格ゲー?の世界へようこそ! (あきゅおす)
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とある高校生の1日(前半)

アンヘルとイチャイチャしたいだけの人生だった…。


 昔々、あるところに一人の男の子がいました。

 その子は昔から頭はよかったのですが、運動神経は並でした。しかし、男の子は格闘技をやりたいと駄々をこねていました。

 困った親はネットやチラシから探していると、近くに柔道を教えている道場があったので、男の子を連れて行きました。男の子はその道場をたいそう気に入りましたが、親はいつか怪我するのでは、とハラハラしておりました。そんな親をしり目に、男の子は大きな怪我もなくすくすくと育ちました。

 しかし、ある日のこと。男の子がケンカしたような(一部焦げた)傷を携え帰ってきました。これには親は大慌て。親は何事かと問いただすと、一言だけこう答えました。

 

「リア充死すべし、慈悲はない」

 

 

 

「って昔話があってだな・・・。その昔話を聞いた俺はリア充を駆逐しようと・・・」

「いやいや!話の脈絡が全然ないですし、ネットとかリア充って言葉が出てる時点で昔話じゃないですから!」

 

 とある高校の屋上。3人の男が焼きそばパンをほおばりながら仲良く(?)話をしています。

 

「ああ、あんときのことか。しかもそれお前のことだろ」

「悪かったな!逆恨みでよぉ!やんのかぁ草薙ぃ!?」

「ふん、返り討ちにしてやるよ!」

「ストップ!ユキさんや大門さんに言いますよ!」

「「ああ!?」」

「ひぃ!?ごめんなさい!」

 

 委縮した後輩を横目に二人は驚くべき速さで焼きそばパンを食べたあと、組手(ケンカ)を始めました。片方の男が手から炎を出しながら。もう片方がその炎をガードしながら。

 

「喰らい、やがれぇ!」

「喰らうかボケェ!」

「・・・はぁ、仲いいんだか悪いんだかよくわからないなぁ」

 

 そういうと、二人に睨まれた青年は焼きそばパンを食べ始めるのでした。

 

 

 

「さよならー」

「おう、気をつけて帰れよー」

 

 放課後。青年が通りすがりの教師と定番のやり取りをしながら、今日はどうするかを考えながら校門を出ると、彼のスマホにメールが入っているのに気付きました。差出人の名前欄には四条雛子と書かれています。メールを開くと、そこには相撲の練習への勧誘の文言が書かれています。

 

(うーん、四条さんの練習ハードだけどちゃんこ鍋が美味いんだよなー)

 

 少し悩んだあと、彼は荷物をまとめ、美味しいちゃんこ鍋のことを思い浮かべながら学校を出るのでした。

 

(誰か巻きぞ…一緒に連れていくか。目ぼしいのは…)

 

 と、考えながら歩いていると、向こうから見知った顔が歩いてきました。

 

「あれ、一二三やん。おつかれさ…」

「はい確保。四条さんとこ行きますよ、ケンスウさん」

「え、ちょっ」

 

 運のいいことに、たまたまそこら辺を通っていたケンスウを捕獲し、青年、一二三は雛子の待つ練習場へと向かうのでした。

 

 

「いやー、旨かったわ!ごっそさん!」

「ごちそうさまでした。私たちも呼んでもらってありがとうございます」

「ありがとうございます!」

「いえいえ、やっぱり鍋はみんなで食べた方が美味しいですから」

 

稽古が終わったあと、雛子が呼んだのか、途中から合流したアテナと包と一緒にちゃんこ鍋を平らげて一息ついていました。

 

「あとな、一二三。さすがに問答無用で人を連れていくのは止めてくれへん?」

「いやそこはケンスウさんですし」

「ははは超球弾やぁ!」

「へぶぅ!」

 

 

 

 

「…ケンスウさん、手加減なしはさすがに痛いんだけど」

「そこは一二三やからな、手加減したら意味ないやん」

「ふふふ、仲いいね二人とも」

「「いや、全然」」

 

ちゃんこ鍋を食べ終わったあと、一二三はケンスウたちと歩きながら帰っていました。

 

「…そういえば食材買って帰んないといけなかったな」

「え、一二三さんまだ食べるの?」

「いや、ウチのアパートの人らに…」

「ああ、なるほど」

 

そのとき、一二三は少し考えたあとに閃いたようににやっとしました。

 

「あー、そうだ。パオ、クリスが会いたがっていたぞ。ついでにウチ来るか?」

「え?」

 

クリスとはこの前会ったばかりなのに、と伝えようとしましたが、一二三のアイコンタクトの意味に気付いたパオはその思惑に乗ることにしました。

 

「…あー、はい!ボクも一二三さんのアパート行くよ。二人は先に帰ってて下さい」

「え、でも…」

「大丈夫、俺が責任もって送るから」

「…分かったわ。パオ、一二三くんの言うことしっかり聞くのよ」

「はい!」

 

話が終わると、一二三はアテナにバレないようにケンスウにアイコンタクトをとります。

意図に気付いたケンスウは顔を赤くしながらも、ありがとさん、と口パクで伝えました。

 

 

そのあと、ケンスウたちと別れ、パオから二人の進展を聞きながら帰途へとつきました。

 

「え、告った返事まだもらってないの?」

「そうなんですよ」

「おかしいな、アテナも満更じゃないと思ったけど…」

 

そうこうしているうちに、一二三が住むアパートへと着くと、待っていたとばかりに手を振る影がありました。

 

「ひふみ~、お腹すいた」

「お帰りもなしにねだる人に食べさせるご飯はありません」

「にゃはは、冗談だって!おかえり、ひふみ」

 

グラマラスな体ながらも幼そうな物言いのギャップのある、更に服装もギリギリな女性を前に、一二三は慣れていますが、パオは顔を背けながら挨拶をします。

 

「こ、こんばんは、アンヘルさん!」

「よっ、パオ!クリスなら自分の部屋いるよーん」

「は、はい!失礼します!」

 

顔を真っ赤にしながら一目散にクリスの部屋に行くパオをばいばーいと見送るアンヘルに、一二三は声をかけます。

 

「あんまり子供を惑わすなよ?」

「はいはーい。そんなことよりごーはーん!」

「はいはい。そういえばK…じゃなくてテツヲとナナシは?」

「んー二人なら…」

 

アンヘルがアパートの裏を指差した瞬間、何やらものが壊れたような大きな音がしました。



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