよな!!もしそうだとしたらかなりまずくね?

 

「あぁ、この人は俺の部下のメイト大佐だ。コマン○ーのあの大佐に似ているからメイトという名前が付いた。」

 

「お前が大将の弟子か、いい筋肉してやがる。」

 

「おいおいおいおい!!!」

 

絶対本物だろ!?マシンガンの持ち方とかあの大佐にそっくりだぞ!!

 

「砲雷撃戦なら任せな、俺がドンパチ華やかにしてやる。」

 

「なんだろう、この負ける気がしない感じは。」

 

「念のためにメイトを呼んだんだけどな。むっ、俺達が話している内に敵が砲撃してきたぞ。」

 

師匠がそう言ったので、くそ野郎のいる鎮守府の方を見ると、駆逐艦、戦艦、重巡がこっちに向けて砲撃してきた。しかも艦娘ではなく本当の戦艦とかだな。

 

「はわわっ!!本物の戦艦なのです!!私達の攻撃が通るのでしょうか!?」

 

「多分通るだろう。よし、俺と秋夜とメイトで突っ込むから電達は後ろに付いてくれ。後ろから攻撃して構わない。鳳翔、艦載機を飛ばしてくれ!!」

 

「わかりました!!」

 

そう言い鳳翔は空に向けて矢を放つ。すると、矢が艦載機に変わり、駆逐艦に向けて砲撃し、撃沈していく。

 

「鳳翔、流石だな。」

 

「まだまだです。どんどん飛ばしていきますから、摩耶ちゃん、木曾ちゃん、電ちゃん、提督や秋夜さんに構わずに攻撃していってください。」

 

「だ、大丈夫なのです!?」

 

電は鳳翔の言葉を聞いておろおろするが、師匠が電にガッツポーズをする。

 

「心配要らねぇ、ガンガン撃ちまくれ。当たってもダメージにはならねぇ。寧ろ俺に当てろ!!」

 

「師匠、格好いいこと言ってるのに、最後の言葉で台無しだぞ?」

 

「大将の言う通りだ。俺らは激戦をくぐり抜けてきたんだ。これくらい屁でもねえだろ。」

 

いやまぁ、メイトの言う通りなんだけどさ。

 

「さて、砲雷撃戦開始だ!!」

 

そう言い師匠は戦闘に近付き、砲撃を喰らいながら戦艦の近くに行き。

 

「これを解体して資材にしたいが、くそ提督の兵器なんか見たくねぇんだ!!消え失せろ!!」

 

そう言い師匠は飛び蹴りをする。飛び蹴りを喰らった戦艦は横に倒され、沈んでいった。

 

「薄い装甲だ、もっと厚いのにしやがれ!!」

 

「流石は大将、俺も負けていられねえな。」

 

そう言いメイトは水上バイクを巧みに操り、重巡や駆逐艦の砲撃を掻い潜りながらRPGを構える。

 

「オラァ!!オラァ!!オラァ!!」

 

両手にRPGを持ち、重巡に当て、直ぐにリロードし駆逐艦にRPGを当てる。

 

「まだまだこんなもんじゃ足りねぇ!!」

 

「そうだメイト、やっちまえ!!」

 

「あたしの出番を無くす気か!!」

 

メイトが次の標的に攻撃しようとした時に摩耶が砲撃し、撃沈させる。

 

「やったな!!」

 

「摩耶!!危ねぇ!!」

 

「摩耶さん!!そこから逃げてください!!」

 

摩耶が砲撃し終わった後に遠くにいた戦艦が摩耶に向けて砲撃する。それに気付いた木曾と電が慌てて警告し、摩耶を移動させようとしたが、遅かった。

 

「くそっ!!間に合わねぇ!!」

 

摩耶は回避は不可能と考え、攻撃に備えるように身を屈めた。

 

ドガァーーーーン!!

 

「……あれ?あたしに攻撃が当たってない?」

 

「ったく、油断大敵だ摩耶。戦場では常に周囲に気を配れ。例え遠くに敵がいたとしてもな。」

 

俺が摩耶の前に立ち、砲撃を変わりに受けた。ふん、金剛や比叡の砲撃に比べたら全然だな。

 

「お、お礼は言わねえぞ!!わ、わかっていたんだからな!!」

 

「素直になれよ、まあいいや、次気を付けろ。」

 

俺は摩耶に砲撃してきた戦場に近付き戦場を殴る。すると、戦場に大きな穴が空き、そこから浸水していき、戦場は撃沈した。

 

「うん、やっぱりこの装備は用意しておいて良かった。」

 

「秋夜?何だそのグローブは?」

 

摩耶は俺が付けているグローブに興味津々だった。おい、前屈みになるな、見えるから。

 

「これは革のグローブだ。でもただのグローブじゃなくて植物の樹脂を一万回グローブに塗って耐久度を極限に高めたグローブだ。」

 

「いっ、一万回!?」

 

「そうでもしねえと意味ないからな。じゃ、俺は先に進んでる。摩耶も頑張れよ。」

 

そう摩耶に言い、師匠やメイトの元に急ぐ。二人だけに良いところは取らせねえよ!!

 

「くそがっ!!格好いいじゃねえかよ。」

 

「遅れてすまない師匠、メイト。」

 

「気にすんな、摩耶を助けたんだろ?俺も電を助けていて、最前線に戻ってきたのはさっきだったからな。」

 

「俺は木曾って奴を助けた。魚雷に当たりそうになっていたから魚雷を掴んで相手に送り返してやった。」

 

メイト、お前も人間を超越してるな。

 

「さて、ここからは俺のターンだ。巻き込まれたくなかったら俺の後ろに居な!!」

 

「メイト?その某ゲームに出てくるデス○シーンみたいな物を持って何する気だ?」

 

「行くぜ野郎ども!!オラオラオラオラオラオラオラオラ!!」

 

メイトが前方にいる敵艦に向けて発砲しやがった。しかも敵艦はメイトが持っている銃の弾に当たった所は穴が空いてるし、何なのその銃!?

 

「あの状態のメイトは無敵だ。間違っても助太刀しようとはするなよ秋夜?」

 

「しねえよ、助太刀したら俺が蜂の巣になりそうだ。」

 

「オラオラオラオラオラオラァ!!すっとしたぜ。」

 

メイトの無差別射撃により、敵艦は全滅していた。メイトが味方で助かった。

 

「あれ?鳳翔は?」

 

「鳳翔は向こうで暴れている。久しぶりに出したから体が疼いていたんだろう。」

 

わーお、鳳翔強ぇ。敵艦5体に一人で渡り合ってるし。

 

「さて、そろそろ島に着くぞ。」

 

俺らは島に着いた後、各々の状態を確かめる。うん、俺は異常無しだな。

 

「来たかね諸君、よくも私の戦艦達を沈めてくれたな!!」

 

「お出ましか、くそ提督、観念しやがれ。」

 

「そうはいかない。ほら、これを見て正気でいられるかなぁ?」

 

くそ提督は加賀の首元にナイフを突き付けた。脅しのつもりなんだろうか?

 

「このナイフはどんなものでも突き刺せる優れものだ。艦娘だろうが、首をナイフで切れるのさ!!さぁ、私に膝間付くといい!!」

 

「だとさ師匠、どうする?俺もう怒りが収まらねえからさっさと済ませていいか?」

 

「ちゃっちゃと済ませてくれ。俺も怒りが収まらねえ。」

 

「何を言ってる?私にはひと「黙れくそ提督。」そげぶっ!!」

 

あまりにも目障りだったからくそ提督に一瞬で近付き、ナイフへし折り、くそ提督を投げ飛ばす。

 

「貴様、よくもて「お前は最後に倒してやる。」は、はなせぇ!!」

 

くそ提督の部下の方はメイトが頭を掴み、拘束していた。メキメキと言ってるが、大丈夫だろう。

 

「くそっ!!私の計画が!!もう少しで達成出来るところだったのに!!」

 

「てめえら二人とも憲兵の所に送ってやる。観念しやがれ。」

 

「せ、せめて一矢報いてやる!!」

 

そう言いくそ提督の部下は師匠に向けて銃を発砲したが、師匠は人さし指と中指の間で銃の弾丸を受け止めた。

 

「そんなおもちゃは効かん。」

 

「そ、んな。」

 

「俺が連行してやる。後処理は任せる。」

 

メイトはそう言いくそ提督とその部下を水上バイクに縛り、何処かに行った。

 

「加賀、響、怪我はないか?」

 

「……(秋夜の体目掛けてダイブして抱き付く。」

 

うおっ、響強烈だな。加賀は抱き付きたそうにしているが我慢しているな。

 

「提督、助けにきてくれてありがとうございます。」

 

「ありがとう司令官。」

 

「いいってもんよ、さて、ちょっと休憩していいか?」

 

少し仮眠しよっと。ふわ~あ、砂浜にブルーシートを引いてと、お休み。

 

「これで一つ目は解決か。まだまだ先は長そうだ。」



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7話

救出出来たと言ったな、あれは嘘だ。


あの後、クズ提督とその部下をメイトが水上バイクに縛り付け、海上で爆走している。

 

「もうやめてぇ!!俺が悪かったーー!!」

 

「聞こえんな?もっと腹から声出せ!!」

 

メイトドS化しちまった。まあ、クズ提督にはまだまだお灸を据えてもらわないとな。

 

「さて、俺らは建物の中に入るぞ秋夜。」

 

「はいはい、加賀達はどうする?」

 

俺はそう言いながら加賀と響に付いていた手錠を握り潰す。鍵探すの面倒だったから握り潰した。意外と潰せるもんなんだな。

 

「私はここに残ります。」

 

「私も残る。司令官、建物の中には私達と同じように艦娘が拘束されているから助けてあげて!」

 

加賀と響は外に残るのか。まあ、建物の中には入りたくないだろう。現に二人とも涙目になってるし。

 

「じゃあ木曾、加賀と響を頼むな。」

 

「ちょっと待てよ提督!!鳳翔は!?」

 

「鳳翔なら砂浜からクズ提督目掛けて矢を放っている。羨ましっと、口が滑った。」

 

師匠が言った通り、鳳翔が水上バイクに縛り付けられているクズ提督目掛けて矢を放っている。ギリギリ当たるか当たらないかの場所目掛けて射っている。

 

「鳳翔は怒ると怖いからな。秋夜、おかんは怒らすと怖いんだぞ!」

 

「雰囲気でわかるから。さっさと建物の中に入るぞ師匠。」

 

「……いや、建物の中に入るのは後にしよう。」

 

何でだ?師匠は何やら考え込んでるし、何か腑に落ちない事でもあったのか?

 

「秋夜、響の所に行ってくれ。」

 

「わかった、けどどうしたんだ師匠?」

 

何か、やっちまったって顔をしている。でも、響の所に行けば何かわかるか。

 

「司令官?どうしたんだい?」

 

「師匠ー、響の所に行ったぞ。」

 

「……ふん、やっぱりな。」

 

師匠は加賀の顔を見ながら熟考している。何か嫌な予感がしてきたぞ。

 

「秋夜、身構えとけ!!」

 

「どういうッ!!」

 

ボゴーーーーーン!!

 

師匠が加賀の肩に手を乗せた瞬間に響と加賀の体が膨張して爆発した。自爆人形か!!

 

「司令官!!秋夜さん!!大丈夫なのですか!?」

 

「心配要らねぇ、ダメージはねえよ電。」

 

「ケホッ、目に煙が染みる!!」

 

爆発自体は戦艦の砲撃に比べたら弱いからダメージはないが、黒煙が目に染みるんだよなぁ。

 

「大将、クズ提督の体も爆発した。」

 

いつの間にか俺の隣にメイトがいた。メイトも爆発に巻き込まれたらしく、体中煤だらけになっていた。けど、出血とかはないのな。

 

「おかしいとは思ったんだ。感情を余り表に出さない響や加賀が感情を我慢してなかったからな。あの二人ならギリギリまで感情を抑えるはずだ。」

 

「つまり、俺達はあのクズ提督に……。」

 

「騙されたって事だな。」

 

ふっ、あのクズ提督め。O☆HA☆NA☆SHI☆が必要なようだな。

 

「「「野郎ぶっ殺してやらぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

「はわわっ!!三人共落ち着いてください!!」

 

「無理だ電!!俺達をコケにしやがった分、たっぷりとお返ししねえと気が済まねぇ!!」

 

師匠の言う通りだ!!あのクズ提督にお返ししねえとなぁ!!

 

「あいつは最後に殺してやる。」

 

「メ、メイト!!マシンガン4つも要らねぇだろ!!」

 

「マシンガンだけじゃねえ、グレネードもバズーカ砲も持っているぞ木曾。俺のお気に入りの水上バイクを壊した罪は重い。」

 

メイトもお怒りモードに入ったな。つーか目がガチ過ぎて怖い。現に電がビクビクしているし。

 

「「「俺はあいつらをムッコロス!!」」」

 

「目を覚ましてくださいなのですぅぅぅ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さぁ、着いたぞ。ふん、中々大きいじゃねえか。」

 

あの後、3分程走り、クズ提督のいる鎮守府に着いた。俺の鎮守府にある建物の10倍以上あるな。変なところに資金を使いやがって。

 

「さて入るぞ。」

 

「待ってください司令官!!鍵を持っていないのにどうやって入るのですか!?」

 

「あたしが砲撃してやろうか?」

 

摩耶、お前が砲撃したら建物を倒壊しかねないから止めてくれ。

 

「俺がバズーカ砲で建物をぶっ壊す。」

 

「メイト、気持ちはわからなくもないが建物の中に救出したい人がいるんだからな。バズーカ砲は止めてくれ。」

 

メイトは建物を倒壊じゃなくて粉々にしそうだからな。

 

「んなことしなくてもなぁ秋夜?お前なら分かるだろう?」

 

「わかってる。ちゃっちゃと済ませる。」

 

そう言い俺は扉の前に立ち、ドアノブを回す。やっぱり鍵は掛かっているな。

 

「秋夜?何するんだ?」

 

「見とけ摩耶。おーい、開けろー!!お客様のご到着だぞっと!!」

 

俺はドアノブを引っ張り、扉を破壊する。扉の部分だけが取れたって感じだな。

 

「これで堂々と入れるな!!」

 

「まだまだだな秋夜、俺だったらドアノブを押していたぞ!!」

 

「勝手に物を壊したらダメなのですよ秋夜さん!!」

 

知らんな電、少なくとも摩耶とメイトの方法よりは断然良いと思うけどな。

 

「行くぜ!!ドンパチしてやる!!」

 

そう言い師匠、俺、メイト、摩耶、電の順番に建物の中に入る。続いて鳳翔が建物の中に入ろうとした時。

 

ガララララ!!

 

玄関の扉が封鎖された。鉄格子によってな。

 

「お、おい!!封鎖されたけど大丈夫なのか!?」

 

「大丈夫だ。木曾、鳳翔、別のルートから建物の中に入ってくれ。」

 

「わかりました。」

 

「くたばるんじゃねえぞ!!」

 

木曾と鳳翔はどっかに走っていったな。音だけで判断してるから正確な位置はわからんな。

 

「しかし、玄関がオートロックになっていたとはな。設備は最新の鎮守府だな。」

 

「し、司令官?これはわn「俺もオートロックにしようかな。」し、秋夜さんまで!?」

 

「俺の所は便所もオートロックだ。お前らの所は時代遅れだな。」

 

俺達が会話していると、壁に付いてあったテレビにクズ提督の顔が移る。うわっ、顔きめぇ!!どんな顔だって?想像に任せる。

 

「ようこそ、俺の鎮守府へ。あのまま帰ってくれればよかったんだが、流石にそう上手くいってくれなかった。まぁいい、貴様らは俺の用意したわ「「「ふんっ!!」」」ブー、ブー。」

 

俺と師匠とメイトでクズ提督が大事な台詞を言う前にテレビにパンチして壊す。最後のは機械の音だぞ。

 

「しゅ、秋夜?今明らかに狙ったよな?」

 

「んっ?何がだ摩耶?」

 

「クズ提督が罠って言うタイミングでテレビを壊したよな!?」

 

まさかー、そんなわけないじゃーん(棒)

 

「摩耶、クズ提督は用意したワインをどう思いますか?って聞こうとしたんだ。」

 

「無理があるわ!!罠だって認めたくないだけなんだろ秋夜!?」

 

「秋夜違うぞ、用意したワッフルをどう思うか?って聞こうとしたんだ。」

 

「司令官!!素直になるのです!!」

 

罠にかかったとは認めん。絶対に認めん!!そう考えていると、床の穴が開き、テレビが出てきた。

 

「お前らふざけるなよ!!俺はこの時の為に原稿用紙三枚に言葉を書いて予習してき「「「ふんっ!!」」」ブー、ブー。」

 

テレビを俺と師匠とメイトで蹴る。クズ提督の顔なんて見たくねえし。

 

「是が非でも罠にかかったとは認めたくないんだな。」

 

「負けず嫌いなのですね三人は。」

 

「さて、時間をちょっと取られちまった。さっさと行くぞ!!」

 

そう言い師匠が一歩踏み出した時、師匠が爆発した。ナンデェ!?

 

「お、おい!!大丈夫なのか!?」

 

「あー、はいはいそういうことね。落ち着け摩耶、師匠は大丈夫だ。ただ地雷に引っ掛かっただけだ。」

 

「や、やっぱり罠があるんじゃないですか!!」

 

「ふっ、これが罠だと?」

 

師匠は首を回しながら呟く、地雷に引っ掛かったても傷はそんなにないな。

 

「これはあれだよな秋夜?メイト?」

 

「そうだな。」

 

「そうだ。」

 

「「「これはいたずらだぁぁぁぁ!!!」」」

 

俺と師匠とメイトでそう叫び、廊下を走る。すると、周りから矢が飛んできたり、槍が飛んできたり、手榴弾が飛んできたりする。

 

「HAHAHA!!痛くも痒くもねぇ!!」

 

「槍で俺達を殺せるとでも思ってるのか!?」

 

「こんなもの、俺の筋肉の前では紙も同然!!」

 

上から師匠、俺、メイトの順で叫んでいる。俺達を殺そうと思っているなら隕石でも呼んできな!!

 

「ま、摩耶さん。司令官ってああいう人ばかりなのでしょうか?」

 

「いや違う。あの三人が異常なだけ。普通だったらもう死んでるぞ。」

 

「「「クズ提督!!待っていやがれ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10分後

 

「だあぁぁぁぁ!!見つかんねえ!!」

 

「師匠!!一階にはクズ提督は居ない!!」

 

10分かけて一階の隅々まで探したが、グズ提督はいなかった。

 

「そういえば、メイトの姿が見えないぞ?」

 

「あぁ、メイトなら2階でドンパチしているぞ。」

 

ん?よくよく耳を済ませば爆発音が聞こえるな。

 

「メイトはクズ提督が居そうな場所にバズーカ砲をぶっ放している。」

 

「それまずいだろ師匠!!」

 

加賀達も巻き添え喰らうじゃん!!

 

「その心配は要らねぇ。2階は全部バズーカ砲で捜索したが、クズ提督の姿は見えなかった。」

 

バズーカ砲で捜索って、もう何も言わねえよ。

 

「となると、3階だな。行くぜ!!」

 

「……あたしもう帰っていいか?」

 

「ダメなのです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3階

 

3階は1つしか部屋がなかった。その唯一の部屋の扉を師匠が蹴り飛ばす。

 

「オラァ!!御用だ御用だ!!」

 

「ふへへ!!やっと来ましたね。」

 

部屋は広い空間になっていて、部屋の奥にクズ提督と加賀と響と何故か霧島がいた。加賀と響は手足を拘束されていて口をタオルで塞がれてる。あの提督マジで許さん!!

 

「あの罠を突破するなんてね。流石は筋肉バカ三人、耐久力だけはあるようだ。」

 

「うっせえよ、クズ提督!加賀と響に何をしやがった!?」

 

「ちょっとした教育だよ。救いたければこちらまで来るがいい。だがこちらまでは来れないぞ。貴様らは最後に殺してやる。それまでは私が加賀と響を犯すのを指を加えて見ているんだな!!ふへ、フヘヘヘ!!」

 

あんのクズ提督!!現に加賀と響の服装は乱れているし、俺達が来る前にも何かしていたな!?

 

「遺言はそれだけか?」

 

「それはどういう意味かね大将殿?」

 

「答えるわけねえだろ!!」

 

そう言い師匠はクズ提督に向かって走り出す。俺らも師匠の後に続いて走る。

 

「馬鹿な奴等だ。霧島、スイッチを押せ。」

 

「……嫌です。」

 

「押せえ!!この野郎!!」

 

そう言いクズ提督は霧島を殴ったり蹴ったりした。好き放題やりやがって!!

 

「押さねえと、お前もあの加賀と響と同じ目に合わせてやるぞ?あの二人が悲鳴を上げながら俺のあの教育を受けていたのを、お前にもやってやろうか?」

 

「ッ!!わ、わかりました……。」

 

そう言い霧島は涙を流しながらスイッチを押した。あの教育って何だ!?よくよく見れば加賀と響と霧島の全身に殴られた跡や痣がある。

 

「ここで名言を1つ借りよう。お前らは最後に殺してやると言ったな?」

 

「それがどうしッ!!」

 

足元に違和感を感じる。こいつはまさか!!

 

「あれは嘘だ。」

 

俺らの足元の床が抜けていた。要するに、落とし穴にかかってしまった。

 

「「「「「うわあぁぁぁぁ!!!(きゃあぁぁぁぁ!!)」」」」」

 

「ふへ、フヒヒヒ!!まんまとかかりやがった!!お疲れさん、あの世で反省会でもしてな。」

 

俺らは底の見えない暗闇の中に落ちていった……。

 

「そ、んな、私の、私のせいで……。」

 

「んじゃ、続きを始めますか!!どっちにしようかな?加賀の苦痛に耐える姿もいいが、響の泣きそうな顔もそそられる。どっちにしようかな~?ンフ、ンヘ、ンヒヒヒヒ!!」

 

霧島は泣き崩れ、クズ提督は気持ちの悪い声で笑いながら加賀の服に手を掛ける。んっ?何故わかるのかって?

 

「ォォォォオオオオ!!!」

 

「何だ?何の叫びだ?」

 

「「「提督奥義その1!!垂直駆け上がり!!」」」

 

俺と師匠とメイトは落とされた後、急いで壁の方に移動して、全力疾走をして、壁を駆け上がり、クズ提督の前に立つ。

 

「全て聞こえているぞクズ提督!!」

 

「あんな仕掛けで俺達を殺そうとするなんて、片腹痛いわ!!」

 

「お、おい秋夜!!お、降ろせ!!」

 

あっ、摩耶は壁を走れないから俺の脇に抱えたんだ。降ろすのを忘れてた。

 

「し、しかも、どこ触ってんだよクソが!!」

 

摩耶が顔を真っ赤にしている、俺は普通に脇に抱えた……あっ。

 

「今降ろす。気遣いが出来なくてすまんな。」

 

摩耶を抱えた時に丁度手の位置が摩耶の胸の上になっていた。こりゃ後で砲撃を喰らうな。

 

「ったく、気を付けろ秋夜!!」

 

「摩耶に罵られるなんて羨ま「今シリアスな場面だから自重してくれ師匠。」へいへい。」

 

「……クズ提督、次からはもっと工夫をすることだ。OK?」

 

俺らが生きている事があり得ないと思ったのか、体を震わしながらオロオロしている。

 

「き、霧島!!あいつらを殺せ!!殺せぇぇぇぇ!!」

 

霧島は従いたくないが、従わないと殺されるっていう感じのオーラを出しながら俺らに砲撃を放とうとする。

 

「メイト、頼むぞ。」

 

「クズ提督、俺を殺したければ霧島に俺を狙えと言うことだ。OK?」

 

「OK「バズーカ発射!!」うわらば!!」

 

クズ提督がOKと言った瞬間にメイトがクズ提督に向けてバズーカ砲を発射した。しかもメイトはバズーカの被害をクズ提督だけにした。すげぇ!!

 

「き、貴様……。」

 

「あの時にお前は最後に殺してやると言ったな。あれは本当だ。」

 

そう言いメイトは新たに装填したバズーカ砲を至近距離でクズ提督に向けて発射した。

 

「麻酔の粉を掛けてやった。これでクズ提督は目覚めない。」

 

「よくやったメイト、じゃあ加賀達を助けるぞ。」

 

クズ提督にとりあえずの制裁を加えてきたメイトと師匠で加賀と響の拘束を解いて解放した。俺?俺は霧島と向かい合った状態になっている。

 

「もうクズ提督は制裁した。命令は聞かなくていいんだ。主砲を下ろしな。」

 

「で、ですが!!貴方もあの提督と同じことを!!」

 

あー、人間不信になっちまったな霧島は。さて、どうすっかねぇ。

 

「俺はあのクズ提督と同じことはしねえよ。」

 

「そ、その証拠は何処にあるんですか!?だ、騙されませんよ!!」

 

「はぁー、これならどうだ?」

 

俺は霧島に近付き、優しく霧島を抱き締めながら頭を撫でる。

 

「なななな何をををを!!?」

 

「辛かっただろ?苦しかっただろ?でももう大丈夫だ。今までよく耐えてくれたな。」

 

「うっ、ううっ、ぐすっ。」

 

霧島は顔を真っ赤にしながら泣き崩れた。さて、あのクズ提督をどう料理してやろうか。

 

「そっちは解決出来たみたいだな秋夜?」

 

「そうだ、で、何で師匠とメイトは響と加賀をお姫さまだっこしてんだ?」

 

「拘束を解いた瞬間に二人とも気を失ってな。放置する訳にもいかないから、お姫さまだっこしてんの。」

 

響と加賀の寝顔を見れば、いい顔で寝ていた。良かった良かった。

 

「さて、これで第1回救出作戦は終わりだな!!」

 

この後は、響と加賀が目覚めた後で決めればいいや。

 

 

 



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8話

「さて、帰るか。」

 

そう言い俺は3階の部屋の窓を開けて外に出ようとした時。

 

「帰る?ふへ、フヒヒヒ!!何呑気な事を言っている?帰る場所なんて何処にもありゃしない!!」

 

クズ提督、もう目を覚ましやがったのか。

 

「帰る場所がないってどういう意味だ?」

 

「そのまんまの意味ですよ大将、今にわかる。」

 

「どういう「た、大変なのです司令官!!」どうした電!?」

 

電が何やらタブレットを見て焦っているな。つか、何でタブレットを持ってるんだ?

 

「き、木曾さんと鳳翔さんが大破状態になっているのです!!」

 

「「「!!!」」」

 

木曾と鳳翔が大破!?一体何があったんだ!?

 

「フヒヒヒ、このまま大人しくやられる俺ではない。ここに深海棲艦が来るようにしておいた。」

 

こいつ!!何で深海棲艦を操れる!?

 

「なるほど、この鎮守府に深海棲艦が来てそれを見た鳳翔と木曾が砲雷撃戦をしたが、負けて大破状態になったのか。」

 

「俺の所の木曾と鳳翔は練度は90以上の筈だ!!普通の深海棲艦に負ける訳がねえ!!」

 

「普通ならな、けど俺が呼んだ深海棲艦は普通の奴等じゃないのさ、フヒヒヒへへへ!!」

 

普通の奴等じゃない?まさか!!

 

「大将、秋夜、双眼鏡で確認したが、相手は駆逐ハ級flagship6体、軽巡へ級flagship4体、重巡リ級flagship改10体、戦艦ル級flagship改10体、空母ヲ級flagship改10体だ。」

 

はあっ!?いくらなんでも多すぎだろ!!何でそんなに来るんだよ!?

 

「多すぎだろ!!しかもflagship改ってまだ少数しか発見されてないって聞いたぞメイト!!」

 

「確かにそうだ。どうする大将?」

 

メイトも焦りの表情で師匠を見る。これは流石に俺らでも厳しい。

 

「木曾と鳳翔はどれくらい敵を減らしたかわかるか電?」

 

「は、はい!!木曾さんと鳳翔さんで駆逐ハ級flagship五隻、軽巡へ級flagship四隻です!!」

 

あの二人で九隻しか倒せなかったのか、こりゃ本格的にヤバイぞ。

 

「……おいクズ提督、ここの鎮守府に装備はあるか?」

 

「クヒヒヒ、ないね。そんなものはない、あったとしても無意味だがな!!」

 

「どういうことだよ!?」

 

摩耶が怒鳴り声を上げながらクズ提督の胸ぐらを掴む。

 

「ここの鎮守府付近は装備を無効化する空間にしている。つまり、ここの鎮守府付近は艦娘はただの女と変わらないってことなのさ!!私の所の艦娘は何も装備させてないし修復材もない!!」

 

「黙れ!!」

 

そう言い摩耶がクズ提督に砲撃するが、弾が出なかった。ったく、めんどくせえな!!

 

「あ、あれ!?出ない!?」

 

「だから言ったろ?大人しく俺と一緒に深海棲艦に殺されるんだな!!フヘヘヘ!!美少女と一緒に死ねるなんて最高だ!!ゾクゾクするぜぇ!」

 

「黙れクズ。」

 

そう言い師匠はクズ提督の頭を殴って気絶させる。師匠も相当怒ってるようだな。

 

「し、司令官!!海に出れば装備は使えるみたいです!!」

 

海に出れば艦娘も戦力に加えられるのか、けど、出撃出来るのは摩耶と電しかいないぞ!!

 

「大将、一応本部に連絡してみたが、増援は出さないって言われた。」

 

本部は俺達を見捨てるつもりだな。あいつらだけ室内でぬくぬくしやがって!!

 

「木曾さんと鳳翔さんはこの建物の前に来るように指示しましたのです!!」

 

「ありがとう電。さて秋夜、メイト、どうする?ここで大人しく殺られるか、抗うか?」

 

んなもんは決まっている!!

 

「抗うに決まってんだろ?大人しく殺られる訳にはいかねえ!!」

 

「漸く思う存分ドンパチ出来るステージなんだ、たっぷりと暴れさせて貰う。」

 

「ふっ、流石は俺が見込んだだけはあるな。」

 

俺達が互いの士気を高めていると、誰かに肩を叩かれた。

 

「んっ?あぁ、霧島か、どうしたんだ?」

 

「司令、どうするんですか?」

 

司令?俺のこと?師匠じゃなくてか?

 

「これは私の元司令が招いたものです。部下であった私が責任を取らなくてはなりません。私が、片付けてきます。」

 

「駄目だ、そもそも装備が無い状態であの深海棲艦の群れに勝てるのか?」

 

「勝てません、ですけど!!皆が逃げる時間は作れるはずです!!」

 

霧島は俺の目を見ながらそう訴えてくる。こいつ、死(轟沈)にに行く気か。

 

「……行ってきます。」

 

「駄目だって言ってんだろ。」

 

俺は霧島の服の襟を掴んで引き止める。

 

「どうしてですか!?このままじゃ皆殺されてしまいますよ!!」

 

「だから一人だけ犠牲になろうってか?ふざけるのも大概にしとけよ?」

 

俺は本気の殺気を霧島に当てる。霧島は涙目になって体を震わしていた。ちとやり過ぎたか。

 

「もう誰も失いたくない。霧島が犠牲になるくらいなら俺が犠牲になろう。」

 

「し、死にますよ!?」

 

「大丈夫だ、死にはしない。あいつとの約束を果たし、深海棲艦との戦いが終わるまで死ぬわけにはいかない。」

 

そう言い俺は窓から敵の状況を観察しているメイトの所に行く。

 

「どうして、どうしてなの?」

 

「知りたいのか霧島?秋夜が君を失いたくない理由。」

 

「た、大将!?いえ、そういう訳では!!」

 

「顔が聞きたそうな顔をしている。まっ、簡単に言うと、君が秋夜の大切な人にそっくりだからだ。」

 

「!!!」

 

おい師匠、余計な事言うなよ。今頃霧島の顔が赤くなってるんだろうな。

 

「特に顔立ちが似ている。その顔を真っ赤にした姿もな。」

 

「その、秋夜さんの大切な人は今どうなされているのですか?」

 

「……死んじまった。今は海の底にいるんじゃないか。」

 

ったく師匠の奴、話すなら違う日に話してくれよ。

 

「師匠、それは後で自分から話すから作戦を立てるぞ。」

 

「へいへい。じゃ、話の続きは秋夜から聞いてくれ。」

 

そう言い師匠は俺とメイトの所に来る。ったく、余計な事話すんじゃねえっての。動揺を隠すのが大変だったじゃねえか。

 

「状況はどうだメイト?」

 

「大将、残念な知らせだ。敵がまた増えた。」

 

増えたのかよ!!どんだけ来るんだよ!?

 

「どんな敵が増えたんだ?」

 

「戦艦レ級elite3体に、ポテチを食ってる輸送ワ級2体、味はコンソメとのり塩だ。」

 

「味の種類はどうでもいい!!ってか何で深海棲艦がポテチ食ってんの!?」

 

おかしくね?そもそもあいつらって飯とか食うのか?

 

「後は、ハーゲン○ッツの苺味を食べて笑顔になっている戦艦棲姫1体だな。」

 

「いやだから何で深海棲艦が菓子やアイス食ってんの!?ピクニックの気分なのかあいつら!?」

 

「あっ、喉を詰まらせてむせてる。飲み物はスプ○イトだな。」

 

どーでもいい!!物凄くどうでもいい!!

 

「敵も増えてきたな。じゃあ出撃するぞ。念のため援軍は呼んでおいた。」

 

「さっきメイトが本営と連絡したが、取れたのか?」

 

「本営に連絡したが、音信不通だった。恐らく見捨てられたんだろう。けど、俺の友人が駆け付けてくれるからそれまで耐えるぞ!!」

 

師匠の友人、またメイトみたいな奴が来るのかねぇ。

 

「師匠、全員固まって行くのか?」

 

「いや、俺とメイトと電、秋夜と摩耶という感じに分ける。」

 

んー、まあ妥当なところかな。何故摩耶とペアなのかは知らんが。

 

「ちょっと待てよ提督!!何であたしが秋夜とペアなんだよ!?」

 

「理由が知りたいのか?なんとなくだ!!」

 

ドヤ顔で言うなよ師匠、摩耶が呆れてんぞ?

 

「冗談だけどな、秋夜と摩耶を組ませたのはある理由があるからさ。」

 

「ある理由ってなんだよ提督?」

 

「もうすぐ分かる、今電があるものを取りに行ってるからな。」

 

あるもの?何かあるのか?

 

「司令官!!この箱でいいんですか!?」

 

電が大きな段ボール箱を頭の上に持ち上げながら師匠の隣に行く。自分より大きい段ボールを軽々と持つなんて、流石は艦娘だな。

 

「ありがとう電、どれどれ……。」

 

師匠が電から段ボールを受け取って段ボールの中身を漁っているな。

 

「おっ!あったあった。秋夜、受け取れ。」

 

「何渡すんだよ?ってこれ刀じゃねえか!!」

 

師匠から投げ渡された物は刀だった。いや何でここにあるの!?

 

「さっきメイトが3階の部屋の壁に試しにバズーカ砲を当てたら武器庫みたいなものがあってな。艦娘の装備は無かったが、刀やマシンガン、槍などがあったんだ。」

 

「まあ、くれるなら使わせて貰うか。」

 

「司令官?現代の兵器は深海棲艦には効かないのですよ?」

 

「そう思うだろ電?じゃあ何で俺らが現代の兵器を持ったかは、戦闘が始まればわかる。」

 

ふむ、この刀は耐久力は半端ないくらいあるな。これなら深海棲艦相手でも大丈夫そうだ。

 

「秋夜、メイト、深海棲艦供に俺らの本気を見せてやろうか。」

 

「そうだな、戦えるのは艦娘だけじゃねえってところを見せるか。」

 

「ドンパチ出来るステージを待ってたんだ。」

 

俺らはそう言い3階の部屋の窓を開けて外に飛び出す。人間の底力を見せてやる!!

 

「司令官と秋夜さんとメイトさんの殺気が怖かったのです。」

 

「あたし達も行くぜ!!提督だけに良いところを取らせる訳にはいかねえからな!!」

 

続けて摩耶と電もこっちに向かってくる。さて、やりますか。

 

「そういえば加賀と響はどうしたんだ秋夜?」

 

「1階にあった医務室みたいな所のベットに寝かせた。そこに木曾と鳳翔もいる。」

 

修復材がないからな。医務室で休んでもらうしかない。

 

「あと五分で俺の友人が来る。それまでの間ここを守り抜くぞ。俺とメイトと電で戦艦棲姫と戦艦の敵を相手するから秋夜と摩耶で残りの敵を片付けてくれ。」

 

「了解!!」

 

「さあ出撃だ!!あっ、その前にトイレ行ってきていい?」

 

「「「「雰囲気台無しじゃねえか(なのです!!)!!」」」」



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9話

今更ながらプロフィール

霧生秋夜(きりしょうしゅうや)

歳は二十歳、階級は少佐、顔は普通だが筋肉モリモリマッチョマン。3年前にある作戦で駆逐艦を大量に轟沈させた罪として無人島に左遷される。

性格は基本的に優しいが状況を見て非情になったり、厳しい事を平気で言う。

艦娘を2度と轟沈させないと誓い、極限の肉体改造をした。そのお陰で深海棲艦と普通に戦えたり、水面を走れたりする。

取り敢えず主人公の簡易的なプロフィールです。詳しくは後々1話使って書きます。

今回は大量の深海棲艦が秋夜達のいる所に向かってくるのでそれを迎撃しようとする秋夜達。だが、出撃した直後に深海棲艦のいる所とは別の所から艦娘が一人やって来ます。

その艦娘を見た秋夜はあり得ないと言わんばかりに首を横に振ります。その理由とは……。


「さて、出撃開始!!」

 

そう言い師匠が海に出るのと同時に俺達も海に出る。

 

「戦闘時間は長くても15分、その間は耐えきるぞ!!」

 

「わかってら!!」

 

5分で着くとは限らないからな。最悪の事は想定しておかないと。

 

「んっ?師匠、秋夜、深海棲艦がいる別の方角から艦娘が一人やって来るぞ!!」

 

メイトが走りながら言う。確かに深海棲艦とは別の方角から何かやって来るな。

 

「友人から艦娘の一人を先に送るって言われてたんだ。いっけね、忘れてた!!」

 

「しっかりするのです!!」

 

そう言い電は師匠に向かって砲撃する。おいぃぃ!!弾薬が勿体無いだろ!!

 

「いい攻撃だ!!ますます砲撃の腕に磨きがかかってるな!!」

 

「笑顔で砲撃を喰らってるよ。師匠は戦闘じゃ沈まなさそうだな。」

 

「人の事言えないだろ秋夜。」

 

「お前もなメイト。」

 

爆弾喰らってほぼ無傷な時点でメイトも俺らの仲間入りだからな。

 

「そうこうしているうちに艦娘が来たぜ。」

 

「サンキュー摩耶、さてどんな人物な……。」

 

う、嘘だろ、何で、何であいつがここにいるんだ?

 

「ふひぃ~、やっと着きました。」

 

「君が先に援軍として送られた艦娘かな?」

 

「そうですよ大将!!私は防空駆逐艦の秋月と申します!!ところで、何故水面の上に立てるんですか?」

 

「私が大将だからだ!!」

 

おい、秋月がどんな反応をしたらいいか困ってんぞ?

 

「えっ?」

 

「まっ、修行を積めば出来るようになる。」

 

「そうなんですか!!凄いですね!!」

 

にしてもそっくりだ、いや、確かに沈んだはず。俺がこの目で見たんだ。

 

「まっ、よろしくな。おいメイト、秋夜、挨拶しな。」

 

「秋夜?今秋夜って言いましたか大将!?」

 

「お、おう。いきなり声が大きくなったな秋月。」

 

そうだ、見間違いだ。よくあることじゃないか。俺の知ってる秋月とは限らない。現に秋月を持っている鎮守府はたくさんあるからな。いやー、最近疲れてんな。

 

「ご、ごめんなさい!!昔、私が所属していた先の提督の名前が秋夜だったもので。」

 

「大将、まさかだとは思うが。一応確認しておいた方がいいと思う。」

 

「貴方は誰ですか?」

 

秋月がメイトを不思議そうに見つめているな。無理もない、上は黒のタンクトップ、下は黒のスボンだからな。提督に見えないだろう。人の事は言えんが。

 

「俺はメイトだ。階級は大佐、気軽にメイトとでも呼んでくれ。」

 

「そうなんですか、よろしくお願いします。ところでメイト大佐はどうやって戦うんですか?」

 

「ドンパチするだけだ。」

 

「???」

 

おい、その説明じゃわからんだろ。秋月の頭の上に?マークが10個程あるぞ。

 

「メイトは銃火器を使うんだ。強いからな、戦艦と同等の戦闘力がある。」

 

「て、提督って最前線に出て戦いましたっけ?でも、あの人も戦うから不思議ではないのかな。」

 

充分に不思議だっての。普通は出撃の時、提督は鎮守府から指示を送るだけだからな。

 

「次に秋夜、挨拶しな。」

 

「秋夜、秋夜……あっ!!」

 

「霧生秋夜だ。階級は少佐、よ「司令!!やっと会えました!!良かったです!!」っておい!!」

 

秋月の前に行って自己紹介をしている途中で秋月に抱き付かれた。どうゆうこと?何で!?why!?

 

「どうゆうことなんだ秋夜?」

 

「摩耶、俺にもさっぱりわからねえ。」

 

「忘れたんですか!?酷いですよ!!私や他の皆と過ごした時間を忘れたんですか!?」

 

そう言い秋月は上目遣いで頬を脹らましながら俺を見てくる。やべっ、可愛い……じゃなくて!!

 

「忘れたも何も、轟沈したはずじゃなかったのか!?俺はこの目で見たんだぞ!?」

 

俺の知ってる秋月は3年前のあの作戦で轟沈した。俺が撤退させられた時に轟沈したのを見たんだ。

 

「確かに私はあの時沈みました。ですが、ある人が助けてくれたんです!!」

 

「そのある人ってのが俺の友人か。あいつならやりかねないな。」

 

なんだよ師匠の友人は。めちゃくちゃ気になるんだけど?

 

「その後、私は大将の友人の鎮守府に居ました。そして今日、司令に会ってこいと言われたので来ました!!」

 

「そうか、お前は本当にあの時の秋月なんだな。」

 

生きていてくれたのか、それだけで充分だ。でも、全員ではなく秋月一人なのな。

 

「はい!!あの時の秋月です!!」

 

「済まなかった、本当に済まなかった。」

 

そう言い俺は秋月に土下座する。なぜ海の上で出来るかって?気にするな!!

 

「あの時、もう少し早く指揮が取れていたら轟沈させなくて済んだんだ。本当に申し訳ない。」

 

「ああ頭を上げて下さい司令!!私達が轟沈したのは司令のせいではありません。本部の人達です!!だから頭を上げて下さい!!」

 

「……ありがとう秋月。」

 

「いえいえ、あっ、1つお願いがあります。」

 

お願い?あぁ、はいはい。

 

「言わなくても分かる。ほれ。」

 

「ん~、気持ちいいです!!」

 

何してるかって?秋月の頭を撫でている。ちょっとでもエロいのを想像した読者様、その人はメイトからグレネードランチャーの砲撃が送られるぞ。

 

「秋夜があんな嬉しそうに、提督、どういうことなんだ?」

 

「秋夜が無人島に左遷される前に秋夜の鎮守府にいた艦娘の一人なんだよ摩耶。しかも1番信頼出来る艦娘だったらしい。」

 

「なるほどな、久しぶりに会えて嬉しいのか。」

 

さて、秋月の頭を撫でるのはここまでにしておこう。

 

「秋月、続きはこの戦闘が終わってからな。」

 

「はい!!ちゃっちゃと敵を倒しちゃいましょう!!」

 

あ~、秋月の笑顔は癒されるなぁ。無人島で頑張った甲斐があったな。

 

「そろそろいいか秋夜?」

 

「悪い師匠、もう大丈夫だ。」

 

「敵がそろそろ来るからな。秋月、お前は秋夜と一緒にいろ。」

 

そう言い師匠は槍を構える。あれをやる気か。

 

「し、司令官?何しているのです?」

 

「んっ?ちょっと本気出す。舐めてかかったらやられるからな。メイト、しっかり付いてこい。電は俺らが攻撃して弱った敵を撃ってくれ。」

 

「どうしてなのです?」

 

「流石にflagshipともなると、人間の俺やメイトでは敵を撃沈させるのは無理なんだ。そこで電が砲撃して、沈めていってくれ。」

 

本来深海棲艦は艦娘の攻撃じゃないと撃沈させることは出来ない。elite以下なら俺や師匠、メイトでも撃沈させることは出来るが、それ以上だときついからな。

 

「了解なのです!!」

 

「さて、秋夜、久しぶりに暴れようか。」

 

「へいへい、わかってるよ師匠。」

 

よし、まずは空母から倒していくか。

 

「摩耶、秋月、対空射撃の準備をしててくれ。」

 

「はぁ!?なんでだよ秋夜?」

 

「司令、何故そのような事を言うんですか?」

 

「いいから準備しとけ。行くぞ!!」

 

俺は摩耶と秋月にそう命令した後、空母ヲ級flagship改の所に近付き、刀を抜刀して空母を級を上空に切り上げる。

 

「今だ摩耶!!秋月!!」

 

「そういうことかよ!!任せな!!」

 

「お任せください!!」

 

俺が上空に切り上げた空母ヲ級を摩耶と秋月が砲撃で撃ち落とす。摩耶と秋月は対空射撃が得意だからな。

 

「まだまだ行くぜ!!」

 

深海棲艦達が唖然としている隙を狙って上空に切り飛ばす。そして、それを摩耶と秋月で撃ち落とす。だが、空母と駆逐、軽巡を撃沈させた後、重巡に目標を変えようとしたとき。

 

「摩耶!!避けろぉぉぉぉ!!」

 

遠くから師匠の声が聞こえてきた。何だ!?流れ弾でも来たのか!?

 

「摩耶さん!!」

 

「えっ?あっ!!嘘だろ!?」

 

深海の戦艦がどうか分からないが摩耶が敵の砲撃を受けてしまった。

 

「あぐっ!!く、くっそー!!」

 

「摩耶大丈夫か!?」

 

「ちょっと、厳しいな、あたしを狙ったのは誰だ!?」

 

急いで摩耶の状態を調べねえと。くそっ!!大破かよ!!

 

「ワタシダ、メザワリダカラキエロ。」

 

「戦艦棲姫!?師匠!!逃がしたのか!?」

 

俺は無線で師匠と連絡を取る。師匠が敵を逃がしたことはないはずだ。だけど、戦艦棲姫は師匠達が相手していたはず。

 

「もう一人現れやがったんだ!!そっちに行きたいが今手が離せねえ!!」

 

「マジかよ!!師匠、出来るだけ急いで片付けてくれ!!摩耶が大破した!!」

 

「わかった!!」

 

俺が師匠と連絡し終わると同時に戦艦棲姫が動き始めた。

 

「ツギハオマエダ!!」

 

そう言い戦艦棲姫は秋月目掛けて砲撃を放つ。くそっ、急いで戦艦棲姫を倒さねえと!!

 

「イカセナイヨ。ココハナニガナンデモトオサナイヨ。」

 

「てめえら、邪魔だぁぁぁぁ!!」

 

重巡リ級flagship改が俺の目の前に立ち塞がる。そして、砲撃を放ってくる。

 

「効かねえんだよ!!そこを退け!!」

 

「キカイノハワカッテイル、ワタシタチハジカンガカセゲレバイイ。」

 

「だろうと思ったよ!!」

 

砲撃を喰らっても問題ないが、煙が舞うから視界が奪われる。これじゃあ状況がわからねえ。

 

「ああもうめんどくせえ!!」

 

砲撃を喰らうから煙が舞うんだ。じゃあどうすればいい?簡単だ、砲撃を受け流せばいい。

 

「そらぁ!!」

 

俺に当たる砲撃を刀を使って後ろに反らして重巡リ級に当てる。受け流されるとは思ってなかったのか、一瞬重巡リ級は動きを止める。

 

「今だ!!」

 

俺は重巡リ級の包囲網を突破して戦艦棲姫に近付く。秋月と摩耶はどうなった!?

 

「イマゴロキタカ、ダガモウオソイ。」

 

「遅いって何が……!!」

 

「し、司令……。申し、わけ、ありません。」

 

戦艦棲姫の隣に轟沈していく秋月と摩耶がいた。くそっ!!間に合わなかった!!

 

「ハゴタエガナイアイテダッタ。ゴウチンシテモトウゼンダ。」

 

「これ以上喋るんじゃねえよ。」

 

「サテ、マダカンゼンニウミニシズマサッテナイコノフタリヲシズメルカ。」

 

そう言い戦艦棲姫は辛うじて水面に浮かんでいる秋月と摩耶を沈めようとする。させるかよ!!

 

「ジャアナ「させませんよ!!」!!」

 

突然、戦艦棲姫の後ろから霧島が現れて、秋月と摩耶を抱えて距離を取った。

 

「霧島!!何で来たんだ!?」

 

「私が、司令の役に立ちたいと考えて行動した結果です!!さあ、戦艦棲姫をたおし「ウザイオマエ、シズメ。」そ、んな。」

 

「霧島!!」

 

霧島が摩耶と秋月を抱えて退避しようとした時に戦艦棲姫が霧島に近付いてボディブローを放った。

 

「でも、隙ありです!!全弾発射!!」

 

霧島は戦艦棲姫の腕を掴み、至近距離から砲撃を放った。あいつ!!装備は無かったはず!!

 

「装備は自分の部屋にありました。それを装備しました。」

 

「そうか、でも無理すんな!!一旦撤退し「ナンナンダイマノハ?」はぁ!?」

 

嘘、だろ!?霧島の砲撃が効いていない!?

 

「サスガハセンシャ、マエノフタリヨリモイリョクハアッタ。ダケド、ワタシニハキカナイ。オカエシニワタシモホウゲキヲクラワセテヤル。」

 

「に、逃げろ霧島!!」

 

だが、逃げられる筈もなく、霧島は至近距離で戦艦棲姫の砲撃を喰らった。

 

「キャアアア!!」

 

「くそ、砲撃を止めやがれ!!」

 

俺は戦艦棲姫の背中を斬るが、表面がほんの少し割けただけだった。

 

「オマエ、ジャマ!!」

 

戦艦棲姫が俺に向かって蹴りを放ってくる、それを刀で防御したが、衝撃が強すぎて後ろに吹き飛ばされてしまった。

 

「ぐっ!!な、なんつー威力だよ!!」

 

いや、そんなことはどうでもいい!!霧島は大丈夫か!?

 

「この、ダメージは、まずい!!」

 

「タトエセンカンデモワタシノコウゲキニタエラレナイ。ナカヨクサンニンデシズミナ!!」

 

野郎!!霧島の首を掴んで水面に叩き付ける気だ!!それは避けねえと!!

 

「(けど、間に合わねえ!!)」

 

俺と戦艦棲姫の距離は50mしかないが、近付くのに3秒かかる。けど、3秒もあれば霧島達は轟沈してしまう!!

 

「ジャアナ。イズレハワレラノナカマニナッテモラウゾ。」

 

「させねえよ!!」

 

俺は刀を戦艦棲姫に投げ付けるが、簡単に避けられてしまった。そして、戦艦棲姫は霧島達を水面に叩き付けた。

 

「霧島ァァァァ!!!摩耶ァァァァ!!!秋月ィィィィ!!」

 

霧島、摩耶、秋月の3人は仰向けの状態で轟沈していった。

 

「コレデジャマモノハイナクナッタ。アトハオマエヲコロスダケダ。」

 

また、守れなかった。また、目の前で轟沈していく姿を見ることしか出来なかった。また、犠牲者を出してしまった。

 

「ジャアクタバレ。」

 

そう言い戦艦棲姫は俺に砲撃を放った。それを俺は回避しなかった。

 

ドォォォォォン!!

 

「オワッタナ、ツギハアノサンニンダナ。」

 

「てめえの……。」

 

「アァ?ナンダ?ッテナゼイキテイル!?ワタシノホウゲキヲクラッテモイキテルナンテ!!」

 

許さねえ、こいつだけは、こいつだけは死んでも許さねえ!!

 

「てめえの血は、何色だぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺は体に掛けていたリミッターを外して戦艦棲姫を殴り飛ばす。そして、吹き飛ばされている戦艦棲姫の後ろに回り込んで蹴り飛ばす。

 

「グッ!!ナゼダ?ナゼキサマノコウゲキノイリョクハカンムスメヲウワマワッテイル!?」

 

「教えると思うか?今更謝っても許さねえからな!!生きて帰れると思うんじゃねえ!!」

 

これ以上、あいつらと同じ目に合わせる訳にはいかねえんだよ!!



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10話

「てめぇ、覚悟しやがれよ?」

 

「カンムスメデモナイオマエガワタシヲタオセルトオモッテイルノカ!?」

 

俺は霧島、摩耶、秋月を沈めた戦艦棲姫と睨み合いをしている。

 

「ああ思っているさ。なんなら試してみるか?」

 

「チョウシニノルノモソコ「調子がなんだって?」ナニ!?」

 

俺は一瞬の隙を付いて戦艦棲姫の後ろに回り込んで蹴り飛ばす。むっ、意外と装甲堅いな。

 

「ナゼソンナニコウソクニウゴケル!?」

 

「知りてえか?なら教えてやる。俺の装備しているグローブが関係している。」

 

ただグローブ自体の耐久度を上げただけじゃねえからな。

 

「このグローブからは超高圧エネルギーが出るんだよ。こんな風にな。」

 

「グローブカラホノオダト!?」

 

見た目は炎に見えるが、炎じゃねえけどな。

 

「そしてこれを逆噴射すると……。」

 

そう言い俺は両手を後ろに向けてエネルギーを発射する。

 

「ハ、ハヤイ!!」

 

音速以上のスピードで動くことも出来る。ただ、海の中じゃ遅くなるけどな。

 

「おらぁ!!」

 

俺は横から戦艦棲姫を蹴り飛ばした。だが、数メートル程しか飛ばせなかった。

 

「コレハヨソウガイノシュウカクネ。タタカエルテイトクガイタナンテナ。」

 

「艦娘だけが戦えると思ったら大間違いだ。」

 

「ヒトリジャマケソウネ、ナラコレナラドウ?」

 

戦艦棲姫はそう言い手を叩く。何してんだ?

 

「シタヲミナサイ。マア、キヅイタトシテモテオクレダカナ。」

 

「下……しまった!!」

 

海中から俺に向かって魚雷が迫っていた。海中から魚雷ってことは潜水艦か!!

 

「オソイ!!」

 

回避しようとしたが、反応が遅れたため、魚雷6発の内5発当たってしまった。

 

「フフフ、コレデサイキフノウダロウ。」

 

「それはフラグだぞ。」

 

「ナニ!?「お返しだ!!」ムグッ!!」

 

俺は当たらなかった魚雷の一つを回収し、魚雷に当たったことで発生した水飛沫に混じって戦艦棲姫の横に回り込んで至近距離で魚雷を発射する。

 

「ダガギョライノイッパツデクライハドウッテコトナイ。」

 

「そうか、ならこれでももらっとけ!!」

 

俺は魚雷が戦艦棲姫に当たった煙を利用して戦艦棲姫に近付き高圧エネルギーを纏った拳で戦艦棲姫にアッパーカットをする。

 

「グアッ!!コ、コノテイドデ!!」

 

「この程度?まだまだ攻撃は続くぜ。」

 

アッパーカットを喰らって怯んだ戦艦棲姫に、右肘でエルボーを喰らわせ、更にエルボーした後に体を1回転させて、左拳で裏拳を喰らわせる。

 

「ッ!!ダガアマイナ!!」

 

俺が裏拳を喰らわせた後に戦艦棲姫の主砲の砲撃が飛んでくる。あっ、これ避けれないな。

 

「ちぃ!!」

 

空いていた右腕を使って主砲の砲撃を防ぐ。威力は馬鹿みたいに高えな!!右腕がいかれそうだ。

 

「はぁ、はぁ、ちとやべぇな。」

 

魚雷5発と主砲の砲撃、普通の戦艦だったらどうってことはないが、姫と付くだけあって他の戦艦と比べ物にならねえな。笑えねえ。

 

「イチタイイチデココマデタノシメタノハハジメテダ。カンシャスルゾ。」

 

まだやる気かよ。こいつをぶっ飛ばさないといけねえが、このままだったら俺が轟沈するかもしれねえ。師匠とメイトはどうなったんだ?

 

「……師匠、そっちは終わったか?」

 

「悪りいな、まだ終わらねえんだ。こっちの戦艦棲姫は中破まで追い込んだが、俺とメイトも中破、電は大破状態なんだ。だから援軍は無理だ。」

 

戦艦タ級flagshipの砲撃を受けてもほんのわずかしか耐久度が減らない師匠とメイトが中破かよ!!相当やべぇんだな、戦艦棲姫ってのは。

 

「今はメイトが戦艦棲姫と戦っている。俺は電を守るのに精一杯でな、助けには行けねえ。」

 

「わかった、電を轟沈させねえようにな。」

 

「おいおい、俺やメイトの心配はしないかよ?」

 

師匠やメイトは絶対轟沈しないだろ。したら世界が滅ぶわ。

 

「オナカマハイキテルヨウダナ。シブトイヤツラメ。」

 

「しぶとくて結構。それが取り柄だからな。」

 

俺も自分自身の状態を確認しておくか。えっと……。

 

耐久度 50/650

 

「これ超まずくね?」

 

「イマキヅイタカ、ダガモウオソイ。」

 

戦艦棲姫の方を見ると、俺に向かって主砲を発射する直前だった。当たったら終わりだ!!

 

「サラバダ。」

 

俺が動くと同時に主砲を発射してきた。これ避けれねーわ。

 

ドォォォォン!!

 

秋夜の耐久度 50/650

0/650

 

「タイキュウドガゼロニナッタカ。サテ、ムコウノカセイニイクカ。」

 

「どこへ行くんだぁ?」

 

そう言い俺は戦艦棲姫の肩を掴む。えっ?耐久度0になったのになぜ轟沈してないかって?0にはなってねえよ。

 

「バカナ!!タシカニキサマノタイキュウドハゼロニナッタハズダ!!」

 

「じゃあ確認してみろ。」

 

秋夜の耐久度0/650

300/650

 

「今まで修行で駆逐艦、重巡、戦艦、空母の砲撃を喰らってきたからな。砲撃が当たると回復するように体質を変えたのさ。」

 

「ソンナ……オマエハドエムナノカ!?」

 

断じて違う!!修行していったらいつの間にか回復するようになってたんだ。だからと言って何処かの提督みたいに自分から進んで砲撃に当たりに行くことはあんまりしねえぞ、痛いから。

 

「だったら、どうする?」

 

俺は首を鳴らしながら戦艦棲姫に尋ねる。このまま引き下がってくんねえかな?

 

「私が、その戦艦棲姫を引き下げらせよう。」

 

ん?後ろから声が聞こえ……って誰だこいつ?白い提督服で髪は白髪だな。しかも右手でどでかい箱を持ってるし。艦装は付けているのか。

 

「オマエハ、マサカ!!」

 

「そのまさかだよ。ほら、ハーゲン○ッツ12ダースにスプ○イト20本だよ。」

 

そう言い白髪の提督は右手に持っていた箱を戦艦棲姫に渡した。あれ?これ餌付けじゃね?戦艦棲姫の顔がキラキラしているし。

 

「イツモスマナイナ。ニシテモ、キョウハオソカッタナ。」

 

「色々と立て込んでてね。私が来る間はあそこにいる彼と遊んでたのかい?」

 

「ソウダ、ナカナカタノシカッタ。」

 

何だ?この近所に住んでいる同士の会話みたいな感じは?これでいいのかよ!?

 

「ジャアコレハモラッタカラテッシュウスルヨ。」

 

そう言い戦艦棲姫は海中に沈んでいった。さっきまでドンパチやってたのが嘘みたいだ。

 

「さて、遅れてすまないね。君は、秋夜君かな?大将から話はよく聞いてるよ。私は……元帥と呼んでくれ。」

 

「何で元帥がこんなところに来るんだよ?」

 

「元帥と言っても元だけどな。大将に援軍に来てくれと頼まれたから来たんだ。」

 

この人が、師匠の友人か。なんか優しそうな雰囲気を出している人だな。

 

「ところで、秋月は何処に行ったかわかるかい?」

 

「……轟沈しちまったよ。」

 

俺のせいで、俺がもっと早く動けていれば!!

 

「秋夜君、秋月が轟沈したのは何分前かな?」

 

「10分前くらいですけど。」

 

「そうか、なら間に合うな。」

 

えっ?間に合うってなんの?元帥が右腕に力を溜めているけど何する気なんだ!?

 

「轟沈した艦娘を救出する方法はない。だが、私にかかればそれを可能にする。ふんぬっ!!」

 

そう言い元帥は右拳を水面に叩き付けた。その後、下の方から水が上がってくる音が聞こえてくる。

 

「元帥、まさかとは思いますけど。」

 

「そのまさかだよ。水面に拳を叩き付けて海底を振動させる。それで轟沈した艦娘の位置を把握して、噴水のように艦娘を海底から打ち上げる。これが私の轟沈した艦娘の救出方法だ。」

 

むちゃくちゃだよこの人。人間やめてるだろ絶対。

 

「名前を言い忘れていたな。私の名前は時哉 健だ。愛称でトキとも呼ばれている。」

 

「コマン○ーの次は北○の拳かよ。」

 

もう元帥だけで深海棲艦に勝てるんじゃないかな?

 

「それ、秋月達が上がってきたぞ。」

 

元帥がそう言った瞬間に、秋月、摩耶、霧島が海中から飛び出てきた。元帥は秋月、俺は霧島と摩耶を抱える。

 

「秋月だけじゃなかったのか。」

 

「そうらしいなトキ、にしても遅いぞ。」

 

うおっ!!びっくりした!!俺の隣にいきなり現れるなよ師匠!!

 

「すまない、中々ハーゲン○ッツが売ってるお店が見当たらなくてね。」

 

「そんなことだろうとは思っていたさ。さて、これからどうするんだトキ?」

 

「一先ず、私の鎮守府に来てもらう。色々と話がしたいのでな。」

 

そう言い元帥は動き始める。何か、想像していた元帥とはイメージが違ったな。

 

「ところで、師匠?メイトは?」

 

「後始末、残りの深海棲艦と戦ってる。」

 

あっ、暴れ足りないんだな。

 

「コイヨテイトク!!ブキナンカステテカカッテコイ!!」

 

「武器?もう弾薬がねえから武器の意味はない。」

 

「ワタシガイイタイノハマッパデコイッテコトダ!!OK?」

 

「OK!!」

 

「アビャーーーーー!!」

 

あっ、メイトが戦艦タ級をワンパンチで沈めた。にしても、メイトは中破してるのに、攻撃力が下がってねえな。

 

「メイトは傷を負う度に攻撃力が上がるぞ!!」

 

……もう何も突っ込まねえよ。



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11話

「ここが私の鎮守府だ。」

 

元帥と会った後、皆を連れて元帥の鎮守府に行った。しかし大変だった、自分が大破している状態で摩耶と秋月を抱えて30分海の上を走り続けたからな。流石に疲れた。

 

「いやー、久々だな!!元帥の鎮守府に来るのは、あいつらは元気か!?」

 

今は鎮守府の玄関付近にいるぞ。何故外にいるかって?今季節は夏なんだよ。鎮守府の玄関付近に木陰があって涼しかったからそこにいる。

 

「元気だよ。全く、大将の子供好きは変わらないな。」

 

師匠って子供好きだったんだ。ん?何か大将の薬指に指輪が着いてるな。誰かと結婚したのか?

 

「師匠、薬指に着いている指輪って何だ?」

 

俺がそう言うと、師匠、メイト、元帥が驚いた顔をしてこっちを向いてくる。ちなみに艦娘は先に入渠させている。

 

「お前知らないのか!?この指輪の事を!?」

 

「無人島に左遷されてから外部との接触は避けていたからな。で、それは何だ?」

 

「大将の着けている指輪はケッコンカッコカリの指輪だ。その指輪は練度99に達した艦娘の練度を更に上げることが出来る物だ。」

 

そんなものがあったなんてな。にしても、ケッコンカッコカリって……まさかね。

 

「それで師匠は誰とケッコンカッコカリをしたんだ?予想はついてるけど。」

 

「ほう、じゃ当ててみろ秋夜!!」

 

「電だろ?」

 

「な、ん、だと!!何故わかった!?」

 

そりゃ電の薬指にも指輪があったからな。ってか師匠、駆逐艦とケッコンカッコカリって色々とアウトだろ。社会的な意味で。

 

「何となくだ、じゃあメイトも元帥もケッコンカッコカリをしてるのか?」

 

「「ああ、している。」」

 

マジかよ、あのメイトでさえもケッコンカッコカリしてるのか。

 

「ちなみにメイトは誰とケッコンカッコカリしたんだ?」

 

「ああ、それはな「あっ!!大佐殿!!お疲れ様であります!!」おうお疲れあきつ丸。」

 

鎮守府の玄関から学ランにミニスカートにニーソックスを履いている人が出てきたな。誰だよ!?

 

「師匠?あの人も艦娘なのか?」

 

「そうだ、あきつ丸も艦娘だ。ちなみにメイト大佐の所のあきつ丸な。」

 

あきつ丸も艦娘、何だろう、時代に置いていっていかれてる感が否めない。

 

「にしても、いきなりどうしたんだ?」

 

「大佐の顔を見たくなったから来たでは、駄目でありますか?」

 

あきつ丸の泣きそうな顔が炸裂!!メイトは500の精神的ダメージを受けた!!

 

「いや、大丈夫だ。じゃあ折角だし二人で散歩でとするか?」

 

「はい!!行きましょう!!」

 

そう言いメイトとあきつ丸は新婚ほやほやの様な雰囲気を醸し出しながら二人並んで歩いていった。

 

「あきつ丸の髪って本当に綺麗だな。黒髪できちんと手入れが行き届いているな。」

 

「は、恥ずかしいでありますよ。」

 

「可愛い奴だな。」

 

そう言いメイトはあきつ丸の頭を撫でた。帽子は取らなかったな。

 

「大佐殿、もう少しゆっくりでお願いするであります。」

 

「あきつ丸はゆっくり頭を撫でられるのが本当に好きだよな。」

 

「大佐殿の手の温もりを長く感じたいのでありますから……。」

 

「ありがとうな。」

 

そう言いメイトはしばらくあきつ丸の頭を撫でていたが、突然あきつ丸がメイトの手を握った。

 

「しばらく大佐殿に甘えてなかったので今日はとことん甘えるのであります!!」

 

「OK!!welcome!!」

 

そう言いメイトとあきつ丸は手を繋ぎながら町の方に歩いていった。ふっふっふっ、もう我慢ならねぇ!!

 

「オロロロロロロ!!」サトウダバァー

 

「どうした秋夜?砂糖を吐き散らして?」

 

「あんなもん見たら誰でも砂糖吐くわ!!」

 

メイトのギャップに驚いたんだぞ!!ものスゲー笑顔であきつ丸と話してんだぞ!?戦闘中のメイトからは想像出来ねえよ!!

 

「しかもあの雰囲気、まさかメイトとあきつ丸は!!」

 

「ケッコンカッコカリはしているな。」

 

ケッコンカッコマジの間違いじゃないのか!?

 

「……元帥は?」

 

してないよな?いや、していたとしても不思議ではないな。

 

「しているよ、戦艦大和とだけどね。」

 

元帥の所の大和か。なんですかねぇ、この俺だけ取り残された感じは。別に羨ましいとか思ってねえぞ!!

 

「秋夜君は、そうだったな。元いた所の艦娘は異動したか、沈んでしまったからな。」

 

「元帥の所には来てないのか?」

 

「……その事で報告がある。明日の夜に執務室に来てくれ。大将も来てくれ。あと大佐にも来るように伝えておいてくれないか?」

 

「わかったよ。」

 

報告ねぇ、嫌な予感しかしないな。

 

「じゃあ明日の夜まで自由にしていて構わない。というわけで解散!!」

 

「おし!!さっそく電の所に行くぞぉ!!」

 

師匠、息を荒くしながら言うなよ。立派な犯罪者に見えるぞ。

 

「私は執務室に戻る。少しの間だが、ゆっくり休んでくれ秋夜君。」

 

「そうさせてもらいますよ。」

 

さて……部屋に戻って色々と準備だな。さっきまで忘れていたが、今日はあの日だからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っと、こんなもんか。」

 

俺はあの後、厨房を借りて料理を作った。それを自分が使う部屋に持っていってテーブルに乗せる。

 

「ちょいと作り過ぎたか?まあ、多い方があいつらも喜ぶもんな。」

 

テーブルの上には、様々な料理やお菓子、ジュースや酒などを乗せた。そして、鞄の中から4つの写真立てを料理の前に置く。今日は俺が率いていた駆逐艦を轟沈させた日だ。その1年後に、大切な人、霧島と鳥海を轟沈させてしまった日でもある。

 

「お前らの好物だぞ、たんと食えよ。」

 

そう言い俺は一つ目の写真立ての前にお菓子やジュースを多く置く。一つ目の写真立てには、俺があの作戦で率いていた駆逐艦の皆が写っている。外は暑いな、あの作戦の日もこんな感じの暑さだったな。

 

「まずは不知火、お前は冷静に物事を考えてくれてたな。そのお陰で助かった場面が何度もあった。まあ、驚いた時の声とかが可愛かったよ。」

 

写真の端に写っている。顔はどうして写真を撮らなければいけないのかって風になってるけど、口元が緩んでる。本当は嬉しかったんだな。

 

「次に夕立、っぽいっていう言葉が口癖だったからポイ○ルをあげたら凄く喜んでいたな。改二になってからは凄く活躍してくれたな。」

 

夕立の写真の前にはちゃんとポイ○ルを乗せている。写真にもポイ○ルを夕立は片手に持っている。相当好きだったんだよな。

 

「次に時雨、改二になった時に、俺は時雨の姿を見て気絶したんだよな。あれは俺の黒歴史のトップ3以内に入ったよ。」

 

時雨の写真の前には雨を連想したジュースを置いている。そういえば、雨が降った時に時雨は外に出てはしゃいでいたな。あの姿をもう一度見てえよ。

 

「五月雨はいつもドジをしていたけど、初期艦として支えてくれていたな。」

 

ドジはするけど、一生懸命物事に取り組んでいたな。あのドジっぷりを越える艦娘に会ったことねえよ。

 

「その他に吹雪、深雪、舞風、雪風、睦月、陽炎、お前らとは2週間っていう短い間だったけど、楽しかったよ。」

 

駆逐艦を轟沈させた作戦の2週間前に来たんだよな。一気に鎮守府内が騒がしくなったんだよな。

 

「好きなものはわからなかったからお菓子やジュースを置いておくよ。」

 

そう言い俺は二つ目の写真立てを見る。そこに写っていたのは嬉しそうな顔をして俺の腕に抱き付いている蒼龍だ。俺の前にはしゃがんでピースサインをしている飛龍がいた。

 

「蒼龍、飛龍、二人は空母として大活躍してくれたな。でも、活躍した褒美として俺に抱き付いてくるのはやめてほしかったな。」

 

あの時はうざいと思っていたな。でも今はそれが恋しいよ。

 

「二人には酒と大量の料理を置いておくよ。仲良く食べるんだぞ。」

 

次に3つ目の写真立てを見る。3つ目は鎮守府の前で撮った集合写真みたいなものだ。一つ目や二つ目の写真に出てきた艦娘以外も写っている。

 

「北上、天龍、青葉、川内、鈴谷、日向、古鷹、長門、お前らの個別の写真も撮ってやりたかったが、その前にあの作戦が来ちまったんだよな。本当にすまねえな。」

 

お詫びとして、蒼龍達の所に置いた酒や料理の3倍くらいの量を置く。これなら満足出来るだろう。蒼龍や飛龍、北上達は轟沈してはないけど、こうして料理や酒を出している。

 

「たっぷり食えよ。残したら許さねえからな。」

 

そう言い俺は最後の写真立てを見る。最後の写真立てに写っているのは、俺の右隣に満面の笑みで立っている霧島、左隣で霧島と同じような笑みで立っている鳥海、俺の前で両手でピースサインをしている秋月の姿があった。

 

「霧島、鳥海に嬉しい報告だ。秋月は生きているぞ。」

 

何故霧島と鳥海と秋月が一緒の写真で写っているかって?この3人は建造やドロップで手に入れた艦娘じゃないからな。要するに、何処かの鎮守府で捨てられたのか知らないけど、漂流していた所を俺が保護した艦娘だ。

 

「最初に霧島、次に鳥海、次に秋月だったな。霧島を保護した時は俺と五月雨しかいなかったんだよな。大破状態だったから、当時15だった俺は鼻血を出したんだよ。今の俺を知っている人がこの話を聞いたらびっくりするだろうな。」

 

そう言い俺はコップに注いであった日本酒を飲む。あぁ、なんか酒が染みるなぁ。

 

「次に鳥海、鳥海は心に深い傷を負っていたよな。癒すのに結構苦労したよ。」

 

前に所属していた鎮守府の提督に酷いことをたくさんされていたらしい。

 

「今になってから言うが、鳥海の前いた鎮守府の提督はちゃんと憲兵の所に送還されたからな。」

 

鳥海がいる時に報告したかった。ちなみに俺と霧島で鳥海の心の傷が癒されるように東奔西走したな。最初は会う度に砲撃や雷撃をぶちかまされたりしたもんだ。まあ、全て霧島が防いでくれたがな。今だったら自ら当たりに行ってるな。

 

「そして、心の傷が大分癒された時に、鳥海からお兄さんって呼ばれたんだよな。あの時の顔を真っ赤にしてぷるぷる震えていた鳥海の姿は忘れられないな。」

 

霧島にはお姉さんって言っていたな。鳥海にお姉さんって言われた時の霧島の口をぽかんと開いていた顔は面白かったな。

 

「秋月は、本人に言うか。」

 

そう言い俺はテーブルの上に置いていた料理を食べる。しょっぱいな、涙を流しながら料理をしたのがいけなかったか。

 

「皆が生きていたら、俺はどうなっていたんだろうな。ちゃんと提督をしていたんだろうか。」

 

昔はよく執務をサボったりしていたな。その度に霧島と鳥海に怒られていたけどな。

 

「人の一生は重き荷を背負って行くが如し、だったっけ?有名な昔の将軍が言った言葉。最初聞いた時は何を言っているんだと思っていたけど、年寄りの言うことは中々馬鹿には出来ねえもんだよな。」

 

大切なものは失ってから初めて気付く。慣れって怖いものだよな。

 

「お前達を助けれなかった俺は提督失格だよな。どう思う皆?」

 

俺は写真立てに向かってそう言うが、返答は何もなかった。

 

「……出来ることなら、もう一度皆でワイワイ騒ぎてえよ!!霧島と鳥海と秋月とくだらない事を話しながら笑い合いてえよ!!なぁ、頼むから帰ってきてくれよ!!」

 

秋月以外の駆逐艦や霧島や鳥海は海に沈んでしまったから会うのは無理だ。それ以外の皆は他の鎮守府にいるだろう。会いに行きたいが、俺はほとんどの提督に嫌われている。

 

「本当はあいつらは解体処分になるんだった。けど、師匠が何とかしてかれて解体処分は免れたんだよな。」

 

師匠は何をしたかと言うと、前に所属していた鎮守府の提督の名前を変えてくれたんだ。俺じゃない所に所属していたっていう形にしてくれて、蒼龍達は解体を免れて、他の鎮守府に配属されたんだ。

 

「俺が行ったらあいつらは……解体されるかもしれない。」

 

つまり、会いに行きたくても会いに行けない。

 

「少し疲れたな。料理と酒を片付けてさっさと寝るか。」

 

もしも、願いが叶うなら、あいつらともう一度ワイワイ騒ぎたい。

 

「……くそったれ。」

 

その後、俺は料理を食べながら静かに泣いた。



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12話

「それじゃあ、夜まで頼むよ。」

 

「すまないな秋夜、お前に雑務を押し付けて。」

 

「この借りは後で埋める。」

 

「んなこと言うなよメイト、師匠、元帥、折角のデートが台無しになるぞ?」

 

俺は今元帥の執務室にいる。そして、師匠、元帥、メイトの隣には電、大和、あきつ丸がいる。

 

「申し訳ありません秋夜さん、私達の私情の為に雑務を押し付ける形になって。」

 

「申し訳ないのであります。」

 

「はわわ!!すみません!!」

 

「いんだよ大和、あきつ丸、電、気にすんな。提督の中で暇なのは俺しかいないからな。」

 

実際に暇だし、まあやることが出来で丁度よかったよ。

 

「ほら、時間は限られてるんだ。さっさと行って楽しんでこいよ!!」

 

俺がそう言うと、元帥と大和、メイトとあきつ丸、師匠と電は俺に礼を言って執務室から出た。

 

「そうそう、もうすぐ面白い事が起きるからな。楽しみに待ってな秋夜。」

 

何だ?去り際に師匠が意味深な事を言っていたな。何なんだ?

 

「さて、師匠達は外に行ったかな?」

 

執務室の窓を開けて確認する。うん、鎮守府の前にある門を抜けたな。

 

「なんで俺だけリア充じゃねえんだよ……。俺だってなぁ、デートとかしてんだよ!!」

 

あぁ、外はあんなに晴れているのに書類仕事を朝からやらねばならねえんだよ。

 

「うだうだ言っても仕方ねえか、とっとと書類仕事を終わら……ってほぼ終わってんじゃん!!」

 

仕事もないのかよ、今日は元帥達がデートに行くから出撃、遠征、演習は無しだし。

 

「自分の体のメンテナンスでもするか。」

 

執務室には誰も来ないよな?よし、早速上着を脱いで鏡を見ないとな。

 

「はぁ、やっぱり古傷は残るよなぁ。残ってもいいんだけど、艦娘が心配するだろうしなあ、隠すのが面倒くさいんだよ。」

 

「では、私が治してあげますよ。」

 

「あぁ、おねが……ってアイエエエエエ!!?ナンデェェェェカガガイルゥゥゥ!?」

 

いつ入ってきた!?気配を感じなかったぞ!?

 

「あたしもいるんだぜ!!」

 

「あっ、摩耶もいたのか。」

 

「何であたしの時はそういう反応なんだよ!!」

 

そう言い摩耶が俺にパンチしてくるので、自分の頭を摩耶の拳に当てる。

 

「いったぁぁぁ!!」

 

そう言い摩耶はぴょんぴょん跳ねる。自業自得だ。

 

「秋夜さん、貴方は何故体中傷だらけなんですか?」

 

「昔の俺はドジっ子でね、よく階段から転げ落ちたりとかしてた。その時に付いた傷とかなんだよ加賀。」

 

俺がそう言うと加賀と摩耶ははぁー、っと大きなため息を付いた。なんなんだよ?

 

「嘘下手くそですね。」

 

「嘘がバレバレなんだぜ。」

 

何故ばれたし!?俺はさっきから俳優顔負けのポーカーフェイスを決めていたはずなのに!!

 

「冷や汗流しているからバレバレだぜ。」

 

「そこは盲点だった。」

 

ぐぬぬ、俺もまだまだだな。俳優への道は遠いな。

 

「で、加賀と摩耶は何しに来たんだ?」

 

「秋夜に紹介したい人物がいるんだぜ!!ほら、入ってきな!!」

 

そう摩耶は執務室の扉に向かって言う。ちょいまち!!服を着させてくれ!!

 

「し、失礼します。」

 

そう言い入ってきたのは、えっ!!嘘だろ!?

 

「司令官、私がちょ……えっ!!嘘!!」

 

「えっ?何この状況?おーい、どうしたんだ鳥海?」

 

まさか、いやいや奇跡は2度起きない。鳥海でも、俺がが知ってる鳥海の筈はないもんな。

 

「ま、摩耶、あそこにいる司令官の名前は?」

 

「秋夜って言うんだぜ、ここの近くの無人島の鎮守府の提督だぜ。にしても、どうしたんだ鳥海?秋夜の顔を見るなり挙動不審になって?」

 

「秋夜……、お兄さんなのね!!」

 

「「はぁ!?」」

 

おう、摩耶と加賀の声が同時に出たな。鳥海がお兄さんって言うことは、俺の所にいた鳥海だな。

 

「良かった!!生きていたんですね!!」

 

そう言い鳥海は俺に抱き付いてくる。昔だったら吹き飛ばされていたけど、今は受け止められるな。

 

「おっと、急に飛び込んで来るなよ。危ないだろ?」

 

「だって、本物かどうか確かめたくて。」

 

えー、俺偽者と思われていたわけ?ちょっと悲しいわー。

 

「けど、無事で良かった。鳥海、会いたかった。」

 

そう言い俺は鳥海を強く抱き締める。もう2度と離さないぞ。

 

「……秋夜が泣いている?何がなんだがさっぱりだぜ。」

 

「秋夜の過去は今日の夜話してくれるらしいわ。さぁ、折角の再会を邪魔しては悪いわ。行きましょう摩耶。」

 

「おい待てよ加賀!!鳥海、良かったな。」

 

摩耶と加賀は気を使ってくれて退室してくれたな。

 

「本当に良かった、鳥海にまた会えるなんて思わなかった。」

 

「お兄さん泣いているの?それほど嬉しいのね。」

 

「嬉しいに決まっているさ。でも何でここにいるんだ?」

 

「えっと、それはね……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大将side

 

「大将、面白い事ってなんだ?」

 

よう大将だ!!今は電を肩車しながら町を歩いている。電の太股たまんねー!!

 

「んっ?気になるのかメイト?そうだな、感動の再会とでも言っておこう。」

 

「感動の再会、つまり秋夜が誰かと会うって事か。」

 

「そう言うこと、折角の再会を邪魔しては悪いから、俺らは表向きはデートだが、本当は秋夜に気を使わせたんだよ。」

 

「あの、司令官、一つ聞きたいことがあるのです。」

 

何何!?電の質問なら何でも答えるぞ!!

 

「再会って言ってますけど、誰と会うのですか?」

 

「それは気になるのであります。」

 

ふむ、そう来たか。口で説明してもいいが写真を見せた方が早いか。

 

「この写真に写っている人だ。」

 

「鳥海さん?でもどうして鳥海と会うのが感動の再会なのですか?」

 

「この写真に写っている鳥海と秋夜は、まあ、兄妹みたいなもんだ。」

 

折角だ、秋夜の事について話すか。

 

「鳥海が轟沈寸前の状態で秋夜が前いた鎮守府に漂着したんだ。秋夜は鳥海を保護した。ここまでOK?」

 

「OKなのです。」

 

「だが、鳥海は所属していた鎮守府の提督から酷い暴行等を受けていた。目を覚まして秋夜の顔を見た瞬間砲撃したらしい。」

 

それを秋夜は普通の顔で話すもんだから、肝っ玉が据わっているなと感じたよ。

 

「はわわ!!その後はどうなったんですか?」

 

「その時、秋夜の隣にいた霧島が盾になったらしい。そこから秋夜は長い時間、と言っても1ヶ月くらいだが、鳥海の提督不信を治すために霧島と一緒にカウンセリングをした。」

 

「秋夜君の必死のカウンセリングのお陰で鳥海は元気になったんだ。」

 

「いい話でありますなぁ。」

 

あきつ丸、そのくらいで泣くなよ。メイトが困った表情してるぞ?

 

「そして、鳥海が元気になった時に、秋夜に向かってお兄さん、霧島に向かってお姉さんと言ったんだ。」

 

鳥海のお姉さんは高雄や愛宕や摩耶だろというツッコミは心の中でしてくれよな。

 

「それからは兄妹のように接していたらしい。でも2年前、秋夜はその時無人島にいて、秋夜に会おうと鳥海と霧島は夜こっそりと無人島に向かったんだ。」

 

「だが、その時に運悪く深海棲艦と遭遇して、轟沈してしまったんだ。」

 

「そんなことがあったのですね。でもどうしてその鳥海が元帥の鎮守府にいるのですか?」

 

そうそれ、俺も気になってた。秋月がいることは知っていたが、鳥海がいることを今日の早朝に聞いたからな。

 

「私が救助した。ただ、鳥海だけだ。霧島は見つからなかった。」

 

「そんな話があったなんてな。でも一つ聞いていいか?」

 

「どうしたメイト?」

 

「秋夜は俺らみたいに好きな艦娘とかいないのか?」

 

おいおい、今の話で秋夜が誰が好きかは想像出来るだろ。よくあきつ丸とケッコンカッコカリ出来たな。

 

「秋夜君が好きな艦娘は、鳥海、霧島、後は大淀だったかな。」

 

「でも、何故その三人なのでありますか大将殿?」

 

「あきつ丸、あの三人に共通している物はなんだと思う?」

 

メイトはわかったらしく、やれやれといった表情をしていた。気持ちはわからんでもない。

 

「眼鏡でありますか?」

 

「ご名答、秋夜はな、眼鏡を掛けている人が好きなんだよ。どうしてかはわからん!!」

 

「それに加えて、胸が少し以上ある人が好きらしい。秋夜君は中々にマニアックだな。」

 

マニアックって程でもないと思うがな。俺は胸は小さい方が好みだ!!

 

「それをクリアしている霧島、鳥海、大淀が好きなのか。」

 

「そういうことだメイト、少し話し過ぎたな。じゃあカフェテリアでも行こうか電!!」

 

「了解なのです!!」

 

今日も電の飲み物を飲む仕草が見られる!!ん?大将はロリコンなのかって?もちろんさー!!

 

「だがyesロリータ!!noタッチは守るぞ!!」

 

「誰に話しているのですか……。」

 

電の困った表情も最高だぜ!!ひゃっはーーー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

秋夜side

 

「と言うわけなのです。」

 

「そうか、にしても元帥って本当に人間なのか?」

 

鳥海の話をソファーに座りながら聞いていた。鳥海が俺の膝の上に乗りながらな。

 

「まあ、本当に無事で良かった。」

 

「お兄さんは何故ここにいるんです?」

 

「あぁ、それは……、ちょいと失礼。」

 

そう言い俺は近くにあった皿を持つ。鳥海は❓マークを浮かべているな。

 

「何するんです?」

 

「ん?それはな、覗き野郎を制裁するのさ!!」

 

そう言い俺はノールックで窓の外の木にいた人物に皿を投げる。後で元帥に謝っておこう。

 

「へぶらげ!!」

 

「最初から見ていたんだろ?なあ、青葉?」

 

「いたた、勿論ですよ!!元帥の友人がどんな人なのか見に来ればイチャイチャしていたものですからスクープのチャンスだと思って張り付いてました!!勿論写真も頂きましたよ!!」

 

成る程ねぇ、見られるのは構わないが写真はちょっといただけないな。

 

「というわけで、さら「させると思うか?」痛いですよ!!」

 

青葉が去ろうとしていたから、窓から木に飛び移って青葉にアイアンクローをする。ちなみに執務室は3階だ。

 

「写真は消しますから許してください!!」

 

「じゃあこの事を誰にも言わないか?」

 

「えっと、それは……、言いません!!」

 

嘘だな、目が泳いでいるから言うつもりだな。

 

「嘘は通じねえからな。というわけで、このま「青葉を離しなさい不審者!!」うわっ!!」

 

突然、下から誰かに砲撃された。しかも不審者扱いかよ。元帥の野郎、ちゃんと艦娘に説明したのか?俺は青葉を離して地面に着地する。

 

「大丈夫青葉?」

 

「ありがとうございます叢雲さん。」

 

「あんた、どこからやって来たのよ?」

 

そう言い叢雲は俺に槍を向けてくる。気の強い駆逐艦だな。

 

「元帥と昨日ここに来たんだが?」

 

「とぼけるんじゃないわよ。軍服を着ていないあんたが司令官の知り合いな筈ないじゃない。」

 

「叢雲さん!!このひとは!!」

 

「あんたは黙ってて。」

 

話そうとする鳥海に向かって叢雲はドスの効いた声を放つ。おーおー、面倒くさい展開になってきたな。

 

「ここに何しに来たのかしら?」

 

「だから、元帥と「嘘は休み休み言いなさい。」話聞けよ……。」

 

「話しても無駄ね、ここで殺るしかないわね。」

 

物騒なこって、でも艦娘が人を殺してもいいのかよ。これが元帥にバレたら面倒くさい。ちょっと頭を使うか。

 

「おいおい、俺に救いはないのか?」

 

「無いわよ。ここに来たことを後悔しなさい。」

 

「まあ待てよ、一つ提案があるんだが?」

 

「……いいわ、遺言代わりに聞いてあげるわ。」

 

遺言って、まあ気にしたら負けか。

 

「頭に血が上っているから気付いてないが、艦娘が人を殺したら大変なことになるぞ?」

 

「っ!!忘れていたわ。けど、だからと言ってあんたを見逃すわけにはいかないわ!!」

 

「だろうな、そこで提案だ。演習で決めようじゃないか。俺が率いる部隊と、そっちが率いる部隊で勝負だ。負けた方が勝った方の云うことを聞く。これならどうだ?」

 

「いいわよ、私達の部隊が負けることはないし。」

 

よしよし、こっちの話に乗ってくれたな。

 

「そっちは好きなメンバー6人選んでいい。俺の部隊は、二人だな。」

 

「随分となめられたものね。いいわよ、30分後に演習場へ来なさい。逃げても無駄よ。」

 

「そっちこそ逃げんなよ?」

 

「まっ、せいぜい最後の時間を過ごすことね。」

 

そう言い叢雲は去っていった。これも師匠が言っていた面白い事なのか?冗談キツいぜ。

 

「お兄さん。」

 

「どうしたちょうか「馬鹿!!馬鹿馬鹿馬鹿!!」おっと、叩くなよ。」

 

鳥海がポカポカと叩いてくる。くすぐったいな。

 

「どうしてあんな無謀な事を提案したのよ!?」

 

「互いに同じ条件じゃ、向こうに断られる可能性があったからな。こっちが不利で向こうが有利な条件を付ければ提案が通ると思ったからな。」

 

「だけど!!6対2なのよ!!私の計算でも勝てる見込みがないのよ!!」

 

「大丈夫だ、問題ない!!」( ・`д・´)

 

「大問題よ!!」

 

むむっ、鳥海を安心させる為にどこかの大天使の台詞を使ったけど、逆効果だったか。

 

「本当に大丈夫だって。俺を信じろよ。」

 

「わかったわ、向こうの6人は主力メンバーで来るわよ。こっちの二人はどうするの?」

 

「こっちの二人はな、鳥海と俺だ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

30分後

 

俺は約束通りに演習場に来た。

 

「来てやったぜ。」

 

「ふん、逃げなかった事は誉めてあげるわ。で、鳥海の姿しか見えないけど、まさかあんたが出るって事じゃないわよね?」

 

「あ?俺が出るに決まってるだろ?」

 

「ふん、まあいいわ。あんたが負けることは明らかだし。」

 

普通だったらな。向こうのメンバーは叢雲改二、瑞鶴改二甲、武蔵改、飛鷹改、神通改二、鈴谷改だ。それに比べてこっちは俺と鳥海改二。ヤッベーぞ!!

 

「そうとも限らないぞ?」

 

「まっ、せいぜい足掻くことね。」

 

そう言い叢雲達は演習場の端の方に向かって歩いていく。

 

「だ、大丈夫なのかしら。」

 

「大丈夫だ、目にものを見せてやるさ。」

 

「さあ、始めるわよ!!」

 

叢雲の声が聞こえたと同時に海面に出る。

 

「へぶら!!」

 

「だ、大丈夫お兄さん!!」

 

「うむむ、慣れないな艦装は。」

 

動きだろうと思った瞬間に盛大に転けてた。艦装着けて海面を移動するのってこんなに難しかったっけ?

 

「私が肩を貸しますから!!」

 

「大丈夫だ、それよりも上空を警戒だ!!こっちは艦載機を飛ばすやつがいないから制空権は向こうだ!!」

 

「そうよ、制空権がこっちの時点であんたの負けよ。」

 

何だ?叢雲がこっちに向かってきたぞ?他の艦隊も叢雲の後ろにいるな。

 

「そんなことはありません!!」

 

「強がるのも今のうちだけよ。沈みなさい!!」

 

そう言い叢雲がこっちに向けて魚雷を発射する。

 

「真正面から魚雷を発射しても当たりませんよ!!」

 

「知ってるわよ、敢えてに決まってるじゃない。」

 

「鳥海!!回避だ!!」

 

俺と鳥海は魚雷を右に動いて回避したが、右に行った瞬間に武蔵の砲撃がこっちに向かってくる。これが狙いか。

 

「わざわざ真正面に来たのも、魚雷を発射したのも、これの為よ。武蔵の砲撃を当てやすくするためにね。」

 

「許せ、名も知らない人。」

 

「だったら砲撃を止めてほしいもんだ!!」

 

俺と鳥海は砲撃を回避しているが、段々余裕が無くなってきた。

 

「終わりだ!!」

 

「しまった!!鳥海!!」

 

武蔵の放った砲撃が鳥海目掛けて飛んでくる。くそっ、鳥海は気付いていない。

 

「させるか!!」

 

俺は鳥海に向けて飛んでくる武蔵の砲撃を受けに行った。

 

ドォォォォォン!!

 

「……あれ?当たってない?どうし!!」

 

「艦娘の盾になって最期を迎えたなんてね。まあいいわ。後はあいつを大破させて終わり。」

 

「叢雲、後で間宮のアイスクリーム奢ってよ。折角の休日を無駄にしたんだから。」

 

「わかってるわよ瑞鶴、早くやっちゃって。」

 

その言葉と同時に鳥海に向かって艦載機が飛んでくる。ふん、頃合いか。

 

「折角会えたのに……、どうして。」

 

「どうやら鳥海は動けないようね。」

 

「いや、違う。動く必要がねえからだ。」

 

「っ!!あの男の声!!武蔵の砲撃を喰らって生きてるな「大変よ叢雲!!艦載機が戻ってこない!!」何でよ!?」

 

おーおー、焦ってる焦ってる。もっと焦ろ。

 

「お、お兄さん?何で生きてるの?」

 

「勝手に殺すな。あんな砲撃の1発くらい当たった所で死にはしねえよ。」

 

服はボロボロになったけどな。

 

「瑞鶴!!飛鷹!!艦載機はまだ飛ばせる!?」

 

「飛ばせるわよ!!」

 

「今度こそ、止めをさしてあげるわ!!」

 

おっ、また艦載機が飛んできたな。懲りない奴等だ。

 

「さて、ちょいと本気を出しますか。鳥海、ここにいろよ。大丈夫、直ぐに終わらせるよ。」

 

そう言い俺はグローブを着けて両手を海面に向ける。

 

「何してるって空を飛んでる!?」

 

両手から高圧縮エネルギーを発射させ、その推進力で空を飛ぶ。鳥海や叢雲達は驚いてるな。

 

「さて、艦載機は去ってもらおう。」

 

俺は空中を移動し、艦載機を殴ったり蹴ったりして壊す。意外と固いな。

 

「制空権取ったり。」

 

そう言い海面に着地する。あー疲れる。

 

「……やっぱり本物ね。今の姿を見て納得したわ。噂には聞いていたけど、ここまでとは思わなかったわ、霧生秋夜。」

 

「やっぱり試したのか。もっと違う方法があっただろ叢雲。」

 

「ごめんなさいね、どうしてもこの目で確かめたかったから。」

 

「えっ?どういう事なの?」

 

鳥海は今のうちだけ流れに付いていけてないな。

 

「この演習は俺の実力を見るために叢雲が仕組んだ。」

 

「……。」

 

「黙ってて悪かったな鳥海。」

 

「許しません。」

 

そう言い鳥海は俺の服の襟を掴んでくる。あれ?もしかして怒ってる?

 

「お兄さんの実力を見るために仕組まれた演習の事は許します。でも、武蔵さんの砲撃を喰らう必要はなかったんじゃないですか!?」

 

「いや、あれは俺の耐久を試すために喰らいに行った訳だから。なぁ武蔵!!」

 

「そうだ、鳥海に向けて砲撃すれば秋夜は確実に砲撃を喰らいに行くと思っていたからな。」

 

「でも許しません!!さっさと入渠ドックへ行きますよ!!」

 

えっ?俺が入渠ドックへ行って何すんの?

 

「私がお兄さんの傷の手当てをします!!」

 

「そこは医務室じゃないのかしら?」

 

飛鷹の言う通りだ!!なぜ入渠ドックへ行かねばならない!?

 

「傷を手当てするためです!!お兄さんの体中の隅々まで検査します!!」

 

「ちょっと待った鳥海!!それは誤解を招く言い方だぞ?」

 

「あんたが思ってる通りの事をするつもりよ鳥海は。実はこの演習は鳥海が仕組んだのよ。」

 

えっ?どゆこと?

 

「あんたとお風呂に入りたいから手伝ってくれって頼まれたのよ。騙されていたのはあんたなのよ。」

 

「俺の実力が見たいってのは?」

 

「それはついでよ。まっ、結果的にあんたの実力も見れたから結果オーライだわ。」

 

「ふふっ♪全て私の計算通りです!!」

 

は、嵌められた!!皆グルだったとは!!

 

「ということは、鳥海は全てを知っていたのか?」

 

「勿論です♪どうでした私の演技は?」

 

えー、叢雲に会ってからの鳥海の仕草は全て演技かよ。どんだけ計算したんだよ。

 

「気付かなかった。そんなわけでさら「逃がしません!!」ぬおぉぉ!!離せ鳥海!!」

 

「逃げようとしてもそうは行かないわよ。」

 

「だって、あんた演習の条件わかってる?」

 

確か、負けた方が勝った方の言うことを聞くだったな。あっ、演習は俺だけダメージを受けて終わったから俺らの負けか。

 

「私達から言うことは一つ。鳥海と一緒に居なさい!!」

 

「だが逃げ「させません!!」HA☆NA☆SE!!

 

右腕を飛鷹、左腕を鈴谷、右足を武蔵、左足を神通に掴まれながら入渠ドックに連行された。途中、艦娘達の目線が痛かった。これ拷問だよ!!

 

「皆さん、後で間宮さんのアイスクリーム券を配りますね♪」

 

「「「「「やった!!」」」」」

 

おいぃぃぃぃ!!そんなもので協力してたのかよ!!んまあ、わかったことが一つ。鳥海を暴走させてはいけないな。皆もハニートラップには充分気を付けるようにな。



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13話

あの後、俺は鳥海に入渠ドックに連れていかれて手当てを受けた。内容?聞くな、悲しくなるから。

 

「ふふ、久しぶりにお兄さんの色々な姿が見れたわ♪」

 

「ソリャヨカッタデスネー。」

 

「どうしたの?そんなげっそりとした表情をしてるの?」

 

お前のせいだよ鳥海。俺のメンタルがマッハで消えたわ。

 

「何でもねえよ、さてと、今は昼か。飯でも食うかな。」

 

ここの鎮守符には間宮がいるんだったな。飯が楽しみだぜ。でもあんまり食い過ぎると無人島に戻った時に辛くなるから程々にしておこう。

 

「私も付いていきますよ。ほら、秋月もそんな所で隠れてないで来なさい。」

 

ちなみに廊下を歩いているぞ。廊下の曲がり角で秋月がこっちを見ていた。

 

「い、いいんですかね?」

 

秋月が俺と付いていきたそうな目をしている。さあどうする?

 

1、いいよ。

 

2、OK!!

 

3、ウェルカム!!

 

4、もちろんさー!!

 

「全部はいじゃないですか!!」

 

何で鳥海は俺の考えている事が分かるんですかね?読心術でも習っているのか?まさか、第3のm「それ以上は言ってはいけませんよ?」デスヨネー。

 

「さて、茶番はここまでにして食堂に行くぞ鳥海、秋月。」

 

「「はい!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

食堂という名の食堂

 

「……ネーミングセンスよ。」

 

看板の名前が食堂゛食堂゛ってどういうことだよ?この名前を付けた人誰だ?

 

「仕方ないですよ、元帥はネーミングセンスがからっきしですから。」

 

元帥が付けたのかよ!?ダサすぎるだろ!!

 

「でも、ここの食堂はとても美味しいですよ。お兄さんもきっと気に入ると思います。」

 

「そうかい、なら期待して待っているかね。」

 

鳥海と秋月と雑談しながら食堂の席に付くと厨房から一人の女性が出てきた。

 

「ご注文は、あっ、貴方が元帥の友人の弟子の方ですね?初めまして、間宮と申します。」

 

「こりゃ、ご丁寧にどうも。俺はまあ秋夜とでも呼んでくれ。にしても、凄い人だな。」

 

食堂には、昼飯を食べに来た艦娘がたくさんいた。皆わいわい騒いで食べてるな。

 

「司令官、メニューはどうします?」

 

「そうだな、俺は日替わり定食にするかな。秋月はどうする?」

 

「私も日替わり定食にします!!鳥海姉さんはどうします?」

 

「私も秋月と同じのでいいわ。間宮さん、日替わり定食を3つお願いします。」

 

「分かりました!!すぐにお持ちいたします。」

 

そう言い間宮は厨房の中に入っていった。どんな物が出てくるかな?

 

「そう言えばお兄さん、お兄さんはどうして空を飛べたり砲撃に耐えれたりするのかしら?」

 

「それ秋月も気になります!!どうしてなのですか?」

 

……そう言えばこの二人には話していなかったな。さて、どうせつめ「お待たせしました。日替わり定食でございます。」速えよ!!まだ3分しか経ってねえぞ?

 

「速さが売りですので。熱いうちに召し上がってください。」

 

メニューは鯖の味噌漬けにご飯、モヤシのナムル、野菜炒めに味噌汁か。こんな料理は久々だな。んっ?はぁ、なるほどね。

 

「じゃあ、さっそく頂くとするか!!あっ、秋月と鳥海はまだ食べるなよ?」

 

「どうしてですか?」

 

秋月の質問に答える前にモヤシのナムルを一口食べる。うん、やっぱりな。

 

「お兄さんどうし、って何で机に突っ伏しているんですか!?」

 

「んっ?カエンタケが入ってた。上手く色を塗り替えてナムルに潜ませたんだろう。鳥海と秋月のにも入ってるぞ。」

 

カエンタケは2.5㎝食べたら死ぬからな。絶対に食べちゃ駄目だぞ?

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「らいしょーふらいしょーふ、こへふらいのほふははんほほはひよ。(大丈夫大丈夫、これくらいの毒は何ともないよ。)」

 

さて、次は鯖の味噌漬けでも食べるかな。

 

「モグモグ、おっ!今度は青酸カリが入ってるぞ。」

 

「それまずくないですか!?すぐ吐いてください!!」

 

「いや、もう飲み込んだし。慌てるなよ鳥海、これくらいの毒は効かねえよ。」

 

じゃあ、次に野菜炒めを食べるかな。何かすげえものが入っていそうだ。

 

「むぐむぐ、青酸カリの次は水銀か。流石だなと誉めてやりたい所だ。」

 

「もう食べないで下さい!!司令官の体が持ちませんよ!!」

 

「大丈夫大丈夫、味自体は美味しいから大丈夫だ、問題ない。」

 

最後に、味噌汁を頂くとするか。

 

「ズズッ、最後はとどめのトリカブトか。日替わり定食じゃなくて、毒盛り定食と名前を変更すればいいんじゃね?」

 

「お気に召したかしら?」

 

「あぁ、とても美味しかったよ間宮、いや、フラヲ級改と言った方がいいか?」

 

「「ええっ!?」」

 

俺が間宮の正体を暴くと鳥海と秋月は驚き、間宮、いやフラヲ級改は怪しく微笑んだ。

 

「ナゼバレタノカシラ?」

 

「匂いでわかる。カエンタケの匂いは独特だからな。」

 

「コレデカンムスメヲシトメルツモリダッタケドマアイイワ。アナタニニゲバハナイ!!」

 

フラヲ級がそう言うと食堂の窓から一斉に深海棲艦がなだれ込んで来る。

 

「ちょっと多くないですか!?」

 

「確かに多い……、まさか!!」

 

「流石は少佐、気付くのが早いな。」

 

「この声は、中将!!何故てめえがここにいる!?」

 

スピーカーから中将の声が聞こえる。野郎、まさか深海棲艦側だったとはな。

 

「ここの元元帥が気に入らなかったものでね。粛正したまでだ。」

 

「これの何処が粛正なんですか!?」

 

「黙れ小娘、貴様も深海棲艦になるのだからな!!」

 

どういう事だ!?艦娘が陸上で深海棲艦になるとは聞いたことねえ!!

 

「と言ってもわからないか。凡人な奴等に説明するのは疲れる。」

 

「……大方薬とかで艦娘を深海棲艦にするんだろ?」

 

「そうだ少佐、大本営で開発したこの薬があれば艦娘を深海棲艦に出来る。」

 

大本営、くっそ、そういうことかよ!!

 

「どういう事ですか司令官!!」

 

「大本営側が深海棲艦側に寝返ったって事だ秋月。」

 

「そんな!!そんなことがあり得るんですか!?」

 

あり得るから現在こうなってるんだよ。ああもう胸糞悪い!!

 

「資源とかはどうなるんですか!?」

 

「そこは安心したまえ小娘、深海棲艦になってくれれば世話は我々がしよう。だが少佐、てめえは駄目だ。てめえが生きてると我々の計画が狂う。ここで死ね!!」

 

「サア、コッチヘクルンダ。」

 

そう言いフラヲ級改は手招きをする。だが、鳥海と秋月は言うことを聞かずに立ち尽くしていた。

 

「そう言われてはいと言う鳥海や秋月じゃねえよ。」

 

「ソウカ、コノジョウキョウヲミテモカ?」

 

気が付けば深海棲艦に囲まれていた。全員重巡以上でフラ以上か。

 

「そ、んな。」

 

「安心したまえ、ここにいた艦娘は全員深海棲艦となった。」

 

「嘘よ!!嘘よ!!」

 

「ミグルシイ、サッサトワレワレノナカマニナレ。」

 

フラヲ級改の一言で周りの深海棲艦が近付いて来る。鳥海と秋月は精神を取り乱しているな。無理もない、今まで一緒の時間を過ごしてきた仲間が深海棲艦になったからな。

 

「来ないで、来ないでよぉ!!」

 

「ハッハッハ!!さあ少佐、貴様の頭なら理解しているだろう?この絶望的な状況を。」

 

「絶望的ねえ、確かに絶望的だ。だがな!!」

 

俺は地面に煙玉を投げ付ける。そのすぐ後に鳥海と秋月を抱えて食堂を出る。こういうことを想定して武器や道具は身体中に仕込ませてあるんだよ!!

 

「逃がすな!!追え!!」

 

「ついでにもう1つ土産だ!!」

 

更に食堂に閃光玉を投げる。これで多少は時間を稼げるはずだ。

 

「お兄さん、何処にその道具を仕込ませているんですか?」

 

「企業秘密だ。それよりも鳥海、秋月、大丈夫か?」

 

「私は大丈夫よ、でも秋月ちゃんが。」

 

「皆、もう会えないの?またあんな思いをするのはやだよぅ。」

 

秋月は両手で顔を押さえていた。ちなみに秋月と鳥海を脇に抱えながら鎮守府内を走ってる。

 

「いや、まだ会える奴等はいる!!」

 

もしかしたらまだ、いた!!

 

「こんの!!摩耶様の攻撃喰らえ!!」

 

「摩耶!!迂闊に近付いたら駄目よ!!全機爆装!!さあ、飛びだって!!」

 

「チィ、得意の近接戦闘が出来ないか。サーベルの意味がないな。」

 

「皆冷静に!!落ち着いて対処しましょう!!」

 

「そうは言っても鳳翔さん!!数が多すぎます!!」

 

摩耶に飛鷹に木曾に鳳翔に大淀か。よく生きていたな。

 

「皆!!目を瞑れ!!」

 

俺はそう言った後、閃光玉を投げる。

 

「ギャアアアアア!!」

 

「お前は、秋夜!!」

 

「無事だな摩耶、ところでこれで全員か?」

 

「ええ、ここにいる人達が生き残った者達です。その他はもう……。」

 

そう言い大淀は悔しそうに目を瞑る。これだけしか残らなかったのか。

 

「元帥達は大丈夫なのか!?」

 

「安心しろ木曾、元帥達はやられはしない。」

 

師匠やメイトが付いているんだぞ?核が降ってこない限りやられねえよ。

 

「それよりもそろそろ閃光玉の効果が切れる!!皆、俺に捕まるんだ!!」

 

そう言い摩耶達は俺の体にしがみつく。うへぇ、七人は流石に重いな。俺にしがみつけない人は鳥海か秋月にしがみついてるぞ。

 

「で、これからどうするんだ?」

 

「脱出する、行くぜ!!」

 

俺は窓から飛び出し、両手にグローブを着けて高圧縮エネルギーを噴射させて空を飛ぶ。

 

「と、飛んでる!?」

 

「じたばたすんなよ飛鷹?」

 

「しませんよ!!」

 

「これから何処に向かうのですか秋夜さん?」

 

「俺の鎮守府に行く。そこで作戦を考える。」

 

俺は鳳翔にそう言いながら無人島に向かって飛ぶ。

 

「にしても、大本営が深海棲艦側に付いたか。国民を守らなくていいのかよ!!」

 

恐らく、あいつらは片っ端から鎮守府にいる艦娘を深海棲艦にするつもりだな。日本を支配するつもりか。

 

「いいぜ、大本営のくそったれな奴等の鼻っ柱を折ってやる。」

 

普通の鎮守府は抵抗するけど、ブラ鎮は抵抗せずに艦娘を大本営に預けて深海棲艦にするだろう。よし、これからやることは決まったな。

 

「お兄さん、これから何が始まるんですか?」

 

「大惨事大戦だ!!」

 

 



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14話

執筆途中で投稿して申し訳ありません。

あと、この作品の鳥海は基本真面目だけどどこか抜けています。

秋月は多分原作よりも子供っぽいです。あとサバイバル能力は高いです。


「ここが、秋夜の鎮守府なのか。」

 

「鎮守府(笑)だけどな摩耶。」

 

あの後、無事に俺の鎮守府にたどり着いた。今は皆を執務室に集めているぞ。

 

「こんなところに、お兄さんは3年も住んでいたんですか!?」

 

「そうだぞ鳥海、しかもただ住んでいただけでなくきちんと近海の哨戒もしていた。」

 

鳥海達はソファーに座らせている。俺?俺はマスカット箱にライドオンですよ。

 

「秋夜が段ボールに座ってるのかよ。家具とか新調したらどうだ?」

 

「段ボールを馬鹿にしてはいけないぞ木曾、段ボールは椅子にもなるし机にもなるし、非常時には食料にもなる優れたものなんだぞ!!」

 

「段ボールを食料にするのね。」

 

飛鷹が呆れた顔で呟いてるな。

 

「取り合えず、今の状況を整理しませんか?」

 

「そうだな秋月、大本営が深海棲艦側に寝返った。元帥の鎮守府が乗っ取られたから避難した、これくらいか。」

 

「ざっくりとした説明ですね。」

 

「けど、何で大本営は深海棲艦側に寝返ったんだ?深海棲艦は敵だろ?」

 

まあ摩耶の言う通りなんだけどさ。

 

「大本営は日本、いや世界を支配するつもりならどんな手でも使うのさ。」

 

「ソレニ、シンカイセイカンガワモジジョウガアルノサ。」

 

「そうなん……って防空棲姫!?何でこんなところにいるんだ!?」

 

んっ?ああそうか、これはどう説明するべきかな。

 

「落ち着きなさい。私は貴女方に被害を及ぼすつもりはありません。」

 

「普通の話し方に戻ったな。どういうことか説明してもらおうか提督?」

 

「わかったわかった、説明してやるから怖い顔するな木曾。俺の隣にいる防空棲姫は、俺らに対して友好的な深海棲艦だ。」

 

「深海棲艦側は今二つに別れているの。人間に友好的に接しようとする側と人間を殲滅してやろうとする側に。私は友好的に接する側だったのよ。」

 

初めて会ったときは驚いたよ。海上で会った時にご飯を食べないかと誘われたからな。勿論行ったけどな。

 

「まあ、その後なんやかんやあって俺の鎮守府にいてもらってんの。」

 

「ちなみに私もいるよー!!」

 

「駆逐棲姫!?もう何がなんだかさっぱりだわ。」

 

飛鷹はメタパニを喰らった、飛鷹は混乱してしまった。どうする?無視するか。

 

「それで、これからどうするんですか秋夜さん?」

 

「取り合えず、俺が元いた鎮守府の艦娘を救出しに行くつもりだ大淀。勿論、話し合い(物理)でな。」

 

「なにそれ面白そう!!私もついていっていい!?」

 

「OK!!でも派手な行動は控えてくれよ?」

 

只でさえ深海棲艦はほとんどの人に嫌われてるのに、鎮守府を襲ったとなると、消滅確定だからな。

 

「だがその前にやることがある!!」

 

「なんだよ秋夜?」

 

「ふっふっふ、聞いて驚け摩耶。やることと言うのは、今日の夕飯の食材確保だ!!」

 

ちなみに現在午後の4時だ。

 

「はぁ!?」

 

「俺の鎮守府はな、お金はねえ、食材ねえ、人はいねえ、ライフラインもねえ、おらこんな鎮守府嫌だ~。」

 

「じゃ、じゃあ秋夜さんは今まで何を食べていたんですか?」

 

「それ聞くのか大淀?まっ、答えるけどさ。基本的にそこら辺に生えてる草に醤油や塩をかけて食べていた。」

 

俺がそう言った瞬間摩耶達が唖然とした表情をしたな。秋月は目をキラキラさせていたが。

 

「秋夜さんもサバイバル生活していたんですね!!秋月と一緒ですね!!」

 

「つーかそこら辺の草食べたら絶対腹壊すだろ!!馬鹿なのか!?」

 

「いや~、そんなに褒めるなよ摩耶~。」

 

「誉めてねえから!!」

 

摩耶がいると楽だな。俺がボケられる。

 

「っと、話が脱線したな。えっと、どこまで話したっけ?鳥海の可愛さについて語ってたんだっけ?」

 

「違いますよお兄さん、秋月ちゃんの可愛さについて語っていたんですよ。」

 

「二人とも違うわよ!!今日の夕飯の食材をどうするかを話していたんでしょ!?」

 

流石飛鷹!頼りになるな!!

 

「というわけで、皆草を食べよう!!」

 

「おー!!って言うわけないじゃないですか!!真面目に考えてください秋夜さん!!」

 

「わかったわかった、真面目に考えるから主砲を4つこっちに向けるな大淀。」

 

「ソレデ、ドウスルノダ?」

 

「元のしゃべり方に戻ったな防空棲姫。んま、ちょっくら待ってろ。良いものを捕ってきてやるから。」

 

さて、日が出ている内に捕まえるか。さあ!!一狩り行こうぜ!!って俺しか狩れないんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1時間後

 

「たっだいま!!」

 

「お帰りなさいお兄さ……って何ですか!!何でそんなもの背負っているんですか!?」

 

「何って?熊と鹿と猪だが?」

 

今日はラッキーだったな。さて、どう調理するかな。

 

「どうやって気絶させたのですか!?」

 

「右ストレート右ストレート右ストレートだ!!」

 

筋肉って、素晴らしいよね!!

 

「あっ!!秋夜さんお帰りなさい!!熊と鹿と猪を捕ってきたんですね!!流石です!!」

 

「おっ、秋月は驚かないんだな。」

 

「はい!!熊も鹿も猪もサバイバルにおいて貴重な食料ですからね!!あとヘビもいれば良かったんですけど。」

 

「いやいるぞ?俺の服のポケットに5匹。」

 

「やったー!!久しぶりにヘビが食べられる!!あの味が最高なんですよね!!」

 

確かにヘビは最高だ。捕るリスクに見合った味だからな。

 

「お兄さんは人間なんですか?」

 

「人間だ!!そうだ、折角だから他の奴等に見せてこよう!!」

 

「秋月もお供します!!」

 

「はぁ、お兄ちゃんや秋月ちゃんが喜んでいるからいいか。」

 

ホラヒヨウヘビダゾ!!

 

イヤァァ!!コッチニモッテコナイデ!!

 

マヤサンドクヘビデスヨ!!

 

ククククルナァアキヅキ!!ヘビコワイヨォォォ!!

 

「後でお仕置きが必要ね。まったくもう。」



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15話

皆様お久しぶりです。長い間投稿できず申し訳ありません。


「ふー、旨かった。」

 

あのあと飛鷹達をからかった後、鳳翔さんが熊や猪を捌いて調理してくれた。普通に旨かった。料理スキル高いな。

 

「美味しかったですね秋夜さん!!」

 

「お前ら、よく食えるよな。」

 

「摩耶姉さん、食べないと元気になれませんよ?」

 

鳥海の言う通りだな、例え材料が材料でも食べないとな。

 

「どうして提督達はガツガツ食べれるのよ!?」

 

「あれだ飛鷹、慣れだ。なっ、秋月?」

 

「はい!!慣れてしまえば問題ないです!!」

 

慣れは怖いね、摩耶と飛鷹は嫌な顔をして料理に手を付けてないし、大淀は目を閉じて食べてるよ。

 

「こんなに美味しいのに、木曽さんは食べてます?」

 

「ガツガツムシャムシャハフハフモグモグ。」

 

おう、木曽はとんでもない勢いで料理にがっついてるな。

 

「ふぅ、意外といけるもんだな。」

 

「木曽さん、落ち着いて食べましょうね?」

 

「すまない鳳翔さん、昼飯を抜かしたからお腹が空いててな。」

 

鳳翔は笑顔で料理を食べてるよ。

 

「そうだぞそうだぞ!!出された料理は必ず平らげないとな!!残すなら俺がタッパーでもって帰るからな!」

 

「って誰ですか貴方は!?長10㎝砲ちゃん、やっちゃって!!」

 

「ぬわーーー!!」

 

謎の侵入者に秋月が砲撃を放ったな。ってか長10㎝砲、侵入者の急所ばかり狙ってやがるぜ。って侵入者は師匠じゃねえかよ。

 

「キュイ!!(お前の子孫はもう死んでいる。)」

 

「……おーい師匠。生きてるか?」

 

「んっ?どうした秋夜?あぁ、俺は大丈夫だ。何ともねえよ。ドヤッ!!」

 

と言ってるけど、脂汗めっちゃかいてるし、息が荒いし膝が笑ってるんだけど。

 

「痩せ我慢お疲れ様です。さっさと帰ってください。」

 

「鳥海ちゃん?その言い方傷付くんだけど?師匠泣いちゃうよ?うわあぁぁぁぁん!!」

 

「師匠それ泣き声ちゃう、悲鳴だ。ってか勝手に入ってくんじゃねえ!!何度言ったら分かるんだよ!?」

 

ちゃっかり最初から居ましたよ雰囲気出してるし、連絡くらいしてくれ。いやほんとマジで。

 

「ついやっちゃうんだ!!」

 

「まあいいや、で、何しに来たんだ?」

 

夕飯食べに来た訳では無さそうだからな。

 

「その事で話がある。秋夜、表に出よう。」

 

「へいへい、鳥海、秋月、ちょっと留守番しててくれよ?」

 

「「了解!!」」

 

さてさて、どんな話かねぇ。

 

「あっ、その前にこの料理食べてからでいい?超旨いんだけど、これ材料何?」

 

「毒蛇。」

 

「ブッフォォォォォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここなら誰にも聞かれないだろう。ごきゅごきゅ、プッハー!!」

 

「何飲んでるんだ師匠?」

 

「解毒剤。」

 

「ちゃんと毒抜いてあっから!!」

 

師匠に連れてこられたのは鎮守府正面から出てすぐの砂浜だった。

 

「静かだな、いつもこんなんなのか?」

 

「そうだな、夜はいつもこれくらい静かだよ師匠。」

 

師匠はポケットからタバコを取り出し、一服する。俺?俺はタバコは吸わないよ。

 

「そういえば電はどうしたんだ?連れてきてないのか?」

 

「電は鎮守府で留守番してる。」

 

「そうなのか。」

 

そう言い俺と師匠は暗い夜の海を眺める。いつもこんな静かな海だったらいいのにな。

 

「よし、一服もしたし。俺がここに来た理由を話すとするかね。」

 

そう言い師匠はポケットに手を突っ込んだ、何かくれるのか?

 

「死ね。」

 

ズドン!!

 

「???」

 

今、死ねと言ったよな?銃声が聞こえたんだが、深海せい、か、ん!!

 

「悪いな秋夜、俺の為に死んでくれや。」

 

「師匠!?」

 

師匠が二発目を撃ってくる、それを俺は身を捻って回避する。

 

「どういう、つもりだ?」

 

撃たれた場所は、右肩辺りか。あと数センチずれてたらヤバかった。

 

「どうもこうも、お前には死んでほしいんだよ。」

 

「答えになってねえんだよ!!」

 

「っち、しゃあねえな。分かりやすく言ってやるよ。俺は大本営側の味方になったんだよ。」

 

大本営側!?何でだ?何でだよ!?

 

「いやー、猫を被り続けるのは大変だったぜ。」

 

「待て、よ。じゃあ今日の昼のあの騒ぎは。」

 

「俺が仕掛けた。元元帥の目を盗むのは大変だったぜ。」

 

「ふざけんな!!」

 

俺はグローブを装備し、高圧縮エネルギーの弾丸を師匠に放つが、師匠はそれを手で弾き飛ばした。

 

「無駄な抵抗はよせよ。」

 

師匠がまた発砲してくるが、それを横っ飛びで回避する。が、その時に視界が歪んできた。

 

「おっ、漸く効いてきたか。」

 

「毒、藥か!?」

 

「お前専用のな、調合するのは苦労したぜ。」

 

さっき撃った銃弾に毒が仕込まれていたか!!視界が歪んで師匠の顔がはっきりとしない。ここは退くしかないか!!

 

「退いても無駄なのです。」

 

「いなずガァ!!」

 

電の声がしたと同時に何かで殴られて吹き飛ばされた。くそったれ!!

 

「あの屑どもは電が駆逐してやったのです。」

 

「流石は俺が見込んだ艦娘だ。偉いぞ!!」

 

「余裕なのです。」

 

「ゲホッ!!ゲホッ!!あいつらに、何した!?」

 

そろそろまずい!!目が開かなくなってきた。

 

「安心するのです。鳥海と秋月以外はこっちで引き取るのです。司令官さんの目標を話したら鳥海と秋月以外は賛同してくれたのです。賛同しないあのカス二人は再起不能にしたのです。」

 

ハイライトを無くし、全身を血塗れにした電がそう言ってくる。

 

「鳥海と秋月以外は俺の部下だったからな。良かったな!カスが三人仲良く集まれるんだからな!!」

 

「あいつらを、カスって言うんじゃねえぇぇぇ!!」

 

俺は師匠に傍にあった丸太を投げ飛ばすが、電がその丸太を素手で粉々にした。

 

「最後に話が出来て楽しかったぞ。カス三人仲良くするんだな。」

 

「待て「うざいのです。」ふぐっ!!」

 

師匠に近付こうとした時に、電にアッパーカットされ、毒針を何本か刺された。

 

「じゃあな、弟子。あとそのグローブは貰っていくぞ。」

 

そう言い師匠はボートに乗る。電は俺の両手からグローブを奪い取り師匠の隣に移動した。

 

「ま、待ちやがれぇぇぇぇぇ!!てめえら!!てめえらだけは!!」

 

そこまで叫んだ時、俺は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か!?」

 

そんな声が聞こえて俺は目を開けた。まだ、生きてるのか俺は。

 

「おおっ!!ようやく目が覚めたか!!」

 

「あんたはっ!!」

 

っ!!全身が痛む、撃たれた右肩が痛むのは分かるがなぜ全身が痛む!?

 

「まだ無理をなさらないで下さい。目が覚めたとはいえ、重体の身なんですから。」

 

目の前に元帥と大和がいた。二人が俺を助けてくれたのか。

 

「元帥、いつ来たんですか?」

 

「取り合えず落ち着こう。私が来たのは君の師匠がここを後にしてからの三時間後だ。」

 

「元帥が嫌な予感がすると言ってここまで来たのですが、想像以上に酷い事になってるとは思わなかったです。」

 

元帥が来てくれなかったら、俺は確実に死んでたな。

 

「島に上陸した時に、秋夜さんが倒れていたので急いで建物の中に運びました。」

 

建物、俺の鎮守府内に運ばれたんだな。

 

「大和、この建物は一応鎮守府だからな。」

 

「す、すみません!!」

 

「まあ気にするな。君を鎮守府まで運んで治療した。」

 

元帥は治療も出来るんだな。って鳥海と秋月は!?

 

「鳥海と秋月の事かい?彼女達も私が治療したよ。彼女達も君と同じくらいの傷を負ってたよ。」

 

「くそっ!!あいつめ!!二人は無事なんですよね!?」

 

俺がそう言った時、ドアが開いて鳥海と秋月が駆け寄ってくる。

 

「司令官さん!!無事でしたか!!」

 

「秋夜さん!!」

 

「二人とも、大丈夫……ではないな。」

 

鳥海は頭と両腕と両足に包帯が巻いてあり、頬に殴られた痕があった。秋月は頭と両手首に包帯が巻いてあり、両太股にも包帯が巻いてあった。長10㎝砲は砲身が二つとも折れ曲がっていた。

 

「入渠施設は、使わなかったんですか元帥?」

 

「君の師匠はこの鎮守府の入渠施設を壊していった。もちろんバケツはなかった。抜け目のない奴だよ。」

 

「秋夜さん!!」

 

そう言い秋月が俺に抱き付いてくる。正直かなり痛い。

 

「申し訳、ないです。ううっ、秋月が、ひっく、力不足だったばかりに。」

 

「秋月……。」

 

秋月は涙を流しながら泣いていた。鳥海の方を見れば声を出さずに泣いていた。

 

「司令官さん、本当に申し訳ありません。私が、秋月ちゃんを守っていれば、私の不甲斐なさに腹が立ちます。」

 

「鳥海、自分を責めるな。」

 

俺が鳥海にそう言うが、鳥海は椅子に座り、眼鏡を外し両手で顔を塞ぎながら泣いた。俺は抱き付いてくる秋月の頭を撫でながら元帥の方を向く。

 

「それともう1つ、鎮守府の中には鳥海と秋月以外の人もいたんだよ。」

 

「その人達を呼んできますね。」

 

そう言って大和は部屋を出ていった。誰なんだ?

 

「秋夜君、本当にすまなかった。私が気づけなかったばかりに、君をこんな目に合わせてしまった。」

 

そう言い元帥は深々と礼をする。

 

「頭を上げてください、元帥が謝ることではないですよ。」

 

「謝らないと気が済まないんだ。まだ若いのに人に裏切られ、裏切られ続けてきた君を見てると、私の不甲斐なさに腹が立つんだ。」

 

「元帥のせいではないですよ。」

 

全ては大本営、いや海軍というべきか。

 

「元帥、連れてきました。」

 

大和がそう言って部屋に入ってくる。大和の後ろから二人の女性が恐る恐る入ってくる。一人は白露型か、でもピンク色の髪の白露型なんていたっけ?もう一人は上は白のジャージに下はスカートっていうマネージャーみたいな服装だな。

 

「元帥、彼女達は?」

 

「彼女達は……捨てられた艦娘だ。」

 

元帥がそう言った瞬間に入ってきた二人は体を震わせた。

 

「白露型の方は春雨、もう一人は補給艦の速吸だ。」

 

「どちらも聞いたことないですね。」

 

「君が無人島にいた頃に発見された娘達だからだよ。」

 

元帥は春雨と速吸の方を向くが、二人は涙目で体を震わせていた。

 

「……性能的に使えないから捨てられたって訳か、くそったれが。」

 

「秋夜君、君の言う通りだ。」

 

「春雨、速吸、二人をこの鎮守府に歓迎する。」

 

俺がそう言った瞬間、春雨から砲撃された。おーい、俺重体なんですけど?

 

「嘘を付かないで、そう言ってまた私達を殺そうとす「あのなぁ、重体の奴が艦娘を殺せるか?」な、何故生きてるんですか!?」

 

「は、春雨ちゃん!!下がってください!!」

 

俺は泣き疲れて寝ている秋月をベットに寝かせて立ち上り、春雨と速吸に近付く。春雨は怯えていたが、速吸が春雨の前に立ち塞がった。

 

「春雨ちゃんに危害を加えさせません!!加えるというならこの速吸が許しません!!」

 

こうやって速吸は春雨を庇っていたんだな。

 

「加えねえよ。俺は他の提督とは違う。」

 

「でしたら、それを証明してください!!言葉だけなら何とでも言えます!!」

 

「じゃあ逆に聞くが、どうしたら証明したことになる?」

 

「春雨ちゃんの姉妹を救ってくれたら他の提督とは違う事を認めます。」

 

そう言って速吸は怯えて動けない春雨の手を掴んで部屋を後にした。芯が強いな速吸は。

 

「まっ、いきなり信じろっていう方が無理だな。」

 

「秋夜君、行くのかね?」

 

「行きますよ、信頼を得るためには行動するしかないんですから。」

 

そう言い部屋を出ようとした時に、長10㎝砲が俺の腕に抱き着いてきた。

 

「キュイ!!(行っちゃ駄目!!)」

 

「大丈夫だよ、君はご主人の所にいるべきだよ。」

 

そう言い長10㎝砲を撫でる。長10㎝砲は涙目になりながら俺の腕から離れた。余程心配されてるのか。

 

「砂浜まで付いていこう。」

 

「助かります。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂浜

 

「元帥、ここの鎮守府を頼みます。」

 

「わかった、それと秋夜君、春雨の姉妹がいる所はわかるのかい?」

 

「分かりますよ、長10㎝砲が教えてくれましたから。」

 

砂浜に着いた時に長10㎝砲が来てメモ用紙を渡してくれたからな。

 

「そう言えば、元帥の鎮守府は大丈夫なんですか?」

 

「武蔵がいるから問題はない。秋夜君、死ぬんじゃないよ、死なない限りは助ける。そこのボートを使って行きなさい。」

 

「ありがとうございます。」

 

元帥にお礼を言って準備をする。ブーツを履き、服を着替えて、ナイフを仕込み、刀を腰に3本付けて、よし。

 

「さて、出撃だ!!」

 

 

 

 



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大本営襲撃準備 白露型救出篇
16話


「さて、着いたな。」

 

ボートを使って移動してから一時間、漸く白露達がいるという鎮守府に着いた。

 

「ここは、佐世保か?」

 

長10㎝砲ちゃんよ、地名も教えて欲しかったぜ。まあいいや、ボートを港の近くに停めてと。

 

「速吸には春雨の姉妹を救ってくれたら他の提督とは違う事を認める。とは言われたけどねえ、平和な鎮守府だったらどうすっかな。」

 

白露達が笑顔で楽しく暮らしてたらそのまま帰れるんだけどな。そうあってほしい。

 

「さてと、まずは佐世保鎮守府の情報を調べないとな。」

 

そう言い、歩き出そうとした時、近くにいた憲兵に睨まれた。あっちゃ、見付かったか。

 

「まあ、見付かっても易々と捕まりはしないけどな。おーい、そこの憲兵。」

 

「……お前は誰だ?」

 

「ちょっと野暮用でここに来た。なあ1つ聞いていいか?」

 

俺が憲兵にそう言うと、憲兵はジェスチャーを使ってこっちに来るように合図をした後、歩き出した。

 

「何でジェスチャーなんだ?」

 

「いいから黙ってこい。」

 

憲兵に言われ、しばらく黙って歩いていたら鎮守府の裏にある森林に連れてかれた。

 

「お前、ここの鎮守府の噂を聞いてやって来たのか?」

 

「噂?」

 

俺がそう言うと、憲兵は座り込んで懐から紙を取り出した。

 

「ここの鎮守府はな、陸軍に乗っ取られているんだ。1年前からな。」

 

「1年前だと!?」

 

「いきなり陸軍の奴等がやって来て、ここは俺達のもんだと言いながらこの鎮守府を占拠したんだ。」

 

「でも、お前も陸軍じゃないのか?」

 

俺が憲兵にそう言うと、憲兵は首を横に振った。

 

「違う違う、俺は偽の憲兵さ。ここを調査する為にな。で、陸軍は混乱している艦娘を半殺しの状態にして監禁部屋に放り込んだんだ。」

 

「陸軍に占拠された時、ここの提督は何してたんだ?捕まったのか?」

 

「陸軍と一緒にいて、艦娘を半殺しにするのに協力していたらしい。詳しくは知らねえがな。」

 

「つまり、陸軍が突然この鎮守府を占拠したということになってるが、実際はここの提督がそういう指示をしたって訳か?」

 

「まあそういうことだ。」

 

でも何でだ?それをして発生するメリットがわからねぇ。

 

「メリットがわからねぇって言いたそうな顔だな。じゃあ教えてやるよ、金が稼げるからだ。陸軍が占拠した後、俺らがここら辺を守ってやるから、住んでる奴等は金を払え、払わなかったら見捨てるってな。」

 

「それで不安になったここら辺の住民から金を取ってるのか。払わなかった人達はどうなったんだ?」

 

「最初は皆払わなかったらしい、だが陸軍がここに住んでる皆の前で払わなかった人達数人を殺し、次に金を払わなかったらこうなるぞと脅したらしい。」

 

警察は何してんだよ!?立派な犯罪じゃねえか!!

 

「警察も動いたが、大本営がもみくしゃにしたらしい。」

 

「金ってどれくらいの間隔で払ってるのか?」

 

「毎月な、しかも額は相当だ。だがここら辺は深海棲艦なんてほぼ来ない。」

 

「払う必要のない金を払わせて、自分たちは悠々と暮らしてるのか。」

 

ふざけやがって、陸軍もそういう事すんのかよ!!

 

「そして、その金は大本営に流れている。更に今の大本営は深海棲艦の味方になってる。もう言いたい事は分かるな?」

 

「監禁された艦娘達はどうなってる?」

 

俺がそう言うと憲兵はポケットからスマホを取り出して、俺に映像を見せてきた。

 

「ここの陸軍と提督にストレス発散用としてサンドバッグにされてる。そして陸軍からは罵声を浴びせられてる。」

 

映像の中身は大破の状態でうずくまってる白露達や、陸軍の兵士らにいいようにされてる映像だった。

 

「……情報提供ありがとう。」

 

そう言い俺は鎮守府に向かって歩き出す。もう我慢ならねえや。

 

「行くのか?」

 

「あぁ、ここの鎮守府の奴等をぶちのめす。」

 

「気を付けてな、俺は違う方から色々仕掛ける。」

 

「ちょっと待て、何故俺に情報を教えてくれたんだ?」

 

俺がそう言うと、憲兵は被っていた帽子を取り、髪に付けていた髪止めを外した。

 

「伝え忘れていたな、俺は元元帥からお前の手助けを頼まれてやって来た天龍様だ。」

 

えっ!?天龍!?元帥の所のか!?

 

「へっぽこじゃない天龍だと!?」

 

「誰がへっぽこだ!?世界水準舐めんなよ!?」

 

「しかもお前胸の膨らみは何処に行ったんだよ!?それじゃあ胸のついたイケメンじゃねえよ!!ただのイケメンじゃねえか!!」

 

「うっせえ!!さらしできつく巻いてあんだよ!!」

 

あの大きさをさらしでなんとか出来るのか?

 

「とにかく、お前は監禁されている白露達を救出してくれ。俺は違う事をしてるからよ。」

 

「フフ怖の練習か?」

 

「誰がそんなことすんだよ!?お前はさっさとガキ共を救出してこいよ!!」

 

そう言って天龍は去っていった。

 

「やっぱ天龍をいじるのは楽しいな。」

 

俺がそう感じてる時、急に鎮守府からサイレンがなった。

 

「っち、タイミングがいいんだが悪いんだか。まあいい、この混乱に乗じて救出しますか。」

 

俺は急いで鎮守府の建物まで移動をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

建物付近

 

「さて、ここまでばれずに侵入出来たわけだが。」

 

にしても引っ掛かるな。ここまで誰一人も見ていない。

 

「杞憂であればいいんだが、ん?あれは。」

 

建物に侵入しようとした時、後ろから足音が聞こえてきた。しかも一人や二人じゃねえな。

 

「ったく、見付かったのか。」

 

俺はいつでも刀を抜けるように腰に手を当てて後ろを向くが、あらら。

 

「はぁ、はぁ、あっ!!そんな!!」

 

前方から大破状態の白露が走って来た、更に白露の後ろから大量の陸軍の兵士が白露を追っ掛けていた。

 

「ここにもあいつらが!!もうやだよぅ。」

 

「いたぞ!!」

 

白露は俺を見た瞬間に絶望した顔をしてうずくまった。あれ?俺敵と勘違いされてる?

 

「まったく、手間を掛けさせてくれたな!!お前の様な化物は俺らのサンドバッグになってればいいんだよ!!」

 

「私は化物なんかじゃない!!お前らの方が化物だ!!」

 

「口答えすんじゃねえ!!」

 

そう言い陸軍の奴等は白露の顔を警棒で殴り付ける。地面に叩き付けられた白露の頭を陸軍の奴等は踏みつける。

 

「大人しく俺らの奴隷になってればいいんだよ。この人間擬きが!!アッハハハ「人間擬きはてめーらだクソ野郎共。」いっ!!」

 

俺は白露の頭を踏んでいる陸軍の兵士の肩に投げナイフを放つ。その後、回し蹴りで兵士を吹き飛ばす。

 

「な、何だ貴様は!?」

 

「どうもロリコン共、お巡りさんです。」

 

俺がそう言うと陸軍の奴等が銃を抜いて発砲してくる。お巡りさんはちと無理があったか?

 

「に、逃げ……えっ!?」

 

「ふん、こんなもんか?」

 

俺は刀を一本抜いて銃弾を全て弾き飛ばす。砲弾に比べれば遅い遅い。

 

「ロリコン共、てめえらはいつもこんなことしてるのか?」

 

「貴様!!言わせておけば!!」

 

陸軍の一人が俺の言葉を聞いた瞬間に怒りを露にして前に出てくる。

 

「俺らはなぁ!!ロリコンなんかじゃねえ!!フェミニストだ!!」

 

「そうだそうだ!!」

 

……はぁ?フェミニスト?

 

「ロリコンとフェミニストにはな、おっきな違いがあってな!!つまり……。」

 

「白露、大丈夫か?」

 

「えっと、誰ですか?」

 

俺は陸軍の奴等の話を無視して倒れている白露に話しかける。白露は涙目で俺の顔をじっと見ていた。

 

「お巡りさんだ、ある人から頼まれてやって来た。」

 

「うおーい!!俺の話を聞けーー!!」

 

んだよ、うっせえな。

 

「何俺らの奴隷に話しかけてんだよ!!さっさと消えろ!!でないと……。」

 

「貴方は、あたしの味方?」

 

「あぁ、駆け付けるのが遅くなってすまないな。」

 

そう言い俺は白露を抱き締める。白露は安心したのか俺の胸の中でわんわん泣き始めた。

 

「だーかーらー!!俺の話を聞けーー!!」

 

陸軍の奴等がナイフを投げてくるが、それを刀で叩き落とす。

 

「さてロリコン共、お祈りは済ませたか?小便は済ませたか?ここでガタガタ震える準備はOKか?」

 

「ロリコンなんかじゃねえ!!フェミニストって言ってんだろ!!」

 

「てめえらは1回フェミニストの意味を調べて来いや!!」

 

俺は白露を離し、ロリコン共をボディブロー、アッパーカット、エルボー、ハイキック、ローキック、ペリィドゥペリィなどで気絶させる。何か1つ変なのがある?気にするな。

 

「な、なんだこいつ!?バカ強ぇ!!」

 

「さて、残るはお前一人だ。」

 

残った一人、多分偉い奴なんだろうけど、そいつはガタガタ震えていた。

 

「おお俺一人?馬鹿め!!」

 

残った一人の奴がそう言うと、目の前の建物の二階の窓が開き、司令官らしき奴が俺にスナイパーライフルを向けてくる。なるほど、あそこが執務室か。

 

「あそこにいるのはここの司令官か?白露?」

 

「そうだよ!!あいつだよ!!」

 

白露がそう言った瞬間にスナイパーライフルの発砲音が聞こえ、口に凄まじい衝撃と共に俺は後ろに倒れた。

 

「えっ?ね、ねぇ!!お巡りさん!!」

 

「ハハハハ!!気分がいいぜ、楽しいねぇ!!どうだ化物、助けに来てくれた奴がやられた気分は?」

 

「な、何で笑っていられるのよ!?何であたし達を化物呼ばわりするのよ!?」

 

「それは兵器だからだ。兵器は感情も持たねえ、飯も食わねぇ、涙も流さねぇ、だがお前はどうだ?兵器の癖にくだらない感情を持ち、人間と同じ飯を食い、涙も流す。誰がどう見ても化物だ!!てめえらは化物だアハハハハ!!」

 

「ぎゃーぎゃーやかましいんだよ。」

 

俺は口からスナイパーライフルの弾を吐き出しながら立ち上り、落ちてあるマシンガンを拾い、それで残った一人の顔面をぶん殴る。

 

「お、お巡りさん!!どうして!?」

 

「ん?歯で受け止めたんだよ。」

 

数秒間意識を無くしたけどな。もう二度とやりたくねぇ。

 

「くっ、化物共が!!」

 

ここの司令官が俺らを睨み付けながらスナイパーライフルを向けてくる。

 

「ど、どうするのお巡りさん!?」

 

「どうすっかな。流石にスナイパーライフルの弾を斬るとなると、体勢が崩れるしなぁ。」

 

言っておくけど、俺重体の身だからな?

 

「まっ、なんとかするさ。」

 

そう言い俺は気絶させた陸軍の兵士の近くに転がっていたハンドガンを拾う。ふむ、これならいけるか。白露は俺の服にしがみつきながら来てるよ。

 

「死ねぇ!!」

 

ここの司令官がスナイパーライフルを発砲すると同時に俺もハンドガンを発砲する。

 

「ひぃ!!」

 

白露は悲鳴をあげて俺の左腕にしがみつく。やべっ、可愛い。

 

「ってあれ?外したのかな?」

 

「ちょっと違うな。俺が外させたのさ。」

 

ここの司令官はスナイパーライフルを撃ってくるが、撃ってくると同時に俺もハンドガンを撃つ。

 

「まあ、俺はただ撃ってるんじゃなくて、あの司令官が撃ってきた弾に向かって撃って、弾と弾をぶつけて軌道を逸らしてるんだよ。」

 

俺がそう説明すると、白露は唖然とした表情をしていた。そんなに不思議か?

 

「に、人間なんですか!?」

 

「人間だ。さて、ここの司令官が執務室から移動する前に乗り込むぞ!!」




ちなみにフェミニストとは、色々な意味がありますが、日本では女性に甘い男性、女性を大切にする男性という意味で使われてます。


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17話

執務室前

 

「ここにあの佐世保提督がいるんだよな。」

 

さっさとぶちのめしてさっさと救出してさっさと帰ろう。陸軍の奴等が気絶している間に。

 

「あ、あの!!」

 

「ん?どうした白露?」

 

「貴方は、一体何者なんですか?」

 

白露は不安そうな顔をして聞いてくる。うーん、素直に言うべきかな。

 

「お巡りさん、というのは嘘で無人島鎮守府の提督さ。まあ、その話の続きは時雨達を救出してからな。」

 

そう言い俺は執務室のドアを開ける。そこにいたのは佐世保提督と両手が縄で縛られ、首にナイフを当てられたてる時雨がいた。

 

「よくきたな化物。盛大に歓迎してやろう。」

 

「お前!!時雨を離せ!!」

 

白露が佐世保提督にそう叫ぶが、佐世保提督は鼻で笑った。

 

「離せ?離してくださいだろ?上官だぞ?敬語を使えよ化物、あっ、敬語がわからないんだっけ?めんごめんご(笑)」

 

「お前!!」

 

「やめろ白露。」

 

佐世保提督に挑発されて、怒っている白露の頭に手を乗せて落ち着かせる。全く、わかりやすい挑発に乗らされやがって。

 

「お前は随分冷静だな霧生秋夜少佐?いや、過去の作戦で大量の駆逐艦を沈めた無能な少佐とでも言っておこう。」

 

「え?えっ!?」

 

白露は話に付いていけずに混乱していた。

 

「無人島に流刑になって死んだと思ってたんだけどな?無能は無能らしく死んどけばいいものを。」

 

「ごちゃごちゃうるせーな。さっさと時雨を解放し「さあ、素敵なパーティーをしましょ?」くっ!!」

 

佐世保提督に一歩近付いた時、天井裏から夕立が主砲を俺に撃ちながら降りてきた。

 

「夕立!!何してるの!?」

 

「黙ってて白露姉さん!!私はあの提督を殺さないといけないの!!」

 

そう言いながら夕立は主砲で俺の顔面に向かって殴ってくる。それを刀を抜いて防ぐが、夕立の蹴りで刀が粉々になった。

 

「無駄な抵抗はやめるっぽい!!私が、貴方を殺さないと時雨が助からないの!!」

 

「ハハハ!!いいぞぉ夕立!!お前の姉妹を助けるにはそこの少佐を殺すしかないんだぞ!!」

 

こいつ!!何処までも腐った野郎だ!!

 

「夕立!!止めるんだ!!お前は利用されてるだけなんだぞ!?俺を殺した所でお前やその姉妹が殺されるだけだぞ!!」

 

ああいう奴は人を利用するだけ利用してから殺すのがほとんどなんだぞ!?

 

「それでも、私は貴方を殺すしか手段はないっぽいのよ!!」

 

「やめて夕「お前は黙ってろ。」だ、ち。」

 

「白露!?おい白露!!」

 

佐世保提督が夕立を説得しようとしている白露に向けて発砲した。白露は前のめりで倒れていった。

 

「さっさと殺られてほしいっぽい!!」

 

「待てよ夕くぅ!!」

 

俺は二本目の刀を抜いて夕立の主砲と鍔迫り合いをするが、腹に魚雷が発射され、執務室の壁に激突した。

 

「カハッ!!ゴブッ!!くっそ、傷が開いて来やがった。」

 

魚雷を喰らった衝撃で包帯が取れて右肩や両手、頭から血が出てきた。普通の状態なら何ともないが、重体の身を無理矢理引きずって来てるから普段より耐久が脆くなってやがる。

 

「な、何で死なないの!?いい加減に死んでよ!!」

 

おまけに夕立は改二だし、このままじゃまずい。

 

「どうした夕立?さっさと少佐を殺せ!!時雨がどうなってもいいのか!?」

 

「夕立!!もう止めてくれ!!僕が死ぬからもう止めてくれ!!」

 

そう言い時雨は自分から首を切ろうとするが、佐世保提督はナイフを時雨から離して膝蹴りを喰らわせる。

 

「いっ!!」

 

「そう簡単に殺すかよ!!お前はいたぶっていたぶって、じっくりと痛め付けてから殺してやる!!」

 

佐世保提督はそう叫びながら時雨の顔を殴り続ける。こいつ!!本当に許さねえ!!

 

「もうお願い!!時雨が傷付くのは見たくないの!!だから、だから私に殺されて!!」

 

夕立が涙を流しながら俺に向かって叫んでくる。くそっ、重体の身じゃなければ簡単に救えたのに!!

 

「夕立、その頼みは聞けない。無抵抗で俺は死ねない。」

 

そう言い俺は三本目の刀を抜く。それと同時に夕立は泣きながら俺に向かって突進してくる。

 

「この!!この!!化物が!!ああ気分がいいぜ!!一度ゆっくり痛め付けたかったんだ!!」

 

佐世保提督は時雨を殴りながらそう叫ぶ、時雨は反抗出来ずにぐったりとしていた。

 

「もう、もう、死んでよ!!」

 

夕立は俺に向かって魚雷と主砲を放ってくる。俺はそれを刀で弾……こうとはせず、目を瞑る。

 

ゴォォォォォン!!!

 

「はぁ、はぁ。さあ、約束は守ったっぽい。時雨を離して!!」

 

「確かに守ってくれたな。カットインを喰らえば流石に少佐も死ぬだろう。」

 

そう言いながら佐世保提督は時雨の頭に向けてハンドガンを構える。

 

「ちょっと!!約束は守ってくれるんじゃなかったっぽい!?」

 

「約束?じゃあお前は虫ケラとの約束を守るのか?ゾウリムシとの約束を守るのか?お前らみたいな奴隷の約束なんて守るとでも思ったか!!」

 

そう言い佐世保提督は時雨の頭をハンドガンで撃ち抜いた。

 

「そ、そんな。時雨、うわぁぁぁぁぁん!!」

 

「ダッハハハハ!!いいねぇその表情!!絶望しきってる表情、最高だねぇ!!でも安心しな、お前もすぐに時雨の所に行かせてやるよ。」

 

「時雨を、白露姉さんを、二人を返してよぉぉぉぉ!!」

 

そう言い佐世保提督は泣いている夕立の頭にハンドガンを向ける。もうそろそろ頃合いか。

 

「そんなに泣くなよ夕立、二人とも生きてる。」

 

「この声!!少佐!!生きてやがるのか!!」

 

「ああ、生きてるさ。」

 

そう言い俺は佐世保提督の肩をトントンと叩く。夕立のカットインを喰らった後、煙が発生したからミスディレクションを使って佐世保提督の後ろに回っていたのさ。

 

「ななな、何故俺の後ろにいる!?」

 

「どうも、皆の後ろにはいよる混沌シュウラトホテップでーす。」

 

「ふざけるな!!」

 

佐世保提督は俺に向かってハンドガンを撃つが、体重移動で避けて時雨を右手に抱き抱える。

 

「何で、生きてるの?」

 

「駆逐艦のカットインでは死なねーよ。というのは冗談でダメコンを持ってたから助かった。」

 

念のため持っておいて正解だったな。

 

「噂通りの不死身っぷりだな少佐。だが残念、時雨も白露も殺したよ。出てくるのが遅かったな!!」

 

「殺した?よくよく見てみろよマヌケ。」

 

そう言い俺は右手に抱えている時雨を佐世保提督に投げて渡す。佐世保提督がそれを受け止めた瞬間に時雨の体が爆散した。

 

「ぐほっ!!ゲホっ!!き、貴様!?なんだこれは!?」

 

「携帯用の身代わり爆弾だ、殺傷能力はないけどな。」

 

「い、いつ使った!?そんな素振りは見せなかったぞ!!」

 

それ使ったの俺じゃねえし。まあいい、もうすぐ分かるから黙っておこう。

 

「ちなみに白露にも使ってあるからな。爆散しないタイプだがな。」

 

つまり、俺が執務室に入る前に白露に気付かれないように元帥が身代わりと入れ換え、時雨が佐世保提督に殴り飛ばされた時に元帥が身代わりと入れ換えたらしい。

 

「じゃ、じゃあ本物の白露姉さんや時雨は?」

 

「元帥が保護したよ。大丈夫、悪いやつじゃないからな。」

 

俺がそう言うと夕立は安心したのか、へなへなと座り込んで泣き始めた。可愛い!!

 

「くっ!!だが俺には村雨や五月雨が!!」

 

「あー、その事なんだが佐世保提督。元帥から贈り物が届いてるぞ。」

 

俺はそう言いながら夕立を抱きかかえながら執務室の扉の前に移動する。

 

「元帥、夕立は保護した。1発お見舞いしてやってくれ。」

 

無線で元帥に連絡する。無線は天龍と別れた後に繋がるようにしといたよ。さて、何をお見舞いするのかねぇ、これは知らされてないから楽しみだ。

 

「その前に俺がお前らをころギャアアアアア!!」

 

佐世保提督が言い終わる前に執務室の8割が青いレーザーに包まれた。俺がいるところは無事だぞ。

 

「何々!?何が起こってるっぽい!?」

 

「おいおいマジかよ。」

 

青いレーザーが消えた後、青いレーザーに包まれた部分は綺麗に消滅していた。青空が眩しいねぇ。

 

「やり過ぎだろ。」

 

「元帥さんと貴方って人間じゃないっぽい!?」

 

「アイアムヒューマン!!」

 

テレッテーテテテ~テテテ、テレテレッテー、あっ着信だ。

 

「もしもし元帥?」

 

「秋夜君。佐世保提督は私のお見舞いを受け取ってくれたかね?」

 

「受け取ったけど、何をやったんですか?」

 

「北斗〇掌波を自分なりにアレンジして放っただけだよ。」

 

怖っ!!そもそも何で使えるんだよ!!

 

「それより秋夜君、君は村雨達が監禁されている部屋に急いだ方がいい。もう少しで陸軍の援軍が来てしまう。」

 

「わかりました。」

 

「その場所は私が知ってるっぽい、案内するっぽい!!」

 

俺は夕立を降ろし、夕立が走っていく後を追っ掛ける。あっ、鍵とか付いてたらどうしよ?



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18話

『』の中の台詞は通信相手の台詞です。


「貴方、大丈夫っぽい?」

 

「大丈夫そうに見えるか?」

 

元帥と連絡した後、俺と夕立は村雨達が監禁されている部屋に向かった。正直足腰が限界なんですが。

 

「夕立、ここの鎮守府にバケツとかないのか?」

 

「ないっぽい!!」

 

マジかよ、バケツがあれば帰りは楽なんだけどなぁ。

 

「貴方、どうしてバケツが必要なの?」

 

「秋夜でいいよ。監禁室から脱出した白露が大破状態になってたからな。村雨達もそうなってる可能性が高いだろう。」

 

でも夕立や時雨は何で無傷の状態だったんだ?

 

「あっ、着いたっぽい!!」

 

「……その口癖なんとかならな「無理!!」さいですか。」

 

さて、元帥から連絡があった通り、もたもたしてたら陸軍の援軍が来てしまうからな。さっさと救出しないと。

 

「見た目は普通の部屋の扉か、空いてるかな?」

 

ガチャガチャ

 

「やっぱり空いてるわけないよな。夕立、鍵何処にあるか分かるか?」

 

「えっと、そのことなんだけど……。」

 

そう言って夕立はモジモジし始めた。やっぱり可愛いなぁ。

 

「ここの提督がいつも持ってるっぽいの。でも提督はもう消滅したから。」

 

「えっと、つまり、ここの部屋の鍵は提督もろとも消滅したって事か夕立?」

 

「そういうことっぽい!!」

 

笑顔で言うことじゃねえぞ夕立!?それ非常に不味い事態じゃねえか!!

 

「どうすんだよ!?ピッキングは俺あんまり得意じゃないんだよ!!」

 

「殴ったり蹴ったりして壊せないの?」

 

「普段ならそれでいいんだけどな、この部屋の扉もの凄く固いんだよ。」

 

「(普段って、秋夜さんは人間じゃないっぽい?)」

 

どうすっかなー。叩いた感じかなり固そうだったからな。ここで傷は増やしたくないし。

 

「私の砲撃でなんとかならないっぽい?」

 

「うーん、無理だな。何十発撃ち込めば破壊出来そうだけど、そんな時間はないしなぁ。」

 

「ちぇー、久々に思いっきり撃ち込めたかったな。」

 

そう言い夕立は頬を膨らまして拗ねた。夕立の頬っぺた柔らかそうだな。突っついてみるか。

 

「ふむ、中々に柔らかい。これは癖になるな。」

 

「秋夜さん!!夕立の頬っぺたを突っつかないで!!」

 

そう言いプイと横を向いた。夕立はからかいがいがあるな。

 

「とまあ、冗談はこれくらいにして、夕立の魚雷一本を拝借してっと。」

 

「あっ!!いつの間にっぽい!!返して!!」

 

「返せないな、その代わり面白いもの見せてやるから。夕立は俺の横にいてくれ。」

 

「分かったっぽい。」

 

そう言い夕立は俺から少し離れた。さてさて、やりますか!!

 

「魚雷用意、前方の扉に向けて。」

 

「な、何するっぽい?」

 

「発射ァァァァァァ!!」

 

俺は体を2回転させ、魚雷を扉に向けて投げる。

 

ドギャャャャャン!!

 

「よし!!」

 

「よしじゃないっぽい!!魚雷を投げる人が何処にいるのよ!?」

 

「口調崩れてんぞ夕立。いや、普通に発射しても壊れそうになかったから、魚雷に螺旋状の回転を付け、威力を増大させてから発射すればいけると思った。」

 

にしても、思ったよりも威力あったな。今度から武器に加えるかな。

 

「さて扉は、壊れてるな。救出救出っと。」

 

お邪魔しまーす。村雨達は何処にいるかな?

 

「きゅーーー。」

 

「しっかりして五月雨ちゃん!!」

 

五月雨は気絶してる、村雨は五月雨を揺さぶってる。

 

「やっちゃったぜ!!」

 

「やっちゃったぜじゃないっぽい!!夕立の妹達に何してくれてるっぽい!!」

 

痛っ、夕立に主砲で殴られた。こうした方が早いと思ったからな!!

 

「その声!!まさか夕立!?」

 

「えっ!?夕立姉さん!!」

 

「そうよ!!助けに来たっぽい!!」

 

夕立の声を聞いた瞬間に五月雨が目覚めたな。その後、村雨と五月雨は夕立に抱き付いた。いい光景だな。

 

「でもどうやって来たのかしら?この部屋の扉はかなり頑丈のはず。」

 

「それは向こうで感動をしている人が魚雷をぶん投げて扉を壊したっぽい!!」

 

「「ええええええっっっっっ!!?」」

 

おーいい反応だな。村雨と五月雨は驚愕の表情でこっちを見てるな。

 

「初めまして、無人島鎮守府の提督だ。」

 

「無人島鎮守府!?」

 

「まさか、あの、筋肉モリモリマッチョの変態が管理しているというあの鎮守府!?」

 

おいこら五月雨、地味にそれ傷付く。

 

「君達を救出するために来た、詳しい事は鎮守府に帰ってからな。」

 

そう言い俺は監禁室の部屋を出る。俺の後ろに夕立、村雨、五月雨の3人が並んでるな。

 

「村雨、五月雨は大破か。まあ帰りはなるだろう。」

 

「援軍が来なかったら帰れるっぽい!!」

 

「夕立姉さん、それフラグですよ!!」

 

ウー!!ウー!!ウー!!ウー!!

 

「……サイレンの音、どうやら陸軍の援軍が来てしまったらしいな。」

 

「夕立、貴方。」

 

「あはは、急いで逃げるっぽい!!」

 

「笑顔で言うな!!まあ、夕立の言う通り、急いでここの鎮守府から離脱するぞ!!」

 

とは言っても、逃げられるかねぇ。仕方ない、念には念をっと。

 

「プルルルル、もしもし?ああ俺だ。久々だな、緊急事態だ。急いで佐世保鎮守府まで来てくれ。」

 

「誰に電話してるんです?」

 

「まあ、古い友人みたいな人だよ村雨。」

 

さて、急ぎますか!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ!!秋夜さん!!早く早く!!」

 

「陸軍の人達がもうそこまで来てます!!」

 

港にいるのは、春雨と速吸!?何でここにいる?

 

「元帥さんから頼まれてるんです!!今は協力します、さあ早く!!」

 

「白露と時雨は?」

 

「白露姉さんと時雨姉さんは先に出ました。あっ、秋夜さん!!」

 

春雨が建物の方を指差してるな?あぁ、間に合わなかったか。

 

「春雨、速吸、鎮守府の場所まで行けるな?あと、無線を渡すからな。」

 

「は、はい!!」

 

「よし!!春雨は村雨を、夕立と速吸は五月雨を担いでここから離脱だ!!速度は速吸の出せる最大の速度に皆合わせろ!!」

 

「秋夜さんは!?」

 

「ここに残って陸軍の奴等の足止めをする。大丈夫だ、すぐに追い付く。だから行け!!」

 

「そうだ、少佐の言うことを聞け。」

 

ん?俺の前の頭上から誰かが降ってきたな。

 

「生きてたのか、少佐。」

 

「メイト!!お前死んだはずじゃあ!?」

 

「残念、トリックだ。」

 

「いたぞ!!メイト大佐もいるぞ!!大本営に逆らう反逆者だ、二人を殺せ!!」

 

ちぃ、来やがったか!!

 

「ところでメイト、前あった時は黒色のタンクトップを着てたよな?何で半裸なんだ?」

 

「イメチェンだ、そういう少佐も爆発を喰らったような姿になってるが?」

 

「黙っとけ、イメチェンだ。」

 

「どんなイメチェンだ。」

 

俺とメイトが雑談している間にも陸軍の兵士がこっちにやって来る。

 

「秋夜さん!!逃げ、えっ?」

 

俺とメイトはこっちに来る兵士3名を、俺は刀を抜いて、メイトはナイフを抜いて斬り伏せる。

 

「退路は俺達が守る!!」

 

「行け。」

 

「「「「「はい!!」」」」」

 

春雨達はそう返事をして退却していった。

 

「野郎供!!あいつらを殺せ!!」

 

陸軍の兵士が大量にこっちに向かってくるが、俺とメイトは二手に分かれて斬り伏せていく。相手が槍で俺の顔を突き刺して来るのを避けながら斬り、更に遠くから撃ってくる奴を落ちていたナイフを投げて再起不能にする。

 

「どうした?そのくらいじゃ俺は止められない。」

 

メイトは、おおう。ライトマシンガンを歩きながら撃ってるな。まるで映画のコマン⚪ーを彷彿とさせるな。

 

「相変わらずの化物だ。」

 

俺はそう呟きながら兵士にアッパーカットをして怯ませて後頭部を蹴る。その後、来た兵士を刀で斬り伏せる。ん?殺人?大丈夫、この刀刃が無いから。

 

「メイト、そのライトマシンガンの弾って実弾か?」

 

「麻酔弾だ。」

 

いや、ライトマシンガンの麻酔弾って聞いたことないんだけど。

 

「クヒヒ、流石はメイト大佐、秋夜少佐、やるな。」

 

ん?何か顔が長くて髭が少し生えてるおっさんが来たぞ?

 

「クヒヒ、大将が注意しろと言うだけの実力があるそうだな。」

 

「お前は誰だ?」

 

「クヒヒ、気になりますか。私の名前は「クヒ男でいいだろ。」クヒ!?」

 

あぁ、確かにそうだなメイト。その方が分かりやすい。

 

「クヒ、まあいいです。それよりもいつまでそんな軽口が聞けますかね?」

 

「どういうこ『秋夜さん大変です!!』どうした速吸?」

 

『深海悽艦が攻めて来ました!!数は一、艦種は、そんな!!』

 

「おいどうした速吸!?応答しろ!!」

 

嫌な、とても嫌な予感がする。杞憂であってくれよ!!

 

『艦種は、水母悽姫です!!』

 

「「!!!」」

 

馬鹿な!!何でこんな所にいる!?水母悽姫なんて滅多に見ないはずだぞ!!

 

「逃げろ!!お前達じゃ勝ち目はない!!」

 

『逃げてます!!でも相手の方が速いです!!』

 

くそっ!!速吸がいるのが仇となったか!!速吸の出せるスピードじゃ逃げられない。

 

「10分耐えてくれ。いいか、絶対に誰も沈ませるな!!」

 

『はい!!』

 

「よし、なら手短に……、おい?応答しろ!!応答しろ速吸!!」

 

「クヒヒ無駄だ、こちらでお前らの通信をジャミングした。ついでにあの姫を呼んだのも私達だよ。」

 

そこまで、そこまですんのかよ!!こいつらは!!

 

「クヒヒ、クヒヒヒヒヒ!!さあお前ら、こいつらを殺せ!!」

 

「少佐。」

 

「あぁ、分かってるメイト。こいつらは俺らを向こうに行かせないつもりだな。」

 

周りを兵士に囲まれたか。まさに四面楚歌って奴だ。

 

「一点を集中的に攻撃して突破するぞ!!」

 

「OK!!」

 

頼む、耐えてくれよ皆!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side速吸

 

「くっ!!こいつ水母の癖に固いっぽい!!」

 

秋夜さんからの連絡が途絶えて5分が経過した。水母悽姫には追い付かれ、夕立ちゃんが戦ってる。

 

「オマエジャマ、クチクノヒメニヨウガアル。」

 

「駆逐の姫、春雨の事っぽい!?」

 

春雨ちゃんが駆逐の姫?確かに駆逐悽姫は春雨ちゃんにそっくりですけど。

 

「アハハ、モハヤダレデモイイワ。イイノヨォ、コッチニキタラ?」

 

「そっちに行くつもりはないっぽい!!」

 

「ソウナンダ、ナラバシズミナサイ。」

 

「砲撃は当たらな、爆撃機っ!!」

 

「夕立ちゃん!!」

 

そんな、水母で艦載機を使うなんて!!

 

「ま、まだ!!ソロモンの悪夢は、これから、っぽい!!」

 

一撃で夕立ちゃんが大破!?どうすれば!!

 

「マズアナタカラシズンデモラウワ。」

 

不味い!!今夕立ちゃんが攻撃を喰らったら沈んでしまう!!それだけは、阻止しないと!!

 

「私に、もっとスピードがあったら!!」

 

「シズミナサイ!!」

 

「夕立姉さん!!危なキャアアアア!!」

 

「春雨ちゃん!!」

 

春雨ちゃんが夕立ちゃんを庇った!?でもそんなことしたら春雨ちゃんは!!

 

「うう、痛いよ、沈みたくないよ。」

 

「春雨っ!!う、動けないっぽい。」

 

私以外皆大破、ど、どうすればいいの!?

 

「サアクチクノヒメヨ。イッショニイキマショウ。」

 

「止めてぇぇぇぇぇぇ!!」

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!もう誰も失いたくない、誰も失いたくない!!

 

「ウルサイホキュウカンネ、イイワ、アナタカラシマツシテアゲル。」

 

改造さえ出来ていれば!!流星さえ積むことが出来たら!!

 

「ホキュウカンダカライッパツデシトメテアゲル。」

 

使えないという理由で春雨ちゃんと鎮守府をたらい回しにされた。その度に春雨ちゃんは泣いていた。その姿を見る度に私は強くなると決めた。でも実際は、ただのお荷物にしかなってない。

 

「速吸さん!!逃げて!!」

 

「村雨姉さんの言う通り逃げてください!!」

 

皆さんのお荷物になるのはもう嫌、何も出来ずに泣いてるだけはもう嫌なんです!!だから、だから!!

 

「シズミナサイ!!」

 

誰も助けることが出来ずに、一人になるのは、もう御免です!!

 

パシッ

 

「「「「「「えっ?」」」」」」

 

「水母悽姫さん、私は、怒りましたよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side秋夜

 

「おい少佐、この感じ。」

 

「あぁ、分かってるメイト。」

 

「クヒヒ?何を言ってるのです?双眼鏡はっと、クヒヒ!?補給艦が水母悽姫の蹴りを受け止めてる!?」

 

クヒ男はあり得ないといわんばかりの表情をしてるな。確かにあり得ないだろう。普通ならな。

 

「艦娘は船でもあり、人間でもある。戦い方は船の戦い方だけじゃねえ。」

 

「砲雷撃戦だけが戦いの全てではない。」

 

「クヒ、でもあれは!!」

 

「駄目じゃないか、とでも言いたそうだなクヒ男。」

 

俺にそう言われてクヒ男は奇声を上げる。今頃速吸は、うわっ、水母悽姫と殴り合いをしてる。

 

「じゃあ逆に聞くが、砲雷撃戦以外の攻撃をしてはいけないと誰が決めた?」

 

「クヒヒ、だが「たかが補給艦が水母悽姫とタイマンを張れる訳がないと言いたいのか?」クヒン!?」

 

「確かにそうだな。だが艦娘は人間でもある。人間は想う力が強いほど普段以上の事が出来る。」

 

スポーツなんかがそうだな。

 

「でもそろそろ限界か。4分が限界みたいだな。」

 

「クヒヒ、大したことないですね。」

 

「おいおいクヒ男、俺の通信を聞いてなかったのか?」

 

俺がそう言うと速吸達がいる所から爆音が鳴り響いた。クヒ男は慌てて双眼鏡を覗く。

 

「そ、そんな!!水母悽姫が沈んでいく!?たかが、軽巡1人が増援に来た程度だぞ!?」

 

「その軽巡は普通じゃねえよ。何故俺があいつらに10分耐えてくれって言ったのか。それはあの軽巡が来たら勝てるからだ。」

 

「そんなの、そんなの認めない。艦娘は無理でも貴様らは殺してや、る?」

 

「悪いな、説明している間に包囲網は突破させてもらった。じゃあなクヒ男。」

 

まあ、クヒ男が双眼鏡を覗いてる間にこっそりと抜け出しただけなんだけどな。ボートに乗って離脱っと。

 

「しかし速吸がねぇ、どうするメイト?」

 

「鍛えるしかない。」

 

「それもそうだな、帰ったら忙しくなるな。あー、やだや「お久しぶりです秋夜さん。」うぉいや!!俺の後ろに立つんじゃねえよ!!」

 

「少佐、彼女が水母悽姫を撃沈させたのか?」

 

「あぁ、彼女は川内。近接攻撃を得意とする子だよ。」

 

「よろしくね!!」

 

じゃ、鎮守府に帰還しますか!!

 

 




これで白露型救出篇終了です。次回は、説明回になります。


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19話

この小説は話やネタが思い付いたら書いていくので、更新は不定期です。

説明回?それは次からになります。


俺達はあの後陸軍の追跡を振り切り、俺の鎮守府(笑)にボートに乗って向かっている。

 

「それでね!!それでね!!あの後凄く頑張ったんだよ!!」

 

「今の私に勝てる敵はほとんどいないよ!!」

 

「ねえちょっと~?聞いてるの?」

 

「だーもう!!いっぺんに喋るんじゃねえよ!!」

 

俺は自分の周りにいる川内3人に向かってチョップをする。ってか分身すんなよ!?

 

「「「痛ったぁ!!」」」

 

「つーかなんで分身出来んの川内!?本当に忍者になったのか?」

 

「そーだよ!!ナ○トの漫画を見て必死に練習したんだよ!!ちなみに今のは影分身ね!!」

 

そう言い川内は分身二人を消し、俺の背中に抱き付いてくる。おい、俺重傷患者だぞ。

 

「すんすん♪あー、やっぱ提督の匂いは落ち着くなぁ。ずっとこうしてていいかな?」

 

「駄目に決まってんだろ。俺は横になりた…って体が動かねえんだけど!?」

 

「えへへへ、私が満足するまで離さないから。」

 

いやまあ、別にいいんだけどさ。力加減を考えてくれ。骨がボキボキ言ってんだけど?

 

「俺重傷患者だから扱いは丁寧に頼むわ川内。」

 

「そんなピンピンしている重傷患者なんかいない。陸軍の奴等に右肩を撃たれ、手りゅう弾をもろに喰らった俺の事を言うんだ。」

 

「バタフライでボートの速さに付いてこられる奴が言う台詞かメイト!?」

 

トビウオのように泳いでるぞメイト。めちゃくちゃピンピンしてるじゃねえか。

 

「そう言えば川内、速吸達は?」

 

「先に提督の鎮守府に送っておいたよ。いやあ、飛雷○って便利だよね!!」

 

「そう簡単に使えるものじゃないだろうに。ところで川内、一つ言いたい事があるんだ。」

 

「なあに?」

 

「胸をぐいぐい押し付けるの止めような?ちょっとヤバイんだわ。」

 

川内の体柔らかいからな。改二になってからちょっとヤバイんだわ。

 

「夜戦(意味深)だね!!いいよいいよ!!私は大歓迎だよ!!」

 

「そこは恥ずかしがったり、慌てるのが女の子じゃねえのかよ!?」

 

何でウェルカムなんだよ!?拒否しろよ!!嫌がれよ!!襲っちゃうぞ!!

 

「提督は夜戦したいんでしょ?隠さなくていいからさぁ。私に委ねてみない?最高の夜戦にしてあげるから!!」

 

「川内、今昼の12時。昼戦の時間だから夜戦は出来ない、せめて夜になってからな。」

 

「関係ないよそんなこと!!私が夜戦したいと思ったら朝でも昼でも夜でも夜戦になるんだよ!!」

 

わーお、ジャイ○ンもびっくりの理論だ。って服をいそいそと脱ぎ始めるな!!

 

「だ・か・ら、私と夜戦しよ♪」

 

「秋夜、鎮守府の前に深海悽艦がいるぞ。」

 

「マジかよ、今戦闘はしたくねえのによ。」

 

「ちょっとーー!?無視は酷いんじゃない!?」

 

俺の後でブーブー文句を言っている川内は無視して、何故か足元に落ちてた双眼鏡で深海悽艦を見る。

 

「戦艦悽姫かよ。またあいつと戦わなければならねえのかよ。」

 

「餌付けで何とかならないのか秋夜?」

 

「無理だなメイト、向こうが殺意剥き出しの状態だからな。話すことすら出来ねえだろう。」

 

今は、大和と鳥海と秋月と速吸と対峙してるのか。そして、戦艦悽姫は俺達に背中を向けている。

 

「ねえ提督、あれ使えるんじゃない?」

 

「あれって何だ川内?」

 

川内が耳元で俺にあの技が使えるんじゃないかと提案してきた。確かに使えそうだかな。

 

「そうと決まれば行動あるのみだ。行くぞ川内!!」

 

「いいよ!!提督と共に戦うのは久し振りだなぁ!!」

 

「俺はボートに乗ってるぞ。お前らのやる技をじっくりと見物させてもらう。」

 

俺と川内は戦艦悽姫に気付かれないように音を経てずに近付いていく。

 

「川内は戦艦悽姫の人型の方を頼む。俺は化け物の方をやるからよ。」

 

「えっ?何で?」

 

「絵面的に色々とアウトだからだ。」

 

川内とそう話ながら戦艦悽姫の後ろまで行く。あと1メートル、まだ気付かれてないな。

 

「よし、川内!!」

 

「任せて!!」

 

「ズイブントボロボロナノシカイナイノネ。アキラメテアノシマヲヨコシナサイ。」

 

「諦めません!!秋夜さんが戻ってくるまで私達で足止めします!!」

 

戦艦悽姫と秋月が言い争ってるな。鳥海は秋月の横に立って黙って20.3㎝連装砲を戦艦悽姫に向けている。大和は、俺と川内に気付いているな、バレないように苦笑いを浮かべている。

 

「ダッタラ、シズミナサイ。」

 

「今度こそ、艦隊をお守りします!!」

 

「私の計算では99%の確率で負ける。でも、1%でも勝率があるなら1%を引くまでよ!!」

 

「これ以上、白露さん達を傷付けさせません!!」

 

おーおー、大和以外自分を鼓舞してるな。さて、そろそろ行きますか。

 

「オロカナモノタチネ、ジャアシズミナ「「マスク先生秘伝体術奥義!!」」???」

 

両手をカンチョーする時の形にして~、しゃがんで~、腕を思いっきり後ろに引いて~。

 

「「千年○しィィィィィィ!!」」

 

両手を相手のゴール(尻)に向けてシュュュゥゥゥゥト!!

 

「「ブルルルルルァァァァ!!」」

 

ラスボス級の叫び声を上げながら空の彼方に飛んでいったな。

 

「「超エキサイティング!!」」

 

「まさかとは思いましたけど、本当にやるとは思いませんでした。」

 

あーいいストレス発散になった。んっ?秋月と速吸は顔を真っ赤にしているな。

 

「いいいいい今のって。」

 

「ししししし秋夜さん!?」

 

「今のは体術奥義の千年○し、使う機会は限られるけど、決まったら最高にいい気分になれる奥義だ!!」

 

「ただのものすごいカンチョーじゃないですか!!秋月ちゃんの前で何やってるんですか!?」

 

あっ、鳥海が顔を赤くしながら怒ってる。怒ってる鳥海は可愛いなぁ。

 

「違うよ、千年○しだよ!!」

 

「技名はどうでもいいです川内さん!!貴方達は差恥という物がないんですか!?」

 

「「そんなものは空の彼方にファラウェイしてきた!!」」

 

「お二人には1度常識という物を学ばせる必要がありそうですね。」

 

げっ、鳥海が本気で怒ってる。こうなった鳥海は捕まると面倒だからなぁ。

 

「川内!!」

 

「がってん!!」

 

「「あらほいさっさー!!」」

 

こういうのは逃げるが勝ち!!さっさとにげて自分の部屋に鍵を掛けよう。ふふっ、計算通「させないよ?」えぇぇぇぇ!?

 

「ふふ、捕まえたよ提督。大人しく鳥海さんに捕まろうね。」

 

「男の癖に逃げるなんてダサいっぽい!!」

 

くそっ!!時雨と夕立に捕まってしまったか!!今俺はうつ伏せの状態で背中に夕立と時雨が乗っかってる。二人の事完全に忘れてた。川内は逃げたな、あんにゃろーめ。

 

「男にはなあ、背中を見せても逃げなければいけない時があるんだ!!」

 

「かっこよく言ってるけど、それ結局逃走と変わりないからね?」

 

時雨よ、冷静に指摘しないでくれ。

 

「さあ提督さん号、早く鳥海さんの所に進むっぽい!!」

 

夕立よ、俺の背中の上でぴょんぴょん跳ねるのやめなさい。大事な所が潰れるわ!!

 

「いいですかお兄さん?秋月ちゃんはまだ純粋なんですからね?」

 

えっ?この状態で説教されるの?美少女二人を背中に乗せたまま説教されるの?

 

「なあ鳥海、何で鳥海は立ったまま説教すんの?」

 

「お兄さんを見下ろす為です。こうした方が威圧出来るかと計算しました。何か問題でもありますか?」

 

ここの鳥海はどこか抜けてるなぁ。

 

「いや、俺鳥海を見上げる形になるからさ。パンツがもろに見えて「見ないでください!!」ふごっ!!」

 

顔面に鳥海の蹴りを喰らった。やべ、前が見えねぇ。

 

「提督さん、寝ちゃ駄目だよ!!起きるっぽい!!」

 

「雨(説教)はいつか止むからさ、それまで反省していようね提督?」

 

皆、多分忘れてるからもう1度言うぞ、俺重傷患者だからな!!



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