やはり俺の青春ラブコメは続いていき、間違う (遊哉)
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1 やはり俺のベッドの下捜索は間違っている 前編

とりあえず思い付きで書きました
よろしくお願いします


ベットの下。

それは男にとっての隠れ家的象徴。人に見られたくないもの。捨てるのに困っているもの。何でも隠せる不思議な場所。確かに、セオリー通りの隠し場所過ぎて、普通は捜索されてしまうかもしれない。しかし、俺、比企谷八幡はぼっちであるため、部屋に来られる友達もいなければ、部屋に家族すら入れないまである。いや、別に戸塚とか、小町とか、戸塚とか戸塚とか戸塚とか………なら全然オーケーなんだけとね。つまり、俺にとって見られたくないもの、捨てるのに困っているものはそこにしまっておけば何の問題もないのだ

と……思っていたのは先程までの話だった……。

 

今、俺は正座をしている。

そして俺の前にはAVのパッケージを見ている一色、雪ノ下、由比ヶ浜の3人の人物がいた…。

 

一応、俺の経歴について簡単に説明しよう。俺は無事に総武高を卒業し、大学生になって一人暮らしを始めた、というか追い出された。まぁ、それなりにやってはいけたし由比ヶ浜も雪ノ下も同じ大学だったし、普通に1年目は終わった。そして、2年になって、一色が入学してきたのだ。相変わらずのあざとさは変わらず、そのまんまである。まぁ、俺らは高校時代と同じく、キャンパスライフを送っていた。基本的に俺は省かれてたと思うけどな。

 

では、何故AVを見つけられ、現在に至るのか。

事の発端は、一色と二人の時から始まった。

 

【回想】

 

「せんぱーい、一人暮らしなんですよね?今度の日曜、家に行っても良いですか?」

 

「断る」

 

「むー!別に入れてくれてもいいじゃないですか!何か問題でもあるんですか?」

 

「当たり前だ、お前に構っている余裕など皆無だ。俺には予定がある」

 

「どうせアニメですよね!しょうがないなぁ、このいろはちゃんが構ってあげますよ!」

 

バカなやつめ、それで逃げ道をふさいだつもりか?

「いや、違う」

 

「え?本当に大事な予定ですか?」

 

「うむ、惰眠だ、休日は寝るのに忙しい」

 

「………先輩……」

 

一色はにこやかに笑うと、スマホを取り出して電話をかけ始めた

 

「あ、戸塚先輩ですか?お疲れさまです。聞いてくださいよ~、先輩に急に襲われて「ちょっと待てえぇぇ」はい?どうしました先輩?」

 

「ばっか。お前、それ俺にめっさ効くやつ…」

 

「せんぱーい、どうしますか?家に行ってもいいですか?」

そう言うと、スマホの画面の戸塚先輩と書かれた

 

電話番号を見せてきた。確かに戸塚の電話番号だ……。

「分かった、場所は教えるから勝手にしろ。日曜日は基本的に家にいるから。」

 

「はーい!」

 

こうして一色は俺の家に来ることになった

が悪夢はここから始まった。

 

今日の朝、目覚ましがなる~

鮮やかなひーざーし~

二度寝タイム~

 

と某アイドルのキャラソンのごとく二度寝することが出来ず、目覚ましにたたき起こされるすると、暇潰し兼目覚ましが光っている…。やべ…昨日一色が来るからって早めに寝たからメール見るの忘れてたな…。

 

スマホを開くと

[メール6件、電話15件]

 

嫌な予感がして、メールの画面を開く。

 

From雪ノ下雪乃

《明日、暇ですか?

買い物に付き合ってほしいのですが》

 

From☆☆ゆい☆☆

《ヒッキー、明日暇かな?

買い物に付き合ってほしいなぁ(・ω・`人)》

 

From一色いろは

《せんぱーい、

明日朝早く行ってもいいですか?♥》

 

From雪ノ下雪乃

《メールの返事がないので、明日朝早く

そちらに伺います》

 

From☆☆ゆい☆☆

《ヒッキー、寝てるのかな?

明日、朝早くそっちに行くね( ^∀^)》

 

From一色いろは

《返事がないので、明日朝早く

向かっちゃいますね❤》

 

顔の血の気が引いていく感じがした。というか引きすぎて一周回って元に戻るまである。

 

脱出しよう!

 

というか、修羅場を起こすつもりもなければ、起こすような人間関係をもっていない俺が

修羅場みたいな状況に追い込まれているのはおかしい。

こういうのは、ラブコメの主人公がやっていればいいのであって、俺の管轄外だ。

とりあえず、さっさと着替えて、マイホームを脱出しよう。そうすれば、修羅場は回避……できると思っていたのは数秒前の出来事でした。

 

「あら、ヒキガエル君、連絡すらできない爬虫類に成り下がったのかしら」

 

「ヒッキー、これ、どういうこと?」

 

「せんぱーい、今日私だけじゃないんですか?」

 

 

はい、ご愁傷さまでした

みなさん、まだ7時なんですけど…

 

仕方ない、どうにか切り抜けるしかない…

「昨日、少し疲れてて早めに寝ちまったんだ、それで連絡するのが遅れただけだ」

 

「あら、嘘をついてもためにならないわよ」

 

「いや、嘘をついてどうする…まぁとりあえず上がれよ」

 

「お邪魔しまーす」

 

「お邪魔です」

 

「お邪魔します」

 

とりあえずリビングに案内と言うか

別に1kだから、部屋なんて他にないんですけどね。

 

「先輩、案外綺麗ですね」

 

「まぁな、専業主夫志望なめるなよ」

 

「理由が残念すぎます…」

 

すると由比ヶ浜が座布団を並べている。

「ヒッキー、勝手に出しちゃったけど大丈夫?」

 

 

「あぁ、悪いな」

「結衣先輩、どうして先輩の家の座布団の場所知ってるんですか?」

 

「え、いや、たまにね…エヘヘ、ヒッキーの家に来るんだ~」

 

「うわ~、アドバンテージ取られ過ぎな気がします…雪ノ下先輩もよく来るんですか?」

 

「いや、たまによ。ごくたまによ」

 

「ゆきのんとも良く来るよ…ご飯とか、勉強しに」

 

「由比ヶ浜さん…そういうのは言わないものよ…」

 

「ごめん…ゆきのん…」

 

「いや、ごめんなさい。怒ってるんじゃないのよ。ただ……恥ずかしくて」

 

「ゆきのーん、超かわいい!」

 

「由比ヶ浜さん、近いわ」

 

「おーい、そろそろ座れよ、飲み物なんでもいいか?」

 

「「「MAXコーヒー以外で」」」

 

「おい、合わせなくてもいいだろ」

 

「だって~カロリー高そうなんですもん」

 

「周りを糖尿病にするようなことはやめてくれないかしらカロリ谷君」

 

「一文字も合ってねーよ。はいはい分かりましたよ」

 

とりあえず暑いし、冷たい麦茶とかでいいかな…

 

【another view 女性side】

 

「先輩って、ああいうの持ってるんですかね?」

 

「ああいうのって?」

 

「結衣先輩、男の子の嗜みってやつですよ」

 

「一色さん、そういうのは詮索しないものよ、誰だって秘密くらいあるものでしょ、彼にも一応」

 

「でも~、先輩がそういうの持ってたら趣味、嗜好くらいは知りたくないですか?今後のためにも」

 

「まぁ、知るのはやぶさかでもないけれど…」

 

「ねぇねぇ、ゆきのん、いろはちゃん男の子の嗜みって何?」

 

「まぁ、見れば分かりますよ、そういうのはベッドの下にあると相場が………あった!」

 

「どれどれ?えぇぇ!」

 

「……聞く必要があるようね」

 

「そうですね、色々と…」

 

【another view 女性side 終】

 

「おい、とりあえず麦茶でよかったか………あ…」

 

俺の秘密の隠れ家に仕舞われていた作品が一色の手のなかにあるのは幻覚だろうか、いや幻覚ではないらしい。俺があらわれるや、 全員が俺の方を向いてひとこと。

「先輩、とりあえず正座で」

 

「比企谷君、正座しなさい」

 

「ヒッキー!正座して!」

 

「だが断る」

 

俺は屈しない!

大体、正しいこと言ってるように見えて、実際、人の部屋をあさる行為をしたお前らに

俺を糾弾する権利などない。いいか、不当で手に入れたものは裁判では証拠にならないんだぞ!

「「「いいから、正座!」」」

「はい」

 

ダメでした…

 

【回想 終】

 

おかしい冷房が効いているのか。いや、冷房はついてない、というか現在は5月だそろそろ暑くなる頃のはずだ。なのに、俺はどうして震えてるのだろう。

 

「せんぱーい、何でこんなの持ってるんですか?」

 

「いや、男の子にも事情が…」

 

「あら、卑猥谷君、発言権は与えてないわよ」

 

雪ノ下スマイル(冷笑)版に黙りこむ俺。もう、この状況を乗り越える手段が分からない…。

 

「まぁ、別にヒッキーも男の子だし、こういうのは別に持っててもいいんだけど…」

 

「けど?」

 

「せんぱーい、直球で聞きますね」

 

一色の言葉に雪ノ下も由比ヶ浜は動揺し始めた

 

「一色さん、それは…」

 

「いろはちゃん…」

 

「いや、聞いときたいです。結果がどうであれ」

 

何やら3人で覚悟を決めてるらしい…そんな、アブノーマル持ってたっけ?

「先輩!このAVの内容について質問です!このAVはどういう意図で買ったんですか?」

と、そのAVのパッケージを見せてきた。

そのAVのタイトルは

 

『黒髪ロングで巨乳な後輩とイチャラブH』

 

と書かれていた。

………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………やってもうた…。

 

 

 

 

 




来週に続きが出せればなぁと思ってます
とりあえず感想や、アドバイスなんかあれば嬉しいです


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2 やはり俺のベットの下捜索は間違っている 後編

はい、ということで2話です
お待たせしました
毎日投稿とかよくできるなぁと思います…


俺は過去は振り返らない性分だ。

なぜなら、その過去に何か後悔があったとしても、今の自分にできることはないからだ例えば人間の知覚では、過去は常に現在に更新されその現在からいずれくる未来を観測しているので、過去・現在・未来は同時に知覚することはできない。だが、現在から先を見通せないかわりに、人間は未来を自分の手で変えることができる。つまり、AVがこの3人に見つかったという過去は消せないし、現在もそうなっているが、俺の選択がうまくいけば、この3人からAVを奪還しつつ、興味をそらすという未来を創造することは可能だ。

 

俺の未来は俺自身で切り開く!

 

「材木座から借りたもんだ。そこに俺の性癖は存在しない。」

 

「中二かぁ…それなら納得かも」

 

「まぁ、あの人ならあなたとそういうものを取引していても不思議ではないわね」

 

「えーなんか納得いかないんですけど…」

 

「知らん、というか返せ。一応材木座のなんだから…」

 

どうにか、材木座を生贄にして、AVを奪還することができそうだ。雪ノ下と由比ヶ浜は納得しているが、一色は納得いかないらしい…

 

「先輩…返す前に質問良いですか?」

 

ここで、質問を受けると、ボロを出しそうで怖いが、質問を受けないと何で質問に答えないかでひと悶着ありそうだ。となれば、ボロは出さないようにしなくてはならないと言ってもこいつらがAVの事情に詳しいとは思えない。俺自身買ったはいいが、どういう会社、どういう名前の女優か分かっていないのだ最低限、質問に対して数の少ない言葉で返し、かつ材木座を名前をよく出すことによって、自分への非難を最低限にするのが、この状態でベスト。

「別にいいぞ」

 

「これ、借りたのいつですか?」

 

「いや、結構前に会って借りたもんだからな…大分前だな、確か1年以上前だと思うぞ。」

 

「もう中身見たんですか?」

 

「いや、お前それなんで聞くの?」

 

「いいから!見たんですか?」

 

「まぁ、そりゃ一応な、材木座とは言え、好意で貸してもらったわけだし」

 

すると、一色の携帯が鳴り始めた

 

「来た来た!すみません~メールですね。ふむふむ、へぇ~」

 

あれ、一色の顔がものすごい笑顔になっていく…ボロは出したつもりはないが何だが暗雲が立ち込めてきた…気がする。

 

「先輩、知ってます?このAV…発売日…半年前だそうです…」

 

……今なら扉は俺のほうが近いから逃げられる……。

扉までの距離は1メートルもない。鍵は閉めたはずだがチェーンはつけてない。

まず、立ち上がる 1秒 走って扉の前に行く 1秒 鍵を開ける 1秒

扉を開ける 1秒 そっから思い切り駆け抜ける。

 

「せんぱーい、聞いてます?」

 

覚悟を決めろ…とりあえず現状打破だ!

そして、立ち上がろうとした瞬間に足に謎の痺れが生じた…

それに耐え切れず、その場で倒れこむ…

「痛ってぇ…」

 

「今、この男逃げようとしたわね」

 

「ヒッキー足痺れちゃったんだ…正座ってそれよくあるよね」

 

「立場が危うくなって、逃げようとしたところを見ると、もう情状酌量の余地もないですね。」

「違う…俺はトイレに…」

 

「あら、それなら一言いえばいいんじゃないのかしら。そんなことも出来なくなってしまったの?」

「ぐっ」

 

反論の糸口が見えない…

 

「先輩はとりあえず扉から離れてください…次逃げようとしたら…」

 

「したら?」

 

全員が笑顔でこっちを見た…

みなさん、目が笑ってないんですけど…八幡怖い…

 

「分かった?」

 

「分かったかしら?」

 

「分かりましたか?」

 

「分かりました…」

 

 

窓側に場所を移され、結局正座…もう足痛い…。

 

「先輩、買ったことは認めますね?」

 

「あぁ、男の子ですから、仕方ないだろ」

 

「では、このなんでこのタイトルなんですかね?」

 

「たまたま、手にとったのがそれなだけで他意はない。他意はない。」

 

「なんで二度言うし」

 

「というか、なんでお前がそのAVの発売日を知ってるんだ?」

 

「いやぁ、てご…熱心な友人が探してくれまして…」

 

今、手駒って言った!手駒って言ったんだが…

「とりあえず、返してもらっていいか?俺のプライベートだろ…とやかく言われたくはないな」

 

この言葉は最後の手段だ

これを言うことによって、言われた側は相手のプライベートに立ち入ってしまったという罪悪感を覚える。自分にもプライベートという他人に介入されたくない場所があるからこそ、効く戦術だ。とはいえ、基本全員に有効だ。なぜか?それは人間だれしもプライベートがあるからだ。俺というぼっちにもあるなら、誰にでもある。

「まぁ、正論ね、事情がこれだから、認めるのは不本意だけど…」

 

「ヒッキーだって男の子だしね。仕方ない、仕方ないよ」

 

すると一色がパッケージを見て、何かひらめいたような顔を…

おい、その何か企んでる顔やめろ…いや、普通にかわいいけれども……

 

「せんぱーい、これ見て〈黒髪ロング〉〈巨乳〉〈後輩〉のどれに一番興奮しましたか?」

 

時がとまった。

 

 

「い…いろはちゃん!何聞いてるの?」

 

「そうよ…一色さん!」

 

「いや、それ選んだのに他意はないって言ったじゃねぇか!」

 

「だーかーら!これを見てどの特徴に興奮したかを聞いてるんです!」

 

おのおの、全員が自分の特徴を確認?している由比ヶ浜は胸、雪ノ下は髪、一色は自分自身を確かに買ったときに3人を意識していなかったとは言わない…しかし、この質問は想定外過ぎる…。

 

さて、この質問…

どういう風に答えるのが得策か

ぼっちは思考力に関しては長けているものだ。一つ一つ検証していこう

 

第一に、黒髪ロング

 

「あなた、私の髪をそういう目で見ていたのね…まったくあなたときたら節操がないわね、そういうのは………というのを置いてもらわないと……………でないと私、あなたに対して………………分かったかしら」

 

うーん、とりあえず雪ノ下からの説教が飛んでくるな、却下

 

次に、巨乳

「あなた、最低よ」

「最低です、先輩」

「ヒッキー最低!キモイ!」

「待て、男として当然のことなのであってだなぁ」

 

全員からの罵倒、一斉掃射か、却下

 

最後に、後輩

「いや、なんですか?後輩好きってことを理由にアプローチかけてますか、一瞬ときめきかけましたが、よく考えたらAVで興奮したものとされているので、やっぱり無理です!」

 

一色にフラれる…予定調和だが、却下

 

さて、どれを選んでも波風は必ず立つ俺は、ぼっちを誇りに生きてきただから、波風を立てるのは別にどうでもいい…けど、この3人にはあまりそういう波風は立てたくはない。

 

だから俺が選ぶのは…

 

「どれも違うな…俺が一番興奮したのは…イチャラブHのとこだ」

 

3人とも目を見開いてこっちを見ている

 

「俺は、そのなんだ…わかってると思うが、人に裏切られるようなことが多くて、あまり人を信じようとはしないようにしてた。裏切られるくらいなら、人は信用しないほうがいいと今でも思ってる。けどもし、俺に恋人という存在ができたら、信じられる存在ができたら、こういう風に少し甘えてみたいと思ったんだ…だからそのAVはその部分に一番興奮していたと思うぞ…たぶん…だからその彼女ほしいと思えたな、うん…」

ふぅ…なんかそれっぽいこと言って収まったか?

 

3人は固まって思案したまま、動かない

 

(先輩…恋人できたらイチャイチャしたいんだ…つまり、その私が恋人になれたら…うわぁぁぁぁ、ちょっと顔のニヤケが止まらない、やばい、顔変になってないかな。でもなにより一番うれしい収穫だったのは…)

 

(比企谷君、恋人…そのもし私が付き合えたら…私彼に甘えてもらえるのかしら…でも私も彼に甘えたい。まぁ、恋人は相互関係であるのだし、そこは大丈夫よね。そして今日は彼の本音が聞けた…)

 

(ヒッキー、イチャイチャしたいんだ…私がヒッキーの彼女になれたら…うへへ…えへへぇぇ…ヒッキーにたくさん甘えたいなぁ。でもヒッキーも甘えたいんだよね。うん!頑張る!でも今日、すごくうれしいことが聞けた…)

 

(それは…比企谷君(ヒッキー)(先輩)は彼女をほしがってる!!)

 

 

全員、固まったまま全然動かなくなったけど、大丈夫か?

 

「せ…せんぱい!今から買い物行きましょうよ!」

 

一色はそういうと左腕に抱き着いてきた

 

「ば!お前何してんだ!」

 

「いいから!それより行きましょうよ~」

 

「いろはちゃん!」

 

その声がした瞬間、俺の右腕に何かが抱き着いた

「ヒッキー!私とも!えーと…私甘いものたべたいなぁ!ヒッキーも好きでしょ!」

 

ちょっと由比ヶ浜さん当たってますよ…いやその破壊力ありすぎてにやけそうで困るんですけど。

 

「大体、ハニトーのお礼まだだもん!」

 

そういうと、由比ヶ浜は俺の腕をホールドして引っ張った

 

「あー結衣先輩ずるいです」

 

一色の抱き着きがはがれたが、その左手をつかまれた

 

「比企谷君…私もどっか連れてってもらえないかしら、その…」

 

なにこの雪ノ下、初めて見た…

 

すると、ボディに軽い衝撃が走った

 

見ると、一色が不満顔しながらおなかに抱き着いて下から見上げている

 

「むぅ!せんぱい!デレデレしすぎです!」

 

いや、この状態で顔がそうならないなら、それはある意味病気だ…腐った方の…。

 

「ヒッキー!どうするの?」

 

「比企谷君、お願いするわ」

 

「先輩!行きましょうよ~」

 

 

とにかく、現状言いたいことはただひとつである

 

「とりあえず正座崩していいですか?」

 

 

 

 

 




はい、というわけで開戦の火蓋は切っておとされました

お気に入りに登録していただいた方
閲覧していただいた方、本当にこのような駄文を読んでいただきありがとうございます

これからも、遅い更新ペースだとは思いますが
日々、頑張っていきたいと思います

一応、今後もハーレムで、たまに個人ルートみたいな感じでやってきます
応援よろしくおねがいします



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3 そして、彼の妹はいろいろ画策する

はい、3話めです

駄文でよろしければどうぞ


 

【side 比企谷小町】

 

さて…私、比企谷小町は現在、受験勉強に加え、生徒会の仕事と多忙でありさらに奉仕部でいろいろな相談に追われている身である。

お兄ちゃんに頼りたいが、一人暮らしのため出て行ってしまった寂しいけど、お兄ちゃんが自立するためには仕方ないよね。悲しみを押し殺して、お兄ちゃんを追い出した小町は小町的にポイント高い。

私は忙しい、けど、とても退屈だ…前年度はいろはさん、一昨年は雪乃さんも結衣さんもいた……みなさんをからかうのが楽しかったのだが、今年はもう誰もいない。みんなお兄ちゃんと同じ大学に進学していった。

今日は金曜日で明日から休日だというのに受験勉強のことを考えると憂鬱だ。これから家に帰って勉強以外することがないことを考えるともっと憂鬱だ…とにかく憂鬱? 最近刺激というか楽しいことがない…すると、スマホが振動し始める。

 

生徒会の連絡か、奉仕部への相談か、平塚先生の愚痴か

まぁ、4対4対2ってところかな

 

私はめんどくさそうにメールの画面を開く

 

from 平塚静

≪平塚です。奉仕部に少し仕事を頼みたいんだが、どうだろうか?一応概要は書いておく

付近の不動産や保険会社が作ってる雑誌で今回、普段の若者が抱いている家庭の考え方、又は家族についての考え方を特集するらしい、その記事を頼まれたのだが…ちょっと忙しくてね。そっちでやってもらえると助かるのだが…≫

 

はい、予想は大方当たってましたね

なんか似たようなのを中学生の頃に手伝わされた気がするんですが、まぁ置いときましょう…この依頼どうしようかなぁ…依頼を受けるかを悩んでいると、そのメールの上に新着メールが入る。

 

from 一色いろは

≪小町ちゃん、少し相談にのってもらえないかなぁ

お兄さんのことで相談があるんだよね≫

 

おぉ!いろはさん!

しかもこの文面…久しぶりに楽しそうなことが起こりそう!

依頼は適当に相づち打って逃げよう。

 

さっそく返信打たなきゃ!

すると、その上にまた新たなメールが入る

 

from ☆☆ゆい☆☆

≪小町ちゃん!ヒッキーのことで相談があるんだけど

今度会えないかなぁ?≫

 

あれ?結衣さんも?何かあったのかなぁ……。

あれ…またメールだ。

 

from 雪ノ下雪乃

[小町さん、今度会えないかしら?

お兄さんの件で相談したいことがあるのだけど]

 

雪乃さんも!

これは何かあったに違いない!

とりあえず全員一緒はまずいから……ずらさないと……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「いろはさーん、こっちです!」

 

「あー小町ちゃん!久しぶり、元気してた?」

 

「はい!それよりいろはさんどうかしましたか?兄がまた迷惑でもかけましたか?」

 

普通のよく行くファーストフード店に私といろはさんはいた

 

「それが…」

 

いろはさんが顔を赤くしている…

いや、なにやらかしたのよ、お兄ちゃん…犯罪じゃないよね…でも、いろはさんかわいいなぁ……。

 

「あれ?いろはちゃん?」

 

声のする方を向くと

 

「結衣先輩と雪ノ下先輩…なんでここに…」

 

「いや、ちょっとゆきのんとお話して帰ろうかとおもって…って小町ちゃん!なんでここに!」

 

「なんでここにってどういう意味ですか?」

 

いろはさんが結衣さんに質問してる。あわわわ、これは非常にまずい……。というか雪乃さんため息ついてる。雪乃さんはもう状況をたぶん理解してる

 

「どうやら考えることはみんな同じなようね」

 

雪乃さんはそういうと隣の席を近づけて、私のとなりに座った

 

「え?どういうこと?」

 

結衣さんは理解していないらしい、いろはさんは雪乃さんの言葉で察したらしいのか苦笑いである。ここまで来たら隠す必要性もないかな。

 

「実は結衣さん以外にもいろはさんと雪乃さんから同じ相談をうけてまして…」

 

「あぁ…そういうことか、、まぁそうなるよね…」

 

「そうですね、まぁこうなりますよね」

 

「まぁ、相談できる小町さんくらいですしね」

 

みんな納得している。本当に、お兄ちゃんと何があったんだろうか?この3人が急いで、私に相談したいことってなんなんだろうか……いや、お兄ちゃん頼むから変なことしてないでよ……。

 

 

「じゃあ、話戻りますけど、みなさん何があったんですか?ほぼ同じ時間にメールしてくるということは、たぶん内容も一緒ですよね」

 

「えーと…」

 

「その…」

 

「あはは…」

 

3人とも顔が赤い…いやぁぁぁ、みなさんヤヴァイですねお兄ちゃん今後背中から刺されそうかも……。

 

「じゃあ、私から事情を説明しますね…実はね小町ちゃん、この前………………………(1、2話参照)ということがあってね」

 

うわぁ、お兄ちゃん、AV持ってるとか小町的にポイント低い…というかその内容で誰も意識してませんとか。ごみぃちゃんは変わんないというか……いや変わったらこの3人離れてく可能性もあるのだろうか。

いやない!

 

「それでね!私は先輩の彼女になるために小町ちゃんからいろいろ言ってほしかったんだけどね…」

 

「私もヒッキーと遊びに行く機会を小町ちゃんからいろいろ言ってほしくて」

 

「まぁ、ほとんど同意見ね、私の誘い断るとかとか、刺されても知らないのだけど…」

 

うん…というかお兄ちゃん誰をフッても刺されますよね。保険入るようにすすめようかな……。うーん、お兄ちゃんなら本当に用事がない限り、断らないと思うんだけどなぁ。

まぁ、察するにほかの2人より、リードしておきたいという話だろう。しかし、誰かだけに肩入れはしたくないしなぁ。するとまたスマホにメールである

あて先は…うっ!平塚先生かぁ…

 

from 平塚静

≪昨日のメールの依頼ですがどうなりましたか?返信がいただけてませんけどどうかしましたか?本当はもう見てて気づかないふりをしているんじゃないですか?お兄さんもよくやってましたね。連絡待ってますよ(^▽^)/≫

 

やっちゃった。連絡すっかり忘れてたよ。というか二通目だよね、これ……。はぁ、余裕なくなってきてどんどん怖くなってくなぁ良い先生なんだけどね。

 

あれ?

なんかいい方法思いついたかも

これなら、仕事も後押しもできる一石二鳥だ

すろと準備するべきは……というかあの人に頼もう。

たぶん、乗ってくれるはず。

 

「みなさん、今度の週末、お暇ですか?私がみなさんの印象をお兄ちゃんの中にさらに深く刻みこむことができる機会を作ることができます!」

 

「本当?」

 

「ぜひお願いしたいわ」

 

「どんな感じかな?」

 

「お任せください!日時場所内容決まり次第連絡いたします。というわけでこの話は終わりにして、大学受験についていろいろ教えてください。後、大学の雰囲気とか」

 

そのあとは久しぶりにみなさんと談笑できて楽しかったしかし、本番はこれから!さぁ忙しくなるね、小町頑張らなきゃ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

さて、今日は小町に久しぶりに頼まれたため一緒に買い物である。まぁ、勉強も頑張ってるらしいし、息抜きに付き合うくらい、お兄ちゃんとして当然!うんこれ八幡的にポイント高い。

 

しかし、指定された場所がなぜマンションなのか問いたい。最近、できたマンションらしい、モデルルームなんて見ても困るだけなのだが。俺、所帯なんて持ってません。彼女もいないんですけど……

 

しかもなぜか、雪ノ下、由比ヶ浜、一色と全員集合である。

 

「なんでお前らいるの?」

 

「別に比企谷君には関係ないわ」

 

「そ、そうそう」

 

「まぁ、一身上の都合ってやつです」

 

なぜだろう、嫌な予感がする

帰ったほうがいいかも…というか帰ろう うん帰ろう 大事なことだから二度言いました。

「みなさん~、それとお兄ちゃん~お待たせしました」

 

帰ろうと決めたときに小町がマンション内から出てきた

「ではでは、こちらへどうぞ~」

 

「おい、小町なんでここなんだ?買い物じゃなかったのか?」

 

「その辺も、とりあえず中で説明するよ」

 

仕方ない。というか全員もう中にいるし、グルか?

 

中には見知った顔が2人いた

一人は独神…ぐふ!

「比企谷~今失礼なこと考えただろ!」

 

待って…この人格闘タイプに加えてエスパータイプも取得したのかよ…

 

「久しぶりだな、比企谷」

 

「お久しぶりです。平塚先生」

 

「あれ~比企谷君こっちはシカトかな?」

 

出たよ、もう一人は強化外骨格か

 

「いえ、どうもっす雪ノ下さん」

 

「うんうん、比企谷君は相変わらず目が腐ってるねぇ」

 

「まぁ、変わらないのが俺のモットーなんで」

 

久しぶりにその2人とあたりさわりのない話をしていると、大きな音がした。音の方向を見ると

 

「さて、役者もそろったので、今回の趣旨を説明いたします。」

 

小町がお玉とフライパンをもって音を鳴らしていた

 

「今回、奉仕部にこんな依頼が来ました。今時の若者の家庭のについてリサーチして記事を書いてほしいと、そこで私は女の子の考える理想の家庭像という記事を書くことにしました。しかし具体的なものがないと記事ができない。そこで雪乃さん、結衣さん、いろはさん!私のためにこのモデルルームを使って3人の描く家庭の理想像をやってもらえませんか?お兄ちゃんを使って!」

 

「「「引き受けます!」」」

 

はやっ!

 

「お兄ちゃん、旦那さん役は任せたよ!」

 

「ちょっと待て!まだ了解していない」

 

「お母さんに仕送り減らす…「やります…」わーい!ありがとうお兄ちゃん」

 

小町よ、今回騙したことと、その脅し、八幡的にかなりポイント低い…

 

「というわけで、嫁度対決エクストラゲーム、いまここに開幕~!」

 

 

 

 




というわけで開幕ですw

これやってみたかったんすよね
まぁ、ここから個人の話で3話やります

順番はうーん決めてないんですよね
まぁ、要望があれば感想欄にでも書いていただけたらw

お気に入りに登録されてくれた方、閲覧してくださった方
今回もこのような駄文読んでくれてありがとうございます
これからも頑張るので、応援よろしくお願いいたします


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4 3人とも本気で演技するのは間違っている(いろは編)

いろは回です
自信はないけど、甘くしたつもりです
それではどうぞ


夫婦

それは法律で定められた婚姻の規定にのっとり

結婚した男性と女性の総称である。

 

では結婚とは何か。

それは人生の墓場である。

そんなことはないと言う人はきっといるだろう。では、なぜこんな言葉が流行しているのかを問いたい。結局、結婚に対して、何らかの不満がある人間は少なからずいる。というか、言葉が流行するレベルではいるだろうおこづかいが少ない、自分の自由時間が少ない

きっと挙げていけば、きりはないだろう。

 

結論

そんな怖い結婚生活など、演技でもしたくない。

 

しかし、仕送りの運命は現在、小町の胸先三寸

小町の機嫌を損ねたら…即減額だろう

 

「でもね、お兄ちゃん安心して!もし小町的にポイント高い演技できたら増額もありえるよ」

 

つまり…俺のやる気次第で仕送りの額が決まるのだろう…

 

「しょうがねぇな…で、どうすればいいんだ?」

 

「お兄ちゃんに台本はないからね、アドリブでお願い」

 

「小町ちゃん、それは演技ではありませんよ…」

 

「大丈夫!相手のお願いをやっていけば基本的にオーケーだよ」

 

「はぁ…分かった。無理難題はやめろよ、できる範囲でな…」

 

「だいじょーぶ!きっとできる範囲だから」

 

まぁ、脚本を握ってるのはあの3人だ

俺はそれに合わせればいいだけ、あの3人は何か話し合っている…不穏だ

「じゃあお兄ちゃん、準備が出来次第、モニタールームから声かけるから。適当にモデルルーム内でくつろいでていいよ」

 

「了解」

 

すると荷物をまとめている雪ノ下さんがいた

あれ、帰るのか?

この手の話題は大好物だろうに…

するとその視線に気づいたのか……雪ノ下さんは話しかけてきた。

 

「ごめんねぇ…比企谷君…とっても見ていきたいんだけど、用事があってね…」

 

「じゃあ、なんでここに?」

 

「ここ、雪ノ下グループが経営してるマンションなの、ちょっと見に来ただけ…」

 

「小町が…妹が我儘いってすみません」

 

「いいのよ、雪乃ちゃんも見られたくないだろうし、比企谷君も頑張ってね」

 

「うす…」

 

そういうと、そそくさどっかにいってしまった

本当にちょっと見に来ただけなんだな…

 

さっそくモデルルーム内に入る

3LDKか、さすが雪ノ下グループのマンションであるが

こんな変なお願いを通した雪ノ下グループの今後の方が気になる…

 

「おにいちゃーん!聞こえる?聞こえたら返事して~」

 

「おう、聞こえてるぞ」

 

「もう始めるよ、最初の演技は休日の旦那さんの役だから、アドリブ演技頑張ってね」

 

休日の旦那さん?まぁ俺ならこの時間まで寝てるまであるんだが、とりあえずそこらにある本でも読んでリビングにいたりするのが定石とみて、間違いないだろう…

文庫本サイズの本をとり、カーペットの上に胡坐で座る

すると、玄関の開く音がした。3人の内の誰かだろう…

 

「二人とも準備オーケーですか?それではスタート!」

 

 

 

「八幡さーん!」

 

全身の毛が立つ感じがした。

この声は

 

「なんで名前呼びなんだよ…一色」

 

最初の妻役は一色らしい

 

ブーーーーーーー

不正解の時に流れそうな効果音が流れる

 

「お兄ちゃん、減額です」

 

「ちょ…俺がなにした」

 

「お兄ちゃんの妻役の設定なんだから一色はないよね…ちゃんと名前で呼んであげてね」

 

つい、寒気がして、素に帰ってしまったんです。だって八幡って呼ぶの小町とか戸塚とか戸塚とか、後おかんとおとんしかいないんだよ。一色をみると、頬を膨らましてる。

「八幡さーん、ひどいです…」

 

「おい、演技外の時はその呼び方やめろ、寒気する」

 

「ひどいです~これはもう減額倍にするしか」

 

「すみませんでした、次はミスらないよう努力させていただきます」

 

「とりあえず最初から始めましょうか。いろはさんすみません」

 

「大丈夫だよ、小町ちゃん!もう再開しても大丈夫かな?」

 

「はーい、それでは気を取り直してスタート!」

 

 

 

 

「八幡さーん」

一色が廊下からリビングへ姿を見せた

はぁ、名前呼びかぁ

小学校の頃、女子を名前呼びして泣かれた過去があるんだよなぁ…

演技だ、そうこれは演技

自分に言い聞かせろ、これは演技、演技!

 

「おう、どうした?いろは」

 

そう呼ぶと、一色は顔をあからめて「あう…」と言っている

大丈夫ですか?演技中ですよ…

 

「八幡さん!」

 

「はい、なんでしょう!」

 

思わず敬語である…

 

「えーと、その、あの~」

 

グタグダじゃねーか…「いろいろ飛んだ…」って聞こえるんですけど

 

「よ…」

 

「よ?」

 

「呼んでみた…だけ…です」

 

これを計算してやっているのなら、一色いろはは相当あざとさのレベルが上がっている

むしろカンスト値まで来てるんじゃね。

 

「だって、私たち新婚じゃないですか?」

 

初めて知ったぞ、その設定

 

まぁ、合わせるかしかないだろう

「そうだな」

 

「だから名前呼び恥ずかしいんですよ~」

 

 

そう言ってめちゃくちゃ近寄ってきた、近いんですけど

 

「おい、近いから離れろ」

 

「別にいいじゃないですか…結婚してるんだし、夫婦ですよ、夫婦」

 

そういうと、俺の胡坐の上に座り始めた

 

「おい、わざわざそこに座らなくても」

 

「ど…動揺してるんですか、八幡さんもまだまだうぶですね、付き合ってる頃からよくやってたじゃないですか」

 

「さぁな、覚えてない」

 

「そんなこと言って~まぁ良いですけど…早くいつものやってくださいよ」

 

「いつもの?」

 

「えー、あれですよ、あれ」

 

「主語を入れろ、主語を」

 

 

「いつもここに座るとあすなろ抱きしてくれるじゃないですか」

 

 

小町はできることしかないと言っていたんですけど

 

「お前、そんな恥ずかしいことできるわけないだろ」

 

「むぅ…早く早く~~」

 

俺の膝の上の足をバタバタさせている

 

いや、だからかわいいのやめろって」

 

「へっ…」

 

あれ、今の出てた?

一色は黙っているというか、顔が真っ赤である

 

「何なんですか、口説いてるんですか、ものすごくうれしいですけど、こういう状況じゃないときに言って欲しいので、やっぱり無理です!」

 

「久々にフラれたな…」

 

「ちょ…話題変えようとして、私をほめたって駄目ですよ!早くほら早く!」

 

「分かったよ…」

 

減額はされたくないし、仕方ない…

覚悟を決めて一色を抱きしめる

 

「あっ」

「これでいいか?いろは」

 

「ほぇ~八幡さんあったかいです…」

 

ものすごいまぬけ声が出ているが、大丈夫か?

 

「で、いつまで続けんの、これ…」

 

「私の気が済むまでです…」

 

おいおい、まじか

しかもこれ見られてんだよな…恥ずかしいんだけど…

 

【モニタールームSIDE】

 

「むぅぅぅぅぅぅ…」

 

「…………」

 

「くっ…うらやましい」

 

周りは大分うらやましがってる…

うーん、いろはさんのあすなろ抱きは私も想定外だった…いろはさんも攻めるなぁ

これは完全にこの2人に喧嘩を売っている。

うーん、気まずいなぁ…結衣さんは完全に拗ねてる。

雪乃さんはまずい、この部屋の温度が下がってるのかと錯覚するくらい冷ややかな笑顔でいる。平塚先生はあと、これを2回味わうのか、帰らせたほうがいいかも…

お兄ちゃん、事情を知らないとはいえ…ご愁傷さま…

 

【モデルルームSIDE】

 

「八幡さ~ん」

 

「どうした?」

 

「今日の晩御飯、どうしますか?」

 

「そうだな、なんでもいいぞ」

 

「そういうの一番困るんですけど…」

 

「お前の作る料理ならたぶんなんでも上手なんじゃねーの?由比ヶ浜レベルじゃあるまいし」

 

「あうぅぅ…そのセリフはずるいですよぉ、でも女の子の名前を出すのはNGですよ!」

 

そういうと、抱いていた左腕をつねりだした

 

「痛いからやめろって」

 

「嫌です~先に私の逆鱗に触れたのは八幡さんなんですから~」

 

つねるのをやめようとしない

別に痛くはないんだが、むずかゆい…

 

「やめろって」

 

「あっ」

 

つねられていた左腕を動かして一色の腕を払いのける

抱いていた腕が1本になってしまった

 

「むぅぅぅぅ」

 

え?なんでげきおこなの?

 

「どうした?」

 

「八幡さん、両腕で抱くのやめちゃった。まだ良いって言ってないのに…」

 

そう言うと、泣きそうになってしまった

 

「悪かったよ…機嫌なおしてくれよ…」

 

「グスッ…じゃあ、離した腕で頭撫でてください…」

 

仕方ないので、一色の頭に手をのせる

うわ、こいつ頭サラサラだな…

いかんいかん、撫でて、一色の機嫌とらないと俺の仕送りが。

 

「ふへへ、気持ちいいです…」

 

嬉しそうに目を細めている

とりあえず機嫌治ったか?

 

「八幡さん、私のこと好きですか?」

 

「あぁ、しゅきだよ…」

 

噛んでしまった…恥ずかしい…

今度は右腕をつねり始めた、痛いから、結構痛いから…

 

「八幡さん、私のこと好きですか?」

 

「大好きだから、離せ…」

 

「あわわわわっ」

もうゆでだこみたいに真っ赤っかである…

 

「うーーーっ」

 

そして、なんかうなっている、変な小動物みたいだ。

すると、一色の顔がこっちを向いた

一色は自分の顔を俺の首元におしつけてきた

 

「うーーっ……私も私も…先輩のことが…」

 

近い近い…やばい!

このままだと…おい、これ演技だよな…

一色の顔がどんどん迫ってきている…

 

「「すとっーーーーーーーぷ!!!!」」

 

一色も驚いて、俺から離れた…

びっくりした…

あのままだったらと思うと、いやいや、一色のことだ、たぶん直前で

「演技ですよーーキスできると思いましたか?」

とか言い出しそうだよな。一色の方を見ると

 

「やっちゃった…」

 

と言いながら顔を手で押さえている

ちなみに顔は真っ赤でした…

 

「一色さん?そこまでやって良いという規定ではなかったはずよ」

 

「そうだよ、いろはちゃんずるいよ!」

 

雪ノ下と由比ヶ浜の声だ、たぶんモニタールームからだろう

 

「いろはさん…とりあえず終わりでオーケーですか?」

 

「はい!もう本当に大丈夫です…」

 

「では、いろはさんとの演技はこれで終わり、お兄ちゃんお疲れ」

 

「おう」

 

これあと、2人続くのか…疲れるな

 

「先輩!」

 

「うぉ!どうした?いきなり大声出すなよ」

 

「どうでした?私の理想の家庭というか、その、えーと…」

 

一色が悶えている、たぶん、感想が聞きたいのだろう…

 

「よかったよ…お前の夫になる人は幸せだな」

 

そう言うと

 

「はい!ありがとうございます!先輩!」

 

あざとくない素の笑顔を俺に向けてくれた。




はい、いろは回終わりです

俺なりに甘くしたつもりですが、まだまだ甘くできるはず…
俺の執筆力がふがいないせいで…すまない…

次は誰かは告知はしませんよ
お楽しみに…

というわけで
今回も読んでいただいてありがとうございました
感想お待ちしてますが、辛辣コメントは泣いちゃいます…(´;ω;`)


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5 3人とも本気で演技するのは間違っている(雪乃編)

はい、題名通り雪乃です…
キャラ崩壊してないといいんですが…
駄文ですがどうぞ



「一色さん…」

 

「いろはちゃん?」

 

「いや、抜け駆けをしようとしたわけでは…ないんです…」

 

一色との演技が一応?

終わったのか、一旦休憩タイムらしい

何故、一応なのかは、雪ノ下と由比ヶ浜がストップの掛け声をして演技が終了したからだ。もしかしたら、一色の考えの中にまだやりたいことはあったのかもしれないが、終わったことだ。あまり考えても仕方ない、仕方ない。

 

ちなみに一色は現在、雪ノ下と由比ヶ浜に怒られている?のか?

まぁ、仲良しムードではない。

一色はかわいそうに…俺が一色の立場なら…

考えるのはよそう。グロ画像が出てきた。

 

「お兄ちゃん~」

 

「おう、小町、どうだった?仕送り上げてくれるか?」

 

「さぁ?全員終わってからじゃないとわかりませーん!」

 

ちっ

まぁ、後の2人次第で下がる可能性もあるのだ

真面目にやらねばなるまい

 

「あれ?平塚先生は?」

 

「血を吐いてたよ、こんなところで死んでたまるか、だってさ…」

 

少年マンガかよ…小町も苦い顔してんな…あの人は本当に相変わらずだな…

早く結婚出来るといいな…うん…出来るといいな…

 

 

「そういえば、お兄ちゃん、次は朝の幕間だから。お兄ちゃんの役は会社に出勤前の旦那さんの役ね」

 

「え?お兄ちゃん専業…「仕送り」はい、分かりました、社畜の演技頑張ります」

 

「ではでは、お兄ちゃんちょっとしたら始めるからモデルルームのベッドの上で寝たふりでもしてて」

 

「寝たふり?なんで?」

 

「妻役の都合だよ~起こすところからやりたいんだって」

 

「まぁ、了解した」

 

モデルルームのベッドはダブルのベッドになっていた

もし、俺が結婚したとしても絶対にベッドはシングルにする。最初はラブラブでダブル買ったとしても仕事が忙しくて一緒に寝られないとか数年後には父親はリビングのソファで母親はベッドで寝るみたいな未来が想像できてしまう……。

悲しきかな…ダブル。

 

「お兄ちゃん~始めるよ~」

 

小町の声を聞いて、我に帰る

やべ、さっさとベッドに入るかな…ベッドに入って、瞼を閉じる。

足音が聞こえてきた…やがてベッドがきしむ音が聞こえ

そして、腹辺りに重さを感じた。

 

「朝よ起きてちょうだい」

 

瞼を開けると、雪ノ下が俺の腹の上に乗っかっていた

 

「おはよう、八幡」

 

「おう…おはよう…」

 

何故、上に乗っかってるのか聞きたいが

 

こいつ、本当に軽いな…しかし、これでは動けない…

 

「どいてくれ、ゆきのし……」

 

おい、どうして腹に添えた手が布団越しのだが、爪がめり込んでる…

痛い痛い痛い痛い、は!名前か…

 

「ど、どいてくれないか?雪乃…」

 

「えぇ、分かったわ…」

 

顔がちょっと赤くなり、素直にどいた。

雪ノ下が今回の相手か。

あまり、派手なことはしないと思うから

正直、少し安心出来る。無難にこなせそうだ。

 

「ねぇ、八幡…」

 

「どうした?」

 

 

「おはようのキスはしてくれないの?」

 

 

前言撤回

 

「バカ、お前何言ってるんだ…!」

 

「フフ、冗談よ…朝ごはん出来てるから着替えたらリビングに来てね」

 

「お…おう、分かった」

 

そう言うと部屋から出ていった。

雪ノ下に一体、何があったのだろうか?

演技だろうと、あんなことは絶対に言わないはずだ。

まぁ、一色同様、甘く見てると、痛い目みそうだ。

そういえば、着替えと言っていたが立ち上がり、クローゼットを開けてみる…

一着のスーツがそこにはあった…き…着替えたくねぇ…

 

「着替え手伝った方がいいかしら?」

 

いつのまにか雪ノ下が部屋に戻ってきていた

 

「うわ!別に一人で着替えられるわ…恥ずかしいからさっさとリビングに戻れ」

 

「えぇ、早めにお願いね、ご飯が冷めちゃうわ…」

 

そう言うと、部屋から出ていった

さて、俺もスーツに着替えますかね…仕送りのために…決して社畜になるためではない!

俺の夢は専業主夫だ!専業主夫だ! 大事なことだから二度言いました…

 

スーツに着替え、リビングへと向かう。

リビングには、簡単な朝飯のメニューが出来上がっていた。

ちょっと待って…

ご飯作ってるけどいいのか?

これモデルルームだよな

ちょっと再現度高くないか?

俺が朝飯を見ながら考えていると

 

「あら?嫌いなものあったかしら?」

 

「いや、そういうわけではないんだが…」

 

ここで変なこと言って、演技が中断するのはだめだ

ここは考えないようにするのが一番だ…

 

「じゃあ食べましょう、冷めちゃうわ」

 

「おう、そだな」

 

俺は料理が置かれている席に座ったはいいが…

 

「おい…」

 

「どうかしたのかしら?」

 

「何故、隣に座る…普通は向かい合わせだろ…」

 

「あら、別にどこで食べようが一緒でしょ」

 

「分かった…じゃあ俺が移動…」

 

雪ノ下さん…腕はそっちには曲がらな…イタタタタッ

 

「どこで食べても一緒でしょ」

 

「そうだな、そうだよな、だから離して…痛い」

 

観念するように座る…

とりあえず朝飯の献立は

トースト、プレーンオムレツ、焼いたベーコン、付け合わせのサラダといったところか

しかし、サラダの中にトマトが入っている…気づかなかった…

 

「あの…」

 

「トマトなら入れといたわよ…」

 

「いや、俺の嫌いなもの知ってるなら、何故に入れる…」

 

「じゃあ私にくれないかしら…」

 

うん?

俺の好き嫌い矯正ということではないのか?

不審に思いながら、トマトをフォークでさして渡そうとする

すると、雪ノ下は口を開けて

 

「あ…あ~ん」

 

トマトはこのための伏線だったのか…

こんなことなら文句言わず、トマト食えばよかった…

というか…顔赤いな…無理すんなよ…

 

「ほ…ほら…」

 

雪ノ下の口にトマトを入れる。雪ノ下はそれを咀嚼すると、自分の皿のベーコンをフォークでさして、

 

「あ~ん」

 

俺にベーコンを向けてきた

 

「いや、別にベーコンいらないから…」

 

「私がもらったのにあなたにあげないなんて不公平よ、ほら早く食べなさい」

 

食べない選択肢はどうせ選べないし、俺は意を決してベーコンを食べた。

 

「あ…朝ごはん早く食べましょ…、遅刻しちゃうわ…」

 

雪ノ下はあーんがかなり恥ずかしかったのか、とりあえず朝飯中はもう変なことはなかった。

 

【モニタールームside】

 

「「むぅぅぅぅぅ~~~」」

 

うわぁ、いろはさんも結衣さんもすごい拗ねてる

 

「いいなぁ…私もやりたいなぁ」

 

「くっ…途中中断が悔やまれる…」

 

「うわーーーん、今日はやけ酒だぁぁぁ」

 

最後の人はとりあえず放置しておこう

顧問として立ち会ってくれるのは助かるけど、後でこの先生を処理するのは私たちの役目なんだよなぁ…雪乃さんは恥ずかしながらもアプローチがんばってるなぁ。 すごく楽しそうに見える。

 

 

【モデルルームside】

 

「ごちそうさん」

 

「お粗末様でした」

 

朝飯を食い終わったので雪ノ下の皿ももって台所に向かう

 

「私がやるからいいわよ…」

 

「いや、こういうのは分担の方がいい、負担も減るしな」

 

「ずるいわ…急にそんなこと言うなんて…」

 

俺は皿を洗い始めた、すると横に雪ノ下が立って

 

「それじゃあ…私が拭くから、洗うのはお願いね」

 

そう言って、笑いかけてきた

お前、その顔反則…

 

皿もそこまで多くないので、すぐに終わってしまった

 

さて、たぶん朝の幕間だ

 

俺が会社に出かければ、この幕間は終わる…

 

「俺、そろそろ出なきゃ会社間に合わないかも…」

 

「……そうね、確かにそろそろ良い時間よね。」

 

そういうと、台所に向かい始めた……

 

俺は先に言って、玄関で靴をもう履いていよう…

雪ノ下が玄関のところに来ると、手には風呂敷に包まれたものがあった

 

「お前、それ…」

 

「お弁当…今日も頑張ってね…」

 

俺に渡してきた…

 

「あぁ…ありがとう…」

 

お弁当を両手で受け取る

 

「あ…八幡…ちょっと動かないでね…」

 

雪ノ下はそういうと、俺のネクタイを直し始めた

 

「いいんだよ、ネクタイなんて気にしなくても…」

 

「良いから、動かないで…」

 

雪ノ下は慣れた手つきで俺のネクタイを直した

 

「これで大丈夫よ…」

 

「ありがとな、それじゃ…」

 

「待って!」

 

「うわ!どうした…」

 

顔を赤くして、言うか言わないか悩んでる

 

「どうした?ゆきのし…雪乃」

 

危ない危ない…またつねられるとこだった…

 

 

「私も今日頑張りたいの…だから…その…充電させてほしいの…」

 

これがデレのんか

由比ヶ浜がゆるゆりする理由の一つを見た気がする

 

「じゅ…充電ってどうやんの?」

 

「う…後ろ向いてくれないかしら?」

 

言われた通り、後ろを向く

すると、後ろから俺を抱きしめたのだ…

 

「……ぅ…」

 

声が出ない…心臓がものすごく跳ねている音がする…

心臓の音聞かれてないかなと心配している間に雪ノ下が離れた…

 

「ありがとう、もう大丈夫」

 

「おう、そうか…よかったよ」

 

「いってらっしゃい…」

 

雪ノ下が俺に手を振る

その姿を見ながら、考えた言葉は勝手に声に出てた

 

「また充電したいなら言えよ」

 

その発言に少しびっくりしながら彼女は

 

「えぇ、ありがとう。」

 

といい笑顔を向けた…

 

カット!!!

 

俺が部屋を出ると小町の声が聞こえてきた…

どうやら、俺の考えは正しかったらしい…

 

その声が聞こえたのか

モデルルームから雪ノ下も出てきた…

 

「お疲れさま、雪ノ下」

 

「えぇ、比企谷君も…ちょっと聞きたいんだけどいいかしら?」

 

「別にいいぞ」

 

「どうだったかしら?」

 

あぁ、感想ね…

 

「お前らしさが出ててよかったよ、お前を妻にできる人は幸せだな」

 

そう言うと

 

「当然でしょ、だって私かわいいもの」

 

と笑顔で答えられた…なんかデジャブ感じる。

 

 

 

 




というわけで雪乃編終了です
雪ノ下これでいいのかわからない…まだまだ文章に甘いとこ多い気がします…
ぶっちゃけネクタイ直すとこやりたかっただけ…

では恒例の謝辞を
今回も読んでくださってありがとうございました
お気に入り登録も大分増えました
本当にありがとうございます
これからも頑張ります
感想お待ちしております…辛辣は勘弁で…
 
次週は由比ヶ浜です
お楽しみに…




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6 3人とも本気で演技するのは間違っている(結衣編)

はい、結衣編です
駄文ですが、どうぞ


百里を行く者は九十を半ばとす

何事も終わりのほうほど困難であるから九分どおりまで来てやっと半分と心得、最後まで気をゆるめるな。という戒めの言葉である

 

つまり何が言いたいかというと

最後の1人だからと言って気を抜けば仕送りが減らされる可能性は大いにある

と俺はスーツを着て、モデルルームの玄関前に立ちながら考えていた

どうやら、最後の幕間は旦那さんが帰ってきたときの幕間らしい

実を言うと、雪ノ下の演技が終わった後、由比ヶ浜が俺に

「少し時間ちょうだい!」

言ってきた

その後、ぶつぶつ何かを唱えながらモデルルーム内に消えていった

そして、約1時間ほど経過したとき

「お…オーケーだよ」

とモデルルーム内から由比ヶ浜の声が聞こえてきた

 

由比ヶ浜は基本的にアホの子であるが、実は自分の興味のあること、やりたいことの前ではすごいくらい頭がキレる

実際、同じ大学に入れているのはそのおかげだと思う

きっと何か策があるのだろう

警戒はしなきゃなるまい

しかし、どうせ相手の演技に合わせなきゃいけないだけで、警戒というか心の準備をしておくという感じだ…

とりあえずご機嫌取りさえできていれば相手も満足だろう……多分

というか、一色と雪ノ下はあれで満足なのだろうか…

その辺、俺聞けてないな、聞こうかな、いや聞かないでおこう

触らぬ神にたたりなしだ

 

「お兄ちゃん、最後だけど準備どう?」

小町の声が聞こえて我に帰る

「あぁ、準備オーケーだ」

最後だ、気を引き締めていこう

 

「それじゃあスタート!」

 

「ただいま」

俺は玄関を開けて入る

そして

 

「お…おかえりなさい…」

由比ヶ浜が裸エプロンで立っていた

 

 

「「「「「アウトーーーーーーーーー」」」」」

由比ヶ浜はやはりアホの子でした

 

 

「おまっ!ななな何してんだ!」

「だって!新婚ってこれしか思いつかないんだもん!」

「だからってそれは違うだろ」

「い…一応、裸じゃないよ、し…下着はつけてるもん」

「いや、由比ヶ浜さん、そういう問題じゃなくて…」

「あんまりじろじろ見ないで、ヒッキーまじキモイ!」

そのセリフは理不尽なのでは?

すると、スピーカーからあの時と同じ不正解音が流れ出す

 

「先輩!見ちゃダメ!結衣先輩何してるんですか!」

「卑猥谷君、見たら通報するわよ、由比ヶ浜さん、それは…ダメでしょう…」

「結衣さん、それはやりすぎですよ…」

「由比ヶ浜、そのなんだやる気は認めるが、それは違うだろう…」

 

モニタールームからのみなさんのお叱りの声…もとい諭す声

まぁ、誰だってそれは思うよな…

まぁ、何…良いものは見れたよ、さすが乳-トン先生の唱えた万乳引力だ…あらがえない

いや、ほかのところも本当に眼福でした、ありがとうございます…

「先輩、何考えてます?」

「通報しようかしら、この変態」

何故にモニター越しで俺の考えがわかるのだろうか…

怖いことこのうえない…

まぁ…とりあえずだ

「お前なんでこんなことを…?」

すると由比ヶ浜は

「だって……ヒッキー…グスン…前の2人とすごく楽しそうで…私最後だし…なんか何やっても二番煎じっていうか…ふぇぇ…グスッ」

そう言うと泣き始めてしまった

要するに、雪ノ下と一色以外がやった以外で何も思いつかなくて、こんな作戦に出たというわけか…

 

「はぁ~お前なぁ…」

俺はスーツのジャケットを由比ヶ浜にかぶせる

「お前はお前らしくやれよ…その方が俺もやりやすいし…その方が俺は好みだぞ…」

「ヒッキー…」

「とりあえず、いったん中止な…えーと小町それでいいか?」

「うん、わ…わかった」

「ということだ、服来て来い…俺もなんだ…ちゃんと演技するから…楽しめよ…せっかくの機会なんだから…まぁ俺が相手だけどさ…」

そういうと、涙を拭いてうなずいた

「じゃあ、俺はもう一度外の方にいるから、準備できたら教えろよ」

 

さすがに泣いたとこを見て

仕送りの件を考えながら、やるのは失礼だろう…

ここは純粋に由比ヶ浜が楽しめるように努めるのが、男としての義務である…

ここで、めんどくさがるほど、性格は曲がってないと思う…たぶん…

「ヒッキー準備OKだよーー」

 

由比ヶ浜の声が聞こえてきた

さて、ちゃんと気合入れなおして頑張りますか

 

「ただいま」

「おかえりなさい」

そう言うと、由比ヶ浜はもう玄関のところにいた

今度は服を着ていてその上に、エプロンを付けている…目が少し腫れてるが…よかった…じゃない!

ちょっと待て…さっきは裸?もとい下着エプロンが衝撃的で気が付かなかったが…

エプロンだとっ!

おい、まさか、由比ヶ浜の料理を食べるとかいう状況がこの後、訪れるのか…

「ご…ご飯にする?お風呂にする?それとも……わ……わた…た…し?」

恥ずかしいなら言うなよ、いや待て

この言葉、いまの状況をどうにかするにはとっても好都合じゃないか

「いや、飯はいいや…風呂とか沸いてるかな?」

「あーお風呂は沸かしてないや…ごめんね…」

じゃあなんで選択肢にお風呂があったのだろうか…

「じゃあ…結衣が…」

あれ、なんだろう、この殺気…

監視カメラからただよう、この殺気…

 

ご飯食べると答える➡つらい思いをする…

結衣を食べると答える➡なぜだろう、想像がつかない…というか怖くて思いつかない…

 

腹は命には代えられない…

 

「ご飯あるか?やっぱりおなかすいたわ」

そう言うと、由比ヶ浜は満点の笑顔になって

「うん!あるよ!カレー作ったんだ、一緒に食べよう!」

なるほど、だから1時間も中にいたのか…

しょうがない、食べますか…

 

リビングの扉を開けると

カレーの良い匂いが漂ってきた…

「いい匂いがするな、うまくできたっぽいな」

「うん、さっきね、ママに…おっと…でしょ!頑張ったんだ、ほめてほしいな」

「おう、よう頑張ったな」

なるほど、由比ヶ浜マに聞きながら作ったのか…なら大丈夫か?

普通の動作で頭をなでた、なんか手馴れてしまった気がする…

「えへへぇ…早く食べよう!」

そういうと、キッチンに入って皿を出し始めた…

「俺も手伝うよ」

「いいの!あなたは座ってて!」

おい、一人だけ名前呼びじゃないんだな…あなたって…むずかゆいな…

「分かった、ありがとう…結衣」

そう言うと

「うん!あなたの分…大盛りにしちゃうね!」

いや、まだ怖いから通常盛りでお願いします

 

そして俺の前には大盛りに盛られたカレーライスが運ばれてきた…

落ち着け…たぶん、大丈夫だ…

「あなた…その食べたくないなら…」

由比ヶ浜が向かいの席に座りながら聞いてきた

「いや、食べるよ、いただきます」

俺はスプーンを取って、一口食べた

お…これは…なかなかいいんじゃないか?

「うまいぞ」

「ホント!?」

「あぁ、おいしいよ」

「やったぁ!」

目の前の結衣は自分も食べながら、すごく嬉しそうにしていた…

「ねぇねぇ、あなた今日はね……」

「へぇ、そんなこと…」

晩御飯の時間は由比ヶ浜と話しながら食べていたら

あっという間に終わってしまった

 

「「ごちそうさま」」

「皿貸せよ…洗うから」

「いいの!私がやるの、あなたは早く着替えてきて」

そういえば、スーツのままだった…気が付かなかった…

「分かった、頼むよ…」

そう言うと、俺はリビングを出て、寝室に向かった

リビングからは鼻歌が聞こえてくる…楽しそうでよかった

 

先ほど、スーツに着替えた寝室に戻る…

さっき着替えた服は…あった…さて着替える……

そういえば、この部屋ってカメラあるんだっけ…さっきは気にしなかったが…

俺は周囲を確認する…

あ、一応廊下のカメラででこの部屋を映す感じか

となると、いま俺のいる場所は映らないのか、じゃあさっさと着替えてしまおう…

「あなた~着替え終わった?」

すぐ近くから由比ヶ浜の声が響いてきた…扉のまえだろうか?

「ちょっと待て、すぐ終わるから…」

俺は早くシャツとネクタイなどをハンガーにかけ

自分の私服に着替えなおした

「いいぞ、入ってきても」

そういうと、

「ダーイブ!」

由比ヶ浜が俺に抱き着いてきた

「ちょ、お前…」

「今日、結衣頑張ったな、ご褒美ほしいなぁ~」

「分かったから、少し離れろ…」

いや、抱き着かれると、あれなんです

当たるんですけど、色々と…静まれ……俺

「むぅ…いいじゃん結婚したんだし、このくらいのスキンシップ…それに…」

そう言うと、俺の耳元に口をよせて

「ここ、カメラからは見れないからさ」

と小声で言ってきた

こいつ…初めからそのつもりで、抱き着いたのか…

「ほらほら…ご褒美ほしいなぁ…」

そういうと、俺の胸元におでこをこすりつけてきた

おい、くすぐったい…恥ずかしい…

 

 

モニタールームside

 

「見えない!先輩に考慮して配置したカメラがあだに…」

「落ち着きなさい、すぐ出てくるわ」

そういう雪乃さんは震えていた…

「二人とも、大丈夫ですよ…すぐ出てきますって、制限時間もありますし…」

「まぁ、落ち着け、こんなとこで2人が君らの考えてることを……ゲフゥ…」

平塚先生は何を想像して倒れたのか…それは置いといて

結衣さん、これ考えてやってたらすごいなぁ…

 

モデルルームside

 

「ご褒美ってなんだよ…」

「うーん、それじゃあ腕私のうしろに回して…」

由比ヶ浜は俺の胸元からおでこを離すと…

「抱きしめてほしいなぁ…」

と言い放った

ハードル高い、しかも一色と違い、今回は正面向かってというオーダー

「分かった」

しかしここで、躊躇しても仕方ない…

俺は由比ヶ浜の背中に腕を回した…

そして由比ヶ浜の背中に触れて、抱きしめた

「むぅ!緩いよ、もっときつく!」

ご不満らしい、くそ…俺もこれで限界なんですけど…

「もっと強く抱きしめて…お願い」

上目遣いである…これは…やばい…

俺は由比ヶ浜の背中の手に力を込めた

「……うん…そのくらいがいいかな…」

そういうと、由比ヶ浜も俺の後ろに回した手に力を込めてきた…

一体どのくらいの時間が経っただろうか

いつまでやるのだろう?

「あの…結衣さん?」

「結衣だよ、あなた?」

「結衣、これいつまで?」

正直、つらい

いろんなものが当たってる

これがすごくつらい、息子が立ちあがったら、ばれる…

「私が満足するまで……って言いたいけど…」

「けど?」

そういうと、また耳元に口を近づけてきて

「実は時間が、もうほんのちょっとしかないんだ…だから…」

そう言うと、俺は頬に感触を覚えた…

え、まさか…

「えへへ、今日のお礼…ヒッキー大好きだよ…」

そういうとブザーがモデルルーム内に鳴り響いた…

「終了でーす、お疲れさまでした」

と小町の声がモデルルーム内に響き渡った

 

それを聞くと由比ヶ浜は俺から離れて

「ヒッキーどうだった?」

と聞いてきた

俺は頬に残った感触にぼーっとしてて、いま呼びかけられて、我に帰った

「あぁ…よかったよ、お前らしくてよかったよ、良い嫁になれそうだな…」

そういうと、太陽のような笑顔で

「ありがとう!ヒッキー」

と彼女は答えた

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、というわけで結衣編でした

え?
裸エプロンじゃないのはなぜかって?
こういうシチュエーションやりたかったんですが、演技で
裸エプロンはちょっと…いや下着もあり得ないんですけどね
まぁ、その辺の疑問は流してください、すみません…
あと、俺の中の由比ヶ浜って策士なイメージなんです
だからこんな感じになりました…

次回は演技編最終回ですね
あの人物も活躍します!
あの人物ってバレバレな気がしますけどね…
需要あるのかなぁ?
友人はあるって言ってたんですけどね…

それではいつもの謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからもよろしくお願いします


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7 やはり演技とは言え結婚生活するのは間違っていた

演技編最終回です
なんか、今回一番自信ないです…

駄文ですがどうぞ


演技はすべて終了した

 

はずだった……

 

では、なぜ俺、比企谷八幡はまたもスーツを着せられ

玄関前に立っているのか……

 

それは少し前にさかのぼる……

 

[回想]

 

「小町~もう帰っていいか?」

もう参加者はいないのだから、俺は帰っていいだろう

早く帰って、録画したプリキュアみたい……

 

「ちょっと待て、比企谷!」

すると、モニタールームから平塚先生の声が聞こえてきた…

 

「私がまだだろう!」

 

…………はい?

あんた参加すんの?

 

「いつから参加者が3人だと錯覚していた……大体、前回優勝の私が参加しないのはおかしいだろう!」

いや、あんた脅してましたよね、俺の妹……

というかそのネタ……あんた本当に少年漫画好きだな……

 

「というわけだ、くじを引かせたまえ!」

「あの……くじって何ですか?」

「シチュエーションのくじだ、全員引いて決めたんだぞ」

初耳なんですが……それは置いといて

とりあえず……

「小町~平塚先生も参加者だったのか?」

「そ…そうだよ」

あ、これ参加者じゃなかったやつだ……

「お…お兄ちゃん! データはたくさんあるとうれしいな!」

苦し紛れの言い訳に俺を巻き込むのはやめてほしい……

「さぁ、比企谷始めるぞ!」

 

[回想終]

 

というわけで

私はまたもスーツを着せられている……

 

ちなみにシチュエーションは

修羅場だそうな…

冗談でもそれはまずいだろう……

というか理想の家庭という話では?

後から聞いた話だが…くじはそもそも3人分しかなく、平塚先生の分はないらしい……

そして突如の参加を聞き、急いでくじを作成したそうだ……

それでもこのシチュエーションをくじに入れるのはないだろう……

 

 

俺、卒業したのにまたもあのブリットをくらうのでしょうか……

入りたくねぇ……

 

殴られない方法ってあるのか……いやないな……

 

「お兄ちゃん~準備はいい?」

「お…おう…」

「先輩、ご武運を…」

「大丈夫だよ、多分…」

「今のうちに、包帯買ってこようかしら…」

由比ヶ浜、何が大丈夫なのか、言ってくれ…

一色と雪ノ下はもう俺が殴られる前提で言葉をかけている……

まぁ……そうだよね……修羅場だもんね

「お兄ちゃん……頑張ってね……それではスタート!」

 

「ただいま……」

玄関を開ける、反応なし

あれ、ブリットが飛んでこない……助かったか?

とりあえず、リビングに移動しよう……

 

リビングの扉を開けると……

「おかえり」

平塚先生が、キッチンに立ちながら静かな声で返事した……

怖い怖い怖い

本当に怖い……殴られた方が本当にマシってくらい怖い……

空気で人が殺せそうな勢いだ……

 

「なぁ…あなた……」

「は!はい…なんでしょうか?」

 

「携帯に入っていたあの女の子の写真は何かな?」

 

修羅場内容が浮気なんて聞いてません!

 

「い…いや! あれは会社の後輩です!」

「嘘をつくな!」

「ぐはぁ…!」

俺はその場で腹を抱えてうずくまっていた……

 

ちょっと待ってください

見えなかった……早すぎる……この人会わない間に女磨かないで

筋トレでもしてたのかよ……

というかさっき殴られた方がマシは撤回します……

殴られるのもつらい……

 

「ならこの受信メールについて説明してもらおう!」

俺にメールの文面を見せてきた……

 

from 色浜 雪

 

今度は夜景の見えるレストランで食べたいなぁ~♡

♡♡♡八幡さん♡好きです~♡♡♡

また、お誘い待ってますね♡

 

 

何からツッコミを入れていいかわからない……

とりあえず♡マーク多くね!

今時、こんなの送るやついるのか?

 

「さぁ!説明をしてもらおう!」

「送り間違いでは……」

「鉄拳!」

「ごふっ!」

「正直に言わないと、どんどん行くぞ!」

もう、限界…誰か助けてください……

しかし、モニタールームは動かない…ただの屍のごとく……

 

「名前が一緒なんてよくある話ですよ……」

「あんたは自分の名前と一緒の人間がこの近くにいると?」

「いや、そういうわけでは…ないんです…ただ……」

「ただ?」

「そんなメール身に覚えが……ぐはぁ」

「正直に言ってくれ…じゃないと殴ることになる……」

 

いや、もう殴ってます

今だけで、計3発は入ってます……

どうしたら……どうしたら……この状況が覆せる……

考えろ……どうしたら殴られなくて済むか……

 

「私も正直に言ってくれなきゃ悲しい……やっぱり私に魅力がないから

浮気をしたのか?」

もう、先生は下を向いていて、今にも泣きそうである……これは本当に演技か?

 

「聞いてくれ……先生……いや静」

その言葉に先生は俺のほうを向いた

 

「俺は浮気なんてしてない……信じてくれ……というかそんな甲斐性俺にあるわけないでしょ

そのメールは落ち込んでた後輩を慰めるためにご飯にいっただけだ、他意はない……その大好きっていう

文面はただの社交辞令だろう、それに……」

平塚先生は黙って俺の話を聞いている……

これを言うのは恥ずかしい……けどもう殴られるのは嫌だ……

 

「俺は静を愛してる……だからもう仲直りしよう」

 

この言葉が効いたのか

先生はフリーズした……そして急激に真っ赤になった

 

「そう…そうか…そうだよな……お前が浮気なんてするわけないもんな…そうだよな……

アハハ……ハハ」

平塚先生はそういって後ずさる

すると、ソファの端に足を引っかけてしまった

「きゃ……」

「危ねぇ!」

俺はとっさに先生を引っ張ろうとしたが、支えきれずに

倒れてしまった

 

「いてて……」

「あわわわわわ……」

あれ……平塚先生……俺の下になんで……

 

俺の体勢は

平塚先生を押し倒したような状況になっていた

 

「そういうのは、ちょっと……心の準備が出来てないというか……いや

大丈夫なんだが……怖いというか……」

平塚先生が顔を手で覆って、ぶつぶつ何かを言っている…

 

意外と結果オーライかもしれない

とりあえずもう殴られなくて済むだろうし

先生が満足したかは知らないが……仲直りできたし

これで大丈夫だろう

 

「「「比企谷君(ヒッキー)(先輩)……」」」

 

違う修羅場が発生した

 

「待て! 俺は先生を助けようとしたんだ、他意はない!」

「先輩……じゃあなんでさっきからずっとその体勢なんですか?」

「いや、今から動こうとしたんだ…」

「ふーん、ヒッキーは30秒も動かなかったよね、なんで?」

「いや、痛みと言いますか…平塚先生の安否を……」

「ソファよね、倒れたの……卑猥谷君」

 

反論させてもらえない……

 

「「「とりあえずそこどく!」」」

 

「はい!」

俺は即座にそこを移動した

 

そして、またも俺は正座をしていた……

3人の前で

 

「それで何か遺言はあるかしら?」

「いや、なんで最初から遺言なの…俺死ぬの?」

「先輩、演技にしては一番ノリノリでしたよね?」

「そんなことはない、ただ殴られたくなかっただけだ…」

「ヒッキーはそんな理由で押し倒すんだ…」

「いや、だからね…」

 

修羅場を潜り抜けると

そこはもっとすごい修羅場だった…

 

誰か……誰か……

助けてくれないだろうか

 

平塚先生は……

無理だ……頭かかえて倒れてる……一緒に弁明してくれない

 

小町は!

小町は……苦笑いしてる……

いや、笑ってないで助けてくれ、マジで……

 

「聞いてるのかしら?」

「聞いてます?」

「聞いてるの?」

 

「はい、大変申し訳ありませんでした……」

やはり

演技とはいえ結婚生活するのは間違っていた

 

 

「しびれてる……足が……」

その後、2時間ほどお説教を受けて解散した……

俺は今日は実家に帰るので……小町と帰路についていた

 

「ごめんね、お兄ちゃん」

歩いてると、小町が突然謝り始めた

 

「どうした…急に…」

「今日、ずいぶんわがままにつきあわせちゃった……

ずいぶん、殴られてたし、正座もたくさんさせちゃったし」

「別に、いつものことだろ……」

「でも……」

俺は小町の言葉を止めて、頭をなでた

「正座したのも、殴られたのも俺のせいだ……お前が気に病む必要はない

それに仕事だったんだろ」

「お兄ちゃん……」

「いつも世話になってんだ……たまのわがままくらい聞いてやるさ

兄貴なんだから……」

「ありがとう、お兄ちゃん」

そういうと、落ち込んでた顔から一転

笑顔になった

「それはそうと……お兄ちゃん!」

「ん? なんだ?」

「保険に入るつもりない? 生命保険ね!」

「近々、お兄ちゃん死ぬ予定あったっけ?」

「内緒だよ! 自分で考えて!」

そういって、腕によりかかってきた

 

やっぱり

ゲームメーカーは本体や円盤を同梱する前に

妹を同梱したほうがいい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで
演技編終了です

というわけで平塚先生でした
小町予想、陽乃さん予想の方すみません

参戦キャラ増加の要望が
そこそこ寄せられています……
増やした方がいいとは思うのですが……
書けるか心配です……
まぁ、それでもおいおい増やしていきたいとは思ってます

というわけで謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございます
これからも応援よろしくおねがいします




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8 そして比企谷八幡の夏休みは幕を開ける

どうもどうも
駄文ですが、よかったらどうぞ


キーンコーンカーンコーン

 

授業の終わりを告げる鐘がなった

俺にとってこの鐘の音は夏休みの開始を告げる鐘である

 

夏休み

学生という存在に与えられる1ヶ月または2ヶ月の

長期休暇

 

最高だ

毎日、家でゴロゴロしていても何も言われない

大学に通学するというルーチンからも解放される

 

実家には今年は帰らない

理由は簡単……部屋が物置になっていたからである

 

家に帰ったときの

なんで帰ってきたのという目

百歩譲って親がするのはわかる……いや分かっちゃダメだろ……

しかし、小町……ちょっとはお兄ちゃんのことも考えて……

 

そんなことを考えつつ

大学の教室を後にする

 

さて、家に帰ってゲームの続きでもする……あれは雪ノ下か?

雪ノ下は○号館の出入り口近くに立っていた

 

うむ

スルー推奨だ

幸い気づかれてない

ちょっと遠回りだが違うところから出るか

幸いこの○号館は出口が3つある

 

雪ノ下に気づかれないようにその場を後にする

なぜ避けたかといわれると、本能という言葉しかでてこない

やっかいごとが避けられるなら避けた方が合理的だ

 

だが、やっかいごとはすでに始まっていたらしい……

由比ヶ浜は違う出入り口の近くで携帯をいじっていた

なんか嫌な予感がする……

予感にひかれるようにもう一つの出入り口に急いで向かう

するとそこには扉の近くで一色が手鏡を見て髪を整えている姿があった

 

か こ ま れ た 

 

おい!

これじゃマイホームに帰れない……

何処から出ても確実にこの後捕まって連行される……

 

夏休みに入るために神様が俺に出した課題ってやつですか…

とりあえず男子トイレに行こう

ここにはとりあえずあの3人も入ってこれないだろうし

ひとまず時間をつぶしてあきらめるのを待つか

 

個室に入り扉を閉める

スマホを出して時刻を確認すると

 

[メール3件]

 

開きたくねぇ……

意を決してメールを開く

 

from 雪ノ下雪乃

 

≪今、どちらにいますか?≫

 

from ☆☆ゆい☆☆

 

≪ヒッキー!

今、どこにいるの?大学?≫

 

from 一色いろは

 

≪先輩~今どちらですか?≫

 

まぁ予想通りではあったな

 

すると

スマホが鳴り始めた

 

≪着信 雪ノ下雪乃≫

 

とりあえず出るか

この状況についての情報が欲しい

 

「もしもし」

「今、どこにいるのかしら? 早く投降しなさい」

「それお前が言うと本当に怖いな……」

「あなたは現在○号館の何処かにいるはずよ」

「さぁな、もう帰っているかもしれないぜ」

「出口全部封じられていてその発言かしら?」

やっぱり作戦だったか……

 

「それで今どこに隠れてるのかしら?」

「そんなの言うわけないだろ……」

これ捕まったら今日連れまわされるやつに違いない…

俺の夏休み計画を最初から頓挫させるわけにはいかない……

「比企谷君?」

やべ、考えすぎて話聞いてなかった、なんの話してたっけ?

「あぁ…お前にもそういう子供っぽい一面あるんだなって……」

「きゅ…急に…な…何を言ってるのかしら…これは一色さんが言い始めたことであって私は別に……ブツブツ」

「分かった、分かったから」

おい、急に困惑しはじめたぞ、大丈夫か?

「とにかく…時間の無駄は嫌いなの、早く出てきて頂戴」

「断る、今日は家に帰ってゲームの予定だ、お前らに買い物に付き合ってる暇はない」

「じゃあ、捕まったら今日3人の買い物に付き合うのね」

「な…どうしてそうなる!」

「だって、私今日買い物に付き合ってもらうなんて一言も言ってないわよ」

「ぐっ…」

想像力を働かせすぎて、言わなくてもいいことを言ってしまった…

「まぁ、いいさ、捕まらなければいいんだろ」

そう言って、俺は電話を切った

さて、これは相手側があきらめて帰るという選択肢は捨てたほうがいいな

となれば、脱出あるのみだ

 

 

まず状況を整理しよう

まずA出口には雪ノ下、B出口には由比ヶ浜、C出口には一色

雪ノ下の発言からするとこれは全員が結託して行っていることだ

となれば、誰かに見つかった時点で連絡が回るのは必然

力づくで振りほどくという手はあるが……ここは大学

人は多く、加えて出入り口という一番人の出入りが多い場所

もし力づくで振りほどいて脱出をしたとしよう

次、来るときどんな噂がたてられてもおかしくはない

そして力づくが無理な場合、俺は相手を振りほどく手段がない

その間に3人が集結、そしたらもう逃げることは不可能だ

つまり

目立たないステルス大学生活を送りたいという願望をかなえたいなら

捕まるしかない

しかし、そうなると俺の夏休みが崩れることは必然……

この作戦立案、多分一色だろう……あのやろう……

 

 

脱出方法はシンプルにいこう

出口から3人の内誰かを引き離し

その隙にその出口から脱出

これがベスト

雪ノ下は多分罠にはかからない

一色は俺の性格を理解してる

となれば狙うは由比ヶ浜、ただ一人

考えをまとめていると、スマホが震えだした

 

≪着信 ☆☆ゆい☆☆≫

 

さて、さっそく来たか

 

「もしもし」

「ヒッキー!メール見た?今どこいるの?」

「大学の外だぞ」

「ふふん、それはないよ、私を騙そうとしたって無駄だよ」

まぁ、この辺は予想の範囲内だ

「まぁ、大学の外は嘘だ」

「それでヒッキーは今どこにいるの?」

「実は身体の調子が悪くてな……ちょっと休んでる」

「えぇ! ヒッキー大丈夫なの?」

「いや、大丈夫ではない……」

「ヒッキー! 今どこにいるの? 今すぐ向かうよ」

「今、3階のトイレの近くにいるんだ、頼む、迎えに来てくれ…」

「うん! 今向かうね」

 

これで由比ヶ浜はB出口を離れる

由比ヶ浜が来る前に、ここを離れよう……

というかあっさり引っかかったな……

雪ノ下も甘いな

 

俺は急いで男子トイレから脱出をした

B出口からここまでの最短距離はここの階段を上ること

 

となれば

少し遠回りだが逆の階段を使ってB出口に向かう

 

階段を下りていると

俺を見ながらヒソヒソと何かを話している連中が2階の廊下にいた

ぼっちは周りの視線に敏感だからな

おっと…

あんな視線に惑わされてたら

脱出作戦に支障が出かねない

俺はシカトをして階段を下る

 

案外、あっさりB口に着いたな…

さて、由比ヶ浜は………いるだと……

 

「あ! ヒッキー本当に来た!」

「げ、なんでお前3階に向かったはずじゃ……」

「ゆきのんがね…ヒッキーは病気のふりをするけど

気にしなくても大丈夫だって、出口で待ってれば勝手にくるからって」

作戦読まれてたか

まぁ、こんな作戦通じるほうがおかしいよな……

「ヒッキー捕まえた!」

そうこう考えてるうちに由比ヶ浜に腕をつかまれた

「おい、離せって」

「離さないもん! やるなら力づくでいいよーだ」

くそ、やっぱり

思った通りだ……由比ヶ浜は俺の腕をホールドしながら

携帯を操作している……

まずい、力づく以外でこの状況を打破する方法は……

 

「なぁ。結衣」

 

「え……へ?」

「ちょっと痛いから離してもらえないかな?」

「は…はい」

由比ヶ浜の腕が離れた……チャンス!

俺はそこから出口まで走った

 

よし、脱出成功!

 

と思ったときにはもう遅かった…

目の前には一色の姿があった

 

「なんでお前がそこにいる……一色、C口にいたはずじゃ」

「ふふん! 先輩の場所なんて私にはお見通しなのです」

「どういう意味だ?」

「目撃証言があるんですよ、B口に向かっていった先輩を見たって」

まさか…

あの謎の視線は…

「そう、一色さんの手…おともだちでーす」

絶対に手駒って言おうとしてたよ

 

「それはそうと先輩……」

「何だ?」

あれ、さっきまでの一色さんと雰囲気が変わり始めてない?

 

「結衣先輩のこと名前で呼んでませんでしたか?」

「そ…そんなわけないだろ」

「いいえ、私聞きましたもん!」

「気のせいだ」

「ヒッキー! あのもう一回名前……あれ、いろはちゃん?」

「先輩……」

一色がとても怖い笑顔をしてる……

「作戦の一部だったんだよ……」

「ほうほうほう、なら…」

そう言うと一色が腕に引っ付いてきた

「どうします?」

つまり自分にもしろと……

「あーずるい、いろはちゃんだけ!」

「結衣先輩はさっきやってたじゃないですか」

「おい、お前どこから見てた…」

「先輩~早く早く~」

 

「何をしているのかしら?」

 

そこには氷の女王が立っていた

 

「ち……違うんだ…雪ノ下これは…」

「まったく、2人ともちゃんと連絡をしなさい」

「はーい」

「ごめんね、ゆきのん」

「きゃ、由比ヶ浜さん近いわ」

氷の世界から一転

ゆるゆりなワールドになったな、めでたしめでたし

それじゃ、俺は帰ろうかな

「何をしているのかしら? 比企谷君」

「いや、帰ろうと……してました」

「はぁ、もう本題に入りましょう」

「本題?」

「比企谷君、夏休みの予定はどんな感じかしら?」

「とっても忙しい予定が入っている」

「へぇ~どんなふうに忙しいんですか、先輩?」

「いや、実家に帰るとか」

「この前、小町ちゃんがお兄ちゃんは今年は帰ってこないって言ってたね」

小町~~~

お兄ちゃんのためを思うなら、その情報は漏らしてほしくなかった

「まぁ、どうせこの男に予定なんてなかったのだから、こんな作戦やる必要なかったのよね」

「まぁまぁ、夏休みが始まったら先輩は家から出てきませんからここできっちり予定を聞いて言質を取っといた方がいいですよ」

「言質ってどういう意味?」

「それじゃ、先輩の予定も聞けましたし、みんなでご飯食べにいきましょう、先輩のおごりで」

「ちょっと待て、そんなの聞いてない」

「そんなことないですよ、雪ノ下先輩に聞きましたよ、捕まったら今日付き合ってくれるんですよね」

「買い物であって、飯をおごるのは管轄外だ」

そう言うと、一色は頬を膨らませ始めた

あざといから…

「さて、早く行きましょ、じゃないとお店が閉まっちゃうわ」

「さんせーい、早く行こ!」

「私、ほしいものあったんですよね」

3人は仲良く今日買うものについて歩きながら話し始めた

帰りたい……

「ヒッキー行くよ!」

「先輩、おいてきますよ」

「比企谷君、行きましょう」

そんなことを考えていると3人は振り向いて一斉に呼んできた

「はいはい、いま行く」

まぁ、まだ夏休みは始まったばかりだ

今日はこいつらに付き合ったとしても、まだまだ時間はある

きっと、計画通りにできるだろう……多分……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで夏休み編に入ります

え…この茶番は何かって?
やってみたかっただけです…

ではでは
今後の予定です
3人の個人話と

キャラ追加話書きます!

あと、続きものも企画中です

では謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからもよろしくおねがいします



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9 最初に仕掛けるのはやはり一色いろはである 前編

しまった…
一話の予定がこんなことに……
すみません、今回も駄文でよろしければどうぞ


目が覚めると、誰かが俺の上に乗っている

夢か?

幽霊でも出たか?

「あ、先輩、やっと起きた!」

じゃなく一色だった

しかし……

「重たい」

この言葉の後に

体にかかる重さが増えたのは気のせいですよね……一色さん

「せんぱーい、よく聞こえなかったなぁ…もう一度言ってもらえますか?」

「すみません、一色さんは羽毛のごとく軽いです…」

「そうですか、そうですか、ならよかったです」

「話は済んだな、二度寝するから下りてくれ」

「ちょっと! 話を終わらせないでください」

「なんだよ、というかどうやって入ってきた」

「小町ちゃんから鍵お借りしました」

小町よ、お前が欲しいというから作ったのに

その使い道はひどい……

「とりあえず、そんなことは置いといて…」

「うん?」

「先輩! プール行きましょう!」

「断る」

「それを断ります」

「ふざけんな、なんでこんなくそ暑い日に」

「暑いからこそですよ」

「大体、水着は実家だ」

「大丈夫です、抜かりはありません、小町ちゃんに持ってきてもらいました」

さっきから小町が便利屋みたいなことになってる……

「行きましょうよ、先輩」

一色が泣き始めた、あざとい

「嘘泣きやめろ」

「てへ、ばれちゃいました? これやれば大抵大丈夫なのにな」

「俺はその大抵の外にいるんでな」

「むぅ、しつこいですね、なら……」

「ならって……うぎぎ」

またも体重を乗せてきた

「ふっふっふ、どうだどうだ、いろはちゃんの水着姿が見たいと言え~」

「趣旨変わってるじゃねーか」

「早く言わない先輩なんてこうだ、うりうり」

「ちょ、この…お前」

一色は俺が動けないことをいいことに布団の上から

くすぐりはじめた

この野郎……

俺は体に力をためて、いっきに起き上がった

所詮、女の子だ、本気を出せばどうということはない

すると

「うわわわ」

一色がその反動で後ろに倒れそうになってしまっていた

「おい!」

慌てて、助けようとするも助けられず

俺は一色を押し倒したような図になってしまった

だけならよかったが……

 

 

俺は一色の胸に手をおいていた……

これがラッキースケベってやつですか……南無三

一色は顔を赤らめているが、実際のところ

「……先輩…」

「はい」

「プールどうします?」

「行きます」

目は笑ってはいなかった、ですよね

 

「着いた~」

「帰りたい」

というわけでそのあと、着替えて電車に揺られること1時間

俺たちはプールに到着していた

「もう、こんなかわいい後輩の水着が見れるのに

帰りたいとか言うなんて」

「いや、自分で言うのおかしいだろ」

「はーい、では行きましょう先輩」

俺たちは券売り場に並んでいる

やたらカップル多いけど、これ気のせいか?

すると、俺たちの番が回ってきた

「大人2人 この割引お願いします」

「はい、カップル割りですね、2人割引で合計5000円になります」

はい?

券売りのお姉さんは今なんていったの?

「はい、お願いします」

いや、一色さん

何を言っているの?

「はい、ではこちらが入園券になりますので、なくさないように

お願いいたしますね」

「では行きましょう、先輩」

「いや、ちょっと待って……」

「早く~、私泳ぎたいんです」

「お前、カップル割りって……」

「安くなるんだし、いいじゃないですか、

こんなかわいい後輩と恋人気分が味わえるんですよ、よかったですね先輩」

「いや、だからそれお前が言うのか?」

「はいはい、着替えたら更衣室の外の近くに集合です、分かりましたね」

「おい、まだ話は終わって……行っちまった……」

一色は反論を認めず、女子の更衣室に入ってしまった

仕方ない、俺も行くか

 

 

俺はすぐに着替え終わったので

更衣室の近くで待っている

しかし、遅いな、大分時間たってる気がする

干上がりそうなんだが……

すると

 

「せんぱーい、お待たせしました」

「おう、やっと…」

一色はオレンジのビキニに水色のパレオをつけていて

手には水玉のトートバッグが見える

「どうですか、どうですか、いろはちゃんの水着に見とれちゃいましたか?」

「ば…ばかじゃねーの、ほら行くぞ」

「あ、待ってくださいよ、せめて感想くださいよ」

「感想って言われてもな……まぁ、似合ってんじゃねーの、あんまあざとくなくシンプルでいい」

「あ…ありがとうございます……ど…どうしたんですか、素直ですね」

「まぁ、せっかくの後輩の水着なんだろ」

「何なんですか、なんですか、そうやって私のポイント荒稼ぎして

私からの告白を待ってるんですか、残念だけど、私告白してほしいんで

そういうの無理です」

「おい、俺はお前に何回フラれればいいんだ……」

まぁ、もう慣れたからいいや

それより荷物を置こう、こういうのは場所取りも重要だ

「あ、待ってください」

「今度は何?」

「今、私たちカップルじゃないですか」

「そうだな、設定上」

「む、そういうことは言わなくていいんです」

「で、それがどうかしたか」

「はい」

一色は手を出してきた

「何、握手?」

「手ですよ! 手!」

「手がどうかしたのか?」

「手をつないでくださいよ。恋人のフリしないと大変ですよ」

「いや、お前そんな恥ずかしいこと…」

「むぅ、往生際の悪い」

そういうと、一色は俺の腕に腕をからませてきた

「おい、これは違うだろ」

「先輩が早く手をつながないのが悪いんです、さぁ行きましょう」

仕方ない、どうせ離れないんだから好きにさせておこう

俺の精神衛生上よろしくはないが…

 

「よし、荷物はこの辺に置いとけばいいだろ」

「先輩~早く早く~」

一色は待ちくたびれたのか、俺の腕を左右に振り回し抗議する

一色さん、あざとい…

「お前なぁ、そういうのは彼氏にやれよ」

「はい、彼氏にやってますけど」

……そういえば、いまそういう設定だったな

「だからってお前……」

「はいはい、早く泳ぎに行きましょうよ、先輩!」

「はいよ」

最初に一色が選んだのは

普通の大きいプールだった……まぁ定石だな

「先輩、一つ聞いていいですか?」

「何?」

「その浮き輪いつ借りたんですか?」

「お前が着替えてる間」

「先輩、泳げないんですか?」

「いや、そういうわけではないが、プールは基本的にこれがないとだめだろう、泳ぐのがめんどくさい」

「はぁ、先輩らしいですね」

そう言うと一色は先にプールに入ってしまった

「気持ちいい~、先輩も早く早く!」

俺も一色を追いかけて

プールの中に入る、おお! 冷たくて気持ちいいな

「さぁ、行きましょう、先輩」

 

 

「先輩~」

「あ?」

「聞いてます?」

「聞いてる聞いてる」

俺は浮き輪に乗っかって流れていた

はぁ、極楽だ

「むぅ、こうなったら…」

「極楽、極……うわっ」

俺は気づいたら浮き輪から落とされていた

「先輩のくせに私を無視するからこうなるんです」

そう言って頬を膨らませている……あざとい

「お前、鼻に水が入ったらどうする気だ」

「知りません~先輩なんてこうだこうだ」

そう言うと、水をかけてきた

「てめ、お返しだ」

「きゃ、やりましたね、いろはちゃんも本気で行きますよ」

「ほう、本気ね、やってみろよ」

この後、めちゃめちゃ水を掛け合って遊んでいた

しかし、予期せぬ決着がついてしまった

 

「なかなかやりますね、きゃあ!」

一色は何かに驚いて急に抱き着いてきた

「おま……どうした」

「先輩~虫! 虫がいます~」

「は?」

基本的に浮いてないか、そういうの…

見てみると、死んでいる蠅だろうか、浮いている

「はぁ、死んでるから安心しろよ」

「そういう問題じゃ……」

一色は自分が現在どういう状況か気づいたらしい

「あわわわわ……」

一色は慌てて離れる、しかし

「わわ、虫!」

また俺にくっつく

「あわわわ……」

顔が真っ赤である……

ちなみにこれを3回繰り返していた、アホか

俺も恥ずかしいんだけど

 

「先輩のせいですからね」

「なんでだ……」

「あ! 先輩これ乗りましょうよ」

一色が指をさしたのは

 

カップルスライダー

という看板が貼ってあるウォータースライダーだった

 

「おい、これはちょっと…」

「はい、行きますよ」

そう言うと、一色は腕を絡めて歩き始めた

「おい、拒否権」

「そんなもの私の彼氏にはありません」

それはそれでどうなんだ…

 

 

「それでは、次のカップルの方お願いします」

どうやら一つの浮き輪に2人が入る仕組みらしい

というか意外に高いな、これ

「先輩、い…行きましょう」

「お前、声震えてるが…」

「これは武者震いです」

一体、何に武者震いしてるんだ、お前…

浮き輪に俺が座ると

一色は対面で俺の胡坐の中に座った…

おい、これ超恥ずかしい……

「せ…せんぱい…なんですか、ビビッてるんですか」

「お前、もう呂律がまわってないぞ……もしかしてお前……怖いのか?」

「な…何言ってるんですか、こ…怖くなんかないですよ」

「お前なぁ、怖いなら無理すんなよ…」

「彼氏さん、彼女さんももっと抱き着いてください、そうじゃないと危ないですよ」

従業員に言われ、俺は一色を抱きしめる

ちちちちち……近い

一色の息づかいが体にかかる……

一色は怖いのか、恥ずかしいのか

顔を赤くしながら俺の胸でうずくまっている……

「では、どうぞ」

従業員さんに言われて、浮き輪を進める

そして、浮き輪は水にのり加速した

「うぉ」

意外にスピードでるな、これ

浮き輪は水の流れに乗り、どんどんスピードを上げて

落下していく

「先輩、先輩~」

「どうした?」

「怖い怖い怖いですっ~」

「そんなに怖いならちゃんと捕まってろ」

「はい!」

すると、一色は俺の首に手を回して

がっちりホールドをした

いや、これ俺の命が怖くなるやつ……

というか、一色のこれはいつものあざといやつか

それとも……

 

ドバーーン

そんなことを考えていたら、もう下に降りていたらしい

「あー楽しかった」

「嘘つけ、お前怖がってたろ」

「そ…そんなことないです、別に怖くなんてありません、もう一度OKなくらいです」

「俺はもう勘弁だ」

違う意味できつい、俺の精神に多大なるダメージがある

「まぁ、先輩がもういいならいいですけどね、そうだ! 先輩!」

「ん?」

「もうお昼ですね、お腹すいてませんか?」

「まぁ、そうだな、適当に買って済ませるか」

 

 

「いえ、私、お弁当作ってきました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




書いてる最中に無性に
ブラックコーヒー飲みたくなりました
何でしょう?病気かな……

というわけで
来週は後編です、お楽しみに

では恒例の謝辞を
いつも読んでいただいてありがとうございます
これからも応援よろしくおねがいします


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10 最初に仕掛けるのはやはり一色いろはである 後編

というわけで続きです
今回も駄文でよければどうぞ



「せんぱーい、こっちこっち!」

もう一色はレジャーシートを引いてこっちを手招きしている

 

お弁当か…

一色の料理レベルは多分、何も問題はないだろう

趣味はお菓子作りだし

バレンタインイベントでも普通に上手に作れてたと思う

 

「ではでは、開けますよ~準備はいいですか?」

「そういうのいいから……」

「む、ノリが悪いですよ! せっかくの後輩手作りなのに…」

「そういうの言うから、微妙に聞こえるんだよ……」

「えぇ~、私からこういう言い回し取ったらなんも残りませんよ」

「いや、残るだろ……素はかわいいしな」

「へ……」

「あ……」

なんか変なノリで口をすべらした……

「そうやって、私のポイント荒稼ぎして、いつもいつも~~」

一色は大分、不満? そうな顔をしている

「まぁ、いいです……食べましょう」

そう言って、一色はお弁当の蓋を開けた

「へぇ」

普通に声が出てしまった

理由としてはお弁当の中身がかなりまともなのである

から揚げ、卵焼き、アスパラのベーコン巻き 

お弁当の定番と呼べるような品目ばかりであるのに加え

お世辞抜きで、かなりおいしそうなのものばかりだ……

 

「お前、これ作るの大変だったろ」

「え、いやそんなことないですよ…」

「いやいや、かなり手が込んでるだろ…から揚げとか冷凍に見えないし」

「まぁ、揚げましたから……」

「お前今日何時に起きた……」

一色は朝、俺のところまで来て、起こしにきている

かなり早起きをしたのだろう…

「別にそんなこといいじゃないですか、食べましょ!」

話題をそらされた

まぁ、聞くのは野暮だろうな

「では、先輩どれから食べますか?」

と言われても悩む

どれもかなりおいしそうだ…

「じゃあから揚げ」

「分かりました、それじゃ」

そういうと、一色は箸でから揚げをつまみ

 

「あ~ん」

 

いや、だからね

「そういうのいいから……ほかの箸は?」

「すいません、一膳しか持ってきてません」

「お前、バカなのか…」

「忘れちゃったんですよ、てへ!」

こいつ

完全にわざとおいてきやがったな……

「どっかの売店に割り箸とかあるだろうし、とってくるわ」

そう言って、立ち上がろうとするが

手を捕まれて引っ張られる

「先輩、早く食べましょうよ」

「いや、だからね、自分の箸を」

「むぅ、先輩は私の手作りのお弁当を食べるわけですから、私の言うこと聞いてくださいよ」

「と言われてもな…じゃあ箸くれ、自分で食べるから」

「ダメです、これは私の箸です」

「もしかして、全部あ~んなの?」

「はい」

「俺の精神衛生上……よろしくないかた却下」

「そんなもの先輩でどうにかしてください、私には関係ないです」

「無責任すぎる……」

「はい、座ってくださいよ」

そう言って、手を思い切り引っ張られた

「分かった、分かったから、座るから」

まぁ、この前

雪ノ下と演技とはいえ「あ~ん」はやったし

大丈夫だろう……いやだめだろ

 

「はい、先輩あ~ん」

「分かった、食べるから一つお願いがある」

「なんですか? 往生際が悪いですね」

「そのセリフはここで使うセリフではないぞ……」

「それで、なんですか」

「この手を放してくれ、つないだまま食うのは……な」

状況として

一色の左手と俺の右手が手をつないだ状態で

あ~んをされている

「嫌です、先輩はいつ逃げるかわかりませんから」

「いや、もう逃げないから」

「ダメです、その辺信用してません」

「ひどいな……」

どうやら、ここも譲るつもりがないらしい

「はい、先輩、あ~ん」

これで3回目

もう逃げ道はなさそうだ……

「あーん」

俺はから揚げを食べる

「ど…どうですか?」

一色は恐る恐る聞いてくる

「まぁ、うまいよ、心配すんな」

そう言うと、一色はものすごい笑顔になり

「よかった、よかったです」

とホッとした顔になった

「それで、先輩次どれ食べます?」

「え、まだ続けんの、これ」

「当然です、箸が一膳しかありませんから」

「お前食べなくていいのか?」

「食べますよ、後で」

「いや、俺だけ食べるのは申し訳ないだろ」

「大丈夫です、はい、先輩あ~ん」

そういって、卵焼きを押し付けてくる

絶対、こんなの非効率だろ……

「あーん」

「どうです? 甘めにしたんですけど」

「あぁ、うまい」

「そうですか、そうですか」

こうして、昼食タイムは過ぎていった

ものすごく恥ずかしかったが、俺は知らなかった

この後に、もっと恥ずかしい目にあうなんて

 

 

昼食を終えると、アナウンスを知らせる音楽が聞こえてきた

『今から、カップル割りキャンペーンのドリンク試供会を行います、ご参加の方は最初にもらった入場券をお忘れなくお願いいたします、今から……』

 

「さぁ、先輩行きましょう」

「え、これ行くの?」

「当然です、このためにここのプール選んだんですから」

うーん

ドリンク試供かぁ

タダならもらっておくのが無難なのか?

「はい、先輩、行きますよ」

そう言って、手を引っ張られる

「分かったから、引っ張るなよ」

こうして、俺は行ったことに後悔をするはめになる

 

「お待たせしました、こちらカップル合法イチャイチャドリンクでございます」

 

俺らの前に置かれたのは

一つのグラスに♡マークを模った二股のストローが入っている

トロピカルジュースである

 

こんなのアニメや漫画でしか見たことないぞ…

罰ゲームかよ

 

「さ…さぁ飲みましょうか…」

「いやいや、ちょっと待て」

「何でしょうか、怖気づきましたか?」

「怖気づくも何も、これは聞いてないぞ」

「そりゃ、言ってませんから」

「いや、そういう意味ではなくてだな…」

「大体、俺らカップルじゃ…」

そう言いかけると、一色は俺の口に人差し指を当ててきた

「まぁまぁ、そんなこと言わないでくださいよ、このプールにいる間はカップルですよ」

「でもな、これはちょっとやりすぎというか」

「先輩」

「どうした?」

「私、恥ずかしいけど、これするの夢だったんです」

「え?」

一色にしては珍しい夢だな

「子供っぽいのはわかってるんですが、昔からこれ夢なんですよ…」

「おう…それで?」

 

「先輩、私の夢かなえてくださいよ」

 

こいつの我儘なんてよく聞いてきたし

そういうのと割り切ればOKか?

いや、でもなぁ、これはちょっときついというか

でも、一色が素で言ってる感じだし、仕方ないか……

 

「はぁ、分かったよ」

「さすが、先輩!」

一色と俺はストローに口を近づける

うわぁ

これすごく近いな……

一色の顔がものすごく近くにある

「はむ」

「んむ」

ストローを加える

そういえば、これキャンペーンだよな……周りはやってるのか?

周りを見渡すと、やってるところはちらほらある

なるほどな、今日カップルが多い理由はこれだったのか

これなら羞恥心が駆り立てられる心配はなさそうだ

 

「うわ、すごいね」

「○○君、見ちゃだめですよ」

 

やっぱり羞恥心は駆り立てられるな、これ

そんなことを考えてると、一色がこちらを不満そうな顔でのぞき込んでいる

 

「どうした?」

「先輩、何か違うこと考えてます」

「しょうがない、周りの視線は気になる」

「そうですね、確かに思った以上に恥ずかしいですし、気になります、だから……」

「だから?」

そう言うと、一色はさらに密着してきた

 

「これなら私以外目に入りませんよね、だから私のことだけ考えてればOKです……私も先輩のこと考えますから」

 

今のはものすごく来た

なんというか来た

何が来たかはわからないが……

近い、もう本当に近い

心臓の音がバクバクいってる、聞こえなきゃいいんだが……

早く飲み終えてしまおう

 

「んんっ……こぼれちゃう……先輩、ゆっくり」

「わ…分かった……」

俺は吸い上げる力を弱める

「んっ、おいしいですね、これ」

「そ…そうだな」

正直、味なんてわからん……

「ん…ふふっ♪」

一色は楽しそうだ……まぁ夢だったらしいからよかったな

相手、俺だけど……

 

「あ……」

「お……」

いつの間にか、ジュースを飲み終えていたらしい

 

「先輩、ありがとうございます」

「いや、きにすんな……」

まともに一色の顔が見れない

さっきまで見ていたのに……

 

「じゃ、先輩行きましょうか」

そう言うと、一色はまた手を取った

「どこに?」

「決まってますよ、まだまだ遊び足りませんから」

 

「行きますよ、先輩!」

その笑顔はとても輝いていた

 

 

そのあとは、流れるプールやら波のプールやらで遊んだ

帰りに電車が混むとめんどくさいので

閉園まえにプールを出ることになった

 

電車は席が空いていて、二人で座った

すると

一色が俺の肩に頭を乗せてきた

「お前なぁ…」

一色を見ると、寝ていた

はぁ、本当に今日早起きだったんだろうな

「むふふ……先輩……」

「まったく、どんな夢見てんだが……」

しょうがない、肩くらい貸してやるか

今日、楽しかったし、このくらいしてやらないとフェアじゃないしな

 

そうして、俺たちは電車に揺られながら

帰って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで終了です
とりあえず、自分のできる範囲で甘くしてみました
どうでしたでしょうか?
次はだれにしようかな
それとも日常回か……まぁキャラ追加はその日常回の合間に入れる予定ですけどね
まぁ、お楽しみに


それと最近知ったんですが、日間ランキング6位に入ったそうです
びっくりです、友人に言われるまで知りませんでした
応援、評価ありがとうございます

では恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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11 目が覚めたら知らない天井なのは間違っている

ちょっと無理やりすぎたかも
今回も駄文ですが、どうぞ


「う~ん」

頭いてぇ……

昨日、平塚先生に付き合って飲んだくれたせいで二日酔いだ……

あの人、酔うと泣き始めて

「なんで私には~」しか言わなくなるから大変だったな

 

とりあえず水飲んで二度寝…………………………あれ?

自分の家じゃない……だと

周りを見渡すと、自分の家とは全然違っている

なんだ、これ……誘拐か?

 

と……とりあえず状況を確認しよう

まず、自分の服は……問題ない……着てる

財布は……あった……ベットの上だ……

スマホもあるな、時間は昼か

ここは……ログハウスか?

天井がシンプルに丸太だし、そうだと思うんだが……

となると、ここは山の中か……?

 

しかし、一体だれがこんなことを……頭痛い……

とりあえず水飲みたい……台所あるかな……

いや、誘拐かもしれないし動かない方が……

 

すると、ログハウスの扉が開いた

そこから出てきたのは…

 

「あ、比企谷君、起きた」

雪ノ下さんだった……

 

あ、この人が犯人だ……

 

「雪乃ちゃん、由比ヶ浜ちゃん、一色ちゃん、小町ちゃん、比企谷君起きたよ」

 

前言撤回

こいつらも犯人だ……

 

「あ、ヒッキーやっと起きた!」

「いつまで寝てるのかしら、寝坊谷君」

「寝坊ですよ、先輩」

「いつまでも寝てるとか小町的にポイント低いよ」

 

各々、いろんな言葉をぶつけてくるが

とりあえず言わせてもらおう

 

「水くれ」

 

 

その後、説明をしてもらった

俺は現在、とあるキャンプ場に来ている

俺は平塚先生の作戦にはまったらしい

というのも、平塚先生が俺を飲みに連れ出したのは、どうやらキャンプ場に連れてくためだったのだ

比企谷は普通に誘っても籠城して出てこない可能性の方が高いから

いっそ、外にいるときに寝かせて、そのまま連れて行こうということになったそうだ

ひどい、俺だって聞かれれば

「行けたら行く」くらいは言いますよ……

 

 

「しかし、それでも誘拐はないだろ、誘拐は!」

「あら、小町さんの許可は取ったわよ」

「ちなみに小町はお母さんの許可ももらってます」

母よ

息子を売るというのは一体どういうこと……

 

というか……

「頭いてぇ」

「はい、水だよ、比企谷君」

そう言うと、雪ノ下さんが渡してくれた

ようやくもらえた……そろそろ限界だったし助かる

 

「あ、ありがとうございます」

「いいの、いいの、さて4人ともせっかくだし遊んで来たら?」

おぉ

雪ノ下さん、ナイスな提案です…

「だってよ、お前ら遊んで来いよ、俺は頭痛いし、ここにいる」

「ん? 何を言ってるのかなぁ、比企谷君」

そういうと、雪ノ下さんが人差し指を振っている

「私が言った4人は比企谷君、一色ちゃん、雪乃ちゃん、由比ヶ浜ちゃんの4人だよ」

「え、小町は?」

「小町はやることがあるのです、ですよね陽乃さん」

「ありがとね、小町ちゃん」

「というわけでうちのお兄ちゃん連れてってどうぞ」

「いや、まだ行くなんて言ってな……「「「ありがとう、小町ちゃん(さん)」」」い」

 

「先輩、というわけで行きましょう」

そういうと、一色が手を引っ張ってくる

「あら、一色さん?」

すると一色の肩に雪ノ下が手を置いている

「ちょっと最近抜け駆けが過ぎるんじゃないかしら?」

「そうだよ! プール行ったの知ってるんだからね」

待って……なぜにそれを知っているのか……

「抜け駆けって……なんですか? そんなことしてませんよ」

「そうよね、ウフフ」

「アハハ」

「エヘヘ」

何だろうか、この雰囲気

ピリピリしたものが3人の間を流れてる

後ろに、猫と犬とリスが見えるんだが……

おかしい、別に虎と竜というわけではないのにこのプレッシャー……

 

「あ……遊ぶんだろ、何処行くんだ? 時間も限られてるだろ、多分……」

この衝突は止めねばなるまい……じゃないと嫌な予感がする

主に、俺の身に……

 

「そうだね、ヒッキーの言う通りだね」

「そうですね、先輩に言われるのは癪ですけど」

「そこは一色さんに同意できるわね」

とりあえず、収まったらしい

 

 

「しかし、どこで遊びます?」

「前回は川で遊んだよね」

「そうね、せっかくだし水着はないけど涼みに行きましょうか」

「賛成~、暑いし」

「え、クーラーじゃダメなの?」

「はい、先輩は黙ってましょう」

全員が歩き始めてしまったので、仕方なく追っていく

 

 

【another view】

 

「いいんですか?」

「何が? 小町ちゃん?」

「いや、陽乃さんも……多分」

「こら、小町ちゃん、言ってはいけないこともあるでしょ」

「でも、陽乃さんにもあまり後悔は……してほしくないといいますか……」

「ありがとう、小町ちゃん、その気持ちだけでうれしいよ」

「陽乃さん……」

「さて、バーベキューの準備しましょう、静ちゃんは?」

「寝てます」

「あぁ……そのまま寝かしとこうか……」

「そうですね」

 

【another view 終】

 

「冷たいよ、ヒッキーも来なよ!」

「そうですよ、先輩!」

「由比ヶ浜さん、一色さん、あんまりはしゃいでケガしないようにね」

あの後、普通に川について遊んでいる

俺を除いて……

現在、あの3人は川に靴を脱いで入って遊んでいる

というわけで生足である……

 

改めて見ると本当にあの3人はスタイルがいいと思う

由比ヶ浜はご自慢のメロ……体形があるのに

太っているわけでなく、足もそれなりに細い

多分、あの足での膝枕は気持ちいいだろうなと思う……肉厚的な…

雪ノ下は、ある部分を除けば、基本的にモデルやっていますと

言われても疑う余地はないくらいの体形だ、足なんて

お前、飯食べてんのかよってくらい細いしな

一色は二人と比べて突出したものはないが、体形のバランスは

一番良いだろうな、多分あいつは陰でその辺努力しているようなタイプだしな

頑張った上でのプローポーションってわけだ……

その3人が無邪気に遊んでいる姿を俺は今、眺めている

いやぁ、こういうのを何て言うんだっけ? そうだ、確か…

 

「先輩、何考えてます?」

「いや、眼福だな………え?」

「比企谷君、君は一体何に眼福だったのかしら?」

「いや、別に……」

「あ、ヒッキーいやらしいこと考えてる顔だ」

いや、決めつけは失礼だろ……そうだけども……

「お前ら、いつの間に……」

「ヒッキーがね、私たちの方見てにやにやしてるからさ」

「身の危険を感じたわ」

「俺がなにを考えてったって別に問題ないだろ」

「いや、いやらしいこと考えられてたら困りますけど……」

「おい、いやらしいことと勝手に決めつけるな」

「じゃあ何を考えてたの?」

「別に何も考えてない、お前らがケガしないように見てただけだ、いやらしいことなんてお前らで考えるかよ……」

「結衣先輩、転んで水かかったから少し胸透けてますよ」

「え、嘘!」

「マジで!」

「結衣先輩、冗談です」

 

………………………図られた………

 

「比企谷君、正座よ」

「先輩、正座で」

「ちょっと待て! 男としてそういう言葉に反応するのは仕方ないといいますか……」

「反応しないのよね」

「そうでよね、先輩」

雪ノ下と一色に言い寄られる

由比ヶ浜は恥ずかしそうに腕で胸を隠してる

それむしろ強調されてないか?

「せ~ん~ぱ~い?」

「比企谷君?」

「はい、すみませんでした」

結局、ご飯の時間になるまで、河原で正座だった……これなんの拷問?

 

 

「では、そろったな、乾杯!」

「「「「「「乾杯!」」」」」」

平塚先生の音頭で乾杯をする

あのひと、今まで寝ていたらしい……

ずるい……俺なんて河原で正座とかいう拷問受けてたのに…

 

「比企谷君、これ」

「ん?」

雪ノ下がソースを渡してきた

「甘いソースだから……好きでしょ、これ使って……」

「お…おう、ありがとう…」

「先輩、お肉焼けましたよ!」

「おう、サンキューな、一色」

「ヒッキー、はい飲み物」

「おう、そこ置いといてくれ」

なんだろう、この世話されてる感じ…

まぁ、楽だし、考えなくてもいいか……足も痛いし

「お兄ちゃんにすけこまし……」

しかし、妹にあらぬ誤解を受けてしまった……

 

【another view】

 

「あの3人はもう隠すつもりがないらしいな、比企谷は気づかないフリをしてるだけだが……」

「まぁ、いいんじゃないの? みんな頑張ってるんだし、応援してあげれば……」

「陽乃、お前はいいのか?」

「静ちゃんも小町ちゃんとおんなじこというのね」

「いや、無理してるんじゃないかと思ってな」

「無理って……そんな風に見えてるなら、私の仮面もまだまだかな」

「フッ……教え子の本音くらい見抜けるさ、教師なんだから」

「ほんと、静ちゃんってそういうとこ面白いよね」

「まぁ、お前が良いならそれでいいさ、さてあの4人のためにひと肌脱ごうか」

 

【another view 終】

 

「おい、君たち!」

平塚先生の声が俺たちの間に響く

「どうかしましたか、平塚先生?」

「いや、なに、私も手伝おうと思ってな」

何をだろうか……是非とも俺はログハウスでさっさと就眠することをおすすめしたい

「今から2人1組で肝試しやるぞ!」

え、めんどくさ……俺、パスしようかな

「まぁ、ペアになれればアドバンテージは稼げるよな」

と言いニヤニヤしている……その顔お見合いではやめましょうね……

「まぁ、せっかく平塚先生が準備してくれたんですし、やりましょう」

「そうだよね、やろうよ!」

「肝試し楽しみですね~」

3人は盛り上がっている、よかったな

さて、俺はそろそろ……

「いや、比企谷。お前は強制参加だぞ」

ですよね……知ってた

 

「ではくじを作ったから各々引いてくれ」

俺は適当なのをつまんで引く

「ほら、小町君も陽乃も」

「ありがとうございます、平塚先生!」

「え、私はいいよ、静ちゃん」

「人数にあまりが出るんだから、早く引いてくれ」

「分かったわよ、強引だなぁ、静ちゃんは」

というわけで参戦者は平塚先生を除いた6名ということになった

 

「ではいっせいにオープンだ」

開くと、そこには3番の文字

俺以外、全員女子とかきついな……

肝試しで俺とペアになった女子が泣き始めて大変だったな

その後、泣かせたってことで先生に怒られたな……

なんか、涙出てきた……肝試しって楽しいイベントだよね……

「先輩、何番ですか?」

「あ、俺3番」

「え! 嘘!」

そのひときわ大きい声の正体は

3番のくじを持っている雪ノ下さんだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まぁ、次回は陽乃さんと肝試しですね
どういう風にするのかは考えてあるのでお楽しみに

今回、ちょっとクオリティ低いかもしれません
すいません……

それでは恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろいくおねがいします


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12 そして雪ノ下陽乃は自分の気持ちと向き合う

というわけで続きです
駄文ですが、どうぞ


「え、嘘……」

雪ノ下さんは俺とくじを眺めながらつぶやいた

「組み分けは決まったか?」

「あ、はい、一応」

「どれどれ、ほぉ……なるほど……1番は雪ノ下と由比ヶ浜、2番は一色と小町、3番は陽乃と比企谷か……みんな準備をしておけ、私もちょっと準備してくる」

そう言うと、平塚先生は夜の森に消えていった

うん、男前だなぁ……むしろ男より男前かもな……

「雪乃ちゃん……変わってあげようか?」

「ダメよ、姉さん…その提案はその……魅力………オホン……比企谷君なら甲斐性なしだから襲われる心配はないわよ」

今、どもってなかったか?

というか、失礼だろ……甲斐性なしって失礼だろ……いや、そうだけどさ……

「いいな、陽乃さん……」

「そうですよ、いいな、私も先輩と肝試ししたかったな」

「ガハマちゃん、一色ちゃん、変わろうか?」

「でも、平塚先生がそれを許すとは思えないというか……変わりたいけど」

「ですね、あの人はそういう融通聞きそうにないし……変わりたいですけど」

「私が! 説得するから、大丈夫大丈夫」

「何がだ、陽乃」

すると準備が終わったのか、平塚先生が帰ってきた

「静ちゃん……、その……」

「くじの変えは許さんぞ」

「そ、そんな……静ちゃん分かってやってるでしょ!」

「何をだ? 残念ながら何も仕込んでないぞ」

「うぅぅぅ……」

俺って雪ノ下さんに嫌われてるのか?

まぁ、昔からあの人のこと強化外骨格とか陰で呼んでたしな……

仕方ないな……

 

「それでは肝試しを始める、ルールは単純だ、そこの道の奥のでかい岩にタバコを計3本置いてきた、1組ずつ行って1本ずつ取って帰ってくれば終わりだ、一応はちあわないように帰ってきてからいくように」

 

平塚先生はさっき行ってすぐに帰ってきた

そこを考えると、あまり距離はないのかもしれない……

 

「では由比ヶ浜、雪ノ下ペアは行ってこい」

「はーい」

「じゃあ、行ってきますね」

色々考えている間に始まっていたらしい……

うーん、気まずいなぁ……

「お兄ちゃん」

「ん? どした小町?」

「陽乃さんの様子が少し元気ないから、ちょっと元気づけてみてくれない?」

「え? そんなこと俺に頼むの? お兄ちゃん絶対に向いてないよ……加えて…俺、雪ノ下さんに嫌われてると思うんだけど」

そう言うと、小町が俺をゴミを見るような目をしてきた……

ちょっと待って……俺、なんか言った?

「これだから、ゴミぃちゃんは……」

「おい、俺何もおかしなことは言ってないぞ……」

「もういいから! やっといてね! 分かった?」

「はいはい、分かりましたよ」

はぁ、余計な仕事が増えたな………

しかし、元気のない理由ね……

 

「ただいま!」

「今、戻りました」

 

すると、由比ヶ浜と雪ノ下が戻ってきた

まぁ、短いとは思ってたし、こんなものか……

 

「じゃあ、一色、小町ペアは行ってこい」

「「はーい」」

間髪いれずに一色、小町ペアは行ってしまった

さて、雪ノ下さんに嫌われてる(俺から見て)状況で

どうやって元気づけるのが良いんだろうか?

 

「ヒッキー」

「ん? どうした?」

「いや、なんか考え込んでるから……」

ふむ、どうやって元気づけるかを考えすぎてしまっていたようだ……

「お前ごときに心配されるような頭はしてない、大丈夫だ」

「な! ヒッキーのバカ、エロ、八幡!」

「待て、八幡は悪口じゃない、俺の名前だ……」

「ププッ、八幡って……」

「おい、何故にお前も笑う」

そんな話3人でしていると、ふとこっちを見ている雪ノ下さんと目が合う

あ、逸らされた……本当に嫌われてんな……

「お、どうやら帰ってきたようだぞ」

「「ただいまでーす!」」

一色と小町が戻ってきた、次は俺たちの番か……

 

「じゃあ、次は陽乃と比企谷だ」

「あの……呼ばれてるんですが、大丈夫ですか?」

「え!? 大丈夫……大丈夫よ……」

「それじゃあ、最後の組行ってこい、途中の岩だからな、見落とすなよ」

「はい、わかりました」

こうして、俺と雪ノ下さんの肝試しはスタートした

 

 

「比企谷君…」

後ろが見えなくなったあたりで雪ノ下さんが声をかけてきた

「なんすか?」

 

「君は誰が好きなの?」

 

「……あの、なんすかその質問?」

変なこと聞くなよ……予想外過ぎて固まったぞ……

「真面目に答えてほしいの……」

「そんなこと言われましても……」

「雪乃ちゃん? それともガハマちゃん? はたまた一色ちゃん?」

「なんで、その3人なんですか?」

「言わなきゃわからないの?」

「いえ、聞きたくもありませんし、知りたくもないです」

「そう、ならいいけどさ……君もそろそろ見なよ、現実をね」

「別に見たくない物は見なくてもいいでしょ」

「先延ばし戦法は相変わらずだね」

「人は基本的に変わりませんからね、それはそうと…」

「どうかした?」

「いえ、それを言うなら大分変りましたよね、雪ノ下さんは」

「そう?」

「はい、だっていつもの雪ノ下さんらしくないですよ、この前の演技の時も先に帰りましたし……ああいうの好きですよね?」

俺の知ってる雪ノ下陽乃は周りをひっかきまわすようなタイプだ……

前回の演技なら参加してるまであると思う……

「そうだね……でも、もういいんだ……」

「何がです?」

「今までは私に依存する雪乃ちゃんを見てイライラしていたのよ、私と違ってそれなりに自由なんだからもっと自分の意志を持ってほしかった……けどね……今は違う」

雪ノ下さんは慎重な面持ちで俺に語り掛ける

「あの子はもう自分の意志で行動をしている……今あの子は目的があってそれを競える友人が周りにいる……あの子は私の模倣をやめて自分の意志で今を楽しんでる……私にはもうあの子の邪魔をする動機がもうない……だからちょっかいかけるのやめたの」

「別に雪ノ下が迷惑だなんて一言も言ってないと思いますよ」

「そうだね、けど多分迷惑になるから……」

「なぜです?」

すると、俺の額に凸ピンして歩き始めた

「あの……なんで凸ピンするんですか?」

 

「知らないよ……ば~か」

と振り向きざまに言われた……頬が膨れている

ちょっと……馬鹿呼ばわりされる筋合いはないんですけど……

 

「ほら、さっさと言って終わらせるよ」

「はいはい」

ただ、歩いて話している間に着いたのか…

目の前にはでかい岩が見えてきた

「あった、あった」

そう言うと、雪ノ下さんは駆け出していった

「きゃぁぁ!」

そして目の前で転んだ……

「何してるんですか?」

「石踏んづけた……」

見ると、少し膝が擦れていて、血が少し出ている

「しょうがない」

「え?」

「その足じゃ、まだ無理でしょ」

俺はおんぶする姿勢になっている

「でも…」

「大丈夫ですよ……このくらい」

そう言うと、肩の上に腕を置いた

「しっかり捕まってくださいね、よっと」

俺は雪ノ下さんをおんぶして立ち上がった

「わわわわわ……私の……体重重くない?」

「大丈夫ですよ」

「本当に? ホントに?」

「いや、しつこいな……大丈夫ですよ」

女性ってどうして体重になるとこういう風になるのだろうか……

軽いと思うんだがな……

 

 

岩に置いてあるタバコを取ってきた道を戻る

「あの、比企谷君」

「どうしました?」

「本当はね……私……逃げてたの」

「……」

「自分の気持ちに言い訳してたの……本当は雪乃ちゃんの邪魔をする動機がないとかじゃない……私本当は……」

「別に逃げてもいいじゃないですか」

「え、でも……」

「確かに俺は物事を先延ばしにして逃げる癖があります、いつかは俺もそれに向き合わなければならない日も来ます……けど逃げちゃいけないなんてことはないです」

「……」

「今、雪ノ下さんは俺にはわからないけど、逃げたことに向き合おうと必死だったじゃないですか…俺には到底無理です……だからそんな自分を卑下しないでください、悲観なのは俺だけで十分です」

「今からでも間に合うかな……」

そう言うと、後ろから少し嗚咽が聞こえてきた

何が間に合うか知らないが、小町から

「大丈夫ですよ、まだ間に合います、雪ノ下さんならできますよ」

「うん、頑張る……」

雪ノ下さんは俺の背中でその後泣いていた……当たってるな……台無しだろ…俺

少し歩幅を縮めるか……いや、決して胸ではない、雪ノ下さんが落ち着くまでであって

決してそんな邪な気持ちはない

 

 

「あぁ、おかえり~……って陽乃さんどうしたの?」

俺たちが戻ると、全員がかけよってきた

「あぁ、そこで少し転んでな、とりあえず歩けるまでおんぶしてただけ」

「ありがとう、比企谷君、もう大丈夫」

そう言うと、雪ノ下さんは俺の背中から降りた……あぁ……楽園……

「先輩?」

「あぁ~疲れた~~~」

「それじゃ、比企谷君にお礼しないとね」

そう言うと、俺の頬に少し暖かい感触を感じた

俺は何があったかわからずあたりを見回すと

平塚先生と小町は感嘆している…

3人は固まってるな、完全に……

「3人とも…」

雪ノ下さんが3人の方を見ている

その言葉に我が返ったのか、3人が雪ノ下さんの方を向く

 

「私負けないから」

そして今までにない笑顔を見せた

 

「さて、私はそろそろ寝るね、おやすみ」

そう言って、雪ノ下さんはログハウスに戻っていった

 

まずい……テラまずい

「あ、俺ももう…「「「比企谷君(ヒッキー)(先輩)」」」寝ようかな……」

小町は? もういないだと……

先生! 平塚先生は? いないだと……

「待て、お前ら……俺は何も悪くない」

フラフラと3人が近づいてくる……

「い……嫌だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

俺の夜はまだこれからだった……そして……

 

 

 

 

 

 

 

その後めちゃめちゃ正座した……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、というわけで念願のキャラ追加です
置いてけぼり感をださないように努力します……

次は……誰で行こうかな……
まぁ、おいおい考えます

では恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからもよろしくお願いいたします


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13 やはり由比ヶ浜結衣は天然である 前編

というわけで由比ヶ浜です~
駄文ですが、どうぞ~


目が覚めると誰かが俺の上に乗っている

あれ……この展開前にも……

 

「あ! ヒッキー起きた!」

今度は由比ヶ浜だった……

 

「ヒッキーおはよう!」

「おう、おはよう…早速で悪いんだが……上から下りてくれ」

「あ、うん…」

そういうと由比ヶ浜は俺の上から降りた

「それじゃおやすみ」

「え! そこ二度寝しちゃうの! 起きてよ~」

「断る」

「お願い~」

「嫌だ」

「むぅ……分かった……なら……」

ようやくあきらめたか……

「フゥ~」

耳に息を吹きかけられた……

「うわぁぁぁ!」

「あ、ヒッキー起きた」

あまりの衝撃にベットから飛び起きてしまった

 

「お前なぁ……」

「あはは、ヒッキーって耳弱いんだね…」

こいつ……本当……

「で?」

「うん?」

「いや、だからね」

「うん」

俺は頭を抱えた……こいつ基本的にはアホの子だった……

「お前、何の用なの?」

「あ! そうそう」

こいつ……来た理由忘れてんのかよ……

 

「花火大会行こうよ!」

 

「え、人多いし、暑いし、嫌だわ」

「えぇ! そんな~」

「俺とじゃなくてほかのやつと行けよ」

「ふ~ん、そういうこというんだ……」

「なんだよ……」

すると急に頭を抱え始めた……ない頭で考えてどうする……

「この前のAVの件……彩ちゃんに言っちゃおうかな……」

落とされたのは核弾頭だった……

「すみませんでした、一緒に行かせてください」

「変わり身早っ! どんだけ彩ちゃん好きなの……むぅ……」

「だって、戸塚だし……」

「もう……じゃあ、もう一つ言うこと聞いてくれる?」

「なんだ?」

 

「花火大会の間はヒッキーは……わ……私のか……彼氏だよ……じゃなきゃ言っちゃうんだからね!」

 

というわけで花火大会に行くことが決定した……

 

 

駅前にはすでに花火大会に行く家族連れやカップルが見える

はぁ、リア充どもめ……爆発四散しろ……

しかし、由比ヶ浜のやつ遅いな……

 

「ごめん~待った?」

「おう、待った……ぞ」

由比ヶ浜は浴衣だったが、問題はそこではなかった

高校時代に見た浴衣ではないのだ……

そこには白を基調とした向日葵の柄の浴衣を着た由比ヶ浜が立っていた

「え~と……」

「お…おう…」

「ど…どうかな?」

「前のやつはどうした?」

「あ、あれ? 実はサイズが合わなくて……」

どうやらあのガハマ連峰は知らぬ間にまた大きくなっているらしい……

「違う、違う!」

「え、何が?」

「話をすり替えてもダメ! 浴衣……そのどう?」

くっ……話をごまかそうとしてもダメか…

「似合ってるよ……その今回も……」

「そ……そっか……今回は私もほめてくれたね……うれしい…」

「……ほら、行くぞ……」

「あ、待ってよヒッキー」

そういうと俺の手を握ってきたのだ……

「お前……そういうのは……」

「今日は、ヒッキーは私の彼氏だよ、自覚してね」

とウィンクされた……顔赤くなってないかな……俺……

 

「リア充爆発しろよ」

「畜生、どうして男同士で花火大会に行くんだよ~女子をくれよ~」

という声が聞こえた……うむ、俺も非リア充だからな……その気持ちは……

これ以上は思っただけでも殺されるような気がしたので自重した……

 

「なぁ?」

「なに?」

「電車内でも離す気ないの?」

「うん、ヒッキー逃げるからね」

「さすがに戸塚がかかってるんだ、そんなことしない……」

「むぅ、なんか複雑だ……」

「なぁ…」

「何?」

「着いてもまだ時間あるけどどうするんだ?」

そういうと由比ヶ浜は思案顔し始めた

そして何か思いついたのか、ニヤニヤし始めた

「彼氏さんに考えてほしいなぁ~」

「なっ…」

「何てね! 屋台あるから回ろうよ」

「あぁ、予定あったのか……」

こいつ本当にごくたまに策士だよな……

 

案の定というか…予想通り人がたくさんいた……

「うわ、今回も人すごいね~」

「そうだな、ビックサイトで開かれるお祭りよりマシだが……」

「ビックサイ? 何それ大きいサイのこと?」

「お前はもうしゃべるな、バカがバレるぞ」

「なっ! 失礼だし、ヒッキー、マジキモイ!」

「おい、仮にも彼氏にその言葉はひどくないか?」

すると、由比ヶ浜は少し驚いた顔をした

「あ……ヒッキー…その設定しっかりやってくれるんだ……」

「まぁ、俺は受けた仕事は放りださない主義だから……基本受けないけど」

「あはは、前向きに見えて、実は後ろ向きだね……じゃあ……」

そういうと由比ヶ浜は俺の腕を取って組み始めた

「こういうのもオーケー?」

「それは仕事の中には含まれていない」

「えぇ~!」

 

 

基本、お祭りの屋台はあまりおいしいとは言えない

なのにあの価格、あの原価である

では、なぜそれが分かっていて買うのか

これは空腹はご飯の最高のおかずであるという言葉と似た意味合いがある

そう、お祭りの場で食べるということが重要なのだ……

つまりさっきの言葉に合わせると

屋台の食べ物をおいしくするのは祭りの雰囲気というわけだ……

だから、お土産買ってきてねってあんまりおいしくないと思うんだよな……

 

「ねぇ、ヒッキー! 聞いてる?」

「いや、聞いてなかった」

「えぇ、しっかりしてよ~、何食べる?」

「基本的に高いから、適当にコンビニのおにぎりでも買いたい」

「もう、風情がないよ」

「お前、風情の意味わかってるのか?」

「えーと、なんだっけ……ってそこ気にしちゃダメ!」

いや、気にする部分だと思います……

「あ、犬のお面だ……かわいい」

すると、由比ヶ浜はお面の店を見始めた、こいつに話題転換された

「犬ってあれか、サ……サボローだっけ?」

「それは有名なCMの奴だ!」

「お、カップルさん一つどうだい?」

そんな不毛極まりない会話をしているとお面の屋台おじさんに話しかけられた

「すいません、じゃあこの犬のやつください」

「はいはい、200円ね」

財布を出して、由比ヶ浜が財布をだすより早くお金を支払う

「毎度あり」

「え、ヒッキーその……お金」

「気にすんな、これくらい大丈夫だっての」

そう言って、由比ヶ浜にお面を渡す

「つ……」

「つ?」

「つけてほしいな?」

「……いや、子供じゃあるまいし……」

「むぅ、減るもんじゃないじゃん」

そう言うと、お面を渡してきた……はいはい……この程度動じない……動じない……

色々、あったんだ、この程度大丈夫、うん、大丈夫

「お面は前につけるのか?」

「ヒッキー殴られたいの?」

「冗談です」

お面の紐をお団子にかからないように通して

お面はお団子の反対側にくるようにつけてやる

「着けたぞ」

着けたことが分かると俺の方を振り向いて

 

「えへへ、わんわんだよ、ヒッキー」

 

おいおいおいおいおいおいおい

周りに人いるんですけど……ちょっと見られてるんですけど……

「あはは、ちょっと恥ずかしかったかも」

「じゃ、やるなよ、というかやる前に気づけ」

「まぁまぁ、次行こうよ」

「はいはい、じゃあ次行きますか」

 

 

「あ、りんご飴…」

「お前、まだ飯食べてないぞ」

「分かってるよ~」

由比ヶ浜は口をへの字にする……

「…ったく……すいません、一つもらえます?」

俺はりんご飴を買って由比ヶ浜に渡す

「いいの?」

「別に、こういうの払わないと後で小町がキレる」

「理由のせいで複雑だけど……ありがとう」

そういうとりんご飴をかじり

「おいしい~」

よかった、これでまずかったら洒落にならん

「はい、ヒッキー」

「ん?」

由比ヶ浜はりんご飴を俺に向けてきた

「あ~ん」

「いらない、お前が食え」

「ヒッキー甘いもの好きだよね」

「そうだな」

「じゃあ、あ~ん」

「いや、理由になってないから」

「いいじゃん、何か嫌な理由あるの?」

「お前、嫌じゃないのかよ」

「何が?」

「ほら……その……」

関節キスという単語が口にだせない……

「もう……」

「むぐっ」

由比ヶ浜はりんご飴を口に押し付けてきた

「どう、おいしい?」

「ほひひい(おいしい)」

「そう、よかった」

そういうと、俺からりんご飴を離して食べ始めた

 

「えへへ、私も間接キスしちゃった……」

 

今ほど難聴系主人公にあこがれたことはない

聞かなきゃよかったと思える

 

「ほらほら、行こうよ。ヒッキー! 屋台制覇だー」

「無理、俺の財布死んじゃう」

まだまだ花火までいろいろありそうだ

 

 

 

 

 




はい、来週、あの2人に何が起こるのでしょうか?
ご期待くださいw

今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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14 やはり由比ヶ浜結衣は天然である 後編

というわけで由比ヶ浜後編スタートです
今回も駄文ですが、どうぞ


「あ、見てみてヒッキー! 射的あるよ!」

由比ヶ浜は射的の屋台を見ると、俺を引っ張って駆け出した

 

「おいおい、危ないから走るなって……」

「おじさん、1回お願い!」

「はいよ、300円ね…隣の彼氏さんはどうだい?」

「いや、俺彼氏じゃ……いっ!」

由比ヶ浜さん、爪が手にめり込んでます……痛い痛い痛い

「……とりあえずこいつがやり終わってから決めます」

「そうかい、はいよ嬢ちゃん」

「わーい!」

今の今まで俺の手に爪をめり込ませていたとは思えない元気の良さだ……

 

「うーん、どれ狙おうかな」

「簡単なのにしとけ、無駄弾の消費は痛いぞ」

「あ、あれほしい!」

由比ヶ浜がさしたのは熊のぬいぐるみなんだが……なんだろう……

すごく誰かに似ている……

「あの熊さん……ヒッキーにそっくりだ!」

なるほど……どうりで親近感が沸くと思ったわ……

……俺の方が目が澄んでいるな……どうして俺はぬいぐるみに張り合ってるのだろうか……

 

「あれ、うーん……」

「どうした?」

「どうやってやるんだっけ?」

そういって銃と弾を見せてきた

おい、何故に始めた……

 

「まったく……弾を銃口に入れて、レバーを引いて…引き金を引くだけだぞ……」

「こう……?」

「弾をもうちょい……あぁもう……」

「あ……」

教えるより俺が装填してやる方が早いだろう……

俺は由比ヶ浜の手にある銃に弾を装填してやった

「ヒッキー……その……」

「ん?」

「近いね……いや、そのうれしいといいますか……はう……」

気づくと由比ヶ浜を後ろから抱きしめるような形で弾を装填していた……

「……悪い……今離れる……」

「ちょ……ちょっと待って!」

由比ヶ浜は俺の腕をつかんで離れさせないようにする

「ヒッキー、そのままでお願い……」

「いや、なんででしょうか……」

思わず敬語になってしまった……

「えーと……ほら! あれだよ……私、射的するの久々過ぎて構え方とか分からないから支えてほしいなぁ」

「いや、構え方くらいわかるだろ……」

すると由比ヶ浜は俺の方を向いた

客観的に見ると由比ヶ浜を俺が正面から抱きしめている図になってしまっている

「おい、由比ヶ浜……何してる……」

すると上目遣いで一言

 

「支えてくれないかなぁ……ヒッキー……」

 

おい、それは俺に……効く……

「……分かった…」

「ホント!?」

「いや、お前から頼んだのになんだよ……」

「いやぁ……小町ちゃんはすごいなって……」

先ほどの上目遣いはどうやら小町の入れ知恵らしい……

さすが、小町だ……俺の弱点を知り尽くしている……

「それで、どれ狙うんだ?」

「あの熊さんが欲しい!」

由比ヶ浜が指す目の腐敗がある熊のぬいぐるみは大きさは

そこまで大きくはなく中ぐらいのサイズだろうか?

 

「どう行けそう?」

「うーん……とりあえず当ててみて反応を探るしかない……」

「じゃ、お願い…」

「あ…あぁ…」

俺は由比ヶ浜を後ろから抱く感じで銃に手を添える

「と……とりあえず集中しろよ…」

「はにゃ……分かってるよ~」

本当にわかっているのだろうか……

 

パン

 

軽快な音とともに弾は飛ぶ

弾はぬいぐるみに当たってぬいぐるみはちょっと後ろによろめいた

 

「ヒッキー!」

「あぁ、どうにか当てれはしたな……」

どうやら悪質な射的屋ではないらしい……釘とかはなさそうだ……

 

「ヒッキー、次はどうするの?」

「そうだな……ちゃんと弾の威力はあるから、次はぬいぐるみの身体を狙おう」

「身体? 当てるだけじゃダメなの?」

「基本的にぬいぐるみなんかは頭の方が重たいからな……UFOキャッチャーくらいやったことあるだろ」

「あ、うん……あんまり取れたためしないけど」

「ああいうのは頭の重さを利用して取ったりする手段がある……弾の威力的に普通に当てただけでよろける威力なら軽い身体を狙って落ちるとこまで運ぶんでから、頭を狙って落とす方法がベストだな」

「なんで頭を狙って運ばないの?」

「倒れたるからな…今の体勢を崩したくない」

「ふーん、よくわかんないけどヒッキーに任せてるね?」

「まぁ、お前に説明したってわかんねーよな」

「むぅ……そんなことないもん」

とりあえず作戦は決まったし、ちゃんと当たるようにサポートしてやらなきゃな……

 

「やった~!」

由比ヶ浜はあの熊を抱きしめて嬉しそうにしている

よかったが……射的屋のおっさんの

「ブラックが飲みたい」という発言の意図が分からなかった……

MAXコーヒーの方がおいしいと思うけどな……わざわざ苦いコーヒーを飲みたい理由が分からん……

 

 

 

「ヒッキー何処で見る?」

「あぁ、そうかもうずぐ花火か……」

あの後、タコ焼きを買ったり、わたあめを買ったりといろいろ回っていた

「私、レジャーシート持ってきたよ」

「あ、悪いな、そういうの持ってくるの忘れたわ」

「じゃあ、私のに一緒に入ろ」

そういうと由比ヶ浜は土手にレジャーシートを引いた……

のはよかったが……ちょっと小さくね……

「あの、これ由比ヶ浜さん?」

「あ、ちっちゃいの持ってきちゃったかも」

「おい……」

まったく……こいつは……

「俺は立ってみるからいいぞ」

「ダメだよ、ヒッキー! 一緒に座ろ」

「いや、どうすんだよ……」

「大丈夫!」

そう言って由比ヶ浜は俺をレジャーシートに座らすと

その横に詰めて入ってきた

「おい、近いぞ……」

「だって小さいんだからしょうがないじゃん……」

「だから俺は立ってるって……」

「それはダメだもん」

「じゃあ少し離れろ……」

「私、地面座るの嫌だし…」

「じゃあ立つから……」

「それはダメって言ってるし」

押し問答である……どうしろと……

「侵入だぁ!」

そう言うと由比ヶ浜は俺の右腕の中に入ってきた

俺の右腕は由比ヶ浜の背中を通って由比ヶ浜の右肩に置いている

俺が由比ヶ浜を抱き寄せている状態になっている

「おま…ちょっと待て…」

俺が腕を引き戻そうとしても由比ヶ浜が密着しすぎているせいで腕が元の位置に戻せない…

「まぁまぁ、狭いんだしもっとよらないとね」

「だからって近すぎだろ……」

「そうだ、ヒッキー、タコ焼き食べよう!」

そういうと由比ヶ浜は袋からタコ焼きを出してきた

あれ、このパターンは……

「はい、あ~んだよ、ヒッキー」

「いや、自分で食べれるって……」

「早く食べないとソースが垂れちゃうから早く早く!」

「くっ……あーん」

俺は由比ヶ浜が運んできたタコ焼きを食べる

「あちちっ」

「あ、ヒッキー大丈夫? ラムネ飲む?」

「お前、いつの間に……?」

「えへへ、気が利くでしょ…」

「そうだな、サンキュー」

 

「それで花火はいつあがるんだ?」

「うーん……確かもうすぐだとは思うけどな」

「まぁ、早く見たいな……」

主にこの状態が恥ずかしくてさっさと見て帰りたいだけだがな… 

かたくなにやめてくれないので折れてしまった

 

「ねぇ、ヒッキー……」

「なんだ?」

そう言うと俺の顔に顔を寄せてきた

「お前、何を……」

「動かないで、ヒッキー…」

顔がもうすでに10センチほどまで近くなっている

待て待て待て

 

ヒュ~ ドォーン!

 

「お……おい、始まったぞ……」

「そだね、ちょっと動かないでね」

そう言うと由比ヶ浜は俺の顔に指をあてた

 

「ソースついてるよ」

 

そう言って由比ヶ浜はそのソースをなめた

 

「はぁ~」

「どしたのヒッキー?」

「お前なぁ……」

お前は本当に天然すぎる

「何、ヒッキー、キスでもしたかった?」

「ば、お前何言って……」

「冗談だよ~、あははヒッキーかわいい」

「この……はぁ~」

夜空にはきれいな花がたくさん舞い散る

その横で

「ヒッキー!ヒッキー! 綺麗だね、あ、あれなんかのキャラクターだよ!」

騒ぐこの子も俺にはきれいな向日葵に見えた

 

 

 

 

 

【another view 由比ヶ浜】

 

「ふぅ、楽しかったな~」

あの後、ヒッキーに送ってもらって私は家に帰ってきた

ちょっと大胆すぎたかな……いや、でもこのくらいやらないと……

ソースは本当はついてなかった……私の意気地なし……

 

ベットにはヒッキーと一緒にとった熊のぬいぐるみがある……

ちょっとヒッキーに似ている…

「そうだ! 今日から君の名前は八幡君にしよう」

私はベットに寝転がって八幡君を掲げた

「ねぇ、八幡君、今日は大胆すぎたかな?」

「『そんなことないよ、きっと喜んでるよ』」

「そうかなぁ、えへへ、そうだよね」

「『大丈夫、結衣の思いは伝わるさ』」

「うん、頑張るね、私!」

次も頑張る決心をして私は八幡君を抱えながら布団をかぶった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで由比ヶ浜は終了です
みなさんの要望通り甘くできましたかね?

最後のあれは由比ヶ浜が自分で声を当てている感じです
分かりにくかったらすいません

さて、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからもよろしくお願いします


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15 今日の雪ノ下雪乃は何か違う 前編

雪乃編です
ちょっとおかしいと思われる方いらっしゃると思います
後で下のほうで解説します

今回も駄文ですが、どうぞ


【another view 雪ノ下雪乃】

 

「はぁ~」

これでもう何度目のため息かしら……

数えるのも億劫ね……

 

私は比企谷八幡に恋愛感情を抱いている

これに関してはもう否定するつもりはない……

けど……姉さんの参戦、一色さんと由比ヶ浜さんへの出遅れ

そして自分の恋愛という知識、経験の無さ

 

負けるつもりなんてない……

けど、この状態で勝とうなんて虫が良すぎるのは理解してる

とにかく何か手を打たないと敗北は明白

基本的に小町さんは中立……贔屓にはしてもらえない……

だからと言ってライバルにアドバイスを求めるのは気が引けてできない

「はぁ~」

だからため息が出てしまう

一体、何をしたらいいのか……デートの誘いなんてメールでしかしたことない……

それですらメールを書くのにものすごい時間をかけている……

直接誘うなんて考えたこともない

そもそも付き合ってからがデートではないの?

というか……何故、私が誘うのかしら……

本来ならあちらから……いや、これは違うわね……

「はぁ~」

分からないことが多すぎる……

自分から動く恋愛がこんなに辛いと思わなかった……

考えながら歩いているとふと本屋が目に入る

そういえば、小説の続きが出たのよね……買って帰ろうかしら

本屋に入って、文庫本のコーナーに向かおうとしたその時

とある本の題名が目に入った……

「………これよ……」

 

【another view 終】

 

 

ふと、目が覚めると良い匂いがする……なんだろう?

キッチンの方を見るとエプロンを付けて誰かが料理をしている

小町か?

「あら、起きたのかしら?」

違った、氷の女王でした

 

「とりあえず、小町さんから鍵をもらって朝ごはん作ってたの……」

「まぁ、もう2名ほど侵入を許しているため慣れた」

「……まぁ、いいわ……朝ごはん作ったから食べましょ」

そう言って、並べてきたのは

トースト2枚、オムレツ、ベーコン2枚、サラダにフルーツでオレンジとパイナップル

「なんか、悪いな……」

「いいのよ、とりあえず食べてみて」

そう言われてトーストをかじる……

「うまいな……」

トーストはこんなに旨くなるものなのかと……ちょっと驚きである

外はサクサクしていて中はふんわりとCMで聞くフレーズをきっちり再現している

「どう? 口に合うかしら」

「あぁ、すごいな、おいしい」

すると、少し雪ノ下は得意げになって

「他も食べてくれるかしら、色々工夫したのよ」

「あぁ、いただきます」

 

「ご馳走さま」

「お粗末様」

雪ノ下の手作りの朝ごはんを食べ終わり

「紅茶でも淹れるわね」

と言い台所の方に行ってしまった

さて、朝ごはんだけを作りに来たわけではないだろうし、今日一日付き合え的なお願いが来るだろう

 

「どうぞ」

「あぁ、ありがとう」

 

考えてるうちに雪ノ下が紅茶を持ってきた

「さて、比企谷君……」

「何だ?」

「今日、来たのには理由があるの…」

「まぁ、分かるけどそれくらい……」

 

「今日、一緒に遊園地に行ってくれないかしら」

「別に良いけど」

 

 

「………え、何でかしら……?」

「おい……お前が誘ったのに何故に驚く」

「いや、断られた時ようの丸め込める言葉を何十パターンくらい用意してたのよ」

 

今のは聞かなかったことにしよう……

「まぁ、朝飯作ってもらったし、美味しかったし、借りは返せるときに返した方が良いからな」

「そう……良かったわ……なら、11時に千葉駅に来てくれないかしら」

「一緒に行くんじゃダメなのか?」

「私にも用意があるのよ、それじゃまた後でね」

そう言うと、雪ノ下は帰って行った

現在は8時、まだ3時間ほど時間があった

「とりあえず着替えるか……」

 

というわけで

10時50分に俺は千葉駅に着いた

雪ノ下まだ……来てない………か?

とりあえずベンチに座る

 

するとちょうど来た

白いロングのワンピースにつばの広い麦わら帽子をかぶり肩からは黒いポシェットをかけている

 

「あら、比企谷君……待ったかしら…」

「いや、今、来たとこだけど……」

「そう……なら……」

そう言うと雪ノ下は俺の前でクルリと一回転をした

「どうかしら……」

「何が?」

何故に一回転?

「分からないかしら?」

「いや、一回転の意味は分からん……」

「はぁ~、この男の何が良いのかしら……私は…」

「おい、一回転は誰がやられても意味は分からんと思うが……」

そういうと少し呆れたような、拗ねたような顔をして

「服……」

「あぁ、服か……」

まぁ、正直似合っているというか……雪ノ下の黒髪が映えていて

とてもかわいらしい恰好になっている……

しかし、1回転は何だったのか……

 

「まぁ、似合ってるよ、そういうお前も悪くねーな」

「そう……ならよかったわ……」

どうやら満足したらしい……

「じゃあ、行きましょう」

 

 

ということで電車に揺られること1時間

「着いたわ」

「これはまた、オーソドックスな遊園地だな……」

遊園地といえばというアトラクションは大体ある……感じの遊園地

THE遊園地である……

 

「あの、大人2人でお願いします」

「はい、そちらは彼氏さんですか?」

「え! あ、えーと……その……」

「はい、カップル割りが効きますので、そちらにしておきますね」

「……はい、ありがとうございます……」

雪ノ下は何にも言ってないのに勝手にカップル割りになっている……

「それでは、こちら入園券になります、それと園内のゲームセンターで使える券をお配りしております、ぜひ」

雪ノ下が帰ってきて券を渡してきた

「行きましょうか……」

「ずいぶん、疲れてるな……」

「何言ってるのかしら……むしろこれからが大変なのに……」

「なぜに大変なのか、教えてほしいものだな……」

 

 

 

 

「雪ノ下」

「何かしら」

「腕を組むのは千歩譲っていい」

「そう、ありがとう」

「しかし、関節に手をかけるのをやめろ」

「気のせいよ」

雪ノ下は園内に入ると腕を組んできた、これはまだいい……よくないが、そこは置いとく

しかし、少し違うのだ、腕を組むのから逃げられないように

いつでも関節技を決める準備はOKみたいな感じである

 

「どこから行きましょうか?」

「その前に逃げないからやめてくれ」

「分かったわ」

普通の組み方に戻った、今日のこいつおかしくないか?

「行きたい場所ないのか」

「そうね、お化け屋敷に行きたいわね」

「お化け屋敷?」

こいつがお化け屋敷?

むしろこいつがおば……イタタタタタッ!

「あら、どうかしたかしら?」

「いえ、すいませんでした」

思考を読み取るのはやめましょう……

 

 

「はい、では恐怖の体験へ、行ってらっしゃいませ」

受付の人に送られて中に入る

 

「案外、まともだな」

「そうね、怖がれると言いのだけれど」

「その理由がさっぱりわからないんだが……」

 

「うおっぉぉおぉぉぉっぉぉおぉ!」

目の前に急にゾンビが現れた

「………きゃあーー」

雪ノ下は俺に抱き着いてきた……

今の絶対に棒読みだった……棒読みだった……

「おい、雪ノ下今の怖かったか?」

「えぇ、とてもスリルがあるわね」

なぜか嬉しそうである……今日のこいつマジでおかしくないか?

 

「ぐぉぉぉおぉぉぉぉぉ!」

「……きゃあーー」

こいつは今日何がしたいのだろうか……

 

お化け屋敷で謎の雪ノ下棒読み悲鳴を聞いた後

俺たちは次にジェットコースターに乗っていた

 

「結構高いな……これ」

「そうね」

「どうして俺にしがみついている」

「怖いのよ」

「なら、何故に乗る……」

「定番だから」

「え、いまお前……なんて…」

雪ノ下の最後の言葉は落ちた瞬間の風の音でかき消されてしまった

「きゃぁぁぁ!」

雪ノ下よ、つかむのはいい……

しかし、首はちょっと………

 

「ごめんなさい」

「いや、別にいいけど」

ちょっとベンチで休憩中

というのもジェットコースターの最中に雪ノ下が捕まったところが

俺の首まわりで、少し息が苦しかったのだ

 

「ちょっと飲み物買ってくるわ、荷物お願いね」

「あぁ、分かった、気を付けてな」

そう言うと、雪ノ下は飲み物を買いに行ってしまった

 

今日のあいつちょっとおかしいよな……

一体、何があったんだ?

すると、ポシェットの中に本?

が見える……なんだろう、この見てはいけないものを見た感じは……

幸い、雪ノ下は今言ったばかりだ……なら……

こっそり本を取り出して開く

そこには

 

『恋愛初心者必見! 恋愛マニュアル』

 

偏差値25くらいの本だった……

 

 

 

 

 

 

 

 




まぁ、ちょっとおかしな理由にも納得いただけたかと
え?
雪乃はそんな本に引っかからない?
まぁ、焦っていたのですよ……ということにしてください……

来週は後編です
どうなるかご期待ください……

では恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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16 今日の雪ノ下雪乃は何か違う 後編

というわけで後編スタートです
駄文ですが、どうぞ


見間違いという言葉がある

錯覚という言葉がある

幻覚という言葉がある

 

そうだ……

きっと疲れてたんだ……雪ノ下がこんな本買うはずが……

きっと小説であるに違いない……だっていつもの猫のブックカバーに入ってるし……

ブックカバーを取って、表紙を確認する……

 

『恋愛初心者必見! 恋愛マニュアル』

 

ダメだ……

俺の見間違いでも錯覚でも幻覚でもない……

 

……まさかと思いたいが、今日の雪ノ下が違う理由はこれか?

いや、これに違いない……

とりあえず雪ノ下がまだ帰ってこないことを確認し

本のページをめくる

 

『まず、胃袋をつかみましょう! おいしいご飯を食べさせれば、たとえ相手が自分のことをどう思っていようとも好印象が必ず取れます! そこを狙ってデートに誘いましょう、もしそこで相手が答えを渋るなら、せっかく作ったのに~、と駄々をこねましょう、大半の男性は女性に何かをしてもらったら返さなきゃいけない義理感情に支配されているので、ここまで言ったらほとんどOKがもらえるでしょう』

 

まぁ、まだ序の口……

 

『相手をデートに誘えたら、必ず相手のイメージにない服をチョイスしましょう、相手はこちらの意外な一面に心動かすこと間違いなしです。相手が服をほめてくれないなら、その場で1回転しましょう。この本を買うあなたのような素晴らしい女性の想い人ならきっと気づくでしょう』

 

すいません、1回転は意味不明です

 

『絶叫系、もしくはお化け屋敷などは積極的にボディタッチを狙っていきましょう! 女の子の身体に触れられて嫌がる男などいるか、いや、いません!』

 

偏差値もっと低いな、これ……

 

とりあえず本を閉じる……

幸いにもまだ雪ノ下は戻っていない……

本を戻し、思考する……

つまり、雪ノ下はこれを頼りに今日の行動をおこしたということか……

これで今日の雪ノ下の行動の意味不明には理由がついた……

遊園地に着いてからが本番という意味が分かった……

 

正直な結論を言えば

どうすることも出来ないだろう……

俺がここで何かを言おうものなら鞄を見たのがバレる……

 

その場合……

あ、ダメだ……次の日俺の身体は東京湾かもしれない……いや、樹海か?

 

「何を考えているの?」

「うぉ!」

ひんやりしたボトルを首につけられ、変な声が出てしまった

自分の死体処理状況を考えていたら雪ノ下が帰ってきていたらしい

 

「はい、これ」

「おう、サンキューな」

雪ノ下からペットボトルをもらって飲む

「ふぅ、次何処に行くんだ?」

「そうね、少し小腹すかないかしら?」

「確かに……」

時間を見ると、15時である……意外と時間が経っていた……

 

「そこに休憩所があったし何か食べるのはどう?」

「そうだな」

対策は練れるわけではないし、従っておこう

 

 

「何を食べたらいいのかしら?」

「いや、食べたいの食べればいいだろ……」

「そういうわけにもいかないのよ」

休憩所の方は昼時を過ぎたからか、かなり空いていた

 

「あれは……」

「うん?」

雪ノ下は一つの屋台に釘づけになっている

「クレープだな……」

「あれがクレープ……」

「食べないのか?」

「いや、あまりそういうの食べたことがないというか……どうしたらいいのか……」

「普通に頼めばいいんじゃねーの?」

「そ、そうね……何がおいしいのかしら……」

「無難なのにしとけば?」

「どれもおいしそうね」

雪ノ下はクレープのメニューを見ながら楽しそうにしている……

こいつの楽しそうにする姿は新鮮だな……

「比企谷君」

「どうした?」

「私、イチゴ生クリームにするから、あなたはチョコ生クリーム頼まないかしら……」

「俺も?」

「こういうのは違うのを食べて感想を言い合うのがいいでしょ」

「まぁ、そうだが……なら俺はそこのMAXコーヒー生……「却下よ」なんでだよ……」

おい、すごく気になってたんだぞ!

仕方ない、従いますか……

 

「すみません、チョコとイチゴもらえますか?」

「はーい、少々お待ちください」

店員が手馴れた手つきで作っている

雪ノ下はうずうずしている……

「そんな楽しみか?」

「な! そんなわけないわ、何を言ってるのかしら……大体あなたの好みは毎度毎度おかしいと思わないのかしら……………ぺラペラ……」

やぶへびだった……

 

「お待たせしました、イチゴ生クリームとチョコ生クリームです」

届いたクレープを手に空いてるベンチに座る

 

「いただきます」

雪ノ下はイチゴのクレープをほおばる

「~~////~~」

あんな顔の雪ノ下初めて見た……すごくおいしそうに食べるな……

 

「比企谷君、食べないの?」

「あぁ、食べる食べる」

見とれてたから、食べてないとか言えるはずがない……

 

「ねぇ、比企谷君、その……」

「なんだ?」

「その……チョコも食べたいのだけれど……あくまでその興味があるというか……」

あぁ、こいつ食べたかったからチョコにさせたのか……

 

「ほら、食え……よ」

雪ノ下は差し出したクレープを取るわけではなく、俺のクレープに

かぶりついたのだ

 

「これもおいしいわね」

 

やって赤面していた……おい、それならやるなよ……

 

「食べたら、観覧車でもどうかしら?」

「観覧車?」

「ちょっと乗ってみたかったのよ」

「まぁ、いいんだが……」

その後、クレープを食べながら、最近の話で盛り上がった

 

 

 

「では、優雅な時間を~」

観覧車の従業員が観覧車の扉を閉める

ちょうど、夕日が見えるような時間帯、ロマンチックとはまさにこういうのを言うのだろう……

 

「あの……」

「何かしら?」

「なぜに隣に?」

「いいじゃない、別に……」

 

雪ノ下は観覧車に入ると向かいの席ではなく隣に座ってきた……

観覧車に乗りたい理由ってこれかよ……

さて、今日の雪ノ下は本のせいとはいえ、ちょっとおかしい……

というか……もしかして……

 

「なぁ、お前さ……」

「何かしら?」

「今日、無理してない?」

「え、急にどうしたの?」

「まぁ、何……お前らしくないというか……」

「そ……そうかしら?」

「気のせいならいいんだが、俺はその……」

「その?」

「いつものお前の方がいいというか……」

「……どっち?」

「え?」

「だから、どっちかしら?」

「いや、何がどっちなの?」

「今の私と、いつもの私どっちがいいの?」

「えーと、それは……」

「はっきり言って欲しい、じゃないと……」

「い……いつもがいいよ、お前らしい方がこっちもやりやすいしな……」

「そう……なら……」

 

そう言って、腕を絡めて、肩に頭を預けてきた

 

「あなたの言う通り、少し無理してたわ……だから……」

一呼吸おいて、雪ノ下が口を開く

 

「休ませて、観覧車が終わるまででいいから……」

 

 

その後、特に会話はなかったが

雪ノ下は夕日に照らされてとても綺麗だった

 

 

観覧車が終わると、雪ノ下が何かを思い出したように鞄からチケットを取り出した

「そういえば……」

「うん?」

「入るときここのゲームセンターのチケットもらったのよ」

「せっかくだし、行くか?」

「そうね、捨てるのはもったいないし行きましょう」

 

ゲーセンに入ると、UFOキャッチャー、レース系、クイズ系

結構いろいろあるな……

 

すると、雪ノ下はとある機械を眺めている

「やるか、これ?」

「え、でも……」

「お前らしい方がいいけど、それは遠慮しろって意味じゃない、だから……なんだ、今日は一日付き合う約束はしたからな、お前のしたいことをしろよ」

「ありがとう、それじゃ、やってみたいわ」

 

「すいません、これやりたいんですけど……」

「はい、チケットお預かりしますね、それではどうぞ」

そう言って、店員さんはプリクラを起動させて戻っていった

 

『どっちか選んでね』

画面には二人用と大人数用の二つのパネルが出てきた

「とりあえず二人を選ぶわね」

『フレームを選んでね』

「比企谷君、どれがいいかしら……」

「お前の好きなのでいいと思うが」

「じゃあ、全部猫にするわね」

全部かよ

『それじゃあ写真撮るよ、前の画面に映るように入ってね、それじゃ3、2、1』

パシャ

え、もう撮ったの?

 

『次、行くよ、はい3、2、1』

パシャ

「ちょっと待て、どうする……」

「どうするも何も、私もどうしたらいいのか……」

雪ノ下もこの状況に焦っている……

パシャ

おい、もう3枚だぞ……

 

『それじゃ、下の赤い線まで近づいてね』

「行きましょう、じゃないと写真に入れないわ」

言われた通りに近くに行く……

「これ、近くないか……」

「さっきよりは写真に集中はできそうだけど」

パシャ

「あぁ、おい撮られたぞ」

「比企谷君、カメラに集中よ」

「分かってるが、そこは笑顔じゃないのか?」

「その、私もどういう顔していいか分かんないというか……」

パシャ

「ラスト1枚になったぞ」

「……比企谷君、そこを動かないで」

「おう、分かったけ……ど……」

すると、頬にかすかな感触があった

「おまっ!」

パシャ

 

『撮影は終了だよ~、横の落書きコーナーに移動してね』

「お前……」

 

「私がやりたかったことだから……無理はしてないわ、行きましょ」

 

横の落書きコーナーに行くと……

これはひどい……なんというかはほとんどお互いカメラを見れていない

「まぁ、いいか、初めてだし、こんなもんだろ」

「そうね、適当に終わらすから、比企谷君は外で待っててもいいわ」

「分かった、じゃあ待ってるわ」

 

数分後

「終わったわ、これはい」

「おう、ありがとう」

プリクラを渡されたが、あれ何かおかしいような……

あんまし落書きもしてないし……?

「どうかした?」

「いや、なんでもない……」

「せっかくだから、帰るついでに、夕ご飯一緒にどうかしら……」

「いいぞ、何処で食べるか……」

 

こうして雪ノ下の暴走?

が起こった遊園地は終わった……

 

 

【another view 雪ノ下雪乃】

 

家に帰って遊園地で撮ったプリクラを見る

「やってしまったわ……」

唯一落書きをした6枚目を見る

そこには小さく、スキ、の2文字

書いた後に終了時間が来てしまい、消せないまま印刷されてしまった

仕方ないので、比企谷君の部分から切り取りごまかした

しかも大胆に頬にキスをしたやつだ

というか、こっちの方がやってしまったのでは?

 

しかしそんな悩みも

プリクラを見ると忘れてしまう……

 

「はぁ、恋って大変……でも……こんなにも嬉しいものなのね」

プリクラを見ながら笑みがこぼれる……今日は寝れるかな……

そんな気持ちを抱きながら眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




雪乃編、終了です
ちなみに恋愛マニュアルの文章ですが
あれは作者は雪ノ下を動かすために書いたものであって
決して真似はしないでください……
偏差値10もないです、やめましょうw

次回ははや誰だが分かってると思いますが
お楽しみに~

というわけで謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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17 雪ノ下陽乃の逆襲 前編

というわけで陽乃回です
駄文ですが、どうぞ


「げ、降ってきやがった……」

 

ちょっと冷蔵庫の中身が手薄……保冷材だけになってしまったので

買い物に出かけた帰り道、雨に降られた

 

どうするか、まぁ走って帰れば何とかならなくもないと思うのだが

買い物の量を考えると、これまた微妙だな……

傘を買って帰るという選択肢もあるが……高いんだよな……

最近、何かと出費が多くて……いろいろと……

仕方ない、ちょっと待って、雨が止むか弱まるかを待つか

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ザァァァァァァァァァァ

 

雨がひどくなったというか……もはや台風並である……

これは傘を買って帰っても無意味だな……飛ばされて骨組みになる未来まで予想できる……

仕方ない、走るか

レジ袋を抱え、来た道を走る

はぁ、こんなときにこんな雨が降るなんて、災難だな……

前が見えなくなるくらいの雨量をさばきながら、家路へと急いだ

 

「ふぅ、着いた……」

 

まぁ、とりあえず食材系列は無事だ……

とりあえず扉を開けて、この台風からおさらばしよう

自分の家の扉に手をかけて開ける

そこには

 

「おかえりなさ~い、ご飯にする、お風呂にする、そ・れ・と・も~私?」

 

魔王が現れた……魔王は風の呪文をはなった

 

 

「それで、何か用ですか?」

家に帰ってきたら暴風雨があったのだが、そこは気にせずスルーして

とりあえずシャワーを浴びた、俺、超クールだと思う

シャワーから出ると、普通にTVを見てる雪ノ下さんがいた

 

「いや、雨が降ってきてね、避難したのよ」

 

「鍵は?」

 

「小町ちゃんがくれた!」

 

「あ、そうですか」

もはやこれ聞くのは様式美だな……

 

「とりあえずせっかく避難させてもらったしご飯でも作るよ」

 

と言って、キッチンに行こうとしたので

 

「いや、そんなの悪いですから……一応お客さんなんですし……」

 

「うーん、それじゃあさ……一緒に作ろうよ」

 

 

 

「比企谷君、ボウルどこにある?」

 

「そこの棚ですね」

 

「ええと、あったあった」

というわけで雪ノ下さんとご飯を一緒に作っている……

しかし、雪ノ下さんはやっぱり何をやらせてもきっちりこなすよな……

普通に包丁の手際はいいし……赤のエプロンしている姿も似合っている

…………エプロン?

待て、あのエプロンどっから沸いた……

 

「あのさ、比企谷君……」

 

「はい、すいません、どうかしましたか」

 

「あんまり見られると……その、何……恥ずかしいかな……」

 

「すみません、ちょっとそのエプロンが……」

 

「え、ごめん、似合ってない?」

 

「いや、似合ってます、そこは気にしなくていいです」

 

「あぁ、そう……うん……あ…ありがとう……」

そっからは特に会話もなく、つつがなく料理を作っていった……

 

 

「これで全部だね」

 

「おぉ、大分豪勢に作りましたね」

ハンバーグに卵焼き、きんぴらに煮物

一人の時だったら、多分、おかずはこの中から一品レベルだろう……

 

「まぁ、二人いるんだし、これくらい作らないとね」

 

「そうですね、ってあれ?」

 

「うん、どうかしたの?」

 

「食べてくんですか?」

 

「え~、それは失礼だよ、せっかく作ったんだから反応くらい見たいよ、それにやりたいことあるし……」

 

「最後、何か言いましたか?」

 

「いやいや、なんでもないでよ…………」

まぁ、そりゃそうか……

せっかく作ったんだし、おいしいかどうかくらいの反応くらいみたいよな……

 

「ではでは、召し上がれ」

 

「あ、はい、いただきます」

ハンバーグを割って一口

 

「うまいですね」

その瞬間だろうか……

ものすごい笑顔である、こんなの初めて見た……

あ、戻ったな……

 

「そ、そう……じゃあ私もいただこうかな……」

 

「はい、どうぞ……」

 

「比企谷君の卵焼きもおいしいね」

 

「いや、普通の卵焼きですよ……」

 

「そんなことないよ、あはは、謙遜だなぁ」

 

「別に謙遜なんてしてませんよ、普通に作っただけです」

 

「それなら私だって普通に作っただけだよ……あ、そうだ!」

あ、これろくでもないこと言い出すやつだ……

 

「はい、比企谷君、あ~ん」

 

「はい、そういうのはやめて普通に食事しましょうね」

 

「え~ 比企谷君のイケズ~ どうして私だけ差別するの?」

 

「他の人とした経験なんてないです」

 

「少なくとも、この前やってたよね」

 

「見てたんですか!」

 

「うん、見たよ」

ええええ

ちょっと待て……あの一色とのプールとか

由比ヶ浜との花火大会とか……雪ノ下との遊園地とか全部見られたのか……

 

「どうして動揺してるの?」

 

「え、いや、恥ずかしいとこ見られたなと……」

 

「別に私は劇のことを言ったんだけどね」

 

「え……」

 

「劇のことを思い出したなら動揺することはないよね、劇って言えばいいんだし、動揺してるってことは劇を抜きにして経験があるということ、違う?」

はめられた……確かに何を見たかについては言ってなかったし

言ってることに間違いはない……

 

「おかしいなぁ……そう思わない、比企谷君」

 

そう言うと、ハンバーグを近づけてきた

 

「はい、あ~ん」

 

「………あーん」

ハンバーグをほおばる、うん、おいしい

 

「じゃあ、比企谷君も食べさせて」

 

「え、何でですか……」

 

「何をいってるのかな、ハンムラビ法典にも書いてあるよ」

初めて聞いたぞ……そんなの……

 

「目には目を、歯には歯を、あ~んにはあ~んだよ」

そういうと、口を開けて動かなくなった

おい、これやらなきゃ先に進めないんですか……ほかのルートないんでしょうか……

 

「ちなみにしてくれないなら比企谷君の平穏なキャンパスライフを壊すね」

あ~ん一つでテロ行為を予告されたんだが!

 

「あーんですよ」

 

「やった! あ~ん」

そうして卵焼きをほおばる雪ノ下さん

 

「もういいですか?」

 

「うん、あ、そうだ、言い忘れてたんだけど」

 

「はい?」

 

「今日、泊めてね」

 

「え……」

 

 

 

 

「あの……なぜに泊まるんですか?」

 

「いや、疲れちゃって……今日はいろいろあってさ」

 

「いや、だからって家に泊まらなくても」

 

「何? 比企谷君 私が泊まると比企谷君に問題でも生じるのかな?」

待て……挑発に乗るな……乗ったら負けだ

 

「まぁ、俺も一応年ごろですしね、そういうのはね」

 

「じゃあいいよ」

 

「はい?」

 

「だから……別に比企谷君がしたいならいいよってこと」

………………………………………………………………何を言ってるんだ、この人は……

 

「何を言ってるんですか……冗談はやめましょう」

 

「あはは、比企谷君、ウブだね」

 

「からかうのはやめましょうよ」

 

「別にからかってないんだけどね、で、どうする?」

 

「………やめときます……」

 

「まぁ、そういうと思った、けど……君の意志でやらないなら何の問題もないよね」

 

「う、それはそうですが……」

 

「はい、決定! 私は今日お泊りしまーす」

魔王のお泊りが決定した……

 

 

「着替えとかどうするんですか?」

 

「持ってきたよ」

この人、本当は避難目的じゃない……

家に泊まりにきたんだ……だからエプロンとかあったのか

 

「まぁ、いいや、お風呂借りるね」

 

「はい、どうぞ、俺は今日もうシャワー浴びましたし」

そう言うと、雪ノ下さんは風呂場に行ってしまった

さて、もう泊まるのは確定なんだし……布団を敷こう……

 

 

「ふぅ~いい湯でした~」

 

「あ、おかえり……なんつー恰好してんすか……」

雪ノ下さんはタオル1枚巻いて出てきた

ちょ……見えるから、やめて……見たことがあとでバレるようなことがあったら……

俺、カラスにつつかれるのは嫌だなぁ

 

「いやぁ、着替え洗面所まで持ってくの忘れちゃって……」

 

「早く、着替えてください……」

 

「はいはい、分かってるよ、私もちょっと恥ずかしいしね」

なら、やらないでくれないだろうか……

 

 

「あの、布団敷いたんで、雪ノ下さんはベットで寝てください」

 

「えぇ、一緒に寝ないの?」

雪ノ下さんは赤の半袖半ズボンのパジャマを着ている……

足が見えすぎて視線に困る……

 

「俺の理性を壊しにくるのやめてもらいますか」

 

「いいじゃん、壊れたって」

 

「泊まるのは許可しましたけど、布団は絶対に別です」

ここを通すわけにはいかない……通したら負けだ……

 

「分かったよ、さすがにまだ無理か……」

 

「永遠に無理です」

 

「寂しいな~」

 

「それじゃ、電気消しますよ」

これ以上何か言われる前に電気を消して布団に入る

はぁ、今日は終始振り回されぱなっしだ……疲れた……

 

「ねぇ、比企谷君、起きてる?」

………これは狸寝入りが吉だな……

 

「ねぇってば……寝ちゃったのかな? しょうがないなぁ」

すると衣擦れの音が聞こえてきた、あきらめてベットに入ったか?

 

「お邪魔しまーす」

 

「ちょ、何してるんですか!」

雪ノ下さんは背後から俺をだきしめるように布団に侵入してきた

 

「あ、起きてた、無視とは傷つくなぁ~」

頼むから俺の理性を壊そうとするのはやめて

 

「ねぇねぇ」

 

「お願いしますから、戻ってください」

 

「むぅ、まだ何もしてないよ」

 

「それが正解です、戻ってください」

 

「じゃあ、私のお願い聞いてくれる、それなら戻るけど」

 

「分かりました、聞きましょう」

色即是空空即是色……去れ、煩悩……

 

「明日、デートしようよ」

 

「分かりましたから、離れて………え?」

 

「というわけで言質はとったから、おやすみ比企谷君」

そういうとベットに入って寝てしまった

どうやら明日も波乱がありそうである……

 

 

 

【another view 雪ノ下陽乃】

 

うわぁぁぁぁぁぁぁ

やりすぎた……絶対にやりずぎた……

いくらデートの約束をとりつけるためとはいえ

本当にやりずぎた……いや、でもこれくらいやらないと

あの3人には追い付けない……けど……これは攻めすぎたかも……

明日は少し控えめにに……いやいや……それだと私らしくないし……

どうしたらいいんだろう……比企谷君に好かれるための方法が分からない……

恋って難しいな…でも

明日のデート楽しみだな

 

【another view 終】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで後編はデートですね
正直、これ陽乃さんに寄せられているか微妙です……
あの人の甘い描写って難しいですね……いや雪乃も難しいんですけど……

それと
来週で夏休み編は終了となります
そして来週に少しアンケートの実施をします
答えていただけたら幸いです

では恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからもよろしくおねがいします


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18 雪ノ下陽乃の逆襲 後編

というわけで陽乃後編です

駄文ですがどうぞ


朝、目が覚めると誰かが上に乗っかっている……

これ何回目だろう……

 

「あ、比企谷君起きた!」

 

あ、そうだった

魔王が泊まったんだっけ……

 

 

というわけで降りてもらい……説得に大分時間を食ったのはもはや様式美に近い……今は机を挟んで朝飯を食べているちなみに朝飯は俺が起きる前に雪ノ下さんが作ってくれたらしい

 

 

「で、比企谷君」

 

「はい、なんですか?」

 

「昨日の約束覚えてる?」

 

そういえば、昨日雪ノ下さんが布団に入ってきたのを、追い返すためにデート……出かける約束を取り付けられたんだよな……

 

「はい、一応、出かけるんですよね」

 

「そう、よしよしよく覚えてたねぇ」

 

そう言うと、俺の頭をなでてきた、ちょ……やめて……はずかしい。

恥ずかしいので陽乃さんの手を振り払う。

 

「あぁ、比企谷君も恥ずかしがり屋なんだから」

 

「いや、誰でも恥ずかしいとおもうんですが……まぁ、いいです、それで?」

 

「うん?」

 

「何処行くんですか?」

 

「………決めてないや……」

 

 

 

というわけで俺は現在、着替えて出かける準備をしている。

自分からデー……出かけることに誘ったくせに、何も考えていなかったらしくスマホを見て何やらぶつぶつつぶやいている。

あぁ、夏休みも終わりが近いのになぁ……なぜに外に出かけるのだろう……

 

「決めました!」

 

「はい、それで何処行くんですか?」

 

「映画館に行こう! 私、比企谷君と見てみたい映画があるんだ」

 

 

 

映画館に着くと、人がかなり並んでいる……CMでもよく見たアニメの映画の公開日らしい。

なるほど道理で並んでると思った

 

「あれ、見るんですか?」

 

「うーん、それも考えたんだけど、予約もなしに見れるほど甘くないからね……はぁ~」

 

どうやら目当てはこれだったらしいが、見るのは違う映画らしい。

 

「それでどれですか?」

 

「あの、恋愛映画だよ!」

 

どうやら見るのは公開されてから大分たつ映画らしい……知らないなぁ……洋画みたいだし。

 

「知ってるんですか?」

 

「いや、一応男女で見に行くにはおすすめって書いてあったのよ」

 

あ、さいですか……。

まぁ、見たい映画があるわけでもないし、いいかな。

 

「とりあえず買ってくるからそこで待ってて」

 

そう言うと、雪ノ下さんはチケットを買いに行ってしまった

 

 

 

【another view 雪ノ下陽乃 1】

 

「大人2人でお願いします」

 

「あの、お連れの方って彼氏さんですか?」

 

「え……と……はい、そうです」

 

私はそう言って、比企谷君を見る。

ふむ……横顔アングルからはあまり見てなかったけど……これはこれで……

 

「あの~お客様?」

 

「すいませんよそ見してました」

何をしてるんだ……私は……

 

「それじゃあ、カップル割りの方がお安いですよ」

 

「あ、それじゃそれでお願いします……」

あ、やっちゃった……まぁお安くなるんだしそれはそれで言い訳になるか……

 

「お席のほうはどちらにいたしますか?」

 

「えっと……何処空いてます?」

 

「それではこちらの真ん中のN列の7と8はどうでしょうか?」

 

「あ、じゃあそれでお願いします……」

 

 

【another view 雪ノ下陽乃 1 終】

 

 

雪ノ下さんが戻ってきたが……なぜだかやけに疲れているように見える……。

 

「どうかしましたか?」

 

「いや、なんでもないよ! もうすぐ始まるし行こうか」

 

「そうですね、行きましょうか」

 

「その前に比企谷君!」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「私はお値段がお安いことを理由にカップル割りを利用しました」

 

「はぁ……それがどうかしたんですか?」

 

「あれ、案外普通の返しだね」

 

「まぁ、似たようなことありましたし…」

 

「あちゃ……二番煎じだったか…」

 

いや、大分煎じてると思います…

 

「ふーん、なら……」

 

そう言うと、俺の腕に腕を絡めるだけじゃなく、胸を押し当ててきた

 

「あの、雪ノ下さん?」

 

「ふんだ……慣れてるからってほかの女の子のことを考えるなんて減点なんだぞ」

 

「別に考えてないんですが……」

 

「どうだか。行こ、映画始まっちゃうよ」

 

そう言うと、俺を引っ張って歩き始めた

 

「ちょ、離れてくださいよ」

 

「慣れてるんじゃないの?」

 

「こんなの慣れてる方がおかしいです」

 

「まぁ、映画終わっても離す気ないから」

 

「げ、マジですか……」

 

やれやれ、せっかく話さなくて済む時間が緊張と羞恥の時間になるなんて……

 

 

 

『あの、スバル君私、スバル君になら…』

『レム……いいのか……俺なんかで……』

『はい、私はスバル君のレムですから……』

 

うん……濡れ場ですね……気まずいな……。

まぁ、予想はなんとなく着いたけどさ……さて、雪ノ下さんは……。

 

「あわわわわわわわ」

 

予想以上の慌てっぷりである……あの……爪が食い込んでるんですが…

あ、目が合った……

 

「比企谷君、私……」

 

「はい?」

 

「私、ちょっとお花摘みに行くね」

 

「あ、どうぞ」

 

 

【another view 雪ノ下陽乃 2】

 

やってしまった!

レビューでカップルで見ると仲が良くなるとか嘘じゃん! 超気まずいことになったじゃん! この映画評価星1にしてボロクソ書いてやろうか……いや、レビューが悪い……そもそもデートすることになって舞い上がり……何にも考えてなかった私の計画に問題があるだろう……落ち着け私……というかなぜ私がエスコートなのだ……普通相手が考えるだろう……いや、これを考えてはダメだ……そもそも私は今回狙う側なのだから……というわけで考えよう……映画はとりあえず適当に流して……ご飯……そのあとは……よしとりあえず戻ろう……もう終わってるよね……

 

【another view 雪ノ下陽乃 2 終】

 

 

『スバル君、実はレム……』

『どうかしたのか?』

『できたみたいです……』

『へ?』

 

おいおい、そこで難聴系主人公出してどうする……まぁ、幸せそうだな。

俺にもいつかこんな感じのいい人ができるのだろうか……。

まぁ、まだ先か。

 

「ただいま」

 

「あ、おかえりなさい」

 

「映画は?」

 

「あ、もう終わりだと思いますよ」

 

「そ、そうか……とりあえず終わったらご飯に行こうか」

 

「分かりました」

 

 

映画が終わって、映画館から出る俺ら。ちなみに雪ノ下さんは腕に引っ付いたままだ。

 

「あの、雪ノ下さん」

 

「はい、それじゃ今からスイパラ行くよ」

 

「え、ご飯じゃないんですか?」

 

「いや、正直あんまりおなかすいてないし、甘いもの好きでしょ」

 

「いや、好きなのはMAXコーヒーです」

 

「あれを好きで飲んでる人の知り合いって君くらいだわ」

 

「別に、俺は人生ブラックですから、コーヒーくらい甘いほうが助かるんですよ」

 

「でも、甘いもの好きでしょ、行こ!」

 

 

スイーツパラダイスに到着、しかしこれは……女子しかいないだと……。

 

「さぁ、行こうか」

 

「いや、気まずいんですが……」

 

「そんなことないよ、ほらカップルもいるよ」

 

そう言ってカップルを指さす、いやそうですけど俺たちカップルじゃないですよね

 

「あの、俺たち……」

 

「はい、比企谷君、今日は私とデートに来てるんだから、彼氏気分でいることいいね」

 

「今更のルール追加ですね」

 

「いいでしょ、もう慣れてる感じむかつく……」

 

そう言って、二人でスイパラに入っていく

雪ノ下さんは頬を膨らましてご機嫌斜めだ

しかし、スイパラはなかなか心躍る。

さて、何から食べようかな……

 

「比企谷君、ソフトクリーム作ろうよ」

 

「ケーキじゃないんですか?」

 

「実は、やったことないんだよね」

 

まぁ、俺も一回あるかないかだからそんなもんだとは思うけど、この人にもやったことないことってあるんだな。

 

「やりますか?」

 

「いいの? じゃあやってみたいかな」

 

そう言うと、コーンを取ってボタンを押した

機械からソフトクリームが出てくる……これ地味に難しいんだよな……

 

「おっと、えーと、あれ止まんない、どうすんの? これ」

 

「ボタン押せば止まりますよ」

 

「あ、止まったけど……あちゃ……こりゃ失敗だね…」

 

予想通り、ソフトクリームはかなりいびつな形になってしまった。仕方ない。

 

「雪ノ下さん、それください」

 

「え?」

 

「俺がそれ食べますから、雪ノ下さんは新しいの作っていいですよ」

 

「いや、これは私が食べるよ」

 

「いいじゃないですか、もう1回やったら雪ノ下さんの器用さならできますよ」

 

「分かった、じゃあこれあげるから、私の分は比企谷君が作って」

 

「俺、全然上手じゃないですよ」

 

「私のが欲しいなら対価がいるとは思わない?」

 

そう言ってニヤリと雪ノ下さんが笑った。

あまり、上手ではないのだが……仕方ない。

 

「下手でも文句は言わないでくださいね」

 

「そんなこと言うわけないよ」

 

俺はコーンを取って、ソフトクリーム機の下にコーンを構える。

ソフトクリーム機の初心者の一番驚く点はその速さにある、速度が予想より速いからだ。

さっきの雪ノ下さんのを見たので速度は大体把握した、あとはタイミングである、ここはもう勘しかない。

意を決してボタンを押す。

 

「こうして、こうで、くそ、少しタイミング遅かったか」

 

一応、できるにはできたが少しいびつである。

まぁ、これくらいで許してほしい……

 

「どうぞ」

 

「あ、ありがとう……じゃ、これ」

 

「はい、じゃあとりあえず席戻りますか……」

 

「そうだね、食べたらまた取りに来ようか」

 

スイパラを堪能しああとは

 

「比企谷君、負けた方が言うこと聞くルールね」

 

「え、そのルール今言うんですか?」

 

 

 

「負けたルールね、はい歌ってください」

 

「え、じゃあヘビメタを」

 

「却下で、恋愛ソングがいいなぁ」

 

 

ボウリングにカラオケと連れまわされた。

 

 

「ふぅ~楽しかった~」

 

「そうですか……」

 

「あれ、元気ないね、比企谷君?」

 

「そりゃ、これだけ連れまわされたら疲れますよ」

 

「今日は楽しかった、ありがとうね」

 

「いえ、俺も楽しかったですよ」

 

そう言うと、雪ノ下さんは真面目な顔をして俺に向きなおった。

 

「あのさ、比企谷君は決めたの?」

 

「何をですか?」

 

「分かってるくせに、まったくいつからそんな勘が鈍くなったのかな?」

 

「もともと、鈍いですよ」

 

「はぁ、もういいや、それと比企谷君」

 

「はい?」

 

「もう夏も終わりだね、この夏休みどうだった?」

 

その発言の意図はわからないが、まぁこう答えるのが無難だろう

 

「まぁ、悪くはなかったですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで陽乃回終了です
ちょっと会話多めかもです、すみません。

それと夏休み編も終了です
来週からは文化祭編に突入します
お楽しみに

それとアンケートを実施しました
解答お願いします

それでは恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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19 本来、文化祭はお休みの日である 前編

というわけで文化祭編始まります
今回も駄文ですが、どうぞ


【another view ?】

 

「ついに、このときが来ましたね。」

 

「えぇ、ようやく雌雄を決することができるわ。」

 

「あらあら、二人とも気合入ってるね、私も取りに行くけどね。」

 

「負けません! 誰にもヒッキーは渡さない。」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

後ろに四神でもいるのかと思うほどの強烈な殺気に空気が揺れる。

ここが公共の場所というのを考慮してくれないのかなぁ。あはは。

 

「ルールは文句ないですよね。」

 

「もちろん!」

 

「えぇ。」

 

「問題はないかな。」

 

「先輩をおびき出すのはどうするんですか?」

 

「それなら問題には及ばないわ。」

 

「教授に呼び出しをかけるように指示を出しておいたからね。」

 

「なんでそれができるのか聞かない方がいいですかね……あはは。」

 

「まぁ、資金提供をするって言ったら、普通にOKだったよ。」

 

「姉さん、それは言わなくても……はぁ……」

 

「まぁまぁ、そんなことで比企谷君呼び出せるなら安いもんだって。」

 

「まったく、それじゃあ、明日ね。」

 

「うん、また明日! 負けないからね~」

 

「恨みっこなしですよ~」

 

4人が解散した後、僕はこっそり顔を茂みから出した。

あの4人に話しかけようとしたら、大変なことを聞いてしまった……

 

「僕がどうにかするしかない! でもそのためには……」

 

スマホでアドレス帳を開けて、電話をかける。

 

「あ、もしもし……―――君? 僕、--だけど覚えてる? ……………」

 

【another view ? 終】

 

文化祭。

中学から大学までにかけて行われる秋のお祭りの総称。

しかし、その実態は休日なのはご存知だろうか?

特に大学生の文化祭は何もすることがなければ、行かなくてもなんの問題もない。

だから、比企谷八幡は文化祭で実行委員をやっているわけではないので行く必要がない……はずだった……。

 

「なぜに今日、教授からの呼び出しがかかるのか……しかも俺だけって……俺なんかしたかよ……」

 

なぜか教授から呼び出しをくらうとう謎の現象に頭を抱えつつも、大学に向かう俺……。

俺、やっぱり社畜向きな性格してんなぁ……いやいや、決心を鈍らせてどうする……。

 

専業主夫に俺はなる!

 

うん、心の中で決心を固める……どんなことをしてでも、この決心を鈍らせてはいけない。俺のアイデンティティーをこんなことで鈍らすなどありえないのだ。心の中で考えをまとめていると、大学の校舎が見えてきた。さっさと終わらせて、帰りますか。

 

 

「失礼しました………はぁ……」

 

教授に呼び出されたのに不在だったらしい……無駄骨である。教授が帰ってくるのは、文化祭が終わるごろらしい……。せっかく最近たまったアニメの消化の予定が台無しだ……。とりあえず、何処かのお店で時間でもつぶすしかないか。大学内は文化祭の影響でお祭り騒ぎである。まったく、居辛いことこの上ないすると、見たことあるような犬が俺にくっついてきた。あれ、この犬……どっかで見たことあるような……

 

「こら、サブレ! あ、ヒッキー見っけ!」

 

由比ヶ浜が現れた。

比企谷八幡はどうする……なんか嫌な予感がする……とっとと逃げるか……。

 

「ちょっと、なんで逃げようとするの?」

 

由比ヶ浜は俺の腕をつかんできた。

 

「あ、由比ヶ浜な……俺用事があってだな……というかなぜ……えーと……サボローだっけ?」

 

「それは塾のやつだ! サブレだよ……もう……別にサブレがいたらヒッキー見つけやすいかなぁとか思っただけ。」

 

俺を見つけるだと?

由比ヶ浜の何気ない一言に俺の生存本能が警報を鳴らし始めた。

 

「分かった、サブレだな、じゃあ俺は行くな……」

 

しかし、由比ヶ浜は腕を離そうとしない……。

 

「だから……私もヒッキーに用事があるんだ。実はねヒ「見つけましたよ!」ッキーと……って…いろはちゃん!」

 

一色いろはも現れた。

比企谷八幡はどうする……いや、だから逃げるしかない。

 

「おぉ、一色、それじゃ…」

 

すると、一色も由比ヶ浜とは反対の腕をつかんできた。

 

「先輩、どうして逃げようとするんですか?」

 

「いや、だから俺には用事が……」

 

「そんなの私が認めるわけありません。」

 

「なんで、俺の用事をお前が管理するんだよ……」

 

「というわけで先輩! 私と「ちょっと待ったー」結衣先輩! 邪魔しないでください!」

 

「先に見つけたのは私だもん、先に言う権利は私にあるもん!」

 

「そんなの関係ありませんよ、先に言った方が勝ちですもん! ねぇ先輩~」

 

「そこで俺に同意を求めるのはおかしいだろ。」

 

女性2人に囲まれて修羅場繰り広げている俺たちを見て、ギャラリーが集まりかけている。

これはマズい!

 

「そこで何をしているのかしら?」

 

すると、怖く、そして冷たい声が響いてきた

 

「「ゆきのん!(雪ノ下先輩!)」」

 

「あまり文化祭でのもめごとはよして頂戴。」

 

文化祭の実行委員のTシャツを着た雪ノ下があらわれた。

すると、ギャラリーに向かって、

 

「すみません、この人はいろいろな仕事を請け負ってまして、それでどっちの仕事を先にやるかでもめていただけですので、お騒がせしました。」

 

雪ノ下の言葉に納得したのか、ギャラリーは散っていく

 

「卑猥谷君、あなたという人は……ちょっと来なさい。」

 

「いや、だから……俺には用事が……」

 

「助けてあげたのだから正当な報酬が欲しいわ。」

 

「ぐ……確か「「ちょっと待った!」」に……」

 

「何かしら?」

 

「ゆきのん、抜け駆けは許さないよ。」

 

「そうです、順番は守ってください!」

 

お前、さっき順番否定してたよね……

 

「何か勘違いしているようだけど、ちょっとした文化祭の力仕事が残ってるのよ。せっかく助けてあげたんだから、それを少し手伝ってもらおうかと思っただけよ。私もまだ仕事中だからその辺は安心して頂戴。」

 

「うう……でも……」

 

「じゃあ私も!」

 

そう言って、食い下がる由比ヶ浜と一色、すると

 

「あ、サブレ!」

 

サブローが何か見つけたのかいきなり駆け出してしまった。

 

「あ、もう……ゆきのん、抜け駆け禁止だからね!」

 

そう言って、由比ヶ浜は走って行った。

 

「あの、一色さん!」

 

「え、どうしたんですか?」

 

何やら、エプロンをつけた同級生?らしき人が話しかけ始めた。

 

「実は、大変なことになっちゃって、早く来て!」

 

「え、ちょ……待っ……雪ノ下先輩、抜け駆けは許しませんよ! それと先輩、誘惑されたら許しませんから!」

 

一色は同級生だと思う方に強制連行されてしまった。

なんか、出来すぎで怖いんだけど……。

 

「それでは、比企谷君、行きましょう」

 

「おぉ……」

 

とにかく雑務している間に時間がくるだろう……。

 

 

「これを運ばなきゃいけないのよ」

 

雪ノ下に案内された部屋には大量の段ボール箱があった。

 

「え、これ全部?」

 

「まぁ、全部はやらなくていいわ、少しでも数を減らしたいの。」

 

「分かった、じゃあとりあえず……」

 

「その前に、比企谷君……」

 

「うん、なんだ?」

 

雪ノ下が急に近寄ってきたので、思わず後ろに下がるが、壁にぶつかる。

すると、雪ノ下が俺の顔の横にドンと音を立てるように手を出した。

 

これは……壁ドン! というかなんで壁ドン俺がされてんの……。

 

「比企谷君、お話しがあるのだけれど……」

 

「うん、わかったから、その手をはずそう。」

 

「ダメよ、逃げるでしょう、あなた…」

 

「いや、この状況怖いだけだから……マジで。」

 

「いや、この状態でやらないとダメなのよ……本に……話を逸らすのをやめなさい。」

 

お前……また変な本に手を出したのか……

 

「比企谷君、私と…「はーい、そこまで」姉さん!」

 

「おやおや、関心しないなぁ……職権乱用なんて。」

 

「そんなことしてないわ、ただ聞いてもらいたいことがあっただけよ。」

 

「比企谷君~ちょっといいかな?」

 

そう言って俺によりかかる雪ノ下さん

 

「私、比企谷君と一緒に……「そこまでよ、姉さん」…雪乃ちゃん今いいとこなんだけどなぁ。」

 

「私が先よ、姉さんは黙ってて。」

 

「そういうわけにはいかないのよ、私も譲るつもりないからね。」

 

うしろに虎と竜が見える……

今の内に逃げないと、大変なことに……

 

「姉さんと喧嘩なんて、久しぶりね。今回は私が勝たせてもらうわ。」

 

「へぇ、私に勝つつもりなんだ。」

 

というか、口喧嘩どころかリアルファイトになりそうなんですけど!

すると

 

「あーーーー、あれは雪ノ下家の母君ではないのだろうか!」

 

「「え!」」

 

突然の声に二人は声のした方を向く……なんだか分からんがチャンスだ!

今しかない!

慌てて扉のほうに走る。すると

 

「八幡! こっちだよ、早く!」

 

扉の外から手が出てきた、とっさにつかんで脱出する。

その手の正体は……

 

「久しぶり、八幡!」

 

「戸塚!」

 

そこにいたのは、愛しの天使、戸塚………と

 

「久しぶりだな、八幡よ。」

 

「誰だっけ?」

 

「はちえもーん!」

 

材木座だった。

 

 

 

「とりあえず、ここまで来れば安全だね」

 

あの後、走ってとりあえず休めそうなところに逃げてきた。

しかし、どうしてこの2人がここに?

 

「どうしてお前らここに?」

 

「八幡がピンチだからだよ、友達だもん、助けにくるよ。」

 

「うむ、八幡よ、感謝するがいい。」

 

「まぁ、一応お前にも感謝はしとくよ……さっきの声お前だろ。」

 

「フフフ、どうだ、我の演技は…」

 

「まぁ、それは置いといて、ピンチってどういうことだ? 確かにあれはピンチではあったが……」

 

「実は……」

 

 

すると、近くのTV画面にメインステージが映し出された。

 

「というわけで○○大学伝統のイベントに行きましょう!」

 

画面の向こうでは二人の司会者がステージの上で元気よくしゃべっている。

 

「「カップル選手権!」」

 

思考が止まった。

 

「こちらのイベントの説明をお願いします。」

 

「これはですね、名前の通り、カップルたちに壇上に出てきてもらって、イチャイチャしてもらいます。その中で一番のベストカップルが優勝となります!」

 

「非リア充が見たら死にたくなるようなイベントですね。」

 

「まぁまぁ、カップルには良いことがあるんですよ。」

 

「ほぉほぉ、それは何ですか?」

 

「なんとですね、この大会に出場だけでもしたら、そのカップルは絶対に別れないジンクスがあるんです! ちなみにカップルではなかったけれど、意中の異性を連れ込んで成功した例もあります!」

 

「えぇぇぇ! なんだって!」

 

「しかも優勝賞品は、1泊2日の温泉旅行つき! しかも~」

 

「まだ、あるんですか?」

 

「はい、このイベントはゲリラ参加型イベントなので、来場者も参加が可能なんですね。」

 

「え、このイベントそんなので成り立つんですか……」

 

「それがですね。毎年、願懸けみたいな感じで参加者が多い、目玉イベントなんですよね~」

 

「確かに……前年度は50組以上参加という記録がありますね。」

 

「というわけで最終日にぴったりなイベントというわけです! 今年も張り切ってまいりましょう!」

 

………なんとなく分かった気がする

 

「八幡、あの4人は八幡とあれに出たいそうなんだ……」

 

「しかし、リア充も大変だのう、4人から誘われるとは……」

 

「リア充じゃねぇ……どうすれば……」

 

多分、あの4人のことだから大学の出入り口は完全に封殺されている。

しかし、このまま大学内を逃げ切れるほど甘くはないだろう……。

というかあんな恥ずかしいの出たくねぇ!

 

「大丈夫だよ、八幡!」

 

そう言って、戸塚は手を差し出してきた

 

「僕にとっておきの作戦があるんだ!」

 

そう言ってウィンクをした……かわいい……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで戸塚、材木座登場ですね
こっからの八幡チームの巻き返しにご期待くださいw

まだまだアンケート実施中です、ご協力お願いします

それでは恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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20 本来、文化祭はお休みの日である 中編

というわけで、続きです
駄文ですが、どうぞ


「作戦ってそんな大層なものいるのか? 大学外に出れば済む話だと思うんだが……。」

 

戸塚が言った言葉に少し楽観的な形でとらえている俺に対して戸塚の顔は少し暗い。

 

「実はね、八幡……大学外に出るのはあきらめた方がいい……と思うんだ……。」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

「多分なんだけど……雪ノ下さん達の会社の部下さん……でいいのかな? 大学外に待ちかまえてる……。」

 

……戸塚の返答で予想はできたが、やはりそうなったか……。 大学外に出れば楽だと思っていたがそういうわけにも………ん?

 

「なら、普通に隠れてればいいんじゃないか? それなら大丈夫だろう。」

 

「それもダメなのだよ……。」

 

材木座が俺の言葉を否定する。

 

「学外には逃げられないように人のバリケードがあるように、中にも同じように人が仕込まれている、しかも雪ノ下家の人間だけではない……。」

 

「ということは、まさか……。」

 

俺の言葉に戸塚も材木座もうなずく。

 

「八幡の考えている通り、一色さんも由比ヶ浜さんも知り合いを仕込んでる……要するに八幡はこの文化祭で指名手配犯扱いということになるね……。」

 

つまり、隠れていたとしても見つかるわけだから、この前のトイレ作戦も使えないと思ったほうがいいというわけか……。 大学外への脱出はほぼ不可能、見つかったら捕まって雪ノ下姉妹のどちらかに身柄を渡される。大学内で逃げようとしても、通報もとい報告をされて、あの4人の誰かに伝わる。文化祭中だから、人の流れも多い、走ることすらままならない……。ナニコレ、無理ゲーじゃん……。

 

「変装や、何かものに隠れての脱出はどうだ?」

 

見た目だけなら、割とごまかせばいけるかもしれない……。

しかし、戸塚は首を振る。

 

「由比ヶ浜さんが犬連れてるの見た?」

 

「見たけど……おい……まさか……」

 

「うん、八幡の予想通り、大学外にも大学内にも待ちかまえてる、さっき確認したけど、警察犬っぽいのもいたかな……」

 

「おぬし、大分あの4人に行動パターン読まれておるな」

 

あまりにも、俺の考えてる内容に先回りされすぎている。完全に俺の行動を読んでの作戦だ……。

 

「状況を簡単に説明すると、文化祭実行委員に紛れる手は雪ノ下さんがそれを読んで文化祭実行委員で高い役職についてるから紛れてもすぐばれる。模擬店に紛れる手も一色さんが模擬店のほとんどに出入りして手伝っているから、八幡が入れば一色さんに連絡が行く。由比ヶ浜さんは交友関係やSNSを利用して、内部に包囲網を作ってる。大学内の人間の大半は由比ヶ浜さんの息がかかってると思った方がいいかもしれない。最後に雪ノ下さんのお姉さんは大学外を固めて、逃げられないように手配している。仮に出れたとしてもすぐ捕まる可能性が高い。」

 

戸塚の言葉に戦慄を覚える。 今回の作戦にあの4人の気迫を感じる。

 

「まぁ、あの4人は八幡が脱出できないように道を全部ふさいで、後で選んでもらうつもりだったんだろう。 この結託具合はそれすら予想できるな。」

 

材木座の総評に同意するしかない。 多分、かなり周到に練られたんだろう……しかし……

普通ここまでするか!?

 

「だから、八幡、全員が思いつかないような手を使うしかないと思うんだ。」

 

「うむ、そのために我らが来たのだからな。」

 

「思いつかないような手?」

 

「うん、八幡! 正面突破で行こう。」

 

「いや、大学外には出られないんだろう……正面突破って……」

 

「あの4人を説得しよう! あの4人からすれば、この方法は八幡が一番取らない戦法だからね。」

 

「ちょっと待ってくれ、さっき見ただろう、雪ノ下姉妹の喧嘩が始まってるとこ、正直あいつらの今回の熱の入りようを見ると、並みの説得なんて……」

 

「フフフ、八幡よ! なめてもらっては困るな、そのために我がいるのだ……。」

 

材木座が高らかに叫ぶ……頼む、今は声を静めてくれ……今、作戦を立ててるこの狭い路地裏すらいつバレるか……

 

「八幡、これを」

 

これは……耳につける小型のイヤホンとカメラか? なんかアニメとかでよく見たことのあるやつだな。

 

「これをつけて、我の言う通り話せ、いいか、一字一句間違えずにだぞ、あと仕草もだ、こっちが指示する。」

 

「おい、何をする気だ……。」

 

「八幡、僕たちを信じて……たぶんこの作戦で全員を説得できると思うんだ……。」

 

「いや、しかし……」

 

待て……さっき家に出る前に自分で誓ったじゃないか……自分の平穏で専業主夫を目指す生活を維持するなら、なんでもしようと決めたじゃないか……それにあの4人の誤算はこの2人の登場だ……この2人の作戦ならあの4人の想定外なんだから、ここは背に腹はかえられないと思って作戦にのるべきということではないだろうか……。

 

「分かった、これを付ければいいんだな。」

 

俺は渡された小型イヤホンを耳につけ、カメラをワイシャツのボタンの近くにつける。

 

『八幡、聞こえるか?』

 

「あぁ、問題ない」

 

「カメラの方も良好だね、音声もバッチリ聞こえるよ。」

 

戸塚はパソコンでカメラがきっちり作動しているのを確認している。

 

「よし、まずは……この人で行こう」

 

「最初から大分きついのいくな……」

 

 

 

 

「あら、比企谷君、急に呼び出してどうしたの? それとも話聞いてくれるの?」

 

最初の標的は雪ノ下さんとなっている。というのも、あの2人からすれば、乱入可能性を排除したいらしく、一番乱入可能性のある雪ノ下さんが最初となった。最初からハードル上げ過ぎ……。

 

『急に呼び出してごめん、ちょっと陽乃と話がしたくてさ』

 

……今すぐに材木座を殺したくなってきた……。あの野郎……。作戦ってこういうことか……。くそ、もうここまで来て尻込みはできない……やるしかない。

 

「急に……呼び出してごめん、ちょっとは…陽乃と話が…したくてさ…」

 

すると、急に雪ノ下さんの顔が赤くなり始めた……

 

「いや、え……ちょっと……えええ」

 

かなり動揺している……あれ、いつもの魔王の感じがなくなっていくな

 

『八幡、今が攻め時だ、壁際に追い込め……壁ドンを実行せよ』

 

あいつ絶対に楽しんでるだろ……この……。

 

「了解、行動開始する。」

 

小声で返事をする、こういうのに乗ってしまうあたり俺はまだまだ子供かもしれない……。

言われた通り、壁際に追い込むために近づく。

 

『陽乃、少しこっちに来てくれるかい、ちょっと二人で内緒の話がしたくてさ』

 

「陽乃、少し…こっちに来てくれるかい……ちょっと二人で内緒の話……がしたくてさ」

 

「あ……はい……」

 

素直に従って、こっちに来る。雪ノ下さんが自分の前の方に来た

 

『今だ、右手を相手の顔の横に』

 

言われた通りに、右手を相手の顔の横に出す。

 

「ひゃ……これは一体……」

 

『陽乃が何をしたいか、俺にはわかってるよ、でも、それって必要なのかな?』

 

「……陽乃が何をしたいか、俺にはわかってる…よ、でも……それって必要なのかな?」

 

「だって……その……」

 

雪ノ下さんが口ごもっている。

 

『八幡、人差し指をたてて、相手の唇に近づけろ』

 

言われた通りに、近づける

 

『大丈夫、それがないと心配なほど、陽乃は弱くなったのかな? 俺は大胆な陽乃が好きなんだけどな』

 

「大丈夫、それが…ないと心配なほど、陽乃……は弱くなったのかな? 俺は大胆な陽乃が……好きなんだけどな」

 

そういうと、雪ノ下さんは首をふる。

 

『なら、埋め合わせは必ずするからさ、今回はやめてもらっていいか』

 

「なら……埋め合わせは……必ずするからさ……今回はやめてもらっていいか」

 

「で、でも……それは……」

 

『陽乃、分かったな、これを耳元で強く言え、これで多分終わるであろう……ププ』

 

「陽乃、分かったな」

 

耳元で命令するように強く言う、すると

 

「はひ……分かりました……」

 

その場で座り込んでしまった……え……何が起こったの?

 

『帰還せよ』

 

「じゃ、俺、ほかにやることあるから戻るわ、よろしく」

 

そう言って、その場を後にした

さっき笑ったあいつマジで殺す……

 

 

 

「材木座、お前殺す」

 

戻った俺は開口一番に言った、正直こいつは俺が殺さなきゃ気が収まらない。

 

「待て待て待て、我のおかげだろう。」

 

「あんな辱めを受けるとは思ってなかったわ! というかなんだあの優男風の俺、もうヤダ……これがあと3回とかもう本当に嫌だ……」

 

壁にもたれかかって……落ち込む……今、この壁にヘットバットしたら何もかも忘れて俺は自由になれるかもしれない……。

 

「八幡、ナイス演技だったよ、やっぱり本の通りだね」

 

「本?」

 

戸塚が本を見せてくる

 

『男のための恋愛マニュアル』

 

俺は、どうやら雪ノ下をバカにできないことに足を踏み入れたらしい……。

 

「年上女性は急な命令口調に弱いって書いてあるんだ、優男からの命令口調は作戦成功だね」

 

「……八幡よ、休んでる暇はないぞ、早く次に行かないと時間がない……ククク」

 

「くそ、お前絶対楽しんでるだろ……」

 

「次はこの人で行こうか」

 

もうここまでの辱めをした以上、俺にプライドなんてない。

 

「よし、行くぞ」

 

 

 

 

「先輩、呼び出すなんてどうしたんですか? 珍しいですね、いろはちゃんの魅力に観念しちゃいましたか?」

 

次は乱入可能性が2番の一色である。今回は優男ではなく、通常で話す感じで行くらしい……というか俺がお願いした。

 

『何言ってんだ、俺はもともといろはの魅力に惹かれてるわ』

 

「何言ってんだ……俺はもともといろはの魅力に惹かれてるわ」

 

「え、急になんですか、なんなんですか、うれしいんですけど、そういうのはもうちょいロマンチックに言って欲しいから、もう一度やり直してきてください。」

 

『まったく、俺はお前に何度フラれればいいんだろうな、ちょっと悲しいな』

 

「まったく、俺はお前に何度フラれればいいんだろうな……ちょっと悲しいな」

 

「いや、そのそういうつもりで言ったわけじゃなくて……」

 

『いろは、ちょっとこっち来てくれるか?』

 

「いろは、ちょっとこっち来てくれるか?」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

トタトタという効果音が聞こえるような仕草でこっちに寄ってくる……相変わらずあざといな。

 

『俺っていろはに信用されてないか? これを頭をなでながら言え』

 

「俺って……いろはに信用されてないか?」

 

そういって頭をなでると、

 

「きゃ、その……えへ……あぅ……」

 

小動物みたいに縮こまってしまった……こいつに妹コマンドって効果抜群なのか……。

 

「いや、そのそういうわけではないんですが、むしろ……」

 

『俺はいろはに惹かれてるから安心しろ』

 

「俺はいろはに惹かれてるから……安心しろ」

 

「本当ですか! 嘘じゃないですか?」

 

『それはいろはの態度次第だな……俺はこういうやり方好きじゃないしな』

 

「それはいろはの態度次第だな……俺はこういうやり方好きじゃないしな」

 

「うぅぅぅ~ 分かりましたから、もうやめますから、だから……」

 

『埋め合わせなら今度してやるから、安心しろ。それに今なら……』

 

「埋め合わせなら今度してやるから、安心しろ。それに今なら……」

 

「今なら………なんですか?」

 

『まぁ、それはお楽しみだ……これを耳元だ、これで多分終わりでいいだろう』

 

「まぁ、それはお楽しみだ……」

 

耳元でこっそりとささやく。

 

「……はい……分かりました……楽しみにしゅてます……はふ」

 

これで一色も終了した

 

 

 

「おい、材木座」

 

「どうしたのだ?」

 

「ああいうのをどこで仕入れた知識だ」

 

「エロゲ」

 

だと思ったわ……俺はなんたる恥さらしを……

 

「後、2人だね、このまま頑張ろうね! 八幡!」

 

どうやら、俺の精神力が削れるのが先か、それともあいつらが俺らの説得に応じるのが先かの勝負ということになってきた。 しかし、戸塚の笑顔は癒される……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで来週で文化祭編は決着です。

え、八幡じゃなくないかって?
そりゃ、彼は自分の信念を守るためになんでもするらしいので……なんでもするらしいので
大事なことだから二度言いました。

イヤホンやらカメラについてですが、ちょっとそのあたり、詳しくないので、その辺はご都合主義の機械ということにしてください。すみません……

というか20話ですよw
よく続けられた気がしますわw

アンケート引き続き、募集中です。よろしくお願いします。

というわけで恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします。


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21 本来、文化祭はお休みの日である 後編

というわけで後編です

駄文ですが、どうぞ


「それで? 次はどっちに仕掛けるんだ?」

 

もう一色と雪ノ下さんにあんな態度をやってのけ、あげくあんなセリフまで吐いたのだ……。もう正直これ以上比企谷八幡に失うものはないはずだ……。いや、もともとないんだけどさ……。でも、一応、いつか専業主夫になるという夢はあるから……あれ、これって本当に自分の夢のためか? 破綻してないよね……。

 

「悩みどこだよね。」

 

「うむ、あの2名のそもそもこの戦法が通じるのかすら危ういと思うぞ。」

 

「おい、ここまでして、あの2人に通じないとか冗談じゃねーぞ……。」

 

いきなりの弱気発言に材木座に怒り心頭である。というかお前のせいだよな……

 

「実はね、八幡……最初にあの2人を狙ったのには理由があるんだよ……」

 

「理由?」

 

「あの2人は基本的に恋愛は攻める系のタイプだと思うんだけど……特に一色さんは如実に出ていたし、雪ノ下さんのお姉さんもどっちかと言えば積極的なタイプだよね。」

 

まぁ、言われてみれば、一色は確かにグイグイ来るタイプではある。よくいろんなことに連れまわされてるから、それはなんとなくわかる。雪ノ下さんもキャンプ以降は結構押してくる場面が多い。ふむ、確かに……。

 

「その手のタイプは一旦、自分が受け手側に回ると弱いらしんだ……だから先に攻略したという理由もあるんだ。ただね……あの2人は違うんだ……」

 

「違う?」

 

「あの二人は真逆、どちらかと言えば攻勢型ではなく、守勢型だ……つまり今までやっていた戦法は通じないと思った方がいいという話だ。」

 

材木座が戸塚の言葉に付け加えるように説明をする。あの2人が守り系統ねぇ……。あれ、どこに守る要素あったっけ? あいつらも変わらず攻めが強かったような印象があるんだけどな……

 

「多分、お主の煮え切らない態度があの2人を変えただけだ。 本質は多分変わっておらんのだろう。」

 

……事実とはいえ、お前にそれを言われると腹が立つな……というか攻勢、守勢ってポケモンのタイプかよ……。

 

「どちらかと言えば……雪ノ下さんの方がまだ効く可能性があるし……次は雪ノ下さんで行こうよ。」

 

「それとな……八幡……今回から我はセリフは言わないから自分で考えるのだ……」

 

「は?」

 

あの歯の浮きそうで……あの葉山が言いそうな……あの臭そうなセリフを自分で考えろと……

 

「だって、あの2人は我の言葉通じないというか、甘い言葉は効かないだろうから、説得は自分でやるのだ……まぁそれでもモニタリングはしてるから指示は出す。 まぁ、我とお主の力があれば大丈夫であろう……多分……」

 

最後のつけ添えた多分って言葉にものすごく重みを感じるのは俺の気のせいであってほしい……。

 

 

 

 

「比企谷君から呼び出すとは珍しいわね。諦めてくれたのかしら?」

 

ラスボスに挑むにはまだいろいろレベル足りなかったのではないのか? 俺の装備は癒し系装備(戸塚)と呪われた装備(材木座)だぞ……。 いくら何でもこれは早すぎた気がする……いや、あの姉を対処できたんだ……できないということはないと思いたい……

 

『ふむ、まず名前で呼んで感触を確かめてみてくれ』

 

「何の話か分からねぇな……雪乃…」

 

「……っ…急にどうかしたのかしら? 名前なんて……嬉しいけどそんなことでは私は喜ばないわよ……」

 

といいつつ指をクネクネしてるね……意外と効果はばつぐんだ……なのか?

 

『では、八幡よ、ボディタッチはできるか?』

 

出来ねーよ! お前、俺を殺す気か!

 

「おい、それはふざけんなよ……下手したら俺は殺されるぞ……」

 

小声でささやくように返す……さすがにそれは俺の身が本当に危ない……

 

『大丈夫だ、我は痛くない……ケガをするのはお前だ……』

 

こいつマジで後で殺す……

 

『まぁまぁ、何も身体とは言ってないだろう……髪などどうだ?』

 

「いや、それ妥協案になってねーよ」

 

「どうかしたのかしら? 独り言なんてとうとうエア友達でも始めたの?」

 

どうしてその単語をお前が知っているのか……と問いたいところだが……それは置いておこう。

 

「それよりも比企谷君、お願いがあるのだけれど……」

 

『八幡、言わせるな! 早く動かないと丸め込まれるぞ!言葉で…』

 

くそ、やるしかない……動かなきゃ、俺の人生の死……動いたら肉体の死……あれ、どっちも死では?

 

「私と……ひゃ……」

 

間に合った。言わす前に頭をなでる……こいつの髪……本当に綺麗だな……。

 

「綺麗だな……」

 

「え……あ……うん………その……ありが……とう……」

 

思わず声に出してしまったが、相手はうつむいて黙ってしまった……。これはチャンスか?

 

『八幡! 好機だ……あとは説得に入れ!』

 

「なぁ、お前の言いたいことはわかってるよ。 けど…これはお前の本意か?」

 

俺の言葉に雪ノ下は俺を見上げる……上目はやめてください……精神衛生上よろしくない……。

 

「でも、あなたは……」

 

「まぁ、なんだ俺の態度は悪いのは仕方ないだろ……でも……」

 

まぁ、これは……なんだ……。

 

「お前のこと、大切だとは思ってるよ……」

 

すると、雪ノ下はうつむいて、何かつぶやいている……ダメか?

 

「…………あなたの気持ちは分かったわ……今回はあきらめるわ……」

 

おぉ、よし!

 

「案外、あっさりだな……」

 

「まぁ、あなたの本心が少しでも聞けたのなら……それなりに頑張った甲斐はあったというものよ」

 

「そ……そうか……」

 

「それじゃ、私はまだ運営やらなきゃいけないから……行くわね……それと……」

 

「ん?」

 

「また、頭撫でてくれると嬉しいわ……それじゃ……」

 

そういうと、教室から出て行った。

 

 

 

 

「ふぅ……難関は乗り切ったか……あとは……」

 

「由比ヶ浜さんだね、でも気を付けてね……一番攻め系のセリフが効かない人だから……」

 

「まぁ、見た目に反して、あの中じゃ一番純粋でピュア……加えて天然で料理下手……くそ……どれだけ盛ったら気が済む……」

 

最後のは絶対にこの作戦において関係ない要素であるのは、間違いなしだとして……。

 

「そんなに難しいか? 言い方悪いが……アホだぞ? 別にその手系列のセリフ吐かなくても……何とか説得できるんじゃないか? アホだし…。」

 

「八幡、由比ヶ浜さんは一番、八幡を見てきたんだよ……少しでも不審な動きがあれば看破してくる可能性あるよ」

 

「考えずぎだろ……とりあえずいつもと同じで行くか?」

 

「まぁ、八幡がそれでいいなら構わんが……気を付けろ……」

 

「でも、八幡これが終われば、作戦成功だよ、頑張って!」

 

「おう、これ終わったら、飯でも行くか」

 

 

 

 

 

「ヒッキー? こんなとこ呼び出してどうかしたの?」

 

「いやいや、お前が探してたんじゃないのか?」

 

「うーん、そうなんだけど……急に呼び出されたし、変だなって……」

 

『すでに……お前がおかしなことしてることに気が付いてるぞ……』

 

まぁ、こいつは確かに鋭いとこはあるかもしれないけど……あの3人に比べたら、大丈夫なはずだ……

 

「変なのは…いつものことだろう……それより結衣……」

 

名前を呼んだのに……顔がすぐれない……というか笑ってる?……

 

「ふっふっふ、ヒッキー私を甘く見たね」

 

「どういう意味だよ……」

 

「私はヒッキーに呼ばれることを八幡君とイメトレしてるからね……この程度ではにやけないよーだ」

 

といいつつにやけてませんか? あなた……。

 

「……それを俺に言ってるお前は本当にアホの子だよ…」

 

というか八幡君って誰?

 

『八幡、名前戦法はあまり効果がないようだが、撫で作戦で行くか?』

 

却下したいところだが……正直手は今のところそれしかないか……しかし大分距離がある。

あの3人は普通に近寄ってきたが……なぜか寄ってこない……

 

「こっちとりあえず来いよ」

 

「うーん、私ここでいいや……なんかヒッキー企んでる感じがするし…なんか嫌な感じ……」

 

『八幡よ、どうやらここまでのようだな……』

 

「諦めるのはえーよ! もうちょいサポートしてくれ……」

 

『壁ドン系列はするな、怖がらせる危険性がある、力技は避けろ』

 

だよな……まぁ、するつもりもなかったとはいえ……今まで効いていた戦法が通じないあたり……かなり手ごわいかもしれない。

 

『寄れそうか?』

 

「無理だな……警戒が強い……」

 

さて、最後の相手と舐めてかかったのは俺だ……そこは反省しよう。なぜだが知らないが……八幡君という謎の物体との特訓? のせいでこっちの戦法は通じないという状況に加えて、あいつの勘でこっちの作戦がほぼ看破されつつある。 先手を打たばければ、先にカップルコンテストの話題が出されかねない……その前にどうにかしないといけないのに……作戦がもう思いつかない……

 

「あのね、ヒッキー……私からも話あるんだけど……いいかな?」

 

「いや、ちょっと待て……」

 

「ヒッキーのことだから、もう気づいてると思うけど、そんなに嫌?」

 

ちょっと悲しい顔をされる……まずい………もう…これしかないのか……

 

「材木座、サポート、サンキューな……」

 

『おい、八幡!』

 

イヤホンとマイクを取って下に置く

もう、こうなったら真正面からのガチンコだ……俺のプライドも信念も全部ここに置いていく……

 

「これでいいか? ちょっとだまそうとしてたのは謝る……別に目立つのは嫌いだけど出たいなら出てもいい……」

 

「なら……」

 

由比ヶ浜の言葉の続きを手で止める……

 

「確かに俺は本当に煮え切らない態度でお前らを不安にさせていた。それに関しては本当に申し訳ない……でも……俺はお前らとの未来は自分の意志で決めたいと思ってる……そのためには……専業主夫の夢だって………捨てたってかまわない……たぶん」

 

「まだ、捨ててなかったんだ……その夢…」

 

「別にいいだろ……夢なんだから……その由比ヶ浜のこともきっちり考える……だから今回はもうやめてくれないか?」

 

少し、間が開く……この空気の感じを由比ヶ浜と出せるとは思わなかったな……

 

「いいよ」

 

「本当か?」

 

そういうと、由比ヶ浜はさっき俺がやったみたいに手で静止しながら近寄ってきた

 

「一つ質問、私のこと好き?」

 

「別に嫌いじゃねーよ」

 

不意に腕を捕まれ、顔がものすごく近くによる……近いんですけど……

 

「好きか、嫌いかで答えてよ」

 

「………好き……だと思ってる…」

 

そういうと由比ヶ浜は嬉しそうに目を細めた。

 

「しょうがないな……ヒッキーは……ヒッキーの気持ちに免じて今回は足を引こう」

 

「手を引くだからな……」

 

「もうヒッキーはそうやっていつもいつもバカにして……」

 

 

 

こうして文化祭で起こった事件は終わりを迎えた

 

 

 

はずだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、前回で文化祭編は終了といったな……あれは嘘だ……
すみません、ちょっと予想以上に説得回に文字数割きすぎて……オチを書けなくなったから……次回で完結させます……すみません

雪ノ下がラスボス扱いでの予想が多そうだったので、ちょっと変えました……まぁ、あのぬいぐるみのくだり使ってみたかったので……w

伸びてしまったためにまだアンケート実施中です……よろしくおねがいします。

それでは恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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22 そして戸塚彩加は思いを告げる

こんなタイトルですが、戸塚はヒロイン入りはしません。
そんなことしたら、海老名さんの本が厚くなってしまいます。
駄文ですが、どうぞ。


人間誰だってミスをする。

当然だ。完璧な人間なんていないのだから……俺だってもうちょい目がこう澄んでたら……まぁ、もうちょい人生華やかだったのかもしれないじゃないか……。きっとそう、多分そう……。完璧じゃないからこそ人生というものは難しく、ゆえに苦しい。そしてコーヒーは甘い方がいい。では、問題である。

 

「次のエントリーはこの2人だ!」

 

俺はカップルコンテストの壇上の上に立っていた。しかも……

 

「それでは、彼女の方からお名前をどうぞ」

 

「え……僕……じゃないや……私は……戸塚彩加って言います……」

 

何故、俺は出たくなかったカップルコンテストに出ていて……かつ戸塚と出ているのだろうか……

 

 

【回想 15分前】

 

遂に、あの4人を説得(だます)ことに成功し、俺は自由を手に入れた。

 

「やったね、八幡!」

 

「あぁ、戸塚ありがとう。」

 

「我は? 我のことは?」

 

「お前は途中から完全に遊んでただろ……」

 

「そんなことは……ない。」

 

「その間が怪しすぎるわ……」

 

「しかし、我が尽力したのは事実である。何か報酬はあるんだろう?」

 

「はぁ、2人とも飯くらいは奢ってやるよ」

 

「ふむ、最近少しゲームやらDVDやらで出費がかさんでな……助かる」

 

「いいの? なんか申し訳ないなぁ」

 

「いや、気にすんな。正直、この件がどうにかなったのはお前らのおかげだからな……その分の報酬くらいは出すさ」

 

まぁ、戸塚はこの件について伝えてくれたし、材木座も……まぁ頑張ってくれた。ねぎらうのは当然だろうな……。

 

「よし! ではサイゼに出発だ!」

 

材木座が嬉しそうに手を挙げる。まったく、こいつの元気には、

 

「おっと、すごく元気よく手を挙げた人がいますね、では次の方はこちら、壇上へどうぞ!」

 

あきれるなぁ……へ?

 

「八幡」

 

「いや、知らん……というか勘違いだろ……訂正してこい」

 

材木座が震えている。すると、係員の方がこちらの方に向かってくる。仕方ない……ここで恩を売ってご飯代金をチャラにしようか…。

 

「あぁ、この2名ですね、ではこちらへ」

 

そう言って、俺と戸塚の2名を案内しようとしている。え?

 

「いや、違いますよ。さっきいたこいつが間違えて……」

 

材木座を探そうとする……あれ……いなくなってる……

 

「まぁまぁ、恥ずかしがらずに……行きましょう」

 

そう言って強引に俺と戸塚を押してくる。マズい……というか材木座……貴様~!

 

「どうしよう、八幡……」

 

「仕方ない……無難に乗り切ろう。悪いんだが……俺じゃどうあがいても……女性には見えん……お前が女性役で頼む。」

 

「え、僕にできるかな……僕も見た目が……」

 

「大丈夫だ、見た目に関しては何の心配もしなくていい……むしろ」

 

「むしろ?」

 

「いや、なんでもない……」

 

むしろ、その辺の女子より見た目補正が高い。加えて仕草も女性より女性っぽい。戸塚が戸籍上男性で、実際は女性でしたと言われても信じるまである。

 

「質問はどうするの?」

 

「下手な嘘は言わなくていい。普通に答えれば大丈夫だと思う。友達になった経緯を恋人になった経緯に変えよう……あとは、どんな言葉を言っても心の中で語尾に、友達として、と付け加えよう。それで多分乗り切れる。」

 

「分かった、頑張ろうね。」

 

どういう質問が飛んでくるかわからない。となれば下手な嘘はまずい、これで戸塚が男とばれたら、多分……俺が社会的に二度死んでも足りないくらいの負債を負うはめになる。それだけは避けなければなるまい。え? 見た目はどうだって? 見た目でバレることはないと確信はしてる。

 

【回想 終】

 

「戸塚さんですね、では彼氏さん自己紹介お願いしますね」

 

「あぁ……比企谷八幡です。」

 

「比企谷さんですね、では、質問をはじめましょう」

 

ルールは先ほどの係員に聞いた限りだと、質問が数問ほど……その後くじで引いたゲームを1個する。質問の答えやゲームの時の盛り上がりの一番良いのが優勝だそうだ。なんともまぁ……これよく運営できてるな…。

 

「では、まず最初の質問です。お二人が付き合い始めたはいつですか?」

 

まず、戸塚にマイクが行く。これはまぁ大丈夫だろう……。

 

「高校の頃です。」

 

「なるほど、ちなみにどちらから告白を?」

 

「私からです。私はテニスをやっているんですけど…そのときからテニスのフォームが上手だなぁってずっと思ってて、その後、ちょっとしたことがあって仲良くなったんです。その後に……えへへ……」

 

「おぉ、なかなかのラブ度ですね。では次の質問に行きましょう」

 

よし、ナイスだ……重要な部分は恥ずかしくて言えません的なオーラを出しつつ、次の質問に移った。あの、すみません、先ほどの「えへへ」は誰か録音していませんか? 目覚ましに使いたいんですけど……。

 

「お二人が双方の好きな部分を挙げてください。ではまず彼氏さんから」

 

「えーと、そうですね。優しいところとかですかね。あと、少し頑固なのも」

 

「ほう、だそうですか? 戸塚さん」

 

「嬉しいです。そんな風に思ってもらえてるなんて。」

 

そう言って、指をもじもじとさせている。うん、もう男性って言っても誰も信じないと思うわ。第三の性別と言われても信用するかもしれない。

 

「私は男らしいところとか、いつもみんなや私を助けてくれるところとかが好きです。」

 

「おぉ、相思相愛なんですね。いやー素晴らしいですね。」

 

「はい、ありがとうございます。」

 

「では、早速ですが、ゲームに移りましょう。ではどちらかがこのくじ箱からくじを引いてください。」

 

ここまでは、特に疑われることもなく、加えて質問の答えもかなりベストな答え方ができてる。しかし、ここで変なゲームなんぞを引いてしまったら、今までの努力が水の泡になりかねない。

 

「彩加、くじ引いてくれ、俺はくじ運ないから」

 

「あ、うん、わかった!」

 

そう言って、くじ箱の中に手を入れ、白い三角折された紙を取り出した。その紙を司会に渡す。

 

「おっと、これはなかなか面白いのを引きましたね、題して、愛を叫べ!彼女編 ですね。」

 

すでに名前からして地雷臭しかしない。

 

「ルールは簡単。彼女の方が告白して、彼氏さんが答えるだけのゲームです。要するにもう一度、付き合うときにした告白をしてもらいましょうというものです。」

 

つまりだ、俺が戸塚から告白されるということか……マジですか……マジか。

 

「えーと…」

 

戸塚は俺の方を見てくる、その顔は、どうするの? という顔だ。ふむ、でもこれ任せるしかないんじゃないだろうか? 決してやましい気持ちではない。戸塚に告白されるシチュエーションが味わえるから、手を貸さないというわけでは決してない。仕方ない。ここは任せるの顔をしよう。すると、戸塚がOKの顔をしながらウインクしてきた。やばい、かわいいな、それ。

 

「比企谷八幡君……いつも君を見てた。1年生の頃は同じクラスだったけど、話が出来なくて、初めて話したのは確か2年生になったときだったよね。テニスでの勝負をしてくれた時はうれしかったな。職場見学も同じ班になれたし、修学旅行も一緒に回ったよね。あんまり友達がいなかったからすごくうれしかったんだ。八幡に初めて頼られた時も嬉しかった。これからもずっと同じような気持ちになりたい。だから……その…これからも一緒にいてくれるかな?」

 

周囲がざわつく。俺が想像していたようなやましい告白なんかじゃない。戸塚なりの俺への今の気持ちをぶつけてくれたんだろう。このコンテストに出たのは間違いだった。しかし、俺にはここまで俺のことを友達として思ってくれてる人がいるということを分かれた。それだけはこのコンテストに出なければわからないことだったかもしれない。

 

「あぁ、これからもよろしくな。」

 

「はい、というわけでゲーム終了です。二人とも熱いですねぇ~このカップルに大きな拍手を!」

 

俺たちは拍手喝采に包まれた。まぁ、無難に終われてよかった。

 

 

 

 

「八幡、材木座君は?」

 

「知るか、あの野郎……逃げやがって…」

 

俺たちはその後、サイゼに来ていた。ちなみに優勝しても行く気にはなれないので適当に文化祭から出てきた。

 

「あ、優勝者決まったって。今年一番のカップルだってさ。」

 

スマホをいじりながら、戸塚が切り出した。

 

「どんな組だったんだ?」

 

「僕たちとは逆パターンのゲームで彼氏の方がプロポーズしたらしいよ。その場で。」

 

「もうちょい、場所選んだ方が良くなかったか?」

 

あの場所で公開プロポーズするとかどんな度胸だよ。すごいな。

 

「名前出てるよ、えーと宮水さんと瀧……」

 

「いいよ、別に名前とか……というか今日は本当にありがとな」

 

「ううん、気にしないで。久々に八幡にも会えて楽しかったから。」

 

そう言って戸塚は笑顔を向けてくれた。

 

 

 

 

 

「じゃ、また連絡するわ。」

 

「うん、またね。」

 

 

そろそろ良い時間なので、解散ということになった。戸塚を駅まで送って帰路につく。するとアパートの前の道路の電柱にもたれかかるように誰かが倒れている。あれは……

 

「材木座!」

 

「あぁ……八幡か……すまない。ちょっと良いか?」

 

見ると、材木座はなぜか疲れ果てている。見たところ暴力を喰らったような跡はない。

 

「やだね、お前のせいでひどい目に会ったぞ」

 

「まぁ、待て……お前には良い知らせと……悪い知らせ……がある。それを伝えに来た……はぁ…はぁ…」

 

「…ったく、なんだよ手短に話せよ。今日はもう疲れてんだ」

 

「まずは良い知らせだが……

 

まったく、戸塚と違ってこいつは本当に友人と呼べる存在なのか? はぁ、せっかく戸塚と……

 

…戸塚どののボイス録音しといたぞ。」

 

「お前は最高の友達だ。」

 

こいつは本当にいいやつだな。持つべきものはやっぱり友達だな。

 

「はぁ、それで悪い知らせなんだが……俺はもう……」

 

「もう?」

 

「リアル女性には欲情出来ないかもしれない。」

 

知らねーよ! 悪い知らせってこんなことかよ。俺に降りかかる災難かと思ったぞ。

 

「いや、知らねーよ。」

 

「間違えた、これは俺の事情だったな……とにかく逃げた方がいいかもしれん。」

 

「は?もう家の前だぞ……逃げるなら家だろ。」

 

「八幡、よく聞け。あの人たちは本当にまずい……俺はもう死ぬかと思ったぞ。」

 

「あの人たち?」

 

「我はお前たちがステージに上った後、悪いことをしたなと思ってせめてもの償いにボイスの録音をしようとしていたんだ……そしてボイスが撮れたとの同時に捕まった。もう思い出すだけでおぞましい。」

 

どうやら拷問をうけていたらしい。どうりで精神的に疲れているわけだ。

 

「とにかく、伝えたぞ。早く家に帰れ。じゃないと大変なことに……はぁ……はぁ……」

 

「分かった、お前も気を付けてな」

 

「気を付けるのは、お前だ八幡よ。」

 

意味深な発言をして、材木座は闇へと消えていった。

 

 

 

とりあえず、アパートの部屋の前について鍵を出す。あれ? 開いてる? 閉め忘れたっけ?まぁいいや。そう思いドアを開ける。

 

 

「「「「おかえりなさい」」」」

 

 

そこには机を真ん中にして雪ノ下、由比ヶ浜、一色、雪ノ下さんが座っていた。

 

「あぁ、忘れ物したわ……ちょっと取りに行って……「「「「比企谷君(先輩)(ヒッキー?)」」」」すみません」

 

「さて、まずは何から聞こうかしら?」

 

「中二に事情は全部聞いたから、嘘ついたら怒るよ。」

 

「先輩、覚悟できてます?」

 

「さてさて、比企谷君寝れるといいね?」

 

笑顔である。もうすごい笑顔だ。しかし、全員からどす黒いオーラが見える……。怖い、怖すぎる。なるほど、これは材木座の言う通りかもしれない。確かにリアル女性での欲情ができないわけだ。この4人からの尋問とか死にたくなるよな……。そうだよな…。まぁ、そんなことを悲観する前に……どうやって潜り抜けるか考えないとな……とりあえず……

 

「正座します。」

 

反省の色を見せよう…。

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで文化祭編終了です。

この後、比企谷君がどうなったかは書きません。だってグロ……おっとこれ以上はいけませんね。俺もリアル女性に欲情出来なくなるような拷問なんて受けたくないですからね。黙っておきましょう。というか皆さんオチ当てすぎw そりゃ、あんなお膳立てしたらそうなるけどw

さて、来週からはアンケートの内容も交えつつ、日常回を書いていこうと思っております。お楽しみに

さて、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました。
これからも応援よろしくお願いします。


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23 やはりお菓子ではなく、休みが欲しい

まぁ、季節ものですから
ちょっとリアル忙しくて雑かもです。
駄文ですが、どうぞ


「御用だよ!」

 

言葉と同時に勝手に玄関の扉が開く。安穏とした土曜日という2連休初日の朝は急に崩れ去った。この声は……、

 

「どした、小町?」

 

「最近お兄ちゃんの成長を見に来たよ! とりあえずお茶とお菓子が欲しいかな!」

 

「来て早々、そんなセリフを吐いて、お兄ちゃんの安穏を汚すとは……、まぁいいけど…。」

 

というか小町ちゃん? お兄ちゃんが着替えてたら大惨事ですよ。主に俺の精神が……。

 

「最近、お兄ちゃんに構ってもらえなくて寂しかったんだよ~。受験生とは言え……きついよぉ~」

 

そう言って部屋の中で駄々をこねる子供のように、じたばたを始める……小町ちゃん、スカートめくれそうですよ。そんなはしたない子に育てた覚えはお兄ちゃんありませんよ。

 

「はいはい、これでいいか?」

 

適当に家にあった甘いお菓子と飲み物を出す。よかった。まだ来客用のお茶菓子とか残ってて…。

 

「わーい! お兄ちゃん大好き! それで最近はどうなの?」

 

「最近?」

 

「ズバリ! あの4人と何か進展あった?」

 

「……ないな」

 

「文化祭、色々やらかしたらしいじゃん……お・に・い・ちゃ・ん」

 

「ゲホゲホ! お前なぜそれを……」

 

「そりゃね、もうあの4人カンカンに怒ってたから……まったくごみいちゃんはこれだから……謝ったの?」

 

戸塚と別れたとこまでは覚えてるんだが……実はその後家に帰ってからの記憶がどうも曖昧なのだ……具体的に言うとあまりの恐怖に記憶が飛んだと行った方が近い。ちなみに戸塚の告白ボイスは目覚ましのボイスで使っています。すばらしい……材木座には感謝しかない。

 

「実はあの時の記憶があいまいなんだ……でもあれは一応材木座のせいでもあるからな。よって謝る必要性はないと思うんだ……」

 

「うわぁ……さすがだ……その辺の責任を全部中二さんに押し付けるなんて」

 

「まぁ、事実だからな、それに……」

 

「それに?」

 

「いや、なんでもない」

 

まぁ、家に帰ってからの記憶が恐怖で飛ぶくらいの恐ろしい体験をしたんだ。とりあえずそれで勘弁してほしいところではある。

 

「まぁ、いいや。みなさん頑張ってるから……お兄ちゃんも戸塚さん好きなのは良いけどほどほどにね。さてと! 小町帰るね!」

 

「は? ずいぶん早めにかえるんだな…」

 

「うん、まだまだ忙しいからさ、それじゃね~」

 

そういうと、小町は帰ってしまった。嵐だったな……。お菓子全部食べてやがる…。

 

 

~次の日~

 

ピンポーン

 

朝からなんだろうか……俺の大事な二度寝タイムを邪魔するとは……しかし、我慢だ……居留守戦法で行こう。Amazonさんでの注文はしてない。つまりあれを開けたら面倒事へとダイブが確定するものだ……そんなもんお断りだ。強き意志を持ち布団をかぶる。うん、二度寝最高。

 

「開けなさい」

 

玄関から聞こえるどこか冷たい声……その声に体がなぜか震え始める。

 

「比企谷君開けなさい、もし居留守使ったのが私に知れたらどうなるかは自明の理よね。」

 

布団から出て立ち上がる。さて、開けますかな。自明の理とか分かんないけどとりあえず危険な香りしかしないのは確かだな。うん、本当にわからん。鍵を開き、玄関を開ける。

 

「あら、ようやくお目覚めかしら?」

 

「朝っぱらから脅しといてそのせりふ……というかお前その恰好……」

 

「……似合ってないかしら?」

 

雪ノ下はなぜかコスプレをしていた。

 

 

 

「まぁ、お茶どうぞ」

 

「あら、ありがとう」

 

「それで、何かようなのか?」

 

すると、雪ノ下はため息をついて、頭を抱えた。ちなみに雪ノ下の恰好は多分魔女かな……オーソドックな山の上で薬作ってそうなやつだな…胸元は強調するような恰好ではないが、足やくびれなどのラインが見えて目のやり場に困る。そんなことを考えてると雪ノ下は俺のほうを向いて

 

「と……トリックオア……トリー…ト」

 

顔が真っ赤である。恥ずかしいならやらなきゃいいのに……。というか今日ハロウィンか。

 

「お前、それやりに来たのか?」

 

「ええ、そうよ。お菓子もらえるかしら?」

 

「お、おう……ちょっと待ってなって……あれ?」

 

この前の小町の来襲でまさかの菓子類の全滅してるだと……待て、これはもしや……。

 

「あら、お菓子がないのかしら? シスコン谷君?」

 

仕組まれてたぁぁぁ!

 

「仕方ないわね、お菓子がないなら悪戯するしかないわね。」

 

いや、もうウキウキじゃないですか。やだー。というか仕組んでるよね。俺の家のお菓子を全滅させるために小町に頼んだんだよね。まさかのハロウィンでお菓子目当てじゃないとかなんですか?なんなんですか! そういうのはもうちょい間隔あけてやってください。そういうの無理です。

 

「じゃあ体で支払ってもらおうかしら。」

 

そういうと、俺のほうに近寄ってくる。お前その恰好で近づかれると、色々問題なんですけど!

 

「ほ……抱擁を求めるわ……あと、頭をなでてもらえると……その」

 

あ、なんか予想以上に普通のお願いだったな……いや、これ俺の頭おかしいだろ。

 

「おう、お菓子ないし、仕方ないからな。」

 

そう、これは決して仕方ないことであって、俺のせいじゃない。雪ノ下を抱きしめ、空いてる手で頭をなでる。あれ、俺手馴れてない? 気のせい?

 

「……はふ……」

 

一回、頭をなでてかというもの……ずいぶんとお気に入りだな……そのまま髪を手櫛をするようになでていく。本当にこいつの髪は綺麗だな。10分ほどたつと、俺を突き放すように手を俺の胸に当てて押しのけてきた。というか30分も経過してた。時間間隔忘れるくらい手櫛してたのか。なんだろう、麻薬的な効果が雪ノ下の髪の成分にあるのだろうか?

 

「もう……いいわ……私はもう帰るわね。それと……これ」

 

もう恥ずかしさがMAXなのかはわからないがもう真っ赤っかである。そして、俺に一つの包みを渡してきた。これはクッキーか?

 

「今日はハロウィンだから、これおいておくわね。」

 

そういうと、雪ノ下は立ち去った。これで終わり?随分とお早い退散だな…。

 

 

 

とりあえず次の人が来る前にお菓子を買いにいかないと大変なこと…ピンポーン……だから間隔が狭いな!くそ、買いに行くスパンを俺に与えない気だな。

 

「ハッピーハロウィン!」

 

そう言って俺の前に飛び込んできたのは雪ノ下さんである。恰好は小悪魔という言葉がよく似合う恰好だ。後ろに小さい翼も生えてるし、三又の槍も持っている。案外……普通……じゃないな……マントの下がもうビキニだ。ビキニアーマーだ。

 

「寒いから入れて入れて…」

 

そりゃ、そんな格好ならそうなるだろ…。よくその格好する気になったな……。こも季節に……。

 

「早速だけど、トリック,オア,トリートだよ。お菓子もらえるかな?」

 

お菓子がない……これはもう罰ゲームが確定……じゃない! そういえば、さっきもらったぞ……クッキー。

 

「さっき、雪ノ下からもらったクッキーなんですけど……食べます?」

 

「食べる食べる、けどね……自分で用意しなかった比企谷君には~~」

 

そういうと、俺の膝の上に座ってきた。しかも横に座りながら両手を首の後ろに回してくるという俺の愚息を尻の下に引くという……理性を削りにきている。だから、マント閉めましょう。本当にいろいろ見えそうです。

 

「あーん、早く早く!!」

 

俺の膝の上でその尻を動かされるといろいろ問題が発生しかねないのでやめましょう。というかやめさせないとまずいな。クッキーの包装紙を開けて、クッキーを口に運ぶ。すると、

 

「あむ」

 

指も食われた。

 

「ちょ、何してるんですか!」

 

「ふっふっふ、あーんくらいで止まると思ったか、まだまだ甘いぞ、さぁさぁ、クッキーがなくなるまで! あーん!! じゃないと……ほらほら」

 

おしりをぐりぐりと動かし始める。この人完全にわざとだ……。

 

「クッキーなくならないと、これ終わらないからね。」

 

おぞましい一言を言われ、そこからまたも30分ほどあーんの強要された。俺の理性はもうタングステン並みではないだろうか……。

 

「そろそろ時間だから帰るね、じゃあまたね。」

 

クッキーを食べ終わると、そそくさと雪ノ下さんは去っていった。雪ノ下と雪ノ下さんの強襲に1時間程度しかたっていない。マジで台風なんだけど……。いやもうハリケーンとかサイクロンとかそんなところ…。

 

ピンポーン

 

強襲3回目……すでに体力的にいろいろ来てるんだが……居留守は使えないしなぁ。

 

「ヒッキー、やっはろー!」

 

3回目の強襲は由比ヶ浜か、恰好はオオカミ女ってところか……尻尾がついていて耳と手袋それにちょっと露出が激しい。まぁ、あのビキニに比べれば……いや、これも大分露出してる。

 

「ワンワンじゃないや、えーと……なんだっけ?」

 

どうやら、こいつはハロウィンで使われる用語を忘れたらしい。一体何しに来たのだろうか?

 

「そうそう、トリック,オア,トリートメントだっけ?」

 

「残念だが、俺の家はリンス入りシャンプーなのでリンスはない。」

 

「え? なんの話してるの。ヒッキー ハロウィンはお菓子をもらえる日だよ。リンスなんて欲しがってないよ。」

 

こいつの女子力は多分53くらいの虫レベルではないのだろうか? 女子力ってどこかで測定できませんかね? 俺の方が高い自信あるわ。

 

「トリック,オア,トリートな。お前は本当にアホの子だな。」

 

「な、もういいもん! そんなことより、お菓子くれなきゃ悪戯しちゃうぞ!」

 

「あいにく、菓子切れだ。悪戯はどうすんだ?」

 

どうせお菓子はない。下手な抵抗は無駄だろう。

 

「ふっふっふ、ではヒッキーこちらへどうぞ」

 

そう言って、由比ヶ浜は正座をして、自分の膝を手でポンポンたたいている。膝枕されろってことか。うーん気恥ずかしいような気もするんだが……今までのと比べると普通に見えてしまう。この感覚なくしたい(2度目)。

 

「では、失礼するね。」

 

そう言って胸の間から耳かきを取り出した。おい、ちょっと待て。今、どっからだした。耳かきされるよりそっちの方が気になるぞ。お前は不二子ちゃんか!

 

「うーん、胸が邪魔で見えづらい、ちょっとヒッキー動かすね。」

 

なんだ、その夢のある発言は……その発言だけで誰もが夢の国に行けるぞ。すると、耳かきが耳の中に入ってきた。いや、ちょ、くすぐったい……

 

「おかゆいところはありませんか?」

 

「いや、そういう……のじゃ……クフ」

 

「ヒッキー、掃除しなきゃダメだよ。もうしょうがないなぁ~」

 

そっから、ちまちまと片耳30分計1時間耳掃除をされた。

 

「じゃあ、ヒッキーまたね。」

 

耳掃除を終えると満足そうに、由比ヶ浜は帰って行った。強襲はあと1回あるだろう。多分、一色が来ると考えると、ここで待ってるのがいいか。どうせすぐ来るだろ。

 

 

 

~~夜~~

 

おかしい、いつもなら真っ先に来るようなやつなのに……今日はもうないということでいいのか? 一応明日1限だから早めに寝とくか。お菓子も用意したんだけどな。悪戯されないために……。

 

ピンポーン

 

遅い到着だったな、まぁここまで来たのなら最後までお付き合いしてやるのが、大事だろうな。

 

「先輩~こんばんは~」

 

「遅かったな、ほかのやつら朝方に来たぞ」

 

「ちょっと仮装に手間取りまして~」

 

そういう一色の恰好は吸血鬼の類だろうとは思う。足やくびれなどが見えるがそこまでの露出ではない。ただすごいミニスカではある。

 

「まぁ、あがれよ」

 

「良いんですか?」

 

「どうせ、追い返そうとしても入ってくるくせに、今更その発言かよ。」

 

「あはは、ばれてましたか」

 

そう言って、部屋に入ってくる。なんかこいつにしてはおとなしいような……

 

「先輩」

 

「なんだ?」

 

「ハロウィンでよく言われる言葉を言ってみてください。」

 

「トリック,オア,トリートか?」

 

「はい、正解です。先輩ごめんなさい~」

 

「何が?」

 

「私お菓子ないんです。だから~」

 

そう言ってスカートを少したくし上げ始めた。え?

 

 

「悪戯してくれていいんですよ。せんぱい…」

 

 

そう言ってスカートを持ちあげながら近づいてくる一色……待ってください。パンツは見えてないから大丈夫ってそこは問題じゃない! いや、そのお菓子とかいらないんでほしいのは休みとかなんで……顔が赤い…なんかもう周りにものすごいピンク色の空気が見える。やべぇ……。

 

「先輩、触ってもいいんですよ……」

 

そんなことを考えてる間に一色の体がゼロ距離まで近づいていた。

 

「いいんですよ。先輩……」

 

俺の手を取って、胸のところまでもっていこうとする、その瞬間、刹那

 

「「「ちょっと待ったー!」」」

 

「ちっ」

 

玄関のドアが思い切り開かれる。待ってくれ。助けてくれるのはありがたいが、俺の玄関がもう玄関として機能してない。というか舌打ち聞こえたんだけど。

 

「一色さん、裁縫遅れてるとか言って時間を変えたのは邪魔が入らないようにするためとはね。しかも全員が退散した後にこっそり来るなんて、ちょっとずるいんじゃないかしら?」

 

「うーん帰ったと思ったから行動に移したんですけどね。」

 

「解散したけどなんとなくもう一回集まったんだよ。虫の知らせってやつかな。」

 

「まぁ、私もそっちの立場なら、そういう感じになりましたから分かりますけど~。でもせっかく出し抜けそうなとこまで行ったんだし、ちょっと悪戯しようかな。」

 

そういうと、一色は何かを企んだ笑みをして、俺の首に手を回し、首筋に吸い付いた。あ、やめ、ちょ……

 

「ぷは、マーキング完了です!」

 

「い……いろはちゃん何してんの!」

 

俺の首筋にうっすらとだが赤い腫れが出来ている。お前……これ……

 

「私は今日は吸血鬼ですよ~だから先輩の血もらっただけです~」

 

そういって、今日一番のあざとスマイルである。しかもウィンク付き。俺とそして周りに優越感を見せるがのごとく、素晴らしいスマイルである。マックのスマイルは0円だけどこいつのは10000円とか取られそう。どこのキャバクラだよ。

 

「あんなのを見せられたら引き下がれないわね。」

 

「うん、私もまだまだやることあるかも!」

 

「とりあえず、今日はみんなで泊まろうか。」

 

「賛成で~す!」

 

家主の意見は一切聞かないで泊まることが決定したらしい。俺明日1限なんだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




OVAを見たせいでなんとなく一色が書きたくなったんですけど、ハロウィンだし、全員出したくてこんなことになってしまった。早足で書きすぎた。

2回に分けるほどのボリュームにはなりそうになかったからこれはこれで仕方ないのかな?
まぁ、ハロウィン終わったのにハロウィン回してもしようがないし、これでよかったのかもしれない。

しかし、甘いシチュの使いすぎて八幡君が慣れてしまった可能性が……w

というわけで恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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24 飲み会では本音が漏れる 前編

アンケート回です。

駄文ですがどうぞ


「「「乾杯」」」

 

「こういうメンツで飲むって初めてだな。」

 

「我もだ、基本的に酒は一人で飲むものだとばかり思っていたぞ。」

 

「いつか社会人になるかもしれないのにその考えは改めようよ。」

 

今日は戸塚の主催で俺、戸塚、材木座で飲み屋に来ている。どうやら文化祭での一件の打ち上げらしい。というか戸塚と飲み会とかやばい。戸塚って酔うのかな? そしたらどんな感じになるのかな? おっと……こういうのは本人の前ではだめだな。

 

「僕、カシスオレンジとかにしようかな。八幡はどうする?」

 

かわいいの頼むな……ムフ……おっと。

 

「あ、俺はビールでいいや。」

 

「我も同じでいい、トイレに行くのでよろしく頼む」

 

「はーい、すいません~」

 

 

 

「それでさ、八幡ちょっと聞きたいんだけどさ」

 

「なんだ?」

 

「あの4人のことどう思ってるの?」

 

「プハッ! ゲホゲホ、急になんだよ……」

 

急に何を言い出すんだよ。思わずビール吹き出しちゃったじゃねーか。

 

「文化祭での件は八幡の友達として助けに参上した。だから八幡の友達として八幡の恋愛事情に興味があるのは至極当然だよね。」

 

「うむ、我もそれは気になっていた。このまま結論を出さずにズルズルと行くという選択肢はリアルじゃ選びようがないからな。」

 

どうやらこいつらは酒の肴として俺の恋愛の状況について聞きたいらしい。

 

「別にどうも思ってはない。」

 

「「それは嘘(だな)」」

 

「なぜ、そこ息ぴったりなんだよ……。」

 

「お主は前までなら、勘違いに付き合う暇なんてない。とか言ってるからな。」

 

「あの4人がどうでもいいなら、八幡なりに嫌な素振りするもんね。どうも思ってないはずはないよね。」

 

「うぐ……そ、それは」

 

確かに俺は嫌なら本当に嫌な顔をするし、どうでもいいなら本当にどうでもいい顔をする。けど、ここまで性格を見透かされているのはちょっと嬉しい反面、複雑だ。

 

「というわけで八幡、僕の質問に何個か答えてほしいな」

 

「それ、拒否権は?」

 

「答えたら、お前があの3人に没収されたDVDを今度、貸してやろう。」

 

「DVD?」

 

「お前、何処でその話を……」

 

「何、八幡よ。われの情報網を甘く見るな。あれは続編も出ている。しっかり答えたら、貸してやろう。」

 

ここにあの4人がいるわけではない。この2人には世話になったし、加えてあのDVDを貸してもらえるなら、それなりにやる価値はあるのかもしれない。でもなぁ……。

 

「ちなみに他言無用で頼めるか?」

 

「それは任せといて」

 

「すまぬ、保証はできない。」

 

戸塚は大丈夫、材木座はダメらしい……こいつにそもそも話す相手がいるのか?

 

「なんでだよ、じゃあ何も話すことねーよ」

 

「だって、あの4人に囲まれることを想像したら……」

 

あ、察し……。

 

「まぁまぁ、さすがに自分の身の危険が迫っていたら仕方ないから、許してあげてよ。」

 

確かに、あの4人に囲まれて、お仕置き的なものを受けた時、材木座はその後遺症で三次元女性に対しての欲情が出来なくなるということになった。それを踏まえれば、次、囲まれた場合はどんな目に会うか分かったもんじゃない。それで口を割るなって方が酷なのかもしれない。

 

「材木座の言ってることには確かに一理ある。まぁ、基本他言無用なら別にいいぞ」

 

「八幡も変わったね。普通なら話すことないのにさ」

 

「まぁ、普通に心境の変化だよ。今でも変わらないことは至高だと思ってるけど、友人と俺のことを言ってくれるなら話は別だろう。俺は今まで友人と呼べるような人がいなかったから、ほとんど同じような態度で人と接してきた。それを友人に接するような態度に変えただけだ。まぁ、後で裏切られたら俺の黒歴史に新たなページが追加されるだけだがな。」

 

お酒のせいもあるだろうが、なんか恥ずかしいセリフはポコポコ出てくる。最近恥ずかしいセリフをシラフで吐いているのだから、今更なのか? いや、自重しろよ。俺……。

 

「じゃあさ、あの4人で誰が一番好きなのかな?」

 

いきなりとんでもない爆弾を投下してきたな…。

 

「いや、さすがにそれは……」

 

「ふむ、決めてないということか。 まぁ、あの4人から選べと言われれば、まぁ悩む……たぶんほとんどの人が悩む……贅沢な選択肢というのは羨ましがられることはあるが、選ぶ方の身になるとそれなりに苦しいものもあると言うしな。」

 

材木座に心の中を読まれている。まぁ、こいつは曲がりなりにも作家志望みたいなとこがあるからか。どんな小説であれラノベであれ、ヒロインが複数いるというのは普通のことだ。読者側に立ってみればいろんなヒロインから好意を向けられるというのは羨ましく見える。俺だって、ジャ〇プSQに乗ってるあの某ハーレム漫画のヒロインをどれだけ羨ましいと……おっと関係なかったな。しかし、小説で選ばれなかったヒロインは読者の知らないところできっともっと泣いているのだ。現実でもそう。選ぶというのはほかを切り捨てるということにつながる。輝かしく付き合ってる人たちの裏ではフラれてしまった人たちの骸が後ろにある可能性もあるのだ。まぁ、それでも選択肢がそもそもない人には恨まれても仕方ないがな。あちらにもあちらで色々悔しい思いもあるのだから。

 

「誰を選んでも、奉仕部の関係性の一色さんも雪ノ下のお姉さんとの間柄が壊れるとは思えないけど?」

 

「まぁ、それはもう大丈夫だ。ただの俺の優柔不断なだけだ。すまんが他の質問にしてもらえるか?」

 

いつか選ぶときが必ず来る。それまではまだこの結論は出さない。

 

「じゃあ、あの4人とデートとかするならどこがいいとかある?」

 

「デートねぇ?」

 

「うん、いろんなとこに遊びにいってるでしょ。八幡があの4人と遊べたら楽しいなぁって思う場所でいいからさ」

 

「あぁ、そういうことか……。」

 

要するに、あの4人とどんなとこ行きたいかって話か

 

「うーん、実は特にないんだな。」

 

「なぜ、特にないのだ?」

 

「うーん、デートは男が選んだ方が女子はうれしいというが、実はそうじゃないからな。女子が嬉しいのは自分のためにデートプランを組んでくれるという行動だからな。たとえそれが、まぁ微妙でもそういう補正がつくだろうしな。そもそも出かけるときは基本あっちから仕掛けられるから、あんまり考えたことない。」

 

「それは、俺はあの4人に惚れられてるから、考えなくてもいいということか?」

 

「おい……極論過ぎるだろ。とにかく、あの4人と出かけてみたいと考えた場所はもう結構行ってたりするかな。」

 

行きたいところはあるかと聞かれても、結構いろんな場所に拉致、連行が多いため、今更行きたい場所がないのだ。あの4人はもう俺の思考回路を読み取る技術を習得してるらしい。何それ八幡怖い

 

「じゃあ、我質問~」

 

「おう」

 

「あの4人の性的興奮するところは?」

 

ゴツッ(俺の足が材木座の右脛にヒットした音)

 

「ぐわぁぁぁぁ」

 

「お前、もうちょい常識的質問しろよ。」

 

「いや……結構普通の質問したぞ、我……まぁ、大体あのDVDを仕入れてるあたり嗜好なんてお見通しだがな。」

 

ゴツゥ(俺の足が材木座の左脛にヒットした音)

 

「ひ……だりもだと……」

 

「この野郎……戸塚すまんな、こういうのお前……」

 

戸塚の方を見ると、普通の顔をしている。あれ? 案外こういうトーク大丈夫なのか?

 

「八幡、一応僕も男だからね。そういうのはあるよ。ねぇねぇそのDVDってどんなのなの?」

 

「うむ、黒髪ロング、巨乳、後輩という属性を有した素晴らしい作品なのだ。続編はさらに磨きがかかっている。」

 

戸塚は興味深々だ。というか材木座復活早いな…。

 

「まぁ、あの4人に性的興奮を覚えないならお主のことは不「すとっぷ!」……」

 

「そりゃ、俺の理性が今までどれだけ焼ききれそうになったか分かっててそれを言ってるのか?」

 

「まぁ、その泣き出しそうな顔を見ただけでなんとなく苦労がわかったのでもういいです。」

 

「あはは、こういう会話したの初めてだけど、結構面白いね。」

 

「八幡よ、実は……」

 

材木座が耳に口を寄せてきた。何キモイんですけど……

 

「男の娘系列の新作で「その話はあとで詳しく」……分かった…」

 

「え、僕も混ぜてほしいな。」

 

戸塚が頬を膨らましている。やばいかわいい。

 

「まぁ、気にすんな。新作アニメの話だから、とりあえず質問は終わりか?」

 

「まだまだ、色々聞きたいことあるから、覚悟してね。八幡!」

 

どうやらまだ俺への尋問は終わらないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで来週にも続きます。

質問内容考えてたら、色々思い浮かんじゃったんだけど、使えなさそうなのも多そう……
もうちょい選別します。

ちょっと材木座のキャラがおかしい気もするんですが、そこはまぁ、非力な作者を許してくれ。

というわけで恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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25 飲み会では本音が漏れる 後編

後編です
お酒ってすごいですね。なんでもできそうw
駄文ですが、どうぞ


「じゃあ、質問つづけるね!」

 

戸塚は少し酔っているのか、さっきから俺への質問に対してずいぶんと乗り気だ。材木座は……、

 

「はちまーん、我はまだもの書き……」

 

完全に死んでいる……おい……あとで男の娘のAV教えてくれる約束したじゃないか。寝るな! 俺のために!

 

「じゃあ、あの4人を今どう思ってるか教えてよ」

 

「いや、それはさ……」

 

「違う違う、あの4人に優劣をつけてほしいとは言ってないよ。八幡があの4人に今、率直にどういう感情や気持ちを抱いているか教えてよ。」

 

「あぁ、そういう系か……」

 

なかなか、難しい質問だな。あいつらに対する今の気持ちねぇ……まぁ、全員に思うことは1つだな

 

「とりあえず、休みをくれ、休息が欲しい」

 

今の俺の正直な気持ちである。家に引きこもっても合鍵があり、入ってこられる。外に出て回避しようにも行動パターンが読まれていて大体の場所に待ち受けられている。ちなみにこの前奇をてらってカラオケにフリータイムでゆっくり過ごしていたらメールと電話の件数が400を突破しかけたのはちょっと焦ったな。

 

「え、そんなに休めてないの?」

 

「いや、俺は基本的にいつでも休みたい。休みというか1人でいられることが最近少ない。」

 

まったく、小学、中学、高校時代ボッチで生きてきた俺が聞いたらビックリするようなセリフだな。

 

「それはあの4人必死だからねぇ……ってそうじゃなくて!」

 

「おぉ、何?」

 

戸塚が急に怒り始めた。

 

「僕が聞いてるのはそういうことじゃないよ! 4人って言い方が悪かったね。八幡は1人1人にどういう感情や気持ちを抱いているかを教えてほしいの!」

 

「えぇ、マジで……」

 

実を言うと分かっていたんだが、なんか気恥ずかしい…。

 

「いや、恥ずかしいわ」

 

「聞いた話だけど、ここで本音を吐露するよりよっぽど恥ずかしいことしてない?」

 

「……いや、それを言われると返す言葉もないんだが……」

 

というか、何故知ってる? まぁ、情報源は主に材木座か小町のどちらかと見るべきだな。 しかし、それを言われると弱いなぁ……確かに戸塚の言う通りなんだよな。あの模擬家庭、夏休み、文化祭、あれ……本当によくこんな恥ずかしい目にあってるな、俺……。

 

「分かったよ。まぁどうせ戸塚しか聞いてねーしな」

 

「……そうだね。材木座君も寝ちゃったし。」

 

「あいつ、寝やがった…」

 

俺との約束は…

 

「じゃあさ、雪ノ下さんからお願い」

 

「雪ノ下か……そうだな。」

 

雪ノ下か、うーん

 

「あいつ変わったよな。昔はずいぶんと生き辛そうだった……籠の鳥みたいな感じだったな。それが今は自由に自分のしたいことしてる。あいつの元々の怖いとこも、負けず嫌いも変わってないんだけど、それ以上にあいつが今、生き生きしながら生活をしているのを見ると本当に変わったなって思える。良い変化だと思う。あいつなりに努力してるのも伝わるし、努力の方向がたまにずれるとこもあるけど、それでもあいつが今まで見せなかった表情とかを見るとドキドキするよな。表情に変な顔出ないように努力してるんだぜ。」

 

あの冷徹雪女がたまに見せる慌てた表情とか、恋愛表現が分からず拗ねるとこを見るとあいつなりに変わろうとする努力が見えて俺は同じ高校時代を過ごしてきた者として嬉しく思う。

 

「わぁ、すごいね。」

 

「何が?」

 

「何でもないよ…次由比ヶ浜さんで行こう」

 

「由比ヶ浜ね……」

 

由比ヶ浜なら、大体決まってるな

 

「あいつは逆だな。高校時代からあんま変わらん。アホの子なとこも、元気なとこも、いつでも優しいとこもだな。天真爛漫で俺に向けてくれる笑顔が最初はまぶしかったというか、やめてほしかったけど、今はあいつが落ち込んでたらちょっと嫌だな。あいつは本当に笑顔が綺麗で胸が高鳴るからさ。まぁ、怒らせてばっかりなのは申し訳ないと思う。後は、あいつアホの子だからさ、たまに無自覚に俺の理性削りにくるんだよな。花火のときとかほんと俺じゃなかったら襲われてても文句言えねーぞって感じ。本当に心臓がもたん。」

 

「八幡も素直になったね。」

 

「お前が本音で言えって言ったんだと思うんだが」

 

「それはそうでした。」

 

そう言って戸塚が手を握って頭に置いた。今、擬音で「てへ」が付いていたと思う。あの……目のカメラにもう一度焼き付けたいんですが……。

 

「じゃあ、一色さんは?」

 

「一色は……」

 

一色ね、これ悩むなぁ

 

「もともと、最初は何を考えてるか分かんなかったな。葉山が好きとか言いながら俺のこと連れまわすからさ。勘違いしかけたな……それが大学に入って勘違いじゃないことになってそれから見方が変わったな。あいつは本当にあざといんだけどさ、たまに素が混じるんだよ。それがすごくかわいいんだよ。だけど、あいつは奉仕部にちょっと劣等感を抱いてるかもしれないんだよな、俺は高校時代一緒に過ごした奉仕部の一員だと思ってるんだ。そんな劣等感は消してほしいかな。でもあいつの周到に計算されたようなデート、女子力とかは本当にすごい。あいつは女性として本当に魅力的なとこきっちり維持してる努力が見えるから関心する。」

 

「一色さん最初は葉山君が好きだったんだね」

 

「まぁ、学校でのステータス向上狙いなとこしかなかっただろ。多分」

 

「じゃあ、最後に雪ノ下さんのお姉さんお願い」

 

「はいはい、雪ノ下さんね……」

 

まぁ、決まってるとこはあるんだがな

 

「最初の印象は強化外骨格だな。もう本当に仮面すごかった。あそこまで仮面で生きてる人を見たのはなかなか初めてだったな。もう本当に振り回されたし、色々つらいことも言われたなぁ……。でも、最近普通の顔も見れるようになったんだよな。ギャップとかあってかなりかわいいんだよな。まぁ、でもどっちかっていうと……仮面が取れてることに気づいて恥ずかしがるとこが俺は一番かわいらしいと思うかな。でも大人の女としても魅力はもあるから、大人の女の表情も綺麗でいいと思ってる。」

 

大体話し終えたか……こんなに出ると思わなかったな、俺も少なからず全員に対してきっちり向き合おうとしていたんだな。自分の気づかないところで……。

 

「ありがとう、八幡」

 

「まぁ、お礼を言われることでもねぇよ。俺も色々言ってて自覚させられたこともあるしな。」

 

「自覚?」

 

「まぁ、何? 本当に逃げきれないなって思っただけだ。」

 

「まだ、逃げるつもりだったの?」

 

「いや、もう……というか最初から逃げられることじゃないってわかってたさ。」

 

当たり前だ。

こんな自分に大事な時間みんなは俺に割いている。正直俺はとても贅沢なことをしているのだろう。女性4人をたぶらかして、ごまかして、はたから見れば俺は女癖の悪い男だ。しかも全然、目が腐っててイケメンの類でもない。他の男性諸君ならこうおもうだろう。何か弱みでもにぎられてるのではないかと……そんな悪評が俺につくのは構わないんだが、あいつらがそういう目線で見られるのは嫌なんだよな。けど、あいつらはもうそういうのに興味ないように俺に接してくる。

 

だからこそ、俺は適当な気持ちで選んじゃいけないんだと思っている。必ず答えを出さなきゃいけないときがくるだろう。しかし、そこで逃げるという選択肢は選んではいけない。なぜなら彼女らは逃げずに俺に接してきた。そこには彼女らなりの決意があり、ゆるぎない信念がある。そして、相手の俺が逃げるという選択肢を選んでしまっては彼女らの決意と信念に泥を塗るような行為をしてしまうわけだ。もう逃げるなんて選択肢はそもそもないのだ。こうなってしまってはきっちり選ぶしかないわけだ。

 

「大丈夫、必ず選ぶ。あいつらのためにも……それに……」

 

「それに?」

 

 

「あんな魅力的な4人が俺のことを好きって言ってくれるんだ。俺もあいつらに恥じない選択したいからさ」

 

 

「そっか。そういえば、そろそろ時間だね。」

 

「あ、本当だ」

 

もう終電1時間前後だ。そろそろ出なきゃ危ないな。

 

「材木座、起きろ」

 

「はちまーん、もう見れない……もうそのDVD何回再生してんの?」

 

こいつは夢で何をみとるんだ……仕方ない……

 

「こいつは俺がどうにかするから、今日は帰っていいぞ」

 

「分かった、ちょっとこの後、用事あるんだ、先に行くね。」

 

「おう、またな。」

 

さて……材木座の脛をける

 

「ぐぉぉぉぉぉ!」

 

「起きたか、じゃあ行くか」

 

「え? どこに?」

 

「決まってんだろ……お前の家だ」

 

「なぜ?」

 

「おいおい、男の娘DVD貸す約束だったろ。行くぞ」

 

俺の夜はまだ終わらない。

 

 

 

【another view 戸塚彩加】

 

八幡たちと別れて、同じ居酒屋の個室にこっそり扉を開ける。すると。そこにはみんなが机に突っ伏して悶えてる姿があった。

 

「どうしたの?」

 

「戸塚君……これはすごいわ」

 

「もう立てない~」

 

「先輩の本音……先輩の本音……」

 

「恥ずかしい……けど…嬉しいよ~~」

 

四者四様というのが正しいのか? でもみんな嬉しそうだ

 

「八幡の本音は満足した?」

 

「「「「満足です」」」」

 

その日、その居酒屋で一番の大きな声だったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけでアンケート回1つ目終了

どうでしたか?大学生っぽいイベントで、かつ八幡の本音ポロポロですね。
え?
そんなことはどうでもいい?
男の娘DVDについて? もしかしたら次回出番があるかもよ……(多分)

では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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26 風邪はかかりはじめが肝心

まぁ、タイトル通りですね
駄文ですが、どうぞ


身体が重い、身体がだるい、身体の節々が痛い、身体の内側から寒い。

朝、起きたら、今あげた症状が身体を襲っている。これはあれか。

風邪をひいたのか。

 

ベットから立ち上がり、体温計を取る。

脇に挟んでとりあえず風邪の要因を探る。

 

この前の男の娘DVDでハッスルしすぎたのが原因だろうか?

そんなのが原因だったら、さすがにアホすぎる……。

他に何かなかったかと頭で考えているうちに体温計が熱を測り終わったのか、体温計が機械音を鳴らし始めた。

 

さて、38度ね。

これは、今日一日安静が大事だな。

とりあえず、小町に連絡して今日は安静にしたいので刺客を寄こすなと言わねばなるまい。

いや、言った方が来る可能性があるのか?

でもなぁ、言わずに来られた方がキツイか。相手方にも迷惑だしなぁ。

仕方ない。スマホをとり、小町に電話をかける

 

「はい、もしもしお兄ちゃん? どしたの?」

 

「実は、風邪をひいてな。今日は刺客じゃねーな。あいつらを寄こすのをやめてくれ。あいつらに風邪うつしたくないしな。」

 

「え、風邪ひいたの? チャンスじゃん!」

 

何がチャンスだよ…

 

「確かにアニメや漫画などでは看病回というのは重要イベントだ。むろん美少女ゲームなどでも定番イベントと言っても過言ではない。」

 

「うん」

 

「しかしだ、あの4人に押し掛けられたら風邪が治らん」

 

「まぁ、4人は多いよね。けどさお兄ちゃん」

 

「うん?」

 

「私が今日行かないでくださいって言ったって多分全員集合するよ。フリじゃないって言ったって来るよ。」

 

「……いや、お前が鍵を渡さなければいいじゃないか。そしたら自宅の平和は保たれる」

 

「残念、お兄ちゃん……もう鍵なら全員自腹で複製してる」

 

俺のプライバシーはもう遥か遠く銀河の彼方に飛んで行ったらしい。

どおりで鍵が複数あるなと思えたわけだ。

 

「むしろ、小町は何も言わない方が穏便に済む可能性があることを提案するけど…」

 

「それで全員そろった場合は?」

 

「その時はお兄ちゃんに、ぼっち属性の他にハーレム属性が付いたと思っていいかもしれないね。」

 

その属性は併用できましたっけ?

 

「なんか買っていこうか?」

 

「いや、家に冷えピタあったはずだから、家でおとなしくしてるわ。お前にも風邪うつしたくないしな。」

 

「分かった~お大事にね、お兄ちゃん」

 

というわけで、連絡はせず、集まったらしょうがないということになった。

おかしいだろ。いや、もう慣れてしまった方が疲れなくて済むのか?

 

とりあえず冷えピタを張って布団にもぐる。

スマホの画面がたぶんメールだろうか? 光っている。

 

無視か。見て返信するか……

アマゾンの可能性も捨てきれないような気がするし、放置でもいいかなぁ……

というか、眠い……意識が遠のいていく……。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「先輩はどうやら風邪みたいですね、どうしましょうか?」

 

「とりあえず、風邪によさそうな物でも作ろうかしら?」

 

「賛成~ 冷蔵庫の材料は?」

 

「とりあえず、ガハマちゃんが触らないほうがいいんじゃない?」

 

ふと、声が聞こえて目が覚めた。だが、目は開けない。とりあえず寝たふりしよう。

そして、どうやら俺にはハーレム属性がついてることが判明したらしい。

 

「私は2番目に来たのだけれど、一色さん最初は比企谷君はどんな感じだったの?」

 

「私はメールの返信が5分たってもこないので、部屋に突入しました。アパートの前でメールしたので」

 

まず、メールの返信が5分ないと我慢できないってなんだよ。お前は今時の我慢を知らない若者かよ。

そして、何故アパート前にいるわけ? それ、俺が断っても部屋突入だったんじゃね。

 

「それで先輩が冷えピタをおでこにはって寝てたので、あぁ、風邪なんだなって思ったんで、とりあえず汗でも拭こうかなと思ってタオル取りに行ったら雪乃先輩が来た感じですかね。」

 

「とりあえず、あなたの汗を拭くという行動を止められたのはよかったわ。」

 

「まぁ、私の先輩コレクションに一枚新しい画像が増えたんでよしとします。」

 

「「「なにそれ!」」」

 

では、俺も……なにそれ!

 

「通報されたくなければ、私にも見せなさい。」

 

「すみません。今は見せられないんです。」

 

どういうことだ? 最近はスマホのカメラの方が機能もよくて画素もいい。

それを考えれば、スマホの中に全部あるんじゃないのか?

 

「あまりの画像数なので、家のパソコンの外付けHDに移してあるんです。」

 

あまりの斜め上回答に跳ね起きかけた……

 

「今度、鑑賞会をしようか」

 

「うー 口滑ったなぁ……」

 

どうやら今度、鑑賞会を行うらしい。

それを本人の前で決めるって何なんだろうか……

 

「とりあえず、一つ提案があるのだけれどいいかしら?」

 

「何? ゆきのん……」

 

 

「さすがに人数多いと思うの……残った1人が看病でどうかしら? 4人もいるとさすがに比企谷君も治らないと思うから。」

 

 

これは、中々良い提案じゃないか……

この人数は正直多いとは思っていたし、1人くらいならまぁ……残ってもいいのか?

いや、ダメだけども……

 

「はい、私が一番に来たので私が看病しますから問題ありません! 最初に先輩の異変に気付いたのは私です!」

 

まぁ、一色が最初に来たのだから、その主張は正しいが、大分ずるくないか?

 

「待ちなさい。看病イベントを逃すと好感度が下がるからここは譲らないわ」

 

言葉におかしな点しかないと思うのは俺の気のせいか?

 

「大体、一色さんに看病できるのかしら? おかゆ作れる?」

 

「ゆきのん、 おかゆは定番だけど、ヒッキーは男の子なんだからうどんとか雑炊のほうがいいよ。」

 

「大丈夫よ、由比ヶ浜さんは作れないでしょ。」

 

「そんなことないもん! 大体、ご飯つくるだけが看病じゃないもん」

 

まぁ、一理あるが…。

 

「じゃあ、何をするのかしら?」

 

「えーと……そ……」

 

「そ?」

 

 

「添い寝とか?」

 

 

全米が震撼したかもしれない。

 

「それはダメでしょ! ガハマちゃん!」

 

雪ノ下さんナイスです。その発言は正解です

 

「結衣先輩、それは看病ではなく、自分へのご褒美になってますよ。なるほど、その手があったか……」

 

最後の台詞は聞かなかったことにしてやる……

 

「ダメよ、由比ヶ浜さん……そこまですると好感度下げる可能性があるわ」

 

もう、お前は自分の言葉を振り返っておかしな点がないか確認しろ……

 

しかし、由比ヶ浜の添い寝か……

まずい、愚息が……何か考えよう。こう何かくだらないことを……

 

そうだ!

さっき、体温計を俺は脇に入れて測るということをしたが、女性用に胸で図る体温計はどうだろうか?

谷間に挟んで熱を測る……名前はそうだな……「乳温計」とかどうだろう

おぉ、すごく夢のある商品だな。売れるんじゃね……

 

風邪をひくと思考回路が下がるって本当だったんだな。

あまりの最低発想に俺の愚息も息をひそめた。

 

「うーん、プレゼンだと埒があかないんじゃないかな? 他の何かで決めようよ」

 

雪ノ下さんナイスです。今日は冴えてますね。

 

「そうは言うけど、ほかに何かあるのかしら?」

 

いや、じゃんけんとかあるでしょ

 

「決まってるじゃん、家主に決めてもらおうよ」

 

ここにきてとんでもない爆弾を投下しやがった。

 

「でも、先輩寝てますよ」

 

「いや、起きてるよ、多分……」

 

「えぇ、起きてるの!ヒッキー」

 

「そりゃ、あんだけ大きな声出してたら起きると思うけどね、比企谷君」

 

ここは返事をしない。

そしていびきもかかない。寝がえりも打たない。ただ静かに寝ていることを証明するために動かない。やっていいのは呼吸だけ。寝たフリをする上で重要なのは、呼吸以外の動作をしないこと、寝がえりをむやみに打たないこと。いびきは上手ならいいが、俺はさしてうまくないのでしない。しかし、寝がえりは相手側から顔をそむけるために一度だけしてもいい。顔を見られると寝たフリがバレる危険性はあるからな。

 

「先輩、本当に起きてるんですか?」

 

「大丈夫、私に良い考えがあるから……あそこの本棚に珍しい参考書があるでしょ」

 

珍しい参考書?

 

「本当だ、ヒッキー数学苦手なのに、数学の参考書なんか置いてある。」

 

緊急事態発生 緊急事態発生

 

今日は味方だと思っていた雪ノ下さんが俺の秘密を開示しようとしている。

これはマズい

 

「多分、あれは比企谷君の秘密の本じゃないかな?」

 

もう、これは起きた方がいいのではないのだろうか?

このままだと、あの本が白日の下にさらされ、後でお叱り後に没収をくらう……

しかも数学の参考書って多分この前仕入れた本じゃないか!

せっかくわざわざ朝並んで買った薄い漫画本を取り上げられるのは嫌だしな。

 

「まったく、雪ノ下さんいつ気づいてたんですか?」

 

ベットから少し起き上がり周りを見渡す。よしまだ、確認はされてない。

 

「結構前からかな。なんか添い寝あたりで反応してたからまさかねとは思ったけど」

 

「まぁ、ちょっとうたた寝気味だったから、あんまり会話内容覚えてないけどな。」

 

「先輩、あの参考書見ていいですか?」

 

「なぜだ、さっきの雪ノ下さんのお話ならきっと誤解だぞ。」

 

「いや、先輩ここで起きた段階であの本が数学の参考書じゃないことの証明ですから」

 

本当に風邪をひいてるときは思考回路が低下するらしい。

 

「では、確認ですね」

 

一色が数学の参考書がカバーされてる本を取り、開く

あぁ、俺の本が……

一色が震えている。そんなにハードな内容本買ってったっけ?

 

「先輩、この本の人……戸塚先輩に似てません?」

 

二度目の緊急事態発生 緊急事態発生

 

「お前は何「似てるわね」言ってるんだ……」

 

「確かに彩ちゃんに似てるね」

 

「本当だ、似てる似てる」

 

全員が本を見て確かめている。

そして全員のオーラが黒く染めあがっている。

 

あぁ、これは……

 

「「「「とりあえず、正座」」」」」

 

「はい」

 

風邪はかかりはじめが肝心……なのに俺はなぜ看病ではなく説教を受けなけれなならないのだろう。

これが……ハーレム属性ってやつなのか……

 

とりあえず、熱は1週間はひかなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アンケートにあった入院なんですが、思いつかなかったので
風邪の看病回にしました。

でもこの言葉語弊がありますよね。
看病回なのに看病描写ありません。俺は看病回を何だとおもってるんでしょうか?

女子会はまた今度ですかね。
男の娘DVDはまたの機会に出演があるかもしれませんね。

では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします



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27 食べ物で遊んではいけません 前編

ルール的にこれでいいか心配ですw
駄文ですがどうぞ


きっかけは唐突に訪れる

 

「せんぱーい! 鍋パーティー来ませんか?」

 

「鍋ねぇ……」

 

あんまり鍋には良い思い出がない。遠慮してたら肉が食われ、肉食ったら泥棒扱いだ。親戚の集まりで俺は1枚しか食ってないのに泥棒扱いされたのはあんまりである。

 

「今度、みんなで鍋するんです。食材持ち寄って。ちなみに戸塚先輩も来ますよ」

 

「必ず参加しよう」

 

「せんぱーい~ あんまり戸塚先輩に固執してるとまたひどい目に会いますよ」

 

「それをお前が言うのはおかしいだろ……」

 

というわけで参加が決定した鍋パーティー

しかし、その鍋パーティーがとんでもない鍋を作りだすとは俺は知るよしもなかった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

というわけで鍋パーティー当日

朝、起きるとメールが届いていた

 

 

≪From 一色いろは

今日の鍋パーティーは先輩の自宅で行います♡。鍋の具材は1人1品ずつの持ち寄りですので先輩も食材もってきてくださいね♡♡♡♡≫

 

♡マークについては特に見なかったことにした。

現在、食材を買って実家に帰る最中である。

 

ちなみに買ったのは肉団子だ。

一応、肉だがたくさんとっても肉泥棒扱いされるわけでもなく、食べていれば謙虚扱いをされる。鍋をする上で(俺が)ある意味欠かせない食材である。

と言ってもさすがにこれと合わせて野菜も食べないと目立つんだがな。

 

 

実家の前に着くと、雪ノ下が向こうから歩いてきていた。

 

「あら、比企谷君……あなたもこの鍋パーティーに?」

 

「あぁ、一色に誘われて……一応な」

 

本当は戸塚のためだが……

 

「じ……実は……私、こういう鍋が初めてでちょっと緊張してるの……」

 

鍋が初めて?

珍しいな……雪ノ下家では鍋を家族で囲む習慣はなかったってことか……

 

「まぁ、鍋も別に普通にみんなでご飯たべるのと変わんねーよ」

 

「そ、そうなの? あなたは経験あるの?」

 

「そりゃ、鍋を友達で囲むことはなかったが、家族では食べてたぞ、一応……」

 

「へぇ……まぁ、あなたが大丈夫そうなら大丈夫そうね」

 

一体、鍋パーティーの何を怯えてるんだが……またいつもの指南書みたいなのの影響か?

そろそろ卒業した方がいいんじゃねーの?

 

 

実家に入ると

 

「先輩おそーい! あ、雪ノ下先輩こんばんは」

 

「ヒッキー、ゆきのん~ 早く始めようよ~」

 

「悪いな、材料買ってたら遅くなった」

 

「まぁ、いいですけど……みんな揃ってますよ」

 

どうやら、俺ら以外はそろってたらしい。リビングには

 

「ひゃっはろー、比企谷君」

 

「八幡、我も来たぞ」

 

「八幡、こんばんは」

 

なんか知らないデブが混じっているがまぁいいか……

 

「あれ、小町は?」

 

「あぁ、奉仕部の依頼が入ってきたそうですので、後で合流するそうですよ。」

 

家人が全員いなくなってどうするんだと言いたいけど……俺が来ることを考えての行動ということにしておくか。

鍋パーティーで遅れるのは具材が食えないということになるんだがな。あいつも気の毒だな。

 

「では、始めましょう!

 

第一回闇鍋パーティー!イエーーーーイ!!」

 

 

前言撤回

これからこんなことに巻き込まれる俺の方が気の毒だ。

 

 

「おい、ちょっと待て! 聞いてないんだが……」

 

闇鍋とかいう危ないというか、絶対に危険な鍋などやりたくない。

ここは仲間を増やすのが一番だが……

 

「おい、雪ノ下」

 

「私は聞かされてたわよ」

 

雪ノ下のあの台詞はそういうことか……なるほど合点がいった。

 

「由比ヶ浜」

 

「えー、どうしたのヒッキー闇鍋やろうよ~」

 

こいつは地雷系食べ物を入れる側の人間だったな……

 

「雪ノ下さん」

 

「まぁまぁ、死にはしないんだしさ」

 

そりゃ、死んだらマジで頭おかしいでしょう

 

「戸塚」

 

「やろうよ、八幡、楽しそうだよ」

 

なんかやる気出てきたかも……

 

「材……お前はいいや」

 

「ハチエモーン!」

 

うるさい、黙れ。

 

「一色は……無駄そうだな……」

 

「はい、私の企画ですしね。まぁ、先輩は闇鍋って知ったら逃げますしね。余計な手間は省こうかと……」

 

今、余計な手間って聞こえたんだけどさ……これってあれだよね。

俺がたとえ、闇鍋って知っていたとしても、強制連行する手段があったってことだよね……

最近のこいつが怖いんだが……

 

 

「というわけで闇鍋ルールです。今から説明しますのでみなさんこたつに入ってください」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

今、一色からのルールの説明があった。

 

とりあえず順番として

 

明かりをおとし、それぞれ持参した具を鍋に投入する。このとき周りは見ないように下を向くこと。

煮あがったら1人ずつ順番に鍋に箸を入れる。これを繰り返す。ちなみに食べるときは暗闇のまま。

 

ルールとして

 

1、一度取ったら必ず口にいれること

2、液化するものはNG(チョコや飴などの溶けてしまう物体など)

 

となった。

 

ふむ、これは闇鍋を乗り切る作戦が必要らしい。

まず、情報収集だ。安全食材を持ってるのは、俺と可能性的には雪ノ下と戸塚あたりか。

とりあえず、食材を入れる順番が回ってきたら、中身を少し吟味するのが無難か……暗いが目を慣れさせとけば問題はないか……。

 

「では、先輩からどうぞ」

 

「な……」

 

「どうかしましたか? 先輩?」

 

こいつ俺の作戦を看破してやがる。やられた。進行役がこいつの段階でこの辺を考慮してなかった俺の負けということか……

 

「分かった、とりあえず入れるから頭下げてくれ」

 

全員が頭を下に向ける。

 

俺は肉団子を自分のスペースつまり

自分の前あたりに集中的に置いた。これでとりあえず中身が見れなかったとしても……自分の身は安全なはずだ。

 

「入れ終わったぞ」

 

「じゃあ、次は私ですかね」

 

ちなみに席順だが

俺から時計周りに一色、雪ノ下、由比ヶ浜、雪ノ下さん、戸塚、材木座となっている。

 

まだ、負けが決まったわけじゃない。

人間には視覚以外にも、嗅覚、聴覚がある。

それにルールを破るとどうなるかのペナルティはない。つまりなんの食材を入れたかの確認をすることはそんなに難しいことじゃない。

要するにバレなきゃいいだけだ。それじゃ、闇鍋は面白くないという人はいると思うが……俺はこんなのやりたくないのだ。なら、手段は選んでられない。

 

 

「ちなみにルールを破ったら……鍋の完食を命じます。特に先輩は気を付けてくださいね」

 

あ、これ詰んだ……もう完全にマークされてる。

 

「じゃあ、次は私だね!」

 

どうやら由比ヶ浜の番らしい。

気づいたら、一色と雪ノ下は終わっていたらしい

 

ドポドポドポドポドポドポ

 

第一種危険食材に認定

 

待て……絶望するな。あいつの性格を読み取って……あの音の正体を探れ。

ダメだ……目頭があつい。泣きそうだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「楽しみだね~」

 

「はい、どんな鍋になりますかね?」

 

みんな入れ終わったので、蓋をしめて煮込んでいる。その間は明かりをつけて談笑中だ。

完全にお気楽モードだ。地雷食材は誰が食うか分からないのに……

 

「ちょっと部屋に取りたいものあるから部屋に行くわ。」

 

無理やり席を外して部屋に入る。

 

とりあえず整理しよう。状況の整理だ。

俺の目的ははずれ食材を食べずにこの闇鍋を乗り越えること。

若干、出汁に影響が出てる可能性はあるが、まだ食材が大丈夫なら問題はない。

 

とりあえず、全員の入れた食材の推理をしよう。

 

雪ノ下は闇鍋が初めてだから勝手がわからないと言っていた。つまり、あいつは普通の食材の可能性が高い。

 

逆に戸塚は少し悪ノリの可能性があるから、地雷と普通で半々だな。

 

材木座は普通の音だった。あいつもまとも食材の可能性あるな。

 

由比ヶ浜と一色はもう完全に地雷指定でOKだ。

一色のは考え事をしていて聞いていなかったが、企画のあいつが地雷食材じゃない理由はない。

 

問題は雪ノ下さんだ。

あの人のは音すらしなかった。つまり完全に出汁に仕込みを入れたと考えるのが正しい。

しかし、闇鍋は基本的に出汁に仕込むと自分にそのダメージが返る可能性もある。

 

何故、あの人は出汁に仕込んだ?

………待てよ!

 

ルールでは他人の食材は入れるときには見ることはできない。

しかし、詮索は禁止されてない。

つまりあの人はこの闇鍋が始まる前から誰がどんな食材をもってきていたかを捜索した上で出汁に仕込んだってことなのか?

ということはあの人は味方と見るべきか?

いや、もしかして一色あたりと手を組んでる可能性も考慮すべきか?

 

いや、この考えはもうやめとこう。

理由はあとでわかる。今は目の前の脅威からどう逃げるかを考えるべきだ。

 

とりあえず、エリア的には雪ノ下、材木座あたりが安全と見るべきか。

俺のエリアは完全に安全とは思ってるが、一応他エリアの安全も確認しておいて損はない。

 

「先輩、そろそろ食べますよ。」

 

一色の声が部屋まで響いてきた。

 

「おう、今戻る。」

 

どうやら、煮込み終わったらしい。

さて

 

食事(たたかい)が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで実食タイムは来週です。

今週は八幡君の推理タイムでした。
実際無駄に終わ……まぁ、八幡君を応援しましょう。

闇鍋のルールは正直分からなかったので調べましたが
こんなルールなんですね。作者ビックリです。

では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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28 食べ物で遊んではいけません 中編

あれ、前後編の予定がこんなことに……すいません
それでは駄文ですが…どうぞ


「では部屋を暗くしますね!」

 

一色の声と同時に部屋の中が暗くなる。

俺がこの闇鍋を乗り切るには、いかにはずれ食材を引かないかにすべてがかかっていると言っても過言ではない。

出汁に影響が多少出ているのを織り込んだとしても、出汁が致死に至る可能性は薄いと見れる。

 

部屋が暗くなった後、一色が鍋の蓋を取る。

すると、鍋から危なそうな臭いが漏れ出てきた。

 

「では、まずは雪ノ下先輩どうですか?」

 

「いや、由比ヶ浜さんどうかしら?」

 

「うーん、陽乃さんどうですか?」

 

「ええと戸塚君は?」

 

「材木座君はどう?」

 

「いや、ここは発端の一色殿が行くのが筋では?」

 

うーん、すがすがしいほどの押し付け合いである。俺より乗り気だったろ! お前ら……。

 

「じゃあやっぱり先輩ですかね」

 

「そうね」

 

「ヒッキー頑張って!」

 

「頑張って比企谷君」

 

「八幡、ファイト!」

 

「うむ、男には分かっていても進まなきゃならないときがあるものよな」

 

そして、俺に回ってくると……わかっていたさ……分かっていたとも。

 

「どうせ、お前らも食べるんだからな……誰が先に食ったっておんなじ目に会うのは変わらないんだぞ……覚えておけよ……。」

 

捨てセリフを吐きながら、箸を構える。さて、自陣と雪ノ下、材木座あたりが安全圏と考えているから、ここはとりあえず自陣にある肉団子を狙う。箸を鍋に入れて肉団子らしき感触を探す。これは違う……これか? 丸っこいし…。

 

「よし、これだ。」

 

丸っこいのを取って自分の皿に入れて、そのまま口に放り込む。

………こ……れ……は……! 肉団子じゃない!

 

「ゲホ、白玉団子だと……しかもあんこまで入ってやがる。」

 

「あ、先輩それ私の手作りです!」

 

こいつ……俺が肉団子を用意してくると分かっててあえて白玉団子をチョイスしたってことか……団子の部分ならまだしもあんこが出てくるのはキツイ……。白玉団子が発覚してことによって2分の1の確率で丸っこいのは地雷で決定した。

 

「先輩の考えなんて私にはお見通しですよぉ~ しかも自分の陣地で取るとこなんか予想通りです。」

 

「てめぇ……」

 

すでに先手を打たれていたということか……くそ!

目論見が甘すぎたか……。

 

「というわけで次は材木座さんから順番で行きましょう」

 

「うむ……我か……よし!」

 

ということはこれから逆時計周りということか。なぜに逆なのか。

材木座は箸を豪快に入れて

 

「うむ、これはなかなか大きいぞ、よしこれで行こう」

 

何か板みたいなシルエットの具材だ……なんだあれ?

そのまま箸で取ったのを口に突っ込んだ……

 

「こ……これは!」

 

あれ、身体が静止したぞ……。

 

「ぐはぁ!!」

 

その場で後ろに倒れた。

 

「えぇぇぇ! ちょ、中二が倒れるって一体何入れたの?」

 

由比ヶ浜、お前は一度こいつを料理で倒しているんだが、それは置いとくとして……

多分、相当きつい地雷食材を引いたのだろう。ご愁傷様。

あの正体は俺に回ってくるまでに判明すればOKだが……

 

「では、次は戸塚さん行きましょうか」

 

戸塚は当たってほしくない。

そして平然と進んでるあたり、材木座の扱いの雑さにも悲しみを覚えるな……本当にご愁傷様です。

 

「怖いけど、やるしかないよね!」

 

戸塚はガッツポーズをたぶんとっているのだろう……かわいい……

戸塚には本当に地雷を引いてほしくないなぁ……

 

「うん、これにしようかな。」

 

そのまま戸塚が具材を口に運ぶ

 

「あ、これ普通のお豆腐だ。」

 

よかった~……豆腐ならあんまり出汁もしみ込みにくいから影響が少ない。

ここで豆腐に誰も手を上げないということは豆腐は…故…材木座の物ということか。

 

「はぁ、じゃあ私行くね」

 

雪ノ下さんが箸を鍋に入れて探っている。

ここで犠牲というつもりはないが、出来たら新規の食材を引いてほしい。

材木座を殺した?食材を引けというつもりはないが……

 

「とりあえずこれにしとこうかな?」

 

雪ノ下さんはもぐもぐと食べ始めた。なんか食べ方かわいいな……。

 

「あ、これ牛肉のしかもお高いやつだね。変な味だけどまぁ、牛肉だし普通かな。これいれたの雪乃ちゃん?」

 

「えぇ、あんまり闇鍋のルールを知らなかったものだから……その…みんながおいしく食べれそうなものを……」

 

もったいない!

もったいないです……もったいなさすぎです。

いや、予想はしてたけどきっと高いんだろうなって……でもね……普通の鍋で食べたかった。食べたかったよ……。俺が食えたかどうかは置いておくとしてもだが……。

 

「じゃあ次は私だね! 行くよ~!」

 

お次は由比ヶ浜ね。こいつは地雷食材を入れたんだ。痛い目を味わえ。

 

「これにしようかな、よいしょ。あむ」

 

その食べ物を食べるときに出す音なんなの?

天然物か……俺の横にいる人口物とは偉い違いだな。

 

「先輩、何か不埒なこと考えてません?」

 

「いえ、そんなことはありません」

 

何故、部屋も暗いのに、俺の表情とか思考が分かるんだろうか……怖い…。。

 

「あ、これ私が入れたフルーツ缶の桃だ。うえ、変な味~」

 

ですよね~。

本命は桃缶だったけど、大方予想通りだわ!

お前はどんだけフルーツ系好きなんだよ……。基本的にそういうのは単独で食べるからおいしいんだぞ。まったく、鍋にそんなの入れんなよ。あ、これ闇鍋だったわ。普通の鍋じゃない。

 

「じゃあ次は私ね。」

 

さて、基本的にあまり胃腸が強くない雪ノ下はこんなものを食って大丈夫だろうか?

 

「これは普通の肉団子ね。これは……」

 

「あぁ、俺が買ってきたやつだ。」

 

「そう、よかったわ。」

 

まぁ、とりあえず影響の少なそうなやつでよかった。

これで世間様にお見せできないグロ画像……おっとこれ以上はいけない。

 

「では、私ですね。」

 

一色は意気揚々と鍋に箸を突っ込んでいく。

とりあえず、女性が食べるもんじゃないとは思うが材木座を瀕死に追い込んだ食材を引いてくれ。お前が倒れたら、とりあえずこの闇鍋辞められるからな。まぁ、企画したのお前だし、自業自得だよな。

 

「これにしよっと!」

 

その時、鍋から一色が取った食材のシルエットが見えたが、あれは材木座を殺ったシルエットに似てる。すると、そのまま一色はその食材を俺の口の前に持ってきた。

 

「先輩、あーんですよ~」

 

「「「「は?」」」」

 

「だからあーんですよ」

 

はい?

 

「もう! 先輩、ちゃんとルール覚えてます?」

 

口を膨らませあざとい感じで俺を見ているのだろう。暗闇でようわからんが……。

確か、溶ける系NGと取った食べ物は必ず口に入れるってやつだよな。

 

「必ず口に入れるんだろ。」

 

「そうです、でも私は

 

  自分の口だなんて一言も言ってないですよ。」

 

 

Really?

 

「待ちなさい、一色さん。そんなの聞いてないわよ」

 

「そうだよ、ずるい!」

 

「まさか、闇鍋にしたのも……」

 

「はい、全部このための作戦ですよ。」

 

多分だが、舌をだして小悪魔してる一色さんの顔が目に浮かぶ。

……小悪魔って動詞なんですね。

 

「では、先輩お覚悟を」

 

「その言い回しはおかしい。」

 

俺、それ死ぬやつじゃないか?

 

「待て……その爆弾は材木座を殺ったやつだ……絶対に嫌だ!」

 

「結衣先輩のお料理の味見をしているなら、このくらい許容圏内ぎりぎりアウトですけど大丈夫ですよ。」

 

由比ヶ浜の料理を鉄人の胃腸を作る試練扱いするのはやめなさい。

そしてアウトなのかよ! そこはセーフっていうところ……。

 

「いろはちゃん……それはひどいよ……」

 

さすがの由比ヶ浜も落ち込んでるぞ。

後でフォロー大変じゃねーか。

 

「結衣先輩、これを食べて比企谷先輩が胃腸強くなったらもっと味見役してくれますよ。」

 

「ホント!」

 

フォローはいらなかったそうです。

ねぇ、俺が味見役するのは確定なの? ねぇ……そこすごく重要なんだけど……。

 

「先輩は私をお茶の間に出せないグロ画像にして、その写真で私を脅すつもりですか……先輩がS的思考で迫ってくるのは中々魅力的ですが、そういうのは付き合ってからやってください。ごめんなさい。」

 

もう何処から突っ込んでいいのか俺には分からない。

え、これ本当に食べるしかないの?

 

「あの作戦が実行できるかもしれないならここは従うのが吉かしらね……あーんできないのは悔しいけど…。」

 

「ヒッキーが味見役に絶対になってくれるっていうなら仕方ないかな……あーんできないのは悔しいけど…。」

 

「比企谷君がドSになる可能性は捨てたくないなぁ……あぁ…ダメ…比企谷君…」

 

雪ノ下と由比ヶ浜よ、あーんのとこしか興味ないのかよ……

というか雪ノ下さん!

何言ってんの?

ちょっと海老名さん混じってない?

 

「先輩、最初だけですよ、きついのは」

 

「それ後もキツイやつの台詞だからな!」

 

「ええい、観念してください!」

 

一色は俺の口に具材(ばくだん)を突っ込んだ。

 

 

あぁ……

今日はずいぶんと空が近いなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




では一応おさらいです

雪ノ下   牛肉(高い)
由比ヶ浜  フルーツ缶詰(フルーツカクテル的なやつです)
一色    白玉団子
雪ノ下姉  不明
戸塚    不明
材木座   豆腐
比企谷   肉団子

出汁は昆布だしのつもりです。

さて、爆弾の正体とは一体なんなのか……来週すべてが明らかに……
八幡ですか?
生きてます……たぶん生きてます
一色が闇鍋にした理由も次回でw

では恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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29 食べ物で遊んではいけません 後編

はい、闇鍋ラストです。
それでは駄文ですが、どうぞ


【another view 一色いろは】

いつも差を埋めたいとずっと考えてた。けど、差を埋める前に差を詰められる相手すら現れた。もう本当にどうしていいかわからない。でもここであきらめるなんてしたくないし、したくない。ずるい行動ばっかりだけど……でも……これ以上差だけは作りたくない。あの奉仕部の2人は差は埋めなきゃ追いつけない。そして。陽乃さんはどんどん差を詰めてくる。むしろもう差はないのかもしれない。なら、どんな突拍子がなくたって行動するしかない。

 

だって出遅れてる私にはその選択肢しかないんだから!

 

 

【another view 一色いろは 終】

 

【another view 雪ノ下陽乃】

 

追いつくために何をすべきかなんていつも考えてきた。けど、生半可なことじゃあの3人にはならべない。

私はあの子たちと違ってハンデだらけだ。奉仕部メンツじゃない分会えてないし、後輩でもないから甘えるのも難しい。加えて、同時期に高校生活を送れていない……もう完全に出遅れてるのさわぎじゃない。普通なら負けだ。

でも、それでもあきらめるなんて選択肢はもう選びたくないし、最後まで全力でやりたい。自分が絶対に選ばれると信じて私らしく狡猾に作戦を立ててやるしかない。

 

だって出遅れてる私にはその選択肢しかないんだから!

 

【another view 雪ノ下陽乃 終】

 

 

ここは……

目が覚めたら一面お花畑であり目の前には川が見える。

 

おいおいおいおいおい

これはマズいだろ!

あれだよね、これ絶対に三途の川だよね。あの鍋そんなに威力高いのかよ……

 

すると、川の向こう側からとある人物が手を振っているのが見える。

あ……あれは!

 

「八幡~」

 

戸塚!

いや、戸塚もあの物体を食べたということか?

でもそれなら、なぜ俺より先にここに来ていて、加えてあっち側にいる……

ということは……あれは俺をあっち側に連れ込もうとする幻覚か?

 

「八幡、こっちに来てよ、一緒にいこ!」

 

「いや、行けないわ……俺にはまだやることあるし……」

 

「そ、そんな……僕、八幡のために……」

 

「ために?」

 

 

「取ったのに!」

 

 

OK

とりあえずKWSK聞こうじゃないか。

 

そもそもだ。

これは三途の川じゃないだろう。だって特殊な化学物とか危険物なんていれてるわけでもあるまい。

それなのにたかがマズさで三途の川まで行くとか……そんなわけない。

つまり、これは俺が気絶するくらいのマズさではあったから、気絶してみてる夢みたいなものだろう。

だから、俺があの川を渡って戸塚のランデブーをしたとしても……問題はないんじゃないか、いやあるまい。

だが、とりあえず……

 

「何を取ったんだ?」

 

「そ、そんな恥ずかしいこといわせないでよ~」

 

モジモジしてる。モジモジしてる。

いや、眺めてるだげでも眼福だわ。

 

「うぉ!」

 

すると、何故か戸塚とは反対方向に引っ張られる力を感じた。

これって戻れるってことか?

しかし、その前に……

 

「何を取ったんだ!!」

 

「だから、----!」

 

あぁ、聞こえない……畜生

 

 

 

【another view 戸塚彩加】

 

八幡が一色さんに具を突っ込まれて、倒れてしまった。

 

「八幡!」

 

「はーい、危ないから下がってね!」

 

すると、雪ノ下さんのお姉さんが待ってましたかとばかりに八幡を抱きかかえて自分の陣地に戻っている。

えぇ、確かさっきまで僕のとなりにいたのに一瞬で……

 

「とりあえず、人工呼吸をしなきゃね。じゃないと比企谷君の生存が危ないわ」

 

その一言がすべてを壊す一言じゃないかな……

 

「ちょっと! 姉さん…それは……」

 

「ズルい! 陽乃さんだけ…そういうの…」

 

「雪ノ下さん……あなたまさか……」

 

「そう、すべては私の計画の内なんだよね。」

 

え、計画?

それって一色さんのじゃないの?

 

「一色ちゃんの計画は周到に用意されていたわ。みんなの前でアピールをしての牽制。加えて闇鍋という妨害がしづらいイベントのセッティング。さすが総武高校で生徒会会長を務めただけはあるわ。でもね。私はあなたのその計画を聞いてからちょっとばかし練らせていただいたの。自分もアドバンテージを獲得するためにね。」

 

「アドバンテージですか?」

 

「そう。私はみんなより大分出遅れてるからね。いっそ既成事実でもあった方が勝てると思っていたんだ。だからこの闇鍋を利用したの。闇鍋の本当に恐ろしいところは何を食べるかじゃない。煮込まれた出汁が一番怖いのよ。なにせ闇鍋だから煮込んでるものがダメであればあるほど混ざって凶器になる。だからそれを食べさせることによって比企谷君を介抱するというのが私の計画。まぁ、人口呼吸までは出来すぎな気もするけど。分かったかしら? 私が入れた食材はただの油揚げよ。でもこの闇鍋においては胃を殺しかねない兵器になりうる。」

 

雪ノ下さんのお姉さんは八幡を抱えてみんなと机をはさんで距離を取っている。多分このままだとみんなが寄る前に人工呼吸を完遂させる勢いだ。というか人工呼吸じゃなくてただの既成事実を作るつもりだ。

 

「くっ! 作戦にずいぶん乗り気でかつ先輩の横を取らないと思ったらそっちが狙いでしたか……。」

 

「ふっふっふ。そこで悔しみながらお姉さんの勝ちを眺めるがいい」

 

完全に雪ノ下さんのお姉さんの勝ちみたいな流れだ。

 

「そこまでよ、姉さん」

 

すると、雪ノ下さんが急に立ち始めた。

 

「姉さんは一つ大事な見落としをしてるわ。比企谷君は先ほど、その危険物を食べた。つまり唇周りにはその危険物が付いてるってことよ。姉さんにはその危険物を口にしてお茶の間に出れなくなってもいいのかしら?」

 

なんかものすごい内容飛んできた……確かに言われて見ればそうかもしれない。

自分から口にツッコまなかった分、その口周りに危険なスープの残りが残っていてもおかしくはない。

 

「た、確かに残ってるかもしれない、けど少量なら食べても平気よ。だって食材についてる分くらいなら平気だからね。」

 

「詰めが甘いわね、姉さん」

 

「どういう意味かしら、負け惜しみ?」

 

 

「別にただの時間稼ぎよ。」

 

その時、雪ノ下さんのお姉さんにとびかかる由比ヶ浜さんがいた。

 

「よし! ヒッキーの唇は渡すもんかぁ!」

 

「な、ガハマちゃん……いつの間に」

 

「姉さんがのんきに勝ち確宣言している間にちょっとずつよ、まぁ暗いから音立てなくても近寄れるから。さっき姉さんもその方法使って比企谷君を確保したのでしょう。多分自分の番が終わってからこっそりと材津君が倒れたあたりまで寄ってきて、材津君をどかしてそのエリアに代わりに倒れていた。完全に真っ暗だからできることだわ。あくまで会話にはそれとなく参加をしつつ、比企谷君の横を取っていた。だから私は由比ヶ浜さんに姉さんを捕まえることをお願いしたわ。その間の時間稼ぎを買ってね。まぁ、一色さんのおかげで大分手間が省けたけれど」

 

「くっ! 雪乃ちゃんもずいぶんたくましくなっちゃって……お姉ちゃん悲しいわ」

 

「とりあえず、比企谷君を離してもらいましょうか……人工呼吸とかその辺はとりあえず誰がやるかは話し合いで決めましょう。」

 

【another view 戸塚彩加 終】

 

目が覚めると、部屋が明るかった。

そして……修羅場だった。

4人が完全に向かい合って何かをしようとしている。

 

ふと、目をちょっと開けた状態で周りを探る。

すると、戸塚が隣に避難?しているのだろうか……座っていた。

先ほどの夢?のせいで気まずいが、このままだと多分大惨事で俺がまた被害者だ。

 

戸塚の服の袖を引き、呼ぶ

 

「八ま……」

 

すぐさま指を口に近づけて止める。

どうやら、あの辺りはもはや、ほかの雑音が聞こえない状態らしい……助かった。

 

「大丈夫なの?」

 

とりあえず、うなずく。

 

「小声で頼む。状況を説明してくれないか?」

 

「分かった。じゃあとりあえず説明するね。かくかくしかじか。その後にねじゃんけんで決めようということになったって感じ。」

 

「なるほど。ちなみに戸塚は闇鍋に何を入れたんだ?」

 

「あぁ、えーとMAXコーヒーを入れてみたんだ。あはは、八幡あのコーヒー好きだよね。」

 

なんとも怒れないから困る。

 

つまりあの油揚げには

牛肉の脂、フルーツ缶の汁、MAXコーヒー、などの成分が含まれている出汁を詰め込んだ爆弾だったというわけだ。少量飲む分にはあまり影響はないが、その出汁をたっぷりすっていれば……そりゃまずさで卒倒するわけだ。

 

さて、ここで起きてあの争いを止めるのがいいな

人口呼吸したやつと気まずくなるのは嫌だし。

 

「おい、何してんだ?」

 

声をかけると一斉にこっちを振り向く。

 

「「「「…………………」」」」

 

え、なんで無言なの……

 

すると、唐突に箸を持ち始め、鍋にそれぞれ箸を突っ込んでいく。

え、何……?

 

全員が箸をこっちに向けてきている。

あれ、おかしいな……その箸でつかんでるのは俺を先ほどの花畑まで連れて行ったあの油揚げ(凶器)じゃないですかやだー。

 

「先輩、もう一度眠ってもらっていいですか?」

 

「いや、眠るの確定なの?」

 

「ヒッキーこれおいしいよ」

 

「じゃあお前が食えよ」

 

「私、これ食べたら吐くかもしれないから比企谷君よろしくね。」

 

「後で食べるから置いとけよ」

 

「比企谷君~! 男見せるときだよ。」

 

「先ほど見せましたよね。」

 

戸塚は完全退避だ。いや、助けたら被害受けるの戸塚だからしょうがないけどさ……

4人とも完全に目のハイライトが消えている。人口呼吸とか興味ないだろ……こいつら

 

いやだ。あの天国でも戸塚の発言が気になるけど、もう行きたくない。

誰か……たすけて!!!

 

 

「たっだいまーー! お鍋どうです? 締めのうどん買って……き……た……」

 

小町(救世主)が帰ってきた……

 

この部屋の惨状を見て小町が震えている。

そりゃ、部屋の異臭と鍋の状態、加えて俺の状況

 

「皆さん……食べ物で遊んじゃいけないってお母さんにならったでしょ!!!」

 

その後、全員で小町のお説教を喰らいました。

鍋はスタッフがあとでおいしくいただきました。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ここは……

 

さっきの花畑か……もう一度来てしまったらしい。

さて、もう一度あの戸塚に会えるかな?

 

 

すると、川の向こうに人影が見える。

 

「おい、戸塚か?」

 

「いや、我こそは貴様の前世の因縁でつながっている材木座義輝だ! わっはっは。よく来た八幡」

 

「帰るわ」

 

材木座などに用はない。

 

「待てぇぇい! 八幡お前のために俺は」

 

「俺は?」

 

「とったどーーーーーーー!」

 

「知るかぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




闇鍋編終了です~

いや、作者の想像とか色々混じってるんで
本当の闇鍋はこんなんだから、この話は違うとか言わないでくれ……作者泣いちゃう…w

一色と陽乃さんの気持ちから生じた話のわりに……ものすごいカオスな回になってしまいました。
やっちまった……
まぁ、次はね……恒例のあのイベントだし……楽しく行きましょうよ…
そう……楽しくね…

では恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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30 クリスマスの受難 前編

とうとう30話です。
ちょっと早いですがクリスマス前編です。
それでは、駄文ですがどうぞ。


「「「「「「「「かんぱーい」」」」」」」」

 

今日は12月24日のクリスマスイブ

ぼっちである私には何の関係もないイベントなので家に引きこもる予定だったのだが、まぁ、何……いつも通りといいますかな……脅迫……もといクリスマスパーティーのお誘いが来たので乗ったんです。はい。決して脅されたわけではありません。私はまだ男の尊厳は保てているはずです。

 

「あら、比企谷君どうしたのかしら? もしかして食べ物で何か苦手なものがあったかしら?」

 

「普通な顔で俺の前にトマトのサラダおいてるお前が今それを言うのはおかしいよね……」

 

今日は比企谷家ではなく、雪ノ下の家で行われている。

ちなみに参加メンバーは今回、雪ノ下、由比ヶ浜、一色、雪ノ下さん、小町、戸塚、材木座、俺の8人といういつものメンバーである。

正直言うと……クリスマスは不安しかなかったからパーティーを開くと言われたときは内心ほっとしていた。というのも俺の現在の立ち位置上完全にクリスマスというイベントは至極マズいのである。事情は恥ずかしいので省くが、とにかくドキドキデート作戦とかいう伝説の作戦を行わずに済んだことだけは幸運だったと思う。いや、吸血鬼とか聖剣使いとかいないけど、怒らせたらどうなるかとか考えるとなぜだろう……足が震える……。

 

「八幡、八幡!」

 

「ん? どうした戸塚?」

 

「このローストビーフすっごくおいしいよ」

 

「あぁ、そりゃ雪ノ下は料理上手だしな」

 

実は今回の料理のほとんどは雪ノ下の手作りらしく、クリスマスの合う、ローストビーフ、七面鳥の丸焼き、サラダや前菜などがテーブルの上に並んでいる。しかし七面鳥とか普通作れるのだろうか? あいつは本当に料理が上手だな。そう思って雪ノ下を見るとあちらもこっちを見ていたのか、ふと目が合う。するとにっこりと笑いながら多分口パクで「どうかしら?」と聞いてきた。こっちはうなずいて会釈すると、ちょっと顔を赤くして顔を下に向けた。あの…ギャップ萌えを全開にするのをやめてください。

まぁ、なんにせよ、今回は平穏無事な楽しいパーティーになりそうだな。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

【?’s view】

 

フフフ、今回こういうのを用意してきてよかった……これで少しでも皆さんが素直になってくれるといいんだけどな……でもあの人に仕入れ頼んでよかったよ。でも……よく協力してくれたな。

 

【?’s view 終】

 

 

「八幡よ」

 

「なんだ?」

 

「いや、我の勘違いならいいのだが……心なしか……というか飲み物変わってないか?」

 

確かによくよく見ると最初は普通のウーロン茶とかだったのだが……なんかお酒の味がするような……

 

「確かにお酒になってるな」

 

「我もそう思うのだが、特には問題が……」

 

「なんだよ、急に黙っ……て…」

 

俺と材木座の視線の先には号泣している雪ノ下さんがいた。

 

「ああいうのを天変地異の前触れというのか」

 

「おい、達観してんじゃねーよ」

 

「何を言う……これは貴様の領分…我には関係ない。」

 

この野郎……傍観決め込んでいやがる……。とりあえず介抱しに行くしかないか……ほっとくとどうなるか分かんないしな…。

 

「あの、雪ノ下さん?」

 

「うぅぅ……比企谷君?」

 

「はい、比企谷です。どうしたんですか?」

 

「いや、どうやったら君が振り向いてくれるのかなぁって、そうしたらこんな年上のおばさんなんて興味ないんじゃないかって思えてきて……そしたらね……涙が出てきて、うぅぅ」

 

雪ノ下さんが酔ったらネガティブになるのは驚きなんですが……それよりも内容に色々ツッコミたい

 

「比企谷君は自分よりも年上なんて嫌い? 恋愛対象にならない?」

 

「いや、そういうのは……」

 

「うわぁぁぁぁん!! やっぱりおばさんなんて無理なんだ……私なんて……うぇぇぇ……ひっく」

 

待って!

俺はまだ何も言ってないよね……

 

「そんなことないですよ、雪ノ下さんはまだまだ若いじゃないですか」

 

「違う」

 

「え?」

 

「私が聞いてるのは比企谷君は年上が好きなのかってこと!」

 

あれ、質問変わってない?

そう言って俺の服の襟をつかんで上目遣いでにらんできた。

 

「えーと……」

 

答えに渋っていると……目に涙がたまり始めた。ちょっと待ってくれ

 

 

「うわぁぁぁぁん! やっぱり年下なんだ、どうせそうなんだ!」

 

「違う違う……年上好きだなぁ……年上は至高だなぁ。」

 

そういうと、急に泣き止みはじめ、俺の襟をつかんで

 

「ホント?」

 

二度目の上目遣いである。

 

「あぁ、本当だよ。だから泣かないでくれると助かるんだけど……」

 

「うん」

 

と言ってうなずいた。

 

さっきネガティブと言ったけど、どっちかっていうと幼児思考の方がたとえが正しいのかな。

しかし、酔うとこんなに性格変わるのか……ちょっと驚きだな。

 

「先輩」

 

「はい!」

 

後ろを向くと顔を下にむけた一色がいた。

 

「さっきなんていいました?」

 

「はいって言ったかな?」

 

「その前!」

 

一色の急な怒った声に正座をしてしまった俺……やだ、俺、調教されすぎ?

 

「えーと、泣かないでくれると助かるとか?」

 

「……その前…」

 

「年上は……至高と言いました…。」

 

あの時の俺になんでそんな爆弾発言をしたんだと問いたい。

あの場面でそういうしかなかったとしてももうちょい言い方あったろ!

 

「なんで……」

 

「へ?」

 

「なんで……なんで……至高なんですかぁぁ!!」

 

そういって俺の襟をつかんでぶんぶんと上下に振り回す一色。やめて、八幡の脳が揺さぶられて大変なことになっちゃう……

 

すると急に抱き着かれた

 

「おぉぉい……一色…」

 

「先輩……先輩には年下の魅力を味わってもらいます。」

 

言葉の意味が1ミクロンも理解できない。

 

「お前は何を言っている」

 

「言葉通りです。」

 

そういうと押し倒して俺の上にまたがってきた。

 

「年上なんてものよりも年下が何倍も素晴らしいものであるかをその身体に覚えていってくださいね」

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待て! 話せばわかる。あれは……」

 

「問答無用です」

 

こいつは酔うと完全に悪酔いするやつの典型だ。後で絶対に責任とれとかいうやつだ。

 

すると、急に身体が持ち上がる感覚に襲われた。

見ると俺の左腕を雪ノ下さんが抱えている。

 

「やめてよね、一色ちゃん。比企谷君は年上の魅力にメロメロなんだよ。至高なんだよ。年下は引っ込んでてよね」

 

「何を言ってるんですか? それは言わせただけの嘘の言葉です。本当は年上よりも年下が至高に決まってます」

 

そう言って、俺の右腕にひっつく一色

 

「そうなの? 比企谷君?」

 

「せんぱーいは年下のいろはちゃんみたいなのが好みですよね~」

 

完全に板挟みである。

もう雪ノ下さんは完全に泣く寸前である。

 

一色さん……爪が食い込んでます。すごく痛い。痛いからやめて。

 

「まぁ、ほら……どっちもよくてどっちもいい的なやつですよ。」

 

言った後に後悔するような発言をすることって本当にあるんだな。

今、それがこの瞬間であることをおれは自信をもって言える。

 

「先輩……そんな答えは求めてないんですよ……わかります?」

 

「はい、ごもっともです」

 

「ふぇ……比企谷君はやっぱり……ふぇ……」

 

「わーわーわー、泣かないでください。 後でなんでもしますから」

 

「「え?」」

 

やだ、今日の俺……爆弾発言多すぎ……

 

「泣かないから……泣かないから……好きって言って……陽乃愛してるって言って……」

 

あの、すでに泣きそうな顔してませんか?

 

「言ったらどうなるか分かってますか? 先輩?」

 

だから爪食い込んでるから……痛い痛い。

こうなったら……

 

「ちょっと、トイレ行ってきていいですか? 返答はその後で」

 

「むぅ、必ず戻る?」

 

「はい、戻ってきますから…」

 

「先輩はまた後でお話しですよ」

 

「分かったから……」

 

ふぅ……案外「言うまで離さない」とか言いそうだったけど離れてくれてよかった。まぁ、生理現象を理由にすると引き下がる作戦は成功だな。これは今後も使えるスキルだ。多用は厳禁だが……。とりあえずあの2人は酔ってるし……寝るまでほかの部屋で隠れて身をひそめるのが無難か。雪ノ下には悪いが。とりあえず言葉通りにトイレに行くか……

 

しかし、トイレの扉を開くと、腕を捕まれ、引っ張られた。

 

「は?」

 

突然のことにびっくりして抵抗できずにそのまま便座に座らされる。

 

「由比ヶ浜? なんでこんなところに……」

 

由比ヶ浜が待ちかまえていた。えーと……もしかしてトイレしてましたか?

 

「そんなことよりもヒッキー……」

 

笑顔になって俺の耳元に顔を近づけてきた。え……何ですか……

 

「ヒッキー……いいことしよっか♡……」

 

平穏無事に過ごせそうだといったのは撤回しなければならないらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回の陽乃さんは私の想像の産物です。
「こんなの、こんなの私の知ってる陽乃さんじゃない!」という方はすみませんw

実は全員と時間とスケジュールを綿密に練ってデートというプランもあったんですが、私の技量では無理そうというか……オチが思いつかないのでやめました。

来週は後編です。
ちょっとくらいエロスかもね。できるか知りません。

では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします


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31 クリスマスの受難 後編

まぁ、このくらいの時間差いいよねw
クリスマスに間に合わないとなんか違う気もするから……

というわけで後編
駄文ですが、どうぞ!


酔うと違う人格が顔を出す。

そういう話は聞いたことはあったが信じたことはなかった。

そんなものはアニメやゲームなどのお話であって、普通はそこまでの変化はない。

 

だが、この状況を見て、こういうのは現実でも起こりうるんだなと実感する。

 

うっとりと俺を見つめて俺の上に対面座位で座る由比ヶ浜……

うむ、これはマズい……もう完全に胸当たってるし、愚息も色々マズい…。

 

「あーつーい!」

 

急に由比ヶ浜はそう言って服を脱ぎ始めた。

えええ!

 

「おい、落ち着け……離れれば暑くないから……離れればいいんじゃないだろうか?」

 

「むぅ……それはヤダ! そうだ! ヒッキーこれ脱がしてよ……」

 

「お前は何をいってんだ……そんなのできるわけないだろ」

 

「もう……ヒッキーはいくじなしさんだなぁ……そんなヒッキーのために…後押ししちゃおっかな…」

 

そういうと服の中に手を入れ始めた。

 

そして

プチンとこの狭い空間の中でこだまする小さな音……

 

「お前……まさか」

 

「ねぇ……ヒッキーの理性はまだ溶けないのかなぁ? 女の子がここまでしてるんだよぉ」

 

そう言って後ろに手をまわして、がっちりホールド体制である。

あぁ……たわわ様の形が……俺のボディとユニオンしてシャープがパーフェクトにコラプスするというフェノメノンが起こって……もう完全に思考回路が死んで、なんか玉縄みたくなってる。

 

「ヒッキーの匂いだぁ……えへへぇ…」

 

もう3アウトチェンジかもしれない。

理性の防壁は完全に溶かされ、本能は身体の中を暴れまわっている。

そもそもこのレベルの据え膳を食べないとか……同姓好きとか疑われるな。

 

そう考えると身体から力が抜けていく。

そのことに気が付いたのか……由比ヶ浜から笑顔がこぼれた。

 

「ありがとう、ヒッキー……」

 

顔が、由比ヶ浜の唇が迫ってくる。

あぁ……

 

 

 

「そこまでよ!」

 

 

そして唐突に扉は開かれた。

そこにいた人物は………あぁ……声だけで誰だかわかる。酔っていなかったんだな。その立ち姿……まさしく味方…いや救世主。いや、何……ちょっぴり残念ではあるが……ありがとう……雪ノ下。

 

「由比ヶ浜さん。あなた……あなた……そんなうらやま……何をしているのかしら?」

 

「ここで邪魔するなんてゆきのん…無粋だよぉ」

 

お前、無粋なんて難しいことばつかえたんだな……八幡ビックリ

 

「変なこと考えるヒッキーなんてこうだ!」

 

そう言って顔を由比ヶ浜の胸の中にうずめられた。

メガンテだ……もう頭の中完全にエクスプロ―ジョン……というか……息できない!

あの……胸に押しつけられて、息できないとかリア充の台詞とか言ってすみません。これマジで呼吸できない…

 

「離れなさい。由比ヶ浜さん!」

 

「ゆきのんじゃできないもんね……もうヒッキーは私のお胸にメロメロなのだ。胸大きくてもあんまりいいことなかったけど……ヒッキーが喜んでくれるなら……これでよかったかも」

 

舐めんなよ……お前に手を出せないのは当然だけど……リアルな生命の危機だ。こんな拘束を取るくらいなら難しくないんだぞ。

 

「ぷは!」

 

魔乳防壁脱出成功。苦しい戦いだった。呼吸と理性と……。

 

「ヒッキー……どうだった?」

 

「ありがとう……じゃなくて……ちょっと出させてもらうからな。」

 

雪ノ下が来たおかげでこいつの意識は外にいった。おかげで足の方の拘束は取れた。さっきまで絡み付いてたからな。足が自由ならこいつを傷つけずに脱出することはできる。

 

「きゃ!」

 

由比ヶ浜を抱えて回る。

すると、さきほど俺が便座に座っていたが、由比ヶ浜が便座に座るような形になった。

雪ノ下の家のトイレが広くて助かった。

 

由比ヶ浜に何もないことを確認すると、俺は由比ヶ浜を便座に座らせて、身体を確認する。

よし、大丈夫そうだな。どうやら由比ヶ浜はさっきので、手の拘束が緩くなった。疲れたのか、驚いたのか。よくわからないが呆然としている。今の内だ。トイレから脱出し、扉を閉める。

よし、とりあえず、危機は脱出したぞ

 

「サンキュー雪ノ下」

 

とりあえず、お礼は言っておこう。

 

「いえ、気にしないで。それよりもリビングは姉さんと一色さんがいて危ないわ、こっちに来て」

 

そう言われて手を引っ張られた。

 

「あぁ、ありがとう」

 

まぁ、リビングに戻ったらあの2人だし、これはありがたい提案だ。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

案内されたのは多分、雪ノ下の寝室だろう

大きなベットが目の前にある。

 

ガチャ

 

「え、なんで……うわ!」

 

反応が遅く……雪ノ下に押されベットに身体を投げ出していた。

そして馬乗りに身体にまたがる雪ノ下。この時間、体感にして約5秒。

まさか、お前……

 

「比企谷君……ようやく二人になれたわ」

 

「えーと……どういう意味?」

 

「ごめんなさい……本当はもっと早く二人きりになりたかったのに」

 

「まぁ、落ち着け話せばわかる。」

 

「大丈夫、話は分かってるわ、あなたは胸よりも……足よね」

 

 

何一つ分かってねぇ!!! 俺、そんな話してねーよ!

いや、こいつもやっぱり酔ってる。

しかも……完全に目が据わってやがる。やばい……こいつ救世主じゃない。ただの敵だった。

 

「ねぇ……比企谷君……私もいいことしたいわ」

 

「お前、意味わかってんのか?」

 

「えぇ、あれをこうしてこうすればいいのよね」

 

「それはわかってるやつの説明じゃない」

 

ダメだ、完全に馬乗り状態から動けない。

腕を巻き込んで座っていやがる。しかも胸に座られてるから力が入れづらい。

 

「比企谷君、観念して屈服しなさい。」

 

「この場で言うセリフじゃねーな」

 

「3割冗談よ」

 

「7割本気じゃねーか」

 

ダメだ、こいつも酔っぱらって、完全に思考回路がつぶれてる。

 

「だって……」

 

「え?」

 

「だって……みんな…比企谷君に過激なアプローチして……私はそんな勇気ないし……でもここで勇気出さないと……勝てないし…ヒック……ヒック……」

 

俺の上で泣き始めてしまった。

 

確かに最近、過激なアプローチは多かった。しかし、雪ノ下はそれに参戦はするも……自分から起こしたことはなかった。つまり出遅れていると自覚していた。そして自分がそんなことできるとも思えていなかった。

 

「だからってこんなお酒を使ってまで……」

 

「お酒でも、なんでもいいわ……私ね、比企谷君……確かに胸はあんまり自信はないんだけど……でもね……」

 

そう言って、自分の服をまくり上げている。そこに見えるのは雪ノ下のお腹……そしておへそ

見てる部分は普通なのに……すごくエロいんですけど……ナニコレ……

 

「身体のバランスなら負けてないと思うの……比企谷君はこんな身体じゃ……その……興奮しないかしら?」

 

「興奮くらいするさ、男なんだから。 お前は十分魅力的だよ」

 

「……そう…それが聞けて良かったわ」

 

良かった、納得してみたいだ。これで俺もようやく解放される。

 

「これで心置きなく襲えるわ」

 

ダメだ、元々解放される選択肢なんてなかったんだ。

 

 

「そこまでです! 雪ノ下先輩」

 

「そうだよ、雪乃ちゃん!」

 

「ゆきのんとヒッキー見つけた!」

 

3人が駆け付けた。

どうやら正気に戻ったらしい。助かった。

雪ノ下の力も緩んだ……今がチャンス

 

「うぉぉぉ!」

 

雪ノ下の下からはいずり出て、何とか体勢を立て直す。

よし、動ける。

すると、扉からまたもガチャリと音がした。

なん……だと……

 

扉には鍵……部屋には4人の敵

 

いや、3人は正気に……

 

「「「抜け駆けなんてずるい!」」」

 

ダメだ……もう助かる道ない

すると、雪ノ下は笑みを浮かべて

 

「じゃあ、みんなで楽しみましょうか。」

 

すると、全員がこっちを向いた。

あれ……?

 

「センパイ……タノシミマショウョ」

 

「ソウダネ……タノシモウカ」

 

「ヒッキー……サッキノツヅキ……」

 

「ヒキガヤクン、イイコトシマショウ……ダッテキョウハタノシイ」

 

「「「「クリスマス」」」」

 

 

「うわぁっぁぁぁぁぁっぁぁ!!!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

【材木座義輝’s view】

 

「うわぁっぁぁぁぁぁっぁぁ!!!」

 

やつの断末魔が聞こえ、作戦は終わった。

さて、あやつへの報復も終わったし、帰るか。

まぁ、複数のやつに好かれているリア充など、一度痛い目に会えばいいのだ。

 

決して……決して今までの復讐ではない。

三次元の女性に対してムラムラできないのも……鍋の食べ物を食べて昏倒したから等の理由では決してない。

妹殿に頼まれ、一番度数の高いお酒を飲み物に大量に混ぜただけ。

 

そう、スピリタス(95度)を混ぜただけ

 

「材木座君」

 

「む、戸塚殿か……どうかされたか?」

 

すると、頭に鈍い音がした後、痛みが走った。

 

「てめぇ……八幡に何してんだ!」

 

ワイン瓶を片手に俺にまたがっている。

 

「ちょ、え? 戸塚君だよね。え?」

 

「は?」

 

「いえ、すみません。」

 

え、待って……こんな展開聞いてない。

俺の三次元で唯一の可能性が……こんなこんな……

 

「ちょっと説教だ。言っとくけど……俺からのプレゼントだ。たっぷり味わえよ」

 

「いやだぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クリスマス回終了です

八幡君がこの後どうなったかは皆さんのご想像にお任せします。
少なくともろくな展開ではなさそうですけどw

本当は小町の画策ですけど、計画主体は材木座なので、このオチに……小町はジュース(お酒)の飲みすぎで寝ています。まぁ、材木座君は朝飽きたら、たんこぶだらけでしょうね。

まぁ、エロスっぽいのやりましたけど……
この辺で精一杯です。すみません。非力な私を許してください。

というわけで
これで、2016年最後の投稿となります。
色々ありましたが31話……書きましたね……初投稿なのにw
まぁ、来年もどうぞよろしくおねがいします。

では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします

良いお年を
2017年もよろしくお願いします。


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32 比企谷八幡の逆襲 

さて、新年あけましておめでとうございます

それではみなさん新年一発目ということでちょっとした遊びをいれました。
駄文ですが、どうぞ。
後、今回は基本的に小町視点で進みます。


【比企谷八幡’s view】

 

お正月

それは全人類に与えられた……まぁ、一部を除くかもしれないが……休暇である。家でゴロゴロしていたい。炬燵にいたい。年始特番見ながらみかんが食べたい。あの4人とは会わずにのんびり過ごしたい。確かにこんなリア充発言を聞かれたら非リアにボコられること間違いなしだろう。しかし、前年度の惨劇を思い返してくれ。俺はひどい目にしかあってない。DVDが見つかったことから始まり……長時間の正座、文化祭での騒動、生死を彷徨う……etc え? クリスマス? オボエテナイナ……イイネ?

 

しかも、毎日である。とんだブラック企業だ。このままじゃ過労死です。ならば休みが欲しくなるのは自明の理。

 

しかし、それにはある障害が存在する。それは当然あの4人だ。4人は基本的に俺を外へ連れ出そうとするし、小町は基本的に彼女らの味方だ。この状況の突破はとても難しい。俺の意見は通ったことなどほとんどないのだから。

 

だが、あきらめない。年始からこんな調子では……どうしようもない。

俺は変わる。誰にも負けない意志の強い男になる。あいつらに負けていた昨年の自分は捨てる。

いや、変わるんじゃない。元の自分を取り戻す。

 

なら、基本絡め手を使うのが俺……だがここはあえて正攻法で行く。

俺はまだ本気を出していないというのを分からせてやろう。

 

「あぁ。俺だ……用意してほしいものがある。」

 

 

【比企谷八幡’s view 終】

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

どーも、比企谷小町です。

お兄ちゃんに頼まれて、あるゲームの進行を任されたんですが……、お兄ちゃんからこういうゲームを提案してくるのは裏があると思うんだよなぁ。けど、うまくいけばお姉ちゃん候補4人との中も縮まるし、ここは罠かもしれないけど、乗るのがいいと思うのでやってみます。お兄ちゃんとお義姉ちゃんのために頑張る小町は小町的にポイント高い。

 

そう考えていると、みんなで来たのか、全員集合の状態で比企谷家の前で集まった。

 

「皆さんに集まっていただいたのは他でもありません。お兄ちゃんからとあるゲームの提案をされたんです。それをみんなにしてもらおうと思っています。」

 

みんなが首をかしげている。そりゃそうだ。だってお兄ちゃんは基本的にそういうのをするタイプじゃない。

 

「お兄ちゃん、三箇日は家でゴロゴロしたいそうなんですが、それじゃああの4人は納得しないだろうから、ゲームでもして勝った方が予定を決めようということらしいです。加えて……うわ、これいいのかな……そっちが勝ったら三箇日は付き合うし、そちらの要求になんでも1人1個応じるそうです。」

 

全員の顔が緊迫した表情に変わった。

それはそうだ。あのお兄ちゃんがなんでもすると言ったんだ。普段のお兄ちゃんなら確実に言わない……例えるならそう、富士山が噴火した後、宇宙まで飛んでいくレベルでありえない。この例も意味が分からない……。

 

「で、そのゲームって何かしら?」

 

「えーと……まずこの機械を付けてください。」

 

そう言ってお兄ちゃんに渡された機械を4人に渡す。

 

「これは何だろう?」

 

「これ心拍数を計る機械?」

 

「あ、陽乃さん正解です。」

 

「これを使ってどういうゲームするんですか?」

 

「まずその機械を付けてこの家に入ってもらいます。その後お兄ちゃんが色々してくると思うんですけど心拍数が上がらないように耐えてください。3回一定値超えたらお兄ちゃんと三箇日は過ごせません。」

 

「えーと、どういうことかな?」

 

あちゃ、説明省きすぎたかな?

 

「まぁ、要するにお兄ちゃんが脅かしてくるので耐えてくださいという話ですね。1時間内に3回一定値の心拍数を超えるとその人はお兄ちゃんと三箇日は過ごせません。逆に1時間内に耐えれた人はお兄ちゃんをどれだけ好きにしてもいいという話になります。」

 

すると、全員が思案し始めた。あれ、そんなに小町の説明分かりにくかったな?

 

【雪ノ下雪乃’s view】

 

大方、ルールは理解したわ。問題なのは小町さんの最後の言葉……耐えれた人だけが比企谷君とお正月が過ごせるということは……これは団体戦ではなく個人戦ということ……つまり、合法的に比企谷君と2人で過ごすチャンスがある。それは他の3人が脱落した場合だが、心拍数が超えた場合と言うことは、比企谷君が絶対に脅さなければならないという決まりはない。つまり私が行動することも可能だということ。比企谷君もずいぶんとルールがおざなりなゲームにしたものだわ。勝つのは私よ。

 

【雪ノ下雪乃’s view 終】

 

皆さん、ものすごく考えている。多分このゲームに参加するリスクと返ってくるリターンを考えているのかな? でもこのゲームはリスクは少なく、どちらかと言えばリターンが高い。多分全員が悩んでるのは他のこと……つまりお兄ちゃんがこのゲームの発案ということ。こんな女性陣側が有利なゲームを提案というだけで怪しいのに……内容もかなりお兄ちゃんからしたら厳しいだろう。それとも違うことかな?

 

「私は参加するわよ。」

 

「わ、わたしも!」

 

「同じくです」

 

「まぁ、やらない理由はないよね。」

 

全員が胸に機械を付けた。

おぉ、お兄ちゃんをこんなに思ってくれる人が大量にいるなんて……小町はうれしいよ。

みんな目がぎらぎらしてるよ。

 

「では、我が比企谷家へご案内~」

 

お兄ちゃんも年始早々やっちゃったね。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「ただいま~」

 

「お邪魔するわ」

 

「お邪魔します~」

 

「先輩、来ましたよ」

 

「お邪魔~」

 

すると、リビングの扉からお兄ちゃんが出て……っ!!

 

「おう、おかえり」

 

ヴゥーー

 

比企谷家の玄関でブザー音が鳴り響く。

そりゃ、そうだ。だってあのお兄ちゃんが……

 

 

眼鏡をかけていた

えーーー!! 小町聞いてないよ。眼鏡かけるだけでそんな顔できるなんて。

鳩が鷹になったレベルの大変化だよぉ

 

【由比ヶ浜結衣’s view】

 

わぁぁぁ!

やっちゃったよぉぉ……。ヒッキーずるいよ……そんな姿のヒッキーに対して平常心を保てと言われても……無理に決まってるよぉぉ。まだ2回あるし大丈夫だよね……でもおどかすっていうから心構えしてたのに……こんなの反応するなって方が無理だよー! あ、でも眼鏡姿のヒッキーかっこいいな……でももう一度見たらまた心拍数上がっちゃうかも……

 

【由比ヶ浜結衣’s view 終】

 

 

全員、一回ずつアウト……まさか脅すんじゃなくてこういう手でくるなんて……お兄ちゃんも考えてきてる……。本気で勝つつもりなんだ。ちなみに全員見とれている。もう一色さんの顔なんてニヤケが止まってない。

 

「上がらないのか?」

 

そこでお兄ちゃんからの言葉

 

「上がるよ、その眼鏡どうしたの?」

 

「あぁ、こんな目の腐ったやつといるとあの4人に何か言われるかもしれないだろ。だから今年は色々心を入れ替えようかと思ってな。」

 

うわぁ。お兄ちゃんがこんなキザっぽい台詞を吐くなんて……しかも笑顔……まぁ、これくらいなら……

 

ヴゥーー

 

見ると、一色さんと陽乃さんが胸を押さえてる。結衣さんも雪乃さんも顔を下に向けてる。玄関に入っただけでもうすでに3アウト寸前が2名出た……そして全員グロッキー状態。

 

【一色いろは’s view】

 

やっちゃった!!!

もうすでに2アウトなんて……その眼鏡の姿写真ほしい……私のコレクションの中でもたぶん寝顔と同レベルに入る……その笑顔も撮りたい……あぁ、まずい……落ち着け私。これ以上興奮するとまたブザーがなってしまう。くっ! 完全に舐めてた。周りを脅す作戦が完璧におじゃんだ。平常心平常心……先輩のくせに……生意気な……

 

【一色いろは’s view 終】

 

「どうした? 体調悪そうだが?」

 

そう言って結衣さんのおでこに手を当てた。あぁ、まずい

 

ヴゥーー

 

ですよね~

結衣さん、顔が真っ赤だ。自分からのスキンシップはよくするけどお兄ちゃんからはやっぱり恥ずかしいんだ。すると、玄関からカマクラが出てきた。あれ珍しい。基本的に動かないのに……ってあれ? お兄ちゃんに近づいてない?

 

「どうした、カマクラ?」

 

そう言ってカマクラを抱き上げた。

 

「分かった、分かった、ご飯だな。」

 

笑顔だ。もう笑顔の大盤振る舞いだ。

 

ヴゥーー

 

え? 後ろを見ると雪乃さんが完全に倒れ掛かっている。

あ、猫好きですもんね。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

玄関入った段階ですでに2アウトだけしかいない状態。

お兄ちゃんがここまで本気だとは思わなかった。そこまでして休みが欲しいのか……

お兄ちゃんは本当にこの根性で社会でやっていけるのか……心配になってきたよ。

 

 

【雪ノ下陽乃’s view】

 

平常心ってどうやって出すんだが忘れた……もうさっきから心拍数が下がらない。この状態で一定値を超えそうだ。あの眼鏡も笑顔も見たことない。多分仮面の笑顔だ。分かってる。分かってるのに……反応してしまう。相手は完全に雪乃ちゃんかいろはちゃんかと思ったけど……くっ! 比企谷君を見誤った。

 

【雪ノ下陽乃’s view 終】

 

現在、4人はこたつの中に入って倒れこんでいる。

誰もしゃべらない。多分……心拍数を上げないために平常心を保ってるんだ。

 

すると、扉から戸塚さんとお兄ちゃんが出てきた……あれ、戸塚さん?

 

「みんな、ちょっといいかな……」

 

全員が顔だけを挙げる。なんかこたつで4人がそれをやるとシュールですね。

 

 

 

「僕……

 

…………八幡が好きなんだ……一人の女として……」

 

 

 

「「「「えぇぇ!!」」」」

 

ヴゥーー

ブザー音が鳴り渡った。

 

 

「というわけで、三箇日は好きにさせてもらうぞ。」

 

「先輩、せこいですよ。そんな戦法使うなんて……茄子だと思ったら唐辛子を食べた気分です。」

 

「なんだ……そのたとえは……ルールをあえて不明瞭にしたのはあくまで脅かすという概念をお前らに植え付けるためだ。お前らの内部分裂はあくまで副次的なものにすぎねーよ。」

 

そういうと、1人を除く3人が黙った。

あぁ、そういうことか……。

皆さん、お兄ちゃんと2人きりで過ごしたくて……うーんかわいそうだなぁ。

しょうがない

 

「お兄ちゃん……リセットしようか」

 

「はい?」

 

「だからリセットだよ」

 

「いや、現実にそんなボタンないから」

 

 

「お兄ちゃんはいつからこれが現実だと錯覚してたのかな?」

 

 

「え?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「はっ!」

 

目が覚めたら自分のアパートのベットだった。

まさか……日付を見ると1月1日だと……

 

スマホを確認する。

【メール 12件 着信 15件】

 

………玄関の近くで音がし始めた。

 

さて、今年も頑張っていこうじゃないか……

夢は儚いものだから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




八幡君がたまには仕返しする回を作ってもいいじゃないか
と思ったので作ってみましたが、ダメでした。
夢落ちは一度やってみたかったんですが、、まさか新年一発目とは思わなんだw

後、前回エロスとか言っておいて、ただのホラー回でした。すみませんw

それでは恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました。
今年も応援よろしくお願いします


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33 抱き枕カバーは必ずカバーから入る

まぁ、時期的にあってそうなネタです。
では、駄文ですが、どうぞ


「八幡よ、これが今回の祭典の成果だ」

 

「へぇ、ずいぶんとまた色々買ってきたんだな」

 

今日は材木座が家に来て、昨年度の12月末ごろにでかい会場で開かれる祭典の成果を見せてくれていた。

 

「しかし、お前よくこんなに買えるな、前日入りでもしてんのか?」

 

「否、出展しているからな、共同で……それの恩恵よ」

 

「へぇ、お前案外色々やってんのな」

 

意外と材木座がきっちりと自分の夢に向かって邁進中とは驚きである

 

「それで、なにか用か?」

 

別にこんなものを見せつけられても欲しいのなら後で委託で買えるしな

 

「ふむ、実はなこんなものを手に入れてな……処理に困っているのだ、もらってくれないか?」

 

材木座が鞄からとある物を取り出す。これは何かのシーツか?それにしてはなんかのイラストがあるような……

 

「抱き枕カバーだ」

 

「断る」

 

「理由を聞こう、というかなぜに即答なのだ? 中身も見てないというのに」

 

「お前、また俺を殺すつもりか? 少なくともそんな抱き枕カバー持ってるだけで処刑案件だ。多分燃やされるぞ、俺も抱き枕カバーもな……。」

 

「燃やすって……やられたことでもあるような言いぐさになっておるぞ。」

 

「……」

 

「我が悪かった、しかしお主が気に入るかと思ったんだがな。」

 

「はぁ……どんなやつだよ」

 

正直、抱き枕カバーとか興味ないんだよな……

あっても俺も処理に困るし

 

「〇〇〇〇暮らしの直紀美樹ちゃんだな」

 

「…………やっぱりもらおう」

 

人の好意は無下に出来ないしな

 

「しかし、お主……もう燃やされるのは嫌だと……」

 

「リスクがあるのは百の承知だ、しかし男にはわかっていても行かなきゃならない時がある。」

 

何かかっこいいこと言ってるけど……これ抱き枕カバーの話だよね…

 

「八幡、我は感動したぞ。値段はなくていい……これはお前が抱き枕を買うときまで預かっておこう。見つかると大変だしな。買った日に連絡してくれ。一緒に完成を見ようぞ」

 

材木座は涙を流している。分かってる……たとえこれをもらうことがどれだけの茨の道かなんて。

まぁ、正直材木座に押し付けられたでことをすませばOKだろう

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

というわけで週末

今日、ア〇ゾンさんから白い抱き枕が届く。

 

まぁ、もらうんだから……使わなきゃもったいないじゃん……そう、有効活用だよ。決して……戸塚に似てるとかそういうのではない、勘違いしないでよね。

 

ピンポーン

お、早いな、材木座来てねーんだけどな…

まぁ、いいか。

 

「はーい」

 

扉をあけたらそこには宅配のお兄……

 

「ヒッキー、来ちゃった……」

 

「比企谷君……どうも…」

 

「ひゃっはろー、比企谷君」

 

「先輩、どうもでーす」

 

違った、アマゾネスたちだった。

 

 

「で、今日は何しにきたんだよ」

 

まぁ、説明した可能性があるとはいえ、説明すると基本的にこの4人とは毎日、顔を合わすのだ。

大半、俺が家から出ないため……家に強襲をかけられるのだが……

 

「別に……先輩に会いにきたんですよぉ」

 

「はいはい、そりゃ、ありがとね」

 

マズい……抱き枕カバーはかなり安全なとこ(材木座)のとこに隠してはいるから見つかることはないにしても……抱き枕を見られた場合が問題だ。抱き枕を買ってるのを不審がられるにきまって……しかも無地とか…。

 

ピンポーン

 

ohh……フラグだったわ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ヒッキー、何買ったの?」

 

「別に気にすんな……それよりも外に行かないか? 家にいてもあれだし」

 

ここは外に誘導作戦だ。俺から誘うなんてめったに……

 

「さて、中身確認しましょう」

 

「そうね、内容によっては処分も辞さない覚悟で臨みましょう。」

 

おかしい、俺が買ったものなのに……

 

「これ、抱き枕ですかね?」

 

「なんの変哲もないわね」

 

「そうだろ、だからしまっておけ」

 

「何で今になって抱き枕なのか、教えてほしいなぁ……ねぇ比企谷君~」

 

雪ノ下さんは多分用途に気づいてる。

分かってて口出ししてるな。

 

「別に最近、寝不足でな。ちょっと安眠グッズでもと思ってな」

 

「それで抱き枕っておかしくないですか?」

 

「う……いや、なんだ、ほらあれだよ」

 

「いや、ヒッキー……あれじゃわかんないよ。」

 

くそ、うまい言い訳が思いつかない……

 

「比企谷君は人肌恋しくて抱き枕買ったんだよね」

 

「そうですね……確かにそれが理由……え?」

 

 

「はーい、じゃあ私今日から比企谷君の抱き枕に立候補しまーす!」

 

 

はい?

 

 

「というわけで比企谷君どーん!」

 

「ちょ!」

 

雪ノ下さんが俺に抱き着いてきた……いや、もう慣れたとはいえ言わせて……当たってる!

 

「雪ノ下さん、あの……」

 

「ほらぁ……抱き心地を確かめてみて……」

 

催促をするように手を捕まれ、後ろに持っていかれる。

 

「ほらほら、感触はどう? 普通の抱き枕と違って適温であったかいよ。今ならオプション付きだよぉ」

 

え、オプション!

いやぁ……それはそれで魅力的な……あれ、おかしいな震えが止まらないな……なんでだろう

 

「ヒッキーのえっち!」

 

クリスマスの惨劇を君は思い出せないのかな?

 

「先輩、去勢されたいんですか?」

 

それを笑顔で言うのはおかしい

 

「前科者を夫にしなけれなならないのはつらいけど、これは仕方ないわね」

 

はい、もう通報したみたいな言い方やめてください。

 

「……っていうか……私だって抱き枕に立候補します! 陽乃さんだけずるい!」

 

「そうだよ! 私だってヒッキーの抱き枕がわりくらいできるもん」

 

「まぁ、そのあなたとの添い寝なんて興味ないけど……ちなみに私が抱き枕になるのだから腕枕オプションはつくのかしら?」

 

最後だけおかしいのはもうほっとこう。

 

「ほら、姉さんも離れて!」

 

「あーん、比企谷君のぬくもりがぁ……」

 

「もう十分とったでしょう! 私ならそれだけで色々できますよ!」

 

はい、一色さんアウトー!

 

「というわけで先輩、私も抱き心地確かめてください。」

 

そういうと、一色も俺の腕をつかんで後ろにもっていく。

 

「ここだけの話なんですか……先輩」

 

「ん?」

 

そう言って耳元に口をもっていく

 

「私、新品ですよ。」

 

……鼻血でそう……。

 

「ちょっと、いろはちゃん! そういう話はダメだよ!」

 

「なんでですか~ 先輩絶対にそういうの気にするタイプですよ。」

 

いや、何勝手に決めてんの?

 

「あ、あたしだって新品だもん。 開封すらされてないもんね」

 

「なら、私は梱包すらされてないわ」

 

はい、何の話か分かりません。

 

「ちなみに比企谷君が望むなら、私はどんなプレイでもOKです。」

 

「ちょっと、陽乃さん。何言ってるんですか! まぁ……私もありですけどね」

 

「ほう、いろはちゃん。例えば比企谷君が×××したいとか言っても?」

 

ちょ、え?

おいおいおい、何言ってんの? というか俺絶対にそんなこと言わないから!

 

「私は比企谷君が望むなら、まぁ……いいわ」

 

「わ……私だって負けません、そのくらいOKです」

 

「ヒッキー、×××って何?」

 

1人通常運転だった。

 

「由比ヶ浜は知らなくていい。というか絶対俺言わないから。」

 

「そ、そうなんだ。まぁ……私わかんないけど……ヒッキーが望むなら私もだ……大丈夫……ね!」

 

そういって指をモジモジさせてる。なんだろう。この小動物を見るような感じ……

 

「結衣先輩、あざとい!」

 

それは特大ブーメランだ。

 

「比企谷君……ちなみに私を抱き枕にしてくれるなら……髪とか触っても……」

 

はい、それはとっても魅力的なんだが……どうして……

 

「何故に関節きめてんの!」

 

「由比ヶ浜さんをなでまわすように見てたからよ」

 

理不尽だ!

 

すると、扉が開く音が聞こえた。

ま、まさか……

 

「はちえもーん、届いたか? 早速つけよう………ぜ」

 

材木座の顔がどんどんと青ざめていく。ですよね。

 

「さて、材津君何を付けるのかしら?」

 

「あ、我、用事あるんだった。八幡……じゃあ」

 

それは死亡フラグだが……今はナイス

抱き枕カバーを持って帰るんだ……カバーが生きてるなら多分、大丈夫なはずだ

 

「では、我はこれで……」

 

そういうと材木座がその場に倒れた。

 

「中二先輩捕らえました。どうします?」

 

………お前らの戦闘力どうなってんの?

軽く平塚先生越えてね? 暗殺者志望か何か?

 

「やだー、先輩……私の夢はお嫁さんですよ」

 

八幡の思考を読んでくる後輩やだー

 

「リュックサックの中身をあさりなさい、考えが正しければあの抱き枕の理由が分かるわ」

 

由比ヶ浜が材木座のリュックに手をかけた

や、やめろぉぉぉぉぉ!!

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「よく燃えますね……」

 

「まったく、ヒッキーの煩悩にも困ったもんだよ。」

 

「姉さん、気づいてるなら早めに言ってくれれば、もっと早く終わったでしょうに」

 

「いやぁ、比企谷君に抱き着けるチャンスかと思ってね」

 

目の前には燃やされていくカバー

 

あぁ……抱き枕カバーの神様……ごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




抱き枕カバーの神様ごめんなさい。(二度目)

会話内容は大分やらかしてますねw
なんかキャラ崩壊ってタグ追加した方がいいかも……


それと前からずっと言おう思っていたことがありまして
誤字報告本当にありがとうございます。
自分、まだまだ未熟ですから本当に助かっています。

では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
これからも応援よろしくお願いします






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34 終わりの始まりは突然に

えーと……一応あとがきに書いてます

とりあえず、駄文ですが、どーぞ


現在、2月頭

テストが終わり、大学生お待ちかねの春休みだ。

ちなみにテストは無事に終わりました。あいつら一応、授業中は静かだから。

 

春休みはとゆっくりしたいと思っていたが……もともとあの4人に駆り出されて休む時間もないと考えていた。しかし、ここ1週間特に音沙汰はない。むしろあまりの静けさにこっちが通常運転ができない。

 

まぁ、理由はなんとなく察しが付く。あのお菓子メーカーが作り出した販売を促進させるために生まれた日が近い。チョコでも作っているのだろう。まぁ、基本手作りなら誰のでも嬉しいから邪魔はしない。ほら、男なら手作りバレンタインに弱いからさ。

 

ピンポーン

 

そんなことを考えていると、チャイム音。フラグだったかな……

ア〇ゾン先生に最近注文したものはなかったよな。でもチャイムが鳴るってことはあの4人じゃねーな。

 

扉を開けると。そこには

 

「お兄ちゃん、ちょっといいかな」

 

少し、いや、かなり真面目な顔をした小町がいた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

とりあえず、ココアを入れて、差し出す。

 

「どうかしたのか?」

 

正直、病気でもかかっている印象すら受けてしまいかねないほど、小町の顔色は悪かった。

 

「ちょっとね、言伝を頼まれたんだ。」

 

「言伝?」

 

「うん、雪乃さん、結衣さん、いろはさん、陽乃さんの4人からね」

 

小町の顔色を考えると、ろくな言伝じゃなさそうという予感はする。しかし、いつもどおりの用件だったら、小町はあっけらかんとしているだろう。ということは俺の考えている内容とは多分違うということだ。

 

「どんな内容だ? いつも通り気楽に言えばいいじゃないか? 何をそんなに改まる必要性がある?」

 

「分からない?」

 

「一応、あのお菓子メーカーの日が近いことは存じているつもりだが?」

 

「そうだね、でもそれ以外にもあるんじゃないかな?」

 

それ以外?

別に誰かが誕生日とかそういう話はなかったような。何かあったかと悩んでいると小町が切り出した。

 

 

「4人の言伝を言うね。

 

    決めてほしいんだって、バレンタインの日に。」

 

 

 

……………あぁ、つまりあれか。

年貢の納め時ってやつか。

………マジか。

 

「私はどういう顔をすればいいのかな?」

 

「あ?」

 

「私はお兄ちゃんが選ばなかった人達にどういう顔をすればいいのかな?」

 

「別にそんなのいつも通りでいいだろ。お前には関係ないんだし」

 

 

「そんなわけないでしょ!」

 

 

小町の怒声が大きく部屋に響いた。

こんな激情の小町は初めて見た。

 

「わ……私は雪乃さん、結衣さん、いろはさん、陽乃さんをたきつけた。お兄ちゃんとの仲を取り持てるように仲介をたくさんやった。関係なんて大ありに決まってるじゃん!」

 

「でも、別にお前が恨まれるようなことはないだろ」

 

「あるよ……そりゃもう……」

 

 

恨まれる内容に皆目見当もつかない。こいつは確かに俺の妹という立場を使って4人を手助けしていた。これに関しては特に何かを言うつもりはない。身内から攻め落とす、要するに外堀を埋めるというのは定石の手段だからだ。だから小町はあの4人と仲良くするうえで俺を差し出すといった行為に別に冗談で文句は言うが、真面目に文句を言ったつもりはない。

 

 

「時間だよ。」

 

「時間?」

 

「私が奪ったんだよ。大事な学生の時間を」

 

「おまえなぁ……そんなことお前が気にしてどうする……これは俺が言うのは変だが、少なくともそこに関しては後悔をするかもしれないなんて覚悟の上でやってるんだろ。そこをお前が気にしてどうする……。」

 

「分かってる。雪乃さんも、結衣さんも、いろはさんも、陽乃さんも……みんな覚悟の上でやってるってわかってる。でも………でも……」

 

小町の声が急につまり始めた。

顔を見ると、目から一筋の涙が流れている。

 

「私は、そんな覚悟できてない。負い目を感じないなんてできるわけがない。私はみんなと仲良くしたい。でも……私を見たら必ずお兄ちゃんを思い出しちゃう。そんなつらい思いさせたくない。どうしたらいいか分からない……もう頭の中ごっちゃごっちゃで何を言ってるのかもわかんなくて……うわぁぁぁぁぁん」

 

小町はとうとう泣き始めてしまった。

俺はなんてことをしていたんだろう……妹が苦しんでいるのを理解せずに自分のことだけ気にしてしまっていたのか。

 

自分がしているのはただの選択肢の先延ばしだということはわかっていたはずだった。けれど、その先延ばしがここまでの問題を起こしていて、それを自分じゃない他者に先に影響が来ているなんて想像もしていなかった。いや、想定できなかったんだ。もうこの仲はたとえ誰がどういう間柄になろうとも……壊れないと無意識にそう認識していたのではないか? だからこそ、いつか起こるだろうと思っていたことを楽観的に捉えていたんじゃないか。今の関係があの時求めていたような関係だと認識をしていたから……俺は……。

 

「お兄ちゃん」

 

思い悩んでいると、小町から声がかかった。

 

「これはお兄ちゃんの問題だから、お兄ちゃんがどういう選択をしても私は文句なんて言わないよ。だからお兄ちゃんは私のことなんて気にしなくていいから。ただ、私がここで本音を漏らしたのは内緒にしてね。」

 

「小町……」

 

「えーとね、本音言えてスッキリしたよ。後、お兄ちゃんこれだけは約束してほしい。」

 

「約束?」

 

「4人にきっちりと答え………違うね……お兄ちゃんが納得した答えを出してほしい。それがあの4人の総意だから。」

 

それを言うと小町はコートを着始めた。

 

「それじゃ、お兄ちゃん……私は帰るね」

 

「あぁ……またな。」

 

小町が出て行った後の家の雰囲気は嵐が去った後の静けさのように

ただ、静かに……しかし、緊迫した雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




元々、バレンタインに決着予定だったので、一応これで最終章突入です。今年も楽しみにしてた方はすみませんとしか言えません。リアルの方が3月あたりから忙しくなるので、ちょうどいい幕引きだなと始めた時から決めてました。

どういう結末を迎えさせるかはもう決まってますので皆さんはお楽しみに
初めてシリアスな描写を書いた気がします。難しい……コメディの方が書いてて楽しい……

それでは恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
最終回までお付き合い、応援よろしくお願いします







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35 答えの出し方、選び方

さて、駄文ですがどーぞ


2月13日 バレンタインデー前日

 

世間はバレンタインに向けてこれでもかと広告、CMで宣伝をし、盛り上げてる中

 

俺は1人悩んでいる。

 

どうしても答えが出ない。

選ぶことが出来ない。

 

この1週間家に籠ってずっと考えていたが、一筋の光明すら見えてこない。当然だ。正解なんてものは存在しない。ベストな解答もベターな答えもない。あるのはただ、選ばなかった者たちへの後悔と後ろめたさ。そして待っているのは大切な拠り所の崩壊。あぁ、今なら海老名さんの気持ちが分かってしまう。俺はもうあの場所を壊したくないんだ。それに必死なんだ。

 

時計を見るともう20時近い。

………マッ缶でも飲もう。とりあえず気分を変えよう。

とりあえず、冷蔵庫の扉を開ける。

 

「あ、もう切らしてたか……」

 

冷蔵庫にはマッ缶の存在はない。

なんか、間が悪いことこの上ないな。仕方ない、買いに行くか。

 

コートを着て、玄関からでる。すると、外では雪が降っていた。

 

「雪か……なんかさっきから幸先が本当に悪いな……。」

 

一番近くのコンビニまで歩いていく。

気分を変えてもあまり意味はないのはわかってる。でも何かをしていないともうあそこでつぶれてしまいかねないのだ。ふと、そんなことを考えながら足元を見ていると、前方に人影が写る。

 

「まったく、ちょっと見ない間にずいぶんと目がよどんだな、八幡よ」

 

「八幡、ちょっといいかな?」

 

そこにいたのは材木座と戸塚の2人だった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「それで、何の用だ?」

 

とりあえず、話がしたいということで俺たちは公園へ移動した。

 

「決まっておろう、お主の話だ。まぁ、事情は大体聞いておる。」

 

「戸塚もか?」

 

聞くと、戸塚もうなずいた。まぁ、この時間と時期だ。俺も察しはついていた。

 

「別に何も言うことなんてない、これは俺自身の問題だ。」

 

「八幡……」

 

「まぁ、貴様の言う通り、答えをだすのはお前だ。でも相談くらいはしてくれてもいいんじゃないか?」

 

相談ね……ここで俺が話をするということは相談という建前に隠れた、ただの弱音を吐くという行為に他ならない。そんなことをするのはゴメンだ。

 

「相談もねーよ。さっきも言ったろ。これは俺自身の問題だ。答えなら出す。」

 

自分の弱くて醜い部分はさらしなれてる。けど、こいつらにそれは見られたくない。俺はもう昔と違って心が弱くなり過ぎた。

 

「八幡が答えを出せるなら、選ぶことが出来るならそれでもいいんだ。でも、それが出来ていないから、そんな顔をしているんじゃないの? 八幡の友人をやってきたんだよ。その顔を見てわかんないとでも思ったの?」

 

戸塚の発言はとても耳が痛い。

そんなに露骨に顔に出したつもりはないが、そりゃそうか。こんな目が濁りまくってたらそう思われて当然か。でも……

 

「確かに答えを出すことも選ぶことも今、出来てない。戸塚の言う通りだ。でもこれは俺が考えて導かなきゃいけないもんだ。だからここでお前らに頼ったらダメなんだよ。俺が出さなきゃダメなんだ。」

 

「まぁ、別にお前の考えは間違っておらん。」

 

「材木座君!」

 

「まぁ、戸塚殿……ちょっと見ててくれないか。」

 

なんだ、こいつのこの感じ。今までで一番の迫力というか、なんだろう。一番真面目な感じは……。

 

「選択肢を一つ増やそうじゃないか。」

 

「は?」

 

「逃げればいい。あの4人から……全部捨てて。ぼっちに戻ればいい。元ぼっちプロなら簡単だろうに。」

 

材木座の発言に場が一瞬で凍った。

 

「お前、何言ってんだ……」

 

それだけは絶対にしちゃいけないだろう。俺にそんな権利あるわけ……

 

「正直、お前の大学生活を見てて、ずっとギャルゲの主人公かと思っていたよ。昔もそして今も……な。」

 

「は? お前は本当に何を言ってるんだ?」

 

「4人の女性と大学生活を楽しそうに送り、イベントを乗り越え、付き合う。今のお前の生活とギャルゲに何の違いがある……お前は今、ゲームで言うなら……誰と付き合うかの場面の選択肢手前にいるだけだ。ゲームならその手前でセーブして、終わり次第ほかのヒロインのルートに移行する。選べないならゲームを閉じるのも手だな。もしかしたら大団円のハーレムエンドもあるかもな。逃げたって誰も攻めたりはしないぞ。ぼっちは誰にも迷惑かからない存在だからな。」

 

こいつ……本気で言ってんのか……。

 

「とりあえずそろそろ中二病卒業したらどうだ?ここは現実だぞ。お前はゲームと現実の区別すらつかなくなったか。そんな選択肢許されるわけないだろ。大団円な選択肢なんて現実には存在しないんだよ!俺には逃げることは許されてない。」

 

すると、材木座は笑みを浮かべ

 

「分かってるじゃないか。これは現実だ。大団円の選択肢など存在しない。お前の居場所を守りつつ、ほかの人たちにも迷惑をかけない選択肢も答えも存在しない。」

 

「……っ!」

 

こいつ、俺にそのことを自覚させるためにわざと……

 

「今のお前は本当の意味であの4人と向き合っていない。お前はその存在しない答えを探して選択から逃げてるだけだ。選べ。お前の道はそれ以外存在しない。」

 

ここまでの正論の暴力を受けたのは久しぶりだ。しかも相手はあの材木座。

なのに、言い返す言葉すら思い浮かばない。

けど、俺は……

 

「こんなの俺に選べるわけないじゃないか。誰を選んでも必ず角が立つ。リア充が選べないって葛藤してたのをバカにしてたけど……俺にはこんなの無理だ。できるわけがない。俺みたいに性格もひん曲がってて、心も弱り切った俺なんかにはできない。」

 

「それは違うよ、八幡!」

 

「戸塚……」

 

「八幡は八幡が思ってるほど、ダメな人間じゃないよ。だから雪乃さんも、結衣ちゃんも、いろはちゃん、陽乃さんだって……僕たちだってそうだよ。八幡は僕が会ってきたどんな人よりも心が綺麗で優しい人だよ。だから……じ、自分の……ことを……そんなに悪く言わないで……。」

 

「八幡よ、キツイことを言ったが、お主が選べないならそれでもいい。逃げるのは別にわるいことではない。ただ、我々はお前がどんな選択をしたって友人だ。この関係だけは壊れることは絶対にない。だから俺らのことは言い訳にだけはするな。お前が好きなように選べ。誰のためでもない。お前のために選ぶんだ。」

 

戸塚はこんな俺のために涙を流してくれている。

材木座も俺のためにわざとけしかけるような真似をしてくれた。

 

俺は……

 

「………お前らの気持ちは分かった。色々と迷惑をかけて悪い。今度、何か付き合うよ。」

 

「本当だ、後でわれの小説を読んでもらうぞ。」

 

だが、それは断る。

 

「大丈夫だ、それはネットにアップロードして酷評してもらうものだ。安心しろ。」

 

「八幡、我、さっき良いこと言った。そこはもうちょい優しい言葉をかけてくれても……」

 

「戸塚、寒くないか?」

 

「あ、うん、僕は大丈夫」

 

「送ってくぜ、駅まで。」

 

「あ、ありがとう」

 

「あれ、なんで急に我、空気? ちょっとちょっと待ってくれぇぇぇ!!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

あいつらを送った帰り道、つくづく良い友人を持ったなと実感していた。中学時代の俺に見せてやりたいほどの友人だ。本当に俺は恵まれている。

 

あいつらの言う通りだ。俺は自分の居場所が守りたくてあいつらを見ていなかった。俺は本当に自分のことしか考えていなかった。もともと計算をする場所を間違っていた。

 

どうやったら関係が保てるかじゃない。どうやったら迷惑をかけないで済むかじゃない。

 

あの4人の中で誰と一緒にいたいかだ。完全に問題をはき違えていた。

 

と言っても……俺は本当に選べるのか?

ここでようやく問題が分かっても結論がそんな簡単に出るわけが……

 

 

すると、横に黒塗りのどこかで見たかのような車が止まり、人が出てきた。

長い黒髪に白衣をまとったその人は俺を見てニコリと笑った。

 

「補講の時間と行こうじゃないか。比企谷。」

 

そう、平塚先生が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




熱い展開がやってみたかったんや……すまない……向いてない。

ちなみに平塚先生の出番を消していたのはこのためです。
最後の助言役は平塚先生と決めてました。

材木座はキャラが大分熱血になってしまった。
いや、これはこれでいいのかなぁw

さて、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
ラストまで応援よろしくお願いします。


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36 そして比企谷八幡は……

ラストスパートです
駄文ですが、どうぞ


「あの、先生……何処向かってるんですか?」

 

あの後、俺は狙ったかのようなカッコいい登場をした先生と一緒に車に乗っている。本当にこの人は女性なんだろうか……今のは完全に男性より女性が群がる登場の仕方だったんですけど……。というか何処へ連れていかれるのだろうか。

 

「心配するな、ちょっと話でもしよう。とりあえず聞くが、決心はついたのか?」

 

「……まぁ、腹はくくりました。ですが、肝心の相手はまだ決まってないです……。」

 

そう、まだ選ぶ覚悟はできたが選べていない。だというのに、ほとんど時間は残されていない。

 

「昔、私が比企谷に言った台詞覚えてるか?」

 

「たくさんありすぎて逆にどれを指すのかわかりません。アラサー自虐ならって聞きたく……というかもう30超えてましたっけ……ヘブッ!!」

 

「すまんな、比企谷。ちょっと車が揺れただろう。」

 

あれ、おかしいな。

早すぎて見えなかった。というか車乗ってんのにどうしてそんな風に殴れるのか聞きたい。

 

「そうだな。本当に君は問題児だったからな。色々言ったな」

 

殴ったのスルーですか。はい、ですよね。

 

「そこまで問題児でしたか? 俺、数学は置いとくにしても……ほかの教科とか授業とか普通に真面目に受けてましたよ。校則を破ることはしてませんし、少なくとも問題児扱いはされるほどのことはあったとは思えませんが。」

 

「問題児さ、私から見たらもう、どういう育ちをしたらここまで高校生でこういう考えができるのか不思議だったよ。君の高校生活を振り返っての作文は私は教師人生一生の思い出だな。青春とは悪であり、嘘であるだったか?」

 

うわぁ……恥ずかしいな。それはそれで。しかしよく覚えてるもんだ。

 

「だが、君の青春は奉仕部に入ってから変わった。君は周りを変えていき、そして周りに変えられていった。だからこそ今の君がいて、周りがいる。少なくとも奉仕部に入らなければ、手に入らなかったものだ。君が青春のために動いた結果だ。そしてそれは今も続いている。」

 

「まるで、俺が青春のために行動をしていたかのような台詞ですね。そんなことはしてませんし、奉仕部に入部させたのは平塚先生でしょうに。」

 

「そうだな、しかし君が青春を謳歌してみたいという気持ちは行動には一応出ていたよ。高校時代を振り返っての作文がそのいい例だろう。」

 

「……どういう意味ですか、それ」

 

「私はなぜ、あんな作文を書いたと聞いたとき君はこう答えた。近頃の高校生は大体こんな感じだと。しかし内容はどう見ても舐め腐った作文だ。たとえあれを見たのが誰であろうとな。」

 

別に否定はしない。

あの時の俺はただ、自分の経験に従って書いただけだ。

 

 

「君があの時、本当にぼっちを名乗っているのならあの文章は書かなかったはずだ。少なくとも先生に呼び出されるような作文は絶対に書かない。ぼっちは基本目立たないように行動するのが基本原理なんだろう?」

 

「……っ!」

 

「あれを書いた理由は簡単だ。現状からの打破、ただその一つに過ぎない。君の理性や考えはぼっちを貫いていた。ただ、本能のたった一部分がそれに反抗をしたんだ。ささいな……そう一つの作文という形でな。それになんら意味はなかったのかもしれない。呼び出されるだけで済んだかもしれない。けどそこで君の青春、人生は変わったんだ。君の本能の片隅にはそれを望む声があったんだ。自分でも気づかない部分でな。」

 

目から鱗という表現がこの場では一番正しいのだろうか。

俺は自分の気づいていないところで、最初から行動していたんだ。欲しいものが何かは形になっていなかったし、言葉にもできなかったあの時から俺は欲していたんだ……あれを

 

「だがな、比企谷……その青春にも必ず終わりは来る。今がその時だよ、比企谷。」

 

「終わりですか……」

 

「そうだ、いつか誰でも必ず大人になる。そう、私みたいな30代独身にな!!!」

 

空気が凍った。

 

「そういう自虐は婚期を遅……ぐはぁ!」

 

見えない拳が俺を貫いた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「まったく、君は本当にそういうところは変わらないな。まぁ、そこがあいつらは良いんだろうな。」

 

学習した。

あの拳の原理はわからんが、シートベルトをしている以上絶対によけられないんだから藪蛇はやめよう。

本当にやめよう。俺の身がもたない。

 

「本当趣味悪いですよね。あいつら」

 

「君が言うのかね、それを」

 

正直、どうかしてるとは常日頃思う。俺はそこまで良い物件とは言えない。一般論から言えば葉山とかの方がよっぽど良い物件なのではないのか?

 

「君が悩む理由も分かるがね、なにせ一生の選択だ。」

 

「一生ってなんですか……そんなつもりは……」

 

「なんだ、選んだ相手と別れるつもりなのかね? 君は。」

 

「そういうわけではありませんけど……そこまで考えてなかったといいますか……」

 

「だろう。だから一生を決める選択と言っても過言ではない。」

 

「俺が愛想つかされて、相手から別れたいって言われる可能性はあるでしょ。」

 

「そんな可能性が1%でもあるなら、こんなことにはなっていないんじゃないか? それとも自分から別れてもらうために何かするのか?」

 

さっきからぐぅの音もでない。

材木座にも相当言われたけど、平塚先生の発言も刺さる。

 

「さて、では私からのアドバイスをやろう。」

 

「アドバイスって……」

 

この人、恋愛関係に対してのアドバイスなんてできるのか?

 

「さて、不穏な考えが浮かんでないか、比企谷」

 

「え、どうですかね……ハハハ」

 

俺の周りの女性、心読めるやつ多すぎ!

 

「何度も言うが、君はこれから大人になっていく。青春時代はもう終わり……そのうえで

 

 誰と一緒に未来を歩いていきたいかだ。それを考えてみろ。今だけじゃない、これからの君の幸せな未来には誰が隣が一番いいのかを考えるんだ。」

 

今だけじゃない。未来を一緒に歩いていきたい人を選べか……

 

「そんなに想像力豊かじゃないんですけどね」

 

「別に家庭像を想像しろなんていってないだろう。苦しいとき、辛いとき一番隣にいてほしいのは誰かという話さ。今も、そしてこれからも。」

 

辛いときに隣にいてほしい人、苦しい時に隣で過ごしたい人

 

「楽しいとき、嬉しいときを隣で共有したい人って考えもあるな。」

 

楽しいときを隣で共有したい人、嬉しいときに隣で分かちあいたい人

 

「それを考えたとき誰が一番に思い浮かんだか。重たい考えだとは思うが、どうせ別れるようなことはないんだから、この考え方もありだろう。」

 

まったく……本当にこの人にはかなわない。

俺の人生はこれからも続いていく。大学生活だけじゃない。社会人になって、働いて……まぁ、いつか子供とかもできて夫婦になっていく。俺みたいに恋愛経験がないやつはもう重たく考えるくらいがちょうといいのかもしれない。でも、この考え方って……

 

「もっと決めにくくなりました。」

 

「そうだと思ったよ。」

 

「先生、ひどくないですか?」

 

「いや、何……教え子が私を差し置いて恋愛とか結婚とか別に気にしてないから。私はまだ29歳と〇〇ヵ月だから。」

 

それは気にしている人の台詞ですよ。そして最後の台詞は婚活パーティーで使わないようにね……

 

「別に結婚とかは全然まだまだ先の話ですよ。何で俺に嫉妬してるんですか。」

 

「バカ野郎! そういうこと言ってると結婚する機会を無くしたりするんだ……いや、私はまだ大丈夫だから。」

 

もう、本当に誰かもらってあげて……俺はもう無理そうだから。誰かお願い。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「さて、着いたぞ」

 

「ここは……」

 

車が着いた場所は総武高校だった。

はぁ、ずいぶんとまた演出が凝ってると言うか。まぁ俺の青春に対しての答えを出すにはふさわしい場所なのかもしれないな。

 

「比企谷、これを」

 

「これは……」

 

「もしものためのものだ。使わないならそれでいい。それと彼女たちの居場所は簡単だ。君ならなんとなくわかるだろう。」

 

「分かりました、先生ありがとうございます」

 

「うむ、君の選択を楽しみにしている。ちなみに今日の宿直は私だ。だからその辺気にせずしっかりな。」

 

「その辺って……そんなことしませんよ。じゃあ、行ってきます。」

 

頭によぎるのは材木座、小町、戸塚、平塚先生の言葉

そして、4人の顔。

 

覚悟はできた。もう悩みに悩んだ。

答えはない。けど出すには出した。

 

さて、答え合わせと行こう。

 

自分の幸せをつかむために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで次回、最終回です。
最終回投稿日は2月14日㈫となります。なので来週はお休みです。
皆さんが納得できるような最終回にできるように私も頑張ります。

今回、八幡の作文についての独自の解釈があります。
俺だったらの考えなんで、合わなかったらすみません。

シリアスきつくてついネタに走ってしまう。
マジ、悪い癖w

では、恒例の謝辞を
今回も読んでいただいてありがとうございました
最後まで応援よろしくお願いします。


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37-1 雪解けと一緒に

雪ノ下雪乃ルートEND


もう、足はそこへ自然と向かっていた。

 

あいつとの初対面はもう最悪で、正直、あんなに悪口を面と向かって言われたのは初めてだったり、家族以外の女性と喋るというのが久しぶりだったりといろんな思い出がある。

 

あいつとの出会いはそう

 

この空き教室に連れてこられてから始まった。

俺の青春が始まった場所で、高校生活で一番通い詰めた教室

 

扉を開けると俺が会いたかった人物は昔と同じように

同じ位置、同じような所作で椅子に座っていた。

 

 

「お前に会ったのはここが最初だったよな」

 

「そうね、連れてこられた頃はゴミを見る感じで見てたわ」

 

話しかけると彼女もこっちを向いて、返事をしてきた。

 

「俺も、最初に会ったとき性悪女だって思ったわ」

 

嫌味を返すと少し笑いながら彼女は立ち上がり、俺らは自然と何かに導かれるように近寄り始めた。

 

「これ、あなたに渡したくて。バレンタインでしょ。」

 

そう言って彼女は小さい紙袋を渡してきた。

 

「あぁ……ありがとう。その……俺は」

 

「比企谷君……私から言わせてほしい。ずっと言いたかった言葉だから。」

 

彼女の目は真剣だった。

あぁ……そうだな。俺は彼女のこういう部分が羨ましいと思っていたんだな。

憧れで、尊敬の感情だと思っていた。けど、それはあくまで彼女を恋愛の対象として見ていなかったからだ。高嶺の花だと目を背けていて逃げていたからそう思うしかなかった。でも、それはもう違う。彼女の好意に向き合う。

 

 

「比企谷八幡君。あなたのことが好きです。私とお付き合いしてもらえませんか。」

 

 

シンプルな告白だった。

彼女のことだ、きっと色々調べてたんだろう。色々な告白の仕方も調べてきたんだろう。根が真面目だから。

だからこそ、この告白はすごくうれしい。そうに決まってる。彼女が自分で考えてきたのだから。

俺はこの言葉は生涯忘れることはできないだろう。

 

「返事をもらってもいいかしら?」

 

少し、気まずそうに、そして震える声で話す雪ノ下

そうだな。答えは早く言ってしまおう。

 

 

「あぁ、俺もお前のことが好きだ。俺からもよろしくお願いします。」

 

俺もシンプルに明確に。

 

「……っ!」

 

俺の言葉を聞くや否や、雪ノ下は顔を手で抑えて泣き始めてしまった。

 

「おい、大丈夫か」

 

え、告白OKしたのにこの感じなんですか……。俺、何か失敗した?

 

「胸が熱くてたまらないの……こんなにも嬉しいのに……涙しか出てこないの。」

 

顔を上げ、雪ノ下は笑顔を見せてきた。

それを見た俺は無意識に頭に手を乗せていた。

 

「お前、うれし涙って言葉も知らないのか? 国語俺より得意だったろ。」

 

「言語上の意味くらい知ってるわ。でも……こんなものだとも思っていなかったから。」

 

涙を流しながら見せるその笑顔は今まで見た笑顔の中でも一番に輝いて見えた。

そして1時間ほど泣きじゃくる雪ノ下の背中や頭をなでていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「一生分の恥をかいた気分だわ」

 

「おい、何故それを俺に言う……」

 

泣き止むとあまりに自分の言動が恥ずかしくなってしまったのか。それとも行動か。

急に落ち込み始めた。

 

「末代までの恥よ。お嫁に行けなくなったわ。どうしてくれるのかしら?」

 

「どうせ、俺が嫁にもらうんだから何も問題ないだろ。」

 

すると、雪ノ下はどんどんと顔が赤くなっていく。

あれま、頬が真っ赤っかだ。

 

「あなた、どうしてそういう発言を不意打ちでするのかしら、こっちも準備というものがあるのよ。えぇ……あなたはいつもそう………だから…………もう……ばか。」

 

「別に俺は別れるつもりなんてないからな。未来の話をしただけだ。合理的に考えたらそうなるだろ。」

 

すると、彼女はため息をついた。

 

「なんだ、文句でもあるのかよ。こっちだって恥ずかしいんだぞ。」

 

「いえ、あなたという人は本当に……」

 

何かを言いかけるとふと、何かをひらめいたのか。笑みを浮かべ始めた。

あ、地雷踏んだかも……

 

「じゃあ、プロポーズはいつかあなたからしてね、楽しみにしてるから。」

 

はい、あんまり柄でもないこと言うもんじゃないな。

指輪頑張ろう。

 

「いつかな。」

 

「えぇ、いつか。」

 

俺たちは何も言ってはいないが、手を取り合って立ち上がる。

 

「高校時代、私を助けてねって私があなたに言ったことがあったの覚えているかしら。」

 

「まぁ、そんなこともあったな。」

 

確かディスティニーに行ったときだったか。

 

「私は自分がなかった、いや、ないと思ってた。だからほかの人を目標にしなきゃ生きていけなかった。」

 

こいつ自分でそれにきっちり気が付いていたのか。

 

「でも、みんなと勝負して、自分の気持ちを一生懸命に押し出して分かったの、私は私の気持ちをはっきり言えるんだって。私はちゃんと一人の人間として気持ちも感情も出せるんだって。私には自分があるんだって。だからあの時の言葉少し変えさせて頂戴。」

 

息を吸い込んで、吐き出す雪ノ下。

 

「あなたは私が支えるわ、だから私のことを支えてほしい。」

 

何を言い出すかと思えば……そんなの答えなんて決まってるじゃないか。

 

「あぁ、約束だ。」

 

そういうと、彼女は微笑んで

 

「えぇ、期待してるわ。好きよ、比企谷君。」

 

 

 

 

 

俺の青春ラブコメは高校生活を飛び越え、大学でも続いていき、間違いだらけだった。

 

けど、この選択に、この決断に、後悔はない。

 

俺は雪ノ下雪乃と未来を歩んでいく。

 

これが俺の本物だと信じて。

 

 

 

 

 

 

【after】

 

はい、皆様お元気ですか。

私は元気に社畜をして生きております。

 

「はぁ……午後の休みを取れたはいいが、結局遅刻だよ。」

 

タクシーを降り、受付で保護者の札をもらい、首に下げる。

あいつ、もう来てるよな……うわ……後で絶対に怒られる。もうヤダ。

 

目当ての教室を見つけ、外から中をうかがう。

どうやら五十音順での発表らしく、まだ順番は回ってきてないっぽい。

 

ほっと安堵するのもつかの間

中から、俺に向かって冷ややかな目線がぶつかる。

 

はい、すみなせん。仕事が長引きまして……本当なんです。

こっそりと音をたてずに、隣に立つ。

 

「あなた、時間指定したわよね。今日が何の日か分かってる?」

 

雪乃はもうかなり良い位置でビデオカメラを構えている。

あれ、あんなの家にあったっけ?

 

「それ、買ったの?」

 

「最新機種を買ったわ。それでなんで遅れたのかしら?」

 

「はい、重々承知していたんですが、仕事の都合で色々トラブルがあってな。これでもマジで急いだんだぞ。」

 

本当だもん。

この日のためにどれだけのデスマに耐えたと思っているんだ。

それほどまでに重要な日なんだぞ。

 

「来たわよ、静かにしましょう。声が入ってしまうわ」

 

どんだけだ。

まぁ、分からんでもないけどさ。

 

 

「では、次の人読んでください。」

 

「はい!」

 

先生に言われて、元気よく立ち上がる女の子

 

「わたしのりょう親 1年1組 ひき谷 りっ花」

 

そう、今日はとても特別な日

娘、六花の授業参観日である。

 

 

「おとうさんはいつもおしごとから帰ってくるとしんだ魚のような目をしています。」

 

おい、失礼だろ。

というか、誰だ、そんな表現教えたの……

 

「だけど、りっかが大丈夫って言うといつもあたまをなでてくれます。そのなでてくれるのがわたしはすごく好きだから、わたしはおとうさんになでてほしくて、なでてもらうためにわたしはまい日いい子でいようと思ってます。」

 

なんか泣きそう

お父さん、嬉しくて今、涙流しそう。

 

「おかあさんはいつもきれいでやさしいじまんのおかあさんです。でもおこるととってもこわいです。このまえも、おとうさんがせいざしているのを見てるおかあさんはとってもこわかったです。でもいいことをするとほめてくれるのでわたしはほめられるようにまい日いい子でいようと思っています。」

 

そういえば、そんなことあったな。

この前、泥酔したときか。やべ、鳥肌が……

 

「でも、このまえわたしはわるいことをしてしまいました。でもわたしはおこられるのがこわかったけど、おかあさんにあやまりました。そしたらよくいえたねとほめてくれました。はなしをきいたおとうさんそのあともなでてくれました。そのときおとうさんがわるいことはみんなやってしまうかもしれないけど、それをみとめてあやまるのはすごいことだといってくれました。だからおとうさんとおかあさんがえがおでいられるひとにわたしはなりたいです。おわり。」

 

拍手が起こる。

 

「あれは誰の娘だよ……本当に俺とお前の子供か?」

 

こんなの俺、1年生でも言えない。というか恥ずかしくて言えないわ

でも、お父さん嬉しくて今すぐに抱きしめてあげたい。

 

「私とあなたと違って元気のある子だから、私たちみたいなことにはならないわ。でもあなたとそっくりよ。」

 

「どこがだよ。見た目なんかお前そっくりだろ。」

 

「指が5本あるところとか目が2つあるところとかあなたにそっくりよ」

 

それは人間の基本ベースだと思うんですが

 

「冗談よ、けど似ているわ。何処がかは秘密だけど。」

 

そう言って笑顔になった。

 

「はいはい、自分で考えますよ」

 

俺はいつまでたってもこいつには頭があがらない。

それは幾度と月日が流れても、変わらない。

だが、それ以上に俺がこいつを好きでいる気持ちも変わることない。

 

 

これが、あの時、あの場所の青春物語の終着点から続く俺たちの未来

 

俺の幸せはここにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~fin~


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37-2 結ぶのは想い

由比ヶ浜結衣ルートEND


もう、足は自然とそこへ向かっていた。

 

その子の想いはきっと何かの勘違いだと思っていた。

いや、思い込もうとしていた。

 

だからこそ、一度突き放して関係を解消をするべきだと考えた。

自分がまた勘違いをしてしまう前に。

 

でも、それは間違った選択だった。

彼女はひたむきに、愚直に、俺に向かってきてくれた。

俺に自分の想いをたくさん言ってくれた。

 

彼女とは3年生も同じクラスだったが、やはり2―Fの教室が彼女との思い出の場所だろう。

扉を開けると、彼女は机に座っていたが、俺に気づいて立ち上がった。

 

「ひ……ヒッキー……」

 

「おう、由比ヶ浜……久しぶりだな」

 

だが、その後の言葉が続かず、沈黙が流れた。

……気まずい、覚悟を決めても俺の基礎ポテンシャルは変わらないんだよな。

告白とか無理では?

いやいや、あきらめてどうする。

いつも来てもらったんだから、こっちから行くのが筋だろう。

 

「「あの!」」

 

……またしても流れる沈黙

 

「お前からでいいぞ」

 

「いや、そこはヒッキーからいいなよ」

 

押し付け合いの始まりである。

いやね、レディファーストだから。

決してビビってるわけじゃないから。

 

「あ、そうだ!」

 

そういうと、由比ヶ浜は鞄から小さい装飾のついた袋を取り出し、俺の前に出した。

 

「えーと、バレンタインだから、その……失敗しちゃって量少ないんだけど……成功したの入れたから食べてほしいかな。あはは」

 

「おう、ありがとな。大丈夫だ。お前の料理の味見……実験に付き合わされてんだ。胃袋はもう鉄に近い。」

 

「ちょっと! 実験ってひどい! ヒッキーのバカ! ボケナス! 八幡!」

 

「八幡は悪口にするのをやめなさい。なんか人権否定されてる気分だから。」

 

「金券規定って何?」

 

「もういい、俺がお前に難しい言葉を使ったのがバカだった。」

 

「なんで、そういうこというかな……もう……プッ」

 

「いや、言われてもしょうがないだろ……プッ」

 

「「あははっははは」」

 

バカっぽい口論の末、俺たちはお互いに笑っていた。

 

「いや、ヒッキーとはいつもこういう空気がいいな。」

 

「まぁ、お前とシリアスとかないわな。」

 

「そんなことないよ。だって今から……ね」

 

指をくねくねさせ始める由比ヶ浜さん。だから天然であざとい仕草はやめてくれますか?

 

「よし!」

 

由比ヶ浜は息を整えて、言葉を叫ぶと俺の方を向いた。

その顔はいつも見る笑顔と違い、真剣そのものだった。

 

「ヒッキー……ううん、違うね……比企谷八幡君……これも違うような……」

 

「別に呼びやすい方でいいだろ。それとも俺から言うか?」

 

「いや……私からがいい。ヒッキーからも聞いてみたいけど、私は自分の初恋に自分できっちりけじめをつけたい。」

 

「そ、そうか。」

 

由比ヶ浜はまた深呼吸をして、落ち着こうとしているのだろうか。

胸が上下運動していて目のやり場に困る。

……俺はおっぱい星人か! 真面目な場だろ、これ。

 

「ヒッキーは私のことビッチとか呼んだり、自分だけで突っ走って嫌なことばっかして、本当に私はいつも心配してたし、嫌いになりそうにもなった。」

 

「そうだな。高校時代は色々迷惑かけたよ。」

 

実際、見捨てられてもおかしくないようなことばっかりだ。

大変申し訳ないです……。

 

「でもね、でも……私はヒッキーのこと嫌いになれなかった。だって私のヒッキーへの気持ちの根本はずっと変わらないから。大切な大事な気持ち、私の本物。」

 

由比ヶ浜は静かに、自分の気持ちを吐露していく。

しかし、その目には一筋の涙が流れている。

 

 

「私は、ヒッキーのことが大好きです。」

 

 

心臓が跳ねる感じがする。

言葉にされるだけでこんなにも……俺は……こいつのことが……

 

「あぁ、俺も好きだ……お前のこと。」

 

そういうと、由比ヶ浜はこちらに急に抱き着いた。

 

「お、おい!」

 

「やっと言えた。それだけでも嬉しいのに……気持ち届いたんだ。ありがとう、ヒッキー。本当にありがとう。」

 

「お礼を言われる筋合いはねーよ。ごめんな、お前の気持ちを見ないフリをしていて。」

 

俺は由比ヶ浜を抱きしめる。

 

「うん、もう目をそらさないでね。ずっと一緒だよ。ヒッキー」

 

「あぁ、必ずだ。」

 

 

 

 

 

俺の青春ラブコメは高校生活を飛び越え、大学でも続いていき、間違いだらけだった。

 

けど、この選択に、この決断に、後悔はない。

 

俺は由比ヶ浜結衣と未来を歩んでいく。

 

これが俺の本物だと信じて。

 

 

 

 

 

 

【after】

 

机に挟みあって座る俺と結衣

ピリッとした空気が間に流れる。

 

「俺は確かに寝具購入の許可は出した。」

 

「うん」

 

「だけど、お前何してんの?」

 

「何かした?」

 

 

「ベットはダブルじゃなくてツインにした方がいいだろ! なんでダブル買ってんの? バカなの?」

 

俺が怒ると、それに反撃をかましてきた。

 

「私たち結婚したんだから絶対にダブルに決まってんじゃん! というかバカっていう方がバカなんだからね!」

 

俺たちはベットがダブルかツインかで喧嘩をしていた。

 

事の発端は結婚をして同棲を始めた俺たちだったが、寝具は布団を敷いていた。

そこで結衣が、ちゃんとした寝具が欲しいと言い出したので、お前に任せると買わせたところ、今日の宅配でとっても立派なベット……ダブルベットが届いたのだ。

 

しかし、俺はツインを買ってくると思っていた。寝る場所は一応、別個にしているので。

いや、百歩譲ってダブルでもツインにもなれるタイプを買ってくると思っていた。

しかも分離すらできないタイプ……喧嘩に発展……現在に至る。

 

「だからってお前……ダブルにもツインにもなれるベットあったろ。どうして分離不可能なの買ってくるんだよ!」

 

「嫌、絶対にヒッキー分離可能だと分離するし。」

 

「だからってな。お前喧嘩した後とかどうすんの? 俺にソファで寝ろってこと?」

 

「別に喧嘩しなきゃいいじゃん。私は心広いからね、ヒッキーが何をしても怒んないし。」

 

ほう。

 

「冷蔵庫にあったプリン食べた、すまん」

 

「あーーーー! やっぱり! バカ!」

 

「怒ってるじゃないか。嘘つきだなぁ」

 

そういうと顔を真っ赤にして

 

「ヒッキーが怒らすようなこと言うからでしょ!」

 

腕を振り回して言い出した。

もう、かわいいからやめて……。

 

「ヒッキーは一緒に寝たくないの?」

 

そう言ってちょっと涙をためた目で見てくる。

 

「おい、その目やめなさい、うるうる目やめなさい、なんでもOKしちゃうから。」

 

「むむ、この手が通じなくなったか。」

 

こいつ付き合い始めてからどんどん狡猾になってないか?

惚れた弱みとはいえ、俺も甘すぎだけどさ。

 

「お前、ダブルの何がいいんだ? 結婚している夫婦でも寝床は別は普通だぞ。」

 

「だって……最近ご無沙汰だし。」

 

机に頭を打ちそうになった。

 

「お前……そんなことでダブル買ったのかよ!」

 

「だって! だって! 最近、構ってくれないし、お膳立てしなきゃダメなのかと……。」

 

「俺だってそりゃね……いや、お前は何を言わせようとしてるんだ。」

 

いやね、俺だって結衣とそういうことたくさんしたいけどさ。

身体目当てというわけではないしさ、一応男の見栄を張っていただけなんだけどさ。

 

「逆にヒッキーはダブルの何が嫌なの?」

 

「まぁ、最初は良いとしてもだ、後々、年を取っていくごとに二人で使わなくなっていくんだよ。帰る時間も違うから一緒に寝るときも少ない。先に寝た人を起こすのが申し訳ないからベットに入りづらいとか色々あるだろ。俺の両親も最初はダブルだったらしいが、ツインに変えてたぞ。」

 

そういうと結衣は何かを考え始めた。

 

「でもさ、それってさ、お互いの気持ちがきっちり通じあってたら問題ないよね。」

 

「まぁ、そうだが……。」

 

「なら、大丈夫だよ! だって私たちずっとこれから仲良し夫婦だもん。それは歳をとっても変わんないでしょ。ヒッキーは私のこと嫌いになる? わたしは絶対にそれだけはないから安心していいよ。でも浮気は泣いちゃうかも……。」

 

「アホ、浮気とか俺にあり得るわけないだろ。というか、お前……その質問はずるいぞ……」

 

そんなのあり得るわけないじゃないか。

 

「じゃあ、これで話し合いは終了ね、はやく家具配置しようよ。部屋の間取りも変えなきゃね。」

 

ちなみにこの手の喧嘩は同棲始めてからよくやっている。

15戦0勝15敗である。いや、決して泣き脅しに屈したわけではない。本当である。

 

「お前、本当ずるいわ」

 

「えへへ、そりゃヒッキーは私のこと好きだから私のお願いちゃんと聞いてくれるもんね。」

 

「くっ……もう否定はしねーよ。」

 

「でもね、ヒッキー」

 

「うん?」

 

「私の方がヒッキーのこと大好きだから、安心してね。」

 

あぁ、こいつにはかなわないなぁと実感する。

でも

 

「残念、俺の好きの気持ちはお前より俺の方がもう多いから、安心は出来ねーな。」

 

「む、絶対にわたしの方が好きだもん。これは絶対に譲らないもん!」

 

これからもっと大変なことはたくさんある。

喧嘩もするだろう。けど笑顔の絶えない関係でずっといたい。

 

これが、あの時、あの場所の青春物語の終着点から続く俺たちの未来

 

俺の幸せはここにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~fin~


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37-3 いっぱいの色に染められて

一色いろはルートEND


もう、足は自然とそこへ向かっていた。

 

正直、何を考えてるか分からない奴だった。

葉山に告白して、葉山のことが好きとか言ってたのに、俺を誘惑するような台詞ばかり言うし、

大学もなぜか俺と同じ学部までくるという行動。

勘違いにしたいけど、出来ない、いやしたくない感情が俺の中をだんだんと渦巻いていた。

 

 

そして、その何を考えてるか分からん奴にどんどんと心を奪われてしまった俺も何を考えてるか分からない奴の仲間入りである。

 

目的の教室にたどり着いた俺はその扉を開けた。

そこにいた彼女は、机の上で頬杖をつきながら何かの包みを見ていた。

 

「一色」

 

そう呼ぶと、俺の方を向いて、驚いている。

 

「え、えーと……お久しぶりです、先輩」

 

「おう、その……俺の気持ちを言いに来た。」

 

そういうと、一色は少し、悲しそうな顔をしたと思うと、一転笑顔になった。

 

「残念ですが、私から言わせて下さい。自分からもうすることもないでしょうから。」

 

どういう意味だ?

もう、俺と別れるつもりはないってことか?

 

「まぁ、お前がそうならいいが……」

 

「はい、じゃあ言いますね」

 

息を整えている一色、うむその仕草すらあざとい。

 

「ひねくれてるし、顔なんて葉山先輩の方がカッコいいです。私のことあざといって言うし、ほかの女の人たぶらかすし、暗いし、将来が安泰してるか分からないし……先輩はわるいとこだらけです。」

 

「おい」

 

言い過ぎだ。

 

「でも、そんな欠点だらけの先輩のことが好きです。私も偽物じゃない、本物が欲しいです。」

 

こいつの真面目な顔は久しぶりに見たかもな。

あざといとかいつもだけど、素のこいつは意外と真面目なんだよな。

 

「まぁ、どうであれ、お前の気持ちは伝わったよ。ありがとう。」

 

「では、先輩……生徒会室から出てもらえますか?」

 

え?

 

「え、なんで? 返事してないんだけど……」

 

「いや、結果見えてますし、私、今から号泣する予定なんで……そんなとこ見られたくないですし。あ、これチョコです……どうぞ。では……」

 

「嬉しさのあまり号泣するなら、俺も付き合った方がよくないか?」

 

チョコを受け取り反論する

 

「いや、何処に嬉しい要素があるか教えてほしいんですけど。」

 

あれ、会話がかみ合ってない?

 

「あのな、何か勘違いしているようだが、俺は「すとっぷ!」……はい」

 

「先輩、人生かかってますよ。分かってます?」

 

「いや、もう何の話?」

 

「だから! 私なんて選んでどうするんですか!」

 

「お前、俺のこと好きなんじゃねーの!?」

 

本当にこいつはわかんない奴である。

 

「おい」

 

「嫌です」

 

「いや、話を聞けよ」

 

「絶対に嫌です」

 

かたくなに聞こうとしない。

頬を膨らまして俺の方を向こうとしない。

こういうの柄じゃないんだけど……仕方ないか。さんざん色々やってきたんだ。ここで甲斐性見せられないのはダメだよな。こういうのは一色に感謝だな。

 

一色に近づき、そっと後ろから抱き着く。

 

「せ、せん……ぱい」

 

「あんまりこういうの柄じゃないし、やりたくはなかったけど俺の気持ちはきっちり伝えたい。」

 

「で、でも……先輩……わたし……わたし」

 

「お前の言いたいことはわかってる。でも、俺はお前が好きだから。この気持ちは本物だ。偽物じゃない。」

 

そういうと、一色は俺の胸板のほうに顔を押し付けてきた。

 

「先輩は私の苦悩が分かってないです」

 

「苦悩?」

 

「先輩が卒業して、どれだけ悲しかったか! でも告白もしてないのに諦められるわけないじゃないですか。だから、先輩とおんなじ大学行くために必死に勉強して、1人でもくもくと、それでようやく会えたと思ったら普通に奉仕部の2人をたぶらかせてハーレム作ってるし。」

 

「誤解だ、あいつら以外と絡むことがなかっただけだ。」

 

「私は最初の1年間のアドバンテージがないから遅れてて、それでも負けたくないから頑張って……でもあの2人にはやっぱり敵わないってどうしても心の中で思えちゃって……このバレンタインでチョコ渡したらもうあきらめようって考えてたのに……」

 

「悪かったな、お前の思い通りにならなくて……」

 

「大体、責任とってくださいって言ったじゃないですか! なのにほかの女の子とばっかり鼻の下伸ばして……バカ! バカ!」

 

手をグーにして胸をぽかぽかとたたき始めた。

 

「いや、言われたけど……取るって言ったっけ?」

 

「こういうのは言われただけで成立するんです! それが男なら当然です!」

 

マジか。

ううむ、せっかく両想いなのにすごくご機嫌斜めである。

 

「じゃあ、これからその責任とってもいいか?」

 

「今からですか?」

 

急に上を向く一色

 

「いや、これから先きっちり責任とっていくということだ。」

 

すると、一色は頬を膨らまし

 

「意気地なし」

 

「意気地があったことがないんでな。」

 

それを言うと、ため息をついて一色は

 

「もういいです、その代わり、おんぶしてください。」

 

「なぜ、そこでおんぶになる……」

 

「決まってます、私が腰抜けて立てません」

 

「いや、今立ってるじゃねーか」

 

「いや、もう先輩が支えてくれてないと、今すぐにでもその場で倒れるくらいです。正直、信じられなくて足に力も入らなくて……」

 

どんだけの緊張だったのだろうか。

こいつの苦労はきっと想像を絶するんだよな。

 

「仕方ねーな、ほれ」

 

一色を少し座らせ、背中を向けてやる。

すると、肩に手が回って俺の首でつながった。

 

「先輩……えへへ」

 

身体をくっつけるように強くしがみつかれる

 

「色々当たってる、気を付けろよ。」

 

「先輩だからやってるんですよ。あは」

 

「さっきと違ってずいぶんとご機嫌だな。」

 

「そりゃ、両想いになって機嫌悪くしてどうするんですか。これでも先輩のこと大好きなんですよ。」

 

 

 

 

 

 

俺の青春ラブコメは高校生活を飛び越え、大学でも続いていき、間違いだらけだった。

 

けど、この選択に、この決断に、後悔はない。

 

俺は一色いろはと未来を歩んでいく。

 

これが俺の本物だと信じて。

 

 

 

 

 

 

【after】

 

カーテンの間から指す日差し、しかし今日は会社に行かなくてもいい日である。

久々のごろ寝タイムだ、二度寝しようと思い、布団をもう一度かぶる

すると、廊下からトタトタと足音が聞こえてくる。

 

「パパ! 起きてよ~」

 

娘の有為(うい)である。

ちなみに現在、5歳で年長さんである。

俺の上にマウントをとって身体をゆらす

 

「今日、休日なんだから寝かせてくれよ~」

 

「有為とあそぶってやくそくしたじゃん!」

 

はて、かわいい娘との約束なんて忘れるわけないので、多分そんな約束はない。

 

「待ってくれ、俺はそんな約束してない。」

 

「やくそくはその場で作ってしまえばいいってママが言ってたよ」

 

あいつの仕業か。

ママは大分教育上よろしくないことを教えているらしい。

 

「パパ、起きてよ~」

 

「ママは? ママと遊んで来いよ。」

 

「はーい、ここにいますよ。おはようございます。あなた。」

 

反対側にもうフライパンとおたまを手に持ち、エプロンをつけていた。

 

「お前、いつまでたっても格好があざといな。特にフライパンとおたまあたりがマジあざとい。」

 

「はい、これは娘の教育のためでもあります。」

 

なんの?

 

「え、それの何処に教育のあれがあるの?」

 

「決まってます、ね、有為?」

 

「うん、いちゅうの男のためならしゅだんはえらばずにこびなさいって。」

 

マジ、いろは何を教えてんの?

 

「というわけでパパ遊んで」

 

ん、ということは?

 

「なんだ、有為……パパのことそんな好きか」

 

「うん、大好き」

 

やべ、パパと結婚するって言ってくれないかな。

紙用意しないと……は!

 

いろはさんから出る怒気がとんでもないことに……

 

「いろはさん?」

 

「あなたのバカ!!」

 

おたまを頭に振り落とされた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「痛い、頭マジでいたい」

 

「ふん、娘に欲情とかマジでありえないです。私の旦那様はいつからロリコンになったんでしょうか。」

 

現在、有為が運動したいと言うので市民体育館に来ている。

はぁ、せっかくの休日が……

 

「娘の言葉に嫉妬するお前もどうなんだよ」

 

「ふーんだ、私の乙女心を傷つけた罪は重いですよ」

 

「もう、お前乙女とかいう年ごろ……すみません、なんでもありません」

 

「なら、よかったです。」

 

もう、本当に怖い、俺の妻マジで怖い。

 

「パパ、これやってみたい」

 

有為が指したのは卓球の張り紙だった。

 

「有為、これやりたいの?」

 

「うん、やってみたい」

 

「なんでこれがいいんだ?」

 

「なんとなくだけど……パパに合ってるから」

 

その言葉に俺もいろはも顔を見合わす

 

「そ、そっか、有為……じゃあ受付の人に卓球やりたいですって言ってきてくれる?」

 

「うん!」

 

そういって有為は走り出してしまった。

 

「昔を思い出すな」

 

「はい、本当です、懐かしいですね。あのデート」

 

「じゃあ、今日の夕飯の当番かけて勝負でもするか」

 

「へぇ……あなた良い提案しますね」

 

「今回はお前もちゃんと罰ゲームありだからな」

 

「分かってますよ~ で、絡め手はありですか?」

 

「使うなと言ってもお前絶対に使うだろ。」

 

話をしていると

籠をもった有為が手を振ってこっちを呼んでいる。

 

「パパ! ママ!」

 

「行くか」

 

「はい、行きましょう、先輩」

 

わけのわからない関係は恋人になり、やがて夫婦となった。

この憎たらしい後輩とこれから先も生きていく。

 

これが、あの時、あの場所の青春物語の終着点から続く俺たちの未来

 

俺の幸せはここにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~fin~


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37-4 陽気な素顔は仮面の中

雪ノ下陽乃ルートEND


もう、自然と足はそこに向かっていた。

 

最初に会ったときに抱いた感情は正直、恐怖と似たような感情だった。

あの仮面の威容なまでの完成度、そして自分の感情を押し殺す精神力

毒舌で人が殺せるのではないかと思うほどの殺傷力などなど。

年齢に対しての差がないのに、こんな人がこの世にいるのかと驚いた。

そういえば葉山が言ってたっけ?

「あの人は興味のないものには何もせず、好きなものを構いすぎて殺すか、嫌いなものを徹底的に潰すことしかしない」

そして、誰もが見たことがないその素顔はきっとすべて腹黒いものだと予想していた。

 

 

でも、それはただの偏見で。

仮面を外せば、1人の女の子であり、ほかの子との差なんて存在しない。

確かに腹黒はないわけではないが、少なくとも全部ではない。

あの仮面は敵を排除するためではなく、自分の大事な部分を守るためにつけたものなのだ。

 

だからこそ、俺は彼女にとって、仮面を外し、素顔で話せる唯一の人になりたい。

そのためには、普通の告白では意味がない。

彼女を全部出す必要がある。

 

着いたのは、俺が2年次の総武高校文化祭で使われていた会議室。

あの人と総武で思い入れのありそうな場所ってあんまりない。

話すのは基本、外がメインが多いからな。

 

扉を開けると、彼女は窓の外を見ながら立っていた。

 

「雪ノ下さん」

 

「あら、比企谷君、ひゃはっろー」

 

声をかけるとこちらに気づいたのか、手を振ってくる。

 

「結構あてずっぽうだったんですが、正解でよかったです。」

 

「あのバカなスローガンはすごく面白かったな。別に他の場所でもよかったんだけどさ、主要な場所はあの子たちが取るからね、なんとなくここにしてみたの。比企谷君とはよく外で話すことの方が多かったし。」

 

彼女もおんなじことを考えていたらしい。

 

「あれは結構センスよく作ったつもりなんですけどね。普通に却下されましたね。」

 

「でも、それで文化祭実行委員会はどうにかなったんだからよかったよね。」

 

「いやどうにもなってませんよ、あの後さらに悪役したんですから。」

 

あれをやらなくてはならない状況だったとはいえ、今、思い返すとあまりほめられた手段ではない。というかもっといい方法はあった気がしなくもない。

だがまぁ、相模にはあれくらいのお灸は据えて当然ではあったが。

有言実行は基本だぞ、俺は言葉は発さないから実行しないけど。

 

「あの時は雪乃ちゃんにようやく合う子が現れたとか思ってたけど、それがこんなことになるとはね。」

 

「まぁ、俺も最初に会ったときにこれを予想しろと言われたらそれは無理ですね。」

 

この人に自分の想いを告げて、恋人関係になると前の自分に言ったら……たぶん、「寝言は寝てから言うのが世界の常識」とか言われそう。

 

「それで夏休みに聞いた質問の答えは出たの?」

 

「ずいぶんと懐かしい話をだしますね。さぁ、どんな内容だったか覚えてないんで分からないです。」

 

「ごまかさないの、お姉さんにあんまり恥かかせないでよね。」

 

「まぁ、でも結論が出ていないなら、こんなとこ来ないで逃げてます。」

 

「それもそっか。」

 

そう答えると、雪ノ下さんは俺に多分だが、チョコの入った箱を渡してきた。

 

「私の人生で最初で、最後の告白が聞けて良かったね、比企谷君だけだよ、聞けるの。さらにチョコも付いてる。お得だねぇ。」

 

そう言うと、息を吸い込んで俺の目をまっすぐ見た。

 

「比企谷君、す……ちゅき……です!」

 

「は……はい」

 

流れる沈黙、目の前の雪ノ下さんは頭を抱えて落ち込んでいる。

多分、噛んでしまったことを死ぬほど後悔しているのではないだろうか。

最初で最後と前置きなんてするから……。

 

 

「て……」

 

「て?」

 

「テイク2!」

 

………最初で最後とは何だったのか……

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「大事な場面で噛むとか……一体私はどうやって世渡りしていたんだっけ? はぁ……もう死にたい。」

 

人生をやり直したいレベルのやらかしをしたらしく、相当へこんでいる。

ちなみにテイク2はOKでした。チョコももらったよ。

 

「あの普通にいつも通りやればよかったのでは?」

 

「それじゃダメだと思ったの。君には仮面を着けてると見抜かれてるし、それに素顔の私で告白したいって思ったの。それがこの恋愛に対する私の向き合い方だから。たとえそれでフラれることになってもね。まぁ、でもやっぱり柄じゃないわ。こういうのお姉さんには合ってない。」

 

「いえ、似合ってる、似合ってないではなく、俺に対してそういう態度で接してくれるのはうれしいですよ。雪ノ下さんの素顔が知れてよかったです。」

 

そう答えると、雪ノ下さんは意地の悪そうな笑顔を向けてきた。

 

「別にまだ、全部の素顔見せてないし。」

 

「別にこれから全部知っていくつもりですから。時間はありますし。」

 

「え?」

 

「だから、素顔のままでいてくれるのは素直に嬉しいですよ。」

 

すると、雪ノ下さんは俺の言葉を聞いてから急に黙り込んだ。

あれ、何か間違えた?

 

 

「あのさ、その言葉の真意ってさ……」

 

あぁ、そういえば言葉にしてなかったっけ。

 

「はい、俺も雪ノ下陽乃さんのことが好きです。」

 

すると、雪ノ下さんが慌て始めた。

多分、素顔を見せてるつもりでも、まだ仮面が付いていると思う。

俺が見ている仮面は素顔に近いものではあるが、素顔ではない。

人間、素顔なんてそう見せられるもんじゃない。けど、ここで彼女の素顔をたたいて、本音を聞かないと俺たちは未来に向かえない。

この人はまだ自分の本心を言えていない。

 

「そのね、私、マジ迷惑かけるよ」

 

「いや、迷惑をかけないで生きることなんてどんな人間でもできないですよ」

 

「年上だし、やりづらいんじゃない?」

 

「そこまで離れてるわけでもないでしょ」

 

「ひねくれて、腹黒いよ」

 

「ひねくれ具合なら五十歩百歩もいいとこですよ。」

 

「えーと……あとは……」

 

指で何かを数えている。

ふむ、仕掛けるならここか。

 

「俺のこと嫌いですか? 一応、告白を受けたから返事をしただけなんですけどね。フラれちゃうならほかのとこ行くしかないですね。」

 

それを聞いた雪ノ下さんは、青ざめた顔になって

 

「待って! 違うの!!」

 

と叫んだ。

 

「私は比企谷君のことが一人の女性として純粋に好き! 選ばれたのはすごくうれしい。けど自分でいいのか不安で、これからのことも考えると比企谷君に相当の無理を強いるはめになるって自分で理解してる。独占欲も強いし、自分がどれだけ面倒な女なのかってことはわかってる。だから選ばれたいけど選ばない方が君の幸せだと思ってた。でも……でも……」

 

雪ノ下さんの本音がようやく出てきた。

俺の返事はもう決まっている。

 

「俺の幸せは俺が決めます。俺は雪ノ下さんと一緒にいたいと思ったからここにいるんです。後のことなんて後に考えればいいんですよ。問題なんて先送りにしていいんです。重要なのは今、どういう選択をするかじゃないんですか?」

 

「わ……私は……」

 

雪ノ下さんの顔にはたくさんの涙が流れていた。

 

「はい」

 

「私も……比企谷君と一緒にいたい。これからもずっと、その先も……」

 

「はい、俺もです。」

 

それを聞くと雪ノ下さんは涙を拭いて、笑って見せた。

仮面の下の笑顔はそれはもう綺麗の一言だった。

 

 

 

 

 

俺の青春ラブコメは高校生活を飛び越え、大学でも続いていき、間違いだらけだった。

 

けど、この選択に、この決断に、後悔はない。

 

俺は雪ノ下陽乃と未来を歩んでいく。

 

これが俺の本物だと信じて。

 

 

 

 

 

 

【after】

 

「比企谷さん、お電話です」

 

「おう、繋いでくれ」

 

現在、比企谷八幡は社会人で必死こいてます。

問題は先送りにしたとこで、結局後で返ってくるのはわかってたとはいえ、辛い。

共働きで陽乃も働いているが、彼女の方が仕事できるキャリアウーマンで夫として辛い。

 

「はい、比企谷です。え……陽乃が……今から向かいます!」

 

俺が顔色を変えて、電話を切ると部下が話しかけてきた。

 

「比企谷さん、どうしましたか?」

 

「いや、なんでもない。今日は俺もう帰るから。」

 

「え、どうしたんですか、無遅刻無欠勤無早退の比企谷さんが、早退なんて珍しい。」

 

「別にそんな肩書き、不名誉すぎていらねーから。有休とか腐るほど余ってんだから、午後休みくらいできるだろ。」

 

「まぁ、差し迫った仕事ないんで、大丈夫だとは思いますけど。」

 

「じゃあ、行くわ」

 

部下との会話をすませ、帰る準備をして、会社を出る。

タクシーを捕まえて、行先を告げる。

 

「千葉病院まで」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「陽乃!」

 

病室のドアを開けると、陽乃はベットの上にいた。

 

「あ、八幡」

 

「お前、どうしたんだよ。会社で倒れたって聞いて顔青ざめたぞ。」

 

「いやぁ……なんか調子悪いなぁって思ってたんだけどさ、まさか、倒れるとは……あはは」

 

「お前なぁ、笑いごとじゃないからな。俺の気持ち考えてくれよ。」

 

「ごめんって……だってさこんなことになってるとは知らなくてさ……はは……グスッ……」

 

「え、何故泣いてるんだ? そんなでかい病気なのか?」

 

俺も完全に混乱している。

この反応、かなり大変なんじゃないか?

 

「実はね……八幡」

 

「おう」

 

「私……」

 

「あぁ」

 

「3ヵ月だって……」

 

 

 

………………………え?

 

 

 

 

「えーと、うん……そ、そっか」

 

ちょっと唐突過ぎて言葉が出ない。

マジですか。俺パパデビューですか、そうですか。

 

「ね…ねぇ、八幡は男の子と女の子どっちがいい?」

 

「そ、そうだな。俺は女の子がいいな。きっとかわいいと思うし」

 

俺の返答、ベターすぎるわ。

 

「私は双子がいいなぁ」

 

そのカテゴリーは質問の内容に含まれていましたか?

 

「なんで双子なんだ?」

 

「いや、八幡をからかっただけ。子供が出来たからって驚きすぎだよ。」

 

と笑われてしまい、少しイラっときた。

ほぉ……

 

「は、お前嬉しくて泣いてただろ。涙の後残ってるぞ。」

 

「嘘! さっき拭いたのに………」

 

「嘘」

 

沈黙

 

「むむ、まぁ男の子でも女の子でも双子でも三つ子でもいいよ。」

 

「そうなのか? 完全に男の子がいいとか言い出すと思ったわ。」

 

「うーん、まぁ希望はないわけではないよ。でもね……今はこの幸せが嬉しくてたまらないの。どんな子が生まれてきたってきっとかわいくて大切な子には変わりないからさ。」

 

「あぁ、俺も嬉しい。」

 

「ありがとう、八幡。私は今すごく幸せだよ。」

 

 

仕事でも、家庭でも一緒にいられたら幸せ

けど、この素顔の君を見れた瞬間が俺にとって一番の幸せだ。

 

これが、あの時、あの場所の青春物語の終着点から続く俺たちの未来

 

俺の幸せはここにある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~fin~


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37-5 やはり俺の青春ラブコメは続いていき、間違う

trueルートEND


先生から受け取ったものを見る。

 

「これは……なるほど……もしものためってそういうことか。」

 

結論が出ていない俺からすれば、この道具を使うのはありだ。

しかし、本当にそれでいいんだろうか?

 

もし、俺が選ぶことができるなら、平塚先生はこんなもの渡してない。

あの人は俺に一つの選択肢をくれたんだ。

 

選ぶんじゃない。

 

答えを出すための道を

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

渡された道具はとある部屋に入るための鍵だった。

それを使い、その部屋に入る。

 

材木座は言った。

現実に大団円なんて存在しないと

 

平塚先生は言った。

青春時代に終わりが来たと

 

間違ってない。

そう、間違っていないんだ。

彼らの言い分は正しい。俺はそれを自分の中で認められていないだけ。

 

ここで選ばないのは子供のすることだ。

その通りだ。

 

最低の行為と思わないのか

あぁ、思ってる。

 

逃げるのか

それは少し、違う。

 

そもそも正解を出さなきゃいけないなんて言われてない。

 

不正解で、間違っていて

 

何が悪い!

 

みっともなくても、みじめでも、たとえ誰かを今傷つけることになっても……

 

それが俺の在り方だったじゃないか。

人間、そんな簡単に変われない、でも今はどうしてもやりたいことがある。

 

誰かのためじゃない

自分のための幸せを選ぶ。

 

きっと誰かを選んでもそれを享受することは可能だった。

 

でも、

あのバカをやっていたあの時、あの時間、あのメンバーでまだ俺は青春をしていたい。

あの時間をまだ味わいたい。

 

俺の青春はまだ終わってない。

 

 

俺は気が付くとマイクを握っていた。

 

なら、やることは一つだ。

 

電源をONにして息を吸う。

 

「俺だ……その……こんな形になって悪いがみんなに聞いてほしいことがある。」

 

放送室のマイクを伝って、全校舎に音声が響きわたる。

 

「正直言うと……俺にはこんなの選べない。俺には今その自信はない。誰に言われようとそれは変わらなかった。」

 

返ってくるわけはない。言葉をつづける

 

「ただ、お前たちの気持ちから目をそらしていたのは事実だ、すまん」

 

だからこそ、言いたい。

 

「だから、もうちょっと時間をくれないか。お前らの気持ちには正面からきっちり向き合う。その上で俺は……まだみんなと……バカやっていたい。」

 

本心を

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~

 

電源を切り、椅子に座る。

 

「はぁ、間違ったかもなぁ……」

 

いや、自分の本心に従った結果とはいえ、あほらしい選択をしたものだ。

結局、結論の先延ばしをしただけだ。

 

まぁ、これで離れるなら……それはそれ「バン!!」……」

 

扉が一人でに開いた。

 

え?

鍵かけたんだけど……

 

「まぁ、突然に告白するように迫ったのは私たちの落ち度とはいえ……」

 

「でも、正直ヒッキーらしいちゃらしいような。」

 

「まぁ、私は時間があった方がいいんでこれはこれでありですが」

 

「それは私もかな。」

 

各々、俺の告白に意見を言っている。

あぁ、人数は足りないけど……これが俺の見たかった景色か。

 

未来なんて俺にはまだ早い。

だって今すら精一杯だ。そんなことを考えるのはあとでいい。

 

とりあえず一言いいたい。

 

「帰るか」

 

 

やはり俺の青春ラブコメはこれからも続いていき、間違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【after】

 

「おい」

 

「分かってます……もうちょい待ってください。その……」

 

「困りますよ……材木座先生……しっかり原稿あげてくださいよ」

 

「お主とお前の中じゃないか。フレンドリーに材木座でいいんだぞ」

 

「しゃべってないで、キーボード打て……」

 

「はい……」

 

現在、とある文庫の編集系に就職を決めた俺はなぜか……新人小説家としてデビューした材木座の担当になっている。

どうしてこうなった……

ちなみに材木座は締め切りが迫っているのに……なぜか白紙の原稿なのだ。

 

「1時間で3000だ。できないならここのフィギュアの命はない。」

 

「わーわーわー!!! 分かったから……その書くからそれは許して」

 

「はよ書け……原稿落としたら……罰ゲームだ」

 

「ちなみに内容は?」

 

「罰ゲームになったら考える。おそろしい罰ゲームだとは思っておけ」

 

「それ、一番質が悪い……」

 

まったく……こいつようやく才能開花させて小説家になったのになにやってるんだよ

 

「そういえば、お主」

 

「あぁ?」

 

「そろそろではなかったか?」

 

「あぁ、そっちか。まぁ安定期に入ったからな、そろそろだ。」

 

「お主も一児の父か。時は流れるな。あのときの選択は笑ったな」

 

「うるさい! とっとと書け!」

 

蹴りをくらわす

 

「痛い……痛いから…やめて!……ちょっと聞きたいんだが」

 

「なんだよ」

 

「お主、高校生活……そうだな奉仕部に入ってから大学生活の終わりまで……どうだった?」

 

「どうって言われてもな……」

 

まぁ、さんざんひどい目にあったとしか言いようがないような。

 

「よかったか?」

 

ふと、問われて考えてみる。

確かに楽しいことはたくさんあった。

でも

 

「いや、間違いだらけだよ。俺の青春は」

 

「そうか、なら待っていろ。」

 

そういうと、材木座は立ちあがり、別の部屋に入って行き、何かをもって戻ってきた。

 

「お前……これ」

 

「うむ、原稿だ。というより新作だな。今までの中で最高傑作だ。」

 

「なぜ早くこれを出さない。」

 

おかげで無駄な時間過ごしたじゃねーか!

 

「お主にはあんまり見せたくなかったのよ。まぁ、さっきの発言を聞いてもういいかと思っただけよ」

 

「はぁ、ちょっと中身見せてもらうぞ」

 

封を開け、中身を見る。

…………え、これって……

 

「おい、材木座!」

 

「まぁ、書くのに苦労したよ、なにせ10年ほど前の作文の発掘とかしたんだからな。まったく苦労させてくれる。」

 

マジか……というかこんな作文だったのか。

作文の発掘とかこいつの執念やばいな

 

「戸塚殿の提案だ。われも面白いと思ってな。書いてみたらすらすら書けて楽しかったぞ。」

 

「戸塚も関与してたのか。」

 

こんなの出していいのか?

まぁ、俺じゃない、フィクションの人物だから、いいか。

そういえば

 

「これ、タイトルは?」

 

タイトルの欄が空欄だ。未完成だったのか?

 

「あぁ、それなんだが、今決めた。この本のタイトルは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




~fin~


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番外編
あとがき


読まなくても大丈夫です。
ちょっとした補足です


まぁ、最終回のちょっとした補足とか色々この小説についてです。

長くなりそうなので、全部こっちでやりますね

 

 

まず最終回についてですが

 

雪乃は恋愛初心者ということだけど、根は真面目という点を生かした結果

変なことを覚えて、勘違いをしてしまう女子というイメージで書きました。

 

最終回は授業参観やってみたかったんでやってみました。

ひらがなで書くの辛かった

 

結衣はちょっと策士な部分、悪い子というイメージで書きました。

正直、書きやすいキャラなので、俺は好きです。

 

最終回はバカップルな感じで書きました。

あれ、書いてる最中に無性にコーヒーがおいしくて……グスッ

ちなみにあの後、ベッドで何があったか書いてくださいは知りません。

そんなことは管轄外です。

 

いろははちょっと変態入るくらいのイメージで先輩スキスキ感を出しました。

コメディ導入するとき一番使いやすいです。

 

最終回は卓球のシーン好きなのでそれに関連して書いてみました。

子供の名前は結構悩みました。

 

陽乃はクールなお姉さま系なので、素顔はちょっと子供っぽいとこがあるような感じで書きました。

実は仮面と素顔の差を作るのがつらかったです。

 

 

最終回はまぁ、無理やり感あります。

でも、ああいう会話させてみたかったので満足です。

 

というか告白シーン4つとかつらかった。

ちなみにフラれるシーンは描写しません。

3×4=12 12パターンとか俺無理です。

 

それでtrueに関してですが

まぁ、これは俺の自己満足です、正直流してくれても構いません。

こういう終わりを書きたかっただけですから。

 

 

と、まぁ長い説明でしたが

いかがでしたでしょうか

 

やはり俺の青春ラブコメは続いていき、間違う

 

正直、失踪予定でしたので……ここまで書くとは思ってなかったです。

 

それも皆さんの応援と一人の友人のおかげです。

 

ちなみに最終回についての友人との会話です

 

【俺「最終回どうしよう?」

 

友「決まってないのか?」

 

俺「いや、決められないでしょう……どうすんの、これ」

 

友「全部書けばいい」

 

俺「え?」

 

友「思いつかないなら全部書けばいい」

 

お前はどこのフランス王妃だ!】

 

 

この友人は私の尻を叩いて、書かせる編集的立場でした。

ちなみにtrueの罰ゲームの内容は友人に言われた言葉です。

 

まぁ、でも書ききれたのはその友人のおかげでもあるので感謝です。

 

皆様の応援は本当に俺の手を動かす導入剤でした。

続き楽しみに待ってますと書かれるのがこんなに嬉しいんだと思いました。

考察や、ここの表現面白いとか書かれるとすごく楽しかったです。

返信も楽しくさせてもらいました。

 

 

 

それで今後の予定ですが、未定とさせてください。

これを書ききってから、何かとやる気が出ないのです。燃え尽きました。

 

だから、次とかはまだ、何も考えてません。

オリジナルとか、二次創作とか

二次創作でも次も俺ガイルか、違うので行くのかとか

 

とりあえずは目先のリアル用事を片付けます。

なので未定。

 

感想たくさん待ってます。初めての方でもどんとこい

必ず返信しますから、むしろ感想連コメントも全然かまいません。

楽しみに待ってます

 

 

 

 

 

 




恒例の謝辞を

最後まで読んでいただいて本当にありがとうございました
また、いつかハーメルンの舞台で会えたら会いましょう。



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おはようございます

お久しぶりです
新作なんて、考える余裕はまだないけれど
いまだにこの作品を読んでくださる方に向けて、一色いろはの誕生日記念企画

結婚後のアフター作品です


私の朝はアラームをかけた時間の少し前に起きるところから始まる。

起きて時間を確認すると、アラームの5分前である。また今日もアラーム前に起きてしまった。

 

どうも、身体がこの時間に起きることを覚えてしまったらしい。

横を見ると、最愛の人はまだ夢の中だ。

 

ここ最近、仕事が忙しいらしい。

今もぐっすり眠っている。

どんな夢を見ているのだろうか……ほかの女の人の夢だったら……なんか嫌なので、夢の中で私が出るようにオーラ的な何かを送る。この人のせいでアニメに影響されることが多くなった気がする。

すると、夫の表情が若干、苦しそうになった。

ハッハーン、さてはいろはちゃんがプリキュアの格好で急に出てきてびっくりしてますね。

 

この人と結婚して、まだあまり月日は経っていない。まだ新婚ホヤホヤである。今なら……いや、もはや結婚前からでも「新婚さん、いらっしゃいませ~」の番組に出れるくらいにはラブラブであると私は自負してる。

 

とりあえず、鳴りそうなアラームを切り、夫を起こさないようにそっとベットから出る。我ながら完璧な忍び足。寝室のドアを閉め、リビングを通り、シャワーを浴びるために洗面所に向かう。

 

脱衣所で服を脱ぎ、そのまま洗濯機へgo!

ついでに昨日の夫のYシャツも洗濯機で一緒に洗っておこう。

 

夫のYシャツをつかみ、洗濯機に入れようとすると、夫のにおいが鼻の下を横切る。

周りを見る、当然だが誰もいない………ちょっとくらい良いよね………うん

 

夫のYシャツを顔の近くに持ってきて、においをかぐ。

 

「はふぅ……先輩の匂いだぁ~」

 

トランスすること約1分。

正気に戻り、慌てて洗濯機に入れ、洗濯機を動かす。

 

危なかった。

付き合った頃の気持ちを忘れないのはいいことだけど、結婚してまで、こんなことではすはすしてしまうのはマズい。しかも今の私、全裸だし……。

 

お風呂場で、シャワーのノズルを回し、頭に水をかける。

シャワーは当然だが、最初はお湯が出てこない。だが、やらかしそうになった頭を冷やすにはちょうどいい。

 

あぁ……また先輩とか言っちゃった。はぁ、昔のくせはいつまで経っても抜けない。

いや、頑張ってはいるんだけど、どうも……こう先輩は先輩というか……あぁ、うまく表現できない。

 

一体、誰に言い訳をしてるんだと言いたくなる。お湯が出できたところで、シャンプーを出す。

すると、シャンプーの出が悪い。あちゃ、切れてきちゃった。今日、買って帰らなきゃ……。実はこのシャンプー普通のシャンプーより、200円ほど高いのだ。リンスも同じく。

 

実は、夫と結婚して、日用品の買い出しの際に、駄々をこねたのだ。

 

【回想】

 

「なんで、そんな高いの買うんだよ……こっちの安いのでいいじゃねぇか。」

 

「先輩、いやあなた……わかってないですねぇ。いいですか、これからは私の夫としてこういうところから、高級感を持ってほしいのです。」

 

「たかが、200円ごときで高級感って………で、本当のところは?」

 

うぐっ……。

 

「いつも使ってるやつなんです……。あんまり使ってるやつ変えたくないなぁって。はは、冗談です……節約しなきゃですしね。」

 

そういうと、先輩は納得した顔をして、私が戻そうとしているシャンプーとリンスを私からとった。

 

「なるほど、お前の髪、いつも良い匂いしてると思ったけど、これだったのか。というか、いつも使ってるなら、先に言えよ。それが理由なら最初から文句言わねーから。そういうのはちゃんと言ってくれ。これからそういう関係なんだから………分かったか?」

 

そういうと、頭を撫でてくる先輩

 

「ふぁ……い。」

 

とろけそうだった。

 

 

【回想 終】

 

ということがあって、我が家はこのシャンプーになりました。あの時、先輩の顔赤かったな……私はゆでだこみたいに赤かったけど。あぁ、本当先輩は私のこと好きすぎでしょ。私は大好きすぎだけどね。

 

残ってるシャンプーで髪を洗い、シャワーで流していると、備え付けのデジタル時計が目に入る。

そろそろ、いい時間かな。

これからご飯とお弁当作んなきゃいけないし。

 

他の作業を行い、お風呂場から出る。

タオルで身体を拭いた後、頭に巻き、服を着て、キッチンに向かう。

 

とりあえず、おかまを開ける。

よし、タイマーをセットしておいたから、ご飯は炊けてる。

朝ごはんは夫がシャワー浴びてる間に軽く作れるから、この時間はお弁当を作る。買ってもらったエプロンを着て、キッチンに入る。ちなみにオレンジ色のエプロンで、初デートで買ってもらった宝物です。

 

昨日の晩御飯のついでに作ったミニハンバーグを出す。

昨日の晩御飯はひき肉が安かったので、ハンバーグでした。余ったハンバーグ用のお肉を小さく形を整えて冷蔵庫に寝かしておいたんです。朝の作業を少なくするために晩御飯を作ってるときも次のことを考える。これが大事。これができる女、否、できる妻ってやつです。ハンバーグの焼き加減をみつつ、次の作業へ

 

冷蔵庫からミニトマトとレタス、卵を2つ出す。レタスは1枚取って、トマトと一緒に水に漬けて放置、卵を割り、醤油と砂糖を入れ、かき混ぜる。我が家の卵焼きは砂糖入りで作る。理由は単純、先輩は甘いものが好きだからだ。これをしてる間にもハンバーグの焼き加減を見忘れてはならない。焦げたらおかずが冷凍のから揚げしかない。せっかく新婚なのに、そんなお弁当は味気ないので作りたくない。

 

ちなみにこの卵焼きの味付け、夫の好みの味付けにするのに、すごい卵を使ったのだ。

あの人、おいしいかどうか聞いても、基本的に「あぁ、うまいよ」しか言わないので、顔色を吟味してようやくこの分量にたどり着いたのだ。苦労の卵焼きである。

 

ハンバーグをひっくり返し焦げ加減を見る、よし大丈夫。

ハンバーグを焼いてる間に卵焼きが完成、お皿に乗せ、冷めるまで放置する。

 

ハンバーグが焼けたので、お皿に乗せ、お弁当箱を出す。

ご飯をお弁当の半分まで盛り、残りのスペースにおかずをつめていく。

今日のおかずはハンバーグ2つと卵焼きとミニトマト2つだ。お弁当の底にレタスを引いて、その上にハンバーグを乗せる。ソースはケチャップでいいかな。そして、卵焼きは多めに6つ、実は夫からのリクエストでお弁当の卵焼きの量を少し増やしてくれと言われている。ふっふっふ、努力の勝利。え、トマトですか? 好き嫌いは子供の教育によろしくないんですよ。

 

あ、お弁当のご飯にかける具材忘れてた。

一回だけ、さくらでんぶで、LOVEって書いたら、「やめてくれ、死ぬほど恥ずかしい」と言われてしまった。私の愛が否定されてしまったとあの時は嘆いたが、今考えるとやりすぎてしまった。次は海苔で挑戦しよう。

あ、おかかあった。よし、これで大丈夫。

 

お弁当箱にうまく敷き詰め、完成。

 

あ、そろそろ夫を起こす時間が近い。

髪、乾かしてこよ。

 

ドライヤーで髪を乾かす。うーん、ここはねてるのが若干気になるなぁ。

むむむ、我が髪とはいえ、抵抗するとは生意気な、むむむ。

なんとか、髪のはねを直し、いつものいろはちゃん完成。

 

そういえば、この前、夫にいつまで自分にちゃん付けしてんだって言われたんだよね。それで「私の心はいつまでも若いんですよぉ」なんて言ったら、鼻で笑われたので、その日の夕飯で生トマトだけ出してやったら、「ごめんなさい、私のかわいい新妻は一生若いままです」って言ってきたから許してあげちゃった。というわけでいろはちゃんはいつもの恒例時間にレッツゴーです。

 

時間はうん、4分ある。

いつもは5分なんだけど、はすはすタイムのせいで1分減ってしまった。

 

寝室にこっそり入り、夫が寝ている横にちかづく。せっかく整えた髪を崩さないように腕を両縦ひじにして、そこに顔を載せ、夫の寝顔を見る。

 

あぁ、うん、本当に幸せだなぁ

夫を起こすまでの残り時間を私はいつも、寝顔を見るために使っている。なので、寝顔を見る時間を増やすために、少し早起きになっているし、お弁当も手早く作れるように色々やっている。

 

なぜなら、この時間が今日を生きる活力と言っても過言ではないからだ。

 

ちなみに距離は少し離れたとこで見るようにしている。

一度、抱き枕にされたことがあって、慌てて抜け出そうとしたら「いろは」って言ってきて……多分、寝言だったんだろうけど、もう、こう胸がいっぱいになるくらい幸せだった。でも、あれされると、私もはすはすモードになるから、平日は基本、この距離にしている。休日は……てへっ!

 

 

あ、髪伸びてきてるなぁ……今度、切りに行かせなきゃ。多分、夫のことだから適当に1000円カットで済ませかねないし、ここは私が予約を入れとかないと。夫の身だしなみにもきっちりやる。さすが、私、出来る新妻。

夫の社会での評価がたかが身だしなみごときで下げられるのは嫌なのだ。もし、そんなことがないなら私はこんなことはしない。だって、浮気されるの嫌だもん。かっこよくなって他の女に浮気されたら、嫌だもん。まぁ、夫にはそんな甲斐性ないのはわかっているんだけど、押しに弱いタイプではあるので、そこが怖い。

 

まぁ、見た目ごときで寄って来るような女に私が負けるはずないですけどね。昔は私もそんなんでしたけど……。

 

この時間は私の朝の大切な時間で、そして大好きな時間の一つ。

夫の寝顔を見れるのは、私だけという特権……まぁ、子供とかできたらそういうのはないんですけど。いや、子供欲しくないわけじゃないよ。むしろ大歓迎。私は男の子がいいなぁ。でも、夫は女の子欲しがるだろうな。でも、まだその時じゃない。まだ、2人の時間を満喫したい。というかまだ独占していたい。

 

夫は基本的に誰に対しても優しいし、気を遣う。

上司からも頼りされてると聞いたし、仕事も丁寧だそうだ。

あんなに働きたくない言ってたのに、すごい人だ。

 

その誰に対しても優しくて、気を遣う夫が、私にだけ無防備な姿を見せてくれる。

私はそれがたまらなくうれしい。

 

長ったらしい話をしたけど、要するに、先輩の一番になれてうれしいということだ。

これからの人生は仕事ばっかりで嫌なことも多いけど、それ以上に楽しみなことも多くてたまらない。

ずっと一緒にいたい。

 

さて、残り1分を切ったので、ベットから降りて、身体を伸ばす。

夫は普通に起こしても、起きないのだ。布団を剥いでも起きようとしない。

この起きる、起きないのやり取りは毎朝やっていて、少しムカついた。

 

というわけで私は考えたのです。

いっそのこと、衝撃を与えてみるのはどうだろうかと、というわけで「いろはダイブ」行きます。

 

いろはダイブとは、愛情満点の一色いろは、改め、比企谷いろはのダイブアタックです。相手は確実に起きる。全然、起きることのなかった夫がこれで一発で目覚めます。もう、余裕です。若干、夫が苦い顔をしているのはスルーです。

 

髪が乱れるのはお構いなしです。

髪を乱れないようにしてたのは、夫が朝起きて、一番に見る私の身だしなみが整ってないのが嫌なだけです。

だから、夫を起こす際に、乱れるくらい、別にどうでもいいのです。

 

時間になり、ベットにいる夫に突っ込む。

ちょっと、浅かったかと思ったけど、私の最愛の人は目を開け、嫌そうにこっちを向いた。

 

「おはようございます。先輩! 今日も一日私のために頑張ってくださいね。ところでおはようのチューはいかがですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まぁ、かなり甘めにしました

久しぶりに書いてて、楽しかったですw
新作はちょっと忙しすぎて、まだ余裕ないけど
また、俺ガイルで書こうかな?
それとも、fgoか?
すみません、気長にお待ち下さい
時間もないのに、ジャンルだけでもお悩み中です…
いっそ、アンケートでも取ろうかなw

では、いつもの謝辞を

こんな久しぶりな投稿読んでいただいて
ありがとうございました

次こそは新作の舞台でお会いしたいと
願ってます


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