ぼっちの黒春学生Life ~青春?恋?そんなものは残像だ~ (村六分)
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プロローグ1

ぐああああああああああ!リア充め!弾けてまざれ!っへきたねえ花火だぜ!

……。勢いで書いてしもうた…。



 世の中とは理不尽に満ちている。

 

 私ごとうp主をモデルとした深淵の闇に眠れし孤高の騎士(ぼっち)、佐藤深海は常日頃からそう思う。

 

 海の様に深い心の持ち主になってもらいたいという両親の嘆願の元頂いたこの名前だが、現実はそう甘くないのである。

 

 どこから説明したら良いか分からないが、とりあえず簡単に俺の人物像を語っていこうではないか。

 

 先程書いたように名前は、佐藤深海。ある意味3Kの持ち主だ。

 

 お察しの方もいるかも知れないがKとは高身長、高収入、高学歴ではない。

 

 ではなにかというとーー。

 

 Kーー、キモい。

 Kーー、クサイ。

 Kーー、嫌われもの。 

 

 以上。いや、異常だ。

 

 それ故に日々日頃から理不尽なぼっちLifeを謳歌させられている。

 

 具体的に例を挙げるならば挨拶の様に「キモイ」や「死ね」「近寄らないで」と真剣な顔で言われたり、体育の授業の為に体操服に着替えようとすると女子更衣室があるにも関わらずに教室で着替える女子生徒に俺だけ追い出されてしまったり、文化祭の仕事を押し付けられたりなど切りがないだろう。

 

 原因は幾つも考えられるが一番大きいのはそんなキモイ雰囲気を常時醸し出しているからか。運動音痴な上不器用で頭が固いからか。何れにしてもこんなめんどくさそうな人間と関わりたいという人はギザ十並みに希少である。

 

 ならどうしてこんなに辛い目にあっている

のに意地でも学校に来ているのか疑問に感じるかい?進学したい学校への合格率が高いことやくそ真面目に今までめげずに登校してきた勲章である皆勤賞が惜しいということもあるけれども……ーー。

 

「ふふふ……」

 

 誰もいなくなった昇降口で一人の童貞が薄気味悪く笑みを浮かべる。その手には一通のハートマークのシールが貼られた便箋が握られてた。

 

「はははは……」

 

 そう。遂にやって来たのです皆さん!一生童貞を約束されたようなある意味神に選ばれた男にもやって来たのです!

 

「キタアアアアアアア!ラブレターアアアアアアアア!モテ期到来ってかああああ!いいね~!いいね~!さいっこーだねぇえ~!」

 

 キョロキョロと周囲を見渡し人がいないことを確かめる。誰かに見つからないよう急いで封筒を開く。すると女子特有の可愛らしい丸文字で『4月1日中央公園の噴水前で待ってます』と書かれている。

 

 来ましたあ!やはり天は我を見放していなかった。人は人生に2度モテ期は訪れると考えられている。所詮こんなのはスイートリア充(笑)の戯れ言だとたかをくくっていたが強ちそんなことはないようだ。ありがとう!恋の神様!

 

「さて、そうと決まれば準備をせねば……。今日は終業式だから4月1日までは2週間ってとこだな……」

 

 人生一成一大……、いや二成二大のチャンスこれを逃したらいつ次が来るか分かったもんじゃない。ひょっとしたらこの機を見逃して次が来てもその次も駄目かもしれない……ーー。

 

 そうだ。やれることは全て尽くそう。何かのためと必死に貯めた豚の貯金箱のお金を贅沢に使って美容院行って髪をセットしたり、服を新調したりとやることは山ほどだ。

 

 思い立ったが吉日と俺は興奮した勢いに乗って全力疾走で帰路へと向かう。

 

「待ってろよお!マイワイフ!!!漢、佐藤深海男を磨いて参ります!!!」

 

 顔も知らぬ将来の妻に向かって愛を叫び走る俺の姿は恐らく端から見れば異常な光景だったろう。それでも俺は走る。何故って?それは俺を呼ぶ声がするからさ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

……

 

「由美子ー。あんたのいった通りアイツまんまと乗せられてんの!マジウケル~」

「真由美でしょー!あの異常に嬉しそうな顔マジキモイっての。ははははは!!」

 

 二人の小悪魔が俺が走り去ったあと一連の行動を思い出して嗤う。確かに自分達の思惑通りに事が進んだのだから面白くないはずがない。獲物が引っ掛からない釣りほどつまらないものはないように。

 

 この時俺は人生最大にして最悪の黒歴史を新年度早々に打ち立てるとは微塵も思ってなかった。

 




※これはノンフィクションを元にしたフィクションです


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プロローグ2

二創作じゃないから見本となる原作ないでこっちのオリジナル作品のこっちの方が書くの難しいなあー


「遂にこの時が来るとはな……」

 

 俺はトンカチを片手に握りしめ感慨深い瞳で小学生の頃から家事の手伝いやお年玉を少しずつ貯めていった豚の貯金箱ーートンちゃんを見つめる。

 

 こいつとは長い付き合いだった。出会いは小学生1年生の時の誕生日父さんがプレゼントに買ってくれた時だ。始めは原寸大の豚の貯金箱など愛らしい見た目に反してなんて凶悪なんだと項垂れたもんだ。というか親は一体どれだけ俺に貯金をさせたがってたんだ……。小さい頃の事だからあんまり覚えてない。まあ、どうしようもない理由だった気が……。

 

「お兄ちゃん一体何してんの。超不気味なんだけど……」

 

 っとどうでもいいことに思考を巡らせていると目の前になんとまあ可愛らしい女の子がいるではありませんか。我が愛しの妹美紀その人である。一応言っておくが連れ子にお兄ちゃんプレイを要求している訳ではないからね……。ホントだからね!

 

「まあ、色々あってトンちゃんとそろそろお別れしようかと考えていた所だ」

「えっ!お兄ちゃんがあんなに大事にしてたこれを!一体なんがあったのさね!」

「ッフ。まだお子ちゃまにはちとスパイスが効きすぎてるから辞めておくのが身の為だぜ」

 

 キメ顔で腕組みをする。

 

「あーそうゆう無駄なカッコつけどうでもいいから。さっさと話してみそー」

 

 とのことです。美紀ちゃん最近なんかお兄ちゃんに冷たいなー。お兄ちゃんなんか寂しいでござる。まあなんやかんやで話しちゃうんですが。

 

「ざっくり言うと、モテ期がきた」

 

「えっ……」

 

 俺がそう言った途端、美紀がフリーズした。なんか有り得ない物を目の前にしているかのよう。

 

「えっと……。聞き間違えかもしんないからもう一回言ってくんない?」

 

「だからモテ期が来たんだって!M・O・T・E・K・I。ほれ、ラブレターだって貰ったんだ」

 

 俺は自信気に美紀にラブレターを押し付ける。

 

「どれ……。拝見しようではないかね」

 

 美紀は桃色の手紙を顔に近づけてまじまじと鑑定をする。しばらく眺めてると「これは……」とか「いや、そんは筈は……」と唸る。

 

 ミーキティ……。一体どうしたというのだ?

 

「単刀直入に答えるとお兄ちゃん……」

 

 ゴクリ…。

 

「これ偽物だよ。おおよそお兄ちゃんのことよく思ってない人が書いたんじゃないかな?」

 

 な……なんですとおおおおお!?

 

「いいいいいいやミキティー。一体全体どしてそう考えるのでせうか?」

 

 衝撃の返答に驚きのあまり声が裏返ってしまった。落ち着けー。stay cooooooool!!

ヒッヒフー、ヒッヒフー。深呼吸、深呼吸。

これラマーズ呼吸法!おっと妊娠なんてしとらんな。俺は男やで。

 

「まずさ、宛名が無いのが怪しいのが1つ」

 

「うぐっ……。確かに、でもきっと照れて書けなかったんだよ!そうだ、そうに違いない。そうであってくれ」

 

「お兄ちゃん願望が含まれてるのは気のせいかな……。まあいっか。2つ目は極端に丸文字で書かれているのが怪しい」

 

「いやいや、女子は大抵丸文字やろう?」

 

 俺を経由して渡ってくる女子同士の文通なんかもそうだよね!あれ頻繁にくるから授業の邪魔なんだよなあ。

 

「甘い。甘すぎるぞお兄ちゃん。自称プロフェッショナルぼっちの名が聞いてあきれるぜ」

 

 何やら自信に満ちたどや顔で言う。

 

「なんだよ。丸文字=女子の字で合ってるんじゃないのか」

 

「温い……。そんなの女子に代筆させればいいだけの話でしょ。自称プロフェッショナルぼっちが聞いて呆れちゃうよもう」

 

 はあああっと盛大な溜め息をつく愛しのマイシスター。

 

「そんな……。俺は騙されてたるのか……?」

 

「うん、100%そう。前にもそんなことあったじゃんか」

 

「アレーミニオボエガアーリマセン」

 

 エセ外国人っぽく言ってみたり。

 

「覚えてないって言うなら私が懇切丁寧に思い出させてあげるよ。あれは小学4年の……ーー『ストオオップ!』」

 

 美紀が語り出すのを間髪入れずに止める。このままでは俺が危ない。(精神的に)

 

「分かった……。一応その可能性も頭の隅に入れておくよ、美紀」

 

「最初からそう返事すればよかったものをねえー。手のかかる愚兄貴ですなあー」

 

「すまんねえ……」

 

 腑に落ちないがここは話を合わせておこう。でないと何時まで経っても本題に入れない。

 

「んで、相談したいことは偽造ラブレターの黒幕達の撃退方法と万が一リアルラブレターだったときの為のおめかしってところかね?」

 

「まあ、そんなとこ」

 

 前者は要らんが。

 

「トンちゃんにどれだけお金貯まってた?」

 

「ちっと待てまだ数えてるとこ」

 

「んじゃ。まずは精算から始めますかー」

 

 やるぞーおー!っと二人で気合いを入れ実物大の子豚の貯金箱に入った金額を精算するのであった。結果としては5万と少しといったところだ。いやー小銭ばっかで使いにくそう……。

 

 金額を踏まえた上でおめかし+偽造ラブレター対策に必要な物品をリストアップして明日隣町の某ショッピングモールに買い出しに行くことにしてその日は解散した。

 

 

 

 




次話いよいよ、告白タイム。
はてさて、偽造かはたまた本物かそれとも……ーー。


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プロローグ3

プロローグが何時まで経っても終わんないと思ったので長めに書きました。ではどうぞ。



早朝、俺は来る日に向けて準備を整える為に隣街のショッピングモールに向かうべく電車に揺られていた。

 

 その途中、膝の悪そうなお爺ちゃんが杖でギリギリ重心を保っていた。ここは紳士力の見せ所だと感じ柄にもなく席を立ち。

 

「お爺ちゃんよかったらどうぞ」

 

 と席を譲ろうと手を差し伸べたのだが……。

 

「…のか……」

 

「ん?」

 

 何やらぼそぼそ言っている。ははん?さてはシン樣の紳士パゥワーに感動して言葉を失うって……ーー。

 

「ワシを年寄り扱いするなあああああああああッッッ!!」

 

 お爺ちゃんは差し伸べた腕に肘打ちを放った!

 

「ごあああああああッッッ!?」

 

 クリティカルヒット!筋に入った!

 

 深海は12の肉体的ダメージ、9999999の精神的ダメージを受けたっ!

 

「全く、これだから最近の若い衆は!昭和の人間の気持ちがわかっとらん!いいか、ワシはまだ85じゃああああああ!足腰もピンピンしとるわい!」

 

 その割りには危うい体勢だったような気が……ーー。

 

「キッ!!」

 

 老人に余計な事を考えたのが悟られたのか鬼の形相もよろしくで睨む。ヒエエエエエエ怖い……。思わず内股になってしまう。

 

「今お前。このクソジジイうるせえなあとか思ったろう!?」

 

「いやいやそんな滅相もなーー」

 

「いいわけ無用じゃああああああ!」

 

 その後俺はやってもない思ってもない冤罪で延々と説教を喰らわされたのであった。

 

 そのせいで幾つも目的の駅から遠ざかってしまいショッピングモールに着いたのが結局お昼過ぎであった。乗り継ぎの料金も掛かったし本当最悪な出だしだ。あのじじい許すマジ。

 

………………………………

 

「はあやっと終わった……。乗り継ぎ料金のせいで飯も食えんかったしはよ帰りましょ……」

 

 あれから約束の日(意味深)の準備に服装、ヘアーカット、万が一偽造ラブレターだったときの対応策に秘密兵器の電子機器を買って貯金箱にあった金はもう底を尽きかけていた。まだ、帰りの電車賃があるだけ幸いだ全く。

 

 食事も無しに慣れない高級そうな店に行ったのだからもう精神的にも肉体的にもぼろぼろだ。

 

 まず、服屋。ユニ○ロやしま○ら以外のブランドの服屋なんてまず店のシャレオツな雰囲気からしてコミュ症の俺には敷居を跨ぐのすら辛い。だというのに、余計な気を使ってくれた店員が「何をお探しですか?」ってニカッとリア充スマイルをくれたもんだから非リアの俺は「あっ、えちょ……。これをお願いします!」ってマネキンが着ていたオサレグッツ一式買うことになってしもうた……。止めに自動ドアまでのお見送りわざわざ買ったものまで持っていく傍迷惑なサービス付きで。店を出てからも後ろを振り返ったら俺が見えなくなるまで深々頭下げてるし。真心もここまで来ると流石にドン引きである。

 

 次いで、美容院。普段は行き付けの床屋でおっちゃんに「何時もので」って言えば通じるが服屋同様にオサレ空間なここではそうは問屋が降りない。なんか洒落たパツキンのアンちゃんらの間に座らされて1時間以上待たされた。皆ファッション雑誌やスマホを片手に髪をイジイジしてカッコつけてて俺もの凄く場違いでした。やっと俺のターン!席に着いてから「5分の丸刈りで(キリッ)」と店員にお願いしたらなんか珍獣に遭遇したような表情をされた。なんか可哀想なってきて(主に俺)「やっぱ、お任せで……」と言い直した時の店員の安心仕切った顔に切なさを感じてしまった。だけども、百戦錬磨の孤高の学徒たる俺はその程度ではめげなかったのさ!衝撃シーンがこれだ。

 

「シャンプーと顔剃りどうしますか?」

 

 店員は問う。

 

「両方お願いします。シャンプーは炭酸水でね(キリッ)」

 

 俺は答えた。

 

 この時の俺は勝利を確信した。っふ!見たか、俺だってやればできんだ……ーー。

 

 しかし、現実はそう甘くなかった。

 

 何故か店員の表情は固まっていた。

 

 

 アレー?オッカシイナー?来んなハズジャナカッタノニー。

 

 余りのショックに心の中でエセ外国人風に呟くのであった。

 

……………………………………………

 

 結局、炭酸水は止めにしてカットが終わったら会計をそそくさと済まし足早に美容院を後にした。

 

 それから電気屋で秘密兵器を購入し今に至る。

 

 ん?秘密兵器は何かって?それを聞くのはやぶさかですぞ旦那~。秘密兵器は秘密であってこその兵器ですからな。

 

「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしています」

 

 お約束の台詞を背に店を出る。バスで駅まで行きたいところだったが懐が淋しい。歩いて行けない距離でもないから健康の為にも歩きますかなあ。

 

………………………………………………………

 

 徒歩20分やっとこさ駅に到着。春休みだからか近郊地域にしてはそこまで駅混み合っておらずスムーズに電車に乗車できた。

 

「あらーやっぱこうなるのね……」

 

 駅は混んでなくとも電車は満員であった。残念……。まだ、近くに可愛い女子高生でも入ればおっさんの加齢臭と中和されるのだが……ーー。

 

 そんなバカな事を考えていたら天使が舞い降りた。

 

「すいません……。ちょっと通ります……」

 

 控え目な姿勢で人混みをより分けて少しずつ移動していく少女。なんということだ。俺と肩が触れる位置までくるではないですか!これは……ーー。やっぱりモテ期かーー。いや、だが俺には既に…っ!んなわけないな。

 

 一瞬で高揚が冷めてしまう。よーく思い出せ。俺は厳つくおっさんみたいな顔してるから痴漢の犯罪者に置換されそうになったことが

しばしば……。この手の年頃女子は少し当たっただけで痴漢扱いする発情期だから細心の注意を払わないとサバンナの中のオワシスどころがーー。

 

 よし決めた。俺は荷物を背負い両手で吊り革を強く握りしめた。これで俺が痴漢に置換される可能性は減った。もしされても吊り革を握ってたから無理だと言い切れる。更に俺の手汗は常人のそれを優に越えているために吊り革がしっとり濡れて握っていた証拠になるのだ!どうだ!この完璧な痴漢置換対策。パーフェクトっ!

 

 それからずっと吊り革を握り締めて腕を上げていたため腕を吊ったのを我慢しながら目的地を待つのだった。

 

…………………………………………………………………

 

「あぁぁっ……」

 

 何やら少女から喘ぎ声が発せられる。念の為に言っておくが俺は何もしていない。人混みが邪魔で状況が分からないが何やら彼女の背後が怪しい。

 

 少女は尻の辺りを必死に抑えている。背伸びをしてみると小太りの中年が少女の桃の様な尻をまさぐっているのを発見。中年の手は徐々にスカートの中に伸びていく。少女はスカートを抑えて浸入を防ごうとするが男になにか囁かれるとビクンっと反応し抵抗が弱くなった。

 

 それを好機と思ったのか男は一気にスカートへと手を伸ばし……ーー。

 

 いかん!見惚れてる場合ではない。至急助けにいかんと少女の貞操がアカン!?

 

 中年男の元へ歩みを進めようとするが、途中で止まってしまう。

 

 ーー今朝みたいに大きなお世話かもしんない……。

 

 今朝の老人のような件もある。更に以前も痴漢の毒牙から助けに行ったことあるが、結局余計なお世話、大きなお世話だった。感謝どころが返ってくるのは罵倒か無視。世の中誰かがやらねばならないことは沢山ある。俺が毎度毎度その『誰か』である必要性はあるのだろうか?善意が悪意で返ってくる事に何の意味があるのだろうか?答えはどちらもノー。世の中何処かしらで歯車が合うようにうまく出来てるのだ。そう俺がやらなくとも『ヒーロー』は必ず現れる。

 

 だが。

 

 気に食わない。こんな密集したところだ。俺以外にも気付いてる輩はいる筈だ。だが、なぜ動かない?きっと自分以外の誰かが何とかしてくれるだろうと居もしない誰かに無責任な期待を寄せて自分達は安全な高みから傍観してる奴らがそれ容認している腐った世の中が気に食わない。昔から人は自分が最後には可愛いのだ。だから多少理不尽だったり、悲惨な事でも他に押し付けれる人間の本質だ。そのせいであの時、アイツも……ーー。

 

「大きなお世話、大いに結構。考える前に動けってか……」

 

 溜め息を1つして、痴漢男に近寄り腕を掴んだ。

 

「ひっひええ!?」

 

「おっさんなにやってんの?てか、ナニをやってたのか?」

 

「くっ、放せ。手を放せ!」

 

 男は掴まれた腕を振り払おうするが無駄だ。俺の握力は60kgだ。元柔道部なめんな。

 

「駅員さんこの人なんか変です!ちょっと来てください!」

 

 大声で叫ぶ。周囲もざわめき始める。これだけの目の中見られてんだ。もう詰みだおっさん。

 

『間もなくー○○○ですー』

 

 アナウンスが次の駅が近いことを知らせる。おっさんをそこにしょっぴいて後は駅員に任せて自慢のステルスぼっち(影の薄さ)でトンずらしようと思ったの矢先にーー。

 

 ツルッ。ガシッ、スルッ、ペッチン!

 

 この擬音4つで何が起こったのか想像できた素晴らしい。ズバリ、油断してたら手首の返しで拘束から痴漢男に逃げられてしまい、あろう事か俺の手が先程までの痴漢男の手の位置つまり少女のスカートの中に滑り込み更にパンツと肌のギリギリ境界線に手入り直に尻に触れてしまっいるのだ!

 

 故に。

 

「キャアアアアアアアアア!」

 

 平手打ちがクリティカルヒット!

 

「ここで捕まるかってんだ!」

 

 男が扉が開くと同時に走りだす。

 

「くそ待って!」

 

 俺もすかさず追跡しようとする。しかし。

 

「待って!君待って!お願いだから!」

 

 何故か少女が制止を求めてきた。

 

「でも、早くしないと逃げられちまう……。ごめん!」

 

 痴漢男の後を追おうとするがーー。

 

 ビリッ。何か繊維の破る音が聞こえた。

 

 音発生源を辿るべく後ろを振り返ると。

 

「Wow……」

 

 そこには、パンツを剥ぎ取られてスカートを涙目で必死に引っ張って隠そうとする銀髪の女子高生とその戦利品を高々握りしめた真の変態がいた……。いや、俺だそれは。

 

………………………………………………

 その後の展開は早かった。他の駅員が何やら強引に改札口を通ろうとしている男がいたため取り押さえて警察を呼び、無事逮捕されたようだ。

 

 俺も色々と聞かれたり罵られたりしたが、少女に反省の意を全身全霊の土下座で印したらなんとかお許しが貰えた。

 

 事情聴取がやっとこさ終わって解放されなりうきで少女と一緒に帰路へ。

 

「「………」」

 

 謎の沈黙。ヤバい、気まずい……。

 

「あの!」

 

「うっす……」

 

 折角あちらが沈黙を破ってくれたのに思いがけず薄い反応をしてしまう。

 

「えっと……。助けてくれてありがとうございました。バタバタしてて言うタイミング逃しちゃってやっと言えてよかったー」

 

 えへへー。とはにかむ少女。……、可愛すぎやろ惚れてまうやろ!

 

「いや、助けに言ったはいいけど変なとこ触ってしまった上にあろうことかパンツをーー」

 

「ああああああああああ!言わなくていいからぁ!なに言いたいかは察しがつくからそれ以上いわないで……。恥ずかしい……。」

 

 少女は朱色にほっぺを染めてスカートの裾を抑える。

 

「あ、ごめん!今ノーパn……」

 

「いやああああ!そうだよぉ!パンツ履いてないからスウスウして落ち着かないのぉ……!もうやだお家帰る……。いや、死のう死ぬしかない……」

 

「待て早まるなああああああ!」

 

 そんあこんながしばらく続き。

 

「落ち着ち着きました?」

 

「取り乱してごめんなさい……」

 

「こっちこそ、すいません……。じゃあ、邪魔者は早急に消えますので。では」

 

 そう言うと俺は足早にその場を去ろうとする。しかし、腕を何かに捕まれて阻まれる。

 

「待って!その……。何かお礼がしたいので連絡先教えてくれませんか?」

 

「なぬっ!?」

 

 ちょとまってお姉さん。悪意は無いとしても変な事をそれも一生のトラウマに成りかねないレベルの事をされたのにそれでも尚痴漢を撃退したお礼がしたいと……。

 

 女神…、いや天使だ。

 

 少女を改めて見ると外国人なのかスカイブルーの大きな瞳と雪のように白い肌と腰の辺りまである髪が特徴的だ。更に細過ぎず太過ぎない適度な肉付きの健康美な体格で美しい曲線を描いている。ようは、どこぞのアイドルといっても良いほどの容姿だ。

 

 そんな美少女とお近づきに成れる好機?

 

 だが。

 

「いやいや!お礼なんかいいっすよ。俺も役得だったからお相子ってことで。冴えない童貞に喜びをありがとう!サラダバーっ!」

 

 俺は腕を振り払って颯爽と去ってゆく。そうさ、彼女のようなリア充は俺みたいなのと関わっちゃ折角の青春の1ページが汚れちまう。これがベストなはず。

 

 と自分にい聞かせるのであったが、後に盛大に後悔してしまうのだろう。

 

 全くコミュ症は嫌である。

 

…………………………………

「行っちゃった……」

 

 なんかサラダバーを求めて恩人たる少年は風の如く去ってしまった。

 

「でも、この駅に降りたってことは近くに住んでるかもしんないし、また会えるかなぁ……」

 

 その時はちゃんと連絡先を聞いてお礼をするのだと決心するのであった。

 

 

 

 




書きたいことが多すぎで偽造ラブレターには入れませんでした。申し訳ない。プロローグは次かその次で終わるかな?
やっと本編が近づいてきたぜ!


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プロローグ4

あああーフラッシュバックする過去のトラウマがあああ!


さて、ついに時は満ちた。

 

 俺は、ラブレター(疑惑有り)が明記された場所である、中央公園の噴水広場で待機していた。

 

 だが、困ったことに時間が書かれていなかった。仕方がないので朝早くからスタンバってます。

 

「ブェクシュッン!ああ、花粉症には辛い時期だってのによー。はよ来んかいなあー。いや、誰かがモテ絶頂期の俺様に妬いて噂してるのだな!そうかそうか、そうに違いないの異論は認める」

 

 鼻の下を啜りながらそんなこんなを呟き続けることさらに半日が経った……。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「ソシテダレモイナクナッタ」

 

 日は暮れ、夕方に流れる切なげなメロディーが俺のHeart(ハート)を無遠慮にHurt(ハートゥ)する。公園にはお手て繋いでお家に帰る親と子供ばかり。

 

「美紀のいってた通りだった……」

 

 これでまた黒歴史が出来てしまった。やはりモテ期などそう都合よく訪れる筈がないのだ。そんなもの所詮はモテない男の懇願か在りもしない上っ面の恋愛(笑)好きの女子の作り話に過ぎない。

 

「帰ろう……。僕はもう疲れたよパトラッシュ……」

 

 今ならパトにラッシュされても後悔はない。いや、パトって誰だよおい。

 

 世界の終わりのような顔で帰路に着こうとする。恐らく周囲の奥様方が「見ちゃダメ変なのが移る!」って子供の目を手で覆い隠してるのは夢じゃないだろう。ああー、本当俺ってなんなんだー?

 

「クスス……」

 

 ピコーン!俺のぼっちレーダーが侮辱の嗤いをサーチ!どこかで聞き覚えがあるぞ。

 

 嗤い声の発生源を辿ると見知った……というひどではないが俺が認知している存在であった。

 

「お前ら……。」

 

「あっ、ヤバい」

 

 女子二人になんか何でこいつここにいんのって顔されたがそれはこっち台詞である。

 

 彼女らは数秒間アイコンタクトをする。すると、1つ頷きあって走り出した。

 

 んん?ヤバい。走って逃げ出す……。これは……。

 

「君らだったんだね!スウィートガールズ!?何怖がることはない。さあ、この胸に飛び込んでおいで子猫ちゃん達ッッッッ」

 

 捲し立てるように咆哮し、陸上部もかくやという速度のダッシュで彼女達をパヤパヤ追いかける。

 

「違うっつうのー!あんたなんかに興味あるわけないでしょ!キモいっ!追っかけてくんなああああ!」

 

「いやあああああああっっ!」

 

 絶叫する少女達。

 

「ハッハッハッハ!照れ隠しのつもりかなー。そんなツンツンしてるとこもキュートだよおおおおぉぉーーーー」

 

 完全に変態な俺。

 

 このカオスな鬼ごっこは彼女達の体力が尽きるまで続いた。はあ…はあ…。全然よゆー息なんか上がってない……よぅ……はぁ……。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「さあ、追い詰めたよマイハニー達?★」

 

「来ないで……。キモい……。有り得ない……」

 

「こんなことになるなら最初から辞めとけばyかった……」

 

 全くです。だが、もう遅い漢の純情を貶してくれた御代は高いのだ。

 

腐腐腐腐(フフフフ)……。さて、俺が魅力が眩し過ぎて逃げたんじゃないならどういうして逃げ出したのか詳しくOHANASHIしようではないかぁ~」

 

 含みのある笑みを浮かべ、嫌らしくゆっくりジワジワと一歩一歩噛み締める如く少女達に弄り寄ってゆく。

 

 距離が近づく都度に悲鳴を上げ、ブルブルと全身を震わせる。

 

 一歩。

 

 二歩。

 

 三歩……。

 

 あっという間に二人の眼前に迫る。

 

「さあ、年貢の納め時だよ?」

 

 一方の少女は完全に震えて涙目なまであるが、もう一方は激しく歯軋りをさせている。

 

 俺の様な底辺ぼっちにここまで追い詰められプライドが傷付いたのだろう。ざまー!

 

 苦い顔をしている少女が口を開く。

 

「あんたが全部悪いのよ!偽物のラブレター作ってあんたの下駄箱に入れて、反応見て遊んでたのよ。自分にモテ期が来てたなんて本気になってたあんたの姿はお笑いだったわー!滑稽なここの上ないわね!」

 

 滑稽……。あ、烏骨鶏かあれ美味しいよね……。

 

 俺は膝を着いて崩れてしまった。

 

 ああそうか……。それが少数民族ぼっちの定めなのか……。

 

「ぁ……」

 

「何なんか文句でもーー」

 

「フォワアアアアアアアアアア!!!」

 

 俺氏発狂しました。

 

 急に立ち上がると先程まで疲弊していたのが嘘のような全力疾走でその場を去る。

 

「嘘だ嘘だ嘘だあああああん!」

 

 顔を出し始めたお月様に向かって叫ぶ。

 

 月が照らすのは俺の傷心かはたまた二人の小悪魔か。ともあれ、佐藤深海の姿をその後見たものは春休みが明けるまでいなかった。




プロローグも次で終わり…かな?


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