ドキドキプリキュア 前日譚異伝~MISSING SWORD~ (メガネ虎)
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孤独な切り札

「始、お前は人間の中で生き続けろ・・・」

今から8年前世界を滅ぼしかけた戦いーバトルファイトーが起こった。

出会い、別れ、進化、克服、様々な出来事(カード)が4人の青年に手渡され、最後は世界を救うため『自分もジョーカーになる』というカードを仮面ライダーブレイドだった剣崎一真が掴み取りバトルファイトは中断に近い形で終わり、そしてもう一人のジョーカーである相川始にこの言葉を残し剣崎はどこかへ去って行った。

 

それから8年後

「・・フゥ」剣崎はどこかの高地をさまよっていた。

この8年の間、始と出会わないために世界の色々な所を歩き、泳ぎ、時には走った。

ジョーカーの闘争本能が目覚める可能性があるため人とはなるべく話さないようにもした。

しかしそんな生活には正直心の限界が来ていた、かつてのあの戦いの中こそ人生で一番充実していたといつも思っていた。

 

ーー戦いを止めるための決断によって戦いをしたくてしょうがないと思う生活になるとは皮肉なものだ、と剣崎は黄昏ていた。

 

 

しばらく歩くと偶然洞穴を見つけた。何故か一度見ると肌がヒリヒリする感覚があり、そこに行かなければならないような義務感のようなものもあった。

何かに導かれるかのように洞穴に入ろうとすると中年のメガネをかけた男性がこちらを見ていた、が体が洞穴に吸い込まれーーまばゆい光の世界に落ちて行ったのだった。

 

 

 

 

「うっ・・痛い・・」洞穴に入ったと思ったら突然開けた所に出てきていた。

けっこう浅い洞穴だと思ったが地下にこんな広い場所があったのかと一瞬思ったが空を見ると青く太陽が出ている、それに自分がここに来る時に入った穴が無くなっている。それにあの男性は一体誰だったのか?

 

辺りを見渡すと民家に❤や♣のマークが表札代わりに貼ってあり、床は♦のマークが敷き詰められた道路となっている。

あの高地には寂れた木造の家ばかりの貧しい村が点在しているのみだった、こんなに西洋式かつある程度経済発展したところが少し距離をおいて存在するとは思えない。

 

ーーもしかしたら異世界に来たのかも知れない。

始めてのことに剣崎は愕然とした。

そこに一匹の紫の猫が近寄ってきた、がなんと地面から浮いている。

 

さらにその猫は煙を放ったとおもえば大人の女性に変身して「大丈夫?」と声をかけてきたのだ。

異世界に来てしまいそこで猫が宙を浮いて大人の女性に変身するという「ぶっちゃけありえない!」と思わず言ってしまいそうな状況が次から次へと起こったため、長い間同じような風景を歩いていてかつてのような適応力が落ちていた剣崎は気絶してしまった。

 

「あぁ、やっと気がついた、気分はどう?」目を覚ますと先ほどの女性がいる。あの後自分の家にでも連れて行って治療してくれたのだろうか。

「あなた体から緑色の液体が流れてるけど本当に大丈夫?取り敢えずきれいに拭き取っておいたわ」どうやら自分の体(ジョーカー)の一端を見られてしまったらしい。

 

ーーこれはまずい。

そう思った剣崎はすぐさま礼を言い、部屋から飛び出して行った。

だがまるで迷路のように入り組み天井は高く部屋の1つ1つも広いためどこが出口か見当がつかない。

考えてみればおかしい、大人の女性1人住むのにこれほど広い家が必要なのか?

もしかして家ではなくもっと別の場所ではないか?

ではここは一体どこなのか?

 

 

そんな考えがぐるぐる回っているうちにさっきの女性が追い付いた。

「ハァハァ・・やっと見つけたわ、取りあえす一回話さない?」

 

この状況がわからない以上この女性の話に乗るしかないと剣崎は女性についていくことにした。




1話完成しました。
剣崎はディケイドにも出てない設定とします、


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状・況・確・認

今回は殆ど説明です。


「さて、色々話してくれる?」最初に目覚めた部屋に戻り女性と向き合って話すことになった。

 

こうしてまともに話すのは久し振りだ。闘争本能のことは心配だが決めた以上やるしかない。

 

「私の名前はDB、よろしく」「お、俺は剣崎一真 だ。よろしくな!」やはりぎこちない、しかし人(?)と話せたことに剣崎は久方ぶりの喜びを感じていた。

 

 

その後段々と口が回るようになり色んなことを聞けた。

まずここはトランプ王国の王宮内であり、DBはそこの王女専属の歌手のお世話役として王宮に住んでいること、トランプ王国は地球とは違う異世界であること、妖精は訓練すれば人でもヤカンでも椅子でも何にでも変化できることを教えてもらい女性はあの紫の猫の姿や剣崎の身長を優に越える大きなドラゴンに変化した。

 

「さて今度はあなたのことについて聞こうかしら。」再び女性の姿に戻ったDBは剣崎に色々質問した。

 

まずトランプ王国のことを知らなかったことで地球出身は分かったのでどこ出身なのか。

そしてあの緑色の液体はなんなのか。

 

最初の質問は正直に日本出身と答えたが次の質問は答えられなかった。ここで「私はジョーカーという化け物だ」等と言ったらせっかく掴んだ希望を離してしまう。

どうしようか迷っているとふと先ほどDBが話した歌手のことが気になった。

 

「お前がお世話しているという歌手の方はどんな人何なんだ?」と聞いた。すると彼女は嬉しそうに話し始めた。

 

「あの子は凄いわ。周りを感動させる歌声を持っているし、少し教えただけでどんどん磨きがかかっている。しかも王女様を守るためにプリキュアになる修行にも耐えて来週正式に任命されることになったの。」

 

何とか誤魔化せたがまた新しい言葉が出てきた。プリキュラ?三十路になった者には覚えにくい単語だ。

「プリキュア、トランプ王国を守る為に妖精と人が力を合わせて変身するこの世界のヒーローよ。」

 

そうか、こっちにも世界を守るヒーローがいるのか。かつての自分達を思い出し、シンパシーのようなものを感じた。

「そろそろ、こっちも仕事に戻らないと。隣は空き部屋で滅多に使わないから使っても大丈夫よ、そこでゆっくり休んで。」

「本当にありがとな!」礼を言ってDBと別れ、空き部屋に入った。

 

滅多に使わないという割には綺麗に掃除されている。けっこうな数の部屋があったはずだがたくさんメイドがいるのだろうか?そんなことを思いながら久し振りにベットで眠りについた。

 

 

眠る直前、あっ歌手の子の名前聞いてないと思ったが次の瞬間から意識は真っ暗闇に堕ちていった。



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邂逅ー剣と剣ー

次の朝、ジョーカーの体のおかげで怪我はまるで最初からなかったかのように消えており剣崎は外に出ることにした。

 

昨日のDBとの会話で人と話す位ならジョーカーの闘争本能は心配無いことも分かり安心すると同時に今まで話さなかった事を少し後悔した。

 

たまたまそこらへんにいたメイドさんに出口を聞いて出口は結構簡単に見つけることが出来た。

 

出口を見つけるまでの道のりの中で2つの発見があった。

 

1つはこのトランプ王国には一人でに掃除を完璧にやってくれるロボットがいたことだ。滅多に使わないと言っていた部屋さえとても綺麗に片付けていたのも納得できる。

ーー地球にきたら間違いなく売れるな、そんなことを剣崎は思った。

 

もう1つはDBと会ったことだ、怪我が跡形もなく消えていることに違和感を持たれたがその時メイドの一人がDBを呼び再び何とかこの場から救われたのだった。

 

 

王宮を出てみると昨日見たようなトランプのスートが民家に、人々の服に、と街の至る所にあった。

ーー流石トランプ王国なだけに、すごいな。剣崎はそんな風景に感動していた。

 

 

少し歩くとどこからか人の歌声が聞こえてきた。透明感がありそれでいてよく響いている、耳を澄ませるとどうやら自分の正面にある小さなホールから聞こえてくるようだ。

 

ホールに入ってみると一人の女の子が歌を歌っていた。

紫色のショートカットで目がキリッとしているのが印象的である、まだ中学生ぐらいだろうか。

 

女の子が歌を歌い終えると剣崎は拍手していた、すると女の子は怪訝に思ったのか「・・・どちら様?」と聞いてきた。

「ごめん、ごめん。思わず拍手しちゃった。俺は剣崎一真よろしくな!」

女の子は呟くように「・・マコトよ」と言った。

「そうか、もしかして王女様専属の歌手って君のこと?」

「・・そうよ、でも今王女様は病気で寝込んでいるから私の出番はないわ。・・何で知ってるの?」

「君のお世話役の人に聞いたから。」

「・・ふうん」

 

・・全然会話が続かない。何かもっと話の種になるようなことはないかと辺りを見回すと1つ違和感を見つけた。

「友達とかは?一緒にいる人とかいないの?」若い女の子が一人でいることを不思議に思い聞いてみた。

すると「・・いない。・・別にいらないし。」

 

返ってきたのは少し寂しい回答だった。

そんな回答に剣崎は思わず反論せずにはいられなくなった。「そんな事はないよ!友達とか仲間はどんな時も助けてくれるものだよ!!」かつてかけがえの無い仲間達に出会い、時には戦うこともあったが最後は自分の為にそしてジョーカーである友を救うために命懸けで戦いを挑んだ、そんな経験が剣崎を熱くさせた。

 

 

・・が突然声を荒げたことにマコトは引いているようだ。

「・・ごめん」我に帰り恥ずかしく思った剣崎はマコトに謝った。

 

それから数十秒の沈黙が流れたが、突如ゴシャァァ!!という音がその沈黙を破った。

 

 

ホールの外に出るとーー巨大なゴリラやイカが街に降りたっていた。

 

 




如何でしょうか?
次回はバトル回となります、お楽しみに!


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嫌われ者のJOKER

今回はバトル回です。
ここでマコトの先輩プリキュアが登場します。
さらに剣崎も・・・!?


「ジーーコチューーーー!!!!」

「あ・・あれはジコチュー・・・」マコトは恐怖を押し殺しきれない声で巨大なゴリラやイカの正式名称を言う。

 

よく見るとどちらも真っ黒いハートから悪魔の羽根が生えている意匠が施されている。

「ジコチュー?そりゃ何なんだ一体?」

「・・1万年前に現れた人の自己中な心から生まれた私達の敵、1万年前に封印されていたということ位しか私も知らないの。」

自己中な心から生まれたジコチューとはそのまんますぎるが昨日のプリキュアよりはずっとましだ。

 

 

「何か対抗手段はないのか?」

「プリキュアの力しか思いつかないわ・・」マコトがその考えを示したと同時にまぶしい光と共に女性の声が聞こえてきた。

 

「プリキュア!ラブリンク!!」

そして颯爽と二人のプリキュアが現れた。

「灼熱の弓矢!キュアラルク!!」深紅の赤にエースの紋章がちりばめられ、艶やかな赤く長い髪の戦士はそう名乗った。

 

「凍てつく一撃!キュアランサー!!」ショートヘアにお団子が乗っておりラルクより動きやすそうなミニスカートにラルクと同じエースがちりばめられた緑の戦士はそう名乗った。

 

「「愛を無くした悲しきジコチューよ!」」

「このキュアラルクが射抜き」

「このキュアランサーが打ち砕く!」

 

二人のプリキュアがジコチューに指をさして啖呵を切ってジコチューと戦闘開始した。

イカジコチューと戦うラルクは触手を半歩ずれたり、ジャンプして華麗にかわしながら一瞬の隙を矢のような形をしたエネルギーの塊をジコチューに撃ち込む。

 

ゴリラジコチューと戦うランサーはジコチューのパンチを受け止め、その大きな拳を持ち上げて地面に叩き付ける、隙ができたところに槍のように固めたエネルギーをジコチューに切り裂いていく。

 

 

「すげえ、一流の動きだ・・!」剣崎は二人の技に思わず息を飲んだ。

「二人ともたくさんの戦いをくぐり抜けたベテランよ。それにラルクさんは私の先生でもあるの。」

ーー先生・・昨日DBが言っていたプリキュアのことか。一週間後どんな戦い方をするのだろう。

 

剣崎がそんな事を考えているとまた大きな地響きが鳴った。

「ジーーコーーーチュー!!」今度は大きなカニのジコチューが出現。

 

それに気付いた二人のプリキュアは助けに行こうとするがそれはジコチューに反撃のチャンスを与えてしまう。ラルクは触手に四肢を絡められランサーはゴリラジコチューの渾身のパンチに吹き飛ばされた。

 

「っ・・」決して顔には出さないようにしているがマコトは足をガクガクさせており動けなくなっている。

 

大ピンチ。

 

 

その時彼は久し振りに正義感が心の中で燃え上がったような気がした。

 

「マコト、君は早く向こうに逃げろ!」「何するつもり!?」「いいから!」剣崎はマコトを裏に逃がし誰も自分に視線がない事を確認した。

 

「グウゥ・・・ォォォオオオオオオオオオオ!!!!」獣のような力を込めた声を張り上げる。

すると剣崎の体は青く光りだしそして青と黒の化け物(ジョーカー)になった。

 

 

 

ーー数十秒前。

剣崎に強引に逃げるように言われたマコトは、その後大きな叫び声が聞こえ建物の陰から覗いて見ると黒い体に所々青い皮膚のあるまるで悪魔(ジョーカー)のような姿の化け物がそこにいた。

 

「・・・!?」驚きを隠せない。さっきまで仲間の大切さを少々暑苦しく説いていた男性が化け物になっているということがにわかに信じられなかった。

 

ジョーカーはかつてコーカサスビートルアンデットが使っていた切っ先の長い剣を持ち、さらに自分の影からダークローチを9体召喚。それぞれジコチューに攻撃するように指示し自身はカニジコチューとの戦いに専念した。

 

ローチはイカジコチューの触手をほどきラルクを救出、ランサーに追撃しようとしていたゴリラジコチューに向かったローチはパンチをかわして後ろから、横から、足元にむかってコンビネーション攻撃を浴びせ足止めしその隙にランサーは立ち上がりある程度距離をおくことができた。

 

カニジコチューに対してもローチがその太く大きいハサミとは逆に細く脆そうな足を攻撃し体勢を崩す間にジョーカーの剣の一撃が右側のハサミにヒビを入れることに成功。

このまま押しきれるかと思った矢先ーー

 

 

「グァァ・・・ゥゥゥ!!」ジョーカーが苦しみだした。

ーーもう限界か。

ジョーカーの闘争本能が抑えられなくなったことを悟った剣崎はすぐにローチを戻そうとするが、「ジーーコッ!!」そうはさせまいとカニジコチューがハサミを何度も降り下ろして攻撃し上手くいかない。

 

 

 

ーーどうしよう、どうすればいいの?

マコトは苦悩していた。自分の先生を助けてくれた剣崎を助けたいが今の自分には何もすることはできない。ラルクもランサーもそれぞれのジコチューで精一杯のようだ。

 

辺りを見回すと少し手より大きく尖った瓦礫を見つけた。これをジコチューにぶつけて少し隙を作れるかもしれない。

恐る恐る近づきお覚悟を決めて投げつけようとしたその時、白馬に乗った甲冑の兵士がジコチューに槍を振るった。剣崎は何とかジコチューから離れローチを全て戻しきり、人間体に戻れた。

 

マコトは腰が抜けた。何故なら剣崎を助けたのは重い病気で寝込んでいるはずのトランプ王国王女マリー・アンジュだったのだ。

 

「悪い、サンキューな!!」剣崎は礼を言うと腹部からベルトを出現させた。まるで仮面ライダーカリスのカリスラウザーのようだがベルトにはハートのマークではなくスペードのマークが彫られている。

 

そして一枚の中央にスペードが描かれたカブトムシのAのカードを手にしてかつての友(カリス)と同じポーズをとり、「ヘシン!」少し滑舌の悪い掛け声を叫びカードをスラッシュした。

 

 

「チェンジ」 剣崎の体はみるみるうちに変わり先程のジョーカーとは違う姿のヒーロー「仮面ライダーブレイド」が8年ぶりに甦ったのだった。




力は強いが闘争本能の強さ故に長くは戦えないジョーカーに代わり少しスペックは落ちるけれど暴れる心配はないということでブレイドに変身してもらいました。

そして先輩プリキュアとしてオリキュアを二人作りました。
ここで基本的な紹介を。
キュアラルク/ナツミ
炎の力を持つプリキュア。アクロバティックかつ華麗な動きで相手を翻弄し、矢を射るようにエネルギー波を放ちダメージを与える。
ナツミとしてはプライドが高く格式を重んじる性格。

キュアランサー/マキ
氷の力を持つプリキュア。どんな相手にも力押しで攻めていき投げ飛ばす、叩き付ける等の力任せな戦い方を好む。
槍のようなエネルギーを固めた突きの攻撃は少し格上の相手さえ貫くほど。
マキとしては男勝りで明朗快活。頭を使うことはあまり好きではない。

モチーフはブレイドの劇場版に出たラルクとランス。ランスはそのままの名前だとロゼッタの妖精と被るので少し変えました。


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出陣、仮面の騎士!

今回はブレイドの活躍を描きます。
この小説で書きたいと思った光景、「ブレイドが大量のジコチューを圧倒する」を書けて良かった!!


「オォーーー!ウェイ!!ウェイ!!」ブレイドは奇妙な掛け声と共にカニジコチューにパンチを次々に決めていった。

久し振りにブレイドに変身し、戦い方を忘れていたが段々と勘を取り戻していく。

 

「ハァッ!ウェーイ!」ブレイドはベルトの脇にさしてあった剣「醒剣ブレイラウザー」を抜いて斬りかかる。

ジコチューも負けじとハサミを降り下ろすがブレイドは慌てず前転してかわし、ボディに確実な縦一閃の斬撃を繰り出す。

 

 

最初はまるで初陣を飾ったローカストアンデット戦のような勢い任せな戦い方だったが今では物語終盤のような洗練された戦い方に変化し、それに呼応するようにベルトのラウザーが光を放ちながら形を変えていきブレイバックルになった。

ここに完全なるかつて世界を救った仮面ライダー(ヒーロー)が復活した証拠だった。

 

 

「ジーーコチュー!」「キャーー!!」「ウワーーー!!」

一方の二人のプリキュアはジコチューに満身創痍になりぶっ飛ばされた。

 

ベテランとはいえ1万年ぶりに甦った巨大な化け物と戦い、プリキュアになるための訓練を受けてはいるがまだ一般人である教え子を庇う途中で大ダメージを食らったのだから。

 

邪魔者がいなくなったジコチューはブレイドの方を向き戦闘体勢になる。端から見れば卑怯と言われそうな3vs1の戦いにブレイドは追い込まれてしまった。

 

しかしそれでもブレイドは動揺することなくジコチューに挑んでいく。

 

まずイカジコチューに斬りかかるが後ろからゴリラジコチューのパンチが振りかかってきた。さらにイカジコチューも触手を伸ばしてブレイドを拘束しようとする。

だがブレイドはそれを全て悟った上でブレイラウザーの持ち手の部分を展開する。

 

そこには13枚のカードが収納されておりそこから2枚のカードが独りでに浮遊しラウザーの切っ先にあるカードの読み取り部分にスラッシュしていった。

 

ピピピッ「メタル」ピピピッ「スラッシュ」

電子音が鳴り響きブレイドに力を与える。

 

ゴリラジコチューのパンチを「メタル」で硬質化した体で受け止め、「スラッシュ」でブレイラウザーの威力を上げて触手を切り裂く。

 

 

「ジコォ・・・」ゴリラジコチューは自分の拳より固いものを殴ったようなのか手を赤くし、逆にダメージを受けたようだ。

「ジコッ!?」イカジコチューも自分の触手を全て斬られてしまい驚いている。

 

 

ふと、ブレイドはカニジコチューを見るとカニジコチューはマコトを追い詰め今にも襲いかかりそうだ。

ブレイドは再びラウザーを展開し

 

ピピピッ「キック」ピピピッ「マッハ」ピピピッ「サンダー」

今度は3枚のカードをスラッシュした。

「ライトニングソニック」 コンボをスラッシュしたことで通常とは異なり必殺技をラウザーが呼称、するとブレイドの体が白く輝き陽炎のように揺らめく。

 

ラウザーを地面に突き刺し目にも止まらぬ速さでカニジコチューの元に駆けジャンプし「ウェーーーーイ!!!」電撃を帯びた飛び蹴りを必殺の雄叫びと共に決める。

 

カニジコチューは事前に攻撃することを察知しハサミで受け止めようとするがジョーカーに入れられたヒビの部分を蹴られハサミを貫通、ボディに炸裂しジコチューは大爆発。黒い体を剥ぎ取られるように消滅した。

 

そこからピンク色のハートが出て、くっ付いている白い天使のような羽で元の持ち主の所へ還っていった。

 

ジコチューが一体消滅したことに勇気付けられ二人のプリキュアは最後の力を振り絞り、必殺技を残りのジコチューに放った。

 

「燃え盛れ!プリキュア・ハイヒートボウショット!」

ラルクは加熱してもはや直視できないほど熱い矢のようなエネルギーをイカジコチューに打った。

「ラーーブ、ラーーブ、ラーーーブ!!」触手を全て斬られて防御も回避もできずイカジコチューは真っ正面から当たりそのまま断末魔のような叫びと共に浄化された。

 

「砕け散れ!プリキュア・スノースライドスピアー!」

ランサーはゴリラジコチューよりも遥か高く飛び上がり、氷の力を集め氷山のような槍の切っ先を創りそれをジコチューに突き刺した。

 

「ラーーブ、ラーーブ、ラーーーブ!!」自慢の拳が使えなくなったゴリラジコチューは呆気なく浄化された。

2体のジコチューが浄化され、空から光が差し込んだ。バトルフィールドとなった街の建物は綺麗に修復され、マコトが持っていた瓦礫も消えた。

 

「チィッ・・!何なのだあの仮面の野郎は!!」「まぁまぁー、トランプ王国の戦力がどれ程かわかって良かったじゃなーい。今日のところはぁー撤退しましょーよぉー」

 

ジコチューが消えたことを怒る黒いスーツに宝石のようなものの指輪を着け腕組みする背の高い男ーーゴーマとそれを独特の口調でなだめる淡いピンクの服を着た小学生位の見た目の女ーールスト。

 

二人の幹部がジコチューを操っていたのだ。

「それにしてもあのカニジコチューは誰なのだ!誰が動かしたのだ!!」「まぁまぁー」再びゴーマをルストがなだめながら二人の幹部は自分のアジトに戻っていった。

 

 

ーー何もできなかった。

一方マコトは先生のピンチも剣崎のピンチも救う事ができないという事実に唇を噛んだ。

ーー絶対救ってみせる、プリキュアになったらみんなを助けてみせる。

マコトはそんな思いを胸にしまってラルクや王女様の所に駆け寄った。

 

 

「マコト!無事だったのね!」DBが安堵しながらマコトの無事を確認した。ジコチューの出現地点がマコトがいつも歌の練習をしているホールのそばだと知るとDBはマリー・アンジュに頼んで一緒に連れてきてもらっていたのだ。

 

ラルクもランサーも変身を解くとそのまま地面に倒れこんだ。マコトとDBはラルクに肩を貸し、マリー・アンジュはランサーを馬に乗せた。

 

 

剣崎もバックルを操作し、変身に使用したカードを抜いて変身を解除した。マコトに自分の2つの正体を知られてしまいこれ以上はいることはできない。

 

少し名残惜しく思いながら剣崎は何も言わずに立ち去ろうとすると「・・ちょっと待って!」

後ろを向いた剣崎にマコトが呼び止める。

「・・・ありがと。」

 

 

予想外だった。人を助けたとはいえ化け物(ジョーカー)に変身してしまった自分が感謝されるとは思っていなかった。

とはいえ何年ぶりかに褒められ剣崎は笑みを浮かべた。

 

「そうね、私からも今は動けないプリキュアに代わって救ってくれたことを感謝するわ。本当にありがとう!」

騎士風の女性も続けて礼を言う。物腰穏やかではあるが気品のある態度、かつ装飾の美しい鎧を着けてる辺り王家の者だろうか。

 

「いえいえ、こちらこそ助けてくれてありがとうございます!」事実この女性がジコチューに隙を作ってくれなかったら間違いなく自分は敗北していただろう。剣崎も礼を言いお辞儀をした。

 

「その力を私たちに貸して欲しいのだけれど、ここでも何ですから王宮で話しませんか?」その女性は剣崎に1つの提案をした。

 

 

 

剣崎は知らなかった、これからこの王国で最悪の事態と戦いが巻き起こることを。

 




色々やって見たい演出をブレイドにやってしまったのでその説明を。
・何故剣崎はブレイド最終回で所長によって封印されたラウズカードを持っていたのか→剣崎がジョーカーになるきっかけになったキングフォームは使いすぎると人間と13体のアンデットが完全に融合してしまう性質を持っており、それによって体に染み込んだアンデットの力をカードとして出せるから。
・カリスラウザーがブレイバックルに変わった→ブレイドに変身する「チェンジビートル」をスラッシュしたことで時間差があるとはいえカリスラウザーもブレイバックルに変身した。
・仮面ライダーがジコチューを消滅させた→ブレイドが必殺技を放った際に起こる爆発の光がジコチューの闇を消滅させプシュケーを抉り出している。
次回は第1章のまとめをお送りします。お楽しみに!


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王女と王に何が起こったのか

トランプ王国王宮ーーそれはやはり剣崎が最初DBに助けられ、匿われた場所であった。

その事についてトランプ王国の王女、マリー・アンジュは

「そうなの、でもおかげでジコチュー達を何とかできたから今回は許すわ。」

「申し訳ありません、王女様・・・。」

DBを注意するのみでお咎めは無かった。

 

DBにしても王女にしてもこの国の人々は皆良い人ばかりでさっきのようなジコチューは出てきそうに無さそうな所なのにどうしてなんだろう、と剣崎は考えていた。

 

 

あのジコチューとの戦いでラルクとランサーは大怪我を負い現在病院で治療を受けている。

そうしているうちに王宮の広間に到着、まるでドラマやアニメに出てくるような王様が座る玉座やきらびやかな装飾が飾られており剣崎は目をまん丸くしていた。

そして王女は剣崎とマコト、DBや近くにいた側近の方達に話を始めた。

 

 

 

「まず私は皆が知っているように病気で寝込んでいたわ。今の王国では治療は無理に近いほどの重病でね。

だけど、ち・・王が黄金の冠(エターナルゴールデンクラウン)を使って治すことに成功したの。」

 

「エターナルゴールデンクラウンはかつて1万年前にプリキュア達がジコチューを封印した禁忌の秘宝、わたくし達は何度も王様を止めたのですが・・・」申し訳無さそうに側近の人達が王女の話に補足した。

 

「そう、そのせいか私の病が治ると同時に王は姿を消した、今兵士達に頼んで探してもらっているわ。」

「ならば私達も捜索を手伝います。マコトもいいよね?」DBがマコトの方を見るとマコトも首を縦に振った。

 

「俺も手伝います!まだそれほど時間も経ってないから遠くには行ってないはずだし」剣崎も名乗り出た。

 

「その気持ちは嬉しいけどみんなには他にやって欲しい事があるの。」そう言ってマリー・アンジュはマコトの方を向いた。

「プリキュアはジコチューと戦う為の戦士とはいえジコチューは1万年前に封印され今ではラルクとランサーの2人しかいない、けれど今日ジコチューは復活してしまった。そこでマコト、あなたは少し予定を早めて明日あなたをプリキュアに任命します。」

 

「・・・!?・・・頑張ります・・。」

突然の事態に驚きながらもマコトはプリキュアへの任命を受けた。

反面その事を嬉しく思った。今日のように何も出来ないことが明日から無くなるのだから。

 

 

「そして剣崎さん、あなたはプリキュアではありませんがそれに準ずる能力を持っています。その力を私達トランプ王国の為に貸して欲しいのですがよろしいでしょうか?」

 

今度は剣崎の方を向いてマリー・アンジュは頼みを言った。

先ほどの戦いで久し振りに8年前のような性格に戻れた剣崎にこの質問の答えは1つ

 

 

「はい!もちろんです!!」

人々を守るために戦いの渦中に入ることのみだった。

 

 

「では、明日11時30分よりマコトの任命式を開始します。」

「「「はっ!!」」」マコト、DB、側近達は答えそれぞれの準備に取りかかり始めた。

 

 

剣崎も食事をした後、戦いの疲れがどっと出たのかぐっすり眠った。

 

 




これでこの話は一段落付きました。
次回はマコトことキュアソードの初陣回になります。
お楽しみに!


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Sの誕生/スマイリングヒール

翌朝9時、剣崎はマコトのプリキュア任命式を前にラルクとランサーが入院している病院に見舞いに行った。

一夜明け二人とも恐るべき回復力を見せ、夕方にはもう退院できるらしく剣崎は二人としばらく話すことができた。

 

「昨日は申し訳ありません、長くプリキュアをやっている身として情けない限りです・・」

「にしても、お兄さん強いね!どんな鍛え方してるの?」

 

ラルクに変身していたナツミは王女のような上品な言葉遣いで剣崎にすまない気持ちを伝え、ランサーことマキは砕けた話し方で剣崎の強さを賞賛していた。

 

その後剣崎はマコトが緊急事態の為、今日プリキュアに任命されることを伝えるとマコトの先生を務めたナツミは「そうですか・・」と感慨深く目に涙を浮かべた。

 

伝えるべきことを一通り伝え、剣崎は病院を出ると、時計は11時を指していた。

 

 

急いで任命式の行われる王宮に戻ろうとすると突然灰色の壁が現れ、そこからクリーム色の帽子にコートを着た眼鏡の中年男性が現れ、いきなり衝撃的な言葉を口にした。

 

「剣崎一真、いやブレイド(・・・・)。貴様はこの世界に影響を与えている、あの男と同じにならない為にもすぐに私と来て欲しい所がある」

「何言ってんだ!・・・ってあんたは!」

 

剣崎にはその中年男性に見覚えがあった、何せそもそもの発端となったあの洞穴に入る直前に彼は剣崎を見ていたのだから。

「私は鳴滝、・・ただの仮面ライダーの味方だ。もう一度言う、世界に悪影響を及ぼさない為にもこの世界から出ていき私と来て欲しい。」

 

突然出てきたと思ったら勝手な事を言ってくるこの鳴滝とかいう男に対する答えは1つしか無かった。

 

 

「断る!こっちもやるべき事ができたんだ!!」

剣崎がそう答えると、鳴滝は鼻で軽く笑って言い放った

「仕方がない、では力づくで連れて行く!!」

 

言葉が終わると共に再び灰色の壁が出現しそこからまた一人今度は青年が現れた。

「申し訳ございません!このような状況で!!」

張り付いたような笑顔で謝罪する青年だが、その目は笑っていない。

 

以前どこかで会った気がする顔ではあるが、今まで生きてきて出会った事がない雰囲気、そして笑顔を見せる青年に剣崎は思わず絶句したのだが、そんなことを気にせず青年は更に続ける。

 

「申し遅れました!(わたくし)仮面ライダーグレイブと申します!!貴方の力試してあげましょう!! ・・変身」

「open up」

 

彼は巻かれていたベルトにある扉を開く、するとそこから金色の畳のようなゲートをくぐりAの字を模した戦士ーー仮面ライダーグレイブへと変身した。

「ヘシン!」「change」

 

対する剣崎も腹部からベルトを出現させ、チェンジビートルのカードをスキャン。

変身システムは違えど剣崎はグレイブより前に作成され、スペードを模した戦士ーー仮面ライダーブレイドに変身した。

 

 

二人はそれぞれブレイラウザー、グレイブラウザーを構え一気に距離を縮めつばぜり合いに持ち込む。

本来のスペックではグレイブが有利なのだが、多くの戦いによって研ぎ澄まされた戦闘勘、そして体をジョーカーに変えたことによりブレイドが押していた。

 

「そこを退()いてくれ!俺は仲間の所に行かなければならないんだ!!」

「『仲間』か、良い台詞だ。感動的だな、だが・・」

 

そう言いながらグレイブは一歩引いた。

するとこのまま押しきろうとしていたブレイドは押す対象を無くし、バランスを崩す。

そこにグレイブの強烈な横一閃が炸裂、ブレイドはブレイラウザーを思わず離してしまい大きな隙ができてしまう。

 

 

「・・無意味だ」その言葉と共にグレイブの右の拳がブレイドの腹を撃つ。

「グフッ・・!」あまりにも強い腹パンにブレイドは倒れこむがグレイブは攻撃の手を緩めずグレイブラウザーで更に斬りかかる。

 

何とか転がりながらかわしていき、態勢を整えたブレイドだがダメージを受けた腹に手を当てている。

「何故この世界に居ようとするのです?自分の身を分かっているのですか?」

 

ジリジリ近づきながらグレイブはブレイドに疑問をぶつける。

「あぁ・・分かっているさ!だけどそんな俺を、ジョーカーであるこの俺を、この世界の人は受け入れてくれた!今この世界では大変な事が起こっている、今度は俺があの人達を助けるんだ!!」

「フンッ・・感動的だな、だが!」

 

剣崎の言葉を鼻で笑い、グレイブは再び距離を詰めブレイドの腹にあるベルトを突き刺す。

 

 

ーーブレイドごときに勝ち目は最初から無い。

仮面の下でニヤリとして勝負を決める。

だがブレイドは諦めていなかった、落としたブレイラウザーはひとりでに13枚のカードを展開しそこから1枚のカードが浮き上がりスキャンされる。

 

ピピピッ「ビート」

そのカードは離れた場所にいるブレイドの右腕に逆転の一手を与えた。

 

グレイブの突きを紙一重で避け、渾身の右ストレートがグレイブの腹に突き刺さる。

「グッ・・!?」完全に勝ったと確信していたグレイブは何が起こったのか分からず思考停止、後ろに大きく吹っ飛ばされた。

 

ピピピッ「マグネット」

ラウザーはもう一枚のカードをスキャン。

ブレイドの体は金属を引き寄せる磁石となり、金属でできているブレイラウザーを引き寄せ素早く反撃に出る。

 

 

形勢を逆転されたグレイブはブレイドのようにグレイブラウザーを展開し、一枚のカードをスキャンする。

ピピピッ「マイティ」

「グラビティスラッシュ」

 

ブレイドも同じように展開、二枚のカードをスキャンする。

ピピピッ「サンダー」ピピピッ「スラッシュ」

「ライトニングスラッシュ」

 

共に必殺技の準備を終え、ブレイドはグレイブにブレイラウザーを降り下ろし、グレイブも力を込めた居合で迎え撃つ。

ガキィィィィン!

二人の剣の戦いの決着に勝利の女神は

 

 

 

 

 

 

ブレイドに微笑んだ。

ブレイドがグラビティスラッシュを押しきり、グレイブの胸を深く抉るほどの斬撃を見舞ったのだ。

「申し訳ありません、鳴滝様・・・」

グレイブは負けを認めると灰色の壁に飲まれ元の世界に返っていった。

 

 

「おのれブレイドォォォォ!次こそ貴様を絶対に連れ戻して見せる!!」

そんな捨て台詞を吐きながら鳴滝も灰色の壁に飲まれていった。

 

何とか勝利し、剣崎は変身を解くがそれと同時に地べたに座り込んだ。

やはりダメージは相当なものであるらしい。

しかし時計を見ると11時25分を少し過ぎている。

 

剣崎は痛む体を押さえながら急いで任命式の行われる王宮に戻った。

 

 

一方、こちらトランプ王国の王宮。

マコトはDB・・もといダビィと心を合わせプリキュアに変身し、王女マリー・アンジュにひざまづいていた。

 

ジコチューが蘇り、危機感を感じている国民も多く、それに対抗できるプリキュアが増えるということで王宮の外にはトランプ王国のほとんどの国民がその場を埋め尽くしていた。

剣崎はその群衆をかき分け王宮の外からマコトの姿を見ていた。

 

王女マリー・アンジュはプリキュアになったマコトにとある言葉を贈った。

「マコト、貴女を只今よりプリキュアに任命します。これからは『キュアソード』を名乗りなさい。」

ここにキュアソードが誕生した瞬間だった。

 

外の民衆にも大臣の一人が新たなプリキュアの名前を告げ、皆それぞれの反応があった。

「マコトちゃん、遂にプリキュアかぁ。たまにお菓子買いに来てくれたあの頃が昨日のようだ」

「いやぁ、歌もうめぇが戦いにも赴くなんてすげぇよなぁ。」

トランプ王国のお菓子屋さんの店主は涙を浮かべ、いっしょに話していたおっさんもうんうん頷いている。

 

 

「キュア・・ソードかぁ」

剣崎も新たなプリキュアの誕生を祝っていた。

そして全ての事を終え、任命式は幕を下ろした。

 

 

「ジーーーコッッチュー!!」

とそのとき、二体のハゲ鷹のようなジコチューが王宮に飛来してきた。

マコト・・もといキュアソードはジコチューの元へ駆け出した。

キュアソードの戦いが今始まる!




いかがでしょうか?
来週はキュアソードの初陣を描きます。
お楽しみに!!


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Sの誕生/今、光の中で

Sの誕生後編、ヒーローらしく最初はちょっと補整かかってる位カッコ良く書けるよう努力しました。


「ジィコチューよー、ここら一帯をぉー襲ってしまいなさぁーい。今ならぁープリキュアいなぁーいから大丈夫よーん」

「「ジコチュー!!」」二体のハゲタカジコチューを操っていたのはルストだった。

気だるい物言いとは裏腹に敵側の状況を冷静に把握したやり方で王宮に襲いかかる。

 

「ダビィ・・行くよ!」「もちろんだビィ!」

マコトはパートナー妖精であるダビィと覚悟を示し合い今まさに暴れようとしているジコチューのいる戦場に向かった。

 

「い、いやぁ・・」「ジコッチュー!」

その戦場には何の関係も無い女の子がジコチューに襲われそうになり、女の子は動けずへたれこんでいた。

「プリキュア!ラブリンク!!」「L O V E(エル オー ブイ イー)!!」

人間体でも妖精の姿でもない手のひらサイズのデバイス「ラブリーコミューン」になったダビィに王女から頂いた宝石「キュアラビーズ」を装着、更に液晶部分にLoveの字を描くとマコトの体は光に包まれその状態で女の子の方へ走り出す。

 

女の子を抱きかかえて安全な場所へ移動させ、ジコチューに攻撃を加える。

「ジコッ!?」ラルク仕込みの素早い動きにジコチューは動きを止める。

「あーら、まだプリキュアってぇーいたのねぇー。・・何者かしら?」

計画が外れた怒りを抑えながらルストは光の正体を確かめるため光弾を放つ。

 

光はそれをかわし、光弾は地面に着弾すると盛大な砂ぼこりを上げた。

それが晴れると遂に光の正体は全貌を現した。

 

全体的に紫をベースにした衣装を纏い、髪を留めるピンやイヤリングにスペードをあしらった戦士はルストのご要望通り名乗り上げた。

 

「私は剣、王女様をそして皆を護る最後の剣!」

ーーもう昨日とは違う、今度こそ私が護り抜くんだ!

そんな思いを胸にして、紫のスペードのプリキュアはラルクもランサーも居ない悲しさの残る背中を向けた。

「勇気の刃!キュアソード!!」

 

「・・なぁーんだ、ただの新人さんじゃなぁーい」

まだプリキュアが残っていたと思ったら別に大したことはなかったことにルストは拍子抜けしてしまった。

 

「このキュアソードが愛の剣であなたの野望を断ち切ってみせる!」

そんなルストにキュアソードは手でスペードの形を作り、先輩プリキュアと同じく啖呵を切った。

 

「・・やれるものならやってみな。ジコチュー!やれ!!」

「「ジコチュー!!」」

ルストはジコチュー二体に指示し、プリキュアに襲いかからせた。

 

「プリキュアー!がんばってー!!」「そうだー!がんばれー!!」「いけーー!」

先程助けた女の子を筆頭にプリキュアへ声援が送られた。

 

その言葉を受けソードはジコチュー二体に挑む。

ソードはまず紫色のスペードを模した剣のエネルギーを投げてジコチューを牽制する。

 

「・・ジコーー!!」焦れったく思った二体はソードへ反撃に出る。

 

一体は大きく羽ばたいて突風を起こし、もう一体はソードの牽制を空高く飛んで避けそこから翼を折り畳み突進攻撃を繰り出す。

 

「フッ!!」まずソードは突風をプリキュアの力を最大限に活かした大ジャンプでよけ、更にもう一体のジコチューの方へ向き突進してくるジコチューに紫のエネルギーを込めた手刀ですれ違いざまに切り裂く。

 

「ジッコッ!?」手刀で斬られたジコチューはバランスを崩し、突風を起こしたジコチューに突進してしまう。

 

「ソード!決めるビィ!!」「ええ!」

ソードはラブリーコミューンにもう1つのラビーズをセットし、円を描き必殺技の準備に移る。

 

だが

「んなことはぁー、させないよぉーっ!」

ルストは光弾を放ちそれを妨害、まだもつれ合っているジコチューの代わりに自身がソードに襲いかかった。

 

必殺技を妨害されたがすぐに体勢を直したソードは剣のエネルギーをルストに打ち出す。

対するルストも光弾を次々に放つ。

 

互いにかわしては攻撃、攻撃してはかわす、光弾の撃ち合いを展開しながら距離を縮める。

 

そして互いに手が届く範囲に近づいた時、手刀とパンチの一撃が彼女達のファーストコンタクトとなる。

 

「なんで?何故こんな人々の迷惑をかける事をするの?」

「なぁーに言ってんの、楽しいからにぃー決まっているでしょーがっ!!」

互いに平行線をいく主張。

王女をそして皆を護るために戦うソードにはまるで理解できなかった。

 

しかしボヤボヤしていられない、手刀を繰り出し避けられれば剣のエネルギーを放ち、光弾を撃たれれば側転してかわし手刀を決めていく。

 

ソードはラルクのような華麗な回避とランサーのような力強い手刀を出す、バランスの良いプリキュアである。

 

だがまだ初陣の戦士

「そぉーこッ!」ソードの一瞬の隙を見切ったルストの光弾が左肩を直撃。

 

「うわぁぁぁー!!」

たった一撃でソードは大きく吹き飛んだ。

「さっきからぁー、あなたの攻撃へなちょこすぎぃー」

軽く体を払いながら余裕の表情でルストはソードに言い放つ。

 

キュアソードはまだジコチュー幹部とやり合うには戦いの経験が圧倒的に少な過ぎるのだ。

 

「そろそろ良いでしょー、ジコチューやっちゃってぇー」

「「ジコチュー!!」」

ようやく体勢を整えた二体のハゲタカジコチューはソードに突風を巻き起こす。

二体でやるため風の強さは先程の二倍となった。

 

突風は台風レベルの激しさを持ち、トランプ王国の建物は吹き飛んだり、外装が飛んで中があらわになっていき、声援を送っていた住民も避難する。

 

そして当のソードは天高く飛んでいき3キロほど先の地面に着地、いや墜落し大きなヒビを入れながら倒れこんだ。

 

「キュアソード!!・・くっ、ヘシン!」「change」

キュアソードのピンチに剣崎は先のグレイブ戦のダメージの痛みに耐えながらブレイドに変身、最初の戦いより早くベルトはブレイバックルに変化、ソードの援護にかかる。

 

ピピピッ「メタル」ピピピッ「タックル」

二枚のカードをスキャンしブレイドはいまだに突風を起こすハゲタカジコチュー二体に突進、メタルのおかげで吹き飛ぶことなく突き進む。

 

「ジコォッ!?」メタルの重さを足したブレイドの突撃にジコチューは二体ともぶっ飛ばされた。

 

「・・・あのときのナイトさんかぁー」

ブレイドを再び見たルストはその強さを知っていたため、ブレイドに挑まずジコチューで様子を探る。

 

二体のジコチューは二手に分かれ一体は風を起こし、もう一体は突進攻撃をする。

 

一度は避けたが、大きく動いた事でグレイブ戦で受けた腹の傷が開き膝を付く。

そこに第2波を受けブレイドはピンチに陥る、空中の敵に対抗できるカード『クイーン』を腕に付けていた機械「ラウズアブゾーバー」に入れようとするがまた風が起こりカードを手放してしまった。

 

すでに限界になりつつある体を起こし、突進してくるジコチューを迎え撃とうとする。

 

バシュン!

突然スペードの大きなエネルギーがジコチューに直撃、ジコチューは体勢を崩し突進をキャンセルする。

 

撃ってきた方向にはソードがいた。

その手には一枚のカードが握られている。

「剣崎さんっ!!」

ソードはカードを投げ見事ブレイドはキャッチ、すぐさまそれをラウズアブゾーバーに挿入。

「アブゾーブクイーン」

キュウゥン・・キュウゥン・・

アブゾーバーから二枚のカードが展開、そのうちの一枚『ジャック』を抜きスキャンした。

 

「フュージョンジャック」

ブレイドの胸部に鷲の紋章が出現、仮面は金に変化、背中には大きな羽が付き、ブレイラウザーも切っ先が伸びた。

これがブレイドの強化形態、フュージョンジャックである。

 

「フッ!!」ブレイドは羽を開き風を起こすジコチューに一撃、更に空を飛ぶもう一体と空中戦を挑みかかる。

 

「ジコッチュー!!」ジコチューはここがホームベースといわんばかりに旋回、急降下、急上昇しブレイドを撹乱しようとするがブレイドはそれに全て追いつき二枚のカードをラウズした。

 

ピピピッ「マッハ」ピピピッ「ビート」

ブレイラウザーを左手に持ち、ジコチューよりもさらに速く飛びブレイドは右ストレートをジコチューの背中の羽の付け根に見舞った。

 

「ジコォォ!!」自慢の羽が使えなくなったハゲタカジコチューは何もできず、ソードの方向に墜ちていった。

 

「今だ!ソード!!」「ええ!」

ブレイドに促され、ソードは先程は使えなかった必殺技をジコチューに繰り出した。

 

「煌めけ!ホーリーソード!!」スペードを模した剣のエネルギーを大量に撃ちだしジコチューを蜂の巣にする。

「ラブ!ラブ!ラーブ!!」ジコチューは黒い体を消滅させ浄化に成功したのだった。

 

ソードの勝利を見届けブレイドももう一体のジコチューに向き直り二枚のカードをラウズする。

ピピピッ「サンダー」ピピピッ「スラッシュ」

「ライトニングスラッシュ」

 

ブレイドは一旦空高く飛び、そこから急降下し電気を纏った斬撃をジコチューに斬りかかった。

グレイブ戦よりも威力を大きく上げたフュージョンジャックでの必殺技「ライトニングスラッシュ」はジコチューを袈裟斬りにし、ジコチューは爆散。

中から通常に戻ったハートのプシュケーは元の有るべき場所へ戻っていった。

 

ジコチューを全て倒し、空から光が射し込む。

吹き飛んだ建物や街は綺麗に修復された。

 

「・・またくるわぁー」ルストはどこかへ去っていった。

 

夕陽が二人の戦士に当たる、それを病院から予定通り退院したナツミとマキは見ていた。

 

「あの子も一人前だね・・」「そうね・・」

その言葉は二人の戦士の激闘を讃える国民の歓声に飲まれていった。

 

その夜、王宮の空き部屋にてマコトは剣崎と二人きりで話していた。

「・・ありがとう」

「いいって、こっちも助けて貰ったし。」

二人の戦士に多くの言葉は要らなかった。

互いの握りこぶしをコツンと合わせ信頼を確かめる、それだけで充分だった。

 

同じ頃王宮の玉座

「ダビィはちゃんと良いプリキュアのパートナー妖精になったわよ、あなた達も素晴らしいパートナーに出会えると良いわね」

そう言いながら王女は三つの卵を撫でた。

 

王女の優しい気持ちは彼女の右手に桃色の光を与え、卵に力を与えた。

 

ピキピキッパキッ!

そこから三つの卵はそれぞれピンクのウサギ、青いイヌ、黄色いクマの妖精が孵った。

「シャル~!」

 

王女の目には希望の光が見えていた。

 




キュアソード(SWORD)そして後に世界を救う事に大きく貢献するキュアハートというsuper heroのパートナー妖精のシャルル(Syalulu)達の誕生いかがでしたか?
W風のタイトルを作るのは楽しいですが、2話完結にしなければいけないので大変でした。
次回は遂に最終章突入!
お楽しみに!


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再会と恩返しとドリームマッチ

お待たせしました!
テストでゴタゴタしていまして・・・。
今回は最終章の前に1つやっておきたい事があったので先にそっちをやります。
本格的な最終章は次回以降でしょうか。


「「「「1・2! 1・2! 1・2! 1・2!」」」」

ブレイドとソードがジコチューを倒した次の日、ラルクとランサーとソードら3人のプリキュアに加え剣崎もトランプ王国のプリキュア達が毎日やっているという練習に付き合っていた。

 

「フゥ、フゥ・・ナツミさんもマキさんも退院早々やり過ぎじゃないですか?また倒れますよ!」

「いやいやこれ位頑張らなきゃ!」

「私達も助けてもらってばかりではいられません!」

いつもよりハードな練習をする二人にマコトは身を案じるがマキもナツミもまだやるつもりのようだ。

 

「俺もしばらく休みたい。30分も走り続けているからトイレ行きたくなった」

 

剣崎がトイレに行きたいという申し出によって練習はしばらくストップ、体力の限界がきていたマコトはベンチでほっと一息ついていた。

「ふぅ、スッキリした」

目的を終えて剣崎は3人のもとに戻ろうとしたが目の前に昨日見たメガネをかけた中年男性ーー名前は確か鳴滝といったか、その男は剣崎に昨日とほとんど同じ事を聞いてきた。

 

「ブレイド、もう一度言う。私と共にこの世界から出ていき来てほしい所があるのだが・・・」

「俺ももう一度言う、断る!」

王女から守って欲しいと頼まれ、キュアソードと絆を深めた剣崎は昨日よりもしっかりと強く答えを伝えた。

 

「そうか、ならば前回より更に強い戦士で貴様を連れ戻す!」

「・・ヘシン」「change」

ライダーがくることを察知した剣崎はすぐにブレイドに変身した。

 

それとほぼ同時に昨日のような灰色の壁が出現しライダーが3体現れた。

それは剣崎にとって最高の仲間であり、一番戦いたくない者達だった。

 

「!?・・始、ムッキー、橘さん・・」

ブレイドの目の前には仮面ライダーカリス、仮面ライダーレンゲル、仮面ライダーギャレンが立っていた。

 

3人ともブレイドを見るや鎌で、槍で、銃で襲いかかりブレイドは必死でそれを捌きながらライダー達に呼びかける。

 

「橘さん!ナズェまた襲うんです!?俺のこと忘れたんですか?」

まず銃で撃ってきた赤きダイヤのライダー、ギャレンに剣で銃弾を受けながら説得しようとする。

 

最初は騙されていた為にボコボコにされた事もあったが、一番長く共に戦った先輩ライダーの橘さんなら分かってくれると思ったのだ。

 

しかし、ギャレンに近づく前にブレイドはレンゲルの槍に刺され吹っ飛んでしまった。

 

「ムッキー!俺だよ、剣崎だよ!!」

続いて剣崎は金色のクラブの戦士、レンゲルを説得しようとする。

 

アンデットに操られていた為に敵対する事もあったが最後は自分のキングラウザーでそのアンデットを封印する事に成功した良い後輩だった。

 

「・・・・・。」

だが名前を呼んでもレンゲルは攻撃を止めようとしない。

 

そこにカリスの鎌ーーカリスアローがブレイドに向かって斬りかかる。

 

ブレイドはギリギリかわしてハートの戦士、カリスの攻撃を避けながらカリスに強く言う。

 

「始!俺達はアンデット同士なんだぞ!!あの時の事を忘れたのか!?戦うのを止めるんだ!!!」

「・・・・・」

かつて世界を滅ぼすのを防ぐためお互い永遠に出会ってはいけない、という苦渋の選択を選んだ仲間の攻撃を遂に受け止めてしまうがカリスは更にブレイドをぶっ飛ばした。

 

「グワァーー!!」

 

 

何故だ、何故なんだ。

何故かつて共に戦った仲間が襲いかかってくる?

 

そんな疑問に頭を占領され、ブレイドは体が動けなくなっていた。

 

再び攻撃を始めようと3人のライダーが構えたそのとき

 

「燃え盛れ!ハイヒートボウショット!」

「砕け散れ!スノースライドスピアー!」

「煌めけ!ホーリーソード!!」

3人のプリキュアがライダー達に攻撃を浴びせた。

 

ラルクの必殺技はギャレンにいったが間一髪で伏せてかわされた。

 

ランサーの必殺技はレンゲルの方に行ったがレンゲルの槍ーーレンゲルラウザーに弾かれてしまった。

 

ソードの必殺技はカリスの方に行くが全ての攻撃をカリスアローで捌き、ノーダメージだった。

 

「大丈夫ですか?ここは私達に任せてください」

「こっちも助けてもらってばかりじゃいられないからね、恩返しといきますか!」

「早く!」

「・・すまない!」

 

ライダーはひとまず3人のプリキュアに任せ、ブレイドは一時撤退する。

 

未知の脅威が出現したためか、3人のライダーは更なる姿に変わった。

 

「フュージョンジャック」

「フュージョンジャック」

「ワイルド」

 

ギャレンは孔雀の力を胸に融合し、ブレイドのものと同じように一部分が金色になっている強化フォーム「フュージョンジャック」に変化。

 

レンゲルは象の力を新たに融合し、ただでさえマッシブな体型が更にがっしりとした姿となり、ブレイドともギャレンとも違う雰囲気の強化フォーム「フュージョンジャック」に変化。

 

カリスは13枚のカードを1枚に集約し、スキャンしたことで他の3体のライダーシステムとは異なる進化を遂げた全体的に緑色な強化フォーム「ワイルドフォーム」に変化した。

 

ギャレンはラルクに、レンゲルはランサーに、カリスはソードに襲いかかった。

 

ギャレンは飛びながらラルクに銃弾を撃ち、ラルクは何とかかわしながら矢のエネルギーを放つがことごとく避けられる。

 

「クッ・・空から攻撃するから軌道が読めません・・・!」

ギャレンの銃弾をバック転やロンダートのような動きでかわすも反撃のチャンスの暇がなくラルクは焦っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃ランサーはレンゲルと戦っていたが、戦局は圧倒的にレンゲルに向いていた。

 

「何このパワー、これでも私パワーには自信があるんだけどもこんなに押されるなんて!?」

レンゲルのジャックフォームはブレイドやギャレンのような空を飛ぶ機能が無い代わりに超人的なパワーを得ており、たった一撃でも新幹線に轢かれるような衝撃を受ける事になる。

レンゲルの横なぎを伏せてかわすも同時に巻き起こった突風に吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「たぁっ!ふっ・・!」

ソードはカリスと戦うも苦戦していた。

攻撃をかわして背後から手刀を叩きこもうとしてもカリスは後ろを見ることなくカリスアローで受け、逆に人の動きを越えているような速さの斬撃をお見舞いされた。

 

人であらざる者(ジョーカー)が変身する仮面ライダーカリスはその身体能力を活かしたアクロバティックな動きで相手を翻弄する戦士で、4人のライダーの中でも屈指の強さを持つ。

 

そんな戦士が強化フォームになっても何とか戦えているソードはむしろ凄く、人並みの努力で彼女がプリキュアになったわけではないのを物語っている。

 

「はぁっ!」

ソードはカリスの攻撃を避けて一瞬の隙を突いた剣のエネルギー攻撃を足下に撃つ。

 

ほんの少しだがカリスがバランスを崩す事に成功した。

 

「 煌めけ!!ホーリーソード!!!」

これを逃したら二度とチャンスは来ない、ソードはそんな思いをのせて渾身の必殺技を叩き込んだ。

 

バランスを崩しながらもホーリーソードを防ぐカリスだが流石にこの状況で全ては出来ず、左肩にダメージを受けた。

 

「!?」

ダメージを受けた左肩を見てソードは戦慄した。

左肩からは機械のコードが露出したのだ。

 

 

 

 

 

 

 

その頃ブレイドは一時撤退しようとしたが、異様な現象に驚愕していた。

走っても走ってもプリキュア達からの距離が伸びず、同じ所を何度も戻ってしまうのだ。

 

「ハハハッ私の手にかかれば貴様を逃がさないことなど造作もない」

鳴滝がブレイドを嘲笑いながら迫る。

 

「さあ、少しは気が変わったか?」

「・・・・・」

鳴滝の問いに答えずブレイドはプリキュアの戦い、特にソードを見ていた。

 

「キャァァァァ!!!」

限界がきたのか遂にソードはカリスの斬撃にぶっ飛ばされた。

 

一方カリスの方を見ると左肩からコードが出ている。

ーーあれは始じゃない、こいつ(鳴滝)の操り人形ってことか!

 

すぐに理解したブレイドはラウズアブゾーバーに『クイーン』のカードを入れる。

 

「アブゾーブクイーン」

キュゥゥン・・キュゥゥン・・

アブゾーバーから出た2枚のうち、前回使った物とは違うもう1枚のカードをスキャンした。

 

「エボリューションキング」

その音声と共にブレイドはソードのもとへ走ったーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

ソードに更なる追い討ちをかけようとするカリスの斬撃が迫りくる。

「ここまでなの・・?」

ソードは自分の実力を悔やみながら下を向く。

 

 

ザシュン!!!

斬撃音がしてもなんともないソードは正面を見ると重厚な金色の騎士がカリスの攻撃を防いでいた。

 

金の鎧を身に纏い、持っているものはブレイラウザーよりも長く大きい両手剣ーーキングラウザーになっている。

 

これがブレイドが13体のアンデットと融合することで現す最強形態「キングフォーム」である。

 

「・・・行け!」

ブレイドはソードにそれだけを言ってカリスとの戦いをバトンタッチした。

ソードはすぐにラルクの所へ駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

ギャレンの銃撃の嵐に翻弄されていたラルクは時折矢のエネルギーを放ちながら、ある可能性を考えていた。

ーー先程からエネルギーを放つと銃撃を止める、もしかしてあまりあの姿の状態を使いこなせて無い?

 

彼女の考えは当たっていた。

ギャレンは装備している銃ーーギャレンラウザーによる攻撃を主とする戦い方なのだが、変身者の橘は何故か異様に格闘戦を好み銃はそれほど使わないのだ。

 

空中から狙撃するジャックフォームもあまり使わず、そのためかジャックフォームでの戦績も良くない。

 

ラルクがエネルギーを再び放つと銃撃を止めて何とか旋回してかわした。

 

ーーいける!

考えを確信に変えたラルクは連続でエネルギー攻撃を撃ち、ギャレンをかわす事に集中させ、距離を詰めて遂にパンチを胸に当てる事ができた。

 

しかしギャレンもただではやられない。

ギャレンラウザーからカードを展開し1枚ラウズした。

ピピピッ「ジェミニ」

 

ギャレンは自身の姿を分身させる「ジェミニ」を使い縦横無尽に銃弾を撃つ。

 

万事休すか、と思われたその時

颯爽と放ったソードの跳び蹴りがギャレンのうちの一体に炸裂!

分身だったがそれでも反撃の糸口を見つける事ができた。

 

ラルクとソード、師弟関係にあるふたりのプリキュアは十八番のアクロバットな動きでギャレンを追い詰める。

 

片方がギャレンを引き付ければ片方が攻撃、片方が地上からエネルギー攻撃でギャレンを撹乱させれば片方が空中で狙撃する。

 

そしてソードはギャレンと取っ組み合い地上に落とし、戦っている隙にラルクはランサーのもとに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ランサーは圧倒的なパワーのレンゲルに苦戦していた、パワーではダメなのは分かっているが今まで力押しの戦いが多かったため他の戦い方が思いつかない。

 

レンゲルがまた凄まじい力で槍を振るおうとしたその時、レンゲルの顔面にラルクの矢のエネルギーが命中した。

全然ダメージを受けていないようだが、ラルクはそれも折り込み済みだった。

 

「こっち来て」

ランサーに合図してラルクはレンゲルと距離を取る。

飛び道具の無いレンゲルは苛立ち、ふたりに向かって突進してきた。

 

ラルクもレンゲルの何倍もの速さでレンゲルに向かって走り、レンゲルの足をかけて転ばせた。

 

圧倒的なパワーを生み出すマッシブな体型を逆利用し、すぐに起き上がれないレンゲルをよそにラルクはランサーの耳にある提案をした。

 

「・・・・・・・・・」

「!?そんなのできるわけ・・」

「大丈夫、あなたならできます。どれだけ一緒に戦ってきたと思ってるのですか?」

「・・分かった」

 

伝えるべき事を伝えたラルクは妹分(ソード)の所に戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ソードはギャレンに格闘戦を挑むがやはり一日の長があるせいか敵わない。

ギャレンまた空に飛び立ち、銃撃をかましてきた。

 

そこにラルクが戻ってきた。

ラルクは矢のエネルギーを放つ、ギャレンはかわすがそれだけでは終わらない。

ラルクの手に力を込めるとかわしたはずのエネルギーが旋回し、ギャレンに命中したのだ。

 

ギャレンが何が起こったのか分からず思考停止している間にソードに耳打ちする。

 

「とにかくアレに向かってホーリーソードを放ってください」

ラルクが何を考えているか分からないが頭の良い先輩のことだから何か策があるのだろう。

信頼しているラルクの言葉を信じてギャレンの方に走る先輩(ラルク)をよそにソードは必殺技の準備に入った。

 

漸く体勢を整えたギャレンはせめて一体でも反抗者を潰そうと3枚のカードをラウズした。

 

ピピピッ「バレット」

ピピピッ「ラピッド」

ピピピッ「ファイア」

「バーニングショット」

 

「煌めけ!ホーリーソード!!」

3枚のカードで放つ火炎の銃撃とスペードの光の剣が互角に放たれる。

 

結果は引き分けに終わったがギャレンにとって引き分けとはならない事態が発生する。

 

「燃え盛れ!ハイヒートボウショット!!」

背後からラルクの必殺技がギャレンの背中を撃ち抜いた。

 

ソードにホーリーソードを撃たせたのはギャレンに攻撃させて周りの状況を探る隙を無くすためにあったのだ。

 

ギャレンはそのままレンゲルの方に墜落していく。

レンゲルの槍はギャレンに向いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー30秒前ーー

ピピピッ「ラッシュ」

ピピピッ「ブリザード」

ピピピッ「ポイズン」

「ブリザードベノム」

 

レンゲルが3枚のカードをラウズし必殺技の準備に入る。

 

「アレの槍を力づくで私達がいる方に向けてください」

ラルクはランサーにこの頼みを言っていた。

ーー引き受けたけど出来るかなぁ・・・。

通常攻撃を何度か受けたら誰でも分かるほど力の差は歴然としているのは分かっている。

 

「大丈夫、あなたならできます」

ーーでもこう言われたらやるしかないよな。

ランサーは出来る限りの力を込めて必殺技のタメに入る。

 

レンゲルが冷気と毒々しい力の槍をランサーに差しかかる、ランサーはそれを全力で拮抗しようと渾身の必殺技を放った。

「砕け散れ!スノースライドスピアー!!!」

 

 

ガキィィィィン!!!

最初は互角だったが、段々ランサーは押されていく。

 

もはやこれまでかと思った次の瞬間、他の場所で起こったとんでもないエネルギー同士のぶつかり合いによる風圧が体の大きくなっているレンゲルに直撃してバランスを崩し、力が抜ける。

 

「ダァァァァァァァ!!!!!!」

何が起こったのかよく分からないがとにかくチャンスを見いだしたランサーは最後の力を振り絞りレンゲルの槍を押し返した。

 

レンゲルの槍はランサーではなくギャレンを突き刺し、ギャレンは槍といっしょに凍りついた。

そしてランサーはレンゲルの腹部のベルトに思いきりぶっ刺した。

 

ここでレンゲルとギャレンは戦闘不能になり、ランサーは膝から崩れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー1分前ーー

 

ソードから引き継いだブレイドはキングフォームでカリスを圧倒していた。

 

13体のアンデットと融合しているだけあってブレイドのフォームの中でもスピードは落ちるがパワーと防御力はとても高い。

 

形態逆転したカリスは1枚しかないカードをスキャンした。

「ワイルド」

 

対するブレイドは5枚のカードをキングラウザーに入れた。

「10」「ジャック」「クイーン」「キング」「エース」

「ロイヤルストレートフラッシュ」

 

カリスとブレイドは互いの必殺技を打ち合う。

ドシャァァァァッッ!!!!!!

最強の技と最強の技がぶつかり合い周囲に衝撃波を放ち、その後まばゆい閃光が起こった。

 

この激闘の勝者は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カリスの体が配線のコードやネジを吹き出しながら崩壊。

勝利の女神はブレイドに微笑んだ。

 

「もうどうなっても知らんぞ・・」

3体のライダーを倒したブレイドとプリキュアを見て、鳴滝は灰色のオーロラに飲まれていった。

 

 

 

 

全員それぞれの変身を解く。

 

「みんな大丈夫か?」

「だいじょばない・・」

「あぁっ!マキ!!」

「マキさん!!」

 

ブレイドとラルクとソードはあまり怪我はないが力を使い果たしたランサーは倒れてしまった。

 

・・が肩を貸してきたナツミに呟いた。

 

「頑張ったからご飯一杯食べたい・・」

「・・もう」

 

・・ただの空腹だけらしい。

 

こうして全員無事だった4人は王宮に戻った。

 

 



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再会と恩返しとドリームマッチ ーーディレクターズカット版ーー

今回はおまけ。
前回入りきらなかった分を入れました。


「バクバク、モギュ、モグモグ・・・」

王宮に帰った後、ランサーとして精一杯戦い見事勝利したマキは緑のサッカー少女もびっくりな食べっぷりを見せていた。

 

「マキ、お行儀が悪いですよ!もう少し上品に・・」

ふぉんなふぉほはんはえへはら(そんなことかんがえていたら)ははひひんひゃうほ!(わたし死んじゃうよ!)

「食べながら喋らない!!」

 

剣崎達も一緒に食べていたが

「なんか俺達の食事の量少なくない?」

「・・マキさんにほとんど行っちゃって食料が底を突きかけているんだって」

腹の虫が鳴りながら食べていた。

 

「そういえばずっと思っていたけど、歯ブラシってどこにあるんだ?うがいしかやってなくて・・・」

「歯ブラシ?何そ「お食事中失礼するわ」王女様!!」

剣崎との会話の最中にマリー・アンジュがやって来た。

 

「・・マキ、すごい食べっぷりね・・・」

「あははーー・・」

「・・それはともかく、ソードには以前から伝えていたけれど

明日イベントを開催するわ」

 

王女もマキの恐るべき食欲に少し引きながらも明日の予定の話を始めた。

 

「見事プリキュアになったマコトに国民の人気もうなぎ登り、だから明日緊急コンサートをやることにしたの。

そして皆にも手伝って欲しい事があるんだけれど・・」

 

 

 

王女に頼まれ剣崎、ナツミ、マキの3人はコンサートの準備会場にやって来た。

マキは会場の大きな荷物等を運び、ナツミは明日コンサートで使うライトを整理した。

 

そして剣崎はというと

「わざわざ会場に行かなくても良かったんじゃないか!?」

マキの出したゴミを捨てにいく事になった、作業着を着ながら大量のゴミを捨てる姿は何故か異様に馴染んでいるように見える。

 

それぞれがやるべき業務を全てこなした後、辺りは真っ暗になっていた。

 

 

 

「いいのですか、伝えるべきことがまだ他にあったはずですが・・・」

「・・大丈夫、キングジコチューは封印したから蘇ることはないわ。絶対・・・」

一方の王宮では王女と大臣の1人がジコチューについての話をしていた。

 

 

また所変わって真っ暗闇などこかの空間

「まったくなんということなのだ!ジコチュー幹部とあろう者が二度も負けるとは!!明日、我も行ってギタギタにしてやろうぞ!」

「はぁー、頼むわぁー」

ーーぶっちゃけ気に食わないけど、今はしょうがないわね。

ふたりのジコチュー幹部は重なる敗戦を受けて遂に手を組んだ。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・

ルストとゴーマの話している空間にはまだ誰かいるようだ。

1人は飴を舐め、サングラスを掛けている中年男性。

1人は鞭を持ち、妖しい魅力のある女性。

1人は不敵な笑みを浮かべる少年。

そしてその背後には3人を優に越える大きな黒い影が復活の時を窺っていた。

 

 

 

 



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BLADE×SWORD

物語は佳境に入りました。
海の日の前には完結できたらいいな。


am 8:00 ーー王宮・玉座前ーー

 

「王女様!ジョナサン殿からの伝言を伝えに参りました。

『何があるか分からない為、鏡の間を開いておくことを勧める』との事です」

マコトのコンサート開始2時間前、ジコチュー騒動の件を今は遠方の地で守護の任務にあたっている婚約者(ジョナサン・クロンダイク)に相談していた使者が戻った。

 

「急な任務をこなしてくれてありがとう、確かに一理あるわね」

「ジコチューは人の感情から生まれるもの、復活する可能性はかなり高いと思われます」

「そうね、一寸先は闇と言うし鏡の間を開けておいて損は無い。ただいまより鏡の間に向かいます」

王女は玉座から身を起こし鏡の間へ向かった・・シャルル、ラケル、ランスを連れて。

am 9:27 ーートランプ王国・クローバー市場ーー

 

青く晴れ渡る空の下でコンサートで使えるライトやうちわの販売が行われ、人々はコンサートを前にボルテージを上げているようだった。

 

「ウェッ!?こんなに賑やかなのか!!」

初めてここに来た時はほとんど誰もおらずトランプのスートが描かれていた道が今は溢れんばかりの人によって埋め尽くされている。

 

ライトやうちわだけでなくカルタや白雪姫の絵本や納豆餃子飴等も売っている。

 

ーーそういえば、マコトが王女は地球の文化をよく知っている事を話していたな。

それで俺が地球出身と知ったら何の疑いも無く王宮に住ませてもらえた理由らしいけど。

 

以前マコトと話した内容を思いだしながら試供品で貰った納豆餃子飴を舐めた。

「・・・!?!?」

今までに味わった事の無い味に剣崎は戸惑い思わずそこらのベンチに腰かけた。

 

ナツミとマキは護衛の任務のため会場に行った。

剣崎もいっしょにやろうと提案したが、あの強い仮面ライダーに勝つことができた事に二人は自信を持ち断られた。

 

ーー「どうなっても知らんぞ・・」

あの戦いで鳴滝が言った言葉は何を意味しているのか分からない。

久しぶりにキングフォームを使い、その後手伝いをしても特に体には異常は無い。

もう完全にアンデットと融合しているからこれ以上何も起こらないはずなのだが。

 

「開演30分前なので会場内の案内を開始しまーす!」

そんなことを考えていると若い青年の大きな声が響いた。

剣崎は早足でコンサート会場に向かった。

 

 

am 9:47 ーートランプ王国・王宮内ーー

 

バヒュンッ!!

 

「あーららぁー、珍しぃー。だぁーれもいないなんてぇー」

「我が来ておるというのに迎えの者がおらぬとは無礼な!!」

鏡の間に向かい誰もいなくなった王宮内に瞬間移動してきた黒い影ーールストとゴーマはジコチューの素体にできる者がいない事に苛立った。

 

「しょーがないわねぇー、他の所に行きましょーかぁー」

バヒュンッ!!

人を探すのを諦めた二人はまたどこかへ消えていった。

 

 

am 10:03 ーーコンサート会場・内部ーー

 

「夢見たーい、恋したーい、超めいっぱーい!!」

眩しい太陽を照明、青く爽やかな空をバックにした野外ステージでマコトのコンサートが遂に始まった。

観客は皆ライトやうちわを振っていきなりテンションはマックスになる。

 

「二階席も盛り上がってる?」

「イエーーーー!!!」

・・これから起こる事も知らずに。

 

 

 

 

am 10:24 ーートランプ王国・農村地帯ーー

 

ザクッ・・ザクッ・・。

一人の中学生くらいの男の子が顔にシワを寄せて畑を耕している。

 

「ったく何だよ兄さん達は、俺を残してマコトのコンサートに行くなんて。」

どうやらコンサートに行けなかったのが不満らしくブツブツ独り言を呟く。

 

「こないだ王家の方達が急にたくさんうちの野菜を買ってくれた時もそのお金は僕に来なかったし、まったくブツブツ・・」

どんどん溢れる怒りを呟きながら段々(くわ)で抉る土は深くなっていく。

 

「なぁ貴様、その思いを我が直々に解き放ってやろう!!」

「!? なんだあんたいっ・・・」

「出でよ!ジコチュー!!」

その怒りを聞きつけ、ゴーマはその少年の心を黒く塗り潰し、赤いハゲ鷹のジコチューを産み出した。

 

ゴーマの背後にはすでに5体のジコチューが従えられていた。

 

 

 

am 11:23 ーーコンサート会場・入口前ーー

 

コンサートは広いといえど許容量(キャパシティ)があり、それが人気急上昇中のソードのコンサートなら尚更だ。

 

「マコトちゃんの姿、見たかったなぁ・・」

多くの落選者の中にはマコトを小さい頃から見ていたお菓子屋の店主もいた。

マコトがキュアソードに任命された日も大臣から教えられただけで、ジコチューに襲われた時も人に流されてしまい何となく紫の戦士なのが分かっただけだった。

 

しょうがないと会場を後にしようとすると

「あなた達ぃー、そんなにキュアソードのコンサート見たいならぁー、あたしが見せてア・ゲ・ル❤」

 

突如現れた黒い服に身を包んだ小学生程の女の子がそんなことを言うと同時にどす黒いビームを発射した。

 

ビームを受けた彼は何かギチギチに締め付けられていたものが一気に解き放たれる快感と共に胸からハート状の物が飛び出したのを最後に意識が途切れた。

 

 

 

 

am 11:26 ーーコンサート会場・内部ーー

 

「そしてガンバランスでダーーンス(ゴゴゴゴー!)」

いよいよコンサートもクライマックス、ブラスバンドの軽快な音楽に乗せてマコトは元気にダンスしながら歌う。

 

会場の皆もそのダンスを知っているのかノリノリでいっしょに踊る。

 

「プリッキュアの魔法ー、Happy coming Yes!!」

最後まで歌い上げたマコトに会場は歓声に包まれる。

 

 

「「「「「「「「ジコーーーー!!!!!!!」」」」」」」

だがそこに大量のジコチューがコンサート会場をぶち壊しながら現れた。

たちまち歓声は悲鳴に変わり、人々はパニックになる。

 

「皆さん落ち着いて!!順番に並んで逃げて下さい!!!」

「出口はこっちでーーす!!」

ジコチュー出現にどこからともなく現れたマキとナツミは人々を避難させてジコチューの方に走りながらそれぞれのラブリーコミューンにキュアラビーズをセットする。

 

「「プリキュア・ラブリンク!!」」

まばゆい光がジコチューの前に飛来し、エースを模した二人のプリキュアが現れた。

 

「灼熱の弓矢!キュアラルク!!」

「凍てつく一撃!キュアランサー!!」

「「愛を無くした悲しきジコチューよ!」」

「このキュアラルクが射ぬき!」

「このキュアランサーが打ち砕く!」

 

 

 

 

一方マコトもジコチューの方へ向かいながらパートナーのダビィを探していた。

 

「あっ、いた!!おーーい!!!」

「マコトー!」

ダビィと共に剣崎とも合流し、ダビィはすぐさまラブリーコミューンに変化する。

 

剣崎もベルトを出すが、それはいつものカリスラウザーのような物でなくかつてブレイドの変身に使っていたベルトーーブレイバックルが巻かれていた。

 

 

 

マコトはラブリーコミューンにラビーズを装着してLoveの字を液晶画面に描き、剣崎はベルトの待機音を鳴らしながら手の甲を前にした状態で人差し指を天に指して構えた。

 

「プリキュア!ラブリンク!!」「変身!!」

「L!O!V!E!」「Turn up!」

片や紫の光に包まれ、もう片方は体をヘラクレスオオカブトが描かれた青い壁が通り抜ける。

 

「勇気の刃!キュアソード!!」「ウェイ!!」

 

ここに二人の(スペード)のヒーローが人々の前に降り立った。




いかがでしたか?
今回コンサートの1日をクウガ風にやってみましたが、タイトルは最近ニコニコ動画で最終回が配信されたディケイド風というww。
・・だって同時変身といえばあのWてつを変身回思い出すんだもん!!
次回はトランプ王国総戦力(4人)がジコチュー軍団やルスト&ゴーマに立ち向かいます。

次回も見て見て見てね!!


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切り札のJOKER

ブレイドとソードはコンサート会場前に現れたジコチューに立ち向かう。

相手をする数は今までと比べ物にならないほどの軍勢である。ざっと見積もって50匹位か。

 

ピピピッ「タックル」ピピピッ「マッハ」

「ウェーーイ!!」

まずブレイドはカードをラウズしてジコチュー軍団に突っ込んでいく。

目視できない音速(マッハ)のタックルを受けたジコチューはボーリングのピンのように空中にぶっ飛ぶ。

「煌めけ!ホーリーソード!!」

そのジコチューにソードの必殺技が炸裂し10匹のジコチューが浄化された。

「荒れ狂え!ハイヒートドラゴンショット!!」

先にジコチューと戦っていたラルクは新必殺技を披露。

右腕から巨大なドラゴンを模した炎が放たれ、目の前のジコチューを貫き浄化する。

 

それだけにとどまらずドラゴンはそこら一帯を飛び回り、付近にいたジコチューを次々と焼きつくし浄化した。

 

「凍りつけ!コールドメテオ!!」

天高くからランサーも新必殺技を発動。

目視できない速さでジコチューを氷の槍で突き刺すと、その槍が一気に伸びてジコチューを貫くはもちろん背後にいたジコチュー10匹もいっしょに貫き浄化していく。

 

 

 

4人のヒーローの活躍で最初よりも敵の数は半減。

これを受けて2つの影がジコチュー軍団の後ろから姿を現した。

 

「あぁーん、せっかく頑張って生んだジコチューちゃんをこんなに消しちゃうなんてぇー・・・どういうつもりかしら?

「出たかプリキュア!そして仮面の戦士(虫けら)め!!」

 

ルストはいつもの間延びした口調を止めてドスの利いた声を出し、ゴーマは顔を真っ赤にして 罵る。

 

「「てめぇらの相手してやるよ!!!」」

本気になったジコチュー幹部が4人に襲いかかった。

 

 

 

「ふんぉらぁっ!!!」

ゴーマは3メートルある長身な体を活かしたパンチの雨をブレイドとラルクのタッグに浴びせる。

拳には硬い宝石のリングがはめられており、それがメリケンサックの役目を果たして威力は一発がバス一台レベルになる。

 

「うっ!あぁぁっ!!」

そんな攻撃に華奢な体形のラルクはいとも簡単にやられてしまった。

 

 

 

一方のランサーとソードはルストに挑んでいく。

一度戦ったことがあるソードはルストの放つ光弾をスペード型のエネルギー弾で対処し、勝手が分かったランサーも光弾をパンチで弾いて距離を縮めていく。

 

「はぁっ!!」「たぁっ!!」

ソードの手刀とランサーのパンチがルストを撃つが、ルストはそれらを受け止める。

 

「うっぜぇんだよ!!」

本気でキレているルストは手刀と拳をブンブン振り回し、遠くに投げ飛ばす。

 

「「うわーーっ!!」」

ランサーは街の建物の壁にめり込み、ソードは頭から市場の野菜売り場に飛び込んでしまい「メリュッ」という音が鳴る。

 

 

 

 

「ナツミ!マキ!マコ・・「我を差し置いてよそ見しているとは無礼であるぞっ!」どわっ!!」

プリキュアが全員やられてしまいブレイドは安否を確認しようとするが、ゴーマはそれを許さない。

 

相手がいなくなったルストも光弾を放ちながらブレイドに向かって来た。

 

 

ルストの光弾をかわした先にゴーマのパンチの嵐が襲いかかるのをブレイラウザーで受け流し、また光弾がくれば何とかしてかわす。

 

防戦一方のブレイドに対して余裕のあるゴーマは問う。

「プリキュアでもない貴様は何がために戦う?そして何者なのだ!!」

 

その言葉が放たれた瞬間、奇しくもブレイドは逆転の一手を打っていた。

 

ルストの光弾にブレイラウザーを向ける。

それは今までのように受け止めるのでも、受け流すわけでも無く

 

 

 

その光弾をゴーマの方に弾き飛ばす為に。

 

 

 

ガキンッ、ドゴォォン!!

「ぐぉっ!!」

予想外の動きはゴーマの顔面に光弾を撃ち込み、そのままその顔は地面にめり込ませる。

 

「・・人を守りたいから。戦えない人達を守る為に俺は存在する!

そして俺の名は仮面ライダーブレイド!!人間の自由の為に戦う仮面ライダーだ!!!」

 

 

 

何度も辛い思いをした、分からないものに怒りを叫んだ時もあった。

それでも彼が仮面ライダーを生業(しごと)としたのは純粋な正義感だった。

 

楽しいから人をジコチューにして世界を壊す、守りたいから人を助ける。

交わらない信念はブレイドとルストの戦いを激化させる。

 

 

「自由?ははっ、笑わせないでよ。あたし達は人々をジコチューにして自由にしてるじゃないっ!!」

 

「違う!お前達は結局ジコチューにして人々を支配している。

俺はそんな人々を自由にするために、戦う!!」

 

 

ピピピッ「ビート」 「はぁっ!!」

「ぐぁっ!?」

 

ブレイドはルストの光弾をかわし、弾き、距離を詰めて得意とする近距離戦(クロスレンジ)に持ち込む。

そして剣技の途中にカードをラウズ、ルストの左腕にブレイドの右ストレートが突き刺さる。

 

 

 

「くっ・・ごちゃごちゃぬかしてんじゃね「ガシッ」っ!?」

顔を地面から抜き出しブレイドに再び殴りかかろうとしたゴーマに二つの光がそれをさせまいと体を抑えつける。

 

「いけないねぇ・・私達を忘れるとは」

「この距離なら防御は出来ませんよね?」

 

ブォッ!バシュゥゥゥン!!!

 

二つの光ーーラルクとランサーはゴーマの体をランサーが自慢のパワーで抑える間にラルクが腹部にゼロ距離からハイヒートボウショットを打ち込む。

 

ゴーマは吹き飛ばされ、その先にいたジコチューもろとも大爆発を起こし巨大な火柱を上げた。

 

 

 

 

ピピピッ「キック」ピピピッ「サンダー」

『ライトニングブラスト』

 

一方ブレイドとルストの戦いは大詰めを迎えていた。

ブレイドは二枚カードをラウズしてブレイラウザーを地面に突き刺し、必殺技の体勢をとる。

 

ルストはそれをさせまいとまだ使える右腕で光弾をありったけ放つ。

 

ブレイラウザーは光弾によって空高く飛んでしまったがブレイドはその前にそれを避けるように跳躍して電撃を纏った飛び蹴りを決める。

 

だが、そこはジコチュー幹部と言うべきなのかルストはそのキックを右手で掴んで受け止めてしまった。

 

「・・これしきの力であたしはやられないわよ。」

「あぁ、これだけ(・・・・)だったらな」

 

ブレイドには勝利を確信させるものがあった。

ルストの背後からどこかに飛んでいったはずのブレイラウザーを持って斬りかかるもう1人の(スペード)の戦士がいたのだから。

 

 

「切り裂け!ホーリースラッシュ!!」

 

 

 

ルストの背中に放ったソードの一閃が勝負を決めた。

 

 

 

 

 

 

 



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運命の守り人

今回は一度バトルパートをお休みして、マリー・アンジュの視点からの話となります。


am 11:56 ーートランプ王国・鏡の間ーー

 

キュアソード達が戦っていたのと時を同じくして、マリー・アンジュは遂に鏡の間に到着し、封印を解いていた。

 

「鏡よ鏡、この世と我等に馴染みのある青き星『地球』を繋ぎたまえ・・」

 

その言葉に呼応するように長い年月によってくすんでいた鏡は輝きだし、そこには王女ではなく先が見えない暗い渦が映っていた。

 

 

グォォォォォォン!!

 

 

その時、王女達ご一行の頭上に巨大な黒い何かが飛び去っていった。

それは雲にしてはどす黒く、虫の大群にしてはあまりにもまとまりすぎていた。

 

「!? あれは・・・まさか、そんな!!」

普段はしないひどい狼狽をする王女は念のために用意した策として、手元に連れてきた3匹の妖精を鏡の間の前で頼みを言う。

 

「ーーいいですか、皆さんにやって頂きたい大仕事があります。

地球で素晴らしい体力・知性・勇気を持つ者達とプリキュアとして戦い、ジコチュー達を鎮めて下さい!

確かに地球の人達は私達の世界よりも欲深い。

ですがそれでも強く優しく美しい。

・・またいつか青空の下で会いましょう。」

 

 

ビュォォォォォォォ!!

「シャルー!?」「ケルゥーー!」「ランスゥーー?」

 

シャルル、ラケル、ランスを送り出したマリー・アンジュは眩しい槍ーーミラクルドラゴングレイブを手に、黒い何かが飛んでいった方向へ馬を走らせた。

 

「王女様!お待ち下され!!」

一緒に来ていた家臣達の言葉に目もくれずマリー・アンジュは走る。

 

ーーやはり蘇ってしまったのね。

哀しみの感情を抱きながらマリー・アンジュは黒い闇を追いかけた。

 

偶然なのか、必然なのか走る方向にはプリキュアやブレイドが奮戦している戦場があった。

 

 

そして考え込んでいたためか王女は気付かなかった

 

 

ポケットから金色の物が落ちてしまった事に。

 

 

 

pm 0:06 ーートランプ王国・辺境の地ーー

 

ここはトランプ王国の王宮から数十キロ離れた土地、辺りは自然が豊かである所にマリー・アンジュの婚約者であり後に大統領になる男ーージョナサン・クロンダイクはいた。

 

 

「鏡の間方面の空が赤くなっている・・・」

 

何か未曾有の大事件が起こっていることに気付いたのかその男は馬に跨がろうとする。

 

「おいコラ、新入りぃ!てめえ上司である俺の許可無くどこに行こうとしてんだ。

もっとリキ入れて働かんかぃ!」

そこにヤクザの様な口調でクロンダイクと話す中年男性が現れる。

昼ドラのようなドロドロした話を沢山書いた脚本家の人に見えるが多分気のせいだろう。

 

「すいません、ちょっとお花摘みに行ってきます」

 

「分かりにくいから、普通に便所行って来るでいいだろ。」

 

 

 

何とか上司に釈明したクロンダイクは急行した、行き先はトイレ・・ではなく鏡の間へ。

 




いかがでしょうか?
以前海の日に完結したいと言いましたが色々あって無理そうです。
ですがそんな長くはかけないつもりです。
次回もお楽しみに!!


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アンコール ーー輝く勇気ーー

「まさか・・私が・・・・まさかぁぁぁぁ!!!」

ブレイドとキュアソードのコンビネーションによってルストは断末魔を上げ、致命傷である背中から大量の黒い闇を撒き散らしながら消滅した。

遂にジコチュー幹部を倒すことができたのだ。

 

ソードはブレイドにブレイラウザーを返却し、そんなソードにブレイドは親指を立てる行為(サムズアップ)をした。

 

ゴーマを倒した後もまだまだいるジコチューを浄化していたラルクとランサーもルストの断末魔を聞き、勝利した事に思わず笑みを浮かべた。

 

「頭に何か付いてるけど・・」

そしてブレイドはソードの頭に付いてた野菜の葉を取った。

 

実はソードが吹っ飛ばされた時に鳴った「グシャッ」という音は野菜売り場の野菜が潰れる音だったのだ。

 

ーーつまりソードは必殺技を決める時に頭に葉っぱを付けながらやっていたーー

 

パシィィン!!

「・・・ウェェ、何でだよ・・・」

その事に赤面したソードはデリカシーのないブレイドに平手打ちをかまし、そこらにあった姿見で必死に外見を整えた。

 

 

 

 

 

 

だが、そんな和やかな時間は長く続かなかった。

 

 

先ほどゴーマが爆散した炎の中から闇の巨人が周りの大地を揺らす雄叫びを放ち、再びその姿を現した。

 

「人ごときに・・・貴様ら人ごときに倒されてたまるかぁぁ!!!」

 

ゴーマが両腕を振り上げるとまだ残っていたジコチューはゴーマの元へ吸い込まれていく。

 

 

 

全てを吸い込んだゴーマの体は背中から黒い羽が生え、外見はキリンの様な姿に変貌し、小さく見える4人の戦士を優越感に浸るように見下ろした。

 

 

 

 

「悪魔・・・」

その姿を見たラルクは思わず呟いた。

ラルクには、いやプリキュアである者には皆、世界の終末に現れる禍々しいそれに見えた。

 

 

 

 

 

 

 

「諦めるな!諦めちゃダメだ!!

まだあるはずだ、希望が!!

・・見つけよう、俺たちの希望(しょうり)を、俺たちの力で!!」

 

そんな弱気になっていたプリキュア達に仮面ライダーブレイドは一喝し、勇気付けた。

世界の危機(バトルファイト)巨大な敵(フォーティーン)も全て乗り越えて来たブレイドはこれほどの事態にも臆することなく立ち向かおうとしている。

 

「「「・・・・・!!」」」

ブレイドの言葉にプリキュア達は仮面ライダーと共に戦うことを決意し、戦闘体勢に入る。

 

 

 

 

「ガッハッハッハッ!!ワレハムテキダ!!キサマラナンゾメデハナイ!!!」

大量のプシュケーを喰った反動かゴーマは理性が飛びかけた状態で頭を降り下ろす。

 

 

「アブゾーブクイーン・・・エボリューションキング!!」

 

圧倒的な敵には圧倒的な力でと言わんばかりに、ブレイドはラウズアブゾーバーを用いてキングフォームになりゴーマの頭突きをキングラウザーで防ぐ。

 

「「「たぁぁぁぁ!!」」」

プリキュア達もゴーマの頭を受けとめようとするが、あまりの衝撃にラルクとソードだけでなくパワー自慢のランサーも吹っ飛ばされた。

 

プリキュアは全員建物の壁にめり込み、戦意喪失。

一気に3人の戦力を失ったブレイドも押されていく。

 

 

 

だが、パワーアップするのは闇だけではない。

 

 

 

「プリキュアーー、頑張れーー!!」

「負けるな!プリキュアーー!!」

戦場である街から少し離れた所から人々の声が聞こえる。

その手にはライブで使われたライトが握られている。

 

「頑張れーー!プリキュアーーー!!!」

「いけーー!!」「負けないでーー!!!」

その声は段々多くなり、ライトの光もまぶしくなっていく。

 

 

「ダマレ・・・ダマレェェェェ!!!!」

ゴーマはその声の方へ頭突きを放とうとする。

 

ガキィィィン!!

「させるか!!」

だがブレイドがそれを最大パワーで抑えて止めた!

 

 

 

 

「頑張れーー!!プリキュアーーーー!!!!!!!!!」

人々の応援の声が1つになったとき、ライトの光がプリキュア達がいる所へ飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

「オラァ!デヤァァァ!!」

「うわぁっ!!」

ゴーマを抑えていたブレイドは競り負けてしまい、ゴーマは凄まじい頭突きを放ってしまった。

 

頭突きは衝撃波をも放ち、人々の方へ迫る。

 

 

だが、その前に光が立ちはだかり衝撃波をかき消した。

 

 

光から姿を現したのは今までのようなプリキュアではなかった。

マントを羽織り、キラキラしたオーラを放ち巨大な影に立ち向かうのは人々の思いの光が進化させた奇跡の強化形態「ブレイブフォーム」だった。

 

まずラルクが光の速さでゴーマの目の前まで走り抜け、直視できない程の光で作った矢がゴーマの体を貫く。

 

ゴーマは怯むことなくラルクに頭突きを放つが一瞬でラルクの姿は消えた。

 

代わりに頭突きの標的となったのはゴーマの下で待っていたランサーだった。

しかし、ランサーはゴーマの頭突きを右のアッパーで止めるどころかゴーマを空中にぶっ飛ばしてしまった。

 

 

その間にソードはブレイドの元に駆け寄り、自身の光をブレイドに分け与えた。

 

ーー頑張れ!負けるな!!

ーー助けて!仮面ライダー!!

 

人の光を貰ったブレイドは傷が全快し、再び立ち向かう力が湧いてきた。

 

 

ラルクとランサーが空中に浮いたゴーマに更に追い打ちを掛けて天高くに飛ばす。

 

 

ブレイドは手を天にかざし、5枚のカードを取ってキングラウザーにスキャンする。

 

10(テン) J(ジャック) Q(クイーン) K(キング) A(エース)

 

ブレイドは空に向かって必殺技を決めようとする。

そこにソード、ラルク、ランサーがキングラウザーに全ての光を与える。

 

仮面ライダーとプリキュア、そしてトランプ王国の国民という本来なら決して交わることの無かった者達が起こす合体必殺技(コラボレーション)がキングラウザーから発声される。

 

「ミラクルロイヤルストレートフラッシュ!!」

 

ブレイドは空へ跳躍、体を紫、赤、緑、そして金に発光させて

身動きが取れなくなっているゴーマを斬りつけた。

 

 

 

「オオォォ・・・」

一気に力が抜けていくような叫びともいえない声を上げてゴーマは大爆発を起こした。

 

 

ブレイドは下を見るとトランプ王国の人達が、プリキュア達が笑顔になっているのを見ることができた。



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