「仮面ライダーゴーストif (gazerxxx)
しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第11話

この作品は仮面ライダーゴーストの11話を一部改変した小説であり、ドラマパートに手を加えたため、戦闘シーンや本編と共通のシーンは省略されています。個人的に疑問に思った部分を変更した作劇であるため、どちらかと言えばタグにある通りアンチ視点です。
初投稿で至らない部分もあるかと思われますが、どうぞお楽しみください。


タケル「西園寺が俺たちのアイコンを全て奪って行った。西園寺が父さんを裏切ったのは本当なのか分からないけど、人の命やアイコンを悪用しようって言うなら、許せない!」

~ナレーション終了~

 

西園寺「私に全てを支配する力を!」

モノリスから西園寺に力が流れ込み、彼の体を変貌させていく。

(西園寺改め)モノリス眼魔「手に入れたぞ最強の力!人間も眼魔もひれ伏すがいい!」

力を見せつけるかのように、モノリス眼魔は町を破壊していく。

ジャベル「眼魔もひれ伏せだと?特に教育が必要だな…」

アラン「落ち着けジャベル。あれは2つの世界をつなぐモノリスの力。破壊がすでに眼魔界にも及んでいる。眼魔界の崩壊を止めに戻らなくては」

ジャベル「モノリスに詳しいアラン様がそうおっしゃるなら…」

眼魔界を守るため、退却するアランとジャベル。

 

マコト「願いは西園寺の手に…俺は何のためにタケルと戦ってまで!」

タケル「マコト兄ちゃん、やっぱり辛かったんだね」

アカリ「タケルを死なせたくないのはマコトも同じだったのね」

御成「犠牲にしていい命などありませんぞ」

マコト「その通りだ…すまなかった、みんな」

タケル「一緒に戦おうマコト兄ちゃん。俺たちの願いは命をつなぐことだったはずだ!」

マコト「ああ、俺も戦わせてくれタケル!」

 

モノリス眼魔に立ち向かうゴーストとスペクター。

しかしモノリス眼魔は2対1を物ともしない強敵だった!

モノリス眼魔「願いを叶えた私に願いにたどり着けなかったお前たちが勝てるわけが無い」

タケル「願いのために父さんを裏切ったのは本当なのか?」

モノリス眼魔「裏切ったのではない。最初から願いのために全てを利用して来た。お前たちにはその覚悟がなかったのだ」

タケル「覚悟ならあるさ…お前みたいに願いのために人を犠牲にしない覚悟がな!」

マコト「俺もお前と同じ考えだった。だが気付かされたんだ…人も自分も欺くことなく口にできるのが本当の願いだと!」

モノリス眼魔「お前たち…なぜ私に楯突く?なぜまだ戦える?私は全てを支配する力を望んだはずだぞ!なのになぜ?」

二人に気圧されて、モノリス眼魔の攻め手が弱まっていく。

マコト「今だタケル!」

タケル「行くよマコト兄ちゃん!」

二人のオメガドライブがモノリス眼魔に同時に炸裂する。

モノリス眼魔「願いのために何だってして来た私がこんな奴らにい!」

モノリス眼魔爆散。

それと同時に2人は異空間にいた。

グレードアイ「ベルトを持たない男の願いは一部しか叶えらなかった。お前たちの中から一人選ぶとしよう」

タケル「それならマコト兄ちゃんにして欲しい」

マコト「タケルお前は…」

タケル「言ったろ、俺たちの願いは命をつなぐことだって。

俺の願いはマコト兄ちゃんと同じなんだ」

マコト「…お前の気持ち受け取った。感謝する。だが、俺の願いもお前と同じだからな」

グレードアイ「ではマコトの願いを叶えよう」

 

カノン「ありがとう。タケルさん、お兄ちゃん。」

マコト「今度は俺がお前の願いに協力する」

タケル「頼もしいな~、よろしくマコト兄ちゃん」

アカリ「なんかやっと昔のマコトに戻ったみたい」

御成「先代もきっと喜ばれますぞ」

 

仙人「なんで自分に願いを使わないかねーまわりくどい」

ユルセン「いいんだよー。あいつら楽しそうだし」

 

ジャベル「西園寺が奴らごときに倒されるとは(アイコンの力はまだまだあの程度ではないということか)」

アラン「今回は助けられたな、天空寺タケル、それにマコト。邪魔者も消えたことだしそろそろ新しい計画の頃合いか…」

 

 




最後まで読了いただき、ありがとうございます。
最後まで読んでいただいた方はお気づきと思われますが、この小説は以下の理由で、本編に変更を加えています。

西園寺が眼魔になる

西園寺が開始5分で退場する本編の展開では、色々と未消化な部分があると思います。本編のナレーションでは裏を取ってない裏切り疑惑が既成事実にされるわ、願いにベルトが必要なとこだけ知らない間抜けな死に方だわ、全てを支配して何がしたかったのかわからないわで、もったいなかったので章ボスにしました。眼魔として戦うことで、タケルが裏切りについて問いただす機会が生まれました。また、西園寺が人間の悪者として死んで誰にも顧みられないと、ゴーストの倫理観では、眼魔に協力する人間も死ぬべしということになってしまいます。平成2期ライダーの中では、かなりシビアというか危険な倫理観だと思われます。西園寺は自ら眼魔と同等の存在になってしまった、死んでも「自業自得」となると、これくらい後戻りできない状況が必要だと思います。ましてや、かつては天空寺龍の仲間だったみたいですし。
また、西園寺に願いについて語らせたのは、マコトとの違いを生み出す目的もあります。実は、眼魔に協力してアイコンを強奪する行動だけ見れば、西園寺もマコトも同じなんですよね。アイコンのためなら殺す気でかかる点も同じ。その割に、本編ではずいぶん扱いが違います。だから、マコトを西園寺とぶつけて、「前は同じだったけど、今は違う」と言わせたかったわけです。

・マコトがタケルたちが見てる前で謝った上で仲間入りする

本編でも登場した「俺は何のためにタケルと戦ってまで!」というセリフは惜しかった。あれをタケルたちが聞いてれば、マコトの本心が通じた明確な根拠になるんですが。実際はただただ固い態度をとり続けるマコトに、タケルが甘い対応をしてるという危なっかしい状況。戦う理由がなくなっただけで、結局マコトが過ちを認めない限り、理由ができればまた裏切る可能性があるのです。お礼言いながらも「やはりお前は甘い」という上から目線は、けじめとは言えませんよ。この状態で、「けじめつけるために」距離を置いても良くなる見込みはないので、素直に仲間入りする方がいいでしょう。妹を助けられた恩以上に、この先けじめをつけられるチャンスなんて待っていても来ません。

この小説のアンチ・ヘイト部分は上記の解説ではっきりさせています。このような企画、受けるかはわかりませんが、どのようなご感想でも今後の参考とさせていただきます。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第12話

この作品は仮面ライダーゴーストの12話を一部改変した小説であり、ドラマパートに手を加えたため、戦闘シーンや本編と共通のシーンは省略されています。個人的に疑問に思った部分を変更した作劇であるため、どちらかと言えばタグにある通りアンチ視点です。
至らない部分もあるかと思われますが、どうぞお楽しみください。


タケル「マコト兄ちゃんの願いも俺と同じ、命を明日につなげることだと分かった。俺たちは力を合わせて眼魔になった西園寺を倒し、カノンちゃんを生き返らせた。俺たちの願いは一つかなった。後は俺が生き返るだけだ!」

 

~ナレーション終了~

 

生き返りのためにアイコンを探すタケルたち。だが、見つからずに時間だけが過ぎていく。死を予感したタケルたちは、最後の時間を静かに過ごし始めていた。そうすることで、タケルを安心させられると思ったからだ。

スペクターとして戦えるマコトは、散らばったアイコンの内二つを持ち去ったジャベルの行方を追っていた。しかし、ジャベルも簡単には捕まらない。また、万が一に備えて早々にアイコンをアランに託してあった。

 

アラン「では、このアイコンは眼魔界に持って帰ろう。それで、私が留守の間にマコトが味方になり得るかどうか見極めてくれるというのか?私が話した方が早いと思うんだが・・・」

ジャベル「アラン様が奴を信じているお気持ちはわかります。ですが、話し合いを望んでも天空寺タケルが横やりを入れてくるやもしれません。この場はまず私にお任せを。必ずこちらに戻ってこさせましょう」

アラン「マコトの本気を見るにはいいかもしれないな。天空寺タケルにやられて死ぬなよ」

 

アランは眼魔界に向かう。

 

ジャベル「これでいい。アイコンが手に入らなければ天空寺タケルはもうすぐ死ぬ。そうなればすでに願いをかなえて天空寺タケルもいなくなったマコトは、こちらに敵対する理由を失うだろう。全ては眼魔界のためだ」

ジャベル「とはいえ、どうせなら死にかけの天空寺タケルをマコトへの見せしめにして、二度と妙な気を起こさせないようにするのも手か・・・。人間は眼魔には逆らえないと教育してやる」

 

タケルの延命期限最終日、ジャベルはシブヤを人質に、タケルをおびき出す。

タケルは当然ジャベルに挑むが、ジャベルが変身する眼魔スペリオルには隙がない。マコトが加勢するも、依然として劣勢。そして、生命力が限界に来たタケルは、変身解除して倒れる。

 

タケル「ごめん、マコト兄ちゃん。俺もう・・・ここまでみたいだ」

マコト「謝るなタケル!謝るのは俺の方だ・・・。俺とカノンのためにお前が・・・お前が死ぬなタケル!」

アカリ「そうよタケル!あたしタケルが死ぬのが怖くて・・・マコトとカノンちゃんに助かってほしくても言えなかった。タケルの代わりに生きてほしいなんて」

アカリ「でもタケルがカノンちゃんを助けてくれた時、あたしにできなかった決断をしてくれたことがうれしかったの!だから最後まで決めたことを貫いてよ!タケルも死んじゃイヤ!」

御成「自分の命以上に人の命をタケル殿は大事になさった・・大天空寺の跡取りにふさわしい御心ですぞ!そんなタケル殿が死んではなりません!」

タケル「ありがとうみんな・・・ああ、でも悔しいな・・・もう、力が出ない・・・」

 

完全に力尽きて目を閉じてしまうタケル。タイムリミットが来てしまった。

仲間たちの悲痛な泣き声を背に、タケルの魂は天空へと昇ってゆく。

たどりついたどことも知れぬ場所には天空時龍がいた。

 

龍「よく来たな、タケル。お前は人生にもう満足したのか?」

タケル「父さん・・・俺、まだ生きたいよ。まだ命を燃やしてやることがあるんだ」

龍「なら、私の魂を分けてやろう。それでもう一度やり直せ」

タケル「魂を分けるって・・・それじゃ父さんはどうなるんだよ!?」

龍「お前がもう一度ゴーストとして死んだとき、消滅するかもしれないな。だが、大したことじゃない。お前なら生き返れると信じてるからな。さあ、15の英雄の魂をつなぐんだ」

タケル「父さん・・・俺絶対につないでみせるよ。俺の命も、偉人の魂も、父さんの魂も」

 

龍の魂がタケルに吸収され、タケルが現世に戻る準備が整った。

 

一方の現世では、マコトがジャベルを相手に何とか食い下がっていた。しかしとっくに変身は解け、生身で食らいついてはあしらわれるという有り様。

ジャベル「貴様にもう戦う理由はないはずだ。そのままでは貴様・・・死ぬぞ」

マコト「タケルが俺たち兄妹を助けて死んだんだ・・・俺が命を賭けなくてどうする!」

アカリ「もういいマコト!マコトまで死んだらあたし・・・」

御成「タケル殿に救われたなら命を無駄にしてはいけません!逃げる道もありますぞ!」

マコト「悪いな・・・俺はどうやら戦うことでしかけじめをつけられないらしい」

ジャベル「アラン様に従う気はもはやないか・・・馬鹿は死ななければ治らない。望みどおりあの世に行け!」

 

とどめを刺そうとしたジャベルを飛来した火の玉が突き飛ばした!

タケル「父さんに命を託されたんだ。もうお前の好きにはさせない!」

タケルが変身した闘魂ブーストは、アイコンの力をある程度知っているジャベルでさえ予想外の強さだった。

オメガドライブを受けて爆発するジャベル。

 

タケル「みんなのあんな姿は二度と見たくない。父さんだって魂をかけて背中を押してくれた。俺は絶対に生き返って見せる」

集まってくる仲間に応えながら、決意を固くするタケルだった。

~第12話完~

 




自分が勝手ながら考えたif展開、いかがでしたか。
以下、手前味噌な解説になります。

まず、書き方としては不満点を修正していくので、ドラマ部分の描写が多く、戦闘シーンや本編と同じシーンはほぼ省略です。また、西園寺が死んだり、アイコンが散らばったり、タケルが生き返ってジャベルを倒す大まかなオチは同じです。オリジナルの展開やセリフについてはそれぞれの理由があります。


・タケルに最後まで「命をつなぐ」願いを持たせる

タケルが願い事でカノンを優先したことについては、タケルの生存を願う仲間よりも強い理由が必要でした。後になって聞かされても納得のいくような。そこでタケルの命をつなぐ願いと、カノンの命をつなぐ願いは全く同質のものだということにしました。また、アカリは幼馴染として、御成は僧として、カノンの蘇生も望んでいたという描写を加えました。マコトも仲間に加えたことで、願いの譲り合いを強調して、焦っていた仲間たちにも次はタケルの番と希望を持たせてみました。とにかく場を収めるには本来安心感が必要だったと思っていたからです。
そしてタケルの死は、登場人物全員に「受け入れがたい」という感想を持たせています。何しろタケルの死の感想は本編では次の4行で説明できます。

Q:「俺、命燃やせたかな?」
A:「燃やせましたとも!」
「いや・・・いやあああ!」
「俺はタケルの分まで戦って見せる」

後悔や遺恨が残りそうなのにあっさり爽やかでした。このタケルが死んでもほとんどの人が納得してる状況で無理して生き返ろうという気になるでしょうか。第1話の復活よりも盛り上がらないと思います。なぜ復活するのか。それは死にたくない、まだ生きたいからに他なりません。こちらではそういう感想になるように、タケルが生きる意味を追求しています。眼魔たちはマコトを取り返すためにタケルを殺そうとします。仲間たちは、タケルに助けられたからこそ、ここで終わらずに生きてほしいと叫びます。タケルにも死んで悔しいとはっきり自覚させます。そして父さんは自身の魂をかけてタケルを延命してくれるという、重いリスクを描写します。第1話ではこんな雰囲気が少なからずあり、第12話でタケルの死に満足させる意味はなかったでしょう。

・アランとジャベルの行動

アランは本編で活躍が隠されているので、それなりに冷静な立ち回りをさせ、ジャベルへの態度も落ち着かせています。本編での成果がないのに部下への扱いが悪くてマコトに固執する態度はさすがにアレなので。ジャベルはアイコンの知識を握っていることから独自の作戦を取らせました。惜しい人材なので、アランとの喧嘩別れもありません。

こんなところが書いた理由です。読んでくださったみなさんありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第23話前編

この作品は仮面ライダーゴーストの23話を一部改変した小説であり、ドラマ・バトルパートに手を加えてます。個人的に疑問に思った部分を変更した作劇であるため、どちらかと言えばタグにある通りアンチ視点です。
初投稿で至らない部分もあるかと思われますが、どうぞお楽しみください。


*ナレーションは本編と同じ

 

大天空寺に戻ってきたタケルはキュビに詰め寄る。

タケル「キュビ、教えろ!お前ら眼魔がこっちに来るのを止める方法は?」

キュビ「さあ~知らないんだな~。新しい絵がかけたんだ(ry」

タケル「どうやって来たとか、何でもいいから思い出せ、今すぐ!」

キュビにつかみかかるタケル。

 

キュビ「ちょっ、絵が、やめてほしいんだな!」

アカリ「タケル、よしなさいよ!」

御成「暴力はいけませんぞタケル殿!」

アカリが怒り、御成が間に割って入る。

 

タケル「早く眼魔を止めなきゃだめなんだよ!」

アカリ「タケル、キュビを見なさい!」

 

そこではキュビが傷の付いた絵を抱えてうつ向いていた。

キュビ「吾輩、絵を見せたら怒られたんだな・・・。やっぱり吾輩絵を描いちゃ、この世界にいちゃだめなんだな・・・」

タケル「キュビ・・・」

タケルはその姿を見て思わず黙り込む。

 

アカリ「キュビはタケルが友達になろうって言ったからここにいるのよ。そのタケルに突き放されたらキュビがどれだけ傷つくか分からないの?」

タケル「そうか・・・キュビ、ごめん」

御成「タケル殿とキュビ殿はご友人ですぞ。真心を持って向き合えば、キュビ殿も正直に答えてくれるはずです」

キュビ「吾輩、また絵を描いても、ここにいてもいいんだな?」

タケル「もちろん、俺はキュビの絵大歓迎だよ。もう一度教えてくれないか、眼魔がこっちにどうやってきてるのか」

キュビ「吾輩、イゴール様が開けたゲートを一緒にくぐってこっちに来たんだな。その時イゴール様は「今回はこのゲートがいいだろう。目的の場所に近すぎず遠すぎない」って言ってたんだな」

タケル「ゲートを開けたのはイゴール」

アカリ「でもKMSが「今回は」て言ってたからすでにゲートは複数あるわね。町中にそれらしきものはなかったし、巧妙に隠してるんじゃ探しようがないわ」

御成「眼魔が幹部に誘導されているとしたら、眼魔の侵攻を防ぐにはイゴールのような眼魔の幹部を倒すのが先決ということですな」

眼魔の行き来を封じるために眼魔幹部を打倒すると方針を固めたタケルたち。しかし、タケルが知る限りでもアラン、ジャベル、イゴール、眼魔の世界で戦った幹部の4人がいるため、実現は困難だ。

質問が終わるとキュビはすぐに絵を描くのに没頭し始めた。現金なものだ。

 

アカリ「それにしてもタケル、眼魔の世界でいったい何があったの?キュビに当たるなんてらしくないわ」

御成「是非話してくだされ。何しろ拙僧たちは」

タケル「わかってる。アカリは幼馴染で、御成は・・・一応兄弟子だもんな」

御成「一応とはなんですか!この御成、修行の量では今でもタケル殿に負けてはおりませんぞ!」

アカリ「はいはい、そのへんにしといて。それでどうだったのタケル。マコトの体は?」

タケル「悔しいけどマコト兄ちゃんの体は取り返せなかった。でも俺は見たんだ。マコト兄ちゃんの体がどうなってるか」

タケルは眼魔の世界でみた一切の経緯を二人に話した。

 

アカリ「人間をカプセルに閉じ込めて塵にしてるなんて・・・あいつらに捕まったらそうなるっていうの?」

御成「死ぬまで閉じ込めて人の命をもてあそぶとは・・・眼魔はもはや鬼ですぞ!鬼!」

タケル「俺、自分が生きてる間に目の前の人を救えればそれでいいって思ってたけど違った。俺の知らないところであんなに多くの人が・・・だからこれ以上眼魔の好きにさせちゃいけないんだ」

タケル「今からアランを探しに行くよ。あいつは俺とマコト兄ちゃんを助けてくれた。もしかしたら説得できるかもしれない。でもどうしても眼魔の侵攻を止めないって言うなら・・・その時は倒す」

アカリ「タケルが眼魔を許せなくなった理由はわかったわ。でもアランはマコトの友達でもある。これだけは忘れないで」

御成「タケル殿のおかげでこうして足を洗った眼魔もそこにいるのです。どんな相手とも分かり合おうとする真心を持ってくだされ」

タケル「ありがとうアカリ、御成。行ってくるよ」

 

一方その頃、疲労困憊のアランのもとには、差し入れを届けに来たマコトが現れた。

アラン「貴様に、そして兄上にも裏切られた私を笑いに来たのか」

マコト「おまえが俺たちを助けてくれた。今度は、俺がお前を助ける番だ。そろそろ、これが必要なんじゃないのか」

アラン「誰が施しなど・・」

マコト「無理するな。生身の体だ」

サンドイッチと牛乳パックを手渡しながらマコトが語りかける。

 

マコト「なあ、覚えてるか?俺たちが友になった時のこと」

アラン「友か・・・それも今では空しい響きだな」

そう言いつつも、アランはマコトとの思い出話を聞きながらその日のことを思い出していた。

 

並みいる軍人を格闘術で蹴散らして「つまらん」と吐き捨てるアラン。そこに相手として名乗り出たのがマコトだった。

アラン「人間に私の相手は務まらないだろう。ハンデとしてお前だけ武器を使ってもいいぞ」

マコト「そうか、ならこれを使わせてもらおう」

マコトが取り出したのは一本の木刀。

アラン「なんだそれは。そんな棒きれで戦おうというのか」

マコト「子供の頃からこれを使った剣道に慣れてるんだ。この世界では材料の角材を探すのにも苦労したがな。俺が拾ってきた角材を妹のカノンが仕上げてくれたんだ」

アラン「剣道?まあいい。お前の力、私に見せてみろ!」

 

その言葉を合図にマコトが正面から斬りかかると、アランは軽く横にかわす。マコトは横から胴を狙うも腕で払われ、その隙に反対から回し蹴りを食らう。腰に当たって体勢が崩れたところで、パンチを腹に受けて、吹っ飛ばされる。

アラン「どうした、その程度か。まだやれるなら武器を拾うまで待ってやる」

マコト「まだまだだ。お前に見せてない技があるからな」

マコトは瞬時に木刀を手放し、代わりに受け身をとっていた。

 

マコト「いくぞ!うおーっ!」

マコトが気合とともに上段から木刀の連打を浴びせる。

アラン「なるほど、先程は小手調べだったか。だが、この程度の速さもどうということはない!」

アランは踊るような流麗な動きでマコトの連撃をさばく。それでもマコトの気迫は衰えない。

アラン(十数発は防いだ。息も上がっている。なのにこいつはいつまで続ける気だ?このまま押し切るつもりでいるのか?)

なかなか決着がつかず、アランに焦りが生じる。

マコト「そこだーっ!」

マコトが構えを変えてアランの顔めがけて突きを繰り出す。アランはとっさに両腕を交差して防御しようとする。だが、マコトは素早く腕を引き、鳩尾に改めて突きを繰り出した。

アラン「何!ぐあっ!」

鳩尾に突きが決まって倒れこむアラン。経験したことのない痛みで体が言うことを聞かない。

マコトの方は肩で息をしながらもしっかりと足を踏ん張ってかまえている。勝敗は明白だった。

 

アラン「今のが・・・お前の言っていた技か・・・」

マコト「木刀の先端を当てることで圧力を増す「突き」という技だ。とはいえ、そのまま繰り出せばおまえは防げただろう。だから当てられるように気迫でのごり押しやフェイントを混ぜたんだ」

アランが戦った相手にそんな戦法を使う者はいなかった。相手をする軍人たちはアランの高い地位ゆえに、気迫をぶつけたり、フェイントを混ぜたりすることがはばかられたからだ。それでも高い技量で挑んでくる軍人たち相手にアランは勝ってきた。アランの最大の敗因はそれゆえの慢心だったのだ。それを知り、深呼吸して息を整えるアラン。

 

アラン「面白い。お前こそ私と肩を並べる戦士だ」

マコト「肩を並べるか・・・なら俺たちは友になれるかもしれないな」

アラン「友?なんだそれは?」

マコト「友とはどんな事をしても助け合える存在。少なくとも俺はそう思ってる」

アラン「そうか、お前とともに戦えるなら、それも悪くない」

その後、アランが木刀を作ったカノンにも興味を持って会いに行き、マコトが「俺と実力伯仲の友」と紹介したことで、カノンが尊敬の念を抱いたのはまた別の話。

 

マコト「俺はお前が眼魔の世界での立場を崩さない以上、お前に味方することはできないと思っていた。今では人間の世界に大切なものが出来てしまったからな」

マコト「家族から裏切られ、人間の肉体に戻ってこの世界に来たんだろう?もういいだろ、あの世界に戻らなくても。俺たち兄妹だってこの世界に戻ることができたんだ。お前もきっと(ry」

アラン「黙れ!お前が友と呼ぼうとも私が眼魔として生きてきたことに変わりはない!いまさら不完全な人間などに・・・」

マコト「わかった、今決めろとは言わない。せめてこれは食べてくれ。友としてお前を助けたいんだ」

アラン「憐みではなく友情ということか。ならば仕方無い」

マコトの友情を受け入れてようやく口をつけるアラン。

アラン「こんな不便なものが、お前たちが望むものなのか」

マコト「今にわかる」

 

そこへタケルが駆け付ける。

タケル「アラン、お前に話がある。お前がこれからどうするか、それにここにある15個のアイコンをどうするか」

アラン「私がどうするかだと?私は追放されようと眼魔だ。そしてお前にアイコンを渡すと思うか」

マコト「アラン、落ち着け、今結論を出さなくても(ry」

アラン「スペクターは黙っていろ。この男と決着をつければはっきりするだろう?」

タケル「そうだマコト兄ちゃん。俺は今すぐ答えが欲しいんだ」

タケルとアランの間に緊張が走る。

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第23話中編

この作品は仮面ライダーゴーストの23話を一部改変した小説であり、ドラマ・バトルパートに手を加えてます。個人的に疑問に思った部分を変更した作劇であるため、どちらかと言えばタグにある通りアンチ視点です。
初投稿で至らない部分もあるかと思われますが、どうぞお楽しみください。


タケル「大勢の人たちをさらってどうする気だ」

アラン「さらってなどいない」

タケル「大勢の人間がカプセルで寝かされていたぞ」

マコト「タケル、あれは…」

アラン「我々の民だ」

タケル「民…」

アラン「民の肉体は完ぺきに保護され永遠に朽ちることはない」

タケル「嘘だ!俺は人が消えるのを見た!」

アラン「何を言っている。そんなことはない」

タケル「おまえはなんでそんなに平気なんだ!お前の世界の人が死んでるかもしれないんだぞ!」

アラン「私の父上が民を永遠に生かすと言ったんだ、そんなはずはない!」

とうとう声を荒げるアラン。

 

タケル「おまえの、父さんが?」

アラン「私の父上は肉体の苦しみ、死の恐怖におびえていた民を救ってくれたのだ。現に私は肉体に逆戻りしてしまい…苦しくてどうしていいかわからないでいる」

アラン「父上が眼魔の世界を作り、すべてうまくいっていたんだ。なのに父上、どうして死んでしまったのか…」

アランの声のトーンが低くなる。タケルもそれを聞いて先立った父を思い出していた。

アラン「私はお前たちの言葉を信じることはできない。それは父上が間違っていたと認めるのと同じだからだ。私は父上の理想とともに眼魔であり続ける」

 

そこにジャベルが襲来する。

アラン「私は一人になろうと戦い続ける」

マコト「お前は一人じゃない。俺は友としてお前を助ける」

タケル「眼魔としてアランが戦うって言うなら、今の俺がどちらかに手を貸すことはできない。ごめんマコト兄ちゃん」

マコト「アランに手を貸すのは俺のわがままだ。タケルは見守っていてくれ」

タケルが見守る中、ネクロムとスぺクターはジャベルと戦うが、眼魔ウルティマの力に圧倒される。仕方なくフーディニを使い、スぺクターたち3人は離脱する。

 

アラン「礼は言わないぞ、私はだれの助けも受けない」

マコト「アラン、たとえお前が誰も信じられなくても、俺はお前を信じてる」

タケル「アラン、俺もお前と同じくらい父さんを大切に思ってる。だからお前が死んでも父さんは信じたいって思い、それだけはわかるんだ」

二人の言葉には答えずに去っていくアラン。

 

その後、アランがジャベルと再び戦っていると、カノンが知らせに来る。マコトが先に駆けつけて、ネクロムに加勢する。しかし、依然としてウルティマには叶わず、アランの変身が解けて追いつめられる。タケルは動かない。マコトがタケルが来ずともアランのために戦う意思、そしてアランが父の理想に殉ずる覚悟を知ってしまっているからだ。

 

ジャベル「終わりです、アラン様」

アラン(私は、ここで死ぬのか)

それは自分でもどこから来たのか分からない感情、死の恐怖だった。眼魔は死など恐れない。マコトを死で脅したり、殺してでも取り戻そうとしたのも、その後にいくらでも復活する安心感があったからだ。その保証がなくなり、不完全とみなしていた人間のような感情が湧きあがることに混乱するアラン。その表情の変化をタケルも見ていた。

タケル「もしかしてあいつは…やめろ!」

 

人間らしい感情をアランもひた隠しにしていたと気付いたのだ。アランにもそんな心があった。そう気付いた瞬間、変身して飛びだしていた。マコトも同時に駆け寄り、タケルとマコト、二人がアランの盾になろうとする。3人めがけて光弾がさく裂する。煙が晴れた時、3人の中で致命傷を受けていたのは、マコトだった。最期の言葉を残して消えようとするマコト。

 

アラン「待て、死ぬなスぺクター!」

これも自分でも信じられない言葉だった。本来ならマコトはここで死ぬはずはないのに、マコトの姿を見て口からそんな言葉が飛び出してしまった。砕け散ったマコトの眼魔アイコンを見て悲しみに包まれるアラン。

 

ジャベル「茶番だな」

タケル「何が…茶番だって言うんだ!」

ジャベル「ふん、一番道化なのはアラン様だろう。深海マコトは命を張ったのでもなく眼魔アイコンを失っただけだ。それに対して「死ぬな」などと」

ジャベル「アラン様が間違えずとも、深海マコトには後ほどとどめをさしてやる」

タケル「お前は何もわかってない。マコト兄ちゃんは自分が出来る限りのことをして、思いのままに散った。そうやって命を燃やすのが生きてるってことなんだ!」

タケル「それを見て悲しむアランを、お前が道化呼ばわりするなんて許せない!」

 

そこへアランが力を振り絞って這いずってきた。

アラン「天空寺タケル、これを使え…私とスぺクターのアイコンだ」

タケル「いいのか、使っても」

アラン「私は父上の理想を信じている。だが、お前たちのように強く生きる人間がいることも分かった…ただそれだけのことだ」

タケル「わかった、見ていてくれ、アラン、マコト兄ちゃん!」

 

すると15個のアイコンからパーカーゴーストが出現する。

武蔵パーカー「偉人の力をつなぐ3戦士の心が、今この時ひとつとなった」

フーディニパーカー「それでこそ我ら15人の心もつながるのだ」

三蔵パーカー「今一時だけでよい。この奇跡が続くか否かは、お前たち次第じゃ」

パーカーゴーストが持ってきたアイコンドライバーGによってタケルはグレイトフル魂に変身した。

 

グレイトフル魂はウルティマを殴りあいで圧倒する。ウルティマが掴み技でグレイトフル魂を溶かそうとするも、これも効かず、振りほどかれて蹴りを入れられる。距離をとって光弾をぶつけるも、グレイトフル魂は腕で振り払いながら迫ってくる。

ジャベル「バカな、これは…」

敗北のデジャブを予感するジャベルの頭上に、突如モノリスが現れ、ジャベルに向けて炎を発する。

ジャベル「力があふれてくる…」

炎が燃え尽きた後にはジャベルがさらに変身した眼魔ウルティマ・ファイヤーがいた。

 

 




中編終了。ウルティマ・ファイヤー戦ではまたオリジナル描写するので後編に回します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第23話後編

この作品は仮面ライダーゴーストの23話を一部改変した小説であり、ドラマ・バトルパートに手を加えてます。個人的に疑問に思った部分を変更した作劇であるため、どちらかと言えばタグにある通りアンチ視点です。
初投稿で至らない部分もあるかと思われますが、どうぞお楽しみください。


眼魔ウルティマ・ファイヤー「標的を、排除」

タケル「どうしたんだ、あいつ」

合成音声のような声とともに、機械的な動きでゴーストに火球をぶつけてくるウルティマ・ファイヤー。さっきまでの光弾は振り払えたゴーストも、この攻撃は腕で受け止める。

 

タケル「うわっ、さっきより強くなってる!」

腕で受け止めてなおその勢いに後ずさるゴースト。ウルティマ・ファイヤーは火球でゴーストを後退させながら着実に距離を詰めてくる。

 

眼魔世界でもアデルが困惑していた。

アデル「モノリスが勝手に…ただの祈りの間ではないのか?」

しかしそれもウルティマ・ファイヤーの戦いを見て満足げな笑いに変わる。

アデル「15個のアイコンにも匹敵する…あれがモノリスの力!これは何としても父上から利用法を聞き出し、われらの理想に役立てねば」

 

ウルティマ・ファイヤーに眼前まで接近を許すゴースト。ゴーストの腕をウルティマ・ファイヤーが掴むと、ゴーストの腕が燃え上がった!

タケル「うわあああっ!腕が!熱いっ!放せ!放せ!」

絶叫しながらもがき、なんとか振りほどくも地面に転げ落ちるタケル。

 

タケル「はあ、はあ、このままじゃ…」

ユルセン「何やってんだよー、英雄の力を使えよー!」

タケル「ユルセン!」

ユルセン「英雄の心をつないだ今のお前なら、英雄のゴーストを呼び出すこともできるんだぞー」

タケル「よし、やってみるよ!」

ユルセンの指示で、アイコンドライバーGを操作するゴースト。すると武蔵ゴースト、フーディ二ゴースト、三蔵ゴーストが現れる。

 

武蔵ゴースト「反撃の狼煙は上がったぞタケル殿」

フーディー二ゴースト「窮地からの脱出をお目にかけよう」

三蔵ゴースト「極楽に行くのはまだ早うございますよ」

タケル「みんな…いくよ!」

ウルティマ・ファイヤー「新たに標的を3体確認。殲滅する」

ウルティマ・ファイヤーが何発も火球を打ち込んでくる。しかし三蔵ゴーストがタケルをかばい、フーディー二ゴーストがタケルを抱えて空へ飛び、武蔵ゴーストが残った火球を切り払う。そしてゴーストが上空から飛び降りて、キックをお見舞いする。初めて攻撃がクリーンヒットしてよろめくウルティマ・ファイヤー。

 

降り立ったゴーストはパーカーゴーストともにオメガフォーメーションを繰り出す。フーディー二ゴーストの鎖がウルティマ・ファイヤーを拘束し、ゴーストは三蔵ゴーストの筋斗雲に乗って空へ飛ぶ。そしてゴーストは急降下してウルティマへと接近し、ウルティマの背後に回った武蔵ゴーストの剣と挟み撃ちにして、勢いを乗せたサングラスラッシャーで切りつけた。

ゴーストが離れると同時に爆発するウルティマ・ファイヤー。

 

タケル「やったか!?」

手応えを感じていたタケル。だが、爆炎の中からウルティマ・ファイヤーは這う這うの体で出てきた。そして近くにあったマコトの眼魔アイコンの残骸を拾い上げる。

 

ウルティマ・ファイヤー「新たなエネルギーを補充する」

ウルティマ・ファイヤーがその手を握り締めると、その炎の装飾がスペクターのような青に変色する。

アラン「まさか、スペクターが使っていたアイコンを吸収した…貴様よくも!」

ウルティマ・ブルーファイア「エネルギー充填完了。標的との戦闘を再開する」

タケル「また強くなったっていうのか…!」

 

だがその時、ウルティマ・ブルーファイアの全身が青い炎に包まれた。

ウルティマ・ブルーファイア「体内にバグ発生、解析不能、プログラム変更、バグと標的を同時に排除する」

ウルティマ・ブルーファイアはさらに燃え上がる。まるで自ら火の手を強めているかのように。

 

アデル「エネルギーが強すぎる…まさか自爆する気か?あのままではジャベルが!」

ウルティマ・ブルーファイアの暴走に、さすがのアデルも動揺を隠せない。

 

タケル「なんだあいつ、自分から焼け死ぬつもりか?」

仙人「あやつは自爆するつもりじゃよ」

タケル「おっちゃんいたの!?っていうか自爆ってどういうこと?」

仙人「モノリスがプログラムでジャベルを操り、さらにマコトの眼魔アイコンをエネルギーとみなして補充した。それがいかんかった。体内でジャベルとマコトの残滓が喧嘩しておる」

仙人「モノリスはそれをバグと判断して自爆で処分するつもりじゃ。巻き込まれる前に逃げるのも手と言えるなあ」

タケル「俺は逃げない。マコト兄ちゃんがわずかでもそこにいるってわかったなら。それにジャベルもそんな死に方はさせられない」

仙人「あれと戦うつもりなら腹をくくれ。今のお前の全力でなければ止められんぞ」

仙人との会話を終えて、改めて向き直るゴースト。

 

タケル「もうこれ以上、命を弄ばせない」

ゴーストはオメガドライブを繰り出す。ウルティマ・ブルーファイアはゴーストのキックを受け止め、炎でゴーストを焼こうとする。

ウルティマ・ブルーファイア「標的を確保。自爆する」

タケル「俺たちの命の炎が、お前に負けるもんか。命、燃やすぜ!」

ゴーストのキックがウルティマ・ブルーファイアを押し切る。一気に上空まで蹴り飛ばされるウルティマ・ブルーファイア。

ウルティマ・ブルーファイア「プログラム失敗、理解不能」

上空で大爆発を起こすウルティマ・ブルーファイア。そしてジャベルが上空から落ちてくる。

 

ジャベル「ぐはっ!一体なんだったんだ」

上空から落ちた衝撃で意識を取り戻したようだ。とはいえ、満身創痍でもう動く様子はない。

すかさず現れるモノリス。エネルギーでジャベルを包み込み、収容してしまった。

タケル「おい待て、お前はなんでこんなこと!」

ゴーストが叫ぶも、モノリスからの返事は火球だった。ゴーストがガードをとっているうちに、モノリスは消えていった。

 

祈りの間にいたアデルの目の前で、帰還したモノリスがジャベルを吐き出した。ジャベルは疲労と屈辱でもはや口もきけない。

アデル「モノリス、これほどの存在だったとは。これは15個のアイコンに対抗するためなのか、それとも祈りを軽んじた警告なのか…」

 

グレイトフル魂の変身が解けると、三蔵アイコンとグリムアイコンは、アランの元に戻っていった。それを受け取ると、身を翻して去ろうとするアラン。

タケル「待ってくれアラン!俺と一緒に戦う気はないか?お前の本当の気持ちがわかった気がするんだ」

アラン「貴様はすぐに知った風な口をきくな天空寺タケル。私はまだ父上の理想を信じている…しかしお前たちの言うことも一理あると思ったに過ぎない」

アラン「私は父上の理想に裏があるのか、父上の理想に背いて救われるのかを確かめなくてはならない。この二つのアイコンもそのつもりで私についてきた」

アラン「ただ、真実を知る前に貴様に死なれても困る。15のアイコンを集める奇跡、また厳しい戦いになれば協力してやらんでもない」

タケル「ありがとうアラン、お前も生きろよー!」

大手を振ってアランを見送るタケル。

 

カノン「アラン様、お兄ちゃん…」

アランを見送って寂しそうにうずくまるカノン。アランとマコト、カノンが再び会えるかどうかはまだわからない。

タケル「ごめんカノンちゃん、俺がいながら」

カノン「タケルさんのせいじゃないんです。タケルさんがアラン様の盾になろうとした時、お兄ちゃんがタケルさんを突き飛ばすのが見えたから…タケルさんがいてもお兄ちゃんはそうしたから」

タケル「マコト兄ちゃんの体は今度こそ取り返してみせる。そのための力をマコト兄ちゃんは残してくれたんだ」

新たな決意をマコトにかけて誓うタケルだった。

 




後編終了。次はなぜこんな展開に変えたかの解説になります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第23話解説編

この作品は仮面ライダーゴーストの23話を一部改変した小説であり、ドラマ・バトルパートに手を加えてます。個人的に疑問に思った部分を変更した作劇であるため、どちらかと言えばタグにある通りアンチ視点です。
初投稿で至らない部分もあるかと思われますが、どうぞお楽しみください。


本編からの変更点の解説に入ります。例によって本編から変更してない箇所は省略してるんですけどね。たとえば、ネクロム&スぺクターVSウルティマや、アランとたこ焼きのシーンはそのまま行間に挟まってるということです。

 

・タケルが頭を冷やしてアカリ、御成、キュビと話し合う

 

タケルは眼魔の世界で見た非道で熱くなっていたので、この気持ちを分かってもらえるとしたらアカリと御成が適任でしょう。マコトはその話になっても本編ではアランの味方、やっぱり眼魔の世界に染まっていそうなところがありますからね。質問に答えない仙人とユルセンは論外。そして、眼魔許すまじで頑なになっていたタケルの心を冷やすのはキュビ。友達第一号なので初心を取り戻せるとしたら彼でしょう。タケルが言いたいことだけ言って八つ当たりし、情報交換しない展開は避けています。ここで落ち着いたから、Bパートまでのタケル君ハートフルボッコ劇場は無しにしてます。

この場合の「ハートフルボッコ」は誤用にあらず。一見いい話に見せかけてタケルが会話させてもらえませんでしたから。

 

・マコトとアランが友になった日の回想

 

マコトがアランをかばい、アランがマコトに執着する人間模様を描きたいなら、この発端は必須だと思うんですが、余計な心配なんですかね。

アラン英雄伝で描かれるらしいよ、やったー!・・・と喜んでる場合じゃない。友情はアランだけの過去じゃないから、スピンオフに回されるマコトの立場がありません。

というわけで第20話のラストでぶった切りにされたアランとマコトの手合わせの続きを描写。生身で戦ってるだけなのに、戦闘や心理描写を詰め込んでるのは、特撮ではよくあること。マコトが剣道なのは10年前の改装で映ったタケルとのチャンバラから来ています。カノンが角材から木刀を仕上げるトンデモ特技が追加されましたが、マコトはクールでもその辺不器用そうだから…。

本編では「施しなど」と断っていたアランが、次のシーンでは食べている謎カットが挟まれましたが、こちらでは友情に免じて食べたということにしてます。

 

・タケルとアランの対話

 

なんか本編ではカプセルの人間についてタケルが質問してたはずが、会話の途中でキレたのかいきなり「アイコンを渡せ!」と胸ぐらをつかんでましたね。アランもさっきまで空腹を満たしていた身なのに無駄に煽る。マコトは今回アランの味方で仲裁しないし、もうグダグダ。情報も意見も交換できてません。

こちらではタケルもアランも落ち着かせ、スタンスを明らかにしました。アランは父上の理想を信じてるから眼魔であり続け、タケルたちは信じられないスタンス。タケルはそれを受けて、同じ父親を信じる息子として、アランの生きざまに手出しはできないと判断します。これが本編と同じでネクロム&スぺクターに手を貸さない理由になります。

これはこれである意味問題行動に見えますよね。友達になろうとした眼魔が一人、死ぬかもしれない。マコトは一緒に戦ってるけどタケルは見てるだけ。でもね、言わせてください。自分はタケルのボイコットでアイコンが逃げる展開の真逆を書きたかったと。今までアイコンは眼魔から人を守るために戦ってきたはず。アイコンもまた眼魔を犠牲にしてきたのです。それなのに、タケルが自暴自棄になったからって、「眼魔の世界とのつながりを断つ」という今までの戦いから得た願いを否定するのが矛盾してます。というか状況だけ見れば、「アランを助けないから逃げた」ですよね。アランは今まで戦ってきた眼魔の作戦を指揮してきたのに、何じゃそりゃ。それに、タケルはやみくもに眼魔と友達になろうとしてたわけじゃありません。相手の善性を見極めようとしてたし、それでも戦いを望むなら受けて立った。そういう分別はあったはずです。マコトが「何してる戦え!」と怒鳴ったのも、マコトの勝手ですよね。なぜ勝手にタケルが友達になる眼魔にアランも含めているのか、なぜ友達のアランについて「あいつはああ見えてもいいやつなんだ、実はな~」という具合でどうやって友達になったか教えないのか。

これを踏まえて、タケルはアラン本人が人間らしい感情を持つまで動きません。アランが父上を信じて、眼魔として生きようとするのを尊重してるからです。眼魔同士の戦いに乗じてアランもジャベルもも倒そうとしないのがせめてもの筋。アランから関係ないと言われてるのだから、お節介を焼くのは無粋というもの。甲冑眼魔との決闘みたいなものです。マコトにもアランを助けるのは正義でも何でもなく「わがまま」だと言わせます。アランが人間の世界で生きる可能性が今のところ見えないのであれば、自分だけでも友達でいる、それしかありません。アイコンももちろんタケルの判断で逃げたりはしません。何にでも首突っ込んで、判官びいきするのが偉人の仕事じゃありませんからね。

アランは自分が死の恐怖、マコトの最期、人間の命がけになれる強さを見たことで、もう一度タケル達の言う真実を確かめようとする。そんなラストにしました。アイコンは戦う時だけ貸してもいいということに。タケルから距離を置いてるアランから、グレイトフルになるたびにアイコンが意に反してとられるのは哀れですからね。

 

・グレイトフルの変身条件

 

本編だと15のパーカーゴーストが認めたから?それってアイコン任せになってしまうのがどうにも。多数決(タケルとしゃべってないアイコンもいる)で決まったことになりますけど、これで英雄の心をつないだことになるのでしょうか。そもそもパーカーゴースト同士でしゃべる機会もありませんでしたし、こんな時でないとお互いに会話もできなかったんじゃないでしょうか。なんか身内が問題起こしたから集まって相談し、久々の一体感を得た疎遠な親戚みたいですね。

こちらではタケルとマコトとアランがアイコンを集めて心を一つにしたから、英雄の心もつながったという設定にしてます。ゴーストとスぺクターとネクロムがそのカギだったというわけです。

三蔵ゴーストが奇跡と呼んだのは、ドライバーがバラバラの人物にわたったから、今後もなにかで心を一つにしていける保証はないという意味です。グレイトフルが今後も登場するメタ的な都合上、アランはアイコンを貸すのをツンデレ気味で了承してくれましたが。

 

・ウルティマ・ファイヤーとのバトル

 

ウルティマ・ファイヤーは尺を取るべきだと思いました。youtube公式配信のライダー魂では、シバルバさん(CV:スネイプ、メンドーサ)が変身して猛威をふるいましたが、5分構成と限られてるのが残念なところ。テレビではもっと時間取れるわけです。ライダー魂では激戦を繰り広げたのに、テレビでは秒殺される駒にされたのはもう忘れたい。

こちらでは炎を使った攻撃や、シバルバさんと同じく捕まえた対象を糧にする力も追加。グレイトフル魂も新技を大盤振る舞いできるというものです。そして、マコトの眼魔アイコンを吸収したことで、オリジナル形態のブルーファイアにさらなる強化変身。マコトが残っていたと言っても、残留思念のようなものなので、マコトの魂自体は眼魔の世界の肉体に戻って無事(?)です。単にスぺクターカラーになっただけでなく、ガスバーナーの青い炎のように火力も上がっている設定です。そしてモノリスがジャベルの意思や、マコトの残留思念を無視して機械的に操っているのも強調、グレイトフルに匹敵する脅威として描写してます。暴走しなかったらグレイトフルでも危なかった。ユルセンや仙人がマジになるレベルです。

 




コンセプト解説だとどうしてもアンチ意見となりますが、あしからず。読了ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第33話

この作品は仮面ライダーゴーストの33話を一部改変した小説であり、ドラマ・バトルパートに手を加えてます。個人的に疑問に思った部分を変更した作劇であるため、どちらかと言えばタグにある通りアンチ視点です。


タケル「父さんが英雄のアイコンを託した理由は、俺の無限の可能性を信じてくれたから。五十嵐さんもそう信じてくれた。俺はその思いにこたえてみせる。俺には英雄がついてるんだ!」

~アバン終了~

 

ガンマイザ―出現を察知し、戦いに臨むタケル、マコト、アラン。ガンマイザ―・ファイヤーに動きを封じられるゴーストとスペクター、苦戦するネクロム。だが、アカリの援護に応えて、グレイトフルとディープスペクターは少しずつ動きを取り戻してゆく。

その時、静観していたもう一体のガンマイザ―・グラヴィティがガンマイザ―・ファイヤーと融合する。ガンマイザ―・ファイヤーの赤い体に、ガンマイザ―・グラヴィティの水色が混ざり、白い装飾部分が黒点のように点在する紫の装飾となる。炎と重力を併せ持つ太陽のごときガンマイザ―が誕生した。

 

ガンマイザ―・アポロン「排除」

ガンマイザ―・アポロンが放つ火球は、3人のライダーに引き寄せられるかのように集まり、爆発する。またしてもダメージを受けてダウンするグレイトフルとディープスペクターとネクロム。

それでも、グレイトフルはオメガドライブでガンマイザ―・アポロンに挑む。ガンマイザ―・アポロンは爆散、やったか!?しかし爆炎が自然と集まり、ガンマイザ―・アポロンは復活する。そして手をかざすと、グレイトフルの持つ英雄アイコンは全て重力に吸い寄せられ、ガンマイザ―・アポロンに奪われてしまう。グレイトフルもとうとう変身解除させられる。それを見計らったように、アデルが現れる。

 

アデル「ご苦労だった。これで我々の完全勝利だ」

 

マコト「アデル…俺たちはまだ負けちゃいない!」

 

アデル「英雄アイコンのないお前たちに何ができる。まだ奪い返せると思っているのなら、その浅はかな希望も砕いてやろう」

 

アデルが合図すると、ガンマイザ―・アポロンは、炎を重力で圧縮し、太陽のような火の玉を作り出す。その巨大な火の玉に奪った英雄のアイコンを全て投げ込む。火の玉の中で焼かれる英雄のアイコンたちは悲鳴を上げ、脱出しようと飛び回るが、炎と重力に阻まれ、苦しむしかない。

 

アデル「進化したガンマイザ―の力なら、英雄のアイコンも完全破壊できる。お前たち凡人があがめ、頼りにしてきた英雄の亡霊も、これで無に還る。ハハハ!」

 

アラン「三蔵とグリムを返せ…兄上ぇ!」

ネクロムがその身を液状化させて、アデルに突撃する。アデルに取りつき、眼魔コマンドを吸収したように、眼魔としてのエネルギーを全て奪いつくそうとしている。これこそがネクロムの奥の手。相手に脱出されない限り、アイコンや眼魔の戦闘能力を奪い取ってしまう技だが、アデルは動じない。

 

アデル「孤独だった頃に使っていたアイコンに、愛着でも湧いたか?寂しい奴め。そんなお前に兄は越えられない」

アデルは眼魔ウルティマに変身、さらにガンマイザ―・アポロンからエネルギーを受け取り、眼魔ウルティマ・ファイヤーになる。眼魔ウルティマ・ファイヤーは熱を放射して、液状化したネクロムを蒸発させようとする。たまらず離脱して変身解除するネクロム。

アラン「そんな、ジャベルを暴走させたガンマイザ―の力も、兄上は我がものにしていたというのか」

 

アデル「愚かな弟だ、ネクロムのその機能も破壊してやった。これが今の私が手にした力。英雄と言えど、神には勝てない」

 

タケル「たとえ相手が神だろうと、俺たちはお前たちには負けられないんだ!」

体を引きずり、なおも戦おうとするタケル。その時、周囲が暗闇に包まれた。その場の一人を除いて、誰も何も見えない。混乱するタケルとアランの声が遠ざかってゆく。そして暗闇が晴れると、その場には眼魔ウルティマ・ファイヤーと、ガンマイザ―しか残っていなかった。

 

アデル「今のは、ディープスペクターの幻影か。太陽を消してみせるとでも見得を切ったつもりか、負け惜しみを」

 

ガンマイザ―・アポロン「アイコン完全破壊まで、残り24時間」

 

アデル「思っていたより時間がかかるな。お前はそれに集中しろ。英雄にすがろうとする凡人どもが来たなら、私が倒す」

 

ディープスペクターの幻覚で、何とか大天空寺まで逃げ帰った一行。

タケル「何で俺たちを連れ帰ったんだマコト兄ちゃん!」

 

アラン「そうだ、逃げるどころか、アイコンたちを見捨てる気か!」

 

マコト「冷静になれ、二人とも。俺も一刻も早くノブナガやツタンカーメン、フーディ二を取り返したい。だが、今の俺たちでは勝てないのも確かだ」

 

眼魔ウルティマ・ファイヤーはディープスペクターが引き受けるにしても、さらにガンマイザ―を相手取り、あの火の玉からアイコンを取り返さなくてはならない。

 

アカリ「ガンマイザ―は私が対策を立てるわ。不死身のあいつでも、一度は眼魔の世界に還らないと復活できない。この間のゲートの分析結果を応用してそれを妨害するのはどう?」

 

アラン「ガンマイザ―は私が引き付けよう。ガンマイザ―の影響が少ないネクロムなら持ちこたえやすいはずだ」

 

カノン「アラン様、無茶はしないで」

 

アラン「大丈夫だカノン。今度は仲間の作戦を信じる」

 

御成「流石ですぞ、アカリ君。拙僧たちは、眼魔の連中を見張っておきます。行きますぞ、シブヤ、ナリタ」

 

タケル「じゃあ後は、俺があの火の玉からアイコンを取り返すだけだね」

 

マコト「タケル何言ってる、そんな危険なことさせられるか!」

 

タケル「危険なのはわかってる。でも、あの中に飛び込んでも死なないのは、肉体のない俺だけだ。だから他のみんなががんばってる間に、俺がやるしかない」

 

アカリ「いくら肉体がなくても、痛みはあるんでしょ。太陽の中なんて、人間の意思で耐えられる環境じゃないわ!」

 

タケル「そりゃ、俺も正直…怖い。それでも、英雄のみんなは耐えて待ってるんだ。それにこたえられずに、英雄の心をつないできた今までを嘘にしたくないんだ」

 

タケルのそこまでの覚悟に、一同は言葉も出ない。アカリの秘密兵器完成を待って、作戦決行だ。

 

その夜、木陰に紛れて空き地のガンマイザ―とアデルを見張る御成、ナリタ、シブヤ。暗がりでも火の玉の発する光で、アデルとガンマイザ―の人影、そして火に焼かれるアイコンは視認できる。

シブヤ「なんか、アイコンが焼かれるのを見張り続けるってつらいです」

シブヤが目をそらす。

 

御成「いけませんぞシブヤ。ここは苦しかろうと、アイコンの踏ん張りを私たちが見守り、応援しなくては!」

 

ナリタ「それでも悲鳴がここまで聞こえるんですよ。もし俺たちが見てる前で限界になったりしたら…」

 

アデル「心配なら教えてやろう。昨日からちょうど24時間後、明日の昼には破壊できる」

いつの間にか3人の近くに眼魔ウルティマ・ファイヤーの姿が。

 

御成「あ、あ、アデル―ッ!なぜここに!」

 

アデル「夜に忍んでくるかもしれないと、ガンマイザ―を分裂させ、私の身代わりに立てておいた。しかしお前たちだけでは、私が手を下す価値もない」

 

御成「何ですと!一寸の虫にも五分の魂!この御成も立派なゴーストハンターですぞ!」

 

ナリタ「御成さん落ち着いて!」

 

シブヤ「僕たちで勝てるならこんな苦労しないはずだから!」

 

アデル「そうだ、戦えもしない凡人の中の凡人はおとなしくしていろ。天空寺タケル、深海マコト、アランに伝えろ。英雄のアイコンが惜しければ、明日の昼までがリミットだと」

 

ナリタ「大変だ、速く知らせないと!」

 

シブヤ「ほら、御成さん速く戻らないと!」

 

御成「拙僧も挑戦は受け取りましたぞ!明日になったらぎゃふんと言わせてやりますからな!」

そそくさと立ち去る3人を冷ややかに見送るアデル。

 

アデル「無様だな。天空寺タケル、深海マコト、アランお前たちはどうする?英雄のアイコンを見捨てれば、お前たちは戦えないとみなし、見逃してやろう」

 

次の日の昼前。

アデル「遅い…やはり来ないか。英雄たちよ、これがお前たちの世界の人間だ。持て囃された英雄も、所詮役に立たなければ捨てられるのみ」

 

だが、もはや悲鳴を上げず飛び回る力もない英雄のアイコンから声が。

 

武蔵アイコン「タ…」

龍馬アイコン「ケ…」

卑弥呼アイコン「ル…」

 

ノブナガアイコン「マ…」

ツタンカーメンアイコン「コ…」

フーディ二アイコン「ト…」

 

三蔵アイコン「ア…」

グリムアイコン「ラ…」

五右衛門アイコン「ン…」

 

エジソンアイコン「あ…」

ロビンアイコン「り…」

ニュートンアイコン「が…」

ビリーアイコン「と…」

弁慶アイコン「う…」

 

アデル「なぜ礼など言っている?とうとう壊れたか?」

 

そのアデルの元へ、紫の光弾が炸裂する。アデルは素早く眼魔ウルティマ・ファイヤーに変身してダメージを防ぐ。

 

アデル「マコト、お前はもう少し賢いと思っていたがな」

 

マコト「誰かを助けるために戦えなければ、力を得た意味がない。あなたは俺が倒す」

 

アデル「ガンマイザ―ではなく、私になら勝てると?舐められたものだな…」

眼魔ウルティマ・ファイヤーは火球を放ち、応戦する。

 

ガンマイザ―・アポロンにはネクロムが挑む。ガンマイザ―・アポロンが必中の火球を放つが、それをうまくかわし、時にはネクロムデストロイで相殺させてゆく。重力で誘導弾にしている分、相手の意図する軌道も読みやすい。とはいえ、防戦一方だ。

 

そんな中、タケルは闘魂ブーストに変身、英雄アイコンが囚われた太陽のごとき火の玉に飛び込む。火の玉の表面に近づくと勢いよく内部に吸い込まれたが、そこは想像を絶する焦熱地獄、しかも中心に引き寄せられるばかりで自由がきかない。

タケル「うわあああ!熱い!…でも、待ってるんだ、英雄のみんなが俺を…!」

 

タケルはアイコンに手を伸ばそうとするが、アイコンは重力によってあちらこちらと飛ばされる。必死になってやっとつかんだものは、アイコンドライバーG。タケルは、アイコンを集める方法は、やはりあれしかないと思いつく。タケルは一旦ゴーストの変身を解除する。その瞬間に直接襲い来る熱と重力、生身なら死んでいてもおかしくない苦痛がタケルを苛む。

 

タケル「ぐわああ!…ぐっ、まだまだ、命…燃やすぜ!」

タケルはアイコンドライバーGを装着してグレイトフルに変身、その瞬間、散らばっていたアイコンも、タケルの元へ戻ってくる。

タケル「おかえり、みんな!」

 

ところが、グレイトフルに変身しても、火の玉から抜け出せず、熱と重力に耐えるので精いっぱいだ。このままでは、タケルもこの中から出られない。

タケル「生きて帰るんだ、みんなの元へ!」

 

一方、ディープスペクターは眼魔ウルティマ・ファイヤーと互角の戦いを演じていた。紫の光弾と火球が飛び交って相殺し合い、その爆炎の中をディープスペクターと眼魔ウルティマ・ファイヤーが走り、ディープスラッシャーと剣で鍔迫り合う。

 

アデル「天空寺タケルが自分から火の中に飛び込むとはな。認めてやろう。お前たちは臆病者ではなく愚か者だ」

 

マコト「タケルは確かにバカだが、あいつのやることが無駄だと思わないことだな。あいつのまっすぐな思いが、いつだって人を救ってきたんだ。そうだろタケル!」

 

ガンマイザ―・アポロン「戦闘プランを変更」

その頃、ガンマイザ―・アポロンが火球での攻撃をやめ、重力でネクロムを吸い寄せようとする。

 

アラン「それを待っていた!」

ネクロムは自らパーカーを脱ぎ捨てる。そのパーカーがガンマイザ―・アポロンに勢いよく吸い寄せられてその身に取りつくと、急にその動きが鈍る。ネクロムゴーストの乗っ取り能力が、ガンマイザ―の動きに干渉しているのだ。

 

アラン「動きは封じた、今だ!」

 

アカリ「ナイスよアラン!」

陰で待機していたアカリが秘密兵器を作動すると新たな異世界へのゲートが開き、自由に動けないガンマイザ―・アポロンは吸い込まれていく。

アカリ「奴の行先は眼魔の世界じゃない。どこか別の、次元の歪みよ!」

 

御成「やりましたなアカリ君!拙僧たちもあれから徹夜で手伝った甲斐がありましたぞ!」

 

アデル「ガンマイザ―が消えただと?凡人どもがふざけた真似を…」

 

御成「人間をバカにするからこうなるんですぞ!ぎゃふんと言ってみなされ!」

 

アカリ「そうよ、ガンマイザ―だけじゃなく、人間も進化してるのよ!」

 

しかし、その喧騒を破るように空にゲートが出現、そのゲートの封印を砕き、ガンマイザ―・アポロンが再び現れる。

 

ガンマイザ―・アポロン「新たに消去目標を確認」

 

御成「また出たー!」

 

アカリ「そんな…」

アデル「その様子だともう打つ手なしか。お前たちでは不覚を取るのがせいぜいだったようだな。そいつらも消せ」

 

ガンマイザ―・アポロン「了解」

 

アラン「させるかー!」

ネクロムが仲間をかばおうとするが、火球をまともにぶつけられ、変身解除させられる。

 

アラン「守れない…こんな時、タケルなら守れたのか…」

 

アカリ「そうよ、タケルも悔しいはずよ。戻ってきてよタケル!」

 

御成「そうですぞ、タケル殿が帰ってくれば圧勝ですぞ!」

 

ナリタ「タケルさんは、人のために悲しんできた!」

 

シブヤ「タケルさんは、人に勇気をくれた!」

 

カノン「タケルさんは、笑顔で励ましてくれた!」

 

仲間たちの声は、タケルにも届いていた。

 

タケル「みんなごめん、俺も今すぐみんなを助けに行きたい…」

 

武蔵アイコン「泣くなタケルよ…英雄にとっては、今聞こえる周りの声こそ力なのだ」

 

タケル「周りの声が…?」

 

卑弥呼アイコン「英雄も元は人間。周りの様々な声により、己の心を奮い立たせ、偉業を成し遂げてきた」

 

龍馬アイコン「だから周りの声で弱気になるな。自分の心で応えるのだぜよ」

 

タケル「分かったよみんな。すべての人の感情こそが、英雄を生み出してきたんだ!」

 

仲間の必死の声援で、タケルの心中に駆け巡る喜び、怒り、悲しみ、楽しみ、勇気、信念、愛。それがタケルに新たな資質を目覚めさせる。

 

エジソンアイコン「この光は…」

 

ロビンアイコン「英雄にも匹敵する心の光…」

 

ニュートンアイコン「人々の無限の感情を受け止めようとする心…」

 

ビリーアイコン「それこそ英雄の器だ!」

 

弁慶アイコン「さあ、お主も英雄となる時だ!」

 

光とともに、ゴーストは“タケルの英雄としての姿"、ムゲン魂に変身した。そのまま光の粒子に変身すると、太陽の重力にも捕まらない速さで、英雄アイコンとともに火の玉から脱出する。

 

タケル「みんなお待たせ…!魂は永遠に不滅だ!」

 

タケルの帰還に仲間たちが歓喜に湧く。

 

アデル「新たなアイコンだと…だが、今のガンマイザ―は全てのアイコンを完全破壊する。すぐに火炎地獄へ送り返せ!」

 

ガンマイザ―・アポロン「排除」

 

ガンマイザ―・アポロンが必中の火球をぶつけるが、ムゲン魂はガンガンセイバーで軽く薙ぎ払う。ムゲン魂はさらに手をかざし、光の波動を放つ。ガンマイザ―・アポロンは重力で吸い込んで無効化しようとするが、重力場にすら捕まらないスピードで、光の波動は通り抜け、ガンマイザ―・アポロンに命中する。

 

ガンマイザ―・アポロン「標的の戦力、分析不能」

 

アデル「どういうことだ?英雄に頼るしかなかった凡人ごときが、なぜこれほどの力を!」

 

タケル「俺はずっと英雄のみんなに追いつきたいと思ってきたんだ。どんな人間でもその心があれば英雄になれる。それが無限の可能性だ!」

 

アデル「無限の可能性だと?力とは選ばれし完璧な存在にのみ許されたものだ!」

 

マコト「アデル、あなたが目指す完璧は、未知の可能性を排除してしまっている。あなたも変わるべきなんだ!」

 

ディープスペクターはゲキコウモードを発動し、ギガオメガドライブによって飛翔しながらのキックを繰り出し、炎の斬撃を飛ばす眼魔ウルティマ・ファイヤーと激突する。

それと同時にムゲン魂もゴッドオメガドライブを発動し、ガンマイザ―・アポロンにとび蹴りを繰り出す。ガンマイザ―・アポロンはアイコンを燃やしたのと同じサイズの巨大火の玉をぶつけるが、ムゲン魂はそれをも突き抜け、ガンマイザ―・アポロンを蹴り飛ばした。爆散するガンマイザ―・アポロンだが、眼魔の世界には戻らず、その場でモノリスに再生する。

 

タケル「お前のやろうとしてることは御見通しだ。もう逃がさない!」

 

傍観していたユルセンと仙人は驚く。

ユルセン「どうなってんの!ガンマイザ―逃げられないのか?」

 

仙人「あの様子だと、タケルはガンマイザ―がモノリスに再生するシステムを見ぬいておる。そしてガンマイザ―に対して“眼魔の世界に戻った"と思い込ませた。ディープスペクターと似た系統の能力があるのじゃろう。10年前から進化したガンマイザ―に追いつくとは、これが龍の言っていた可能性か…」

 

ムゲン魂はガンガンセイバーから必殺技ヨロコビストリームを繰り出す。モノリスに戻ったガンマイザ―は、逆に自らが完全破壊されてしまった。

 

それとほぼ同時に、ディープスペクターの蹴りが眼魔ウルティマ・ファイヤーの剣を押し切り、眼魔ウルティマ・ファイヤーは爆発し、変身解除。アデルは自ら纏っていたガンマイザ―の力も失った。

 

アデル「ガンマイザ―単体を操るだけではこの程度か。すべてのガンマイザ―を使いこなしてこそ、完璧に近づけるはずだ」

ガンマイザ―のコントロールを盤石にしようと誓い、撤退するアデル。

 

タケル「ありがとう、みんな。みんなの声があったから俺…」

 

アカリ「バカ、無茶してからそんなこと言わないの」

 

御成「信じてましたぞ、タケル殿」

 

マコト「あれだけとんでもないことをしておいて…本当に甘い奴だ」

 

アラン「お前は仲間のところに帰ってこなければならなかったからな。当然だ」

 

カノン「本当に良かったタケルさん」

 

シブヤ「一件落着ですね」

 

ナリタ「さ、帰りましょう。みんなおなかすいてるでしょ」

 

英雄として仲間たちの元に凱旋したタケルだった。

 

 




解説編に続く。設定上、ムゲン魂はポジティブな幻影、ディープスペクターはネガティブな幻影を見せられるそうです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第33話解説編

本編からの変更点を解説します。ガンマイザ―出現から融合するまでの戦闘は本編と同じ。



・ガンマイザ―・ファイヤー+ガンマイザ―・グラヴィティ=ガンマイザ―・アポロン

 

ガンマイザ―・ファイヤーが単にパワーアップしたというより、いいとこどりの融合形態と言うことに。38話で全員合体したパーフェクト・ガンマイザ―(蓮華や数珠の意匠がある奴)も、設定上全ガンマイザ―の能力が使えるらしいので、2体合体でもあり得る話。というか、ガンマイザ―・ファイヤーはいくら進化してもディープスペクターのサンドバックだったので、こっちでは融合してディープスペクターよりも強くなった扱い。

重力で火球を相手に引き寄せて必中にしたり、オレアイコンを破壊して見せた通り、アイコンの完全破壊ができます。さらに眼魔ウルティマを強化するなんていう23話でやってた懐かしい技も。

 

・アデル参戦

 

“アデル完全勝利"というアオリに合わせて、アデル自身もアイコン完全破壊作戦に参加。

アデル完全勝利(見てるだけ)だと、便乗臭いので。ガンマイザ―の力を手にしたから、邪魔なアイコンは破壊してOKと言うスタンスです。今回相手を“凡人"と見下すことが多いですが、アカリたちがそれなりに戦ったり、凡人だったタケルが英雄レベルに成長したという切り返しを見せるための前振りですね。眼魔ウルティマ・ファイヤーに変身したのはこれが最後の変身チャンスであるのと、ディープスペクターの相手を用意するのが目当てです。そしてジャベルのように暴走しないことで、ある程度力を使いこなしてるのをアピール。本編じゃ振り回されてるようにしか見えない?暴走フラグなんでしょうけど、なんでアデル本人にバレバレなくらい乱立するのかな…

 

・ネクロムの活躍具合

 

まず最初にアランがキレる理由が「三蔵とグリムを焼かれたから」になってます。「世界の宝物である花を燃やされたからキレる」のも気持ちはわかりますが、それで自爆しようとするのはいただけません。すなわち、今までの戦いでは草木一本傷ついていなかったか、自爆するほどキレていなかったか、どちらかと言う不自然なことになってしまうからです。「花を燃やした相手に爆弾持って特攻する」と考えると、やり過ぎな気がしてくるでしょう。

 

そういうわけで、こちらでは奥の手が液状化と眼魔コマンドからのエネルギー吸収の複合技に変更。技名つけるなら「リキッドレイン」とか多分そんな感じ。変身前のアデルに使って降伏させようとしたものの、眼魔ウルティマ・ファイヤー相手だと相性が悪かったということです。液状化とエネルギー吸収の機能は、この時破壊されたということに。本編で使われる気配が全然ないので、派手に壊されてた方がマシです。「生身の体だから使えない」と言う俗説はありますが、幽霊でもないのに液状化できるライダーや怪人が何人もいた前例を考えると納得しにくいところです。

 

後はガンマイザ―・アポロン相手に一人で粘ってみたり。勝つのは難しくても、既存のスペックを色々試すのはできると思います。乗っ取りゴーストもそうだし、ネクロムは序盤に見せたスペックがなかったことにされて弱体化してるのが残念。

 

・アイコン消滅の危機

 

タケル消滅の危機(これで何回目?)ではありません。英雄アイコンが大ピンチからの、ムゲンアイコン誕生につなげるのが目的です。英雄アイコンもタケルがムゲン魂の境地に至れるまで、バトンを渡す役目を担いました。

そのために、タケルが火の玉に飛び込むなんて無茶をしましたが、劇中でいわれている通り、死にません。ただ、ムゲン魂の境地に至らないと脱出できなかったので、死なない代わりに火の玉から出られない、どこかのフェニックスのような最期になってたかもしれません。これはタケルが幽霊であるための、メリットとデメリットを強調したかったがための展開ですね。タケルが自己申告した通り、幽霊だから死なずに助けに行けるけど、死んで終わらない苦痛を受けることにもなるわけです。

 

・ムゲン魂の理由付け

 

ムゲン魂はいまだに必殺技を小出しにしてるせいか、個人的にはよく分からないフォーム。登場話では必殺技ぶっ放すだけで全貌は見せないと思ったら、次からは2話構成で7種類の必殺技発現て…。7つの感情で復活したから強いといっても、直前のグレイトフルは15の偉人の魂をつないだフォームですし。

 

まず誕生の経緯は、タケルがみんなの声援をより偉大な力に変えられる、すなわちタケルも英雄クラスの心を持ったということに。火の玉に自分から飛びこめるんだから、そのくらいはね?英雄も世間からの声を何かしらの思いに変えて偉業を成し遂げた、だから仲間の声は英雄をも越えられるというロジックで結び付けました。石川五右衛門とか、声援を送られなさそうな偉人もいますが、そちらは逆の意味で注目を浴びており、著名な偉人は何かしら世間の業を背負っているという解釈です。タケルが英雄になった姿が、ムゲン魂と言うことです。

 

ムゲン魂の戦闘では、光の波動を出せるとか、ガンガンセイバーで戦うとかの基礎スペックの披露も忘れずに。登場話から2週間置いて「光のライダー」と呼ばれても、定着しないものです。ガンマイザ―をモノリスに戻せたのは、「そういう能力」と言う説明ではなく、ガンマイザ―に「眼魔の世界に還った」と誤認させたということに。ご都合主義的なピンポイントメタではなく、タケルが狙って誤認させたということです。根拠として、ムゲン魂は「心の隙がある相手なら強制改心させられる」レベルの幻影を見せる力があるそうです。逆にディープスペクターは「相手を絶望と恐怖で戦闘不能にする」レベルの幻影を見せる能力が。ついでにネクロムにも幻影を見せる力があるとか。ディープスペクターの幻影は本人以外の全員に影響が及ぶから迂闊に使えない、と言う風に描写しましたが、何でこんな便利能力誰も使わないんでしょうね。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第48話

仮面ライダーゴーストのif展開です。乱戦注意。


タケル「アカリたちの頑張りで、モノリスが眼魔の世界につながった。でも、アランが先に一人で乗り込んでいってしまった。こうしちゃいられない!俺たちも後に続いて、この戦いを終わらせるんだ!」

 

~アバン終了~

 

タケル「マコト兄ちゃん、行こう!」

 

マコト「ああ!」

 

アカリ「私も行く」

 

眼魔の世界への突入に、タケルとマコトだけでなく、アカリも名乗りを上げる。

 

タケル「でも危険だ!」

 

アカリ「タケルの力になりたいの」

 

御成「拙僧どもがついていなければ、誰がタケル殿をとめるのです?」

 

カノン「私も行きます」

 

シブヤ「僕らも行きます」

 

ナリタ「眼魔世界か…」

 

復讐心に揺れるタケルや、不調のマコトを心配してか、その場の仲間たちはついていこうとする。しかし、シブヤとナリタに至っては、勢いに任せたのか少し腰が引けている。

 

タケル「みんな本当に無理しないで!ここは俺を信じて待っていてほしい。もしも、みんなが父さんと同じような目にあわされたら……俺はその時こそアデルを許せなくなる」

 

今のタケルは、アデルに報復すべきか、許すべきか、自分の心の整理で胸いっぱいだ。ついてきてくれる仲間をかばう余裕はない。だからこその、突き放すような口調に、周囲はその心中を察して黙り込む。

 

マコト「そうだ、眼魔の世界はその空気を吸うだけでも危険だと、みんな知っているはずだろう?タケルの迷いはタケル自身に決めさせて、できることをやるんだ」

 

マコトはタケルの意見に助け舟を出す。

 

御成「確かに拙僧どもがタケル殿の枷になっては、逆効果ですが…」

 

アカリ「けど、私達だけじっと待ってるなんて…」

 

そう諭されても、御成やアカリは踏ん切りがつかないようだ。

 

その時、モノリスのゲートから、眼魔コマンドが次々に出現する。

 

御成「な、なっ!何事ですか!」

 

アカリ「まさか…アランが通ってきたことに気づいてこのゲートを破壊しに来たの?」

 

アカリの推測は当たっているらしく、ゲートから出てきた数体の眼魔コマンドは、モノリスに取りついて壊そうとしている。

 

タケルとマコトは止めるために、変身しようとする。だが、それよりも速く、木の杖の一撃が、飛来した光弾が、2本の竹内による挟み撃ちが、眼魔コマンドを撃破していた。

 

御成「だとしたら、拙僧どもはこちらに残って、ゲートを守っていなければならないようですな!」

 

杖を振り回し、張り切る御成。

 

タケル「そんな!みんなだけにここを任せるなんて…」

 

アカリ「信じて残れって言ったのはタケルでしょ?それなら私たちも信用してよね」

 

タケルの不安を笑い飛ばすように、アカリは不敵な笑顔で不知火・改を携えている。

 

シブヤ「僕たちだって、こっちの世界でゲートを守るくらいなら何とか!」

 

ナリタ「俺たちなら大丈夫です!」

 

緊張しながらも竹刀を構えるシブヤとナリタ。

 

戦闘態勢を取る面々を見て、眼魔コマンドは攻撃目標を変える。先に邪魔をする人間たちを倒そうと、その場の全員に襲い掛かる。自力で身を守る術を持たないカノンにまで、眼魔コマンドの魔の手が及ぶ。

 

カノン「きゃっ!」

 

マコト「カノン!」

 

タケル「危ない!」

 

しかし、カノンを取り囲む眼魔コマンドたちの顔が変化する。上から鮮やかな絵の具を塗りつけられた、ぐにゃぐにゃの抽象画じみた見た目に変色し、眼魔コマンドたちは混乱する。さらに、不協和音に乗せられたエネルギー波が、眼魔コマンドたちに命中し、撃破する。

 

カノン「これって、もしかして…」

 

キュビ「カノンちゃ~ん、久しぶりなんだなあ~」

 

音符眼魔「ラララ~♪、長きスランプを経て、帰ってきましたぞ~♪」

 

カノン「やっぱり!キュビと音符さんだ!」

 

タケル「キュビ!音符眼魔!帰って来たのか!」

 

地下室の階段から降りてきたのは、キュビこと画材眼魔と音符眼魔。スランプから意気投合し、自分の芸術を探求するために放浪の旅に出ていた二人だ。

 

キュビ「タケルも、カノンちゃんも、大天空寺のみんなは友達。だから、友達が待っていてくれる場所を守りに来たんだな!」

 

音符眼魔「スランプの間に、あの青年が思い悩んでいた気持ちが、少しわかった気がしました。死ぬほど思いつめても、死んでしまっては、作曲もできない。どうか、かつての罪滅ぼしをさせてください」

 

かつて音符眼魔がアイコンを得るために自殺にまで追い込もうとした青年・君島康介も、作曲のために命さえ投げ出そうとする捨て鉢になっていた。タケルたちに康介の自殺を阻止された当時は気づかなかったが、旅で自分を見つめなおした今なら、彼の苦しみが分かる。だから、取り返しのつかなくなる前に止めてくれた、タケルたちの力になりたい。

 

キュビ「本当なんだな。音符君も今では僕の友達、信じてほしいんだな」

 

タケル「…ありがとう、キュビ、音符眼魔。みんなの言うとおりだ。アデルとだって、きっと分かり合える!」

 

キュビや音符眼魔のおかげで、タケルも眼魔との和解を夢見たことを思い出す。そして少し安心する。自分たちの仲間は、こんなにも心強かったのだと。

 

カノン「お兄ちゃん、今のうちに早く!」

 

マコト「ほら、行くぞタケル。みんなはそれぞれやるべきことを見つけたんだ。グズグズするな!」

 

カノンに促され、マコトが後ろ髪引かれる思いのタケルをゲートまで引っ張っていく。

 

タケル「みんな…無事でいてくれよ!」

 

タケルとマコトはゲートの向こうに飛び込む。

 

眼魔の世界に足を踏み入れて間もなく、タケルとマコトの目の前にダークゴーストが現れる。思わず身構えるタケルを、ダークゴーストは慌ててなだめる。中身はアルゴスではなく、イーディスだった。

 

イーディス「さっきアランから伝言を預かってな。戦う前に聞いてくれんか」

 

アランからタケルたちへの伝言とはこうだった。

 

アラン「私は家族として、兄上の心を開きたい。昔の兄上の心を思い出させれば、こんなことをやめてくれるはずだ。私が先に挑む間、タケルやマコト達には手を出さないでほしい。無論、イーディス長官、あなたもだ」

 

イーディス「開発者として言わせてもらうが、ネクロムの力だけではガンマイザ―には勝てん。それにアデルはお主にも容赦はせんぞ」

 

アラン「私には一つ作戦がある。私は決して一人で戦うわけではない。兄上が分離しても、ガンマイザ―の暴走が止まらなければ……その時は頼む」

 

イーディス「あくまで兄を救いたいということか。わしが勝ち目云々で止めるのも野暮な気がしてくるな。思う存分やってこい」

 

アランの決意に何か勝算を感じたイーディスは、そのままアランを見送ったのである。

 

タケル「そっか、アランもアデルと戦いたくないんだね。わかるよ」

 

マコト「しかし、アランがやられてしまっては元も子もない。俺たちも駆けつけて、見守ってやらないと…」

 

タケル、マコト、イーディスは走るが、その前にイゴールが立ちはだかる。しかし、今までの余裕は感じられず、何かの声を無視するように頭を抱えて耳をふさぎ、ようやく自分を保っているようだ。

 

イゴール「侵入者発見。…排除しますよ…アデル様の命で…」

 

タケル「様子がおかしい…イゴールもデミアに乗っ取られてる?」

 

マコト「あいつも利用されていたのか…」

 

イーディス「イゴール、もう無茶はよせ!お主、自分で作ったシステムに自ら取り込まれるつもりか?」

 

イーディスの忠告が癇に障ったのか、イゴールははっきりと彼本来の怒りを見せる。

 

イゴール「黙りなさい!長官、あなたさえいなければ、私こそが眼魔の世界で唯一無二の頭脳だ。消えるのはお前たち、私ではない!」

 

皮肉にも怒りで自我を安定させたイゴールは、眼魔スペリオル・パーフェクトに変身、眼魔コマンドとスペリオルを率いて挑んでくる。

 

タケル、マコト、イーディスも変身して応戦する。ゴーストとディープスペクターは眼魔コマンドとスペリオルをものともしない一方、イーディスの変身したダークゴーストは、眼魔スペリオル・パーフェクトから狙い撃ちを受ける。

眼魔スペリオル・マシンガンの銃撃で体勢を崩されたかと思うと、眼魔スペリオル・青竜刀に連続で切り付けられ、反撃の隙がない。

 

イゴール「分かっていますよ。あなたがもう戦える体ではないということは。距離を取りつつ痛めつければ、手も足も出ないでしょう」

 

イーディス「ぐほあっ!」

 

タケル「おっちゃん!」

 

マコト「長官!」

 

2人は眼魔コマンドとスペリオルに釘づけにされてしまっている。最初からイゴールは、自分の手でイーディスを倒すつもりだったのだ。

 

イゴール「新たな眼魔の世界の歴史に名を残すのは、この私だーっ!」

 

とどめとばかりにダークゴーストに振り下ろされた薙刀・魔偃月を、飛来した青い光弾が弾き飛ばす。それを放ったのは、眼魔スペリオルの姿でありながら、人間に受けた恩義を忘れなかった眼魔。

 

ジャベル「この期に及んで名を残すだと?このままでは眼魔の世界には、歴史も未来もない!」

 

イーディス「ゲホッ、ガハッ、お主も来てくれたのか、ジャベル」

 

ジャベル「ゲートの向こう側の番人たちは、案外すんなりと通してくれたからな」

 

言葉の上ではあっさり済ませたが、ジャベルはどこか嬉しそうだ。彼もまた、ゲートの向こう側で待っている皆に信じて託されたのだろう。

 

イゴール「まだ生きていましたか、薄汚い捨て犬の分際で。ちょうどいい、アデル様への手土産にしますか。そうすれば私だけでも…」

 

イゴールにとってはかつての同僚の帰還も、的が増えた程度にしか感じない。というか、今の彼は、「アデルに取り入れさえすれば、自分だけでも」といった願望に縋るしかないのだ。

 

そのイゴールの前に、ジャベルが立ちふさがり、牽制する。

 

ジャベル「イゴールは俺が引き受けた。イーディス長官を頼む」

 

マコト「助かるジャベル!」

 

タケル「ありがとう!ほら、おっちゃん、肩貸すから早く!」

 

イーディス「痛てて!そっと立たせてくれんか、腰を痛め取るんじゃ…」

 

タケル、マコト、イーディスの3人をイゴールは追いかけようとするが、ジャベルが割り込み、殴り返す。

 

ジャベル「一度、俺一人に負けたことを忘れたか?」

 

イゴール「くっ…あの時は、まさかあなたが人間となれ合っているなどと、思っていなかっただけですよ。今やあなたのような旧式に負ける要素はない!」

 

イゴールは眼魔スペリオル・ブックにチェンジ、2体に分身して挑みかかる。ジャベルはひるまずに迎撃の構えを取る。

 

先を急ぐタケル、マコト、イーディスの3人の前には、無表情となったジャイロが現れる。その顔が一瞬アデルの顔に変化する。

 

ジャイロ「侵入者を排除する」

 

イーディス「ジャイロの奴、完全に乗っ取られておる」

 

マコト「ここは俺に任せろ。タケルは長官を連れて行くんだ」

 

ジャイロ「行かせると思うか?」

 

ジャイロは眼魔ウルティマに変身して両手をかざす。時間を巻き戻す能力で、タケルとイーディスを進ませない気だ。しかし、それが発動する前に、柱の後ろから現れたもう一人のマコトに羽交い絞めにされる。

 

ジャイロ「貴様、何をする!?」

 

コピーマコト「邪魔をする気さ。デミアとやらが起動すれば、俺はマコトですらなくなるんだろう?それだけは許せない」

 

ジャイロがコピーマコトを振りほどいた時には、タケルとイーディスはもうジャイロの視界にはいなかった。

マコトは攻撃するべきかどうかためらっていたが、振りほどかれて床に投げ出されたコピーマコトに声をかける。

 

マコト「お前、本気で俺と一緒に戦うつもりか?」

 

コピーマコト「…っ!ああ…。俺はお前を超えて、真のマコトになる。先に他の奴らに倒されたくないまでのことだ」

 

打ちつけられた背中をさすりながら、応じるコピーマコト。

コピーマコトはマコトになり替わることが使命。それゆえに、デミアによって、自分もマコトも塗り替えられてしまうのを嫌ったのだ。

 

ジャイロ「裏切者め…。世界がアデル様そのものになる瀬戸際で、そんなこだわりに何の意味がある?二人まとめて始末するとしよう」

 

ジャイロに対して、二人のマコトはディープスペクターに変身し、挑む。

 

その頃、アランは祈りの間にたどり着き、デミアに取り込まれたアリア、そしてアデルと相対していた。

 

アラン「私はタケルに教わった。人の心が…思いがつながることを!なのにあなたは全てを断ち切っている!」

 

アデル「愚かな…。思いがつながるなど……幻想だ」

 

アラン「父上は言っていた。理想に心を殺されるなと……。あなたの心は既に死んでいる!」

 

アデル「父上は理想を捨てた負け犬だ」

 

アラン「父上は理想より、己の心に従ったんだ。兄上も蘇らせてくれ……己の心を!」

 

「迷ったら己の心に従え」

父の言葉を思い出しながら、アランはネクロムに変身する。

 

アデル「一人で私を止める気かアラン。父上も姉上も、私の前に倒れた。お前で最後だ。家族など切り捨て、私は完璧な存在、世界そのものとなる」

 

 

アデルは呆れつつもパーフェクト・ガンマイザ―に変身、ネクロムと交戦する。しかし、力の差は歴然。ネクロムは一方的に叩きのめされる。

 

アラン「違う…ネクロムは、思いの力で限界さえ越えた…。その思いの強さを、兄上にも届けたいのだ…」

 

アデル「多少限界を超えたところで、絶対的な力の前では…無意味だ」

 

一方ジャベルは、イゴールの変身する眼魔スペリオル・パーフェクトの戦術に翻弄されていた。分身に幻惑されてペースを乱された挙句、眼魔スペリオル・斧の投げ斧とバリアによるヒットアンドアウェイ戦法で追い詰められていく。ジャベルはどうにか斧をかわし続けたが、狭い屋上にまで追いつめられる。

 

イゴール「逃げるので精一杯とは、所詮は旧式ですねえ!これでは捨てられても当然。やはり生き残るのはこの私…!」

 

ジャベル「逃げているのはどっちだろうな……お前は正面から殴られるのを恐れている。長官相手でさえ、距離を取らなければ戦えなかったんだ」

 

イゴール「……何をバカな!お望みどおり、正面からとどめを刺してあげましょう!」

 

図星の挑発に乗って眼魔・スペリオル・ナイフに変身したイゴールだが、勝算はあった。既にジャベルは逃げられないほどに追い込んだ。こちらはほとんどダメージはなく、ジャベルは疲労が隠せていない。今の挑発は、間違いなく負け犬の遠吠えだ。

 

眼魔・スペリオル・ナイフがジャベルを切り裂こうとナイフを向けた瞬間、ジャベルは力強く叫んだ。

 

ジャベル「グンダリィー!!」

 

その呼び声に呼応して、空から怪物の咆哮が響いてくる。勢いよく急降下してきたグンダリは、屋上の一部を崩しながら、眼魔・スペリオル・ナイフを撥ね飛ばした。

 

イゴール「ごっほあ!!」

 

イゴールは屋上から落下するも、何とか空中で眼魔スペリオル・ブックに変身、その浮遊能力で落下の勢いを殺して、地上に軟着陸する。

 

イゴール「ジャベルめ…この私を道連れにするつもりで…!だが、私は生き残って、奴だけが無駄死にだ。そうだ、勝った、勝ったあはははは!」

 

だが、イゴールの高笑いをかき消すように、グンダリの咆哮が近づいてくる。そして、聞いた。その中に、ジャベルの声が混じっていることに。

 

ジャベル「どうした、まだ勝負は終わっていない」

 

イゴール「まさか、道連れではなく、グンダリと融合するつもりで…?」

 

イゴールのすぐ近くにいたジャベルもグンダリに撥ね飛ばされたと思われていたが、実はグンダリと融合していたのだ。

 

ジャベル「グンダリは俺に馴れているからな」

 

イゴール「ふざけるなあーっ!」

 

イゴールは眼魔スペリオル・斧に変身し、バリアを展開しつつ、斧を投げつける。その斧はグンダリの吐いた超高熱フレアで爆破される。フレアの余波を何とかバリアでしのいだイゴールに、グンダリが突撃、バリアごとイゴールを押し潰した。

 

イゴール「ぐあああああっ!」

 

イゴールの変身が解け、倒れているところに、変身解除したジャベルが歩み寄る。

 

ジャベル「これで満足か?もういいだろう、意地を張らなくても。お前がそうやって守ろうとしてる心を、アラン様やマコト、タケルたちが消させまいとしているんだ」

 

イゴール「私は…間違っていたということですか…。デミアを完成させて、長官になったはずだったのに…」

 

イゴールの顔も、アデルに変化しかけている。

 

ジャベル「俺を切り捨てたアデル様の下にいれば、お前も切り捨てられないとも限らないだろう。…その点は同情する」

 

イゴール「この私が、あなたに同情されるとは…。どうやら、もう限界のようですね…。せめて、私の唯一無二の頭脳だけは…守りたい…」

 

イゴールは首に下げていた吸魂器を手に取り、口をつけてその中に息を吹き込んだ。

 

ジャベル「それはまさか、自分の魂をその中に封印するつもりか!?おい、イゴール!イゴール!」

 

ジャべルが呼びかけるも、イゴールの魂は、吸魂器の中に吸い込まれつつあった。

 

イゴール(これでデミアからは逃れられる…。私自ら作ったシステムのために、死ななくてはならないとは…)

 

そんなイゴールの最後の意識に、人間の世界で出会った生意気な女科学者の言葉がよみがえる。

 

「ええ…はっきり理解したわ。化学は人を幸せにするためにあるの! 人の魂を奪って何が完璧な世界よ!あなたがやっている事はね、科学なんかじゃない!」

 

確かにイゴールの発明は全ての魂を奪い、イゴール本人さえも不幸にする産物だった。

 

イゴール(それが正しいというなら、私のシステムを、アデル様をとめてみることですね…。科学者ならば、理論は、最後まで、実証して、もらわなくては……)

 

誰にも聞こえない言葉を残して、イゴールの意識は途絶えた。イゴールの魂を失ったことで、その体を形成していた眼魔アイコンは機能停止し、砕けた。ジャベルの手元には吸魂器だけが残された。

 

他方、ジャイロはディープスペクター二人を相手に押されていた。ゲキコウモードで高速飛行するディープスペクターには、時間逆行のタイミングが見極めにくい。結果として、ディープスラッシャーによる波状攻撃を何度も喰らっていた。

 

ジャイロ「まさか、これほどとは…」

 

マコト「あなたはもう忘れてるかもしれないが、俺は眼魔の世界にいた頃よりも強くなった。多くの守るべきもののために!」

 

コピーマコト「深海マコトは、心を持たないお前などに負ける男ではない!」

 

ディープスペクター・ゲキコウモードの剣撃と銃撃に、とうとうジャイロは膝をついた。

 

すかさず、ディープスペクターはギガオメガドライブを発動、同時にキックをお見舞いする。たまらず爆発し、変身解除させられるジャイロ。

 

ジャイロ「私は何を……そうだ、アデル様が大変なことを!」

 

最後の最後になって、ジャイロは目を覚ましたようだ。

 

マコト「落ち着け。アデルなら、アラン、タケルたちが止めに行っている」

 

ジャイロ「私はやはり、アデル様の操り人形になっていたのか…。あのお方は、もはや忠誠を尽くしてきた部下であっても、信じられなくなっている……」

 

デミアを造ったイゴールだろうと、命がけでアデルのために戦ってきたジャイロだろうと、そして家族でさえも、今のアデルは信じられない。人の心が見えないからこそ、自分自身で塗りつぶそうとしている。

 

ジャイロ「私は、もうだめだ。どうか、アデル様を…」

 

マコト「大丈夫だ。だから今は…短い眠りになるだけだ」

 

ジャイロの体は消え、眼魔アイコンが砕けた。アデルの計画をとめられれば、次に目覚める時には、彼は自我を取り戻しているはずだ。

 

コピーマコト「終わったな。ならば、これが最後の戦いだ」

 

コピーマコトの変身するディープスペクターが、マコトにディープスラッシャーを向けている。

 

マコト「お前、本当に俺と戦う気なのか?お前は…深海マコトはそんな奴じゃない」

 

コピーマコト「俺が生き残るにはこうするしかない。構えろ」

 

ディープスペクター同士の決闘が始まる。しかし、実際はコピーマコトの方が大幅に押し負けていた。あっさりとコピーマコトは変身解除させられる。

 

マコト「おいどうした!この程度じゃないはず…」

 

コピーマコトの顔は、アデルに変化しかけている。眼魔アイコンで体が形成された彼も、当然デミアの影響を受けていたのだ。

 

マコト「お前…そんな状態で今まで戦ってたのか!?」

 

コピーマコト「お前に勝つまでは、耐えるつもりだったんだがな…。俺は、深海マコトになるはずだった。だが、ガンマイザ―とつながって、俺は奴らの材料にすぎないと分かった…」

 

コピーマコトはデミアの影響で自我を失いかけている。さらに、ディープスペクターに変身してガンマイザ―とつながったことで、ガンマイザ―の素体にされる予定であることも気づいてしまった。だから一刻も早く、マコトとの決着だけはつけなくてはならなかった。

 

コピーマコト「もうわかってるだろう?この戦いで勝ち残った方が、負けた方を取り込み、真のマコトになる。なら俺は、お前に取り込まれる最後が、ずっといい」

 

マコト「お前はそれでいいのか?お前自身が消えることになるぞ!」

 

コピーマコト「魂は永遠に不滅なんだろう?ならば、俺は深海マコトの中で生きていたい。それが、今の俺の願いだ」

 

マコト「…俺は忘れない。いや、カノンも俺の仲間たちも、お前という存在がいたことを、魂に刻み込む!」

 

マコトがそう宣言すると、コピーマコトは満足したようにニヤリと笑い、そして光となって、マコトに吸収された。この決闘で限界を迎えたコピーマコトの眼魔アイコンも、静かに砕けた。これで、ガンマイザ―に利用されることもなくなった。

 

場所は変わって、人間界。そちらでは、眼魔コマンドの軍団を天空寺の面々が撃退していた。ゲートの心配はないだろう。しかし、それでもボーッとしてはいられない。できるだけこちらからも、人間の世界を支配するデミアをとめなくては。そして思いついた方法は……。

 

アカリ「よしっ!人間の世界に置いてあるデミアのサーバーには、何とかハッキングできたわ!」

 

アカリが操作していたパソコンの画面には、デミアの内部情報として、タケルが侵入したことのあるデミアの夕暮れの世界が映っている。この中に人間の魂が閉じ込められているのだが、人間のパソコンから干渉することはできない。この中に侵入するには、タケル同様、魂のみの状態になる必要がある。

 

シブヤ「本当に行くんですか?」

 

ナリタ「マジで帰ってこれなくなるかも…」

 

キュビ「それでも行くんだな。世界全部がアデル様になったら、美しいも何もなくなってしまうんだな!」

 

音符眼魔「二度と音楽のことを考えられなくなっては、死んでいるのと同じですからな!」

 

デミアの内部に侵入するのは、魂だけの眼魔であるキュビと音符眼魔。タケルはデミアの音楽による支配を、一度はベートーベン魂の力で解放した。芸術の力を持っている二人なら、同じことができるのではないかと、このコンビに託すことにしたのだ。

 

アカリ「タケルの話をヒントに思い付いたけど…タケルも一時は本当に危険な状態だったの。だから無理はしないで」

 

御成「ダメでもまた別の方法を考えればいい話ですぞ」

 

カノン「必ず帰ってきてね。キュビ、音符さん」

 

キュビ「心配しないで。約束するんだな、カノンちゃん」

 

心配するカノンを、キュビは元気づける。そして、キュビと音符眼魔は眼魔アイコンに変身、パソコンの画面を通じてデミアに侵入していった。

 

黄昏の世界でキュビと音符眼魔は、デミアに囚われた無数の魂を目にする。タケルが見た時よりもはるかに多くの魂が、この中で眠らされているのだ。

 

キュビ「なんだか寂しい世界なんだな」

 

音符眼魔「それに陰気な音楽ですな。沢山観客がいるなら、もっと盛り上げなくては!」

 

音符眼魔はデミアの世界に流れる音楽を消音する。子守唄が途絶えたかのように、囚われた魂は眠りから目覚める。しかし、心地よい眠りを覚まされた魂は、またデミアの夢の中に戻ろうとしている。

 

音符眼魔「皆さん、私の音楽を聴いてください!ラララ~♪」

 

キュビ「みんな、吾輩の美しい絵を見て欲しいんだな!」

 

音符眼魔が歌い、キュビがデミアの世界の丸いものを塗り替えていく。静かな調和を取り、魂を眠らせてきたデミアの世界が揺らぎ始める。囚われた魂は目をさまし、自由を求めて動き回り始める。

デミアへの反逆が開始された。

 

眼魔の世界、祈りの間では。

パーフェクト・ガンマイザ―はネクロムの頭を掴んで体ごと床にたたきつける。起き上がろうとするネクロムを足蹴にする。減らず口を叩くアランを弄んでいるかのようだ。

 

アデル「滑稽だな。口ばかりで、無駄なあがきを続けるさまは」

 

アラン「無駄ではない…。何度倒れても、諦めなければ、思いの力は募っていく!」

 

アランのその言葉通り、ネクロムから緑のオーラがあふれ出る。思いの力で、ネクロム本来の限界を突破した証だ。しかし、アラン本人の体力は既に限界。立ち上がるのがやっとだ。

 

アデル「お前ごときでは、限界を超えてももう遅い。終わりだ」

 

フラフラのネクロムにパーフェクト・ガンマイザ―のとどめの一撃が放たれる。しかし、ネクロムが突然宙に浮き、その攻撃をかわす。

 

アデル「…何?」

 

アラン「ハア、ハア…間に合った…。」

 

ネクロムはそのまま浮遊し、部屋の隅の柱まで移動するそして、その影から現れたのはブック眼魔。

 

アラン「いいタイミングだったぞ、ブック眼魔」

 

ブック眼魔「いえいえ、こんなものではありませんよ。ショーはこれから!」

 

ブック眼魔の言葉を合図に、部屋の外から眼魔の集団が現れる。妙なことに、全員がアランに加勢しに来た雰囲気だ。

 

アデル「お前たち…デミアと…私と一つになったのではなかったのか!?」

 

アラン「ネクロムの眼魔を操る力、それを使って皆に呼びかけた。“兄上を救ってくれ”、その思いにこたえて、皆は目を覚ましてくれた!」

 

アランが敢えてネクロムでパーフェクト・ガンマイザ―に挑み、限界突破を狙ったのはこのためだった。限界を超えたアラン自身の想い、そして眼魔たちのアデルへの思いが、デミアの呪縛を打ち破ると信じて。

 

プラネット眼魔「アデル様と一つになるということは、我々がアデル様にお仕えできなくなるのと同じ」

 

甲冑眼魔「私達は、アデル様への忠誠まで忘れたくありません」

 

眼魔たちも兄のために必死なアランの声を聴いて目覚めた。このままでは、アランのようにアデルを思う心さえ忘れてしまうと。

 

アラン「兄上を助けたい強い思い…ここにはそんな民がこれだけいるのだ!だから兄上も…」

 

アデル「黙れ!最早私こそが世界、世界の理から外れた者はすべて消去する!」

 

パーフェクト・ガンマイザ―はエネルギー波を放つが、それを電撃と飛んできた斧が相殺し、残った余波も緑色のバリアが防ぐ。

邪魔をしたのは電気眼魔と斧眼魔だ。

 

アデル「お前たちよくも…」

 

そのパーフェクト・ガンマイザ―から、ガンマイザ―が何体か分離する。

 

ガンマイザ―・クライメット「消去目標多数。我々で排除する」

 

眼魔たちの数に対抗し、ガンマイザ―数体がかりで排除しようとする。

 

アデル「お前たち、私から勝手に離れるな!私一人いれば十分なはずだ!」

 

アデルはガンマイザ―がまた勝手な行動をとり始めて、焦燥を見せる。

 

一方、アランたちにとっては、これこそ待ち望んでいた展開。

 

アラン「これでいい。兄上から引き離したガンマイザ―を、各個撃破するぞ!」

 

眼魔3体ずつと眼魔コマンド、スペリオルの集団でチームを組んで、ガンマイザ―を包囲する。ガンマイザ―はネクロムの性能を上回る力の持ち主だったが、限界突破したネクロムが指揮する眼魔軍団の勢いに圧倒される。

 

マシンガン眼魔「アデル様、ガンマイザ―にはあなたに従う心がない。心でつながる俺たちがファミリーだ!」

 

マシンガン眼魔の連射砲と電気眼魔の電撃、プラネット眼魔のエネルギー球が、ガンマイザ―・リキッドを蒸発させた。

 

飛行機眼魔・兄「ブルンブル~ン!そうとも!家族だからこそ、俺たちを兄弟として造ってくれたんだろ!」

 

飛行機眼魔兄弟と飛行機眼魔・パーフェクトの編隊攻撃が、ガンマイザ―・プラネットを爆撃した。

 

刀眼魔「何百年とアデル様の一族に仕えてきた身の上。であれば、我らの間には信頼こそあれ、不信はない!」

 

刀眼魔が空中からツバメ返しで、槍眼魔が背後からの一撃で、斧眼魔が投げ斧で、ガンマイザ―・ファイヤーの火球を潜り抜け、本体を切り裂いた。

 

インセクト眼魔「水臭いじゃない?何度でも私たちを頼ってみればいいのよ。私達もアデル様のために、何度も復活してやり直してきたんだから」

 

インセクト眼魔とブック眼魔の分身がマグネティック・ブレードを追い詰め、ダウンさせた。

 

ナイフ眼魔「完璧な世界を目指すのは、アデル様だけじゃなく、この世界のみんなの理想だったはずだぜ!」

 

ナイフ眼魔、青竜刀眼魔、甲冑眼魔の刃が、ガンマイザ―・ウィンドを風のバリアごと一閃した。

 

ガンマイザ―・クライメット「消去目標、過去最大多数。さらなる増援が必要となります」

 

眼魔コマンド、スペリオルの軍団の一斉攻撃で足止めされながらも、ガンマイザ―・クライメットは、アデルを促す。武器型ガンマイザ―を召喚して、アデルも戦えということだ。

 

しかし、アデルはガンマイザ―の進言に応えるどころではなかった。

 

アデル「いったいどうしたことだ…。完璧な世界に心など不要、消し去って支配するのみ。…そんな私を、お前たちは!なぜそこまで慕うことができる!」

 

自分は愛されなかったと絶望し、だからこそ完璧な世界のために孤独を選んだアデル。彼にとっては、デミアの支配を超えてきたのが、アデルへの敬意だったという事実が呑み込めない。

 

アラン「兄上、あなたも私も一人ではない。あなたの帰りを待ってる人が、この世界にはたくさんいるんだ!」

 

そういうアランの横には、表情を取り戻したアリアが座っている。アリアもデミアから解放されたのだ。

 

アリア「アデル、あなたは冷酷な仮面をかぶってきたつもりでも、この通り愛されていたのです。父上もあなたを愛していないはずがない!」

 

アデル「黙れ黙れ!愛を知らぬ私が、愛されるなどあり得ん!」

 

アデルはパーフェクト・ガンマイザ―の拳でアリアに殴りかかるが、アリアは、ダークネクロムピンクに変身し、その拳を優しく受け止める。その全身にはピンク色のオーラがみなぎる。彼女も自我を取り戻すと同時に、思いの力で限界突破しているのだ。

 

アリア「父上はあなたを最後まで気にかけていました。そしてこれが、父上が残したアデルを救う手段」

 

ダークネクロムピンクはネクロムとうなずき合い、二人同時に乗っ取りゴーストを発動する。2色のパーカーがパーフェクト・ガンマイザ―に取りつき、アデルとガンマイザ―を分離させた。放り出されるアデル。

 

アデル「まさか、こんなことが…」

 

アドニスの死後にイーディス長官がこれを開発して、最初はアリアだけでアデルからガンマイザ―を分離させようと挑み、失敗してしまった。しかし、今ならば、ガンマイザ―を分離して迎撃する大チャンスである。

 

パーフェクト・ガンマイザ―「ネクロムも危険な消去目標と確認。排除する」

 

ガンマイザ―・クライメットと再び合体したパーフェクト・ガンマイザ―は、分離させられたアデルに構わず、ネクロムを排除するつもりだ。結局は、パーフェクト・ガンマイザ―はアデルの真実の姿ではなかった。

 

パーフェクト・ガンマイザ―の攻撃を、二人のネクロムと眼魔たちが迎え撃つ。

 

アラン「父上は、兄上が戻るための方法も用意してくれていた。これでも、愛していなかったというつもりですか?」

 

アデルは、今までアドニスから無視されていると感じてきたのだ。アドニスは亡くなった家族に目を向け、アランやアリアにだけ声をかけてきた。しかしアドニスは、アデルのことも考えてくれていたのだ。

 

アデル「今更気づいても遅い…。私は父上を殺してしまった…」

 

アリア「いいえ、私達は信じています。絆とは、決して死では切れないものだと!」

 

アラン「死を乗り越えて、思いはつながる!父上は死んでも思いをつなごうとしていた。だから今度は、兄上がそれを受け取る番だ!」

 

アデルはその激励で立ち上がる。そして、久しぶりに自らのアイコンで、眼魔ウルティマに変身する。

 

パーフェクト・ガンマイザ―「我々を拒むつもりか、アデル」

 

アデル「お前たちも、度々私に逆らっていただろう?今の私には…もっと信じられる者たちがいる」

 

パーフェクト・ガンマイザ―は触手で薙ぎ払おうとするが、眼魔の軍団が身代りになり、防がれる。

 

そして、その隙に、二人のネクロムのネクロムデストロイ、そして眼魔ウルティマのパンチがパーフェクト・ガンマイザ―に命中する。

 

パーフェクト・ガンマイザ―「この世界、理解不能…」

 

パーフェクト・ガンマイザ―は爆散。これでデミアサーバーは完全に停止する。アランたちは変身解除する。そこに、タケルとイーディスも駆けつける。

タケルは、アデルと家族が和解している雰囲気に気づく。

 

タケル「アラン!もしかして…上手くいったのか?」

 

アデル「天空寺タケル…。お前たちも、すまなかった…。私が人の心を見ようとしていなかったのだ」

 

父の仇がしおらしく謝る姿に…タケルは怒りの矛を収めていた。

 

タケル「いいんだ、分かってくれれば」

 

アデル「タケル、その…お前の父の仇は、許してくれるのか?」

 

タケル「お前がアランさえも傷つけているのを見たら、俺はきっと許せなかった。でもそうじゃないなら…分かり合える。父さんもそうするはずだ」

 

天空寺龍は、イーディスにも伝えた「人はやり直せる」という思いを伝えようとして、死んだ。タケルはその言葉に賭けた。アデルがもしもやり直せるなら、自分の復讐心は封印しようと。

 

アデル「もちろん、今ならお前の父の気持ちも分かる。私は、知らなかった…。この世界は…愛に満ちているのだな…」

 

アデルは嗚咽する。愛ゆえに、周囲のみんなに感謝する涙。愛ゆえに、自分が殺してしまった者たちへの悔やみの涙。

 

頑なだったアデルの涙が、戦いの終わりを実感させ、その場の空気は緩む。

 

しかし、そんな彼らを祈りの間の天井、グレートアイの側から、何者かが見下している。

 

???「アデルが感情を取り戻したところで、結局はバグにすぎぬ。傀儡の奴から離れたグレートアイは、もうすぐ我の物となるのだ。フハハハハ!」

 

まだ、戦いは終わっていない。

 

 




今回は乱戦描写だけで力尽きました…orz

次回はまだ先になりそうです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第48話解説編

本編からの変更点を解説します。セリフが同じ個所以外は、ほぼ変更してる気がする。



・アカリ、御成以下お留守番

 

有害な大気漂い、眼魔跋扈する眼魔の世界についてくるのは危険すぎたので、居残って人間の世界であれこれ対応してもらうことに。御成がタケルの復讐をとめるためについていくとか言ってた気がするけど、結局止めてなかったような…。

カノンは掌底で眼魔コマンド倒すくらいに耐性がついてるからノープロブレム?ああ、うん…。何だったんでしょうね、あれ。守られ系のヒロインが普通に戦い始めると、守られてる間は手を抜いていた疑いが生じてしまうから困ります。カノンはキュビとの友情をアピールしてればOK。

 

・ジャベルVSイゴール

 

飛行機眼魔兄弟の回で、イゴールがジャベルを見下すシーンがあったので、一応因縁はアリ。イゴールはギリギリ自我を保ってる設定になりましたが、これは開発者本人がデミアの恐ろしさを自覚して後悔するドラマのため。後、初登場時のアカリとの対立、「科学とは何のためにあるか」を拾うためですね。なんかスタッフ間ではアカリのビンタが完全に恋愛フラグ扱いで、「イゴールとアカリはくっついた」とかなんとか。…まあ、男女のライバルだからって、無理にくっつけることはないでしょう。

ジャベルはグンダリネタを拾いましたが、最終回の予算でこれは厳しい気がする。グンダリ出せない位なら、意味なく「グンダリーー!」なんて叫ばせず、忘れてもらった方が幸せですが。

 

・WマコトVSジャイロ

 

ジャイロへの因縁は、残念ながらあまりない。ただ、作中描写だとジャイロはゲキコウスペクターかグレイトフル総動員でないと倒せない強敵なので、マコトが相手するのは妥当なところ。こんな強い幹部がアデル顔にされて出番終了じゃそれはそれで味気ないので…。

コピーマコトは、自分が自分でなくなる前に生きざまを見せたという、よくある落としどころになりました。ガンマイザ―の素体にされるって予定を完全にたたき折りましたが、あれはむしろ実行された方が見ていて混乱します。

 

・デミアからの解放

 

ベートーベンの音楽で浄化ができたなら、音符眼魔の消音能力でも行けるんじゃないかと思って。と言っても、これだけではだめ。眼魔の世界では、限界突破ネクロムによって、眼魔たちの魂にアクセスしており、二つの相乗効果で洗脳が解けたのが真相です。本編ではいつ解けたんだっけ?やっぱりそのためにはアデル殺さなきゃダメだった?

 

・ガンマイザ―VSアラン&眼魔軍団

 

幹部怪人を、再生怪人と戦闘員がフルボッコするという、一見アレな構図。ネクロムのスペックで勝ちたいなら、こうするべきかなと。

アデルを慕う声に違和感があるあなた!あのアデルですよ!前大帝存命中も実質的な司令官を務め、前大帝が亡くなった後の即位や暗殺犯アラン追討に誰の文句も出ず、円満に政権交代したあのアデルです。眼魔たちからは相当の信頼を得ていて当然!……というか、そうでないと。

着回しによる再生怪人の登場が著しかったゴーストですが、ここまで振り切れば豪華に見えてきたと思います。それに、彼らを使って、眼魔の世界の民をアピールするのも重要だったと思います。

 

・アデルを許すタケル

 

被害者の天空寺龍だってイーディスを許したことだし、改心したならもう許してやれよ。本編では下記の通りコロッコロ変わるので…

 

「アデル許さない!」→「みんなが止めるなら我慢するけど…」→「よくもアランを父さんを!」→「アランが止めるなら許す!」→「お前のやってきたことは許せない!」(トドメ刺して終了)

 

詰まる所、周りがどうだから許せないって言うより、自分から見て善か悪か、どっちかで判断するのが許せないってことじゃなかろうか。

 




49話もあるのでこの辺で。読了ありがとうございました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

仮面ライダーゴーストif第49話

仮面ライダーゴーストのif展開です。今回は解説編なしで。


タケル「俺たちより人足先に乗り込んだアランのおかげで、アデルは家族の絆を取り戻し、家族一丸になって、ガンマイザ―の暴走を止めてくれた。いいもんだな、家族って。でも、どうしてガンマイザ―が暴走したかは、わからない。まだ戦いが続きそうな予感がする…」

 

イーディスは一堂に会したタケル、マコト、アランたち眼魔世界の住人に、深々と頭を下げる。

 

イーディス「お主らに尻拭いを押し付けて、本当に済まんかった。わしも間に合っていれば、ガンマイザ―を止める手助けができたんじゃが…」

 

タケル「おっちゃん、しょうがないよ。イゴールに邪魔されたんだから…」

 

アラン「結果的には、私たちの手で片づけられて、良かったかもしれない」

 

アデル「皆と気持ちを一つにできたからな」

 

マコト「それにガンマイザ―を倒した今、タケルは生き返らないとな」

 

ガンマイザ―が消えて、グレートアイはすぐ頭上にある。ここまで来て、タケルの願いを邪魔するものはもういないと思われた。

 

イーディス「…ここまで来ては、もう黙ってはおれんな。実は、本当の敵はガンマイザ―ではない」

 

イーディスの告白に、一同には衝撃が走る。

 

アラン「どういうことだ?私たちはガンマイザ―の暴走を止めて、兄上も世界の平和を望むようになった!」

 

マコト「タケルの生き返りを邪魔していたのも、ガンマイザ―のはずだ!バックアップにされていたもう一人の俺も、そのために…」

 

タケル「おっちゃん、もしかして、ここまで口に出せない敵がいたってこと?」

 

イーディス「そうじゃ。わしがタケルに、願いの叶うアイコンを口実として近づいたのも、全てはそやつに気取られんように注意を払ってのこと。皆が気づかんのも無理はない。わしもこの数百年かけて調べなくては、気づかなかったんじゃ……」

 

そもそもイーディスは、眼魔世界のシステムやガンマイザ―の開発者。それらが不具合を起こしてからは、アドニスにその調査を任されていた。そのバグを調べているうちに、何者かが意図的にアイコンシステム、ガンマイザ―を狂わせているという結論に行き当たった。

 

アデル「話が違うぞ。父上の話では、エネルギーが不足したから、人間世界から魂を集めることで補おうと……」

 

イーディス「アドニスはグレートアイから、そうお告げがあったと言っておった。全知全能のグレートアイと、友人とはいえ失敗作の開発者。わしが信用されないのも当然じゃった」

 

アリア「なぜ私たちを導いてきたグレートアイが、そんなウソを?」

 

イーディス「アドニスがガンマイザ―にグレートアイを守護させると決めた時から、密かにグレートアイの意思を、少しずつ乗っ取っていた者がいたのじゃ。わしらが厳重に管理しているつもりのグレートアイを、独占するつもりでな」

 

アラン「まさか、あの父上が人間世界を侵略し始めたのも…」

 

イーディス「グレートアイではなく、陰で操る者がお告げの形で唆したのじゃろう。わしもこの疑惑を、にわかには信じられんかった。グレートアイに導かれてきたアドニスは、なおさらじゃ」

 

マコト「いったい誰がそんなことを…」

 

イーディス「そやつはガンマイザ―と同時開発していた眼魔ウルティマアイコンを盗み出し、わしらよりもいち早く眼魔の体を得て、グレートアイに干渉し始めたのじゃ。じゃが、グレートアイも無抵抗ではなかった。タケルとマコトは見ているはずじゃ。グレートアイが分身として遣わした双子、そしてそれを追ってきたやつの姿を」

 

タケル「それって…シバルバ!」

 

かつてタケルとマコトにライダーアイコンをもたらした双子の男女がグレートアイ。それを追って取り込もうとしたシバルバが、全ての黒幕だというのだ。

 

イーディス「全知全能のグレートアイを取り込んだ奴の計画をくじくには、奴に反撃を悟られてはならんかった。だが、奴はもう操るべき手駒を持っておらん」

 

イーディスは祈りの間の天井を見上げて、啖呵を切る。

 

イーディス「聞こえているじゃろう、シバルバ!お前がガンマイザ―や眼魔を操ろうとした計画は、もう破たんした!わしらはもうお前の思い通りにはならんぞ!」

 

その声に応えて、グレートアイが封印されている天井から、眼魔ウルティマが降りたつ。

 

シバルバ「イーディス、貴様が我の計画に気づいていたとはな。仙人などに身をやつしていたのも、天空寺龍の息子だけでも助けたいわけではなかったか」

 

イーディス「わしは龍から、自らの可能性を信じる勇気をもらったんじゃ。あやつのおかげで、わしはグレートアイよりも自分を信じることができた。わしがすべきは、お前を倒すことじゃ!」

 

かつて眼魔ウルティマ・エボニーに変身したイーディスの強襲を退けた、天空寺龍。あれがなければ、イーディスは迷いを抱えたまま、アドニスの計画に従ったままだったかもしれない。

 

シバルバ「ならば、お前の友であるアドニスは、誰よりも我を信じたことになるな。最初は家族の蘇生を望んでいたやつに、我が『誰も死なぬ理想の世界』をちらつかせて、この世界を創るよう仕向けたのだ。我の言葉にばかり踊らされ、友や家族、自分さえ見失った実に滑稽な傀儡だったぞ。フハハハハ!」

 

アドニスの心を惑わせたのも、グレートアイを装ったシバルバの仕業だった。その真実は、眼魔の面々の怒りを買う。

 

アリア「父上は人形ではありません!あの人が理想と心の間で、どれほど迷い、苦しんでいたか…!」

 

アデル「グレートアイの力は、使う者の心を惑わす…。だが、お前は父上を惑わせた悪霊だ!」

 

アラン「お前のせいで、私たち家族は……許しておくか!」

 

他の眼魔たちも怒号を上げて、アデルたちが戦いの号令を下すのを待っている。

 

シバルバ「我は既に貴様らに興味はない。貴様らがアイコンシステムのために集めたエネルギーは、グレートアイを通じて、我へと供給されているのだ。放っておけば、貴様らは我の糧となって滅びる。少し寿命を早めてやろう」

 

シバルバが天井に手をかざすと、天井のグレートアイが光り、眼魔たちからエネルギーを吸い上げる。眼魔コマンドは消滅し、眼魔怪人やスペリオル、アデルは倒れる。

 

アラン/アリア「兄上!」

 

アデル「体の力が吸われていく……。アイコンシステムのエネルギーが消耗していったのは、お前が原因だったのか…!」

 

シバルバ「いかにも。我がその気になれば、貴様らの寿命などいつでも吸い尽くせる。デミアが完成すれば、人間の世界も同様に我の糧にできたのだがな」

 

シバルバが、アドニスにアイコンシステムを作らせたのも、人間の世界を侵略させたのも、魂のエネルギーを集めるため。自らの力を高めて、グレートアイを完全に乗っ取るためだった。

 

シバルバ「ご苦労だった、アデル。貴様にその気がなければ、我が自ら人間の世界を手に入れるとしよう。我が二つの世界を手にする、新たな大帝だ!」

シバルバは天井からグレートアイを手の中に吸収、その体に輝きを増す。そして光の玉となって、祈りの間から飛び出していった。向かったのは、人間世界に通じるゲートのある方向。

 

マコト「あいつがアイコンシステムを造らせ、グレートアイを独占していた黒幕…。ならば、俺たち兄妹が眼魔の世界で送った、地獄のような日々も…!」

 

マコトとカノンは眼魔の世界でアリアに保護され、アイコンシステムで生きながらえることはできた。しかし、カノンの体はアイコンシステムのエラーによって消滅。アイコンシステムでは、人間世界から来たカノンの身体を再現できず、カノンは妹アイコン状態から戻れなくなった。マコトはカノンの肉体を取り戻す願いを背負って、スペクターの資格を得るべく、がむしゃらに訓練を重ねてきた……。

 

だが、マコトとカノンがゲートに吸い込まれた事故は、シバルバが企てた人間世界の侵略のため。アイコンシステムに頼らざるを得ず、エラーでカノンの身体が消えたのも、シバルバが造らせたシステム故。タケルと願いを争ったのも、シバルバがグレートアイを独占していたから。

マコトに強いられた過酷な宿命も、奴はあざ笑いながら見ていたに違いない。

 

タケル「俺も許せない。あいつは多くの命を、心を……魂を弄んだ!!」

 

その場の全員が、シバルバの巨大な悪行が、どれほど波及していたかを実感していた。人間と眼魔、あるいはガンマイザ―まで、全てが彼の被害者と言ってもいい。

 

その時、グレートアイが奪われて吹き抜けになった天井から、少女の声が聞こえてくる。そこで苦しげに宙づりになっていたのは、グレートアイが分身として遣わした少女・フレイヤ。

 

フレイヤ「お願い止めて、眼魔の世界に巣食う怨霊を」

 

タケル「フレイヤ!大丈夫?」

 

フレイヤ「いいの。シバルバに操られてない私は、ここでアイコンシステムを守る。ゲートはフレイが開いてくれてる。だから、速く…」

 

マコト「分かった、頼むぞ!」

 

イーディス「見ての通り、今奴と戦えるのは、仮面ライダーだけじゃ。心してかかるぞ!」

 

アデル「私たちはまだ動ける。構わず行け、アラン、アリア!」

 

アランやアリアが気にしているのを察したのか、アデルや眼魔たちは喝を入れる。

 

アラン「兄上、必ず戻ります!」

 

アリア「どうか御無事で!」

 

仮面ライダーに変身できるタケル、マコト、アラン、アリア、イーディスが、人間の世界へと向かう。

 

入れ違いに、祈りの間に、足元をふらつかせながらも、ジャベルが駆けつけてきた。

 

ジャベル「アデル様、遅れて申し訳ありません…」

 

アデル「お前も聞いていたか、アランの声を。私たちもこのザマだ、お前が気にすることはない。ここからは、アランたち仮面ライダーに任せるしかないようだ」

 

アデルが自嘲する一方で、ジャベルは感慨深げな笑いを見せていた。

 

ジャベル「しかし、今のアラン様は、私から見ても頼もしいお姿です。王位を継ぐまでもないと思っていた末っ子のアラン様が、随分と立派になられた」

 

アデル「ああ、私もアランの声に、あれほど民を動かす力があるとは思わなかった。私も責任を取って、退くべきかもしれないな」

 

ジャベル「しかし、眼魔がアデル様を慕っているのも、また事実のはずでは…」

 

アデル「これからの眼魔の世界は、それだけでは足りない。新しく生まれた人間の世界とのつながりを大切にしていくのは、人間と心通わせた、アランにしかできないだろう?」

 

そう口にするアデルは、弟の成長を誇る、したり顔になっていた。

 

一方、シバルバはゲートを突破して大天空寺の天井も破り、広場に降り立つ。それを追って来る5人のライダー。

シバルバは発光をやめて、黄金のパーカーを纏った眼魔ウルティマの姿を見せる。

 

ザ・グレート・シバルバ「我こそは新たな大帝、ザ・グレート・シバルバ!生者も死者も、我が意のままに!」

 

タケル「そうはさせるか!お前は俺たちが止める!」

 

ザ・グレート・シバルバ「貴様らごときは、大帝への謁見も許されん。こいつらを相手にしなくてはな!」

 

ザ・グレート・シバルバは、腕の一振りで何体もの怪人を呼び出す。モノリス眼魔、眼魔ウルティマ・ブルーファイア、ガンマイザ―・アポロン、パーフェクト・ガンマイザ―が復活する。

 

マコト「今まで倒したはずの…」

 

アラン「これもグレートアイの力か?」

 

ザ・グレート・シバルバ「お前たちの戦いから得たデータで、バックアップを取っておいた。全ての死者も我の物だ」

 

アリア「死んだ者まで愚弄しようというのですか…」

 

ザ・グレート・シバルバ「それだけではない。グレートアイの力で、アップデートも行える」

 

15のモノリスを空中に出現したかと思うと、それが合体し、さらに黄金の光がパーカーとなって纏わりつく。新たなガンマイザ―・グレートアイザーまでもが誕生した。

 

イーディス「どこまでガンマイザ―を利用すれば、気が済むんじゃ!」

 

ザ・グレート・シバルバ「眼魔の世界にとって、完璧な存在は長きにわたる夢だったはずだ。我が貴様らを糧として、それを体現してやろう。不完全な命に縋る貴様らは、その礎になることを、光栄に思うがいい!」

 

タケル「そんな歪んだ夢、誰も望んじゃいない!」

 

ザ・グレート・シバルバの追っ手を、5体の怪人が阻む。5対5でライダーは怪人に戦いを挑みかかる。

 

ダークゴーストは、モノリス眼魔と戦う。

 

モノリス眼魔「すべてを支配する力が目の前にある。邪魔はさせませんよ!」

 

イーディス「西園寺よ、あの力がどれほど呪われているか、お主は知っているのか?」

 

モノリス眼魔「知ったことか!」

 

モノリス眼魔はグレートアイの力を狂信して、イーディスが相手でも容赦なくレーザーを打ってくる。

ダークゴーストは、ガンガンセイバーとサングラスラッシャーの二刀流で弾いて防ぐ。さらにレーザーを反射して、モノリス眼魔に隙を造る。

 

イーディス「お主に必要なのは力ではない。一時の眠りじゃ…」

 

ダークゴーストは二つの剣のトリガーを押して、オメガドライブを同時に発動。ガンガンセイバーとサングラスラッシャーの2連撃で、モノリス眼魔を切り裂いた。

 

モノリス眼魔「私が蘇ったのは…力を得るチャンスではなかったのかあ!!」

 

やはりオメガドライブ2発分が同時にヒットしては耐えきれず、モノリス眼魔は爆散した。

 

イーディス「お前はまず、向こうで龍に詫びてこい」

 

眼魔ウルティマ・ブルーファイアに挑むダークネクロムピンクは、ピンク色のオーラを纏うことで、敵が放つ猛火をものともしない。ガンガンハンドの銃撃で炎を消化し、ダメージを蓄積させていく。眼魔ウルティマとの戦い方を心得ているため、相手に捕まりもしなかった。

 

アリア「私達は、アイコンシステムにも頼らない、新たな世界を創って見せます!」

 

眼魔ウルティマ・ブルーファイア「自爆プログラム起動」

 

眼魔ウルティマ・ブルーファイアは、火の手を上げて自爆しようとする。だが、ネクロムのパーカーが覆いかぶさり、その蒼い炎を吸収する。自爆を封じられた眼魔ウルティマ・ブルーファイアに、ダークネクロム スパイラルが炸裂した。

 

ネクロムはガンマイザ―・アポロンと対峙する。以前はワームホール作戦の補助に徹していたネクロムだったが、今の彼はその限界などとっくに突破している。

 

サンゾウ魂でお供と連携して波状攻撃を仕掛けて、敵を翻弄する。ガンマイザ―・アポロンが火球で反撃してくると、ネクロムデストロイで筋斗雲に乗って回避。そのままゴコウリン、お供と上空から突撃する。これだけでも、限界突破によって、ガンマイザ―・アポロンには相当のダメージとなって襲い掛かる。

 

ガンマイザ―・アポロン「以前のデータとの齟齬を確認」

 

ネクロム「心の力は、データでは計り知れん。心の叫びを聞け!」

 

ガンマイザ―・アポロンは重力でネクロムを吸い寄せようとするも、ネクロムはガンガンキャッチャーにグリムゴーストアイコンをセットして、オメガフィニッシュを発動する。

無数に分裂したペン先状の砲弾が、ガンマイザ―・アポロンの重力ですべて引き寄せられて命中、大爆発を起こした。

 

ディープスペクターは、パーフェクト・ガンマイザ―に挑む。パーフェクト・ガンマイザ―の触手や光弾を飛んでかわし、遠距離からディープスラッシャー・ブラスターモードで攻撃し続ける。さらにギガオメガ弾を撃ち込んで、パーフェクト・ガンマイザ―を倒れさせる。

 

パーフェクト・ガンマイザ―「なぜそこまで高く長く、飛び続けられる?理解不能」

 

マコト「俺一人では無理かもしれない。だが、カノンが、もう一人の俺が、仲間が、俺を奮い立たせてくれる!俺の生き様、見せてやる!」

 

倒れたパーフェクト・ガンマイザ―にディープスペクターは急降下、ギガオメガ斬りを叩きこんだ。パーフェクト・ガンマイザ―はショートして爆発した。

 

 

どれも強敵怪人だったが、過去と今では、思いの積み重ねが違ったのだ。

 

一方、ゴースト・ムゲン魂は、新誕したグレートアイザーに押されていた。グレートアイザーには、ムゲン魂の6つの必殺技ラッシュも効かず、逆に掌底からの黄金波動を受けて、変身解除させられてしまう。

 

イーディス「タケル!やめるんじゃ、ガンマイザ―!」

 

一早く戦いを終えたダークゴーストが、タケルを庇って、立ちはだかる。

 

グレートアイザー「我々は完璧なるプログラムの指令で動いている。最早、開発者の指示など必要ない」

 

イーディス「お主らガンマイザ―も利用されてきたんじゃ!何も思わんのか!」

 

グレートアイザー「プログラムに感情は必要ない。グレートアイを守護し、近づく者は排除するのみ」

 

一方、大天空寺では、帰還したキュビ、音符眼魔が倒れてしまい、カノンたちで看病していた。

 

カノン「キュビ、音符さん、しっかりして」

 

キュビ「すまないんだな、カノンちゃん…」

 

音符眼魔「急に力が抜けてしまいました」

 

シブヤ「さっき何かがゲートを突き抜けていきましたけど」

 

ナリタ「やっぱり、二人の不調って、タケルさんたちの言うとおり、あいつの仕業なんじゃ」

 

御成「大天空寺を壊すばかりか、功労者の二人まで、もう許せませんぞ!」

 

アカリ「でも、そっちはタケルたちに任せて、私たちは二人と、大天空寺を見ていないとね」

 

御成たちは大天空寺の大穴を修理していた。タケルたちが帰ってくる場所を元通りにするために。

 

グレートアイザーは、ダークゴーストを圧倒していた。だが、イーディスは積極的に攻撃せずに、粘り続けている。

 

グレートアイザー「なぜ攻撃しない。理解不能」

 

イーディス「わしにとって、お主らは子供のようなものじゃ。シバルバさえ倒せれば、戦う必要はない」

 

グレートアイザー「グレートアイはシバルバと同化した。我々はグレートアイを守るが使命。よって、我々を倒さねば、シバルバとは戦えない」

 

タケル「そうやって、プログラムにばかり縛られて、何のために作られたのか、忘れてしまったのか!」

 

グレートアイザーの機械的な結論に、タケルが反論しながら、再変身して立ち上がる。

 

グレートアイザー「天空寺タケル、まだ立ち上がる力が?」

 

グレートアイザーが注意を向けた隙に、ダークゴーストが後ろからグレートアイザーを捕まえる。

 

イーディス「今じゃタケル、お主の力で、ガンマイザ―に思いを叩きこんでくれ!」

 

ダークゴーストの仮面の下に、タケルはある強い思いを感じ取る。

 

タケル「分かったよ、おっちゃん。思い出してくれガンマイザ―!おっちゃんが、お前たちに込めた思いを!」

 

ムゲン魂の目覚めていなかった最後の必殺技、ラブボンバーを繰り出す。ただし、それは単なる攻撃ではなく、思いを伝えるための一撃。

 

グレートアイザー「この攻撃は、ダメージがない。何か包み込まれるような…」

 

グレートアイザーの目に、目の前の光景でない映像が映る。それは、彼らが造られた数百年前の記憶。

 

━アドニス「グレートアイの守護神・ガンマイザ―。なるほど強力だが、プログラムは大丈夫か?」

 

━イーディス「大丈夫じゃ。彼らは何度でも復活し、グレートアイを守る使命を遂行するようにできておる。お主の理想と目的を同じくする存在じゃよ」

 

━アドニス「そうか、ありがとう。これで、私も愛する世界と家族のために、グレートアイの管理を任せられる」

 

━イーディス「ガンマイザ―なら、欲望に惑わされず、グレートアイを守り続けてくれるはずじゃ。よろしく頼むぞ、ガンマイザ―」

 

グレートアイザー「我々が造られた理由は…愛?」

 

イーディス「すまんかったガンマイザ―。わしはお主らの親なのに、教えを間違ってしまったんじゃ…。お主らのことも、シバルバから守ってやるべきじゃった…」

 

そう謝罪するイーディスに対して、グレートアイザーは攻撃するそぶりを見せない。信じてきた唯一のプログラムと、現状が矛盾していると気付いてしまった。

 

グレートアイザーの黄金のパーカーは、ラブボンバーの衝撃で消滅する。そして、彼らは元の15のモノリスに戻った。

 

ガンマイザ―「我々は本来のプログラムを復旧した。あなたと戦うべきではない、イーディス」

 

イーディス「本物のグレートアイは、眼魔の世界でアイコンシステムを維持しているんじゃ、そっちを手伝ってくれんか」

 

ガンマイザ―「了解した」

 

ガンマイザ―は本来の使命を果たしに、眼魔世界へと飛んで行った。

そこに、戦いを終えた3人も駆けつける。

 

マコト「ガンマイザ―が飛んでいったように見えるが、大丈夫なのか?」

 

イーディス「本来のプログラムを取り戻したんじゃ。シバルバに近づかせるよりは、向こうで協力してもらった方がいいじゃろう」

 

アラン「これで、残るはシバルバのみ」

 

タケル「あっ、いなくなってる!」

 

アリア「恐らく、私達が戦ってる隙に、魂を奪いに!」

 

ザ・グレート・シバルバは街に繰り出して、人々の魂を食い荒らしていた。

 

ザ・グレート・シバルバ「貴様らの魂、我が為に捧げろ!」

 

タケル「やめろ、シバルバ!」

 

ザ・グレート・シバルバ「貴様等バグどもか。まあいい。恐怖の純度が低い魂ばかりで、あと少しエネルギーが足りなかったところ。貴様らの魂をメインディッシュに、我は完全にグレートアイを取り込む!」

 

ザ・グレート・シバルバは、黄金の火炎弾で、5人のライダーを吹き飛ばす。さらに、横側から二刀流で斬りかかってきたダークゴーストを、炎を纏った剣を出現させて切り返す。

ガンガンハンドで銃撃するダークネクロムピンクを、黄金火炎弾の連射で跳ね返す。

筋斗雲に乗ったネクロム、飛翔するディープスペクターが空中から挟み撃ちにしようとするが、腕を交差させて、黄金火炎弾と炎の斬撃を繰り出し、二人とも墜落させる。驚異的な力で、4人は地に伏せる。

 

さらにムゲン魂が追撃に放ったイカリスラッシュも効かない。そして、ザ・グレート・シバルバは、炎の剣でムゲン魂を貫き、捕まえる。

 

ザ・グレート・シバルバ「なぜ貴様を最後に回したかわかるか?貴様はバグの中で、最も強い英雄だからだ」

 

マコト「強いから、最後まで倒しきれなかったというのか?」

 

ザ・グレート・シバルバ「天空寺タケルが、この場の支えになっているからだ。ここで貴様を殺せば、残る者からは、最高純度に恐怖した魂が手に入る。フハハハ!」

 

アラン「貴様あ!」

 

敢えて瞬殺せず、タケルの死を見せつけて魂を恐怖に染め上げようとするザ・グレート・シバルバ。4人は見ているしかできない。

 

ザ・グレート・シバルバ「バグどもの英雄の死は、我のような大帝の力を見せつけるためにある!我に屈し、我が糧となるがよい!」

 

タケル「それは違うな…」

 

タケルが苦しみながらも反抗する。

 

タケル「英雄の死は、絶望ばかりじゃない。英雄は命を燃やして、限りある人生で偉業を成し遂げたんだ。その生きざまを、人々は『自分たちにもできる』って希望として記憶して生きていくんだ。例え俺が死んでも、皆絶望なんてしない。魂は、永遠に不滅だ!」

 

英雄の生きざまに希望を持ち、視線をくぐってきたタケルには、ザ・グレート・シバルバの言葉も脅しにはならない。他の4人も、タケルの言葉に奮起して、もう一度立ち上がろうとしている。

 

ザ・グレート・シバルバ「恐怖がないなら、おとなしく消えるがいい!」

 

とどめを刺そうとするザ・グレート・シバルバに、パーカーゴーストたちが出現して、体当たりを仕掛けた。

 

武蔵ゴースト「今だ、タケル!」

 

ザ・グレート・シバルバ「ええい、離れろ!」

 

すぐにパーカーゴーストたちは全身からの黄金火炎弾で宙に吹き飛ばされたが、そのうちにムゲン魂は抜け出し、身構えていた。イサマシュートがザ・グレート・シバルバに直撃する。

 

ザ・グレート・シバルバ「この程度の攻撃…!」

 

だが、即座にダークゴーストのガンガンハンドとサングラスラッシャーの2連射が着弾し、防いだ炎の剣が砕ける。

 

イーディス「タケルよ、見せてくれたな、無限の可能性を!」

 

さらに、ダークネクロムピンクの必殺銃撃・オメガフィニッシュがザ・グレート・シバルバの頭部に、正確に命中し、バランスを崩す。

 

アリア「希望を捨てないあなたの姿で、私達にも気力がわいてきました」

 

アラン「お前のように命を燃やし続ければ、私達も英雄のように戦える!」

 

ネクロムが後ろから回し蹴りのネクロムデストロイで、ザ・グレート・シバルバは大きく蹴飛ばされる。

 

マコト「そうして、英雄となる人間は、過去から未来に受け継がれてきた!それが無限の可能性だ!」

 

蹴飛ばされたザ・グレート・シバルバに、飛行するディープスペクターが、ギガオメガドライブのストレートパンチを叩き入れる。

 

息をつかせぬ怒涛の連撃に耐えきれず、墜落して黄金のパーカーがはがれるザ・グレート・シバルバ。

 

ザ・グレート・シバルバ「貴様等、死んだ英雄如きを信じるというのか…死んでしまえば、所詮はそれまでだろう!数百年生きながらえ、完璧な存在に近づいた、我こそが……」

 

タケル「英雄が希望なのは、生きていても死んでいても関係ない。つながった思いは俺たちが守る!」

 

ゴーストはオレ魂に変身し、パーカーゴーストが彼の周囲に集まって、曼荼羅を描く。先代の英雄たちが、次世代の英雄である仮面ライダーに力を託す。これが、時代を超え、生死を超えた、思いのつながりだ。

 

15の英雄による強化オメガドライブが、ザ・グレート・シバルバを捉える。

 

ザ・グレート・シバルバ「完璧な大帝となった我が、バグごときに…ぐああああっ!!!」

 

ザ・グレート・シバルバは爆炎を上げて消滅、数百年にわたって命を吸ってきた眼魔アイコンも破壊された。

 

マコト「やったな、タケル」

 

アラン「お前のおかげで、長きにわたる呪縛から救われた」

 

アリア「あなたは、まぎれもなく英雄です」

 

イーディス「良く戦ったな。さあ、行って来い」

 

タケル「ありがと、みんな」

 

空中には、ザ・グレート・シバルバから解放されたグレートアイが。パーカーゴーストが作った曼荼羅が、タケルを引き寄せていく。

 

タケルは再びグレートアイの空間にいた。

 

フレイヤ「あなたは、生き返るのが願いだ、と言っていましたね。今回もそうですか?」

 

タケル「確かに、俺が頼もうとした願いはそれだった」

 

フレイヤ「一つ言っておくと、あなたはもう蘇る必要はありません。私たちと同様に、生死の境を超えた存在となっています」

 

タケル「フレイヤと同じ?」

 

フレイヤが語るところでは、タケルを助けようとしたら、タケルの魂にタケルの父の魂が混ざり、更に英雄の魂と共鳴したことで、タケルの魂はアイコンに固定されやすくなった。シバルバが魂を吸って何百年と生きながらえていたが、同様にタケルの魂も他の魂が結合を望んだことで、強固な存在になっていたのだ。

 グレートアイとは、生死の境界を行き来して、生者と死者のバランスを取る存在。英雄と人間、眼魔のために戦ったタケルも、そのバランスのために戦ったと言えるだろう。

グレートアイは生死観を変え得る眼魔の世界を観察するつもりが、シバルバに囚われてしまったという。

その事実を教えられたタケルは……。

 

タケル「良かった…これでみんなに気兼ねなく、別の願いができる」

 

フレイヤ「あなたの願いは、違うのですか?」

 

タケル「今は、別の願いができた。シバルバのせいで、失われた命を、取り戻してほしいんだ」

 

シバルバは今までの戦いの元凶と言える存在。その願いなら、全ての犠牲者が救われるだろう。

 

フレイヤ「あなたは、自分のために願わなくていいの?」

 

タケル「俺は、今までの戦いで、ゴーストや眼魔を見てきて、思ったんだ。どんな姿でもいい、生きようと命を燃やすことが、生きてるってことなんだ。だから、皆に生きていてほしいって思う今の俺は、きっと生きてる」

 

我ら思う、故に我あり。それがタケルの出した答えだった。だから、フレイヤが告げた真実も、タケルは受け入れる。その答えに興味を示したのか、少年のようなグレートアイの声も聞こえてくる。

 

フレイヤ「タケルがそう望むなら」

グレートアイ「そのような死生観を有言実行できる者は、始めてみました。人間の無限の可能性とは、本物かもしれませんね」

 

タケル「俺もこれが正解かわからないけどね。帰ったら、アカリたちにまた怒られるかもしれないし」

 

グレートアイ「いいえ、興味深い答えでした。他に何か、お礼できることはありますか?」

 

タケル「それなら、眼魔の世界を、少しの間守ってほしい。アランたちが変えてくれるまでは、まだアイコンに頼らないといけないだろうから」

 

グレートアイ「生死のバランスを保つには必要なことですね、お安いご用です。では、私はこれで」

 

グレートアイは、タケルを解放し、眼魔の世界へと飛び立っていった。

 

タケルは空を飛んで、アカリたちが待つ大天空寺へと降りてきた。

 

御成「タケル殿おおお!みんな、タケル殿の凱旋ですぞ!!」

 

それに気づいた御成の叫び声で、皆が集まる。

 

アカリ「タケル!……飛んできたってことは、まだ生き返ってないわね!?」

 

アカリはすぐにタケルが生き返りを願わなかったと気付いて、怒り始める。

 

タケル「ごめん、アカリ。でも、俺は大丈夫らしいから…」

 

シブヤ「タケルさん、眼魔にやられた人たちが、一命を取り留めたっていうんですよ!」

 

ナリタ「もしかして、タケルさんの願いはこれだったんじゃ…」

 

騒ぐ周囲に、タケルはグレートアイに願った一部始終を話す。

 

アカリ「ふ~ん、よく分かったわ」

 

タケル「分かってくれた?今回はそういうことだから…」

 

アカリ「タケルに任せてたら、いつまでたっても他人の願いしか叶えないってことよ!こうなったら、タケルは私が科学で元に戻して見せるから」

 

タケル「えっ、俺は魂が不滅だから大丈夫だって…」

 

アカリ「魂が不滅なんて非科学的よ!そうよね、イゴール?」

 

勢い込むアカリに応えるのは、同じく科学者を自負するイゴール。

 

イゴール「もちろんですとも。ま、デミアの尻拭いをされたままでは、唯一無二の頭脳である私も収まらないですからね。この女よりも先に、私の冥術学で生死ある魂に戻して見せますよ」

 

イゴールは協力するが、アカリと張り合うのは変わらないようだ。

 

アラン「グレートアイを留め置いたのも、お前なんだろう、タケル。おかげで、私達にも、世界を変える時間ができた」

 

アリア「グレートアイは、今度こそガンマイザ―が守ってくれています。その間に私たちは、この世界のように、グレートアイに頼らない世界を創っていきたいと思っています」

 

アデル「というわけだ、次の大帝は頼んだぞ、アラン」

 

アラン「兄上!しかし、私にはまだ…」

 

ジャベル「ご謙遜する必要はありません、アラン様。これからの眼魔世界を一番イメージしているのは、他でもないあなたです」

 

カノン「アラン様なら、きっとできます。私もついていきたい」

 

キュビ「吾輩、丸い美しいものがたくさんある世界にしてほしいんだな!」

 

音符眼魔「音楽がいつでも聞ける世界にもしてほしいですな」

 

アラン「丸いもの、音楽…そうか、音楽を掛けながら、タコ焼きの屋台を引けばいいな!」

 

周りは大笑いするも、幸せそうだった。

 

マコト「俺もアランを向こうで手伝う。お前も頑張れよ、タケル」

 

タケル「そうだね。この先どうなろうと、俺は生きてる。命、燃やすぜ!」

 

それぞれ進むべき道を決め、彼らはあるがまま生きていく。

 

 




ゴースト未回収の伏線まとめを参照にしましたが、回収しきれてない所や、おかしい所もあるかも。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。