~ Border Break another ~ その瞳は、何を見る? (白銀之鴉)
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エイジェン施設奇襲作戦 一話

突如、人類を襲った

大気汚染ーーーーーー

 

西暦20××年

 

軌道ステーション

【エイオース】の爆発事故により世界中に降り注いだ未知の物質【ニュード】

 

ニュードに含まれる毒が

地表を蝕む

 

『ボーダー』と呼ばれる、

ニュード汚染に

耐性を持つ人々が

現れる

 

そして今、

また1人のボーダーが

戦場に赴く……。

 

 

 

 

 

 

 

ここは、とある戦場になってしまった密林の中

一人の男が木陰で休憩を取っていた

 

「ふぅ…………暑いな…」

 

時期は夏、しかも周りには川も無く、三日も雨は降っておらず、水筒の水も残り僅かである

 

「あの、鴉さん。」

 

「ん?何だよ?」

 

鴉と呼ばれた男は、先程から木陰で休憩を取っている男である

 

髪は真っ黒で、右目には十字の刀傷に真っ黒なサングラスをかけており、身を迷彩服を着ている、若い男。

彼もニュードの毒に犯されたボーダーである

 

そして、先程、鴉に話かけた男は、鴉が所属している、クランのメンバーであり、今回の作戦に同行している仲間、名前を ゼクス マーキス

 

見た目は、金髪の髪に、今回だけ、服を鴉と合わせて迷彩服を着ている

 

「本当に、この辺りにエイジェンの施設があると思いますか?」

 

「さぁな、それは分からん」

 

「分からんって……」

 

「まぁ、フィオナさん達が調べた確かな情報だ、あるんだろ」

 

「な、何かなげやりですね……」

 

エイジェン

謎の軍事組織であり、各地のニュード採掘施設を破壊し始めた。巨大兵器・強化機体・大量の無人機といった規格外の戦力を率いる彼らの目的は、地球環境をニュード汚染によって改変し、ニュード耐性を持たない全生命を根絶する事だと言うのだ。

 

「まぁ、兎も角」

 

鴉は、ため息を付きながら立ち上がり、水筒をしまい。

銃を構える

 

「早く、見付けるか。このままじゃ、こっちがダウンしそうだ」

 

「はい!」

 

鴉とゼクスは、汗を拭いながら、密林を駆け抜ける

 

「ちょっと待て、ゼクス」

 

しばらく進んだ所で、鴉が足を止める

 

「どうかしたんですか?鴉さん?」

 

「耳を棲ませてみろ。聞こえるか?」

「聞こえるって何が……」

 

耳を棲ませていると、微かにだが、水の流れる音がする

 

「!!!この音って!水ですか!?」

 

「あぁ、恐らく近くに川があるな………」

 

二人とも、ここ三日間で、相当の汗をかいてる為喉がカラカラに渇いていた

その為、この状況での水は、相当嬉しい

 

「でも、気を付けろ……敵が居るかもしれな…… 」

 

鴉が、ゼクスに振り向くと、そこにゼクスは居なかった

 

「ゼクス?どこいった?」

 

辺りを見渡すと、近くから大きな声が聞こえる

 

「鴉さーん!!川ありましたよー!!」

 

鴉は、その声を聞いた瞬間ため息を付く

 

「………はぁ、全く」

 

呆れながらも、声のする方に歩いていく

 

しばらく歩くと、広い川が見えてくる

 

川の幅は、とても広く、川の近くには、苔が生えており、水も澄んでおり、とても綺麗だ

近くの岩には、ゼクスの武器や服が乱雑に置いてあった

 

「まだ、餓鬼だな」

 

鴉は、脚だけを、川に浸かると、ゼクスが上半身裸で川の中から飛び出て来た

 

「あぁ!!鴉さんも泳ぎましょうよ!気持ちいいですよ!!」

 

ゼクスは、気持ち良さそうにしながら、川を泳いだり、潜ったりしている

 

「俺は良いよ。ゼクス楽しみな」

 

「はい!」

 

鴉は、バックからニュード検査機を取りだし、水を組み検査にかける

反応が緑になれば、川の水はニュードが溶け出してる証拠だ

 

「……変わらないか。」

 

ニュード検査機をしまうと、通信機を取りだし、定期連絡をマグメルにする

 

『はい、こちらマグメル作戦本部』

 

「こちら、鴉。どうぞ」

 

『はい、何かありましたか?』

 

「嫌、無いな。エイジェンの影も建物も見付かってない。今は、とある川で休憩中だ」

 

鴉の言葉を聞いた、マグメル職員は頭を傾げる

 

『川?今、川と言いましたか?』

 

「あぁ、川だ。随分と広い川だ。珍しくニュード汚染の無いな」

 

『その密林には、川何て物はありませんよ?』

 

「何だと!?」

 

鴉は、マグメル職員の声を聞いた瞬間声を荒げ、急いで端末を取りだし地図を確認する

 

「ど、どうかしたのですか?鴉さん?」

 

鴉の声に反応した、ゼクスが泳いで、鴉に近付く

 

端末に表示された、地図には確かに鴉達が居る所には川何て物は無く。

あるのは、木のみであった

 

「……おい、この端末は間違ってないよな?」

 

『少々お待ちください、確認してみます』

 

鴉は、しばらく待つとマグメル職員からの通信が来る

 

『三日前の衛星写真には、そこには川何て物はありません。 』

 

「了解した」

 

通信機をしまい、端末で地図を拡大しながら、確認すると、川の上に広いエリアがあることを確認出来た

 

「成る程な、ゼクス、川遊びは、終わりだ。」

 

「え、何かあったのですか?」

 

「あぁ、見つけたぜ…………エイジェンの施設とやらをな」

 

 

 



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エイジェン施設奇襲作戦 二話

 

 

鴉とゼクスは、川の上流に向けて静かに、登っている

 

「鴉さん、この上にエイジェンの施設があるって本当何ですか?」

 

「恐らくな。ここらには、目立った風車もないし建物も確認されてない、それに火山も温泉もない。だとしたら、エイジェンの奴等はどうやって電力を得てると思う?」

 

「え?えっと……施設内で作ってるとかですか?」

「それにも限界がある。それに、実験には必ず必要な物がある、それは……」

 

鴉は、歩みを止めると、目の前にある建物に指を指す

「そう言うことか!」

 

「そう、水が必要になるだろ?」

 

鴉とゼクスの目の前には、見た目はどこにでもある、コンクリートで出来た家の様な建物が密林の中にひっそりと建っていた

その近くには、川が流れており、そこには水車があり、クルクルと回っている

 

鴉は、建物の近く木に、隠れると鏡を使い、建物の周りに警備が居ないか確認する

 

「警備は無しか」

 

建物に、警備が居ない事をゼクスに合図すると、ゼクスは音も無く建物の入り口に近付く

 

ゼクスは、ドアを軽く握ると空いてる事を確認すると、鴉に合図をだす

 

その合図を見た、鴉は瞬時にゼクスと同じ入り口に立ち反対側に隠れる。

 

二人は、頷くとゼクスが腕一本入る位のギリギリに扉開け、閃光手榴弾を中に投げ入れ、瞬時に閉める

 

閃光手榴弾が、爆発し、消えた瞬間に二人は、武器を片手にそれぞれ突入した

 

「リビング!クリア!寝室!クリア!食堂!クリア!」

 

「書斎!クリア!ロッカー!クリア!トイレ!クリア!」

二人は、建物の安全を確認すると、リビングに集まる

 

「誰も…居ませんね」

 

「みたいだな」

 

「まぁ、一息つくか」

 

鴉は、近くの椅子に腰かける。

 

「鴉さん、何か淹れてきますよ!」

 

「ん~、じゃあコーヒーを頼む」

 

ゼクスは、食堂に向かいコーヒーを淹れに行く

 

「もぬけの殻か……

考え過ぎか?、だが、こんな戦場に建物何てあるか?」

鴉は、椅子に腰かけながら、建物内を見渡す

 

壁は、どうやら木で出来ており、所々埃が被っている。

 

「ん? 」

 

鴉は、テレビを見て違和感を覚える。何故かテレビの周りにに何かが合った形跡があるのだ

 

「何でここだけ、埃が無いんだ?

…………まさか」

鴉は、テレビを良く見ると最近まで、触られた形跡が合り、その通りに触ると「ボトッ」と書斎の方から音がした

 

「書斎か」

 

音がする方に行くと、本が一冊落ちていた

その本を開きペラペラと捲ると最後のページに鍵が合った

 

 

鴉は、鍵を良く見ながら、書斎を見渡すと、書斎の机の灯りのスイッチの隣に鍵穴があるのを確認する

 

鍵穴に鍵を通すと、見事に一致し、回すと「ガチャン」と音と共に「ゴゴゴゴ」と音がする

 

すると、書斎の本棚が両側に動き、エレベーターが出現した

 

「凝った仕掛けだな、おい。おい!ゼクス!行くぞ」

 

鴉は、ニヤリと笑うと、ゼクスを呼ぶ

 

「あ、鴉さん、コーヒー淹れまし………な、何ですかそれ!?」

 

ゼクスは、驚いた顔をしながらも、武器を取りに行く



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エイジェン施設奇襲作戦 三話

「鴉さん!行きましょう!!」

 

「あー……ちょっと待ってな。」

 

鴉は、端末を取り出すと、メールを素早くうち端末をしまい。通信機を取り出す

 

『こちら、マグメル。どうかしましたか?』

 

「こちら、鴉。エイジェンの施設らしき物への入り口を確認した。今から潜入する。どうぞ」

 

 

『分かりました、応援を呼びますね』

 

 

「嫌、その心配はいらない。」

 

『で、ですか!?』

 

「いいから、じゃ」

 

『ちょ、ちょっと!』

 

鴉は、一方的に通信を切り、ゼクスと共にエレベーターに向かう

 

「あ、あの鴉さん。大丈夫なのですか?あんな事しちゃって…… 」

 

「何、大丈夫だろ、多分」

 

「た、多分って!」

 

「ほら、着くぞ」

 

エレベーターが、止まり二人は、武器を構える

エレベーターの扉が、開くとそこには…………

 

「ビンゴだな」

 

「うわぁ……これは……」

大量の小型兵器と、エイジェンが使うブラストランナーが揃って並んでいた

 

 

ブラストランナー

ニュードをエネルギーとして、体長五メートルの人間形のロボットである

 

 

どうやら、格納庫らしく、随分と広い作りになっており、部屋の四方に向けて、キャタピラ?らしき物があり、それぞれの部屋にブラストランナーを運べる様になっている

 

 

「行くぞ」

 

「は、はい!」

鴉が、先頭にゼクスは、後方を確認しながら、辺りを進んで行く

 

「随分と広いな」

 

「ですね…まさか、地下がこんなに広いとは……」

 

「ゼクス、周囲を警戒してくれ」

 

「は、はい!」

 

鴉は、近くのパソコンを触り、キーボードでこの施設の事を知ろうとするが

 

「やはり、パスワードが必要か……」

 

「か、鴉さん!誰か来ます!」

 

ゼクスは、慌てた様子で鴉に言うと、鴉はゼクスに、物影に隠れるように指示を出し、鴉も近くの物影に隠れる

 

すると、右側の扉のランプが赤から、緑に変わり、扉が開き、マスクを付けたエイジェンの戦闘員らしき者達が、三人程現れる

 

「探せ!ここに居るはずだ!」

 

「「は!」」

 

三人は、散開しながら、周りを探し出す。鴉とゼクスは、細かく、音も無く動きながら、三人からの目を逃れる

 

だが、鴉は、三人の探す場所に疑問を感じる

三人が探しているのは、機体のコックピットや、武器が入ってる木箱や人一人入るのがやっとな所ばかり探している

 

(妙だな……俺等を探すなら、そんな所探すとは思えん……まさか…)

 

鴉の予測は、当たっていた。三人が探していたのは二人では無く

 

「見付けたぞ!! 」

 

「やだ!離して!お家に帰りたいの!!」

 

エイジェンの戦闘員が探していたのは、子供だった。

しかも、五歳位の

 

(やはりか……まぁ、それなら好都合だ。このままやり過ごして………)

 

鴉は、隠れてやり過ごそうとゼクスに合図を出そうとするが、ゼクスは子供を見ながらうずうずとしていた。

目付きも、今にも子供を捕まえた、戦闘員を殺す勢いである

 

(はぁ…あいつが連れてきた奴はどうしてこうも……)

 

ゼクスを見ながら、鴉は頭を抱える

だが、すぐに切り替え、鴉はゼクスに「こいつらを始末するぞ、俺が一人を片付ける。お前は子供を掴んでない奴を殺れ」と合図を出す

 

ゼクスは、その合図を見るとニヤリと笑い、頷く

 

「見付かったか?」

 

「あぁ、こいつ暴れやがって!」

 

「離してよぉ!!」

 

「あ、悪い俺トイレ行ってくるわ」

 

「早くしろよ」

 

「あいよ」

 

鴉は、それを見ながら、トイレに向かう戦闘員を追い、ゼクスは、子供を掴んでいない戦闘員を睨み付ける

 

「ふぃ~♪スッキリするぜ~」

 

戦闘員が、流した瞬間、音に紛れ鴉は戦闘員の口を塞ぐ

 

「ん!?んん!!」

 

戦闘員は、咄嗟の出来事に困惑しながらも、抵抗をしようとするが、鴉は片手を首に回し、そのまま勢い良く、首を回す

 

ゴキッと鈍い音がすると、戦闘員は脱力した見たいに崩れ落ちる

ちょうど、水が流れるのが終わった、ほんの少しの時間で、戦闘員は即死だった

 

鴉は、戦闘員の遺体を運ぶとそのまま個室に連れ混み、戦闘員の服を脱がせると、自分の服を遺体に着せ、戦闘員の服を着る

 

「いまいちだな、この服」

 

そう、悪態を付きながら、マスクを付ける

 

その頃、ゼクスは二人の戦闘員を見張っていた

 

(こう言う場合は、どうすれば良いんだ…銃を使えば、恐らくバレる。かと言って誘き寄せても、バレてしまう……どうすれば…… )

 

ゼクスが、悩んでいると、トイレに行った戦闘員が戻ってきて、二人の戦闘員に話しかける

 

「おい!侵入者だ!」

 

「何だと!?」

 

「どこにいるんだ!?」

 

「今、トイレに監禁している。襲われたのだが、何とか応戦して、捕まえられた。」

 

「良くやった!なら、俺が連れてくる。おい、お前等は、子供を見張ってろ」

 

「「了解!」」

 

戦闘員の一人が、武器を片手にトイレに向かうのを確認すると、待っている戦闘員の一人がゼクスに向く

 

(鴉さんが、捕まった!?

不味い!)

 

ゼクスは、ビクッとしながらも、武器を構えようとするが、トイレから出てきた戦闘員は手で「待て」とゼクスに合図を出す

 

(気付かれた!?)

 

ゼクスは、慌てるが、戦闘員は、続けて、ゼクスに「トイレに向かった奴を仕留めろ」と合図を出すと、ニヤリと笑う

 

ゼクスは、頷くと、その指示に従い、戦闘員の後を追って、トイレに向かう

 

「おい、何をしているんだ?」

 

「嫌、何、仲間に合図を送っただけだ 」

 

「ん?仲間?何言って……」

 

すると、トイレから帰ってきた戦闘員は、子供を捕まえてる戦闘員の心臓にサイレンサー付きの銃を突き付ける

 

「俺の"クランメンバー"にだよ」

 

「な、貴様!!」

 

戦闘員は、避けようとするが、間に合わず、戦闘員は引き金を引く

 

撃たれた戦闘員は、掴んでいた子供の手を離し、その場に大の字になり、倒れる

 

撃たれた所から、おびただしい量の出血。撃った戦闘員は、首元に手を当て確実に死んだ事を確認すると、マスクを外す

 

「全く、エイジェンってのは全員バカなのか?…ん?」

 

近くには、怯えた様子の、子供が居た

戦闘員に扮していた、鴉は満面の笑みで子供に笑いかけ、頭を撫でる

 

「良く、頑張ったな」

 

すると、子供は、鴉の胸飛び込む

 

「後は、ゼクスか」

 

鴉は、抱きついてる子供を少し離し、戦闘員の遺体を隠す

 

 

 

 

 

「さぁてと、どこにいるんだ~曲者~?」

 

トイレに来ていた、戦闘員は、ゆっくりとした口調と歩きで個室を一つ一つ開けて行く

 

ゼクスは、その近くで息を荒げながら、見ていた

 

(お、俺があの人を殺すのか?)

 

戦闘員は、最後のトイレを開けると、そこに居る者に驚く

 

「な!お、おい!大丈夫か!?」

 

戦闘員が、慌てた様子で、座っている死んだ戦闘員に駆け寄る

 

(俺が、殺らないと……!!!!)

 

「くそ!死んでる!殺られたか!

だとすると、さっきのは………

まさか!?、くそ!騙された!」

 

戦闘員は、慌てた様子で出てくると、ゼクスが銃を構えた状態で立ちはだかる

 

「う、動くな!!」

 

「な!まだ居たのか!?」

 

ゼクスは、照準を戦闘員に合わせようとするが、肩が震えて、上手く合わない

 

それを見た、戦闘員は、ニヤリと笑い、ゼクスに襲い掛かる

 

「何だぁ!まだヒヨッ子かぁ!!」

 

戦闘員の反逆に、ゼクスは、怯み。後ろに後退するが、何かに躓き転んでしまう

 

「し、しまっ!!」

 

「我々!エイジェンをナメるなぁ!!」

 

戦闘員が、ゼクスにナイフを振り下ろす

 

(く!殺られる!)

 

だが、一向にどこにも痛みが無い。

ゼクスは、恐る恐る目を開くとそこには、戦闘員の降り下ろす手を掴む鴉の姿があった

 

「鴉さん!!」

 

「はぁ、あんまり、手をかけさせるなよ。ゼクス」

 

「く、くそ!やっぱりさっきの奴!!」

 

戦闘員は、手を振り払おうとするが、鴉の握力が戦闘員より、強く全く離れない

 

「おいおい、何だ、こんなもんか、エイジェンの戦闘員って奴は」

 

「く、この!!」

 

鴉は、手を離すと戦闘員は、距離を取ろうとするが、鴉は、直ぐ様、戦闘員の腹を思いきり蹴り飛ばす

 

「グハッ!!」

 

「さてと、後は、ゼクスがやれ」

 

「え?」

 

「ほら、起き上がるぞ」

 

「は、はい!」

 

ゼクスは、ナイフを取りだし、戦闘員に向き直る

 

「くそぉ!舐めやがって!!」

 

戦闘員は、ゼクスに向き直り襲い掛かる。だが、ゼクスは怯んでしまう

 

「ゼクス!!しっかりと敵を見ろ!!」

 

ゼクスは、鴉の言葉にハッとすると、戦闘員を良く見る

 

(右下から、来る!)

 

ゼクスは、戦闘員の攻撃を見切り、避ける

 

「はぁ!!」

 

「クソォ!!」

 

戦闘員は、さっきと違う、ゼクスの動きに怯み、倒れ込む

 

「まだまだぁ!!」

 

ゼクスに、倒された戦闘員は、起き上がろうとするが

 

「そろそろ、不味いな。ま、こんな所か」

 

鴉は、ゆっくりとした様子で、戦闘員に近寄る

 

「な、何だぁ!おま…」

 

戦闘員を蹴り飛ばし、そのまま、後ろに回り込み首をしめる

 

「あ……あぁ…………!!」

 

鴉に、首を絞められた戦闘員は、泡を吹き、気絶する

 

「ま、こんなもんか」

 

「す、すげぇ……」

 

「ゼクス、お前は上に戻って、マグメルに連絡して、応援を呼べ」

 

「え?」

 

「このガキ連れて、あの入り口に戻れ。俺はまだここを探索してみる」

 

「で、ですが……」

鴉は、ゼクスの態度に苛つき、声を荒げる

 

「行け!」

 

「は、はい!!」

 

ゼクスは、鴉の言うことを聞き、子供の手を引き、エレベーターを目指す

鴉は、気絶させた、戦闘員を縛り上げると、物影に隠す

 

すると、エレベーターの方角から二人の声が聞こえる

 

「鴉さん!お気をつけて!」

 

「お兄ちゃん!頑張ってね!」

 

二人の声を聞いた鴉は、ガッツポーズを取り二人に答える

 

エレベーターが、閉まる音がすると、鴉は気絶した戦闘員の懐を探る

 

「さてと、確かこいつが……やはりか、合ったな」

 

鴉は、戦闘員が、持っていたIDカードを取り出すと、マスクを付け、IDカードで戦闘員が入ってきた扉を開く

 

 



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エイジェン施設奇襲作戦 四話

鴉は、扉を通ると隠れる様子も忍ぶ様子も無く堂々と、通路を歩いている。

まるで、家の中を歩く様に

 

だが、一つ違うのは、その手には先程エイジェンの戦闘員から拝借した、銃を構えている

 

(随分と綺麗な通路だな)

 

すると、前方から戦闘員らしい二人組が、鴉に向かって歩いてくる。向こうは、鴉の事に全く気付いていない様子だ。

近づくに連れ、二人の話声が聞こえる

 

「おい、聞いたか?」

 

「あぁ、あのガキを始末するんだろ?エグいよな……」

 

「まぁ、仕方ないさ。」

 

「でも、あいつ13歳だろ?殺すなら、あいつ欲しいわー」

 

「何だ、お前ロリコンなのか?」

「はぁ?何言ってんだよ、あいつ胸中々大きいじゃん?それにあれ位が一番美味しいじゃんかよ!」

 

鴉は、二人の話を聞きながら、心の中で呆れる

 

(こんな、話。あいつらが聞いたら、ぶちギレて暴れそうだな……)

 

そんな事を思っていると、鴉と二人はすれ違うと戦闘員の一人が立ち止まる

 

「おい、お前……」

 

(バレたか?)

 

鴉もその声に、立ち止まり戦闘員に向き直る

 

「は、はい……ゴホッゴホッ」

 

鴉は、瞬時に体調を悪そうにしながらも、真っ直ぐ戦闘員に向き直る

 

「見たこと無いと思ったら、お前もしかして、俺とシフトが違う奴か。体調悪いなら、変わって貰えば良かったのにな。大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫です……すみません…そろそろ薬を飲まないと……」

 

「お、おぅ……お大事にな…」

 

戦闘員は、再び談笑を始めると、鴉も前を向き、歩き始める

 

(チョロいな、ここはどうやら、警備が甘いみたいだな。そろそろ廃棄されるからか?)

 

鴉は、思考を巡らせながら、歩みを続け、端末を見ると納得したような顔をすると、周りを警戒しながら、歩みを続ける

 

しばらく、歩くと通路の壁に地図が表示されている

 

「中枢部は…ここか」

 

マップを、端末に移すと鴉はそれを頼りに進んでいくが、前方から小型の丸いドローンがこちらに向かってくる

 

(ま、まずい!)

 

鴉は、少し慌てるが、真っ直ぐ歩いて行くと、ドローンが鴉の目の前に止まる

 

「くっ!」

 

『ピピ、認証が必要です、IDカードとナンバーを提示してください』

 

ドローンは、提示する様に鴉をみる。鴉は、戦闘員から奪ったIDカードとナンバーカードを提示する

 

鴉の持っている、カードをドローンがスキャニングすると、再びピピと音を出す

 

『承認中です、その場でお待ちください…』

 

鴉は、緊張のあまりごくりと喉をならす

 

すると、ドローンのスキャニングが終わったらしく、再びピピと音を出す

 

『認証が終わりました、ナンバー115248番のイーグル様ですね。お仕事中に失礼致しました』

 

ドローンは、それを言うと鴉の横を通り過ぎる

 

鴉は、しばらくすると「はぁ」と安心すると先程奪ったカードをマジマジと確認する

 

「成る程な、ここではこれが全てなのか……」

 

 

 



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エイジェン施設奇襲作戦 五話

鴉は、さっき手にいれた地図を頼りに、この施設の中枢部にたどり着き、今その扉の前に居る。そして、カードを使い入ろうとするが、

 

『ビー、このカードでは、こちらにはご入場出来ません』

 

(やはり、ここは厳しいか)

 

悩んでいると、後方から足音が聞こえる。

 

(不味い!)

 

鴉は、近くの通路に隠れて、中枢部の入り口を見張ると、先程の足音の主が、カードキーを使って中枢部に入っていく

 

(成る程、やはり、中枢部には一部の奴のみか……)

 

少しすると、先程中枢部に入っていった男が出てきた。

鴉は、監視カメラを気にしながら、その男の後を付ける

 

男が、別の部屋に入るのを確認すると、鴉も同じ部屋にはいる

 

(ここは…更衣室か?)

 

部屋の中は、ロッカーしかなく、男も自分のロッカーから、写真を取りだし、微笑む

 

(……殺るなら今か)

 

鴉は、トイレと同様な手口で、男の後ろに回り込むと男の口を塞ぐ

 

「む!むぅ!!」

 

男が、反撃しようとするが、鴉はお構い無しに首をへし折ろうとするが、足下にある男の落とした写真を見て、折るのを止め、首を締め続ける

 

「ん!んん!!ん…………」

 

鴉は、男が意識を失ったのを確認すると、首に手を置き、生きてる事を確認する

男を軽く拘束すると、そのままロッカーに押し込む

 

「……命拾いしたな。」

 

鴉は、先程落ちた写真を拾い上げ、その男のポケットに折れないようにしまいこみ、ついでに、あるメモ紙を入れると、男からカードキーを取りだし、ロッカーを閉め、その場を去る

 

「家族に感謝しな、幹部さんよ」

 

先程、男が落とした写真の中身は、男とその家族が笑顔で並んだ物だった

 

 

 

鴉は、先程奪ったカードキーを持ちながら、思考を巡らせていた

 

(妙だな……。この警備の薄さとガキ……それに、さっきの戦闘員の会話……色々と噛み合わないな……)

 

(この、施設は、恐らくエイジェンの戦闘員を育てる物なのに、何故廃棄を?俺達が来るのを知ってた?嫌、それでも、可笑しい。)

 

(俺の予想が正しいなら……ここは……)

 

中枢部への入り口にたどり着いた鴉は、カードキーを使い中に入る

 

中は、まるで実験部屋みたいな構造をしており、通路が真っ直ぐ中心に伸びている。

部屋の中には、多くのパソコンなどがあるが、どれも電気が入ってないらしく、黒い画面のままだ

通路の両端には、ガラスで出来た、筒状の物が天井まで伸びている

だが、中に黄色いニュードが入っており、部屋を黄色く染めている

どうやら、人の気配は無いようだ

 

鴉は、周囲を警戒しながらも、部屋の中心にある一際大きい一台のパソコンに向かっていく

 

(これが、メインPCだな)

 

鴉は、隠し持っていたUSBメモリを取りだし、差し込み口に差し込むと、キーボードを打ち出す

 

すると、暗証番号とパスワードが表示されるが、少し待つと勝手に入力され、再び鴉はキーボードを打ち始め、色々と調べ始める

 

(この施設の全体図か、ん?ブラストの発射口があるのか。)

 

鴉は端末を取り出すと、端末とパソコンを繋げると、施設の全体図を端末にコピーし、とある人物にメールとして添付する

 

(後は…)

 

USBメモリーを、クリックし、パソコンの情報を全て、USBメモリーにコピーする

 

コピーしながら、パソコンの中を調べていくと、気になるものを見付ける

 

(ACE計画?何だ、これは?)

 

鴉は、気になり、調べていこうとするが、そのフォルダは厳重なロックが二、三重にもかかっており、調べられない

 



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エイジェン施設奇襲作戦 六話

(駄目か、随分と厳重だな……)

 

すると、パソコン画面に「インストール完了したよ♪お兄ちゃん♪」と表示され、鴉はUSBメモリーを引き抜くとケースにしまうと溜め息をつく

 

(毎度思うんだが、インストール後の画面は何とかならんのか……)

 

鴉は、再びキーボードを打ち、ACE計画について調べだすが、やっぱり開かない。

ん~と鴉は、唸っていると、部屋の入り口が、開き幹部が入ってくる

 

「そうか、なら捕まったんだな」

 

幹部は、片手にインカムを付けて、話していた為。鴉には気付かない

 

鴉は、慌てて、パソコンの電源を落とし、物陰に隠れる

 

「あぁ、分かった。警戒を怠るな」

 

幹部は、インカムを切ると、パソコンに向き直る

 

「ん?誰か触った形跡があるな、さっきの侵入者…………嫌、ここは我等の一部しか入れないはず……まぁ、良いか」

 

すると、メインPCの上の巨大な画面が、砂嵐になり、とある人物が映る

 

「おい、誰か居るか?」

 

幹部は、直ぐ様、画面に向き直り、敬礼をする

 

「はっ、ゼラ様。ナンバー1153、エアが居ります。」

 

ゼラ。武装組織エイジェンのリーダーにして、規格外のブラストランナーを操る、謎の男。

実力もあり、マグメルも警戒している。第一級の犯罪者である

だが、今鴉が居る位置からは、ゼラの姿が見えない

 

「そうか、おい、エア。定期連絡がいつもより、二分遅い。どういう事だ?」

 

「え、先程、リムが連絡したはずですが………」

「言い訳は聞いとらん!!」

 

「は!申し訳ありません!!」

「まぁ、良い。それより、計画に支障は無いな?」

 

(計画?もしかして、ACE計画の事か?)

 

鴉は、考え込みながら、聞いていると、ゼラは、威圧した声でエアと呼ばれた幹部は、言葉を濁す

 

「え、えっとですね……

計画は、被験体が逃げたしまして…

さ、更に、先程、侵入者を許してしまって……ですね…」

 

「何をやっているんだ!!!」

 

「はい!申し訳ありません!!」

 

「早急に問題を片付けろ!!。それと、警備を強化しておけ!!」

 

「は、はい!!」

 

ゼラは、それだけを言うと一方的に通話を切る

通話が、終わるとエアは「はぁ…、ゼラ様も人使いが荒い……」と溜め息をつき、呟く

 

「とっとと、あの金髪男を殺して…

No.24を見付けないとな…」

 

エアは、そう言うと、中枢部から出ていこうとするが、後ろから鴉が忍び寄り

 

「ほぅ?その、話詳しく聞かせて貰おうか?」

 

「あぁ?んん!?!?」

 

鴉は、エアの口を塞ぎ頭に銃を突き付け、今にも怒りだしそうな声で威圧する

 

「叫ぶな、俺の質問以外口を開くな。おーけー?」

 

エアは、鴉の声と、今置かれた危険な状態に脅えた様子で頷く

すると、鴉は口だけを手を話す

 

「良し、いい子だ……じゃあまず、侵入者って誰だぁ?特徴をこと細かく言え?」

 

「さ、さっき、侵入が確認された男の事だな?」

 

すると、瞬間、鴉はエアを捩じ伏せ、腕を逆方向に曲げようとする

 

「誰が質問していいなんて言ったかぁ?」

 

「は、はい!!すいません!!」

 

「早く言え?」

 

「か、髪は金髪!服装は、迷彩服!後は分からん!!」

 

「そうか、じゃあ死ね」

 

「おま、話がちが…」

 

パァン!

 

鴉は、瞬時に頭に銃を突き付け、引き金を引くと、大量の血が飛び散り、床が真っ赤に染まる

 

「誰が、殺さないなんて言ったか?」

 

聞こえてないであろう、幹部に吐き捨てる様に言うが、鴉は、怒りが収まらず、ここが、敵の中枢部と言うのを忘れて叫んでしまう

 

「あんの、ドアホォがぁぁぁぁ!!!

人の言うことも聞けんのか!!!!

だから!!新入りは嫌いなんだよぉぉぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、鴉と別れたゼクスはと言うと、鴉の言うとおりに、子供を連れ、地上に出ていた

 

外に出ると、そこには、マグメルのヘリが止まっており、子供の手を引き、ゼクスもマグメルのヘリに乗ろうとするが

 

(……やっぱり、鴉さん一人に任せられない!)

 

ゼクスは、ヘリから降りると、再びエイジェンの施設に向かう

 

「ゼクスさん!戻ってください!!」

 

「すみません!!子供をお願いします!!私は、鴉さんの後をおいます!」

ヘリからは、マグメル職員からの声が聞こえるが、ゼクスは無視して、施設に戻る

 

 



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エイジェン施設奇襲作戦 七話

ゼクスは、エレベーターを使い、施設の地下に着くと、物陰に隠れながらも、鴉が入ったであろう、入り口に入ろうとするが、カードを持ってないため、入れない

 

「ど、どうしよう……」

 

ゼクスが、悩みながら、部屋を見渡すと、カードを使わない入り口を見付け、隠れながら、入っていく

 

(ここは?格納庫の通路か?)

 

ゼクスが、通っているのは、他の通路と違って、少しうす暗く、人の気配も全くしない

通路も、少し埃を被っているし、カメラも一台もない。

しばらく、一本道が続いており、歩いていると、明るい通路にあたる

 

ゼクスは、警戒しながらも、明るい通路に出ると、辺りを確認する

 

(恐らく、ここが、エイジェンの施設か……)

 

辺りに、誰も居ないことを確認すると、ゼクスは、手当たり次第の部屋に入る

 

(ここは、ロッカールーム。ここは、トイレか。ここは、何の部屋だ?)

 

ゼクスは、三つ目の部屋に入ると、他の部屋と違って雰囲気が違うことに気付き、探索を開始する

 

(何か、フェートの部屋みたいだな…でも何か、違うな……)

 

「キャアアアア!!!」

 

すると、外から女の子と叫び声が聞こえる

 

「外から!?」

 

ゼクスは、部屋から飛び出ると、声のする部屋へと走り出す

 

走っている途中も、女の子の、叫び声は聞こえ、徐々にその声が断末魔に変わっていくのを感じ、ゼクスは更に急ぐ

 

(頼む!!間に合ってくれ!!)

 

ゼクスは、曲がり角を曲がろうとすると、近くの部屋が開く音が聞こえ、たち止まり、隠れる

 

廊下を覗くと、二人の研究員が、ある部屋から出てくる

 

「ちょっと、調整が厳し過ぎたか?」

 

「いやいや、あれ位が良いんだろ。てか、あいつの叫び声良いよなぁ……そそるぜ」

「それな!俺もそう思うわ~」

 

二人の研究員は、談笑しながら、廊下を歩いていくのを見て、ゼクスは唇を噛みしめ、我慢する

 

(我慢しろ……ゼクス……)

 

二人が、見えなくなると、ゼクスは大急ぎで、二人が入った部屋に入る

 

部屋に入ると、一人の若い女の子が、実験台の上に拘束され、実験器具に繋がれて居た

 

「おい!君!大丈夫かい!?」

 

ゼクスは、心配しながら、声をかけるが、全く返答が無い

急いで、全ての実験器具を取り、女の子を起こし、首元に手を当て、生死を確認する

 

(トクン…トクン…)

 

静かだが、女の子は、脈をうっており、生きてることを確認すると、ゼクスはホッとする

 

(良かった……間に合ったか!)

 

ゼクスは、女の子の頬を軽く叩き、目を覚まさせる

 

「おい、起きてくれ!」

 

女の子は、「ん、んん?」と嫌がりながらも、目を覚ます。

目を覚ました瞬間に、ゼクスの顔を見た瞬間に叫びそうになるが、ゼクスが瞬時に女の子の口を塞ぐ

 

「ん!んんん!!!」

 

「静かにしてくれ!俺は、君の味方だ!」

 

女の子は、その言葉に、ハッとすると、ゼクスの顔と髪をまじまじと見て、納得する

 

ゼクスは、静かに口から手を退かすと、女の子に自分の上着を着せて、実験台から降ろし、説明する

 

「今から、君をこの施設から連れ出す。良いかい?」

 

女の子は、静かに頷くと、ゼクスは「良し」と言い笑顔になる

 

ゼクスが、手を繋ごうとするが、女の子は、手を払う

 

「触らないで」

 

女の子は、目付きを変え、ゼクスを睨み付ける。だが、ゼクスはその目に覚えがあった、前に鴉に初めて話しかけた時の目付きと似ており、ゼクスは納得する

 

「分かった、でも離れないでね?」

 

ゼクスの言葉に、女の子は静かに頷き、部屋を出ようとすると、廊下の研究員とばったりと会ってしまう

 

(しまっ!)

 

「な、何だ貴様!!」

 

研究員は、すぐに何かを押そうとするが、ゼクスは、それを蹴り飛ばし、研究員を押さえ込み、押し倒し、スタンガンで気絶させる。

 

「ぐぁ!!」

 

ゼクスは、そのまま研究員を縛り上げようとするが、廊下の奥から、また、別の研究員が現れる

 

「貴様!!そこで何をしてる!!」

 

「クソ!!」

 

研究員に向けて、ゼクスは銃を構えて撃つが、弾は外れ、研究員は逃げ出す

 

「不味い!君、急いで!」

 

「え!ちょ、ちょっと!!」

 

ゼクスは、急いで女の子を連れて逃げ出すが、施設内のスピーカーから「ビー!!ビー!!ビー!!ビー!!」と、警告音が響き渡る

 

「侵入者を確認!!特徴は、金髪の男!!実験体の小女を連れている!!二人を捕獲しろ!!」

 

「くっ!予想以上に、伝達が早い!」

 

「ちょ、ちょっと、どうするのよ!!」

 

「とりあえず、こっちへ!」

 

女の子は、慌てているが、ゼクスも少し慌てながら、逃げようとするが

 

「居たぞ!!撃て!!」

 

「くっ!」

 

目の前の廊下から、戦闘員が現れ、銃撃戦になる。

ゼクスは、女の子を庇いながらも、通路の遮蔽物を利用し、銃弾を避ける

 

「こっちへ!」

 

「逃がすな!!」

 

ゼクスと女の子は、別の通路に、逃げ込むが、戦闘員はしつこく、後ろから容赦なく撃ってくる

 

「ドローン部隊!!奴等を捕縛しろ!!」

 

戦闘員が、命じると、ゼクスの目の前に小型のドローンが3機、通路の奥から出現し、ゼクス達へ銃を構えながら、向かってくる

 

「くそ!」

 

ゼクスは、銃を構えて、ドローンを撃ち二機を行動不能にするが、一機は、銃撃を掻い潜り、ゼクス達へ接近する。

 

「この部屋に入って!」

 

「はい!」

 

ゼクスは、女の子をある部屋に入れると、ガス弾をドローン目掛けて撃つが、ドローンは撃ち落とそうと、弾丸を当てるとガス弾は、爆発し廊下一体に大量のガスで充たされる

 

「ガス弾か!ガスマスクを付けろ!」

 

戦闘員達は、同時にガスマスクを付け、ドローンが銃を向けている部屋に入る

戦闘員達は、一斉に入ると、警戒しながらも、部屋を探索する

 

部屋は、どうやら脱衣場だったらしく、どこかに隠れる様な所はない。だが、念のために、辺りを念入りに捜索する。すると、一人の戦闘員が天井を指さす

 

「奴等は、通風口だ!!」

 

戦闘員達が、一斉に通風口に目をやると、通風口が空いてあり、近くには登った後の様に物が置いてある

 

「よし、BとAは通風口の中を調べろ!他の奴は、通風口の出口を全て塞ぐぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

一人の指示に、全員が頷き、それぞれバラバラに動く。 そして、脱衣場が静かになると、二つのあるロッカーが、ひとりでに開く。

 

「行った様だな。大丈夫かい?」

 

「え、えぇ」

 

実はゼクスは、脱衣場のロッカーに隠れる前に、一度通風口に登ろうとしたが、鴉のアドバイスを思いだし、近くのロッカーに隠れたのだ

「流石は、鴉さんだ。簡単に敵がひっかかったよ」

 

身を整え、再び銃を構えつつ、ゼクスは、女の子を連れて部屋を後にする。

 

先程の事が、あり、やはり施設内は厳重警備体勢になっており、上手く動けない

 

(どうするか……)

 

すると、ゼクスはさっき通った暗い通路を思い出す

 

(そうだ!あそこなら、カメラも人も居ないはず!)

 

「きみ、付いてきて!」

 

ゼクスは、そう思うと、女の子を引き連れて、最初に通った道に向かっていく



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エイジェン施設奇襲作戦 八話

二人は、通路を走り回る戦闘員とドローンに警戒しながらも、走っていく

 

(やはり、警備は厳しいか…)

 

通路には、ほぼ、常時戦闘員かドローンが居るため、思うようには動けない。

それに、至るところにある監視カメラもあるため、そちらも警戒しなくてはならない為、実際は少しも動けていない

 

だが、ゼクスは見付かった際の動きを鴉に教わっているために、今の所は見付かっていない

 

(今度は、カメラが無い通路か。なら奴等が行った瞬間に…)

 

今、ゼクスの目の前の通路には、戦闘員が警戒の為、徘徊している。

 

少しすると、戦闘員が、別の部屋に入る瞬間を狙ってゼクス達は別の通路に、走り、入り込む

 

(確か、次を曲がれば……)

 

ゼクスは、次の曲がり角をみると、そこには誰の姿も無く、何も考えずに走ってしまう

 

(よし、行ける!)

 

だが、その焦りが油断であった。曲がった瞬間に、近くに監視カメラがあるのに、気付き、バッチリ、二人がカメラに写りこむ

 

「しまっ!!」

 

ゼクスは、慌てて隠れようとするが、施設内に再び警報が鳴り響く

 

《ビー!ビー!ビー!!侵入者を第六カメラのE通路で確認!!直ちに、向かわれたし!繰り返す…》

 

「急いで!!」

 

後ろからは、近くに居たドローン部隊と戦闘員が、二人目掛けて走ってくる

 

「居たぞ!!二人を捕縛しろ!!」

 

二人は、入るときに通った薄暗い通路に、入り込み、全力で逃げる

 

後ろからは、銃弾が何発か飛んで来るため、前に女の子を行かせ、後ろにゼクスが付き応戦しながら、通路を走り抜ける

 

 

少しすると、エレベーターがある、格納庫に着き、女の子をエレベーターに向かわせる

 

「きみ!エレベーターのスイッチを!!」

 

「はい!」

 

だが、女の子がエレベーターのスイッチを押すと、女の子は叫び声をあげる

 

「キャアアアアアア!!」

 

「ど、どうしたの!?」

 

ゼクスは、慌てて女の子に駆け寄るが、女の子は気絶してしまう。

 

「まさか、これに電気が!?」

 

その一瞬だった、ゼクスが女の子を抱えると同時に、戦闘員とドローンが二人を囲む

 

「動くな!!動けば撃つ」

 

「く!!」

 

ゼクスは、銃を構えるか、瞬間、ドローンがゼクスに向け電撃を放つ

 

「ぐぅぅぅ!!!」

 

構えてた銃が、落ち、その場に倒れこむ。

 

「では?ご同行願おうか?ネズミ君?」

 

「く、くそぉ……」

 

戦闘員は、二人を拘束すると、とある部屋へと連行する

 

 

 

 

「入れ」

 

捕まった二人は、投げ捨てられる様に、とある部屋へと入れられ、ドアを閉められる

 

「大人しくしていろ。」

戦闘員は、ドア越しに言うと鍵を閉め、立ち去る

 

戦闘員が居なくなるのを、見計らい、ゼクスは、拘束されながらも、女の子に近付く



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エイジェン施設奇襲作戦 九話

女の子は、小さく「んん」と言うと目を覚ます。

飛び起きようと、するが、拘束されてる為か、起きる事が出来ない

 

「ごめん……俺のせいで…」

 

「ううん、良いよ。お兄さんは、頑張ってくれたもの……」

 

ゼクスと話す女の子は、悲しげな顔で笑うと、ゼクスは、罪悪感になまされる

 

(鴉さん、なら……どうしたのだろうか…)

 

ゼクスは、そう呟くと、逃げようと、するが、先程捕まる際に、手持ち武器を全て取り上げられるらしく、なにも持ってない。

 

だが、ゼクスは、女の子に笑顔になり、再び話しかける。

 

「大丈夫だよ!君!必ず、鴉さんが助けてくれるからね!!」

 

「鴉さん…?」

 

「あぁ!俺の先輩何だけど!ここに来ているから、必ず助けてくれる!」

 

女の子を必死になりながら、ゼクスは元気づけると女の子は微かに微笑む

 

すると、部屋の鍵が開き、戦闘員が五人程入ってくる

 

「来い」

 

戦闘員が二人ずつゼクスと女の子に付くと、外に連れていく

 

途中まで、一緒だったがある、通路で二人は同じの部屋に入れられる。

 

ゼクス達が、入れられた、部屋はどうやら尋問室らしい。

部屋の真ん中に、一つぽつんと置かれた電気椅子。

それ以外には、何もない

 

「座れ」

 

戦闘員は、銃口をゼクスに向けながら、ゼクス達は座らせ、それぞれ器具を付けられる

 

「これより、侵入者の尋問を始める」

 

 

「おい、No.25。この男は誰だ?」

 

「……」

 

No.25と言われた女の子は、口を塞ぎ、何も話そうとしない

すると、尋問している戦闘員は、もう一人の指示を出すと、電気椅子に電流を流す

 

「アアアアアァァァ!!!」

 

No.25は、痛みのあまり、叫び声を上げる

少しすると、戦闘員は電気を止める

 

「やめろぉ!!彼女は俺とは関係無い!!」

 

「貴様には聞いてない!!」

 

近くにいた、戦闘員がゼクスを思いっきり鉄パイプで殴る

 

「グハッ! 」

 

「へへへ、まだ殴られたいか?」

 

「く!」

 

 

「やっぱり、こいつの叫び声そそるよな……なぁ、もう少し電圧上げようぜ?」

 

一人の戦闘員の会話に、ゼクスは怒り再び叫ぶ

 

「やめろぉぉぉ!!」

 

「黙れと言っている!!」

 

今度は、ゼクスに電流を流す

 

「がぁぁぁ!!!」

 

 

「おいおい、馬鹿、んなことしたら怒られるぞ。」

 

「良いじゃんかよ?こいつの叫び声を聞けるからよ?」

「仕方ねぇな…」

 

すると、戦闘員は、先程より少しだけ、電圧を上げ、No.25に電流を流そうとする

 

 

「へへ、No.25。話さないと次はさっきより、キツいのが流れるぜ? 」

 

「……ペッ」

 

No.25は、尋問中の戦闘員に向けて、唾をはきかけると、戦闘員は、苛つき、No.25を殴る

 

 

「こいつ!!おい!電流を流せ!」

 

「おいおい……仕方ねぇな」

 

電気椅子の電圧を、担当している戦闘員が、No.25に再び電気を流す

 

「アアアアアア!!!」

 

No.25が、電気を流され、叫び声を上げると、尋問中の戦闘員が、ゲスい笑みを浮かべ、苦しんでいるNo.25を眺めている

 

「へへへ、やっぱり良いぜ、こいつの叫び声……」

 

電気椅子を操作している、戦闘員が流すのを止めると、尋問している戦闘員が、No.25の髪を掴む

 

「なぁ、こいつさ。ヤって良いかな?」

 

「おいおい、マジかよ?ここでか?」

 

「いやー、最近溜まっててよ?」

 

「……仕方ねぇな」

 

電気椅子を扱っていた、戦闘員は外に出ていこうとする

 

「おいおい、お前は良いのか?」

 

「俺は、そんな事には興味ないからな」

 

「んだよ!ヤろうぜ!」

 

電気椅子を扱っていた、戦闘員は、小さく「しゃあないか」も呟くと、No.25に近付く

 

「さぁてと、相手してもらうぜ?No.25?」

 

戦闘員は、No.25の胸を触ると、No.25は、小さく「んッ!」と言うと戦闘員はニヤリと笑う

 

「へへへ…さてと、初めようかね……」

 

「やめろぉぉぉ!!」

 

電流が流されながらも、ゼクスは大声で叫ぶ

すると、ポケットからクランの証明になる、エンブレムが落ちる



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エイジェン施設奇襲作戦 十話

「ん?お前、何か落としたぞ?…………!!!!!」

 

ゼクスが落とした、エンブレムを拾った戦闘員は、一気に顔を青ざめる

 

「おい!!こいつの電流を止めろ!!」

 

「な、何故です?」

 

「良いから!!早く!!」

 

ゼクスに、電流を流していた戦闘員が電流を止めると、エンブレムを拾った戦闘員は、ゼクスの胸ぐらを掴む

 

「おい!!答えろ!!お前は、どこのクランに所属している!?」

 

「Z……」

 

痺れている為か、ゼクスは呂律が回らず、微かに、そのクランの名前を口にする

 

「Zi…-for…ce」

 

その名前を聞いた、戦闘員は怯えた様子で後ろに下がり、ゼクスに目掛けて銃を構える

 

「おいおい、どうしたんだよ?そんなに恐い所なのか?」

 

「恐いも何もあるか!!zi-forceって言えば、あの……」

 

「ふーん、うちのクランってのは案外有名何だな」

 

二人の戦闘員の会話を遮る様に、No.25の胸を触っていた戦闘員の後ろの戦闘員から声が聞こえ、すぐに、その戦闘員は口から血を大量に吐き出し、その場に崩れる

 

「あぁ……あぁ!!!??」

 

ゼクスに、構えていた銃口をその男に向けるが、直ぐ様持っていたナイフを戦闘員の首に投げ、刺す

 

「か……ぁ……」

 

戦闘員は、首を押さえながら、ヒューヒューと息をしながら、絶命する

 

「だ、誰だ!!お前は!!」

 

電流を操作していた、二人の戦闘員が立ち上がろうとするが、その男は瞬時に銃を両手に取りだし、二人の戦闘員の首と頭を正確に撃ち抜く

 

二人は、なにもできずに、電流装置に倒れこみ、絶命する

 

「な、なんなんだ!!お前は!!」

 

No.25の胸を触っていた戦闘員が、銃を構えるが、その男は銃を蹴り飛ばし、戦闘員の首を片手で絞めながら持ち上げる

 

「なんなんだ、と言われてもなぁ……そうだなぁ、言うなら…………てめぇらの敵で、そいつらの保護者だ」

 

その瞬間に、戦闘員を壁に投げ飛ばす

 

「ふん、こんなもんか。大した事ないな、エイジェンの戦闘員って奴も」

 

その男は、No.25に近付くと、No.25は怯えた様子で、その男を見るが、男は頭を優しく撫でる

 

「怖かったろ?もう、大丈夫だ」

 

そう、言われるとNo.25はぶわっと泣き出しそうになる

男は、No.25の枷を外すと、No.25は男に倒れこむ様に抱き付くとわんわん泣き出す

 

「か、鴉さん……」

 

「ゼクス……お前、後で説教だからな?」

 

「は、はい……」

 

「まぁ、でも……よく頑張ったな」

「ありがとう…ございます!!」

その話を聞いた、No.25は鴉の顔を見ると、不思議そうな顔をする

 

「貴方が……鴉さん?」

 

「あぁ、そうだ。ゼクスが何か言ってたか?」

 

「うん!必ず、鴉さんが必ず助けてくれるって!」

 

鴉は、そんな事を聞くと、眼を見開くが、すぐにゼクスを睨む

すると、ゼクスはえへへと軽く笑う

呆れた様子で、鴉はゼクスの拘束を解き、部屋から脱出しようとすると

 

《ビーー!ビーー!ビーー!ビーー!!!

侵入者を確認!!直ちに排除せよ!!

生かさなくて構わん!!撃ち殺せ!!》

 

 

施設内に、けたたましい音が鳴り響き、鴉達は身構える

 

「な、何で!?まだ、出ても居ないのに……」

 

「ふーん、やるじゃねぇかよ。エイジェン」

 

「え……」

 

鴉は、投げ飛ばした戦闘員と頭の側に行くと、戦闘員の腹部を蹴ると、手から何かのスイッチが落ちる

 

「まさか!」

 

「ほら、二人とも急ぐぞ!」

 

 

鴉は、部屋を飛び出すと、両方の道を確認しつつ、マップ端末を見る

 

「こっちだ!行くぞ!」

 

二人を連れた、鴉は片手に銃、片手に端末を確認しながら、通路を走っていく。

だが、ゼクスはとある、事に気付く

 

「?鴉さん?」

 

「何だ?」

 

「何か、ドローンにも戦闘員にも出会わなくないですか?」

 

そう、さっきゼクス達が、逃げている時より、全くドローン達にでく会わさない

 

「まぁな、ドローンはこっちで操作しながら、戦闘員の位置を把握してるからな」

 

鴉は、端末をゼクスに見せながら走っていく

 

「えぇ……凄…」

 

ゼクスは、唖然としながら、逃げる

 

 

しばらく、二人が走っていくと、格納庫らしき場所に出る

 

「ここは……?」

 

「まぁ、出口みたいな物だ」

 

鴉は、ポケットから、何やらスイッチを取り出すと、二人に指示を出す

 

「二人共、耳を塞いで伏せろ」

 

「「え?」」

 

ゼクスとNo.25は、伏せて鴉を待つ

 



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エイジェン施設奇襲作戦 十一話

「居たぞ!!」

 

鴉は、ポケットからスイッチを押そうとすると、鴉達が通ってきた通路から戦闘員が数人出てくる

だが、鴉は気にせずスイッチを押す

 

ドン!!

 

と大きい音と共に、鴉達の目の前の扉が外に向けて爆発を起こし、扉が吹き飛び、外が見える

 

「な、何だ!?」

 

そして、一拍空いた瞬間に、エイジェン施設の至るところから、爆発音がし、出てきた戦闘員も爆発に巻き込まれる

 

「う、うわぁぁぁぁ!!!」

 

二人は、耳から手を離すと、鴉に向き直る

 

「え?鴉さん、まさか……」

 

「あ?決まってんだろ?施設内に爆弾仕掛けておいたんだよ。ほら、逃げるぞ」

 

「ま、待ってよ!」

 

鴉は、端末を確認しながら、二人を連れて逃げる

 

外に出ると、そこは入った時は違い、湖が広がっていた。

 

「ほぅ、ここに繋がってたのか。二人とも付いてこい!」

 

鴉は、端末を確認すると、二人を誘導する

湖の周りを走っていると、空からヘリコプターの音が聞こえる

 

「あ、あれは!!マグメルのヘリコプターか!!おーい!!」

 

 

ゼクスが、ヘリコプターを指差すと、No.25が笑みを浮かべる

 

「予定より、少し早いな。まぁ良い」

 

三人に、希望が芽生えた瞬間。

 

ドゴン!!

 

ヘリコプターの音が消え、ヘリコプターは、煙を上げ、こちらの湖に墜落する

 

「嘘……だろ…」

 

「嘘…」

 

二人は、絶望したせいで、その場に座り込む

すると、三人を囲む様に、三つのブラストランナーが空から落ちてくる

 

「見付けたぞ!!」

 

「貴様ら!!良くもやってくれたな!!」

 

三つのブラストランナーは、それぞれ機体が違っており

一つは、全身が鋭い刃の様な機体をしており、手に狙撃銃を構えている

恐らく、こいつがヘリコプターを撃ち抜いた本人に違いない

一つは、空中をふわふわと浮かんでおり、まるで蜂の様な機体

一つは、頭は二本の角らしき物があり、全身が少し鋭い機体をしており、恐らく高速戦闘を主体にした機体

 

 

二人が絶望するなか、鴉は冷静に端末を確認している。

 

「へー、やるじゃねぇかよ。ブラストに乗ると変わるんだな。お前ら」

 

「黙れ!貴様らのせいで、我が施設が…… 」

 

「警備が、甘すぎんだよ。バーカ」

 

「何だと!?」

 

 

二本の角があるブラストが、鴉に銃口を向け、引き金を引こうとする

 

「か、鴉さん!!」

 

「だめー!!!」

 

二人が、慌てているが、鴉は冷静に小さく呟く

 

「おせぇんだよ。」

 

「はぁ?お前、何を言って……」

 

 

「アハハ、ごめんよ。鴉」

 

 

鴉に銃口を向けていた、ブラストの胸にいきなり、槍が突き刺さり、中に、入っていた戦闘員ごと貫く

やがて、ブラストから光が失われ、槍を引き抜き、刺さったブラストは遠くに飛ばされ、後ろには真っ黒な新たなブラストが見える

 

「な!!だ、誰だ!?」

 

「遅い!!」

 

蜂の様なブラストが振り替えようとするが、その後ろから、また、新しいブラストが現れ、持っていたアサルトライフルを、蜂のブラストに放たれる

「し、しまった!!まだ敵が!?」

 

だが、アサルトライフルが、蜂のブラストに当たり続けると、そのブラストの耐久値が無くなったらしく、蜂のブラストが爆発を起こし、機能停止する

そして、後ろから、アサルトライフルを撃っていた紅色のブラストが現れる

 

「くそ!!二人が殺られたか!?なら、俺が……」

 

刃のブラストが、狙撃銃を構えて、撃ち抜こうとするが、その横から、ショットガンが、刃のブラストの頭部に直接付けられる

 

「注意不足ですね……」

 

瞬間、派手にボゴン!と音と共に刃のブラストの頭が撃ち抜かれ、ゴロゴロ転がり、大爆発を起こし、中身の人間もろとも大破する

すると、横の薄い青色のブラストはリロードをする

 

エイジェンの戦闘員を倒した、ブラストランナー達は鴉達の前にそれぞれ並び、鴉達を見下ろす

 

「え……」

 

「ま、まさか……」

 

ゼクスは、唖然としており、No.25は腰を抜かしたのか、その場にペタンと座り込む

 

 

三つのブラストランナーには、それぞれzi-forceのエンブレムが付いており、その姿を見た鴉はニヤリと笑うが、すぐに、三機のブラストを睨み付ける

嫌、正確には中に入ってる三人を睨む

 

 

「おい、お前ら遅すぎだぞ?」

 

すると、黒いブラストが、紅色のブラストの胴体を蹴り飛ばし、幼い女の子の様な声が聞こえる

 

「私は悪くねぇ!!このゴミ野郎のせいだ!!」

 

蹴り飛ばされた、紅色のブラストは、体制を直すと、黒いブラストに向けて、若い男が必死に言い訳をする

 

「だ、だって!仕方がないだろう!?あっちが近道だと思ったのだ!!」



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エイジェン施設奇襲作戦 十二話

「結果的に、遠回りになったんじゃねぇよ!!」

 

黒いブラストは、再び紅色のブラストを思いきり、蹴り飛ばすと中身の男が「グハッ!」と声を出し、ブラストは、転がり、湖に沈む

 

 

二機のやり取りを見ていた鴉は、頭を抱え、深く溜め息をつく

 

「あー、ししょー。大丈夫ですか~?」

 

二機を他所に、若い男の声が聞こえる薄い青色のブラストが、鴉に近付き、しゃがむ

 

「あのさ、蒼月?。何で遅くなったんだ?」

 

蒼月と、呼ばれた青色のブラストを操縦する若い男は、遅れた理由を簡潔に言う

 

「え~とですね?ライジングさんが、近道しよって言って付いてったらですね~。

別動態の奴等と交戦になっちゃって遅くなりました~

ごめんなさい~」

 

「あぁ、大丈夫だ。

とりあえず、ここから脱出するぞ」

 

「了解です~

クロさん~、ライジングさん~

早く帰りましょ~?」

 

蒼月は、二人に向くと、黒いブラストは、槍をしまい。

ゼクス達の、近くに行く

 

「え、クロさん? 」

 

「久しぶりだな、ゼクス!んじゃ、私はこの二人を連れていく。

ライジング!!起きろ!!行くぞ!!

てか、その女の子誰だ?

結構可愛いじゃないか!!

後で愛でさせろ!!」

 

クロと呼ばれた、黒いブラストに乗っている女の子は、No.25の事を気に入った様だ

 

その言葉を聞いた、No.25は顔を真っ赤にさせながら、うつむく

 

クロは、二人を抱き抱えると、ゆっくりと歩きだす

 

すると、湖から紅色のブラストに乗っている、ライジングと呼ばれた男は、ザバッと飛び出し、クロを追う

 

「そうだな!!

帰ろう!!!!」

 

「あ、そう簡単でも無いみたいですよ~?」

 

蒼月が、ここにいる、全員に言うと、全員とも腑抜けた声を揃える

 

「「「「え?」」」」

 

「先程、偵察機を上げたましたらね~

エイジェンのブラストランナーが二十機程、こちらに向かってきてました~

凄いですよね~アハハ~」

 

蒼月の言葉を聞いた、この場の人間が全員凍り付く

 

「おい、ライジング……

どうする?」

 

鴉は、ライジングに聞くと、ライジングは少し悩み

 

「どうするってそりゃ……」

 

それぞれに、指示をだす

 

「蒼月!偵察をしながら、敵の位置を正確に、俺らに知らせろ!!

クロ!二人を、出来るだけ安全に運んでくれ!!

鴉!端末で、マグメルと連絡を取って、応援を呼んでくれ!!

俺は、お前らの援護に回る!!」

 

「分かりました~

偵察を開始します!」

 

「まぁ、出来るだけ、やってやるわよ!!」

 

「もう、連絡済みだ。

これより、東に十キロ進めば、マグメルが防衛網を引いてるらしいぞ。そこまでたどり着けば、助かるはずだ」

 

ライジングは、それぞれの事を聞くと、「よし、それじゃあ」と言い、息を吸う

 

「全員!!逃げるぞ!!

必ず、生きて戻る事が、作戦目標だ!!!」

 

その場に居る、ライジングと他三人は一斉に声を合わせ、叫ぶ

 

「「「了解(です~)!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、六人は生きて防衛網までたどり着いたは良いものの、機体は、壊れる寸前だったらしい

 

エイジェン施設奇襲作戦編

 

~完~




( ´°ω°)疲れた、長かったわ……


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取引一話

鴉は、今、マグメル本社の廊下を歩いていた

歩きながら、今回の作戦を思い返していた。

 

(ACE計画……二人の歳の離れた子供……廃棄寸前だった施設……それに………)

 

ふと、ポケットから取り出した、USBメモリを見ながら、立ち止まる

 

(まぁ、時期に分かるか)

 

USBメモリを、再びしまうと、鴉は毛延びをしながら、歩いていくと、廊下は、ある部屋の前に着き、そのまま進むと、鉄とオイルの匂いに包まれる

 

その部屋は、マグメルが指揮する作戦等で傷付いたブラストランナーの修理を行っている部屋で、部屋は相当デカイ

 

「随分と、損傷が酷いのが多いな 」

 

部屋には、片腕が無いブラストや、肩脚が無かったり、傷だらけの物が多く存在していた。

「あ、あいつらの」

 

その一角に、ライジング達が乗っていたブラストがあり、整備士が直していた。

だが、一つ、黒いブラストを修理していた、整備士と小さな女の子がもめているのが見えた

 

「で、ですが!こちらのパーツは……」

 

「良いから直せってんだ!!

昨日壊れちゃったんだからさぁ!!」

鴉は、その光景を見ると、女の子の方を向き、そこそこ大きい声で、その子を呼ぶ

 

「おーい、クロー。何してんだー?」

 

 

鴉の声に反応した、女の子は、鴉に向き直ると、「おー、鴉!直しとけよ!!」と整備士に言うと、鴉に向けて、全力で走ってくる

 

鴉は、のんびり待っているが、クロは鴉に近付いているのに、速度を落とさない

 

「かーらーすー!!」

 

「お、おい!?」

 

「とぅ!!」

 

クロは、勢いよく、鴉につっこむと、鴉はその速度を利用して、クロを抱きしめ、くるっと一回転する

 

「おい!クロ!いきなりつっこんでくるなよ!!」

 

「あはは、悪い悪い!ついな!」

 

鴉は、ため息をつくと、クロを下ろし、横に立たせると笑顔になる

 

クロの見た目は、十四歳位の女の子であり、髪は茶髪で、眼は一重、身体は少し黒く日焼けしており、胸は、控えめであり、笑顔になると、八重歯が見える。

身長は、鴉より低く、鴉の胸元位しかない。

 

「いやー、今回の作戦はすまなかったな!

だが、私は悪くねぇ!」

 

「あぁ、蒼月から聞いたよ。

ま、こうして生きてるから、別に良いよ」

 

二人は、歩きだすと、部屋を後にする

クロは、ポケットから棒の付いた丸い飴を取り出し、くわえる

 

「んー、今回はあんまり暴れられなかったなー。

まぁ、奇襲作戦じゃ、しょうがねぇか……」

 

クロは、「んー」と唸りながらも、頭に手を置きながらのんびりと歩く

 

「そんな事言っても、お前、強化機兵十機は壊したんだろ?相変わらずだな 」

 

「十じゃ、物足りないんだよなぁ……」

 

鴉は、「そうか」と軽く言うと、のんびりとある部屋に向かう

 

「つか、今から交渉つか、報酬の話聞きに行くんだろ?」

 

「あぁ、そうだぞ?」

 

「また、"取引"すんのか?」

 

「そこは、分からん。

まぁ、材料はあるがな」

鴉は、ポケットからUSBメモリを取りだし、クロに見せる

 

「へー、また、あれが見れるのは楽しみだな!」

 

クロは、軽くアハハと笑うと、飴を噛み砕く

少しすると、とある部屋に着く。

部屋の扉が開くと、その部屋には、二人の男がそれぞれ、寛いでいた。

 

二人の男は、鴉とクロが来るのを見ると、白髪の髪の男が、鴉に近付く

 

「おー!鴉か!お疲れさm」

 

白髪の男が、鴉に言い終わる前に、鴉の目の前から消え、辺りのソファや置物が吹き飛び、白髪の男は壁にぶち当たる

 

「死ね、ゴミが。

私の半径1メートルにはいんじゃねぇ!!」

 

鴉は、「あはは」と力無く笑い、つつ、頬を掻く

すると、もう一人黒い髪の男が、眼鏡を正し、本をしおりに挟み、耳からイヤホンを外し、鴉に近付く

 

「あ、ししょー、クロさん~。任務お疲れ様でした~」

 



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