インフィニット・ストラトス 白き流星 (朱羽総長)
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プロローグ 転生

プロローグ投稿
……長くなっちゃったなぁ


 

「転生するなら何処が良い?」

 

「……………はっ?」

 

気がついたら真っ白い空間にいた。

さらに目の前にいた女性(顔が見えないので多分)が変な事を聞いてきた。

 

「ひどいなぁ、その反応」

 

いやいや突然そんなこといわれたらそんな反応になりますよ。

 

「そうかな~?」

 

そうですよ。……って

 

「俺の心読んでません?」

「読んでるよ。だって一応神だから」

 

あっさり肯定された上にとんでもない言葉を聞いた気がする。

 

「だから、神だって。」

 

あぁ、神様か~。なら心読めてもおかしくないか~。(混乱中)

 

「混乱するのはいいけど早くきめたほうがいいよ」

 

…ハッ!

いま何考えてた俺。落ち着け。まず聞きたいことから

 

「転生って?」

「生まれ変わって第二の人生を始めること」

「俺死んだんですか?」

「そうだよ。死因は知らないほうがいいよ」

 

そっか。死んだのか。てか知らないほうがいい死因ってどんだけ酷いことになってるんだ?

 

「転生先はアニメとか漫画とかの世界もいけるよ」

 

へぇ~アニメや漫画か。それもいいな。

 

「じゃあそれで」

「どの作品がいい?」

 

むっ、どの作品か。記憶があやふやでおぼえてるのすくないな。

………よしっ!

 

「じゃあインフィニットストラトスとかいうので」

 

理由はとっさに浮かんだのが『インフィニットストラトス』と『ガンムUCなどのガンダムシリーズ』だったからだ。インフィニットストラトスの内容はよくわからんがガンダムはわかる。ガンダムの世界よりは安全だとおもったから。

 

「………へ、へぇ~」

 

顔は見えないがきっと引きつっていることがわかるような声だった。

 

「と、特典は?」

 

なんか焦ってるな。怪しい。

まぁいいや。特典って?

 

「転生した世界で欲しい能力とか希望だよ。なにかあげるよ」

 

そっか。なら

 

「じゃあ、楽しk」

 

楽しく過ごせる環境と生きていける力と言おうとしたら、突如、足元に穴が空いた。

 

「あれ?」

 

そのまま落ちてしまった。

 

 

???side

 

「あちゃ~時間制限あるのわすれてた。」

 

まずいなぁ、特典ないとかわいそうだし、私が怒られるし……

 

「こっちできめてなんかあげるか。」

 

えーと、ISの世界でしょ。じゃあ、記憶に残ってたらしいガンダムシリーズ、とくに最初にうかんだっぽいUCのやつを………こうして……あれ?……いやそうじゃなくて……。

 

「まぁ、いいか」

 

なんかISの世界に送れたけどなんか色々混ざっちゃってるけど、なんとかなるでしょ。

 

「けど意外だったなぁ~」

 

ISの世界を選ぶとは。彼のため《・・・・》に前世の記憶は消したつもりだったけど、断片的とはいえ残っているとなんて。

さて、何がおこるか楽しみだ。

 

 




作者は、初心者なのでアドバイス、感想お願いします。
直すべきだと思うことも教えていただけると有り難いですm(_ _)m


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転生後

短い…。
ということで本日中にもう1話投稿予定

はやくもお気に入り登録していただいた方々に感謝をm(_ _)m


どうも。橘 結人(たちばな ゆいと)です。転生してからもう5年経ちました。

転生してから最初の2年間はもう黒歴史になっています。赤ん坊の頃から記憶あるって辛いな~………。

 

まぁ、それはさておき今の生活ですがそれなりに充実してます。両親も良い人だし、近所の人達も優しいし。

友人も出来ました。

隣の家に住んでいる織斑一夏です。

正義感強いけど良い奴です。

姉の千冬さんとも仲良くなりました。

 

そんな平和な日々を過ごして、今日は入学式です。

 

「箒ちゃ~ん!こっちむいて~」

 

保護者たちの中に騒がしい女の人がいた。

近くで並んでた女の子が俯いている。

耳まで赤くなっているからそうだろ。

あっ、千冬さんにアイアンクローされてる。動かなくなった。

そんな場面を見ながら入学式はおわった。

これが、篠ノ之箒と篠ノ之束との出会いだった。

 




感想、アドバイス、誤字、脱字など教えていただけると有り難いです


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結人の日常……そして異変

今回は前回から一気に時間がとびます。
ではどうぞ( ・∀・)つ


入学式から6年、色々なことがあった。

 

両親と束さんが仲良くなってたり、そのせいか俺も気に入られた。

 

いじめられてた箒を助けにはいった一夏を援護したり、ISが発表されたり、白騎士事件がおきたり、箒が転校したり、凰鈴音が転入してきたり、凰がいじめられてたのを二人でたすけたり、一夏が毎年のバレンタインデーに大量のチョコをもらってたりなど。

 

最後のやつは、一夏モゲロ。

本人は義理だと思っているがラッピングをみると気合いがはいってて本命だとわかる。

それはさておきこの6年の間に一夏は相棒ともいえるような立ち位置になっていた。

ISが発表されたが女にしか使えないなら関係ない。

そう思ってた。

 

「そういえば千冬さん、モンド・グロッソ優勝したんだって?」

「あぁ」

「やっぱり千冬さん強いな。」

 

現在、鈴(そう呼べと言われ)と一夏と下校している。

 

「千冬姉は自慢の姉だよ」

「「シスコンだ(ね)」」

「違ぇよ!」

 

いや、千冬さんの話をしているときすごい活き活きしてたぞ。

 

「結人、この後どうする?」

「何が?」

「俺このあと鈴の家行くんだけど」

「いいや、帰る。」

 

鈴もそのほうがいいだろ。一夏の後ろでこっちに向かってサムズアップしてるし。

 

「じゃあな~」

 

さっさと二人きりにするためにダッシュで離れる。

 

家の近くで千冬さんと会った。

 

「お久しぶりです。」

「あぁ、そうだな。」

 

……なんか、そこらへんのやつより男らしい。

軽い雑談をしながら家まで歩く。

家の前で別れようとすると

 

「あれ?何故こっちに?」

「いや、ちょっとお前の両親にな」

 

千冬さんが織斑家ではなく橘家のほうに来ていた。

うちの親たちに用事?

 

「ただいま」

「お邪魔します」

 

ドアを開けて家に入る。

…………返事が来ない。いつもならすぐに返事をかえされるのに。

靴はある。いないってことはない。

リビングまで進む。

 

「母さん。ただいま……!?」

「どうした!?………!?」

 

そこにあったは、

 

重なって倒れている2つの死体《・・》

二人の胸を貫きそのまま地面にささっている赤い槍

 

父さんと母さんだった………

 

 




感想等お願いしますm(_ _)m


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間違いから始まりへ

今回も一気に飛びます。
サブタイに悩む(-"-;)


二人の死体を見つけてから約1年が経った。

あの後分かったことだが俺の両親はどうやらISの研究をしていたらしい。

そのため束さんと仲が良くなったようだ。

赤い槍もISの武器だったらしい。

状況から殺人とされた。犯人は不明。

俺は、残されてた遺産を持ってそのまま元の家で暮らすことにした。

一夏や千冬さんもなにかあったら手伝ってくれると言ってたし、この家に残りたかったからだ。

 

再び月日は経ち、結人中学3年生

現在、織斑一夏と共に藍越学園の試験会場を探して迷子中。

 

「おい、一夏」

「……なんだよ」

「これはどういうことだよ」

「…………………」

 

試験会場への道が分からずどうしようか考えてたときに一夏が「任せろ!」的なことを言ってきたから任せたら迷子になった。

 

「ど、どっちにしろあそこにいたって変わらなかっただろ」

「あそこにいて近くを通った人に聞くとかあっただろ?」

「あっ!」

 

気づかなかったのか。

まぁ、一夏に任せた俺も悪いか。

 

「えぇい!次の部屋に賭ける!」

「それで駄目だったら聞きに行こうか。」

 

最後ということにして一夏に任せる。

部屋に入る。

部屋のなかには鎧のような奇妙な物体が置かれていた。

人型に近い形をしているこれを俺達はしっている。

『IS』だ。

そう理解した瞬間、なにか黒い感情が出てきそうになった。

 

「なんでこんな物がここに……」

 

そんなことを言いながら一夏が近づいていき、触った。その瞬間

 

駆動音とともに反応しないはずのISが起動した。

 

「!?」

 

突然のことで一夏は動けないでいる。

こんなことがバレたら大変なことがおこる

 

「おい、一夏!」

 

そう感じた俺は一夏とISを放そうとして触れてしまった。

ISに……。

 

 

結果、あの後一夏と反応してしまった俺は係の人に見つかISの操縦育成を目的とした教育機関

『IS学園』に行くことになった。

 

 




次回は、主人公の設定を投稿予定です。


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主人公設定(中学3年)

予告通り主人公設定です。
中学3年までの設定です。

容姿追加と一部訂正(4月5日)


主人公設定

 

転生前 ???

転生後 橘結人

 

身長 175センチ

容姿 種desのシン・アスカの黒目版

好きな物 友達 チーズケーキ

嫌いな物 友達を傷つけるもの 睡眠を邪魔するもの

学力 中の中

 

転生者。前世の記憶をほとんど失っており、覚えていたのは何故かガンダムシリーズ、ISなどのタイトルだけ。 

一夏とは信頼できる友人(相棒)という関係になっている。

両親を幼いころに亡くしている。

中学時代一夏がよく人助けと言う名のケンカをしており、それに巻き込まれることが多かったので本人はそれなりに強いとおもっている。(一夏曰わく「それなりじゃなくかなり強い」)

本人は意識してないが両親を殺した凶器がIS装備だったためか、ISに対して良い感情は持っていない。

 




次回は、未定。

ヒロインどうしよう?(^_^;)


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IS学園へ

お久しぶりです。
高校が始まってなかなか執筆に使える時間がなく、投稿が遅れてしまいました。

今回から原作に入ります。


「全員揃ってますね~。SHR始めますよ~」

 

副担任の山田真耶[やまだまや]先生が黒板の前でにっこりと微笑みながら喋っている。

 

「それでは皆さん、これから1年間よろしくお願いしますね」

 

だが教室中のだれも返事をしない。

 

「じゃ、じゃあ出席番号順に自己紹介をしてください」

 

一夏side

きつい。これは想像してた三倍はきつい。

周囲は女子しかいない。クラスの半数からの視線を感じる。真ん中の列の一番前の席なので目立ってしまうのは分かるが。

なにかしらの救いを求めて視線を窓側にいる幼なじみの篠ノ之箒におくるが

 

「…………………。」

 

目があった瞬間にそらされた。

くそ、久しぶりの再開なのに薄情だな。

そんなに嫌われてたか?

幼なじみといえばこのクラスにいるもう1人の男子であり相棒ともいえる結人は大丈夫だろうか。

 

 

 

結人Side

ちょっとうろたえながら進行する山田先生。やや低めの身長と若干童顔なのでうろたえているその姿は、なんか可愛い。

………俺、結構余裕だな。こんな状況でそんなこと考えられるなんて。

一夏は不幸だな。席が前とは。

同じ真ん中でも俺は一番後ろだからな、視線も少ない。

横一列とその前の二人、あとはチラッとみてくるのがいるだけ。

2つ隣の席から敵意みたいなものを感じるのがちょっと不安だが。

 

「織斑く~ん。織斑一夏く~ん」

「ハッ、ハイ!」

 

一夏め、気を抜いてたな?キョドってるぞ

 

「織斑一夏です。え~と……」

 

クラスの視線が一夏に集められる。

さてさてなにをいうかな?

 

「…以上です!」

 

がたんっ!

クラスの何人か+俺はずっこけた。

なんだそりゃ。なんかいうこと無かったのかよ。

あ、一夏の後ろに鬼神が

 

パアンッ!

 

「いっー!?」

 

一夏が振り向く。そして一言

 

「げぇっ、関羽!?」

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者」

 

パアンッ!ともう一発。

確かに何故関羽?

鬼神もしくは鬼だろ。

千冬さんはこちらを振り返るようにまわりながら

 

ヒュンッ!

 

「あぶねっ!」

 

出席簿を投げてきた。

咄嗟に反応して避けた。

出席簿は回転しながら真っ直ぐ進み壁に刺さった。

周りがすんごい引いてるぞ。千冬さん。

 

「変なこと考える貴様が悪い。

それにまさか刺さるとは思わなかった。

次からは手加減しよう。」

 

心読まないでくれ。怖いから。

あとぜひそうしてください。

 

「諸君、私が1年1組の担任の織斑千冬だ。君達を1年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。私の言うことは良く聞き、よく理解しろ。逆らっても良いが、私の言うことは聞け。いいな」

 

おぉ~。まさしく鬼だnヒュンッ!

ズゴンッ!

く…そ…やら…れ…た…。

バタンッ!

 

 

 

 

あとから聞いたが、俺は千冬さんが投げた出席簿(山田先生の)が直撃し、気絶したらしい。

 

 




色々と意見をいただいたヒロインですが今は4人程考えています。
ところで質問ですが、

微ハーレムって何人位をいうのでしょうか?(*´д`*)


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遭遇イギリス代表候補生

今回は前より少し長くできたかと思う。

それではどうぞ。


目を覚ましたのは、2時限目が終わった時だった。

 

「おっ、やっと起きたか」

 

顔を上げると一夏がいた。

 

その後一夏から起きるまでにあったことを聞いた。

箒と話したこと、授業の内容が全然分からなかったこと、参考書(電話帳サイズ)をすてたことで千冬さんに殴られ(叩かれ)たことなどを聞いていると

 

「ちょっとよろしくて?」

「「うん?」」

 

金髪ロールが話しかけてきた。

こんなの居たっけ?

 

「まぁ、私に話かけれてなんでしょう、そのお返事は?」

 

あ~こいつ俺の苦手なタイプだ。

 

「いや、俺君が誰か知らないし」

「俺もだ」

 

自己紹介、一夏の

時までは覚えているが、その後は気絶してたしな

あれ、俺自己紹介してない……

 

「私を知らない?このイギリス代表候補生であり、入試主席のセシリア・オルコットを!?」

 

つり目を細めながら、俺達を見下した口調で言ってくる。

すると横で一夏が

 

「質問いいか?」

「何でしょう?」

「代表候補生ってなんだ?」

 

とんでもない質問をしやがった。

 

「「ハァ!?」」

 

オルコットとハモってしまった。

周りの聞き耳を立てていた女子達も有り得ないって顔してる。

 

「あなた、本気で仰っていますの!?」

「あ、あぁ」

 

一夏がオルコットの凄い剣幕におされている。

 

「一夏、代表候補生ってのは国のIS操縦者の代表候補のことだよ」

「へぇ~」

 

この野郎、理解できてんのか?

 

「その通り、つまり私はエリートなのですわ!」

 

オルコットはそう言いながら此方に人差し指を向けてきた。

いちいち苛つくな、こいつ

 

「そんな私と同じクラスになるだけでも幸運なのですから、そのことを理解していただけますかしら?」

「「そうか、それはラッキーだ。」」

 

一夏と俺は見事にハモった。

今日ハモること多いなぁ。

 

「っ…!ふざけてますの?」

 

バレたか。ってかお前が言ったことでもあるんだぞ。

 

「そちらの寝てた方は知りませんが、此方の方の授業を見ている限り知識もなくよくはいれましたわね。期待外れでしたわ」

「俺達になにかを期待するなよ」

「まぁでも?入試で唯一教官を倒したエリートであるこの私がISについて教えてあげてもよろしくてよ。まぁ、泣いて頼むならですがね。」

 

苛つくな。本当にこいつは。

んっ?入試って

 

「なぁ、入試ってあれか?模擬戦みたいなの」

「えぇ。それ以外に何があるかしら?」

「なら倒したぞ教官」

「えっ……?」

「一夏は?」

「俺か?まぁ倒したでいいのかな?」

 

どうやら自爆らしい。その教官って多分山田先生だろうな。きっと。

 

「あ、ありえませんわ!私だけだと」

「それ女子だけってことじゃね?」

 

一夏の言うとおりだと思う。今年は俺達男子がいるからな。

 

「そんな…そんなこと認めr」

 

キーンコーンカーンコーン

 

良いタイミングで3時間目開始の鐘が鳴った。

 

「また来ますわ!覚えてなさい!」

 

よくいる雑魚キャラみたいな捨てゼリフを言ってオルコットは戻って行った。

一夏も急いで戻って行った。

 

 

 

「では授業を始める。この時間は実践で使う各種武装とその特性について説明する」

 

千冬さんが教壇の前によっては立っている。山田先生は前の廊下へのドアの前にパイプ椅子に座ってノートを準備している。

 

「あぁ、その前にやらなければいけないことが2つあったな。橘、自己紹介しろ」

 

言われ席を立つ。クラス中の視線がこっちを向く。緊張するがこんなのはまだマシだ。昔やられたアレ[‥]よりは………

 

「橘結人です。誕生日は9月29日。好きな食べ物はチーズケーキ。嫌いな食べ物は特になし。趣味は読書と料理。一年間よろしくお願いします」

 

一夏のような失敗はしないさ。前の席で一夏が悔しがっているが気にしない。さて席に座るk

 

「キャアァァァッ!」

 

うおっ!?なんだこれ!衝撃波か!?

 

「不良っぽいけど真面目そう!」

「あの見た目で料理…」

「そのギャプが良い!」

「ハァ…ハァ…」

 

料理したらわるいか!?不良にみられるのは分かっているけども!

つか、最後の奴には近づかないでおこう。

それが一番だ。

 

「うるさいぞ!静かにしろ!」

 

千冬さんの一声で一気に静かになった。

スゲー…。

 

「それと橘、私のことは此処では織斑先生と呼べ。いいな。」

「はい。わかりました。わかったので主席簿を片手でもっていつでも投げられるような態勢とらないでください。」

 

さっきから主席簿を持って投げられるようにしている。さっきやられたばかりだし警戒しないと。

 

「よし。ではもう一つだが、クラス代表についてだ。クラス代表というのはそのままの意味で再来週にある対抗戦や生徒会の会議などへの参加…まぁクラス長みたいなものだ」

 

面倒くせぇ~。他の人に任せよ。

 

「自薦他薦は問わん。誰かいないか?」

 

バッ!バッ!

うわ、他薦て聞いた途端ほとんどの奴らが手を挙げやがった。

 

「織斑君を推薦します!」

「同じく!」

「じゃあ橘君を」

「私も!」

 

俺と一夏かよ。

やりたくないしここは……

 

「「先生!一夏(結人)を推薦します」」

 

…………

 

「おい一夏、お前やれよ。中学の頃やってただろクラス長」

「いやいや、俺知識ないから結人がやれよ

 

お互いに押し付けようとする俺達。

そんな俺達を見て織斑先生が何か言おうとするが、

 

「認められませんわ!!」

 

突然オルコットが席を立ちながら叫んだ。

クラスの視線がオルコットを向く。

 

「このような選出など納得いきません!だいたい男がクラス代表など恥曝しですわ。このセシリア・オルコットに一年間そのような屈辱を味わえと?」

 

あぁ、イライラしてきた。

落ち着け、俺。あんなの気にするな。

 

「実力でいえば私がクラス代表になるのは当然!なのに物珍しいという理由で極東の猿に決められては困ります。私はISの修練をするためにわさわざ、こんな島国にきたのです。サーカスなどする気はありませんわ!?」

 

あぁ、ダメだ。限界だ。

 

「それに文化も後進的な国で暮らさなくてはいけないことも私には耐え難いこt」

 

「「うるせえ、クロワッサンもどき」」

 

一夏も同じこと思ったみたいだ。

オルコットは顔を怒りと驚きで赤くしながら何か言おうとする。ここは………

 

「あなた達なんt「良いから口閉じてろ。お国自慢のないイギリスと多少はある日本を一緒にするなよ」なっ!私の祖国までb「いや一夏、一応あるぞ?」あら、あなたはわk「世界一まずいメシの国とかな」なっ、なんてことを!?あなた達私の祖国を馬鹿にしてますの!?」

 

よし。一夏との連携プレーはいつも通りだな。オルコット怒ってりなぁ。

しかし、言ってて思ったが本当にまずいのだろうか?食べたことないからわからないが、弾の奴が「イギリスはメシがすんごいまずい。菓子は別だがな」って言ってたからな。信用して使ってみた。

 

「決闘ですわ!!」

 

バンっと机を叩きながら言ってきた。ただ、その涙目は屈辱からか?それとも痛かったのか?迫力ないぞ?

 

「おう。いいぜ。その方が分かりやすい」

 

一夏は乗り気だ。喧嘩っ早い奴め。

 

「あなたは?」

「一夏がやるならもちろん。確かに分かりやすいしな」

 

まぁ俺もあいつのこと言えないがな。

 

「ハンデは「いらん」…」

「だろ?一夏」

「あぁ。お互いに全力だ」

 

即答に唖然としているオルコットを無視して一夏に確認する。

誰であろうと全力でやる。

それは俺たちの喧嘩のルール。

 

「よし。それでは一週間後の月曜の放課後、第2ありーを使って行う。三人とも準備をしておくように。」

 

そうやって織斑先生が話を締めて授業をはじめた。

そういえばISどうなるんだろ?

 

 

 

???side

『『うるせえ、クロワッサンもどき』』

「アハハハハハハ!二人とも変わってないねぇ。」

 

目の前では私を拾ってくれた人がモニターに映っている二人の男子とイギリス代表候補の言い合いをみて笑ってる。

 

『決闘ですわ!!』

 

イギリスの代表候補がそんなことを言い男子達がそれに乗った。

 

「待ってました!」

 

目の前の人は動き出した。さっきまで見ていたモニターの横、別のモニターにをいじり始める。

 

「いっくんのは日本政府経由にしたけどゆーくんのはどうしようかな?」

 

彼女は困ったような声で呟きながら椅子ごとクルクル回ってる。

しばらくしてこちらを向き、

 

「束さんは忙しいから、お願いしていい?」

 

そう言ってきた。断る理由がない。彼女のお願いだし、なにより彼に[・・]興味がある。

 

「分かった。任せて」

 

そう返すと、彼女は笑顔で

 

「頼んだよ。るーちゃん[・・・・・]」

 

 




どうでしたか?((o(^-^)o))
イギリス料理って本当はどうなんでしょうかね?
食べる機会ないのでわかりませんが
最後のはまぁこの後わかるのでお楽しみに

次回はヒロインの1人を出す予定


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水色の相部屋

久しぶりにこの小説の情報みたら、UAが5000近くになっててとても驚いた(゚o゚;

今回はヒロインの一人が途中で出ますが、キャラが若干違うかもしれません。
御了承下さいm(_ _)m


決闘騒ぎがあった日の放課後

俺たちは教室に残っていた。

何のためかというと

 

「ここは?」

「そこは教科書のその次のページにある」

「えーっと……これか」

 

今日の復習である。

俺もそこまで詳しくないが考書は読み切ったからな。こいつよりは解る。

けれども戦うならば知識は必要だろう、と思ったからだ。

そんなことしていると、

 

「二人とも此処にいたんですね」

 

山田先生がやってきた。

俺らを探してたみたいだ。

 

「なんか用事ですか?」

「はい。お部屋のことで」

 

部屋?

 

「しばらくは自宅登校だったんじゃないですか?」

「それはですね…」

「政府からの指示だ」

 

山田先生に疑問に思ったことを尋ねていると、織斑先生がやってきた。

 

「お前たちは今、全世界の注目の的だ。マスコミや、変な機関が何してくるか分からないからな。どの国も手を出せない此処が安全だ、というのが理由だ」

 

なる程。確かにその通りだ。此処はあらゆる国家や企業の影響を受けない場所。誰も手が出せない安全地帯ってことか。

 

「織斑君は1025室、橘君は1030室です。

空いてる部屋が無かったのでしばらくは相部屋お願いします」

 

相部屋か~。なにか問題起きないといいけど。

 

「あ、それからあなた達は大浴場は今のところ使えないので注意してください」

「えっ、なんでですか?」

 

………馬鹿かコイツは。

 

ベシッ!バキッ!

 

「いてぇ!?」

 

織斑先生と二人でこの馬鹿をなぐった。

 

「一夏、そんなに女子と風呂に入りたいのか?」

「えっ………あ、そっか。此処俺ら以外全部女だったな。忘れてた」

 

まったく……

 

「気をつけろよ。そんなこと言ったら学園のほとんどに織斑一夏は変態って認識になってしまうし、かといって否定すれば………」

「いや、ほんとに忘れてたんだよ。で、否定すると」

 

目線を教室の隅にいるまだ残っていた女子数名を見る。

 

「織斑×橘!?」

「いや、逆よ!橘×織斑よ!」

 

……………………。

 

「ああいう腐女子にネタにされかねない。」

「絶対に気をつける。」

 

お互いにネタにはされたくないからな。

その後は食事の時間やその他の規則を聞き解散した。

 

 

「え~っと、1030、1030は…あった。此処

か」

 

自分の部屋の前に着いた。多少迷ったが見つかって良かった。

 

コンコン

 

ノックはしっかりする。馬鹿[一夏]がノックせずに入ってラッキースケベなイベントを起こしてるの見れば警戒するさ。

ちなみに一夏が起こしたラッキースケベイベント、小3から数えてたが中1にやめた。

なぜなら、3ケタ入ってしまい数えきれなくなったからだ。恐ろしい( ̄。 ̄;)

 

「………誰?」

 

扉の向こうから、声が返ってくる。

 

「ルームメイトの橘結人たけど入って大丈夫ですか?」

 

確認はしっかりと!

 

「……大丈夫」

 

よし!OKでた!

 

「失礼しま~す」

 

部屋に入る。部屋は意外と広く、ホテルに似た雰囲気を感じる。

部屋の奥に進むと二つあるベットの一つに水色の髪をした美少女が座っていた。

彼女はこちらを一瞥すると、すぐ膝の上に乗せていた小型のパソコンに視線を移した。

 

「え~っと…。改めて、橘結人。よろしく」

 

彼女の近くへ行き自己紹介をする。

  

「…更敷簪」

 

更敷さんは此方に目を向けずに名前を教えてくれた。

………気まずい。

何か話題を出さないと。

 

「えっと、更敷さん?」

「…名字は嫌いだから名前で呼んで。」

「あっ、うん。じゃあ、簪さんなにしてるの?」

「…あなたには関係ない。」

「そっか。」

「…………」

「…………」

 

……終わってしまった。

やっていけるかな?こんなので。

 

 

その後は、お互いに特に話すことは無く、俺は空いてるベットで寝た。

 

 

簪side

今、私の後ろにある部屋の一番奥のベットで世界で二人しかいない男性操縦者の橘君が寝ている。

(彼らの内の一人のせいで……)

私は手元のパソコンの画面を見る。

そこに表示されているのはISのデータ

『打鉄二式』

私の専用機。

倉持技研で開発されて届く予定だったが、男性操縦者の専用機を作る為に途中で中止されてしまった。

なので、私が引き取り自分で組み立てることにした。

彼ら二人の内の一人が二式よりも優先された機体を使うだろう。

怒りはある。けれどこれはチャンスでもある。あの人に出来たんだ。組み立てくらい出来る。それが出来てやっと、あの人に、姉さんに追いつける。

私は決意を改めパソコン内のデータを調整し始めた。

明日には、少し遅れたが機体の部品が届く。それまでにやれるだけのことはしよう。

 

その後、2時頃まで作業を続けていた。

 

結人side

決闘が決まった翌日、俺は普通に授業を受けていた。今は休み時間。

(今のところ、授業では困る所はないな)

途中、女子校みたいな雰囲気になったのは困ったが。

 

「授業を始める。」

 

織斑先生が教室に入ってきた。

三時間目は、織斑先生か。

 

「今日はISのコアについてだ。」

 

ISのコアは篠ノ之束にしか、造れず、世界中にあるコアは467個

といった内容の授業が進められていく。

すると思い出したかのように

 

「織斑、お前のISだが、準備まで時間がかかる」

 

箒と同室になった一夏に言った。

 

「へっ?」

 

本人はまったく分かってない。

 

「予備機がない。よって学園側で専用機を用意する。」

 

へぇ~、専用機か。凄いな。

って俺は?

 

「先生、俺はどうなるんですか?」

「作られる予定だそうが、日本にある余っているコアがない。なので試合までに訓練機を何とかして用意しておく。」

 

IS学園にある訓練機は三種類。

日本製の2世代機『打鉄』

フランス製の2世代機『ラファール・リバイブ』

そして、アメリカ製の2世代機『ジェガン』

その中から一機か。

 

それからは、箒の束さんとは関係ない発言があったり、オルコットの挑発みたいなのがあったが大きな出来事はなかった。

 

そして、時間は流れ決闘の日を迎える。

 

 




簪のキャラが表現しにくい……(^_^;)
次回は、初めてのバトルパートです。
こっちの表現のほうが難しいかもしれない( ̄。 ̄;)


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白の一角獣

投稿が大分遅れました。すいません。
今回はセシリア好きの方には不快な気持ちにさせるかもしれない場面がありますが見ていただけると幸いです。
作者にとって初の戦闘描写です。
では、どうぞ( ・∀・)つ

2015/01/07 修正


決闘当日、俺、一夏、箒の三人は第2アリーナの第Aピットにいた。

 

「なぁ箒」

 

「…なんだ?」

 

「この一週間さ、ISのこと教えてくれるんだったよな」

 

「そうだったな」

 

「じゃあさ、なんで剣道ばっかだったんだ?」

 

「………………」

 

「目をそらすな!」

 

一夏と箒が隣で夫婦漫才してる。

一週間剣道のみか。

それはそれで良かったじゃないか。

 

俺なんてこの一週間なにもしなかったぞ。

料理してたり、掃除したり、そんなことばっかしてたな。

 

「織斑君!橘君!」

 

山田先生が大急ぎでやってくる。

見ててハラハラさせる足取りだ。

 

 

「山田先生、落ち着いて。はい、深呼吸」

 

「あ、はいっ。すーはー、すーはー」

 

「吸って」

 

「すー」

 

「吐いて」

 

「はー」

 

「吸って」「吐いて」「吸って」「吐いて」 「吸って」「吐いて」 「吸って」「吐いて」 「吸って」「吐いて」

 

「えっ!えっ、えっ?」

 

一夏と目で合図して山田先生をからかう。

昔は、鈴や弾の妹の蘭をこれでからかったものだ。バリエーションはまだたくさんある。

 

バシッ!ベシッ!

 

そんなことをしてた俺たちに頭上から重い一撃が降り降ろされる。

 

「馬鹿どもが。あまり教師をからかうなよ」

 

後ろにはいつの間きたのか、我らが担任織斑先生がいた。

 

「織斑、お前の機体だが搬入が遅れている。」

 

「えっ?」

 

今日届くと思われていた一夏の専用機が遅れている。

ということは、

 

「俺からですか?」

 

「そうしたいところだが、今第3アリーナで2年の数名が練習試合をしていてな、機体がない。」

 

「えーと、つまり」

 

「待つしかないということだ」

 

大丈夫かな?

ピット内にあるモニターからはもう既に出撃しているオルコットが移っている。

うわぁ、怒ってるよ。そんな表情してる。

 

「織斑の機体もあと10分ほどでつくらしい。オルコットにはこちらから連絡して一回下がって貰おう」

 

織斑先生が連絡をしようとピット内にある電話に向かおうとした。

 

 

「その必要はないですよ」

 

 

突如知らない声が聞こえてきた。

声のしたほうに目を向けると、そこにいたのは、目測だが俺よりも頭一個分小さい背丈の、瑠璃色の髪の、白衣を着たが女だった。

 

 

「誰だ!今は関係者以外立ち入り禁止だぞ

!」

 

 

織斑先生が声を荒げながら問う。

すると少女は

 

「関係者ですよ、ある意味。今日はお届け物があって来ました」

 

そう言いながら近づいてくる。

俺たちの近くまでくると、

 

 

「初めまして。私の名前は、篠ノ之瑠璃(しのののるり)と言います」

 

 

自分の名前を名乗った。

だが、誰も返事が出来ずにいた。

何故なら、

 

 

「篠ノ之だと……?」

「はい。」

 

 

動揺して疑問を口に出してしまった箒にたいして肯定で返す少女。

 

 

「まぁ、そんな話は後にしましょう」

 

 

そう言ってこっちに近づいてくる。

俺の前まで来て、

 

 

「あなたに、お届け物です、橘結人」

 

「俺に……?」

 

「はい。こちらです」

 

 

ピットの搬入口が開く

流れてきたのは、

 

 

グレーの装甲で肩と手、そして下半身全体を包んだIS

 

 

「これは……」

 

「あなた宛てのものです。乗り方はわかりますよね。」

 

 

確かにわかるが…

 

 

「………誰からだ?」

 

「それは今は言えません。この闘いに勝てたら教えましょう」

 

「……わかった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「気分はどうですか?」

 

「大丈夫です」

 

機体に乗り込みカタパルトで最後の確認をしている。

違和感はないし、問題ないはずだ。

 

ー戦闘待機状態のISを感知。操縦者セシリア・オルコット。機体名『ブルー・ティアーズ』。戦闘タイプ中距離射撃型。特殊装備ありー

 

オルコットの機体データが送られてくる。

中距離型か。

こっちは

 

ー機体名『?????』。戦闘タイプ不明。操縦者、橘結人ー

 

これしか分からん。

 

 

「武器あるのか?」

「ありますよ………多分」

「おい、なんだそれ?」

「整備は私してないので、はいってるかどうかは…」

 

 

確認してる時間もない。仕方ない、行くか。

 

 

「結人」

 

 

一夏が声をかけてくる。

 

 

「なんだ?」

 

「頑張れ」

 

「頑張る」

 

 

ピット・ゲートへ目を向ける。

さぁ、行こう。

 

 

「橘結人、出るぞ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、逃げずに来ましたのね。遅いので逃げたかと思いましたわ」

 

「遅くなってわるかったな。それだけは謝るぜ」

 

 

オルコットの言葉を適当に受け流す。

青い機体『ブルー・ティアーズ』を装備し大型のライフルを持っている。背には特徴的なフィン・アーマーを四枚つけている。

 

 

「最後のチャンスをあげますわ」

 

「はっ?」

 

開始の鐘はもう鳴っている。そんな中、此方よりも上に浮いているオルコットは人差し指をビシッと突き出して言ってくる。

 

 

「今ここで謝るのなら、許してあげないこともなくってよ」

 

「はっ、言ってろよ。そっちこそ言い訳位考えておけよ。素人にボコボコにされても笑われないようにな」

 

 

思考が攻撃的になってるな。久しぶりの感覚だ。

 

 

「……そうですか。なら……」

 

 

警告が表示される。撃ってくるぞ、と。

 

 

「お別れですわね!」

 

 

独特の音と同時に閃光が走る。

 

 

「ッ!?」

 

 

とっさに反応して、回避運動をとる。自分でも驚くくらい早く体が反応した。

けれども掠ったようだ。

 

ーダメージ12。戦闘行動に支障無しー

 

ISバトルはシールドエネルギーが0になると負けだ。今はバリアに当たっただけだが、貫通されると実体にダメージが通り機体が破損することもある。そうなると後の戦闘に支障がでる。

 

ISには『絶対防御』という操縦者が死なないための能力があるが、操縦者の命に関わらない限り発動しないので、今はいいだろう。

 

 

(武器は無いのか、武器は!)

 

 

機体データから武器を探す。

中距離武器と近接武器が一つずつ。

まずは、中距離武器を呼び出す。

 

右手に現れたのはハンドガンタイプの武器。弾数は、20発。それもフルオート無しの単発式。

正直言って効果があるとは思えない。

あっちは高速で動いている。

IS用になっているとはいえ、これではほとんど当たらないだろう。

 

 

(近接武器は?)

 

 

 

そう思い呼び出す。

 

 

「…………」

 

「…………」

 

 

左手に出てきたものを見て俺もオルコットも静止してしまった。

左手に出てきた武器、それは

 

 

「何故に金槌!?」

 

 

金槌だった。それも、IS用になっている一般サイズのだ。

……ふざけてんのか?

 

 

 

 

 

その頃Aピット内

 

「あー、ラボで無くしたやつだ。どこいったかと思ったらあんなところに」

 

 

 

 

 

 

そんなことを言っている白衣の少女がいた。

 

舞台はアリーナ・ステージに戻り

 

 

「……ぷっ、フフフ」

 

 

オルコットが笑い出した。

 

 

「そんな、装備初めてみましたわ。それで勝てるとでも?」

 

 

観客席からも笑い声があがる。

………はずい。

こうなりゃ、あとはどうとでもなれ。

 

 

「やってやらぁぁーーーーー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

「はぁ、はぁ、ありえませんわ。」

 

覚悟を決めて数分が経ち、戦況は大分変わっていた。

途中、オルコットがビットを四機展開してきて大分ダメージくらったがのだが、

 

 

「まさか、ティアーズをそんなので破壊するなんて…!?」

 

 

そう、破壊した。二機だけだが、金槌で。

相手がビットをどこに動かすのかを何回か避けながら、位置を推理し撃たれる前に加速して接近。

砲口を殴って潰し、あとは放たれる筈だったビームが暴発。これを繰り返した。

ついでに破壊した際に驚いて動けなかったオルコットを撃ってみた。当たった。

だが、此方も、

 

ーシールドエネルギー残量81ー

 

のこりのエネルギーがほとんど無い。

残り弾数も2発。当たったのは11発。

 

 

「どうだ。こんなんでも結構やるだろ。金髪クロワッサン」

 

 

強気の態度で挑発する。

 

 

「まったく、本当に此方を怒らせるのがお上手ですわね。教育がなってないのでは?」

 

 

イラッとしたが我慢だ。

どうするか、それを考えなくては、

 

 

「親の顔が見てみたいですわね。

どうせ、こんな風に育てるような、馬鹿な人達なのでしょうがね」

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………はぁ?

何だと?

 

 

 

 

 

 

 

「……った」

 

「なんですの?」

 

「今、なんて言った!?」

 

 

いっきに加速して接近する。

ビットから放たれたレーザーが当たるが気にしない。

奴との衝突まで、15メートル。

残りシールドエネルギー12。

 

負けてもいい。コイツを殴れるなら!

 

残り10メートル。

オルコットは接近する俺を見て、口元を歪めた。

それを見て、我にかえったが、

 

 

「ティアーズは、六機ありましてよ!」

 

 

腰に装備されていたと思われるビットから、ミサイルが二発放たれた。

 

 

 

 

第三者side

アリーナ・ステージの中心で結人へ向けて放たれたミサイルが爆発する。

ミサイルを撃った本人であるセシリは、その様子を見ながら勝利を確信して、微笑む。勝ったという思いからか、自分でも抑えられない程高まった気分で彼へ言う。

 

 

「あなたの親は、普通の人にも劣る馬鹿な人達なのでしょう!そういったんですわ!」

 

 

本人もそこまで言うつもりは無かっただろう。言ったあとに、顔を気まずそうにしていた。

だが、後悔してももう遅い。

言ってはいけないことを言ってしまった。

 

 

煙が晴れる。

 

 

ー敵IS反応健在ー

 

 

「ッ!?」

 

 

警戒を強める。

煙の中から出てきたのは、

 

 

 

 

白い装甲で全身を包んだ機体、特徴的な頭部の角。

 

ーフォーマットとフィッティングが完了しました。機体名『ユニコーン』ー

 

 

 

そんなウィンドウが表示される。

初期化(フォーマット)』と『最適化(フィッティング)』。

 

つまり、この機体はようやく結人専用の機体となった。

けれども、彼は気にも止めない。

今の彼は、

 

 

 

 

 

「…潰す」

 

 

 

 

 

機体の装甲の隙間から赤い光が漏れ始める。

 

 

 

 

「潰してやる。お前は…」

 

 

 

 

彼は、

 

 

 

 

「ここで墜とす!」

 

 

 

 

 

怒りだけでしか動いていない。

 

 

ー『単一能力(ワンオフアビリティ)IS-D』発動ー

 

 

ユニコーンの装甲が展開する。機体の大きさが一回り大きくなる。ゴーグルアイが顔のような物になる。ブレードアンテがV字型に別れる。

展開された装甲が赤い光を放つ。

 

 

「変身した……」

 

 

会場内の誰かが言った。

 

 

「行きなさい!」

 

 

セシリアはビットを操作しユニコーンを攻撃する。

 

 

「………」

 

 

ユニコーンから衝撃波のようなものが全方位に放たれる。

放たれた衝撃波はビームを撃った直後のビットにぶつかり通り過ぎる。

レーザーは当たると思われた。

が、ユニコーンに当たる直前に曲がって外れた。

 

偏向射撃(フレキシブル)

 

操縦者の適正がA以上で、BT兵器稼働率が最高状態にあるときに射出されるビームそれ自体を精神感応制御よって自在に操ることができるとされる能力。

 

彼は、無意識にそれをやってみせた。

その事実を受け入れられずにいると、ビットは突如こちらのコントロールを無視して、攻撃を開始してきた。

 

 

(まさかあの機体、ビットをジャックしたとでも!?)

 

 

このままではこちらの分が悪い。

セシリアはやむを得ずティアーズを撃ち落とす。

ユニコーンはバックパックから、ビームサーベルを抜く。

そして、一気に加速した。

 

 

(まずいっ!?)

 

 

回避運動をとるブルー・ティアーズ。

ユニコーンは高速で接近して、

 

サーベルを掠らせたが、壁に突っ込んでいった。

 

 

「えっ?」

 

 

よく状況が理解出来て居ないセシリアは機体を確認する。

 

 

ー右腕破損。シールドエネルギー残量23ー

 

 

ギリギリだ。厳しいが、まだやれる。

そう覚悟を決めた時だ。

 

 

「試合終了。勝者セシリア・オルコット」

 

「えっ?えっ?」

 

 

セシリアの勝ちを告げるアナウンスが聞こえてきた。

 

 

勝敗は決まった。結人の意識不明によって。

 




戦闘描写こんなのでいいかよく分からないので評価やアドバイスを頂けるとありがたいです。
IS-D……そのまんまだな~と自分のネーミングセンスにがっかりしてたり(笑)

次回更新は未定です。


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決闘その後 動き出す者達

今回はその後のお話。
ネーミングセンスの無さに改めて呆れてしまったorz


緑色の景色。周囲を森に囲まれている。

 

(ここは?)

 

若干視界がぼやける中、森の正面奥から、

 

ー○○、こっ‥。

ー○○、早くい…‥い。

 

中年の男性と女性が此方に向けて手を振りながら何か言ってる。

所々ハッキリと聞こえないし、顔ももやがかかって分からない。

 

横を小学生くらいの少女が走り抜けていく。

少し離れたところで止まり、此方に振り向いた。この少女も顔が見えない。こっちに手を出しながら言った。

 

ー行こうよ。お兄ちゃん。ー

 

 

 

「ん…?」

 

目を覚ます。白い天井が目に映る。

 

「知らない天井だ…。」

 

ネタでも何でもなく、ほんとに知らない天井だった。

体に感じる柔らかな感触から、自分は布団に寝かされているのだろう。

腕には点滴が刺されており、身体も重い。

まるで、首から下が石になったかのようだった。

 

「目を覚ましたか」

 

なんとか動く首を左に向けると、織斑先生と篠ノ之瑠璃がこの部屋に入ってきたところだった。

 

話を聞くと、試合(決闘)は俺の負け。

シールドエネルギーも壁にぶつかった時点で0になっていたらしい。

そして、俺は1日寝たきりだったそうだ。

今の時刻は、20時36分。

原因は、機体の急な加速に身体が耐えられなかったからだそうだ。

その原因でもある機体ユニコーンだが、一次移行に成功して白い装甲で全身を包んだ、全身装甲[フルスキン]タイプのISとなった。

 

「武装もちゃんとしたのが増えてたので安心してください。そして、機体が変身した件なんですが…」

 

ユニコーンの単一能力『IS-D』

詳しいことは解っていないらしいが、正式名称『インフィニット・ストラトス・ドライブ』

機体の装甲を展開し、内部にある特殊装甲により、機体の性能を底上げするものということが解っている。

 

(だけど、あの時俺は……)

「どうした?」

 

此方のよく分からないと言った表情を見てか、織斑先生が心配してきた。

なんて言おうか、考えていると、

 

「織斑先生、ここからは私が聞きます。機体に関することなら私のほうが教えやすいです」

 

篠ノ之瑠璃が織斑先生に告げた。

 

「……分かった。では任せたぞ」

 

そう言ってこの部屋、保健室を出て行く。

織斑先生が離れて行ったのを確認して、

 

「はぁ、敬語ってやっぱり疲れるものね。そう思わない?」

 

今までとは違う素の言葉で質問してきた。

なんか、馴れ馴れしい。

 

「ところで、質問なんだけど」

「うん?」

 

「あなたは、転生者?」

 

…………………………………………。

なにを言っているか分からなかった。

 

「え~と、なにそれ?」

「神様に会って転生した人かどうかって聞いてるの」

「それなら、そうだ」

 

転生者、確かにそのまんまだな。

けどそのことが分かるってことは、

 

「気づいたみたいだけど、私も転生者よ」

 

やっぱりか。

 

「あなた、前世の記憶ある?」

 

無い、という意味を込めて首を横に振る。

 

「ビンゴ!一人目で見つかったのはラッキーだったわ」

「一人目って?俺を探してたのか?」

 

彼女はベッドの近くにあった丸イスを近くへ持ってきて座った。

 

「えぇ。この世界に転生出来るのは3人まで。そして、私が三人目。つまり、もう転生者は増えない。」

「で?」

「私が転生する際に、前に転生させた二人の内一人が、特典を二つ使わないで行ってしまったから探して欲しい、ってね」

「なんで俺だと?」

「神様が言うには、前世の記憶を失ってしまっている人だったから」

 

前世の記憶がない俺というわけか。

 

「で?何の用?」

「特典のことで…」

 

あぁ、なにか決めろってことか。

今のところないんだよな~。

 

「こっちで勝手に決めちゃった、って伝えてと頼まれてたの」

 

オイ!勝手に決められてたのかよ。

まぁ良いか。どうせ無かったし。

 

「どんな特典?」

 

一応自分に何ができるのかは、知りたいし。聞いといて損は無い。

 

「特典は、何か願いを叶えてもらうか、漫画やアニメなどの能力を貰ったりとか、転生後の自分のパラメーターを弄ったりとかかな」

「俺には?」

「二つ使ってパラメーター弄り」

 

あったか?そんなもの。

いたって普通の人だったけど。

 

「はい。私の伝えたいこと終わり!

じゃ、帰るね。お大事に~」

「ちょっと待て!?聞きたいことがあるんだった!」

 

去ろうとしていた彼女はうんざりとした感じで振り向く。

 

「なに?」

「試合についてだ」

 

オルコットと戦ったあの試合。

俺は…

 

「俺は何をしていた?」

 

オルコットに突っ込んでいったところから覚えていないのだ。

 

「あぁ、そういえばそうだった!忘れてた、忘れてた」

 

いや~うっかりしてたな~、なんて言いながら部屋の扉を閉めて、何かを貼り付けてから戻ってくる。

 

「えっ、何したの?」

「ジャミングの強化ですよ。元々してたんですが、今から話すことはこの世界で生きていくうえで厄介なので」

 

厄介とは?

 

「確認しますが、本当に覚えてないんですね?」

「あぁ、覚えてない」

 

オルコットがふざけたこと言って、それにイラッとして突っ込んでいった。

ここまでしか記憶にない。

 

「あなたは、IS-Dを発動させてビットをコントロール、その後壁に突っ込んで自爆。簡単に纏めるとこんな感じね」

 

なる程。…あれ?

 

「厄介っていうのは?」

「ここからよ。」

 

表情を真剣なものにして話してくる。

 

「IS-D。『インフィニット・ストラトス・ドライブ』って言ったけど、あれ嘘」

「なっ!?」

「ホントの正式名称は『インフィニット・ストラトス・デストロイヤー』」

 

つまり、と前置きし、

 

「ISを殲滅するためのシステムなの」

「………へぇ」

「驚かないのね」

「そうだな」

 

ISが主体のこの世界で、ISを殲滅するためのシステムだなんて大変なものなんだろう。

けれど、なんとなくそんな気がしてた。

自分でも何故かは知らないけど。

 

「まぁ、詳しいことは解ってないのはホントだし、他にある?聞きたいこと」

「あぁ、篠ノ之ってどういうことだ?」

 

俺の知る篠ノ之は、箒と束さん、二人の両親の四人だけだ。

名字が同じなだけかもしれないし。

でも、気になる。

 

「そっか。寝てたから知らないんだっけ?」

 

椅子から立ち上がり、

 

「じゃ、改めて」

 

コホン、と一息吐いて、

 

「篠ノ之束の長女、篠ノ之瑠璃です。これからよろしく!」

 

………

 

「えっ?束さんの…娘?」

「イエース!」

 

えっ?えっ?

 

「えぇーーーーー!」

 

絶叫した。

 

 

同時刻

青森某所

雑貨ビル四階廃虚バー

 

バーのドアを開け一人の女性が入ってくる。

 

「遅かったな。スコール」

 

カウンターに座りながら彼女に声を掛ける少女。

 

「速かったほうよ、M。バレないように気をつけすぎたけど」

 

スコールと呼ばれた女性は、呼んだ少女、Mに返答しながら近くにあった椅子にすわる。

 

「Rはどこに?」

「お前が遅いから街に遊びに行ったよ」

 

そう、とスコールは言って黙った。

しばらくすると、

 

「今戻った」

 

鮮やかな赤色の髪をした少女が入ってきた。

 

「スコール来てたんだ」

「えぇ。さっき来たところだけどね。街はどうだった?R」

 

Rと呼ばれた少女は首を縦に振りカウンターの空いている席に座る。

 

「AとKとTは恐らく間に合わないわ。M、あの機体動かせる?」

「まだ調整が必要だ」

「わかったわ。じゃあ計画は、Rに頼むわね」

「了解」

「じゃあ解散。行動開始前日までには集まってね」

 

そう言って出て行く。

残された少女達は、

 

「大丈夫か?R」

「うん。確認したいこともあるし」

 

調査対象と書かれたプリントを取り出し、二枚ある写真のうち、一枚の写真に注目する。

 

「橘結人………」

 

 

 

同時刻

IS学園

生徒会室

 

「こちらが織斑一夏、橘結人の戦闘記録と提出された機体データです」

 

眼鏡を掛けた少女が『生徒会長』と書かれた札が置いてある席に座る少女にプリントの束を渡す。

 

「ありがと、虚ちゃん」

 

渡された束をパラパラと流し読みしていく。

 

「接触はいつ頃に致しましょうか、お嬢様」

「お嬢様は止めてって言ってるでしょ。

そうね~いつにしようかしら?」

 

パラパラとめくっていたプリントをある項目で留める。

部屋割りに関することだ。

 

「…この橘って子簪ちゃんと同じ部屋なの?」

「は、はい」

 

妙な威圧感を感じ、返答がうわずってしまっている虚と呼ばれた少女。

 

「決めたわ。近々、橘結人に接触して、ちょっとお話しましょうか」

 

まだ、OHANASIではなくお話。

何かしたとは決まってないから。

ぱんっと扇子を開く。

扇子には『取り調べ』と書いてあった。

 

 

 




次は、中華娘登場予定


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中華娘、再臨

前の投稿から約1ヶ月も空いてしまったorz

今回は(も?)作者は暴走気味なので読まれる際はご注意下さい

タグに「駄文」を追加


「転入生?」

 

決闘から数日後の四月下旬、朝のHR前に登校してきた俺はクラスメイト数名が話していた話題が気になった。

 

「あ、おはよう橘君」

「おはよう。それで転入生って?」

 

近くにいた佐藤さん(多分)に挨拶を返しながら質問する。

 

「二組と一組に転入生が来るんだってさ」

「おっ、一夏いたのか」

 

クラスメイトに囲まれるように座っていた一夏から返事がきた。

 

「今更わたくしの存在を危ぶんでの転入かしら?」

「セシリア、あんまそんなこと言ってるとまた厄介なことになるぞ」

 

セシリアに忠告しておく。

ちなみにセシリアとはあの後謝られて、こっちも気にしてなかったし許した。

その際に名前で呼ぶように言われた。

ついでに一夏に惚れたこともだいたい分かった。

このフラグ建築士め。

けどセシリアと関係あるのか?

 

「中国の代表候補生なんだとさ、二組に入るの」

 

心を読んだかのように一夏が答えてくれた。

 

「だけどどんな奴らだろうな?」

「まぁ、こんな時期に入ってくる奴だからな。なんか事情あるんだろ」

 

中国か…。あいつ元気だろうか?

 

「む…気になるのか」

「ん?少しはな」

「ほぅ…」

 

箒の機嫌が悪くなっていく。

余計なこというなよ。危険だぞ。主にお前の生活が。

 

「今のお前に他人を気にしている暇はあるのか?」

「そうですわ!クラス対抗戦に向けて実践的な訓練をしましょう。専用機を持っていて経験が一番多いわたくしがお教えしますわ」

 

クラス対抗戦

名前の通りクラス代表同士のリーグマッチだ。各クラスの団結力を高めるのと、この先の授業のための調査が目的らしい。

一組の代表は、いつの間にか決まっていた一夏だ。

 

「頑張ってね。フリーパスの為にも!」

 

優勝したクラスには全員に学食のデザートフリーパスが配られる。

ここのチーズケーキは旨いからな。

女子だけでなく俺も楽しみだったりする。

 

「専用機があるのは今のところ一組と四組だけだから楽勝だよ」

 

四組っていうと簪さんか…。

専用機持ってたのか。

 

「…その情報、古いよ」

 

教室の入り口から懐かしい声が聞こえた。

この声は……

入り口に顔を向ける。

 

「あっ…」

「おっ…」

 

一夏と俺は驚きの声を上げる。

そこにいたのは、

 

「二組も専用機持ちが出来たから」

 

ツインテールの髪型の幼なじみの一人

 

「「あっ、ちんちく鈴だ」」

 

ズコッ!

鈴が盛大にずっこける。

 

「久しぶりに会っての一言がそれか~!!(怒)」

 

おぉ、怒った。懐かしいなこの感じ。

弾もいればもっと良いのに。

 

「はぁ、相変わらず仲良いわねあんた達。」

「「そうか?」」

「そうよ!」

 

周囲の皆も同意するかのように頷く。

そんなにか?

 

「はぁ、まぁいいわ。それよりも元気だった?」

「あぁ。それよりもなに格好つけてんだ?」

「俺達は元気だ。似合ってないぞ」

「あんた達はねぇ…!」

 

鈴は若干呆れが混じったような怒りを向ける。

すると後ろに、

 

「おい」

「なによ!?」

 

バシッ!

 

「HRの時間だ。クラスに戻れ」

「ち、千冬さん…」

「織斑先生だ。さっさと行け。邪魔だ」

「はい、すみません」

 

まだ千冬さん苦手なのか。

ビビってるな。

 

「また後でくるからね!逃げないでよ!」

 

そう言って教室に戻って行く。

一夏は箒とセシリアに詰め寄られてる。

あっ、叩かれた。

ドンマイ。

 

ちなみに俺は既に席に着いていた。

そしてHRが始まった。

 

「まずは転入生を紹介する。入れ」

「失礼します」

 

織斑先生の言葉に答えながら教室に入ってきたのは、最近会ったばかりの、

 

「篠ノ之瑠璃です。宜しくお願いします」

 

もう一人の転生者だった。

 

 

 

休み時間。俺は瑠璃に屋上まで連れてこられた。

 

「驚いた?」

「まぁな。何をしたんだよ」

「うん?まぁ母さんに頼んだらできた」

「……あの人なら出来そうだ」

 

篠ノ之瑠璃

こいつは天才である篠ノ之束の義理の娘

以前聞いたときは驚いた。

 

「そんなことよりも、話があるの」

「ん?」

 

ちょっと真剣な顔で言ってきた。

 

「私はこの先の展開を知っている」

「あぁ、原作とか知ってるからだろ?」

 

これも以前聞いたことだ。

この世界は物語だということはしっていたけど、内容は知らないからな。

瑠璃はそれを知っている。

 

「そうよ。けど、この世界は私が知っているものとは違ってきてるの」

「違ってきてる?」

「そうよ」

 

手摺に体を預けながら話を続ける。

 

「まず、アナハイムなんて会社はなかった」

 

アナハイム社

アメリカのIS企業

ここの訓練機でもあるジェガンはこの会社の機体でもある。

 

「そしてこれよ」

 

小型端末を取り出して投げてきた。

その端末をキャッチして画面をみると、

 

「はっ?」

 

そこに記されていたのは

 

[デュノア社、第三世代強奪事件]

 

「何だ、これ?」

 

こんな事件は報道されていない。

タイトルの通りならISが盗られたということだ。

ニュースになってても可笑しくないじけんだ。

 

「簡単に纏めて話すと、フランスのデュノア社が第三世代機の試作機を三機造ったの。それらのテスト起動日に実験場が襲撃され、第三世代機の開発データは破壊され、テスト機だった『ガイア』『カオス』『アビス』が奪われた」

 

腕の時計を見ながらも口を開く。

 

「本来ならデュノア社は第三世代は作れなかったはずなの。けれども造れた。私が知っているインフィニット・ストラトスの世界とは違う世界。それがこの世界みたい」

 

だから、と彼女は前置きをして

 

「協力してほしいの」

「えっ?」

 

此方に近づいて

 

「私は武器を造りあなたに助言をする。

あなたは闘ってこの世界に介入していく」

 

どう?、と聞いてくる。

…確かにこの先もセシリアみたいに誰かと衝突するかもしれない。

奪われたという三機とどこかで闘うかもしれない。

俺は原作を知らない。

 

「一ついいか?」

「何?」

「あいつらはこの先危険な目にあうのか?」

「……あいつらっていうのが織斑一夏たちを指すのなら、危険なことに巻き込まれるわ」

「そっか…………」

 

あいつらだけそんな目にあわせられないし、俺も巻き込まれるだろうな。

なら、力と知識は必要だ。

 

「分かった。協力しよう」

 

彼女は笑みを浮かべて、

 

「良かった。それじゃ宜しく」

 

手を差し出してきた。

握手だろう。

俺も手を差し出して応じる。

 

「これから宜しく」

「こっちこそ」

 

 

 

そして時は流れて、昼休み。俺は、

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

とても気まずい雰囲気のなか昼食を過ごしている。

 

一夏達に誘われて食堂に行くと鈴が待ち伏せていた。

二人が仲良く話してるのをみて、一夏ラブァーズが修羅場を起こしかけ、今は睨み合いが続いている。

 

(一夏なんとかしろ)

(いや、無理だろ)

 

アイコンタクトで話し合う。

一夏が原因なのだから何とかしてほしいが、本人に自覚ないからなぁ。

すると、鈴が

 

「一夏、今日の放課後空いてる?」

 

と、聞き始めた。

 

「今日?え~と……」

「今日はISの特訓だ」

 

おそらく無いと言おうとした一夏よりも早く箒が答えた。

 

「その通りですわ。クラス対抗戦に向けて、まだ初心者の一夏さんを鍛えなくてはなりませんもの。あと、結人さんも」

 

セシリアもそれに乗っかる。

俺も参加していいのか。

それは助かる。

 

「くっ!じゃあ、その後空けといてよね!!」

 

食べていたラーメンのスープを飲み干して鈴は去っていった。

 

(放課後が修羅場になりそうだな…)

 

俺はそんなことを考えながら一夏に同情の視線を向けた。

 

 

 




さて、テストが近いので次回はさらに遅くなりそうな気が………
今月中にキャラ紹介は絶対投稿する!(多分)


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探索水色

約1ヶ月ぶりの投稿になってしまった。
今回から、かなりオリジナルに入ります。



放課後になった。

現在第二アリーナに俺と一夏、セシリアがそれぞれ専用機を展開して待っている。

何をかというと先程、瑠璃が箒を連れて

 

「アリーナで待ってて下さい」

 

と、言ってきたからなのだが、

 

「遅いな」

「そうですわね」

 

もう30分は待ってる。

探してきたほうがいいかなと、考え始めた時、

 

「お待たせしました。」

 

やっと瑠璃がやってきた。

ISは展開していない。

 

「遅かったな。何してたんだ」

「あれ、箒はどうしたんだ?」

 

一夏と俺の問いに対して瑠璃は

 

「まぁ、もうすぐ分かりますよ」

 

と、何か悪戯を企んでるような笑みを浮かべた。

すると、

 

「ま、待たせたな」

 

箒がやってきた。

見たことのないIS[・・・・・・・・・]に乗って。

 

「箒、それ」

「打鉄…ですか?」

 

確かに、良くみると打銀に似ている所が幾つかある。色も同じだ。

 

「ちょっと違うんですよね。この機体は第2.5世代『椿』といって、私が廃棄されてた打鉄を改修した物です」

 

椿というらしい機体の表面をなでながら教えてくれた。

 

「私が所有している物なのであげられませんが、今回からはそれで練習に参加してください」

「あぁ、すまないな」

 

そんなやりとりをして瑠璃は離れていく。

箒は此方を向いて二本のブレードを展開した。

 

「それでは始めようか」

「おう」

「えぇ」

「あぁ」

 

一夏、セシリア、俺の順で返事をして、

 

ブーーー

 

瑠璃が鳴らしたと思われる試合開始のブザーを合図に動き出した。

 

 

 

 

 

「おーい、大丈夫か一夏」

「な、なんとか……」

 

特訓が終わって、今はピットで休んでる。

一夏の疲労が凄まじいことになっている。

特訓中に鈴の話をしてきて、それに嫉妬した箒とセシリアに集中攻撃されてたからだろう。

…自業自得だし、大丈夫だろう。

 

「先帰るぞ」

「お、おう」

 

一夏を残して帰ることにした。

箒も椿を返したら一夏の所に行くだろう。

あのままあそこに居たらさらに鈴とかが来て面倒な修羅場になりそうだしな。

 

「さて今日は会えるかな?」

 

そんなことを呟きながら部屋のドアを開ける。

誰もいない。

 

「今日もか。どこ行ってんだ?」

 

会えるかなといったのはルームメイトの更識簪だ。

ここ最近会うことがなく、部屋に一人の状態だ。

個人のことだから気にする必要はないと思うけれど、

 

「あんな状態じゃ心配だしな」

 

最後に見かけたとき、簪さんは顔色が悪かったし、隈もできていた。

一睡もしてないんじゃないかと考える程だった。

 

「ちょっと探してみるか」

 

呟いてドアに体を向けると、

 

「すいません、更識簪さんのお部屋であってますか?」

 

ドアをノックする音と瑠璃の声が聞こえた。

 

 

 

「なるほど」

 

瑠璃を部屋に入れて、事情を説明した。

簪さんに用事があったようだし、何か知らないかと思って。

 

「確かに予想は出来るけど…」

「じゃあ!?」

「そんなになっているなんて…」

 

そんなに?

 

「どういうことだ?」

「…一応言っといた方が良いわよね」

「だから何を?」

「彼女の専用機についてよ」

 

瑠璃から聞かされたのは、一夏の出現によって簪さんの専用機の開発が中止されたこと、そしてそれを完成させようとしていること。

 

「原作で読んでたけどそこまでひどい状況だとは思わなかったわ」

「なるほどな」

「これじゃあこっちの目的と果たせないわね」

「目的?そういや、何の用できたんだ?」

 

こいつは簪さんに用事があるみたいだったし、なんなのだろうか?

 

「う~ん、言えないかな。ゴメン」

「…そっか。まぁいいさ」

 

ほんとに申し訳無さそうな顔してたので無理に聞かないことにした。

 

「さて、俺はちょっと行ってくる」

「何処に?」

「話聞いてだいたい居場所に目星がついたから行ってみる」

「その場所は勘?」

「そうだが?」

 

おかしなことを聞いてくる。

確かにISを組み立てることが出来るような場所は幾つかあるのだし、勘でしかないだろ。

 

「…なら多分あってるわよ」

「だといいけどな」

 

そう言って部屋を出る。

居てくれよ。

 

 

 

 

第三整備室

ここは学園内にある整備室の中でも一番遅くまで開いている所だ。

確か三年生になると学年末に規模が大きく、時間がかかる課題があって、普通の整備室だと他の学年が使えなくなるからだったような。

ドアを開けて入る。

他の二つの整備室に比べて広い。

1.5倍はあるんじゃないか?

そんなことを考えながらキョロキョロしてると、

 

「あれ~?ゆいゆいだ~。何してるの~?」

 

同じクラスの布仏本音、通称のほほんさんが話し掛けてきた。

『ゆいゆい』とは俺のあだ名らしい。

一夏は『おりむー』と呼ばれている。

 

「いや、人探しをちょっと」

「誰~?」

 

興味心身といった表情で聞いてくる。

 

「更識簪さんなんだけど」

 

知ってるか?と続ける前に、布仏は固まっていた。

 

「ちょっ!?どうした!?」

 

突然表情そのままで固まられると困る。

肩を揺さぶってみるか。

 

「…ハッ!」

 

よし!戻った。

 

「どうしたんだよ、急に」

「ん~?ゆいゆいなら大丈夫かな?」

 

固まった理由を聞くと何か考え出した。

そして、

 

「こっちこっち」

「いや、ちょっ!」

 

手を引かれて奥の方に連れていかれる。

人気もなく奥に明かりが小さくついているだけだった。

 

「あっ!」

 

明かりの下にいたのは簪さんだった。

空中投影ディスプレイを見ながらキーボードで何か入力しているようだった。

 

「簪さん」

 

声をかけると此方をチラッとみて画面に視線を戻した。

 

「…本音、人がこっちに来ないようにしてっていったよね」

「かんちゃんは~知らない人がって言ってたから知ってる人なら良いかな~って」

 

少し怒りを含めたような口調で布仏に言った簪さんは布仏の返答に諦めたかのようにため息をついた。

 

「…まぁいい。…もうここ離れる予定だったし」

 

ディスプレイを閉じて立ち上がる。

机の上に置いてあった指輪を取り出口へと歩き出す。

 

「か、かんちゃん?どこ行くの?」

「アリーナにテスト飛行」

 

後を追いながら問う布仏に簪さんは、隈が出来、充血した目でこっちを見ながら

 

「打鉄弐式が完成したから」

 

そう言った。

 

 




もうすぐ夏休みなので、執筆ペースを上げられたらなぁと思っています。

最近の悩み
「簪の口調が難しい(^_^;)」


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お前は何だ?

まず謝ることが3つあります。
一つ、以前、夏休みだから執筆速度があがるとか書いてましたが、夏休みの宿題が多すぎて無理そうです。すいません。
そして二つ、先に謝っておきます。
会長ファンの方々、すいませんm(_ _)m
しばらくの間、話の展開上会長がなんか悪い人みたいになってしまいますが、別にアンチじゃありません。むしろヒロインの一人です。。
長々とすいませんでした。
ではどうぞ


第六アリーナ

ここは二学期にあるらしい『キャノンボールファスト』の超高速飛行訓練に使われるアリーナだ。他のアリーナと違い空が完全に開放されていて、学園の中央タワーをコースにほぼ制限無しでの飛行が出来る。

飛行訓練には最適といえる場所だ。

 

「…おいで…打鉄弐式」

 

簪さんの体が光に包まれる。光が消えるとそこにはISを纏って浮遊していた。

『打鉄弐式』

学園の訓練機でもある第二世代の打鉄の後継機であり発展型。(直前にのほほんさん、もとい布仏に見せて貰った資料参照)

スカートアーマーが機動性重視の独立ウイングスカートになっていたり、肩部ユニットがシールドから大型のウイングスラスターになってたりと、打鉄との共通点はほとんど無い。頭のハイパーセンサーが一緒ぐらいだろう。

 

「…うん?」

 

打鉄弐式を見ているとなんだか嫌な予感がしてきた。

 

『かんちゃん、はじめるよ~』

 

データを取る為にコントロールルームにいる布仏から放送が入る。

ちなみに現在俺は簪さんとアリーナの中央近くにいる。

もちろん跳ぶときに巻き込まれないように距離はとっていたが。

 

『3、2、1』

 

放送のカウントダウンが流れる。

簪さんは力を込めるように少し前屈みになり、

 

『0!』

 

一気に飛び上がった。

 

 

簪side

打鉄弐式の飛行テスト。

さすがに一人で飛びながらデータを取るのは厳しいと思って本音に協力してもらうことにした。

ルームメイトの橘君というオマケも付いてきたが問題ないと思い放置する。

飛ぶ。

それだけをしっかりと考える。

 

『3、2、1』

 

思考を整える。

 

『0!』

 

飛び上がる!

 

(機体の状態は…)

 

飛びながらも機体のチェックはしておく。

空中投影ディスプレイを見る。

 

「?」

 

視界がぼやける。頭を振ったら治ったので気のせいだと判断する。

 

(機体制御…問題なし。ハイパーセンサー…接続問題なし……)

 

そうやって機体のコンソールを見ながら飛んでいた。

 

(あとは……加速テストだけ)

 

そうして加速しようとした。

しかし、

 

『警告!肩部スラスター一番、小型ジェットブースター二番、異常発生』

 

「えっ?…きゃあ!」

 

警告の表示が出たとほぼ同時に、肩部スラスターとジェットブースターが一基ずつ爆発した。

それにより姿勢制御が安定しなくなる。

 

(反重力制御…駄目、機能してない!?それだけじゃない…シールドバリアーも!?)

 

『警告!シールドバリアー展開に異常あり、ならびに全システムに異常発生』

 

その警告を最後に打鉄弐式が解除される。

突然空に投げ出されたかのような浮遊感が襲ってくる。

 

「ッ!?」

 

現在の高度はおよそ300メートルほど。

このまま落ちてしまったら大怪我は確定だ。最悪死ぬかもしれない。

 

「あっ……」

 

視界が眩む。意識が遠のく。

そんな中で最後に見た光景は、

 

此方に向かって飛んでくる白いISだった。

 

簪side end

 

「へぇ、速いな。セシリアのと同じくらいかな?」

 

打鉄弐式の飛行を見ながらそんな感想を漏らす。第三世代はみんな速いのだろうか?

そんなことを考えてる内にそれなりの高さまで、飛行していた。

 

「おっ、もうあそこまで。速い……ん?」

 

肩部スラスターとブースターの一部の出力が弱くなっていってる気がする。

というか、煙まで出てきた。

って、煙!?

などと考えてるとその部分が爆発した。

 

「ヤバい!」

 

ユニコーンを緊急展開する。ISスーツごとの展開だったのでエネルギーを消費したが戦闘に向かう訳では無いので気にしない。

 

「間に合え!」

 

展開が終わると同時に加速する。

距離が大分あるから急がないと、そう考えてたら強い衝撃が襲ってきた。

 

「なっ!?」

 

思わず止まってユニコーンの状態を確認する。

各部異常なし。

ただし、速度が最高速度になっていた。

 

(まさか、加速時の衝撃がシールドとスーツを貫通したのか!?)

 

ユニコーンの最高速度は白式の瞬間加速とほぼ同じ。そのため速すぎて使う機会はなかった。ここまでとは……

 

「って、そんなこと思ってる場合か!」

 

再び加速。勿論最高速度でだ。

そしてなんとか簪さんを受け止めることに成功。簪さんは気絶しているようだ。

 

『ゆいゆい、かんちゃんは大丈夫!?』

「あぁ、大丈夫だ。このまま保健室に連れてく。後のこと頼めるか?」

『うん。任せて~』

 

ピットまで安定した速度で移動する。

ピットに着くと同時に解除。そして簪さんを背負う。

 

「っ!?」

 

痛みが走るが気にしてらんない。

背負ったまま保健室まで急ぐ。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

現在俺は、保健室に居る。

簪さんを保健室に運んだと同時に我慢が解かれ痛みで気絶した…らしい。

なんかまだ関節が痛いし、しばらくはIS乗んない方がいいかなぁ。

 

「……ん」

 

簪さんの声が聞こえた。起きたようだ。

因みに俺と簪さんはベッドに寝ており、窓側のベッドに簪さんが、その隣のベッドに俺が、という感じだ。

先生はなんか職員室に行くと、起きたばっかりの俺に簪さんの容態を言って出て行った。

 

「…ここ…は…」

「保健室だよ、簪さん」

 

此方に気づいて顔を向けてくる。

顔色が悪い。

 

「なんで…?」

「寝不足と過労だってさ」

 

一体どんだけ無茶してたんだか…。

先生も呆れてたぞと、あえて口には出さないが、思うだけは別に良いだろう。

 

「…っ!?…打鉄弐式は…」

 

指につけてる打鉄弐式の待機状態の指輪を確認して、ほっとしている。

そして、

 

「なにしてんの?」

「早く…調整し直さないと、…修復も…」

 

コイツ…懲りてないのか?

いや、焦ってる?そんな感じがする。

でも、何に?

一か八か、

 

「簪さん、なんでそんなに焦るんだ?」

「…………………それは」

 

教えてくれたのは姉のことだった。

更識楯無

現IS学園の生徒会長

簪さんにとって完全無欠の存在

比較さて何かあったのか?

 

「さっき話した…姉さん…私の憧れ」

「えっ?憧れ?」

 

てっきり姉との比較されまくって嫌いなのかと思ってた。

 

「昔から、…姉さんは…色々出来た。運動…勉強…色々。私は普通だったから…比較されて…嫌になることも…あったけど尊敬してた」

 

そう話す簪さんの顔は、少し、ほんの少しだけど楽しそうだった。

 

「ある日、姉さんが…庭の木に登ったことが…あって、姉さんに憧れてた…私は同じことをしようとした。……そして、落ちちゃった」 

「!」

 

幼い頃にはよくある誰かがやっていることをやりたくなる、そんな感じだろう。

 

「お父さんが…助けてくれて…怪我は無かったけど…それ以来、姉さんが…距離を置くようになって…」

 

その姉は自分のせいだと思ってしまったのではないか。そう言おうとした。

だが、

 

「家はね…詳しくは言えないけど…襲名があって…姉さんが楯無を…襲名した時に…言われたの」

 

『あなたは何もしなくていい。私に追いつくことは出来ないのだから』

 

「………………」

「私が焦ってるのは……今でさえ遠い…姉さんが…更に遠くならないように…」

 

簪さんは、悲しそうな声で言った。

目尻には涙が浮かび始めている。

さぁ、こんなときアイツなら、俺の幼なじみならどうしていたか。

思い出すまでもない。

ただ、俺はアイツではない。だから傷つけるだけかもしれない。

 

「あのさ一つ聞くけど、」

 

それでも、

 

「お前は何だ?」

 

泣きそうな人を放っておける訳がないのだから

 

「え?」

「お前は何なんだ?更識楯無の妹か?それだけの存在じゃないだろ?」

 

例え言ってることが滅茶苦茶でも、

 

「誰かを目標にするのは良いことだとは思う。けどさ」

 

今思ってることを言う

 

「その人に追いつく為に倒れてるんじゃ更に遠くなってしまうと思う」

 

後悔なんてしない

 

「その人に追いつくためには同じことを必ずしなきゃいけないなんて事はない」

 

しちゃいけない

 

「違う方法でもいいんだ。間違えたっていいんだ。誰かに頼っていいんだ」

 

これは俺の勝手な言い分だから

 

「人はみんな違うのだから、お前とあの人は同じ人間じゃない」

 

理解されなくてもいい

 

「同じ道を通ったからって必ず同じ場所につくとは限らないし、違う道から同じ場所に行けるかもしれない」

 

これは

 

「さて、今言ったことを踏まえた上で聞こうか。お前は何だ?」

 

俺が思ったことだけだから

 

簪side

 

私は、困惑していた。

橘君の言ってることは色々変でそれでいて何が言いたいのか少し分かったり、分からなかったり。

でも、

 

「…私は姉さんじゃない」

「そうだ」

「…私は誰かに頼ってもいい」

「そうだ。俺でもいい」

「…別のやり方でもいい」

「そうだ」

 

急に出てきた新しい方法。選択肢。

可能性。

 

「私は…」

 

簪side end

 

「私は…更識簪。更識楯無じゃない、だから私は…姉さんとは違う方法で、…追いついて、認めてもらう」

 

ふぅ、少し吹っ切れてくれたかな。

言葉に力が少し籠もってた。

 

「そうだよ。追いつけないなんて言われたなら、ゆっくりでもいいから追いついて驚かせて認めてもらおう」

「うん…。それで、…あの…」

「ん?」

 

何か言いにくそうにしてる。

顔も若干赤くなっている。

 

「私に…新しい道を…可能性を教えてくれたんだから…当然…その…て、手伝ってくれる…よね?」

 

なんだ。そんなことか。

 

「勿論!何であれ手伝うさ」

 

手伝わないという選択肢はない。

一夏達には悪いが、暫くは簪さんの手伝いに集中しよう。

 

「…ありがと」

 

その言葉と共に見せられた表情は、多分初めてみる簪さんの笑顔だった。

 

「っ!?ね、寝不足なんだから今は寝といたら?また、明日ってことで」

「うん。おやすみ」

 

なんか恥ずかしくなり、いや、照れてたのほうが正しいかのか?ともかく言葉が詰まってしまった。

 

その後は保健室の先生が帰って来たので、一言言って部屋に戻った。

 

 

 

瑠璃side

 

「やっぱり、原作知識はもうあてにならないかもね」

 

一人部屋の中、パソコンのモニターを見ながら呟いた。

しかし、この情報が本当なら原作知識は無意味だ。

 

「一応クラス対抗戦終わるまで待ってみようかな」

 

そうして、飲み物を取るために席を立った。

モニターに映し出されていたのはある試験結果だった。

 

『銀の福音 最終試験結果 4月15日

…………………………………であり結論として、銀の福音の全試験起動を終了し、完成とする』

 

 

 




タグに「キャラ崩壊」、「原作乖離」を追加しました。
感想、指摘、アドバイスなど頂けると嬉しいです。
今後の参考になります。


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取引

またもや遅くなりました。すいませんm(_ _)m
Twitter始めました!「@Akahane08」です。
更新やアンケートはTwitterでやるかもしれません。

短めですがどうぞ!


 真っ白な天井

 開いている窓から時折聞こえる鳥の声

 薬品の独特の匂い

 

 どうも。橘結人です。

 今俺は、保健室で寝ています。

 頭に包帯巻いた状態で。

 ちなみに保健室生活3日目です。

 まぁ、何があったかというと3日前のことが原因なのですが……。

 

 

 時は遡って4日前。

 簪と話をしてから数週間経ち、あと少しで5月になるというところだった。

 あの日以来俺は、簪の手伝いをしているが順調とはいえない。

 機体の組み立て自体はほとんど終わっているのだがデータが足りないのだ。

 特にマルチロックオンシステムが。

 試しに組み込んではみたものの、上手く作用しないなどの問題が発生している。

 

「で、なんかない?方法」

 

 行き詰まったため瑠璃に話を聞きに来た。

 ユニコーンの整備とかやってくれてるのだからそういったことにも詳しいはずだ。

 他に何人かに聞いてみたが、

 

 セシリア→マルチロックは使ってない。

 一夏、箒→格闘バカだから無理。

 先生方→マニュアル通りのしか教えてくれなかった。

 

ということで瑠璃に聞いてみたが

 

「まぁ、確かに出来なくはないけど」

「本当か!?」

「うーん…」

 

 なにか悩み始めた。

 いやな予感が…。

 

「じゃあ明日新しく造った新装備のテストやって」

 

 新装備か…。

 それくらいならいいかな。

 

「よし、分かった。やろう」

「じゃあ明日放課後に第四アリーナで」

「了解」

 

 そう言って別れた。

 このとき俺は自分の予感を信じていれば良かったと、次の日後悔することになる。

 

 

 翌日。第四アリーナ。

 俺はユニコーンを展開していた。

 隣には瑠璃がいる。

 

「じゃあデータ送るから試してみて。ピットから見てるから」

 

 そう告げて離れていく。装備は全て収納済みだ。

 

「さて、やるか」

 

 一つ目、ビームピストル×2

 拳銃型のビーム兵器らしい。2丁セットで出てきた為、2丁拳銃で闘うことを前提としているようだ。

 ターゲットを出現させて撃つ。

 

「これ出力がバラバラっぽいんだけど」

『んー、そっか。分かった、次お願い』

 結論 出力調整が必要

 

 二つ目、ビームバルカン

 これもビーム兵器で腕に取り付けるやつのようだ。

 

「あっ、ユニコーンにぴったり」

 

 付けてみて思ったことを言うと、

 

『当然でしょ。ユニコーン用の武装なんだから、それ』

 

 という返事が返ってきた。

 ユニコーン用か。なら更に集中して試そう。

 トリガーを引く。

 十秒…二十秒…二十五秒…。

 ガガガッという連射音とともにバルカンからビームが発射される。

 範囲、威力はみた感じ問題なし。

 ただ、

 

「発射まで遅すぎないか?」

 

 トリガーを引いてから発射まで三十秒ほどかかってしまっている。

 

「うーん、それは原作意識したんだけど」

「何か言ったかー?」

『なんでもないよ、じゃあ次』

 

 小声で何か言ってた気がするけど気のせいか?

 結論 発射までの時間調整が必要

 

 そういった感じで新装備のテストは進んでいった。

 ブーメランや、槍、斧に大剣などといった武器もあった。

 そして十二個目、

 

「…何これ?」

 

 展開したのは両手持ちのガトリング。

 銃口が明らかに普通とは違うが。

 直径五センチくらいで握り拳が入ってしまいそうな大きさだ。

 

「それが今回の目玉!まぁ、撃ってみて」

 

 …不安だがこれで最後みたいだしやるしかないか。

 トリガーを引く。

 瞬間、車に跳ねられたんじゃないかというくらいの衝撃を最後に意識を失った。

 

 

 そして目を覚ますと一日経っていた。

 見舞いに来た織村先生と山田先生、瑠璃からその後のことを聞いた。

 第四アリーナのグラウンドが爆撃にでもあったかのようになっており、しばらくの間使用不可能。

 瑠璃は反省文100枚、俺は被害者としてお咎め無し。

 ユニコーンのダメージレベルがCを越えたとかどんだけだよあの兵器。

 

 そんな暇な三日間。特にこれといったイベントは無かった。

 あえて言うなら一夏たちが見舞いに来て騒がしくなり怒られてたとか、鈴と久しく話したとか、簪が真剣な顔で「頑張る」と言うだけ言って出て行ったとかそれくらいかな。…簪何したかったんだろ?

 

 明日には部屋に戻っても良いらしい。

 もともと頭部からの出血と所々に擦り傷が出来た位で検査入院みたいなものだったし。

 さて、明日は久しぶりに一夏の特訓でも見に行こうかな。

 そう考えながら眠りについた。

 

 この時の俺はまだ知らない。

 

 

 更識簪と更識楯無

 翌日に二人の決闘が行われることを。

 




そろそろ原作崩壊のタグをつけようかな?
感想、アドバイスお待ちしてます。


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ぶつかる姉妹 前編

あぁ…戦闘描写って難しい


 時刻は放課後。

 第二アリーナ、そこはこの次の日からクラス対抗戦用に調整されるので使えなくなるアリーナの一つだ。

 そこは今、多くの生徒で埋め尽くされていた。

 席という席は全て埋まり、中には立っている者もいる。

 イベントでない限りこんな現象が起こることはまず少ない。

 これはただの試合。それで起こるということはそれだけの価値があることを示している。

 IS学園最強、生徒会長の更識楯無。

 その妹であり、実力不明の代表候補生である更識簪。

 その二人の試合が始まろうとしていた。

 

簪side

『3』

 

 開始のカウントが始まった。

 そんな中、目の前の相手は気軽に話しかけてくる。

 

『2』

「何か言いたいこと、ある?」

 

 片目で機体の再確認をしながら、

 

『1』

「…じゃあ一言」

 

「勝つ!」

『0。試合開始』

 

 開始の合図と共に、一気に下がる。

 相手、更識楯無は槍を構え、追ってくる。

 彼女のIS、「霧纏の淑女(ミステリアス・レディ)」は普通のISに比べてアーマーの面積が全体的に小さく、狭くなっている。それをカバーするかのように、水の透明なフィールドが展開され、ドレスのようになっている。

 他には左右にクリスタルのようなものが浮いている。

 

(あの機体の主兵装は槍。ガトリングが内蔵されてるから気をつけないと)

 

 後方に移動しながらも距離を気にする。

 射程圏から離れないといけないからだ。

 

「逃げるだけ?ならこっちから!」

 

 速度を上げ、接近してくる。

 槍の先端がドリルのように回転し、その表面に螺旋状に纏っていた水も、回り出す

 

(来た…!)

 

 両足に付けていた四発撃てるミサイルポッドから二発(・・)のミサイルを発射する。

 楯無は槍で払い落とした。ミサイルは爆発し、白い煙が彼女を包んだ。

 煙幕。それも、対IS用のジャミング粒子を混ぜたある知り合いの特注品。

 その隙に壁際まで寄り、次の準備をする。

 

「こんなものっ!」

 

 すぐに煙から楯無は出てきた。

 予想よりも早かったが構わない。

 準備は出来た。

 

「…くらえ」

 

 私は背中の二門の荷電粒子砲「春雷」と両手に高出力ビームライフル「白蕾」を撃つ。

 高出力ビームライフル「白蕾」。

 結人のビームマグナムをもとに開発されたこれは普通のビームライフルの三倍の威力を持つ。

 ただし、七発撃つとしばらくの間冷却期間に入ってしまい、使えなくなる。

 

「くっ!」

 

 楯無は横に瞬間加速(イグニッションブースト)してビームを回避した。

 

「逃がさない!」

 

 「春雷」は速射型の荷電粒子砲。

 機体の向きを変え追撃する。

 もちろん白蕾も連射する。

 避けながら回り込むように近づいて来る。

 白蕾が冷却し始めたので戻して、新しくサブマシンガンをコールして撃つ。

 撃ち出された弾丸は、まっすぐに目標へと進み、クリスタルから展開された水のヴェールに阻まれた。

 

「それは…」

「私のISはISのエネルギーを伝達するナノマシンを制御して水を操れる。それを使えばこうやって実弾系射撃武器は封じられるのよ」

 

 ご丁寧に解説してくれたけど、そんなこと彼女(・・)から聞いている。

 とはいえ、実弾は効かないことは変わらない。

 サブマシンガンをしまって近接武装「夢現」を呼び出し迎え撃つ。

 数秒としない内に槍と薙刀がぶつかり合った。

 

 

第三者side

 

 大勢の生徒が第二アリーナに向かった中一人の少女は自室にいた。

 もっとも彼女も独自のネットワークを用いて二人の試合を見ているのだが。

 

「いい調子。今の所、更識楯無の行動パターンはプラン24通り。一応警戒してパターン50までは教えたけど、まぁなんとかなりそうね」

 

 呟きながらも空中に投影されたキーボードで、試合を映してるのとは違う、同じ空中投影ディスプレイに文字を打ち込んでいる。

 

「で、何か用かしら結人」

「…わかってるだろ」

 

 音も無く部屋のドアを開けたのは、今日退院(?)した橘結人。

 それに驚きもせず、言葉をかけたのはこの部屋の主、篠ノ乃瑠璃。

 

「簪さんが何故、お姉さんと戦ってる」

「これ」

 

 一枚の紙を渡す。それは学園新聞だった。

 

「えーと、『快挙!更識会長200人切りまで後少し』?」

「IS学園の生徒会長は、前の会長に勝てば交代になるのよ。更識楯無はこの1ヶ月で現在198人の挑戦者を倒したわ」

「それが何だよ」

「学園の歴史上、1ヶ月で倒せた挑戦者の最高は199人。200人倒せば快挙よ」

「だから、何なんだよ」

 

 凄いことだとは分かるが、どうしてそんな話をする必要がある。そう言いたげな顔をしている結人。

 

「分からない?つまり200を超えたら更識楯無は学園に名を残す。それは彼女、更識簪からしたらまた姉が遠くなるように感じられない?」

「!」

「だから焦ったんじゃないの?」

「くそっ」

 

 拳を握り締める結人。

 それを横目に、

 

「だけど今の更識簪じゃ最強の生徒会長には勝てない。だから、手助けしといたわ」

「何?」

 

 新しくディスプレイを出現させ、結人に見せる。そこにはグラフが書いてあった。

 

「これは更識楯無が挑まれ、勝負した形式のグラフ。その内最も多いのは生身での勝負。けどその次はIS戦」

 

 瑠璃は結人の方を向き、ニヤリと笑う。

 

「教師用のデータベースから過去のアリーナの戦闘映像を漁り、更識楯無の物のみをコピー。さらにそこから、私と母さんで創った量子コンピューターで行動パターンを予測。その内可能性の高いもの50を彼女に教えたわ」

 

 実際は158まで出たけど時間なかったから、と付け足す。

 結人は冷や汗をかきながらも質問する。

 

「でも、勝てるとは限らないだろ」

「そうね。だけど負けるとも限らない。見てなさい。貪欲にも運命に、姉という越えられない壁を越えようとする姿を」

(問題は、前日に更識楯無宛てに届いたナニカだけど…)

 

 

簪side

 

「くっ…」

「ほらほら、ペース落ちてるわよ」

 

 薙刀と槍のぶつけ合い。

 それは最初こそ私が食らいついていたが、次第に姉さん、いや楯無のペースに呑まれかけていた。

 

(そろそろかな)

 

 脚部のミサイルポッドから再びそれぞれ一発のミサイルを出す。

 それは地面にぶつかり、爆発した。

 

「くっ!?」

 

 爆発が起きたのは二人の間。

 余波はどちらにも影響を与え、お互い距離を取った。

 

「…仕掛ける」

 

 脚部ミサイルポッドをパージしながら後方に下がる。

 追おうとしてくる相手に対し、冷却が終わった白蕾と春雷を牽制として放つ。

 

「…マルチロックオン起動。…対象ロック。 八連装ミサイルポッド「山嵐」を起動」

 

 本来ならキーボードを使うことでミサイルの細かい調整を行わなければいけないが、今回はあらかじめ入力済みなので放っておく。

 

「行って…!」

 

 肩部ウイング・スラスターに取り付けれれた六枚の板がスライドして開く。

 内部には八連装ミサイル、それが六ヶ所あり、計四十八発あった。

 それらは簪の言葉と共に一斉に発射された。

 

「こんなもの!」

 

 楯無はランスに搭載されている四門ガトリングで撃ち落とそうとする。

 

「今!」

 

 春雷を撃つ。狙いは撃ち落とそうと止まった楯無では無く、その足場。

 そこには先程パージしたミサイルポッドがあった。

 

「なっ!?」

 

 楯無の足場で爆発が二つ起こる。

 撃たずに残していたミサイル一発が爆発したのだ。

 それにより、バランスを崩し、ミサイルに向けていたランスの先端は下を向いた。

 ミサイルは数十発が複雑な軌道を描き、全方位から向かう。

 アクアクリスタル二つでカバー出きるのは、約百八十度。

 楯無の顔に焦りが見えた。

 直後、ミステリアス・レディを包むように爆発が連続して起こった。

 

 

 

 




後編は現在二割完成。
十月最初らへんに投稿できればなぁ、と思ってます。

感想、アドバイス頂ければありがたいです。


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ぶつかる姉妹 後編

風邪ひいたうえにテスト期間入って遅くなりました。
すいません。
今回もめちゃくちゃにしすぎたかなぁと反省

11月7日 修正


 切り札ともいえる48発のミサイル同時発射。恐らく倒せないまでも大打撃を与えた筈。

 相手は煙に隠されてはいるが、ランスの残骸が地面に落ちている。

 これで遠距離武装は潰した。

 あとは蛇腹剣と、アクアクリスタルに注意すれば…。

 

 

『敵IS反応健在!警告ーロックされてます!』

タァッン!

「えっ?」

 

 

 反応するよりも早く、銃声が響いた。

 手に持っていた白蕾に穴が空いていた。

 

(しまった…)

 

 白蕾が爆発する。

 右手装甲の一部が吹き飛び、絶対防御が作動する。

 爆破の衝撃により、少し吹き飛んだが、態勢を立て直しなんとか倒れるのを避ける。

 

(何…が…)

「危なかったわ。見事、としか言えないわね。」

 

 煙から出てきたのは、ほとんど無傷といってもいい楯無の姿だった。

 

「そんな…なんで…」

「これ?」

 

 右手を掲げる。

 その手には黒をベースに青のラインが入っているスナイパーライフルだった。

 

「試作型IS用スナイパーライフル『ブルーライン(仮)』。最近届いたから過去のデータに無くて当然よ」

 

 バレている。

 楯無はこちらが過去のデータから作戦を建ててきたことを理解してる。

 

「まぁ、それが悪いこととはいわないわ。戦略としては正しいし。けど、もうちょっと不足の事態に備えるべきだったわね」

 

 ブルーライン(仮)をこっちに向けながらゆっくりと近寄ってくる。

 

「どうやって…あれを」

「ん?あぁ、あのミサイル?周り見て分からない?」

「まわ…り。…まさか」

 

 楯無の周り、無いものがある。

 アクアクリスタルだ。

 恐らくそれを起爆させ、ミサイルを誘爆し、最小限のダメージで済ませたのだろう。

 

「無茶苦茶な…。でも、これで…クリスタルは無くなって…実弾が通る可能性も増えた」

「そうね。クリスタルの予備はもう無いし、ヴェールだけで防ぎきれるかは分からないわ」

 

 けど、と言葉を足す。

 ライフルを構え、引き金を引く。

 

「っ!?」

 

 左に跳び回避する。

 回避した先でサブマシンガンを展開し構えるが、すぐに撃ち抜かれた。

 

「撃つ暇を与えなければ良いだけだわ」

 

 両手にブルーライン(仮)を構えた楯無が加速して来た。

 

 

 

瑠璃、結人side

 

「やられたわ…。そういう使い方あるの忘れてたわ」

「忘れてたって、このままだと簪が!」

 

 モニターに映る闘いの様子は一方的だった。

 簪が後ろに下がりながら、イコライザに詰め込んだ実弾系武装を撃つ。

 それを上手くかわしながら、ライフルで確実に武装を破壊しダメージを与えていく。

 その繰り返しだった。

 

「凄いわね。流石生徒会長といったところかしら。打鉄弐型のダメージレベルがCの一歩手前で止まってる」

「それが?」

「これはあくまで模擬戦なの。だからあらかじめ織斑先生に、どちらかの機体がダメージレベルCを超えたら試合終了となるルールで頼んでるの」

 

 だけど、と試合から目を離さず続ける。

 

「これじゃあまるで、あえていたぶって、力の差を教えてるみたいな」

「力の差…」

 

 

簪side

 

「…そこ!」

「はずれよ」

 

 春雷を撃つがかわされ、逆に撃たれて破壊される。

 これで残りの武装は春雷一つと、夢現、使い道がない大型シールドのみ。

 楯無は蛇腹剣とブルーライン(仮)×2だが、今は片手に蛇腹剣、もう片方の手にブルーライン(仮)を持っている。

 残りシールドエネルギー、189。

 ダメージレベルはまだB。

 Cになったらこちらの負け。

 かといってこのままやっても負ける。

 

(一か八か…)

 

 運が良ければ相手の武装を減らし、ダメージも与えられる。

 失敗すれば此方の負け。

 でもやるしかない。

 

(タイミングを狙って…)

 

 楯無がブルーラインを構える。

 警告が表示されるが無視。

 集中。静寂。

 

タアッン!

 

 引き金が引かれた。

 

(今!)

 

 残り少ないエネルギーを使い、瞬時加速(イグニッションブースト)をする。

 回り込むように楯無の背後に向かう。

 蛇腹剣が振るわれ、装甲を掠める。

 なんとか楯無の背後へお互い背中合わせのように近づけた。

 振り返る彼女が対し私は、

 

「なっ!?」

 

 背中の春雷をパージした。

 同時に大型シールドを呼び出し、片足を軸に向かい合うように回転した。

 春雷は振り返っていた楯無の蛇腹剣の刃にぶつかり起爆した。

 爆煙によって視界が封じられた中私は、衝撃対策に展開したシールドを仕舞い夢現をコールし、少し下がった。

 直後、煙の中からブルーライン(仮)の銃口が飛び出してくる。

 私は焦らず夢現で見えている銃身を切り裂いた。

 煙が晴れる。視線の先には、手に裂かれた銃身を持った楯無がいた。

 足元には蛇腹剣とブルーライン(仮)の残骸らしきもの。

 作戦は成功した。私の顔が少しにやけているのが自分でも分かる。

 

 作戦はこうだった。

 まず相手の背後、またはほぼ零距離に近寄り春雷をパージして、相手にぶつける。

 私はシールドで身を守り、爆発によって相手の武装を駄目にする。

 その後残りの武装を夢現で破壊して相手の武装を無くす。

 

 思ったよりも上手くいき、確信する。

 これで勝てると。

 

「…終わり」

 

 接近し夢現で突く。

 彼女のエネルギーがどれだけ残っていようと、武器の無くなった状態で逆転出来るとは思えない。

 勝利を確信していた。

 だが、その確信はすぐに失せた。

 

「えっ……」

 

 砕かれた。否、折られたのほうが正しいかもしれない。

 突き出していた夢現が横からの攻撃によって破壊された。

 横からの大型ランスによって。

 

「何驚いてるの?確かにクリスタルの予備は無いとは言ったけど、誰もランスの予備が無いとは言ってないわよ」

 

 急いで後ろに下がる。

 武装が底をついた。勝ち目は無くなった。

 いや、まだ何か方法が…。

 

「…?」

 

 楯無の姿を見て、何か違和感を覚える。

 何だろう。何か足りないような。

 

『警告!上空に高エネルギー反応!』

 

 上を見る。そこには、

 

「…いつの間に」

「気づくのが少し遅かったわね」

 

 水で作られた巨大な槍が浮いていた。

 違和感の正体。それは ミステリアス・レイディの表面を覆っていた水の装甲が無くなってたことだった。

 

「あなたは強かった。成長してることは認めるけど、私には届かない。絶対に不可能。だから、」

 

「なにもせず下で足掻いてなさい」

 

 片手を挙げ、告げる。

 

「せめてもの敬意を持ってこれで終わらせてあげるわ。ミステリアスレディの大技ミストルティンの槍」

「っ!?」

 

 逃げないと。即座にそう判断し動こうとしたが

 

(不可能…届かない…何もするな…)

 

 先程の言葉が頭を埋め尽くし動けなかった。

 

 

 

 その後のことを簡潔に纏めると、打鉄弐型はミストルティンの槍の直撃により、ダメージレベルD、コア以外大破となった。

 搭乗者、更識簪は五日間の意識不明状態に陥った。

 目覚めた後も部屋に引き込んでしまった。

 

 そして、クラス対抗戦当日になった。

 

 




感想、アドバイス頂けるとありがたいです。


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クラス対抗戦

やっと投稿( ̄。 ̄;)
イメージを文章にするのやっぱ大変だ。


 クラス対抗戦当日。

 既にほとんどの生徒が第一試合の一組対二組の観戦席取りに向かってる中、俺こと橘結人は第二整備室にいた。

 

「…そろそろ行っていいか?部屋寄って簪と合流して行こうと考えてたんだが」

「あと少し待ちなさい。今最終確認中だから」

 

 何故居るのかというと、瑠璃に呼ばれてユニコーンに新しい武装を搭載しているからだ。

 

「今結人が一番やりたいことをやるために必要な事だから」

 

 とのことで、今日じゃないといけないとのこと。

 

「今の内に再確認よ。今日の第一試合、それに母さんが作った無人IS『ゴーレムⅠ』が乱入する。あなたはそれを破壊、もしくは撃退すればいい」

「それは一夏や鈴に協力求めてもいいのか?」

「構わないわ。けど、あなたの、いえ私達の最終目的を叶えるなら一人の方が可能性は上がる」

 

 ピコーンと電子音が響く。確認終了らしい。

 

「終わったわね。時間も時間だし先にアリーナに向かいなさい。更識簪は私が連れて行くから」

「了解。あいつ引きこもり気味だからよろしく」

 

 瑠璃を残して整備室を出る。

 途中、もう始まろうとしてる試合の様子を廊下のリアルタイムモニターで見たが、鈴の奴張り切ってるなー。

 いや、怒ってる?…まぁ、一夏がまた地雷踏んだんだろ。例えば、「貧乳」とか。

 

 

一夏side

「ヘックション!」

「風邪か?一夏」

「いや、何でもない」

 

 誰かがなんかピンポイントに当ててきた気がしたけど、気のせいだろう。

 俺はピットで白式を展開し、出撃準備をしていた。

 鈴の機体は、中国の第三世代『|甲龍〈シェンロン〉』。特殊装備持ち。

 データから分かることはこれだけ。

 モニターから確認したのは、ISを身にまとい青竜刀を担いだ鈴の姿。

 代表候補生なのだから実力も高いだろうし、セシリアとは違い俺と同じ接近戦型と考えると、勝ち目は薄い。

 だからこそ今回はある意味での裏技を使う。

 

「一夏さん、それ…ほんとに持っていきますの?」

「ルール違反じゃないだろ?」

「…確かに禁止するとは書いてないな」

「それじゃ、そろそろ行ってくる」

 

 まだ納得、というより疑問を持つ箒とセシリアを置いてカタパルトを使い飛び出した。

 

 

第三者side

 

「遅いわよ」

「悪い」

 

 アリーナ中央、鈴と一夏は向き合っていた。

 鈴は遅く出てきた一夏に文句を言いながら疑問を抱いた。

 

「一夏、何?その黒い箱」

 

 一夏の両手には大きな黒い縦長の箱があった。どちらにも持ち手があり、そこをしっかりと掴んでいる。

 

「秘密だ」

 

 ニヤリと笑みを浮かべながら答える。

 

「いいわ。ところで一夏、今前のこと謝るなら少し手加減してあげるわよ」

「俺がそういうの嫌だと知ってるだろ?よって謝る気はない!」

 

 前のこととは、一夏が鈴と口論になった際に彼が「貧乳」と言ってしまい、怒らせたことである。ここにいないもう一人の幼なじみの予想が当たっていたことは、だれも知らない。

 

「…そう。ならボコボコにして、言うこと聞いてもらうわ!」

「負けねーよ。返り討ちにしてやる」

 

 睨み合い。そして、

 

『試合開始』

 

 ビーッと開始のブザーが鳴った。

 

「そいや!」

「なっ!?」

 

 と、同時に一夏は持っていた箱の一つを、接近してきていた鈴目掛けて投げた。

 鈴は驚きながらも、回避する。

 その隙を狙い、一気に加速して鈴に迫る一夏。残りの箱を両手で持ち、下から振り上げる。

 

「この!」 

 

 青竜刀と箱がぶつかり合う。

 

「固っ!?なんなのよそれ!」

「知らん!」

 

 青竜刀の刃が一部欠けていた。それは箱の強度を示していた。

 

「ーけど!」

 

 甲龍の肩アーマーがスライドして開く。中心の球体が光ると同時に、一夏は箱を投げた。箱は見えない衝撃に殴り飛ばされた。

 

「まだまだいくわよ!」

 

 見えない衝撃が連続して当たり、白式は地面に叩きつけられた。

 

 

その頃ピット。

 

「あれは?」

「『衝撃砲』ですわね。第三世代兵器。空間に圧力をかけて砲身をつくり、その際に発生する余分な衝撃を打ち出すという仕組みだったはずですわ」

 

 疑問の声を上げた箒にセシリアが解説をしていた。

 

「しかし一夏は何がしたかったんだ?」

「…さぁ?」

 

 

一夏side

 

 マズい。鈴の攻撃で既にエネルギー残量が7割まで減った。

 

「よくかわすじゃない。砲身も砲弾も見えないから初見で避けれるの少ないのよ?この衝撃砲『龍砲』を」

 

 衝撃砲…多分衝撃がなんか関係してるんだろう。分からないが。

 仰向けの体勢のまま、地面スレスレを平行移動して、鈴から距離を置く。

 勿論、衝撃砲を撃ってきたが全弾回避しながら、雪片弐型を展開する。

 うーん、どうするか?

 千冬姉から教わった|瞬時加速〈イグニッション・ブースト〉と、零落白夜で行ってみるか。零落白夜を使えば、バリア切り裂いて強制的に絶対防御発動だし大ダメージだろうな。

 体を起こして、鈴と同じ位置まで上がる。

 

「よし、本気で行くぞ鈴」

「何か仕掛けて来る気?いいわ、来なさい」

 

 |瞬時加速〈イグニッション・ブースト〉をしようと、頭でイメージして踏み出そうとした。

 

 

 

 上空から俺達の間に、緑色の極太の閃光が貫いた。

 

 

簪side

 

 真っ暗の部屋。

 姉さんに負けてからの私は、何もやる気が沸いてこなくなった。

 部屋に戻って結人が色々話しかけてきてくれたが、無視してしまった。

 …いずれ謝ろう。

 そういえば今日はクラス対抗戦の日だったかな。

 四組の代表では無いし、関係ない。

 

『えっと、あんまり聞きたくない名前だろうけど織斑一夏が第一試合らしいからちょっと見に行こうと思う。幼なじみとして応援してやんないとな。簪はどうする?』

 

 …不意に昨日聞いた結人の言葉が浮かび上がってきた。

 気は進まないが、気分転換と、私の機体の開発を中止してまで造られた専用機も気になる。一組での騒動は、制作で気にも止めてなかったから。

 それに場合によっては応援してもいいかもしれない。そうすれば結人も……。

 あれ?なんで結人が関係してくるの。

 もやもやする頭のまま、私は部屋を出てアリーナへ向かった。

 

 

一夏side

 

 緑色の閃光、ビームの奔流の直撃により起こった砂埃。

 それを吹き飛ばすように俺達の間に現れたのは、 結人のISと同じ全身装甲の機体だった。

 緑色のボディ、胸部には四つの砲門と思われるものと中心にRの文字。

両肩から身体全身を覆うかのように接続されている大型のシールド。

それはまるで、翼のようだった。

 頭部は同じく緑色で一本の角がついた一つ目だった。

 その一つしかない目で鈴と俺を見た後、更に上に上がり四枚のシールドから何か小さい物がいくつか飛び出した。

 それらはあらゆる方向からビームを放ってきた。

 

「セシリアのみたいなやつか!」

 

 セシリアの時と違うのはビットのサイズが小さいのと、数が多いこと。

 そして、

 

『警告!』

「一夏!」

「何っ!?くっ!」

 

 上空から緑の機体がサーベルで攻撃してきた。どうやら操作しながら、自分も動けるようだ。

 警告と鈴の声で直撃は避けたが、右腕にサーベルがかすり、その際に雪片を落としてしまった。

 

「この!」

 

 サーベルを持っている右腕を掴み、攻撃がこないように抑え込む。

 左で殴ってこようとするのを、もう片方の手で抑える。

 クルクルと回るように地面に近づいていく。

 三週程したところで、胸部の砲門からビームが撃たれた。それは此方の胸部装甲に直撃し、一気にエネルギーが減っていく。

 オマケに手を放してしまい、俺はそのままの勢いで地面に叩きつけられた。

 

「一夏!この、邪魔よ!」

 

 鈴が向かってこようとするが、ビットに阻まれてしまっている。

 

「………………」

 

 緑の機体、シールドには『FT-666』と書かれているそれは倒れている俺を見下ろして、サーベルを振り下ろした。

 

 

 

???side

 

「暇だー」

 

 任務とはいえ暇すぎる。

 下では我らが隊長が闘ってる。加勢禁止という命令が邪魔だ。混ざりたい。あの中国の候補生とか強そうだ。

 

「ん?」

 

 ハイパーセンサーが下、アリーナに向かう人物を捉えた。

 

「こいつは確か…日本の」

 

 水色の髪の女。何故今頃向かっているのかは分からないが、増援では無いだろう。

 アリーナとIS学園の通信は妨害してるし、ゲートも外から明けない限り封鎖中だ。

 けど、

 

「任務の中には、作戦終了まで誰も近寄らせるなってあるし、別にいいよな」

 

 代表候補生ならそれなりに楽しめるだろう。

 私は搭載されたステルスを切り、一気に接近した。

 




次も未定。
量を短くしたら早くなるかも…(・_・;)
ちょっと真剣に考え中。
アドバイス、感想いただけるとありがたいです。


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異常事態

ギリギリ間に合った(^_^;
感染性胃腸炎とかいうのにかかってました。
急いだのでおかしいとこあるかもしれませんが、どうぞ


「アリーナ全出入り口ロックされてます!システムレベル4、アリーナ内のモニターも出来ません」

「本校舎との連絡は?」

「無理です。妨害電波があるようです」

 

 第二アリーナ管制室。そこは大騒ぎだった。

 突如現れた乱入者。それと同時にアリーナ全体へのハッキング。

 外部との連絡は絶たれ、試合を映していたモニターにはノイズしか映っていない。

 

「織斑先生…」

「……………」

 

 織斑千冬は世界最強の称号『ブリュンヒルデ』をかつて手に入れてる。そのため、IS学園での予測外の事態への対処を一任されている。

 

「オルコット、ゲートは壊して構わない。中に入り織斑、凰の撤退の支援をしろ」

「敵の撃墜ではなく?」

「そうだ。あそこに居る片方は世界で二人の男性操縦者だ。さらに初心者で馬鹿だ。突っ込んで死なれては困る。凰は実力があるとはいえ、多少は消耗してるだろう。状況によっては足手まといだ」

「…わかりましたわ」

 

 セシリアは急ぎ管制室を出て行く。

 

「織斑先生、私も!」

 

 箒はその様子を見て、自分も行かせてくれと言う。

 

「篠ノ乃、お前は残れ」

「私だって戦えます!それに機体だって」

「はっきり言ってやる。足手まといだ」

 

 千冬は箒のほうに振り向いた。

 

「足手まといって…、模擬戦では一夏より勝ち星は上です!」

「いい加減にしろ!」

「!!」

「いいか、今のお前は手に入れた力に酔っているだけだ!その状態では周りも見えず、ただ闇雲に力を振るい、味方に被害を及ぼす!」

「………」

「よって今のお前は出さん。そこで立ってろ!」

「くっ……はい」

 

 忌々しげに返事をした箒の右手には、彼女が手にした力、『椿』の待機状態である鈴の付いたキーホルダーが握りしめられていた。

 

 

簪side

 

 降り注ぐビームを跳んだり、転がったりして回避する。

 

「くっ…!」

 

 こういった運動神経だけは、実家に感謝だ。

 実家…姉さん…。

 やめよう。気分が沈んでいく。今そうなったら確実に撃たれる。

 

「おらおら!どうした?」

 

 全身装甲で背中に緑の筒のような物をつけ、2本のアンテナ、人のような2つの目。

 その機体は突然現れ襲ってきた。

 戦おうにも打鉄弐式は使えないから逃げることしかできない。

 

「ちっ、もういいや」

 

 敵は胸部中心の砲門から、さっきまでのより威力の高いビームを放つ。

 そのビームは地面に当たり爆発を起こした。

 

「くっ!?」

 

 爆風で吹き飛ばされ、地面に頭をぶつける。

 当たりどころが悪かったのか頭から出血しているらしい。

 顔にぬめっとした感触を感じていることからそう考えた。

 視界が眩む。意識が薄れる。

 

「んじゃ、死ね」

 

 意識を失う直前。最後に覚えてるのは、

 

「なっ!?」

 

狙撃の音と、ビームライフルが破壊されて驚いた声を上げる敵の声だった。

 

 

一夏side

 

 振り下ろされる光刃。

 それを俺は、右手に持った近接ブレード(・・・・・・・・・・・・)で、受け止めた。

 

「!?」

 

 驚いた様子が伝わってくる。今しかない!

 

「うぉぉぉ!」

 

 スラスターを全開にし、相手を弾き飛ばすように起き上がる。

 緑の機体、(面倒だから以後四枚羽)は後退し、距離を置く。

 ビットも自身の周囲に集めているため、今まで囲まれてた鈴も合流してきた。

 

「よう、鈴。大丈夫か?」

「平気…とはいえないわね。衝撃砲は片方潰されて、エネルギーもかなり削られたわ。ってか一夏、そのブレードどうしたのよ」

「うん?あぁ、これか。あれだよ、黒い箱」

「はぁ?」

 

 白式は雪片弐型の他の武装を格納できない。なので、瑠璃から貰ったアイデアは『持ち込み』である。

 黒い箱にあらかじめ打鉄のブレードを入れて、最初は箱を鈍器のように使い放り投げる。

 その後、雪片の使用でエネルギーが減りピンチに追い込まれたときに使用。

 そういった作戦だ。

 それを鈴に説明しようとしたが、四枚羽は待ってくれなかった。

 

「ファンネル…」

 

 呟くと同時にビット(ファンネルというらしい)が、一斉に攻撃してきた。

 俺達はバラバラに回避し、追ってくるかのように来たファンネルのビームに対応する。

 

(右、左下、上…くそ!速い!)

 

 高速で動くファンネルによってじりじりとエネルギーが削られていく。

 残り二割。鈴もそれくらいだろう。

 

「くそっ!」

 

 一か八かに賭け、四枚羽に向かって全速力で突っ込む。

 後ろから鈴の止める声が聞こえたが、気にしない。気にしてられない。

 追ってくるファンネルと、敵のビーム砲は少ない俺のエネルギーをさらに削る。

 一割を切った。けど、この距離なら!

 

「ハァァァァ!」

 

 残りのエネルギー全部をつぎ込んだバリア無効化の一撃は、直撃するラインを描いて、

 

ガシンッ!

 

「な!?」

 

 肩に隠されていたサブアームによって腕を掴まれる形で防がれた。

 残りエネルギー、13。

 掴まれる瞬間に零落白夜は解除したため、エネルギーが尽きることは避けた。

 けど、

 

「終わりです…」

 

 機会音声の声。手にはビームサーベル。

 その一撃で終わる。そう宣言された。

 実際俺もそう思った。

 だがその予想は覆される。

 サブアームを撃ち抜き、俺と敵を離すように青いレーザーが降り注ぐ。

 

「一夏さん!大丈夫ですか!?」

 

 俺がいたピットからセシリアが出てきた。

 

「あぁ、なんとか」

 

 俺を庇うように前に動き、ライフルを構える。

 

「一夏さん達は下がってください!」

 

 ティアーズを飛ばし、俺達に下がるように言ってくる。

 

「俺はまだ!」

「一夏!下がるわよ!」

 

 鈴が片腕を掴んでピットへと引っ張っていく。

 

「鈴!」

「いいから!残量少ない私達がいても邪魔なだけよ」

「くっそ…セシリア!?」

 

 鈴の言葉にしぶしぶ納得してセシリアに視線を向けると、ティアーズが二つ破壊され、ライフルも撃ち抜かれている場面だった。

 相手のファンネルも二つ爆発していた。

 

「こんのぉぉ!」

「一夏!?」

 

 鈴の拘束を振りほどいて加勢に向かう。

 相手に隠し腕使われないように接近して、零落白夜の斬撃与えればそれなりのダメージになるはずだ。

 

「?…!」

 

 嫌な予感がして、後ろを向くと少し離れた位置、動いてる俺を撃てる位置にファンネルが動いてるのが見えた。

 俺がたどり着くより先に、相手のビームのほうが早い。

 詰んだ。そう思った。

 

『警告!前方に高エネルギー反応!』

「えっ?」

 

 突然の警告に従い身体を少し捻る。

 そのすれすれを向かいのピットのゲートを貫いた赤い熱線が通過した。後ろで爆発の音も聞こえたが気にしなくていいだろう。

 

「よし!やっと行けた…って一夏何やってんだ?」

 

 現れたのはユニコーンを纏った結人。片手にはビームマグナムが握られている。

 

「危なっ!当たったらどうすんだよ!?」

「お前なら避けてくれると信じてた!」

「ギリギリだがな!」

 

 結人は俺の近くまで寄ってくる。敵もいつの間にか離れてるし、何故か攻撃して来ない。

 四枚羽はこっちをじっと見てる。

 すると、機体の中心が緑の光を放ち始めた。

 

「!」

 

 結人からも機体から赤い光が漏れ始めてる。

 

「…セシリア、一夏と鈴連れて下がってろ」

「な、何を馬鹿なことを!私もここに」

「一夏たちは限界だ。守ってくれ。それに、ユニコーンの強さは知ってるだろ?」

「………わかりましたわ。すぐ戻ります。行きますわよ、一夏さん」

「あ、あぁ。頼んだぜ結人」

「任せろ」

 

 俺はセシリアに守られる形でピットまで下がった。正直結人と一緒に戦いたいが、足を引っ張るだけだ。

 それが、悔しかった。

 

 

結人side

 

 さて、一夏たちは戻ったな。

 

「そんじゃあ、始めようか。侵入者さん」

「……………」

 

 両手にビームサーベルを構え、ビットが全てこちらに狙いをつける。

 ビームマグナムとシールドを構え、臨戦態勢を整える。

 

「ッ!」

 

 ビットがビームを放ち、それを回避してビームを撃つ。

 さぁ、どこまでやれるかね俺。

 

 

アリーナ外side

 

「くっそ、何処だ!」

 

 簪を追いかけていた緑の機体の操縦者は自身を狙撃した相手を探して、周囲を見回した。

 

(ようやく戦えそうなのが出てきたかと思えばスナイパーかよ。探し出してやる)

 

 とどめを邪魔されたことには怒りは無く、戦えそうな相手がこそこそ隠れてることに苛ついていた。

 

(もう一度こいつ殺そうとすれば、何らかのアクションしてくるだろ)

 

 予備のライフルを使い、倒れている簪に銃口を向ける。

 引き金を引こうと指を動かした。

 

「それは困るからやめてもらえない?」

 

 女の声とともに再びライフルが破壊される。しかし、前とは違い今度は正面からのビームだ。

 

「テメーは確か…」

「篠ノ之瑠璃。以後お見知りおきを、カオスのパイロットさん?」

 

 瑠璃色の長い髪の少女、篠ノ之瑠璃が右腕を部分展開させ、ライフルを構えていた。

 

「篠ノ之束の関係者か。悪いが今日はどうでもいいんだわ」

「そう。でも、あなたがそうでも私は違うのよ。あなた達の所属とか、色々」

 

 ライフルを構えたまま、倒れている簪の場所へ動く。

 カオスと呼ばれた機体の操縦者の表情は読めない。

 

「うん?てっきり把握してるのかと思ったが?」

「確信が無いのよ。三つ、いえ、四つ浮かんでるから」

「あっ、そう。まぁ、教えねーけど。ってかISあるなら戦おうぜ。勝ったら教えてやるよ!」

 

 言い終わると同時にビームを撃つ。狙いが甘かったようで、地面に着弾し煙が上がる。

 煙を突き破るように二発のビームが襲いかかる。

 

「臨海学校まで出番ないと思ったから、メインは今日持ってきていないのよね。

まぁ、これでもやれるでしょう」

 

 煙が晴れた先には、カオスと同じく全身装甲で、人のような二つの目の黒い機体。違う所は角が四本というとこと、背中に大きな蝙蝠の羽をイメージしたかのようなウィングがついていることだ。

 

スペア3(・・・・)アストレイノワール。ロールアウトしたばかりで一部武装無しの状態だけど頑張るとしますか」

 

 両手に持ったビームライフルをカオスへ向けて、

 

「さぁ、行くわよ」

 

ビームの発射音を合図に戦いが始まった。

 

 




よく考えるとSEED系列多いなぁ。
UC系列も調べないと。
感想、アドバイス頂けるとありがたいです。

次は今年中を予定。間に合うかは不明ですが。
それと、原作一巻分終わったら主人公のステータスとかやろうと考えてます


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続く戦い

約1カ月ぶりの投稿。
クリスマスの話でもやろうかと思ったけど、せめて三巻まで終わってないとなぁ、とか考えてたらこんなことに(^_^;
…ぶっちゃけ今回戦闘描写わかりにくいと思うので、ご了承ください。もっと上手くなったら、書き直しますので…m(_ _)m
では、どうぞ


 

「ファンネル…」

「この!」

 

 上から降り注ぐビームを飛行しながら回避する。

 全部避けた先には回り込んだ敵のビーム砲からの攻撃が待っていた。

 

「ぐっ!」

 

 シールドで防御し、牽制にビームマグナムからビームを一発撃って距離をとる。

 

「………」

 

 あっさりとビームは避けられたが、離れることは出来た。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

(一夏達にはああ言ったけど、やっぱつらいな)

 

 さっきから数回、このパターンが続いている。

 マグナムの残弾1。

 カートリッジはあるが、装填する暇は無いだろう。

 

「…そういやお前の目的なんだよ」

「…………」

「答える訳ないか…」

 

 ファンネルが戻っていく。全て回収され、両手のビームサーベルの出力が上がった。

 

「格闘戦ってか?上等!」

 

 ビームマグナムとついでにシールドを仕舞い、両腕のビームトンファーを展開する。

 お互いが接近し、緑と赤の光刃がぶつかった。

 

 

瑠璃side

 

 ビームを撃ち、移動し、また撃って移動する。

 カオスは全てシールドで受け、反撃を狙うが撃たせる前に撃つ。移動もさせない。

 

「ちっ!」

 

 クルクルと相手を中心に回るように動く。更識簪からは離れているので問題無い。

 

「どうかしたの?もしかしてその程度の実力なのかしら」

「るせぇ!」

 

 軽く挑発したら、ガードをやめて突っ込んできた。

 正直助かった。あのまま続けてたらこちらの負け(・・・・・・)だった。

 ライフルを投げ捨て、ビームサーベルを引き抜いて迫ってくる。

 此方も右のライフルを仕舞い、ビームブレードを引き抜いて応戦する。

 

「ちっ!」

 

 一度ぶつけただけですぐさま上空へ。

 

「落ち着け…倒すことが目的じゃない。本来の目的を忘れるな…」

 

 ぶつぶつ言ってるけど、少し冷静になったみたいね。

 2ラウンド目開始ってとこかしら?

 

 

結人side

 

 エネルギーが削れてく。装甲にも小さな傷が増えていく。

 

「…………」

 

 相変わらず相手は無言だ。

 しかし、なんでこうも同じことの繰り返しになるのだろうか。

 さっきのビームといい、今の格闘戦といい。

 まるで、戦いを終わらせないようにしてるかのような(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

「…なわけないか」

 

 サーベルが離れた瞬間を狙って後ろへ飛ぶ。

 追うように接近してくる緑の敵。

 その後ろへ回るように、瞬時加速(イグニッション・ブースト)をする。

 

(もらった!)

 

 ビームトンファーを背中目掛けて突き出す。

 しかし、その刃は届かなかった。

 四枚のシールドの内、後ろ側の二枚からサブアームが出て両腕を拘束された。

 

「しまっ…!?」

 

 敵はそのまま後ろへと急加速した。

 

「がっ…!」

 

 壁にぶつかった。そして、押し付けられたまま平行移動を高速でし始めた。

 ガリガリと背中が壁にこすれて削れてく。エネルギーもジリジリ減っていく。

 

(くそっ、何かないか…この状況をどうにか出来る何かが!)

 

 背中からの衝撃に耐えながら策を考える。

 

(こいつのサブアームが外れるようなこと。例えば、大きな衝撃…衝撃?)

「なら、これで…くっ…」

 

 思いついた考えを実行するためにある武器を展開する。両手持ちのガトリングを右手に持ち銃口を足下に向ける。

 地面との位置はおよそ1メートル半。平行移動してるうちに段々下がっていったからそれくらいだろう。

 

「どうだ!」

 

 引き金を引く。

 直後、爆発が足下で発生した。

 一回だけでなく何度も、引き金を引き続ている間爆発はいくつも起こった。

 爆発の衝撃波を避けようと相手が上昇しようとしたときサブアームが少しズレた。

 その隙を見逃さず全力で片腕のを引き剥がして、ビームトンファーを即座に持ち展開。

 もう片方のサブアームを切り、上昇して離れる。

 

「…背面ブースター内のサーベル使用不可。これだけで済んだだけよかったかな」

 

 上から見下ろしながら状況を確認する。

 ユニコーンモード(今の状態)では使えないサーベルなので気にしなくて良いだろう。

 

「というか、これが役立つ日がくるとは…」

 

 使ったのは、瑠璃との取引をした時に試して意識を失った武器。

 名称『G-ガトリング』。

 実弾ではなくグレネードを乱射するガトリング砲である。

 試したときはグレネードの威力を上げすぎてあんなことになったから、威力低下に軽量化をした改善版を渡された。

 

「ファンネル」

「!」

 

 再びファンネルが射出され、此方に迫って来る。

 G-ガトリングをしまって、ビームマグナムを出しファンネルに向けて引き金を引く。

 

「って、弾切れしてんだった!」

 

 そんなことをしてる間にファンネルからのビームでビームマグナムが撃ち抜かれた。

 

(くそったれ!射撃武装もう無いんだぞ!)

 

 実はG-ガトリングのグレネードは、拡張領域(バススロット)から撃つたびに補充される仕組みなのだ。

 つまりグレネードで拡張領域(バススロット)はほとんど埋まってしまっている。よって射撃武装がない。

 さらに、グレネードも尽きてしまった。

 

「この!」

 

 ビームを避けるように飛行する。ただ、当てる気がない…?

 

「…しまった!?」

 

 逃げた先、アリーナ中央まで来たときに気づかされた。

 全方位をファンネル、上空には敵がこちらに銃口を向けてた。

 誘導された。シールドだけじゃ防ぎきれない。これだけのビームをくらったら負ける。

 

(負けられるか…)

 

 視界がスローに感じる。銃口が光を放ちはじめる。

 

(一夏を、鈴を、セシリアを傷つけたコイツに)

 

 光は銃口からまっすぐと向かってくる。

 

(負けられないんだよ!)

 

 そう思った次の瞬間、赤い光が視界を染め、体が前に引っ張られた。

 吐き気をこらえて、思わず閉じた目を開けると、包囲網を突破していた。

 

(何が…)

 

 右のビームトンファーを展開し、一機のファンネルの残骸がちらっと見えた。

 画面には『IS-D』の赤い文字と、展開された装甲。

 

(まさか、瞬時加速(イグニッション・ブースト)でファンネルを壊して無理矢理抜けたとか?)

 

 その予測は正しく、本人の知る由ではないが、ビームが当たるよりも速く『IS-D』を発動し、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で自身の直線上のビームを避けながらファンネルへ接近し、トンファーで貫きながら包囲網を抜け出した。

 

「まぁ、なんであれこれなら!」

 

 視線を直線上まで降りてきた敵へと向ける。

 

「やれる!」

 

 戦いはまだ終わらない。

 

 




これで今年のISの投稿は終わりです。
あと、二話で一巻の内容終わらせます。…きっと。
感想、アドバイスお願いしますm(_ _)m

それでは皆さんよいお年を(^^)/~~~


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決着

2月ですが、あけましておめでとうございますm(_ _)m
だいぶ遅くなってしまいましたが、やっと新年一発目です。
理由は活動報告を見ていただければ…。

相変わらずわかりにくい戦闘描写ですが、どうぞ!


「そらそら!」

 

 降り注ぐミサイルを顔の部分にあるバルカン砲「イーゲルシュテルン」で落とす。

 

(さて、本気は出せないし(・・・・・)そろそろ終わらせますか)

 

 カオスは機動兵装ポットが自立し、そのポットからビームが降りかかる。

 避けて、避けて、避ける。

 その祭にわずかだが、隙が出来た。

 一気に加速して切りかかってくる。

 

(もらった!)

 

 

(…なーんて思ってるんでしょうね)

 

タァッン…

 

 狙撃音が響く。

 あえて(・・・)作った隙に突っ込んでくるカオスのビームサーベル。そのビームの発生点を正確に叩き折る。

 

「また狙撃っ!」

 

 狙撃を警戒し、意識がそれたのを狙ってポットの一つ目掛けてノワールストライカーからアンカーを撃つ。

 そして、そのまま振り回してポット同士をぶつけ爆発させる。

 

「なっ…!?」

 

 急いで残りのサーベルを抜こうとするが再び狙撃音と共に弾き飛ばされる。

 

「これで…」

 

 ストライカーから実体剣を抜き放ち、瞬時加速(イグニッションブースト)で正面に現れる。

 

「終わりよ」

 

 構えた剣を振り下ろした。

 

 

結人side

 

「あぁぁぁぁっ!?」

 

 とてつもない速度と無茶苦茶な挙動に身体が悲鳴を上げ、口からも変な声が漏れる。

 ビームトンファーで斬りつけ、相手の反撃を回避し、時に蹴りを混ぜ攻める。

 敵もバインダー、両手のサーベルで防ぐが、全ては防ぎきれずダメージを増やしていく。

 背中のバインダーからファンネルを飛ばしてくるが、ユニコーンから放出されたピンクのオーラにあてられコントロールを奪われてしまっている。

 あらゆる方向からのビーム、そして正面からの連撃などを捌ききれる訳がなく、隙が出来る。

 その隙をつき、出力を上げた右のビームトンファーでバインダーを一つ切り裂く。

 

「いったぁぁぁ!?」

 

 自分の意志とは関係なく身体が動かされるため、右を思いっきり振った際に、関節が外れたかのような痛みが走った。

 

 しかし、痛みなどまるで気にしないかのように右腕は防御が薄くなり、見えるようになった頭部へと突きを放った。

 

「ッ…!?」

 

 痛みをこらえて、相手を見る。

 突きは、顔の左下側を破壊したようで頬と一部だが赤っぽい髪が露わになっていた。

 もう片方のビームトンファー逆のバインダーに突き刺し、右腕を下ろす。

 下げた右腕を下から振り上げ相手の身体を狙う。

 

(っ!止まれ!)

 

 直感で分かった。この機体は相手を殺そうとしてる。出力は最大。それなら絶対防御を破れる。

 止まれ、殺したくない。

 そんなことをしたら、

 

(父さんたちをやった奴と同じになる!)

 

 腕は止まらない。

 振り上げられた腕は、そのまままっすぐ進み…。

 

「!?」

 

 バリアを突き破ってきた極太ビームに飲み込まれた。

 敵も巻き添えをくらい、肩と残っていたバインダーの一部が溶けていた。

 上を仰ぐと、そこにはブルーティアーズに似た機体が自信の身長と同等のサイズのキャノンは構えていた。

 

「撤退だ、R」

 

 機会音声でそう告げる。

 Rというらしい相手は、空いた穴目掛けて飛んでいく。

 追うにしても、右腕は使用不能。射撃武器はなく、動けば構えている機体に撃たれる。

 

「……………」

 

 最後に此方を一瞥し、去っていった。

 

「くそ…」

 

 そう呟いて、意識を失った。

 

 

瑠璃side

 

「ふぅ……」

 

 腰を下ろして周囲を見回す。

 戦闘の跡が所々見える。

 

 あの後、トドメを刺す直前でガイアとアビスの襲撃を受け、離れたと同時に撤退していった。

 更識簪は、既に保健室に運ばれている。

 

「で、援護助かりました。布仏さん(・・・・)

「さすがるーるーだねぇ。気づいてたみたいだし」

「るーるーってなんですか?…まぁ、あなたは更識簪の付き人だった筈ですから、主のピンチを放っておくワケがないと考えただけですよ。とはいえ、」

 

 少しだけ目を細め、

 

「その学園の機体と、ブルーライン(仮)を使った時点で偶然ではないことは分かってますが」

「…なんのことかな?」

 

 動揺してないように見えるが、完全に隠しきれてないことは間でわかっている。

 

「学園の機体、あなたの今装着しているラファールは個人が持ち運びしていいものではないはず。そして、ブルーライン(仮)は、私が設計した(・・・・・・)装備よ。他のとは少しだけ銃声に違いがあるの」

「……………」

 

 冷や汗をかきながら、笑みは崩さないでいる。

 なかなか保つわね。

 

「…まぁ、いいです。後のことはお任せします。流石に疲れたので」

 

 それだけ言って寮の方へ歩き出す。

 

(さて、ここまですればあっちも何らかの方法を取るでしょう)

 

 

 




今回の話書いてて、「戦闘描写もうちょっとおおざっぱでいいかな?」と考えてしまいましたが皆さんどう思いますか?
感想、アドバイスお願いします。


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クラス対抗戦 その後

簪についての報告と、アンケートを活動報告に載せました。
ご協力お願いします。


 

 視界に映ったのは、葬式の様子だった。

 祭壇には多くの花に囲まれた二枚の写真、男と女が一人ずつ映っていた。

 

ー交通事故だそうよー

ー残された子達も可哀想にー

 

 話していたおばさん達の視線の先、泣きじゃくる女の子と、それを慰める男の子がいた。

 

ー○○、○は○ー

ー○○○、○じ○○ぶ○○ー

 

 何を言ってるかが聞こえない。それに、所々がぼやけてきている。

 何故だろう。彼らのもとへ足は勝手に動いた。

 近づきながらも、世界はだんだんと薄れて真っ白な世界が表れ始める。

 すべてが真っ白に染まる前になんとか二人のもとへたどり着いた。

 そこで聞いたのは少女の声。悲しみと心の底から望んでいることが声から伝わってきた。

 

ーお兄ちゃん、○○を独りにしないでー

 

 顔も見えない女の子の言葉を最後に、すべては白に変わった。

 

 

 

Rside

 

『クシャトリャ、サイレント・ゼフィルス帰投。整備班は第二ハンガーへ』

 

 固定アームが機体を捉えたのを確認し、機体から降りる。

 待機形態には戻さない。整備するためだ。

 

「だけど、驚いたよ。Mが来るとは思わなかった。しかも、不完全のゼフィルスで」

「それはこちらのセリフだ。任務から帰ってくれば、お前とTがIS学園に向かったと聞いて、他二人を連れて追いかけたんだからな」

「任務だからしょうがない。…あそこまでやるとは思わなかったけど」

 

 Mと話ながら、一つの部屋に入る。

 すると、正面から何かが抱きついてきた。

 

「待ってました、R様!」

「あぁ、ただいまだ、K」

 

 抱きついてきた青髪の少女『K』。

 フランスから奪ったアビスの操縦者だ。

 

「……R様、M様、お疲れ様でした」

「ありがとうA」

 

 飲み物を渡してきたのはガイアの操縦者、『A』。金髪ショートの少女だ。

 

「…Tはどうした」

「Tなら第三ハンガーです。カオスの調整で呼ばれてましたから」

 

 Mの問いに答えたA。Kはいまだに離れない。

 

「少し話が聞きたかったのだがな」

「なら、第三ハンガーに行きましょうか。ちょうど行かなきゃ行けないと思ってたし」

 

 Kを引き剥がして、Mとともに部屋を出て第三ハンガーに向かう。

 

「第三ハンガーに何のようだ?」

「機体回収。クシャトリャが当分使えなさそうだから、しばらくはエピオンかシナンジュかなぁ、と。あ、そうそう!目標出来たよ」

「目標?」

 

 怪訝な顔で此方を見る。

 

「ほら、Mは織斑千冬を倒したいんでしょ」

「まぁ、そうだな」

「私もそういうの決まったから」

「ほぅ、なんだ?」

 

 あまりそういうことが無かったからか、興味があるようで聞いてくる。

 

「それはね…」

 

 

結人side

 

「ふぅ…」

 

 襲撃事件の翌日。俺は保健室にいた。また気を失って一晩寝てたようだ。

 なんか、どこぞのラノベの主人公みたいに事件終わるたびここに運ばれるのが習慣化しそうな気配が…。

 

「目が覚めてたのね。調子はどう?」

 

 ドアを開けて瑠璃が入ってきた。

 

「あんま、良くないな」

「そう」

 

 パイプ椅子を引き寄せ、座る。

 

「今回のことだけど、被害は大きいようで小さいわ」

「どういうことだ?」

「まず、怪我人は更識簪とあなた。他はいてもかすり傷程度の軽症、あなたは重度の筋肉痛」

 

 簪が襲われて怪我したのは聞いてた。本人も自室に戻ってるみたいだし。

 

「あとは、織斑一夏の白式、セシリア・オルコットのブルーティアーズ、凰鈴音の甲龍がそれぞれダメージレベルC。甲龍は転校してきたばかりで予備パーツがあったけど、他二人は無かったため暫くの間は闘えないわね」

 

 レベルC、結構重症だな。と、考えて思い出した。

 

「ユニコーンはどうなんだ?結構手酷くやられてたけど」

「自己修復完了済み。武装も予備でなんとかなるわ」

「…えっ、直ってるの?」

 

 速いのはいいんだが、速すぎないか?まだ、あの後から約12時間しか経ってないぞ。それとも、それぐらいが普通なのか?

 

「あと、動けるようになったら連絡して。生徒会長がお呼びよ」

「はっ?」

「今回のことで話があるそうよ。私もセットで」

 

 生徒会長、簪さんの姉…。

 

「良かったじゃない。思ったよりも早く事が進みそうで」

「…まだ、わからないよ。ってか、前から疑問だったんだけど、口調違くないか?」

 

 具体的には、クラス対抗戦あたりから。

 

「あぁ、それね。あー、あーと」

 

 喉の調子を確かめるような動作をし始めた。

 

「これでどう?結人」

「ごめん。わからない」

 

 いや、声が変わったわけじゃないし。

 

「まぁ、簡単にいうとシリアスな雰囲気になると少し口調変わるのよ、私。癖になっちゃってるみたいだし」

「なにそれ」

 

 要するに、少し固い口調のときはシリアスで他は普通ってことか。

 

「ともかく、伝えたいことはそれだけ。それじゃあお大事に」

「おう」

 

 そう言って出て行った。 

 筋肉痛で動きたくない俺が取る行動は

 

「寝るか」

 

瑠璃side

 

 結人に伝えたいこと伝えた日の夜。自室で今回のことを纏めていた。

 まず、本来来る予定だったゴーレムだが、日本海でジャンクとなって見つかった。コアは持ってかれた模様。

 次に、襲撃者。アリーナ内での映像を織斑先生から見せて貰えたし、シルエットは見覚えがある。

 まず、確認出来たのは三機。『カオス』『ガイア』『アビス』。これらはデュノア社製の第三世代機。奪われたけど。

 実際にカオスと戦って分かったことは、あれはMA形態にはなれない。

 ガンダムSEED DESTINYに出てくるこれらの三機はそれぞれ変形が出来た。

 しかし、ISとなると厳しいのだろう。人の体に纏ってるようなものだし。

 強さは代表候補と渡りあえるレベル。

 次にアリーナ。『クシャトリャ』に『サイレント・ゼフィルス』。ゼフィルスは、先日イギリスで未完成の段階で奪われたらしい。この機体があることから、恐らくではあるが組織も予測ついた。

 だが、クシャトリャはわからない。どこの国も作った記録は、その国の最深部や裏側を調べても出てこなかった。

 コアが消えた、盗まれた記録がチラホラあるためオリジナルで作った可能性もある。

 もしくは、唯一情報を閲覧出来ないあの会社(・・・・)が関わってるかも。

  

 そこまで書いて、手を止める。今回のことで、戦いに備える必要があると分かった。色々と準備しなくては。

 

「まずは、母さんに私のラズリフレームを送って貰わないと」

 

 ついでに、人が作ったブルーラインを勝手にロシアに送ってたことへの文句もセットで。

 すぐさま母へのメールを送った。

 

 

結人side

 一晩寝たらほぼ完治した。思えば、この回復力がパラメータ強化のおかげなのかもしれない。

 瑠璃に連れられ、生徒会室へ。

 中に入ると、三人の人物がいた。

 一人はクラスメイトの布仏本音。もう一人は彼女にどこか似た人。上級生だろう。

 そして、最後の一人。近くで見るのは初めてだが、髪の毛から簪さんの姉と分かる。

 更識楯無。学園最強の生徒会長。

 

「はじめまして、かな?橘結人君」

「そうですね、更識先輩」

「まぁ、座って」

 

 ソファーに座る。すると、カップが出された。紅茶らしい。

 

「ありがとうございます。えっと…」

「布仏虚です。妹がお世話になってます」

「こちらこそ」

 

 紅茶を飲む。…おいしい。

 

「さて、今日ここに呼んだのは一昨日の件についてよ」

「はい」

「今回のことはありがとう。本来なら私か、教師陣がああいったのと、戦うのだけれどちょっとした用事で私は行けなかったのよ」

「用事?」

「秘密よ」

 

 秘密と書かれた扇子を開きながら言ってくる。

 扇子…いつ持ったんだ? 

 

「アリーナにおいては教師も介入出来なかったし。逃げ遅れた生徒を守ってくれたようなものよ、あなたは」

「アリーナ入って、すぐに閉鎖されたから急いで向かって適当に撃ったらああなったんですけどね」

「それでもよ。篠之乃さんも生徒が外で襲われたのを助けて貰ったようだし」

「偶然ですよ」

 

 カップを持ちながら、返事をして、生徒会長に視線を向ける瑠璃。

 

「で、ここに呼んだのはどのようなご用件で?」

「ん、あぁ、そうね。この件に関する御礼よ」

「御礼?」

「そう。さっきも言ったけど今回のことは私達がやるべきことなのよ。だからこそ、解決したあなた達には報酬があっても良いはずよ」

 

 天晴れと書かれた扇子を広げる。

 あれ、いつ入れ替えた?

 

「織斑君、ならびに代表候補の二人は今回での修繕費を学園で出してるわ。それが彼らへの礼」

 

 けど、と前置きして、

 

「あなた達は機体も直ってるし、怪我もないからどうしていいのか悩んだのよ。で、本人達から聞いた方が手っ取り早いって結論が出たの」

「!」

 

 そうか。瑠璃が言ってたのはこういうことか。

 

「まぁ、叶えられる範囲で、可能な物だけだけどね。例えば、私の貞操とかはアウトよ」

「興味ないんで要りません」

「即答!?」

 

 言うことは決まってる。それ以外はどうだっていい。

 立ち上がり、会長の目の前へ進む。

 指を突きつけ、望みを告げた。

 

 

 

 

 

 

「あなたとのISでの一騎打ちを望みます。更識生徒会長」

 

 

 

 

 

 




簪は活動報告で書いた通りにしていきます。
感想、アドバイスがあればお願いします。


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準備

シャルをどっちのヒロインにするかのアンケート今日まで受け付けます。
詳しくは活動報告をご覧下さい。

気づいたらお気に入りが150を越えてた。
嬉しすぎる(´▽`)

今回も駄文ですが、どうかお付き合いください。


 

「はぁ…」

 

 IS学園の食堂で、金髪の少女がため息をついていた。

 彼女はセシリア・オルコット。現在、ブルーティアーズが改修中で暇な人である。

 

(完全に直るまで、あと二週間。さらに追加装備もセットで来るからってプラス三日。)

 

 紅茶を飲みながらまた、ため息。

 

( まぁ、一夏さんも機体が改修中ですし他の方々に抜け駆けされることはないでしょうけど…)

 

 思い出すのは、つい先日。

 クラス代表戦のあと、一夏の病室にお見舞いに行った際に、転入生にして一夏の幼なじみを名乗る凰鈴音が彼にナニカしようとしてたこと。

 メキッという、何かヒビが入ったかのような音に、周囲の生徒が顔を青ざめる。

 

(ふっ、ふふふふ…、幼なじみだろうが、何だろうが今からでも追い付いて見せますわ)

 

 黒いオーラを放ち始めた彼女の周りは、いつの間にか誰もいなくなっていた。

 そんな中、彼女に近づいていく人影が一つ。

 

「ちょっといいですか?」

「え、えぇ。構いませんけど。何のご用件で?篠ノ之瑠璃さん」

 

 話しかけた人影…篠ノ之瑠璃は、微笑みとともにこう言った。

 

「いえ、ちょっとご相談が」

 

 

 

 生徒会長との話の翌日。

 第二アリーナ

 

「はぁぁぁ!」

「くっ!?」

 

 右腕のビームトンファーで斬り掛かるも、二本のブレードで防がれる。

 

「後ろ、がら空き!」

「やばっ!?…ぐぁっ!」

 

 背中に衝撃、それと同時に隙を突くように正面から斬りつけられる。

 ビーという試合終了のブザーとともに負けを知らせるアナウンスが響いた。

 

 

「また負けたーー!」

「これで結人は0勝3敗だな」

「まぁ、最初よりはよくなってるんじゃない?」

 

 ピットにて。

 鈴と箒相手に模擬戦をしていた。

 何故かというと、それは昨日のことからだ。

 

 

 

「一騎打ち…ねぇ…」

 

 初めは驚いたようだったが、すぐにこちらを見定めるかのような視線を向けてきた。

 

「分かってる?IS学園の生徒会長は「学園最強…ですよね」なんだ知ってるじゃない」

 

 口元を覆っていた扇子を閉じて、目をしっかりと合わせてくる。

 

「いいわ。受けましょう」

「ありがとうございます」

 

 『了承』と書かれた扇子を開いて、言ってきた。

 一礼しながら、あの扇子がほんとにどうなってるか気になってきた。

 変える暇なかったはずなのに…。

 

「それじゃあ日程だけど」

「お嬢様、5日後なら放課後ですが第三アリーナが貸し切れます」

 

 今まで空気だった虚さんが口を開いた。

 

「じゃあ、5日後でいいわね」

「はい」

 

 

 

 ということがあった。

 それで、一夏がISを使っての訓練が出来なく暇な箒と、予備パーツで直したばかりの機体の試運転をしたい鈴と模擬戦をしているのだ。

 

「けど、2対1は辛くない?」

「辛いけど、これが一番訓練になるから」

 

 元々俺の実力では、代表候補生1人にも勝てない。

 今まで切り抜けられたのはIS-Dが発動したからだし、会長戦で発動するとも限らない。

 この準備期間で少しでも実力をつけないと勝ち目なんて見えてこない。

 

「よし!もう一戦よろしく!」

「はいはい」

「あぁ」

 

 結果だけいうと、四敗になりました。

 

 

 

 

「ただいまー」

 

 ヘトヘトの体を引きずりながら部屋へと帰ってきた。

 

「…………………」

 

 部屋の電気は真っ暗で、出迎えの声もない。

 ベットに横になって、さっさと寝たい気持ちを抑えながら隣のベットへ歩みを進める。

 ベットは中心が盛りあがっていて、誰かがいることが分かった。

 

「簪さん、起きてる?」

「…なに?」

 

 中に入ってるのは、絶賛引きこもり中のルームメイト更識簪さんだ。

 お姉さんに負けて、クラス対抗戦の際にアリーナの外で襲われて、傷が治ってからヒッキーになってしまってる。

 

「4日後の放課後って空いてる?」

「………何もないけど」

「じゃあ、第三アリーナに来てくれない?」

 

 ビクッと、身体が動いた。

 ISに対してトラウマでも出来てしまったのだろうか。

 

「なんで?」

「生徒会長と戦うことになった」

「ッ!?」

 

 さっきよりも大きな反応。

 そして、震え始める。

 

「というか、頼んだ。戦ってくださいって」

「…それを見に来いと、言うの?」

「そう」

 

 ここでやだって言われたらどうしよう。

 簪さんが来ないと戦う意味がない。

 

「…だよ」

「えっ」

「…無理だよ。あの人には勝てっこない」

 

 小さな声で、悲しみを秘めた声で言ってくる。

 

「でも、来れば何かの参考に」

「意味がない!!」

 

 起き上がって胸ぐらを掴んでくる。

 

「参考に?もう勝てない!怖い!姉さんには誰も勝てない!」

 

 涙を流しながら、心の奥底にあったものを吐き出すように叫ぶ。

 

「私は一生あの人には追いつけない運命。もういい…。そんな運命なの……」

「……っせぇ」

「えっ?」

「ゴチャゴチャとうっせぇ!」

「!?」

 

 何だろう、見たことがある。

 

─もういいよ。

 

 諦めた、もういいとか言いながらホントは心のどこかでは思いを捨てきれず、

 

─これが私の運命だから。

 

 運命なんて言葉で自分を納得させようとしてる。

 

─ありがと。○○○。

 

 前世のことなのだろう。

 思い出せないそれは、頭の中にうっすらと浮かび上がって、激しい後悔と悲しみの感情が流れてくる。

 

 

「どうせ、諦めるなとか、頑張れるはずだたかは言ったところで意味がない」

 

 胸ぐらから手を離し、簪さんの手をしっかり握り締め、真っ直ぐ目を見つめる。

 

「だから、一つだけ教えろ。お前にとってあの人はどんな存在だ!」

「…どんなって………最強の、存在」

「最強…か」

 

 最強。

 確かにそうだろう。

 生徒会長って肩書きが、簪との戦闘がそれを証明している。

 けど、

 

「…安心した」

「えっ?」

「最強程度(・・)で安心した」

 

 知っている。

 無駄に正義感の強い親友。

 その姉の強さを。力と心、どちらも強く、どちらも兼ね備えた人を。

 

「俺は無敵を知っている。最強程度じゃ怯まない」

 

 そして、と握り締めてた手を離して、両手で抱き寄せる。

 

素人()最強(会長)を倒して証明してやる。お前がぶち当たってる壁は、超えられるって」

 

 

 

 

 

 そして、その時がやってきた。

 

 

 

 

 




感想、アドバイスお待ちしてます。


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VS生徒会長

4月内に投稿出来なかった…orz


あえて言い訳させて頂くと、高校が進級してから忙しくなってしまって書く暇も読む暇も無かったんです。
出来も悪くなってる気がするし…。

先月出来なかった分、今月にもう一話目指します。

あと、今回は独自解釈、オリジナル要素入ります。
ご注意ください。

それでは、どうぞ


 第三アリーナ

 

「最終確認完了。OKよ」

 

 瑠璃の最終確認を済ませてもらう。

 開始時刻まで、あと数分。

 

「これ、動きにくいんだけど」

「しょうがないでしょ。たった5日で作り上げたんだから」

「それについてはありがとう。けど、これで勝てるか?」

「無理」

 

 断言された。きっぱりと。

 

「国家代表、それの強さは代表候補の数倍よ。挑むこと自体馬鹿なことよ」

「ぐっ」

「というか、代表候補にすら勝てない人間が挑むなんて愚かね」

「がっ」

「それに……」

「る、瑠璃さん、もうそれくらいで」

 

 山田先生が止めてくれた。

 ありがたい。試合前からダウンするとこだった。

 

「意外と打たれ弱いのね」

「正論ばっかだったからな」

 

 さて、と気持ちを入れ替える。

 

「山田先生、ルールを」

「はい。今回の試合は、関係者意外知りません。よって観客はいません」

 

 モニターにアリーナの様子を映しながら話を進める。

 

「制限時間は二時間。先にシールドエネルギーが尽きたほうの負けです。時間切れの場合は、引き分けとなります」

 

 ですが、と言葉を続け

 

「今回は、更識さんのご要望で引き分けの場合は橘君の勝ちとなります」

「は?」

「経験者からのハンデだそうで」

 

 確かに国家代表と闘うにはそれくらいのハンデが与えられてもおかしいことでは無い。

 けど、それでは駄目なのだ。

 それじゃあ目的が果たせない。

 

「時間です」

 

 山田先生の声を聞いて、カタパルトへ移動。そんな中、瑠璃が近くに来た。

 

「頑張れ」

「頑張る」

 

 それだけのやり取りをして、離れていく。

 

「橘結人、ユニコーン、行きます!」

 

 

 

 

 

 「来たわね。覚悟は……」

 

 中央に向かって進むと、既にいた更識生徒会長がなにか言いながら此方を見て、言葉が途絶えた。

 

「ず、ずいぶんと厚着じゃない。何かしらそれ」

「瑠璃いわく、ユニコーン用のパッケージだそうで」

 

 今のユニコーンは、肩、腕、脚をアーマで包み、ビームトンファーの代わりに右腕キャノン砲、左腕ガトリング砲となっている。

 背中には長方形のバックパックを背負い、その側面には円盤状のものが4つ着いている。

 

「名称『UC-フォートレス』。さぁ、始めましょう」

 

 言った直後、開始を告げるブザーが鳴り響いた。

 

 

 

 

「…どうなると思う?」

「生徒会長が勝ちますね」

「即答ですね…」

 

 管制室では三人の人物がモニターを見ていた。

 織斑千冬、篠ノ之瑠璃、山田真耶の三人だった。

 

「観客はほとんどいないんですね」

「当然だ。非公式だからな。居ても生徒会くらいだろう。ところで、それはなんだ?」

 

 モニターを見ながら感想を告げる瑠璃。それに反応しながら、千冬は瑠璃が抱きかかえてる球体に視線を向けた。

 球体は目らしきものが確認できるオレンジの物体だった。

 

「この子ですか?ハロっていいます」

「ハロッ、ハロッ、ヨロシク」

 

 耳らしき部分を動かして喋ったことに二人は目を見開く。

 

「この子に関しては後で。それよりも今は二人に注目しましょうよ」

 

 

 

 

(あぁ、もう!厄介ね)

 

 更識楯無は、上空へ上がりながら心の中で愚痴を漏らす。

 さっきまで自分がいたところをビームの雨が通過した。

 結人は、ビームガトリングを一度止め、肩のアーマーからミサイルを10発撃ち出した。

 ミサイルはランスのガトリング砲で撃ち落とされる。

 楯無も反撃とばかりにランスを結人に向けて構えるが、別方向からのミサイルに気づいて防御する。

 

 

 

 

 

「結人では更識生徒会長に勝てません。これは絶対です」

 

 管制室で戦闘の様子を見ながら、話始めた。

 

「初心者がプロに勝つための戦法。一つ目は、攻撃させない」

 

 モニターでは、結人がミサイルを、ビームを放ち、楯無は防ぎ、回避していた。

 

「実力が離れていようと、攻撃されなければダメージは受けないのは当たり前。回避も防御も時間が過ぎれば、体力と耐久性を失っていきます」

 

「それに、更識生徒会長はどちらかというと接近型。寄せ付けないように離れた位置から攻撃をすればいい…はず」

 

 

 

 

(距離、大分離れたな)

 

 攻撃の手を緩めず、目測だが離れた距離を確認する。

 

(休まず次!)

 

 バックパックの上部がスライドする。

 中にはミサイルが積み込まれていた。

 それらを上空へ全て撃ち上げる。

 

「!」

 

 ビームの雨を避けていた楯無は防御姿勢を取るが、ミサイルはただ真っ直ぐに上昇していくだけだった。

 

(何を…?)

 

 アリーナの高度限界ギリギリまで飛んだミサイルは、そこでUターンし弾頭を地面に向けて落ちてくる。

 楯無は、結人への注意を怠らないようにしながら迎撃体制としてランスをミサイルに向ける。

 

「はぁぁ!」

 

 ランスの先端、そこに内蔵されたガトリングを発射する。

 弾はミサイルに当たり、爆発した。

 今までの倍の規模で。

 

「!」

 

 水のヴェールで爆風と熱を軽減させる。

 爆煙を振り払って、結人のほうへ顔を向けるが

 

(いない!?どこに…!)

 

 後方からのミサイルを感知したアラートの音を聞き上に逃げることで回避しようとする。

 しかし、ミサイルは後を追ってくる。

 

「追尾型?そんなので!」

 

 空いていた左手に蛇腹剣『ラスティーネイル』を展開し、ミサイルを叩きおとす。

 

 再びのアラート。

 煙を高出力のビームが貫く。

 今度は下に下がることで回避するが、読んでいたかのように、前からミサイルが。

 ガトリングと蛇腹剣で壊す。

 落とした直後、上空からミサイル群が降り注ぐ。

 蛇腹剣を上空へ振り、対処すると再び前からミサイルが襲いかかる。

 振り上げた腕を降ろす勢いで半分を壊し、腰だめに構えたランスのガトリングで残りを撃ち落とす。

 

(キリがないわね。なら…)

 

 

 煙によってどんな状況かは見えないが直撃した気配はしないから、ダメージはそんなに受けてないはずだ。

 そう考えながら結人は、視界の右端に出ている表示を見た。

 

【ビームキャノン『ワンブラスター』冷却完了まで15秒】

 

 右腕のキャノンは、一発撃つと冷却しなきゃいけないが威力ならマグナムを超える。

 あと10秒ちょい。回復次第、もう一度撃ってそれからどうするかを考えるか。

 

(4、3…!)

 

 爆風を引き裂きながら、楯無がコマのように回転しながら出てきた。

 水を纏った蛇腹剣を突き出し、回ることで自身を中心に小規模の水の竜巻を作り上げていた。

 ミサイルは水と剣によって破壊され、煙を吹き飛ばされる。

 その状態のまま、予想外の速度で接近してくる。

 

「くっ!?」

 

 一か八かでブラスターを撃つ。

 回転をやめ、右側へ跳ねながら剣振る。

 鞭のような軌道を描いた剣は、ビームキャノンを切り裂いた。

 

「やばっ!?」

 

 即座にビームキャノンを外して、捨てながら上空へ。

 足元で爆発が起こったのを音で感じながら、蛇腹剣の届かない距離まで上昇し反転。

 左のビームバルカンを構えようとした。

 

水月(すいげつ)!」

 

 したのだが、それよりも早く下から水の斬撃が切り裂いた。

 

 

 

「水だけで作った斬撃!?」

 

 管制室で瑠璃は困惑していた。

 更識楯無の機体のアクアナノマシンは、まだそこまでの技術は持ってなかったはずだ。

 試作型ともいえるもの、ヴェールやミストルティンなどはあったが。

 

(ナノマシンの改良案。それを提供できそうな人、そしてこれに間に合わせてることからこの騒動を知ろうと思えば知れるのは…) 

 

 頭が痛くなってきた。

 ちらりと周囲を見ると、織斑千冬も片手で頭を抑えていた。

 同じ結論にいたったのだろう。

 

(問題は、あの人(母さん)がなんのために介入してきたか)

 

 …面白そうだからではないことを祈る。

 

 

 

 瑠璃が管制室で頭を痛めてる間にも試合は続いていた。

 

「まだまだ!」

 

 再び蛇腹剣を振り、水月を二発。

 もう片方の手に持っていたランスをいつの間にか蛇腹剣に切り替え、間を空けずにさらに三発。

 

 

 その斬撃は、体勢を崩しかけてる結人目指して進み、直撃した。

 

 

 




フォートレスに関しては、背中陸戦型、アーマーフルアーマーガンダムをご想像してください。
それの白い版が一番近いので…。

感想、アドバイス、評価お待ちしております。


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赤き獣

学校の勉強合宿から帰還。
受験勉強始めなきゃなぁ、と思いながら撮っていたUCを観て書いてました。
それと、感想でも言いましたが9巻買ってないんですよね。
よって会長の遠距離兵器知りませんでした。
この先の話でなんとか補填します。
あと、オリ技、変な現象が出てくるかもしれないのでご注意ください

長々とすみませんでした。それではvs会長戦、中編を
どうぞ!


 

「?」

 

 楯無は不思議に思っていた。

 水月とは、ウォーターカッターの原理で対象を斬る技。

 それの直撃で発生した煙。

 地上ならともかく空中で、それも切断系の技くらい煙が発生するなど、武器を破壊することで起こる爆煙くらいしかないだろう。

 しかし、彼は武器を持っていなかった。

 なら、これは…?

 肩のアーマーでも斬ったのだろうか。

 そんな1秒にも満たない思考をしていた頭はあることに気づいた。

 

(違う…これは、水蒸気?)

 

 煙の晴れた先、そこにはピンクの正方形の膜によって守られたユニコーンの姿があった。

 膜の四隅は円盤のようなものが浮いており、その中心からその膜は発生していた。

 

「ビームシールド…?」

「あぁ」

 

 思わず口からこぼれた言葉に、返事が返ってきた。

 

「これがフォートレスのホントのメイン武装。『ディスク・アームズ』」

 

 ビームシールドを解除し、結人の周りを漂う円盤。

 ビームシールドとわかり、楯無の疑問は解消された。

 水月はナノマシンが混ざってるものの、ただの水の塊だ。

 それが高熱のビームシールドにぶつかり、蒸発したのだろう。

 

「アームズSB、RB装着!」

 

 円盤二枚が、ユニコーンに接続される。場所は本来ビームトンファーがある場所だ。さっきまで接続されてたガトリングとキャノンは壊された時に、パージしている。

 接続された円盤は、表面が展開し盾のようになった。

 さらに、手首の方へ刃が出現した。

 

「続いて、RC、PC展開」

 

 残りの二枚は、同じように表面が展開し刃の代わりに砲口が現れた。

 二つとも形状が違う。

 

「行くぞ!」

 

 

 

 

「あれは…」

「フォートレスの本命、『ディスク・アームズ』です。試作機ですが」

 

 瑠璃がモニターを見ながら、二人に対して説明を始めた。

 

「これは私が考えた全距離対応型兵器です。山田先生、ちょっと使わせてください」

 

 許可を取りモニターを操作する。

 アリーナ内で先ほどよりも激しい戦闘を繰り広げている二人。

 その内の結人を大きく映す。

 

「そもそもフォートレスの本来の目的は一対多、拠点防衛などです。圧倒的な火力で敵を寄せ付けず、距離を保ちながら殲滅させる」

 

 モニターでは、右手に持ったビームマグナムと、肩アーマーからミサイルを放つ結人がいた。

 その攻撃を鮮やかに回避し、楯無が普通の剣へと戻したラスティー・ネイルで斬り掛かった。

 

「ですがそれでは、間合いを詰められたら負けてしまう。そこで考えたのがアームズです」

 

 ラスティー・ネイルを左腕のアームズで防いだ。

 直後、上から砲口が小さいアームズRCが攻撃をした。

 

「…今のは、電磁砲か?」

「はい。アームズRCはレールカノン、PCはプラズマカノン、SBはソードブラストとなっています」

 

 電磁砲を後ろへ加速することで回避するも、腰だめに構えたビームマグナムを一撃が水のヴェールを掠め、蒸気を発生させた。

 その間に、左腕ではSBが外れRCが装着された。

 

「腕部との接続を可能とし、盾付きの武器としても使えます。さらに、他のアームズはビットのように扱えます」

 

 左腕を右手で支えながら、狙いを定めて撃つ。

 避けた先では、SBが突っ込っこみ槍で刃を防がれていた。

 

「そういえば、結人君あそこから動きませんね」

「それがアームズの欠点です」

 

 思ったことを言った山田真椰に少し困ったような笑みを浮かべる。

 

「あれはBT兵器がベースなので、その適性が必要になります。結人はそれがオルコットさんのに比べれば低く、稼働率が高くても本人の移動にかけるほどの思考の余裕が無いんです。腕は別ですが」

 

 次造るとしたらその制限もどうにかしようと心の中で思っていたが二人は知るよしもない。

 

 

 

(くそ!全然当たんない!)

 

 アームズを操作して攻撃するが、掠りさえしない。

 読まれてるとしか、

 

「慣れないものは使わないほうがいいわよ。動きが単調すぎね」

 

 ………あぁ、なる程。

 

「…!…そろそろ終わらせましょうか」

 

 チラッとこちらの後ろ、厳密にはもうちょい下だが、そこを見て驚いた顔を見せた。

 すぐさま表情を真剣な顔に変え、終わらせると宣言し上昇。

 限界高度まで上がり、槍を両手でしっかり握り構えた。

 

「シールド!」

 

 両腕のアームズを外し、ビームシールドを四枚全て使って展開させる。

 

「水槍 螺旋」

 

 槍の先端に水が集まり、ドリルのように渦巻いている。

 サイズも二倍以上になっている。

 その先端を此方に向けて、瞬時加速《イグニッション・ブースト》で突撃してきた。

 シールドを少し動かし、ちょうど正面に捉えられるようにする。

 

(これなら…!?)

 

 なんとかなるかと思うよりも早く、全身を嫌な予感が駆け巡った。

 その瞬間、とっさに手元に通常のシールドを呼び出していた。

 

「    」

 

 何かを生徒会長が呟いたと同時にシールドを作っていたアームズ四機が中から弾けていった。

 

「はっ…!?」

 

 驚きで出来た一瞬の隙。

 そこを狙って投げられた槍は、手元のシールドを貫き、絶対防御をも貫いてこちらの胸部装甲に刺さり、飛んできた勢いのまま地面へと叩きつけられた。

 

 

 

 放った一撃。

 蒼流旋の原理を集められるだけの水を使って倍増させる技。

 貫通力も威力も跳ね上がるこれを確実に決めるために少しだけ小細工をした。

 ビットのようなもの。あれには驚きこそすれど、対した脅威は感じられなかった。

 ビームシールドは厄介とは思ったが。

 そのビームシールドをどうにかしようとして、攻撃を避けたり防がせたりして四機全てに水をしこんだ。ナノマシン入りの。

 あとは、起動のキーワードを突撃しながら唱えるだけ。

 

清き情熱(クリアパッション)

 

 密室でしか使えないこの技は、ISのエネルギーを伝達するナノマシンが一斉に熱に転換することで爆発させる能力。

 ビットの中は密室に近い構造と思って試してみたがやっぱりその通りだったようだ。

 

(まったく、私としたことがやりすぎたかしら)

 

 チラッと視線を別方向へ向ける。

 観客席。そこには簪がいた。

 不安そうな表情で。

 

 

 

 

 地面に叩きつけられ、身体全身に痛みが走る中、結人も彼女を見つけていた。

 

(簪さん…来てたのか)

 

 機体のエネルギー残量は100を切っている。

 アームズもアーマーも大破した。

 残ってる武装など背中のサーベルくらいだ。

 

(く…そ…)

 

 段々と意識が遠のいてく。

 

(槍………)

 

 

 赤い槍。

 

 二人の死体。

 

 血溜まり。

 

 

 

(あ、あァァァ)

 

 

 視界に赤い文字が浮かんだのを最後に意識が途切れた。

 

『IS-D 起動』

 

 

 

『橘結人の戦闘不能と判断。勝者、更識楯無』

 

 そんなアナウンスが流れた。

 恐らくは、気絶でもしたのだろう。

 今日の管制室には、織斑先生がいるので誤診はないだろう。

 こっちからでは彼の顔が見えないが、管制室で操縦者のバイタルを見れたような……どうだったか?

 帰ろうと、背を向けたとき。

 

 『警告。後方より高速物体接近中』

 「…はい?」

 

 確認しようと振り返ると、顔のすぐ左を何かが通り過ぎてった。

 首だけ後ろを向き確認するとそれは、私が投げた槍だった。

 

 『警告!正面』

 

 顔を戻しながら、蛇腹剣を呼び出す。

 そして、ほとんど無意識に防御の姿勢をとった。

 剣は振り下ろされた光刃を受け止めた。

 纏っていた水が音を立てながら蒸発していく。

 力を込めて押し返す。

 すると、相手は後ろへ下がり距離を取った。

 

「これが…例の」

 

 襲いかかってきたのはユニコーンだった。ただし、形は少々違っていた。

 所々の装甲から赤いラインが見られ、角は一本角から開かれた二本のアンテナへ。

 顔は、先程までよりも人に近く目は赤く(・・)光っていた。

 

 

 

「IS-D!?」

 

 管制室は、問いかけても反応が無かったことから戦闘不能と判断し試合終了としようとしていた。

 しかし、ユニコーンは突然変形し楯無へ向かって行った。

 

(それも赤い目…マズい)

「織斑先生、今動ける教師は何人ですか?」

「何かあるのか?」

「…最悪の場合、教師陣を投入してユニコーンを止めます。現在あの機体は、どういう訳か以前より暴走してます」

 

 IS-D、インフィニットストラトス・デストロイヤー。

 ISを壊すための単一能力。

 それが発動しながらの暴走、その危険性を予想したのか織斑先生はどこかに連絡を取り始めた。

 

(問題は間に合うかどうか)

 

 冷や汗をかきながらモニターを睨みつける。

 先生達には言っても意味ないので言わなかったが、心配ごとは他にある。

 

(あのユニコーンは、第三世代ごとき(・・・)では絶対勝てない)

 

 

 

 

赤き獣が動きだす。

水の女王を潰すために。

 

 

 




次回はオリ要素が強くなるかもしれません。
ご注意ください。
感想、アドバイスお待ちしてます。


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決着、生徒会長

どうもお久しぶりです。
6月はテストがあって投稿できませんでした。

さて、今回はテスト後でテンション上がってた時に作ったので支離滅裂な箇所があるかも…。
あと、会長ファンの方々に「こんなのは会長じゃない!」と言われないかビクビクしてますが、この先頑張って近づけようと努力いたしますのでご容赦ください。

長々とすいません。
では、どうぞ


 

 …暗い。

 

 真っ暗だ。

 

 ここはどこだ?

 

 …声が聞こえる。

 

 

 

 

 

 

「せいっ!」

 

 蛇腹剣『ラスティーネイル』を振る。

 ユニコーンはそれをあっさりと避け、ビームサーベルを手に斬りかかってくる。

 振ったのとは反対の手にもう一本のラスティーネイルを呼び出し対処する。

 鍔迫り合うが、それも一瞬。

 力技で押し切られ、斬りつけられる。

 振り下ろした腕を蹴り、後ろへ跳ぶ。

 幸運にも浅かったようで、シールドエネルギーはそこまで減っていなかった。

 

(時間をかけると不利ね…、残量は僅かな筈。一撃で減らす!)

 

 右腕を掲げ、装甲の水を頭上に一点集中させる。

 それらは大きな槍の形となる。

 ミストルティンの槍。

 超振動破砕によって相手の装甲を砕き、ナノマシンを内部へ送り込む。その後、エネルギーを転換させ小型気化爆弾4つぶんの大爆発を起こす技。

 けど、爆発を起こすのは最後の手段。

 超振動破砕だけで終わるかもしれない。それで無理なら爆破だ。

 

「ミストル…!」

 

 放とうとしたその時、ユニコーンは周囲へ赤い波動が放たれた。

 それは波のように広まり、私の体を通り抜けていった。

 

(ダメージは…なし?)

 

 不思議に思いながらも、ミストルティンの槍を放とうとすると、

 

 槍は空中ではじけ飛んだ。

 

「えっ…!?」

 

 槍をかたどっていた水が雨のように降り注いでくる。

 もう一度作ろうと指示をだすが、

 

「反応しない!?なんで…キャッ!」

 

 背後でアクアクリスタルが全て爆発した。

 今の爆発は、まるで。

 

清き情熱(クリア・パッション)、まさか、あり得ない!)

 

 落ちていく機体を、地面スレスレで立て直す。

 ユニコーンは下降しながら、頭部バルカン砲を放ってくる。

 それを避けながらも頭を動かす。

 

 

 そして、出た一つの推測。

 

(水の中のナノマシンをジャックしたとでもいうの!?)

 

 水のナノマシンは、ISのエネルギーを伝達することで制御されている。

 しかし、それに細かい操作を加えるには思考操作、ビット程ではないがそれが必要になる。

 そこを突かれた。

 失念してた。イギリスの第三世代の話は聴いてたのに!

 

「くっ!?」

 

 指示を出すが反応はない。

 アクアクリスタルも内部のナノマシンが乗っ取られたのか動かない。

 

(水の無いミステリアス・レディなんて防御力がほぼ0に等しい)

 

 ユニコーンは止まらない。

 ゆっくりと近づいてくる。

 その禍々しい赤い瞳を輝かせながら。

 

 

 

 

 声のするほうへ進むと真っ青な空間に出た。

 

 どこか暗い雰囲気の青。

 

『か…ざし……ん。こっ…』

『まっ…よ、お……ちゃ…』

 

 声が聞こえる。幼い少女二人の声だ。

 目の前の青が揺らぎ、映像が映りだした。

 

『これは…』

 

 水色の髪の少女たち。

 

『かんちゃん、はやく!』

『はやいよ、おねえちゃん!』

 

 更識簪と更識楯無の二人だった。

 

 

 

 

 斬る。殴る。蹴る。

 避ける。防ぐ。受け流す。

 

 ユニコーンの猛攻を最低限の動きで回避する。

 それでも全ては避けられず、少ない装甲にひびが入っていた。

 

(剣は砕かれた。ブルーラインは折られ、槍も一本壊された)

 

 残るは槍一つ。

 どうするか。自身の技はほとんど使えない。

 その一瞬の思考を読んだように、不意をついて右腕が首元へ伸びた。

 

「がっ!?」

 

 メキメキっと嫌な音が聞こえてきた。

 首を絞められている。

 だけど、折れないように力加減をしてるようだ。

 うっすらと目を開けて、見たのは光の柱だった。

 左腕を掲げ、持っていたビームサーベルの光刃。その長さは目測15メートルを越えていた。

 

(ま…ずい…。この…距離で、そん…なの…くらっ、たら…)

 

 絶対防御すら切り裂いて、死ぬ。

 

 左腕は、ゆっくりと振り落とされた。

 そして………。

 

 

 

 

 映った映像は、姉妹の何気ない日常だった。

 遊んで、笑って、怒って、泣いて。

 見ていて笑みがこぼれるような、そんな日々だった。

 

 しかし、それは崩れ始めた。

 

 楯無の真似をして、木に登った簪が落ちたのだ。

 父親がいたため、大きな怪我などはなかったが、これを境に彼女、楯無は考え始めた。

 

『簪ちゃんは、私のしたことを真似してきた。けど、そのせいで危険な目にあった』

 

『これから先、更識という家系に居る以上、今回とは比べものにならない危険な目にあうだろう』

 

 頭の良かった楯無は、幼くも自分の家の危険性を察していた。

 

『なら、どうすればいい?あの子がそんな目にあわないようにするには…』

 

 そして思いついた。

 

『そうだ。私が……』

 

 

 

(そういうことか…)

 

 結人は理解した。

 彼女の行動、その理由を。

 

(戻らないと…)

 

 ここにいる意味は無くなった。

 けれど、戻り方などわかるわけがない。

 

『こっち…』

 

 突如聞こえた声のほうに振り返ると、そこには一人の少女がいた。

 白く長い髪でどこか見覚えのある制服を着ていた。

 

『落ち着いた?』

 

 首を傾げながらそんなことを聞いてくる。

 

「あぁ、落ち着いた。そして知ってしまったからには行かないと」

『どこに?』

「元の場所に。あの馬鹿なお姉さんに言いたいことがあるからな」

『…そっか』

 

 少女の背後に扉が現れる。

 

『ここが出口』

「…ところでさ」

 

 扉に手をかけながら少女に問いかける。

 

「どこかで会ったことある?」

 

 顔が髪に隠れて見えないが、なんていうのだろう。

 知ってる気がする。この人を。

 

『…どうだろう、ね!』

「へ……?」

 

 そんな風にごまかして背中を蹴られた。

 ドアの先は地面がなく、ドアごと落ちていく。

 

「うぉぉぉぉぉぉ!?」

 

 全てが暗闇に染まって行く中、此方を覗き込んでいた人は、

 

『…今回は初回だからね』

 

 そんな言葉と、真っ赤な眼が印象に残った。

 

 

 

 

 振り下ろされた刃は、楯無に当たる直前で止まった。

 驚きに目を開いていると、首を絞めていた手も離れた。

 

「ケホッ、ハァ、ハァ…な、に?」

 

 ユニコーンを見ると、サーベルを持ったまま、宙で停止していた。

 その眼は先ほどまでの赤ではなく、落ち着いた緑だった。

 

「…更識会長、あなたは簪さんのことが好きですか?」

「何を急に…」

「どう思ってますか?」

 

 顔は見えないが声から、謎の威圧感を感じた。

 答えなければずっとこのままだろうと考え

 

「…才能のない哀れな妹。私の真似をしようとする努力は認めるけど、出来が違うってことをいい加減に「好きか嫌いかを聞いてるんです」…嫌いよ」

 

「嘘ですね」

 

 ハッキリと言われた。

 

 

 

「嘘ですね」

 

 そう言った瞬間、会長の身体を蒼いオーラが纏われたのが見えた。

 さっきから、視界がおかしい。

 これもデストロイモードの影響なのか。

 そういえば、発動中に落ち着いてるの初めてじゃないだろうか?

 

「どういうことかしら?」

 

 

「嫌いだっていうなら、なんでそんな悲しそうなんですか?」

「悲しそう?どこが」

「あなたから出てる暗くて、どこか寂しそうな蒼い光」

「光…?」

 

 自分にしか見えてないのだろうか?

 彼女を包む、いや、彼女から放出されてる蒼いオーラを。

 

「思えば色々とおかしい点はあったんだ」

 

 例えば簪さんとの模擬戦。

 ダメージレベルEなんて数値なのに怪我はなかった。意識不明になったのも機体のシステムだろう。

 他には襲撃事件。

 アリーナの外で簪さんが襲われてたときに、布仏さんと瑠璃が助けに入ったらしい。

 その際、布仏さんは持ち出し禁止の学園の機体を使ったそうだ。それも、会長の狙撃銃つきで。

 あの時、ほとんどの学園の教師はアリーナのロックを解除しようとして、外部に気づかなかった。

 教師の許可など取れるわけない。

 なら、他に解除出きるのは学園内でそれなりの権限を持つ生徒会長のみだ。

 それらをまとめて告げると、彼女の顔が少しこわばった気がした。

 

「さらに言うならさっき、なんで簪さんを見つけた途端に勝ちを急いだんですか?」

 

 あのまま続けても実力的に時間内に勝てた筈だ。

 けど、簪さんを見つけてから急に大技を使ってきた。

 

「きっとそれは、彼女の中の最強である自分を意識させるため」

 

 そうして、模擬戦の経験、今回のこと、今までのことを簪さんは思い出し、

 

「今度こそ、無茶することがないくらいに心がへし折れる」

「……………………」

 

 俯いて顔は見えないが、周囲のオーラはゆっくりと縮小していく。

 

「そんなまでしなくても他に方法があった筈です!あなたの押さえ込んでる思いを「…さい…」えっ?」

「うるさいっ!!」

 

 オーラが弾けた。

 蒼いオーラは爆発的に広がり視界すべてを覆った。

 

「あなたに、あなたなんかに何が分かるの!?他に方法がある?ないからこんな方法を取ってるんじゃない!」

 

 攻撃されてる訳じゃない。けれども、言葉と共に流れてくる負の感情に身体全身が傷つけられる感じがする。

 それだけじゃない、なんか聞いててイライラする。

 

「あの娘が、簪ちゃんが大好きで大切だから嫌われようと、どう思われようと危険な目にあわせたくないのよ!」

 

 この人のことを深く知ってる訳ではないがあれだけのことで、簪さんがいることも分かってるのに、ここまで激情するとは思えない。

 ポーカーフェイスとか上手そうだし。

 あぁ、くそ。そんなことよりもいい加減我慢の限界だ。

 

「大切な物を守るための行動が、間違ってるというの!?」

「間違ってるに決まってるだろうが!!」

「っ!?」

 

 思わず口から出た言葉と共に、周囲の蒼を赤が染め直していく。

 この赤は俺から出てるみたいだ。

 

「他に方法がなかった?そんな訳あるか!?仮になかったとしても、今お前がとってる行動は間違ってる!」

 

 言葉は止まらない。もう相手が先輩だとかどうでもいい。

 イラついてしょうがないんだ。この人は、まるで昔の自分(・・・・)をみてるみたいで。

 

「間違ってるって、これが最善の「泣いてたんだ…」えっ?」

「簪は泣いていたんだ!あんたが怖いって、追いつけ無いことが悔しくて泣いてたんだ!」

「そうやって傷つけてまで守ることが本当に正しいって思ってるのか!」

「そんなこと!」

 

 槍を構えて突撃してくる。

 それを避けるが、次は滅茶苦茶に振り回し始める。

 

「傷ついて、何もしなくなれば守りやすい?そんなのは、更識簪という名の人形を守ってるようなものなんだよ!」

「簪ちゃんは人形なんかじゃない!」

「そう思うなら、大切ならもっと信頼してみろ!」

「!!」

 

 お互いに言ってることがもう支離滅裂になってる。

 

「本当に守りたいなら、傷つけるんじゃなくて支え合える道を探せ!」

 

 けど、これでいいんだ。

 人の感情なんてものはそんなものなんだろうから。

 

「少しでも二人で笑っていられる可能性があるなら、それに賭けてみやがれ!」

 

 一瞬。

 すれ違いざまに、両手に持ったビームサーベルで槍と装甲を斬りつけた。

 ゆっくりと落ちてくミステリアス・レディを振り返って見ながら、鼻と口から赤いなにかが溢れ出す。

 視界の隅のIS-Dの表示が()から灰色に変わっていくのを最後に意識が遠くなった。

 

 

 

 




次は短めの後日談的なものを書いて、その次にようやく原作二巻です。
三巻終わるまではオリジナル展開はあってもオリストは無い予定です。
感想、アドバイスお待ちしております。


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追い付くから

さて、これでオリストは終了です。
あと、文章変えてみました。
やっぱりこういう感じの話は苦手だな、って思いました。
簪の口調が今回、ちょっと違います。ご容赦ください。

8月12日 改めて読んで、なんか違和感まみれなのでひとまず三巻の内容が終わって落ち着いた頃に修正します。
なので、なんとなく理解していただければありがたいです。

ではどうぞ。






「ん…。ここ、は?」

 

 

目を覚ますと、あまり見慣れない天井。

ほのかに匂うアルコールの匂いと、寝ているということから医務室のベッドだろう。

まだ少しふらつく頭を抑え、身体を起こす。

色々聞きたいこともあるし、誰か呼ぼうかと思って周囲を包んでるカーテンを少し開けると、

 

 

「「あっ」」

 

 

今ちょっと会いにくい人第1位の簪ちゃんがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと、u、s、a、t、a、b、aと。これでいいはず」

 

 

自室にて私、篠ノ之瑠璃は母さんに連絡を取ろうとしていた。

ちなみに部屋の安全性は確認済み。

 

 

『はろはろー!お母さんだよー!』

 

「どうも母さん。久しぶり」

 

 

篠ノ之束。天才にして天災。そんな存在。

 

 

『今は、フランスにいるけど何か用かな?あっ、もしかして勝手に設計図流したこと?』

 

「それに関しては今度会えたら問いただすので後回しです。用件は二つ。ひとつはこれ」

 

 

そう言って一枚の画像を送る。

それは、空の写真だった。中心にほんの少し輝く光が写ってるだけの。

 

 

「その光を分析したら、ISと分かったの。その機体がどこ製のものか調べて欲しいの」

 

『二つ目は?』

 

「…ユニコーンが、緑色の発光をした」

 

『!…へぇ』

 

 

観測できたデータと、写真。それらを纏めて送信する。

 

 

『うん。受け取ったよ。けど、そっかぁ。ついにLa+プランが始まっちゃうのかぁ』

 

「La+プラン?」

 

『あぁ、るーちゃんは気にしなくていいよ?けど、やること沢山だなぁ。ゴーレムⅠが撃墜されたのも調べなきゃいけないし』

 

「撃墜!?」

 

 

一瞬見せた激レアといってもいい、母の悲しそうな顔も気になったが、触れないでおこうと他の興味持った話題に食いつく。

 

 

『んー、いっくんとゆーくんの力試しとして送った無人機のゴーレムなんだけど日本海らへんで落とされちゃったんだよ』

 

「迷彩は?」

 

『バッチリ。けど、なんでかバレてたみたいなんだよね』

 

 

ゴーレムの襲撃を知ってた人間。

私、母さん、くーの他となると、

 

 

(三人目の転生者のしわざ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

「………………」

 

 

無言が続いてる。とても、気まずい。

 

 

(えっと、こんなときどんな話題振ればいいのかしら?ひとまず謝罪?)

 

「…ごめんなさい」

 

色々と悩んでると、簪ちゃんのほうから謝罪の言葉が出てきた。

 

 

「無茶なこと、危険なことに挑んで心配かけて、迷惑かけてごめんなさい」

 

 

…謝らなければいけないのはこっちなのに。

 

 

「簪ちゃ「けど、」ん…?」

 

 

簪ちゃんは椅子から立ち上がり、まっすぐとこっちを見た。

 

 

「これからは、そんな心配かけないように生きていくから」

 

 

それは、どこ悲しそうな笑顔だった。

 

 

「それじゃ…」

 

「待って」

 

 

今ここで止めないと、もう二度と彼女とは本当の意味で話す機会がなくなる。

そう思った。

 

 

「私も言いたいことがあるの。聞いてくれる?」

 

 

静かに頷いて、彼女は椅子に座り直した。

 

 

「まずは打鉄弐式のこと、ごめんなさい」

 

「えっ…?」

 

 

なんでそんなこと今言うのか。

そんな意味を込めた『えっ』に聞こえた。

 

 

「簪ちゃんが頑張って作り上げたISをボロボロにしてごめんね」

 

 

あのときのことを思い出しながら告げる。

 

 

「私には出来ないことをした簪ちゃんへの嫉妬とか、成長してる喜びとか、その過程で無茶したことへの怒りとかでかなりテンションがハイになってたみたい」

 

「出来ないって…だってお姉ちゃんは」

 

 

あ、ヤバい。お姉ちゃんって呼ばれただけで鼻から鉄の匂いが。

…よし、よく落ち着いた私。

 

 

「実際のところ、私は1人で組み上げた訳じゃないし。虚ちゃんやら色々な人に手伝ってもらって出来たのよ」

 

 

元々6割は出来てたからねー、なんて付け足す。

聴いてる簪ちゃんの顔は、呆然としてる。

 

 

「あとは、今まで酷いこと言ってごめんなさい。悩んでること気づけなくてごめんなさい」

 

 

そして、

 

 

「私は、更識簪が大好きです」

 

 

 

 

 

試合を見たあと、私は部屋に帰ってから医務室へ歩いていた。

 

驚きだった。

 

姉さんが、心の中ではあんなことを思ってたなんて。

 

私が追い付こうとして無茶すると、それは姉さんに心配かける。

 

私よりも才能のある姉さんが、そんなことが負荷になってしまうようになったらいけない。

 

少なくとも嫌われてる訳ではなく、大切に思われてることは分かったんだ。

 

もう無茶しないから心配しないで、みたいなこと言ってあまり関わらないようにしようと思ったのに、呼び止められて思わず戻ってしまった。

 

そして、さらに驚きの内容を聞いた上に、

 

 

「私は、更識簪が大好きです」

 

 

…………なんか、告白みたいなこと言われた。

いや、わかってるよ。姉妹としてってことで…

 

 

「性的に」

 

 

すぐさま部屋の隅まで避難した。

 

 

「冗談よ」

 

 

ほっとしながら、席に戻る。

姉さんの顔は、ニヤニヤとからかいに成功した喜びを表してた。

 

(なんだろう…こんなことでも、昔みたいに楽しいと思える)

 

 

「まぁ、好きってのは本当よ。そういう意味じゃなくて。あの決闘で軽くふっ切れたし」

 

 

ピシッと指を指して、告げてくる。

 

 

「そっちが関わらないようにしようとするなら、今度は簪ちゃんが追い付こうとしてたように、追いかけるわ。物理的に」

 

「それ…ストーカーっていうと、思うんだけど」

 

 

 

「だから、それが嫌なら側にいたほうがいいわよ。私はしつこいからね」

 

 

 

遠回しに『どこにも行くな』って言ってるのだろう。

ふっ切れたとか言ってる癖して、変なところで不器用な人。

 

 

「そう…だね。それは、面倒かな」

 

 

…私もふっ切れるべきかな。

 

 

「でも、その必要はないよ。お姉ちゃんは、ただそこにいて」

 

 

『少しでも二人で笑っていられる可能性があるなら、それに賭けてみやがれ!』

 

 

多分これが、私にとってお互いが笑ってられる可能性。

 

 

「色んな人の力を借りて、助けてもらって、絶対に追い付くから」

 

 

 




今回の話は、ぶっちゃけ書かなくてもいいかなと思ったんですが、二人の和解の話を入れたほうがいいかと思い作りました。
皆さん的にはどうですかね?和解シーン要りませんかね?ちなみにアンケートではありません。
感想、アドバイスお待ちしております。


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任命

二巻入りました!

今回、短いです。
とても短いです。




 

 

「…これは、何なんでしょうか?」

 

「ん?見ての通りよ」

 

 

現在、生徒会室に呼ばれたため行ってみると楯無さんに一枚の紙を渡された。

そこには、

 

 

 

 

 

 

『任命状

一年一組 橘 結人を生徒会会長補佐に任命します』

 

 

 

 

 

 

と書かれていた。

 

 

「いや、何故に!?」

 

「うーんとね、まずここの生徒会は会長が役員を自由に決めていいのよ」

 

 

椅子に座りながらクルクルと回りながら楯無さんは続ける。

 

 

「で、会長は倒した人が次の会長って決まりがあるんだけど、ほら、あの試合」

 

「あぁ、あれですか」

 

いつぞやのこの人との一騎討ちが思い出される。ってか、あの後20時間寝てたんだよなぁ。

 

 

「あれ、試合的には私の勝ちなんだけど、最後の攻撃でシールドエネルギーを削りきられちゃって個人的には敗けなのよね」

 

「それで、何故?」

 

「ある意味勝ちで、ある意味負けっていう変な感じだから、副会長より上で会長より下の補佐に突っ込んでみました♪」

 

 

みました♪じゃねぇよ!って叫びたかったけど、我慢した。

部屋を見渡すと、今は俺達二人の他に苦笑してる簪しかいなかった。

目を覚ましてから、簪から仲直りしたことを聞き、これからは『さん』はいらないと言われたから呼び捨てでいる。

 

 

「あ、簪ちゃんは副会長だから」

 

「よろしく、ね」

 

「はぁ、どうせ断れないんですよね?理事長のサインまで書かれてるし」

 

 

おとなしく諦めることにした。

 

 

「よろしい!あー、なんか思い出したら悔しくなってきた。ワンオフ使えたら余裕だったのに」

 

「楯無さん、使えるんですか?」

 

「使えるよ。けどね」

 

 

「駄目です」

 

 

生徒会室の入り口のほうから、声が聞こえた。そちらを向くと、メガネをかけた恐らく三年生がいた。

綺麗な人だった。

 

「あぁ、紹介するわ。三年で書記の布仏虚ちゃん」

 

「布仏 虚です。お嬢様共々よろしくお願いします」

 

「あ、どうも」

(お嬢様…?)

 

 

ちょっと疑問だったが、ひとまず流すことにした。

 

 

「お嬢様、あなたのワンオフ『金氷花』は、学園内ならびに試合では使用禁止です」

 

「わかってるわよ。あれの危険性は知ってるし。それとその名前嫌いなのよね」

 

「えっと、ちょっと気になったんですけどどんなワンオフなんですか?あ、答えられないならいいんですけど」

 

 

知ってるのが、一夏と自分のだけだから他のには興味が沸いた。

 

 

「詳しくは教えられないんだけど、橙赤色と水色で綺麗よ」

 

「使ったあとは、周囲に草一本も生えません」

 

 

「どんなの!?」

 

綺麗で草一本生えない状況作るって、想像しにくいんだけど。

 

 

「ついでに、対人で使えば相手は死にます」

 

「うわ、危険すぎる!」

 

 

そんな会話してると、チャイムが聞こえてきた。

 

 

「ヤバい、朝のHR忘れてた!すいません、先失礼します!」

 

 

急いで生徒会室を出る。

 

 

「それでお嬢様、例の…」

 

(あれ?あの人達、HRは…?ってそんなこと考えてる場合じゃない)

 

 

 

 

よし、間に合った。

ドアに手をかけ、開けようとした。

 

 

「「「「「「キャァァァァァァァァァァァァ!」」」」」」

 

ピシッ、パリンッ!

 

「ざくっ!?」

 

 

…何が起こったか説明しよう。

突然、女子の歓喜の叫びが聞こえたと同時に、ドアのガラスが割れて破片が額に刺さった。

 

 

「あぁ、ドアが……って、橘くん大丈夫ですかぁ!?」

 

 

あ、山田先生の声が、聞こえ…

 

 

そこで、意識は途切れた。

 




あ、前の話で三巻終わったら直すとか言ってましたけど今作ってるので二巻途中で新しく直したのを入れますので。
感想、アドバイスいただければありがたいです。


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ソラヘ

抜けてる知識埋めようとWiki調べたら、会長のワンオフが判明した。
考えたのより使い勝手良さそうだし、オリジナルの使ったら不満くるかな?もう少し早めに調べるんだった。

とまぁ、軽く愚痴ったところですいません。大分間が空きました。考えてたストーリーがぶっ飛び過ぎかな、と悩んで少し直してました。

長々と書きましたが、それでも今回はぶっ飛んでますので御容赦下さい。ではどうぞ。


 

朝の騒動から数時間、目を覚ますと昼になっていた。

 

 

「いってー」

 

「災難だったな結人」

 

「まぁな、って鈴!いつまで笑ってんだ!」

 

 

今は屋上で一夏と俺、一夏ラヴァーズの三人と転入生の男子(・・)、シャルル・デュノアの六人で食べていた。

 

 

「いや、だってフフフ」

 

「人の怪我見て笑うなー!」

 

 

鈴がさっきから頭の包帯を見ては笑いやがる。一夏とセシリアとデュノアは苦笑い。箒は…ソワソワしてる?

 

 

「あっ、そういえば一夏。これ」

 

 

落ち着いた鈴が一夏にタッパーを渡す。

 

 

「これは?」

 

「前に酢豚食べたいって言ってたじゃない。で、久々に作ったら余ったのよ。あげるわ。あっ、結人も食べていいわよ」

 

「おっサンキューな鈴」

 

「じゃあ、少し貰うぜ」

 

 

少し貰って食べる。うん、相変わらず上手い。店出せるなこれ。

 

 

「やっぱ上手いな、鈴」

 

「そ、そう?まぁ当然よね」

 

「い、一夏さん?こちらもどうぞ」

 

「い、一夏!弁当を作り過ぎたから食べないか!?」

 

 

セシリアはバスケットを開いてサンドイッチを、箒は弁当を出してくる。

一夏、頑張れ。

 

 

「じゃあ、セシリアのから………うっ」

 

「どうした?一夏」

 

「一夏さん?」

 

「い、いやちょっと喉に詰まってな」

 

 

顔を青くしてそんなこと言ってきたけど、明らかに違うだろ。

 

 

「箒のは、おっ、唐揚げ旨そうだな。貰うぜ」

 

「あぁ」

 

 

一夏が箒から唐揚げを貰ってる間に 、セシリアがサンドイッチを俺とデュノアにも勧めたから、貰おうと手を伸ばすと、

 

 

『デンワ、デンワ、ハヤクデロ』

 

「ん?悪いちょっと出てくる」

 

「分かりました。あ、デュノアさんそれは今日初めて挑戦した味なので感想を…」

 

 

ちょっと離れて電話に出る。相手は瑠璃か。

 

 

「はい、もし『第六アリーナ、即集合。以上』もしって、それだけかよ!」

 

 

言うこと言って速攻で切りやがった。急いでるみたいな感じだったし、行ってみるか。

 

 

「ちょっと用事出来たから行くわ。多分戻ってこれないかもだから先帰っててくれ」

 

「おぉ、了解」

 

 

一夏に言って屋上を離れる。

 

 

『デュノアさんが、白目向いて倒れましたー!?』

 

『はぁ?って、息してないじゃない!』

 

『し、心臓マッサージを!?』

 

『ちょっ、落ち着けって、勝手にデュノアの服を…えっ?』

 

 

なんか騒がしくなったけど、気にしちゃダメだよね。

 

 

 

 

 

 

第六アリーナに着くと、すぐにユニコーンを展開させられて調整が始まった。

アリーナには、簡易ハンガーみたいな設備と射出先が上に向いてるカタパルトがあった。

 

 

「説明求めます」

 

「簡単に纏めると母さん」

 

 

…どうしよう。全然内容分かんないのに、何が起きても驚けない気がしてきた。

 

 

「もうちょい詳しく」

 

「母さんが私宛ての物資をコンテナに詰めて発射。飛ばして、こっちに落とすとかいう馬鹿なことをした。だから、ちょっとソラ行って取ってきて」

 

 

OK。あ れ (カタパルト)の使い道はなんとなく察した。

大方、かなり上空まで行って取ってこいとでも言うのだろう。

 

 

「けど、それが予定時間を越えても落ちてこない」

 

「束さんのミスってことは?」

 

「あり得ないわ。母さんは頭がかなりアレだけど、こういうおふざけで失敗することはない」

 

「確かにな…」

 

 

横で聞いてた織斑先生が同意した。

 

 

「昔からあいつは、そういったことではミスをしない。したとしても、わざとか本当に予測外のことが起きた時だけだ」

 

 

経験者は語る、か。

確かに束さんはそんな感じだろうな。

そんな会話をしながらも、瑠璃の手は止まらず、ユニコーンへと改良を加えていく。

 

そして、十分後。

カタパルトへとスタンバイしたユニコーンは、背中にはタンクのようなものを背負って、両足を大型のブースターで包み、両腕にいつもと少し形が違うシールドが付いている。アームドアーマーDEというらしい。

 

 

『背中のタンクに入ってる酸素量から、最大140時間はなんとかなるわ。けど、危険と思ったらすぐに降りてきて』

 

「了解。目標の位置は?」

 

『マーカーをセットさせてあるから自動でロックされるわ』

 

「そういや、国連とか委員会とかに何か言われないか?こんなことして」

 

『委員会は母さんが脅して、国連の信用出来るとこには事情説明。不安なとこには新型のIS装備の打ち上げテストと言ってあるわ』

 

 

恐ろしき篠之乃親子。さらりと、脅すとか言ったよ。

しかしまぁ、酸素ボンベが必要な程の高度か。

 

 

『こっちが合図を出したら、ブースターをパージ。セカンドブースターへと切り換えること。準備は?』

 

「いいさ。行こう」

 

 

ゆっくりとブースターの出力を上げていく。

 

 

『周辺に敵性熱源なし。目標進路、問題なし。進路クリア。ユニコーンブースター発進どうぞ』

 

「橘 結人、ユニコーン行きます!」

 

 

一気に出力を上げる。ほぼフルスロットルだ。

カタパルトを滑るように進む。

 

 

『粒子ジャマー弾、a1からz2まで順次発射』

 

 

カタパルトの両端から、ユニコーンの後を追うように次々とミサイルが発射された。

確かあれは、飛ばしたのがISだと分かられないようにジャマーを撒くためのミサイルだったような。専門用語なんざわからん。

そして遂に空へと飛び出し、先行してたミサイル群が起爆した。

センサー系が専ら使えなくなってる。

 

 

「なぁ、ところでどこまで行くんだ」

 

 

かなり高いとこまで上がって来て、ファーストブースターもパージした。

 

 

『言ってなかったかしら』

 

「は?」

 

『いってらっしゃい、宇宙(ソラ)へ』

 

「は、はぁぁぁぁっ!?」

 

 

 

 

 

「さてと、行ったわね」

 

「しかし、ほんとに大丈夫なのか」

 

「送り出しといて何を今更ですよ、織斑先生。それに大丈夫です」

 

「ISは元々宇宙での開発を想定されてるからか?だがそれは…」

 

「ちょっと違いますよ。詳しくは言えませんがユニコーンはその本来の使い方をする目的でも造られてますから」

 

 

 

翌日、また転校生が来たこと、その彼女が親友のことを殴ったことを知るのは少し先のことだった。

 

 

 

 

 




Gレコ、まだ見てないけど主人公機より相手のエースのほうが恰好いいと思う件。

感想、アドバイス頂ければありがたいです。


予告。
二巻はこれからかなりぶっ飛びます。


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赤、青、黒に水色

生徒会会長選挙があったり、負けてそれなりのダメージくらったりして執筆が進まない∑( ̄Д ̄;)

と、とりあえず出きたのを投稿。

どうぞ


 

 

結人が消えてから数日。なんか実験やってるらしいけど、男一人がこんなにも気まずいとは。

転校生、ラウラには初対面で叩かれるし、昼の騒動でシャルルが実は女だとわかったし、よくわからんが変な噂立ってるらしい。

 

 

「箒たちは教えてくれないし、シャルルも混ざれないから教えてください!」

 

「言ったらつまらないから教えない」

 

 

最近は敬語が無くなってきた瑠璃に頼んでみたが即答で断られた。

シャルルが後ろで苦笑してるのがわかる。

 

 

「それよりも、デュノアさんのことだけど」

 

「シャルルでいいよ。で何?」

 

「今の現状を更によく出来る可能性があるとしたら、どうする?」

 

 

シャルルの現状。

そもそもシャルルはデュノア社の社長の愛人の子であり、社長、つまり父親の命令で男装をしてここに来ている訳だ。

 

このことがバレたとなれば何らかの罪に問われるかもしれない。だが、IS学園に在学中はいかなる国家や企業であっても介入は出来ない。それを利用して、三年間の安全を確保してるようなものだ。

 

瑠璃が何故知ってるのかというと、まぁ束さんの娘だから何があってもおかしくない。

 

 

「えっと、つまり…」

 

「卒業後を心配しなくて済むとしたらってこと」

 

「えっ?なんか方法あるのか!?」

 

 

そんな方法があるなら、シャルルも安心して過ごせるだろう。

 

 

「荒業な上にちょっと面倒だけど、もしやる気あるなら二人にはこの日に「大変!アリーナでドイツの代表候補生が!?」あら?」

 

 

 

 

 

30分前

 

 

更識簪は、第三アリーナを使おうと思ってきたのだが、

 

 

「鈴さんと戦うのもいいかもしれませんわね」

 

「どっちが上かはっきりさせてやるわよ」

 

 

1組の金髪ロールさんと、2組の…ふ、フォン…?さんがなんか火花散らしてた。

というのも、原因は織斑一夏だろう。

 

確かIS裏新聞で篠ノ之さんとあの二人が賭けの対象にされてたような。

ちなみに私は篠ノ之さんになんとなく賭けてみた。

 

そういえば最近噂になってるけど、月末の学年別トーナメントに優勝すると男子三人の内の誰かと付き合えるとか。

根も葉もない噂だと思うが、一年の間ではほとんどの女子が知ってるだろう。

…そもそも本人に許可取ってるのかとか、上級生はどうなのかとか、代表候補生に勝つ自信あるのか、など色々聞きたいけど。

 

 

「「「!?」」」

 

 

武器を構えた二人の間目掛けて、超音速の弾道が、ってあれ?避けたらこっちに…。

 

 

 

ドガァァァァン!

 

 

 

 

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ…」

 

「なんのつもり?いきなりぶっ放すなんて」

 

 

……………………。

 

 

「中国とイギリスの第三世代か。データで見たほうが強そうだな」

 

「なに?あんたマゾ?ドイツからわざわざきてボコボコにしてくださいなんて」

 

「鈴さん。相手にしないほうが良いですわよ。そんな野蛮な方」

 

 

…………………。

 

 

「はっ、文句があるなら二人がかりで来い。下らん種馬を取り合うようなメスどもにこの私が負けるわけないからな」

 

「…前言撤回ですわ。その軽口、二度とたたけないようにしてあげますわ」

 

「賛成。後悔させたげる!」

 

 

……………………………。

 

 

「来い」

 

「「上等!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無視して話すすめるな」

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

激突しようとした三人の間を狙って、春雷をぶっ放す。

流れ弾に咄嗟に打鉄弐式R(リペア)を展開し盾で防いだ。もっとも、壁際だからって無視されるとは思わなかったけど。

 

 

「貴様…何だ?」

 

「生徒会副会長、…更識簪。正当防衛…ならびに過剰攻撃として、介入…します」

 

 

無視されてた腹いせではない。決して。

 

 




昼の騒動
セシリアの食べる→倒れる→心臓マッサージしないと!→えっ、これって→バレる。
前回結人が出てった後の屋上です。

瑠璃さんの秘策
不安しかない。

IS学園裏新聞
主な内容
今日の千冬様、食堂おばちゃん裏話、橘結人、織斑一夏争奪レート

打鉄弐式R
ボロボロの打鉄弐式を使えるとこだけ残して、必要最低限なとこに打鉄のパーツを加えた間に合わせの機体。イメージ的には、速いだけのリヴァイヴ。


感想、アドバイスお願いします。


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帰還

今年最後だというのにこの短さ、
短編やろうにも3巻終わるまでキャラ数的に無理だし、

と色々反省ありますがこれで今年最後です。

それではどうぞ!


 

最初に動いたのはセシリアだった。ビットを展開し、簪に気を取られてるラウラへと四方向から仕掛けた。

 

 

「…はっ」

 

 

あざ笑うかのように息を吐いたあと、少し身体をずらすだけで回避した。

 

 

「そんな!?」

 

「狙いが単調過ぎだ」

 

「くっ!」

 

 

レールカノンを向けられ、すぐさまビットを戻し回避する。

直後、セシリアのいた場所で大爆発が起こる。

ラウラは、視線をそのままにプラズマブレードを展開し後ろへと斬りつけた。

 

 

「くっ!」

 

 

背後から振り下ろされた鈴の斬馬刀を受け止めた。

鈴は、ラウラの機体『シュヴァルツェアレーゲン』を自身と同じパワータイプでないと考え、押し切ろうとする。だが、

 

 

「何これ、動かない!?」

 

 

突然機体が動かなくなった、いや、動きを止められたが正しいだろう。

鈴を蹴りとばすと同時にレールカノンを構えたが、すぐに後ろへと跳んだ。

上空から、荷電粒子砲。そして、簪が降りてくる。

右手には近接ブレード改を左手にはIS用ワルサーP99を。

地面を滑るかのようにあとを追いながらワルサーをフルオートで撃つ。

撃ち出された弾は反転したラウラは左腕をかざし、銃弾は見えない壁に当たったかのように停止する。

 

 

(これって、まさか)

 

「無駄だ。この停止結界の前ではな」

 

 

両肩からワイヤーブレードが射出され、片方はワルサーを貫き、もう片方は簪の右腕に巻き付いた。

 

 

「しまっ…!?」

 

 

ワイヤーを振り回し、壁へと叩きつける。追撃とばかりにレールカノンを撃ち込まれる。

 

 

「ふん…」

 

 

興味は無くなったとばかりに、視線を変え残りの二人へと向ける。

 

 

「終わりか?」

 

「まさか…」

 

「これからですわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルルと一緒に急いで第三アリーナへと向かう。

ここまで教員と会わないのは奇跡に近い。

 

 

「一夏、もしもの場合は白式で」

 

「あぁ、零落白夜でバリアをぶち破る!」

 

あらゆるエネルギーを無効化させる『零落白夜』なら、アリーナのバリアも切り裂けるはずだ。

 

 

そして、アリーナに着いて目に移った光景は、

 

 

「酷い…」

 

 

ISこそ展開したままだが、動けない鈴とセシリアを痛めつけてるラウラがいた。

額から血を流してたりするし、シールドエネルギーがもう無いんだろう。

奥にはもう一人倒れているが、顔が見えない。

 

 

「こん、のっ!!」

 

 

白式を緊急展開。零落白夜を発動させシールドを叩き切る。

 

 

「うぉぉぉぉ!!!」

 

 

雄叫びを上げ、全速力で斬りかかる。

こちらに気付いたラウラは、掴んでいたセシリアを放り投げて、こちらへと手のひらを向けた。

 

 

「うご、かねぇ!?」

 

「…ふん、その程度か。消え…っ!」

 

 

空中で静止した俺と、ラウラの間に空から赤いビームが降ってきた。

この威力、まさか!

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

「ちっ、次から次へと!」

 

 

落下しながらラウラへと斬りかかったのは、行方不明だったもう一人の男子。

橘 結人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やっと帰ってきたと思ったら、こいつ誰だ?

いや、それよりもこの状況。

 

簪、セシリア、鈴…あと少し遅かったら一夏もか。

 

 

「なに、人の友達傷つけてくれてんだ」

 

「もう一人の男子か、どけ。貴様よりも織斑一夏のほうが優先事項だ」

 

 

イラッときた。

 

 

両腕に付けてたシールド、そこに搭載というか取り付けてたガトリングを向け撃つ。

 

 

「ちっ」

 

 

瞬時加速で、右へと移動し避けられた。

手に握ったビームサーベルを構え、追撃する。

あっちもプラズマブレードを展開し、受け止めようとする。

 

 

「はぁ、このガキどもが」

 

 

「なっ!?」

 

「織斑先生!? 」

 

 

間に入ってきたのは、スーツ姿で打鉄の近接ブレードを振上げた姿の我らが担任。織斑千冬さんだった。

 

 

(ってかこの人、一瞬で両方の攻撃を上に弾いたの!?ホントに人間?)

 

「模擬戦をするのは自由だが、シールドを壊されては黙ってられん。この決着は学年別トーナメントで着けてもらおう。いいな!」

 

「「はい」」

 

「教官が仰るなら」

 

 

一夏、俺、銀髪(名前知らん)は頷く。

 

 

「では、学年別トーナメントまでの間、一切の私闘を禁止する。解散ッ!!」

 

 

 

 

 

 





主人公帰還
詳しくは次回。


ホントに人間!?
原作読んでてホントに思った。



感想、アドバイス頂けたら嬉しいです。

今年一年ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。
それでは皆様、よいお年を。


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彼は何をしてたのか

遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
色々と個人的な都合で、大分間を空けてしまいました。
今年もどうか宜しくお願いいたします。


さて、今回ですが結人が何をやってたのかを結人視点で書いた方がいいのではないかと思いましたが、話を進めることを優先しました。
ご希望があれば3巻終わったころに創ろうかと思います。

それではどうぞ。


 

 

所変わって保健室。

傷ついた鈴とセシリアの2人を治療するためだ。

 

 

「別に助けてくれなくても良かったのに…」

 

「あのままやってれば勝ててましたわ」

 

「お前らなぁ…」

 

 

二人とも所々怪我してる癖に。

シャルが飲み物を買って帰ってきた。

 

 

「好きな人に格好悪い所見られたから恥ずかしいんだよ。はい、烏龍茶と紅茶」

 

「えっ?」

 

 

二人に飲み物を渡しながら何か言っていたようだが、聞こえなかった。

けど、俺よりも間近にいた二人は聞こえていたようで

 

「な、なな何をおっしゃってるのか全然分かりませんわね!!」

 

「そ、そうねっ!まったく、わかんにゃいわ!」

 

 

顔を赤くしてまくし立てた。

鈴なんて噛んでるし。

 

 

「あれ?そういえば…」

 

ドドドドドドッ!

 

 

シャルが何か言いかけたが、遠くから聞こえてきた地響きに全員が顔をドアへと向けた。

 

 

そして、ドアを吹っ飛ばしながら大量の女子が突入してきた。

ドアが吹っ飛ぶとこなんて…初めてじゃないな、そういえば。

昔束さんがやって、千冬姉にアイアンクローしてたし。

 

 

「「織斑くん、デュノアくん!」」

 

 

突入してきた女子一同は、一斉にプリントを突き出してきた。

いや、一人でいいだろ。はっきり言って怖いよ。

 

 

 

「なになに?『今月開催する学年トーナメントは、より実践的な模擬戦闘を行うためペアでの参加を必須とする。ペアが出来なかった場合は、抽選により』――」

 

「そこまででいいから!とにかく!」

 

 

「「「「「私と組んでください!!」」」」」

 

 

み、耳が!?

しかし、困ったぞ。ペアでの参加となればシャルルが誰かと組んだ場合、女だとバレてしまうかもしれない。

女子間の噂のネットワークは早いとかいうし、学園にも広まるだろう。

となると、阻止するには…。

 

 

「悪い!俺は「少し遅かったわね。一夏はデュノアと組むらしいから」シャ、えっ鈴?」

 

「ですわよね、デュノアさん」

 

「う、うん」

 

鈴とセシリアが介入してきた。

部屋へと一瞬の沈黙。

 

 

「んー、そっかぁ…ならしょうがないかな」

 

「まぁ他の誰かと組まれるよりねー」

 

「橘君もいるし」

 

「それにあの二人の組み合わせ…ジュルリ」

 

 

最後がなんか不気味だけど、下がってくれたみたいだ。

ゾロゾロと保健室から出ていった。

 

 

「なんとかなったな」

 

「だね…」

 

「けど、助かったぜ。鈴、セシリア」

 

 

二人のほうを向くと、ちょっとだけ残念そうな顔をしていた。

 

 

「まぁ、事情を知ってるのが私達だけだし、その私達がこれじゃあね」

「箒さんに勝手に許可取るのもなんでしたから」

 

 

あのセシリアの毒殺料理のとき、シャルルがそれを食べて倒れた。

パニクった俺達は心臓マッサージをしようとしてたのか(実際何しようとしたかあやふや)、服を脱がそうとしてコルセットに気付いた。

 

そこからは、目を覚ましたシャルルから事情を聞き四人でこのことは秘密にすることが決まった。

 

 

「で、今更なんだけどシャルル。何を言いかけてたんだ?」

 

「うん、結人がいないなぁって」

 

「…あれ?」

 

「そういえば、二人より先に運ばれた筈のもう一人も」

 

 

 

 

 

その話題の主、結人はというと…。

 

 

 

 

 

 

「地下に医務室があるとは…」

 

 

簪を運んだのは虚さんと本音だった。

 

そして運ばれたのは学園の地下2階、そこの部屋の一角だった。

 

 

「ここは元々は拷も…取り調べ室だったのですが」

 

「いや、今拷問って言いかけてませんでしたか?」

 

「楯無お嬢様が生徒会長就任後に改装した後、隠し医務室となっています」

 

「スルー!?」

 

 

そんな中でテキパキと簪の治療を行ってるのは意外にものほほんさんこと、本音。

この姉妹、どっちも優秀なのか…。妹はいつもあんななのに。

 

 

「そういえば、会長は?」

 

 

超絶シスコンのあの人が此処にいないのがおかしい。

簪が怪我したのを聞いてぶっ倒れたか?

 

 

「お嬢様から今連絡が来ました。生徒会室にてお話があるそうです」

 

「あれ?なんか嫌な予感が…」

 

 

なんだろう、寒気までしてきた。

とりあえず行くとしよう。

さっさと終わらせて休みたいし。

 

 

「ゆいゆい〜、これあげる。目、赤いよ〜」

 

 

そうやって本音から手渡されたのは目薬。

 

その優しさだけが救いだよ…。

 

 

 

 

 

そして、やってきた生徒会室には。

 

 

「……………」

 

 

無言でタブレットを弄ってる瑠璃と、

 

 

「………………………………………」

 

 

同じく無言でも、威圧感が段違いの我らが生徒会長様がいた。

 

 

(えっ、部屋間違えた!?)

 

 

そう思ってしまう位の威圧感、いやもうこれ殺意とか殺気の部類だよ。

 

 

「…瑠璃ちゃん、先どうぞ」

 

「は、はい」

 

 

瑠璃までも怯えてる。

もう帰りたい。

 

 

「この数日間のことなんだけど、一応宇宙での映像データは見せてもらったわ。その上で何が起こったのか説明してくれる?」

 

「いや、それはいいけど、会長はいいのか?」

 

「事情は知ってるから」

 

 

ならいいけど。

瑠璃の目が「早く言って!」って語ってるよ。

どれだけ速く去りたいんだ此処から。

 

 

「まず、宇宙に上がって無重力に苦戦しながらもなんとかコンテナ見つけたんだよ。そしたら、突然IS…いや、あれISでいいのか?人二人分はあったけど」

 

「アレはISでいいわ。名前も予測が尽くし」

 

「そいつに襲われてとにかく応戦したんだ。けど、速い上に指からビットみたいなの打ち出すわ、高出力のビーム撃つわで」

 

壁にした大きめの隕石を顔面スレスレで貫通した時は、ホントに恐ろしかった。

 

 

「まぁ、何故かデストロイモードになれて善戦したんだけど」

 

「そこから映像データ途切れてるのよ。どうしたの?」

 

「途中で引力に引かれて大気圏突入を味わった」

 

「!?」

 

 

あっ、会長今一瞬こっち見た。

 

 

「コンテナはIS内に収納してたんだけど、暑さと疲労で気絶してアメリカの方に落ちたんだよ」

 

「ISの操縦者保護機能が働いたのね。それで」

 

「そこで軍人さんに拾われて、アメリカのIS関係の会社で療養してた」

 

「運が良かったとしか言えないわ、下手したらモルモットになってたかもしれないのに」

 

「そうか?会う人の殆どが優しかったけぜ、アメリカ。何言ってるかさっぱりだけど」

 

 

英語は一番苦手な科目である。

厳密には英会話。

 

 

「拾ってくれた企業が日本語使える人多くて助かった」

 

「で、その企業の名前は」

 

「「ファクトリー」」

 

「えっ?知ってるの?」

 

 

意外だ。俺初耳だったし、会社もそこまで大きくなかったのに。

 

 

「…オーキスの奴、わざと連絡しなかったのね。覚えてなさい」

 

「なんか言ったか?」

 

「別に。で、その後は?」

 

 

なんかボソッて言ってたような。

まぁ、いいや。

 

 

「そこでシミュレーター使って訓練したり、拾ってくれた軍人さんの買い物付き合ったり、その同僚さんと模擬戦したりしてた。で、IS学園にアメリカの生徒宛の荷物届ける輸送船に乗って途中まで来た」

 

「飛んできたのは?」

 

「いや、アリーナのバリアが崩れていったから何事かと思ってな」

 

 

船の上からでも見えるところで良かったよ。あんなことになってるとは思わなかったけど。

 

 

「拾ってくれた軍人ってもしかしてIS操縦者?」

 

「あぁ、ナターシャさんって言ったかな。ファクトリーには個人的な知り合いがいるからってことで来てたらしいけど」

 

 

今度会ったらお礼しないとな。

色々世話になったし。

 

 

 

「了解。じゃあ、私からはお終い。あっ会長、例の件お願いします」

 

 

そう告げてそそくさと出ていった。

えっ、二人っきり?

 

 

「…まずはおかえりなさいね、結人くん」

 

「アッ、ハイ」

 

恐ろしさに声が上擦ってしまった。

よく見ると、足元に扇子らしき残骸が…。

 

 

「結人くんは、明日は暇?」

 

「暇です!」

 

「なら、」

 

 

振り向いた会長の顔はとてもにこやかで

 

 

「お姉さんと、デート、しない?」

 

 

拒否権を感じさせない笑顔だった。

 

 

 




瑠璃と結人の会話
実はこの二人、早口で会話してたという裏事実

ナターシャ
どこかで聞いたような…

結人を襲った機体
この文章だけでわかった人は凄い。ヒントは平成入ってからのガンダムシリーズの機体です。


感想、アドバイスなど頂けたら嬉しいです。



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デート?

お久しぶりです。
春休みだー、と羽を伸ばして溜めてたGレコを見てました。
もう面白すぎです、モンテーロのプラモ買っちゃいましたw
流石にこの小説にGセルフは無理かなぁ…。

あ、今回ある人がキャラ崩壊という暴走してますのでご注意を。



 

空は快晴。

只今、8時45分。

俺は学園前に居た。

 

(デート、ねぇ)

 

 

前日、会長から拒否権なしの笑顔で誘われたデート。

前世は覚えてないけど、この人生では初のデートなのに、何故か恐怖と不安しかない。

 

 

「お待たせ」

 

「あっ、いえこっちも今来た……」

 

 

後ろから声をかけてきた会長に定番のセリフを言いながら振り返ると、言葉が出なくなった。

 

やってきた会長は、鮮やかな白と水色のワンピースと同じ色合いのつばの広い帽子を被っていた。

 

 

「なに?見惚れちゃった?」

 

「なんというか………」

 

「なんというか?」

 

 

 

 

「お嬢様みたいですね」

 

「一応、本物のお嬢様よ!?」

 

 

いや、ほんとイメージと違い過ぎて。

どちらかというと、簪のイメージ。

 

 

「ほんと、失礼しちゃうわね。そこは似合わなくても似合うって言っておくのよ」

 

「い、いえ、イメージと違っただけで似合ってますよ!会長くらい綺麗だと、似合わない服を探すほうが難しいんじゃないんですか?」

 

 

怒らせたと思い焦って本心を吐露してしまった。

って、あれ?様子が。

 

 

「えっと…顔赤いですけど」

 

「なんでもないわよ」

(仕事柄、お世辞じゃないのが分かってしまうのよね)

 

「怒らせたならすいません!」

 

「違うわよ、もう…」

 

 

そう言ってこちらに背を向けながら、帽子で隠した顔だけこちらを振り向いて

 

 

「ホントに女心分からないんだから」

 

「!!」

 

 

―――『女心、わからないのね』―――

 

 

そう言われた瞬間、別の女性のビジョンが浮かんでいた。

なんだ、この女性をどこかで、見たことが…あるような、ないような。

 

 

「行くわよ、結人君」

 

「あっ、はい!」

 

 

会長の声にハッとして急いで後を追う。

今はひとまずこのデート(?)に集中しよう。

 

 

「あっ、それと今日は名前で呼ぶこと。敬語も禁止!命令よ」

 

「えっ!?わかりました」

 

「敬語!」

 

「…わかったよ」

 

「よろしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…何の用で、ここに呼んだの?」

 

 

私、更識 簪は地下3階の隠し整備室―その5―に瑠璃に呼ばれて来ていた。

 

 

「ちょっとね」

 

 

これ、と差し出されたのは大きめのタブレット。

再生すると宇宙空間が映しだされた。

 

 

「こ、これ…は!!」

 

「はいはい、興奮しない。アニメみたいだからって」

 

 

いけない、ちょっと取り乱した。

けど、リアルな宇宙空間に歪な戦闘機みたいな機械がビームを撃ったり、変型したりして、あっ、ミサイルまで。爪が伸びた!?

 

 

「それ、結人が実際に遭遇した敵の映像よ」

 

「えっ、…じゃあこれ、IS?」

 

確かに人型になるし、ISのような動きも所々あるけど…。

 

 

「人間が乗ってたら無理な動き、でしょ?」

 

「うん。それに、細かいビットの操作をしながら…こんな機動するなんて、無理」

 

 

脳の処理が追いつかないし、仮に追いつける人がいたとしてそれは…。

 

 

「その機体は無人機よ。母さん以外の誰かのね」

 

「えっ、無人機って、そんなこと」

 

「前に学園を襲った組織。もしくは、また別の…」

 

 

私へと大きめのファイルを投げ渡してくる。開くとそこには、人型のロボットの絵がたくさん書かれていた。

 

 

「狙われるかもしれないあなたのために、打鉄弐式に変わる新たな機体を特別サービスで造ってあげる。欲しい装備と性能を教えなさい」

 

 

 

 

 

向かった先は都内の海沿いに面した地区だった。ここら辺はあまり来たことないけど、有名なテレビ局があるんだったかな?

 

 

「あ、これ美味しそうね。結人くんもいる?」

 

「いやまだ腹減ってないし」

 

「すいませーん、ホットドッグ二つ下さい」

 

「聞けよ!?」

 

 

なにかのイベントなのか出店が出ており色々と物色してまわってた。

これじゃあ本当にデートだ。

 

 

「あっ、美味い」

 

「ほんと。当たりね」

 

 

ホットドッグを食べながら歩く。

しかし、さっきから周りの視線が…。

会長…じゃなかった。楯無さんには羨望と好意的な目、俺には嫉妬と憎しみの目が向けられてる。意外にも女性が四割だけども。

 

 

「ところで、どこ目指してるんだ」

 

「もう少しよ」

 

 

そう言われてもここらへん来ないしなぁ。

そもそも何をするのかもわからないし。

 

 

「着いたわ」

 

 

ちょうどホットドッグを食べ終えると、目的地についたようだ。

 

 

『雨宮製薬会社』

 

 

「ここは…?それなりに大きいビルだけど、何故に製薬会社…?」

 

「さぁ、行くわよ」

 

 

スタスタと先を行く。急いで追いかけるが、建物の中を見ても普通の会社だ。

 

 

「はい、これ。首から下げておいて」

 

 

渡されたのは通行証のような物。

けど、このカードのマークを最近まで見たような。

 

 

「…あっ!」

 

 

そっか、ここってもしかして。

 

とりあえず着いていき、2階へと上がるとそこは製薬会社などではなかった。

スーツを着てる人は少なく、ほとんどがジャージのような整備服を着ている。

ほのかに臭うオイル臭もほんの2、3日前だというのに懐かしい。

 

 

「やっぱり…」

 

「ようこそ、ファクトリー日本支部へ」

 

 

声に振り向くと1人の女性が立っていた。

見た目は30代前半の鮮やかな栗色の長い髪をしていた。

 

 

「マリアさん、今日はお願いします」

 

「はい、社長からも聞いてますので準備は出来てます」

 

 

なんか2人して話が進んでるけど何するの?

 

 

「いい加減何をするか教えて欲しいんだけど」

 

「あれ、言ってなかったかしら。特訓よ」

 

「…はっ?いやいや、私闘は禁止って」

 

「校外に出ちゃえば関係ないわよ」

 

「無茶苦茶だ、この人!?」

 

 

確かにアメリカのファクトリーにも訓練場は室内にあったけど。

というか、この流れだと。

 

 

「私が相手よ。全力で来なさい。貴方には、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――あの銀髪をボコボコにしてもらわないと。

 

 

 

 

 

 

 

このシスコン、私怨しかない!?




簪の新型
簪の打鉄はコア以外大破、修復不可能レベル

次の次からタッグマッチに入ります。
簪の新型は色々なガンダム作品の装備を載せた機体になるかと。
感想、アドバイス頂けたらありがたいです。


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タッグマッチ前の人々

お久しぶりです。
なんか、もうお久しぶりを言うのが恒例化してます。

今月修学旅行あるので、そこで書き溜めしたいなぁと画策中。

とりあえず短いですが、どうぞ。


 

「………………」

 

「…生きてる?」

 

 

部屋でグッタリとベッドに寝っ転がってると帰ってきた簪が心配してきた。

正直、返事するのも辛いけど…。

 

 

「だい、じょ、ぶ」

 

「じゃなさそうだね」

 

 

軽く食べれる物を貰ってくる、そう言って簪は部屋を出ていった。

今日はファクトリーで楯無さんと模擬戦をしたわけだが、全敗。

剣道、柔道、射撃、その他色々なことをし最後にISでの模擬戦をした。

 

 

 

傷さえ付けられなかった。

いや、エネルギーを1も減らせなかった。

 

 

あれがあの人の本気。

国家代表クラスの実力。

 

 

タッグマッチまであと一週間。

毎日、あそこで戦うのか…。

 

 

(ファクトリー…)

 

 

『ファクトリーは[裏の]IS企業NO.1。世界中、とまでは言いませんが重要都市に支部を置き色々な繋がりを持ってます。表に出ることはありませんがIS委員会にも認められています』

 

 

日本支部の支部長、雨宮マリアさんのファクトリーに関する説明をついでに思い出していた。

 

 

『主な役目は、極秘裏の機体開発、パーツ生産。後は色々と口に出せないようなことを。見返りに色々と融通が効くんですよ、政府に』

 

 

そこからは怖くて聞かなかったけど、とにかく裏がある組織ということは分かった。

けど、何でもいいや。使えるものは使おう。

あの銀髪は強い。多分1年の代表候補じゃ最強クラスだ。

 

 

(強くなろう…)

 

 

そう思い瞳を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何の用だ、織斑一夏」

 

 

同室のフランス代表候補が奴を連れて部屋に戻ってきた。

てっきりタッグマッチまで合うことはないと…いや教室で会うか。

 

 

「それで何の用だ?宣戦布告か?一週間後のタッグマッチの組み合わせはランダムだから必ず当たるわけでもないが」

 

「いや、まぁ、そのタッグマッチのことなんだが」

 

 

歯切れの悪い。二人してなんだその微妙な顔は。

突然、織斑一夏が手を合わせ頭を下げてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪い!俺タッグマッチ出れなくなった!」

 

 

 

「………は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり…間に合わない?」

 

 

薄暗い部屋の中で私は瑠璃に話しかけた。新しい専用機(政府と倉持技研には許可を取ったとか)がタッグマッチまでに間に合うかどうかを聞いたが。

 

 

「まだ駄目。とにかく夏休み前には完成するわ」

 

 

駄目か。仕方ない、今回は諦めて…。

 

 

 

 

 

『優勝した人は織斑くんか橘くんと付き合えるんだって!』

 

 

 

「えっ、やっぱり急いでって?どうしたの、急に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一週間はあっという間に過ぎていき…

 

 

 

「一夏もシャルルもいない。どうしたんだ?二人して」

 

 

ISスーツに着替え、更衣室のモニターを見ながら呟く。

もうすぐ組み合わせ発表だ。

等と考えていると、モニターに組み合わせが表示された。

 

 

「…ん?二人の名前がない?」

 

 

ミスって訳ではないだろうけど。

それと、俺のは……!

 

 

「…悪いな一夏。俺が先だ」

 

 




短い…今月中にあともう一話は最低で出す予定です。


感想、アドバイス頂けたらありがたいです




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タッグマッチ!―前半―

ついにタッグマッチです。
前・中・後・結の4話で終わらせます。


まずは前半、どうぞ!


ピット内には既に瑠璃がISスーツを纏って待っていた。そのスーツは初めて見る物で、彼女の名の通り瑠璃色をしていた。

 

 

「フォートレス、一応持ってきたけど使う?」

 

「いや、いらない。あれって多対一に向いてる装備だろ?タッグじゃあまり意味をなさないだろうし。それより一夏達知らないか?名前も無かったし」

 

 

瑠璃なら何か知ってるだろうと思い聞いてみたが、

 

 

「あーそれね、話してなかったっけ?」

 

 

ホントに知ってやがった。

 

 

「彼、というか彼等は今、フランスにいるわ」

 

「フランス!?」

 

 

シャルルの国だったよな、確か。

一体何をしに…。

 

 

「それで伝言と預かり物」

 

「伝言?」

 

「『任せた』、だそうよ」

 

「ハハッ、あいつらしい」

 

「そして、これが預かり物」

 

 

瑠璃が取り出したそれを見て、目を見開く。

 

 

「これって…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらです……それでは」

 

 

案内を終えた織斑先生が隣に来た。

私は今、VIPルームの警護兼案内人として働いていた。

 

 

「一回戦、始まりますね」

 

「…更識、橘はどれくらいになった」

 

 

織斑先生が周りに聞こえない位の声で聞いてきた。

 

 

「そこそこですね。ゲームでいうならレベルが2上がった位」

 

「微妙だな」

 

「ですよね」

 

そんな話をしていると、他の教師が最後の来賓を連れてやってきた。

 

 

(来たわね)

 

 

最後の来賓、アナハイムエレクトロニクス社副社長、マーサ・ブラウン。年齢は50前半と聞いてる女性だ。

後ろにはスーツ姿の女性。サングラスをしていて顔は良く分からないが若い…私と同じ位かしら?

 

 

(護衛は1人、それはまだいいとして。やっぱり社長は来ないのね)

 

 

アナハイム社の社長、その存在は世間に姿を表したことがない。それどころか幹部もその姿を見たことがないとか。

織斑先生が小声で話しかけてくる。

 

 

「更識、警戒しておけ」

 

「わかってます。色々と黒い噂のある会社ですから」

 

「そうじゃない。後ろの女だ」

 

「え?」

 

『間もなく一回戦が始まります。選手はISを装備してアリーナへ。繰り返します。間もなく…』

 

 

 

 

 

 

 

『間もなく一回戦が始まります。選手はISを装備してアリーナへ』

 

 

ユニコーンを展開しカタパルトと連結させる。

 

 

「各部異常なし。全武装……問題なし」

 

両腕にビームガトリング付きシールド。そしてビームマグナムを持ち発進体制へ。

 

 

「橘 結人、ユニコーン出る!」

 

 

勢い良くアリーナへと飛び出す。

対面のピットを見ると、ほぼ同じタイミングで銀髪、ラウラとかいうのが出てきた。

それに続いて箒が打鉄で出てくる。打鉄のブレードを2本装備してること以外は普通のようだ。

 

 

『篠ノ之 瑠璃、ラズリフレーム行きます』

 

 

遅れて後ろから飛び出してきたのは瑠璃。その機体ラズリフレーム。正式名称は『アストレイ ラズリフレーム』というらしい。

この間、宇宙まで行って取ってきた荷物に入っていたそうだ。

白い装甲に所々瑠璃色、額のV字アンテナ。そして一番目を引くのは背中と右肩だろう。

背中には本人よりも少し大きめの砲。右肩にはバルカン砲のようなユニット。

前に出る機体ではないことが誰の目にも明らかだった。

 

 

『作戦、分かってる?』

 

「分かってるよ」

 

 

『5………4…………』

 

 

「足を引っ張るなよ」

 

「貴様こそ」

 

 

『3………2…………1』

 

 

 

『0!試合開始!』

 

 

 

 

 

 

開幕と同時に動いたのはユニコーンとラズリフレーム。

ビームマグナムと背中の方、『アグニ』とかいうのによるビームを2機の間へと撃ち込んだ。

威力はどちらも普通じゃない程高いことは地面にぶつかり巻き上がった砂煙の大きさから分かった。

 

 

「分断させた?」

 

「はい。恐らくはそれぞれ1対1に持ち込むつもりでしょう」

 

 

思わず口に出た独り言を、隣に座っていた虚さんが答えてくれた。

 

 

「ユニコーンとシュヴァルツェア・レーゲン。ラズリフレームと打鉄に別れたようです」

 

 

 

 

 

 

 

 

「このっ!」

 

 

迫るワイヤーブレードを避けながらトリガーを引く。

放たれたビームはあっさりと避けられ、ワイヤーブレードは追いかけてくる。

数は2基。左のビームガトリングを掃射。1基を破壊する。

 

 

『警告 ロックされています』

 

「ッ!」

 

 

飛来するレールカノンの弾を右のシールドで防ぐ。

そのまま右腕で防御した時発生した煙を振り払い、ビームマグナムを撃つ。

もう一本のワイヤーブレードを撃ち抜き破壊する。

 

 

「貴様!」

接近しながら放たれるレールカノンをとにかく回避と防御をしつつラウラから距離を取る。

あの機体のAICは確かに脅威だ。けど、ビームなどエネルギー系の攻撃、実体のないものには効果が薄いらしい。

ビーム兵器が殆どのユニコーンは、ある意味天敵だろう。

しかし、接近戦に持ち込まれれば別だ。ビームサーベルを止めるのではなく、操縦者の腕を止めればいい。そこへゼロ距離からのレールカノンを叩き込む。

1対1でそれをやられるのは勘弁したい。下手すると身体ごと拘束されてそのままだ。

対策はあるが、ひとまず瑠璃が合流するの待つしかない。

 

 

(カートリッジは後1つ。もう少し持ってくれば良かったか)

 

 

両腕のビームガトリングを牽制にしながら一定の距離を保つ。

 

 

 

(早くしてくれ、瑠璃)

 

 

 

 

 

 

分断には成功したが、箒さんが思ったより対応が早く苦戦を強いられていた。

アグニは消費エネルギーが多い、右肩からバルカンと小型ミサイルを放ち牽制する。

2本の刀を振るいミサイルを切り落とし、バルカンを弾き、そして避けながらこちらへと着実に寄ってくる。

 

 

(ランチャーがここまで効かないなんて。予想以上の成長速度ね)

 

 

色々と事情があり激しい動きは極力避けたい。だからこそストライカーパックの中でも砲撃戦のランチャーで来たがこのままでは負ける。

覚悟を決めランチャーストライカーをパージ。

そして両手に武器をコール。

 

 

「貰った!」

 

 

目前まで迫ってきた箒さんの振り下ろした一撃は、こちらの振り上げた一撃に弾かれた。

そして崩れた体勢へと蹴りを叩き込む。

 

 

「くっ!」

 

 

蹴られた反動を利用して距離を離される。

こちらが呼び出した武器は二振りの刀。

 

右手に『タイガーピアス』

 

左手に『ガーベラストレート』

 

 

「すぐ終わらせるわ」

 

 

今日のメインは貴方じゃないんだから。

 

 

 




ラズリフレーム
ガンダムSEEDの外伝に登場するアストレイの瑠璃バージョン。違いは色付きのところが瑠璃色になっているくらい。


感想、アドバイスお願いします。
特に前回、一気にお気に入り減ったのでどこが悪かったか指摘していただけるとありがたいです


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タッグマッチ!―中編―

お久しぶりです。
サブタイトル考えた時、「あれ?前半、後半…中半?」となんか違和感を感じ、中編にすることに。
今回、国家代表候補に関するオリジナル設定があります。いつも通りメチャクチャ設定です。

では、どうぞ


 

 

今まで撃ち合ってたラウラが突然、瞬時加速(イグニッション・ブースト)で距離を詰めてきた。

 

 

「ッ!?」

 

 

振るわれたレーザーブレイドをほぼ反射的にシールドで防ぐ。

 

 

「貰った!」

 

 

直後、両腕のガトリングを2基のワイヤーブレードが破壊した。

防いだ際に視界をシールドで覆ってしまい

攻撃に反応出来なかった。

 

 

「4基だったっけ!?」

 

「もっとあるかもしれん、ぞ!」

 

ガトリングを壊された際にガトリングの上から装備していたシールドも吹っ飛んだ。

再び振るわれたレーザーブレイドはビームトンファーを展開し防ぐ。

 

 

「壊れてない…だと」

 

「丈夫なんだよ、武器だけはな!」

 

 

トンファーは無事だが、腕は所々罅が入ってしまってる。

けど、戦える。

 

 

「そうか、だがこれなら!」

 

 

腕が動かない。いや、身体全体が動かない。

AICか!

 

 

(けど、思考は出来るなら)

 

 

頭部バルカンを撃つ。

それに驚いたのか、一瞬拘束が緩んだ。

腕を思いっきり振り、レーザーブレイドごとラウラを押し飛ばす。

 

 

「チッ!」

 

「させるか!」

 

レールカノンを構えてくるが、ビームマグナムを砲口へと捻じ込む。

 

「なっ!?」

 

 

発射寸前だったレールカノンは膨張し、爆発した。

ギリギリでレールカノンをパージしたラウラだが、余波をモロに受け遠くへと転がっていく。

 

 

「貴様…!」

 

「まだまだこっからだ!」

 

 

けど、銃系の兵装は無くなったな。

接近戦をしようにもAICは厄介。バルカンはもう牽制にもならないだろうし。

 

 

(思考は生きてるなら、マジであれ使うしかないな。AIC対策の兵装)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フランスへと渡った俺、織斑一夏とシャルルは瑠璃の紹介の下ある人物を訪ねていた。

 

 

「はい、じゃあそこに名前書いて。あっ、出来ればフランス語でねぇ」

 

「はっ、はい」

 

 

隣ではシャルルが何らかの書類にサインしている。全部フランス語で読めないけど。

そして、それを書かせてる目の前のちょっとオネェ系の男性。

名前をアルベリック・オーバンさん。ここファクトリーフランス支部の支部長だそうだ。

 

 

「はい、OK。これでシャルルちゃん、じゃなかったシャルロットちゃん?」

 

「は、はい」

 

「これで貴方はファクトリー所属のテストパイロットになりましたー」

 

 

えっ、もう終わり!?

 

 

「いや、あのそんな簡単に終わるものなんですか?シャルルの父親の、デュノア社に連絡したりとか」

 

「そうね、今回は事前に話を通してたのもあったし、彼女が国家代表候補というのが大きいわね」

 

「どういうことです?」

 

「んー、一夏ちゃんは国家代表候補と1企業のテストパイロット、どっちのほうが肩書きとして強いと思う?」

 

「国家代表候補じゃないんですか?」

 

「その通り。で、国にもよるんだけどこの国は代表候補には必ず企業のテストパイロットであることを望んでるの」

 

 

部下の人が紅茶を運んできた。それを一口飲み、続ける。

 

 

「この時必要なことは、テストパイロットであること。彼女がデュノアの人間だからって必ずデュノア社に所属しなくちゃいけないという訳では無いのよ」

 

「そうなのか?」

 

「うん、一応はね。けどデュノアは国内では上位に入る企業だし、ほかに入れる企業も無さそうだったから」

 

「けど、全部の企業が良いところとは限らないの。問題のあるところも当然ある。そういった場合、政府へと訴え、政府がそれについての証拠を抑えた時に企業へと国から直々に命令が出されるのよ」

 

 

ニヤリと笑みを浮かべながらこちらを見つめる。

 

 

「それに、政府には色々と借りがありましから…ふふふ」

 

 

怖っ!

けど、これでシャルルは自由なんだな。

 

 

「あっ、確か今日は学園のほうで何かあったのよね」

 

「はい、タッグマッチトーナメントが

 

「そんな日に呼び出してごめんなさいねぇ。お詫びと言ってはなんだけど試合の様子、見る?」

 

「えっ、見れるんですか!?」

 

 

中継とかはしてない、そもそもさせてくれないはずだけど。

 

 

「ハロちゃん!」

 

『ハロ・ボンジュール・ハロ・ボンジュール』

 

 

橙色の球体みたいなのが転がってきた。顔のような物がついてるし…。

それの目が光り、上空に映像が映し出される。

そこにはアリーナの様子が映ってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

「終わりよ。強くはなってるけど、まだまだね」

 

 

目の前にはエネルギー切れでダウンした箒さん。

彼女は本当に強くなってるけど機体に頼りすぎてる。

 

 

「椿なら、負けはしない…」

 

「それが駄目なのよ。機体のせいにするようなあなたとの戦いなんて価値がないわ。オールカットよ」

 

 

さて、あっちは…。

 

 

「何、あれ…?」

 

 

私が知らない武装を構えた結人がいた。

 

 

 

 

 

 

 

コール。『アクセル・ハンマーS』。

自身の身長と同じ大きさのハンマーを両手で握り締める。

真っ白で所々に黒い線が引かれている長方形のヘッドをしたものだ。

 

 

「…ふざけてるのか。私にはAICがあるんだぞ」

 

「あぁ、だから?」

 

「まぁいい。終わりにしてやる!」

 

 

斬撃を避ける。ハンマーを振りかざし思いっきり叩きつける。

だが、右腕をかざしAICを使い止められる。

 

 

(来た、アクセル!)

 

 

ハンマーの叩きつけてるのとは逆の面からスラスターが四門飛び出す。

 

 

「はぁぁぁ!」

 

 

急な加速を抑えきれずハンマーの一撃はラウラの右腕を強打する。

そのまま吹き飛んで行くが、倒れることはなくその体勢を維持する。

絶対防御が発動しただろうし、右腕の装甲は所々が砕け素肌が露出してる。

 

 

「AICはもう効かないぞ、ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

「良いだろ。認めてやる。そして、教えてやろう私の全力を!!」

 

 

ラウラが眼帯へと手を掛ける。

 

 

戦いは続いていく。

 




オリジナル設定に関しての疑問は受け付けます。分かり易い説明ではないかもですが。
リリなのの方も読んでくださってる方はご存知かもしれませんが、3作目を創ってしまってました。
詳しくは活動報告をご覧下さい。


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タッグマッチ!―後編―

お久しぶりです。
スランプというか、単純に時間が取れないだけなのか全体的に制作が遅れている今日この頃。
とりあえず後編、どうぞ!


 

 

ハンマーを上段に構え、スラスターを点火させ接近し振り落とす。

眼帯へと手をかけていたラウラは、眼帯から手を離しワイヤーブレードを近くの壁へと2本刺し体を引っ張りあげるように回避する。

空中でワイヤーブレードを外し、落下しながらレーザーブレードで斬りかかってくる。

ハンマーを握っていた両手の内、片方を離しビームトンファーで対応し鍔迫り合う。

そしてもう片方の手でハンマーを回転させスラスター部を地面側へと動かす。

点火し、脚も使ってテコのように跳ね上げる。

横からの一撃を防ぎながら、距離を離す。

 

 

(やっぱりハンマーを警戒してるな)

 

当たれば大ダメージ、停めることも出来ない。さらには遠距離武装も破壊されてるんじゃあ当然か。

 

 

「――行くぞ」

 

 

突然ラウラが動きを止め、眼帯へと手を掛けた。

取り除かれた眼帯の下には綺麗な金色の瞳が―――

 

 

 

 

 

ズキリッ

 

 

 

 

「がぁっ!?」

 

突然の頭痛。ほんの一瞬だったけど、今のは…?

 

 

「くっ、なんだ、これは!」

 

 

よく見るとラウラも様子がおかしい。

片眼を抑えてフラついている。

お互いが動けずにいた状況を壊したのは横から飛来した一撃だった。

 

 

 

「今のうちにトドメを!」

 

 

瑠璃が放ったバズーカはラウラへと命中し、彼女を煙に包んだ。

確かに今がチャンスだ。

 

 

「はぁぁぁぁぁ!」

 

 

スラスターを全開。滑るように接近し、消えてきた煙の中、その中心部にいるラウラの前へとたどり着く。

そして、下から上へとアッパーのように振り上げる。

直撃を受けラウラは宙に浮いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、負けるのか…

 

(負けるのさ)

 

教官の前で…

 

(そう、教官の前で)

 

教官の弟でもない男に

 

(そう、あなたが弱いから)

 

(失望されちゃうかもね、教官に)

 

…嫌だ!勝つんだ、あの頃に戻らないために。

 

(どうするの?いや、どうしたいの?)

 

力だ。力が欲しい。

 

比類なき最強の力が!

 

(いいよ、あげるよ)

 

 

『varukiri-tracesystem setup』

 

(比類なき最凶(・・)のチカラを)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結人くんの一撃が綺麗に入った。

良くやった!って、ガッツポーズしたいが来賓の前なので我慢する。

 

 

(ん?)

 

 

アナハイムの護衛が副社長と二言ほど交わして部屋を出て行った。

 

 

「織斑先生、ちょっと行ってきます」

 

「…気をつけろ」

 

 

後を追うために静かに部屋を出た。

 

彼女は、少しして見つかった。

人気のない廊下の隅の壁に寄りかかり何か話している。

 

 

(無線?何を)

 

 

そっと覗いていると、ゾクリと何かを感じた。

顔面目掛けて飛んできたナイフを避け、廊下へと転がり出る。

 

 

「盗み聞きとは感心できませんね、ロシア代表」

 

「あら、ごめんなさい。そんなつもりは無かったのだけれど」

 

「まぁ、いいでしょう。それでご用件は?」

改めて近くで見ると、私より年下、結人くん達くらいかしら。

 

「いえ、許可なく校内を歩かれるのは困るから注意に」

 

「それは失礼しました。すぐ戻ります」

 

「お話はもういいの?」

 

「えぇ、大したことない業務連絡ですから 」

 

 

そう言ってもとの部屋へと戻ろうと横を通り過ぎる彼女へと私はあることを告げた。

 

 

「 」

 

「…!!」

 

 

返答は、突きつけられた銃だった。

 

 

「もう少し周りに気をつけたほうがいいわ。読唇術が使える相手にはバレバレよ」

 

「迂闊でした。どうやら今日の私は調子が悪いようです」

 

「そう。なら今日1日ここで大人しく過ごしてればいいわ」

 

 

ISを即座に部分展開。それに気付いて放たれた銃弾をギリギリの所で防ぎ槍で銃を弾き落とす。

 

 

「事情聴取付きの個室でね」

 

 

彼女は、後ろへと飛び退くことで一閃した槍を回避する。

 

 

「お気遣いありがとうございます。ですが、私には」

 

 

片腕を部分展開し、灰色の装甲を纏う。

その手には一本のビームサーベル。

 

 

「まだ仕事がありますので」

 

 

誰にも知られぬ場所で、1つの戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地面へと落ちたラウラはピクリとも動かない。

やりすぎたかなぁ、なんて心配していたが見た感じ怪我はなさそうだ。

ひとまず何故か1箇所から動かない瑠璃の元へと行こうと背を向けた。

 

 

 

 

「グ、がァァぁァァaァァぁぁァァa」

 

 

直後、背後から聞こえた叫び声と膨大なエネルギー反応を感知した警報に驚き後ろを振り向く。

ラウラの体を黒い泥のようなモノが包み込んでいた。

そしてそれは複雑に動きながら1つの形を取った。

 

 

 

 

それは、一振の刀を持っていた。

 

 

 

それは、今よりも少し古いタイプのISだった。

 

 

 

それは、誰もが見たことのあるであろう姿だった。

 

 

 

 

「暮桜……?」

 

 

初代ブリュンヒルデ、織斑千冬。

彼女がモンドグロッソでその称号を手に入れた時の愛機。

二世代型IS 暮桜だった。

 

 

 

暮桜、否黒いISは瑠璃へと突っ込んで行った。

 

 

「瑠璃!そっちに……」

 

 

動こうとしない、いや動けないのか?

なんで…!?

 

 

 

 

(あぁ、もう嫌になるわ)

 

 

こちらへと向かってくる黒いISを見ながら考える。

 

 

(箒さんに近接戦で挑んだのが間違いかしら。限界時間(・・・・)を考えてやるべきだったわ)

 

 

機体は警告を鳴らしているが、動かせないのだから避けようもない。

絶対防御があるし死ぬことはないでしょう。

だからこそ、あえて一撃を受ける。

攻撃後に出来る一瞬の隙、そこにかける。

こちらへと向かってくる白い機体へと目を向ける。

 

 

(任せたわ)

 

 

目の前まで来た黒い機体が剣を振りかぶり横一閃に叩きつける。

 

 

「…!?」

 

身体は吹き飛ばされ、地面に倒れ込む。

同時に機体が解除された。

おかしい。何が起きた。

あんな一撃で機体が解ける訳が無い。

それに痛みこそないが、片目を覆うのは出血。

視界に入る腕、丁度斬られた側からも血が流れている。

 

 

(防御を抜いた?そんなの零落白夜くらいしか…ううん。違う。あの感じは)

 

 

黒い機体が迫る。

ほんの一瞬のことが長く感じる。

 

 

(まさか、そういうこと?だとすると、バックには……!)

 

 

振り下ろされる刃を視界に収めつつ、思考は進む。

そして、その一撃は

 

 

ズガンッ、という音と共に機体ごと消えた。

 

 

新たに視界を埋め尽くすのは白と赤。

2本のツノ。

 

 

「瑠璃、大丈夫か!?」

 

 

信頼できる協力者の声が聞こえたと同時に私の意識は途切れた。

 

 

 

 




お知らせとして、受験が終わる来年の3月まで投稿速度がかなり落ちる恐れがあります。
けど、終わらせずに勝手に消えることはないのでこれからもよろしくお願い致します。


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タッグマッチ!―結―

お久しぶりです。
とりあえずノルマ(?)の1ヶ月に1話投稿はできました。
では、どうぞ!


 

任意でのデストロイモード。

なんか、変な感じだ。

身体は心做しか軽いし、思考もクリアだし、自分が自分じゃないみたいだ。

改めて前を見つめる。

そこには殴り飛ばして、体勢を整えた黒いのがいる。

 

 

(はじめての意識してのこの状態。どこまでやれる?)

 

 

相手は剣を、こちらは拳を構え睨みあう。

相手が動くタイミングに合わせて飛び出す。

 

 

「「……………………」」

 

 

しばらく続く沈黙、そして、

 

 

「…!」

 

 

相手が一歩を踏み出し…消えた!?

 

 

瞬時加速(イグニッションブースト)!?)

 

 

ヤバイ!?と思ったのもつかの間、身体が勝手に、いや、そこに置けというかのように右腕を突き出した。

 

 

 

 

 

メキョリという変な音を鳴らしながら吹き飛ばされる黒いのがいた。

 

 

 

 

 

「はっ?」

 

 

突き出した腕へと吸い込まれるように突っ込んで来た奴は空中へと逃げた。

え、何が起きたの?

動揺してる内にも敵は動き出す。

再び瞬時加速(イグニッションブースト)をするが、今度はその入りを見ていた。

 

 

(…!そこだ)

 

 

右後ろへと回し蹴りを放つと敵の右肩に直撃した。

少し吹き飛ばされながらも距離を取り剣を構えてくる。

 

 

(追える…みたいだな。ちゃんと見てればどこへ来るかも大体わかる)

 

 

これがデストロイモードの性能とでもいうのだろうか。問題があるとすれば、奴の攻撃。瑠璃の機体が一瞬で解かれた所から零落白夜に似た何か、いや、あの刀が雪片だとしたら同じ零落白夜か。

当たれば終わりと考えた方がいいだろう。

 

 

(避け続けても不利は変わらないかな)

 

 

ならば、と攻勢に出る。武装は一つを除いて潰され、頼みのハンマーは投げ捨ててきた。

だが、アリーナの中央付近にある。

 

 

「行くぞ」

 

 

機体を加速させ、黒いの目掛けて突撃する。迎え撃つように片手で剣を横に振るが、その腕を踏み台にし、飛び越える。

すぐに反応して振り返りざまに放たれた一閃が、腰ギリギリを通るのを感じながらハンマー目掛けて進む。

後ろから追いかけて来てるだろう。だが、こっちのほうが速い!

 

 

(もう、届く!)

 

 

だか、伸ばした手はあと一歩の所で止まった。

不審に思うと、脚へと違和感。

そして、強い力で後ろへと引っ張られた。

引っ張られながら後ろを見ると、片手に剣を、片手にワイヤーを握っていた。

 

 

(さっきの背後への一閃の時に、足にワイヤーブレードを!?)

 

 

驚くべきはユニコーンの加速をも無視して引き寄せる馬鹿力。

背中から黒いのに接近していき、やつの刀に背中を斬りつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

試合を見始めて数分はまともな試合だった。隣の一夏も笑顔が見えた。

けど、ボーデヴィッヒさんの機体が変化してからは両手を握り締め俯いたままだ。

無理もない、彼女の姿は彼のお姉さんである織斑先生の現役の機体。暮桜に酷似していたのだから。

何か思う所があるのだろう。

映像の中で状況が動いた。

結人の機体がボーデヴィッヒさんの一撃をくらい壁際まで飛ばされた。

 

 

「結人!」

 

 

思わず叫んでしまったが、ここからじゃどうしようもない。

焦る僕を横目に一夏が、突然笑い出した。

 

 

「フッ、ハハハ…あぁ、そうだよな」

 

「い、一夏?結人が…」

 

「わかってる。正直あの場所に行ってあの偽物を殴り飛ばしてやりたいよ。けど、」

 

「けど?」

 

「それはもう結人に頼んできた。だからあいつは負けない。そう信じてるから託してきたんだ」

 

 

それはボーデヴィッヒさんとの試合のことだろうか。確かにそんな会話をしたとは聞いたけど、そんな理由で。

 

 

「見てようぜ、あいつならきっと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……痛い。

けど、それだけだ。あ、いやシールドエネルギーが減ってる。とは言ってもこの量だと普通に絶対防御抜かれた時のダメージクラスのものだ。

 

 

(解除されるほどの威力はない。常時発動ってわけじゃないのか?)

 

 

とりあえず壁にぶつかって倒れたままだった身体を起こす。

アリーナの中央には黒い奴がいた。

その周囲には包囲するように現れたラファールを纏う教師陣がいた。

一人が合図を出すと、全員が一斉射撃を始めた。

だが、その射撃は黒いのから発生したフィールド…?みたいなモノに消され、さらにそれに触れた機体は吹き飛ばされてく。

 

 

『―聞こえ―か、結――ん!』

 

「ん?」

 

『結人くん、聞こえてますか!?』

 

 

山田先生?

 

 

「はい、聞こえてます」

 

『良かった、ずっと繋がらなくて』

 

 

繋がらない?そういえば、確かに。

 

 

『結人、よく聞きなさい』

 

「瑠璃!避難できたのか?」

 

『あなたが引き付けてくれてる間に箒さんに助けてもらってね。それよりも目の前に彼女がいるわね』

 

「あぁ」

 

 

黒いフィールドみたいなものの中央に立ったままだ。

 

 

『それは恐らくサイコフィールドと呼ばれる現象よ』

 

「どうにか出来ないか?近づいていいのかわからないんだが」

 

『残念ながらあの現象についてはデータが少ないのよ。けど、方法は無くはない。ユニコーンもサイコフィールドを張るのよ』

 

「…ちなみにどうやって?」

 

『ノリで 』

 

「ノリで!?」

 

 

なんて無茶なことを。

そんな軽い感じで出来ないだろうに。

 

 

『イメージしてみて、その機体はそれに応えてくれる』

 

「イメージ…イメージ…」

 

 

身体から放出する感じか?

目をつむり、全身から何かを放つイメージを………。

 

 

「あっ、出来た?」

 

 

身体をうっすらと赤い光の膜のようなものが包んでいた。

多分これで成功のはず。

 

 

『とりあえずそれでいいわ。じゃあ、彼女にそのまま近づいて』

 

 

背中のバックパックが先ほどの一撃でやられておりゆっくりとしか進めないが、あっちも何故か動かない。

そしてサイコフィールド目前まで来た。

 

 

「よし、行くぞ」

 

 

気合いを、入れて踏み込む。

ビリっという感覚と、

 

 

 

 

 

 

イヤダヤメロコロセウルサイツブセヤメロサイキョウキエロデキソコナイキョウカンヤメテクレオリムラドイツウルサイツブセ

イヤダヤメロコロセウルサイツブセヤメロサイキョウキエロデキソコナイキョウカンヤメテクレオリムラドイツウルサイツブセ

イヤダヤメロコロセウルサイツブセヤメロサイキョウキエロデキソコナイキョウカンヤメテクレオリムラドイツウルサイツブセ

 

 

「あ、ぐっ、あぁ…」

 

 

頭の中に流れてくる呪詛、いや悲鳴?と断片的な映像。

それらが延々と流れ、視界が歪む。

その中で見えたモニターのIS-Dの文字が赤から灰色へ変わっていく。

 

 

(…………………)

 

 

誰かの声が聞こえたと同時に意識が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―孤独だった―

 

―落ちこぼれと罵られた―

 

―周り全てが敵だった―

 

―どんなに頑張っても変わらない―

 

―退屈で忌々しい世界―

 

―けど、あの人が来て変わった―

 

―あの人は私を強くしてくれた―

 

―あの人が私の世界を変えてくれた―

 

―あの人には弟がいるらしい―

 

―その緩んだ顔はなんですか―

 

―私が憧れるあなたはそんなのじゃない―

 

 

 

―負けるのか、私は―

 

―いや、まだだ!あの人のような強さを―

 

 

―違う、私が望んだのはこんな力じゃない―

 

―教官、誰か…―

 

 

 

 

 

 

 

 

―たすけて―

 

 

 

 

 

 

 

眩い光を感じながら目を開く。

モニターのIS-Dが灰色から赤へ、そして緑へと変化する。

それと同時に赤い光を放っていた装甲も鮮やかな緑へと変わる。

 

 

「……あの人あの人うるさいんだよ」

 

 

全身から放出される緑のオーラは瞬く間に黒いサイコフィールドを消滅させ、緑色のフィールドを新たに展開させる。

 

 

「お前は助けられたんだ。だけど、それはあの人に依存していい理由じゃない」

 

 

コール。空の右手に武器を呼び出す。

 

 

「他人に自分の理想を押し付けるな。

気に食わないからと初対面の奴を殴るな。

学園のルールはしっかり守れ」

 

 

武器が具現化していく。託された、任されたその重みを噛み締める。

 

 

「まだまだ言いたいことはたくさんある。だから、」

 

 

具現化したのは1振りの実体剣。

名前は『雪片弐型』。

その剣先を彼女へと向ける。

 

 

「必ず助ける!!」

 

 

加速をかける。

剣と剣がぶつかりアリーナに甲高い音を響かせる。

 

相手は後ろへと下がり、一気に距離を詰め直す。

繰り出される剣撃を全て弾き、時折カウンター気味に一撃を放つ。

 

(見える。見えている。全ての攻撃が先読みできる!)

 

 

弾く、逸らす、弾く、返す、逸らす、弾く……。

 

永遠と続きかねない攻防に痺れを切らしたのか、被弾覚悟と言わんばかりに上段に構え、両手で握り締めた剣を振り下ろしてくる。

最大の一撃。

それを察知していた俺は、雪片を両手で握り締め、下からすくい上げるように振り上げる。

 

上と下から放たれたそれぞれの一撃はぶつかり合い、たった一瞬の衝突で相手の剣が砕けた。

 

 

そのままの状態振り上げた剣を、目前の敵に対して全力を込めて振り下ろす。

 

黒い表面が裂け、中から銀髪の少女が外へと倒れ込んでくる。

彼女をしっかりと受け止める。

 

 

「今日のところは勘弁してやる、か……」

 

 

そしてそのまま、意識を失った。

 

 

 

 

 




次で後日談、もとい2巻エピローグをやってオリジナル7割の3巻のお話に入ります。

感想、アドバイス頂けますとありがたいです。
質問などもどうぞ。

ではまた次回。


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疑問と悩みと動く者

お久しぶりです。
長いこと時間を空けてしまいました。

TV版ユニコーン…ネタバレ率高くないですか?


と、まぁ、久しぶりなので変な箇所あるかもしれませんがどうぞ!


「ん……見慣れた天井だ」

 

 

なんかIS-Dを使うと毎回ここに来ている気がする。

医務室のベットで目を覚ました俺は、とりあえず身体を起こしてベットの横の棚に置かれた上着から携帯を取り出す。

 

 

「ざっと半日ってところかな。大分寝たんだな」

 

 

医務室内には誰もいないみたいだが、書置きでも残せばいいかと思い、紙とペンを探しに行こうとするとドアの開く音がした。

 

 

「あっ……」

 

「簪……?」

 

 

ラップに包まれた食事を持ちながら、制服の簪がいた。

 

 

「具合…どう?あっ、…夕飯、これ。学食のだけど…」

 

「おっ、ありがとう。身体は何ともないかな」

 

おにぎりなど、簡単に食べられる物が盛り付けられた皿を受け取る。

 

 

「今は?」

 

「今は夕方…トーナメントは中止だけど、データを取るために…後日1回戦だけは全てやるって」

 

「ラウラは?」

 

 

「ボーデヴィッヒさんは…先に回復して部屋に戻ったんじゃないかな…」

 

「そっか」

 

 

良かった。やり過ぎたかと思った。あの時、なんかハイテンションになってたような気がするからなぁ。

 

 

「……話変わるんだけど」

 

「ん?」

 

「次の休みって……暇?」

 

 

休みの日?確か………何も無いな。

 

 

「あぁ、暇」

 

「な、なら!……その」

 

 

突然声を張り上げるからビクッとしたけど、すぐに小さくなった。

 

 

「………か、かきゅ!」

 

「かきゅ?」

 

 

嚙んだ、と思いながらも顔を真っ赤にさせる簪が可愛いのであえて聞き返すだけにしておく。

 

 

「か、か、か、か、」

 

「か?」

 

 

身体をプルプルしながら俯き、急に立ち上がると、

 

 

「…買い物…行かないぃぃぃぃ!」

 

 

叫びながら医務室を出て行ってしまった。

 

 

「え、えぇぇ!?」

 

 

「 行かない?」 なのか 「いかない」 なのか。いや、前者なんだろうけど。

 

 

「後で、メールしとくか」

 

 

勿論OKの返事を。

なんか恥ずかしがってたけど、友達誘ったことがないのだろうか?

まぁ、あの様子じゃ部屋で直接言うのもなんか困らせそうだし。

 

 

「なんか簪が叫びながら出ていったけど」

 

「あっ、瑠璃」

 

 

ひょっこりと現れた瑠璃は、不思議そうな顔をしながら、医務室に入ってきた。

 

 

「目薬使ってる?眼、赤いわよ」

 

「前も言われたなぁ。そんなに?」

 

 

うん、と頷きながら簪が座ってた椅子に座る。

 

 

「あ、丁度良かった。聞きたいことがあったんだ」

 

「なに?」

 

 

 

 

 

「ガンダムって、何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まさかこんな事になるとはな)

 

 

トーナメント中に起きた私の機体に仕組まれていたシステムの暴走。

VT(ヴァルキリー・トレース)システム』

過去のモンドグロッソ優勝者の戦闘方法をデータ化し、そのまま再現、実行するというシステム。

 

それによって暴走した私は橘 結人により鎮圧された。

シュヴァルツェア・レーゲンは、液体みたいな状態になってしまったがコアは回収した。

 

 

意識を取り戻した私を待っていたのは教官だった。

 

 

「私は誰か、か」

 

 

教官が私へとした問いかけ。

それが今の私の頭の中を占めていた。

 

 

「私は………教官ではない」

 

 

それはわかっている。

あの人への執着、それは私の勝手な憧れだった。こうでなくてはならない。そんな自分の想像だった。神格化し過ぎていたのだ。

 

それはもういい。尊敬する人である事に変わりはない。あの人はあの人だ。

 

 

 

「だが……………私は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、ラウラ・ボーデヴィッヒでいいのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「順調、順調♪」

 

 

複数のモニターしかない部屋で少女は上機嫌な声を上げる。

その家の1つが画面を変え、1人の女性を映す。

 

 

『ご命令通りアメリカへと例の装備は送りました。試験日時も通達し、了承を得てます』

 

 

「りょーかい♪ありがとねー」

 

 

画面は元に戻り、ついには鼻歌まで歌い出した少女は、ポツリと呟く。

 

 

「次は臨海学校、無事に終わるといいね。瑠璃」

 

 

 

 

 

 




これで2巻は終了です。
次から3巻。臨海学校編に移ります。
7割オリジナルになりますが、流れ自体は原作通りです。

変だなぁと思ったところあればご指摘下さい。
感想、コメントお待ちしております。


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レゾナンス 前編

あけましておめでとうございます(遅い)

半年以上時間を空けてしまいましたが、復活です。

三巻突入、よろしくお願いします。


ショッピングモール『レゾナンス』。

地元において、ここに無ければここら一帯全てにない、とまで言われる大規模なショッピングモールだ。

 

その駅の改札口で時間を気にしつつ待つ。

すると、時間の15分前に彼女は現れた。

 

「早いね…」

 

「そっちこそ。まだ15分はあるぞ?」

 

「楽し…コホン、待たせたら…悪いかなって…」

 

「こっちもそう考えて早めに来た。じゃあ、少し早いが行くか…簪」

 

「うん」

 

 

簪に誘われての買い物に来ていた。

 

 

 

 

 

 

 

その物陰には………。

 

「いい雰囲気ね……」

 

「かんちゃん、がんばれー」

 

 

こっそりとのぞき込む布仏姉妹。そして、

 

「ブツブツ…ブツブツ…ブツブツ…」

 

何かしらの言語を呟きながら、睨みつけるかのように2人を目線で追う会長がいた。

 

 

「ほら、呪詛吐いてないで追いますよ」

 

「分かってるわ……手を出したらコロス」

 

 

 

「っ!?……なんか今、ゾッとした」

 

「風邪?」

 

「いや、違うと思うけど……」

 

 

臨海学校まであと1週間なのに、風邪なんて引いてられない。

 

 

「ところで今日の目当ては?」

 

「まずは…ア〇メイトかな」

 

 

同室ってこともあり、簪がアニメとか特撮好きなのは知ってる。

 

 

「了解。えっと、こっちか」

 

 

そうやって曲がり角を曲がろうとした時、

 

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

「いや、ちょっと…変な感じが…」

 

 

気のせいかな、と言ってまた歩き出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア・オルコットはその日、特に予定も無く過ごしていた。敢えて予定とするなら、間近に迫った臨海学校の準備を早めにすることと、今日帰ってくるという想い人を待つくらいだった。

 

 

「あら鈴さん、お出かけですか?」

 

 

彼女を見つけたのも偶々だった。荷造りが一段落して外の空気でも吸おうかと外に出てばったり、という感じだった。

 

 

「あぁ、セシリアじゃない……そうね、ちょっと出かけてくるわ」

 

「何かありまして?」

 

 

彼女の纏うオーラは明らかに不機嫌、それを感じさせるものだった。

 

 

「弾って、地元の一夏と私の友達から連絡あってね、一夏が今レゾナンスにいるって」

 

「まぁ!一夏さん帰ってらっしゃったのですね!」

 

 

何処に行ってたかは定かではないが、遠くに行っていたという。

しかし、それだけでここまで不機嫌になるだろうか?

その疑問を解消するように、目の前の彼女は、片手に握っていた携帯の画面を向ける。

 

「えぇ。で、その連絡がね『女』と『2人』でいるらしいのよ」

 

「……鈴さん、私も付いて行ってよろしくて?」

 

 

そこに写っていたのは、後ろ姿ではあるが横に話しかけ、横顔が見えている一夏と、金髪の女性が腕を組んでいる姿だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

篠ノ之箒は困惑していた。

 

「えっと、織斑先生」

 

「今はプライベートだ。いつも通りでいいぞ」

 

「…では、千冬さん。外に出るのは良いんですが何故私まで?」

 

「いつまでもウジウジしてるから、私が頼んだのよ」

 

 

そう答えたのは瑠璃。日傘を差しながら後ろを付いて来ている。

 

 

「連れ出そうと思って織斑先生に聞いたら、引率として来るって」

 

「上からの指示もあってな。篠ノ之の人間を外に出すのは危険、それも2人もとなると尚更な」

 

「なので、織斑先生の他に追加の引率として私も来たんです!」

 

 

なるほど…って、そうではなく!

 

 

「何故外に連れ出したか、でしょう?」

 

「そうだ。私はウジウジしてなど」

 

「はいはい、目的地着いたら教えてあげますよ」

 

「……ところで何処に行くんだ?」

 

「レゾナンスよ」

 




感想、アドバイスお待ちしております。

久しぶりに書くと簪の口調が………。


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レゾナンス 中編

どうもお久しぶりです、ええ、本当に。
ようやく出来ました。

ギリギリ平成間に合った…


「このフロアみたいだな」

 

 

各階に置かれたマップを確認しながら進むこと数分。ようやくお目当ての店のフロアへと来た。

さすがレゾナンスとでも言うべきか。広い上に店舗が多く、さらに人混みも多い。

 

 

「うん…あっちかな…」

 

「よし、じゃあ行くか」

 

 

そうして踏み出した際に、簪が人にぶつかってよろけた。

「あっ」

 

「よっ、と」

 

 

咄嗟に手を伸ばし倒れない様に抱きとめる。って、往来で何やってんだろう。

すぐさま起こし、腕を離す。

 

 

「大丈夫か?」

 

「う、うん……」

 

 

ふむ、このフロアは特に人混みが多いみたいだな。水着売り場が集中してるからだろうとは思うが。

こういう時、あのタラシ(一 夏)はどうしてたかな。確か蘭に…。

 

 

「危ないしこうしとくか」

 

「……ふぇっ?えっ?」

 

 

手を握ってみた。こうしとけば離れない。倒れそうになってもすぐ起こせるだろう。しっかりと指と指を絡ませる様に(・・・・・・・・・・)繋いだ。

顔を赤くしてるのは男と手を繋いでるからだろう。我慢してもらおう。自分もそこそこ恥ずかしいのだから。

 

 

《……ロス……》

 

 

「うぉっ!?」

 

 

どこからか殺気…みたいなものが……

 

 

「…どうかした?」

 

「いや、なんか……って簪もどうした?」

 

 

さっきまで赤くして顔をうつむけてた簪の表情は、驚くほど冷静になっていた。

 

 

「何でもないよ、行こ」

 

「あ、あぁ……」

 

 

 

疑問を残したまま目的地へと向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わぁ…」

 

 

目の前でパフェを目の前に目を輝かせるこの人は本当に年上なのだろうかと思わなくはない。

 

 

「山田先生……」

 

「はっ!?」

 

 

織斑先生…じゃなくて千冬さんの言葉で正気に戻ったようだ。

レゾナンスの飲食スペース、そのうちの喫茶店の1つで私達はすこし早めの昼食とすることにした。

そして今はデザートタイムとでもいうべきか、もっとも頼んだのは山田先生だけだったりするが。

 

 

「む、すまんな。少し席を立つ」

 

 

何か連絡が来たのか携帯端末を持って席を離れていく千冬さん。そのほんの少し後に山田先生も離れていく。

 

 

「……ようやく2人きりね」

 

「あぁ、聞かせてもらおうか。私がウジウジしてるなど…」

 

「してるわよ、椿を回収(・・・・)してから」

 

 

目線を逸らした。図星よね。椿は先日色々あって回収した。

 

 

「はっきり言ってあげる。あなたに持たせておくのは危険だと判断したわ」

 

「なっ!?」

 

「周りが専用機持ちだってことも原因だとは思うけど、今のあなたは力を欲し過ぎてる。そんな状態で椿を預けたら力に酔って何かしらやらかすわ」

 

「そんなことはっ!」

 

 

「何を騒いでいる」

 

 

と、千冬さんが戻って来たようだ。

 

 

「続きはまた今度にしましょう?」

 

「くっ!」

 

 

睨みつけてくるが、気にしない。伝票を取ってレジへ向かおうとすると、横から掠め取られた。

大人組で払うという事だろう。

 

「あまり篠ノ之にプレッシャーをかけるな」

 

「わたし篠ノ之ですが?けど、千冬さんも分かっていると思いますが、彼女何処かでヘマしますよ」

 

「…………」

 

「シスコンの母さんが、専用機送るのをちょっと躊躇ってるくらいですからね」

 

「はぁ……程々にな」

 

 

 

 

 

 

 

目的地へと着き、店内をしばらく物色した後、簪はレジへと向かった。

俺は店外へと先に出て、待つことにした。

 

 

「ん…?」

 

 

またこの感じだ。

けど、さっきより何となく強い?

少しだけ店先から離れて歩くと、

 

 

「「あっ」」

 

 

曲がり角から、何かを探すようにキョロキョロしてた銀髪の少女、ラウラと遭遇した。

 

 

 

 




感想、アドバイスお待ちしております。


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