この素晴らしい世界に更なる祝福を! (貧弱傍観者)
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IFストーリー 平行世界の彼 IF短編物語① 騎士王誕生編

こんばんは、貧弱傍観者です。あまりにも忙しい為、投稿がかなり遅れるかもしれませんので先にIFストーリーの方を投稿させていただきました。
ご迷惑をおかけしまして大変申し訳ありません。
この内容はIFの内容であり、本編とは関係ありませんのでご注意下さい。
それでは騎士王誕生編、ご覧ください!


【零】

 

ドアをカランカランとベルの音が鳴り響く。

 

「よぉウィズ~!遊びに来たぜ。」

 

ここはウィズの店。常連客であるカズマ達が来てから僅かながらも赤字から遠ざかっている。

 

「あ、カズマさんたちじゃないですか!いらっしゃいませ~……って、アクア様!?」

 

ウィズがアクアを見て怯えている。アクアは女神で、リッチーはアンデット種にして王。そして神の叛逆者である為、アクアが嫌悪している一番の理由はそこにある。ウィズの心境を察したアクアは渋々ながらも彼女の思いに納得し、こうして生かされている訳だ。

 

「何よアンデット…。せっかくこの高貴なアクア様が来たのだから感謝しなさいよ!…お茶すら出ないのかしら、この湿気臭い店…。」

 

「すみませんすみません!湿気臭くてすみません!只今持ってきますので少々―――って、キャァァァァ―――――ッッッ!!!!」

 

ウィズがど派手に転ぶ。その衝撃で冷め切ったお茶を入れたビーカーが頭に落ちて濡れてしまった。ウィズは根っからのドジで、こういったアクシデントは日常茶飯事だ。

 

「あ、おい見ろめぐみん!雪精の人形があるぞ!可愛いではないか!」

 

「確かにそうですね。おおこの大きな雪精の人形―――、これは今後の爆裂魔法の実験台になれそうですね。」

 

「むむむ……。このチョーカー、可愛いですけれどお値段が高いわね。」

 

ダクネスとめぐみんの百合しい女子同士の会話が後ろから聞こえる。そして一人チョーカーの値段を見て葛藤しているゆんゆん。

 

「……本当に騒がしい奴だな―――――ん……?」

 

本棚を見ると、一冊だけ色の違う不思議な本が置かれていた事に気づく。

 

 

 

『騎士王物語』

 

 

「……何だ、これ。」

 

カズマは興味本位に手を取り、ページをめくる。

これは平行世界、正規から大きく異なるifの物語―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【一】※カズマ視点

 

「死後の世界へようこそ、佐藤和真さん。」

 

目が覚めると辺り一面幻想的な背景。端的に言うと、どうやら俺は死んでしまったのだ。

 

「私は幸運を司る女神エリス、短くして死んでしまった者を導く女神です。宜しくお願いします。」

 

「は、はぁ……こちらこそ。」

 

少女の名前はエリスという。何でも、幸運を司る女神様らしい。普通は嘲笑うかもしれないが、この少女から漂うオーラが神聖を醸し出している。それに何か後光がキラキラと輝いている為、彼女が如何に凄い存在なのか一瞬にして理解出来る。

 

「それでですが佐藤和真さん。辛いでしょうが、如何か私の話しを聞いてください。貴方は自らを犠牲にして死んでしまいました。故に…、貴方の人生は終わってしまったのです。」

 

俺は死に際を思い出した、トラクターに轢かれそうになった女子高生の姿を。俺は意を決して自らを犠牲としたのだ。

 

「そうなんですか……。一つ、聞いてもよろしいでしょうか。」

 

「はい、何でもどうぞ。」

 

俺は聞きたい。身を投げ出してまであの女子高生を庇ったが、その後どうなったのかを。

 

「轢かれそうになったあの子……、生きていますか?」

 

あの女子高生は―――、

 

 

 

「―――はい。軽度の骨折を患いましたが、貴方の行いによって助かりました。」

 

 

 

―――助かっていたのだ。

 

 

 

「よかった。俺は死んでしまったけれど…、それを聞いて安心しました。」

 

「……貴方はとても勇敢です。…フフ、私もその勇姿の始終を見ていましたよ?」

 

エリスさんは慈愛に満ちた笑顔で笑っている。……やべえ、恥ずかしい。良い人すぎて俺の罪悪感がやべえよ!主に引き籠りで、主に引き籠りで罪悪感が天元突破だ。

 

「それではお話しを戻しますね。」

 

「は、はい!」

 

エリスさんは真面目モードに入った。

 

「私ことエリスともう一人の水の女神アクアが崇拝する世界に、魔王軍の魔の手によって世界は危機に晒されています。佐藤和真さん……、貴方の勇姿は称賛に値するものです。故にあなたは様々な危機を乗り越える勇者以上の才能を秘めし者であると、この幸運の女神エリスが断言出来ます。―――どうか…、魔王の討伐をお願い出来ないでしょうか?」

 

車を庇った位で大げさだと思うも、俺は嬉しかった。最早人権すらないだろう、このニートを称賛している女神様が目の前にいるんですもの。嬉しいに決まっている。話を変えるが、どうやら俺は小説などで見る神様転生とやらをして魔王討伐をするらしい。

 

「ですが…、俺は運動能力すら無いただの凡人以下です。卓越した能力など何も有りませんよ?」

 

「申し訳ありません…、一つ説明不足がございました。その点については転生特典を与えますので心配は不要ですよ。」

 

一瞬俺は最速の死亡を垣間見てしまったが、転生特典の付与があると聞いて安心する。

 

「なるほど、それならば安心ですね!……では、俺が直々に魔王を討ってみせます。」

 

「ありがとうございます、和真さん。それでは此方のカードと選んでいただきますが、異世界転生後に特典として具現化しますのでご安心ください。規定により特典は御一人様一枚のみですが、今回は特別に三枚選んでもらっても構いませんよ?」

 

何ですかこの女神様…、優しすぎでしょ。俺、転生された後は働くように心がけるわ。

 

「……それじゃあ剣術の加護に身体能力の超強化、それと、この聖騎士シリーズの防具を特典としてお願いします!」

 

「畏まりました。……それと和真さんに一つ教えてあげます。」

 

「?…何でしょうか?」

 

「転生後の着地点は始まりの街アクセルになります。そこから北の方角へ行かれると王都が見えます。只今そこで騎士の募集が行われているのですが、行ってみてはいかがでしょうか。…もしかしたら昇格で王様になれるかもしれませんよ?」

 

まじで何なんですかこの女神様。色々と親切すぎて申し訳ない。

 

「王都の役職は独特なのでここでかけ離れ、元いた世界とは異なりますのでご注意を。」

 

「……すみません、出来れば役職について教えていただきたいんですけど…。」

 

「分かりました―――。」

 

エリス様曰く、王都には民を守る王都騎士団があり、兵士・騎士・騎士副長・騎士団長・聖騎士という役職が存在するという。騎士団の最上位職である聖騎士は唯一、王との対面を許されていて、各国担当の者がその国の治安維持に携わったり、要望やクレーム等を聞いてそれらを王都の会議にて現状報告するというのが主な仕事だとか。聖騎士には序列という制度を設けているそうで、功績を収めた数で変動するらしい。

そして最最上位職に王の役職があるのだが、大偉業を成さない限り昇格はまず無理だそうだ。

 

 

 

「いや、ほんっと何から何まで有難うございます。必ずやこの童t…いや、この佐藤和真が世界を救ってみせます!」

 

「フフ。これだけ転生特典があれば楽勝ですね。―――それと、これをどうぞ。」

 

エリスさんから不可思議な護符を貰った。

 

「それは水の護符です。緊急時、その護符に念を送る事で天界の水の女神であるアクア先輩に行き届きます。何かあったら使ってください。私の護符も渡しておきたい所ですが、事情により渡せなくて…。申し訳ございません。」

 

「女神さん!?あなたが頭下げちゃ駄目ですよ!?これだけ転生特典、あまつさえ護符まで頂いてしまって…。これで不満と嘆いたら俺、罰当たりですよ!」

 

「…本当に面白い方ですね、あなたは。…それでは佐藤和真さん。あなたに良き出会いの、あらん事を―――。」

 

こうして俺は異世界に転生されたのである。

 

 

 

「―――失禁して死んでしまったとは絶対に言えませんよ。うぅ……。本当に申し訳ございません、和真さん……。」

 

 

 

異世界に転生されて何日か経過し、俺は無事王都騎士団の試練を難なくクリアする。仕事を怠らず、エリス様と対面したあの頃を思い出して鍛錬に励む。その結果、俺は人間を超越した身体能力と剣術を手に入れたのだ。

 

『四肢を剥いで殺してやるわよぉぉぉぉぉ―――――ッッッ!!!!』

 

「きめえんだよキメラ野郎ぉぉぉぉぉ―――――ッッッ!!!!」

 

―――魔王軍の幹部の一人を倒し―――、

 

『ゴァァァァァァァァァァ―――――ッッッッ!!!!』

 

「アイラブエリス様ぁぁぁぁぁ―――――ッッッッッ!!!!」

 

―――天災級のモンスターを倒し―――、

 

様々な偉業を成し遂げた俺は遂に王の昇格を成した。そして付けられた二つ名が―――――、

 

 

―――――【騎士王】。

 

 

そう、此の世界の彼は女神エリスに転生され、騎士道を歩み、ニート精神を完全克服して生まれた理想である。

 

 

 

 

 

【二】※カズマ視点

 

はい、カズマだよ。漸く王になったのはいいんだけど―――、

 

「王よ……、貴方は少し威厳というものを持っていただきたい。」

 

「あー、確かにカズマお兄ちゃんってば全部適当だもんね…。」

 

―――目の前の補佐がガミガミと怒るんだよ……。紹介するけどこの子達はレインとアイリス。レインは俺の補佐にして騎士団団長。そしてこっちの幼じ、じゃなくてこっちの女子はアイリス。俺の許嫁だ。犯罪臭いが、戦略的結婚なので仕方ない。

 

「え、俺ってそんなに王の威厳出てないの?流石にガッカリするなぁ…。」

 

「出てませんよ!大体貴方はですね、王としてあってはならない行為をしているのですよ!そもそも何ですかあれ、王の勅命クエスト発信時のあの発言!『え?ああ、魔王軍の幹部がアクセルの近くの廃城に住み着いたから勅命クエスト発表するんで後はよろしくね~』って…!舐めてるんですか!?威厳のいの字も無いですよ!?そして性懲りも無く私のパンツをスティールで物色しようとしないでください!?貴方は外道なのですか!?」

 

「うわっ……、お兄ちゃんキモすぎ。しばらく私に近寄らないで…。」

 

「待てアイリス、あれは誤解だ。あれは男のロマンであって、変態行為をしていた訳ではないんだ。……おいレイン、流石に言ってはならない事を言ってしまったな。」

 

「……はあ。貴方という人は―――、」

 

 

 

「―――俺は鬼畜なんだよ、何度言ったら分かるんだ!?」

 

「「いい加減に自重しろやゴルァァァァァ―――――ッッッ!!!!」」

 

「レインさんにアイリスさん!?ごめんなさいもうしませんので殴らないでぇぇぇぇぇ―――――ッッッ!?!?」

 

 

 

「さ、さて本題に戻ろうか…。んで、鬼畜が何だって?」

 

「そこじゃねぇですよ!?!?―――違います、王の威厳についてです。…勅命クエストを発信した時もですよ?王は常に怠さを含んだ言い方です…。最悪ダスティネス家やアルダーブ家の者から非難の声を買われますので、少し威厳を付けていただかないと……。」

 

「そうそう、威厳よ!かっこいいお兄ちゃんの姿も見たいな~!」

 

「フフ。可愛いマイスウィートエンジェルの為ならば頑張らざるを得ないな。」

 

何この天使、カズマさん頑張っちゃうわ。それにしても威厳ねぇ…、何かいい方法など無いのだろうか。

 

「ふぅん……。威厳、ねぇ……威厳……。」

 

威厳、威厳、威厳……って、あ……!

 

「何やら閃いたと言わんばかりの顔をしておりますが……、どうされましたか?」

 

あったじゃん。威厳を持つ方法―――。

 

 

 

「―――俺、厨二病患えばいいんじゃね?」

 

 

 

「「……は?」」

 

 

 

 

 

【三】※第三者視点

此処は王都城内の聖域と呼ばれる会議室―――、そこに一人の国王と八人の聖騎士が集っていた。

 

 

「王都の八導聖騎士よ。俺の会議に参加してくれた事を心から感謝する―――。六代目序列第一位、世界担当が騎士王―――、サトウカズマだ。」

 

六代目序列第一位――、世界担当の騎士王サトウカズマ。

 

 

「六代目序列第二位、王都担当のウィズだ。ぶっころりーの野郎め……、下らねぇメモ残しやがってよ。―――おい。ぶっころりーの聖騎士の称号剥脱した方がいいんじゃねえのか、騎士王。」

 

「アイツはいざという時にやる男だ。ぶっころりー卿の力は王都を轟かせる最強の紅魔族。……奴の力を無くしては圧倒的な戦力不足になるから辞退は却下だ。」

 

六代目序列第二位――、王都担当の戦騎士ウィズ。

 

 

「六代目序列第三位、アルカンレティア担当のゼスタ―――。これも天命…。アクア様の恩寵を受け持つ騎士王カズマ様のもとを訪れる度、高揚感が増しますな。まあ、エリス教を見て不快になってしまいましたが。」

 

「(元々エリス様経由でこっちに転生してもらったんだけどなー……。)」

 

六代目序列第三位――、アルカンレティア担当の水騎士ゼスタ。

 

 

【六代目序列第四位、紅魔の里担当。その名を聞いて畏怖せよ。我が名はぶっころりー。世界の均衡崩れしその時まで我、大いなる力を蓄える為に眠らん。】

 

「つまり招集バックれて家で寝ているわけか。あのニートっぷりには最早呆れを通り越して清々としてるな……。」

 

六代目序列第四位――、紅魔の里担当の剛騎士ぶっころりー。(不在)

 

 

「六代目序列第五位、アクセル担当のダスティネス=フォード=イグニス。私はご覧の通り老体です。ですが、私はアクセルの聖騎士にして我が王の剣―――。王の為ならばこの身が錆びようとも、貴方様の剣となって着いていきましょう。」

 

「……お前の殊勝な心がけが身に染みるな。感激する。引き続きアクセルの担当をよろしく頼むぞ、イグニス卿。」

 

六代目序列第五位――、アクセル担当の龍騎士ダスティネス=フォード=イグニス。

 

 

「……六代目序列第六位、王都副担当のアンナ=フィランテ=エステロイド。騎士王の命令ならばと早急にやって来た―――。……お酒下さい。」

 

「アンナ卿。……お前、未成年だよな?」

 

六代目序列第六位――、王都副担当の霊騎士アンナ=フィランテ=エステロイド。

 

 

「六代目序列第七位の悪魔騎士バニル―――、推参である!ヌゥ…!!何故に我輩が頭のおかしいアクシズ教徒の国アルカンレティア副担当なのだ…。―――フハハハ!何たる醜悪な執念の悪感情よ!やはりゼスタの悪感情は美味だな!!」

 

「貴様―――、アルカンレティアを侮辱するという事は我がアクシズ教団を敵にしたも同然……!愚考も甚だしいぞ……!!」

 

「バニル卿、ゼスタ卿―――。お前等、少し黙れ。」

 

六代目序列第七位――、アルカンレティア副担当の悪魔騎士バニル。

 

 

「我が名はひょいざぶろー!紅魔族随一の六代目序列第八位聖騎士にして紅魔の里を副担当せし者!汝等、久々の同胞たちの収集に感謝の祝福を送りますぞ!」

 

六代目序列第八位――、紅魔の里副担当の魔道騎士ひょいざぶろー。

 

 

「六代目序列第九位、アクセル副担当のアレクセイ=バーネス=バルターです。僕はこの通り八導聖騎士の端くれ―――、故に聖騎士の末席に当たります。……騎士王カズマ様。度重なる無礼を申し訳ございません。僕の様な末席でもお役に立てる様、この身が尽きるまで精進致します。」

 

「そう謙遜するな、バルター。お前は努力家だ。今後は序列第八位の者と同行させるので、今後は仕事内容の把握に専念せよ。」

 

「ハッ!有り難き幸せ!」

 

六代目序列第九位――、アクセル副担当の風来騎士アレクセイ=バーネス=バルター。

 

 

「(え、カズマ様変わりすぎじゃない?)」

 

「(へぇ、あれが『ちゅーにびょー』ってやつか~。…何かカッコいい!)」

 

側近のレインと次期王女アイリスが会議を見学していて、カズマのあまりの変貌に驚いている。どうやら厨二病が二人を称賛へと導き、同時に彼女らも厨二病を発症しようという悪影響を及ぼしてしまったようだ。

 

「―――これより、王都八導聖騎士の会議を行う。まずは王都担当のウィズから報告を頼む。」

 

「任せな!」

 

カズマは王都の報告を待っている。ウィズは紙を広げて口にする。

 

「まず王都自身に問題は無かったな。難民の受け入れと学校の設置によって以前より活気づいたってところだ。」

 

「報告ご苦労であった、次はアルカンレティア担当のゼスタ。」

 

「フフフ……。エリス教徒の嫌がらせを行った事でアクシズ教団総本山であるアルカンレティアに同じく活気が付きました!それと―――」

 

「―――バニル、代わりに報告頼む。」

 

カズマはゼスタの報告に目もくれず、副担当であるバニルに現状報告をお願いする。

 

「フハハハ!それでは現状報告といこうか!!―――王都や紅魔の里などに繋がるテレポートシステムの導入により、トラブルが度々起きていると聞いた。料金は5,000エリスと設定している。高額な値段設定が原因となって混雑。六割がテレポートシステムの活用、四割が『もっと値段を下げろ』とのクレームだ。以上、これが現状である!フハハハ!!」

 

「……流石に5,000エリスは高すぎたか。テレポートシステムの値段については今後も改善していく方針だ。次回の招集までにテレポートシステムの利用者・批評者の数々を総計し、グラフとしてまとめてくれ。。……報告、ご苦労であった。―――次は紅魔の里副担当のひょいざぶろー卿。」

 

バニラが現状報告を終え、ひょいざぶろーの現状報告が始まる。

 

「近々、紅魔の里に魔王軍と思われる強化個体種のキメラ型モンスターが複数体出現しましたな。兵士を派遣したものの、全員が負傷という事態です。ぶっころりー殿の怪力で一掃しましたが、魔王軍幹部が何時やって来るのかも分かりません。早急な対処を考えた方がいいかと思われます。」

 

「……キメラに強化個体となれば、恐らく俺が倒したシルビアの手先か何かだろう。現在も魔王軍と思わしき者の気配はあるのか?」

 

「いえ。ぶっころりーが倒して以来、全く見かけなくなりました。あ奴の封印せし禁忌のフォースが役に立ちましたな!フフフ…。」

 

「いきなり見かけなくなる…。となると、魔王軍側は策を練っている可能性が高い。……これは聖騎士を派遣する必要がある。ウィズとゼスタを派遣したい所だが―――、引き受けてくれるか?」

 

「おう、任しとけ!私は魔王軍をぶっ殺したくてウズウズしてんだ!」

 

「好戦的で全身筋肉マッチョのお前が机を叩くと壊れるんだよ…、頼むから誰かコイツを更生してくれ。」

 

ウィズは魔王軍と聞いて興奮し、机をバンバン叩き始める。

 

「我が王よ、お任せを―――。アクシズ教徒はエリス教徒と違って魔王軍すら快く受け入れる慈悲深き宗教です。故に魔王軍の部下共を去勢して強制入信させましょう。そして、『水の女神は囁かん。我、アクシズ教にして魔ならざる者。水の女神は囁かん。汝、エリス神のパッドを剥げと。汝、エリス教徒を見かければ速攻唾を吐け。エリス神の慈しみはパッドの如く偽りなり。』というアクア神の教えを脳から足全体を浸透するまで何度も何度も囁くのです。ああ、何と慈しみに塗れているのでしょう!」

 

ゼスタの演説が始まる。無論、アクシズ教は大半がまともではなく、慈愛と幸運の象徴であるエリス像に唾を吐いたりしている。

 

「それの何処に慈愛やら慈悲やらの成分が入っているわけ!?もろ洗脳だよね!?慈しみ要素皆無だよね!?最初だけだよね!?」

 

「……私は長年貴殿と共にしたが、貴殿の様な者が宗教を穢す者なのでは?最早哀れみの一言だ。」

 

「流石に騎士王やイグニス殿でも許しませんよ?―――でも、よく考えてみたら確かに洗脳ですね。」

 

「「「「「「「「洗脳認めちゃった!?」」」」」」」」

 

ゼスタ自身が洗脳を認めてしまった為、全員が思わずツッコむ。

 

「おい、キチガイ聖職者。後がつっかえてんだ……。お前の演説なんて聞いても面白くねぇんだよ。」

 

一人黙止しているウィズは痺れを切らしている。

 

「フハハハ!黒魔法に手を触れ、神の叛逆者になろうとしたウィズがゼスタの演説を否定しているぞ!これは愉快!!フハハハ!!」

 

ゼスタはウィズを見て爆笑の声をあげ、険悪なムードは一気にエスカレートする。

 

「……黙れ、バニル。故郷を救う最善策である魔道を触れて救おうとした。人格が破綻しているお前に私の事情なんぞ分かるものか。……目障りだ、二度とその忌々しい口を開くんじゃねぇ。」

 

「我が身、溶岩となりて噴出する。ウィズ卿にバニル卿……、喧嘩をするなら他所でやってくれぬか?」

 

ひょいざぶろーは二人の喧嘩で癪に触れられていて、アンナは無視して無表情でシュワシュワを飲んでいる。

 

「フ、フフ…、フハハハ!!!!二度と口を開くなと言われてしまっては街の情報すら言えず、元も子も無かろう!それでは誰が現状報告をするというのだ?頭のおかしいゼスタか?―――それに、何たる道化だ!神の叛逆者の転生を諦め、挙句の果てに故郷が滅ぼされたではないか!―――結局貴様は己の臆病さが引き金で全てを台無しにしてしまったのだ!」

 

バニルがそう言うと、ウィズはブチ切れてしまった。

 

「テメェェェェェ――――――ッッ!!!!」

 

ウィズは殺気を最大限に放ち、バニル目がけて攻撃を仕掛けようとする。バニルも然り、胴体を後ろに反らしてバニル式殺人ビームが放たれたその時―――、

 

 

 

「―――いい加減にしろ。」

 

 

 

カズマが神威を解放し、渋々二人を黙らせる。ウィズの首元にナイフがあり、後ろを見るとアンナが気配を殺して後ろに立っていた。

 

「……煩い、目障り、場所弁えろ。―――お酒が不味くなる。」

 

「ケッ、しゃあねぇ。てかそれ、酒じゃなくてシュワシュワだろ……。」

 

そういうとアンナはシュワシュワを再び飲んだ。彼女曰く、シュワシュワをお酒代わりとして大人の気分を堪能しているらしい。―――そしてバニルの目の前にも阻む人物がいた。

 

「そうか、ダスティネス家の老人が我輩の魔法を斬ったのか……。フハハ!何と面白い!」

 

目の前のダスティネス=フォード=イグニスが殺人ビームを斬り、無効化したのだ。彼は暫し目を瞑って無言し、バニルに言う。

 

「無駄な争いは王都の聖域を破壊してしまう。……貴殿らは少し控えろ。それに―――、私の現状報告が出来ぬではないか。」

 

こうして二人の喧嘩は止められ、再びアクセル担当のイグニスが現状報告の内容を口にしようとするその矢先―――。

 

 

 

「皆さま、大変です!!只今アクセルの街にて魔王軍の幹部が襲撃しているとの事です!」

 

 

 

一難去ってまた一難とは正しくこういう事なのだろうと―――、

 

「(わ、私の報告が……。)」

 

―――イグニスは暫し無言になり、胃薬を服用した。

 

 

 

 

 

【四】※第三者視点

 

―――此処は最初の街アクセル正門。そこには冒険者たちが集結し、デュラハンを集中攻撃している。

 

「雑魚は失せろ―――。」

 

 

「「「ぐぁぁぁぁ――――ッッ!!!!」」」

 

「セドル!ヘインズ!ガリル!!!!」

 

クリスが叫ぶ。

 

デュラハンが瞬時に一回転し、周囲の冒険者を斬る。目の前にいる冒険者たちは勇姿を見せて目の前の強敵に攻撃するも、圧倒的な力の差を見せつけられて死亡した。

 

「許さん……!断じて貴様らを許さない……!!何故仲間を見捨てた、この人でなし共め!!」

 

「(……何で敵が敵の心配しているんだろう。)」

 

クリスはツッコミ所満載なその言葉を聞いて疑問に思っていた。怒気を孕んだデュラハンことベルディアが、あるパーティーを睨む。そう、ミツルギ率いる勇者チームだ。

 

「許さない?それは僕のセリフなんだけどな……。―――ッフ!」

 

ミツルギが渾身の一撃を放つもデュラハンに防がれ、勇者と魔王軍幹部の鍔迫り合いが始まる。

 

「―――言いたいのだが、首無しの騎士よ。僕らの友人は爆裂魔法は打ち込んでいない。」

 

ミツルギが爆裂魔法の攻撃をしていないと否定する。

 

「打ち込んでいないだと!?何を抜かすか、白々しい!!!!―――そこの頭のおかしい紅魔の娘はあれからも俺の城に撃ち続けているぞ!!!!」

 

ベルディアが鍔迫り合いから一旦引き、連撃を繰り出す。

 

「―――ぐっ……!」

 

ミツルギが苦の声を思わず出す。

 

「……え??それって本当なの、めぐみん?」

 

離れたところに二人、銀髪の盗賊クリスがめぐみんにそう問いかける。

 

「…………申し訳ありません、クリス。」

 

「まあ魔力出さなきゃそれ以上に酷い事起きるだろうし、あまり自分を咎めちゃ駄目、めぐみん。」

 

そう、紅魔族は通常の種族より倍近い量の魔力を吸収してしまう体質なのだ。その為、溜め続ける事で魔力による体内破裂が起きてしまう。恐らくだがクリスはその事を気にかけているのだろう。

 

「ク、クリス……。」

 

「それにだ!!俺が真に頭に来ている事はあの女騎士の死だ!貴様ら、仲間の死に報いようとする気は無いのか!!!!これでも生前は全うな騎士のつもりだった…!その俺から言わせてみれば、仲間を庇って呪いを受けて死んだ騎士の鏡であるクルセイダーを犠牲にするなど在ってはならぬものだ!!!!」

 

ベルディアの連撃によってミツルギの魔剣グラムが弾き返される。

 

「キョウヤ!!」

 

盗賊の少女フィオが声を荒げる。

 

「―――キョウヤに手を出すんじゃないわよっっっ!!!!」

 

戦士の少女クレメアが昂り、ベルディア目がけて剣を振るも―――、

 

 

 

「―――温いわ。」

 

 

 

―――その少女は鮮血を吹き出し、倒れる。

 

 

 

「「「「「クレメアァァァ―――――ッッ!!!!」」」」」

 

パーティメンバーが叫ぶ。

 

「―――ごめんね……、皆にキョウヤ…。私……、駄目だった、みたい……。それとね、私……、」

 

「あ、あああ……。」

 

「―――私、キョウヤの事、好き。だから……、負けないで……。」

 

「クレメア……。」

 

クレメアを強く抱き、クリスに頼んだと言って戦場に赴く。魔剣グラムを持ち、暫し無言の後にベルディアを強く睥睨する。

 

「お前を―――。いや、貴様を断じて許さん―――、ベルディア……!!」

 

敵幹部の方を向く。双眸を―――、魔剣グラムの刃をベルディアに向ける。ミツルギは柄をギシリと握る。クレメアの事を思っているのだろう、血をポタポタと流している。

 

「……気に入らん。さっさとかかってこい、この愚か者め。」

 

「……ハァァァァァァァァァァ――――――――――ッッッッ!!!!!!!!」

 

ミツルギが激昂し、ベルディア目がけて走っていく。

 

「我が剣は怒りの炎となりて敵を屠らん―――、炎怒帯剣!!」

 

真紅の炎がベルディアを襲うも、掠り傷程度だった。炎を風で吹き飛ばし、ベルディアがキョウヤの頭上に大剣を振り落とす。

 

キョウヤは魔剣で防御し、鍔迫り合いに持っていく。ギリギリと刃が削れる音が聞こえ、キョウヤは思いっきり力み、急に力を抜いて急所を突かんとする。

 

首、頭、脚―――、ベルディアは神経が通る体の一部を狙うだろうと予想を的中させ、キョウヤの攻撃を防ぐ。キョウヤは一度バックステップし、再度急所を狙おうと試みる。ガン、ガンと剣と剣が叩かれ擦れ合う音が聞こえる。無論―――、これは剣戟戦だ。だがキョウヤの魔力は底を突きつつあり、どんどん追い込まれていく。そして―――、

 

 

 

「ぐぁぁぁぁぁっっ!!!!」

 

 

 

「「「「「キョウヤ!!!!」」」」」

 

魔剣グラムは粉砕され、地面に倒れるミツルギの姿がいた。

 

 

「無粋だな。仲間の死を報いようとせず、何も学ばぬお前に負ける道理など無い。お前に慈悲の女神は降りて来ない。ここで無様に死ね―――、」

 

 

ベルディアの無慈悲な声とともに大剣がミツルギを斬らんとばかりに落とされる。

 

 

「(ごめんなさい、アクア様―――。貴方の使命、果たせませんでした……。)」

 

彼が死を決意し、両目を瞑る。そして大剣が目の前に来たその時―――、突然大剣が横へ吹っ飛んだ。魔法の発現元である正門を見ると、構えたレインの姿と王都の騎士団が見えた。

 

 

 

「総員、配置!後衛は死者を一か所に集め、王の到着あるまで住民の守りに特化!前衛、貴方たちは魔王軍幹部の注意を引きつけなさい!きっと王がフルボッコにしてくれる筈よ!」

 

 

 

『やった!王都が来た!これで勝つる!』

 

『お前ら、道を開けろ!騎士団のお通りだ!』

 

そして騎士団の兵士が誰かを通すように道を開ける。ガシャンガシャンと鎧同士の弾ける音が聞こえる。その音が近くなってきた時、その声は聞こえた―――。

 

 

 

「大義であった、御剣響夜とその一向よ。汝らの天命、一時的に引き受けよう。―――任せたぞ。駄女がm…、水の女神殿。」

 

 

 

「あ、なた、は―――。」

 

 

 

青年の声と―――、

 

 

 

「任せなさい、ヒキニートの騎士王!―――この私にかかればチョチョイのチョイなんだから!」

 

 

 

―――女神の声がまるで勇者を導くかの如く、鮮明に聞こえた―――。

 

 

「!?あなたたち、それにキミ。その声―――、」

 

クリスがその声を聞いて驚く。

 

「―――話は後だ、盗賊の者よ。良くぞ耐えてくれた。そこのダスティネス家の者が王都に駆け付けてくれたのだ。……瀕死の状態でな。」

 

「フ、フフフ。中々に良い快感だったぞ、クリス。そのお蔭でカズマ殿率いる王都騎士団を要請する事が出来たのだからな。」

 

「(こ、このド変態は危なっかしいよ!?)」

 

興奮したダクネスを見てクリスh呆れている。一方アクアがミツルギの元へ歩み、ヒールを唱える。

 

「アクア、さ、ま……?」

 

「―――頑張ったわね、カツラギ。その努力に免じて私自ら手当てしてやっているんだから感謝なさい?」

 

「……ミツルギ、です。ふふ、ありがとうございます……。」

 

ミツルギは彼らにベルディア討伐の引導を渡し、意識を落とした。

 

「アクア様、お願いが―――。ああくっそ、めんどくせぇ!おいアクア、その勇者さんをあっちの面子に渡してやれ!」

 

「あんたねぇ、素に戻ってるわ……。ま、いいわ。後は頑張ってね?」

 

「ああ……。」

 

 

 

「―――準備は済ませたか、騎士王よ。」

 

 

 

ある程度の常識を弁えているベルディアの姿が見える。

 

「ああ、準備は出来ているぞ。―――魔王軍幹部が一将、ベルディア。」

 

ベルディアはニヤリと嗤う。

 

 

 

『あれが王都の騎士王サトウカズマ殿の覇気。前の怠そうな態度はただの装いだったのか……。』

 

『(ああ、王よ……。あなたのちゅーにびょうのお蔭で何と素晴らしい風格に……。)』

 

王と魔王軍幹部が真面目に対談する中、レインは王を褒め称えていた。無論、主に思春期から発症するであろう病気の事を称賛している。

 

「一つ聞くぞ、騎士王。―――何故、あの様な低層の者を生かしておくのだ。奴は騎士の鏡を見殺しにした愚か者…、騎士道の理念から反するのではないか?」

 

ベルディアは怒気を含んでカズマに問う。

 

「(あれ、こいつララティーナの事に気付いていないのか?……どうしよう、周囲を見ない系の人だ。馬鹿すぎる。)」

 

「魔王軍の癖にしては律儀ではないか。お前はどうやら周囲を見ず、一点を捉え過ぎた。……何故周りを見ようとせぬ。俺が直々に教えてやろう。―――あのものを見よ。」

 

「…………はっ?」

 

正門の前には死んだと思われるクルセイダーの姿がいた。勿論、ダクネスだ。

 

「……馬鹿な、有り得ん。蘇生など神霊レベルだ……、そもそも女神以外に―――、」

 

「使えるはずが無いと言いたいのだろう?然り、何故なら岩陰に座っている女性は正真正銘の女神だ。女性の騎士が呪いを患いながらも王都に駆けつけ、我々王都の騎士団が出向いたわけさ。騎士団が騒いで王都を出る間、俺は陰で女神を呼んできたのだ。やはり俺の直感力は凄まじいものだ。」

 

「…………。」

 

「そも勇者とは善に満たされし者しかなれぬもの。それをお前は彼を低俗だと?―――王道を歩む勇者の道を妨げるなど、お前こそ真たる騎士道の冒涜者だ。」

 

「そう言われたら最早語るまでも無い。俺は魔王軍幹部が一将、ベルディア……。急遽だが俺はこの街の冒険者共の殲滅を命としてやって来た。故にその任務を全うする。―――消えろ、騎士王ォォォォ―――――――っっっっ!!」

 

ベルディアが剣を持って血眼に騎士王を殺そうとする。ベルディアは所々斜め左右に高速移動を行い、カズマの視界を混乱させる。だが今のカズマには通じず―――、

 

「―――勇者ミツルギに代わり、我が一時の天命を全うす。」

 

―――ベルディアの剣を正面から剣で受け止め、勢いで吹っ飛ばす。それでもベルディアは諦めず、態勢を整え、カズマ目がけて走っていく。

 

「ぐっ……!!―――こんっの……!!」

 

ベルディアが大剣で薙ぎ払うもカズマはベルディアの剣の上に乗っかって跳躍し、回し蹴りをかます。ベルディアは反射的に大剣で防御する。

 

「―――なんだと!?」

 

カズマの超人な身体能力のせいか、衝撃で砂が舞い散る。無論、視界は砂塵によって遮られる。ベルディアは無駄な足掻きと承知の上で死の宣告を行おうとするも―――、遅かった。

 

「同胞の悲しみは我が怒りと知れ―――、」

 

気が付けば、ベルディアの背後に立っていたのだから―――。

 

「―――十振二十総切。」

 

カズマは一度の斬撃を十分割し、同じ動作を二度行う。十振二十総切という名はただそれに近しい意味合いを込めて付けられた創作の名だ。故に歴史上人物が受け継いだ奥義などではない。計二十分割もの斬撃がベルディアを斬り―――、

 

「グァァァァッッッッ!!!!」

 

「―――跪け。」

 

―――カズマはベルディアの足目がけて思いっきり聖剣でぶっ刺して跪かせる。引き抜いた結果、ベルディアの足が取れた。

 

「ひぎぃっ!!―――き……、貴様……!!」

 

「お前は冒涜もおろか、この俺に刃向かおうとしたのだ……。―――相応の覚悟はしているのだろうな。」

 

「一つ答えろ、騎士王。俺は生前、騎士団に務めていた…!だが俺は失望した……。貴様ら騎士共は何故…、何故民を救おうとせぬ!?俺は民を導いてきたが、奴らは私を追放し、処刑した!!」

 

「――――。」

 

カズマは静かにその嘆きを聞き、慈悲に満ちた双眸をベルディアへ向ける。

 

「答えろ……!!貴様らは何故民を救わん!?こうまでして騎士の昇格を望むのか!?答えろよ、騎士王サトウカズマ!!!!」

 

「…それが、貴殿の嘆きか。」

 

ベルディアが跪いても必死の抵抗で剣をカズマの首目がけて横から一閃するも―――。そこにカズマの姿は無く、残像を斬っていた。

 

「―――なっ!?!?」

 

まさに有り得ないの一言だった。何処にいるのだと必死に探すも、何処にもいない。―――ふと上空、とてつもない寒気を覚える。

 

「貴殿の喚きは甘んじて受け取った。だが、侮辱と冒涜は別と知れ―――。」

 

「あ…、あああ……。あぁぁぁぁぁぁァァァァ――――――――――ッッッッ!!!!!!!!」

 

目の前の存在による恐怖、怒り、その他の負の感情がベルディアの心を支配し、狂戦士と化していた。ベルディアはカズマ同様に殺気を最大限に解放する。そして―――、

 

 

 

聖剣、抜刀―――、

 

 

 

 

 

「紅魔は赤く、王は白黒と。数多の我が爆導に畏怖せよ。―――爆ぜ斬れ、紅魔外道幻想剣!!」

 

 

 

 

 

詠唱後、聖なる光が爆裂と共に世界を包み込んだ―――。

 

 

 

 

 

「何、故だ……、騎士王…。」

 

ベルディアの胴体は爆裂で無くなり、頭だけになった。

 

「……貴殿は同胞を侮辱した事を後悔するんだな。それと辛かったであろう貴殿に一つ朗報だ。―――王都は各街に学校を設け、難民の受け入れを要請した。」

 

「……なん、と…!!」

 

ベルディアは目をあんぐりと開ける。

 

「そのお蔭でな、王都を嫌悪していた人々が堅きな表情を緩め、受け入れてくれるようになったのさ。これが真実よ、ベルディア。俺は俺なりに我を貫いて王と成り、嫌悪してた人々の者を訪れて策を練っていたのだ。踏まれ蹴られ罵倒され大変だったぞ。少しはお前も俺を慰めろってんだ…。」

 

「慰めるも何も、国王が甘ったれてては国の統治など不可能に決まっているだろう……。もう一度聞くが現国王よ……。民は……、民はどうなっている……。」

 

「……お前は過去に浸りすぎじゃないのか?一応言っておくが、過去と今では政治手段が大きく異なっている。でも、お前の問いに答えよう―――、」

 

カズマは笑顔でこう言う。

 

 

 

「―――民は俺が救ったぞ。もう一度言うけど、王都は各街に学校を設けて難民の受け入れを要請した。その結果、難民も含め活気が付いたぜ。」

 

 

 

ベルディアはカズマを見据え、双眸を閉じてフッと笑う。

 

「……不思議な現国王だな。今までにないタイプの者だ。……俺―――、いや。私はあの者、ミツルギの侮辱を撤回しよう。」

 

「俺に謝るんじゃねえ、ミツルギに直接謝れ。てかお前、今になって侮辱撤回かよ…。この現国王である騎士王様がそう言ってんだ。いい加減信じろっての、この頑固騎士め。」

 

「ははは…、悪いが私の頑な精神は根っからなのでな。それに今の私は死に体…、この身体であの勇者のもとまでどう行けと。もしや現国王は鬼畜なのか?」

 

悉くカズマの印象を当ててしまうベルディア。そして、彼から光が発せられる。

 

「鬼畜は余計だ。まあお前が頑な性格なのはよう理解出来たが―――、消滅の光が強くなっているけど貴殿はそれでいいのか?」

 

「フフ、鬼畜は図星か。私は王と彼の勇者ご一行を侮辱したのだ、地獄で懺悔するしかあるまい。…それにこれでも私はエリス信者なのだ。魔に身を寄せた私など、エリス様が赦すはずもない。」

 

「…そうか。」

 

消滅の光が一層輝きを増した。笑っていたベルディアが一変し、真剣な表情でカズマに問う。

 

「……騎士王よ。一つ言うが、私は生前の騎士共を赦しはしない。例えこの身が善に満たされても絶対にだ……、その為に私は怨念となったのだからな。―――だが騎士王よ、私はあくまで生前を憎んでいるだけであり、現代の騎士を憎んでいるわけではない。くれぐれもその身が錆びぬよう、常に善意たれ。…今と未来を頼んだぞ、カズマ。」

 

ベルディアは光に飲まれ、粒子となって消えていった―――。

 

「……貴殿の活躍もご苦労であった。しばし休めろ、ベルディア。俺が…、よりよい時代にしてやる。」

 

過去の騎士が消えた後に彼を尊敬の言葉を贈った。暫しの静止がベルディアを抱擁する様に、その言葉は風の音と共に去っていった。

 

「―――隠れていないで出てきたらどうだ、アクア。」

 

「……やっぱ気付いてたのね。てか千里眼って事は、淫魔の店で出会ったあの尻軽アーチャーに教えてもらったんでしょう?男ってばまるで飢えた獣ね。…久々にエリスから緊急の連絡があって駆け付けたけど―――、こんなに面白い事になってるなんて、この世界もまだ捨てたもんじゃないわね。」

 

「元いた日本とは違って娯楽が無いのが辛いとこだが…。まあ、俺もこういったファンタジー世界に来てみたかったんだよな。」

 

アクアはそうなの?と返し、天界へ戻ろうとする。

 

「……言っておくけど、次は無いわよ?護符使って私を呼び出したらゴッドブロウ喰らわすから覚悟なさい?折角新刊のジ●ンプ買ったというのに、これじゃあマトモに読めないわ…。じゃあね。」

 

「女神がそれでいいのかよ……。」

 

言いたい事を言いまくってスッキリしたアクアを白い光が包み込み、天界へ戻る前にカズマを見据え、口を開いた。

 

「あ、それと貴方の周囲に一体、守護霊が付いているわよ。―――それも、とびっきり善に満ち溢れた騎士道の人の守護霊がね?」

 

「…はい?」

 

笑顔で最後の言葉を送るとアクアは光と共に消え、天界へ帰っていった。

 

「…よく分からんが、安心していいのだろうか。」

 

カズマは苦笑し、仲間のもとへ向かう。この後カズマは王都騎士団とアクセルの全冒険者を集めてパーティーを開いたという。

 

 

 

 

 

清き水よ―――。

 

 

私は災厄の罪なり。私は過去を忌む、怨念の残滓なり。

 

 

運命よ―――。

 

 

もし私の名を知らぬものならば、隅に置いて聞いてくれ。

 

 

天運よ―――。

 

 

もし私の望が叶うのであれば、私は新生の善として彼と共に。

 

 

世界よ―――。

 

 

果ての世界よ―――。

 

 

私は新たな騎士として―――、霊でありながら守護を全うす。

 

 

彼の王―――、彼の世界に素晴らしい祝福を―――。

 

 

 

 

 

『騎士王物語』 執筆者:■■■■■

 

 

 

 

 

 

「あの馬鹿が……。」

 

 

 

埃で汚れた表紙の下に一滴の涙が落ちる。カズマはその涙を拭き取る事を忘れ、棚の中へ戻した。

 

本と本で擦れて濡れた箇所が自然と乾いていき、執筆者の文字が浮かび上がる。

 

 

 

 

 

―――ありがとう、騎士王様。 By.ベルディア

 

 

 

 

 

それは騎士王の栄光なる一端の過去―――、今となっては幻想の彼方。故に彼の騎士は何処にもいない。

 

その栄光は果てに呼び出された騎士王以外、誰も知らないのだから―――。

 

 

 

 

 

「貴殿の活躍もご苦労であった。しばし羽を休んでおけ。―――たく。二度も言わせるんじゃねぇぞ、馬鹿で頑固な騎士め……。」

 

「あの、カズマさん?何かおっしゃりました?…それと涙を浮かべているようですが…。」

 

ゆんゆんは買い物を終えたようだ。どうやら幸運のチョーカーを買うのを止め、黄金に輝いたチョーカーを購入したようだ。

 

「え、ああいや何でもない。目に砂が入っただけだ。ところでそのチョーカーは…?」

 

「これはですね~!御伽話に出てくる騎士の王様が着けてたチョーカーらしいんですよ!」

 

カズマは驚いた表情をして返す。

 

「なるほど…、それは良い買い物をしたな。とびっきりのね。…それと話を変えるが、ゆんゆん。―――このパーティーを見てどう思う?」

 

周りを見るとウィズの胸倉を掴んでブンブンと振っているアクアの姿、高級の杖を頬ずりしているめぐみんの姿、謎のマシンで頭を踏み付けられている姿のダクネスが映る。

 

「何度見ても騒がしい光景ですよね……。でも、賑やかで楽しいですよ!」

 

「フフッ…、そうか。」

 

この馬鹿騒ぎは、夜まで続いたという―――。

 

 

 




~騎士王カズマの秘密~
・騎士王のカリスマは厨二病から始まりました。
・アイリスやレインのパンツをスティールで物色している。
・千里眼スキルはサキュバスの店で意気統合して仲良くなったキースに教えてもらったそうです。
・ウィズはリッチーになっていないので人間体です。その為、好戦的な性格になっています。それとウィズの過去はオリジナルにしました。



戦闘描写…、難しいですね……。


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第零章 鬼畜外道、最果ての王 Prologue 名も無き心に目覚めの準備を!

カズマ無双の始まり始まり!!






『生まれ変わった貴方に、また良き出会いのあらん事を………。』

 

 

... ... ...。

 

 

 

此処は何処だ。……確か、俺は死んだはず。

 

 

『ナイス爆裂!カズマも爆裂魔法を習得してはどうですか!?そしたら是非、私と共に爆裂道を歩みましょう!』

 

 

これ、は……。

 

 

『んーそうだな。……まぁ■ぐ■■の爆裂魔法を見てからか、後々覚えておくのも悪くないなと思う。考えておく。』

 

 

誰だこれ、俺と少女の声……?

そもそも何だ、爆裂魔法って・・・・・・。

 

 

『フハハハハ!悪感情こそ美味、美味である小僧!引き続き■ィ■の■■■店のご利用をお待ちしてるぞ!!フハハハハハ!!!!』

 

 

まただよ……。

しかし癪に障る奴だが……、後のほうが聞き取れなかったな…。

 

 

『あの檻の中の■ク■……。あぁ、羨ましいな。ンンッ!』

 

 

今、羨ましいと言ったよな……?

金髪巨乳の美少女か・・・、だけどコイツは関わっただけで駄目になりそうだな・・・・・・。

  

 

『盗賊の子から聞かせてもらったよ・・・・・・。君は、パンツ脱がせ魔だってね!!』

『女■■ク■様・・・・・・、是非私のパーティーに・・・グボギャッ!!』

 

 

あ、殴られた。ざまぁ。

 

 

そして幾つもに羅列する記憶の媒体が、まるで道路を走る数々の車の様に、俺の脳裏を過ぎていく。

 

次から次へと。

 

 

『お、おおおお俺の城に、まままま毎日毎日ぃ、爆裂魔法をポンポンポンポン打ち込んでくる、頭のおかしい大馬鹿者は、誰だァァァァァ―――――!!!!』

 

 

其れは其れは、怒りが有頂天と化した首なし騎士や―――、

 

 

『気に入ったわ………、アナタは私が頂いちゃうわ(歓喜)』

 

『フフフ………。ホラ、お前は私の操り人形だ。―――――分かったね?』

 

 

得体の知れないキメラらしきオカマ男に、街を含め、俺を傀儡にしようと企む復讐の女神。

そして―――――、

 

 

『所詮最弱職である冒険者が、ワシに勝てるとでも?』

 

 

―――――魔王とも呼べる様なカリスマや威厳を持つ、老男の姿が。

  

 

 

 

 

………此れは一体何なんだ、俺は何をしている。

 

俺が甚だ現実味に嫌悪感を抱いている事は理解している。

 

それとは相反して、平穏の日常を望んでいたのも解る。

 

それが願望を重ね続け、自身の妄想を固執し続けた結果が此れなのだ、と。

 

何て恥ずかしい……。流石20歳兼童貞、妄想好きの俺だ。

 

まさか本当に現実逃避するなんて………。

 

やだ、何これ…………。無論、最早何も言うまい。

 

そもそもコイツら、マトモと呼べるものが全くいない。

 

痛々しい魔法使いにドMの騎士。そして、自分勝手な水の女神。

 

もう一度言いたい………。

 

コイツ等とは会ったことが無いし、そもそも俺が無意識に生み出した幻想に過ぎない。

 

過ぎない………。

 

でも………、不思議だ。

 

 

 

 

 

―――――俺はコイツ等を知っている。

 

 

 

 

 

もしかしたら………。

 

 

 

 

 

その時、体感した事のない酷い激痛がカズマを襲う

 

それは斧で頭をかち割られるような、味わった事のない酷い激痛。

 

痛みを伴うが、此れまでにない膨大なナニカがカズマを侵食する。

 

だが不思議と、痛みが和らいだ気がする。

 

それは―――、

 

『このクソニート!う、嘘ですごめんなさいカズマさん、カズマ様!!!!』

 

『イヤァァァァァ―――――!!パ、パパ、パンツ返してェェェ―――――!!!!』

 

『ばっくれっつ♪ばっくれっつ~♪』

 

『公衆の面前でスティールを喰らわせるぞ。』

 

膨大な記憶が過ぎる中、数々の、ある記憶が鮮明に描かれる。

 

 

―――鬼畜を彷彿とさせる人物の声と、繕う友達。あれ、これ俺の声に似てね……?ねぇねぇ。

 

 

『我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者!』

 

 

 

ああもう、知っているとも……、てか思い出しちゃったよ。

 

 

 

『私の名はダクネス………。攻撃が全く掠りもしないが、盾なら自信がある。前線に出してもらっても構わない。是非私を盾代わりに使ったり、囮に使ったり、罵ったりしてくれ!』

   

 

 

ほんっと、お前らは変わってないよな………。

 

 

 

虚像だが、不意に目の前に青い髪色の女神が見えた様な気がした。

 

 

 

『さぁカズマ!戻ってきなさい!!』

 

 

 

基本頼りなく時に頼りある、水の女神アクア(元なんとか)の姿が。

 

カズマは溜息を吐き、軽く微笑む。

 

そしてカズマは、何かを決心した様な凛々しさを浮かべた。

 

 

 

―――此れは女神アクアと個性豊かなメンバーが織り成す、愉快な異世界物語。

 

 

 

「さて・・・・・・。思い出した所だし、そろそろ行くか。」

 

「俺がいないと、何も出来ないんだからよ。」

 

「それじゃあ―――、」

 

 

 

そしてこの世に伝説が語るであろう、その男の名は―――、

 

 

 

「今行くぞ、男女平等主義者(オレ)。」

 

 

 

男女平等主義者を称え―――、

 

 

 

「これ以上俺や駄女神様に、借金が募らないよう………、」

 

 

 

故に全ての種族を畏怖する―――、

 

 

 

「この素晴らしい世界に、祝福を―――――。」

 

 

 

―――鬼畜外道の人類王(サトウカズマ)である。

 

 

 

五件の同時死亡を確認、魂の干渉を開始。

 

干渉終了。

 

――平行世界にて古代竜(エンシェントドラゴン)を討伐後、調教に成功。スキル【古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)】を確認。

 

――平行世界にて王都を築き上げる。スキル【騎士王】を確認。

 

――平行世界にて拳で魔王軍を圧倒。スキル【蹂躙鉄拳(ジャスティス)】を確認。

 

――平行世界にて剣術の極致に至る。スキル【剣神】を確認。

 

――平行世界にて■■■■と結婚。スキル【雷電爆裂(エクスプロージョン・ケラウノス)】を確認。

 

これより魂の集束を開始。

 

集束終了。

 

 

 

 

 

こうしてカズマの視界がホワイトアウトし、新たな世界へ降り立った。

 

 

 

 

 

 

 




改めまして、初めて執筆させて頂く貧弱傍観者と申します。
初めてで読者の方々を困らせてしまうかもしれませんが、皆様に満足して頂ける作品にする様、頑張っていきたいです!

読んでみて如何でしたか?

カズマがいる場所は本来カズマが来る筈の無い、果ての世界に存在するカズマの精神内です。全世界のカズマの情報が一点に集まった為、情報の集中が原因で混乱しています。その為、激痛を伴っています。
カズマのチート化の条件は『同時死亡』と書かれた通り、平行世界のカズマ達が同じタイミングで死ぬ事によって、情報等が蓄積されていきます。



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第一章 始まる新たな物語 設定

どうも、貧弱傍観者です。こちらは本編から外れ、設定になります。


・魂の干渉とは?
魂の干渉とは、平行世界やIF世界のカズマが何人も力尽き、且つ平行世界同士のカズマが同時刻に死亡する事によって行われます。この現象を『同時干渉』と呼びます。

・『■』の文字について
所々単語や人名に■が書かれてありますが、それは記憶の欠如や混乱により、正体が霞んでいます。


・佐藤 和真(さとう かずま)

職業:冒険者

Strength(力):77777

Health(体力):77777

Magic pow(魔力):77777

Dexterity(器用):88888

Agility(敏捷):88888

Luck(運):99999

Intuition(直感):66666

 

固有スキル『最果ての鬼畜外道王(サトウカズマ)

果ての平行世界に存在するカズマの固有スキル。

同時干渉後、対象の全情報を収束後、取得。

 

スキル『初■■■』

??????????

①テ■ン■ー

■を生成。詠唱「テ■ン■ー。」

②■■エ■ト■ォ■ター

■を生成。詠唱「■■エ■ト■ォ■ター。」

③ク■■イ■ア■ス

■を生成。詠唱「ク■■イ■ア■ス。」

④フ■■ズ

■■を起こす。詠唱「フ■■ズ。」

⑤ウ■■ド■■ス

■を起こす。詠唱「ウ■■ド■■ス。」

 

スキル『■■ィ■ル』

??????????

詠唱『■■ィ■ル。』

 

スキル『古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)

冒険者を極めて仲間と共に古代竜(エンシェントドラゴン)を撃破したIF世界の佐藤和真のスキル。

スキル名を詠唱後、古代竜(エンシェントドラゴン)を召喚する。

詠唱「鬼の威に惚れ、我が腕となりし竜よ。再び我が意に答えよ。―――古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)。」

 

スキル『騎士王』

騎士団に入り、騎士王となって聖都を築き上げたIF世界の佐藤和真のスキル。

感情変動で発動。ステータス欄に直感を追加。

①圧倒的なカリスマ、騎士道、威圧を放ち、味方の扇情を煽り立てる。

②直感力が極限に高まる。

 

スキル『蹂躙鉄拳(ジャスティス)

格闘を極めて魔王軍を蹂躙したIF世界の佐藤和真のスキル。疲労を代償として発動。

力を極限に高め、相手を一撃で粉砕。

詠唱「蹂躙鉄拳(ジャスティス)。」

 

スキル『雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)

■■■■と結婚後、爆裂導を極めた二人が生涯に残したIF世界の■■■■と佐藤和真のスキル。

爆発の火柱の周囲に雷電が発生。

詠唱「爆裂に至れり。我が魂は爆ぜ、雷電の如く煌かん。我が結晶よ、爆裂の果てを語れ。―――雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)。」

 

 

・エンドラ(古代竜(エンシェントドラゴン)

Lv:9999

Strength(力):15000

Health(体力):50000

Magic pow(魔力):42500

Dexterity(器用):2500

Agility(敏捷):5000

Luck(運):10000

 

 

 

 

 




騎士王?直感?さて、何のことやら。(呆け)


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第一話 この最果てに原点回帰を!

こんばんは、貧弱傍観神です。やっと原作編開始いたします!!
それでは、ゆっくりお楽しみ下さい!


【一】※カズマ視点

 

「…き…て…!」

 

機械的なアナウンスが終わって暗くなって結構経つ。懐かしい声が聞こえるがどうでもいい。今は眠いし、ひと眠りしますか。

 

「…き…て…、ねぇ…!!」

 

煩いな。水の神様なら大人しく便所掃除でも行ってろってんだ……。

 

 

「誰が便所の神様だゴルァァァァァァァァァ―――――ッッ!!!!」

 

 

今ここで叫んでいる美少女は、水の女神アクア。

『水』を彷彿とするであろうその青色の髪は美しく、しゅっとした細い鼻、肉厚な桜色の唇は芸術品の如く。

見た目はすごく可愛いんだが―――……

 

「ほんっと不敬だわねヒキニート!ほんっとどうしてくれんのよ!!これじゃあ魔王討伐まで当分帰れなくなったじゃない!人を馬鹿にするのもいい加減にしなさいよ!?」

 

このように、女神としての品格や女子力すらも感じられない。今のコイツの女子力はたったの5だ…、ゴミめ。

てかアンタは人じゃなくて女神です。俺らが騒いでるせいなのか、周囲が此方に向く。あー、周りの視線が痛い。この駄神がピーピーピーピー喚くからだ。

 

「うるせぇよ!?ナチュラルに便所の女神とか心読むんじゃねぇ駄女神!!」

 

目の前には水を彷彿とさせる青髪の美少女がいる。曰く、神様を自称してるんだとよ。

 

「また言いやがった!?駄女神ですって!?―――上等よこの糞ニート!!今ここで去勢してやるわ!!」

 

「それでいいのか~?去勢したら俺はDIE!お前も天界に戻れず彷徨い続けてDIEだ!今ここで宝玉粉砕するってか?」

 

「うぐぐぅ…確かにその通りね。―――……いいわ、特別に不問とするわ。」

 

「有りがたき幸せでございます、女神様?」

 

「……はぁ、ほんっと何なのよ和真は。」

 

皮肉に感謝を述べて機嫌を直してもらった。しかし少し不満げな表情を浮かべてブツブツと愚痴を呟いている。『本当あのヒキニートは…』とか。おい誰がヒキニートじゃコラ。

まあ、彼女は放っておいて状況を整理するか。女神アクアが街の近くで泣いてたって事は―――――、

 

 

「(なるほど。近くにアクセル、アクアが天界に帰れないと喚く……。という事は転生の間での説明事項は終わり、女神を連れてきた所からスタートか……。―――面白い。)」

 

 

「ねぇ和真、私早くあそこの街に行きたいんだけど……。」

 

「あぁそうだな、それじゃ行こうか。」

 

「えぇそれでは女神を連れていきなさい!我が従者よ!」

 

「はいはいー。」

 

「ねぇ何一人でニヤニヤしてるの…?」

 

アクアが顔を引き攣っている。無論、俺の暗黒微笑を見たのだからああなるのも当然だ。

……というか俺も無意識に笑ってしまうから気を付けるべきだな。それにしても………。アクセル、本当に懐かしいな。

 

「あ、あぁすまない。如何せん俺はこういう男だからな。異界の地へ歩むとどうも無意識に探究心を煽られてだな。」

 

「男ってそういう未開の地やら探索やら好きだよね~、和真も好きなんだ。」

 

 

………何せ、『アイツ』のお蔭で興味が沸いたしな。

 

 

 

『我が名はめぐみん!!アークウィザードを生業とし、紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者!!』

 

『今日のはいい感じだ!爆裂の衝撃がズンと骨身に浸透するかの如く響き、それでいて肌を撫でるかの様に振動が遅れてくる―――ナイス爆裂!』

 

『『ナイス爆裂!』』

 

 

 

「そうだな……、男とは探検とか浪漫等に惹かれるのさ。例えばだ……、とあるお馬鹿な魔法使いが『紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者。』とかいう名言を生み出したんだ。馬鹿らしい名言だろ?」

 

俺はそれに惹かれてロマン等を追い求めたくなったのさ、と儚げに微笑して呟く。

 

「プププ。凄い探究心ね、その魔法使い。随一の魔法の使い手に爆裂魔―――、…………爆裂魔法、紅魔族?―――和真ってこの世界に転生されるの、初めてなんじゃなかったっけ…?」

 

「初めてさ。―――強いて言うのなら『俺』はね。」

 

「…………何を言っているのかよく分からないんだけど、もしかして厨二病?プークスクス!カッコ悪いわねヒキニート!それだから年がら年中ヒキニートなのよ!ププー!」

 

「黙れ元なんとか、ヒキニートは余計だ。駄女神は大人しく駅の公衆便所で掃除してきなさーい。……話を戻すぞ。結論を言うと男に探究は付き物ってのは既成事実だと俺は思っているよ。―――やっと着いたか、…アクセルに。」

 

俺が喋っている間に到着したが、やべえ!失言してアクセルの街って言っちまったよ!どうしようどうしよう……!

 

 

「……何で和真がアクセルの名前を知っているのよ。」

 

 

……ん?―――あれは!!

 

 

 

「め、目の前に看板があったの気が付かなかったのか?」

 

 

 

目の前に街名の看板が書かれてあってよかったと思う。流石に怪しまれるしね。

看板には『最初の街アクセルへようこそ。ゆっくりしていってね!!』と書かれてある。何でゆっくりネタがあるんだ!?というツッコミたい所だが、抑える事にした。

 

 

 

 

 

【二】※カズマ視点

「さて、アクア。此処からだが俺らはギルドに向かう。基本こういう所はギルドで何らかの登録するってのが肝心なのさ。」

 

そう、これから済ませにいくのはギルドでの登録。

 

「え、ええ分かったわ。ねぇ、何でアナタってヒキニートやってたの?頼り甲斐あるけど彼女もいない上に童貞、おかしくない?」

 

「ヒキニートは余計だ糞ビッチ。そもそも俺の日頃が悪かったんだし、そうなって当然だろう?」

 

毎度毎度だが、コイツは何なんでしょうねぇ…。ヒキニートは余計だっちゅうに!(迫真の演技)

俺とアクアは話しながら木製の扉を開け、ギルドの中へ入る。

 

 

 

「「「「「いらっしゃいませ!アクセルの街ギルドへようこそ!!!!」」」」

 

 

 

ああ……。

 

ああ。久しぶりだな、この感じ……!

 

賑やかなギルドを見回す。

 

 

 

―――ダストにキース。やっぱりルナさんまでいる!それにゆんゆんまで!

 

そして……、

 

 

 

―――――おい。

 

 

 

「ヒッ……!!」

 

 

アクアは強面な男の顔を見て怯える。

 

 

(ああ―――、やっぱり何処行っても変わらないな、アンタ……!!)

 

 

「見ねえ顔だな……、それに何だその妙な格好は?」

 

 

(アンタはカッコよすぎるぜ………!)

 

 

「いや、実は遠くから来たばかりでね。今漸くこの街に着いた所なんだ。―――して、我が憧れの勇者よ。俺も…、魔王軍と戦う為に冒険者になりにきたんだ。」

 

男は俺の双眸を見て笑う。

 

 

―――そうかい、命知らずめ。

 

 

無意識に俺は嗤う。そうだ。なぜなら―――、

 

 

 

「ようこそ地獄の入口へ……。―――歓迎するぜ?」

 

 

 

―――荒くれ者さんの言う通り、俺たちは地獄の入り口へと立たされたのだから。

 

 

 

 

 

ここは外、ギルドの中を覗く二人の影。

 

 

「あの二人、面白そうだね。特にあの少年は……。―――――ね、ダクネス?」

 

 

「あぁ、確かにあの男を見ると身体が熱く、ンン!失礼。……今のは失言だ、忘れてくれ。」

 

 

「んもう本当に変態だなダクネスは―――……ごめんなさい今のは私の失言ですゆるしたくだしあグアァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 

 

悲鳴が聞こえました。

 

 

 

 




如何でしたか?次は冒険者カードの登録編になります。所々ネタが……。

そして遂に出ました、アクア様に我らが荒くれものさん!!

そして最後の二人は一体誰リスさんと誰ネスさんなのか…??

ちなみにカズマが荒くれ者さんに尋ねる時に口調が変わっていますが、あれは無意識にスキル『騎士王』を発動させているせいで口調が変わってしまいました。


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第二話 この二人に冒険者の登録を!―――そして災禍は来る。

こんにちは、貧弱傍観者です。今回は待ちに待った冒険者登録編です!

遂にエンシェントドラゴンことエンドラの登場になるのですが……、無意識にカズマの怒りに触れ、そして………。

続きは本編をどうぞ!



【一】※カズマ視点

 

 

「いらっしゃいませ!今日はどういったご用件でしょうか??」

 

 

俺は今、ルナさんの所に来ている。やっぱ何時みても美人っすわ(惚れ)

何故ルナさん所に行ったのかというと、そりゃあ美人だから?後は察しの通り『冒険者登録』をしにきたからだ。

 

「ちょっとカズマ?な~に鼻の下広げてんのよ…。ははーん?さては引き籠り兼童貞だから刺激が……あっ(察し)」

 

「おい女神がそのネタ使うな、それとお前の淫らな思考やめろ糞ビッチ。―――だが否定出来なくもない。

 ……俺は効率厨だからな。恐らくだが、性格上ルナさんの性格は優しいとみた。こういう心優しい人はサポートもしてくれるし、所々負担やら賄ってくれるんじゃないのか?憶測ではあるが、少々実体験も含めてだな。」

 

「なるほど…、その憶測は正しいのかもしれないわね。―――アンタって本当何者よ…、先ほどの咄嗟な嘘やおっぱい女の性格を瞬時に把握って…。―――それに不審な点も多々あるし……。」

 

それに本当にヒキニートなの?と付け足すアクア。…ヒキニートは余計だ。

 

「まあ確かに、俺は状況の瞬時把握に長けていてね。だからこそ咄嗟に判断出来るって訳さ。お前は少しギルド職員の説明を聞いてきな、流石に不安を煽られる程質問してくるし、心配だ。」

 

「……いいわ。反論出来ないし、あそこのおっぱい女に説明聞いてくるわよ。」

 

「あぁ、頼む。」

 

アクアはルナさんの所へ走っていった。おっぱい女ってルナさんの事だったんか。

 

(しかし……経験、か。)

 

確かに転生前は引き籠り生活を多々送っていた俺だが、あれは前世だ。今の俺は『俺という集合体』なのだから、知識や経験が培われてきたのだろう。それと転生前のゲームの展開の事象を含めて、だ。

突如、俺の脳内に声が聞こえる。

 

『―――我が主よ。』

 

「エンドラか……、久しいな。今となっては過去に過ぎんが、アクアが肉だどうのこうの言ってお前を殺しかけたのは流石に同情するぞ。」

 

そう、コイツは別世界の俺らの面子がフルボッコにした『古代竜』。名前はエンドラで、俺が決めた。

あの時のアクアは確か腹が減って半ば暴走状態だったよな。……俺の面子やフレンドのクリスすらもその光景を見てドン引きしていたな。

 

『辞めてくれ我が主……、あれは彼のウォルバクを彷彿とする残虐さ故……。忘却の彼方へ放棄したい所だが如何せん、貴方のお蔭で

 一端から何まで思い出してしまったではないか。これは責任を取って巨黒竜(ファブニール)の肉100皿を要求するしかあるまいな。』

 

「んなもん今はねぇよ。それに巨黒竜(ファブニール)の肉を100皿とかお前贅沢過ぎワロチ。俺の金銭が一瞬にして消えるじゃねぇか。

 ―――それに過去に耽るな、主人は端的に要件を要求します。」

 

『……やれやれ、困ったお方だ。』

 

冒険者の賑やかな喧噪がギルド内に響く中、エンドラの念話だけが唯一俺の脳内に木霊する。

…こいつも苦労してんだな。今は巨黒竜(ファブニール)の肉は無理だが、巨蛙(ジャイアントトード)の肉を近いうちに食べさせてあげよう。

 

『無論それでも構わん!我が主よ、真に感謝する!』

 

嬉しそうに翼をパタパタと鳴らす音が木霊する。そんなに嬉しかったのか。てかお前も心読むなし。

 

「いいって事よエンドラ。お前とは付き合いなげぇし。―――それで、要件とは一体?」

 

エンドラは真面目な口調で俺に尋ねる。そして視界にアクアの姿が映る。

 

『……マイマスターよ、少しは警戒心を強めたらどうだ?』

 

「……どういう事だ?」

 

『簡単な事、女神アクアについてだ。彼の女神アクアと、この世界の女神アクアとは同じにして非なる者……。それは主も知っての通りだ。

 それも警戒心を薄めたままであれば咄嗟の反応に対応出来ず彼女に殺されるリスクがある。

 ……それに女神エリスだっているのだぞ?主よ、この世界で不穏分子が混じっている事にお気づきだろう?少しはご検討をしたほうが―――、』

 

 

 

「―――口を慎め、エンドラ。」

 

 

 

『ッッッ!!!!????」

 

 

 

エンドラの脳内に絶対零度の圧がかかる。

 

―――何の根拠も無い、絶対強者を思わせる声。

 

そう、これは声なのだ。ましてや魔力を用いての殺気や神霊クラスの神威でもない。単に声質からなる威圧だ。なのに古代竜さえ怯えてしまうレベルだ。

 

 

 

――スキル【騎士王】、自律発動。――

 

 

 

「侮辱を引き金とし、我が傲り故に生まれた真の同胞……。恩寵無きと宣言し、俺は役に立たずと罵倒す。」

 

 

思い出した……。

 

 

「しかし水の化身は我が根源へ問う事も無く、ただ対等に皮肉を嘆く存在と化す。」

 

 

女神アクアだけではなく彼もその内の一人、我を蹂躙せし者なりと。我が主にして、我が王よ―――――、

 

 

「故にエンドラよ。彼の女神が違えど、我が同胞である事に相違ない。無論、お前も。俺のパーティーもだ。」

 

 

―――慈悲あるお言葉を、深く感謝致します。

 

 

「同胞にして我が腕よ。―――二度とその様な苦言を口にするな。」

 

 

『……先ほどの愚考を申し訳ない。主殿の寛大なるお言葉、深く身に染みた。故に、我が生涯は貴方と共にあると改めて誓おう。

 これからもよろしく頼む、マスター。』

 

 

「ああ、これからもよろしく頼むぞ。―――エンドラ。」

 

 

――スキル【騎士王】、発動終了。――

 

 

こうしてエンドラとの念話を終えた時が、アクアのギルド説明が終わった頃合いであった。

 

 

 

 

 

【二】※カズマ視点

「それでは、登録手数料として500エリスを頂きます。」

 

その後、アクアの説明事項を終え、俺らは手数料を払う段階に至る。

……前みたいにならなきゃいいけど。

 

「頼むぞー、アクアー。」

 

「えぇ、任せなさいカズマ!この私、女神アクアが貴方を導いてやるんだから!!」

 

頼りがいありそうにハキハキと喋るアクア。……少し見直したわ、と――――。

 

 

「はい、500円。」

 

 

―――そう思っていた時期がありました。

 

 

「おい……、駄女神。これは何だ?」

 

「え?見たら分かるでしょ?日本円に決まってるじゃない。」

 

俺はアクアの頬を思いっきり抓ってやった。おもいっきり。加減なんて知らん、俺は男女平等に接する。

 

そして再び思った―――、

 

「あ、あのー……。もしかして払えない感じでしょうか…?」

 

「アハハハハすいませんねぇ職員さん!今すぐこの糞ビッチ連れ戻しますんで~。申し訳ございませんねぇ~アハハハ~!」

 

「は、はぁ……。」

 

「いたたたた!!―――痛ひじゃなひ!!ひゃんと500円出したひゃよ、何で怒ひゅにぉよォォォォォ!!!!」

 

 

 

―――こいつ、使えねぇ……。

 

 

 

「ちょっとカズマ、どういう事よ!!500円ちゃんと払ったじゃない!」

 

「黙れ糞ビッチ、お前に発言の余地など無い。そもそもお前説明聞いてた筈じゃ―――。……ってお前。このヨダレ……、何だ?」

 

「……は、ははは。何でしょうかカズマさん。ていうかちゃんと聞いてたわ…、ですわよ。」

 

「敬語で喋らなくてもいい。このヨダレ……、―――何でしょうか?」

 

「カズマ様カズマ様、貴方も敬語になっていますよ~…?」

 

「で、何で敬語なんでしょうか。さっさと答えなさい駄女神。さもなくば粘液まみれのモンスターに餌として喰わせますが。」

 

「…あ―――嘘嘘、ごめんなさいカズマさん!!そうですよ、寝てましたよ!!寝てて何が悪い訳!!??」

 

「悪いわボケェェェェェ――――――――――ッッッッッ!!!!!!!!!!」

 

 

 

『前言撤回だ……。この女、本質と同じだ……。』

 

エンドラ…、なんかごめんな……。

 

 

 

 

ギルドの喧噪が続く中、俺らは人の少ないカウンターに座っている。

 

「ご注文は如何でしょうかー?」

 

「……あの、今考えてます。」

 

「あはは、ごゆっくり~!」

 

店員さんには申し訳ないが、今はは非常事態である為、追っ払う事にした。毎度毎度この展開になるのね……、ゲームでいう確定イベントってやつかな。

 

「……おい、どうしようか。いきなりつまづいた。」

 

「普通は最低限の装備が手に入ったり、生活費だってどうにかなって手に入るものなんだけど……、不親切だぞ。」

 

「……いきなり頼りがいが無くなったわね。―――まあしょうがないもんね、ヒキニートだものね。」

 

ヒキニート言うなし。

 

「ったく本当に頼りない……。―――いいわ、次は私の番ね!女神の本気を見せてあげる!だからよく見てなさい?」

 

 

―――そこのプリーストよ!宗派を言いなさい!

 

 

俯瞰に見下ろしたアクアがそう述べると、プリーストのおじさんがお茶を啜るのを辞め、アクアの顔を見上げる。

宗派がどうのこうのって事は……。

 

 

「私はアクア。―――そう、アクシズ教団を崇めるご神体、女神アクアよ!」

 

「汝、もし私の信者ならば―――――、お金を貸してくれると助かります!」

 

おじさんが苦笑してるが。あれ、この展開って……?

 

 

「エリス教徒なのですが……。」

 

 

 

お察しの通り、あっ……(察し)。

 

 

「―――ッッッ!!??」

 

 

アクアは絶望したかの如く、醜悪な顔を浮かべている。……ご愁傷さまです。

そして―――、

 

 

「……あ、あぁそうでしたか~。すいません~。」

 

「あ、お嬢さん!アクシズ教徒なのかな?」

 

「グッ…!?」

 

 

絶望の連続パンチが続く。教徒じゃなくて開祖者です、おっさん。

 

 

「女神アクアと女神エリスは先輩後輩の間柄らしい。」

 

「ゴフ……!?」

 

 

絶望の2コンボ。

 

 

「これも何かの縁じゃ。さっきから見ていたが、手数料が無いんじゃろう?―――ほら、エリス様のご加護だ。」

 

「ゲフォッ……!?」

 

 

1000エリスを獲得、そして絶望の3コンボ。俺とアクアの印象は恐らく哀れな人という認識をされているだろう。……あぁ、私は哀しい。

 

 

「でも、熱心な信者でも女神を名乗っては駄目じゃぞ?」

 

「ゴブォッッ!!??」

 

 

とどめの4コンボ……。やめたげて!女神アクアのヒットポイントはゼロよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と……登録でお間違いないでしょうか……?」

 

「……はい。―――あの……、1000エリス、です。」

 

き、気まずい。ギルド職員であるルナさんは俺らの目を見ない。というか、あちらも気まずいと思っているんだろう。

……いい加減この状況も苦痛だな。

 

「た、確かに受け取りました……。ゴホン!それではお客様、気を取り直してお聞きください。」

 

ルナさんのお蔭で助かりました、ありがとうございます。

 

「こちらは冒険者カード……、個人個人のスキル・職業・そしてモンスターの討伐数等が記載される重要なカードです。

 レベルが上がる事でスキルポイントが与えられます。スキルポイントとは即ち、スキルの解放・強化をする為に必要なポイントです。対象のスキルにポイントを振り分ける事で新たな魔法やスキルの派生が表れるようになります。」

「そして職業については様々……、【剣士】や【弓兵】もあれば、【魔法使い】だってございます。」

 

成程……、というか知っているんですけどね。(暗黒微笑)

大体30分位説明を聞き、漸く終わる。

 

「お待たせいたしました。これから佐藤和真様とアクア様の冒険者登録の開始を行います。こちらの水晶に手をかざしてください。」

 

此処からが本番だな。それにしても…、この水晶多機能すぎない?どういうメカニズムなのだろうかと、度々疑問に思う。最初はアクアにやらせるか。

 

「アクア、先にやってもいいぞー。」

 

「あれ、カズマからでいいけど…。さてはあれね、楽しみは後に持っていく系の人?」

 

「簡潔的に述べるならそうなる。だから先頼むわ。」

 

「りょーかーい!まっかせて!」

 

アクアが水晶に手をかざすと、青白く輝きを放つ。そしてルナさんがアクアの冒険者カードを手にする。

 

「な、なんと!?」

 

「え、何々?もしかして私が凄いってこと!?」

 

ルナさんが驚きに満ちた表情を浮かべている。アクアは頭上に「?」が見えそうに首を傾ける。

 

 

 

・アクア

種族:女神

職業:アークプリースト

Strength(力):900

Health(体力):999

Magic pow(魔力):1500

Dexterity(器用):900

Agility(敏捷):999

Luck(運):1

intelligence(知性):1

固有スキル『水女神』

女神アクアが持つ固有スキル。

●プリフィケーション

浄化魔法。水中の不純物や毒などを消す

●リザレクション

致命傷からの蘇生。ひどく負傷した肉体の修復。

 

職業スキル『アークプリースト』

アークプリーストだけが持つ固有の職業スキル。回復魔法や支援魔法など様々。

●セイクリッド・ブレイクスペル

魔法障壁や呪いなどを無力化する。

●ターンアンデッド

アンデッドを成仏させる。

●セイクリッド・エクソシズム

邪悪なものに有効な白い炎を繰り出す退魔の魔法。 人間には全く効果はない。

●セイクリッド・ターンアンデット

魔法陣から光の柱を噴出させてアンデットを浄化させる魔法。

●セイクリッド・クリエイトウォーター

人間を押し流す程の洪水クラスの水を発生させることが出来る魔法。

●セイクリッド・ハイネス・エクソシズム

セイクリッド・エクソシズム」の上位互換。

 

 

 

「凄いなんてものじゃないですよ…!知力を必要とされる魔法使い職は無理ですが、それ以外の職業なら何だってなれますよ!?」

 

「クルセイダーやソードマスター、アークプリースト……!最初から殆どの上級職に!」

 

「いや、本当に凄いです……。知力と幸運は最低クラスですが!!」

 

ルナさん曰く、とても凄い事らしい。―――あの子、アホの子だから知力と幸運で泣かなくてすんだ。良かった。

 

「そうね!女神って職業が無いのは残念だけれど……。―――決めた、私。アークプリーストに決定するわ!」

 

どの世界でもアクアはアークプリーストを選ぶらしい…。これも確定ってか。

 

「アークプリーストですね!あらゆる回復魔法と支援魔法を使いこなし、サポートは勿論、前衛に出ても問題ないエキスパートな万能職ですよ!!」

 

アクアが鼻を高くしている。そりゃあそうだ、あれだけ職員が驚いていると喜びたくなって当然だしな。喧噪が一段とうるさくなったが、辺りを見回すと冒険者が円になってアクア達に歓喜の声を送っていた。

 

 

「頑張れよー!アークプリースト!期待してるぜ!!」

 

「ガッハッハ!!お前のような命知らずが案外魔王をぶちのめしてしまうかもな!!」

 

「私たちも負けないわよ、団員さんたち!!今すぐモンスター狩りに行くわよ!!」

 

 

それはそれは、凄い影響らしい。もしかしたらアクアの様な存在がここ数年で出ていない。だからこそ、この盛り上がりなんだろう。―――さて……、

 

「ギルドスタッフさん、俺のもお願いします。」

 

「はい、かしこまりました!」

 

俺が手をかざし、ルナさんが冒険者カードを手に取る。

 

それはもう―――、

 

「―――な、なに、こ、れ……。」

 

 

 

―――常軌を逸した内容に驚いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・佐藤 和真(さとう かずま)

種族:ヒューマン

職業:冒険者

Strength(力):777777

Health(体力):777777

Magic pow(魔力):777777

Dexterity(器用):888888

Agility(敏捷):888888

Luck(運):999999

Intuition(直感):666666

 

固有スキル『最果ての鬼畜外道王(サトウカズマ)

果ての平行世界に存在するカズマの固有スキル。同時干渉後、対象の全情報を収束後、取得。

今は無き祝福の辿弓(エリスケレイティア)

女神エリスによって創られた神の弓。射られた者を清め、敵とみなした者を慈悲を以て裁いてしまうという。

「行く手阻みし二重、同胞の難。願わくば過ぎし慈愛の言、されど糧となりて今は無き。最早抱きし言の発し一点に在りと。

 汝噛み合わぬとも、最果ての祝福を返さん。―――今は無き祝福の辿弓(エリスケレイティア)。」

紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)

紅魔の鍛冶職人が造ったとされる伝説の聖剣。詠唱する事で聖剣チュンチュンが光を放ち、赤と白黒の爆撃と化して薙ぎ払う。

「紅魔は赤く、王は白黒と。数多の我が爆導に畏怖せよ。―――爆ぜ斬れ、紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)。」

最果て・今も変わらぬ不動の心理(リモーテスト・アクセルプリズン)

最果ての人類王カズマのみ赦された固有結界。

最果て・今も変わらぬ不動の心理(リモーテスト・アクセルプリズン)。』

天地滅す邪道の神鎗(ボルグ・ウォルバク)

??????????????????????????

『?????????????????????????』

 

スキル『古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)

冒険者を極めて仲間と共に古代竜を撃破したIF世界の佐藤和真のスキル。

スキル名を詠唱後、古代竜(エンシェントドラゴン)を召喚する。

召喚対象→①エンドラ(Lv9999)

詠唱「鬼の威に惚れ、我が腕となりし竜よ。再び我が意に答えよ。―――古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)。」

 

スキル『騎士王』

騎士団に入り、騎士王となって聖都を築き上げたIF世界の佐藤和真のスキル。

感情変動で発動。ステータス欄に直感を追加。

①圧倒的なカリスマ、騎士道、威圧を放ち、味方の扇情を煽り立てる。

②直感力が極限に高まる。

 

スキル『蹂躙鉄拳(ジャスティス)

格闘を極めて魔王軍を蹂躙したIF世界の佐藤和真のスキル。疲労を代償として発動。

力を極限に高め、相手を一撃で粉砕。

詠唱「蹂躙鉄拳(ジャスティス)。」

 

スキル『雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)

■ぐ■■と結婚後、爆裂導を極めた二人が生涯に残したIF世界の■ぐ■■と佐藤和真のスキル。

爆発の火柱の周囲に雷電が発生。

詠唱「爆裂に至れり。我が魂は爆ぜ、雷電の如く煌かん。我が結晶よ、爆裂の果てを語れ。

―――雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)。」

 

 

・エンドラ(エンシェントドラゴン)

種族:古代竜古代竜(エンシェントドラゴン)

Lv:9999

Strength(力):15000

Health(体力):50000

Magic pow(魔力):42500

Dexterity(器用):2500

Agility(敏捷):5000

Luck(運):10000

固有スキル『古代竜(エンシェントドラゴン)

古代竜(エンシェントドラゴン)が持つ固有スキル。

業火の息(ヘルフレアブレス)

地獄より来る炎のブレスを放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(雷属性の爆裂魔法に固有結界……、それに古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)って何ですか……!!??)」

 

「あのー、もうよろしいですか……?」

 

「ふぇ…?―――ッ!!??…あ、ああ!も、申し訳ございません!!此方をどうぞ!」

 

「ありがとうございます。―――くれぐれも他言無用でお願いしますね?」

 

「…………畏まりました!」

 

カズマとアクアが通り過ぎて、ルナは思う。

 

 

 

―――彼は人間なのか、と。

 

 

 

「一体何者なのでしょうか……、佐藤和真さん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――なるほど、最果ての鬼畜外道王(サトウカズマ)という固有スキルに派の魔法か…。そして、エンドラに特殊攻撃が…。」

 

「ふふふ、面白くなってきたじゃんか。」

 

『……マスターは何になりたいのかよく分からんな。』

 

「まあエンドラ、お前には言っておこう……。」

 

 

 

―――俺は正規の皆を救い、強くする。

 

 

 

「この先は恐らくだがバグ地獄だ……。だからこそアイツらを強くし、正規ではない魔王軍と戦う。―――俺という性質を利用し、何が何だろうがアイツらに鬼畜トレーニング時間を設けてやるつもりだ。」

 

視界にはアクアが冒険者たちと話している姿が見られる……。

 

『エラーについてはよく分からんが……、少しは加減もしたほうがいいと思うがね……。』

 

「それには応じられない、状況次第による。常軌を逸した化け物に成り上がろうが、俺は救う。じゃないと―――、』

 

 

 

―――――誰かが、死ぬ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステータスの更新を実行。更新完了。

 

――ステータスの表記を更新。

 

――『力』『体力』『魔力』70000上昇。『敏捷』『運』800000上昇。『直感』600000上昇。

 

固有スキル『最果ての鬼畜外道王(サトウカズマ)』に派生を追加。

 

――今は壊れし祝福の辿弓(エリス・ケレイティア)、発動を許可。

 

――最果て・今も変わらぬ不動の心理(リモーテスト・アクセルプリズン)、発動を許可。

 

――天地滅す邪道の神鎗(ボルグ・ウォルバク)、表記に成功。

 

――エンドラに業火の息(ヘルフレアブレス)を追加。

 

 

2件のエラーを確認。

 

――魔王軍に炎竜王(ヴォルケーノ)の存在を確認。

 

――歪みが発生。正規ルートに様々な分岐点が出現。

 

 

1件の危険分子を確認。

 

――同じ異世界にて危険分子を確認。引き続き危険分子の解析を行います。

 

これにて終了致します。

 

 

 

 

 

 

 




ここまで読んでいただきまして有難うございます!
いかがでしたか?騎士王発動時のカズマさんのカリスマっぷりが発動していましたね!
そして、誰かが死ぬとは一体・・・?
引き続き『この素晴らしい世界に更なる祝福を!』をよろしくお願いします!


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第三話 爆友にて非なる者、この素晴らしい世界に爆裂娘を!

こんばんは、貧弱傍観者です!急に申し訳ございませんが、今後も最強キャラとして出る荒くれ者さんの名前を募集しております。……僕個人としてこの人の性格が断トツに好きなので、今後も出していきたいと思います。
それともう一つベルディア戦なのですが、『ベルディアVSめぐみん・アクア・ダクネス・アクセルの冒険者達』+『炎竜王ヴォルケーノVSエンドラ』の組み合わせにしようと思っています。基本、カズマや兄貴、そしてクリスは基本傍観者でいます。何か、「出来ればこうした方がいい。」等のコメントを頂けたら幸いです。
それでは、引き続き本編をお楽しみください!


チュンチュンと、鳥の囀りと共に目覚める俺。てか、この世界でも馬小屋に泊まる運命なのかよ。守護鳥獣(グリフォン)蠍獣(マンティコア)の討伐依頼が出てるクエストがあったから行きたかったんけど、アクアの不信感も高まるから流石に辞めておいた。ちなみに俺らが働いている土木作業は最低賃金……。恐らく日本よりも過酷で、最低額だろう。何せ週6勤務とか、労働基準法?何それ美味しいの状態だ。

ともかく、このまま馬小屋生活は御免だ。さっさと衣食住を確保しなくては。……さて、

 

「おはよう、アクア。」

 

「ん―――。むにゃ、カズマしゃん。何私の髪の毛クンカクンカしてるんでしゅかー。」

 

俺はアクアが寝ている時に髪の毛をかいでいた為、それがバレたのかと悪感する。でもコイツの髪、良い香りなんだよな。こう、エ●アみたいな香り?冗談はここまでにして、俺はアクアを起こす。

 

「おい、いい加減に起きろアクア。今日はギルドに行く予定だろう?」

 

「むにゃむにゃ、ん?ふぁ―――……、おはようカズマ。」

 

アクアが水の女神であるのか、髪は爆発しない。アクアはファーっと欠伸し、両腕を天に伸ばす。

 

「こいつ…………。おはようアクア。早く着替え済ましてギルドに行こうぜ。」

 

「うん、分かった。」

 

アクアは別の所で着替えにいった。俺はパジャマを脱いでジャージ姿に着替え、馬小屋の出入り口へ移動した。そして数分が経過し―――、

 

「お待たせ―!着替え済ませてきたわよ!」

 

アクアがいつもの服装で来た。風に晒され、それに応じるように青髪が靡く。完全に眠気から覚めた為なのか、ハキハキとしているアクア。頼もしいが、いざ戦うとなるとな……。

 

「おう、オッケーオッケー。それじゃあギルドにレッツGO!」

 

―――俺もシャキっとしないとな。これからの為、未来の為に。

 

 

 

「よお坊主に嬢ちゃん!昨日はよく眠れたか?」

 

このリーゼントの人は荒くれものさん、俺らが来て間もない頃、最初に話した人だ。そして、様々な世界で俺らを支えてくれた最高の友人でもある。

 

「おう、おはよう。よく眠れたぜ。」

 

「おはよう!あんたも眠れた?」

 

「おう嬢ちゃん!相変わらずだが素敵だな!!まるで女神の様だ!」

 

「……もう、だから私は女神だっつの!」

 

アクアは複数の意味合いを含めて頬を赤くし、同時にプクーっと膨らませて怒る。最早女神としての品格が無いアクアであった。

 

「ハッハッハ、怒る嬢ちゃんも素敵だ!だから俺は長年冒険者をやっている訳だが、これは少し嬢ちゃんを怒らせないようにしないとな!何せ逝ったら地獄行き確定になっちまうからな!」

 

「あら?弁えているのね冒険者。貴方の地獄行きは確かなのだけれど、特別に見逃すわ。だって私は女神様だもの。」

 

ガハハと豪快に笑う兄貴に、フフッと妖しく笑みを浮かべるアクア。…………さて、

 

「それじゃあ俺らは失礼するよ。ありがとな、―――兄貴。」

 

「ガッハッハ!俺が兄貴ってか。だったらテメエらは俺の後輩って事になるんだよな?俺も兄貴分として、後輩を支えてやらねえとな!それに女神様が俺の後輩になるったあ甚だ嬉しいもんだ!」

 

「ああ、そういう事だ。くれぐれも俺らに追い越されないようにな。」

 

「ハッ、言うじゃねえか!坊主も嬢ちゃんも死なねぇ様に精々足掻くんだな?」

 

「上等、足掻いてやるさ!――それじゃあな兄貴!」

 

「頑張りなさい、兄貴。貴方に良き出会いの、―――あらん事を!」

 

「―――……おぉ、行ってこい嬢ちゃん!」

 

一瞬ではあったが女神らしい風貌だった。本物の女神だと気付いたのかは不明だが、兄貴はアクアを見て動揺していた。その様子をアクアは知らない。俺はその事について考えるのを辞め、アクアと共にクエストボードへ向かった。

 

 

 

 

二人はクエストボードの方へ歩み、アクアとカズマが去るのを察知して一人の女性がやって来た。

 

「おはようございますポチョムギンさん。件のお二方とお話ししていましたが、如何でしたか?」

 

「おうルナさんか、おはようさん!―――そうさな……。アクアって奴は愉快だ。女神を自称していて中々に愉快であったな。それにあの様―――、莫大な力を秘めている。…もしかしたら女神の恩恵を受け持った子供なのかもしれねぇな。ハハッ、まず有り得んがな!」

 

「なるほど……。やはり私が思っていた通りの逸材でしたね!しかしアクア様というと、あの水の女神様で?」

 

「あぁ、あのキチガイ共(アクシズ教徒)が崇拝している水の女神アクアさ。」

 

アクシズ教団最高責任者であるゼニスという人物がいるのだが、曰く、彼の気持ち悪い思考が教徒を扇情し、それが理由でエリス教徒を見つけては悪質な嫌がらせを行うようになったという。

 

あの馬鹿(ゼニス)も嫌なんだが、あそこの教徒も嫌なんだよな。それに水の女神がその光景見たら泣くぞアレ。」

 

「アハハ……、確かにあの人は出禁にして正解でしたね。エリス教徒に唾を吐いたり、ご老人の額に『肉』と油性ペンで書いたり、『エリスはPADである。』等と叫んだりしてて大迷惑でした……。銀髪の冒険者の方が追い出してくれたお蔭で助かりましたが……。」

 

私もあの方は苦手です、と苦笑しながら話すルアさん。

 

「所で佐藤和真さんは如何だったでしょうか?並々ならぬ威風に常軌を逸したスキル……、彼が何故に冒険者である事については甚だ理解不能ですけど……。」

 

「カズマは―――。いや、あいつは凄まじい……。勇者の末端、俺よりも遥か上の力を有しているだろう。アイツは多くの困難を乗り越え、あの様なステータスへ至ったのだろうな……。」

 

「それに微かに狂いながらも勇ましい姿だ……。あいつは覚悟を決めてるって顔をしてたぜ?多分だけど―――――。……いや、何でもねぇ。」

 

「なるほど、余程の覚悟を決めてアクセルの街へ赴いたのでしょうね……。彼が情報を隠密にしたがるのにも納得がいきます。―――失礼。お二方が呼んでいます故、退かせていただきます。有難うございました。」

 

「いや、いいんさ。それよりだ、早く行ってやりな。二人のサポートを頼むぜ。」

 

「畏まりました。それでは失礼致します!」

 

そう行って、ルナお嬢は二人のもとへパタパタと駆け寄った。無謀だ云々聞こえて揉めているアイツらを観て俺は微笑む。

 

 

 

「―――頑張れよ、アクアにカズマ(命知らず)。」

 

 

 

そう独り言を言い、ギルドを後にした。『双龍(ヒュドラ)討伐』と書かれたクエスト用紙を持って―――。

 

 

 

 

 

 

 

討伐クエスト【巨蛙(ジャイアントトード)を3匹狩れ!】

 

 

 

 

【カズマ視点】

今日のメインは巨蛙(ジャイアントトード)の五匹討伐だ。繁殖期になると巨蛙(ジャイアントトード)が沢山現れ、餌である生き物を丸のみにする。その為、繁殖期になると子供や大人が飲み込まれて行方不明になる事件が起こる。今回は、その事態の収拾という事で討伐クエストとして出された。

そしてこの巨蛙(ジャイアントトード)の肉は淡泊な味がして美味しいと絶賛されている。特に揚げ物にするととても美味で、シュワシュワとの相性も抜群だ。俺も朝昼晩それしか食ってなかった頃があったし、味は絶賛する。俺らは現在アクセルの門を出てすぐの平原にいる。そこが今回の討伐場所となる。

 

「んじゃ一丁やるか。巨蛙(ジャイアントトード)に飲まれないように気をつけろよ?」

 

「ええ、分かってるよ。んじゃ行くわよカズマ!女神の力、とくと見せてあげるわ!」

 

そういうと、アクアは巨蛙(ジャイアントトード)に向かって走っていった。―――さて……、

 

「腕も鈍っているようだし、準備運動として軽く捻り殺すとするか。」

 

強個体である緋色の巨蛙(ジャイアントトード)が俺を標的としたらしい。喰らわんとばかりに舌を出して放つ。舌はカズマを捕らえたが―――、感触が無い。緋色の巨蛙(ジャイアントトード)は己のミスだと勘違いして収め、あの者の捕食を遂行しようと動こうとするも―――、まるで崩れ落ちるかの如く視線の高さが変わり続け、驚愕して目を見開く。

自分の内臓が木っ端微塵と化していた事に気が付き、両手を構えたカズマが呟いていた事を耳にする―――――、

 

 

 

蹂躙鉄拳(ジャスティス)。」

 

 

 

蹂躙鉄拳(ジャスティス)とは平行世界のとある佐藤和真が一か月間山に籠り、習得した体技である。その内容は拳で対象の身体を殴り、蹂躙(ころ)す。故に緋色の巨蛙(ジャイアントトード)はカズマの拳に殴られ、過程と化して蹂躙された。

―――『何が起きたのかという』不可避の混乱に蹂躙(ころ)され、『物理的に』蹂躙(ころ)されるという過程だ。その過程を終えて1秒経過後、緋色の巨蛙(ジャイアントトード)は心身もろとも肉塊と成り果てた。

蹂躙鉄拳(ジャスティス)は蹂躙スキルであるが故、その負担も大きい。身体疲労や、魔法発動後の酔いを生じる。魔法は魔力を媒体とするのだが、その媒体(魔力)を蓄積する為の器官が存在する。この事を『魔力器官』と呼ぶ事にする。魔法発動中は魔力を吸収する為、この魔力器官は外界に放出する運動を行うのだ。その為、身体疲労が続く事によって器官の運動を強制する為、痙攣や吐き気等の異常が起きる。

しかしこのカズマには一切通じない。何故ならステータス通り、スキル以外に運動能力も超越しているのだから。

 

「残り2匹。―――どんどん殺るぜ……。」

 

『マスター、狂戦士が言いそうなセリフを喋らないでいただきたいのだが……。」

 

今度は通常個体である巨蛙(ジャイアントトード)を標的として走るが―――、

 

 

 

「カ……、カエルってよく見たら可愛いと思うの。」

 

 

 

―――目の前には腹部を殴っても効かなくて鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした、マヌケ面のアクアが飲み込まれていました。

 

 

 

「テメェェェェ―――――ッッッ!!!!喰われてんじゃねぇぇぇぇ―――――ッッッ!!!!」

 

 

 

俺は再び蹂躙鉄拳(ジャスティス)を発動して|巨蛙(ジャイアントトード)2匹を討伐したのであった。

 

『―――――やれやれ……。』

 

そして苦悩が溜まるエンドラであった。

 

 

 

 

 

クエスト【巨蛙(ジャイアントトード)を3匹狩れ!】

巨蛙(ジャイアントトード):2/3】

【獲得金額:10,000エリス】

 

 

 

 

 

その後、バイト先のサービスとして温泉に入れて貰い、その後はギルドスタッフに頼んで換金してもらった。今は夕食として巨蛙(ジャイアントトード)の唐揚げを食べている。――たかが蛙一匹で5,000エリスとは、土木作業の日給と同じ額じゃねぇかよ……。

 

 

「―――あれは二人じゃ無理だわ。」

 

 

テーブルをバンッと叩き、アクアは怒気を孕んだ声で言う。あの後、アクアは巨蛙(ジャイアントトード)の臭い粘液を浴びせられ、泣いてしまったのだ。挙句の果てにアクアは何の成果すら無いのだから怒って当然だろう。

 

「それならば仲間の募集でもするか?俺らに近い奴を戦力として加えたらあの蛙の大量討伐も叶う所だしな。」

 

「冴えてるわねカズマ!そう、全てはパーティーメンバーの募集よ!そこからじゃないと魔王討伐なんて遥か遠き理想郷よ!」

 

「誰が上手い事言えっつった、糞ビッチ。ア●ァロンじゃないんだからよ……。まあ募集募らせないと流石に厳しいし、よし早速だが臭女神、募集用紙持ってこい。」

 

「誰が臭い女神よ!……はい、近くにあったから持ってきたわよ。―――私が書いてもいい?」

 

「いいぞ。くれぐれも余計な事は書くなよ?」

 

「分かってるわよその位。」

 

 

 

そして―――――、

 

 

 

「―――来ないわね……。」

 

「そうだな。」

 

あれから半日以上経ったが、一向に誰も来ない。未来の英雄候補は誰も来てはくれなかったのだ。

 

「―――お前、変な事書いてないよな?」

 

「書いてないわよ!!本っ当アンタってば失礼ね!私が書いた内容は―――、」

 

 

 

『急募!

 

 アットホームで和気藹々としたパーティーです!

 美しく気高きアークプリースト、アクア様と共に

 旅をしませんか??該当する方はギルド内飲食店 

 のカウンターテーブルまでお越しください^^

 パーティーに加入した方から「アクア様のパーテ

 ィーに入ってから毎日がハッピーです♪宝くじに

 も当たりました!超HAPPY!!」など、「アクア様の

 パーティーに入ってから病気が治り、モテモテに

 なりました!等の声が様々!

 

 採用条件:上級職の冒険者に限ります。    』

 

 

 

「以上が私の書いた通りよ、別に変な事書いてないじゃない。」

 

「お前って馬鹿なの、阿保なの、死ぬの?―――書いてる事が殆ど詐欺メールに等しい内容じゃねぇか。お前は女神じゃなくてそういう職に選べばいい、詐欺メール送る職業やサクラとか。」

 

「最後の危なっかしい!?――うっさいわね、これでも私必死に考えたのよ!上等よこのヒキニート!帰れなくなるけど●●して●●して血祭りにあげてやるわ!!」

 

「お前本当に女神!?言ってる事がえげつねぇよ!?―――少し落ち着け、一端考え直そう。」

 

「尤もな話ね。……それで、どうするの?」

 

 

 

 

 

―――――コツン

 

 

 

 

 

「上級職に拘りをもつのは諦めるだけさ。俺らはまだ新米、エリートにとっちゃ足手まといも甚だしい。」

 

「うー……、確かにそれもそうね。ってことはフリーにするって事?」

 

「そういう事だ……。」

 

 

 

 

―――――コツン

 

 

 

 

『(ほう…。足音を辿ってみれば……、漸くご登場か。)』

足音が消える。エンドラが気配を感知し、そして俺らが作戦を練っている中、後ろからそいつ(懐かし)の声が聞こえる。

 

 

 

―――募集の紙、見させてもらいました。

 

 

 

そいつ(懐かし)の声を聞いて、俺は少し涙を出してしまった。

 

 

 

「カズマ……、どうして泣いて―――、」

 

「―――君の名前を知りたい。教えて、くれるかな…?」

 

 

アクアが慰めようとするも、俺は半分涙を流しながらも続けて喋る。

 

 

…………あぁ、やっと来たか。ほんっと待ちわびたぞ―――――、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が名はめぐみん!!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者!―――失礼ですが、貴方たちの名前を聞きたいです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――めぐみん!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はアクア、上級職アークプリーストよ!―――よろしくね、めぐみん!」

 

「はい、アクア。よろしくお願いします!失礼ですが、あなたの名前も教えていただけ―――。」

 

グゥ~というお腹の音が聞こえる……。

 

 

 

 

 

 

 

「我が名は佐藤和真……、何、しがない命知らずの冒険者さ。―――――何か奢るから好きなもの食べな、アークウィザード?」

 

 

「はい、よろしくお願いいたします。カズマ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――鬼畜外道のトレーニングは近い。

 

 

 

 

 

 

 

ステータスの更新を実行。更新完了。

 

――ステータスの表記を更新。

 

――紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)、表示及び発動の許可に成功。

 

 

 

2件のエラーを報告。

 

――魔王軍の廃城に炎竜王(ヴォルケーノ)の存在を確認後、首無し騎士(ベルディア)との同盟が発覚。

 

――首無し騎士(ベルディア)の強化が発覚。脅威レベルを上げ、危険分子として扱います。

 

 

2件の危険分子を確認。

 

――危険分子『UNKNOWN』の正体が不明、引き続き解析を続行。

 

――魔王軍の廃城に危険分子『首無し騎士(ベルディア)』の存在を確認。

 

以上で終了致します。




如何でしたか?遂に原作キャラであるめぐみんの登場です。そしてベルディアの大幅強化と謎のヴォルケーノの同盟が発覚したが……?それに正体不明の危険分子とは一体……?


それとファンタシズムチュンチュンについてです。


紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)
紅魔の鍛冶職人が造ったとされる伝説の聖剣。詠唱する事で聖剣チュンチュンが光を放ち、赤と白黒の爆撃と化して薙ぎ払う。
『紅魔は赤く、王は白黒と。数多の我が爆導に畏怖せよ。―――爆ぜ斬れ、紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)。』


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設定更新

現在のステータスです。


・アクア

種族:女神

職業:アークプリースト

Strength(力):999

Health(体力):1100

Magic pow(魔力):1700

Dexterity(器用):1100

Agility(敏捷):1400

Luck(運):1

intelligence(知性):1

固有スキル『水女神』

女神アクアが持つ固有スキル。

●プリフィケーション

浄化魔法。水中の不純物や毒などを消す

●リザレクション

致命傷からの蘇生。ひどく負傷した肉体の修復。

 

職業スキル『アークプリースト』

アークプリーストだけが持つ固有の職業スキル。回復魔法や支援魔法など様々。

●セイクリッド・ブレイクスペル

魔法障壁や呪いなどを無力化する。

●ターンアンデッド

アンデッドを成仏させる。

●セイクリッド・エクソシズム

邪悪なものに有効な白い炎を繰り出す退魔の魔法。 人間には全く効果はない。

●セイクリッド・ターンアンデット

魔法陣から光の柱を噴出させてアンデットを浄化させる魔法。

●セイクリッド・クリエイトウォーター

人間を押し流す程の洪水クラスの水を発生させることが出来る魔法。

●セイクリッド・ハイネス・エクソシズム

セイクリッド・エクソシズムの上位互換。

 

 

・佐藤 和真(さとう かずま)

種族:ヒューマン

職業:冒険者

Strength(力):777777

Health(体力):777777

Magic pow(魔力):777777

Dexterity(器用):888888

Agility(敏捷):888888

Luck(運):999999

Intuition(直感):666666

 

固有スキル『最果ての鬼畜外道王(サトウカズマ)

果ての平行世界に存在するカズマの固有スキル。同時干渉後、対象の全情報を収束後、取得。

今は無き祝福の辿弓(エリスケレイティア)

女神エリスによって創られた神の弓。射られた者を清め、敵とみなした者を慈悲を以て裁いてしまうという。

「行く手阻みし二重、同胞の難。願わくば過ぎし慈愛の言、されど糧となりて乱れ、今は無き。最早抱きし言の発し一点に在りと。

 汝噛み合わぬとも、最果ての祝福を返さん。―――今は無き祝福の辿弓(エリスケレイティア)。」

紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)

紅魔の鍛冶職人が造ったとされる伝説の聖剣。詠唱する事で聖剣チュンチュンが光を放ち、赤と白黒の爆撃と化して薙ぎ払う。

「紅魔は赤く、王は白黒と。数多の我が爆導に畏怖せよ。―――爆ぜ斬れ、紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)。」

最果て・今も変わらぬ不動の心理(リモーテスト・アクセルプリズン)

最果ての人類王カズマのみ赦された固有結界。

最果て・今も変わらぬ不動の心理(リモーテスト・アクセルプリズン)。』

天地滅す邪道の神鎗(ボルグ・ウォルバク)

??????????????????????????

『?????????????????????????』

 

スキル『古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)

冒険者を極めて仲間と共に古代竜を撃破したIF世界の佐藤和真のスキル。

スキル名を詠唱後、古代竜(エンシェントドラゴン)を召喚する。

召喚対象→①エンドラ(Lv9999)

詠唱「鬼の威に惚れ、我が腕となりし竜よ。再び我が意に答えよ。―――古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)。」

 

スキル『騎士王』

騎士団に入り、騎士王となって聖都を築き上げたIF世界の佐藤和真のスキル。

感情変動で発動。ステータス欄に直感を追加。

①圧倒的なカリスマ、騎士道、威圧を放ち、味方の扇情を煽り立てる。

②直感力が極限に高まる。

 

スキル『蹂躙鉄拳(ジャスティス)

格闘を極めて魔王軍を蹂躙したIF世界の佐藤和真のスキル。疲労を代償として発動。

力を極限に高め、相手を一撃で粉砕。

詠唱「蹂躙鉄拳(ジャスティス)。」

 

スキル『雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)

■ぐ■■と結婚後、爆裂導を極めた二人が生涯に残したIF世界の■ぐ■■と佐藤和真のスキル。

爆発の火柱の周囲に雷電が発生。

詠唱「爆裂に至れり。我が魂は爆ぜ、雷電の如く煌かん。我が結晶よ、爆裂の果てを語れ。

―――雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)。」

 

 

・エンドラ(エンシェントドラゴン)

種族:古代竜(エンシェントドラゴン)

Lv:9999

Strength(力):15000

Health(体力):50000

Magic pow(魔力):42500

Dexterity(器用):2500

Agility(敏捷):5000

Luck(運):10000

固有スキル『古代竜(エンシェントドラゴン)

古代竜(エンシェントドラゴン)が持つ固有スキル。

業火の息(ヘルフレアブレス)

地獄より来る炎のブレスを放つ。



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第四話 この素晴らしい世界にて祝福ありしメンバーが揃った!

どうもこんにちは、貧弱傍観者です。
今回は遂にめぐみんのエクスプロージョンの発動、カズマの体技に奥義解放、そしてめぐみんやダクネスの正規加入です。
それでは本編をどうぞ!


【一】

アクアとカズマは巨蛙(ジャイアントトード)の討伐を断念。今のままでは駄目だと思った彼らはパーティメンバーの募集を行って半日後、結局見つからなかったのだ。そう思った彼らは作戦の変更を行おうとしたその時、後ろを見ると募集者が見つかったのである。その名は『めぐみん』。カズマ唯一の、かつての友人である。無事元メンバーの一人と合流したのであった。現在のめぐみんはと言うと……、

 

「ガツガツムシャムシャッ―――!!」

 

まるで飢えた野獣の如くめぐみんは目の前のご飯を食べ、平らげた。

 

「ふう~、お腹いっぱいなのです~♪有難うございますカズマ、この恩は絶対に忘れませんよ。……それでですがあの時は空腹のせいで覇気が無かったので改めて―――、我が名はめぐみん!紅魔族随一の魔法の使い手にして爆裂魔法を操る者!」

 

コイツやっぱ面白いな、少し弄ってみるか。

 

「……冷やかしに来たのか?」

 

「ち、ちがわい!」

 

その言葉に完全な否定と必死さが込められている。アクアがめぐみんを見てハッと驚く。

 

「待ってカズマ!……その赤い目。まさか貴方って紅魔族?」

 

その言葉を聞き、めぐみんは待っていましたとばかりに明るく喋る。

 

「如何にも!我は紅魔族にして随一の爆裂使い、めぐみん!我が必殺の爆裂魔法は山を砕き、岩をも砕く!」

 

「カズマ。紅魔族っていうのは生まれた時から高い知力と魔力を持っていて……、変な名前をつける種族なの。」

 

「変な名前とは失礼な……、私から言わせてみれば村の人たちの方が変な名前の人ですよ……。」

 

「ちなみにだが、両親の名前は?」

 

めぐみんは謎のポーズをしながら口にする。

 

「母はゆいゆい、父はひょいざぶろー!!」

 

俺とアクアは、まるで可哀想な人を見るかのような表情を浮かべる。

 

「……この子の種族は良い魔法使いが多いんだよな?」

 

「お、おい!私の両親の名前について言いたい事があるなら聞こうじゃないか!」

 

「悪い悪い、俺もからかい過ぎた!それでなんだが、その眼帯はどうした?何ならそこにいるアクアに治してもらえばいい。アークプリーストだし、回復魔法で治せるかもしれないぞ?」

 

「いえ、結構です。フフフ……。これは我が禁断の力を抑制せしマズィックアイテム…!故にその封印を解除するようであれば、大いなる災いが齎されるところでしょう…!!」

 

微かだがめぐみんから威圧感が流れるようなそんな気がした。以前は「単にオシャレで着けているだけ」と抜かしていたが、……今回ばかりは違うかもしれない。俺は無意識に異なる分岐点を選んでしまったリスクがあると。

 

「(……アクア、どう思う。)」

 

「(……分からないけれど、魔力反応も見られない。もしかしたら正真正銘、禁忌の力を抑止している魔法道具なのかもしれないわ……)ねえめぐみん、もしかしてそれって……。」

 

「お前が言う、禁断の力を封印する為の……魔法道具なのか?」

 

俺らは意を決して口にした。アクアも若干動揺している。確定だ。……やはり俺はめぐみんが禁忌の力を有するという分岐点を選んでしまったのだと―――、

 

 

「いえ、単にオシャレで着けているだけですけど?」

 

 

―――微塵たりとも思わなくなった瞬間である。

 

「え。アクアにカズマ、何で無表情なんですか。カズマは何で笑顔で眼帯弄っているんでしょうか。ちょ、あの…、カズマ?やめてください。やめ、ヤメロォォォォォ―――――!!!!」

 

この後、滅茶苦茶眼帯をバチコンした。

 

「いったぁぁぁぁ――――!!眼がァァァァ――――!?!?」

 

という事で彼女の実力を測る為、俺らは巨蛙(ジャイアントトード)の討伐クエストを受注し、目的場所の平原へ行った。

 

 

 

 

討伐クエスト【巨蛙(ジャイアントトード)を5匹狩れ!】

 

 

 

 

【二】

「私は爆裂魔法を撃つ準備をします。爆裂魔法とは大爆発を発生させる魔法であり、最強魔法の一つです。その為、詠唱時間が長いです!ですので、アクアとカズマは前衛に出てあの蛙の足止めをお願いします!」

 

そう。爆裂魔法とは至極単純、大爆発を伴う魔法だ。敵や味方(有象無象)を塵芥と化し、地形ダメージも伴う。そして威力も全魔法の中で最高峰だ。その為、最強魔法には対価が付き物だ。長い詠唱時間がその対価と認識しても良い。

 

俺とアクアは前衛で周囲の巨蛙(ジャイアントトード)の足止めを行い、同時に俺らで討伐。めぐみんは遠くの巨蛙(ジャイアントトード)を爆裂魔法で一掃する作戦を実行しようとしている。

 

「んじゃめぐみん、遠い方の蛙を魔法の標的にしてくれ。周囲の蛙共は俺らが足止めし、隙を作って狩る。―――さあ行くぞアクア、今度こそリベンジだ(叛逆の時だ)。お前、一応は元なんたらなんだろう?たまには元なんたらの実力を見せてみな!」

 

「元って何よ!?ちゃんと現在進行形で女神よ私は!アークプリーストは仮の姿よ!」

 

 涙目で俺の首を絞めようとしてくる自称女神を、めぐみんが訝しむ。

 

「……女神?」

 

「―――を自称している可哀想な子だ。今後も口走る時があると思うが気にせず、出来ればそっとしておいてやってくれ。」

 

俺はめぐみんの言葉を紡ぎ、女神である事を隠蔽する。……我ながら酷いと思った隠蔽手段だが気にせず。俺がそう言ったのか、めぐみんは同情の視線でアクアを見る。

 

「酷い!?―――ええいもうヤケクソよ!!蛙に打撃は効かないけどいいわ!喰らってひれ伏しなさい、女神の名の下に―――、ゴッドブロー!」

 

これは前回と同じパターンになるわと矢先だ。案の定、アクアは巨蛙(ジャイアントトード)に喰われた。無論、足止めの役割を果たしたのである。

 

「終わったかめぐみん!?」

 

「万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ。……―――ええ、終わりましたカズマ!」

 

「分かった!じゃあ、あの巨蛙(ジャイアントトード)の群に向かって撃て!!!!」

 

「分かりました!……これが人類最大の威力の攻撃手段、これこそが究極の攻撃魔法―――――、」

 

 

 

 

 

―――――爆裂(エクスプロージョン)!!!!

 

 

 

 

 

『―――相変わらず馬鹿げた魔法だな。特にマスターの爆裂魔法は最強どころか一国を滅さん程の威力だし……、何故ゼウスの力を宿しているかすらも不明だ。

 

エンドラが念話で語りかけてきた。

 

『それに魔王が、世界存続の為にお前を殺す等と喚く。最早立場逆転してるし、我が主は魔王を生業とすればいいのでは?』

 

「絶対にジョブチェンジしねぇよ、最古のトカゲめ。―――だが、それについて反論出来ない自分がいたのであった。……さてと―――、一度念話切るわ。……あの馬鹿は魔力切れで倒れるし、アクアも助けにいかないとな。」

 

爆裂魔法は悪たる神が創ったとされる太古最強の魔法とも呼ばれ、時代が変わっても威力だけ(・・・・)は最強に座する。威力だけとはどう意味なのか―――。

 

「ふ……、―――我が奥義である爆裂魔法は、その絶大な威力故に消費魔力もまた絶大。……要約すると、最大魔力容量を超えた魔力を消費したので身動き一つ取れません。近くから蛙が湧き出すとか予想外。やばい食われる。すいません、ちょ、助け……」

 

然り。爆裂魔法はデメリットがとても多い為、最強は最強であっても所詮ネタ魔法にすぎない。俺はため息を吐いて近くの巨蛙(ジャイアントトード)蹂躙(ころ)し、アクアを助けにいった。

 

「はぁ……未熟な俺はよく耐えきれたもんだ。それにだ―――、お前はまだ弱くていい。来るその日が来るまでは、な。」

 

俺は10%の力を解放した。

 

「体技解放、零声神威(れいせいかむい)。―――鬼畜たる俺にひれ伏せろ。」

 

この技は絶対零度の声質で神威(しんい)級の圧を装う体技。正しくは神威(しんい)という名前だが、彼の放つ神威(しんい)は所詮贋作。声質によってつくられた神威(しんい)の紛い物だ。故に彼は神威(かむい)と呼ぶ。そしてこの零声神威(れいせいかむい)。体技である為か、スキルには含まれない。

 

「…………キャ、ズマ。」

 

若干めぐみんが震えている。それもその筈、零声神威(れいせいかむい)は贋作だが神霊と酷似した体技。めぐみんが怯えて当然なのだ。

 

「とりあえずさっさとアクアを連れ戻したいんで蛙さん、ここでオサラバだ。」

 

カズマはアクアを飲み込んだ巨蛙(ジャイアントトード)に片手剣を向ける。

 

 

 

「死ね。奥義―――、十振二十総切(じゅうしんにじゅうそうせつ)。」

 

 

 

十連の斬撃動作を瞬時二回行い、計二十連の斬撃によって巨蛙(ジャイアントトード)は攻撃する間もなく斬り殺された。

 

 

 

「おかえりアクア。とりあえず目的は果たしたし、お金はお前らに山分けさ。とりあえず戻ろうぜ。」

 

「ひっぐ、うぅ。ごめんなさいカズマさん!」

 

俺らは夕暮れの光に照らされながらギルドへ向かうのであった。

 

 

 

 

【三】※第三者視点

 

「ひっぐ。うぇぇん、生臭いよぅ……。」

 

「…………蛙の中ってやけに温かいのですね。私、初めて知りました。」

 

「…………知りたくもない事言うんじゃねえ。」

 

ご覧の通り、アクアとめぐみんは粘液まみれになっている。アクアは女子らしく泣いているが、めぐみんに至っては重症、虚ろ目だ。

 

「カズマってかなり強いのですね……。時々独り言(・・・)や達観したりしている姿が見られるのですが、貴方は一体……。それにあの威圧感は―――。」

 

「―――あの独り言は作戦を練っていただけだ。それとあの威圧は修行で得たに等しいもの。体技であり、決してスキルではない。……気にするだけ無駄だから忘れろ。」

 

「そうでしたか、先ほどの詮索は失礼しました。」

 

めぐみんはカズマに向かって謝罪する。アクアは如何したか冷や汗をかいて考えている。だが考えるのを止めたのか、普段通りに戻る。

 

「いや、いいさ。それとだが、お前って爆裂魔法以外に何か覚えているのか?」

 

「使えません。」

 

「……何だと?」

 

「……へっ?」

 

俺は驚いたフリをするが、アクアは素に驚いている。

 

「いや、だから私は爆裂魔法しか使えません。私のステータス、酒場でご覧になられましたよね。」

 

「確かにそうなのだけれど……、―――マジ?」

 

「本気と書いてマジです、本気本気(マジマジ)。―――そもそも私は爆裂魔法をこよなく愛するもの、故に他の魔法を覚えて愛好家を名乗れるものか!」

 

「うんうん、成程ね。―――すっごく素晴らしい考え方なのね、めぐみん!」

 

「…………はぁ??」

 

俺は素っ頓狂な声で発し、アクアは語る。

 

『素っ頓狂?ミスター素っ頓狂ではないか!』

 

少し黙れとカズマはコソコソと念話で一蹴する。

 

「他人に否定され、ネタ魔法であると蔑まれる。―――だが貴女は違う。爆裂魔法を浪漫として心の底から認めているじゃない!そして蔑まれようが貴女は爆裂道という名のロマンを追い求め続ける……。素晴らしい、素晴らしいわめぐみん!我がパーティーとして認めるわ!」

 

「あ、有難うございます!カズマもそれでよろしいでしょうか!?」

 

仮にめぐみんに尻尾が存在したとしたら今頃パタパタ物凄い速さで振っていただろう、そんな感じに彼女は歓喜に溢れていた。

 

「ハァ……。ハッキリ言うが、お前はまだ弱い。鍛錬を誓うなら入れてやってもいい。」

 

「あ、ああ、有難うございますカズマ!!貴方たちの為に我がめぐみん、全身全霊を以て爆裂でサポートいたしますのでよろしくお願いします!」

 

仕方ないかと言わんばかりの苦悩の溜息を吐き―――、

 

「ああ、よろしく頼むぜ。―――命知らずのアークウィザード?」

 

「―――――はい!」

 

―――カズマはめぐみんをパーティーの一員として認めた。

 

「んじゃ。ギルドに直行しま―――って如何したんだ、アクア?」

 

「ふぇっ?い、いえ!……何でもないわ。」

 

「そ、そうか。そんじゃ早く行こうぜ。俺、腹減ってるし。」

 

「それもそうですね。私もお腹が減っていますし、風呂上りに何か食べません?」

 

「賛成だ。んじゃ、めぐみん加入の祝いとして奢ってやるよ!精々感謝するこった。」

 

「精々感謝しますよ、私を入れてくれたんですし~。」

 

カズマとめぐみんが歩きながら雑談している中、私は足を止めていた。―――無論、転生者(ヒキニート)である佐藤和真について考えていた。

 

「(おかしいわ。あれがスキルではなく体技ですって!?あの殺気は間違いなく神威のようだけど彼曰く、非なるものと……。)」

 

「(転生特典による付与の可能性もあるけど天界規定によりそれは無いだろうし、何より彼は私を特典として選んだ。―――だとしたらあのパッド野郎(エリス)の仕業かしら?でも、その可能性すら皆無よね……。」

 

アクアもカズマの神威(かむい)を受けていたのだ。その為、彼女は現実を受け入れていない。ましてや相手は人間……、神々が有するスキルを人間(・・)が覚えられるものでは無い。―――それを目の前の(サトウカズマ)はどうだ。あの神威レベルの殺気をスキルではなく、体技(・・)として習得している。そうなると最早先天的後天的な問題は無視され、思考は一点に至る。

 

 

 

―――彼は異常である、と。

 

 

 

そう考えた女神アクアは畏怖した。神が人間に抱いてはならない感情を目の前の人間(サトウカズマ)に抱いてしまったのだ。

 

「(おかしいわ。あれがスキルではなく体技ですって!?しかも、あの殺気は間違いなく神威……。)」

 

「(―――本当に何者なのよ、カズマ……。)」

 

「おーいアクアー?モタモタしてると置いていくぞー?」

 

「ああ、ちょっと待ってよカズマさん達ー!」

 

「(―――ま、でも楽しいから警戒しなくてもいっか!それにカズマやめぐみんがいればこの先の苦難だって乗り越えられるだろうしね!)」

 

アクアは考えるのを止め、パタパタとカズマ達のもとに走る。

 

「どうした、らしくないぞアクア。スキル臭女神でも発動してしまったのか?」

 

「ちっがうわよ糞ニート!それで皆ってさ―――、」

 

まるで慈愛に満ちたような夕日の光が仲睦まじい彼らの様子を見守るように照らす。ギルドに入るまで、彼らの笑顔を鮮明に照らし続けたのであった――――。

 

この後、一般人に変態扱いされたカズマが泣いていました。

 

 

 

 

 

【四】※カズマ視点

「あー、仕事が全くない。」

 

そう。俺が巨蛙(ジャイアントトード)を軽く屠っていた事で討伐クエストの一部が減ってしまったのだ。主に俺が殺気ぶっ放したせいだからか。

 

『いっそのこと高難易度の討伐クエストでも行ってみてはどうかね?―――あ、目的地から100㎞離れてるから駄目だったか。』

 

「……バイトでどうにかするっきゃないか。」

 

俺が愚痴ってる中、ドスケベな声が響く。

 

 

 

―――ハァハァ……。募集の紙、見させてもらったぞ…。

 

 

 

……ちょっと待て。懐かしくて嬉しかった俺だがこれは聞いていないぞ!?何で初っ端から喘いでいるんだ!?

 

「あ、あの。少し落ち着いてくだ―――ってイダダダ!!!!」

 

この怪力女、強すぎだろ。俺は思わず声に出してしまった。

 

「こ、こここれが落ち着いていられるか!!何だあの濃密な殺気は!?是非私に向けてやってくr―――。……すまない、取り乱したな。」

 

取り乱しすぎだろ。

 

「人間は皆取り乱すものさ、一々気にしてはならん。―――俺は佐藤和真、しがない命知らずの冒険者さ。君の名は?」

 

「では改めて自己紹介をば。―――私はダクネス……、クルセイダーを生業としている者だ。貴殿のパーティーに入れていただきたいのだが、よろしいだろうか。」

 

「ああ、構わないぞダクネス。それとだ―――、」

 

俺はダクネスに手を差し伸べる。

 

 

 

「お前は俺らと同じ地獄の入り口に立たされた。―――歓迎するぞ、ダクネス。」

 

 

 

―――――地獄の鬼畜トレーニングはもうじきやってくる。

 

 

 

 

 

「き、来た来た来た!た、たまらんぞ!よろしく頼むカズマ!是非私を前衛に出して肉盾として使ってもらっても構わないぞ!?」

 

「…………ねえ、やっぱ追い出してもいい?」

 

『…………私に聞かないでもらいたい。」

 

 

 

 

 

-----------------------------------------------------------

・めぐみん

種族:紅魔

職業:アークプリースト

Strength(力):200

Health(体力):2800

Magic pow(魔力):9500

Dexterity(器用):4500

Agility(敏捷):1000

Luck(運):1500

●爆裂魔法『爆裂(エクスプロージョン)

莫大な魔力を爆発力に変換する事によって巨大な大爆発を起こす。

詠唱「黒より黒く、闇より暗き漆黒に。我が真紅の(混交こんこう)に望みたもう。覚醒の時来たれリ、無謬(むびゅう)の境界に堕ちし理、無行の歪みと成りて現出せよ!踊れ、踊れ、踊れ。我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ!―――爆裂(エクスプロージョン)。」

 

・ダクネス(ダスティネス=フォード=ララティーナ)

種族:ヒューマン

職業:クルセイダー

Strength(力):3500

Health(体力):10500

Magic pow(魔力):1500

Dexterity(器用):5250

Agility(敏捷):3250

Endurance(耐久):19000

masochist(被虐):999999

固有スキル『被虐の女騎士』

女騎士ダクネスが持つ固有スキル。

●被虐体質

精神的及び物理的な攻撃を受ける事により、耐久を倍化。

 

スキル『クルセイダー』

クルセイダーが持つ職業スキル。

●特性『騎士道精神』

①力・体力・俊敏を上昇。

②カリスマの上昇。




最近寝不足で困ります……。
―追記―
所々誤字があったので直しました!誤字、もしくはストーリーの指摘等ありましたらコメントで書いていただけると幸いです。


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第五話 この素晴らしいメンバーに収穫祭を!

こんにちは、貧弱傍観者です!
今回はダクネス加入からスティールイベ、そしてキャベツ襲来の流れになります!
それでは、本編をどうぞ!


【一】※カズマ視点

『昨日は災難だったな、マスター。』

 

「……まあな。」

 

そう、エンドラが述べた災難というのはダクネスについてだ。漸くダクネスが来たと思ったら変態という名のステータスが天元突破していたのだから。これはヤバいと判断したカズマは急遽ダクネスの加入を止め、再検討する事にした。

 

「そもそも専用パラメータまで設けられてるってどういう事だよ!?何だよあの被虐999999って!あれか、俺みたいに強くてニューゲーム化したダクネスとかか!?」

 

カズマはドン!とテーブルを叩く。カズマの目の前のシュワシュワが波をつくる。念話で話している為、傍から見たら不審者だ。

 

『落ち着け、そもそも原因は貴方にあると思うのだが……。』

 

「このトカゲが何を言っているのかよく分からない。」

 

何故原因が俺にあるんだよ、と溜息を吐いて言うカズマはシュワシュワを飲む。プハーっというカズマの声には旨さを表し、同時に今までの苦悩を溜息として表しているようにも聞こえる。

 

『思い返してみろマスター、昨日の事を。あの固有スキルに固有パラメータの増設と理不尽なカンスト。それとダクネスが昨日言っていた事を……。』

 

「昨日言っていた事か。確か殺気がどうたらこうたらと―――――、……あ。」

 

カズマは何かに気付いたのか、シュワシュワが入ったグラスをテーブルに置く。

 

『漸く気がついたかマスター。―――そうだ、ダクネスはアクア達と同じクエスト場所にいたのだと。』

 

「殺気云々って事はあれか…、現場に鉢合わせただろうダクネスが神威に酷似した零声神威(れいせいかむい)の殺気を受けていたからああ言っていたのか。―――悪いエンドラ、全ては俺のせいだった……。すまない、本当にすまない。」

 

『その謝り方は色々な意味を込めて止めたほうがいいぞ……。で、どうするマスター?ダクネスの加入を再検討すると言ってはみたものの、加入しない限りマスターの言う正規ルートとやらが始まらないと思うが。』

 

「そう、問題はダクネスだ。やばすぎだろあのステータス、あれ見て色々な意味で怖がるだろ。入れないと始まらないというのは分かっているが…、あれを見て本来の目的を忘れてしまったわ。」

 

『マスターの心境は概ね理解した。……確かに賢明な判断だ。私もあの現場にいたとするなら同じ判断を下すだろうな。言わば戦略的撤退というものだ。』

 

「その通り。それでなんだが、仮にダクネスが来たら合格の報告を伝えるつもりだ。その後、俺らが決めた方針を説明する。」

 

『了解したマスター。こっちにめぐみんが向かっている所だからこれにて失礼する……。』

 

「分かった。―――その前にやたらクチャクチャ煩いけど何食ってんだよ。」

 

黒竜王(ファブニール)のジャーキーだ。何、どさくさに紛れて前の世界から持ってきたのさ。』

 

「まじかよ……。んじゃあな、また後で。」

 

こうしてエンドラとの念話を終えたカズマであった。

 

「おはようございます。カズマにしては遅い起床でしたが、何かありました?」

 

ふと後ろを振り向いたらめぐみんがいた。

 

「おはようめぐみん。俺は普段から早起きを心がけているんだが、昨日はよほど疲れて遅くまで寝てしまったんだ……。おかげで早朝の鍛錬が出来なかった……。」

 

「そうだったんですか……。ですがカズマが早朝の鍛錬をしているとは知りませんでした。良い心がけですよ。特に冒険者は生と死の間に立つ命がけの仕事…、ですので日々の鍛錬によって生死の運命が変わります。カズマもその日課を怠らず、頑張ってください!」

 

「励ましてくれてありがとな、めぐみん。これからも頑張るよ。……ん?」

 

ワイワイと喧噪している先を見ると―――、

 

『あっはっは!アクア様、百エリス払うのでもう一回お願いします!』

 

『器用じゃねぇ、か命知らずの嬢ちゃん!もっと俺に見せてくれよ!』

 

「どーもどーも……、ってカズマにめぐみん!遅かったじゃない!」

 

―――階段を上ってすぐの所にアクアがいた。

 

「遅くなりましたアクア。所で、何をやっているのでしょうか……?」

 

「ん?ああこれね。これは新しく習得したスキル【花鳥風月】よ!女神に相応しいと思わない?」

 

 

―――ただの宴会芸じゃねぇか、この駄女神。

 

 

 

 

 

【二】※カズマ視点

 

「さて、と……。」

 

――スキルポイントの振り分けを実行…、スキル『初級魔法』の習得完了。

 

 

スキル『初級魔法』

駆け出しが覚える初心者向けの魔法。

●ティンダー

火を生成する。詠唱「ティンダー。」

●クリエイトウォーター

水を生成。詠唱「クリエイトウォーター。」

●クリエイトアース

土を生成。詠唱「クリエイトアース。」

●フリーズ

氷結を起こす。詠唱「フリーズ。」

●ウインドアース

風を起こす。詠唱「ウインドアース。」

 

 

俺はお世話になった初級魔法を習得した。曰くこれは農業向けの魔法らしく、冒険者が使う必要のない魔法との事。そういえばテイマー達のパーティーへお世話になった時、死ぬほど笑ってたけどこの事なのか。……農業に適した魔法でゴブリン共を倒すとか確かに笑えるわ。

 

「なんかワロタ。」

 

「ワロタとはどういった意味なのかは知りませんが、スキルポイントは上級種のスキルを覚える為に必要なものです。なので殆どの人がスキルポイントを溜めています。」

 

「成程ね。後さ、他人のスキルを習得するって可能なのか?仮にだが、めぐみんの爆裂魔法を覚えるとか―――、」

 

 

「―――覚えますよ、カズマ!」

 

 

めぐみのテンションがハイになっている。……すごい嬉しそうだ。

 

「爆裂魔法とは最強にして太古より存在する上級魔法の一種!故に他の魔法がいるのか?ノンノン、そんなのいりませんとも!そんな訳でカズマも是非、爆裂道を歩みましょう!」

 

「ちょっ、おま。顔が近いから離れろ!―――とりあえず落ち着きな、ロリっ娘?」

 

俺がロリっ娘と言った為か、絶望したような表情を浮かべている。

 

「この我が、ロリっ娘…………。」

 

完全に落ち込んでいる。

 

「…………ロリっ娘と呼んで悪かったよ。それに俺だって爆れ―――、」

 

 

「―――また会ったな、カズマ。」

 

 

喋ろうとした時、後ろを見たらダクネスとクリスがいた。

 

 

「昨日は驚いたぞ。途中で、加入を検討すると貴殿が言ったからな。」

 

 

一歩一歩、俺の席へ歩み―――、

 

 

「是非もない、私が痴態を見せてしまった原因もあるしな。」

 

 

―――ダクネスは俺の隣の席に座った。

 

 

「今日はパーティー加入の発表日と約束の時間だ。……佐藤和真よ、貴殿の口から聞きたい。―――私はあなた方のパーティーに値する者だろうか。」

 

 

俺は―――、

 

 

「ああ、君は我がパーティーの一員とする。何しろ、騎士としての在り方も分かっているからな。―――だが、偽名での名乗りは騎士道に背く。本名を名乗れ、ダクネス。」

 

「……私の本名はダスティネス=フォード=ララティーナ。昨日の偽名での名乗りを申し訳ない。だが、今後ともダクネスと呼んでくれ。その……、あまりララティーナやダスティネスで呼ばれるのが嫌なのでな。」

 

「承知した。……以上で合格発表を終わりにする。よろしく頼む、ダクネス。」

 

「ああ。こちらこそよろしく、カズマ。」

 

―――ダスティネス=フォード=ララティーナ改め、ダクネスを正式加入した。

 

 

 

 

 

【三】

 

「ダクネス~、終わったかい?」

 

ダクネスと握手し終わった後に銀髪の女性が来た。

 

「クリスか。ああ、終わったぞ。―――紹介しよう、こちらは佐藤和真。」

 

目の前の女性はクリス。というか正体は盗賊を装った幸運の女神エリス様だがな。彼女曰く、世界に散らばった神器を集める為にクリスという名前で現界しているという。

 

「俺は佐藤和真、カズマでいい。しがない命知らずの冒険者ってやつさ。君の名は?」

 

「初めまして。アタシはクリス。見ての通り職種は盗賊よ。―――よろしくね、カズマ?」

 

知ってます。何せ、あんたの助手やっていましたから。

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

「君は新人の冒険者っぽいけど…、今後の冒険に役立つスキル教えてあげよっか?」

 

「出来れば教えてもらいたい。オススメは?」

 

「んー、例えば盗賊スキル『スティール』なんてどうだい?」

 

スティールとは盗賊スキルで得られる魔法の事だ。敵味方問わず、対象の所有物を魔法を行使して盗める。しかもレベルが上がるにつれて成功率が増す他、盗める所有物が拡張する。まさにファンタジーRPGの中で定番のスキルだ。

 

「おぉいいじゃん。んじゃ、スティール習得します。」

 

懐かしいな、確か俺ってスティール使ってクリスのパンツ剥いだんだっけ―――って、あれ。パンツ剥いだ……?クリスの……?

 

 

 

これは別世界の佐藤和真の記憶―――――、

 

 

 

『よし、何盗られても泣くんじゃねぇぞ!―――スティールッッ!!』

 

『どれどれ、中身は―――、ッッ!?!?』

 

『い……、いやぁぁぁぁぁ―――――!!!!パンツ返してぇぇぇぇぇ―――――ッッッ!!!!』

 

『うっひょぉぉぉぉぉ―――――!!!!大当たりキタコレェェェェェ―――――!!!!』

 

 

 

 

 

 

「(……黒歴史思い出しちゃったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――っっっ!?!?!?!?)」

 

俺はあせっていた。これがまさか確定事項だなんて予想していなかったからだ。

 

「(ど、どうしましょう。おいふざけんなよこれが確定事項なんてきいてないよ!?!?やべえよまた貶されるの?どれだけ貶されなきゃいけないんだよぉぉぉぉぉ――――!?!?!?!?……うん、とりあえずダクネスのおっぱい見て落ち着こう俺。ハイ吸って~、吐いて~。フゥ、やっと落ち着いて―――)」

 

「ハッ!!カ、カズマよ。どうしたその邪な視線は?出来れば辞めてく―――いや、やっぱその双眸で私を見続けてくれ!寧ろお願いします!」

 

「いられるかぁぁぁぁ――――ッッッッ!!!!」

 

「ちょっと君!?大丈夫かい!?」

 

「ああ、大丈夫だ。とりあえず盗賊スキルとやらを教えてくれ。」

 

決めました。俺、公衆の面前でクリスのパンツ剥いでやります。―――上等だ。罵られようが関係ない、絶対に買ってやる。

 

『(いや、普通に断ればいいのに…………。)』

 

この(カズマ)はやらかしてしまった。この選択で痛い目を見る事になってしまったのだと。

 

 

 

 

 

――スキルポイントの振り分けを実行…、スキル『盗賊』の習得完了。

 

 

スキル『盗賊』

●盗賊魔法『スティール』

対象のアイテムを奪う魔法。詠唱「スティール。」

 

 

「サンキュー、クリス!おかげで盗賊スキル覚えられたぜ!」

 

「お、やっとか!それじゃあ受講料は―――。……ねえ、君。アタシと賭け勝負でもしない?」

 

乗ってきたか…、―――おもしれぇ。

 

「お、おい。それはどうかと思うぞ、クリス!」

 

これ以上引き止めるんじゃねえ、ダクネス。これは俺が生き残るためなんだ。

 

『(マスターの言っている事が支離滅裂だな。―――ククク……。どれ、滑稽な姿でも拝んでやるとしよう。)』

 

エンドラが愉悦そうに精神領域から眺めている。

 

「―――いいぜ、その取り引き。受けて立とう。」

 

俺の、短くて長い大勝負が始まろうとする―――。

 

「カズマ……。」

 

「私の腰に掛けているのは魔法短剣(マジックダガー)、四十万は下らない代物だね。……そしてこの中にあるのは君の受講料1000エリスと―――、残念賞の石ころさ。」

 

「クックック、燃えてきた。……行くぜ!―――スティールッッッッ!!!!!!!!」

 

俺はスティールを発動した。

 

「この感触―――、当たりである魔法短剣(マジックダガー)の感触や石ころ、そして1000エリスですらない!これは当たりだな!!!!あっぱれ、俺の大勝利ってわけだ!」

 

そう、彼が手にしたものは、確かに当たりである魔法短剣(マジックダガー)や石ころ、そして1000エリスですらない―――――、

 

 

 

―――――引いてはいけない何か(クリスのパッド)を引いてしまった。

 

 

 

「(―――おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?明らか別の意味でやばいもん当てちまったぁぁぁぁぁ―――――ッッッッ!?!?!?!?)」

 

『おい何やってんだ馬鹿マスター!?早く時止めて戻して来い!!あいつ怒らせたらまじでやばいって!!』

 

「(覚えてねえよ!?てか過去は覚えてたけど魂の干渉が来ない限り覚えられないんだよ!!!!)」

 

俺は恐る恐るクリスの表情を伺う。それはもう―――、

 

 

「―――キミ……、裏に行こう、ね?」

 

 

―――お怒りでした。

 

 

 

 

 

\(^o^)/※只今殴られています。ちょっとだけ待っててね♪※\(^o^)/

 

 

 

 

 

「カ、カズマ…?どうしたのよ、そのでかいタンコブに顔の傷……。」

 

「…………カズマ、お家、帰りたい。」

 

『ぶふぉっwww』

 

「クリスの容赦無き一撃…!くっそカズマ…、羨ましいぞおおおおお!!!!」」

 

「アハハ……。今考えたら私も悪いかもね。ごめんねカズマ。ほら、この受講料も返してあげるからさ。―――それとダクネス、変な事、考えてないよね?」

 

「考えてない。」

 

「考えてたでしょ!」

 

「考えてない。」

 

俺の傷を見て羨ましいとか思っているであろう、ダクネスが頬を赤くして喘いでいた。この変態女、まじで自重しろ…。しかしまさかクリスのパッドを引き当てるなんて思わなかった…。そういえばザニスの野郎、あれだけパッドパッド言ってたけど殺されていないのが不思議だわ…。

 

「とりあえずスティール習得してよかったわ、改めて感謝する。」

 

「ううん、いいよいいよ!とりあえず駆け出し冒険者にとっては役に立ちそうなスキルだし、大切に使ってね?」

 

「おお、カズマ!スティール習得したんですか!是非やってみてくださいよ!」

 

「おう、分かったよ。そんじゃ行くぜ―――、スティール!!」

 

杖に狙いを定めてスティールを発動した。

 

「え。―――っっっ……!」

 

めぐみんが頬を赤くする。俺が手にしたのは杖ではなく―――、

 

「何ですか、レベルとステータスが上がったからって冒険者から変態にジョブチェンジしたんですか?あの。スースーするんで、返してください……。」

 

パンツだった。

 

「…………ごめんなさい。」

 

これを気に、いざという時以外に使わなくなった俺であった。そしてしばらくして―――、

 

 

『緊急クエスト!緊急クエスト!冒険者各員は至急正門前に待機をお願いします!―――繰り返します!冒険者各員は至急、正門前に待機をお願いします!』

 

 

―――突然鐘の音と緊急の放送が流れ、住民の慌てた声がアクセルの街全体に響き渡る。そうして冒険者が駆け足で正門へ走っていく。

 

そして、ここは正門前。沢山の冒険者が、その先を見て待機している。楽しみにしている冒険者だっていれば、怖がる冒険者だっている。一体何が始まるのか。

 

「あー。そういやカズマには言ってなかったけど……、今から始まるのは収穫祭よ。意味が分からないと思うけれど、ここのキャベツは飛ぶのよ。」

 

そう、これから始まるのは収穫祭。つまりは緊急の採集クエストだ。この時期になるとキャベツが押し寄せてくるのだが、この世界のキャベツは何故か飛ぶのだ。俺もキャベツが飛ぶだの聞いて馬鹿みたいに甲高い声あげてたっけ。…てか異世界転生でキャベツに意思が持つという事例、アニメやラノベですら無いぞ。何でもかんでも異世界だからって赦されると思うなよ。

 

「この世界のキャベツはね……、果てまで飛び続けて何も無い所で死んでいくのよ。まるで、食われてたまるもんかという意志を持ってね。だから目的を果たすが為に進化し、飛ぶ力を得たのよ。……てか、これには私も最初は驚いたわね。」

 

だろうな。そもそも発想自体が斬新だわ。アクアと雑談していると、正門の東方向に緑の大群のようなものがまるで川のように押し寄せている。

 

「って、雑談もここまでだわ。―――来るわよ、キャベツの群れが。」

 

「ああ……、そうだな。」

 

キャベツの大群が視界に映った時、あの人が指揮を執る―――、

 

 

 

―――おい冒険者共、嵐が来るぞ。本当に準備は済ませているのか?

 

 

 

「「「「「「「「「「応!」」」」」」」」」」

 

 

 

―――馬鹿が。声に覇気が無え、本当に準備は済ませているのか?

 

 

 

「「「「「「「「「「応!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

「それじゃあ命知らずの馬鹿共―――。いざ、反撃の狼煙を上げろぉぉぉぉぉ―――――ッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――っっっっっ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

―――兄貴が扇情を煽り立てた時、冒険者たちが一丸となってキャベツの大群目がけて走っていく。

 

 

 

 

 

緊急採集クエスト『(きた)る緑の運河、始まるは豊穣の収穫祭』

クエスト内容『キャベツの群れの捕獲』

 

 

 

 

「よっしゃぁぁぁぁぁ!キャベツの群れよ!捕まえまくって大金にしてやるんだから!」

 

アクアはキャベツの群れ目がけて走っていく。

 

「カズマ。お前には見せてはいないが、私のクルセイダーの力を見せてやろう。とくとその目で見ているがいい!」

 

ダクネスもキャベツの群れ目がけて走っていく。

 

俺はアイツらと違って突っ走っていかず、キャベツの群れを地道にスティールで捕まえていることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【四】※第三者視点

 

キャベツの群れが散らばって辺りを飛び跳ねる中、頑張って収穫する冒険者たちがいた。

 

「オラァ―――ッ!!」

 

銀と白の中間色の髪色をした青年の名はダスト。チンピラの冒険者である。

 

「おい、そっちの収穫量はどうだ!キース!」

 

長髪の青年はキャベツの羽目がけて撃ち、真下の檻へ落とす。そしてダストの方を向く。

 

「まずまずって所だ。そもそも俺、アーチャーなんだし?地道に撃って捕獲するっきゃねぇさ。」

 

片目を黒髪で覆う長髪の青年の名はキース。アーチャーの名人だ。

 

「冗談だろ?おいおい、もうちょっと真面目に―――って、痛ッッ!?」

 

ダストがキャベツに背中を攻撃された時、対象のキャベツと周囲のキャベツはバラバラになった。

 

「分裂射出―――。あ、やっべ。キャベツ微塵切りにしちゃったよ。うっひゃっひゃ!俺上手い事言っちゃった!」

 

「おいキース、何やってんだよ!?てか上手くもねぇし!?」

 

「貴方たちは喋ってないでとっととキャベツ捕まえにいきなさい!ほら、うちらのリーダーであるテイラーを見習いなさいよ!―――(ファイア)!!」

 

ポニーテールの緑色の服の女性はリーン。中級魔法を得意とするウィザード。

 

「―――三連斬!……リーン、こいつらに何か言おうが無駄だ。何せ楽観的な性格だからな。…フッ!」

 

鎧の男の名はテイラー。連続の斬撃技を得意とするソードマンだ。

 

「おい、誰が楽観的だ!―――おいキース、フルスロットルで行くぞ!帰ったらサキュパスの店に行ったらぁ!」

 

「仕方ないねぇ、紅一点のお姫様を守る為に―――、派手にやるぜ?」

 

尻軽男はリーンの為に体を張りに行ったのであった。そしてその頃―――、

 

 

 

「い、いやぁぁぁぁぁ!火球(ファイアボール)

 

火球がキャベツを撃ち、燃やした。たわわな双丘の彼女の名はゆんゆん、中級魔法から上級魔法を扱う紅魔族の少女である。現在、キャベツに圧倒されている。その為、彼女の身体には所々痣が出来ている。

 

剣の光(ライトオブセイバー)!!」

 

この魔法も中級魔法に分類するもの。対象を光のエネルギーブレイドで切り裂く光属性の魔法だ。だがしかし―――、

 

「―――魔力切れ!?や、やばいやばいやばいやばい!キャベツに殺されるなんて惨めすぎるよ!?」

 

数匹のキャベツがゆんゆん目がけて襲ってきた。

 

「ああ―――、私は死ぬのね。一度だけでいいから、めぐみんに勝ちたかったな……。」

 

ゆんゆんが死を決意したその時―――、

 

 

 

「―――集中(デコイ)。」

 

 

 

ダクネスがゆんゆんを守った。

 

「…………ふぇ?」

 

「私の名はダクネス。―――大丈夫か、名を知らぬ少女よ。」

 

「助けていただいて有難うございます!わわわ…我が…名……は…、」

 

ゆんゆんはこの現状でもぼっちの弊害を受けていた。彼女が頑張って自己紹介をしようとした時、キャベツが襲い掛かる。

 

「―――危ない!」

 

ダクネスが新スキルを発動した為か、全てのキャベツがダクネスに襲い掛かる。

 

「ダクネスさん!?」

 

「ダクネス!!!」

 

ゆんゆんとカズマが同時に声を荒げる。キャベツの群れがダクネスを襲い、鎧が砕け始め、終いには摩擦で所々服が破れ始める。

 

「(―――汚れた男共が私を見ている……。ああ、最ッ高だ!!どんどん私を見てくれ!この私の無様さを!)」

 

「ダクネス!?大丈夫か―――って……、あぁ、なるほど。」

 

カズマは心配する声すら無くなった。何せ、彼女は根っからのマゾヒストだからだ。彼女の頬を見て察したのだろう。そして、周囲の冒険者は―――、

 

 

『おお、なんたる勇姿だ……。あれこそが騎士の鏡、素晴らしい!』

 

『俺もまだまだか……、クルセイダーの一人として彼女を見習わなければな……。』

 

―――彼女を憧れのような眼差しで見る。無論、ダクネスが考えている事とは全く違う。

 

「(すっごい勘違い!?違いますから!彼女、根っからのドMですから!)」

 

彼がそう思っていた時、爆裂娘の声が聞こえる。

 

 

 

 

 

「―――爆裂(エクスプロージョン)!!」

 

 

 

 

 

ダクネスが爆裂魔法の火柱に飲み込まれ、最高峰の絶頂の声を出していた。そして―――、キャベツの群れの殲滅を完了。

 

 

 

 

 

緊急採集クエスト【(きた)る緑の運河、始まるは豊穣の収穫祭】

クエスト内容【キャベツの群れの捕獲】

【目標達成!】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【四】※カズマ視点

 

「皆、今回の収穫祭お疲れさま!それじゃ、収穫祭後の記念として祝いましょう―――、」

 

 

 

「「「「かんぱーい!!!!」」」」

 

 

 

俺らはシュワシュワを飲みながらキャベツ料理をたらふく食べる。

 

「しっかし皆、良い活躍だったわ!特にダクネス!貴女はか弱い少女を守る為に体を張った、立派な騎士のようだったわ!」

 

アクアはダクネスを指さしてそう言う。人に指さすんじゃありません。

 

「そ、そう言われると照れるな。有難うアクア。お前の方こそ、水の温度調整でキャベツの新鮮さを保っていたではないか。それこそ凄い活躍だ。」

 

そう、こいつは宴会芸スキルの花鳥風月で水の温度調節を行っていたのだ。それと収穫祭終了後に冒険者のもとへ行って水を配りまわっていたとか。……いっその事、女神辞めたらいいとは言わない。

 

「それにカズマも凄い活躍だったわ!気配を殺してスティールを使い、暗殺者の如くキャベツを大量に捕獲していたわ!まさにキャベツ泥棒ね!」

 

「嬉しくねえ称号をどうも。」

 

アハハハと皆は笑う。……こいつらは手にかかる問題児だが、案外楽しいのかもな。

 

「カズマ……。」

 

「ん、何だ?」

 

ダクネスが俺を見る。

 

「改めて自己紹介だ。私の名はダスティネス=フォード=ララティーナという。本名で呼ばれるのはあまり好きじゃないので、ダクネスと呼んでくれ。―――よろしく頼む、佐藤和真(さとうかずま)。」

 

「俺は佐藤和真(さとうかずま)、命知らずの冒険者さ。ダスティネス=フォード=ララティーナ改めダクネスをパーティーの一員として認める。―――こちらこそよろしくな、ダクネス。」

 

「ああ、よろしく。それと……、もう一人団員希望者を連れてきた。」

 

俺は訝しむ。どうやら違う分岐点を辿ってしまったらしいが、それでもいいか。

 

「分かった、連れてまいれ。」

 

「了解。―――おーい!来ても構わないぞ!」

 

少女の姿が見えた時、めぐみんはナイフとフォークを持つ両手を静止させた。

 

「ああ、ああ、あのう。ああああなたがカズマさんでお間違いないででしょうううか?」

 

声を強張らせて少女は尋ねてくる。

 

「とりあえず落ち着いて。―――ああ、俺こそ佐藤和真(さとうかずま)だ。君の名は?」

 

「ああ、あのう。わ、我が名は、……我が名はゆんゆん!紅魔族随一の長となるもの!」

 

フフ……。

 

「あ、そうですよね……。やっぱ紅魔族の挨拶って変ですよ、ね。」

 

彼女が長となりし者なら、手本に俺もカリスマ発揮するか―――。

 

 

 

―――スキル【騎士道】発動。

 

 

 

「―――大義であった、ゆんゆん。いや、紅魔の未来の長よ。」

 

「ど、どうしたのカズマ?何か凄い大人びてるというか……。」

 

「あ、あの…カズマさん……?」

 

「……ふんっ。」

 

周りが困惑している中、俺は続ける。

 

 

 

「―――我が名は佐藤和真(さとうかずま)、人類果ての王となりしもの。ゆんゆんよ、顔を上げるがよい。」

 

 

「―――……!」

 

「長は日輪となりて人々を護るなら、時に月輪となりて敵を鎮めよう。これは我が最適解であり、己を貫き得た果ての答えに過ぎぬ。故に答えは一点に限らない。答えは無限に在ろう。―――問おう、未来の長よ。汝にとって長とは何ぞ。」

 

「……長とは日輪の如く皆を笑わせ、導き、より良い平和を与えんが為に常に先頭を立つ者。……私は常に孤独故、対人に恐怖し、日輪を得られない状況にあります。……貴方様のメンバーに入って、日輪を知り、手に入れて皆を守れる紅魔の長となりたいのです!―――佐藤和真様!無礼を承知の上でお願いします…!是非、この私を貴方様のパーティーに入れさせてください!」

 

「その前にこれだけは言っておこう……。ゆんゆん、お前は弱者だ。そして、此処にいる我が同胞も弱者だ。だが弱者である故、強者に座する…。今は知らずともよい、いずれ理解できるのだから。―――日輪を追い求めし紅魔の娘ゆんゆんよ、お前の加入を正式に認めよう。」

 

「―――有難うございます!!!!」

 

めぐみんは不機嫌そうに、冷たい声でゆんゆんに問う。

 

「……ほんっと目障りですね、ゆんゆんったら。」

 

「んなっ!?めぐみん、あなた…。このパーティーだったの!?!?」

 

「いちいちうるさいです―――。ですが、先ほどのあなたの真意、素晴らしいものでしたよ。」

 

めぐみんは先ほどのゆんゆんの決意の言葉を聞いてか、笑みを浮かべる。

 

「……めぐみん。」

 

「あーもう!そんな辛気臭い顔は止めてください!これからもよろしく頼みますね、ゆんゆん?」

 

「―――――う、うん!これからもパーティーとしてよろしくね、めぐみん!そしてカズマさんもよろしくお願いします!」

 

「それじゃあ此方の番ね!私の名はアクア、アークプリーストよ!」

 

「ほう―――、お前は女神を名乗らんのか?」

 

「うっさいわヒキニート!どうせ笑われるんだからもう学習済みよ!―――とりあえずこれからもよろしくね、ゆんゆん。」

 

「はい、アクアさん!よろしくお願いします!」

 

「それじゃあ全員聞け!総員、シュワシュワを持て!この素晴らしいパーティーに祝福の乾杯だ!―――せーの…、」

 

 

 

 

 

「「「「「乾杯!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ステータスの更新を実行。更新完了。

 

――ステータスの表記を更新。

 

――スキル『初級魔法』の習得を確認、更新完了。

 

――スキル『盗賊』の習得を確認、更新完了。

 

 

 

・1件の同時死亡を確認、魂の干渉を開始。

 

干渉終了。

 

――平行世界にて金銭の殲滅を確認。固有スキル『金銭の復讐者(アヴェンジャーオブマネー)』を確認後、習得。

 

――固有スキル『金銭の復讐者(アヴェンジャーオブマネー)』に派生を追加。浪漫魔法『元凶は償え(ホームランバット)』の習得に成功。

 

 

・正規ルートから外れ、分岐点の突入を確認。

 

――ゆんゆんが仲間として加入。

 

――クリスのスティール対象がパンツではなく、パッドであると判明。

 

 

・1件のエラーを確認。

 

――廃城に『炎竜王(ヴォルルケーノ)』の存在を確認。未だ動かず。

 

 

・2件の危険分子を確認。

 

――危険分子『首無し騎士(ベルディア)』の強化を確認。早急の討伐を推奨。

 

――危険分子『UNKNOWN』の正体が不明、引き続き解析を続行。

 

これにて終了します。

 

 

 

 

 

 

 

 

【おまけ】

・佐藤 和真(さとう かずま)

種族:ヒューマン

職業:冒険者

Strength(力):777777

Health(体力):777777

Magic pow(魔力):777777

Dexterity(器用):888888

Agility(敏捷):888888

Luck(運):999999

Intuition(直感):666666

 

固有スキル『最果ての鬼畜外道王(サトウカズマ)

果ての平行世界に存在するカズマの固有スキル。同時干渉後、対象の全情報を収束後、取得。

今は無き祝福の辿弓(エリスケレイティア)

女神エリスによって創られた神の弓。射られた者を清め、敵とみなした者を慈悲を以て裁いてしまうという。

詠唱「行く手阻みし二重、同胞の難。願わくば過ぎし慈愛の言、されど糧となりて今は無き。最早抱きし言の発し一点に在りと。汝噛み合わぬとも、最果ての祝福を返さん。―――今は無き祝福の辿弓(エリスケレイティア)。」

紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)

紅魔の鍛冶職人が造ったとされる伝説の聖剣。詠唱する事で聖剣チュンチュンが光を放ち、赤と白黒の爆撃と化して薙ぎ払う。

詠唱「紅魔は赤く、王は白黒と。数多の我が爆導に畏怖せよ。―――爆ぜ斬れ、紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)。」

最果て・今も変わらぬ不動の心理(リモーテスト・アクセルプリズン)

最果ての人類王カズマのみ赦された固有結界。とある屋敷の中を固有結界として展開し、自身の魔力を極限に高める他、無限のオリジナル魔法の投影が可能。

詠唱「最果て・今も変わらぬ不動の心理(リモーテスト・アクセルプリズン)。」

天地滅す邪道の神鎗(ボルグ・ウォルバク)

??????????????????????????

 

固有スキル『金銭の復讐者(アヴェンジャーオブマネー)

莫大な借金の額に呆れ、金銭に復讐を抱いてしまった佐藤和真の固有スキル。

借金の事を考える事で狂化し、目的の討伐対象を見つけると以下の魔法が解放される。

元凶は償え(ホームランバット)

借金の元凶者を武器として使用し、討伐対象を彼方へ吹っ飛ばす。

詠唱「元凶は償え(ホームランバット)。」

 

 

スキル『初級魔法』

駆け出しが覚える初心者向けの魔法。

●ティンダー

火を生成する。詠唱「ティンダー。」

●クリエイトウォーター

水を生成。詠唱「クリエイトウォーター。」

●クリエイトアース

土を生成。詠唱「クリエイトアース。」

●フリーズ

氷結を起こす。詠唱「フリーズ。」

●ウインドアース

風を起こす。詠唱「ウインドアース。」

 

スキル『盗賊』

●盗賊魔法『スティール』

対象のアイテムを奪う魔法。詠唱「スティール。」

 

スキル『古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)

冒険者を極めて仲間と共に古代竜を撃破したIF世界の佐藤和真のスキル。

スキル名を詠唱後、古代竜(エンシェントドラゴン)を召喚する。

召喚対象→①エンドラ(Lv9999)

詠唱「鬼の威に惚れ、我が腕となりし竜よ。再び我が意に答えよ。―――古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)。」

 

スキル『騎士王』

騎士団に入り、騎士王となって聖都を築き上げたIF世界の佐藤和真のスキル。

感情変動で発動。ステータス欄に直感を追加。

①圧倒的なカリスマ、騎士道、威圧を放ち、味方の扇情を煽り立てる。

②直感力が極限に高まる。

 

スキル『蹂躙鉄拳(ジャスティス)

格闘を極めて魔王軍を蹂躙したIF世界の佐藤和真のスキル。疲労を代償として発動。

力を極限に高め、相手を一撃で粉砕。

詠唱「蹂躙鉄拳(ジャスティス)。」

 

スキル『雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)

■ぐ■■と結婚後、爆裂導を極めた二人が生涯に残したIF世界の■ぐ■■と佐藤和真のスキル。

爆発の火柱の周囲に雷電が発生。

詠唱「爆裂に至れり。我が魂は爆ぜ、雷電の如く煌かん。我が結晶よ、爆裂の果てを語れ。

―――雷電爆発(エクスプロージョン・ケラウノス)。」

 

 

・アクア

種族:女神

職業:アークプリースト

Strength(力):1400

Health(体力):1600

Magic pow(魔力):3400

Dexterity(器用):2000

Agility(敏捷):2000

Luck(運):10

intelligence(知性):10

固有スキル『水女神』

女神アクアが持つ固有スキル。

●プリフィケーション

浄化魔法。水中の不純物や毒などを消す

●リザレクション

致命傷からの蘇生。ひどく負傷した肉体の修復。

 

職業スキル『アークプリースト』

アークプリーストだけが持つ固有の職業スキル。回復魔法や支援魔法など様々。

●セイクリッド・ブレイクスペル

魔法障壁や呪いなどを無力化する。

●ターンアンデッド

アンデッドを成仏させる。

●セイクリッド・エクソシズム

邪悪なものに有効な白い炎を繰り出す退魔の魔法。 人間には全く効果はない。

●セイクリッド・ターンアンデット

魔法陣から光の柱を噴出させてアンデットを浄化させる魔法。

●セイクリッド・クリエイトウォーター

人間を押し流す程の洪水クラスの水を発生させることが出来る魔法。

●セイクリッド・ハイネス・エクソシズム

セイクリッド・エクソシズムの上位互換。

 

 

・めぐみん

種族:紅魔

職業:アークプリースト

Strength(力):200

Health(体力):2800

Magic pow(魔力):9500

Dexterity(器用):4500

Agility(敏捷):1000

Luck(運):1500

●爆裂魔法『爆裂』

莫大な魔力を爆発力に変換する事によって巨大な大爆発を起こす。

詠唱「黒より黒く、闇より暗き漆黒に。我が真紅の混交に望みたもう。覚醒の時来たれリ、無謬の境界に堕ちし理、無行の歪みと成りて現出せよ。踊れ、踊れ、踊れ。我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰燼に帰し、深淵より来たれ。―――爆裂(エクスプロージョン)。」

 

 

・ダクネス(ダスティネス=フォード=ララティーナ)

種族:ヒューマン

職業:クルセイダー

Strength(力):3500

Health(体力):10500

Magic pow(魔力):1500

Dexterity(器用):5250

Agility(敏捷):3250

Endurance(耐久):19000

masochist(被虐):999999

固有スキル『被虐の女騎士』

女騎士ダクネスが持つ固有スキル。

●被虐体質

精神的及び物理的な攻撃を受ける事により、耐久を倍化。

 

スキル『クルセイダー』

クルセイダーが持つ職業スキル。

●特性『騎士道精神』

①力・体力・俊敏を上昇。

②カリスマの上昇。

●魔法『集中(デコイ)

一定時間、ヘイトを集める。

 

 

・ゆんゆん

種族:紅魔

職業:アークウィザード

Strength(力):100

Health(体力):4900

Magic pow(魔力):9999

Dexterity(器用):200

Agility(敏捷):2000

Endurance(耐久):5000

スキル『火炎魔法』

火球(ファイアボール)

炎の玉をつくり、放つ。詠唱「火球(ファイアボール)。」

 

スキル『雷電魔法』

雷弓(ボルト・アーチ)

雷の弓を造形し、雷電の弓矢を射る。詠唱「雷電造形、弓矢投影―――、雷弓(ボルト・アーチ)。」

 

スキル『聖魔法』

剣の光(ライトオブセイバー)

光属性のエネルギー剣を造形し、斬撃。詠唱「剣の光(ライトオブセイバー)

 

 

 

 

 




荒くれ者さんの本名ってポチョムキン4世なんですね…、初めて知りました。


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第六話 この荒々しい双獣に竜の業火を!

こんにちは!最近忙しい為、更新頻度が遅くなってしまいます。楽しみに待っていた方にはご迷惑をかけてしまい申し訳ございません…。更新頻度が遅れる代わりに皆さんに喜ばれるようなこのすばを書いていきたいと思います!これからも宜しくお願いします!
お待たせいたしました!ウィズ登場から湖浄化の流れでいきたいのですが、エンドラを早く登場させたいと思いましたので、今回はマンティコアとグリフォン捕獲のオリジナル編でいきたいと思います!(※宝島、カズマとダストの入れ替えは閑話で連載します。)
それでは、本編をどうぞ!


【零】※第三者視点

 

―――ここはとある火山の頂。とある竜一体に立ち向かう勇者達の姿が映る。

 

「ゴァァァァァ――――――――――ッッッッ!!!!」

 

巨竜の咆哮が凄まじく響き渡り、辺りの溶岩がその咆哮に応じるかの如く燃え上がる。

 

「あれが最古より姿を変えぬ太古の最強種、伝説の古代竜(エンシェントドラゴン)……!!」

 

緑色の少女戦士クレメアがその姿を見て微かに戦慄を覚える。

 

「怖いけど……、やるしか無いよね。」

 

桃髪の盗賊少女フィオは圧倒的な威圧感に怯えるも、勇気を出して巨竜の双眸を睨む。

 

「―――我が名は古代竜(エンシェントドラゴン)。我が神聖なる地に何用ぞ、人間ども。」

 

「お前の首を刈り取るまでだ、古代竜(エンシェントドラゴン)。野放しにすれば周囲の街に被害が及ぶので、お前を討たせてもらう!!」

 

「ほう…、人間如きがこの我を愚弄するか。いいだろう、我が灼熱は魂までも裂く。―――我が太古の業火が貴様らの魂を焼き尽くさんと知れ!!」

 

「「来るわよ、キョウヤ!!」」

 

「ああ―――、行くぞ。クレメア!フィオ!」

 

「グォォォォォォォォォォ――――――――――ッッッッッ!!!!」

 

古代竜(エンシェントドラゴン)の咆哮が開始の合図となり、勇者達と古代竜(エンシェントドラゴン)の戦いが始まった―――。

 

 

 

 

 

【一】※カズマ視点

 

「リッチー?」

 

「一応カズマには伝えておいた方がいいので言っておきます。クエスト場所である墓場にリッチーの姿が見られるそうなので、しっかりと装備を整えて向かった方が無難だと思いますよ。」

 

今回俺らが受注したクエストはゾンビメーカーの討伐だ。めぐみんが説明した通り、最近になってクエスト場所の墓場にリッチーの目撃情報が多発しているという。

 

「あ、あの、カズマさん?ゾンビメーカーは周囲の屍をゾンビ化させる力を持っているので、集団で襲ってきます。それにリッチーに見つかったら堪ったものではありませんので、両方弱点の聖属性装備を推奨しますよ?」

 

ゆんゆんはモンスター等の性質やら生体やら熟知している為、戦力的にとてもありがたい存在だ。

 

「アンデット種のモンスターなら私に任せて!何故なら浄化魔法や回復魔法を持っているから、全てアンデットに効果抜群よ!」

 

「なるほど、それなら殲滅は私にお任せください!我が爆裂魔法でゾンビメーカーの傀儡を葬ってみせましょう!」

 

「めぐみん。一掃してくれるのはありがたいけど、衝動で無駄に撃たないでよね……。」

 

「あ、あなたって人は本当にうるさいですね!本当無駄なおっぱいも生えてて虫唾が走りますわ!この、この!」

 

めぐみんがゆんゆんの胸目がけてビンタする。

 

「あーそこまでだ。…めぐみんの爆裂魔法は一度きり。正直言うとメインとして扱ってはならないな。」

 

「………むぅ。」

 

めぐみんが落ち込んでいる。

 

「おいカズマ。お前、流石に言いすぎだ。少しは控えろ。」

 

「喋っている途中に割り込むな、ド変態め。」

 

「んぐっ……!!た、堪らんぞ!」

 

「それでだ、めぐみんにはこのマナタイトを持ってボス戦時に不意打ちとして爆裂魔法を撃ってもらう。そしてダクネスは集中(デコイ)でアンデット共を引きつけ、アクアは回復魔法などで浄化を。ゆんゆんは主に他の皆のサポートだ。ゾンビメーカーやリッチー戦まで出来る限り魔力の温存を頼む。―――って、お前等。どうしたそんな顔して……。」

 

何故だか分からないが、ゆんゆんを除いた三人が驚いた表情を浮かべている。

 

「……驚いたわ。だってあのカズマが、あのヒキニートで鬼畜外道で童貞なカズマが私たちにしているのよ!?凄いわ!?」

 

なるほど、俺がろくに指揮を執っていないとこうなってしまうのか。

 

「おい誰がヒキニートで鬼畜外道で童貞だ、糞ビッチ。俺だってこういった作戦位は考えられるっての…。―――とりあえず皆、この作戦でいいな?」

 

「良い男になったわねカズマ!女神たるこの私の力、とくと見せてやるわ!」

 

「承りました。我が爆裂でアンデット共を灰燼にしてやりましょう!」

 

「良い作戦だ、カズマ。その作戦に乗ったぞ!」

 

「素晴らしい作戦ですカズマさん。私も立派な長になるべく、皆さんをサポートします!」

 

「それじゃ行くぞ―――、」

 

 

 

「「「「「オォォォォ!!!!!!」」」」」

 

 

 

―――こうして、俺らはゾンビメーカーの討伐へ向かうのであった。

 

 

 

クエスト名【墓場の屍】

内容【ゾンビメーカー1体の討伐】

 

 

 

 

 

 

 

「ヒール!ヒール!ヒール!」

 

俺たちは今、墓場へと続く森の中にいる。ゾンビメーカーによる能力のせいか、ゾンビが大量に湧き出る。

 

「ハァ…ハァ…、どんだけ湧き出りゃ気が済むわけ!?」

 

凄い数で出現する為か、アクアの魔力とスタミナが持たない。

 

「おい、大丈夫かアクア。少しは休んでもいいんだぞ?……そして私はゾンビ共に鎧を剥がせられて―――。」

 

ああ何とたまらない。と、興奮して一人喋るダクネス。

 

「……(ゆんゆんがダクネスの変態さに呆然としている)」

 

「この変態は相変わらずだな…。ほら、スタミナ回復用のポーションだ。」

 

「ひぇ!?あ……、有難う。フ、フン!ヒキニートのくせに生意気ね…!」

 

アクアは頬を赤くしながら俺に文句言う。ツンデレ頂きました。(暗黒微笑)

 

「カズマ…?何笑ってるんですか。怖すぎます…。」

 

「……うっせえ。」

 

めぐみんにそう言われ、俺は少し落ち込んだ。

 

 

 

 

 

【二】

 

「此処が墓場か―――、ってウジャウジャ沸き過ぎだろ!?」

 

余りの沸き加減に思わず吃驚する。

 

「まあいい―――。やれ、めぐみん。」

 

「分かりました―――、爆裂(エクスプロージョン)!!」

 

巨大な魔法陣が生成し、その中から巨大な爆発が生じた。そのお蔭で周囲のゾンビ一掃に成功したのだ。

 

「燃え尽きろ、紅蓮の中で―――って、あれ?疲れてない……。」

 

「はぁ…、本当にめぐみんったら……。あんたにマナタイト持たせたのってご存知?マナタイトの作用で魔力消費が緩和されたのよ。」

 

「うぐっ……!そ、それ位知っていますよ。それに―――、」

 

「―――喧嘩はそこまでにしておけ、来るぞ……。」

 

ゴクリと皆が唾を飲み込む。そして、ガサガサと大きく草原を払う音が聞こえ、行動に出た。

 

「アクア!前衛に出ろ!十一時の方角に浄化魔法の展開を頼む!」

 

「了解よ、カズマ!!―――セイクリッド・ターンアンデット!!」

 

 

 

「キャァァァァ!!!!」

 

 

 

「「「「…………はっ?」」」」

 

アクアが撃った十一時の方角から女性の悲鳴が聞こえる。

 

「あんたが噂のリッチーね!?上等よ、消してやるわ!!」

 

「や、やめやめ、やめて下さい!誰なの!?誰なんですか!?いきなり現れて、なんで私の魔法陣を壊そうとするの!?やめてください!これでは魂を天に還す事が出来ませんよ!?」

 

「(なっ……、ウィズ!?!?)」

 

そう、目の前の女性の名はウィズ。ジッポを売ってもらったり、珍しい魔法を教えて貰ったりなどと平行世界ではよくお世話になっていた。あとはご覧の通り―――、

 

「黙りなさいアンデッド!どうせこの妖しげな魔法陣でロクでもない事企んでるんでしょ!?何よこのデカ乳!このデカ乳!!!!」

 

「違います!違いますから!?デカ乳ですみません!栄養が無駄に胸に行ってしまってすみません!」

 

―――ウィズはアクアから嫌悪されていて、この様に弄られまくっている。平行世界のウィズはバニルの目からビームを喰らわせられたり等と散々な目にあっており、根っからのドジっ娘という萌え属性付き。

 

魔法陣を消そうとするアクアの腰にしがみつくリッチーの姿が映る。その取り巻きであるアンデッド達は、その二人をボーっと眺めている。

 

「カズマ…。あのリッチーらしき女は、どう見ても怪しい者ではない。アクアの手を止めてやってくれないか?」

 

「カズマ、頼みましたよ。」

 

「はいはい。―――ほら、嫌がってるから止めとけ。」

 

カズマはアクアの肩をトントンと叩く。案の定アクアはリッチーへの攻撃を止めず、手段も荒々しくなっていた。

 

「カズマ、駄目よ!リッチーは女神を穢す存在なのよ!?絶対に止めてはたまるもんですかっ!!―――ターンアンデット!!」

 

周囲のアンデット達が消失していき、そしてリッチーであるウィズもターンアンデットの浄化魔法を受け、身体が半透明となっていく。リッチーの作った魔法陣の上に集まっていた人魂も、アクアの放った光を浴びて消えていった。正確に言えば召されていったのである。

 

「え、ちょ、まっ―――。か、身体が消えるっ!?止めてぇぇぇ!私の身体が無くなっちゃう!成仏しちゃう!!」

 

「あっはっは!!愚かなるリッチーよ!―――さあ、私の力で欠片も残さず消滅するがいいわ!」

 

カズマは青筋を立て、聖剣の柄でアクアの後頭部を叩く。

 

「おい、話が聞けなくなるから止めろ。」

 

「いったぁぁぁぁ――――!?ちょっと何するのよカズマ!?」

 

「えっと、アクアさん。一応現地の状況収拾をしておかないといけませんので……。暫くはリッチーさんの話を聞いてもらえると助かります……。」

 

「ゆ、ゆんゆんがそう言うなら仕方ないわね……。―――いいわ、リッチー。うちの可愛い可愛い友人がそう言っているんだから特別に見逃してあげるわ。」

 

アクアは浄化魔法を止めると、魔法陣が消えていった。

 

「ゆ、友人……。」

 

ゆんゆんが友人と言われて嬉しそうにする。カズマはゆんゆんに感謝し、ウィズのもとに歩む。

 

「えっと……。俺は佐藤和真(さとうかずま)なんだが、君はリッチーでいいのか?」

 

リッチーはパンパンとスカートを叩き、付いた泥を落とす。

 

「あ、危ない所を助けて頂き、ありがとうございました……!えっと、おっしゃる通り、リッチーです。名をウィズと申します。」

 

ウィズはニコリと笑顔で自己紹介をする。

 

「おい、よろしく頼む。所でだが、何故墓場で成仏とかしていたんだ?リッチーである君がそんな事やる必要無いんじゃないのか?」

 

ウィズはそれを聞いて、落ち込んだ表情で答える。

 

「……私はリッチーであり、アンデットの王と呼ばれているものです。そう呼ばれてる位ですので魂の声など聞こえて当然であり、当然の如くリッチーは成仏など普通はしません。ですが……、私は様々な声を聞きました。―――悲しみ、恨みの声が。」

 

「―――続けてくれ。」

 

「はい……。その中の一人、異質な子の声を聞きました。その子は親に売られ、奴隷としての毎日を送り、主人に好かれる事もなく捨てられ、餓死しました。そしてその子は忌み子らしく、モンスターを寄せる体質をお持ちのようでした。私は意を決し、彼に訊ねました。どうして君は辛い日々を送っていたのに笑顔でいられたのかを。そしたら彼は―――、」

 

 

 

『だって殴られ蹴られるのが奴隷である僕の定めなんだし、嬉しいのも当然だよ。』

 

 

 

「……私は救えなかった。救えなかったからこそ彼は狂ってしまった。彼に非など無い筈なのに。奴隷だから…、奴隷だから何なのですか!?彼は少年ですよ…!?あんな小さい子が、人生を達観しているのですよ…!?そんな事…、あってはいけない事です!!」

 

 

 

「―――言いたい放題に言いやがって。」

 

 

 

凄く冷たいアクアの声が聞こえた。

 

「……アクア?」

 

「どうしましたか、アクア。」

 

「アクア、さん?」

 

周りが驚く。それは全員が初めて聞く冷たい声だったからである。

 

「どうした、アクア。お前らしくも―――」

 

 

 

「―――少し黙りなさい、カズマ。」

 

 

 

アクアの、怒気を孕んだ青の双眸がカズマを睨む。そしてアクアはウィズのもとへ一歩一歩歩む。そして―――、

 

「―――立ちなさい、ウィズ。」

 

「あ、あの……?」

 

「いいから立ちなさい、ホラ!!」

 

アクアが無理矢理ウィズの手を引っ張り、立たせる。

 

「アンタはその子の事、どうしたいの?」

 

ウィズは何かに察知したのか、真面目な顔をして答える。

 

「……私はあの子を救えませんでした。きっと、心の中で諦めながらも私の助けを待っていたのかもしれません。」

 

「あんたの悔やみ事なんて聞きたくないわ。―――私は、あんたの決心が聞きたいのよ。」

 

アクアに怯えるも、必死に言いたい事を述べようとするウィズ。

 

「あの子以上に苦しんでいる子が世界にいるかもしれない……。私は、彷徨える魂を救いたいです……!自分が薄汚いリッチーであろうが、神に刃向かう愚者であろうが!笑顔でありがとうと言えるような、悲しみの魂を救いたい!!」

 

「―――自分が薄汚いって事は重々理解しているのね。……いいわ、大目に見てあげる。」

 

「は、はい……。」

 

「勘違いしないで、リッチー。別にあんたを許していないから……。ただ、チャンスをあげただけよ。子供たちの為に頑張りなさい―――、ウィズ(・・・)。」

 

「―――ッッ!有難うございます!!!!それと、あの……!!」

 

アクアはそう言ってカズマの元へ戻ろうとした時、ウィズが何か言わんとばかりに問う。

 

「今度は何?言っておくけど今の私、バリバリ機嫌悪いの。さっさと言ってくれない?」

 

「あなたの名前を教えてください……!」

 

アクアは仕方ないわねと言いたげな表情を浮かべ、ウィズに返す。

 

 

 

 

 

「私は水の女神アクア―――、しがない命知らずのアークプリーストよ。」

 

 

 

 

 

「アクア、様……。」

 

アクアはカズマの所へ戻ったのであった。

 

「お疲れさまです、アクアさん!」

 

「あ~疲れたわ、ゆんゆん。カズマ、おんぶして運んでくれない?」

 

「何でだよ……。―――だけど仕方ない。今回だけ自称女神さんのリクエストに応えたほうがいいのかもな。」

 

カズマは微笑むようにしてそう返す。

 

「自称女神って何よ!?私は現在進行形で女神やってるし!?」

 

「そうだな……。良い説教だった、アクア!自称とはいえ女神オーラがとめどなく溢れ出ていたな!!」

 

「そうですね、自称女神アクア。」

 

「うわぁぁぁぁん!!皆の馬鹿ぁぁぁぁ――――っっ!!!!」

 

アクアは女神と認めてくれない為か、泣き出してしまった。

 

「じゃあな、ウィズ。俺らはアクセルに戻るから。……頑張れよ!」

 

「……はい!皆さん、お元気で!」

 

そう言い、彼らは帰っていった。

 

 

 

 

 

「あ、あの、皆さん?……その。クエスト、どうなりました?」

 

「「「「あ…………。」」」」

 

 

 

 

 

クエスト名【墓場の屍】

内容【ゾンビメーカー5体の討伐】

クエストリタイア

 

 

 

 

 

 

【三】

 

リッチー騒動から早三日、宝島という緊急クエストが発令される。再びウィズと合流してアクアは衝動的に彼女を消し去ろうとするも、俺のスティールを炸裂して何とか黙らせた。鬼畜外道とか知らん、騒いでいる奴が悪いのだ。ちなみに宝島のクエスト内容は『玄武に付着した鉱石の発掘』だそうだ。めぐみんのお蔭か、俺らは鉱石をガパガパ発掘して大儲けした。そして現在―――、

 

「カズマ、この防具を見てくれ!」

 

恐らく換金依頼が目的であろう酷い混雑のギルド内。俺らは人気の少ない席を占領し、ダクネスが嬉々として自分の鎧を見せ付けてきた。先日の宝島クエストで手に入れた希少鉱石を鍛冶屋に譲り、加工してもらったのだろう。その為、ダクネスの鎧が所々淡い光を帯びている。

 

「……何か成金趣味の貴族が着けてる鎧みたいだな。」

 

「…カズマはどんな時でも容赦無いな。私だって褒められたい時だってあるのだぞ……?」

 

少し落ち込んだ表情でそう喋る。

 

「今はお前より酷いのがいるから、構ってやれる余裕はないぞ。……主にそこの爆裂娘がな。」

 

めぐみんの方を向くと、新調してもらったマナタイト製の杖で頬ずりしている姿が見られる。

 

「デュフ、デュフフフ……。あぁ、魔力溢れるマナタイト製の杖のこの色艶……。ハア……ハア……!」

 

マナタイトは武器や道具の素材以外に、加工せず魔法道具としても重宝される。杖にマナタイトを混ぜる事で魔法威力を向上させ、魔法道具として使うと魔力補給の効果を促すという。二つの効果を持ち、谷底に生える鉱石の為、中々に希少価値の高い鉱石なのだ。

 

「……紅魔族として恥ずかしくないのかしら、めぐみん。」

 

ゆんゆんが青筋立てるも諦めるように溜息を吐き、その苦労さが垣間見える。パーティメンバーの思考は殆どがぶっ飛んでいるけど、彼女が数少ない常識人の一人で良かった。

 

「何ですってぇぇぇぇ――――ッッ!?何でたったの10万エリスなのよ!?!?」

 

波乱ありそうな声のもとに視界を移すと、有り得ないとばかりに叫ぶアクアと、胸倉を掴まれているルナさんの姿が見える。

 

「アクアさんが苦労して採られた鉱石の大半が希少鉱石以外のものでして…。何故そこまで希少鉱石が採れないのか寧ろそちらに興味があるのですが……。申し訳ありませんが、これ以上の換金値は上げられません……。」

 

「何っで10万エリスなのよぉぉぉぉ!?!?―――ニヒッ。」

 

アクアは歯を見せて黒く笑い、それを隠すと同時に俺のもとに向かってきた。

 

「カーズーマーさん?お幾等万エリス獲得しましたか~?」

 

満遍な笑みを浮かべるアクアが俺の獲得金額を聞きたがる。

 

「……三百万。」

 

「「「「えっ!?」」」」

 

「カズマ様カズマ様~!あんたのその、そこはかとなく感じる男っぽい所、かっこいいわよですよねぇ~!」

 

アクアが今考えた感半端ない敬語付きで喋り、俺に縋りつく。

 

「無駄におかしな敬語付けなくてもいいぞ駄女神。……俺は使い道を決めているからやらんぞ。」

 

「わぁぁぁぁぁんカズマしゃぁぁぁぁん!!!!お願いします!せめて10万エリスだけでも!!!!」

 

「駄目だ。」

 

「そんなあああああ!カズマ、お願いよ、お金貸して!ツケ払う分だけでもいいから!カズマも男だし、馬小屋でたまに夜中ゴソゴソしてるの知ってるから、早くプライベートな空間が欲しいのは分かるけど!十万でいいの!お願いよぉぉぉぉ――――!」

 

「てめぇ糞女神!?!?ああもう分かった分かった!十万貸してやるから落ち着け!!」

 

 

 

 

 

 

【四】※アクア視点

 

「とりあえずクエストよ、クエスト!お金が無いんじゃ何も出来ないわ!」

 

「「「えー……。」」」

 

「お願いよお願いします!!今度こそ頑張るから!精一杯頑張るからぁぁぁぁ――――っっ!!!!」

 

私のサイフが遂に底を尽きた。さっきの十万エリスは他の冒険者のツケであり、少しでも財政難を避ける為にクエストへ行きたいが、皆は行きたがらない。……そりゃあ楽をしたいという点に関しては私も理解出来るけど、今回は真面目にやばいの。最悪、夕食すら食えなくなってしまうわ。

 

「……あの、皆さん。流石にアクアさんも頑張るって言っているんだし、行きませんか?」

 

「……ゆ、ゆんゆん。」

 

「むぅ……。ま、まあ私も今回ばかりはゆんゆんに賛成ですね。仲間の悩みは私の悩みでもありますから。」

 

「…ん、皆がそういうならクエストにでも行こう。」

 

「皆ぁ~!有難う~!!」

 

皆って本当に優しいわ……、あのヒキニートと違ってね。

 

「……はぁ、仕方ねぇな。それじゃあ好きなクエストでも持ってこい。」

 

カズマはため息を吐きながらもクエストの受注許可を下す。

 

「うん、分かったわ!」

 

こうして私はクエストボードの所へ行き、中難易度のクエストを受けようとした。

 

「―――私も、頑張らないとね!」

 

 

 

 

 

【五】※カズマ視点

 

「エンドラ…、聞こえるか?」

 

俺は念話でエンドラと話す。

 

『む?マスターか。私の出番が殆ど無かったのだが、遂に出番かね?』

 

「ああそうだ。アクアの奴、見るからするに中難易度以上のクエストを選ぼうとする。それにお前をパーティーに紹介しなければならないしね。」

 

『承知した、マスター。……遂に馬鹿共に私の存在が知られるのだな。』

 

「そういう事だ。くれぐれも仲間に手を出すんじゃないぞ?」

 

『……聞き捨てならんな、マスター。先に手を出しそうなのはあいつ等の方なのだがね。正直言うとアイツ等、コワイ。』

 

「アッハッハ!!そりゃあそうかもな!まっ、手を出したら軽くボコしてあげるから心配せずだ!それじゃ、また後でな!」

 

『ああ、また後で。』

 

エンドラと念話を終えると、アクアはクエスト用紙を持ってきた。

 

「おまたせ、皆!これ持ってきたわよ!」

 

そのクエスト内容は蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)の捕獲だった。―――案の定、中難易度上である高難易度クエストを持ってきてくれた。

 

「カ、カズマさん……?これ無理じゃないですかね?」

 

「カズマ、流石に私も賛同しかねるぞ……。」

 

「私は行きたい所ですが……、どうします?」

 

爆裂ロリっ娘を除くメンバーが否定の意見を挙げる。それも当然だ。何せ、戦闘技術が疎い不器用なパーティーが高難易度のクエストを受けようとするのだから。だけど俺は―――、

 

「……私ってもしかして不味いクエスト持ってきちゃったのかしら?ごめん、戻して―――。」

 

「―――よし、行こう。」

 

「「「「え?」」」」

 

今後の皆の戦闘技術向上に向け、高難易度クエストを受ける事にする。

 

「―――カズマ、正気か?止めておけ。死なれては困る。」

 

「そそそ、そうですよカズマさん!せっかく良い人と出会えたというのに……。」

 

「……俺が死ぬこと前提なんだな。―――ならば皆、よく聞け。俺らは蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)の捕獲へ行く前に、砂漠地帯に着いたら新たなメンバーを紹介したいと思う。」

 

「「「「おぉ!!」」」」

 

「お前らは何もしなくていい、見ていろ。そいつが軽く殺してくれるからな。」

 

「……か、軽く殺してくれるって。一体どんな人なんでしょうか…?」

 

めぐみんが軽くと聞いて驚いている。それはそうだ、何せ古代竜(エンシェントドラゴン)が仲間になるんですもの。

 

「まあそれは着いてからのお楽しみだ。―――それじゃ、行くぞ。」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

かくして、俺らは蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)の捕獲へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

クエスト名『破壊と守護、双極は対立す』

クエスト内容『蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)の捕獲』

報酬金額:500,000エリス

 

 

 

 

 

 

とある砂漠地帯―――。そこに二体のモンスターが死闘を繰り広げる。

 

『ショォォォォォ―――――ッッ!!!!』

 

『グルルァァァァ―――――ッッ!!!!』

 

一体は悍ましい双翼と蠍の獣、一体は鷲の頭に獅子の如き体―――。間違いない…、あの二体こそ目的のモンスターだ。

 

「……カズマしゃん、やっぱり引き返しません?」」

 

「……プルプル(ダクネスは二体に喰われる妄想をして興奮している)」

 

「…………。(ゆんゆんはあまりの恐怖にガタガタ震えている)」

 

「くっくっく!我が爆裂を思い知るがよい!」

 

「おい馬鹿。やめ―――、」

 

「もう耐えりゃれん!集中(デコイ)!!」

 

めぐみんの詠唱を止めさせるも、ダクネスが集中(デコイ)を発動してしまう。蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)がダクネスを睨み―――、

 

 

『ショォォォォォ―――――ッッ!!!!』

 

『グルルァァァァ―――――ッッ!!!!』

 

 

―――襲い掛かる。

 

「「「「「ぎゃぁぁぁぁ――――ッッ!!!!」」」」」

 

皆が本能的に二体を脅威と認識し、自然と後ろに下がる。距離はあるもの、凄まじい速さで飛んでくる蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)

 

「ハァハァ……!やばいぞカズマ。二体の飢えた野獣共が私を食べようとしているのだぞ!?これが噂に聞く女騎士のくっころか!?くっころなのか!?」

 

「ちげぇよこの超ド級ド変態女騎士め!?お前馬鹿なの!?死ぬの!?せっかく練った作戦がお前の性癖で台無しになったんですけどぉぉぉぉぉ!?!?ねぇ?何でこんなにド変態なの?少しは大人しくしてりゃここで台無しにしやがってよぉぉぉぉ!!」

 

「あんたたち前よ前!?あの二体が近づいてくるわ!?」

 

「ああもうしゃあねぇな!!―――お前等、後ろ下がって見物してろ。」

 

俺は真面目モードに入り、あるモンスターの召喚を試みる。

 

「カ、カズマ?何をする気ですか…?」

 

 

 

―――鬼の威に惚れ、我が腕となりし竜よ。

 

 

 

「イヤァァァァ!!!!どんどん近づいてくるわ!?!?」

 

「落ち着けお前等!!とりあえず私が囮になろう!―――いや、なるべきだな!!」

 

「あんたは一度黙りなさい!?―――って、何よ…。この魔力値……!?」

 

「カカカカ、カズマ?何ですか、そ、その詠唱は…?」

 

「―――この炎の如き魔力の熱。……嘘、で、しょ……!?!?」

 

 

 

再び我が意に答えよ―――、

 

 

 

「―――古代竜召喚(サモン・エンシェントドラゴン)!!!!」

 

 

 

その名を聞き、カズマを除く全ての生き物は警鐘を最大まで鳴らした。故にその者―――、

 

 

 

「グォォォォォォォォォォ―――――――――――ッッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

太古の絶対強者(エンシェントドラゴン)なり―――。

 

 

 

「「「「はああああ!!!!????」」」」

 

「ショォォォ!?」

 

「ギョォォォ!?」

 

 

 

巨竜の姿を見て仲間と敵二体のモンスターが吃驚する。

 

「我が主君、我が覇者よ。命令を下され。」

 

「ああ―――、あの蠅共を殺れ。勿論、俺を乗せてな?」

 

「―――承った。」

 

古代竜(エンシェントドラゴン)が一体、エンドラは俺と共に蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)を消却対象として捉え、向かっていく―――。

 

 

 

 

 

【六】※ダクネス視点

 

「何、だ、あのデカブツは……。」

 

私はまるで絶望の淵に立たされるような気分に陥った。信じられん……。あの姿、あの強大な力は正しく―――。

 

「馬鹿な!?―――エ、エンシェントドラゴン……だと!?」

 

私は目の前の光景が現実のものであると認識出来ない。

 

古代竜(エンシェントドラゴン)って、あの御伽話に出てくる伝説の竜ですよね!?―――カズマはあの竜を調教(テイム)したというのですか!?!?」

 

「落ち着け、めぐみん。調教(テイム)より使役したの方が妥当だろう。だとしても有り得ん、あの竜は伝説の最強種なのだぞ!?ましてや新人であるカズマが―――、!?」

 

ふと過去の事を思い出した。彼が放った零声神威(れいせいかむい)という高密度の殺気を浴びた事、巨蛙(ジャイアントトード)を群れごと一撃で屠ったあの現場を―――。

 

「―――何かを思い出したようね、ダクネス。」

 

アクアは私を見てそう返す。めぐみんやゆんゆんも不安そうな表情を浮かべて私を見るが、彼女らも同じ事を考えているのだろう。

 

「どうやら図星のようね。試すような言い方で悪いのだけれど、―――ダクネスは何が言いたのかしら。」

 

「……アクア、彼は一体何者なのだ。―――何故、あんなにも達観しているのだ。」

 

「話は後よ。それより見てなさい、あの鬼畜男が調教した竜の力を。」

 

めぐみんとゆんゆんは分かりましたと返し、カズマとエンドラの活躍を見る事にした。

 

 

 

 

 

【七】※第三者視点

 

「我が名を聞いて絶望せよ。我が名を聞いて希望せよ―――。私は古代竜(エンシェントドラゴン)のエンドラ。太古の牙、希望を紡ぐ裁きの(ほむら)なり。」

 

エンドラがそう言うと、まるで絶望するかの如く足を震わせる。

 

「クルルゥ……!!」

 

「グォォォ……!!」

 

それでも二体は足を震わせながらも必死に目の前のエンドラを威嚇し、決死の覚悟で攻撃する。エンドラは何も口にせず、尻尾に噛み付こうとした蠍獣(マンティコア)を尻尾で薙ぎ払う。

 

「ゲァァッ!?」

 

蠍獣(マンティコア)は吐血し、前両足を負傷する。蠍獣(マンティコア)を睥睨している隙に守護鳥獣《グリフォン》は懐に潜り、引っ掻こうとする。

 

「貴様らの作戦など―――、とうに気づいておるわ!」

 

エンドラは片足を浮かせて地面を力んで踏んだ事によって大量の飛礫が守護鳥獣(グリフォン)の皮膚を裂く。やがて大きな飛礫が両翼目がけ落下し、守護鳥獣(グリフォン)の動作を完全に無効化した。

 

「ショ……ショォォォ……!!」

 

守護鳥獣(グリフォン)は砂漠の強者として君臨するもの。故に足掻き、強者の威風をエンドラに向ける。

 

「貴様の相手は後だ。―――蠍獣(マンティコア)よ、貴様も私に刃向かうか。」

 

蠍獣(マンティコア)は魔力を用いて闇属性のブレスを吐く。勿論キチガイ染みたステータスによって掠り傷程度に済まされる。

 

「……何て奴だ。あれで掠り傷とは…、古代竜(エンシェントドラゴン)の力は凄まじいものだ。」

 

「本当ですよね。それを従えたカズマさんも化け物ですよ……。」

 

外野が古代竜(エンシェントドラゴン)の実力を見て驚いている。そして―――、

 

「汚獣共がこの私に楯突くとなれば最早興覚めよ。―――地獄の業火に焼かれて消えるがよい。」

 

「ちょっ、おま―――。」

 

 

 

「―――業火の息(ヘルフレアブレス)。」

 

 

 

蠍獣(マンティコア)守護鳥獣(グリフォン)はおろか砂漠地帯周辺までも焼き尽くされ、湖は一瞬にして蒸発した。

 

「ふむ。こんな程度か―――。って、マスター?どうして怒っているのだ。」

 

「―――ねえ、クエスト内容が捕獲なんですけど。」

 

「……あっ。」

 

この後、エンドラを滅茶苦茶去勢させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




外野組
めぐみん「エンシェントドラゴンって……、馬鹿なんですね。」
ゆんゆん「あの風格でうっかりさんとか、ちょっぴり可愛いかも…。」
ダクネス「ああ、あのうっかりで私を燃やしてほしい!」
アクア「何かあの竜、肉付きも良くて美味しそうねぇ……。」


エンドラ「貞操の危機を感じる……!」
カズマ「どんまいwww」


如何でしたか?次回は閑話(宝島、メンバー交代、騎士王誕生編)を連続投稿しますので時間がかかるかもしれないです!そして次の本編、遂にカツラギさん一行と魔王幹部のあの方が登場しますのでお楽しみに!
そして鬼畜トレーニングとは一体……?


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閑話① 宝島編

こんばんは、貧弱傍観者です!多忙の時期が多くて更新頻度が遅くなってしまいますが、その分皆さまに満足して読んでいただける様な内容にすべく、頑張っていきたいです!


【一】※カズマ視点

 

流石に低賃金のアルバイトや下位のクエストを受けても真面な金額に満たない。その為に俺は今後の方針を立てるべく暫くの間はクエストを控えようと思う。女性メンバーは現在、クリス達のメンバーとクエスト中だ。俺は今ウィズの店にいる。

 

「って事で、ウィズ。何か効率の良い稼ぎ方って無いか?生憎だが馬小屋生活なんて御免だ。早急に賃貸の一戸建てを借りたい。」

 

「そうなると家賃や食費含めて10万エリスは必要ですよね…。そうなると上級クエストを受ける以外に選択ありませんね。」

 

ウィズは苦笑する。何故なら唯一俺の苦労を知っている人なのだから。

 

「はぁ…、やっぱりそうなるのかな。」

 

俺にとって上級以上のクエストは楽勝だが、派手さ故に噂など立てられては困るしな。それに魔王軍のイレギュラーが警戒して襲ってくるリスクも有り得る。

 

「これはあまり言いたくはありませんが、いっそのこと冒険者を辞めて私の様に店を開くのも手かと…。ですが、それだとカズマさんの在り方を全て否定してしまいますしね…。」

 

アハハと再度苦笑するウィズ。この人も店が繁盛せず、赤字が続いて借金を背負った苦労人である。

 

「……お互い大変だな。」

 

「……そうですね。」

 

「「アハハハ……。」」

 

昼間から借金という暗い話をして盛り上がっている俺とウィズ。客観的に見れば盛り上がり要素皆無な話だが、俺らからしたら十分に盛り上がっている。

 

「後はですね。此れは年に一度のイベントなのですが…。」

 

「ん、何だ?」

 

「もう少しで宝島という緊急クエストが発信されると思うのですが…、これはキャベツの収穫祭と同様。祭りイベントに他ならない年に一度のイベントなのです。」

 

「(そういや腐るほど経験したな、宝島。……盲点だった。不覚にもそのイベントを忘れていたよ。)」

 

俺は眉を顰め、様々な感情を含めた溜息を吐く。

 

「……あのぅ、話を続けても大丈夫でしょうか?」

 

「へ?あ、ああ大丈夫だ。続けてくれ。」

 

必死に考えていた俺を待ってくれていただろうウィズが声をかけてくれる。何て配慮の出来る美人なのだと改めて思う。

 

「宝島とは年に一度、日を浴びる為に神獣と呼ばれし玄武がこの地に現れるのです。土から現れる為、玄武が現れる真下にいますと危険ですのでご注意を。―――玄武の体には希少な鉱石が大量に付着している為、皆はそれを目当てに玄武の体を登り、ピッケルで鉱石を採掘するわけです。」

 

「確か宝島の由来って玄武にあるんだっけか。だけどウィズ、俺は知っているから説明は不要だ。…宝島唯一のメリットを言ってくれ。」

 

俺とウィズは嫌らしく笑みを浮かべる。

 

「はい、唯一のメリットは希少鉱石の大量採掘が可能である事です。つまり―――、」

 

「つまり…?」

 

「「換金で大儲けが出来る!!」」

 

そう言うと、俺とウィズは堅く握手する。やっぱり俺らは共に苦労を共に分かち合ったからこそ得られた仲なのだ!

 

「よし、ウィズ。宝島って明日だよな?」

 

「はい、宝島は明日です。緊急の放送が流れるまで各自ピッケル等の採掘道具を用意した方がいいです。」

 

「おう、ありがとなウィズ!それじゃ明日は―――、稼ごうぜ?」

 

「―――ええ、なので明日はお互い敵として対立するでしょう。」

 

「「フフフフ……。」」

 

妖しい笑みを浮かべて俺は帰宅した。

 

 

 

 

 

【二】※カズマ視点

 

「…皆、聞いてちょうだい。」

 

皆は真剣なアクアを静かに見る。

 

「もう少しで宝島が始まるわ…。だから改めて言うけど―――、絶対に希少鉱石を大量採掘しましょう!!!!」

 

「「「「オォォォォ――――――――ッッッッ!!!!」」」」

 

俺らのパーティーメンバーがアクアの扇情的な問いに答え、一丸となった。周りを見るとメラメラと闘争心を燃やしている冒険者たちの姿が見られる。そう、今日は一大イベントの日なのだ。皆は死物狂いで鉱石を採ろうとするだろう。

 

「カズマはあのリッチーから説明受けてきたんだっけ?」

 

「ああ、バッチシ受けてきたぞ。」

 

「それなら説明は不要ね―――。お、ようやくきたわね。」

 

ゴゴゴゴと地震が起こる。そして緊急放送が流れ、各冒険者に伝えられる。

 

『緊急放送!緊急放送!玄武の出現が見られました!これより宝島を開催いたします!』

 

 

 

「「「「「「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――ッッッッ!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

俺らは荒れ狂う冒険者と共に正門に向かう。目の前を見ると、巨大なモンスターが視界全体を覆う―――。

 

 

 

「ヴォォォォォォォォ――――――――ッッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

煙を噴出するかの如き甲高い咆哮をあげるモンスターこそ【玄武】だ。WAKIPEDIAで一度閲覧したことがあるが、玄天上帝ともいう。玄武は中国の四神の一柱であり、霊獣でもある。しかしこの世界での玄武は霊獣ではなく、神獣だ。前を視れば分かるのだが―――、それはとてつもなくでかかった。確かに神獣とも納得出来る位の。

 

「ほぇ~やっぱ大きいですね、玄武!」

 

「…フヒヒ。大金が、大金が歩いてるわ。フヒヒ……。」

 

…最近コイツは自分が女神だという事を忘れている気がするんだが、大丈夫なのだろうかと思う。俺は余計な思考に浸るのを止め、目の前の玄武に意識を高める。

 

「―――嵐が来る。」

 

めぐみんは言葉とポーズ同様に痛い言動をとる。そして我らが兄貴、ポチョムキン四世さんは扇情を煽り立てる―――。

 

 

 

―――お前ら、命を狩る準備は出来ているか?

 

 

 

「「「「「「「「「「応!」」」」」」」」」」

 

 

 

「冒険者とは冒険をしなければならねぇ。だったら命知らずの馬鹿共―――、」

 

 

 

―――命を落とす覚悟は出来ているんだろうな?

 

 

 

「「「「「「「「「「応!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

「それじゃあ行くぜ……、蹂躙せよぉぉぉぉ――――――――ッッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

「「「「「「「「「「オォォォォォォォォォォ――――――――――ッッッッ!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

 

 

兄貴が指揮を執り、玄武目がけて走っていく。その目はまるで―――、

 

「行くぜぇぇぇぇ――――――――!!!!!!!!」

 

―――武士(もののふ)の如し。

 

 

 

「さて、私らも行くとするか!」

 

ダクネスは全速力で玄武のもとへ向かい、凸凹した玄武の皮膚をよじ登っていった。

 

「―――さて、俺らは作戦通りに行きますかねぇ。」

 

俺は嗤う。めぐみんと共に作戦を実行するべく、玄武のもとへ向かう。

 

「……ちょっと怖いですが、あの亀が困っている様でしたらやってみるしかないですね。」

 

「カズマがそういうなら仕方がないですね。―――いいでしょう。我が爆裂魔法で玄武を救ってみせましょう!」

 

俺が行う作戦は平行世界でも行った通り、コブに爆裂魔法をぶち込む。だけどどうした事か、今回の玄武のコブはダイヤモンドでコーティングされていたのだ。

 

「多分一筋縄ではいかないと思うし、再びだがゆんゆんとめぐみんにはマナタイトを持って連続で中級以上の魔法と爆裂魔法を放ってもらう。」

 

「「了解です!」」

 

「それじゃあ―――、派手にやりますか。」

 

 

 

 

 

【三】※クリス視点

 

やあやあ皆さん、クリスだよ!今はね、玄武の上に乗っているよ!黙々と採掘しているんだけど、希少な鉱石が沢山手に入って嬉しいな!

 

「ほう、クリスまで来ていたとは…。やはり宝島のイベントは大賑わいで楽しいものだな。」

 

横を見るとダクネスが軽装備で採掘していた。

 

「おお、ダクネスか!どうだい、希少な鉱石は採掘出来ているかい?」

 

「ふむ、まずまずって所だ。だけど希少鉱石であるマナタイト等が沢山採れるんだ。嬉しいに越したことはない。」

 

「だよねだよね!いや~、こういう一大イベントって設けられるし、何より盛り上がりがあって楽しいね!私、来て正解だったよ!後ろから大きな爆裂音が頻繁に聞こえるけど気にしな―――。って、爆裂音?」

 

「爆裂音……?―――まさかっ!?」

 

「―――爆裂(エクスプロージョン)爆裂(エクスプロージョン)爆裂(エクスプロージョン)

 

「ひゃっほぉぉぉぉ――――――っっっっ!!!!蹂躙鉄拳(ジャスティス)蹂躙鉄拳(ジャスティス)!」

 

「何やってんのぉぉぉぉ――――――ッッ!?!?!?!?」

 

後ろを見たら頭のおかしい二人(カズマとめぐみん)がとんでもない事をやらかしている。そして爆裂魔法に巻き込まれたダクネスはというと―――、

 

 

「ん……ひゃぁぁぁぁ―――――!!!!」

 

 

―――派手に逝った。

 

 

「ダクネスゥゥゥゥ――――――!?!?!?!?ちょっと君たち!?何しているの!?」

 

「ハッハッハ!!●ールブレイカー!」

 

「―――爆裂(エクスプロージョン)爆裂(エクスプロージョン)爆裂(エクスプロージョン)

 

「さらっと愉悦めいた発言しないでくれない!?てか爆裂魔法何発ぶっ放して大丈夫なの!?」

 

「ああ大丈夫だ!マナタイトで魔力絶賛増量中だ!俺のパーティー舐めたらスティールでパンツ剥いでやるぞ!フハハハハ!!」

 

「ちょ―――。この、変態!!」

 

よく分からないが、思考が狂戦士(バーサーカー)と化しているカズマ。これも一大イベントのお蔭でそうなったのだろう。

 

「本当、退屈しないパーティーだね。アハハ……。」

 

アタシは煩い爆裂音を無視しながら採掘を続ける。いや、煩すぎてむしろ集中出来ないだろという意見はあえて無視するよ。採掘を続けて数十分経過し、喧嘩と思わしき二人の声が聞こえる―――。

 

 

「アッハッハ!あんたの物は私の物!私の物は私の物!さあ糞リッチー、全部私に鉱石を寄越しなさい!!」

 

「あ、アアアアクア様!?今宝島ですよ!?人の物奪うのは犯罪ですよ!?」

 

 

―――なんと、女神のジャイアニスト(アクア先輩)がウィズさんを脅迫して奪っていた。

 

「ちょ、ちょっとアクアさん!?流石に人の物を奪うのはめがm…ゲフン、人としてあってはならない行為ですよ!?―――スティールッッ!!」

 

アタシはアクア先輩にスティールをかけ、ウィズさんに鉱石を返した。

 

「はい―――。どうぞ、ウィズさん。」

 

「あ、ありがとうございます!クリスさん!」

 

「ああああ、ちょっとクリス!?何でリッチーなんかに手を貸すのよ!?私お金不足よ!?女神なのよ!?天界の学園唯一のジャイアニストであるこの私に逆らうつもり!?」

 

「学園唯一のジャイアニスト!?そんなの一ミリたりとも知りませんよ!?…早くしないと玄武が逃げていきますよ?」

 

「あ、あぁそうだったわ!!やい糞リッチー!今回は見逃してやるわ!!―――待ちなさい、私のお金ぇぇぇぇ――――――ッッ!!!!」

 

アクア先輩が行動するも遅かった―――、

 

 

 

「―――爆裂(エクスプロージョン)!!!!」

 

「―――十振二十総切(じゅうしんにじゅうそうせつ)!!!!」

 

 

 

―――頭のおかしい二人(カズマとめぐみん)によってコブと共に巻き添えを喰らったのだから。

 

 

 

「アクア先輩――――――ッッッッ!!!!!!!!」

 

 

 

この後、玄武のコブの破壊に成功し、感謝するとばかりに身体にこびり付いた鉱石を振り落とし、冒険者に鉱石を与えて去っていった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




何でトリスタンが来ないのでしょうか…。ああ、私は悲しい…(ポロロン)


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閑話② メンバー交代編

こんにちは、貧弱傍観者です。お待たせいたしました、閑話のメンバー交代編です!
ダストが冒険職と見下し、それに反応したカズマさんはどう対処するのか見物です。(※カズマらしくない為、ご注意下さい。)
それでは本編をどうぞ!


【一】

 

「すまない、聞こえなかったのでもう一度頼む。」

 

カズマは溜息を吐いてペラペラと喋るチンピラの言葉を再度確認すべく、そう返す。カズマ達ははウィズの心境を察し、先日のゾンビメーカー討伐のクエストをリタイアした。それをこの男は最弱職である冒険者のカズマをのけもの扱いするかの如く馬鹿にする。

 

「何度だって言ってやるよ、最弱職(・・・)。上級職が揃ったパーティで、何でゾンビメーカー討伐なんて簡単なクエスト失敗するんだよ。大方お前が足引っ張ってるんだろ? なあ、最弱職(・・・)さんよ?」

 

この男はどの平行世界でも冒険者ならば絡んでくるチンピラの冒険者であり、カズマの親友でもあった。男がそう言うと、同じテーブルにいた他の仲間と笑い合った。カズマは無言で男を見ている。

 

「―――――。」

 

何も返さない無言のカズマがビビッて何も言えないでいる(・・・・・・・・・・・・・)と誤認識されている為、更に馬鹿にしてくる。

 

「ハハハ!おいおい、何とか言い返せよ最弱職(・・・)さんよ?…ったく、最弱職(・・・)の癖にいい女ばっか引き連れやがって。ハーレム気取りか?どいつもこいつもいい女で、しかも全員上級職ときてやがる。―――さぞかし毎日、このお姉ちゃん達相手に良い思いしてんだろうなぁ?」

 

 

「うひゃひゃひゃ!おいおい、よく言えるなぁダスト。」

 

「止めなって、ダスト。駆け出し君でも頑張っているのよ。ププ…。」

 

 

男のパーティーである人たちが俺を見て笑う。そしてギルド全員の人々の爆笑が、ギルド内に響き渡る。

 

「カズマさん……!」

 

一人が多かった為、野郎の野太い声に思わず恐怖心を抱いて身体と拳を震わせる。無論、その中には怒りも含んでいる。友達になってくれたカズマを最弱職と侮辱し、上位冒険者の餌食とされている事についてだ。そしてめぐみんやダクネス、アクアが止めに入った。

 

「…カズマ、ああいうのは相手してはいけません。私なら何言われても気にしませんし。」

 

「ん、私も同意見だ。酔っ払いの言う事など捨て置けばいい。」

 

「そうよそうよカズマ。あの男、私達を引き連れてるカズマに妬いてんのよ!私は全く気にしないから放っておくのが賢明な判断よ―――って、カズマ?」

 

カズマは両目を瞑っている。

 

「……上級職におんぶに抱っこで楽しやがって。苦労知らずでよろしいこって! おい、俺と代わってくれよ兄ちゃ―――、」

 

男が言おうとした瞬間、カズマが口を開く。

 

 

 

 

「―――昔、貧困の地に一人の青年がいたという。」

 

 

 

 

 

カズマはバッグに入れていた本を片手にしてページを開き―――、突然と語り始めた。

 

 

 

「……はっ?」

 

 

 

無論、ギルド内は動揺として静止する。

 

「名を持たず、素性も不明。故に忌みの子と蔑まれ、それでも純粋な心を持つ青年は何時しか、人の為ならばと王都を目指したそうだ。」

 

「カ、カズマ…?一体どうしたのだ…?」

 

ダクネスが心配するも、カズマは語り続ける。ギルド内は静止したままで、全員がカズマを見る。

 

「無名の青年は騎士団を選び、水晶に手をかざし、与えられた命は騎士。正義に忠実な職業につけたと歓喜する。」

 

 

 

青年は功績を成すと共に、周囲の視線は嫌悪で満ち溢れていた。

 

―――ある者からは罵倒。誇りを踏み躙られながらも彼は人の為ならばと耐え、数多の功績として騎士団長昇格の許可が下りた。

 

―――青年は一層正義感が増し、巧みな指示によって敵軍を一掃する。一部の騎士は『我が誇り』と言わんばかりに堂々と民を救い、自分ならば正義の英雄となれると思っていた。だがそれは破滅の序章にすぎず、街に戻ったところ、その目は絶望へと染まる。

 

 

 

―――邪神によって、街は焦土と化していた。

 

 

 

―――青年は憤慨して卓越した力を行使して邪神を撃退するも、近くにいた騎士に壊滅の元凶として捉え、公開処刑として首を斬られたという。青年が最期に見たのは、青年らを嘲笑う騎士たち(同胞)の姿だった―――。

 

 

 

 

 

「これは誰かが執筆したものだが―――。侮辱、蔑ろ……。実に胸糞悪い内容。おまけに死後は魔に身を委ねる、か―――。」

 

カズマは本を閉じてバッグにしまう。一歩一歩男の正面に向かって歩き―――、そして止まる。

 

「それでな。その騎士共、不可解な死因を残して亡くなったんだよ。―――何故だろうね?」

 

カズマは、まるで子供を見守るか父親の様な微笑みを浮かべていた。

 

「……ヒッ!?」

 

カズマが微笑むと、ダストは怯えの声をあげる。彼もまた、カズマの魔性を浴びてしまったのだ―――。そしてカズマは笑みを止め、目を瞑って語る。

 

「万物万象凡ては優劣で決まるもの。力や権力、知恵に勇気―――。」

 

カズマは語り続ける。

 

「ならば優劣を変動させるには如何すればいいか。―――己を優劣の材料として使い、自身の存在を意義する。…元々生命は弱者。それ故に糧を得て熟れ、やがて強者に至るが道理だ。」

 

『………。』

 

ギルド内全員はカズマの語りを聞いている。ある者は称賛し、ある者は頷く。

 

「己の身分など関係ない。劣ってもいい、乞うてもいい。弱者なりに意地を見せる。……だが決して弱気になってはならん。先を見ず前を見る。優劣を決めるは己が剣、優劣を導くは己が意志。―――故に弱者とは弱者故に強者以上の力を持つ者なり。」

 

カズマは一歩一歩男に近づいていく。男の前に辿り着いたカズマは男の双眸を見据え、暫しの静止後に口を開く。

 

「俺は佐藤和真(さとうかずま)。―――名を聞こう、冒険者よ。」

 

「お、俺はダストだ……。それで何だ、先ほどの物語や演説が何だっていうんだよ。」

 

ダストが若干怯えながらも喰いかかる。

 

「お前も薄々感づいているのではないのか。秘めた弱者の力―――、英雄にはなれどそれに辿るまでの力の器を、お前自身が壊していることに。」

 

「ち、ちげえよ!俺はそんな三下の様な行為は絶対にやらん!単純に…、その…、アンタが上級職四人、しかも美女に囲まれているから妬んでいただけだ……。」

 

「つまりは妬みからなるものだと……、そういう解釈でよろしいか?」

 

「あ、ああ……。」

 

「ふむ―――。」

 

カズマはダストを見据え、その後に腰かけた女性のウィザードをチラっと見る。その女性ウィザードはダストをチラチラと心配の視線で見ている。

 

「……今後、蔑みや変な噂を流すなどといった行為は止めておけ。特に異性の妬みなら碌な目にあわん。―――そこな者に好意を寄せているなら尚更だ。」

 

「「な―――っ!?」」

 

ダストとリーンは頬を赤くする。

 

「ちょ―――、何言ってるの!?べべべ、別にダストの事なんか―――。」

 

「おおお、俺もだぞ!?何余計な事抜かしやがる!?」

 

「うひゃひゃ!お前ら顔真っ赤だし、とても言えたもんじゃねえぞ~!」

 

「「キースは黙れ!!」」

 

うひゃひゃと独特に笑うキース。再び、ダストはカズマの方に目を向ける。

 

「ダスト。お前は俺に喰いかかってきたが何が望みだ。……侮辱したいが為の俺のを」

 

「……流石に最弱職と馬鹿にして悪かったよ、カズマ(・・・)。正直あんたを舐めていた。どれだけ覚悟してこの地へ訪れたのか、あんたの先ほどの語りで理解出来た…。」

 

「……それでどうしたいのだ。」

 

「だけどよ。それでも俺はアンタが妬ましいんだよ、男として!上級職四人、それも全員とびっきりの美女だ!最早楽園(ハーレム)状態じゃねえか!」

 

「―――戯け、愚痴を言ってどうする。要件を言え。」

 

カズマの圧によってギルド内は黙り、ダストは冷や汗をかく。

 

「つ、つまりだ。―――俺とあんたで代わってほしい!」

 

「つまりは楽園(ハーレム)とやらを楽しみたいとの事か。……いいだろう。お望みとあらば一時的ではあるが―――、変わってやるよ。」

 

 

「「「「えっ」」」」

 

『えっ?』

 

 

シリアスモードからギャグモードへ移り変わった瞬間だ。ギルド内に素っ頓狂な声が響き渡る。無論、その中のカズマのパーティーも鳩が豆鉄砲を喰らったかのような声をあげる。

 

「フフフ、お前は愚痴を垂れこぼしまくったから俺も吐かせてもらおう。いい女に楽園(ハーレム)楽園(ハーレム)といったか。―――お前、顔にくっついているのは目玉じゃなくてビー玉か何かか?どこにいい女が居るのか、寧ろ俺に教えてほしいんだが。良いビー玉を付けているのだな、俺の濁った目玉と是非取り替えて欲しいものだ。」

 

「「「「あ、あれ?」」」」

 

『……我が主よ。苦労しているならどんどん愚痴をこぼしておいたほうがいい。……というかしてください。私も苦労しているので、気持ちは痛いほど分かります。』

 

エンドラが自分のキャラを忘れてまで愚痴吐きを強く希望していた。

 

 

「ヒソヒソ(あの…。カズマさんのあれって愚痴ですよね…?)」

 

「ヒソヒソ(フフフ…、私を糞女扱いか。んん、最高だ。やはり私の目に狂いは無かったな。この男は真の鬼畜だ、騎士の鏡だ!―――さあどんどん愚痴を吐け!この私を罵ってくれ!)」

 

「ヒソヒソ(鬼畜に騎士道なんて全く関係無いわよ!?……違うからダクネス。そこ喜ぶところじゃないから。あんたのソレがカズマのストレスに繋がっているわよ。多分。)」

 

「ヒソヒソ(カズマの気持ちも一理あります。そこで爆裂魔法をぶっ放してカズマに見せてあげるべきです。きっと疲れが飛ぶでしょう!)」

 

「(躊躇いなくぶっ放すめぐみんの爆裂魔法もストレスの原因でしょうが!?)」

 

 

カズマのパーティメンバーの四人が、それぞれ小声で呟いた。そしてカズマは―――、

 

「で、何だ?良い女?……何処にいるんだ?お前は俺が羨ましいと言ったな?聞いたよ、聞いちゃったよ俺。」

 

―――愚痴を弾丸の如く愚痴を吐いている。

 

「あ……あのう……」

 

恐る恐る右手を上げて意を決し、四人を代表して出たアクアの声。カズマは目もくれず、愚痴を吐き続ける。

 

「それと……、上級職におんぶに抱っこで楽しやがって!?苦労知らずだぁぁぁぁぁぁ――――!?」

 

「ヒッ!?……そ、その。ご、ごめん……、俺も酔ってた勢いで言い過ぎた……。で、でもな!お前さんは確かに恵まれている境遇なんだよ!代わってくれるって言ったな?―――おい、お前らもいいか!?」

 

そう言い、ダストは自分のテーブルの仲間にも確認を取る。

 

「俺は構わないが……。今日のクエストはゴブリン狩りだしな」

 

「私もいいよ?でもね、ダスト。あんたさ、居心地が良いからって『もうこっちのパーティに帰ってこない』とか言い出さないでよ?」

 

「勿論、俺も構わん。ひよっ子一人増えたってゴブリンぐらいどうにでもなる。その代わり、良い土産話を期待してるぞ?」

 

絡んできた男と同じテーブルに居た仲間達は口々に言った。

 

「(…カズマさん、私らのリーダーとして貴方はよく頑張っています。一日だけですけれど、羽を休めてきてください。)」

 

ゆんゆんは胸に手を当て、心の中でカズマを労っていた。

 

「ねえカズマ。その、勝手に話が進んでるけど…、私達の意見は通らないの?」

 

「通らん。」

 

即答である。

 

 

 

カズマはダストのパーティメンバーの所へ向かい、自己紹介を交す。大剣を背負った鎖帷子を着込んだ男がカズマを見据え、口を開く。

 

「俺の名はテイラー。職業はクルセイダーで、このパーティのリーダーだ。……成り行きとはいえ、今日一日は俺達のパーティメンバーになったのだ。俺の指示には従ってもらうぞ?」

 

「(あれ、コイツの職業ってソードマンじゃなかったっけ?)……無論だ、よろしく頼む。」

 

この男はテイラー。平行世界ではアクセルの、ある施設を守る為に機動要塞の討伐に貢献した男だ。そして、平行世界のテイラーは騎士団に勤めていた。

 

「ではでは、次は私ね。名前はリーン。見ての通りのウィザードよ。魔法は中級の属性魔法までは使えるわ。よろしくね、駆け出し君?ゴブリンぐらい楽勝だから、私が守ってあげるわ。」

 

この女性の名はリーン。このパーティー唯一の紅一点であり、あのダストに好意を寄せている。

 

「俺はキースっつうものだ。クラスはアーチャー。狙撃が得意なんでオネシャス。」

 

独特な喋り方をする男の名はキース。平行世界では狙撃スキルを教えて貰ったり、共に風●店へ行った仲である。

 

「俺は佐藤和真(さとうかずま)。先ほども言った通り、ただの駆け出し冒険者だ。―――他に何か得意な事とか言ったほうがいいか?」

 

三人は吹き出した。

 

「いや、別にいい。……そうだな、カズマは荷物持ちでもやってくれ。ゴブリン討伐くらい三人でもどうとでもなる。心配するな、ちゃんとクエスト報酬は四等分する。」

 

テイラーが少々馬鹿にした様に喋る。

 

「了解した―――、よろしく頼む。」

 

「ああ、よろしく頼む。」

 

「よろしくね~!」

 

「よろしく頼むぜ?」

 

自己紹介を終え、カズマ率いる新パーティメンバーはネロイドと荒鰐(ブルータルアリゲーター)の定食を頼む。

 

「所でだカズマ。あの上級職ばかりのパーティで、お前の役割は何だったんだ?」

 

テイラーがそう尋ねると、カズマは口を開く。

 

「リーダーだけど。」

 

―――当たり前の様に言うカズマを見て、キースを除いた二人が絶句する。

 

「……ねぇカズマ君。それってマジ?」

 

「ん?ああ、マジだぞ。」

 

「うひゃひゃ!そりゃあカリスマ風に語られたら駆け出しなのか疑わしくなるのも当然だろう!」

 

「……何度も言っているが、正真正銘ただの駆け出しだ。」

 

「―――ふむ、ならばその話は置いといて今日のクエストについて話すぞ。」

 

カズマは手にしていたネロイドの入ったグラスをグビグビと飲み、荒鰐(ブルータルアリゲーター)の定食を完食する。

 

「東の方角に進むと山道が見えるが、今回は其処に住み着いたゴブリンの討伐だ。今から出れば深夜には帰れるだろう。―――それじゃ新入り。五分後にここへ再度集合し、出発するぞ。」

 

「了解。」

 

カズマたちは新パーティーと共に山地へ向かったのであった。

 

 

 

 

 

【二】※カズマ視点

 

―――ゴブリン。それはこの世界でも知らない者はいないメジャーモンスターだ。ゲームに出てくる雑魚モンスターとは異なり、この世界のゴブリンは意外と危険視されている相手らしい。

個体の力はそれほどでは無いが、基本的に群れで行動し、磨いた石製の武器を使って攻撃を仕掛ける。そして何より、その武器が非常に汚い。獲物をさばいたその血が付着したままで、あまつさえ手入れもしない為、言えば雑菌に塗れた石剣だ。だが、もしかしたらそれが彼らなりの狩猟方法なのかもしれないと王都随一の生態学者が論文に書き記したという。

俺達は山へ向かう途中の草原を、のんびりと歩いていた。

 

「しっかし、何故山地に住み着いたのが未だに理解出来ないわね…。ま、おかげでゴブリン討伐なんて滅多に無い美味しい仕事が出てきた訳だけどね!」

 

リーンが笑みを浮かべている。それもそうだ、ゴブリン一匹の討伐で報酬は二万エリス。そして俺は三人の後を荷物を背負ってくっついているだけ―――、美味しいも当然だ。

やがて、そのまま何の問題も無く目的地の山に着いた。山と言っても日本の緑豊かな山ではなく、山の殆どを茶色い岩肌が占めていた。こんな自然の恵みが少ない所にどうしてゴブリンが引っ越してきたのか不思議に思う。しかし、俺は懐かしい気持ちでいっぱいだ。

 

「ゴブリンが目撃されたのはこの山道を登り、少し下った所らしい。山道の脇にでもゴブリンが住み易そうな洞窟でもあるのかも知れない。ここからはちょっと気を引き締めたほうがいい。」

 

……今思うとこの世界でテイラー達とクエストに行くのは初めてだな―――。

 

 

 

 

 

『カズマさん、振り向いちゃ駄目!貴方はそのまま前に進みなさい!―――豊穣を汝らに(フレイヤ・ベール)!!』

 

『リーン!?』

 

『カズマ―――お前の勇姿が俺らを導いてくれたのだ。俺らはアイツを食い止める……。あの街を―――、あの店を救ってくれ!!」

 

『射出範囲指定―――、対象を魔王■■■に固定……。―――道を開いた。行け、カズマ!お前に未来を託したぞ!』

 

『俺はリーンと共に逝く。真駄男のキースとは違って駄目男は既に卒業しているんだ!―――ああ、そうだカズマ。お前はさっさとあの頭のおかしい面子とイチャついてこい!』

 

『ダスト…。』

 

『アイツらはネジが一個二個以上にぶっ飛んでる割にとびっきりの美女共だからな、俺には敵わねぇよ。心底苦労しているのは分かっているが…、それでも―――、お前が支えてやらなきゃ駄目なんだ!……それじゃ、行くぜ―――。』

 

 

 

『『『『そのまま逝ってこい、魔王!!!!』』』』

 

 

 

『―――すまないリーン。そしてテイラー、キース、ダスト!』

 

 

 

 

 

俺はふと、別の世界の記憶を思い出した―――。そう。正規とは違う、絶対王道の世界である佐藤和真の記憶(絶対に有り得ない幻想の幻想の幻想)だ。畜生……、今思えばこいつ等は最高だったな。俺が未熟故にアイツ等を犠牲にしてしまった。でも―――、

 

「(―――今はいる。亡きアイツ等とは異なれど、今度は守り切って見せる!)」

 

固く心に誓う。やがて俺らは目的地の近くを拠点とし、テイラーは地図を広げた。俺らは囲うようにして地図を見る。

 

「…今、俺らが滞在している場所は山地の広い道を進んだ所だ。そして近くには目的地であるゴブリンの洞窟がある。」

 

「なるほどな。俺らは其処に行ってゴブリン共を討伐するって訳か―――。待て、敵の気配がする。少し隠れておいた方がいい。」

 

俺は警戒し、皆を岩陰に隠れさせるように言う。隙間を見ると―――、初見殺しが徘徊していた。

 

「ヒソヒソ(ななな、何で初見殺しがいるの…!?)」

 

「ヒソヒソ(おい、リーン。静かにしないとケツ噛まれるぞ?)」

 

「ヒソヒソ(貴方は何でこういう時でも堂々と下ネタ言えるわけ!?)」

 

「ヒソヒソ(おいキースにリーン、バレるから静かにしとけ。)」

 

「ヒソヒソ(あぁ、わりぃわりぃ。)」

 

「ブツブツ(元はというとキースのせいなんだけどね…!)」

 

虎やライオンをも越える大きさのソレは、全身を黒い体毛で覆われ、サーベルタイガーみたいな大きな二本の牙を生やしていた。―――初見殺しは狡猾なモンスターとして有名だ。故にその悪知恵によって急所を突かれ、駆け出し冒険者から畏怖されている。

初見殺しは先ほどいた獲物(オレたち)の匂いを嗅ぎ、やがて俺達が登ってきた、街へと向かう道へ消えていった。

 

「……プハ―!!!!ここここ、怖かったあああっ!初心者殺し!初心者殺しだよっ!」

 

リーンが涙目で言ってくる。その狡猾さは中級の冒険者さえも悩まされている為、中級職の皆は強く警戒していた。

 

「おいおい…、初心者殺しなんて聞いてないぞ。危うく糞便ドバドバ漏らすとこだった……。」

 

「ねえ、さり気無く下ネタ入れるの止めてくれない?そこ直さない限り一生彼女出来ないと思うけど?」

 

「うっひゃっひゃ!生憎俺には夢という名の彼女がいるので、既に人生勝ち組!お前はいい加減彼氏でも見つけろってんだ!」

 

「んなっ……、うっさい!そもそも夢って何なの、人なの!?意味が分からないんだけど!?てかアンタのその笑い方、うざったいから止めてほしいんだけど!?」

 

「うひゃひゃひゃ!!夢っていうのはあれだ、あれ。男の楽園って奴?何でもかんでもやれる?的な?うひゃっひゃっひゃ―――!!」

 

キースが言う『夢』とは恐らくサキュバスの店の事だろう。

 

「意味分からないわよ!?はぁ…はぁ…。キースと喋ってると余計に疲れるわ…。本当残念なイケメンだわね。少しはテイラーを見習いなさいよ―――って、テイラー?」

 

「―――ボソ(俺も頻繁に行ってたから何も言えない…。)」

 

「ププッ…。うひひ、うひゃひゃひゃ……。やっぱテイラーも俺と同じふうぞゴバァッ!?」

 

テイラーがキースを無言で殴る。キースのハジケ具合にリーンはため息を吐く。

 

「キース、余計な事は喋るな。その時は半殺しにしてゴブリンの群れにポイ捨てしてやるから覚悟しとけ……!」

 

恐らくテイラーもサキュバスの店の常連なのだろうと、カズマは察した。

 

「取り敢えず―――、助かった……。感謝するぞ、カズマ。」

 

テイラーが俺を見て感謝する。

 

「ああ。その感謝の意、しかと受け取った。―――それにしてもテイラー、此れで疑問は解消したな。」

 

「「?」」

 

リーンとキースは何がだろうと言わんばかりの表情を浮かべ、首を傾げる。

 

「つまり、だ。―――ゴブリン共はあの初心者殺しに追われて急遽、この山道を住処としたんだよ。」

 

カズマが言った事を聞いて、ああなるほどと口にするリーンとキース。

 

「しかし、カズマが敵感知のスキルを覚えているとはたまげたな!」

 

そう言って関心するキース。

 

「確かに敵感知は敵感知だ。だが敵感知であってスキルではないぞ?」

 

「…どういう事だ?」

 

俺がそう言うと訝しむテイラー。

 

「研ぎ澄まされた五感と勘で生まれた技術だ。敢えて俺は体技の範疇として認識している。」

 

「…つまり貴方はスキルを使わず、体技で敵を感知したっていうの?」

 

「そうだけど。」

 

そういうと、テイラーとリーンは驚いていた。

 

「う、嘘……。」

 

「馬鹿げている……。」

 

三人は俺を異質扱いする様な視線で見てくる。

 

「……お前って本当に駆け出しか?」

 

意を決してテイラーが答える。

 

「俺が高位の強者とする。己を駆け出しと偽り、何のメリットになる。得られるものなど皆無だ。」

 

「それはそうだが……。」

 

「一つ聞きたいんだけど…。ダストに放ったあの殺気、あれも体技の一種だろ?」

 

キースは、カズマがダストに放った殺気について尋ねる。

 

「そうだな、まさしく体技の一種だとも。」

 

「……すまんがその体技で敵を感知してくれないだろうか。」

 

テイラー達に敵感知スキルが無いため、緊急のリスクを伴う危険性を考慮してのお願いなのだろうと、カズマは思っていた。

 

「勿論構わん。」

 

テイラーがゴホンと咳をして再び真面目モードに入った。

 

「それでは作戦だ。―――とりあえずゴブリンの討伐を済ませた方が得策だ。……初心者殺しは、普段は冒険者をおびき寄せる餌となる、ゴブリンやらを外敵から守るモンスターだ。ゴブリンを討伐して山道の茂みに隠れていれば、俺達が倒したゴブリンの血の臭いを嗅ぎつけ、さっきみたいに俺達を通り過ぎてそっちに向かってくれるかもしれない。近づいてくればカズマの体技で感知してくれるだろう。帰ってくるかどうかも分からない初心者殺しを待って、何時までもここで隠れてる訳にもいかん。まずは目的地へと向かうとしよう。」

 

「「「「了解!」」」」

 

俺は皆の荷物を持って目的地へ向かおうとするが―――、

 

「よいしょっと。」

 

―――リーンが、俺が持っていた大きな荷物の一部を背負っていた。

 

カズマさん(・・・・・)に持たせるわけにはいかないしね~。それにもし、初心者殺しに会ったら皆で逃げる時に身軽な方がいいからね~。私も持つよ。―――そ、その代わり、潜伏と敵感知の体技、……頼りにしてるよ?」

 

自分の分の荷物を持ちながら、おどおどと言ってきた。そのリーンの言葉にテイラーとキースも俺の背中から荷物を取る。

 

 

「「べ、別に…、俺達はカズマを頼りきってる訳じゃないからな!」」

 

 

ツンデレ発言した男共の発言を休憩終了の合図として、再び目的地へと歩んでいった―――。

 

 

 

 

 

【三】※第三者視点

初心者殺しが引き返してくる気配も無く、カズマ達は警戒を怠ることなく山道を登っていると、テイラーの持つ地図の通り、山道が下り坂になる地点に出た。ゴブリンが目撃されたのはどうやらこの辺りらしい。

 

「…………。」

 

カズマが周囲を警戒している。

 

「……どうした、カズマ。」

 

「―――敵が複数体いる。恐らく討伐対象のゴブリンの群れだ。……だが、それにしては多すぎるぞ。」

 

「ね、ねえ。そんなに居るの?カズマさんがこう言ってるんだし、ちょっと何匹いるのかこっそり様子を伺って数えてから―――、」

 

リーンが言いかけようとしたその時、複数の敵が動いた。

 

「―――ッ!?数えている暇は無い!テイラー、指示をしろ!複数で攻めてくるぞ!」

 

「分かった!!―――総員、戦闘態勢!リーンはカズマをサポートし、隙あらばゴブリンの討伐にかかれ!キースはゴブリン共の両目を手早く狙い射て!」

 

「了解だわ!」

 

「合点承知!」

 

皆が戦闘態勢に入る。そして一体―――、

 

「ギギャァァァ!!」

 

―――ゴブリンがキースに襲い掛かる。

 

「二本装填―――、分裂射出。」

 

キースは素早い手際でゴブリンの両目を射た。彼は生まれつきから視力が良く、2,0という遥かに優れた視力を持つ。その為―――、、

 

「ギギッ!?」「グボラァッ!?」

 

―――キースにアーチャースキルが合わさり、最強に見えるのだ。ゴブリンは跳躍して襲い掛かろうとしたが、両目の損傷によってゴロゴロと崖から転落していった。そう―――、裏世界で幕を閉じたのだ。

 

「しっかし弓矢二本を使用頻度とすると…。やべえよ、弓矢の残数尽きるかもしれん!うっひゃっひゃ!―――分裂射出!」

 

「グギャ…ギィ!?」「ゴボボォ!?」

 

矢の残数を考えずにお構いなくぶっ放すキース。

 

「キースって根っからの馬鹿なのね!?少しは計算して戦いなさいよ、この尻軽男!」」

 

「なるほど、俺は尻軽男ですか!じゃあその反対は?」

 

「えっと、尻重女?―――って、何言わせんのよ!?誰がケツデカ女ですってぇぇぇぇ!?!?」

 

リーンの口調を聞いてアクアを思い出したカズマ。このツッコミ具合と怒り方に共通点がある。もしやアクアとリーンを組ませたら結構仲良くなれたりして?と考えていたカズマであった。

 

「うひゃひゃひゃひゃ!!!!―――オラァ!派手にぶっ飛びな!」

 

「プギャッ!?」「グベフォッ!?」

 

「キース、後でぶっ飛ばすから覚悟しなさい!!―――火球(ファイアボール)!」

 

「ギャラパッ!?」「グボラァッ!?」

 

ゴブリンたちがキースとリーンによって倒されていく。そして、カズマはため息を吐く。

 

「あー、面倒だな……。んじゃあ―――、一丁派手に一掃しますかねぇ!」

 

そういうと彼の弓が輝き始めた。カズマは口をあんぐりと開けたままキースを見ている。

 

「え、お前それ何……?」

 

それに気づいたキースはカズマを見て再びゴブリンの方へ向き、ニヤリと笑って喋る。

 

「見てろよ、カズマ!これが俺の中級属性魔法と弓を融合させた俺の魔法だ!」

 

「ちょっ、キース……!」

 

そう言って弓を七体のゴブリンに向ける。リーンは何故か焦っている。

 

「俺は悲しい、彼女の出来ない俺が悲しい。だったらその悲しみどうするか―――。無論、夢の楽園(サキュパス)の店へ駆けつけて忘却の彼方に悲しみを葬る他あるまい!!」

 

「キース……。」

 

カズマはキースを見て、真の男だと関心する。

 

「七本装填、魔力共有許可、対大群用炎属性付与、中級炎属性魔法発動段階突入―――。」

 

キースは詠唱を終える。

 

 

 

「―――堕天七弓(セブンズレイ)!!」

 

 

 

―――詠唱後、七本の弓矢が空中を飛んで一点に集中する。やがて花弁を彷彿するかの如く七本の弓矢が飛来し、七体のゴブリンを追尾して炎属性攻撃が放たれる―――。

 

 

「「「「「「「ギギァァァァ――――ッッ!!」」」」」」」

 

 

中級魔法である堕天七弓(セブンズレイ)を喰らった七体のゴブリンは軽度の火傷を伴い、やがてゴブリン達は倒れた。

 

「貴方がハジケまくったせいで弓矢が無くなったじゃない!?どうするの!?」

 

「まあ仕方ないだろ、リーン。ふー、派手に中級魔法使っちまったから魔力切れだわ―――。って、どうした……カズマ?」

 

そしてカズマは呟く―――。

 

「(この世界のキースって強くね?)」

 

こうして、キースの元からゴブリンの群れが消えたのであった―――。

 

 

 

 

 

【四】

テイラーのもとに一体のゴブリンが襲い掛かる。

 

「魔力共有、魔法細工解除完了―――。」

 

どんどん増えていき、計五体のゴブリンがテイラーを襲う。

 

「―――魔弦断絶《ジャガーストリングス》!!」

 

「ギャッ!?」「グァギィ!?」「ヒデブッ!?」「ブリュリュッ!?」「ブッチチッ!?」

 

計五つの紫色の斬線が五体のゴブリンを切り刻んだ。だが、これは連撃ではない―――。

 

「ギキィッ!」「シャァッ!」「コッコッ!」「グルルァッ!」「ヒギィッ!」

 

ウォータージェットは3800以上の気圧に加圧された水を0、1mm程の小さな穴を通じ、音速で流す事によって切断を可能としたものだ。

 

「一変死んで来い、小鬼共めがぁぁぁぁ――――――ッッッッ!!!!」

 

「ギャァ!?」「ドゥエッ!?」「ブリュッ!?」「ブフォッ!?」「ンギィッ!?」

 

テイラーの剣の刃には0,1mmの小さな穴が何ヵ所もある。つまり何が言いたいのかというと、ウォータージェット切断の仕組みを利用して造られたものだ。その大剣には魔法の細工を何重とされていて、特殊な詠唱を唱える事によってその細工が解かれるという仕組みだ。無論、その詠唱とは―――、

 

 

「―――魔弦断絶《ジャガーストリングス》!!」

 

 

そう、『魔弦断絶《ジャガーストリングス》』である。詠唱後、自動的に彼の持つ魔力が剣に流れ―――、数か所の穴から気圧魔法によって加圧された魔力を噴出するといった仕組みだ。

 

「つくづく俺はゴブリンに好かれているとみた。―――フンッ!!」

 

「グギャッ!?」

 

後ろから不意打ちしようとしたゴブリンを片肘で攻撃する。見事顎に命中されたゴブリンは軽い脳揺れを起こし、その間にテイラーはゴブリンの方を向きながら裏拳をかまし、素早く抜刀してゴブリンを切り裂いた。

 

「グボ…ギャァ……!?」

 

彼のもとからゴブリンがいなくなったと思ったその時、頭上にゴブリンが飛び降りてきた。

 

 

 

「―――蹂躙鉄拳(ジャスティス)。」

 

 

 

テイラーの頭上にいたゴブリンは果てまで飛んで行った。

 

「テイラー、今のは周囲の警戒を怠ったお前のミスだ。気を付けろ。」

 

「あ、ああ…。すまない、カズマ。―――確かに、目の前に強敵がいるな。」

 

こうしてゴブリンの群れを討伐して任務完了と思いきや―――、

 

「おい、お前等。気合い入れ直せ、初見殺し(ボス)がやって来たぞ。」

 

「おいおい……。」

 

「嘘……!?」

 

―――初見殺しがゴブリンの血を嗅ぎつけてきたのだ。

 

 

「プギャァァァ……!!」

 

 

「―――キース……、あいつの両目潰せるか?」

 

「テイラー、無理いうな。今の俺じゃあ太刀打ち出来ねぇ…。」

 

「……やっぱ、中級のお前でも実力差はあちらの方が上なんだな。」

 

「ああ、アイツ狡賢いから実力言えばあっちの方が上手だ。それに…、弓矢尽きちゃった。」

 

「……は?」

 

テイラーはマヌケ面して裏声をあげる。

 

「だから弓矢ブッパしてたら底尽きちゃったんだよ…、無駄に弓矢拡散して撃たなきゃ良かったぜ。」

 

そう、キースは馬鹿笑いしながら調子に乗って撃ちまくり―――、おまけに後先考えずに弓矢を拡散連射していたのだ。

 

「お前馬鹿なの!?尻軽どころか、遂に頭まで軽くなりやがったか!?尻から頭まで全身軽くなってんじゃねえよ!?お前人間辞めて水素にでもなってこい!」

 

「うひゃひゃひゃ!!水素とかお前、面白すぎなんだけど!……まじでどうします。」

 

「貴方が馬鹿したせいで一方的に不利な状況に立たされたんだけど…、そこらへん自覚ある?」

 

「あるに決まってるじゃないですか~、リーンさん。……それで、どうしますかねぇ。」

 

キースが初心者殺しを最大まで警戒している。

 

「……テイラー、リーン、キース。俺―――、やるよ。」

 

「お、おいカズマ!お前、正気か!?」

 

「そうよカズマさん!貴方の実力は認めたけれど、それは愚考よ!?止めておきなさい!」

 

「せっかくのエロ友が死んでもらっては元も子もねえ……。カズマ、流石に―――。」

 

三人が止めに入ろうとしたその時、何かが三人の脳裏を蹂躙する。

 

 

「如何なる手段を以てでもやらねばならない時がある―――。」

 

 

「「「―――ッ!?!?」」」

 

 

絶対な声の圧が氷となって三人を襲う。

 

「こ、この威圧って……!!」

 

「……間違いない。ダストに放った殺気だ……!!これも体技の一種とは、カズマは化け物か何かか…!?」

 

「う、うひゃひゃ……。コイツは凄いな。……おい、リーンにテイラー!手を出すんじゃねぇ、巻き添え喰らいかねないぞ!」

 

闘争心を滾らせたキースは、テイラーとリーンに戦闘の介入禁止を命じた。

 

「キースが真剣に言うのなら介入は諦めたい所だが、リーダーとして見過ごすわけにはいかん。…それに新人が代表し、こうして勇姿を見せて戦おうとしているのだぞ?」

 

テイラーはそう言うも、二人は納得しない様な顔をしている。

 

「貴方の意見に同意するわ、テイラー。…だけど相手は初見殺しよ?流石に今のレベルで挑んだら勝算率は一割と言ってもいい。それに真っ向な勝負では死亡確定よ?何か策でもあるわけ?他に手があるとするなら―――、って。……ああ、そういう事ね!」

 

リーンは漸く理解し、納得の表情を浮かべる。キースはため息を吐いてどういう事なのかを訊ねる。

 

「二人とも、俺にはさっぱりです。…教えてくだしあ。」

 

テイラーはニヤリと笑い、キースに言う。

 

 

「―――カズマのバックアップを行えば勝算は上がるって事さ。」

 

 

キースは沈黙し、爆笑する。

 

「うひゃひゃひゃひゃ!!成程な!そんなら安心して挑める!―――だったら、奴のケツ穴に一矢報いる手段は一つしかねぇな。」

 

「貴方はシリアスモードでも下ネタ全開なのね……。―――テイラー、私たちが望む指示(・・・・)を頂戴!」

 

テイラーはその言葉を待ってましたとばかりに口を歪ませ、リーンとキースに命令する。

 

「ああ、俺らに残された手段は唯一つ―――、全力を以て佐藤和真(新入り)をサポートせよ!!」

 

リーンとキースはお互いに目を見て、テイラーの方を向いて誓いを立てる。

 

「「(ブ)ラジャー!!!!」」

 

―――今ここに、正規とは異なる友情が芽生えた。

 

 

 

 

 

【五】

今の佐藤和真は正規とは大きく異なり、利己的に欠けている。それもそうだ。カズマは現在、今は『無き騎士王(サトウカズマ)』に準じた思考回路なのだから。

 

同胞(・・)を守るに特化した誠実の騎士。誠実にして忠実、如何なる手段を以て救助を遂行せし者。故に亡き者たちは言ったのだ―――、

 

 

―――鬼畜にして外道の正義者であると。

 

 

「プシャァァァ……!!」

 

「―――――。」

 

双方、互いに威嚇が始まる―――。

これはスポーツ等で開始直前に行われる行為。相手を意図的に威嚇し、破壊衝動を昂らせて攻撃動作の単純化を狙ったもの。あるいは自身の闘争心を昂らせる為に使われるかだ。

 

「フシャァァァ――――!!!!」

 

そして威嚇に煽られた初見殺しは、カズマの喉元を定めて喰らわんとする―――。カズマは聖剣を抜刀せず、収めた鞘で攻撃を防ぐ。

 

「血迷ったか。我が挑発に乗るなど―――、威を知らぬ狗め。」

 

カズマは鞘を力任せに初見殺しの喉を捉えてぶつける。初見殺しが鞘を噛み付いていた為、思いっきり引き抜くと鞘が持ってかれてしまう。だが―――、

 

「―――スティール。」

 

今は無き過去の祝福神(エリス)の幸運―――、それでも侮ってはならない。凡人の彼(サトウカズマ)には平均以上の幸運が実っているのだから。幹部、邪神、竜を悉く倒して培われた彼の幸運は最早常軌を逸している。カズマは狙いを定めた鞘を一発で引き当ててしまう。

 

「ギャインッ!?」

 

鞘をすり抜け、初心者殺しは思いっきり舌を噛んだ。無論、全力故に損傷は酷くて口元が血塗れだ。そしてカズマは片腕を挙げる。

 

「……?」

 

いきなり何をするのかと初見殺しは疑念を抱きながらも警戒を忘れず。―――魔力が増加していく。初見殺しの双眼は増加する魔力の跡を追い、カズマの頭上を見ると―――、

 

 

「魔弦断絶《ジャガーストリングス》!!」

 

 

テイラーがありったけの魔力を消費し、五つの弦を放った。その弦は追尾型だと理解した初見殺しは五回の回避に専念する。弦と弦の間を避けて避けまくる。それを一、二、三、と―――。迫り続ける魔力弦を躱し続けるが、無論カズマ達はそれを許さず、次の攻撃手段へと入る。

 

風渦(ウィンドカーテン)!!」

 

「―――ッッ!?」

 

暴風が過る―――。

リーンは風属性の中級魔法を発動し、初見殺し目がけて放つ。初見殺しは回避に専念していたので、前方の魔法攻撃と、躱しきれなかった二連の魔力弦の攻撃を受けてしまった。そして―――、

 

「―――ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー、ティンダー。」

 

「(いや、唱え過ぎでしょ!?)」

 

リーンは心の中でツッコむ。呪詛の様に詠唱するカズマは風渦(ウィンドカーテン)の渦の中に、初級魔法のティンダーで生成された計二十の炎をぶっ放す。

 

「ギニャァァァァ――――――ッッッッ!?!?」

 

そもそも風渦(ウィンドカーテン)は攻撃魔法ではなく、付与魔法の類なのだ。

 

「(まさか遠距離攻撃を弾く風渦(ウィンドカーテン)を利用して魔法を放つとは―――、やっぱり只者じゃないのね!)」

 

「ハッハッハ!これは前代未聞の瞬間だぞ!性欲大魔王ことダストの助けも不要になったな!」

 

「うひゃひゃひゃ!ダストだけに不要ってか、うひゃひゃ!!何だあれ、初級魔法で押してんじゃん!」

 

リーンとカズマは嬉々としている。それもそのはず、彼らは連携して初心者殺しを押しているからだ。

 

 

「女神直伝―――、神拳(ゴッドブロー)!」

 

 

カズマの拳に青い光が宿り、初心者殺し目がけてボディブローをかます。

 

「ギャインッ!?」

 

初心者殺しは躱しきれず、バキバキというえぐい音と共に左脇腹を損傷した。そして―――、

 

 

「―――十振二十総切(じゅうしんにじゅうそうせつ)。」

 

 

計二十連の斬撃が初心者殺しを悉く斬り刻む。

 

「す、すげぇ…!あの初心者殺しを圧倒してやがる…!!」

 

キースはカズマを見て興奮している。そしてリーンは、ふとある事を思い出して考え事をする。

 

「(そういえば私が見た御伽話の一つに騎士王物語があったけど―――、)」

 

―――曰く、その者、一度剣を振れば十の斬撃となる。彼の邪神はその者を勇者(サトウ)の末裔として畏怖の念を抱く。

 

「(確か騎士王は勇者サトウの末裔説は虚偽と判明したけど……。いや、今は関係ない!そんな事より彼が何者かどうかよ!)」

 

「シャァァ……!」

 

「……無様だな。そんなに死に急ぐか、狂犬め!!」

 

初心者殺しは山道の強者として君臨せし者。故に負けを絶対に認めず―――。必死と痛みを耐え続け、カズマを襲う。

 

「ギシャァァァ――――――ッッ!!」

 

カズマはアッパーをかまして顎に急所を食らわせた。その為、初心者殺しは軽い脳震盪を起こす。そして―――、

 

「はああああああああああああああああああああ、」

 

初心者殺しの後ろ両足をガッシリ掴んでグルグルと回転し始め―――、

 

「どっこいしょおおおおおおおおおお!!!!」

 

「プギャァァァァ――――――ッッ!!!!」

 

―――思いっきり岩壁にぶつけた。

だがカズマの猛攻撃は終わらず、初心者殺し目がけて走っていく。双眸はまるで野獣の如く、初心者殺しを捉える。

 

「―――拘束(バインド)!」

 

「ニギャッッ!?!?」

 

初心者殺しを拘束(バインド)で封じ、背後から腹部を両手で絡める。カズマはそのままブリッジする要領で―――、

 

男女平等折檻(ジャーマンスープレックス)!!」

 

「ギャァァァァ――――――ッッ!!!!」

 

「「おお!!」」

 

「おお、じゃないわよ!そんな仰々しい技で男女躊躇いなく折檻するの!?怖すぎでしょカズマさん!?」

 

―――元いた世界のプロレス技を行い、僅かなクレーターを残した。頭部に大ダメージを伴った為、初心者殺しはピクピクと痙攣して動かない。

 

男女平等折檻(ジャーマンスープレックス)か…。帰還したらカズマに教えてもらうとするか。今度ダストを誘って試しにやってみよう。」

 

「お、いいねぇテイラー!汚いティッシュに塗れたダストに去勢の裁きを与えてやんねぇとな!うひゃひゃひゃ!!」

 

「正気なの!?地面が陥没してるんですけど!?それをダストに試し撃ちしたら死ぬわよ!?」

 

そしてこちらはこちらで、恐ろしい事を口にしている。

 

「クリエイトウォーター。」

 

初心者殺しが痙攣している―――、その隙を好機と見なしたカズマは魔法を初心者殺し目がけて放つ。

 

「ニギャッ……!?」

 

初心者殺しは水を被り、冷たいと言わんばかりの声をあげる。

 

「クリエイトウォーター!」

 

「ギャラパッ!?」

 

何度も何度も重ねてクリエイトウォーターを初心者殺し目がけて放つ。肝心の初心者殺しは膂力を限界以上に動かし続けた結果、筋肉の痙攣を伴ってしまった。それに左脇腹を損傷している為、身体を用いた物理的な攻撃及び防御手段は全て不可能だ。故に睨む事しか出来ない初心者殺しは、強者の意地としてカズマ達を睨むしかないのである。

 

「フリーズ!!」

 

「グギギャッッ……!?」

 

―――フリーズで水面を氷結し、初心者殺しの足場を封じた。

 

「シ……、シャァァァ…!」

 

「余興は終わりだ、狂犬。―――テイラー!!」

 

テイラーが魔法役とマジックポーションを一気に飲み、マナタイトを所持する。

 

「―――前言撤回だ、カズマ。お前は只の駆け出しではない。お前はリーダーとしての才能を有していると、このテイラーが認めよう。」

 

「ギギィ……!」

 

テイラーはカズマを認め、大剣の魔力共有を解放する。魔法細工解除の詠唱を終え、大剣が光り輝く―――。

 

「カズマは我が恩人にして友人だ……。故にその勇姿を認め、問いに答えようぞ!」

 

テイラーがそう言い、大剣を輝かせる―――。

 

「第一波―――、魔弦断絶《ジャガーストリングス》!!」

 

五の魔力弦が初心者殺し目がけて放たれて初心者殺しを五回瞬時に切り裂く。激痛のあまり、初心者殺しは悲鳴をあげてしまう。

 

「ギニャァァァァ!?」

 

「第二波―――、真・魔弦断絶《ネオ・ジャガーストリングス》!!」

 

二度目の真・魔弦断絶《ネオ・ジャガーストリングス》が初心者殺しを十回切り裂く。だが相手は凄腕初心者も手こずるとされている初心者殺し―――、中々にタフである。追い打ちをかけるべく、テイラーは詠唱を行う。そしてカズマは鞘に納めていた聖剣チュンチュンを抜刀し、同時に詠唱する。

 

「我が二連の波は抑止の楔なり。故に汝を敵として此処に解放せん―――、」「紅魔は赤く、王は白黒と。数多の我が爆導に畏怖せよ―――。」

 

テイラーの詠唱が終わると同時に初心者殺しの頭上が紫色にキラキラ無数と輝く。そしてカズマの聖剣の刃は赤・白・黒の三色の光に輝く。

 

 

 

「―――天網恢恢、疎にして漏らさず(ジャガーストリングス・カタストロフェ)!!」「―――紅魔外道幻想剣(ファンタシズム・チュンチュン)!!」

 

 

 

百以上の紫色の光が魔力の琴となって初心者殺しを悉く切り裂き、同時に三色の爆裂が追い打ちとして放たれた。

初心者殺しは最期を迎えてもなお弱気を見せる事無く、強者としての全うを終えた初心者殺しは双眼を閉ざして倒れたのであった―――。

 

「「「や……、」」」

 

無論それは―――、

 

 

 

「「「やったぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――ッッッッ!!!!!!!!」」」

 

 

 

カズマ率いる新パーティーの勝利を意味する―――。

 

「凄い、凄いわ皆さん!!まさか初心者殺しを倒す日が来るなんて、まるで夢のようだわ!!」

 

「ああ、そうだな!これも全てカズマの戦略のおかげだ!」

 

「うっひゃっひゃ!!おいおい、俺は今歓喜してるぜ!!っべぇよ!報酬金ドバドバ出るんちゃう!?」

 

パーティメンバーは嬉しさのあまり、叫んでいた。

 

「よし、カズマ!今日からお前は俺らの友人だ!改めてよろしくな!!」

 

テイラーはハイテンションでカズマと握手する。

 

「ああ―――、改めてよろしく!!」

 

「私も忘れないでよね、カズマさん。本当、馬鹿にしてごめんね?―――これからもよ・ろ・し・く!」

 

「あ、ああ…。よろしくな、リーン!」

 

「うっひゃっひゃ!ケツデカ女の標的にされちまったな!―――改めて宜しく頼むぜ、カズマ?」

 

「ああ、よろしくな。キース!」

 

リーンとキースと堅く握手する。それは朝の様な皆の姿ではなく、まるで友人として接してきている。

 

「カズマ、特別にだが後で教えてやろう。俺とキースの―――、男の楽園(ハーレム)をな?」

 

「―――酒場に帰ったら是非その話を聞かせてくれ。」

 

「ああ、たっぷりと聞かせてやろう!―――な?キース?」

 

「うっひゃっひゃ!リーダーがこれじゃあ駄目駄目だな!だけど、話は聞かせてやろう。」

 

「何何、その話って?」

 

「「「リーン、お前は駄目だ。」」」

 

「何でよぉぉぉぉ――――――ッッ!!!!」

 

任務を終えたカズマたちはペラペラと雑談しながら帰っていった。道中、カズマは皆に男女平等折檻(ジャーマンスープレックス)を教えていったという―――。

 

「(まあ何者かは結局分からなかったけど、どうでもよくなったわ。こうして親密になれた訳だし―――、これでよくってよ!)」

 

野郎どもの話を聞きながら、リーンは心の中でそう思っていた。

 

 

 

 

 

一方、ダスト率いる新チーム―――――。

 

爆裂(エクスプロージョン)!!」

 

「ぬおおおおお!!!!貴様には断じて負けんぞ、飢えた野獣めが!私を凌辱したいならやってみせるがいい―――。いや、寧ろやってみせろ!!!!」

 

目の前には爆裂魔法を発動して倒れこむめぐみんと、集中(デコイ)を発動してモンスターへと突っ込むダクネスの姿と―――、

 

「キャァァァァ――――――ッッ!!??ちょっと何よ、蛙の癖に生意気ね!!」

 

巨蛙(ジャイアントトード)に捕食されているアクアの姿が映る―――。

 

「なあ、ゆんゆん。」

 

疲れ切ったダストはゆんゆんを尋ねる。

 

「なんでしょうか、ダストさん。」

 

ゆんゆんは笑顔で応じる。

 

「……お前んとこのカズマに謝りたくなった。」

 

「カズマさんの苦労を知ってもらえましたか?」

 

ゆんゆんは笑顔を絶やさず応じる。その顔を見るに、彼女は怒っているのだろう。

 

「ああ…。もうこのパーティー、嫌だ…。」

 

クエスト終了後、カズマに土下座して謝ったという―――。

 

 

 

 




ちなみに、ベルディア襲来時に再び干渉が起きて別人格とスキルを手にするかもしれないです。
生前やスキルの内容は伏せておきますが、強いて言うならカズマを更にゲス化した様な感じです。


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