俺ガイル✖️物語シリーズ (ライとも)
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傷物語編
はちまんチェンジ壱
初投稿なのでおかしな点があるかと思いますが、そのへんは温かい目で見ていただくと嬉しいです!
関係ない話をしますが、昨日、銀魂の土方が食べてるマヨ丼あるじゃないですか。あれを食べましたよ!
結構うまいっすよねあれw
とまぁどーでもいい話は置いといて本編どうぞ!
総武高校2年の春。俺こと比企谷八幡は、暴力アラサー教師により奉仕部に強制入部、いや、矯正入部させられた。
そこには、2年J組 雪ノ下雪乃がいた。そこから俺の、俺達の物語が始まった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ガラガラッ
「うーす」
「あ!ヒッキー!やっはろー!」
こいつは由比ヶ浜結衣。バカで天然で巨にゅ…ゲフンゲフン
とりあえずダークマター精製機だ。
「あら、こんにちわヒキガエル君」
「おい、最近ボキャブラリー少ねぇんじゃね?それとカエル言うな」
こいつがさっき言った猫ノ下じゃなくて雪ノ下雪乃だ。
いつも俺を見たら罵倒してくる。何なの?俺のこと好きすぎじゃね?気持ち悪いですね、はい。
「ほかの言葉で罵と…ンンッ挨拶すればいいのね?ドM谷君」
「俺がドMみたいに言うのやめろ俺がそうなるのは小町の時だけだ。」
「えー…ヒッキーちょーキモイ…」
「気持ち悪いわヒキタニ君目の腐り具合と相まって余計気持ち悪いわ」
アハハッ千葉の兄妹として当たり前の事なのに引かれちゃう俺。目が腐ってるからかな?もう治らねぇからしょうがない。あれ?目から鼻水が…
「まぁいいわ比企谷君、紅茶飲む?」
何がまぁいいのかわからんが
「あぁ、頼む」
雪ノ下が淹れる紅茶は結構うまい。それでもマッカンの次だかな!それにそんな紅茶好きならフルール・ド・ラパンで働けばいいのに。いや、こいつがあの制服を着るのはちょっと来るものがあるな…(笑いの方で)
「どうぞ」
「ん。」
プハ-やっぱり美味い。これを飲みながら読む本は最高だな。ちなみに今日の紅茶のお供は傷物語だ。この本のシリーズは面白いらしい。まぁまだ羽川を見つけたとこまでしか読んでないけどな…
それから1時間後。
「今日も依頼はないようだし、早めに切り上げましょうか。」
「うん!じゃあゆきのん一緒に帰ろ!!」
「え、えぇ…分かったから離れてちょうだい…」
いつ見ても百合百合しいなぁ…砂糖吐きそうだよぉ…
そしたらさらに目がゾンビ化しちゃう!あらやだ泣きそう…
「んじゃ、お先」
「バイバイ、ヒッキー!また明日ね!」
「さよなら比企谷君、また明日」
こうして学校は終わった。よし!早く帰って傷物語読むぞ!そうと決まれば全力疾走DA!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ただいま〜」
「あ、おかえりお兄ちゃん!今日は早かったね!」
あれ?なんだろう…なんで早く帰って来たんだよって聞き取れたよ?小町ちゃん?まぁいいけどね
「あー今日はなんか早く切り上げるって雪ノ下が言ったからな」
「なるほど〜んじゃ小町は、お勉強してくるよ!ご飯は自分でよそって食べてね!」
「へーい」
モッシャモッシャモッシャモッシャウメ-
「ふぅー風呂入って寝るか…」
よし!風呂も入り終わったし傷物語読むか。え?風呂入るの速すぎないかって?気にするな!あと超眠い…
あ〜寝てしまぅ…zzz
〜次の日の朝〜
ドタバタドタバタバンッ
「兄ちゃん朝だぞ!早く起きろ!」
「お兄ちゃんお兄ちゃん!早く起きてよー早く起きないと千枚通しだよ!」
うぅーん…誰だよこんな朝早く…しかも千枚通し?ん?千枚通し?
「兄ちゃん早く起きろ!殺されるぞ!」
「なるほど分かったよ。お兄ちゃんがそんなに死にたいなんて…よし!ひと思いに殺してあげよう!」
何この子お兄ちゃん殺すの?止めたげて!お兄ちゃん可哀想!
「だー!起きるから起きるから殺さないで!!」
「やっと起きたよ…早く降りてきなよ?」
「ちっ…まぁいいや〜ご飯冷めちゃうから早くしてね〜」
ん?誰だこの2人は?俺の妹は小町だけだったはず…
この感じ…アニメでちょっと見たような…
う〜ん…よく分からんな…まぁ、とりあえず
ここ何処だよ…
どうでしたでしょうか?何かおかしな点があったりしたら言ってください!お願いします!
次回も頑張るのでよろしくお願いします!
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はちまんチェンジ弐
最近、友達ってどうやって出来るんだっけと
真面目に考え始めましたw
まぁ、どーでもいい事は置いて、
2話目です!どうぞ!
このよく分からない所に来て早くも1週間がたった。
分かったことといえば、俺の通っている高校が総武高校じゃなくて、直江津高校だった事。これは結構大事なことだが、苗字が「比企谷」じゃなくて「阿暦々木」になってた。もしもこれが入れ替わりなら中途半端過ぎ!
あっ、俺が中途半端だからか。納得( 涙目 )
そして、1番重要だと思うことは、最近この街の近くで
《吸血鬼》が出る
という事だ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
そして、春休みの直前である3月25日の土曜日、終業式の日の午後、今俺は、直江津高校の付近をふらふら歩き回っている。MAXコーヒーが無性に飲みたい。あぁぁぁぁ!!禁断症状がぁぁぁぁ!!
それは置いといて、なんでふらついてるんだって?
それはね、春休みは課題がないんだよ!やったね八幡ぼっち旅できるね!……やっぱり友達出来なかった…いや!作らなかったんだよ?ほんとだよ?
それに、本当の理由はあの家にとてつもなく居づらい。
小さい方の妹が特に苦手だ。小町の優しさを5で割って、面倒くささを5で掛けたような感じだ。なにそれ地獄じゃん…
そんな事を考えていると、俺の正面にここに来て1週間の俺も知っている有名人、羽川翼が歩いていた。彼女は制服姿で三つ編みを直していた。何気ない動きだが、なんか…エロいな…。煩悩退散煩悩退散…。
「あ」
俺は思わず声が漏れてしまった。風が吹いて、羽川のスカートがめくれ上がったからだ。さらには、三つ編みの位置を直していたため、手は頭の後ろに置いてあるから、エロく見える…。そんな状態で羽川の下着が丸見えとなった。
決して派手ではないが、目が引き寄せられ、そこから離す事が出来ないほど上品な下着だった。清楚な純白色である。布面積は割と広く、生地も厚めだ。そういう意味では色気が足りない気がする。だが、それを打ち消すほどの白さに眩しさを憶えた。真ん中の部分には白地に白い糸に刺繍が施されていた。さらには小さなリボンもついている。新鮮なことに、スカートの裏地までも見ることが出来た。とてもじゃないけど未知の領域だ。なんだか、1つの芸術作品を見ているかのようだ。
なんかただの目の腐った変態だな。変態ゾンビだな。
あ、なんだか、枯れていたはずの目から涙が…
あれ?あれれ?気付いたら羽川があっけにとられた表情で俺を見つめてる。いや、凝視している。やめて!ぼっちは視線に弱いの!とりあえずどんな反応したらいいんだろ…
「えっと…み、見てないっすよ?」
きっと子供でもわかるであろう嘘をついた。そしたら羽川は俺に近づきながら
「えっへへ」
と、はにかんだ。器がでかい。どこがとは言わないが別の場所もでかい。
そして、俺に、
「見られたくないものを隠すには、スカートってセキュリティ低いよね。やっぱりスパッツっていうファイアウォールが必要なのかな?」
って言ってきた。なに?俺はウイルスなの?なら、さしずめTウイルスかな?
なんというか、気まずい。どうすれば打破できるんだ?
「ま、まぁ見てないのは嘘だけど、実際、影でみえなかったから大丈夫だよ」
まぁ嘘だがな。バッチリ見えた。
「ふ〜ん…さっき、約9行に亘って私のスカートの事について描写されていた事は錯覚かな?」
「錯覚錯覚、もはや錯覚超えて幻覚っすよ。俺はさっきまで美しい風景の描写をしていたんですよ。」
これは嘘じゃない。うん、ハチマンウソツイテナイ。
「まぁ、俺はこれで」
これ以上の会話はぼっちにはキツすぎる…早く撤退しなければ!
「ちょっと待ってよ〜」
後ろから声がかかった。追いかけてきたよ羽川さん…
「やっと追いついた。速いよ阿暦々木くん…それになんで学校に戻ってるの?」
ん?阿暦々木?誰だ?あっ!俺の今の苗字か…
「えっと…自転車を取りに帰ろうかと…」
「へー、自転車通学なんだ」
「ところでなんで俺の名前知ってるの?」
とりあえず聞いておかねば。
「なんでっていわれても同じ学校だし、阿暦々木くんって結構有名人なんだよ?」
「いや、お前の方がよっぽど有名だよ。2年生1学期の期末テストで全教科合わせて、穴埋め問題1問しか間違わなかった羽川翼さん?」
なんで俺がこの情報を知ってるのかって?ヒアリングスキルがカンストしてるからだよw
「え、何で知ってるの?!……まさかストーカー?」
ちょっと照れてからのストーカー呼ばわり。なにそれちょっと嬉しいじゃないっすか…お巡りさーん!ここに変態がいまーす!いやいや、俺のことじゃん…
「んなわけねぇだろ…宇宙人の友だちから聞いたんだよ」
「え?阿暦々木くんに友だちいたの?」
「宇宙人がいるかどうかを先に訊け!」
ちょっと傷ついちまったぜ…マッカン飲みてぇ…
「いや…阿暦々木くんっていつも1人で、孤高って感じがするから…」
「なんだそれ、格好良いな」
「そういえば阿暦々木くんは、吸血鬼って信じる?」
「吸血鬼?あの、最近噂になってる吸血鬼か?」
「うん、その吸血鬼。だから夜は1人で歩き回ったらダメなんだって」
「結構曖昧な噂だな。それに、吸血鬼相手なら1人でも数10人でも大差は無いだろ」
「それもそうだね」
あはは、と羽川は笑った。
「でもね、金髪のすごく綺麗な人で、背筋が凍るくらい冷たい眼をしててね、街灯に照らされても影がないんだって」
吸血鬼。たしか、太陽の光が苦手だから影ができないんだっけ。それに、街灯っていう舞台装置が嘘っぽい、いや、安っぽい。
「馬鹿馬鹿しい話だと私も思うよ?でも私はね…」
声のトーンを若干落として羽川は言った。
「ほんとに吸血鬼がいるなら、会ってみたいって思うの。」
「え?…なんで?」
どうも、羽川の語りには熱が入りすぎている気がする…
何故だろう…
「でも、吸血鬼に会うと血を吸われて、殺されるらしいっすよ?」
「殺されるのは嫌だけど、なんて言うのかな…人よりも上位の存在に会ってみたいのよ」
「人より上位ってことは、神様か?」
「別に神様じゃなくてもいいけど、なんか報われないじゃない?」
と言った。
信号が青になるがどちらも動こうとしない。そして羽川の言っていることが少しおかしいと思った。なんか、繋がってない気がしてたまらない。そんな考えが伝わったのか
「あはは、阿暦々木くんって意外と話しやすいから訳の分からないこと言ってたね」
「いや、別に気にしてないっすよ」
「こんなに、話しやすいのになんで、友だち作らないの?」
素直な質問だった。悪気がないことぐらいわかる。だから、こう答える。
「友だちができたら気を使わないといけない。それに、その友だちが傷ついたら自分も傷つくし、友だちが悲しんだら自分も悲しまないといけない。つまり自分が弱体化してしまうんっすよ」
「それに、あれと同じっすよ、守るものがあるから弱くなるってのと」
「なんかよくわからないなー」
「結局、友だちがいようがいまいが世の中嫌なことばかりなんだからマイナスなんっすよ」
「うわぁ…ひねくれてるなぁ…」
ほっとけ。
「そうだ、阿暦々木くん携帯持ってる?」
「まぁ、携帯ぐらいは」
「じゃあ貸して?」
何に使うか分からないが差し出す。そして、数分後
「はい、ありがと。返すよ」
「何をしたんっすか?」
「え?私の番号とメルアドの登録だよ?」
「はい?」
「ざーんねん。友だち出来ちゃったね」
そうして羽川は俺に何か言われる前に信号を渡っていった。なんだろう、すげぇいい奴じゃん羽川翼。友だちが初めて出来たよ。やったね八幡。
なんか、たくさん書いた気がする。
結構楽しいっす!明日も書こうかな?
どこかでおかしな点があったりしたら言ってください!
お願いします!
では、3話までさよならー
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はちまんヴァンプ 壱
今回からサブタイを変えます。もう阿暦々木くんと入れ替わった事については一応終わったからね。
では、はちまんヴァンプ 壱です!
どうぞ!
今俺は、コンビニを出て、外ににいる。マッカン飲みてぇ…だから、代わりになりそうな甘い飲み物を探していた。
まさか羽川と別れてから夜になるまでコンビニをハシゴすることになるとは…そして俺は悟った。マッカンに代わる飲み物はこの世に存在しないと!いや、存在してはならん!マッカンはマッカンなのだから!
ごめんなさい。取り乱しました。まぁつまり俺は今、夜の街を歩いている。阿暦々木家は、両親が警察官なのに門限とか、夜間外出禁止などという決まりがない。でも、夜間に外出しているのが見つかればこっぴどく叱られるだろう。だから、こっそり家を出てきた。そろそろ帰ろうかな…もうね、眠たいのよ…あれれ?もう日付が変わっているだと…!3月26日になっている…うん。流石にもう帰ろう。あの妹達が俺の部屋に入ってきて、チクられたら面倒ごとになりそうだ。
こうして家に帰るために走り出したのだが何故か辺り一帯が暗い。始めは停電かと思っていたがそうではないようだ。なぜならば、その消えている街灯の中で1本、ただの1本だけが点灯しているからだ。何故かとは思ったがそんなことを考えている余裕はない。なぜならば………
「おい……そこの、うぬ。うぬじゃ」
そのたった1本の点灯していた街灯に照らされている──『彼女』がいたから。
「儂を……助けさせてやる」
こんな街にはとても似合わない美しい金髪。
整った顔立ちに、冷たい眼。
そしてこれまたこの街に似合わないようなシックなドレスを身にまとっている。きっと、その『彼女』の身に何もなかったならば、完璧だったのだろう。
しかし、そのドレスはボロ雑巾のように破れ、汚れていた。きっとまだボロ雑巾の方がマシではなかろうか。
というか、そのドレスからはボロボロになりながらも元々の高級さが伝わって来る。
「聞こえんのか……。儂を助けさせてやると、言っておるのじゃ」
『彼女』は、俺を睨みつける。
聞こえてはいる。聞こえてはいるんだ。だが、さすがに目の前で四肢が切り落とされている『彼女』を見て、冷静な判断はできる気がしない。いや、出来ない。そんな中何とかして言葉を発した。
「お、おい──お前、大丈夫なのか」
心臓がとても速く、強く打っている。いや、暴れていると言った方が正しいかもしれない。
「と、とりあえず救急車を呼んでやる」
未だ理解が追いつかないまま携帯を取り出し番号を打とうとするが、番号が思い出せない。あっれ〜?112?118?救急車って何番だっけ?畜生…番号登録してればよかった…
「きゅうきゅうしゃ…なんてものはいらん」
四肢を切断されている状態だというのに『彼女』は俺に強い口調で、古臭い口調で、俺に語りかけてきた。
「じゃから……、うぬの血をよこせ」
一旦思考が止まり、再び動き出す。そして、昼過ぎに羽川との会話を思い出す。確か、
夜、1人で出歩いたら行けない。
街灯に照らされ、眩しいほど輝く金髪。
そして《影》が無い。
『彼女』はまるで、街灯という名のスポットライトに当たっていた。その光は、『彼女』の金髪をより輝かせ、目をくらませるようであった。
だが、影が無い。見る影がない、なんて言っている場合ではない。本当に影が無いのだ。
「我が名は……」
そして───『彼女』は言う。
「我が名は、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード……鉄血にして熱血にして冷血な吸血鬼じゃ」
今回はここで切らせて頂きます。
ついにキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの登場ですね!次回も頑張っていきたいと思います!
では、次回ははちまんヴァンプ 弐
で会いましょう!
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はちまんヴァンプ 弐
勉強\(^o^)/
そんなことは炎で燃やして、どうぞ!
「我が名は、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード……鉄血にして熱血にして冷血な吸血鬼じゃ」
吸血鬼……。この『彼女』があの噂の吸血鬼。この町の夜に現れる、眩しいほどの金髪を持ち、影がない吸血鬼。この『彼女』が、羽川いわく人よりも上位な存在。
だが今は、ボロボロの衣服を着て、さらには四肢を失った状態で、それでも高飛車に構えて──名を名乗った。
開いた唇の内には──鋭い2本の牙が見える。鋭い──今の見た目とは対照的な牙が。
「うぬの血を、我が肉として呑み込んでやろう。じゃから──うぬの血を寄越せ」
「……吸血鬼、てのは」
俺は息を呑みながら、言う。
「不死身のはずじゃ──ねぇのかよ」
「血を失い過ぎた。もはや再生も変形もできぬ。このままでは──死んでしまう」
「…………………」
「貴様のような目の腐った、そして取るに足らん人間ごときが──我が血肉となれることを光栄に思え」
これは緊張なのだろうか…それとも武者震いというやつなのだろうか…足、いや、身体の震えが止まらない。
一体、何が起きているんだ?俺は一体、何に巻き込まれているんだ?どうして、俺の前にいきなり吸血鬼が現れて──その吸血鬼がいきなり死にかけているんだ?
空想の世界の話で存在しないはずの吸血鬼が存在していて。不死身なはずの吸血鬼が死にかけている。
なんだ、この現実、いや、この世界?
「お……おい」
と。
動揺し、キョドりまくりのまま、口も利けずにいる俺に、『彼女』は眉を顰めた。もしかしたら、それは苦痛で顰めたのかもしれない。だって、『彼女』は四肢を全て失っているのだから。
「な、何じゃ。儂を助けることができるのじゃぞ。こんなにも、光栄な事が他にあると思うのか。うぬは何もする必要は無い──儂に首を差し出す。それだけでいい。」
「……血、血って……輸血とかじゃ駄目なのか?」
うむ。我ながら意味不明だ。それに、『彼女』……キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは、返事をしなかった。というかもう、返事をする気力すらないのかもしれない。
「ど、どのくらい、いるんだよ」
この質問は、具体的だったから『彼女』は答えた。
「………とりあえず、うぬ1人分貰えれば急場は凌ぐことが出来るじゃろ」
「そうか、俺1人分……って!」
それじゃあ俺が死ぬじゃねぇか!と。突っ込もうとしたが、その言葉を呑み込んだ。
こいつの、俺を見る眼。冷たい、冷ややかな眼。
それは──《食料》を見る眼であり、その食料である俺を食べる事で生き残ろうとしている。きっと、端から助けを求めていたんじゃないんだ。俺を捕食して、生きようとしているだけだったのだ。
「……………」
そうだ。何で──何で俺はこの女を《助ける》ことを前提として思考を進めているのだろうか…
馬鹿げている。相手は吸血鬼、俺は人間だ。どうして手足を失った化物がこんなところで死にかけているのか全く知らないが──どうせろくでもない理由に決まっている。俺らしくもない。こんな事に巻き込まれてどうする。君子危うきに近寄らず、のはずだ。
こいつは化物。つまり、人外。人よりも上位の存在。
「どうした……血を。血を寄越せ。早く……早く寄越すのじゃ。とろとろするな、のろまが」
「……………」
何の疑問も持たないのか。まぁそうだろうな。この吸血鬼は、俺が血を寄越す事を当然の様に言う吸血鬼に、俺は、ざっ、と。1歩後ろに下がった。相手が例え吸血鬼でも、四肢が無い状態で、気力が無くなってきている状態で逃げきれないわけがない。そして。俺は、もう片方の足も、後ろに下げ──
「う……嘘じゃろう?」
その途端。さっきまでの冷たい眼が、声が、弱々しいものになった。
「助けて……くれんのか?」
「……………」
ドレスはボロボロ、腕も脚も引きちぎられている化物。
しかし──俺は、そんな彼女を美しく思い、綺麗だと思った。初めて──いや、久しぶりに心の底から惹かれた。雪ノ下や、由比ヶ浜以来だ。もちろん小町と戸塚は例外だ。そんなことはさておき、そんな彼女から目を逸らせなかった。逸らしてはいけない気がした。だから、足が動かせなかった。
「い……嫌だよぉ…」
それまでの高慢ちきな言葉遣いは崩れ、彼女は、髪の色と同じ金色の瞳から──ボロボロと、大粒の涙を零し始めた。子供のように。泣きじゃくり始めた。
「嫌だ、嫌だ、嫌だよぉ……、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくないよぉ!助けて、助けて、助けて!お願い、お願いします、助けてくれたら、助けてくれたらなんでも言うこと聞きますからぁ!」
耳が痛くなるほどに、心が痛くなるほどに──彼女は叫ぶ。我を失ったかのように泣き叫ぶ。泣き喚く。泣き、泣きまくる。
「死ぬのやだ、死ぬのやだ、消えたくない、なくなりたくない!やだよぉ!誰か、誰か、誰か、誰かぁ───」
吸血鬼を助けるなんて。そんな奴いるわけがない。
だって死んじゃうんだぜ?人を、世界を嫌っていた俺が、人や、世界から目を背けていた俺が、吸血鬼を背負い込むのか?そんなことしたら…さらに目が腐ることになる。そして、雪ノ下と由比ヶ浜の願いを、1人で解決しようとしない、という約束を破ることになってしまう。
「うわああああん」
流す涙が──血の赤に変わり始めた。あくまで予想だけどもそれは死の前兆なのかもしれない。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
ついに、彼女から発せられる言葉は懇願のそれから謝罪のそれへと変わっていた。一体、何について謝っているのだろうか。一体、誰に謝っているのだろうか。きっと、今まで殺してきた、自分の血肉にした人たちだろうか。それとも、自分自身にだろうか。俺には分からない。けれど──────────
見ていられなかった。こんなにも美しい彼女が、何とも知れぬ誰とも知れぬ存在に、謝りまくっている姿を。
多分。彼女は、そんなことをしてはいけない存在だ。そんな無様な死に方を──するべき存在じゃあない。
だから俺は、決めた。決心した。例えそれが雪ノ下と由比ヶ浜との約束を破ることになったとしても。愛する小町と戸塚と2度と会えなくなることになったとしても。
この世界で友達になった羽川に会えなくなるとしても。この世界の妹達に朝、起こしてもらえなくなるとしても。
この彼女を───鉄血にして熱血にして冷血な吸血鬼、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを助けると────
「諦めてんじゃねぇよ…馬鹿野郎」
俺はそう言い、彼女の前にかがみ込み、そして。
自らの首を、差し出した。
「あとは全部、お前がやるんだろうが」
「……え?」
彼女は目を見開く。よほど驚いたのか、顔いっぱいに驚きの表情が広がっていた。
「い、いいの?」
「いいわけねぇだろ、ちくしょう。でも、もう決めたんだよお前を助けるって。例えどんな結果になろうと助けるって───」
──そんな状態で死ぬのなら、彼女が、こんなにも美しくない死に方をするくらいなら、生きて、生きて、自分に相応しい死に方を死に様をする方がよっぽどいい。しかし、別に俺が死にたいわけじゃない。でも、こんな、小町が、戸塚が、平塚先生が、由比ヶ浜、雪ノ下がいない世界で生きていくのが辛い、そして何よりもすごく嫌だ。
そういうことだから、最後くらいかっこつけたって誰も文句は言わないだろ。
「もう1度ここに宣言する…。俺がお前を助けてやる──俺の血を吸え」
「………」
「全部やる。一滴残らず、絞りつくせ」
「……あ」
勝手な推測だが、彼女は、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードは、生まれて初めて自分以外の存在に対して礼を言った。
「…ありがとう」
ざくり、と。
鋭い痛みが首筋に走り、俺は彼女に咬まれたことを自覚する。すると、意識が、一気に消失する。
こうして俺の、阿暦々木 八幡もとい、比企谷 八幡の数10年という短い人生があっけなく終わりを迎えた───
────────はずだった。
いよっしゃ!ついにここまで来た!まぁついにっていうほど投稿してないんですけどねw
今回は3000文字超えちゃいましたよ…うん。頑張った。
次回も頑張ります!では!
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はちまんヴァンプ 参
小町ぃ…戸塚ぁ…うぅ…会いてぇよぉ…ん?
あれ?何で意識があるんだ?
俺、まさかまだ生きてるのか?いや、生きてるって表現は間違っている気がするな。《生き返った》って表現が正しい気がする。もしかして、夢だった…のか?しかし、それにしてはリアル過ぎる。そして、ここはどこだ?知らない場所だな。
天井の蛍光灯は全部割れてるし、それにすげぇボロいし、廃墟なのか?
ふむ…黒板に机、椅子。ここは学校なのか?いや、この雰囲気は多分、塾だ。それにしてもボロ過ぎるだろ…
あれ?……どうして俺は、こんな、窓も塞がれ、光が全く入らないような部屋の様子が……、
《こんなにもはっきりと見えているんだ?》
暗いことはわかる。決して明るいとは言い難い。真っ暗と言っていいほどなのによく見える。はっきりと見える。慣れてきたらそんなもんなのだろうか。
不思議に思いながら、身体を起こす───
「……痛っ」
その際に、口の中を噛んでしまった。
ん?俺の八重歯ってこんなに長かったっけ?
口の中に指を入れて確認しようとする。すると、俺はようやく気づいた。──投げ出されていた俺の腕を枕にして眠っていた、小さな少女の存在に。
え?小さな少女?マジで?ちょっと待て。何で俺の腕に少女が頭を置いて寝ているんだ?いや、それ以前に何故、こんなところで俺と、この少女は寝ていたんだ?
落ち着け八幡。昨日の出来事をよく思い出せ…。
えーと…吸血鬼に噛まれて死んだ。うわぁぁぁ!もう尽きた!これ以上思い出せねぇ!あ…死んだらその後の記憶とかある訳無いか。てへっ☆八幡うっかり☆
というかこの絵面、結構危ないよな…なんたって、高校生と10歳くらいの少女が、こんな人気のない場所で寝てるんだからな…とりあえずこの子を起こすか。
「お〜い、起きろ〜」
金髪少女の身体を揺さぶりながら声をかける。
「う〜ん…」
すると、金髪少女は、不機嫌そうに唸った。
「あと5分……」
なんて、ありきたりな台詞なんだろうか。むずがるように、金髪少女は寝返りを打つ。昔は小町もよくこんなこと言ってたなぁ……。おっと、それどころじゃないな。
「早く起きろって」
さらに揺さぶり続ける。
「……あと気分」
「どんだけ寝るつもりだよ…」
「……64億年前くらい?」
「え!?過去に戻んの!?」
ガチでびっくりしてしまった。まさか過去に戻るとは…
てか、今何時だ?携帯、携帯っと……あったあった。ディスプレイには、3月28日、16時32分と表示されていた。は?2日もここで、金髪少女と寝てたのか……?なんですか。ご褒美ですか!おっと、危ない危ない…ただの目の腐った変態に成り下がるとこだった…。
とりあえずこの金髪少女の目が完全に覚めるまでこの廃墟の探索でもするとしますか。
ドアから外に出たところでまず、階段に目がついた。そこの床には────
『2F』
ん?2階?何で2階なんだ?普通に考えたら1階だと思うんだが…。まぁ外に出るなということかな。
というか、探索を始めてから不思議に思っているんだが、何で夕方なのにこんなにも太陽の光が《眩しく》感じるんだ?ほんの少しの光りなのに。何故なのだろうかと考えていると、ある1つの恐ろしい仮説が浮かび上がった。
───仮説という名の結果にたどり着くための仮定を作っていこう。
まず、俺が《生き返った》という仮定。この仮定を立てた理由として、俺は、3月26日の真夜中に確実にあの吸血鬼に血を吸い尽くされ《死んだ》からだ。
これはあまり信じたくないが次に、俺が今、《人間では無い》という仮定。理由として、八重歯が急に伸びていることと、視力が急激に上がっているからだ。これだけで人間では無くなったというには余りにもしょぼ過ぎる理由だが、あくまで仮定。あまり深くは考えない。
最後にこの2つの仮定に関係すること。つまり、最後の仮定。あの《金髪少女が、吸血鬼》であるという仮定。正直にいえば始めから気付かなかった訳じゃない。髪の色、髪の形、どこか気品のあるオーラ。部分部分が一致していた。だが、2日前に出会った吸血鬼は四肢が無く、血を流していたし、体格的に大人だったが、この金髪少女には、ちゃんと手足があり、どこも怪我をしていないような肌、そして身体が小さい。だから、考えなくなっていった。いや、考えたくなかったんだろう。
しかし、改めて考えてみるとこの最後の仮定が正しいとするならば、残り2つの仮定も間違えではないと思えるようになるし、この仮説が正しくない、とは考えにくくなる。
そして、その3つの仮定を元に出来た仮説は────
───《俺が、吸血鬼になっている》というものだ。
もしも、この仮説が正しいなら、太陽の下に出るとどうなるのだろうか。漫画やアニメでは、よく灰になっているようだが本当なのか。確かめようと思い、1階へ降り、外に出ようとした。が、金髪ロリ吸血鬼(仮)に止められてしまった。怒鳴られてしまった。
「何をやっておるのじゃ!それ以上進むでない!」
「全く…いきなり太陽の下に出ようとするもんじゃから、自殺志願者かと思うたぞ」
「すまん…」
そうだ。金髪ロリ吸血鬼(仮)が起きた事だし、あの仮定が合ってるか聞いてみるか。
「なぁ、お前って───吸血鬼なのか?」
「うむ」
「いかにも、儂は『キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード』吸血鬼じゃハートアンダーブレードと呼ぶがいい」
やはりそうか。吸血鬼だったか。まだ一応想定の範囲内だ。だが、次にこのロリ吸血鬼が放つ言葉は少し想定外だった。
「眷属を造るのは400年振り2回目じゃが、まぁ大丈夫じゃろ。それにしてもなかなか目を覚まさんから心配したぞ」
「け──眷属?」
「そう。ゆえに、うぬ……む。そういえば、まだうぬの名前を聞いとらんかったの。まぁこれまでの名前など今のうぬには何の意味も持たん。ともかく、従僕よ」
彼女は笑った。凄惨に笑った。
「ようこそ、夜の世界へ」
「…………」
不思議と動揺はしなかった。さっき、仮説を立てたからだろう。でも、改めて聞くと、心に、精神に来るものがある。死ぬ覚悟はしていたが、吸血鬼として生きる覚悟はしていなかった。吸血鬼として生きる。これは何を表すのだろうか。答えは1つ。もう《人間ではいられない》ということだ。
「なぁ───キスショット。質問したいんだけど……」
「待てい」
彼女。キスショットは制した。
「さっき、儂はハートアンダーブレードと呼べと言ったじゃろ」
「長ったらしいだろ。ハートアンダーブレード?言う間に2回は軽く嚙むぞ。それなら、キスショットの方が短くて言いやすい。……ダメだったか?」
「……いや」
キスショットは、何かを言いかけてから、しかし、首を振った。金色の髪が静かに揺れる。
「まぁ、そうじゃろうな、うぬがそれでよいならばそれでよいじゃろう──断る理由がないわ」
何とも微妙な言い方だ。あ〜外国の名前だとしたら、キスショットは、ファーストネームなのか?だとしたら馴れ馴れしかったかな?よくわからん。
「それで、質問とは何じゃ」
「何でそんなに子供みたいな身体つきなんだ?一昨昨日は、こう…なんか大人っぽくて───」
「子供っぽくて悪かったのう」
「そういうことじゃなくて」
大人っぽくて。そして───手足が切断されていた。それが言いたかったのだ。
「うぬの血は絞り尽くしたがの」
牙を俺に晒して───彼女は笑う。笑って言うことでもないが、笑う。
「それでは全然足りんかったのじゃ───じゃからそれ相応の姿になっておるのじゃ。これでも死なぬだけマシじゃ。とは言え、最低限の不死身しか保てぬし、吸血鬼としての能力のほとんどが制限されておる───不便極まりないな」
それでも。死なぬだけマシじゃがな───と、彼女は繰り返した。
死にたくない、と。泣き叫んでいた彼女の姿が───脳裏に浮かぶ。まぁ今のキスショットの口振りには、全くと言っていいほどその面影は無いがな。今頃になって、今更になって思う。
俺は本当に───この女を助けたんだ。吸血鬼を助けたんだ。自分の命を投げ出して。
「とりあえず、上下関係をはっきりしておくぞ、従僕。こんな見た目でも、儂は500年生きてきた吸血鬼じゃ。主人従僕の関係を差し引いても、吸血鬼としては生まれたてのうぬが、本来ならば対等に口を利ける相手ではないのじゃぞ」
「お、おう」
「なんじゃ曖昧な返事じゃのう───本当にわかっておるのか?」
「ま、まぁ───わかるけど」
「ならば服従の証として儂の頭を撫ででみよ!」
彼女は威張って言った。…………。撫でた。うわ、髪の毛めっちゃ柔らけえ…。結構、量があるのに指が滑るようだ。
「ふっ。よかろう」
「……これが服従の証なのか?」
「そんなことも知らんのか」
彼女は見下すように言った。人間と吸血鬼ではルールが違うようだ。
「しかしまぁ無知であれなんであれ、うぬが物分りがよい従僕でよかったぞ───まあよきあるじにはよき従僕がつくものじゃがな。じゃが、従僕」
キスショットは続けて言った。冷たい眼で俺を睨みつけて。
「うぬには命を助けられた。無様を晒した儂を、うぬは救ってくれた。じゃから儂は、特別にうぬの無礼な口の利き方も許すし、キスショット呼ばわりも許すつもりじゃ」
「……呼ばわりって───」
しかし。またキスショットは気になることを言った。
───手足もこの通り、
───形だけでも再生できたしのう。
ん?形だけ?中身は───スカスカ?
「それに……この先、うぬの力を借りねばならんこともあろうしなあ」
「お前の───中身を見つけに行ったりするのか?」
「まぁそんなところじゃ」
ここで、1番聞きたいことを聞いてみよう。
「なぁ、俺は」
意を決して、彼女を見据え、聞いてみた。
《俺は、人間に戻れるのか?》
「……ふむ」
キスショットは───俺が思っていたような、どんな反応をも返さなかった。てっきり、怒るか、不思議がるか、そんな類の反応を予想していたのだが、代わりに、むしろ納得するように頷いて見せたのだった。
「やはり───そうじゃろうなぁ」
そう言いさえした。こちらの予想は外れたが───向こうの予想は当ったらしい。
「それで、俺は───」
「……戻れるよ」
キスショットは、少し声を低くして、言った。俺を見る眼は、相変わらず冷たいそれである。刺すような視線とさえ言える。
「戻れる」
けれど───そんな視線で俺を見つめるままに、彼女は「戻れる」と、そうはっきりと、断言したのだった。
「保証するよ。儂の名にかけての」
「そうか…わかった」
「勿論……従僕よ。そのためにはちょっとばかり儂の言う事を聞いてもらわねばならんのじゃがな。まぁこれは命令ではなく脅迫という形にしておこう。人間に戻りたくば───儂に従え、とな」
そしてやはり──彼女は、凄惨に笑った。
なんと!初の4000字突破ですよ!なんか、すごく嬉しい気持ちでいっぱいです!いや、達成感っていうんですかね?まぁすごくいい気持ちですねw
次回もこんな感じで頑張ります!!
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