始まりのサイヤ人が幻想入り (白藍ハートネット)
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導入編
第00話〜退屈な日々〜


「俺が・・・この俺が・・・・・・未来を・・・変えてみせる!!」

 

 

 

 

 

「これで・・・全てが変わる・・・・・・。惑星ベジータ・・・・・・この俺・・・カカロット・・・・・・そして・・・・・・

 

 

 

貴様の運命も!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

「本当に・・・・・・情けねぇ・・・俺に・・・もっと・・・力があれば・・・・・・あの時も!!」

 

 

 

 

 

 

「フリーザ・・・・・・チルド・・・・・・許せねぇ!!!!!!」

 

 

 

 

「どうなってる!?貴様・・・何者だ!?」

 

「俺は・・・・・・サイヤ人だ!!!くたばれ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーダックに、サイヤ人の邪心は既に無かった。破壊殺戮が、フリーザに良いように利用された事、仲間や故郷を破壊された事を思い出させるからだ。チルド達に破壊された村を見てると、どうにも嫌な事を思い出すので、修復を手伝った。家の再建に必要な石材を運んだり、新しく大地を削り、畑を作り直したりと力仕事が主になってる。ベリーとの関わりで、ここの種族に情が移ったのだろう。

噂をすれば・・・

 

 

 

「バーダックさーん!」

 

 

 

「ちっ・・・また来た・・・・・・」

 

 

 

バーダックがこの時代の惑星プラントに来た時から、ずっと住居として使ってきた洞窟に、この星の住民の子供ベリーがまたやって来た。基本的に一人で居たいバーダックだが・・・

 

 

 

「バーダックさん、今月分のお給料と、僕が作ったお菓子!一緒に食べようよ!」

 

 

 

仕事をすれば、もちろん給金が支給される。ましてや、バーダックの仕事内容は原住民には出来そうにない事ばかり。そこそこ良い値段が貰える。だが、なるべく他人との関係を持ちたく無かったバーダックは、ベリーに洞窟へ届けてもらう事にしている。正直に言って、破壊殺戮をしなくなっても、サイヤ人。ただ話し相手を作るだけでは退屈で仕方がない。時々トレーニングをしてはいるものの、実戦に勝るものは無い。退屈な惑星プラント生活の中、唯一話で時間を潰せる相手が、ベリーなのだ。他の連中は、バーダックを救世主と呼んでいるが、実際に目の前に来られると、少しすくんでしまうのだ。あの強大な力が、自分達にいつか向けられるのでは無いか。と、心の奥で密かに警戒している。だが、ベリーは、バーダックをもう一人の父親の様に慕っている。

 

 

 

「バーダックさん、今日学校で歴史を勉強したよ!この惑星は、他の星と比べても、重力が強いんだ。その重力の誕生を学んだんだけど・・・あ、そうだ!僕が他の星に行ったら、重力が弱い環境で暮らした人達よりは、強くなるのかな?バーダックさんは、ここの重力、どう感じてるの?」

 

「・・・・・・普通だな。俺の故郷もこの星と同じ位の重力だ・・・」

 

「うーん・・・じゃあ、バーダックさんの強さは元々か・・・凄いなぁ・・・」

 

 

 

バーダックは、他の星から宇宙船で宇宙を旅してると、事故に遭い、偶然この星に漂流したと嘘をついている。遠い未来、もしくは明日かもしれないが、惑星プラントの原住民を全滅させ、自分達の星に改造したツフル人、そして、そのツフル人を壊滅させ、宇宙中を荒らす種族サイヤ人がいつやって来るか分からない。そのサイヤ人の子孫が自分であるなんて、知られてしまえば、この星はパニックになり兼ねない。そして、ツフル人がやって来たら、自分はベリー達を見捨てる様に、決めていた。無理に歴史を変えると、自分が消えてしまうかもしれないと考えたからだ。

何より、気がかりなのがフリーザである。もし、歴史が変われば、サイヤ人の環境が生まれなくなる。そうなれば、バーダックは存在せず、息子のカカロットもいない事になってしまう。それだけは何としても避けなければならない。惑星ベジータの爆発に飲み込まれる時に見た、1つの未来。それは、フリーザとカカロットが対峙する。事だ。断片的に、ベジータ王子の姿も見えた。他にも、緑色の変な種族と、サイヤ人と同じ人間タイプのチビが2人。カカロットとベジータ王子2人の外見から、惑星ベジータの爆発から、20〜30年後と思われる。カカロットの戦闘力はたったの2。正直に言って、勝てるとは思えない。だが、バーダックには、確信があった。あの未来は、意味があったから見えたのだと。カカロットとベジータ王子の2人が、サイヤ人最後の希望だと。そして、2人のサイヤ人がフリーザと戦うまで、宇宙に安息の時は訪れないとも・・・・・・。だから、フリーザを倒す事のできる最後の戦士を歴史の延長上に存在させなければならない。

 

 

 

「・・・バーダックさん・・・聞いてる?」

 

 

「・・・・・・聞いてるよ・・・」

 

 

「・・・ちゃんと聞いてよ、もう・・・。それで、重力と磁力の関係は」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから、どれだけの年月が流れただろうか。ベリーはもう、一人前になり、村を出て行く事になった。星に点々と存在する村の1つが、大きな技術の発展を遂げ、都市として大きくなってる。そこへ上京するとか言ってた。ベリーは父親イパナとバーダックに別れを告げ、旅立っていった。

 

 

 

この日から、バーダックはある事を決めていた。退屈な野良暮らしから抜け出そうと。退屈すぎて死にそうなほどだ。

 

 

 

「惑星ベジータの爆発で、次元の壁が崩れ、過去に飛ばされた・・・・・・としたら・・・・・・」

 

 

 

バーダックは、空を見上げた。惑星ベジータの夜に存在しないはずの月が1つ浮かんでいる。

 

 

 

「あの月は、過去に寿命で消滅したとガキの頃に教わったな・・・・・・ベリーの話だと、そろそろ寿命を迎えて崩壊するらしいな。あそこにしよう・・・・・・」

 

 

 

バーダックは変身して、月に向かって飛び出した。やはり、変身するとパワーだけでなく、スピードも上がっている。気づけば、フリーザの宇宙船が浮かんでいた高さまで来ている。

 

 

 

「そろそろ、大気圏外か・・・。オーラで空気の層を作るか・・・」

 

 

 

体から漏れるエネルギーを一気に上げ、宇宙空間でも動ける状態を維持して、大気圏外に飛び出した。月に向かって、どんどん加速する。5分としないうちに月面に到着する。空を見上げて、宇宙からの惑星プラントを見つめる。

 

 

 

「・・・・・・清々しい気分だな・・・」

 

 

 

何からも縛られない、自分だけの空間。この瞬間に、自分は死の恐怖も感じない。

 

 

 

「うあああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

バーダックは、巨大なエネルギーを蓄積していく。惑星ベジータを破壊したフリーザのスーパーノヴァとは、桁外れだ。

 

 

 

「あの衝撃で、次元に穴が開いたなら、これでも十分だが・・・・・・失敗すれば、ここで俺も終わりだな。いっその事、全エネルギーを使ってしまうか・・・」

 

 

 

直径200メートルほどのエネルギー弾に、更に上乗せしていく。密度がどんどん高くなり、電磁波が辺りを包んでは周囲を破壊していく。

 

 

 

「さてと・・・・・・準備はできた。上手くけば、またどこかの時代、もしくはどこかの星に飛ばされるだろうな」

 

 

失敗は、バーダック自身の死を意味している。だが、恐怖はない。

 

 

 

「じゃあな、惑星プラント・・・ベリー・・・。カカロット・・・・・・お前を信じてるぞ・・・」

 

 

 

バーダックは、エネルギーの中心に突っ込んだ。そして・・・・・・

 

 

 

 

 

「弾けろ!!!!!!」

 

 

 

 

 

名の無い月は、バーダックを飲み込んで大爆発を起こした。惑星プラントの住民は、いつか来る月の寿命が尽きたと認識した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙のどこかにある神の宮殿にて、2人の人物が自分達の宇宙の異変に気付き、爆発の現場に移動していた。

 

 

 

「おい、ウイス。あの妙な気は何者だ?そろそろ着く頃だろう?」

 

 

 

「おかしいですね・・・・・・気の性質から、恐らくサイヤ人と思われるのですが・・・」

 

 

 

「ですが・・・?何だよ?」

 

 

 

「現在サイヤ人は、ここから約2光年ほど離れた場所で、暮らすのに最適な星を探していて、全てのサイヤ人が共に活動しているはずです」

 

 

 

「ここに、1人だけいるのが不自然だって事か?」

 

 

 

「ええ、それにこの個体は、発展中のサイヤ人とは思えないほどの力を所有しています。恐らく、今の宇宙では我々と界王神を除けば、宇宙最強の実力者です」

 

 

 

「界王を凌ぐのか。そいつが、僕の宇宙に余計な事をした訳だ・・・気に入らないな・・・・・・」

 

 

 

「如何致しますか?」

 

 

 

「面倒ごとになる前に、消してしまえ。何なら、どこか別の宇宙にでも飛ばしてしまえ。いや、12の宇宙から追い出しても良い。勝手な事をする奴は、あの世にも地獄にも居られるとイライラするからね・・・・・・」

 

 

 

「分かりました」コンコン

 

 

 

ウイスと呼ばれた者が、杖を2回鳴らし、エネルギーをブラックホールの様な穴に放り投げた。

 

 

 

「これで、ひとまずは宇宙に傷を入れる事を阻止しました。どうします?帰りますか?」

 

 

 

「そうだね。そろそろ、寝る時間だ・・・・・・サイヤ人か・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーダックは、意識が朦朧としていた。視界がぼやけ、ほとんど何も見えない。力を込めて、目を開けると、そこは、緑あふれる、綺麗な場所が見えた。あの世なのか異世界なのか分からない。バーダックは、力を使い果たし、意識を失った。

 

 

 

少女は夜の空を見上げて、お茶を啜った。雲も無く、ロウソクの灯と、鳥居の提灯しか無い暗い神社では、星がとても綺麗に見える。神社そのものが高い場所に建ててあるので、山や木で空を覆うものは無い。最も綺麗に見える夜景を独り占めするのは、とても気分が良い。風も静かで、自分だけの世界の様に思えて、何とも言えない気持ちになれる。

 

 

 

「・・・・・・嵐の前の静けさ・・・・・・」

 

 

 

少女は、持ち前の勘でポツリと呟いた。

 

 

 

「嵐か。何が始まるって言うんだ?」

 

 

 

神社の襖を開けて、金髪の少女が酒瓶を持って現れた。

 

 

 

「何度も言ってるけど、無断で家に入るのはマナー違反よ・・・」

 

「貧乏神社から盗る物は無いだろ?」

 

「梅酒を漬けてあるわ。私の物よ」

 

「今から呑もうと言ってるんだよ」

 

「まだ、完成してないのよ。中身を瓶に戻してきなさい・・・」

 

 

 

金髪の少女は、諦めて瓶を置き、黒髪の少女の隣に座った。片手で団子1つを摘み、口に運ぶ。

 

 

 

「喰い逃げも犯罪よ。何かを置いていきなさい・・・・・・」

 

「そう言うなよ・・・・・・んで、嵐って何だ?雲ひとつ無いのにか?」

 

「物理じゃ無いわ、近いうちに何かが起こる・・・・・・」

 

「異変か?今回は私が全て解決するから、神社でお寝んねしてろよ」

 

「そんなの、私の勝手よ・・・」

 

 

 

2人は、言い争いながら、最後の団子を片手同士で取っ組み合いしている。器用だ。

 

 

 

「あ・・・流れ星だ! 願い事言ってなかったな」

 

「・・・・・・結界を何かが超えてやってきた・・・」

 

「・・・・・・あの、流れ星か?」

 

「今のところ、嫌な感じはしないけど、調べる必要があるわね・・・」

 

「競争だな、霊夢」

 

「魔理沙は、引っ込んでなさいよ・・・」

 

 

 

いつまでたっても、団子の取り合いは終わらない。団子1つに、どんな思い入れがあるのだろうか。2人ともカンフー映画の様な滑らかで複雑な動きを、ノールックで行っている。達人にでもなったつもりなのだろうか?

 

 

 

結局、26分の格闘の末、霊夢と呼ばれた黒髪の少女が勝利した。

 




どうも、白藍です。自分で考えた名前ですが、先約がいた様で、苗字を付けて投稿しました。ドラゴンボールの大好きなキャラクターで、どうしても作りたかったです。初心者ですが、今後ともよろしくお願いします。


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歓迎編
第01話〜険悪な出会い方の1例〜


「・・・・・・・・・・・・ん・・・・・・」

 

 

 

1人の男が湖のほとりで目を覚ました。死んだ様な眠りから覚めたのか、拳を握ったり解いたりを繰り返し、自分の存在を確かめている。

 

 

 

(意識はある・・・手の感覚も・・・息が出来る・・・。俺は、生きてるのか?)

 

 

 

重い瞼をゆっくり開けると、木が見えた。そこそこ大きく、沢山生えている。逆側を見ると、大きな湖が見える。自分が寝ている場所は、道のはずれらしい。上半身を起こし、湖を見る。今まで見たことも無い、とても綺麗な水だ。歩いて近づき、両手で一すくいして、一口飲んでみる。

 

 

 

「・・・・・・美味い・・・」

 

 

 

水を飲んで、美味しいと感じたのは、生まれて初めてだ。しかも、たった一口で喉が充分に潤った。

 

 

 

「・・・・・・環境がとてつもなく良いところだ。フリーザの野郎、この星にいくらの値を付けるかな・・・俺が侵略した星、全てを売っても、足りないくらいか・・・空気も美味い・・・・・・。ここを売ったら、2000年は楽しんで生きていけるだろうな・・・・・・」

 

 

 

経験から、今自分がいる場所だけで、評価してみる。こんなにも綺麗で美しい場所を見たことが無い。

 

 

 

「あぁ・・・・・・成功したにしても、天文学数字の中から、超特賞を当てるなんて、ついてるな・・・」

 

 

 

もう、時代とかどの星かとか、興味が無くなった。美しい世界に心から感動している。ただ立ち尽くして、綺麗な空気を吸い続ける。時間も忘れて、静かに立っていた。

 

 

 

ちゃぽん

 

 

 

水音がして、ふと湖を見ると、小魚が跳ねるのが見えた。

 

 

 

「そういや、少し腹が減ったな。あいつらを餌にしてる巨大魚でもいるかな・・・」

 

 

 

バーダックは水上の高い場所を飛び、獲物が居そうなエリアを探っている。岸から20メートルほど離れた場所に、岩で出来た小島が見える。恐らく、あの周辺に何かがいるだろう。

 

 

 

「よし・・・・・・だぁ!!」

 

 

 

衝撃波を水面に向かって、飛ばす。湖と大気が大きく揺れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「適当に飛んでりゃ、何か見つかるだろ。霊夢は悪い感じはしないって言ってたし、のんびりとやるか・・・」

 

 

 

金髪の少女が箒に乗って空を飛んでいる。風の冷たさを感じながら、ゆったりしていると・・・・・・

 

 

 

どおおおおおおおん!!!

 

 

 

「うあっひゃ!?」

 

 

 

いきなりの衝撃に箒から落ちそうになる。

 

 

 

「この方角は・・・紅魔館か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

湖を見渡すと、体長10センチ足らずのモノしか浮かんでこない。

 

 

 

「ちょっと、弱すぎたか・・・・・・だあ!!!!」

 

 

 

更に強い衝撃波を撃ち込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!

 

 

 

「だああああ!?」

 

 

 

更に強い衝撃に、今度は本当に箒から落ちた。とっさに、足を大きく振り、つま先を箒に引っ掛けて、落下を免れる事が出来た。

 

 

 

「な、なんだ今の!?」

 

 

 

箒に片足で逆さにぶら下がり、動揺する。紅魔館から衝撃・・・妖精たちとは思えない。吸血鬼姉妹は、昼だからまだ外での活動は不可能なはず。門番が起きてて、修行でもしてるのか?・・・・・・・・・・・・まさかぁ。

 

 

 

パシャリ!

 

 

 

「なるほどなるほど・・・・・・魔理沙さんの下着は、ピンクのドロワーズですか。可愛らしいですね♡」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

いつの間にか接近していた天狗装束の少女に、重力で垂れ下がったスカートの下のパンモロ状態を、写真に収められた。

 

 

 

「いやあ、クールでカッコ良い女性と噂の魔理沙さんも、やっぱり乙女なんですねぇ♡」

 

「文あああああ!!!!」

 

 

 

文と呼ばれた少女は、すぐさま猛スピードで逃げていった。魔理沙も、妖怪退治のため、そして自分のプライドのために、これまた猛スピードで追いかけていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中々のサイズが浮かんできたな・・・あいつにしよう」

 

 

 

70センチメートルの大型の魚が浮かんできた。バーダックは、その尻尾を掴んで岸に置く。

 

 

 

「ヒゲ?惑星マーヌの種族に似てるな。まぁ、似てるだけで、魚は魚だろうから、食えるだろ・・・。少し生臭ぇな。焼けばなんとかなるだろ」

 

 

 

魚を片手に、森に入っていく。適当な広さのあるエリアに魚を置き、木の枝や枯れ葉を周囲からかき集め、火を焚く準備をするが・・・

 

 

 

「直焼きは後が食いづらいだろうし、手頃な金属の串が・・・・・・落ちてるわけないか。さて、どうしたものか」

 

 

 

木で作っても、このサイズを焼くには時間がかかりすぎる。恐らく串まで焦げてしまい、結局直焼き状態だろう。

 

 

 

(そういや、さっきの湖の向こう側に、建物があったな。あそこで、何かを借りる事が出来ねぇかな・・・?)

 

 

 

バーダックは、朝霧の中にうっすら見えた建物、紅魔館へ飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「zzz・・・・・・zzz・・・」

 

 

 

紅美鈴は、いつものごとく寝ていた。立ったまま眠っている。器用だ。船も漕がず、直立して眠っている。器用だ。さっき、2度にわたって衝撃波が湖から襲ってきたが動じなかった。器用だ。

 

 

 

「zzz・・・っ!?」

 

 

 

急に起きた。湖の方向をキッ!と睨み、構える。

 

 

 

(とてつもない力を持つ何かが接近している?真っ直ぐこっちに向かっている・・・速い・・・)

 

 

 

邪悪な感じや嫌な予感はしないが、厄介なのは分かる。ここに来る無邪気な存在は、彼女の平和を脅かしている。魔理沙とか、魔理沙とか、後魔理沙とか。魔理沙時々ブン屋で、勝手に侵入してくる。何かが近づけば、気配ですぐに目覚め、門番として立っているのだが、空を飛んで勝手に入って、後になって咲夜にナイフを刺される。前に2回、美鈴危機一髪ゲームに付き合わされ、それはもう、大変だった。

 

 

 

(はあ・・・今度は、どう言い訳をしましょうか・・・・・・まあ、無駄ですけど・・・)

 

 

 

半ば諦めて伸びをすると・・・・・・

 

 

 

タンッ

 

 

 

「・・・・・・え?」

 

 

 

目を疑った。今回の客は門の前に立ち止まってくれた。しかも、今まで見たこともない知らない男だ。

何より驚いたのは、この男から気を感じることだ。大抵、魔力だったり妖力だったり霊力だったり神力だったりで、気を扱うものは自分以外に知らないからだ。それも、自分を遥かに上回っている。武道家として、対峙するだけで自分の敗北を確信して、少しプライドが傷ついた。

 

 

 

「何かご用ですか?」

 

 

 

邪心は感じないので、とりあえず丁寧に挨拶する。

 

 

 

「この屋敷の主人に会いたい。借りたいものがあるから、話がしたいんだ」

 

「物を借りたい、ですか。ならば、主人よりメイド長の咲夜さんが詳しいです。少々お待ちくださいね」

 

 

 

「・・・・・・っ!?」

 

 

 

バーダックは、建物に向かって行く門番の後ろ姿を見て、ある違和感を感じた。いや、既視感だろうか?とにかく、普通ではありえない、何かを感じたのだ。

 

 

 

(なんだ、これ・・・・・・どっかで見たような・・・)

 

 

 

あれこれ考えてると、突然視界がぼやける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不審者は、追い払いなさい!!!!!!!!!」

 

「え、ちょ、理不尽だあああああああああ!!!???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはぁ・・・っはぁ・・・・・・」

 

 

 

完全に思い出した。カナッサ星の最後の住人から受けた、「幻の拳」を喰らってから見えた、白昼夢だ。そして、それは未来で本当に起きる、予知夢だとも思い出した。惑星ベジータの爆発と同時に見た夢を最後に、過去の惑星プラントでは、一度も見なかった。それが今、再び見えるようになった。

今見えたのは、さっきの門番の女が、銀髪の青白のヒラヒラ服の女にナイフでメッタ刺しにされる、というものだ。

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

バーダックは、変な汗をかいた。事情は知らないが、不審者を屋敷に招き入れようとしただけで、刺しまくることは無いだろう。だが、もっと気になったのは、銀髪の「またか・・・」みたいな、呆れた表情と、門番の「またこれですかああああ!?」みたいな、若干引きつった笑顔。あれが、日常なのだろうか?だとしたら、あの門番、頑丈だな。

少し待つと、予知夢の銀髪の女がやってきた。後ろに、ナイフが刺さったまま、一本一本抜きながら門番も歩いてくる。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「お待たせしました、どうぞこちらへ」

 

「・・・・・・あぁ・・・」

 

 

 

門の前に戻った門番とすれ違い、銀髪の女と並んで歩く。

 

 

 

「十六夜咲夜と申します。貴方様のお名前を拝見します」

 

「・・・バーダックだ・・・」

 

「門番から話は聞きました。物を借りたいそうですね。何をご所望でしょうか?」

 

「魚を焼きたいんだが、大型で手頃な串が無いんだ。金属製の長い針を借りたい。あぁ・・・これ位・・・」

 

 

 

バーダックは、両手を広げ1メートル程の長さを表現する。

 

 

 

「い、1メートルですか・・・。まぁ探したら、なんとか見つかるでしょう。こちらへ」

 

 

 

バーダックは、咲夜に案内してもらう事に。

 

 

 

(変わった建物だな・・・俺の故郷は、こう、球体をメインにしてたが、こっちは四角が主なんだ。壁にも装飾がされてるし、芸術方面にも進んでるんだな・・・・・・)

 

(1メートル・・・そんなに長いのあったかしら・・・一番長いので、50センチメートルの串がやっとだったはず・・・・・・うーん・・・お客様としては申し訳ないけど、着いたら、一緒に探してもらおうかしら・・・・・・)

 

(あんなヒラヒラで動きにくくねぇのかな・・・邪魔で仕方なさそうに見えるが・・・・・・)

 

(あれ?もしかして、こっち見てる?うーん・・・髪とか乱れてたかしら?それとも、服にシワでも・・・・・・)

 

 

 

バーダックには、邪心が無い。それだけに、少し見てただけでこの始末。だって、眼が純粋だから。

 

 

 

(なんだ?どうした?髪や服を弄って・・・虫でも追い払ってんのか?)

 

 

 

ここは、戦闘馬鹿のサイヤ人。色恋の雰囲気なんて、気にも止めない。むしろ、気づかない。どこのラブコメの主人公だ。それも、ハーレム型。

 

 

 

あれこれ食い違いもありながら歩き、台所へ到着した二人。そこには、咲夜も予想してない先客がいた。

 

 

 

 

 

「あら、咲夜じゃない。小腹が空いたから、少し勝手に貰ったわよ」

 

 

 

 

 

そこにいたのは、この館、紅魔館の主、レミリア=スカーレットだった。

 

 

 

「お・・・お嬢様!?」

 

「お嬢様?こいつが、この館の主人か?ガキじゃねぇか・・・・・・」

 

「なっ!貴様!!お嬢様に無礼な口を叩くな!!」ジャキッ!!

 

 

 

突然の爆弾発言に怒り、バーダックにナイフを向ける。だが、バーダックは動じない。

 

 

 

「どうしたのかしら?恐怖で動けないの?」

 

「うるさい!!」

 

 

 

どぉん!!!!!!

 

 

 

「うひゃ!?」

 

 

 

突然の爆発に、咲夜が吹き飛ばされて、壁に強く打ち付けられた。

 

 

 

「いきなり凶器を向けるなら・・・覚悟はあるんだろうな・・・?」

 

「う・・・ぐ・・・っ!?お嬢様は!?」

 

「お前ぇの目は空いてんのか?よく見ろ・・・・・・」

 

 

 

バーダックが顎をクイッ、と向け、その方向を咲夜も見る。

 

 

 

「その程度の不意打ちに対応できないなら、教育を改めるわよ、咲夜?」

 

 

 

そこには、魔力のバリアーで守られたレミリアの姿があった。

 

 

 

「ガキ・・・テメェ何者だ?」

 

「レディに対して、無礼な態度ね。まぁ良いわ。貴方、物を借りたいのでしょう?長い串を」

 

「何でテメェが知ってる?」

 

「それは、夜にでも話しましょう。これを貸すわ」

 

 

 

レミリアの手に握られてるものは、1メートル弱の金属製の針だった。

 

 

 

「うぇえ!?」

 

 

 

驚いたのは、咲夜一人だけだった。

 

 

 

「俺は、何も遠慮しないで借りてくぞ。それで良いんならな」

 

 

 

バーダックは針を受け取った。

 

 

 

「夜に話そうと言ったな。俺がここに留まるとでも?」

 

「すぐに分かるわ。早く、魚を焼いてきなさいよ・・・・・・ッフフ♪」

 

「じゃあな。道は覚えてるから、案内は要らない。明日返しに来る」

 

 

 

バーダックは、針を手に台所を出ていった。

 

 

 

「お嬢様・・・どうしてあんな無礼者に・・・それより、さっきの針はどこから・・・・・・?」

 

「あの針は、霊夢の妖怪退治の針よ。この間の宴会で1本拝借したの。理由は、あの男が来ることを知ってたから。夜に話すのも、あの男は帰ってくるのを知ってるから。これで全部よ」

 

「お嬢様の能力ですか・・・・・・。ですが、彼は明日返しに来ると言いました。帰ってくる理由は?」

 

「ッフフ♪話してあげる♪お子様にしてやられる、マヌケな男のお話を・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーダックは、魚を置いていた場所に飛んでいた。腹も減ってるので、少しイライラしている。日も沈んできて、暗い方の空をチラ見する。美しく輝く星がちらほら見えてきた。バーダックは、あの星空の下でのんびりすることを思い浮かべて、すぐにやめた。

 

 

 

「・・・・・・ったく。何が気持ち良さそうだ・・・。サイヤ人の俺が、ここまで馬鹿になるとはな・・・・・・」

 

 

 

口では否定してるが、美しい世界に見惚れている自分がいる。世界が美しいなら、そこに暮らす魚もきっと旨いだろう。水の段階で既に旨かったからな。

バーダックは、魚の場所に降りついた。そこには・・・・・・

 

 

 

 

 

「んぐんぐ・・・うまいのだー」

 

「変な魚だね。臭いも変だし、本当に美味しいの?」

 

「ナマズだよ、チルノちゃん。ルーミアちゃんもよく、生で食べられるね(汗)」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・は?」

 

 

 

「「「・・・・・・あ」」」

 

 

 

眼と眼が合う瞬間、思う。

 

 

 

(この、糞ガキ共・・・・・・(怒))

 

 

 

(旨そうな人間なのだ~)

(何だ、この人間?)

(あ、ヤバイ・・・)

 

 

 

誰1人として、シンクロしませんでしたとさ。

 

 

 

「チルノちゃん、ルーミアちゃん!!逃げないと!!」

 

「さいきょーのあたいが逃げるとでも!?」

 

「今度はあいつを食べるのだ~♪」

 

 

 

「だぁあ!!!!!!」

 

 

 

どおおおおおん!!!!!!!!!!!!

 

 

 

「「「え・・・・・・?」」」

 

 

 

「覚悟は良いな?」(ピキピキ)

 

 

 

(((こいつ(この人)は、ヤバイ!!逃げないと!!)))

 

 

 

「歯ぁ食いしばれぇ!!」

 

 

 

破壊はしないと、心に決めたバーダックであったが、食べ物の恨みは、これまた別。怒りに震えていた。三人は、全身から放たれる危険信号に反応して、戦略的撤退(要は逃げ)を試みる。

 

 

 

「宵闇!!」ブワァ!!

 

「っ!?何も見えねぇ・・・!!」

 

「冷気!!」ヒュアァァァ…!!

 

「うひぃ!?寒っ!?急に何だ!?」ブルブル

 

「二人とも、捕まって!!」ガシッ ヒュン

 

フッ

 

「う・・・暗闇が消えた・・・・・・。ガキ共は・・・・・・」

 

 

 

バーダックしかこの場に居ない。完全にしてやられた。誇り高きサイヤ人の戦士が、ガキ3人組に敗北(?)した。逃げられただけなのだが、バーダックは逃がさずに痛め付けようと思った矢先に、あっさり逃げられ放心状態だ。

 

 

 

「お・・・・・・俺が・・・・・・してやられた・・・・・・」

 

 

 

食べようとしたナマズは、骨だけが残り、肉片は欠片も無かった。

 

 

 

グゥー

 

 

 

何もない森に、バーダックの腹の虫の鳴き声が響く。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

バーダックは、真っ白な頭で考え、結果、短期間で二度目の敗北を知ったのであった。




どうも、白藍です。タイトルの通り、最悪な出会い方をしたバーダックでした。レミリアは、何を知っているのだろうか?そして、バーダックは夕食にありつけるのでしょうか?


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第02話〜空腹に耐えられるサイヤ人はいるのか?〜

屈辱を味わった。2度に渡り、ガキに良いようにされ、バーダックはご立腹だ。外出中の小悪魔という者が帰ってくるまで、食事は出来ない。という事で、客間の椅子に座ってイライラしている。紅茶とクッキーとかいう物を出されたが、失敗した食べ方をして、さらにイライラしている。

先に紅茶を飲んだ。「香りを楽しむ」文化に全く慣れてないバーダックは、強烈な匂いを不快に思った。飲み干した後にクッキーを口に入れた。最初は美味いと感じたが、食べた後に口の中がパッサパサになり、クッキーの粉が口内にまとわりつき、不愉快になった。

20分ほど待っただろうか。帰ってきたという事で、咲夜がバーダックを迎えに来た。

 

 

 

「お待たせしました。ご案内します・・・・・・フフ・・」

 

「う・・・くそぉ・・・・・・覚えてやがれぇ・・・・・・」

 

 

 

バーダックは未だにからかわれる。大の大人が、子供におちょくられるなんて、みっともなさ過ぎる。

だが、事実の上に、何か気に触るような発言をすれば、食事を貰えないとレミリアに釘を打たれ、ダブルで負けて、更に屈辱だ。

 

 

 

「フフ・・・・・・待っていたわよ、客人。私の紅魔館へようこそ」

 

「おま・・・あなたは何歳ですか?」

 

「500年生きてるわ。下等な人間と一緒にしないでちょうだいね」

 

「500年・・・長命の種族なのか?」

 

「吸血鬼。高貴なるスカーレット・デビルよ。よろしくね」

 

「バーダック。サイヤ人だ」

 

「サイヤ人?聞いたこともない種族ね。それとも国名かしら?どこから来たの?」

 

「惑星ベジータだ」

 

「「「「「!!!???」」」」」

「?」

 

 

 

幻想入りはよくある現象だ。故に、幻想郷の有力者は外の世界の事情はある程度知ってる。だが、違う星からやってきたなんて事は、1度も聞いた事がない。レミリア、パチュリー、咲夜、小悪魔、美鈴の5人は驚愕した。フランドールは、よく解っていない。

 

 

 

「惑星ベジータ・・・それはどこにあるのかしら?」

 

「知らねえよ。宇宙は広いからな。俺が征服した星も全宇宙のほんの一部だろうからな」

 

「「「「「!!!!????」」」」」

 

 

 

バーダックのとんでも発言に、またもや驚愕する。そして、「星の征服」のワードに警戒のかまえをとる。

 

 

 

「・・・・・・もう、んな事はするつもりはねぇよ。警戒するな」

 

「星の征服・・・目的は何だったのですか?」

 

 

 

咲夜が恐る恐る質問する。

 

 

 

「・・・・・・全てを仕切ってたのは、惑星の地上げ屋、フリーザだ。環境の良い星を見つけては、原住民を絶滅させ、綺麗な状態で金持ちに売りさばいてたんだ・・・。俺たちサイヤ人は、原住民を絶滅される戦闘員として働いていた・・・」

 

 

 

流石に、サイヤ人が如何に恐ろしいかをフランドールもだんだん分かってきた。自分の能力はとても強力だと認識している。だが、惑星レベルで破壊することなんて、出来ないからだ。小悪魔に至っては、恐怖で涙をこぼしている。

 

 

 

「だから、怯えるなって・・・俺に、もうそんな事をやろうなんて気持ちはさらさらねぇんだよ・・・」

 

「どうして辞められたのですか?その・・・惑星を売るくらいなら、収入も良かったの・・・では・・・・・・」

 

 

 

今度は、小悪魔が怯えながら聞いた。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

バーダックは、一瞬暗い顔を見せ、うつむいた。

 

 

 

「あの・・・話したくなければ、良いんですよ・・・」

 

「いや、話すよ・・・・・・。フリーザが、俺たちサイヤ人を裏切って、絶滅したんだ。故郷の惑星ベジータごと破壊してな・・・」

 

 

 

もはや愕然である。絶滅を超え、惑星を破壊するレベルが、この宇宙のどこかに存在するという衝撃の事実を知り、皆が険しい表情をする。レミリアも顔をしかめる。

 

 

 

「・・・・・・少し、貴方達サイヤ人の事について、教えてもらうわよ」

 

「さっき話しただろう・・・これ以上は知らねえぞ」

 

「私は、運命を操る程度の能力を持ってる。これを応用して、あなた達の運命を見るのよ」

 

「能力?」

 

「そして、私が吸血鬼でもある。あなたの血を飲めば、その血に刻まれた記憶や運命を読み取る事が出来る。・・・咲夜」

 

「はい」

 

 

 

咲夜は、太ももに装備していたナイフを一本取り出した。

 

 

 

「失礼します。血を「自分でやる。触るな寄るな」

 

 

 

いつの間にか、咲夜の手からナイフが消え、バーダックの手に握られている。

 

 

 

「な・・・いつの間に・・・・・・」

 

「美鈴、貴女見えたかしら?」

 

「か・・・かろうじて・・・。とてつもないスピードです・・・」

 

 

 

フランドールは、何が起きたのか分かってない。咲夜の能力による手品かと思っていた。

 

 

 

「どれだけ必要なんだ?」

 

「・・・一滴あれば充分よ」

 

「・・・・・・ん!」ピッ

 

 

 

バーダックは、自分の腕をナイフで切る。血をナイフに付着させ、咲夜に手渡す。

 

 

 

「・・・どうも」

 

 

 

咲夜は、少し引いた。血が出る傷を、自分であっさり付けるものだから、痛みを感じないヤバい奴みたいに思えた。

 

 

 

「ふぅん・・・・・・」ペロッ

 

 

 

レミリアは、能力で血の記憶を探る。そこに見えたのは・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この惑星ベジータの運命・・・この、俺の運命・・・カカロットの運命・・・そして・・・・・・貴様の運命も!これで最後だあああああああああ!!!!!!」バシュウウウン

 

 

 

 

 

「カカロット・・・俺の意志を継げ・・・サイヤ人の・・・惑星ベジータの仇を、お前が撃つんだ!!」

 

 

 

 

 

「じいちゃん、強えな。オラワクワクするぞ!」

 

 

 

 

 

「お前は、空中じゃ速く動けねぇ!」

 

 

 

 

 

「おらの全てをこの拳に賭ける!!貫けえええええ!!!!!!」

 

 

 

 

 

「よっしゃあああああ!!天下一武道会・・・優勝したぞおおおおおおおお!!!!!!」

 

 

 

 

 

「へへ・・・なら、オラも一緒に死んでやる!!」

 

 

 

 

 

「持ってくれよ・・・3倍界王拳かめはめ波だ!!!!」

 

 

 

 

 

「スピードだけじゃねぇって事を見せてやろうか?」

 

 

 

 

 

「サイヤ人のため・・・ナメック星人のためにも、お前ぇをぶっ倒す!!」

 

 

 

 

 

「星は壊せても・・・たった1人の人間は壊せねえようだな・・・」

 

 

 

 

 

「くそっ・・・どうなっちまったんだ、オラの身体・・・」

 

 

 

 

 

「悟飯、お前ぇの出番だ!」

 

 

 

 

 

「オラは居ない人間だ・・・オラは手を出さないほうが良い・・・未来のためにもな」

 

 

 

 

 

「そろそろ俺に出させてくれよ・・・本気をさ・・・」

 

 

 

 

 

「お前ぇはすげえよ、よく頑張った・・・またな・・・」

 

 

 

 

 

「破壊を楽しんでんじゃねえぞおおおおおお!!!!!!」

 

 

 

 

 

「へへ・・・やっぱりオラは、1人で戦うほうが良いや」

 

 

 

 

 

「格闘試合のルールだけどさ、全部取り止めにしてくんねぇか?」

 

 

 

 

 

「オラの体で・・・チチと悟天を・・・・・・ぜってえに許さねええええ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

恐ろしいものを見た。500年の歴史で、一度も見てない、とてつもない戦いの歴史。地球が消えたこともあるって・・・・・・。恐らく、外の世界でもない、完全な異世界なのだろう。こんな奴らが幻想郷にやってきたら、滅ぶ。間違いなく滅ぶ。

 

 

 

「顔面蒼白だぞ。何が見えたんだ?」

 

「!!!!!!!!!!??????????」

 

 

 

目の前に、始まりの戦士がいた。こいつ自身がどれほどの者か、調べる必要がある。美鈴と戦わせて・・・・・・いや、危険だ。最悪、レミリア自身が相手をしないといけなくなってる。幻想郷でも、かなりの実力者であると自負してるが、今回は流石に相手が悪いと認めざるを得ない。

 

 

 

「・・・・・・貴方の最後。そして、意志を継いだ、貴方の息子の戦いの歴史が見えたのよ・・・」

 

「何!?カカロットの・・・フリーザは!?どうなった!?教えろ!!!!」

 

 

 

バーダックは突然血相を変え、レミリアの胸ぐらを掴み迫る。

 

 

 

「何をしている!?お嬢様からはな「引っ込んでろ!!!!!!」

 

「うがっ!!!!」

 

 

 

咲夜がまた衝撃波で壁まで打ち付けられる。それも今度は1度目より強力に。

 

 

 

「咲夜、下がりなさい。これは、彼の死活問題なの。必死になって当然。話すから、手を離しなさい」

 

「・・・・・・ちっ」

 

 

 

バーダックは渋々手を離し、椅子に戻る。

 

 

 

「貴方の息子は・・・・・・」

 

 

 

〜スカーレットデビル説明中〜

 

 

 

「そっか・・・カカロットの奴、本当にフリーザを・・・・・・魔人とか破壊神とか凄いことになってんだな・・・・・・」

 

 

 

バーダックは心から落ち着くことができた。ずっと気になってた、カカロットとフリーザの戦い。2度に渡り、撃退したことを知り、安堵した。

 

 

 

「バーダックさん・・・?」

 

「ああ、悪い。ずっと気になってたんだ。フリーザだけじゃなく、まさか神になるなんてな・・・・・・ラディッツのヤツは、最後まで何も知らなかったとはいえ、最後まで戦い抜いたんだ。親として、誇りに思うよ・・・・・・」

 

 

 

紅魔館の皆は、驚いた。ずっとイヤな雰囲気を放つ迷惑な客と思っていたが、心から安心し、ふと見せた優しい顔に、不意を突かれた。

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、他の星からどうやって来たのですか?何もしなければ来ることは出来ないと思うのですが・・・」

 

「そうね。貴方は私の見た限り、死んでいるはず。何故生きてここにいるのかしら?」

 

「ああ、それは・・・・・・」

 

 

 

〜始まりのサイヤ人説明中〜

 

 

 

絶句。何もかもが信じられない。自らの意思で幻想入りすることはもちろん、結界を自力で超える事は今まで一度も無かった。まして、爆発から星を守るために、生身で宇宙空間に飛び出すなんて異常である。

 

 

 

「はあ・・・仕方ないわね。バーダック、3日後手合わせを申し込むわ」

 

「は?急になんだよ」

 

「貴方の力量を測らなければならない。幻想郷にとって危険でないか、調べる必要があるのよ」

 

 

 

唐突の発言に、紅魔館の住人が衝撃を受ける。

 

 

 

「ただの試合じゃないわ。貴方の相手は私とフランの2人よ。咲夜には場所を作ってもらう。元フランの地下牢を改造しておきなさい。今の仕事は休んでね」

 

「嬉しくない休暇!?」

 

「パチェには観戦をしてもらうわ。どれほどの力を持ってるかしっかり見極めなさい」

 

「化け物同士の戦いを間近で!?」

 

 

 

話がどんどん大掛かりになってきた。バーダックも口を出す。

 

 

 

「さっきも言ったが、俺はもう破壊はしないよ。そう誓ったんだ。危険も何も無いと思うぞ」

 

「そういう訳には行かないわ。貴方はどうあれ、過去に破壊活動をしてきた。規模は宇宙クラス。そんなヤツを幻想郷に置き続けるわけには行かないのよ。危険の方が大きいからね」

 

「そっか。この世界がそう言うなら、俺は従う3日後だな。一応聞くが、何故3日後なんだ?」

 

「3日後は満月。吸血鬼の力が一番強くなる瞬間なのよ」

 

「満月?そりゃダメだ。俺たちサイヤ人は満月を見ると、怪物になってしまうぞ」

 

 

 

そう。サイヤ人の原始的な変身である。満月から放たれる1700万ゼノを超えるブルーツ波を直視すると、破壊者大猿になってしまうのだ。バーダックは大猿になりたくない。理性を完全に失ってしまい、やりたくもない殺戮を好む破壊者になってしまうからだ。

だが。

 

 

 

「・・・・・・今は満月じゃないわ。月を見てみなさい。貴方の能力・・・見えるはずよ」

 

「白昼夢まで知られたか・・・・・・何が見えるんだろうな・・・・・・」

 

「「「「「???」」」」」

 

 

 

予知夢については、バーダックは口にしておらず、レミリア以外にこの場に知る者はいない。何のことを言ってるのかさっぱりの表情だ。

バーダックは、もうすぐ満月を迎えるであろう月を窓から見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へへ・・・・・・これはヤバイな・・・どうする、バーダック・・・」

 

「俺が囮で時間を稼ぐ・・・・・・博麗の巫女だっけか?あいつを連れてこい・・・・・・あと、洩矢の巫女か半分幽霊を頼む・・・」

 

「1人で大丈夫か?」

 

「大勢相手は・・・・・・得意分野だ。さっさと行け、魔理沙・・・・・・」

 

「・・・頼んだぞ!」

 

「・・・・・・ふう・・・さあ来い!!!!!!だああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っはあ・・・はあ・・・・・・今のは・・・・・・」

 

 

 

バーダックが見た夢は、魔理沙と呼んでいた少女と共に、夜の雪山で大勢の黒い何かと戦っている光景だ。今の幻想郷の季節は夏。雪が降っているということは、だいぶ先の事だろう。そして、その夜空に浮かんでいたのは・・・

 

 

 

「満月・・・・・・大猿になってなかった・・・」

 

「幻想郷の月に、その何とか波は含まれていない。破壊者にはならないみたいよ」

 

「そうか・・・なら問題無い。やろう」

 

 

 

流石に2人だけで話を進めるのを止めるために、パチュリーが口を挟む。

 

 

 

「そろそろ私達に分かるように話してくれない?この男にも能力と呼べる力を持っているの?」

 

「俺にも?どういうことだ?能力って・・・・・・」

 

 

 

〜スカーレットデビルと始まりのサイヤ人説明中〜

 

 

 

「幻の拳・・・それがきっかけで未来が見えるようになったと・・・・・・レミィと被ってるじゃない・・・」

 

「被ってるって何のことだ?」

 

「私は、運命を操る程度の能力を持ってる。これで、過去の運命を探ったり、これからの未来を予知したり操作したりできるわ。因みに、フランは、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力。咲夜は時間を操る程度の能力。パチェは火水木金土日月を操る程度の能力よ」

 

「はあ・・・確かに被って・・・・・・程度って何だよ。微妙な感じに聞こえて・・・いや、文化みたいなものか」

 

「何で程度と付くのかは正直な話、私達は知らないわ」

 

「・・・・・・じゃあ、俺の未来予知も名前を付けるべきなのか?」

 

「そうね・・・・・・安直に未来が見える程度の能力と言ったところかしら」

 

「待て。未来「が」見えるて何だよ。もっと微妙じゃねえか。未来を予知する、じゃねえのかよ?」

 

「貴方自身が見ようと思って見えるものなのかしら?」

 

「・・・・・・それを言われたら何も言い返せねぇ・・・」

 

 

 

結局、バーダックはその場のノリで「未来が見える程度の能力」所有者にされた。やっぱり気に入らない。内容が事実なだけに反論できないのも悔しい。何だよ、時間を操るって。自分の地味能力に比べ、かなり優秀じゃないか。一瞬で来たり居なくなったりしてたのは、そういう事か。ありとあらゆるものを・・・・・・度が過ぎるものは破壊できないという制限付きだろうか?惑星の破壊に驚いていたという事は、それ程の規模は出来ない。そういうことだろうか。火水木金土日月て何だよ。意味が分からん。

 

 

 

「もう良いや・・・頭が痛くなってきた・・・・・・何だっけ・・・3日後か。俺は構わねえよ」

 

 

 

あっさり了承したバーダック。口では争わないと言ってるが、やはり彼はサイヤ人。形はどうあれ、やはり強者と戦いたいのだ。バーダックはしっかり見ていたのだ。バーダックと試合を行うと聞いて、フランが眼を輝かせているのを。過去の破壊活動に怯えながらも、もうやらないと聞いてから、バーダックの強さに興味津々な様子だった。あの様子だと、殺しをしない試合ならば面白そうだと感じているのだろう。

 

 

 

「あんたら、あのキラキラした眼をした子供を相手に、やりません。なんて言わねえよな・・・・・・」

 

「・・・・・・」ウズウズ

 

「あぅ・・・・・・」

 

「ククッ・・・・・・」

 

 

 

「んでよ・・・・・・」

 

「まだ何か聞きたいことあるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつになったら飯が食えるんだよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グググウウウウウ

 

 

 

皆の腹の虫が鳴いた。

 

 

 

「・・・では、食事を持ってきますね」パッ

 

「・・・・・・はっ!?」

 

 

 

レミリア=スカーレットはある事を思い出す。血の記憶に宿った、サイヤ人の食欲を・・・。

 

 

 

(ヤバイ・・・エンゲル係数が・・・・・・でも、今になって食べるな、なんて言えない!!!!)

 

 

 

レミリアの精神を削る妖精メイド達の足音は、もうすぐそこである。




どうも、白藍です。結局まだバーダックは幻想郷の美味しいご飯にありつけませんでした。地球上の結界内ですから、やっぱり宇宙でも群を抜いて美味しいのでしょうね♪

さてさて、タイトル通り、我慢できるサイヤ人がここに居ました。まあ、悟空ベジータはガンガン食べますし、悟飯もその父親を見て育って大食いですが、ちゃんとした礼儀があれば、この様に我慢できるのです。そういう意味では、地球のサイヤ人は少しは遠慮して欲しいですね。未来トランクスは乏しい世界で生きてきたのだから、少食サイヤ人も居なければ、幻想入りする度に大変です。

・・・・・・・・・・・・我慢が解かれたら、どうなる?大丈夫か、紅魔館?

次回もご期待ください。


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第03話〜サイヤ人の就職活動〜

「美味かった。ご馳走さん」

 

 

 

レミリア=スカーレットは、目を疑った。目の前にいるサイヤ人が普通の量を食べて満足している。大食らいの連中のはずなのに。キョットーンとした眼でバーダックを見つめ、頭の中が混乱している。

 

 

 

「お・・・お嬢様?一口も食べないかと思ったら、急にどうしました?」

 

「食わねえのか?宇宙中を放浪した者から感想を言うぞ。これ程に美味い物に出会ったことは一度として無い。それを、食わねえのか?」

 

「へ〜。宇宙にはロクなものが無いのね。幻想郷・・・・・・地球出身で良かったわ。体に害ばかりになりそうね」

 

「咲夜、デザートは何!?おじちゃんも食べる?プリン♡」

 

「おじちゃん・・・・・・」

 

「ん?この呼び方、ダメ?」

 

「妹様、流石におじちゃんはちょっと・・・」

 

「いや、別に構わねえよ」

 

 

 

普通に和んで食事会を楽しむ、レミリア以外のメンバー達。レミリア以外は、サイヤ人=エンゲル係数殺しの方程式を知らない。故に、この光景の違和感は、レミリアにしか分からない。

 

 

 

「・・・バーダック・・・その量で本当に大丈夫なの?まさか病気?明日いきなり死ぬのかも・・・・・・」

 

「散々な言われようだな・・・・・・何でだよ・・・」

 

「レミィ、充分に食べてると思うわよ?そりゃ、体の大きさにしては少食気味だけど、そこまで言う?」

 

「貴女たちは何も知らないのよ!!こいつが少食なんて、あり得ないのよ!!物理的にも物語的にもあり得ないのよ!!世界が崩壊するわ!!!!!!」

 

「・・・なあ、このご主人様は一体何を言ってるんだ?」ヒソヒソ

 

「・・・さあ。こんなにも錯乱したお嬢様は見たことありませんね・・・」ヒソヒソ

 

「・・・長い親友だけど、こればっかりは分からないわ・・・」ヒソヒソ

 

「・・・メメタァ・・・・・・」ボソッ

 

「こあ、何を言ってるの?」ヒソヒソ

 

「・・・分かりません・・・何故か受信しました・・・・・・」ヒソヒソ

 

 

 

こちらも、散々な言われようだ。レミリアは、決して間違ってない。

 

 

 

「ああああ」

 

 

 

適当に名付けられた勇者の様なうめき声を放つレミリア。はたから見たら、痛い娘だ。

 

 

 

 

 

〜白藍の中書きコーナー〜

何故、ここのバーダックは少食なのか。作者の自己設定をお知らせします。

 

①バーダックは下級戦士であるため、初期戦闘力を500とする

 

②最前線で星を制圧しては、死にかけになって帰ってくる

 

③メディカルマシンで全快し、すぐさま違う星の制圧に向かう

 

この、メディカルマシンがキーとなります。バーダックは、マシンで傷を癒すと同時に液体から必要なエネルギーを皮膚から摂取しています。

 

④ ②③を延々と繰り返し、戦闘力10000までパワーアップしました

 

⑤メディカルマシンのエネルギーが主になり、食事する必要が徐々に無くなっていく

 

⑥よって、体質が食事を必要としなくなり、少食サイヤ人の完成

 

という事で、白藍の中書きコーナーでした。

 

 

 

 

 

「ああああ」

 

 

 

「・・・・・・とりあえず三日間、俺はどう過ごせば良いんだ?何もするなって言われたら、酷だしよ・・・・・・」

 

「ブツブツブツブツ・・・・・・っは!?そ、そうね。・・・・・・家事手伝い?」

 

 

 

特に何も思い付かなかったようである。惑星のお仕事をしてた人物に家事手伝いて。とんでもない落差があった。というか、紅魔館に住まわせる事を前提にしている。

 

 

 

「なら、メイド長さんだな。指導頼む」

 

「・・・・・・はい」

 

 

 

瀟洒なメイド長も、こればかりは顔をヒクヒクさせている。やっぱり恐い。

結局、レミリアは夕食をまともに食べる事は無かった。夜中にこっそり食料庫につまみ食いをしに行き、咲夜に見つかって怒られるのだが、それはまた別のお話。

 

 

 

 

 

「・・・・・・ふぅ〜・・・こぉ〜・・・」

 

 

 

美鈴は不思議な踊りをしている。否、健康体操の太極拳だ。

 

 

 

「よう、朝から何やってんだ?」

 

「あ、バーダックさん。おは・・・・・・クマがひどいですけど、寝てないんですか・・・?」

 

「・・・・・・徹夜でゲームのお勉強だよ・・・」

 

 

 

バーダックは、3日間待つ事を約束したが、やっぱり何もしないのは嫌なのだ。何か暇つぶしになるものは無いか相談した。出てきたのは、囲碁将棋チェスの3つだ。バーダックは簡単なルールを聞き、将棋を選んだ。

 

 

 

「・・・フランのやつ、重要点だけ言わねぇの何とかならねぇのか?」

 

「あぁー・・・まだ子供ですので、大目に見てください」

 

「495歳でまだ子供扱いか・・・・・・感覚が麻痺しそうだな、この館は・・・」

 

「幻想郷全体がそうだと思いますよ。あなたの様なタイプはいますが、少ないですね」

 

「マジか・・・・・・」

 

 

 

幻想郷の湖と紅魔館しか知らないので、興味が湧いてくる。だが、勝手な行動はとれない。

 

 

 

「将棋ですか。直感で来ましたか?こう、ビビッと」

 

「いや、戦闘に似通ったやり方だったからな」

 

「・・・・・・はい?」

 

 

 

意味が分からない。確かにゲームなので、戦いであるのは分かる。だが、戦闘となると意味がだいぶ変わる。

 

 

 

「駒の動かす方向を攻撃パターンとするだろ。飛車と角はリーチもある。香車桂馬は一回攻撃の気弾としてみな」

 

「・・・・・・・・・・・・分かりません・・・」

 

「駒を動かしたって事は、攻撃の体制に入って、同時に防御の構えが僅かに崩れる。それをお互いにやり合うなら、インファイトだろ?」

 

 

 

つまり、相手と近接格闘を行い、相手のペースを崩した後、畳み掛ける様に急所(王手)を狙う体制をとる。その時に、相手に抵抗(王将の逃げ・手駒による妨害)をさせない様にする。物は言い様に聞こえるが、バーダックはグループで星を制圧してきた。その時に、リーダーとしてメンバーを支持してきた。戦略を立てる事に関して、将棋を選んだ。

 

 

 

「でも、チェスもそんな感じですよ?将棋を選んだ決め手は・・・?」

 

「歩兵さ。俺は最初は下っ端だった。敵陣に乗り込む事を繰り返して、最前線で戦える様になった。成り上りが俺に重なったんだよ」

 

 

 

敵陣に乗り込み、と金に化ける下っ端駒が気に入ったのが決め手になった。下級戦士が名を轟かせた英雄は、バーダック一人だ。

 

 

 

「んで、何やってんだ?」

 

「あ、太極拳です。日課で朝の体操してました。健康に良いですよ」

 

「朝の体操か・・・同じ気の使い手が言うと説得力あるな。俺もやるよ。目覚めたいからな」

 

「・・・・・・うぇ!?」

 

 

 

 

 

「あやや。あれは誰でしょうか?見かけない格好ですね。外来人?いや、それでも異様な格好ですね。素肌に甲冑(?)ですか。朝から一緒にいる所を見ると、恋人でしょうか?」

 

 

 

清く正しい文々。新聞の記者とこ、射命丸文が太極拳をする2人を覗き見している。覗きは犯罪です。

 

 

 

「うーむ・・・ただの体操じゃ無いのは分かったが、どうもコツが分かんねえな」

 

「気の鍛錬を積めば、すぐに出来ますよ。技がまだ未熟の様ですが、力そのものは私を圧倒してますから」

 

「スカウター無しでよく分かるな。まず、そのやり方から教えてほしいな」

 

「うーんー・・・どう言えば良いのでしょうか・・・・・・」

 

 

 

「ふむ、会話からして修行ですかね?あの不思議な踊りが修行になるのでしょうか?」

 

 

 

覗き魔は様子を見ている。門番とサイヤ人は不思議な踊りをしている。サイヤ人は訳も分からず、とりあえず真似する。

 

 

 

「あれ、何なんでしょうか。シュールな光景ですね」

 

 

 

「ふぅ〜・・・ほぁ〜・・・・・・声出す意味あんのか?」

 

「あー・・・雰囲気ですね」

 

 

 

しばらく体操していると、咲夜が2人をして呼びにやってきた。

 

 

 

「バーダックさん、ここにいたのですね。美鈴も来なさい。朝食よ。不審な奴は居ない?」

 

「・・・・・・さっきからあそこの影に不審者がいます。一応まだ被害はありませんが・・・」

 

 

 

ギクッ

 

 

 

「はぁ・・・美鈴は後でお仕置きね。どうせ、バーダックさんが目的でしょうね。良いネタですからね、外来人は」

 

「俺?目的って何だよ。何も持ってないぞ」

 

「害は無いですから、バーダックさん、適当に相手してやってください」

 

 

 

咲夜は美鈴を引っ張って、館に歩いていく。

 

 

 

「相手って・・・力を使うなって言ってたばかりじゃねぇか・・・」

 

 

 

バーダックは不審者がいる木に向かって歩く。

 

 

 

(1人になった・・・チャンス!!)ギュン

 

「っ!?」

 

「どうもおはようございます清く正しい射命丸文です文々。新聞の記者をやってます新聞も作ってます実は昨日から虫さんが知らせてくれたのですがこの紅魔館に行くとスクープがあると聞きやってきましたそしたら朝早くから貴方が館から出てきて門番と不思議な踊りをするではありませんか咲夜さんとも話してましたしどなたかと近しい関係になったのでしょうか美鈴さんですか咲夜さんですかパチュリーさんですかまさかレミリアさんとフランさんですかいけませんお子様は犯罪ですよ咲夜さんが黙ってませんでもそれはそれでスキャンダルですね遂に紅魔館に跡継ぎが誕生するのですねこれは幻想郷の歴史に新たな一ページを書くのに相応しいです男の子ですか女の子ですかお名前は今後どういった教育を「だあ!!!!!!」ガツン!!「痛ぁ!?」

 

 

 

殴ったけど、俺は悪く無いよな。誰でもこれはイライラするよな。長々長々あれこれ言われ、終いにはとんでも無いことを言い出す。我慢の限界だった。

 

 

 

「妙な事を言い出したからお前の情報ブッとんだ。もう一回自己紹介しろ」

 

「どうもおはようございます清く正しい射命丸文です文々。新聞の記「はい、ありがとう」ガツン!!「しあ!?ああああしあ噛んだあああ!?」

 

「お前はバカか。何が目的だ。俺は何も持ってないぞ」

 

「うぅ〜女性を殴るなんて、酷い紳士ですね・・・取材をしにきました!!」

 

「・・・・・・取材?」

 

 

 

 

 

「どうも、ありがとうございました。昼までに新聞を作って配布するので、楽しみにして下さいね」

 

「・・・・・・あぁ・・・」

 

「では、ごきげんよう!!」バシュウウウン!!

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

ただ話すだけでここまで疲れたことは無い。ただの取材に1時間も使う必要あったのだろうか。何者か自己紹介とか、どうやって幻想郷入りしたかとか、そんなんで別に良かったのではなかろうか。紅魔館の誰に惚れたとか必要か?度が過ぎた質問は答えず、問答無用で頭を殴った。長々長々長々長々とどーでも良い質問ばかりで、途中から殴るのもバカバカしくなって適当に聞き流してた。後半は何を質問されたか覚えてない。

 

 

 

「・・・・・・腹減った・・・流石に待ってないだろうな・・・・・・」

 

 

 

ようやく解放されたバーダックは、精神グロッキー状態で寝坊組の小悪魔と一緒に朝食を食べた。遅くまで本の整理をしてたらしい。

 

 

 

 

 

悪魔の姉妹は基本夜行性。起きているのは咲夜、パチュリー、美鈴、小悪魔、妖精メイド( 昼組)、そしてバーダック。咲夜とパチュリーは地下牢の改造&強化の作業をしている。パチュリーの仕事は小悪魔が出来るため、バーダックの仕事は妖精メイド達の手伝いだ。

 

 

 

 

「あ、少し雑になってますよ。ゆっくり・・・」

 

「くそ・・・家事なんて全部ギネに任せてた上にやってる所まともに見て無いからな・・・全然・・・」グッ

 

 

 

パリンッ!!

 

 

 

「あっ!?」

 

「・・・・・・三枚目・・・・・・」

 

「床磨きが良いんじゃ無い?加減も分かると思うし・・・」

 

「シーア、咲夜様のモップを取ってきなさい」

 

「了解、リズ隊長」タタタッ

 

「・・・・・・悪いな、足手まといで・・・・・・」

 

「いえ、バーダック様の一番やりやすい仕事を見つけることが最優先です。気にしないでくださいね」

 

 

 

妖精メイドに慰められるバーダック。最近惨めなことが多い気がする。と言うか、

 

 

 

「バーダック様って言うな。今それだと、余計惨めだ・・・」

 

 

 

いきなりやってきた新参者に様呼びするという事は、バーダックはそれなりの館での地位を貰ってるという事だ。だが、仕事探しを部下に手伝ってもらい、あまつさえ慰められる。人間のクズだ。

 

 

 

「リズ隊長、持ってきました」

 

「よろしい。どうぞバーダック様。頑張りましょう♡」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

そろそろ泣きそうになる。ここまで役立たずだと知ると、戦いしか能の無いサイヤ人である自分が心底嫌になる。

 

 

 

(・・・せめて・・・一個くらい何かできるようにならねえと・・・・・・)

 

 

 

正午までぎっしり働いた結果、うまく出来た仕事は「図書館の本を一度に沢山運ぶ」ことだけであった。

 

 

 

「・・・・・・俺の役職は何か知ってるか?」

 

「え、知らないでやってたんですか?執事長ですよ」

 

 

 

まさかのカミングアウト。責任重大じゃねえか。

 

 

 

(・・・・・・辛い・・・・・・世間体の意味で・・・・・・)

 

 

 

 

 

「ルナルナ料理長。俺に調理を教えてくれ」

 

 

 

昼食を食べた後、バーダックはキッチンへ一直線。流石に掃除系の仕事は無理があると判断した。だが、調理なら出来るかもしれない。生きる=食べるの方程式から、美味しいものに対する執着心から、頑張ることが出来そうだ。

 

 

 

「はあ。では、洗い物が無くなったら夕食の下ごしらえに向かいますので、少々お待ちください、バーダック様」

 

「待つ」

 

 

 

何としてでも仕事を見つけなければ。カカロットは三十代後半になってようやく働いたらしい。嫁さんもサイヤ人は定職が無いと嘆いていたらしい。裏切られたとはいえ、俺はフリーザの下で働いてきた。過去の惑星プラントでも働いていた。自分の意思で幻想郷入りしたからには、きちんとした仕事をしないと、レミリアにあれこれ言われるに違いない。

 

 

 

(ナイフの扱いはある程度出来たからな。未知の惑星でサバイバルの経験もあるから、何とかなる・・・・・・多分)

 

 

 

しばらくして、ルナルナがこっちにやってきた。

 

 

 

「お待たせしました。包丁の扱いはいかがですか?」

 

「ナイフなら(以下略)」

 

「なるほど。野菜のカットなどは難しそうですね。まずは、皮むきをやってみましょうか」

 

 

 

バーダックはルナルナから、包丁とジャガイモを渡された。

 

 

 

「見ててくださいね、こうやります」

 

 

 

ルナルナの手の動きをじっくり見る。合計4個むいてもらい、やり方を覚えた。

 

 

 

「うん、出来そうだ。やってみるよ」

 

 

 

早速皮むきを行う。経験があったため、そこそこ出来る。まだ少し雑だが、速さならルナルナを超えている。

 

 

 

「上手いですね。左手はこうするともっとやり易いですよ」

 

「え・・・と、こうか?」

 

 

 

色々やってると・・・・・・

 

 

 

ダダダダダダダダダダバタン!!!

 

 

 

「バーダックさん!!お嬢様達の貞操を賭けて試合って何ですか!?」

 

「はあ!?」スパッ

 

 

 

美鈴がいきなりやってきた。新聞を片手に。トンデモ発言に手元が狂った。

 

 

 

「あ・・・・・・」

 

「いだああああああああ!!!!????神経!!神経いいいいいいい!!!!????」

 

「ふぇ・・・?」

 

「何しやがる、門番!?」

 

 

 

ギャーテーギャーテー!!!!!!

 

プチパニック状態だ。ようやく見つけた出来そうな仕事。邪魔が入り、果たしてこの先どうなる?




どうも、白藍です。第3話でした。案の定、ブン屋の新聞が厄介ごとを招きましたね。それと、前回で散々促した「どうなる、紅魔館の食料庫!?」の展開ですが、こういうのもあっても良いかなぁ・・・と。
そして、将棋の話ですが、ジャンプの「ものの歩」からセリフを引っ張ってきました。作者も将棋好きです。高校時代に近所の中学生が「やりたい」と言うので、6枚落ちのハンデでやって、勝っちゃいました。・・・・・・これは、もう良いか。
さて、この記事で紅魔館と幻想郷の住民や巫女さんは、どう動くのでしょうか?楽しみにしてくださいね。
※前回の血の記憶の回想シーンですが、超で新しい名台詞が出ると、編集で追加する予定です。ご了承下さい。


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第04話〜山彦のバーゲンセール〜

とりあえず、錯乱する美鈴は腹パンで収めた。切れた神経は、ルナルナを始め、妖精メイド達の簡易医療魔法の量で応急処置をする。後でパチュリーに頼めば、あっという間に全快らしい。

 

 

 

「急にどうしたんだよ、美鈴・・・・・・」

 

「お嬢様達の貞操って・・・・・・」

 

「何か持ってるな・・・」

 

「新聞ですね・・・多分何か問題でも書かれてるんでしょう・・・」

 

 

 

新聞を取って・・・・・・読めるはずもなく、ルナルナに読んでもらう。

 

 

 

 

 

赤い館、外来人に襲われる

 

宇宙を支配し続けた侵略者、サイヤ人が幻想郷に自力で結界を破って入ってきた!

 

今度の標的を紅魔館に決めた侵略者は、次々と住民を襲い、土足でズカズカと生活を乱した。

 

主人のレミリア=スカーレットは、突然の出来事に錯乱したと思われる。

 

幻想郷の環境が気に入ったサイヤ人は、紅魔館を乗っ取り、住まうことを決めた。

 

最後の抵抗に、悪魔の姉妹が力の高まる満月の夜に果し状を申し込んだ。

 

姉妹が勝てば、館は解放。侵略者が勝てば、跡取りを孕まされる事に。

 

哀れな紅魔館に、救済の手は差し伸べられるのだろうか・・・・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・まぁ、あのブン屋は信用ないので、大丈夫・・・だと、思いますよ・・・・・・」

 

 

 

ルナルナは、呆れた笑顔をバーダックに見せる。・・・が。

 

 

 

「あ・・・あのクズ野郎・・・・・・どこをどう聞いたら、こんな内容に・・・・・・」

 

 

 

やっぱり怒ってる。あまりにもひどい。これでは、サイヤ人の沽券に関わる。美鈴の胸ぐらを掴みガクガクぶん回す。

 

 

 

「美鈴!!おいこら、起きろ!!!!!!」

 

「あくあぐずびぐがぎなはがあああ!!!???」

 

「ば、バーダック様!!強くやりすぎです!!!!」

 

 

 

ギャーテーギャーテー!!!!

一息ついて、またまたパニック状態。

 

 

 

「って、こんな事をしてる場合じゃありません!!美鈴様、お嬢様にこの事をお伝え下さい!!!!紅魔館の沽券に関わります!!バーダック様、興奮してたら、余計に誤解を招きます!!とりあえず落ち着いて下さい!!!!」

 

 

 

唯一落ち着きを取り戻したルナルナ料理長が、まずはこの場を落ち着かせる。一番下の身分で上の者を一言で黙らせた。

 

 

 

「う・・・分かりました。その話の場にいましたからね・・・内容に度肝を抜かれてました・・・・・・」

 

「・・・・・・そうだな。冷静にならんと的確な対応が出来ん・・・」

 

 

 

 

 

「んで、どうすりゃ良いんだよ・・・この新聞がどれだけ広がっているかで深刻度が増すんだが・・・」

 

「一応さっきも言いましたが、この記者は幻想郷の住人のほとんどから、デタラメブン屋だの、マスゴミだの、信用度が薄いので、安全度の方が高いと思われます」

 

「・・・よくそれで、記者を続けられるな・・・・・・」

 

 

 

馬鹿馬鹿しい真実を知り、バーダックはひとまず安心した。館内伝令で、紅魔館主要メンバーと各支部長メイドの収集が伝わり、バーダックとルナルナは並んで食堂に歩いている。

 

 

 

「信用が無いなら、ほっときゃ良いだろ。なんでわざわざ会議する?」

 

「多分・・・・・・今後の厄介ごとについて・・・だと思います・・・」

 

 

 

そう。清く正しい文々。新聞の記者は、スクープをデタラメに書いてパニックを引き起こす、幻想郷のトラブルメーカーコンビの一人である。因みに、もう一人は、洩矢の巫女さん、東風谷早苗である。

 

 

 

「はい、ここですね。入りましょう」

 

 

 

ルナルナが扉を開けると、そこには既にメンバーが揃っていた。朝のバーダックと同じく徹夜で作業をしていた咲夜とパチュリー。夜行性なのに、いきなり起こされご立腹のフランと各メイド隊長達(夜組)。紅魔館のトラブルに眠気がぶっ飛んだレミリア。後は、普通に作業を抜けてきた小悪魔と各メイド隊長達(昼組・ルナルナを除く)。

 

 

 

「来たわね。バーダックはそこに座りなさい。メイドはいつもの立ち位置に」

 

「ああ」

 

「かしこまりました」

 

 

 

第1回バーダック騒動解決会議の幕が切って落とされた。

 

 

 

「さて・・・貴方、ブン屋になんて答えたのかしら?」

 

「悪い・・・くだらない内容ばかりで、ほとんどから聞いてない・・・・・・」

 

「・・・・・・はあ、貴方が悪く無いだけに、余計に厄介ね・・・」

 

 

 

レミリアは頭を抱えた。この先どうしたものか。侵略者の単語に霊夢が。やばい展開を知って魔理沙が。他には野次馬が沢山。そして、その騒動を面白がってまた文がやってくるに違い無い。今この瞬間にも来るかもしれないのだ。

 

 

 

「内容が全部嘘じゃ無いのも厄介だな・・・・・・宇宙を荒らしてたとか、環境が気に入ったとか・・・・・・」

 

「貴方、ナマズを横取りした妖精妖怪を怯えさせたわよね。その娘達が言いふらしたら、弁解も難しいわよ・・・」

 

「それも事実・・・・・・お先真っ暗・・・」

 

 

 

本当にどうしよう。大体の新聞なら、どうでも良いとスルーされている。だが、度の過ぎた記事だと有力者が慌てて確かめに行く。紅魔館もそうだった。霊夢が遂に強盗と口封じに妖怪化させて退治した、なんて新聞が来た時はレミリアが。魔理沙が魔法の事故による後遺症で植物人間に、なんて時はパチュリーが行った。美鈴が咲夜に拷問を受けた、なんて時はチルノ達が来た。どれも、デタラメでみんな安心した。

なんて、各々がどうしようか考えていると・・・

 

 

 

 

 

「レミリア!!大丈夫!?侵略者はどこ!!??」パリィィィン

 

 

 

 

 

霊夢が異変解決に、窓を蹴破って入ってきた。

 

 

 

「ドアから入りなさい!!」

 

「レミリ・・・・・・誰だ、あんた!!!!」

 

「・・・・・・俺はなにもやっ「侵略者!!!!!!」

 

 

 

霊夢は札をバーダックに向けて投げつける。

 

 

 

「ちょ、待て・・・話を聞け!!」

 

 

 

左手はまだ安静状態なので、右手だけで薙ぎはらう。正当防衛なのだが、霊夢には全く違って見えた。

 

 

 

「素手で弾いた・・・只者じゃ無いわね!!じゃあ、侵略者も本当な訳だ!!くたばりなさい!!!!【霊符】夢想封印!!!!」ドンッドンッ!!

 

「でええ!!??」

 

 

 

いきなり攻撃してきた。話を一切聞いてくれない。気とか霊力とか感じることは出来ないけど、分かる。あれは、ヤバイ!!

バーダックは、とっさに右手に力を入れ、気の壁を作る。

 

 

 

「だあああああああ!!!!!!」ガキイィィィィン!!!!

 

 

 

気の壁にぶつかった夢想封印は、弾けて爆発を起こした。

 

 

 

「霊夢!!ストップ!!嘘だから止めて!!!!」

 

「・・・・・・え?」

 

 

 

気の壁では防ぎきれず、右手のひらが焼け付いた。衝撃から、手首から肩まで痺れた。

 

 

 

「う・・・いてぇ・・・・・・」

 

 

 

レミリアが間に入り(物理的に)、霊夢は攻撃を止める。

 

 

 

「嘘・・・?じゃあ、そいつは誰よ?」

 

「話を聞かずに問答無用で攻撃すんなよな・・・バーダックだよ・・・外来人でサイヤ人で元侵略者なのは本当だが、別に襲ってはねえ。そういうのは、もう昔に辞めたんだよ・・・・・・イテテ・・・」

 

「紅魔館の客人だから、手荒な真似は控えてちょうだい・・・・・・」

 

 

 

 

 

〜紅魔館住民説明中〜

 

 

 

 

 

ようやく状況を理解した霊夢。バーダックに攻撃したことを謝っていると・・・・・・

 

 

 

 

 

「フラン!!無事か!!??」パリィィィン

 

 

 

 

 

今度は魔理沙が異変解決に、窓を蹴破って入ってきた。

 

 

 

「せめて、最初の窓から入りなさい!!!!」

 

「なんだ、お前!!??お前が例のレ◯プ魔か!!!???」

 

「んな!!??」カァァァ

 

「するか!!??」ガーーーー

 

「この変態め!!!!くたばれ!!!!【恋符】マスタースパーク!!!!!!」パゥゥゥゥゥゥ!!!!!!

 

「今度こそは、跳ね返す!!!!だああああ!!!!!!」ギュウウウウウウン!!!!!!

 

「人ん家で暴れるなあああああ!!!???」

 

 

 

ズドオオオオオオオオオオオオオン!!!!!!

魔理沙のマスタースパークと、バーダックの気功波が交差する。各自がとっさに防御&避難を試みる。

二人の打ち合いはほぼ互角。だが、魔力で放出を固定している魔理沙と比べ、気を放出し続けるバーダックが徐々に押し負けていく。さらには、負担が左腕に流れないように気を使っているため、上手く力を出し切れていない。まして、バーダックは冷静に被害を抑えようと威力を抑えてるが、魔理沙は怒りに震え全力で来る。

 

 

 

「ぐ・・・くそぉ・・・・・・最近負けっぱなしじゃねえか・・・・・・うあああああああああ!!!!!!」

 

 

 

マスタースパークはバーダックを飲み込み、壁を3枚ぶっ壊して消えた。

 

 

 

「悪は去った・・・・・・安心しな、フラン。もう大丈夫だ」ニコッ

 

「・・・・・・・・・魔理沙のバカアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」ズドオオオオオオン!!

 

 

 

ギャーテーギャーテー!!!!!!

 

 

 

「止めろおおおおおおおお(怒)」

 

 

 

遂にレミリアが切れた。吸血鬼の怒りの形相に、魔理沙も一瞬ひるむ。

 

 

 

「いいから、話を聞きなさい・・・クズ共・・・・・・」

 

 

 

立派な紅魔館が半壊し、怒りに震えるレミリアとフラン。魔理沙は、ようやく壁を破壊したことに気づく。霊夢は魔理沙がしっぽり怒られるところを想像して少しニヤけた。パチュリーは逃げ遅れた妖精メイド隊長達をバリアーで守り、魔力が尽きて倒れた。咲夜はバーダックのもとへ走り、介抱する。

吸血鬼姉妹の怒りは霊夢と魔理沙に向けられ、正座をさせられた。

 

 

 

「魔理沙だけで良いでしょ!?私はさっき怒られたわよ!!!!」

 

 

 

 

 

〜巫女&魔法使い説教中〜

 

 

 

 

 

「こえー・・・フランのヤツ、あんな顔するんだな・・・・・・脚が・・・・・・」

 

「あんたのせいで、こっちはとばっちりよ・・・・・・」

 

 

 

魔理沙は脚がサイダー状態になり、解放されてもまだ動けない。霊夢は慣れてるから立った。

 

 

 

「バーダックさん、まだ痛むところはありますか?」

 

「昼に切った左手が・・・開いた・・・・・・パチュリー・・・頼む・・・」

 

「・・・魔理沙、貴女の魔力を使わせて貰うわよ。ミニ八卦炉をこっちによこしなさい・・・」

 

「ほいっと。ほら」

 

「あっ!?勝手に取るな!!泥棒は罪なんだぞ!!」

 

 

 

これ程の「お前が言うな」を超えるものがあれば、是非とも聞きたい。ブーメランとも言う。フラン(窃盗行為を知らない)とバーダック(そもそも魔理沙を知らない上に、それどころじゃ無い)以外のその場の全員が思った。

 

 

 

「それにしても、コイツ私のマスタースパークにあっさり負けただろ?本当に強いのか?姉妹でかからないといけないのか?」

 

「あれは・・・リラックスモードからいきなり攻撃された・・・一切の準備と溜めが無い状態じゃ・・・たかが知れてる・・・・・・イテェ・・・」

 

「へぇ・・・あれで全く全力じゃ無かったんだ・・・だそうよ、魔理沙」

 

「嘘だろ・・・アレが・・・確かに化け物だな・・・・・・」

 

 

 

霊夢と魔理沙が少し離れて、話をする。すると・・・・・・

 

 

 

 

 

「宇宙からの侵略者と聞いて!!!!(笑顔)」パリイィィィィィン

 

 

 

 

 

「「どっせええええええい!!!!!!」」どごぉおっ!!

 

「グッフェァ!!!???」

 

 

 

レミリアと霊夢から、ダブルラリアットを受けた何かが、壁に向かって一直線。壁に頭から打ち付けられ、気絶する。

 

 

 

「今度は誰だよ・・・ホンットに楽しいところだな・・・幻想郷・・・」

 

「それは、見た通りの事?それとも皮肉?」

 

 

 

 

 

〜気絶した「何か」放置中〜

 

 

 

「異議あり!!」

 

「急に起きた!?」

 

「何か。とは失礼な!!やり直しを要求します!!」

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

〜山の風祝放置中〜

 

 

 

「やった!!大成功!!」

 

腕を高々と上げると・・・

 

ガシャン ガラガラガラガラ ドンッ(甲冑の足を引っ張り、下敷きになる風祝)

 

「きゅ〜・・・」

 

「何がやりたいのよ、コイツ・・・」

 

 

 

〜山の風祝気絶&放置中〜

 

 

 

 

 

「全く・・・なんで私が掃除をしなきゃいけないのよ・・・」

 

「貴女たちが散らかしたんだから、当たり前よ、霊夢」

 

「メイドのあんたがやった方が早いでしょうに・・・」

 

「それでは、罰にならないでしょう?」

 

 

 

窓と壁は、後で適当に直すとして、すぐに出来る後始末は、全部霊夢にやってもらってる。魔理沙は、霊夢から戦力外通告を受け、部屋の隅で落ち込んでいる。正座で。山の風祝こと早苗は、邪魔なので、廊下に捨ててきた。

 

 

 

「とにかく、貴女たちのおかげで夕食が遅くなるのだから、しっかり責任とってもらうからね」

 

「咲夜も、そういう所鬼ね・・・」

 

「では、そろそろ試合場の強化の方に行くわ。清掃隊長のリズに見張らせるから」

 

「妖精にこき使われるなんて・・・屈辱ね・・・」

 

 

 

いつだったか、異変を起こした時に霊夢にコテンパンにされた紅魔館。中でも、妖精メイド達は数で挑んであっさり負け、力の差に嘆いていた。その相手が、今なら自分の部下として言うことを聞かせることが出来る。後でコテンパンにされても良い。今は、この優越感をじっくり感じておこうと考えるリズであった。

 

 

 

 

 

「・・・・・・ふぅ。これで全部か。ジャガイモ人参の皮むきと、葉野菜の痛んだ葉の見分け。ソースに必要な食材は分かったし、後は調合だな」

 

「たった1日でここまで上達するとは、流石です。この仕事を選んで正解でしたね。お疲れ様です、バーダック様」

 

「・・・もう良いや。左手、まだ疼くな。本当に明日までに治ってんのかな・・・」

 

 

 

バーダックは、調理の基本4日分を1日でクリアした。やはりある程度の経験があってこその成果なのだろうか。

 

 

 

「これからは複雑な調理になります。今日はもうお休みになって、明日の昼食の下ごしらえから、また始めましょう」

 

「朝食は夜組の担当だったな。ビジネスが本当に上手な屋敷だ。使用人達もきちんとした休みもあれば、続けられるってか」

 

「レミリアお嬢様の為に、沢山のことを学んできましたので、満足感もいっぱいです」

 

 

 

バーダックは調理室を後にした。今日の仕事分5時間は終了したので、残りを将棋の勉強をしに行く。

廊下を歩いていると・・・

 

 

 

「・・・・・・はっ!!騒動の予感!!」

 

 

 

面倒臭いヤツが、バーダックが通りすがる瞬間に目を覚ました。冷めた目で少女を見るバーダック。

 

 

 

「はぁ・・・仕方無え。お前、来い。相手になれ」

 

「うぇ?」

 

 

 

素っ頓狂な声を上げる早苗。首根っこを掴まれ、ズルズルと引っ張られていく。

 

 

 

「はっ!?これはもしや、噂に聞く強姦!?非力な少女を無理矢「黙れ」ガツンッ

 

 

 

早苗は再び気絶され、客間に向かって引きずられていく。またギャーテーギャーテーされたら、面倒だ。




ようやく霊夢が動き出しました。結局怒られてしまいましたけど。
馬鹿馬鹿しい茶番や面白い展開はそろそろ中断です。次回よりキングクリムゾンで満月の日の昼から始まります。いよいよ、バーダックVSスカーレット姉妹の戦いが始まりますので、楽しみにしていて下さいね。


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第05話〜場合によって走馬灯になる能力〜

満月の日の朝。バーダックは早くに目が覚めた。いよいよスカーレット姉妹との試合の日である。といっても、行うのは夜からなので、もうしばらく待つことになる。戦いに備えて、今日1日は仕事はお休み。準備運動するなり体をゆっくり休めるなり、自由にして良いと言われている。

バーダックは、過去の惑星プラントでチルドと戦って以来、ずっと落ち着いた生活をしていた。幻想郷にきてからも、調理の基本を学び、美鈴との朝の太極拳するなど、やはり落ち着いた生活をしている。久しぶりの戦いになるので、ウズウズしていた。長くに渡り戦いを控えたため、サイヤ人の戦闘欲が今か今かと待っていたのだ。

 

 

 

「いよいよ、今夜か。まだ、相手の気を測る術は未完成のまま・・・」

 

 

 

美鈴に色々と聞いたが、上達すればどれほどの強さを持つものが、どの方向へ移動しているか、が分かるらしい。更には、気を感じただけで、その気の持ち主を特定することも可能だとか。スカウターでは強さと移動しているかだけしか分からなかったので、かなりの上位互換スキルと言える。これを身につけたら、目隠し状態でも戦えるとの事。

噂をすれば・・・

 

 

 

「おはようございます、今日は早い目覚めですね」

 

「おはよう、美鈴。楽しみだからさ」

 

「楽しみ、ですか。手合わせの相手が私でないのが、とても悔やまれます。自分はまだ修行中の身。武道家として少しプライドが傷つきます」

 

 

 

美鈴もまた、一人の武道家。戦いを通して自らを鍛えていく戦士だ。

 

 

 

「・・・・・・美鈴。お前は、何の為に戦う?戦いの先に、何を求めるんだ?」

 

 

 

バーダックはふと思った。自分は今まで、戦闘意欲を満たす為、そして人々を殺す為に戦い続けていた。フリーザに裏切られ、チルドと対峙した時は、憎しみでいっぱいになり、やはり殺す為に戦った。考えてみたら、それ以外の目的で戦うことは無かった。カカロットは、地球という星で武道家として育ったと聞いた。フリーザや魔人、破壊神と戦うときも、武道家の誇りを持って戦った。自分も、同じ気持ちを持つことが出来たら、きっと強くなれる。

 

 

 

「うーん、求めるものは特にありませんね。強いて言うなら・・・己に負けない為。ですかね」

 

「己に負けない?自分にって事か?よく分かんねえな・・・」

 

「私は、勝ち負けには特にこだわりません。どんな状況でも自分を見失わず、自らの高みを目指します。他にも、手加減をする事は絶対にしません。余裕ぶって戦ったり、相手を弄ぶような戦いも絶対にしませんから」

 

「相手が身の程知らずなら、どうするつもりだ?」

 

「そうですね・・・力は多少抑えますが、それでも戦いでは全力でやります。力を相手に合わせるだけで、勝負には容赦なしで挑みます。常に真っ向勝負をし続けますね」

 

 

 

不思議だ。力を抑え、それを手加減と思わないなんて。勝ち負けにこだわらないという事は、自分の戦い方とは真逆の思想だ。勝つことが絶対。勝者こそが絶対。今まで、そういう感覚だった。自分の敗北を、強さにするなんて、今まで考えたことも無かった。

武道家の考えがなんとなく分かった。俺が今までやってきたのは、やはりただの殺戮。フリーザの様に、使い方を誤ってしまっただけなんだ。ナイフは弱い生き物を殺す力を持ってるし、俺の手も、レミリアを憎んでいるとしたら、首を絞めているだろう。だが、ナイフは生活には欠かせないアイテムであり、俺自身も、もう誰も憎む事は恐らくない。力を持つことに善悪は存在しない。大切な事は、「使い方を間違えない」と、いう事なのだろう。その力の使い方を最も重視する者こそ、「武道家」と呼ぶのだろう。

 

 

 

(力の使い方を・・・間違えない事。か)

 

 

 

レミリアは、俺の力が幻想郷に害のないものかを確認すると言ってた。自分としては、もう破壊の気はさらさら無いし、再発する恐れも無い。だが・・・・・・

 

 

 

(それでも、あいつらは全力を持って戦いにくる。なら、俺にできる事は、真っ向勝負だ。正面から戦い、俺は力の使い方を間違えない事を、確実に認めてもらわなければならない。それが、俺の・・・今までとは違う、俺自身の戦いだ・・・)

 

 

 

バーダックは決めた。今日は何も口にしない。夜の勝負の直前に、水を一杯飲む。時間が来るまで、瞑想する。そして、気を現在の極限まで高め、正々堂々と戦う為の準備をする。だから・・・・・・

 

 

 

 

 

「うぅぅ・・・お嬢様・・・物理改造、終了しました・・・」

 

 

 

グロッキー状態の咲夜が、レミリアに報告をした。今にも倒れてしまいそうだ。

 

 

 

「お疲れ様。パチェは?」

 

「後3時間ほどで魔装改造が終わる。との事です・・・」

 

「そう。十分間に合うわね。貴女はゆっくり休みなさい」

 

「ふぁぃ・・・ありがとうございます・・・・・・」

 

 

 

本当に限界に近い咲夜は、能力を使わずに、壁に体を預けながら部屋に戻っていく。あそこまで疲れた咲夜を見るのは初めてだ。パチェは更に疲れた状態で戻ってくるだろう。昼食は一層良いものを食べさせてやろうか。

そろそろ戦いの夜に備えて、睡眠に入るか。夜行性の吸血鬼の力を存分に発揮できる様に、フランにも言っておこう。バーダックも湖に行くと言ってた。なにかしら彼なりの準備をしてくるのだろう。朝食も昼食も食べないなんて、アイツ、本当にサイヤ人なのだろうか。

 

 

 

「お姉様。おじちゃん、どこに行ったの?」

 

「フラン。バーダックは気持ちを整理するって、湖に行ったの。私たちもそろそろ寝ましょう」

 

「おじちゃん、大丈夫かな?」

 

「大丈夫よ。一緒に寝てあげるから・・・」

 

「・・・うん」

 

 

 

レミリアはフランを連れて寝室に向かう。

 

 

 

そして、レミリアは今朝のバーダックが気にかかっていた。湖に行くと言って、走ったその後ろ姿。何となく。本当に何となく、彼の関係する運命を見てみた。ほんのわずかしか見えず、その後何度見ようとしても見られなかった。わずかに見えた運命は・・・

 

 

 

「レミリアとフランが、スカーレットデビルに負ける」

 

 

 

どういう事かさっぱり分からない。スカーレットデビルは、私たち二人しか存在しない。3人目なんてあり得ない。何故、この運命がバーダックを通して見えたのか。やはり、戦いの時が来るまで分からないのだろう。まだ多少の不安があるが、今考えても仕方がない。ゆっくり休もう。

レミリアは、フランを抱きしめて眠りに入った。

 

 

 

 

 

バーダックは、湖のほとりに立っている。丁度今立ってるこの場所に、自分はやってきたのだ。この場所で、新たな世界を見た。綺麗な空気。澄んだ湖。美しい世界を見た感動は、今も続いている。気をまとって、湖に足を入れてみる。

 

 

 

「やはり、ある程度の空気の層・・・いや、自分の空間が俺を守っているのか・・・」

 

 

 

深さのある箇所を探し、そこに自らの体を沈める。自分のフィールドのおかげで呼吸ができる。意識を途切らせたら、消えてしまうだろう。

水の中なので、なにも聞こえない。瞳を開けてみると、透明度の高い水中が見える。濁りの無い綺麗な水中には、岩や藻が広がり、小さな淡水魚が泳いでいる。とてものどかで綺麗な世界。この湖から自分の新しい世界が始まった。こここそ、破壊や憎しみの為にしか戦わなかった自分に別れを告げ、新たな自分の目覚めに相応しい。

 

 

 

(座るには・・・あそこが良い。広さもそこそこある・・・)

 

 

 

湖中の底に、一際大きい岩が並ぶスペースがある。その中の1つ。1番大きな岩の上であぐらをかく。瞳を閉じ、瞑想を始める。

 

 

 

(強く・・・強く・・・もっと強く・・・・・・)

 

 

 

ただ強くありたい。それが、武道家の第一歩だろう。自分の強いイメージを固めてみる。裏切りを知った自分。フリーザに1人挑んだ自分。そして・・・・・・金色の変身を遂げた自分。

どれも、憎しみによる力だ。これではいけない。もっと純粋な自分を思い浮かべる。ベリーと会った自分?あの時は、まだチルドの存在を知らなかった。ただ鈍った体を元に戻すために、リハビリをしていた。思えば、過去の自分ではあの時が一番近い。

 

 

 

(あの感覚・・・ほんの一瞬だったから、あんまり覚えてねえな・・・)

 

 

 

実感があまりにも無いので、イメージするのはかなり難しい。どうする。元々のイメージが全く分からないから、思い浮かべることすら出来ない。

 

 

 

(・・・・・・試してみるか)

 

 

 

バーダックは瞑想と同時に、カカロットのことを思い浮かべる。アイツはどのような気持ちで戦ってきたのか。それを見る方法は1つ。能力だ。未来しか見えないようだが、レミリアと似た能力ならば、何とかすると、そうで無いものも見えるかも知れない。その見えない何かを、何とかして引き出さなければ、カカロットの戦いを見ることは出来ない。能力に意識を向けていると・・・

 

 

 

「・・・ぐぶっ!?がぼぶぼべぶぼばぁ!?」

 

 

 

溺れた。気のフィールドが緩んで、水をもろに飲んでしまった。あっという間に意識が遠のいていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「神様!!手助けなんかいらねえよ!!これは試合なんだ!!邪魔しねぇでくれよ!!」

 

 

 

 

 

「・・・へへ・・・こんなにヤベェ時だってのに・・・ワクワクしてる自分がいるんだ・・・」

 

 

 

 

 

「こんなチャンスは2度とねえかも知れねえ・・・100パーセントのあいつと戦って・・・勝つ・・・」

 

 

 

 

 

「アイツはオラとの戦いで消耗している。そんなのはフェアじゃねぇ」

 

 

 

 

 

「ごめんな、じいちゃん。やっぱりこいつはオラ達には性に合わねえ。1人で戦いたいんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ぐっ、ごほっがふっ!!・・・んうぅ・・・・・・」

 

「目、覚めましたか?」

 

(ぐ・・・誰だ?俺の、目の前にいるのは・・・?)

 

 

 

バーダックは、いつの間にか湖の岸に寝ていることに気付く。目の前にいるのは・・・

 

 

 

(コイツ・・・どっかで見た覚えが・・・)

 

 

 

グリーンの髪。薄いブルーのワンピース。妖精。

思い出した。3日前に俺の魚を勝手に食ったガキと一緒にいた・・・

 

 

 

「お前・・・何で俺を助けた?あの時、俺は本気で殺気を出してた。気付いてないわけが無いだろ・・・」

 

「あれは・・・やっぱり私たちが悪かったし、謝りたくて・・・・・・」

 

「・・・そっか」

 

 

 

今更怒鳴り散らそうなんて、思ってもいないバーダックだが、少女はまだ怯えている。

バーダックは起き上がって、手を少女に向かって伸ばす。

 

 

 

「っ!!」

 

 

 

目を強く瞑って、身を固めてしまっている。やっぱり、あの時に発した殺気が印象深かったのだろう。

 

 

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・っ!!」

 

 

 

 

 

わしゃ。

 

 

 

 

 

「・・・え?」

 

 

 

眼を恐る恐る開けてみると・・・

 

 

 

わしゃ・・・わしゃ・・・

 

 

 

頭を撫でられていた。てっきり殴られると思って、不意を突かれた。

 

 

 

「・・・落ち着いたか?」

 

「あ・・・その・・・はい・・・・・・」

 

 

 

妖精の少女は真っ赤になって、俯いている。おませさんだ。バーダックはしばらく撫でてやった。

 

 

 

 

 

全身が濡れているので、ほとりに座っていると、風が冷たくて心地良い。

 

 

 

「お前、名前は?」

 

「あの・・・皆からは大ちゃんって呼ばれてます・・・」

 

「大・・・ねぇ」

 

「あの、ちゃんって付けてくれないと・・・男の子・・・みたいで・・・」

 

「俺にちゃん付けで呼べと・・・」

 

「・・・・・・大妖精って呼んでください・・・」

 

「・・・あぁ。・・・バーダックだ・・・」

 

「バーダック、さん・・・」

 

 

 

大妖精は落ち着いてきたが、初対面の事もあり、お互いにまだぎこちない。勝手に魚を取ってしまった事。強烈な殺気で怖がらせてしまった事。両方に非があるのでバツが悪い。

 

 

 

「・・・他の2人は、どうしたんだ?」

 

「あはは・・・寺子屋の宿題をやってなかったみたいで・・・今日1日補修を・・・」

 

 

 

補習、ね。殺気を浴びる直前の発言からある程度理解はしたが、やはり、オツムが少し悪いようだ。むしろ、能天気な感じだから、自分が悪かったなんて思ってないのだろう。

大妖精に、2人の事を尋ねてみる。

 

 

 

「うーん。マイペースって言うか・・・自分勝手と言うか・・・。まぁ、ぶっちゃけ・・・おバカさん、かな。えへ・・・」

 

 

 

普段一緒の友達がそういう娘だと認識されている事を分かっている分、苦労の色が垣間見える。

 

 

 

「自分勝手・・・・・・」

 

 

 

眼を覚ます前にわずかに見えた、カカロットの姿を思い出してみる。

 

 

 

「そっか。ありがとな、大妖精」

 

「え・・・急に何を・・・・・・」

 

「じゃあな」

 

 

 

バーダックは戸惑う大妖精を置いて、紅魔館へ飛んでいく。

 

 

 

(そうだ。別にあれこれ考える必要は無いんだ・・・。何も考えず、自分と相手しか居ない。雑念を取り除けば、きっと・・・)

 

 

 

 

バーダックは答えを見つけた。カカロットは正義や人々の為に戦ったのでは無い。自分が戦いたいから戦う、自分勝手な戦士だったのだ。目的も憎しみも無い。「強くなりたい」それだけで自らを高めてきた。

 

 

 

(俺に今更そんな考えは持てない。けど、何も考えずに戦うこと位なら・・・)

 

 

 

早速門前に帰ってきた。

 

 

 

「お早い帰りですね。何をしに「寝る」

 

「・・・え?」

 

「試合の前になったら、起こしてくれ。んじゃ」

 

「・・・・・・えぇえ!?」

 

 

 

何もする必要は無い。ありのままの自分で挑めば良いんだ。それだけで、俺は強くなれる・・・はずだ。

バーダックは自室に戻り、ベッドに横になった。夜に眠くならないように、しっかりと睡眠をとる。寝起きで戦えるかなんて考えない。適当が一番だ。心を落ち着かせたバーダックは、30分かけて眠りに入った。案外遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

金髪の長い髪をなびかせ、頭がおかしくなるような空間で考え事をしている女性が1人。空間が裂け、もう1人の女性がやってくる。

 

 

 

「どうだった、藍?」

 

「はい。やはりバーダックという男は、3日前のタイミングで結界を超えています。ですが・・・」

 

「どこを探しても、結界の亀裂は無い・・・のね」

 

「はい。結界に傷一つ付けずにやってきました。幻想郷の性質の幻想入りとは、根本的に違うようです」

 

「そう。どっちにしろ、これからも監視が必要ね・・・ふふっ♪」

 

「楽しそうですね」

 

「完全なイレギュラーだもの。私の力が通じない時点で詰みよ。この幻想郷も、どう変化していくのか、見ものね・・・」

 

 

 

2人の影が空間から徐々に姿を消していく。

 

 

 

「バーダック。貴方は幻想郷にどんな変化をもたらすの?」

 

 

 

八雲紫は、クスリと不気味な笑みをこぼした。




よう、バーダックだ。レミリアのヤツ、妙なことを言ってたな。俺がスカーレットデビルになるってか?それよりも、何となくだけど、感覚が掴めたんだ。早く夜になって戦いたいな。いよいよ、満月の戦いが始まるぜ。野次馬にも注目だな。
次回も、俺たちの戦歴を見てくれな。





バーダックに次回予告させてみました。タイトルは一話分書き終わってからつけてるので、ご勘弁を。
超で、セルが乗ってきたタイムマシンを見たとき、大興奮しました。ドッカンバトルでは、破壊王子ベジータを入手。旋風が巻き起こっております。ご愛読、ありがとうございます。


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第06話〜はじめてのだんまく〜

「・・・さい・・・・・・ックさん・・・」

 

「ん・・・むぅ・・・」

 

「起きて下さい、バーダックさん。もうすぐ日が沈みますよ」

 

「っ!!!!」

 

 

 

すごい勢いで飛び起きた。目が覚めた瞬間に、サイヤ人の細胞が歓声をあげる。

 

 

 

「・・・いよいよか」

 

 

 

窓から外を見ると、西の空が真っ赤に染まり、一部が暗くなってる。本当にこれから夜が始まるようだ。

 

 

 

「ありがとな、美鈴」

 

「いいえ、約束でしたからね。いよいよ、貴方の実力が見れるという事ですね」

 

「勝手に見てな。俺は俺のやりたいように戦う・・・」

 

 

 

ベッドを降りて、ドアに向かう。と、

 

 

 

「あの、気をつけてくださいね・・・・・・」

 

「気をつけるって、いった「はいどーもこんばんは清く正しい文ぶ「ふんっ!!」ごすっ

 

 

 

変なのがいやがった。デタラメブン屋だのマスゴミだの言われてる、クズ野郎の記者だ。よくもまあ俺の目の前に来れたものだ。

 

 

 

「んで、社会の底辺が、俺に何の用だ?あ?」

 

「あれ?もしかして怒ってますか?」

 

「もしかしなくとも怒ってるよ、お前にな・・・」

 

 

 

とんでもない新聞をばら撒き、俺の評判を思い切り突き落としたヤツだ。そりゃ怒る。そういえば、この新聞の騒動の延長で霊夢と魔理沙に攻撃されたんだったな。今思い返すと、より怒りが増す。

 

 

 

「とりあえずイラついたから、殴るぞ」ごすっ

 

「いだあ!?何をするんですか!?」

 

「予告したぞ。ついでにもう一発」ごすっ

 

「うぅぅ、屈辱ぅ・・・」

 

 

 

何とも混乱するやり取りだ。バーダックは、殴った後地下牢の扉に向かって歩く。文も付いて来る。

 

 

 

「ずばり!!試合の前の感想を!!」

 

「鬱陶しい」

 

「吸血鬼の2人を相手に、作戦は!?」

 

「お前が居なくなると、良いのが思いつくかもしれん」

 

「起きたばかりの様子ですが、準備運動しなくてよろしいですか!?」

 

「よし、新聞記者でじっくり運動するか」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「もしかして、嫌われてます?」

 

「良く分かったな。ご褒美にゲンコツをあげよう」ガツンッ

 

「・・・貴方みたいな人をサディストって言うんですね。勉強になります・・・」

 

「何か言ったか?」

 

「いえ何も!!では客席に行って待ってますね!!」ギューん

 

 

 

歩く方向に、猛スピードで逃げていった。と、言うか、

 

 

 

「客席って何だよ?咲夜とパチュリーと美鈴で見るんだろ?」

 

「あ〜・・・それが、ですね・・・」

 

 

 

 

 

「あいつの力を見るのもメンドイわね・・・」

 

「私は純粋にあいつの力を見てみたいんだぜ」

 

「宇宙の侵略者の実力を見に」キリッ

 

「さいきょーのあたいを差し置いて、楽しもーったってそうはイカのトン吉!!」

 

「どこで聞いたの、チルノちゃん・・・」

 

「大妖精の勧めで来たものの、どうも騒がしいな・・・」

 

「諦めなって、慧音。私は久しぶりの刺激に興奮してるよ」

 

「適当に歩いてたら、ここにいた!!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

試合場に着いたバーダックは、ギャラリー席を見て引いた。結構たくさんの連中が見に来ている。見世物じゃねえのに、あのマスゴミ勝手に宣伝したな。

 

 

 

「全く、美鈴はいつになったら門番の仕事をキッチリやってくれるのかしら・・・」

 

「今回は俺の所為でもあるから、控えてくれよ・・・」

 

「おじちゃん、ご飯食べてないって聞いたけど、大丈夫?」

 

「大丈夫だ。思いっきり来なよ」

 

「うん!!」

 

 

 

ギャラリーが大分ざわついているが、無視無視。目の前にいる2人だけに意識を向ける。

 

 

 

(何か吹っ切れたのかしら?朝に出かける前とは顔つきが違う。何を見つけたのかしらね)

 

(何も難しいことは考えない。この場には、俺とレミリアとフランの3人しか居ない。この感覚が、神経を研ぎ澄ませる)

 

(本気かぁ。最初は何のスペルで行こうかな?楽しみ♡)

 

 

 

それぞれがそれぞれの思いを胸に、向かい合う。もう、準備は完全に整った。

 

 

 

「パチェ。後、どれくらい?」

 

【もう、いつでも良いわよ。貴方達のタイミングで始めなさい】

 

「何だ、これ?テレパシーってヤツか?」

 

「そう。では、そろそろ始めるわよ、バーダック・・・今更だけど、弾幕ごっこはできるわね?」

 

「あぁ、美鈴と魔理沙にルールはバッチリ聞いた」

 

 

 

バーダックはすぐさま構えを取る。レミリアフランは、翼を大きく広げ、飛び出す準備をする。

いよいよ始まる試合。外来人バーダックの力量、そして幻想郷に危険が無いかを調査する戦い。異変の解決者も見守る中、緊張が辺りを包む。

 

 

 

「・・・合図はどうする?」

 

「・・・・・・フラン・・・」

 

「んりょーかいっ」

 

 

 

フランが服を少し弄る。どこに持ってたのか、一枚のコインを取り出した。バーダックは笑った。何とも分かりやすい。フランは、コインを宙に放り投げた。

コインはクルクルと回転しながら、ゆっくりと床めがけて落ちていく。ギャラリーもコインに目が向き、緊張で息を飲み込んだ。

そして・・・

 

 

 

 

 

チャリンッ

 

 

 

 

 

レミリアとフランは左右に割れ、天井近くまで上昇した。

 

 

 

「行っけー!!」キウウウウウウウ・・・

 

「【紅符】スカーレットマイスタ!!」パウゥゥゥゥゥ・・・

 

「イキナリブッ込んできたな」ダンッ

 

 

 

姉妹の2人から、おびただしい数の弾幕が放出される。霊夢と魔理沙は目を疑った。紅霧異変に対峙した時と、桁違いだった。更には、放出されてしばらくすると、被弾してないのにも関わらず、弾けて衝撃波を当たり散らしていく。

他のメンツも、動揺している。目の前で起こっている勝負が、自分たちの理解を超えたモノだからだ。これ程の密度の中に自分がいると思うと、ゾッとしてくる。

 

 

 

「あ、あいつはどこに行った!?」

 

「今は、あそこにいますよ・・・」

 

 

 

文が空中の一点を指差す。そこには

 

 

 

「うあああああああああ!!!!!!」ジッジジッ

 

 

 

宙を滑空しながら、合間を縫って回避し続けるバーダックがいた。よく見ると、腕や脚を振り回しながら飛んでいる。

 

 

 

「嘘だろ!?素手で弾きながら飛んでるぞ!?」

 

「数だけじゃ無い、エナジー自体の密度もかなり高いのに・・・」

 

「レミィだって、分かってるはずよ。最初からアレだけ飛ばせば、負担が大きいのも」

 

 

 

「そろそろ、俺も・・・【旋風】リフレクトルネード!!」

 

 

 

胴体を軸に横に回転するバーダックの周囲に弾幕がまかれる。弾幕同士で相殺を続け、徐々に2人分の弾幕を押し返していく。

しばらくして、レミリアのカードが尽きた。フランはまだスペルで無いので、撃ち続ける。バーダックも技を解いたが、1人分に減った弾幕を相手にするのは容易いこと。躱しながらフランめがけて飛び出す。

 

 

 

「カード、行っちゃうよ!!【禁弾】カタディオプトリック!!」

 

 

 

先ほどとは打って変わって、大型の弾幕を撒き散らす。壁に当たると、爆散せずにそのままの勢いで反射していく。バーダックは躱し続けるが、不規則にあちこちから飛んでくるもので、いくつかの直撃を受けてしまう。

 

 

 

「ふう、厄介な技だな。追撃が来る!!」

 

 

 

バーダックは力を放出した。青いオーラが体を包んで、炎のように燃え上がっていく。

 

 

 

「フランも行っくよー!!【禁忌】フォーオブアカインド!!」

 

 

 

スペルを宣言したフランの体がぼやける。空間が捻れたような気持ち悪い視界に、一瞬怯んだバーダック。見逃さなかったレミリアは右の脇腹めがけて、魔装突進をかました。

 

 

 

「う、ぐぁ・・・」

 

「悪魔の瘴気をまとった体当たり。精神を少しずつ蝕ませて貰うわ!!」

 

「へへっ、そう来なくちゃな・・・」

 

 

 

「冗談じゃ無いぜ・・・レミリアのヤツあんな力を隠していやがったのか・・・」

 

「満月の魔力が密集してるんだ。密閉された地下牢の中は濃度も高いんだろう。それだけ力が充満しているんだ!!」

 

「あぁ、通りでキモってる訳ね・・・」

 

「え?ああ!?いつの間に!?」

 

 

 

凄まじい戦いの中、ギャラリーは、どんどん盛り上がっていく。そんな中、霊夢とパチュリーはバーダックの様子がおかしい事に気付く。

 

 

 

(レミリアがあいつに直接触れてから・・・質が変わった?オーラも少し色が変わってる・・・)

 

(・・・何?この違和感は・・・いったい・・・)

 

 

 

気持ち悪い視界が急に晴れた。その先に見えたのは・・・

 

 

 

「ふふふ♡いっぱい遊ぼう!!」

 

「壊れちゃダメだよ!!」

 

「4倍の弾幕に、ついて来れるぅ〜?」

 

「ふふ・・・あはははははははは!!」

 

 

 

【フォーオブアカインド】。実体のある影分身とも違う、さらに上を行く奥義が披露された。

 

 

 

「フランが4人か・・・力も4頭分、な訳ねぇか・・・・・・んっ!!!!」

 

 

 

文字通り4倍の密度になった弾幕がバーダックを襲う。

 

 

 

「ちょ、うわっ!?こらあ!?私の動きも封じてどうする!?」

 

 

 

何故かレミリアも一緒に襲われている。これは選択ミスだろう。せっかくの2vs1なのに、連携が全く取れそうに無い。むしろ、味方の首を絞めている。もちろん、無邪気に弾幕ごっこを楽しむフランに、そんな事を考える余地は無い。

 

 

 

「うあだだだだだだだだだ!!」

 

 

 

バックで滑空しながら、被弾しそうな弾を選んで、気弾を一発一発打ち込んでいく。躱しきれない分を持ち前の戦闘勘で補うバーダック。すると、背中に違和感を感じた。その正体は、

レミリアがバーダックに必死にしがみついていた。

 

 

 

「・・・何してる、レミリア」

 

「避け切れるもんか!!悪いけど、終わるまであんたの後ろに隠れさせてもらうわよ!!不本意だけど!!」

 

「弾幕自体は通常弾だろ。終わりそうにねえよ」

 

「合間を縫って、フラン本人を攻撃しなさいよ!!」

 

 

 

ギャーテーギャーテー

弾幕が飛び交う音で既にうるさいのに、レミリアは鬼の形相で叫ぶ。

 

 

 

「・・・今だ!!【乱舞】破魔の龍星!!」

 

 

 

バーダックの体が輝き、全身から放出したかのような太い光線が一体のフランを襲う。

 

 

 

「あ・・・うあああぁぁぁぁ・・・・・・」

 

 

 

被弾すると、推進力が急に落ち、その場で固まる。

 

 

 

「あれは・・・」

 

「どんな仕掛けになってる!?」

 

 

 

急に爆発音がしたかと思ったら、針状になった気が全方位にばら撒かれる。

 

 

 

「あああぁぁ・・・・・・」

 

「痛ああああぁぁぁ・・・・・・」

 

「あ・・・うぐぅ・・・はぁ、はぁ・・・」

 

 

 

2体目3体目はいくらか被弾して、消えていった。4人から1人に戻され、カードが終了する。

 

 

 

「終わったぞ、お嬢さん」

 

「・・・うん、ご苦労であった・・・・・・」

 

「顔赤いぞ。熱でも出たか?」

 

「〜〜〜っ!!!!バカァ!!!!!!【獄符】千本の針の山!!!!」

 

「いいぃ!!!???」

 

 

 

ゼロ距離から無数のナイフ状の弾幕を受ける。不意打ちでもあり、全弾の直撃を喰らってしまった。

今回は完全に私情が詰まった一枚だったため、また連携の取れない形になってしまった。

徐々に魔霧が晴れていく。そこにいたバーダックは・・・

 

 

 

「う・・・はぁ、はぁ、はぁ・・・本当にナイフだな・・・殺傷力あり過ぎだろ・・・」

 

 

 

全身に大きな斬り傷が刻まれ、大量に流血している。「出血」でなく「流血」。その光景に、ギャラリー席ではパニックが起こった。パチュリーは余りのグロテスクさに、吐き気をもよおした。魔理沙と慧音は見ていられなくなり、目を背ける。文も写真に収めて良いものか、動揺している。妹紅は不死である自分の体で、早苗はホラー映画で、咲夜はナイフによるモノだったので、それぞれに耐性があるようだ。美鈴は、凄い戦いを一瞬たりとも逃すまいと、凝視している。チルノと大妖精にはやはり刺激が強すぎたのか、失神してしまっている。

霊夢だけは冷静を保っている。先程見えたバーダックの異変の規模が、徐々に大きくなっている事に気付いていた。

 

 

 

「私たちは残り1枚ずつ。これで決めるわよ!!」

 

「行っくよー!!」

 

「瀕死目前か・・・俺も、そろそろ出してやる・・・フルパワーを・・・!!」ギュンッ

 

 

 

「アイツ、今なんて言った!?」

 

「これからフルパワーだと!?」

 

「あやや・・・バケモノですね・・・くわばらくわばら・・・」

 

 

 

(・・・・・・やっぱり違う!!さっきまで青かったのに・・・)

 

 

 

「かああぁぁぁぁああぁぁぁ・・・」ギギギギ

 

「・・・何だ?何かおかしい・・・これは、魔力!?」

 

 

 

「パチュリー!!あいつを見て!!あの漏れてる力、見覚えあるでしょ!?」

 

「・・・うぷ、何言って・・・っ!?」

 

 

 

さらに上昇していくバーダックのエナジーの変化に誰もが気づいた。レミリアはある違和感を感じた。この変身は、金色のオーラをまとうはず。なのに、この色は・・・

 

 

 

さっきまで青いオーラを放っていたのに、徐々に色が変化していった。その色は・・・

 

 

 

バーダックのエナジーの中に感じる、この魔力は・・・

 

 

 

 

 

紅い悪魔【スカーレットデビル】そのものだ!!

 

 

 

 

 

「っはぁ!!!!!!!!」

 

 

 

バーダックは金色の変身、【超サイヤ人】を完成させた。逆立った金色の髪の毛。まっすぐ見ると、吸い込まれてしまいそうな美しい碧眼。体から漏れ出るオーラの色は・・・紅色だ。

驚異の変身に誰もが驚きを隠せない。だが、レミリアとフランは今勝負の真っ最中。落ち着きを取り戻して、スペルを宣言する。

 

 

 

「【神槍】スピア・ザ・グングニル!!」

 

「【禁忌】レーヴァテイン!!」

 

 

 

巨大な魔力が2人を包み、槍と剣が形成される。もちろん、エナジーの密度も霊夢達に使用した時とは桁外れ。人間が対峙すれば、恐怖だけで狂い死にしてしまいそうだ。

だが・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・?どうしたの?貴方もスペルを宣言しなさいよ」

 

「いらない」

 

「・・・ふぇ?」

 

「決めたんだ。真正面から堂々と受けるってな・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

 

 

バーダックの発言に、この場にいる全ての者が息を飲む。汗が滴り落ち、それでも拭きに行く余裕が無い。凄まじい弾幕ごっこに、決着が突こうとしているのだ。

 

 

 

数秒・・・いや、数分経ったかもしれない。時間を感じることもままならなくなっていた。そして・・・

 

 

 

「「うああああああぁぁああぁぁあああ!!!!!!」」

 

「だあああぁぁぁあぁああぁあああ!!!!!!」

 

 

 

三つの強大な魔力が、正面からぶつかった!!




よう、バーダックだ。一体、どうなっちまったんだ、俺の身体?紅いオーラなんて、一度も出したことねえってのによ。霊夢が魔力がどうとか・・・だあああ!!よく分からん!!とにかく、レミリアとフランのスペルが目の前にいるんだ!!強敵にサイヤ人の血が騒ぐ・・・行くぞおおおおお!!!!!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【暴発の神槍!? 新たなサイヤ伝説!!】
絶対に観てくれな!



はい、如何でしたでしょうか?バーダックのスペルカードが登場しました。でも、皆さんの興味は一つしか無いでしょう。新たな超サイヤ人伝説がベールを脱ぎます!!ご期待ください!!


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第07話〜暴発の神槍!?新たなサイヤ伝説!!〜

レミリアの【スピア・ザ・グングニル】とフランの【レーヴァテイン】は、バーダックに向かって一直線に放たれた。バーダックは両手をつき出して、スペルに相対するように特攻する。

誰もが最後のぶつかり合いに目を奪われる。見たこともない魔力のスペル。それを変身して正面から受けようとするバーダック。期待と不安が同時に押し寄せ、ギャラリー陣も瞬きせずに見守った。

 

 

 

「「うあああああああああ!!!!!!」」

 

「だああああああああ!!!!!!」

 

 

 

ずどおおおおおおおおん!!!!!!!!

 

 

 

正面から受けた魔力がぶつかり、轟音と爆発を辺りに撒き散らす。パチュリーと魔理沙の魔法で強化した結界にヒビが入り、徐々に割れていく。

 

 

 

ぱきゃあぁぁあああぁん!!!!

 

 

 

「ウソ・・・だろ・・・?」

 

「これ以上無いほど強化したのに・・・・・・」

 

「く・・・三人はどうなったんだ!?」

 

 

 

「「っ!!!???」」

 

 

 

姉妹は言葉を失った。目の前にいるバーダックは・・・・・・

 

 

 

「ククク・・・どうだ・・・」

 

 

 

二つの槍と剣は、バーダックの素手でガッチリと捕まれていた。

こんなことが・・・全力のスペルを装填させた一撃だ。それも二発分。それを素手で凌いだ・・・。やはり、幻想郷の常識でもありえない力を、この男は所有している。破壊はもうしたくない。と豪語しているが、この力が僅にでも幻想郷に牙を向いたら・・・。

霊夢も、意思はどうあれ、この男の力は幻想郷を滅ぼしかねないものだ、と判断した。やはり、排除しなければならないだろう。ありったけの霊力を込めてバーダックに近寄ろうとする。

すると・・・

 

 

 

 

 

ドクン!!

 

 

 

 

 

バーダックの体に大きな異変が起きる。霊夢やレミリア、パチュリーが気付いた違和感などではない。誰もが分かる大きな変化が起こった。

 

 

 

「う、あぐぅ・・・な、何だよ・・・これ・・・」

 

 

 

バーダックのオーラが急に勢いを増した。

 

 

 

「う・・・あ・・・があああああああああ!!??」

 

 

 

何の前触れもなく急に苦しみだしたバーダックに、誰もが動揺する。姉妹も、唐突の出来事にスペルを終了させた。あのオーラが、身体を蝕んでいるのだろうか?答えは分からない。だが、

 

 

 

「おじちゃん!?どうしたの!?大丈夫!?」

 

「その魔力・・・何がどうなってるのよ・・・」

 

 

 

バーダックに渦巻く魔力がどんどん強くなっていく。それに比例して、バーダックが感じる痛みも強くなり、更に苦しむ。

霊夢が様子を見ようと、一歩足を出す。その瞬間。

 

 

 

「あがぐ・・・うぐぅあぁ・・・」

 

(うぐぅ・・・腕が・・・熱い・・・焼ける・・・・・・)

 

 

 

魔力が腕に一点に集中され、更に禍々しさが増す。そして・・・・・・

 

 

 

「うがああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

渦巻く魔力が一気に放出された。溢れ出た魔力は、吐き気をもよおす程の悍ましさを高めながら、形を成型していく。

 

 

 

「あ・・・あ・・・・・・」

 

「そ・・・そんな・・・」

 

「アレは・・・あの形は・・・」

 

「あやややや!?カメラが裂けたぁ!!??」

 

 

 

 

 

【スピア・ザ・グングニル】

 

 

 

 

 

バーダックは、体の中で暴れてた魔力が全て放出されたため、苦しみが収まり、電源が切れたかの様に倒れ、意識を失う。そして、新たな問題が発生する。

術者の制御が無くなり、消えるかと思われた槍が、一向に消えない。それどころか、地下牢に溜まりに溜まったスカーレットデビルの魔力を喰らい、更に力を増していく。

 

 

 

「く・・・あれを何とかして消すわよ!!全員、全力のスペルを撃ちなさい!!!!」

 

 

 

霊夢の突然の叫び。それで目が覚めたのか、全員が事の重大さに気付く。このまま力を増し続けると、館が吹き飛ぶ。下手をすれば、人里を襲うかもしれない。最悪、幻想郷が滅びかねない。

パチュリーを咲夜が、気絶した妖精2人を慧音が抱えて、避難させる。霊夢の先導で、魔理沙文美鈴早苗妹紅が姉妹の元へ飛んで行く。

 

 

 

「レミリア、もう試合どころじゃ無い!!アレを破壊するわよ!!」

 

「私達で、何とかなるの!?」

 

「やるしかねえよ!!飛ばすぞ!!」

 

「勝てるとは思いませんが!?」

 

「お、おじちゃんは!?」

 

「今は捨てとけ!!こっちが最優先だ!!」

 

「半身の怨み!!」

 

 

 

8人がかりでバーダック・グングニルに向かい、カードに力を込める。

 

 

 

「【宝具】陰陽鬼神玉!!!!」

 

「【星符】ドラゴンメテオ!!!!」

 

「【疾風】風神少女!!!!」

 

「【秘術】グレイソーマタージ!!!!」

 

「【彩符】極彩颱風!!!!」

 

「【禁弾】スターボウブレイク!!!!」

 

「【紅魔】スカーレットデビル!!!!」

 

「【不滅】フェニックスの尾!!!!」

 

 

 

今もなお力を上げていくバーダック・グングニル。逆を返せば、まだフルパワーになっていない。未完成のうちに、複数のスペルを次々に打ち込んでいく。全方位からの打ち込みの為、中心で行き場を無くし、徐々にかき消えていくグングニル。

 

 

 

「よし、効いてる!!そのまま、撃ち続けて!!」

 

「く、頑丈だな・・・さっさと消えろおおおぉおぉぉ!!!!」

 

 

 

全員が出力を上げて、スパートにかかる。これで、槍が消え、無事終わると誰もが思った。その矢先に、事件が起こった。

 

 

 

 

 

「う・・・ぐぅぅうあ・・・はぁ・・・はぁ・・・ぁぁああうぅ・・・・・・」

 

 

 

 

 

フランの体力が底をつき始めた。そうとも気づかずに、全力のスペルを撃ち続けるフラン。周りのみんなも、目の前の槍を消すことだけに集中しているため、フランの疲れに気付く者は居なかった。そして・・・

 

 

 

「う、ぐうぁぁああああ・・・・・・ぁ・・・」フッ

 

「「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」」

 

 

 

フランの放つスペルが、意識消失のために唐突に途絶える。同時に、フランの方向に逃げ道が作られる。

 

 

 

「マズイ!!」

 

「フランっ!!??」

 

 

 

槍はフラン目掛けて勢いを増していく。文のスピードを持ってしても、もう間に合わない。瞬時に悟ったレミリアは、今にも叫びそうになる。

槍がフランを貫こうとする、その瞬間・・・

 

 

 

フランが消えた。

 

 

 

「・・・え?」

 

 

 

槍はそのまま、壁を貫き、どんどん奥へと行ってしまった。

 

 

 

「お嬢様、妹様は無事です」

 

「え・・・あ!!!!」

 

「咲夜さん・・・」

 

 

 

現れた咲夜の腕の中に、気を失ったフランの姿があった。一瞬みんなの気が緩んだが、更なる追い打ちが襲う。

 

 

 

ずどおおおおおおん!!

 

 

 

「っ!!!!槍が、地上に出てしまった!!!!」

 

「何だって!?」

 

 

 

霊夢が真っ先に気付き、みんなに知らせる。文は瞬時に自己判断で、1人先に地下牢から出ていく。スピードを生かして、山の仲間たちを援軍に呼びに行った。

 

 

 

「くそ!!私は、慧音の元へ行く!!里を守らないと!!」

 

 

 

次に飛び出したのは、妹紅だった。妖精や妖怪、神などは肉体が滅んでも、時間をかければ元に戻る。だが、人間はそうはいかない。一度でも死んでしまえば、それで終了だ。今は夜中だ。人間たちは、みんな人里で寝ているだろう。守らねばならない。

そして、霊夢と魔理沙が早速槍の始末に行こうとした、その時だった。

 

 

 

「・・・?水音?」

 

「水・・・まさか・・・」

 

 

 

槍が貫いた穴から、水が漏れ出ている。地下、槍、地上。導いた答えは・・・

 

 

 

「湖だ!!この壁と地盤の先に湖があるんだ!!それを、槍が貫いたんだ!!」

 

「って、事は・・・・・・」

 

 

 

壁のヒビがどんどん大きくなり、漏れてくる水の量が増えていく。

 

 

 

「逃げろおおおおおお!!!!」

 

 

 

魔理沙の叫びで、みんなが地下牢から館に通じる階段に向かって、飛んで行く。レミリアとフランは、吸血鬼。流水が弱点のため、より必死になって逃げるレミリアと、フランを抱える咲夜。早苗は、姉妹を流水から守るために、モーゼの奇跡を再現した。これで、少しは水から逃げる時間を作れただろう。

 

 

 

「あれだけのスペルをぶち込んだってのに、ビクともしなかったぞ・・・」

 

「・・・後の事は、一切考えない。全てのスペルカードを破壊。溜まってた力を一枚に集中させて、一気に放つしかない・・・」

 

「お前は、どれを選ぶんだ?」

 

「夢想封印しかないでしょ・・・」

 

「私は、断然マスタースパークだな。早苗、お前も手伝えよ」

 

「うーん・・・決めました。でも、3人で何とかなりますかね?」

 

「一枚を残して全てを破壊するの。全てのカードの力を一枚に・・・。私は56枚所有しているわ」

 

「私は確か・・・57枚だったな」

 

「私は25枚・・・少し力不足ですね・・・」

 

「咲夜はどうだ?あいつは30枚くらいあったはずだ!!」

 

「門番、あんたも手伝いなさい!!」

 

「もちろんやりますよ!!24枚。数は足りませんが、テクニックで補いますよ!!」

 

「これ以上、待ってる時間はない。このメンバーで行くわよ!!」

 

「文が間に合ってくれると、良いな・・・」

 

 

 

即席で、チームを作った。これだけのメンバーなら、行けるかもしれない。グングニル破壊のチームが、ここに集結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地下牢。湖の水で溢れ、ほぼ全ての物が沈んでいった。たった1人のサイヤ人を残して。

 

 

 

「ぅ・・・俺は・・・気を失ってたのか・・・。まだ、息が出来る。・・・なるほど、天井か・・・」

 

 

 

地下牢の天井に、わずかに空気が残ったため、バーダックの呼吸するスペースが出来ていた。だが、頭一つ分しか残っていないため、酸素が尽きるのも時間の問題だろう。

バーダックは、水面に小さな何かが浮かんでいるのを見た。手を伸ばして、何とかソレを掴んだ。

 

 

 

(始まりの合図に使った、フランのコイン・・・!!)

 

 

 

バーダックは、コインを握りしめ、目をグッと閉じる。気を失ってる間に、一体何が起きたのか。

薄々気づいていたが、俺が所有する能力は、未来予知ではない。別の何かだ。はっきり言って、答えは何なのか分からない。だが、今まで感じた違和感を総合させて、違う力であることを思う。

 

 

 

(来い・・・・・・来い・・・・・・来てくれ・・・)

 

 

 

ドクン!!

 

 

 

体の底から、何かが響いた。自分の体を見てみる。金色の変身を既に遂げている。そして、合間を縫って紅いオーラがちらほら見える。さっきの試合中にも感じた違和感だ。

もっと意識を深く沈める。今の俺の体の中には、異質の力が宿っている。こいつを引き出すには、力の流れを上手く掴み取るしかない。

そういえば・・・

 

 

 

 

 

「この太極拳は、ただの体操ではありません。合気道、相手の力を利用する技の奥義なんです。力はガムシャラになっては操れません。同調させて初めて、本来の力を発揮します」

 

 

 

 

 

(美鈴が言ってた、あの言葉が鍵だ・・・)

 

 

 

バーダックはもう1度目を瞑って、意識をさらに深く潜らせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

槍は今の所、人里の方角には向いていない。最悪の事態は何とか回避しているが、それも時間の問題だろう。結成したチームに咲夜が加わり、作戦開始のポジションに着く。

 

 

 

「始めるわよ。咲夜、あなたのタイミングが全てを左右するわ。しくじらないでよ・・・」

 

 

 

全員が全スペルカードを引き出した。予定通り、一枚のカードを残し、破壊する。その時、文が合流した。

 

 

 

「八坂様方と、聖白蓮、そして豊聡耳神子らに、人里を守るように依頼してきました。天狗達で、留守の命蓮寺や神霊廟の警備を命じてきました!!」

 

「間に合ったか。お前も参加しろ!!」

 

「時間が無いから、手短に話すわ!!一枚のスペルカードを残して、全てを破壊して!!全部の力を一枚に集めて放つの!!」

 

「ふむ、賭けですね・・・でも、あれこれ言ってる暇は無いですか。やりますよ!!」

 

 

 

全員が配置につき、スペルの準備を始める。霊力に魔力、妖力に気。一人一人から溢れ出るエナジーが充実して、周囲に風が暴れる。

 

 

 

「カウント!!5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」

 

「時止め!!」

 

 

 

咲夜の能力で、自分以外の時間を停止させる。みんなスペルを放つ直前で硬直している。今のうちに、全員を槍の元へ運ぶ。人数が多いため、労力と能力の消費が激しくなる。確実な決定打を槍にぶつけるために、咲夜は能力に全エナジーを使う。

 

 

 

4分後、標的の槍周囲にメンバーを集結させた。咲夜は自分の役割を終え、安全地帯に避難する。

そして、時止めを解除した。

 

 

 

「【霊符】夢想封印!!!!」

 

「【恋符】マスタースパーク!!!!」

 

「【華符】セラギネラ9!!!!」

 

「【風神】二百十日!!!!」

 

「【大奇跡】八坂の風神!!!!」

 

「【本能】イドの解放!!!!」

 

 

 

総力を駆使したスペルの嵐が、槍に襲いかかる。最初で最後の大勝負だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

能力で見えた、バーダック・グングニルが、幻想郷を滅ぼす、というもの。だが、バーダックは絶望しなかった。直感で分かったこと。それは、この未来は一つの可能性の未来である、ということ。つまり、回避不可能の決まった未来で無いということだ。

まだ希望はある。霊夢らが、力を合わせて立ち向かっているんだ。俺も行かなければ。

そう思ったバーダックは、遂に吹っ切れた。魔力を爆発させ、地下牢の天上を貫いて、地上に向かう。

外の空気を感じた時、バーダックは庭から大穴を開けて飛び出していた。逆立った赤紫に輝く髪、紅く靡くオーラ。その姿は、ビルスとの戦いに悟空が遂げた「超サイヤ人神」とも違う。溢れ出る魔力が、その証明だ。

 

 

 

「これ・・・俺の・・・」

 

 

 

バーダックは、拳を強く握りしめ、自分と同じ感じの魔力の方角に飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペルを複合させての集中攻撃だが、いつまで経っても打ち消すことが出来ない。全員の力が尽きるのが先か、槍が搔き消えるのが先か。時間がかかるたびに、リスクの割合が上昇する。このままでは、本当に危険だ。

 

 

 

「うぐぅ・・・くそおおおお!!!!」

 

「ダメ・・・押し負ける・・・!!」

 

「ぐぅぅ・・・ここまで・・・ですか・・・」

 

「はぁ、はぁ・・・」

 

 

 

全力のスペルも、スタミナが切れそうになる。力が入らなくなってきて、踏ん張りも徐々に弱くなっていく。

 

 

 

「う・・・異変が・・・解決できないなんて・・・・・・」

 

 

 

リーダーの霊夢が、勝てないと見切り、諦めかけた、その時・・・

 

 

 

 

 

「霊夢と魔理沙を残して、スペルを解け!!!!」

 

 

 

 

 

突然の声が、メンバーを振り返らせた。そこには、赤紫の変身を遂げたバーダックの姿があった。深く考えずに、指示通りに2人を残して、スペルを解いた。霊夢と魔理沙は隣に並んでいたため、2人と逆方向に槍が押し出される。その先で、

 

 

 

「【終止符】ファイナルスピリッツキャノン!!!!」




よう、バーダックだ。一体俺の体に、どんな変化が起きたんだ?あんな変身初めてだから、俺がわかるわけもねえのによ・・・何!?俺の能力がはっきり分かった!?マジかよ。んじゃあ、教えて欲しいんだけど・・・その前に、あんた誰だ!?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【能力命名 大妖怪の助言】
絶対に見てくれな!



というわけで、新しい変身の誕生です。ゴッド?ブルー?いやいや、もっと心がワクワクする物ですよ。
ネタバレすると、新たな変身は、これだけではありません!!展開ごとにまた新しい超サイヤ人が登場しますので、これからも閲覧、よろしくお願いします。


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第08話〜能力命名 大妖怪の助言〜

「【終止符】ファイナルスピリッツキャノン!!!!」

 

 

 

かつて、フリーザが惑星ベジータを破壊した際に、最後の抵抗にバーダックが使用した技。そして、過去の惑星プラントでチルドの抹殺に使用した技。バーダックにとって、これ以上の技は存在しない、信頼のあるスペルだ。渾身の魔力をこめて、バーダック・グングニルめがけて解き放った。

 

 

 

「下降しろ!!矛先を上に!!」

 

 

 

槍を3つのスペルが削り、電磁波と破壊音で声は届かない。だが、スカーレットデビルの魔力の影響で、微弱ながらテレパシーを送ることが出来た。霊夢と魔理沙に届き、2人は下降していった。逆に、バーダックは上昇、矛先を下に向ける。これで地上への被害は完全に無くなった。

2人のスペルは真上に、バーダックのスペルは真下に撃つ状態になった。徐々にバーダックのスペルの中に槍が飲み込まれていく。

槍はバーダックのスペルに完全に取り込まれ、それを確認した霊夢と魔理沙はスペルを解いた。コントロールにより、空中で静止したバーダックの魔力。

 

 

 

「弾けろ!!!!」

 

 

 

拳をグッと握りしめ、エナジーを爆散させた。グングニルは消失し、メンバーに安堵の時が訪れた。

バーダックは霊夢の元へ飛んだ。

 

 

 

「その・・・悪かったな・・・ゴメン・・・」

 

「あ・・・いや、良いわよ・・・」

 

 

 

素直に謝られ、文句を言う気が失せてしまった。魔理沙にしろ、大抵の奴は言い訳を言い放つ。自分の非をあっさり認めたので、どうも気が狂う。

 

 

 

「ふう・・・まさか、あんなヤツに良い所を持っていかれるなんてな。悔しいな・・・」

 

 

 

全員が力みを解くと・・・

 

 

 

「「「「「っ!!!???」」」」」

 

 

 

スペルを放った全身に激痛が走った。突然の痛みに飛んでいられなくなり、落下していく。まだ動けるバーダックと咲夜で受け取りに飛び回った。咲夜は文と美鈴を両腕を使って抱える。バーダックの方を見ると

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

絶句した。右腕に霊夢、左腕に魔理沙を抱えている。そこまでは良い。問題は、早苗を掴んでいるのが、脚だ。見た目が余りにも乱暴だ。・・・・・・まあ、あの早苗だし良いか。

 

 

 

「なあ、咲夜。こいつらどうする?」

 

「えーと・・・スペルを壊すなんて無茶をしたから、負担が大きかったのでしょう。永遠亭に連れて行きましょう」

 

「永遠亭?」

 

「簡単に言うと医者ですよ。こっちです」

 

「ああ、分かった」

 

 

 

2人で5人を抱えて竹林に向かう、はずだったが・・・

 

 

 

 

 

「近道なさりませんか?」

 

 

 

 

 

後ろを振り向くと、空間に裂け目が出来ていた。そこには、夜中にも関わらず日傘を差して、紫のドレスを着た妖艶な女性がいた。上半身だけ。

 

 

 

「スキマ妖怪・・・」

 

「誰だ、あんた?」

 

「自己紹介は致します。ですが、その5人を休めなくてはいけませんわ。こちらへ。永遠亭へ連れて行きますわ」

 

「「・・・・・・」」

 

 

 

少し迷ったが、腕の中で魔理沙が苦しそうな呻き声を漏らしたので、仕方なく近道させてもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキマを通ると、そこは永遠亭の門の前だった。バーダックは、後ろを振り向いて、竹林を見る。

 

 

 

「妙な森だな・・・頭が変になりそうだ」

 

「迷いの竹林ですわ。1人で歩き回らぬようにお願いしますね」

 

「あぁ」

 

 

 

中に歩いて行くと、兎の耳の制服姿の少女がやって来た。

 

 

 

「わっ!?急患がこんなに!?こちらへどうぞ!!」

 

「藍に頼んで治療の準備は済ましてあるわ。行きましょう」

 

「分かった・・・咲夜?」

 

「あのスキマ妖怪が、歩いて移動するのが、どうも気持ち悪くて・・・」

 

「??」

 

 

 

スキマ妖怪こと、八雲紫の存在なんて何1つ知らないバーダックにとって、その発言の真意は分かるはずもなかった。

兎少女こと、鈴仙=優曇華院=イナバに案内されたのは、1つの大きめの部屋。そこには、先客がいた。

 

 

 

「お嬢様!?どうしてここに・・・いや、大体分かりました」

 

「うん、拉致られたのよ・・・」

 

「おじちゃん、大丈夫なの?」

 

「あぁ、もう大丈夫だ。悪かったな」

 

 

 

拉致の言葉に反応しないバーダック。もう、色々と反応するのも面倒だと思ったようだ。

少し待ってると、銀髪の大人の女性、金髪で九つの尻尾の女性、二つの尻尾の少女が入ってきた。

 

 

 

「うーん・・・分かってはいたけど、とんでもない無茶をしでかしたわね。貴女とあろう者が」

 

「うっさい・・・」

 

「無茶?」

 

 

 

バーダックはこの場で霊夢らがスペルを壊したことを知った。てっきり、全力解放したとしか思ってなかったのだ。

 

 

 

「スペルカードは、その者の魂に直結して連動しているの。だから、宣言するだけで直ぐに発動できるということ。お分かり、バーダックさん?」

 

「分かったけどよ、そろそろあんたの名前を教えろよ。後、さっきのぐにゃぐにゃな空間もな」

 

「分かりました。藍、橙、こっちへ来なさい」

 

 

 

「私は、八雲紫。幻想郷創世の1人者の大妖怪ですわ」

 

「八雲藍。紫様の式神で九尾の狐です」

 

「橙だよ。藍しゃまの式神。よろしくね」

 

 

 

「・・・・・・式神?」

 

 

 

まず、そこから聞くバーダックに、その場がコケる。そりゃそうだ。地球出身の独特な文化を、地球を全く知らないバーダックが聞いても分かるはずがない。唯一分かるのは、カカロットが送られた星だという事だけである。

 

 

 

なお、式神の説明が終わる頃には、3人の名前を忘れてしまった模様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このパターンは、私の管轄外だわ。役に立てずにごめんなさい」

 

「別に構わねえよ、帰る気なんてさらさら無いし」

 

 

 

普通に話す紫とバーダックに、治療を終えた霊夢が痺れを切らす。

 

 

 

「紫!!こいつの力を見て、危険と思わないの!?」

 

「この方に、破壊行為の意思は一寸も無いわよ」

 

「でも・・・」

 

「聞きなさい、霊夢。この殿方の力は確かに脅威よ。でも、能力は幻想郷に救いを与えることが出来るの」

 

「は?」

 

 

 

いきなり能力の話になり、反応に困る霊夢。魔理沙は、興味津々に食いついてきた。

 

 

 

「こいつにも能力が!?教えろよ、紫!!」

 

「レミリアが言ってた、【未来が見える程度の能力】じゃ無いのか?」

 

「その未来視は、本来の能力の副産物よ。ついでに言うと、貴方の紅い変身も能力による変化よ」

 

 

 

バーダックも食いついた。名前だとショボイ、と三日間嘆いていたが、これからの未来にはかんけいない、カカロットの戦う姿が見えたことから、改名してやりたいと密かに思っていた。そのチャンスが目の前に。

 

 

 

「中途半端なネーミングじゃ無えだろうな?」

 

「まさか・・・言うわよ。バーダック、貴方の所有する能力は・・・」

 

 

 

全員が息を飲んだ。

 

 

 

 

 

「【世界を映す程度の能力】と言いましょうか」

 

 

 

 

 

「・・・・・・はい?」

 

 

 

イマイチ、いや100%ピンと来ない。どういうこった。

 

 

 

「貴方が見えたという未来は、未来における世界を瞳に映したためよ。触れたものや見たものに関連する【貴方にとって重要な何か】を瞳に宿したのよ。フリーザやカカロットについて見えたのは、そういう事」

 

 

 

説明してくれたようだが、本人はやっぱりイマイチ分かってない。そもそも、カナッサ星人の呪いか何かと思っていたため、そこまで深く考えなかったのも理由に上がるが。

 

 

 

「じゃあ、紅の変身はどういう事だ?」

 

「アレはおそらく、スカーレットデビルの魔力が充満する中で、その世界を貴方の身体に映した。と言った感じかしら?」

 

「・・・??」

 

 

 

やはり、予備知識が全く無いため、バーダックにとってはチンプンカンプンの様だ。だがしかし、

 

 

 

「世界を映す・・・か。なんか、カッコイイな!!」

 

 

 

そっち系の魔理沙が、目をキラキラさせている。

 

 

 

「世界を映す、ねえ。んで、救いを与えるって、どういう訳なの?」

 

「俺も知りたい。能力がどう影響を与えるのかがな」

 

 

 

霊夢の問いにバーダックが乗る。

 

 

 

「この方の血筋は、元々世界に対して【絶望】と【希望】を与え続けています。意志から、絶望を与える事はまず無いわね。どんな時も希望を与え、世界を導く者となる・・・まあ、どんな時も云々は、私の予測ですけどね」

 

「何よ、煮え切らないわね・・・」

 

「とにかく、今のところ幻想郷に害悪は一切無いわ。起きたら、その時に排除すれば良いわ」

 

「は・・・排除・・・あっさりと怖い事言うんだな、あんた。良いけどよ・・・」

 

「は!?」

 

 

 

自分が排除される時がいずれ来るという事実を、あっさりと認めたバーダックに、魔理沙が素っ頓狂な声をあげる。

 

 

 

「俺の存在が害悪を与えてしまうと分かったら、すぐに俺を始末すれば良いさ。俺はもう、破壊は一切したく無い。間接的にもな」

 

「結構ですわ」

 

「おいおい・・・」

 

 

 

自分の死に恐怖を持たない男に、少し戸惑う魔理沙。

バーダックは、惑星ベジータの爆発とつまらない世界からの脱出の賭け、二つの死の運命を辿っている。どちらも運が良かっただけなのだ。今更生き長らえたいなんて思ってない。いずれ来るであろう死の未来が来れば、その時は自ら受け入れるつもりでいるのだ。

 

 

 

「やっぱり、そこらの男共とは意志の硬さが違うみたいね」

 

 

 

あれこれ話していると、さっき治療してくれた女性、八意永琳がやって来た。

 

 

 

「あ、師匠。この方が・・・・・・姫様!?どうしてここに!?」

 

 

 

鈴仙の言葉に、霊夢魔理沙咲夜レミリアがこれでもか、という程の勢いで振り向いた。何事かとバーダックも振り向いてみる。

そこには、とても美しい女性がいた。表現できないほどで、バーダックも少し見とれてしまうほどだった。

 

 

 

(・・・はっ!?いかんいかん。俺にはギネがいる・・・)

 

「私は、永遠亭の姫君、蓬莱山輝夜よ。よろしくね」

 

 

 

姫君ということを知り、礼儀として挨拶をしようと姿勢を整えようとすると・・・

 

 

 

「貴方ね、最近やって来た外来人というのは・・・今日の要件は紅魔館の妊娠かしら?」

 

 

 

爆弾発言に紅魔組と霊夢魔理沙バーダックが吹いた。

 

 

 

「おいコラ!!どこ情報・・・・・・アレか!!すっかり忘れてた!!??」

 

「んな事してないわよ!!何を言い出すのよアンタ!!??」

 

 

 

ギャーテーギャーテー!!

事あるごとにこの表現を使わないといけないのだろうか?正直、定番になりつつあるため、今更変えられない。

 

 

 

「ま、冗談はこれくらいにして、バーダックと言ったわね。貴方の服を拵えました。」

 

「は?服だと?」

 

「そんなボロついた鎧みたいなのを着続けるつもり?客人へのプレゼントよ。有難く受け取りなさい」

 

「ああ、ありがと・・・」

 

「貴方の格好から、着方もろくに分からないでしょうから、教えてあげるわ。こっちに来なさい」

 

「あ、あぁ・・・ありがと・・・」

 

 

 

別室に向かう2人を見ている居残り組。その半数が思ったことをまとめると。

 

 

 

(あのグータラ姫が、働いてる・・・だと・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着せてきたわ。我ながら良い出来栄えだと思うの。お披露目するから、こっちに注目して」

 

 

 

新しい姿のバーダックと聞き、ずっと楽しみにしているフランを始め、輝夜が作った服がとても気になってる霊夢達。それぞれの思惑は違えど、興味はあるようだ。

バーダックが帰ってきた。青の胴着に黒いベルト、濃い緑のズボンを履いている。胴着の襟元はグレーのセーラーのような物が付属されている。ベルトには、赤と金の小さな珠が埋め込まれている。両手のアームカバーと額のハチマキは健在だ。胸には不思議な紋が刺繍されている。

 

 

 

「わー♪おじちゃんカッコイイ♡」

 

「似合っていますよ、バーダックさん」

 

「流石月のお姫様。良い仕事をするではないか」

 

 

 

フラン紫藍が絶賛している。が、他のメンツは、バーダックの尻の辺りから生えているあるものが気になっている。

 

 

 

「バーダック・・・それ、尻尾・・・?」

 

「へ?ずっと出してたが?」

 

 

 

そう。プロテクターの腰の部分に巻いていた尻尾は、何かの飾りか変わったベルトだとずっと思い込んでいた。それが、実は尻尾でした。なんて事実を見て、やや動揺している。

 

 

 

「お前、宇宙人なのか妖怪なのか微妙だったんだな・・・」

 

「尻尾だけあるってのもどうも違和感感じるわね・・・」

 

「お猿さんの尻尾?ペットにしても良い?」

 

「・・・・・・」ウズウズ

 

「どうした、橙?」

 

「飛び付きたいです・・・アレ・・・」

 

 

 

それぞれで思うことは多々あるようだ。

色々あって忘れているかもしれないだろうが、今は夜中。むしろ、かなり時間が経ってるため、もうすぐ夜明けである。

 

 

 

「なあ、そろそろ寝たいな・・・なあ、良いだろ?」

 

「良いわよ、治療費と下宿代は出世払いで構わないわ。バーダックさんはタダで良いですよ」

 

「何!?金とるのかよ!?」

 

「むしろ、夜中に仕事を押し付けられてタダ働きなんて許されるのかしら?」

 

「ぐぬぬ・・・」

 

「紅魔館は裕福だからね。ゆっくり休ませてもらうわよ」

 

 

 

魔理沙がレミリアの発言にイラっとして、殴りかかった。魔法使いが物理で殴りかかった。

 

 

 

「相変わらず賑やかな連中だな・・・」

 

「バーダック君といったな。私の名前は覚えてくれたかな?」

 

「えっと・・・藍だっけ?」

 

「うん。紫様はいつも気まぐれでな。聞かなかったようだけど、私から聞いても良いかな?」

 

 

 

バーダックの隣に座り、訪ねてきた九尾の狐。尻尾が邪魔そうだとチラ見して思ったバーダック。寝るときとかどうしているのだろうか。・・・うつ伏せ?

 

 

 

「幻想郷はどんな感じだい?人妖、神に幽霊。仙人などまだ君の知らない色々な者たちがいる。かつては争い合ったが、今となっては同じ世界を生きる仲間だ。幻想郷は全てを受け入れる。例え、破滅でもね・・・」

 

「・・・・・・」

 

「紫様は基本放任してしまうから、私が問おう。この幻想郷で共に暮らしたいと心から思ってくれるかい?」

 

 

 

破滅さえも受け入れる。その言葉は、選択肢を大きく揺さぶる要素だろう。自分のせいで平和が崩され、沢山の者が死んでしまうかもしれない。そうなった場合、自分に責任が取れるのか。それ以前に拒絶されたまま孤独に消えていくことだってある。それは、どれほどに辛いことになるだろうか。

だが、フリーザに裏切られ、仲間のサイヤ人からも馬鹿にされ、たった1人で戦い敗れた戦士。その時点でもう決めている。

 

 

 

「俺はもう終わった人間だ。2度も運に恵まれただけの命。今更怖いとか不安は無いよ。それよりも、俺の知らない世界が目の前にある。ただ真っ直ぐに向き合いたい。だから・・・」

 

 

 

バーダックには邪神は無い。穏やかな心を持ち、愛情さえも知った1人の戦士。美しい世界で生きることができる。その世界の救いになるかもしれない。幻想郷は全てを受け入れる。ならば、答えは一つ。

 

 

 

 

 

「俺はこの幻想と共に生きる」

 

 

 

 

 

真っ直ぐと純粋な瞳をしたバーダックに、この場の全ての者が一瞬見惚れた。そして、声を合わせた。

 

 

 

 

 

「幻想郷へようこそ!!」




よう、バーダックだ。おいおいレミリア。寺子屋って何だよ?勉強するところ?今更何言ってんだ。俺はもう大人だぞ。ガキに混じってお勉強とかねえからな。・・・パチュリー?その煙沸かしてる液体は何事だ!?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【あぽときしんでご入学?】
イヤな予感しかしねぇ・・・



はい、第8話でした。輝夜が作った服は、下のほうに張り付けました。作者の都合上、モノクロの表現ですが、ご了承ください。カラーにすると画力が・・・。
今回で第1章は終了です。第2章では、平和な日常と幻想郷の住人とのトラブルをメインにほのぼのと作っていきます。自動車免許の回みたいな感じでご視聴ください。・・・予告でバレバレですけどねww
閲覧ありがとうございました!!
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冒険編
第09話〜あぽときしんでご入学?〜


「後・・・2分くらいか・・・火の強さは、もう少し弱めて・・・」

 

 

 

大きめの鍋に白い液体。所々に赤や緑の物が浮かんでいる。気泡がポコポコと湧いてきた。

 

 

 

「仕上げに塩を・・・これ位か・・・・・・(省略)・・・そろそろか?・・・お、いい感じだ。後は火を消して・・・15分蒸らす・・・(省略)・・・どうだ・・・ペロッ・・・良い感じだな。ルナルナ料理長、出来たぞ〜」

 

 

 

バーダックシェフ(見習い)のクリームシチューの完成!!皮剥きから牛乳の熟成まで、全て自分で作ったクリームシチュー。長かった。ここまで出来る様になるまで、ざっと一ヶ月弱かかった。一般的な成長速度なんか知らん。とにかく、バーダックにとってこの一ヶ月は長かった!!

 

 

 

「・・・うん、流石バーダック様ですね。上達がお早いです」

 

「うげ、コレで早いって・・・通常だとどれ位だ?」

 

「知識ゼロで皮剥きから始めたとして、目分量で出来る様になるまで・・・・・・5倍はかかりそうですね」

 

「一ヶ月で済んで、本当に良かったよ・・・・・・」

 

「お疲れ様です」

 

「あぁ・・・コレであのガキ共も落ち着けば良いけどさ・・・・・・」

 

「あはは・・・」

 

 

 

現在紅魔館では、絶大な姉妹喧嘩が行われている。咲夜にパチュリーその他紅魔館メンバー(妖精メイド含む)で、何とか収めようとしたが、中々上手くいかない。と言うか、日を追うごとにエスカレートしていく。

そもそも、喧嘩の内容が下らない。その議題は・・・

 

 

 

 

 

「良い加減、【超サイヤ人レミリア】って認めなさい!!」

 

「うっさい!!【超サイヤ人フランドール】よ!!」

 

 

 

 

 

カカロットの変身の果てに、【超サイヤ人ゴッド】(以下、超サイヤ人神)と言う名前が付けられていることを知り、スカーレットデビルの魔力を帯びた変身に名前を付けようとなった。そして、主様たちがこのザマである。

 

 

 

「紅魔館の主は私よ!!命名権は私にあるわ!!」

 

「何よ!?魔力は私の方が上でしょう!!あの時の魔力は、私の分が多かったわ!!」

 

 

 

 

 

「旨い物で何とか落ち着かせる方法・・・今更無理な気もするけどな・・・・・・」

 

 

 

この調子がいつまで続くのだろうか。本人達は真剣なんだろうが、正直どうでも良い。条件的に満月時の紅魔館内でしかなれない上に、なる事があるかどうかも不定なのだ。名付けられたところで、もう一度変身するか知らない。

なのに、本気になって言い争っている。鉢合わせになる度にこうなってしまう。どうしたものか。

 

 

 

「内容が内容なんだよな・・・俺が名付けたらあっさり終わるんだろうけどな・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺が名付けちゃダメか?」

 

「ダメよ。身分をわきまえなさい」

 

「俺、執事長だよな。館内での順番は?」

 

「私>フラン>パチェ>咲夜>美鈴>アンタね」

 

「あ、良かった。案外下だったんだな、俺。責任が軽くなった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つまりは、主要メンバーでは一番下である。どうせ却下される。

 

 

 

「咲夜、どうするよ?正直面倒クセェ」

 

「これ以上長引くと、ワイン造りに支障が・・・」←目が死んでる

 

「そんなにヤバイか・・・経営・・・・・・」

 

 

 

紅魔館の私益は、ワインと人里にオープンした洋菓子店。店は妖精メイド達が錐揉みしている。ルナルナも時々チェックに行ってる。だが、酒の需要の方が高く、値段もかなり違う。ワインが止まると、紅魔館の経営も紅く・・・もとい、赤くなってしまう。そりゃ、精神に来るよね。

誰もが、困惑している。このままでは、館の威厳が・・・。

 

 

 

しかし、意外なところから救いの手が差し伸べられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バーダック、貴方、紅魔館から出て行きなさい」

 

「・・・・・・は?」

 

 

 

パチュリーから、解雇処分を受けてしまった。夕食の場で。TPOどこ行った。

 

 

 

「ちょ、パチェ!?いきなり何言うのよ!?」

 

「アンタ等のケンカを収めるためよ。後、解雇じゃなくて休暇扱いね」

 

「おじちゃん居なくなっちゃうの!?」

 

 

 

フランにとって、バーダックはとても優秀な遊び相手。多少過激に扱っても、壊れることは決して無い。本気を出して良いので、より楽しめる。

レミリアにとって、バーダックはフランのオモチャ。この男が居ないと、彼女自身がフランの相手をしなければならず、面倒くさい。

つまり、いきなり居なくなると、2人にとってデメリットなのだ。

 

 

 

「レミィ、流石に経営状態は分かるわよね。フランも、このままだとケーキも食べられなくなるわよ」

 

「うぐ・・・」

 

「ええ!?ヤだ!!ケーキ食べたい!!」

 

 

 

おいコラ、主共。あっさり言いくるめられてるじゃねえか。この間のあの件は何だったんだよ。

 

 

 

「しばらく、バーダックを紅魔館から遠ざけるわ。貴女達のケンカが終わるまでね」

 

「ええ〜!?」

 

「パチェ・・・流石にそれは・・・」

 

「家計簿でも見る?」

 

「ぁぅ・・・・・・」

 

 

 

何だこのザマは。姉の威厳ゼロかよ。

 

 

 

「イキナリ出てけって、どうやって過ごせば良いんだよ?」

 

「ツテは取ってあるわ。しばらくはそこで住まわせて貰いなさい」

 

「仕事早いな。んで、何処だ?」

 

 

 

 

 

「藤原妹紅の家よ」

 

 

 

 

 

「・・・・・・確か、試合の時に来てた奴だっけ?」

 

「そう、竹林のはずれに家を建てているの。そこで厄介になる事」

 

「あいつとねぇ・・・」

 

 

 

バーダックは、嫌そうな顔をした。仕事も徐々に板についてきたし、フラン相手に体を動かすなど、充実した生活を送っている。館のためというのは分かるが、唐突過ぎた。

 

 

 

「ついでに、貴方の有り余る力を無理矢理抑えさせて貰うわ」

 

 

 

パチュリーは魔法で1本のフラスコを召喚した。赤い液体が入って、煙を出している。変な汗が出てきた。

 

 

 

「なあ・・・一応聞くぞ。その液体は何だ?」

 

「力を抑える薬。ある特殊効果も追加してあるわ。効力は1本で2週間。定期的に飲んでもらうわよ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「何よ・・・イヤなの?」

 

「うん」

 

 

 

即答した。力が脅威になる事は重々理解している。対処としては合理的である。でも、怪しげな薬を飲めとか、断るしか無いだろう。誰だってそーする。バーダックだってそーする。煙を沸かしてる時点でイヤな予感しかしない。

 

 

 

「なら、本当に解雇してやる」

 

「んな!?」

 

 

 

紅魔館の主って、本当はコイツなのでは無いだろうか。なんか、目がヤバイ。

 

 

 

「・・・分かったよ・・・よこせ」

 

 

 

渋々フラスコを手に取るバーダック。生乾きした服の臭いがする。お世辞にも良い匂いでは無い。コレを飲めと。2週間に1回。

 

 

 

「・・・・・・んっ!!」

 

 

 

思い切って、飲んだ。舌に残す事の無いように、口にした瞬間喉に通した。苦酸っぱい感じが一瞬したが、勢いで誤魔化す。・・・無理だった。目の前にある自分のクリームシチューを一気に掻き込んだ。うん、美味い。流石俺。ルナルナ料理長のお墨付きだ。

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・コレでどうなる・・・・・・・・・」

 

「おじちゃん?どうしたの?」

 

「・・・身体が熱い・・・うぐぅ・・・・・・何飲ませたんだよ・・・」

 

「すぐに分かるわ」ニヤニヤ

 

 

 

イラつく。その薄ら笑いがものすごくイラつく。今にも殴りかかりたいが、身体中を襲う熱が邪魔する。

 

 

 

「あが・・・ぐぅぅぅ・・・」

 

 

 

胸を強く掴み、もがくバーダック。その光景に、息を飲むメンバー達。

 

 

 

 

 

〜10分後〜

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

そこには、10歳程度の男の子が座っていた。ぶかぶかの月の装束を着ている。

 

 

 

(((((・・・・・・メチャ可愛い!?)))))

 

 

 

ショタバーダックの姿に、全員の目がハート型になる。バーダックは苦しみから解放されたので、周りの様子を今確認した。

 

 

 

「・・・・お前ら、デカくなった?」

 

「アンタよ!!アンタが小ちゃくなってんのよ!!」←いつもより高い声

 

「あぁ・・・やっぱりそうなのか・・・・・・鬱だ・・・」

 

 

 

バーダックと女勢でテンションの差が激しい。

 

 

 

(何よ、コイツ・・・子供になると、こんなにも可愛くなるの!?)

 

(これがおじちゃん・・・弟が出来ちゃった・・・)

 

(コレは・・・想像以上だわ・・・・・・)

 

(この・・・湧き上がる衝動は・・・コレが母性本能・・・?)

 

(うーん・・・お姉ちゃんのタイプだなぁ)

 

(はっ!?今更だけど、朝の太極拳がまた1人になるのですか!?)←真っ先に冷静になった。

 

(うごぉ・・・ショタっ子が目の前に・・・ヤバ・・・本能が・・・)←サキュバス

 

 

 

やはり思う事はそれぞれだ。約1名、18タグを付けられそうになり、バーダックは悪寒を感じた。

 

 

 

「・・・ったく・・・何すんだよ・・・」

 

 

 

そっぽを向いて、ぶっきらぼうに言い放つ。その瞬間。

 

 

 

 

 

プツンッ

 

 

 

 

 

一斉にバーダックに飛びかかった。すぐさま反応して逃げるバーダック。振り返ると、妙なオーラを放つメンツがいた。このシーンを漫画で表現した場合、ハートマークが大量に飛び交っているだろう。知識性格変わらずのバーダックは、本能で身の危険を感じ、一目散に逃げ出した。

 

 

 

「ぐ・・・早く飛べねぇ・・・はあ!!!!」

 

 

 

薬の影響でパワーダウンしたバーダックは、超サイヤ人になってスピードを上げる。今はなんとか逃げられそうだが、変身による消耗が危機感を更に深める。

翌朝、妹紅が迎えに来るまで、鬼ごっこは続いたようである

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成る程ね・・・苦労したんだな・・・」

 

「言うな・・・・・・」

 

 

 

バーダックと妹紅は、歩いて歩きで竹林方向に向かっている。尚、バーダックは子供用の月の装束を着ている。なんでも、永琳も子供化薬を狙ってたらしく、輝夜も面白そうと言い、子供サイズも作っていたようだ。更に身の危険を感じるバーダックだった。

 

 

 

「幻想郷って、恐ろしいな・・・」

 

「いや、一部だけだからな?ほとんどはきちんとしているから」

 

 

 

どうだか。紅魔館と永遠亭と湖しか知らないバーダックにとって、どうも不安だ。よくよく考えると、一ヶ月暮らして、館から出たらダメってどうなのだろうか。ずっと姉妹喧嘩に付き合わされていた為、敷地内から出ること無く生活してきた。初めてのお出かけ・・・外出である。一ヶ月分の給金である、二文を所持している(後書き参照)。幻想郷の相場を知らないので、コレがいい値段なのか知らない。

 

 

 

「・・・お、アレ何だ?」

 

「人里に着いたようだな。昼時だし、昼食にしよう」

 

「人里・・・人間が主に暮らす場所だっけ?」

 

 

 

一応、給金一ヶ月分の二文を所持している。幻想郷の相場を知らないので、コレがいい値段なのか知らない。いつ紅魔館に帰れるか知らないので、なるべく節約しておこう。

門をくぐると、活気の良い賑やかな声があちこちから聞こえる。確かに人間が殆どを占めているようだ。美鈴との修行で、気を探る業を僅かだが使えるようになった。強い力を所有しているかどうかしか分からないが、それ故に人里はほぼ力の無い人間が生活している事が分かった。

案の定、バーダックが人里に入ってから、尻尾に視線が集まる。やはり、妖怪だと思われているのだろう。人間に友好的な妖怪もいるにはいるが、新顔は警戒されて当然だろう。まあ、妹紅と共にいれば、騒ぎまでは行くまい。

 

 

 

「お、妹紅じゃないか。こんな時間に珍しいな」

 

 

 

橋を渡る最中に声をかけられた。向こう側に青い服の女性がいた。確か、あいつも試合の時にいたはず。なんか、途中からツノ生えてたけど。

 

 

 

「慧音か。実は・・・」

 

「ん?この子・・・」

 

「えっと・・・慧音って呼ばれてたよな?」

 

「まさか、バーダック殿か!?どうなって・・・」

 

「変な薬を飲まされた」

 

「あぁ・・・ご愁傷様だな・・・」

 

「しばらく、うちで預かる事になったんだ。この姿で」

 

 

 

紅魔館が絶賛喧嘩中という事を伝え、3人で茶屋に入る。

 

 

 

「お松さん、団子を3人前よろしく頼む」

 

「慧音は、本当に記憶力が良いな。里の人間の名前、全部覚えてるんだろ?」

 

「まあ、記憶は得意だしね。みんな友好的だよ」

 

 

 

歴史を食べる程度の能力の副産物だろう。一度覚えたモノは全て記憶出来るということか。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・何だよ、慧音・・・何見てんだ?」

 

「君は幻想郷について、どれだけ知っている?」

 

「紅魔館しか知らねえな。外出させて貰えなくてな。良い機会だし、色々と見て回りたい」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「何だよ・・・」

 

「ルールもまともに知らないようじゃ、許可を与える訳にもいかないのだよ。まして、そんな格好ではね」

 

「はぁ・・・勉強しろってか?面倒くせえよ・・・」

 

「いや、勉強してもらおう。私は寺子屋の教師だ。君には知識をしっかり与えないとダメな気がするよ」

 

「ぐ・・・知識、知識ねぇ・・・」

 

 

 

紅魔館で生活して一ヶ月。仕事の事しか教えて貰えず、外出もさせて貰えなかった。慧音の言う通りなのは認める。だが、しかし。

 

 

 

「ガキ共と一緒にお勉強とかゴメンだね」

 

「君も子供だろう?」

 

「・・・・・・」

 

 

 

何も言い返せなかった。今の姿が要素に加わっては、もはや文句の付けようが無い。紅魔館で、幻想郷のルールに従うと宣言した以上、慧音の言う通りにするしか無かった。団子を食べ終わった後、寺子屋の場所を教えられた。幸い、人間のガキと一緒なのは避けられた。どうも、人外組に入れるとか何とか。チラッと、何時ぞやの魚泥棒組の青いガキが見えたが、多分幻覚だな。うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたぞ。ここが私の家だ」

 

「・・・・・・貧相・・・」

 

「あの館と比べるな!?」

 

 

 

妹紅の家は、小さな一軒家。かまどに繋がる煙突が伸びている。人里を横切り、更に歩き続けた。一気に飛んでも良かったが、色々見て回りたいということで時間をかけ歩いてきた。

 

 

 

「なあ、バーダックは洋食しか口にしてないんだろ?」

 

「洋・・・何だよ、ソレ?」

 

「やっぱり、そこからだよな。教えてやるよ、醤油の素晴らしさをな」

 

「はあ・・・」

 

 

 

筍の下準備がかなり手間がかかるというので、早速作業に入り始めた。糠?で炊かないと食べられないとか何とか。その後で米を洗い、筍と醤油と一緒に、もう一度炊く。こんなにも手間がかかるのか。わしょくと言うものは。これで旨く無かったら家出してやるか。野宿ぐらいいくらでも出来る。

 

 

 

「これから、40分かかるから、待ってな」

 

「更に待つのかよ・・・」

 

 

 

待つのは嫌いだ。イライラがどんどん募る。

 

 

 

 

 

そして、40分後。破壊神ビルスのお墨付きである、地球の食事にあっさり堕ちるのはやはり必然なのだろう。




俺は始まりのサイヤ人、バーダック。雇い主で吸血鬼のレミリアの命で紅魔館で働いていた俺は、スカーレットデビルの壮大な姉妹喧嘩に巻き込まれた。騒動を収めるのに夢中だった俺は、パチュリーや永琳の陰謀に気付かなかった。俺はパチュリーに毒薬(毒ではありません)を飲まされ(結局自分で飲みました)、苦しみから目が覚めたら・・・身体が縮んでしまっていた!!
俺、バーダックがこのまま紅魔館にいると、姉妹喧嘩はエスカレートし、紅魔館の経営に被害が及ぶ。パチュリーの助言でしばらく紅魔館を出る事になった俺は、慧音に寺子屋に誘われ、NOと答えられず、新しい生活のために藤原妹紅の家に潜り込んだ。
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【先生の頭突きに要注意 クラスメートのおバカ共】
小さくなっても誇りは同じ!!弱さ知らずの超戦士!!伝説は・・・いつも一つ!!!!





ああ、疲れた。再現するのって、かなりしんどいですね。↑のヤツに10分位かかりました。バカバカしく笑ってくれると嬉しいです。因みに、無印悟空は12歳ですが、あんなにチビだとショタ萌えしないので、セル悟飯より、やや高い位です。
また、所持金の2文は、日本円にして、およそ60,000円です。一文=1,000銭で、一銭=30円とします。
ご閲覧、ありがとうございました!!


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第10話〜先生の頭突きに要注意 クラスメートのおバカ共〜

1日やる事がなかったので、コレに専念しました。1日投稿したからといって、今後も早く出来上がるとは言えません。今回は偶然なので、過度な期待はしないよう、ご了承下さい。


「筍・・・筍・・・筍・・・今の俺の手の親指先から小指先までの大きさ・・・無い・・・」

 

 

 

筍ご飯。アレは絶品だ。手間暇が紅魔館の時の倍以上あるが、あの美味さなら許そう。自分で作れるようになったら、好きな時に食べられる。だが、そのためには筍を採る必要がある。土から顔を出した直後のものを見つけなければ、次の日にはおおきくなりすぎている。こんなにも成長速度の速い植物もあるのか。ガキの姿なのが意外にも役立つ。目線が低いから、たまに妹紅が見逃したやつを見つけたこともあった。

だが、1人でやってみると、一向に見つからない。そこら中に生えているのかと思いきや、妹紅の経験で密集している場所を漁っていたのだろう。

 

 

 

「こりゃ、時間かかりそうだ・・・」

 

 

 

更に深く竹林を漁り、規定からやや大きいがギリギリ食べられるであろうサイズを1個採った。そして、数十分後。

 

 

 

「出口は何処だああああ!?」

 

 

 

やっぱり迷ってしまった。紫が言ってたが、本当に方向が分からなくなるとは。飛んで竹林の上に出ようともしたが、上に行けど上に行けど、竹が伸びている景色ばかりが続き、空に出られない。一旦降りようとすると、一瞬で地に足がついた。上昇時間と下降時間の計算が余りにもおかしい。迷いの竹林とはここまで恐ろしいものだったのか。

 

 

 

「ヤバイ・・・帰れねえ・・・」

 

 

 

開始早々、やらかしたバーダックであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、バーダックのヤツ。1人で行くなとあれほど言ったのに・・・」

 

 

 

妹紅は、竹林を走り回ってバーダックを探している。どれだけ強く言い聞かせても、目の前には見たことの無い美しい世界が待っている。探究心をくすぐられない訳がない。一瞬でも目を離した自分が悪い。早く見つけないと、午後からは寺子屋の時間だ。正午まで後1時間。

 

 

 

「あ、兎。どうだ?カニ頭の子供はまだ見つからないか?・・・そうか。引き続き探してくれ」

 

 

 

竹林で遊んでいる兎を見かけては、兎ネットワークでバーダックを見かけなかったか協力を要請している。永遠亭の鈴仙に伝わることを、祈るばかりだ。

だが、鈴仙よりも早く、厄介な者に存在を知られてしまった。

 

 

 

「クックック・・・たまには、回りくどい事でもやってやるかww」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マズイな・・・日がほぼ真上・・・そろそろ寺子屋に行かねえと、後々面倒ごとに・・・」

 

 

 

あちこち歩き回るのを諦めたバーダック。今は生の筍しか所有していない。既に生の渋さを知っているので、非常食として使えない。無駄に動き回るより、じっと助けが来るのを待つ方が良いだろう。地面に座り込み、待つ。時々合図に極限に弱めた気弾をばらまく。

すぐに助けが来た。

 

 

 

「やあやあ、迷子かな?」

 

「お前は・・・鈴仙と同じ兎か?竹林を出たいんだが、道、分かるか?」

 

「もちろん分かるよ。なにせ庭だからね。コッチだよ」

 

 

 

兎の少女、因幡てゐの案内に着いて行くバーダック。・・・どうも遠回りをしているっぽいのだが・・・。

 

 

 

「こっちで合ってんのか?時間がヤベエんだよ・・・」

 

「大丈夫大丈夫♡ホラ、見えてきたよ♩」

 

 

 

ようやく着いた出口。だが、違和感を感じる。妹紅の家が無い。別の出口に出てしまったのだろうか。

 

 

 

「バーダック、寺子屋に急ぐんでしょ?この筍、妹紅の家に置いてきてあげる♡」

 

「あ、頼んで良いか?悪いな・・・人里は・・・あっちか。案内サンキュ、てゐ」

 

 

 

バーダックは飛んで行った。すっ飛ばして時間に間に合うように急ぐ。

 

 

 

「・・・うししし・・・ウサギ電波。〜こちらてゐ。カニ頭の少年未だ見つからず。引き続き捜索〜・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これから人外クラスの授業を始める。だが、その前に新しい仲間を紹介しよう。はい、自己紹介」

 

「・・・・・・バーダック・・・」

 

 

 

既に座っているのは7人。まず、見覚えのある3人がいた。

 

 

 

「あれ?どっかで会ったことある・・・?」

 

「ど、どうも・・・」←察した

 

「良い匂いがするのだー」

 

 

 

次に目についたのは、頭から触覚を生やした少女と、背中から翼が生えた少女。

 

 

 

「ぉぉ・・・カッコいいね・・・」

 

「人外クラスに男の子かぁ・・・」

 

 

 

次に見えたのは、お面をかけた少女。・・・今更だが、幻想郷は女しかいないのか。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

最後に見えたのは・・・・・・

 

 

 

「ふむ、オスの妖怪が入ってきおったか。太子様の名の下、色々と教えてやらねば!!」

 

 

 

・・・・・・。あれって、大人じゃねえのか?なんでこんな奴が。てか、オスの妖怪って。他に言い方は無かったのか。

慧音は、新しい仲間とお話しする時間と言って、退室しやがった。本気か?

 

 

 

「よう、あたい、チルノだ!!」

 

「ルーミア〜。よろしく〜」

 

「私はリグル。よろしくね」

 

「ミスティアよ。良かったら、後でヤツメ食べる?」

 

「この胸のマーク何だろう?」ツンツン

 

「・・・・・・こころ・・・」

 

「我は物部布都である。宜しくのたもう!!」

 

 

 

頭がクラクラする・・・。本当にこいつらと付き合わされるのかよ・・・。ガキは嫌いなのに・・・

 

 

 

「あの、バーダックさん・・・」

 

「あん・・・なんだよ・・・」

 

「その・・・苦労したんですね・・・・・・」

 

「お前だけだよ、分かってくれるのは・・・」

 

 

 

なんだか暗いムードのバーダックに大妖精が手を差し伸べたら、その手を取った。大妖精は分かってくれたようだ。

だがしかし、周りは勘違いしている。大ちゃんの心配するそぶりに動揺するチルノ。手を繋いだ2人をそういう関係かと思うリグル。嫉妬するミスティア。ルーミアとこころはよく分かっていないようだ。布都はと言えば・・・

 

 

 

「なんと!?幼子の不純異性交遊は認めぬぞ!!さあ、ここになおれ!!説教を「お前、イチイチうっさいよ!!」ガツンッ

 

 

 

布都の言葉に、更にげんなりするバーダック。それを慰めに行く大妖精。

 

 

 

「ねえ、大ちゃん。そいつ知ってるヤツなの?」

 

「どういう関係・・・なのかな?」

 

「バーダック君はどう思ってるの?」

 

 

 

質問攻めを受けるお二人。

 

 

 

「え・・・と・・・ヒミツ、かな?」(正体的な意味で)

 

「あ、ああ。ヒミツだな・・・」(常識人の大妖精以外入って欲しくない)

 

 

 

無意識に傷口を広げる2人であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今回は、面積のもとめ方を勉強しよう。この2つの四角形を見てみよう。どっちが大きいかな?」

 

 

 

少し横長の四角と、真四角。どっちが大きい・・・必要あんのか?そんな知識が必要か?

 

 

 

「えっと、右のヤツが大きい!!」

 

「ん、どうしてだ?」

 

「右のヤツが少し大きく見える!!」

 

 

 

チルノのヤツ、元気なこった。面積、ねえ。お勉強って、まさかガチのお勉強とはな。もっとこう、歴史とか神話とか、そういうヤツと思ってた。コレが最短で2週間・・・。惨めだ・・・。

チルノとルーミアは何となく分かってはいたが、あまり容量がよろしくない。クラストップは大妖精で、ミスティア≧リグル>こころ>>布都>>>>ルーミア≒チルノ。といったところか。布都、明らかにおかしいだろ。

 

 

 

その後、バーダックは算数は難なくこなし、大妖精と肩を並べた。まさか、次の言語の授業でチルノと肩を並べることになるとは思わなかったようだ。言語は、布都がブッチギリだった。あるもんだな、偏りって・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今日はこれまで。後は1時間自由に過ごして良し。だが、寺子屋からは出るなよ。以上、ひとまず解散」

 

「・・・終わった・・・」

 

 

 

死ぬ。疲れじゃない。やつれそうだ。精神的にガンガン押し込められる。コレが最短で2週間・・・。

 

 

 

「や、お疲れ、バーダック君」

 

「あー・・・リグルだっけか・・・」

 

「あ、覚えててくれたんだ。嬉しいな」

 

「忘れるぞ・・・」

 

「またまたぁ」ツンツン

 

「バーダック君、元気無いね?ヤツメ食べる?」

 

「ミスティアか・・・くれ・・・」

 

「ほい、毎度」

 

「ぬっふっふ・・・言語が解らぬとは、致命的であるぞ、ばぁだっくよ!!」

 

「・・・ムグムグ」←無視

 

「ミスチー、私も食べる〜」

 

「はいよ、ルーミア」

 

 

 

端から見たら青春してる子供達。約1名場違いな方がいらっしゃるが。後、やっぱりカタカナ言語に弱い様子の布都だ。

もちろん、大妖精だけがバーダックの秘密を知っているため、心配で心配で仕方が無い。オロオロしているが、中々付け入る隙が無い。

そんな大妖精を見て、ミスティアがバーダックに問いかける。

 

 

 

「バーダック君と大ちゃんって・・・どういう関係?」

 

「ふぇっ!?」

 

「急に何だよ・・・」

 

「そりゃ・・・2人だけの秘密があるなんて、気になるよねぇ〜」

 

「気になるものなのか?」

 

「えっと、私も聞きたい・・・かな・・・」

 

「気になるものなのか」

 

「ぁぅぁぅ・・・」

 

「うむ?そち達2人の関係じゃと?寺子屋の方針に背くで無いぞ?」

 

 

 

ここにも居たよ。オマセなチビッ娘が。後、アンタが居る時点で教育方針がちっとも分かんねえよ。

 

 

 

「え・・・と・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

 

 

正体を・・・まあ、別にバレても良いがわざわざ隠してくれてるんだ。ルーミアとチルノが一緒にいた、魚泥棒の事は2人が怪しむから言わない方が良いだろう。俺と大妖精の2人だけで何かした事を言えば良いか。嘘じゃ無いし。だとしたら・・・

 

 

 

 

 

「こいつが居なかったら、今の俺は居ないって感じか」(湖で相談してくれたから、今も幻想郷で暮らせる)

 

「あ、そうだね。私も、良い人だなぁって思ったよ?」(湖で話して、以外と優しかった)

 

 

 

 

 

更に傷口を広げた。端から聞けば、ノロケだ。リグルは顔を赤く染めて動揺する。ミスティアも同じく顔を染めるが、ニヤニヤした目で2人を見つめる。布都は・・・

 

 

 

「なっ、なっ、なぬなななのぬな!?お主らああ!?お主ら、それは如何なるも「はい、黙ってようね」ガツンッ

 

 

 

また五月蝿くなりそうだったため、発言を許さずに頭をど突く。この動作、結構やってるが後何人にすれば良いのだろうか。何でこの3人はこんなにも過敏に反応するのだろうか。

因みに、大妖精も3人が何に対して反応してるのか分からない。間違ったことは言ってないし、やましいことも無い。バーダックが布都を殴らずに発言を許していたら、大妖精は気付いただろう。だが、それも叶わぬこと。しばらくはそういう勘違いが寺子屋を彷徨うだろう。

 

 

 

「うーん・・・どういう事?」

 

「チルノ、こっちこっち」チョイチョイ

 

「ん、なーに?」

 

「教えてあげるよ。アレはねぇ・・・・・・・・・」

 

「ええっ!?マジもがもご!?」

 

「大きい声出しちゃダメ!!」ヒソヒソ

 

「んむ・・・何で、ミスチー?」ヒソヒソ

 

「それはね・・・」ヒソヒソ

 

「2人は・・・だからだよ・・・」ヒソヒソ

 

「んな!?マジもがもご!?」

 

「だから!!このまま聞いててよ?」ヒソヒソ

 

「もしそれをあの2人の前で言ったら、ギクシャクして・・・しちゃうかも・・・」ヒソヒソ

 

「そうなったら、大ちゃん、悲しむよ?」ヒソヒソ

 

「悲しませたくなかったら、この事は何も言わず、今まで通りに話すんだよ。分かった?」

 

「・・・・・・」コクコク

 

「なんの話だ〜?」

 

(ルーミアは分かってくれないから、言わないでおこう・・・)

 

(そうだね・・・)

 

「んん〜?」

 

「ヤツメウナギ、美味しかったねって」

 

「ルーミア、もう一本食べる?」

 

「食べる〜♡」

 

 

 

なんかもう、女子である普通に現代でもありそうな小学生の甘酸っぱい会話である。

一方。

 

 

 

「なあ、こころだっけか?お前・・・なんというか・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「なあ、大妖精。コイツなんか変・・・」ヒソヒソ

 

「こころちゃんは・・・ね・・・あまり話さないから・・・」ヒソヒソ

 

「うーむ・・・ほら、お前も食えよ、ヤツメ?だったか。美味いぞ」

 

「・・・・・・貰う・・・」

 

(・・・授業の成績から、常識人と思ったんだがなぁ・・・はぁ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、もう帰って良いよ。お疲れ様だ」

 

「ああ〜ようやく帰れるぜ・・・」

 

「お疲れ様です」

 

「バーダック君、今度私の屋台で歓迎会しようよ。ヤツメの他にも一杯美味しいものあるよ♪」

 

「えっー!?歓迎会!?あたいも行きたい!!」

 

「私も行く〜」

 

「ヤツメ以外にもか。興味あるな・・・」

 

「私も何か持ってくるよ。所用範囲から・・・蜜!!甘い物を持ってくるよ」

 

「お前も、何かしら作ってんのか。楽しみにしてるよ」

 

「ならば、我からは伝統的な保存食、ぶぶ漬けを持参してやろう!!」

 

「ああ、楽しみに・・・大妖精?」

 

「いえ・・・なんでも無いです・・・」

 

 

 

幻想郷に来て、美味いものにたくさん出会いたいと話すと、いろいろな事を教えてくれた。チルノもカキ氷とかいう物が美味しいと教えてくれた。氷が美味しいか。不思議だが、やはり興味が湧く。

さあ、帰ろうと教室を出ようとすると・・・

 

 

 

 

 

「慧音!!寺子屋終わったよな!?すぐに来てくれ!!バーダックが竹林に行って帰ってこないんだ!!!!」

 

 

 

 

 

ずっと竹林でバーダックを探していた妹紅が、仕事終わりの慧音に協力を求めに来た。が・・・

 

 

 

「は?妹紅、大丈夫か?バーダックが・・・何だって?」

 

「バーダックが竹林で迷って、ずっと見つからないんだよ!!」

 

 

 

必死に説得しようとする妹紅を尻目に、みんなで1人を見つめる。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「へ・・・あれ!?何でここにいるんだ!?」

 

「妹紅?送ってきたんじゃ無いのか?」

 

「違うよ!?朝食後に居なくなって、ずっと探してたよ!?何で・・・!?」

 

「なあ、伝えたハズだが?」

 

「聞いてないよ!?いつ寺子屋に来た!?」

 

「いや・・・てゐとかいうガキに案内されて、竹林を出たぞ?妹紅に伝えて・・・くれって・・・・・・」

 

 

 

だんだん声が小さくなるバーダック。妹紅と慧音の目からプレッシャーが放たれ、こちらの発言権限を奪っていく。

 

 

 

「なるほど・・・てゐにねぇ・・・」

 

「あの悪戯者と一緒に、妹紅をこんなにした・・・という事か・・・」

 

 

 

凍りつく目に、何も言えない。だが、2つだけ分かった事がある。俺を案内してくれたてゐは信頼されてない事。そして、てゐが何らかの方法で、俺をはめたという事か。

 

 

 

「バーダック・・・じっとしてろよ?」

 

 

 

慧音に頭をガッツリ捕えられた。動きようにも動けません。こいつの握力どんだけあるんだ?それとも、俺が弱くなって、抵抗出来ないだけか?

慧音は大きく頭を振りかぶった。

 

 

 

綺麗な夕日の中、1人の少年の絶叫が人里に響き渡った。




よう、バーダックだ。歓迎会だが、布都が家の者をみんな連れてくるそうだ。なんでも、主人の神子とかいう奴はかなり偉い人らしい。輝夜のような酷いパターンもあるかもだが、初対面はやっぱり礼儀正しく・・・こいつ、ずっときちんとしてやがるな・・・いや、永琳みたいな妙ちくりんな事を考えてるに違いない!!なにせ、ここは幻想郷だからな。油断禁物だ!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【尸解仙の太子様 戯れは終わりじゃ!!】
絶対に見てくれな!!





布都を寺子屋に入れたのは理由があります。ルーミアチルノの暴走は、大体大ちゃんが納めてくれるでしょう。居ない時は、リグルとミスティアでサポートします。でも、誰も止められない幼女以上大人未満を考えた結果、布都ちゃんが選ばれました。結局、バーダックが収める形になってしまいましたが。どうする!?せっかく作ったムードメーカー設定が、まさか主人公に破られるなんて!?マジの想定外です。でも、今更プロットを変えるのもシンドイ・・・。
以上、今回の裏話でした。閲覧、ありがとうございます。


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第11話〜尸解仙の太子様 戯れは終わりじゃ!!〜

「よーし、今日はここまでだ。今日は歓迎会なのだろう?だから、復習の時間は無しだ。各自準備するように。以上、解散!!」

 

「ぃやったー!!」

 

「あ、チルノちゃん待ってよぅ」

 

 

 

明日の寺子屋は休日。今日1日は夜遅くまでハメを外せる。生活習慣がどうとかって、夜空をのんびりと眺める事が出来なかった。折角紅魔館を出てきたんだ。出来る内に堪能しておこうか。因みに、こころは今回は来れないそうだ。何でも、能楽の最終調整だとか。一度見せてもらったが、紅魔館の踊りと大きく違っている。これが妹紅の言ってた、洋と和の違いなのだろうか。

そう言えば、最近洋食と和食の違いも何となく分かった気がする。洋食は、牛乳を熟成したクリームやソースでの味付けで、和食は糠や出汁など直接食べない食材を使ったり、旨い感覚をダイレクトに感じる。と言ったところか。人里は基本和食で成り立っているようだ。

 

 

 

「各自で色んな美味いものを持ってきてくれるって、言ってたな・・・」

 

 

 

俺も何か持って行った方が良いか?家・・・正確には妹紅の家だが、ある食材といえば・・・うん、筍以外にある訳ないか。炊いたらすぐに調理しなければ味が薄れると言ってた。鍋と糠を持って行って、向こうで炊いた方が良いだろうな。一旦帰るか。

 

 

 

「俺も食い物持ってくる」

 

 

 

一言言って、人里を突っ走る。人間の速さで。だいぶ勉強した。里はあくまで人間の場所。里側の妖怪といえど、人間に不安感を感じさせてはいけない。という事で、ブッ飛ばして良いのは、里を囲う門をくぐってから。

子供の姿で弱体化してはいるが、それでも元々の性能が高いので、数分で家に着いた。家に入ると、妹紅が座禅を組んでいた。

 

 

 

「珍しいな。アンタが精神統一みたいな事するなんてよ」

 

「バーダックか。今夜は週一の決闘の日だからな」

 

 

 

決闘?週一って結構な頻度じゃないか?コップをとって、聞いてみた。

 

 

 

「誰とどんな決闘をするんだ?」

 

「輝夜と殺し合いだ」

 

「ぶっ!?」

 

 

 

飲みかけた水を思いっきり吹いてしまった。妹紅の顔面めがけて。

 

 

 

「何する、少年・・・」

 

「いや、何言う姐さん・・・」

 

「あいつと私は不死身だからな。勝負はどっちが先に死ぬか、だ。先に一度息絶えた方の負けというルールだ。今は、1,422勝1,406敗。勝ち越しだ」

 

「多いな!?いつから続けてるんだよ!?」

 

「決闘ルールを決めたのが大体50年くらい前か?ルール無用の殺し合いはいつからか忘れたな」

 

「うん、もう聞かない。聞かない方が身のためになる事もあるよな」

 

「うん、確かに若造には荷が重いな」

 

「アンタ、いくつだよ・・・」

 

「忘れたな。まあ、数百年は超えてるだろうな」

 

 

 

やはり、これ以上話すと、頭が狂ってしまいそうだ。不死身だから死んでも蘇生する?今から食事会だってのに、嫌なものを想像してしまったじゃねえか。軽く運動してから行くか。

 

 

 

「よ・・・ふっ、ふっ、ふっ・・・」

 

 

 

指一本で腕立て伏せを始めるバーダック。字面では稀によくある光景だが、一箇所部分があり得ない形になっている。使用しているのは、【半利き手左手の薬指】。最も動かしにくいはずの指を使ってトレーニングを開始した。

 

 

 

「君も、充分にバケモノなんだよ・・・」

 

 

 

こっそり見てた妹紅も呆れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

糠を入れた鍋を両手で持ち、背中のカゴに5つの筍を入れたバーダックが寺子屋に向かうと、大妖精が1人待ってた。他の奴らが見当たらない。

 

 

 

「大妖精、みんなは?」

 

「里のはずれに屋台を置いているので、そっちに行ってます。私が迎えに行くように言われたんですが・・・」

 

「何で前もって教えてくれなかったんだよ・・・」

 

「分かりませんよ、私も場所を知ったのはさっきですし・・・」

 

 

 

とりあえず、場所は分かったのでそこへ向かう2人。もちろん、里の中なので歩きで向かう。

 

 

 

「・・・なんか悪いな。色々と庇ってくれてよ・・・」

 

「いえ、バーダックさんには本当に申し訳が無くって・・・チルノちゃんもルーミアちゃんもその姿だから謝ろうともしませんし・・・」

 

「それはこっちもだ。この姿だから怖い思いさせたことを謝れねえ・・・」

 

「ふふ、お互い様ですね」

 

「いつも苦労してるようだし、せめてお前には色々尽くしてやるよ」(ブレーキの補佐的な意味で)

 

「あ・・・えへ・・・」(真意がきちんと伝わっている)

 

 

 

現在、里は仕事帰りの大人たちが帰路に着いている。幼い男女2人で並んで歩き、話の内容がコレ。またしても自分達の立場が面倒くさくなっている。聞こえた大人から妙な笑みを向けられる。もちろん、余程の事でも無いので、その視線に気付かないバーダックと大妖精。これはもしや、勘違いの噂が里中に知られるのでは無いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミスチー、炭のストックどこ〜?」

 

「ん〜?車輪の下に無い〜?」

 

「うぅ〜・・・火が点かない・・・ミスチー、こんなんで火って起こせるのか〜?」

 

「14・・・・・・15!!バケツ15杯でタライいっぱい!!えっと・・・5リットルが15杯で・・・・・・きゅぅ」

 

「あ、チルノが知恵熱にやられた」

 

 

 

子供達で屋台の準備。何とも微笑ましい。妖怪の山から流れる川は、竹林(永遠亭)→人里→霧の湖と続き、里から少し歩いた川に沿った道のはずれに屋台が設置されている。まだ夕日が届く間に火を起こさないと作業が進まなくなる。ルーミアがやってみたいと言い出したが、そろそろ交代しないと灯りが消えてしまう。

と、バーダック等が合流してきた。

 

 

 

「へぇ、随分と立派なこった」

 

「ゴメンね、遅れちゃった」

 

「バーダック君、火打石使ったことある?」

 

「ひうちいし・・・・・・火を打つ石・・・石で火を起こせるのか?」

 

 

 

論外だった。洋館から妹紅の家に移ってまだ四日。知識がある筈も無かった。

 

 

 

「ルーミア、もう良いでしょ?返しなさいよ〜」

 

「出来るまでやる〜」

 

「ミスティア、やらせてやんな。灯りなら、ホレ」

 

 

 

蝋燭の芯を指先でつまみ、力を込める。電磁波が発生し、火がついた。

 

 

 

「おぉ!!そんなことも出来るんだ!!」

 

「気・・・って言っても、俺も最近初めて知った事だが、気には【火】【水】【風】の3つの基本要素が含まれるみたいだ。こいつ等を掛け合わせて完成したのが気だ。達人は体内で練った気を分けて放出する事も可能だ。俺はまだ不完全で、火にしか分離する事が出来ない。使い方だと、水を生成する事も出来るぞ」

 

「あー、バーダック君。話してる所悪いけど、チルノがまた知恵熱でクラクラしてるんだけど・・・」

 

「ふぁ・・・ひぃ・・・ふぉぉ・・・・・・」

 

「・・・・・・川で冷ましてやってくれ・・・・・・」

 

 

 

このムードブレイカーめが。この後、妖怪でも修行次第では使えるようになると言って、今後の便利さを教えてやろうとしたのを。かと言って、この空気で続きを言うのもどうかと思う。仕方が無い。後でミスティアだけに教えてやるか。

準備も着々と進んできた。空は日の入りを迎え、徐々に暗くなっていく。すると・・・

 

 

 

 

 

「ここだね。ばぁだっく殿の歓迎会会場の屋体。合ってるかな?」

 

 

 

 

 

凛とした綺麗な声が聞こえた。その方向には、3人の影があった。その内1人はよく知る者だ。

 

 

 

「ようやく来たか、布都。準備に遅れたから、お前は甘味無しな」

 

「何じゃと!?」

 

「はい、良いから、その2人を紹介しろよ」

 

「うむ、我らが主君の尸解仙様、聖徳王の太子様だ!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」ドヤァ

 

「名乗ってください」

 

「分かりました」

 

「なにゅーっ!?」

 

 

 

何でこいつはちょいちょいズレるかな。一番伝えて欲しい箇所だけを器用に抜いてやがる。逆に凄いぞ。

 

 

「私の名は、豊聡耳神子です。他は布都の申した通りです」

 

「私は蘇我屠自古。布都の教育係りだ」

 

「屠自古〜!?」

 

「良い加減、奇声を辞めんか!?」ガツンッ

 

 

 

やった!!保護者の眼の前でやった!!流石バーダック!!怖いもの無し!!

 

 

 

「うぅ〜・・・」

 

「お〜、子供にど突かれてやんの、バ解仙」

 

「尸解仙じゃ!?」

 

「ばぁだっく殿、うちの布都がご無礼を働き、誠に申し訳ございませんでした」

 

「太子様までもが!?」

 

 

 

 

うーむ。まさか家の中でもこんな調子なのか。ちょっとばかし可哀想に思える。子供も保護者も。てか、この人(?)もカタカナに弱いらしいな。どういう家庭だ。

 

 

 

「んでさ、尸解仙って何だ?」

 

「はい、お教えしますね」

 

 

 

 

 

〜聖徳王説明中〜

 

 

 

 

 

「1400年・・・大丈夫か?・・・賞味期限・・・」

 

「そこ!?」

 

「誰が腐っておるとな!?」

 

「お前だお前」

 

 

 

だから、言語がちょくちょく引っかかる訳だ。

まだ、誰も一口も口にしていないのに、賑やかだ。バーダックも、幻想郷の文化だと諦めた。

 

 

 

「さてと。メンバーも全員集まったし、私主催の歓迎会、始めるよ〜♪」

 

「イェイ!!待ってました!!」

 

「わはー!!」カチカチ!!

 

「やはー!!」カチカチ!!

 

「まだ火起こしやってたんだね・・・」

 

「ほい、布都さんもコップ持って」

 

「うむ、行くぞ!!」

 

 

 

カンパーイ!!

 

 

 

「エンジン全開だな。主役の俺を置いて、よく楽しめるもんだ」

 

「ふふ、子供達は子供達で楽しませておこうではないか?」

 

「良いのか?あんたのトコの弟子、早速飲み干した。潰れないのか?」

 

「私達2人が潰れなかったら、大丈夫さ」

 

「既に、認知されてんのか・・・可哀想に・・・」

 

 

 

周囲の連中も、今更・・・という事を知り、さらに同情する。子供も保護者も。

 

 

 

「ばぁだっく殿。君の身体から放たれる力は、1ヶ月程前の、事件によく似ている」

 

「っ!?」

 

「どういう事か、教えてくれるかい?」

 

 

 

少し身構えたが、よく考えたらこのに人まで隠す必要はないか。あの時は妖精2人は気を失ってたらしいし、槍から里を守ろうとした善人だ。

 

 

 

「ガキ共には言うなよ・・・」

 

「ふふ、怖い眼だねぇ。これは、黙っておくしか無いようだ」

 

 

 

なんかイライラする喋り方だな。茶番っぽいというか、三文芝居臭がするというか・・・。

 

 

 

「あの事件の犯人は、俺さ。力が暴発してな。夜中だったから、迷惑かけたな」

 

「ふむ、否定しないんだね。そういう所は、中々魅力的だね。」

 

 

 

そこに、お猪口を3つ持ってきた屠自古が加わった。

 

 

 

「バーダック殿。大人組で、ゆっくりと呑もう。良いかい?」

 

 

 

何で主以上にカタカナに強いのだろうか。屠自古が注いだ酒で、盃を交わし、一口飲む。そう言えば、紅魔館の洋酒しか飲んだことが無かった。正直言って、アレはジュースだ。美味しいのは美味しいのだが、酔うには少し欠けるというか。日本酒を飲んで、強い刺激を感じた。聞けば、今飲んでる酒は標準的らしい。もっと強い酒があるらしい。

 

 

 

「君も酒には強いようだ。潰れない程度に、じっくり呑もう」

 

「ふん・・・」

 

「フフッ・・・」

 

 

 

少し突き放すように言ったバーダックだが、威嚇が通じない。やはり、この体では無理があるのだろうか。

 

 

 

「どうにもスッキリしねぇな・・・舐められてる気がするんだが・・・」

 

「ふむ。君は私をどの様な印象を持ってくれたのかな?」

 

「・・・面倒クセェ連中・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内容スッカラカンの話がそろそろ辛くなったので、ふと違う方向を見てみると、ものの1時間で子供組が潰れてしまっていた。酒に弱いのに、無茶するものだ。

 

 

 

「うぇ〜ぃ・・・」

 

「はぅ〜・・・」

 

「ぬぉ〜・・・」

 

「うゅ〜・・・」

 

 

 

なお、一匹足りないのは、溶けてしまったから。

 

 

 

「フフッ。子供達はお休みの時間か・・・」

 

「こんな形でも俺は大人だ・・・。あいつらと一緒にすんなよ・・・」

 

「屠自古、まだ行けますか?」

 

「にゃふふ。まだ考え事をする余裕ありですよ〜」

 

 

 

本当かよ。にゃふふの時点で、アウトの気がするぜ。

 

 

 

「フフッ。子供の戯れは終わりじゃ・・・ここからは大人の時間と行こうではないか。どうだね、ばぁだっく殿?」

 

「太子様、ここに」

 

「コレは・・・」

 

 

 

屠自古が懐からある物を取り出した。

 

 

 

「へっ・・・上等・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッ・・・中々良い感じではないか・・・」

 

「ヘヘッ・・・何人も相手にしてきたからな・・・」

 

「ふむ、ではココはどうかな?」

 

「うぉ・・・まさかそんな手を使うなんてな・・・やられたぜ・・・」

 

「でも、バーダック殿も粘るな。余裕はあるのかな・・・」

 

「まぁな・・・これならどうだ」

 

「おっ・・・コレは予想外の攻めだ・・・その顔でコレだと、ぎゃっぷがスゴイね・・・」

 

「中々上手い・・・だが・・・こっちがお留守だよ・・・」

 

「んな!?俺の金・・・が・・・」

 

「ツメが甘いようだね・・・大丈夫かい?」

 

「ヘヘッ・・・ココで負けたら、男が廃る・・・反撃だ・・・」

 

「くぁ・・・私の・・・中に・・・強引だな・・・」

 

「主導権を握られっぱなしじゃ、癪だ・・・ここからは、俺が攻めるぜ・・・」

 

「バーダック殿・・・そういうの、キライじゃないよ・・・?」

 

「さて・・・どう出るかな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ・・・まさかあそこで更に切り返されるとはな・・・俺の負けだ・・・」

 

「でも、君もソコソコ強かったよ・・・将棋・・・」

 

 

 

接戦の末、神子が勝利を勝ち取った。バーダックも妙な攻め方をされ、どうにも自分の調子を狂わされた。飛車角をほとんど使わず、銀や桂馬、と金でチマチマ攻められ、イライラもあった。むしろ、洋館の初心者や山の十代を相手にしかしておらず、本物のプロ(?)を相手に、勝てる要素が薄いのも理由だ。

 

 

 

「さて、私たちもこれ以上遅くなっては、生活習慣が乱れてしまう。そろそろ帰らせてもらおうか」

 

「あぁ・・・お疲れ様だったな・・・布都、持っていけるか?」

 

「ああ。むしろ、子供達をどうするかだけど・・・どうなんだい?」

 

「チルノが溶けちまったからな・・・ココで待つしかねぇだろ・・・妹紅の家に寄ってもらって良いか?今夜は帰らねえって・・・」

 

「うむ、心得た」

 

「よっと・・・行きましょう、太子様」

 

「ふみゅぅえぇぇいぃ・・・」

 

 

 

3人の尸解仙が帰路に着いた。全員眠ってしまい、1人残ったバーダックは、リグルの持ってきた飴を一粒頬張り、食べ残された鰻や筍、山菜(大妖精持参)を温め直す準備を始めた。

 

 

 

「偶には、一晩中起きて、空を見る酒も一興だな・・・」




よう、バーダックだ。最近、何となく体が鈍ってきたな・・・トレーニングじゃ間に合わねぇかもしれん。実践も偶には入れておかねぇと感覚がおかしくなりそうだ。どっかに手頃な相手が居ないもんかねぇ・・・お、強そうなヤツがこっちの方向にいるな・・・行ってみるか!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【鬼現る!! 酒呑童子が大暴れ!?】
絶対に見てくれな!!



まさかの15タグ・・・大妖精との絡みでないのが悔やまれますが、こういうのは「会話の内容でそういう空気を捏造する」といった感じなので、大人のお姉さんキャラ限定とします。時々こんな茶番を挟みます。尚、将棋の銀桂馬と金の攻めは、作者の本人談です。
次回は、久しぶりのバトルを展開しますので、楽しみにしていて下さいな。


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第12話〜鬼現る!! 酒呑童子が大暴れ!?〜

ものすごく今更ながら、【残酷な描写】タグを付けました。よく考えたら、第6話の流血で考えておくべきでした。自己基準が分からないが為に、皆さんの中には不快に思われた方もいらっしゃるでしょう。申し訳ありませんでした。


あれから2週間経った。つまりどういう事かというと、あの生乾きの服臭の薬を飲まなければならない、という事だ。昨日から俺の体から妙な変化を感じた。じっと目を凝らして見ると、力が漏れ出しているかのように上へと昇華していく気が見えた。まだ紅魔館のケンカの解決は出来てないようだが、里の洋菓子店の妖精メイドの話では、とりあえず経営を安定させるまでは回復したらしい。だが解決には至らずと。

 

 

 

「いつまで続くのやら・・・」

 

「良いじゃないか。今日は薬を飲む影響で気が溢れている。寺子屋も休みだから、今日は自由に過ごせば良いだろ。里から遠い場所で」

 

「はぁ・・・本っ当に久しぶりのフリーだ。ガキ共から解放されるぜ・・・」

 

「あまり無理するなよ?」

 

「何回も死んでるアンタには言われたくなかったな・・・」

 

 

 

歓迎会の夜とその次の週の決闘は、どうやら負けたらしい。2度もボロボロ服でピンピンになって帰ってきた。先に死んだから、蘇生回復したとか何とか。じゃあ、輝夜の方はどうなった・・・蘇生回復出来ずに身も心もズタボロで帰っているのだろうか。負けた方がピンピンして、勝った方がズタボロ。何ともまあ変な話だ。

 

 

 

「とりあえず、適当に飛んでくる。アンタも大概にな」

 

「ゆっくり楽しんできなよ」

 

 

 

バーダックは薬を大量の水と一緒に飲み、準備運動を始めた。が、ピッキパッキと身体中の関節が鳴る。子供の体のためか、バキッみたいな重い音じゃないのも気に入らない。

と、まあ、最近はトレーニングばかりだ。館では美鈴と組手をよくやってた。1日の殆どが座学ともなれば、そりゃ鈍るな。

 

 

 

「どっかに手頃なヤツでも居ねえかなぁ・・・」

 

 

 

そういえば、霊夢の神社の場所は教えてもらったが、どうだろう。幻想郷を統括する巫女らしいし、ツテでもあったら良いけど。という事で、神社の方向に飛んで行く。

しばらく飛んで、違和感に気付く。

 

 

 

(霊夢の力を・・・感じない・・・)

 

 

 

気でない巫力を感じられないからか?それにしても、人間が放つ普通の感じも一切無い。コレはどういう事だ?

 

 

 

(とりあえず、神社まで行ってみるか・・・)

 

 

 

バーダックはスピードを上げ、一直線に飛んで行った。

 

 

 

「あやや・・・あの少年は・・・バーダックさんですかね?小さくなってますし、何やら面白そうな事が起きそうです♪いざ、スクープ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

博麗神社。結界を管理する博麗の巫女が代々暮らす由緒ある神社・・・の筈だが、霊夢の代では妖怪神社に成りつつあるらしい。妖怪退治が本業の筈だが、それで良いのだろうか?

 

 

 

「うぉーい、霊夢ー。いるかー?」

 

 

 

返事なし。留守か寝てるか。どっちにしろ話を聞けそうに無いな。

 

 

 

「霊夢さんが朝早くから起きてるなんて、あり得ませんしねぇ・・・」

 

「やっぱり基本暇なんだな、アイツ・・・」ガツンッ

 

「もはや問答無用ですか・・・」

 

「むしろ、何でいるんだ・・・」

 

 

 

辺りを見渡すと、落ち葉が結構沢山散らばっている。まだ夏終わりの季節だが、木々に囲まれた土地ではこれくらい当たり前なのか。仕方ねぇ。代わりに掃除でもやっといてやるか。

 

 

 

「【誘電】アトミックフィールド」

 

 

 

バーダックは、スペルを宣言した。まだ実用に程遠い、研究段階のため力を抑えながら発動させる。4つ現れた電磁波の渦を地面から10センチほど離して走らせた。すると、落ち葉や小枝が吸い込まれる様に渦に飲み込まれていく。5分としない内に、境内が綺麗になった。

 

 

 

「なあ、文。あっちの林の方で、霊夢と魔理沙がイチャついてるぞ〜」

 

「何と!?激写!!」ギューん

 

「・・・・・・移動・・・誘爆!!」バウンッ!!

 

 

 

林に消えていった文めがけて渦を打ち込み、背後から雷撃を浴びせた。

 

 

 

「はぅ〜・・・不意打ちとは卑怯なぁ〜・・・」

 

 

 

 

 

「へぇ〜あたしと同じ感じのスペルだね。面白い坊やだ」

 

 

 

 

 

幼い声が聞こえた。文が反応し、すぐさま逃げようとしたのを、取り押えるバーダック。

 

 

 

「知ってる人物なら、残ってやがれや・・・!!」

 

「いーやー!!放せー!!」

 

 

 

コイツの怯え方。尋常じゃねえ。それ程苦手としているのだろうか?なら、なおさらだな。コイツは逃さない!!

と言うか、どこだ?声がするのに気配があまりにも薄い。ぼんやりとしか感じない。気を消されるより厄介だ。

 

 

 

「ここだよ、坊や」

 

 

 

突然背後に気配が現われた。構えを崩さずに振り向き、文をその方向にぶん投げた。

 

 

 

「あややややや!?」

 

 

 

文は勢いに負け、頭から境内にぶつかった。さっきの気配はまた薄れていき、掴めない。まるで霞そのものに気配がある様だ。神社ごと囲まれ、余計な動きすら致命的になりうる。動きを最小限に抑え、周囲に捜索をかける。

 

 

 

「ふむ、中々キレる様だね。気に入った!!姿を見せてやるよ」

 

 

 

目の前に何かが集まり出した。黒い煙の様で、掴めない。少し待つと、幼い女の子が現われた。

 

 

 

「鬼さーん、かくれんぼはもう良いので、出て来てくださーい」←棒読み

 

「あたしだ!?さっきの声、あたしだよ!?」

 

「はぁ・・・またガキか・・・解放されてねぇし・・・」

 

「な、に、を!!グダグダと!!」

 

「うひぃっ!?」

 

 

 

幼女がバーダックの顔をめがけて殴りかかった。だが、バーダックは動いてない。

文が目を瞑った。・・・いつまで経っても、呻き声や轟音が聞こえない。恐る恐る目を開けると、顔すれすれで拳を止めた幼女と、さっきのポーズのまま静止しているバーダックの姿があった。

 

 

 

「・・・何で避けなかったのさ・・・・・・」

 

「へっ・・・殺気を感じなかったからな。止めると分かってた・・・」

 

「ふん、ガキのくせにカッコつけてさ・・・」

 

「オメェもガキじゃん・・・後、俺は訳ありの大人だ・・・」

 

「へぇ、そうかい・・・じゃぁ、今度は止めないからね・・・」ユラリ・・・

 

「文、消えてろ・・・怪我するぞ・・・」

 

「・・・さんざん殴っといて・・・」

 

「コレが・・・SM関係・・・ポッ・・・」

 

「おーい、幼女〜。今すぐ突っ込んで来いよ」

 

「上等!!」ギュンッ!!

 

「避難するので待っぎゃあああああああ!!??」

 

 

 

幼女の振り抜いた拳を、左手で受け止めたバーダックは、腕を少し引き、右脚を振り上げた。幼女はそれを錐揉み回転で躱した。背中側に回った幼女が、今度は肩甲骨の間を狙って、頭突きを繰り出す。

 

 

 

「・・・んっ!!」

 

 

 

まだ右脚で蹴りのモーションに入っているため、左脚のみで態勢を前に崩す。右脚を前に出し、アキレス腱伸ばしの脚の状態になり、前脚に体を預け、頭突きを躱す。

から振った体を回転させ、勢いを逃してからバーダックの正面に対峙する。バーダックも瞬時に前脚に力を入れ立ち上がる。

この間1,5秒。速い・・・と言うか、戦い慣れているが故の反応が次々に発生した感じである。文は動きが見えたものの、どう動いているかが分からず混乱した。

 

 

 

「へぇ・・・やるねぇ、坊や・・・」

 

「その口ぶり・・・アンタも見掛けによらず長生きの様だな・・・」

 

「あぁ。歳なんざ面倒くさいことは忘れて、楽しく生きるに限るね♪」

 

「本当に楽しそうだねぇ・・・余裕かますつもりか?」

 

「カカカッ♡いい瞳をするじゃぁないか!コレは期待に応えてやらないと、礼儀知らずってとこだ!!」

 

「くくっ・・・手も足も出せなかったら、それこそ礼儀知らずだぜ、お嬢ちゃん・・・」

 

 

 

遠回しにお互いを罵り合う2人に、文はどんどん冷や汗を流す。挑発も程々にして欲しい。今更逃げられない事を悟った文は、カメラを握る。

 

 

 

「はあああ!!!!」

 

「でぁああ!!!!」

 

 

 

2つの拳が交差した時、衝撃波が周囲にばら撒かれた。至近距離で見ていた文は、真正面からモロに受け境内を転がっていった。

両者とも右腕を引き、左拳を顔めがけて振りかざす。防御が間に合わず、2人して正面から受けてしまう。幼女は持ち前の腕力。バーダックは弱体化した力を、気で補い、同時にヒットの瞬間に全身から気合砲を相乗させる事で、瞬間エナジーを倍増させた。

お互いに顔を負傷したが、幼女はまだ少し余裕がある様子だ。一方バーダックは、耐久も弱体化しているため、受けたダメージが思いの外大きく、吐血した。

 

 

 

「けっ・・・どうやら、接待プレイはお気に召さねぇ様だ・・・男を怒らせると、怖いんだぜ・・・」

 

「女の子に本気だなんて、男の風上に置けないと思うけど?」

 

「安心しな。生意気な糞ガキを躾けるだけさ・・・動物の調教に愛なんざいらねぇ・・・」

 

「可愛い子犬も、牙を持ってるって事を知らなかったかな?」

 

 

 

罵り合いも、段々危なくなってきた。お互いにお互いを挑発で高めていく。幼女からはプレッシャーの圧がヒシヒシと強くなっていく様子が分かる。バーダックは気を開放。蒼いオーラを纏っている。2人して、表情が戦闘狂になっていき、その恐ろしい形相を目に焼き付けてしまった文は、最後の力を振り絞って撮影を完遂させた。そして、恐怖で気を失い、爆風に流されて母屋の方へ吹き飛ばされていった。

 

 

 

「うっさいわ!!朝っぱらから何ごおおおあああああああ!!!???」ガッツーンッ!!

 

 

 

いきなり格子を開けた霊夢のどタマに文の頭突きが炸裂した。

 

 

 

「ぐおぉぉ・・・なにす・・・のよ・・・・・・きゅぅ・・・」

 

 

 

もちろん、余計な情報をシャットダウンしている2人に、巫女の魂の叫びは聞こえるはずもなかった。

 

 

 

「くぁあああ!!!!」

 

「うらあああ!!!!」

 

 

 

またしても正面からぶつかる2人。先ほどと違う事は、一発が軽く、練撃を浴びせあってるという事。つまり、インファイトの始まりだ。

突きを止められてももう片方の腕でなぎ払い、はたまた両腕を封じられたら肘で追撃。躱した後ですぐさま隙を探って攻めに入るが、それも反射でいなされてしまう。時々クリーンヒットをぶつけ、チャンスを我がものとせんと追尾する。これも危険と判断すれば、錐揉み回転で受け流す。しばらくの間、重い衝撃波と音が、幻想郷中に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」

 

 

 

丸々10分間。地響きが続いた。朝早くに博麗神社の間近で暴れる命知らずを見に、ギャラリーがあちこちから集まる。

 

 

 

(うぅ・・・注意したいけど・・・萃香だし・・・はっ!?)←何かに気づき逃げる

 

(へぇ・・・あたしら鬼をここまで・・・)

 

(むぅ・・・宝塔が賽銭箱の隣に見えるのに、取りに行けない・・・)

 

(文のヤツ、気絶してる♪今こそ、スクープの独り占めよ!!)

 

(((・・・イタズラが出来ない・・・)))

 

 

 

各方向から様々な感想が飛び交う。好戦的だったり迷惑がったり敵視したりと、彩り緑だ。

 

 

 

「はぁ・・・中々やるじゃん、坊や。少しとはいえ、マジになってしまったよ・・・」

 

「けっ・・・よく言うぜ・・・試合用のマジだろうがよ・・・」

 

「おや、バレたか・・・」

 

「嬢ちゃんの顔見れば分かる・・・楽しそうに笑っちゃってよ・・・」

 

「君は少し焦っているようだけど、どうなの?」

 

「ふん・・・薬の影響で、力が思いの外出せねぇんだ・・・まあ、負けても言い訳はしねぇよ・・・」

 

 

 

筍、テスト(慧音特製超絶問題集)、将棋と、最近黒星続きのバーダック。だが、勝利に執着せず、適当にあしらっている。何時だったか、美鈴が言ってた言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

「己に負けないために戦ってますかね」

 

 

 

 

 

たとえ勝負事に負けても、それをバネにひたすら精進する事を覚えた。挫折をせずにただひたすら前のみを見続ける。そうする事で強くなると言っていた。勝利こそ絶対。勝者こそ絶対。そんな精神は、もはや面影すら無い。

 

 

 

「そろそろ、全力の一発をぶつけようじゃねぇか・・・」

 

「良いねぇ。生きの良い若い男の子は大好きだよ。答えてやろうじゃん!!」

 

「へっ・・・くあ!!!!」

 

 

 

金色の戦士超サイヤ人の変身を遂げる。プレッシャーも幼女とほぼ同レベル。幼女も凄みをどんどん増している。というか、体の大きさが徐々に膨らんでいる。やがては、神社より大きくなった。

 

 

 

「いくぞぉ!!!!」

 

「そいやっさぁ!!!!」

 

「【具現】強気の現わし!!!!」

 

「【鬼神】ミッシングパープルパワー!!!!」

 

 

 

拳にスペルを込めたバーダックと、スペルで強大化した幼女。2人の爆発的な破壊力の力が、交わった。それは、先程までとは比べものにならない大きさの衝撃波を発生させた。その衝撃波は、朝の幻想郷に、突如地震が発生させ、パニック状態に陥ってしまった。

 

 

 

「ふぅ・・・まさか、子供お相手にここまで本気になるとは思わなかったな。」

 

「はっ。こっちのセリフだ。ガキ相手に、大人気ねぇな・・・」

 

「力を抑えてあると言ったな。それは、いつ頃解放されるんだい?」

 

「知るか。俺も知りてえんだよ・・・」

 

「じゃぁ、今回の決着はお預けにしようか。是非とも、100パーセントの坊やと戦いたい」

 

「引き分け・・・ねぇー・・・はん、そういう事にしておいてやるよ・・・」

 

「なに、年長者の余裕というものだよ。また会おうな、坊や」

 

 

 

幼女はその言葉を残して、登場と同じく、霧のように消えていった。1人境内に残されたバーダック。

 

 

 

(あ、そういや名前聞いてねぇな・・・まあ良いか。アレだけの特徴の嵐だ。気も覚えたし、会ったら分かるだろうからな)

 

 

 

何とも淡泊な回答を見つけ、あっさりと終わらせた。しっかりと運動も出来た事だし、今日は残りの時間のんびりとしてようか。そう思ったバーダックは、霧の湖へ飛んで行った。まだ残暑が残る時期。最後の水浴びと行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・バーダックさん・・・萃香様?」

 

「ようやく起きたようね、このバ烏・・・」

 

「ひっ!?霊夢さん!?何という殺気を放ってるんですか!?」

 

「朝っぱらからドンチャン五月蝿くして、頭めがけて攻撃なんざ、良い度胸じゃ無いの・・・」ピキピキ

 

「あ、コレは私じゃなくて・・・居ない!?嘘!?」

 

「本当の犯人なんか、要らないのよ。私の鬱憤が晴れれば、それで良いのよ!!覚悟しなさい!!!!【霊符】夢想封印!!!!」

 

「そんな!?理不尽だああぁぁぁぁ!!??」

 

 

 

烏天狗の無様な叫びが、朝の地響きの終わりを告げた。




よう、バーダックだ。まだ残暑が厳しいんだが、霊夢や魔理沙はどうも快適に暮らしてるらしい。ゆーれいとかいう奴で涼しく生活してるみたいだ。俺もゆーれい欲しいな。なるほど、冥界に行くと手に入るのか。早速案内頼むぜ!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【目指せ白玉楼!! 刀の修行は命懸け!!】
絶対に見てくれな!!




「強気の現わし」とは、どのような技かを説明します。簡単です。自信過剰なまでに「自分は強い」「自分こそ最強」といった感じで、強気になります。後は能力でそれをエナジー化。僅かでも怯んだり、自分を疑うと力を出し切る事はできません。純粋に強気である事で力が高まります。

最後に、少し愚痴らせて貰います。



閲覧ヒット数6,000超えなのは嬉しいが・・・それでいて、【話数>感想数】ってどういう事だ!?



というわけで皆様、私目に感想を下さい。コメントが一向に伸びず、心が折れそうです。どうぞよろしくお願いします。つきましては、今後もご閲覧、よろしくお願いします。


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第13話〜目指せ白玉楼!! 刀の修行は命懸け!!〜

9月。暦では秋の終わりを告げる月。来月の10月より、冬となる・・・はずなのだが・・・

 

 

 

「あっちぃ・・・まだ続くのかよ・・・・・・」

 

「うぅむ・・・今年は、雨が少なかったからな・・・地盤がまだ冷えて無いんだろう・・・」

 

「地理地学なんざ知ったこっちゃねぇよ・・・水撒きも勿体ねえし・・・」

 

 

 

あまりの暑さに、バーダックはダウンしていた。トレーニングすると倍暑くなり、もはややる気も失せている。畳の上でグッタリと突っ伏し、元気なくせっ毛も項垂れている。どういう原理なのだろうか。

 

 

 

「・・・霊夢のヤツ、溶けてねぇだろうな・・・」

 

「バーダック・・・あり得るから、縁起でも無いことを言うなって・・・」

 

「ちょっと見てくる・・・あそこの高台は涼しいだろうからな・・・アンタは竹林浴で涼んでやがれ・・・」

 

「私を竹林セットみたいに言うな・・・」

 

 

 

バーダックは水を2杯飲み干した後、胴着を脱ぎ捨てて神社へ向かった。途中、人里を歩いてみたが、活気が無い。みんな暑さで苦しんでいた。聞くところによると、慧音は井戸をさらに深く掘って、水の通りを良くしているらしい。よく動けるもんだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぅ〜涼しいわねぇ・・・」

 

「あぁ・・・生き返るぜ・・・」

 

「zzz・・・」

 

 

 

何故だ。確かに高台故に、そこそこマシだろう。何がそこまで快適なのだ。境内も蒸し暑く、日射もキツイ。屋根があるだけとは思えない表情だ。

と、何か白いものが瓶詰めにされているのが見えた。

 

 

 

「よう、暑い中よく笑顔・・・・・・何これ涼しい・・・」

 

「よう、バーダックじゃねえか。半裸でクールビズとは、良い身分だな」

 

「んあ?この圧はあの時の坊やかい?」

 

「あ、鬼の嬢ちゃん・・・」

 

「悪いけど、今日はオフだよ〜」

 

「ほらほら〜あんたも来なさいよ〜涼しいでしょ〜」

 

 

 

この異様な涼しさは一体なんだ?やっぱり、あの瓶詰めの白い何かが影響しているのだろうか?触れようとすると、霊夢に叩かれた。

 

 

 

「何だよ・・・」

 

「勝手に触ったらダメ。私のものなんだからね」

 

「じゃあ、どこで手に入るんだよ?」

 

「何だ、バーダック。欲しいのか?」

 

「うん」

 

「あっさり頷いたわね。プライドは無いの?」

 

「戦士の誇りは持ってるが、それ以外は捨てたな」

 

「ははは。本当に面白いよなぁ、お前」

 

 

 

魔理沙がすくっと立ち上がり、笑顔でバーダックに手を差し伸べた。

 

 

 

「なら、魔理沙先輩がこいつが手に入る場所へ案内してやろう♪」

 

「助かるぜ。ようやく暑い生活が終わる!!」

 

 

 

魔理沙の手をガッチリと掴んだ。意気込みは素晴らしいが、霊夢の目には女性にたかってる様にしか見えない。まあ、それは普段からそういう性格なので、若干ひねくれているのは当然である。

 

 

 

「明日、茶屋くさもちで集合な。一服してから向かうぞ」

 

「乗った!!んで、どこに行くんだ?」

 

「ふっふっふ・・・一度しか言わないから、よく聞きな。幽霊は冥界にいる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つー訳で、明日寺子屋来ないから、よろしくな、慧音」

 

「・・・遅くに押しかけてきたと思ったら、何を言い出す!?明日はテストだぞ!!」

 

「補修扱いで良いから、後日にしてくれ。人間クラスのガキ共も暑くてやってられない様だが?」

 

「う、それは・・・」

 

 

 

たった一言で先生の威厳が消えてしまった慧音。教師としてしっかりと指導したいのだが、人間の子供たちの様子を考えると、言い返せなくなった。先日、男の子が熱中症で倒れた事実もあり、グゥの音も出ない。

 

 

 

「ぐ・・・だが、サボりの口実かもしれないしな・・・よし、見張りを連れて行かせる。一緒に行って来るんだ」

 

「誰だよ?」

 

「大妖精だ」

 

「・・・・・・何故・・・?」

 

「え・・・何故って・・・・・・///」

 

 

 

急に顔を赤らめる先生。変な気を遣っている様だが勘違いも甚だしい。もちろん、人選の本質にバーダックは気付かない。慧音の仕事を手伝いに来た大妖精本人も、何故自分なのか分からない様だ。

 

 

 

「と・・・とにかく、行くのなら大妖精を見張り役として連れて行くこと!!決定だ!!」

 

「お・・・おぅ・・・」

 

「えっと・・・よろしくお願いしますね・・・」

 

「あー・・・うん、頼むな・・・明日の朝にくさもち?に集合な・・・」

 

 

 

いつになったら、ガキから解放されるのやら。まあ、大妖精なら数少ない常識人だし良いか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、ここの草餅は絶品だな!!」

 

「黙れ。なんで俺持ちの上に、一人で3人分食うんだよ・・・節約してんのによ・・・」

 

「こう言うのは、男がエスコートしてやるもんだぜ?」

 

「テメェが案内するのにか?」

 

「あはは・・・」

 

 

 

財布を意図的に忘れた魔理沙も図々しいが、ここで機嫌を損ねたら冥界の案内が無くなってしまう。悔しいが、あまり挑発せず度の過ぎない程度の罵倒を浴びせる。これなら冗談皮肉で通るだろう。

 

 

 

「よし、腹も膨れたし、行こうか!!」

 

「毎度毎度、元気な奴だ・・・」

 

 

 

本当に真っ先に店を出て行きやがったため、勘定はバーダックが払った。優しい大妖精は、少ない小遣いから自分の分を支払ってくれた。礼儀正しい良い子である。

里を出て箒にまたがる魔理沙。飛んで行くということは、遠いのだろうか。取り敢えずついて行く。上に。上に。・・・上に・・・。

 

 

 

「おい、どこまで上昇する気だ?」

 

「適当に。入口はどっかに浮かんでるからな」

 

「・・・10分以上かかったら、箒ぶっ壊すからな・・・」

 

「おいおい・・・」

 

 

 

空を飛んでいるということは、影になるものが一切ないことに同義。直射日光を浴び続けることに不快感を増すバーダック。どこかに浮かんでる入り口・・・想像つかねえ。取り敢えず、箒をぶった切る準備だけでもしておくか。

 

 

 

「【王閣】スピリッツ・ソード(未完成)」

 

「止めろ!?本当だから!!だから、物騒なモンを今すぐしまえ!!」

 

 

 

んで、5分ほど飛び続けると、急に進路を上に向けた。扉の真下にでも来たのだろうか。上を見ると、濃い雲が視界を遮っている。その中を躊躇なく進んでいく魔理沙。

 

 

 

「・・・大妖精、捕まんな。はぐれたら後が面倒だ」

 

「はい・・・・・・ふぇ!?」

 

 

 

手を差し出すと、妙な声を出した。変なこと言ったっけか?

 

 

 

「あ・・・その・・・・・・はい・・・///」

 

 

 

下を向いて指先を摘んだ。すぐに離れてしまいそうなので、スピードを抑えてゆっくり飛んで行く。視界が無くても、魔理沙の向かった軌跡に星型の弾幕が撒かれてある。これを辿れば追いつける。

1分ほど飛ぶと、急に重力が上向きに働く感覚が襲った。濃かった雲も急に消えてしまい、とっさに大妖精を懐に引っ張ると、背中に何かが乗っかった。・・・・・・いや、この感覚は地面だ。地面に寝そべったまま辺りを見渡すと、暗い世界が広がっている。真っ暗でなく、どこからか提灯のような灯りがそこらを照らしている。そして、いつの間にやら上下が逆転してしまっている。飛んでいる間はさっきまで、地上の方向を向いていたはずだが、背中が地に着いている。扉をくぐったのか?

 

 

 

「はわ・・・はわわわわ・・・・・・//////」

 

 

 

変な声がした。見れば、大妖精がバーダックの体の上に覆い被さっている。左ももの上に跨り、胸元に頭が乗っかっている。場所が寝室であれば、事後である。大妖精本人は、純粋に密着していることに恥ずかしがってるため、そこまで頭が回らない。

 

 

 

(あー・・・ガキでも女らしく、一丁前に照れてやんの、コイツ・・・)

 

 

 

バーダック自身も、事故による態勢だと判断したため、こちらもまた深く考えていない。

 

 

 

「取り敢えず、どけよ・・・」

 

「はっ!?すすすみません!!すぐに・・・・・・」

 

「よう、お前らもようや・・・・・・・・・」

 

 

 

大妖精がバーダックの胸に両手をかけて、上半身を起こした瞬間に魔理沙がやってきた。

 

 

 

「あ、魔理沙。何固まってんだ?」

 

「あ・・・魔理沙さん!!私達を置いて行って!!」プンスカ

 

 

 

魔理沙に気づいたため、起き上がりのモーションが止まってしまう。もちのろん、魔理沙には全く違う動作に見えてしまった。

 

 

 

(あがが・・・バーダックを押し倒した!?しかも、その態勢のまま私と話す余裕が!?)

 

「勝手に行きやがって・・・はぐれたもんだから、一人で変な気分になったぜ・・・」←重力の反転に少し酔った。

 

(私が居なくなってすぐにその気に!?)

 

「もう・・・私だって、初めてここまで来たんですよ?不安になっちゃいました」←冥界に。

 

(ココまで来た・・・まさか、交際開始したばかり・・・つまり、そういう関係!?)

 

「ふう・・・とにかく合流したんだ。一段落着いたし、出発するぞ」←冥界の扉を抜けた。

 

「あ、そうですね。いつまでもくっつく訳にも行きませんし、起きますね」←停止したことに気づき、起き上がる。

 

(一段落・・・いつまでもくっつく・・・・・・まさか・・・コイツ等・・・キキ・・・・・・//////)

 

 

 

バダ大コンビの傷口開きスキルが発動した。今回はより濃厚な内容でござる。

 

 

 

「ったく・・・少しは大人になれよ・・・」←この程度で不安になるな。

 

「あは・・・中々次のステップに行けなくて・・・」←成長出来ない。

 

「あばばばば・・・・・・//////」

 

 

 

もはや、傷口に焼砂を塗っている。泣きっ面にハブの群れだ。

だが、魔理沙にとって二人の関係はどうでも良い。問題は・・・

 

 

 

 

 

(妖精ごときに先を越されたああああぁぁぁ!!!!????)

 

 

 

 

 

霊夢と共に妖怪退治の英雄として、武勇伝は数え切れないほど所有している。一方でやはり一人の少女。心ときめく甘酸っぱい恋愛に憧れていた。それが・・・それが!!妖精ごときに!?

乙女のプライドに、立ち直れない程のショックを痛感した瞬間である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「長いな・・・いつまで続くんだろうな、この階段はよう・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・結構、歩きました・・・ね・・・」

 

「魔理沙のヤツ・・・歩けば着くから案内はココまでって・・・いつまで歩くんだっての・・・」

 

 

 

二人の直視に耐えられなくなった魔理沙は、行き方だけ言い残して、先に帰った。表向きでは、酔いで頭が痛くなったからと言い訳をしている。案の定、真意を知ることのない2人は、言われた通りに階段を延々と登っていく。30分以上歩いているが、一向に着く気配がない。幽霊探しはこんなにも大変だと知り、発見したヤツに敬意を込めて合掌する。過去の偉人や死人には、こうやってお祈りをすると最近学んだ。

 

 

 

 

 

〜ロリショタ進行中〜

 

 

 

 

 

「ここかぁ・・・たっぷり2時間・・・長かったな・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・///」

 

 

 

2人は2時間以上歩き続け、ようやく門の前まで来た。もっとも、最後の30分に大妖精は完全ダウンしてしまったため、バーダックがお姫様抱っこで抱えている。おんぶだと、何処からともなくブン屋がやってきそうなので却下した。大妖精は目を見開き、顔を赤らめ腕は小動物のように縮こまっている。

 

 

 

「着いたから、降ろすぞ」

 

「ふぁい・・・・・・///」

 

 

 

ポーッとした表情のまま戻りそうにない大妖精を降ろし、門に手をかけた・・・その瞬間!!

 

 

 

「っ!!だぁ!!」

 

「うひゃっ!?」

 

 

 

急に殺気を感じ、大妖精を突き飛ばし、上半身を後ろに反った。そのままブリッジ!!手を軸に、後ろ方向にジャンプする。

 

 

 

(今の感覚!!殺気だけが門を突き抜けて飛んできた!!鋭い気迫・・・かなりの手練れが向こうにいる!!)

 

 

 

門を開けようか開けまいか少し悩む。一回しか飛んで来なかったということは、威嚇だったのか?

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「あの・・・バーダックさん・・・?」

 

「【王閣】スピリッツ・ソード(未完成)」

 

(へっ・・・警告のつもりだろうが、間違えたな・・・俺は、煽られると燃えるんだよ!!)

 

 

 

気の剣を右手から作り出す。まだ完成しておらず、おぼろげな気の歪みがチラホラ見えている。相手が本物の刀だった場合、勝つことはまず不可能だが・・・やり方によるだろうな。

 

 

 

「大妖精、危険らしいから少し待ってろ」

 

「・・・・・・はい・・・」

 

 

 

大妖精の安全を確認してすぐに、左手で門を開けた。やっぱりいた。明らさまな殺気をビンビンに振りまく銀髪の少女。右手でかなり長めの刀を持っている。よく見ると、腰にかけている鞘が二本見える。柄も見えているということは、二刀流の可能性大。

 

 

 

「ここは人間の来る場所では無い。刀の錆になりたくなければすぐに去れ」

 

「ああ、良いぜ。幽霊を一匹貰ったらな」

 

「・・・冥界の魂を私欲に使う者がまだ居たか・・・」

 

「私欲じゃねえよ。ガキ共が溶ける前にプレゼントしてやろうってんだ」

 

「同胞をモノ扱いとは・・・死に値する罪と知らずに・・・」

 

「同胞ってことは、アンタも幽霊か。んじゃあ、アンタを持ち帰って良いか?その方が人間クラスの男児共は活が良くなる」

 

「うえぇ!?持ち帰り!?貴方、子供でしょう!?そんな卑猥なこと言ってはいけません!!///」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・///」

 

「アンタの身体に抱きつけば、冷んやりして気持ち良いのかなぁ?」ニヤニヤ

 

「うにゃあ!?ここ、子供は子供らしい交友をですね!?」

 

 

 

なんとも単純でウブな少女。からかうととてつもなく面白い反応をする。大人の姿で言ったら、速攻で輪切りだろうなぁ、と微笑む。

 

 

 

(あぁ・・・幻想郷に来て初めての俺優位状態・・・何というか・・・満たされるな、コレ)

 

 

 

剣士として優れた素質でありながら、すぐに照れてしまうギャップ持ちの少女。少しからかって遊んでやるか。

 

 

 

「そういや、フランのヤツは元気にしてるかな?よく一緒に遊んでやってたな、一晩中」←夜行性の遊び漬け

 

「んなな!?」

 

「慧音はどうかな?俺を見るなり、誘ってきたが」←寺子屋に

 

「っっ!!??」

 

「うーむ、もっと思い返せば、息子のカカロットは今どうしてるかなぁ?」

 

「〜〜〜〜!!!!!!!!」

 

 

 

あ、殺気が一気に向けられた。そろそろ頃合いか。

 

 

 

「貴様・・・子供と思っていれば、女性をたぶらかす酷い男だったとは・・・ましてや、女性を孕ますなど・・・言語道断!!女の敵は・・・私が斬る!!!!」

 

「へっ!!テメェなんぞに斬られるかよ!!稽古つけてやるぜ!!はぁ!!」

 

 

 

子供の姿では絶対に勝てないと判断したバーダックは変身する。気の剣も出力を増していく。

 

 

 

「妖怪が鍛えたこの刀に・・・斬れぬ物など、あんまり無い!!魂魄妖夢、参る!!」

 

 

 

バーダックは妖夢に向かって飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーダックはまだ気付いていない。自身の身体から溢れ出る「霊力」に。そして、逆立った髪が白い輝きを放っていることに。




よう、バーダックだ。ひゅ〜♪妖夢ってヤツ、実に心地良い殺気をビンビンに放つじゃねぇか。コレはもうアレだ。存分に可愛がってやんねえとな。気の剣はまだ未完成だが、ま、やり方次第だな。・・・あっ!!アンタはあの時の!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【魂の鼓動は魂魄印】
絶対に見てくれな!!



バダ大・・・新たなカップリングは認めてもらえるだろうか?2人の会話は、もはや呪いレベルになりつつある為、今後の展開がさらに難しくなってしまいました。どうしよう。
って、そんな事どうでも良いですよね♪皆様の興味はバーダックの新たな変身にしか向いてませんよね♪見所満載の13話でした!!
次回もよろしく!!


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第14話〜魂の鼓動は魂魄印〜

「霊夢ううう!!バーダックと大妖精がイチャイチャウッフンしてやがったああああ!!!!」

 

「うっさいわね。んなわけ無いでしょうが。どこ情報よ?」

 

「大妖精がバーダックを押し倒して見えてないところでキキキスしやがったああああ!!!!」

 

「ギャーギャー喚くな!!問題児!!」スコーン!!

 

 

 

お祓い棒で叩かれた魔理沙。バダ大で動揺&ショック状態に、親友からうるさいと追い打ちを受けてしまった。信じてもらえない事が、こんなにも辛い事だったなんて・・・。どうすれば、親友の信頼を取り戻せるか。やはり、目の前でイチャイチャウッフンしてる現場を見せてやるしか無いか。

 

 

 

(覚悟しやがれ、リア充・・・特に妖精!!勝手な事をした事を、後悔させてやる!!)

 

 

 

妙な意気込みで魔力を解放させて、気合い入れをした。その瞳は熱い(嫉妬の)炎で燃えている。早速、白玉楼へ向かって箒で飛んでいく魔理沙。どうやって霊夢の前でイチャ(以下略)させるかは置いといて、とにかく奴らの元へ。雄叫びをあげて見えなくなった。

 

 

 

「・・・バカバカしい・・・」

 

 

 

1人神社に残された霊夢。やる事もなく、お茶をひと啜りした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【餓王剣】餓鬼十王の報い!!」

 

 

 

妖夢が宙で居合切りのモーションをすると、刀の軌跡から鎌鼬が放てれた。鎌鼬からはさらに無数の弾幕が追撃してくる。一回の攻撃範囲がとても広く、躱し切れそうにない。

 

 

 

「だあああ!!!!」

 

 

 

気合砲を前方に放出して弾幕をかき消したら、斬閃がよく見える。後は目視で回避する。

 

 

 

「む・・・やはり、只者じゃない・・・だが、斬ってみれば大抵の事は分かる!!」

 

「可愛い顔して、中々にエグい思想の持ち主だな。面白え!!」

 

 

 

バーダックは気の剣を上空に放り投げ、拳を強く握りしめた。

 

 

 

「【傷候】レイニーフレア!!!!」

 

 

 

剣が炎に変異し、小型の火球を妖夢とその周辺に隕石のごとく降りかかった。

 

 

 

「ふっ!!ふっ!!ふっ!!」

 

 

 

妖夢は動じずに、軽やかなステップで火の雨を躱していく。

 

 

 

「ほっ!!はっ!!・・・っ!?」

 

「よう」

 

 

 

誘導されたとも知らずに、バーダックの懐に飛び込んでしまった。肘からホールドを受けてしまい、身動きが取れなくなってしまう。力も、子供のものと思えない程で、刀を落としてしまった。

 

 

 

「くく・・・どうだい、お嬢ちゃん?」

 

「う・・・うぐぅ・・・」

 

 

 

サイヤ人の強力な掴み技に、呻く妖夢。刀を落としてしまっては、何も出来ない。妖夢は抵抗をやめてしまった。

 

 

 

「何だ、もう諦めたか?」

 

「くっ・・・」

 

 

 

挑発してみるが、睨みつけてくるだけで、抵抗の様子が見当たらない。このまま終わるのも、何だかつまらない。バーダックは、妖夢の拘束を解いて、三歩下がった。

 

 

 

「・・・どういうつもりですか・・・?」

 

「おめえのスタイルは、弾幕よりも刀を使用した剣術だろう?全力を出し切れないで終わるのは、嫌じゃないのか?」

 

「・・・・・・後悔しても知りませんよ!!」

 

 

 

妖夢は落とした刀を拾い上げ、もう一本も鞘から抜いて構える。二刀流という、妖夢の最も得意とする剣術を使おうとする。対して、バーダックは剣術など素人に等しい。勝負は目に見えるようだが、経験豊富の戦闘勘と圧倒的なスペックで補うスタイルで戦う。

 

 

 

「【百花繚乱】!!!!」

 

 

 

刀を水平に構えて回転しながら鎌鼬を散りばめた。妖夢を中心に竜巻状に振りまかれ、バーダックに襲いかかる。

 

 

 

「【旋風】リフレクトルネード!!!!」

 

 

 

相手が竜巻なら、こちらも竜巻。斬撃と気がぶつかり合い、接触の位置で地面にヒビが入る。嵐が通り過ぎたかの様な荒れ模様だ。

 

 

 

「く・・・幼子相手に手こずっていては・・・」

 

「この娘っ子、やっぱり強え。面白くなってきたな」

 

 

 

妖夢は再び刀を構えた。今度は二本を体の前で交差させる様に持つ。刀を小刻みに擦らせている。バーダックは何をしているのかよく分からないが、時間と共にその技の真意を知る。

 

 

 

「擦り合わせた箇所に電磁波・・・放電されずに蓄積されている・・・面白い技だ」

 

「行きますよ・・・【共鳴哭旋】!!!!」

 

 

 

刀を擦らせながら電磁波を発射した。スピードは弾幕とは桁外れだ。バーダックでも見切れなかった。

 

 

 

「あが・・・速い!!・・・左腕が使えねぇ・・・・・・」

 

 

 

肩に大きな斬撃を喰らった。恐らく、神経系まで持って行かれてしまった様だ。力を入れても、感覚が全く感じられない。

 

 

 

「ふぅ・・・やってくれるじゃねえか・・・・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

 

この傷によるダメージはあまりにも大きい。全く使い物にならない腕が、お荷物にしかならない。一瞬どうするか迷ったが、バーダックはとんでもない決断をした。

 

 

 

「くぅ・・・うああああ!!!!」バスッ!!

 

「っっ!!!???」

 

 

 

妖夢もバーダックの行動に驚きを隠せない。斬られた箇所を自らのスピリットソードで切り落としてしまった。

 

 

 

「くくく・・・使えないんなら、捨てちまえば良いんだよ・・・」

 

「貴方、正気ですか・・・」

 

「動揺してんじゃねぇ!!」

 

「あ!?」

 

 

 

バーダックは妖夢の一瞬の隙を逃さず、すぐさま攻撃を繰り出した。

 

 

 

「【龍帝】!!!!」

 

 

 

体内のエナジーを爆発させ、オーラに起爆性を持たせての突進。回し蹴りで妖夢の両手に持たれた刀を蹴り上る。刀から手を離すという、剣士の屈辱を2回も味わってしまう。一瞬の間呆然としてしまったが、今は戦いの真っ最中。バーダックの右拳が妖夢の顔をめがけて襲おうとしていた。敗北を悟った妖夢は目を瞑った。

だが。

 

 

 

 

 

「2人とも良くやったが、そこまでだ!!」

 

 

 

 

 

横から何者かの手がバーダックの突きを強引に押しとどめた。

 

 

 

「アンタは・・・」

 

「久しぶりだね、バーダック君」

 

「ら、藍さん!?」

 

 

 

横入りしたのは、八雲の式神、八雲藍であった。渾身の一撃を、背を向けたままの棒立ちで受け止められた。

 

 

 

「妖夢、この子は君の思ってる様な酷い者では無い。君の勘違いだよ。そして、バーダック君。君は、とんでもない無茶をするね。荒療治だから、少し眠っていて貰おうか」

 

「何を・・・がっ!?」

 

 

 

手刀を入れられ、バーダックは一瞬で気を失ってしまった。最後に感じた感情は、傷の大きさと出血量から死んでしまうのか。といった物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・ん?意識がある?」

 

「あ・・・バーダックさん!!」

 

「あ、大よおおおお!!??」

 

 

 

大妖精に突然抱きつかれてしまった。大妖精の腕が肩にかかって強く抱かれ、尋常じゃ無い痛みがバーダックを襲った。

 

 

 

「いだだだだだ!?離れろ!!肩が!!肩・・・あれ?」

 

 

 

肩が痛い?感覚があるって事は・・・どういう事だ?確か、妖夢の剣撃で左腕をバッサリ斬られ、自ら切り落としたはずだ。少し力を入れてみると、左指が動く感覚がある。

 

 

 

「バーダックさん!!死んじゃうかと思いましたよ!!ふぇええええ!!!!」

 

「いだだだだだ!?うるさい痛い喚くな離れろ!!」

 

 

 

痛みに耐え、周囲を見てみると、どうやら布団の上で寝ていた様だ。誰かが看病した?それでも、腕がくっつく様な看病なんて聞いた事が無い。

 

 

 

「ふふ、王子様の目が覚めた様ね」

 

「〜〜〜っ!!アンタは・・・いだだ!?大妖精!!俺が心配なら、離れろおおお!!!!」

 

 

 

ギャーテーギャーテー!!今回はバーダックのセルフである。紫が見えたにも関わらず、鬱陶しい痛みの発生に、それどころで無くなってしまう。

見かねた藍が大妖精を引っぺがした。デコピンで少し落ち着かせた。

 

 

 

「今の君はどうやら死ににくい体になっている様だよ。違和感を感じないかい?」

 

「違和感・・・そういや、何だこれ?自分の体が、自分じゃねえ様な・・・」

 

 

 

 

 

「それは、君の体が霊体に近いからなのよ」

 

 

 

 

 

綺麗な声が部屋に響いた。耳で聞こえたのもあるが、まるで心に直接響く様な声がした。声の方向を見ると、桃色の髪の美しい女性がいた。綺麗な白い肌に、水色の服が何とも艶やかである。

 

 

 

「ようこそ、白玉楼へ。私は西行寺幽々子。亡霊よ♡」

 

「ぼ、亡霊?てか、俺の体が霊体ってどういう事だよ?」

 

「バーダックさん。貴方の能力が貴方の体に新たな変化をもたらしたのよ」

 

「冥界は主に幽霊たちの住まう世界。そこら中に霊力が充満されているんだ。そして、君の能力。もう分かったかな?」

 

「冥界に相応しい身体になったってことか・・・」

 

「白い輝きの変身がその証明ね。悪魔の変身とは似て非なるものなのでしょうね」

 

 

 

白い輝きと霊力。違和感の正体はソレだったのか。

 

 

 

「霊体と実態を両方持ち合わせているから、半人半霊とも言える。概念が備わっているから、切れた腕も治療できたんだよ」

 

「治療って、どうやったんだ?バッサリイッた筈だろう?」

 

「簡単に言うと、君は今、私の式神にさせている。だから、私の妖力で治療が出来ているのだよ」

 

「あー、ソレか。今も感じる妙な違和感は・・・」

 

「仮契約の式神化だから、拒絶しなくても良いよ。私の下に就きたいなら別だけどね。ふふっ」

 

 

 

大人の妖艶な笑みを向ける藍。現在のバーダックは薬によるショタ化を遂げている。そっちの方向でバーダックが可愛く見えている藍。キチンと冷静さを保っている辺り、紅魔館の連中よりはマシだと思うバーダックだった。

少し奥を見ると、妖夢が正座をしていた。とても申し訳なさそうに落ち込んでいる。

 

 

 

「あー確か・・・妖夢って言ってたな。気にすんなよ。挑発した俺も悪いんだからな」

 

「うぅ・・・申し訳ありませんでした。勝手に一人歩きで腕を斬ってしまって・・・」

 

 

 

もう泣きそうな顔だ。流石にこっちも申し訳なくなる。さっきまでの威勢がミリ単位で見当たらなくなっている。

 

 

 

「うん、やり過ぎたな・・・・・・」

 

「そう、君が悪い」

 

「女性を追い込むのは、酷い殿方のやる事ですよ」

 

「ウチの娘を泣かせて、責任取れるのかしら?」

 

「さあさあ、密告だ!!お姉ちゃんに言ってやろ!!」

 

 

 

散々な言われ様だ。否定はしないが。大妖精と橙は説教を受けてるバーダックを苦笑して眺めている。あの眼ムカつくから、後で1発行っとこうか。

とりあえず、今は妖夢の機嫌を取り戻さなくては。

 

 

 

「妖夢・・・すまなかったな・・・」

 

「ふぐ・・・いいでふ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

どうすりゃ良いんだよ・・・。コレもう手遅れじゃねえか。ご機嫌ルートへの攻略がどんどん遠ざかって行く。コレはアレか?俺の死後は、此処で妖夢に仕返しを喰らってしまうアレか?あの真剣で半分斬られた腕の痛みを思い出す。すげえイヤ。

 

 

 

 

 

「ところで、そろそろオユハンよね。みんなで食べましょう♡」

 

 

 

 

 

お姫様が何か言ってる。そして、ブルーの雰囲気の妖夢が更に酷くなった。むしろ、白くなってないか?

 

 

 

「幽々子様と・・・客人5人分ですから・・・?」

 

「もちろん、お客様は満足してもらわないと。頑張ってね、妖夢♡」

 

 

 

どうしたのだろうか。自分を弄んだ俺に対して料理を振る舞うのがイヤというより、料理そのものにトラウマがある様な感じだった。

 

 

 

「・・・・・・よし」

 

 

 

バーダックは、食卓の準備を始める大人達を放って、台所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・客なんて話し相手ができる分余計に量が・・・・・・ぐす・・・」

 

 

 

遂に涙を流した妖夢。バーダックに対しての無礼をあれこれ言われてもまあ我慢できた。でも、これからの現実と向き合うには今のコンディションは最悪である。ただ量を増やせばそこそこ簡単ではあるが、客1人につき2品ずつ追加するルールが余計に痛い。

 

 

 

「10品追加って・・・誰か助けて・・・・・・」

 

「良いぜ。大根は何本皮むきすりゃ良い?肉塊とは久しぶりだな。筋を取るのは俺がやっとこう。干し椎茸は汁物に使うか?」

 

「・・・・・・ふぇ?」

 

「かまどは・・・7つもあるのか。5つを米にして、俺とお前で1個ずつ担当すると効率が良さそうだ。雰囲気的に和寄りの感じだから、洋物でも作るか。レモンある?」

 

「え・・・え・・・?」

 

「湯煎が出来る様だし、レモンカードでも作り置きしとくかな。卵に余裕あるか?」

 

「レ、レモン・・・何?」

 

「バターもあるな。セミフレッドって知ってるか?アイスの冷たさとケーキの食感を持つ洋菓子」

 

 

 

妖夢は思った。この男は・・・否!!このお方は、運命の神様が不運な私目を哀れんで、今までの苦労を全て共に背負ってくれるパートナーを遣わせてくれたのだと。魂魄妖夢、人生・・・もとい、半生初の恋をした瞬間である。

 

 

 

 

 

〜10分後〜

 

 

 

 

 

「タマネギのみじん切り、もっと細かく!!繊維を真横に断裂して下さい!!」

 

「焼き豆腐は、崩れない様にフライパンに押し付けて!!表面をパリッと焼くのです!!あ!!強過ぎ!!」

 

「カリフラワーは繊細なんです!!え?少し傷んでる?なら、酢酒を使って下さい!!逆に酸味を活かすのです!!」

 

「燻製にしたカニの殻と言った筈です!!風味が圧倒的に足りません!!もう一回食糧庫に!!後、料理酒の追加も!!」

 

「ピーマンはワタも使います!!今日の料理には使いませんが、乾燥させて粉末にします!!だから捨てないで下さい!!」

 

「揚げ物の衣に水はダメです!!このお酒で粉を溶かして下さい!!よりパリパリになります!!」

 

「こっちの調理ではドライトマトを使います!!捨てるのもメンドイので、残りはジュースにでもしてて下さい!!」

 

「魚(一応川魚です)の骨も炙って出汁に使えます!!内臓含めて、処分しないで下さい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「「いただきまーす」」」」」」

 

 

 

6人の美女美少女美幼女が、食卓に並べられた豪華な食事に箸を運ぶ。親友の紫と幽々子、主従の藍と橙、珍しいコンビの妖夢と大妖精とでそれぞれ食べさせ合ったりしている。皆とても美味しそうに頬張って、魅力的な笑顔が咲き誇る。この表情の前に、妖夢の疲れはもう吹き飛んだ。とても嬉しそうである。運命的な出会いをしたバーダックの手伝いもあり、今まで以上に料理が楽しくなったのが、彼女の永遠の誇りとなった。

 

 

 

「ウン・・・ウマイデス・・・ショクジッテトテモスバラシイデスネ・・・・・・」

 

 

 

そして、当のバーダックは目が死んでいる。料理の地獄を味わい、妹紅の家に帰ってからも、更に料理の腕が上がったと大評判になったそうな。魂魄妖夢の教えを受けた背中からは、魂の鼓動を感じる事が無かった。




よう、バーダックだ。あれー・・・なんか記憶が飛んでる気がするぜ・・・台所で妖夢と料理を始めて・・・どうなったんだ?分からん。まあ、飯も美味いし良いか。って、うわあ!?白玉楼に誰か攻撃しやがった!?あの影は・・・魔理沙!?あいつ、何怒り狂ってんだよ!?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
「W半霊の奇跡の連携 VS魔理沙!!」
絶対に見てくれな!!



最近、何を血迷ったか、「◯ましたっ!◯ワー◯フガ◯ルズ◯」を見始めたオレ・・・本当に何やってんだろ・・・そして、バーダックがロリ化したら、バタ◯カップなんだろうなぁ。なんて妄想してる・・・。うん、スカート似合いそうだな。
「男の俺がスカートなん「絶対に似合わねーよ!!!!」
あ。「ん?」
「アレ?お前たち誰だ?ってか、ココ何処だよ!?モ◯ョが暴れてるから早く現場に行かねえと!!」
バーダックとバタ◯カップ・・・似てるな・・・。
「「・・・・・・(怒)」」
うん、なんか可愛いな。
「リフレクトルネード!!!!」「グラビトン・ドライブ!!!!」
ぎゃあああああああああああ!?
「バカは放っといて、今後も俺たちの活躍をよろしく頼む」
「じゃあ、オレもそろそろ行くからな。がんばれよ!!」b
「行ってきな!!」b



「バーダックさん、何やってるのかな?」


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第15話〜W半霊の奇跡の連携 VS魔理沙!!〜

冥界。そこは、閻魔様の裁きで善人と認められた死人の魂が、来世が訪れる時まで幽体で暮らす世界。死後の世界に生きた者は入る事を許されない。だが、幻想郷の冥界は春雪異変を通じて、その境目が曖昧になってしまっている。夜桜が美しいという理由で、呑気に花見に来る連中もいた。

今宵は、幽霊の冷たさを求めて、バーダックと大妖精が襲撃・・・もとい、客として招かれ、泊まることになった。因みに、八雲の3人は帰った。

バーダックは、妖夢の剣術をモノにしようと、教えを受けている。未完成のスペル【スピリッツ・ソード】の完成に必死だ。

 

 

 

「剣と一体化ねぇ・・・全っ然分かんねぇ・・・・・・」

 

「そうですね。元々気による剣ですから、私の管轄外ですね・・・どう説明すれば・・・」

 

 

 

本物の刀と気で作り上げた剣とでは勝手が違うようで、妖夢も困っている。根本的に違うものをどうやって教えれば良いものか。

 

 

 

「・・・私の刀を使ってみますか?」

 

「え・・・良いのか?剣士の命だろ?」

 

「あ・・・その・・・貴方になら・・・///」

 

「・・・??」

 

 

 

とりあえずまずは手に取ってみる。やはり違う。持つという事だけでただ腕を振り回すわけにもいかない。オマケにそこそこ重い。瞬時の切り替えがやや困難だ。女の腕力であんな動きをする辺り、妖夢も充分鍛えられている。

 

 

 

「うーん・・・分っかんねえなぁ・・・」

 

「刀と一体化する事を、私は【共鳴り】と呼んでいますが、何かヒントになれそうですか?」

 

「【共鳴り】ねぇ・・・鳴る・・・」

 

 

 

時間をかける程に、コツがどんどん離れていく感覚になる。初めて聞く単語で何を分かれと。

 

 

 

「バーダックさん、妖夢さん、お茶が入りましたよ。休憩されませんか?」

 

「む、休憩って・・・そんなに時間経ったのか?」

 

「半刻(1時間)は超えてますよ」

 

「嘘っ!?もうそんなに!?お昼の用意しないと!!」

 

「あの、幽々子さんお出かけしました・・・」

 

「なぬ?」

 

「ど、どちらへか聞きましたか?」

 

「えっと・・・握力鍛えるヤツ?みたいなのを持ってましたが・・・」

 

「蟹の殻剥き機・・・・・・」

 

 

 

道具に心当たりのある妖夢が、膝から崩れ落ちた。

 

 

 

「おい・・・大丈夫か?」

 

「私だけ置いて、紫様のもとでカニ鍋パーティー・・・・・・ぐすん・・・」

 

「料理地獄よりも酷なのか・・・カニ鍋?に参加出来ないの・・・・・・」

 

 

 

バーダックもカニ鍋が如何程に素晴らしいものかを察し、同情する。俺が地獄を見たのだ。俺以上の仕事を毎日こなす妖夢がこれほど落ち込むのでは、さぞかし絶品だろう。

 

 

 

「はあ・・・元気出せよ。解放されたことだし、今日はのんびり作ろうぜ?」

 

「うぅ・・・ぁい・・・・・・」

 

「私もお手伝いしますよ♪」

 

 

 

純情美少女と無邪気美幼女と気まぐれ美少年(?)による、楽しい料理会が始まった。お茶と茶菓子は縁側に忘れられていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ・・・コレが鍋か。熱い出汁をたっぷり吸った肉団子に葉物。んで、紫共はコレにカニを入れてるのか・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「うん、ごめんって。悪かったよ・・・」

 

「美味しそうですね」

 

「ほら、元気出せって・・・出来ること何かしてやるからよ・・・」

 

「ふぇ・・・?」

 

「ほ、ほら妖夢さんも食べましょうよ。3人で一緒に作ったんですし、3人で食べましょうよ♪」

 

「あ・・・・・・はい。では・・・」

 

 

 

「「「いただきます」」」

 

 

 

お椀に白菜を敷き、肉団子を2個乗せる。人参やネギ、春菊を追加して、最後に出汁で浸らせる。綺麗な食事だ。中々に豪快な料理からは想像出来なかった、美しい一皿が完成した。見た目の色彩や出汁の香りなど、食欲をそそる。大きな鍋の中身を、3人がかりで空になるまで楽しむことが出来る。今度紫に会ったら、ボコボコにしてカニ鍋を無理矢理にでも作らせようか。もちろん、妖夢も誘って。

 

 

 

「昨日の魚の骨と内臓から、こんなにも濃厚な出汁が出るんだな。昨日はすまなかった。捨てようとして」

 

「えへ、構いませんよ。結果保存出来て、こうやって食せるのですから」

 

「んん〜♡人参さん美味しい♡」

 

「お豆腐さんフワフワ〜♡」

 

「春菊は・・・お、ほのかに苦味を感じる・・・くぅ〜喉が唸る・・・」

 

「団子にも人参、それと椎茸も混ぜ込んでますので、食感も良いですね」

 

「ん・・・ん・・・はふぅ〜・・・暖かい・・・」

 

「なあ、コレ白米と合うんじゃねえの?」

 

「ふっふっふ・・・よく気づきました!!3人分炊いてますので、いきましょうか♪」

 

 

 

わいのわいの。初めて山彦以外のガヤ擬音を使ったが、楽しそうに食べる3人の姿が何とも微笑ましい。大妖精は自然の果実や寺子屋で出るものとミスティアの屋台でしか食事を取れず、豪華な食卓で興奮して感動しながら食べている。対してバーダックは、鍋たるものを帰ってから自分だけで作れないか、イメージしながらじっくりと咀嚼する。妖夢は、特製の肉団子をを美味しそうに食べる初恋相手を眺めて、何だか嬉しそうだ。なお、大人が薬で子供にされていることは既に知っている。むしろ、この美少年が大人になった姿をイメージして、2人で並ぶ姿を妄想している。

 

 

 

(何歳くらいでしょうか?話す素振りから、50歳を超えたお爺ちゃんは絶対にありえませんよね・・・反射神経の良さで、40以上も考えられません・・・でも、執事長ってことは20歳は若すぎ?30前後でしょうか・・・・・・大人の男性・・・///」

 

 

 

妖夢の推理はストライクした。惑星ベジータの爆発で29歳。惑星プラントで生活して5年ほど。現在34歳だ。年上の男性にリードされることに憧れる妖夢にとって、どストライクのイメージである。(だがしかし、既婚者で2人の子持ちという事は知らされておらずである。不倫と知らずに、妖夢はバーダックの魅力にハマっていく)

 

 

 

 

 

〜三角関係(?)食事中〜

 

 

 

 

 

「「「ご馳走様でした。お粗末様でした」」」

 

 

 

大妖精はお腹いっぱいで眠くなってきている様だ。あくびを漏らし、うっすらと涙が滲んでいる。

 

 

 

「寝てて良いぜ。片付けは俺達でしておく」

 

「ふぁい・・・・・・すぅ・・・」

 

「よっ・・・土鍋は俺が・・・妖夢?」

 

(つつつまり・・・バーダックさんと2人きりで台所・・・///)

 

 

 

純情な少女はシチュエーションだけで、もう顔真っ赤になってる。そしてバーダックはもちろん気付かずじまい。

妄想に浸っている妖夢は周りが見えておらず、半霊が勝手にふよふよ浮遊している。

 

 

 

「冷たっ!?」

 

 

 

半霊に気付かずに太ももに霊体アタックを喰らったバーダックは、急な冷気に不意打ちをくらい、バランスを崩した。倒れる先には、妖夢。

 

 

 

「うあだあ!!??」

 

「へ、うへああ!!??」

 

(やべ、鍋が妖夢の顔に!!阻止!!!!)

 

 

 

ドサッ

倒れながらも、土鍋が妖夢に落ちない様に瞬時に腕を伸ばしてキャッチに成功した。

さて、現在バーダックと妖夢の体制はどうなっているか。妖夢は倒れてくるバーダックに一瞬押され、背中から畳に倒れた。軽く受け身を取ろうとして、脚を曲げている。バーダックは土鍋の回収と妖夢へののしかかりの回避を同時に行い、膝は妖夢の腰をまたぐ様に畳に着地。土鍋を両手で掴んだため、とっさに肘を妖夢に当たらぬ様に、こちらも何とか畳に着地。肘の位置は、妖夢の方の上。

もうお分かりだろう。バーダックが妖夢を押し倒したかの様な構図である。両手に土鍋を持って。どんなプレイだ。

 

 

 

「はわわわわ・・・・・・///」

 

「う・・・大丈夫か?鍋は・・・ふう。顔にぶつかってない様だな」

 

 

 

至近距離でお互いの顔を見合う2人。バーダックは妖夢にぶつかってないか、そのままの体勢でチェックする。妖夢は突然の床ドンに、心臓がバクバクしている。そして・・・・・・

 

 

 

 

 

「バーダック・・・テメェ何してる・・・・・・」

 

 

 

 

 

縁側から2人も良く知る声が聞こえた。その声の主は、嫉妬心を燃やしてバーダックと大妖精に一泡吹かせようと計画していた、魔理沙だった。

バーダックが妖夢を押し倒している。恋人のはずの大妖精は少し離れた所で眠っている。

 

 

 

「テメェ・・・私が乙女のプライドを守ろうと必死だってのに・・・良い身分だな・・・」

 

「あ?プライドって何だよ。んで、何で殺気放つ?」

 

「魔理沙・・・こ、コレは違くて・・・・・・」

 

 

 

「覚悟ぉぉおおおお!!!!【彗星】ブレイジングスター!!!!」

 

 

 

「いいっ!?」

 

「えええっ!?」

 

 

 

和室の中めがけてスペルを宣言、突っ込んで来やがった。

 

 

 

「バカ野郎!!家ん中でスペル使うな!!」

 

「しょ・・・食卓がああああ!!??」

 

「うひゃあっ!?何何!?何の音ですか!?」

 

 

 

バーダックは瞬時に妖夢を抱え上げ、大妖精も掴み上げてから庭に脱出した。スペルを受けた食の間は、無残な姿へと変貌を遂げた。

 

 

 

「あんのやろー何しやが・・・・・・俺も何してんだろ・・・」

 

 

 

妖夢と大妖精を降ろそうと腕を緩めると、違和感を感じた。左腕で妖夢の腰辺りを抱えている。右手で大妖精の足首を掴んでおり、頭が地面に着かぬ様に配慮した結果、スカートがモロに垂れ下がり、ピンク色のドロワーズが丸見えになっている。

んで、更に上をいくバカが見えた。右の脇にまだ土鍋を抱えている。

 

 

 

「この状況で、土鍋を守る俺は間抜け過ぎる・・・・・・」

 

 

 

取り敢えず、2人を下ろして鍋も置こうとする。

 

 

 

 

 

カシャッ キギキィ

 

 

 

 

 

「っっっ!!!!」

 

 

 

土鍋を脇から降ろそうとした際に、器と蓋が擦れ、不快音を奏でた。バーダックも不快に思ったが、それ以上にある感覚が襲った。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

キキキギィ

今度は意図的に土鍋を擦らせて音を出した。とある仮説が頭に浮かび上がり、妖夢の腰を見た。そこには二本の刀。

 

 

 

 

 

「刀と一体化する事を、私は【共鳴り】と呼んでいます」

 

 

 

 

 

仮説が具現化するイメージが完成した。魔理沙を見ると、矛先をこちらに向けている。あの口ぶりから、狙いはおそらく俺自身。

 

 

 

「妖夢!!刀借りるぞ!!」

 

「え!?あ、速い!!」

 

 

 

鞘から刀を二本とも抜き、両手に構え、2人から大きく離れる。魔理沙はバーダックを目掛けて箒で突っ込んで来る。真っ直ぐ飛んでくると分かるなら庭の壁ギリギリまで誘導して、壁にぶつけさせる。修理代は魔理沙と・・・紅魔館に請求させておくか。

魔理沙は崩れた壁の下敷きになった。またこちらに来るにはわずかに時間が稼げる。この間に仮説を証明させる。

 

 

 

キィィィィィ

 

 

 

二本の刀を擦らせる。高い金属音を放っている。その響きが、刃から柄、そして掌に伝わって来た。

 

 

 

(【共鳴り】・・・コレだ!!)

 

 

 

擦らせて発生する金属音。それが身体に波紋となって響いて伝わって来る。ならば、逆の「身体から波紋を送り出し、刀に響かせる」事も可能なのでは無いか?

刀から伝わった波紋をイメージして、刀に向けて放出する。

 

 

 

・・・・・・ィィィイイイイイ

 

 

 

「来た!!コレだ!!妖夢、返すぜ!!」

 

 

 

コツを掴んだバーダックは、刀を妖夢に投げ渡す。慣れている妖夢は空中で柄を見事にキャッチした。

 

 

 

「くたばれ!!【恋符】マスタースパーク!!!!」

 

「行くぞ・・・ん!!【共鳴り】スピリッツ・ソード!!」

 

 

 

バーダックは超サイヤ人に変身した。もちろん白く輝いている。そして、スペルを宣言した。今回は気の歪みもなく、きっちりと形を形成した剣が完成した。その剣を正面に突き出した。マスタースパークは、バーダックを襲った。レーザーの中心に突き出すことで、バーダックとその後方にはその光が捻じ曲げられ、当たっていない。

 

 

 

「な、何だと!?」

 

 

 

魔理沙も驚いている。マスパよ避けるでもなく、相殺でもなく、かき消すわけでも無い。レーザーの中に安置を作りやがった!!

そして、動揺している魔理沙の八卦炉に向かって、弾幕が襲った。

 

 

 

「【蓄趣剣】無為無策の冥罰!!!!」

 

 

 

鎌鼬と共に放出された弾幕を受け、八卦炉が宙を舞った。

 

 

 

「妖夢!!」

 

「はい!!」

 

「【スピリッツ・ソード】」

 

「【剣術を扱う程度の能力】」

 

 

 

「「【螺旋】冥界の枝垂れ桜!!!!」」

 

 

 

2人の刀と剣が交錯し、2人で共鳴りを発動させた。擦らせての波紋と2人の身体から流れる波紋。三重になって高密度の弾幕を作り上げた。魔理沙は避ける動作もなく、ただ見惚れてしまっていた。自分の元に向かって垂れながら咲き誇る枝垂れ桜。その美しさは、幻想郷全ての桜を凌駕していた。

 

 

 

「く・・・くそぉ・・・綺麗だ・・・こんな奴らに・・・・・・」

 

 

 

咲き乱れる桜に飲み込まれた所で、魔理沙は意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく・・・妙な事しやがって・・・そうならそうと言えよ!!」

 

「逆ギレすんな!?この修理代、お前と紅魔館持ちだからな」

 

「ふざけんな!?私の生活費何日分持ってく気だ!?」

 

「知るか!!」

 

 

 

白黒の服を脱がされ、妖夢の寝間着に着替えさせたため、普段収納しているマジックアイテムで抵抗出来ず、罵倒を浴びせ続ける魔理沙。幽々子が帰って来るまで、この悪ガキは拘束しなければならないので、手足首まで縛られている。

 

 

 

「自業自得ですよ。勘違いでも人様の家を壊すなんて暴挙、許されませんからね」

 

「くそぉ・・・私とあろうものが・・・・・・」

 

「俺ら半霊コンビに手を出したお前の運が悪いだけだ、諦めろ」

 

「ん?コンビ?そういや、お前の変身、金色や赤紫だったよな?白かった気が・・・」

 

「冥界だから霊体の体になったそうだ」

 

「霊体ねぇ・・・悪魔の変身もあったし・・・てか、あの姉妹の喧嘩はまだ続いてんのか?」

 

「迎えが来ねえんなら、まだなんだろうな・・・」

 

「シンプルで良いんじゃねえの?」

 

「言ってみろ 」

 

 

 

 

 

「【超サイヤ人悪】(デビル)と、【超サイヤ人霊】(ファントム)」

 

 

 

 

 

「デビルに・・・ファントム・・・」

 

「おぉ・・・妖精の私でも、覚えやすそうですね」

 

「シンプル且つ、カリスマ性もありそうですし、良いんじゃ無いですか?」

 

 

 

今回の変身を要素に加え、方向性が決まったため、あっさりと良い名前になった。一ヶ月以上も焦らされてシンプル過ぎるのも少しシャクだが。

 

 

 

「もう、それで良いだろ。魔理沙、ここの修理が終わったら、お前がレミリア達に伝えとけ」

 

「待て!!ここの修理が終わるまで、帰れないのか!?」

 

「当たり前だ。払えんのなら最後まで手伝ってもらうからな。三食は食わせてやるが、食事と睡眠以外は全て作業だ。キビキビと働けよ」

 

「私達はお茶休憩しますが、貴女には水一杯で充分でしょう」

 

「ブラックじゃねえか!?嫌だ!!私は帰る!!帰るから解けえええええ!!!!!!」

 

 

 

魔理沙の悲痛の叫びは、池上に届くことなく冥界に虚しく響いただけだった。妖夢とバーダックの睨みを浴びる魔理沙を、大妖精はちょっと可哀想に思ったそうであった。




よう、バーダックだ。ようやく姉妹喧嘩が終わる・・・どうでも良いことで長々長々と。てか、悪いが、俺紅魔館出るわ。もう良い加減1人でお気楽に生活してえよ。つーわけで、どこか良い物件、最悪自分で小屋でも作るから、環境の良い場所は無いもんかねぇ。
「次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【牛蒡家 バーダックは自分の家を開拓出来るか!?】」←(ここで幻想郷の古地図が画面に表示される)
日曜の夜に帰れ!!!!





小さい女の子の本当の初恋って、テレビの中のスターとかですよね。幼少期から刀の修行ばかりで、大人に憧れる幼子の思想を持った少女って可愛く無いですか?祖父の修行期間もあり、大人への執着心が強くなったかと思います。もちろん、自分の勝手な妄想ですが。んで、次回のサブタイは、歌って育てて建てられる、建築系アイドルのアレですwwあの人の声で聞こえた方は達人です。
さて、魔理沙が【超サイヤ人悪】【超サイヤ人霊】と名付けました。と、言うことは・・・・・・。それはまた登場する時までお楽しみに。
後、バダ大のイラスト描きました。投稿時に気付かず、後になって思い出したよ。

【挿絵表示】

うん、なんでこの構造で行こうと思ったんだろう・・・3週間前の自分をぶん殴りたいわー。

今後も閲覧、よろしくお願いします。


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第16話〜牛蒡家 バーダックは自分の家を開拓出来るか!?〜

「というわけで、とりあえず一回帰るわ。すぐに来るから待っててくれな」

 

「そう言えばそうでしたね。急いで準備をしましょうか」

 

 

 

元々、暑い残暑を凌ぐために幽霊を求めて冥界に来たのだ。それも、寺子屋のテストを先延ばしにしてもらってまでだ。そろそろ補習を受けに、そして寺子屋に幽霊を持って行かないと慧音が怒る。説教は別に構わんのだが、頭突きだけは勘弁だ。

 

 

 

「子供達には、まぁ適当にこの子で良いでしょう」

 

「俺個人にはどいつを貸してくれるんだ?」

 

「えっと・・・この子を・・・・・・///」

 

 

 

差し出されたのは、妖夢の半霊ちゃんだった。

 

 

 

「・・・お前の半身だろ。良いのか?」

 

「あ・・・貴方になら・・・・・・///」

 

「・・・??」

 

 

 

まぁ、借りれるものは借りておこう。半霊を受け取って、大妖精の方を見に行く。まぁ、見に行ったところで持ってきたもの自体何も無いので、今朝の手伝いがどれほど進んでいるか程度だが。

 

 

 

「あ、バーダックさん。こっちは終わりましたよ」

 

「よし、そろそろ出発するぞ」

 

「はい!!」

 

「お気をつけて〜」

 

「私を連れてけぇぇぇ!!!!」

 

 

 

気持ちの良い出迎えもあり、勢い良くトバす。寺子屋は人間クラスの始まる時間が、異様に早い。正午を境に、2刻もの間を人外クラスになってる辺り、人間クラスも2刻の勉強をしているのだろう。逆算して、人間を少し尊敬しそうになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか丸3日居ないとはね・・・そこまでは聞いてなかったな・・・」

 

「そりゃ、向こうに行ってから決まったことだし」

 

「連絡も無しに勝手に決めたのか・・・」

 

「腕をバッサリ斬られて、すぐに帰って来いって無理だろ」

 

「なにゅー!!??見せなさい!!腕を見せなさい!!」

 

「もう治ったわ!!引っ張るな!?」

 

 

 

ギャーテーギャーテー!!!!帰って早々騒ぐバーダック。人間クラスの時間に合わせて来たため、人間の子供達の前で騒ぐ先生の図が出来ており、教育上よろしく無い。

 

 

 

「とにかく!!君にはテストをバッチリと受けてもらうよ!!言語漢文数学妖怪絵巻日本神話地学生物!!1日で終わらせなさい!!」

 

「今更言うが、俺専用の科目おかしいだろうが・・・」

 

 

 

開始時は、確かに言算地生の4科目だったはず。算数が数学にスキルアップしてたり、博麗の巫女候補娘専用のコースまでやらされるとは。アレか?博麗の神主にでもさせるつもりか?俺は自由に過ごしたいのによ。

 

伊邪那岐命伊邪那美命の夫婦により国産みされた神は30柱末っ子の火之迦具土神を生む際にその身を娘の業火に焼かれ病を患う苦しむ最中に排泄した吐瀉物尿糞からも神が誕生した結果イザナミは病に負け死去妻の死に流したイザナギの涙からもまた神が創造される妻がいる黄泉に迎えに行くイザナギだが黄泉の住人となったイザナミはもう地上に戻ることは出来ぬ身となる必死の説得にイザナミは黄泉神と相談を取り計らう覗かぬよう釘を打たれたが待てど待てど妻は戻らぬ魔が差し覗いてしまったイザナギは体が腐り蛆のたかる最愛の妻の悍ましい姿を見てしまう醜い姿に慄き逃げるイザナギをイザナミは黄泉醜女に追わせるイザナギは葡萄と筍とグリコで彼女の足を止めるイザナミは8柱の雷神と黄泉軍を追っ手に増援する十拳剣で振り払い逃げるイザナギは黄泉と地上を結ぶ黄泉比良坂で桃を投げ悪霊を追い返すこの桃も神となった最後にはイザナミ本人も追いかけてきたイザナギは大岩で坂本に蓋をし悪霊の進行を押し留めた悲しみに打ち震えるイザナミは地上の生きる者に死の呪いをかけるイザナギは地上が滅びぬ様に生の加護を与えた黄泉で汚れた身体を洗い流すと両の眼と鼻から3柱の神が誕生した左目の天照大御神に高天原を右目の月読命に夜の食国を鼻の建速須佐之男命に海原を守るよう委任した

 

コレで神話の冒頭の冒頭の更に冒頭。これを始めに全てを覚えろと言い出しやがった。序章でコレとか勘弁してもらいたい。『昔々ある所でイザナギとイザナミの夫婦が喧嘩をして離婚しました。その後、イザナギの命で3柱の神が世界を守ることになりました』うん、これで良いだろう。覚えやすいし。

 

 

 

「全ての神を空で言えるようにしてやるから、覚悟しなよ」

 

「俺は不良だからテストなんか適当にやって終わりだね」

 

「寺子屋切ってのNo. 1が何を言う!?エリートになるまで離さないからな!!」

 

「そりゃ、俺は大人だからガキ共をあっという間に蹴散らすのは簡単だったな」

 

「うがー!!!!」

 

 

 

教師と教え子とは心底思えない会話だ。

 

 

 

結局のところ、バーダックは気分次第で適当に応じる。慧音先生は武力行使で徹底的に鞭を打つ。結果、バーダックは無理矢理教育させられるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺、紅魔館出て行くからよろしく」

 

 

 

白玉楼の壁の修理も終わり、グロッキーの魔理沙が紅魔館に赴いて、姉妹喧嘩を終わらせた3日後に行われた夕食の席で突然のカミングアウト。バーダックの新たな変身とネーミングに仲良くなり笑顔が戻った姉妹の顔が再び曇った。

 

 

 

「いやいやいや!?急にどうしたのよ!?辞めるって!?」

 

「イヤ!!おじちゃんと折角遊べるのに、もうバイバイなんてイヤ!!」

 

「一応言うが、館での仕事は続ける。通いでな」

 

「あ・・・は?どういう事よ?」

 

「俺もそろそろ独立するんだよ。適当なところで家建ててそこで過ごす」

 

「あぁ、そういう事ですか。良かったですよ。今になってバーダックさんを雇わないとなると、とてもじゃないですが・・・」

 

「咲夜、言いたい事はハッキリ言いなさいよ・・・」

 

「良いんじゃないかしら。仕事以外はなんでもやってくれるココじゃ、グータラになるからね」

 

「どういう意味よ、パチェ!?」

 

「たまには遊び相手になってやるから、良いだろう、フラン?」

 

「よく分かんないけど、遊ぶ時間もちゃんとあるんなら良いよ♪」

 

「う・・・分かったわよ!!今後のあんたの扱いはそれで決定!!諸々は咲夜と話し合って」

 

 

 

まあ、あっさりと即決した。コレでいよいよ自分で適当に生活する事が出来る。

その後、週2日の休みと、寺子屋の終わる時間に合わせて、夕方から翌朝までの勤務時間を貰った。館で住まわせてもらった事に関しては感謝しているので、翌朝に紅魔館と白玉楼の厨房を合わせたスペシャル料理を振る舞った。妖精メイド達も全員無理矢理座らせた。ルナルナ料理長にかなり暖かい目で見られたが、後で改めてお礼の言葉を伝えておくか。

パチュリーには変身薬を強化したものを貰った。若返り薬改め、年齢詐称薬。赤い液体と青い液体を混ぜ合わせ、比率に応じた年齢になる。肉体に負担がかからないように、【自分を含めた周囲の者全てに映した幻を見せる】効果があるらしい。視覚に留まらず、触覚(大きさの違い)聴覚(声や体から鳴る音)等、五感全てにおいての幻覚。よく分かんねえな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どっか適当に良い場所ないもんかねぇ・・・井戸は無理として、川か湖にそこそこ近くて、山に近い場所・・・」

 

 

 

バーダックは異様な格好で外を歩いている。衣服と小さい食器と包丁が入った風呂敷を左肩に担いでいる。右肩には、斜めに紐がかかっている。背中側にフライパン、土鍋、蓋がぶら下がっている。器用に穴を開け、紐に通している。ずり落ちないように途中で穴より大きい結び目がある。様々な工夫のオンパレードだが、まとめて持つとなんだか間抜けだ。夜逃げでもしている感じに見える。

まずは家造り。その為に、建てるのに適した場所を探す。とりあえず、里を横切る川から、上流に向かって歩を進める。尚、現在もまだ子供の姿でウロウロしている。シャクではあるが、探索には足元をしっかり見る為に小さい体の方が都合が良いのだ。川は迷いの竹林に続いている。入ったらまた迷子になりそうだったので、竹林に入らずに上空へ高く飛んで行った。400mまで上昇して、ようやく竹林全体が視認出来た。こんなに広い中、磁場が狂ってしまっては、そりゃ迷う。

周囲を見渡すと、川の水が流れ出る場所から2刻前の方角に、竹林に流れる川を見つけた。アレが竹林の上流だろう。竹林の空域に侵入しないように迂回して行く。

 

 

 

「ここから先は何も知らない、未知のエリアか。徒歩で行こうか」

 

 

 

今までとはなんとなく違う感じのする地面を踏みしめて川を辿っていく。少し歩くと、柵に囲われた敷地らしきものが向こう岸の少し登った場所に見えた。秋を彩る花がたくさん咲いている。誰かの花畑だろうか?少し探りを入れると、中々強い力を感じた。興味は俄然湧いてくる。が、しかし。

 

 

 

(今は家を作るのを優先するか・・・場所は覚えたし、また今度で良いだろ)

 

 

 

バーダックは淡白であった。

20分歩き続け、ようやく柵の角が見えた。なんともデカイ敷地を持ってるということは、余程の権力者なのだろうか。

上流に向かう足を速めようと、バーダックは視線を高台から川に戻した。

 

 

 

「・・・はぅ〜・・・気持ち良い・・・」

 

 

 

異様な光景が目に入ってきた。1人(1匹?)の女(?)が、川岸の大岩で日向ぼっこをしている。『1人の女』と断言できないのは、もちろん理由がある。足が無い。正確に言うと、足があるべき場所に違う何かがある。アレは魚の尾びれだ。あの服は確か浴衣だっけ。浴衣の上とまとい、帯で結んでいる。その下から、魚の下半身(で良いのか?)が生えている。

 

 

 

「・・・・・・よう、アンタ誰だ?」

 

 

 

流石に声をかけずにいられなかった。さっきの花畑とは違い、面妖な身体を直接見てしまったからには、興味の持ち様が段違いだ。こちらの存在に気づいた魚女は、姿を見るや否や、警戒した目つきで睨んできた。

 

 

 

「・・・・・・どちら様ですか・・・」ビクビク

 

「・・・・・・バーダック。自分の家を作ろうとヤキになってる、可哀想な外来人だよ・・・・・・」

 

「え・・・外来人?ふわぁ、初めて見た・・・」

 

「んで、アンタは?」

 

「あ、えっと、申し遅れました。わかさぎ姫です。人魚です。こちらは、赤・・・アレ?蛮ちゃん!?どこ!?」

 

「アンタ1人のだったが・・・」

 

「ウソっ!?」

 

 

 

お友達が1人いたようだ。お昼寝中に少し席を外したのだろうか。アワアワしているわかさぎ姫は、下半身(と言って良いのか?)をビチビチさせており、見た目の可愛さ倍増だ。バーダックの目には妙ちくりんな奴としか見えていないようだが。

 

 

 

「さっきまで居たのなら、すぐ近くにいるだろ。喚くなうるせえ」

 

「うぅ・・・・・・」ビクビク

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

1人だと不安しか無いのか、警戒の色が一層濃くなってる。何か打開策は無いか周囲を軽く見渡すと、枯れた百合の花が点々と生えていた。

 

 

 

「・・・簡易菓子でも食うか?」

 

「え・・・お菓子・・・?」

 

 

 

百合の茎の根元に手を突っ込み、根を掘り出す。3個掘ったら、根だけを切り、茎より上部分を捨てる。綺麗な平たい石を見つけると、その上で根をすり潰す。細かくなったら、背中にかけていたフライパンを紐から外し、百合の根と川の水を入れる。まずはこれで良し。少しの間水に晒しておく。

 

 

 

「根っこなんて、お菓子になるんですか?」

 

「まぁ、待ってろ。お友達の分も作ってやるから。・・・・・・お前ら2人か?」

 

「む・・・そうですけど・・・・・・」

 

「なら充分だな。少し放置だから、寝る。お友達とやらが来たら起こせ」

 

「え・・・え・・・?」

 

 

 

バーダックはわかさぎ姫の返事を待たず、さっさと寝てしまった。自由にも程がある。

 

 

 

「・・・・・・逃げようかな・・・でも、お菓子は気になるし・・・」

 

 

 

意外とチョロいお姫様のようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっほーい姫〜。採ってきたよ野苺・・・誰その子?」

 

「あ、蛮ちゃん。お帰り。えっと・・・お菓子作ってくれるバーダックさん」

 

「お菓子って・・・・・・どこ?」

 

「あのフライパンの中。アレで少し放置って言ってた」

 

「フライパンに入れて放置って、初めて聞いたね」

 

「取り敢えず起こして来てくれる?陸は行けなくて・・・」

 

 

 

苺をわかさぎ姫のために採取して帰ってきた赤蛮奇が、昼寝中のバーダックの元へ駆け寄る。

 

 

 

「お・・・おーい、君、起きてよ・・・」

 

「ぅ・・・む?あー来たのか。さて、調理再開と行くか」

 

 

 

起きてすぐにフライパンと向き合うバーダック。持ち手を持ったかと思いきや、左の掌に乗せた。わかさぎ姫も赤蛮奇もこの奇行の意味が分からずに首を傾げて眺めていた。だが、程なくして、異変に気付く。フライパンの中の水から湯気が昇り始めてきた。

 

 

 

「す・・・素手で熱している・・・」

 

「な・・・何て光景・・・」

 

 

 

湯気の勢いは次第に強くなっている。だが沸騰はしていない。温度調整も出来ているようだ。

熱すること更に待つ。湯気の量が徐々に減り、遂には止まってしまった。

 

 

 

「完成だ。ほら、『ユリ根モチ』とでも言っておこう。熱いうちに食べろ」

 

 

 

差し出された物は、名前通り餅のように白く柔らかい。植物の根っこを、こんな簡単な加工で食べられるのか不安に思うが、差し出された以上食さねば無礼になってしまう。わかさぎ姫は、思い切って餅を口に運んだ。それを見た赤蛮奇も焦って口に入れた。

 

 

 

「はむ・・・・・・?」

 

「んむ・・・・・・?」

 

「暫く噛み続けてみな。すぐに飲み込むんじゃねえぞ」

 

 

 

言われた通りに少しの間咀嚼していると、徐々に甘くなってきた。それは、本物の餅のような米に似た甘さで、2人の表情が、疑問から笑顔に変わった。

 

 

 

(うん。何か面倒くさい時は、美味いものを食わせるに限る)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「家、ですか」

 

「この辺りで良い場所って言われてもねぇ・・・」

 

 

 

バーダックは2人に事情を話し、物件探しを始めている。今3人が食べているのは、赤蛮奇が採ってきた苺だ。

 

 

 

「そうだな。半永久的に頑丈な造りにしたいから、岩壁とか地層とかそういった場所が好ましいんだが、心当りねえか?」

 

「地層か。それなら、もう少し上流だね。川から少し離れるが、それで良いかい?」

 

「それで頼む。川に近すぎると、大雨で詰む」

 

 

 

交流で、早速家を作る場所の候補を確保したバーダック。赤蛮奇の案内で、わかさぎ姫も一緒の3人で目的地へ向かう。道中で、ユリ根とエンカウントして行くので、5個に1つの割合で採取しながら歩き進める。8個目に入ろうとした辺りで、赤蛮奇が進路を変えた。

 

 

 

「コッチだよ。姫ちゃんは・・・悪いけど待っててね」

 

「うぅ・・・私も見たいのに・・・・・・」

 

「・・・・・・よっ」

 

「ふぁ!?」

 

 

 

何を思ったか、バーダックはわかさぎ姫をお姫様抱っこで抱えた。2人とも目を丸くしている。

 

 

 

「コレでこいつも見に来れるだろう。ほら、案内の続き頼む」

 

「あ・・・うん・・・」

 

 

 

動揺しながらも、口出しせずに案内を再開する。30m程歩いたところで、目的の地層が並ぶスペースに到着した。高さは4m弱。砂岩と泥岩が殆どを占めており、硬さも申し分なさそうだ。見た所、かなり昔に断層を起こして盛り上がっている様だ。

 

 

 

「良いんじゃねえの?場所も文句無しだ」

 

「ここまで案内したは良いけど、地層だよ?どうやって家にするの?」

 

「ま、寺子屋で充分知識を頭に埋め込んでいるからな。イメージは固まってるから大丈夫だ」

 

 

 

拠点となる場所は決まった。これより、バーダックは新たな技術士『建築家』として、作業を始めようとしていた。




よう、バーダックだ。早速家造り開始だ。水場水はけ風通し調理スペース道具置き場寝床その他と、まあまずはこれくらいで良いだろうな。後で簡単にリフォームが出来るような物件は・・・・・・まず壁材はアレだな。他はソレがこーなってどれがそーなって・・・・・・まぁ1人でも何とかなるか。
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【働くサイヤ魂 繊細な建築家】
絶対に見てくれな。





ユリ根は10分以上は必ず水に晒して放置ですよ!!アレは毒素を根から溶かすためなので、身体に害が欲しくなければ、マニュアル通りにお願いしますね。自主アレンジされても、そこだけは絶対にいじるな。という事で。
バーダックもどんどん業を覚えていきますね。前回のネタゲストさんもあながち間違ってないんだよね。家を完成させるまでがショタ冒険編となっております。わかさぎ姫、赤蛮奇。影狼ちゃんは次回出しますので、ケモナーの方々はご期待ください。
今後も閲覧よろしくお願いします。



はぁー・・・恒例のアレを入れるのを忘れた気がする・・・・・・何だったかはよく覚えてないが、何となく編集しました。・・・・・・何だったんだろうか?


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執筆&投稿一時中断報告

閲覧数が9500を超え、いよいよ5桁に入る!!と言うところまで来ましたが、およそ3週間弱の活動休止を皆様にお伝えします。

 

というのも、海外研修なんです。舞台の音響の仕事を目指すために、今回行くのは、なんとベガス!!世界レベルで最高峰の娯楽の街に行ってまいります。シルクドソレイユやハリウッドの舞台裏など、通常の旅行では決して見れないところまで勉強してまいります。

 

自分のクラスは、全員で30人を超えるのですが、今回うちのクラスから研修に行くのは、わずか9人。それも、男子は自分1人という、考えられないことに。行かない人曰く

「金が無い」

いやいや!?ハリウッドの舞台裏って、どんだけ金積んでも無理だろ!?それも実際にハリウッドで活躍した方々の話を直接聞ける機会なんて、まず無いから!!まあ、クラスメートの男子にはガッカリです。へカーティア姐さんも引くレベルのTシャツを押し付けてやる。

 

まあそういう訳で、明日より準備を始め、9日間の旅、帰ってからの後始末などで、しばらくの間活動をお休みします。続きが気になる方には申し訳ありませんが、お待ちください。なにせ、俺の将来に深く関わるものなので、逃したくありませぬ!!

 

お詫びと言ってはなんですが、バーダックのイラストを一枚同封いたします。ずっと平和な生活ばかり続いてしまってるため、自分の中で「サイヤ人の残忍な姿」がどうしても見たくなってしまいました。という訳で、少々グロテスクな戦いのワンシーンを描きました。

 

 

【挿絵表示】

 

 

では、そろそろこの辺りでお開きです。再度お伝えしますね。

続きを期待していた方には、本当に申し訳ございません。差し支えなければ、今後とも応援をよろしくお願いします。

 

 

 

うげ、字数足りなくて投稿できないとか。字数稼ぎタイムなので、ここは思い切りスルーしちゃって下さいね。それでは、

かめはめ波龍拳ドラゴンスマッシュ元気玉界王拳如意棒ジャン拳ビックバンアタックファイナルフラッシュギャリック砲マキシマムフラッシャーファイナルエクスプロージョンバーニングアタックヒートドームアタックフィニッシュバスターシャイニングスラッシュ魔閃光爆裂乱魔爆力魔閃龍翔拳ファイナルスピリッツキャノンスピリットオブサイヤンスピリッツソードスーパーゴーストカミカゼアタックギャラクティカドーナツビクトリーキャノンイレイザーキャノンギガンティックミーティアキルドライバーダブルサンデーソウルパニッシャー

最後まで読んでくれた人は、とてもいい人です。では今度こそ、失礼します。



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第17話〜働くサイヤ魂 繊細な建築家〜

「【鬼火】月の瞳」

 

 

 

自分の周囲に青白い炎を浮遊させ、光源を確保する。コレでまだ薄暗い早朝も大いに活動出来る。日常生活専用のスペルって、使ってるの俺以外にいるのだろうか。冷たい風を感じながら、川に向かって歩く。鍋いっぱいに水を汲んで、ゆっくりと拠点に帰る。

帰った所で、早速朝食の準備をする。あの後、わかさぎ姫と赤蛮奇は手伝う準備をすると言って帰った。流石にあの人魚の前で魚を捕まえて食べようとは思わず、昨夜は深夜になってからイワナを4匹掴み取りした。

 

 

 

「手伝うって言われてもなぁ・・・邪魔にしかならねえだろう。特に人魚・・・」

 

 

 

陸を歩けずに何をどう手伝うのか。後、あいつが来るだけで魚を食べるのも調理するのも確保するのもアウトな気がする。必然的にタンパク質の抜けた休憩飯になる為、客として呼びたくない姫さんなのだ。

 

 

 

「もう1人増員するとか言ってやがったが、どんな奴かねぇ・・・・・・」

 

 

 

赤蛮奇は、昨日の去り際にすっ転んで、首が外れるというトンデモ描写が展開された。轆轤首とは聞いたが、あの絵面は結構衝撃的だった。グロ耐性はある。むしろ昔は原住民を殺してその場で解体、食した事もある。首が外れ、断面が見え、ソレで生きているというのが驚きだ。種族の特性として見ても慣れそうに無かった。言葉でわかる通り、力仕事は全力で阻止しないと、首がポロッ→グシャッなんてありそうだ。

 

 

 

「・・・・・・まぁ、姫さんが来る前にさっさと調理してしまおうか」

 

 

 

昨夜食べたイワナの骨とアラを網で充分に炙って、鍋に水と一緒にぶっ混んで出汁を取る。10分も煮れば綺麗な黄金色が完成した。濾し取ったアラは砕いて、拠点近くの木の根元にばら撒く。多分肥料として役立つだろう。

刻んだ大根とイワナの骨から削ぎ落とした少ない身を塩で炙り、飯の上に乗せる。最後に出汁を注いで、茶漬けの完成。少し手間がかかるが、朝の茶漬けは活力が漲る。寝起きのスイッチを入れるのに、うってつけの一品だ。・・・・・・姫さん用に椎茸を準備しておいてやるか。出汁も取れるし身も食える。

 

 

 

「・・・・・・俺も、丸くなったもんだ・・・」

 

 

 

他人の気を使うとか、本当に変わったと思う。トマ達に見られたら、何て言われるのやら。

と、変な事を考ながら朝食を食ってると、足音が近づいてきた。

 

 

 

「やぁ、バーダック。手伝いに来たよ」

 

「おはようございます、バーダックさん」

 

 

 

昨日の2人が来た。わかさぎ姫を抱えている茶髪の女性が、赤蛮奇の言ってた助っ人だろう。

だが、その娘はバーダックを見つけるなり、目つきを鋭くしてきた。威嚇・・・では無い。嫌悪に近い雰囲気を感じた。

 

 

 

「あー、助っ人さんよ、俺が気に入らねぇのか?」

 

「っ!!」

 

 

 

瞬時に見抜かれてしまい、少し驚いてしまう女性。わかさぎ姫を抱えたまま、赤蛮奇の後方に回り込んでこちらを睨んできた。

 

 

 

「・・・・・・影狼ちゃん、どうしたのさ?人間じゃ無いし昨日の感じから友好的な人だよ・・・多分・・・」

 

「・・・・・・ガルル・・・」

 

「・・・・・・お前らで少し向こうで話して来い・・・」

 

 

 

面倒なので、俺無しで会議をさせるように促すと、茶髪ちゃんは姫ちゃんを抱えたまま赤蛮奇の首根っこも掴んで、スタスタと言ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「影狼ちゃん、どうしたのさ?あの子、何か気に触ることしたの?」

 

「・・・・・・アイツ、猿だ・・・」

 

「・・・はい?」

 

「・・・・・・猿・・・嫌い・・・」

 

 

 

まさかの犬猿の仲だった。そもそも大猿になることはもう無いような感じではあったが、それでも分かる人には分かってしまうのだろう。連れて来た助っ人に出合頭で嫌われるとは、バーダックも気の毒だ。本人はそんな事微塵とも思わない、身勝手な自由人ではあるが。

 

 

 

「まぁ、困ってる妖怪同士は助けてあげようよ」

 

「うぅ・・・」

 

 

 

嫌悪の塊を手伝うなんて、まっぴらごめんだ。むしろ、親友2人に邪な事とか強要するに違い無い。男って生き物は大抵そういう連中だ。じっくり見張って、本性を掴もうと瞳に闘志を燃やしている。

 

 

 

「えっと・・・その目は手伝ってくれるのかな?」

 

「・・・・・・やる」

 

「えへへ。やっぱり影ちゃんは良い子だね♪」

 

 

 

多少・・・否、かなりの食い違いが発生しているが、結果手伝うことになった影狼。バーダックへの敵対心は燃える一方だが、果たしてどうなる事やら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「目印は・・・この辺りで良いか。奥行きは、2メートルもあれば十分だな」

 

 

 

バーダックは、壁に4つの目印を打ち込んだ。配置は縦250cm、横450cmのほぼ長方形。まずは手始めに、全体を手前20cmほど削り始める。

 

 

 

「む、やはり削るのは難しいな。一気にぶち割るのは簡単なんだがなぁ・・・」

 

 

 

拳を打ち付け、徐々に強くしていく。鈍い音が続くが、急に乾いた音が聞こえると、ヒビが入ったことが分かる。ほんの少しずつ削るのは、結構根気がいる。壊しすぎると重心が脆くなって崩れてしまう。四角形の上辺に合わせて縦奥行き20cmで、横方向に40cmほど削ったところで、手伝い3人が帰ってきた。相変わらず影狼とやらは目つきが鋭い。俺、本当に何かしたっけ?

 

 

 

「まあ、手伝いっつっても、この場ではお前らは何も出来ん。資材を持ってきて欲しい」

 

「資材、ですか?」

 

「人里に『杉屋』って木材を扱う木こりがいる。そいつに注文をしてきて・・・・・・どうした?」

 

「里は・・・ちょっと・・・」

 

「人間は・・・苦手で・・・」

 

「ガルル・・・」

 

「これ以上嫌われたくないの・・・だから私は、眼を・・・」

 

 

 

お前ら妖怪だろうが。人間を警戒とか、臆病にも程があるだろう。

 

 

 

「はぁ・・・俺も行くから、少しは慣れとけ・・・」

 

 

 

事情は知らんが、最低限の交友は必要だと思うが、どうだろうか。目印を分かる範囲で済ませ、金を持って3人を連れて里へ向かう。姫さんを抱えようとしたら、影狼にぶん取られた。アレって、警戒に分類されるのか?あぁ、そうか。親友だからか。

 

 

 

「ちょっと、影ちゃん・・・流石に失礼なんじゃ・・・」

 

「ガルル・・・」

 

「俺を嫌うのは別に構わん。だが、お友達にそういう事を言わせるのはどうかと思うぞ」

 

「うぐ・・・」

 

 

 

自分に向けての好意なんかこれっぽっちも気にしない、一匹狼のバーダック。孤独感をモロに出されてしまい、ココで少し影狼が怯んだ。

 

 

 

「ほら、茶屋にも寄ってやるから、運ぶの手伝え。行くぞ」

 

「むぅ・・・」

 

 

 

友達が居ないのかと思った3人。少なくともココは手伝ってあげようと思った。

 

 

 

なお、友人が居ないのは本当である。交友や絆はあるが、誰一人として友人と思ったことは無い。戦友や仲間とは思っている。が、プライベートでまで深く付き合うつもりはさらさら無い。

 

白藍「そこがカッコイイよね!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茶屋で饅頭を食べ終わると、真っ直ぐに木材を買い占めた。太さ15cm、長さ300cm、重さ40kgを計20本。

さて、どうやって運ぼうか。一人でも楽に運べるが、このお荷物共が好意で手伝うって言ってるし、不自然にならない様な協力のさせ方を考える。そう言えば、姫さんの能力は『水中で力が増す程度の能力』だったはず。

まあまあ良い方法を思い付いた。早速始めるか。

 

 

 

「ついでだし、食料や道具をある程度買い溜めしておこうか。おやっさん、買った木だが、この紙の通りに通りに加工しといてくれ。戻ったら手伝うし、追加料金も払うからよ」

 

「??」

 

 

 

 

 

米一升、大根二本、縄20m、器三つを購入した。

木こりの元へ帰ると、半分以上作業が進んでいた。流石、職人。注文内容は、丸太の横から縄が通る穴を開けてもらうことだ。

 

 

 

(手伝い省略)

 

 

 

穴を開けた木は計12本。横に並べ、穴に縄を通して結ぶと、簡易のいかだが完成した。その上に残りの8本と購入した食料道具を乗せる。3人とも知識と技術に驚いている。

 

 

 

「俺と姫さんで引っ張って河を昇る。影狼と赤蛮奇はいかだの上で荷物が落ちない様に頼む。影狼は、竹林の状態も頼むな」

 

 

 

もう一度言うが、里から河をどんどん登ると、やや開けた平地→迷いの竹林→太陽の畑→妖怪の山と続く。竹林の中を通るのはまだ不安があるが、影狼がいればそこそこ対処出来る。・・・・・・と、全員に活躍が出来る様に言い渡すと、3人ともまあ良い笑顔を見せた。本当は一人で飛べば速いのだが、空気を読むスキルを会得したバーダックは本音を封印した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅおおおおおおおおおお!!!!」バシャバシャ!!

 

「ぅわあああああああああ!!??」わたわた!!

 

「・・・・・・ガルル」ジトー

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

三者三様に騒がしい。まず、姫さんが水中でテンション上がってうるさい。次にイカダの後ろの方で赤蛮奇の頭が外れ、激流登りに恐怖し、頭を抱えてうるさい。影狼は姫さんを応援したり赤蛮奇を支えたりと笑顔を浮かべているが、放ったらかしの荷物をイカダの中心に持って行こうと降下すると、鬼の形相で睨んできて、顔がうるさい。

もう、どうでも良いや。そもそも姫さんに興味を持った自分が悪いのだから、諦めるしかないのだ。家創りをさっさと終わらせたい。

このペースで拠点までずっと飛び続けた。バーダックは、姫さんの泳ぐ方向を瞬時に見極めて、自らが上下左右に動き回り、荷物を落とす事を避けるという、離れ業を披露した。が、結果、大根一本と器2つを落としてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

丸太の片方を尖らせ、地面に突き刺す。もう片方は、あらかじめ作っておいた窪みにはめる。等間隔にぶっ刺してはめ、ぶっ刺してはめを繰り返し、断層の一部を下から支える形が完成した。これで、岩盤を掘り進んでも崩れることはない。ここからはペースが急速に上がった。岩盤が崩れないように支えの丸太をぶっ刺しながら、岩盤を削り進めていく。5日も作業を進めれば、奥行き2mを削り切った。後は壁をさらに器用に削れば、調理器具を引っ掛ける為のフックや、腰を下ろす為の椅子も簡単に出来上がる。これから徐々に寒くなってくるだろうし、小さな囲炉裏も作ってしまおうか。壁には、人里で束ねた藁をすだれのようにかければ、高い通気性や簡単に取り外し可能の、万能を採用した。これの利点は、中で火を焚いても煙が籠らないことだ。他にもまだ必要なものや設備は沢山あるが、今は稔りの秋。冬までに時間をかけてゆっくりやることにしようか。

 

 

 

「ほえ〜・・・ものの一月で、よくここまで作り上げたねぇ」

 

「ふふ。ご近所さんが増えて、少し嬉しいですね♪」

 

 

「うむむ・・・・・・」

 

 

 

こいつらも地味に役立ってくれた。計算された部屋の構造予定通りにするには、素手で直接削る必要がある為、必然的に俺は壁から離れられなくなってしまう。食料調達や火起こし等を赤蛮奇と影狼に任せることにした。姫さんの活躍は、以外にも里との交流となった。俺が動けない状況の中、川を利用する事で拠点と里を最も早く往復出来るのだ。おまけに、また作った簡易版イカダに壁を取り付け、箱状にすると購入した物を落としてしまう事なく運べてしまう。生活の知恵とは、ここまで優秀なのか。

 

 

 

「よし、もう完成で良いだろうな。お前ら、今日は泊まっていけ。今から仕込めば、明日の朝食に大福が食えるぞ」

 

「な・・・誰が貴「「大福!!ゴチになります!!」」

 

「え、ちょ・・・」

 

 

 

突然の誘いに、猛反対の影狼。だが、大好きな親友二人の嬉しそうな顔を見ると、言い出しにくくなってしまう。

 

 

 

 

 

「お友達にそういう事を言わせるのはどうかと思うぞ」

 

 

 

 

 

初めてバーダックと出会った時を思い出す。もうその気になってしまい、ワクワクを隠しきれない2人がいる。今更『私は帰る』って言えない。嫌でしかないが、今日だけは諦めるしかない。親友が・・・そう!!親友と猿という低脳な畜生を一緒にして一晩なんて危険だ。私が見守る必要がある。それに大福を食べる機会なんて、そう逢える物じゃない。食べられるなら、そのチャンスを逃すのも勿体無い。

 

 

 

「よ・・・よ・・・よろ・・・・・・」

 

「うん?お前はどうすんだ?」

 

「・・・・・・私と食卓を共に囲える事を、光栄に思いなさいね」

 

(・・・・・・ま、こいつにしては頑張った方か)

 

 

 

その夜、奮発してハンバーグなる物を振る舞った。イヌ科にNGな食材に気を付け、タネはひき肉・山芋・ゴボウ・卵を混ぜた。味付けの塩も、通常のハンバーグに使う量では多すぎるやもしれない。干し椎茸の出汁と、人参をすり下ろして絞り出した汁を合わせ、片栗粉でとろみを付けてタネに混ぜてみた。野菜特有の繊細な甘みが、とても受けた。付け合わせの人参(絞りカス)とサヤエンドウの炒め物もまあ美味かった。久しぶりに手の込んだ物を作り、バーダック自身もややテンションが上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、餡子も完成だ。後は布で包んで、朝まで寝かせる・・・作業終わり」

 

 

 

食事が終わっても、バーダックは後始末や洗い物、大福の下準備に手をつけていた。仕事の疲れと、美味しい物を食べた幸福感に包まれたお客さんは、早々に寝てしまったようだ。

今日は、空が晴れている。満月ではないが、それでも月明かりは夜の山をそこそこ歩ける程度の照明を作っている。ようやく作業も終わった事だし、川で汗を流すのも悪くないだろう。普段使っている水汲みのポイントから少し上流に行くと、一部流れがとても緩やかで、深さもそこそこある場所があったはずだ。

行って見ると、そこには先客がいた。

 

 

 

「・・・ふぅ。気持ち良い・・・♡」

 

 

 

影狼さんが一糸まとわぬ姿で水浴びをしていた。普段からあちこちを走り回っているためか、キュッとしまった体を、月明かりが妖艶に照らす。髪の毛も水で湿っており、更に艶やかな雰囲気を醸し出している。

と、狼の嗅覚が不愉快な匂いをキャッチしてしまった。

振り向けば、そこにはバーダックの姿。

 

 

 

「・・・・・・ぅ・・・ぅ・・・」

 

「・・・大声は止めろ。2人とも寝てるんだからな」

 

「あ・・・・・・グルル・・・」

 

「わーったよ。出直すから、ごゆっくりな」

 

 

 

拠点に帰ろうと振り向いたバーダック。1人になり、影狼は済々した気分になった。・・・のだが、

 

 

 

「・・・・・・待ちなさい」

 

「あ?」

 

「まぁ・・・貴様も今日まで無休で頑張ったようだし、ご飯も美味しかったし、今夜だけ特別に同席を許可してやっても良いわよ」

 

「・・・・・・さいですか」

 

 

 

予想外の展開を持ってこられた。良いって言ってくれてるんだし、衣服の上半身だけを脱ぐバーダック。脱いだ胴着と身体を拭く為に持ってきたタオルを影狼に投げ渡した。影狼はタオルを腰に巻き、胴着で胸元を隠す。

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

不本意ではあるが、世話になったお礼を言おうと誘ってみた影狼だが、どうにも言葉を言い出せない。沈黙の時間がしばらく続いた。

およそ6分の沈黙を破ったのは、バーダックだった。

 

 

 

「お前が、俺のことを毛嫌いにする理由だが、姫さんにもう教えてもらった」

 

「っ!?」

 

「別に構いやしねえって。お前は俺のことが嫌い。別に悪いことでもねえだろうが」

 

「え・・・」

 

 

 

自分が嫌われることに全く動じない発言をするバーダック。卑屈な奴かと一瞬思ったが、口ぶりは余りにも優しい。トーンと内容が噛み合わず、少し動揺してしまう影狼。

 

 

 

「き・・・貴様は嫌われて良いのか?」

 

「お前は狼。俺はサイヤ人。犬猿の関係で俺のことを強く警戒するのは、本能として当たり前だ。ソレって、差別か?」

 

「え・・・あ・・・」

 

「嫌いな奴と無理して仲良くしようなんて、偽善だ」

 

「あ・・・その・・・・・・」

 

 

 

 

 

「無理に仲良しごっこなんざ、精神に負担だ。お前は自分のやりたいように振る舞いな」

 

 

 

 

 

影狼の顔を見て、ぶっきら棒に言い放つバーダック。いつもの少し不機嫌そうな表情だ。

だが、影狼には悪く見えなかった。友人に気を使わせてしまうのではないか、と、ずっと1人で葛藤していた。心の奥底で、親友2人にも気付かれなかった事が、こいつにアッサリと見抜かれてしまった。それどころか、解決法まで。

今まで、赤蛮奇とわかさぎ姫以外に心を許すものは一切居なかった。これからもきっとそうなのだろう。人間は怖いし、巫女も警戒する。

だが、自分を嫌っているというのに、その前提を変える必要は無いだって?

この男、これまで会ってきた連中とはどこか根本的に違う。猿なんざ、畏怖でしかない。こいつの事も勿論大嫌いだ。

・・・・・・でも。

 

 

 

「・・・ふん。別に貴様に言われることは何も無いね。・・・だけど、料理の腕だけは、その、み・・・認めてやる・・・」

 

「・・・・・・ありがとよ・・・」

 

「か・・・感謝するんだな・・・」

 

「感謝ね。寝る前に、月の下で酒でもと思って持ってきたが、お前もどうだ?」

 

「・・・・・・・・・貰う・・・」///

 

 

 

そこら辺の畜生に見られてると思って適当にあしらっていたが、今になってだんだん恥ずかしくなってきてしまった影狼。頬の紅潮を誤魔化すのに、酒は良い理由になる。

2人は川に足を入れたまま、半裸で盃を交わした。言葉は全く弾まなかった。バーダックはどうか知らないが、影狼は、今までの不愉快は少し消え失せ、夜風の心地よさとは違う何かを感じていた。




よう、バーダックだ。稔りの秋ももうすぐ最盛期だ。美味いものがたくさん増えるらしいな。特にサツマイモ?が絶品だそうだ。ちょっとした祭りらしいし、顔を出してみるのも・・・ん?どうも様子が変だ。アレは・・・妖怪?いや、あの邪心の塊は違う!!アイツ、祭りをぶち壊す気か!?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【妖魔の襲撃!? 秋を防衛せよ!!】
絶対に見てくれな。



海外研修、フリーデイにてグランドキャニオンのツアーに参加しました。地球が誇る、最大の美しい大地を前に・・・・・・



眼鏡が壊れたああああああああああああ!!!!!?????



なしてや!!??俺が何をした!!??70ドルも払って、ホテルから片道5時間もバスに揺られたんやぞ!!!!こんなにも悲しい事があるかああああああ!!!!!!



まあ、レンズを無理矢理はめ込み、眼鏡を常に手で固定する事で事なきを得ました。余りにも間抜けな話だよね・・・・・・。
と、まあ、帰ってまいりました。シルク・ド・ソレイユの舞台は、誠に素晴らしいものでした。世界最高峰の演技集団は、やはりオリンピックアスリート等とは全く違う、独特の美しさがありました。見て損することはまずあり得ないでしょう。皆さんも、ベガスに足を運ぶ機会があれば、是非とも観に行ってみてください。
もう良いや。これ以上話すと、ただでさえ本文が1000字も多いのに、ここで更に字数を使うのは『稼ぎ乙』と言われかねません。
では、今後も閲覧、よろしくお願いいたします。


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前兆編
第18話〜妖魔の襲撃!? 秋を防衛せよ!!〜


秋。それは、山々が美しい紅葉で見る者の心を癒す、視覚の楽園。

秋。それは、たわわに稔る実で人々の舌と腹を癒す、味覚の楽園。

長年の間人々が心を満たし続ける事が出来たのは、紅葉の神と豊穣の神が密かに支えてきたからだ。

姉の秋静葉は、夏に青々と茂った木々の葉を、赤・黄といった暖色で彩り、山々を映えある姿に変貌させる。

妹の秋穣子は、野菜や果実等の旬を極限に高め、より美味しくより大きく実らせる。

秋を司る2柱の神は、太古より人間たちに崇められてきた。それは、幻想郷でも同じである。紅葉の神は絵描き師に、豊穣の神は農民に。需要の幅そのものは狭いが、人間の最も求める層を掴んでいるのだ。信仰の深さなら、全ての神の中でもトップクラスだろう。

そして幻想郷は、2柱の神が力を高める最盛期を迎えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お祭り〜!!お祭りだよ〜!!年に一回の、秋祭りだよ〜!!集まれ〜!!」

 

 

 

射命丸文は、号外を持って人里の敷地内をブンブン飛び回っている。そして、人間が集まったタイミングでチラシをばら撒いている。ヒラヒラと舞い降りてくる紙を、里の人間たちは我先にと、次々に手に取っていく。

秋祭り開催中は、幻想郷の日常的な生活から大きく外れる無礼講となる。

まず、『妖怪が人間を襲う』。この行為が一切禁止となる。秋神の恩恵は、社会性を持つ妖怪、天狗とカッパにも与えられている。主催者の要望により、祭りには人間と妖怪の両方が参加出来るようになっている。人間は『食材の提供』、河童は『絡繰の提供』、白狼天狗は『人間の参加者の安全確保』といった仕事を主とし、その他は屋台を開いたり機会を売ったりとしている。

まさに、年に一度だけ開催される人間と妖怪の交流の場となっているのだ。

そもそも、妖怪は人間に恐怖を与え、人間が妖怪を恐れ、退治する。このバランスで幻想郷の結界が安定しているため、社会性を持った高い知能の天狗達は、自分達の誇りを穢されない限り、人間との最小限の交友を深めてもいる。

 

 

 

「ふむ、もうそんな季節になったのか。家族でゆっくり楽しんだ方がいいだろう。寺子屋は休ませてやるか。私は・・・妹紅でも誘おうかな・・・」

 

「相変わらず仲がよろしいようで」

 

「む、阿求か。まあ、私たちも長いしな・・・あはは・・・」

 

 

 

慧音に声を掛けたのは、幻想郷を見守り、歴史を記し続ける稗田阿求だ。里の権力者の1人でもあり、身に付けている衣服も気品さを感じ取れる。幼い容姿だが、振る舞いや喋り方に大人の雰囲気を感じる。

 

 

 

「と、言いながらも、君の方こそ居るのだろう?そう言う人が」

 

「う・・・それはぁ・・・」

 

 

 

と思いきや、急に少女の様に顔を赤らめる。

 

 

 

「鈴奈庵は休みを取っているか若干怪しいからな。あらかじめ約束を申し出なければ、祭りは無理だと思うのだが、どうなんだい?」

 

「うぐ・・・その・・・・・・」

 

「・・・・・・私も手伝ってやるから、頑張ろうな?」

 

「・・・・・・はい・・・」

 

 

 

意外と意気地無しの様だ。歴代稗田数百年の記憶を継承しているとはいえ、精神は見た目通り幼い。俯く阿求を慧音はほっこりとした表情で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秋の茄子はみずみずしいよ〜。炭で焼いてかえしを垂らせば絶品だよ〜」

 

「椎茸の栽培に成功したうちの商品見てってよ!!この大きさ、天然物より肉厚だよ!!」

 

「柚子の香りは鼻を強く刺激するんだ。これで腹が減らない奴は存在しねぇ!!」

 

「鮎の煮干しは、うまい出汁が沢山採れる!!美しい黄金色が食欲をそそる!!」

 

「飯にも菓子にも応用の効く木の実は、栗以外にありえません。最近流行りのけぇきでも主役を張れる憎い奴w」

 

「銀杏の苦味は、大人の嗜み・・・お酒のお供にいかがですか・・・?」

 

「柿より甘い物はありません。酸味も水分も無い、果実の純粋な甘みはクセになるよね」

 

「南瓜は、夏の野菜?いいや、貯蔵で寝かせれば秋に一番美味しくなるのだよ。濃厚な身をとくと味わえ」

 

「餡子にも旬はあります!!加工品と侮るなかれ!!小豆のコクが深くなった大福は芸術だ!!」

 

「うちで作った地霊饅頭は、もう最高!!あまりの美味しさに、体力が100回復するかも!!」

 

 

 

「すごいすごい!!こんなに美味しそうな食べ物が沢山!!大ちゃん、アレ食べよう!!」

 

「待ってよ、チルノちゃん!!先生から貰ったお小遣いだし、もう少し見て回ろうよ」

 

「うーん・・・屋台で使える食材は・・・今の季節、蕎麦も良いかもしれないかな?」

 

「うぅぅ・・・火が怖いよぅ・・・・・・」

 

「全部食ってやるのだー」

 

 

 

祭りの屋台の大部分を占める食エリアには、家族連れを中心に子供達が沢山訪れている。食べ物をより美味しく見せる提灯の灯りの下では、美味しい美味しいの幼い声が賑やかに溢れかえる。子供が嬉しそうに話す言葉ほど、微笑ましい物は無いだろう。

 

 

 

「この水墨画は、玄武の沢を表現しています。川の流れに大きな岩、植物群等。水辺の美しさは、ここに集まっています」

 

「やあ、お嬢ちゃん。藍染って知ってるかい?手拭いに綺麗な色を付けられるんだ。ちょっと体験してみないかい?」

 

「妖怪の山にある滝は、それはもう絶景なのだ!!カメラの底力、その目に焼き付けな!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

「ふはははは!!我らが来たからには、盛り上がること間違い無し!!さあ、崇めよ!!」

 

「芸術の秋に大声はいらん!!落ち着け!!」

 

「あばばばばばば!?」

 

「屠自古、あまり人間の前で力を使ってはいけませんよ」

 

「布都さんもいつも通りですわね♡」

 

「せーが。あっち行きたい」

 

「人前に死体連れて来るとか、頭湧いてるのですか?」

 

 

 

芸術作品が並ぶここは、静かに物を見て回る大人が多い。天狗も妖怪の技術を駆使した、写真集なる物を販売しており、人間の興味を上手に掴んでいる。河童の絡繰はレベルが高すぎたのか、どんな道具か分からない為に殆どスルーされている。

 

どちらのエリアも、素晴らしい盛り上がりを見せている。

そんな中、提灯の灯りから大きく離れた場所に、バーダックはこそこそと隠れている。

 

 

 

「くっそぉ・・・寺子屋のガキ共が・・・今日は薬持って来てねぇのに・・・」

 

 

 

大人verも子供verも、服のデザインは一緒なのだ。つまり、大人の姿でバカ共の前に行ってしまうと、あれこれ言われる。バレたからといって何かがどうなるという訳でも無いのだが、3ヶ月近くも隠し続けているため、関係やらが色々と面倒臭い。

 

 

 

「ったく、美味いものが大量に物色できるチャンスだってのによ・・・・・・諦めたくねぇ・・・」

 

 

 

ガキ共が帰るであろう、祭り終盤まで身を隠す事にしたバーダックは、腰を下ろし、瓢箪に入れた酒を飲もうと蓋に手をかけた。

その時・・・

 

 

 

 

 

「・・・・・・っっ!!??」ザワッ

 

 

 

 

 

一瞬ではあったが、寒気を感じた。殺意や邪気に似ているが、妙に違う。得体が知れない故に、フリーザやチルドの顔よりも悍ましく思えてしまうのが恐ろしい。すぐそこには、何も知らない人間が祭りを楽しんでいる。白狼天狗の警備は、提灯が並ぶエリアだけのはず。

 

 

 

「・・・・・・俺しかいねえんじゃなぁ・・・」

 

 

 

瓢箪と金袋をを地に置き、妙な感じの正体を確かめに、暗闇の中に身を投じて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、もう大丈夫だ。もう逸れたらダメだよ」

 

「うん、ありがとう!!狼のお姉ちゃん」

 

 

 

犬のお巡りさん・・・もとい、白狼天狗の犬走椛は、迷子の女の子を親御さんに届け、少し休憩に入るようだ。水を一口飲むと、目の前で今度は男の子がこけた。

 

 

 

「はぁ、やっぱり休めないな・・・」

 

 

 

瓢箪の蓋をさっさと閉め、男の子の元へ駆け寄る。抱き起こしてみると、膝に擦り傷が出来てしまっている。随分痛々しいのだが、男の子は涙を堪えている。

 

 

 

「痛くないのかな?」

 

「うぐ・・・男の子だから・・・泣かないもん・・・」

 

 

 

かわいい。4歳の子供でありながら、男の誇りを見せつけている。7歳程度がやればマセてる様に聞こえるが、ここまで小さいと微笑ましさしか湧き上がらない。ふと顔を上げると、11歳ほどの女の子が駆け寄って来た。

 

 

 

「楓、よく頑張ったね」

 

「お姉ちゃん、僕泣かないよ!!」

 

「偉い偉い」なでなで

 

「えへへ〜」

 

 

 

お姉ちゃんがすぐに助けなかった所を見ると、甘やかす事なくしっかりとした教育をしている様だ。将来がとても楽しみな少年・・・少年?少女の下を幼女というし・・・幼年か。将来有望な幼年だ。15歳頃には、どんな紳士になっているだろうか。顔の良し悪しは知らないが。

 

 

 

「楓くん。痛くなくても、傷は綺麗にしないとダメだよ。水で軽く砂とかを流しちゃおうか」

 

「あ・・・うん」

 

 

 

椛は、支給された貴重な飲み水の入った瓢箪の蓋を開け、男の子の膝に少しずつ流し始めた。傷口に滲みてしまったのか、目を強く瞑ってしまった。でも、声は抑えようと頑張っている。いちいち可愛いいなぁ、この子。

最後に手拭いを優しく巻いてあげる。

 

 

 

「うん、これで大丈夫だ」

 

「えへへ、ありがとう、犬のお姉ちゃん!!」

 

「いっ!?」

 

「あ・・・その、すみません・・・」

 

 

 

うーん。4歳かぁ。なら犬と狼の違いはよく分かってないよね。ちょっと複雑。

 

 

 

「よし、泣かずに頑張った楓くんには、犬のお姉さんが良いところに連れて行ってあげるよ。お姉ちゃんも一緒にどう?神様のお芋を食べさせてあげる」

 

「えっ!?神様って・・・穣子様の!?」

 

「ふふっ・・・特別だよ」

 

「やったー!!僕お芋さん大好き!!」

 

 

 

楓くんの頑張りにご褒美をあげる事にした。楓くんの左手を握る椛。右手はお姉ちゃんの月子ちゃん。しばらく歩いていると、大きなステージが見えてきた。一番前の席を取り、少し席を外してステージ裏に回る。

 

 

 

「にとり・・・にとり、居る?」

 

「うん?椛?警備は良いのか?」

 

「かくかくしかじかという訳で、楓くんに良い席をあげたんだ。後日に残業たっぷり取るから、お休みさせて?」

 

「はぁ。別に構いやしないさね。ゆっくりしな」

 

「ありがとう、にとり」

 

 

 

にとりと呼ばれた少女は、話が終わるや否や機材の調整作業に戻っていった。彼女はメインイベントの裏方を任されているため、祭り中においての権限はかなり高い。

にとりの協力で休みを得た椛は、姉弟の元へ戻って来た。ステージイベントまで15分ほど時間がある。椛は自分の弁当を開けた。中には握り飯が3つと漬物、柿の実が入っていた。握り飯と柿を1つずつあげた。食べながら、楓くんの武勇伝を聞いて過ごし、時間が経つのをのんびりと待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さあ!!お祭りは楽しんでいらっしゃいますか!?いよいよ、祭りの主役に登場してもらいますよ!!舞台にご注目ください!!」

 

 

 

ステージの上で射命丸文が荒ぶっている。手には妙な棒を持っている。ステージの上手下手には、黒い箱がドスンと置かれている。文の声は、その箱から聞こえてくる。かなり拡張されている。どういう仕組みなのかは知られていないが、人間たちは楽しそうにはしゃいでいる。毎年やっている事なのだろう。

 

 

 

「では、皆さんで呼びましょう!!せー・・・の!!!!」

 

 

 

「「「「「「「静葉様ーーーーー!!!!!!」」」」」」」

 

「「「「「「「穣子様ーーーーー!!!!!!」」」」」」」

 

 

 

会場の客の呼びかけに、ステージ中央で待つ文の両脇に照明(河童製)が当たる。ギミックが発動し、昇降機に乗った二柱の神がゆっくりと姿を現してくる。観客の歓声が強くなった。

 

 

 

「さあ!!まずはお二方による、舞ですよ〜!!神様の舞で皆様を魅了してもらいましょう!!」

 

 

 

上手側から、3人の付喪神が追加された。【古びた琵琶】九十九弁々、【古びた琴】九十九八橋、【夢幻のパーカッション】堀川雷鼓だ。彼女らが演奏をするのだろう。美しい音楽に合わせて、秋姉妹が妖艶な舞を始める。

 

 

 

 

 

・・・・・・はずだった。

リズムを取ろうとモーションに入った雷鼓が、急に明後日の方向を向いてしまった。その表情は、とても険しい。次の瞬間、雷鼓はステージ向かって姉妹の左側に向かって走り出した。

急な出来事に秋、付喪神両姉妹とも目を丸くする。司会の文も何事かと周囲を見回すと、異変を感じた。次の瞬間。

 

 

 

バゴオオオオオン!!!!

 

 

 

突然祭りのステージを衝撃が襲った。文はとっさに団扇で風を作り、人間の客を爆風から守った。

 

 

 

「な、なんだぁ!?」

 

「ば・・・爆発!?」

 

 

 

事故が起きたのかと、動揺する人間達。だが、再び文が風を作り、ステージ上の煙を吹き飛ばした時、事故でないことを悟る。

そこには、ボロボロの舞台の上に、服が裂け、【肩から右腕がゴッソリ無くなった】雷鼓が呻き声をあげていた。

ありえない光景に、ザワザワし始める人間達。その不安感は、雷鼓が放った言葉で火がついてしまう。

 

 

 

「人間達、逃げろ!!死ぬぞ!!」

 

 

 

「っっ!!??【疾風】風神少女!!!!」

 

 

 

文は攻撃した者をその目で捉え、灯篭の外目掛けて攻撃を放った。その衝撃波から出てきた犯人は・・・・・・

 

 

 

「な・・・コレは・・・妖魔!?」

 

 

 

二メートルというドス黒い巨体は、人に似た構造をしている。人に似た体でなく、構造。人間の姿に限りなく似せた射命丸文や秋姉妹、付喪神とも大きく違う、悍ましい姿。視認出来るだけで、10はいる。

 

 

 

「キィ・・・キュィィィィィァァァァァァ!!!!」

 

「ひぃぃぃ!!??」

 

「うわああああ!?」

 

 

 

耳を破壊する超高音域の叫び声。人間達は、何かが切れてしまったかのように、狂うように逃げ始めた。

大勢のパニック状態の人間。光の薄い夜、10を超える妖魔が襲い始めた。

 

 

 

 

 

「幻想風藦!!!!」

 

 

 

スペルを纏った文が、妖魔の群れに突進する。人間に触れさせぬように風を撒き散らしながら飛び回る。白狼天狗達も先導を始め、客を守りながら騒ぎから逃がそうと試みる。だが、数があまりにも多い。弾幕での戦いは、白狼天狗や九十九姉妹も応戦できる。だが、妖魔が相手となっては通用しない。対象を殺すための攻撃を仕向けてくる。

 

 

 

「クォォオオオオオオオ」

 

「うっ!!??」

 

 

 

攻撃と回避を合わせて飛ぶ文だが、軌道上に哭鳴線が放たれた。音による攻撃ゆえ、躱し切れずに態勢が大きく崩れてしまう。

 

 

 

「あ!?しまった!!」

 

 

 

まだ逃げ切れていない人間目掛けて、数体が襲いかかる。その中には・・・

 

 

 

「お姉ちゃん!!立ってよぅ!!」

 

「う、か・・・楓・・・」

 

 

 

子供が2人!!月子ちゃんの膝から下が、大きく爛れてしまっている。あれでは、逃げるどころか、立つことすら危うい。

 

 

 

「う、うあああああああ!!!!」

 

 

 

2人に、妖魔の爪が襲いかかる!!

 

 

 

 

 

「【終符】幻想天皇!!!!」

 

 

 

後方より、何者かがスペルを打ち、子供を襲う妖魔を一瞬止めた。すると、間髪入れず、

 

 

 

「【借命】不死鳥の捨て身!!!!」

 

 

 

炎を纏った妹紅が妖魔の胴体に突進をかました。爆発を前方向に放出させ、黒い巨体が不快な絶命をあげて焼けていく。

 

 

 

「良かった!!逸れてしまって、心配したよ!!捕まって!!楓くん、逃げるよ!!」

 

 

 

椛が月子ちゃんを抱えた。今度は、絶対に離れてしまわないように、歩みを合わせる。

 

 

 

「妹紅!!他に逃げ遅れた者は見えるか!?」

 

「大丈夫だ、さっきの姉弟で最後!!こいつらを蹴散らせば・・・」

 

 

 

だが、安心もつかの間。椛達が走る先の地面が割れてしまった。

 

 

 

「な、なんだと!?」

 

「ひっ!!お姉ちゃん・・・」

 

「あ・・・あ・・・」

 

 

 

椛はすぐさま刀を構える。がしかし、妖魔の爪の一突きが椛の肩を貫いてしまう。

 

 

 

「がぁぁ・・・・・・き、貴様ぁぁ・・・」

 

「ま、まずい・・・手一杯だというのに・・・!!」

 

 

 

灯篭の外より、妖魔は次々に数を増やしてくる。文、慧音、妹紅で既に20は落としているが、これではキリがない。

妹紅は炎で周囲を焼き払った。姉弟の方を見ると、3体に囲まれてしまった。椛は重症。肩から大量に血を流し、倒れてしまう。月子ちゃんは右膝より下全部が爛れ、所々から出血。

 

 

 

「う・・・僕が・・・お姉ちゃんを守るんだあぁぁああ!!」

 

 

 

楓が2人の前に立ちはだかった。幼い子供ながら、大好きなお姉ちゃんを傷つけた妖魔を威嚇する。

 

 

 

(だ、ダメだ・・・間に合わない・・・!!)

 

 

 

妖魔は容赦することなく、楓の顔めがけて爪を振るった!!

 

 

 

「っっっ!!!!!!」

 

 

 

慧音は目を瞑ってしまう。妹紅も視線を逸らしてしまった。

 

 

 

 

 

ズバッ!!ギシュン!!バゴン!!

 

 

 

 

 

楓に猛威を振るった妖魔の爪は一つ。聞こえてきた衝撃音は・・・・・・三つ?

何かがおかしい。慧音は目を開けて様子を確認する。

 

 

 

「あ、アレは・・・!!」

 

 

 

 

 

「けっ・・・中々の度胸じゃねぇの・・・ガキンチョ・・・」

 

 

 

 

 

金色に輝く、救世主が姿を現した。




よう、バーダックだ。妙だ・・・邪気の塊にしたっておかしい!!悪意や殺気みたいな気配が一切感じられねぇなんて・・・まるで[意思そのものが感じられない]!!こいつら、本当に妖魔なのか!?とにかく・・・・・・俺の楽しみを一度に全てぶっ壊しやがったんだ・・・覚悟は出来てるんだろうなぁ!?答えは待たねぇ!!歯ぁ食いしばりやがれぇ!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【蘇る悪夢 博麗の恐怖の記憶】
絶対に見てくれな。



辛い・・・何がって、ストレスにストレスが重なりまくって、外の空気を吸うだけで吐き気が・・・。学校どころか、飯を買いに行くことすら地獄や。
更に、ドッカンバトルで「中断データが存在します。途中からやりますか?」の表示で、誤っていいえを選んでしまう始末。俺の16連覇ああああああ!!??

ヒドイ・・・あまりにもヒドイ・・・。俺の生活が圧迫されるううううう!!

ドラゴンボール仲間のみんな!!俺に元気を分けてくれ!!

くそおー!!バーダックの勇姿を見たくねえのかあ!?バッカヤロー!!



茶番はこれくらいにします。これ以上暴れると、精神がイカれるので。
ではでは、今後も閲覧、よろしくお願いいたします。


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第19話〜蘇る悪夢 博麗の恐怖の記憶〜

「・・・・・・美味しい・・・まだこんなに・・・・・・幸せぇ・・・」

 

 

 

博麗霊夢は、幸せそうに惰眠を貪っている。そして、ベッタベタな夢を見ている。お祭りに行ったところで、どうせやる事もない。あのイベントは天魔の奴も公認だし、天狗の警備は頑丈だ。祭りが終わったら、穣子がおすそ分けといって、売り物になれなかった野菜を大量に持ってくる。タダで。節約すれば、正月まで保存できるからありがたい物なのだ。

ダラダラ怠けるのは、実に素晴らしい。健康には程遠いが。

幸せな夢に精神全てを委ね、堪能する。・・・が、それは急にやって来た。

 

 

 

「・・・・・・っっ!!??悍ましい邪気!?この感じは今まで一度も・・・」

 

 

 

異変解決や妖怪退治の経験に無い、邪気を感じ取ってしまった。せっかくの夢が・・・。一度目が覚めてしまったら、また続きが見られるなんてことは無いのだ。

イライラを募らせながら退治の準備を整え、お祓い棒に手をかけた瞬間。

 

 

 

 

 

ドクンッ!!!!

 

 

 

 

 

「っっ!!!!」

 

 

 

霊夢の表情が、急に強張った。

肌で感じたモノは、妖魔のソレによく似ている。だが、似ているだけで、何かがぼんやりと違っている。妖怪?怨霊?霊夢の記憶に、該当するものに心当たりは無い。遡れば、【博麗靈夢】の時の記憶にすら引っかからない。

そんな得体の知れないモノに・・・・・・博麗の細胞が危険信号を発信した。

 

 

 

「・・・え・・・閻・・・・・・羅・・・」

 

 

 

その名を口にした霊夢の顔に、一筋の冷や汗が流れ・・・・・・畳の上へと、落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・うぐ・・・・・・お前は・・・」

 

「ちっ・・・またイヌ科の奴と関わっちまったか・・・」

 

 

 

バーダックは、人間の子供2人と白狼天狗の娘を背に、三体の妖魔の残骸と向き合っている。一体は右腕から頭部までを、一体は上半身を丸ごと、一体は胴体を真っ二つに。頑丈で驚異的な生命力を持った妖怪といえど、これ程の損傷を受けてはどうすることも出来ない。再生に定評のあるスカーレットデビルや蓬莱人であっても、4日は行動不能に陥る。

だが・・・・・・

 

 

 

(頭部・・・・・・頭を吹っ飛ばした2体は良いとして、真っ二つのコイツ・・・)

 

 

 

この状態になっているというのに、気が全然減ってない?こいつも不死身か?いや。例えそうだとしても、この状態ではあり得ない。肉体よりも精神で生きている事が定義であるはずの妖怪が、この損傷で力が全く衰えないのは、何かがおかしい。

違和感に感じていると、真っ二つの妖魔の腕が大きく振りかぶった。

 

 

 

「んな!?」

 

 

 

咄嗟に、頭を吹っ飛ばした2体の残骸を盾に放り投げ、後ろの3人を回収し、その場から大きく距離を取る。

半分妖魔の爪は、残骸を消し炭へと変えていった。そのモーションのまま、腕を地面へと突き刺し、目がこちらを向いた。

 

 

 

「アイツ・・・本気か?」

 

 

 

妖魔は、掌からエナジーを爆発させ、その推進力でバーダックに突進して来た。踏み込み(?)のスピードは文と同レベル程。もう片方の腕を振り上げ、心臓を狙って襲いかかる。

だが、超サイヤ人へと変身したバーダックのスペックにおいて、反応できない速さではなかった。手首を正確に掴み爪の衝突を避けると、もう片方の腕で首を掴んだ。少し締め上げれば、もがき苦しむであろう妖魔に反撃の一撃を喰らわそうとすると。

 

 

 

一切乱れる事をしない妖魔が、推進に使った方の腕でバーダックの心臓を狙った。

 

 

 

「っ!?ぎぁ・・・!!」

 

 

 

完全に不意をつかれてしまった。瞬時に体を捻ったが、躱し切れずに脇腹を深く抉られてしまった。接触を続ける事を危険と判断したバーダックは、首を締め上げていた手にありったけの力を込め、妖魔の体から首を引きちぎった。頭、脳を失った体は途端に力尽き、ダラリと崩れ落ちる。

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・こいつ等、どうなって・・・!?」

 

 

 

安堵の時も束の間。生首となった妖魔の気は、未だに衰えてない。

 

 

 

「ちぃ・・・くたばれ!!!!」

 

 

 

バーダックはその生首を高く蹴り上げ、宙を舞うソレ目掛けて気功波を放った。

そして、瞬時に理解した。この騒動の妖魔ども・・・何かがおかしい。いや、そもそも、こいつ等は本当に妖魔なのか!?俗にいう痛みによる怯みや悶えが一切見られなかった。目に見えるものを破壊するのは、破壊衝動とも見える。だが、内臓などの損傷による激痛なんかを一切感じる様子が無い。痛覚を遮断?なら、首だけの状態でもガンつけるのはどうなんだ?まるで【生身を持った殺人機械】の様だ。

 

 

 

「ちぃ・・・どっちにしろ、今のこいつ等は殲滅しねえと・・・くああ!!!!」

 

 

 

バーダックの体から溢れる金色のオーラが勢いを増し、夜の玄武の沢に昼の様な灯りを灯した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何体化を行動不能にまで落とし続けている間に、文、慧音、妹紅の3人も、違和感を感じ始めていた。

 

 

 

(これだけの数が集まっているのに、霊夢さんが事前察知した様子が無い・・・)

 

(この数に気付かないなんて、巫女の感はどうしたというんだ・・・!!)

 

(もしくは・・・前例の無いパターンだという事も・・・)

 

 

 

そもそも、これほどの数の妖魔が同時に現れる事自体前例が無いのだ。想定外にも程がある。兎に角、今この場では、被害を最小限に抑えることが最優先だ。こうなってしまっては、今年のお祭りは中止せざるを得ないだろう。主催の秋姉妹や、大天狗様には後で頭を下げるしかないか。

 

 

 

「殲滅します!!【撮影】アマテラスの失明!!!!」

 

 

 

文は普段から持ち歩いているカメラを媒介にスペルを宣言。本来、弾幕に向けて放ち、消失させる用途として使ってきたスペルだが、ソレを妖魔本体に直接照準を合わせた。六体まとめて撮影を行ったが、やはり重い。力を込めるが、弾幕の様にあっさり消えることはおろか、抵抗もあるために押さえつけるだけでそれ以上進まない。

 

 

 

「くっ・・・・・・【逆風】人間禁制の道!!!!」

 

 

 

更にスペルを上乗せ。風の力で押し込む力を相乗させる。2つ以上のスペル同時発動は、負担があまりにも大きい。2枚だけとはいえ、腕が強く痺れてしまうだろう。そうなっては、その後のスペルを宣言出来なくなってしまう。だが、ここで拘束を解いてしまえば技後硬直を狙われてしまう。避けられたとしても、今度はこの妖魔に対しての有効手段が無くなってしまい、戦うことすらままならない。ここで気を引くわけにはいかない。せめてこの六体だけでも消してしまわないと。

 

 

 

「天狗を・・・舐めるなああああああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

「う・・・うぐぅ・・・・・・」

 

 

 

慧音は、十六夜の月であるにもかかわらず、内に眠るワーハクタクの力を無理やり引きずり出した。魔や災いを払い除ける聖獣の白澤の力で妖魔の突進を急停止させては、頭部を鷲掴みにし、浄化の光を体内に直接注ぎ込んで行く。頭、脳を機能停止しなければどの様な状態、首だけになったとしても瘴気を放ち続ける妖魔。自らの手で命を殺めることをしなかった慧音だが、こいつ等を生かして置くわけにはいかない。人間と妖怪のルールどころか、同じ妖怪であるはずの白狼天狗にまで牙を向け、その血肉を食らっていた。死傷した者こそ居ないが、いつ更なる犠牲が出てきてしまうか分からない。

 

 

 

「くぅ・・・鬱陶しい!!【虚史】幻想郷伝説!!!!」

 

 

 

全方位に鋭利な弾幕を放出。今回は白澤の浄化をブレンドした特別仕様だ。妖魔の肉体に止まることなく、あちこちを貫通しては、更に後方の妖魔を襲って行く。頭部を直接貫かなくとも、一体につき8発も当てれば全身を浄化出来る様だ。

 

 

 

「ふぅ・・・ルール違反を罰するのも・・・私の仕事だ!!!!!!」

 

 

 

 

 

「い・・・いったぁ・・・・・・」

 

 

 

妹紅は、大きな傷を体に刻んでしまっている。左脚の大腿部に2つ、右肩に1つの爪痕を食らってしまう。肩に食らった爪は、貫通した。血も結構な勢いで流れ出てきている。これだけ血を流してしまえば、妖怪であっても命の安全を保障できない。が、彼女は蓬莱の人の形。死ぬ概念が消え失せている。痛覚は残るが、それでも立ち上がれば戦える。人外とはいえ、里の側についている以上、人間に牙を剥いた妖魔を許すわけにはいかない。

 

 

 

「痛覚も無いようなら・・・容赦はしない!!【炎符】フェニックスの超高温の羽!!!!」

 

 

 

まだ動かせる左腕を大きく振り払い、青い炎を纏った大量の羽が妖魔を襲う。通常の赤く燃える炎と違い、青く燃える炎は温度が圧倒的に高い。更にこの羽は起爆性も持ち合わせており、1発掠るだけで妖魔の体を大きく焼き落とす。

 

 

 

「不死者を・・・甘く見ないで貰いたい・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊夢は森の中を飛んでいる。祭り会場に現れた閻羅供はあの4人に任せても十分安全だ。閻羅は基本的に妖魔と同じ性質を持つ。『より強い力を求めて喰らう』。超サイヤ人・妖怪の山事実上のナンバー2・白澤・蓬莱の人の形と、濃い面子がアレだけ揃っていれば、奴らは4人だけを狙い続ける。つまりは、彼等が戦っている間だけ、里への被害は無い。この隙に、奴等の根本を叩く。

 

 

 

(多分・・・慧音のヤツもアレが妖魔でなく、閻羅であることに気づいてない・・・)

 

 

 

もう・・・・・・あの時のような結末を繰り返すわけにはいかないのだ。

しばらく飛んでいると、ようやく目的のモノが見えた。森の木々の中に溶け込むようにカムフラージュした一本の黒い木。

霊夢は覚悟を決めた。

 

 

 

「覚悟しなさい・・・・・・【絶滅祈願】」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖魔が祭り会場を襲って、実に2時間弱。4人は周囲を確認。

 

 

 

「もう・・・居ませんかね?」

 

「ここはもう殲滅したが・・・他のところに行ってないだろうか・・・」

 

「それなら安心しろ・・・この場所以外に邪気や気の乱れは感じねぇ。人間供はみんな無事だ・・・」

 

「はあ・・・・・・良かったぁ・・・」へたり

 

「慧音・・・満月でも無いのに、無茶しすぎだって・・・」

 

「お饅頭食べる?回復するかも」

 

 

 

バーダックは周囲の気を深く探り始めた。残留している妖魔供の邪気はまだ漂ってはいるものの、新手がいる様子が無い。本当にもう安全のようだ。逃げ遅れて巻き込まれてしまった低級妖怪なんぞが居ないか、更に探りを入れる。

 

 

 

「・・・・・・?」

 

「む、どうした?少し落ち着いたというのに、また険しい顔だぞ?」

 

「またなんか来ましたか?」

 

「違う・・・・・・この方向だ・・・気を全く感じない穴がある・・・」

 

「穴って・・・意味分かりませんねえ」

 

「動物や植物も、特有の微弱な気を放っているんだよ・・・この森の中に、それすらも一切感じない空白のスペースがあるぞ・・・」

 

「はい!?」

 

 

 

いや、動植物だけでも無い。土や石といった、非生命の大地にも特有の気がある。土が死ぬなんて、言葉から明らかにおかしい。さっきから妖魔妖魔と呼称して退治してきたが、奴らにも違和感を感じた。

 

 

 

「くそ、分からねえ事だらけだな・・・俺が見に行く。少し休んでろ・・・」

 

 

 

バーダックは、気の剣を発動させて空白の空間を目指して進んで行く。

 

五分と経たずに、目的地が見えて来た。

 

 

 

「コレは・・・・・・」

 

 

 

バーダックが見たものは、直径20mを超えるクレーターだった。大地がかなり深く抉られ、木々や植物が灰になっている。クレーターの中心に白っぽく細い何かが力なく立っていた。触ってみると、触れた場所からボロボロと崩れ、地に落ちる前に消失して行く。

 

 

 

(木が一瞬で灰になったとしても、消えるなんてことは有り得ねぇ・・・何かのエナジーの塊が底を尽きた?)

 

 

 

クレーターの外側に目を向ける。ぴったり境目から外は、クレーターの衝撃波の爆風や爆熱による被害が全く無い。人間や妖怪には不可能。となると、神か博麗の巫女・・・。

等と考えながらクレーター周りを調べていると、霊夢を見つけた。やっぱりこいつが何かをしたのか?仰向けになっている。駆け寄ると、異変に気付いた。

 

 

 

「な・・・血?おい!!霊夢!!」

 

 

 

袖がボロボロに裂けており、両腕全体が爛れてしまっている。何かの攻撃を喰らった?いや、それなら腕だけがこうなって他がそうで無いのがおかしい。恐らく、何かの技かスペルを発動させた反動。掌に力を込めたなら、そこから侵食されたとも取れる。

つまり、このクレーターの犯人は霊夢?

 

 

 

(この場所で、一体・・・・・・)

 

 

 

バーダックは霊夢を抱え、文達が待つ祭り会場跡へ向かった。俺が離れている間に、白狼天狗や河童等の祭り経営者がちらほら集まっている。案の定、全員が気を失った霊夢に驚く。文達と一緒に永遠亭へと運ぶ事に。山の神様の八坂神奈子と何時ぞやの東風谷早苗も合流した。人間からも怪我人が沢山出ており、魔理沙と命蓮寺とかいう寺の連中が兎の案内で永遠亭へと運んでいる様だ。

人間の患者は大広間に集めて寝かせ、鈴仙をリーダーに治療が始まった。

そして、輝夜の個室『姫の間』に主要メンバーが集まった。霊夢も寝た状態で要る。

 

 

 

「さて、今回の異変は何がどういったものなのか、分かった事を全て話してくれ」

 

 

 

円陣を組む様に座ったメンバー達。霊夢がダウンし、異変解決の権威として、魔理沙が中心となった。

 

 

 

「妖魔の出現だな。何度か現れたことはあるが、あれほどの数は前例が無い・・・」

 

「身体もかなり頑丈で・・・後、妙に不死身だった・・・」

 

「そうですね・・・生首になっても敵意ガンガンに威嚇して来ました」

 

「むぅ・・・妖魔って、そんなに不死身性高かったっけか?」

 

 

 

文・慧音・妹紅がそれぞれ掴んだ特徴を順繰り話して行く。

 

 

 

「なあ、バーダックは何か分かったことないのか?」

 

 

 

魔理沙がバーダックに問い掛けた。バーダックは少しの沈黙を作り、口を開いた。

 

 

 

 

 

「あいつらは、本当に妖魔なのか?」

 

 

 

 

 

部屋に充満していた緊張が更に濃くなった。

 

 

 

「な、何を言ってるんだ、バーダック?あの姿に性質。寺子屋でも教えた通りだろ?」

 

「私も取材の為に何度か見ましたが、同じですよ。アレは妖魔です」

 

 

 

慧音と文から反論を貰ったが、バーダックは静かな口調で続けた。

 

 

 

「妖魔とは、怨霊に取り憑かれ、2度と元に戻れなくなってしまった妖怪の成れの果て。そう習った」

 

 

 

妖怪がタチの悪い怨霊に取り憑かれ、意思などが完全に壊されると、妖魔となってしまう。どの様な術を組んだとしても、もう存在しない元の妖怪の人格を蘇らせることは出来ない。妖魔は、人間だけでなく妖怪や妖精、幽霊や同族の怨霊まで、目につくものを殺し、より強い力を得ようと攻撃を仕掛ける。確認次第、すぐさま殺処分する事が決められている。

 

 

 

「俺が不審に思ったのは、連中の姿だよ」

 

「姿?慧音から教わった姿と何かが違ってたのか?」

 

「いいや、違う。むしろ逆だ・・・・・・奴ら、ほぼ同じ形をしていたんだよ・・・」

 

「あやや、何言ってるのかよく分からないのですが・・・」

 

「妖魔の姿は、取り憑かれた妖怪の元の姿に依存する。幻想郷には数多くの妖怪が存在するというのに、何十体と居た奴らの姿がほとんど変わってなかった・・・」

 

「は・・・・・・?」

 

 

 

 

 

「まるで、兄弟の様に姿が似ているって事だよ・・・」

 

 

 

 

 

緊張が恐怖に変わった。あの数の妖魔の姿が兄弟の様に全て同じ形?大きさが変わっていたとはいえ、あの姿は恐らく山童。だが、あの数が全て取り憑かれたとは思えない。そこから導き出される答えは・・・・・・

 

 

 

 

 

「あいつら、繁殖してるのよ・・・・・・」

 

 

 

 

 

いつから目を覚ましたのか、霊夢が弱々しい声で話しに参加して来た。

 

 

 

「は、繁殖だと・・・?」

 

「スペルカードルールが生まれるずっと前・・・幻想郷誕生から間も無く、奴らが現れた・・・」

 

 

 

慧音の顔色がとてつもなく悪くなって行く。

 

 

 

「それって・・・当時の人間や妖怪が・・・8割も食われたって・・・・・・」

 

「いいっ!!!???」

 

「私のはるか大先輩の当時の博麗の巫女は、奴らを【閻羅】と呼んでいた・・・・・・おまけに言うと、閻羅の巣は最低でも3つ。まだ孵化していない奴らが、また現れるのよ・・・・・・」

 

 

 

霊夢の言葉に誰もが顔をしかめる。幻想郷を恐怖のどん底へ叩き落とした最恐の異変が幕を開けた。




よう、バーダックだ。8割が喰われたって、尋常じゃねえみんながそれぞれ捜索をしに行った。俺?俺は、気になることがあるんでな。ちょいと紅魔館に行ってくるよ。試したい事があるんだ。閻羅どもを確実に殲滅するための秘策がな・・・。んで、パチュリーさんよ。どういった修行が一番効率が良いんだ?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【幻のスペル開発 超サイヤ人【悪】再び!!】
絶対に見てくれな。



GRANRODEO誕生おめでとう!!!!
はいどうも、ロデオボーイの作者です。黒子のバスケよりずっと前からファンでした。ロデオ大好きロデオ大好きロデオ大好きロデオ大好きロデオ大好き

(作者興奮中)

済まない。んじゃあ、今回の補足を。
文のスペル【アマテラスの失明】ですが、ダブルスポイラーのボムです。どう検索してもアレの名前が見つからず、結局自分で考えました。どうかな?



ここでイラストを載せます。この度、【絶望に生きた覚悟の戦士が幻想入り】の高月 弾さんが受験のために一時休載ということになりました。お互いに感想を通してコミュニケーションを取ってます。ハーメルンの中だと、一番絡んでるのですよ。応援も兼ねて、支援イラストを載せます。


【挿絵表示】


さて、かく言う私も専門学校で大きなプロジェクトが本格的に始まりました。休載とまではいきませんが、執筆と投稿の速度がバカみたいに激減しそうです。ご了承ください。

さて、今回はこんなもんですね。んじゃ、今後も【始まりのサイヤ人が幻想入り】を、つきましては【絶望に生きた覚悟の戦士が幻想入り】の応援もよろしくおねがいします。
閲覧ありがとうございました!!


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番外編:大晦日特別企画〜絶対に萌えてはいけない24時〜

タイトル通り、番外編です。本編とは関係ありません。
時系列としては17、5話となっております。
それではどうぞ。


朝起きると、影狼布団で寝ていたことが判明した。

 

 

 

「いや、何でだよ!?」

 

 

 

訳がわからない。俺はこのニホンオオカミと親密な関係になった記憶を持ち合わせていない。むしろ、どちらかと言うと嫌われているはずなのだが・・・。

 

 

 

「ん・・・ふみゅ・・・?」

 

「おはよう。そして、どけ」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

「うぎゃあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

うるさ!!??空洞状の住居の中で馬鹿でかい声出すと、変な方向に反響しまくって耳が割れる!!

 

 

 

「なんで今日に限ってこんなに早起きなのよ!?このバカにー!!」

 

 

 

泣きながらどっか行った。未だハリボテ感漂うドアをぶっ壊しやがった。今度、饅頭を餌に重労働を・・・・・・・・・

 

 

 

「バカにー?」

 

 

 

何それ?初めて聞く単語。『バカ』は分かる。罵倒を意味する言葉だ。うん、いつも通りの影狼。・・・・・・のはずなんだが、『にー』が分かんねえ。『このバカにー!!』って言い方だと、どう考えても俺の事だよな。何のこっちゃ分からん。

まあ良いか。昨日今日で2日間の休日だ。早朝前に寝て昼前に起きる生活がワークライフになっている為、休日だけでも一般的な生活をしてみたいものだ。昨日は農民共の手伝いで、売り物にも自分たち用にも使えない野菜を大量にもらった。久しぶりに妖夢の所にでも行ってみるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

んで、道中。黒い何かがこちらへやって来る。少しばかりうんざりしてるが、仕方がない。頭を殴るタイミングが来るまで付き合ってやるか。

 

 

 

「あややや。最近中々顔を見ませんでしたが、どうやらお元気のようですね」

 

「退屈しないからな。お前が知らない所でもそこそこ楽しめてるんだよ」

 

「ふっふっふ・・・何を隠そう、私は!日常的なことに興味はありません!!新聞の記事に載せられそうな事件を求めて今日も西へ東へ!!そして、今朝も『サイコロ』と名高い神聖な儀式の結果、こちらの方向へ来た暁です。そして出会えたU・N・ME・I☆これはもうsh」

 

 

 

ガツン!!

 

 

 

「良い加減に懲りてくんねえかな?」

 

「くぅぅ・・・相変わらず・・・・・・

 

 

 

 

 

兄さんは容赦ないですねぇ・・・」

 

 

 

 

 

はい?ちょっと待て。今このカラス、なんて言った?俺の耳がエラーでも起こしたか?

 

 

 

「いつもいつも、顔を合わせるたびに頭を殴られて・・・妹を何だと思ってるのでしょうねえ・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ま、まぁ兄さんがそういうのがお好きなのでしたら?いくらでも頭を差し上げるのですが?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「あ、満足いくまで殴ったら、今度はこちらの要望もお聞きくださいな♪記事にしますよ♪」

 

「・・・・・・・・・」

 

「中々会えなかったのですし、たまには私の家でゆっくり・・・・・・って居ねえし!?ちょっと、兄さん!?何処へ!!??」

 

 

 

何だコレ。何だコレ。何だコレ。あのカラス、ついに頭が湧いたようだ。放ったらかしておくのが良い薬だ。超サイヤ人の圧倒的スピードで、冥界の門目指して一直線に飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「入るぞ」

 

 

 

返事は聞かない。勝手に白玉楼の門を押し開ける。地上の秋空の下は肌寒く感じているのだが、なぜか冥界は暖かい。残暑厳しいあの時は、冷んやりした空気が心地良かった。冬の気温と比べると、やや暖かいという事か。つまり、ここの気温は年中通して一定。便利だ。

今回は妖夢の待ち伏せは無いか。まあ当然か。冥界の門をくぐった時から、いわゆる『半霊サイヤ人』の状態になっている。パワースピード、その他のスペックは元の『純粋サイヤ人』と変わらないが、霊力を放っている以上は、少なくとも得体の知れない侵入者が近づいているとは感知されていない、と。

少し探ってみると、妖夢は庭(という名の修行場)に居るようだ。持ってきた食料をまずは見せてやるか。幽々子なんぞに見つかったら、速攻で奪われる。

庭に足を踏み入れると、瞑想をする妖夢が目に入った。二本の刀は鞘に収められた状態で地面に突き刺さっている。腕は肘を抱え込むように組まれており、いつか見た少女の笑顔とは真逆の、凛々しい剣士の表情をしていた。

音を立てずに縁側まで移動し、自分も座禅で瞑想を始める。後は、いつの間にか侵入されていた事に気付かれるのを待つとしよう。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

〜半霊コンビ瞑想中〜

 

 

 

「・・・・・・ふぅ・・・今日はこれくらいで良いでしょう・・・」

 

「よう、お疲れさん。精が出るな」

 

「あ、来ていらしたのですね。お久しぶりです、兄様」

 

「・・・・・・・・・」

 

「え・・・どうかしましたか?」

 

 

 

うん、分かった。コレは異変だな。どうしよう。幻想郷で数少ない常識人の妖夢までもが闇に堕ちてしまっている。

と言うか、まさか幻想郷全域に感染してたりしないよな?

 

 

 

「あぁ、うん。いくつか食材持って来たから、差し入れだ」

 

「あ・・・うわぁ♡旬の食材がこんなに・・・形は悪いけど、状態はとても良いですね。あ、宜しければ、お昼を共にしませんか?」

 

「あ、良いや。今日は正午から仕事があるからな。(嘘)悪かったな。また別の日にでも食いに来る」

 

「むぅ・・・残念です・・・またいつでも来てくださいね、兄様♡」

 

 

 

うん。すごく可愛らしい笑顔。怖いわ。とっとと逃げよう。

去り際に、何となく妖夢の頭を撫でてやった。目を細めて、幸せそうな声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず、紅魔館まで逃げて来た。もちろん、嫌な予感しかしない。どうしたもんか。門前で少しばかりウロウロしてると、美鈴が歩いて来た。

 

 

 

「あ、バーダックさん・・・」

 

「お、美鈴か。休憩してたか?」

 

「確保おおおおおおおおおおおお!!!!」

 

「んなああああああああああ!!??」

 

 

 

突然襲って来た門番。不意打ちで関節を固められた。俺がなんかしたか!!??

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふん。本当にどうしてくれようか、この愚か者は・・・・・・」

 

 

 

全身グルグル巻きにされた俺は、玉座に座るレミリアの前に放り投げられた。咲夜に背中から重心を直に踏まれているため、身動きも取れない。後、ヒールが食い込んで痛い。

 

 

 

「俺が何をしたと?」

 

「どこぞのスキマからかなりの金を請求されたわ。請求先は白玉楼。内容は建築の修理」

 

 

 

あー。アレか。忘れてたなぁ。うん。確かに俺のせいだな。どうしたもんか。

 

 

 

「てか、そのことで俺を折檻するのは、タイミングが遅すぎやしないか?何で今?」

 

「物語展開の上で、その事で怒るタイミングが無かったのよ!!」

 

「何言ってんの、お前!?」

 

「どうせ、本編には何も関係ないわよ!!」

 

「遂に頭のネジがぶっ飛んだか!!」

 

「うるさい!! 全く、出来の悪い愚兄を持つと、本当に参るわ・・・」

 

 

 

あぁ、こいつもなのか・・・。むしろ、少し安心した。

 

 

 

「とにかく、これから2ヶ月の賃金は無しね。キビキビ働け、愚兄」

 

「うん、良いよそれで。タダ働きドンと来い。つーわけで、帰る。じゃあ・・・なっ!!!!」ドオオン!!!!

 

 

 

超サイヤ人への変身の衝撃波で全員を怯ませた。後は、ダッシュでこれ以上の損害を出さないように気を付けながら、館の外へ逃げる。

バカにー、兄さん、兄様、愚兄。それぞれ呼び方が違うのか。ここまで来ると、次は誰がどう呼ぶのか気になってくる。怖いもの見たさというか・・・。よし、人里にでも行ってみようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと。来てはみたがどこに行こうか。まあ、寺子屋位しか無いんだがな・・・。薬で容姿を幼くしてから里の門をくぐった。

いつもの昼前の里だな。野良仕事の休憩に来た農夫が多いくらいで、あまり変わった事は無い。あまりにも平和なのが、逆に恐ろしい。確認のためにも、寺子屋に向かって真っ直ぐに歩いていく。

 

 

 

寺子屋はやはりというか、休日のため子供の姿は無い。来てみたは良いが、よく考えたらガキの姿で慧音に兄扱いされると、どうも違和感しかない。ならどうなる?まあ、あいつしかいないよなぁ・・・。

 

 

 

「む?休日にどうした、バーダック?手伝いにでも来たのか?」

 

「あ、お兄ちゃん。こんにちは♪」

 

 

 

はい、正解。そりゃ、大妖精しかいるわけねえよな。こいつ、本当にいい娘だ。休日も先生のお手伝いか。

 

 

 

「よう、大妖精。暇なのか?」

 

「あ・・・えっと・・・チルノちゃんが・・・・・・」

 

 

 

 

 

「やっほー、チルノちゃん。今日はどこで遊ぶ?」

 

「んげ!?大ちゃん!?あ・・・えっと・・・今日は良いかな?れんsh・・・なんでも無い!!」

 

「へ?何か用事なの?」

 

「あ、う、うん。そう!!今日は別の予約がね!!」

 

「手伝おうか?」

 

「い、いや!!サプラ・・・じゃなくて・・・大ちゃんはけーね先生のお手伝いに行かせるみたいだよ?」

 

「あぁ・・・・・・そ、そう言えば先生にそんな事言われてたような・・・」

 

「そ、そうなんだ!!じゃあ、早く行ってあげてね!!」

 

 

 

 

 

「チルノ・・・・・・不器用にも程があるだろ・・・」

 

「あはは・・・・・・」

 

 

 

何かしらのドッキリでも仕掛けるつもりなんだろうか。『お手伝いに行かせる』の言い方は、多分ミスティアリグルとかも絡んでるだろう。

 

 

 

「まあ、せっかく来てくれたんだ。バーダックも少し手伝ってはくれないか?」

 

「・・・・・・・・・」ヒクッ

 

「うわぁ、凄い嫌そうな顔」

 

「大丈夫ですよ。お兄ちゃんの分まで私が頑張りますので」

 

「妹の手伝いを嫌がるなんて、酷いお兄さんだな」

 

「元から薄情だ。問題あるか?」

 

「せめて身内にくらいは・・・」

 

 

 

冗談じゃない。覚えのない妹に優しく出来るか。

 

 

 

「そもそも、大妖精の好意で君を知ったんだぞ?だから幻想郷のルールや歴史を教えてあげられる。その結果が、君の地位だ。そこそこ高く、信頼も徐々に付いてきている。これも全て・・・」

 

「だああああ!!!!うるせえ!!!!大妖精!!手ェ出せ!!!!」

 

「ふぇ?」すっ

 

 

 

バチーン!!

 

 

 

「痛あああああああ!?」

 

「コレで団子食え!!!!はい、お疲れ!!!!」

 

 

 

バーダックはとっとと帰ってしまった。大妖精の少し赤く腫れた掌には、5銭がのっている。

お金を確認した慧音と大妖精は、少しの間見つめ合ってやや呆れた笑みをこぼした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてと。後行ってないところは・・・・・・永遠亭?竹林を1人で歩くのはもう勘弁だ。八雲の賢者にでも連れて行って貰えないだろうか。八雲、八雲ねぇ。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

ちょっと大問題でも起こしたら現れてくれたりしないだろうか。

 

 

 

「危ない事は考えて欲しく無いのですけどねぇ」

 

「案外早かったな」

 

「冗談でも、許されない事なのです。少々お説教が必要ですね♡」ブゥン

 

「はい?・・・・・・っっ!!??」

 

 

 

背後に妙な気配を感じたが、気付けばもう手遅れだった。周囲は360°スキマ。重力とか視界とかがぐわんぐわん回り、気持ち悪くなってくる。初めて永遠亭に行った時のアレは、かなり気を使っていたらしい。

少しの間ぶん回され、急に空間が安定した。周りを見ると、まあまあ良い物件だ。

 

 

 

「八雲の根城か。意外と普通だな」

 

「やはり言葉が少々悪いですね。久しぶりの顔合わせだというのに・・・」

 

「どちらかと言えば、藍の印象が強かったんでね」

 

 

 

スカーレット姉妹との決闘後、永遠亭で八雲の3人と顔を合わせたが、紫は重要点のみ言い渡し、後は気まぐれになっていた。その中で藍が核心を突く質問をしてきたのであれば、そりゃそうなる。大賢者とあろうものがそんなんで良いのか。

 

 

 

「そう、藍よ。あなたに会いたがっていたの。だからご招待いたしましたわ」

 

「何で?あの一回以降、全く見なかったんだがな」

 

「貴方の家の台所にでも聞いてみては?」

 

 

 

なんか特別なもの作ってたっけか?魚の内臓の『うるか』。柚子で代用してみた『レモンカード』改め、『柚子カード』。3回目にしてようやく完成した『自家製豆腐』。椎茸出汁をたっぷり吸わせた『油揚げ』。甘さ控えめ『手作り饅頭』。うわ、けっこうあるぞ。どれだ?藍を虜にする食い物でもあったのだろうか。

とりあえず紫にある物を伝えると、スキマから食い物を召喚した。うん。ガッツリ俺の保存食だ。冷めた目で紫をじっと見つめる。

 

 

 

「あら?殿方にそんなにもまっすぐに見つめられた事ありませんのよ?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「それはまぁ、とてもお強いですし、たくましい体つきでもありますし♡」

 

「・・・・・・・・・」

 

「事故とはいえ、貴方が幻想郷に招かれてからというもの、色んな絆が生まれました♪」

 

「・・・・・・・・・」

 

「やはり、貴方の存在は世界に対して必要なモノなのでしょう」

 

「・・・・・・・・・」

 

「共に生きる仲間として、貴方のことを誇りに思いますわ♡」

 

「・・・・・・・・・」

 

「幻想郷を愛する者とし「いつまで続くんだ!!!!」がー!!

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」ニコニコ

 

「・・・・・・・・・」イライラ

 

「貴方を素敵な殿方として見る者も意外と多いことご存知でしたか?」

 

 

 

まだ続けるか!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫様、ただいま戻りました」

 

 

 

藍の声が聞こえた。紫の話を右から左へ受け流すことかれこれ20分。もはや耳がゲシュタルト崩壊しそうだった。むしろしてる。心無しか、元気な癖っ毛も若干萎れてしまっている。

 

 

 

「お・・・兄上ではないか。久しぶりだな」

 

「・・・・・・・・・」←余計にぐったりする

 

「む、どうかしたのか?」

 

「バーダックさん、こんにちは♪」

 

 

 

紫は面倒臭い。藍はおかしい。橙は癒し。八雲の連中はどういった集まりなんだ・・・。

 

 

 

「さて、藍。お兄さんの何を食べたいの?」

 

「あ・・・その・・・あぶらげを、食べたい、かな・・・」

 

「あ!藍しゃま!私、紫様と一緒にうどん作ったの!みんなで食べましょうよ♪」

 

「何だと!?兄上お手製のあぶらげを橙と紫様の作ったうどんに!?何その楽園・・・」

 

「うどんよりもオムライス食べたいな♡」

 

「バーダックさん、よろしいかしら?」

 

「もう勝手にしろ・・・・・・」げんなり

 

 

 

藍と橙が調理を開始したが、バーダックはもう力尽きた為、部屋の隅っこでぐったりしていた。紫が何か話してきたが、もう全く聞こえてない。

結局はバーダックもキツネうどんを食べたのだが、心が若干壊れてしまった状態ではあまり美味しさを感じられなかった。心が落ち着いた頃に、また作ってもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気がつくと眠っていたようだ。目を開けると、おっぱい(着衣)があった。

 

 

 

「何でじゃああああああ!!!!????」

 

 

 

一気に飛び起きると、藍の吃驚した声が聞こえた。

 

 

 

「あ、その・・・おはよう兄上・・・・・・」

 

「ひ・・・ひざ、まくら・・・・・・」

 

 

 

重度の疲労と適度な満腹感で少し落ちてしまっていたようだが、藍は何をしていやがった?

 

 

 

「う、そのぉ・・・・・・兄上、中々構ってくれないから・・・寝てる間だけ、でも・・・甘えたくて、な・・・・・・///」

 

 

 

こいつ、こんな性格だっけか?『幻想郷は全てを受け入れる。それが破滅であっても』と言っていた凛々しい姿は俺の記憶の間違いか?

 

 

 

「うぐぅ・・・すごく悪い目覚めだな・・・・・・」

 

「う・・・・・・ごめん・・・・・・」

 

「・・・・・・また油揚げ食わせてやるから、今度はお前らが来い。うどん持参な」

 

「え・・・あ・・・・・・あぁ!!了解だ!!」

 

 

 

この異変が終わっても約束は成立するのだろうか。とにかく、今度こそキツネうどんを味わって食べてやる。

 

 

 

「とりあえず、ここから出たい。場所は・・・・・・・・・永遠亭で頼む」

 

「永遠亭だな。使い捨てスキマの棚は・・・ここだ。永遠亭・・・・・・コレだね。兄上、準備出来たよ」

 

「お疲れさん・・・・・・」

 

 

 

使い捨てって・・・。結構万能な能力なのに、今のでとてつもなく価値が下がっている気がするのは俺の気のせいか?この様な応用が効くと見るべきなのか?

スキマを通る際に、10銭を床に落としておいた。食事代+交通費としてだが、どうだろうか。藍の顔を見ないでさっさと行ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

永遠亭は、なんかドタバタしている。ドッスンガッシャンパリーンと、中々に物騒な音がする。

 

 

 

「死に晒せええええええええええ!!!!!!!!!!」どぱあああああああん!!

 

「砕け散れええええええええええ!!!!!!!!!!」ゴオオオオオオオオオ!!

 

 

 

追加で物騒な声もする。

 

 

 

「いやああああああああああ!!!!」

 

 

 

そして、可哀想な声もする。決闘と言う名の殺し合いがまさか屋内で行われていようとは。流石に今日のコレは止めておいた方が良い気がする。鈴仙の寿命がストレスでマッハだ。竹林の外れで被害を振りまくこと無しにやってほしいものだ。

さてと。

 

 

 

「帰ろ」

 

 

 

誰も俺が止めるとは言ってない。心で思う事と実行するかはまた別の問題なのだから。

帰路に向かう。迷いの竹林でも、兎を探せば後は案内してくれるだろう。外に出してくれたら美味い人参料理を食わせてやると言えば大丈夫だろう。つーわけで、180度の方向を向く。と、早速兎がいた。

 

 

 

「あ、久しぶり♪」

 

 

 

何時ぞやの俺をハメたイタズラ兎が立っていた。まずはゲンコツを喰らわす。

 

 

 

「くぅ〜・・・やっぱり度胸あるねぇ。そして強い」

 

「もうお前で良いよ。竹林の案内をしろ」

 

「そんな事よりも、お兄さん。良い仕事があるよ♡」

 

「ソレは身内的な意味か?それとも商売か?」

 

「なーに。簡単な内容さ。あの2人の喧嘩を止めておくれよ」

 

「面倒クセェ」

 

「10文(バーダックの5ヶ月分)用意してるけどいかが?」

 

「よし、乗った」

 

 

 

現金なバーダックであった。

 

 

 

 

 

〜悲報〜

 

今回は番外編のため、バトルの描写はオールカットで放送いたします。皆様方の期待を裏切る行為をしてしまい、誠に申し訳有りません。お詫びとして、昔描いたイラスト(作者の超最高傑作)を同封いたします。

 

 

【挿絵表示】

 

 

さてと。閲覧料を頂くウサ。お前たちの世界のお金で、1人あたり89,006円ウサ。お兄さんに10文(およそ30万円)渡すのに協力しろウサ。

 

 

 

 

 

「ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・」

 

 

 

こいつら・・・不死性が邪魔をして、抑え込むのにかなり手こずってしまった。結果、2人同時に首に衝撃を与えて気絶させる事にしたが、自分自身もかなり損傷してしまう。

 

 

 

「突然巻き込んでしまって申し訳ありません」

 

「悪いと思うなら、保護者としてしっかり監視しとけ・・・」

 

「今ではこの様なお礼しか用意出来ませんが、どうぞ」

 

「む、助かる」

 

 

 

永琳が出した湯飲みの中には緑色の液体が入っている。香りから上等なお茶と判断し、一気に喉を通過させる。

 

 

 

 

 

そして思い出す。この先生はかつて、俺をガキの姿にして楽しんでみようと思っていた事を・・・・・・。

 

 

 

 

 

全身が痺れてしまい、湯飲みを落としてしまう。

 

 

 

「が・・・ぐ・・・テメェ・・・・・・」

 

「フフ・・・サイヤ人の生命力には計り知れないものがあるの。少し調べさせてね♡」

 

 

 

どこに持っていたのか、注射器とメスと試験官とビーカーと・・・・・・

 

 

 

「お、おい・・・バカ、止めろ・・・来る・・・な・・・・・・」

 

「大丈夫♡痛くしないわ♡」

 

 

 

 

 

ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっっっ!!!!!!」

 

 

辺りを見渡すと、いつもの俺の家が目に入ってきた。寝汗が酷く、かなり気持ち悪い。

 

 

 

「ゆ・・・夢・・・・・・」

 

 

 

とんだ悪夢だ。うん、夢で本当に良かった。

汗を流すために、水浴びに向かうか。手ぬぐいを持って扉を開ける。

 

 

 

 

 

「どうも、鈴仙です。うなされていた様なので、【永遠亭】のお薬をお持ちしました♪」

 

 

 

 

 

ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ




アホオオオオオオオオオオ!!!!!!俺のアホオオオオオオオオオオ!!!!!!一大イベントに入るから投稿スピードが遅くなるってのに、妙ちくりんなモン書きやがって!!!!こんなんだから本編が進まねえんだバカタレ!!!!バカな事やってるからドッカンフェスの10連ガチャ2回引いて、超ゴジータがダブるんだ!!!!それも3枚目って!!!!親子三大かめはめ波悟飯の覚醒メダルが揃う頃に未所持の悟天メダルが14枚!!!!頂上決戦のLR予定の悟空の必殺技レベルを上げるために、三週間入り浸って初回以降手に入らなかった?「まったなし超本気の超決戦」で一日でLV6まで上げられたわ!!!!バーカバーカ!!!!(泣)



はい、とてもお見苦しい心の声を出してしまい、誠に申し訳有りません。
と言う訳で、年末特別企画、如何だったでしょうか?あの番組と一緒に大いに馬鹿笑いして頂けたら、それはもうとっても嬉しいなって。一応、妹達は『本編でそこそこ親密な関係の連中』といった共通点を持っております。文?てゐ?アレは物語のフラグ的な意味です。藍様?作者の嫁ですが何か問題でも?

てゐが勝手に見せたあのイラストですが、高校時代に文化祭で美術部員(笑)として展示した作品です。案の定、展示ブースで異彩を放っておりました。確か4ヶ月かかった気がする。もうあんなの描かない。あの苦労はもう味わいたくないです。コレのコンセプトは思い切り夏祭りですが、皆さんの脳内フィルターで年末の博麗神社を妄想してください。



はい、今回はココまで。掲載を始めて早7ヶ月。UA数14,099件。お気に入り登録数59件。感想が20件と言う記録を残しました(12月31日18:00現在)。自分では満足してます。皆さんの応援もあり、続けられることに大きな喜びを感じています。2017年も【始まりのサイヤ人が幻想入り】をよろしくお願いします。


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第20話〜幻のスペル開発 超サイヤ人【悪】再び!!〜

幻想郷は脅威に包まれた。強力な力を持った者達がたくさん負傷した。博麗の巫女ですら、14日以上の絶対安静を告げられた。人間たちの目の前で、付喪神の体が大きく損壊するという光景が展開。

これを恐怖と呼ばずに何と言えようか。簡易な対抗手段しか持ち合わせていない人間達は、日夜怯えながら生活を強いられることとなってしまう。警備しようにも、慧音、妹紅、魔理沙だけではあまりにも心細い。人間、もしくは里側の妖怪だけでは守りきる事は不可能だ。人里に恐怖の波が押し寄せた。

 

ソレをなだめたのは、意外にも妖怪の山の天狗たちであった。

 

 

 

「人間と妖怪の関係があってこその幻想郷。人間が滅べば、結界も崩壊するであろう。そうなれば、我等妖怪も滅びを迎えてしまう」

 

 

 

強い権力を持つ妖怪は、幻想郷の仕組みも重々に理解している。

 

【妖怪は人間を襲い、人間は妖怪を恐れ・退治する】

 

最近は過激なものこそ起こっていないが、真似事であってもその関係性を保っているから博麗結界が安定している。山の長天魔は、現在の状況を【人間は閻羅に恐れている】という状況に置き換え、【人間、もしくは人間に近い者が閻羅を退治する】という事で、真似事の範囲で結界を誤魔化せると考えた。

天魔の提案は文を通して霊夢と紫に伝わった。緊急事態にもかかわらず冷静さを保っている辺り、威厳を感じる。

 

 

 

「里の人間達は天狗達に任せておける。私たちで閻羅の・・・・・・卵?・・・巣?まあ良いか。ソレを探して来るぜ」

 

「霊夢も腕が治り次第、すぐに合流するんだぞ」

 

「んじゃ、そろそろ出発だ。案内するから離れないでね」

 

 

 

魔理沙、慧音、妹紅が立ち上がる。障子を開け、廊下に出ようとする。が、約1名が着いて来ない事に気付く。

 

 

 

「おい、どうした。行くぞ、バーダック」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

全く反応しない。何か考え事をしているのか、目を閉じて完全に自分の世界に入ってしまっている。

 

 

 

「なぁ。こいつの気まぐれって、どう思うよ?」

 

「うん。正直私でも予想がつかない・・・」

 

「まあ・・・孤独っていうか、孤高っていうか・・・そんなんでしょ・・・」

 

「少し放ってあげなさい。彼がその気になったら、優曇華に案内させるわよ」

 

「ったく。早めにしてくれよ、永琳」

 

 

 

バーダックへの催促は永琳に任せ、3人は部屋を出て行った。残ったのは、バーダック永琳霊夢(in布団)。3人と入れ違いで、鈴仙が飲み薬を持って入ってきた。

 

 

 

「師匠。霊夢さんの薬の追加とお水を・・・バーダックさんまだいるんですね・・・」

 

「今は何を言っても無理そうだし、薬を置いて早く戻りなさい。あと、霊夢用の病人食作っておいてね」

 

「了解しました」

 

「全く・・・・・・余計なお世話よ・・・」

 

「貴女がタダ飯に喜ばないなんて、よっぽど気がかりなのね・・・」

 

「閻羅どもを退治するだけなら、あいつらでも充分よ。問題は孵化前の閻羅を探し出し確実に殲滅すること。これに関しては、私以外にこなす事はほぼ不可能ね」

 

「・・・・・・・・・それについて、詳しく話せ」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

 

突然起きて話に加わったバーダックに少し呆れる2人。とりあえず話を進める事にする。

 

 

 

「かなり昔、っていうか前世に独自で造り上げた、完全滅殺の奥義【絶滅祈願】。妖怪どころか、神や霊体に妖精。その気になれば、不死者であっても滅する事が可能の禁呪よ。貴女やお姫様に、妹紅だってね・・・・・・」

 

「怖いわよ、霊夢。つまりは、私達が異変を起こしたあの時も、その気になっていたとしたら・・・・・・」

 

「そういう事ね・・・・・・」

 

「代償はどうなんだ?お前を見つけた時の腕・・・・・・爛れただけとは思えんぞ。腕だけの症状の筈なのに、寝込んでしまってるその状況が証拠だ」

 

「あら、結構鋭いのね。ただの傷でない事に気付けるなんて」

 

「そうよ。腕のあざは、禁呪の反動で壊死が進んでしまってるの。進行自体は巫力で大幅に遅らせることができる」

 

「んじゃあアレか?俺がお前を見つけられずに放ったらかしになってりゃ・・・・・・」

 

「紫が助けてくれただろうし、まずあり得ないけど・・・野垂れ死にね」

 

「今は巫力に加えて私の薬も使ってるから進行は確実に止まっているわ。まともに動けるようになるまではかなり掛かるけどね・・・」

 

 

 

随分と大掛かりな代償のようだ。話によると、最低でも14日は寝たきりだ。この期間では軽い症状のように聞こえるが、頑張るのは患者の霊夢でなくドクターの永琳の方。14日間不眠不休で霊夢に付きっ切りで治り具合と栄養などの管理を行い、同時進行で次に飲ませるための薬を調合しなければならない。身体・あざ・精神状態のバランスに合わせた特別な調合をしなければならない上、調合開始から完了までの時間経過によるバランスの変化まで計算しなくてはならない。

説明が終わる頃には、これからの作業を改めて確認した永琳先生の目から、光が失われている。うん。コレはキツイ。その状態で一切ミスすることなく行って、初めて最短の14日って。少しでも間違えたり調合なんかに時間をかけすぎたりすれば、それだけ全快まで遠ざかる、と。出来ることなら手伝ってやりたい。技術的にも知識的にも100パーセント無理だけど。

 

 

 

「規模は分かった。その【絶滅祈願】がお前にしか扱えない理由、それかその奥義の仕組みを言えるか?」

 

「仕組みねぇ・・・。世界そのものを創り上げた四柱の全王神を同時に神降ろしするの。それに博麗の巫力を重ねて発動。以上」

 

「四柱の神の名前は?」

 

「強い力の神【強羅神】・弱い力の神【衰羅神】・重力の神【重羅神】・磁力の神【磁羅神】。この4つが宇宙の原理を創り上げてるの。意味分かるかしら?」

 

「知らん。俺が慧音に教わった神様に、そんなの居なかったぞ」

 

「そもそも存在しないからね。大昔に科学者朝倉理香子と物理学者岡崎夢美って奴らに聞いた話から私が勝手に創った」

 

「神様って、そんな簡単に創って良いものなのか・・・?」

 

 

 

力には魔力や霊力に巫力、妖力に気とたくさん存在する。が、それらは人間や神が創り出したものに過ぎない。宇宙全体を創り出す原初の力こそが、この4つの力だ。1つでも消えてしまえば、人間の体も水も鉄も、地球どころか全ての惑星、太陽どころか宇宙そのものまでもが崩壊してしまう。まさに、【世界】を創る力と言える代物だ。

 

 

 

「つまり【絶滅祈願】は、対象の4つの力のバランスを無理やり崩す奥義ってことで良いのか?」

 

「多分合ってるわ」

 

「恐ろしい奥義ね。その腕の壊死は、崩壊に近いもの、という事ね」

 

「閻羅の巣が文字通り崩れて消えたのも、そういう訳か」

 

 

 

バーダックは納得した様な顔をすると、また目を閉じて考え事をし始めた。

 

 

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

 

霊夢も永琳も、緊張感を一切感じないバーダックに呆れている。現状を直視しながらこれ程までに冷静さを保つあたり、頼もしいとも言えなくはないのだが、せめてもう少し会話して欲しい。

その後、次の夜明けまでバーダックが動くことはなかった。霊夢、野郎がすぐそばにいる状況で安眠出来るほどの図太い精神力は持っておらず、鈴仙に自分の病室の移動をさせた。永琳も霊夢の付きっ切り看護の準備を始めた。ありったけの道具・材料を計算し、決めた場所に置いていく。丸々2刻ほどで準備が終わると、就寝に入る。(最低)14徹前の体力温存も必要だ。

鈴仙は、バーダックが起きた時のために、おにぎりをちゃぶ台の上に置いていった。その後、てゐがイタズラで一個のおにぎりに馬鹿ほどの塩・砂糖・酢をじっくりと混ぜ込み、ロシアンおにぎりにした。んで、深夜になってから、輝夜が寝ているバーダックのベルトをそっと外し、少し細工した後にちゃぶ台に手紙と一緒に乗せた。報酬としておにぎりを1つ持って退出していった。

しばらくして、お姫様とは思えない超絶下品な悲痛の叫びが永遠亭に響いた。

 

 

 

 

 

『貴方の覚悟が、ベルトの珠を通して伝わりました。ベルトには紅の輝き【蓬莱の珠】・黄金の輝き【龍の珠】のレプリカを使用していました。貴方の意思の強さに敬意を込め、オリジナルを預けます。月の加護よ、勇敢な殿方に幸与えん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーダックは夜明前の暗い空を飛んでいた。行き先はすでに決めている。

足が付いたのは、紅い館の門の前。美鈴はまだ居ない。

 

 

 

「まだ、昼組は寝てるのか・・・・・・」

 

 

 

急ぎの用事なので、勝手に入っていく。紅魔館で働いている以上、館内の見取り図を記憶している。執事長の役職に就いているため、道中の妖精メイドに遭遇しても、不審者扱いされない。むしろ、向こうから挨拶と礼をしてくる。

 

 

 

「ん、お疲れさん」

 

 

 

部下を持つと、それなりの上下関係が出来る。悪い気はしないが、見た目がガキ共だから部下って感じもしない。ガキ共が揃いに揃って慕ってきてる感じ。館の主人も見た目がガキ。部下がガキで、上司もガキ。今、惑星ベジータの職場に戻ったら、上手くやる自信がこれっぽちもしない。慣れなのか麻痺なのか。今更、だからどうしたって話だが。

歩く先はレミリア嬢の寝室。扉の前に立ち、ノックで入室する。居ないところを見るに、まだ活動中なのだろう。就寝に入ってしまう前に、館のメンバーの何人かを借りる申し出をしておかなければ。

 

 

 

「む?バーダック様。お嬢様に御用ですか?」

 

「え・・・と。点検・修繕隊長の・・・アシュレイだっけか。主人さんは今、何処にいるか知ってるか?」

 

「確か、図書館に行くと言っておられました。妹様とパチュリー様もご一緒だと思います」

 

「そうか。ありがとな」

 

「いえ、お気になさらず。お疲れ様です」

 

 

 

今度は図書館の方向に歩いて行く。メイド共の名前もキッチリ覚えてる辺り、意外とコミュニケーションスキル自体は充実してる様である。交友を求めないのは、宝の持ち腐れか。

ちょっとは努力してみるか。『妖精メイド共とも進んでコミュニケーションを取る』目標【10年以内に3人】。

既にやる気ゼロの執事長であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこをなんとかならないのかしら?」

 

「どうやっても、3日間が限界ね。それ以上は、私が持たないの」

 

「そんなに『魔力』使わないでしょ?種族魔法使いは飾りなの?」

 

「私の『体力』で3日以上も詠唱を続けられると思って?」

 

「だからあれほど、運動しろと・・・・・・」

 

「3日だけでも、存分に遊べるのなら、私は良いんだけどなぁ」

 

「私達紅魔館がそれだけしか動かなかったら、笑い者も良いところでしょ!!」

 

「はぁ〜。体裁を気にする主人は大変ねぇ」

 

「幻想郷一権威のあるお屋敷なのよ!?これを機に、名を轟かせないでどうするの!!!!」

 

「私が楽しめたら、それで良いや」

 

「フラレミ来た♡これで勝つる!!」

 

「この・・・愚妹がぁ・・・・・・」

 

 

 

聞いてる分には、充分面白い。トリオ漫才でも結成すれば良いのに。レミリア・フラン・パチュリー。3人合わせて・・・。合わせて・・・・・・。良いの思いつかないし、諦めるか。頃合いを見て、フランの首根っこを猫の様に掴み上げる。

 

 

 

「おっ?あ!おじちゃん、いつ来たの?」

 

「1分前だか60分前だか、それくらい」

 

「特定できるか!!」

 

「引き篭もりだから、反応するのも面倒臭いわ」

 

 

 

 

ギャーテーギャーテー。バーダックの参加で更に騒がしくなる現場。

 

 

 

「俺も面倒臭いのはゴメンだ。要件だけ先に言うぞ」

 

「ぅぅぅぅぅ・・・私の威厳を・・・バカにしてぇ・・・」

 

「レミィ。うーうー言うの辞めなさい。威厳がもう崩れてるわよ」

 

「ぬーぬー」

 

「お姉さま可愛い♡」

 

「そろそろ良いか?」

 

「好きにしろ・・・・・・私のカリスマァ・・・・・・」

 

 

 

バーダックに発言の許可が降りた。

 

 

 

 

 

「俺の能力で、他者のスペルを映したい。それって出来そうか?」

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

この執事長は何を言ってる?他者のスペル?コピーとか、そういうやつか?

 

 

 

「初めてお前達と戦った時のグングニル。アレを何とかして、モノにしたいんだよ」

 

 

 

かつて、バーダックの力と脅威を見極めるために行った試合。そこでバーダックは、吸血鬼の悍ましい魔力をその身に写し、苦痛に耐えきれずに吐き出した魔力がレミリアの【スピア・ザ・グングニル】を創り上げた。直前にレミリアのオリジナルを素手で掴んだという事実もあり、アレはまさに偶然の産物と言えるだろう。

では、それを意図的に起こせるか?発動させるスペルを選べるか?バーダックの【世界を映す程度の能力】を用いれば、可能ではないだろうか?

 

 

 

「ふむ。理論上では可能性はあるわね」

 

「えぇ・・・出来ると思うのぉ?パーチェー。そんなんよりも私が活躍出来る為の紅霧を張りなさいよぉ」

 

「だーかーら。長くて3日が限界なの。引き篭もりをナメないで」

 

「むしろ、蔑んでるんだけどぉ?」

 

「はぁ・・・・・・。お前が居ないと出来そうにないんだよ、レミリア」

 

「うっさいわね。紅魔館の威厳を失うわけにはいかないの!!」

 

「だったら、手伝え。この発想は、お前の魔力がヒントになってるんだ。お前のアドバイスが、幻想郷の命運を握ってるんだぞ」

 

「はぇ?私が?」

 

「表に出られなくても、出られる奴を徹底的に鍛え上げれば、それはお前の手柄だ」

 

「私の・・・手柄・・・」

 

「俺のあの変化も、全てはレミリアが授けてくれたんだからな」

 

「ふ・・・ふぅん。分かってるじゃないの」

 

「紅魔館の威厳。お前が表立つことが出来ないのなら、俺がその全てを一緒に背負ってやる」

 

「・・・クク・・・フ・・・・・・あーっはっはっはっは!!使いパシリの分際で中々生意気を言うようになったわねぇ!!乗ってやろうじゃない!!私のカリスマ、甘く見ると火傷するわよ!!」

 

 

 

先程と打って変わって、高飛車になったお嬢様。翼を大きく広げ、高く浮遊してから高笑いをする。言い回しが、完全に悪の中ボスだ。

 

 

 

「貴方も、口が上手くなったのね」ヒソヒソ

 

「あーいうタイプは、とりあえずヨイショすれば良い気分になるからな」ヒソヒソ

 

「後でどうなっても知らないからね?」ヒソヒソ

 

「まー、嘘はこれっぽっちも入ってないわけだし、大丈夫だろ?」ヒソヒソ

 

「貴方の心臓は、ステンレス製なの?」ヒソヒソ

 

「多分賢者の石だな」ヒソヒソ

 

「皮肉とはやるわね」ヒソヒソ

 

 

 

バーダックは【褒めて揚げる】スキルレベルを最大まで上げた。かつての自分と比べ、みょんなスキルをどんどん身につけていく。最終的には、仙人にでもなってるんじゃないだろうか。

なお、フランはぬーぬーお姉さまが可愛かったので、絵に描いて残そうとしたために、さっさと自分の部屋に行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーし。まずは、あの時の感覚を覚え直さないとね。パチェ。その紅霧、発動よ!!」

 

「はいはい」

 

 

 

パチュリーの術式で展開された魔法陣から、スカーレットデビルの魔力を纏った霧が立ち昇り、大図書館が紅く染まっていく。

バーダックは目を閉じ、能力を発動させた。髪が金色から赤紫に変化し、瞳も紅く輝いている。超サイヤ人【悪】が再び姿を現した。

 

 

 

「準備は良いわね。何回も言うけど、今から行うのは『新術開発の儀式』よ。間違っても爆発とか起こさないで。私の本が傷付くから」

 

「グダグダうるせえな。お前らの指示通りにするから、爆発したとしたらソレはお前のせいだから」

 

「ぐぅ・・・人を煽るのが憎たらしい位上手ね・・・。良い方にも悪い方にも・・・」

 

 

 

バーダックは魔法陣の中心で座禅を組み、儀式に入った。

 

 

 

 

 

10分後。

結論から言うと、爆発した。

 

 

 

「ふざけるな!!!!!!」

 

「お前の指示が悪い。何だ、『マナの還元』て」

 

「はぁ・・・・・・そもそも、自分の体内に映した力も、一部しか扱えてない分際で複製するのが変な話よ」

 

「あーそう。それに関しちゃ、自覚はある。変身に変化を与える以外、何にもやった記憶ねえし」

 

 

 

倫理以前に、技術の問題だった。

 

 

 

「これは、貴方自身がしっかり修行する必要があるわね」

 

「修行ねぇ・・・。どう言う修行をすれば良い?」

 

「その修行にうってつけの場所を知ってはいるけど、良いの?異変解決に向かわずに、自己鍛錬なんて」

 

「そもそも俺は外来人。俺が居なくても異変解決出来るようじゃねえとダメだろ。それに、俺が行かずとも解決はできるレベルだ。時間はかかるがな」

 

「あら、貴方の幻想郷への評価がそこまで高かったとは驚きね」

 

「ガキや小娘。妙な奴らばかりで頭にくるが、アイツらを甘く見た事は一度も無いんだがな」

 

「はいはい。そう言う事なら、紹介状書いてあげる。がんばんなさいよ」

 

 

 

バーダックは手紙を受け取り、家に帰っていった。金銭を少しと、挨拶がわりの苺大福をたくさん、着替えや生活用具をまとめ、渡された地図を見ながら向かう。

 

 

 

目的地に着いて真っ先に目に入ったのは、立派な木造の門。そこにはデカデカと達筆で趣のある字が書かれていた。

 

 

 

 

 

命蓮寺




よう、バーダックだ。異変解決は、一先ず魔理沙達に任せても大丈夫だ。俺は俺の出来る事を、最大限に活かしてやる。コレで俺も【絶滅祈願】を扱えれば・・・。うげぇ、白蓮さんよ。ソレをやれと?俺が特に苦手にしてるヤツだぞ?ぐぬぬ・・・努力は辛くて当たり前か・・・。
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【仏の顔も三度まで いざ、南無三!!】
絶対に見てくれな。



プロジェクト、終わったあああああ!!ようやく時間が取れる!!そして、ドッカンバトル2周年おめでとう!!ゴッド龍石でブロリー買って、白藍最強チームで超激戦BOSSラッシュ1のSUPERクリアと、波に乗ってきた!!次は、WDOKKANフェスにGTストーリーベビー編。個人的にはGT好きですね。ドラゴンボールは人間には過ぎた力。人間の力ではどうしようもない時、最後の希望としてドラゴンボールがある。アレは心に来たなぁ。他には、超ゴジータ4!!GTは好みがはっきり割れて、嫌いと言う人もいる事でしょう。ですが、そんなアンチの皆さんでも、ゴジータも嫌いと言う方は絶対に居ないと信じてる白藍さんでございます。

余談ですが、最近こんなことに気付きました。
「セルが過去に行くためにトランクスを殺した世界こそ、一番の絶望」
てあるじゃないですか。よくよく考えたら、あのトランクスは緊急停止装置で17号18号を破壊することが出来た事を過去に行って伝えるためにタイムマシンの準備をしてたよね。そこへセルが押し寄せたっていう。
つまりは、Z戦士達はもう誰も残ってない。が、人造人間の脅威も消えているのでは無いか?更に言うと、亀仙人のじいちゃんがまだ生き残ってるわけだし、新たな亀仙流の戦士を鍛えるかもしれないんですよ。つまり、あの世界は全てがリセットされたドラゴンボールワールド。悟空クリリンの後輩達が新しく歩む世界だと!!
どう思いますか?別に作者の解釈なので、本気で受け止めなくても構いません。そう言う意見もあるのか。的なノリでお願いします。

ようやく命蓮寺の登場ですね。お寺での修行ってバーダックにとってどうなんでしょうね?食事制限も厳しいですし、精進料理に手を出すかもwwバーダック、お前もう、料理人になれよ。ぼろ儲けするぞ。

それでは、今回はココまで!!ご閲覧、ありがとうございました!!


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第21話〜仏の顔も三度まで いざ、南無三!!〜

今回より、一部の擬音語をイメージとして扱う場面が現れます。そのまま読むと少々不自然な描写になりがちですが、ご了承ください。


神々の楽園、幻想郷。『楽園の閻魔』の意味を掲げる【ヤマザナドゥ】の名を持つ四季映姫。幻想郷に縁を持つ者の中で、彼女の上に立つ事が出来る者は、片手で数えられる程しか居ない。彼女もまた幻想郷の異変に気付き、仕事の合間を使って調査を進めている。

 

 

 

(やはり・・・閻羅の増殖の速さが異常ですね・・・。これ程に強い力を持つ怨霊なんて・・・)

 

 

 

怨霊の強さの根源に当たる憎しみが尋常でないほどに悍ましい。祟り神と崇められた守矢諏訪子の全盛期をも遥かに上回るレベルだ。幻想郷、結界外の現代にまで調査の手を広げてもみた。しかし、少ししか調べてないとは言え、手掛かりのカケラすら見えてこない。深く調べ直す前に、方向を変えてみる必要がありそうだ。

 

 

 

「フフッ。同じ事をお考えの様ですわね。閻魔様」

 

「以前博麗の巫女にも言った記憶がありますが、生者がこちらにホイホイと来るものではありませんよ。八雲紫」

 

 

 

突然現れたのは、幻想郷の大賢者、スキマ妖怪だ。確かに彼女の能力を使えば、三途の川をすっ飛ばして、ここ閻魔界に来ることも充分に可能である。

 

 

 

「普段、私を敬遠する貴女が、自ら私の眼前に現れるとは、どういった心境の変化なのですか?」

 

「私の愛する幻想郷の異変解決に、協力して頂きたいのです」

 

「異変解決は、博麗の巫女が専門では?そもそも、閻魔の私が異変解決に直接手を下せるとでも思ってるのですか?」

 

 

 

四季映姫は、閻魔という立場にある。故に、何事にも中立である存在。勝手な行動は全て禁じられている。例えば、【世界全域レベルでの非常事態】でもない限りは。この賢者も、閻魔である事がどういう事か、知っているはずだ。

 

 

 

「もちろん、存じております。ですが、どうにも、嫌な予感がするのですよ・・・」

 

「大賢者とあろう方が、そんな理由で動くのですか?」

 

「身勝手とも重々承知しております。その上で協力して頂きたいのです。杞憂であれば、私の恥で構いませんわ」

 

「・・・・・・良いでしょう。杞憂であれば、貴女を死神としてこき使うので、覚悟してください」

 

「感謝いたしますわ、映姫様♡」

 

「もう・・・・・・で、どういった協力を求めているのですか?」

 

「足を運びたい場所があるのです。私自身でも行けない事はありませんが、絶対的なタブーになります。貴女と共に行くのであれば・・・」

 

「はい、分かりました。杞憂であれば、説教48時間コースです。覚悟してください。で、どちらへ?」

 

 

 

 

 

「バーダックさんの故郷・・・・・・【第7宇宙】へ・・・・・・」

 

 

 

 

 

紫が握っていた手を開くと、閻羅の眼球が鎮座していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

随分と大きな景観の命蓮寺は、人里と変わらない木造の建築だ。お寺ということもあり、寺院の奥に見える高台に墓石がチラホラと見えている。死者の埋葬の地として里に認められているなら、確かに権力も人望も厚い様だ。不安が少し和らいだ。

寺は神社と違い、本堂と住居を直接繋げているらしいので、取り敢えず本堂に向かって真っ直ぐ歩いていく。随分と立派な外見だ。

耳を澄ましてみると、右方向からやや騒がしい音が聞こえてきた。方向転換で住居の方(?)に歩き直す。扉の前に来ると、ドタドタと足音が響いてくる。まずはノックでも。と、腕を上げようとした途端。

 

 

 

バン!!!!

 

 

 

横引きの扉が急に開いた。誰か内側から開けたのだろう。ぶつかる程度は覚悟していたのだが、聞こえた擬音は『ドン!!』ではなく・・・・・・

 

 

 

ゴス!!!!

 

 

 

「ぐぅぇ!!??」

 

 

 

鳩尾に、箒の持ち手の様な細い何かでド突かれた様な、鋭い痛みが襲った。急所への完全な不意打ち。ましてや、今のバーダックが身につけている衣服は、プロテクターでなく、布製の道着。

荷物を落とし、うずくまるバーダック。犯人は・・・・・・

 

 

 

「あ、そ、その・・・大丈夫かい、君?しっかり!!」

 

 

 

小さな小さな賢将、ナズーリンだ。バーダックの急所を突いた凶器は、ダウジングロッドだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幽々子様。お呼びでしょうか?」

 

「妖夢〜。お腹空いた〜」

 

「今まさに調理中だったんですがね・・・」

 

 

 

全く、今回ばかりは呼ぶ声を無視するべきだった。急な事で、シジミの淡麗スープを作る手を止めてしまい、完成度が落ちてしまった。もう。淡麗系は、完成するまで絶対に目を離さず、途中で何があっても離れてはいけない、繊細なものだというのに。どうしよう。わずかにでも濁りが入ってしまえば、風味が損なわれてしまう。もう遅い。

 

 

 

「ねぇ妖夢」

 

「何ですか。もう、ラーメンの完成度は7割を切りましたよ」

 

「紫に聞いたけど、地上は大変なんだって」

 

「それが何か?」

 

「バーダック君もいっぱい苦労してるみたいよ?この間、脇腹を抉られたとか・・・」

 

「はい。そうで・・・・・・今、何と?」

 

「えっとね・・・血がドバーッと出たみたい。人間なら、致死量だって」

 

 

 

うん。幽々子は嘘は言ってない。【人間なら】致死量。もちろん、妖夢にそんな詳しい分析は出来っこない。

 

 

「あ・・・はい・・・では、さ・・・作業に・・・」

 

 

 

妖夢は顔面蒼白になり、ガタガタと震えている。見るに堪えない状態まで陥ってしまった。手助けしてあげようか。

 

 

 

「妖夢。一人前の剣士になれば、自らの意志で刀を握る事が許されるわよ。主人の命令無しにね」

 

「え・・・・・・?幽々子様?」

 

「まだ修行中とはいえ、そういった事も経験してみるべきだと思うわぁ」

 

「え、あ・・・あの・・・・・・」

 

「でも、お腹空いたわぁ。美味しいご飯のためなら、いくらでも待つわよ。だから、急いで作ってね♡」

 

「あ・・・・・・はい、了解しました・・・」

 

 

 

妖夢は襖を閉め、頭の中をグルグルさせながら、炊事場へと戻ってきた。離れる際に一度火を止めた寸胴の中身を見る。そこに入っているのは、もう綺麗な完成形を作る事が不可能となった、濁ったシジミ淡麗スープ。余熱で対流を作り、水面に映る自分自身の顔がユラユラと揺れている

顔を少し上げると、火をかけてない隣のかまどに立てかけた二本の刀。

目を閉じ、刀を手に取った。

 

 

 

 

自分の意思は、今どこにいる?自分の尽くすべき主人は、食卓で従者の手料理を待ってくれている。そして、剣を握るもう1人の友が、地上で戦っている。

剣士の心が大きく揺らめいた。例え責務を放棄しようとも。例え主人の命令を無視してでも。

 

刀に誓った友が、危ない状況にある。

 

それだけでもう充分な理由となる。

 

 

 

目を開け、もう一度寸胴の中の淡麗スープを見つめてみる。水面の揺らぎも消え、反射した自分の表情がハッキリと見える。その瞳は、真っ直ぐにキリッとこちらを見つめていた。

 

 

 

「幽々子様。申し訳ありません・・・。お食事、もうしばらくお待ちになってください・・・・・・!!」

 

 

 

妖夢は幽々子に見つからないルートを探そうと、その場でキョロキョロする。最終的に目に入ったのは、煙が籠らないための煙突。幼少期に冒険した時に、イタズラして真っ黒になったことを思い出した。今の体の大きさで通れるかどうか分かるはずもない。が、跳躍で煙突口に手をかけ、真っ黒になりながら、壁との接触で服や体を擦りながら、ガムシャラに這い上っていく。

 

 

 

(絶対に・・・・・・通り抜けてやる!!)

 

 

 

なお、通り抜けるまでに、およそ10分強。綺麗な銀色の髪も無残に汚れ、サードアイの神経がヒリヒリと焼け付くように沁み、お気に入りの衣服も結構ボロボロになってしまう。少女のオシャレと大きくかけ離れた無様な姿だ。妖夢は自分の醜態に目もくれず、地上へ向かって走り出して行った。

一方炊事場では、壁に付着したススが大量に剥がれ落ち、寸胴の淡麗スープへと舞ってしまい、さらにダメにしてしまった様であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誠に申し訳ない。この通りだ」

 

 

 

ナズーリンは客間に案内したバーダックの前で見事な土下座を披露していた。ナズーリンの背後には、命蓮寺の住職【聖白蓮】、毘沙門天代理【寅丸星】が座っている。白蓮は、バーダックから手渡された手紙を読んでいる。星は普段通りのオドオドした表情でいる。

もう、鼠の粗相などどうでも良いバーダックは、土下座する幼女を無視して後ろの住職に声をかける。

 

 

 

「俺の用件は手紙の通りだ。【他者の力を自分の力として扱う】為の修行をつけて貰いたい」

 

「なるほど。『世界を映す程度の能力』ですか。確かに理論上可能ではありますが、現在貴方に時間を割く事は出来ません」

 

「おい。真っ向から全否定かよ」

 

 

 

まさかの門前払い。どうやら印象が悪い様だ。何かしたっけな?命蓮寺で暮らす連中は、目の前の3人の他に6人いる様だが、心当たりが全く無い。なら、態度が悪かったか?部屋に案内され、座る姿勢は正座。うん、分からん。

 

 

 

「貴方の事はある程度噂で耳にしております。どの様な経歴なのかも。その時の癖のためか、他者を見下す傾向にあります」

 

「あ?そういう考えもなるべく変えてきたつもりなんだがな。口が悪いのは直しようがないが、それの事か?」

 

「『他者の力を自分の力として扱う』。この表現から、【支配】という言葉が現れてきます」

 

「なんだそれ。どう間違ってるのか分からん。教えてくれりゃ助かるんだがな」

 

「【世界を映す程度の能力】。それは、自分と違う世界をその身に映す力でしょう。言葉通りに受け取れば、その解釈で構わないでしょう。ですが、貴方がやろうとしている事は、勝手が違ってしまうのです」

 

「面倒だな。それを教えてくんねえかな」

 

「む・・・・・・どうしましょうか・・・」

 

 

 

白蓮は目を閉じ、腕組みをして考える。星は未だにオドオドしている。殿方と対面する事に緊張している様子だ。ナズーリンは、白蓮からも星からも指示がないため、未だに土下座のまま待機している。

 

 

 

「分かりました。貴方に時間を与えます。能力と目的を結ぶ為の答えを考えなさい。正解を私に提示すれば、修行をして差し上げます」

 

「あ、そう。それは有り難いのだが・・・」

 

「どうかしましたか?」

 

「その・・・俺の家だと、魔理沙とかが五月蝿そうでよ・・・」

 

 

 

そう。バーダックは、永遠亭でのやり取りをハッキリと聞いていた。なるべく早く異変解決に来いと言っていた。霊夢とは話をつけたとは言え、魔理沙となれば違う。

 

 

 

『私ら女が戦ってんだ!!遊んでないで、さっさと来やがれ!!』

 

 

 

と怒鳴られるに違いない。あいつらだけでも防衛も巣の破壊も、時間をかければ出来る。新参者は、あまり出しゃばらずに、なるべく彼女らに任せるべき。という意見は、霊夢・永琳・レミリアの了承を得ている。

 

 

 

「分かりました。では、この寺でしばらく暮らす事だけは認めましょう」

 

「お」

 

「うえええ!!??」

 

「ぇぇ・・・」

 

 

 

三者三様の反応だ。

 

 

 

「他にもお客様がいらっしゃいますし、その方々と共に考えることをお勧めします。ヒントも一緒に置いておきますので、ごゆっくりお考えなさい」

 

「ヒントね。ま、その条件は今の俺に最適だ。よろしく頼む」

 

 

 

バーダックは、両手を畳につけ、頭を下げた。口悪くても、礼儀だけは忘れない、いい人(?)だ。

 

 

 

「では、切り上げる前に、もう1つ。お聞きしてもよろしいですか?」

 

「ん。構わねえ」

 

「貴方の発言に、矛盾する箇所があります。その点を詳しく話していただけないでしょうか?」

 

 

 

白蓮が指摘したバーダックの矛盾はこうだ。

『本来この世界の者で無かったバーダックが、積極的に異変解決に乗り出すのはあまり良いことではない』

確かにバーダックの言う通り、現在進行の異変は、バーダック無しでも対応できるレベルである。余所者がホイホイと手を出さずに済むのであれば、そうするべきだ。確かに理にあっている。

一方で、バーダックは異変解決を前線で解決する為の力を得ようとしている。霊夢にしか扱う事の出来ない【絶滅祈願】。彼も扱う事が出来たのならば、彼以上に頼もしい者は居ないだろう。

 

 

 

「更には、貴方はその口で言ったはずです。『幻想郷と共に生きる』と」

 

「・・・・・・・・・」

 

「その食い違いについて、どのように思っておいでですか?」

 

 

 

白蓮は、バーダックの眼を真っ直ぐ見つめる。ここで怯んだり、口籠ったりすれば、それは【面倒ごとから逃げている】と捉えて構わないだろう。命蓮寺は、人妖問わずに全てに平等である事を掲げている。だが、身勝手で自己利益のための卑怯な者は断固としてお断りしている。その様な者が寺に入れば、裏切りによる全滅もあり得るからだ。そんな考えを僅かにでも持つのであれば、この男を寺に入れるわけにはいかない。

普段見せない白蓮の緊張した雰囲気に、星もナズーリンもバーダックの眼を見つめている。

しかし、バーダックは一切怖気付く事なく、一呼吸した。そして、答えを言う。

 

 

 

「確かに、あんたの言う通りだ。側から見れば、面倒な戦いに怯え、理由をでっち上げて逃げている臆病者だ。それは認める。元々は余所者の俺が出しゃばるのもあまり良い事じゃないし、でも、俺も幻想郷の一員だ。さっさと解決に乗り出してもおかしい事でもない・・・」

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

「だが、俺の本能が頭ん中で叫びまくるんだよ・・・・・・『強くなりたい』ってな・・・」

 

「強く・・・・・・ですか?」

 

「俺は幻想郷の一員。それはもちろん認める。だが、それ以上に絶対に忘れてはいけないものがある・・・・・・」

 

「それは何ですか?」

 

 

 

 

 

「サイヤ人としての誇りだ」

 

 

 

 

 

「今は、まあまあヤバイ異変の最中。俺が手を貸すだけでそれだけ早く解決するだろうな。だが、そんな中に俺をより強くする為の餌が目の前にあるんだ。ソレを見捨てたら、俺は一生後悔してしまう・・・・・・」

 

「サイヤ人としての誇り、ですか・・・。その為に助けられる筈の命が散ってしまっても、ですか?」

 

「コレばっかりは、俺がサイヤ人である為の誓いでもあるんだ。誰かが死んで、俺のせいにしたいなら、そうすれば良い。臆病者と言われても、薄情者と蔑まれても、これだけは何があっても曲げるわけにはいかねぇ・・・・・・」

 

 

 

バーダックは白蓮を強く睨み返している。少しばかり気が立ってしまっているのか、超サイヤ人の兆候が現れている。髪がユラユラとたなびき、瞳だけが美しい碧色へと変色している。

僅かに変化したバーダックに、星もナズーリンも只ならぬ雰囲気に少し怯えてしまっている。

そんな中、白蓮は睨み返すバーダックの瞳をジッと見つめ続ける。

 

 

 

「・・・・・・分かりました。貴方の強い意志は充分に分かりました。良いでしょう。ごゆっくりおくつろぎ下さい」

 

 

 

ようやくおっとりとした表情を見せた白蓮。ピリピリとした雰囲気も解け、ナズーリンの恐怖の顔も治っていく。

 

 

 

「では、星。里へと向かいますよ。ナズーリン、お留守番よろしくお願いしますね」

 

「はい、行きましょう。聖」

 

「任せてくれ。ご主人も気をつけてくれよ?」

 

 

 

後で聞いたが、命蓮寺と神霊廟の面子が2日交代で里の警備をしている様だ。恐怖で不安定の人間の心を落ち着かせる為の説法や教えも説いているらしい。

 

 

 

ナズーリンに正解を考える為の部屋へと案内された。そこには先客が。

 

 

 

「おん?ネズミちゃんか。どうし・・・その男は?」

 

「あら?貴方、見覚えがあるわね」

 

「わっわっ!!なんかカッコいいよ♪」

 

 

 

3人の和楽器の付喪神だ。始原のパーカッショニスト【堀川雷鼓】、古びた幻想の琵琶【九十九弁々】、古びた幻想の琴【九十九八橋】。

 

 

 

「聖が、君に残したヒントは、コレだ。後は自分で、もしくは彼女たちとゆっくり考えてくれたまえ」

 

 

 

バーダックがナズーリンから受け取ったヒントとなる物は・・・・・・

 

 

 

 

 

尺八

 

 

 

 

 

ナズーリンをジト目で睨む。

 

 

 

「イヤなら帰ればいいさ。強くなりたいのなら、頑張ることだね」

 

 

 

どうもイヤらしい笑みを浮かべるネズミ。つまりはアレか。こいつを使って演奏しろと。この3人の和楽器と一緒に。

いや、調理は、〈生きる=食べる〉の方程式で、ナイフの扱いはそこそこあった。故の挑戦であった。芸術は全く心得がない。風情や風景を観て楽しむのはまあまあ好きではあるが、自分で創れちいうのか。とんでもない無茶振りだ。オマケに、コレで答えを見つけなければ修行をさせてくれないと。

 

 

 

「・・・・・・やるしかないか・・・」

 

 

 

尺八を手に取り、とりあえず構えてみる。白蓮が使っていたお古なのか、長身の男であるバーダックにはやや小さい。まずは吹いてみる。

 

 

 

デデーン!!・・・ポーピー!!

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「ぷ・・・クク・・・・・・」

 

「おぉ、コレは・・・」

 

「「フフ・・・ど素人・・・」」

 

 

 

バーダックは芸術の心得なんぞ一切持ち合わせてない。が、女共にバカにされた屈辱だけは払拭してやろうと誓った。




よう、バーダックだ。尺八て・・・。いや、マジで何なんだよ・・・。コレをやって何がわかるってんだ・・・。だが、やらねえと白蓮のヤツ・・・。てか、付喪神は良いとして、ネズミにバカにされたのが異様に腹たつ!!ナズーリン・・・今に見てろ・・・お前のその薄ら笑い、吹き飛ばしてやる!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【閻羅が人里へ!? まさかの救世主現る!!】
絶対に見てくれな。



嘘やん。ドッカンフェス中に龍石300個使ったよ?10連ガチャ3回で、1回ボーナスだよ?実質10連×8回分だよ?80回回して、フェス限キャラが、ゴクウブラック(ノーマル)1枚。もう、泣きそうです。こんなにも外す物ですか?自分の運の無さが本当に憎たらしいです。

過去に投稿した内容にとんでもないミスがあったのをお詫びします。草の根の3人に食べさせたハンバーグですが、どうやらイヌ科には椎茸もダメだそうです。どうすりゃ良いのさ。非海産物で、イヌ科も大丈夫で、わかさぎ姫のNGに引っかからない出汁って、他にあるか!?誰か良いのがあったら教えてください!!

後は・・・無いな。良いこと無〜い(泣)。

次回を投稿する頃には、良いことがありますように。
作者の愚痴に付き合っていただき、誠に申し訳ありませんね。

では、今回はここまで!!ご閲覧、ありがとうございました!!


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第0401話〜幻想楽園演舞〜

走ろうぜ幻想郷 世界でイットー秘密の楽園
駆け抜けろ幻想郷 世界でイットー愉快な現世
この世はデッカいカオス也 そうさ今こそエイプリル

愛ラブラブな恋愛も 技バリバリのバトルシーンも
そんなの二の次なんだぜ
事件があればすぐさま拡大 解決しても傷跡残る
アフターケアなぞ消えてしまった

レッツ兎RUN兎RUN兎RUN何見て跳ねる?
穴あり網あり危険な竹林
レッツフランフランフラン暴走中!!
キュッとしてドッカン 満身創痍

飛び出そう幻想郷 世界でイットー手強い奴ら
楽しもう幻想郷 世界でイットーイカしたルール
この世はデッカいカオス也 そうさ今こそエイプリル


バーダックの1日は結構遅い。大体11時に起きる。朝食(?)前のトレーニング後に朝食(?)を軽く取ったら、金と手ぬぐいを持って人里に向かう。

13時〜17時までは、ショタの姿で寺子屋の人外クラスでお勉強。相変わらず、ルーミア・チルノ・布都がやかましい。大妖精・リグル・ミスティアで幼女2人はまあ抑えられる。が、幼女(?)約1名は未だに慣れていない様子。結局バーダックが頭を小突いて落ち着かせる。慧音がやれば良いのだが、バーダックを打ち負かすためにと、寝る間を惜しんで特別テストを作制している。良い加減諦めろ。その為、どうも授業の合間は大抵仮眠をとっている。束の間の休息で心地良さそうにしている為、無理やり起こしてしまった時の頭突きが怖い為、自分たちでどうにかしている。こらそこ。頭突き程度で怖がるななんて言うんじゃない。リラックスモードの戦闘力はたかが知れている。更にショタバーダックの戦闘力は大人時の2〜3割程度に弱体化してしまう。つまりはそう言うことだ。そして、もう約1名は今日もあんまり喋らなかった。

授業が終われば、ぐったりと突沸して眠りに入る慧音を置いて帰路に着く。バーダック時間的には今から昼食に入るため、団子屋にまっすぐ向かう。布都は屠自古が、こころはこの時期一輪という女性が迎えに来る。祭り前は博麗神社で、一月ごとに神子んとこの神霊廟と一輪とやらが住む命蓮寺で寝泊まりしてるらしい。命蓮寺のトップは聖白蓮という僧侶で、神子と仲がよろしく無い。こころは一体どういった位置にいるのだろうか。残った5人は大抵俺に着いて来る。茶屋で2人分を注文し、1人分を5人で仲良く分ける。通常の生活をしているこいつらにとってはおやつ感覚なのだろう。悲しいかな、もはや日課となってしまった。

5人と別れた後は、妖怪の山方向に飛んで行く。ぎりぎり天狗社会のテリトリーに入ってないエリアに建てた(?)家に帰る。薬で身体を大人に戻し、少しの間瞑想する。その後は紅魔館へ向かい、執事長の仕事に取り組む。妖精メイドらへの和食教室、フランの遊び相手、夜組のメイド達と一緒に昼組の朝食の下ごしらえ。バーダック(+夜組)時間的の夕食も日が変わる辺りでとる。コレが基本的な紅魔館での職務だ。

真っ暗な夜を飛んで根城に帰ったら、翌朝の食事の下ごしらえを終わらせ、水浴びをした後に就寝。寝ている間に、磨いだだけのはずの米が炊かれている。聞けば、影狼が俺が起きるタイミングに合わせてやっててくれているらしい。報酬として饅頭を強奪したりもしている。なんだかんだで構ってくれてる様だ。

そしてまた、バーダックの非一般的な1日が始まる・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・うぐ〜・・・体がいてぇ・・・」

 

 

 

重いまぶたを開くと、藁の壁の隙間から侵入する真昼の日の光が瞳に刺さる。未だにハリボテ感が消えない扉を開けると、太陽の光をほぼ真上から浴びる。なんとなくひたいが痛くなるのは気のせいだろうか。

家からほんの少し離れたかまどの様子を見に行く。これまたハリボテ感満載のかまど。良い加減まともなヤツを作ってしまいたいところだ。フタを開けると、水蒸気と米の香りが辺りに広がった。少しばかり堪能してから、再びフタを閉める。

よく見ると、小さい器と書き置きが置かれていた。

 

 

 

『ばんきちやんが山菜をいくつかきさまのために耳又つてきたありがたく思え

女巨がきさまに合たがつてたたまにはかおをだしに未い かげろー』

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

字ぃ汚な。誤字というか、【取】と【姫】のバランスが・・・。

と、器のフタを開けると、ゼンマイの塩茹でが入ってた。若干茹でが甘い感じがするが、まあ良いだろう。

 

 

 

◯いつも通り、朝のトレーニングに行くか

▶︎ゼンマイか・・・・・・我慢出来ねえ <ピッ

 

 

 

まあ、1日くらい休んでも良いか。米を器に盛り付け、椎茸とゼンマイを乗せ、最後に出汁を注ぐ。掻きこんだ茶漬けが、寝起きの体に朝の目覚めを鮮麗にさせる。真昼だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寺子屋に向けて空を飛ぶ。涼しい気候ではあるが、直射日光は相変わらず鬱陶しい。少し飛行を止めて水筒の水を飲もうと腰に手をかける。

が、厄介なのがやって来た。

 

 

 

「あややや、これはこれはバーダックさん。お久しぶりです。突然ですが、最近の寺子屋の皆さんとは如何なるお付き合いを?」

 

 

 

▶︎頭を殴る <ピッ

◯胸を鷲掴み

◯無視

 

 

 

もはや、脊椎反射と言っても良いだろう。文は頭を抑えながら小さく丸まった。空中で。青と白の下着が見えているが、今更そんな物で欲情する気は無い。

 

 

 

「出会い頭の挨拶がゲンコツなんて、殿方のやる事ですか!?」

 

「やかましい。出会い頭にペンとメモ帳を装備したヤツの質問に答えるバカがどこにいるってんだ?」

 

「うぅ・・・取材は本心をさらける事で、信頼関係が生まれるというのに・・・」

 

 

 

目頭にうっすらと涙を浮かべているが、果たして本物か?それすら疑いをかけられるのも中々のもんだろうがよ。

 

 

 

「あんまり時間かけられんからな。さいなら」

 

「あー!?女の子の涙を放ったらかしだなんて!?これは世の中の女性全てを敵に回しましたよ!!宣戦布告と受け取りました!!覚悟してくださいよ!!いつか早苗さんと一緒に殴り込んでやりますからね!!それはもううるさいですよ!!迷惑かけますよ!!ってあー!?本気で無視するおつもりですか!?その気になったら、神奈子様だって・・・マジで行きやがった!!私をここまでコケにするなんて・・・負けませんよ!!いつか、密着取材を完成させてやるー!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

寺子屋の前には、午前中の人間クラスの授業を終えた子供が沢山いる。・・・・・・なんか、見ないヤツが居るな。丸眼鏡をかけた女は人間の生徒には居なかったはずだが。

 

 

 

「にへへ・・・また妖魔本の一ページが・・・ルンルン♪」

 

「あんた誰だ?部外者の侵入は感心しねえぞ」

 

「んな!?部外者なんかではありませんよ!!依頼されて来たのですから。コレです!!」

 

 

 

顔スレスレまでに紙きれを近づけて来た。多分必死な顔をしている。見えないけど。

 

 

 

「むぅ・・・では、名乗らないわけには行きませんね。私は本居子鈴。鈴奈庵で貸本屋なんぞをしております」

 

「貸・・・・・・んで、その本屋さんが何の用だ?」

 

「この紙きれは、妖魔本の一ページです!!人間に混じって、妖怪の子供が寺子屋に勉強しに来てるんですよ。その子が使ったノートを回収してるんです♪」

 

 

 

真昼間から堂々と不法侵入されてるじゃねえか。人里の警備、予想以上の大穴が空いてやがる。それも、人間の子供に混じってって・・・・・・。無害の妖怪が暮らすのは認知されてるとかで稀少性が無いって事かねぇ?

 

 

 

「被害は全く無いのですから、あまり大事にしないで下さいよ?余計な騒ぎは避けるべきですからね・・・」

 

 

 

顔を結構近づけて、ヒソヒソと小さく囁く子鈴。このガキンチョ、事の大きさを分かってねえ。人間と妖怪の関係が博麗結界をどうのこうのって、この様子じゃ理解しても続けそうだな。まぁ、被害が無いのは本当らしいから、見逃してやるか。

 

 

 

「とにかく、せめて人間のガキどもの目の前でとかは辞めとけよ?」

 

「え?ダメなんですか?」

 

 

 

手遅れかよ・・・・・・。関わると後で面倒ごと必須だ。よし・・・・・・

 

 

 

▶︎面倒だ。お帰り願おう<ピッ

○注意を促さねぇと・・・

○危険物は、取り上げてしまおうか

 

 

 

「霊夢が魔理沙の奴に誘われて、里に来てたぞ。見つからんうちに、さっさと行ってしまえ」

 

「うぇっ!?霊夢さん、アレコレうるさいですからね・・・では、失礼しますね」

 

 

 

うん。妖怪関係で追い払うのは、霊夢の名前が一番だ。よし、帰れ帰れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいこら、バーダック。何だコレは?」

 

「面倒だから、何となく思いついたのを書いた」

 

 

 

バーダックに出された、久しぶりの人外クラスと同じレベルのテスト。他のガキどもと一緒に受けた。が、今まで博麗コースをガッツリやらされた為に、低レベル過ぎてもはやもうやる気がない。つか、元から寺子屋に来ること自体嫌だ。だが、慧音の頭突きは思い出したくない程だったので、仕方なく来てやってる。

んで、バーダックが怒られてる問題がこちら。

 

 

 

□肉□食

意味:

 

 

 

『ココで、ボケて!!』とでも言わんばかりのプレッシャーを何故かヒシヒシと感じた。適当に頭を動かして、導いた答えが・・・

 

 

 

人肉過食

意味:ルーミアはお腹を壊しました

 

 

 

そりゃ怒られる。適当にも程がある。むしろ、よくこんなの思いついたな。

 

 

 

「さて。このお巫山戯は、どういう事かな?」

 

「アタマ空っぽの方がアンタを小馬鹿に出来そうだったんでな」

 

「この悪ガキ!!!!」ゴッ!!!!!!!!!!

 

「ぐごぉぉぉぉ・・・・・・」

 

 

 

あががが・・・痛ぇ・・・。だが、いちいち口うるさい慧音に馬鹿馬鹿しい抵抗で、説明し難い妙な悔しさを与えたという、下らない達成感を感じた。バーダックも、平和な平和な楽園の生活で、丸くなっていている。一部ポンコツ化してきているが、日本語が達者になってるが故の言い回しと言えば、どうだろうか。(てか、そういう事にして欲しい)

 

 

 

「んー?私はお腹壊さないぞー?」

 

「はははっ!怒られてやんのぉ!バカだなぁ、バーダックは!」

 

「ルーミアねぇ・・・今度ヤツメを刺身で食べさせようかな・・・・・・ふふ・・・」

 

「み、みすちー?流石に毒は止めよ?ね?」

 

「人肉とな!?やはり貴様、凶悪な妖か!?」

 

「究極の焼肉レストランは、地獄亭だよ♪みんなおいでー♡」

 

「・・・・・・ハラミ・・・」

 

 

 

アレコレ変な言われようだが、もう反応するのも面倒臭い。この中で唯一耳に入る声は・・・

 

 

 

「もう・・・やり過ぎるのは、ダメですよ?」

 

「ん・・・気をつける・・・」

 

「おいぃ!!??私と大妖精との差は何だ!!??」

 

「んー・・・」

 

 

 

○「誰が教えるか、バーカ」

▶︎「まぁ、色々と世話になったからな。あんたと違って」<ピッ

 

 

 

「よし。大きく振りかぶって・・・・・・どおおおん!!!!」

 

「うがあああああああ!!??」

 

「よし。今日はここまでだ。バーダックは明日までに反省しとけ」

 

「おごごご・・・・・・」

 

 

 

頭を抱えて教室の隅で蹲るバーダック。それを心配して駆け寄る大妖精。

 

 

 

「やっぱりさ・・・・・・だよね・・・」

 

「むぅ・・・大ちゃんばかりずるいなぁ・・・私もいつか・・・」

 

「お、リグルにも春が来るのぉ?」

 

「もう!みすちーだって!!」

 

「なになに?春が何だって?」

 

「春の桜って、綺麗だよね。今度の花見はバーダック君連れて行こう♪」

 

「おー、宴会かー」

 

「みすちー、ナイス」ヒソヒソ

 

「私が一歩リードかな?」ヒソヒソ

 

「もー!!」ポカポカ

 

 

 

今日も寺子屋は平和でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら。家主様のお帰りね」

 

「お。バーダック君。寺子屋お疲れ様だな」

 

「おうどん持って来たよぉ☆」

 

「あ、バー君勝手に炊事場使ってるよ」

 

「こんな凄い方達とも交遊してるなんて、凄いですね♪」

 

「・・・・・・ふんっ!!」

 

 

 

大妖怪の八雲一家と、草の根妖怪が一緒にいる。何とも言えない光景だ。

因みにわかさぎ姫だが、赤蛮奇の要望で川から水路を引き、座ってくつろぐスペースを作った。寝てる間に色々やってもらってる訳だしと、お願いを一つ聞いた結果、ドギツイ重労働をさせられた。

 

 

 

「この・・・畜生の分際で・・・お狐様と・・・」

 

「油揚げ・・・流石に7人分も無ぇよ。かき揚げでも作るか」

 

「無視するなぁ!!」

 

 

 

影狼の態度があまりにもアレだ。本人もそのつもりは全くないのだろうが、側から見るとそういう関係にしか見えない。

 

 

 

「あら、野良暮らしにしては、中々上等な包丁ですわね。どちらで?」

 

「ん、コレか?幽霊屋敷の庭師から貰った。あと、吸血鬼の館から貰った物も仕舞ってる」

 

「やはり、和・洋の2種類を自在に扱うのは、圧巻だな。中も加わればもはや敵なしか」

 

「でも、中の文化を持った連中が居ないのが辛いわね。門番は洋に属してるしねぇ」

 

「どこぞの邪仙は、和に染まりきっていますしねぇ」

 

「香辛料っつったっけか?何とか栽培出来ないもんか?唐辛子は絶対として・・・」

 

「オールスパイスがあれば、ほぼ全てで応用出来るな」

 

「うこんは、取れる量が少なすぎる。他に代用できる品は無いか?」

 

「代用ねぇ。枇杷の種でコーヒー作れるわよ?」

 

「コーヒーか。紅茶は匂いが強すぎて苦手だからな。作れるんなら専用道具も揃えるのも・・・」

 

「サイフォンまで使わないにしても、別の用途もある道具があれば良いね」

 

「種を潰せる道具・・・石臼なんてどうかしら?」

 

「流石にそれだけデカイ物を置くスペース無ぇよ。また掘るのか。いっそのこと発酵蔵でも作ってみるか?」

 

「蔵があれば、お酒造れるかもね」

 

「いや、萃香の酒虫酒飲んだら、もう別のモノを飲む気にならんな」

 

「ねえ、猫さん。あの人たちは、どんな高度な呪文を・・・?」

 

「えっとぉ・・・・・・家庭科?」

 

 

 

話の内容も進めるに連れ、徐々に脱線していく。ガールズトークなら日常茶飯事なんだろうが、サイヤ人が入ってるのが物凄い違和感だ。むしろ、ガールズトークをするサイヤ人て居るのだろうか。多分、女性サイヤ人でもやらない。

 

 

 

「このぉ・・・こっちも教えろ!!このバカ猿!!」

 

「あ、これはダメだぞ。葉っぱにだって栄養はあるし、使い道もあるんだぞ?」

 

「おうどん、茹でますね☆」

 

 

 

右手に猫、左手に狐、背後に狼。ケモナー大歓喜状況を、バーダックは冷静に流す。わかさぎ姫は微笑ましそうに、赤蛮奇は友人の挙動にソワソワと、紫はあらあらうふふとお母さんのような微笑みを向けながら。それぞれが4人の調理する現場を眺めている。

んで、紫から爆弾が投下された。

 

 

 

「バーダックさんは、どの動物がお好きですか?」

 

「「!!!!」」←狐&狼

 

「「??」」←猿&猫

 

「「ん?」」←魚&ゆっくり

 

 

 

流石のバーダックでも、この問いの意図は分かる。この場に、猫・狼・狐・人魚・飛頭蛮・隙間と、あらゆる動物がいるのだ。・・・・・・動物?この中からどれかを選べというのだ。

 

なお、【誰か】を選ぶという事までは察せなかったようである。

 

 

 

 

○「狐か?野良狐と結構出くわすし、何となく近いそんざいだし」

▶︎「猫だな。他の動物や飼い主にすら縛られない、自由で気ままな猫が俺に近い」<ピッ

○「狼かもな。一匹狼なんて言葉もあるくらいだし、孤高なイメージがある」

 

 

 

橙は猫が好き(LIKE)と言われ、とても嬉しそうだ。ありったけの笑顔を浮かべ、バーダックにくっつく。

狐は、娘に負けたかのような敗北感に覆われた。狼はなんとなく、本当になんとなくムカついた。

 

 

 

「あーもーギャーギャーうるさいぞお前ら。昼飯・・・お前らの時間じゃ夕飯か。お預けされたくなきゃ、キリキリ手伝え。ココは俺の家だ。俺がルールだ」

 

 

 

みんな静かになった。紫までもが。それほどバーダックの腕前が素晴らしいのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【禁忌】カゴメカゴメ!!!!」

 

 

 

高速で避けていく動きを、完全に止められた。とてつもない高密度の檻に阻まれ、下手に身動きが取れなくなってしまう。

 

 

 

「アハハハハ!!どれだけ耐えられるかな☆」

 

「ったく・・・!!本当に躾の悪いガキだ!!【鏡符】羅生門番!!!!」

 

 

 

バーダックの全身が青くコーティングされていく。そのバーダックへと、フランのスペルが多方向から襲う。だが、バーダックに触れた弾幕は、そのままの勢いで反射されていく。発動を再確認したバーダックはフランめがけて飛び出した。

 

 

 

「アハハハハハハハ、凄い凄い!!このスペルを力押しでなんて、魔理沙でも出来なかったよ!!」

 

「へぇ・・・それは光栄だな!!」

 

「【禁忌】レーヴァテイン!!!!」

 

「【共鳴り】スピリッツ・ソード!!!!」

 

 

 

強大な力を持つ二つの剣が交差し、地下牢はまばゆい光に包まれた。

 

 

 

 

 

「あっはっは!!バーダックも相変わらずだな。フランと進んで遊んでやるとはな!!」

 

「ただ生活するんじゃ退屈で死ぬからな。日常での運動は基本だぞ?」

 

「アンタのソレは死にかねないのよ。聞いてて寒気がするわよ」

 

「良いじゃない、霊夢。本人達が同意してればドンパチやっても構わないでしょ?」

 

「以前、地下牢の天井をレーヴァテインが貫通しましたけど・・・」

 

 

 

相も変わらずパチュリーの本を借りに来た魔理沙、バーダックに捕まった魔理沙を引き取りに来た霊夢、霊夢を引き止めてお茶会を始めたレミリア、お茶とケーキを準備した咲夜。このメンバーでゆったりと雑談をする羽目になってしまった。まあ、咲夜が作ったケーキを食べられるのならと、言い訳を心で叫ぶ。だって、幻想郷(地球)の飯があまりにも美味いから。

 

 

 

「よくもまあ、馴染んでるよなこの男」

 

「何か言いたげだな、コソ泥」

 

「おん?窃盗行為はしたことないんだがな」

 

「諦めなさい、バーダック。このバカは永遠に理解できないから・・・」

 

「せめて、来る頻度を下げてもらいたいんだが」

 

「全く。その程度で根を上げるなんて、サイヤ人もたかが知れるわね」

 

「ぁんだと、ガキィ!!!!」

 

 

 

レミリアの安い挑発に、ストレートに乗せられたバーダック殴りかかろうとする両手を握られ、押し合う状態になる。

 

 

 

「フフフ、仲が宜しいですわ♡」

 

「咲夜、アンタが止めないで良いの?」

 

「バーダックさんはともかく、お嬢様はアレで楽しんでるのよ」

 

 

 

呆れる霊夢はケーキを頬張り、2人の戯れをのんびりと眺めることにする。

 

 

 

「このぉ・・・執事の分際で、私に刃向かうたぁいい度胸ね!!」

 

「辞めさせたきゃそうしてみな!!フランの相手は毎日貴様だ!!」

 

「そもそもアンタは、私たちのおかげで生きていられるのでしょう!?礼儀ぐらいはあっても良いんじゃないの!?」

 

「もう時効だ!!今は生意気なガキにしか見えねえわ!!」

 

 

 

力の差・身長差が重なり、徐々に押し合いに負けるレミリア。横方向への押し合いが、少しずつ縦方向に近づいていく。

 

 

 

「つか、顔が近いのよ!!チューでもするつもり!?」

 

「テメェの傲慢な態度には誅してやりたいがな!!」

 

「ははは!!上手いな、バーダック!!良いぞ、もっとやれ!!」

 

 

 

酒のない状態で騒がしくなるテラス。ギャーテーギャーテーと賑やかな声をBGMに、美鈴が庭手入れを進めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜明け前。紅魔館昼組の朝食の下準備を終えたバーダックは帰宅していた。蝋燭の明かりで起床後に食べる米を研ぎ、就寝の準備に入る。

コレでバーダックの日常的(?)な1日が終わった。明日(?)は寺子屋も執事業も休みだ。冥界に行って、妖夢と剣の稽古にでも行ってみるか。土産に金柑でも持って行ってやるか。アレコレ考えるのを止め、疲労しまくった体を休めるためにガッツリと就寝に入る。

毎日が賑やかで馬鹿馬鹿しい幻想郷。明日はどんなハチャメチャが押し寄せて来るだろうか。




はい。バーダックを主人公としたシュミレーションゲーム【幻想楽園演舞】の体験版は、ここまでとします。続きがプレイしたい人は、こちら!!⬇︎⬇︎

ゲーム名:幻想楽園演舞
対応機種:New ZUNTENDO 4DS
ジャンル:シュミレーションゲーム&弾幕格闘ゲーム
価格:530,000円+税
プレイヤー人数:1人
セーブデータ数:∞
追加アップデート:あり

早期購入特典として、白藍ハートネット先生の本編未使用没イラスト計29枚を収録したディスクをプレゼント!!ちょっとだけ、公開しちゃおっか♪



【挿絵表示】


【挿絵表示】



発売日:20017年4月95日
お問い合わせはこちらまで
株式会社蓬莱アリス
http://www.april-fool.net/hkrn/spec.html






























ごめんなさい。つーわけで、エイプリルフールネタでした。今年の第1発は俺が頂いた!!やったー♪んで、本編は絶賛スランプ中!!わーい(泣)
あのね。プロットありーの、展開ありーの、キャラ配置アリーナなのに、一番重要なシナリオが進まないんだ・・・。一時の平和パートに1500字程度消費したいのに、500すら行かない。んで、息抜きにニコニコで実況動画見てたら、底なし沼でした。助けてー!!!!サムズアップして溺死(焼死)したくなーい!!!!強プレイヤーの技術と編集技術が素晴らしいのが悪いんだ!!!!顔文字すら扱えないレベルだよ、チクショー!!!!!!!!!!

もうね。自分がいかに弱小かを改めて思い知らされました。同時に決心しました。

【将来は仕事しながら、実況動画あげる!!!!!!】

小っせぇぇぇぇ・・・・・・。今時高校生でもやれるっつーのに。



『それは良いが、完結させて下さいね』



うわー。閲覧者さんの声が時を超えて聞こえる。うん。それに関しては大丈夫です。プロットは最後まで完成していますので、ゴールしてみせます!!絶対に!!

後はね、皆様に悲しいお知らせです。俺、白藍ハートネットは、未だに治療法の分からない、不治の病にかかってしまいました。DB症候群と呼ばれています。主な症状は多々あるようで、一つだけ例をあげます。
症状1、ガソリンスタンドの表示・スマホの残り電力・バス電車の到着時刻表などで、【53】という数字に過剰に反応してしまう。
放っておくと、暇をすれば頭の中でアクションばかり考えるようになり、服の選び方も侵食されてしまい、自分も大した事ないのに音ゲープレイヤーを『まだまだ遅い』と低く評価したり、イラストの描き方も無意識に統一化されてしまうなど、脳に影響が出まくります。最悪、夢でどこかの【魔族】や【帝王】や【悪魔】や【魔人】や【異世界の神様】や【セミがメガシンカした様な怪物】等に、毎晩殺され、精神が壊れます。現代の医療機関では、一度感染すると手遅れとまで言われる程、恐ろしい病気です。今後の投稿で主な症状を一つずつあげるので、心当たりのある方はお気をつけください。

では、皆様。こんな小者で無知なド素人の病人が作る作品ですが、応援していただけると、とても嬉しいです。では、今後もよろしくお願いします。閲覧、ありがとうございました!!!!


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第22話〜閻羅が人里へ!? まさかの救世主現る!!〜

注意。今回は本文も後書きも、今までと比べ馬鹿みたいに長いです。
なお、後書きにて重大発表をします。


人里は、現在烏天狗・白狼天狗を中心に、人間に在らざる者が警備をしている。普段の異常時の里の警備は、慧音と妹紅の2人が主だ。時々、白蓮や神子等も見かける。天狗が徘徊する人間の里。こんな状況を歴代の博麗の巫女に見られでもすれば、発狂されかねない。大人でさえ警戒している。そんな中で・・・・・・

 

 

 

「あ、犬のお姉ちゃん!!」

 

「犬・・・って、楓くん?あ・・・無事だったんだね」

 

 

 

犬のお巡りさん・・・改め、白狼天狗の椛と無垢な幼年の楓くんが再開した。団子屋で休憩していたら、楓君の方が椛を見つけた様だ。周囲の大人が動揺する。天狗に4歳の幼子が自ら近寄ったのだ。秋祭りの警備は、主催の姉妹と山の神、計5柱の管理下という事で、そこまで緊張するものでは無かった。が、今回の提案は天狗の長【天魔】によるものだから、安易に信用し切るのも危険だ。

 

 

 

「犬のお姉ちゃんも、大丈夫だった?」

 

 

 

そんな大人たちの不安をよそに、楓は椛に近寄って行く。

 

 

 

「お姉ちゃんは大丈夫だよ。でも、左腕はしばらく使えなくなっちゃった」

 

「どうして?痛いの?」

 

「うん。痛くて、力が出ないの。でも、心配しなくて良いよ。お姉ちゃんは妖怪なんだぞ♪がおー!!」

 

「うー。僕だって、負けないんだから!!がおー!!」

 

 

 

会話だけなら、とてもほんわかする内容である。男の子は未だに妖怪の本質を理解していない。てか、出来る年齢ではない。疑うことなく、純粋な瞳をキラキラと輝かせている。

ビミョーな空気なんかそっちのけで、人間の幼子と白狼天狗が楽しそうに会話している。

 

 

 

不審な黒い影の接近に気がつかずに・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《テー→テー↑テー↓》

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・ぷ・・・ククク・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

《タケノコごはーん・ふりかけごはーん・炊き込みごはーん》

 

 

 

「だははははははははははは!!!!!!」

 

「ちょ・・・八橋・・・そんなに・・・・・・ぷぷ・・・」

 

「バー・・・ダック君・・・ユニー、クな・・・ビート、だ、ね・・・」

 

「ククク・・・タケノコ・・・好きなの、かい・・・?」

 

「私は、コッペパンの派閥なのだよ」

 

「うがあああああああああ!!??テメェら、マジで黙れええええ!!!!」

 

 

 

尺八を手に取ってから、5時間。とうとうバーダックがキレた。だいぶ我慢出来た方だと思う。付喪神供の演奏を何とか再現しようとするが、案の定上手くいくはずもなく、小娘供に散々笑い者にされ、イライラが許容オーバーしてしまった。

 

 

 

「くそぉ・・・コレで何を分かれってんだ、あのツートンカラー・・・」

 

「でも、時間的にもそろそろ良い時間だ。そろそろ聖達も帰って来るだろうし、食事の準備でもするよ」

 

「わっほーい♡お腹空いた〜♡」

 

「ふふっ。相変わらず、楽しそうね」

 

「ネズミちゃん、何を作るんだい?」

 

「お客の要望に応えて、炊き込みご飯かな」

 

「ネズミこら!!!!しつけえんだよ!!!!」

 

 

 

しばらくはバーダックをおもちゃにする為の餌が振りまかれる事だろう。ソコソコ好きだった筍に、トラウマが出来てしまいそうだ。

 

 

 

「ほら、君の料理の評判は噂で聞いているよ。さ、行くよ、悟飯君♪」

 

「ーーーーーーーーーーっっっっ!!!!!!」

 

 

 

何より腹が立つのが、コレだけ挑発されて、殴りかかろうと思えなくなった、自分の変わり様だ。一体どの辺りからおかしくなったのだろうか?せめて、調理の腕で屈服させる事は出来ないだろうか?ある程度免除してもらえないだろうか?

アレコレ考えている間、調理の手元を全く見ずに作業を進めるといった、超絶離れ業を披露し、気付かぬうちに一品作り上げていた。品目は【茄子と筍の甘酢煮】。本気で自分の頭を殴った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平和な時間ほど、恐ろしいものはない。もちろん、通常時は問題なく生活することが出来る。だが、つい先日、秋祭りに襲撃を受け、たくさんの人間が負傷した。そんな時こそ、突如崩れ去って行くかもしれない平和な時間がたまらなく恐ろしくなってしまう。そして今、ソレはやはり突然に現れてしまう。前触れもなく地面に亀裂が入った。何事かと振り向くと、閻羅が現れた。地上の結界を抜けるために、地中を掘ってやって来た。

 

 

 

「バカな!?稗田邸へ逃げろ、人間!!!!」

 

 

 

我先にと、閻羅から逃げようとする里の人間達。

『人里であれば、脅威は無い』

そんな概念が遂に崩れ去ってしまう。周囲にいた天狗達が人間の護衛と、閻羅の足止めに分かれて行動する。大異変の最中で、恐怖と不安で不安定状態だったが、最早パニックを抑える事は出来そうになくなってしまう。

椛は怪我により、避難支援組に配属されている。盾を右腕に装備し、人間を守りながら誘導して行く。が、案の定問題が発生する。楓君が団子屋の中へと入って行くのを目撃してしまう。楓君、呪われてるの!?

 

 

 

「楓君、どうしたの!?」

 

 

 

行く手を阻む閻羅の脚を馴れない右腕で切断し、機動力を大幅に削りながら団子屋へと進む椛。

団子屋の中に到着すると、楓くんよりやや高い女の子の姿が見えた。確か、月子ちゃんだっけ?てか、大人!!足に怪我おった子供を連れて逃げなさいよ!!見捨てられたって、人間不信にでもなったらどうすんの!?いや、実質問題、人間同士がどうなろうが知ったこっちゃ無いが、流石に子供を見捨てるのはどうかと思うぞ!!

 

 

 

「月子ちゃん、掴まれるかい?」

 

「う・・・椛さん・・・」

 

「お姉ちゃん、早く逃げないと!!」

 

 

 

月子ちゃんをお姫様抱っこで抱えて逃げようと外に出る。閻羅の脚はまだ再生していない。避難場所の稗田邸へと走り始める。

閻羅の様子を再確認しようと、走りながら振り返ると、脚が既に半分以上修復されていくのが目に入った。

 

 

 

「はああああ!!??インチキにも程があるでしょうが!!」

 

 

 

この距離では最早逃げ切れない。圧倒的絶望に涙を浮かべる椛。

と、何者かが椛の両脇をかすめた。

 

 

 

 

 

「【ヴィルーダカの剣】!!!!」

 

「【黄金の剣ジパング】!!!!」

 

 

 

 

 

2つの斬撃が閻羅を襲い、凄まじい音が周囲に響く。楓くんと腕の中の月子ちゃんも耳を抑えてうずくまるが、椛は耳を防ぐことが出来ずに、目眩を起こす。

 

 

 

「貴女ねぇ!!私が剣でやるからって、真似しないで頂けませんか!?」

 

「君が真似したのだろう!?そもそも、私は普段から初手はジパングと決めているのだ!!」

 

「演出よりも考えることがあるでしょうが!!人命がかかっているのですよ!!」

 

「ある程度のハッタリは必要だぞ!!僅かにでも時間を作れば、それだけ避難が進む!!」

 

「ひ、聖・・・せめて今回は共闘でも・・・」

 

「太子様!!今はその僧侶に構わない方が」

 

「「引っ込んでいなさい!!!!!!!!」」

 

「「はいいいいい!!!!」」

 

 

 

椛の前に現れたのは、命蓮寺住職【聖白蓮】と聖徳道士【豊聡耳神子】。怒鳴られたのは、寅丸星と蘇我屠自古だ。

案の定仲の悪い2人は未だに口論を続けている。

 

 

 

「仏の道こそ、人々を救えるのです!!気の毒にも思いませんが、ご退場致してもらいますよ!!」

 

「君のような生臭には、神道の導きが理解出来ぬか!!土に還る前の最後の醜態でもじっくりと拝ませて貰おうか!!」

 

「【魔法】マジックバタフライ!!!!」

 

「【光符】無限条のレーザー!!!!」

 

 

 

引っ込みがつかなくなるほどヒートアップする宗派達。部下達はそうでも無いようだが、そんなの知ったこっちゃ無い。凄まじい力を振り撒く2人は閻羅にとって最高の餌でしか無い。標的として一斉に狙われてしまう。

 

 

 

「「邪魔ああああああああああ!!!!!!!!!!」」

 

 

 

2人のスペルはハエのように鬱陶しい閻羅どもに向けられ、一瞬で消し飛んでしまう。喧嘩→邪魔される→一掃→喧嘩のループに入ってしまい、この状態がしばらく続いた。

 

 

 

「あぁ・・・聖・・・あんなに活き活きとして・・・・・・」

 

「はぁ・・・毎度毎度飽きないですねぇ・・・諦めなよ・・・」

 

「うぅ・・・屠自古さぁん・・・ぐすん・・・・・・」

 

「よしよし。苦労してるみたいだね。君は悪く無いさ」

 

 

 

喧嘩する宗派の長2人・それを襲い、即一掃される閻羅・自分が来た意味がなくなり泣く者と抱き締めて慰める者。ギャグとバトルとキマシタワーが同じ現場で発生した。何これ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椛は、人間の姉弟を抱えてひたすらに走っている。閻羅の群れに2度も殺されかけたため、もう臭いは嫌という程覚えた。休暇を使い、里の甘味処にもよく訪れ、地理もある程度理解している。閻羅を避け、なおかつ最短のルートで稗田亭へと歩を進める。片腕はロクに扱えず、見知った人間の子供2人を連れての状況では、もう逃げる以外の選択肢がない。

 

 

 

「もう少しだよ・・・!!楓くん、頑張って!!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

 

この子もかなり頑張る。あれだけ怖い光景を目の当たりにして、パニックにならずに私と月子ちゃんの声をしっかりと聞いているようだ。

と、稗田亭が見えてきた。現在も紅白巫女と白黒魔法使いの結界は充分に効果的のようだ。中の人間の臭いが全く感じられない。寺子屋のハクタクも力を使っているらしい。前にも一度、里全域を覆い隠したことがあるとかなんとか。範囲を狭く絞っている為か、効果がより強く出ていると言っていたみたい。

 

 

 

「・・・・・・・・・今だ!!走れ!!」

 

 

 

楓くんにタイミングを伝え、一気に走り抜ける。距離はおよそ15間強(30m)。100%安全なんて保証はないが、少なくとも、閻羅の匂いは遠い。なんとか逃げ込めるだろうか。とにかく、この姉弟だけでも結界の中に入れてしまえば騒動は一時落ち着く。聖白蓮と豊聡耳神子の2人がいれば、退治は出来るはず。後、少し・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

どおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!

 

 

 

 

 

地面が割れた!?まさか、また地中から!?流行ってんのか、ソレ!?くそっ!!自信があった嗅覚も、こんな状況じゃ役立たずでしかない!!

 

 

 

「あ・・・あぁ・・・・・・」

 

「楓・・・お姉さん・・・・・・!!」

 

(・・・・・・・・・くそっ!!)

 

 

 

椛は月子を下ろし、左腕に匿った。月子はさらに楓を力強く抱きしめる。その2人の上に覆いかぶせるように盾を構える。右手には狼の剣。せめてこいつらと私の衝撃波で、あの2人が気づいてくれたら・・・!!

10を超える閻羅が椛たちに襲い掛かる。

 

 

 

「うあああああああああああ!!!!【天弓牙狼】!!!!」

 

 

 

剣を右手のスナップで素早く回転させる。剣からは鎌鼬が全方位に発生。次々と発生する鎌鼬は、閻羅の進行スピードを削っていく。斬った後から次々と再生を繰り返す閻羅。

 

 

 

「ぐううううううううう・・・・・・この程度じゃ・・・」

 

 

 

普段は【スペルカードルール】という決闘法で応戦している椛。椛に限ったことでも無いが、幻想の住人には霊夢や魔理沙に紫にさえ、ある弱点を抱えてしまっている。『スペルを長時間持続させ続ける』事が出来ない。故に実力者ほどより多くのスペルカードを所有している。鬼の喧嘩のような、肉体のみで暴れるやり方に関してはその範囲では無い。だが、下っ端の白狼天狗である椛ではこれだけの数を相手に、隙を作れるだけの術もスタミナも持ち合わせていない。徐々に鎌鼬の数が減っていってしまい、閻羅の進行を許してしまった。閻羅の攻撃から姉弟を守る為、正面から直撃を喰らってしまった。

 

 

 

「ぶぐぅゎあああああああああああ!!!!!!」

 

「ひっっ!!!!お姉ちゃん!!??」

 

「お姉さん!!!!」

 

 

 

椛の盾も砕かれ、完全な無防備状態の姉弟を閻羅が囲う。

椛は腹を抑えうずくまり、吐血が止まらなくなってしまう。

 

 

 

(く・・・くそぉ・・・万事休す・・・・・・!!)

 

 

 

閻羅の拳が、姉弟に迫っていく。

 

 

 

「「うああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

 

ずだあああああああん!!!!

がっっっ!!!!がっっっ!!!!

 

 

 

椛は衝撃音に耳を疑う。直撃を喰らったからこそ分かる違和感。

【あんな音になるのか?】

椛と姉弟の目に入ったのは・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「はあい♪また会ったね、黒い人」

 

「よくもまあ、大切な行事をぶっ壊してくれたもんだ」

 

 

 

 

 

豊穣の神【秋穣子】と紅葉の神【秋静葉】だ。

 

 

 

「え・・・え・・・?穣子様・・・?」

 

「静葉様まで・・・」

 

「ぐぅぅうぅ・・・穣子殿に・・・静・・・葉殿・・・その子たちを逃がしてやって・・・下・・・がふっ!?」

 

 

 

激痛と大量出血(吐血)により、意識が薄らいでいく椛は2柱に声を振り絞って伝える。

だが、予想していない返事が返ってきた。

 

 

 

「大丈夫。今の私達なら、君らを守りながらこいつ等を掃除出来る・・・」

 

「神様は、本気で怒ってるんだよっ!!」

 

 

 

何を言っているんだ!?いくら神様とはいえ、あの御二方では流石に無理があり過ぎる!!姉弟を助けた時の不意打ちは、正面向かった時点でもう使えない。無茶だ!!

閻羅が再び構え、秋姉妹目掛けて突進する。

 

 

 

「本当だよ。だって・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

こんなにも力が湧いているんだもの!!!!」ばん!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

「は・・・はあああああああ!!!!????なん・・・ぅっがああぁぁぁ」

 

 

 

椛は目を疑った。閻羅の拳を腕一本で容易く受け止めた豊穣の神に。バカな・・・。あんな力、今まで一度も・・・!!萃香殿や勇儀殿に匹敵・・・・・・それ以上!?なぜあれほど・・・・・・

 

 

 

「あたしだって驚いてるよ。こんなにも力強い信仰は初めて・・・それもたった1人の信仰でこうなってるみたい。こんな大変な状況でも、私に信仰を向けてくれる素敵な人が居るんだもの。負ける気がしない!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぶぁあああっっっっくしょいいい!!!!!!!!!!」

 

「急にどうしたんだい?莫迦みたいなくしゃみ晒して・・・寒かったかな?」

 

「黙れネズミ。ただでさえ、口ん中の芋の天ぷらブチ撒けたんだ・・・不機嫌が募る前にその口閉じろ・・・」

 

「あぁ・・・この時期の芋は絶品だからね。流石にそれには同情するよ」

 

「同情もするな。口を縫い付ける前に、塩詰め込むぞ」

 

(ぐうう・・・・・・せっかくこの芋の生産者に感謝込めてたってのに・・・・・・なんか台無しだ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やああああああああああ!!!!!!!!!!」どおううううんんん!!!!

 

 

 

声と同時に穣子を中心に衝撃波が発生した。例年に見る神のオーラは、秋にピッタリのオレンジなのだが、今の穣子は蒼いオーラを纏っている。更には、神以上の何か恐ろしいまでのプレッシャーを感じる。なのに、イヤな感じが一切しない。

 

 

 

(あの蒼い光・・・・・・こんなに、離れているのに・・・不安が・・・薄れていく・・・)

 

 

 

穣子は閻羅の胸元目掛けて拳を振り上げた。低級の神とは思えない程、とてつもなく速く、凄まじいまでに重い一撃。閻羅の上半身を吹き飛ばした。

目の前で衝撃な光景を目の当たりにした楓と月子。だが、穣子に恐怖は一切感じない。何故だろうか。この蒼い光に守られているからだろうか?絶対に生きていられる。そんな予感が・・・否、確信した。

 

 

 

「よくも、大事なお祭りを滅茶苦茶にしたわね!!お仕置きいいいい!!!!」

 

 

 

穣子はイノシシの如く、止まることなく閻羅に突進を続ける。

反対側にいた閻羅たちはまだ残っている静葉に襲いかかる。だが・・・・・・

 

 

 

「舐めんな!!!!」がいいいん!!!!

 

 

 

回し蹴りの要領で体を捻り、足一本で閻羅の拳を止める。

 

 

 

(嘘・・・静葉殿まで・・・!?)

 

 

 

訳がわからない。こんなにも強力な力を持っていたのか!?

 

 

 

「ふふ。皆勘違いしてるんだよね。私の芸術は秋に最高潮を迎える。でも、【脚力】は秋が終わり、冬になろうとする時が1番強くなるのにねぇ・・・っふふ♡」

 

 

 

秋静葉は紅葉の神。秋の季節に、山一面を赤や橙・黄色に変色させ、美しく彩る。だが、それらは全て枝から離れ舞い散っていく定めである。では、どうやって散っていくのだろうか。答えは単純明快【秋静葉が足蹴りで木を揺らし、落としている】のだ。その気になれば、国1つ分の紅葉を、たった一蹴りで全て散らすことも可能だ。使用出来る期間が余りにも狭いが、その瞬間、秋静葉は鬼の四天王【力の勇儀】すら超える破壊力を持つ事となるのだ。

 

 

 

「あんた達が勝手に、紅葉どころか木すら沢山壊していった!!山の芸術を犯した罪、今ここで償え!!!!」

 

 

 

穣子の拳と静葉の脚で、閻羅の体が次々と消し飛び、姉弟への脅威の影が完全に消えていった。恐ろしい閻羅をあっさりと蹴散らしていく秋の神様。その姿に恐怖は無い。椛でさえ、今この瞬間、『この神様に全てを預けても良い』と思える程の頼もしさと希望を感じ取っていた。

何故秋の神様から希望を感じてしまうのだろうか。それは、この世でたった3人、実際に希望を感じた椛・楓・月子でも、その謎を解き明かすことは全く出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第七宇宙・閻魔界。

 

 

 

「閻魔大王様。お客様がいらっしゃいました」

 

「ふむ・・・今は魂は来ておらぬし・・・。良い、通せ」

 

「了解しました」

 

 

 

第七宇宙の死者を裁き、罪人を地獄へと堕とす番人、閻魔。体はとても大きく、威圧感も凄まじい。

 

 

 

「お連れしました」

 

「む・・・?お主は・・・」

 

「どうも。ご無沙汰しております、ヤマヘカトン殿」(補足:ヘカトン=ヘカトンバイオーン。ギリシャ語の〈7月〉の意)

 

「その帽子の紋・・・ヤマザナドゥか。何用であるかな?」

 

「私はただの付き添いです。こちらの賢者があなたに尋ねたいことがあると」

 

「どうも、ヤマヘカトン様。八雲紫と申します」

 

「ふむ。今は問題ないが、いつ魂が来るか分からぬのでな。手短に頼むぞ」

 

「はい。貴方様は過去に、【バーダック】という者の魂を裁かれた事はありますか?」

 

「バーダックとな。過去とはどれ程遡れば良いかな?」

 

「出来うる限りより過去へお願い致します」

 

 

 

ヤマヘカトンはやや渋い顔をした。が、引き出しからパソコンを取り出した。もちろん馬鹿デカイ。安いアパートくらいならすっぽり収まってしまうほどだ。

どうやら、履歴という形で調べるようである。

3分ほどいじってみたようだが、手を止め、紫の方へと向きなおる。

 

 

 

「分かりませぬな。その名前に該当する魂は、閻魔界に一度も来ておらぬ。誰なのだ?」

 

「・・・・・・いえ、心当たりが無いのであればそれで構いません」

 

「む?そうなのか」

 

「はい。そう言えば、興味本位でお聞きしたいことがあるのですが宜しいですか?」

 

「まあ良かろう。言ってみよ」

 

「ヤマヘカトン殿の過去の裁きで、【これ以上居ないであろう罪人】はどの様な者でしたでしょうか?」

 

「ほう。まあ、ワシも長いからな。沢山居て数えきれぬが、ごく最近の者では【フリーザ】【セル】【バビディ】といった所か。特にバビディは、宇宙の神【界王神】様4柱を殺してしまった【魔人ブウ】を蘇らせてな。まさに宇宙全域の危機であった。奇しくも、【孫悟空】【ベジータ】の働きによって、何とかブウを消し去ることが出来たのだ。あの者は下界の者だが、中々に憎めない奴でな。ワシも気に入っておるのだ」

 

「ふむ。閻魔様とあろうお方がそこまで・・・・・・。とても大きく、素晴らしい存在なのでしょうね。少しお聞きしても宜しいですか?」

 

 

 

ヤマヘカトンは次の魂が来るまで、孫悟空・ベジータの武勇伝を話し始めた。あの2人は、後に神話として語られる程の活躍をしている。知らぬ者に存在を知ってもらうことに、一種の喜びを感じている様で、秘書の鬼曰く、

 

 

 

『あれほど楽しそうな閻魔大王様はとても久しぶりです』

 

 

 

とのことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「八雲紫。どうするのです?結局知りたい事は何も分からぬ様では、来た意味がありませんよ」

 

「・・・・・・他にこの宇宙と何らかの形で関わっている場所はないでしょうか?」

 

「相当な無茶を言いますね。相変わらず・・・・・・と言いたいのですが、やはりらしくない。焦っている様ですね」

 

「大賢者として、嫌な予感が治らないのですよ・・・」

 

「・・・・・・・・・分かりました。本来、私ですら独断で入ることを禁じられた場所がありますが、連れて行きましょう」

 

「・・・・・・何故そこまでしてくれるのでしょう?」

 

「貴女の判断は常に胡散臭く、信用出来ません。ですが、結果として世界を常に守ってきています。今回の無茶振りは、その善行で取り消してあげますよ」

 

「ふふ・・・感謝いたしますわ。で、その場所は・・・?」

 

 

 

 

 

「界王神・破壊神ですら禁じられた地獄・・・【破滅の門】」




どうも。東風谷早苗です。なんか魔理沙さんから吠えメールが来ました。『さっさとお前も閻羅退治に来い!!』だそうです。妖怪退治は確かに楽しいです。ですが、今それどころでは無いんですよね・・・。今、山は閻羅とやらとは別の大変な事が起こっているのですよ!!下手すればこちらもまた幻想郷を滅ぼすのですよ!!ここは私が食い止めて見せましょう。心配いりません!!よく言うじゃ無いですか。宇宙人が侵略しようが、ゴ〇ラが現れようが、2012年が訪れようが、【最後に生き残るのは人間】なのだと!!さあ、生き延びて見せますよ!!!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【溢れ出る怨恨 第二次諏訪大戦!?】
ではみなさん、ご一緒に。
幻想郷では常識に囚われてはいけないのです!!!!



今日のDB症候群〜♪
症状2、ドラゴンボールソングのドラム叩いてみた動画で『こいつ、気円斬叩いてるww』と思ってしまう。
こうなっては、もうドラムを変な目で見てしまうでしょう。せっかくバンドのライブを見にいっても、ドラムの人に対して失礼な感情ばかりを思ってしまいます。それでは真のファンとは言えません。病気の初期段階ならまだ間に合います。演奏してみた動画は今後見ないようにしましょう。バンド本人の映像だけを見ましょう。そして、そのバンドが本当に大好きになった時、そろそろ演奏してみたを見るのも宜しいでしょう。

最近になって、マインクラフトを始めました。
起動→山岳地帯からスタート→木が見つからない→夜になって毎回死ぬ→(リアルで2時間)→諦めて世界をリセット→サバンナ・沼地・森の境界線辺りからスタート→拠点を作る(豆腐状態)→『そろそろ鉄が欲しいな』→洞窟が一向に無い→鉄・石炭求めて遠征開始(豆腐放置)→村発見→空き家を占拠(リスポーン設置)→洞窟発見→ダイヤゲット♪→マグマダイブで全ロス→まさかの村の真下にダンジョン発見!?→ダイヤに鉄に金にレッドストーンにヘカテア姐さんゲット→未だにダンジョン完全制覇ならず→洞窟内に仮拠点(リスポーン)設置→(リアルで2日後)→まだ終わらぬぇ・・・
といった感じです。鉄を求めて、何やってんだ俺。いやあ、今回の泥沼は本当に楽しいです。もう止まらねえぞ。

最近、アンパンマンにもハマり始めました。コラそこ。ガキって言うな。ニコニコ動画で、「アンパンマン トラウマ」で検索してみろ。最近のは知らないが、昔のアンパンマン映画のボスキャラ、マジで怖いから。園児向けのデザイン&スペックでは無い。ドロンコ魔王なんか、作品を絶対に間違えてるから。砂男も恐怖過ぎるって。映画館で泣き出す子供が続出したのも、納得できるレベルです。映画の主題歌も神曲だらけです。【ぼくらはヒーロー】、普通にかっこいい曲でもう抜け出せません。【手のひらを太陽に】や【勇気の花が開くとき】も素晴らしい歌で、最近は街中でも口ずさみながら歩いてます。ロケットアンパンチのかっこよさは、もはや麻薬レベルです。一度見てしまえば、その魅力から抜け出すことは2度と出来ません。ロールパンナちゃんが登場すれば、それだけでテンションが上がります。特にロールとローラの作品は涙が出ますね。
何が言いたいかと言うと、もうアンパンマン大好きです。

ドッカンバトルにて、必殺技レベルMAX・潜在全覚醒がついに出来ました。【超悟空Jr.】です。流石完成形。能力値も圧巻ですね。強い強い。ガチャでは、知属性ゴジータ求めて超悟空4・力属性超バーダックを引き当て、仮面のサイヤ人求めて体属性悟空ブラックを引き当てると言う、運が良いのか悪いのか・・・。自分の中の運の割合がおかしいのは前からですが。



近況報告はこれくらいですね。ではここからお知らせです。活動報告の欄にて既に公表はしておりますが、この場で改めて発表致します。
しばらくの間、執筆活動を完全休止とします。期間は正直分かりません。
前回は番外編だったため、本編の続きを3ヶ月以上も待たせておいて、何いってんだこいつ。と、機嫌を悪くする閲覧者様もおられるでしょう。ですが、一応言い訳を言わせてください。理由を伝えれば、多分許してくれると信じております。

実は、現在とある挑戦をしています。現在進行形で続き、先程の宣言通り、いつ終わるのか見当が付きません。
挑戦内容はこちら↓

【東方天空璋のキャラを本編に登場させる】

無謀にも程がありますね。まだ体験版しか出てないと言うのに。現在、三ボスまでが発表されています。3人ともこれまた個性豊かで魅力的ですね。んで、次回予告通り、次は妖怪の山での展開を予定していますが、早速【坂田ネムノ】を登場させようかと考えています。
ですが、三ボスまでの情報だけで執筆をするのは諸刃の剣どころではありません。むしろ、1枚の刃物を握るようなもんです。なので、天空璋キャラの考察のために、以下の通りの期間を取ります。

【東方天空璋】製品版無事発売→作者がキャラと異変の概要を充分にまとめる→ウィキ等での設定と照らし合わせ、固定する→現在のプロットに全キャラを無理やりにでも埋め込む→執筆再始動→最新話完成→ネットなどである程度認知度が上がる→最新話投稿

といった具合です。なので、下手すればさらに数ヶ月延びるかもしれません。しかし、この作品では、ある絶対的縛りが存在するのです。公表するつもりは全くもってありませんでしたが、この際なので発表します。
縛り内容はこちらです↓

【win版以降の東方キャラは、全て登場させる】

この縛り上、新作が出たのであれば登場せざるを得ないのです。まだ自分の嫁が出てないと嘆くあなた!!あなたの嫁が活躍する時が来るまでお待ちください!!今回の秋姉妹の様に、予想もしない様な活躍を準備致します。
『全キャラって秘封倶楽部はどうなの?』
ですか?んふふふふ・・・さて、どうでしょうねぇ・・・・・・。



これで活動報告も以上とします。前書きにも書きましたが、今回はどえりゃあ長くなりましたね。本文は今まで6000字を超えることは一回しか無かったのですが、今回は8000字を超えてしまい、後書きまで2000字オーバーです。ナズちゃんに『莫迦だなぁ』と言われたいです。『馬鹿』でないのがミソですよ。
では、今回はココまで。宣言通り、次に会えるのはいつになるのでしょうか・・・。みなさん、白藍さんとバーダックのことを忘れないでいてくださいね!!ご閲覧、ありがとうございました!!


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第365話〜1周年特別企画という体で主人公達が楽屋裏で愚痴るだけの駄文〜

前回、活動休止と言いましたが、タイトル通り、最後にコレだけやっておきます。皆さんも一緒に振り返りましょう。


「だーっ!!疲れた!!寺子屋で退屈なお勉強の後は面倒臭い紅魔館での仕事。休みの日くらい、ゆっくりさせてくれんのか!!」

 

「うるっさいわね。私だって、お賽銭が一向に入らないから腹が痛いわよ!!人間、空腹すぎても腹痛を感じてしまうのよ」

 

「ちくしょぉぉぉ・・・どいつもこいつも私を盗人みたいに言いやがって・・・借りてるだけじゃねえか・・・」

 

 

 

といった具合に、博麗神社のちゃぶ台で、主人公3人組が陰気なオーラを出しながら愚痴を吐いている。彼らの苦悩は最もである。なにせ、作者が

 

『こーだったら、面白い展開になるな☆』

 

という感じに、全キャラを物語に合わせて二次設定を作っているのだ。2UNさんの設定を大きく改変しすぎない様にしてはいるものの、やはりそこは人の好み。不快感を与えてしまう者もいるのだ。更には、作中での評判が悪くなっている者も居たりするのである。

 

 

 

「そもそも、何で俺幻想入りしたんだっけ?」

 

「アンタが爆発起こしたからでしょうが。ベリー君に別れを言わずに勝手にした罰よ」

 

「つか、お前は女性に対する接し方もなっちゃ居ないな。せっかく女だらけの世界なのに、そんなんじゃ嫌われるな」

 

「子供が嫌いなのもダメね。多少は良いかもだけど、アンタのは度が過ぎるの。目の前で転んだ子供ですらスルーってどうなの?」

 

「そもそも、50倍って何だよ!?そこまでインフレする必要あんのか!?しかも2は更に2倍、3はそれの更に4倍て!!」

 

 

 

ギャーギャーと騒ぐ紅白と白黒。カニ頭は不機嫌そうな仏頂面をあげて2人を睨んだ。

 

 

 

「あのガキは、もう独立したろうが。アレで寂しくて泣くんなら、それこそ成長しないクズだ。余計にでも突き放すに決まってんだろうが」

 

「んなっ!?」

 

「女だらけでそれが何だ?こちとらサイヤ人だ。性欲なんぞ、食欲と戦闘欲の前じゃ、ちりに等しいわ」

 

「うぇえい!?」(←敗北感)

 

「目障りなガキは嫌いだ。だが、きちんとした礼儀正しいガキは希少種だからな。例をあげれば、大妖精だな。貴様よりも良い子だぞ、霊夢さんよぅ・・・」

 

「妖精に負けたぁ!!??」

 

 

 

 

 

「へくちっ!!」

 

「だ、大ちゃん?寒かったかな?」

 

「え・・・ううん、大丈夫だよ」

 

「えへへ・・・よーし、氷鬼続けるよ!!」

 

 

 

 

 

「50って言われても、本人にゃ実感ねえよ。つか、俺は2にも3にもなれんわ。ここは白藍郷。ヒーローズじゃねえんだからな。俺を妬むんじゃなくて、自分の生まれを憎め」

 

「・・・・・・・・・・・・ぐすん」

 

 

 

散々言われてしまった。魔理沙なんか、ちゃぶ台から離れ、部屋の隅で乃の字を書いてる。『の』でなく、明らかに漢字で書いてるぞ、アレ。なぜ漢字で書くのか?作者の粋なギャグサービスです。

 

 

 

「本当にさぁ・・・何でこんな奴がここの主人公なのよ・・・こんなにも口が悪くて暴力的なの、私作りたくない」

 

「何でこいつが、本家で上位人気キャラなんだよ・・・初登場の話の最後であっさり負けたくせに・・・」

 

「お前ら、仮にもこっち側の主人公だろうが。そういう陰気過ぎるのは良くないと思うぞ」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」<◉><◉>ジトー

 

「ったく・・・なんか食うか?作ってやるから、その眼やめろ」

 

「「はい!!良い子に待ってます!!」」<♡><♡>パァァァ

 

「・・・・・・」

 

 

 

チョロインかお前ら。

楽屋裏だろうが、バーダックの料理の腕は健在です。今日の献立は、御飯・味噌汁・芋の天ぷら・ほうれん草のお浸しです。

 

 

 

「うまー♪流石バーダック!!最高だぜ☆」

 

「あんたの調理の腕はどこまで行くのかしら?」

 

「さあな。参考にしてるのはジ。ンプの料理漫画と日曜夜のDA5Hが主だな。たまに作者本人の自作もあったりする」

 

「メタ過ぎる。てか、さっきからだが伏せ字と思っているそれ、どうなの?」

 

 

 

作者の粋なギャグサービスです。

 

 

 

「まあ、本編じゃルナルナと妖夢に教わったから、基本はそれの応用だろうな」

 

「ルナルナといえば、この作品、モブにも名前つけてるわね。楓とか」

 

「タダでさえ全キャラ出すらしいが、その上にオリキャラは辛くないか?」

 

「文字だけだけど、過去話で旧作の理香子に夢美。私の旧名の靈夢まで出たわね。これなら魔梨沙とか出・・・」

 

「あああああああああああああああああ聞こえない知らない聞きたくないいいいいいいいいい!!!!!!!!!!」

 

「うるせえ!?どうした、こいつ!?クラウンピースでも居んのか!?」

 

「大丈夫よ。ただの発作。後、そのピエロ、本編に名前すら出てないから、メタ発言にも限度は守ってね」

 

 

 

知ったこっちゃないです。楽屋裏なんだし、今回だけはやりたい放題やってやりますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜1年間を軽く振り返って〜

 

 

 

「色々あったもんだな、この1年間」

 

「本編中では夏始めにアンタが幻想入りして、最新話が秋の終わり頃だから・・・・・・」

 

「だいたい四ヶ月だな。やっぱり、本家の悪い奴を引き寄せてしまう体質、お前の遺伝だわ」

 

「絶望を呼び寄せながら、一方で希望を与える男ねぇ・・・。実際に希望を与えたのって誰よ?」

 

「あー・・・・・・妖夢に生きる希望を与えて、秋穣子を通して人間のガキ姉弟と犬走椛・・・」

 

「少なっ!!つーか、妖夢のは料理を手伝っただけじゃねえか」

 

「うるせえ。アレだけプライドをオモチャにした挙句、客4人分の追加調理だぞ。俺、記憶ぶっ飛んでんだぞ」

 

「ピンクの悪魔No.3にでも言いなさいよ。アレだけ食べられるなんて・・・・・・パルパル・・・」

 

 

 

No.1は吸い込むピンク玉、2は再生魔人です。

 

 

 

「1年かぁ。投稿日の時間まで完全に一致させるあたり、拘りがあるんだろうな。1年前といやあ、未来トランクスが帰ってくるよりも前だろ?」

 

「む、もうそんなに前なのか」

 

「悟空・ターレス・アンタ・悟天・悟空Jr.と、充分すぎるってのに、まーた同じ顔が現れたアレね」

 

「あの段階から既に悪や霊といった変身は、プロットにあったんだが・・・」

 

「あのロゼね。ロゼってよく分かんないけど、身近な物でロゼ色ってどんなんなのかしら?」

 

「しゃぶしゃぶする時、とろける位の絶妙な半なま状態があるだろ?アレが近いらしいぞ」

 

「肉てww食欲のサイヤ人は伊達じゃねえってか!!」

 

「私の鍋は、どうせ豆腐オンリーよ・・・・・・」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

〜色恋要素について〜

 

 

 

「お前と大妖精の誤解を生むあの会話、最近見ねえな」

 

「無茶言うんじゃねえ!?バリバリのシリアス中にあんなもんやるか!?」

 

「神子との将棋の会話、アレは傑作ねw何あの完成度ww」

 

「やかましい!?楽屋裏だから言うけどな!?アレ、言葉を考える時点で小っ恥ずかしいわ!!」

 

「『ぅあ・・・俺の・・・金・・・』」

 

「止めろおおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

「アンタも芸人要素を上手に吸収してるわね」

 

「てめえら・・・・・・収録終わったら、しばくから覚悟しとけ・・・」

 

「てか、これを最初に言うかwこれじゃ、後の話題が霞むぜ?」

 

「色恋っつったら、アレね。フラグ」

 

「大妖精と妖夢は確実として、他にソレっぽいのは、雇い主のレミリア・専属遊び相手のフラン・先輩メイド長咲夜・担任の先生慧音・敵意むき出し影狼・作者の嫁補正藍といった感じだな」

 

「追加アップデートで増えそうなヤツは・・・新聞記者の文・出張先のお姉さんの妹紅・喧嘩仲間の萃香。これくらいね」

 

「じゃかあしい!!何が悲しくて、攻略せにゃならんのか!?嫁がいて、ガキ2人どころか、孫が2人に曾孫まで居るんだよ!!」

 

「へぇ〜・・・ゼノバースで、ギネさんに不器用な愛を語るようなお方がねぇ・・・」

 

「そういえば、幻想楽園演舞だっけ?アレやりたい!!530000円貸してくれ!!利子はいくらでもつけていいぜ!!死んだら返す!!」

 

「やっぱり、今から締め上げたらああああああああ!!!!!!」

 

「「あああああああああああああああああああああ」」

 

 

 

頭を拳でゴリゴリされる2人。アレ、痛いんだよなぁ。

 

 

 

〜イラスト・挿絵について〜

 

 

 

「最初のバーダックのあの髪、ビックリしたぜ」

 

「インパクト絶大だったわ・・・」

 

「うん・・・アレなぁ・・・・・・【現実でもセットすれば再現可能】を追求した結果らしい・・・・・・」

 

「自分で描いて、勝手に違和感覚えて、結果普通のに戻したんだもんね」

 

「大妖精が裸になってたアレ、どう言う状況だったんだ?」

 

「いや、流石にあれは分からん。本人もなんであーなったか覚えてないらしい。ラフ〜完成まで、3週間。何があったのやら・・・・・・」

 

「デジタルに手を出し始めたのも意外と最近ね。アナログ時代に買った24色の色鉛筆がゴミになった瞬間」

 

「あの小傘の絵の事件なwwエイプリルネタ一番乗りー♪とか言っておきながらww」

 

「そうだな。流石にあれは酷い。専門学校の授業が始まるまでの約10日、自己嫌悪で飯・事前活動以外は、完全に引きこもったらしい」

 

「その結果昼夜逆転して、学業に一部影響してしまってたなww」

 

「アンタら、そこまでにしなさいよ。作者はもちろん、閲覧者の一部がすごいブルーになってるのよ。ほら、絵の話題なら、もう1つあるでしょ?」

 

「【高月弾】先生か。人生で初めて支援をした方だな。俺と悟飯のテレビスペシャルっつー共通点もあってか、構造はアッサリ決まったのを覚えてる」

 

「衣装チェンジは、やっぱりお手軽よね」

 

「でも、あんまりこの話題は辞めといた方が良いぞ?あの時は支援イラストを掲載したが、一応あれ無許可だぞ。今回も」

 

「あの時はなぁ・・・ハーメルン歴・・・いや、ネット活動自体半年程度のペーペーだったからな。サイト内でメールを送れる機能知らずにアレだ。【製作者】としてのルールは把握しきれてなかったわ。サイト自体の設定とかな・・・・・・小傘ェ・・・」

 

「まだ落ち込んでんのか!!」

 

「小傘ねぇ・・・本編に出てないのにいきなりでしょ?好きなキャラ2位なの?」

 

「3位みたいだ。2位は鬼人正邪の様だ。特に貴人聖者がお気に入りとかなんとか」

 

「ほーう。んじゃ何か?その2人もなんらかの形で、特別な活躍でもさせんのか?」

 

「正邪は既に設定も登場から活躍の仕方まで決まってるみたいだ。問題はなぁ・・・・・・」

 

「あの可愛いだけのオッドアイか・・・・・・閻羅どもを相手に・・・無理だ、イメージ出来ん・・・」

 

「安心しなさい。本人もどうするか未だに葛藤中みたいだから」

 

「つーか、ちょうど良いところだから、話題表示を変えるぞ」

 

 

 

〜全キャラ縛りについて〜

 

 

 

「バカね」

 

「無謀だな」

 

「失踪乙」

 

 

 

おいいいいいいいいいいいい!!!!????

 

 

 

「何人いると思ってんだか。win版だけで3桁いってるわよ」

 

「未だ未登場キャラにアリス・さとり・ぬえって、ヤバイだろ。暴動起こるぞ」

 

「新キャラのエタニティラルバを見た瞬間、幼女相手に一目惚れよ?ニコニコやpixivで漁ってるみたい」

 

「【ラルバちゃん】って溺愛してるあげく、大⑨州祭で色紙を見つけるなり速攻で買いやがった」

 

「おまけに妖精メイドに人間姉弟、プロットだとモブカッパや天魔にまで固有名と軽い設定作る予定とか」

 

「軽い設定って、どれ位だよ?」

 

「身長とオリジナルスペルは確定って言ってた」

 

「はい、病気確定」

 

「なーにが【絶滅祈願】よ!!どれだけオリジナル組み込む気なのよあいつ!!!!」

 

「全キャラ出す時点で、一番気になるのが、秘封倶楽部の2人だな。今後の展開からどうなんのか全然予想出来ないぜ?」

 

「まあ、予想出来ない展開が上手いのは認めてやれよ。秋姉妹のアレ、誰が予想出来た?」

 

「あぁ・・・確かにアレはなぁ・・・・・・まずあり得なかったな。あいつらがバトルもので最前線に出るなんて・・・」

 

「うーん。とりあえず、ゴミの頭の中にしか無い事なんだし、閲覧者さんが不快感を覚えてしまわれない事だけを祈りましょうか」

 

「ま、病人の戯言なんざ、知ったこっちゃ無いしな」

 

「クズがクズなりに頑張るのは嫌いじゃねえからな。適当にエールしとけ」

 

 

 

アンタら酷いな!?一応白藍郷の主なんだから、愛情を込めてなんかしてよ!?お茶を出すなり本を見せてくれるなり飯作ってくれるなり!!

 

 

 

「さーて。アガサクリスQ先生の新刊借りに行こうっと」

 

「こーりんの新しいアイテムでも物色しに行くか」

 

「草の根3人と餡蜜食いに行くんで」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・。

 

 

 

「大丈夫?どしたの?」

 

 

 

こいしちゃんなら愛情込めて応援してくれるよね!?東方勢のキャラの中で、登場話数ダントツにしてあげてるんだよ!?第6話から皆勤賞だよ!?ね?こいしちゃんは俺の味方だよね!?愛情込めて!!伊東なライフ先生みたいに!!

 

 

 

「くたばれ♡くたばれ♡」

 

 

 

ばあああああかああああなあああああああああああああああ




皆さんのこの1年はいかがだったでしょうか?東方もドラゴンボールも大好きで、友人に教えてもらって出来心で始めた投稿ですが、満足していただけているでしょうか?最新話の投稿、本当にいつになることやら。バーダックが失踪乙なんざ言ってましたが、そんなん知らん!!プロットが完成している以上、形にせねばこんな勿体無いことはない!!見てろよ、あいつら。俺を散々バカにしやがったこと、後悔させてやる!!最高の活躍の場と、予想を裏切る素晴らしい展開と、みんな笑顔のハッピーエンド作ってやるからな!!・・・・・・あれ?なんか日本語がおかしかったような・・・まあ良いか!!

皆さん、これからも応援宜しくお願いします!!では、改めて、活動休止期間に入ります。復活のその日まで、少しの間お別れです。新キャラ【坂田ネムノ】登場予定の次回まで!!アデュー!!


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第23話〜溢れ出る怨恨 第二次諏訪大戦!?〜 【天空璋始動SP】

光る雲を突き抜け天子(天子)体中に古傷だらけだ
フランびっくりして手を握る(握る)紅魔館爆発させる

溶けたそばからチルノ カエルは見た無邪気な妖精の笑顔

橙藍 HEAD 橙藍 何が起きても気分はカッパカッパにとり
橙藍 HEAD 橙藍 胸がパッドパッドするほど騒ぐ咲夜さ(ぴちゅーん)
橙藍 HEAD 橙藍 頭ピンク色の方風評被害
橙藍 HEAD 橙藍 笑顔売る虎 ナズーリン「今日もMA・TA・DE・SU・KA!?」
南無三


「何事だべ、此奴ら?」

 

 

 

兎と蛇を捕らえ、根城への帰路についていた坂田ネムノ。目線の先には、人間だけでなく妖怪の界隈でも話題になっている閻羅が二体。爪を構え、こちらを狙うチャンスを伺っている。

何度も生きた状態の動物を捌いてきたから解る。棍棒に力無く吊るされている、内臓の処理をした獲物たち以上に、眼が死んでいる。こんなにも濁りまくった眼は初めてだ。悍しいほどの瘴気を放つ閻羅を眼の前にして、ネムノはこう言い放った。

 

 

 

「お前ら不味そうだな。食ってやらねえから、どっか行ってくんろ」

 

 

 

興味なんぞ無い。あるものといえば、最近燻製にはまっているのだ。今日の獲物を早く帰って燻してやりたいが、目の前の黒い妖怪が邪魔で仕方がない。鉈を突き出し威嚇するが、どうやら無意味らしいのを感じ始めてきた。

 

 

 

「しつこい輩は嫌われるべ?掻っ捌いて、燃料になりたいかえ?」

 

「「ぅぅ・・・ぐぎぎぎぃぃぁぁああああ・・・・・・」」

 

 

 

言葉すら通じていないようだ。これ以上時間を食うようでは、折角捕らえた獲物の鮮度が落ちてしまう。内臓を全部落としたとはいえ、時間がかかりすぎては、腐ってしまう。無視して帰ってしまおう。

が、やっぱりそう簡単に通してくれるはずもなく、腕を振り下ろしてきた。バックステップで躱した元足場は、ひどい抉れ方をしている。

 

 

 

「おいおい・・・こんな危険な腕、他人にぶつけるもんでねえべ?」

 

 

 

ネムノは、裸足でとは思えないほどの跳躍で閻羅に接近し、二体分の両腕を全て斬り落とした。着地に成功し、使用した鉈を見てみると、黒い体液がジュワジュワと不快な音を立てながら蒸発している。

 

 

 

「うげぇ・・・コレ、錆びたりしねぇよな・・・?」

 

 

 

見た目から分かる通り、コレは鉈に対してのダメージが大きい。すぐにでも手入れしなければ、使い物にならなくなる。とっとと帰ってしまおうか。

 

 

 

「「ぐぎいいああああああああああ!!!!!!!!」」

 

「うるさいべ!!!!!!」

 

 

 

ズパンっっ!!!!

 

 

 

と、大きな斬撃音と共に、閻羅の首が吹っ飛んだ。そして・・・・・・

 

 

 

「ぎゃああああああああああああ!!!???つい反射的にやっちまった!?」

 

 

 

愛用の鉈にとどめを刺してしまった。襲ってくる敵に対しての条件反射には勝てず、首を目掛けてバッサリと斬りつけてしまった。場所が場所だけに、先ほどとは比べ物にならない量の体液が、鉈を蝕んでいく。

 

 

 

「どうするべ・・・・・・これからの生活・・・・・・・・・ぐすん・・・」

 

 

 

割と本気で落ち込んでしまったネムノ。久しぶりの復活の冒頭と、新キャラ登場のめでたいシーンは、鬱気味に終わるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山、山頂付近。博麗とは違うもう1つの神社。外の世界から湖ごとダイナミック(迷惑)なお引越しを経て幻想郷へとやって来た、守矢神社。祀る神は、山の風雨の神【八坂神奈子】・土着の祟り神【守矢諏訪子】・奇跡の風祝【東風谷早苗】の3柱。皆それぞれが位の高い実力者である。

閻羅が幻想郷を襲っている中、彼女たちは何をしているのだろうか・・・・・・

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・ぁぐぅぅぅ・・・・・・」

 

「辛いか?諏訪子?」

 

 

 

諏訪子が鉄製の鎖で拷問されているかのような姿勢で拘束されていた。鎖のあちこちに符が貼られており、諏訪子を中心に魔法陣が描かれ、社の扉にも符と結界が何重にも架けられている。

 

 

 

「なんとか、耐えていてくれ・・・最悪、この異変が終われば楽になれるからさ・・・・・・」

 

「う・・・がぁぁ・・・・・・がな、こぉぉ・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・水を持ってくるから、少し待ってな・・・」

 

 

 

神奈子は社を出た。扉を一旦閉め、諏訪子の視界から完全に消えたところで、糸が切れたかのように崩れ落ちた。

 

 

 

(ぜぇ・・・ぜぇ・・・側にいるだけでこんなにも身体が・・・・・・諏訪子のやつ、どれだけの苦を・・・・・・)

 

 

 

御柱を召喚させ、杖の様に身体を持たれ架けながら井戸の方へと身体を引きずる神奈子。普段の勇猛な姿からは想像もできない弱り様だ。

彼女たちの間に、一体何があったのだろうか・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「天魔さん!!度々すみません!!術符の追加下さい!!」

 

「またなのか早苗ちゃん・・・。1日に3回も来られたら、私も疲れるのだけど・・・」

 

 

 

天狗社会の頂点に君臨する天魔(女性)。190cmの巨体と顔を隠す不気味な面故に、部下の天狗にさえ恐れられる存在が、寒い時期にも関わらず、ふんどし一丁でベッドに腰をかけ、団扇を力無く振っている。足元には、kgはあるであろう重ね着するタイプの衣服が乱雑に散らかっている。着込み過ぎて暑かったのだろうか。

 

 

 

「どうせ今やることが無いのなら、お願いします!!今現在の危機的状況はお伝えしたはずでしょう!?」

 

「あー分かったから分かったから。耳元で怒鳴らないでおくれ・・・・・・」

 

 

 

早苗を掴んではポイっと投げ捨て、ゆっくりと立ち上がる天魔。印を組み、10単位の符を大量に生産する天魔。真剣な表情と身体を包むオーラが、とても神々しい。半裸だけど。

4分ほどで170枚の符が完成し、早苗に手渡す。

 

 

 

「なんども言うが、コレは現状を抑えるのを支援するだけの符だ。いずれ諏訪子ちゃんにも効かなくなってしまう。早めに打開策を見つけるんだよ?私も出来る限り協力するから・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「どしたの、早苗ちゃん?」

 

「諏訪子様・・・・・・助ける方法は・・・」

 

 

 

早苗の眼から、大粒の涙が溢れ始めた。いつも元気で楽しく奇行・・・・・・はしゃぐ早苗から大きくかけ離れ過ぎた姿に、つい息を飲んでしまう天魔。不謹慎だが、少し可愛いと思ってしまった。

それはさておき、一息置いて早苗の眼を見つめる。

 

 

 

「諏訪子ちゃんの中に居る祟り神の本性が閻羅の憎悪を吸い続けているからね。策としては3つあがる。1つは、閻羅どもをさっさと殲滅してしまうこと。かなりの時間や犠牲も出るだろうが、誰も傷つくことはない。2つ目は、今のように封印術を掛け続ける。君達が辛くなる一方だし、いずれ効力が切れる。その間にまた別の方法を探す時間はあるだろうね」

 

「・・・・・・3つ目・・・は・・・?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・

 

「祟り神を諏訪子ちゃんごと、1度消してしまうことだ」

 

「!!!!!!!!」

 

 

 

信頼していた天魔から、信じられない選択肢を提示され、早苗は驚愕した。

 

 

 

「神様という特性があれば、異変が終わった後にでも社と信仰があれば復活することは出来る。君達の心に大きな傷を負わせることは重々に承知しているが、幻想郷を出来るだけ無傷で守るためには一番の手段だと思っている」

 

「・・・・・・・・・」

 

「もちろん無理強いもしないし、君たちの選んだ道で援助を惜しむつもりも無い。天狗の幹部を討伐に出すし、札くらいいくらでも作るし、復活の儀に必要な道具や人材はいくらでも出す。辛い選択肢しかあげれらないのは私だって辛い。ゴメンね、早苗ちゃん・・・・・・」

 

 

 

早苗の表情が更に曇っていく。天魔は何を察したか、早苗を抱き寄せた。

 

 

 

「むぎゅ」

 

「辛いの分かるよ、早苗ちゃん。精神的にも参ってるよね。ほんの少しでいいから、笑顔でいて欲しいよ。ちょっとくらい羽を伸ばしたら?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ものの1分くらい、私に甘えてみては?」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

早苗を優しい抱擁で包み込む天魔。半裸で。早苗との身長差の為か、早苗の顔は神秘の名峰の谷間へと誘われていた。

 

 

 

 

 

〜少女なでなでされ中〜

 

 

 

 

 

「ん・・・・・・ふぅ・・・少しは落ち着いたかい?」

 

「・・・・・・きゅ〜・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

酸欠になっている。

 

 

 

【マシュマロ殺人(未遂)事件〜天魔苗は幸せの昇天〜】

 

 

 

とか、冗談言ってる場合じゃない。

天魔は大慌てで脱ぎ散らかしていた衣服を身に付けた。元々が複雑なのを急いだ為か、ちんちくりんみたいになった。その状態でグッタリしている早苗を肩に担いで守矢神社へと飛んでいく。道中を部下に目撃され、【風祝を頂いた】とか、また妙な噂があがり、畏怖を集めることになった様だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、ネズミ。今夜は白蓮のやつ帰ってこないんだよな?」

 

「うん」

 

「間接的に隣接している神霊廟の神子も居ないんだよな?」

 

「うん」

 

「じゃあ、こいつ誰?」

 

「はーい芳香ちゃ〜ん♡お芋さんよ〜♡」

 

「わ〜い♡」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

 

何故か堂々と食卓で戯れてる毒々しい雰囲気の女と毒々しい見た目の女。芋の天ぷらちょっと少ないかと思っていたが、あの野郎いつ盗りやがった?というか、そろそろ男が見たくなってきた。

今夜の食事のメンバーは、立場上現トップのナズーリン・仮契約の修行僧バーダック・療養中のお客様堀川雷鼓九十九八橋九十九弁々・侵入者の霍青娥宮古芳香。なんとも言えない、カオスな食卓に、ナズーリンとバーダックは頭痛を感じた。

 

 

 

「おー!!筍がある!!美味しそう♪」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

どうにもバカにされてる感が否めない。完全に思い込みだけれども、分かっているが故に余計にイラつく。

 

 

 

「あー・・・まあ、若干の異物感を感じるが、そろそろ頂こうじゃないか」

 

「よっ!!待ってました!!」

 

「わっほーい!!!!」

 

「お言葉に甘えて♡」

 

「食ーべーるーぞー」

 

 

 

客と侵入者は呑気なもんだ。大変な状況だってのに、よくお気楽になれるもんだ。この中の1人に至っては、片腕が吹っ飛んでたのに。ナズーリンも緊張感の無さに、苦笑いだ。

 

 

 

「ごっはっん♡ごっはっん♡」ツッタンツッタン

 

「お芋さん♡お芋さん♡」ベンべベン

 

「たーけのっこ♡たーけのっこ♡」ペンパンペンパン

 

「テッカグヤ♡テッカグヤ♡」

 

 

 

リズムに乗りながら食ってやがる・・・・・・。もう放っておこうか。少しでも尺八の勘を掴むため、食事中の演奏を続けてもらった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

諏訪子は夢を見ている。ミシャグジを配下に、一つの小国を守っていた時代。神奈子がカチコミに来た日。辺り一面を焦土へと化した、諏訪大戦。【鉄輪】ミシカルリングを持ってしても一向に敵わず、敗北の苦汁を存分に味わう結果に終わった。無理矢理ながらも、神奈子と共に神世を生きることになった。

別地方の神にカチコミに行ったり、新しい鉄製の武具が完成すれば神奈子にリベンジを挑んでボコボコにされたり。

毎日が争い事で、身を削り、心が荒み、そして・・・・・・

 

 

 

退屈しない、楽しげなひと時だった。

 

 

 

神奈子に対する敗北の屈辱は、いつしか薄れていった。体裁を気にしての作り笑いのやり方を完全に忘れ、自然な笑顔をするようになっていたらしい。

憎しみが消えてからは、戦況にも変化が現れた。完全な負け越しから勝率が徐々に伸び、現在の勝率は4割を超えている。かつての復讐は、切磋琢磨の友になっていたのだ。

人間の世界で神への信仰が薄れていってからでも、友に手を取り、地を這ってしぶとく生きてきた。

しかし、自分たちを祀ってきた現人神の末裔の早苗が思春期に入った辺りから、限界を迎え始めた。最後の希望として、幻想郷へと引っ越す計画を立てた。早苗も一緒に来ることを決めてくれた。友に幻想郷の山の神として君臨し、人々を救い、信仰を受けて、完全復活を果たし、私達は歓喜した。最近頭のネジが緩くなってきた早苗が持ち込むトラブルを筆頭に、毎日がどったんばったん大騒ぎ。私達の絆は、決して揺るぐことなく、退屈しない楽しげな日々が、これからも続くと思っていた。

 

 

 

そう、思っていた・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我の領土を汚し、群衆の前で恥をかかせてくれた八坂の神・・・・・・許さぬぞ・・・・・・貴様はこの手で・・・この祟りの力で・・・・・・・・・

 

殺す!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閻羅の憎悪が周囲を染めていく現在の幻想郷。諏訪子の心の奥底で、永遠の眠りに入っていたはずの祟り神に干渉してしまい、悍ましい力が漏れ始めてしまった。鎖や巫術、封印術に神通力で押さえつけてきたが、そろそろ危なくなってきた。早くに手を打たなければ、諏訪子はその憎しみの力を幻想郷に向けてしまう。

神奈子・・・早苗・・・・・・。私は、あんた達を傷付けたくない。あんた達が悲しむ顔を見たくない。早く・・・私を・・・・・・

 

 

 

(見苦しいぞ・・・諏訪子・・・彼奴への憎しみを忘れたわけではあるまい・・・?)

 

黙れ・・・・・・もうお前だけの問題だ・・・さっさとベッドに戻れ・・・

 

(彼奴に現在も尚挑み、負け続きだというのに・・・なぜ笑っていられる・・・・・・)

 

神奈子は友達だ・・・お前なんかに分かるもんか・・・・・・

 

(分かりたくもない・・・憎き宿敵だ。お前もお前だ。彼奴への憎しみで苦しんでいる。庇う程の仲だとでも言うのか・・・?)

 

うんざりだ・・・・・・神奈子も早苗も、手出しはさせない・・・!!!!

 

(ならば、より苦しめ!!!!!!!!!!)

 

ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

 

(壊れろ!!!!いい加減楽になれ!!!!)

 

あがああああああああ・・・・・・だ・・・誰が!!!!

 

(破壊は、生き物の郷だ!!!!神とて同じ!!!!感情が邪魔をするなら、壊す!!!!)

 

うぐぐ・・・ぅがああぁぁぁぁぁぁぁああああああ・・・・・・

 

(俯いてばかりでは、辛いだろう?前を見てみろ・・・)

 

な・・・・・・ま、え・・・?

 

 

 

『もう、これ以上押さえて何になるんだ・・・・・・』

 

『これ以上苦労かけて・・・私達の身にもなってみてほしいと言うのに・・・』

 

『お気楽なやつだ。まだ私達を信じてるんだろうよ・・・』

 

『もう・・・・・・疲れました・・・』

 

 

 

神奈・・・子?早苗?何、を・・・言っ、て・・・・・・・・・

 

(貴様が足枷になっているようだ・・・まだ彼奴らを信じるのか?)

 

違う・・・2人がこんな事を・・・言うはずが無い。こいつが見せてる幻だ・・・。この2人は偽物なんだ。・・・・・・なのに・・・

 

(さあ、貴様を見捨てたクズな神どもをどうする?)

 

辞めろ・・・これ以上変なものを見せるな・・・・・・これ・・・以上・・・・・・!!

 

(見捨てた友が、そんなに大事か?)

 

神奈子?早苗?どこに行くんだ?辞めて・・・私を・・・・・・見捨てないで・・・・・・!!!!

 

(そろそろ気付いてもいいぞ?所詮、貴様らの絆は・・・・・・)

 

辞めろ!!!!言うな!!!!

 

(終わりを迎えた!!!!)

 

あ・・・ぁぁあああああ・・・・・・

 

 

 

頭で分かっているのに・・・祟り神の見せる幻覚なのに・・・・・・もう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

耐えられない!!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神奈子は水瓶の水を升に入れ、社の前までやって来た。締め切っているのに、漏れ出る黒い力が肉眼で見えるほどになっている。

 

 

 

(嫌な予感がする・・・・・・)

 

 

 

何かが違っている・・・。さっきと変わらない状況なのに、取り返しのつかない何かが起こっている気がしてならない。

 

 

 

(諏訪子・・・・・・!!)

 

 

 

戸を開けようと手をかけた瞬間・・・・・・

 

 

 

社が爆発した。札も陣も粉々に砕けてしまった。黒い霧の中に影が見えてきた。

 

 

 

 

 

「くくくく・・・・・・タケミナカタァァァ・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

諏訪子の姿をした怪物が、ついに目を覚ましてしまった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破滅の門。存在しない憎しみを浄化し、世を裏から支える大切な世界。鉄や油が焦げたような嫌な臭い。肺に入ると焼けてしまいそうな、熱く乾いた空気。立つだけで目眩がする。そんな物騒な世界をどんどんと歩く閻魔様。

 

 

 

「そろそろ慣れないものですか?」

 

「引きこもりの私には、この空気は合いませんわ・・・・・・」

 

「貴女の幻想郷への愛が本物なら、さっさとついて来なさい」

 

「辛いですわ・・・・・・」

 

 

 

しばらく歩き、開けた場所が見えて来た。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「閻魔様?」

 

「まさか・・・・・・そんな・・・」

 

 

 

映姫の視線の先には、広場の中心に立つ柱。見たところ、亀裂が入っているように見えるが・・・・・・

 

 

 

「人柱が・・・・・・壊れている・・・」

 

 

 

映姫の顔色が悪くなって行く。紫もここまで怯える映姫は初めて見た。

 

 

 

「これ・・・まずい事なんですの・・・・・・?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

暑い環境でかく物とは明らかに違う汗を拭い、映姫は震えながら言い放った・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全てが・・・・・・終わる・・・・・・・・・」




んだ、ネムノだべ。まさか・・・大事な鉈がこんな酷い目に遭っちまうとは・・・・・・うちのお気に入りだったのに・・・どれだけ一緒に居たと思ってるべ!?あんの黒いの・・・覚悟しとけぇぇ・・・・・・お望み通りおめえらまとめて、捌いて、絞って、燃料にしてやるべ!!
次回、始まりの・・・始まりの・・・さいやー人?が幻想入り
【明かされる真実 幻想郷と12の宇宙】
次回も、おめえらはめー・・・はーめーるん?に来てくんろな!!



皆様、お待たせしてしまい、誠に申し訳ございませんでした!!!!ついに、私は帰ってまいりました!!投稿時にサブタイの確認をやって、4ヶ月前の誤字に気付いた、超おバカの白藍です!!!!
いやー4ヶ月、ですか。皆様はどのようにお過ごしでしたか?こちらは、現実でもとんでも無いことが沢山ありまして、伝えたいことがわんさかあります。取り敢えず、厳選したものを記載しますね。


バイト先の【開店30分前に店内で流れるBGM】で、『ウェルカムようこそジャパリパーク♪』と聞こえ、作業中にマジで奇声をあげ、物を落とすわ暑いところに触れて火傷するわ、どったんばったん大騒ぎしてしまった。もちろん、怒られました。ボーカル部分を楽器で演奏するアレンジだから、歌詞の直接的な威力はなかったものの、選曲よ。けものフレンズすげぇ・・・・・・


ポケモンの映画【君に決めた】を観ました。何アレ。もう、涙が止まらねえですわ。ゲームやアニメの小ネタがたくさんで、観賞しながら探すのが楽しい上、リザードンのあの技が復活してガッツポーズしました。キャタピーの強さにも驚き、あの神エピソードがスクリーンで観れて感激しまくり。ラストのあの締め方。アレはダメでしょ。反則すぎる。
結論=とても素晴らしい作品でした。


ポケモンX・OR・マリオメーカー3DSのソフト、ポケモンASとポケモンバンクが入ったSDを入れておいたケースがどっか行った。俺のパートナー達がああああ!?厳選と育成の記録がああああああああああ!?映画館ポケモンやクラウン3犬に、公式国内大会ベスト4の称号を共にした仲間達が・・・・・・今現在、ムーンで泣く泣く卵を抱えて走ってます・・・・・・


東方ボーカルのライブイベントに行きました。いつものメンバーとは違う、現地のサポートメンバーを加えてのライブだと言うのですが・・・・・・あの人、どっかで観たことあるんだよなぁwwあー誰だっけー(棒)どこで遭ったことあるんだっけー(棒)あー思い出したわー(棒)
割と身内の人が居ました。詳しくは言えませんが、学校の先生とか、そんなレベルでの見知った人でした。サインをもらう時に向こうの人もこちらに気づき、
「ヒィ〜身バレする〜ww」
と、意外とノリノリで笑えましたww


スマホを落とし、衝撃で壊れ、修理に出しました。フォーマットするため、アプリが消えるそうです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ドッカンバトルうううううううううう!!!!!!!!!!パズドラあああああああああああああ!!!!!!!!!!
超ゴジータが!!!!超3悟空が!!!!超4悟空が!!!!破壊王子が!!!!超バーダックが!!!!アルティメット悟飯が!!!!ブラックロゼが!!!!ブロリーが!!!!三代親子かめはめ波が!!!!LR悟空が!!!!!!!!ピッコロが!!!!!!!!!!サタンが!!!!!!!!!!17号&18号が!!!!!!!!!!
ベジットが!!!!ベジータが!!!!トランクスが!!!!コナンが!!!!服部が!!!!スコールが!!!!ホルスが!!!!ハクが!!!!犬夜叉が!!!!赤ソニアが!!!!青オーディンが!!!!アスタロトが!!!!ミルが!!!!その他諸々がああああああああ!!!!!!!!!!
心が壊れた・・・・・・投稿時はまだ修理中ですが、帰ってくるのが怖くて怖くて・・・・・・



こんな感じですね。実際は、20くらい面白い事や事件があったのですが、全部書くと切りがないです。俺の人生、どんどん濃くなっていくぜ・・・・・・



さて、皆様は、天空璋如何でしょうか?イージーを初見クリア出来ない程度の腕前で、ピチューン音を何度も聞きながら正解ルートを探すのが楽しくてしょうがないwwノーマルのノーコンクリアを目指して、現在も奮闘中。なんとかクレイジーバックダンサーズには会えました。あのえげつない角度の札弾で止まってまーす(泣)やっぱり東方は最高だぜ。ZUNさんありがとう!!!!

さて。復活して早々なのですが、就職活動がそろそろ本格的に始めなければなりません。また休止か!?いえいえ、もう懲りました。ちまちまと執筆を続けますよ。それはもう、牛歩で。何度も申し上げている通り、失踪だけは何があっても致しませんので、そこだけはご安心ください。今後のプロットに新キャラ達をねじ込む作業も完了しておりますので、お楽しみに!!!!

それでは、今回はここまでここまで。今後も閲覧、よろしくお願いします。


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番外編:大晦日特別企画〜絶対に萌えてはいけない24時【わらしべ長者でわっしょーい‼︎】〜

早苗さんがが押し寄せてくる 口揃え『また守谷か』
わんわんお4匹目の犬 あうん神社の犬

夢中になればなるほど 抜け出せないZUNさんのトラップ

NO-TENKO JA-NAI 地震終わって
IPPAI OPPAI ナイフ飛んできた!?
虎失くす宝塔 ネズミ探す
幻想入り・・・始まりのサイヤ人

NO-TENKO JA-NAI 衣玖さんフィーバー
RA-MEN ROPPAI まだ食べたい
青蘭のついたお団子MGMG
幻想入り・・・始まりのサイヤ人


皆さんは、お酒は好きですか?作者?炭酸が飲めないので、一般的なビールが飲めません。ワインは刺激が強く、歯茎が溶けるような感覚に嫌気がさしました。味は良いのに。梅酒とかその辺りですかね?徐々に飲めるようになりたいモノです。

・・・・・・・・・

話がズレました。まあ、普通にビールや熱燗としましょうか。お酒のお供は何ですか?刺身?おでん?好みもありますが、王道と言えば焼き鳥ですね!!え?作者?普通に好きなのに問題がありますか?・・・・・・じゃなくて!!

お酒には、衣服に匂いがこびりつく程の濃いタレに漬け込んだ焼き鳥と合わせるのが、素晴らしいのです。ネギま・レバー・ぼんじり、素敵なコンボ技の前では・・・・・・でもなくて!!

とにかく!!

お酒と焼き鳥の相性は抜群なのです。

 

 

 

 

 

しかし・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

焼き鳥を邪道と言う者がいます。というか、焼き鳥が嫌い・・・・・・どころか、焼き鳥という存在そのものを消してしまおうと考える者がおりました。

もちろん、今まで普通に食していたものをいきなり『食べるな』と言われては、誰だって反論するでしょう。その理由が、宗教などの規則ならともかく、完全に個人的な押し付けとなってしまっては、反感を食らいまくってしまいます。と言うか、あまりにもしつこいので、退治されました。

人間と彼女との仁義なき争いは、大ごとになるわけでもなく続いていきました。人間は、彼女の戯言に、耳を傾けることすらしなくなってしまい、遂には独り相撲へと落胆してしまったのです。

彼女は必死に考えました。せめて、自身の訴えだけでも、興味を持ってくれないか。

そして、1つの答えのたどり着きました。

 

 

 

【焼き鳥の代わりになる物を提供すれば、人間たちも納得してくれる】

 

 

 

彼女は、代わりの食材を探しました。肉の代わりなのだから、動物性の物が好ましい。この細い腕では、猪を捕らえるなんて不可能だろう。趣向を凝らして、魚を焼くか?でも、鮎や岩魚は普通に食べられている。代わりになれそうにない。例えば、【人間が捕獲しても、食べようと思わない魚】でも居ないだろうか?それを私の腕で美味しく提供すれば・・・・・・

彼女は妖怪が持つ特性の1つの長寿を活かし、該当する魚を探しては、調理試食の奮闘を続けました。包丁で指を切った回数も、不味いもので悶絶した回数も、食あたりで腹を壊した回数も、もはや覚えていられませんでした。

そして、気の遠くなるような試行錯誤の末、彼女は遂に完成させました。当時の数少ない友人にも食べてもらい、『これならイケる』と、背中を押してもらいました。次は、この味を人間たちに知らしめなければなりません。ここまで至るのに、何度も挫折を経験しています。失敗し、食材探しからやり直すのはもうごめんです。立派な屋台を自力で作り、提供するための器やお酒も、要領の悪い頭をフル回転させてなんとか形にしました。

片手で数えられる程しか入れない狭い屋台・あまりにも不恰好な皿・見よう見まねで作った安い酒。幾ら何でも、これで人間を呼び寄せることは出来ません。

彼女は最後の苦渋の決断をしました。それは、無償で提供する、といったモノです。コレで失敗すれば、彼女はもう2度と立ち上がることは出来ません。友人も彼女の手を止めようとしました。

しかし、彼女は止まりません。自分の人生を賭けてきたといっても過言ではない道を歩んできた彼女は、文字通り必死だったのです。地べたを醜く這いずり回り、しぶとく進み続けた執念を込めて作り上げた一品なのです。最低でも、人間の口にねじ込んででも食べてもらわねば、この努力は報われません。

しかし、どことも知らない妖怪が無料で提供する、見たこともない品名を前に、人間は不気味がって屋台の暖簾を潜ろうとしません。少し経ち、人里で悪い方の噂で知られていることを知り、彼女は絶望に見舞われてしまいました。死に物狂いで完成させた結果、誰も見向きもしない事実を知った彼女は、死を決意しました。せっかく作った屋台も、器も、全て燃やし、その業火に身を投げようと決めました。

そして、火をつけようとしたその時・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「食べ物をタダで食べられるのは、ココで合ってる・・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腹の虫を鳴かせ続ける、妖怪の天敵である紅白の巫女姿が獲物を捕らえる目つきで、睨みつけていました。通常の妖怪であれば、ショック死するレベルの狂気に満ちた眼差しが、彼女にとっては女神様の優しい微笑みに見えたそうな・・・・・・

 

 

 

 

 

コレは、そんな由緒ある素敵な食べ物、

【ミスティアのヤツメウナギ】

から始まる、1つの物語である

 

 

 

 

 

※ここまでの解説と、これからの本編はあまり関係ありません。こんな駄文にお付き合い頂き、誠に申し訳有りません。本編始まります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう・・・・・・もう、お客さんは居ないかな?」

 

「もう、時間も時間だ。流石に今日は終わりだな」

 

「あー・・・もうそんな時間かぁ。ちょっと不況気味かなぁ・・・」

 

 

 

ミスティアは、今日の売り上げを数え、やや不満そうだ。今日の為に捌いておいたヤツメウナギはまだ残っている。

 

 

 

「冬が近いから、夜も長くなる。人間の時間が短いから、時期を恨みな」

 

「もう・・・・・・バーダック君は本当に口が悪いね」

 

「悪かったな、無愛想で」

 

「まあ、捨てるのも腐らせるのも勿体無いし、私たちで食べちゃおうか。お酒も飲む?」

 

「貰えるものなら、遠慮なしに頂くか・・・」

 

「ふふ・・・んじゃ、プチ宴会と行こうか♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃー・・・やっぱり誰かと呑むお酒は、別格に美味しいねぇ・・・・・・」

 

「だいぶ回ってんな」

 

「まー夜雀だからねぇ・・・底辺の雑魚妖怪じゃ、そんなに強くないよぉ〜天狗とかじゃあるまいし・・・・・・ひっく」

 

 

 

頰が紅潮したミスティアは、それはもう見事なまでに文字通りの千鳥足で踊っている。雀酒って、雀にも効果は抜群なのか。

対してバーダックはいつも通りのローテンション。この程度の酒は余裕しかないようだ。普通に鬼とタイマン張れるレベルだから仕方がない。

 

 

 

「そろそろやめた方がいいぞ。お前に何かあったら、俺がどやされんだろ。屋台の常連どもに」

 

「おー?バーダック君でも霊夢さんとか怖いの?」

 

「恐怖とかは無ぇよ。ただ、面倒くさい」

 

「バーダック君は肝が座ってるねぇ〜えへへ〜」

 

「おいコラくっつくな」

 

「頼もしい男の子には〜守ってもらいたいな〜♪ギュ〜」

 

 

 

焦点の合ってない眼で見つめてくるミスティア。バーダックは色々考えた。結果、おんぶしてやることにした。

 

 

 

「ふみぇ〜?あ、背中あったか〜い♡」

 

 

 

思い通り、赤子のようにしがみついてきた。さっさと寝てもらうために、心の底からリラックス出来るであろう環境を提供してみたが、普通に当たりを引いた。そりゃ、酔いで思考が退化すれば、ガキ同然だ。

人間よりやや高めの体温と、見た目相応の重量を背中に感じたまま、軽く片付けを始めるバーダック。動きにくく、手こずったが、15分程度で完了した。コレも、【屋台】で営業する利点なのだろう。

寺子屋まで屋台と女将を引っ張って来たが、ここからどうしようか。慧音は・・・・・・妹紅のところか。

適当に布団を引っ張り出し、ミスティアを寝かせ付けるバーダック。美味い物を食わせてもらった分の面倒ごとはコレで完了だ。

さっさと帰ろうと寺子屋の門をくぐり、すぐそばに設置した屋台から、今日の残りのヤツメを一皿分貰い、帰路へとつく。ある程度は保存きくだろうし、明日の朝食にでもするか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

無い。ヤツメウナギの串が無くなっている。替わりに置いてあった書き置きを読んでみる。

 

 

 

 

 

『今車月のお米のほうしゅうは、こいつをいただいた!あと、ふくにくっ付いてたはっぱ、じゃまだったからしょぶんしてて』

 

 

 

 

 

この誤字の感じと字の汚さ・・・・・・あの狼ぃぃぃ・・・・・・・・・今度拘束して、柱に括り付けて、目の前で焼肉食ってやる・・・。

葉っぱを処分って言われても、コレは見た事が無い種類だ。燃やしたりその辺に捨てようにも、毒かなんかで被害が出たら面倒だ。誰か詳しい奴に聞いてからにしようか。

木箱に詰め、瓢箪に水を汲んで腰に巻き、出発だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは、ハシリドコロですね。ナス科の有毒植物です」

 

 

 

人里で、よく分からん男装で薬売りに来ていた鈴仙を取っ捕まえた結果、何種類かあるうちの1つが危険物だったことを教えてもらった。つっても、だからどうしたってところではあるが。

 

 

 

「毒草か・・・・・・どう処分したもんかなぁ・・・」

 

「あ、要らないのでしたら貰ってもよろしいですか?」

 

「は?欲しいのか?薬にでもなんの?」

 

「なりますよ。ソコソコ珍しいものなので、入手できるチャンスはなるべく」

 

「どれくらい珍しいんだ?」

 

「10段階レア度で、4です」

 

「・・・・・・・・・もう少し分かりやすく頼む」

 

「えっと・・・・・・てゐの私へのイタズラが、師匠への漁夫の利になる位には」

 

「うん・・・・・・なんとなく分かったけど・・・・・・自分で言って惨めじゃ無ぇか?」

 

「あはは・・・・・・」

 

 

 

しかも、珍しいのは珍しいが、お宝ってほどでも無い、微妙な希少性で、コメントしずらい。

 

 

 

「あ、そうだ!無償で頂くのもアレなので、コレを差し上げますよ。【お薬セットC】」

 

「・・・・・・は?」

 

「永遠亭で購入できる物の詰め合わせです。A〜Dあるので、まあ、普通の風邪薬とかなら足りるはずですよ」

 

「・・・・・・そう」

 

「では、私はこの辺で!」

 

 

 

ウサギはピョンコピョンコ走って行ってしまった。

薬渡されてもなぁ。要らねえわ。どうすっかなぁ。

 

 

 

「あら〜。貴方みたいなお子様が、お薬なんて持っても持ち腐れでは?」

 

「んあ?出たな、毒々しい女」

 

「んも〜冷たいわねぇ。豊聡耳様とは友好的なのに・・・」

 

「顔合わす前に、勝手につまみ食いされたら友好度が上がるのか。初めて知った」

 

 

 

いつぞやの青い邪仙。今日はキョンシーは連れていないようだ。人里に昼間っから死体を連れて練り歩くのもどうかと思うが。

 

 

 

「そちらのお薬、兎さんから受け取ってましたよね?」

 

「だったら何だ?」

 

「譲っていただこうかと」

 

「一応聞こう。なぜ欲しい?」

 

「仙人として、丹を調合するにあたり、薬学は必要不可欠なのです。ましてや、八意印のお薬と聞けば、それはもう・・・・・・」

 

「あんたの言い分は分かった。だが、親しくも無いしそもそも良い印象がない奴に譲るのは嫌だね」

 

「一種類だけで構いませんわ。なんなら、こちらにもブツがあるので、交換ということでどうでしょう?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「こちらです。青娥ちゃん印の栄養ドリンク♡これを飲めば、24時間馬車馬の如く働き続けることのできる、スーパーなドリンクですわよ」

 

 

 

青娥の手に握られた瓶とお薬セットの中身を交互に見るバーダック。決断は・・・・・・

 

 

 

「1個だけな・・・・・・」

 

「あら♡バーダックさん大好き♡」

 

「ええい‼︎鬱陶しい‼︎引っ付くな‼︎」

 

 

 

子供の姿でいる為か、身長差で胸で窒息させられそうになった。腕力でさっさと剥がし、スーパードリンクを掻っ攫う。

 

 

 

「ほれ、約束の1個。じゃあな」

 

 

 

青娥の手の中に無理やりねじ込み、ダッシュで逃げて行った。

 

 

 

「むぅ。なかなか喰えない殿方ですわね。まあ良いでしょう。1個だけとはいえ薬は薬。手に入ればこちらのものですわ☆」

 

 

 

両手に優しく握られた、小さなケースを見てみる。そこに書かれていたのは・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

栄養満点『うさぎのエサ』

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

デフォルメこいしちゃんのイラストと目が合った。

 

 

 

「芳香にでもあげちゃいましょう」

 

 

 

鼻歌交じりでルンタルンタとその場から去っていく青娥。怒りなどの感情が全く感じられない美しく可憐な笑顔が逆に恐ろしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お薬セットCの中で、明らかに異彩を放つドリンクを見つめるバーダック。割と本気で処分に困る。ハシリドコロとは別の意味で変な影響起きそう。てか、絶対起きる。

栄養ドリンクっつっても、そこまで疲弊しているわけでも無いから、どこか適当な疲れてるヤツに押し付けてやっても良いと思う。人間は・・・・・・うん、やめておこうか。妖怪か。妖怪で疲れていそうな知り合いといえば・・・・・・

 

 

 

「スキマの綺麗な紫様ー」←酷い棒読み

 

「もうちょっと感情込めて下さいな」

 

「お疲れさん。八雲の根城に招待してくんねえか?」

 

「あらあら。私に会いにきてくれたのかしら?」

 

「藍へのお土産付きな。これ飲めば、24時間疲れ知らずで云々らしいぞ」

 

「あら♡藍ってば、ここ最近寝不足気味なの。手元もちょっと怪しいから、困ってたのよ」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

どうやら、休暇をあげるという選択肢は無さそうだ。ブラックもいいところである。

 

 

 

「そうねえ。今はうちは藍が忙しいから、無理ね。私が藍へ持って行ってあげるわ」

 

「ん」

 

 

 

寝不足の藍に更なる追い討ちをかけるバーダック。同情はするが、助けるかどうかは別問題。そんなことより、手元の怪しい液体を手放したかった。

 

 

 

「では、確かに頂きましたわ。今回の仕事が終わり次第、藍からステキなお返しをしますので、お待ちくださいね♡」

 

 

 

一歩も動かず、スキマの飲み込みだけで消える紫。何度見ても思う。器用だ。

 

 

 

「・・・・・・帰るか」

 

 

 

お薬セットには、まだ空きがありそうだ。大福でも買ってからいこうか。そろそろ苺大福が動き出す頃だし、チェックがてら買い出しもするとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、藍布団で寝ていることが判明した。

 

 

 

「・・・・・・何で・・・」

 

 

 

微妙なデジャブを感じ、叩き起こそうとするが、腕が命令を拒否している。そもそも、身体に力が入らない。あり得ないほどの癒し効果を感じる。

バーダックは確信した。コレは、尻尾効果だ。藍の尻尾の毛並みがとても滑らかで、心地が良いのだ。それが9本。更に、藍がのしかかる様な体勢でいる為、体の重みによる適度な圧迫感と体温が絶妙に身体を包み込んでいるのだ。つい先ほどまで寝ていた身、この癒し空間に閉じ込められたが最後、逃げる気は全く起きない。

 

 

 

(つか・・・・・・何でこうなった・・・・・・)

 

 

 

 

 

藍布団←青娥ちゃんドリンク←ウサギのえさ←ハシリドコロ←ヤツメウナギ

 

 

 

 

 

逆算した結果、ヤツメウナギが元となっている。何だっけ?こんな感じのお話を聞いたことがあったはずだが・・・・・・・・・

 

ダメだ。心地良さがあまりにも強すぎる。何も考えられない・・・・・・コレ、が・・・尻尾の・・・ち・・・か・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何してんだこらああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「ふぎゃああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎うるしゃいですううううううう‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「んがああああああ‼︎‼︎耳があああああ‼︎‼︎」

 

「んなっ⁉︎何事だ⁉︎」

 

「猿の分際で、お狐様と同衾たぁ良い度胸だあああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

「藍しゃまあああああああああ‼︎‼︎うるさいのどうにかしてえええええええ‼︎‼︎」

 

「いだだだだだだ‼︎‼︎爪を立てるな‼︎‼︎バカ橙‼︎‼︎」

 

「お前ら、出てけえええええええええええええ‼︎‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と‼︎この様に、私の開発したヤツメウナギ1本から、こんなにもステキな体験をされた方が実在するのです。焼き鳥は、争いしか生みません。妖怪の山や旧地獄などと戦争が起こってしまうのです。今日、この学会にご出席していただいた皆様も、お帰りの際には是非、ご購入して頂きたいと思っております。ストラップをお付けされた方に限り、75%オフでのご提供致します。以上で、私、ミスティア=ローレライのプレゼンを終了とします」

 

 

 

【食のススメ】屋台料理ヤツメウナギの項・59ページより抜粋




こんなんするから、本編進まねえんだよ。いい加減学習しなさい。考えても見てよ。昨年は第00話を投稿して、半年で21本。今年は今作を入れて1年で7本。持久走のスタート全力ダッシュレベルのペース配分ミスです。考えられません。いくら去年の年末企画を思い出したからって、10秒で出来たプロットを形にするという暴挙は否めないぞ。執筆には8日かかった。

「なんか、番外編のテーマ考えるか」→「藍様に尻尾空間で癒されたい」→「どうしたら合法的にしてもらえる?」→「やっぱりお礼にしてもらうのが無難か」→「藍布団権利と何かを交換するか?」→「交換・・・わらしべ長者だ」

こんな感じで出来た作品でした。後悔はしてません。そして謝りません。どんなに責められても、藍布団さえあれば、乗り切れる。(ぉぃ




ここらで、閲覧者さんとその身の回りの人達を、詐欺から守る手段を1つ伝授します。メモの準備をば。
例えば、こんな電話がかかってきたとしましょう。

「もしもし。〇〇だけどさ。事故起こしてしまったんだ。相手も入院してしまって、賠償金や罰金で200万円必要なんだ。ちょっと助けてください」

この発言は、100%詐欺です。どんなに必死そうでも、確実に嘘です。
何が嘘かと言いますと、【賠償金や罰金で200万円】。このフレーズは明らかにおかしいのです。何故なら、事故状況の書類送還や書類裁判などなど、あらゆる事をしなければならない為、実際に事故が起きてから、法的な罰金額が正式に決まるまでに月単位かかるのです。
なので、事故が起きてすぐに罰金額が200万円とわかる様なことは絶対にあり得ません。事故った詐欺の電話が来ても、この様に嘘か真かを知ることが出来ます。万が一、金額の話が出なくても、金額が決まるまでの数ヶ月の間に、本当に事故を起こしたかどうかを調べる猶予があります。これだけ教えたら、皆さんのお財布を守ることが出来るでしょう。

・・・・・・・・・・・・

何でそんなに詳しいかって?それはですね・・・・・・・・・





8月に事故起こして、11月に云十万円支払った前科者が執筆した文章がホラ・・・
あなたのディスプレイにいいいいいいいいいいいい‼︎‼︎‼︎‼︎





はい。衝撃でしょう?前回の【20くらいの面白いことや事件】の1つがこれなんですよ。この貴重な(要らない)体験をしたからこそ、この様に社会に貢献出来るのです‼︎(ヤケクソ)

まあ言うても、悪いことしたので、皆さんにはお詫びの品を。実家に帰って、姪っ子のスケッチブックに描いた、久しぶりのアナログ絵です。


【挿絵表示】


【挿絵表示】


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【挿絵表示】


【挿絵表示】


描いてとねだられたので、描きました。学校で自慢するつもりらしかったので、【〇〇の兄ちゃん】と余計な物を書いてやりました。ボールペンで。ぎゃはははははは‼︎‼︎嘘は良くないね☆



他に面白い事をもう一つ書きますか。
友人とカラオケに行き、自分の歌いやすいキーを改めて確認しました。

【MELODY‼︎】+4
【デザイアシューティング】+4
【幻想のサテライト】+5
【Grip&Break Down!】+5
【色は匂へど散りぬるを】+3
【イタズラtoday】+5
【ネココタマツリ】+5
【残酷な天使のテーゼ】+4
【ふ・れ・ん・ど・し・た・い】+4
【勇気の花が開くとき】+3
【ようこそジャパリパークへ】+5

マジか・・・・・・俺の声、こんなに高いんか・・・・・・

冗談抜きにたまげました。俺の友人も、途中から俺のキーを探す時間をくれました。久しぶりの貴重な時間をこんなんに使ってしまった。

因みに・・・・・・・・・

【最速最高シャッターガール】0
【Thank you感謝!】0

まりおさんも高いなぁ・・・・・・



今思ったけど、白藍さんの投稿する小説、あとがきの内容も中々に濃い気がするんだよ。もう、【あとがきも本編】的なタグでも付けちゃおうかな。なんて思うようになった今日この頃です。



もう、2017年も終わりですね。色々ありましたな。でも、やっぱりチルノですかね。自機化したと思ったら日焼けしたり⑨周年だったり、スターでしたね。今年なら、クラウンピースにだって余裕で勝てちゃうね‼︎もう終わるけど。
んじゃ、そろそろ今回はこの辺で。今年も笑ってはいけないルールをガン無視して笑いながらの年を越します。皆さんも、良い年を。バイバイキーン‼︎


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第24話〜明かされる真実 幻想郷と12の宇宙〜

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

後戸の世界。それは、幻想郷の均衡を裏から支える存在。

この世界の主である幻想郷を創立した賢者の1人【摩多羅隠岐奈】。今や【究極の絶対秘神】の異名を持つ彼女は、胸騒ぎを感じている。

 

 

 

(この異変・・・・・・本当に自然発生なのか?閻羅どもの様子が明らかに違う・・・)

 

 

 

幻想郷の精神の均衡を担う私ですら、違和感程度にしか感じ取れなかったのだ。隠岐奈の古くからの友人、幻想郷の物理的な均衡を担う八雲紫では、到底気付けないだろう。

隠岐奈は部下の2人にすら隠し、この違和感を徹底的に調べ上げた。閻羅討伐に向かう連中の背中の扉からこっそりと情報を仕入れてきた。ある時は、背後からの攻撃に気付けない瞬間がある。そこだけ手助けをしながら今回の異変を独自に調べ上げた。

最終的に隠岐奈は、一つの解答を築いた。しかしその答えは、確証の無い仮説でしか無い為、これに決定するのは余りにも早計だ。万が一間違っていれば、対処に向かう者を、無意味に死なせてしまいかねない。

そもそも、導いた答えそのものが、無茶苦茶だったのだ。この解は、とてもでは無いが・・・・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・まさか、私とあろう者が、表に出ざるを得なくなるか・・・・・・」

 

 

 

神座から腰を上げた隠岐奈は、出陣の準備に取り掛かる。苦無・札・陰陽玉その他諸々。以前開催した暗黒テストは、所詮遊び。確実に滅する準備が必要だった。長らく使っていなかった蔵の中で、神具を探す隠岐奈は、何を思っているのだろうか・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・外・・・出たく無いなぁ・・・・・・」

 

 

 

引き篭もりだった。あと、吐き気を少し感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「諏訪子・・・・・・お前・・・・・・」

 

 

 

神奈子は目の前に対峙する同志を見据える。

カエルをモチーフにした特徴的な帽子を被って、ようやく早苗と並ぶくらいの低身長から溢れ出る神力は、憎しみを隠すことなく表に表している。それは、祟り神ミシャグジとは微妙に違う。そして、神奈子はそれを鮮明に覚えている。

 

 

 

「タケミナカタ・・・いや、今貴様は、八坂神奈子とか名乗っているのか?くかかかか・・・・・・堕ちたもんよのぅ」

 

「堕ちた、か。【人間からも親しみやすい】フランクな神様を追求した結果だったのだがな・・・貴様は【洩矢諏訪子】の名を、どう思うのだ?」

 

「かっ‼今となっては、最悪だ。何故人間と同等な立場にならにゃならん?我は、神ぞ?」

 

「人間の信仰が無くなれば、神と言えども消えてしまうだろう?」

 

「貴様はそうだろうな。だが、我は祟り神だ。人間の恐怖が動力源だというのを、忘れているのか・・・」

 

 

 

人間に富を与え、見返りとして信仰してもらう神である神奈子と、大地を蝕み、無理やり恐怖を植え付け、畏怖を集める祟り神の諏訪子。同じ神でも、信仰の集め方が根本的に違うのだ。

 

 

 

「今の人の世・・・少なくとも里の愚者共は、洩矢の神を舐めきっている・・・技術の発展?人のための神社?馬鹿馬鹿しい。神が人間と同等など、ヘドが出る・・・・・・なんなら、見せてやろうか?ヘド」

 

「諏訪子相手なら笑い飛ばせる冗談も、今の貴様からは、貶されているようにしか感じないね」

 

「ほう。中々に賢いではないか。ご褒美に飴でもやろうか?ん?ん?」

 

「雨が好きな奴から奪おうなんて思わないから、諏訪子を返せ」

 

「はっ‼どうせ我の人間への攻撃も、貴様が妨害するのだろう?全ては、貴様を超えねば面倒そうだな」

 

「諏訪子の身体を相手に、殺意の攻撃はしたくないのだけどね・・・・・・」

 

「それは好都合。わざわざハンデを貰えるとは、流石人間脳の神様は格が違うのぅ・・・・・・」

 

「・・・・・・そこに痺れる?」

 

「ヘドが出る」

 

「あぁ・・・・・・もう無理だな。憧れて欲しかったが・・・やるしかないか・・・・・・」

 

「おぅ、すまんな。せっかくのチャンスなのに逃してしもうた・・・ヘドを見せられたのになぁ・・・・・・」

 

「お前、しつこいな。気に入ったのか、そのネタ?」

 

「くかかか・・・・・・遺言候補の言葉が、ソレで良いのだな?」

 

 

 

罵倒し合っているのかよく分からないが、少なくとも最悪の雰囲気である。夜更け前の妖怪の山全域に降り注ぐ黒い雨。【死】を彷彿とさせる不吉が、あってはいけない戦いへと誘うのだった。

 

 

 

 

 

「さあ。楽しい楽しい殺戮の始まりだ・・・・・・第二次諏訪大戦と行こうか‼‼‼‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「どうしたバーダック君?もうすぐお風呂が空くけど」

 

「・・・・・・さあな」

 

 

 

縁側にどっしりと座るバーダックは、夜の暗闇に包まれた妖怪の山の方向を見続けている。ナズーリンは隣にちょこんと座ってみた。

 

 

 

「やっぱり、身長差が大きいな。見上げるようで、頼もしいよ」

 

「あの雲はノーカウントなのか?」

 

「雲山は、座れないからね。それに、今は君しか居ないんだし」

 

 

 

現在、命蓮寺の住民はナズーリンしかいない。正確に言えば、ナズーリンは命蓮寺の住民では無いが、他のメンバーが皆不在な為、しばらく居るのだ。聖白蓮・寅丸星・村紗水蜜・雲居一輪・雲山は人間の警護で出払っている。幽谷響子はプリズムリバーとかいう楽団の所へ、二ッ岩マミゾウは野生の狸たちの様子を見に行き、封獣ぬえはその付き添い。

 

 

 

「最近は、依神女苑という疫病神も居たんだが、逃げられてね。あんなんでも同じ釜の飯を食べた仲だ。安否が気になってね」

 

「その話の内容と、今くっ付く事の心は何だ?」

 

「私は賢将を名乗ってはいるが、所詮ネズミさ。ちっぽけで臆病なのは仕方のない事だろう」

 

「和楽器共を頼れば良いだろうが」

 

「彼女たちは客だ。言い換えれば只の部外者。邪仙共は帰ったし」

 

「アレ、ほぼ食い逃げだろうが」

 

「聖やご主人にこんな無様な姿は見せられなくてね。そこに都合良く新米が来たのだからな。不安を和らげる道具になって貰うよ」

 

「はぁ・・・・・・今更どんなのに憑かれようが諦めるつもりだったからな」

 

「そうそう。先輩命令として、君を頼った事は秘密にして貰うよ?」

 

「承知しましたナズーリン先輩」

 

 

 

もはや、適応力が高いで全てが説明できるレベルにまで流すことにしているバーダック。暗くて、輪郭も分からない山を見続けている。

 

 

 

「山に何か気になるものでも見えるのかい?」

 

「さあな。結界かなんかあるのは分かるが、その先がどうも気持ち悪くてな」

 

 

 

あの山の麓に拠点を建てているため、ある程度の感じは理解しているつもりだ。夜でも多少は明るい。月の光は勿論、河童のアジト周辺は何かと明るい。日によっては広量の違いはあれど、真っ暗なのは覚えが全く無いのだ。

頂上付近にもライトがあるらしい。文の情報だと、騒がしい方の巫女がいる神社がやってるようだが、光源として視えていた大体の箇所が見事に結界の中にあるのだ。

 

 

 

「気になるなら、行っても良いんだけど?」

 

「臆病なお前が、一人になって大丈夫なのかねぇ・・・・・・」

 

「ふむ。なるほど。じゃあ先輩命令だ。あの山の不安要素を消してきて」

 

「お前・・・・・・」

 

「私は賢将だからね。私自身が避けられる面倒事は、誰かに押し付けるプロさ。恐れおののいたかい?」

 

「呆れたよ・・・・・・」

 

 

 

バーダックは腰の瓢箪を外し、中の水を一口飲んでナズーリンに押し付けた。

 

 

 

「愛着のある瓢箪だ。ひびでも入ってたら、猫の群れに放り込むからな」

 

「辞めてよ・・・あんな野蛮な獣、理解できないんだからさ・・・・・・」

 

 

 

割と本気で嫌がるナズーリンの顔が見れてしまった。ある意味収穫はあったな。

 

 

 

「じゃあ、これでも持っていけばどうだい?」

 

「・・・・・・どれ?」

 

「今、部下たちが持ってきてくれるよ」

 

 

 

2分に満たない時間を待っていると、数匹の鼠がやや鬱陶しい位輝く指輪を持ってきた。

 

 

 

「誰のだよ?」

 

「さっき話に出した、依神女苑が身に付けてた1つさ。博霊の巫女とスキマ妖怪のコンビ一組を除いて、正真正銘負け無しの最強クラスの神だよ。曰く付きということで、持っていけば良いことあるかもだよ」

 

「・・・・・・鑑定したのか?」

 

「そんなものは出来ない。トレジャーハンターとしての勘さ」

 

「ほう。なら、信じてみるか・・・・・・」

 

 

 

ナズーリンから指輪を受け取る。やはり、女性が身に付けた物だけあって、サイズが小さい。小指にすら、入りそうにない。ベルトの裏に押し込んだ。

バーダックはゆっくりと立ち上がり、気づいた頃にはナズーリンの視界から消えていた。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

不安を煽るような夜空を見つめるナズーリン。ボソッと一言。

 

 

 

「疫病神の曰く付きなんて、手に余るからね。それくらいの困難、乗り越えてくれよ・・・」

 

 

 

厄介事を更に押し付けていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

天魔は、なんかもう色々と究極の選択を迫られていた。

着付けを適当に済ませ、早苗ちゃんを担ぎ、視界の悪い山を飛んでいた。

結果、袴が落ちた。

天狗装束の下半身が褌だけの変態的出で立ちになってしまったのだ。このまま神社に行くのは、気が引ける。早苗ちゃんものびているため、なんかこう、誤解されそうだ。

とか何とか、あまり考えていられない状況だというのに、何やらかしてんだか。

さっさと袴を拾いに行く。30秒ほどで見つからなかったら諦めようか。思い立ったが吉日。垂直降下で一気に降り立った。そこに待ち構えていたのは・・・・・・

 

 

 

「ひゅいっ⁉やはり、この袴は天魔様の⁉」

 

 

 

にとりちゃんだった。私の袴を片手に物凄い焦ってる。何度も見た光景だが、何となく傷つくんだよなぁ。動揺が隠せないほど慌てる=それほどに恐れられてるという事実。いやまあ、間違ってはいないのだが、何だかなぁ・・・・・・。

 

 

 

「あの・・・にとりちゃん?」

 

「ひいいっ!!??いえ、これは違うんです!!!!天魔様の物とは露知らず!!」

 

 

 

駄目だこりゃ。右手に早苗ちゃんを抱えたままだし、左手しか動かない。目をグルグル回すにとりちゃんをやや強引に優しく抱き寄せる。

 

 

 

「ひゅみぎゃ!?」

 

「私を恐れるのは仕方無いことだ。でも、もし出来るのなら、ほんの少しだけで良いから、にとりちゃんの落ち着いたときの声を聴かせてくれないかい?」

 

「ふぁ・・・ぇ・・・・・・?」

 

 

 

先程までの焦りが嘘のように落ち着いてしまった。何だろう。早苗ちゃんといい、抱き締めて頭を撫でてやるの、そんなに良いものなのかな?

 

 

 

天魔は気付かないようだが、その抱擁力は並大抵の物ではなかった。妖怪の山に住む全ての妖怪の幼少期から知っているため、我が子のように慈愛の心で接しているのだ。無意識下で。

 

 

 

「にとりちゃん、袴、良いかい?」

 

「ふにゅ・・・へ?あ・・・・・・はい・・・」

 

 

 

名残惜しそうに天魔の腕から離れるにとり。持っていた袴を天魔に返すと、左でだけで器用に着付け始めた。また落としたら堪ったもんじゃない。時間が惜しいが、ここはしっかりとしよう。

にとりは、抱擁の余韻から少し覚めたのか、やや緊張気味に天魔を見守る。

 

 

 

袴をきちんと付けるという、何とも無いはずの光景だが、下半身褌だけの上司が、部下の目の前で袴を履くという、キテレツなモノになってしまっている。オマケに、上司の右腕には気絶した未成年の少女(現人神)。レベルが凄まじく高い事になっていた。

片手だけで袴を着付けるのはやはり手こずる様で、2分強かかった。

 

 

 

「にとりちゃん。黒いのが彷徨いてるから、無茶しないで気を付けるんだよ?」

 

「ひゃい!!了解であります!!」

 

 

 

口調は戻ってしまったが、声色は大分落ち着いている。ちょっと嬉しかった天魔様であった。

天魔様は、早々に飛び去っていった。

にとりも天魔様の忠告をしっかりと受け止め、手持ちの荷物を素早く確認しようと軽く広げる。すると・・・・・・

 

 

 

「あれ・・・?一個足りない?何のパーツが無いんだ?」

 

 

 

何気ないありふれたパーツのためか、思い出せない。

 

 

 

「まあ・・・・・・良いか」

 

 

 

こんなことで時間を取ってしまうわけにはいかない。荷物を全部まとめ、アジトへと急ぐ。隠し水路で。冬前の水はやっぱり冷たかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

亀裂を埋めるように、易者が埋め込まれた。

 

 

 

「なんでやねん!!!!????」

 

 

 

易者は余りにも無慈悲な振り回しを受けた。地獄街をウロウロしてたはずなのに、いきなり隙間で引っ張られ、流れるように頭からねじ込まれた。

 

 

 

「応急処置ですわ」

 

「説明しやがれ!!!!」

 

 

 

人間が妖怪になるという、大罪を犯した易者は、問答無用で地獄行きになったのだが、反省の色が全く無いようだった。そろそろ年貢でも収め・・・・・・でなく、差し押さえなければ閻魔としても賢者としても顔が立たない。

 

 

 

「そもそも、俺は人間にも迷惑をかけるつもりは無いと言っているのに、なぜ裁かれるのだ!!」

 

「【人間に迷惑をかけない】。幻想郷ではそれが一番の大罪だというのですよ」

 

「何だと!?」

 

 

 

幻想郷の結界は、人間と妖怪の関係を保つ事で安定する。人間を捨てた易者は、人間としての税を納めることは出来ない。にも関わらず、妖怪に成りながら人間に恐怖を与えない。コレは、妖怪としての税を納める気もないという事になる。コレがどれ程の重い罪か、全く理解していないようだ。

 

 

 

「妖怪の本分も捨て、完全な自分勝手な貴方です。【他者のために何か行動を起こす】。それが、今の貴方に積める善行です」

 

「コレが!!??」

 

 

 

ぼかされた説明しか受けてない易者は、ギャーギャー喚きながら、閻魔様に物申している。じごくみみ には こうかが ないようだ・・・

 

 

 

「ふう。ひとまず応急処置としては、コレでいいでしょう」

 

「あの愚か者ほど、代役に相応しいものは居ないでしょうね。【悪意無き邪気】。絶対値は、元の人柱の髪の毛にも及ばないでしょうけど」

 

「・・・・・・・・・」

 

「何でしょうか?」

 

「破滅の門に、人柱と悪意無き邪気。どれも、初めて耳にする言葉ですわ。幻想郷の賢者として、守るべき物は熟知しております」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

ひどく暑い瘴気の中で見つめ合う紫と映姫。しばしの沈黙(易者の喚きは聞こえていない模様)ののち、四季映姫ヤマザナドゥは答えた。

 

 

 

「『政府や組織によってもみ消された事件や罪人』というのは、耳にしたことがありますか?」

 

「物語ではよくある展開ですわ。暇なときに、外の世界のゴミ処理場から綺麗なものを漁ってたりします」

 

「それと同じニュアンスで聞いて下さい。この破滅の門の瘴気や邪気は・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【世界によって消された存在の憎しみ】です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では・・・・・・私達【第0宇宙】をベースに作られた、18の宇宙で何か異変が・・・?」

 

「詳しくは・・・・・・長期にかけて調べないことには・・・・・・」

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

 

 

妖怪の賢者と幻想郷最高裁判長。2人の剣幕は、険しい。




くかかかかか・・・屑人間ども。私だ、泣く子も容赦なく殺す祟り神、ミシャグジ様だ。タケミナカタ、神奈子だったか。いよいよアイツへの復讐も叶う。邪魔者は・・・・・・アレは、天魔に早苗・・・確か・・・バーダックとかいったな。はっ!!上等だ!!全員まとめて滅ぼしてやる!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【祟り神VS大妖怪VSサイヤ人】
貴様らも、まとめて滅ぶがいい・・・・・・くかかかかかかかかかかかかかか!!!!!!



お待たせしました5ヶ月。年末SPは本編ではありませんので。ええ。未だにお気に入り登録から外さない方達が、何よりも原動力になります。あと、感想欄ね。
露骨な稼ぎも終わったところで、近況報告という名の雑談を。

1、年末SP投稿後、すぐに憑依華プレイしました。新キャラに対する反応は、こんな感じ。
『裸足だ!!!!(歓喜)』
お姉ちゃん、まさか15位なんて・・・・・・余りにも度肝抜かれました。
他には、ドレミーさんの攻撃手段全部可愛らしくてツボです。覚〜めない夢の中に〜ドレミーがいたら〜玉乗り仕込んだの誰ですか!?友達になって下さい!!

2、大⑨州祭に何度か行きました。3月の小倉には行けませんが、これから参加される方は、習字のエリアをご覧ください。
【我、前科者 罰金五十万】
と書かれたものがあれば、白藍さんも参加している事になります。というか、コレをネタにする事に致しました。手錠とか持参される方がいましたら、是非逮捕してやって下さい。何という自虐・・・・・・

3、引っ越しました。学生寮を飛び出し、とあるアパートにて、新たな生活を始めました。未だに荷物の整理が出来ていません。頑張るので応援してください。コレからの楽しみといえば、夏の映画のポケモンとジュラシックワールドと、ポケモンクリスタルですね。実況プレイとか何とか言ってましたが、やっぱり、第1回目の録画データが早速おかしくなったので、挫折。パソコンでの実況プレイに向けての機材やらも集めたいですね。



なんか、とてつもなく気になるワードが出ましたね。【第0宇宙】。果たして、一体幻想郷・18の宇宙・破滅の門で、何が起こっているのでしょうか?さらに悪化する憎悪とそれに抵抗する戦士と少女達。コレからの展開にも期待して下さい。
余談ですが、サブタイですが、アレを読むときは、某携帯獣の10周年映画の予告をイメージしました。なので、口にする時はなるべく意識するようにして下さい。面白いです、多分。

では、今回はここまで。今後も閲覧、よろしくお願いします。


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第25話~祟り神VS大妖怪VSサイヤ人~

「タケノコの里!!」

 

「キノコの山!!」

 

 

 

ある時は、3時のおやつ時に。

 

 

 

「要る!!」

 

「要らない!!」

 

 

 

ある時は、昼食の酢豚を前に。

 

 

 

「海!!」

 

「山!!」

 

 

 

ある時は、夏休み前に。

 

 

 

「パール!!」

 

「ダイヤモンド!!」

 

 

 

ある時は、テレビの前で。

 

 

 

「ご飯!!」

 

「パン!!」

 

 

 

ある時は、寝起き一発で。

 

 

 

もう、争いを楽しんでいるのでは無いかと疑わざるを得なくなっていた私は、神々の戦いを見守ってきました。適当にあしらってたらいつの間にか収まり、一晩目を離してたら取り返しのつかない大惨事に成ったのもしばしば。それでも、お二方が見せる怒りの表情の裏に隠れた笑顔に、いつしか私も楽しく観戦するようになっていました。それが、いつまでも続くものだとも・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天魔の肩で目を覚ました早苗の瞳に入った光景は、彼女の幸せを根本から覆すものだった。

 

 

 

「どうして・・・・・・諏訪子様が神奈子様を!!!!」

 

「早苗ちゃん、目が覚めたかい?」

 

「天魔さん・・・・・・これって、もしかしなくとも・・・」

 

「諏訪子ちゃんの中に居た祟り神が、諏訪子ちゃんの精神を喰ってしまった・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・っっっ!!!!」

 

 

 

いつもの喧嘩は、同席していた椛さんやにとりさんは恐怖であわてふためき、文さんは楽しそうにカメラを構え、霊夢さんは本気で止めに入ろうとしていました。私だけが余裕を持っていたのです。お二方の内心を、理解していたから。

でも、今やっているコレは、違う。どうして、神奈子様はそんなに悲しい顔をしてるんです?どうして、諏訪子様はそんなに笑っていられるのです?これでは、まるで、本当の殺し合いです!!!!

 

 

 

「早苗ちゃん、落ち着くんだ!!」

 

「う・・・天魔さん・・・・・・」

 

「残酷なことを言うかもしれない。でも、聞いて欲しい」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「君では、あそこまで暴れる祟り神を止めることは出来ない。君の声が諏訪子ちゃんに届く前に、君が殺されてしまう。そうなれば、諏訪子ちゃんは、2度と元に戻れなくなってしまう・・・・・・」

 

「でも・・・・・・」

 

「悔しいのは解るが、ここは耐えてくれ。私が何とかしてみるから、山に結界を張るんだ!!」

 

「・・・・・・・・・っっ!!」

 

 

 

早苗は、溢れ出てくる涙を拭うこと無く、その場を離れていく。口から僅かにだが、血が垂れている。自分で口の中を噛んだのだろう。自分が動かなければ、自分を許せない。同時に、自分が行ったところで、何も出来ない。神の端くれとして、こんなに情けないことはない。本心を押し殺し、自傷することで、冷静さを欠く事無く選択したのだ。

十数年しか生きていない健気な少女には辛いなんてモノじゃない決断を無理強いさせたのだ。コレで、何も出来なければ、山のトップとして・・・・・・いや、自分の意思が許さない。

深呼吸を一回済ませ、祟り神に向けて殺気を放つ。

 

 

 

「・・・・・・くかか・・・邪魔するのかえ?」

 

「・・・大人のケジメだ。諏訪子ちゃんを返しな」

 

 

 

黒い雨と碧の風が重なる。大妖怪と神のにらみ合いは、電磁波となって、辺りを緊張させる。

 

 

 

「ぐ・・・・・・よせ・・・諏訪子・・・天魔・・・・・・お前たちが、本、気でやると・・・対消滅・・・・・・」

 

 

 

神と妖怪。完全な別物として囚われがちだが、実際にはそうではないのだ。神も妖怪も、大して変わらないのだ。2つを分ける境界線が、【人間から信仰されているか】というだけなのだ。妖怪出身の神もいれば、妖怪に成り下がった神もいる。お互いに最強クラスの神と妖怪が本気でやり合えば、余りにも危険すぎる!!乱暴に投げられた神奈子は、薄れる意識の中で叫び続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

月の頭脳をフル稼働させながらの、不眠不休治療三日目。まだ普通に疲れている様にしか見えない永琳。予想外すぎる薬剤師の本気を目の当たりにした霊夢は、やや引いている。

作業の邪魔にならないように、汗をぬぐったり、必要な薬草や薬瓶を的確に準備する鈴仙も相当だ。こちらは流石に二徹が限界のようで、仮眠してる間は他の兎が交代でしている。優秀だなぁ。

 

 

 

「紫陽花の花を寄越しなさい」

 

「はい、ただいま」

 

「こちら、目薬です」

 

「3番隊、交代です」

 

「メディスンさんの鈴蘭毒、やや遅れます」

 

「今日の夕食は鳥兜だよ~」

 

「スッポンの血は、5mlでしたね」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

さっきから聞こえる内容に、毒物の名称が沢山聞こえる。いや、確かに、毒は使い方で薬になると聞くが、塵も積もればどうなるかは知っている。時々精力をつかせるのは何なんだろう。天才の頭脳は理解できないゆえに怖い。

と、兎舘が布団ごと私を運び出す。

 

 

 

「ねぇ・・・まさかだけどさ・・・・・・」

 

「次は、手術よ。半刻で終わるわ」

 

 

 

果たして、14日目の朝、私は生きていられるだろうか・・・・・・・・・。

この異変が終わったら宣伝しておこう。

『永遠亭の入院は、確実に治る保証はするが、精神的にやつれる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅぐ・・・ひっく・・・・・・」

 

 

 

涙を必死に堪えようとする早苗。しかし、どんなに強く意識しても、涙腺はことごとく裏切ってくる。無理矢理にでも押さえようと、自傷行為に走り出す少女。頭を木に何度も打ち付ける。

 

 

 

「止まれ・・・!!止まれ・・・!!」

 

 

 

それでも、涙は止まらなかった。視界が少し赤くなってくるがお構い無しに自らを傷つけ、冷静さを取り戻そうとする。

しかし、そんな努力も虚しく、血を流す程に熱を持ち、アドレナリンが溢れてしまう。遂には、木の方が先に音を上げて倒れてしまう。

 

 

 

「うぅぅ・・・・・・!!!!」

 

 

 

周囲を見渡し、巨石が目に留まる。がむしゃらに殴り付け、早苗自らの血が無慈悲に身体を汚していく。

 

 

 

「私に・・・力さえあれば・・・!!私なんか!!」

 

 

 

何度振り上げたか分からない腕を更に高く掲げる。綺麗な爪も割れてしまい、無惨な手を強く握りしめ、一思いに降り下ろす。

しかし、その腕は石を叩かなかった。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「あ・・・・・・バー、ダック・・・さん・・・?」

 

 

 

突然現れた見知った顔に、更に熱くなる早苗。

 

 

 

「何しに来たんですか!!私を止めて、同情でもするのですか!?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「それとも、弱くて何も出来ない私を笑いに来たのですか!?でしたら、存分に笑いなさい!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「奇跡の風祝が、何も出来ないんですよ!!笑い者でしょう!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「うぅ・・・ぅぐううぅぅぅうう・・・・・・!!!!!!」

 

 

 

目から大粒の涙、額と小さな手から大量の血を流し、バーダックを睨む早苗。そして・・・・・・

 

 

 

 

 

「神奈子様を・・・・・・諏訪子様を・・・助けてください!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

気付くと、早苗の視界からバーダックの姿が消えていた。脳裏に焼き付いた、一瞬視認した金色の輝き。余韻にも届かない僅かな光を思いだし、早苗は泣いた。ひたすらに泣いた。その瞳は、希望の輝きが、消えること無く煌めいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲藍は博霊神社にて、とある人物を待っている。霊夢が最低14日間も完全に不在となってしまい、結界を守る代役として、構えていた。しかし、正式な賢者でない以上、限界が訪れる。更に言うならば、彼女は天才的な策略を駆使し、戦いの後方支援をするのがベストなのだ。

そのため、人間から緊急時の代役を選出を橙に探させ、選び抜いた人材を待っていたのだ。

 

 

 

「・・・・・・・・・ん」

 

 

 

神社の鳥居を何者かがくぐった。一人は、橙。一人は萃香殿。そして、心当りの無い気配がもう1つ。ようやく来たか。

襖がスパーンッ!!と、乱暴に開ける音が聞こえた。間違いなく萃香殿だろう。ゆっくりと立ち上がり、振り替える。

 

 

 

「ど・・・どうも・・・・・・」

 

 

 

人里出身にしては珍しい金髪。霊夢とは違う巫女装束をきれいに着こなし、これまた珍しい古楽器を手にしている。

 

 

 

「二胡、か。得意なのか?」

 

「はい、たまたま手に入ったのですが、これが中々面白くて・・・・・・」

 

「君は、巫女が不在中の神社で普通に暮らせばいい。護衛には、私の式の橙と鬼の萃香殿をつけよう。そして、もう1人。床下に隠れている、貧乏神も使いなさい」

 

「え・・・・・・?バレてる・・・?」

 

 

 

隠れていたのは、依神紫苑。貧乏神であるため、貧乏神社が過ごしやすかったのか、天人と暮らしているようだが、稀に帰ってくるようだ。ピンポイントなタイミングで藍に気づかれ、逃げ道が無くなった。

 

 

 

「諦めるんだな、依神紫苑」

 

「ぐぬぬ・・・妖怪の分際で・・・・・・」

 

「では、博麗の巫女代役。よろしく頼むぞ」

 

「はい、不肖冴月麟、頑張ります!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「【祟り神】赤口さま」

 

 

 

左の袖から手が消え、代わりに白い大蛇が現れた。自らの手足のように自在に操るミシャグジ。高速で暴れ回る大蛇を躱しながら、天魔も負けじと応戦する。

 

 

 

「【大天狗】悠久幻想郷!!!!」

 

 

 

6つの大型台風が、ミシャグジと天魔を神社の敷地ごと包囲する。高速の弾幕が、ミシャグジを標的に乱舞する。

激しい攻撃は実に20秒、隙なく一点に降り続けた。

 

 

 

「・・・・・・手応えはあったが、この感触は・・・」

 

 

 

風が収まり、見えてきたのは、とぐろを巻く大蛇。やはりというか、自らに巻きつけ、盾としていた。全ての攻撃をその身に受けた大蛇は、全身に切り傷を負った。

 

 

 

「全く、この程度かえ?」

 

「その程度の攻撃で、蛇ちゃんは満身創痍のようだが?」

 

「?だからなんだ?死んでなければ、まだ扱えるだろう?」

 

「仮にも、配下だろう。命くらい、面倒見ないのか?」

 

「神がわざわざ使ってやっているのだ。感謝して、命の10個や20個差し出すモノだろう?」

 

「完全なる暴君だな。恐怖による信仰に、搾取するタイプの神様か・・・・・・諏訪子ちゃん達とは完全に真逆だな」

 

「恐怖は、新たな感情を生む。畏怖に暴力に命乞い。我こそがトップに君臨するのだとな」

 

 

 

未だに停滞する竜巻に、満身創痍の大蛇を振り回す。逆回転で相殺された風は搔き消え、更に傷つく大蛇。感情を読み取れない筈の冷たい眼が、必死に助けを乞っていた。

 

 

 

(蛇ちゃん・・・・・・・・・)

 

 

 

あの蛇は、ミシャグジの配下であり、同時に依り代の筈。諏訪子ちゃんも何度か扱っていたのを見た記憶がある。あの体から引き剥がせば、何とかなると思うが・・・・・・・・・。

 

 

 

「【雨雲】雷のち槍!!!!」

 

 

 

山を覆う黒い雲の一部が不自然な渦を巻き、落雷が発生した。雨が降る要領のままに、槍や刀に苦無、刃物が無数に猛スピードで落ちてくる。広範囲に降る刃雨が、軌道を次々と変えながら移動範囲を狭める。ミシャグジが大蛇で防御しようとするが、直前で軌道を変えられ、ガラ空きの後ろから狙いを定める。

 

 

 

「ちぃっ!!!!」

 

 

 

直撃する寸前でミシャグジを中心に、衝撃波が発生した。刃物達は全て弾かれ、空を舞っていく。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「くく・・・行ったと思ったか?」

 

「割と、自信あったんだがな・・・・・・」

 

「蛇をこれ以上傷つけたくないみたいだな。なら、助けたい蛇に殺されてみるか!!??」

 

 

 

大蛇が更に大きくなり、大口を開けていく。眼からは、もはや光を失い、牙の先から毒液が垂れ流しになってしまっている。

 

 

 

「さっさと、逝っちまいな!!」

 

 

 

天魔は、回避を試みようとするが、ここを避けると、蛇ちゃんが間違いなく息絶えてしまう。下手に躱して、大地に突きつけられては・・・・・・これまでか・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は・・・・・・?」

 

「あ・・・・・・」

 

 

 

バーダックは大蛇の根元となる諏訪子の左腕を掴み、一気に距離をとった。大量の血を噴出し、歪んだ表情に変わっていくミシャグジ。

 

 

 

「ぐぎぃぃいい・・・・・・貴様ぁぁあああああああああああ!!!!!!」

 

「何だ。あっさりだな。さっきまでの余裕はどうした?」

 

 

 

瘴気をまともに浴びながら、常に冷静でいるバーダック。この時点で、ミシャグジも天魔も理解した。神をも恐れない、強力な戦士だと。

 

 

 

「何故、君がここに・・・?確か、文ちゃんの新聞に載ってた外来人の・・・」

 

「小便臭え青いガキに泣きつかれたよ。助けてくれってな・・・・・・」

 

「早苗ちゃん・・・・・・?じゃあ、彼女の願いを・・・」

 

「何時ぞやのやかましい女の涙に同情はするかよ。むしろ、俺はイラついてんだ。力及ばず、何も出来ない自分が許せないだぁ・・・?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

「昔の自分を見ているようで、実に腹立たしいんだよ!!!!

 

 

 

 

 

おまけに、あのチビの暴君ぶり。俺の一番嫌いな奴の顔が浮かんできやがる・・・・・・」

 

 

 

ゲームを楽しむかのように他者を傷つけるミシャグジ。配下の大蛇を道具のように弄ぶ残酷さ。かつての上司の姿と声がフラッシュバックしてきた。

 

 

 

「覚悟しな、チビすけ。俺は今、虫の居所が悪すぎてな。痛い思いしたら好きなだけ文句言いな。2秒で忘れてやるから、一字一句残さずに聞いてやるよ!!!!」

 

 

 

金色の輝きが更に強くなる。黒い空に黒い雨。天魔は、絶望のカウントダウンが、僅かにだが止まったような気がした。




よう、バーダックだ。久しぶりにここを使うぜ。あの蛙のチビ、殺気を放ちまくりやがって・・・はっきり言って、迷惑甚だしい!!早苗の葛藤と貴様の態度・・・・・・あの、フリーザの野郎と重なっちまってよう、落とし前つけさせて貰うぞ!!!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【奇跡の完全憑依!? 早苗とバーダック】
絶対に見てくれな!!



一ヶ月以内投稿完了!!一体いつぶりだろうか・・・・・・。少ない自由時間に、おやつ食べたり、動画見たり、録画した番組を見たり、寝てしまいたい衝動を押さえつけ、形に出来たぜ。今回は、新イラストを2枚使うことで、モチベーションがより上がったんだと思います。無理です。割りと無茶したので、後書きを書き終えて投稿したら早急に寝ます。なので、次回も早くなると良いなぁ・・・(切実)



最近の出来事で一番大きいことは、ニコニコ静画にて、イラストを投稿しました。超3孫悟空を、シャーペンで描き、割りと満足のいく出来に仕上がったと思います。よろしければ、検索して探してみてください。

身勝手の極意が、ついに完成してしまいましたね!!作画も限界突破しまくりで、興奮しまくりです!!思い返せば、神になって、ブルーになって、界王拳の封印を解き、トランクスも帰ってきて、神々も会得の難しい奥義まで・・・・・・。悟空の強さは、どこまで昇華していくのでしょうか。
また、ベジータの放ったあの台詞。12月の映画のテーマそのままで、布石のようにも感じ、オラわくわくすっぞ状態ですよ。本当に楽しみでしょうがない。

さあ、三つ巴の乱戦が始まりますよ!!大金星を掲げるのは一体誰なんだ!?予告?ドラゴンボールシリーズのテンプレの1つをパクリスペクトしただけですが、何か問題でも?

それでは、今回はここまで。これからも閲覧、よろしくお願いいたします。おやすみ~。


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第0401話~幻想楽園演舞 Spring vacation~

走ろうぜ幻想郷 世界でイットー秘密の楽園
駆け抜けろ幻想郷 世界でイットー愉快な現世
この世はデッカいカオス也 そうさ今こそエイプリル

体げっそりお腹ペッコリ 指輪一杯笑顔ニッコリ
依神姉妹は挑戦者
だけどパワーは半端じゃ無いぜ 姉ちゃんパンチに貧乏玉
異変起こすよお金のために

イッツ暗い暗い暗い戸の中に
クレイジーダンサーバックステップ
レッツ苦無苦無苦無4色さ
裏の季節を見てみるかい?

飛び出そう幻想郷 世界でイットー手強い奴ら
楽しもう幻想郷 世界でイットーイカしたルール
この世はデッカいカオス也 そうさ今こそエイプリル


▶ロード <ピッ

○ニューゲーム

○オマケ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○「お前ら帰れ!!」

▶「勝手にしてろ・・・・・・」 <ピッ

 

 

 

もう諦めることにしたバーダックは、何も言わずに寝返りを打った。動くたびに酷い汗がまとわりつき、とても不愉快である。

 

 

 

「よーし、あたいの氷で冷やしてあげるね」

 

「病人だから、串焼きは重いよね。おじや作るから、台所使うね」

 

「あ、私も手伝うよミスチー」

 

「調理場に虫はちょっと・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「冗談だから、マジ凹み辞めて!!」

 

「旨いのだ~」

 

「あ、ルーミア!!貯蔵庫行っちゃダメじゃん!!」

 

「てめ・・・・・・勝手に・・・・・・」

 

「生で食べないで、私に頂戴よ。調理するから」

 

「あいー」

 

「そこの食い逃げ妖怪・・・」

 

 

 

頭が痛い・・・・・・。免疫力が低く、風土病ですら死にそうだってのに、これじゃ、悪化すんぞ。こっちの住民にとっては、ただの風邪になるのが情けない。

 

 

 

「あの・・・・・・騒がしくてすみません・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

もう、何度目だろうか。この緑髪の妖精に救われるのは。目だけじゃなく、ストレスにも優しい緑が、額に触れる。

 

 

 

「うーん・・・妖精の体温が基準で【ちょっと熱っぽい】ですね」

 

「俺の平熱は・・・人間より、やや低いそうだ・・・が?」

 

「人間換算で・・・・・・39度ですかね・・・」

 

「それって・・・・・・どうなんだ・・・?」

 

「割と・・・・・・深刻です・・・」

 

「そうか・・・・・・」

 

 

 

他より控えめな大妖精とはいえ、元気で陽気な妖精の表情が物凄く曇ってる。俺の身体、そんなにキツイのか・・・・・・

 

 

 

「【凍符】パーフェクトフリーズ!!!!」

 

「ぎゃー!!スペカ使うな!!」

 

「ちょっと!!お米を土鍋ごと冷凍保存する気!?」

 

「39度の~体温抱いて~今を、生き抜けよ!!」

 

「「「寒い~!!!!」」」

 

 

 

「うがえああああああああえあああああああああ!!!!」

 

「あぁっ!!バーダックさんがキレた!!」

 

 

 

幻想郷は、病人にすらお構い無し。安静にしておきたい・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えへへ・・・美味しいですね。流石ミスティアちゃん」

 

「この腕は、俺も認めざるを得ない。ウナギの解体は、難易度がおかしい」

 

 

 

ミスティアのヤツメおじやを【静かに】頂く【二人】。慧音先生がうるさい四人を引っ張ってくれたことに、心から感謝する。次の授業は真面目にしてやるか。普段の1割増し位。

 

 

 

「ふぅ。そろそろ、服薬するか。ちょっとどけ」

 

「あ、はい」

 

 

 

ただの風邪薬を深刻に扱う患者は、やはり特殊だ。一般的な薬でさえ怪しいと来たものだから、笑えない。取り敢えず様子見と言うことにはなっているが、期待は薄い。

すると、壁をノックする音が聞こえた。

 

 

 

「バーダックさんのお宅ですか?」

 

 

 

聞き覚えの無い幼い声。感じる気は、人里の人間。まさか、子供が押し掛けてきたのか?

ヤバい。人里の子供に何か起きようものなら、霊夢と慧音がうるさい。面倒な上に、下手したら人里との関わりを制限される。そうなれば、食事が難しくなる。それだけは避けなければ。言ってしまえば、この地の飯が美味いから留まっているといっても過言ではないのだから。

 

 

 

「あああああああああ・・・・・・」

 

 

 

風邪のために重くなった身体を、今後の美味い飯のために引きずり、戸を開ける。

そこには、ショートカットに花飾りを付けた少女が、割とたくさんの荷物を抱えて立っていた。気になるのは、霊夢と同じ巫女装束を身に付けていた。

 

 

 

「先日慧音先生よりお伝えしていた、稗田の者です。幻想郷縁起の取材に伺いました」

 

「縁起・・・・・・あー、そんな話あったわな。よく知らねぇけど」

 

「はい。まず、お宅に上がりたいのですが、その前に体調は大丈夫でしょうか?無理のようでしたら、また後日にしますが」

 

「は?その格好でか?」

 

「はい。この巫女装束はとても有能なのですよ!!霊夢さんの関係者かも知れないと思わせれば、襲われ難いのです。私の編み出した、秘策なのです!!」

 

「・・・・・・確かに、妖怪には襲われないわな」

 

「えっへん!!」

 

「じゃあ、猪や熊は?」

 

「はぇ?」

 

 

 

妖怪にとっての最も危険な警戒色に当たる紅白。それは、自然界において非常に目立つ物だ。それが、縄張り意識の高い野性動物に見つかればどうなることか。ましてや、この拠点は、妖怪の山・天狗の領域にギリギリ入ってない程度の場所なのだ。危機感を感じた動物たちは、それこそバーダックの拠点の様なエリアを主な活動範囲にしているのだ。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「大妖精、慧音先生を呼んでこい」

 

「はい、行ってきます」

 

「つー訳で、入れ。お互いのためにな」

 

「はい・・・・・・ぐすん・・・」

 

 

 

自慢できる位の発想が、あっさり論破され、中々に答えてしまったようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「次は、バーダックさんの交友関係を教えていただけますか?」

 

「あー・・・・・・誰から言うか・・・」

 

「一応、発言順に縁起に記録しますが・・・」

 

「割と多いからな・・・。取り敢えず・・・・・・・・・」

 

 

 

○大妖精

▶魂魄妖夢 <ピッ

○レミリア=スカーレット

○フランドール=スカーレット

○十六夜咲夜

○上白沢慧音

○今泉影狼

○八雲藍

○射命丸文

○藤原妹紅

○伊吹萃香

○ナズーリン

 

 

 

「白玉楼の妖夢とは、まあ仲良くやらせてもらってる」

 

「妖夢さん、と言いますと、半人半霊の?」

 

「数少ない娯楽が食事でね。あいつには、いろんな技術を教えてもらった。紅魔館でも教わってはいるが、1人で日常的にやるにはちょっとな」

 

「ふむふむ。自ら調理もする・・・・・・と」

 

「剣術も中々だ。俺もアドバイスを1つ教授してもらったしな」

 

「なるほど。剣の心得有り、ですか」

 

「まあ、まともに鍛錬する奴が少ないからな。瞑想は白玉楼がやりやすい」

 

「向上心あり」

 

「・・・・・・まだ続くか?」

 

「それはもちろん!!」

 

「はあ・・・・・・」

 

 

 

取り敢えず、文のような弾圧取材じゃないだけまだマシか。礼儀もきちんと出来ている。子供にしてはもったいないレベルだ。

基本1人で居たいバーダックにとって、苦にならない相手は、礼儀正しい静かな者となる。そして今日、バーダックの中の優先度の高い人物の中に、新たな少女の存在が。

その後、静かにゆったりとした会話や食事処の情報交換などを交えての取材は続く。他の妖怪達の意外な情報も聞けたりしたので、割と楽しめたと思う。慧音先生が迎えに来るまで、風邪の不快感はだいぶ軽くなっていた。病因、ストレスも混じってないか、コレ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映し世のサイヤ人

バーダック

 

能力:世界を映す程度の能力

危険度:高

人間友好度:中

主な活動場所:不定

 

元々は幻想郷の外からやって来た外来人。しかし、従来の幻想入りとは根本的に違うモノであり、異世界人として扱うのが適する。本誌では、新種の妖怪【サイヤ人】として、記録する。

 

サイヤ人の大きな特徴として、戦いに特化した種族に当たる。別名【戦闘民族】というだけあり、身体能力や筋肉の付き方が非常に優れている。重さ・柔軟さ・機敏さ等、バランスも素晴らしい。猿に近い尻尾があり、手のように器用に動かすことも出来る。

 

幻想郷において、賢者や巫女からの正式な移住と認められ、彼の気に障るような事をしない限り、基本的には温厚である。頑固な癖っ毛とやや悪そうな目付きを除けば、人里でも普通に馴染めている。

 

食に対する執着が、とても強い。量より質を求め(本来のサイヤ人は逆らしい)、味覚のレベルは福の神に匹敵するほどだ。

自ら調理することもあるようで、農業を手伝い、売り物にならない処分するものを回収する事も多く、農家さんからも好まれている。

 

普段は妖怪の山の天狗の領域外に家(自分で建てた)に暮らし、紅魔館の執事長として勤務する。休日も新たな味を求め、自然を闊歩している。

 

 

 

《目撃報告例》

・うちの常連さ。時々、豆を持参して「作業場を貸してくれ」って来るんだ。腕も中々さ(豆腐屋)

 

職人技まで身につけるとは。その他にも色んな技術を身につけているのだから、驚きだ。1人で食事会も開けそうだ。

 

・態度もやる気も最悪なのに、頭は良いんだよ・・・いつか絶対に赤点取らせてやる・・・(上白沢慧音)

 

まさかの問題児である。礼儀はしっかりしているようなので、卒業後は問題ないだろう。

 

・良いやつではあるんだけど、どうも心配なのよねぇ。主に周囲の子供(博麗霊夢)

 

認められてはいるものの、危険視も拭い切れていないようである。少なくとも礼儀ある者には優しいので、マナーを守るよう心掛けましょう。

 

・あいつが警備の強化要員になってると、図書館に入りにくいんだよなぁ・・・(某魔法使い)

 

まだ泥棒家業続けているのか。

 

 

 

《対策》

前述でも出ているが、彼の気に障らない限りは安全だ。万が一怒らせてしまった場合、博麗の巫女が危険視する程の脅威に襲われると考えると、冗談抜きに気をつけるべきだろう。彼の知らない食べ物やその作り方を知っていれば、もしかしたらもしかするとかも知れない。しかし、それを繰り返せば後になって許される確率が激減するため、怒らせないに越した事はない。

 

脅威となるが、その力が味方に着くと有難いことはない。彼を味方につけるには、以下のいずれかに該当しなければならない。

1、彼の働き相応かそれ以上の報酬を約束できる者

2、将来見込みのあると認められた子供

どちらにしろ、難関である。尚、現在2を満たす子供は、1人しか居ないらしい。誰かは教えてくれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああああああああああああああああああああ」

 

 

 

日もすっかり沈み、そしてバーダックの体調も沈んだ。やる事がないと、本当にダルくなる。うん、間違いない。病因はストレスだ。囲炉裏の灯りも温もりも、大して意味がない。誰か来てくれないだろうか。稗田阿求の事もあるし、誰か礼儀の良いやつと話してる方が楽だ。

 

 

 

「・・・・・・・・・あ・・・ごほっ・・・」

 

 

 

喉が痛い。便利屋の八雲家も呼べそうに無い。今回は諦めろという事なのか。寝ようにも、寝汗が気持ち悪く、寝付くまでが遠い。イライラしてるとさらに遠くなる。どうしたものか。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

ふと、思い出す。鈴仙と葉っぱを交換したお薬Cセット。色々入ってる中に、ジョークグッズがあったのを思い出す。確か・・・・・・

 

 

 

【てゐちゃんの100パーセントロシアンルーレット】

 

 

 

不安しかない。明らかに薬じゃない。多分だが、セットをくれた鈴仙も、これの存在は知らないだろう。こんな患者の精神をこそぐお薬があってたまるか。

だが、気絶レベルの物を引き当てた場合、今のバーダックにとってこんなにも嬉しいことはない。一思いにやってしまってほしい。

 

 

 

「・・・・・・んっ!!」

 

 

 

劇薬を3錠、思い切って服薬する。喉を通った瞬間・・・・・・

 

 

 

「@\&#◎€₩▽≒◇¶ΩΠ§‰℃∂∇⊇♀♭仝£*∃†∑√∬∽∠〆⊥♯〓>☆∞※⊿♂≠∮∴≡∥×≫∈‡〃‥□$<¢αΔΘБДЖяξ≦◯☆ЯЮ!!!!!!!!!!」

 

 

 

断末魔が聞こえた。この世のモノとは到底思えない文明の暴力を味わった。声が収まったバーダック邸に一人の影が侵入する。

 

 

 

「うわぁ・・・・・・こんなになるとは・・・」

 

 

 

因幡てゐは、精々悶絶する程度と思っていたのだ。予想の斜め上どころか、異世界までぶっ飛んだ反応に同様を隠せない。

 

 

 

「えっと・・・・・・何を調合したっけ・・・・・・」

 

 

 

夜遅くで少し眠い頭を刺激し、あの錠剤にはどんな材料を入れたかを思い出していくてゐ。

 

 

 

スッポンの心臓のすり身・お酢・ローリエ・10日熟成した雨水・梅干し・お醤油・石鹸・カエルの卵のゼリー状の部分・タンポポの根・鶏卵の白身・カタツムリの粘液・唐辛子・鶏の骨粉・マヨネーズ・アブラゼミのおしっこを、お師匠様の風邪薬・解熱剤・麻酔薬を混ぜたものと一緒に牛乳でコトコト。凝縮させて完成した・・・・・・・・・何だろう?私は酒に酔った勢いで何を作ったんだっけ?

 

 

 

流石に青ざめるウサギさん。バーダックを怒らせたらどうなるかは、知っているつもりだ。そして、私のおふざけが招いた惨劇も。

打開策は、案外早く思い付いた。てゐは、スカートの端を千切り、水に浸した後、優しく握ってから、白目を剥きながら悪夢を見続けるバーダックの額に乗せる。

 

 

 

「さて、と・・・・・・・・・」

 

 

 

てゐは、文字通り脱兎の如く逃げ出した。しばらく引きこもることも決意したようである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、ナズーリン布団で寝ていた。

 

 

 

「・・・・・・おげぇぇぇぇぇぇ・・・」

 

 

 

それどころじゃない。こんなにも気持ち悪い寝起きは初めてだ。頭と喉と間接と胃と耳と鼻と目が痛くて痛くて堪らない。

 

 

 

「うむぅ・・・煩いな。君の寝起きはそんなに騒々しいのかい?」

 

 

 

呆れたナズーリンがバーダックのマウントポジションで唸る。勿論バーダックは、それに構う余裕はない。

 

 

 

「全く。君がそんなにだらしないとは思わなかったぞ。しょうがない。朝の目覚めに何か作ってやろう」

 

 

 

ナズーリンは、バーダックの貯蔵庫に勝手に入り、材料をかき集めたら調理場に立った。

 

 

 

「感謝したまえ。昨夜、徹夜で探したお宝なんだぞ。こんな贅沢は、無いんだからな」

 

 

 

ひどい症状に苦しむバーダック。特に、味覚へのダメージが甚大だ。何か美味しいものでリセットをかけなければ、本当に死んでしまう。

すると、霞む視界の中に何かを乗せた皿が入ってきた。

 

 

 

「こんなもの、もう見つからないんだからな。7寸(およそ20cm)を優に越える松茸なんてね」




はい、どうも皆さん。本編でシリアスしてても、容赦なくギャグをぶっ混む事に定評のある白藍さんです。緩急が大事なのですよ。え、何?緩急ありすぎて、顎がガクンッ!!ってなった?そんなんじゃ、ジェットコースターに乗れませんよ?

と、まあ、いつもの無意味な雑談へ行きますよ。

まあ、投稿時間を予約したわけですが、これが投稿しているとき、作者は何をしているかと言いますと、カラオケです。友人と29年度の年越しをオールナイトで騒ぎます。因みに、このパーティの三日前に、違う人たちとオールナイトカラオケしました。アホでしょ?その時にカラオケでやった遊びを1つ。
「ドキドキムービー採点」
というものがありまして、歌っている間の途中点数に応じて、グラビアアイドルがどんどん脱いでいき、最後に
「歌うまいね♪すっごーい♡」
と、水着姿で誉めてくれる、お父さんが家族カラオケでやると家庭崩壊する爆弾を使います。
歌っている間も、脱ぎ始めたり危なげな角度で舐め回すムービーが流れるのです。作者は85点は余裕で出せる人なので、高確率で脱ぎ出します。
歌う歌は、
「悲壮感漂う悲しい・切ない、超ネガティブな選曲」
をします。
するとどうでしょう。聴いていたらもう本当に辛い曲です。そのバックでグラドルがアッハンウッフンしてるんです。この時のギャップと来たら、もう笑いましたwwwシュールでしたよ。

うん。アホな遊びを全力で楽しんでるなぁ。是非皆さんもしてみてください。そして、こんな天災的なゲームを考えついた白藍さんを、是非とも信仰してください。皆さんご唱和ください。
「白w藍w様w、wへwんwたwーwい!!」
よし、洗脳完了。

こんな馬鹿話に長々とお付き合い頂き、誠にご免なさい、またします。

では、今回はここまで。そんじゃ、友人とカラオケに戻ります。またね♪

橙藍 HEAD 橙藍!!


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第0522話~執筆停滞の報告と言い訳をする作者を主人公達が処刑する雑談にもならないバースデー~

まずは一言。

ごめんなさい


主人公3人が、神社のテーブルを囲んでお茶を啜っている。

 

 

 

「ん、美味いな」

 

「当然。咲夜が紅茶の達人なら、私は日本茶の達人よ」

 

「沢庵が茶菓子になるってのも、中々良いもんじゃないか」

 

 

 

ズズズ・・・と茶を飲む音と、ポリポリ・・・と沢庵をかじる音がしばらく続いた。風の音がとても心地よく、暑くなり始める季節を一瞬忘れてしまう時間を過ごす3人。

 

 

 

「・・・・・・ん?【暑くなり始める季節】?」

 

「あれ?今、秋終わりじゃ・・・・・・?」

 

「あぁ。秋が終わり、冬に突入するところだぞ。・・・・・・本編はな・・・。現在は夏手前だ」

 

「まさか・・・しかも、この感じは・・・・・・」

 

 

 

はい、魔理沙ちゃん大正解!!今回は番外編!!そして、楽屋裏からお伝えしまーす♪

 

 

 

「げぇっ!?やりやがった!!」

 

「また、なんか愚痴を言うの?」

 

「お前な、いい加減にしろよ?後書きでも存分に言ってるだろうが。本編が進まないって」

 

 

 

うん。でも、今は結構辛いんだ。そもそも執筆を進めるための環境が揃ってないの。

 

 

 

「何が?スマホもタブレットもパソコンも、壊れてないだろ?現役で東方ゲームやってるだろうが」

 

 

 

うん。最近は、輝針城の魔理沙Aを主に攻略してるぞ。

 

 

 

「お、私か。そうだろう、そうだろう。ダークスパークはとても強力だもんな!!」

 

「嬉しそうね」

 

 

 

そんな魔理沙ちゃんに悲報です。

 

 

 

「魔理沙ちゃん言うな」

 

 

 

輝針城魔理沙Aを主軸にしてる理由は、霊夢Aと咲夜Aはクリア済みで、残りの妖器装備は、君だけなのさ。

 

 

 

「・・・・・・・・・はぇ?」

 

 

 

君が最後なの。

 

 

 

「ふざけるな!?」

 

「おーおー、久しぶりに荒れ始めたな」

 

「こんなに怒った魔理沙、久し振りね」

 

「何で!?お前、私との相性良いんじゃ無かったのか!?」

 

 

 

いやー。魔理沙と相性が良い要素が、移動速度速め・攻撃が基本前方集中・高火力の三つなの。

 

 

 

「じゃあ、何で!?」

 

 

 

全シリーズを通して、魔理沙はそんな自機なのね。でも、例えば星蓮船の早苗B・永夜抄の紅魔チーム・輝針城の咲夜A・天空璋の夏装備みたいに、各作品内で突出した自機があるから、そっちを先にやっちゃうの。俺の中では、魔理沙は器用貧乏の立ち位置に・・・

 

 

 

「終いにゃ、泣くぞ!!」

 

「分かったから、そこら辺で勘弁してあげて」

 

「前回の楽屋裏とか冒険編の白玉楼でもそうだが、お前、可哀想な魔理沙好きなのか?」

 

 

 

うん、割りと好き。

 

 

 

「ああああああああああああああああ」

 

「はいはい、落ち着きなさいよ魔理沙。後でバーダックに99%殺しにしてもらうから」

 

「うん、分かった・・・」

 

 

 

おい、こら!?

 

 

 

「貴様の趣向なんぞ、そろそろ聞き飽きたから、本題に入ってもらおうか」

 

 

 

OKOKボス。本題に入りますから、スピリッツ・ソードを首に当てて、人質を盾にする構造から解放してください。

 

 

 

「ちっ・・・」

 

 

 

それでは、今回の議題は、こちら!!

 

 

 

 

 

【白藍ハートネット先生の、22才の誕生日】

 

 

 

 

 

イエーイ!!

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

お願いします。その絶滅祈願のお札と妖気に当てられた八卦炉と【悪】の魔力を下ろしてください。せめて、言い訳をする猶予だけでもくれませんか?

 

 

 

「おら、さっさと話せや」

 

 

 

はい。そもそもの話になるわけですが、現在、

【忙しくなって執筆が短くなりました】

という現象は、どこの投稿サイトでも共通してる(言い訳の場合あり)事でしょう。

実は、コレ+別の理由も重なってしまい、執筆作業に甚大な遅れが生じてしまってます。

 

 

 

「何よ、それ。私達や閲覧者さんも納得の行く内容なのでしょうね?」

 

 

 

はい。その原因か、コチラ。

 

 

 

【新しいお家にWi-Fiが通ってない】

 

 

 

以前までは、タブレットにWi-Fiを繋げての作業だったのです。執筆しながら別ページでのスペル名や過去の描写を確認するのに、とても適したツールです。

そんな環境が引っ越しと同時に無くなり、沢山のスペルが飛び交う本編の執筆が非常に困難となり、それこそ番外編の様な様式でないと長文を書くのが余りにも難しくなった。活動報告欄でも良かったけど、せっかくだから、メタ回を利用しまくって、休止のお知らせでも暇しない位の話題を提供しようかと。

 

 

 

「あぁ!!そんなん、スマホで代用出来る範囲だろうが!?」

 

 

 

スマホだと、執筆中のページ範囲が余りにも制限されて、コピーとか訂正とか、序盤へスクロールするのにタブレットの3倍は苦労するんだわ!!おまけに、俺のスマホのポンコツ具合舐めるな!!燃費も通信要領もタッチパネル感度も誤作動頻度も何もかもが酷いんじゃ!!結果、番外編みたいなモノしかまともに書けん!!

 

 

 

「どれがどれだけ酷いか、実際に言葉で表現しろ!!曖昧な理由だけで私をネタ扱いするなら、即行で変態の焙り焼き作るからな!!」

 

 

 

燃費

パズドラプレイ中、2分と経たずに1%消費

 

要領

20日になる辺りで通信制限かかる

 

感度

パズドラで負ける要因の3割が、感度不良によるパズル崩壊

 

誤作動レベル

ポケットに入れて移動や作業してるだけで、記号でLINE送るわ、覚えの無いスクショ撮るわ、勝手に購入ページまで進むわ、東方の無料ゲームアプリを勝手に消して強制的に最初からにさせられるわ、用件もないのに通話始めるわで慌てる

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

「うん・・・なんか、ゴメンな・・・・・・」

 

 

 

分かってるさ。そのマジで悲惨な屑を見る眼、否定はしないさ。なぜ、こんなにも酷いのか・・・・・・

 

 

 

「何で買い替えなかったのさ?」

 

 

 

3月までまだ学生だったし、今も生活が完全に安定するまで、スマホは親名義で契約する事になってて、親曰く

 

 

 

『電話やメールが出来るなら買い替える必要はない。親の金でして貰いながら、遊びの為だけに買い替えるのはお門違いだ』

 

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

 

お願いします。頼むから、哀れみを表面に出さないで。少しは隠す努力しよ?

 

 

 

「うん・・・俺達が悪かった。お前の誕生日、豪勢に祝ってやるから、元気出せよ?」

 

「出来るかどうか分からないけど、今なら無料でお祓いサービスしてるから、好きなときに来てね?」

 

「もう、私を好きなだけ虐めても文句言わないから・・・・・・」

 

 

 

あああああああああああああああああああああああ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、作者さん自信の愚痴だけで2000字を超える茶番の後ですが、ここらで白藍さんについて語りましょう。

 

 

 

「うーい」

 

「えっと・・・何歳になったんだっけ?」

 

「22歳だったな」

 

 

 

22歳。某子供探偵の映画の博士のダジャレクイズによると、44才は、88才の半分。米寿(ライス)の半分だから【半ライス】。じゃあ、更に半分の22才は?

 

 

 

「・・・・・・プチライス?」

 

「・・・・・・クォータ?」

 

「魔理沙のそれは別の映画で聞いたな」

 

 

 

とまあ、こんなアホな話題を序盤にするのですから、内容は基本すっからかんです。

 

 

 

「お前が東方とドラゴンボールに触れた時期やきっかけはなんだ?」

 

 

 

そうですね。

まずドラゴンボールですが、これは正確な時期は覚えていません。小学校入学前なのは確か。年の離れた姉がドラゴンボール好きで、アニマックスの放送をVHSに録画してたので、それを観て育ったと言っても過言じゃありませんね。

実家にあった回は、RR軍突撃~vs悟飯じいちゃん・神様の修行~天下一武道会・悟飯高校入学~バビディ第1ステージ・フュージョン特訓開始~どこまでも強くwithウーブ・悟空が子供に!?~惑星M2攻略・すごろく空間~vs超17号(未決着)・三大超サイヤ人・復活のフュージョン・最強への道。以上かな。

 

 

 

「だいぶ偏りがあるな・・・」

 

 

 

うるさい。文句は姉さんに言ってくれ。それしか無いんだもん。

 

 

 

「んで、俺は?」

 

 

 

確か、10才になる前だったか。同じくアニマックスで偶然見つけ、ハマり始めた。

同時期、ゲーセンのドラゴンボール筐体が、究極必殺技が出たばかりの某虫王者と同期だった時代、バーダックのカードを入手して、ガッツリ魅了されました。

 

 

 

「はぁ~中々年季が入ったファンだな。思春期から程遠い頃からバーダックにハマるとは」

 

 

 

当時はまだHDDとはなんぞ?位の時代で、田舎育ちにとってはネット環境は当然悲惨。にもかかわらず、【ソリッドステート・スカウター】を聞きたいという理由だけで、何回レンタルしたっけな?もちろん、タイトル名は当時知らなかったよ。

 

 

 

「幼き頃から、随分マニアックだな」

 

「今の、白藍のプロフィール知ってる?こいつの活動報告欄に投稿してるのよ。どうも守備範囲や密度が濃厚なんだけど、ちょっと納得ね」

 

「んじゃあ、私達東方はいつ頃なんだ?」

 

 

 

これは覚えてるな。俺が13才の頃か。当時、【動画検索foooo】で、音楽を沢山取り込んでたな。あ、違法行為とか言われても知らん。当時はまだ、その辺の法律出来てなかったからさ。

んで、そのページだと、ニコニコ動画を観れたんだよ。アカウント無しでも見れたけど、当然コメントは打てない。そんで、【ドラゴンボール】で検索して、色々観てたら、悟空が幻想入りする動画を発見。そこで紙芝居風のアイコンとメッセージで喋らせる動画に始めて遭遇。パート1じゃなく、完全に途中からの視聴で、気になってパート1から観始めることに。これが僕の東方との出会いです。

 

 

 

「経由地すらドラゴンボールだったのか・・・生粋ファンだな・・・ちょっと引くわ・・・」

 

 

 

うん、自分で思い出して、自分でも軽く引いてるもん。これだけ純粋にドラゴンボールが好きだったからこそ、ブロリーmadを完全に受け付けなかったりした時代もあるわけで。

あの時は自分もにわかだったな。某二次アニメに声がなくて声ありのを探したり、ZUN絵を笑ってたり、【普通にアニメ化すればグッズとか買いやすくなるのに】と愚痴ったり。今思えば、すげぇ恥ずかしい。

 

 

 

「ほうほう。んじゃ、実際に弾幕ゲームに触れたのは?」

 

 

 

東方の知識を完全に習得してから、とある実況シリーズを見つけ、それを観てた。まだ高校生だったし、スマホの話で出た様な親だったので、マイパソコンなんざ夢のまた夢だったのよ。観てたのは、

【東方を数mmも知らない】

この単語で分かる人には分かる。

結局、家を飛び出し専門学校に通い、今シリーズの第00話を投稿し、しばらくしてからパソコンを購入。貧乏学生の無茶を通すために、Windows7を中古で買うことに。案の定、僕の触る電子機器はポンコツなのです。憑依華のFPSが30が基本になるくらい。弾幕も58が基本で、やや遅い。だから、ノーマルクリアの腕があっても、自称ランクは【ノーマル-】な訳だ。

 

 

 

「なんかさ、本当に酷いね。そんなにポンコツなの?」

 

 

 

僕の電子世界でのガチャ運は悲惨。1年前の大当たりを当てたり、超絶レアを当てたと思ってら、即行でタブッたり、まだ現役ドッカンバトラーの頃だって、【十連でSSR一体確定】以外で引き当てた事なんてありませんでした。

なのに、アナログのガラガラで金を2回、銀を3回引き当てる運の持ち主。生まれる時代を間違えたでござる。

 

 

 

「「「御愁傷様です」」」

 

 

 

哀れむな!!

うん。結構話したな。

 

 

 

「つっても、お前の誕生日企画なんだろ?結局お前の自己紹介的なモノに落ち着いたけど、大丈夫か?」

 

 

 

もうね。投稿頻度も遅いわ、来たと思ったら番外編だったわで結構地雷気味だけど、もううちの常連さんには知れ渡ってるし、もう良いかってなっちゃった。

改めて僕の現状を伝えて、安定させるまで待たせちゃう事になり、申し訳ございません。ってことです。

 

 

 

「あ、結局逃げるのか」

 

 

 

大丈夫!!生活が安定して、Wi-Fiも無事に通したら、普通の忙しい状態までには回復するから!!

 

 

 

「その状態で投稿が遅れる時点で若干の反感喰らうんだけど・・・?」

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

それでは、また皆さんを長らくお待たせしてしまいますがご了承を。失踪だけは何がなんでもしませんので、アホで我が儘な白藍さんを、暖かい目で見守ってくださいね♪

 

 

 

「「「失踪と死亡の違いを教えてやる!!!!」」」

 

 

 

皆さんどうぞ、よろしくお願いしまああああああああああああああああああああああああああああ




いやー。酷いね。流石に現状を伝えておかないと、余りにも待たせてるプレッシャーが重いんだけど。まあ、皆さんは「またか」と、思ってくれてるからね。思ってるよね?思ってるんじゃ無いかな・・・。
とりあえず最近の経歴(赤っ恥)行くよ。
親友のLINE(個チャ)で色々話してて、勢いで、とらのあなでの戦利品(18)をまとめて見せてやったんですよ。表紙を撮影して。数日後、タイムラインを見てたら、肌色成分のノートを投稿した事になってた。確認後、即行で削除した。まさかとは思うけど、家族には見られてないよな?とんでもない黒歴史だわ。なんか知らんが良いねが4桁ほどあったように見えたが、見間違いであってほしい。マジで4桁の数字が見えたが、確認が甘く、本当に僕の投稿なのか、1個下の投稿につけられたものか分かりません。個チャに載せたからって完全に油断してた。あれって、設定で非公開とかに出来ないのかな・・・・・・?

もう、事故起こして罰金払った前歴ありだし、もうこういうやらかした事は、ジャンル問わずに自ら晒すことにします。まあ、バカッターみたいに炎上するような内容はありませんね。能力の通り、【やらかした】事を暴露して、皆さんに笑ってもらえたらなぁ。

さて、それでは、休止期間に入ります。その間収入とWi-Fi環境を整えつつ、裏でボッコボコにされる使命がありますので、暫しの間お別れです。また甦るそのときまで、逝ってきます!!


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第26話〜奇跡の完全憑依⁉︎ 早苗とバーダック〜

「【魔符】スターダストレヴァリエ!!」

 

「【人鬼】未来永劫斬!!!!」

 

 

 

2つのスペルが交差し、4体の閻羅を飲み込んだ。派手な火力と静かな火力が綺麗に重なった様は、実に美しい。

 

 

 

「ふう。魔法の森付近は、ひとまず大丈夫か」

 

「あぅ・・・疲れました・・・・・・」

 

「一段落着いたし、少し休憩するか」

 

「はい・・・そうですね・・・・・・はふぅ・・・」

 

 

 

大きな岩場に座り込む魔理沙と妖夢。水筒の水を八卦炉で沸かし、お茶を啜る二人。ほっこり。

 

 

 

「って、何でこうなってるんですか!?」

 

 

 

幽々子様のラーメンを途中で放り出し、バーダックの助けになろうと飛び出したはずです。なぜ、こんな無礼者と奇跡の連携を取っているのでしょうか?と言うより、なぜ取れているのでしょうか?

 

 

 

「私は、バーダックさんが危険と聞いて来たと言うのに!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

妖夢のあまりにも恥ずかしい台詞に、魔理沙は少し引いた。真剣な表情でそんなこと言われると、尚更だ。

 

 

 

「バーダックさんは今、どこに居られるのですか!?もしくは、バーダックさんを痛め付けた連中はどこにいるのですか!?」

 

「分かった!!分かったから、胸ぐらを放せ!!脳を揺らすな!!」

 

 

 

ほんの少し前のほっこりから反転、無意味な暴れによる疲労でぐったりする魔理沙。妖夢はまだ暴れ足りない様だが、身体の方は割と悲鳴を上げてる。が、それ以上に精神が鼓舞している為か、体温の低い霊体がいつになく燃えている。

 

 

 

「取り合えず、バーダックは無事だ。今はどこで何をしてるか知らん。んで、襲ったのは、さっき退治した奴等だ。まだどれだけ残っているか分からない」

 

「分かりました!!それでは早速、討伐に向かいますよ!!後に続いてください!!」

 

「休憩位させろ!!あ、こら!!引っ張るな!!」

 

 

 

妖夢の中では、バーダックはとても大きな存在となっている。短い付き合いだが、剣術や調理での意気投合は妖夢にとって全てなのだ。これが友達なのか恋なのかは妖夢にも分からない。でも、バーダックを失いたくない理由はどっちでも良い。物心着いた頃から世話になってる幽々子は当たり前として、初めての感情に、一所懸命になる少女。

もちろん、魔理沙の眼には恋にしか見えてない。引っ張られる事を止めさせ、仕方なく着いていく。あ、さっきの岩場に水筒置きっぱなしだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

赤黒いオーラと金色のオーラが、轟音を上げてぶつかる。ミジャグジの左腕は神通力により既に再生済みだ。お互いに両手で掴み合い、押し合いになる二人。

 

 

 

「ぐぐぐぐ・・・・・・!!」

 

「くかかか・・・先程の威勢はどうした?」

 

 

 

ミジャグジはバーダックを挑発し、右腕の力を一瞬消した。重心をずらされたバーダックは体勢を僅かに左に崩し、脇腹へと回し蹴りを喰らう。その流れのまま、背後に回り、背中目掛けて鉄の輪を浴びせた。

 

 

 

「くかか・・・その程度かえ、小僧?」

 

 

 

割れた地面に埋まるバーダックだが、ゆっくりと起き上がる。

 

 

 

「ちぃ・・・あれが神か・・・・・・」

 

 

 

幼子の容姿をしているものの、やはり年期が圧倒的に違いすぎる。力の流し方がとてもうまい。戦闘力ならば確実に上回ってるにも関わらず、決定打を全て逃がされる。相手が人間や妖怪であれば、持久戦で削りきる事も出来ないわけではないが、信仰が切れないことには無限に再生される。ましてや、ミジャグジの信仰は【恐怖】。現在の幻想郷において、無尽蔵とも言える。

 

 

 

「妹紅・輝夜とも違う、厄介さだな・・・・・・」

 

 

 

バーダックは非常に気が立っている。だが、怒りに任せて突っ込む様な事はしない。否、出来なくなっている。美鈴・妖夢との修行の結果、相手の観察と分析を自然と行えるようになっている。故にミジャグジを確実に負かす方法も思い付いた。

だが、それを実行する為の完璧なイメージが浮かばない。頭の中で何度もシミュレーションをしてみたが、決定打の命中率は0だった。

 

 

 

(あの小僧、中々キレる様だな。だが、我が恐れている事を黙ってやらせると思うかえ?)

 

 

 

そう。ミジャグジはバーダックと対峙した時点でその可能性を浮かべ、諏訪子が百年単位で築いた合気道でいなしている。自らを消すための決め技さえ見抜けば、陽動やフェイントの攻撃まで全てを躱す必要もない。元々未完成で、とてつもない集中が必要な為、技そのものを妨害されたりもした。

当たれば確実に決める技を仕掛けるバーダックと、それを的確に躱すミジャグジ。持久戦に持ち込めば、ミジャグジの圧倒的有利だ。

 

 

 

(あのガキ、狡猾なだけじゃねぇ・・・良い意味で臆病だ。数十年程度生きてるだけの俺には、荷が重いか・・・・・・)

 

 

 

ミジャグジもバーダックも、お互いの戦況を正確に読み取っている。続いている均衡もすぐに傾き、訪れる未来さえ手に取るようだ。

故にバーダックでは勝てない。負傷した神奈子と天魔でさえもが、理解した。

 

 

 

(さて、どうする?不意討ちするにも、神の気配はまだ読めない上に、こっちの気配は読まれる。何か、鍵は無いものか・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は誰だああああああああああああ!!!!!!」

 

「ひいいいいいい!!貴女こそ誰ですか!?」

 

 

 

視野に入った珍景に、妙な頭痛を覚える藍。巫女代理として連れてきた冴月麟が、ほんの数分目を離した隙に、新手・・・・・・じゃなくて鈍器(小槌)と刃物(針)を両手に装備した小人に追い掛けられてる。

 

 

 

「さあさあさあ!!霊夢をどこに隠したの!?白状なさい、不審者ぁ!!逃げるなぁ!!」

 

「怖い人から逃げて、何が悪いんですか!?その両手の凶器、ナイナイしてください!!」

 

 

 

人選間違えたかな?橙に渡した探知符では、素質しか入力してなかったからな。もう少し偏差値を上げるべきだったな。

眉間に指をあてて葛藤する藍は、片手で針妙丸をひょいっとつまみ上げた。

 

 

 

「あぇ?だぁれ?」

 

「藍さあああああああああん!!」

 

 

 

涙目ですがり付いて安堵する麟。つままれたままの状態で手足をじたばたさせる針妙丸。部屋の隅で体育座りして眺める紫苑。お酒を片手に爆笑する萃香。

ストレスを感じる事を許してもらいたい。紫様と橙の中間管理職から一時解放されたというのに、コレである。絶対に紫様が感じる大変さでは無い。霊夢に見られたらどんな感想を述べるだろうか?

 

 

 

『ん。あんたの辛さはよく解ったわ。お気の毒にね。それじゃあ退治するわね。夢想封印!!!!』

 

 

 

よし。これにペッドしておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さとり様ぁぁぁぁぁぁああああ!!!!なんかもう色々と 限界です!!!!」

 

 

 

旧地獄の外れに建つ地霊殿の書斎が乱暴に開けられた。紅蓮の炎の様に燃え盛る赤髪を揺らす火焔猫燐は、もう涙目である。

 

 

 

「はいはい。よく頑張ったわね。報告を終えたら少し休みなさい」

 

「うぅぅぅ・・・はい・・・・・・」

 

 

 

お燐は5秒程立ち尽くし、部屋の中心のソファに横たわった。

 

 

 

「さて・・・・・・」

 

 

 

サードアイで読み取ったお燐の記憶。さとりは、それを自らの頭に浮かべ、自らの記憶として順を追って思い出す、様に読み取る。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

怨霊達が苦しみだしたと思ったら、急に暴れ始める。お燐の指示も一切届かず、一匹の野良妖怪に憑依すると、控え目な人格が消えてしまい、元の強さから大幅にパワーアップした状態で近くに居た力の弱い者から次々と攻撃。瀕死状態の者を治療するが、目を覚ますと同時に最初の妖怪同様暴れだし、感染するように被害が広まっていく。

現在正気を保つ強者は、星熊勇儀を筆頭に29人のみ。この中に黒谷ヤマメの姿も確認。子供や荒くれ者に該当しないおとなしい妖怪たちを60人弱匿うが、ペット達もパニックに陥り、どうにも対処が追い付かない。

3桁には届かない位の感染者が、旧地獄街で暴れ、徐々に地霊殿へと近づく。勇義さんが先頭に立ち、防衛している。10人程を拘束するが、隔離スペースと鎖がもうそろそろ無くなる。

 

 

 

(本当に深刻になってきたのね・・・)

 

 

 

ペットの対処はキスメさんにお願いしましょう。ああ見えて、面倒見が良いですからね。確かパルスィさんは料理が上手でしたね。お燐を現場指導者にする間、厨房をお願いしましょう。量が多いのは、ご自分で判断させましょうか。

お空は、もう少し待機させましょう。後は・・・・・・

 

 

 

(こいし・・・・・・無事で居てね・・・)

 

 

 

妹の安否が不安なさとり。普段見せるポーカーフェイスも、少し歪んでしまっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、妹ちゃんは、博麗神社の井戸の蓋をぶっ壊してた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪の山の道を必死に走る影が1つ。泥と血で汚れた姿は、周囲の全ての物に意識を回さず、目的地の守矢神社へと向かっていた。涙で真っ赤になった目元は拭い、天魔の言葉に逆らい、覚悟をもって戦争の敷居へ戻る。

 

(私が行ったところで、何か出来るわけではありませんけど・・・・・・)

 

 

 

自分の我が儘でバーダックさんを戦場へと送り込む形になってしまった。このまま自分だけ逃げるなんて事は出来ない。せめて、ハッピーエンドにしろバッドエンドにしろ、結末を見届けなければならないだろう。

 

 

 

「諏訪子様・・・・・・」

 

 

 

殺意の籠った冷たい視線を思い出す。あの瞳に標的として捕らえられたが最後、未来はないだろう。神奈子様が一方的にされてた以上、天魔さんでも怪しい。

だが、もう1つ脳裏によぎるシーンが浮かび上がる。それは、バーダックさんがレミリアさんのスペルの直撃を受けた時だ。

ナイフが身体中に突き刺さり、大量の血を流しながら・・・・・・

 

【笑っていた】

 

もちろん、隠してた力の差というのも、戦闘民族としての本能もあったのでしょう。

でも、私にはもう1つ何かがあったように見えました。それが何なのかはよく分かりません。ただ、なんとなく。本当になんとなく。自分の大切なもの全てを、預けても良いとさえ思います。

だからこそ、私からもあの人の役に立ちたい。何も出来なくても良い。あの人と一緒なら、どんな困難だって・・・・・・

 

と、走っていると、何かが前方から飛んできた。避ける間もなく、【ソレ】の直撃を受けた。もみくちゃに倒れ込んでしまった。

 

 

 

「いってぇ・・・あの野郎・・・・・・てか、岩や木にしちゃ感触が・・・」

 

 

 

【ソレ】と目が合う早苗。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

というか、バーダックだった。

 

 

 

「せっかく人が貴方に奇跡を信じて駆けつけたのによくもまあ私目掛けてぶっ飛んで来れますね!!!!」

 

「やかましい!!こちとら格下相手にちっとも攻撃が当たらずイライラしてるわ!!!!」

 

「諏訪子様を格下扱いとは随分余裕ありますね!!全方位から綺麗に私を打ち抜く確率どれだけですか!!1/360ですよ!!!!」

 

「投げつけたチビに言いやがれ!!泣きついてお願いしてきたのはお前だろ!!前回遭遇したときの涙目どこに捨ててきやがった!!!!」

 

「女の子の涙をそんな扱いですか!!すべての女性を敵に回しましたね!!文さんと一緒に殴り込みますよ!!!!」

 

「聞き覚えのある台詞吐くな!!まだマシンガンじゃない分拳骨は避けてきたがそんなに欲しいか!!!!」

 

「貴方のデジャビュなんか知ったこっちゃありません!!殴るとはますます女の敵です!!風祝なめないでください!!!!」

 

「サイヤ人に色欲求めんな!!お前みたいなジャリに誰がときめくか!!!!」

 

「なんだとこらぁ!!!!!!!!」

 

「やんのかおらぁ!!!!!!!!」

 

 

 

幻想郷に毒された外来人同士、悪い意味でピッタリと気が合った結果である。流石というか何と言うか。

現在、祟り神のミジャグジと敵対している。メタい話になるが、【前兆編】のラスボス戦真っ最中である。満身創痍の神奈子と天魔、ミジャグジですら引いている。

 

 

 

(((コイツら、現状分かってんのか?)))

 

 

 

痺れを切らしたミジャグジは、二人目掛けて特攻する。

 

 

 

「「っっ!!!!」」

 

 

 

そして、更に悪い意味で息が合う二人。お互いに避けた先にお互いが居る。結果ぶつかり、ミジャグジの蹴りで二人一緒にぶっ飛んだ。鳥居に直撃し、うずくまる早苗とバーダック。

 

 

 

「くくくく・・・せっかくの助っ人もその程度か・・・・・・」

 

 

 

早苗の胸ぐらを掴みあげるミジャグジ。バーダックの重心を押さえつけるように踏みつけ、更に鉄の輪で雁字搦めで地面に縛り付ける

 

 

 

「ちぃっ!!!!」

 

「早苗ちゃん!!!!」

 

 

 

神奈子も天魔も、黙って見ているわけにはいかない。重い身体で踏ん張り、ミジャグジへと飛び掛かる。

 

 

 

「はっ!!遅いわぁ!!!!」

 

 

 

もう片方の腕から再び大蛇を呼び出し、二人を容易に拘束した。

 

 

 

「そんなに痛い目見たければ、仲良く一緒な!!」

 

 

 

器用に二人を振り回し、自らの頭上で双方の頭を打ち付けた。

 

 

 

「あ・・・がぁ・・・・・・」

 

「うぁぁ・・・・・・」

 

 

 

衝撃で二人の血と共に、身体から装飾品が壊れて落ちていく。神奈子からは頭の勾玉と胸元の鏡の破片、天魔からは凡天とイヤリングと【何も覚えのないボルトらしき金属片】が。

 

 

 

「さて、全員行動不能だな。ならまずは、貴様だ。早苗・・・・・・」

 

「ぁ・・・諏、訪子・・・様・・・・・・」

 

 

 

ミジャグジはゆっくりと構える。標的を早苗の心臓に定め、振り上げた腕が止まる。仕留める準備は全て整った。

神奈子と天魔の欠片が重力の流れるままに、ミジャグジの足元へと虚しく落ちる中で、冷酷な一言をこぼした。

 

 

 

「消えな、神の紛い物が・・・」

 

 

 

無慈悲な祟り神の拳が早苗の急所目掛けてモーションを始めてしまった。

 

 

 

「やめろぉ!!!!」

 

「早苗ちゃん!!!!」

 

 

 

そして、ミジャグジ渾身の一撃は・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バーダックの身体に打ち付けられた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

「なっ・・・はあ!!??」

 

 

 

ミジャグジはすぐさま足元へと視線を下ろす。確かに拘束したはずの男が居ない。鉄の輪だけが、人を拘束した体で大地に埋め込まれているだけだった。そして、自分の左手で掴んでいるものを改めて確認する。掴みあげているのは、バーダックの胸ぐらだった。早苗の姿は、どこにもない。

渾身の一撃とはいえ、力量差のあるバーダックの頑丈な身体を貫くには至らなかった。

 

 

 

「ぐぅ・・・だああああっっ!!!!」

 

 

 

フリーになったバーダックは、気合砲でミジャグジと大蛇を吹き飛ばし、身体から力が抜けたように上半身をだらんとさせた。

 

 

 

「げほっげほっ!!何が!!何故っ!!!!」

 

 

 

神奈子はバーダックの姿、正確には様子に見覚えがあった。超サイヤ人の炎の様に舞い上がる金色のオーラの隙間を縫うようにもう1つのオーラが視認出来る。身体から溢れ昇華するような帯状の黒紫のオーラ。

間違いない。あれは、完全憑依のオーラだ!!

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・随分重いもんくれるじゃねぇか・・・・・・天ぷらをマスターリバースするところだぞ・・・」

 

「天ぷら・・・?」

 

「俺から飯を取り上げるたぁ、やってくれるじゃねぇかよ・・・俺でも驚いてるぜ・・・・・・フリーザの野郎を思い出させた以上にぶちギレた・・・・・・」

 

 

 

バーダックは、金と黒紫のオーラの中でゆらりと構えた。その足元には、勾玉・鏡・凡天・イヤリングの破片が散らばっていた。

金属片は見当たらない。




どうも皆さん、清く正しい射命丸です。何と⁉︎バーダックさんと早苗さんに何とも素敵な現象が‼︎コレには流石に皆さんもビックリしたんじゃないでしょうかね?ややっ⁉︎どうやらまだ進展がある様ですよ‼︎コレはスクープですね‼︎
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【東方風神録ーPhantasm Godー】
次回も、観てくださいね☆



自分で疲れてるなぁ・・・と思う時
その1
家に帰り、服をハンガーにかけ、リセッ◯ュをかけました。ふと手元を見ると、それはバスマ◯ックリンでした。
その2
自動販売機で100円のジュースを買うが、いくらボタン押しても出てこない、ふと表示板を見ると、10円でした。そして、小銭入れには他に50円玉と1円玉しか無かった。
ぼくはもうだめかもしれない

そろそろ弾幕のレベルを上げても良いんじゃないかと思って、遂にハードに手を出しました。遊びでなく本気で。取り敢えず特に好きでやり込んだ輝針城を咲夜Aでプレイ。初見で八橋まで到達しました。コレってどうなんでしょうか?ノーマルシューターなら、そこまでは余裕で行けますか?巷には、新作ゲームのデバックで食べてる猛者も居る訳で。正式にハードシューターになった暁には頑張って転職したいなぁなんて思ってます。ん?基準?全部の整数ナンバリングでハードにクリアを1個以上つけたら十分でしょう。
・・・・・・・・・
紺珠伝かぁ・・・・・・頑張るか・・・

今更ネタバレを1つ。多分次回以降も紐解く予定はないので。天魔さんから落ちたボルトは、にとりとこころが製作した、完全憑依体験装置の残骸です。時系列的に憑依華後で、もうブームが過ぎた為に解体しました。それが天魔さんの衣服を拾ってひゅいっっとなってる時に引っかかったのです。それが落ちた先にあるのが、バーダックのベルト部分。女苑の指輪を挟んであるところです。完全憑依の魔力を残した物が接触し、バーダックの能力と早苗の奇跡が引き起こした現象です。伏線やチョイスは良い感じですが、発動条件の発想が子供ですねw

よし、今回はここまで。次回ですが、渾身の一枚絵を付属させましょう。実は既に完成してたり。そして、マイページに非公開で保存してたり。お楽しみに!


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第27話〜東方風神録ーPhantasm godー〜

馬鹿な!?こんなにも次話投稿が早いなんて!?貴様何者だ!?白藍をどこへやった!?


風が擦れるような鈍く弾ける音ともに、バーダックの立っていた場所に、早苗が現れた。

 

 

 

「っぷはぁ!!これが・・・霊夢さんが言ってた、完全憑依・・・・・・」

 

(俺は見るのも聞くのも初めてだ。簡潔に説明できるか?)

 

「要点だけまとめると、戦いながら瞬時に入れ替わることが出来ますよ」

 

(接近は俺・遠距離はお前と使い分けることは?)

 

「可能です。お互いの得意を伸ばし、不得手を補えば・・・」

 

(よし、やってやろうじゃねぇか。俺の狙ってることを頭に入れとけ)

 

「む・・・これは・・・・・・」

 

(これで、あいつを倒せるはずだ)

 

「でしたら、こっちの方が確実ですが・・・」

 

(まさか・・・そんなことが出来るのか?)

 

「私だけでは出来ませんが、貴方となら・・・」

 

(よし、乗った。そんじゃ・・・・・・)

 

 

 

ぎゅぁあん!!

 

 

 

「一気に畳み掛けるぞ!!」

 

(はい!!)

 

 

 

再びバーダックに戻る。スレイブのオーラが溢れ、ミジャグジを睨み付ける。

 

 

 

「へぇ。あんた、そんな癖があるのか」

 

「っ!?」

 

 

 

早苗と共有した記憶から、諏訪子の人柄や癖が流れるように分かってきた。それは、諏訪子の戦い方や得意な型を理解したと同義である。ミジャグジにとっては、バーダックに対して持っていたアドバンテージが大きく失われたことになる。

 

 

 

「まずは・・・【旋風】リフレクトルネード!!」

 

 

 

大量の全方位弾をばらまき、同時にレーザーを撃った。VSスカーレット姉妹に使ったのをハードとするなら、今回はルナティックだ。

 

 

 

「ぬ・・・だが、この程度はまだ避けられるぞ」

 

 

 

ミジャグジは身体をダイナミックに捻り、回転を含みながらステップを組む。4回目の回転で、視線からバーダックを逃すも、すぐさま構える。

しかし。

 

 

 

「諏訪子様は気合避けの際、左寄りです」

 

「なに!?」

 

「では、ゼロ距離からの【秘術】グレイソーマター・・・」

 

「甘い!!」

 

 

 

背後に回られ、すぐさま回し蹴りで応戦するも。

 

 

 

「真後ろへの回し蹴りは」

 

ぎゅぁあん

 

「右回り!!」

 

 

 

軌道を完全に読みきったバーダックが、追いかけるようにミジャグジの背後に回る。一瞬の技後硬直を狙い、

 

 

 

「【道連】スピリット・スピア!!!!からの」

 

ぎゅぁあん

 

「改めての【秘術】グレイソーマタージ!!!!」

 

 

 

自分ごとミジャグジを気の槍で押さえつけ、共に身動きが取れない状況でのゼロ距離スペルが直撃した。

3度バウンドしたミジャグジ。すぐさま体勢を整えるも、

 

 

 

「脳を揺すられた後、」

 

ぎゅぁあん

 

「左手で頭を押さえる!!」

 

 

 

小指の先が左目に少しかかり、僅かに出来た死角からバーダックの蹴りを脇腹に喰らう。

 

 

 

「ぐぅうううう!!!!己ぇえええ!!!!」

 

 

 

負けじと3度目の大蛇で特攻する。ソレさえも、

 

 

 

「あんたが大技かます時、」

 

ぎゅぁあん

 

「フェイントが2つです!!」

 

 

 

前方の攻撃に集中させ、後方からの攻撃の察知を送らせるも、それも囮。あえて直撃コースを外して体勢を崩した元へ渾身の1発!!この流れですら見事に読まれ、早苗の片手であっさりといなされた。

 

 

 

「まさか・・・こんな事がぁ!!」

 

「祟り神さん。貴方の力も充分驚異です。上位クラスの神ですから。それでも、その体は正真正銘諏訪子様のものです!!」

 

ぎゅぁあん

 

「数百年かけて作り上げた型を、長年肉体を持たなかったあんたが宿主の癖を憑依1日でどうこうできるか?」

 

「黙れ!!人間が我に意見するな!!」

 

 

 

ミジャグジは逆上。鉄の輪を両手に持ち、真っ直ぐに飛び掛かってくる。

 

 

 

「バカが。その軌道は・・・・・・」

 

 

 

突然地面が割れ、巨木が現れた。蔦や枝でミジャグジを取り込むように急成長し、どっしりと構えている。

そして、ミジャグジはこの木に嫌な思い出しかない。

 

 

 

「ぐ・・・タケミナカタぁああああああ!!!!」

 

「ふふ・・・オンバシラの種にすら気付かなかったのか、ミジャっち?」

 

「さて、こっちも応急処置も完了だ」

 

 

 

神奈子と天魔がミジャグジとバーダックの間に降り立つ。二人ともすでに満身創痍で血が滴りながらも、その表情には余裕があった。

 

 

 

「はん。あんたらがまたここに立つのか。やれんのか?」

 

「ん、やれないね」

 

「うん、無理」

 

ぎゅぁあん

 

「じゃあ、何で来るんですか!?」

 

「そうだね。サイヤ人の坊やに命預かって貰うからさ」

 

「バーダックさんに・・・?」

 

「彼の存在は、実力以上に安心する。君たち二人がいれば、絶対に大丈夫だよ」

 

「ほら、何か秘策があるんだろ?私らに任せて、後衛に専念しなさい」

 

「・・・・・・・・・」

 

(・・・・・・・・・)

 

「早苗ちゃん、早く!!」

 

ぎゅぁあん

 

「精々、47秒持たせな!!」

 

 

 

バーダックは、3人から大きく距離を取った。

残された者達は、文字通りの妖怪の山トップ3の実力者だ。睨み合うだけで地面にひびが入っていく。ミジャグジは大木を抉り、裂くように脱出した。

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ・・・負け恥を晒しながら、まだ来るか・・・!!」

 

「今更恥なんざどうでも良いさ」

 

「はっ!!なら、次こそ惨殺だ!!覚悟しろゴミがぁあああああああ!!!!」

 

 

 

ミジャグジは怒りに満ちている。さっきまで確かに有利だったのは間違いなくミジャグジだ。舞うように痛め付け、華麗に全てを躱し、確実な優勢を保っていたはずである。それが、たった2人の餓鬼に一方的な醜態を晒したのだ。どれ程屈辱か!!

 

 

 

「まあまあ、落ち着かなくていいさ。お互いに無様同士、老兵は隠居しようぞ」

 

「早苗ちゃんに文ちゃん。若い世代は育ってるさ」

 

「んじゃ、やろうか。無茶通してのコンテニューさ。バッドエンドまでは悪足掻きさね!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

破滅の門では、事態が悪化していた。

易者を嵌め込んだ人柱を中心に、紫・映姫と合流した隠岐奈でサークルを組んでいる。それらを囲む怨念の数といったら、もう数えようする思考を捨てたくなる。

 

 

 

「もう!!もう!!もう!!!!鬱陶しいにも程があるじゃないの!!」

 

「どうやったら、そんなに邪念を溜め込めるんですか!?黒!!黒!!黒ぉ!!!!」

 

「引きこもりの不健康をいたぶるな!!痛い!!痛い!!あ、吐きそう!!」

 

「出せー!!帰らせろー!!助けてー!!ママー!!」

 

「「「役立たずうるさい!!!!!!!!」」」

 

「酷い!!!!」

 

 

 

こんなに騒々しい防衛は無い。易者は泣いた。巫女に割られ(原作)、色んな所で出る度に割られ(二次)、割れた後に頭から埋められ(本作)、もう散々である。1発キャラで完結しておきたかった。

 

 

 

「この邪念の数も明らかに異常ですが、気付いてますか!?」

 

「候補なら幾つかある!!タイミング的に閻魔が言うのは恐らく、こいつらの矛先か!?」

 

「摩多羅隠岐奈!!言ってみなさい!!」

 

「鍵となるキーワードは、間違いなく・・・・・・」

 

 

 

 

 

「憎い!!憎い!!憎い!!憎い!!憎い!!」

 

「己ぇえええええええええ!!!!」

 

「サイヤ人がああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 

「サイヤ人か!!!!」

 

「摩多羅隠岐奈!!どう思いますか!?」

 

「最近話題の新参者にそんなのが居たが、関係あるのか!?」

 

「彼自信も、記憶が曖昧のようですが、八雲紫の見解はどうですか!?」

 

「恐らくですが、これが彼が無意識に導いた【絶望への道しるべ】!!そのシナリオこそが!!」

 

「破滅の門の解放か!!!!」

 

「嫌だああああああああああ!!!!怖いいいいいい!!!!」

 

「お姉ちゃああああああああああん‼︎‼︎」

 

「「「気が散るうるさい!!!!!!!!」」」

 

「人権侵害だ!!」

 

 

 

紫の頭では、仮説のピースがパズルの空白を埋め尽くしていく。完成が近づくごとに、かつて無い恐怖が思考を襲う。

3人でのスペル宣言はなお終わらない。かれこれ一時間はぶっ通しだ。流石に閻魔や賢者と言えども、集中力が切れてくる。

そして遂に、映姫の膝が崩れ落ちた。

 

 

 

「ぐっ・・・デスクワーカーを酷使し過ぎです!!」

 

「閻魔!!紫、サポート出来るか!?」

 

 

 

隠岐奈の声ははっきりと聞こえた。そして、目の前に突然現れた更なる恐怖が、紫を蝕む。

 

 

 

「そろそろ、敗戦の様ですね・・・・・・」

 

「紫!?何を言って・・・・・・っっ!!??」

 

「八雲紫・・・貴女らしく無・・・・・・はぁ!!??」

 

 

 

3人の視野を埋め尽くす巨大な邪念。大きさも濃さも桁違いだ。周囲の怨念を吸い始め、更に成長していく。映姫も隠岐奈も、抵抗の力を出せなくなってしまう。それほどまでに力の差がありすぎた。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

ただ一人、紫は真っ直ぐとソレを見つめている。

 

 

 

「紫・・・もう、どうしようも無くないか?」

 

「ん~・・・そうでも無いかもしれませんね」

 

「はい!?」

 

 

 

恐怖に支配されながら、まだ落ち着いている様子だ。彼女をよく知る隠岐奈ですら、何故そこまで冷静なのかが分からない。

 

 

 

「これが彼の【絶望】ならば、対抗出来るのも彼の【希望】ですわ。なら、私たちが無茶してやる必要も無いでしょう」

 

「何を言ってるんだ!?紫!!何を一人で納得してるんだ!?」

 

「話してる時間はありません。パズルの完成形を預けます。貴女は、それを幻想郷へ届けて頂戴」

 

「八雲紫!?貴女は何をするつもりですか!?」

 

 

 

紫は寂しそうにはにかみ、二人へと向き合った。

 

 

 

 

 

「私の出来る最善策を実行します」

 

 

 

 

 

その一言を最後に、紫は巨大な邪念に飲み込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くたばれ!!タケミナカタ!!」

 

「どうした!?初戦の方がよっぽど強かったぞ!!相当疲れてるな!!」

 

「黙れ!!神が人間と対等だと!?よくもそんな無様な事を!!!!」

 

「言えない事もないさ!!少なくとも、早苗ちゃんの素質も器も、諏訪子ちゃんより大きい!!」

 

「神も妖怪も持ち得ない、人間の強みが早苗にはある!!!!」

 

「何が!!あるというのだ!!!!!!!!」

 

 

 

ミジャグジの頭に、【冷静】という言葉が完全に抜け落ちている。逆上のために、目の前の敵しか見えていない。早苗とバーダックの術ですら、忘れてしまっている。

 

 

 

「さて。始めるぞ、早苗」

 

ぎゅぁあん

 

「はい!!」

 

 

 

早苗は目を閉じ、大幣を構えた。

 

 

 

 

 

現在、閻羅の恐怖により、ミジャグジの信仰は無限に溢れている。

同時に恐怖に狩られ、助けを求める人間たちの祈りも溢れている。

『助かりたい』

それだけの思いを胸に、奇跡を信じて神に祈っているのだ。

早苗の能力が、その祈りを力に変えていく。信仰は神の源。風祝の早苗に、奇跡の力が流れ込んでくる。見習いの神が受けるにはあまりにも重すぎる。

それをバーダックの能力が緩和する。完全憑依を通し、早苗の身体の負担を大きく減らす。まさに、2人の能力が見事に噛み合った神業だ。

そして。

 

 

 

 

 

「出来ました!!」

 

(すげぇ・・・・・・これがお前の力か)

 

「バーダックさんが居ないと、ここまで形にはなりませんよ」

 

(そんじゃ、奇跡をお届けしますか)

 

「定時は、間もなくですよ!!」

 

 

 

早苗は力強く跳躍した。妖怪の山トップ3が混戦する場へと、距離を詰める。

 

 

 

「お、完成したな!!」

 

「宣言通りの時間だね!!」

 

「なっ!?あれは・・・!!」

 

 

 

早苗の力にようやく気づいたのか、ミジャグジが動きを一瞬止めてしまう。神奈子と天魔は、すかさずミジャグジを押さえ込む。

 

 

 

「ぐ!!離せ!!」

 

「そうは行くか!!」

 

 

 

暴れるミジャグジと押さえ込む神奈子・天魔。ここで、天魔の力が尽きてしまった。天魔を振りほどき、左腕かフリーになり、鉄の輪を装備した。

 

 

 

「真っ直ぐに突っ込めば、カウンターなぞ容易いわ!!」

 

「やばっ!!右側で手一杯なのに!!」

 

「バーダックさん!!どうしますか!?」

 

(構わず行け!!!!)

 

「はい!!」

 

 

 

ミジャグジは、失望した。カウンターを当てられると分かっていながら、なお突っ込む素人の考えに。

そして、振り上げた腕は、

 

 

 

突然停止した。

 

 

 

「なっ!?バカな!?何故!?」

 

(頭に血が上って、簡単な方程式も解けなくなったの!?)

 

「き、貴様は!!」

 

(あたしの身体を使うなら、あたしの意識を常に押さえ込むべきだったね!!)

 

「諏訪子か!?丁度良い!!押さえとけ!!」

 

(よくもまあ、あたしの身体をそんなに乱暴に掴めるね!!あとでお仕置きだよ!!)

 

「貴様らあああああああああああ!!!!」

 

 

 

2柱の神に押さえつけられるミジャグジ。またしても意識がそちらへ向き、忘れてはいけないモノを忘れてしまう。

暴れるミジャグジ。その身体を狙って!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(【奇跡】超信仰玉!!!!!!!!)」

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早苗の奇跡は、諏訪子の身体を貫かず、ミジャグジの邪念だけを貫いた。

ボロボロの身体で倒れ込む2柱の神。

 

 

 

「はぁ、はぁ、助けるのが・・・遅いよ・・・」

 

「邪魔したのは、そっちだろ?」

 

「あははっ♪久しぶりの戦争だったね」

 

「随分と楽しそうだな」

 

「完全に力尽きるまで戦ったこと無いもん」

 

「ま、今回の騒動も、お前のネイティブフェイスに免じて許してやるよ」

 

 

 

こうして、第二次諏訪大戦は、終息した。

 

 

 

「あー疲れた!!もう身体を保つのも無理っぽいな!!」

 

「早苗~いる~?」

 

「はい、こちらに!!」

 

 

 

完全憑依が完了し、早苗バーダックは二人に戻って神の元へ来る。

 

 

 

「身体が消えそうだから、依代頂戴」

 

「依代って・・・そんなのどこにも・・・」

 

「あたしは蛙の髪飾りに入りたい」

 

「私は蛇を頼む」

 

「あんたら、そんなんで良いのか?」

 

「神が望めば、それで充分。それとも、早苗は嫌かい?」

 

「そんなことありません!!」

 

 

 

必死に頭を横にブンブン降る早苗。そして、2柱の神の身体が消滅した。

 

 

 

(はぁ~落ち着く~)

 

(ようやく隠居生活の始まりか)

 

「そんなこと無いですよ!!お二方の力が凄くたぎってきます!!」

 

(あまり乱用するなよ?家賃は払うが、回数制限あるからな)

 

「分かりました。それでは・・・」

 

 

 

その直後、早苗はバーダックをぶっ飛ばした。

 

 

 

「べぎゅぼがなああああああエアあああ!!!!!!!!」

 

 

 

5度のバウンドを経て、バーダックが大地に突き刺さった。

 

 

 

((・・・・・・・・・は?))

 

「それでは成敗します!!女の子の身体に憑依するなんてハレンチな男に粛正を!!」

 

「((アホかああああああああああああああああああああ!!!!!!!!))」

 

 

 

諏訪大戦は終わった。そして、神の加護を私用に使う早苗。(仮)ではあるが、新たに加わった3柱目の神も一緒に、現代っ子を説教することに。

そのはじっこ。半壊した守矢神社では、天魔がお茶を入れて啜っていた。

 

 

 

「ほぅ・・・・・・若いって、良いねぇ・・・・・・」




よう、バーダックだ。新たな超サイヤ人の力、最高だ!けど、コレ体力がごっそり持って行かれるな。今後はあんまり使わない方が良さそうだ。む、紫からのメッセージ?俺は忙しいから、誰か聞けるやついないか?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【幻想郷の大異変! 賢者の覚悟】
絶対に見てくれな!!



自分で疲れてるなぁ・・・と思う時
その3
汗拭きシートが切れてコンビニで購入。吹いていると、どうも泡っぽい?コレなんだ?
【メイク落とし】
・・・・・・俺、何にも味付いてない、素材まんまなんだが・・・・・・



遂に登場!超サイヤ人神!!皆さんとしては、やっぱりこの変身を一番楽しみにしてたでしょう!!遂にお披露目出来て、私も嬉しい!!
でも、コレにも問題はあります。まず、バーダックの身体がついていけません。今回は早苗の素質でなんとかなりましたが、今後一人で変身しても、ただ立っているだけで10秒持つか怪しい、と言った具合です。ぼくはそっちの方が燃えるんですがね。



他には、輝針城のハードですね。前話投稿して、翌日に針妙丸ちゃんまで到達しました。耐久スペルが凄まじく、中々突破できません。ボムのゴリ押し?足りない!!



今回はもう、やりたかったバーダックの神が出来たことだし、後書きの薄味はこのままで良いや。ダメな人は、クレームつけても構いませんよ。それではここまで。さよならちゃーん♡


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第28話〜幻想郷の大異変! 賢者の覚悟〜

マジでどうした・・・投稿が早くて心配される作者はハーメルン初では無いか・・・・・・多分・・・

追記。
9月2日2:05時点で後書きを一部書き換えました。
詳しくは、活動報告を。


「帰ったぞー」

 

「バーダック君んんんんんんん!!!!」

 

「何事!?」

 

 

 

命蓮寺に帰ってくるやいなや、ナズーリンに泣いて抱きつかれた。表情も、何やらただ事では無い様子だ。

 

 

 

「何があった!!閻羅が襲ってきたのか!?」

 

「客間で不審者が暴れてるううううう!!!!」

 

「お前が怯えるほどなのか!?」

 

「私は賢いから!!アレにのまれたら終わりだ!!」

 

 

 

賢蒋とまで謳われるナズーリンがこうなるまでに狼狽するとは、あまり考えられない。身を固めて騒がしい方へ歩を進めてみる。

そして、目の前に繰り広げられた光景に・・・・・・

 

 

 

 

 

「さあさあもっと、心を鳴らせ♪燃え尽きるまで、ほとばしれ♪」

 

「ほらほら吠えろ、力の限り♪本能のままに、魂鳴らせ♪」

 

 

 

 

 

バーダックは、そっと障子を閉めた。

 

 

 

「何アレ・・・・・・」

 

「知らない!!あいつ等が踊り出したら、みんなおかしくなった!!」

 

「何故かミスティアの姿が見えたが、隣に居たワンコは何?」

 

「アレは響子!!うちの娘!!」

 

「キョンシーが、畳食ってるんだけど」

 

「あの邪仙、危険物置いて帰りやがった!!」

 

「和楽器どもと違う楽器の3人が増えてるのは」

 

「和楽器のテンションに釣られた騒霊!!あの音色は危険だ!!」

 

「黒いのと青いのが伸びてる」

 

「アレもうちの娘!!小傘とぬえ!!」

 

「酒飲んで楽しそうなあいつは」

 

「アレもうちの!!マミゾウ!!」

 

「電話かけてるあのチビは」

 

「アレは分かんない!!」

 

 

 

つまりは、こうである。

マミゾウが小傘とぬえと響子を連れて帰り、響子にミスティアがついてきた。

そこへ、危険なバックダンサーズの舞と里乃が現れ、踊り出す。22時を過ぎたので芳香が目を覚まし、鳥獣妓楽と共にハイテンション!!

鳥獣妓楽のシャウトに和楽器達が便乗しだす。それに惹かれたプリズムリバー三姉妹が緊急参戦!!その演奏に、バックダンサーズが鼓舞され、以下悪循環。

止めようと横入りした小傘とぬえはあっさり返り討ちに会い、マミゾウは楽しそうに観戦していた。

 

 

 

「すまん。半数以上知らないから、その説明じゃいまいち分からん」

 

「良いから、あいつ等取り押さえて!!このままじゃ、私の首が飛ぶ!!」

 

 

 

あまりにも必死なナズーリン。イヤらしい笑みでクスクスと挑発してきた生意気なネズミとは偉い違いだ。留守を任されているためか、本当に大変な状況なのだろう。

んで、どうしろと。片手に竹を持ち、片手にミョウガを持ち、ワケわかんないテンションで躍り狂う奴等を止めろ?見た目の時点でヤベェ奴等だぞ。俺のストレス軽減の為にも関わりたくない。

 

 

 

「早くしてくれ!!もう君にしか頼れないんだ!!」

 

 

 

抱きつく腕に更に力が入る。本気で嫌がってる様子。むしろ、怖がってるのか?

流石にこれをほったらかしにしたら、白蓮にどやされる。まずは一呼吸。水を一杯飲んで、よし、切り替え出来てないけど完了。

後は、勢い良く障子を開け、

 

 

 

「なんしよっとかおどれらあああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

微妙に怒鳴り声を間違えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

霊夢は顔面蒼白で、これ以上無いほどの恐怖を味わった。何がって?手術だよ手術。永琳の腕は、それはもう見事であった。ミスは一度もなく、寸分も狂わない鮮やかなメス裁き。見惚れるほどだ。

では、何に恐怖したのか。それは、永琳が使用した麻酔薬だ。地上どころか、外の世界の最新技術でさえ凌駕した永琳の医学は、麻酔を痛覚にだけ絞る領域にまで到達していた。

全身麻酔では意識さえも落とし、その間に手術するのである。つまりは、そういうことだ。患者の寿命を削る手術があってたまるか!!

 

 

 

「あんた、後で夢想封印50発の刑よ・・・・・・」

 

「何でよ!?」

 

 

 

そして、永琳は分かってなかった。後日、飛び抜けに優れた医学は、場合によっては批判の的になることをてゐに学んだ様だ。ギャップって、誰にでもあるんだなぁ・・・・・・。

 

 

 

「あややぁ・・・負傷して来たのですが、霊夢さん怒ってますか?」

 

「あら、文じゃない。らしくないわね」

 

「むしろ善戦してます!!不休で26連戦ですよ!!合計73体落として、萃果様と交代で退いてきましたよ!!」

 

「その閻羅密度・・・もしかして!!」

 

「ええ。巣と思わしき、いや、巣で確定ですね。1つ押さえました。もう一人、妹紅さんも待機して、交代でリスキルしてます」

 

「むぅ・・・割りに合わないわね・・・閻羅の巣1つにその三人か・・・・・・」

 

「他にその領域で戦えそうなのは、魔理沙さん・妖夢さん・勇義様・神奈子様・諏訪子様・天子さん・藍さん。その辺りですかね」

 

「お寺と尸解仙と先生は里の警護だったのよね。うちにも月の娘たちが居れば良かったけど・・・」

 

「あー無理ね永琳。あいつらがわざわざ助けてくれるとは思わないから」

 

「そんなお前らに良い知らせと悪い知らせだよ」

 

「あ」

 

 

 

てゐが眉間に指をあて、気難しい表情で入ってきた。いたずらウサギどうした。鈴仙真っ先にツッコミなさいよ。あ、そういや寝てたわね。

 

 

 

「じゃあ、悪い知らせからお願いしますかね」

 

「生き残りゲームで神奈子と諏訪子が脱落。戦力大幅に落ちたよ」

 

「「「はぁあああああ!?」」」

 

「死んではないけど、こっちとしては痛い結果だね」

 

「何でそんなこと分かるのよ!?」

 

「まあ、後でじっくり説明するよ。んで、良い知らせだけど・・・・・・」

 

 

 

と、てゐは少し歩いたと思ったら、霊夢の背後に立ち、背中に両手を重ねる。

 

 

 

「なにすんのよ・・・」

 

「こうするの!!」

 

 

 

何かを引っ張り出すようなモーションをしたと思ったら、本当に何かが引っ張り出された。

 

 

 

「いはは・・・あぇ、こころこれひゅか!?」

 

「うごぉ・・・なんか急な引力が・・・?」

 

 

 

てゐの両手に捕まれたのは、四季映姫と摩多羅隠岐奈だ。

 

 

 

「んげぇ!?あんたは!!」

 

「あやや!?あなたは!!」

 

「ん、あ!!暗黒テスト不合格者!!」

 

「「やかましい!!」」

 

「え、じゃあ、暗黒テスト失格者!!」

 

「「そうじゃない!!」」

 

 

 

いつかの異変で顔合わせしていた3人がぎゃーぎゃーうるさい。映姫が珍しく不快そうに耳を押さえてうずくまっている。

 

 

 

「あ、あなかはいあかけゐ!!」

 

「久しぶりだね、閻魔様。閻魔様も舌噛むんだね。現状が現状だから、お説教は勘弁してね」

 

「うぬぅ・・・」

 

「四季映姫ですね。なぜあの賢者と霊夢の背中から?」

 

「やごごおえーいんえしゅか。ほれは・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫ぃいいいい!!!!」

 

「八雲紫!!何をしているのです!!」

 

「隠岐奈。貴女は、閻魔様を連れて帰って」

 

「紫!!どうして!!」

 

「隠岐奈・・・・・・足元を・・・!!」

 

「足下・・・コレは・・・・・・」

 

 

 

隠岐奈の足下に、1枚の紙切れが落ちていた。それは人の形を型どり、【伝言】とだけ書かれていた。

そして、幻想郷の賢者の一人であり、紫を親友とする隠岐奈は、すぐさま理解した。親友の護りたいものを。それを託されたことを。更には、怨霊の塊から幻想郷へと情報を持ち帰る最善策。そして、親友の決断した覚悟を。

 

 

 

「・・・・・・・・・!!!!」

 

「んぶっ!!摩多羅隠岐奈!!何をしているのです!!」

 

「紫を置いて逃げるぞ!!捕まれ閻魔!!」

 

「んなっ!?逃げるですって!?」

 

「臆病者とでも好きなだけ言え!!紫の判断を私は疑うつもりは毛頭もない!!」

 

「だからと言って、コレはゆy」

 

「舌噛むぞ!!」

 

「しぎっ!!!!!!!!」

 

 

 

隠岐奈は紫の背中の扉を開き、映姫を連れて後戸の世界へと離脱していった。扉が閉まりきる前に、怨霊の攻撃を背中に喰らい、意識が一瞬遠退くも、なんとか踏みとどまり、紫の扉を破壊した。

 

 

 

「ぐ・・・コレで時間は充分に・・・・・・」

 

「っっっっ!!!!っっっっっっっ!!!!!!」

 

 

 

映姫が何かを必死に伝えようとしてるが、分からない。緊張の糸がすっかり解け、脱力した瞬間、突然現れた別の扉に引っ張られていく。

 

 

 

「ぬおっ!?コレは、確か・・・!!」

 

「っっっっ!!!???」

 

 

 

なお、映姫は急に引っ張られ→後戸世界の重力と光景に酔い→更にまた急に引っ張られたため、完全に目が回ってしまっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何であんたはそれを察知したかのようなタイミングなのよ」

 

「んー。こうみえて地上出身では一番の長命だからね。紫や隠岐奈の幼少期も知ってるし、虫の知らせ的にね」

 

「そうでしたね。因幡の白兎本人でしたっけ。幼少期のところを詳しくお願いします」

 

「天狗うるさい。てか、いくら君でも後戸の世界に干渉出来るなんて・・・」

 

「干渉は出来ないよ。運良く扉のすぐ前に来たものにちょっと手を伸ばせるだけ。入界や操作はさっぱり」

 

 

 

あっけらかんと少し調子良さそうにスラスラと喋るいたずらウサギ。そうだった。普段の言動からは想像も出来ないが、こいつ凄まじい程の大物だったわ。霊夢と文は、名状しがたい戸惑いの様な表情で固まってしまう。

 

 

 

「まさか、神奈子や諏訪子のことを知ってたのも・・・」

 

「河童の通信や、リグルの虫や橙のネコとかの種族間の電波も微弱で断片的に聞こえる。伊達に180万年生きてないよ」

 

「頭痛いんだけど・・・・・・」

 

「それじゃてゐ。いい知らせって・・・」

 

「ん、隠岐奈。紫からの伝言読み上げてよ。丁度いいし、ブン屋の情報網で戦う連中に伝えてよ。パニックは避けてね。私も面倒だから」

 

 

 

隠岐奈は思い出したように慌てて衣服を弄り、伝言の式を取り出した。

 

 

 

「えっと。コレは音声付きだな。よし、秋の不合格。メモの準備しておけ」

 

「なにその呼び名。嫌なんですけど」

 

 

 

 

 

元々ある程度の仮説は立てていたのだけれど、それが確信に変わったの。

破滅の門に本来居たはずの人柱は、間違いなくバーダックさんです。彼は自らが起こした爆発から幻想郷に来るに至るまでの記憶が無い。それが原因だとしたら、結界にひびが入るはずだものね。

破滅の門は、世界の消滅と共に消えていった悪人のマイナスエネルギーを永久に閉じ込める為の機関。詳しい理由は分からないけど、そこへ急激に沢山のマイナスエネルギーが雪崩れ込み、これまたなんらかの原因で消えていった。一度に流れてきたことにより、容積が一気に大きくなった矢先に中身が無くなってしまい、元居たマイナスエネルギーが膨張し、人柱を壊してしまった。

結界を支える鍵が幻想郷に落とされ、開かれた門から今までと比べ物にならない数と強さの怨霊が押し寄せてきた。

この異変を抑える方法は1つ。鍵となるバーダックさんをもう一度破滅の門に封印する事。そうすれば、それ以降はもう来ないわ。彼の戦力を考えて、殲滅が終わってすぐに執行するのをお勧めするわ。

彼のもたらした絶望を、彼のもたらす希望を持って解決なさい。

 

 

 

 

 

「どういう冗談よ、コレ・・・・・・」

 

「加えて第7宇宙。彼の故郷で発生した壊れた世界は他の宇宙に比べ数が多く新しい。今回の怨念は、第7宇宙産の可能性も高いです」

 

「ふむふむ・・・・・・ん?どうも整理するには映姫様の言葉は非常に分かりにくいですが」

 

「む。そうですね。いくつか専門用語や事項がありますが、これも伝えましょう。ただし、こちらに関しては、情報共有する者をこちらで選びますからね」

 

「あやや・・・報道の自由が・・・・・・」

 

 

 

映姫は身を固め、真剣な面持ちで語り始めた。

 

 

 

「想像の神と破壊の神の上に君臨する全王神は、自らが創った18の宇宙を管轄しています。その18の宇宙を創る際、ベースとしたのが私たちのいるこの世界です。彼らの言葉を借りるとするならば、私たちの世界は【第0宇宙】。幻想郷が閻羅に壊されたら、結界の外に溢れ、第0宇宙が崩壊します。すると、18の宇宙も道連れになりますよ」

 

「んなっっっ‼︎‼︎⁇⁇」

 

「宇宙が・・・18・・・ベース・・・全王神・・・・・・すみません、あとで詳しくまとめるので残業させて下さい」

 

「私たちには、幻想郷だけじゃ無い。結界の外にある日本や地球どころか、合計19個分の宇宙の命がかかっていますよ。これは、文字通り、【全生命の存続をかけた戦い】です」

 

 

 

映姫のセリフを最後に、無音の時間が発生した。途方も無いスケールの大きい話になってしまっている。誰もが絶句してしまった。バーダックに関わる衝撃の事実ですら霞むほどである。

どれほど経ったのか分からない中、霊夢が声を振り絞った。

 

 

 

「巫女の仕事じゃ無い・・・・・・・・・」

 

「そこですか⁉︎背負うものが重すぎるとかじゃなくて⁉︎」

 

「それでいったら、私新聞屋ですよ⁉︎」

 

「閻魔の仕事でも無いですよ‼︎」

 

「私は・・・医療に専念しようかしら・・・・・・」

 

「私の仕事は、地母神と能楽の神と星の神とそれから・・・・・・」

 

 

 

と、こんな光景を前に小さなウサギが一言。

 

 

 

「醜い・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ねえ、星・・・・・・」

 

「はい、聖・・・・・・」

 

「ナズーリンに任せましたよね・・・・・・」

 

「はい、そのはずです・・・・・・」

 

「彼女はとても優秀・・・よね・・・・・・」

 

「はい、少なくとも私の数十倍は・・・・・・」

 

「じゃあ、これはなんなのでしょう・・・・・・」

 

 

 

夜通しの人間の里の警護を終え、疲れた体を引きずって朝帰りしたばかりの白蓮と星は、唖然としている。静かなはずの朝のお寺から、沢山の楽器の演奏が漏れている。聞こえる範囲で、打楽器・琴・琵琶・バイオリン・トランペット・キーボード。そして、尺八。何人かの少女による歌だか叫び声だかシャウトだか。朝の元気な挨拶などでよく聞いたことのある声も叫んでる気がしないでもない。

 

 

 

「あの・・・聖・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

ものすごく久しぶりに見る、笑顔が無い怒りの表情に、星はすっかり縮こまってしまった。

とりあえず、何も聞かずに怒ってどつくのはご法度だ。ゆっくりと歩みを進め、最も騒がしい一室の障子をスパーンっと開けた。そこには、楽しそうに弾ける6人の楽器少女・演奏にノリノリで踊り狂う2人の童子・大きな声を撒き散らす鳥獣伎楽・酒を飲んで笑い明かす1匹の狸・もうなんかどうでもよくなってヤケになってハイテンションの灰と青と黒・圧倒的部外者の1人の死人・真剣な表情に目の下のクマを隠せない新人修行僧。徹夜でひゃっほーいしていたようだ。

 

 

 

「お、白蓮。帰ったか・・・早速で悪いが、俺たちの演奏、聴いてもらうぞ‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

昨夜のクールでピリピリした表情は何処へ。とりあえず・・・・・・

 

 

 

「南無三‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

本日の目覚まし音は、楽器音とボイスと打撃音と怒号と悲鳴だった。




イェーイ!みんなノッテルかーい!鳥獣伎楽のKYOWKOだぜー!いよいよ私らのスペシャルライブ、ウィズ幻想の三和音とプリズムリバー三姉妹、そして、期待の新人バーダック君を交えての始まりだあああああい‼︎‼︎盛り上がってるかー⁉︎サイコーのステージだ!
次回!始まりのサイヤ人が〜幻・想・入り!
【異変の核心!? チルノの第一歩!!】
さあ!盛り上がって行こーぜええええええええええ‼︎‼︎‼︎



自分で疲れてるなぁ・・・と思う時
その4
テレビのリモコンの電池が切れたので交換しようとするが、左手にリモコン(単四)右手に買ってきた電池(単三)で、五分もの間素晴らしい試合を魅せていました。
誰にだよ・・・・・・



今作での異変は、こんな感じに仕上がりました。まさか力の大会が行われている裏で、こんな事になっていようとは・・・!コレは非常にまずい事態ですが、12の宇宙の戦士と神は参戦出来ません。何故なら、第0宇宙の神々(うち1人はヘカ姐さん)と全王との約束で、創った後はプライベートな遊びや観光などを除いて、お互いに干渉しない約束を果たしています。
更に、映姫様のセリフから察するに、今後現れる敵って、もしかして・・・・・・
はい、ここからはお口チャックしましょうね。



今回で全長編はお終い。次回から新章【悪夢編】が始まります。番外編とかが挟まなければ・・・。
そんじゃ、そろそろお終い。バイビーバイビー♪


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悪夢編~フェーズ1~
第2⑨話~異変の核心!? チルノの第一歩!!~


第0宇宙にポツリと浮かぶ、発達した文明を誇る地球。小さな島国のとある場所。結界に閉ざされ、守られ、隠された秘密の楽園。

 

 

 

神々の恋した【幻想郷】

 

 

 

第7宇宙の怨念が渦巻き、閻羅が徘徊する恐怖の異変が進行中である。

楽園の巫女である博霊霊夢は療養中。バーダックは修行中。現在、霧雨魔理沙をリーダーに異変解決のチームが各地に散らばる閻羅を退治。そして、孵化前の閻羅の卵を捜索・破壊の活動を続けている。

時は、諏訪子の意識がまだミジャグジと戦い続けていた頃。

 

 

 

「ふぅ。そろそろ休憩しますか」

 

 

 

霧の湖に悠然と構える大きな紅い館。その門前には、気を扱う華人妖怪紅美鈴が構えている。彼女は気を感じ、邪悪の性質を持ち合わせているかを察知することが出来る。彼女の察知範囲内において、彼女の発言は、非常に強い権力を持ち合わせる。現在進行で起こっている危険な異変中であれば尚更である。

そして、これより現れようとしている敵は、気をまとっていなかった。即ち、1つの対策が消えた。

 

 

 

(ぅぉぉぉぉぉぁぁぁ・・・・・・)

 

 

 

迷いの竹林の奥地に静かにたたずむ永遠亭。八意永琳の治療を受けている博霊霊夢は、非常に気が気でない。訳のわからない治療道具・毒で聞き覚えのある植物を持ってくる指示・話しかけても反応しない永琳先生。彼女は、生きていられるかしか頭にない。彼女の非常に凄まじい勘の良さも全く活かされていなかった。即ち、1つの対策が消えた。

 

 

 

「【突符】天狗のマクロバースト!!!!」

 

「【無意識】弾幕のロールシャッハ!!!!」

 

 

 

幻想郷最速の情報源である天狗の射命丸文は、鬼の伊吹萃香と蓬莱の人の形の藤原妹紅とチームを組み、閻羅の巣を1つ確保した。孵化した直後を襲い、被害が増えるのを未然に防ごうと奮闘している。そのため、彼女の耳に入ることはなかった。即ち、1つの対策が消えた。

 

 

 

「もう!!もう!!もう!!!!鬱陶しいにも程があるじゃないの!!」

 

「どうやったら、そんなに邪念を溜め込めるんですか!?黒!!黒!!黒ぉ!!!!」

 

「引きこもりの不健康をいたぶるな!!痛い!!痛い!!あ、吐きそう!!」

 

 

 

楽園の閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥ、幻想郷の賢者である八雲紫と摩多羅隠岐奈は、破滅の門にて絶賛罵倒祭勃発である。彼女達の現状にイライラが募り、どうにも集中しないとやってられない。異変の新たな展開に気付く余裕など持ち合わせていない。即ち、1つの対策が消えた。

 

 

 

 

 

逆国士無双状態である。

 

 

 

 

 

全ての有力者や権力者が閻羅達に目を向けている。だがこれらは、異変のほんの片鱗に過ぎなかった。それは、後に自らを犠牲にして得た紫情報により、映姫の口から明かされることになる。

そうして、各勢力が未だに異変の核心に気づかない中、いち早く接触を完遂した存在がいた。普通の魔法使い【霧雨魔理沙】?始まりのサイヤ人【バーダック】?

いや。

彼女の名は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

氷のおてんば妖精【チルノ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何だ、コレ?」

 

 

 

彼女は、霧の湖の中心付近に小さなかまくらを構えたはずの小島にいた。そこには、巨大な氷の塊が鎮座していた。どれくらいかって?すごくデッカイ!!こーれくらいデカイ!!

 

 

 

「あたいの家がなんか占領されてる?てことは、またあいつらか?でも、こんな氷あいつらに作れるかな?」

 

 

 

朝、確かに出掛けたときは普通にあたいの家があったはず。朝御飯食べてお昼ご飯食べる前くらいの時間でこんなにデッカイ氷、あたいにしか作れないよなぁ?どうする?これじゃ、あたいの氷のベッドで寝られないや。ちょっと眠いのに。

と、氷の一部が割れ、そこから何かが飛び出てきた。

 

 

 

「何だこいつら?」

 

 

 

どう説明したら良いかな?メロンみたいな模様の頭。虫みたいな細い手足。あたい達妖精より背が低い。色はちょっと黒っぽい感じ?

5人くらい出てきたけど、なんだ?

 

 

 

「ぎギキキキィィ・・・」

 

「キュルルレルロォゥゥ・・・」

 

 

 

きもっ!?鳴き声・・・で良いのかな?それも虫っぽい。コオロギとか鈴虫とかならかわいいけど、この大きさで鳴かれるとスッゴいキモい!!

 

 

 

「とりあえず敵っぽいから、やっちゃって良いんじゃ無いかな?やっちゃって良いよね?よし、やろう!!」

 

 

 

元気に大暴れ宣言をかますチルノ。氷をまとい、爪先を軸にバレエの様に回り出した。

 

 

 

「【氷符】フェアリースピン!!!!」

 

 

 

小さな氷の塊が無数に含まれた吹雪が竜巻のように吹き荒れた。風に飲み込まれ、その中で氷に細かく切り裂かれるメガシンカした虫もどき。

 

 

 

「なんだ。割りとあっさり倒しちゃった。弱いな、こいつら」

 

 

 

あっけなく終わった。が、先程の亀裂からまた出てきた。

 

 

 

「あん?また回って欲しいのか?」

 

 

 

新しい氷をまとっては、華麗にギアを上げるチルノ。久しぶりの弾幕格闘に、俄然とやる気をあげては楽しそうに氷を撒き散らす。

 

 

 

「もしかして、お祭りを襲ったやつらの仲間か?確か・・・閻魔!!」

 

 

 

惜しい!!一字違いで大違い。と言うか、片方はオリジナルの固有名詞なのであまり意味はないが。

 

 

 

「あたいだって、やる時はやるんだ!!覚悟しろ!!」

 

 

 

氷で巨大な剣を作り出すチルノ。次々と虫もどきが溢れてくる亀裂にぶっ刺し、高く跳躍した。

 

 

 

「【氷法】氷大噴火!!!!」

 

 

 

燃え盛る氷(?)を全身にまとい、柄目掛けて渾身のキックを繰り出した。

チルノは【氷】という固い力や氷製の翼を所持している。更に、他の妖精とは桁外れに力があり、とてもすばしっこい。妖精と言えども、その一撃は氷の分厚い壁に耐えられる物ではなかった。

 

 

 

「あぁ・・・・・・チルノちゃんが・・・助けないと・・・でも・・・・・・」

 

 

 

その光景を見かけてしまったのは親友の大妖精。たった一人で何かの巣窟に行ってしまったチルノを放置できる訳がない。

が、やはり助けに向かう一歩が出ない。恐怖で足が震え上がっている。巷で噂の閻羅の可能性がある以上、たかが妖精一人の力では未来は見えてる。妖精から桁違いにずば抜けた実力を持っているチルノちゃんでも、不安が募るばかりだ。

 

 

 

「えっと・・・誰に助けを・・・・・・バーダックさんだ!!」

 

 

 

そして、バーダックを探しに行く大妖精。あちこち飛び回り、夜に飛んでいるバーダックを見つけ、追いかけた結果、おぞましい気に当てられ、妖怪の山中腹で気絶、落下してしまった。後に河童に保護されたそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ばっきゃぁぁああああああん!!!!

 

 

 

「突破!!さーて、閻魔はどこだ!!おらぁ出てこい!!あたいが怖いのかぁ!!」

 

 

 

無尽蔵に沸き上がる元気いっぱいに叫びまくる妖精。反応した虫もどきがわらわらと集まる。

 

 

 

「もう回るのもめんどいから、まとめて喰らえ!!【冷符】・・・・・・」

 

 

 

全身に力を込めて少し丸くなり、解放と同時に

 

 

 

「瞬間冷凍ビーム!!!!」

 

 

 

青白い稲妻が走り、被弾した床や壁、虫もどき達を一瞬で氷浸けにしてしまう。元々氷の床や壁だったが、チルノのスペルにより全く違う性質の氷に包まれた。白く濁った雪景色の様な銀世界から、クリスタルの様に美しく透明な鏡世界に変貌した。

 

 

 

 

 

『ほう。興味深いガキだな』

 

 

 

 

 

亡霊のような低い声が広い空間に響いてきた。

 

 

 

「む?誰だ!?さっきの虫は喋らなかったし、お前が閻魔の親玉か!!覚悟しろ!!出てこい!!」

 

『威勢が良いな。その力、私が有意義に使ってやろう』

 

「さっさと出てこいやぁ!!あたいが怖いのっっっ!!!!!!」

 

 

 

突然全身に衝撃が走った。膝から崩れ落ち、腕に力も入らず倒れこんでしまった。

 

 

 

「あ・・・なに、こ・・・れ・・・・・・」

 

 

 

全身が痺れて力が入らない。視界もぼやけ、意識が徐々に薄れていく。

 

 

 

『有り余るその力。我々の駒として使わせてもらおう・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おん?」

 

 

 

ここは月面。月の都からは大きく離れた座標。クラウンピースは大量生産した大小様々の松明を月面に挿し、星空を緻密に再現し、大量の水で全部流して

 

 

 

『あーまーのーがーわー』

 

 

 

と宣言する遊び(4周目)の手を止め、空を見上げる。何か、嫌な気配を感じ取った為だ。実際に何が起きたのかは全く持って知らない。何か、大切な物が消えてしまったかのような不安感に一瞬包まれてしまったのだ。

 

 

 

「なんだ?何故かわからないけど・・・・・・なんか・・・悲しい・・・?」

 

 

 

胸の奥が少し痛い。一体何処で何が起きたのだろうか。ご主人様なら分かるかも。よし、帰ろうか。

そして、クラウンピースは一目散に走っていった。走り始めにベガとアルタイルを蹴飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・たぅっ?チルノ・・・?」

 

 

 

ここは妖怪の山の一本の木。冬始めには表舞台から完全に居ない春の妖精リリーホワイトが目を覚ました。と言っても、真夜中に少し目が覚めまだ眠気が払拭できない状態であるが。

 

 

 

「チルノ・・・どうしたですか・・・?」

 

 

 

目が覚めてしまう直前、とある夢を見た。いつも元気で天真爛漫な少女の表情が、急激に曇ってしまったのだ。夢の中でさえ見たことのない表情である。

 

 

 

「何か・・・悪いこと起こるですか・・・?」

 

 

 

あり得ない光景を見てしまい、どうにも不安でしょうがない。眠いけど、ちょっとだけ様子を見に行ってみよう。とりあえず起き上がり、軽く準備を始める。

 

 

 

~5分後~

 

 

 

「すぅ・・・すぅ・・・・・・」

 

 

 

眠気には・・・勝てなかったよ・・・・・・zzz

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「むぃーむぃー。暇~」

 

 

 

エタニティラルバは、何故か、本当に何故か神霊廟にいた。実のところ、慧音の紹介で来ていたりする。新世界の神となるべく、修行(お手伝い)をしていたら、散髪の才能が目覚めた。常夜の神ならぬ、床屋の神として新たに君臨したところ、豊聡耳神子の依頼で派遣されたのだ。

 

 

 

「ここなら安全って言われても、今日のおやつも食べたし、お昼寝(瞑想)もしたし、お昼寝(座禅)もしたし、お昼寝(お昼寝)もしたし、やることない~」

 

 

 

先程から妙に不自然な寒気を感じ、布団にくるまって布団をかじる位しかやることがない。

もう、暇なのは嫌だし、ちょっとだけ言いつけを破っちゃおうか。

確か、神子がお出掛けするとき、どこかの床を開けて行ってた。誰も見てないし、片っ端から開けてみよう。

 

 

 

「まずはコレ♪ふんにゃぁああえあああおおおおごいいあああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

神子が帰ってきた頃、エタニティラルバが外で大の字にうつ伏せで倒れていたので、必死に介抱してあげた。後、自分のしうくりぃむをあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三月精の三人は、スニーキングミッション真っ最中である。巷では閻羅の噂で盛り上がっている。霊夢さんがようやく相討ちになる様な化け物といつ遭遇するか分からないと来た。すぐさまおうちに帰り、避難の準備を進め、本日ようやく安全な神社に向かうのだ。

 

 

 

「ルナっ!!ルナっ!!今回のドジはもう庇えないわよ!?」

 

「止めてよ!?怖いこと言わないでっ!?」

 

「うぅー無事に帰れるかなー」

 

 

 

三人それぞれが違った反応でいる。

まずサニーミルク。ルナの【いつもの】に見捨てる宣言した。大切な同士の筈なのに。それほど恐れているということだ。

次にルナチャイルド。親友の無慈悲な発言に、涙がもう止まらない。だーだーと滝のように泣きわめき、サニーの腕を強くつかむ。もちろん、能力発動中のため、泣き声は周囲には聞こえない様子。

最後にスターサファイア。彼女は、周囲に誰の気配も無く、安全と解っているので一番落ち着いている。わかった上で二人を煽ろうとしているが、残念な棒読みである。プチパニックの二人には棒読みなことすら気づけないようである。読み通り!!

 

 

 

「サニーこそ能力消さないでよ!?見つかったら終わりよ!?」

 

「ルナこそ【いつもの】来たって、助けてあげられないからね!?分かってる!?」

 

「そんなひどいこと言わないでよ!!私達、3人で1つでしょう!?」

 

「そ、そーだよー。3人居ないとかくれんぼ最強がー」

 

 

 

3人を列べると、まあ実に面白い光景である。

 

 

 

余談ではあるが、三月精の家(神社裏の大木)から神社までの間には、閻羅は一匹も居ない。つーか、博霊神社の敷地内には、博霊結界のほかに八雲藍の式まで張られて要るため、大木にいる時点で安全だったりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぅぅ・・・ここは・・・?」

 

 

 

チルノは両手両足に錠を掛けられた状態で目が覚めた。巨大なビーカーの中のようだ。

 

 

 

「あっ!!あたい捕まった!?」

 

『ふむ。興味深い。貴様は大した気を持っていないのにあれだけの力を発揮したのだな』

 

「誰だお前!!お前が閻魔か!?」

 

『私は閻魔ではない。名乗っても無駄だろうしな。ひとつ質問をしよう。貴様の知る一番強い者は誰だ?』

 

「ん?さいきょーはあたいだ!!でも他にも強いのはたくさんいるぞ!!霊夢とか魔理沙とかけーねとか文とかバーダックとか!!お前なんか1発だ!!」

 

『威勢が良いな。成る程。はじめて聞く名だ。目覚めれば私の知ってる地上では無くなり、情報も集められなくて困っていたのだ。礼に私の部下にしようか』

 

「部下?部下って何だ?」

 

『・・・・・・・・・』

 

「・・・・・・・・・」

 

『家来になれ。と言えば分かるか?』

 

「嫌だ!!」

 

『まあ、拒否権は貴様にはない。興味深い検体だが果たしてうまくいくかどうか。洗脳の準備を始めろ』

 

「お前なに言ってるかさっぱりだ!!誰がお前なんかの家来になるか!!このあたいの手と足のなんか金属のなんか外せー!!!!」

 

『安心しろ。すぐ終わる』

 

「何が終わがあああああああああえああああああ!!!!!!!!」

 

『くくっ。コレで即死しない辺り、実に優秀な素材だ』

 

 

 

チルノの絶叫は声の主の良心を揺らすこと無いままに空しく木霊する。頭に紋様の入った金属が浮かび上がり、チルノは倒れこんでしまった。

 

 

 

『そう言えば、こやつ自信の名前を聞いて無かったな。まあ良いだろう。こやつの力と私の元々の標的を掛け合わせるとしよう』

 

 

 

そして、チルノのビーカーに白い紙が貼られ、そこにはこう記された。

 

 

 

【氷仙人】




こんにちは、大妖精です。ひいいいい!?チルノちゃんが!!チルノちゃんがああああああああああ!!!!大変!!速くバーダックさんに伝えないと!!なのに何でまだ目が覚めないのよ私!!バカっ!!私のバカっ!!早く起きなさいよ!!河童さん叩き起こしてええええええええ!!!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【免許皆伝! 試し撃ちのVS聖!!】
チルノちゃんを助けてええええええ!!!!



最近、とてつもなく愉快な迷惑メールが来ました。紹介します。

「駅のトイレに『セフレ募集中!○○○○○@××.ne.jp』って書いてありますよ。消しときましょうか?」

バス待ちの他の利用者にちょっと離れられる程腹抱えて笑った。声は100%押さえた。
こういう迷惑メールは、何故無視するのが一番かご存じですか?おれおれ事故った詐欺に引き続き、講習会始めますよ。
そもそも、なぜメール主は私達のメアドを知っているのでしょうか?答えは簡単です。彼らは、私達のメアドは知らないのです。
じゃあ何故メールが届くかと言うと、彼らは適当に有りそうなメアドを何万通り何億通りと作り、それらを一斉送信します。そして運良く(悪く)貴方のメアドにヒットしてしまうのです。この時点では、彼らはどのメアドが実際してるか分かりません。
ここに私達が返信してしまうと、彼らに
『このメアドは生きている』
と、教えてしまうのです。すると、その情報を高額で各方面に売り飛ばす。コレが彼らの違法な収入源となるのです。

ここでワンポイントアドバイス。皆さん、自分のメアドを確認してください。
個人で契約したメアドは
~~~~~~@ーー.ne.jp
となっていませんか?
『ne』とは、ドメインと言って、メアドを管理する者の名刺みたいなものです。例えば、送り主が株式会社などの『企業』の場合、『co.jp』となります。政府機関や各省庁だと『go.jp』、個人の携帯スマホパソコンの場合は『ne.jp』といった具合に見ただけで大まかに判別できてしまうのです。
つまり、いかにも本物の請求に見えても、相手のメアドを見れば一目瞭然です。実際に合法的なお金のやり取りをする企業が、個人の端末でメールを送るはずがありませんからね。
コレで皆さんも新たな知識を得ました。
詐欺師の魔の手を退ける、白藍チャンネルでした~♪



さて。⑨月⑨日、チルノの日に何てものを投稿してるんだって話ですよね。しかも、博多のチルノ祭りに参戦する前に。わざわざ投稿日時を⑨で統一させる徹底振り。一部では叩かれてしまうのかなぁ。でも、これも物語展開でとても必要なワンシーンです。その第一号をチルノちゃんで飾れた事を誉めてあげてください。あ、僕じゃなくてチルノちゃんをね。取り合えず僕は殴っといて下さい。
てか、声の主、完全にアイツですね。わかった人はきちんとお口チャックお願いします。感想かく人も、出来る限り伏せてくださいね。『名前を言ってはいけない例のあの人』みたいに。



後書きの使い方に迷ってる人は僕のを参考にして見てください。
最初に爆弾発言して、読者の心をつかむ。
次に雑談で文字数を稼ぐ。
最後に次回の期待を煽って挨拶。
この流れだと、読者は本編だけでなく、作者にも興味を持ってくれるかも♪



さて、それでは最後の挨拶しますか。秘封ナイトメアダイアリー2周目で停滞してしまった白藍さんの応援を、コレからもよろしくお願いします。〆はチルノの日に因んで・・・・・・



バーカ⑨バーカ⑨


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第30話~免許皆伝! 試し撃ちのVS聖!!~

【映し世の覚悟】
演奏
鳥獣妓楽・プリズムリバー三姉妹・幻想三和音・バーダック
原曲
ソリッドステートスカウター



振り払え、邪魔者を 超えて行け、その壁を
俺はまだ、諦めてはない
残忍な殺戮も 意味の無い征服も
忘れは出来ない過去だけれど
 
死の覚悟まで決めたその日から
思い出したんだ、サイヤの魂
 
 
楽園を見た時は 言葉にも出来ぬまま
何となくフラフラ歩いて
とうとう見つけたんだ 必要なモノ全て
揃ってりゃ、やるしか無いだろ
 
血に刻まれた、戦いの歴史
今、解き放て 【誇り】掲げろ
 
その身に世界を今、映して、見上げりゃ、ほら
吸血鬼も半霊まで、種族を超えた力
強さここに極めて・・・
 
 
仲間殺され・・・故郷奪われて・・・
2度も散らした、命に誓う
 
善・悪・強さ・弱さ 全部引っくるめ、喰らえ!
この世が俺をもっと 高みへと歩ませる
唸れ、鼓動 燃えろ、闘志
まだ見ぬ世界は今、どこを放浪している?
空腹満たす餌は、そこら中にある筈さ
見えぬ未来開け!




「おぉ・・・コレは・・・・・・」

 

「なんか久しぶりにテンション上がりました!!」

 

 

 

完全憑依異変の最中で何となくでしか聞けなかったプリズムリバーwithH。パワーアップした究極のバンドに、朝帰り組の寝不足が自然と覚めていった。そして。

 

 

 

「うぐぇ・・・・・・」

 

 

 

バーダックが力尽きた。

 

 

 

「あ、倒れた」

 

「あらら。疲れたのですかね?」

 

 

 

そりゃそうだ。尺八による無茶ぶりで精神的に疲れ、ミジャグジに取り憑かれた諏訪子との1戦で肉体的に疲れ、クレイジーバックダンサーズの影響で徹夜で強制的にヒャッホーイ!!

 

 

 

「ふぁ・・・私ももう、限界です・・・・・・きゅぅ」

 

 

 

ナズーリンも倒れた。バーダックの上に。

 

 

 

「あら。これは珍しい」

 

「ナズーリン可愛いですね♡」

 

 

 

身内にも隙を見せなかったナズーリンが無防備になり、超絶レアな光景を目の当たりにする命蓮寺組とバンドメンバー達。

 

 

 

「むぅ。これでは騒音出せませんね」

 

 

 

迷惑な暴走族・・・ではないな。演奏族?これで良いか。迷惑な演奏族を追い払おうとしたものの、暴れてはナズーリンを起こしてしまいます。

気づけば、バンドメンバー達もぐっすり寝た二人に気を使ってか、静かに見守ってます。

 

 

 

「それで、聖。尺八のテストはいかがでしたか?」

 

「あー・・・それが、ですね・・・・・・」

 

 

 

聖は反応に困っていた。というのも、和楽器さん達との演奏で協調性を持って欲しかったのだが、そもそもの3人も途中参加の騒霊3人も、間近で見てみると協調性が全く無かった。それぞれが好き勝手に演奏し、それが見事に噛み合っていただけのようだ。

他者のスペルを映す。そのきっかけとなるための道筋を間接的に教えたはずが、協力者と思っていた方々から道しるべを消されてしまったのだ。

更にとんでもないことに・・・・・・

 

 

 

「バーダックさん。もうスペルを映すための基礎が完成してしまいました・・・」

 

「はぇ?」

 

 

 

まだ何も教えてないのに、もう私から教えることはありません状態に持っていかれ、非常にやるせない気持ちだ。この一晩の間に、いったい何があったのでしょう?私が敷いた線路を全て無視した挙げ句に勝手にゴールされては、私自身の立場が・・・。

 

結論的にいうと、早苗との完全憑依がきっかけになっている。五感や記憶を全て共有し、二人の能力を掛け合わした奇跡のスペルを作り出したのだ。まさか、協調性を最大限活かせる完全憑依を一晩の内に経験していましたとは思いもしないだろう。

 

 

 

「とりあえず、二人をもっとゆっくり休める様にお布団敷きましょうか。皆さんも手伝ったください。静かにすると約束するなら、朝御飯振る舞いますよ」

 

 

 

バンドメンバー達は静かに歓喜した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・暇ねぇ・・・・・・」

 

 

 

輝夜はだらだらしていた。物騒な異変なのは知っている。故に永琳やいなば達に妹紅でさえ、構ってくれない。もちろん優先度が私より高いのも理解できる。だが、もて余す暇を意味もなく消費する堕落した姫と思ったら、大間違いだざまみろ。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

よし、抜け出すか。妹紅と遊べないなら、最近話題の閻羅でも嬲っていよう。不死性も多少あるようだし、暇潰し位にはなるだろう。

 

 

 

「そもそも、あいつらが出てこなかったら、今頃妹紅を締め上げてたのに。いや、最近人事を尽くしてないから・・・・・・私の胴体が真っ二つかなぁ・・・」

 

 

 

自分が敗北するときのイメージまで鮮明に沸き上がる。そうだ。悟妖怪にでも会えないかな?とっても良い反応してくれるに違いない。

なんて、あれこれ考えることすら楽しい。しばらくスキップでのんびり行こうか。現在の脳内映像では、妹紅の目を潰し、私の足元に5本の歯が落ちている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・くそっ!!あいつらなんなんだ!?」

 

 

 

魔法の森の奥深く。森の主的存在の魔理沙でさえもが軽い目眩を起こすほどの重い症気が漂う空間。そこへ木に体重を預けるように体を引きずる少女の名は、鬼人正邪。右腕から血が垂れている。

 

 

 

「あの目・・・・・・完全に死んでた・・・」

 

 

 

まるで主を失った操り人形。魂を消し去り、使命だけを与えられた動く死人。いつぞやのキョンシーだっけか。あいつがまだ幸せなのが分かるほどの悲惨な姿がフラッシュバックする。

その呻き声の中に、僅かに聞き取れた単語を思い出す。

 

 

 

 

 

『サイヤ人』『憎い』『殺す』

 

 

 

 

 

「黙れ!!!!」

 

 

 

正邪は血の流れる腕を、もたれ掛かっている木に振りかざした。症気で弱っていたとは言え、芯からへし折ってしまった。痛みを通り越し、もはや感覚も薄れてきた。

 

 

 

「ぐ・・・この群生ならどこかの日陰に・・・・・・あった・・・」

 

 

 

小さなアロエを見つけた。魔法の森の魔力と症気で、本来の種からはかけ離れてはいるが、基本的な性質は似ているはず。根元を折り、断面を見ると、白く濁った固いゼリー状の身が確認できる。左腕しか使えないため、皮を口で剥き始める。

 

 

 

「ぬずむぁ・・・・・・」

 

 

 

苦味が尋常じゃない!!大して大きくもないし、全部使おうかとも思ったが、コレ全部口使うのか。

不快だが我慢するしかない。まずは1本分のアロエを握り潰す。零れないように自分の衣服で受け皿を作り、粘りのあるローションが出来上がる。

 

 

 

「・・・・・・っっ!!~~~~~~~~っっっっ!!!!!!!!」

 

 

 

一思いに傷口に含ませた結果、あまりの激痛に言葉を失ってしまった。粘りがある為か、ナメクジの様にまとわりつく消毒に悶絶する正邪。

だが、地獄はまだ続く。他に消毒が必要な大きな傷は、額・首筋・わき腹・両膝。

 

 

 

「~~~~!!!!」

 

 

 

正邪は覚悟を決め、残ったアロエに手をかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・ふっ・・・よし。しっかり回復したぞ」

 

「お疲れ様です。それでは、早速試しましょうか」

 

 

 

寝起きのバーダックに告げられた真実は、受け入れるのに多少時間がかかった。大体5秒くらい。

昨夜の早苗との完全憑依の時点でテストどころか卒業できてました、だと?尺八は結局無駄でしたというオチに一気に脱力してしまった。

まあ、修得(?)出来たものは仕方がない。という理由で、白蓮との試合を執り行うことになった。試し撃ちというやつだ。

 

 

 

「では、改めてルールを。形式は弾幕格闘。バーダック君は自身のスペル・体術・変身禁止。ご主人の宝塔の力のみ使用、もしくは宝塔を解した技のみを許可する。以上だ。何か質問はあるかい?」

 

「無いね」

 

「それじゃあ、始めるよ。構えてくれ」

 

 

 

白蓮は重心を少し落とし、左手を前に構えた。対して、バーダックは右手に宝塔を持ち、左腕からダラリと力を抜く。同じく重心を少し落とし、白蓮の無手を受ける体制になった。

 

 

 

「それでは・・・いざ、南無三!!!!」

 

 

 

と、白蓮の姿が急に消えた。バーダックはとっさにしゃがむと、頭上で風を豪速で切られた音が聞こえた。そして再認識する。

 

 

 

(この女、強え。間違ってもなめてかかると危険だ)

 

 

 

今の速度と重さのあるインファイトを相手に、宝塔だけで戦え。か。つまり、防御をしないでフットワークだけで躱せってことだろ。キッツいな。

 

 

 

「行きますよ。【ヴィルーダカの剣】!!!!」

 

「げぇっ!?」

 

 

 

魔力で生成された剣は、白蓮の手の中で禍々しい音を鳴らしながら震えている。特攻とともに躊躇なく急所目掛けて振られたソレをギリギリで躱し続けるバーダック。苦無の様に小回りの効く剣撃を相手に。

 

 

 

(あー。スピリッツソード使いてぇ・・・)

 

 

 

心が既に諦めかけている。得意なものを封じられるって、こんなにも苦なのか。

と、あれこれ考えても仕方がない。バックステップと宝塔の気合砲撃で距離を取り、宝塔を構えた。

 

 

 

「【口伝】イメージだけの至宝の独鈷杵!!!!」

 

 

 

宝塔から溢れた蒼い光が、2つに集まり、形を作っていく。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

どこからどう見ても、餅つきの杵だ。そもそも独鈷杵が何なのか分からない。漢字に囚われすぎたかな。

 

 

 

「えーと・・・・・・だりゃぁあああ!!!!」

 

「ちょっ!?」

 

 

 

取り敢えず白蓮の顔面目掛けてぶん投げてみる。複雑な重心移動でブーメランのように回転するためか、以外にも軌道が安定できた。白蓮のマトリックスも中々見られない。レア度6である。(ナズーリン談)

 

 

 

「絶対にオリジナルと違うだろうけど、取り敢えず喰らっとけ!!!!」

 

「あああ・・・宝塔が・・・あんな乱暴な使われ方を・・・・・・」

 

 

 

星は顔が少し青くなった。普通の杵と独鈷杵を統一させたかのようなスペルカード。毘沙門天様に申し訳がない。神様縁の道具をあんな扱いとは。前から少し思ってはいたが、バーダックさんは度を超えた恐れ知らずの様だ。

 

 

 

「ふむ。フォームが甘いね」

 

「あ、やっぱりあんただと気になるの?」

 

「彼の推定の腕力から、まだまだ豪速で投げられるはず」

 

「アンカーと同じフォームなの?」

 

「同じではないけど、角度とタイミング調整するだけで充分なはず」

 

「うげ。まだ速くなるの?化け物じゃんか!?」

 

「くはは!!儂ら大妖怪の面潰れだな!!」

 

「ちょっとマミゾウ!?何で笑えるのさ!?」

 

「うぅ・・・私もあれだけの力があったら、みんな驚いてくれるのに・・・」

 

「止めとけ、小傘。失神じゃ済まないぞ。良くて一生もののトラウマ、最悪ショック死だ」

 

「【想起】青ベントラー!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「どしたの雲山?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「え?彼、右掌に軽い火傷隠してたの?よく気付いたわね」

 

「よく分かるね、ソレで・・・・・・」

 

「聖~!!後輩君~!!どっちもがんばれー!!」

 

 

 

ギャラリーも大部盛り上がってきた。派手であるほど、見映えも非常に良くなる。ぶんぶんととてつもなく手荒に杵を投げつけるバーダックとヴィルーダカの剣で一つずつ着実に破壊する白蓮。と、ここで白蓮が動き出す。

 

 

 

「では、次です!!【魔法】マジックバタフライ!!!!」

 

 

 

辺り一面に、弾幕の蝶が発生。本当は蜂なんじゃ無いかと思うほどの猛スピードでバーダックに襲い掛かる。一匹一匹に自我があるのか、軌道が全く読めない。掌サイズ一匹の被弾で、大きな西瓜程の爆発が視認できる。この程度の爆発なら対したことはない。が。

 

 

 

「あれを千匹単位で喰らったらたまったもんじゃねえ!!」

 

 

 

例えば、魔理沙の基礎魔法マジックミサイルであっても、1回で数千数万と放たれたら大規模魔法と変わらない。

 

 

 

「【宝塔】直感のレイディアントトレジャーガン!!!!」

 

 

 

全方位に放たれたレーザーは蝶を貫いたと思ったら、急激に軌道を代えた。ぐるぐるとうねるような波と絞られたかの様に吐き出された弾が飛び出し、次々と蝶を誘爆していく。

 

 

 

「なるほど。これは上手ですね」

 

「けっ!!戦いのセンスで俺に勝とうってのが愚かなのを教え込んでやる!!」

 

「あぁ・・・私のスペルがどんどん邪悪なものに・・・」

 

 

 

星の天然な嘆きは、全員でスルー。ド派手な戦いに、皆が見惚れ、最強同士の二人に完全に引き込まれていた。

 

 

 

「覚悟!!【超人】聖白蓮!!!!」

 

 

 

とたんに腹部に衝撃が走る。視線を下ろすと、鳩尾に見事な肘打ちを喰らっていた。

 

 

 

「がっっ・・・速え・・・・・・ごぷっ!?」

 

 

 

衝撃で胃の内容物が重力と食道の絞りを無視し、逆流してきた。たまらず吐き出すバーダック。白蓮の腕や下半身の一部に付着したソレは、点々と赤色が確認できる。

 

 

 

「今のが・・・・・・あんたの・・・」

 

「私のスペルはまだ続きますよ?」

 

「っっ!!!!」

 

 

 

また消えたと思えば、今度は背中に衝撃。この感触は蹴り。だが、破壊力がおかしい。

恐らく、肉体強化の魔法を用いたスペル。時間制約付きで鬼のパワーと天狗のスピードを同時にものにしている。文字通り、『重くて速い』。

 

 

 

「ぁが・・・変身なし、で、耐えろ・・・か・・・あんたの修業して、る先輩どもが、可、哀想だな・・・・・・っっ!!」

 

「では、降参しますか?コレは貴方の能力を試すだけの試合。既に星のスペルを宝塔を解してものに出来ています。免許皆伝ですから、この場で負けたとしても貴方を責めるものは誰一人いません。毘沙門天様もそうおっしゃるでしょう」

 

「生憎だが・・・断る・・・その言葉が欲しけりゃ、料理勝、負や筆記テスト、将棋で出直しな・・・・・・」

 

「頑固者ですね。好きですよ、そういう方は」

 

「へっ・・・【重圧】毘沙門天!!!!」

 

「なっ!?」

 

 

 

白蓮の表情に変化が現れた。距離のあるギャラリーですら、その光景が織り成す異常に気付いた。一言で表すのならば【怯み】。バーダックの持つ宝塔から漏れる光。その輝きは、正に・・・・・・。

 

 

 

「あんたは強い。間違いなく【最強】に分類される実力者だ。他の連中になぜ負けたか聞かれたらこう言っとけ」

 

 

 

白蓮は、身動きが取れないままに、冷や汗を一滴溢した。

 

 

 

 

 

「毘沙門天様が『降参しろ』と仰ったってな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぉっ!!今のは・・・一体・・・」

 

「おい、鬼!!どういうことだ!?」

 

「さあな・・・少なくとも、この3体は他の閻羅とは違う・・・技も磨かれてるし姿形も違う。何より、【言葉を放った】。殺人機械との差別化は充分だ」

 

「交代するか?」

 

「はん!!まだまだやれるさ。この程度で参るような鍛え方じゃない。ま、アップだけはしといておくれよ」

 

「気を付けろよ・・・知性がある分、攻め方も代えた方がいい」

 

「上等!!むしろ作業化した殲滅に変化が出た分、余計に燃えるよ!!!!」

 

 

 

萃香は気合を入れ直し、1度吹っ飛ばされた3体に向き合い、言い放った。

 

 

 

「私は鬼の四天王、伊吹萃香だ。お前たちの名前は?」

 

 

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

 

 

3体の口から言葉が漏れる。

 

 

 

「ガーリック3人衆のジンジャー」

 

「同じく、ニッキー」

 

「同じく、サンショ」




よう、お前ら。鬼人正邪だ。何だ、あいつら?ガーリック3人衆とか言ってたな。私を痛め付けた閻羅とは違う、新手と考えた方が良さそうだ。いかにも『俺たちは強いぞ』感をアピールしやがって・・・気に入らねぇ!!まぁ、鬼と蓬来人なら余裕だな。
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【第4の不死者!? ガーリックJr.現る!!】
あぁ、お前ら。次回なんか観なくて良いからな。



とある実況動画に影響され、ゲームキューブ時代のマリオパーティやりたくなったため、近くのアウトレット店で5を390円(税抜き)買いました。そしたら、ディスクの下にから4がこんにちは。これ、良いのかな?もしかしたら、店員も知らなかった可能性が微レ存。まあ、棚にあったのそのままレジに持っていったから問題ないでしょ。
等と供述しており・・・・・・



はい。もう敵は確定しましたね。映姫様の供述に前回のあいつと今回の3人、そして次回予告。共通点も明らかですし、もう言っちゃいましょうか。同じ共通点を持つ敵全員登場させます。つまり、みんな大好きの【アイツ】も・・・・・・
はい、もう意味を成してるのか微妙だけども、これ以上はお口チャックな。

ようやく正邪ちゃん出せた!!めっちゃ嬉しい♪あんな登場のさせ方でよく言えるなって?孤独な彼女を演出したのですよ。そもそも、何故サイヤ人に反応してるのかって?それは彼女の心で渦巻く葛藤の結果生まれた感情です。何があったのかはまた今度。ここから、どの様な活躍を見せてくれるのか、期待してください。決まっているからこそ言いますが、最高の出来を約束します。彼女のかっこよさに、絶対に腰抜かせたるからな!!ハードルを上げて大丈夫かって?むしろ上げたい。それだけ自信作です。まあ、そのシーンまでかなり先だけど。



ほんじゃ、今回はここまで。正邪ちゃんに倣って、今回の〆は・・・

今回で終わりだ。次回なんか無いから、お前らもう2度と来んなよ?

(大丈夫かなコレ?)


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番外編:本編に何の影響も与えない短編集

その壱【お芋の名産地~♪】

 

 

 

「よっ・・・ほっ・・・」

 

 

 

サクッサクッと、鍬を振り下ろす豊穣の神【秋穣子】。耕す大地は、元さつまいも畑。先日収穫を終えたばかりだ。

今回作るのは株・人参・キャベツ・麦・米の5種。特に米は最大の武器である。幻想郷ほぼ全域に渡る主食は一番気を使ってたりする。一昨年完成した新品種【秋思米(あきしまい)】は絶大な人気を誇っている。

同じ作物でも、秋と春に収穫したものには大きな違いがある。夏の莫大なエネルギーを大量に蓄え、秋に豊満に稔る作物をお母さんとするなら、冷たい地面で耐え抜き、重い雪を掻き分けて芽を出すたくましく雄々しい作物はお父さん。先日の秋野菜とは全く違う生育が必要となる。

 

 

 

「秋の二人~お客さん~」

 

「む、冬の妖怪。客だって?」

 

 

 

冬の妖怪ことレティ=ホワイトロックが連れてきた珍客は・・・・・・・・・

とか貯めに貯めて期待を煽ったところで、どうせアイツである。

 

 

 

「ん。土産だ」

 

「お。ユリ根餅とは、中々良い趣味じゃない。何の用?」

 

「あんたのとこの芋を頂いてな。実に美味かった。お礼参りと挨拶」

 

「は?その口ぶり、初めて食べたの?その年で?つまり、君が噂の野菜人?」

 

「サイヤ人」

 

 

 

マジか。吸血鬼姉妹を相手に勝利し、鬼とのタイマンで善戦し、噂によれば神の領域に半歩踏み入れたとかいう、本当にすごい人が、わざわざうちを訪ねたというの?お手製のおやつ持って?

 

 

 

「そうか!!君がそうなのね!!おいでおいで。おもてなしするよ♪」

 

「豊穣の神本人からのもてなしとはとんだ贅沢だな。ありがたく頂く」

 

 

 

神様なので礼儀はあるはず。まずは一礼を欠かさないバーダック。

 

 

 

「あらら。そんなに畏まらなくて良いよ。ほらほら肩の力抜いてリラックスリラックス♪」

 

 

 

麗らかな清流の様な見た目だが、意外とおおらかであった。

と、もう一柱がやって来た。

 

 

 

「客だって?なら、色々食べていきなよ。作物じゃなくても、山菜やベリーなら私が専門だよ」

 

(ベリー?)

 

 

 

麦わら帽子が似合う紅葉の神【秋静葉】。ザルに入れて持ってきたのは赤や紫の実と変わった形の植物。

 

 

 

「あ、デザートがないや。ヨーグルト取ってくるわよ」

 

「あ。桃持ってきて。砕いて食べたい」

 

「えっと、どこに置いてるやつ?河童の造った冷蔵庫?」

 

「レティが作ったやつ。どこに締まった?」

 

「あぁ。フリーズドライしたやつね。チルド室で保存してるよ」

 

「フリーザ!?チルドだと!?」

 

 

 

とたんに声を荒げるバーダック。超サイヤ人に変身し、衝撃波を撒き散らす。

 

 

 

「何処だぁああ!!出てこいフリーザあああああ!!!!!!!!」

 

「「なに暴れてんだこらあああああああああ!!!!!!!!」」

 

「【終止符】ファイナルスピリットキャノン!!!!!!!!」

 

「【信仰】蒼い風のHOPE!!!!!!!!」

 

「【落葉】デスカポエラー!!!!!!!!」

 

 

 

もはやてんやわんやである。

何処ぞの純粋な狐と同じ様な発作のように狂人と化したバーダック。無理もない。憎んで憎んで憎みきれない大っっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ嫌いな名前を同時に聞いてしまえば、偶然とは思えない。

もちろん、神様に怒られた。事情を話し、神様の発言した言葉の授業も受ける。紛らわしい名前をペアで付けやがって!!

まさか、自分の与えた希望が、自分に牙を剥くとは思いもしなかった。

そして、レティは吹っ飛ばされて目を回していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その弐【妖夢と☆ルナルナの♡三時間クッキング♪】

 

 

 

「さあ始まりました♪三時間クッキング!!今回も私たちが、素敵なお料理をご紹介します」

 

「さて妖夢シェフ。今回は何を作るのでしょうか?」

 

「ルナルナ副料理長、私たちが作るのはこちら♪」

 

 

 

【究極のカレーライス】

 

 

 

「カレーライスですか?意外と庶民的ですね」

 

「ノンノン、ルナルナちゃん。【究極】の一言で、庶民とは比べ物にならない香りがしませんか?」

 

「もちろん感じますよ♪私たちが協力して作る究極のカレーライス。どう作りますか?」

 

「まずは手を繋ぎましょう。そして、目を閉じます。私たちクラスならこれだけでレシピを共有できるでしょう!!」

 

「シェフ、大変です!!目を閉じたら真っ暗です!!何も見えません!!」

 

「ソレ私の・・・・・・」

 

「それでは~」

 

 

 

「「レッツクッキング♪」」

 

 

 

「使う材料と調理器具はこちらです。それではルナルナちゃん。調理行程を教えてくれるかな♪」

 

「はい、行きます!!」

 

 

 

一呼吸置いて、ルナルナの口が開く。

 

 

 

「まずはお米を炊きましょうボウルにお米を入れ1度お水でさっと洗い2度目の少量の水で10周かき混ぜるように磨ぎます磨ぎ汁は旨味の塊なので捨てず別のボウルに移しましょう3重に重ねた布でしっかりと濾したらお米と磨ぎ汁と水を土鍋へ入れますではかまどにセットしましょうお米が炊けるまでにカレーの具材を切っちゃいます人参じゃがいも玉葱は大きさを揃えず乱切りにしちゃいましょう人参は上から見てへたが細いものじゃがいもは空気に触れないように水に浸けておいたものを玉葱は先ほど届けられました収穫したばかりのものを豪勢に使っちゃいます次にお肉ですがなんとローストビーフを作っちゃいます上物のサーロインを綺麗に切り出し黒胡椒をまぶしますお塩は岩塩を削っちゃましょうか塩味を抑え甘くまろやかな塩はとても素敵です牛脂をしいたフライパンに溜まり醤油と生の胡椒の実を砕いたものを炒め表面をさっと10秒焼き旨味を閉じ込めますここで一手間薄く切ったローストビーフを大きなお皿に円を描くように盛り付け真ん中に小さなお皿をセットしますここに入れるのは林檎の木のチップと乾燥させた唐辛子とクミンですカレーの隠し味に林檎を使うので桜の木でなく林檎の木を使うことでお肉との調和を狙いますでは火をつけて蓋を被せましょう次はカレーを作っていきましょう鍋に入れるのはオリーブオイル充分に熱したらそこへコリアンダーグローブオールスパイスウコンを投入します油でスパイスを炒めることで香りが一気に立ち上りますそこへ玉葱じゃがいも人参の順に入れ底で焦げてしまわないようにかき回します玉葱が飴色に変色したらここで林檎の果汁を入れましょうささっと全体にまぶしたら蒸発する前に出汁を入れちゃいましょうこちら干し椎茸と干しゴボウとネギとニラで取っております野菜の甘味をふんだんに堪能しましょうねここで入れすぎてしまわないようにしましょう水解き片栗粉で僅かなとろみをつければ完成ですそろそろご飯も炊き上がりますね炊き上がる直前に強火にすることでお焦げが作れますここは皆さんのお好みででは盛り付けましょうご飯の上からカレーをトロ~っとかけ最後にのせるのはスモークしておいたローストビーフ花が咲くように盛り付けると見映えも最高ですね♪」

 

「そして、完成したのがこちらになります♪ルナルナちゃんが全部実況してくれたのでとても分かりやすかったですね♪」

 

「いやぁ~噛まずに良い続けるのは大変でした。」

 

「以上で、今回のお料理はおしまい!!次回はチャーハン作るよ!!」

 

「「お楽しみに♪」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その参【私の鰻捌いちゃらめぇ//////】

 

 

 

今日の料理修業は、ついに挑戦の八つ目うなぎだ。ミスティア自身が苦労してたどり着いた境地であるため、下積みや基礎の修業に明け暮れた結果、ようやく包丁を握らせて貰える事になった。

味見係りの連中として、大妖精・チルノ・ルーミア・リグルと、いつものメンバーの見守る中で、とのことだが、おバカ二人がちょっと遅れているようだ。仕方がないのでまずは大妖精とリグルに振る舞う。

 

行程①

まだ生きて暴れる八つ目の頭を杭で固定する

 

行程②

包丁を首筋(で良いのか?)に入れる

 

行程③

脊椎を傷つけないように尻尾まで包丁を滑らせる

 

行程④

身を開き、内臓を取り出す

 

行程⑤

ちょうど良いサイズに切り出し、串を手元に置く

 

行程⑥

波を打つように刺していく

 

行程⑦

皮目から焼き始める

 

行程⑧

脂が染み出てきたらひっくり返す

 

行程⑨

タレの壺の中に入れる

 

完成!!

 

 

 

「ふう。コレ滅茶苦茶神経使うな。周囲の情報完全に削除してたわ。料理人というより職人と呼んだ方がしっくり来る」

 

「へへ。ありがとう」

 

「凄い。綺麗に出来てますね。素人目からは、ミスティアちゃんとの違い分かんないよ」

 

「ミスチーの目からは何点に見えてる?」

 

「んー。65点かな。まだ速くなるし、頭の杭にちょっと手こずってた分減点かな」

 

「厳しい先生だ。いや、職人だから師匠って呼ぼうか?」

 

「やだもー♪」

 

 

 

きゃいきゃいとじゃれ会う四人組。

そこへ遅刻したおバカ二人が到着した。

 

 

 

「ごめん!!遅れた!!」

 

「お腹空いた~!!」

 

「開口一発目がソレか、食いしん坊」

 

「何してたの?」

 

「あのね。なんか本が落ちてたから、ちょっと見てた。内容よく分かんないけど、絵も写真も無いの。多分小説だと思う。字の練習になるから持ってきちゃった」

 

「作ってる間、コレ読んで待ってる~」

 

「はいはい。んじゃ作るぞ」

 

「「はーい」」

 

「それじゃ読んでみるか」

 

 

 

行程①

「クックックッ。活きが良いじゃないかお嬢ちゃん。大人しくしな!!」

 

「いやぁ!!放してぇ!!」

 

行程②

「へへ。おい、このナイフが見えるかい?」

 

「ひぃ!?何するの!?」

 

「どうするって、決まってるだろ?」

 

行程③

「へへへ。急に大人しくなったな。ホレホレ、全部切れちゃうぜぇ?」

 

「あぁぁ・・・やめてぇ・・・///」

 

行程④

「ひひひ・・・真っ白で綺麗なお肌もぜーんぶ丸見えだねぇ」

 

「いやぁ・・・見ないでぇ・・・お願い・・・///」

 

行程⑤

「何だよ。もうヌルヌルになってるじゃないか。準備は必要無さそうだな」

 

「うぅっ・・・それだけは・・・ダメなのぉ・・・///」

 

行程⑥

「ククク・・・それじゃぁ・・・行くぜ!!」

 

「やぁああああああっ!?」

 

行程⑦

「うぉおおおお!?引き締まってて最高だぜぇ!!」

 

「いやぁあ!?熱いぃいい!!//////」

 

行程⑧

「体は正直じゃないか!!どんどん溢れて来てるぜ?」

 

「言わないでぇ!!///」

 

行程⑨

「それじゃあラストだ!!中にやっちゃうぞ!!」

 

「ひっ!?中はっ!!らめええええええええ!!!!//////」

 

完成

「へへ。最高だったぜお嬢ちゃん。極上だ」

 

「あぁぁ・・・汚された・・・もう戻れないよぉ・・・//////」

 

 

 

「よし!!さっきより速く出来た!!と思うが。どうだミスティア・・・・・・お前ら何真っ赤になって俯いてんの?」

 

「「「っっっ!!!!//////」」」

 

「お、出来たのか!?早く早く♪」

 

「食べるのだ~!!」

 

「そういや、がっつり集中してたから聞こえなかったが、何読んでたんだ?」

 

「ダメっ!!!!!!!!」

 

 

 

大妖精が瞬間移動で本を取り上げた。

 

 

 

「バーダックさんは見ちゃダメです!!!!」

 

「え。何で?」

 

「何ででも!!!!ミスティアちゃんパス!!!!」

 

「キャッチ!!&焼却!!!!」

 

「あ。燃やした」

 

「リグルちゃん!!周りに人居ない!?」

 

「大丈夫!!誰も居ない!!」

 

「何だよ。そこまでその本見られたくないのか?」

 

「「「読んじゃらめええええええええ!!!!//////」」」

 

「・・・・・・・・・はい」

 

 

 

チルノとルーミアは美味しそうに食べてました。




補足を幾つか。
その壱
Q,秋姉妹とレティが仲が良いの?
A,秋姉妹は全シーズンの作物を作ってますので、冬に嫌悪感はありません。
Q,バーダック、そんなんで反応するか?
A,鳥山世界と現代の違いです。高校の教室で堂々と「俺、ブルマ好きなんだ」って台詞、狂気だと思いません?

その弐
Q,長い・・・・・・
A,表現のひとつです

Q,作者は作ったことあるの?
A,ないです。ただ、レシピ本もネットも見ないで、即興で綴りました。知識としては充分ある。料理しろって?うちの台所の狭さ嘗めんなよ?

その参
Q,本のタイトル教えて
A,ご自由にどうぞ

Q,レ○プ物好きなの?
A,どちらかというと嫌いです。女の子が幸せになるものが好き。冒頭のヤり始めに嫌悪感なく、戸惑うだけの反応だと尚良し。女の子が興味を持って迫るのも可。調教済みのラブラブとか。頑張れ♡頑張れ♡とか。おねショタとか。ただし、ショタおねはちょっと・・・・・・



体調不良で絶賛ダウン中の頭を酷使したらこんなん出来ちゃったけど、どうですか。年末とエイプリルフールとは別物です。何故なら1本じゃ文字数が圧倒的に足りないから。ゆーても、まだいつもより1000字ほど足りなかったりする。
こういった小さな小ネタは、短編集として流出しようか。活動報告でネタ募集も行いますので。採用された方には、プレゼントもします。詳しくは活動報告欄にて。
それでは今回はここまで♪バイQ♪


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第31話~第4の不死者!? ガーリックJr.現わる!!~

「ちょっとあんた。何者なの?」

 

 

 

キラキラと輝く宝石を散りばめたバッグや指輪が、竹林で物凄く浮いてる彼女は、疫病神【依神女苑】。非常食がそろそろ底をつきそうになり、筍を探しに向かったのだが、見覚えの全く無い輩と出くわした。

 

 

 

「貴様は・・・神か?」

 

「あ?なに聞いてんのさ?その通りだけど。あたしは泣く子も黙る疫病神。そういうあんたも、微妙に神の気を感じるよ。どういうこと?」

 

「まさか貴様のような女が神とはな。神に選ばれなかった私への当て付けか?」

 

「当て付けって・・・名前も顔も知らないやつに、どう当て付けるのよ。どちらにせよ、ここら辺はあたしの縄張りだから、さっさと出ていきなさい。さもなくば、奪うぞ」

 

「血の気の多い神だ。アイツとは真逆。いや、ピッコロ大魔王に近いものだな」

 

「誰よそれ。貧乏神に聖人や仙人に賢者に巫女と色んな奴は要るけど、大魔王なんて肩書きの奴聞いたこと無いわね」

 

「まあ良いだろう。この地に奴が居ないのならば仕方がない。神を殺し、私が神となる。私の世界を築くのだ」

 

「へぇ。あたしを殺すんだ。出来るものならやってみろ!!疫病神の女苑様の災厄をお前に与えてやる!!」

 

「私はガーリックJr.。不死身を舐めるな!!」

 

 

 

二つの拳が轟音を撒き散らし衝突する。構造・柔軟性で大木に勝る竹が、たった1度の衝撃波でサークルを描くようにひしゃげる。

 

 

 

「へぇ。ちんまい割にはやるじゃない。あれだけ豪語出来たから当然よね」

 

「貴様こそ、おなごの癖にここまでとは。貴様を知らなかった事を少し悔やみそうだ」

 

「あ?何を悔やむって?口説いてんのか?悪いけどチビはお断りだ」

 

「なに。貴様を知っていれば、もっと楽に出来ていたということだ!!」

 

 

 

ガーリックJr.から気合砲を喰らう女苑。バックステップで威力を大きく逃がすが、すぐ目の前まで奴が追いかけてくる。

 

 

 

「この距離だ!!【魔閃光】!!!!」

 

「んなっ!?」

 

 

 

短い溜めから放たれたソレは頬を掠めた。放出系の気功波であるにも関わらず、鎌鼬の様な鋭利な傷痕がつけられる。

 

 

 

「あんたの気・・・曖昧な神の雰囲気を感じるね。差し詰め、神に成りきれなかったってところか?」

 

「それは、私の父だ。私は違う」

 

「まあ、どうあれ、生まれながらの神にも届かない程度の存在って見て良さそうだね」

 

 

 

今度は女苑からの気合砲で距離をとり、すぐさま構える。

 

 

 

「【崩壊】バブルインパクト!!!!」

 

 

 

その場で滅茶苦茶に素振りをしだすと、拳圧がガーリックJr.に襲い掛かる。緑色のオーラを纏い、それぞれが放物線を描きながら一点に集中する。ド派手で強力な技でありながら、周囲への被害はとても小さい。

 

 

 

(全弾直撃。いや、アイツ、避ける素振りをしなかった。あれだけの素質が全く反応できないタイミングでもなかったはず・・・・・・)

 

 

 

煙が晴れてきた。そこに居たガーリックJr.は、完全に無傷だった。

 

 

 

「嘘っ!?切り傷に火傷どころか、あざまで無いのか!?」

 

「ふむ。見事な一撃だ。我が配下に居たのであれば、素晴らしい地位を得ていたであろうに」

 

「何故だ!?決定打で無くとも、多少は削る筈だ!!何故無傷なんだ!?」

 

「理由は簡単だ。私は、死なない!!永遠の命を手に入れているのだ!!」

 

 

 

永遠の命。さっき『不死身を舐めるな!!』と言っていた。いつぞやの炎の不死者を思い出す。アレは確か、人間の基準で死んだ瞬間に蘇るといった感じだ。身体を全部燃やし尽くすほどの火力を振り撒き、全てが消えた一瞬後に平然と現れていた。アレとは違う。

次に思い付いたのは紅い館に住むと聞く吸血鬼。こちらは超再生だと聞いたことがある。腕を吹き飛ばされても瞬時に生えてくるし、身体を跡形もなく吹き飛ばされても、条件さえ揃えばいくらでも復活できる。コレとも違う。

確か霧の湖にいる人魚。彼女の肉を食えば不死になれる話がある。コレにも欠点がある。【寿命が無くなる】だけで、首を落とせば死ぬ。擦り傷や骨折などの治療速度も人間と変わらない。コレでもない。

姉さんが気に入った天人。どんなに攻撃を与えてもまるで傷つかない頑丈な身体を持ち合わせていた。それこそ、人間が喰らえば肉片も残らないほど力を込めた拳も余裕で耐えていた。大妖怪や博麗の巫女でもある程度苦しむ位の拳を。コレに近い。

だが、コレでは不死とは言えない。あの天人自身にはまだ無いのだろうが、限界を超える力があれば崩れるということもあり得るからだ。そして、その上で不死と呼ぶのであれば・・・・・・

 

 

 

「うげぇ・・・考えたくないんだけど・・・」

 

「ふむ、気づいたようだな。その通りだ。貴様がどの様な技を使っても、辺り一面を焼き払っても、【私は傷つかない】し【永安に疲れない】」

 

 

 

ガーリックJr.の発言に、女苑は半歩後退する。

 

 

 

(冗談じゃない!!文字通り終わらない耐久とか、付き合ってられないし!!つーか、それルール違反!!)

 

 

 

精神的な攻撃をする?無理だ。そんな技持ってないもん。このタイプの自信家は、財力に何の興味もない。私と姉さんの力では、コイツを不幸に出来ない。こんなヤツと対面してしまうなんて。この疫病神が!!あ、私だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

 

萃香は疲れてきた。単純作業とは言えども、閻羅1体を消し去るだけの力量は決して少なくない。それを182体、休みなく落としているのだ。その直後に現れた3体の戦士。知能がある分、全力の1発を妨害される。考えなしに突っ込んでくる獣とも違うので、命中率も格段に落ちる。

更に面倒なことに、新しい閻羅がまだ出てくるのだ。この3体に比べれば正直大したこともない。だがハエみたいに鬱陶しいことこの上ない。3体は各々で連携をとっているが、ハエ共は別。要らないところで体制を崩されたり、薙ぎ払ったあとの僅かな技後硬直を狙われ、戦況が非常によろしくない。

 

 

 

「どうする、鬼さん。交代するか組むかする?」

 

「くかかかっ!!どちらもしない。お前さんが出るのは、もう少し待て。少しだけやつらの戦い方が分かってきた」

 

「楽しそうね」

 

「酒とケンカは江戸の華。伊達に山の四天王名乗っちゃいないさね」

 

「相変わらず難儀な種族だね」

 

「楽しいよ?」

 

 

 

可愛らしくウィンクで言い放ち、密集地へと特攻を仕掛ける。ジンジャー目掛けて無防備に向かうそれは、当ててくれと言わんばかりのカウンターの餌食だった。

 

 

 

「バカめ!!」

 

 

 

素人でも見抜ける軌道に渾身のストレートを叩き込む。拳は萃香の顔面を寸分の狂いなく捕らえ、見事に空振った。

 

 

 

「なにぃ!?」

 

 

 

確かに直撃した筈だ。状況証拠に留まらず、3人の眼にも見えたのだ。ガキの鼻っ柱に直撃する様を。だというのに、打撃音どころか手応えすら無かった。

そして、気付かぬうちに背後を捕られたジンジャーは、萃香の肘打ちを首に喰らった。

 

 

 

「私の能力なら、攻撃を喰らう瞬間に陽炎で躱すくらい訳ない。お前たちの連携は見事だが、所詮それ止まり。搦め手相手にゃお前たちは素直すぎる」

 

 

 

目を凝らしてよく見ると、ガキの身体が異常なことに気づく。ホログラムの電波に微弱なノイズが入ったかのように掠れて見える。おまけにコイツの気を探ってみると驚愕した。霧のように実態を掴めず、周囲全てを飲み込まれてしまった。

 

 

 

「ガキ・・・貴様何者だ!?」

 

「んー?お酒を肴にお酒が飲める位お酒が大好きな酔っ払いじゃ不満か?」

 

「不満だ!?」

 

「じゃあ、お酒をおかずに白米食べる位お酒が好きな酔っ払い」

 

「変わらんぞ!!」

 

「じゃあ、私の血管にはお酒が流れています」

 

「もういいわい!!」

 

 

 

何故我々は漫才をしているのだ!?しかも、さっきまで殺し合いとも言える激しい攻防の直後に。

 

 

 

「まあ、軽く時間稼げたところで、後ろ見てみな?」

 

「後ろ?いったい何を準備しっ!!!!」

 

「どうしたのサンショ!?何を見っ!!!!」

 

 

 

そこに居たのは、体長30センチ程の小さなガキ×ウン百体。頭身が若干のデフォルメチックなのは否めないが、自分達が置かれた状況に寒気を感じる。

 

 

 

「よーし。それじゃ、あんたらはもっと楽しませておくれよ!!」

 

 

 

小さな大将と小さな小さな軍隊による雪崩攻撃に飲み込まれ、この現場から退室する3人(とウン百人)。残された極戦士のジンジャーがようやく起き上がる。まだ目眩がするのか、微妙に焦点が合ってない。

 

 

 

「まー無理するな。ふらつきは一番危険だからな。踏み外して岩や筍の先に頭を刺されたら痛いからね」

 

 

 

喋っている者の姿が見えない。正確には、角度的にそちらを見ることが出来ない。背中の重心を踏みつけられ、起き上がる為の力が入らない。

 

 

 

「ぐ・・・その足をどけろ!!」

 

「この状況でも口がデカイんだね。良いけど」

 

「この・・・我々を嘗めきっているのか!?」

 

「まあね。連戦疲れの女の子を野良閻羅の協力込みで3人がかりじゃないと善戦出来ないヤツが単独で相手じゃねぇ・・・」

 

「冗談じゃねぇ・・・お前なんか俺っち一人で充分だ!!」

 

「吠えるねぇ。頭に血が昇ってちゃ、カウンターの餌食だよ」

 

 

 

タイミングも完璧だったカウンターを躱された直後にカウンターの直撃を顎に貰ってしまう。まだ微妙にずれていた三半規管が、今完全に崩壊した。

 

 

 

「あ・・・が・・・・・・」

 

「よし。仕上げだ。【捨身】魂焼却炉!!!!」

 

 

 

ジンジャーの身体にしがみつき、自らの身体を燃やす。通常の火とは思えない勢いで、身体の燃焼と酸素不足の窒息のダブル攻撃で一気に苦しめられる。

と、炎が急に止まった。霞む視界を必死に開く。そこに映ったのは。

 

 

 

「んー?命1回分の燃焼じゃ足りなかったか?もう一発イっとく?」

 

 

 

屈託のない無邪気な表情の少女が、再び自分に抱き付く。

 

 

 

「じゃあイくぞ?【捨身】魂焼却炉!!!!」

 

「ぐああああああああああああああああ!!!!!!!!化け物がああああああああああああ!!!!!!!!」

 

「生憎だが、化け物は他にいるからな?」

 

 

 

閻羅の卵に目を向けると、黒かった塊が徐々に灰色になっていった。全部吐き出したのかな?

こうなれば、もうここを守る必要もないだろう。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

1回帰るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん・・・充分休めた。宝塔、かなり消費するもんなんだな」

 

「いやぁ・・・代理とか直属とかある程度の繋がりがあるからねぇ・・・・・・初対面の力を従えてる君が異常なのだけれども・・・」

 

「歯切れが悪いな。悪いもん食ったか?」

 

「むぅ・・・こんなはずないのに、君が相手だとどうにも調子が狂っちゃうな」

 

「そうか。ネズミじゃそんなもんだろ」

 

「なんだとぉ!?」

 

 

 

毘沙門天の威圧でいつものポヤポヤ笑顔が少しひきつった白蓮に、完全に恐れおののいた星。異常な力を持つバーダックにほぼ全員が畏縮するなか、ナズーリンは普段通りのニュートラル運転をしている。ちょっとだけ、ナズーリンを凄いと思った様だ。マミゾウは泣きじゃくるぬえの首根っこを掴み上げ、愉快そうに笑いながらこの場から離れ、響子はいつも通りの純粋笑顔で箒を持って行ってしまった。

 

 

 

「ナズ・・・・・・たった一晩の間に何をしたらそんなに話せるのですか?あの力を目の前にして・・・」

 

「星。あまり執拗に聞いて困らせてはいけませんよ。少なくとも、あの力は妖怪の驚異にも人間の驚異にもなりません。彼の人格を信じましょう」

 

「私の宝塔がぁ・・・・・・」

 

「これは重症ですね・・・・・・」

 

 

 

バーダックは荷物を半分以上残してまとめている。手伝うナズーリンも、少し疑問に思い、聞いてみる。

 

 

 

「来たときはもう少しあったはずだろう?帰るんじゃないのかい?」

 

「さあな。割と居心地も良かったし、たまに来たとき様に置いといてくんねえか?精神統一がかなり捗るからな」

 

「あら?修行を続けるのですか?」

 

「たった一日で全ての課程を終えたつもりはねえよ。あくまでも俺は新人だ。響子だっけ?あいつよりもしたっぱだし、なんかありゃ好きに命令しな」

 

「乱暴な割に礼儀正しいですね」

 

「頭のネジが足りないやつらの仲間入りだけはごめんだ」

 

 

 

と、自分を小馬鹿にしてきた緑の巫女っぽいなにかを思い出した。まだネズミを甘く見てるのかな?その時は寝起きの寝室にびっしり同胞で埋め尽くしたる。

 

 

 

「永遠亭は、この方角だ。赤い方の巫女の奥義だっけ?やれそう?」

 

「知らね。破壊力としては次元が違いすぎるからな。暴発だけは気を付けねえと」

 

「ふーん。まあ、君なら出来るさ。気ままに頑張りな」

 

「ありがたいお言葉でありましたー大先輩さまー」

 

「あ、バカにしてる?」

 

「自由に解釈して良いぞ。じゃあな」

 

「ん」

 

 

 

バーダックはナズーリンの顔を一切見ることなく、白蓮の前を軽く一礼しながら飛んでいった。

 

 

 

「ナズーリン。たくましくなりましたね」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぁあああ!?」

 

「げぅおおっ!?」

 

「グリコォっ!?」

 

 

 

たった1回のカウンター失敗から、完全に形勢が悪くなった。何故だ!?こんな小娘相手に、何を手こずっているのだ!?

 

 

 

「何べんも言わすな。格上相手に手も足も出ないようじゃ喧嘩相手にもならない。頭使って器用な気合いを出せない時点で、楽しくなくなったよ。まだ大人数で獣の様に襲う閻羅が良かったな。消し炭を黄金と勘違いした自分が恥ずかしいね」

 

「黙れ!!我々が貴様のような小娘に負けるはずが無いんだああああああ!!!!」

 

「くたばっちまええええええええええ!!!!」

 

 

 

冷静のrすら見当たらない二人。こうなってはもう期待する行為が大罪になるだろう。

 

 

 

「【百万鬼夜行】」

 

 

 

2つの悪人の魂が徐々に掻き消えていく。薄れる意識の中で最後の記憶となったものは、小さな鬼の冷酷な瞳となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」

 

「ふん・・・もうへばったか?」

 

 

 

何度拳を打ち込んだだろうか?何度その腹を蹴飛ばしただろうか?何度スペルをぶっ放しただろうか?

これ以上はもう体力が持たない。不死身や不死を相手にすれば、長期戦は避けられない。これだけ長引く戦いはしたことがない。そもそも食料が尽きそうなときにこんなのに出会うとか、不運すぎる!!

 

 

 

「なかなかに良い筋だ。私が相手でなければ負けはしないだろうに」

 

 

 

だあああああああ鬱陶しい!!この完全にこちらを見下すその態度!!あの隙間妖怪や紅白巫女でさえ、けなし合いをした後の戦いでは対等にしてたというのに!!

もうやだ!!疲れてお腹空いてるときにこんな面倒なの相手にしてられないよ!!せめて満腹で姉さんも一緒だったら良かったのに!!

 

 

 

 

 

「騒がしいな。帰ってきてみれば、何事だ?」

 

 

 

 

 

どこからともなく聞いたことのある声がした。そこに居たのは、狸と組んでた物理的に熱い女。

 

 

 

 

 

「も~こ~たん♪あ~そび~ましょ♪」

 

 

 

 

 

逆方から流れたら声の主に絶句。なにこの美女。嫉妬で人が殺せたなら・・・・・・。

 

 

 

「あんたは・・・不死か?」

 

「貴様ら・・・出来るな・・・」

 

「も~こ~たん♪」

 

「もこたん言うな」

 

 

 

女苑は理解した。理解してしまった。不死身同士の戦いは、絶句するほど長くなってしまうことを。




やっほー♪皆、おはこんばんちは!!竹取物語の最強ヒロイン輝夜様よ♪もう!!ちょっと前にもこたんそのキラキラした人と楽しく遊んだんでしょ?今回はまた新しい人も増えてるし。もこたんだけ新しい遊び覚えてズルい!!私も遊ぶ!!それじゃあ、そこのちっこいの。取り合えず死ね!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【悪夢の耐久 終わらない不死バトル!!】
見たいの?なら、燕の子安貝頂戴ね♪



10月8日の大⑨州祭に行きました。ゲームブースでプレイしてると、モニターがブラックアウトしました。元の画面とスクリーンは生きてました。なので、スクリーンをみてプレイするというとんでもない光景になってました。リアル友達が居なかった(来なかった)事を、こんなにも悔やんだ東方祭は無いよぅ・・・・・・。あ、取り合えず風神録エクストラクリアはしといたから。1回で。後は風神録ハードで1回目で神奈子様に会ったり、星蓮船ノーマルで3面突破時に残機ボムカンストして、4面突破時に3機になったりしました。泣いて良いですか?

元から少し調子の悪かった僕の自転車マウンテン春ーホワイト号(マウンテンバイク・春に買った・白い車体)が、度重なる台風の雨風に晒されました。明けたある日の夜。夜食を買いに行ってると、ブレーキの稼働率が0になってた。赤信号に突っ込み、目線の先には2つの大きなライト。もうダメだと悟り、記憶が飛んでしまう。そして気付いたら・・・・・・
僕はどうやって避けたのか全くもって覚えておりませんでしたとさ。取り合えず、夜道の見知らぬドライバーさんごめんなさい。自動車事故の加害者と被害者両立なんざごめんです。



長い間ナズーリンがメインヒロインになってたなぁ。準ヒロインの筈なのに。まあ可愛かったし問題ないよね♪え?問題ある?わかった。こっちおいで。
【絶滅祈願】
よし。まだ異論あるやつ居るのか?正直に手ぇ挙げてみ?ほら、怒らないから。ん、居ないね。よしOK。



ほんじゃ、今回はここまで。皆、成・敗々!!じゃなくて、Say バイバイ♪


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第32話~悪夢の耐久 終わらない不死バトル!!~

「味噌汁が薄い!!」

 

 

 

針妙丸の文句は、麟の自信作を真っ向から否定してしまった。まさか干し椎茸と煮干しの合わせ出汁が不評なんて、誰が想像出来ようか。

 

 

 

「ふむ。充分に美味しいと思うが、恐らくは人間と小人の違いだろう」

 

「なにゅ?」

 

「藍さん、どういうことですか?」

 

「合わせ出汁ともなれば、綿密なうま味があるはずだ。私もしっかりと感じた。そして、試しに一口の量を大きく減らしてみると、どうにも物足りない」

 

「え・・・つまり・・・」

 

「身体の大きさ。正確には味蕾の大きさだな。それと一口の量の問題だ。ダイレクトな味噌のしょっぱさに隠れてしまったのだろうな。早い話、『大きくなって出直しなさい』ということだ」

 

「ぬがー!!小人族をバカにするなー!!鬼!!どこ行ったおらぁ!?小槌に魔力充電してくださいお願いします!!」

 

 

 

針妙丸の叫びが虚しく響く。気がつけば書き置きを残して姿を消した萃香に届くことなく、木霊すらしない。声量が圧倒的に足りなかった。

 

 

 

「いい加減にしなさい、小人!!!!!!!!」

 

 

 

と、紫苑がぶちギレた。

 

 

 

「麟ちゃんがせっかく作ってくれたお食事に文句を言うなんて非道なこと、よく出来るのね!!!!食べられる事がどれ程素晴らしいと思っているの!!!!食べたくても食べられない苦しみが貴女に分かるの!!!!椎茸さんとお魚さんとお味噌さんに謝りなさい!!!!!!!!」

 

「あぎぁ・・・ごめん・・・なしゃい・・・・・・」

 

 

 

目を回して意識が薄れる針妙丸。無理もない。小人サイズが人間サイズの怒号を間近で受ければ、鼓膜へのダメージは計り知れない。むしろ脳まで揺すられた可能性大。藍は呆れながら箸を進めた。あ、この茄子の漬物美味しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか・・・私以外にも不死者がいるとは・・・・・・」

 

「んで?あんたはそんな不死者と対面して何を思ってんのさ?」

 

「知れたこと。お前たちには是非とも私の創る世界で部下として招いてやろう」

 

「あ?バカなんじゃないの?どんな世界創るって?」

 

「魑魅魍魎溢れ、暴力・破壊・殺戮にまみれた無限の混沌の世界さ。私の創る理想郷なのだ!!」

 

「どういう理想だよ。歪みきってるにも程かあるぞ」

 

「ね~もこたん。こいつヤバイよ?殺した方が良くない?」

 

「うーん・・・そうするのが一番なんだろうけどさ・・・・・・」

 

「あー・・・不死者ってこと?」

 

「うん、そうなるな・・・」

 

 

 

戦いとは、勝者と敗者が成り立って終息するものである。極端な話で言えば、どちらか死ぬことでも決められる。それが戦争等であれば尚更である。

では、一方が不死身であればどうだろう?頭を撃ち抜けば死ぬ。心臓を潰せば死ぬ。バラバラに引き裂けば死ぬ。そんな決着は来ない。不死者の心が砕けぬ限り、再生なり蘇生なりするし、切り落とされた身体を捨ててもなお攻めてくる。不死身を得ることは、常識を覆すだけの要素となり得るのである。

それでは、双方が不死者ならばどうなる?妹紅も輝夜も、分かりきった解答で悩むほどめでたい思考はしていない。

 

 

 

「まああれこれ考える前に、戦況確認だ。調べるべきは・・・」

 

「不死性のタイプと強さ!!」

 

「【炎符】フェニックスの超高温の羽!!!!」

 

「【新難題】金閣寺の一枚天井!!!!」

 

 

 

いきなり最高クラスの大技をぶちかます二人。炎と燃焼による『焼死』と『窒息死』、衝撃波による『圧死』と『ショック死』と『出血多量』が通じるかを確認する。これだけの大規模で様子見だというのだから、心底嫌になる。

高密度のエネルギーの中では、炎と光る弾が乱気流を作り出し、周囲の土や竹をも巻き込みながら破壊していく。私たちなら、身体中ズタズタに切り裂かれるだろう。再生は竜巻が終わってから。さて、この不死者の程度はどれ程だ?

と、渦が急に引き裂かれ、その隙間からそいつが飛び出してきた。

 

 

 

「はいぃ!?」

 

「いや、誰!?」

 

 

 

さっき向き合っていたやつは、精々私らの腰ほどの身長だったはず。なんで3メートルにまで届きそうな図体なんですかね!?

 

 

 

「くらえぇ!!」

 

 

 

顎にそいつのラリアットを喰らい、すぐさま首筋へと強い打撃を貰ってしまう。意識を揺さぶられながら、自分達が作り出した死の乱気流に飲み込まれてしまう。

 

 

 

「こやつらが自滅とは考えにくいが。さて、どう出るものかな?」

 

 

 

術者のエネルギー供給が絶たれてしまった為か、勢いが徐々に掻き消えていく。そこにいたのは、衣服がボロボロにされた妹紅と輝夜だった。特に輝夜に至っては、元が美しく見事な和装だった故に、落差による無様さが際立ってしまっている。

 

 

 

「ぐぁ・・・3回・・・死ん、だ・・・・・・」

 

「うぅ・・・え?3回?私は2回しか死んでない!!私の勝ち♪」

 

「何を競ってるんだバカ!!」

 

 

 

なるほど。衣服はともかく、身体は無傷か。だが、黒い方の発言では、息絶えた直後に復活すると見る方が正しいようだ。予測ではあるが、蘇生の回数に限りは無いと見た。これは、中々に骨が折れそうだな。

 

 

 

「んで、輝夜。やつの不死身は、どういうタイプに見えた?」

 

「んー・・・防御の兆し無し、それで無傷、疲れない・死なないの発言。以上の事から、無尽蔵の生命力でしょうね」

 

「生命としての最後の一線を超えたか。面倒すぎるな・・・・・・」

 

「どうやって倒す?」

 

「攻撃が当たった瞬間、僅かに顔をしかめた。つまり、痛覚は残っているはず。まずは、間接系で押さえ込めるかだな」

 

「やれそう?」

 

「知らない。後、精神掌握する必要もありそう」

 

「うわ、無理」

 

 

 

選択肢がかなり削られてしまった上に、自分達二人ではこなせそうにない。さてさてどうしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごぱあああああああああああん!!!!!!!!

 

ばこおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!

 

ずがあああああああああああん!!!!!!!!

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

この竹林、こんなに物騒でしたっけ?爆音が飛び交い、遠くの方では焦げた臭いと共に黒い煙が確認できる。なのに、上空で確認した距離と竹林に入ったときの体感距離の計算が絶望的に合わない。頭が痛くなる。

 

 

 

(妹紅と輝夜の気を感じるが、もう1つはなんだ?閻羅とは違って、的確な悪意を感じる・・・)

 

 

 

奴らの意思にはなんの感情もなかった。野生の獣のそれとも違い、食欲を満たそうといったものですら無い。この黒い気は、明らかにそれとは違うものだった。

 

 

 

(さて。奴らの正確な位置は分からない、か。なら、てゐに案内させてもらうしかないか)

 

 

 

当初の予定通り、永遠亭へ向かうことにする。意外と訪れる回数を稼いでいたので、いつもの入り口~永遠亭までの道筋だけは覚えることが出来た。もちろん、1度でも間違えたら永遠に出られない悪夢の迷路だが。

目を閉じ、数回のジャンプをした後に走り出す。アホほどに成長しまくる竹相手に目印を覚えようなんてものは愚の骨頂だ。歩幅、歩数、道順を覚えてしまえば、目を閉じた方が楽だ。

覚えた通りのステップを決めきり、目を開けたら永遠亭の壁があった。

 

 

 

「よし。座標のズレも、充分許容範囲だな」

 

 

 

徒歩8秒で門を潜ると、兎達の足音がドタドタ聞こえる。まだやってんのかな。

 

 

 

「そこの兎。霊夢と永琳のとこへ案内できるか?」

 

 

 

だーれも返事してくれない。切羽詰まってるのだろうか?そういや、鈴仙のやつ何回もモルモットにされてたとか言ってたな。兎なのに。永琳の本気の表情でも見てしまったのだろうか。なら仕方がないか。適当な兎を見繕い、勝手に後ろに着いていくことにした。いずれ到着するだろう。

ドタドタドタドタ【台所で冷してた氷をボウルに入れる】ドタドタドタドタ【器具管理室のメスのケースを冷やす】ドタドタドタドタ【薬剤部屋から目薬を取り出す】ドタドタドタドタ【台所で栄養ドリンクを取り出す】ドタドタドタドタ【仮眠室の机に置き、空になった瓶を回収する】ドタドタドタドタ【台所の流しに置いていく】ドタドタドタドタ【トイレに入り、閉め出された】

~サイヤ人待機中~

ドタドタドタドタ【台所で水分補給】ドタドタドタドタ【器具管理室のメスを数本取り出す】ドタドタドタドタ【受話器を手に取り、ダイヤルを数回回す】ドタドタドタドタ【作業室で砥石と格闘する兎の脇のメスと取り替える】ドタドタドタドタ【器具管理室に戻す】ドタドタドタドタ【仮眠室に入り、布団に潜り込む】

なんやねん。外れかよ。もう諦めて適当に歩くか。

取り敢えず客間に向かって歩いていると、奥の空気がどんよりしていることに気づいた。よく見ると、緑のショートヘアを揺らす青っぽい幼女が、俯きながらフラフラと歩いている。

 

 

 

「・・・あ、貴方は・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「お説教は、後、です・・・首を洗って、まって、なさ・・・い・・・」

 

 

 

俺何かしたっけ。身に付けている装飾品や左手に持っている杓といい、随分と高い身分の様だが、威厳がない。てか、威勢を感じない。

と、おぼつかない足取りのまま仮眠室に入っていった。何か辛いことでもあったのだろうか。

改めて前を向くと。

 

 

 

「お・・・噂のサイヤ君か・・・・・・」

 

 

 

腰まで届きそうな長い金髪が、妖怪絵巻に描かれていたような垂れ方をする、これまた身分の高そうな女性。衣服は、黄・紫・緑と、目に弱冠悪い。

 

 

 

「後で、話があ、るから、起、こしに来、てね・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

そして、仮眠室。

何も言わずに歩を進めると、霊夢の声が聞こえてきた。この部屋だろう。入ってみると。

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」←集中しまくる永琳

 

「おごごごごごごごご」←恐怖しまくる霊夢

 

「ぁゃゃゃゃゃゃゃゃ」←撮影しまくる文

 

 

 

 

 

そうか。分かった。今日の永遠亭は芸人育成会場か。ならしょうがない。本日のカリキュラムが終わるまで待つことにしよう。暇だな。疲れているだろうから、軽食でも作って待ってよう。確か、豆腐と筍と人参は普段からあるっつってたな。厚揚げと筍と人参の煮物にするか。

台所までのんびりと歩いていると、仮眠室から大きな寝言が聞こえる。

 

 

 

「あぁ・・・違うんですヘカーティア様ぁ・・・」

 

「魔理沙~私の椅子どこにやった~?チルノ~カレーライスが凍ってるんだが~?」

 

 

 

うなされてるな。こいつらの分も作り置きしとくか。えーと、醤油どこだっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

「あぅ・・・疲れないって、こんなに狡いのね・・・」

 

 

 

大技を連続で使うにも、限界は訪れてしまう。リザレクションで全快するのは、身体のみ。肉体的には大丈夫なのだが、精神的な疲れが一向に回復してくれない。いつもなら、1度のリザレクションで罵声を浴びせまくる位の余裕があるというのに。

 

 

 

「貴様等の不死身は私のものとは根本から違うのか。どこで銅谷って手に入れたのか気になるが、私の部下にならないのであれば消すしかあるまい」

 

「不死者を消すのは難しいのを、あんたも知ってるだろ・・・」

 

「勿論だ。だから、どうするべきか悩んでいるところだ。答えが出る前に心変わりするのをお薦めするぞ?」

 

「お断りよ!!火鼠の皮衣持って出直せ!!」

 

 

 

スピード・パワー共にこちらが上回っているのは確実だ。だが、その全ての攻撃が全く効かない。無意味にこちらが疲弊するだけでは、終わりが見えない。むしろ、迫ってきているのか。

だからといって、この危険人物を野放しにするわけにはいかない。少なくとも、精神掌握系統の誰かが来てくれれば何とかなるはず。その時が来るまで、不死身を存分に使い切り、無限に時間を稼ぐ位なら出来るはずだ。

 

 

 

「【神宝】サラマンダーシールド!!!!」

 

「【滅罪】正直者の死!!!!」

 

 

 

リザレクションで、スペルを解放するだけのエネルギーは有り余っている。削がれていく精神力が尽きぬ限り、何度でも立ち上がろうとする蓬莱の不死人。ガーリックJr.を中心にした円を走りながらひたすらに撃ち込んでいく。

 

 

 

「鬱陶しい奴等だ。ものは試しだろう。大技でその心、打ち砕いてくれよう!!」

 

 

 

重心を落とすために腰を深く下ろし、、腕を胸の前でクロスさせる。二人分のスペルを喰らいながら、力を一気に溜め込んでいく。そのエネルギーは、軽い地響きを容易く起こし、ひしゃげた竹の欠片や大地が浮かび上がる。ガーリックJr.に近づいたつぶては、あっさりと砕け散っていく。

 

 

 

「ねぇ・・・あれ、やばくない?」

 

「うん・・・まずいかも・・・」

 

 

 

クロスが僅かに下がり、その不適な笑みが見えた瞬間だった。

 

 

 

「押さえ込むぞ!!!!」

 

「無茶言わないでよ!!!!」

 

「【インペリシャブルシューティング】!!!!!!!!」

 

「【蓬莱の樹海】!!!!!!!!」

 

 

 

莫大なエネルギーを込めたスペルがガーリックJr.を襲う。周囲の破壊はもう考えていない。あの技をノーガードで放たれたら、マジでヤバイ!!あわよくば発動を妨害し、最低でも余波を出来る限り狭めなくては。

そして、その決死の努力を無慈悲な声が許さない。

 

 

 

「楽になれ。【超爆力魔波】!!!!!!!!」




うっさー♪皆の心のアイドル、てゐちゃんでーす!!いやー。お師匠様も懲りないねぇ。霊夢の夢想封印50とかマジで勘弁な。そろそろ、バーダック君のあの技が間近になってきた!!そういえば、これならアイツをやっつけられるんじゃね?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【バーダック消滅!? 怒りのデスゾーン!!】
え?主人公でしょ?・・・・・・マジ?



新しい職場に就くことになりました!!ゆーても、時期が時期なんで、新入社員としてはかなり難しかったので、コミュニティスタートです。このまま勤め続けてのちに正社員として昇格していきたいと宣言した上での採用だったので、大丈夫でしょう。正社員までは最短で3年だそうです。流石に自惚れてはいませんが、努力は惜しみません!!目標は、正社員までに完結させる!!アレ?



ポケモンやってると、いつも思う。性格から卵技に努力値と固体値や技読み交換と、上級者クラスに登り詰めました。ここまで来たなら、今こそエメラルドとプラチナのバトルフロンティアを制覇するときだと。せっかくだし、交換せずに、自身の力だけでやってみようか。プラチナはヒコザルから始めるとして、エメラルドはどうしようか?当時の卵技と教え技をじっくり吟味してから考えるか。ラグラージのタイプ一致地震とか、ロマンあるけど、まだ我慢我慢。



さてと。次回のサブタイが、とてつもなく不穏な空気を醸し出してますね。大丈夫か?大丈夫だよね!?大丈夫なんじゃないかな・・・(関白宣言の間違った使い方一例)。ともかく、マジで冗談抜きにヤバイ展開です。その後はどうなるかって?そこは焦らしプレイで楽しめるようになりましょう。

では、今回はここまで。さ~よ~なら~さよお~なら~わすれな~いでね~これを~かいたさく~しゃを~おバカ~さん~(曲名と歌詞とAメロBメロ全部忘れたクソザコカラオケ芸人の図)


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第33話~バーダック消滅!? 怒りのデスゾーン!!~

「まぐまぐまぐまぐ」

 

「んむんむんむんむ」

 

「あむあむあむあむ」

 

 

 

綺麗な赤を放つ一口サイズの人参をじっくりと咀嚼する元芸人。上顎と舌だけでも押し潰せるほど柔らかい果肉からは、控えめな醤油味が染みだし、本体の甘味を活かした仕上がりだと充分に頷ける。

 

 

 

「まぐまぐまぐまぐ」

 

「んむんむんむんむ」

 

「あむあむあむあむ」

 

 

 

次は表面を茶色で薄くコーティングされた厚揚げ。よく見ると、六面中二面だけに焦げの表面に細かい切り込みがまばらに入れられている。染み込む醤油にばらつきが生まれ、豆腐と豆腐+醤油の味の層が出来上がり、波のような深みを感じる。

 

 

 

「まぐまぐまぐまぐ」

 

「んむんむんむんむ」

 

「あむあむあむあむ」

 

 

 

最後に筍。柔らかい人参と厚揚げとは違う程よい固さが食感にアクセントを織り込む。染み出る味は、器の煮汁よりも醤油味が強い。おそらく、人参・厚揚げとは別々に煮たものを組み合わせたのだろう。食感だけでなく、味にも波を作り出していた。

 

 

 

「相変わらず美味いわね」

 

「これは驚きね。意外な才能があったのは知らなかったわ」

 

「あや~♡毎日でも食べたいです♡」

 

 

 

ご満悦である。煮物ひとつでここまで籠絡できてしまうのか。

 

 

 

「んで、当の料理人はもう行ったの?」

 

「ええ。霊夢さんの妖怪退治の針を1本持っていきました。何でも、経由するとか何とか」

 

「この短期間で件の奥義を使おうなんて、本当に無茶するのね、あの子」

 

「まあ、バーダックだし」

 

「そうですね。バーダックさんですし」

 

「それで通じるのが恐ろしいのだけれど」

 

 

 

ちょっとお代わりしようと文が立ち上がると、襖がスッパーン!!と、何とも気持ちの良い音を放つ。

 

 

 

「師匠!!てゐがさらわれました!!」

 

「「「あぁ・・・・・・」」」

 

 

 

何の疑いもなく、あっさりと納得してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちで良いのか?」

 

「ん。そのまま18歩位進んで。そしたら、左に向かって。お地蔵さんが見えるまで直進ね」

 

 

 

的確な情報を教えくれるのは、背中にしがみつくてゐナビだ。どこかで戦っているであろう所から、余波が届いてくる。5歩ずつ歩くごとに方向ががらりと変わる。こんな感じなのか。全部焼き払った方がこの世の為では無かろうか。

 

 

 

「お。気が一気に近づいてきたな」

 

「ちょっと。バリア強めてよ。か弱い女の子の柔肌に鎌鼬が引っ掻いちゃう」

 

「よく言うよ問題児」

 

「イタズラは我が人生!!」

 

「開き直るのはえーよ」

 

「これでも君の事は気に入ってるよ。煮物美味しかったし」

 

「ついさっきじゃねえか」

 

「そうそう。イメージ壊しちゃうかもだけど、人参より厚揚げの方が美味しかったよ」

 

「煮汁に浮かんでる油って何故かハマるよね」

 

「固定概念ねえから安心しろ」

 

 

 

徐々に音と熱に強みが増してくる。距離ももうそろそろだろうか。衝撃波が軽く頬を掠める。

 

 

 

「よし、そこから斜め右へ真っ直ぐだ。開けた場所が見えてきたよ」

 

「あそこだな」

 

「降ろしてくれないの?」

 

「折角だし見てけよ。特典でお手製の御膳食わすけどどうする?」

 

「見る~♡」

 

(よし。留めておくのに成功だ。余波で大変な目にあっとけ)

 

 

 

この男、未だに根に持っている様だ。変なところで器が小さい。

 

 

 

「妹紅!!無事・・・・・・」

 

「姫!!大丈・・・・・・」

 

 

 

「【超爆力魔破】!!!!!!!!」

 

 

 

「「げえええ!!??」」

 

 

 

突然の真っ白な視界に飲み込まれるバーダックとてゐ。咄嗟のバリアを展開するも、溜めが短いためか、爆風は防いだが爆熱を直で浴びてしまう。

 

 

 

「熱い熱い熱い熱い!!!!」

 

 

 

てゐには我慢できないようで、肩車から直ぐ様降り、背中にびったりとしがみついた。

 

 

 

しばし耐えていると、ようやく嵐が終わった。その中心にいたのは、見たこともない大男。少し離れた2ヶ所に、ズタボロの妹紅と輝夜。

 

 

 

「ぐぅ・・・いったいなぁ・・・こいつ・・・・・・」

 

「痛くて熱い・・・私は妹紅じゃな、いんだから・・・熱は耐え、られない・・・・・・」

 

「おぅ、元気そうだな物騒コンビ。それだけ文句言えりゃ充分だ」

 

「それ本気で言ってるの!?」

 

「んあ?バーダックか?どうやってここまで・・・?」

 

「イタズラうさぎ」

 

「あら。てゐ来てるの?」

 

「姫、大丈夫ですか?」

 

「大丈夫じゃないわよ。今にも心折れそう。だからぎゅってさせなさい」

 

「ごめん、バーダック。あんたの言う通り全然余裕だった」

 

 

 

一瞬で緊張感が解けてしまう。もう伝統芸能でよろしいですか?

 

 

 

「ほう。新手か。貴様は楽しませてくれるのかな?」

 

「こいつらがここまで手こずるとなると、ただ強いって訳じゃ無さそうだ。どんな種だ?」

 

「また言わねばならぬのか。まあ良いだろう。私は、永遠の命を手にしているのだ!!」

 

「ほう。単純だな。手こずるのも納得だな」

 

「その通り。貴様もいかに強かろうと、私に勝つことは出来ん」

 

「ちょうど良いタイミングだ。第1の犠牲者は、こいつで良いか」

 

「犠牲者?何のことだ?」

 

「新技の威力検証に付き合えって事だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~♪テスト終わりの惰眠は、なんて心地が良いの~♡」

 

 

 

期末テストは学生の敵である。今後一切の優劣をたかが数字で全て決めつけてしまうからだ。【1歩でも自分が優れているから】【将来のため】【アイツには負けたくない】【小遣い減らされる】等々、死屍累々とした憎悪が渦巻いている。

そんな荒波を容易く乗り越える【宇佐見菫子】は、今日も幻想郷へと赴いた。

久し振りの澄んだ空気を求めて目を開けてみると・・・・・・

 

 

 

「【人鬼】未来永劫斬!!!!」

 

 

 

ずぱあぁん!!と軽快な音と共に弾けた箇所から、赤黒い液体が豪快に吹き出した。放射された一部が、ワクワクとドキドキで満ちた女子高生の顔面に汚い水音をたてながら付着する。お気に入りの衣服やマントにも赤黒く染み付く。

 

 

 

「はぇ・・・・・・?」

 

 

 

目の前で起こった現象に動揺が隠せない。一つ一つ要素を確かめるように、震える身体を必死に動かす。徐々に顔色が青を通り越して白くなって行き、トドメと言わんばかりに、鉄と油の臭いが立ち込めてくる。

目の前に広がる惨状と、赤黒い液体の正体を結論付けた瞬間。

 

 

 

「ふぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

刺激が強すぎたようだ。ヒステリックな悲鳴が響き渡る様は、加害者(?)の心を痛め付けたという。

そして二次被害者は、夢の中で気を失った。

 

 

 

「おい。こいつどのタイミングでこっちに来たんだよ・・・・・・」

 

「これ・・・私のせいですか・・・?」

 

「あー・・・ドレミーのせいにするか。菫子にとっては、ここは夢の世界らしいからな」

 

「うわぁ・・・酷い悪夢ですね・・・・・・」

 

「おまけに、ここでの出来事はこいつの現実に大きく影響するって言ってたぜ。憑依異変で大暴れしたとき、起きたら筋肉痛になったって」

 

「可愛そうに・・・強く生きて・・・・・・」

 

 

 

最後の一匹のタイミングで来るこいつも運が悪い。少し休憩するので、連れていってやるか。今の幻想郷で気絶したまま放置してしまうと、どんな大惨事に巻き込まれるか分かったもんじゃない。妖夢は2本の刀を鞘に納め、おぶって歩き始める。

 

 

 

「安全そうな所、ありますか?」

 

「丁度良いし、私の家に行こう。軽く飯でも作ってくれな」

 

「私が作るのですか」

 

「別にショック死寸前の寝起き一発にきのこ鍋食わせても良いんだけどな」

 

「鬼ですか・・・・・・」

 

「きのこ鍋バカにしてるのか!?舞茸と椎茸の出汁は、全身に染み渡るんだぞ!!あとお前、岩茸なんて超レア茸食ってみろ!!天に祈る妖夢を目に焼き付けてやる!!」

 

「凄み方がとてつもなく独特ですよ。あぁもう。屋外で箒をぶん廻さないで下さいよ。ほら土が舞った!!」

 

 

 

戦闘モードからスイッチ1つでのほほんムードに切り替わるその姿は、別に誰が見た訳でもないが、二重人格との噂が蔓延するのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だらあああああ!!!!」

 

「はああああああ!!!!」

 

 

 

拳を付き合わせ、腕1本で押し合うバーダックとガーリックJr.。バーダックは、敵の情報を的確に集めている。

 

 

 

(こいつの力そのものはこんなもんか。てんで足元にも及んでねぇ。それが不死を得るだけで、こう化けちまうのか)

 

 

 

ちらりと後方に下がらせた決闘コンビを見る。あの二人だって、それこそ数百年飽きもせず懲りもせず【殺し】合ってたんだ。強者と充分言えるだけの経験を積んでるはずである。

 

 

 

「どうした!?私を消すのでは無かったのか!?ここの連中はただただ力を消耗するしか脳がないのか!?」

 

「あーあー、口にしちまったな。もう言い逃れ出来ねえぞ。せっかく初対面のよしみで情報収集っつー体で延命させてたのによ」

 

「何だと?」

 

「さっさと終わらせて欲しいなら仕方がねえ。念仏の準備しとけ!!【誘電】アトミックフィールド!!!!」

 

 

 

ガーリックJr.を蹴飛ばし、雷を帯びた4つの竜巻で取り囲む。針を1本取りだし、能力を発動する。と、バーダックの身体に変化が表れた。

 

 

 

(これは・・・気じゃない?髪は金なのにオーラが白か。前兆ってところか。針1本でここまで影響するか。流石巫女)

 

 

 

周囲をゆっくりと侵食するように広がるオーラの中心でバーダックはゆらりと構える。針の先端をガーリックJr.に向け、力を込めていく。

 

 

 

「ねぇ・・・バーダックの周辺さ・・・歪んでない?」

 

「うわぁ・・・頭身が訳分かんなくなってる・・・・・・」

 

「陽炎、ではアレは無理ですね。気持ち悪くなってきますよ」

 

「大丈夫♪私が守ってあげる♪ぎゅ~♡」

 

「むぎゅぅ」

 

「お前ら幸せか?」

 

 

 

ギャラリーと化した3人が見守る中、バーダックの眼が、鋭く見開いた。

 

 

 

「【絶滅祈願】!!!!!!!!」

 

 

 

その針は、ガーリックJr.へと一直線に向かい、轟音と共に周囲をバキバキと壊し、被弾と同時に大爆発を引き起こした。衝撃波で竹林の一部がもう完全に平地になっていく。霊夢のそれと比べると、結構な範囲を消し炭にしていく。まだコントロールに難があるようだ。

 

 

 

「えっぐ・・・・・・」

 

「空間丸ごと消すとか、私達にも有効じゃん」

 

「【藤原妹紅】そのものを消されたら、リザレクション出来そうに無いな」

 

「余波だけで竹が消えてく・・・」

 

「あーあー。お前の母ちゃんがどんどん死んでくな」

 

「何年前の話よ!?」

 

 

 

勢いが収まって行く。頑丈で柔軟性を併せ持つ竹が見るも無惨な容態で転がっている。芯からぐにゃんぐにゃんに曲がってしまい、もう炭としてしか役立てない。

その爆心地は、土も草も消し炭と化し、その死の大地の上で。

 

 

 

「う・・・がぁ・・・・・・」

 

 

 

左腕がゴッソリと無くなり、大量の血を流しながら骨と筋繊維が露出してしまっている。

つまり。

 

 

 

 

 

「やべー・・・・・・外した・・・・・・」

 

 

 

 

 

「「「あのバカああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」」」

 

 

 

打点がずれてた。ずらされたではなく、ずれてた。本来ガーリックJr.の胴体の中心を捉え、心臓と脳を同時に潰す予定だったが、恐らく左手首に直撃した。バーダックの技術不足である。

 

 

 

「お前!!!!超どフリーでどうやったら外せるんだこらぁあ!!!!」

 

「完全に動きを封じた上での必殺技を自機外しってどういうことよ!!!!」

 

「私に最高のショー見せるとか大口叩いて結局それか!!!!」

 

 

 

言い返せない・・・。3人のクレームは、最もだ。俺が悪い。10・0で俺が悪い。

 

 

 

「ばかなぁ・・・!!私の・・・私の腕がぁ・・・・・・!!!!よくもおおおおおお!!!!!!!!」

 

 

 

怒りで焦点を失った眼球がぐるんっとひっくり返り、残った右腕を大きく振り上げた。

 

 

 

「貴様ら、全てを終わらせてやる!!!!」

 

 

 

ガーリックJr.の頭上に黒いエネルギーが集中する。ブラックホールの様に辺りの土や石に竹の残骸を次々と吸い上げていく。

 

 

 

「ぐぉっ!?これは!!」

 

「やば!?勢いが強くなってないか!?」

 

「これ、この足場もいつ崩れるか分かんないじゃん!?」

 

「いやああああああ!!来るんじゃ無かったあああああ!!!!」

 

 

 

黒の固まり本体と、吸い込まれた体積との計算が合わない。結構、いや、冗談抜きにヤバイものだと本能が告げる。全力で逃げろと、身体中の細胞が悲鳴を上げる。

 

 

 

「ち・・・・・・ぶっつけ本番でやらかした罰則、か・・・・・・」

 

 

 

バーダックがボソボソを呟くが、あわてふためく3人(主にてゐ)の耳には届かない。妙に落ち着いているバーダックに逃げるよう促す妹紅だが。

 

 

 

「悪いな。こうした方が後々面倒が無くなりそうでな。勝手な行動だけど、永遠亭で作りおきした煮物で手を打っといてくれ」

 

「「「は?」」」

 

 

 

そう言って、バーダックはガーリックJr.目掛けて特攻し出す。スピリッツスピアで縛り上げ、顔面に渾身の拳を打ち込む。

 

 

 

「がぁっ!?貴様、何を!?」

 

「地獄旅行への招待状だ!!行きたくもない場所に一緒に居たくもないお前と居てやるんだ!!鬱憤晴らすサンドバッグ位でギャーギャー喚くな!!!!」

 

「「ちょっ!?バーダック!?」」

 

「あばよ!!問題児共!!!!」

 

 

 

ガーリックJr.を自らの身体に縛り付け、ブラックホールへと飛び込むバーダック。必死にもがくガーリックJr.だが、失った左腕の断面に槍が更に襲い掛かり、踏ん張る力が急激に奪われる。

 

 

 

そして。

 

 

 

2人の戦士とブラックホールは、消失した。

 

 

 

吸い込まれる力から急に解放された3人は、それぞれの踏ん張る力を逃がせずにあっちこっちに倒れ込み、置かされた状況に、茫然とするしか無かった。




皆さんどうも。清く正しい射命丸文です。マージですか!?主人公消えたが!?サブタイ通り消滅しましたが!?つーかどうするんです!!始まりのサイヤ人、居ないとか、こんなタイトル詐欺あって溜まりますか!?最重要人物が居ない今、誰を題材に新聞創れば良いんですか!!!!????
次回、始まりのサイヤ人が・・・幻想入り・・・・・・
【絶たれた希望 大妖精勇気の大行進】
次回も・・・見てくれる人居んのかな・・・主人公居ないのに・・・・・・



過去の後書きを振り返ってみると、僕の調理関係に、どうも語弊があるっぽく見える。具体的に言うと、
「そんなに知識ばっかりあっても調理できないんじゃなぁ・・・・・・」
とか思われてもおかしくない様なまとめ方だったわ。
そんなことありませんよ。僕は、知識だけじゃなく、技術も充分に備わってます。そこら辺の女性、なんなら、結婚したての嫁さんよりかは料理できますよ。根拠?
【40オーバーのお魚さんを鱗落として内臓取り出して3枚に卸す位なら出来ます】
実家で父親がしょっちゅう釣りに行っては、母親が捌いてお刺身や煮付けはよく食べてましたからね。数時間前まで天然の海を泳いでいたほどの新鮮な魚を食べられるのは幸せでした。しかし、母親にも予定ややることがあるので、毎回毎回台所で待ち構えることは出来ません。
「じゃあ、お前がやってくれ」
と、父親の無責任な押し付けにより、修得してしまいました。スーパーの惣菜作りのバイトで、サンマの南蛮漬け作るはずが、発注ミスで南蛮用のサンマが圧倒的に足りない!!って時に、急遽大量に余ってた焼きサンマ用のサンマをひたすら3枚に卸す現場で、バイト入り2ヶ月の新米が包丁を持たせて貰えたのも、今となっては良い思い出。
今棲んでる部屋、百均のまな板ですら置くスペースが無いんだよ。だから、今なーんにも作れない。それこそ、パスタ茹でる程度しか出来ないんだもん。正社員になったら、もっと広い部屋に引っ越したい。折角だし、友人取っ捕まえてルームシェアしたいな。そうすればキッチン広い部屋を借りられる。どこかに手頃な生け贄居ないかなぁ。
・・・・・・あ、一応無理強いせずに本人の同意は得てからにしますから、安心してくださいね。犯罪に手を染めるつもりは更々ありませんからね!!事故は起こしたけど・・・・・・



主人公消えました。この作品のタイトルは、【始まりのサイヤ人が幻想入り】です。今回、始まりのサイヤ人が消えました。今後現れるであろう映画敵キャラを、バーダック無しでどう戦えば良いんでしょうかね?荷が重すぎるわな。クウラ辺りから、パワーバランスが崩壊してまう。
あ、そうそう。12月放映の映画の件ですが、作中で出す予定のあいつと新作のあいつは繋げないものとしてください。超サイヤ人2未満でなんとかなってたあいつを出します。ゴッドとブルーとゴールデンで苦戦するようなやつ出したら、パワーバランスどころか、プロットが崩壊する。申し訳ありませんが、そこら辺のご了承、どうかよろしくお願いします。


さてと。今回でフェーズ1を終了とし、本作の執筆を少し休止します。いい加減【地獄の夢にもかめはめ波!!】の続きをやらにゃならん。その上、調子にのって、とある二次小説の作者さんにわざわざ許可とって、スピンオフ作品の執筆企画を通してしまう暴挙。自分の二次小説2本ですら掛け持ち出来てないのに三次小説作るとか、もう、頭が痛い。ただでさえフロンティアコンプリートが手に終えてないのに。
んじゃ、今回はここまで。自己管理が出来てないOBAKASANを見る目はもう冷凍庫で冷まして構いません。それでは、ばいちゃ!!


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番外編:大晦日特別企画〜絶対に萌えてはいけない24時【幻想シネマドレミー館】〜

DANDAN心壊れてく その眩しい笑顔(笑)に
終わりの始まりから抜け出せぬ endless loop

空気と水口にして、素敵な環境を前に感動した 地獄知らなかった
どうか帰ってくれないか?取材はNGって言ってんだろ
どうして誰も話聞かねぇんだ!?

これっぽっちも言ってないだけど大きな世話多い
コレが【幻想郷】!? しつこいから戦うよ

DANDAN心壊れてく この星(弾幕)何で甘い?
きっと依姫が永遠に注文してる
ZUNZUN偉大な神主 世界を創った神主
上海アリス愉快な東方project


目が覚めると、おっぱい(生)があった。

 

 

 

「てい」

 

 

 

おっぱいの向こう側にあるであろうどこぞの誰かさんの顔面目掛けて、膝枕の頭を動かさずに足を振り上げる。お、この感触、膝がクリーンヒットしたな。

 

 

 

「ぉぉぉぉぉぉ・・・・・・」

 

 

 

呻き声と同時に視界からおっぱいがフェードアウトする。膝枕からようやく起き上がり、おっぱいの持ち主の面を拝むと。

 

 

 

「・・・・・・・・・誰?」

 

「うぐぐ・・・せっかくサービスしてあげようと思ったのに、この仕打ちですか!?女性の魅力的なおっぱいを至近距離で見せたのに顔面て!?」

 

「その魅力的なおっぱいとやらの前にまず顔を見せろや」

 

「むむむ・・・赤面で動揺もせず、興奮している様子もありませんね・・・・・・ED?」

 

「なんか知らんが、バカにしてるっぽいな。殴って良いか?」

 

「なるほど。それが貴方の愛情ですか。良いでしょう♪その欲望、私が慈愛の心で受け止めましょう♪」

 

「そい」

 

 

 

めきょ

 

 

 

「・・・・・・シチュエーション的にも、腹パンだと思ってはいましたが・・・」

 

「ほう。3杯目も喰いたいとは、中々の食いしん坊だ」

 

「貴方に心は無いのですか?」

 

 

 

 

 

~仕切り直し~

 

 

 

 

 

「んで、あんた誰?後、ここどこ?」

 

「私は、ドレミー・スイート。ここ【夢の世界】の管理者です。以後、お見知り置きを」

 

 

 

だらしなく垂れてた鼻血も目の上の腫れも折れた歯も、ほんの1秒顔を隠しただけで治して、礼儀正しくお辞儀をする。

 

 

 

「む。丁寧にどうも」

 

「お辞儀で返すなんて、素晴らしい対応ですね」

 

「良かったな。不審者から淑女に昇格だ」

 

「貴方の女性に手をあげる基準が良く分かりました」

 

「まず、その顔どうやって治した?」

 

「夢の世界で私に出来ないことはありませんからね。その気になれば、貴方を大人の頭身のまま掌サイズに出来たり」

 

「ほう。こうしてみると、人の掌の皺はこう寄ってるのな」

 

「順応高いですね貴方」

 

「あんたを相手にいちいち驚いてたら、身が持たなそうなんでな」

 

「ふむ。良い判断ですね」

 

 

 

ぽいっと投げ捨てられたバーダックはもとの大きさに戻る。

 

 

 

「よし、本題に入るか。俺を夢の世界に招待した理由はなんだ?」

 

「暇だったので」

 

「良い性格してるな」

 

「適当な夢でも鑑賞してのんびりしようかと。そこで、彼氏役に貴方を選ばせてもらいました」

 

「ついに睡眠中にまで魔の手が・・・・・・」

 

 

 

頭を軽く抱え、ドレミーの左に座る。何だこれ。すげぇうにょうにょしてる。椅子代わりにしてるのであれば、こいつのセンスは合わないっぽいな。

 

 

 

「では、まずは誰の夢が映るんでしょうか?」

 

「お前が管理してるのに知らないのか?」

 

「無数にある夢を、何も見ないで適当にスクリーンに出すので。それとも、貴方が夢魂ガチャ回してみます?」

 

「あー・・・・・・これで」

 

 

 

 

 

「X=豊臣秀吉とした際の、葉緑体を取り込んだメロス水溶液にて起こりうる、跳び箱が位置エネルギーに変換される際のメゾピアノの現在進行形を求めよ。はい、チルノ!!」

 

「分かんないよおおおおおお!!!!」

 

 

 

慧音と一対一で向き合い、石の上で正座させられているチルノ。膝にウルトラソニック眠り猫を抱えられている。何故かは知らないが、両手を後ろに回され、手首を縛られている。

 

 

 

「さあさあ!!50問連続で正解しないと、おうちに返さないぞ!!お菓子も抜き!!!!」

 

「酷いよおおおお!!!!大ちゃあああああああああん!!!!」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「酷い悪夢ですねぇ」

 

「あの慧音が、こんなにもネジがブッ飛んだ問題作るのか」

 

「頭のネジしか無いようにも思えます」

 

「これが夢の世界か。割と楽しめそうだな」

 

「まあ、悪夢を処理するのも私の役目ですからね。助け船を出してあげましょう。バーダックさんは答え何だと思います?」

 

「これに解答あんのかよ・・・・・・道徳とか」

 

「じゃあ、チルノちゃんに教えてきますね」

 

 

 

 

 

(チルノちゃん!!これ見てこれ!!)

 

 

 

ドレミーが手持ちタイプのホワイトボードに大きく『道徳』と書いて慧音の後ろでピョンピョン跳ねている。それに気付いたチルノの暗い表情に晴れ間が差し、自信満々に答えた。

 

 

 

「みちのり!!!!」

 

 

 

慧音の頭突きが炸裂した。

 

 

 

 

 

「もう。貴方が間違ったせいでチルノちゃん可哀想」

 

「悪いの俺なのか?」

 

「ま、悪夢まるごと潰して、一瞬目覚めてもらいましょうか。名付けて、【幼女が枕もってお兄ちゃんの布団に『怖い夢見た』と潜り込む】現象」

 

「覚える気無いんで、さっさと次やってくれ」

 

「薄情ですねぇ。では、次の夢はアミダくじで決めましょうか。どれにします?」

 

「んー・・・・・・右から2個目で」

 

「では、再生♪」

 

 

 

 

 

「ナズ~!!宝塔無くしました!!」

 

「またですかご主人。私の家の枕の下にあったんですけど」

 

「あぅ・・・ごめんなさい」

 

「ご主人、お風呂場に槍があったよ」

 

「あれ?ナズの声が後ろから?どういう事で・・・ナズが二人!?しかも何で水着着てるんですか!?」

 

「あぁ。私は夏ーリンだからだよ」

 

「夏ーリン!?湖ではしゃぐのですか!?」

 

「ただいま。屋根の上の雪、全部払っといたよ」

 

「お疲れ、冬ーリン」

 

「冬ーリン!?」

 

「む、冬ーリン熱っぽいようだね。足元も少し危ういぞ」

 

「うん。ちょっと休ませてもらおうかな。肩貸してくれ、ナースリン」

 

「ナースリン!?」

 

「こら、星さん。今日の炊事当番は貴方だったのにサボったでしょう?」

 

「ナズが私より背が高い!?おっぱいも大きい!!貴女は!?」

 

「私?大人ズーリンだよ」

 

「アダルト!!」

 

「代わりに作りましたから、早く食べちゃいなさい」

 

「はい、いただ・・・・・・ソースまみれでベトベトになってお皿に座ってるこのちっちゃいナズは・・・?」

 

「麻婆ナズです」

 

「可愛すぎて食べられません!!」

 

「うぅ~うるさいよ君たち・・・締切明日なんだから集中させてくれ」

 

「また徹夜かい?今日で58徹ですよ、寝ずーリン」

 

「寝ましょう!!寝ずが死んじゃいます!!」

 

「あ、寝ずーリン抱えて寝室行っちゃった」

 

「あれ?確かこの時間は、あの娘が布団使ってなかった?」

 

「あぁ。オナズーリンか」

 

「お、大量の鉄と油の匂い。ご主人、鼻血出したな」

 

「仕方がない。全員で介抱しようか」

 

「「「「「ちぅー」」」」」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「とっても可愛いネズミさんでしたね♡」

 

「これ、どっちの夢なん?」

 

「言わぬが仏、知らぬが花。という言葉をご存じですか?」

 

「いやまあ知ってっけど・・・」

 

「どちらにしても幸せな家庭っぽいですし、そっとしてあげましょう」

 

「あのネズミがねぇ・・・いや、虎の場合でも違和感しかねえな・・・・・・」

 

「それでは、次の夢行きますよ」

 

 

 

 

 

「1つ掘っては金儲け~♪2つ掘っては鈴仙弄り~♪」

 

 

 

今日もご機嫌なてゐの穴掘り。と。

 

 

 

「あ。壊れちゃった。新調しないと」

 

 

 

サックを下ろし、荷物を取り出す。

 

 

 

「まずは、作業台置いて、棒2本とダイヤを並べて、シャベル~♪次に本棚作って、エンチャント台完成♪シャベルとラピスセットして・・・・・・ここだ!!」

 

 

 

【効率3・耐久5・修繕】

 

 

 

「しあわせウサギの、大勝利~♪」

 

 

 

ザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザクザク

 

 

 

「よし、これくらいにしておこう。落ちた先を黒曜石の壁にして、ピストンで黒曜石で蓋してと。部屋の中にTNTとチェストを置いて、中に火打ち石を一個入れて、完成♪作業中の成果は、幸運ピッケルでダイヤ20個♪シアワセシアワセ~♡」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「素晴らしいラックですね。プレーヤーに幸運のエンチャント付いてるのでしょうか?」

 

「すまん。お前ら二人が何の話してるのか、全くもって理解できない」

 

「おや?この特徴的な夢をご存知でない?」

 

「物理がねじ曲がった世界なんざ、覚えがねぇ」

 

「でしたら、これ以上観賞しても楽しくないでしょう。この後、天空トラップタワーの建設に向かうというのに」

 

「知らねぇっつってんだろが。さっさと次やれや」

 

「むむむ。仕方ありません。次はこれですね」

 

 

 

 

 

「レッツなめくじ~♪」

 

 

 

なめくじの着ぐるみではしゃぐ早苗のキラキラ笑顔が咲き誇る。

 

 

 

「あー。早苗?なんで着ぐるみ?」

 

「せめて猫とか可愛いのにしなよ。なんでよりによってなめくじ?」

 

「神奈子様と諏訪子様で蛇と蛙なのですから、私が蛞蝓になればバランスが良いかと!!」

 

「神奈子って蛇なの?」

 

「というより、諏訪子だけで蛇と蛙じゃ無いのか?」

 

「三竦みを綺麗に揃えた守谷神社は文字通りさいきょーです!!いざ行かん、英雄への道!!」

 

「また始まっちゃった・・・・・・」

 

「まあ、今回は被害少なそうだし付き合ってあげるか」

 

「では手始めに、世の全ての蛞蝓を食べさせた世の全ての蛙を蛇に食べさせて全ての蛇を茸にして美味しく戴きましょう♪」

 

 

 

全力で止めに入る2柱。諏訪子が白の大蛇を左腕から出し、巻き付くように拘束し、神奈子が10を超える御柱で蛇ごと押さえ付ける。若干やり過ぎな気もしないでもない。

 

 

 

「可愛い格好と可愛い顔で、なんでそんな鬼畜行為出来るわけ!?」

 

「生態系崩れるでしょ!?自然破壊より質が悪すぎるわ!!」

 

「うーん。良い考えだと思ったんですがねぇ・・・」

 

 

 

重量をものともしない表情で暢気に次の手を考える早苗。

 

 

 

「ですが、正義の蛙と冷酷な蛇の使い手が相手でも私は負けません!!何故なら、蛞蝓は自分で回復できるからです!!」

 

 

 

どかーん!!!!と轟音をあげて自分ごと大爆発に飲み込まれる早苗。

 

 

 

「正義?冷酷?まさか忍者の話か!?」

 

「いや、いくら早苗でも流石にそんなこと・・・・・・」

 

「【なんか額のチャクラで再生する秘術】!!!!」

 

「何で出来てるんだよ!?」

 

「しかもうろ覚えかよ!?」

 

「よし。回復したところで、覚悟ー!!!!!!!!」

 

 

 

どかーん!!ばぎゃーん!!あぼーん!!ずばーん!!ぐばーん!!サターン!!かぽーん!!ドゴォ!!

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「こいつ、マジで何なん・・・・・・」

 

「いやぁ。奇跡って凄いですね」

 

「それで済ませて良いものなのかアレ・・・・・・」

 

「幻想郷では【常識に囚われてはいけません】って言われてるらしいですよ。作品飛び越えて出演しても問題ないそうです」

 

「すまん。お前が何を言ってるのか、本気で分からねぇわ・・・・・・」

 

「では、次の短編行きましょう」

 

「お前・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

「妖夢~ご飯まだ~?」

 

「今しばらくお待ちくださいいいいいいい!!!!」

 

 

 

一升半の米が入ったかまどを三つ、皮のついたジャガイモ人参葱トマト豆類各種が五キロずつ、鶏卵がおよそ三十個、お魚がおよそ二十匹、揚げ物用の油鍋が四つ、茸や筍が詰まったかごが二個ずつ、調味料関連が二瓶ずつが所狭しとぎゅうぎゅうに配置され、妖夢一人で台所を右往左往している。

 

 

 

「それで、紫の方ではどんな遊びしてるの?」

 

「最近のブームは、外のオモチャを初見の藍に渡して眺めてるの。合体オモチャ一作品分全部渡して、説明書無しで合体させるの」

 

「うわぉ、鬼畜~♪」

 

「元の姿やシーンを知らない以上、凄く悩んでたわ。この間、キラー○ー完成に40分かかってたのよ。本当に可愛かったわ♡」

 

「今は何をやらせてるの?」

 

「確か、轟雷旋○神って名前だったはず。橙には比較的簡単なマ○トガインをプレゼントしたの」

 

「へぇー。私のマイブームは、原価50倍ご飯ね。文字通り、材料費の50倍の値がつくようなローコストハイスペックな調理なの。妖夢最近覚え始めたんだって♪」

 

「今も作ってるの?」

 

「修行って事で、今日で10日目ね」

 

「ん?この気配は」

 

「紫~♪こんなところに居たのね♪」

 

「久しぶりね、隠岐奈。あら、舞ちゃんに里乃ちゃんも」

 

「「「どうも~、出張プリズムリバーでーす♪」」」

 

「「「どうも~、出張幻想三和音でーす♪」」」

 

「「どうも~、出張鳥獣妓楽でーす♪」」

 

「賑やかになってきたわねぇ♪」

 

「妖夢~。お客さん11人追加ね~♪」

 

「ひぎぃ!?」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「わぉ。顔色悪いですよ。どうされました?」

 

「トラウマガヨミガエル・・・・・・・・・」

 

「バーダックさーん?」

 

「ヤクモケフクメテナナジュウシナツクラサレル・・・・・・・・・」

 

「もしもーし?」

 

「モウダメダオシマイダ・・・・・・・・・」

 

「これは酷い。相当辛い目にあったのでしょうね。これ以上付き合わせるのも悪いですし、普通の睡眠をさせてあげましょうか。お疲れさまでした。そうそう。付き合っていただいたお礼に、アフターサービスしますね。では、よい目覚めを♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めると、【羊符】ナイトメア・オブ・キメラ布団で寝ていた。

 

 

 

「どりゃあああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

「ぼあっとぽこふるぉぬぁあ!!!!」

 

 

 

4足キメラの腹部目掛けて渾身のキックが炸裂した。

 

 

 

「ぐごおおおおおお・・・・・・ようやく回収されると思ったら、腹キックですか・・・」

 

「とんだ悪夢だおらぁ!?過去最悪の目覚めどうしてくれる!?」

 

「うぬぅ・・・ドリームセラピー失敗ですね」

 

「睡眠妨害の言い訳は終わりか!?まだ何か言いたければ、遺言に聞いてやる!!」

 

「これは、新しいナイトメアダイアリーのページと言うことで☆」

 

 

 

強烈な朝日がフライングしたと、人里で大パニックになったそうである。後に、目覚まし異変と呼ばれたソレは、巫女や魔法使いの努力と無関係に解決したという




なるほど。短編にわざわざバーダック出さずとも、こうすれば画面の前でツッコミが出来るわけだ。これは良い使い方を知ってしまったぜ。そう考えると、ドレミーさんの需要が増えていくな。もしかしたら、他の人たちもこのやり口でドレミーさんを出演させるかも?チラッチラッ



ブロリー観てきたので、まだの人のネタバレにならない程度の感想をば。
・メインヒロインがめちゃかわ♡
・可愛いポイント稼ぐビルス様とフリーザ様に萌えた
・やっぱりバーダックイケメン
・まさかのアイツが出演に究極の鳥肌
まだまだ50項ほど語り足りないけど、この辺にしとこ。
後、ネタバレ回避の為に行かなかったドッカンバトルの映画ステージに挑戦しました。【滅びた惑星の王子~ベジータ~】を必殺技レベルと潜在能力解放の合計14枚集めようとして、13枚目突入し、
「ラスト1枚!!」
と意気込んで、入手したのがその4日後。しかも最後の最後で1枚余分に貰いました。なんでやねん。誰か僕に幸運のエンチャント下さい。



※注意※
これより先、R18に近い話題が長々と続きます。苦手な方はブラウザバックするか、新しい世界に入る勇気を持ちましょう



中学校以来の友人に久し振りに会った話でも。
中学生の頃から自他共に認める万年発情期の猿。再開5分で「お前、妹居たよな?彼氏おらんかったら食わせてくれ」という、本人曰くツッコんで欲しかった冗談にドン引きしました。
んで、俺のエロへの趣味の話にもつれ込み、『説明するより見せた方が早い』と、部屋にあげて、44×74×30の収納ケース一杯のエロ同人誌を見せ付け、適当に取って読ませた。そしたら、衝撃の一言が。



『なんで女にち○こ付いてんの?』

え・・・ふたなり知らん?

『なにそれ?』



その後の会話から、そいつはどうやら性欲を完全な肉欲として持っている様子。AVレンタル頻度も高く、風俗店に行きたがってるあたり確定や。

そこで1つの結論を見出だしました。
【僕ら所謂オタクは、性欲に文学を求めている】
と!!!!
以前、興味本意でAVレンタルしてみたが、どうも滾らない。その時は、3次元だからと結論付けました。
再開した猿との猥談の中で、僕はエロに起承転結のある、物語性を求めていることに気付きました。確かに、恋愛シミュレーションゲームとかも、異性と仲良くイチャイチャするより、仲良くなる【まで】をメインにしてた気がする。エロ同人誌も、最初と最後でヒロインの心象変化やギャグでオチを付けるタイプが特に好きですわ。
なお、この結論に東方仲間のリアル友達は、100%の納得をしてました。そしてその夜、持参したエロゲー楽しんでた。俺んちで。



こんな頭イカれた後書き、過去にも未来にも無いだろうなぁ。そんな所に愉悦を感じる辺り、僕はもうダメかもしれません。せめて趣味の合う仲間と語り合いながら余生(平均寿命までおよそ62年)を過ごしたいです。それはもうどたばたと。



それでは、今回はここまで。今年は引っ越したり、災害が続いたり、チルノ祭り参戦したり、ハードシューターに片足を突っ込んだり、ドレミーさんに哀れみの言葉を投げ掛けられたり、ブロリーだったりと、なんかもう色んな意味で落ち着きの無い1年でした。例年通り、本家の笑ってはいけないルールガン無視で年を越します。では皆さん、よいお年を♡


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悪夢編~フェーズ2~
第34話~絶たれた希望 大妖精勇気の大行進~


「はっ!?」

 

 

 

見覚えのない天井を視界に捕らえ、意識が覚醒したのは、大妖精だった。衣服は、いつものワンピースではなく、少しだぼついた河童のソレであった。

 

 

 

「お。目が覚めたかい、妖精ちゃん。水でも飲むといい。ここの川はとても澄んでいてね。寝起きには健康に良」

 

「チルノちゃん!!!!!!!!」

 

 

 

僅かな時間で大変なことを思いだし、ちょっと胡瓜臭い布団から飛び上がる大妖精。

 

 

 

「保護とお布団ありがとうございます!!お礼はまた後日に必ず!!!!」

 

「ちょっと!?」

 

 

 

扉を開けようと乱暴に突進する。が。

 

 

 

「ふげっ!?」

 

「それ、横引き戸だよ」

 

「すみません!!」

 

 

 

すぱーんっ!!と戸を開け、飛んでいく妖精。

 

 

 

「あ。あの娘着替えてない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ~・・・寒いぃぃ・・・・・・」

 

「私にくっつく理由では無いと思うんだけど・・・」

 

「だってみすちー暖かいんだもん」

 

 

 

寺子屋の一室。普段慧音が寝泊まりしている部屋で番をする二人の小さな妖怪。身体を寄せ合い、暖を取っている。大異変の最中、湯たんぽの替えを作ることすら危険だ。特にやかんの音。

そもそも何で寺子屋に隠れているのかという話になるが。稗田亭の結界は、八雲藍が張ったものである。まだ完全でない式神の結界なため、他の妖怪が内側に入るとするとノイズが発生してしまう。故に、里でも表立って活動できる少ない妖怪の隠れ家、天狗や命蓮寺神霊廟の警護の休憩の場として、慧音が提供した。こちらには、天狗の隠れ蓑を応用した護符を巡らせているが、音だけは気を付けなければならない。

 

 

 

「すぅ・・・すぅ・・・」

 

「ぐっすり寝てるね」

 

「姫は私が守るから」

 

「担いで逃げられる?」

 

「出来るもん」

 

「ペット達は私が守ってあげるからね」

 

 

 

小さな話し声がちらほらと確認できる。隠れ家側の精神状態が気がかりではあったが、杞憂のようだ。少なくとも、今日明日で均衡が崩れるのは無いだろう。

 

 

 

「さて。そろそろ出るか」

 

 

 

神子は静かに退室していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが・・・霧の湖なの・・・・・・?」

 

 

 

朝日に照らされて大妖精の眼に飛び込んだ光景は、いくら今が真冬で冷えきっているとしても【不自然】という言葉を拭えない。あっても水面が凍りつき、氷塊がちらほらと見える程度の筈だ。

 

 

 

 

 

水が湖底まで全て凍りつくなんて誰が思うだろうか。

 

 

 

 

 

湖の中心付近には、小さな島があるはずである。その亀裂にチルノちゃんが消えていったのを確かに覚えている。例え視力が落ちていたとしても、例え記憶の乱れが起こっているとしても、例え私がバカになってしまったとしても、要塞と見間違える事は絶対にあり得ない。

 

 

 

「扉っぽいのは・・・・・・あそこかな?」

 

 

 

紅魔館の門でよく見る、両開きの横引き戸。縦横の比率に違和感は否めないが、あそこ以外に検討もつかない。

扉の前に降り立つと、府快音を放ちながら開いていく。まさかこの規模で自動ドアだなんて。入っていいのかな?

 

 

 

「えっと・・・・・・お邪魔しまーす・・・」

 

 

 

ゆっくりと歩いていく大妖精。

はっきり言おう。恐い。一人で勇んで助けに来てみたものの、絶望的な恐怖が襲いかかる。冷や汗で背中がベタベタになった事なんて1度もない。そもそもそうなり得ることを初めて知りました。

 

 

 

「うぅ・・・寒い・・・河童さんに何か借りれば良かったなぁ・・・」

 

 

 

河童さんの衣服、何でこんなに薄手なのですか。河童だから濡れるのが好きなのかな?こんな時期に?風邪引かないのかな?

と、開けた所に出てきた。大きな柱と複数の出入口に階段まで揃っている。紅魔館と似た造りとするならば、中央ホールだろうか。

 

 

 

ぎゅぅあん!!!!

 

 

 

と、イヤな音と共に何かがこちらに飛んでくる。ギリギリで躱すと、ソレは床を深く抉ってから止まった。

 

 

 

「ひっ!?」

 

 

 

蹴鞠よりも大きな球体に4本の針が手裏剣のように並んでいる。床の抉られ方。これ、高速に回転してたってこと?

 

 

 

「いったいどこから・・・・・・うそん・・・」

 

 

 

見上げてみれば、ホールの天井付近で球体が大量に浮かんでいる。不自然に光が反射しているのは、やっぱり針が原因なのだろう。

そしてそれらは、大妖精目掛けて集団で襲いかかる。

 

 

 

「ふいがゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

 

 

右へ左へ上下に前後。縦回転に横回転。その様は正に、サーカスで慌てふためくピエロのアクロバットの如し。逃げては針玉同士の衝突で粉砕を繰り返すこと、15分は超えただろうか。

 

 

 

「ぜひゅー・・・・・・ぜひゅー・・・・・・ぜひゅー・・・・・・」

 

 

 

もう何がどうなってどう避けたのか、記憶することすら困難を極めた。呼吸の度に喉から歪んだ笛の様な音が漏れる。本気でヤバイレベルの疲労だ。

四つん這いで休憩する大妖精だが、周囲の違和感に気付いた。

 

 

 

(私の周りだけ、影がある・・・・・・!!!!!!!!)

 

 

 

重い身体を翼で引っ張りあげ、掌から弾幕を大量に放出させる。反動で吹っ飛んだ直後に、軽い地響きが発生。転がりながら、ほんの1秒前の自分の居場所を見てゾッとする。

黄色の巨漢が現れ、その足場はひび割れていた。

 

 

 

(あぁ・・・無理っぽい・・・・・・)

 

 

 

妖精も過労死するのだろうか?そんな絶望感に苛まれながら突破口を探そうと周囲を見渡すと、意外な影を2つ見つけた。

 

 

 

「よし・・・・・・頑張ってみよう・・・!!」

 

 

 

大妖精の心は、まだ折れていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして止められなかったんですか!?もぐもぐ」

 

「自分守るのに精一杯だったんだよ!!もぐもぐ」

 

「てゐに何かあったら大変でしょう。もぐもぐ」

 

「生きてるだけで幸せです。もぐもぐ」

 

 

 

映姫に、バーダックの件で事情聴取からの尋問を受けている妹紅・輝夜・てゐ。四人とも煮物を咀嚼している。

 

 

 

「バーダックさんが居ない今、もはや防戦一方です。八雲紫も居ない為、スキマで呼び出すことも出来ません。摩多羅隠岐奈の背中の扉も存在しないとなっては、どうしようもありませんね。む、この筍美味です」

 

「そうだろうそうだろう。筍は、大地の産んだ素晴らしい恵みだ。輝夜の母ちゃんにゃもったいないな。バーダックのやつ、そんな大層な鍵だったのかよ。鍵穴作るのも大変だな。主に頭部」

 

「んぐんぐ、ごくん。妹紅しつこい!!ガーリックJr.だっけ。不死身で面倒だったとはいえ、あいつ1人の代償がバーダックさんって、全然釣り合わないわね。あ、永琳おかわりちょうだい」

 

「あいつの誘いにホイホイ釣られたのも、それだけ安心してたって証拠なのか。拠り所が消えるとこんなに不安になっちゃうのね。あー人参美味しい♡」

 

 

 

和気藹々と食卓を囲む4人に。

 

 

 

「いい加減にしなさいよ!!!!何を暢気に寛いでんのよ!!!!」

 

「「「「1回くらい現実逃避したって良いでしょう!!!!」」」」

 

 

 

性格も考え方も何もかもが違う4人の息がぴったり噛み合った奇跡。誤差、改め誤字は一字も無い。割りと本気でイラついてた霊夢も、この威圧に怯まされる。

 

 

 

「うぅ・・・バーダックのご飯、凄く楽しみだったのに、これが最後だなんて・・・・・・」

 

「妹紅も可哀想・・・有能な舎弟が居なくなって、貧相生活に逆戻り・・・」

 

「やかましい!!!!」

 

「バーダック・・・やっぱり私は兎みたいだね・・・人参・・・・・・美味しいよぅ・・・」

 

「あぁ・・・お地蔵時代が懐かしい・・・・・・」

 

 

 

それぞれがそれぞれで面白い具合に壊れてしまっている。もちろん文はファインダー越しに覗き終わったところである。

 

 

 

(さてと。次の治療の準備に入りましょう。優曇華は・・・叩き起こすか)

 

 

 

永琳は、袖をまくりながら静かに退室していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

 

あの人ズルいよ。攻撃を全部ゴムの反動みたいに跳ね返すんだもん。パンチキック等の打撃だけならまだ良いよ。弾幕まで跳ね返すとかルール違反でしょうが。打ち返しとかならともかく。

煙幕に紛れて、柱や瓦礫の影に隠れながら移動を繰り返すが、どれだけ時間を稼げるだろうか。

 

 

 

「ゴム・・・・・・・・・」

 

 

 

スペルカードを持たず、攻撃手段が大きく限られる大妖精だが、頭はキレる方だ。僅かながら稼いだ時間の中で、道筋を作り上げていく。そして。

 

 

 

「覚悟ぉ!!うりゃああああああああああああああ!!!!」

 

 

 

瞬間移動を重ねながら距離を詰め、その腹部へと突進をかます。

 

 

 

「ぐひひひひ!!自棄になったか!?」

 

 

 

案の定、ゴムの身体に埋まっていく大妖精だが。

 

 

 

「ここだ!!!!」

 

 

 

身体から炎弾を無数に放射し、突進のスピードと同じスピードで同空間へ瞬間移動し続ける。

熱によりゴムの伸縮性が上がる。更に、連続瞬間移動で移動時の摩擦が大幅に減少し、パチンコのゴムの様に巨漢の後方へと一点集中で伸びていく。

 

 

 

「ぐ・・・うおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

予想外の展開だが、巨漢はまだ余裕があるように見える。その場で踏ん張り、大妖精の体力が切れ、弾き出されるのを待つ。

 

 

 

 

 

それが、間違いだった。

 

 

 

 

 

伸びていく身体を、凍気が襲いかかる。合計三ヶ所。熱で伸びた箇所が急激に冷やされ、伸縮性と共に頑丈さまで落ちる。そこへ1つの人影による爪と牙の引き裂き攻撃が襲いかかる。

伸びきった脆いゴムへの引き裂き。

その結果。

 

 

 

ばりぃいいい!!!!

 

 

 

「うがあああああああああ!!!!????」

 

 

 

大妖精の突進がゴムの身体を貫いた。大穴を開けられた巨漢は、力なく倒れてしまった。

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

 

 

炎弾のお陰か、身体も少し暖まってきた様子。顔を少し上げ、2つの人影へとサムズアップする。その先では、同じくサムズアップで返してくるルーミアとレティの姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

天界の一角。飛び降りれば、地上へと向かう崖っぷちに佇むのは、美しき緋の衣【永江衣玖】。一面に広がる雲海をただ見つめている。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「何を珍妙な雰囲気醸し出してんのさ?」

 

「総領娘様・・・・・・」

 

「気質が乱れたり、地響きが聞こえたりしたけど、地上で何かあったの?」

 

「何をワクワクされているのですか?」

 

「もしそうなら、今降りるととっても楽しいのでしょう?もう勉強続きでそろそろ鈍ってきた頃だし、存分に暴れたいの♡」

 

「では、降りますか?」

 

「・・・・・・良いの?」

 

「駄目って言っても聞かないでしょう?」

 

「よーし!!頑張っちゃうぞ♪」

 

 

 

どこに持っていたのか、緋想の剣をくるくると回し、ズドン!!と天界の大地に突き刺す。

 

 

 

「それ持参してる時点で、降りる気満々ですか」

 

「どうせなら、ド派手に行くわよ!!!!」

 

 

 

緋想の剣にエネルギーを遠し、崖になっている大地をへし折った。重力に負けた足場は、天子と衣玖を乗せたまま地上へと落ちていく。

 

 

 

「何やってるんですか」

 

「登場はより格好良く、インパクト優先ね!!!!」

 

「この下魔法の森なので、登場シーンを目撃出来る人非常に盛り上がる強運を持って片手で余裕で数えられますが良いですか?」

 

「良くないわよ!!??」

 

 

 

自由落下漫才は、受けるでもスベるでもなく虚しく落ちて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ミソカッツンの気が消えた・・・・・・敵は一体何者だ?』

 

「映像では、幼子二人と女が一人しか確認出来ませんな。こんな軟弱な者共が・・・」

 

『見た目で判断するのは愚か者だぞ。その3人からは気を感じられぬ。この青い娘と同じく人間ですら無い可能性もある。油断は禁物だぞ』

 

「氷仙人の様子は、非常に宜しいです。紋も安定値を超えております。戦闘能力を測れないのが不安ではありますが」

 

『まだ様子見をすべきだろう。エビフリャーとキシーメを配置しろ。それで退ければその程度ですむ』

 

「承知したしました。キシーメは電気触手の初陣ですからな。記録用にわしも同行したしますぞ」

 

『相手の力は、数値も種類も未知数だ。少なくとも格下と侮る事だけはするでないぞ』

 

「では、向かいます。Dr.ウィロー様」




おーっす!!伊吹萃香様だ。マジで!?あの妖精、マジでやりやがった!!あいつ多分幹部クラスだろ?妖精と思って侮ってはいたが、これは考えを改めないといけないねぇ。次はどんな突破をするのか、実に楽しみだね♪
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【暗闇に落ちるリボン】
これは、また一波乱起きそうだ♡



よう、スマホやパソコンの前のお前ら!!興奮が止まらねぇだろ!!本当に大ちゃんが最前線で大活躍するなんて思ってもみなかったろ!?次回は、サブタイ通りあの娘のあれがあーなります。その前に、大ちゃんにはもう一暴れしてもらいましょう♡



皆さんは東方人気投票どのように投票しましたか?
僕はこうしました。

人妖部門
八雲藍
ドレミー・スイート
ナズーリン
大妖精
依神紫苑
鬼人正邪
多々良小傘

音楽部門
今宵は飄逸なエゴイスト
輝く針の小人族
クレイジーバックダンサーズ
星条旗のピエロ
シンデレラケージ
春の湊に
U.N.オーエンは彼女なのか?
真相へ繋がる枝葉
始原のビート
ピュアヒューリーズ

作品部門
東方輝針城
東方紺珠伝
東方鈴奈庵
東方憑依華
弾幕アマノジャク

となりました。皆さんはどんな具合になりましたかね?果たしてこれらが何位を獲得するのか楽しみです。去年の話題筆頭の紫苑お姉ちゃんやドレミーさんが特に気になるところ。楽しみと不安でお腹痛い。あと便秘気味でお腹痛い。

ドッカンバトルの天下一武道会もいい成績を収めました。寝る時間と龍石を惜しまず使いまくり、20000位以内に滑り込むことが出来ました!!報酬楽しみ♪



それでは、今回はここまで。最後の人気投票ですし、皆さんで大いに盛り上げましょう!!悔いの残らないように、各自好きなキャラを応援してあげてください。がんばれ♡がんばれ♡


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第0401話~幻想楽園演舞 Summer vacation~

走ろうぜ幻想郷 世界でイットー秘密の楽園
駆け抜けろ幻想郷 世界でイットー愉快な現世
この世はデッカいカオス也 そうさ今こそエイプリル

仏教神道大激突 ファイター止まらず大激走
損害賠償考えてよ
希望に満ちたその笑顔 六十六の大所帯
新入り扱い未だに掴めない

デカイ地震地震地震被害も甚大
リュウグウノツカイビリビリスリスリ
ドリーム地震地震地震守るんだ
太歳星君討伐だ

飛び出そう幻想郷 世界でイットー手強い奴ら
楽しもう幻想郷 世界でイットーイカしたルール
この世はデッカいカオス也 そうさ今こそエイプリル


○ロード

○ニューゲーム

▶︎オマケ<ピッ

 

 

 

○ギャラリー

○キャラ設定

▶︎サイドストーリー<ピッ

○ミュージックルーム

 

 

 

○妖精メイド探検隊~黄金のカチューシャ~

▶︎喧しい夏休み~フェアリーリゾート~<ピッ

-?????

-?????

-?????

 

 

 

▶︎続きから<ピッ

○始めから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○チルノをぶん投げる

○サニーミルクを蹴飛ばす

▶︎もう諦める<ピッ

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「おらぁ、バーダック!!楽しんでるならイエスと叫べー!!!!」

 

「この穴場に招待してあげたんだ!!楽しまないと処刑するよ!!!!」

 

 

 

氷が旨いなんて、流石幻想郷、侮れない。イチゴ味とメロン味とブルーハワイ味っつってたな。ブルーハワイってなんぞや?そんな甘味聞いたことねぇや。

肌色時々布が2人分ベタベタ引っ付いているらしいが、片方がひんやりしてるので心地良いと割り切ってしまうバーダック。夏の猛暑日を涼む小さな楽園を存分に満喫する。

 

 

 

「バーダックさーん!!」

 

「んあ?今度は何だ?」

 

「柚子と梅と小桃の蜂蜜漬けの水割りです。甘くて美味しいですよ」

 

「字面だけでもう魅力満載じゃねえか」

 

「妖精ランドリゾートドリンク四天王の1つですからね。絶品です」

 

 

 

あの真面目ちゃんな大妖精が、見たことないテンションで誘ってきたのも、充分に理解できた。

 

 

 

「明日は、どんなコースだ?」

 

「私でーす。山菜を採取して、その場で頂きますよ♡」

 

「確か、ルナチャイルドだっけか?主に何が美味い?」

 

「夏なら、赤みずのお浸しが美味しいです。ヌメりがあるので発見しやすく食感も良いと、とても素晴らしいですよ。ムカゴもあるので、湯通しして齧るのも絶品です♡」

 

「へぇ。期待できるな」

 

「チルノやサニーにスターはお子ちゃまですからねぇ。大人の味覚が解る者同士、仲良くしましょ」

 

「果物に菓子と、甘いもの続きだったからな。お前とは仲良くやれそうだ」

 

「本当ですか?えへへ・・・///」

 

 

 

ファーストコンタクトから、喧しくない妖精だったルナチャイルドの評価がうなぎ登り。他の妖精共はちょい渋い顔してるな。明日は2人きりかもな。未だに引っ付いてうるさい2人が居ないだけましか。

 

 

 

「あー!!!!貴女ルナとイチャイチャしようっての!!??」

 

「かき氷作ったのあたいだぞ!!!!」

 

 

 

やっぱりデコピン位喰らわすか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局2人だけか」

 

「大ちゃんは子守りしてますし、仕方ないですね」

 

 

 

適当な雑談をしながら、ルナチャイルドは手際よく山菜を摘み取り、背中の籠にポイポイしていく。

経験の薄いバーダックは調理器具・薪・炭・水・油と、重い物を担当している。バーダックにかかれば、この程度の重さなら労力0だし、美味いものまで食えるとなりゃ、こんな安請け合いな仕事滅多にない。お話ししながらルナチャイルドに着いていくだけだし。

 

 

 

「ん?ムカゴって、これか?」

 

「あー。それは自然薯ですね。美味しいんですけど、今回の装備じゃ放置かな?穴堀りキッツいですよ」

 

「掘るだけか?なら、帰る途中にでも俺がやるぞ」

 

「スコップ無いよ?」

 

「素手で洞穴住居掘ったし、土くらい楽だ」

 

「うわぁバケモノ。じゃあお願いするね」

 

「へーい」

 

 

 

葉っぱで徐々にかさ増しされてく籠とにらめっこするバーダック。ゼンマイやふきは解るんだが、葉っぱ関係が未だに見分けつかん。美味いか美味くないかどころか、毒の有無すらさっぱりだ。思考時間も1秒未満だし、これはプロだ。

 

 

 

「いつか勉強させてくれ。俺もマスターしたい」

 

「えぇ・・・季節でコロコロ教材変わっちゃうから、全部教えるとなると最低3年かかるよ?」

 

「構わん」

 

「良いなら良いけどさ・・・お、ヘゴ見っけ」

 

「なぁ。このゼンマイは無視か?」

 

「それね。苦味強すぎて食べられたもんじゃ無いよ」

 

「お前が食わないとか、相当苦いんだな・・・」

 

 

 

○素直に従っておこうか

▶︎チルノの土産にするか<ピッ

○まあ、調理はやり方次第だろ

 

 

 

こっそり採取してベルトの裏に仕込む。問題はどうやって食わすかだが。すりつぶしてなんかの料理に振りかければ良いだろ。

 

 

 

「そろそろ溢れそうだね。軽く拠点決めて、調理の準備に入ろうか」

 

「天ぷら・お浸し・湯引きどれで行く?」

 

「まずは湯引きかな。せっかくの野草なんだから、そのままの味を一度知ってもらいたいし。その後に天ぷらとお酒ね。お浸しで口直しして帰るコースだよ」

 

 

 

話しながら歩いていると、小さく開けた場所を捕捉した。荷物を順番に下ろし、火起こしの準備を始める。そこそこ広めの範囲を掘り起こして土を露出させ、持ってきた煉瓦で小さく囲い、火が燃え広がるのを防ぐ。

乾燥させた野菜の木っ端を敷き詰め、その上に周辺の小枝を円を描くように配置し、更に上にに持参した薪を組む。これで時間の無駄なく炎を大きく出来る。

最後に焚べる用の炭をいつでも放り込めるようにすれば完璧だ。

ルナチャイルドは、食べる順番を決めるために籠から種類別に仕分けると言ってたが、まだ終わってない。

 

 

 

「あー・・・コース料理みたいに順番決めてるから、組み立てるのにちょっと時間が・・・・・・。火、先にやっちゃって」

 

「うい」

 

 

 

薪の隙間に指を突っ込み、気で着火する。手と腕で隙間を覆て優しく息を吹き掛け続けると、火が徐々に大きくなっていき、パチパチと聞き慣れた音がしてきた。念には念をで周辺をさらに掘り起こす。

炭を放り投げたら、鍋を置くための金網と骨組みを組み立てる。

 

 

 

○「後どれくらいかかる?」

○「手伝いいるか?」

 

 

 

○クイックセーブ

-セーブ

-ロード

○タイトルへ戻る

▶︎セーブしてタイトルへ<ピッ

○オプション

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▶︎ロード<ピッ

○ニューゲーム

○オマケ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「覚悟しなさいフラン!!!!!!!!」

 

「返り討ちにしてあげるわお姉様!!!!!!!!」

 

 

 

紅魔館は、吸血鬼の怒りに包まれた。元々紅かった2人の瞳は、煮えたぎったマグマをも通り越し、地獄の業火の様におぞましく燃えている。

 

 

 

「おい咲夜」

 

「はいバーダックさん」

 

「アレ何とかしろや」

 

「無理です」

 

 

 

メイド長も執事長も、お手上げである。司書さんは伝説クラス封印術を扉にかけて引き篭もってしまった。門番は管轄外らしいので手助けは望めない。死んだ目が泳いでた。

 

 

 

「妖精メイド共はどうしてる?」

 

「逃げ惑ってます。最悪、巻き込まれてもケンカ終わりに復活しますから大丈夫ですよ」

 

「さっき目の前でルナルナとアシュレイが消し飛んだんだが」

 

「私は目についた妖精メイドを投げて逃げてきましたよ」

 

「何に張り合ってんだ悪魔か」

 

「悪魔の犬です」

 

「お手」

 

「わん」ザシュッ

 

「大した忠誠心だな」フキフキ

 

「ここもいつ巻き込まれるか分かりませんね」

 

「レミリアのベッドの下って安全じゃ無かったのかよ」

 

「今回のケンカの原因が原因ですからね」

 

「2人の沸点どうなってんだよ」

 

「きっと気圧が違うんですよ」

 

「頭良いなお前」

 

 

 

どれだけ話しても破壊音と怒号と悲鳴が絶えない。あ、なんか断末魔みたいな声が聞こえた気がする。

 

 

 

「そろそろ教えてくんねえか。今回の姉妹喧嘩の発端はなんだよ」

 

「とてもしょうもない理由ですが聞きたいですか?」

 

「いつものことだな」

 

「いつものこと以上にしょうもないですよ。しょうも無さすぎて、私の能力無しに時間止まりますから」

 

「へーそーかい」

 

「バーダックさんと言えども、このしょうも無さには、絶句するでしょう。それはもう、戦地に無防備で歩いて行ってしまいたくなる程に」

 

「お前ハードル上げるの好きだな」

 

「意味合い的には下がって無いですかね?」

 

「地面に埋め込んだハードルに気付けたら特別賞か?」

 

「名誉ナズーリン賞を授与しますよ」

 

「いらねえから騒動の原因おら」

 

「今回の姉妹喧嘩の名前は・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【第七十八次プリン大戦】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「聞かなかったことにして良いか?」

 

「ダメです」

 

「理不尽だな」

 

「では、メイド長権限で命令です。止めてきて」

 

「断ったら?」

 

「罰として、図書館の本全部の感想文書かせます」

 

「苦行にも程度があんだろ」

 

「竹の苗を植えて花が咲くまで観察し続けるに変えても良いですよ」

 

「伝説級の暇人スキル習得したくねぇな」

 

「さぁ行ってください。がんばれがんばれ」

 

 

 

 

○「最上級のケーキ作っとけよ」

▶︎「最上級の紅茶入れとけよ」<ピッ

○「やっぱりお前も来い」(無理矢理)

 

 

 

「はいかしこまり」

 

 

 

そう言って視界から消える咲夜。レミリアのベッドの下にバーダック1人。咲夜が1人減るだけでシチュエーションの意味合いが凄まじく変わってくる。

 

 

 

「さてと。躾のなってない小娘どうやっていたぶろうか・・・・・・」

 

 

 

台詞もガッツリとアレである。

 

 

 

 

 

「【終止符】ファイナルスピリットキャノン!!!!!!!!」

 

「【紅符】スカーレットマイスタ!!!!!!!!」

 

「【禁弾】スターボウブレイク!!!!!!!!」

 

「地響きで本が雪崩るうううう!!??」

 

「本棚に潰されるうううううう!!!!」

 

「ざんねんないきものの続編どこおおおおおお!!??」

 

「カップが揺れてお茶が零れちゃいます」

 

「私は管轄外私は管轄外私は管轄外私は管轄外」

 

 

 

 

 

「大ちゃん。こーまかんから凄い音するけど、遊びに行く?」

 

「・・・・・・やめとこうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出席とるぞ。ルーミア」

 

「わはー」

 

「ミスティア」

 

「ちゅーん」

 

「チルノ」

 

「あたいー!!」

 

「リグル」

 

「チンチロリーン」

 

「大妖精」

 

「・・・・・・・・・はい」

 

「バーダック」

 

「ん」

 

「その顔と腕の傷どうした?」

 

「第二十八次図書館過剰防衛」

 

「あぁ・・・・・・」

 

「で。こころと布都は」

 

「2人とも第三十三次宗教戦争に駆り出された」

 

「こころ所属何だよ?」

 

「この時期は神霊廟だったと思うぞ」

 

「傭兵扱いか」

 

 

 

あの三家はこころをどういうポジションに置いているのだろうか。つか、まともに絡んだこと無いな。チビ共はしょっちゅうだし、布都は結構頭どついてるし。

 

 

 

「まあ、休みなのは変わり無いからな。出席は以上だな」

 

「けーね!!今日は何するの!?」

 

「今日は皆大好き、湖だ!!!!」

 

「「「「いぇーい!!!!!!!!」」」」

 

「わ・・・わーい」

 

「・・・・・・・・・」

 

「ん?バーダックはテンション上がらないのか?」

 

「あんた俺の実年齢忘れる時あるだろ。今まさにそれだよ」

 

「あ・・・・・・」

 

 

 

念には念をで小声で言ってはみたが、大妖精以外はしゃいでいるためか全然聞こえてない様子。

一度目は、社会科見学に駆り出される時だった。商才のあるミスティアとお留守番で人里の人間相手に小銭稼ぎしてた。

二度目は、買い出しに来たときだ。妹紅との3人で飯を奢って貰うとき、普通な流れでお子様セット注文しやがった。普通に美味かったからその場は流したが、別れ際に背中蹴り上げた。

 

 

 

「うぅ・・・うちの生徒として扱ってるとつい・・・」

 

 

 

これは反省出来てるのか?すっげぇ解りづれぇ。

 

 

 

「よ、よし!!皆の分の水着はこっちで準備しておいたから、早速出発するぞ!!」

 

「「「「おー!!!!」」」」

 

「あはは・・・」

 

「はぁ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでやって参りました、文々。新聞の射命丸文です。記録係の依頼ありがとうございます♡」

 

「天狗の新聞はよく見てるからな。内容はともかく、編集の技術は本物だ。皆の活き活きとした姿を綺麗にまとめてくれよ」

 

「了解です!!」

 

 

 

水色のワンピースタイプのチルノ。黒を基調としたルーミア。某鑑定士曰く、スクール水着という名らしい。オフショルダーと短パンが実に健康的なリグル。ちょっぴりアブナイ、攻めのミスティア。主にむね肉ともも肉。同じアブナイ水着でも、大妖精のそれは印象が違う。何処がとは言わないが。慧音先生は黒のクロスの上にパーカーを羽織った教師(?)スタイル。空気を読んでか、文もビキニで参戦している。

一方で。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

「バーダックさんはいつもの服から上を脱いだだけですね」

 

「ノリが悪いぞバーダック。味気のない」

 

「水遊びでテンション上げられるほど幼稚じゃ無いんでね」

 

「あや~残念です。水着の幼女とお姉さんに囲まれてオタオタする少年の図を期待していたのですがねぇ」

 

「お前も俺の実年齢忘れたか。流石鳥頭」

 

「教師二人で実践交えた性教育というシチュエーションも捨て難いですね♪」

 

「んなっ!?待てバーダック!!私はそこまでの関係は望んでない!!」

 

 

 

○「チルノー。蛙居たかー」

○「ルーミアー。その魚俺にも食わせろー」

▶︎「ミスティアー。釣りしようぜー」<ピッ

○「リグルー。水棲昆虫共の避難手伝い要るかー」

○「大妖精。適当に散歩しようぜー」

 

 

 

「「なんでええええええええええええ!!!!!!!!」」

 

 

 

私たちの大人の魅力より優先されるものがあるなんて・・・。しかもすぐ目の前で盗られた!!いや、別にバーダック(さん)とお近づきになりたいとかそういうのでは無いですけども。これはこれで敗北感・・・・・・

 

 

 

「この時期は何が釣れる?」

 

「美味しさと量で言うとドジョウが一番だよ。しかけ作って、放置の時間に釣りでアマゴ狙おうか」

 

「大きめの芦の群生が向こうに三ヶ所か。あれを使おう」

 

「20本もあれば一個作れるよ。人数分考えて、3セット分持ってきて」

 

「組み上げ方勉強させて貰うぞ」

 

「うんうん。知識たくさん付いてきたね。夜雀庵2号店考えといてよ」

 

「不特定多数相手にひたすら商売はごめんだね」

 

「あらら残念」

 

 

 

 

 

~30分後~

 

 

 

 

 

「あ。水着のわかさぎ姫が釣れた」

 

「お前もかよ」




よし。いつもの白藍ですね。問題なし!!



テレビ見てると、豆知識や意外な事実を紹介したときに、スタジオで見てる人達の
「へぇ~」
って言う、今初めて知りましたみたいなのあるじゃないですか。あれそろそろ無理があるかと。タラバガニは蟹じゃなくてヤドカリの仲間です。って言われても、他番組や他局番組でも見たことないし知らないとかあり得ないレベルになってきましたよ。でもまだ我慢できます。僕大人だからね。本当に知らない人も0って証拠は無いですし、テレビを楽しむ心を忘れないようにしたいですね!!



『卵を電子レンジで加熱すると・・・』

ドカーン!!!!

『『『えぇ~っ!?』』』



はぁ?
僕はテレビが嫌いになりそうです。ニュースとアニメと片手で数え切れる程の番組以外観る気になれなくなってきた今日この頃でございます。そう言うときは、ゲームに限りますね♪ハードレミリアのラスペまで行きましたし、不思幻TODRも楽しんでおります。
唯一解せないことと言えば、豊姫様の画像検索しようと変換したらですね。

『十四日目』

スマホ君。君病気なの?そしてこの後書きで打ったら、変換候補にありませんでした。あ、完治できたのね。



今回の後書きはいつもより薄味ですがここら辺で。肉体的にも精神的にも疲れてるから、書くことが無いです。笑い話に出来ない事ならいくらでもあるんですけどね。自転車盗られたとか職場で怪我して労災して貰ったとか。
では、お開きです。また来てくんろ♡


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第35話~暗闇に落ちるリボン~

「つー訳で、今幻想郷は危険なんだ。お分かり?」

 

「私が閻羅の体液まみれになったこと以外は納得できた」

 

「いつまで根に持つつもりだよ」

 

「忘れられるわけないでしょあんなの!!トラウマ確定よ!!」

 

 

 

うら若き乙女の柔肌とお洒落の核に当たる衣服に深刻すぎるダメージを受けた菫子の怒りは現在進行でインフレしている。

 

 

 

「つまり何!?今後私はお昼寝含めて、レム睡眠に入ると危険地帯に投げ込まれるというの!?」

 

「そうなるな」

 

「私の安息がああああああああああ!!!!」

 

 

 

人間の三大欲求という言葉がある。食欲はまあ良い。多少腹が減っても、少しなら何とかなる。座右の銘【わーい】を掲げるネット小説作家なんか、1日の食費130円で2週間生活出来た位人間はたくましい。尚、節約が理由でなく、自身に与えた罰ゲームをいつまで続けられるかといったアホな理由だったりするらしい。

性欲も多少我慢できる。思春期真っ只中の華の女子高生と言えども、恋愛=性欲な男子共よりかは万倍マシなはず。

しかし、睡眠欲を我慢出来る生命体は存在しない。寝たいのに寝たら悪夢率100%とか、寝付くまで地獄だし寝付いても地獄だ。いつか発狂してしまうのでは。

 

 

 

「うぅ・・・いくら私でもこれ系の光景で良いね貰えないのは明白だよぉ・・・・・・」

 

「良いねを貰うの状況が理解出来ないが、余裕無さそうで若干あるっぽいのは分かった」

 

「私も少しずつ幻想郷の住人になって行ってるのかな・・・自分が怖いよ・・・・・・」

 

「菫子さんも苦労してそうですね」

 

「私のサードアイ?私の隣でおねんねしてるよ」

 

「妖夢っち。綺麗に出来た?」

 

「真水でも落ちにくかったです。溶血しないとなると、ただの体液じゃ無いですよ。乾かしてから様子を見ないとまだ断言出来ません」

 

「・・・・・・臭い?」

 

「それも乾いてから・・・」

 

「夢に虐められるよぉ・・・・・・」

 

「ドレミー呼ぼうか?」

 

「あの人哀れむだけだから嫌い」

 

「そうか・・・・・・」

 

 

 

菫子の機嫌は一向にマイナスのままだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大ちゃん無茶しすぎだぞー」

 

「自覚はしてたよ・・・今も怖いよ・・・」

 

「チルノを助けたいのは分かるけど、妖精一人で正面突破は無謀にも程があるわ。キチンと計画立てるのよ?助っ人もね」

 

「はい・・・面目ないです・・・・・・」

 

 

 

二人の口調はとても優しいが、真面目な大妖精にはそれがかえって傷付く。それさえも察した二人はこれ以上の詮索や追及を辞め、大妖精の両隣に寄り添う。

 

 

 

「反省は充分出来てるようだし、次の話題はチルノを救い出す手立てね。何か思い付く?」

 

「また黄色い人みたいに戦うことになったら、私が囮になります。妖精ですから、妖怪の二人より命は軽いです」

 

「言葉選び下手くそか」

 

「大ちゃんも変なところでポンコツよね。可愛いから良いけど」

 

「はぇ?」

 

 

 

螺旋階段をスルーしてホールの中央をゆっくりと上昇率しているが、やっぱりデカイ。高さだけなら、紅魔館を余裕で超えてるだろう。地盤沈下とか起こったら大変だ。

 

 

 

「一番上まで来たけど、通路多いわねぇ」

 

「どれに入りましょうか?」

 

「ルーレットで決めよう」

 

「え?」

 

「ほら。私を回しなよ」

 

 

 

伝家の十字架ポーズで固まるルーミア。可愛らしい奇行に別の意味で固まるレティと、いつもの事でなれてる大妖精とで反応が綺麗に分かれた。

 

 

 

「せーの、えい!!」

 

「ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる・・・・・・そーなのかっ!!!!」

 

 

 

回転が止まったルーミアなのだが。

 

 

 

「どうしよう。右手と左手が向いてる方向が真逆だわ」

 

「えっと、指の形は・・・違いが分かりません・・・・・・」

 

「趣向を凝らして、ルーミアちゃんの目線が正解なんじゃないかな?」

 

「候補を増やさないで下さいよ!?」

 

「候補が3つ出来るという意趣返しで、どれでもない真後ろとか?」

 

「聞いてます!?」

 

 

 

天然なレティをこれ以上喋らすと進まないので、諦めてルーミア本人に聞くことにする。

 

 

 

「こっち」

 

 

 

ルーミアは目線と左腕の方向よりやや右の扉へと歩いていく。

 

 

 

「えぇ・・・・・・」

 

「ルーミアちゃん。その心は?」

 

「ナイトバードの初弾配置角度」

 

「解るわけないじゃん!?」

 

 

 

やっぱり読めないルーミアを追いかける2人。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

巷で噂の閻羅の雰囲気が感じられないのどかな優しい霧が薄く舞っているここは、妖怪の山の一角に創られた1種の仙界。守られた領土に建てられたやや大きめの平屋の主は、大きな丸窓の部屋で座禅を組んでいる。

その丸窓に大きな影が。

 

 

 

「ヒュララララ・・・」

 

「竿打、里・山・神社の様子はどうなってる?」

 

「キュルリュルルル・・・」

 

「閻羅の・・・燃費の悪さ、か」

 

 

 

閻羅が現れてから十日程度。観察し続けて分かってきたこと。

まず、彼等は数時間活動した後、十時間以上停止する。個体差があるものの、人間の活動時間と睡眠時間を逆にした程度と見て問題ないだろう。

更に、停止と共に抵抗力も著しく低下する事が確認された。休眠状態であれば、里の子供でも容易に近づき、札で完全無力化する事も容易い。

この事実から、防衛に勤めている者達の戦い方が変わってきた。完全に滅するよりかは、時間をかけて勝手に自滅していくのを待つ方がいい。効率は落ちるものの、閻羅一体辺りにかけるエネルギー消費量が僅かに減少、一人辺りで対応できる閻羅の数が三割未満の上昇と来ている。この戦い方での戦い方の効率をあげるために、二人から四人のチームで動くことを義務付けられた。

 

 

 

「閻羅の発生する卵は、霊夢が1つを破壊。射命丸文・藤原妹紅・萃香が1つを無力化し、その際に閻羅とは違う3人の戦士が現れたか・・・」

 

 

 

実力者にのみ公開された情報によれば、バーダックさんと第七宇宙とやらが関連しており、今後も新たに現れる可能性が極大とある。そして。

 

 

 

「霧の湖の凍結」

 

 

 

華扇と閻羅との相性は凄まじいほどに悪いが、第七宇宙の戦士となれば、存分に力を発揮出来る。場所的に、あの人物もそろそろ動き出す頃だろう。

 

 

 

「行くわよ、竿打・ライチュウ・・・ライチュウ?」

 

「チチチ・・・」

 

「トウモロコシいっぱい持っていくから」

 

「チュイィィイイ!!」

 

 

 

相変わらず食費がかさむペットだ。ただでさえ自身のエンゲル係数も高いのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ・・・」

 

「あんなに堂々といるもんなの?」

 

「待ち伏せなのかー?」

 

 

 

通路から再び大部屋に出たと思えば、3人の人物が待ち構えていた。ざっくりと説明すると、マッチョ・緑・老人だ。

 

 

 

「よくミソカッツンに勝てたなお前達よ。評価してやろう」

 

「爺さん。無駄だとは思うけど、一応提案するわね。チルノを返してくんない?」

 

「あの青い娘の事かな?そうはいかないぞ」

 

「だろうねぇ」

 

「チルノちゃんをどうする気ですか!?」

 

「チルノというのか。あのガキは我々の手札として存分に貢献して貰うことになっておるのだ」

 

「そんな事!!絶対に!!させない!!!!」

 

 

 

刹那、大妖精の姿が消え、マッチョの顔面に膝蹴りを喰らわした瞬間で視認する。いつもおしとやかな大ちゃんがあんなに攻撃的になるなんて。相当御立腹な様子。

 

 

 

「ちぃっ!!始末しろ!!」

 

 

 

老人の号令と共に、マッチョと緑が二手に別れた。

 

 

 

「大ちゃん!!!!気を付けてよ!!!!」

 

「狩るのだ!!!!」

 

「チルノちゃんを返せ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だああぁっっ!!!!!!!!」

 

 

 

爆発的な衝撃波と共に、渾身のパンチをお見舞いされた閻羅が消し飛んだ。血飛沫が至る所に飛び散り、その中心で返り血を浴びる星熊勇儀が構える。

 

 

 

「次の奴はどこだ!?」

 

 

 

周囲を軽く見渡すが、先程ので一段落ついたようだ。数秒前まで動いていた4体の閻羅が、突然停止した。

これが、休眠か。前触れもなく急に来たな。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

休眠する閻羅達の中で、ある個体に目が行った。

閻羅の姿は壊された人格の元持ち主に依存する。蝋人形を熱風で溶かした様に爛れた顔では、特定は出来ない。だが、左腕の肘に取り付けた特殊なギプスを見間違えるはずもない。

 

 

 

「ヤマメの弟子の一人か・・・・・・」

 

 

 

名前は覚えてない。建築現場でチラッと数回見た程度だ。飲み屋で相席した時、少し事故ったと笑いながらギプスを見せびらかしてた事しか思い出せない。

地底の妖怪共の何人かが壊され、閻羅になったとは聞かされたが、改めてこうやって対面すると、事の重大さを嫌でも思い知らされる。

 

 

 

「悪いな・・・・・・」

 

 

 

動かない閻羅に、渾身の拳を打ちつけた。肉と血が飛び散り、痙攣が起きること無く絶命していった。

 

 

 

(好きなだけ恨みな・・・・・・)

 

 

 

他の3体も一撃で仕留めた勇義は、離れた場所に置いてきた杯を一口飲む。

 

 

 

「はぁ・・・・・・」

 

 

 

喧嘩の後の酒は極上とかほざいた馬鹿はどこにいるんだか。こんなに不味くなるなら、※で例外ありとか言っとけやもう。胸糞悪い。

肉片にポツンと残されたヤマメの糸の成れの果てを剥がし、その場を離れていく勇義。どうやって伝えようか凄い考えてる、気難しい背中だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うりゃああああ!!!!」

 

「ぬごぁっ!?」

 

 

 

瞬時に距離を詰めた大妖精の膝蹴りが、エビフリャーの顎を打ち抜き、額と喉に更なる蹴りの追撃を喰らった。

 

 

 

「うぬぅ・・・・・・」

 

(巧い。顎を支点に脳を揺さぶれば、どの生き物も怯む。直後の2つの打点で、衝撃の方向を無理矢理ねじ曲げれば、脳は対応仕切れない・・・!)

 

 

 

美鈴さんとの朝の体操はただの健康術じゃない。中国拳法?と言う最高クラスの格闘術を基盤にしているらしく、達人の美鈴によって考え抜かれたその体運びは、護身術のそれに近い。危険から逃げる為に、敵の動きを一定時間封じ込めることに特化した技は、最小限の1撃で効果を発揮することを前提としている。2撃以上を重ねがけするような事は想定しておらず、対象がどうなるかは言葉にせずとも解る。

それでも大妖精は躊躇なく3撃をエビフリャーに浴びせた。

 

 

 

(やっぱり、綺麗に決まった筈なのに、手応えが微妙に無い・・・・・・)

 

 

 

妖精の脚力では、幾度となく強化改造された巨体を仕留めるには力不足だ。首に手を当て、ゆっくりと立ち上がるエビフリャー。

 

 

 

「今のは、洗練された実に良い動きだ。どこの誰に教わったのだ?少なくとも素人では無いだろう?」

 

「うるさいですよ老いぼれが」

 

「大ちゃん!?」

 

「うわー。スッゴい怒ってるのだー」

 

 

 

大親友のチルノちゃんを物扱いするかのような発言に、憤怒する大妖精。口調の悪さは、もはや天変地異でも起こるんじゃないかって程あり得ない現象だ。

 

 

 

「ぐっ!!【冬符】フラワーウィザラウェイ!!!!」

 

 

 

弾幕と冷たい霧で軽く目眩ましの直後に大量の氷柱を放出する。出来る範囲で最大の鋭さを出した氷柱は、キシーメの体の数ヵ所に突き刺さる。

 

 

 

「がぁっ!?」

 

「氷の補充は無限に出来そうね。ルーミア。大ちゃんを手助けしなさい。こっちは一人で何とかしてみるから」

 

「ん。気を付けろなのだ」

 

 

 

霧の死角からタイミングを計らい、大妖精のもとへと飛ぶルーミア。改めて大ちゃんの表情を視認すると・・・うわぁ何あれ。寺子屋でお説教する大ちゃんの顔があれだったら、チルノ泣くぞ。

 

 

 

「【月符】ムーンライトレイ!!!!」

 

 

 

空間を多い尽くす量の弾幕とレーザーで大妖精の援護を始める。大妖精に降りかかりそうな腕や足を弾幕で弾き、大妖精の打撃がクリーンヒットしそうになる直前でレーザーを浴びせて動きを僅かに鈍らせる。即席とは思えないような連携で、劣勢でありながらエビフリャーを少しずつ押している。

 

 

 

「これは・・・・・・」

 

 

 

Dr.コーチンの目に映る光景は、とてつもないものだった。まさか、ここまで闘える者がいるとは思ってもみなかった。更に、洗脳する前のチルノとやらの発言によれば、こやつ等はまだ最高クラスに届いてはいない様子。我々の気づかない内に、世界はどの様に変化していったのか。想定外ではあるが、大規模な調査をする必要がありそうだ。すぐ目の前にも丁度良い研究材料が3体もある。

 

 

 

「キシーメ!!今だ、やれ!!!!」

 

「っ!!!!ずぁああっ!!!!」

 

 

 

緑が両腕を大きく降った刹那。

 

 

 

バチィッッ!!!!!!!!

 

 

 

「いぎゃっ!!??」

 

「だぐぁっ!!??」

 

「うごぉっ!!??」

 

 

 

破裂音と眩い一瞬の発光と共に3人の体に大きな衝撃が走った。打撃とは明らかに違う、内側に直接ダメージが入った様な感覚。

 

 

 

「お前か・・・何した・・・?」

 

「こっちだ。来れるものなら来てみろ!!!!」

 

「くたばれなのだっっ!!!!」

 

 

 

キシーメの喉元目掛けて飛び掛かるルーミア。先程の攻撃を見極めようと、少し離れた場所でレティも観察するが。

 

 

 

「ルーミアちゃん!!ダメぇっ!!!!」

 

 

 

ルーミアの動きが急に止まったかと思えば、細いワイヤーの様な物が絡み付いている。

 

 

 

「あの衝撃の走り方・・・鞭だな!!」

 

「くく・・・・・・くたばるのは嬢ちゃんだ!!」

 

「あぐぁああああああああああああああ!!!!!!!!????????」

 

 

 

耳を突き刺すような不快な音が継続し、見続ければ失明してしまいそうな独特な激しい光が放射された。

 

 

 

「まさか、電流!?いけない!!ルーミア、何とかして逃げなさい!!!!」

 

「あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

全身の筋肉が痙攣し、衣服や髪・肌から焦げる異臭が立ち上る。薄れる意識の中でルーミアは力を振り絞って弾幕をばらまくが、漏れ出す電磁波を少し曲げる程度だ。そして。

 

 

 

 

 

雷撃がルーミアのリボンを焼き切った。

 

 

 

 

 

キシーメは雷撃を止め、ルーミアを落とした。

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「ふむ。持続性に難ありか。改善すべき箇所だな。キシーメ。他の2人も仕留められるか?」

 

「へへ・・・行けますぜ・・・・・・」

 

 

 

次に狙いは大妖精だ。大きな可能性を存分に秘めた小さな体目掛けて、電磁鞭を振りかざした。

 

 

 

「くたばれえええええええ!!!!」

 

「ひぃっっ!!!!」

 

「大ちゃん!!!!」

 

 

 

白い発光を伴う鞭は、大妖精の胴体に向かって真っ直ぐ延びて行き。

 

 

 

 

 

キシーメの腕から引きちぎられた。

 

 

 

 

 

「な・・・・・・は・・・?」

 

「へ・・・?」

 

 

 

一切予報してない突然の激痛に、叫びや呻きも忘れて呆然とするキシーメ。

その背後で、小さな黒い少女が大妖精を仕留める筈の鞭を握りしめていた。

 

 

 

「大妖精を痛め付ける悪い鞭は、こいつか?」




よう、魔理沙だぜ。待て待ておい!!ルーミアの口調、明らかに変だぞ!?いつものおバカ丸出しなわはーはどうしたんだ!?頭のリボンは封印の札とかなんとかうろ覚えだったが、まさかそれなのか!?はぁ!?あいつ強え!?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【EXルーミアVS洗脳チルノ!? 涙の激突!!】
次回も、皆見てくれよな!!



東方新作来たああああああああ!!!!!!!!

【東方鬼形獣】

ですって?全キャラ縛りを設けておりまするこちらの作品ですが、案の定出します!!出してやります!!プロットに無理矢理ねじ込みます!!
また投稿が遅れるって?知らねえよそんなもん。楽しんだもん勝ちだおらぁ!!(クズ)

と、まあ、今から楽しみで仕方ありません。新しいアニマルキャラの予感なんで、幻想楽園演舞の追加ヒロインが居ることをひたすら祈ってますwあと、AVも欲しいなぁ。
ん?何?いかがわしい話するなって?アニマルビデオのどこがいかがわしいんだ?それにこんな反論するのも変な話だが。
『もう遅い!!!!』



友人の薦めでMMDを弄ってみることに。ジト目・笑み・まばたき・瞳小などをたくさん組み合わせ、間接から一個一個調整して創った大ちゃんを載せますね♪


【挿絵表示】


13話の小動物の様に縮こまった大ちゃんです♡あー♡抱き締めたい♡驚きと恥じらいで硬直してしまった大ちゃんを優しく撫でて、可愛らしい妖精の翼の付け根を優(文章はここで止まっている様だ)



全く眠くならないので、徹夜気味で執筆進めて投稿しましたが、今日仕事なんだよね・・・・・・。何やってんだろ俺。絶対に何かやらかしそうで怖いですよ。寝不足を理由にサボるわけにもいきませんし、頑張るしかありませんね。皆応援してね☆その応援が届く頃にはもう色々終わってるけど応援してね☆もしかしたらまた同じ様に出勤前夜に徹夜になるかもだし。東方ハードとか(ぉぃ)



それじゃ、今回はここまで。体内時計が完全に狂う前になんとかしましょうね。では、皆さん、おはようございます!!!!!!・・・・・・・・・・・・ん?


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第36話~EXルーミアVS洗脳チルノ!? 涙の激突!!~

京都アニメーションの事件に巻き込まれた方々にお悔やみ申し上げます。貴重な過去作品の資料や、将来お披露目される予定だった作品たち。そして何よりも、日本が世界に誇る未来の名クリエイターの方々総勢34名の失われた命。
ご冥福を心よりお祈り致します。


「・・・・・・この空気の震えは・・・」

 

 

 

紅魔館の門前にたたずむ華人小娘は、気の乱れを感じ取っていた。よく知る妖精と妖怪の気が激しくなったり弱くなったりを繰り返してる。何かと戦っているようだ。しかも。

 

 

 

(かなり近い・・・・・・湖底からなのか?)

 

 

 

霧の湖と呼ばれているものの、濃霧が長期間に渡って廻り続けることは無かった。閻羅騒動のすぐ後でこれか。無関係では無さそうだが、どうする?調査に向かおうにも、門を無断で離れるわけにもいかないが。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

考えていたら、館からよく知る気の乱れが。また何か癇癪起こしたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカな・・・あの娘の変わり様は・・・!!」

 

 

 

キシーメの電磁鞭の異変に気付いた直後には、もう遅かった。移動・回避・撹乱に特化した筈のキシーメの腹部をあっさりと貫いた黒い腕の主に目を奪われる。

 

 

 

「ル・・・ルーミア、ちゃん・・・?」

 

「まさか・・・何が起きたの・・・」

 

 

 

あの仲間二人の反応から、向こうにも状況が理解出来ていない様子だが。氷仙人といい、この地の幼子は凄まじい可能性を秘めておるようだ。

 

 

 

「どうしたデカブツ?その図体で肝っ玉は豆粒なのか?」

 

「なっ!?調子に乗るなぁ!!!!」

 

 

 

エビフリャーが、黒い少女に突撃する。その巨体とスピードから出る圧倒的な破壊力の筈だが。

黒い少女は、華奢な腕一本でその推進力を相殺してしまった。

 

 

 

「力だけのバカにさっきまで押され気味なのが、腹立たしいな」

 

「何を・・・・・・っっ!!??」

 

 

 

重く鈍い破壊音がしたと思えば、エビフリャーの腕が明らかにおかしくなっている。肘と手首の関節から大量の出血をしたと思えば、それぞれあり得ない方向に180度ずつねじ曲げられている。見た目だけなら肘から手首までの下腕にしか違和感を感じないが、その事実が黒い少女の恐ろしさを如実に表していた。

 

 

 

「安心しろ。すぐに痛くなくなる・・・」

 

「な・・・ぐぎゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・ぁぁぁ・・・・・・ぁ・・・」

 

 

 

何処からともなく出現した黒い塊がエビフリャーの巨体を覆い隠し、骨や肉がひしゃげる音と大量の血が噴出した音が、徐々に消え行く断末魔に混ざって響く。不気味な程に静かになり、黒い塊が消えた後には、血液だけを残し、肉片一つ見当たらなかった。

 

 

 

「ルーミアちゃん・・・ぅぷっ!おげぇぇえっ!!」

 

「大ちゃん!!」

 

 

 

あまりの衝撃的な光景に動けなかったレティが、すぐさま大妖精のもとへと駆け寄る。純粋で心優しい大ちゃんに、この惨状はもうトラウマだ。嘔吐した大妖精を確認したルーミアは、ちょっと後悔している。もう少しマイルドなやり方にすれば良かったな・・・。

 

 

 

「さて、と。爺さん。チルノを還してくれないか?これ以上友達の精神をズタズタにしたくないんだが・・・」

 

「・・・・・・ワシを惨殺する行為には躊躇無いのか?」

 

「あると思うか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

静寂の空間に大妖精の嗚咽と息切れだけが響く中、ルーミアとコーチンの睨み合いが凍えるホールを更に凍りつかせる。莫大な冷気でブーストしてるだけの弱小妖怪であるレティはこの緊張に飲み込まれてしまい、脳が脚の震えを停止させるだけの余裕が一切無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい~す。ただいま~」

 

 

 

瓢箪片手にへべれけな萃香が神社に帰宅した。藍は優しさ皆無のジト目で睨みを効かすが、どうも威嚇の才能も皆無な為か、麟の目にはとても可愛らしく映ってしまった。

 

 

 

「藍さん、あんなに可愛らしい表情するんですね」

 

「うん♡藍様、時々スッゴく可愛くなるの♡」

 

「お前ら・・・・・・」

 

「まあまあ、土産話も沢山あるよ~。新しく出てきた敵の正体とか、山の神が脱落したとか、バーダックと紫が消えたとか」

 

「紫さまああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

「うおっ!びっくりした!」

 

「藍さん、紫さんの現実から必死に目をそらしてたんですけど・・・・・・」

 

 

 

紫の式神として、紫と定期的に同調してる藍。そのシンクロが完全に途絶えた時から、藍の精神はあっという間に不安定になってしまった。紫様の身にどんな恐ろしいことが起きても、シンクロで助けを求められることは片手で数えきれる程度だがあったのだ。声が届かないどころか、送信すら空振ってばかり。まさか・・・。まさか!

 

 

 

「んー・・・悪いことしたか?」

 

「さっきの落ち着きまでに、井戸と倉庫と賽銭箱が半壊・水瓶と障子と霊夢さんの湯飲みが修復不可です」

 

「おぅふ・・・・・・」

 

 

 

もう一度落ち着かせるまでに、畳四枚と茶碗まで駄目にしやがったこいつ。異変後の宴会の献立にキツネうどんが出たら合掌くらいしといてやろうか。

 

 

 

 

 

「人の物を壊したらいけないって教えてくれたのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「橙が紫様のお皿を割ったとき、紫様以上にお説教したのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「しかもこの茶碗、前に霊夢が持ってったマヨヒガの茶碗ですよね。これ私にプレゼントしたのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「一度うちのペットになったのにあっさり裏切ったのはどこの狐さん?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「危険な時にこそ冷静にって麟ちゃんを連れて来るように命じたのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

中々見ることの出来ない貴重な下克上シーン。特にこの2人の場合はレア中のレアだ。萃香も麟も笑いを堪えながら眺めている。

 

 

 

「この茶碗、なんだかんだで霊夢も気に入ってて、毎日の様に愛用してたんです。どう説明するんですか?」

 

「ごめんなさい・・・・・・・・・」

 

 

 

そろそろ助け船を出してやろうと麟が口を出すが、まさかの藍に止められた。

悪いことをしたしたのは自分なので、情けで助けてもらおうとは思わない。非がある以上、部下相手にも頭は上げられないし、この件を決めるのは霊夢で有るべき。橙の教育のためにも、私を許さないでほしい。と。

変な意味でも真面目過ぎた藍の心の底からの謝罪に、若干引く麟。橙は藍を理解している故に呆れているようで、萃香は爆笑。

紫苑がご飯が炊けた事を報告しに来た為、取りあえずこの話は一時停止。食事を始めることに。

人参入りの甘い味噌汁に、全員のなんとも言えない表情も解けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おら、歩け」

 

「ぅぐ・・・・・・」

 

 

 

Dr.コーチンの喉元にサバイバルナイフサイズの闇を突き付けるのは、突然雰囲気がガラリと変わったルーミア。身長や髪型も対して変わってはおらず、目の僅かなつり上がりとリボンが無い程度。たったそれだけなのに、ど偉い変わりようである。

通路を歩く2人の少し後ろを歩くのは、大妖精とレティ。

 

 

 

「ルーミアちゃん。大ちゃんも少し怯えてるし、歩きながらで良いから話してくれないか?」

 

「ん・・・怖いか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「簡潔に言うと、二重人格だ。厳密には違うが、一番近いのはこれだな」

 

「どこがどう違うの?」

 

「お前らが知ってるルーミアは、これを自覚していない。故に今の私・・・ルーちゃんと言うことにするが、ルーちゃんの事は分からない」

 

 

 

ルーミアの記憶や趣味嗜好、友達への大好き度はそのままに、性格だけが変わった状態がルーちゃんだ。ルーちゃんが深い眠りにつけば、大妖精達のよく知るルーミアにいつでも戻るとの事。

 

 

 

「大好きな友達が突然得体の知れないナニかに変わってしまったかも、という恐怖は捨てろ。私はちょっと荒々しくなっただけのルーミアだ。数日もすれば元に戻る。あの妖怪巫女の保証付きだ」

 

「霊夢さんの・・・?」

 

「頭のリボンな、あれ札なんだよ。元々凶暴で凶悪な妖怪を封印するためのな。ま、眠ってる間にどれ程甘くて楽しげな夢を見ていたのかはお前も知ってる通りのはずだ」

 

 

 

振り替えるルーちゃんの笑みは、どこか不気味でちょっと怖かったけど。つり上がったその眼は、とても暖かかった。

 

 

 

「・・・・・・興味深い話ばかりだな・・・」

 

「黙って歩け」

 

「ぐぁ・・・・・・」

 

 

 

闇を少し強めに押し付け、奈落の感触を僅かに流し込む。コーチンは軽い目眩と脱力感に襲われるが、ここで膝をつけば余計に闇に飲まれると必死に抵抗した。

ふらつきすら許可しないルーミアはコーチンを無理矢理歩かせる。

と、1つの扉の前で足を止めたコーチン。

 

 

 

「ここだ・・・」

 

「開けろ」

 

 

 

すぐ横のキーボードをほんの2秒弄り、扉を開ける。そこには巨大な機械やコードの束にビーカースクリーンと、頭が痛くなりそうなものばかり。赤と黄色の点滅が非常に目に悪い。

と、大きなビーカーの中で覚えのある青色に目が止まる。

 

 

 

「チルノちゃん!」

 

「あのビーカーを開けろ」

 

「ぬぅ・・・・・・」

 

 

 

少し離れたパソコンまで誘導し、少し弄れば、蓋が開けられる。

 

 

 

「おい。あの拘束具も外せ」

 

「あ、あれは本当にただの鎖じゃ。引きちぎるしか無い」

 

「ちぃ・・・レティ。こいつを見張ってろ」

 

「あ。分かった」

 

 

 

コーチンの首に氷の刃を当てるレティと入れ替りで、チルノへと近づくルーミア。雁字搦めの鎖を1本ずつ素手でちぎっていく。ようやく囚われた友達が助けられる。と、ルーミアもレティも安堵した。

だが、ただ一人。大妖精だけ違和感を抱いていた。

 

 

 

(何であんなにあっさりチルノちゃんを解放するの?)

 

 

 

追い詰められたのであれば、解放するふりをしてルーミアちゃんを退治する様に仕向けるのでは無いか?首もとに刃物を当てられていても、例えば、新手を解放してこの部屋に解き放つとか。これだけ大きな要塞ともなれば、そういった仕掛けもあるはずだ。素直に人質解放なんて、どういうこと?

 

 

 

(ん?あれは・・・・・・)

 

 

 

鎖をちぎり続けるルーミアちゃん。右往左往する合間に見えるチルノちゃんの姿。胸元に可愛らしい向日葵が咲いており、腕や脚に蔦が巻き付いている。いつもの透き通る白い肌ではなく、褐色に近い。そして、チルノちゃんの冷気が氷の結晶を作り出し・・・・・・

 

 

 

 

 

小さなナイフを形成しt

 

 

 

 

 

「ルーミアちゃん!!危ない!!!!」

 

「っっっ!!!!????」

 

 

 

大妖精の声でギリギリの所で気付けたルーミアが、跳躍でチルノから大きく距離をとる。その服が縦に大きく裂け、柔肌に赤い筋が描かれていく。

動揺するレティの隙をついてナイフ圏内から逃れるコーチン。そして。

 

 

 

複数の鎖を気合砲で粉砕するチルノ。

 

 

 

「ふははははは!成功だ!」

 

「貴様ぁ・・・チルノに何をした!!!!」

 

「少しばかり洗脳を施したに過ぎん。電磁波で脳の一部の破壊も試みたが、どうも構造そのものが違ってのう。それでも、我らの駒としては充分じゃ!!!!」

 

 

 

目眩でその場に座り込む大妖精。大粒の涙が止まらず、声も出ない。レティも真っ青な顔に絶望の感情が浮かび上がる。

そして、怒りを覚えるルーミアのもとへと。

 

 

 

「【氷符】ソードフリーザー」

 

「っっ!!!!【闇夜】ダークネスクライスト!!!!」

 

 

 

氷の剣と闇の剣が正面からぶつかり合い、凄まじい不快音と衝撃波を辺り一面に無差別に撒き散らす。ビーカーが中の臓物ごと弾け、羊水が床一面に浸される。コードや機械もいくつかが破損し、これ以上の研究はもはや望めないだろう。

 

 

 

「ははははははははは!!!!!!!!素晴らしい!!!!この地は、無限の可能性を秘めておる!!!!」

 

 

 

狂ったかの様に笑い飛ばすコーチンを横目に、ルーミアは、チルノを睨む。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

その瞳に普段から見る抑揚だらけの光は全く確認出来ず、誰よりも鍛えられたはずの表情筋さえもが無言であった。無表情の殺意を正面から浴びたルーミアは、ゾッとする。

 

 

 

(素直で自由な妖精が感情を根こそぎ奪われたら・・・)

 

 

 

妖精とは、自然そのものの化身。妖精が元気であればあるほど、自然も活発になる。そんな妖精がこうなってしまっては。ましてや、チルノは妖精の中でも圧倒的に飛び抜けた力と影響力を持つ個体だ。何をしたのか知らんが、今のチルノは間違いなく霊夢や魔理沙達と遜色の無いレベルまでの更なる強化をされている。

 

 

 

(一回休みさせるか?いや、感情が抜けた妖精なんて前例が無い!復活出来る保証なんて無い!かといって、この状態で時間が経てば、幻想郷にどんな悪影響を及ぼすか!チルノの行動範囲は広すぎる!!!!)

 

 

 

倒すも駄目。放置も駄目。撤退なんてもっての他。どの選択肢を選ぼうが、チルノの安全はもはや皆無だ。洗脳を解こうにも、闇と氷と妖精だけではどうすることも出来ない。儀式や前準備も一切無く解決出来るであろう霊夢は使い物にならないし、紫はどこにも気配がない。

どうすればチルノを助けられるんだ!?

 

 

 

「【雪符】ダイアモンドブリザード」

 

「待て待て待て!!ここでその出力でそのスペルは色々とヤバイ!!!!!!!!」

 

 

 

ルーミア必死の叫びも虚しく、スペルが展開された。超高密度の氷の結晶が、縦横無尽に飛び交い、辺り一面をひたすらに破壊しまくる。辛うじて生き残った機械たちも一瞬でただの鉄屑へと変えられていく。柱さえも壊され、天井が続々と崩れ落ち、衝撃音だけで阿鼻叫喚の戦場となってしまう。

 

 

 

「ま、待て!氷仙人!一旦落ち着・・・・・・!!!!!!!!」

 

 

 

無差別に襲いかかる瓦礫と氷に、為す術なく断末魔をあげるDr.コーチンだが、感情を失ったチルノの耳には届かない。

 

 

 

「バカ氷精!!!!マジで止めろ!!!!!!!!」

 

「うわだだだだ!!!!????」

 

 

 

逃げ惑うルーミアとレティだが、凄まじい弾幕を前にして、自分が逃げるだけで精一杯だ。

 

 

 

「チルノちゃん・・・・・・チルノちゃあああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

更に崩れ落ちる瓦礫の雨に、悲痛な叫びが押し潰されていった。




どうも。冴月麟です。大役いただきました!いつも里でも元気で大人気のチルノさんが、あんな眼をするなんて・・・・・・もう助けられないなんて嘘ですよね?きっと何とかなりますよね?そうだと言ってください!!!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【勇気と決意のアイシクルフォール】
次回も、どうぞよろしくお願いします。



なんでよりにもよって、このタイミングで執筆完了してしまうんですか。精神的にもネタに走れませんので、今回はおちゃらけ無しでお送り致します。
この状態でも言える事だけ言って終わりますか。

2年近く凍結していたツイッターを再開しました。何となくの現状や時事ネタや気になったツイートへの反応など、色々やってますので、どうぞよろしくお願いします。
@gdL4JG0KvfaxbZ4
です。

ただいま無職です。退職からの再就活中で、現在面接終わりの連絡待ち状態です。待ちって結構辛いですね。応援よろしくお願いします。

今回はここまで。
皆様も、悲しみの心を忘れないでください。人の死に涙を流すことが出来れば、それはとてもとても素敵な事です。
被害者の方々もゆっくりで構いません。心も身体も回復出来るよう、心からお祈り致します。


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