緋弾のアリア 交渉科のアジテーター (車輌科ャー・スミス)
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――空から女の子が降ってくると思うか?
なんて言葉を使って自分の巻き込まれた事件を展開し始めるような鈍感
降ってくるんですわ、これがね。
しかもエンジンが二基大破したジェット機ごと降ってくるとかどこまで
待ちに待ってたよ主人公くん、本当に待ってたよヒロインちゃん。
そりゃあもう周囲の視線を跳ね除けて二十歳で高2やるくらい待ち続けたんだ。
遠山キンジ、神崎アリア、君たちの運命に便乗させてもらおうか。
君たちは君たちが主役の物語を生きてくれ、それに手を貸すこともしよう。
だが俺がこれから進める物語では脇役になるんだが勘弁してくれよ。
俺の俺による彼女のための物語。
開幕だ――
***
今年で俺も二十歳となってお酒もタバコも大丈夫になっちゃうんだよな。当りに出会えるかは本当に運でしかない訳で、準備は重ねてきたものの果たしてどうなる事やら。
全く中身を覚えてない校長のありがたいだろうお話を終えて、今年の所属クラス2-Aに帰ってきて席に腰を下ろした。
うんうん。皆嫌な顔してるねえ。残念でした、これから一年間君たちは俺の
さてさて目ぼしいクラスメイトは、ふむふむ、ほうほう。
去年よりは面白そうだ。少なくともイジリがいはありそうで良かった。
遠山キンジ。
峰理子。
あとは
担任はやっぱり
それに何か、ピンクのちみっちゃい……。
来たっぽいな
神崎アリア。強襲科《アサルト》現役Sランク武偵。二つ名『
大本命と予想してたが誰かさんの推理通りの展開になってるんじゃないのかこれ?
ちゃんと教えてもらってないけど間違いないだろうしここは乗っときますか。
「先生、あたしはアイツの隣に座りたい」
ベタ!
ご使命ですぜ遠山キンジさんよぉ、脱帽ですわ。始業式の日の登校中にヒロイン候補と一悶着起こしてフラグ建築完了してるとか、めがっさ主人公してるじゃないですかヤダー。
「よ……良かったなキンジ! なんか知らんがお前にも春が来たみたいだぞ! 先生! オレ、転入生さんと席変わりますよ!」
ぁやっべ~、普段ならリア充轢き殺すマンの武藤剛気がアシストを入れただとぉー!! これ間違いなく動き出してるな。
周りの空気も面白い感じになってる!!
「キンジ、これ。さっきのベルト」
うん、遠山キンジがよくワイヤーやら仕込んでたベルトだな。迂闊だぞー神崎アリア。
「理子分かった! 分かっちゃった! ――これフラグばっきばきに立ってるよ! キーくん、ベルトしてない! そしてそのベルトをツインテールさんが持ってた! これ、謎でしょ謎でしょ!? でも理子には推理できた! できちゃった!」
ほらぁ! 峰理子が面白がって冷やかしにかかったぞー。
「キーくんは彼女の前でベルトを取るような
はっはっはー。透けて見えるぞ峰理子、適当にそれっぽい内容をでっち上げて焚き付けたいだけだなぁ。いいだろうその茶番付きあわせて貰うぞ全力で!!
「甘いな峰理子! 甘い甘すぎる!! 見ろ遠山キンジのバツの悪そうな顔を神崎アリアの苛立った顔を! そして遠山キンジのシャツに着目しろ! 汗が引ききっていない、これは自転車で全力疾走クラスの
「嘘でしょ!? 嘘だといってよコーちん!!」
「嘘なものか、甘い言葉を囁き、ヤルことだけヤって、抗議する声を背に向け、一人逃げてきた、それが答えだ」
「そんな、キーくんサイテー」
「止めるんだ峰理子よ。それでも彼女はこうして教室にやってきて、奇しくも同じクラスだった彼の隣の席を所望したんだ」
思った以上に遠山キンジにヘイト集められたなあー。このクラス俺好きだ。
「理子は応援するよアリアの恋!」
あぁ~いらん方気づいちまったな。
て事は、だ。峰理子としては、
ずぎゅぎゅん!
面白いほど煽られ乗せられたクラスの連中も流石に黙るよな。
真っ赤っ赤になった神崎アリアが二丁拳銃で威嚇射撃をしたせいで静まり返る2‐A教室。
ちょっと心配になるぞお兄さんは、いくら学内で発砲可でもこんなに簡単だとな〜。
「れ、恋愛だなんて……くっだらない!」
薬莢の転がる音、硝煙の匂い。真っ赤なヒロイン、真っ青なクラスメイト。いや
「全員覚えておきなさい! そういうバカなことを言うヤツには、風穴あけるわよ!」
ナワバリ内の格付完了って感じかな? でもまぁ俺は別枠で居たいんでね。
みんな揃ってフリーズしてる中で、一歩ずつ神崎アリアに近づいて、彼女の銃を掴んで額と喉へ。
「是非あけてくれたまえ」
やっぱり神崎アリアもこれには驚いて固まったみたいだね。
武偵法9条。武偵は人を殺しちゃいけません。例えそれが犯人逮捕のために必要な攻撃であっても。
だから他の皆も覚悟しておいた方がいいよ。こうやって急所晒したり命を捨てに来るような奴と対峙する可能性をさ。
ゴつン!
「ぐぎぇっほっ」
掴んでたのにそのまま額と喉突いてきやがったよ。
「誰よあんた! ふざけるのも大概にしなさい!」
まあ結果オーライ。
「
ノリで書きはじめることにしました。
コーちんは一応誰だかの子孫設定です。
流石に一話でバレたくはない。
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それ以外は三人称視点と、地の文を少し変えて書いていきます。
読みにくいかもしれませんがご了承ください。
[倉木交輔。
入学直後より学年問わず他の生徒への挑発、嘲り行為を以て問題視される。
同年夏頃より教務課へ通う姿が目撃されるようになり、夏休みが明けてから自分の所属を”
翌年2月にローマ武偵高へ留学。その後北京、サンフランシスコ、シドニー、モスクワ、メキシコシティと各地の武偵高を役2年半かけて周り、東京武偵高に戻った時点で2年生のまま進級せず。
単純な実力は平均的卒業生(卒業時)を上回り優秀であると推察されている。
留学時を含め複数の科の授業を受けているようで、武偵としては珍しく万能型である。
特筆すべき点として”現場尋問”と呼ばれる行動がある。これは犯行現場に強襲し犯人との戦闘中に言葉巧みに情報を引きずり出す手法である。
”現場尋問”中に彼は犯人の素性、動機や微細な情報すら言い当てることがあり、一部では
彼は逮捕できる状況でも他の武偵に手柄を譲り、あるいは単独であった場合に取り逃がす事例もあり、この為進級できないものと推察される。
奇抜な行動故目立つ為に彼に興味を抱いた後輩へ。
私個人として彼には進んで関わるべきではないと評する。
同時に此処に記した以上の情報は容易に手に入らないことを記しておく。]
神崎アリアは寮の自室で倉木交輔について校内のイントラで調べたデータを読んでいた。
「本当にふざけてるわね」
もっともマトモだったものでこれであり、他は酷いを通り越して武偵の記すデータとして認めることを拒絶するほどのモノだ。
[先輩から後輩になった変人。からかうだけからかって逃げる変人]
[だいたい人を馬鹿にして飽きたらどこかへ行っている。時々ちゃんとした先輩みたいでうっかり感心させられてしまう]
[蘭豹先生をおちょくらないでください死んでしまいます]
[同じクラスになったら諦めて一年耐えろ]
[綴先生の尋問の後スキップしてた]
etc
痛くなった頭を押さえるアリアに後ろから声がかかる。
「大丈夫ですかアリア先輩?」
「あまりにも馬鹿らしいと眩暈がするのね、知りたくなかったことだわ」
声をかけたのはアリアの
あかりはアリアの持つ紙資料に視線を落として露骨に不快な表情を見せた。
「倉木先輩なんて調べてどうしたんですか」
「問題はあっても実力はあるみたいだからね」
アリアは自身が動揺していたとはいえ、教室で簡単に接近を許した事などから
「ちょうどいいわ、あかり。コイツについて知ってること教えなさい」
「え~っと……」
あかりは中々に難しい顔をして。
「生徒、犯罪者、それに先生も関係なくからかう人で学校で騒がしい時の半分くらいは倉木先輩が関わってます。あと先生や犯罪者相手の時は確実に誰か巻き込まれて酷い目に会ってますね。それでいて倉木先輩は難を逃れる事が多いので結構な人数に嫌われてます。教務課に逃げ込むんで他の先輩たちも手を焼いてます……」
これだけの報告であかりの顔からは疲れが伺え、間違いなく被害にあった時の大変な記憶を掘り起こしていたのだろう。少し悪いことをしてしまったと思ったアリアは立ち上がりあかりの頭を撫でてあやしてやる。
(普通に調べて出てくる情報が少なすぎる、結局手に入ったのは学校内を中心とした目撃情報ばかり。まるでイ・ウーの犯罪者たち並に情報が隠匿されてるなんて、一体アイツに何が隠されてるっていうの?)
***
春眠暁を覚えずって言うけど、昼過ぎでも昼寝は素晴らしいな。
高校生なのに青春のほとんどほっぽり出して訓練やら調査やら、お兄さん心配だぞ、っと。
そのおかげで屋上でのんびり昼寝ができるのには感謝しておこう。
適当に時間を潰そうかとも思ってたけど、面白いお客さんだ。
「コーちん発~見! そんなところで何してんのー?」
「白々しいなあ峰理子よ。見て分からんか? 崇高なるお昼寝タイムだ」
「またまたーかわいい理子の事待っててくれたんでしょ? そうでしょ!」
まあこのまま乗ってやって茶番に付き合うのもいいが、ちょっち雰囲気が違う感じか?
「そのままこっちに来てお洒落スカートの中を見せてくれるなら、そう言うことにしていいぞ」
「きゃーコーちんのケダモノー!」
「
スッと峰理子が纏っているおバカな雰囲気を一変させて歩いて俺の隣にやってきて座る。三角座りでガードか、分かってるな相変わらず。
「先に言っとくぞ、顔見せ目的で獲物を奪う気はない」
流石と言うべきなんだろうな、溢れかけた敵意を一瞬で仕舞い込んだ。そうそう、一応学校だしなあ。今の時間だと教務課で呑んでるか吸ってるかしてるだろうけど。
そっち以上に俺を量りに来たって感じだな。
「何のことか理子わかんなーい」
「おいこら
「……本当に言ってる?」
「お前が失敗してからちょっと借りるぐらいはするだろうけどな」
「コーちんは理子が」
「”失敗すると思ってるの?”だろ」
峰理子の”台詞”を奪ったが驚いてはいない。俺ができるのを知ってるし、何より今の文脈は素人でも分かるヤツは分かる。それよりも俺が峰理子の計画を知ってること、受け入れてるのか探ってるのか。
「断言するぞ、”失敗する”。”しなくちゃ救われない”」
流石に峰理子でもこれはキレるか。
「なんで」
「
「……」
ちょっとは冷静になってくれたか。峰理子は優秀だ、仲間とまで行かずとも協力関係は結びたい。
これから巻き込まれる運命の奔流の中に確実に居る存在だろうしな。
「コーちんの目的って何?」
座ってた峰理子が俺と同じように寝転がってきた。
「ハッピーエンド」
「何それ」
「悲劇になる結末をひっくり返すことさ」
「私には失敗して悲劇に墜ちろって?」
「”人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ”」
「チャップリンだね」
「ああ。それに俺は峰理子の物語では端役でしかない、お前を救う王子様じゃないからな」
「理子は王子様なんて求めてない。理子は、理子は自分で理子になる」
「求めてなくても突然物語に介入して、勝手に
まあ複雑だよなあ。今まで独りで耐えて戦ってきて助けを求めることもできなかった。それなのにいきなり出てきたヤツに助けられてしまうってのは。
こうしてのんびりと流れていく雲を眺めながら過ごせるのはいい。峰理子は肩肘張らずにいられるから楽だな。
「コーちんの物語ってどんなの?」
「あいにく俺は
「え~、自分だけ秘密はずるいよー!」
ぷんぷんがおー入りました。
「ホントの事だ、さっきも言ったがこの年まで待たされたヤツが主役な訳がないだろ」
「でもハッピーエンドにするために待ってたんでしょ? 物語の開始を」
「まあな」
「仕方ない! コーちんと理子の仲だし特別に手を貸してあげてもいいよ!」
「それもいいが、大事な時に邪魔しないって約束してくれる方が嬉しいな」
「何それひっど~い」
頭のいいコイツなら
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