クロの軌跡 (快晴男)
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導入編
やらかしばかりの人生です


前作より気合いマシマシでいきます。
お楽しみください


俺はどこにいるんだろう…自分がわからない…

 

 

なーんてことは全くないわけですハイ、でもわからないのはここはドコ?私はだr(殴 誰だ今殴ったのは?

まぁ周りの状況を説明しますと…なんか魔獣にかこまれてます…羽の生えた猫と赤い蟲…これ俺がやってたゲームまんまじゃん…え?なに?空の軌跡の世界なの?さっきまで不思議探索と称して深山にいたのに!!

 

とりあえず飛び猫(羽が生えた猫)と赤玉蟲(赤い蟲)を殴って倒す俺…(赤玉蟲ってけっこう強かったような…)

 

「やれやれだ」

 

周りに誰もいないので独り言を呟くと持ち物を確認する、状況把握マジ大事

 

「ん?」

 

ポケットを探ると手帳が出てくる…表紙には…遊撃士手帳…ブレイサー(遊撃士)なんすか?俺…

 

「マジか」

 

しかももう正遊撃士G級…ステータスは…レベル4…なぜ?つーかゲームみたいにステータスが表示されたよ…どうやら念じれば出るみたいだだけどステータス高いな…STR(攻撃力)が180って…レベル4としては破格だしSPD(行動力)も27あるし他はそこまで大したことはない、だが驚くのは此処じゃない…Sクラフトが設定されているんだが…

 

「終ノ太刀・黒葉(くろは)と剛ノ拳・滅覇(めつは)って…」

 

明らかにオリジナルだし最終奥義じゃん…なんで八葉一刀流の奥義みたいなのと明らかに強そうです的な格闘技もってんの!?

 

「はぁ…」

 

溜め息をつくと歩き出す、これだけステータスが高くてSクラフトも強力ならいけるだろ…

 

たどり着いたのはバカみたくでかい塔、ここまでくればおわかりだろうが四輪の塔の1つ…翡翠の塔だ、どうやら俺が落ちたところはマルガ山道の中腹地点だったようだ

 

「たしかあれは最上階だったな…」

 

ゲームプレイ時は2周目でしか倒せないと言われた宝箱魔獣…サンダークエイクだ、さっきの魔獣戦の感触的には多分余裕だろう

 

「…デケェ…」

 

そう思っていた時期が僕にもありました…

 

「フッザケンナよ!!この魚野郎!!」

 

サンダークエイクめちゃ強です、まぁnormalの難易度でさえ5倍のレベル差があるんでどうしようもないですが…とりあえずCPも溜まったし

 

「剛ノ拳・滅覇!!」

 

そう叫ぶと身体が勝手に動きます…

 

「…」

 

その瞬間サンダークエイクが2体共消滅したかと思うと宝箱が現れました、中には粉が入った袋?

 

ちょ!?何が起こったの?確かにSクラフトの説明文には(目に止まらぬ高速の拳で敵を蹂躙する)って書いてあったけど使用者にもわからないの!?

 

そうして俺は…ゼラムパウダー×2と白虎刃を手に入れた…解せぬ…

 

「とりあえずロレントの街に行こう」

 

ゲーム通りなら主役がいるはずだ。




どうでしたでしょうか?
感想お待ちしております。


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空回りは日常です

お久しぶりです
お楽しみください


さぁ、そんなわけでやってきましたロレント!!

途中魔物に襲われましたが難なく撃退して到着です。

 

「すげぇ…」

 

ゲームで見ると二等身だったからわかりにくかったが建物が大きくリアル、オタクであれば一度は想像したことがあるだろう、もしゲームやアニメの世界に入れたらって…夢が…叶った…

 

「キャッフゥゥゥゥゥ!!」

 

ロレントの人々に見られるのもお構いなしに両腕を天に掲げて歓喜した、こんな幸せでいいのだろうか…否、今あるべき幸福を享受しなければ人生の無駄遣いってもんだろ!!

 

「何あの人…」

 

「ダメだよエステル、目を合わせると絡まれる」

 

この声は!?

声の方向に振り向くと流れるような茶色の髪をツインテールでまとめ、スカートではなくまだズボンを履いた女の子と、その女装姿でランキング一位を獲得した黒髪に琥珀色の瞳を持った少年…なるほど、まだブレイサーになる前か…ジュルリ…

 

「エステル、離れてて…」

 

おっとヤバい漆黒の牙が目覚めると面倒だ。

 

「おいおい落ち着いてくれ、俺は怪しいもんじゃない」

 

ブレイサー手帳を見せながら宥める作戦に出る

 

「えぇ!?オジサンブレイサーなの!?」

 

エステル君…オジサンは傷つくな…

 

「俺はまだ17だ、オジサンじゃない」

 

「怪しいですね…」

 

ヨシュア君がまだ怪しんでるな…

 

「生憎とこの街は初めてでね、協会の場所を教えてほしいのだが。」

 

怪しむヨシュア君をなんとか宥めて協会に案内してもらう…

 

「あら?お客さん?」

 

協会に入ると受付のアイナさんがいた、やっぱりここも同じか…確かこの人めちゃくちゃ酒豪だったよな…

 

「いえ、ブレイサーのクロ・ナハトと言います」

 

服の胸部分の金色のバッチとブレイサー手帳を出す

 

「あぁ、アナタが話にあった新米さんですか」

 

え?話通ってるの?

 

「えぇ、そうです。これからよろしくお願いします」

 

まぁあわせといたほうがいいか…ほらそこの君達、いきなり街中で奇声を発した人とは思えない…なんて言うんじゃない

 

あれは奇声ではなく歓喜の雄叫びだ(`・ω・′)キリッ

 

まぁそんなことはどうでもいい、依頼のチェックだ、

できれば手配魔獣系がいいな~怪盗Bとかダルいし~

 

今日は残念ながら依頼はなかった…今日の宿どうすっかな最悪シャイニングなポムを狩ればなんとかなるだろうが…その前に腹減った…

 

「クロさんは今日の夕飯どうするとか決まってるの?」

 

「いや、まだ決めてないが」

 

「なら家に来る?大したものは作れないけどご馳走するわよ」

 

「エステル、父さんに許可も取らずに…」

 

「父さんは大丈夫よ、むしろ賑やかになって喜ぶんじゃない?」

 

そこまで言うとヨシュアが黙り込む、尻に敷かれるなこりゃ(笑)

 

こうして、今晩はブライト家で夕飯をごちそうになることになりました。




また更新します。


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後悔は1時間おきにやってくる

お久しぶりです。
お楽しみください。


クロです、ブライト家で夕食をご馳走になるべくミルヒ街道を進んでおります。

 

「クロさんはなんでブレイサーになったの?」

 

「なんとなく、かな。普通に働いてる自分が想像できなくてね。」

 

「ふーん」

 

「…」

 

ヨシュア氏がめちゃくちゃ疑いの視線で見てくる…オレアヤシクナイヨホントダヨ…

 

まぁ普通に働いてる自分が云々のくだりは完璧に嘘なんだがね。

 

そんなこんなでブライト家到着、やっぱりゲームで見るよりデカいな…

 

「おかえり2人共、それとその人は…?」

 

「お初にお目にかかります、遊撃士のクロと申します。」

 

「これはご丁寧に、俺はカシウス・ブライトだ。」

 

「お会いできて光栄です。」

 

やっべー超ダンディだよ、さすが(俺的)チートキャラ第2位のS級遊撃士…貫禄が違うね。(あくまで個人の番付です。)

 

「えっ!?父さんってそんなに有名なの!?」

 

「めちゃくちゃ有名ですよ、なにしろ…」

 

「あ~クロ君、だったか?その話は今はいいだろう」

 

なるほど、娘には伏せときたい訳ね

 

「失礼しました」

 

「む~、なによ父さんもクロさんも…ヨシュアも何か言ってやって」

 

「僕からは特に何もないよ」

 

ヨシュア氏からの援護もなくてむくれてるエステル氏カワユス…( ´∀`)

 

「まぁいいわ、そんなことより夕飯にしましょ」

 

夕飯なにかな~、楽しみだな~。

 

ブライト家で楽しい夕飯の時間を過ごし、時間も遅いからとロレントに引き返すとまたミルヒ街道に出る

 

「さて、始めるか」

 

ゲームをプレイしたことがある人ならご存知だろう、ウェルデ橋の前のマップには光輝く経験値(シャイニングポム)がいることを

 

「見つけた」

 

やはりそれなりに質量はあるようだがやはり小型、一瞬でケリをつけよう…

 

シャイニングポムの後ろからそっと近付いて…

 

「よっと」

 

そんな気の抜けた掛け声と共に脚力を完全解放、一瞬で間合いを詰めると2匹のシャイニングポムを仕留めた、やっぱり攻撃力高いと違うね。

 

「ふぅ」

 

シャイニングポムが消えると大量のセピスが地面に散らばる、その瞬間自分の力が跳ね上がる感覚…レベルアップだ

 

「やっぱりか」

 

この世界の住人にとってのレベルアップは生物としての位階を上げる行為そのものなんだ、簡単に言えば銃で撃たれても(急所を撃ち抜かれなければ)ダメージで済んだりほぼ無効にできる。

 

「レベリングと装備さえあれば腕一本でこの世界は渡っていける」

 

そう呟いた時、俺の顔はこの上なく笑顔だった。

 

新たに湧いたシャイニングポムを見つけるとすぐさま襲いかかる

 

「(この世界で俺はのし上がる、そして…)」

 

 

 

 

 




主人公は何を望むのでしょうか
次回もお楽しみに


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失せ物探しはお早めに

お久しぶりです。
お楽しみください。


やべ、空が明るくなってきた…どうやら俺は一晩中Sポム狩りをしていたらしい…

 

「流石に眠くなってきたな…」

 

1人呟くとロレントに引き返す、とりあえず溜まりに溜まったセピスを換金しないとな…

 

「(この時ってまだセピス塊がまだ換金できないんだよな~、どうせふくろもあるしとっといて換金出来るときが来たら換金しよ)」

 

ロレントに到着するとメルダース工房に行きセピスを換金する、ほぼカンスト間近までいっていたのでメチャクチャ驚かれたが換金してくれた、ロレントの人って早起きだよね。

 

ホテルロレントの自分の部屋に戻るとベットに倒れ込み意識が途切れた。

 

俺は夢を見た…

 

「クロ!クロ!!起きなさい!」

 

「××、クロちゃんと遊びたいからって無理に起こしたら嫌われますよ。」

 

少女特有の高くて甘い声に大人びて綺麗な声…この声は誰だろう…

 

「あ、目を覚ました!」

 

「あら…起こしちゃったのね…」

 

「ほら、一緒に遊ぶわよ!こっちにいらっしゃい。」

 

目を開けると赤い服を着た少女と薄緑の服を着た少女の母親と思われる女性…顔は…ぼやけてよく見えない…

 

「早く来なさいクロ!」

 

少女が急かすので少女のもとに歩いていく、いや…歩いていこうとした瞬間に視界が暗転する

 

「!?」

 

いきなり目の前に現れた崩壊した家屋…なんだよこれ…!!

 

「アナタがやったのよ…クロ…」

 

「なんで壊しちゃったの…」

 

母親と少女が責めるような眼で俺を見てくる…違う!!こんなこと俺はしていない!!

 

ぼやけていた母親と少女の輪郭がピントがいきなり合ったようにハッキリする…その顔は…

 

 

ーホテルロレントー

 

「やめろ!!」

 

俺は飛び起きると周囲の状況を確認する、特にこれといって異常はない…Sポム狩りから帰ってきたホテルロレントの俺の部屋だ…

 

「はぁ…はぁ…」

 

寝汗がヒドい、動悸が止まらない、一体何だったんだあの夢は…

 

「とりあえずシャワーと飯だな」

 

ホテルにあったシャワーを浴びると居酒屋アーベントに向かう、なんかいいメニューあったかな。

 

アーベントにつくと一本気パスタとフラワリィソーダを注文する、昼まで寝てたから腹減った…

 

夢中で料理を食べているとブライト一家がくる

 

「あ、クロさんだ!」

 

「エステル、指差したら失礼だよ。」

 

「おぉ、昨日の…ふむ…」

 

カシウスさんが怪しむような目で見てくる

 

「なにか?」

 

「お前さん、随分レベルを上げたみたいじゃないか…昨日とは見違えたぞ」

 

 

そりゃパワーレベリングしましたからね、っていうか理に至った達人てそんなこともわかるのか…

 

「いやいや、まだまだです。」

 

「そう謙遜することはない、どうだ午後から俺の仕事に付き合ってみないか?」

 

マジすか…

 

俺はすぐに頷くと飯を食い終わって会計を済ませたカシウスさんにマルガ山道に連れて来られた

 

「実は仕事というのはお前さんも知ってる翡翠の塔の調査と魔獣の掃討でな」

 

「なるほど、ただカシウスさんほどの人がなぜ?」

 

「なぁに、ちょいと他の用事もある…すぐに済ませよう」

 

こうして俺とチート親父ことカシウスさんは翡翠の塔に入っていった…

 

 

 

 

 




次回をお楽しみに


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修羅場から逃げたとしても待っているのはそれ以上の修羅場

お楽しみください。


翡翠の塔内は前に入った時と同じようにどこか異空間のようになっていた。

 

「今回の仕事は翡翠の塔の内部マッピングと魔獣の殲滅だ、大した仕事じゃないが気を抜くなよ。」 

 

「了解」

 

カシウスさんが仕事内容は伝えてくれた、いやいやアンタがいればこの塔内の魔獣とか余裕だろ。

 

案の定塔内のマッピングと魔獣の殲滅は余裕だった、だがやっぱりカシウスさんすげーよ…俺もそこそこレベル高いから塔内の魔獣は一撃で倒せるがカシウスさんは攻撃から次の攻撃に移るまでの間がほぼない、2人でもほとんどノーダメージで屋上に到着しちまった。

 

いや~絶景かな絶景かな。

 

「お前さんに少し聞きたいことがある。」

 

翡翠の塔の屋上から景色を眺めて休憩しているとカシウスさんが話しかけてくる。

 

「なんすか?」

 

「お前さんのその力、どこで手に入れた?確かにいきなり雰囲気が変わるってのは才能のあるやつならごくまれにあることだ、がお前さんのそれは少々変わりすぎだ。」

 

「魔獣の出現は3秒に1匹~4匹、コロニーの数は概ね5~10、最低でも経験値は5得られる。」

 

「おい何を言って…」

 

「平均して2匹と戦い続ければ1時間で戦闘できる最大回数は1200回、1回の戦闘を一瞬で終わらせて1200回戦えば1時間で2400の経験値を得られる、レベル10から始めても1時間でレベル20、2時間でレベル25になれる、俺の昨夜カシウスさんの家を出たのが概ね8時、そこから朝の6時までそれを続けたから約10時間、24000の経験値を得た計算になる。」

 

「…」

 

「ちなみに今の俺のレベルは45、途中から効率が落ちたのが原因だ。」

 

「そんな化け物じみた魔獣狩りを…」

 

「まだまだカシウスさんや風の剣聖、鋼の聖女や闘神、光の剣匠のようなこの世界の最高クラスの方々には遠く及びませんよ。」

 

「…」

 

まぁ俺が適当に言った謎理論を多少は理解してくれたようだ、まぁレベル45は本当だが。

 

「なぜそこまで力を求める?」

 

「生き延びるためです。」

 

俺はこの1年後、エステル君とヨシュア君が遊撃士になって旅に出た後に何があるか知っている、そのときに無闇に殺されないように、物語を傍観できるように力をつける…そして…二度と後悔しないよう…生きるんだ

 

「済まなかった、話は終わりだ…戻ろう」

 

「了解」

 

こうして俺とカシウスさんは塔を降りた、しばらく関わるのはやめといた方がよさそうだな…次はどこに行こう…クオーツ的にも装備的にもグランセルがいいかな、あのあたりなら身喰らう蛇の連中もいそうだし。

 

そんなことを考えながら塔を降り、報告を済ませるとホテルに戻った。

 

今日はあの悪夢を見ませんように

 

 




どうでしたでしょうか?
次回もお楽しみに


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そろそろタイトルを考えようかな…

お楽しみください。


カシウスさんと共に翡翠の塔を降りるとギルドに報告するついでに移動する報告をすることにした。

 

「アイナさん、俺明後日にはグランセルにいきたいんですが」

 

「……」

 

アレ…アイナさん笑ってるのに怖い…というかその紙なに?

 

「なら明日までにこの依頼こなしてね(^^)」

 

えっと…エリーズ街道の手配魔獣にミルヒ街道の手配魔獣、マルガ山道の手配魔獣にパールグラスの納品依頼…

 

「アナタこのロレントに来てからさっきの翡翠の塔の依頼以外何もしてないでしょ?手配魔獣がいっぱいなの、よろしくね(^^)」

 

確かにパワーレベリング以外やってないですすいません…

 

「わかりました、行ってきます」

 

 

まぁ今のレベルなら手配魔獣3件に納品依頼なんて余裕なんですがね(笑)

 

「終わりましたヾ(≧∇≦)」

 

「え!?」

 

その日の夜に報告するとアイナさんは物凄く驚いていた、まぁそりゃ普通の遊撃士でもそこそこ時間かかるからね、ちなみにパールグラスは釣竿がなかったので熊みたいに狙って地面に跳ね上げました。

 

ブレイサー手帳を見せて依頼を完了させるとホテルに戻る、ん~やっぱり手配魔獣って言っても幻獣やらには遠く及ばないくらいに小さいな、あれゲームで見た時もでかかったし…そんなことを思いながら眠りについた。

 

「zzz」

 

幸いなことに悪夢は見なかった。

 

が…平凡に終わる訳がなかったorz

 

 

「っ!?」

 

いきなり殺気を感じて近くにあったペーパーナイフを振ると金属音、なに!?敵襲!?

 

「誰だ!!」

 

暗闇に紛れている敵と思われる者に怒鳴る。

 

「…」

 

敵は何も答えない…この状況でこんなことができるのは…

 

1、ヨシュア君

2、漆黒の牙

3、黒髪のモテ男

 

あ…1択しかなかった…

 

「かかってこい、相手をしてやる」

 

俺はおもむろに手甲をはめると構える、ちなみにこれはレベリング後の換金でできた金で買ったものだ。

 

肉薄する敵、いやヨシュア君…、目の光は当然ながらない。

 

「よっと…」

 

ヨシュア君の双剣を見切っていなすと隙をみてデコピンを額に叩き込む、ただのデコピンと思うなかれ、レベル差がある相手のデコピン、しかも武器装備状態なら充分にダメージは通るのだ。

 

「ぐっ…!!」

 

倒れ込むヨシュア君、どうやら気絶したようだ。

 

「おい、なにがあった!?」

 

とりあえずブライト家まで運ぶとカシウスさんが開口一番これ、まぁ義理とはいえ息子が気絶した状態で仕事仲間から運ばれてくればこうなるわな。

 

「実はカクカクシカジカで…」

 

事情を説明すると落ち着いてくれた。

 

 

とりあえずある程度の説明を終えるとブライト家を出る、この落とし前はシッカリつけさせてもらうからな…




次回もお楽しみに


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まだ本編開始まで時間あるのに…

お楽しみください。


というわけでやってきましたグランセル!!

 

いや~飛行船乗るの初めてだから緊張したね、全員に話しかけなきゃいけないのかと思いきやそんなこともなく無事到着して拍子抜けだった。

 

「華やかだな~」

 

王都グランセル、やっぱりロレントとは大きさが桁外れだわ…とりあえずギルド行こ

 

「こんにちは~」

 

「いらっしゃいませ、何かご依頼ですか?」

 

声だけでもイケメンだが顔もイケメンな受付のエルナンさんだ。

 

「あぁ、貴方はもしや?」

 

遊撃士のバッチを見せると納得したように頷くエルナンさん

 

「はい、ロレントから来ましたクロです。」

 

「アイナさんから話は聞いていますよ、なんでも物凄く腕が立つとか。」

 

「いえいえ、まだまだなりたての未熟者ですので」

 

「謙遜することはありません、なにせあのカシウスさんのお墨付きですからね。」

 

そうだったの!?

 

「とりあえず今のところこれといった依頼もありませんし街を散策してきたらいかがですか?」

 

そんなこんなでギルドを出ると向かったのはヴァイス武器商会、やっぱり武器新調は大事だよね、あと装備も

 

数分後、武器商会を出た俺の手には黒金を使ったグローブがはめられていた。今回はフィンガーレスタイプにしてもらった、蒸れるんだよねやっぱり。

 

次に向かったのは東街区にあるエーデル百貨店、お目当てはアクセサリだ。

 

「いらっしゃい」

 

売り子の女の子カワユス…、おっとイカンイカン…ここは欲しいものだけ買わないと

 

「スカルペンダントとパールイヤリングを1つずつください」

 

即死と封技は怖いからな…

 

次はオーブメント工房に行こう

 

まだパワーレベリングしたときのセピスがあるから…

 

「HP3と行動力3、駆動2と命中3、後、魔防3で」

 

一括でセピスを渡す、もうこれでスッカラカンです…空しい…

 

とりあえずこれでいいかな、後は俺がどこまで戦れるかだ…

 

まぁその前に腹拵えは怠りませんがね!

 

南街区のサニーベル・インに入ると渾身ブイヤベースを頼む、楽しみだ。

 

「いや~混んでますね、前…よろしいですか?」

 

その瞬間全身が総毛立つ…温和な雰囲気と丸眼鏡…だがその中身はそこらのマッドな奴らなら裸足で逃げ出すような鬼畜…

 

蛇の使徒…ゲオルグ・ワイスマン…

 

「えぇ、どうぞ」

 

「そんなに警戒するな、殺気が漏れているぞ?」

 

目を見開き俺を値踏みするように見てくる。

 

「まさかアンタが直々に出てくるとはな、レーヴェあたりが来ると思ってたが」

 

少し驚いたような顔をする、ワイスマン…当然だ、こっちには未来の記憶がある、原作知識というチートもな。

 

「ほぅ、レーヴェのことを知っているということは…こちらの事情もそこそこ通じているというわけか…これは興味深い」

 

「あんなことができる連中をほうっておけるほどマヌケじゃないもんでな、で…何の用だ?」

 

「なんて事はない、君をスカウトしに来た…どうだ、身喰らう蛇に興味はないかい?」

 

冗談じゃない…そう思った。




次回もお楽しみに


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まだ本編開始まで時間あるのに…②

お楽しみください


「冗談じゃない、誰が入るか」

 

「そうかね?君は素質充分に見えるが」

 

「そんな大した闇なんざ抱えてない。」

 

ゲームでも思ったがホントに嫌な奴だな、この害悪を排除しないと…俺の身が危ない。

 

「どうしてもスカウトしたいなら…俺を倒して連れていけばいい…」

 

これは賭けだ、今の俺にそこまでする価値があるのか否か…

 

「いいだろう、今日の夜12時に闘技場に来るといい、そこで君を倒すとしよう。」

 

ワイスマンは口角を吊り上げて嗤うとそう言ってきた。

 

ここまで執着してこられるのは予想外だが仕方がない、ヨシュア君の襲撃を乗り切った時点で既にマークされていたんだろう…

 

「逃げ切れると思わないことだ」

 

クソが、わかってるよそんなこと…

 

「夜12時、だな…忘れるなよ?」

 

その後に食べた渾身ブイヤベースは…正直どんな味かわからなかった、死刑囚の気分だ全く…

 

その後もグランセルの探索をして時間を潰して、宿をとって休憩する

 

「(このままいくとマジでヤバいかもな…ステータス的に負けることはない…と信じたいが…)」

 

考えが纏まらずイライラしていると約束の時間が迫っていた…

 

「はぁ…」

 

闘技場に急いで行くと閉まっているはずの扉が開いている、どうやら右側しか開いていないところを見るとそっちから入れということらしい

 

「ふむ、5分前に到着か…君はどうやら律儀らしい」

 

闘技場に入るとアルバ教授の服装ではなく、《白面》のワイスマンの格好をしている奴が立っていた。

 

「その悪趣味な服装はどうにかならないのか?」

 

「震えているぞ?」

 

「武者震い、だよ…お前を倒して星杯騎士団に引き渡せば快挙だからな…最悪の破戒僧…《白面》のワイスマン!」

 

言い切ったところでワイスマンに向かって特攻を仕掛ける、コイツの技はほとんどが相手に阻害効果をもたらすものばかり、時空追放はやっかいだが接近戦に持ち込めばそれもできないだろう。

 

「やはり君は身喰らう蛇にふさわしい…だが…甘かったな」

 

「!?」

 

ワイスマンの背後にデカい眼のようなものが現れる、まさか…!?

 

「真・魔眼」

 

「ぐっ…」

 

奴までの距離、約90㎝…届かなかった…

 

「惜しかったよ、最初の口上が無ければ私も無事では済まなかっただろう」

 

嘲笑うように奴が言う…

 

「ほぅ、君はこんなことをしていたのか…しかも…」

 

コイツまさか俺の記憶を…

 

「■サか■と■■リンは元気かね?」

 

その瞬間、俺の意識は途切れた…

 

~ワイスマンside~

 

つくづく面白い存在だクロ・ナハト、まさか彼がゼムリア大陸より更に外からきた異邦人だとは…これは是非とも欲しい

 

「■サか■と■■リンは元気かね?」

 

やはり向こうの言葉ではこちらでの再現は難しいな

 

「その名を…」

 

彼の雰囲気が変わる、身体全体から黒いオーラを発し魔眼の拘束を弾いている…ここまでとは

 

「■■■■a■■■■■■!!!」

 

意味不明な咆哮を上げ魔眼の拘束を弾き飛ばすと突貫してくる。

 

「マズい!!」

 

咄嗟に防御姿勢を取るものの防御ごと私の身体は弾き飛ばされ宙を舞う

 

「(あぁ、これは骨と内臓がいくつか逝ったな…彼は…?)」

 

薄れゆく意識の中で見た彼は…オーラに相応しくないほど悲しい表情をしていた。

 

 




オリ主が持つチート能力その3、狂化(A)…ステータス(レベル含む)を2倍に跳ね上げる(もちろんレベルアップにより強化も適用)狂化が解除された場合ステータスも元に戻る


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まだ本編開始まで時間あるのに…③

お久しぶりです。
お楽しみください。


~クロside~

 

視界一面を覆う黒い泥…辺り一面は紅蓮の業火…そこにあるのはどこかもわからない瓦礫の山…そして肉の塊…

 

「ハッ…‼」

 

目を覚ますとそこは闘技場だった、いや…俺も何言ってるのかわからねぇ…

 

えーっと《白面》の奴に呼び出されて戦って、訳わかんなくなって…ダメだ思い出せない。

 

「どうした?隙だらけだぞ?」

 

声がする方向を振り向くとワイスマンが壁にもたれ掛かっていた。いつから壁と仲良くなったお前?

 

「随分な言い草だな、わざわざこうして目覚めるのを待ってやっていたというのに。」

 

地の文を読むんじゃねぇよ。

 

「君は顔に出やすいタイプのようだ、気をつけたまえ。」

 

「そりゃどーも、で…俺はこれからアンタを遊撃士協会まで連行して引き渡せばいいのか?」

 

「残念だったな、時間切れだ。」

 

ワイスマンの近くに現れる光る紋章…マジかよ…

 

「随分と派手にやられましたね。」

 

光る紋章から現れたのは全身鎧の2人組、主の方は間違いなくゲーム内最強と名高いあの女だろう…

 

「フッ…遅かったじゃないか。」

 

「アナタが不甲斐ないからこうしてマスターと私が出張って来たんでしょうが‼」

 

あの声から察するに従者の方は《神速》のデュバリィか、流石にコイツら2人なんて相手にできねぇな…

 

「落ち着きなさいデュバリィ、そこの御仁、できれば退いていただけると助かります…力の差もわからないほど愚かではないでしょう。」

 

「はぁ…確かに名高き《鋼の聖女》や鉄騎隊の筆頭殿とやりあっては命がいくつあっても足りない。」

 

「フンッ、当然ですわ!」

 

「ただ、俺も支える籠手の一員…《身喰らう蛇》を野放しにはできない‼」

 

身体中に闘気を纏う、その色は燦然と輝く黄緑。

 

「いいでしょう、ならばこの私自ら…」

 

「それには及びませんわマスター、こんな奴私1人で充分です。」

 

デュバリィが剣を構えるとアリアンロードの闘気が消え、撤退を始める。

 

「逃がすか‼」

 

「そうはいきませんわっ‼」

 

デュバリィに行く手を塞がれる…

 

「邪魔だっ‼」

 

デュバリィの剣の腹を殴るとそのまま殴り飛ばしアリアンロードまで肉薄する。

 

「逃げられたか」

 

デュバリィも飛ばされた衝撃を殺して撤退したようだ。

 

「クソッ戦果無しかよ…」

 

無駄に疲れたが今回のことでハッキリした、まだ俺の力では足りない、だがFCの最大レベルは50…最低でもそこまでいかなきゃ意味がない…

 

「極めてやるさ…傍観するためにな‼」

 

そんなよく分からないことを叫ぶと俺は闘技場を後にした、疲れた…ゆっくり休もう。




どうでしたか?
割りと勢いで書いてしまったのですが。
感想お待ちしております。


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まだ本編開始まで時間あるのに…④

おひさしぶりです。


そんなこんなで回復するのを待って協会に戻ってきました、疲れた…。

 

「エルナンさん、地下水路の鍵を貸してもらえませんか?」

 

「地下水路の鍵ですか?それは構いませんがなぜそのことを?」

 

そりゃゲームでもお世話になりましたから…とは言えないな、だがあそこには行かないとマズイ《葉隠》のクオーツは有能だからな

 

「実はカシウスさんから聞きまして。」

 

すまんチート親父

 

「そういうことでしたら」

 

そう言ってエルナンさんは鍵を貸してくれた、この人前から思ってたんだが帝国の人なんじゃね?

 

「ありがとうございます。」

 

鍵を受けとると協会を出て酒場に行く、まずは腹拵えだ。

 

酒場に行って渾身ブイヤベースを注文する、前回はあの鬼畜眼鏡のおかげで味も充分に楽しめなかったからな。

 

「うま~♪」

 

ジ○リ飯ならぬ軌跡飯、流行るかな?

 

腹拵えを終えて地下水道へ、このままなら3日くらいでレベルカンストいけるかな、そもそもカンストするか知らんけど。

 

 

そんなわけで来ました王都地下水路、確か記憶だとここの魔物は最大レベルでも31とかだったはず、できれば《鷹目》や《治癒》、《陽炎》なんかも欲しいところだが文句言っててもしゃーない。

 

「さぁ、狩りの時間だ…」

 

とは言ったものの結構暗いしジメジメしてるし、結構面倒だし、まずは巻貝みたいなマッドスネイルとデカい蝶のようなモスグレートを中心に狩ろう、確かここには攻撃に即死効果のあるシザーハンズもいたはず…注意せねば…

 

「えーっと《葉隠》は…」

 

テキトーに歩いてると魔獣付きの宝箱に遭遇する、軽く殲滅して手に入れたのはセスタスという手甲、ジンさんの武器やん…。

 

「…」

 

俺はそっと宝箱にセスタスを戻して宝箱の蓋を閉めた。

ここにきてわかったがどうにもレベルの上がりかたが遅い、このままならロレントで仕事をしつつエスヨシュの行動をサポートしていったほうがいい気がしてきた。

 

 

「《葉隠》見つけたらセピス稼いでロレントに戻ろうかな。」

 

正直魔獣が凶暴化して強くならない限りレベルも上がらない可能性が高いし、よしんば上がったとしても執行者クラスが来たら勝てるかわからん。

 

よし決めたロレント戻ってエステルの成長…じゃなかった2人の教育を陰から日向から見ていこう。

 

「チケット買いに行こう」

 

なんか最近いろいろありすぎたお陰でなんか感覚がフワフワだし、もうやんなっちゃうよね。

 

そんな情緒不安定な俺を魔獣だけが見ていた。

 

あ、《葉隠》はちゃんと手にいれました。

 

 

 

 

 




グダグダですいません、次からFC編入ります。


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FC編~ロレント~
~本編開始~なのに主人公はやはり余計なことしかしない


お楽しみください。


今日からついに本編開始、というのもエステルとヨシュアの2人が準遊撃士の実地試験を受けることになっている、今回の方針としてはバリバリ介入していきたいとおもう。

 

「さて、行くか。」

 

遊撃士協会に行くと2人の姿はまだない。

 

「おはよーございます。」

 

「あらクロさん、おはよう。」

 

アイナさんが挨拶してくれた、お酒以外なら是非ともお近づきになりたいんだが…

 

「2人はまだですか?」

 

「えぇ、2人が来るのはもう少し先じゃないかしら。でも意外ね、アナタが他の人の事を気にするなんて。」

 

「それは心外ですね、他でもないあの2人ですよ。俺も気を抜いてると抜かれそうで。」

 

まぁ今の段階でそれはないが後々はヤバイっていう不安はある。

 

「若手遊撃士の中でもダントツの有望株なのにそんな心配?」

 

「まぁまだC級ですからね。」

 

そんな話をしていると上から誰かが降りてくる。

 

「あら、クロさんこんなに早くどうしたの?」

 

「おはよーございますシェラさん、実はあの2人の実地試験を見学したくて。」

 

同じく若手遊撃士の『銀閃』のシェヘラザードことシェラさんだ、また今日もイイスタイルしてる。

 

「アナタが?意外ね。」

 

「みんなそう言うんですがそんなに意外ですかね?」

 

結構ショックなんですが…

 

「そりゃぁそうよ、アナタいつも人のことなんて仕事意外欠片も興味なしって感じですもの、まぁいいわアナタにもあの2人の試験の試験官をやってもらうことにしましょう。」

 

「たしか今日は地下水道に行かせるんでしたっけ?」

 

「えぇ、あの2人には内緒にしといてね。」

 

「わかりました。」

 

そんなこんなで2人で2階に上がると下から元気な声が聞こえてくる、来た来た。

 

エステルside

 

こんちは!私の名前はエステル・ブライト、好きなものはストレガー社のスニーカーと釣りです。

 

今は弟のヨシュアと遊撃士になるためギルドに来ています。

 

「おはようございま~す!」

 

「あらエステル、おはよう。」

 

「今日はよろしくお願いします。」

 

「えぇ、シェラなら2階にいるから上がってちょうだい。」

 

2階で遊撃士になるのか~、なんか緊張してきた。

 

「最後の試験、頑張ってね。」

 

「え?アイナさん今なんて?」

 

「ほら、エステル行くよ。」

 

ヨシュアに背中を押されながら2階に行くとそこにはシェラ姉とクロさんがいた。

 

「え?クロさん?」

 

「おはようエステル、今日は君達2人の試験官を勤めさせてもらう。」

 

「試験?」

 

若干の静寂が流れる。

 

「まさかエステル…試験の話を聞いてなかったの?」

 

ヨシュアに呆れたように言われ呆然とする、聞いてないわよ~~!!




意外と有望株なオリ主。


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~本編開始~なのに主人公はやはり余計なことしかしない②

お楽しみください。


ヨシュアとシェラ姉、そしてクロさんから試験の内容を聞いて一安心、試験は試験でも実地試験ね。

 

「さて、とりあえず2人にはオーブメント工房に行ってもらう引率はシェラさんにお願いする。」

 

「クロさんはどこに?」

 

「俺は2人の試験会場の最終チェックに行ってくる。」

 

クロさんって普段はふざけてるのに仕事になると物凄く真面目になるのよね。

 

sideout

 

~クロside~

 

さて、地下水道の最終チェックにやって参りました、とりあえず変な魔獣を放り込まれてることはなさそうだ。

 

「アイツと再会かぁ…」

 

あの鬼畜眼鏡…今はアルバ教授とか言ったか、見たら殴りかからないよう注意しないとな。

 

そして想定通り2人は実地試験を突破、ヨシュアの判断に助けられた形となる。

 

「おめでとう2人とも。」

 

シェラさんがエステルとヨシュアを祝福する、まぁ妹分と弟分だもんな。

 

「エステルとヨシュアはこれで帰るのかい?」

 

「はい、お忙しい中僕らの研修に付き合っていただきありがとうございます。」

 

「ありがとねシェラ姉、クロさん。」

 

「おう、お疲れさん。」

 

さて、そろそろ準備しとくかな…

 

2人とシェラが2階から降りていくと俺は少し遅れて降りる。

 

「あら?クロさん装備変えた?」

 

「よく気づきましたね。」

 

驚いた今の俺の耳にはシルバーピアスを装着している、これからミストヴァルトに行く機会も多くなるからな。

 

「明日からミストヴァルトに行くので今日はこのあたりで失礼します、お疲れさまでした。」

 

「えぇ、お疲れ様。」

 

もう少しでC+になれるからあれが手にはいるな。

 

ギルドを出るとそのままマルガ山道に入り、子供達を保護する。

 

「ルック、パット、なにしてる!」

 

「げっ、クロさん!?」

 

「クロにーちゃん!?」

 

ルックとパットが驚いた顔でこっちをみる。

 

「危ないから帰るぞ。」

 

「俺達の冒険の邪魔すんなよ!」

 

「ホントに危ないんだって。」

 

そんなやり取りをしているとエステルとヨシュアが合流する。

 

「え?クロさん?」

 

「なんでクロさんがここに?」

 

2人共鳩が豆鉄砲くらったみたいになってる。

 

「一杯いこうとおもったらなんか子供達の声が聞こえたからさ。」

 

~ヨシュアside~

 

この人は本当に底が知れない、そう思ったのはいつからだっただろうか。

 

「とりあえず3人でルックとパットを護送する、2人は周囲の警戒を頼む」

 

最初に会った時はタダの変人だと思った、だが今は違う…

 

「クロにーちゃんがいるなら安心だ。」

 

この人は…明らかになにかを隠し、違う目的のために動いている。

 

「ヨシュア!うしろだ!」

 

「え?」

 

背後を振り向くとそこには見たこともない蠍型の魔獣がいた。

 

「くっ、僕としたことが…」

 

その瞬間目の前を高速で何かが横切る

 

「ギリギリセーフ、全員無事だな。」

 

sideout

 

 




今回現れた蠍型の魔獣はクローネ山道および東ボース街道に生息するキングスコルプです。


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そろそろ頑張ろう

がんばります。


~クロside~

 

危ない危ない、まさかここ(マルガ山道)にキングスコルプがでるとは…これもあの鬼畜眼鏡のせいか?

 

「すっげー!!ぜんぜん見えなかった!!」

 

子供のほう、ルックがめちゃくちゃはしゃいでいる。あのくらいの魔獣なら大抵は1発だがあの感じ、多分『死の刃』の即死効果が効いたな。

 

「はいはい、エステルとヨシュアは周囲の警戒、さっきの魔獣が一体とは限らないから気を張っとけ。」

 

「「はい!」」

 

2人の返事が重なる、いいことだ。

 

「あれが本物の遊撃士かぁー!」

 

おいおい…

 

「…」

 

あ~、エステルちゃんショック受けてるな…フォローは任せたぞヨシュア、という意味を込めてヨシュアに目線を送ると頷き返してくれた、よし。

 

そしてそのままロレントに到着する、これで粗方終わりだな。送り届けると案の定子供達は親からめちゃくちゃ怒られてたが知ったことか。

 

「お疲れさん、気を付けて帰れよ。」

 

さっさと一杯飲みに行こう。

 

sideout

 

~エステルside~

 

クロさんの動き、近くにいたのにまったく見えなかった、ルックの言うとおり本物の遊撃士ってシェラ姉やクロさんみたいな人の事を言うのだろう。

 

「エステル、そんなに落ち込まないで。」

 

「ヨシュア…」

 

隣でヨシュアがフォローしてくる、そんなにおちこんでたかな。

 

「ねぇ…私遊撃士に向いてるのかな…?」

 

「…まぁ父さん譲りの武術の腕もそれなりだし、困ってる人を見ると放っておけないところとかも合ってると思うけど。」

 

「クロさんの動くとこ、全く目で追えなかったの…もう少しでヨシュアが大ケガするとこだったし。」

 

「あれは僕の不注意が原因だよ、それに《緑拳》のクロ・ナハトと言えば若手遊撃士の中でも群を抜いて優秀な遊撃士だし、気にすることないんじゃないかな?」

 

「クロさんってそんなに有名なの?」

 

「あの父さんですら一目置く遊撃士だよ、それにエステル、何らしくないこと言ってるかな。」

 

「え?」

 

「今日の失敗は明日取り戻せばいい、憧れてた仕事だろ?この程度でへこたれてどうするのさ?」

 

ヨシュアの言葉が胸に響く…

 

「そうよね、こんなのあたしらしくないわよね!」

 

「そうそう、エステルは能天気に笑ってた方が自然だよ。」

 

「それどういう意味よ!」

 

全くヨシュアは…

 

「まぁいいや、元気付けてくれてありがとう。」

 

「うん、帰ろうか。」

 

あ~、なんだかお腹空いてきちゃった。

 

sideout

 

~クロside~

 

やれやれ、今日はどっと疲れた…あ、おねーさんワイン追加で。ブレイサー手帳とは別のメモ帳を開くと今日の情報を書き込んでいく。

 

「…」

 

多分だが今夜か明日あたり、あの鬼畜眼鏡がヨシュアに接触するだろう、だがなにが出てくるかわからない以上こちらから何かすることはできない。

 

あ、ワイン来た、すいません後チーズもお願いします。

 

「前、よろしいですか?」

 

「えぇ、どうぞ」

 

そんなに混んでたか?というかこの割りと高めで可愛らしい声って…

 

「あら、やっと気づきましたの?随分と集中なさっていたようで。」

 

呆れたように俺を見る鉄機隊筆頭《神速》のデュバリィ…

 

「貴女みたいな可愛らしい人が来たから顔を上げたんですよ、これが野郎なら…って感じです。」

 

肩を竦めながら言うとデュバリィは一瞬キョトン、としてみるみる顔が赤くなる。

 

「アナタねぇ、なんで1年前にっ…!」

 

「お静かに、貴女の声って物凄くよく通るんですから、痴話喧嘩だと思われますよ?」

 

なんてこともない感じで宥めると押し黙る。

 

「1年前は正義に燃える熱血漢だと思っていましたが、どうやらただの女たらしのようですね。」

 

「このくらいの腹芸もできないとこの仕事しんどいんですよ。」

 

「まったく。」

 

確かゲームで飲んでるとこ見たことあるけどスゲー顔整ってるわ、ということはアリアンロードはどれほど…

 

「…」

 

「一体何を押し黙っていますの?」

 

「いや、貴女の主のことを考えていた。」

 

「っ…!?」

 

俺の目の前で殺気が膨れ上がる。

 

「チャラチャラと私を口説いたとおもったら事もあろうにマスターのことを…!」

 

「落ち着けよ。」

 

「これが落ち着いていられますかっ!」

 

「まぁまぁ」

 

酒を頼むとガンガン飲ませていく。

 

「で、なんでロレントに?」

 

そう聞くといきなり真顔になったデュバリィが語りだす。

 

「マスターからの伝言を伝えにきました。」

 

アリアンロードからの伝言は意訳するとこうだった「貴方を本格的に《身喰らう蛇》の執行者として迎え入れたい、今日の丑三つ時にミストヴァルト最奥にて待つ」とのことだった。

 

「おいおい…」

 

「私だって心の底から納得しているわけではありません、ただ闘技場で《白面》を退けたあの爆発力をマスターは評価しています。」

 

「随分と買い被られたもんだ、まぁ断るにしても行かないとダメだよな。」

 

「当然ですわ。」

 

まぁ少々見たいものもあるし行くか。

 

「ここは俺が出しとくから先に出といて。」

 

そういって会計を済ませるとホテルロレントに戻る…ん?

 

「なんで付いてきてるの?」

 

「マスターよりアナタを監視するよう言われております。」

 

「監視ねぇ…」

 

これって……これって…!?

 




なにがあったかは皆様の想像におまかせします。


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主人公はいろいろとおかしい

お楽しみください。


仕方なくデュバリィを連れてホテルロレントに戻る、受付の人はなせが表情筋がピクピクしていたがなんでだろうね。

 

「…」

 

デュバリィはデュバリィで非常にむくれてるし意味わからん、なにもする気ないよ…いやマジで。

 

部屋に戻るとアイテムや武器の準備を始める、あれを使う時がきたか。

 

「その剣、随分と手が込んでますのね。」

 

デュバリィさんが食いついてくる、まぁ確かにあんまりこの世界じゃない武器ではあるな。

 

「魔獣も人も狩れる武器ですよ。」

 

形状は端的に言うと艶消しを施した片刃の剣だが厚みがそこそこある、しかも全体的に黒い。

 

「悪趣味だこと。」

 

なんとでも言えばいい。

 

そして草木も眠る丑三つ時、俺はミストヴァルトの最奥に来ていた。

 

「時間通りの到着ですね。」

 

「ま、一応ね。」

 

「…デュバリィ、ご苦労でした、下がりなさい。」

 

デュバリィの気配が消える、ここからだ。

 

「貴方をお呼び立てしたのは他でもありません、貴方を結社の執行者として迎え入れるためです。」

 

「お断りします。」

 

淡々と話が進んでいく。

 

「それは私達と敵対する…と取って構いませんね?」

 

「それはそちらが我々と敵対すればの話でしょう、それに今回僕を呼んだのは別の理由でしょう?」

 

そう、いくら俺のレベルが高いからといって全盛期の《漆黒の牙》や現役の《痩せ狼》《剣帝》なんぞには遠く及ばない。

 

「と、いいますと?」

 

「あなた方…というより《白面》が警戒しているのは俺の爆発力、つまり《白面》と相打ちにまで持ち込んだ俺の未知の力と知識でしょう。」

 

《白面》に内面を読まれた時に余計なことまでバレた可能性の方が高いからな、ハッタリに近いが…どうだ?

 

「全てお見通しのようですね、しかしながら貴方を結社に迎え入れたいというのも本当です、《白面》も私もそれについては異議を挟む余地もありません。」

 

「かの《鋼の聖女》殿にそこまで買っていただけるとは、俺も捨てたものではないらしい。」

 

まぁならないけどな。

 

「しかし貴方は私達と敵対する道を選んだ。」

 

アリアンロードの闘気が膨れ上がる。

 

「っ…!?」

 

「その代償は高くつくと知りなさい。」

 

やっぱりこうなるか、俺は剣を抜くと構える。

 

「《緑拳》のクロ、推して参る!」

 

言い放つとアリアンロードと一気に距離を詰め…

 

「ぐっ…!?」

 

一気に吹き飛ばされた、多分突かれたんだろうが全く見えなかった。

 

「この程度ですか?」

 

アリアンロードが失望を孕んだ声で聞いてくる、ふざけんじゃねぇこの作中最強が…

 

ゴロゴロ転がって無様に立ち上がると身体の内に意識を集中する。

 

「闘気爆発(オーバーブースト)!」

 

俺の身体から黄緑色の闘気が吹き出す、この戦技(クラフト)はSTR(攻撃力)とSPD(速度)を50%up、CPを100、発動時の攻撃が必ずクリティカルになる戦技だ、ただし3分後にSTRが50%downする。

 

「一気にいくぞ!」

 

同じくアリアンロードに肉薄すると突きを繰り出してくる、ただし今度は見える、突きを避けるとそのまま背後に回り込む。

 

「終ノ太刀・黒葉!!」

 

アリアンロードの兜目掛けて叩き込む、その瞬間俺の剣から黒い闘気が溢れだし濃縮され直撃する…

 

「…嘘だろ…」

 

一気に後退して距離を取る、考えうる限り最高の状態で放った一撃のはずだ…なのに…俺の手には剣だった柄が握られていた。

 

「確かに貴方の一撃は私に届いていました、ですがそれでは強者には届きません。」

 

化け物め…

 

「もしや貴方、あの《白面》を退けたあの力、自由には使えないのでは…」

 

あぁ、その通りだよ。正直なんであの鬼畜眼鏡を倒せたのか俺もよくわかってない。

 

「だとすれば貴方には失望しました。」

 

俺は怒りを抑えながらポーチからあるカプセルを取り出して飲み込む、振り向いた瞬間がラストチャンスだ…柄のみになった剣を棄ててグローブを構える…3、2、1…

 

「もう終わり…」

 

「剛ノ拳・滅覇!」

 

俺の《緑拳》の二つ名の元になった一撃、闘気爆発と滅覇の合わせ技。

 

「ですか?」

 

滅覇が直撃した瞬間、グローブの金属部分が砕け散る、だがさっきとは明らかに違う手応え…。

 

「あぁ、これで終わりだよ。」

 

「見事です。」

 

アリアンロードの兜が割れ顔が現れる、すっげぇ…

 

「すっげぇ…綺麗だ…」

 

見とれて動けなくなるほどに…。

 

「…貴方という人は…」

 

アリアンロードは少し微笑む(ように見えた)と魔法陣のようなもので消えてしまう。

 

「っ…」

 

闘気爆発の代償とSクラフトの疲労でその場に膝をつく、あぁ…バックの中にまだ予備の武器があったはずだ、少し休んだらそれでロレントに戻ろう。

 

「さすがにしんどかった…やっぱ…強いな…」

 

本気で殺しにこられたら闘気爆発状態でも簡単に殺されてた、俺を試してたんだろうな…

 

なんとか回復して立ち上がるとロレントに帰る、ホントに気を抜いたら倒れそう…あ…落ちる…

 

目の前に広がるのは真っ黒な泥と紅蓮の業火…それは全てを呑み込み無限に広がってゆく…空からは光の雨が降り、その光景は正に…

 

「はっ…!?」

 

何の夢かわからんが物凄く悪夢な気がする…昨夜はめっちゃいいものみたのに…ちくしょう…

 

「とりあえず飯いくか…」

 

アーベントに行くと適当に朝食を食べる、野菜が甘いな。というかなんでから知らないが周りの視線が俺に集中してる気がする、なんで?周りを見ると視線を逸らされるかなぜか生暖かい目で見られる、ますますわけわからん。

 

会計を済ませるとギルドに向かう、やっぱり視線は付きまとう…なんなんだまったく。ギルドに入るとシェラさん、エステル、ヨシュアの3人が俺を見ている、いや正確にはアイナさん含めて4人だけど。

 

「おはよーございます。」

 

「おはようクロさん、ちょっと二階に来てもらっていいかしら?」

 

シェラさんの眼が据わってる。

 

「いや俺なんかしました?全く身に覚えがないんですが。」

 

まぁ敵対勢力に近しい人間と接触したけど、え?それで遊撃士クビとかないよね…?

 

「いいから来て下さい。」

 

一切の反論を許さず二階に連行される、解せぬ…。

 

「そこに座って下さい。」

 

座る、一体全体なんなんだよ。

 

「クロさん、昨夜エステル達と別れた後どこに行きましたか?」

 

「アーベントで一杯やってましたけど。」

 

「誰と飲んでましたか?」

 

「知り合い。」

 

身喰らう蛇の構成員だけど。

 

「クロさん、アナタ今噂で女の子を酔わせてホテルに連れ込んだことになってるわよ。」

 

「え?」

 

「まさかとは思うけど事実じゃないわよね?」

 

「そんなわけないじゃん、ちょっと昔話をしてただけで結構遅くなったけどちゃんと帰らせたよ、そりゃぁ途中まで送っていったけど。」

 

田舎の情報伝達の速さ舐めてたわ…本来の物語以外でこんなにも手こずるとは…

 

その後も四苦八苦してなんとか誤解だと言うことを伝えて事なきを得た、もう2度と面倒なことには首を突っ込まない。

 

 




なんとか兜を叩き割るために四苦八苦してました。ちなみにカプセルはというのはもちろんゼラムカプセルのことです。

FC編では後2回登場予定です、次回もお楽しみに。


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主人公は今日も行く。

お楽しみください。


誤解も解けてエステルとヨシュアはカシウスさんの代理でクエストを行っている、ここまではストーリー通りだがここからが問題だ、まず間違いなくロレントには鬼畜眼鏡のアルバ教授もいるし空賊のジョゼットもいるはずだ。

 

「…」

 

アルバ教授に関わるのは論外、FCの中でも上位に属するグランセル製の剣とグローブが使用不可な今俺の戦闘能力はめちゃくちゃ落ちている、かといってグランセルまで走って買いに行ったのでは時間がかかりすぎる上にトラブルに巻き込まれる可能性が高い、まぁグランセル製の剣は普通のやつがもう1本あるからレーヴェ相手に遅れは…とりそうだな。

 

「ま、いいや」

 

ギルドの1階に降りると掲示板を見る、めぼしいクエストは…

 

「このマルガ山道の手配魔獣ってやつ行ってきます。」

 

「わかったわ、新種みたいだから気を付けて。」

 

「了解」

 

そのままマルガ山道まで出て進んでいくといたのはクインスコルプ、あの鬼畜眼鏡め…

 

予備だった鋼鉄のグローブを構えて撃退する。楽勝楽勝、あの戦いを経験した後だと敵の動きがノロいノロい。

 

「終わりました。」

 

報告するとC+に昇級する。

 

「おめでとうクロさん、これを進呈します。」

 

そう言ってアイナさんが取り出したのは不思議な形をしたロケットのアクセサリ…これがあの…

 

「グラールロケット…」

 

「あら、詳しいのね。」

 

そりゃぁめちゃくちゃお世話になりましたから

 

「ありがたく」

 

アイナさんから受けとると装備すると不思議な感覚に包まれる、これが戦闘不能以外の全状態異常無効化か…。これでほとんど隙は無くなったな。

 

「では、お疲れさまでした。」

 

そう言ってギルドを出る、どうせ今日は特になんもないし教会の礼拝堂でも行きますかね、なんかあんまり信心深くない奴だと思われてるみたいだし。

 

教会に到着後、椅子に座ってステンドグラスを眺める、芸術品だな~、でもあんまり宗教って馴染まないな~。

 

時間を潰すと遅めの昼食をとりホテルに戻る、明日は空賊と戦うから気を引き締めていかないと…。

 

あぁ…眠い…。

 

 

気づいたら既に朝…マジかよこれ。

 

「しゃーない、ミストヴァルトの奥地に急ごう」

 

生ジョゼットも見とかないとロレントに来た意味ないし。

 

そうして辿り着きましたミストヴァルトの奥地、なんということでしょう、街中にあれば遊び場になっていたであろう広場は何者かによって荒らされ…ってやめよう、急に虚しくなってきた…。

 

「さて、のんびり待ちますか」

 

水筒に入れてきたお茶を飲みながら広場の薮の中で待機する、昨日もゆっくり寝たしあの戦いのダメージも抜けたしこれなら万全の状態で戦える。

 

「…」

 

暇や…かれこれ数時間は待ってるな…。そんなことを思って隠れているとガサガサと音がする。

 

「ふふふ、まったくチョロイもんだよね。これで兄ィ達に自慢できるよ。」

 

水色の髪に強気そうなくすんだ黄緑色の瞳をした少女、ジョゼットだ。

 

「お嬢の演技にはビックリだぜ、制服着てたからってあんな演技ができるなんて。」

 

「さすが元貴族令嬢だねぇ。」

 

元エレボニア帝国貴族カプア男爵家、もともとは麦の生産地だったが詐欺師に騙されて没落した一家。

 

「フン、昔のことなんかどうだっていいだろ。しかしこの格好は便利なもんだね、大抵のヤツは騙せるから助かるよあの市長といい能天気な女遊撃士といいおめでたいヤツら。」

 

あ~これエステルめちゃくちゃ怒るやつだ、まぁしばらく大人しくしてよう。

 

「でもあのガキども結構手強そうでしたぜ?鉱山にいた魔獣どもをことごとく退治してましたし、それにロレントには物凄く腕の立つ遊撃士がいるって街中で聞きましたし。」

 

「あぁ、君の失敗したやつね。ま、終わりよければ全てよしさ。でもあの能天気女、ボクのこの毛ほども疑わずに「仲良くなれそう」だってさ!」

 

広場に笑い声が響く。やっぱり一人称はボクか。

 

「…何がおかしいのよ。」

 

あ~怒ってる怒ってる。そろそろ出るか。

 

「おいおい森で訓練してたら随分と面白い話してるじゃん。」

 

突然現れたエステルと別方向から出てきた俺に驚きを隠せないようだ。

 

「クロさん!?」

 

エステル君も随分と驚いている。

 

「加勢するぜ。」

 

その一言に遊撃士3人が勢いづく。

 

「助かるわ、それにしても黙ってきいてりゃぁ能天気だの、おめでたいだと好き放題言ってくれちゃって…覚悟はできてんでしょーね!」

 

スゲー怒りようだ。おっかな。

 

「屋敷からセプチウムを盗み出した手際は見事だったけど、フフ…詰めが甘かったみたいね。」

 

「遊撃士協会規約に基づき、家宅侵入、器物破損、強盗の疑いの容疑であなたたちの身柄を拘束します。抵抗しない方が身のためですよ。」

 

シェラさんとヨシュア君も結構えげつないな。

 

「お嬢!ヤバイぜ…。」

 

「フン、ビビることはないさ!《カプア一家》の力を骨の髄まで思い知らせてやるんだ!」

 

おーおー威勢のいいことで、それに早着替えの腕もスゲーな。

 

「君達!やっちゃいな!」

 

「「「がってんだ!」」」

 

さっさと終わらせるか。

 

「闘気爆発」

 

黄緑色のオーラを纏うと距離を詰めて取り巻き3人の顎を打ち抜く。

 

「ぐっ!」「がぁ!」「うっ…!」

 

1人少し強めに入ったな。ま、これで脳震盪起こしてしばらく動けないだろ。

 

「速い!?」

 

「そっちは任せたぞ。」

 

「「「了解」」」

 

遊撃士3人でジョゼットを無力化する、まぁこんなもんか。

 

「そんなバカな…」

 

「ふふん、参ったか!遊撃士を舐めるんじゃないわよ。それと、あれは返してもらうわよ。」

 

エステル君がセプチウムを取り返す。

 

 

「僕のセプチウム…」

 

「アンタのじゃなくてロレントの人全員のものよ、まったく図々しいんだから…」

 

まったくだ。

 

「さて、どうやら任務も終わったようだし尋問といくか。」

 

「たしか《カプア一家》とか言ってたわよね?」

 

「ギクッ…なんのことだか。」

 

明らかに動揺してるな。

 

「強情だこと、でもそんな子も嫌いじゃないわよ。」

 

シェラさんの鞭がジョゼットの前あたりに当たって跳ねる、やっぱり上手だな。

 

「あ、危ないじゃないのさ!」

 

「フフ、強情な子には身体に聞いてあげる。安心しなさい。優しくしてあげるから。」

 

絶対楽しんでるな。

 

「《カプア一家》確か元帝国貴族だったか…爵位は男爵、麦の生産地を領地としていたが詐欺師に騙されて領地を奪われ放逐された一族だったかな。」

 

ジョゼットの顔が驚きと怒りに染まっていく。

 

「な…なんでそれを…」

 

「ま、いろいろと知識が深いのさ…って上だ!下がれ!」

 

下がると導力砲が撃ち込まれる。

 

「導力砲か、上に注意しろ!」

 

上からは《カプア一家》の飛行艇《山猫号》。

 

「あはは、形勢逆転だねっ!」

 

《山猫号》の上から青年、キール・カプアが顔を出す。

 

「ジョゼット、大丈夫か!?」

 

「キール兄!ずいぶん遅かったじゃないか!まぁいいや、早く加勢してよ!」

 

ここまでは原作通りだが確かこの後は…

 

「いや、ロレント進出はお預けだ。少し面倒なことが起きた!」

 

「め、面倒なこと?」

 

「いいから早く乗りな!グズグズしてると置いてくぞ!」

 

「ちっ…」

 

ジョゼットと空賊3人が飛行艇に飛び乗り去っていく。

 

「やれやれ、やられたな。」

 

こうしてセプチウムを取り戻した俺達は市長にそれを返還し、報告のためにギルドに来ていた。

 

「まさか取り逃がすとは…俺がいながら面目ない…」

 

まぁわかっていたことなんだがな。

 

「まだまだ先生の域には遠いわね…」

 

「クロさんとシェラ姉のせいじゃないってば。私も頭に血が上って…」

 

「僕も迂闊でした。」

 

そうして反省会が終わり2人が推薦されると俺は受付に行く。

 

「またしばらくロレントからいなくなる。」

 

「あら、また王都に?」

 

「いや、あの空賊共を追う。」

 

このままいけばボースに行けるからな。

 

「わかったわ、お気を付けて。」

 

ホテルに戻り荷物をまとめるとそのままミルヒ街道、ヴェルテ橋に出る、もう既に飛行船が行方不明になったというコールが流れているはずだがまぁそっちはエステル達に任せよう。

 

「ここからがスタートだ。」

 

 

 

 

 




これにてロレント編は終了となります。


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FC編~ボース~
いろいろと立て込んだ時はまず一服


ボース編始まります。


ヴェルテ橋を越えて東ボース街道を絶賛爆走中なクロ・ナハトです、魔獣ですか?蹴散らしてますがなにか?このままいけば今夜中にはボースに到着できるな。

 

「ボース到着!」

 

ボース市東口に到着するとフリーデンホテルにチェックイン、早いとこ休んで明日はゆっくり羽を伸ばすぞ~♪

 

「はっ…朝か」

 

最近いろいろあったし仕方ないか。ホテルをでるとルシール工房に行ってセピスを換金してもらう。そこそこいい額になったな。

 

「おはよーございます。」

 

ギルドのボース支部に顔を出す。

 

「おはよう、誰じゃお前さん?」

 

「C級遊撃士、クロ・ナハトと申します。」

 

「おぉ、お前さんがあの《緑拳》の。ロレントにおると聞いておったが。」

 

「昨日ロレントで発生したセプチウム強盗事件の空賊を追って来ました。しばらくお世話になります。」

 

「わしはボースを預かるルグランというジジイじゃ、お前さんのことは風の噂でよく聞くぞぃ。」

 

「変な噂じゃないといいんですがね。」

 

「そんなことはないさ、お前さんこれからどうするんじゃ?」

 

「とりあえず今日は調査に当てて本格的な絞り込みは明日から行おうかと思います。急を要するクエストがあればそちらを優先しますが。」

 

「いや、特に今はこれといって急ぐクエストはないからしっかり調査を頼むぞ」

 

「わかりました。」

 

ギルドを出ると琥珀の塔に行く、やっぱりデカいな。今回の俺のお目当てはズバリ翠耀石の護符だ、これからの敵は属性も考えていかないとキツくなるからな。

 

「入る前に駆動と行動力あと省EPを装着して。」

 

到着しました琥珀の塔5F、魔獣がウジャウジャなのを陽炎のクオーツで誤魔化しつつ宝箱の前へ開けると中から魔獣が出てくる。ラバートラッパーだ、俺はオーブメントをなぞるとアーツを駆動させる。

 

「ヘル・ゲート!」

 

地面に魔方陣のようなものが描かれ魔獣の生命活動を停止させ息絶え、セピスとなる。

 

「よし。」

 

宝箱の中から翠耀石の護符を取り出すと鞄にしまう、これでよし。意気揚々とボースに戻ると居酒屋キルシェに入る。

 

「仰天チーズリゾット1つください。」

 

いや~どう仰天するかの楽しみだな~。お、きたきた。

 

「!?」

 

めちゃくちゃ美味い、チーズが違うなこれは!

 

「これは仰天するわ。」

 

今夜はこの店で決まりだな。そんな下らないことを考えながら午後の予定を立てることにした。

 

「…」

 

問題は空賊砦にいつ侵入するかだな、あの隠し扉の位置を把握としかないことにはどうにもならないしそもそもあの扉を破壊できるのかも謎だからな…チーズリゾットうま…。

 

「よし、行くか。」

 

まぁ下見だけして今日は帰ろう。というわけで到着しました霜降り峠、ちょっとこれは予想以上に霧が濃い、これは鷹目つけとかないとしんどいな…。

 

「えーっとあの場所はかなり奥地にあったはず…。」

 

正直言って道に迷う、空賊砦に行く際はあの場所から侵入できるといいな。さすがに《山猫号》に乗るのはごめん被りたい。

 

「あ~エステル君達、モルガン将軍のとこいってんのかな~。」

 

廃坑も行かないとだから忙しいな。オリビエ…オリヴァルト・ライゼ・アルノールにも釘刺しとかないとだし。

 

「お、あったあった」

 

見た目はただの岩肌だがここが空賊砦の入口、このくらいなら滅覇で破壊はできるが今後のストーリーのことを考えると破壊は避けたい。

 

「まぁいいや、とりあえず下見も終わったしエステル君達と合流できたら合流しよう。」

 

霜降り峠をなんとか抜けて東ボース街道に出るとアイゼンロードに急ぐ。お、いたいた。

 

「あれ?エステル君達なにしてんの?」

 

 

「クロさん!?」

 

「おう、その感じだとアイゼンロードにでも用があるのか?」

 

「クロさん…アナタは超能力者ですか?」

 

「んな訳ないだろ、俺はただ推理しただけだ。東ボース街道に来る奴はアイゼンロードに用があるか霜降り峠に行くかロレントに行くかだ、霜降り峠に行くようには見えないしかといってロレントに戻るなんてことはないだろ?だから消去法でアイゼンロード?って聞いたんだ。」

 

シェラさんは頷いてるが2人、特にエステル君は驚いてるな。

 

「推理力や洞察力も遊撃士には必要な技能だ、よく覚えておくように。」

 

以上クロ・ナハトによる仕事に役立つ遊撃士講座でした。

 

「ここで立ち話もいいけど早くいきましょ。」

 

シェラさんに釘を刺される、やっちまったな。そんなこんなで3人と合流しモルガン将軍と会うことになった俺は検問の兵士を手紙で黙らせてアイゼンロードを行く。

 




今回は少し短めです。
次回をお楽しみに。


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一服したら一寸一杯

お楽しみください。


アイゼンロードを抜けるとハーケン門に到着する。

 

「これがハーケン門……メチャメチャ大きいわね~~!」

 

エステル君なんかエロい、おっと失礼。

 

「帝国への玄関口にしてその脅威から王国を守る唯一の防壁…10年前の戦争で破壊されてからさらに堅牢なものが築かれたのよ。」

 

「この向こうは《黄金の軍馬》を紋章に掲げるエレボニア帝国の領土だ。」

 

リィン・シュバルツァーはまだトールズには入学していないだろう。しかしこのハーケン門の向こう側ってどこの州なんだろうか?サザーラント州ならハイアームズ侯爵領?だった気がするが…。

 

「まぁそんなことは今は話しても仕方ないか、とりあえず遊撃士の紋章は外しといたほうがいい。」

 

皆で遊撃士の紋章を外す。

 

「な、なんだかしっくりこない気分かも。」

 

「確かに、少し違和感があるね。」

 

「ふふ、それだけあんたたちが遊撃士に馴染んだ証拠でしょうね。」

 

「いいことだ。じゃ、さっさといきますか。」

 

衛兵と会話すると案の定不在だと言うことを伝えられる。

 

「タイミングを逃したな、将軍閣下はいつ頃お戻りに?」

 

「今日中には戻ると思うけど。向こうにある休憩所に酒場があるからそこで待っていてくれ。閣下が戻ってきたら教えてあげるよ。」

 

酒場に入るとやっぱりいましたオリビエさん、やっぱり金髪って目立つな。

 

「フッ、驚いたな…。本場のリベール料理を食べるのは初めてだが、なかなかの美味だ。」

 

「ほぅ、嬉しいこといってくれるじゃねぇか…」

 

ゲームで聞いた感じの会話をしてるな。今はワインを飲んでいる。

 

「(この人ひょっとして…)」

 

「(帝国から来た旅行者みたいだね)」

 

俺達の視線に気付いたいたのかオリビエが話しかけてくる。

 

「やぁ、ご機嫌よう。リベール人のようだが帝国には旅行に行くのかな?」

 

「ううん、あたし達はヤボ用でここに来ただけなの。帝国に行くわけじゃないわよ。」

 

「そういうあなたはエレボニア人みたいですね。王国には旅行に来たんですか?」

 

「フッ、仕事半分、道楽半分さ。」

 

「仕事半分ねぇ…」

 

「しかしヤボ用ときたか。ズバリ君達の正体は遊撃士だろう?」

 

やっぱり見抜いてたか。

 

「どうして…まさか同業者?」

 

王族です。

 

「確かに帝国にもギルドはあるが生憎僕は遊撃士ではない。ただギルドに何人か知人がいてね。彼らとにたような匂いがしたらもしかして、と思っただけさ。」

 

「大した観察力ですね…とても素人とは思えない。」

 

「フフ、そんな風に睨まないでくれたまえ。冷たく煌めく琥珀の瞳…まるで極上のブランデーのようだ。思わず抱き締めてキスしたくなってしまう…。」

 

「なッ…!?」

 

「ま、大胆。」

 

「そこの君もいいねぇ、艶やかな黒髪に隠れた強い輝きとある種の達観と獣性を兼ね備えた黒い瞳…まるで芸術品の黒曜石のようだ。」

 

オリビエが俺の髪を掻き分けて見てくる。俺よりヨシュア君のほうにいって、どうぞ。

 

「ちょ、ちょっとぉ!あんたそーいう趣味の人!?」

 

「相当な快楽主義者の上に節操なし、なかなかのもんだな。」

 

俺はオリビエを離れた所に誘導する。

 

「ちょっと耳を貸してくれ。」

 

「なんだい?愛の囁きでも…。」

 

「(あんまりハシャぐとバレますよ、オリビエ・レンハイム、いや…オリヴァルト・ライゼ・アルノール皇子殿下)」

 

小声でそう言ってやるとオリビエの顔が一気に青ざめて神妙なものになる。

 

「君、どこでそれを?」

 

「おーい、あんたたち。」

 

衛兵が呼びにきた。

 

「じゃ、いきますか。」

 

オリビエをほっといて衛兵の案内のもと兵舎に行く。

 

「閣下の執務室は、廊下の左奥だ。関係のない場所にはなるべく立ち入らないでくれよ。」

 

まぁそのほうが無難だよね。オリビエ?俺の耳打ちでかき乱して置いてきましたがなにか?

 

「廊下の左奥、この部屋みたいだね。」

 

俺がノックすると中から声が聞こえる。

 

「メイベル嬢の使いか?」

 

「はい、そうです。」

 

「うむ、入ってくるがいい。」

 

将軍閣下に手紙を渡してわかった事は要約すると3つ。

 

・魔獣の被害や事故の可能性は低い。

 

・人為的な理由、つまりはハイジャックである可能性が大。

 

・今朝になって《カプア一家》という空賊団から犯行声明と身代金要求が来た。

 

ってとこだな。

 

「首領の三兄妹に率いられたボース地方で暗躍する空賊団だ。どうやら名前くらいは聞いたことがあるようだな。」

 

「聞いたことがあるどころかロレントでやり合ったばかりよ。」

 

「…エステル君…。」

 

俺がそう言うとエステル君の頬に冷や汗が伝う。

 

「あっちゃぁ…」

 

モルガン将軍がなにか合点がいったような目でこちらを見ている。やれやれ…。

 

「…なるほどな。こんな女子供が遊撃士とは。」

 

おいおいそれ俺も?

 

「そこの黒髪黒目のお前は聞いたことがある、なんでも魔獣退治にかけては右に出るものがいないとまで言われている凄腕の遊撃士だとか。」

 

「まぁそんなとこです。できればもう少し情報がほしいとこではあるのですが。」

 

「問答無用!!遊撃士諸君がお帰りだ!即刻つまみ出せ!」

 

すっげぇ声してるなこのオッサ…いやもうジイさんか。

そして俺達は兵士につまみ出され外に押しやられる。

 

「おいおい俺らは犬じゃないんだぜ?もう少し丁重に扱えよ。」

 

「フン、同じようなものだ。わざわざ身分を隠して情報を盗み出そうとするとは…そういう姑息な真似をするから遊撃士など信用できんのだ!」

 

「ぬ、盗むってなによ!」

 

「そーだそーだ、そっちが情報くれないからわざわざきたんだろうが!」

 

「これだけの事件をたかが民間団体に任せられるか!」

 

「…いい加減にしなさいよ。」

 

シェラさんのトーンが下がってる、これはヤバイ…。

 

「ちょシェラさん落ち着いて。」

 

「クロさんは黙ってて!この際ハッキリ言わせてもらいますけどね、どうしてあたしたちがロレントくんだりから出張ってきたと思ってるわけ?あんたたち軍人が、肝心な時に役に立たないからでしょうがっ!」

 

うわ~マジギレだよこれ。

 

「シェラさん落ち着いて、もうある程度調べはついてるんで行きましょう。」

 

まぁもう《リンデ号》の場所も空賊砦の場所もわかってるから問題ないんだよね。

 

「なに?そこの小僧、調べはついていると言ったな。どういうことだ!」

 

「情報を出し渋るような軍にお伝えする義務はありませんしまだ憶測の域を出てないのでこの場で言うようなことでもないので発言は控えさせていただきます。」

 

「貴様~!!」

 

「あぁ、1つだけ言わせてもらうなら遊撃士協会はリベール軍と敵対するつもりは全くございませんので悪しからず。」

 

挑発に次ぐ挑発でヒートアップしていく場にリュートの音が響く。

 

「フッ、悲しいことだね。」

 

その後はもちろんあのよくわからん口上に《琥珀の愛》の生演奏。

 

「ゴホン、そろそろ各地の捜索舞台から報告が入ってくる頃合いだな?」

 

「仰るとおりであります。」

 

逃げやがった。その後逃げようとする俺達を強引に引き留め休憩所の酒場に連行した男はこう言った。

 

「改めて自己紹介しよう。僕は漂泊の詩人にして演奏家のオリビエ・レンハイムというものだ、知っての通りエレボニア人でリベールには巡業旅行に来たのさ。」

 

エレボニア帝国の皇子、オリヴァルト・ライゼ・アルノールはペラペラと語りだした。さっさと廃坑行きたいな~。

 

 




次はいよいよ廃坑突入です。


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大体外で飲むと飲み過ぎる。

頑張ります。


自己紹介が終わり、礼を言うとオリビエがまたわけのわからんことを言い出す。

 

「礼には及ばないよ。美と平和を愛する者にとって…」

 

「あ~はいはい、その口上から始まって果てはシェラさんかヨシュア君をデートにでも誘うつもりだろ?」

 

「失敬な!まぁ間違ってはいないが。」

 

「間違ってないんかいっ!」

 

「なんで僕も入ってるんですかクロさん、冗談でも質が悪いですよ。」

 

「心外だな、僕は君も誘うつもりだよ?」

 

オリビエの爆弾発言にエステル君が噛みつく。

 

「ちょっと待ちなさいよ。なんであたしは誘わないの?」

 

「キミ?うーん、素材は申し分ないが色気に欠けているのが問題だな。この3人を見習いたまえ。」

 

うん、イラッときた。

 

「オリビエさん…」

 

俺は意識的に声を低くして威嚇する。

 

「な、なんだいクロ君、君のような人がそんなに低い声をだすものじゃない…」

 

俺は口パクでオリビエに伝える。

 

「(ツギニカノジョヲブジョクシタラバラスゾ)」

 

「うん、済まなかった。エステル君はとっても魅力的ダヨ!」

 

「クロさん、大人げないですよ。」

 

「ん、なんのこと?」

 

そんなこんなでオリビエを街まで同行させ、ギルドに戻って報告すると作戦会議。俺はボース地方の地図を広げると3人を見回す。

 

「まず今現在俺が追っている空賊団と3人が追っている定期船消失事件は空賊団《カプア一家》による犯行だ。」

 

「先程のモルガン将軍の発言からもそれは間違いないかと。」

 

「あいつら~、また性懲りもなく悪さして!」

 

「で、今その《カプア一家》がどこにいるかって言うとここが怪しいと思ってる。」

 

俺はラヴェンヌ村の廃坑を示す。

 

「ここの廃坑には吹き抜けになっている大穴があるんだ、王国軍もここまではまず調べない。」

 

「確証は?」

 

「ほぼ8割ここで間違いない、むしろここ以外には考えられないんだ、なぜかと言うと俺が突き止めた空賊団のアジトは切り立った崖のような場所、霜降り峡谷にある。」

 

「なんですって!?」

 

「そこの隠し通路までは見つけたが定期船消失事件と絡んでいるならば俺1人だと逃げられる可能性が高い上にリスクもでかすぎる。」

 

「確かに、空賊が人質に危害を加えないという保証はどこにもない。」

 

「そういうことだ、問題はその人質が廃坑とアジト、どちらにいるかがまだわからないってとこだ。戦力を集めたいのであれば十中八九アジトだと思うが保証はどこにもない。」

 

俺は一旦言葉を切ると反応を見る、よしこのまま作戦まで持っていこう。

 

「まずは人質及び定期船の発見が最優先事項だ。市長に報告した後にラヴェンヌ村に急行する!」

 

「「「はい!」」」

 

市長への報告はシェラさん達3人に任せ俺は待機する、ナイアル?知らん。

 

「クロさん、終わりました。」

 

「じゃ、行こうか。」

 

西ボース街道に出てラヴェンヌ山道に入った所でアガットに遭遇する。

 

「おっと、シェラザードか。珍しいところで会うもんだな。」

 

「それはこっちの台詞だわ。王都方面にいたと思ったけどあんたも事件を調べに来たクチ?」

 

「いや、ヤボ用でな…。そういや、例の事件は空賊の仕業だったらしいな?お前が来たんだったら安心して任せられるってもんだぜ。そっちの黒髪のデカいほうは…。」

 

「クロ・ナハト、お見知りおきを。」

 

「あんたがあの《緑拳》?冗談キツいぜ。」

 

何を根拠に。

 

「いえ、彼は正真正銘本物の《緑拳》のクロ・ナハトよ、戦闘時とのギャップが凄いだけ。」

 

あ~、闘気爆発のせいで髪の毛若干浮くからな~。

 

「おいおいマジかよ、あの鬼神みたいな奴の普段の姿がこんな冴えない奴だったとは。」

 

「なによアンタ!さっきから聞いてれば失礼ね!」

 

エステル君の援護射撃が飛んで来る、いいそもっとやれ。

 

「このガキ共はなんだよ?見たところ新入りみたいだが。」

 

「ふふん、聞いて驚きなさい。カシウス先生のお子さんよ。」

 

アガットの顔が驚愕の色に染まる。

 

「こりゃ驚いた…あのオッサンの子供かよ。ふーん、こいつらがねぇ…」

 

「無駄話は後だ、さっさと行くぞ。」

 

俺はそこで会話を切ると3人を引き連れて出発する。あの赤毛は後でシメる。

 

ラヴェンヌ村に到着するとライゼン村長の邸宅に行き鍵を借りる。

 

「そういえば、あんたたちアガットの仲間かね?」

 

「たしかに同僚ではありますが、まぁ顔見知りといったとこですね。」

 

「そうか…相変わらず1人でいるのか。」

 

まぁそんなこんなで村長から廃坑の鍵を借りると廃坑側のラヴェンヌ山道へ入る。

 

「こっちだ」

 

俺が先導して進んでいく、もうそろそろだ。

 

「そういえばこの辺りにいた手配魔獣って倒したの?」

 

「えぇ、倒したわよ。」

 

エステル君が胸を張っている。成長途中だね~♪

 

「やるじゃん。」

 

そして廃坑の鍵を使い廃坑に入ると左に曲がり壊れた橋に差し掛かる前に右に曲がる。

 

「3、2、1で突入する、3…2…1…」

 

突入するとそこには行方不明になっていた定期船《リンデ号》があった。もちろん空賊の姿も。

 

「(さすがはクロさん、大ビンゴね。)」

 

「重い資材は放っておいて食料品と貴重品を優先するんだ。グズグズしてると連中が来る。」

 

「「「「がってんだ、キール兄貴!」」」」

 

指示を飛ばすのはロレントで《山猫号》に乗っていた三兄妹の次男、キールだ。

 

「(さっさと捕まえるぞ。)」

 

そう言うや否やエステル君が飛び出す。

 

「そこまでよっ!」

 

「なにっ!?」

 

あ~あの口上か…面白いから聞いとこ。

 

「この世に悪が栄える限り、真っ赤に燃える正義は消えず…ブレイサーズ、ただいま参上!」

 

「…」

 

うわ~水を打ったように沈黙してるよ。

 

「あり?」

 

「エステル君、それはないな。」

 

「なんなの、ブレイサーズって…」

 

「まったくもう、すぐ調子に乗るんだから。」

 

「なによもう、ちょっと外しちゃっただけじゃない。」

 

さて、そろそろ仕事するか。俺は空賊共を見据えるといい放つ。

 

「お前達を遊撃士協会の規定に基き定期船強奪、乗客拉致の疑いで緊急逮捕する。覚悟はいいな?」

 

「ちょ、ちょっと待て、お前達はジョゼットがやり合った連中!?話が違うじゃないか!どうしてこんなに早く。」

 

「変な仮面の奴にでも唆されたか?まぁいい、いくぞ!」

 

そのまま飛び出すと空賊共を軒並み殴り倒してキールとの一騎討ちに持ち込む。

 

「よくも俺の可愛い部下達を…」

 

確かコイツって煙幕攻撃が主体だったよな…。

 

「他の空賊共の抑えは任せた!俺はコイツをやる。」

 

まだ立ち上がる空賊達の抑えを3人に任せてキールを見据える。

 

「闘気爆発!」

 

黄緑色のオーラを纏うとステップを刻みながら一気に距離を詰めて2発ほど打ち込む。

 

「グッ…なんつーパンチしてやがる。これでも喰らえ!」

 

キールの煙幕攻撃、たが俺はキールの胸ぐらを掴む。

 

「残念、ソイツは俺には効かない。」

 

そのままキールに頭突きをかますとキールが倒れる。エステル君達の方は…。

 

「はぁ~~、烈波!無双撃っ!」

 

終わったようだな。

 

「クロさん、そっちは!?」

 

「おう、こっちも終わりだ。」

 

戦闘終了。

 

「いたた、なかなかやるじゃないか。」

 

「まだ意識あったのか。」

 

「アンタ強すぎだぜ。ま、甘かったようだがなっ!!」

 

発煙筒を投げられて逃げ出すキール達、やられた。

 

「3人共無事か?」

 

「逃げられたようね、1度ならまだしも2度も取り逃がすなんて、こりゃあたしのほうは降格されても何も言えないわね。」

 

「いや、これで奴らを一網打尽にできる。定期船を調べたらアジトに攻め込むぞ。」

 

そんなことを言いながら定期船を調べて人質がいないことを確認して外に出る。やっぱりか。

 

「えぇ~~!?こ、これってどういうコト!?」

 

「ハハ、これはさすがに予想外だね。」

 

「やれやれだ。」

 

王国軍兵士に取り囲まれてんだもん。

 

「武器を所持した不審なグループを発見!」

 

「お前達!大人しく手を上げろ!」

 

その後俺達はハーケン門の地下牢に閉じ込められた。やっぱりこうなるのね。

 

 

 

 

 

 

 

 




次の次くらいでボース編を締めれるように頑張ります。


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