やはり俺がボーダーA級部隊隊長をやっているのはまちがっている。(更新停止) (新太朗)
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原作前 比企谷隊プロフィール

新しく書きなおしたものです。

よろしくお願いします。


A級9位 比企谷隊 

 

エンブレム 三本の引っかき傷 隊服 迅の隊服バージョン黒に肩から手にかけての所に白の三本のラインの入った服

 

比企谷八幡(ひきがやはちまん) 16歳 高校2年生 8月8日 

 

 

ポジション 隊長 オールラウンダー

 

ボーダーナンバー1 オールラウンダー  個人総合5位

 

好きなもの:妹、マックスコーヒー、チームメイト

 

ファミリー 母 妹 猫

 

トリガーセット

 

メイン 弧月 旋空 メテオラ ライトニング

 

サブ  バイパー シールド グラスホッパー バックワーム

 

パラメーター

 

トリオン15 攻撃8 防御・援護7 機動8

技術8 射程6 指揮7 特殊戦術2 トータル61

 

サイドエフェクト 脳機関強化

記憶力上昇や五感のいずれかを一時的に常人の数倍に引き上げることが出来る。

 

 

第1次大規模侵攻の時に父親を亡くす。母の助けと思いその後、すぐにボーダーに入隊を決意する。

三輪とは、同期で割と中がいい。ただ、入隊当時は金のために入隊した八幡を毛嫌いしていた。

陽乃とは、一年ほど前の高校の入学式の当日に犬を救った時に轢いた車に妹が乗っていたこともあり、病院でその説明や事故の口止めを頼んでいる時に米屋や出水が見舞いに来て、八幡がボーダー隊員で知られてしまう。

退院してすぐに陽乃にボーダー本部で再会してその際に部隊を組むことを強要されてなくなく、部隊を結成する。周りからは、八幡ハーレムと言われている。

 

雪ノ下陽乃 (ゆきのしたはるの) 19歳 大学生 7月7日

 

ポジション オールラウンダー

 

八幡の弟子兼恋人

 

好きなもの:妹、チームメイト、八幡

 

ファミリー 父 母 妹

 

トリガーセット

 

メイン 弧月 旋空 シールド バックワーム

 

サブ  アステロイド:拳銃 バイパー:拳銃 シールド 鉛玉

 

パラメーター

トリオン4 攻撃7 防御・援護9 機動6 

技術8 射程3 指揮9 特殊戦術4  トータル50

 

 

春の入学式の当日に妹の乗っている車が交通事故を起こしてしまい、被害者の八幡に口止めを頼んでいる時にお見舞いに来た米屋と出水から八幡がボーダー隊員と知り自分もボーダー入隊をする。その後退院した八幡と一緒に部隊を結成する。

入隊した年の12月下旬に勇気を出して告白して晴れて恋人関係になる。

基本的には、暇の時はイチャイチャしている。

 

 

朝田詩乃(あさだしの)高校一年生 15歳 5月10日

SAOよりパロキャラ あだ名 シノン

 

ポジション スナイパー

 

ボーダーナンバー3スナイパー

 

好きなもの:ゲーム、チームメイト、銃

 

ファミリー 祖母 母

 

トリガーセット

 

メイン イーグレット ライトニング シールド アステロイド:拳銃

 

サブ  バックワーム ハウンド;拳銃 シールド 

 

パラメーター

トリオン6 攻撃9 防御・援護7 機動5

技術11 射程12 指揮2 特殊戦術1 トータル53

 

入隊は2年ほど前、それから比企谷隊に誘われるまでソロで他の隊と合同防衛任務に当たっていた。

コミケーションが苦手で人と話すのは、比企谷隊以外では言葉が詰まる。

スナイパーの腕は奈良坂の次にすごい。

ゲーマーで太刀川隊の国近とは、よくゲームをしている。

 

 

姫柊雪菜(ひめらぎゆきな)中学三年生 14歳 12月7日

ストブラよりパロキャラ

 

ポジション アタッカー 

 

米屋の弟子

 

すきなもの:猫、チームメイト、小物

 

ファミリー 父 母

 

トリガーセット

 

メイン 弧月:槍 旋空 幻踊 アステロイド:拳銃

 

サブ スコーピオン ハウンド:拳銃 シールド バックワーム

 

パラメーター

トリオン4 攻撃7 防御・援護8 機動8 

技術8 射程3 指揮5 特殊戦術4 トータル47

 

陽乃と同期でC級の時から部隊を組むことがあれば自分の隊にと誘われていた。

B級に上がった時に陽乃経由で八幡と知り合いになり、八幡経由で米屋と知り合って弟子となり槍の戦い方を教わっている。

さぼり癖のある八幡を監視しては小言を言っている。猫が好きでよく八幡からカマクラの写真などを貰ったりしている。

 

 

愛川椿姫(あいかわつばき) 19歳 大学生 6月21日

オリキャラ

 

ポジション オペレター

 

好きなもの:エロ、同人誌、チームメイト

 

ファミリー 父

 

パラメーター

トリオン3 機器操作7 情報分析7 

並列処理7 戦術4 指揮4 トータル31

 

陽乃の大学の友人で陽乃が隊を結成する際にオペレーターを頼んでそれを引き受ける。

漫画を描くのが趣味でよく同人誌などを暇な時に書いている。

女子にスキンシップと言って体を触っていて、女性版:迅と言われ那須隊の熊谷によく文句を言われている。

 




新しく書きなおしました。

どうか、温かい目で見守りくだいさい。


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原作前 比企谷隊①

更新率をがんばって上げていきたい。

では、本偏をどうぞ。


 

20XX年 この年最大級の事件が起こった。

 

第1次大規模侵攻

 

近接する異世界、近界(ネイバーフッド)からの攻撃。

 

これに対する組織が『ボーダー』

トリガー駆使して、この侵攻の被害を抑える事に成功した。

 

それから、4年の月日が流れようとしていた。

 

 

八幡サイド

 

 

四月下旬 警戒区域 北東区画 とある廃ビルの屋上

 

(とにかく、眠い。こんな温かい日に外に出て、体を動かして働いているのがなんだかバカらしく、思えてくる。)

 

「先・・・。・・・輩。・・・比企・・・。・・・先輩。・・・」

 

(聞き慣れた、後輩の声がとても心地よくこのまま寝てもいいくらいだ)

 

「いいかげん。起きてください。比企谷先輩・・・」

 

「なんだよ?雪菜・・・。今とてつもなく眠いんだから・・・寝かせてくれ・・・」

とあくびをかみ殺し、そう返した。

 

姫柊雪菜

 

比企谷隊 アタッカーでウチの隊で最年少の中学生だ。

真面目で可愛いことでボーダー内に隠れファンが多数、存在する。

猫好きでよく家でミーティングをやる際は、比企谷家で飼っている猫のカマクラをずっと撫でて放さない。

 

「何をバカなことを言っているんですか。・・・今、私達は防衛任務中なんですよ。

しゃきっとしてください。それでも、隊長ですか・・・」

 

「そう言っても、この温かさが眠気を加速させるんだからしょうがない。とゆうワケでお休み・・・」

 

「だから、寝ないでください。起きて仕事してください。それと先輩の足を枕代わりに寝ている、その人を起こしてださい」

 

そう、今現在俺の足で寝ている人は俺の恋人で弟子の雪ノ下陽乃である。

 

比企谷隊オールラウンダーで俺が指揮できないとき、指揮をしてくれる人だ。

ただ、この人見た感じ誰にでも優しいかと思いきや厚化粧より厚い鉄の仮面を付けて人に接する人なのだ。

 

この人のせいで隊は作らされるし、弟子にはなるし、今年の初めに両親に紹介されるし、特に母親がマジ恐ろしかった。いやマジで大魔王って実在したんだとあの時思った。

 

なんだかんだで今は、この隊のメンバーは結構好きだ。いや恋愛的じゃなくて友情的な感じで。いやマジ、浮気とかしたら陽乃さんに社会的に抹殺されかねない。

 

「了解、了解。起こしますよ。・・・起きてください、陽乃さん・・・起きてくれないと俺が雪菜にどやされるんで」

と、まあ~こんな感じだが特にトリオン兵が出てくることはなく、今日の防衛任務をこなしていった。

 

マジ、俺すでにしっかりとした社畜だわ。家に帰ったら作文書いて提出して置かないとめんどくさい。

 

この時の俺は思いもしなかった。まさかこの後、1年前の事故の関係者に次々を出会っていくなんて。

 

 

 




もう一話、原作前を入れて、俺ガイルの原作に入ろうと思います。

感想・指摘があればお願いします。

ハイスクールの方もがんばって更新して行きたいです。


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原作前 比企谷隊②

次から、俺ガイルの原作に入っていこうと思います。

ハイスクールの方も更新していきたいので応援宜しくお願いします。

では本偏をどうぞ。



八幡サイド

 

5月1日 夜 警戒区域 南区域

 

明日は、ゴールデンウィークだ。待ちに待ったゴールデンウィークだ。

大事なことなので二回言った。

 

社畜根性で防衛任務を普段道理にこなせば、明日は学校がない。

実にいい響きだ。

家でごろごろや、溜め込んだ日朝アニメを消費する絶好の日とわくわくと考えていると。

 

『みんな。門が開くよ』と通信が入ってきた。

 

「了解です。椿姫さん、敵の数は?」と比企谷隊オペレーターの椿姫に確認した。

 

愛川椿姫

 

比企谷隊の凄腕オペレーターで陽乃さんの大学の友人だ。

ただ、この人の身為は陽乃さんと同じ位スタイルのいいが趣味が問題だ。

暇さえあれば同人誌を描いているんだが、R-18指定のエロい同人誌を描いている。

それだけなら、まだいいんだが。

女子に対してセクハ・・・ではなく、スキンシップと証したおさわりをする。特に好みの女子は遠慮がない。

最近はB級那須隊の隊長の那須と同じく那須隊のアタッカーの熊谷がお気に入りらしく触りまくりで熊谷からは『隊長なんだから、しつかりとしろ』と言われる始末。

だが熊谷。あの人行動を阻むのは、俺では無理。我慢してくれ、飯奢るから。

 

『モールモッドが21体、バムスターが7体バンダーが9体だよ』と聞こえてきて思考が少し追いつかなかった。

今日は、トリオン兵のバーゲンセールかよ。

 

「陽乃さんは、雪菜とバムスターとバンダーをお願いします。モールモッドは、俺とシノンで処理しますから」

 

「「「了解!!」」」と三人が返してきたので、俺はシノンと共にモールモットを相手にした。

 

「メテオラ+バイパー=トマホーク」

合成弾を作り、それを5×5×5に分割して一度上に向けて放ち、それを一気に下にいるモールモッドに当てた。

このトマホークの当て方を隊員の間で『空爆トマホーク』と称されている。

 

これで、モールモットの半分は粉々になるのでシノンの狙撃と俺の弧月とバイパーで残りのモールモッドを片付けた。

それとほぼ同時に陽乃さんと雪菜もトリオン兵をすべて片付けていた。

 

「椿姫さん。トリオン兵の反応はどうですか?」

出てきたトリオン兵は倒したと思うが、取り残しがいるかもしれないので椿姫さんに確認をお願いした。

 

「問題なし。全部もれなく、倒してあるよ。トリオン兵の反応はないよ」

 

その通信を聞いて、気が少し緩んだ時だった。

 

「ハチくん。本部から何か?通信が来ているよ。繋ごうか?」

 

(本部から?一体なんの通信だ)と頭の中で疑問に思いながら、通信が来た。

 

「比企谷隊長。密航者を捕縛せよ」

 

「・・・・・・・・はぁ?・・・・」

 

 

 

 




少し予定を変更して、密航者を追いかけます。

そしたら、俺ガイル原作に入ります。

指摘・感想をお願いします。 

ヒロインを陽乃と雪菜のWヒロインにしていこうかなと思います!
近日、R18を書いてみようかなと思っています!


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原作前 比企谷隊③

これで、原作前話は終わるつもりです。

俺ガイルの一話目にあの先生とのやり取りをやって行きます。

では、本偏をどうぞ。



八幡サイド

 

俺は、本部からの通信に困惑していた。密航者?捕縛?その言葉から連想するとすれば、誰かが近界(ネイバーフッド)にボーダーの許可なく行こうとしてしると、そう言うことだ。

 

「それはどういうことですか?詳しい説明をお願いします」

いったいどこの誰が、そんな無謀なことやろうとしているんだ?

 

「余り時間がないので、簡潔に説明する。二宮隊鳩原隊員が一般人にトリガーを横流ししていることが判明した。そこで彼女の身柄を確保しようとしたところ、その付近で四つのトリガーの起動を確認し、一つが鳩原隊員のものと一致した。なので至急彼女の身柄を抑える必要がある。これは、重大な隊務違反に相当する。急いで指定座標に向かってくれ」

 

「了解!ただちに向かいます。陽乃さん!ここ任せてもいいですか?」

 

「うん。大丈夫だよ。しっかりね」

 

俺は「はい」と短く返事をした後に、グラスホッパーを使い指定座標に向かった。

 

 

しかしそこには、誰一人としていなかった。そのことを本部に連絡しようと思った時、三人の影が見えた。

 

「・・・どうやら、ひと足遅かったようだな。比企谷・・・」

 

「はい。風間さん」

 

風間蒼也

 

A級3位 風間隊隊長で、大学生の先輩だ。ただ、この人他の大学生と比べると身長が低い。だが小型かつ高性能という言葉がよく似合う人だ。

 

「僕達より、早く着いたくせに取り逃がしたんですか?だめですね」

 

このくそ生意気な態度で毒を吐いてくるのは、風間隊アタッカーの菊地原士郎。

強化聴覚のサイドエフェクトを持つ男で、風間隊がステルス戦闘のスペシャリストと言われるのは、こいつのおかげと言える。

 

「おい、菊地原。すみません、比企谷先輩」

 

歌川遼

 

風間隊 オールラウンダーでよく出来た後輩だ。過去に何度か飯を奢った事のある人物だ。

菊地原の吐いた毒の処理をよくしている。

 

「・・・ほ~お。言うじゃないか、菊地原。俺より遅いくせに随分とデカイことが言えるな。遅い分際で」

 

「・・・・・チッ・・・・」

 

「・・・聴こえているからな。今の舌打ち。後でズタズタに切り裂くぞ」

と菊地原に喧嘩を売っていると、風間さんが割り込んで来て。

 

「それで比企谷。密航者は全員ゲート向こうへ行ったのか?」

 

「おそらくは。足跡を見つけました、大きさや数から見て最低でも四人はいた事になります。一人は鳩原さんで、残りが不明ですね」

 

「・・・そうか。本部への報告はこっちでやっておくから、お前は防衛任務に戻っていいぞ」

 

「そうですか。ありがとうございます。・・・後のことお願いします」

と風間さんに言い、防衛地点に戻った。

 

戻ってすぐに、陽乃さんが話掛けてきた。

 

「密航者はだれだったの?」と陽乃さんが「三人、不明です」と俺が返した。

 

「そっかー。わかんないか。まあ、考えてもしょうがないか。ところで八幡。GW、時間ある?」

 

「・・・?まあ、ありますけど。何なんですか?」

 

「うん。明日、箱根の温泉街にいかない?」

 

「・・・何でまた?箱根?」

 

「うちの会社の系列でプロジェクトがあるんだけど。お父さんとお母さんが都合がつかないから代わりに私が行く事になったの。それでみんなもどう?」

 

椿姫は「同人誌を仕上げたいからパス」とシノンは「国近先輩とゲーム三昧でパス」と

雪菜は「小町ちゃんと那須隊の皆さんで、お泊まり会をするのでパスです」と三人がそれぞれ断り入れて来た。

俺は、と思う。那須隊のお泊まりなら小町はいないし、一人だし、いいかもしれない。

 

「俺は、別にいいですよ」と言ったら、陽乃さんが「やったー。じゃあ、明日四時起きネ」ととんでもない時間を指定いてきた。

「・・・なぜ?四時なんですか?」

 

「早く行って、温泉入るのに決まっているじゃん」

 

それじゃあ、しかたない。がんばって起きるか。

 

 




今回は、それなりに文字数がある。

今までで一番かも?

箱根・温泉偏は番外偏としてR18指定にしていきたいので
近いうちに投稿したいです。

近い内にオリジナルトリガーを登場させる予定です。

では、また次回にお会いしましょう。


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奉仕部入部 比企谷八幡①

ついに、原作入り。

たまに戦闘描写を加えつつ進めていきたいです。

では、本偏をどうぞ。



 

ゴールデンウィーク明けの放課後

 

陽乃さんとの箱根・温泉旅行は、とても、そうとてもいいものだった。

それは、別の機会にでも話すとするか。今の現状はと言うと。

俺は、現国で生徒指導の平塚先生に呼びつけられていた。

 

「比企谷・・・。これはいったいなんだ?」

と作文用紙を見らながら、自分はイラついていますよ。と言ってそうな雰囲気を醸し出している。

 

「作文用紙ですよね。見ればそんなのわかりますよ。それで、なんですか?」

 

「はぁ~・・・。私が言っているのは作文の内容だ。何だ?君はリア充に何か怨みでもあるのか?」

 

「そうですね。数に物を言わせて、悪ですら正義に変えてしまう。彼らのやり方はとても嫌いですね」

 

「あれだな。君は性格は捻くれているし、目も魚のように腐っているな」

 

なにいきなり失礼なことを言っているんだこの教師は。それでもあんた教育者かよ。陽乃さんから聞いていたが、予想よりも嫌な人だな。

 

「それは、とても栄養がありそうですね」

 

「小僧。屁理屈を言っているんじゃない。真面目に聞いているのか?」

 

「小僧って・・・。それは先生の年齢から・・・「黙れ」で気に入らないと殴りつけるんですか?」

そう、平塚先生からのいきなりの攻撃だった。無論、この程度裁けない訳ない。ボーダーで、レイジさんや風間さんとトレーニングをしているので余裕で対処した。

 

「教師が生徒に暴力とか、教師としてどうなんですか?」

 

「う・・・。それより君は友達はいるのか?」

 

「いますよ。それなりにたくさん」

ボーダーのB級以上の隊員は、隊を作る前に合同で防衛任務に当たっていたので組んだことのある隊員とはケータイの番号を交換していたのでたまにランク戦や防衛任務の助っ人としてよく呼ばれていた。

 

「・・・比企谷。嘘を吐くな。お前みたいな目の腐った奴に友達がいる訳あるか」

 

「・・・平塚先生は・・・。やっぱりいいです」

 

「なんだ?中途半端に言うな。・・・それで彼女はいるのか?」

 

「ええ。いますよ。年上の人ですが」と言うと平塚先生はまるで哀れむように

 

「比企谷・・・。そんな嘘を吐かなくてもいいんだぞ。いくらいないからといっても先生は悲しいぞ」

 

ウゼェー。何なんだ。この教師は失礼にもほどがあるだろ。そう言う自分には彼氏がいるのか?」

 

「比企谷・・・。聴こえているぞ。・・・よし、君は私を傷付けた。そこで奉仕活動を言い渡す。異論などは受け付けない」

 

「いや。そんな勝手が許される訳、ないですよ。あんたそれでも教師かよ」

 

「いいのか三年で卒業できなくても、いいんだな?」

 

「したければどうぞ。それで教師人生を終わらせたいのなら。それに学年主席をどんな理由で留年させるんです?」

 

「う・・・。とにかく、ついてきたまえ。」

 

仕方ない。黙って付いていくしかないか。今日は、鬼怒田さんに呼ばれて新型のトリガーの試作品の実験に付き合うことになっているが……。一応、電話いれておくか。

 

「・・・鬼怒田さん。比企谷です。今日の実験なんですか。少し遅れるかもしれないので」

 

『何だ?どう言うことだ。何かあるのか?』

 

「学校の教師に捕まりまして、一時間ほど遅れます」

 

『そうか。わかった。まあ、出来るだけ早めに来てくれ。説明もしておきたい』

と言う鬼怒田さんに「わかりました」と返事をして、平塚先生に連れてこられた特別棟の一つの教室に止まり、そのまま扉を開けた。

 

そこでは、一人の少女が読書をしていた。

一瞬、誰かに似ている気がした。

 

 




ついに、原作入りここからが大変だけど頑張ってワートリ原作まで行きたい。

箱根・温泉旅行は近い内に投稿したいです。

やはり俺の恋人との十八禁展開はまちがっている。(仮)



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奉仕部入部 雪ノ下雪乃①

雪乃とのやり取りにアンチを少し入れて行きます。

では、本偏をどうぞ。



その少女は、読書をしていた。それだけで絵になっている。窓から入ってくるそよ風が髪をなびかせ、人を惹き付ける何かを持っている。

だが俺には世界一かわいい妹の小町と恋人の陽乃さんがいるので、特別な感じが伝わってこない。

 

見覚えがある訳が分かった。この少女は、陽乃さんの妹の雪ノ下雪乃だ。顔の作りが似ている。さすが姉妹。

そうしていると、本を閉じこちら……というか平塚先生を見て溜め息を突きながら文句を言い出した。

 

「・・・はぁ~・・・平塚先生。入るときはノックをしてください。と何度言えばわかるのですか?」

 

「すまない。・・・だが、ノックをしても君が返事をしたためしがないじゃないか」

まるで悪びれる事などしないかのようだ。

 

「それは、返事をする前に平塚先生が勝手に入ってくるからじゃないですか。・・・それで、そちらのヌボーっとした人は誰なんですか?」

 

「今日から、ここの新入部員だ。ほれ、自己紹介をしろ」

 

「・・・2年F組、比企谷八幡です。って新入部員って何ですか?俺は部活には入りませんよ。忙しいんですから」

 

「異論は認めないと言ったはずだ。それに君の腐った目だけでなく、曲がった根性を直さないと、社会に出て苦労するぞ」

 

「・・・おおきなお世話です。人の性格を言う前に先生の性格を直したらどうなんですか?だから結婚できないんですよ」

 

俺の言葉に怒ったようで、拳を固め、俺に向けて殴ってきた。

 

「・・・衝撃のファーストインパクトーーーーー!!!!」

 

「それは、さっき見ました」と余裕で回避した。そのことに驚いた顔になった平塚先生に向かって、言ってやった。

 

「・・・教師が生徒に暴力ですか?・・・教師の風上にも置けない最低の教師ですね。

もし今のが当たって俺が教頭か校長に言えば、先生は懲戒免職になっていましたね」

 

俺がそこまで言うと「うぐぐぐぐ・・・・」と拳を構えていた。

 

「・・・平塚先生。そこまでにしてください。ここで暴力事件を起こさないでください。部活停止になったらどうするのですか?」

 

俺の心配ではなく、部室の心配かよいい性格しているぜ。もちろん悪い意味で。

ある意味、陽乃さんの妹だな。

 

「それで、彼の性格を社会に出ても大丈夫にすればいいのですね?」

 

「ああ・・・そうだ。頼めるか?」と平塚先生に対して雪ノ下は「お断りします。彼からは、何か卑猥なものを感じます。私の貞操が危険になります」

 

「・・・誰がテメーみたいな性格の悪い女に欲情するか。お前こそ、自分の性格を見直したらどうだ」

 

「・・・何を言っているの?私ほど完璧な人間はいないわ」

 

うわぁー。・・・ナルシストかよ。人間として欠陥だらけだな。

 

「そーですかー。・・・まあ、がんばれ」

 

「何を言っているの。貴方の性格をこれから直していくのよ。私に感謝しなさい」

 

「・・・ありがとう。では俺はこれで」

と部室を出ようとすると、平塚先生に肩を掴まれて。

 

「どこに行こうとしている?君は、これからここで部活動にいそしむのに」

 

「・・・マジふざけんなこのクソ教師が。人の時間を奪っていいわけあるか。俺は帰ります」

 

「だから、待ちたまえ。それに教師にクソはないんじゃないか?」

 

「俺はバイトがあるんですよ。だから帰るんですよ。邪魔しないでください」

 

「うそを付くな。いいから君は黙ってここで部活動をするんだ」

 

その一言で完全に頭に来たので。

 

「いいかげんにしろ!!俺の都合も知らないで!!勝手なことを言ってんじゃない。俺は帰ります」

と扉を思いっきり閉めてボーダー本部に向かった。

後ろから何か声がしたが無視して、一直線に昇降口まで走っていった。

 

 

 

 

 




次回、本部で八幡のソロ戦をしていこうかなと思います。

その前にオリジナルトリガーを登場させます。

こうご期待に。


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奉仕部入部 比企谷八幡②

俺ガイルキャラのあの男が現れる!

では、本編をどうぞ。


俺こと比企谷八幡は、ボーダー本部の廊下をイライラしながら歩いている。

向かうのは開発室だ。

今日は、鬼怒田さんから新型トリガーの実験に付きあってくれと連絡が数日前に来た。

ギャラがあるので、速攻で承諾した。

 

「すいません。遅れました・・・鬼怒田さん・・・?」

俺の目の前には鬼怒田さんではなく、小太りだが指抜き手袋に総武高の制服の上に白衣を着込んだ男が笑いながら話しかけてきた。

 

「わはぁはははっは!!待ち侘びたぞ、八幡よ。・・・ついにおぬしに最強のトリガーを渡すことができようとは、嬉しくおもうぞ」

 

「・・・さっさとしろ、材木座」

 

材木座義輝

 

この目の前の男とは、それなりの付き合いになる。っても入隊の同期で、最初のころはまったく話さなかっただけだが……。ただ俺がコミュ症なだけで他人と話さなかっただけだが。

この男、トリオン量はそれなりにあるが戦闘がからっしきだめでC級の時に訳のわからないことを叫びながら、弧月を振り回していた。

 

「むっ・・・そう急かすものではないぞ八幡よ「いいから、説明しろ。弧月でズタズタにするぞ」・・・はい。・・・では、こちらをご覧下さい」

 

キャラがぶれぶれだぞ。・・・こいつは平塚先生や雪ノ下と、ちがうベクトルで疲れる。・・・実験が終わったらすぐに帰って寝よ。

 

「おほん!!・・・これが・・・我ら開発室が作り上げた・・・新しいブレードトリガー・・・その名も『攻撃拡張型ブレード 天月(てんげつ)』だ」

キャラの復活は早かった。

 

「・・・へぇ~、これが」とブレードを見た。

形は両刃の十字剣で刀身が弧月より少し長くなっていた。

 

「さよう。両刃の十字剣をイメージして作り・・・ついに完成したのだ・・・最強のトリガーが・・・すごいであろう」

 

「ああー・・・すごいなすごいな。(棒)つか、最強かは置いといて、これ俺で実験する意味あるのか?」

 

「ふむ。実はこのトリガーはトリオンのコントロールが必要なうえ適任者がおぬしなのだ。他の候補は出水殿や二宮殿であるが、お二人はシューターであるゆえにブレードトリガーを使わないので、トリオン量やそのコントロールが優れているブレード使いはお主なのだ」

 

「なるほど~・・・確かに二人は使わないか、ブレード・・・わかった、で何をすればいいんだ?」

 

「うむ。八幡にはひたすらソロ戦をやってもらって、定期的にトリガーのデータを提出してもらいたいのだ。・・・それともう一つ、新しいガンナートリガーもやってもらいたいと鬼怒田室長は、おしゃっておられた」

 

「新しいガンナートリガー?」と俺は首を傾げた。実験のトリガーは、一つとおもっていたからだ。「で、どれだ」と周りを見渡した時に白い布で隠された大きな物が見えた。

 

「それが・・・これだ」と材木座が自信たっぷりで布をめくると、出てきたトリガーを見て、俺は驚いた。

 

「!!!・・・材木座。これは銃とは言わないんじゃないか?・・・これは、ロケットランチャーだ。・・・これを使えと?」

 

「無論だ!八幡なら見事使いこなすだろう。・・・と思う」

 

「思うってなんだよ!これ、安全なのか?」

 

「体は、トリオン体なのだから大丈夫だ」

 

「はぁ~・・・わかったよ。使いこなしてやろうじゃないか。・・・俺はブースに行くわ。じゃあな、材木座」

 

「ふむ。ではさらばなのだ。八幡よ」

 

こうして、俺は材木座と分かれて個人ブースに向かった。

ブースに着いて、誰か適当な奴とソロ戦でもするかと思っていると後ろから声を掛けられた。

 

「おーいー。ハッチー」

 

 




まさかの材木座でした。

八幡と材木座は以外と中はいい方です。

次回、槍バカとソロ戦をします。

オリジナルトリガー 新型ブレード:天月とロケットランチャー
この二つを次回、使っていきたいです。

次回をお楽しみに。


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奉仕部入部 比企谷八幡VS米屋陽介

槍バカとソロ戦です。

戦闘描写下手かもしれないので、優しい目で見守りください。

ではどうぞ。



開発室からソロ戦のブースに来た所で後ろからよく聞く声がして来た。

 

「おーいー。ハッチー!」と俺をそのような呼び方をする人物は一人しかいない。

 

米屋陽介

 

A級三輪隊アタッカーでボーダーでは、珍しいトリガーの槍を使い戦う男だ。ちなみにウチの隊のアタッカー、雪菜の師匠でそれなりに腕が立つ。

周囲からは槍バカなど呼ばれるほど槍使い。

 

雪菜に米屋を紹介したのが俺で、そのおかげで雪菜は短期間で腕を上げて比企谷隊はA級に上がることができたのだが、この米屋と言う男は勉強がてんで出来ない。雪菜の師匠をやるかわりに俺が勉強を見ることになっている。

 

「どうしたんだよ米屋。お前たしか、防衛任務じゃあなったのか?」

と聞くと、米屋は軽く答えてきた。

 

「それなら、ほんの十分前に終わったとこだぜ」

 

「・・・報告書は月見さんか古寺にまかせてきたのか?」

 

「おう!任務中、トリオン兵が出なくて暇してたんでソッコーでブース来てランク戦でもやろうと思ってな。それより、ハッチ。お前のそのトリガーなんだ?見たことないけど。新型か?」

 

「ああぁ。新型の試作ブレードだそうだ。米屋、俺と戦わないか?こいつの威力とかを見ておきたいからよ」

 

「いいぜ。俺もバトル相手が欲しかったところだ。俺は125番に入るはハッチは」

 

「俺は127にでも入るわ。フィールドはランダムでいいよな?」

 

「もちろんそれでいいぜ。十本勝負といこうぜ」

 

十本もやるのかよ。まあ、それだけやれば今日はいいか。明日は朝から防衛任務だから、これが終わってから作戦室で時間まで仮眠を取るか。俺は「了解。それで」と答えてブースに入った。

 

 

『比企谷対米屋 十本勝負開始』

と音声が聞こえてきて、初めのフィールドは市街地A、すぐさまブレードの天月を抜刀して、改めて天月を見た。重さは弧月と変わらないが、刀身が十センチほど長いから両手持ちで使うのでガンナートリガーがすぐさま使えない。今回は、天月だけでいいか。

 

米屋は弧月:槍で幻踊を使い、刃先を曲げてくるから避ける際は気よ付けないと少しずつトリオン体を削られて、トリオン漏れで負けてしまう。

 

そうしていると、後ろから足音が聞こえてきた。と思ったら、すでにかなり近い距離まで来ていた。

 

「いくぜ!!幻踊弧月」っていきなりかよ。俺はすぐさま天月でそれを捌いたと思ったら、米屋は槍の連続突きを放ってきた。

 

「オラオラ。どんどんいくぞ!」とさすが槍バカと呼ばれるだけはある。だんだん捌き切れなくなり、体に数突き受けてしまい、少しトリオンが漏れ出した。

 

俺も隙を見て、天月を横一文字のように斬り付ける。その時に天月にトリオンを流し込み、切りつける時に米屋は、槍を縦に構え更にシールドを重ねてきた。

カウンターで俺を仕留めるつもりのようだ。が、そうわならなかった。天月が槍とシールドごと米屋を一刀両断したからだ。

 

『トリオン体 活動限界 緊急脱出』の機会音の後に真っ二つになった米屋のトリオン体は飛んで行った。

この天月の扱いが難しい理由がわかった気がする。トリオンを流すタイミング、トリオンの量など細かく調整しないと鈍刀にも切れ味抜群の名刀にもなる。

また開発室はとんでもないものを作ったものだ、と思っていると米屋から通信が着た。

 

『おい、ハッチ。今の何だよ?槍とシールドを纏めてぶった切っていたぞ』とその声は妙にテンションが高かった。

 

「あれが新型ブレードの威力だよ。だけど、トリオンのコントロールが思ったより難しい。こはデータを取って改良していかないと俺以外の人間は使えないな」

 

『マジかよ!そんなに難しいのか?じゃあ、俺にはとてもじゃないが使えないな。さ、次だぜ』

 

「わかった、わかった。それじゃあ始めるか」

 

 

 

結果から言うと、十本中七勝三敗で俺の勝ち。このソロ戦が終わって米屋と共にジュースを飲んでいると、三輪の姿が見えた。向こうからもこちら確認したのか、近付いて来た。

 

三輪秀次

 

A級三輪隊の隊長を務める男で俺とは同期になる。最初の頃は、俺は金の為にボーダーに入隊に対して三輪は、姉の復讐のために入隊した。

そのため、そりが合わず(三輪が一方的に八幡を)毛嫌いしていたが、今では普通に話せるほどになっている。

 

「やっと見つけたぞ陽介。宿題もせずにソロ戦なんてやっている場合か。さっさと終わらせてしまえ」

 

「待てよ!秀次、もう1回だけハッチとランク戦をやらせてくれ!」

 

「ふざけるな。さっさと来い。またな比企谷・・・行くぞ陽介」

と三輪と米屋はブースから消えて行った。

 

「・・・俺は仮眠でもして防衛任務に備えるか。・・・ふぁ~・・・眠い」

 

俺は作戦室向かい、さっきのソロ戦のことを振り返りながら、次はもっとこいつを使いこなすか、と考えながら眠った。

 

 




こんな感じの戦闘シーンでした。

次回、奉仕部にあの女が現る!

では、次回をお楽しみに。


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奉仕部入部 雪ノ下雪乃②

ついに、奉仕部三セットが揃う。

では本編をどうぞ。


米屋とのソロ戦をやった。翌日の放課後、俺がボーダー本部に向かおうとしていた所に後ろから声を掛けられた。

 

「・・・比企谷。そっちは部室ではないぞ」

 

「・・・何を言っているんですか?俺は部活に所属した覚えはないですよ」

と平塚先生に呆れながら答えた。

 

「異論は認めないと言ったはずだ。それに君のその腐った目や捻くれた性格は直さないと社会に出て、君が困ることになるぞ?いいから奉仕部に向かいたまえ。・・・それとも三年で卒業できなくてもいいのか?」

 

この教師は本気で言っているんだろうか?学年主席の俺をそんな理由で留年させることが出来るはずないのに、マジで性格が悪いな。自分こそ性格を直せよ。そんなだから結婚が出来ないんだろうに。

 

「・・・わかりました。向かえばいいんですよね?」

 

「最初からそうしていればいいんだ。あまり手間を取らせるな」

 

うぜぇー、この先公は。ここは素直に従っておくか。

俺は、昨日案内された特別棟の空き教室に来ていた。ノックをして中に入る。人間の入室許可を待った。数十秒してから聴こえてきた。

 

「・・・・・・どうぞ」とあまりにも間が長いのでいないのかと思っていた。その方がよかった。「・・・失礼しまーす」と言い扉を開けて入った。

入った瞬間、雪ノ下は驚いた顔を見せて言ってくる。

 

「・・・まさか、また来るなんて。あなた、もしかして私のストーカー?」

 

「・・・何でお前に好意を持っている前提なんだよ。それに俺は彼女がいるし」

 

雪ノ下は、まるで信じられないものでも見ている顔をしている。

「比企谷君。・・・いくら彼女がいないからといって、そんな嘘を吐かないでくれるかしら。聞いて悲しくなるわ」

 

「・・・もう、いないでいいわ。・・・それよりこの部活は何を?するんだ」

 

「・・・平塚先生から聞いてないの?」と雪ノ下は言っているが、あの先公がまともな説明をするとは思えないので「いや、聞いていない」と答えると雪ノ下が「じゃあ。クイズをしましょう」と言ってきたので、俺は「そんな、くだらんことよりさっさと教えろ」と返すと、雪ノ下はまるで親の仇でも睨むような鋭い視線を向けてきた。

 

この女。自分の思い通りにならないと、すぐに機嫌が悪くなるのか?その辺の小学生の方がこいつより大人に見えてくる。

 

そんな雪ノ下の睨みつけから部屋にノックの音が聞こえてきて、雪ノ下が「どうぞ」と短く返答してすぐに一人の女子が入ってきた。

 

「・・・失礼しま~す。って何でヒッキーがここにいるの!!」

何だ?この女子。初対面で変なあだ名を付けてる。俺は引きこもりではない。しかし初対面にしては、見覚えがある女子だ。

 

「・・・呼ばれているのよ。返事くらいできないのかしら?ああ、ごめんなさい。返事ができないくらい、脳がくさっているのね」

雪ノ下のいきなりの罵倒を無視して、鞄からラノベを取り出し読み始めた。

 

「・・・何とか、言ったらどうなの?」と言う雪ノ下の言葉に俺は「俺はヒッキーって変なあだ名で呼び合える友人はいないし、そもそも罵倒で人間の性格が直る訳ないだろう」と少し声に怒りが混じっているのを自分でもわかった。

 

「それよりも入ってきたらどうかしら?由比ヶ浜結衣さん」と雪ノ下が言うと由比ヶ浜と言う女子生徒は驚いていた。

「私のこと知っているの?」と由比ヶ浜の問いに俺は「こいつは、全生徒の名前と顔を覚えているんだ」と冗談まじりにそう言ってやると雪ノ下は「でも、貴方のことは知らなかったわ。比企谷君」と返してきた。

これは絶対に嘘だとわかった。学年次席の雪ノ下が俺のことを知らない訳がない。

まあ、どうでもいいかと自分の中で納得していると、雪ノ下が由比ヶ浜に聞いてきた。

 

「それで、由比ヶ浜さん。あなたはいったい?どのような依頼なのかしら」

由比ヶ浜は歯切れの悪い言葉で「えっと・・・その・・・」と俺のことをちらちらと見てきたので、雪ノ下がいきなり言ってきた。

 

「・・・比企谷君。少し部屋から出てってくれるかしら」

と雪ノ下の言葉と同時に俺の携帯が鳴った。

 

「・・・ちょっと。電話に出て来るわ」と言って部屋を出て、相手を確認したら意外な人物だった。

来馬さんだった。来馬辰也。鈴鳴第一の隊長でガンナーで大学生の人だ。

しかし、何でこの人から電話が?と思う。まだ俺がB級で、ソロの時に合同で何度か組んだことのある人だ。そんなことを思っているといつまでも待たせるのは悪いと思うので電話に出て、「もしもし、比企谷です」と言うと、携帯から来馬さんの声が聞こえてきた。

 

「比企谷君、突然で悪いんだけど。今夜のウチの防衛任務に加わってくれなかな?」と合同防衛任務の誘いだった。ソロの時にこう言うことは、たびたびあった。部隊のメンバーが急な予定や体長不良など場合はよく加わった。

俺はソロだったし、今でもこういうことはあるので「別にいいですよ」と答えると来馬さんのほっとした声が聞こえてきた。

「よかった。じゃあ、今夜8時からだからよろしくね」と言ってきたのでそのまま電話を終わらせて部室に入ると雪ノ下が立ち上がりこちらを見て言ってきた。

 

「いくわよ。比企谷君」と言ったので俺が「どこにだよ?」と返したら雪ノ下は「家庭室よ」と言ってきた。

この時、俺は知らなかった。まさか、あんなもの人が作れるのだと知らなかった。

 




今回は少し長く成りそうだったので、区切ります。

では次回の更新をお楽しみに


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奉仕部入部 由比ヶ浜結衣①

由比ヶ浜のクッキーは、ポイズンクッキング?ではないかと思う。

では、本編をどうぞ。



 

由比ヶ浜の依頼とは、クッキー作りの手伝いだった。ある人物に感謝を伝えたいとのことだそうだ。

そして今、三人で家庭室にいるんだが由比ヶ浜は、エプロンを付けるだけで苦戦している。この先が思いやれる。

そういえばと。俺は、奉仕部の活動についてまったく知らないので雪ノ下に聞いてみた。

 

「なぁ、雪ノ下?・・・奉仕部は、いったいどんな活動をしていくんだ?」

 

「・・・はぁ~。本当に平塚先生から何も聞いてないようね。しかたがないから特別に教えてあげるわ。・・・奉仕部の理念は、『釣った魚を与えるのではなく、釣り方を教える』というものよ。その残念な頭でしっかりと理解しなさい」

 

マジで何なんだ女は?人を怒らせる才能があるんじゃないかと疑いたくなるほどイライラさせる。陽乃さんには悪いが、この妹はまったく可愛げがない。

 

「へぇ~そうか。がんばれ(棒)」と言ったのが不味かったのか、ものすごい目つきで睨んできた。はぁ~ホント、気に食わないことがあるとすぐに睨んでくるんだったらその性格を直せよ。と思っているとエプロンといつまでも格闘している由比ヶ浜に雪ノ下がエプロンを付けてやった。

 

「・・・これくらい、一人でしないとこれから先、苦労するわよ」と呆れながら雪ノ下が言うと由比ヶ浜が「あ、ありがとう・・・」と返してきたが、いいかげん始めてくれないかと思う。

 

ここで俺はふと思ったことを由比ヶ浜に聞いてみた。

「由比ヶ浜は、料理はどのくらいできるんだ?」と言うと由比ヶ浜は

「えっと・・・ママがしてるとこはいつも見ているよ」と聞いた時に俺には未来が見えた。迅さんじゃないが、俺のサイドエフェクトが言っている。このクッキー作りは失敗すると。

 

「・・・雪ノ下。今すぐ、クッキーではなく別のものがいいと思うぞ。由比ヶ浜のクッキーは絶対に失敗する。・・・それにクッキー作りに絶対に必要ないものまである。今すぐ止めた方がいい」

と俺の忠告をまったく聞く気がない様子の雪ノ下が、何を意味不明なことを言っているの?という顔で俺を見てきた。

「比企谷君。いくらなでもそんな訳ないじゃないの・・・さあ、由比ヶ浜さんこの男は無視して、さっそく作っていきましょう」

人の忠告を無視して、由比ヶ浜と料理をしていく雪ノ下。だが料理が終わりに近付くにつれて、雪ノ下の表情が雲っていった。

 

数分後、出来上がった料理に愕然としていた。見た目は、もろホームセンターで売っている木炭である。

「すごいな、由比ヶ浜。小麦粉やバターなどから木炭を練成するなんてな。・・・お前錬金術士になれるぞ。そして二度と料理をするな!!」

 

「いったいどうすればこんな結果になるのかしら?・・・取りあいず、どうすればいいか解決策をさがしましょう」

 

「だから、由比ヶ浜が二度と料理をしないしかないだろう」と俺の策に由比ヶ浜が「それで解決しちゃうの?」とツッコンできたが雪ノ下の「それは、最終手段よ」に対して由比ヶ浜が「それで、解決しちゃうの?」といちいち、オーバーリアクションなやつだな。あと、声がでかくてうるさい。

 

「・・・やっぱり、才能がないのかな?」とテンションが下がり気味で言うと雪ノ下が少し怒り気味に「その言葉は撤回しなさい。そんなことを言う人間は、本当に努力をしてからいいなさい」と何が気に入らないのか、今までの中で一番に怒っている。

 

「でも、周りのみんなはやっていないしさ」と言うがみんなとはどこまでをいっているんだ?と思っていると、雪ノ下が「まず、その考えを改めなさい。周りに合わせては、自分の成長にならないから」とちょっといいことも言うんだなと驚いていると由比ヶ浜は少し黙ったと思ったら、すごいことを言ってきた。

 

「・・・・・・・・・・・かっこいい!・・・」と、マジか?雪ノ下の説教がまったくと効いてない。こんだけ言われて、あんなことが言えると筋金入りのバカだ。

と、ふと思ったことがあったので二人に言った。

 

「わざわざ、手作りに拘る必要はないんじゃあないか?相手に贈ることが大事だと思うし、それに失敗したものを贈るより市販でも気持ち込めて贈られたら、大抵の男は大喜び間違いないしな」とここまで言うと二人は驚いていた。

 

「・・・貴方でも、そんなことが言えるなんて驚いたわ」と雪ノ下

 

「・・・ヒッキーも喜んだりするの?」と由比ヶ浜が聞いてきたので「いや。俺は喜んだりしないな」と言うと、肩を落としてがっかりした。

 

「・・・そうだよね。うん、自分なりに考えて何か別のものを贈ることにするね」と言って鞄を持って帰っていった。由比ヶ浜、使ったものを片付けて帰れ。

 

次の日、平塚先生がうるさそうなので奉仕部に向かった。まあ、読書には持ってこいの場所かと思ってると部屋の扉が開いて、由比ヶ浜が現れた。

「やっはろー。ヒッキー、ゆきのん」と無駄に元気なやつだ。どうでもいいが雪ノ下のあだ名がゆきのんか。ネーミングセンスの欠片もない。

 

「・・・何か用かしら。由比ヶ浜さん?」に対して由比ヶ浜が「あれ、ゆきのんは私のこと嫌いなの?」雪ノ下は「違うわ。・・・ただ苦手なだけよ。あとゆきのんは止めて頂戴」とよほど嫌いらしと思っていると「それ、女子の間じゃ同じ意味だから。あ、それとこれよかったら」と雪ノ下にラッピングした袋を渡したと思いきや、俺にも渡してきた。

 

「ヒッキーにも上げるね」と中身を確認したら、昨日の木炭クッキーだったので俺は由比ヶ浜に質問した。

「・・・由比ヶ浜。これ、味見したんだろうな?」と俺の質問に目を逸らしてから「・・・もちろんだよ?」となぜ疑問系が付く。これは食べたら腹を壊すな。

 

「じゃあ、私はこれで。またね、二人とも」と言って、去っていった。

 

「あれで、彼女の問題は解決したのかしら?」と雪ノ下が聞いてくるので俺は「本人が納得しているんだ。これ以上の手助けは、いらんだろうよ」

 

「・・・そうね」と納得がいってない顔している雪ノ下。

俺的には、静かになって読書の続きができる。

 

 

 




次回は番外編をしていくたいとおもいます。

では次回の更新をお楽しみに。


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番外編① 村上鋼

番外編ということでワールドトリガーの荒船と村上の話しをしていきます。

では、本編をどうぞ。


由比ヶ浜の木炭クッキー作りの夜。俺は、鈴鳴支部に向かっていた。その理由は鈴鳴第一の隊長の来馬さんから、急遽合同防衛任務の頼みが来たからだ。

支部に向かう前にタイ焼きを鈴鳴第一の人数+俺の分を買って、まだ時間があるのでなぜ今夜の任務に俺を呼んだのかを聞こうと思った。

 

「おじゃましま~す。来馬さん、いますか?」と言って支部に入ると出迎えてくれたのが、来馬さんだった。

「あ、いらっしゃい比企谷君。今日はごめんね急な頼みを聞いてもらって。よかったらお饅頭があるけど、食べる?」

 

「それでしたら、タイ焼きを買ってきたんで、食べましょう。・・・ところで、村上先輩は?」と俺が訪ねると来馬さんが、なんだか申し訳ない感じで「今、鋼は・・・」と言い掛けた時に部屋に入ってきた人物達が挨拶して来た。

「あ、比企谷君。いらっしゃい」と今さんが挨拶して来た。

今結花。鈴鳴第一のオペレーターで何かと面倒見がいい人で成績優秀で料理上手で陰ながら鈴鳴第一を支えている大和撫子のような人だ。

 

「あ、比企谷先輩。いらしゃいです」と次に挨拶して来たのは、別役だった。

別役太一。鈴鳴第一のスナイパーで鈴鳴のムードメーカーの元気ボーイだ。ただ、この別役はその行動は相手を思って行動しているんだが、何かと空周りして色々と台無しにしている。

過去に、俺が飲んでいたマッ缶を別役の行動で零してしまいキレそうになったほどだ。その時は来馬さんが謝り、新しいマッ缶を買ってもらい、怒りは何とか収まった。

 

これで、鈴鳴のメンバーは後一人になった。

村上鋼。鈴鳴第一のアタッカーでボーダーナンバー4アタッカーの人だ。

過去の対戦では7対3で、俺が勝っている。ただ弧月一本での戦いだったら村上先輩の方が上だ。

あの人、今何をやっているん?俺が考えていると、来馬さんが「実は、比企谷君にお願いがあるんだ。・・・鋼のことなんだけど・・・荒船君がアタッカーからスナイパーに転職したのは、知っているかな?」

 

「荒船先輩のことは、知っていますよ。それが何か関係あるんですか?」

 

荒船哲次。B級の荒船隊の隊長で、数日前にアタッカーからスナイパーに転職した人だ。本部ではそれなりに接点のある人で、ある計画を荒船先輩と一緒になって進めているところだ。

 

「荒船先輩の転職で何か村上先輩にあったんですか?」と俺の質問に来馬さんが立ち上がって「・・・見て欲しいことがあるからこっちにきてくれないかな?」と案内されたのは鈴鳴の倉庫と思われる場所だった。

中を見て見ると、村上先輩が体育座りで泣いている光景だった。

俺は、村上先輩のことについて来馬さんに聞いてみた。

 

「・・・これは、何ですか。・・・どうして村上先輩は泣いているんですか?」

 

「さっきの荒船君の転職のことで泣いているんだ。・・・鋼は荒船君がアタッカーを止めたのが自分の所為だと言ってるんだ」と来馬さんが言うと村上先輩が「・・・オレの所為なんだ。・・・いつもそうなんだ。・・・俺が楽しくなっていると・・・最初からいた人間は、いなくなっていくんだ。・・・グループの場が壊れるんだ。・・・今回だって、オレは荒船から理論を教わっただけ・・・本当はやるべき苦労をやっていないんだ・・・オレはサイドエフェクトでみんなの努力を盗んでいるだけなんだ・・・」

 

村上先輩のサイドエフェクトは『強化催眠記憶』と言うもので、体験して眠ることでほば100%自分の経験に反映することが出来る。

俺のサイドエフェクト『脳機関強化』とは近いようで違う。村上先輩は一度眠る必要があるがおれのは、眠る必要はない。

俺のは、起きていても記憶していくし何より脳への負担が大きい。だから俺はマッ缶を飲んで糖分を摂取する必要がある。その所為で中学の時に勉強が出来るボッチと訳のわからない理由でよくいじめられた。

サイドエフェクトを持つ者は日常生活で、結構苦労している人がよくいる。菊地原とか耳がいいからよく陰口が聞こえてきたとか。

 

だが、荒船先輩の転職で村上先輩が凹むのは間違っているような気がする。俺はそのことを村上先輩に言った。

「村上先輩・・・人の・・・それも師匠から盗むことが間違っているとは、俺は思いません」と俺が言うと鈴鳴のメンバー全員が俺の方を見てきた。

村上先輩が「・・・どう意味だ。それは・・・」と聞いてきたので俺なりの師弟関係について説明した。

「弟子は師匠から教わり、また、その技術を盗んで強くなっていくものだと思うんですよ。・・・だから村上先輩が荒船先輩から盗んだということは、それは、自分が強くなるためでしょ。何を落ち込む必要があるんですか」

俺の話しを聞いてか少しだけ村上先輩の表情が元に戻った気がした。それにしても、荒船先輩はあの計画のことを言ってないのか?一応説明しておくか。

 

「俺は、なぜ荒船先輩がスナイパーに転職したのか。その理由を知っています」と言うと

 

「「「「・・・・・・・・はぁ?・・・・・・」」」」と三人の間抜けな声が聞こえた。

 




ちょっと長くなりそうになるので分割して更新していきます。

次回の更新をお楽しみに。


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番外編② 荒船哲次

八幡と荒船の関係についてです。

では、本編をどうぞ。


 

これは俺がB級のソロで入隊して2年くらいたったところだった。荒船先輩と知り合ったのは。

いつも通りに防衛任務をこなして、ソロ戦でポイントでも稼ごうかな?と思っていると後ろから声を掛けられた。

 

「・・・お前が、ナンバー1オールラウンダーの比企谷八幡か?」

 

「ええ。・・・そうですが」

いきなり後ろか声を掛けられるもんだら、危うく噛みそうになった。危ない危ない、笑われるところだった。・・・ボーダーに入ってから、少しはコミュ症は治ってきていると思う。八幡はやればできる子なんだ。

 

「それで、あなたは?」と俺の質問に目の前の人はすぐさま答えた。「俺は荒船哲次だ」とそれを聞いて思い出した。B級の部隊でアタッカー1人、スナイパー2人のチームでランク戦で中位いることまで思い出した。しかし、なんでそんな人が俺を訪ねて来たんだ?

 

「少し、話があるんだがいいか?」と聞いてきたので少し考えた。この人も俺の部隊への勧誘でもするのか?ソロの俺を部隊に入れたいと勧誘は今までそれなりにあったが全部断った。誰かと組んでA級に上がろうとは、思わない。B級でも十分稼げるからだ。そこで「・・・勧誘ですか?」と訊ねるとすぐに「いや、ちがう。それではなく、別のことだ」と言ってきた。それならいいかと思い「いいですよ。場所を変えましょうか?」と俺に同意してラウンジに場所を変えた。

 

「じゃあ、改めて自己紹介を。俺は荒船哲次だ。16歳になる。B級荒船隊の隊長をやっている」

 

「えっと・・・B級ソロ、比企谷八幡です。・・・よろしくです。15歳です。それで荒船先輩は、何が目的で俺に会いに来たんですか?」

 

「比企谷は、ナンバー1オールラウンダーなんだよな。パーフェクトオールラウンダーになる気はないのか?」

荒船先輩は、パーフェクトオールラウンダーに興味でもあるのか?でも俺はなろうとは、思わないな。

 

「俺は特になろうとは思わないですね。でもそれは戦術の幅が広がりそうですね。荒船先輩は、目指しているんですか?」

 

「・・・まぁな。玉狛のレイジさんのようになりたいと思って。理論を作っていきたくて、オールラウンダーの比企谷に色々聞きたかったんだ」

そういう理由か。まぁ、確かにレイジさんは、強い上に料理が抜群にうまい。たまに思うことがある。ボーダーの中にいる人で、弱点があるのか?と思わせる人が数人いる。レイジさんも俺の中では、その一人だ。

 

「・・・そう言うことなら、協力してもいいですよ。普段からやっているトレーニングとかでいいならですが」

 

「・・・マジか!!それは助かる。他にも色々と相談に乗ってくれるか?」

 

「構いませんよ。俺はソロですし、暇の時ならいつでもいいですよ」と言うとほっとして「・・・はぁ~よかった」と言うので俺はどういう計画なのかを荒船先輩に聞いてみた。

 

「まず、荒船先輩がどのような計画なのかを教えてくだい。そしたら、俺もトレーニングメニューなど考えていくんで」

 

「そうだな。まず、アタッカーでマスタークラスになったら、次にスナイパーでマスターになってからガンナーでマスターになる予定だ。ここまで、何か意見はあるか?」

 

「そうですね。アタッカーのトリガーやガンナーのトリガーを何にするかですね。荒船先輩の理論を基盤に広めることを前提に考えて、使いやすいようにしたいですね」

と俺の意見に荒船先輩は、頷いて同意して来た。

 

「たしかにそうだ。特定の一人だけでは意味が無いからな。そこの所もよく練っていかないと。ありがとう、比企谷。・・・だんだん纏まってきた。また意見を聞いてもいいか?」の質問に俺は「いいですよ」と答えた。

と、こうして荒船先輩のパーフェクトオールラウンダー育成理論製作計画は俺の意見を入れつつ完成に近付いていった。

 

そのことを鈴鳴のメンバーに話し終えると村上先輩が安心したようだった。

「・・・じゃあ。荒船は、元々アタッカーからスナイパーになる予定だったんだな」と村上先輩が泣き止んで、納得した様子だった。

 

「荒船君は、すごいことを計画してしていたんだね。今日、比企谷君に来てもらってよかったよ。・・・鋼、もう大丈夫だよね?」と来馬さんが聞いて村上先輩が

「・・・すいません。もう、いつも通りです。・・・ご迷惑かけました」と頭を下げる村上先輩。それにしても、荒船先輩は何で弟子の村上先輩に何も言わなかったんだろう?まぁ、その辺はまた今度でも聞いておくか。

 

「さて、みんな。そろそろ時間だから、準備して仕事よ」と今さんの言葉に気持ちを切り替えて防衛任務に集中しないとなと思いながら、防衛地点に向かった。

その日の村上先輩の動きのキレが段違ったの言うまでもない。

ちなみに防衛任務が終わってから本部に村上先輩と行き、そこで荒船先輩と会う約束をして、計画のことを荒船先輩の口から村上先輩に全部話した。

 




番外編を終わったたので次は戸塚の話しでも書こうかなと、思います。

では、次回の更新をお楽しみに。


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奉仕部入部 戸塚彩加①

戸塚の話しは少し長くなりそうだったので分割しました。

では本編をどうぞ。


由比ヶ浜の木炭クッキー作りから数日たった日のこと。俺は、いつも通り購買でパンを買って誰もいないベストプレスに行こうとした時、由比ヶ浜が教室を出ようとした。その時だった。

 

「結衣~。教室出るんだったら、ついでにジュース買ってきてくんない?」と三浦の頼みに由比ヶ浜は、歯切れの悪いいい方で「ごめん・・・昼休憩終わるまで帰ってこないかも・・・」と、それが気に入らなかったのか、三浦が少し怒鳴り口調で「結衣さ~、このところ付き合い悪いよね。どうことなの?」と由比ヶ浜に言っていた。

俺は、巻き込まれる前に急いで教室を出ることにした。扉を開けた所に雪ノ下がいた。どうしてこいつが教室の前にいるんだ?と思っていると雪ノ下が教室にいる由比ヶ浜に向かって

 

「・・・由比ヶ浜さん。遅れるなら、連絡を入れてくれないかしら?」

 

「・・・ご、ごめん、ゆきのん。ちょっと優美子と話していたら・・・」

 

「ちょっと雪ノ下さん。今、あーしは結衣と話してんだけど。邪魔しないでほしいんだけど」

 

「・・・話し合いをしているようには見えなかったわよ。一方的に怒鳴りつけているようだったわ」

 

「・・・何?あーしにケンカでも売ってんの?」

 

「・・・生憎と猿と喧嘩をする気はないわ」と最早、これは言葉の喧嘩だ。巻き込まれる前に教室を出たのは正解のようだ。

未だ教室では、雪ノ下と三浦の大声が聞こえてくる。三浦のいる葉山グループは、カートス1位グループだ。あの連中に目を付けられたら、今後学校生活は最悪なものになること間違いない。

俺はパンを買って、静かに過ごせる場所に移動した。やはり一人がいい。と思う時が少なからずある。隊のメンバーと過ごすのもいいが、一人で過ごしたい時もある。

 

「あれ?・・・ヒッキー?」と後ろから由比ヶ浜の声が聞こえてきたので、振り返るとジュースを二つ持った由比ヶ浜がそこにはいた。

 

「お前?・・・ジュースを結局、買いにパシらされたのか?」

 

「えっ・・・違うよ。こっちの一本はゆきのんのだよ。ジャンケンで負けたら買いに行くのを勝負したんだ。最初は、ゆきのん乗り気じゃなかったんだけど。『負けるのが怖いの?』って言ったら乗ってきて、ジャンケンに勝ったとき、小さくガッツポーズして喜んでたんだ」

 

「・・・へぇ~まあ、あいつのプライドは思ったより小さいな。由比ヶ浜の挑発に簡単に乗るほどだからな」と由比ヶ浜と話していると「あれ?由比ヶ浜さん・・・」と見覚えのある女子生徒が話しかけてきた。

 

「あ、さいちゃん。やっはろー」と由比ヶ浜・・・その挨拶は、かなりバカっぽい。いやこいつがバカなのは知っていたか。

「あ、比企谷君もこんにちわ。」と俺に話しかけてきたが、女子の知り合いにはいなかった気がるすので「えっと・・・どちら様ですか?」と俺の言葉に由比ヶ浜が「はぁー!!ヒッキー、さいちゃんのこと知らないなんて、キモい」といきなり罵倒して来た。知らないだけで、キモいとは、こいつは碌な教育をうけなかったな」

 

「やっぱり、ヒッキーキモい。さいちゃんは、クラスメートだよ。知らないの?」

 

「いや。知らんな、この女子とは面識はない」と断言すると「「・・・・・・・・・・」」と二人の沈黙が返ってきた。由比ヶ浜が「・・・ヒッキー、さいちゃんは、男子だよ・・・」と何?!この容姿で男子だと?この見た目なら男子より女子と言った方が納得出来る。と思っていると戸塚が「・・・うん。僕、男子生徒なんだ・・・」と言ってきた。俺は謝罪を込めて「・・・すまん。ジャージで判別つかないといえ、間違ってすまん」と俺の謝罪に対して「うん。次は間違えないでね」となんて心が広いんだ。どこかの毒舌部長とは、ちがうな。

 

昼休みが終わり、午後の授業が始まり教室に戻ると三浦がかなり不機嫌だった。

どうやら、雪ノ下に言い負かされたらしい。その間、教室はある意味地獄だったに違いない。そうして、授業も終わり。俺は何故か、奉仕部の部室でラノベを読んでいる時だった。部屋の扉が勢いよく開いて、由比ヶ浜が入ってきた。

 

「やっはろー。依頼人を連れてきたよ」と言うが由比ヶ浜、拉致してきたんじゃないよな?などと考えていると雪ノ下が、由比ヶ浜に呆れながらも由比ヶ浜の立場を言った。

 

「・・・由比ヶ浜さん・・・「あ、お礼とかいいから。私も奉仕部の一員だしね」・・・残念だけど、あなたは奉仕部の部員ではないわ。入部届けを貰ってないから」

 

「え?そうなの。だったら書くよ、何枚でも」と由比ヶ浜はカバンからルーズリーフを取り出し書き始めた。てか由比ヶ浜、入部届けくらい漢字で書けよ。それでよく総武に入学できたな?まさかの裏口入学か?と考えていると由比ヶ浜が部屋の外にいる人物に中に入るように促していた。

 

「あ、そうだ。さいちゃん、さあ、入って入って」と入ってきたのは、戸塚だった。戸塚は入るなり周りを見渡し俺と目が合ってほっとしていた。

 

「あ、比企谷君って、奉仕部員だったんだね。知らなかったよ」と話しかけてきたので、俺もそれに返して「まぁな。強制入部だけどな。で、戸塚の依頼って何なんだ?」と俺の質問に戸塚は「うん。実は僕がいるテニス部の他の人があまり練習に来ないんだ。部長の僕が強くなれば、もっと他の人も積極的に参加すると思うんだ。だから、僕を強くしてほしいんだ」と戸塚が言うと雪ノ下が由比ヶ浜に少し怒った口調で言った。

 

「・・・由比ヶ浜さん。奉仕部の理念は、釣った魚を与えるのではなく、釣り方を教えて自立を促すというものなのよ。貴女がしっかりと説明しないから、戸塚さんをがっかりさせるのよ」と由比ヶ浜に言うと

「うっ・・・で、でもゆきのんなら出来ると思って、やっぱり出来ないよね・・・」とテンションを下げてまるで雪ノ下を挑発しているかのようだった。

それに対して雪ノ下は「・・・あなたもそんなことを言うのね。・・・いいわ。その依頼を受けましょう」と受けるのかよ。完全に由比ヶ浜に乗せられたな。・・・由比ヶ浜は実は策士なのか?・・・いや、ないな。

 

「で、トレーニングメニューとか、どうすんだ?やっぱり初めは身体強化だよな?」と俺の質問に雪ノ下は、とんでもないことを言った。

「とにかく、死ぬまで走って、それから死ぬまで素振りね。これに限るわ」と言うと由比ヶ浜と戸塚は唖然としていた。そこで俺が「・・・メニューは俺が考えておくわ。・・・雪ノ下のでやったら戸塚や他の部員が練習できなくなる」と言うと戸塚は頷き、雪ノ下は納得してない顔を俺に向けていた。

そんな顔を向けるなら、もっとマトモな練習メニューくらい考えろよ。

そうして、奉仕部は戸塚のテニス強化依頼をやっていくことになった。

 

 




次回、葉山グループ乱入で三浦をボコボコにします。

次の更新をお楽しみに。


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奉仕部入部 戸塚彩加②

三浦をボコボコにします。

では本編をどうぞ。



戸塚が奉仕部に来た。その翌日の昼休憩に戸塚のテニス強化が始まった。軽い準備運動から始まり、今は雪ノ下が球出しをして戸塚が狙った位置に確実に決めれるようにしている。

俺はというとスマホのネットでテニスの知識を覚えていた。サーブの種類や得点など一般知識では、戸塚の役に立ちそうにないからだ。

それにしても戸塚は、根性があるな。雪ノ下の際どい球出しにもきっちりと対応している。普段からしっかりと練習しているんだと判る。

 

そんな時、「うわぁ・・・」と戸塚がこけてしまい足を擦りむいてしまった。由比ヶ浜が近付いて心配しているが。戸塚が「大丈夫・・・」と心配を掛けまいとしている。だが、俺は戸塚に「ケガをして、それが悪化したら練習にならないから。今日は一端此処までにしておこう」と言うと、戸塚は「うん。でももう少しだけ付き当てくれないかな?」とまで言うので、もう少しだけ練習に付き合うことにした。

 

その時に「あ~テニスやってんじゃん。戸塚、ウチらもやっていいよね?」と葉山グループの三浦がやって来て、テニスを自分にもやらせろと言ってきた。

でも戸塚は「えっと・・・三浦さん。僕達は、別に遊んでいるわけじゃないんだ・・・」とその言葉が耳に入っていないよで「えっ?何。良く聴こえないんだけど」と三浦が言ってきたので俺は助け舟を出すことにした。

 

「三浦、俺らは生徒会や顧問の先生にちゃんと許可を貰ってやってるんだ。部外者は入らんでくれ。練習の邪魔だ」と俺の言葉に対して三浦は「はぁ?何言っているんだし、キモいんだけど」といきなりの罵倒だ。何?今時の女子高生は、罵倒が流行ってんのか?それにこいつは知っているんだろうか?部活時間外の備品の使用は校則違反なのを。そもそも正論を言っているのに罵倒とかこいつには常識が欠如しているなと思っていると葉山が提案してきた。

 

「まあまあ。言い争いなんてしないでみんなで仲良くしようじゃないか?」と言ったら、三浦は「まあ、隼人がいうなら・・・」とこいつ、葉山のいいなりかよ。

戸塚に俺は「・・・どうする?追い出すか。戸塚にはその権利があるぞ」と言うと戸塚は「ううん。大丈夫だよ。それに三浦さんは中学の時に全国に行ったことのある人だしいい経験になるかも」と戸塚は言うが、俺はそう思わない。この女は自己中の塊みたいな女であることは、昨日の雪ノ下のやり取りで大体判っているので俺は三浦に「だったら、テニスがやりたいなら俺と1対1で勝ったら好きに使っていいぞ。負けたら、即刻出てもらうが」と言うと三浦は勝ち誇った笑みを出して「そんな事言うんだ。・・・いいよ。負けた時のいい訳を考えたほうがいいよ」と完全に舐めているな。

 

俺は戸塚に「すまんな。勝手に決めて」と戸塚は笑いながら「気にしなくていいよ。比企谷君がさっきの言ってくれて少しスカッとしたから」と、戸塚お前は何て心優しいんだ。まるで慈愛に満ちた天使のようだな。

 

こうして始まった、俺対三浦のテニス対決は思いのほかギャラリーが大勢いた。

俺はボールを投げ渡し「レディファーストだ。最初のサーブはそっちからでいいぞ。それとルールなんだが、サーブを2回ずつして先に10点を取ったほうが勝者でいいよな?」と俺が言うと三浦は「それでいいし。泣いてもしらないし」と言ってからゲームが始まった。

 

三浦はボールを高く上げ、それなりの速度のボールを打ってくる。さすがは、中学の時に全国行っただけのことはあるか。でも今はどうだろうか?三浦がテニス部員だという話しは聞いた事がない。高校ではやっていないんだろうか?

放課後は、葉山達と一緒になって遊び呆けているんだろうと。もしかしたら、ブランクがあるんだろうがテニスの未経験者の俺ではそれがわからない。

 

三浦のサーブ1本目を俺はスルーした。何もせず、指1本ですら動かしていない。その事に三浦は「ぷっ。何だし、さっきの威勢はどうしたんだし?がっかりさせないでよね?」と周りのギャラリーも一緒になって笑っている。

俺はただ、三浦のサーブを見ていただけだ。最初のサーブ権を向こうに譲ったのには理由がある。俺のサイドエフェクト『脳機関強化』をフルに使うためだ。

俺には、サーブの経験が全くといってない。だから三浦のサーブから覚えようとした。

記憶力の上昇と視覚強化で三浦のサーブをコピーする。

 

その後の三浦のサーブも何もせずに、三浦の体の動きを脳に焼き付けた。そうしていると三浦がまた俺をバカにしるように「今なら、謝れば許してあげるし」と言うのに対して俺は「・・・・・・・・・・・」と無視で返した。

三浦はそれが気に入らないらしく、まるで苦虫を潰したような顔をしている。いいぞ。もっと怒れ、すでに俺の手の平の上で踊っているとも知らないで。

 

そして、俺のサーブだが三浦は『どうせ、大したことない』と思っているんだろうな。少し気が緩んでいるので、遠慮なくサーブを放つとボールは三浦側のコートに吸い込まれるように決まった。

三浦は対応できずに呆然としていた。そして周りのギャラリーも騒がしかったのに急に静かになった。三浦が一番信じられないという顔をしていた。続く俺のサーブも同様に三浦は対応できなかった。これで2対2になった。

 

俺と三浦の間には明確な差があった。それは身体能力だ。普段から鍛えている俺に対して三浦はテニスをやめて一年以上経っていると思う。いくらテニス未経験者の俺でも身体能力で勝っている分、アドバンテージがある。そのことに気が付いていない三浦は勝てない。

 

次の三浦のサーブを俺はきっちり対応した。さっきとほぼ同じ場所に来たのもあるが、三浦の動きは既に対応が出来るようになっている。

俺のサイドエフェクト『脳機関強化』は周りの隊員は強いと思うがデメリットもある。それは脳を酷使してしまうから、栄養分不足になりがちになる。そこで俺のマイドリンクのマックスコーヒーの出番だ。あれのおかげで脳に十分に糖分を送ることが出来る。

 

そんなこんなで俺と三浦の対決は2対2の同点で幕を開けた。だが三浦は気が付くだろうか?この勝負は最初から三浦を嵌めるための罠だということを。

この勝負の結末はすでに決まっている。今から三浦の絶望する顔を見られるのが楽しみだ。

 

 




もう一話、戸塚の話しをしていきます。

書いていて、これ長くなりそうだ。と思い分けました。

予定としては、戸塚の話しの後に一話番外編をやって

チェーンメールをして、職場見学の予定です。

では、次回の更新をお楽しみに。


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奉仕部入部 戸塚彩加③

三浦の野郎をボコボコにしてやりますよ。

三浦は何で?あんなにも態度がでかいんですかね。

では本編をどうぞ。



俺が奉仕部に(強制)入部してから二度目の依頼がきた。依頼者は同じクラスの戸塚彩加だった。彼女……いや彼の依頼は、テニス部員である自分のレベルアップだった。

その理由があまり練習に来ない部員に積極的に練習に出てもらい部を活気付けたいとの事だそうだ。

まぁ、そうゆうことらしい。しかし由比ヶ浜の説明不足でややこし事になっているんだが、それでも雪ノ下の鶴の一声で戸塚のレベルアップに協力することになった。

 

そこまでは、よかったんだが。練習中に乱入者が来たのでさらにややこしい事になってしまった。

葉山グループ。このグループはカートス1位のグループだ。そこの女子生徒の三浦優美子がいきなり『自分もテニスをやらせろ』と言ってきた。

 

そこで、俺は三浦との1対1のテニス対決を提案して葉山の介入を阻止した。・・・何故葉山の介入を阻止する必要があるかと言うと。

陽乃さんから聞いた話しによると雪ノ下と葉山は同じ小学校で同じクラスの幼馴染だそうだ。

小学校の時に雪ノ下がいじめに合った。その原因がこの葉山隼人だ。

雪ノ下が一人でいつもいるものだから、よく遊びに誘ったことがいじめの原因だ。

小学生の時から人気の葉山が雪ノ下を気に掛けるものだらか、周りは葉山が雪ノ下に好意を持っていると思い。

その結果がいじめになっていき、雪ノ下は外国に一時留学することになったらしい。

 

おっと、話がズレてしまった。今は三浦とのテニス対決だ。俺が提案した対決は三浦の方が有利と思う部分が大きい。

要因1:三浦がテニス経験者のところ。したことがある、ないではまったく違う。

体に染み込んでいる、テニスの技術や経験などがあるためだ。

俺には経験がないのでこの差は大きいと言える。

要因2:最初のサーブは三浦が先だったこと。先に10点取ったほうの勝ちなので互いにサーブ権のある時に点を取り合えば、結果的に三浦の勝ちが決まってしまうからだ。

 

この事から三浦は最低限、自分のサーブ権のある時は点を取れば負ける事はない。

例え俺のサーブが強烈で取ることが無理でも、自分のサーブ権のある時に点を取ればいいことだ。

だが、その思惑は崩れ掛けている。俺が三浦のサーブ権のある時に点を取ってしまったからだ。

つまりは、ブレイクだ。だから、三浦は相当に焦っているのが窺える。

 

これ以上の失点は勝利へと遠ざかるからだ。自分のサーブ権の時にしか、点が取れなのに失点してしまい焦りが出始めた。

三浦の2回目の2本目のサーブをしようとしている。ここを落とせば、勝利はほぼないと言ってもいい。もちろん、ここでも俺は点を取らせてもらうが。

 

三浦の2本目のサーブは、1本目のサーブよりコートぎりぎりのラインだった。さすがは、元プレヤーだけのことは感心しているが、もうそのくらいのサーブなら余裕で対応できる。そして俺の点になってしまい、これで『4対2』で俺の2点リードだ。

 

俺の2回目の1本目のサーブを三浦は相当に警戒していた。威力だけなら三浦のサーブを超えているのだから、それを返して得点にするには難しい。

俺のサーブは威力はあるがコースの打ち分けができないので、ほぼ同じ所に行ってしまうが威力があるので三浦でも返すことが出来ない。

 

俺の2回のサーブが終わり、点数は『6対2』で俺の4点リードで残り4点で俺の勝ちが決まる。しかし三浦は、諦めていなかった。

それもそのはずだ。クラスでボッチで目の腐っている男なんかに負けたら、それこそ恥だ。それ以上に自分のプライドが許さないのだろう。顔は苦虫を潰している顔をしている。

 

そこで俺はさらに三浦を挑発することにした。

「今なら、謝れば許してやらんでもないぞ?」と三浦の顔は、さらに歪んでいった。まさか、自分が言ったセリフを相手に言われるなんて相当の屈辱だろう。

三浦の顔を見ていると、笑いが込み上げてくる。笑うな俺。ここで笑えば計画が台無しになる。耐えるのだ、この対決の後に待っていることを思えばなんて事無い。

 

そして三浦の3回目のサーブが始まりそうだった。三浦と目線が合った。あ~、あいつ

‘あれ‘を狙っているな。分かり易いな三浦は。その顔は笑みを浮かべている。その事からやつの狙いは、俺の顔面だ。そして『ごめん~。わざとじゃないんだ。許して』とか言ってきそうだ。

三浦がボールを高く上げラケットを振りかぶり、ボールを俺の顔面に向かって来たので素早くに首を左に傾けて、ボールを回避した。ボールはフェンスに当たり、バウンドしてから俺は三浦を見た。

本人はまさか避けられるとは、思っても無かったらしく驚いていた。『チィ・・・』と舌打ちが聞こえてきそうなので俺はわざとらしく大声で「三浦さん~わざと顔面狙うのは~よしてくれないか?当たったら痛いしさ~」と言った途端、ギャラリーがざわつき始めた。

 

「今の?わざとか?」「まさか。三浦さん、元テニス部員って聞いた事があるし」「でも、今のあいつの顔を横切ったよな?」「たまたまにしても、外しすぎな気もするし」

などが聴こえてきた。

三浦の顔は思惑が外れた上に、まさかそれを利用され自分にダメージを与えられると思ってなかったようだ。これで点数は『7対2』であと3点で俺の勝ちだ。

 

その後の三浦のサーブは今まで通り真っ当のサーブだったので余裕で返して2点得点して、これで『8対2』になった。

三浦は後が無くなってか、戦意喪失になっていた。だが、俺は一切の容赦なしに、これまでのサーブで一番の威力で放って、三浦の後ろのフェンスの間に挟まってしまった。

それを見た三浦は完全に青責めていた。

 

無理もないか。さっきのサーブは今までの比では、ないのだから。そして俺は最後のサーブを放つが、三浦は立ったままで動こうとさえしないので俺の得点になり、結果は『10対2』で終わった。俺の勝ちだ。

 

立ったままの三浦からラケットを回収して、戸塚の方へ戻った。すぐに戸塚が近寄ってきて「すごいね!比企谷君ってテニスできたんだね。僕、尊敬しちゃうな~」と言ってくるので俺は軽く「そうでもないさ。ただ、運動神経がいいだけだ」と返した。

 

俺は時間を見て戸塚に「もうずぐ、五時間目が始まるから着替えてきた方がいいぞ」と戸塚もそれがわかっているようで「うん!そうだね。・・・比企谷君、たまに練習に付き合ってもいいかな?」と聞いてくるので俺は「別にいいぞ」と返して教室に戻った。

 

俺が思った通りに、お通夜の静けさがそこにはあった。三浦はおろか、普段はこ五月蝿い葉山グループが全員が黙って教室は異様な静けさになっていた。

静かだ。・・・普段、騒がしい連中が静かなだけで、こうも過ごし易いとは。

この静けさは1週間近くも続いて、実に過ごし易かった。

 

 




次回は番外編を挟んで職場体験に入りたいと思います。

次回にまた、あの男が登場します。

では、また次回に。


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番外編③ 材木座義輝

オリジナルトリガーを出していきます。

戦闘描写はないです。すいません。

では本編をどうぞ。



戸塚のテニス強化依頼が終わり、定期的に練習を見る事になった。そして俺は今、ボーダー本部の開発室に向かっていた。

開発室サブチーフの材木座に呼ばれたからだ。ここで材木座の詳しい説明をした方がいいな。前回は、そんなにしていないことだしな。・・・えっ?誰に言っているかって?それは、あれだよ。・・・うん、これを読んでいる人にだよ。

 

材木座義輝。

ボーダー本部開発室のサブチーフで俺や三輪と同期だった男。前に軽く説明したが、こいつは戦闘がまったくと言っていいほどだめでエンジニアに転職した経歴を持っている。

開発室のエンジニアに転職したのは良かったと思う。

 

材木座はトリガーのそれもオプショントリガーの開発が得意で今までに様々なオプショントリガーを作ってきた。

今日もその試作品を試してほしいとの事だ。今度は一体どんなトリガーを作ったのやら、ちょっと楽しみだ。

 

開発室に入ってみると、小太りで指抜き手袋に眼鏡、極めつけは総武の制服の上から白衣を着込んだ男が意味不明のポーズを取り、俺を見るなり大声で分けのわからい事を言ってきた。

 

「ふっふふ・・・よく来たな八幡よ!今日はこの剣豪将軍義輝が新たなるトリガーを貴様にくれてやろうではないか!なっははははっははは!」

 

「・・・・・・・・・・いいから、さっさと説明しろ。でないと弧月でズタズタにするぞ?材木座」

と言った途端、キャラ崩壊しながらも説明しだした。

 

「はい、すいません!・・・では、このトリガーを起動してください」

と言うので、とりあいず受けとって黒いトリガーホルダーを起動してみる事にした。「トリガーオン」で俺の体はホルダーに仕舞われ、トリオン体を形成した。

 

だが、その姿は俺の思い浮かべていた姿ではなく、まったく別物だった。てっきり、比企谷隊のユニホームと思っていたが、その姿は黒い衣装で白い羽織を纏ってしかも足には草履だった。

俺は、その姿に材木座に文句を言ってやった。

 

「・・・・・・材木座。何だこのトリオン体は?お前はふざけているのか!!これじゃあ、ジャ〇プのブ〇ーチの死覇〇じゃあないか!」

そう、まるでその通りなのだ。戦闘服に和服って無いだろうと思っていると材木座が自信ありげな感じで説明しだした。

 

「何を言うのだ!!八幡よ!・・・これこそ、真の戦闘服ではないか!・・・それにユニホームを考えるこちらの身にもなってみよ。・・・考えるの大変なんだぞ」

と最後の方を小さく言ってきた。

 

「・・・最後のが本音だな。つうか、パクんなよ。これ、本当に戦えるのか?」

と俺の質問に対して材木座は、ウザイほどに勝ち誇った顔で

「無論!この剣豪将軍義輝に抜かりはないぞ、八幡よ!」と妙に決め顔で返してきた。

その顔が妙ににイラつかせた。と思っていると新しいトリガーについて説明されてないので材木座に説明を求めた。

 

「・・・それで、材木座。新しく試してほしいトリガーは何なんだ?」と俺の質問に材木座は、「ふむ。よくぞ、聞いてくれた!新しいトリガーの名前は『ディード』というのだ」と無駄にデカイ声で言ってきた。

 

「・・・『ディード』ってのは、ディスクソードの略で合っているか?」の指摘に材木座は驚いた様子で「!!!・・・ふっ。さすがは八幡だな。その通りだ!」と、その顔が見ていてマジムカつく。

 

「まず『ディード』を起動してトリオンキューブを出した後、それを五つに分割して、それが円盤状に変化してバイパーを使うように弾道を決めて放つのだ!」と材木座から説明を聞いて、それらしくしてみた。

 

「えっと、まずはトリオンキューブを出して、それを五つに分割したのちバイパーのように弾道を決めて放てばいいんだよな?材木座」

 

「ふむ。『ディード』はサブの方に入れているので左側になる。他にも弧月、天月専用オプションの高速斬撃の『韋駄天』や瞬間移動の『テレポート』などが入っている。まず『韋駄天』の説明からしよう。『韋駄天』はバイパーのように弾道を決めるように軌道を決めてから行うものだ。普通のトリオン体では考えられない速度を出すものだ。次に『テレポーター』の説明をするぞ。『テレポーター』は聞いての通り瞬間移動ができるものだ。ただ、移動先は視線の約十数メートル先だ。視線で移動先がわかってしまうから気をつけるのだぞ。八幡よ、説明は以上だ」

 

「大体わかった。ブースにでも行って試してくるわ」と言って開発室から個人ブースに向かった。いい相手がいるといいんだけどな。

 

ブースに到着してみると、やっぱり目立っていた。それもそのはず、ナンバー1オールラウンダーの俺がこんな奇妙な格好をしていれば、そうなるよな。

壁に手を付いて、俯いていると後ろから聞きなれた声がした。

 

「あら?比企谷君じゃないの。・・・どうしたのその格好は」と声を掛けてきたのは加古さんだった。

 

A級加古隊隊長の加古望さんだ。感覚派レディの美人だ。この人の作る世にも奇妙な炒飯をよく色んな人と一緒に食べる事がある。奇抜すぎて驚くほどだ。

この人の拘りで加古隊はイニシャル『K』で揃えている。オペレーターですら、そうなのだ。

シューターで昔、B級に上がりたてのころに少しだけシューターについて教えてもらったことがある。俺を隊に勧誘したかったが、俺には『K』は使われていないので残念がっていた。

 

次に加古さんの隣にいる、ツインテールの女の子が挨拶して来た。

「こんにちは、八幡先輩」と若干無表情に見えてしまう顔で挨拶して来たのは双葉だった。

黒江双葉。加古隊アタッカーで小学生からボーダーにいる女の子で俺の三人の弟子の内の一人だ。陽乃さんを含めて後一人いるが、今はいいか。

 

「どうも、加古さん。この格好にはあまり触れないでください。おう、双葉。仕事あがりか?」と俺の質問に双葉が「はい!そうです。八幡先輩は?」と聞いてくるので俺は「試作品のトリガーを試すためにブースまで来たんだが、この格好の所為で目立ってしょうがない」と軽く会話をしていると双葉から提案して来た。

 

「八幡先輩。久し振りに特訓を付けてくれませんか?」と双葉が言ってくるので俺は「そうだな。俺も久々に付けてもいいと思うし、それに試作品の性能なんかを確認しておきたいしな。いいぞ、やるか」と双葉と話していると加古さんも会話に加わってきた。

「なら、私も混ぜてもらおうかしら?いいかしら、比企谷君?」と言うので俺は「構いませんよ。相手は多い方がいいので」と俺と双葉と加古さんのソロ戦が始まった。

一人十本勝負で合わせて二十本して、その日は家に帰った。

結果は、双葉とは7勝3敗で勝ち。加古さんは5勝5敗で引き分けた。まだまだ慣れていかないとな。

その後、『韋駄天』のことが気に入ったのか双葉がトリガーに入れたのは、別の話しになる。

 




オリジナルトリガー 円盤刃弾『ディード』

トリオンキューブを円盤状にしてバイパーのように扱う。その際に高速回転する。
刃がついているので相手や物などを切りながら飛んで行く。

試作トリガーセット

メイン 天月(試作) 韋駄天(試作) シールド バックワーム

サブ ディード(試作) テレポーター(試作)シールド

とこうなっています。

次回からついに職場体験編に入ろうかなと思っています。

ボーダー本部で、予定では雪ノ下や三浦をボコボコにしたいと思います。

次回の更新をお楽しみに。


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職場見学 比企谷八幡③

今回から職場見学編に入ります。

他の作品も準じ更新していきたいので、よろしくお願いします。

では本編をどうぞ。


戸塚のテニス強化依頼から数週間。俺のクラスは、前のような騒がしさがあった。

三浦の復活と職場見学のことが話題になっている所為でもある。しかし、三浦は以前の元気はなかった。よほど応えたらしい。

 

そして俺は今現在、職員室の(独神暴力女)教師の平塚先生に呼ばれてここにいる。

平塚先生は俺の職場見学の希望用紙を見て、溜め息を漏らしていた。

 

「・・・はぁ~比企谷。これはどういうことだ?・・・なぜ、用紙を白紙で出した?」

と俺はそれに対して

「いまいち、どこかに行こうと思いませんし。それに大学卒業後はバイト先に就職しようと思うので。だったら、行く必要ないと思っただけです」

 

「・・・はぁ~・・・比企谷。君は奉仕部に入って影響はなかったのか?」

 

「・・・あるんだとしたら、悪い方向にだと思います」

と俺が言うと、平塚先生は驚いて

「!!・・・それは、どういうことだ?」

 

「そのままの意味ですよ。雪ノ下は俺の性格を直すといいながら、罵倒暴言でこちらを傷付きているだけ、それで性格が直ると思っているんですか?生憎と俺はMではないんで、ここ最近ストレスが溜まっているんです」

 

「そうか・・・君から見た、雪ノ下はどんな感じだ」と平塚先生は聞いてくるが答えなんて決まっている。

 

「自分の意見が正論だと思い込んでいる、世間知らずの箱入り娘ですかね?しかもたちの悪い」

と俺が言うと苦笑しながらも平塚先生は

「・・・そうか。しかし彼女は優秀な人間なんだが。それにしても世間知らずでは無いと思うし、現実主義者だともうのだが?」

 

「現実主義者?そんな事はないですよ。あいつほど現実が見えてない奴を初めて見ました。何で、平塚先生はそこまで雪ノ下を気に掛けるんですか?」

と俺の質問に真剣な顔になって

「彼女は優秀な人間だ。それは周りから浮いてしまう。だから他人との繋がりの大切さを知って欲しいのだ」

と平塚先生は言っているが、俺にはそれは無理だと思う。と考えていると

「とにかく、用紙の書き直しだ。それに職場見学は三人一組だ。決めておけよ」

 

平塚先生の説教から解放させた俺は、奉仕部の部室に向かっていた。

部屋に入ると、由比ヶ浜はおらず雪ノ下がいつも通りに読書をしていた。

雪ノ下が俺に気が付いて「会わなかったの?」と聞いてくるが一体、誰のことだ?

 

俺は前から気になった事を雪ノ下に質問してみた。

「なぁ、雪ノ下は奉仕部で何がしたいんだ?」という質問に対して雪ノ下は

「私は昔から可愛かったら、よく周りからチョッカイをされてね。私が持っていた物がよく盗まれたわ、そんな陰湿な事しか出来ない人達に失望してね。だから決めたのよ。

世界ごと人の価値観を変えて、理不尽なんて起こらない世界する。奉仕部はそのための第一歩と言ったところかしら。まぁ、ヒキガエル君には難しすぎて理解できないかしら?」

と長ったらしい説明と共に最後に罵倒してきたよ、こいつ。平塚先生、こいつはやはり世間なんて知らない箱入り娘ですよ。と考えていると部屋の扉が勢いよく開き、由比ヶ浜が入って来た。

 

「あー!やっと見つけた!どこにいたの?捜し回ったんだからね。それに聞いて回ったら『比企谷って、誰?』ってみんな言うから大変だったんだからね」

と元気が有り余っているのか?五月蝿い奴。

 

「探しに行っていたのよ、由比ヶ浜さんが」と雪ノ下が言うが

 

「二人で探せば、もっと早かったのにな・・・」と俺が言った途端、睨み付けてくる雪ノ下。睨むくらいなら、手伝ってやればいいのに。

 

「平塚先生に呼ばれて、職員室にいたんだよ。それに何で俺を探す必要があるよ。俺がどこにいようと俺の勝手だろうに」

と言うと、由比ヶ浜は黙って涙目になるし、雪ノ下は睨んでくるし

「すまん。いいすぎた」と謝罪しておいた。

 

「だ、だったらケータイの番号、教えて。・・・また探しに行くの大変だしさ」

と言うので、携帯を出して

「赤外線で送るぞ。受け取れ」と言うと由比ヶ浜は「・・・やった」と小さい声で言ってきた。・・・メアドだけでどんだけ喜んでいるんだ?このバカは。

 

由比ヶ浜から「次は私から送るね」と由比ヶ浜のメアドを受け取って、それからはいつも通り雪ノ下と俺は読書を由比ヶ浜はスマホいじりをしていた時に顔を顰めた。

 

雪ノ下が由比ヶ浜に「どうしたの?」と聞くと由比ヶ浜は顔を横に振って「なんでもないよ。ただ、嫌なメールが来て・・・」と言ったところで雪ノ下は俺を見て

「比企谷君、由比ヶ浜さんに迷惑メールを送るのを今すぐ止めなさい。裁判沙汰にしたくなかったら」

 

「なら、訴えてみろよ。絶対にお前の負けだけどな」と俺は勝ち誇った顔をしていると

 

「犯人は皆、そんな事を言うのよ。その発言こそ、証拠だわ。そして、犯人は『証拠はどこにある?』『大した推理力だ。まるで小説家のようだ』『どうして、俺だけが疑われる』など。最後に『殺人犯と一緒の部屋にいられるか』」

 

「・・・最後のは被害者のセリフだろ。つまりお前は証拠がないだけで裁判に負けるとそう言いたいんだな?さすがは学年次席だけの事はあるな。役に立たない頭脳をお持ちで」

とここまで皮肉を言うと雪ノ下は睨み付けるだけで何も言わなかった。だったら、最初から言わなければいいのに。こいつは由比ヶ浜とは違うベクトルでバカだな。

 

「ゆきのん・・・これはヒッキーとは関係ないと思うよ。クラスの事だしさ」

 

「そうなの?だったら比企谷君は関係ないわね」

と俺を由比ヶ浜とは違うクラス扱いにしやがった。やはりこいつの性格の方が直した方がいいんじゃないか?

 

「暇だね」と由比ヶ浜に雪ノ下は少し呆れながら「・・・勉強でもしたら、中間試験まで日が無いのだし」に対して由比ヶ浜はいかにもバカな発言をした。

「勉強なんて、社会に出て使うことなんてないし、やる意味ないよ」

と、こいつは米屋より駄目かもしれない。よく総武に入れたな?やっぱり裏口か?

 

「由比ヶ浜さん。勉強とは自分で意味を見つけ出すものよ。それが意味が無いなんて、勉強をして来た人達に失礼よ」

 

「ゆ、ゆきのんは勉強できる人だけど私はそんなに出来ないしさ。・・・ヒッキーはどうなの?」

 

「俺は学年主席だから、勉強は出来るほうだぞ」

 

「・・・学年出席?・・・ねぇ、ゆきのん学年出席ってなに?」とマジか。こいつのバカさ加減は筋金入りだな。

「由比ヶ浜さん。学年出席ではなくて、学年主席よ。言うならば、その学年で一番勉強が出来る人のことよ・・・」

 

「えっ!?・・・ヒッキーって頭がいい人なの?意外かも・・・」

 

「お前は見たまんまのビッチだな」と俺の言葉に由比ヶ浜は「はぁ!?ヒッキー、何言ってんの、私は処じょ・・・ってなんでもない!てかヒッキーキモい!!」

 

ホント、こいつはすぐ人を罵倒してくるな・・・やはり女子高生の間では、罵倒が流行ってるな。間違いない!

 

「由比ヶ浜さん。別にこの歳で処女であることは恥ではないのよ」と誇らしげに言っている雪ノ下が、その発言はどうかと思う。

 

「ゆきのんは、少し女子力が低いんじゃない?・・・うん!ゆきのん、あたしと一緒に勉強会しない?中間に向けて」

 

「・・・勉強会」とその声は嬉しさが混じっていた。まぁ、あいつの性格からして今まで勉強会をしたことが無いのも無理はない。相手を罵倒しまくるのが目に見える。

 

その時に俺の電話が鳴って、画面を見た時に一瞬、硬直してしまった。

電話の相手は二宮さんだった。部屋から出て電話に出た。

 

『・・・出るのが遅いぞ比企谷。話がある今夜、時間開けておけ』と言うが

 

「今夜はシフトがあるので無理ですよ、二宮さん。明日なら時間がありますけど?」

と返すと

『・・・明日は俺達が無理だ。それなら、明後日ならどうだ?』

 

「明後日なら、大丈夫のはずです」と返すと

『それなら、場所はエンジェル・ラダー 天使の階段だ。スーツを用意しておけ』

とそこで電話が切れた。二宮さん・・・俺、スーツ持っていません。

仕方が無い。陽乃さんに相談してみるか?あの人ならなんとかしてくれるかもしれない。

しかし、二宮さんからこのタイミングでの相談となるとやはり『鳩原』さんのことだな。俺、あんまり喋れないんだけどな。

 

部屋に戻って見ると、雪ノ下と由比ヶ浜が消えていた。どうやら、勉強会には俺は呼ばれなかったらしい。まぁ、いいか。

由比ヶ浜とやっていたら、教えるだけで時間を消費してしまいそうだ。

 

とりあえず、二宮さんの相談のことを考えないと。最近、イベントがありすぎで精神的に参っているな。はぁ~溜め息が出る。

 




次回は番外編で二宮を登場させます。

鳩原の件に八幡が関わっているので一応やっていきます。

感想などよろしくお願いします。


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番外編④ 二宮匡貴

番外編であの男が登場!

では番外編をどうぞ。


中間試験期間はどの部活も休みなのに奉仕部はそのような事なく、いつも通りにやると雪ノ下の決定を由比ヶ浜経由で聞かされた。

 

二宮さんからの電話から二日後の夜。俺は陽乃さんと一緒にスーツを買いにデパートまで来ていた。スーツを着て来いと二宮さんの指示があったからだ。

今まで、スーツを着る事なんて無かったものだから選び方が分からないので陽乃さんに付いて来てもらった。

 

「すいません、陽乃さん。わざわざ、スーツ選びに付いて来てもらってありがとうございます」と俺が言うと

「気にしなくていいよ。それに今日は暇してたし。・・・うん、良く似やってるよ」と言ってくれたので素直に嬉しい。

 

「後は髪型をオールバックにして、伊達メガネを付ければ完成だね。・・・それにしても二宮君からの呼び出しか~・・・話ってのは鳩原ちゃんの事だね。・・・喋って大丈夫なの?」と心配している。

 

「・・・大丈夫ですよ。俺が話せる事なんて限られていますし。どちらかと言うと俺に推理させようとしているのかもしれないですし・・・」

俺のサイドエフェクト『脳機関強化』で残されている資料から真相を導き出そうとしていると俺は考えている。

 

俺のサイドエフェクトはそれなりに応用することができる。頼りにされるのはいいけど。相手があの二宮さんだしな・・・。

スーツを購入して試着室で着替えて、すぐに二宮さんから指定があったバー『エンジェル・ラダー 天使の階段』に向かった。

 

ちなみに陽乃さんもドレスアップしていた。うん・・・似合っているなドレス。

バーに入って待ち合わせをしている二宮さんを探しているとカウンターの方ですでにお酒を飲んでいた。

二宮さんを見つけて声を掛けようとした時に一諸に来ていた、陽乃さんが俺より先に声を掛けた。

 

「やっほー二宮君。こんばんは・・・・・・そんなにあからさまに嫌な顔をしないでよ。折角のお酒が不味くなるよ?」と陽乃さんが声を掛けた途端に二宮さんの顔が歪んでいた。

 

二宮匡貴。B級二宮隊隊長でシューター。ボーダーナンバー1シューターの大学生だ。

マスター級のアタッカーとガンナーを率いる部隊だ。

A級の部隊だったがスナイパーの鳩原さんがトリガーの横流しをして、更に一般人数名と共にネイバーフッドに行ってしまって、二宮隊はB級に降格になってしまった。

 

鳩原さんは隊務規定違反でクビということになっている。詳細は不明で終わってしまった。今日はそのことだとで話があるのだろう。

 

「・・・比企谷。なぜ、その女がここにいるんだ?俺が呼んだのは比企谷一人だけだ。お前は呼んでいない。今すぐ帰れ・・・」

と二宮さんは陽乃さんのことが相当嫌いらしい。まぁ、陽乃さんはウチの隊のメンバー以外では仮面を被って相手にしているからな。無理もないか。

 

「そんな事を言わないでよ。それに二宮君、八幡一人でこんな店に入れるわけないじゃない。・・・それに私も気になるしね。・・・鳩原ちゃんの事」

 

「・・・好きにしろ」と二宮さんは、どうやら諦めたらしい。

 

「それで、話ってのは鳩原さんの事でいいんですよね?二宮さん」と二人の戦いが始まる前に間に入って話を進めた。

 

「・・・そうだ。鳩原があんな事をやるとは思えない。裏で糸を引いている黒幕がいるはずだ。・・・俺はそいつが誰かのか知りたい。だから、お前の力を貸せ比企谷」

と言う二宮さん。まぁ、それくらいならいいか。

 

「・・・分かりました。あまり期待しないでください」と俺は言うと二宮さんは持って来ていた資料を見せてきた。

鳩原さんと一緒に消えた人物は三名。その中に一人、気になる人物がいた。

 

「・・・雨取麟児・・・」と俺の呟きを二宮さんが聴いて質問してきた。

 

「・・・その男がどうかしたのか?」と二宮さんもこの男が気になっているようだった。

 

「・・・この人だけ、他の二人と違って家族をネイバーに攫われたり、殺されたりしていないんですよ。だから、ネイバーフッドに行く理由がないんですよ。そこが気になって、俺の思い過ごしかもしれませんが・・・」

 

「・・・その男もそうだが、鳩原と他二人の家からもそれらしき手がかりは発見できてはいない」と二宮さんはもうすでに、そこまで調べていたのか。

 

「その雨取麟児が今のところの一番の黒幕候補だね」と陽乃さんが言うが、まさにその通りだ。この人だけが、ネイバーフッドに行く理由が無い。

家族は全員が無事なのに、妹がいるのに、全く兄が妹を悲しませるなんて兄として失格もいいところだ。

 

一応、名前だけでも覚えておくか。『雨取千佳』。近くの中学生で2年生か・・・それ以外で覚えておく必要なところはないな。

とりあえず、俺の考えを二宮さんに伝えておくか。

 

「・・・俺の考えは、この雨取麟児が鳩原さんと共謀してトリガーを横流しをして他二名と鳩原さんと共に向こう側に行った。・・・おそらくですが、雨取麟児が向こう側に行ったのは妹のためじゃあないかと思います」

 

「・・・なぜ?そう思う・・・」と二宮さんは不思議がっていた。それも無理ないか。

 

「兄は妹のためになら、どんな無茶だって出来るんですよ」と俺の答えが二宮さんには理解できないらしく呆然としていた。

 

「さすがはシスコンの八幡だね!その気持ち、わからなくもないよ」と陽乃さんが賛同してくれた。うん、妹とは上の姉兄にとってはそれだけ価値のあることなのだ。

 

「・・・そうか。すまなかったな・・・手間を取らした。ここは俺の奢りだ、好きな物を頼め。・・・俺は先に帰る。じゃあな・・・」

と二宮さんはバーから居なくなってしまった。

 

「しかし、二宮君は大変だね。鳩原ちゃんの事を調べるにしても情報が少なすぎるからそんなに詳しくは分からないと思うしね」と陽乃さんも二宮さんのことを気に掛けているようだ。

 

「まぁそこはあの人次第ですから俺はここまでです。下手したら、俺らまでB級降格になりかねませんし、深くは関わるつもりはないですよ」とここまで俺が言うと陽乃さんはそれでも励ましてくれた。

 

「そうだね。だけど、八幡が決めたことに私は・・・違うね。私達は隊長の八幡が決めたことに従って行くだけどけど。・・・それにもし、八幡が間違いそうになったら、それを全力で正していくから。大丈夫だよ」

 

「・・・陽乃さんが男で俺が女だったら、間違いなく惚れていますよ。・・・今のセリフ、カッコよすぎです・・・」

 

「ふふふっ。それ、逆になっているよ。惚れているのは私の方だよ。・・・じゃあ、私達も帰ろっか?あんまり遅くなると小町ちゃんが心配しそうだし」

 

「そうですね。小町が待っている我が家に帰りますか・・・ん?」とバーのカウンターでコップを磨いている女性を見て気が付いたことがあった。

 

「どうしたの?・・・まさか、バーのカウンターの女性バーテンダーに見惚れている。なんてことないよね?」と陽乃さんその笑顔は怖いです。目が笑っていないんで。

 

「ち、違いますよ。・・・ただ、カウンターでコップを磨いている女性。たしか、俺のクラスメートだったはずです」と俺の言葉を聞いて陽乃さんは

「そんなことはありえないよ。ここ、未成年は働けないよ。・・・だけど八幡の記憶力を疑うわけじゃないけど・・・間違いないの?」

 

「はい。・・・あの青みかがったポニテの女性です。たしか名前は・・・川崎沙希だったとおもいます」

 

「ふ~ん。まぁ、後で年齢がばれて困るのは彼女自身だし、私達には関係なし行こっか」と陽乃さんの言う通りだな。まぁ、いっか。

と俺と陽乃さんはバーを後にした。

まさか、俺が後日またこのバーに来る事になるなんて微塵も思っていなかった。

 

 




次にチェーメールの話を書いて、サキサキの話をしてから

職場見学に入ろうと思います。

次回の更新をお楽しみに。


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職場見学 葉山隼人①

チェーンメール編です。

葉山の野郎をアンチしていきたいです。

では本編をどうぞ。


今日も学校に登校する時間になってしまった。はぁ~だるい。最近、学校で嫌な視線を感じる時がある。・・・・・・葉山グループの誰かだと思う。テニスの一件で相当堪えたはずなのに。しつこいにも程がある。

おそらく、由比ヶ浜か、三浦のどちらかだろうな・・・・・・。

 

まぁ、それは置いておくとして自転通の俺は後ろにマイ天使の小町を乗せて走っている時に小町から話を振ってきた。

 

「お兄ちゃん!小町が乗っている時に事故に遭わないでよ。小町まだ病院のお世話になりたくないから」

 

「それなら、後ろに乗らなきゃいいだけだろ。それに俺一人の時は事故に遭ってもいいってことか?今なら『お兄ちゃん。大好き』と言って後ろから抱き付けば、許してもいいぞ」

 

「・・・はぁ~ホント。お兄ちゃんはシスコンだね。・・・・・・皆さんは好きになる人、間違えたんじゃないかな?でも今のは小町的にお兄ちゃんの愛を感じるからポイント高いよ」

 

何そのポイント。今どのくらい溜まっているの?

 

(それにしてもあの事故からもう一年以上経つのか。時間の流れは早いものだな)

って何を爺臭いことを考えているんだ俺は・・・・・・・・。

 

去年の入学式当日の朝。俺は新生活に少しだけわくわくして、いつもより早く家を出てしまった。その途中で散歩中の犬が道路に出てしまい、車に轢かれそうになったので、とっさに犬を抱えて車の上をジャンプして、それこそハリウッド映画のような避け方をしたのだが、避けた車の後ろから来ていた車を避けられず轢かれていしまった。

そしてそのまま病院に入院してしまい、約1ヶ月近くも学校を休んでしまった。虚しいボッチライフを送る事になったと思っていた。

 

入院中に来たのは小町や浅葱、夜架、シノン、雪菜など比企谷隊のメンバーの他に米屋と三輪を始め、色んな人がお見舞いに来てくれた。

お見舞いに来てくれた人物の中で知らない人も着た。

俺を轢いた車の持ち主の顧問弁護士だった。

 

後から知ったが、俺を轢いた車の持ち主はあの雪ノ下建設の社長だった。乗っていたのは娘だったが、事が公になると面倒なことになるので黙っていてくれと弁護士の人に言われた。

 

その代わりに入院費や車の修理費は全額、向こうが持ってくれると言ってきた。

まぁ俺としては入院費や車の修繕費などを持ってもらっては文句も言えない。そもそも事故のことを誰かに言ったりもしない。

 

 

 

「そういえば。お菓子の人とは会った?」

 

「お菓子って何だよ。俺、知らないんだけど?小町、説明してくれるか?」

 

「お兄ちゃんが助けた犬の飼い主だよ。いいお菓子を持って来てくれたんだよ」

 

「・・・・・・俺、それ食べて無いんだけど?どういうことかな、小町ちゃん?」

 

「えーっと・・・ごめんね!お兄ちゃん。大好き」

 

俺の怒りを含んだ言葉に小町は俺の背中に笑顔で抱き付いて来た。

 

「くっ・・・・・・可愛いから許す。だからもっと抱き付いてくるんだ小町!」

 

「はぁ~これだからお兄ちゃんは・・・・・・。でもお菓子の人も総武って言ってたし学校でお礼を言うからだってさ。・・・・・・・あ、もう学校だ。じゃあね、お兄ちゃん」

 

小町は自転車から降りて学校の中に消えていった。

 

しかし助けた犬の飼い主も同じ学校とはな。でも、誰だ?今までお礼を言われてはない。もしかして忘れているのか?まぁいいか。今更、事故を蒸し返すことをしようとは思わないしな。

 

 

 

放課後の奉仕部で由比ヶ浜が職場見学のことを聞いてきた。

 

「ヒッキーとあいあいは職場見学、どこに決めたの?」

 

「まぁ俺は無難に出版社とかだな。・・・・・・もしくは組んでいる人に合わせるかだな」

 

「私は組んでいる人がボーダーに行きたいからボーダーだよ」

 

「へぇーヒッキーはそうなんだ。なんか意外だね。あいあいはボーダーか・・・・・・。ボーダー人気あるからね。ゆきのんはどうなの?」

 

「そうね。・・・私も似た感じかしら。他の人に合わせるかもしれないわ」

 

雪ノ下はそう言うが自分の気に入らない場所だったら絶対に他の人を罵倒してそうだな。

職場見学の話をしていると部屋にノックの音が響いた。

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

「すまない。ここが奉仕部でいいのかな?」

 

雪ノ下が短く入室を促すと入って来た人物・・・・・・葉山に顔を歪めた。

 

「いやー、テスト前は部活をなかなか抜け出せないんだ。試験中の部活は休みだから、こなしておきたいメニューがあって・・・それで悪いんだがお願いがあるんだけど・・・・・・」

 

「能書きはいいわ。早く用件を言ってもらえないかしら葉山隼人君?」

 

入って来た葉山に雪ノ下は完全に貴方を嫌っていますオーラ全開だな。そんなんで依頼をこなせると思っているのか?こいつは・・・・・・。

 

「あぁ実はこれのことなんだけど・・・・・・・」

葉山は自分のスマホをを見せてきた。その途端、由比ヶ浜は顔を顰める。俺も穴葱も携帯を見るとある人物達に対する悪口が書かれていた。

 

『戸部はカラーギャングの仲間とゲーセンで西校狩り』

『大和は三股している最低の屑野郎』

『大岡はラフプレーで相手校のエース潰し』

 

ようは、チェーンメールか。由比ヶ浜がこの間言っていたのはこれだな。

 

「最近送られるようになって、それからクラスの雰囲気が悪くなっているんだ。それに俺の友人の悪いことを言われるのは腹が立つからな」

 

葉山は分かっていない。姿無き悪意は恐ろしい。嫉妬や憎悪を向ける相手がいないんじゃ曖昧の感情だ。

 

「だから止めたいんだ。あ、でも犯人を捜したいんじゃないんだ。丸く・・・・・・誰も傷付かない方法を知りたいんだ。頼めるかな?」

 

はぁ~葉山は馬鹿だな。誰も傷付かない方法が本当にあると思っているのか?

 

「つまり事態の収拾を図ればいいのよね?」

 

「ああ、そうだね。出来るかな?」

 

「では、犯人を捜しましょう」

 

「うん。それで・・・え?なんでそうなるんだい?」

 

「チェーメール。あれは人の尊厳を踏みにじる最低の行為よ。自分は顔も名前も出さすに誹謗中傷の限りを尽くす。悪意が拡散するのが悪意とは限らないのがまたタチが悪いのよ。だから、大元を根絶やしにしない限り効果はないわ。ソースは私ね」

 

「実体験かよ・・・・・・」

 

俺は呆れて言葉が出ない。

 

「とにかく、そんな最低な事をする人間は確実に滅ぼすべきよ。私が犯人を捜して、一言言うわ。その後の事は貴方の裁量に任せるわ。それで構わないかしら?」

 

「・・・・・・・ああ、それでかまわないよ・・・・・・」

 

雪ノ下の勢いに押されて葉山は渋々と了承した。

 

「それでそのメールが来るようになったのはいつ頃かしら?」

 

「確か、先週だったかな?そうだよな結衣」

 

「うん。先週から始まったと思う・・・・・・」

 

「先週から・・・その時にクラスで何かなかったかしら?」

 

「いや、特にそれと言って無かったと思うよ。そうだよな、結衣?」

 

「うん、無いかな?・・・・・・あ、職場見学のグループ分けがあった」

 

「あ!私分かったかも。こういうイベントのグループ分けは後の関係がナイーブになる人がいるから・・・」

 

由比ヶ浜はそう言うが・・・・・・・正直、俺には分からない世界だな。俺は誰と組んでも後でボッチなるしな。浅葱は別クラスだしな。

 

この依頼、また面倒なことになりそうで心配だ。

そもそも、この依頼は奉仕部に頼み来ることか?俺は葉山が何かを隠しているような気がしてなならい。それに嫌な予感しかしない。

 




何だか書いている内に長くなりそうなので2話に分割していきます。

原作でも葉山が関わってくると碌なことがないのは気のせいでしょうか?

まぁ次回の更新をお楽しみに。


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職場見学 葉山隼人②

今回でチェーンメールを解決の予定です。

では本編をどうぞ。


 

職場見学まで残り数日となったその日に奉仕部に訪れた人物は意外にも葉山だった。

葉山の依頼内容はチェーンメールで友人の悪口を書かれているので事態の収拾をしてくれ。

と言うものだ。

これ、奉仕部のやることか?そもそも何で葉山は奉仕部に来たんだ?

俺は葉山が何かを隠しているような、そんな気がした。

 

「葉山君はこの中に書かれている三人の内の誰かと行くつもりなのね?」

と雪ノ下の質問に葉山は

「ああ、まだ決めてはないけど。三人の誰かと行くつもりだけど・・・」

と葉山が言うがこの時点で俺は犯人に大体の目星を付けた。

おそらく、誹謗中傷を書かれた三人の内の誰かが犯人の可能性が高い。

 

「あ。私、犯人わかったかも・・・」

と由比ヶ浜でもさすがに分かったのか?

 

「どういうことかしら?由比ヶ浜さん、説明してくれるかしら」

と雪ノ下が由比ヶ浜に説明を求めた。お前は分からないのね。

 

「職場見学はさ三人一組だからさ、一人余っちゃうからさ。残ったその人は結構きついんだと思うんだよね・・・」

と由比ヶ浜が言うと雪ノ下は

「そういうものなの?でもこれではっきりしたわ。犯人はこの三人の内の誰かね」

とはっきり言うが葉山は否定の言葉を言った。

 

「ま、待ってくれ。幾らなんでもそんなことありえないだろ。だって悪口を書かれたのはこの三人だぜ。あいつらは違うだろう?」

と葉山は否定していたが、俺にはそれが嘘くさかった。

 

(こいつは、もしかして犯人を知っているんじゃないか?)

と思っていたので俺は俺の意見を言った。

 

「バカかお前は。そんなの自分に疑惑の目を向けないためのカモフラージュに決まっているだろうに。俺だったらあえて軽く書いて一人に罪を擦り付けるけどな」

と言っていると

「ヒッキーってすこぶる最低だね!」と由比ヶ浜が言うが、普段からキモいと俺を罵倒しているお前も十分最低と思うぞ。

 

「とりあえず、その三人の事を詳しく教えてくれるかしら?」

と雪ノ下が葉山に聞いてきた。

 

「ああ。戸部は俺と同じサッカー部だ。見た目は金髪で悪そうに見えるがムードメーカだな。文化祭や体育祭なんかに積極的に参加している。いい奴だよ」

 

「・・・騒ぐことしか能ないお調子し者、と」

と雪ノ下のいきなりの罵倒が炸裂した。

悪い方に解釈しているな、こいつは。葉山は絶句しているしな。

と思っていると雪ノ下が

「どうしたの?続けて」と葉山に促すがお前の言葉に絶句しているんだよ、気付け!

 

「大和はラグビー部。冷静で人の話をよく聞いてくれる。ゆっくりとしたマイペースさとその静かさが安心させてくれるって言うのかな。寡黙で慎重な性格でいい奴だよ」

 

「反応が鈍くて優柔不断、と」

雪ノ下は容赦がないな。まぁ俺の時もそうだったな。

 

「・・・大岡は野球部だ。人懐っこくていつも誰かの味方をしてくれる気のいい性格だ。人の上下関係にも気を配って礼儀正しい奴だよ」

 

「人の顔を窺う風見鶏、と」

ホント、容赦がまったくない。会った事もない人間のことを悪く言うのはこいつの性格が悪いからだな。葉山、ご愁傷様。

俺や由比ヶ浜だけではなく、葉山も完全に黙っている。無理もないか。

 

「誰が犯人でもおかしくわ無いわね。・・・葉山君の話だと参考にならないわね。二人は彼らのことをどう思っているの?」

と俺と由比ヶ浜に聞いてくるが

俺は「よく知らないな」と。由比ヶ浜は「ど、どうって言われても・・・」と言葉を濁して答えたが駄目だったようで、雪ノ下は俺達二人に頼んできた。

 

「じゃあ調べて貰えるかしら?グループ決めの締め切りは明後日だけから一日猶予があるわ」

と雪ノ下は言うが由比ヶ浜は顔を俯かせた。

まぁ自分のグループの事を探ることに抵抗があるのだろう。

思ったが雪ノ下。お前は調べないんだな。クラスが違うってだけで、聞き込みくらいしろよ。

自分は指示して終わりかよ。

 

 

 

 

 

そして次の日。俺はあの三人を観察していた。人間観察は俺の十八番だ。

サイドエフェクトのおかげで人間観察しやすい。

すると俺の視界に手を挙げて、挨拶してくる人物がいた。

 

「おはよう、比企谷君」

と俺の癒しの第二天使の戸塚だった。

 

「おーす。何か用か?戸塚」

と俺が聞くと

「うん。職場見学のグループってもう決めたの?」

と俺は素直に

「まだだな。余った人と組む事になるかもな。戸塚は組む人は決まったのか?」

と聞いてみると微笑んで

「うん。そうなんだ」

と言ってきた。

 

(何、だと・・・戸塚はもう組む奴がいるのか。できれば戸塚と組みたかったな・・・。

一応、誰と組むかだけでも聞いておくか。)

 

「・・・戸塚は誰と組むんだ?」

と聞いたら戸塚は「比企谷君」と俺の名前を言った。

 

「・・・え?それは、つまり俺と?」

と聞くと戸塚は微笑みながら

「うん。そうだよ。もしかしてもう組む人がいるとか?」

と首を傾げながら聞いてくるので俺は

「いや!まだ誰とも組んでいないから大歓迎だ!よろしくな彩加」

と興奮のあまりに戸塚の名前を呼んでしまった。

 

「初めて、名前で呼んでくれたね。じゃあ、僕はヒッキーって言った方がいいかな?」と戸塚が聞いてくるので俺は

「・・・戸塚。ヒッキーは止めてくれ。俺は引きこもりじゃないからな」

と言うと戸塚はと笑いながら言ってきた。

 

「それじゃあ、八幡って呼ぶね!」

と笑いながらそう言ってくれた。

 

(戸塚、お前はまさに天使だな。あぁ~癒されるな。)

と思っているとその時に由比ヶ浜が俺を睨んでいた。

(なんだよ?戸塚との癒しの時間を邪魔するなビッチめが。)

 

そういえば、例の三人を見るんだった。すっかり忘れていたな。

三人を観察してわかったことがあった。

あの三人は葉山がいなくなった途端に話さなくなった。共通の相手がいなくなったので会話が続かなくなっている。

それを見て謎が解けた気がした。

 

 

 

 

放課後、奉仕部部室に全員が集まったところで、説明を始めた。

 

「あの三人なんだが、まず葉山、お前はお前がいない時のあの三人を見た事がないんじゃないか?」

 

「・・・ああ、見た事はないな」

葉山は戸惑いながらも返事をした。

雪ノ下と由比ヶ浜は俺のことをバカにするような目を向けてくる。

お前らにはいい案があるのか、と思っていると雪ノ下が聞いてきた。

「どういう事かしら?」

 

「つまりはだ、三人だけの時は仲良くないんだ。あの三人にとっては葉山は友達だがそれ以外は友達の友達なんだよ」

と言うと由比ヶ浜は納得していた。

 

「あーなるほどー。確かに会話を回す人がいないと気まずいもんね」

雪ノ下は友達がいた経験がないので、頭の上に?を浮かべていた。

 

人のことを理解できない、こいつに世界はおろか人を変える事なんて出来るはずも無いと思っていると

「それで、解決方法はなんなの?」

と雪ノ下が聞いてきた。

お前は考えていないのか?それでよく人に説教ができるな。

 

「一応解決策はある。犯人を捜す必要はないし、これ以上揉める必要もない。上手くいけば、あの三人を仲良くさせることができる。知りたいか?」

と俺の問いに葉山は黙ったまま頷いた。

 

 

 

 

 

グループ分け締め切り当日。後ろの黒板を見てみると、戸部、大和、大岡と件の三人が同じグループになっていた。

 

葉山が俺のところまで来て

「おかげで丸く収まった。助かったよ」

と言ってきた。

 

「俺は実際になにもしていない。ただ、お前にあの三人と組むなと言っただけだ。お前がいなきゃ、揉める必要が無いからかな」

と俺が言うと葉山は

「そうだな。まぁ、これを機会にあいつらが本当の友達になれればいいんだけどな」

と言ってきた。

 

(こいつは、筋金入りのお人好しではなく、人を信じ過ぎな気がするが別にどうでもいいか)

と思っていると葉山が

「俺、まだグループが決まってないんだ。入ってもいいかな?」

と聞いてきたので俺は

「戸塚にでも聞いてくれ。俺は知らん」

と俺が短く応えた。

 

「僕は全然、構わないよ。僕と八幡と葉山君の三人でいいかな?」

と戸塚が聞いてきた。

 

「ああ、俺はそれでいいぞ。それで戸塚はどこに行きたいんだ?」

と聞くと

「僕、ボーダー本部がいいんだけど。二人はどうかな?」

と戸塚が言うのに対して俺は

「・・・ボーダーか」

と少し嫌そうに答えてしまった。

 

「・・・八幡がいやなら、別のところでもいいよ?」

と戸塚は言うが、何だか申し訳ない気持ちになってしまったので

「・・・いや、ボーダー本部でいいぞ」

と答えたら、戸塚は嬉しそうに

「ホント?よかった。じゃあ、見学先はボーダー本部に決まりだね!」

 

ちなみに、2年生のほとんどがボーダー本部を見学先に決めているため、下手をしたら俺がボーダー隊員だとばれる可能性がある。

別に隠しておくつもりはないが、ばれたら、それはそれでめんどくさい事になりそうだ。

特に雪ノ下が。

当日は何とか防衛任務を入れるしかないな。上層部とウチの隊のメンバーを説得する必要があるな。特に雪菜の説得には骨が折れそうだ




次回は1話、間をおいてサキサキの話にいきたいと思っています。

雪菜やシノンの出番も出来る限る増やしていきたいです。

では次回の更新をお楽しみに。


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職場見学 比企谷隊④

ついに、あの子が出ますよ。

早く、職場見学の話をして雪ノ下や三浦をボコボコにしたいです。

では本編をどうぞ。


葉山からのチェーンメールの一件も無事に終わり、放課後に俺はボーダー本部へ向かっていた。

理由は、総武の職場見学の日に防衛任務を入れてもらい職場見学に参加しないようにするためだ。

 

(あ~でも、戸塚の訓練服は見て見たかったな。・・・でもしかたがない。あまり、俺がボーダーだと知られたくないな。特に雪ノ下が知ったら、変な文句とか言ってきそう出し、三浦は三浦で俺の事をバカにしそうだしな。)

と、考えていると後ろから声を掛けられた。

 

「・・・八幡?」「・・・比企谷先輩?」

と俺は後ろに振り返るとそこにいたのは、俺の隊のシノンと雪菜だった。

 

比企谷隊スナイパー 朝田詩乃。あだ名はシノン。

 

ボーダーナンバー3スナイパーの称号を持ち、その狙撃は正確無比。

普段はメガネを掛けているが、トリオン体の時は掛けていない。

本人曰く『メガネを掛けたままだとスコープが覗きづらい』とのこと。

ゲーマーでよくA級の1位の太刀川隊のオペレーターの国近先輩とゲームをしている。

 

ボーダーに入隊したのは、中学に入ってすぐいじめに遭っており、いじめていた側に警戒区域へ無理矢理に入れられて、その時にネイバーに遭遇したところを俺が助けて、その後、自分も何かできないか?と思い入隊したようだ。

 

ただ、人見知りでコミュケーションが苦手でウチの隊以外では俺の妹の小町と国近先輩くらいとしかうまく話せない。

なぜか?俺のことを『八幡』と呼び捨てにしている。俺は先輩で隊長なのに。

でも任務中やランク戦の時は『隊長』と言うので、菊地原よりかは生意気ではない。

 

 

 

比企谷隊アタッカー 姫柊雪菜。

 

ボーダーではあまり使う人間はいない、弧月:槍を使う。ウチのエースだ。

三輪隊の米屋の弟子で槍の扱いは、米屋と同等くらいの実力がある。

陽乃さんとは同期で、ウチの隊の中では最年少に当たる。

猫好きでよく家に遊びに来た時は家で飼っている猫のカマクラと遊んでいる。

見た目が可愛いくて、真面目な性格でボーダーにはファンがそれなりにいる。

 

「・・・たしかに、ファンがいるのは納得だな。可愛いし」

と、言っていると、シノンからは何だかごみを見るかの如く目を細めている。

一方、雪菜は顔を真っ赤に染めている。

 

(雪菜の奴、熱でもあるのか?顔が真っ赤だな)

と、考えてもしょうがないので雪菜の額を右手で触り、自分の額には左手を付けて体温を測った。

 

(熱は、ないようだが一応薬くらいは医務室から貰ったほうがいいかな?)

と、考えていると雪菜の顔が更に赤く染まった。

 

「って、おい!雪菜、大丈夫か?顔が真っ赤だぞ。具合でも悪いのか?医務室で薬を貰ってきてやろうか?」

と、俺が聞いたら、雪菜は

「・・・え?・・・あ、えっと・・・そ・・・」

と、何だか壊れたPCのような感じだな。

 

俺はさらに顔を近付けていくと、いきなり雪菜が俺の手を振り払って走って行った。

俺は呆然として立ち尽くし、見ているしかなかった。

 

「・・・シノン。俺、何か不味いことでもしたのか?」

とすぐ側にいたシノンに聞いてみた。

 

「・・・あんたは、今すぐ馬に蹴られて死ねばいいよ」

と、いきなりの辛口のコメントが帰ってきた。

 

「いくらなんでも、それはあんまりだろ!」

と、俺は少し考えることにした。

 

(いったい何だと言うんだ?雪菜の奴は?本部に走り去っていったし、訳がわからないな?)

と、考えても答えは出てこなかった。

 

その後、シノンはスナイパーの合同訓練に行くとのことで分かれて、俺は説得のために本部長の下に向かった。

総武高のボーダー本部の職場見学の日に防衛任務に付くためにも、あの人を納得できるか不安だ。

 

 

 

 

本部長室で、俺は目的の人物に会って話をしてみたが、

「無理だ」

と、一言で断られてしまった。

 

「・・・そうですよね。やっぱり・・・当日はサボるか」

と、俺は当日サボるための言い訳を考えていた。

 

「・・・比企谷。君は行事に参加するという選択肢はないのか?」

と、聞いてくるので俺は、きっぱりと話した。

 

「それはないですね。俺がボーダー隊員と知られたら、変な文句を言ってくる奴がいるので。

それに、目立ちたくないので」

と、俺は忍田本部長にそう言った。

 

忍田真史。ボーダー本部本部長。

最前線に立つ戦闘指揮官で

ボーダーの創設時の初期メンバーの一人でA級1位の部隊長の師匠だ。

ボーダーの三つある派閥の一つ『町の平和を守っていこう』派閥の筆頭に居る人だ。

 

「・・・まったく、君は相変わらずだな。・・・それで話は変わるのだが、

実は比企谷隊にも訓練生の入隊日に説明役をやってもらいたいと、そういう話があるのだが、

どうだろうか?」

と、忍田本部長は言ってくる。

 

「・・・それは、嵐山隊のようなことをウチの隊にもしろと?」

と、俺が聞くと

「まぁ、そうだな。・・・それでどうだろうか?」

 

「・・・そうですね。・・・他のメンバーと相談してみないと、何とも言えませんね。

いつまでに、返事をすればいいですか?」

と、忍田本部長は少し考えてから言った。

 

「そうだな・・・できれば、今年の9月からやってもらいたいと思っている。

だから、8月の上旬までには返事を聞かせてくれ」

と、言うがまだ1ヶ月以上あるので、じっくりと考えられるな。

 

「わかりました。それまでには決めておきます。・・・では、失礼します」

と言い、本部長室を後にした。

 

 

本部長室を出た俺はまっすぐに比企谷隊の作戦室に向かった。

部屋には、誰かがいるだろうと思うからだ。

部屋に入って一番に目に入ってきたのは、机に顔を押し付けている雪菜だった。

 

「・・・お~い、雪菜。そんなに顔を机に押し付けていたら、顔が潰れてしまうぞ」

と、注意したのだがそれでも止めなかった。

 

「・・・一体、何があったんだよ?」

と、俺が聞いてみると、雪菜は

「・・・比企谷先輩の所為です。いきなり、女の子の顔に手を付けるなんて、ビックリしました。・・・次からは、事前に言ってください。・・・いいですね!」

と、俺は雪菜を怒らてしまった。

 

「・・・はい。すいません。・・・そういえば、何で雪菜は俺を『比企谷先輩』呼びなんだ?

他のメンバーは名前呼びなのに?」

と、俺が雪菜に質問すると、また顔を赤くしてそっぽを向いた。

 

「・・・それは、その・・・・・・からです」

と、雪菜の言葉の最後の方が小さくて、よく聞こえずらかった。

 

「・・・すまん。もう一度、言ってもらってもいいか?」

と、俺が言うと、雪菜は顔をさらに赤くして俺の方へと向き

「恥ずかしいからです!!二度も言わせないでください!!」

と、怒鳴られてしまった。

 

「お、おう。すまん。でも、怒鳴ることはないんじゃないか?

その声の大きさにビックリしたぞ」

と、俺が言うと、雪菜は顔を俯かせてしまった。

 

「その、なんだ。恥ずかしいなら、無理に言うこともないだろう。

まぁ言えるようになってからでいいから」

と、俺が言うと、雪菜は顔を上げてから

「そ、そうですか?わかりました。で、でも頑張って言えるようにはしたいです」

と、言うのでこの事はこれで終わりだろう。

 

「・・・そういえば、雪菜。少し話しがあるんだがいいか」

と、俺は忍田本部長から聞かされたことを雪菜に話した。

 

「・・・そうですね。私は別に構いません。・・・でも、先輩の目はどうするんですか?そのままだと、不味いですよね」

と、雪菜は俺の目の事を言っている。

たしかに、自分で言うのは何だが、俺の目は濁っているからな。

 

「そのことなら大丈夫だ。メガネを掛ければ、目の濁りは隠せることが分かったからな。説明の時はメガネを掛ければ問題無いと思う」

と、俺が言うと雪菜は納得したような表情をしていた。

 

「・・・なるほど。確かにメガネを掛ければ、隠せますね」

と、それで納得するのは少し癪だが、まぁいいか。

 

その後、雪菜の勉強に付き合ってから少し雑談をした。

(やはり、隊のメンバーと過ごすのは気を使わなくていいから楽だ)

と、思っていた。




次回は川崎さんの話をしてから、ボーダー本部の職場見学に入ります。

では次回の更新をお楽しみに。


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職場見学 川崎沙希①

川崎編に入りました。

もう少しで、ボーダー本部の職場見学です。

内容はある程度、考えているので早めに投稿できると思います。

では本編をどうぞ。



総武高校もテスト期間に入り、テストに向けて追い込みを始めている生徒が何人もいた。

俺は普段からしっかりと勉強をしているので追い込む必要はない。

俺が強制的に入部させられた奉仕部も、テスト期間はやはり空き教室のカギを

貸してもらえるはずも無く、結局のところ休みになった。

 

まぁ俺としては、そのその方がいい。毒舌で性格最悪の雪ノ下には会わずに済むし、

アホの子で罵倒しかしてこない由比ヶ浜とも会わずに済む。

なので、俺は本屋に足を伸ばし久し振りにラノベを買いあさった。

 

A級に昇格して固定給料を貰うようになって、

今まで以上にお金が入るようになった。

これも陽乃さんのおかげかもしれない。

 

今日は深夜からの防衛任務があるので外で食べようと思い、小町に連絡したところ

相談があるとのことで、サイゼで待ち合わせをすることになった。

その途中で雪菜にとばったり出会ったのでついでに食事に誘ったら喜んで付いて来た。

 

店内に入り席を探してしると、ある席にいる三人組が目に入って来た。

戸塚、雪ノ下、由比ヶ浜の三人だった。

雪ノ下が問題を出していた。

 

「・・・では次の問題。普段からよくあることを何と言う?」

 

「・・・あ、わかった。答えは日常根性」

と、由比ヶ浜は答えたが、日頃から何を頑張っているんだ?

 

「・・・答えは、日常茶飯事だ。これくらい、間違えるなよ・・・」

 

「え?・・・あ、ヒッキー!何でここにいるの?」

と、由比ヶ浜の質問の後に向かい側に座っていた戸塚が挨拶してきた。

 

「あ、八幡。こんばんは。八幡も勉強会に呼ばれたの?」

 

「・・・比企谷君を呼んだ覚えはないわ。どうしてここにいるのかしら?」

と、雪ノ下は俺をきつく睨みつけた。

 

「たとえ、呼ばれていてもお前や由比ヶ浜とは、一緒に勉強はしたくはない。

どうせ、由比ヶ浜に教えて時間が経過するのがオチだしな」

 

「それじゃ。早くここから消えてくれないかしら?貴方と知り合いと

勘違いされたくないから」

と、雪ノ下は相変わらずだった。戸塚ですら苦笑していた。

 

「言われずとも、そうするさ。人と待ち合わせているからな」

 

「あら、孤独体質の貴方が人と待ち合わせている事なんて

有り得ないわ。そのつまらない嘘を早くやめなさい」

一体、雪ノ下は俺の何を知っているんだ?

 

「・・・いいかげんにしてください。貴女は八幡先輩の何を知って、

そのような事が言えるのですか?」

と、いままで黙っていた雪菜が、雪ノ下に食いかかった。

できれば、最後まで静かなままが良かったんだが仕方がない。

 

「・・・比企谷君。そちらの女性は一体、誰なのかしら?説明しなさい」

と、完全に上から目線だな。雪ノ下は。面倒になりそうだったので説明した。

 

「こっちにいるのはバイトで同じ班にいる、姫柊雪菜。・・・雪菜。

そっちにいる可愛いのが戸塚彩加で、団子髪のが由比ヶ浜。

それで、黒髪のが雪ノ下。以上」

と、説明すると雪ノ下が疑惑の目を向けてきた。

 

「ちょっと、ヒッキー!何で、さいちゃんは名前まで言うのにあたしやゆきのんは

苗字だけなの!!説明するし!!」

 

「何でって、俺が知っている下の名前は戸塚だけだし」

(実は雪ノ下の名前は知っているけどな)

と、思っても口には出さないようにした。

 

「目が腐ってきたと思ったら、次は脳までも腐ってきたようね。

どう見ても、彼女は中学生。バイトが出来る年齢ではないわ」

 

「知らないのか?最近はそんなこともないんだよ。

もっと世間のことを知ったらどうだ?箱入りお嬢様?」

と、皮肉を込めたセリフを雪ノ下に送ったら、さらにきつく睨んできた。

睨むしかしてこないなら、最初から相手にしてくるなよな。

その時、後ろから妹の小町の声が聞こえてきた。

 

「あ、お兄ちゃん。やっと見つけたよ。あ、雪菜ちゃん。こんばんわ」

 

「お、小町。やっと来たか。・・・後ろの男子は一体誰なんだ?」

小町の後ろにいる男子について聞いてみた。

 

「こっちにいるのは川崎大志君。同じ塾に通っている子でね。

今日はお姉さんのことで相談されて、お兄ちゃんにも協力してほいんだ」

 

「もう、頼れるのはお兄さんしかいないんです。どうか、お願いします」

と、頭を下げてお願いしてきたが、俺が気になったのは別のことだった。

 

「・・・お前に、お兄さんと呼べれる筋合いはない。

次に俺のことをお兄さんと呼んで見ろ。死ぬほど後悔されてやる」

 

「・・・何を頑固親父みたいなことを言っているの」

と、俺の言葉に雪ノ下が呆れていた。俺の義弟のことは死活問題だろ。

 

「ところで、お兄ちゃん。この人達、誰?」

小町がテーブルに座っている三人に視線を向けた。

 

「・・・そうね。自己紹介がまだだったわね。初めまして、

私は雪ノ下雪乃。奉仕部部長をしているわ。どうぞ、よろしく」

 

「は、初めまして。わ、私は由比ヶ浜結衣って言います。よろしくね・・・」

 

「僕は、戸塚彩加です。八幡とはクラスメートです」

と、三人が自己紹介していった。

由比ヶ浜だけなぜか、いつもの元気がなかったのは気のせいか?

 

「お兄ちゃん!三人ともすごく綺麗で可愛いね!」

 

「・・・小町。戸塚は、女じゃなくて男だぞ」

 

「・・・・・・お兄ちゃん。何、言っているの?そんなことある訳ないじゃん。

こんなにも可愛いんだしさ。これで男はないよね、雪菜ちゃん」

 

「そうですね。男ではないと思います。すごく綺麗で

ちょっと嫉妬してしまいます」

と、小町と雪菜が揃って戸塚を女だと勘違いしている。

 

「・・・えっと。僕、男です。よく、間違えられるけど・・・」

 

戸塚の言葉を聞いた二人は心底驚いていた。

確かに、初見では戸塚は女に見えてしまうよな。

 

「・・・それで、相談と言うのは小町ではなくて、こっちの川崎大志で

いいんだな?なら早く話して小町の前らか失せろ」

 

「もう、お兄ちゃん。大志君とは『ただのお友達』だよ。塾が同じだけで」

と、小町が言うが、お友達の部分だけを強く言っている。

それ、決まり文句だな。貴方とは恋人関係にはなりません。と、言っているようなものだな。少しだけ哀れに思えてくる。ドンマイ川崎大志。

 

「実は、俺の姉のことなんです。あ、名前が川崎沙希っていいます。

実は最近、やたら帰りが遅いんです」

 

「川崎さんってあたしと同じクラスだよ。少し、目つきが怖いけど・・・」

と、由比ヶ浜が説明してきた。

 

「遅いって、何時頃に帰ってくるんだよ。お前の姉は」

と、俺は川崎の姉の帰りが何時か聞いた。

 

「朝の五時ごろです」

 

「朝かよ。・・・お前の姉、何かヤバイ仕事でもしているのか?

朝帰りは不味いだろ。両親は何か言わないのか?」

と、俺の質問に大志は顔を下に向けて答えてきた。

 

「ウチは両親が共働きで、姉弟も多いので強く言えないんです。

姉に言っても、関係ないの一点張りで、もうお手上げなんです」

 

(こいつは、本気で姉のことを心配しているんだな)

と、俺が考えていると、雪ノ下が話に加わってきた。

 

「・・・お姉さんは、総武の生徒なのよね?」

 

「はい!そうです。一年の時は真面目だったのに

二年になってから帰りが遅くなりだして、俺、心配なんです!」

 

「・・・二年になってから、つまり比企谷君と同じクラスになってからね」

 

「・・・なるほど。つまりは、俺が学校をやめたら川崎は元通りになる。

と、そう言うことだな?それで直らなかったら、とんだ恥だな」

と、俺がそこまで言うと雪ノ下は俺を睨んできた。

 

「川崎弟は真剣に相談しているんだ。つまらない事を言うなら

もっとマシな案をだしたらどうなんだ?学年次席が呆れるな」

俺の皮肉が効いてのか、雪ノ下は下唇を強く噛んでいた。

 

(よほど、悔しいと見えるな。バカな奴。)

と、俺は内心笑っていた。

 

「話は大体は理解した。だが、何でそんなに焦っているんだ?」

 

「・・・それは昨日、姉のバイト先からだと思うところから電話がありまして

エンジェル・何とかって言う店からで。エンジェルですよ、

聞くからにやばそうな感じですよね!」

 

「・・・それは、お前の思い過ごしだ。そもそもエンジェルだけで

判断するには、情報が少ないだろ。・・・まぁ、わかったよ。

お前の姉の朝帰りの原因を突き止めればいいわけだ」

 

「・・・何とかしてくれるんですか?お兄さん!」

 

「・・・兄と呼ぶなと言ったよなと俺は。ただし無事に解決できたら

二度と小町に近付くな、いいな」

 

「もう、お兄ちゃん。大志君は『ただのお友達』だってば

でも、小町の事を心配してくれる、お兄ちゃんは小町的にポイント高いよ」

 

「はいはい、高いな。・・・雪菜、俺は少し遅れるかもしれないから

他のメンバーに説明しといてくれるか?」

 

「はい。でも、八幡先輩もお節介ですね。直接関係がない人のことを

気に掛けるなんて。でも、頑張ってください」

 

俺は、雪菜の応援を受けて、川崎をどう説得するか考えた。

こうして、俺は川崎大志のお願いを小町経由で聞く羽目になった。

でも、川崎沙希のバイト先は分かっているので今晩にでも行って見るか。

 




次回、川崎を説得します。

その際に川崎沙希を説得する雪ノ下雪乃の様子を
見て笑う八幡を想像してしまいます。(笑)

では次回の更新をお楽しみに。


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職場見学 川崎沙希②

雪ノ下(妹)が川崎との話です。

雪ノ下は怒りの沸点が低い。

では本編をどうぞ。



俺は今、二宮さんに呼ばれて来た事のあるバー

『エンジェル・ラダー 天使の階段』にいる。

何故?俺が再びこのバーに来る破目になったのかと言うと

妹の小町の塾の『お友達』の川崎大志からお願いされたからだ。

 

そのお願いとは姉である。川崎沙希の更正だ。

一年の時は真面目だったのに二年から急に不良になってしまったらしい。

その理由は大志からの話しで大体が検討がついている。

なので俺は必要と思える資料を川崎に見せるため、

ある場所に行き揃えてバーに向かった。

 

そして今、川崎に会うためにバーに来ている。

俺の格好は前回と同じでキッチリとしたスーツに髪をオールバックにして

伊達メガネを掛けている。まさか、またこの格好をすることになるとは

思いもしなかった。

 

 

 

「・・・ヒッキー?」「・・・比企谷君?」

 

俺は気合いを入れて、バーに入ろうとした矢先に後ろから声を掛けられた。

それも聞き覚えのある声だ。

 

(・・・あ~れ~可笑しいな・・・今、後ろから由比ヶ浜と雪ノ下の声が

聞こえた気がしたような?・・・働きすぎでついに幻聴が聞こえ始めたか?)

など、と考えているといきなりスーツの襟を掴まれた。

 

「ちょっと、ヒッキー!!なんで無視するんだし!!

それにどうしてここにいるの?」

と、由比ヶ浜がいつも通りの大きな声で聞いてきた。

 

(参ったな・・・ここでこいつらと関わるのは得策ではないな。

ここは何とかして乗り切りるか)

と、考えていると、雪ノ下がいつもの感じで迫ってきた。

 

「声を掛けられたら、返事くらいしなさい。比企谷君。

・・・ああ、ごめんなさい。耳と脳が腐っていたのだったわね。

失礼したわ、返事はしなくていいわ」

ホント、雪ノ下は姉の陽乃さんと違って人としてなっていないな。

 

「・・・スイマセン。一体?誰のことを言っているのですか?」

俺は陽乃さん直伝の営業スマイルをして、二人に振り向いて名乗った。

 

「・・・ボクは、『山本武(ヤマモトタケシ)』と言う者ですが・・・

その、『ヒッキー』や『ヒキガヤ』と言う人物とボクは似ているのですか?」

と、名乗ったのが効いてようで、二人して驚いた顔をしていた。

 

「!!・・・ご、ごめんなさい!人違いでした!行こ、ゆきのん」

 

「えぇ、そうね・・・」

と、由比ヶ浜と雪ノ下はそのまま過ぎさった。

雪ノ下は疑惑の目を向け続けていた。

 

(ヤべー!!・・・何とか誤魔化すことに成功したな。

危なかったがうまく隠せてよかった・・・)

と、俺は内心焦っていた。とりあえずは様子を見ておくか。

 

 

 

バーに入り、カウンターの二人が座っている席の近くに間を開けて座った。

雪ノ下がどのように川崎を説得するかを見てさらに策を考えておくか

グラスを磨いている川崎を見つけるや否や雪ノ下が話しかけにいった。

 

「・・・やっと見つけたわ。川崎沙希さん」

 

「・・・あんたは確か、雪ノ下だっけ?何か用?」

と、雪ノ下は相変わらず高圧的だし、川崎も何だか冷たい感じだ。

 

「貴女の弟さんから話を聞いてね。姉が不良化したものだから

心配しているのよ。・・・それで話をしに来たの」

と、雪ノ下は言うが、お前はたまたま話を聞いただけだろうに。

 

「・・・そう。でも私はやめる気はないよ。別に遊ぶお金を

稼いでいる訳でもいないんだから。他人の家族の事に首を突っ込まないで

くれるかな。迷惑なんだけど」

 

「そうわ行かないわ。貴女は未成年、本来はここで働くことさえできない

はずなのだから。店側も問題だけど、貴女も問題なのよ」

 

「だから何?説教しにきたのなら帰ってくれない。営業妨害だよ」

 

「やー、でも、話してくれないと分からない事だってあるし、力になれるかも

しれないしさ。話すだけでも楽になるかも知れないし・・・」

と、由比ヶ浜は言うが、それは理想論だ。

それで川崎の問題が解決するなら、弟がすでに解決している。

 

「言ったところで、分かってはくれないよ。あんた達には絶対に分からないよ。

力になれるかも?楽になるかも?そう、だったらあんたは、あたしの親が

用意できなかったものを用意できるの?あんた達が肩代わりしてくれるの?」

 

「そ、それは・・・」

と、由比ヶ浜は言葉を濁した。

 

「そのくらいにしておきなさい。これ以上、吠えるなら・・・」

と、雪ノ下が言いだした時に川崎がとんでもない事を言った。

 

「ねぇ、あんたの親って確か、県議会議員なんでしょ。だったらそんなに

余裕があるなら、あたしの言っている事なんて、分からないでしょ?」

と、川崎は小さく囁いた。

その時、グラスが倒れる音がしたので横を向いて見ると

雪ノ下が唇を強く噛み締めて下を向いていた。

 

「ちょっと!!今はゆきのんの家の事は関係ないじゃん!!」

と、由比ヶ浜は立ち上がり、川崎にいい返した。

いや、由比ヶ浜。感情的で他人と話しができると思っているのか?

 

「なら、あたしの家の事も関係ないでしょ」

 

「・・・帰りましょ、由比ヶ浜さん・・・」

 

「で、でも、ゆきのん!このままじゃ・・・」

 

「・・・川崎さん。覚悟しておくことね・・・」

と、さながらヒーローに負けて、棄てセリフを言っている悪役のようだ。

雪ノ下達の話が終わったので次は俺の出番だな。

 

 

「・・・次は俺と話をしようぜ、川崎」

と、急に俺が話し掛けるものだから川崎は少し驚いていた。

 

「・・・えっと、あんたは誰なの?」

 

「同じクラスの比企谷八幡だ。よろしく」

 

「同じクラスだったんだ。それで何?あんたも雪ノ下のように

あたしを説教にでも来た訳?」

と、川崎はかなり警戒している。あのアホ共が。

 

「いや、違う。俺の場合は説教ではなく、提案だ」

 

「・・・提案?それってどう意味?」

 

「まずは川崎。お前がバイトを始めた理由からだ。

弟の話を聞いて分かったんだが、弟は今年の春から塾に行き始めたんだよな。

その事から考えるにお前も進学を視野に入れていることだろう。

だからお前は大学受験のための資金集めをしているんだろ?塾に行くために。

ウチの高校は進学校だ。進学の人間が殆んどだ。

そして、お前もな。だから、お前は塾に行くための資金がほしかった。

そうだろ?」

と、俺の質問に川崎は明らかに動揺してしていた。

図星、これで間違いはない。

 

「そこで俺の提案は『スカラシップ』だ」

 

「・・・『スカラシップ』って何?」

と、川崎は疑問に思うのも無理ない。塾に行ったことが無いのだろう。

 

「『スカラシップ』ってのは、奨学金。または奨学金を受け取る資格の事だ」

 

「・・・それを使えば、学費とかを気にしなくていいわけってこと?」

 

「まぁそうだな。つまり、お前はここでバイトをする必要がなくなるってこと」

 

川崎は少し考え込んでいた。それで答えが出たらしい。

 

「・・・そっか。そんなのがあったなんて知らなかったよ。ありがと」

 

「別にいいよ。俺は妹のためにやったに過ぎない。それにあまり家族を

悲しませるのは良くないからな。

兎に角、川崎。お前は明日からここに来なくていいからな」

 

「でも、いきなりバイトが辞める事なんて出来ないでしょ。辞めるなら

一ヶ月前くらいに言ってないと」

 

「あぁそのことなんだが、雪ノ下が明日一番で学校側に言いつけると思うんだわ。

そうなると、お前は最悪の場合に停学処分になるかもしれないからな。

そうなると、受験どころじゃ無くなるだろ?」

 

「でも、どうするの?雪ノ下でも説得でもするの?でもあいつの性格は・・・」

と、川崎は雪ノ下の性格をあれだけで理解したようだ。

 

「その辺りは大丈夫だ。この事を何とかしてくれる人物には心当たりがるから」

 

川崎は疑問に思っているだろう。あの雪ノ下を説得できるか分からないのだから。

そして、俺はスマホを出して、ある人物に電話をした。

 

「・・・どうも、こんばんは。こんな時間に失礼します。

実は相談したいことがありまして、娘さんのことに関わることです。

・・・はい、そうです。・・・はい。

『エンジェル・ラダー 天使の階段』と言う名のバーで働いている

川崎沙希と言う女性がそこで働いていた記録を全て消して欲しいのです。

・・・はい。反抗期の娘さんの教育に役に立てると思います。

・・・ありがとうございます。・・・はい。では失礼します」

 

俺は電話を終えてスマホを仕舞った。そうすると川崎が質問してきた。

 

「・・・あんた、今、誰に電話したの?」

 

「あぁ、相手は雪ノ下の母親だよ」

 

「・・・何で、雪ノ下の母親の電話番号を知っているの?」

 

「えっと、川崎は口は堅いほうか?」

 

「・・・喋るなと言うなら誰にも喋らないよ・・・」

 

「実は俺、雪ノ下の姉と付き合っているんだ。ようは恋人関係なわけ」

 

「・・・そうなの?でも、何で?そこで母親が出て来るの?」

 

「・・・実は、雪ノ下はバイトもしないで結構いいマンションに一人暮らしを

していてな。母親はそれを良くないと思っているんだ。

そこで、実家に連れ戻す理由が欲しいんだよ」

 

「・・・そうなの?・・・だけど、大体はわかったよ」

 

「理解が早くて助かる。さっきも言ったが、もうお前はここで働く必要はない。

それに雪ノ下が学校側に言ってそうだしな。だから働くことは無理だろ?

それから教師や他の人に何か聴かれたらこう答えろ。

『あたしはバイトなんてしたことがありません』と、言えばいい」

 

「それでいいわけ?そんなんで、誤魔化せるかな?」

 

「大丈夫だ。店側も未成年を働かせていたなんて、知られたくないだろうしな

証拠がなければ、どうとでもなる」

と、俺はそうとう、悪い顔をしていた。

俺は川崎にスカラシップに必要となる用紙を渡して、バーを後にした。

ボーダー本部に向かい、深夜の防衛任務をこなした。

 

 

 




サキサキの話はもう一話してからボーダー本部の職場見学に入ります。

その際に三浦と雪ノ下がやらかします。

更新をお楽しみに。


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職場見学 川崎沙希③

本日二回目の更新です。

川崎の話はこれで終了です。

では本編をそうぞ。



川崎の件が無事に終わり、防衛任務もきっちりとこなして朝方近くに家に帰り、少しだけ仮眠を取って学校に向かっていた。

自転車に乗りながら、昨日の川崎のことを考えていた。

 

(川崎は家族と話をしているだろうか?特に大志とは話したほうがいい。

あいつは本気で姉のことを心配していたからな)

と、考えていると、後ろに乗っている小町から驚くべき話がきた。

 

「お兄ちゃん。お菓子の人と知り合いだったんだね?」

 

「・・・はぁ?お菓子の人?って誰のことだよ」

 

「えっ!?・・・誰って、それは結衣さんだよ?」

 

「・・・由比ヶ浜が犬の飼い主でお菓子を持って来た人だと?」

 

「そうだよ?・・・知らなかったの?でも、なんで?」

 

「・・・それは俺が知りたいわ。でも、教えてくれてサンキューな」

 

「いえいえ。これくらい、お兄ちゃんのためだしね。

これは小町的にポイントが高いね!」

 

「そうだな。すごく高いわ。それ・・・」

 

(つまり、あの事故の関係者が同じ部屋にいるってことだよな!

気まずすぎだろ。何の罰ゲームだよ!

それにして、由比ヶ浜はなんで何も言ってこないんだ?

それにあいつが、妙に馴れ馴れしいく変なあだ名で呼んでいたのは

俺に気を使ってのことなのか?)

と、考えても何も答えが見えてこなかった。

 

俺は小町を学校に送り届けた後。教室に入って見ると川崎がいた。

このところ、遅刻が多く朝に見かけることが余りなかった。

由比ヶ浜が俺と川崎を交互に見てソワソワしていた。

 

雪ノ下が川崎がバーで働いていたことを学校側に言ったのだろう。

そんな態度を取るくらいなら、最初から関わらなかったら良かったのに。

その後、普通に授業は行われたが、一時間目が終わってから

川崎は生徒指導の平塚先生に連れて行かれた。

 

しかし、二時間目が始まる前には何事も無かったかのように帰ってきた。

その後は昼まで普段と変わらない風景だった。

一点、違いがあるなら、由比ヶ浜の視線くらいだろうか?

 

昼飯をいつもの人気のない場所で購買で買ったパンを齧り、マッ缶を

飲んでいると後ろから声を掛けられた。

 

「・・・比企谷・・・」

 

「ん?・・・なんだ、川崎か。何か用か?」

 

「・・・うん。・・・その、お礼が言いたかったから・・・」

 

「そんなことか?そんなの別にいいぞ。それに俺は昨日の夜は

お前になんて会ってないからな」

 

「・・・そうだったね。あたしも比企谷には会ってないよ」

 

まるで、ちょっとした茶番劇だ。

しかしこのやり取りには重要な意味がある。

ここで俺と川崎が会っていたことを認めれば、例のバーで川崎が働いていたことの証明になるからだ。

それは流石に不味い。学校は勿論だが雪ノ下に知られれば何を仕出かすか、

分かったものではない。

 

「・・・川崎さん。これはどういう事かしら?・・・」

と、俺と川崎の後ろから雪ノ下の声が聞こえてきたので、

振り返って見ると、完全にキレている雪ノ下とオドオドしている由比ヶ浜がいた。

 

「・・・何の事を言ってんの?雪ノ下・・・」

 

「惚けないで!!貴女は確かにバーでアルバイトをしていたはず、

なのに今朝方に学校側が確認をしたら、『川崎沙希と言う、女性は働いてはいない』と

連絡してきたのよ。・・・これはいくら何でも有り得ないことだわ!!」

 

「・・・雪ノ下は一体、何の話をしているのよ?」

 

「惚けないでと言ってるでしょ!!・・・未成年の貴女がバーでアルバイトをしていたことが消えているのよ。貴女が何かしたに決まっているわ!!」

 

「・・・だから、あたしはバイトなんてしたことは無いんだってば・・・」

と、川崎が言うと、雪ノ下は顔を歪めていた。

由比ヶ浜は、相変わらずにオドオドしていた。

 

「・・・あくまでシラを切るつもりなら、絶対に尻尾を掴んでやるわ。

覚えておきなさい!!」

と、言い残して、由比ヶ浜と行ってしまった。

 

「・・・これでいいんでしょ。比企谷?」

 

「・・・あぁ、上出来だ。学校側にもそう言ったんだろ?モチロン」

 

「・・・あんたの指示だしね。先生もあっさり信じたよ・・・」

 

「それでいい。雪ノ下は躍起になって調べるだろうが、その当たりも抜かり無いはずだしな。

仮に真相が分かっても時既に遅しってことだ」

 

「・・・確かにそうだね。それに未成年がバーに来たのが知れたら、困るのは雪ノ下と由比ヶ浜のはずだしね」

 

「それもそうだな。行ったのがバレると俺も危ないしな・・・」

 

「・・・でも雪ノ下の親が家に連れ戻したいのに・・・

その親がマンションで一人暮らしを許したのは、何でなの?」

と、川崎は疑問になって、俺に質問してきた。

 

「・・・そうだな・・・親って言っても父親が許可しただけで母親は反対だったんだ。

父親は娘達に甘いらしいからな、それで出来ているんだろう・・・」

 

「・・・ふ~ん。偉そうなことを言っているくせに自分は親のスネをかじっているってわけね。・・・いい気なものだね」

 

「まぁ、そうなんじゃないのか?人ごと世界を変えるとほざいている奴だからな。

その上、ナルシストだしな。あまり近付きたくはない」

 

「そうなの?まぁ、近付きたくはないね。それじゃ、あたしは行くね。

改めて、比企谷。ありがと」

 

「どういたしまして。あまり、家族に心配させるなよ。家族は助け合うものだしな」

と、俺の言葉を聞いた川崎はそのまま、教室に戻って行った。

 

「さってと、俺もそろそろ、戻るとするか・・・」

 

その後の授業は何事もなく進み、放課後となって奉仕部に言ってみると

雪ノ下は未だにキレていた。

 

「・・・どうしてですか?・・・理由をお聞かせください!・・・

それでも、彼女は確かにあそこにいたのです。・・・待ってください!

・・・・・・」

 

雪ノ下はどこかに電話していたが一方的に切られたらしい。

 

「・・・比企谷君。説明しなさい!これはどういうことなのか?」

 

「・・・何の事だよ?お前が聞いている事は?」

 

「・・・そう。貴方もシラを切るのね・・・いいわ。いつか必ず、証拠を掴んでみせるわ」

と、意気込んでいたが、戦う相手がまさか、自分の母親だと知った時には

どんな顔になることやら。少し楽しみでもある。

 

そして、明日はボーダー本部で職場見学の日だ。

何か、ありそうで憂鬱になりそうだ。でも策は念のために用意してある。

 




ついに次回はボーダーの職場見学です。

雪ノ下と三浦がやらかしてしまいます。

では更新をお楽しみに。


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職場見学 比企谷八幡⑤

今週のワートリを見たけど、ヒュースは玉狛第二に入るのか?
次回が楽しみだ。

では本編をどうぞ。


ボーダー本部。

それはネイバーの第1次大規模侵攻跡地に建設された巨大な建物。

そこにはボーダー隊員のための様々な設備が存在する。

 

今日はその設備などを使えると興奮している生徒が大勢いた。

まぁ、ラノベみたいなことが出来るのだからそれは人気があるのも納得だな。

そして今、壇上で忍田本部長がボーダーについて話していた。

 

「ボーダー本部長、忍田真史だ。君達の入隊を歓迎する。君たちは本日C級隊員・・・訓練生として入隊するが、三門市、そして人類の未来は君たちの双肩に掛かっている。日々研磨し正規隊員を目指して欲しい。君たちと共に戦える日を待っている。

・・・私からは以上だ。この先の説明は嵐山隊に一任する」

と、その言葉の後に周りがざわつき始めた。

 

嵐山隊。

ボーダーで広報を担当しているA級部隊。

編成はオールラウンダー3人、スナイパー1人という。

様々な状況に対応できる部隊と言えるだろう。

 

(ウチの隊も似た感じだしな。まぁ雪菜はガンナーを持っているだけで

本職はアタッカーだから少し違うか・・・)

と、考えていると、五つの星のエンブレムが特徴の赤い隊服を着た四人組が現れた。

 

「やあ、みんな!今日の職場見学を案内する嵐山隊隊長の嵐山准だ。よろしく!」

と、嵐山さんの挨拶に女子連中はキャーキャーと騒いでいる。

 

嵐山准。嵐山隊隊長にしてオールラウンダー。

正義感に溢れる広報部隊長だ。

広報というめんどくさい仕事をこなしている凄いイケメンだ。

ただ一般にはあまり知られてはないが、かなりのブラコンとシスコンだ。

 

「これから入隊指導を行う前にボーダーのトリガーについて説明しよう。まずトリガーを起動して換装したら、左手の甲を見て欲しい。数字があるのが分かるだろうか?そのポイントを4000まで溜めるのが正規隊員になるための条件だ」

と、嵐山さんが説明すると、生徒が次々にトリオン体に換装し始めた。

 

「まず最初の訓練は・・・対ネイバー戦闘訓練だ。仮想戦闘モードの部屋の中でボーダーの集積データから再現されたネイバーと戦ってもらう」

と、説明の後に周りの生徒がざわついた。

 

(俺の時もやったな、これ。大体のセンスがこれでわかってしまうからな。

でも、それは訓練であって実践ではない。実践で動けないなんて

邪魔でしかない。まぁ1分を切ればそこそこ優秀だろう)

と、考えていると、次々と生徒が大型ネイバーに向かって行った。

 

俺は隅のほうで嵐山さんに見つからないようにしていると

一人、俺に近付いてくる人影がいた。

 

「・・・てっきり、サボるものかと思っていましたよ。比企谷先輩」

 

「・・・お前は俺をなんだと思っているんだ?木虎」

 

木虎藍。嵐山隊オールラウンダーでエース。

たゆまぬ努力を糧に駆け上がったエースだ。

ガンナーとして入隊したが、トリオンが少なくガンナーとして

戦うのは難しく、B級に上がってすぐに対人戦で勝てなくなった。

それでまだ個人だった俺の所に来てアドバイスを求めてきた。

 

隊を作る前は個人の隊員と組んだりして防衛任務に当たっていたので

木虎ともその時に知り合った。

それで木虎にオールラウンダーになることを進めたり、

スパイダーのことを教えたりして、まだB級だった嵐山隊に入りA級に上がった。

 

「・・・それは、鬼畜のサボり魔、ですかね?」

 

「・・・何だよ。・・・それに俺は鬼畜でもサボり魔でもないぞ」

 

「それより比企谷先輩。この後、私と戦ってください」

 

「・・・話を急に変えてくるなよ・・・木虎。

俺は一応、ここに見学に来ている生徒なんだが・・・

そうだな、なら俺がボーダー隊員だとバレたら考えてもいいぞ」

 

「わかりました。このところ、広報の仕事が忙しくてリベンジする機会が無かったものですから」

 

「ホント木虎、お前は・・・。そろそろ、お前は嵐山さんの下に戻っていろ。

お前が近くにいると目立つからな」

 

「わかしました。約束、守ってくださいね」

と、木虎は言い残し、戻っていった。

 

訓練を見ていると葉山達が戦っていた。

葉山はアステロイドで三浦は弧月か、由比ヶ浜はバイパーだった。

由比ヶ浜の弾はまったくと当たっていなかった。

 

(素人がバイパーなんて、扱いが難しいもの使うなよ・・・

やはりアホの子か?由比ヶ浜・・・)

と、見ていると、雪ノ下の番になっていた。

使っていたのは、ボーダーでも珍しい弧月:槍だった。

 

『3号室終了 記録23秒』

と、アナウンスが流れてきた。

部屋から出てきた雪ノ下が俺の近付いてきて、勝ち誇った顔をしていた。

 

「あら、比企谷君。貴方はやっていないの?でも、やったとしても私の記録には到底、勝てないでしょうけど」

 

「そうだなー。流石は雪ノ下だなー(棒)」

と、俺の言い方が気にいらなかったようで睨んできた。

だったら言わなきゃいいのに、こいつは学習能力皆無なのか?

 

「いや~なかなか、いい記録だね。初めてであそこまでのタイムは出せないからな」

 

「ありがとございます。それで今までの最高記録とは何秒なのでしょうか?」

と、雪ノ下が嵐山さんが質問してきた。ここに来ても負けず嫌いか?

 

「そうだな。ウチの木虎が9秒。緑川と言う中学生が4秒で、それで最高記録が2秒だよ。これまで破られたことはないんだ」

 

「・・・2秒・・・ですか・・・」

と、雪ノ下が言うのを見て、嵐山さんがフォローした。

 

「しかしこれは訓練の記録であって、実践ではないし記録だけが全てではないから。

だから、気にする必要は無いんだよ。・・・・・・比企谷?」

と、雪ノ下に言って、近くにいた俺と目が合った。

 

「なんだ、来ていたのか?比企谷」

 

「どうも、嵐山さん・・・お疲れ様です・・・」

 

「・・・嵐山さん。これとはお知り合いなんですか?」

と、俺を物扱いするとは相変わらずの雪ノ下だった。

 

「あぁ、比企谷はA級部隊の隊長を務めている男でさっきの記録の2秒を出したのが比企谷なんだよ」

と、嵐山さんが即効でバラしてしまった。

 

「・・・貴方が・・・隊長で2秒を?・・・ありえないわ」

 

「それなら、比企谷。実際やって見てくれ。そうすれば、彼女も納得するだろう」

と、嵐山さんにお願いされては、断れないないな。

 

「・・・自分のでいいですかね?」

 

「あぁ、構わないぞ。ただ、本気で頼む」

 

俺はトリガーを起動しトリオン体に換装して仮想訓練室に入った。

仮想の大型ネイバーが現れた。

俺は左手で鞘を持ち、右手を柄に軽く添えて待っていた。

 

『仮想訓練開始』

と、アナウンスが聞こえてきた瞬間に俺はジャンプをして

大型ネイバーを飛び越えるようにして、弱点の目を切った。

 

『1号室終了 記録0.4秒』

と、アナウンスが流れてきて、俺は前より早くなったと思った。

 

(まぁ、当たり前か。2秒を出したのが約4年前だしな・・・)

と、考えていると、雪ノ下が近付いてきて、とんでもない事を言った。

 

「・・・比企谷君。・・・いくら何でズルはよくないわよ」

 

「・・・いや。ズルなんてしてないから」

 

「嘘ね。貴方のような人間にあんな記録出せるはずないわ」

と、雪ノ下の声を聞いて、三浦がそれに乗ってきた。

 

「へぇ~、ヒキタニって、ズルしたんだ~。それでA級に上がったんだ~。

じゃあ、隼人。あーしたちもすぐにA級にあがれるんじゃない?」

 

「ど、どうだろうね。もしかしたら難しいかもしれないよ」

 

「そんなことないって隼人。どうせ、ズルしてA級に上がったヒキタニが居るんだし

あいつの隊はみんな、ズルしているんだよ。

それにあんなキモくて冴えない奴がマトモなやり方でA級になれるわけないし!」

と、三浦は言って、周りの人間を巻き込んで笑っていた。

だが、俺は特にいい返すこともせず、ただ傍観していた。

 

「・・・どうしていい返さないんですか。比企谷先輩・・・」

と、木虎がかなり不機嫌になっていた。

 

「いい返さないってどういう意味だ。木虎?」

 

「・・・比企谷先輩は、今バカにされたんですよ。それを何もしないで悔しくないんですか?」

 

「あぁ、そのことね。別になんとも思ってないけど?」

 

「なんとも思っていないって、どういうことですか!!」

 

「・・・何をそんなに怒っているんだ木虎?別に職場見学の後に三浦が自宅謹慎になるか停学処分になるんだしさ。そんなに怒る必要ないからな」

と、俺が言った途端に周りが静かになった。

 

「そ、それは、どういう意味なんだい?ヒキタニ君」

と、葉山が俺に聞いてきた。

 

「どういう意味って、そのままだけど?三浦はボーダー隊員である俺をバカにする発言をした。それを俺が上層部に報告すれば、ボーダーは組織として抗議文を学校側に送る。そうなると、送られてくる原因となったのは三浦の発言だ。

ならば、三浦に罰を与えるのは、至極当たり前のことだと思うけど?何か違ったか?葉山」

 

「・・・・・・。頼む!!ヒキタニ君。優美子を許してくれないか。

優美子も悪気があったわけじゃないんだ。だから頼む!!」

と、葉山は頭を下げて謝ってきた。

三浦は「隼人・・・」とまるで自分を助けてくれる王子様にでも見えているのだろうな。

 

「・・・なるほど。友達のために自分が頭を下げるか。友情があっていいもんだな」

 

「それじゃあ、許してくれるんだね」

 

「あぁ、もちろん。上層部にはきっちりと報告しておくから、安心してくれ」

と、俺は満面の笑みを浮かべて、葉山にそう答えた。

 

「な、なんで、そうなるんだい?ヒキタニ君・・・」

と、葉山は信じられないというような顔をしていた。

 

「なんでって、それは葉山。お前が間違っているからだ」

 

「ま、間違っているって、どういうことだい?」

 

「分からないのか?・・・それはな、三浦が俺に謝っていないからだよ。

そもそも、三浦の発言で葉山、なんでお前が謝るんだ?

俺にはそれが分からないんだが?」

と、俺が言ったことで葉山は理解したようだった。

 

友達のためと言っていながら、葉山は一人で謝ってきた。

この場合は三浦が謝るべきなのに、そうはしなかった。

 

その時、生徒達の後ろからある男の声が聞こえてきた。

 

「・・・何だか、楽しそうなことになっているな比企谷」

と、声の方を見てみると、そこには黒いロングコートを着た三人組みがいた。

 

 




次回は八幡対葉山&三浦をやっていこうかなって思っています。

次回をお楽しみに。


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職場見学 比企谷VS葉山・三浦①

八幡対葉山・三浦の対決が始まる。

戦闘描写が苦手だが頑張って書いていこうと思います。

では本編をぞうぞ。




「・・・なんだか楽しそうだな、比企谷」

 

生徒の後ろから聞きなれた人の声が聞こえてきた。その人は

 

「太刀川さん・・・」

 

太刀川慶。A級1位太刀川隊隊長でアタッカー。

ボーダーナンバー1アタッカーで個人総合1位の怪物的な実力者だ。

万能ブレードの弧月を二刀流にした超攻撃型の人で忍田本部長の弟子。

さらに戦闘狂なことでも知られている。

 

「よぉ、比企谷」

 

「出水・・・」

 

出水公平。太刀川隊シューターであだ名が弾バカ。

高度な戦略と技術を兼ね備えるナチュナル系天才シューターで合成弾の名手でもある。

ボーダー屈指のトリオンを持ち、四種類ある弾を自在に操る男だ。

ちなみに二宮さんの師匠でもある。

ボーダーの中で親友と言ってもいいくらいの奴だ。

 

「どうも、比企谷先輩」

 

「お荷物君・・・」

 

お荷・・・じゃなくて唯我尊。太刀川隊ガンナー。

ボーダーのスポンサーの息子でコネでA級に入った経歴を持つ後輩だ。

ただ、こいつは兎に角、弱い。A級最弱と言ってもいいくらいに弱い。

 

「酷いです!比企谷先輩!僕の名前は唯我尊です!間違えないでください!」

 

「いや、比企谷の言っていることは正しい」

 

「出水先輩も酷い!」

 

「ところで、比企谷。さっき笑い声が聞こえたんだがなんだったんだ?」

 

「あぁ、それはな・・・・・・」

 

「先輩達!無視しないでください!」

 

俺はこれまでの起こった出来事を掻い摘んで説明した。

俺の仮想訓練のタイムから三浦の暴言などを出水達の詳しく話した。

それを聞いた出水が。

 

「・・・いや、それはバカだろ。お前が冴えないザコだったらボーダーの9割以上の人間がそうなるぜ。それ言った奴、大丈夫なのか?」

 

「大丈夫じゃないから、あんな発言ができるんだろ。常識ってものが頭から抜け落ちているんだよ」

と、俺は出水と話していた。

 

「まぁ、俺は鬼ではないし、チャンスをやってもいいかなって思っているわけなんだよ」

 

「チ、チャンスってなに?」

と、三浦はビクビクしながら俺に聞いてきた。

 

「それは、お前と葉山が俺と戦うことだよ」

 

「・・・えっ!?それってどう意味だし・・・」

 

「このままだと俺の気が収まらないからな、だから戦いたいんだよ。それで二人が俺と戦えば、俺は三浦の暴言等を上層部には報告しない。ただそれだけ、分かったか?」

 

「そ、それだけで優美子のことを許してくれるのかい?」

と、葉山がまだそのことに拘っていたのか?

 

「許す、許さないじゃなくて、ただ俺は報告しないだけ、それだけ」

 

「・・・優美子、受けるべきだ。俺も優美子と一緒に戦うから頑張ろう!」

 

「隼人・・・。うん!あーし、頑張る。ヒキタニのやつなんかに負けない!」

 

「・・・決まったか?それじゃあ、俺のトリガーを決めてくれ」

 

「・・・俺達が決めるのか?何で?」

 

「ハンデだよ。俺は四年近くトリオン兵やボーダー隊員と戦ってきたからな。すこしでもフェアにするためだよ。選びな・・・」

 

(まぁ、ハンデとか言っているけど、そうじゃないんだな、これが)

と考えていると、三浦と葉山は俺から少し離れた場所に移動して話し合いを始めた。

でも、俺はサイドエフェクトのおかげである程度は会話が聞こえるんだよな。

 

 

 

 

「隼人。バイパーなんてどうかな?」

 

「どうしてそれなんだい?優美子」

 

「ヒキタニって刀使ってたじゃん。だから使い慣れてないものの方がいいと思うんだよね。それに結衣がかなり難しいって言ってたし」

 

「それでバイパーなんだね。・・・よし!そうしよう」

 

葉山が俺に近付いてきて話し合った事を言った

 

「ヒキタニ君にはバイパーを使ってほしい」

 

「バイパーでいいんだな?葉山」

 

「あぁ、それで構わない」

 

「それじゃ、準備するから待っていろ・・・」

と、俺が準備を始めようとした時にトリガーを渡された。

 

「どうぞ。これを使ってください、比企谷先輩」

 

「おう。サンキュー時枝」

 

時枝充。嵐山隊オールラウンダー。

嵐山さんや木虎を援護したり敵の攻撃をカードしたり、咄嗟の判断力に優れた名サポーターと言える後輩だ。

家でネコを飼っているのでネコなどの話で盛り上がる事が多々ある。

 

「いえ、それで聞きたい事があるんですが、いいですか?」

 

「なんだよ、改まって。俺に答えられるならいいぞ」

 

「じゃあ、比企谷先輩はさきほどの女子生徒が暴言を言うことを予想してたんじゃないですか?だから何も言わなかった、違いますか?」

 

「・・・・・・。何を言うのかと思ったら、そんなことか。いくら学校でデカイ態度がウザイからといって、俺がクラスの女子を罠に嵌めてボコボコにするわけないだろ。俺だってそこまで鬼ではないぞ、時枝」

 

「・・・間がありましたね。実は考えていたんですね」

 

「・・・チィ!・・・時枝お前、わかってるなら口に出さなくていいから」

 

「やっぱり、比企谷先輩は鬼畜ですね!」

 

「・・・少し黙ってろ、佐鳥・・・」

 

佐鳥賢。嵐山隊スナイパー。

スナイパーの中でも抜群のセンスを誇る後輩だ。

ツイン狙撃と言う、イーグレット二丁で行う同時狙撃を得意とする後輩で口癖が『見ました?俺のツイン狙撃』だ。

毎度、聞いてくるのでウザくなっている。

 

「それはないですよ、比企谷先輩。鬼畜なのはホントのことなんですし」

 

「・・・わかった。・・・佐鳥、俺と十本勝負しようぜ!」

と、俺は笑いながら佐鳥に言った。

 

「い、いや、俺はスナイパーですし、それに比企谷先輩、目が笑ってないですよ。怖すぎです!」

 

「佐鳥、切り裂かれるのか、蜂の巣になるのか、炸裂するのだとどれがいい。嫌いなのを選ばせてやるぞ・・・」

 

「嫌いなのを選ばせるんですか!!やはり怖すぎです、比企谷先輩!」

などと嵐山隊と話していると周りから視線を感じた。

 

視線の元は由比ヶ浜だった。大方、俺が哀れなボッチだと思っていたんだろう。

まぁ、実際にクラスじゃボッチだけどな。

 

「それじゃ、準備も整ったし、始めるか。葉山、三浦」

 

「その前に確認させてくれ。俺達が君と戦えば上の人には言わないってことでいいんだよな?」

 

「あぁ、そうだ。お前ら二人が俺と戦ったら、俺は上層部には報告しないことを約束する」

 

「わかった。始めよう」

 

葉山は納得してブースの個室に向かった。

あの二人はまだ気が付いていない。このゲームは始めから勝てないという事に。

俺の提案を受け入れたとしても三浦が罰を受けるのは変わらないという事に。

今からあの二人が絶望するのが楽しみだ。

 

・・・なんだか俺、悪役みたいになってきてるな。はぁ~、溜め息が出てくる。




次回、葉山と三浦をボコボコしてやります。

あの二人に絶望を。

更新頑張ります。


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職場見学 比企谷VS葉山・三浦②

職場見学編は2、3話で終わろうと思います。

比企谷VS葉山・三浦の対決は今回で一応、終わりです。

では本編をどうぞ。


雪ノ下から始まった俺の実力への疑いに乗っかる形で俺へ暴言を言ってしまった三浦。

そこからの俺対葉山・三浦の対決。

でもこれは俺の想定した流れだと言えるだろう。

三浦は戸塚のテニスコートでの一件から俺への復讐を考えていたのは普段の教室での視線で分かっていた。

 

だから俺は策を用意して迎え撃つ準備を進めていた。まぁ使わない事とに越した事はない。

それにこれをやった際に俺は更にクラスでボッチになってしまう恐れがあるからだ。

でも、戸塚がいたな。まぁ少なくとも一人はいるからいいか・・・。

由比ヶ浜?誰それ?

 

おっと話がなんだかズレたな、とりあえずは葉山と三浦に集中しないとな。

手を抜いてもいいと最初は考えたがそれでは今後も舐められる恐れがあるのですぐにその考えは捨てた。

やはり、完全勝利が一番いいと思う。あの二人・・・特に三浦はその方がいいな。

そして俺、葉山、三浦の三人はブースに入ってフィールドに転送された。

 

「場所は・・・市街地Aと言ったところか。・・・時間帯は・・・昼間だな。・・・天候は・・・快晴だな。まぁ変な説定でなくてよかった・・・」

 

たまにランダムだと暴風とか積雪になったりするからな。その際は動きづらいからな。

まぁなんにしても、勝たないと俺の気が収まらない。さて、潰すとしますか・・・。

未だに葉山と三浦は俺の手のひらの上で踊らされているとは思いもしないだろうに。

 

今回の戦いも俺の手のひらの上で踊っているようなものだ。今回は二人だからな、三浦に関してはじっくりと料理したいしな。

葉山はできるだけ早くに倒しておきたい。

その方が三浦への精神的ダメージがデカイはず、あいつは葉山が居てこそのあのデカイ態度が取れているようなものだしな。

葉山が先に倒されたら、きっとどうしたらいいか分からなくなるはずだ。

 

(まずは、二人の位置確認だな・・・。三浦が近いといいけど・・・)

と、これからの行動方針を決めてから、俺は耳を地面に付けた。

菊地原ならこんなことしなくても位置くらい、すぐに分かるけど俺はあいつほど耳がいいとは、言えないからな。って俺は忍者かよ!とノリツッコミをした。

だから二人が地面を蹴るときに出る振動を聞くことにした。

 

(・・・一人近いな・・・振動の速さからして葉山か?近いし、確かめるか)

と、位置を確認するため、俺はアクション映画さながらの動きで家の屋根から屋根へ飛んでいき近くにいる人物に向けて進んだ。

 

「・・・おっ!近くにいたのは三浦か。・・・バイパー」

と、俺はトリオンキューブを出現させて、それを8分割して三浦の手前に向けて放って三浦の動きを止めた。

 

「よぉ、三浦。倒しに来たぞ」

 

「ふん!何が倒しに来たぞだし。アンタなんかあーしと隼人でボコボコにしてやるんだから。・・・あーしをコケにしたこと後悔させてやるし!」

 

「そうか・・・それは楽しみだな。倒せるものなら倒してみろ三浦」

 

それが戦闘開始の合図かのように三浦は弧月を抜刀して連続で俺に切りかかってきた……が、俺はそれを余裕で回避している。

 

「どうした三浦。さっきから一太刀も当たってないぞ?本気でかかって来いよ」

 

「黙れだし、避けずに当たれだし!!」

 

「・・・いや、避けずに当たれで当たるバカは居ないだろう?・・・あぁ、そうか。お前がバカだったな。すまん、気が付かなかったわ・・・」

と、俺の挑発に完全に我を忘れたように三浦は怒り狂った。

 

「!!黙れだし、ボッチの分際で!!あーしに立て付くなんて生意気なんだし!!いいからとっと死ねー!!」

 

「・・・ホント。バカな奴だよ、三浦」

と、俺は三浦の攻撃を避けて、顔面を殴り飛ばした。思いのほか、飛んでいた。

・・・マジでウケる。

三浦はア然として、こちらを見ていた。

殴られるとは思いもしなかったんだろう。俺には関係ないが。

 

「どうした、ボーっとして。ゲームは始まったばかりだろ?もっと楽しませろよ。でないと、折角用意したのに無駄になるだろ?」

と、言っていると背後から葉山が現れた。

 

「優美子!!・・・アステロイド!!」

葉山は、トリオンキューブをだして、それを8分割して俺に向けて放ってきた。

さすがに素人に27分割以上は無理か・・・。

 

「バイパー・・・」

それを俺はバイパーを8分割して迎え撃った。

 

葉山のアステロイドをギリギリまで引き付けてからバイパーを放った。

アステロイドを押しのけてバイパーが葉山に迫っていったが葉山はそれを器用に回避した。さすがサッカー部次期主将だな、運動神経は抜群か。

 

「よく避けたな葉山・・・。正直、驚いたぞ・・・」

 

「・・・どうして、君の弾が俺の弾を押しのけたんだい?」

葉山が疑問に思うのも無理ないか・・・。仕方ない答えを教えておくか。

 

「葉山、ボーダーの射撃トリガーでシューターが使う弾は性能を調整することが出来るんだ。10あるパラメーターをそれぞれ、威力、弾速、射程の三つにトリオンを振り分けることが出来る。お前はおそらく、その三つを均等に振り分けている。対して俺は射程が2で弾速を1にして威力を7にしているからお前の弾を押しのける事が出来るんだ」

 

葉山は驚愕と言わんばかりの顔をしていた。・・・滑稽だなその顔。

葉山に話していると三浦が背後から切りかかってきたので、サイドステップで右に避け三浦の顔面に二回目のパンチを食らわした。・・・ホント、面白いくらいに飛んで行くな、笑える。

 

「葉山、三浦。お前らに言っていないことがあるんだが、聞く気あるか?」

 

「・・・一体、なんだい?」

 

「お前らは俺がブレード使うからアタッカーだと思っているけど、実は違うんだ」

 

「・・・じゃあ、なんだと言うんだい?君のポジションは・・・」

 

「オールラウンダーだよ、葉山」

 

「オール、ラウンダー?それって嵐山隊の人と同じ?・・・」

 

「少し違うな。嵐山隊はガンナー型のオールラウンダーだが、俺はシューター型なんだわ。・・・この二つの違いは、射撃トリガーの違いだな。嵐山隊は全員が銃を使うが俺はトリオンキューブを出現させて攻撃する。違いがあればそのくらいか・・・」

 

「も、もしかして・・・君は・・・」

 

「お!やっと気が付いたか?俺がオールランダーのシューター型ってことが、だからお前らが俺に使いにくいトリガーを使わせようとしたが、逆に使いやすいトリガーを使わせていたことが」

 

「そ、そんなのズルだし!!卑怯なことすんなだし!!」

と、三浦がキレてきた。

 

「・・・俺は始まる前に聞いたよな?『それでいいのか?葉山』って、それでズルだの卑怯だの、後からグダグダと文句を言ってくるんじゃねぇよ!だったら、俺か嵐山さんにでも聞けばいいものを。だけど、お前ら二人はまったく聞いては来なかった」

 

その事を指摘してやると二人揃ってア然としていた。

俺はさらに二人を絶望させるためにボーダーでの俺の肩書きを教えることにした。

 

「・・・さらに付け加えると、俺はボーダーナンバー1オールラウンダーで個人総合5位なんだわ。・・・・・・言っている意味が分からないって顔だな。・・・つまりオールランダーで一番ってこと。個人総合はポジションに関係なく個人の実力のことで俺は五本の指に入るほど強いってこと。わかったか?お二人さん」

 

俺の説明を聞いて葉山と三浦は悪い夢でも見ているかのような顔をしていた。

・・・ウケるな、その顔。

 

「もし、俺に使いにくいトリガーで戦わせたかったらレイガストにするんだったな。おれは使った事がないから、こんなことにはならなかったろうに」

 

俺は右手を頭より高く上げてトリオンキューブを出現させた。

その大きさが一・五メートルほどのトリオンキューブだった、それを125分割して構えていた。

 

「125発のバイパーの弾だ。・・・避ける事が不可能な攻撃だ。じゃあな・・・」

 

ドドドドドドドドンという爆音と砂煙が葉山と三浦の居た所から立ちこめ、それが晴れた時に二人のトリオン体は穴だらけで亀裂が走っていた。

 

『トリオン体活動限界ベイルアウト』の音声と共に光となって飛んでいった。

 

俺はブースを出て見ると生徒のほとんどが俺を見て引いているのがわかった。

 

「・・・出水。俺、なんか不味い事したか?」

 

「・・・いや、しただろ。女子の顔面を殴る奴がいるか?」

 

「しかし、先に吹っかけてきたのは向こうだし、自業自得だ」

 

「でも、いいのか?比企谷」

 

「何がだ、出水?」

 

「いや、だから。彼女が言ったお前への暴言のことだよ。このままでいいのかなって思ってさ」

 

「あぁ、そのことね。大丈夫だ、出水。三浦の処罰は決定事項だから」

 

「ま、待ってくれ、ヒキタニ君。君は俺達との約束を破る気なのか?」

 

「そんなことはしないさ。だけどな、葉山。『俺は』報告しないと言っただけであって他の・・・嵐山隊のメンバーは報告するんだぜ?」

 

「ど、どうして?嵐山隊の人たちが報告するんだい?」

 

「・・・葉山。嵐山隊は今日の職場見学の説明役だけではなく、監督役でもあるんだよ。・・・つまり、今日のことをまとめて、上層部に報告する義務があるわけだ」

 

「つ、つまり、俺達と君の戦いは全くの無意味だったってことかい?・・・だったらなんで、俺達と戦うように提案したんだ?・・・」

 

「そんなの俺のストレス発散が目的なのと三浦への制裁かな?」

 

「制裁だと?・・・君はそのためにクラスメイトを騙してこんなことをしたと言いたいのか・・・。君は最低の人間だ!」

 

「・・・それを言ったら、三浦はどうなるんだよ?・・・プライドを傷つけられただけでクラスメイトを周りを巻き込んで俺を見下していい理由にはならないだろ?葉山」

 

「そ、それは・・・だけど!君は・・・」

 

「いいかげんにしろよ、葉山!・・・お前は一体、何がしたいんだ?」

 

「・・・俺は・・・君のやり方が許せない!」

 

「・・・はぁ~。話にならんな・・・葉山。そもそも三浦は俺に貸しがあるんだぞ」

 

「・・・一体、なんだい?それは・・・」

 

「テニスコートのことだよ」

 

「・・・え?でも、それは・・・」

 

「あの時、三浦は勝ってにラケットを使ったよな?」

 

「で、でも、それは君との対決をするのに必要で・・・」

 

「だが、使っていいと許可を出した覚えはない。つまり、三浦は許可なく、テニス部の備品を使ったことになる。・・・その時、三浦は校則違反をしたんだよ。・・・それを俺が学校に報告すると三浦の処罰はさらに重くなる」

 

「それは、そうだが・・・」

 

「葉山、お前らがここで妥協すれば少しは三浦への処罰は軽くなるかもな。でもそうでないなら、俺は容赦をしない」

と、俺の言葉が効いたのか、葉山はそのまま引き下がっていった。

葉山とは入れ違いで雪ノ下が近付いて来た。嫌な予感しかしない。

 

「・・・比企谷君。私とも戦いなさい」




次回は八幡対雪乃をお送りします。

それが終わったら、番外編を1話入れて、夏休み前の話にして行く予定です。

では次回をお楽しみに。


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職場見学 比企谷八幡VS雪ノ下雪乃

八幡と雪乃の戦いです!

では本編をどうぞ!


「私とも戦いなさい」

と、言う雪ノ下に俺は訳が分からなくなっていた。

こいつは何を言っているんだ?さっきのを見て俺に勝てるとでも思っているのか?

 

「……聞いているのかしら? ……あぁ、耳が腐っていたのだったわね。ごめんなさい。気が付かなかったわ」

 

「……それが人にものを頼む態度かよ。それにさっきの戦いを見て俺に勝てるとでも?」

 

「私がさっきの二人と同じと思わないことね」

 

「いや、同じだろ。トリガーを高が数分触っただけのお前と四年もの間戦い続けている俺とじゃあ差がありすぎるんだよ。そんなことも分からないのか、お嬢様?」

と、俺の皮肉が気に障ったのか、雪ノ下は怒た。

 

「いいから!!私と戦いなさい!!」

 

「嫌だね。そんな高圧的な態度の奴と戦う気にはなれんな……」

 

「あら、私に負けるのがそんなにも怖いのかしら?」

と、雪ノ下は俺に対抗して挑発してきた。

 

しかし雪ノ下、そんな分かりやすい挑発に乗るほど俺は安くないぞ。

でもこのまま、職場見学の終了まで時間を稼げば戦わずに済むな。

よし、それで行こうと思った矢先に本部では余り聞かない男の声が聞こえてきた。

 

「戦ってやれよ、比企谷」

 

「何でアナタがここにいるんですか?迅さん……」

 

迅悠一。玉狛支部所属のS級隊員。

『未来視』と言うサイドエフェクトを持ち、顔を見た人間の未来を視る事が出来る。

ブラックトリガー『風刃』を持っているが、今までその能力を使って戦ったことを見たことがない。

さらに言うとこの男の趣味が最悪だ。

サイドエフェクトを使い、反撃されても大丈夫な女性の尻を触りまくる変態だ。

そして、いつも持ち歩いているぼんち揚げを片手に持っていた。

 

「……ぼんち揚げ食う?」

 

「いりません。てか、何で本部に居るんですか?また、セクハラをしに来たんですか?少しは自重しないとマジで殺されますよ」

 

「そんなことはしないさ。さっきの質問だけど今朝に今日は本部に行けば面白いものが見れると、俺のサイドエフェクトが言ってたんだ」

 

「ホント、お決まりのセリフですね。もっとレパートリーを増やしたらどうなんですか?いい加減飽きますよ……」

 

「なんだか、今日はいつもに増して目が濁っているぞ比企谷……」

と、俺が迅さんと話していると下の方から声がした。

 

「やっているようだな。はちまん!」

 

「……誰かと思ったら、陽太郎か。久し振りだな」

 

林藤陽太郎。玉狛支部所属の五歳児にして自称最強の隊員。

『動物との意思疎通ができる』サイドエフェクトを持つお子様だ。

個人だった時に玉狛第一との防衛任務の前に遊びに行ったり、食事など食べたり作ったりしたことがある。

そしていつも通り、陽太郎は相棒のカピバラの雷神丸に乗っていた。

 

雷神丸。玉狛支部所属のカピバラ。

陽太郎とは常に行動を共にする相棒で玉狛のマスコット的な存在だ。

陽太郎を背に乗せて移動している姿はもうお馴染みの光景だった。

でもこのカピバラは他のカピバラより段違いに動く、カピバラなのに。

 

「どうしてだ!はちまん!」

 

「……何がだよ、陽太郎?」

 

「どうして、さいきんはたまこまにあそびにきてくれないのだ!」

 

「あぁ~すまんな。隊を作ったりA級に上がったりして忙しかったんだよ」

 

「そうなのか?また、はちまんのカレーをたべたいぞ」

 

「そんなによかったのか?俺のカレー」

 

「うむ。こなみのカレーよりおいしかったぞ」

 

「……それ、本人の前では絶対に言うなよ。……そうだな、近い内にカレーを作りに行ってやるよ。それでいいだろ?陽太郎」

 

「うむ。それでいいぞ」

と、陽太郎とカレーの約束をしていると雪ノ下が催促してきた。

 

「もう、いいかしら。早く準備しなさい、比企谷君」

 

「だから、戦わないって言ってるだろ。それともお前は人の意思を無理矢理に捻じ曲げてまで自分の要求を貫くつもりか?それでよく人ごと世界を変えると言えたな?」

 

「なんですって!!」

と、雪ノ下は周りが驚く位の大声をだした。

 

「事実だろ?お前は自分の我が儘が叶わずに癇癪を上げているガキだ。そんなんだから、母親にこっ酷く怒られたんだろ?『同級生を貶めるようなことをしないように。貴女の恥は雪ノ下の恥になるのだから』と」

 

「どうして、そのことを貴方が知っているのかしら?……やはり、川崎さんの件には貴方が一枚噛んでいたのね。知っていることを全て話しなさい!!」

 

「断る!それに真相を知ったところで、もう遅いしな。そもそも、学生が出来る事を越えているんだぞ、その辺りを疑えよ……。だからお前はバカなんだよ……」

 

「バカなのは、貴方のほうでしょ」

 

「良く言えたな、学年次席が学年主席にな」

と、俺が言うと雪ノ下は苦虫を噛み潰したように顔を歪めていた。

しかし、と俺は考える。

 

(迅さんが俺に戦えと言うからにはそれに意味があるはずだよな。……よし、ここは迅さんの思惑通りに動いてみるか)

 

「……いいぞ」

 

「……何がいいのかしら?」

 

「だから、戦ってもいいぞと言っているんだ」

 

「さっきは断ったくせに、どういうことかしら?」

 

「事情が変わったんだよ。それに自分の実力すら把握出来ていない奴を倒すは楽だしな。・・・それでお前は俺にどのトリガーを使ってほしいんだ?」

 

「普段から使っている物でいいわ」

 

「……雪ノ下。お前、自分が何を言っているのか分かっているのか?」

 

「当たり前でしょ。それ位はわかっているわ。バカにするのも大概にしなさい」

 

「……わかった。ただし、後で文句を言うなよ」

 

「貴方こそ、負けた時の言い訳でも考えている事ね?」

と、雪ノ下はどこか勝ち誇った顔をしていた。

そして、俺と雪ノ下はブースに入り、フィールドに転送された。

 

 

 

「高いビルが所々にあるな。……市街地Bと言ったところか?……しかし、雪ノ下のあの自信はどこから来ているのか?不思議だ……」

などと、言っていると雪ノ下が正面から走ってきた。

 

「おいおい、マジかよ。普通に正面から来る奴がいるか?」

さすがの俺も驚きを隠せなった。

普通は実力差が空いているなら奇襲などを仕掛けるのに、雪ノ下はまったくしてこようとはしなかった。

 

「バイ・・・」

と、俺はバイパーを使おうとして、途中でやめた。

 

(迅さんの思惑にあえて乗っかってみたが、この戦いに何があるのだろうか?)

と、俺は考えて、弧月を抜刀して待ち構えた。

 

雪ノ下の初撃は俺の頭を狙ったものだった。

トリオン体の弱点をしっかりと把握しているな……。

トリオン体の破壊は頭、つまり伝達神経を破壊するか、または心臓に当たるトリオン機関の破壊か、もしくはトリオン漏れでトリオン切れのいずれかだ。

 

雪ノ下はそれを的確に狙っての連続攻撃をしてきた。

俺はそれを弧月でしっかりと捌いていく。

しかし、雪ノ下のこの槍捌きはとても素人の動きではなかった。

 

「それにしても、雪ノ下。お前のその槍捌きは誰かに習ったのか?」

と、俺は疑問に思った事を聞いてみた。

だが、それをバカ正直に答えるとも思えないが……。

 

「護身術で槍術を習っているのよ。でもね、私は昔から体力だけがなくて、長続きしなったのよ。でも、トリオン戦闘体なら私の実力を十分に発揮できるわ」

と、バカ正直に答えたよ。……やはり、バカだ!

 

「……そうか。だったら、体力をつける努力をしろよ。聞いているこちらとしては、ただ言い訳しているように聞こえるけどな」

 

「うるさいわね。それより貴方、さっきからなんのつもり?」

 

「何のことだよ……」

 

「……あえて惚けるのね。貴方が先ほどから私に攻撃しないで、ただ攻撃を凌いでいることよ。私を舐めているのかしら?だとしたら、後悔することになるわよ」

 

「安心しろ。お前を決して舐めている訳ではない。そもそも、俺はこの戦いで使うトリガーを弧月だけと決めているからな」

 

「それを舐めていると言っているのよ!」

と、雪ノ下はなんだか、ご機嫌斜めのようだ。

 

「別にお前が普段のトリガーを使えと俺に言ったからって、使うトリガーを決めるのは、俺自身だ。もし、ほかのトリガーを使わせたいなら、俺を本気にしてみろ……できるならな」

 

「……いいでしょう。その舐めた口を二度と利けなくしてあげるわ!!」

と、雪ノ下は勢いよく突っ込んできた。

 

「いいかげん、ワンパターンなんだよ雪ノ下……」

と、俺はあるトリガーを雪ノ下の足元に配置した。

 

故に雪ノ下の槍は、俺に届くことはなかった。

「なっ?!」と声を出して雪ノ下は上に高く飛んでいった。

雪ノ下が飛ぶ原因となったのは足元にある青い板のようなものだ。

 

グラスホッパー。空中移動を可能にする、オプショントリガーだ。

 

雪ノ下はそれを踏んで飛んでいったのだ。

飛ぶ準備が出来ているならいいが、それを踏まされた人物は対処が遅れてしまう。

ちょっとしたトラップにもなるから便利だ。

俺は雪ノ下からバックステップで距離を取ってから弧月を構えた。

 

「旋空弧月」

と、俺は飛んだ雪ノ下に向けて弧月の専用オプショントリガー『旋空』を使い、暫撃(斬撃)を四回放った。

雪ノ下はその内、二回を槍を使い防いだが残り二回を頭と左胸に喰らいトリオン体に亀裂が走った。

 

『トリオン体活動限界ベイルアウト』の音声と共にトリオン体が崩れ、光になって飛んで行った。

それからブースを出て雪ノ下に向かって俺はいいたい事を言った。

 

「わかったか、雪ノ下。これが俺とお前の実力の違いだ……」

 

「……貴方は卑怯な手を使ったわね」

 

俺は首を傾げながら、雪ノ下に訊いてみた。

 

「一体何のことを言っているんだ。お前は?」

 

「貴方はさっき、他のトリガーは使わないと言ったのに使ったじゃない!!これが卑怯以外になんだと言うの!!」

 

「……お前って、ホントにバカだな。そんなの嘘に決まっているだろ……」

 

「嘘、ですって……それこそ、卑怯だわ!!」

 

「……はぁ~。嘘も戦術の一つだと思うけどな……。それに戦っている相手の言葉を真に受ける奴があるか」

と、俺が言うと雪ノ下はそれでも納得がいかない顔をしていた。

 

「納得がいかないって顔をしているな。だがな、雪ノ下。お前はボーダーについて何も分かっていない。俺達、ボーダー隊員は負けられない戦いをしてるんだよ。負ければ全てが終わる……。それを俺達は必死に守ってるんだよ。正々堂々な戦いがしたいなら、どこか別の場所でチャンバラごっこでもやっていろ」

と、その事を雪ノ下に言い残して、俺は迅さんに今回の事を聞くことにした。

 

「迅さん。今回の戦いに何の意味があるんですか……?」

 

「あぁ、それな。陽太郎、あれを比企谷に渡しな」

 

「うむ。はちまん、これをやる」

と、陽太郎が渡してきたのはMAXコーヒーだった。

 

「……陽太郎が何でマッ缶を?」

 

「まちがって、かった。でも、じんがひつようになるからもっていろっていった」

 

「……そうか。でも、ありがとな。有り難く頂くぜ」

と、俺はその場でマッ缶を一気飲みした。

 

「ぷはぁ~。マッ缶、最高!……ありがとな、陽太郎。カレー、楽しみにしていろ、飛びきり美味しいのを作ってやるからな」

 

「うむ。たのしみにしているぞ!」

 

「陽太郎、そろそろ帰るぞ。ボスの用事もそろそろ終わるそうだからな。それじゃ、またな比企谷。太刀川さん達もね」

 

「次、来る時は連絡しろよ。迅」

と、太刀川さんに挨拶をしてから、迅さんと陽太郎は居なくなった。

そして、職場見学はこうして終わりを告げ、生徒は流れ解散になったが、俺はこの後すぐに任務があったので作戦室で仮眠を取った後に防衛地点に向かった。




一応、今回で職場見学は終了です。

次回は玉狛メンバーとの話をやってから新章に入ります。

奉仕部退部(仮)と言うサブタイルです。

では次回の更新をお楽しみに。


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番外編 玉狛第一

ヒュースの玉狛第二入り決定!

ランク戦が楽しみですね!

では番外編をどうぞ。


職場見学が無事に終わったと言っていいのかわからないが、とりあえずは終わった……と思う。

職場見学があった週の日曜日の午後三時すぎ、俺はスーパーに買い物に来ていた。

この後、向かう場所にいる人物との約束を果たすために。

 

「雪菜。もう他に買うものってあったけ?」

 

「八幡先輩。後はお肉ですか?」

と、シノンが雪菜に聞き、雪菜が俺に確認を求めてきた。

 

そう、俺の他に二名ほど付き添いが居る。

比企谷隊スナイパーのシノンと同じく比企谷隊アタッカーの雪菜だ。

何故、この二人と買い物をしているかというと、ある人物との約束を果たすためにスーパーで買い物をしている。

 

ちなみに比企谷隊の残り二人、陽乃さんと椿姫さんは用事で任務が終了してすぐに本部を後にした。

なので、今は三人で買い物をしている。

 

「買うものは後、肉だけだな。それを買って向かうとするか」

 

「何肉を買うの?八幡」

 

「鶏肉だな。チキンカレーにでもしようかなと思っている」

 

「八幡先輩のチキンカレーですか。隠し味にリンゴを入れるんですよね?」

 

「そうだ。そうすると味が良くなる」

などと会話をしつつ、お目当ての品を買い、目的の場所に向かって歩き出した。

 

目的の場所は玉狛支部。

ボーダー最強の部隊がいて、なおかつS級の迅さんも所属している支部だ。

陽太郎との約束で近い内に玉狛に行き、カレーを作ると約束した。

 

玉狛支部の建物は川の上にある。

昔は水の水質を調べる施設だったのをボーダーが買い取り支部に改造したそうだ。

チャイムを鳴らして人が出て来るのを待った。

 

「おっ!いらしゃ~い、ハチ君。シノンちゃんに雪菜ちゃんも」

 

「おう。邪魔するぞ、宇佐美」

 

宇佐美栞。玉狛第一のオペレーターのメガネ女子。

知的にメガネを光らせる名オペレーターと言えるが、『メガネ人口』と言う、謎の人口を増大させることに熱意を燃やしている。

そして玉狛に転属前は風間隊のオペレーターをやっていた。

 

「おっ?おおっ!おおおっ!?ついにハチ君がメガネを掛けているだと!?」

 

そう、宇佐美の言う通り俺は今、メガネを掛けている。

その理由は俺の濁った目を隠すため掛けているのだが……

 

「やっぱり、変か?俺がメガネを掛けているの……」

 

「うんん。よく似合っているよ、それ。ハルさんと選んだかいがあるってもんだね!」

 

「……お前と選んだのね……だからこのデザインなんだな……」

宇佐美と同じデザインのメガネなのはそう言う理由か……。

 

「他の人達は?」

 

「ボスとレイジさん、それに小南は外出中で烏丸君はバイトでもう少ししたら来るかな?迅さんと陽太郎はお昼ね中だよ」

 

迅さん、お子様とお昼寝とかいいご身分な事で、まぁでも起きていたら碌な事をしないからなあの人。

と、考えていると後ろから声を掛けられた。

 

「いらしてたんですか、比企谷先輩」

 

「おう。邪魔しているぞ烏丸」

 

烏丸京介。玉狛第一オールラウンダー。

宇佐美からはもさもさしたイケメンと言われてる。

どんな状況にも臨機応戦に対応できるクールガイで家が貧乏で大家族なのでバイトをいくつか掛け持ちしている家族想いの出来る兄だ。

ちなみに五人兄弟だそうだ。

 

「バイトはもう終わったのか?烏丸」

 

「はい。今日はそんなに忙しくなかったので、今日は比企谷先輩のカレーなんですよね?楽しみです」

 

「そうか。ちなみにチキンカレーを作るつもりだ。期待しておけ」

と、烏丸と話し終わってからキッチンに立ち、食材の下ごしらえを始めた頃に残りのメンバーが帰ってきた。

 

「お!今夜はカレーか?比企谷」

 

「そうですよ。林藤さん」

 

林藤匠。玉狛支部支部長。

ボーダー派閥の一つ『ネイバーにもいい奴がいるから仲良くしていこう』の筆頭に居る人で旧ボーダー創設時から居る古株だ。

エンジニアとしての顔を持ち、鬼怒田開発室長と共にランク戦のシステムを構築した。

 

「何か手伝った方がいいか?比企谷」

 

「いいですよ。もう、そんなに掛からないので、レイジさん」

 

木崎レイジ。玉狛第一隊長でパーフェクトオールラウンダー。

アタッカー、ガンナー、スナイパーの三つ全てでマスター級の腕前でボーダーの唯一無二の隊員で荒船先輩の目標にしている人だ。

全般的な戦闘から料理までこなす出来る男の人で、宇佐美からは落ち着いた筋肉と言われている。

烏丸の師匠で、レイガストとスラスターを使った拳撃で戦うという変わったスタイルをしている。

 

「何で比企谷がここにいるのよ?」

 

「陽太郎との約束でな。カレーを作りにここにいるんだよ。小南」

 

小南桐絵。玉狛第一アタッカー。

双月と呼ばれる斧を使いどんな敵でも一撃粉砕する玉狛第一のエースだ。

素直すぎる性格でよく烏丸に嘘を吐かれ騙されている。

すぐにバレる嘘にすら、騙されてしまう。マジでドンマイ。

アタッカーランキングは上位に入るほどの実力の持ち主で旧ボーダー時代から居る古株と言っていい人物だ。

 

「そうなの?じゃあ何でシノンちゃんや雪菜ちゃんまで居るの?」

 

「小南先輩は知らないんですか?比企谷先輩の部隊、比企谷隊は今日から玉狛に転属するからここにいるんですよ」

 

「えっ!?そうなの?迅は知っていたの?」

 

「そんなの当たり前だろ」

 

「じゃあ、宇佐美は?」

 

「もちろん、知っているよ」

 

「じゃあ、レイジさんも?」

 

「……あぁ、知っているぞ。比企谷隊は玉狛に転属しない事をな」

 

「・・・えっ?・・・それって、どういうこと?とりまる!!」

 

「小南先輩、さっきのは嘘です」

 

「嘘?どこからが……」

 

「もちろん。全部です」

 

「…………よくも騙したわねぇぇぇ!!比企谷ぁぁぁ!!!」

と、小南は烏丸ではなく俺の方に飛びかかってきた。

 

「小南。肉なしカレーになってもいいのか?それでもいいなら飛びかかって来い」

 

「うっ!!……食べた後、覚えておきなさいよ!!」

小南は大人しく椅子に座ってカレーができるのを待っていた。

 

「はぁ~……烏丸。お前な、飯を作っている時は嘘を言うなよ。危険だろ、小南が」

 

「すいません。いつも癖で、それに反応が面白いんですよね。小南先輩は」

 

「それに関しては同感だ。でも、ある意味あいつの将来が心配だな・・・」

などと、話しているとカレーは出来上がった。

 

「美味しいですね!八幡先輩のカレー」と雪菜が

 

「うん。確かに美味しいね八幡のカレー」とシノンが

 

「うむ。やはり、はちまんのカレーはうまいな」と陽太郎が

 

「確かに美味しいよね~ハチ君のカレー」と宇佐美が

 

「美味しいですよ、比企谷先輩」と烏丸が

 

「腕を上げたな、比企谷」とレイジさんが

 

「ホント、美味しくなったな。比企谷」と林藤さんが

 

「やっぱり、比企谷のカレーはうまいな」と迅さんが

 

「……なんでここまで美味しいのよ。比企谷のカレーは」と小南が

それぞれ、絶賛してくれた。これは素直に嬉しい。

 

「そうですか、それはよかった。余ったら少し持って帰るんでそのつもりで」

 

「そうだ。比企谷達はこれから少し時間いいか?」

と、林藤さんが俺達に尋ねてきた。

 

「まぁ今日は防衛任務も終わりましたので、時間はありますけど?」

 

「だったら、ここに居る人間でスーパー銭湯でも行かないか?」

 

「俺は別に構いませんけど……シノンと雪菜はどうだ?」

 

「私は別に構わないわよ」

 

「私も今日は遅くなると言ってあるので大丈夫です」

と、シノンと雪菜は言ってきた。

 

「よし、少し腹を落ち着かせたらみんなで行くか」

と、林藤さんの提案でスーパー銭湯に行く事が決定した。

 

まぁ男同士での銭湯の光景なんて、誰得だよって思うな。

そんなこんなで風呂から上がった俺達は林藤さんの奢りでジュースを飲む事になった。

俺とシノンと小南と宇佐美がコーヒー牛乳で雪菜とレイジさんが普通の牛乳で林藤さんと迅さんと烏丸と陽太郎がフルーツ牛乳を飲む事になった。

そこで俺は小南にちょっとした嘘を吐いてみた。

 

「小南、知っているか?銭湯などで飲む、正しい牛乳の飲み方を」

 

「何よ、急に。そんなの知っているに決まっているじゃない。左手を腰に添えて斜め45度の角度で一気に飲むことでしょ?もちろん、知っているわ」

 

「さすがだな、小南。だが、知っていたか?その正しい飲み方をしなかった場合に牛乳が炭酸飲料に変わってしまうことを!!」

 

「えっ?!そうなの?初めて知ったわ、それ。とりまる、あんたは知ってたの?」

 

「もちろんですよ。知らなかったんですか?小南先輩」

 

「じゃあ、宇佐美は?」

 

「ちゃんと知ってたよ」

 

「迅。あんたはどうなの?」

 

「そんなの、当たり前だろ」

 

「じゃあ、ボスは知っていたの?」

 

「おう。もちろんだぜ」

 

「ボスも知ってたなんて……。レイジさんも?」

 

「あぁもちろん。牛乳がどんなに頑張っても炭酸飲料には成れないことをな」

 

「…………えっ?どういう事?」

と小南が首を傾げているので、バラしますか。

 

「小南。さっきのは全部、嘘だ」

 

「……嘘?全部?…………また!騙したなぁぁぁー!!!比企谷ぁぁぁー」

 

「まぁ待て、小南。実は俺も騙された側なんだわ」

 

「……どういう事よ?それは」

 

「だから、お前が騙されないように教えておいたんだよ。この事を」

 

「そうなの?あんたも騙されたなんて……騙した奴は誰よ!!探し出して、もう二度と嘘が言えない身体にしてやるわ!!」

と、小南は完全にやる気だな……いや、殺る気だな。

……黙っていたほうがいいな。

 

俺はスーパー銭湯の帰りにボーダーの職場見学で戦った雪ノ下との一戦について迅さんに聞いてみた。

 

「迅さん。どうして、俺と雪ノ下を戦わせる必要が有ったんですか?」

 

「あぁそれな。彼女がそう遠くない内にボーダーに入るかも知れないんだ」

 

「……雪ノ下がボーダー?なんでそんなことを?」

 

「まだ、モヤが掛かっていてハッキリとは視えないけど。近い将来に何かがこっちの世界に来るんだよ。それでボーダーのスポンサーが多いい方が後々、都合がいいんだよ」

 

「入ってくると思うんですか?あいつが入るとは思えないんですけど」

 

「それは比企谷、お前へのリベンジのためだよ」

 

「うげぇー!ホント傍迷惑なやつ。まぁ入ってきたとしても、返り討ちにしてやりますけど」

 

仮に雪ノ下がボーダーに入隊して俺に挑んできたとしても、入りたての奴じゃ俺に勝てないけどな。でも、必要以上に俺への対抗心を持っているからな。

へし折って、身の程を分からせてやる。

玉狛で作ったカレーを家に持ち帰り、お袋に食べさせてあげた。

高評価だったのは、嬉しかった。




次回から新章に入りたいと思うのですが、少し悩んでいます。

もしかしたら、改訂版を新しく書くかもしれません。

では更新をお楽しみに。


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