電脳幻想郷 ーdigital fantasiaー (村正 ブレード)
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prologue 『digital/side』

 ーーー其れは、電脳からの救世主ーーー

  ーーー其れは、希望の始まりーーー


 ーーーなあ、■■■■。ーーーなんだ?■■■■。ーーー俺はさ、何時かこの世界で一番強い■■■■に成りたいんだ!ーーー……一番強い■■■■、か。成れると良いな、■■■■。ーーーお前は、何に成りたいんだ?■■■■。ーーー俺か?俺は……そうだな。お前が変わっちまわない様に、支えてやれる様な奴に成りたいな。ーーー支えてやれる奴?どういう事だ?■■■■。ーーーつまりは、お前が王様なら、俺は大臣って事だ。ーーー王様ねぇ……。俺は王様よりも騎士に成りたいな。そっちの方が、なんか格好いいし。ーーー騎士か。なら、お前じゃ無理だな。ーーーな、何でだよ!ーーー俺、知り合いに聞いたんだけどさ。騎士って、強いだけじゃ駄目らしいんだよな。ーーー強いだけじゃ駄目……か。何でなんだ?ーーー騎士ってのは、強いだけじゃ無くて、どんな時でも皆を守るって言える様な奴じゃ無いと。そうじゃない奴は、只の力の強いだけの■■■■らしい。ーーーどんな時でも、皆を守る…か。ーーーまあ、今のままじゃそれどころか、そこらの■■■■にすらもかなわないんだ。まずは、強くなる事だけ考えようぜ。ーーーそうだな。■■■■。なら、どっちが先に強くなれるか勝負だ!ーーーおう!負けねえぜ、■■■■!

 

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 此処は、『デジタルワールド』。『イグドラシル』が管理する、現実世界と隔絶された電脳世界。此処には『デジタルモンスター』、通称『デジモン』と呼ばれる者達が生きている。其処にあるとある場所に、一体のデジモンが居た。そのデジモンの名は『インペリアルドラモンパラディンモード』。その手には花束を持ち、そのすぐ前には『我が最大の友メタルグレイモン』と彫られた墓が有る。その墓は綺麗に掃除されていて、大切な物であると分かる。

 

 「……もう、お前が死んでから何年経ったか分からないな、メタルグレイモン。」

 

 インペリアルドラモンパラディンモードが呟く。その言葉には哀しみが籠もっており、心なしか声が震えているように感じる。手に持っていた花束を墓の前に置き、手を合わせ黙祷する。黙祷を解いたインペリアルドラモンパラディンモードはその場を立ち、そばに立て掛けてある『オメガブレード』を手に取る。そして、顔を後ろに振り向かせて、

 

 「…そろそろ行くよ。また、此処に来るからな。」

 

 そう呟く。其処には『『ロイヤルナイツ』団長としての』インペリアルドラモンパラディンモードではなく、『メタルグレイモンの友としての』インペリアルドラモンパラディンモードが居た。そして、頭を前に戻し、歩き出そうと足を前に出そうとした時、

 

 「グッ!」

 

 カランッ

 

 突然、インペリアルドラモンパラディンモードが胸を押さえる。手に持っていたオメガブレードを地に落とし、膝から崩れ落ちる。

 

 (何だ、この痛みは……。まるで、自分の存在が失われていく様な感じは……。……何だ?この音は……。)

 

 インペリアルドラモンパラディンモードの頭上から大きな音が聞こえる。インペリアルドラモンパラディンモードは音の正体を確かめるため、その痛みに耐えて、頭を上に向ける。すると其処には、驚きの光景が広がっていた。

 

 「!?何だこれは!デジタルワールドに、穴が開いている!?」

 

 インペリアルドラモンパラディンモードは痛みを忘れ、今の状況に驚いていた。それもそうだろう。今までデジタルワールドに穴が空くなど、今の今まで一度も無かったのだから。

 

 「何故、こんな物が……。………それよりも、一刻も早く、此処から離れなければっ。」

 

 落ちているオメガブレードを広い、胸を押さえ、オメガブレードを引きずりながらこの場を離れようとする。だが、それを拒むように穴がインペリアルドラモンパラディンモードを吸い込もうとする。

 

 「グオオッ!……こんな所で、死ぬわけには……。」

 

 穴に吸い込まれんとする様に、インペリアルドラモンパラディンモードが抗う。

 

 「グッ!?しまった!」

 

 吸い込まれんと夢中になる余り、周りを見ていなかったのか、足元の石に躓いてしまい、倒れてしまう。其れによって抵抗力を失ったインペリアルドラモンパラディンモードを穴が吸い込むのに、時間は掛からなかった。

 

 「グッ、グオオオオオオオオォォォォ………」

 

 インペリアルドラモンパラディンモードが穴に吸い込まれると同時に、其れまで開いていた穴が仕事を終えたかの様に閉じる。その場所にはメタルグレイモンの墓と、その墓に供えられた花束のみが残っているだけで、其処にインペリアルドラモンパラディンモードの姿は無かった。

 

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 同時刻、場所は変わって『幻想郷』。此処は、数多の魑魅魍魎が跋扈する、現実世界とも、デジタルワールドとも違う世界。其処にある『妖怪の山』に、特徴的な服を着た、一人の少女が何かから逃げる様に山を駆けていた。

 

 「ハァッ……ハァッ……」

 

 その少女の名は『東風谷早苗』。此処幻想郷に移り住んで来た、『守谷神社』の風祝だ。彼女が逃げていたものとは、

 

 「グオオオオオォォ!!」

 

 黒い体毛に身を包み、所々赤い傷が入っており、背中から緑色の鱗の様な物が生えていて、何処か恐竜に似た姿をした化け物だ。その恐竜の名は『ダークティラノモン』。本来ならば幻想郷に居る筈の無い、『デジモン』だ。ダークティラノモンは周りの木々をその巨体でなぎ倒しながら、一直線に早苗に向かって来る。

 

 「ハァッ…!ハァッ…!も、もう少しで、神社に……」

 

 神社に着けば、取り敢えずは安心だ、そう思って駆けていた早苗。もう少しでこの林を抜けて、守谷神社が見える筈。その思い通り、林を抜け出した早苗の目には守谷神社が写る。神社が見えて安心したのと、走り続けて周りが見えていなかったのだろう。早苗は小石に躓いて倒れてしまう。

 

 「キャッ!……す、直ぐに起きないと……痛っ。」

 

 先程足を挫いたのだろう。早苗は足を押さえながらも、直ぐに起き上がろうとする。だが、

 

 「グオオオオ!!『スラッシュネイル』!」

 

 ダークティラノモンがその巨大な爪でスラッシュネイルを早苗に向かって放つ。

 

 「あ……。」

 

 その時、早苗の頭に浮かんだのは『死』の一文字。その瞬間、早苗以外の物が遅く見えた。自らに襲いかかって来るダークティラノモン。そのダークティラノモンが放ったスラッシュネイル。そして、その周りの景色。

 

 (私、此処で死ぬのかな……。………嫌だ、嫌だよ、死にたくないよ、加奈子様、諏訪子様っ。)

 

 瞳を閉じる。それは、目の前に起きている事への恐怖故なのか。それとも、誰かが助けてくれると無意識に感じたからなのか。

 

 ヒュンッ

 

 早苗の直ぐ横に、風が通り抜けた……気がした。

 

 (……………あ、あれ?私生きてる?どうして………。)

 

 自身が死んでいないのが信じられなくて、その目を開ける。もしかしたら、自分はもう死んで、目を開けたら三途の川かも知れない。そんな思いでいた早苗の目に写った光景は、早苗の目を疑う様な光景だった。

 

 「……………。」

 「グッ、グオオオォォ!」

 

 スラッシュネイルを手に白い布をぐるぐる巻きにした剣で受け止めている、『人間』だった。

 

 「え……?」

 

 目の前の光景が信じられないのか、早苗は困惑の声を漏らす。それもそうだろう。今までスラッシュネイルを受け止める者など居なかったのだから。

 

 「……無事か?」

 

 スラッシュネイルを受け止めている青年が問う。その姿は、早苗よりも少し年上の感じだ。

 

 「!は、はいっ!」

 

 ハッとして、早苗がその問いに応える。その声には、少しの希望が感じられた。

 

 「そうか、ならば……。ハァッ!」

 「グオアッ!」

 「『デスペラードブラスター』!!」

 

 青年はその応えに安心したのか、安堵の声を漏らす。それと同時に青年はスラッシュネイルを押し返し、ダークティラノモンが仰け反って体制を崩している所に、青年の両腰に出現した重機関銃を弾幕の様にダークティラノモンに発砲する。

 

 ズダダダダダダダダダダッ!!!

 

 「グオオオオオオオォォォ!!」

 

 その銃弾は全てダークティラノモンを貫通し、ダークティラノモンは苦渋の叫びを上げ、後ずさりする。青年は、その隙を逃さまいと、

 

 「ハアァ!」

 

 シュルルルッ ズバアッ!

 

 白い布をほどき、その剣でダークティラノモンを縦に切り裂く。

 

 「グ、グオオオォォォォ………」

 

 ズドォン!  ガシャァァン!

 

 ダークティラノモンが倒れ、その直ぐ後に硝子が割れる様な音と同時に、ダークティラノモンが消滅した。

 

 「.........ーーーー。」

 

 青年が呟く。その呟きが誰かに聞こえる事は無く、風に呑まれて消えて行く。

 

 「…………ふぅ。」

 「…………………。」

 

 その後には、あまりのことに驚いて声を失っている早苗と、剣に白い布を巻きながら、早苗を見つめている青年が残っていたーーー




 時間軸

 東方project:原作(紺珠伝)終了後

 デジモン:『ロイヤルナイツ』結成後


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序章『幻想』

ーー電脳の守護者が幻想の世界で出会った者はーー

     ーー幻想である筈の河童ーー

 ーーこの出会いは、世界に一体何をもたらすーー


 此処は守谷神社階段前。謎の青年に助けられた早苗は、青年に『守谷神社に来ないか』と持ち掛ける。早苗が言うには『此処に居てはまた先程の様な怪物に襲われて仕舞うかも知れないし、何よりも先程助けていただいた御礼がしたい。』とのこと。青年は『礼は要らない。だが、其処に行けばひとまずの安全は確保出来そうだ。』とその持ち掛けに賛成する。守谷神社への階段を登っていると、早苗が青年に話を切り出す。

 

 「そうでした。まだ自己紹介をしていませんでしたね。私の名前は東風谷早苗と言います。ちなみに、早苗で結構ですよ。私は今から向かう守谷神社の風祝を勤めています。貴方は?」

 「……俺の名前は『パイルドラモン』だ。」

 「パイルドラモンさん……ですか。変わった名前何ですね。」

 「俺からすれば、お前……じゃなくて、早苗の名前の方が変だと思うけどな。」

 「む~。それってどういう意味ですか~?」

 

 二人がそんなたわいもない話をしていると、守谷神社の鳥居が見えてきた。二人は少しペースを早め、階段を登り切る。すると早苗が神社の前に行く。そして青年«パイルドラモン»の方に振り.返って、笑顔で言う。

 

 「ようこそ。守谷神社へ。」

 

 その笑顔に、青年«パイルドラモン»は違和感を感じた。無理に笑顔をしている様な、そんな、少しの違和感が。

 

 「……なあ、早苗。どうしてそんな――」

 

 『どうしてそんな顔をしているんだ。』と言葉を続けようとした青年«パイルドラモン»だが、その時、神社の奥から思わぬ来客が現れる。

 

 「お~い。早苗~。何処に居るんだ~?」

 

 神社の奥から現れたのは、『河城にとり』。彼女は早苗を探して神社から出てきた様だ。彼女は早苗を見付けると、此方にとたとたと走り寄って近付いて来る。

 

 「......早苗。彼女は?」

 

 パイルドラモンがにとりを見て早苗だけに聞こえる声で尋ねる。

 

 彼はにとりの声が聞こえた時から彼女の事を警戒しており、早苗に彼女の事を聞いたのも、彼女が危険かどうかを確かめる為だ。その証拠に彼は剣を直ぐにでも彼女に向かって振るえる状態だ。もし彼女が危険だと早苗が答えれば、その瞬間に刃が彼女に襲い掛かるだろう。

 

 「大丈夫ですよ、パイルドラモンさん。彼女は危険ではありません。寧ろ、彼女のお蔭で生き残れた事も少なくないですから。」

 「.......そうか。」

 

 その問いに早苗は同じくパイルドラモンにだけ聞こえる声で答える。その言葉に安心したのか、パイルドラモンは警戒を解き、密かに構えていた剣を降ろす。その動作と同時に、にとりがパイルドラモンに気付く。にとりは不思議そうな顔でパイルドラモンを観察している。否、少し違う。にとりはパイルドラモンではなく、パイパイルドラモンが持っている『剣』を観察している。その眼には好奇心が強く表れている様だ。にとりは暫く剣を観察すると、パイルドラモンの近くに来る。パイルドラモンには、心なしか近付いて来るにとりの瞳がキラキラしている様に感じた。

 

 「……何だ。」

 「なぁ、盟友。」

 「……盟友?何だそれは。」

 「おりょ、知らなかったのかい?…皆知ってると思ってたけど、どうやら盟友は知らない様だね。まあいい、ならばこの私、河城にとりが無知な盟友に教えてやろう。人間と河童は、昔から固い絆で結ばれている、言わば同志、つまりは盟友なのさ!」

 

 パイルドラモンが『盟友とは何か』について聞くと、にとりが自慢気な口調でパイルドラモンに言う。その言葉の一部、 『固い絆で結ばれている、言わば同志』と言うフレーズに、パイルドラモンは、かつて『デジタルワールド』の崩壊を防ぎ、デジタルワールドに平穏をもたらす為に共に戦った同志達を思い出していた。

 

 (盟友……か。恐らく、俺と『彼等』との関係の様なものを言うのだろうな。…そこまで親密な関係でも無かった様な気もするが。)

 

 嘗ての同志達に思いを馳せているパイルドラモンだったが、にとりのその言葉に依ってその思考を中断させられる事となる。

 

 「なあなあ、盟友。…盟友?」

 「っ、すまない。少し、考え事をしていた。」

 (ふ~ん。考え事、ね。それもまあ、少しばかり気になるけども、まあ良いや。そ・れ・よ・り・も。)「なぁ、盟友。ちょ~っと教えて欲しいんだけどさ。」

 「……何だ。」

 

 にとりがパイルドラモンに問う。

 

 「盟友が持ってる『ソレ』、一体何だい?布に包まれてるって事は、鞘が無いのか、それともよほど大事な物だったりするのかい?」

 

 にとりはパイルドラモンが持っている『刀身が白い布に包まれている剣』を指差す。

 

 「…まあな。鞘が無いのも有るが、確かにこの剣は大事な物だ。…それで?お前は何が言いたい。」

 

 パイルドラモンがにとりにそう質問すると、にとりは苦笑の笑みを浮かべながら、

 

 「生憎、私は回りくどい事は嫌いな性分なんでね、単刀直入に言わせて貰うと、その剣、私に見せてくれないか?」

 「……別に構わないが、何故だ?」

 「自分で言うのも何だけど、私は根っからの科学者気質でね。気になる物は徹底的に調べ上げないとスッキリしないんだよ。」

 

 にとりのその答えに、パイルドラモンは溜め息を吐き、それから暫く考えて、

 

 「……分かった。だが、剣を見せるだけで、君にこの剣を渡す訳では無いぞ。」

 「そこら辺は、私もちゃんと分かってるさ。私から頼んでるんだ、せがんだりしないよ。そこまで不謹慎な河童じゃあないよ。」

 「……そうか。」

 

 パイルドラモンはそう答えると、剣を包んでいる布をほどいていく。全て布がほどき終わると、そこには金色の刃、全体的に白い刀身で、極めつけは刀身の中央に見たことの無い文字が刻まれていると言う、奇妙な雰囲気が感じられる剣だった。その中で、見たことの無い文字が刻まれている部分が特に気になる。

 

 「…………。」

「……もう満足したか?」

 

にとりが真剣な顔をして黙っていると、パイルドラモンがにとりに言う。しかし、その言葉はにとりには届かず、にとりは先程と変わらず黙っているままの状態だ。その状態が暫く続くと、もう一度パイルドラモンがにとりに言う。

 

 「……おい、聞いているのか?」

 「…っとと、すまないね。その剣があんまりにも変だったもんでちょっと呆気に取られてたよ。」

 

 事実、呆気に取られていた事は確かだ。

 

 「盟友。」

 「今度は何だ。」

 「えっとさ、其の剣の銘を教えて欲しいんだけど、良いかい?」

 「いや、別に構わない。この剣の銘は”オメガブレード”だ。」

 「・・・オメガブレード、ね・・・。銘も変なんだね。」

 

 にとりが苦笑する。其の言葉にパイルドラモンは表情を変えず、

 

 「まあ、こんな名前ではあるが、、剣としての能力は高い。」

 「そうなのかい?私にはとてもそうには見えないんだけど・・・?」

 

 にとりがパイルドラモンに疑念をぶつけると、会話を聞いていた早苗が答える。

 

 「確かに、切れ味は相当ですね。」

 「早苗、どうしてそんな事を知ってるんだい?」

 「私は目の前で見ましたから。」

 「へ?目の前で見たって、どういう事だい?」

 

 

 早苗はしまった、と言う顔をした。にとりは間髪入れずに問い掛ける。

 

 「早苗。」

 「はい?何でしょうか?」

 「どういう事か、説明、してくれるよね・・・?」

 「・・・えっと・・・。」

 

 早苗は眼を逸らしてパイルドラモンの方を向く、パイルドラモンは構わないと言いながら頷く。

 

 「えっと、実はですねーーー」

 

 早苗は事の成り行きを説明する。

 

 すると、にとりはワナワナ震えて、怒気を含んだ声で、

 

 「・・・早苗。」

 「は、はい!」

 「私、言ったよね?危険だから一人で此処から出るなって・・・。出る時も“私達”に一言言ってからにしろってさ・・・。」

 

 にとりの声はどんどん怒気を大きくしていく。

 

 「あ、あの~、にとりさん・・・?」

 「何かな、早苗・・・?」

 「ひえっ。に、にとりさん・・・?」

 「早苗、私、今物凄く機嫌が悪いんだけど、どうしてか解る?」

 「・・・・・・私が、にとりさんの言うことを聞かなかったからでしょうか・・・?」

 「解ってるならさ、どうして聞かなかったの?」

 「そ、それは~・・・。」

 (ど、どうしましょう~。)

 

 早苗が弁明しようと考えを巡らせていると、

 

 「・・・はあ、もう良いよ。」

 「へ?に、にとりさん、今何と?」

 「だから、もう良いよって言ったんだよ。早苗は答える気が無いみたいだし、私も言いたく無い事を無理矢理聞く程鬼畜でも無いしね。」

 

 にとりがそう言うと、早苗は内心で安堵する。

 

 (よ、良かった~。)

 「でも、何れ聞かせて貰うからね。」

 「分かりました。」

 

 「っと、悪いね盟友。ほっといちまって。」

 「別に気にしていない。」

 「そう、あんがと。あ、後、」

 「何だ?」

 「此処で話すのはなんだから、神社の中で話そうや。それに、紹介したい奴も居るしね。早苗も、それでいいかい?」

 

 にとりの其の提案に二人は、

 

 「良いですよ。」「構わない。」

 「ん。それじゃあ御二人さん、此方についてきておくれ。」

 

 にとりに案内されて、二人は神社の中へ入る。神社には、一体どんな人物が居るのか、それはにとりと早苗にしか分からないーーー



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