ラブライブΩ/ラブライブUC (la55)
しおりを挟む

第1部 結成編
第1話 叶え?誰の夢?


 ラブライブ-スクールアイドルの甲子園。ある者はスターになり、ある者は伝説となる場所。第1回優勝A-RISEはラブライブをきっかけに一躍スターとなる。そして、第2回優勝μ'sはたった1年間という短い活動だったが、秋葉原でのスクールアイドルフェスティバスを成功させ、そして伝説となった。
 勝者いれば敗者もいる。多くのスクールアイドルが予選敗退という敗者となる。勝者と敗者、どの世界にも必ずいる。そう、スクールアイドルの世界でも・・・。
 しかし、勝者はずっと勝者とは限らない。A-RISEは勝者となり、敗者となった。μ’sも敗者となり、そして、勝者となった。わずかな望みでも勝者となれる。それがスクールアイドルの世界。
 さて、彼女たちは勝者となれるのか。それとも敗者であり続けるのか。そして、伝説(μ’s)を超えることができるのか・・・。



第1話 叶え?誰の夢?

 

「これがμ’s最後のライブです」

 音ノ木坂学院アイドル研究部部室、そこには未来のスクールアイドルになりたい生徒たちが集まっていた。そして、3年生になったアイドル研究部部長の高坂雪穂、副部長の絢瀬亜里沙の姿もあった。

 μ’sが第2回ラブライブを優勝してから3年の月日がたった。秋葉原でのスクールアイドルの祭典、スクールアイドルフェスティバルの大成功により、ラブライブはドーム大会が開かれるようになった。そして、全国各地に実力のあるスクールアイドルが次々と誕生していく。時はスクールアイドル戦国時代。全国のスクールアイドルが切磋琢磨して、力を蓄えていた。

 そして、4月、新入生が入るこの時期、音乃木坂のスクールアイドルとして活動していた雪穂、亜里沙も新しいメンバーを勧誘しようとしていた。音乃木坂のアイドル研究部、それは伝説のスクールアイドルμ’sを輩出した部。明日のμ’sになろうと夢見る生徒たちがアイドル研究部の勧誘レセプションに多く集まっていた。それは1回では入りきれず、3回、4回しないと入らない程に。

「これがμ’sのライブ・・・」「とてもすごい」

 あこがれのμ’s、それも誰も見たことのない、μ’sの最後のライブ、それが見られて本当に幸せ。これがここにいるすべての生徒たちの気持ちだった。「僕らはひとつの光」の歌詞に合わせて、まるで飛び立とうとしているμ’s、伝説を見ている瞬間だった。

 そして、映像終了後、雪穂、亜里沙は未来のμ’sを夢見る新入生たちにアイドル研究部としての活動内容を説明すると、最後に()()()呼びかけを行った。

「このように、私たちは未来のμ’sになるため、頑張っています」

雪穂の言葉に亜里沙が続けて言う。

「全国には多くのスクールアイドルが未来のμ’sを目指しています。私たちも一緒に未来のμ’sを目指してみませんか」

 この時の雪穂、亜里沙の姿はまるで誰かに助けて欲しいと助けを求めるような()()()()()()。しかし、未来のμ’sを夢見る生徒たちにとって、自分たちは求められているものだと解釈している人たちがほとんどだった。

「明日、講堂で勧誘ライブを行います」

「それをみても遅くないから、友達などにも入部を進めてください」

 雪穂、亜里沙はこう言うとともに、約1時間にわたる勧誘レセプションを終わらせた。しかし、勧誘レセプション全体を通しても雪穂、亜里沙は()()()()()。いや、()()()()()()()()()()()だった。()()()()()()()()()()()()()()()()()。しかし、そのことをこの日集まった生徒たちは知らなかった、()()()()()()()()。だが、それは如実にこのレセプションに現れていた。なぜ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()()()()・・・。

 

翌日、講堂は勧誘レセプションに参加した生徒たちだけでなく、音乃木坂の生徒たち、先生たち、近くにある中学校、高校の生徒たちで入りきれない程の超満員だった。今から行われる雪穂、亜里沙の(・)勧誘ライブを見るために集まったのだ。しかし、先生や一部の生徒たちの眼は楽しみにしているのでなく冷やかそうだった。ある事情を知っているために。

「みなさん、こんにちは」

「私たち、音乃木坂のスクールアイドル『New age(ニューエイジ:新時代)』です!!」

ステージに立った雪穂、亜里沙は大きな声で観客に挨拶する。

「あれ~、μ’sではないんですかー」

新入生の1人から大きな声で質問が飛ぶ。

「石鹸の名前だからですか~」

今度は2年生から掛け声が飛ぶ。一瞬のうちに講堂中が笑いであふれる。

「μ’sはお姉ちゃ・・・、穂のか先輩たち9人のグループ名です。今や伝説のグループの名前を継ぐことはできません」

雪穂が大声で言うと、亜里沙も続けて言う。

「私も入学前にμ’sに入れると思いました。でも、途中でμ’sは穂のか先輩たち9人のグループ名だと気付いたんです。しかし、私たちはμ’sをいつかは超えたいと思っています。そこで、ラテン文字でΜ(μ)の次にくるΝ(ν)をもとに『New age(ニューエイジ:新時代)』として活動することにしました」

 「μ’sを超えたい」この言葉に新入生たちはどよめきを感じた。しかし、先生たちなど一部の観客からは舌打ちなどが聞こえるとともに、またも冷ややかな目で2人を見ていた。

 そして、ある1年生が予想にもしていない、いや、誰がしてもおかしくない質問をした。

「どうして、2人しかいないんですか?」

この質問には他の生徒だけでなく、観客全員がどよめいていた。

「どう、どうしてって・・・」

「それは・・・」

いきなりたじろく雪穂と亜里沙。そう、ステージには雪穂と亜里沙し(・)か(・)いなかった。

 一方、その様子を観客席で見ていた見た目からしてガテン系、皆からジャイアンと呼ばれていた2年生はふとある言葉をつぶやいていた。

「なんで高坂先輩たち、たじろいているんだろうか?」

これに隣に座っていたメガネをかけてショートカットの髪をした2年生がすぐさま反応した。

「お教えいたしましょう」

これにはガテン系の生徒すら驚いていた。それでもお構いなしにメガネの生徒は続けて答えた。

「実は、音乃木坂学園のアイドル研究部の部員はあの2人しかいないんだ。去年まではまきりんぱなこと真姫先輩、凛先輩、花陽先輩の3人も在籍していたんだが、その3人が卒業したため、今残っているのは雪穂先輩と亜里沙先輩だけなんだ」

これにはガテン系の生徒には驚いた。そして、こう言う。

「どうしてなんですか」

それにすぐさまメガネの生徒が答える。

「実は伝説となったための代償なんだ。μ’sは今や伝説のスクールアイドル。そのため、絵里先輩、希先輩、にこ先輩の3人が卒業した後、アイドル研究部に入部してこれまで続けられたのは雪穂先輩と亜里沙先輩だけだった。伝説の一員であるみきりんぱながいるため、その先輩がいる部に入部するのをためらう生徒が多かったんだ。」

「伝説・・・」

「そして、入部してもまきりんぱなに対して引け目を感じたり、きついトレーニングのために挫折する部員も少なかった。」

「引け目・・・、そして、きついトレーニング♪♪」

ガテン系の生徒、いきなり目をきらきらしてきた。これにはメガネの生徒は少したじろく。

「なんか目をきららしているが。まっ、いいか。さらに、まきりんぱなと雪穂、亜里沙の5人でまとまりがあったために自分が入る余地がないと考えて退部する部員もいた。これにより、まきりんぱなの3人が卒業した今、残っている部員は雪穂先輩と亜里沙先輩の2人しかいないんだ。ちなみに、残りのメンバーの穂のか先輩、ことり先輩、海未先輩は生徒会活動との兼務が難しいこと、そして、μ’s活動終了のケジメのために参加を辞退していたんだ」

 メガネの生徒をしている最中だったが、そんな事情を知らない1年生は野次馬のように2人に目を向けていた。

「…、そんなことは、あ・と・に・し・て…」

お茶を濁す雪穂。亜里沙もまるでそれがなかったのごとく言う。

「今は私たちのライブを楽しんでください。では、一曲目は『僕らのLIVE 君とのLIFE』!!」

まるでその質問を振り切るかの様に2人は強引にライブを始めた。

 

「次の曲は『ユメノトビラ』です!!」

 雪穂、亜里沙はμ’sの代表曲を次々と歌う。そして、『もぎゅっと“love”で接近中!』『夏色えがおで1,2,Jump!』など、μ’sでは発表していないが、まきりんぱなが在籍していたときに発表していた曲も次々と歌った。

「これが『New age(ニューエイジ:新時代)』の曲なんだ!!」

ガテン系の生徒は目を輝かせてそう言った。いや、ほとんどの生徒が目を輝かせていた。これがラブライブ優勝をした学校のスクールアイドルのだと。

 しかし、曲を重ねるごとに発生するある異変をガテン系の生徒は気付いた。

「あれ。なんか最初輝いていたみんなの目が、ちょっと、少しずつ、曇っていく…」

「気付いたんだ」

メガネの生徒を発するとその理由をガテン系のそっと教えた。

「だって、今歌っているのはμ’sの曲、もしくはμ’sが歌うこと前提の曲だから。だから、音乃木坂の生徒にとって聞き慣れているんだ。そして、これが最もの原因。それは、μ’sの曲は『START:DASH!!』を除いて、本来グループで歌うことを前提にしているんだ。それを2人用に編曲せずに、無理やり2人で歌ってる。それで、ところどころに綻びが発生しているんだ」

メガネの生徒の解説通り、曲のところどころで綻びが発生していた。それでも、雪穂、亜里沙、2人は必死に歌っていた。その綻びも2人のコンビネーションでカバーしていた。

 しかし、…。

「これが音乃木坂を代表するスクールアイドルとは…」

「本当にがっかりですわ」

「これでは今年も予選落ちは決定ですな」

こんな声がガテン系の生徒にも聞こえてきた。これにはガテン系の生徒は驚いた。

「一生懸命歌っているのに、どうして…」

少し悲しそうな声をにじませて言うと、メガネの生徒が意外な一言を言う。

「これが先生たちの本音なんだ」

「本音!!」

これにはガテン系の生徒は2度目の驚きだった。メガネの生徒はすぐに解説を始めた。

「実はμ’sという伝説は一つのきっかけを作ったんだ。μ’sはもともと廃校から音乃木坂を守るために穂のか先輩たちがもの。そして、μ’sは廃校の危機から救っただけでなく、入学する生徒を大幅に増やしたという実績を作った」

「すごい…」

ガテン系の生徒の目が点となる。メガネの生徒の解説は更に続く。

「それで、これが音乃木坂のサクセスストーリーとして全国に紹介され、結果、全国各地の学校がとある理由でスクールアイドルに力を入れることになるんだ。それはスクールアイドルの地位向上、全体的な実力のアップにもつながった。そして、ドーム大会開催の原動力となった」

「μ’sって伝説以上なんだ…」

ガテン系の生徒はμ’sの凄さに舌を巻いた。だが、メガネの生徒の話は急転直下する。

「でも、実力が全体的に上がった分、音乃木坂と他の学校の実力の差は縮まる。この結果、一昨年は東京都予選でUTX学園にまさかの敗北、そして、去年は『Wonderful Rush』を完成させ、UTX学園を倒し全国大会に進出、しかし、九州の学校に圧倒的に敗北しているんだ」

この話のが終わったところで、また、先生たちのこそこそ話がガテン系の生徒に聞こえた。

「今年も予選落ちしたら、入学希望者が減ってしまう」

「でも、今年は過去最高を記録した去年に匹敵する入学希望者が来ましたぞ」

「今年は今年、来年は来年だ!!」

「そうだな。このままではまたも廃校になってしまう」

「もとはといえば、アイドルとして実力のある生徒を集めるべきなのに、南理事長はそれを認めてくれない」

「文武両道の乙女を育てるべきだと言っていたな」

「これでは実力のある生徒を他校に取られるぞ!!」

このこそこそ話にガテン系の生徒は不思議がっていた。

「なんでアイドルの実力のある生徒が必要なの?」

これにはメガネの生徒がその答えを出した。

「実はね、全国各地の学校がスクールアイドルに力を入れていることと密接な関係があるんだ」

「密接な関係?」

また不思議がるガテン系の生徒。メガネの生徒は続ける。

「少子高齢化を迎える日本において、生徒集めは学校にとって生き残るために必要なことだった。スポーツに力を入れる学校、秀才を集めて学力の全体的なアップを図る学校。しかし、スポーツに重点を置くにしても、スポーツをする施設をつくる必要がある。お金がかかる。また、スポーツ、学力関係なく、実力のある生徒は限られる。限界がある」

「ゴクッ」

メガネの生徒の迫力ある解説。息を飲むガテン系の生徒。それでも解説は続く。

「それに比べて、スクールアイドルは少ないコストで大きな効果を生み易い。練習場所とトレーニング場所、そして、発表する場所があればすぐにできる。現にμ’sは屋上を練習場所、神田明神など近場でのトレーニング、講堂だけでなく、屋上、そして、秋葉原のメイドカフェの店の前でも歌ったことがある」

メガネの生徒の熱意ある解説はさらに続く。

「そして、アイドルとして実力を持った原石が全国各地に沢山いる!!現に強度の引きこもりだった少女が母親の一通の申込により大阪の某有名アイドルグループの一員として活躍している!!」

嘘のようで本当の話をしてくるメガネの生徒。クールダウンすらしない。

「けれど、それも限度がある。そのため、全国各地の学校は将来有望な生徒をアイドル特待生として入学させることを勧めてきた。一方、音乃木坂の南理事長は、この特待生制度を嫌い、去年まで行わなかった。文部両道、たとえアイドルとして成功しても、勉強、スポーツ共にできないと人として成功しない。これが南理事長の考え。しかし、それにより、たとえ、音乃木坂の入学者数が増えても、アイドルとして将来有望、実力のある生徒は他校に取られる。一部(・・)を(・)除き(・・)実力ある生徒は入学していない」

メガネの生徒からこんな解説を聞かされるガテン系の生徒。ちょっと疲れたと思うとまた、先生たちの小言が聞こえた。

「でも、ようやく、今年、南理事長を説き伏せて、待望のアイドル特待生が2人入学した!!」

「これで音乃木坂も安泰ですな。なんだって、あのメンバーの妹たちだからな」

一瞬喜ぶ先生たち。しかし、すぐに暗くなる。

「あの2人ですが、あんまり使えません。入学するなり、いたずらに精を出している始末」

「これではアイドル特待生を導入した意味がありません」

「ハー」

先生たちの大きなため息がこだました。

 一方、ライブを見ていた生徒たちからも不満が噴出していた。

「ニューエイジとか、ニュージャージーとか知らないけど、ただの理事長の腰ぎんちゃくじゃないの!!」

「たった2人だけなのに、広い部室、そして、講堂も使い放題」

「ただμ’sの先輩たちの七光りでしかないのに~」

雪穂、亜里沙のアイドル研究部の不平不満を言う生徒たちを見て、ガテン系の生徒が言う。

「なんてことを言うの!!一生懸命頑張っているのに」

これを見て、メガネの生徒は説明する。

「たしかに。言っていることのほとんどが事実無根。アイドル研究部の部室、いつも集まる部室と練習場と他の部と比べて広くない。そして、講堂を含めて全ての場所は申請が必要。だから、先客がいれば使用できない。むろん、使い放題ではない。さらに、理事長は依怙贔屓せず、むしろ厳しく接している。ただ、2人がμ’sの先輩の妹だから親の七光りならぬ姉の七光りであると思っている生徒が自分に溜まっていた不平不満をぶつけているだけ」

「へえ」 

メガネの生徒が説明を終えて、妙に納得するガテン系の生徒。しかし、不平不満を言う生徒の中にはこんな言葉もあった。

「スクールアイドルって勝ってなんぼだろう」

「そうだよ、頂点に立つスクールアイドルこそ本当のスクールアイドルだよ」

「ほかのスクールアイドルはただの物まね集団だよね」

これにはガテン系の生徒はまたも怒り出す。

「スクールアイドルって勝つことが絶対なの!!」

「ま~ま~」

ガテン系の生徒をなだめるメガネの生徒。しかし、それでも怒りは収まらない。

「そんなに勝負が大事なの!!」

「落ち着いて」

メガネの生徒の二度目の言葉にようやく落ち着くガテン系の生徒。そして、こんな質問をメガネの生徒にぶつける。

「でも、なんで勝利が必要なの?」

「実はね…」

メガネの生徒の長い説明が開始する。

「実は、スクールアイドルの世界はちょっといびつな考え方が流行っている。『スクールアイドル勝利至上主義』。字の如く勝利が全てという考え方」

「勝利至上主義…」

「そう。このため、ラブライブに限らず、多くの大会で勝った方が負けた方を見下す風潮が流行っている」

これにガテン系の生徒が質問する。

「でも、なんでそんなことに…」

メガネの生徒、すぐさま答える。

「それもね、μ’sという伝説より派生したものだったんだ。μ’sが当時頂点にいたA-RISEに勝った。勝ったからこそ伝説になった。そのような誤った考えが広がった。これにより、スクールアイドルを目指す生徒たちはラブライブなので実績を持つ学校に次々と集まる。例えば、去年ラブライブに優勝した九州の高校はいまやスクールアイドル部が6軍制を引くぐらい集まるんだ」

という具合に文句を言う先生と生徒たち、その理由を解説するメガネの生徒をよそに、ライブは尾張を迎えていた。

「最後の曲は『START:DASH!!』」

「それでは最後の最後まで聞いてください!!」

2人の掛け声と共に曲が鳴り響く。一部を除き盛り上がる観客たち。

 そして、盛り上がったところで曲が終わる。ライブという夢の空間が終わった瞬間だった。

「私たちはあなたたちの入部をお待ちしております」

「私たちと一緒にラブライブ優勝を目指しましょう」

「もし興味がありましたら、明日、神田明神の境内に動ける服装で来てください」

「あなたの入部をお待ちしております!!」

雪穂、亜里沙の必死の呼びかけでもってライブは終了した。

「とても楽しかったね」

「感動したーーー!!」

「やっぱμ’sの妹分であることあるよ」

お褒めの言葉が多数聞かれる中、厳しい意見もあった。

「あれが『New age(ニューエイジ:新時代)』という音乃木坂を代表するスクールアイドル!!私と比べて下手でしかありません!!」

高飛車な性格、お金持ちでツンデレのように見えるツインテールのお嬢様風の生徒が言うと、それまでガテン系の生徒に説明していたメガネのいや、いかにも秀才にみえる生徒がすぐに近づき、相槌を打つ。

「そうですよー。愛さんと比べて下手でしかありません。いや、比べる必要すらありません」

これにはツインテールの生徒こと愛もすぐに肯定する。

「そうです。そうです。あれを見て他のスクールアイドルに勝てそう?」

この質問。メガネの秀才の生徒はすぐに答える。

「勝てない…、って、私、アイドルオタクではありませんから!!」

メガネの秀才の生徒、そこは否定するのね、とツッコミをいれたい愛は、隣にいたアスリート風のポニーテールをした生徒に声をかけた。

「これなら私たち、あのスクールアイドルに勝てるでしょ!!どう、はやて」

「そうかな。僕はとてもよかったと思うよ。それから、例の計画、僕は参加しないから」

アスリート風の生徒ことはやては断言的に断る。愛、食い下がる。

「そこをなんとか。あなたの力が大事なのよ」

「僕は陸上のことで頭がいっぱい。他の人に当たって」

「いけず…」

まるでハンカチを口で噛んで引っ張るしぐさを表現するツインテールの生徒。それを見てはやては少しはにかんだ。

 それとは別に、他の客席からはこそこそ喋る双子がいた。

「どう、あれが雪穂姉ちゃんに亜里沙姉ちゃんです」

「絵里姉ちゃん、穂のか姉ちゃんに比べてあまり上手じゃないね」

「でも、私たちの姉ちゃんが1番上手です」

「そうだね。私たちの姉ちゃんが1番上手!!」

「そうです」

「でも、私たちには関係ないもん!!」

「そうです!!」

こそこそと逃げ出す双子だった。

 そして、ガテン系の生徒は、ただ感動していた。

「あれがスクールアイドルなんですね!!とても感動しました!!」

涙だけではなく、顔から出る全ても出ているような状態だった。

「私も出来るかな、スクールアイドル。でも、私、体がごついからなぁ。出来るかな」

ちょっと考え込むガテン系の生徒。

「でも、ちょっと参加してみようかな。確か、明日、神田明神だね」

そう決意するガテン系の生徒。そして、これまでスクールアイドルの実情を教えてくれたメガネの生徒が席を離れるのをみて、お礼を言う。

「これまでの解説、ありがとう。あなたってすごいアイドルに詳…」

「いやいや、そうでもないって。って、私、アイドルオタクではありませんから!!」

そう否定するメガネの生徒。そして、ガテン系の生徒は別れを告げる。

「じゃ、またね。って、まだ名乗っていなかったね。私、…。」

「私ははるか、代々木はるか!!またね」

メガネの生徒ことはるかはガテン系の生徒に別れを告げる。

 そんな時、ステージにいた雪穂、亜里沙、そして、ガテン系の生徒、愛、はやて、はるか、さらにあの双子は一瞬止まってしまった。上から白い羽が落ちてくる。そのような感覚を持ったからだった。それは錯覚だったと現実に引き戻された、そうのような感覚に襲われた。不思議に思う8人。でも、これは幻だと思うのが殆どだった。しかし、後でバラバラのピースが一つに繋がることになるかもしれない。ないかもしれない。それは神のみぞ知る。

 そして、入部希望の生徒たちは…、このライブを見てこう思っていた。

「とてもすごかった。自分も2人と一緒にスクールアイドルになりたい!!でも、このライブを見てわかったかも。あの2人だから、あんなステージできたんだもの。私の入る余地ってないよね。むしろ、足を引っ張るだけかも…」

 

 翌日、神田明神、そこには雪穂、亜里沙の姿があった。

「今年はすごい!!20人もいるよ」

「去年よりも多いよ…」

雪穂と亜里沙はお互いに喜んでいた。2人の前には約20人ものスクールアイドル候補生というべき新入部員20人が集まっていた。昨日のライブを見て、感動したのか、自ら志願してきた生徒たちだった。

「それなら、今からトレーニング、始めるよ!!」

「え~」

雪穂の掛け声に生徒たちはいっせいにブーイング。

「なんでトレーニングするんですか」

新入生の1人から質問、亜里沙はたじろく。

「トレーニングって…」

そう、雪穂と亜里沙にとってトレーニングは当たり前だが、新入部員にとっては入部、即スクールアイドルという考えを持つものが殆ど…。

「そりゃあ、踊るにも体力がいるでしょ」

雪穂、たじろく亜里沙を見て、すぐに助け舟をだす。

「それもそうですけど…」

新入生、すこし困るが、雪穂は続けて言う。

「やっていけば体力がつくよ。では、石段50往復!!」

「え~」

石段50往復。新入部員だからはじめはやさしめ、と言いたいが、雪穂はそんなことお構いなしに言う。もちろん、候補生からは大ブーイング。

「ブーブー」

「さ、いろんなこと言わず、行おう」

雪穂の一言に新入部員たちも仕方なくトレーニングを始める。

 しかし、それは序の口だった。新入部員に対し、次々と過酷なトレーニングをかす雪穂。

「もう駄目」

「こんなのスクールアイドルじゃない」

次々と音を上げる新入部員たち。

「どうしてこんな過酷なトレーニングをするの?」

草葉の陰ならぬ境内の隅からみていたガテン系の生徒はそうつぶやいた。参加したいが、ちょっと恥ずかしいため、声をかけづらく、境内の隅からずっと見ていた。

「それはね…」

「えっ!!」

突然の声に驚くガテン系の生徒。隣を見ると偶然?通りかかったと思われるはるかの姿があった。はるかは驚くガテン系の生徒をよそに語り始めた。

「それはね、雪穂先輩も亜里沙先輩も焦っているんだ。先輩たちが卒業した今、2人しかいない。そして、今年も駄目だったら、ラブライブに優勝しないと、と。もっとメンバーを増やして、曲のバリエーションを増やせば、いろんなことができるからね。でも、長時間ライブをするためには体力が必要。ほかにもステージに立つためにはいろんな能力を高めないといけない。しかも2人に残された時間は残り少ない。そのため、より密に、より過酷にすることで短期間でラブライブ優勝を目指せるほど超一流のスクールアイドルにしようとしているんだ」

「そうなんだ、でも、何でラブライブ優勝を目指すの?」

ガテン系の生徒の問いにはるかが答える。

「それは伝説のグループ、μ’sという存在があるから。μ’sと同じく優勝しないといけない。μ’sのメンバーの妹であるから。そのことが2人を縛っているんだ」

「なるほど」

はるかの答えにうなずくガテン系の生徒。そして、ガテン系の生徒は続けて言う。

「そのμ’sの束縛って強いの?」

その問いにはるかはさらに答える。

「そう、2人にとってμ’sは超えないといけない存在。そのためにラブライブ優勝。優勝は絶対なんだ。それほど2人はμ’sという束縛にきつく縛られている」

はるかはそう言うとガテン系の生徒はとってもないことを言い放つ。

「私はμ’sの束縛ってただの幻(げん)実(じつ)、幻想でしかないと思う」

「え!!」

ガテン系の生徒の言葉に驚くはるか。ガテン系の生徒は続けて言った。

「2人にとって束縛なら、ほかの人が解放すればいいんだよ」

「そんなにかんたんなことじゃ…」

はるか、困窮する。他人がその人の束縛を解き放つのは難しい。そう思っていた。

「それに、このぐらいのトレーニング、私にとって朝飯前さ」

「あまり無理は…」

ガテン系の生徒のとっておしのない答えにどう答えればよいか解らなくなるはるか。

「ようし、参加しよう!!」

ガテン系の生徒、即行動。雪穂たちのところに行こうとする。

「ガテン系の生徒、待ちなさい!!」

はるかはガテン系の生徒を止め、こう言い放った。

「少しは落ちつきなさい!!あなたが行ったところでなにも変わらないでしょ」

これにガテン系の生徒、少し躊躇する。

「それはそうだけど…」

「放っておけばあの2人ならわかるよ。無理していることが」

はるかの言葉にガテン系の生徒は反抗する。

「でも、私も参加すれば…」

「それでも駄目。さぁ、あっちに行くぞ」

はるかはガテン系の生徒にこう反撃すると、ガテン系の生徒のTシャツの首根っこを掴み、まるで猫のように簡単に引っ張って行った。

「私も参加したいー」

ガテン系の生徒はエコーを解き放つつ、遠ざかって行った。

 一方、きついトレーニングに新入部員の殆どは音を上げていた。

「スクールアイドルになるのってこんなに大変なんだ」

「もうこんなトレーニング、やりたくない!!」

こんなことを考える新入生が殆どだった。

 

そして、翌日…。

 トレーニングをするために神田明神に集まった雪穂、亜里沙は愕然とした。集まった新入部員はたった5人だった。ほかの新入部員はきついトレーニングのため、スクールアイドルとしての夢に挫折した。そう、μ’sに憧れただけで入部した新入部員。たとえ続けたとしてもあまりにもきつすぎるトレーニングに嫌気を刺した新入部員が殆どだった。

 そして、次の日。

またも雪穂、亜里沙はさらに愕然とした。たった2人しか参加していない。二日続けてきついトレーニング。これにより3人が脱落した。理由は前日辞めた新入部員と同じ理由だった。

 さらに次の日。

 トレーニングに来た新入部員0。そう、誰もいなくなった。雪穂と亜里沙を除いて。

「私たち、また、2人だけ…」

「あ~、どうして~」

雪穂、亜里沙、共にがっかりする。今度こそ新しいメンバーが入ると思っていた。すぐに使えるように過酷なトレーニングメニューを新入部員に課していた。

「どうしよう~か」

雪穂の言葉に亜里沙はこう答える。

「ん~、もう一回募集する?」

「でも、またも同じだったら~」

雪穂、困窮する。また同じことの繰り返しだったらと思うと気落ちしそうだからだった。

雪穂、亜里沙、共にがっかりした表情を見せると石段に座った。

「こうなったら、2人だけで頑張ろうか」

雪穂の突然の開き直り、しかし、亜里沙は暗い表情のまま、こう言った。

「でも、私たちだけでラブライブ優勝できるの?」

「ん~」

亜里沙の言葉に雪穂も暗い表情で唸るだけだった。

 そんな暗い表情で下を向く2人。そんなとき…。

「先輩、そんな暗い表情、しないでください」

元気のいい声が2人の前で解き放たれた。

「私も練習、参加させてください」

「えっ!!」

2人は元気のいい声に驚き、見上げると、あのガテン系の生徒が立っていた。

「あなたのお名前は?」

雪穂はそう言うと、ガテン系の生徒はこう名乗った。

「みやこ、京城みやこです!!」

 

ラブライブΩテーマソング Over the LEGEND(君と紡ぐ伝説(ストーリー)

 

私たち、開拓者(チャレンジャー)

 

遥か彼方に見える伝説の地(レジェンド)

先輩たち(レジェンドラ)が築いた希望の場所

 

私たちの力だけでは乗り越えられない

だから君と力を合わせてみれば

必ず乗り越えられるはずさ

 

伝説(とき)を(伝説(とき)を)乗り越えて(乗り越えて)

見えてくる未来(あした)の私たち

本当の(本当の)美しさ(美しさ)

心に秘めて未来(あした)に進もう

Glory(グロリ) my heart

 

「次回」

「あいはやるか」

 




あとがき

 こんにちは。お元気でしたでしょうか。Laです。
 まず最初に、ラブライブと私の出会いから。ラブライブとの出会いはラブライブが始動したときからでした。ラブライブ1stシングルが出るのを知った時、これはとても良い作品になると思いました。ただ、当時も金欠だったため、そのシングルを買うのはできませんでした。それでも、新曲が出る度にそれを確認し、周りにいる友人にそれを進めておりました。ラブライブ関連の商品を買ったのはラブライブ1stライブのDVD。それも販売されるということですぐに予約するくらいでした。むろん、ベストアルバム1が出るということですぐに予約しました。このようにラブライブ歴はすでに5年を過ぎているつもりです。
 そして、この二次創作小説を考え付いたのが映画公開4週目の土曜日でした。当時、入場者プレゼントの色紙がもらえるということもあり、近くの映画館に1回目と2回目の鑑賞券を買っていたのです。しかし、1回目で配り終えてしまいました。とても悔しい思いで2回目を見たのですが、何度も観ているので内容は覚えていました。そこで、他の切り口がないか観ておりました。それを探しているうちに映画の最後のシーンで数年後、音乃木坂のアイドル研究部は雪穂と亜里沙の2人しかいないのではと思う様になりました。なら、その続きを作ったらと思うととても嬉しくなり、家に着くなり、すぐに登場人物の簡単な設定と第1部のプロットを作り上げました。そして、第2部、第3部、+αのプロット、及びその関連楽曲16曲の作詞を少しずつ作り上げました。おまけにまったく関係のない曲2曲の作詞もしました。
では小説を作りましょうと思ったのですが、戦国ドライブを思いついてそれから先に小説を作り上げてしまいました。3ヶ月ぐらい塩漬け状態でした。では、何で今なのか。それは、ラブライブサンシャイン(私は略してラブシャインと呼んでいます)のアニメ化です。雪穂役の東山奈央さんは神のみぞ知る世界の中川かのん役としてCDを多く出しております。そして、亜里沙役の佐倉綾音さんはのんのんびよりの夏海役、ごちうさのココア役として多くのキャラソンを出しております。この2人、歌はとってもうまいので、ラブシャインでもライバル役として活躍するのではと予想しております。これだと後出しになりかねないと思いました。そして、戦国ドライブ・イエヤス伝第1部を作り上げたので、ようやくこの小説を作り始めたというわけです。なお、この小説が自分にとって初めてプロットを書いた作品となります。
 ちなみに、余談ですが、劇場版ラブライブの色紙ですが、自分に起きた変な逸話があります。2~4週目の色紙を1枚もらっているのですが、もらったのが海未、凛、花陽、希の4人(第3週だけ2枚ゲットすることができました)。そう、Lily Whiteが揃ったのです。さらに、コンボセットのミニクリアファイルもLilyWhiteの3人しか当たらず。何度購入しても、別の映画館で購入しても同じ結果…。しまいには近くにいた観客から希と絵里を交換してもらう始末。最後の最後で花陽がでてくれた時には喜びました。(色紙はその後、後日の色紙配付及びヤフオクなどで全種類集めました。)
 そして、劇場版ラブライブでもう一つ奇跡がありました。それは映画フィルム。映画フィルムをもらうために予約開始からすぐに予約したのですが、土曜日2回目が最後の1席だったのですぐに予約。そして、その回でもらったフィルム。これが最後の「僕光」のような大当たりではないのですが、予告編でも登場した顔面アップのシーンのをもらいました。(なお、これで運を使い果たしたのか、10週目のフィルムは神田明神の境内、どこかわからない場所のシーンしかもらえず、ガルパンも戦車ばかりでした。)これをPileさんの握手会の時に直接見せたところ、大変驚いた様子でした(ただ、驚いたので握手はできず、さらに、緊張していたので、Pileさんの顔を見れず、ずっと下を向いていました。がくし)。
 ちょっと長くなりましたが、この物語は大きく分けて3章+αで構成されております。そして、この作品のために16曲の作詞も行いました。この曲は物語の中で発表していきます。おまけの2曲も物語の中で発表するつもりですので楽しみにしてください。
 それでは次の話を期待しておいてください。それでは、さようなら。

(追伸)
 本当はライトノベル3巻+αを予定していたのですが、自分の創作レベルが低いためか、結局、3章+αで構成することになりました。そして、少しでも読みやすいように1話分をノート10ページぐらいで抑えるようにしております。全体で12~15話+αぐらいで終わるように努めてまいりますので、どうぞよろしくお願い致します。

(追伸2)
 なお、この作品に出てくる雪穂たちのグループの人数は8人です。これは虹の7色を各メンバーのイメージカラーとしている(8人のうち、双子は2人で1色なので、全員で7色。って、アイマスを参考にしていませんから)、そして、コンサート時、μ’sのライブ前に行うメンバーの掛け声において、1~9と言った後に観客が10と叫ぶことが定番になっているみたいでした。つまり、観客こそが10人目のμ’sのメンバーなのです。それならば、この小説では8人のメンバー+読者の皆さんで9人、これで読者の皆さんも参加できるグループになってくれたらいいなあと思い、1人少ない8人というメンバー構成にしました。この小説ではあなた自身が9人目のメンバーとして参加してみてはいかがでしょうか。(なお、これが後に本編で重要になってくると思っておりますが、書き忘れてしまうかも。書き忘れたらごめんなさい)。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 あいはやるか

「前回のラブライブΩ」
「私、高坂雪穂、音乃木坂の3年生。新学期、まきりんぱな先輩が卒業し、音乃木坂のアイドル研究部は私と(絢瀬)亜里沙の2人だけ。そこで、私たちは新歓レセプション、新歓ライブでメンバーを集めることに。ライブは大成功。しかし、翌日、練習に集まったのは20人。それも過酷なトレーニングでどんどん減っていき、ついに0人に。」
「一方、スクールアイドル業界も(将来有望な生徒を入学させる)アイドル特待生によって、全国にあるいろんな学校のスクールアイドルが力をつけているし、さらに(各大会で優勝したスクールアイドルが負けたスクールアイドルを見下す)アイドル勝利至上主義がはびこっているし、もう大変。もう、誰か助けて~」

「そんなことよりも新入部員が誰もいないことで愕然とする私達2人。そんなとき…」
「みやこ、京城みやこです!!」
「みやこと名乗る生徒が私達の目の前に現れた」

(OP曲 一番のみ)



第2話 あいはやるか

 

「みやこ、京城みやこです!!」

 突然の元気の良い声。雪穂と亜里沙は驚いた。声だけではない。体つきにも驚いた。ガテン系、いや、男みたいな体つきだからだった。

「でも、ここ、アイドル研究部だよ。スポーツ系の部活なら学校で…」

何かの部活間違いだろう、雪穂はそう思いながらみやこに諭した。しかし、当のみやこはがんと断る。

「私、スポーツ系はおろか、文科系の部活もいやです!!私はアイドル系の部活をしたい!!」

それをみて、亜里沙は気付いた。

「そうだ、あなた、ジャイアンでしょ。2年の間でジャイアンみたいな生徒がいると話題になっているし」

これにはみやこ、少し恥ずかしがる。

「ジャイアン!!いや~、まさか先輩達から言われるなんて、照れるな~」

いや、ジャイアンって言われる方が傷つくだろうとツッコミを入れたくなる2人。そんなことはお構いなしに喜ぶみやこ。そして、みやこはこう言った。

「さっ、はやくトレーニングを始めましょうよ!!」

突然のトレーニングへの催促。2人は仕方なく石段50往復を開始した。

 

 そして、1時間後、早くも音を上げたのは………雪穂だった。

「ぜぇぜぇ。もうやめようよ。もう立てないよう~」

神田明神の宮の前で大の字で寝そべる雪穂。もう立てないほど疲れていた。それもそのはず、いつも以上に過酷なトレーニングをしていた。石段50往復、ラン10キロ、腕立て100回、スクワット100回などなど。あまりにも楽しくトレーニングするみやこを見て、2人はいつも以上に力をいれていた。その結果がこれである。

「は~、ハラショー、みやこちゃん、凄いね」

亜里沙は口癖の「ハラショー」と共にみやこを褒めている。

「そんな亜里沙もすごい、ぜぇ~、病弱という、ぜぇ~、設定では、ぜぇ~」

雪穂、言葉を詰まりながら、亜里沙にツッコむ。たしかに病弱設定、あったようだが。

「たしかに病弱だけど、それに負けないような体力はあるもん。フー」

実は亜里沙、病弱であるため、それに負けないように体力は姉以上につけているようだった。

 これを見ていたみやこ、少しはにかみながらこう言った。

「やっぱり、2人はお似合いですね」

2人はお似合い、この言葉に2人はいきなり暗い顔になる」

「やっぱり2人だけのほうがいいのかな」

「そうかもね」

暗い表情の2人に対し、みやこはこう切り返した。

「でも、私が入ればもっとよくなるのでは」

「でも、みやこちゃんってダンスは得意なの?」

みやこの答えに逆に質問で切り返す雪穂。たしかにみやこのダンスは見ておらず、現時点では未知数だった。

「なら、私のダンス、見せてあげましょう」

みやこ、雪穂の偈文にすぐに返した。ついに自分のダンスの実力を2人に見せる時が来たとはりきり、ダンスを始めた。

 最初は実力はないだろうと思っていた雪穂と亜里沙だったが、ダンスを見るなり、どんどん引き込まれるようになっていた。手を綺麗に伸ばし、足は大きく上げる。まさにダイナミックなダンスだった。一言ですごいとしか言えないものだった。

「ハァー、どうですか。私のダンスは…」

ちょっと息切れしそうになっていたみやこ。これには2人も感動を覚えるものだった。

 そして、いきなり雪穂はみやこに…。

「すごい、すごい、すごーーーい。すごいダンスだよ」

褒めちぎっていた。体型に似合わらず、すごいキレの良いダンスをするのだからと納得の亜里沙。

 そして、亜里沙はみやこにお願いする。

「それなら、股割りとT字バランスをやってみて」

あの凛と花陽も最小はできず、練習してようやくできるようになったあれである。

「いいですよ。ハイッ!!」

みやこ、いとも簡単に股割り、T字バランスをなんとなくこなす。

「ハラショー、なんてすごいの」

亜里沙も驚く。それもそのはず、雪穂も亜里沙もこれができるまできついトレーニングを繰り返していたからだ。

「でも、あだ名がジャイアンって悲しくない?」

この雪穂の問いに元気にみやこは答えた。

「ジャイアンはジャイアンでも、ドラ〇もんの方じゃなく、スーパー〇ュニアのジャイアンのことだもん」

雪穂と亜里沙、2度目の驚き!!韓国を代表する大人気アイドル、スーパー〇ュニア。その中で体がごついメンバーがいる。その名もカ〇エン。通称、ジャイアン。でも、ごつい殻だというアイドルとしては見えない体型だが、実はダンスにとても優れている。グループのダンスの要となっている。

「そうだったんだ」

「そういうこと!!」

2人の納得に鼻が高くなるみやこだった。

「でも、なんで、ダンスがうまいの?どこかで習っていたの?」

そうである。なんでうまいのかを知りたい雪穂はみやこに質問するとみやこはすぐに答えた。

「生まれた時からこの体型だもん。少しは普通の女の子の体型に憧れるんだ。だから、少しでもダイエットをしたくていろんなダンスを自主的に取り組んでいるんだ」

これには2人も納得せざるをえなかった。たしかに、みやこの体型はガテン系といってもおかしくなかった。男性に見られてもおかしくないものだった。女性体型に憧れるのも無理はなかった。

 そんなとき、みやこはさらに次の言葉を発すると2人は最大級の驚愕をした。

「アイドルになればダンスし放題でしょ!!これならダイエットし放題。ついに女性体型になれるね!!」

2人はこう思った。それは無理と…。

 

 数日間、過酷なトレーニングは続いた。それでもみやこは音を上げなかった。それどころか、トレーニング内容を考えた雪穂が音を上げ始めていた。

 そんな中、みやこはラン10キロの最中、運動場にいるある人を見かけたので声をかけてみた。

「お~い、はるか~。元気だった?」

「あっ、みやこ。私も元気だよ」

メガネをかけた生徒、代々木はるかだった。はるかも元気よく答えている。

 しかし、みやこははるかの掛け声よりもある光景に気がいっていた。そこにはツインテールの生徒がアスリート風、いや、陸上部らしきユニフォームを着た生徒を口説いていた。

「はやて~、お願いだから一緒にユニット結成しよう~よ」

「愛、僕は何度も言っているけど、今度の陸上大会のことで頭が一杯なんだ。他の人に当たってくれ」

「あなたじゃなきゃダメなの」

「僕にはあんなヒラヒラした服は似合わない!!それに、他の人が優れているだろ!!」

「それでもあなたがいいの!!」

「何度言っても僕はイヤだからね!!」

まるで夫婦漫才をみているような光景だった。愛と呼ばれているツインテールの生徒の誘いをはやてと呼ばれるアスリート風の生徒が何度も断っているのだ。それはまるで何度も求婚している雄に対し、何度もあしらっている雌のように。

 この光景に興味を持ったみやこ、はるかに訪ねる。

「彼女達って何しているのを?求婚?」

はるか、少しこける。求婚ではないのはたしかだ。と、思いつつも答えた。

「求婚じゃないよ。今、愛ははやてに対して一緒にアイドルユニットを組んで欲しがっているんだよ」

この答えにみやこは不思議がる。

「アイドルユニット?」

これにはるかはさらに答えた。

「そう、アイドルユニット。あの愛、念願のアイドルユニットさ」

みやこは驚く。

「アイドルユニットって、私達以外にもスクールアイドルいたんだ」

これにははるかに苦笑せざるをえなかった。

「まだスクールアイドルは結成していないけどね」

はるかのツッコミをみやこは………、スルーして、別の質問をはるかにぶつけた。

「ところで…、愛とはやてって何者なの?」

つい作者すら忘れていた登場人物の紹介に築いたみやこだった。

「あっ、そうだったね。あの2人をまだ紹介していなかったね」

「お願い!!」

目をキラキラさせてみやこが話すと、さすがのはるかも説明しなければと張り切り始めて人物紹介を始めた。

「ツインテールの生徒、彼女は愛、秋葉愛。音乃木坂の3年生。秋葉の名前ってどこかで聞いたことあるでしょ」

「秋葉…」

はるかの問いに少し考えるみやこ。そして、ある答えを言う。

「秋葉原!!」

「残念!!」

みやこの答えにすぐに間違いと答えるはるか。少し悔しがるみやこだった。

「まっ、少し近いかもしれない。みやこは秋葉フィルハーモニーって聞いたことがある?」

「秋葉フィル…、あっ!!」

はるかの質問に驚くみやこ。はるかはさらに答えた。

「秋葉フィルハーモニー。秋葉原を拠点に今をときめく交響楽団。特にゲーム音楽によく使われる楽団。愛の父はその団長。母はその楽団に所属する有名なフルート奏者だよ」

さらにはるかの説明は続く。

「そして、今やアイドルとしては頂点に立つグループ、TKO47の不動のセンター、秋葉ゆうは彼女のお姉さんだよ」

「TKO47って出すCDは必ずミリオンセラー、そして、秋葉ゆうは10回連続総選挙での1位を獲得している。秋葉さんの家族って音楽一家としてすごいんだね!!」

みやこは愛の一家がすごいことに驚きを隠さなかった。それなら愛も…。と思うとある言葉を発した。

「なら、秋葉さんも音楽は得意なんだね」

「それはちょっと…」

いきなり言葉に窮するはるか。そして…。

「それはそれでおいといて…、隣にいるはやてを紹介するね」

話題をわざと切り替えることではるかは難を逃れた。

 そして、もう1人のことも紹介する。

「アスリート風の生徒、彼女ははやて、神宮はやて。音乃木坂の2年生。スポーツで鍛えられたボディ。にもかかわらず(巨乳ではないが)美乳の持ち主。そして、風になびくポニーテール。音乃木坂に通う生徒の中でも彼氏にしたい女性ナンバーワン!!」

力を入れて紹介するはるか。みやこもその勢いに飲まれる。

彼氏にしたい女性ナンバーワン!!私と大違い」

ちょっとしょんぼりするみやこ。はるかはこれに対しツッコミをいれる。

「いや。そのナンバーツーがみやこなんだけどね…」

「いやいや、私がナンバーツーなんてありえない」

やんわりと拒否するみやこ。ただこれだと堂々巡りとなると思ったはるかは話をもとにもどす。

「それはそれとして、はやては陸上部のエース。多くの陸上大会でメダルを獲得している。まさに音乃木坂が誇るスピードスター!!」

はるかははやての紹介を終えるとすぐに自分の紹介を始めた。

「そして、もうご存知だが、私がはるか、代々木はるか。音乃木坂の2年生!!なにを隠そう音乃木坂が誇る…」

「アイドル博士!!」

「そうそうアイドル博士、って、ちが~う!!」

自分の紹介の途中でみやこがチャチャを入れられたはるか。すぐに拒否する。実際は本当のことだが、隠したいものは誰もある。はるかはみやこのチャチャが入らないように力強く話し続けた。

「私こそ音乃木坂が誇る秀才。全国模試でも上位に入る。西木野真姫以来の国公立大学医学部現役合格も夢じゃない!!」

自分を褒め称えよと言わんばかりに自慢するはるか。しかし、みやこは全くの関心がないのか、話題を変えてしまおうとする。

「でも、なんで…」

「って、無視するな~!!」

ツッコミをいれるはるか。愛とはやてみたいに驚いて欲しかったみたいだったが、当のみやこは興味なしだった。

 そして、例の質問に戻る。

「でも、どうして秋葉先輩は神宮さんにアイドルユニット結成を持ちかけているの?」

ようやく元の質問に戻ったみやこ。これにははるかも張り切って答える。

「自分達も音乃木坂のスクールアイドルとして活動したいんだ!!」

「そうなの。でも、なんで?」

驚いたみやこはすぐに疑問をはるかにぶつけた。

「それはね、私達3人が幼なじみだからであることと…」

はるかが答え始めたその時、事態は急転した。

バシ、ガシ、バシ

愛はあるポーズをとった。それは自分のプライドを捨てるものだった。

「愛、…。なんのまね?」

はやても戸惑っていた。

「これが私のとれる最大級のお願いです」

それはまるで謝罪の教本に乗っている、そう、綺麗な土下座だった。愛にとってプライドは一番大事なものだった。それを投げ捨てるほどのお願い。はやてにとってはこれ以上見られないものだった。

「もうやめて。ぼくはそんな愛、見たくない」

そんなはやての願いも愛には聞き入れられなかった。

「はやての望むなら何度でも土下座する。だからお願い。私とアイドルユニットを組んで!!」

愛の一番大事なプライドすら捨てた渾身の土下座。これにははやても折れざるをえない。

「わかった、わかった。参加します。これ以上土下座されたら僕が困るから」

この光景を見ていたみやこ、一つの疑問がでてきた。

「でも、神宮さんって音楽やダンスの才能ってあるの?ただ同性にもてるからだけなのかな?」

この疑問にいち早く答えたのがはるかだった。

「はやては運動全般は得意だけど、音楽センスはちょっとね…」

これにはみやこは噛みついた。

「だったらダンス要員なのかな?」

しかし、これにははるかは否定する。

「ただのダンス要員じゃないよ。彼女の得意なもの、ラップがあるんだ」

「ラップ!!」

これにはみやこも驚いた。はるかはこれを見て話し続けた。

「はやてのラップははやラップと言われている。そして、もう一つ、別のラップも持っている」

「もう一つのラップ!!」

みやこは二度驚く。そして、こう言った。

「もう一つのラップって何ですか?」

「それは後のお楽しみ!!」

みやこの問いにやんわりと断るはるかであった。

 

 ちょうどそのころ、音乃木坂のある会議室には理事長以下理事会の人達、それに先生達も揃ってある会議が行われていた。

「来年度の生徒募集の件ですが…」

南理事長は来年度の件で会議を進めたいと考えていたが、すぐに横やりが入る。

「それよりも、今年のラブライブは大丈夫なんでしょうね」

言ってきたのは理事会のまるでとある和風割烹の姿をした男性理事だった。

「今はラブライブは関係ないのでは」

南理事長、関係ないと突っぱねる。しかし、男性理事は反撃にでる。

「関係ないというわけではないでしょ。今やラブライブは入学希望者を増やす絶好の機会。なのに、南理事長は何もしなかった。実力のあるアイドル特待生が入学してくれたら、それだけでスクールアイドルの実力は急上昇。ラブライブ優勝も夢じゃない」

南理事長も反撃する。

「しかし、それだけではラブライブは優勝できないでしょ」

「いや、学校生活全てを練習に費やせばできるでしょ」

「それでは将来困るのはその生徒です」

「今が大切なんです。文武両道であることが必要かもしれません。しかし、それだけでは今の学校は成り立たないのです。少しは現実を見てください」

「生徒に文武両道を進めることが将来役に立つ。学校はそれを教える場なんです」

文武両道、生徒の将来性についていう南理事長。対して男性理事はスクールアイドル特待生、それによるラブライブ優勝こそ学校経営には必要なことだと言う。

 そして、20分後、2人の論争は平行線のままだった。そこにある先生が口を出した。

「お話し中すいません。私からも一言宜しいでしょうか」

熱い論争に水を差すことになったが、これが現状を知る上で重要なことにある。

「これは私達先生の意見なのですが、高坂さん達は他の人から見ても異常と言えるくらい過酷なトレーニングをしています。これではいくら伸び盛りであっても、体を壊してしまいます」

これには南理事長、男性理事共に黙らざるをえなくなった。

 これを契機に先生達が次々と意見していく。

「音乃木坂は第2回ラブライブ優勝から遠かざっている」

「今、現状、多くの学校がラブライブを生徒獲得の場とみている。スクールアイドル特待生の有無に限らず、今の実力でラブライブにて活躍できるのでしょうか。今のままで入学希望者は増えるのでしょうか」

「部員が次々と辞めていくのをみると本当に大丈夫かわからなくなる」

 そして、次の言葉がこの会議の流れを決定づけた。

「生徒の間ではこう言われています。このままで音乃木坂のスクールアイドル文化はいいのであろうかと。ラブライブに勝つことが一番大事なのではと」

ここでもスクールアイドル勝利至上主義がはびこっていた。勝利することが一番大事である。この考え方が音乃木坂の生徒にも浸透していた。

 しかし、今のまま入学希望者数が少なくなるという危機意識を持った理事達、先生達にとって、この言葉は一つの決断を下すことになる。

「私から提案があります。高坂達アイドル研究部に対して、次のラブライブに出場すべきか公開審査したいのですが」

ある先生の発言に南理事長は反対する。

「それはダメでしょ。生徒の自主性を尊重しないと」

南理事長1人反対したが、それ以外の理事、先生達は反対しなかった。多数決による結果、反対1、賛成多数で公開審査が決定した。みんながそれで良いと思った。

 そのとき、いきなり会議室のドアが開く。

「その審査、私達も参加させてください」

驚く理事と先生達、そこに立っていたのは…、秋葉愛だった。

 

 翌日、一つの放送が学校を駆け巡った。

「お知らせ致します。音乃木坂学院のアイドル研究部の部員は大至急、理事長室にお集まりください」

突然の呼び出し。これが雪穂達の命運を握った呼び出しであることはその時の雪穂達には知らなかった。

「どうしたんだろう。突然のお知らせなんて」

雪穂はなんの呼び出しか少し疑問に感じていた。

「私もわからないよ。なんか嫌な予感がする…」

隣を歩いていた亜里沙も心配していた。その亜里沙だったが、手にはあの楽譜帳を大事そうに抱きしめていた。この楽譜帳、真姫が雪穂達のためにと残しておいたものだった。これまで発表した曲と共に未発表曲も書いていた。これから先、ラブライブに出場する際に作曲のできない雪穂と亜里沙のために作曲したものだった。あの新歓レセプションでも大事に亜里沙が抱きしめているほど雪穂と亜里沙にとって大事なものだった。

「雪穂先輩、亜里沙先輩、こんにちは。これって何の呼び出しですかね」

途中でみやこも合流してきた。みやこも何の呼び出しかわからなかった。

その後、3人はすぐに理事長室に直行した。

「アイドル研究部です」

「は~い。はいってきて」

ドアを叩き、名乗る3人。すぐに南理事長が応答したので、理事長室のドアを開いた。運命のドアを開いた。

 ドアを開けた3人だったが、理事長室は異様な雰囲気だった。そこには南理事長以下理事会の理事と先生達、そして、生徒が3人いた。

「あ…」

みやこは気付いた。生徒3人のうち、1人はよく知っている生徒だった。

「突然呼び出して申し訳ございません。しかし、これはあなた達アイドル研究部にとって大事なお話となります」

突然の南理事長の言葉にみやこはその生徒に呼びかけをやめた。そして、南理事長はアイドル研究部の命運を握る話を始めた。

「このところ、アイドル研究部の成績があまり芳しくありません。そして、あれだけ多くの新入部員を獲得しながらすぐにやめてしまう現状。このままだと今年もラブライブでの成績が芳しくないだろうという結論に至りました。そこで、そこにいる生徒3人、秋葉愛さん、代々木はるかさん、神宮はやてさんとユニット対決をしてもらいます。そして、負けた方は解散してもらいます」

「えっ」

南理事長の突然の「対決せよ」の言葉に言葉を窮する雪穂、亜里沙、みやこの3人。

 そして、南理事長は続けて話す。

「このユニット対決は理事、先生、生徒での公開審査となります。この審査により、全員から意見を集め、一番良かった方にラブライブ参加権を与えます。ただし、どちらか一方ではなく、出場しないなどの選択もあります」

この言葉に雪穂達は愕然とした。この時まで今年のラブライブに出場できると思っていた。それが公開審査での出場権を賭けた対決が必要になるということに。

 愕然とする雪穂達の前にあの3人が立ち並ぶ。

「私がリーダーの秋葉愛です」

「僕、神宮はやてです」

「そして、音乃木坂一の秀才、代々木はるかです」

「3人あわせて『マキシマム』です」

この3人、雪穂達の前に堂々とユニット名を名乗った。「New age(ニューエイジ)」と別の音乃木坂のスクールアイドル「マキシマム」だった。

 愛は続けて言った。

「あなた達が去年のラブライブ決勝で無残に負ける姿を直接見て決めましたの。あなた達に代わり、私達が出場してしまった方が良いのではと。だから、決めましたの。あなた達と勝負して私たちが優れていることを証明します!!」

と言っているそばでみやこはあることに気付いた。

「あっ、はるかちゃん」

「みやこじゃない」

2人は再開を喜ぼうとしているが…。

「人の話を聞きなさい!!」

愛がツッコむ。

「3人とも静かに…」

先生の一喝で黙る3人。

 そして、南理事長はその対決方法を発表する。

「対決方法は歌とダンスのみでの審査です。必ず制服、もしくは体操服で行うこと。メイクなどはしないでください。そして、曲ですが、必ず自分達で作詞作曲してください。完全新作でしてください。他の人の曲は作詞作曲ともに不可です。審査は2週間後、講堂で行います」

「えっ」

雪穂達は愕然とした。そして…。

バタン…

亜里沙が楽譜帳を落としてしまった。

 

(ラブライブΩ ED曲:さよならなんていわない)

別れる時まであともう少し

本当は別れたくないけど

でもね 別れないといけないんだ

進む道が全く違うから

 

私達仲間同士

ハートでつながっている

離れあってもいつかは

必ず一つにつながるよ

 

さよならなんていわない

それが私達らしいでしょ

また会うその日それまで

少しの別れだけでしょう

私達ならまた必ず会える

だから言えるね「またねぇ~」と

 

次回 「新しい名前」

 




こんにちは、la55でです。
ラブライブΩも第2話目です。第1話とは間隔が長くなりましたが、楽しんでいただけたでしょうか。
このラブライブΩですが、出来るだけノート10~15ページに収まるように書いております。これは出来る限り短時間でも読みやすいようにしているのもあるのですが、もし、アニメ化したら15分以内にでも収まるようにしけたらしけたらなあと思って書いております。
ここ最近のアニメはあんまり円盤を購入しなくなったこともあり、短い時間でのアニメが多くなっております。中にはたった30秒ものアニメもあります(って、これだとCMと変わらなくない?)。それを意識しているわけではありませんが、それでも意識してしまうというのあります。(でも、本当の理由は長い文章を書く時間や技量がないのが大きいんですがね)
ところで、ラブライブΩですが、今日(5/27現在)において、すでに終盤に当たる13話まで完成しております。そして、14話をもって本編が完結するところまできております。といっても、その後に+αを執筆する予定ですのでまだしばらく続きます。ただ、打ち込みは7話ぐらいまでしかできておりませんので、はたして毎週連続投稿ができるかはまだまだ未知数です。
それでも最後まで見てくれたら嬉しいと思っております。それでは、次回まで、さようなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 新しい名前

「前回のラブライブΩ」
「私、絢瀬亜里沙、音乃木坂の3年生。過酷なトレーニングの影響で、また2人になった。アイドル研究部、しかし、(京城)みやこさんが途中から合流。そして、新生アイドル研究部が発足した。ハラショー、な彼女は私達の過酷なトレーニングについていく」
「私達3人がトレーニングをしている中、(秋葉)愛さん、(代々木)はるかさんは(神宮)はやてさんを口どき(というよりもプライドを捨てた土下座をして)私達とは違うスクールアイドル「マキシマム」を結成」
「そんな中、理事や先生達は今年のラブライブ出場について会議を行い、理事、先生、生徒の前で私達「New age」と愛さん達「マキシマム」の2組による解散を賭けた公開審査を行うことに…。しかし、その条件が…」

「必ず自分達で作詞作曲してください。完全新作で」

パタン…

「誰か助けて~」

(OP 1番のみ)



第3話 「新しい名前」

 

パタン…

「そんな…」

「うそでしょ…」

がっかりした考えで床にペタンと座る雪穂と亜里沙。これを隣で見ていたみやこは不思議そうに2人を見てから言った。

「どうしたんですか、先輩。そんな顔していたら運も逃げてしましますよ」

みやこが元気をつけようとするが2人はがっかりしたままだった、ある実情により…。これを見ていた愛が座り込む雪穂と亜里沙に近づき、こう言い放った。

「どうやら噂は本音だったみたいですね」

勝者が敗者を見下す、その様な状況だった。しかし、負け犬みたいな状況に見えた雪穂達を見て、みやこは愛に質問した。

「噂ってなに?」

「まだ新入りに教えていなかったのね」

愛は勝ち誇っているような姿で反応すると、すぐにこう言い続けた。

「高坂さんと絢瀬さんは作曲はおろか、作詞すらしたことがないってことよ」

この言葉にみやこはすぐに反応する。

「でも、これまでの曲はどれも素晴らしいものだよ!!」

これにも愛は答えた。

「それは全て真姫先輩が作曲したもの。作詞についても海未先輩が作詞したものがほとんど」

「えっ…、うそでしょ」

みやこはすぐに雪穂と亜里沙を見た。雪穂はすぐにみやこに事実を告げた。

「本当のこと…。今までの曲は真姫先輩作曲、海未先輩作詞だったんだ」

しかし、みやこはそれは違うという表情をしつつこう言った。

「でも、亜里沙先輩が持っている楽譜帳には未発表の曲がたくさんあるでしょ」

そう。亜里沙の持っている楽譜帳には未発表の曲が多く書かれていた。トレーニングの合間にも楽しそうにみやこに見せていた。それらの曲を発表すればよい、みやこはそう考えていた。

 しかし、これにも亜里沙は悲しそうに答えた。

「あれは全て真姫先輩の作曲した原曲なんだ。原曲をもとに少しアレンジして歌って欲しいと言われていたんだ。だけど、今回は完全新作。この曲たちは使えない…」

 これを見て、メガネの生徒、はるかが大きな声で言い放つ。

「やっぱり思った通りでしょ。私の目からみて高坂(雪穂)先輩と絢瀬(亜里沙)先輩が作曲しているとは見えていませんでしたから。それに比べて、愛さんは作詞はおろか、作曲もできる天才。これで勝負は勝ったのも同然!!」

「そうですね。私達が勝利したのも同然!!」

はるかの煽りで愛も勝ったような表情をして言い放った。

「高坂(雪穂)先輩達に失礼でしょ。それはやめなさい」

隣にいたはやてが愛達2人を諭すが、愛とははるかは高笑いを止めなかった。

 そんな中、みやこは男性理事に楯突いていた。

「どうしてこんな勝負するんですか」

だが、男性理事はすまし顔でこう言った。

「音乃木坂のスクールアイドルの名誉を守るためだ。ラブライブに優勝してからこの2年間、あんまり芳しくない成績。一昨年は予選落ち、昨年は決勝での大差の敗北。そして、今年、まきりんぱながいない状況では予選すら苦戦するのは目に見えている。これでは音乃木坂のスクールアイドルの名誉は地に落ちてしまう。いや、音乃木坂の学校存亡にかかわる」

これにはみやこは怒りに満ち溢れていた。そして、こう言い放った。

「ただの学校の名誉のためなの!!」

しかし、男性理事は冷静にこう答えた。

「そうだ。学校の名誉のためだ。なんだってスクールアイドルは勝つことが全てだ!!負けてはいけないのだ。そうですよね。南さん。なんだって、ラブライブはスクールアイドルの甲子園…」

すると、黙っていた南理事長がいきなり叫びだした。

「かっちゃ~ん。たっちゃ~ん」

これにはその場にいたみんながびっくりしたが、すぐにしらけムードになった。

「ごっほん」

男性理事が咳払いをするとすぐにしゃべり始めた。

「南理事長は少し疲れているみたいだ。とはいえ、全国に通用するスクールアイドルじゃないといけないんだ!!」

また「スクールアイドル勝利至上主義」だ、とみやこは思ったが、これ以上言うと火に油を注ぐと思い、黙っていた。

 

 それから5日間、雪穂達は案を持ち寄っては作詞作曲をしようとしたが、なかなか進まなかった。雪穂、亜里沙はおろか、みやこですらその経験がなかった。

「やっぱりここはかっこよく『強いぞ、強いぞ』でしょ」

雪穂はこう言うと亜里沙は反論した。

「これはどこかのCMのセリフだよ。あんまり曲としてはいけないよ」

なかなか進まない状況にみやこも困っていた。

「このままで曲は完成するのかな。トレーニングをしつつ、曲を完成させる。これが出来ず…。これほど難しいものなんだ、スクールアイドルって」

「やっぱ、『すごいぞ、すごいぞ』は入れようよ」

雪穂の言葉に亜里沙はすぐに反論する。

「これもCMと同じだよ!!でも、何か良い案ってないのかな。お姉ちゃんだったらバレエの白鳥の湖をひきあいにだしそうだけど」

こういってまるで翼をはばたせるような格好をする。

 それを見ていたみやこはひらめいたように叫んだ。

「そうですよ。μ’sの楽曲をヒントにすれば良いんですよ」

これには雪穂も亜里沙も驚いたが、すぐに雪穂が反論した。

「ちょっと待って!!完全新作でないといけないんだよ。μ’sの楽曲ってほとんど有名だからパクっていることはすぐにばれてしまうよ」

だが、これにみやこはこう答えた。

「パクるんじゃなくて、参考にするだけですよ」

しかし、亜里沙にとって?と頭をかしげてこう言った。

「参考にする?どういう意味?」

すると、みやこはこう言い切った。

「参考にする、それは曲のテーマを参考にするっていうことですよ」

雪穂、亜里沙2人とも頭をかしげてこう言った。

「曲のテーマ?」

「そう、曲のテーマ」

みやこがこう言うと続けてこう言った。

「『START DASH』『僕らはひとつの光』これらは自分たちを小鳥に例えていた。そして、最初は小さな小鳥だったが、最後は大きく羽ばたくようなストーリーになっています。なら、私達もこのストーリーを参考にしたらどうでしょうか」

これを聞いた雪穂と亜里沙は目を輝かせた。

「なるほど!!それはいいアイデアだね」

こう亜里沙が言うと喜んだ。雪穂は…。

「確かにいいアイデアだね。それに、μ’sに続く音乃木坂のスクールアイドルという伝説を引き継ぐことになるからね」

とても喜んでこう言った。

そして、小鳥の成長をテーマに一つずつワードを出し合い集めていった。

 

「大空」「小さな羽」「生まれたて」「飛べない」「つばさ」そして「飛びたい!!」

 

3人はこの言葉を紡いでいき、そして、一つの詞を作った。

「Little wing」(仮)

できた歌詞におぼつかない作曲を行い完成させていく。

 

そして、2日後、あまりにもおぼつかない、それでも一生懸命がんばって曲は完成した。まだまだ素人じみた曲であったが、3人にとって一つの達成感を味わっていた。

 

しかし、まだこれで終わりではなかった。ダンスと言う名の振付も必要だった。

「振付、どうしようかな」

雪穂はまた悩んでいた。振付は凛の独壇場だった。だから凛のいない今、どうすれば…、と言いたいが、そこにみやこが答えた。

「なら、私が振付を創作していいですか」

その夜、みやこは…

「こうした大きく見えるね」

「これじゃ目立たないね」

と試行錯誤を繰り返しながら振付を考えていた。

 そして、翌日、みやこが完成した振付を雪穂と亜里沙に見せると雪穂達は喜んだ。

「すごい、すごいよ」

「ハラショー。こんな振付、見たことがない」

ちょっと高度な振付だった。しかし、雪穂と亜里沙にとっては朝飯前だった。真姫から歌を、凛からはダンスを、花陽からは…アイドルとしての心構えを教わっていた2人にとって朝飯前なのだ。対して、スクールアイドルとしての基礎能力の高い2人とは違うみやこも一生懸命頑張ってついてきた。残された時間、雪穂達は振付などを合わせるなどして、悔いのないように練習した。

 そして、勝負を翌日に控えた日、みやこは一つの提案をした。

「どうせ3人になったので、ここでグループ名を改名してはどうでしょうか」

これには驚いていた雪穂と亜里沙。しかし、New ageはまきりんぱなと雪穂、亜里沙が組んだ時につけたグループ名だった。新しい世代という名をこめて。

「今の『New age』じゃ駄目なのかな」

雪穂がこう答えると、都は力強くこう言った。

「たしかに『New age』でもいいけど、これだと雪穂先輩と亜里沙先輩の2人のグループになってしまいます。でも、今は私を含めて3人!!だからこそ改名すべきです」

これを聞いた亜里沙、ならばとこう言い返す。

「じゃあ、どんな名前がいいのかな?」

これにも都はこう切り返した。

「それなら『オメガイズ』はどうでしょうか。『最大級の』という意味です。全てのスクールアイドル、そして、μ’sよりも最大級のグループとして活躍していけるように」

しかし、雪穂と亜里沙にとってμ’sは自分たちが目指す、そして、超える目標である。そして、New ageはそのまきりんぱなとの大事な絆みたいなものだった。

「私は今までの方が良いかな。思い出のある名前だから」

雪穂はやんわりと反対する。

「本当にいいのですか。私はμ’sを、『New age』を超えるための改名だと思うのですが」

みやこ、反論する。雪穂、みやこ、相対する。

 しかし、これではらちが明かないと思う2人は唯一答えの出ていない亜里沙にふる。

「「どっちがいい」」

「私は…私は…」

答えに窮する亜里沙。

 結局、答えは出ず。改名についてはもう少し考えてみようということでその日は解散となった。

 

 一方、愛達「マキシマム」もこの2週間練習に明け暮れていた。New ageとの対決が発表された2日後には愛はすでに勝つための曲を完成させていた。

「いや~、やっぱり愛さんの曲はいつも素晴らしいですね」

褒めちぎるはるか。

「そうでしょ、そうでしょ」

自慢する愛。

「なんで~。僕、このラップいやだよ~」

歌詞を見て嫌がるはやて。

「だってはやてのラップが勝利の鍵なんだから」

愛はいやがるはやてを諭す。

 そして、次のステップに進む。

「ところで、振付はどうしましょうか」

愛の言葉にはるかはすぐに反応する。

「それでしたら、この振付を参考にしてはどうでしょうか」

はるかは自作のアイドルデータベース(アイドル好きのはるかが1週間寝ずに作った自信作。週1回の更新を毎週怠らずやっているらしい)から関東のとある学校のスクールアイドルの映像を愛とはやてに見せた。

「このダンスはダンス初心者でもやりやすいものになっています。それでもって完成度も高い。それは誰もがNew age以上のダンスをすることができます」

はるかはこう言い切った。そして、愛もこれに賛同する。

「よ~し。これを参考にNew age以上のダンスを完成させよう」

「オー!!」

そして、マキシマムもお手本となるダンスを参考に振付を完成させた。だが、ここにきてある落とし穴があることは誰も気付いていなかった。

 

 対決前日、夜。雪穂はベッドの上で考えていた。

「改名かぁ。たしかに心機一転するためにも必要。でも、この名前(New age)は思い出のある名前。どうすればいいのかな」

「電話だよ。電話だよ。電話…」

いきなりなったケイタイの音。雪穂は驚いたが、すぐに電話にでる。

「雪穂、私、亜里沙だけど…」

亜里沙からだった。雪穂のことが心配だった。そのために電話をかけてきたのだった。

 たあいのない雑談をした後、最後に亜里沙は雪穂にこう言った。

「ところで、改名の件だけど、そんなに難しく考えなくてもいいんじゃないの」

この言葉に雪穂はすぐに反応する。

「なんで!!New ageの名は先輩達との思い出がいっぱいなんだよ」

しかし、亜里沙の答えは意外なものだった。

「なんなら、先輩達から卒業したらいいんじゃないの。もう、まきりんぱな先輩はすでに卒業しているでしょ。なら、私達も先輩達への思いから卒業すべきじゃないの」

雪穂はそれを聞いてはっとした。

(そういう考え方もできるんだ。私、ずっと先輩達のことばかり追いかけていたんだ。先輩達がいないと自分は出来ないと思っていた。でも、もう先輩達は卒業して学校にいないんだ。なら、その思いを断ち切らないといけないんだ)

こう思った雪穂は亜里沙にお礼を言った。

「ありがとう。これで踏ん切りがついたよ」

「?」

亜里沙はなんの意味か解らなかったようだった。そして、変な質問を繰り出される。

「ところで、ふんぎりってどんな霧なんですか?」

「えーーーと!?」

言葉に窮する雪穂。でも、音乃木坂のスクールアイドルとしての重圧から解き放たれ、昔のように亜里沙とスクールアイドルとして楽しめるのではと思えた。そう、誰も喜んでいけるように。

 

 翌日の放課後、音乃木坂学院講堂―。

ここに音乃木坂の生徒、先生、理事が集まった。しかし、噂が噂を呼び、生徒全員が集まった結果、講堂だけではまかないきれず、急遽、教室での放送も行うことになった。

「それではアイドル研究部New age…」

司会がタイトルコールを言おうとすると、雪穂が制した。

「私達はNew ageではありません!!New ageから卒業します!!」

「えっ!!」

司会は驚いた。そして、全ての観客も驚いた。雪穂はこれを見て話を続ける。

「私達はただ今をもって改名します。伝説(μ’s)の次に世代(New age)のその先へ、最大級の高みを目指します」

そして、雪穂、亜里沙、みやこは声高めに叫ぶ!!

「「「私達はNew age改めオメガイズです!!」」」

これには音乃木坂にいる全員が驚愕した。

 

実は始まる前、3人はあることを話し合っていた。

「昨日の改名のことだけど…」

雪穂は亜里沙、みやこにこう切り出して、そして、こう告げた。

「やっぱり改名しようか」

あっさりした答えだった。これを見て、亜里沙驚く。

「どうしたの。たしかに昨日、New ageから卒業したらって言ったけど」

むろん、みやこも顎が外れるほど驚いていた。

「いつもの雪穂先輩じゃない…」

「みやこ!!それは言い過ぎでしょ」

雪穂、みやこにツッコミをいれる。

「でも、どうしていきなり心変わりしたの?」

亜里沙は心変わりの理由を雪穂に問うた。

 これに対し、雪穂はこう答えた。

「私、これまで音乃木坂のスクールアイドルだからこうしないといけないと思っていたんだ。それはまわりからの重圧もあったんだけど、一部は先輩達の栄光を追いかけていたんだと思う。先輩達の伝説が自分にとって重圧だったんだ。だから、メンバーをもっと集めないといけない、過酷なトレーニングをしないとうまくならないと思っていたんだ」

そして、雪穂はこう告げた。

「私はNew ageを卒業しようと思う。先輩達の思い出が詰まり過ぎたNew ageからの卒業、それは先輩達の思い出からの卒業になる。そして、今からの私達は私達の力で伝説(μ’s)の次の世代(New age)のその先を目指していきたい」

このことを聞いた亜里沙、みやこはいきなり雪穂に抱きついた。

「わっ!!どうした…」

雪穂は驚く。そして、亜里沙はこう言った。

「やっぱり雪穂はこうでないと!!」

続けてみやこもこう言った。

「雪穂先輩、かっこいい!!」

この光景は3人が初めて一つになった、そのような瞬間だった。

 

「オメガイズ…、ここにきての改名…」

司会はおろか観客全員が驚いていた。

「ちょっと、なに驚いているの。ただの改名でしょ。先に進めなさいよ」

この状況、愛はすぐに始めるために司会に詰め寄る。

「あっ、そうでした。それではNew age改めオメガイズとマキシマム、解散を賭けたユニット対決!!今から始めます!!」

フューフュー

観客が盛り上がる!!6人のスクールアイドルとしての将来を賭けた戦いが今始まる!!

 

(ED 1番のみ)

 

次回、「代表は誰?(前編)」

 

 




 こんにちは。la55です。
 ラブライブΩも第3話を迎えました。楽しんでいただけましたでしょうか。
 ついに次回、雪穂達と愛達の対決が始まります。どんな対決になるのでしょうか。楽しみです。
そして、次回は次回予告の通り、前編、後編に分けて投稿します。なぜか。理由は簡単。あまりにも長くなり過ぎたからです。ノート20ページ分もの文章になってしまいました。前回のあとがきに記入した通り、10ページから15ページを目安にしているため、前編、後編に分けました。しか~し、それでは楽しみにしている読者に申し訳ないと思い、次週は2話分連続投稿を行います。お楽しみにお待ちください。

 で、今回は歌はございませんでした。申し訳ございません。自分も必ず1話に1曲載せよう最初思っていたのですが、結局はできず。うぅ、情けない。実は曲がない話がこれを含めて3話分あります。これについてはここで謝罪させていただきます。本当に申し訳ございません。

 近況ですが、今月初めに全14話を書き終えました。今は9割パソコンに打ち込みを、1割を+αの執筆を行っております。1回ノートに執筆し、それをパソコンに打ち込む。通常パソコンで原稿を打ち込めば1度ですむのですが、私の場合、二度手間になっております。これには理由がありまして、打ち込み時に誤字脱字や話の流れの確認をチェックしているためです。結構多いんですよね、私の場合。時間がかかりますが、これでいけたらと思います。

 長くなりましたが、次回、2話連続投稿を行います。それまで楽しみにお待ちください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 代表は誰?前編

「前回のラブライブΩ」
「私、京城みやこ、音乃木坂の2年生」
「解散を賭けた勝負が決まり、長くて短い2週間が始まった。自分達で作詞作曲の完全新作。そのため、これまで作詞作曲してこなかった(雪穂達)3人は試行錯誤の上で、ようやく「Little wing」(仮)を完成」
「最終日、私が改名をしようと言うと、雪穂先輩が猛反対、口論となる。しかし、その夜、雪穂先輩は亜里沙先輩の電話で、過去の栄光からの重圧によって負けそうになっていたことに気付く。そして、勝負が始まる前に雪穂は私、亜里沙先輩と相談」

そして、「私達はNew age改めオメガイズです!!」
オメガイズという新しい名前でもって変わろうとしていた。

一方、愛先輩達「マキシマム」も万全をもって対応…。

今、まさに運命のゴングが鳴り響く。

(OP 1番のみ)



第4話 「代表は誰?」(前編)

 

「今から始まるのは音乃木坂のスクールアイドルの座を賭けた勝負!!これまで活動していたNew age改めオメガイズに対し、新星マキシマムが挑む!!これは面白い展開になりそうだ!!」

フューフュー

 観客席は大盛り上がりをしていた。いや、学校中が盛り上がっていた。スクールアイドルの座をめぐる争い。それを決めるべきして今回の勝負がある。

「ルールはいたってシンプル。各グループ1曲(1番のみ)を歌ってもらいます。そして、その後で各教室の前に設置した投票箱に音乃木坂のスクールアイドルとしてふさわしい方を書いてください。なお、その他の意見を書いてもよいです。そして、投票数で一番多い方が音乃木坂のスクールアイドルとなります。なお、負けた方は解散となります」

司会がこう言うと、細かいルールなどを説明した。観客は自分達がスクールアイドルを決めるということで緊張していた。それは雪穂達もだった。

 説明終了後、ついに運命のゴングが鳴る-!!のかと思ったその時…。

「ひがし~、オメガイズ~。に~し~、マキシマム~」

司会のちょっとふざけた言葉に周りはズッコける。

「ちゃんとやりなさい!!」

愛の注文が飛ぶ。しかし、これにより、観客全員の緊張の糸が切れた。雪穂達の緊張も切れた。大きな笑い声が鳴り響く。だが、これは司会の側の配慮だった。緊張しては良い審査もできない。その意味ではよかったのかもしれない。また、雪穂達も緊張していては良いパフォーマンスはできない。良いパフォーマンスをするには良かったのかもしれない。

「それでは取り直して、まず、最初にオメガイズ、お願い致します」

今さっきのおふざけで緊張の糸が解けた雪穂達。その近くには雪穂、亜里沙の友達が来ていた。三つ子の生徒であった。

「がんばってきてね」

「ありがとう、ラン」

雪穂がお礼を言う。

「応援しているよ」

「がんばってくるからね。スー」

亜里沙が答える。

「マキシマムをぶっ飛ばせ」

「ミキ先輩、それはちょっと…」

答えに窮するみやこ。

この友達、通称、キャンディーズ三姉妹。オメガイズの大ファンであるとともに、New age結成の2年前から裏方として雪穂、亜里沙達を支えてきた。

 三姉妹の声援を後にして、舞台袖に立つ3人。

「あの~、ここで掛け声かけませんか」

みやこが提案する。それに雪穂が答える。

「そうだね。そういえば掛け声ってまきりんぱな先輩の卒業ライブの時以来だね」

そして、3人で円陣を組む。

「1」「2」「3」

雪穂が言うと、亜里沙、みやこが続けて言う。そして…。

「「「オメガイズ~、パワー、アップ」」」

3人が一斉に叫ぶ!!

 掛け声の後、3人は講堂のステージへと進む。そして、前に雪穂、後ろに亜里沙とみやこが並んだ。

「「「聞いてください。オメガイズで『Little wing』(仮)」

雪穂達3人が言うと曲が始まった。

 

『ラブライブΩ オメガイズ 挿入歌 「Little wing」(仮)』

 

「大空はとっても広い

私たちは飛んでみたい

小さな羽で飛んでみたい」

 

大きく動く3人。次の節に移る時、小さく縮まる。

 

「でも私たちは飛べない

生まれたてだから

少しも飛ぶことができない」

 

小さく縮まることで小鳥を表現している。この節が終わる瞬間、大きく羽ばたくように外に飛び出した!!

 

「それでも飛びたい!!」

 

そして、小鳥が飛びたいが飛べない様子を表現しながら歌った。

 

「大空に飛んでいく

小さな翼でとんでいく

彼方の地にススみたい!!

 

飛びたい!!

飛びたい!!

どうしたら飛べるのですか」

 

曲が終わると、あたりがシーンとなる。そして、大きな間のあとで、

 

オー!!

 

大歓声が響いた。あまりにもふりつけが良く、それについて拍手を送る人が多かった。この様子を見た雪穂達はびっくりした。これまでの冷たい目ではなく、暖かい目での拍手だったからだった。

「これがスクールアイドルのステージなんだ」

みやこは感動した。このステージがスクールアイドルとしての初めての経験だったが、その中で初めて味わう感覚を味わったのだ。これほど気持ちの良いものだと気付いたからだった。

 雪穂、亜里沙もやりきったと思った。しかし、もし駄目だったらスクールアイドルをやめないといけないと思うと、ちょっと気が引けるような気持ちにすぐになった。

「ダンスは良かったですわ。しかし、曲が少し悪かったんじゃないの」

愛が雪穂達に文句があるかごとくけしかける。

「それもそうだけど、そちらはどうなの!!」

雪穂が迎え撃つ。まるで虎と龍、ならぬ、犬と猫の争いである。

「すいませんが、次の準備に移りたいのですが」

司会が真ん中にはいる。次は愛達の番だった。

「スクールアイドルの見本を見せてあげますよ!!」

たんかを切った愛は舞台袖に戻る。

「私達も掛け声しましょう」

はるかが提案、愛もそれに賛同する。

「そうですね。やってみましょうかね」

そして、掛け声を始める。

「1」「2」「3」

愛の掛け声にはるか、はやてと続く。そして…。

「「「マキシマム、パワー、オン!!!」」」

3人は叫ぶ。

「それでは、マキシマムの皆さん、お願いします」

司会の呼びかけで横一列に並ぶ愛達3人。

「「「マキシマムで『花・鳥・風・月』!!!」」」

愛達3人の曲名の叫び声と共に曲が始まる。

 

『ラブライブΩ マキシマム 挿入歌 「花・鳥・風・月」』

 

「花は咲きみだれ 鳥は鳴き聞かせ

風はふぶかされ 月はかがやかせ

 

ビルも立ち乱れ 尾錠も咲き乱れ

日本中まざれ  混沌(カオス)巻き起こせ

全てもえあがれ 混ぜて萌えあがれ」

 

手をグーにして胸の前に折りたたむように踊る3人。

このとき、亜里沙があることに気付く。

「これ…、何かの曲の振付に似ている…」

だが、ここではやてのラップが始まった。

 

「燃えろ 燃えろ 燃えまくれ」

 

まるで男みたいな声でラップを奏でるはやて。

そして、次の小節に移ったそのとき。

 

「萌えろ 萌えろ 萌えまくれ」

 

はやて、今度は女性の萌えた声でラップを奏でる。これがマキシマムの秘密兵器「はやラップ」「はや萌えラップ」である。観客は興奮のるつぼにはまる。

 

「(はやラップ)  燃えろ 燃えろ

(はや萌えラップ)萌えろ 萌えろ

(はやラップ)  萌えろ

(はや萌えラップ)萌えろ」

 

交互に男性声と萌え声が切り替わるラップ、そして。

 

「モエまくれ!!」

 

2つの声、いや、ラップが重なる!!

 

キャー

 

観客が叫んだ。

だが、そのときの振付は指を上に指し示すものだった。

「やっぱり、あの曲の振付が同じ…」

亜里沙のかんは確信へと変わった

 

「全てを1つにすれば 生まれるのさ私たち

全てを混ぜて混沌(カオス)に 失うものは何もない

全てのものがハッピーに うまくいく心配ない

素晴らしい 日本文化(ジャパンカルチャー)に

動き始めよう 世界中に

文化を発信 していこう」

 

観客はマキシマムの歌に引き付けられてしまった。

しかし、途中の振付もピースを上に上げたりなどしていた。

「なんかの振付に似ているよね…」

これに気付く観客も何人かいた。しかし、それでも歌で圧倒されていた。

こうしてマキシマムの曲が終わった。

 

キャー

オメガイズ以上の完成を観客はしていた。

「はるか、なんなの、あのラップは」

みやこはすぐにはるかの所に行き、ラップの真意を聞いた。

「あれはね、はやラップ、はや萌えラップだよ。はやラップは男っぽいラップ、はや萌えラップは萌えた声でラップ。これをすることで曲にインパクトを与えるんだ」

得意そうに答えるはるか。

「どう、私達の優勢でしょ」

愛、自慢そうに答える。

「く~」

悔しがる雪穂。

 しかし、この一声で状況が一変する。

「これって『kira-kira センセーション』の振付によく似ているよ」

亜里沙の一声。しかし、それは観客もうなずき始めた。

「確かに似ている」「いや、ほとんど似ているよ」

亜里沙は音乃木坂に入学する前、μ’sの振付をよく勉強していたため、μ’sの歌の振付はよく覚えていた。しかも、この「kira-kira センセーション」、μ’sがラブライブ決勝で優勝を決めた曲である。そのため、ある程度の生徒は振付を知っていたのだ。

「でも、これってある関西系の学校のスクールアイドルの振付を参考にしたのに」

この振付を考えたはるか、反論を行う。

「そこが盲点だったんじゃないかな。『kira-kira センセーション』はμ’sがラブライブ優勝を決めた曲だもん。この曲を真似ようとするスクールアイドルは多いんだよ。それを参考にしたために逆に似ている部分がより目立ったんじゃないかな」

亜里沙の解説に顔を引きずり始めるはるか。

「でも、歌は良かったでしょ。これなら私達の…」

愛が弁明を始めるが…。

「これでいいのかな」「パクリでしょ~」

振付が似ていただけだったが、観客の中ではパクリ疑惑までに発展しそうにしていた。

「さっ、はやく投票しましょ!!」

愛は司会に投票を早くするように催促した。

「そうですね。それでは投票をすぐに行ってください」

少し焦っていた司会者、すぐに投票を始めさせた。

 

 そして、1時間後、全ての投票を終え、臨時招集された選管の生徒達によって集計が終わった。

 外は晴天だったが、集計が終わるころには崩れ始め、ポツリポツリと雨が降り始めていた。

 雪穂達オメガイズ3人、愛達マキシマム3人は講堂のステージでその集計をいまやいまやと待っていた。

「集計が終わりました。それでは発表します」

ドラムロールがなる。息を飲む6人。そして…。

「発表します。オメガイズ、投票数…」

再びドラムロール。雪穂、亜里沙、みやこ、緊張する。

「ゼロ!!」

「え~!!」

ゼロという言葉に絶叫する3人。3人とも床に伏せてしまった。

「どうして!!」

雪穂は司会に詰め寄る。

「その理由はとして、一番多かったのは「振付はもちろん、歌もいい。ただ、作曲がちょっと…」でした」

ガーンとする雪穂。「これでは負ける。スクールアイドル人生終わりだ」と考えた。雪穂は突然外に向かって走り出した!!

「雪穂~」

亜里沙はこう言うと雪穂を追いかけるようにその場を去った。みやこもそれに続く。

「これで私達の勝ちですね!!」

愛は勝ち誇った顔をしていた。

「それはどうでしょうか」

司会はまるでなにかを知っている素振りをしていた。そして…。

「続きまして、マキシマムの投票数…」

オメガイズと同じくドラムロールが鳴る。勝ち誇った顔の愛と緊張するはるか、はやて。

「ゼロ!!」

これには愛、晴天の霹靂を受けたみたいに顔が引きつる。

「どうしてですの!!」

雪穂と同じように司会に詰め寄る愛。

「理由の多くが「作曲、作詞共にとてもよかったが、振付がパクリだと…」「ラップのインパクトありすぎ!!」でした」

と理由を述べる司会。

「うそでしょ!!こんな私が投票数ゼロなんて…」

すぐにでも泣き出しそうになった愛。真実を受け入れがたい表情だった。

「なんでゼロなんですの~」

愛はこう言って、泣きだしながら外に出て行った。

「待ってください~」

はるか、出ていく愛を追いかけていく。はやてもそれに続く。

「やっぱりこうなりますか」

観客席であの男性理事がこうつぶやいていた。

「秋葉愛のことをちょっと調べたんですが、彼女、秋葉家の中では落ちこぼれみたいです。両親、姉共に超一流。そう生まれてきたためにプライドが高い。そのため、友達になる人があんまりいませんでした。隣にいるのは昔の幼なじみのイエスマン、はるかと同じく幼なじみのはやてのみ。高いプライドのためにアイドルユニットを組む友達がいない。作詞作曲ならあの西木野真姫以上でしょう。けれど、ユニットを組めない以上落ちこぼれしかない。だから、アイドル特待生ではなく一般生徒でしかどこにも入れなかったのです」

男性理事の話にうなずく南理事長。男性理事の話は続く。

「まっ、もとから落ちこぼれと認識していたのか、音乃木坂に入学してもアイドルユニットを結成していませんでしたが、昨年のラブライブでの敗北に触発されたのか、自らユニットを結成しようと動いていたのですが、誰もが相手にしない。結果、勝負の直前での幼なじみのはるかとはやて、3人で結成するしかなかった。だが、準備期間が短いがゆえにこの結果になった。スクールアイドルは1日にしてならずですよ」

男性理事の解説に南理事長はただうなずき続けるしかなかった。

「とはいえ、これが吉と出てくれたらいいのですが…」

男性理事の言葉を裏付けるがごとく、集計結果の発表は続いていた。

「白票…、ゼロ、…、全票!!まさかの、いや、意外、いや、これが皆で決めた結果です!!」

意外な結果。しかし、これは音乃木坂の全ての人が望んだ結果だった。

 

続く…。

 

次回、「代表はだれ?(後編)」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 代表者は誰? 後編






第5話 「代表は誰?」(後編)

 

 雪穂が学校中を走り回った。そして、最後に着いた場所、それはいつも練習している場所、屋上だった。

 しかし、そこには先客がいた。雪穂は驚いて言った。

「秋葉…」

実は愛も屋上にいた。愛も学校中を走り回り、マキシマムがいつも練習していた場所、屋上に着いていたのだ。くしくもマキシマムも屋上を練習場として利用していた。

 そして、雪穂を追いかけていた亜里沙、みやこ、愛を追いかけてきたはるか、はやても屋上に集まった。この時の天気は大雨。むろん、6人ともすぐにずぶ濡れになる。

 だが、それでも誰もそのことを気にしなかった。雪穂、亜里沙、みやこは愛、はるか、はやてと相対する形で並んだ。何か言いたそうな雰囲気だった。

最初に口撃を始めたのは雪穂だった。

「どうしてここにいるの!!」

愛も反撃する。

「ここが私達マキシマムの練習場だからよ!!」

雪穂、口撃!!

「私達、オメガイズもここが練習場よ!!何で邪魔するの!!あなた達がいなければラブライブに出場できるのよ!!」

愛、反撃。

「たとえ、あなた達が出場しても予選落ちが関の山だわ!!」

雪穂、口撃!!

「いや、この3人でいれば絶対に優勝できる!!」

愛、反撃。

「それよりも、過酷なトレーニングで倒れてしまうだけだわ!!」

「私なら…」「それがだめ…」と雪穂と愛の口撃合戦というより文句の言い合いが10分ぐらい続いた。

 そして、それが永遠に続くと思ったその時、雪穂がある言葉を言った。

「あなた、秋葉愛って言ったよね。知っているんだからね。あの音楽一家として有名な秋葉一家の中で唯一の落ちこぼれだってね」

これには愛の堪忍袋が切れた。そして、言ってはいけない一言を言った。

「あなたも落ちこぼれだわ。姉はラブライブを優勝したμ’sのリーダー、高坂穂のか。そして、先輩もμ’sのにこりんぱな。親の七光りならぬμ’sの七光り。でも、実際はただのはりこの虎でしかないわ」

これを聞いて、雪穂の堪忍袋も切れた。雪穂、いきなり愛に襲い掛かる。取っ組み合いを始めようとする雪穂と愛。

「やめて…」「やめさせないと…」

残りの4人がこう言うと、2人を抑え込んだ。

雪穂、さらなる口撃!!

「秋葉さん、あなた、落ちこぼれよ!!」

「そうよ、私は落ちこぼれよ。でもね、高坂(雪穂)さん、あなたも落ちこぼれだわ!!」

愛、開き直るも反撃の綱を緩めない。雪穂も反撃を…。

「わかっているよ。私も落ち…こぼれ…」

雪穂、濡れた屋上の床に座り込む。そして、泣きだした。

「そうよ、私はμ’sの七光りでしかないわ。だって、偉大な姉の妹、偉大な先輩達の後輩ということで見られていた。私もμ’sの栄光に負けないようにと、ラブライブに優勝しないと焦っていた。でも、現実は違った。新歓ライブは成功したが、メンバーはみやこしか集まらず。そして、今日の勝負でまさかのゼロ票…。これが現実よ…」

これでこの口撃合戦は愛の勝利…、と思われたその時、愛も床に座った。

「私も確かに落ちこぼれだわ。だって、秋葉一家の中で唯一の落ちこぼれ。ユニットを組もうにも、はるか、はやてしかメンバーにできず。しかも、完璧と思っていた曲で勝負して、こちらもまさかのゼロ票…。これでは本当に落ちこぼれですわ…」

 床に座っている2人に駆け寄る4人。その4人も何か言いたそうだった。

「なにか言いたいなら言えば…」

雪穂、発言を促す。

 まず、最初に亜里沙が言う。

「口撃って、なん口ですか~!!」

まさかの天然ボケ!!

 さらにはやてが言う。

「あのラップ、私はいやです!!やめましょう」

まさかの裏切り!!

 そして、はるかが言う。

「『花・鳥・風・月』の振付を考えたの、私です!!愛、ごめんなさい!!」

まさかの謝罪!!

 まともな言葉がなく、なぜか一緒に肩を落とす雪穂と愛。

 さいごにみやこが言おうとしている。そんなに期待していないと周りは思っていた。が、これが未来へと切り開く言葉になる。みやこは言った。

「私、まだスクールアイドルとして活躍した~い!!」

そこにはるかが反論する。

「ちょっと待って。私達両方とも投票数ゼロなのよ。ほかは白票。どちらともラブライブ出場できるレベルじゃないことを意味しているのよ」

 だが、これに対し、みやこ、反論する。

「それ以外ということもあるよ。たとえ白票であってもスクールアイドルを名乗る以上、絶対に続けられる!!」

自信に満ちたみやこの表情とこの言葉。さらにみやこは言い続ける。

「ラブライブ?絶対に出られるよ!!」

これに対し、亜里沙は答える。

「でも、ラブライブ出場は学校の許可が必要だよ」

これに対し、みやこは自信ありげに答える。

「ラブライブ?出場しなくてもいいんじゃない。ほかにもスクールアイドルが活躍できるステージはたくさんあるんだから」

明るい自信に満ちたみやこの表情に亜里沙、はるか、はやては少しずつ明るくなっていった。

しかし、雪穂と愛はまだとても暗い表情のままだった。そんな2人に対し、みやこはやさしく微笑みかける。

「どうして暗いままなの?」

それに対し、雪穂と愛は同時に答えた。

「「だって落ちこぼれなんだもの」」

これに対し、みやこは明るく答えた。

「落ちこぼれだっていいじゃない。落ちこぼれには落ちこぼれのやり方でいけば」

ありふれているが意外な言葉だった。ちょっとずつ明るくなる雪穂と愛。それに連れて雨も小降りになる。

 そして、決定的な言葉をみやこは言った。

「今、思ったんだけど、私達が一緒になれば、もっと面白くなるんじゃないの」

本当に意外な言葉だった。一緒になるということを他の5人は誰も考えていなかった。みやこはそんな5人に対して言い続けた。

「だって、私達、オメガイズはダンスを評価、対して、マキシマムは楽曲を評価されているよ。それが一緒になれば最高になれるよ!!」

 これに対し、少しずつ自信を取り戻していく5人。空もこれを見てか、雨がやみ、光が差し込んできた。

 そして、亜里沙が元気に言う。

「それもそうだね。作詞作曲が秋葉ちゃんが、振付はみやこちゃんが考える。そして、その歌と振付は私とはやてちゃんが完璧にこなす!!ちなみに、はるかはアイドルオタク担当!!」「ちょっと待って。私はアイドルオタクじゃない!!衣装担当だ!!」

はるかが反論する。そして、雪穂は…。

「私はどうなの」

雪穂は言うと、亜里沙は少し考えて答える。

「お笑い担当?」

ズコッ、とこける雪穂。

「ははは」

一瞬で周りが笑い声で埋まった。

 そして、突然…。

「もうどうでもよくなった。高坂さん、私達、マキシマムは、これから、オメガイズと行動を共にするわ」

愛の突然言うと、雪穂に握手を求めた。そして、雪穂も、

「こちらこそよろしく!!新生アイドル研究部、ここに誕生!!」

と、握手を交わした。

 ここに新生音乃木坂学院アイドル研究部は誕生、したが…。

「クシュン」「クシュン」

6人とも、そう、大雨にうたれたので、ずぶ濡れになっていた。

「もういや~、下着までべちょべちょ」

亜里沙がこういうぐらい嫌がっていた。

 そんなとき、雪穂が立ち上がる。

「なら、あの場所にいこう!!」

 

コツン

ここは下町の銭湯、「下町の湯」。地元民に昔から親しまれている銭湯である。

「う~ん、気持ちいい」

6人仲良く銭湯の湯に浸かる。

ポツン ポツン

胸から水滴が落ちる。雪穂である。

ボトン ボトン

これは愛の胸から落ちる水滴の音である。

「って、何で愛の方が胸大きいの。悔しい。胸の格差社会だ~、キー」

雪穂、胸の大きさで愛の方が大きいため、とても悔しがる。不思議がる愛。

 しかし、そんな雪穂よりももっと下がいる。

つるん つるん

「って、私の方が何で下なの。そりゃ、私の胸は洗濯板だよ!!」

これははるかである。悔しがる雪穂を見て、もっと悔しがる。雪穂とはるか、揃って胸を寄せて上げようとする。無駄な努力…。

 そんなことつゆ知らず、愛はみやこと亜里沙にこう告げた。

「ちょっと考えましたの。あの『Little wing』(仮)を少し変えるだけでものすごく良い曲になりませんかね」

「「えっ、本当!!」」

亜里沙とみやこはこう言って驚いた。愛は続けて言う。

「私がこの曲にちょっと編曲すれば良い曲になれます。ただ、詞にういては変えてよいのか。変えてしまうとオメガイズの詞ではなくなります」

愛は心配だった。これはオメガイズの曲だと…。変えてよいのか。

 しかし、それは杞憂だった。みやこがこう言った。

「確かにオメガイズの曲だけど、今はここにいる6人全員の曲に変わるんだ。詞を変えてもいいよ」

これには亜里沙も同意した。愛はこれを受けてこう言った。

「詩を変えるんじゃなくて、詞を付け加えよう」

 そこに、みやこはあることに気付いた。

「よく考えたら、楽曲はマキシマムの『花・鳥・風・月』の方がいいのでは」

と、みやこは逆に提案する。楽曲の完成度はその曲が上だからだった。

 しかし、愛はこう言う。

「ごめんなさい。その曲をするの、はやてからNGがでているので…」

はやてからは

「僕はその曲のラップはいやだからね。もうやりたくない!!」

と、半分スネていた。

 ということで、6人最初の楽曲は「Little wing」(仮)を改良することに決定した。愛、はるか、はやてが次々と詞を作り出す。

「永遠」、「産毛だらけ」、そして、「飛べない」、さらに「飛びたい!!」

いろんな言葉が出てくる。これを愛が一つずつ編んでいく。

 そして、5分後…。

「よし、できました。ここに長居は無用。戻りますわよ」

さっとあがり、脱衣所に戻る。

「ちょっと待って~」

雪穂が言ってあがると、ほかの4人もすぐにあがり、ついていく。愛はある場所に向かった。

 

愛が向かった場所は音乃木坂のアイドル研究部部室だった。そこにシンセサイザーやアンプなどを持ち込み、すぐに編曲を行う。それを見ていた雪穂、亜里沙、みやこは唖然とするばかりだった。

 そして、5分後、「Little wing」(仮)は6人で作った最初の曲「Little wing」として生まれ変わった。

 

「『Little wing』が完成したじゃん。なら、講堂でちょっと合わせてみようよ」

雪穂の突然の提案で講堂に潜みこむ6人。時間は19時を回っていた。

 講堂のステージに到着した6人。しかし、いきなり光が6人を照らしだした。

「まぶしい~」

一瞬目をつぶった6人。目をあけるとそこには二組の対決を見ていた観客の姿があった。

「どうしたの?この光景…」

雪穂は驚く。いや、6人全員が驚いた。

「やっぱり6人一緒に来たね」

そこにはキャンディーズ三姉妹のランが立っていて、こう告げた。

「6人揃ってくるってわかっていたもん。だから、音乃木坂の全員、残っているんだから」

スーもこう言った。そう、笑いながら6人を待っていた。

「さっ、『最大級の最大』をもって歌ってきやがれ」

ミキがこう言うと、6人をステージへと誘導する。

 そして、ステージに6人が立った。

「みんな、残ってくれてありがとう」

「私達はこんな観客を持って幸せです」

雪穂、亜里沙が観客にお礼を言う。

「みっともないところ見せてしまったな」

「それでも暖かく待ってくれたんだね。ありがとう」

はやて、はるかが観客にお礼を言う。

「こんな素晴らしい観客がいる。だからスクールアイドルはやめられない!!」

みやこが元気よくはしゃぎまくる。

「それでは、私達の一番最初の曲を聴いてください」

愛が曲へと誘導していく。

「「「「「「聴いてください。『Little wing』」」」」」」

静かに曲が始まった。

 

『ラブライブΩ 第5話ED Little wing』

 

私たち 飛びたいです!!

 

大空はとってもひろい

永遠につづくみたい

私たちはそれを飛びたい

小さな羽根で飛びたい

 

でもね飛ぶことができないんだ

生まれたばかりの私たちには

生毛だらけの姿(からだ)では

少しも飛ぶことができないんだ

 

それでも飛びたい!!

 

大空に駆け上がるように

小さな翼で飛んでいくんだ

はるか彼方の見知らぬ地に

進んでいきたい!!

 

飛びたい!!

(でも飛べない)

飛びたい!!

(でも飛べない)

どうしたらいいんでしょうか

 

小さなつばさで大きく羽ばたく

たとえ今は不可能であっても

あきらめずにくりかえす

それがいばらの道でも

 

それでも飛びたい!!

 

大空に駆け上がるように

小さな翼で飛んでいくんだ

はるか彼方の見知らぬ地に

飛んでいきたい!!

 

飛びたい!!

(まだ飛べない)

飛びたい

(でも飛びたい)

大空に飛んでいくんだ

 

 そして、静かに曲が終わる。

ヒューヒュー

観客がおろか、学校中がさわいだ。新生音乃木坂のスクールアイドルの初舞台を見れたからだ。

 興奮冷めやらぬ中、ランがいきなり言い出した。

「それでは、新生スクールアイドルの6人に私達からプレゼントがあります。スクリーンに注目!!」

「?」

6人はなんのことだかわからなかった。しかし、スクリーンにある文字が映し出された瞬間、涙を流さずにいられなかった。

スクリーンには…。

 

「音乃木坂新生スクールアイドルの名は…『オメガマックス』(最大級の最高)」

 

「これを私達にプレゼントしてくれるのですか」

愛が涙を流しながら言った。

「そう、私達全員、投票用紙に『6人一緒に活動して欲しい。『オメガマックス』として』と書いていたんだ」

ランは楽しそうに答えた。

「本当は始まる前に話し合っていたらしいけどね」

スーがネタばらしをしそうになると、

「そんなわけないだろうが」

と、スーはこれを否定した。それでも、6人は涙を流しまくっていた。

 そんな中、雪穂は泣きながら他の5人に駆け寄った。

「こんな嬉しいプレゼント、ないもの。なら、こちらも掛け声しようか」

雪穂がこう言うと、6人は円陣を組んで少し話し合った。

「…、μ’sはチョキだったから、勝つ意味で、グーで周りに集まろう、…」

 そして、円陣を解除した後、6人は片手を突出し、円形に集まった。

「それでは、私達の掛け声、聞いてください!!」

そして、雪穂は番号を言う。

「1」

「2」「3」「4」「5」「6」と、続けて亜里沙、みやこ、愛、はるか、はやての順で言っていく。

そして、ついに掛け声が流れる。

「「「「「「オメガ~、マックス、アップ!!」」」」」」

その瞬間、学校中が歓喜のるつぼになった。

 

「雨降って地固まるとはこのことかな」

観客席の一番後ろにいた男性理事は隣にいた南理事長に声をかけた。

「まっ、まとまってよかったです」

南理事長も喜んでこう言った。

「これが今やはびこるスクールアイドル界の闇、勝利至上主義に打ち勝つ光となればよいが…」

男性理事はこう言うと、席を立った。そして、続けてあることを言った。

「実は投票のうち、白票が何票かあった。先生から5~6票、そして、生徒から2票…」

この真実は男性理事しか知らなかった。驚く南理事長。

「まっ、先生達には私からきつく言っておきましょう。夢を見せるのが先生の仕事だと。けど、生徒の方は、あの6人に任せれば大丈夫ですよ」

 そして、南理事長は次のことを言った。

「わざと悪役を引き受けてくださってありがとうございます」

男性理事はこれを受けて答える。

「こんなスクールアイドル業界はスクールアイドルではない。それを覆すためにはあの6人に頑張ってもらいたい。今回はその試練だった。それを乗り切った意味は大きい。あの6人を成長させ、今のスクールアイドル勝利至上主義の意識を変えるためにも今回のことは必要だった。そんな悪役なら何度でも受けますよ。それでは、また会いましょう」

男性理事はそう言い残すとどこかへと消えていった。

「ご指導ありがとうございます。高坂理事」

南理事長はその男性理事に向かって一礼した。

 

「「「「「「私達、オメガマックス」」」」」」

騒いでいる6人に対し、その白票を投じた2人の生徒が冷たい視線を向けていた。

「なにがオメガマックスですか!!」

「私達の方がとてもうまいんです!!」

こう言い残してどこかに去って行った。

 

次回 「ITA×SIS 襲来」




 今回、はじめて連続投稿しました。楽しんでもらいましたか。もし楽しんでもらったら嬉しい限りです。雪穂達オメガイズと愛達マキシマムがついに合流し、オメガマックスとして結成されるところまで書きましたが、これでメンバーが揃ったわけではありません。あと2人います。それは次回ついに登場します。次回の題名、実はある人物にひっかけております。想像してもらえたら嬉しいと思います。

 4話目に出てきた「Little wing」ですが、(仮)については素人っぽくなるように作詞しました。そして、6人が合流し、そして、完全なる曲として「Little wing」が完成するというストーリーをもって書いておりました。といっても、自分自身が素人なのであんまりそう感じなかったかもしれません。それについては申し訳ございません。実は、「Little wing」には対となる曲がございます。それはあとになって重要な曲となります。それまで待っていてください。

 そして、マキシマムが出してきた「花・鳥・風・月」ですが、実は自分が最後に作詞した曲でした。当初、はやてにはラップをするという設定はありませんでした。でも、プロットを読み返すうちにこれではちょっとと思い、「はやラップ」「はや萌えラップ」を付け加えました。このように、最初のプロットにはない内容を付け加えたりしてこの物語を作っております。実をいうと、第3話の改名の話も最初はただ改名するだけでしたが、それにひねりを加えたいためにひと悶着するように変更しました。最初のプロットにはないものを付け加えたりして作成しております。そして、悲しいお知らせが。「はやラップ」「はや萌えラップ」はもう出てこないことです。他の曲が出来た後で作った後付け設定のため、この曲以外に反映できないということです。申し訳ございません。
(ちなみに、「はやラップ」「はや萌えラップ」の原点はラブライブソロコレクション2の花陽の曲です。そのなかで「Wonderful Rush」の真姫の叫び声のところを花陽が叫ぶのですが、それがあまりにも独特な叫び声だったのでそれを参考にしました。というより、中毒性のある叫び声だったな、これが)
 それではご清聴ありがとうございました。次回をお楽しみに。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 ITA(イタ)×SIS(シス)X 襲来

「前回のラブライブΩ」
「私、秋葉愛、音乃木坂の3年生ですわ。解散を賭けたユニット対決。高坂さん、絢瀬さん、京城さん達オメガイズは「Little wing」(仮)で、私、はるか、はやてのマキシマムは「花・鳥・風・月」で勝負するも、オメガイズはダンスは良いが作詞作曲がダメ、マキシマムは曲が良いが、ダンスはパクリではと観客から言われることに…」
「そして、観客の投票の結果、どちらともゼロ票。これを受けて結果を最後まで聞かず、大雨の降る外に飛び出す2組。そして、雨の屋上に偶然ばったりと出くわした2組。高坂さんと私は口論になるも…

「私、まだスクールアイドルとして活躍したい!!」

「というみやこの言葉で私達は結束することに。そして、6人で「Little wing」を完成させる。そして、講堂で夜まで残ってくれた観客、いや、学校中のみんなの前で披露。大成功をおさめた。が、ここでみんなからのサプライズが…」

「オメガマックス」

「観客みんなで考えたグループ名。そう、私達はオメガマックスとして活動することになる」

(OP 1番のみ)



第6話 ITA(イタ)×SIS(シス)X 襲来

 

 ユニット対決が終わり、オメガマックスとして活動することになった6人。そんな対決から翌日、雪穂と愛は…、ケンカしていた。

「なんなの、このトレーニングメニューは。地獄でしかありませんわ」

愛はこれまでの雪穂達のしてきたトレーニングメニューをみて、雪穂に噛みついていた。

「これこそ、高坂雪穂特製ラブライブ優勝用スパルタメニューだよ!!」

雪穂、自慢げに言う。

「何がスパルタメニューですか。これだと故障者が続出しますわ」

愛は雪穂に注意する。しかし、雪穂も黙っていなかった。

「だって、これぐらいしないとラブライブ優勝できないもん」

「その前に体を壊すでしょ!!」

雪穂が言えば、愛も黙っていない。一触即発の危機。しかし、…。

「このスパルタメニューだけど…」

と、はやてが横から口を出してきた。そして、そのまま続く。

「これだと、愛の言う通り、体を壊しかねない」

そこにみやこが参入する。

「でもでも、これ、私ならいつでもこなせるよ」

はやて、この言葉を聞いて答える。

「たしかに、みやこや僕なら大丈夫かもしれない…」

「ど~だ!!」

はやての言葉に雪穂、喜ぶ。だが、はやての言葉は続いた。

「でも、高坂先輩などが続けたら体を壊すのは明らか」

「シュ~ン」

いきなりがっかりする雪穂。愛もはやての言葉に続けて言う。

「それに、これまで歌とダンスの練習をしていなかったのでは?」

「う~」

困り顔で唸っている雪穂。愛は続けて言う。

「昨日の対決で高坂さん達の曲の評価が芳しくなかったのは、歌の練習をあまりしなかったこともありませんか」

愛の突然の評価、これに雪穂も、

「はい、そうです」

と小言であるが認めざるをえなかった。

 そんなとき、はやてがある提案を行った。

「でも、基礎体力は必要!!だから、僕がそのメニュー、考えてきました!!」

「お~!!」

はやての考えに基礎体力作りのメニュー。それは無理のないメニューだった。それを見て納得する愛を除いた4人。雪穂も納得せざるをえなかった。

 そして、愛もある提案をした。

「そして、これが歌とダンスの練習メニューです」

これも無理のないメニューだった。

「お~」

これにははやてを除いた4人も納得だった。むろん、雪穂も悔しいが納得する。

「これははやてと私が一緒になって昨日考えたもの。だから、一方だけで時間を割くことはありません。一緒に行うことができますわ」

「すご~い」

愛の力強い説明に感動を覚えたありさ、みやこ、はるか。雪穂もしぶしぶ納得していた。

 

「今日の練習はこれまで!!さっ、部室に戻ろう」

練習開始までちょっとふてくされていた雪穂だったが、練習を始めると水を得た魚のごとくいきいきとしだした。そして、練習終了後、自分こそリーダーといわんばかりに率先して屋上から部室へと誘導していった。

「あんまり急ぎますと怪我しますよ」

愛もこう言うと続けて動く。雪穂、愛の言葉に反応してこう言った。

「大丈夫、大丈夫」

少しずつ動くスピードを上げていく雪穂。

「1番乗り!!」

雪穂はこう言うと部室のドアを開く…。

「ギャッ!!」

いきなり人が飛び出してきた。

ぶつかりそうになる雪穂。雪穂は尻もちをつきながら人とぶつからない様にした。

「危ないじゃない!!」

雪穂は部室から飛び出してきた人に注意しようとした。すると、

「そっちが悪いだろ!!いーだ!!」

髪を左側にサイドテールに結っていた女の子がこう言うと逃げ出していった。

「ごめんなさいで~す~」

次に部室から現れたのは髪の右側をサイドテールした女の子。こう言うと逃げていった子の後を追った。

「なんなの!!」

ちょっと怒り気味の雪穂だった。

 そして、部室を見ると、雪穂は、

「なんじゃこりゃー」

と叫び、唖然とした。

「どうしたの」

雪穂の叫びを聞いて亜里沙が駆け寄った。そして、こう叫んだ。

「なんのー!!」

他の3人も見て唖然とした。

 なんと、椅子という椅子は全て折りたたんでスチール棚に入れられていた。そして、机にはこう落書きされていた。

「お前らはスクールアイドル失格!!」

落書きっていってもチョークで書かれているので、雑巾をかければすぐに消えるものだった。

 

そして、翌朝、神田明神の境内前に集まった6人。練習を始まるのだが、なにか意味しげな視線を6人は感じていた。

 そして、練習も終盤になると、みやこが小言でこう言った。

「私が見てくるね」

するとみやこ、その視線をくぐるかのごとく静かに、そして、素早く移動。その視線のもとすぐにたどり着く。そして、その視線のもとにダイブする。

「つかまえ~た!!」

しかし、そこには誰もいなかった。だが、後ろからぬっと手が出てきてみやこを押した。

「ぎゃっ!!ふっ!!」

みやこはすぐに手をついて腕立て伏せ状態になると、にっこりスマイルをした。

 そして、みやこは見上げると左側のサイドテールの子が立っていた。その子がこう言った。

「こんなのスクールアイドルじゃない!!お前たちはスクールアイドル失格よ!!」

あまりの大声だったので、残りの5人もみやこの周りに集まった。

「あっ!!」

雪穂は驚いた。昨日、部室から飛び出してきた女の子だった。

「多勢に無勢、たいさ~ん!!」

こう言うと、一目散に逃げていく左側サイドテールの子。その横にはこれまた昨日見た右側サイドテールの子がついていっていた。

 

 その日の放課後、部室に集まった雪穂、亜里沙、みやこ、愛、はるか、はやての6人。昨日、そして、朝起きたイタズラについてどうすればよいか考えていた。

「あんなイタズラ、続くようだったら困りものです」

愛は少し嘆いていた。6人でようやく練習できるのに、このままだと練習どころではない。

「なら、相手が誰なのか、徹底的に調べるぞ!!」

雪穂、ついに動こうとしていた。

 そんなとき、

「ちょっと待って!!」

と、ドアが開いてこう言ってきた。入ってきたのは南理事長だった。

 南理事長に昨日と今日の朝起こったことを説明する6人。それを聞いた南理事長はすぐに反応した。

「もしかすると、あの姉妹でしょうね」

「「「「「「あの姉妹?」」」」」」

驚く6人。南理事長は続けていった。

「あの姉妹とは、今年、音乃木坂のアイドル特待生として入学してきた子なの」

「「「「「「アイドル特待生?」」」」」」

疑問に思う6人。そう、アイドル特待生ならまずアイドル研究部に入部するか、自らスクールアイドルとして名乗りを上げるはずだった。

「アイドル特待生なんだけど…」

ちょっと水を濁す南理事長。そして、ついにその姉妹の名を告げた。

「あの子は…。通称、こころあって言うんだけどね」

「「こころあ!!」」

雪穂と亜里沙は驚いた。この通称を聞いたことがあったからだ。

「お願い!!あの2人を止めてください」

南理事長はこう言うと頭を下げた。南理事長が頭を下げたことに驚きを隠せない6人。

「私達でよければ手伝います」

雪穂はこう言うと他の5人もうなずいた。

そして、雪穂はこう言った。

「理事長、すいませんが、事の顛末を聞かせてもらえませんか」

こう言うと、南理事長はあの姉妹のことでこれまで起こったことを話した。

 

本当の題名:

第5話 イタ×シス こころあ 襲来

 

「さて、今日は銅像に落書きしましょう」

「そうしましょう、です」

左側サイドテールの子が言うと、横にいた右側サイドテールの子も同意する。

 そんなとき、

「ちょっとまって、こころちゃん、ここあちゃん」

と呼びかける声が聞こえた。

「あっ、雪穂姉ちゃん」

と、左側サイドテールの子こと、ここあが答えた。

「それに亜里沙お姉さま、こんにちは」

と、右側サイドテールの子ことこころも答えた。

 こころ、ここあの前に雪穂と亜里沙が駆け寄った。

「こころちゃん、ここあちゃん、また何かしようとしたね」

雪穂はすぐさま目をギロリとしつつこう話しかけた。

「雪穂、最初から決めつけないほうがいいよ」

亜里沙が雪穂をこう諭した。

 そのとき、

「捕まりたくないよ~。ついてきな!!」

ここあがいきなりダッシュした。

「ここあ~、待って~」

こころもここあの後を追う様にダッシュした。

「こら、待て~」

雪穂も追いかけるが逃げ足が速いため、追いつけなかった。

 

 こころあを見失ってからすぐに雪穂達6人は校舎入口に集まっていた。

「逃げ足が速いから、追いつけない」

肩で息をしている雪穂がこう言うと、愛が答えた。

「なら、私、はやて、はるか、京城さんの4人で捕まえましょう」

周りを見ると、雪穂と亜里沙以外は捕まえる気満々だった。

「なら、私と亜里沙は部室で待っているね」

雪穂がこう言うと、すぐにこころあ鹵獲作戦が開始された。

 

挿入歌 いたずら姉妹(シスターズ) 完全版

 

「私、ここあ、音乃木坂の1年生」

「私、こころ、音乃木坂の1年生…です」

「見た目は子ども、実は音乃木坂の1年生、

その名はいたずら姉妹(シスターズ)(…です)」

 

(1)

朝は朝で落とし穴掘って

昼は昼で誰かにひざかっくん

夜は夜で黒板消し落とし

一日中いたずらし放題

 

いたずらはとっても楽しい

なにをしてーもー

許される私たちならば

それが私たちいたずらシスターズ(…です)

 

【こらー、ここあ、こころ、待ちなさい!!】

「捕まらないよーだ」

【待ちなさいったら待ちなさい!!】)

「捕まえたらなにするんですかー」

【2人仲良くお尻ぺんぺんよ】

「それなら捕まりたくないよーだ」

【待ちなさいったら待ちなさい!!】

「いやだよーだ。バイバイビーン」

【なんて早いんですか。追いつけない】

【なら、僕に任せて、追いつけないものはない!!】

【お願いね】

 

(2)

朝は朝で校長の絵にひげかいて

昼は昼でバッハにひげかいて

夜は夜で銅像にひげかいて

一日中落書きし放題

 

落書きってとっても楽しい

なにを描いてーもー

楽しーさ私たちには

それが私たちいたずらシスターズ(…です)

 

【こらー、ま~て~】)

「しつこいなー、ではみなさんご一緒に」

「はやてちゃん、前々」≪はやてちゃん、前々≫

「はやてちゃん、後々」≪はやてちゃん、後々≫

「はやてちゃん、右右」≪はやてちゃん、右右≫

「はやてちゃん、左左」≪はやてちゃん、左左≫

【捕まえーた~~~(エコー)】

「はやてちゃん、落とし穴に落ちちゃった」

 

本当は寂しい 私たちは

大人ばかりで とても寂しい

誰か助けてくださいー

それでもいたずらしたんだ

 

いたずらはとっても楽しい なにをしてもー

許される 私たちならば

それが私たちいたずらシスターズ(…です)

 

【こらーまてー】

「しつこすぎです。でも、真っ暗で見えない」

「こんなことがあろうかと逃げ道作りました~」

「さすがこころ、あったまいいー」

【足が速くて捕まらないよー】)

【では、とっておきの策を。皆さんもお手伝い

お願いします】

【ここあちゃん、前々】≪ここあちゃん、前々≫

「前々って、ギャー、前からヒゲの校長がー」

【ここあちゃん、後ろ後ろ】≪ここあちゃん、後ろ後ろ≫

「ギャー、後ろからひげづらのバッハがー、こわいよー」

【こころちゃん、上上】)≪こころちゃん、上上≫

ポコーン

「ゲホゲホ、黒板消しが落ちてきたですー」

【こころちゃん、前々】≪こころちゃん、前々≫

「ギャー、ひげの銅像だー、もういやですー」

【最後ですよー、下下、見て見て】≪下下、見て見て≫

「下下って、ギャー、落とし穴だー(エコー)」

【落とし穴作戦、大成功、捕まえーた】

「ムギュー(です)」

 

「捕まっちゃた」

【それならバツでも…】

「お尻ぺんぺんはいやですよ…」

【お尻ぺんぺんはしないよ】

「よかったー」

【でもね、反省文100枚に学校全部の掃除1週間に…】

「もういたずらしないからやめてー」(です…)

 

 こころあの2人は捕まったあと、アイドル研究部の部室に連行された。そこには鬼の形相で怒っている雪穂がいた。

「なんでイタズラばかりするの!!にこ先輩がかわいそうだろ!!」

こころあ2人にガミガミ叱る雪穂。しかし、2人は聞く耳持たずだった。

「雪穂、これだと2人がかわいそうだよ」

ガミガミ叱る雪穂を止めたのは亜里沙だった。

 亜里沙は2人の前に座ると、やさしい口調で話した。

「こころちゃんもここあちゃんも本当は寂しかったんでしょ」

これを聞いたこころあの2人、なんと亜里沙に抱きついてきた。

「亜里沙姉ちゃん、ごめんなさい」

ここあがこう言うと、こころも、

「私もごめんなさいです~」

と言った。2人とも涙を流して謝っていた。

「もしかして、友達といえる人がいないのが原因では?」

隣にいた愛がこう言うと、はるかがなにか言い始めた。

「それはいえますね。こころ、ここあ、2人の実際の年齢から言うと中2ですから」

「中2!!」

はるかの言葉に驚きを表すみやこ。はるかは説明始めた。

「こころあは本当は中2ですが、矢沢にこ先輩の妹で才能があると思っていたこと、そして、アイドルとしての情熱があるため、音乃木坂が特例として、アイドル特待生としてスカウトした。そして、飛び級で入学した」

「だって、姉ちゃんみたいにスクールアイドルとして早く活躍したかったのです」

こころがかわいこぶってそう答えた。はるかの話は続く。

「しかし、現実はそうじゃなかった。周りにいるのはみんな年上の人達、それに授業も習ったところがないため、ついていけず…」

「みんな年上だから話しかけずらいし、授業の内容はわかりませ~ん」

ここあがミナリンスキーの物真似で答えた。でも、涙は流すほど悲しい顔だった。

「だから、結局寂しい思いをしていたので、気をまぎわらすためにイタズラばかりしていたのですね」

愛がたんたんとこうしゃべると雪穂がつい口を滑らす。

「寂しさをまぎわらすなんてなんて迷惑な。これなら落ちこぼれのアイドル特待生だな」

これを聞いて、こころあは一気に泣き出した。

「私達落ちこぼれのアイドルなんだー」

ここあがそう泣きながらしゃべると続いてこころも泣きながらこう言った。

「スクールアイドル失格ですー」

「よしよし」

亜里沙が泣く2人を諭す。そんなとき、雪穂はある言葉を言い出した。

「でもさ、落ちこぼれなら私達も落ちこぼれでしょ。私も姉の七光りの落ちこぼれ、愛も有名一家の落ちこぼれ。みんな何かのおちこぼれなんだよ」

この言葉に雪穂以下6人はうなずく。

「みんな…落ちこぼれ…」

ここあはこの言葉に涙流しそうになった。

 そして、雪穂はこころ、ここあの前に立ち、手を差し伸べた。

「こころちゃん、ここあちゃん。私達とスクールアイドル、楽しみませんか。私達、落ちこぼれ同士だけど、みんあで集まればきっと最高になれるよ」

「雪穂お姉さま…」

こころは涙を流しながら雪穂の手を掴んだ。しかし、ここあは手を跳ねのけてこう言った。

「何が最高だよ。落ちこぼれが集まっても落ちこぼれだろ!!」

「それはどうかな?」

ここあの反論をみやこはやさしく諭そうとしていた。みやこ、続けて答える。

「私はスクールアイドルとしては駆け出しだよ。高坂先輩、秋葉先輩が落ちこぼれなら、私はまだその下かもしれない。けど、それでも、みんなと一緒になれば本当の「オメガマックス」(最大級の最大)になれると思えるんだ」

そして、みやこはここあの前に立ち、頭を撫でてこう言った。

「もし、落ちこぼれのままだったら辞めてもいいからさ、それまでは一緒に頑張ろうよ」みやこのにっこりスマイルを見たここあ。目がうるっと涙を浮かべた。そして、

「もしダメだったら辞めるからね。覚悟しなさいよ」

と言った。しかし、顔はにやにや顔だった。まんざらでもない様子だった。

「と、いうことで、こころちゃん、ここあちゃん、私達音乃木坂学院アイドル研究部オメガマックスに加入!!」

雪穂が堂々と宣言する。

「やったー!!です」

こころがとても喜んだ。

「仕方ないですね」

ここあはクールに決めようとしていた。

 そして、こころから1つお願いごとをされた。

「私、あの名乗りやりたいです!!」

「よし、やろう」

雪穂の言葉にうなずく7人。

 そして、手をグーにして前に突出し、円形に並ぶ8人。

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」

雪穂の掛け声と共に亜里沙、みやこ、愛、はるか、はやて、こころ、ここあの順で叫んでいく。そして…。

「オメガー、マックス、アップ!!」

8人の声が学校中に響き渡った。

 

この物語はオメガマックスがラブライブ優勝を目指して頑張っていく物語。

そして、君と紡ぐ伝説(ストーリー)である。

ここに物語を握る8人、オメガマックスが全員揃ったのである。

この後、どのように物語は進むのだろうか。そして、君とどのように紡いでいくのだろうか。

 

「と、言っていえばかっこよく聞こえるかな」

南理事長は部室で名乗りを上げる8人を外から見ていた。だが、この南理事長こそ、ラブライブ出場を決めるキーマンとなることは誰ひとり知らなかった。しかし、8人の命運を握るものを南理事長は持っていた。

 

(ED 1番のみ)

 

次回予告 「先輩禁止 苗字禁止 赤点禁止!?」

 

 




 こんにちは、la55です。
 ついにオメガマックスも8人揃いました。7人目、8人目はこころあでおなじみ、矢澤こころ、矢澤ここあです。でも、姉妹でも、どうして双子なのか。そんな設定ありましたでしょうか。実はウィキでは2人の項目にスクールダイアリーでは双子の設定(2016年6月17日現在)であると書いていたのでその設定を活かすことにしました。とはいえ、性格がちょっと違うのではと思いませんでしょうか。実はこの2人のモデルはラブライブアニメ版ではなく、ネ○まのあの双子の姉妹だったりします。アイ○スのあの姉妹ではありませんのであしからず。

 そして、今回の歌「イタズラシスターズ」はこれまでの曲とはうってかわってコミックソングとなっております。ラブライブではコミックソングはそんなにない(あるとしても劇場版の3年生の曲といった数曲程度)のですが、このラブライブΩではコミックソングが3曲から4曲ぐらいあります。そして、この「イタズラシスターズ」は読者みんなと一緒に歌えたらと思い作りました。なお、「完全版」と言う通り、「不完全版」もあります。これは「完全版」を作る前に仮歌として作った曲です。これも後日投稿するつもりです。楽しみにして貰えたらうれしいです。

 と、いうわけで今回のラブライブΩ、どうでしたでしょうか。もっと面白いものを作れたらと思います。それでは、また来週。さようなら~。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブΩ詩集 その1

これはラブライブΩで使用した楽曲の詞集です。





ラブライブΩテーマソング Over the LEGEND(君と紡ぐ伝説(ストーリー)

 

私たち、開拓者(チャレンジャー)

 

(1)

遥か彼方に見える伝説の地(レジェンド)

先輩達(レジェンドラ)が築いた希望の場所

 

私たちの力だけでは乗り越えられない

だから君と力を合わせてみれば

必ず乗り越えられるはずさ

 

伝説(とき)を(伝説(とき)を)乗り越えて(乗り越えて)

見えてくる未来(あした)の私たち

本当の(本当の)美しさ(美しさ)

心に秘めて未来(あした)に進もう

Glory(グロリ) my heart

 

(2)

夢という果てしない挑戦(チャレンジ)

先輩たち(チャレンジャー)が達した高みの場所

 

私たちと君と一緒でなら大丈夫さ

だって君と力を合わせてみれば

なんでも叶えられるはずさ

 

君と(君と)紡いでく(紡いでく)

1つだけの私たちの物語(ストーリー)|

唯一の(唯一の)宝物(宝物)

心に秘めて一緒に進もう

Glow(グロー) my heart

 

手と手つなぐたび強くなれる

それが私たち

どんな苦しみがあったとしても

君とならば必ず乗り越えられるさ

 

伝説(とき)を(伝説(とき)を)乗り越えて(乗り越えて)

見えてくる未来の私たち

本当の(本当の)美しさ(美しさ)

心に秘めて一緒に進もう

Glory(グロリ) my heart

 

君と紡ぐ私たちの伝説(ストーリー)

 

 

 

ラブライブΩ エンディング 「さよならなんて言わない」

 

(1)

別れる時まであともう少し

本当は別れたくないけど

でもね 別れないといけないんだ

進む道が全く違うから

 

私達仲間同士

ハートでつながっている

離れあってもいつかは

必ず一つにつながるよ

 

さよならなんていわない

それが私達らしいでしょ

また会うその日それまで

少しの別れだけでしょう

私達ならまた必ず会える

だから言えるね「またねぇ~」と

 

(2)

別れる時まで何思ってる

本当は友と共いること

でもね離れないといけないんだ

別ることが悲しくなってでも

 

私達常に一緒

ハートでつながっている

別れあっても いつでも

必ず一緒に進むんだ

 

さよならなんて言わない

それが永遠の別れでもね

また会うことができるよ

それが私達だから

どんなときでもまた必ず会える

だから言えるね「またねぇ~」と

 

さよならは別れの言葉じゃない

また会おうという意味さ

さびしくても悲しくても

必ず会える 楽しくなれる

 

さよならなんて言わない

それが私達らしいでしょ

また会うその日それまで

少しの別れだけでしょう

私たちならまた必ず会える

だから言えるね「またねぇ~」と

 

 

 

ラブライブΩ 第4話 挿入歌 「Little wing(仮)」

 

大空はとっても広い

私たちは飛んでみたい

小さな羽で飛んでみたい

 

でも私たちは飛べない

生まれたてだから

少しも飛ぶことができない

 

それでも飛びたい!!

 

大空に飛んでいく

小さな翼でとんでいく

彼方の地にススみたい!!

 

飛びたい!!

飛びたい!!

どうしたら飛べるのですか

 

 

 

ラブライブΩ 第4話 挿入歌 「花・鳥・風・月」

 

花は咲きみだれ 鳥は鳴き聞かせ

風はふぶかされ 月はかがやかせ

 

ビルも立ち乱れ 尾錠も咲き乱れ

日本中まざれ  混沌(カオス)巻き起こせ

全てもえあがれ 混ぜて萌えあがれ

 

(はやラップ)  燃えろ 燃えろ 燃えまくれ

(はや萌えラップ)萌えろ 萌えろ 萌えまくれ

(はやラップ)  燃えろ 燃えろ

(はや萌えラップ)萌えろ 萌えろ

(はやラップ)  萌えろ

(はや萌えラップ)萌えろ

(一緒に)    モエまくれ!!

 

全てを1つにすれば 生まれるのさ私たち

全てを混ぜて混沌(カオス)に 失うものは何もない

全てのものがハッピーに うまくいく心配ない

素晴らしい 日本文化(ジャパンカルチャー)

動き始めよう 世界中に

文化を発信 していこう

 

 

 

ラブライブΩ 第5話 挿入歌 「Little wing」

 

私たち 飛びたいです!!

 

(1)

大空はとってもひろい

永遠につづくみたい

私たちはそれを飛びたい

小さな羽根で飛びたい

 

でもね飛ぶことができないんだ

生まれたばかりの私たちには

生毛だらけの姿(からだ)では

少しも飛ぶことができないんだ

 

それでも飛びたい!!

 

大空に駆け上がるように

小さな翼で飛んでいくんだ

はるか彼方の見知らぬ地に

進んでいきたい!!

 

飛びたい!!

(でも飛べない)

飛びたい!!

(でも飛べない)

どうしたらいいんでしょうか

 

(2)

世界(地球)はとても広い

はてしなくつづくみたい

私たちはそれを行きたい

小さなからだで行きたい

 

でもね行くことができないんだ

生まれたばかりの私たちには

ちからすらない翼では

少しも離れることができない

 

それでも 行きたい!!

 

青空にとけこむように

小さなからだで行きたいんだ

はるか遠くの見えない地に

飛んでいきたい!!

 

行きたい!!

(でも行けない)

行きたい!!

(でも行けない)

どうしたら行けるのだろう

 

小さなつばさで大きく羽ばたく

たとえ今は不可能であっても

あきらめずにくりかえす

それがいばらの道でも

 

それでも飛びたい!!

 

大空に駆け上がるように

小さな翼で飛んでいくんだ

はるか彼方の見知らぬ地に

飛んでいきたい!!

 

飛びたい!!

(まだ飛べない)

飛びたい

(でも飛びたい)

大空に飛んでいくんだ

 

 

 

ラブライブΩ 第6話 挿入歌 「いたずら姉妹(シスターズ)

 

※「」はこころあのセリフ、(())はオメガマックスのセリフ、((()))は読者の皆様と一緒に叫んでみてください。

 

「私、ここあ、音乃木坂の1年生」

「私、こころ、音乃木坂の1年生…です」

「見た目は子ども、実は音乃木坂の1年生、

その名はいたずら姉妹(シスターズ)(…です)」

 

(1)

朝は朝で落とし穴掘って

昼は昼で誰かにひざかっくん

夜は夜で黒板消し落とし

一日中いたずらし放題

 

いたずらはとっても楽しい

なにをしてーもー

許される私たちならば

それが私たちいたずらシスターズ(…です)

 

((こらー、ここあ、こころ、待ちなさい!!))

「捕まらないよーだ」

((待ちなさいったら待ちなさい!!))

「捕まえたらなにするんですかー」

((2人仲良くお尻ぺんぺんよ))

「それなら捕まりたくないよーだ」

((待ちなさいったら待ちなさい!!))

「いやだよーだ。バイバイビーン」

((なんて早いんですか。追いつけない))

((なら、僕に任せて、追いつけないものはない!!))

((お願いね))

 

(2)

朝は朝で校長の絵にひげかいて

昼は昼でバッハにひげかいて

夜は夜で銅像にひげかいて

一日中落書きし放題

 

落書きってとっても楽しい

なにを描いてーもー

楽しーさ私たちには

それが私たちいたずらシスターズ(…です)

 

((こらー、ま~て~))

「しつこいなー、ではみなさんご一緒に」

「はやてちゃん、前々」(((はやてちゃん、前々)))

「はやてちゃん、後々」(((はやてちゃん、後々)))

「はやてちゃん、右右」(((はやてちゃん、右右)))

「はやてちゃん、左左」(((はやてちゃん、左左)))

((捕まえーた~~~(エコー)))

「はやてちゃん、落とし穴に落ちちゃった」

 

本当は寂しい 私たちは

大人ばかりで とても寂しい

誰か助けてくださいー

それでもいたずらしたんだ

 

いたずらはとっても楽しい なにをしてもー

許される 私たちならば

それが私たちいたずらシスターズ(…です)

 

((こらーまてー))

「しつこすぎです。でも、真っ暗で見えない」

「こんなことがあろうかと逃げ道作りました~」

「さすがこころ、あったまいいー」

((足が速くて捕まらないよー))

((では、とっておきの策を。皆さんもお手伝い

お願いします))

((ここあちゃん、前々))(((ここあちゃん、前々)))

「前々って、ギャー、前からヒゲの校長がー」

((ここあちゃん、後ろ後ろ))(((ここあちゃん、後ろ後ろ)))

「ギャー、後ろからひげづらのバッハがー、こわいよー」

((こころちゃん、上上))(((こころちゃん、上上)))

ポコーン

「ゲホゲホ、黒板消しが落ちてきたですー」

((こころちゃん、前々))(((こころちゃん、前々)))

「ギャー、ひげの銅像だー、もういやですー」

((最後ですよー、下下、見て見て))(((下下、見て見て)))

「下下って、ギャー、落とし穴だー(エコー)」

((落とし穴作戦、大成功、捕まえーた))

「ムギュー(です)」

 

「捕まっちゃた」

((それならバツでも…))

「お尻ぺんぺんはいやですよ…」

((お尻ぺんぺんはしないよ))

「よかったー」

((でもね、反省文100枚に学校全部の掃除1週間に…))

「もういたずらしないからやめてー」(です…)

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2章 躍動編
第7話 先輩禁止 苗字禁止 赤点禁止!?


「私、代々木はるか。音乃木坂の2年生」
「6人となったオメガマックス。高坂(雪穂)先輩の考えたトレーニングを愛とはやてが作り直すことに。そして、無理のない練習メニューになった」
「そして、練習終了後、部室に戻るといきなり双子が飛び出した。飛び出してきたあと、部室をみると、いたずらされたあとが。机には『スクールアイドル失格』の文字が書かれていた。そして、翌朝にも京城さんがいたずらにあってしまう」
「そして、その放課後、南理事長から今年入学した、音乃木坂初のアイドル特待生、通称こころあであることを聞かされ、イタズラを止めるように依頼を受ける」
「銅像の前で通称こころあこと矢澤こころ、ここあ姉妹を発見、イタズラ合戦の末、2人を捕まえる。2人と会話して、スクールアイドルにはやくなりたい、故に飛び級で入学(むろん、学校側も矢澤にこ先輩の妹としての才能を見込まれて入学を許可)したのだが、現実は厳しく、友達もできないこともあり、寂しさをまぎわらすためにイタズラを繰り返していたことに私達は気付く。そして、高坂(雪穂)先輩の言った「落ちこぼれ」という言葉に泣き出すこころあの2人。でも、
「落ちこぼれ同士だけど、みんなで集まれば最高になれるよ」
という高坂(雪穂)先輩の言葉に2人に賛同し、オメガマックスに加入。これでオメガマックスは8人に…。だが、ある運命が私達8人に襲い掛かろうとしていた」

(OP 1番のみ)




第7話 先輩禁止 苗字禁止 赤点禁止!?

 

 8人になったオメガマックス。今日も楽しく練習(+双子のイタズラ?)のはずが、なにやら部室に集合していた。

 雪穂が何か言い出した。

「え~、私達も8人になったということで…」

「やったー。また、お祝いするんだね」

ここあ、いきなり喜びだす。実は、こころあが加入した日の練習後、あのファーストフード店にて8人で歓迎会という名のお祝いをしたのだ。一緒に活動することもあり、絆を深めるのが目的だったが、やはり女の子、ガールズトークで大盛り上がりしたのだった。

「ごめん、ここあ。お祝いはもう少し待ってね」

雪穂謝る。そこに亜里沙がチャチャを入れる。

「雪穂のおこずかい、ピンチなんだもの」

「わ~ん、毎日のお昼、コッペパン1個だ~」

雪穂泣き出す。実は、そのお祝いのときにこころあにせがまれてこころあの分、といっても4人前を支払ってしまったのだ。

「それよりも、先にススメて頂戴!!」

愛が催促する。雪穂、泣くのをやめ、ある提案をする。

「ごめん、ごめん。実は提案だけど…」

他の7人、雪穂に集まる。そして、雪穂が…。

「って、顔、近すぎ!!」

8人とも密集していた。離れる8人。

 そして、雪穂が今度こそはと、ある提案をした。

「8人集まったからだけどね。これから、先輩って言うのはやめてみないかな…」

突然の先輩禁止、これには亜里沙を除く6人は驚く。

「先輩禁止…。私、これからなんて言えばいいの…」

みやこ、混迷する。その横にいたはるかは喜びながら言う。

「私は別にいいと思うよ。ねっ、後輩ちゃん!!」

はるかは後輩であるこころにたいして 後輩ちゃんと呼んでいた。ちなみに、こころに対しては「もう一人の後輩ちゃん」と呼んでいた。

 このはるかの言動に雪穂はすぐに反応した。

「あと、後輩ちゃんも禁止!!」

「えっ!!後輩ちゃんも禁止なの!!」

はるか、ブーブー反対する。これに対し、ここあもすぐに反応した。

「はるか姉ちゃん、怒られたー」

これに対しても、雪穂はすぐに反応した。

「ちなみに、姉ちゃんも禁止!!」

「「えー!!」」

これにはここあだけでなくこころもブーブー言い出した。

「先輩がダメなら…、高坂さん、なら大丈夫!!」

みやこ、これにて呼び名が固まった。が、これにも雪穂、すぐに反応する。

「あと、これから名前で呼ぶこと。苗字で言ったらダメだからね」

「苗字も禁止なんですか~!!」

みやこ、さらに混迷する。すかさず、ここあが進言する。

「あの~、姉ちゃんは私達にとって特権というより個性ですの必要だと思うのですが…」

「特権、個性…、なら、許す!!」

雪穂、なぜか許可する。こころ、すぐに喜び、こう言った。

「ありがとうございます、お姉さま」

「お姉さま~、いい響き」

雪穂、喜びながらほほが緩む。これをみて、みやこ、雪穂に抗議しようとする。

「高坂先…」

「先輩禁止、苗字禁止!!」

雪穂からダメだしされるみやこ。しかし、これにはみやこは納得していない。

「どうして、先輩、苗字はダメなのに、姉ちゃんはいいんですか!!」

一貫性のないことに腹を立てるみやこ。その横から愛が言う。

「私はそれでいいと思います。これなら上下関係でギスギスしなくて済みますし、遠慮もいらないですし」

その横にいるはやても口を出す。

「僕は反対かな。部活だし、上下関係ははっきりとした方がいいと思う」

ついでに亜里沙も口出す。

「でも~、上下関係だと愛ちゃんの言う通り、ギスギスしてしまうと思うよ」

 いろいろと意見を出し合い、討論する8人。だが、いくら討論しても、意見がまとまらず、時間だけが過ぎていく。

 

 そして、1時間後、先輩禁止派の雪穂、愛、亜里沙、先輩容認派のみやこ、はやての論争は平行線のままだった。

 そんなとき…、

パタン!!

部室のドアがいきなり開いた。その音を聞いたのか、8人は論争をやめ、ドアの方を向く。そこに立っているのは南理事長だった。

 南理事長は8人を見るなり、いきなりあることを言い出した。

「大変申し訳ないけど、今度のラブライブ、参加できないかも…」

「「「「「「「「え~」」」」」」」」

8人がいきなり驚く。そして、南理事長はあることを言い出した。

「実はラブライブにはわが校の代表として参加してもらいたい人だけど、一つ問題があって、学生である以上、どうしてもある程度テストで成績を残しておかないといけないの」

「「ギクー」」

8人のうち、ある2人が驚愕していた。南理事長の話は続く。

「そこで、今度の期末テストで赤点を取ってほしくないの。もし、赤点を取ったら、これは決まりなんだけど、夏休み最後までずっと補習づけになるの。むろん、夏に行われるラブライブも出場できないよ」

「「ギクギク」」

ある2人は脂汗を流していた。

 はるかはすぐに言う。

「私は大丈夫でしょ。愛もいつも上位にいるから大丈夫」

「いつも予習復習は欠かしておりませんから。ところで、高…、雪穂さんはどうですか」

愛が雪穂に確認を取る。が、雪穂は動揺していた。

「だ…、大丈夫ですわよ」

ちょっと雪穂の態度がおかしいと思う愛だったが、すぐに亜里沙に確認を取る。

「亜里沙さんはどうでしょうか」

「私は大丈夫。こうみえて勉強は(絵里)お姉ちゃんゆずりなの。特に英語とロシア語は得意だよ!!」

ロシア語は教科にははいっていないとツッコミたい愛だったが、すぐにみやこの方を見る。そして、一言こう言った。

「みやこさんは…、って、見れば一目同前ですね」

「…、だい…、大丈夫、…」

あまりにも動揺しすぎたみやこ。誰もが見てもわかりやすいものだった。

 南理事長はこれを見て、最後にこう言った。

「期末テストが始まるまでまだ時間があります。勉強会を開いて、赤点を必ず回避してください」

そして、静かに去っていった。

 

 南理事長が去ったあと、愛は確認する。

「確認ですが、赤点取りそうなのは、雪穂さんとみやこさんですね」

「私は、…だい、…大丈夫」

雪穂の動揺は激しさを増す。みやこも同様だった。

「たしかに、雪穂は危ないかも。だって、いつも英語、いつも赤点だもの」

亜里沙、いきなりのカミングアウトだった。

「そ、それはちがう~」

雪穂はすぐさま否定するも、動揺は隠しきれなかった。間違いなくクロだった。

「ごめんなさい。私、いつも赤点ばかりなの」

みやこ、諦めたのか、すぐに白状する。

「みやこちゃんの裏切りもの~」

雪穂は叫ぶが、これが自分もそうであると認めたことになった。

 

「ということで急遽勉強会を行います」

はるかはこう言うと、亜里沙とはやてはパチパチと拍手した。

 雪穂は英語の得意な亜里沙と愛が見ることになった。

「ところで、はやてちゃんは成績はいいの?」

亜里沙がはやてに質問した。すぐに答えるはやて。

「僕はこう見えて勉強できるよ。だって、隣に秀才と努力家がいますから」

そして、はやてははるかの方を見る。はやては予習復習をかかさない努力家の愛、学年トップの秀才、はるかの間で負けてたまるかという根性で勉強してきた。だから、学力も中の上までいっていた。そう、マキシマムはこう見えて高学力集団だった。

「ということで、みやこは僕が見てみますから」

「はやてさん…」

みやこ、涙ぐむ。

「私達は関係ないもんね~」

ここあがこう言った。しかし、すぐに亜里沙に感づかれてしまう。そして、こう言った。

「そういえば、こころちゃん、ここあちゃん。たしか、中2から飛び級したばかりじゃなかったかな」

「そうでした。申し訳ございません」

急に謝るこころ。そう、高校の勉強はこころあはまだしていなかったのだ。

「でも、授業に…」

はるかはこう言うと、あることに気付いた。そして、こう言った。

「そうか、授業サボってイタズラばかりしていたか~」

「そうです。イタズラ、大好き!!」

ここあ、何も考えずに言う。こころ、すぐに謝る。

「申し訳ございません。音乃木坂での勉強ってさっぱりわかりません」

これを見たはるか。すぐに反応した。

「なら、こころちゃん、ここあちゃんの世話、私がします!!」

はるかは胸をはってこう宣言した。

 こうして、雪穂は亜里沙と愛が、みやこははやてが、こころあははるかが勉強を教えることになった。

 

ラブライブΩ 挿入歌 「study song」

 

※()は掛け合いとなります。皆さんも掛け合いを楽しんで見て下さい。

 

(1)

国語 数学 理科 社会

そんでもって おまけに英語

学生は勉強が仕事

おぼえることが多すぎる

 

勉強ダイスキ(ダイキライ)私たち

数式なんてかんたんさ(むずかしい)

すぐに一発とけちゃうよ(とけないよ)

 

サイン コサイン タンジェント ハイ

サイン コスギ ヨシダケイ

それはブラマヨ ケイじゃなくタカシです

サイン コサイン タンジェント ハイ

サイン コスギ ヒーハー ヒーハー ビーバー

動物になってしまったよ

 

(2)

古典 漢詩 日本史 地理

そんでもって おまけに世界史

学生はなんでも選べる

選べるものが多すぎる

 

何でもダイスキ(ダイキライ)私たち

年号なんてかんたんさ(むずかしい)

すぐに一瞬でおぼえるさ(わすれるさ)

 

794 うぐいす 平安京 ハイ

794 うずまさ 映画村

そのときには映画ないからね

894にもどそう 遣唐使 ハイ

894にもどろう げんごろう

何にもどろうとしているの

 

1192つくろう 鎌倉幕府 ハイ

1192ふくろう がまぐちダイブ

とても小さすぎるだろう

 

(3)

物理 化学 生物 地学

そんでもっておまけにリスリング

学生は全てが大好き

たくさん覚えてハッピーだ

 

勉強ダイスキ(ダイキライ)私たち

化学式なんてかんたんさ(むずかしい)

すぐに一発解決さ(分解だ)

 

スイヘイリーベ ボクノオフネ ハイ

水性塗って泥の舟

なんかえたいなものになっちゃった

しまがりシックス クラーク 牛乳 ハイ

そこまがり湿布する クラーク 北海道

銅像に湿布するなー

 

勉強ダイスキ(ダイキライ)私たち

勉強なんてかんたんさ(むずかしい)

なにがなんでもへっちゃらさ(いやーだね)

 

「まさか、英語以外に日本史、化学、数学もダメとは…」

部室で雪穂に勉強を教えていた愛はこう言うと呆れてしまった顔で雪穂を見ていた。

「だって、練習ばかりで勉強する暇なかったもん。てへ」

雪穂がこう言っているが、家に帰ってからも筋トレなどしているため、勉強をサボっていた。

「だからって、サボっちゃいけないんだけどね…」

亜里沙はこう言っているが、とうの亜里沙は家でちゃんと勉強している。

「さあ、これからみっちり勉強していきますからね」

愛はこう言うと、雪穂を椅子に座らせて目をギロリとした。

 一方、みやこははやてとのマンツーマンで勉強を進めていた。

「なるほど。こうすれば解けるんだね。やっぱりすごいよ」

みやこはこう言うと、はやてを褒めていた。

「いや~、それほどでもないよ」

はやては少し照れて言った。それにみやこ、すぐに言う。

「教え方がとてもうまいよ。わかりやすいもん」

実ははやて、陸上部の後輩によくアドバイスをする。その際、わかりやすく教えているそれが今回の勉強へと通じていた。

 そして、こころあは…。

「キャー」

はるかは突然起きた大きな音に驚き、椅子をひっくり返した。

「ばいばいび~ん」

こう言うと、椅子を飛ばして逃げていくものの影が…。ここあだった。ここあは勉強に嫌気がさし、逃げるために観尺玉を爆発させたのだった。

「ここあちゃん。逃げないで~」

隣にいたこころがここあに言うが、ここあ、聞く耳もたずだった。

 だが、大きな音に反応してか、雪穂を見ていた亜里沙、愛も音がした方を見てしまった。

「さよらな~」

雪穂、隙をついて逃げる。

 部室のドアまでもう少し。雪穂とここあ、バッタリ会うが、逃げるという目標が一致しているため、一緒に逃げることになった。

 そして、ドアを開けると、そこは…、自由への道が…、ではなく、キャンディーズ3姉妹が立っていた。逃げるだろうと予測していた亜里沙が事前に用意していたものだった。

「つかまえ~た」

ランがこう言うと雪穂をすんなりと捕まえる。

「私はこういかないよ」

ここあ、スーに向かい、フェイントをかけて追い抜こうとする。

「私を踏み台にした…つもりですが…」

スーがこう言うと、後ろからスーの影で見えていなかったミキが出てきてここあを捕まえる。ミキ曰く、

「私達に勝とうなんて10年早いわよ」

すんなりと2人は捕まった。

 部室に連れ戻された雪穂とここあ。

「はあ」

これをみてため息をつく愛だった。

「ここあちゃんは勉強にあきあきしていたのか。なら、少し趣向を変えよう」

はるかがこう言うとここあにこう言った。

「なら、アイドルと勉強を結び付けてみようか」

これを聞いて、ここあ、はるかに近寄る。

「卑弥呼というアイドルがいてね、そのカリスマ性が…」

突然始まったはるかのアイドル勉強法。これにここあ、食らいつく。

「なるほど、なるほど」

ここあの目が変わった。勉強する目だった。さらにこころも食らいつく。

「私もそれで教えて欲しいです」

実はにこの妹ということで2人もアイドル好きだった。にこの残したアイドル資料を大切に保管しているくらいに。

「これならこころあも大丈夫ですね。で、こちらも最終手段といきましょう」

愛はこころあの2人を見て、ついにあることを行うことを決めた。

「亜里沙さん、雪穂さんを私の家まで連行していきますわよ」

愛がこう言うと、亜里沙も

「ラジャー」

と言って、雪穂を捕まえた。

「あ~れ~」

雪穂はこう言ったが、逃げることができず?ついに愛の家に連行されていった。

「うわ~、家がデカすぎる」

雪穂は愛の家を初めて見てこう言った。しかし、その余韻を感じることなく、愛の家の書斎まで連れて行かれた。

「さ~て、ここで試験までみっちり勉強していきます」

愛がこう言うと、亜里沙が雪穂をがっちり締めて逃げないようにする。

「お助け~」

愛の家に雪穂の叫び声が鳴り響いていた。

 

 そして、ついに試験が行われた。余裕の表情で試験を受ける亜里沙、愛、はるか、はやて。はやてから勉強を教えてもらい、自信満々のみやこ。そして、アイドル勉強法で急激に学力をつけたこころあ。対して、雪穂は口から魂が抜けられるほど白くなっていた。

 試験が終わり、結果が全て返ってきた。

 ひさしぶりに部室に集まる8人。それぞれ返ってきたテストを見せ合った。はるかは安定の学年トップ。そして、愛、亜里沙、はやては前回よりも学年順位を上げた。自分達が教えたことにより、それが復習となっていた。

 そして、はるか、愛、亜里沙はみやこを見る。みやこは笑顔でVサインをし、こう言った。

「今回は学年でも上位に食い込んだよ。やっぱりはやて先生の教え方は一番良い」

みやこは学年でも上位だった。これまで悪かったのが嘘のようだった。

 そして、次に雪穂を見る。雪穂は名の如く白くなっていた。

「ダメだったの~」

亜里沙が心配なそうな顔で言った。反応のない雪穂。仕方なく机に散らばっていた雪穂のテストを見る愛達。

「ん~、全部見たけど、どれも60点台ですわ」

赤点は60点未満なので、雪穂もセーフだった。

「燃え尽きた~」

雪穂はこう言うと、机に伏せてしまった。本当に燃え尽きただけだった。

 最後にこころあ。こころあは自信たっぷりに皆にテストを見せた。

「全て満点だったよ~」

「私も満点でした

ここあが元気そうに答える、と、こころもそれにつられて言う。これには雪穂を除く6人は大変驚いた。

「うそでしょ」

愛は驚いた姿でこう言うと、こころあのテストをよく見る。しかし、全部満点だった。

 一番驚いたのははるかだった。そして、ぽつりとこう言った。

「なんで満点?私、中学卒業レベルまでしか教えていないのに…」

そう、実は中2レベルから教えていたので、中学卒業レベルまでしか教えることができなかった、時間が足りずに。そして、理事長の「文部両道」のためか、他の学校と比べて期末テストのレベルが高い。なので、たとえ音乃木坂の1年生でも満点を取るのはまれである。

「でも~、学年順位がないんだけど…」

ここあがこう言うと、こころも続けて言う。

「私も学年順位がないです~」

「?」

不思議がる6人。実はテストの点数とは別に自分の学年順位も紙に書かれているのだ。

はるかはテストをじっくり見て納得した。

「もしかして、理事長、わざと今年の入試試験問題にすり替えたかな」

はるかの推理は正しかった。理事長の指示でこころあだけ今年の入試試験問題を期末テスト替わりとして課していたのだ。だが、これは他の5人には分からなかった。このことは心の奥に閉めておこう、はるかはこう思った。

 

「これでラブライブ出場していいですよね」

雪穂は理事長室で強く南理事長に迫った。赤点全員突破というノルマを達成したからだった。

「これなら音乃木坂を代表するスクールアイドルとしておかしくないわ。ラブライブ出場を認めます」

「「「「「「「「やったー」」」」」」」」

南理事長の出場許可をもらって喜ぶ8人。ついにオメガマックスはラブライブ出場を決めた瞬間だった。

 

 そして、テスト明けの休日。

「テストも終わったし、8人で街に出かけよう」

雪穂の提案で秋葉原に8人で繰り出すことになった。

「このお店のクレープ、とてもおいしいね」

亜里沙がこう言うなどいろんなところで遊び、そして、食べた。8人は今日という日を思いっきり楽しんだ。

 そして、とあるアイドルショップを通り過ぎようとしたとき、

「ねぇ、ちょっと。面白いものあるよ」

ここあがこう言うと店頭に置いていたあるものを見つけた。

「虹の7色に光るブレスレットです~」

こころがこう言うとそのブレスレットを身に着けた。

「うわ~、振ると色が変わるんです~。おもしろいです~」

こころ、こう言って何度も手を振る。

すると、これを見てた雪穂、とあることを思いつき、こう言った。

「これ、みんなで買おうよ。ステージで着けるととてもきれいに見えるよ」

「面白そう。私、賛成」

亜里沙がこう言うと、手を挙げた。そして、ほかの5人もそれに次々に賛同する。

「よ~し、決まり!!店員さん、この『ラブライブレスレットライト』ください!!」

こう言ってみんなでラブライブレードのように光るブレスレット、ラブライブレスレットを購入した。

 

「やっぱ、これ、楽しい」

 振ることに色が変わる。それを楽しむ。雪穂はそう言った。

「色が変わるだけ。でも、ステージ上だと綺麗に見えるみたいですね」

愛もステージで振る自分を思うと喜んで言った。

「光るブレスレット。それを着けたアイドルっていたかな」

はるかはこう言うと、少しでも思い出そうとしていた。

「もっと振って、もっと振って。いやあー、とても面白い」

ここあもこう言うと、面白がって手を振り続けた。

「本当です~」

こころもここあの後に続く。

 この光景を見て、みやこはふとつぶやいた。

「たた1つのことだけど、みんな一緒に楽しんでいる」

はやても続けて言った。

「そうだね。たった1つのことだけ。でも、僕を含めて面白いとみんな思っている」

「これが私達、オメガマックスじゃない」

いきなり2人に割り込んできたのは亜里沙だった。

「テスト始まる前にみやこちゃんが言っていた、『部活だから』『上下関係が』って話、確かに部活だけど、その前にスクールアイドルじゃないかな。この前のテスト勉強についても一緒にやってこれたからノルマを達成できたと思うよ。だからこそ上下関係は私達の間ではないと思うよ」

ありさはこう言うとみやことはやての手を掴んだ。

「だからさ、これからも宜しくね。みやこちゃん、はやてちゃん」

亜里沙がこう言うと、みやこも喜んでこう答えた。

「はい、楽しみましょう、ありささん、はやてさん」

はやてもつられてこう言った。

「そうだな、亜里沙君、みやこ君」

「君づけですか~。ややこしくなるからそれはやめて~」

亜里沙は楽しそうに言い返す。

「3人とも~、はやく、はやく~」

雪穂が3人を呼んでいる。

「亜里沙姉さま、みやこ姉さま、はやて姉さま、はやく来てです~」

ここあも3人を呼んでいる。

「「「ちょっと待って~」」」

3人は口をそろえてこう言うと、雪穂達のもとに駆け寄るのだった。

 

(ED 1番のみ)

 

次回 ラブライブ スタート!!

 




 こんにちは。La55です。今回から第2章が始まりました。8人になったオメガマックスがついに始動しました。が、今回はまだラブライブまで出場しておりません。今回は学生の本分、テストがメインです。ラブライブのアニメ版でもテストの回がありました。そして、先輩禁止の回もありました。これをミックスしたのが今回のお話です。しかし、雪穂達オメガマックスにとってこれが初めての共同作業となります。これを8人がどう乗り越えていくのか、それが今回のお話の趣向となります。その中で、先輩後輩の垣根を超えることが重要だと私は思っております。そのため、部活の上下関係のことも入れさせて頂きました。

 で、今回の楽曲、「study song」は3~4曲あるコミックソングの1曲です。もし、勉強が苦手な人とそれを教える人の掛け合いを歌にしたら面白いなぁと思い、この曲を作詞しました。実はこの曲はある曲をヒントに作りました。その曲とは、サクラ大戦の曲で「スキャンダルはダメよ」だったと思います。その曲は、歌劇団の団員2人の絶妙な掛け合いを歌にした曲です。この曲を聞いたとき、普通の曲にはない掛け合いが自分にとって新鮮でした。あなたが学生時代はどうだったでしょうか。

 そして、今回でてきたアイテム「ラブライブレスレットライト」これはラブライブレードをブレスレットにしたようなものですが、それに加えて、振ることで色が変わるものが出来たらと面白いと思って出してみました。このアイテムはこれから先、重要なアイテムとなります。いつでてくるか、楽しみに待っていてください。(現実にもあればいいのですが…)

 と、いうわけで、次回、ついにラブライブ予選が始まります。それまで楽しみにお待ちください。それでは、また。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 ラブライブ スタート!!

「僕、神宮はやて、音乃木坂の2年生」
「雪穂君が突然、先輩、後輩、苗字の禁止を提案してきた。これより混乱をきたす僕達7人。それに対し、僕とみやこ君は部活である以上、上下関係は必要であり、先輩、後輩、苗字禁止に反対を唱えた」
「そんな中、南理事長から今度の期末テストで赤点を取らないこと、そして、赤点を取ると夏休みまで補習になることを言われる。そこで、勉強できるか確認をすると、雪穂君、みやこ君、こころあが危険であることがわかる。すぐに勉強会を行うも、雪穂君とこころあはすぐに逃げ出す始末。これではいけないと、雪穂君は亜里沙と愛、みやこ君は僕、こころあははるかがそれぞれにあった(?)独自の勉強法でマンツーマンで教えることに。結果、赤点を無事回避することに成功する」
「そして、テスト明けの休みの日、街に繰り出す8人。そこで、振ると光るブレスレット、『ラブライブレスレットライト』を見つけ、8人で買うことになる。楽しくなる8人。そこで亜里沙君から部活より前にスクールアイドルであること、そこに上下関係はないことを言われる。そう、8人は同じスクールアイドル。それに気付いたみやこ君と僕だった」
「そして、ラブライブが始まる!!」

「の前に、みやこさん。私、決めましたわ」
愛がいきなりみやこを呼びとめてこう言った。対して、みやこ、少し驚いてこう言った。
「ど、どうしたんだ、愛さん。私を呼びとめてどうしたんですか」
これに愛、答える。
「私、新曲を作りますわ」
「えっ、でも、この前できた『Little wing』があるじゃないですか」
みやこ、愛に言う。そう、「Little wing」ができて間もないのだ。
「これから先、『Little wing』だけではいけない場面がでてきますわ。なら、それに対して新曲で対抗できるかもしれません。私、そのためにも新曲を作りますわ」
愛の決意。みやこは感動を覚え、賛同するがごとくこう言った。
「愛さんの決意、受け取りました。なら、私の新しい振付、考えます」
そして、愛はあることを約束させようとみやこに言った。
「みやこさん、お願いがあります。このことはほかの6人には内緒してほしいのですわ」
「えっ」
愛の言葉にみやこはとまどいを見せた。

(OP 一番のみ)


第8話 ラブライブ スタート!!

 

 梅雨明けもまじかのこの季節、学生にとっては1つの大事な季節となる。7月から8月にかけてインターハイなど学生が日本一を目指す大会が多く開催される。そして、スクールアイドルも例外にあらず。スクールアイドルの甲子園、ラブライブもこの時期に行われることになる。

 

「さ~て、今年もやってきました~。スクールアイドルが日本一を目指すこの季節が。そう、ここ、東京丸の内通りからスクールアイドルの甲子園、ラブライブが今、まさに始まろうとしております!!」

いつも元気の良いレポーターの一言で今年のラブライブが始まろうとしていた。

「ここ、丸の内通り、ラブライブにとって一つの有名な決戦がありました。そう、μ’sとA-RISEが直接対決した場所。それ以降、スクールアイドルにとって一つの聖地となっております。ということで、今年のラブライブは、ここ丸の内通りでキックオフイベント(開会式)を行うことになりました」

レポーターはこう言うといろんなことを語り始めた。

「う~、緊張するなぁ」

雪穂はいろいろ喋りまくるレポーターを見つつも体を硬直しながらステージ上に立っていた。そう、雪穂達オメガマックス8人は昨年の決勝出場者ということで、ラブライブのキックオフイベントに呼ばれ、ステージ上に立っていたのだ。その横には関東の強豪のスクールアイドルが何校か立っていた。

 そして、A-RISEを輩出したUTX学院の代表もそこに立っていた。しかし、ほかのところとは少し違っていた。金髪のナイスボディな女の子、それに、銀髪の似合う女の子の2人組だった。ただ、だれからも見ても日本人とはちょっと違うことは一目瞭然だった。

「ここでいろんなイタズラしたら目立つかなぁ」

ここあはここで目立つ方法を考えてこう言った。観客はどちらかというと、自分達よりUTX学院の2人組に集中していたからだった。

「ここあちゃん、イタズラしたら駄目です~」

こころ、こう言うとここあを制した。

「こころちゃん、ここあちゃん、少しは静かにしましょうね」

隣にいたはるかがこころあに注意する。

「だって退屈なんだもん」

こころちゃん、ここあちゃん、私も少し静かにした方が良いと思うよ。だって今から戦いが始まるんだよ」

亜里沙がこう答えると、ここあは少しふてくさがりながらこう言った。

「はいはい、そうですか。もう少し退屈でいますよ!!」

「本当にごめんなさいです~」

こころはこう言うと少しこじんまりするように立った。

 こころあの態度にはレポーターは少し気付いていたようだった。

「少し音乃木坂さんが騒いでいるみたいですが、それはスルーして、大会の仕組みですが、近年、スクールアイドルが多くなっております。そのため、今回は県予選、地区予選、そして、決勝大会とコマを進めることになりま~す」

「となると、3回勝ち進まないといけないんだ」

雪穂は少しこわばりながらこう言った。ラブライブ優勝が長年の夢、それを果たすためにも同じような対決を3回繰り返す。3回も優勝しないといけないという重圧に耐えないといけない。そう思うと、とても耐えることができないのでは、そんな考えが雪穂の頭の中を駆け巡っていた。そして、それは顔に少し影のあるおもむきを見せていた。

「雪穂~」

亜里沙はそんな暗い表情の雪穂を見て、心配そうにこう言った。

 だが、これを見て声をかけるメンバーもいた。

「雪穂さん」

そういうと、手を肩をそっと乗せた。みやこだった。

「雪穂さん、大丈夫ですよ。私達8人いれば、きっと大丈夫ですよ」

そういうとみやこは両手を肩に乗せて揉む。

「うっ、気持ちいい」

雪穂は少し顔を緩ませてこう言った。

「そうですよ。これがいつもの雪穂さんです。それに、どんなことがあっても私と愛さんがいます。まかせてください」

みやこは笑顔でこう言った。

「そ、それならいいんだけど」

雪穂、みやこの最後のことばを気にしつつ、そう答えた。これで少しは和らいだ、そう思えた瞬間だった。

 ただ、レポーターの説明は続いていた。

「ただ、スクールアイドルもどこも同じじゃ~ない。ということで~、シード校というものを設定しちゃいま~す。シード校は県予選が免除になりま~す」

会場中いきなり騒ぎ出した。あのμ’sすら3回勝ち進んで優勝したのだ。それが今年からシード校制を導入することになったのだ。たった2回だけで優勝することになるからだ。

 観客がさわぎだすとつかさずレポーターはこう言いだした。

「みんさんの意見はごもっとも。しか~し、よく考えて欲しい。何千ものスクールアイドルが戦うんだ!!実力のあるスクールアイドルに3回も同じ土俵で戦うのも少し気が引けないかな。だから、実力のあるスクールアイドルはシードとして地区大会から出場することになりました~」

このレポーターの説明に少し納得したのか、観客も少し静まりだした。レポーターはこれを見て言葉を続けた。

「というこちで、シード校を発表していくよ~」

北海道からシード校が発表していく。みんながよく知っているスクールアイドルの名前が続く。

 そして、関東地区へと続く。

「関東地区のシード校ですが、まず、1校目」

少しどきどきする雪穂達。そして、発表された…。

「1校目は音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックス!!」

その瞬間、雪穂は白くなった。なんと、シード校に選ばれたのだ。それに驚いて魂が抜けたためだった。

「おっと~、音乃木坂のメンバー1人が白くなったようだ。理由は簡単。去年、関東予選から決勝に進んだからだ。そのとき、μ’sのメンバーだったまきりんぱながいたが、今年はもういない。今年度に入り、いろんなことがあったと聞くが、それでもメンバーの中にはμ’sのメンバーの妹、そして、あの有名な音楽一家の1人がいると聞く。今年のダークホースかもしれないよ~」

これを聞いて、みやこは「そうだろう」と威張るような顔をしていた。そして、ほかの7人を見た。愛、亜里沙、はるかは少し喜んでいた。はやてはまだ緊張していた。こころあはそんなの当たり前でしょという顔をしていた。むろん、雪穂は名の如く白くなっていた。

「そして、2校目はUTX学院、スクールアイドル、iD(アイディー)!!」

レポーターがこういうといきなり、そのUTX学院のスクールアイドル2人が前の出てきた。

「ど~も、ど~も。ありがとう~ね。みんな愛しています!!」

金髪の少女がそう話すと、モデルのような歩き方でステージの前に出てきた。とてもグラマーな姿であった。

「…、ナンシー、行き当たりばったり、だから、私、困るのですよ。こちらの予想、外されてばっかり、だから、いつも、困るの、ですよ」

その隣には銀髪の少女がついてきた。金髪の少女とはグラマーではないが、どちらかと言うと、マトリョーシカ、いや、フランス人形のような美しいいでだちだった。

 「あ、あなたたちは…iDだ~、iDが突然ステージに出てきたぞう~」

興奮するレポーターと観客。

 そして、iDと名乗るスクールアイドルが名乗りをあげる。

「私はナンシー、UTXの3年生。アメリカから来ました」

金髪の少女、ナンシーは体をくねくねしながらセクシーに見せるように挨拶する。

「私、ナターシャ、UTXの3年生、ロシアから、来た」

銀髪の少女、ナターシャはナンシーとは逆にちゃんと会釈して挨拶した。

「なんという挨拶だ~、と言いたいが、まだ、シード校発表は続く~。2人のことはじっくりと後で説明するからもう少し待ってね」

レポーターはこう言うと、シード校発表を進めた。むろん、去年音乃木坂を破った九州の学校もシード校に入った。いや、シード校でなくても決勝まで勝ち進めることができる、ここにいた全員がそう思っていた。

 

「ということでシード校の発表を終わります。これでキックオフイベントは終わり~、ではないぞ~。今日はなんと特別プログラムをお送りするぞ~」

レポーターが言った瞬間、会場中が沸いた。プログラム表には書いていないことが起こったからだった。

 レポーターの話は続く。

「今日はUTXから生きのいいプログラムを提供してくれたぞ!!UTXのスクールアイドル、iDの2人、ナンシーさんとナターシャさんによるダンスをお届けするぞ!!」

会場中がまた沸いた。まさかここでスクールアイドルのステージが見られるとは思っていなかったからだ。ただの開会式、ただのお見せ興行であると思っていた。多くのスクールアイドルをただ一目みたい。ただそれだけで集まっただけだった。それがスクールアイドルのダンスが見られる。これ以上嬉しいものがなかった。

「ハ~イ。観客のみなさん、こんにちは。私はナンシーよ~。アメリカから来ました。ハイグラマ~な体が特徴よ~」

ナンシーがまず最初に前に出てきた。

「ナンシーさん。アメリカから来たということですが…」

レポーターがナンシーにレポートする。すると、ナンシーはセクシー風に語り始めた。

「そう、私、アメリカのNYで撮影されたμ’sの動画、そう、エンジェリックエンジェルの動画を見たとき、体にビンビンきたの。これが日本のスクールアイドルなのかって。私もあんなふうになりたいの。私もスクールアイドルになりたい。そう思ったの」

そして、ナンシーがあることを言った、驚愕な事実を。

「そんなとき、UTXていう学校がね、海外からスクールアイドルを目是す人材していますっていうネット広告を見たの。私、ピンときたの。私は昔からダンスは得意だったから。私ならなれる、私なら入れる、そう思ったの。だから、UTXの応募を受けたの。そしたら受かちゃった」

そう、ナンシーのダンスはUTXに受かるほどうまい、というのもあるが、それはおいといて、実はUTXはここ最近のアイドルの国際化(某有名グループが海外に姉妹グループを作っていることなど)にあわせて、海外から将来のスクールアイドルのたまごを見つけるためにスカウト事業を海外まで広げていた。

「私も、UTX、私の実力を、認めて、スカウト、された」

突然、ナターシャもでてきてこう言った。さらに話は続く。

「私、ロシアで、私が、やってきたもの、以外の、目標を、見つけたい。思って、いた。そして、そのとき、μ’sの、エンジェリックエンジェルの、動画、みた。感動、した。そして、UTXの、ネット広告を、みた。私、μ’sみたいな、スクールアイドル、なりたい。そして、応募、した。そしたら、受かった」

まったく笑顔を見せないナターシャだったが、その目は自信を持つ目だった。ちなみにナンシーとナターシャ、2人、UTXのアイドル特待生である。その意味でも2人の実力は誰もが認めるものだった。ある部分を除いては…。

「2人の意気込みはすごいものです。μ’sみたいなスクールアイドルになりたいがゆえに単身日本に来たのです。感動ものです~」

レポーターがこういうと続けてプログラムの進行を進める。

「感動話はこれぐらいにして、プログラムを進めたいと思いますよ~。最初はナンシーさんです~。それではどうぞ」

レポーターがこう言うと舞台袖に引いていく。そして、雪穂達を含めた多くのスクールアイドルをバックにナンシーはステージ中央にぽつんと立つ。

「それでは~、ミュージック~、スタート!!」

そう言うと、突然、「スリラー」が流れ出した。あのマイケルジャ○ソンの名曲である。

 お化けダンスをいきなり踊り出すナンシー。それはまるでお化けに着けられたようなダンスだった。いや、お化けそのものだった。

 だが、サビに入ると、一転した。突然、金色のスイミングキャップをはめ、頭を地面につけて回転をし始めた。そう、ブレイクダンスをはじめたのだった。回転は激しさを増す。

 回転が終わると、すぐにお化けダンスに戻った。その間でも止まったりすることはなかった。まるでナンシーにマイケルの亡霊がついている。それほど完璧なダンスだった。

 曲が終盤に入ると、いきなりステージを降りてきた。そして、下に敷かれたマットめがけて走り出した。そして、マットの前でジャンプ。一回転してから着地した。さらに、後ろにバク転を3回連続行った。まるで日本のジャ○ーズのダンスを見ているような、いや、体操選手のようなダンスだった。

 これを見ていた雪穂達8人、口をあんぐりとしていた。特に雪穂は開いた口が閉まらない、それほどの衝撃だった。

 そして、曲が終わる。その瞬間、会場は拍手喝采になった。

「すごい、すご~い。これがナンシーさんのダンス!!スゴいの一言しかありません!!」

レポーターが興奮しつつこう言った。

「どうよ。私のダンス、これほどうまいものいないでしょ」

ナンシーもまんざらでもないものだった。

 だが、しかし、1人納得していないものもいた。

「これほど、興奮、させて、私、やりづらい」

ナターシャは少し困り気味でこう言った。

「ごめん、ごめん。でも、ナターシャの踊りはすごいでしょ」

ナンシー、ナターシャにこう言うと、右手をナターシャの顔の上に乗せた。

「わかった。なら、いってくる」

ナターシャはこう言うと、ステージ中央に進む。

「続いては~、ナターシャさんによる日本舞踊です」

興奮収まらないレポーターはこう言った。

 そして、ナターシャの日本舞踊が始まる。曲は「春の海」琴の曲としては有名な作品である。正月には必ず流れる曲である。

ナターシャが舞い始める。まるで春の海に舞うサクラ、そして、蝶のように舞う。そんな情景が見える舞だった。それにつれてそれまで騒いでいた観客達もいきなり静まった。それほど誰でも引かれるような舞。

 そして、曲の終盤にあたり、舞が大きくなる。扇が1枚、そして、2枚へと増える。

力強く舞う。誰もが「春の海」の情景が見えてくる。春の海に大きく舞うサクラと蝶。

そのように感じられた。

そして、曲は終了する。すると、それまで静かだった観客達から大きな拍手がナターシャに注がれた。

「なんなのですか。あれは日本舞踊ですよね。どこで習得したのですか」

レポーター、いきなりナターシャに質問する。

「実は、ロシアに、いる時、通信講座、受けた。1か月間、みっちり、練習、した」

ナターシャは冷静に答えた。

「なんと、通信講座を受けただけであんなにうまいとは。凄いぞ、ナターシャ!!」

レポーターも興奮気味で喋っている。

「今も、週2回、日本舞踊、習っている」

ナターシャこそっと答える。

「それでも、あれは師範クラスでしょ」

レポーターはナターシャを褒める。

「でも、いつも笑わないから自慢しているのかわからないのよね」

横からナンシーがナターシャにツッコミをいれる。

「それは、意味のない、笑い、バカ、と、言われている。だから、笑わない」

ナターシャ、まじめにナンシーに答える。

「できれば笑ているところ見たいんだけど、一度も笑わないのもちょっとね…」

ナンシー、ナターシャに愚痴をこぼす。

「それでもすごい!!これはUTXから目が離せない展開だぞ~」

レポーター、興奮気味で喋っている。

 その一方で、ある女子は口をあんぐりしたままだった。

「あれが…、UTX…、私達…、このままだと…、負けて…、しまう…」

自信喪失気味にそう話すのは雪穂だった。

「大丈夫、雪穂。しっかりして」

雪穂の口の表情を見た亜里沙はすぐに雪穂に駆け寄り、そう声をかけた。

 しかし、ゆきほはそんなことお構いなしに自信喪失気味にこうつぶやいていた。

「このままだと負けてしまう…、もっと…、練習…、しないと…」

そんな雪穂とはお構いなく、キックオフイベントは大盛況のうちに幕を閉じた。

 

それから1週間後、空は梅雨空に戻っていた。キックオフイベント時には晴れていたが、それは梅雨の中休みみたいなものだった。

「1、2、3、4。1、2、3、4。それでは今日はこれまで」

そらが雨のため、部室横の練習場で練習をしていたオメガマックス。この1週間、8人は歌やダンスの基礎をやり直していた。

「まさかキックオフイベントの流れを全てUTXにもっていかれるとは…」

愛は悔しい思いをしながらみやこに言っていた。

「でも、すごかったのは確かですよ」

みやこ、純粋な意見を言う。

「それでも、ラブライブ関東予選はUTXベースになるでしょうね」

横にいたはるかが答える。

「たしかに。それに、都予選は免除されたが、関東予選はどこにも発表していない新曲での勝負になるのがいたいわ」

愛、はがゆい表情で答えた。そう、関東予選はこの前のオメガイズとマキシマムとの対決と同じ、完全新作での戦いとなった。

「私達の『Little wing』はすでに発表済み。なので使えません。対するUTXのiDはこれまで発表した曲はありません。だから持ち歌でもって勝負することが可能。私達も完全新作であのiD以上のものを越えないといけません」

はるかが冷静に分析してこう言った。

「だったら、この前言っていた新曲はどうですが」

みやこがこう言っていきなり提案した。

「新曲?なんですか、それは…」

はるかは不思議そうにこう言った。

「みやこさん、それは内緒って約束でしょ」

愛が言うと。いきなり恥ずかしそうにみやこを黙らせようとする。

「こうなったら、出し惜しみはできません。ここぞの新曲でしょ」

みやこはこう言うと、強く、愛にあたる。

「それもそうですが…」

愛、少し困り気味になりながら答える。

「愛、私には内緒でみやこと一緒になにか企んでいましたね」

はるか、愛に対し、目を見ら見つけながらそう言った。

「はるか、ごめんなさい。でも、こんなことがあろうかと思ってみやこさんと一緒に新曲を考えていました。そして、昨日、ようやく完成しました」

愛がこう言うと、はるかに新曲の入ったウォークマンで、その新曲を聞いてもらった。

「私もこの曲、いいと思うよ。これなら、とてもいいダンス、できそうだよ」

みやこ、自信満々に言う。

「たしかに、この曲なら私もとても良い衣装出来るかもしれません」

オメガマックスの衣装担当のはるかがそう断言する。

「なので、この曲の存在は3人だけの秘密でお願い致しますわ」

愛がこう言うと、この会議はお開きになった。

 

 そして、同じくして雪穂はちょっとふらつきながら練習場から出ようとしていた。

「それなら…、私は…、、これまで…、さようなら…」

ちょっと風邪気味のような雰囲気でドアを開けようとしていた。

「さようなら、雪穂姉ちゃん」

ここあが元気そうに挨拶する。

「さよならです。雪穂姉さま」

こころも礼儀正しくして挨拶した。

「さようなら…」

こう言い残すと雪穂は元気がないような感じで練習場から出ていった。

「なんかいつもの雪穂じゃない」

亜里沙が心配そうに雪穂を見ていた。

「あれは無理をしているな」

はやても少し心配そうに言った。

「あんな雪穂、絶対に何か隠している。雪穂の後をつけてみようよ」

亜里沙がいきなりの提案を行う。

「ああ、そうだな。このままだと最悪の事態になりかねないからな」

はやても亜里沙に賛同した。

「何か面白いことするかな。ついていこう、こころ」

ここあがありさとはやてと一緒に行こうとこころに提案する。

「そうですね」

こころも一緒についていくことにした。

 

「お母さん…、ちょっと…、走ってくる…」

雪穂は家に帰るなり、すぐに雨合羽を着て走り始めようとする。

「雪穂、あんまり無理をすると倒れるわよ。雨降っているのに1週間も同じように走っているでしょ。ラブライブに響くわよ」

雪穂の母親が心配そうに言う。そう、雪穂はこのままだと負けてしまうと思い、少しでもその差を埋めたいと思う一心で走りこんでいた。雨が降っているのにもかかわらず。

「大丈夫…、私なら…、大丈夫…」

すぐにでも倒れそうな声で雪穂は返事すると、そのまま神田明神に向けて走り出した。

 それから、ふらふらになりながらも神田明神に着いた雪穂。いつも通り、いつもの石段にて階段ダッシュを開始しようした、その時…。

「あ、あれ…」

なにかにつまずいたのかというくらいに倒れようとする雪穂。雪穂自身にはスローモーションみたいな感じがした。

バ、バタン…

雪穂は石段の目の前で倒れこんだ。

「ゆ、雪穂ー」

そう亜里沙は言うと、雪穂の目の前に駆け込んできた。実は、最初から最後まで雪穂を影から見守っていたのだった。

「雪穂君、大丈夫か」

一緒にいたはやても駆け寄る。

「これは一大事、早く救急車を」

これまた一緒にいたここあが騒ぎ出して言った。

「119、119.それから、それから、愛姉さま達にも連絡ですー」

こころはあわてつつ電話をかけていた。

倒れた雪穂の周りに4人は駆け込んでいった…。

 

(ED 1番のみ)

 

次回 やれることは

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。今回からついにラブライブが始まります。そして、UTXから国際派アイドルiDが登場しました。今やアイドルも海外へと広がっております。某有名アイドルグループはインドネシアのジャカルタにも姉妹グループがあります。それほどアイドル自体国際化している今日、スクールアイドルも国際化しちゃおうということで、iDを登場させました。ちなみにiDとはインターナショナルアイドルを縮めた造語?です(ということにしております、自分の中では)。

 で、今回の話は私の中ではダメダメ回と呼んでおります。なぜか。それは、今回、歌がないこと、そして、雪穂が無理をしてしまう回だからです。その結果、倒れてしまいます。
それがどんな結果になるのでしょうか。それは次回への楽しみです(でも、どこかで見たような光景ですが…)

 ということで、ラブライブはまだ始まったばかりです。雪穂達オメガマックスはこれから先、どのようになっていくのでしょうか。このまま諦めてしますのでしょうか。それとも夢を追いかけるのでしょうか。次回を楽しみにお待ちください。それでは、さようなら。

追記1:
 この作品をお気に入り登録して頂いた「いろとき まに」さん、「フユニャン」さん、登録して頂き本当にありがとうございます。駄作かもしれませんが、これからも読んで頂けたら嬉しい限りです。本当にありがとうございます。
 ここからはお気に入り登録して頂いた方の作品の紹介ですが、「いろとき まに」さんは私と同じ、雪穂、亜里沙を主人公にした「ラブライブ!! コネクション!!! Next season」などを、「フユニャン」さんは「ラブライブ×連続テレビ小説」などを投稿しております。特に「ラブライブ!! コネクション!!! Next season」はとてもよくできた作品です。皆さんも読んでみたらどうでしょうか。

追記2:
 「いろとき まに」さん。本当にごめんなさい。「ラブライブΩ」をハーメルンに投稿するとき、タグを編集する際に「ラブライブ!! コネクション!!! Next season」のタグを参考にしました。本当に申し訳ございません。この場を借りてお詫び申し上げます。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 やれることは

「前回のラブライブ」
「私、矢澤ここあ、音乃木坂の1年生!!」
「ついにはじまったラブライブ。そのキックオフイベント(開会式)に呼ばれた私達オメガマックスの8人。そして、去年の成績からシード校として(1次予選である)県大会を免除された。これに喜ぶ私達」
「しかし、そこに強敵が現れた。あのA-RISEが出ているUTX学院のスクールアイドル、名前は…、そう、iD。金髪のナイスボディ、アメリカ人のナンシー、銀髪のスレンダーボディ、ロシア人のナターシャの2人組。ついにアイドルも国際化!!私だって将来、(にこ)お姉ちゃんみたいなナイスボディになるんだから!!」
「そして、キックオフイベントも終盤、iDが個別でダンスを披露することに。ダイナミックなダンスを見せるナンシー、華麗な日本舞踊を見せるナターシャ。これを見て、雪穂姉ちゃんがラブライブ優勝の危機だと思ったのか、一週間、雨の中でランニングするなど無理なトレーニングしちゃった。そして、神田明神でついに倒れた雪穂姉ちゃん。これからどーなる!!」



「お姉ちゃん…、お姉ちゃん…」

雪穂は黒い霧上の空間で1人歩いていた。真っ暗で何も見えない、そんな状態だった。

「お姉ちゃん…、待って…、待ってー」

1人寂しく泣き叫ぶ雪穂。

 そんなとき、雪穂の前に一筋の光が差してきた。そして、ある声が聞こえてきた。

「雪穂…、雪穂…。穂乃果はね、ラブライブ決勝で待っているからね」

その声が聞こえると、すぐに光の筋が消えた。

「誰か~、助けて~」

再び真っ暗になった空間、雪穂の叫び声が聞こえる。

 すると、別の方向から1つの光の筋が現れた。そして、

「雪穂~」「雪穂さん」「雪穂君」「雪穂姉ちゃん」「雪穂姉様」

と、雪穂を呼ぶ声が聞こえてきた。さらに、

「雪穂~」

と、亜里沙らしき声が聞こえた。

 この掛け声にびっくりしたのか、雪穂は目がばっちり開いた。急に飛び上がり、周りを見渡す雪穂。すると、自分の部屋であること、さらに、雪穂の手を握ってベッドの周りで寝ている亜里沙達7人の姿があった。

「なんじゃこりゃ~」

雪穂は大声で叫んだ。

 

(OP 一番のみ)

 

第9話 やれることは

 

「いやー、申し訳ない」

 雪穂が亜里沙達7人に謝っていた。なぜなら、雪穂が叫んだ拍子で亜里沙達もびっくりして飛び上がった。そして、雪穂に駆け寄り、「大丈夫?」「大丈夫か」と迫ってきたからだった。

「ごめんなさい、じゃありません」

愛が雪穂を見て怒りを見せていた。その横から亜里沙が雪穂に心配そうな目で話してきた。

「私、心配したんだから。雪穂が突然倒れるのを見て、びっくりしたんだから」

「えっ、直接倒れるのを…」

雪穂が亜里沙に確認を取る。すると、はやてが横から口を出してきた。

「ああ。雪穂君の元気がなく、フラフラしていたから、後をついていった。すると、雨に打たれてランニングしている姿を見かけた。そして、神田明神の前で雪穂君が倒れてしまった。そこで、すぐにタクシーを呼んで自宅まで連れてきたんだ」

「私、心配したんだよ。雪穂姉ちゃんが『お姉ちゃん…、お姉ちゃん…』と叫ぶの、本当に大丈夫かなって思ってしまったんだから」

ここあが心配そうな目でこう言うと、こころも心配そうにこう言った。

「でも、気がついて本当に良かったです~」

すると、愛がいきなり雪穂の目の前に顔を近づけて怒りながらこう言った。

「本当にみんな心配していたんですよ。はやての電話で私とはるか、みやこが来た時、亜里沙、雪穂の前で泣きじゃくれていたんですよ。こころもここあも「雪穂姉ちゃん~」「雪穂姉様」と泣きながら叫んでいたんですよ」

「ご、ごめん」

雪穂は少し後ろに移動し、愛に謝る。

「ごめんだければ警察はいらないでしょ!!」

愛は興奮しつつ雪穂に怒鳴る。

「愛さん。雪穂さんに怒鳴るのはこれぐらいでいいんじゃないのかな」

みやこはこう言うと、愛をそっとベッドの横に移動させた。

「みやこ。あ、ありがとう」

愛、少し照れつつ、みやこにお礼を言う。

「ところで、どうしてこんな無茶をしたんですか」

と、はるかが雪穂に本題に迫ろうとこう言った。

「ど、どうしてって…」

言葉に窮する雪穂。はるかはこれを見て、さらにこう言って迫った。

「どうしてですか。みんな心配しているんですよ。ラブライブ目前でこんな無茶して、みんなに迷惑をかけているんですよ」

「…」

はるかの迫り声に口がしぼむ雪穂。すると、亜里沙がボソッと言い出した。

「もしかして、iDのダンスを見たからじゃ…」

この亜里沙の声を聞いたからか、雪穂はいきなり泣き出した。

「あ~ん、ごめんなさい~。私、このままじゃiDに負けるんじゃないと思ったの~。iDに負けたくないんだよ~、え~ん」

雪穂がこう言うと愛が叫んだ。

「iDに負ける!!そんなこと…」

すると、雪穂は泣きながらこう言い続けた。

「あんなダンス、見せられたら、誰も負けてしまうと思っちゃうよ。勝つためには無理してでもトレーニングするしかないでしょ。たとえ体調が悪くても、熱があったとしてもトレーニングあるのみなんだもん」

その言葉にはるかはついにキレた。そして、こう怒鳴った。

「雪穂さん!!無理なトレーニングは自滅を生むだけです!!前にも言ったでしょ!!たしかにiDのダンスはすごいです。しかし、それを見て無理にトレーニングしてもあまり変わりません!!」

はるかの言葉に雪穂もキレた。

「それはやってみないとわからないでしょ!!」

雪穂がこう言うと、はるかも反撃する。

「それはこの前のユニット対決で実証済みです!!」

「それはそれ、今やったら変われるかもしれないでしょ!!」

雪穂はこう言ってはるかに反論した。

 いがみあう雪穂とはるか。みやこの方をみて2人ともこう言った。

「「なら、どっちの意見が正しいの?」」

この言葉にみやこは少し考えてこう答えた。

「どっちでもいいんじゃない。楽しければ」

意外な答えに唖然とする雪穂とはるか。他の5人も唖然とした。みやこは話し続けた。

「だって、負ける、負けない?そんなの関係あるの?」

この言葉に雪穂は素を取り戻し、みやこに詰め寄りこう言った。

「負けたらだめでしょ!!負けたらラブライブの決勝に出られないんだよ。ラブライブ優勝できないんだよ。そんなの駄目だよ」

でも、みやこはそんなの関係ないとした顔でこう言った。

「ラブライブ優勝って、私達にとって必要なの?」

この答えにまたもや唖然とする7人。そりゃ、ラブライブに出場するからには優勝を目指すのは当たり前。それなのに、優勝って必要なの?と言われると唖然とするしかない。

 でも、みやこはこう言い続けた。

「私はラブライブって出場こそ意味があると思えるんだ。出場したいけど出場できないところもある。でも、私達は出場できる。これってとても良いことではないの」

意外な意見だった。出場こそに意味がある。この言葉に他の7人にとって考えさせられるものだった。

 そして、

「確かにそれは言えるんじゃないかな」

と声を上げた人がいた。それは亜里沙だった。亜里沙は続けてこう言った。

「前にも同じことがあったんだ。4年前にね」

そして、亜里沙は当時のことを語り始めた。

「4年前、第1回ラブライブのとき、雪穂のお姉さん、穂乃果姉さんが学園祭で倒れたの(ラブライブ第1期第11話参照)。第1回だけランキング制で、上位20位までが決勝にいけたの。そこで、上位に入るために学園祭でライブをすることになったんだけど、そのとき、穂乃果姉さんが今回みたいに雨の中、無理してトレーニングをしたの。その結果、学園祭当日、ライブ中に倒れたの」

「お姉さんもお姉さんなら雪穂も雪穂ね」

愛がつい口を滑らす。しかし、それはスルーされ、亜里沙の語りは続いた。

「そして、穂乃果姉さんが倒れたことを問題視したμ’sは第1回ラブライブ出場を辞退した」

この言葉で場の空気が重くなる。誰も言えない雰囲気だった。

 だが、それを変える言葉が発せられた。

「でも、それって穂乃果先輩のことですよね。雪穂さんは雪穂さん。同じ姉妹でも、全くの別人でしょ。今回は同じ失敗をした。それを早めに気づいたんだからそれでいいんじゃないのかな」

この言葉の主は…みやこだった。みやこは続けてこう言った。

「雪穂さん、また同じような失敗はしないでくださいね。また同じことをしたら、今度こそラブライブ出場できなくなりますからね」

そして、みやこは最後にこう言った。

「私はラブライブ出場ってことだけでとても嬉しくなるんだから。だって、ラブライブ出場することはとても楽しいことだから。だから、ラブライブに向けて楽しんでいきましょう。あまり固く考えず、楽しければいいんじゃないじゃありませんか、雪穂さん!!」

この言葉を聞いた直後、雪穂は手の中に水が落ちてくることに気付いた。そう、雪穂は知らないうちに泣いていた。それに気付いたのだ。

いや、涙を流していたのは雪穂だけでなかった。亜里沙をはじめとするほかの7人も泣いていた。あの言葉を言ったみやこも例外ではなかった。

「どうして私も泣いているんだろう」

あの言葉を言ったみやこすら涙を流していたことに気付いた。

「雪穂!!」

亜里沙が雪穂を抱く。愛達6人も一緒に雪穂を抱いた。

「ごめんなさ~い」

雪穂がこう泣きながら叫ぶと、8人は大声を出して泣いた。それはまるで悲しみという大雨が降り続いているがごとく…。

 

 だが、この大雨が止むのに時間はかからなかった。

 みんなが泣きやむと、雪穂はあることを決めたのごとく言った。

「私、決めた。もう一人で悩まない。これからはもう無理をしない。だから、お願い!!私に力を貸して。私と、いや、みんな一緒に成長していこう」

この言葉を聞いた亜里沙達7人。

「一緒に頑張ろう」

亜里沙が言うと、

「こんな頼りないリーダーだけど、なんか頑張れそうですわ」

と、愛も答える。

「私だって頑張ります」

とはるかが答えると、

「頑張るからには僕もやりますよ」

とはやても答える。

「いっちょ頑張りますか」

とここあが答えると、

「私も頑張るです~」

とこころも答える。

 そして、最後にみやこが答えた。

「雪穂さん、いや、リーダー、一緒に頑張りましょう。そして、みんな一緒に成長していきましょう」

みんなの答えを聞いて少し照れる雪穂。そして、雪穂は言った。

「よ~し、一緒に頑張ろう。オー!!」

「「「「「「「オー!!」」」」」」」

雪穂の掛け声にほかの7人も呼応する。

「ところで…、なんでいつのまにリーダーになったの?」

雪穂はふと思ってこう言った。雪穂は考えた。いつのまにリーダーになったのかを。

「そりゃ、無茶をするところかな?」

亜里沙がこう答えると、雪穂は反論(?)する。

「無茶するところ!!それはないよ~」

ハハハハ

雪穂の言葉に笑う7人。でも、思った。リーダーとして必要なのはどんな状況でも前に進もうとするところ。その意味では無茶をしたとはいえ、雪穂は適任かもしれなかった。前に進もうとしたために今回無茶したのだったが、その意味でも雪穂は適任だった。

 

 7人の笑う姿を見て、草葉の陰…ならぬドアの隙間から見ていたものがいた。雪穂の父と母親だった。

「今回のこと、南理事長に報告しますか、高坂理事」

母親は父にそう告げると、父はこう答えた。

「穂乃果の犯した失敗を雪穂も犯した。しかし、今回はそれを未然に、早いうちにほかの7人が対処した。そのことはすごいことだと思う。まだ大事なことにはなっていない。今回は目をつぶろうと思う。雪穂も気付いたことだろう。1人だけでは成長できない。みんなと成長することが大事であることを。それに気付いたことだけでも大収穫だ」

そう言うと、父は1階に降りていった。

「本当、素直じゃないんだから」

と、母親が言うと、父の後をおって1階に降りていった。

 2人がいなくなった2階には8人の笑い声だけが響いていた。

 

 翌日、朝-。

「おはよ~」

雪穂は教室にて元気よくキャンディーズ3姉妹に挨拶をしていた。なんと、たった1日で回復したのだった。すごい回復力だった。

「おはよう」「おはよう」「おはようでごんす」

ラン、スー、ミキが雪穂に挨拶をする。

 その後、亜里沙を含めてたわいもないガールズトークをする。本当に昨日のことが嘘のような日常が戻っていた。だが、雪穂と亜里沙にはその後が残っていた。泣きすぎたのか、目が充血しているという証が…。

 

 そして、放課後…、いつもの部室…、ではなく…。

「なんじゃこりゃ~」

雪穂達8人は秋葉原にあるカラオケ屋に来ていた。

「わ~い、カラオケ、カラオケだ~」

ここあは大いに喜んでいた。こころあにとってカラオケは久しぶりだからだ。

「で、なんで、カラオケ?」

雪穂が不思議がりながら言った。

「あっ、わかった。メンバーの絆を深めるためでしょ」

亜里沙がわかったそぶりで答える。

「まっ、それもあるけどね…」

と、はるかはちょっと言葉を濁すように答えた。そして、はるかはあることを自慢した。

「ここはね、愛の両親が運営している楽団が副業として経営しているカラオケボックスなの。むろん、オーナーは愛の両親だよ」

そんな説明を聞いているの聞いていないのかわからないが、ここあがすぐに選挙区を始める。すると、kここあは驚いたのか、こんなことを言い出した。

「すご~い。アニメなどの曲が多い」

すると、すぐにはるかが自慢する。

「それはそうでしょ。だって、このカラオケボックスはアニソンが充実しているからね」

ただ、ここあにとって全く興味のない話だったようで、すぐに選曲を終え、歌う体制をとっていた。

「それでは、1番、矢澤ここあ、ロボットアニメ『ER』の主題歌「GLOW UP」歌いま~す」

そして、ここあは歌い始めた。

 

『ER』主題歌「GLOW UP」

 

最初はまっしろ 頭の中

生まれたばかり 何もない

だから何でも  教えてくれ

俺の知らない  すべてのことを

 

ハートイン  ココロ つなげる

ハートリンク ココロ つながる

みえない   いとを つなげる

つながる   たびに つよくなる

 

GLOW UP 進化する

GLOW UP 成長する

なんでもかんでも 飲み込んでしまうぜ

それがたとえ   どんなことでも

俺たちなら    大丈夫 

だってそれが   俺たち だからさあ

 

「わ~い、ぱちぱち」

みんなの拍手と共にここあも歌い終わった。

「やっぱ叫ぶところ、よかった!!」

ここあはこう言うと、満足気味な顔をした。

 そこにみやこはここあに質問した。

「たしか、『ER』って今話題のロボットアニメでしょ」

すると、ここあもそれに答える。

「そう。たしか男性か女性かわからない主人公がいいんだよ。それに主題歌の「GLOW UP」も熱い歌でとても気持ちいいんだよ」

 そんなここあを見て、こころも選曲する。そして、すぐに選び終わった。

「それでは、2番、矢澤こころ、アニメ『ドラゴンナイツ』主題歌「ティンクル」歌いますです~」

そして、こころも歌い始めた。

 

『ドラゴンナイツ』主題歌 「ティンクル」

 

夜空に輝く   美しき星々

ひとつひとつが 宝石みたいだ

しかし本当は  孤独に満ちている。

まわり一面   真っ暗で寂しい

 

(ライン)線をつなごう   (ライン)星の間に

(ライン)きっとみえてくる  仲間と言う星座が

(ライン)これで怖くない  (ライン)真っ暗でも

(ライン)一緒に照らしてくれるから

 

夜空を駆け抜けるみたいに

進んでく仲間と一緒に

全てを照らし明るくする

みたいに光り続ける

きっと大丈夫 ずっと一緒だ

なんでもできる 仲間だからさぁ

 

「わ~い、ぱちぱち」

みんなの拍手と共にこころも歌い終わった。

「たしか、これって今話題のアニメだよね」

みやこがここにも質問する。すると、こころがそれに答える。

「はい、ドラゴンと主人公、そして、仲間たちとの物語がとてもいいんです」

「それに、3つの物語が同時進行するのもいいんだよね」

と、ここあも横から栗を出してきた。

「どのアニメもいいんよねぇ」

と、みやこは嬉しそうに言っていた。

 

 2人が歌い終わると、8人は次々と歌い始めた。そして、デュエットなど長い時間を楽しんだ。

 そして、2時間後、8人は女子会みたいに食事をしつつ、ガールズトークに花を咲かせていた。

 そんなとき、愛はあることに気付いた。

「そうでした。この会の本当の目的を忘れていましたわ」

と、女子会を途中で切るがごとく言った。はるかも愛の言葉に呼応するがごとく、襟を正してこう言った。

「そうですね。本当の目的を。それでは発表します…」

はるかの言葉に息を飲む雪穂、亜里沙、はやて、ここあ、こころ。

 そして、はるかが発表した。

「それは、ラブライブ関東予選で歌う曲ができました!!」

「「「「「オーーー」」」」」

 そして、タイミングを合わせるがごとく、みやこが新曲の仮歌を流す。部屋に響く愛の歌声。そして、曲が終わると、開口一番、雪穂が言った。

「これ、とてもかっこいいよ。この曲にしようよ」

そして、亜里沙も言う。

「これならあのiDにも負けないね」

ほかの3人も次々と賛同する。

「ここで賛同を得たことですので、明日からはみやこが考えた振付と歌の練習を中心に行いますわ」

と、愛がたからかに宣言する。

「よ~し、明日から頑張るぞ、オ~」

と雪穂が言うと、まわりの7人も「オー」と返した。

と、ここでこの女子会も終了、ではなかった。

「さ~て、ここからは服の採寸を測るからねぇ」

とはるかが言う。すると、雪穂は、

「ん、どうして」

とはるかに質問してきた。

「そりゃ、今度の地区予選で着る服を作るためでしょ」

と、はるかは当然のごとく言う。そして、

「さて、服を脱いでもらいましょうか」

と親父じみた声で雪穂に迫ってきた。

「そ、それだけはごかんべんを~」

と、雪穂の嘆き声が部屋中にこだましていた。

 

(ED 1番のみ)

 

次回 ミライヘのトビラ

 

(おまけ)

「う~、お嫁にいけない~」

雪穂は採寸を測り終えるとなげいていた。

そこに、愛が近づいてきてこう告げた。

「大変申し訳ございませんが、このカラオケボックスの代金をください」

「って、ここ、愛さんの両親がオーナーだからタダじゃないの」

雪穂、反論するが、

「ごめんなさい。たとえオーナーの娘でもタダじゃないの」

愛が弁解する。

「って、私、お金ないのに~、このままだと破産しちゃうよ~」

と、雪穂がなげいていた。

「それでも特別価格で安くしているから」

愛は雪穂の言葉に対してやさしく答える。

「それでもお金ないんだよ~」

雪穂の嘆き声がまたもや響いていた。

 

 




あとがき

 こんにちは、La55です。雪穂達オメガマックスですが、ついにUTX学園のiDと決着をつけるために動き始めました。次回、その戦いに決着がつきます。お楽しみください。

 ところで、今回の物語ででてきた歌2曲ですが、今、この作品とは別に構想している物語をイメージして作詞した歌となります。
 「ER」は10年前に構想した戦闘ロボットものです。実はストーリー自体はすでにできているのですが、ラノベみたいな小説を書くとすると、なかなか難しいものがあります。男性か女性かわからない主人公がこれまたわけのわからないロボットを操り戦う。そのような物語ですが、できればこの作品が終わった後でも投稿したいなと思っております。(でも、10年って漬けすぎだろ、おい。本当にすいません)
 そして、「ドラゴンナイツ」は半年前に考えた物語です。ある特殊なドラゴンを操る少年少女の成長の物語です。この物語は敵側も成長、いや、革新していきます。そして、この物語は3つの物語が同時並行して進みます。といっているものの、ちょっとしたプロット
がある程度です。これについてもできれば近いうちに物語として作ってみたいなと思います。

 と、言うわけで、今回も楽しんでいただけましたでしょうか。もし、楽しんでもらえたら幸いです。それでは、さようなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 ミライヘのトビラ

「前回のラブライブΩ」
「私、矢澤こころ、音乃木坂の1年生です」
「無理なトレーニングで倒れた雪穂姉様。すぐにタクシーで自宅に移動。雪穂姉様が目を覚ますとまわりに私達7人がいたです」
「なんで無理したのか迫る愛姉様とはるか姉様に対し、「iDに負けたくない」「ラブライブ優勝できない」と本音を言う雪穂姉様。そんななか、みやこ姉様が
「ラブライブ出場こそ意味があるんじゃないかな」
という言葉を口にし、亜里沙姉様が4年前の穂乃果姉様の失敗を口にしたのです。」
「そして、
「ラブライブに向けて楽しんでいきましょう」
というみやこ姉様の言葉で私達8人は大声で泣き出したのです。そして、一緒に成長していこうと決意するのです」
「翌日、カラオケボックスで私達はラブライブ関東予選用の新曲を聞いて、改めて頑張ることを誓う8人。だったのですが、はるかさんの親父的採寸を経験…。もういやです~」
「そんなこんなでラブライブ関東予選本番はついに始まるのです」

(OP 1番のみ)



第10話 ミライヘのトビラ

 

「よ~し、朝のトレーニングはこれまで」

はやての掛け声で朝のトレーニングは終わった。

「ちょっときつかったね」

雪穂の言葉に愛は答えた。

「まだまだいけますよ。こんなの序の口ですわ」

「あんまり無理しないでね」

亜里沙が愛にツッコミをいれる。雪穂達8人はラブライブ関東予選が迫っていることもあり、ちょっとピッチを上げてトレーニングをしていた。朝は基礎トレ、放課後は歌や振付の練習をしていた。だが、それでも無理などしていなかった。この前の雪穂の失敗により、より強い団結力を持った8人。悩んでいるときも誰かに相談する雰囲気はあった。

 そして、放課後、屋上では愛の掛け声が聞こえる。

「1、2、3、4、1、2、3、4。はい、そこをターン」

1人1人がフォーメーションを確認する。

「きゃっ、ぶつかっちゃ」

「ごめんなさい」

そんな気軽に謝れる環境であった。

そんな中、雪穂はある言葉を口にした。

「なんかいつもより楽しい、嬉しい。これがスクールアイドルを楽しむことなんだね」

これは雪穂以外の7人もいえた。これこそ楽しむことだと思えるようになっていた。

 

 そんな中、はるかは練習終了後、いつもあるところにいっていた。

「キャンディーズ3姉妹の方々、お願いします。ハイッ」

とはるかが言うと、

「ホイッ」「アガリッ」「イマソガリッ」

とラン、スー、ミキが答える。そして、

カタカタカタター

と、ミシンの音が聞こえてきた。

 実は、はるかはキャンディーズ3姉妹と共に8人分のライライブ関東予選用の衣装を作っていた。時間があまりないため、急ピッチで作っていた。

「どう考えてみても当日の朝の完成になるか」

はるかはカレンダーを見て、完成できる日数を計算してつぶやいていた。

「それまでには完成させてあげるから」

と、ランが答え、

「安心してくだされ」

とスーがつなげ、

「あとあとの始末はお任せあれ、落としておくから」

とミキが落としてしまう。

「それじゃダメでしょ」

とはるかがツッコむ。でも、それでも安心して任せていけると思うはるかだった。

 

 そして、ラブライブ関東予選当日…。

「できたーーー」

はるかは8人分の衣装を完成させた。

「あり…おり…」「はべり…」「いまそがりッ」

その横には川の字で寝ているキャンディーズ3姉妹が寝言を言いつつ寝ていた。

「おきて、ラン、スー、ミキ」

はるかは3人を起こす。

「う…、もう朝ですか…」

ランが起きてきた。

「う…、よく寝ました…」

スーも起きてきた。

「外刈り、内刈り、もも刈り」

ミキは…、まだ寝言を言っていた。

「私はもう行くけど、あとで衣装、持ってきてね」

はるかはこう言うと出ていった。

「あとから持っていきますから頑張ってください」

ランはそうはるかに声をかけて送った。

 

 ラブライブ関東予選会場…。関係者入口付近にはるかを除く7人は集まっていた。

「ついに始まるのですね」

こころが緊張気味で言う。

「ここから私のシンデレラストーリーが始まるんだね」

ここあは銀来そうに答えている。

「僕も緊張するんだな」

はやては普段感じていない緊張を経験していた。

「はやてなら大丈夫ですわ。だって陸上部でも同じような経験してきたではありませんか」

愛はそんなはやてを見て声をかけていた。

「スクールアイドルはやっぱりラブライブが似合いますね」

亜里沙は少しにやけて言った。

「これがスクールアイドルの舞台。これがラブライブなんだ」

みやこはいちしおに感動を覚えていた。

「さあ…って誰か1人いない」

雪穂はようやく1人足りないことに気付いた。

「え~と、あと1人、あと1人」

雪穂はこう言うとあと1人を探している。

「…私のことは忘れないでください」

そこにようやくあと1人ことはるかが到着した。

「ごめんごめん。忘れていたわけではなく…」

雪穂、はるかに謝る。

「なら、いいんですがね」

はるか、少しふてくされながらも許した。

「さあって、ラブライブも本番、楽しんでいきましょう!!」

「「「「「「「オー!!」」」」」」」

雪穂の掛け声に答える7人であった。

 

「ついに始まりました~。ラブライブ関東予選。県予選を勝ち抜いた7チームプラスシード校4チームの計11チームで争ってもらいま~す」

司会役はいつもおなじみレポーター、元気よく開会の言葉を宣言した。レポーター、各スクールアイドルを紹介していく。まずは県予選を勝ち抜いた7チームを紹介、さらに、シード校を紹介していく。

 そして、ついにオメガマックスとiDの紹介に移る。

「昨年は決勝大会で涙を飲んだ。だが、伝説のスクールアイドルの血はまだまだ受け継がれているぞ。音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックス!!」

オーーーーー!!

大歓声の中、手を振る雪穂達8人。

「これだよ、これ。私が求めていたのは」

みやこはこう言ってはしゃぎまくる。

「お姉ちゃん、見ていますか。私、ついにこのステージに立てたです」

こころもなにかを秘めているかのごとくつぶやいていた。

 そして、雪穂、亜里沙は2人で手を取り合っていた。

「私達、最後のラブライブ。悔いのないようにいこう」

雪穂が言うと、亜里沙もそれに答える。

「そうだよ。この8人なら絶対にラブライブ楽しんでいけるよ」

愛、はるか、はやてはそんな雪穂と亜里沙を見て喜んでいた。

「こんなかたちで参加とはなりましたが、私の力、存分に見せてあげますね」

愛はこれまでの行動を思い出し、はるか、はやてに微笑む。

「ああ、そうだな」

はやて、愛にそう言うと、はるかも無言でうなづいていた。

 ここあは…、iDの方を見ていた。

「いつみてもあのナイスバディ。私も…」

こうここあはつぶやいていた。

 そして、iDの紹介に移る。

「ついにスクールアイドルも国際化!!アイドル排出率、関東ではナンバーワン。UTXが誇る国際派スクールアイドル、iD!!」

オーーーーー!!

オメガマックスにも負けない大歓声。

「どーも、どーも」

ナンシーが大きく手を振りながらこう言った。

「ちょっと、恥ずかしい、です」

対するナターシャも少し恥ずかしそうにこう言った。

「スクールアイドルの紹介も終わったところで、今から審査が始まりますよ~。みんな~、元気はいいかーーー!!」

とレポーターは観客をあおる。

 ところが、レポーターはあることに気付いた。

「ところで、なんでオメガマックスとiDは制服のままなんですか」

そう、ほかのスクールアイドルはすでにステージ衣装で登場しているのに、オメガマックスとiDは制服のままだった。

「もうちょっと待てね」

はるかは少しうろたえながら言う。

「私達はあとのお楽しみのためにしているのですー」

と、ナンシーはかっこよく理由を言う。

「それならいいのですよ~。楽しみはあとに取っているのがいいですからね!!」

レポーター、これはあとで面白くなるだろうと予想しているのかという顔をしながらそう言うと、次の言葉をあげた。

「それはともあれ、今からスクールアイドルの競演、はじまりま~す」

こうして、ラブライブ関東予選の火ぶたがきっておこされた。

 

 次々に演目が続く。順番はくじでオメガマックスは最後から2番目、iDは最後となった。そして、5校目が終わった直後、オメガマックスの手にあるものが届いた。

「お待たせー!!衣装が仕上がったよ」

ランが息を切らせながら言った。そう、ステージ衣装がキャンディーズ3姉妹の手で届いたのだ。

「おそ~い」

はるかはそんな3人に怒る。

「仕方ないじゃない。ちょっと最後の仕上げしてきたんだから」

スーが言う。今朝できていたのだが、少し綻びなどがあったので、それを3人で直していたのだ。

「私ははるかの服でごろごろしていた」

ミキがへんなことを言う。

「こらー、変なこと、しないの」

はるかが怒る。

「うそだぴょ~ん」

とミキはすぐに逃げ出した。

「すごーい、これが衣装。こんなもの見たことない」

雪穂は衣装を見て驚いていた。

「近未来的な衣装だね。まるでPuf○meの衣装みたい」

と、亜里沙は驚いて言った。実は自分達が歌う曲に合わせたのか近未来的な衣装となっていたのだ。

「さあて、着てみましょうね」

はるかがいうと、それを雪穂達に渡す。

「私、オレンジなんだね。(穂乃果)お姉ちゃんと同じだ」

雪穂がこう言って驚いていた。

「で、私は水色、これ、私も(絵里)お姉さんと一緒だ~」

亜里沙も喜んでこう言った。

「で、私は黄色か、これで元気100倍だ」

みやこはこう言うと元気モリモリポーズをとっていた。

「で、私が赤。確かに、あの真姫先輩に通じるものもありますわ」

愛もまんざらではなかった。

「僕が青か。海未先輩、あなたの意思、受け継ぎます」

はやてはまるで天を見るがごとくなにかを誓っていた。

「私達は紫ですかー」

ここあはちょっとがっかり顔で言っていた。

「(にこ)お姉ちゃんみたいにピンクがよかったです~」

こころも駄々をこねていた。

「で、私は緑って。誰か助けて~、ではなく、私はアイドルおたくではありませんから~」

はるかが少しふざけて言っている。

「でも、これって虹の7色だよね。何の意味があるの」

雪穂はふと思った質問をはるかにぶつけてみた。すると、

「それはね、私達8人、虹みたいに観客や学校のみんなと一緒に活動していきたいと思ったからだよ」

とはるかが答える。

「それ、考えたの、私達なんです」

と、キャンディーズ3姉妹のランが答える。

「虹はみんなの上に架かるもの。そして、人と人とをつなぐ架け橋になる」

と、スーがそれに続く。

「そのため、ピンクは落ちた。ピンク、あったら虹じゃない」

と当たり前のことをミキが言う。

「ピンクも入れてくれ」

と、ここあが叫ぶ。

 そんなとき、

「オメガマックスのみなさん、ステージ準備をお願いします」

と、大会関係者から指示が飛ぶ。

「私達のステージの時間だよ。それではいきますか」

と、雪穂がほかの7人に声をかける。

「おっと忘れ物だよ」

とランがあるものを投げる。

「おっと、そうでした。ラブライブレスレットライトをしていませんでしたね」

と愛がそれを受け取りつつ言う。

「みんな、セットしたかな。それではいこう」

雪穂はブレスレットをセットしているのを確認し、声をかける。

 ステージに移動すると、すでにオメガマックスの前のスクールアイドルの演目が終わっていた。

「それでは、音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックスさん、ど~ぞ」

レポーターの掛け声が響く。

「よし、私達のステージ、私達の全て、皆で見せましょう」

雪穂は叫ぶ。

「「「「「「「オー!!」」」」」」」

ほかの7人も叫ぶ。

 そして、雪穂達8人はステージへと進む。

 

 ステージ中心に立つ雪穂達、オメガマックス。

円陣を組み、手をグーにして前に突き出す。

「1」雪穂の声にほかの7人も続く。「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」

「「「「「「「「オメガ~、マックス、アップ!!」」」」」」」」

オメガマックスみんなの掛け声が会場中に響いた。

 そして、雪穂が観客に言う。

「聞いてください。『NEVER FUTURE』」

 

ラブライブΩ 挿入歌 オメガマックス 「NEVER FUTURE」

 

「(NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE

NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE)

 

光の速さで踊り出す 

目にも見えないはやわざで

何にもかもがはやくなる

それでも私達は踊るんだ

 

たとえ誰かが失敗しても

それがとてもマイナスであっても

みんな笑顔なら何でもOK!!

 

(NEVER FUTURE)

私達は負けない

(NEVER FUTURE)

それが真っ暗な未来(あした)であっても

(NEVER FUTURE)

私達はただ前にススムだけさ

 

笑顔でいれば全くうまくいく

そう私たちには明るい未来(あした)が待っているんだ

 

(NEVER FUTURE)

あきらめない

(NEVER FUTURE)

たとえ苦しくても

(NEVER FUTURE)

私達には

(NEVER FUTURE)

やり遂げたいことがあるんだ」

 

このとき、オメガマックスのブレスレットが7色に光り出した。

オーーーーー!!

この演出に観客がどよめきたった。

 

「(NEVER FUTURE)

私達は負けない

(NEVER FUTURE)

それが真っ暗な未来(あした)であっても

(NEVER FUTURE)

私達はただ前にススムだけさ

 

笑顔でいれば全くうまくいく

そう私たちには明るい未来(あした)が待っているんだ

 

(NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE

NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE)」

 

そして、曲が終わった。

オーーーーー!!

会場中が大歓声に沸いた。

「なんだ、なんだ、あの演出はーーー!!」

レポーターも興奮していて、大声で張り上げていた。

「サビに入った瞬間、腕のブレスレットが虹色に光はじめました。そして、曲にそって変わる色。まるで近未来のアイドルを見ているみたいでした」

そう、ラブライブレスレットライトは最終のサビにはいった瞬間、ブレスレットのスイッチをいれ、振るごとに色を変化するようにしていた。

「このことを考えたのは誰ですか!!」

レポーターが興奮気味にオメガマックスに質問した。すると、はるかが前にでて、

「えっと、私がプログラミングしました」

といった。すると、レポーターは、

「すごい、すごい技術です!!ついにアイドルも新時代に突入しました」

と雄たけびをあげていた。

 実ははるかは衣装を作ると並行して、ブレスレットのプログラムも変えていた。振るごとにある色に変わるようにしていたのだ。そして、これが衣装づくりが今朝まで遅れていたためだった。

「そして、一糸乱れないダンスと迫力のある歌。これはすごく練習したのでしょう」

と、レポーターはオメガマックスのことを褒めちぎっていた。

「これならどこにも負けないね」

雪穂が全てをだしきったような姿でほかの7人に言った。

「当然ですわ。これで負けても悔いはありませんね」

愛もある意味納得したような顔で言った。

「興奮さめあがりませんが、時間が迫っています。オメガマックスのみなさんでした。盛大な拍手をどうぞ」

パチパチパチパチ

会場中が拍手喝采となっていた。それほどすごいステージだった。

 

 舞台袖に引っ込んだオメガマックスの8人。

「もう楽しみました。もう悔いがないです~」

こころ、楽しんだ楽しんだと思うがごとく話す。

「やっぱりステージはとても楽しい!!」

みやこも喜んでこう言った。

 ただ、ステージは次の演目に移ろうとしていた。

「次はUTX学院のスクールアイドル、iDです」

レポーターがiDを呼ぶ。しかし、でてきたのはナンシーだけだった。

「ほら、ナターシャ、出てきてください」

ナンシーに引っ張られるナターシャ。

「この、服、とても、恥ずかしい」

ナターシャは恥ずかしそうに言う。

 雪穂は2人の服を見てびっくりした。なんとへそだしのチア服だったのだ。

「こんな、服、私、いや、です」

ナターシャはとても嫌がる。

「まさかナターシャが恥ずかしがっているからステージ衣装、オープニングに着られなかったなんて少しおかしいです」

ナンシー、ナターシャを見て飽きれてしまっていた。

「それよりも曲を始めてください」

レポーターはiDに曲の催促を始めた。

「仕方ありません。それでは、ミュージックスタート」

強引に始めるナンシー。ナターシャも曲が始まればと、仕方なしにステージ中央に移動した。

 

ラブライブΩ 挿入歌 iD 「インターナショナルアイドル」

 

「ハロー ダーリン

 

インターナショナルな私達

生まれた国は違うけど

この美貌で日本人はいちころよ

 

ブラックシップのキャノンを一発

セレブティすらこぼしてしまう

 

アイドルに国境はない

だれでもアイドルになれる

美しさだけでなれてしまう

国籍すら関係ない」

 

iDを見てはるかがあることに気付いた

「なにか少しダンスがずれてきている…」

 

「インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい私達

この美貌は誰にも負けない

たとえそれが日本人でもね」

 

はるかの読みはほかの観客にも伝わり始めた。

実際に2人のダンスは微妙なズレが起き始めていた。

それでも曲は2番へと移る

 

「インターナショナルな私達

日本の文化とてもいい

この知識で日本人は目ではないよ

 

アニメにマンガにファッションゆるキャラ

なんでもよく知っていはいます

 

文化(カルチャー)に国境はない

だれでも大好きになれる

日本だけしかありません

国籍すらも関係ない

 

インターナショナルカルチャー

世界中で一番楽しい国です

この文化はどこにも負けない

たとえそれが世界中でもね」

 

そして、そのズレは誰にでもわかるようになった。ナンシーのダンスが少し早いかもしれない。いや、ナターシャのダンスが遅れてしまっているの。それほどはっきりしてきた。

 だが、曲は最終メロへと突入していった。

 

「日本だからおもしろい

アイドルだらけのこの文化

私達外国人でも

アイドルになれるんだ

 

インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい文化です

この美貌はどこにも負けない

たとえそれが世界中でもね

 

グッナイ、ダーリン」

 

 曲は終わった。歌は完ぺきだった。いや、完璧すぎた。それほどダンスのズレは目立っていた。

 iDのダンスはアクロバティックなダンスだった。よりダイナミックに踊るナンシーに対し、遠慮深く踊るナターシャ。これにダンスのズレが合わさった。これにより、ダンスがぎこちなくなってしまった。

パチパチパチ

拍手が起こるが、オメガマックスよりは少なかった。

「なんで私についてこなかったの」

ナンシーはナターシャに怒る。

「私、一生懸命、した。しかし、ナンシー、ダイナミック、すぎた」

ナターシャはナンシーに弁明していた。

 

「それでは発表します。関東予選優勝は…、音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックスです!!」

レポーターの叫び声が会場中にこまだした。

「やったー、やったーよー」

雪穂が喜んだ。

「やりましたわね」

愛も喜ぶ。

「これで決勝行けるんだ!!」

みやこも感無量だった。

はるかをのぞいた他の5人も一様に喜んでいた。

「なんで、オメガマックスに負けるのですか」

ナンシーは悔しそうに泣いていた。

「どうして、やはり、ダンス、ズレて、いた、から」

ナターシャも泣いていた。

 そこにはるかがやってきてこう言った。

「iDが負けた理由、それは、アイドルとして大事なものがなかったから」

「「?」」

不思議がるナンシーとナターシャ。はるかは続けて言った。

「キックオフイベントで見せた個人技。だから、みんなiDに期待していた。しかし、アイドルが集団で踊る時、集団技が必要。ほかの人に合わせることが重要だった。それが出来ていなかった」

「ほかの人と合わせることが重要だったんですね」

こう言ったナンシーはアイドルとして重要なものに気付いた瞬間だった。

「私、それ、知らなかった」

こう言ったナターシャも気付いた瞬間だった。

「これからは一緒に頑張っていきましょう」

こう言って、ナンシーはナターシャに詰め寄り、手を固く握った。

「私も、これから、一緒、頑張って、いく」

ナターシャもこう言ってナンシーの手を固く握った。

 この二人を見て、はるかは一つのことを考えていた。

「A-RISEを出したUTX、iDみたいな集団技に弱点を持ったダンスにまとまりもないアイドルを出してきた。もしかすると、ある学校がUTXを中心に優秀な生徒を強引にスカウト、いや、引き抜いているという噂は本当かもしれない」

その言葉にナンシーも反応した。

「その言葉、嘘じゃないかもね。UTXも1ヶ月前に新垣夕という優秀な生徒を強引に引き抜かれた。そのために、私達より優秀なスクールアイドルグループが活動休止に追い込まれてしまったからね」

「そうだったんだ」

はるかはこう言うと少し考え込んでいた。

「はるか~、考え込まないで、一緒に喜びましょう」

雪穂ははるかを呼んだ。

「そうですね。今は一緒に喜びましょう」

はるかは考えるのをやめ、オメガマックスの喜びの輪に飛び込んでいった。

 

「これが関東のスクールアイドルですのか?なんて低レベルなものでしょう。このラブライブ、私達が連覇いたします」

喜びに沸くオメガマックスを観客席後方で見ていたある少女。そう言い残すと忽然と姿を消していった。

 

次回 史上 №1 スクールアイドル

 

 




あとがき

 こんにちは。La55です。お暑い中いかがお過ごしでしょうか。ついに雪穂達オメガマックスはUTX学園iDを破り、決勝大会へとコマを進めました。そして、次回、ライバルというべき相手と対峙します。その相手はこの作品の特色となる「スクールアイドル勝利至上主義」を体現しているようなスクールアイドルとなります。果たしてそんな相手に雪穂達は勝つことができるのでしょうか。また、舞台も東京を離れる予定です。その意外な舞台とは…。こちらもお楽しみください。

 ところで、今回オメガマックスが歌った楽曲「NEVER FUTURE」は私が初めて作詞した詞です。未来を駆け抜けようとする若者達を歌った詞であります。初めての作詞なので、右往左往しながら作詞していたのをおぼえております。今の若者達に贈るエールになればと思っております。
 そして、iDのテーマソングと言うべき「インターナショナルアイドル」は、1番と2番とはテーマががらりと変わります。1番は外国人アイドルが日本に上陸した様子を書いております。そして、2番目はそんな日本のサブカルチャーが世界に羽ばたいている様子を書いております。そう、iDのような外国人スクールアイドルが出現してもおかしくないくらい世界中に広がる日本のサブカルチャー、これを歌ったのがこの曲です。これからも日本のサブカルチャーがどんどん世界中に広がるのを願うばかりです。

 と、いうことで、今回の物語はどうでしたか。楽しめたら幸いだと思っております。あと本編終了まで4話。これからも駆け抜けていきます。どうぞお楽しみに。では、さようなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブΩ詩集 その2

これはラブライブΩで使用した楽曲の詞集です。




ラブライブΩ 第7話 挿入刊 「sutdy song」

 

(1)

国語 数学 理科 社会

そんでもって おまけに英語

学生は勉強が仕事

おぼえることが多すぎる

 

勉強ダイスキ(ダイキライ)私たち

数式なんてかんたんさ(むずかしい)

すぐに一発とけちゃうよ(とけないよ)

 

サイン コサイン タンジェント ハイ

サイン コスギ ヨシダケイ

それはブラマヨ ケイじゃなくタカシです

サイン コサイン タンジェント ハイ

サイン コスギ ヒーハー ヒーハー ビーバー

動物になってしまったよ

 

(2)

古典 漢詩 日本史 地理

そんでもって おまけに世界史

学生はなんでも選べる

選べるものが多すぎる

 

何でもダイスキ(ダイキライ)私たち

年号なんてかんたんさ(むずかしい)

すぐに一瞬でおぼえるさ(わすれるさ)

 

794 うぐいす 平安京 ハイ

794 うずまさ 映画村

そのときには映画ないからね

894にもどそう 遣唐使 ハイ

894にもどろう げんごろう

何にもどろうとしているの

 

1192つくろう 鎌倉幕府 ハイ

1192ふくろう がまぐちダイブ

とても小さすぎるだろう

 

(3)

物理 化学 生物 地学

そんでもっておまけにリスリング

学生は全てが大好き

たくさん覚えてハッピーだ

 

勉強ダイスキ(ダイキライ)私たち

化学式なんてかんたんさ(むずかしい)

すぐに一発解決さ(分解だ)

 

スイヘイリーベ ボクノオフネ ハイ

水性塗って泥の舟

なんかえたいなものになっちゃった

しまがりシックス クラーク 牛乳 ハイ

そこまがり湿布する クラーク 北海道

銅像に湿布するなー

 

勉強ダイスキ(ダイキライ)私たち

勉強なんてかんたんさ(むずかしい)

なにがなんでもへっちゃらさ(いやーだね)

 

 

ラブライブΩ 第8話 挿入歌 『ER』主題歌「GLOW UP」

 

最初はまっしろ 頭の中

生まれたばかり 何もない

だから何でも  教えてくれ

俺の知らない  すべてのことを

 

ハートイン  ココロ つなげる

ハートリンク ココロ つながる

みえない   いとを つなげる

つながる   たびに つよくなる

 

GLOW UP 進化する

GLOW UP 成長する

なんでもかんでも 飲み込んでしまうぜ

それがたとえ   どんなことでも

俺たちなら    大丈夫 

だってそれが   俺たち だからさあ

 

どんなに困難  あったとして

全てがダメで  何もない

だけどそれでも 伝えてくれ

俺のココロは  熱くなってる

 

ハートイン  あつく つなげる

ハートリンク あつく つながる

どんなに   しても つなげる

つながる   たびに 強くなる

 

STEP UP 強くする

STEP UP 生まれ変わる

俺たちのココロ とてもあつくすーる

ココロ通じ   成長してく

白から赤    変わってく 

だってそれが  俺たち だからさあ

 

GLOW UP 強くする

GLOW UP 生まれ変わる

 

GLOW UP 進化する

GLOW UP 成長する

なんでもかんでも 飲み込んでしまうぜ

それがたとえ   どんなことでも

俺たちなら    大丈夫

だってそれが   俺たち だからさあ

 

 

 

ラブライブΩ 第8話 挿入歌 『ドラゴンナイツ』主題歌 「ティンクル」

 

夜空に輝く   美しき星々

ひとつひとつが 宝石みたいだ

しかし本当は  孤独に満ちている。

まわり一面   真っ暗で寂しい

 

(ライン)線をつなごう   (ライン)星の間に

(ライン)きっとみえてくる  仲間と言う星座が

(ライン)これで怖くない  (ライン)真っ暗でも

(ライン)一緒に照らしてくれるから

 

夜空を駆け抜けるみたいに

進んでく仲間と一緒に

全てを照らし明るくする

みたいに光り続ける

きっと大丈夫 ずっと一緒だ

なんでもできる 仲間だからさぁ

 

闇夜にきらめく さんぜんと輝く

全て全てが   きらめき続ける

しかし本当は  気持ちが沈んでる

全て不安で   動けずにしている

 

(ライン)線をつなごう   (ライン)星の間に

(ライン)きっと聞こえてる 仲間という言葉が

(ライン)違う色同士    (ライン)それでもいても

(ライン)一緒に進んでくれるから

 

歴史を刻みこむみたい

奏でてる仲間と一緒に

時間をかけて飛び続ける

みたい歴史めぐる

君と一緒に ずっと続ける

長いストーリ 刻み込もうよぉ

 

過去 現在 未来 変わり続けている。

交わり初めて 進化していける

ココロつながる シンクロする

○○○つながる ○○○強くなる

 

夜空を駆け抜けるみたいに

進んでく仲間と一緒に

全てを照らし明るくする

みたいに光り続ける

きっと大丈夫 ずっと一緒だ

なんでもできる 仲間だからさぁ

 

 

ラブライブΩ 第10話 挿入歌 オメガマックス 「NEVER FUTURE」

 

(NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE

NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE)

 

光の速さで踊り出す 

目にも見えないはやわざで

何にもかもがはやくなる

それでも私達は踊るんだ

 

たとえ誰かが失敗しても

それがとてもマイナスであっても

みんな笑顔なら何でもOK!!

 

(NEVER FUTURE)

私達は負けない

(NEVER FUTURE)

それが真っ暗な未来(あした)であっても

(NEVER FUTURE)

私達はただ前にススムだけさ

 

笑顔でいれば全くうまくいく

そう私たちには明るい未来(あした)が待っているんだ

 

(NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE

NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE)

 

誰もが完璧を求める

失敗すれば笑われる

でもそれが人間(私達)

失敗してもいいんだ

 

たとえ誰かが笑われても

それが恥ずかしかったとしても

みんなでカバーすればなんでもOK!!

 

(NEVER FUTURE)

私達は諦めない

(NEVER FUTURE)

それが高い壁であっても

(NEVER FUTURE)

私達はそれを乗り越えるだけさ

 

みんなでやれば全てがうまくいく

そう私達は大きな夢を叶えるんだ

 

(NEVER FUTURE)

あきらめない

(NEVER FUTURE)

たとえ苦しくても

(NEVER FUTURE)

私達には

(NEVER FUTURE)

やり遂げたいことがあるんだ

 

(NEVER FUTURE)

私達は負けない

(NEVER FUTURE)

それが真っ暗な未来(あした)であっても

(NEVER FUTURE)

私達はただ前にススムだけさ

 

笑顔でいれば全くうまくいく

そう私たちには明るい未来(あした)が待っているんだ

 

(NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE

NEVER FUTURE ネバネバ FUTURE)

 

 

ラブライブΩ 第10話 挿入歌 iD 「インターナショナルアイドル」

 

ハロー ダーリン

 

インターナショナルな私達

生まれた国は違うけど

この美貌で日本人はいちころよ

 

ブラックシップのキャノンを一発

セレブティすらこぼしてしまう

 

アイドルに国境はない

だれでもアイドルになれる

美しさだけでなれてしまう

国籍すら関係ない

 

インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい私達

この美貌は誰にも負けない

たとえそれが日本人でもね

 

インターナショナルな私達

日本の文化とてもいい

この知識で日本人は目ではないよ

 

アニメにマンガにファッションゆるキャラ

なんでもよく知っていはいます。

 

文化(カルチャー)に国境はない

だれでも大好きになれる

日本だけしかありません

国籍すらも関係ない

 

インターナショナルカルチャー

世界中で一番楽しい国です

この文化はどこにも負けない

たとえそれが世界中でもね

 

日本だからおもしろい

アイドルだらけのこの文化

私達外国人でも

アイドルになれるんだ

 

インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい文化です

この美貌はどこにも負けない

たとえそれが世界中でもね

 

グッナイ、ダーリン

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3章 血戦編
第11話 史上 №1 スクールアイドル


「前回のラブライブΩ」
「雪穂です」「亜里沙です」「みやこです」「「「私達、オメガイズです」」」
雪穂:
「ラブライブ予選が始まるまで、楽しく、そして、嬉しくトレーニングする私達。そのころ、はるかちゃんは衣装づくりに全力を注いでいた」
亜里沙:
「そして、ラブライブ関東予選が始まったの。その日の朝まで衣装づくりをしていたはるかさんも合流。衣装も届き、それを着て、「Never Future」を歌ったの」
みやこ:
「対するiDは「インターナショナルアイドル」を歌った。歌は完璧。でも、ダンスはズレてしまったため、評価が低かった」
雪穂:
「結果、私達オメガマックスが決勝に進むことに。しかし、はるかちゃんはUTXの弱体化はある学校の強引な引き抜きにあると見ていた。それはともかく」
3人:
「そして、ついにラブライブ決勝が始まるのです」

(OP 1番のみ)



第11話 史上 №1 スクールアイドル

 

「ここが博多なんだ!!」

雪穂はついに博多の地に降り立った。そう、オメガマックスは博多の地に来たのだった。なぜ博多まで行くようになったのか。それはラブライブ関東予選まで遡る。

「というわけで、関東大会で優勝したオメガマックスは決勝に進んでまいります。なお、ここで今回のラブライブ決勝の開催地を発表します」

こういって司会をしていたレポーターがそれまで不明だった今年のラブライブ決勝の開催地を初めて発表しようとしていた。

「今年も秋葉ドーム、秋葉ドーム」

宇城穂はそう願っていた。地元の開催となれば地の利はもとより、音乃木坂の生徒達も見に来ることが出来るからだった。

 そして、レポーターが発表した。

「今年の開催地は、九州の博多県、博多市、博多ドームです!!」

「え~!!」

雪穂はがっかりした。まさかの九州開催だった。

「なぜか。野球シーズンだからというのもあるが、これからのスクールアイドルは全国区になってきている。それなら地方開催で日本中を盛り上げるのも一つの手じゃないかな。私もそう思いますよ~」

「たしかにそうですが…」

そう言うと、はるかは少し納得していた。あの某有名アイドルの総選挙も、最初は東京でしていたが、地方で開催するようになってきたからだった。だが、それでも虫が良すぎるものだと少しは思えた。もしかすると、UTXから強引にスカウトをした学校が関係しているのではないかと…。

「はるか、少しは暗い顔をどうにかしなさい」

愛が横からはるかに注意する。ここはオメガマックスにとってお祝いの雰囲気だったからだった。

「そうですね」

はるかは考えるのをやめ、一緒に決勝進出を喜んだ。

 

「しかし、ちょっと暑いかなぁ」

亜里沙は手をバタバタしながら言う。気温は30℃を超えていた。

「暑いと思うから暑いんだ。ここは心頭滅却でいけば…」

とはやては精神統一するがごとく合唱する。

「心頭滅却しても、湿度が高いんですから、不快に感じるのは当たり前です」

愛がはやてにツッコミを入れる。

「おいしそうなおみやげがいっぱい。何を買おうな」

と、みやこはおみやげ屋さんに並ぶおみやげを見てよだれを垂らしていた。

「さぁ、ホテルに向かうよ。荷物置いたら遊びに行こう!!」

雪穂はほかの7人をまとめてホテルに行こうとしていた。

 だが、そんなグループ行動に異を唱えるメンバーがいた。

「この近くにおいしい麺のお店があるんだ。そこに行きたい!!」

と言ったのはここあだった。

「こころちゃん、ここあちゃんを止めて」

雪穂はこころにお願いするが、そのこころも、

「私も行きたいですー。きっとおいしいラーメン屋ですー」

博多といえば博多ラーメン。博多に来る人は必ずそう思ってしまう。その気持ちがこころあにもあったようだ。子供のように手をバタバタするこころあ。

「こころちゃん、ここあちゃん。ちょっとやめて」

雪穂はこころあに注意するがやめる気がない。

 そこに、はるかが手を挙げた。

「なら、私がこころあをその店に連れていくから。雪穂さん達は先にホテルに行ってください」

はるかが言うと、雪穂も、

「それなら、仕方がないに。早く戻ってきてね」

と言う。

 結局、こころあをはるかに任せ、雪穂達は地下鉄までホテルに直行するようになった。

「で、その美味しい麺の店ってどこにあるの」

雪穂と別れたはるかはこころあにそう質問した。

「それはバスで南に10分くらいのところにあるよ」

と、ここあが言うと、

「とても美味しいで評判なんです~」

と、こころも答える。

「なら、その店に行きましょう」

と、はるかが答えると、

「「オー!!」」

と、こころあは元気よく声を上げた。

 

「で、この店です。とても美味しいで評判は…」

店に着くと、こころの目は獲物を狙う目になってこう言った。

「さあ、行くです、行くです」

とここあもはるかを押して店に入ろうとする。

「で、ここってラーメン屋なのかな」

はるかはちょっと変わった看板だなと思っていたが、こころあの異常に満ちた押す力に負けて、ずるずるとお店の中に入っていた。

 

ラブライブΩ 挿入歌 「ラーメンのうた」

 

(博多某所の有名店にて撮影)

 

しょうゆ みそ 塩にとんこつ

とりがら 魚介 カレー ダダダ

チャーシュー たまご ネギにメンマ

ナルト のり ごま しょうが ニンニク

 

いろんな具材が奏でるハーモニー

これ以上にない多重奏(シンフォニー)

それがラーメン されどラーメン

 

未完成だけどおいしいさ

 

みんな大好きラーメン(ラーメン)

とてもおいしいラーメン(ラーメン)

好みはまったく別だけど

ラーメン 大好き 小池さん(小池さん)

 

は:私、「バリやわ」で

あ:え~「バリやわ」それっておいしくないよー

は:なら「やわ」で

ろ:私は「ふつう」

あ:そんなら私「かた」で

は:むむ、私「バリかた」

ろあ:私達「ハリガネ」で、これで私達の勝ち~

は:それなら私「粉落とし」ちょうだい

店員:あの~、当店は~

ろあ:なんなら私達も「粉落とし」ちょうだい

 

旭川 札幌 津軽に酒田

喜多川 佐野 船橋 ダダダ

ブラック ベトコン 和歌山に津軽

鍋焼き 博多 久留米 熊本 鹿児島

 

いろんな場所で変わるハーモニー

まったく異なる夜想曲(ノクターン)

それがラーメン されどラーメン

世界中に向かって発信さ

 

世界で一番ラーメン(ラーメン)

全員大好きラーメン(ラーメン)

こんな言葉がはやったよ

ラーメン つけ麺 僕イケメン(僕イケメン)

 

ラーメン(ラーメン) ラーメン(ラーメン)

ラーメン(ラーメン) ラーメン(ラーメン)

 

ラーメンつるつる(ラーメンつるつる)

ラーメンつるつる(ラーメンつるつる)

さあ 仕上げましょう

 

みんな大好きラーメン(ラーメン)

とてもおいしいラーメン(ラーメン)

今や 世界で 一番の

おいしい ラーメン お待ちどう(お待ちどう)

 

はろあ:あの~ これ うどんなのですが~

店員:当店はうどん屋ですが

はろあ:え、えー

 

「博多はうどん発祥の地と言われ、

うどん激戦区でもある。

こしが柔らかい麺が特徴である」

(博多牧◯うどん本店にて撮影)

 

「なんで、うどん屋に来てしまったんだ~」

ここあがガッカリして地に伏してしまった。

「私、がっかりです~」

こころもガッカリ顔で地に伏いていた。

「それでもおいしいよ。このうどん、麺が柔らかくて食べやすいし、つゆも最高!!」

はるかだけがおいしくうどんを食べていた。

「ラーメンは次の機会にして、うどん食べますか」

ここあも仕方なくうどんを食べる。

「ん、このうどんもおいしいです~。おばちゃん、ごはん頂戴」

と、ここあ、ちゃっかりごはんを注文する。

「ごはんがきたです~。では、いただきます」

サッサッ

と、黒い影がこころの前で動き、何かをしてどこかに行った。そのとき、

「ギャー、ごはんの上に何かのっているです~」

と、こころが叫んだ。

「私のこころちゃんを泣かせたのはどこのどいつだ!!」

と、こころが周りを見渡すと、

「そこにいるお前だな!!」

と、ある少女を指を指した。

「勝手に決めつけないほうが…」

と、はるかが言う。しかし、

「よくぞ見破ったな」

と、何かを脱ぐ仕草をその少女はした。むろん、なんも脱いでいないが…。

「何をのせたんだ。食べられないものだったら許さないよ」

と、ここあがその少女の前に立ち、対峙するように言った。

「ふふふ、驚くな。それはな…」

と、その少女はもったいぶるように言った。

「「「それは…」」」

こころあとはるかは息を飲む。そして、その正体をその少女は明かした。

「この正体は九州名物辛子高菜だよ~」

「「「辛子高菜?」」」

3人はハテナ顔でこう言った。少女の説明は続く。

「これをごはんにのせると、あら不思議、とてもおいしくなるんだよ」

これを聞いて辛子高菜をごはんにのせる3人。そして、食べた瞬間…、

「辛いけど、なんておいしいんだ」

はるかはホカホカ顔でこう言った。

「とてもおいしいです~」

こころもおいしそうに食べていた。

「おいしい。けど、これっていたずらではないですかね」

と、ここあも美味しく食べいいても、その少女をにらんでいた。

「いやぁ、たしかにいたずらかもね。でも、私、いたずら、大好きなのよね」

こう少女が言っていた。その隙をついて、ここあが何かその少女のごはんに何かを振りかけた。

「なんなの。ごはんにのっている粉はもしかして…」

少女は後ろに下がる。ここあ、その粉の正体を言う。

「それはね、かつおぶしの粉!!ある蕎麦屋でかつおぶしを削る時に出る粉ふりかけ用に集めた物。これをごはんに振りかけて卵をかけると、とてもおいしい卵かけごはんができるんだ」

と、言っているすきにその少女は卵をかけてごはんを食べた。

「ん~、おいしい」

と、少女にとってべた褒めだった。すると、少女は、

「いたずらをいたずらで返すとは、お主、なかなかやるな」

と、ここあを褒める。

「お主こそ」

と、ここあはその少女を褒める。

「ところで、あなたのお名前は何ですの?」

と、こころが突然、その少女の名を問うた。

「私はね、阿蘇カオル、カオルって呼んでね」

そう言うと、その少女はすぐにごはんを食べ終え、お会計を済まして店の外に出ていった。

「阿蘇カオル、阿蘇…。あっ!!」

と、はるかはあることに気付いた。

「まさかのまさかとは…」

と、はるかはこころに言うと、

「あの阿蘇カオルですか」

と、こころも有ることに気付いたのごとく言った。

「?」

と、ここあ1人だけわからなかった。

(注意:このお話はフィクションです!!お店の中ではお店にメニューに無いものでごはんにトッピングするのはやめたほうが良いかも…)

 

 そして、博多に来て翌日…

博多市役所前の芝生広場では各地区予選を勝ち抜いた9地区のスクールアイドルが集まっていた。

「ここで、ラブライブ決勝大会、開会式を宣言しちゃいます」

ここでも司会を勤めるリポーターが声を高々に開会式開始を宣言した。

「これから2週間、スクールアイドルは九州各地に分かれて合宿をします。そして、決勝の地、博多ドームで誰もが魅了するステージを見せてくれるでしょう」

とレポーター、叫びまくる。

 叫び終わった後、レポーターは北から順に予選を勝ち抜いたスクールアイドル達を紹介していく。そして、

「関東代表、前回の雪辱なるか。あのμ’sを輩出した学校、音乃木坂学院のスクールアイドル、オメガマックス!!」

と、オメガマックスがレポーターの手で紹介された。

「やあ、やあ」

雪穂が観客に手を振っている。

「これが全国区のスクールアイドルなんだ」

みやこは観客を見て感動していた。

「さぁ、私達の伝説がはじまるのです~」

こころが言うと、ここあも、

「そうだじぇ、私はいっぱい活躍するんだぜ」

と、興奮するように言っている。

 そんなオメガマックスをよそに、ほかのスクールアイドルの紹介は続いていた。

 そして、最後のスクールアイドルが紹介された。

「最後に、前回のラブライブでは圧倒的な差で優勝した、今回も九州予選を圧倒的な差で優勝したぞ!!今やスクールアイドル界の女王、九州代表、福博女子大学付属、スクールアイドル、K9!!」

すると、突然、K9とみられるグループがステージの前に出てきた。

「私達、絶対勝利のスクールアイドル、K9!!」

リーダーとみられる女の子が扇子を持って自分達のことを紹介した。

「メンバーを紹介します。まず、私はリーダーの中州天です!!」

リーダーの天が声を高々に名乗りを上げていく。

「私は霧島あやです。いざお見知りおきを」

「高千穂羽衣…。よろしくお願いします」

「霧島いねだぜ。って、いねって言うな」

「安心院ゆず。勝ちないものにようはない」

「小賀値イリヤ。金髪の似合うものはほかにいないですね」

そして、あの名前も…。

「新垣夕!!ダンスならだれも負けない!!」

はるかはすぐに気付いた。あの、UTXから強引にスカウトされて入学した生徒と同じ名前だった。

 だが、それ以上にはるか、いや、こころあも驚いたことがあった。

「阿蘇カオル。ここに参上しました!!」

カオルがこう言うと、はるかとこころあは揃って、

「カオル!!」

と、かおるととっさに呼んでしまった。

「そうだよ、カオルだよ。私もK9の一員、それも一軍なんだよ!!」

と、香は堂々と言った。

 しかし、その横に天が来て、カオルを軽くたたいてこう言った。

「カオルさん、あなたはこの前、二軍に落ちたでしょ!!」

すると、カオルもこう言った。

「そうでした。二軍に落とされたのでした」

すると、雪穂は驚いてこう言った。

「一軍、二軍、なんですか、それは」

すると、天が説明を始めた。

「福博女子大学付属は通称、アイドル養成学校。全国から一流の先生、生徒を集めていますの。そして、K9はそのトップであり、一軍3人、二軍6人で構成されているの」

そして、天は高々に言う。

「付属はいわば超実力主義の学校かつ日本一の学校。その頂点に立つK9はいわばスクールアイドルの女王。どこにも勝つことが出来る。だからこそ、勝こそが全てのこの業界にとって私達は絶対的な力を持つことができるのです」

天の女王宣言。まるでスクールアイドル勝利至上主義の服を着ているようだった。

 そして、天は見下すようにこう言った。

「この前の関東予選を見ていましたわ。なんて低レベル、なんてみずぼらしいのでしょう。アイドルではありませんわ。特にUTXは本当にA-RISEを輩出したところなんでしょうか。恥ずかしいとは思いませんか」

これを聞いた愛は怒り出してこう言った。

「あのiDを侮辱するのは許しませんわ」

そして、その隣にいたはるかも言う。

「それはUTXから強引に生徒を引き抜いたからでしょ。それに先生も…」

 しかし、天にとってかゆくもなかった。

「将来有望な生徒をアイドル特待生としてスカウトするのはスクールアイドルとしては当たり前のこと。むしろ、その生徒にとって幸せですわ」

そして、絶対的女王に見える天はこう言い放った。

「私達の歌、ここで聞かせてあげます!!そこで見ときなさい!!」

すると、突然K9は歌う体制に入った。

「ちょっと、K9のみなさん。それはちょっと待ってくださいよ」

レポーター、突然のことであわてる。すると、ある女性が出てきてこう言った。

「それは大丈夫です。これはこの開会式の余興です。K9の素晴らしさを知らせるための…」

すると、隅にいたラブライブ大会実行委員からしても良いという許可が出ているのをレポーターは気付いた。

「おっとー。プログラムが変更になりました。ここでK9が歌うとのことです。これはすごいぞ!!」

レポーター、興奮気味に話す。

 そして、位置についたK9。天が声をかける。

「それでは聞いてください。K9で『TE TO TE』」

 

ラブライブ 挿入歌 K9テーマソング 「TE TO TE」

 

ポンと押すだけで友達申請

それでいいのですか

即読にしないと仲間外れ

本当にいいのですか

 

ネットだけの友達100人

本当の友達は何人ですか

自分を信じてくれる友達は

本当は何人ですか

 

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

 

ココロの鼓動が聞こえる

友のココロの声が聞こえる

それが友とつながる

友と一緒になることさ

 

友と一緒に手をつなぐ

友と言える仲間と一つとなった

そんな証なのさ

 

まるで圧倒邸なステージに地に伏す雪穂。

「これじゃ負けてしまう」

ほかのメンバーも圧倒的な力の差に自信を喪失していた。

 しかし、それでも1人だけ自信を失っていないものがいた。

「やっぱりすごい。K9って、これがスクールアイドルの頂点の力なんだ」

そのことを言ったのはみやこだった。

「どうしてそんなこと言えるの」

と、雪穂がみやこに質問する。

「だってK9という凄いスクールアイドルがいるんだよ。圧倒的、それは別に問題ないんだよ。むしろ目標ができたんだよ!!こんな嬉しいことないんじゃない」

この言葉に感化して立っていく7人。

「そうだったな。陸上だって同じこと。それを乗り越えればいいだけさ」

はやてがそう言って立ち上がる。

「圧倒的なスクールアイドルを倒す。こんあことしたらジャイアントキリングだよ」

はるかはそう言って立ち上がる。

「私としたことが忘れていましたわ。私はあの秋葉一家の一員ということを」

愛はそう言って立ち上がる。

「私だってにこ姉ちゃんの妹だもん。にこにこにー」

ここあがそう言って立ち上がる。

「そうです。私もあの偉大なにこ姉様の妹ですもの」

こころがそう言って立ち上がる。

「スクールアイドルに絶対はない!!どんなことだっていつも立ち上がれる!!」

亜里沙がそう言って立ち上がる。

そして、

「そうだ。私達はオメガマックス。最大級の最大にするのが私達の使命。たとえ、スクールアイドル勝利至上主義だの、アイドル特待生(こころあを除く)だの、関係ない!!私達は私達で力を出して見せる!!」

と、雪穂は力強く立ち上がった。

 そして、雪穂はほかの7人と言う。

「ここで私達の実力、見せてやるんだから。あの新曲、ここで披露しちゃおう」

すると、ほかの7人もうなずいて、歌う位置に移動する。

「ちょっと音響さん、このCDをかけてください」

と、愛は音響のところに行き、CDを渡した。

「では、聞いてください。私達のテーマソング『虹』!!」

雪穂が言うと曲が始まった。

 

ラブライブΩ 第11話ED オメガマックス テーマソング 「虹」

 

大空に架かるアーチ

未来(あした)に続くゲート

その先には何があるのだろう

 

(赤)熱き心で  (オレンジ)みずみずしく

(黄)空を照らす (緑)りんりんと

(水)空にこめて (青)海と一緒に

(紫)全てが混ざり合おう

 

全ての色あつまりしとき

私たちは最大で最高の

仲間になるよ

 

虹色にひかる 空を駆け抜けていく

青色のキャンパスに虹を描こう

大空に輝く 七色の道しるべ

それが合図さ 私たちの

明るい未来(あした)へ進む合図さ

 

曲が終わると天が言い出した。

「なんなんですの。この茶番劇は。はやく開会式を終わらせないさい」

こう言うと、レポーターも気をまわして閉会しようとする。

「これでラブライブ決勝大会閉会式は終わりだよ~。でも、K9とオメガマックスの戦いは始まったばかり!!面白くなりそうだね。では、バイバイ!!」

波乱に満ちた閉会式は終わった。果たして、ラブライブはどのようになっていくのか。次回へと続く!!

 

次回 なんとかしないとばい!!

 

 




 こんにちは、La55です。今回から第3章が始まります。本編としてはこれが最後の章となります。あと4話。まだ先は長いですが、これからも宜しくお願いします。

 ところで、今回の楽曲のうち、「ラーメンの歌」はコミックソングの最後の歌となります。ただラーメンの種類や具、ご当地ラーメンの名前を連呼しているだけなのですが、それでもいろいろと連呼すればとても面白い歌になるのではと思い作詞していました。これを曲にすればとても面白いと思うのですが、作曲できず!!残念!!でも、中身はなぜか博多ラーメンの歌になっていたり、なっていなかったり。そして、衝撃のラスト…。これ、ラーメンの歌ですよね。邪道じゃないの。そんなツッコミが来そうです。ツッコミがあればコメント欄へどうぞ。

 2曲目「TE TO TE」はK9のテーマソングです。そして、自分が友達とは何かを考えた曲でもあります。今現在のネット環境の中で発生する友達、それが本当の友達になるのか、それが私にとって少し疑問に思っております。ほかの人にとって友達とはなにかという考え方が人それぞれです。それはそれでよいと思っております。自分もほかの人の考え方は尊重します。自分としての考え方を前面に出した、その様な詞になっております。

 そして、3曲目「虹」は雪穂達オメガマックスのテーマソングです。そして、オメガマックスを歌った曲でもあります。もし、8人が一緒に組んだ場合、どのようなハーモニーになるのか、それを思いながら作詞しました。7色(こころあは1色としてカウント)が集まりし時、大空に虹を描ける存在になる。それを表しています。

 と、いうわけで、今回のラブライブΩはどうだったでしょうか。絶対女王K9にオメガマックスはどう挑むのでしょうか。そして、どのような結末になるのでしょうか。楽しみです。それでは、来週までさよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 なんとかしないとばい!!

「愛です」「はるかです」「はやてです」「「「私達はマキシマム!!」」」
愛:
「ラブライブ決勝は博多で行われることに。空港に降り立った私達8人。そのうち、はるかとこころあは空港の近くになる有名麺料理屋がということで向かうことになる。最初、ラーメン屋として入った3人だったが、本当はうどん屋だった。って、何間違っているの」
はるか:
「それはこころあが…。って、ここは置いといて。ここである少女からイタズラを受けたの。その子の名は阿蘇カオル。その子に対してここあはイタズラで返す。お互いを認め合う」
はやて:
「そして、ラブライブ決勝の開会式、僕達オメガマックスの前に絶対女王、中州天率いる福博女子大学付属のスクールアイドルK9が現れる。その中にはあのカオル君がいた」
愛:
「そして、K9が歌い、絶対的なステージの前に地に伏す私達。しかし、みやこの言葉で立ち直り、『虹』を歌い上げる。そして、K9はそうそうと立ち去る」
3人:
「そして、目標をK9打倒を胸に合宿に進むのです」

(OP 1番のみ)




第12話 なんとかしないとばい!!

 

「1,2,3,4、2,2,3,4、」

愛の掛け声とともにほかの7人は「虹」の振付の練習をしていた。

 オメガマックスは現在、九州の玄界灘を望む愛の別荘で合宿をしていた。打倒K9に向けて考えた作戦、それは一糸乱れないダンス、そして…。

「はい、午前はここまで」

愛の掛け声でダンスの練習は終わる。その愛に雪穂が駆け寄り、こう言った。

「愛さん、ところで、新曲のできはどうですか?」

それに愛は少し詰まりながら答えた。

「え…、それはまだですわ。ちょっと考えたいことがありますので」

「ふ~ん、まっ、焦らず、作っていけばいいんじゃないのかな」

と、雪穂は愛にそう言うと、スポーツドリンクの置いてある棚へと向かった。

 K9に勝つ作戦、ダンス以外、それは愛の新曲だった。ラブライブ決勝は地区予選と違い、曲に関しては制限がなかった。そのため、発表済みでもほかのスクールアイドルの曲のカバーでも良い。だが、新曲の方がインパクトがある。もちろん、リスクがある。新曲を作り、そのための練習を決勝までの2週間の中でしないといけない。それでも一つの賭けをオメガマックスは取ることにした。

「愛、あまり無理はするなよ。倒れたらもともないから」

はやてが愛に近寄り、声をかける。愛も戸惑いながら答える。

「そ、そうですね。無理はしていないですわ」

「なら、いいんだけど」

はやてはそう言うと、タオルを取りにいった。

 雪穂とはやて、愛を心配するには理由があった。実は愛、朝から元気がなかった。

「愛姉様、朝から元気がないです~」

こころが心配そうに言うと、ここあがそれに答える。

「大丈夫だよ。曲作りに苦心しているだろうから。そっとしておこうよ」

こころあも心配そうに愛を見ていた。みやこ、はるか、亜里沙も心配そうに愛を見ていた。

「私としたことが、まさか、ほかの人に心配されるとは」

愛もこの状況を把握していた。だが、それを賄うほどの余裕はなかった。なぜ、そのようになったのか。それは今朝に遡る。

 

「さぁ~て、今日は頑張りましょうかね」

オメガマックスの中で一番早く起きる愛。愛はこう言うと、朝刊を取りに郵便ポストに向かう。そして、

「あれっ?」

朝刊と一緒にあるものがでてきた。そして、愛はこう言った。

「これ、私宛の手紙ですわね」

愛宛ての手紙、その宛名を見た瞬間、愛は困惑して言った。

「中州天…」

K9のリーダー、中州天からのものだった。

 そして、手紙の中身を見た瞬間、愛はさらに困惑した。

「私に…、何させようと…、しているの…」

愛はそう言うと、困惑したそうな顔で別荘に戻っていった。

 

「それが合図さ 私達の 明るい未来(あした)へ進む合図さ」

昼食後、『虹』を一通しで練習する雪穂達8人。しかし、少しずれていた。

「愛さん、ちょっとずれていないかな」

亜里沙が愛に対して指摘する。

「あっ、申し訳ございません」

愛が亜里沙にこう言って謝る。

「愛がずれるなんて珍しい。亜里沙はいつもずれているけど」

はるかが亜里沙をおちょくりつつ、愛のずれのことを言う。

「私はいつもずれていません。それに、ずれているのはμ’sのダンスがどうしてもでてくるからです!!」

亜里沙ははるかにツッコミをいれる。亜里沙は音乃木坂入学前にμ’sのダンスを全部覚えるほど練習した。そのため、どうしてもそれが時々でてくるのだ。

「それほど愛はちょっとずれていた。仕方がない。曲も作らないといけないんだ。少し疲れているんだろうな」

はやては愛を見つつこのように言った。

「いや、私は疲れていません」

愛はそのことを否定するが、これを見ていた雪穂は、

「いや、疲れているよ。ここは少し休憩をいれようかな」

と休憩をみんなに提案する。

「私は大丈夫です。それに、休憩するほど時間がないですわ」

と、愛は休憩案を拒否する。しかし、

「ここは休憩、するべき!!だね」

ここあはこう言うと、こころも、

「練習漬けで疲れたです~。休憩、賛成です~」

と、休憩案に賛成する。ほかの5人も休憩案には賛成していた。

 そして、みやこはこう言い放った。

「休憩案に賛成な人、手を挙げて!!」

愛以外の7人は手を挙げた。

「決まり!!夏に、海が近い!!なら、海水浴だ~」

みやこがこう言うと、こころあも、

「「海水浴だ~、わーい!!」」

と、水着に着替えようと部屋を出ていった。

「だから時間がないのに…」

愛はただぼうぜんとしていた。そこにはやてが駆け寄り、

「あまり練習を詰め込むと体を壊す。ここは休憩が一番いい。少しは気分転換になるんじゃないか。曲作りにとっても」

と言って、愛の方に手をのせた。そして、

「少しは楽しんでいこう」

と、愛に言った。

「…」

はやての言葉に愛は黙るしかなかった。

 

パシャッ

「きゃっ、水をかけないです~。仕返しです~」

水をかけられたこころ、水をかけたここあに対して水をかけた。

「わっ、こちらも仕返しだ~」

ここあもこころに水をかける。

 ここは別荘の近くにある海水浴場。雪穂達8人は水着を着て、おのおの海水浴を楽しんでいた。

ザブーン

「こら~、こころあ。僕にかけるんじゃない」

突然こころあに水をかけられたはやて、こころあに怒る。

「ごめんです~」「ごめんよ~」

こころあははやてに謝りつつ、次のターゲットを探していた。

「なんで、なんでー!!胸の格差社会だー!!」

と、雪穂は嘆いていた。

「だってー、あの愛だけでなく、はやてにも負けるなんてー」

雪穂は愛とはやての胸を見ていた。愛は赤の三角ビキニで大きな胸を強調していた。対して、はやてはスポーティーなタンキニだが、それでも巨乳ではなくても美乳で体も引き締まっていた。

「雪穂、それは私にも当てはまるよ~」

亜里沙も嘆いていた。雪穂の胸を見比べていた。しかし、

「そういう亜里沙も私より若干胸が大きいじゃない!!」

と、雪穂は亜里沙の胸を見て嘆いていた。雪穂は白のチューブビキニを着ていたが、対する亜里沙はターコイズブルーのビキニで胸をなぜか強調していた。

「だって~、(絵里)お姉ちゃんがこれが良いって言ったんだもん」

亜里沙、雪穂に言い訳を言う。その横からみやこが口を出す。

「2人はいいですよ。私なんか体が引き締まっているんですよ」

みやこはビーチバレー選手のような水着を着ていたが、胸よりもボディビルダーみたいなお腹あたりが目立っていた。(みやこはガテン系な体型である!!)

「なら、私はどうなるんですか~」

そう言ってくるのははるかだった。はるかは自分を見た。萌えるだろうと思って(?)スクール水着を着ていたのだ。メガネ(だて!!)とスクール水着で萌えているのだが、より微乳であることを強調する結果ともなっていた。

「はは、みんなで黄昏ている~」

ここあがそんな4人を見て笑ってこう言った。

「私達はこれから大きくなるんです~」

こころもそのことを自慢する。2人はお揃いのピンクのワンピース(フリル付)なのだが、自分達はこれからということを主張していた。

「って、っこで黄昏ても仕方がないです。でも、愛は楽しまないのかな」

と、はるかは愛の方を見て心配そうに言った。

「…」

愛は1人浜辺にパラソルを建ててその下で寝ていた。

「愛、みんなと遊びましょうよ」

はるかは愛の近くに行き、そう言って誘おうとした。

「はるか、ごめんなさい。そんな気分じゃないの」

愛はこう言うと、横を向いてしまった。

「あまり無理はしないでね」

はるかはそんな愛にそっと声をかけていった。

 

 海水浴を初めて2時間後。

「遊び疲れたです~」

こころはそう言うと、海から上がろうとしていた。

「キャー、何かに触られたです~」

そして、ここあも、

「ギャン、私も触られた~」

と叫んでいた。

「何かいるです~」

と、こころが指を指してこう言った。何かの影がうごめいていた。

 そして、個の影はこころあと遊んでいたはやてへと進む。

「ぶくぶく、あともう少し…」

水中で何か聞こえてきたが、誰も気付かなかった。その影、はやてに近づき、触れようとした瞬間、

「悪い子は成敗します!!フン!!」

と、その影めがけて手刀をかます。

「ギャフーーーン!!」

と、声と共に大きな水しぶきをあげた。

 

プカンプカン

はやてから手刀をくらい、海上に浮かんでいる人、1人。

「あっ、カオルだー」

ここあが叫んだ。そう、浮かんでいる人はK9の阿蘇カオルだった。

「ふりゅ~、そうです。私は阿蘇カオルです~」

意識が朦朧しつつカオルはそう答えた。

「阿蘇さん、どうしてここにいるんですか」

雪穂は阿蘇カオルのそばに行ってこう言った。

「あっ、高坂さん、こんにちは。私のディープダイバーはどうですか。って、それより…」

と、カオルが言うと、カオルの足元に2つの影が忍び寄り、

「実はあなた達に…、ギャー」

と、カオルが突然叫びだした。そして、カオルの近くから、

「仕返し、成功~!!」

と、ここあがこう言って飛び出して、その横から、

「仕返しせいこうです~!!」

と、こころが出てきた。

「あ~あ、イタズラ仕返しかったよ~」

と、カオルもこころあからイタズラ返しを受けたことにまんざらでもない様子だった。

 

 それから30分後、

「実はお願いがあるんです」

海水浴が終わり、服に着替えた雪穂達8人とカオル。別荘の庭でカオルのお願いを聞くことになった。

「で、お願いとは何?」

と、みやこがカオルのお願いを聞こうとしていた。

「実は天を、中州天を解放して欲しいの」

と、カオルが話す。

「天を解放?」

と、口をそろえて疑問形で答える8人。かおるは続けてこう言った。

「天は今、スクールアイドル勝利至上主義の呪縛に囚われています。天の母親、K9の顧問で理事長の中洲博子さんはラバライブ決勝である陰謀をたくらんでいるの。そのためにはラブライブ優勝が必須!!天はそのことを叶えるために必死になっているの」

そして、カオルはあることを語った。

「天は必死になるあまり、スクールアイドルは勝利こそ全てという考えに固執しているの。去年は圧倒的に優勝したことでさらに磨きがかかったの。相手を見下すようにもなったの。そんな天、私はいやなの。もとの天に、やさしかった天に戻ってほしいの」

そんなカオルを見て、雪穂はカオルに声をかける。

「阿蘇さん、いや、カオルさん。涙を拭いて、顔をあげて」

と、雪穂はカオルの涙を拭いてあげた。カオルはそのことに対して、

「あ、ありがとうございます」

と、お礼を言った。

「これは中州さんだけでなく、K9、いや、ラブライブに関わる大事件ですよ!!」

と、はるかがこう言うと、亜里沙も、

「なんとかしたいね」

と言う、そして、はやては、

「これは見ておけぬ。僕達でなんとかしないと」

と言う。これを愛を除く6人はうなずいた。

「どうしたの、愛?」

1人うなずなかった愛を見て、雪穂はこう言って愛は質問した。

「いや…」

と、声をつぐむ愛。

 と、そんなとき、2つの影がカオルに迫ってきた。

「カオル、み~つけた~」

と、小柄な少女がカオルを束縛すると、

「この裏切り者~」

と、もう1人のの少女もカオルを束縛した。

「お前らは、羽衣にイネ!!」

とカオルがこう言うと、

「私の地位を下げさせないでください」

と、小柄な少女こと高千穂羽衣が言うと、

「だから、イネって言うな~」

と、もう1人の方こと鹿島イネがカオルにツッコミをいれる。

「あなた達はK9の…」

と、雪穂が言うと、

「そうです。K9の霧島あやです。以後お見知りおきを」

と、大和撫子みたいな少女こと霧島あやが出てきてこう言った。

「はやく、阿蘇さん、いや、カオルさんを離しなさい!!」

と、雪穂が言うと、

「それはこちらの話です。私達はカオルさんを連れ戻しにきたのですから」

と、あやも反論する。そして、あやはこう言ってきた。

「天さん、そして、顧問は、これからのスクールアイドルの発展のために行動しています。それを足で引っ張るなんて、なんて嘆かわしい。K9は1つの家族ですよ。家長である顧問の言うことは絶対です」

そして、イネも、

「顧問の言うことは絶対なんだぞ~。あと、イネって言うなぁ~」

と、カオルに向かって怒って言った。

そして、羽衣は、

「私はカオルと同じ一般生!!私もようやくK9の2軍の地位までのぼれたのに、カオルのおかげでまた落ちたりしたら、これまでの苦労は台無しなんだよ!!どうしてくれるの」

と、声を荒立てて言った。

「一般生?」

と、みやこが言うと、

「ここからは私が説明します」

と、あやの隣からある人物が出てきた。

「天!!」

と、カオルが叫ぶと、

「そう、私は天ですわ。このエリートたる天ですわ」

と、天は叫んでこう言った。そして、天はあることを語りだした。

「福博女子大学付属アイドル科は特待生と一般生がおります。特待生は私みたいに昔、FKO50といった有名アイドルグループのセンターなどといった実績のある生徒を特待生としてスカウトされた生徒。対して、一般生は一般入試で入学した生徒のことです」

「「FKO50」」

これをはるかとこころが飛びついた。FKO50とは博多を拠点に活躍するアイドルグループである。全国をおろか、世界中にファンがいっぱいいることでも有名である。

 天の説明は続く。

「一般生のカオルと羽衣は相当な努力でK9に登りつめました。しかし、カオルはどうしてもK9というエリートにいることに誇りをもっていない。K9こそスクールアイドルのトップ。K9こそこれからのアイドル業界を背負って立つ存在になるのです」

 そして、愛を指を指しながら天はこう言った。

「なら、K9はラブライブで優勝して当たり前。他のスクールアイドルを見下して当たり前。でも、それを強固にするために、秋葉愛、あなたの力が必要ですわ」

「「えっ」」

はやて、はるかはそう言って驚いた。いや、雪穂、亜里沙、みやこ、こころあも驚いていた。

「あの手紙のことですね」

愛はこう言うと、手紙をポケットからだした。

「愛、どういうこと?」

と、はるかが言うと、愛はそのことを説明した。

「今朝、ポストの中に手紙がありました、中州天さんからの。その中にオメガマックスをやめて、K9に来ないかとの」

すると、天がいきなり言ってきた。

「私は短気ですの。今、ここで、答えを、はっきりと、おっしゃってください。むろん、ハイだと思いますが」

これに対し、愛は、

「…」

と黙ってしまった。すると、

「なら、仕方がありませんね。羽衣、イネ、カオルをちょっと苦しめてください」

と、天はこう言って羽衣とイネに命令を出した。羽衣とイネはカオルの髪を掴む。

「ぐぐー」

と、カオルが苦しむ。

「…や、やめて」

と、愛が小声で言うと、天は、

「愛さん、どうしたいんですか。はやく、『はい』って言ってください」

と言って、愛に催促する。カオルは、

「私はどうなってもいいから、誤った考えはしないで」

と言う。

「…、私は辞めたくない。でも、辞めないとカオルさんが…」

と、愛は小声で言うくらいどうしたいか判断に迷っていた。

「…、でも、辞めてK9に移れば、秋葉一家の落ちこぼれでならなくなる。でも、雪穂達から離れたくない」

こういった愛の小声も聞こえてきた。

 そんなとき、愛のそばにはるかとはやてが近づいた。そして、

「愛、少しは考え過ぎじゃないかな」

と、はるかが声をかけて、はやても、

「そうだぞ。愛、お前の考えた通りで進めばいいんじゃないかな」

と、答えた。さらに、

「「私(僕)達はそんな愛の考えを尊重してあげるからさ」」

と、はるかとはやてはこう言って、愛をそっと背を押してあげた。雪穂達5人もうなずいていた。

 そんな7人に対し、愛は、

「はるか、はやて、みんな…」

と、言って、何かを決めたような顔になり、天の前に行く。

 そして、愛は言った。

「私、決めました。福博女子大学に行きますわ」

天はにっこり喜ぶ。カオルは少しガッカリそうになっていた。

 だが、それだけではなかった。愛の話は終わりではなかった。

「でも、行くのは大学からですわ。今は音乃木坂スクールアイドルのオメガマックスとして雪穂達と楽しんでいきますわ」

「なんですってー」

愛の答えに対して悔しそうにハンカチを噛む天。そして、

「羽衣、イネ、やっておしまい」

と、羽衣、イネ、2人に命令すると、2人はカオルの髪を引っ張ろうとする。

 すると、

「やめなさい!!」

と、大きな大人の女性の声が聞こえた。いきなり中止する羽衣とイネ。

「お母…、顧問!!」

天がそう言うと、大人の女性が天のそばに立ってこう言った。

「ごめんなさい。天がご迷惑をおかけしました。私は中洲博子、福博女子大学付属の理事長で、K9の顧問をしています。以後、お見知りおきを」

 そして、博子は天にこう言って怒った。

「なに、ご迷惑をおかけしているのですか。K9はスクールアイドル界では絶対的な存在。勝って当たり前。相手を見下すことはいいです。しかし、そんな相手にこちらの弱みを見せてどうするのですか」

「だって、秋葉愛が入ればK9はさらに強くなるじゃない」

と、天は博子に反論するが、博子は、

「たしかにそうですが、それによって、相手に弱みを見せることは絶対あってはいけません」

そして、博子は愛にこう言った。

「大学の入学の話すは聞かせて頂きました。私は大歓迎です」

それに対し、愛は博子にこう言った。

「どうもありがとうございます。ところで、大変申し訳ございませんが、大学入学の際にはほかの受験生同様、ちゃんとした公平公然の試験をお願いします」

これに対し、博子も、

「それならそうします。では、撤収しますよ」

と、言って、博子はカオルを抱えて帰っていった。そして、天も、

「この侮辱は決勝で返す!!見ておけ!!

と、言って、博子の後を追った。あや、羽衣、イネもその後に続いた。

「愛…」

と、雪穂が愛に声をかけ、近づく。

「しかし、天というやつ、何を考えているんだ」

と、はるかは怒り出す。

「もう、あんなの見たら怒りたくなる~」

と、ここあも怒っていた。

「もう、おしりぺんぺんです~」

と、こころすら怒っていた。

 そんな様子を見て、愛は言った。

「みんな、ありがとう、心配してくれて。でも、怒るのはやめて。これからが楽しめなくなるから。みんな、今は楽しむことが大事だからね」

この愛の言葉に、怒っていた3人は少しずつ頭を冷やしていった。

「そうですね。今は今を楽しみましょう」

と、はるかはこう言って笑った。

「そうですね」「そうです、そうです」

と、こころあも笑った。

 そんなとき、こころがふっとあることを言った。

「今、思ったのですが、私みたいな小さな女の子って、どんな恋愛をするんですかね」

この質問に対し、真剣に悩む7人。すると、

「それを歌にしたら何かいいかもしれないです~」

と、こころが言う。そして、こころはこう言った。

「たしか、『Little wing』は6人で歌詞を紡いだと聞いたです。今度は私達2人をいれた8人で歌詞を紡ぐのです~」

「それはいいアイデアだね」

亜里沙が嬉しそうに言う。

 こうして、また、みんなで歌詞を紡ぐことした。

「夢」「高い壁」「背伸び」「高く」「楽しくなる」「悲しくなる」「知りたい」

そして、「ひろがる」

こうして、次々と浮かび上がる詞を次々と紡いでいく。

 そして、2時間後。

「できた~」

1つの歌詞が出来上がった。

「この歌詞、とても良いかも」

雪穂が喜ぶ。とても良いものが出来た証拠だった。

 ところが、これだけでは飽きないのが雪穂だった。

「でも、もう1つ、曲、作ってみよう」

とてつもないことを言う雪穂。はるかは、

「もう時間がないんだよ。2曲作る時間なんてないんだよ」

はるかのいうことももっとも。決勝まであと10日ぐらいしかない。そんなに2曲を作り、練習する時間はなかった。でも、雪穂はこう言った。

「私、今回のことで思ったんだ。ラブライブ関東予選の前、私が無理して倒れたときのことがあったでしょ。このとき、夢で見たの。真っ暗な中、(ほのか)お姉ちゃんが呼んだと思ったら消えた。そして、みんなの声が聞こえてきた。1つの光の筋、それに手を伸ばすと目が覚めた。そのとき、みんなが私の周りで眠っていた。今回も、愛さんは同じようにみんなに手を差し伸べたから、とてもいい結果を残した」

そして、雪穂は言った。

「私、仲間って素晴らしいと思う。絆って素晴らしいと思う。それを歌にすればいいんじゃないかな」

これに対し、愛は言った。

「私も賛成ですわ。1曲も2曲も関係ありません。むしろ、この2曲であのK9を正すのにとってもよいですわ」

そして、愛は続けて言った。

「これからの10日間、練習はタイトになるかもしれません。しかし、それでも楽しくやれば苦にはなりませんわ。そうでしょ、みんな。

「「「「「「「ハイ!!」」」」」」」

愛の言葉にすぐに答える7人。

 それからの2日後、愛は急ピッチに作曲を早め、2曲を完成させた。その後、8人は残りの日数で熱心に、そして、楽しく2曲を練習した。

 そして、ラブライブ決勝当日の朝。

「これで完璧!!」

雪穂の掛け声と共に、2曲の歌、振付を完全マスターした。8人の顔は疲れている素振りを見せず、むしろ喜んでいた。

「よ~し、博多ドームにレッツゴーです」

こうして、会場の博多ドームに向かう8人。いざ、鎌倉へ、いや、いざ、博多ドームへ。8人はある使命を帯びて向かっていった。

 

 一方、そのころ、羽田空港では、

「なんで、衣装づくり、私達がしないといけないのですか~」

キャンディーズ3姉妹のらんは嘆いて走っていた。

「まさか、2曲分作れって。はるかは鬼か~」

と、スーがはるかに対して怒って走っていた。

「キル、ハル、ヌウ、ネル、グー」

ミキは寝言を言って走って、いや、ランとスーに引っ張られていった。

 3人は今から博多に向かおうとしていた、そのかばんには3人(?)が夜なべして編んだ8人分の衣装2曲分をいれて。いけ、ラン、負けるな、スー、飛べ、ミキ、いざ、決勝の地、博多へ。

 だが、その後ろから多くの人影が3人目がけて走っていった。

 

(ED 1番のみ)

 

次回 「史上最強のライブ!!」

 

 




あとがき

 こんにちは、La55です。お元気にお過ごしでしょうか。この回は本当のところ、水着回なのですが、あんまり印象に残っていないのであれば申し訳ございません。今回は歌がありませんでした。歌がないとはいえ、今回は少し熱くなった回になったと思います。そして、この熱さは次回、そして最終回となる次々回に続きます。みなさんも熱く読んでみてください。

 で、近況ですが、+αの3話目が書き終わりました。+αは全4話を予定しております。あと1話分を残すのみです。とはいえ、まだ打ち込みが終わっておりません。はたして、毎週投稿はできるのでしょうか。出来る限りしますが、出来なかったらごめんなさい。

 と、いうわけで、本編はあと2回となりますが、これからも楽しみにお待ちください。それではさようなら。
                            


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 史上最強のライブ!!

「前回のラブライブΩ」
「こころです」「ここあです」「2人合わせてこころあです」
こころ:
「ついに合宿に突入したのです。歌にダンスに毎日練習しております。しかし、愛姉様は元気がありませんでした~」
ここあ:
「連日の練習の疲れもあり、海水浴を行うことに。みんなで遊ぶも、愛姉さんは元気なし。そこにK9の阿蘇カオルさんが現れる」
こころ:
「阿蘇カオルさんからスクールアイドル勝利至上主義の束縛から解放して欲しいと頼まれたです。しかし、そこにK9の中州天さんが襲ってきます。そして、愛姉様にオメガマックスを辞めてK9に来て欲しいと言われたです。これが愛姉様を苦しめていた理由だったです~」
ここあ:
「しかし、はるか姉さんとはやて姉さんの声掛けに愛姉さんはそれを拒絶。そして、8人の手で2曲の詞ができた。それを曲にする愛姉さん。そして、ついに2曲が完成!!」
2人:
「一生懸命練習して、ついにラブライブ決勝を迎えるのです~」




「ついにラブライブ決勝。なんか身震いする~」

雪穂は博多ドームの前に立っていた。そう、ついに8人はラブライブ決勝の地に来たのだ。

「お~い、雪穂。衣装持ってきたよ~」

キャンディーズ3姉妹のランが衣装の入ったカバンを持って駆け寄ってきた。

「これでラブライブ優勝しないと許さないぞ」

スーが雪穂達にチャチャを入れる。

「で、悪の元凶、はるかを食べていいですか」

夜なべして衣装を作っていたこともあり、ミキははるかを恨んでいた。

「決勝に出られないようにしなければ…」

愛の一言で、3姉妹に襲われるはるか。

「愛の裏切り者~」

軽くこつんと叩かれるはるかが言うと、ほかの7人は笑った。

「こんな風景、カオル達にも見せたいな」

雪穂はこう思った。

 

(OP 1番のみ)

 

第13話 史上最強のライブ!!

 

「ついに始まりました、ラブライブ決勝。司会はもちろん…」

と、レポーターが熱くしゃべる。そう、今回も司会はもちろんあのレポーターであった。

「それでは出場者を紹介しましょう。北海道は…」

と、レポーターは北から順に出場者を紹介していく。

 そして、オメガマックスの番となる。

「開会式ではK9に負けないライブを見せてくれた!!今大会のダークホース!!もうμ’sの妹分とは言わせないぞ!!音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックス!!」

レポーターの紹介に合わせてステージにあがるオメガマックスの8人。

「やあやあ」

雪穂はそう言うと、会場にいる超満員の観客に手を振る。

「絶対優勝するです~」

とこころが言うと、ここあも、

「見ていてください。(にこ)姉ちゃん」

と、どこかで見ているであろうにこに向かって誓っていた。

そんなとき、

「頑張ってね…、に…、…こ、に…」

と、ある声が聞こえていた。

「あれ、にこ姉ちゃんの声が聞こえた」

と、こころが言うと、

「ただの錯覚ですよ~」

とこころは言う。ここあもただの錯覚だと思った。

「ついにラブライブ決勝。陸上の決勝より血は騒ぐ!!」

とはやてが言うと、

「そうでしょう、そうでしょう。これに勝てば日本一です」

と、はるかも答えていた。

 そして、亜里沙も、

「ついに来たよ、(絵里)お姉ちゃん。絶対に優勝するからね」

というと、みやこも、

「大丈夫ですよ。なんだって私達はオメガマックス(最大級の最大)ですから」

と、亜里沙の言葉に答えていた。

 愛はある方向を見ていた。

「ついに対決するときがきましたわね。カオルさんの望み、叶えてあげますからね」

と、その方向を見て誓っていた。

 そして、その方向にライトが光る。

「そして、最後は、私達こそ絶対王者。連覇を目指すはこの私達!!目指せ、伝説へ。福博女子大学付属のスクールアイドル、K9!!」

ヒューヒュー

会場から多くの歓声があがる。会場中、

K9!! K9!!

と、観客からK9コールが聞こえてきた。

「すごい。やっぱりK9の地元なんだね」

雪穂は驚く。

「どうですの。これなら今年も私達が優勝ですわ」

大声で笑い声が聞こえる。その笑い声が天のものであることを知ったのは天が最初に出てきたからだった。

 ぞくぞくと出てくるK9のメンバー達。まるで兵隊の行進と同じくまとまっていた。

「カオルはどうしているの!!」

ここあが心配そうに質問すると、2軍メンバーの安心院ゆずが答える。

「カオルはね、心を入れ替えたんだよ。そう、K9に絶対忠誠をね」

さらに同じく2軍メンバーの小賀値イリヤも答えた。

「K9の誇りを汚さなければよかったのにですね」

その言葉にあのこころもキレてしまう。

「そんなの横暴です~」

そんなのつゆ知らずのK9、そして、カオルがでてきた。

「わ、私はK9、天様に忠実なしもべ、阿蘇カオルです」

カオルはまるでロボットのような表情をしていたので、雪穂達8人は驚愕した。

「それでも人間ですか!!」

こころは叫ぶが、その声はカオルには届いていなかった。

 そして、天は意外な提案をしてきた。

「ここで言い争っていてはもともありません。ここは1つの賭けをしましょう」

この提案に雪穂は、

「その賭けとは何?」

と怒りながら言う。そんな天はその提案を発表した。

「それはね、ラブライブで優勝した方が1つお願いを叶えてあげる。もし、オメガマックスが優勝したらカオルをもとに戻してあげる。もし、K9が優勝したら、オメガマックスはすぐに解散、そして、秋葉愛さんを頂くわ」

天の勝手な提案、これには母親でK9顧問の中洲博子も、

「それはやめなさい。いつも言っているでしょ、愛さんを狙うのはやめなさいと」

だが、天のわがままは顧問、いや、母親の言うことすら受け付けなかった。

「私達K9が勝のは自明の理。天地がひっくり返らない限り、負けることはない。それに、私の願いは必ず叶うものなのよ、このスクールアイドルの世界の中ではね」

まるで最終ボスのような雰囲気が天からでていた。

「そんなこと、やめなさい!!」

博子がいくらいっても天の考えは変わらなかった。

 そして、天は愛に言う。

「さっさとその提案を受けなさい」

「でも、それは…」

少しうろたえる愛。しかし、そのとき、

「その提案、受けた!!」

と、雪穂がずばっと言った。

「雪穂、それだとみんなに迷惑をかけてしまいますわ」

と、愛がそう言って雪穂に詰め寄るが、

「私達はK9に勝つために、そして、ラブライブを楽しむために練習してきた。そんな、私達がK9に負けるわけないでしょ」

そして、みやこがそれを援護するような発言をする。

「そうですよ。私達の力はあのμ’sすら超えているんですから」

この言葉にはるか、はやて、亜里沙、こころ、ここあは自信をもってうなずいた。

「そうですね。私達はオメガマックス。最大級の最大たる力を持つグループでしたね」

愛はそう言うと、天にこう言った。

「その提案、受けて立ちますわ。そして、必ず私達が優勝しますわ」

そんなとき、ある女性の声が審査員席から聞こえてきた。

「2人とも、争いはそれまでにして。プログラムを進めましょう」

いきなり審査員席にライトが当たる。レポーターはそれに合わせて、

「それではスクールアイドルのみなさんに審査して頂く審査員を紹介します。まず、最初にA-RISE!!」

すると、真ん中にいた女性が答えた。

「は~い、雪穂ちゃん、お久しぶり」

「あっ、つばささん!!わ~い」

雪穂は真ん中にいたつばさこと綺羅つばさに手を振った。そして、つばさはレポーターの紹介を受けてこう名乗りをあげた。

「綺羅つばさ!!」

そして、横にいた2人も名乗りをあげる。

「統堂えれな!!」「優木あんじゅ!!」

そして、3人合わせて名乗りをあげる、。

「A-RISE!!」

キャー!!

と、会場中が騒いだ。そして、つばさはあることを言った。

「それから、天!!あまりわがままを言わないこと!!」

「はい、つばささん」

これに対して謝る天。

「って、どうして天さんのことを知っているのですか?」

と、雪穂はつばさに対して質問すると、

「実はね、半年前にK9の振付の指導をしたことがあるんだ」

と、つばさは言うと、続けて言う。

「けど、今回は審査員として厳しく見るから、そのつもりでよろしく!!」

キャー

と、会場中から黄色のため息が続出した。

 

「それでは、順番を発表するよ~」

レポーターがくじで決まった。出演の順番を言っていく。そして、

「K9は8番目、そして、おおとりはオメガマックス!!これは4年前の関東最終予選、A-RISEとμ'sの再現になるのではないでしょ~かね~」

と言うと、会場はヒートアップしてきた。

「それでは、一番最初のスクールアイドルよ~、でてこいや~」

レポーターも観客のボルテージがあがってくるにつれてヒートアップする。

 その裏で、はるかはキャンディーズ三姉妹を呼んでいた。

「すまないけど、打ち合わせ通りに証明が動くように頼んでください」

と、はるかが言うと、

「ここまできたなら、一蓮托生ですよ。はるかの旦那」

とランが答える。

「こうすれば会場が一体となるような演出ができるんだね」

と、スーが感心している。

「でも、成功したら、ラーメン食べ放題。連れて行ってくれるんだよね」

と、ミキは食い気の方ばかり気にしていた。

「ほかの7人にとって気休め程度かもしれない。けど、私は私で少しでも愛と続けていきたい。楽しんでいきたい。そのために頑張るのみだ」

と言って、少しでも頑張ろうとする素振りをしていた。

 

 次々にプログラムは消化していく。

 そして、8番目のグループ、K9が呼ばれた。

「それでは、8番目のK9のみなさーん、準備をしてください」

レポーターが言うと、K9がでてきた。天を先頭に後ろから兵隊みたいにきっちりと歩いていた。

「あれ、あれれ。あの衣装、何か何かに似ている?」

ここあがK9の衣装に注目し、そのように言った。

「そうですね。夏なのに、セーターやジャンバーまで来ていますね。半袖ですが」

と、はるかもそのことを気にしていたらしく、そう答えた。

「もしかすると…、K9の曲はあの曲だね」

と、雪穂もK9の曲が解ったがごとく言った。

「あの曲ってなんですか?」

と、みやこは「わからないですよ」という顔でもって答えていた。

それに対し、雪穂は答えた。

「ラブライブといえばμ’s、μ’sといえばあの曲。そう、4年前の関東最終予選でA-RISEを破ったあの曲」

そして、K9はステージに立つと、あの曲の隊形に並んだ。並び終わると、天が語り始めた。

「私達は優勝するために頑張ってきました。ここで全力を出したいと思います。それでは、K9で『Snow halation』」

そして、曲が流れ始めた。

 

 最初は祈りのポーズから立ち上がり、軽くジャンプする。観客もそれに合わせてラブライブレードを白にして振っていた。

 そして、Aサビにはいると、上に手を伸ばし、大きく腕を回していく。Aサビの最後に手を前に伸ばしていく。観客もそれに合わせて手を前に伸ばしていった。

 そして、最後の間奏にはいるとき、K9のメンバーは耳を澄ませるポーズをしていく。天のあのセリフを言った瞬間、観客席のラブライブレードの色は白からオレンジに一気に変わった。

 

 これを見ていた雪穂達8人。

「観客と一体になっている。これで勝てるの…」

亜里沙が心配そうに言っていた。

「スノハレなら観客もよく知っているだから、会場全体が一体化したでしょう」

と、はるかは冷静に分析していた。このスノハレ、μ’sがA-RISEを破った曲として有名であり、多くのスクールアイドルがカバーしていた。また、観客もよく知っている曲でもあり、その曲の対応の仕方も観客全員が知っていたとしても過言はなかった。だが、K9のスノハレはどのスクールアイドルと比べものにならないくらい、いや、μ’sと見間違えない、いや、それ以上の完璧度だった。まるで、ロボットが完コピして踊っているように見えていた。雪穂達はそれを見て、亜里沙と愛以外はだまっているしかできなkった。

 

 そして、曲が終わる。

キャー

観客席からどよめきが起こった。興奮せざるをえない状況である。

「中洲天さん、これまた素晴らしいスノハレですね」

と、つばさが天に言うと、天も、

「感想ありがとうございます。スノハレはよく歌われる曲ですが、それをK9として極限まで追求したらどうなるのかという思いで歌っておりました」

と言う。つばさはさらに天に、

「歌といい、ダンスといい、観客との一体感といい、どれをとっても完璧(・・)でしたね」

と言うと、天も、

「私達は常に完璧でないといけない。それがスクールアイドルの絶対女王である責務ですから」

と言う。

 レポーターはK9とつばさを見るなり、

「それではお時間となりましたので…、K9で『Snow halation』でした。盛大な拍手をお願いしますよ~」

と言う。そして、天たちK9も、

「K9でした。ありがとうございました」

バチバチバチ

観客からは大きな拍手が湧きあがっていた。

 

「ついに私達ですわね」

愛が震えて話していた。

「あんなスノハレ、見せられたら、私達の歌って子どもレベルしか見られない」

と、亜里沙もぶるぶる震えて言っている。

「もう駄目です~。棄権しましょうです~」

と、こころも自信を喪失しているみたいに言った。他のメンバーも自信喪失のか、声が出せない状況だった。

 が、1人だけ自信を失っていなかった。

「そんな歌、見せられたらすごいとしか言えないよ。でも、私達は絶対にそれさえ超えることが出来ますよ。ね、雪穂さん」

その声の主はみやこだった。みやこだけはあのK9の完璧なスノハレを見て、観客みたいに興奮していたのだ。でも、それでも自分達はそれを超えていけるという自信に満ちあふれていた。

 突然みやこからふられた雪穂、ちょっと戸惑いつつこう言った。

「そ、そうだよね。わ、私達なら、で、できるよね」

そして、みやこはそんな雪穂にこう言った。

「そうですよ。なんだって楽しんだもの勝ちですから」

 この言葉に雪穂はあることを思い出した。それは穂乃果がNYでのTV撮影から帰国したあと、南理事長からμ’sを続けて欲しいと言われ、そのことをベッドで考えていたとき、雪穂が穂乃果に言った言葉「μ’sは楽しんでやっている」その言葉そのもの(ラブライブ劇場版参照)だった。

ハハハハハ

その言葉を思い出した雪穂は突然笑いだした。

「おい、気を悪くしたのか?」

と、はやてが雪穂に問うと、雪穂はみやこ以外の6人に言った。

「いや、その逆。私達はこれまでラブライブを楽しんできたから決勝まで進んできたんだよ。たとえ、優勝できなくてもいい。どんな結果でも楽しんでいけばそれでいいんだよ」

そして、雪穂はこの言葉を出した。

「大丈夫だよ。一生懸命頑張って、一生懸命楽しめば、結果はついてきてくれる。これが最後になるかもしれない。けど、楽しんで、全力で、やっていきましょう」

この言葉に6人の顔に笑顔が戻った。はるかは、

「私達、楽しんでいけば、それで大丈夫!!」

と言う。

「そうですね。楽しんでいけばいいんですね」

と、愛がこう言うと、はやても、

「そうだな、僕としたことが、一番大事なことを忘れていたね」

と言う。

「ここからが本番!!K9にギャフンと言わせる!!」

と、ここあが言うと、こころも決意をあらわに、

「そうです。あのカオルさんも私達のダンスを見て変わるです~」

と言う。

 そして、最後に亜里沙ははこう言った。

「どんな結果になっても、めいいっぱい楽しめば、良い結果になりますね」

 そして、雪穂は全員を集め、円陣を組んで言った。

「最後のライブになるかもしれない。けど、一生懸命楽しんで、一生懸命頑張っていこう!!」

  言い終わると、名乗りをあげた。

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」

「「「「「「「「オメガー、マックス、アップ!!」」」」」」」」

 そんなとき、係員から呼び出しがきた。

「オメガマックスさん、お願いします」

「「「「「「「「ハイッ」」」」」」」」

大きな掛け声と共に、8人はステージに出ていった。

 

「オオトリのオメガマックスの登場で~す!!あら、全員可愛い衣装ですね」

レポーターはオメガマックスが出てくるなり、衣装のことを気にしてか言ってきた。

はるかがそれに答える。

「全員、白のワンピースですが、これには今から歌う曲に合わせてあります。それに、曲の途中でこの衣装の理由がわかります」

すると、レポーターが喜びだしてこう言った。

「それはすごいことがおきるのか~」

 そして、雪穂は観客にお願いをした。

「観客のみなさん、ときどきモニターを見てください。特に最後のサビの前のところは注意して見てください」

お願いが終わると、レポーターは始まりの合図を行った。

「それでは、オメガマックスのみなさん、お願いします」

すると、雪穂は、

「それでは聞いてください」

と言うと、8人全員で

「「「「「「「「一番小さな彼女」」」」」」」

と、曲を紹介した。

 

ラブライブΩ 第13話 ED 「一番小さな彼女」

 

「私には大きな夢がある

そびえたつ高い壁

その頂きにキスすること」

 

歌が始まると、観客達はラブライブレードを白にして振っている。それはまるで白い草原のような光景だった。

 

「しかし私にはできない

背伸びしても届かない

私の小さな体では

 

tall taller tallest

高く もっと高く さらに高く

一生懸命背伸びをする」

 

オメガマックスの歌と白い草原のような観客席、それを見て、カオルはある言葉を言った。

「キ…、キレイ…」

何かが変わろうとしている瞬間だった。

 

「夢が叶ったらどんなになるんだろう

とても楽しくなるんだろうか

それとも悲しくなるんだろうか

どんなになったとしても

私は知りたい

どんな世界が広がるのかを」

 

カオルはさらに次の言葉を発した。

「ほ、本当に…、キレイ…、この歌…、もいい…」

 

「僕には大きな夢がある

遥かなる高さの宇宙

その地上にキスすること

 

しかし僕にはできない

かがんでも届かない

僕の大きな体では

 

short shorter shortest

低く もっと低く さらに低く

一生懸命かがんでみる

 

夢が叶ったらどんな味がするんだろう

とても甘いんだろうか

それともすっぱいんだろうか

僕は知りたい

どんな味がひろがるのかを」

 

観客全てがモニターを見る。そして、ある言葉を見てその準備に入った。モニターが見えないところにいるK9。その光景を見て、天は言った。

「何が始まるのですか?何が?」

 

「高く もっと高く さらに高く

低く もっと低く さらに低く

もっと もっと 背伸びをして

もっと もっと かがんでみて」

 

 そして、雪穂達8人は手のひらを口に近づけて唇につけた。その唇から手を離した瞬間、

「チュ」

という音が8人全員から鳴り出した。

 その瞬間、観客席は白い草原からピンクの草原へと変わった。いや、それだけではなかった。会場中のライトがオメガマックスに当たった。それはピンクのライトだった。そして、白の衣装はピンク色に染まった。これには観客席からどよめきが起きた。

 そして、それはカオルにも変化を与えた。

「き…きれい。本当に綺麗だよ。すごいよ、天。すごいよ」

束縛された意識が解放された瞬間だった。天はこれを見て、

「どうしたってことなの?なにが起きているの?」

と、騒ぎ始めた。

 

「素晴らしい(素晴らしい)

世界が広がったよ

体中(体中)衝撃を感じちゃったよ

目と目(口と口)

ココロとココロ 一瞬で(一瞬で)つながったよ

こんな(こんな)気持ちいいこと初めて

本当に(本当に)不思議な感じでした

 

ファーストキスは恋の味でした」

 

 歌が終わると、

キャー すごい すごい キャー

と、K9のとき以上の歓声が聞こえてきた。

「これはすごい演出でした。いや、歌そのものもすごいで~す。でも、観客との一体感、どうしてできたのでしょうかね~」

と、レポーターが言うと、はるかが答えた。

「あれは私の知人にお願いして、モニターに観客が私達と一緒に曲を楽しむための指示を出していたんです。もちろん、曲の途中のピンクのライトを私達にあてるのも私達からお願いしたものです」

すると、レポーターは突然あることを言い出した。

「新曲にも関わらず、ここにいるみんなと一緒に一体となって楽しめるようにすること、そして、みんなを驚かす演出、く~、すごいすごい。まるで会場全体で少女の心の中を表しているような状況を作り出していましたね。ということで、オメガマックスのみなさん~、ありがとう」

「オメガマックスでした。ありがとうございました」

と、雪穂達8人が言うと、大きな歓声と拍手の中、ステージ袖にはけていった。一方、天はこの歌の光景とカオルの催眠が解けてしまたことに驚きを隠せなかった。

 

 オメガマックスの演出が終わり、すぐに審査となった。

 そして、待つこと15分後、審査員がステージ上に出てきて結果発表となった。

「それでは発表します。今年のラブライブ優勝は…」

レポーターの掛け声でドラムロールが鳴り響く。そして、ドラムロールが鳴り終わると、レポーターが優勝校を高々に宣言する。

「今年の優勝校は音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックス!!」

オメガ オメガ オメガ オメガ

会場中がオメガコールで埋まった。

 だが、この結果に納得できないものもいた。

「なぜだ、なぜですか。私達K9がオメガマックスより完璧だったはず。なのに、なぜ」

天だった。それに対しA-RISEのつばさは言った。

「K9の歌もダンスも完璧。いや、完璧すぎた。まるでそのまま真似できるロボットのようだった。それに比べ、オメガマックスは新曲だが、それでも完璧に、そして、観客と一体となって歌っていた。そして、楽しんでいた。どちらがインパクトあるかな」

そして、あることをつばさは言った。

「ここ数年でスクールアイドル勝利至上主義という勝った方が負けた方を見下すという風潮が出ている。しかし、スクールアイドルは本来、みんなが楽しむもの。ラブライブもその延長でしかない。そんな考え方はやめてほしい。これは私だけでなく、μ'sを含めたスクールアイドルの先輩達からの願いでもある」

尊敬するつばさからのこのようなことを言われた天。そして、天が崩れた。

「つばささんから言われた。私の考え、そのものが間違い…、勝利することしか…、考えていなかった…、勝つことが全て…、でも、間違い…」

そんな天に雪穂は近づいてこう言った。

「楽しんでやった方が伸びるんだよ、無限に」

これを聞いた天、雪に抱きつきこう言った。

「ありがとう…、これで…、自分の気持ちに…、整理がついた…」

そして、天は立ち上がり、こう言った。

「私、変わるよ。これからはみんんと楽しんでいきます!!」

「で、賭けの結果は…?って、見ればわかるね」

ここあがこう言うと、カオルの方を見た。

「天、楽しかったね。面白かったね。凄かったね。これがスクールアイドルだね」

カオルは天の周りを喜びながら騒いでいた。天もにっこりとほほ笑んでいた。

 だが、1人、そう思わない人がいた。

「なにがやめましょうですか。なにが間違いですか。勝利こそ全てだ!!」

中洲博子だった。まだ、スクールアイドル勝利至上主義に凝り固まっていた。

「司会!!例のプログラム、発動しなさい!!」

博子は司会であるレポーターに命令をだした。

「は、はい!!ここでとっておきのプログラムを発動しちゃいまーす。今回優勝したオメガマックスにはスペシャルゲストと戦っていただきます」

ジャジャジャジャーン

という大きな音が鳴り響き、ステージ上にスペシャルゲストが現れる。最初はスモークで見えにくかったが、スモークが晴れるにつれて、ある9人組が現れ出した。

 それを見た雪穂はいきなり叫んだ。

「お、お姉ちゃん!!」

 

次回、叶え、世界中(みんな)の夢!!

 




 こんにちは。La55です。みなさん、お元気でしたか。ついにオメガマックスとK9との対決に終止符が打たれました。だが、中洲博子の陰謀によりまた一波乱ありそうです。そして、来週が本編の最終回になります。長い間お付き合いいただきありがとうございます。でも、このお話はまだ終わりではありません。まだまだ続きます。

 で、今回の歌「一番小さな彼女」はこの作品に出てくる曲の中で唯一のバラードかつラブソングとなります(でいいのかな?)μ’sの代表作のスノハレを意識した曲なのですが、スノハレの白からオレンジに変わるシーンに変わるとてもインパクトのあるシーンをつくりたいと思うとかなり大変でした。ものすごくインパクトのあるシーンなので、それに匹敵するもの、ということで、2人がキスするところを考え付きました。ものすごくインパクトあるかな?

 近況ですが、本編に続いて、プラスαの方も書き終わりました。そして、打ち込みもプラスαの第1話を打ち込み終わりました。プラスαは全4話となります。来週が本編最終回ですが、翌週にはある資料を公開します。プラスαの掲載は翌々週から毎週投稿予定です。でも、この作品を構想してから1年2ヶ月、本当に長いものでした。ここまでやってこれたのも読者のおかげだと思っております。本当にありがとうございます。もう少しお付き合いください
 
 と、いうわけで、来週、いよいよ本編の最終回!!それまでのしばしお別れです。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 叶え!!世界中(みんな)の夢!!

「お…、お姉ちゃん」

雪穂は叫んだ。とても見知っている人物が現れたからだった。

「ん、雪穂、やっほ~」

雪穂の前に現れたのは雪穂の姉、高坂穂乃果だった。

「わわっ、わわわわ」

はるかは興奮していた。あの伝説のスクールアイドルが降臨したからだった。

「みなさん、お元気でしたか」

穂乃果の隣にいた海未が挨拶する。

 そして、レポーターは興奮気味で紹介した、伝説を。

「いまや、伝説の~、スクールアイドル、μ’s、ここに降臨“”」

ヒューヒュー

観客、いや、会場中が興奮のるつぼと化した。

 

最終話 叶え!!世界中(みんな)の夢!!

 

「μ’sです。よろしくお願いします!!」

ステージには穂乃果達μ’sの9人が横一列に並んでいた。

「(絵里)お姉ちゃん」

亜里沙が絵里を呼んだ。

「あっ、亜里沙、よく頑張ったね」

絵里はラブライブ優勝を果たした亜里沙を撫でて褒めた。

「まきりんぱなのみなさん、こ、こんにちは…」

はるかはコチコチになりながら、まきりんぱなに挨拶をする。

「わーい、私達の後輩だニャー」

凛が興奮してはるか、愛の周りを飛び回る。

「わ、私達こそ、こんにちは」

花陽も緊張気味で挨拶する。

「秋葉愛さん、とてもいい曲、とてもいい音色、素晴らしいじゃない」

真姫が愛の曲を褒めていた。

「ありがとうございます」

愛は真姫の前でも緊張せずにお礼を言う。

「海未先輩、おはようございます」

はやては偉大な先輩の海未に少し緊張しながら挨拶をした。

「はやてさんですかね。こちらこそよろしくって、お互い様ですね」

海未緊張気味のはやてを心思ってやさしく挨拶する。

「ことりさん、こんにちは!!最近はどうですか?」

みやこはことりの前ではしゃいでいた。

「…、みやこちゃん…」

ことりはそんなみやこに戸惑いを見せていた。

「(にこ)お姉様、どうしてここにいるんですか?」

こころがにこにどうしてここにいるのか質問するが、

「それよりも、いつものあれ、しよう、にこにこに~」

と、ここあがにこにいつものあれを請求する。

「そうだねぇ、にこにこに~」

にこは少しとぼけるふりをして、いつものあれをする。すると、こころあも、

「「にこにこに~」」

と、にこに合わせてする。

「てっ、こうしている場合じゃない。(穂乃果)お姉ちゃん、どうしてここにいるんですか」

雪穂は現実に戻り、穂乃果に質問する。

「だって、ここに呼ばれたに決まっているじゃない」

穂乃果は当然のように答える。

 そこに、博子が現れた。そして、言った。

「μ’sのみんさんは私が呼び出しました。本来なら、K9が優勝し、μ’sにも勝つことで私の育てたK9こそ、日本で一番のスクールアイドルだと証明したかったのですが、予定が狂ってしまいました。ここはμ’sに勝ってもらい、伝説には逆らえない、そして、勝利こそ全てであることを証明してもらいますわ」

そこに天が母親である博子に駆け寄り、こう言った。

「お母さん、もうやめようよ」

でも、博子は次のように言って、天につらくあたる。

「お前は負けてしまった。負け犬だ。そんなやつは私の子どもじゃない。さっさと去れ」

「お母さん!!」

天はそう言って博子に抱きつこうとするが、博子はそれを振りほどいた。

「(穂乃果)お姉ちゃん!!こんな大人の策略にのっていいの!!」

雪穂は穂乃果に詰め寄るが、穂乃果はこう言って簡単にあしらった。

「私達はだた観客のために歌うだけ。それが彼女(博子)の策略だって関係ないもん」

雪穂はこれを聞いて完全に怒ってこう言った。

「(穂乃果)姉ちゃんのわからずや!!」

博子と天、雪穂と穂乃果、この2組の光景を見たレポーターはすぐに幕引きを図るようにしようとしてこう言った。

「え~、見苦しい光景を見せてしまい申し訳ございませんでした。とはいえ、ラブライブに優勝したオメガマックス。あの伝説のスクールアイドル、μ’sとまさかの対決!!はたして、どちらが勝のでしょうか。楽しみですねー。しか~し、ちょっとここで休憩を入れさせてくれ。今から15分後、再開するぜ。それまでボルテージをマックスにしていてくれ~」

 そして、怒りに満ちている雪穂を愛とはやてが無理やりステージ袖に連れて行く。それ以外のオメガマックスのメンバー、μ’sともそれぞれの楽屋に戻った。あの博子と天を残して。

 

「なんなの。(穂乃果)姉ちゃんの態度。本当にノー天気なんだから!!」

雪穂の怒りは楽屋に戻っても収まらなかった。

 だが、普段通りではないメンバーがあと3人いた。

「(絵里)お、お姉ちゃんとた、戦う、か、勝てるの、か、かな~」

亜里沙はこう言うと、ここあも、

「あの偉大な(にこ)姉ちゃんと戦うなんて、勝てっこないよ~」

と言い、こころも、

「勝つなんて無理なんです~」

と駄々をこねていた。 

 亜里沙、こころあの3人はμ’sのお姉ちゃんと戦うことを前に自信を喪失していた。μ’sが優勝したラブライブを身近に見てきた姉の偉大さを直接感じていたからだった。

 そんな4人を見て、業を煮やしたメンバーがいた。そして、そのメンバーが雪穂の前に立った。

パシッ

楽屋内に雪穂のほっぺを叩く音が鳴り響いた。

「み、みやこ…」

雪穂は驚いていた。雪穂のほっぺを叩いたのは…、みやこだった。みやこは言った。

「雪穂さん!!よく考えて見て下さい!!確かに穂乃果先輩はあの中洲博子の策略にのせられているかもしれません。しかし、よく穂乃果先輩の話を思い出してください。観客のために歌う。それって私と同じくみんなとスクールアイドルを楽しもうとしているのでありませんか!!」

その言葉に愛が続けて言う。

「みやこの言う通りですわ。亜里沙、こころ、ここあも聞いてください。私達はこれまで4か月間、いろんあことがありました。雪穂達と私達のユニット対決、こころあのイタズラ騒動、期末テストの攻防、iD、K9との対決、紆余曲折はありましたが、それを私達は一緒に乗り越えてきましたではありませんか。思い出してください」

穂乃果、亜里沙、こころ、ここあは思い出していた、これまでの4か月間、愛、はるか、はやて、みやこと一緒にやってきた日々を、8人一緒にやってきた日々を。

「私もあの伝説のスクールアイドル、μ’sと戦えることを考えると膝がぶるぶるする気がします。でも、それでも、私は伝説を超える、絶好の機会だと思っております」

はるかがこう言うと、はやてもこう言った。

「僕達は伝説を超えていく。けっこういい響きじゃないか。それに、伝説を超えていくといった最終目標、かっこよくないか」

 そして、最後にみやこが4人にこう言った。

「私達は楽しくやってきたからここまでやってこられた。最初、雪穂さんと亜里沙さんだけの「ラブライブ優勝」の夢、それが私達5人が加わり、楽しく、そして、仲良くやってきたから達成できた。それをあのμ’sに、伝説にぶつけていきましょう」

 それを聞いた穂乃果、ありさ、こころ、ここあの4人。

「そうでした。私としたことが、最初からあきらめていたなんて…」

と、亜里沙は明るい顔でこう言うと、ここあも、

「そうだね。(にこ)お姉ちゃんにいいところみせないと、イヒヒヒ」

と、イタズラしそうな顔でいい、こころも、

「そうです、そうです。(にこ)お姉様をぎゃふんと言わせてやるです~」

と、喜んで言った。

 そして、雪穂はみんなの前に立ち、こう訴えた。

「そうだよ。私達はこれまで楽しんでスクールアイドルを続けてきたから、これまでやってこれた。お姉ちゃんたち楽しんでやってきたから伝説になったんだ。なら、どれだけ楽しんだかによって結果も決まるんだ。あの女(博子)の策略なんて関係ない。私達は私達で楽しんでいこう、そして、伝説を超えていこう!!」

この雪穂の決意に7人は、

「「「「「「「オー!!」」」」」」」

と、大声で答えていた。

 

「ついにオメガマックスvsμ’sの対決が始まります。オメガマックスは伝説を超えるのか。それとも、μ’sが伝説として力を発揮するのか」

休憩してまもなく、レポーターがこう言って観客を煽っていた。そのためか、観客のボルテージはマックスとなっていた。

 ステージ袖からオメガマックスとμ’sが出てくる。それぞれ、ステージ衣装に着替えての登場だった。

「あっ、雪穂~、その衣装でどこかに冒険でもいくの~」

穂乃果が雪穂に対してマイク越しに言う。そう、オメガマックスは冒険に行くような衣装で登場したのだ。雪穂はそれに対して穂乃果にマイク越しに言う。

「そういう(穂乃果)お姉ちゃんこそ、どこかのカーニバルでも行くんですか~」

対するμ’sはカーニバル風の衣装を着ていた。ただ、オメガマックスが冒険福か探検服のような格好でところどころにメンバーのカラーがあしわられているに対し、μ’sの衣装は衣装全てがメンバーのカラーに染まっている。

「雪穂、あれって、あの曲用の衣装だよね」

亜里沙が雪穂にこそこそと耳打ちする。雪穂も、

「そうだね。あの曲をここで披露するんだ」

と言う。これに気付いたはるかは雪穂に質問した。

「あの曲って、なんですか?」

雪穂はあることを話した。

「マキシマムとのユニット対決、亜里沙が楽譜帳を持っていたことをおぼえていない?あの楽譜帳にのっていたんだけど、これまで発表したことがない曲なんだ。それをここで発表するなんて」

「それってすごいことなんじゃ…」

はるかが驚いているうちにμ’sのスタンバイが終わった。

「ついに伝説のステージが始まります!!それではμ'sのみなさん、お願いします!!」

レポーターの声と共に穂乃果が前に出る。そして、穂乃果が言う。

「みなさん、こんにちは。私達…」

「「「「「「「「「μ’sです」」」」」」」」」

と、全員で名乗りをあげた。穂乃果は続けて言う。

「私達は久しぶりに9人で集まったのはほんの1か月前でした。ラブライブの事務局からサプライズゲストとして出演して欲しいと言われました。最初は乗り気ではありませんでした。が、また9人でなにかをやりたいと思い、ここに集まりました」

その横から希が言う。

「だってカードがそう伝えたんだから」

ほのかはその望みの言葉を受け、言う。

「たしかに、カードの言う通り、この1ヶ月間、この9人で練習すると、昔の楽しかった思い出がよみがえりました。久しぶりの感触、久しぶりに思い出す楽しかったあの日々、それにつれて、とても楽しく練習してきました。その楽しさをここで、オメガマックスにぶつけたいと思います!!」

 そして、あの曲のスタート位置に9人は並んだ。

「今から歌う曲は新曲となります」

エーーーー

穂乃果が言うと、会場中にどよめきがなった。ただ、穂乃果はそんなの関係ないがごとく言う、祭典の開幕を。

「聞いてください。μ’sで『Music S.T.A.R.T!!』」

 

真姫をセンターに手を挙げておろしてスタートした。そして、大きく踊る9人。サビに入ると、手を横に上げ、ジャンプし、膝まで手を下におろす。そして、大きく踊ってはサビではそれを繰り返す。会場中はμ’sのパーティーに招待された気分になっていた。それはまるでμ’sという楽しいパーティーを永遠と見てみたいように。

 

 そして、μ’sの曲が終わった。その瞬間、

ウォー

という観客の怒号が聞こえた。

「やっぱりμ’sは凄かった。たった1ヶ月で新曲を完璧に歌い上げるとは…」

レポーターの言葉に穂乃果が答える。

「それでも、この9人だからできたと思います」

「本当に楽しい1ヶ月だったと思います」

絵里がそう言うと、凛も、

「本当に楽しかったにゃー」

と、答える。

「もっと聞きたいと思うが、まだオメガマックスが控えているんだ。名残惜しいがそれはまたいつか。それではμ'sでした。大きな拍手、頂戴なぁ」

レポーターがこう言うと、観客はμ’sに対して大きな拍手で送った。

 

「これがμ’sなんですね。凄いとしか言えないですね」

愛がそう言うと、はるかは、

「こ、これに勝てるんですかね」

と、足をぶるぶるしながら言った。

「これが雪穂さん達のお姉さんのライブ。凄いです。凄いです」

と、みやこははしゃいで言った。

「μ’sのライブにかける思い、そして、楽しさを受け取りました。が、僕達はそれ以上だと思うぜ」

と、はやては言う。

「そうです、そうです。私達の4か月間はにこ姉様の3年より濃いのです」

と、こころが言うと、

「濃度が濃い分、それだけ楽しんできた、ということだ!!」

と、自信を固めたように言う。

「亜里沙、この楽しさ、お姉ちゃん達にぶつけていこう。そして、勝とう!!」

と、雪穂は亜里沙に対して言うと、

「そうだよ。私達は伝説を超えていける存在だから」

と、亜里沙も何かを決意した風に言う。

「それでは、オメガマックスのみなさん、よろしくお願いします!!」

リポーターがこう言うと、オメガマックスはステージ中央に行き、円陣を組んだ。そして、手をグーにして前に突き出した。

「1」雪穂が言うと、ラブライブレスレットライトがオレンジに光る。

「2」亜里沙が言うと、水色に光る。「3」みやこがいうと、黄色に光る。

「4」愛が言うと、赤に光る。「5」はるかが言うと、緑色に光る。

「6」はやてが言うと、青に光る。「7」「8」こころあが言うと、それぞれ紫に光る。

 だが、名乗りはそれだけでは終わらなかった。観客席が騒いでいた。そして、観客から大きな声が聞こえてきた。あの声が、そう、あの声の大合唱であった。

「9」!!そして、観客席一面に青空を示すスカイブルー、雲を示す白色が広がった。

 びっくりして観客席を見る雪穂達8人。そこにはあのキャンディーズ3姉妹だけでなく、南理事長をはじめとした音乃木坂の生徒、先生のみんな、そして、穂乃果、雪穂の父母など関係者の姿があった。その人達を中心にラブライブレード、サイリューム、ペンライトなど全てが青空を描いていた。

「み、みんな~」

雪穂は涙を流していた。

「どうだ。私の父さんに頼んで、音乃木坂の全員を運んできちゃった」

と、ランが言うと、スーは、

「だって、私達姉妹の父さんは某航空会社の重役だもん」

と、答える。そして、ミキは、

「お前達の虹を青空で描いてやったぞ。これぞ、私達こそ9番目のオメガマックスメンバーだってことだぞ」

 これを聞いて、雪穂は想い言った。

「私達を応援してくれる人たちこそ9番目のオメガマックスなんだ。私達には前から9番目のメンバーがいたんだ。応援してくれる人たちが…」

これは雪穂だけでなく、ほかのメンバーもそう思っていた。

「ところで、なんでミキだけピンクなんだ」

雪穂はミキにツッコむと、

「だって、ピンクの方が目立つんだ」

と、とぼけて言った。

「よ~し、もう一回やりましょう」

雪穂が言うと、円陣を組みなおして、手を前に出した。

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」番号を言うごとに次々と虹色に染まっていく。

「9!!」そして、博多ドームに青空が描かれる(一人だけピンク)。

青空に虹が架かった瞬間、大声で叫ぶ。

「オメガ~、マックス、アップ!!」

オメガマックスはスタート位置に移動する。

 そして、雪穂が言った。

「聞いてください。私達の思いをぶつけます。オメガマックスで『ホライズン』!!」

 

ラブライブΩ 最終話 挿入歌 「ホライゾン」

 

何も見えない真っ暗な世の中

目印もなくたださまようのみ

まわりも見えず ただぶつかるだけ

ただ苦難(くるしみ)があるだけさ

 

だけど彼方から1つの光

さしこんできたよ

やぁっと見えました 希望(ゆめ)という道が

さあ行きましょう

明るい将来(あした)はすぐそこさ

 

(ホライゾン)

太陽が昇るたび

明るいあしたが待っている

まわりが見えなくても

必ず照らしてくれる

迷うことがあったとしても

見失うことがあったとしても

太陽(のぞみ)に向かって

ススメばいいのさ

 

太陽(ひかり)が沈み真っ暗な世の中

なにもなくたださまようのみ

音も聞こえずただしずかなだけ

ただ寂しさがあるだけさ

 

だけど真上からやさしい光

さしこんできたよ

やぁっと見えました 友という仲間が

さあ踊りましょう

強いキズナを結ぼうさ

 

(ホライゾン)

月が昇るたび

強い仲間が待っている

ひとりになっていても

必ず探してくれる

寂しいことがあったとしても

弱くなることがあったとしても

(仲間)と一緒に

ススメはいいのさ

 

日は東に 月は西に

月は東に 日は西に

必ず見える太陽(のぞみ)(仲間)

だから心配ない

胸をはって生きようぜ

 

太陽が昇るたび

明るい明日が待っている

月が昇るたび

強い仲間が待っている

迷うことがあったとしても

寂しいことがあったとしても

将来(あした)に向かって

ススメばいいのさ 

 

ウォーウォー

 曲が終わった瞬間、観客のボルテージはマックスを超え、振り切れようしていた。

「μ’sも凄いが、オメガマックスも凄いぞ~。いや、μ’s以上かもしれない。メンバーだけでなく、観客全員が「ホライゾン」と叫んでいた。これが会場全体で楽しむことなんだ。オメガマックスの隠された実力が出た瞬間かもしれないぞ~」

レポーターがそう叫ぶと、そこな大人、仕事はちゃんと進めた。

「とはいえ、これは勝負。μ’sとオメガマックス、どちらが良かった判定をどうぞ」

レポーターの声でA-RISEを含めた全員が判定する。すると、全員が…。レポーターが叫ぶ!!

「全員、オメガマックスに手を挙げたぞ。オメガマックス、勝利!!オメガマックス、ついに伝説を乗り越えたぞーーーーー!!!!」

ウォー

この瞬間、観客は雄叫びをあげた。そして、オメガマックスも、

「「「「「「「「やっ、ヤッター!!」」」」」」」」

8人は同時に言うと、まわりに集まり、泣きだした。はやてやみやこみたいにガッツポーズをするもの、雪穂、亜里沙みたいにずっと泣いているもの、メンバーそれぞれだった。

「ちょっと待って!!」

そんな興奮に水を差す1人の女性、中洲博子は叫んで止めた。そして、博子は言う。

「μ’sが負けた!!この私に勝利を運んでくれるんじゃないの!!このスクールアイドルという業界、勝つことが全て。μ’sと言う伝説すらあのできそこない(オメガマックス)に負けるなんて。μ’sが負ける、それこそ、伝説が終わるとき。そう、μ’sも地に落ちた、としか言えない…」

「ちょっとそれは聞き捨てなりません!!」

博子の言葉にキレた人物がいた。A-RISEのつばさだった。

「私は言ったはずです。スクールアイドル勝利至上主義はやめてほしいと。それは勝利ばかり目指すあまり、みんなで楽しむといったスクールアイドル本来の姿からかけ離れてしまうからです。そして、勝利した者が敗者を見下すことはその姿からさらに離れてしまう。結果、そのグループは孤独に陥る。K9がその典型でしょう」

そして、つばさは博子に断罪を下す。

「スクールアイドルは勝ち負けの世界ではない。アイドル、観客全てが楽しむことが一番大事なんだ。そんなことができないなんて、スクールアイドルの顧問としては失格です!!」

そう言われた博子は穂乃果にすり寄り、言った。

「ねぇ、穂乃果さんは私の意見に賛成なんでしょ」

でも、穂乃果の口からはまったく意外な答えを出した。

「スクールアイドルは楽しんでいく。楽しんでもらうことが大事!!」

「わ、私の答えが間違っていた…。いや、有望なアイドル特待生を集めれば…」

この言葉に穂乃果はすぐに反論した。

「それはちょっと違うかもしれない。だって、優秀な人達を集めても、それがうまく機能するかは別問題だから。チームワークが大切だからねぇ。あっ、そうだった。忘れていた。私達も海未ちゃん、ことりちゃんといった幼なじみで最初組んで、そして、次々と大きくなって9人になったんだよ。仲の良い、ときにはぶつかる。でも、最後はみんなと楽しむことが一番大事なんだよ」

穂乃果の言葉にただ茫然と立つ博子。

「わ、私の考えが全て間違っていた…。スクールアイドル勝利至上主は幻想だったの…。私が無理やり連れてきたアイドル特待生も…」

 そして、つばさは博子にこう言った。

「スクールアイドルは素人同然の人もいる。しかし、それでも、みんなで楽しもうとしている。覚えていてほしい。K9みたいに勝利のみに進むことはしないでほしい。みんなで楽しんでいきましょう、スクールアイドルの世界を!!」

この言葉はのちにスクールアイドル勝利至上主義とアイドル特待生制度に風穴を開ける言葉として、後世に語り継流れていく。

 しかし、この言葉で観客はさらにヒートアップした。

オメガ オメガ オメガ

オメガコールに沸く。しかし、ほかの言葉も。

μ’s μ’s μ’s A-RISE A-RISE A-RISE

3組を呼ぶ大合唱が鳴りやまない。

「みなさん、お静かに~。って、言えませんよ~」

レポーターも困惑している。そこに、雪穂があることを言った。

「それなら、オメガマックス、μ's、A-RISEで合同コンサート、ここで開いちゃいましょうか」

突然のアイデア。だが、穂乃果、つばさは乗り気だった。

「そうだな。突然だが、A-RISEとしてもここで決めないとな。私達は参加するぞ~」

つばさがこう言うと、穂乃果も、

「つばささん、ずる~い。私達も参加しま~す」

 こうして、突然、オメガマックス、μ’s、A-RISEの合同ライブ、のちに「後夜祭」と呼ばれるライブが始まった。

 

「私の夢が…」

突然始まったライブをよそに博子はただ立っていただけだった。

「お母さん、しっかりして」

天が博子を抱きしめて叫んだ。そして、天はこう言った。

「たしかにお母さんのしてきたことは間違っていたかもしれない。でも、それは学校を廃校から救うためにしたこと。それが成功したから暴走したのでしょ」

そう、博子は福博女子大学の廃校を防ぐためにアイドル科を作り、同じく廃校の危機のあった付属についても大学の下部組織としてアイドル科を作ったのだ。それが成功したのが、それに連れて暴走してしまったのが原因だった。

 そして、天は言った。

「その過ちは直せるんだよ。これからは私達も楽しくスクールアイドルをしていきたいんだよ。お願いだから、私と一緒にその過ちを直して、楽しんでいこうよ」

 そして、博子の周りにはK9のメンバーが集まっていた。

「私達からもお願いします。これからもご指導をお願いします」

みんなに代わり、カオルが博子にお願いをする。

 博子はK9のメンバーに声をかけた。

「私こそ、ごめん。でも、その願い、私からもお願いするね。これからはみんなと楽しみましょう」

すると、そこにオメガマックスのメンバーが現れた。

「K9のみなさん、観客が呼んでいるよ」

ここあが言うと、こころも言う。

「そうです、そうです。みんながお呼びです」

「天さんの歌声、とっても良かったですもの」

と、愛が言えば、はるかも言う。

「それでも愛の方が上ですけど」

「どちらでもいいんじゃないかな、今は」

と、はやてはこの2人にツッコむ。

 そして、

「K9を呼ぶ声が大きくなっています。はやく来てください」

と、亜里沙が言うと、

「さあ、行きましょう。私達のステージへ」

と、雪穂は天達K9を迎えようとしていた。

「わ、私達、行ってきます。お母さんも見ていてください。新生K9を」

オメガマックスに導かれ、ステージへと駆け上がるK9。そして、K9コールと共に、オメガマックスと一緒に歌いだすK9。博子はこの光景を見て、一言こう言った。

「綺麗…」

 

 こうして、博多ドームはオメガマックス、μ’s、A-RISE、K9を含めたスクールアイドル達の歌声が、いや、楽しみの声が響き渡っていた。

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

エピローグ?

2月20日、オメガマックスは博多県の宮地竹神社に来ていた。

パンパン

8人一緒に境内でお祈りする。

「さぁて、もう言う決心はついたね」

雪穂はほかの7人に確認を取る。

「うん。私達で決めたことだもんね」

と、亜里沙が言うと、愛、はるか、はやて、こころ、ここあが大きくうなづいた。

最後にみやこが、

「この8人で決めたことだもん。誰も反対しないよ」

と、言って大きくうなづいた。

「それなら、あの場所にいこう」

雪穂はこう言うと、8人はある場所に向かって移動した。

 

 ある場所、それは境内に続く石段のその先だった。そこにはすでにμ’sとA-RISE、そして、南理事長達、オメガマックスの関係者、いつものレポーター、それに、K9やiDの姿もあった。

「しかし、なんでこの場所に集まったのでしょうか。やはり、あの噂は本当でしょうか」

と、レポーターは不思議そうに言っていた。

 オメガマックスが境内から戻ってきた。石段を背にして横一列に並ぶ8人。

 そして、雪穂はあることを話し始めた。

「お集まりのみなさん。今日は集まってくださいましてありがとうございます。私達から重要なお知らせがございます。それでは聞いてください」

 そして、8人一緒に言った。

「「「「「「「「私達オメガマックスは3月31日をもって解散します!!」」」」」」」」

そして、8人の目から涙が流れ始めた。オメガマックスの解散、それはラブライブ終了後から決めていたことだった。今日、ここで、みんなの前で言う。雪穂がそう決めていたからだった。

「雪穂~。ついに決めたんだね。でも、なんで、今、発表なの?」

穂乃果が泣いている雪穂に質問する。

「だって、μ’sのときは、みんなに言わなかったから、ほかの人に迷惑かけたでしょ」

と、雪穂が言うと、穂乃果は、

「そうだっけ」

と、とぼけるふりをしていた。

 オメガマックスのメンバー達はそんなやり取りを見て笑ったり、泣き続けたりとしていた。周りにいる人達も泣いているものもいた。

「ついにオメガマックスから解散という2文字がでてきました。噂は本当だったようです」

レポーターはこう言ったが、その噂とは、オメガマックスの解散のことだった。去年の10月ごろからこの噂は広まっていた。μ’sの事例もあり、信ぴょう性のあるものだった。

 そして、レポーターはこう言い続けた。

「でも、解散を言い切ったオメガマックスのメンバーの顔は清々しいものになっております。でも、どうして今日の発表なんでしょうか」

 この問いに雪穂は答えた。

「それはね、これを見せたかったの」

そう言って、みんなを石段の上に移動させた。

 すると、みんな全てが次の言葉を言った。

「きれい…」

そこには夕日、そして、1直線に伸びる参道とその先にある島だった。その夕日は参道と島を一直線に照らしていた。

「私達にはこの道、ゴールデンロードを歩いて明るい将来へと向かいます」

と、雪穂が言うと、亜里沙も、

「たとえ、これからなにがあっても、この道のことを思い返せば」

と、言うと、みやこも、

「きっと大丈夫だと思います」

という。

「そして、私達のことを忘れても」

と、愛が言えば、

「この道のことを思い返せば」

と、はるかが言い、

「思い出してくれると信じています」

と、はやてが言う。

「オメガマックスとしての活動は終わるけど」

と、ここあが言うと、

「私達はこの道の先へと進んでいきたいです」

と、こころが締める。

ゴールデンロード、この先に進めるための解散。そう受け止める人達がほとんどだった。

 だが、発表はそれだけではなかった。雪穂は声をたからかに言う。

「そして、3月31日、秋葉原で3年ぶりにアイドルスクールフェスティバルを開催したいと思います」

 

3月31日、秋葉原はスクールアイドル一色となった。iD、K9をはじめとするスクールアイドル達が秋葉原各地でライブを開催していた。これは今日スクールアイドルを卒業する3年生の最後のライブとなると共に、オメガマックスの最後を飾るフェスティバルでもあった。

 各地で聞こえるライブの声や歓声を聞いて、雪穂は言った。

「やっぱ、スクールアイドルは楽しまないとね」

そう言って、ほかの7人と共に最後のステージへと立つ。そう、最後のステージ、それは、OBのμ's、A-RISEを含めた参加者全員の「Sunny Day Song」であった。

 参加者全員が楽しく踊っている。そして、曲が終わり、オメガマックスはこの日のために用意した新曲「TUBASA」を歌い踊った。このときのメンバーの表情はとても楽しく、これからも頑張っていこう、そう前向きに進もうとする姿となった。

 この8人ならこれから先も頑張っていけるだろう。そして、語り続けるだろう。そう、あなたと紡いだ伝説(ストーリー)を。(了?)

 

次回予告

 

ついに明かされるプラスαの真実。ラブライブ終了後からスクールアイドルフェスティバルの間に起こった真実を…。

 

ラブライブ最終章 ゴールデンロード~TUBASA・卒業、別れのとき~

 

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。今回で本編は最終回となります。長い間読んで頂きまして本当にありがとうございます。駄作だったと思いますが最後まで読んで頂いたとしたら感謝の気持ちでいっぱいです。

 で、今回の楽曲、「ホライゾン」は夢や希望、仲間のことを歌った曲となります。たとえ1人になったとしても夢や希望があれば、仲間がいれば進める曲となっております。みなさんはどうでしょうか。地平線の向こうに進むためにも大切にしたいものです。

 と、いうわけで、今回で終わり、ではありません。次回はある情報を公開しますが、次々回からはプラスαである最終章が始まります。雪穂達の運命はどうなるのでしょうか。卒業までにどのようなことが起こったのでしょうか。楽しみにお待ちください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブΩ詩集 その3

これはラブライブΩで使用した楽曲の詞集です。




ラブライブΩ 第11話 挿入歌 「ラーメンの歌」

 

(博多某所の有名店にて撮影)

 

しょうゆ みそ 塩にとんこつ

とりがら 魚介 カレー ダダダ

チャーシュー たまご ネギにメンマ

ナルト のり ごま しょうが ニンニク

 

いろんな具材が奏でるハーモニー

これ以上にない多重奏(シンフォニー)

それがラーメン されどラーメン

未完成だけどおいしいさ

 

みんな大好きラーメン(ラーメン)

とてもおいしいラーメン(ラーメン)

好みはまったく別だけど

ラーメン 大好き 小池さん(小池さん)

 

は:私、「バリやわ」で

あ:え~「バリやわ」それっておいしくないよー

は:なら「やわ」で

ろ:私は「ふつう」

あ:そんなら私「かた」で

は:むむ、私「バリかた」

ろあ:私達「ハリガネ」で、これで私達の勝ち~

は:それなら私「粉落とし」ちょうだい

店員:あの~、当店は~

ろあ:なんなら私達も「粉落とし」ちょうだい

 

旭川 札幌 津軽に酒田

喜多川 佐野 船橋 ダダダ

ブラック ベトコン 和歌山に津軽

鍋焼き 博多 久留米 熊本 鹿児島

 

いろんな場所で変わるハーモニー

まったく異なる夜想曲(ノクターン)

それがラーメン されどラーメン

世界中に向かって発信さ

 

世界で一番ラーメン(ラーメン)

全員大好きラーメン(ラーメン)

こんな言葉がはやったよ

ラーメン つけ麺 僕イケメン(僕イケメン)

 

ラーメン(ラーメン) ラーメン(ラーメン)

ラーメン(ラーメン) ラーメン(ラーメン)

 

ラーメンつるつる(ラーメンつるつる)

ラーメンつるつる(ラーメンつるつる)

さあ 仕上げましょう

 

みんな大好きラーメン(ラーメン)

とてもおいしいラーメン(ラーメン)

今や 世界で 一番の

おいしい ラーメン お待ちどう(お待ちどう)

 

はろあ:あの~ これ うどんなのですが~

店員:当店はうどん屋ですが

はろあ:え、えー

 

「博多はうどん発祥の地と言われ、

うどん激戦区でもある。

こしが柔らかい麺が特徴である」

(博多牧〇うどん本店にて撮影)

 

 

 

ラブライブΩ 第11話 挿入歌  K9テーマソング 「TE TO TE」

 

ポンと押すだけで友達申請

それでいいのですか

即読にしないと仲間外れ

本当にいいのですか

 

ネットだけの友達100人

本当の友達は何人ですか

自分を信じてくれる友達は

本当は何人ですか

 

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

 

ココロの鼓動が聞こえる

友のココロの声が聞こえる

それが友とつながる

友と一緒になることさ

 

友と一緒に手をつなぐ

友と言える仲間と一つとなった

そんな証なのさ

 

すぐに返信がメールのルール

それでいいのですか

異なることをすると仲間外れ

本当にいいのですか

 

カタチだけの友達100人

真実の友達は何人ですか

本音を語ってくれる友達は

本当は何人ですか

 

ME TO ME ME TO ME

見つめて(トントン)

ME TO ME ME TO ME

見つめて(トントン)

 

ココロの本音が見えてくる

友とココロの声を語れる

それがココロがつながる

ココロが一緒になることさ

 

友と一緒に見つめ合う

友といえる仲間と一緒になった

そんな証なのさ

 

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

ME TO ME ME TO ME

見つめて(トントン)

 

ココロとココロがリンクする

友とココロがつながりあえる

それが真の友情

ココロが一緒になることさ

 

 

 

ラブライブΩ 第11話 挿入歌 オメガマックス テーマソング 「虹」

 

大空に架かるアーチ

未来(あした)に続くゲート

その先には何があるのだろう

 

(赤)熱き心で  (オレンジ)みずみずしく

(黄)空を照らす (緑)りんりんと

(水)空にこめて (青)海と一緒に

(紫)全てが混ざり合おう

 

全ての色あつまりしとき

私たちは最大で最高の

仲間になるよ

 

虹色にひかる 空を駆け抜けていく

青色のキャンパスに虹を描こう

大空に輝く 七色の道しるべ

それが合図さ 私たちの

明るい未来(あした)へ進む合図さ

 

大雨に負けぬアーチ

苦難を超えるブリッジ

苦しみ超え何をするのだろう

 

(赤)太陽のように (オレンジ)果実のように

(黄)月のように  (緑)森のように

(水)空のように  (青)海のように

(紫)宇宙のように

 

全ての色あつまりしとき

この世の中最大で最高の

時代になるよ

 

青空が見える 雲を切り裂いていく

灰色のキャンパスに虹を描こう

暗き世の中を切り裂く 七色の閃光さ

それがサインさ 私たちの

キセキを起こして進むサインさ

 

五色 六色 言われているけど

私たちには関係ない

七色だから私たちはやれる

どんなことでも必ず虹をかけるさ

 

虹色にひかる 空を駆け抜けていく

青色のキャンパスに虹を描こう

大空に輝く 七色の道しるべ

それが合図さ 私たちの

明るい未来(あした)へ進む合図さ

 

 

 

ラブライブΩ 第13話 挿入歌 「一番小さな彼女」

 

私には大きな夢がある

そびえたつ高い壁

その頂きにキスすること

 

しかし私にはできない

背伸びしても届かない

私の小さな体では

 

tall taller tallest

高く もっと高く さらに高く

一生懸命背伸びをする

 

夢が叶ったらどんなになるんだろう

とても楽しくなるんだろうか

それとも悲しくなるんだろうか

どんなになったとしても

私は知りたい

どんな世界が広がるのかを

 

僕には大きな夢がある

遥かなる高さの宇宙

その地上にキスすること

 

しかし僕にはできない

かがんでも届かない

僕の大きな体では

 

short shorter shortest

低く もっと低く さらに低く

一生懸命かがんでみる

 

夢が叶ったらどんな味がするんだろう

とても甘いんだろうか

それともすっぱいんだろうか

僕は知りたい

どんな味がひろがるのかを

 

高く もっと高く さらに高く

低く もっと低く さらに低く

もっと もっと 背伸びをして

もっと もっと かがんでみて

 

チュ

 

素晴らしい(素晴らしい)

世界が広がったよ

体中(体中)衝撃を感じちゃったよ

目と目(口と口)

ココロとココロ 一瞬で(一瞬で)つながったよ

こんな(こんな)気持ちいいこと初めて

本当に(本当に)不思議な感じでした

 

ファーストキスは恋の味でした

 

 

 

ラブライブΩ 第14話 挿入歌 「ホライゾン」

 

何も見えない真っ暗な世の中

目印もなくたださまようのみ

まわりも見えず ただぶつかるだけ

ただ苦難(くるしみ)があるだけさ

 

だけど彼方から1つの光

さしこんできたよ

やぁっと見えました 希望(ゆめ)という道が

さあ行きましょう

明るい将来(あした)はすぐそこさ

 

(ホライゾン)

太陽が昇るたび

明るいあしたが待っている

まわりが見えなくても

必ず照らしてくれる

迷うことがあったとしても

見失うことがあったとしても

太陽(のぞみ)に向かって

ススメばいいのさ

 

太陽(ひかり)が沈み真っ暗な世の中

なにもなくたださまようのみ

音も聞こえずただしずかなだけ

ただ寂しさがあるだけさ

 

だけど真上からやさしい光

さしこんできたよ

やぁっと見えました 友という仲間が

さあ踊りましょう

強いキズナを結ぼうさ

 

(ホライゾン)

月が昇るたび

強い仲間が待っている

ひとりになっていても

必ず探してくれる

寂しいことがあったとしても

弱くなることがあったとしても

(仲間)と一緒に

ススメはいいのさ

 

日は東に 月は西に

月は東に 日は西に

必ず見える太陽(のぞみ)(仲間)

だから心配ない

胸をはって生きようぜ

 

太陽が昇るたび

明るい明日が待っている

月が昇るたび

強い仲間が待っている

迷うことがあったとしても

寂しいことがあったとしても

将来(あした)に向かって

ススメばいいのさ

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人物設定
人物設定






高坂雪穂(3年)

高坂穂乃果の妹。しっかりものかつ現実的。だが、どちらかといと穂乃果に似ており、猪突猛進なのがたまにキズ。また、ちょっと抜けているところがあり、これがトラブルを起こすこともある。しかし、姉と比べられるとちょっといやがる(けど、仲はとても良い)リーダー的存在?

絢瀬亜里沙(3年)

綾瀬絵里の妹。雪穂と共に音乃木坂入学時からスクールアイドルとして活動を開始する。ロシア暮らしが長いため、ところどころ違った日本観を披露する(お茶に砂糖をいれるなど)少し病弱なところがあるが、無理をしてでも頑張ろうとする。口癖は「ハラショー」入学前にμ’sの踊りを一生懸命練習しているせいか、練習時にμ’sの踊りが出てしまうことがある。

京城都(2年)

アイドルに少し憧れている少女。しかし、ガテン系であることを気にしており、自分がアイドルになるのは難しいと思っている。オメガマックスに入った理由はダイエットで少しでも痩せるようにするため。実際はガテン系なのは体質などのため、あまり痩せないので、ダイエットをしては結果でがっかりしている。見た目に反し、踊りはプロ級の腕前(ダイエットの一環でダンスをしているため)因みに、モデルは韓国のアイドルグループ、スーパージ○ニアのカ○ン(ニックネーム:ジャイアン)である。

秋葉愛(3年)

音楽一家の次女。名門の出であり、両親ともにプロの音楽家、姉は今やときめくアイドルグループのセンター。そのため、自分の能力は低いと思っており、そんな自分をけなしている。でも、実際、能力的には父母姉と比べてそれ以上のものを持っており、自分がそれに気付いていないため。オメガマックスの作曲、作詞を担当。性格的には少しツンデレ気味、かつ、なんでも一番じゃないと気に入らない。どんどん辞めていく雪穂達を見て、業を煮やしマキシマムを結成する。

代々木はるか(2年)

成績は音乃木坂どころか全国でもトップ10に入るほどの秀才。お金持ちの腰ぎんちゃく的存在で、愛のイエスマン。しかし、実態は隠れアイドルおたくであり、古今東西のアイドルデータベースを一人で作り上げるほど。体力はオメガマックスの中では一番低いが、それにあまるほどのアイドル脳であり、これが踊りのヒントにつながることもある。オメガマックス結成までは腰ぎんちゃく的な存在でしかなかったがその後は一人の少女として成長する。ちなみにメガネは伊達メガネで、実際は両目とも1.5。メガネをしている理由はその方が萌えるため。オメガマックスの衣装担当。

神宮はやて(2年)

愛の幼なじみであり、陸上部ではエースとして活躍していた。アイドルには疎く、マキシマムに入ったのは愛のプライドを捨てるまでの土下座に負けたため。体力はオメガマックス一であり、どんな特訓でもへこたれない。ただし、音楽センスは悪い為、音をはずすなどをよく行う。とても楽天的である。オメガマックス結成後は無理的な特訓を組み直し、より現実的かつ成長できるメニュー作りを行う。

矢澤こころ・ここあ(1年)

矢澤にこの妹、双子。オメガマックス結成後に加入する。こころは礼儀正しい少女であるが、アイドルの情熱はとても高く、はるかといい勝負。にこから引き継いだアイドルグッズを持っているため、オメガマックスが歌などで困ると、それを見て原点に戻ることもある。ここあはやんちゃな性格のため、オメガマックスの中ではトラブルメーカーになる。いろんなトラブルをしてはみんなを困らせるが、本当はみんなに構って欲しいために行っている。2人とも元気があるため、突撃隊長を務めることもある。

 

京城都→モデルとなったスーパージ○ニアの本拠地ソウルの日本名+韓国の首都

秋葉愛→アイドルの聖地秋葉原より+アイドルと愛をひっかけて

代々木はるか→代々木アニ○ーション学院と代々木ゼ○ナールとのひっかけ

       +遥かなる空へと行くため

神宮はやて→国立競技場などがある神宮より+新幹線「はやて」より

 

ナンシー

背が高く胸が大きい。グラマーであるため、アメリカではモデルをしていた。アクロバティックなダンスが得意。μ’sのNYでエンジェリックエンジェルの動画を見て、日本のアイドルを夢見るようになり、それがUTX留学へとつながる。性格はフレンドリーかつユーモアにあふれている。よく自分の自慢話をするが、相手も建てようとする。ナターシャは個人的に対応の仕方が難しいと思っている。実はナターシャのSNSの友達の1人(しかし、2人とも知らない)考え方は行き当たりばったりが多い。

ナターシャ

別名、サイレントプリンセス。ナンシーと比べて胸が小さいことを気にしている。(かといって貧乳ではないので、美乳に分類できる)SNS上では友達はたくさんいる。しかし、本当の友達といえる人は少ないがその友達は心の底から親友と言える。サイレントプリンセスの言われはどんなときも笑わないため(実は意味のない笑いはバカであると思っており、笑わないというわけではない。また、笑いどころをつかめていないこともある)影の努力家であり、特技の日本舞踊も来日後、先生のもとで一か月間休みなく練習した賜物。なお、アイドルになったのは日本舞踊以外で目標を探していたとき、たまたまμ’sのエンジェリックエンジェルの動画を見て感動したため。ナンシーに対して自分の予想を外されてばかりでどう対応すればいいかわからないと思っている。考えは計画的。

UTX学院

A-RISEの出身校。第3回にラブライブ優勝を果たしたが、福博女子大学付属の生徒と先生の強引な引き抜き工作により実力が下がっている。それでも関東では強豪の一つと数えられている。アイドル国際化の流れに乗って海外でのスカウトに力を入れている。

 

中洲天(福岡出身)特待生

K9リーダー。若干14歳で全国的アイドルグループFKO50のセンターになり、それにより福博女子大学付属にスカウトされる。K9リーダーとして常に降臨しているためか、エリート意識を持っており、相手を見下す、ほかのアイドルをどん底を見せるがごとくけなすなど心がゆがんでいる。実はエリート意識は常に完璧を求められてきた、アイドル勝利至上主義からくる周りからの重圧のためであり、ガラスのココロの持ち主である。本当はしっかりもので包容力がある。仕事熱心。他の対しても心配りできる人間である。カオルとは幼なじみである。

阿蘇カオル(熊本出身)一般生

K9二軍。悪ふざけが多く、ここあとはいい勝負。天とは幼なじみで天を大事に思っている。けど、まじめで頑張り屋であり、圧倒的な練習量をこなす。それが認められてK9一軍にいたが、アイドル勝利至上主義のもと、心を閉ざし、相手を見下すようになった天をみて顧問に直訴するも懲罰的に二軍に落とされた。少し頑固者でときたま自己中心的になりやすい。

霧島あや(鹿児島出身)特待生

K9一軍。大和撫子であり、誰に対してもやさしく、おしとやかに上品に接する。K9におけるダンスの要である。霧島グループ代表の一人娘である。無口であるが、それは女性は影であるという考えに基づく。しかし、不言実行タイプであり、一本気である。協調性がり、天に対しては影として支えていこうとしている。ちなみにK9については家庭であるという認識を持っている(家長は顧問)

新垣夕(ゆう)(沖縄出身)特待生

K9一軍。落とされてカオルの代わりに一軍に昇格した。沖縄ダンススクールでダンスを習っており、ダンスの腕前はピカイチ。楽天的で明るい。バイタリティあふれており、行動的。男勝り。カオル奪還計画作戦の隊長。ちなみに、K9については仲間として思っており、ダンスが出来ればそれで良いと楽天的に考えている。実はUTX所属だったが、福博女子大学付属に引き抜かれた。

高千穂羽衣(宮崎出身)一般生

K9二軍。のんびり屋。おっとりしていて、行動が遅い。周りからは空気が読めない子のイメージがあるが、それは計算しているから?細かいことをいちいち気にしない。一般生として劣等感を持っている。今回のカオル奪還作戦に手をつけたのも少しでも自分の地位を守りたいためである(一般生で二軍にいるのはカオルと羽衣のみ)

鹿島イネ(佐賀出身)特待生

K9二軍。保守的な考えを持つ。地道な努力で二軍まで上がってきた。何事にも一生懸命に行動する。出来事にはシビアに見てしまう癖があり、カオルが二軍に落ちたのは当たり前だと考えている。また、顧問の言うことは絶対と考えている。カオル奪還作戦もその延長戦上にあると考えている。

安心院ゆず(大分出身)特待生

K9二軍。現実主義でドライな性格。べったりついていくタイプでもあるが観察眼があり、相手にとって価値がなければ切り上げるところがある。ちょっと協調性に欠けるところがり、力がないと分かると他のところに行く渡り鳥タイプである。K9については力があるとみている。

小賀値イリヤ(長崎出身)特待生

日本人とオランダ人のハーフ。長い金髪がトレンドマーク。新しいもの好きであり、流行に敏感。いわゆる普通の学生だが、個性的であるK9の中ではあまり目立たないため、影が薄い。少し残念な女の子。K9については日本で一番のスクールアイドルであることに誇りを持っている。

顧問(本名:中洲博子)

K9の顧問であり、福博女子大学の学校長兼理事長。アイドル勝利至上主義のもと、全国の学校から生徒、先生を引き抜くことで福博女子大学付属を一躍トップレベルまで上げた。少し強引。なお、ねっからの悪人ではなく、本当は心優しい女性。なんでも熱心に一生懸命働く。実は福博女子大学を廃校の危機から救いたいための行動であった。なお、ラブライブ決勝にμ’sを呼んだ張本人である。理由はK9こそ日本一のスクールアイドルであることを証明したいため。

福博女子大学

アイドル学科を持つ4年制大学。5年前には定員割れしていた。そこで、大学創設家の中洲家は当時人気の出ていたスクールアイドルに注目、日本で初めてアイドル学科を創設。結果、全国的アイドルを輩出するようにまでになる。アイドル学科ではユニドルグループがいくつもあり、各グループが切磋琢磨しながら成長している。

福博女子大学付属

福博女子大学の付属。アイドル科を持つ学校。アイドル科は文字通りアイドルを育成するための学科である。福博女子大学に優秀なアイドル候補生を送り込むための機能を持つ。昔、福博女子大学の経営不振により、廃校の危機になった。しかし、中洲博子を中心としてアイドル科創設へと進むことで、K9を初めとしたトップレベルのスクールアイドルを育て、廃校の危機から脱した。福岡はアイドルの激戦区であり、数多くのアイドルグループがあるため、将来有望な学生を日夜スカウトしている。また、アイドルのトップレベルを維持するため、全国的に将来有望な学生、先生を強引にスカウトしている。

福博女子大学付属アイドル科

5クラス208名(1組~4組各50名、トップ8名)完全なるピラミッド構造となっており、完全実力主義となっている。クラス間の異動(入れ替え)も激しい。アイドル勝利至上主義のもと、各アイドルグループ間で競争している。

トップクラスは別名K9と呼ばれ、一軍3名、二軍5名で構成される。K9一軍は卒業と共にトップアイドルとしての道が約束されている。

なお、普通の入試で入る一般生とアイドル特待生として入学する特待生の2種類があるが、入学後は特に差別されない(ただ、特待生は一般生より能力が上であり、トップクラスにいることが多い)

 

 




あとがき

 こんにちは。La55です。今秋公開したのはこの物語の人物設定でした。期待していた方、申し訳ございません。この物語を作る上で最初にしたのはプロットと人物設定でした。この人物設定はあるものを参考にしています。オメガマックスについては雪穂、亜里沙、こころあ以外はμ’sのメンバーとは異なる性格をまず考えた上でいろいろと肉付けしていきました。そして、iDとK9についてはその人物の出身国、出身県の人たちから見えてくる性格(国民性、県民性)をもとに肉付けしました。
 とはいえ、自分の能力の無さのためか、この設定を100%活かすことができませんでした。もしかすると、枝編を書くことがあるのなら、この設定を活かすことがあるかもしれません。
 さて、来週からはプラスαとなる最終章が始まります。4回を予定しておりますが、もう1回増えるかもしれません。それができるかは自分の体力次第…。それでもがんばりますので最後までお楽しみください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終章 ゴールデンロード~TUBASA・卒業、別れのとき~
最終章オープニング


「あの伝説のスクールアイドルμ’sを破ったオメガマックスのみなさんでした」

「ありがとうございました」

「カット~」

ここは東京お台場のフガクTVのスタジオ。オメガマックスはここで情報番組の収録にゲストとして呼ばれていた。実はラブライブのμ’sとの対決でオメガマックスは一躍有名になった。理由は簡単。一時期とはいえ、μ’sは伝説になるくらい人気になった。その有名グループを破ったグループとして有名雑誌に取り上げられたため、一大ブームが起きたのだ。それから一か月ものあいだ、オメガマックスはいろんなメディアに引っ張りだこになった。

「しかし、これでテレビ局とはしばらくおさらばだね」

フガクTVの楽屋にて雪穂はこう嘆いていた。

「でも、それは仕方がありません」

嘆く雪穂に愛はそれが当たり前であるという気持ちで言っていた。

「たしかに仕方ありませんね。この一か月、各メディアに引っ張りだこ。そのために学生の本分である勉学に支障がでております」

はるかは愛の言葉を裏付けるような言葉で言ってみた。そう、ラブライブ終了の一か月後の現在まで、メディアの取材、TV取材などが連日続いていた。そのため、勉学に支障を兆していた。それを重く見た音乃木坂はこの日のフガクTVの出演を最後にメディア露出禁止令を出していた。

「でも、僕にとってはこれでいいと思うぞ」

と、はやては少し喜んだ表情で答えた。

「私はもうちょっと出たかったな~。あー、緑茶に砂糖いれるところみたいな~」

と、亜里沙はちょっと不機嫌な顔で言った。

「私はとても楽しかった。けど、はるかの言う通りだよ」

と、みやこははるかに賛同していた。

「もっと出たかった、出たかった」

と、ここあが駄々をこねると、

「私ももっと出たかったです~」

と、こころも駄々をこねる。

「こころちゃん、ここあちゃん。何円後になるかもしれないけど、そのときは私を含めて3人でTVに出ようね」

と、みやこがこころあをなだめる。

「やった~。約束、約束」

と、ここあが喜びながら言うと、こころも、

「約束ですよ~」

と、喜んで言った。

「話は変わるけど、これから先、私達、活動していく…?」

と、亜里沙が皆に問いかける。すると、みんな意外な反応をした。

「それは解散でしょ」

と、雪穂はあっさりと即答して言った。

「解散しかないでしょ」

と、愛が言うと、

「「「うんうん」」」

と、はるか、はやて、みやこは力強くうなずいて言った。こころあも、

「解散!!解散!!」

「解散です~」

と、騒いで答えた。

「えっ、あっさりと解散しちゃうの~」

と、亜里沙はびっくりした表情で言った。

 すると、宇城穂はその理由を亜里沙に言った。

「だって、私と亜里沙、愛さんは来年の3月で卒業するでしょ。そのまま活動してもいいけど、これから先、いろんな進路に進む私達にとってオメガマックスそのものが障害となると思うんだ」

そして、雪穂は亜里沙にこう告げた。

「だからこその解散というのが一番ベターと思うんだ」

そう言った直後に亜里沙を除く6人は大きくうなずいた。

「それなら、私もそれでいいかな」

亜里沙は雪穂にそう答えると、ちょっと心配そうにこう話した。

「でも、そんなら、いつ、みんなに話すの?あまり遅いとμ’sのときみたいになるよ」

それには雪穂が答えた。

「なら、2月下旬ごろがいいと思うよ。私にいい考えがあるんだ」

そして、雪穂ははるかにこう告げた。

「はるか、お願いがあるんだけど、解散のこと、噂話としてみんなに、それも少しずつ広げてほしんだけど…」

それに対し、はるかは、

「それならご安心あれ。私にいい案があるよ」

と、雪穂に自信たっぷりに答えた。

「それなら安心、安心」

雪穂はほっと一息をつきながら答えた。

「それでさあ、これからの進路、どうするの」

と、亜里沙は雪穂と愛に問うた。

「私はまだ…」

と、雪穂が言うと、

「私もまだ決めていません」

と、愛が答える。

「私もまだなんだよ。よかった~」

と、亜里沙は安心した顔で答えた。

「みんな、まだなんだ…」

雪穂はにっこりと呟いた。

 

 このテレビ出演以降、メディア露出を控えたことにより、オメガマックスのブームは1ヶ月後にはしぼむことになった。嘘も75日、いや、ブームも75日、いや、ブームも30日である。人はすぐに飽きるのだろうか。

 そして、はるかは3chなどの掲示板に少しずつ「解散する」という怪情報を流したことにより、そして、「解散しない」という偽情報を流すことで世間に「オメガマックスは解散する」という噂を少しずつ、プラス「解散しない」という偽情報も少しずつ広まっていくことになった。

 

 そして、3ヶ月後…。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終章第1話 雪穂、進路におおいに悩む

ゴ~ン ゴ~ン ゴ~ン

パンパンパン

 時にお正月、元旦朝、ここは神田明神。オメガマックスは8人一緒に初詣をしていた。

「このいちご飴、おいしいです~」

参拝終了後、こころはいちご飴をほおばりながら言った。ブームが過ぎたため、オメガマックスの8人は有名スクールアイドルから普通のスクールアイドル、いや、普通の女子学生に戻っていた。なにもかもが普通の生活。それを十分に満喫していた。いや、実は解散と言う噂が流れだしたことでちょっとした変化がでてきた。

「絶対に解散しないでください」

音乃木坂の1年生から雪穂に言ったセリフ。これを何十人から同じセリフを聞かされたのだ。これは雪穂だけでなく、ほかのメンバーにも同じ状況だった。

 しかし、雪穂達はいつも同じセリフで返していた。

「私達、まだ解散するか決めていないの」

これにより、ほっとする生徒達。そして、「解散しない」という偽情報が流れていることで「解散する」という情報は噂レベルを抜き出していなかった。

 だが、オメガマックスのメンバーはこのセリフを言うたび、

「嘘ついてごめんなさい」

と、心の中で謝るともに、

「でも、解散は絶対します」

という意志の固辞を行っていた。

 

 神田明神をあとにして、昌平橋付近で一息つく雪穂達8人。そのとき、雪穂はみんなにあることを聞こうとしていた。

「ところで、参拝の時、何をお願いしていたの?」

これに亜里沙がまず答えた。

「私はね、ロシアに帰国したら絶対アイドル文化を広げていけますように、かな」

すると、雪穂はすぐに亜里沙に問い直した。

「えっ!!ロシアに帰国!!」

亜里沙はすぐに答えた。

「私はね、卒業したらロシアに帰国するの。そして、ロシアでアイドル文化を広げるんだ」

これに驚いたのは雪穂だった。

「亜里沙、私、聞いてないんだけど…」

すると、亜里沙はこう言い返した。

「だって、聞かれていなかったもん」

「そんなぁ~」

と、口をあんぐりして雪穂が言うと、他のメンバーにも同じことを聞いた。

「みんな、どうなの?」

すると、みんな重々しくしながらも口を開いた。

「ごめんなさい。黙っていたんだけど、実はすでに合格を戴いているの。私、福博女子大学のアイドル科に推薦で。私、天との約束で卒業したら福博女子大学に行きますって、夏の合宿時に申したでしょ。その約束を守るために一般推薦で受験したの。そしたら合格したの…」

これは愛の弁。あの夏合宿の約束を守っていたのだった。

「私は医者になるために国公立大学を受験するの。親との約束で、解散したら受験勉強を本格化しなさい、って言われているの」

これははるかの弁。校内1番の成績を持つはるかならではである。

「僕は陸上の強い大学に進もうと思う。僕、一応陸上選手だからね。陸上の強い大学からお呼びがかかっているんだ」

これははやての弁。よく考えたら、全国でもトップレベルの陸上選手である。

 これらを聞いて、口が閉まらなくなった雪穂。残り3人にも聞いてみる。

「まさか、あなた達もきまっているわけないでしょ」

 しかし、答えは意外なものだった。

「私、いや、私達はスクールアイドルを続けていくの」

みやこがこう答えると、こころも、

「そうですよ。私達、3人でグループ結成するです」

と答え、ここあも、

「オメガマックスは終わるけど、私達はこれから有名になるんだよ」

と答える。

「ってことは、進路決めていないのは私だけ…」

と、雪穂はびっくりた顔で叫んでしまう。

「雪穂、まさか、進路、決めていないの。って、家業の和菓子屋を継ぐんじゃないの?」

と、亜里沙が少し心配そうに言う。

「それもそうだけど…」

と、雪穂はお茶を濁すような答え方をする。

「ならいいんだけど…」

と、亜里沙は「少し納得できないが」と思いつつ、無理に納得しようとして、そう言った。

 だが、このとき、雪穂は頭の中では進路が自分だけ決まっていないことに焦りの色が出てきていた。

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 My course?(私の進路は?)

 

Was the course decided?

「私は帰国」「私は大学」

「私はアスリート」「私は医者」

「私達アイドル」「私は…私は…」

 

こっちだろうか あっちだろうか

私にはわからな~い

 

こっちだろうか あっちだろうか

私にはわからな~い

みんな進路(コース)が決まっているのに

私だけ 決まってな~い

 

誰か教えて 私の進路(コース)

だけど誰もまったく知らない

私の幸せになれる進路(コース)

みんな決めている 幸せ進路(ハッピーコース)

はやく決めないといけない

私だけの幸せ進路(ハッピーコース)

 

あ~あ どうすればいいのか

私にはわからな~い

自分だけの進路(コース)

決めたいけど決められない

誰か教えて 私だけの進路(コース)

 

みんな決めてる 私だけ決めてない

みんなとの距離がどんどん離れていく。

悩みます 焦ります

はやく追いつかないとはなれていく~

 

あ~あ どうすればいいのか

私にはわからな~い

自分だけの進路進路(コース)

決めたいけど決められない

誰か教えて 私だけの進路(コース)

 

「ただいま~」

家に戻った雪穂はすぐさま客間に移動すると、

「雪穂~。年賀状来ているよ~」

と、母親が雪穂を呼んでいたので、母親のもとへ移動した。

「はい、年賀状」

母親は雪穂に年賀状を渡す。だが、渡すのはそれだけではなかった。

「あっ、それから、これは全国の大学からきた封筒!!」

そこには大きな封筒が20通以上束になっておいていた。

「あっ、それ、あとから持っていく~」

雪穂はそう言うと、年賀状だけを持って自室へと向かった。

 

「あっ、ナンシーからだ~。アメリカ人ぽっくポップな年賀状だな~」

雪穂は年賀状を1枚ずつ読んでいた。まるでなにかに逃げているみたいに。

「亜里沙からの年賀状、で、これで年賀状は終わりっと…」

雪穂はこう言うと、年賀所を机の上において寝っころがった」

 そんなとき、

「雪穂、これ、後から持っていくと言っといて、そのままにしていたでしょ。雪穂ったら。一応目を通しておいた方が良いかもね」

と、雪穂の母親は大きな封筒20通以上を雪穂の座るこたつの上に置いていった。

「はいはい…」

雪穂はそう言うと、大きな封筒の一通を取り出し、封を開けた。

「ん~、またかあ、こればっかり」

中に入っていたのは北海道にある大学の入学案内だった。そして、中には一通の手紙がはいっていた。内容は次の通り。

「今度、私どもの大学にアイドル科を設置いたします。高坂雪穂様にはぜひとも私どもの大学に入学していただき、ご一緒にユニドル(大学生アイドル)として活躍するとともに、大学発展のために寄与してほしい」

「ほかのも目を通しておきなさい」

母親はそう言うと、1階に降りていった。

「ほかのって全部同じ内容じゃん」

雪穂は大学案内を見るとため息をつきつつ言った。そして、雪穂は机の横に置いていたものを見てもう一回深いため息をついた。そこにあったもの、それは元旦より前にきた大学の入学案内だった。その数、30通以上。内容も全て同じものだった。大学に入学してユニドルとして活動し、大学発展に寄与して欲しいと。

「あ~あ。私、こんなつもりでスクールアイドルになったわけではないんだけどなぁ」

雪穂は元旦に届いた不当を机の横に置いていた封筒と一緒に重ねると、こう言って、またこたつの中にはいった。

「私、みんなと一緒にするのが楽しいからスクールアイドルをしていたのに」

雪穂はこう言うと寝そべって今までのことを思い返しながら考えた。

 最初、まきりんぱなと一緒に活動してきた。偉大な先輩達と一緒に活動してきたこと自体奇跡であり、その時間は楽しいものだった。

「そうだよな。一年前までまきりんぱな先輩と一緒に活動して楽しかった。そして、卒業していった。それからだもんね。スクールアイドルとしての苦しみ、そして、楽しみを知ったのは…」

そう、μ’sメンバーであるまきりんぱながいなくなり、亜里沙と一緒に活動するも、最初はスクールアイドルとしての重圧、偉大な先輩の後輩という重圧で過酷なトレーニングを行い、みやこ以外辞めていく事態に。

そして、愛達マキシマムとのユニット対決。

「ユニット対決のとき、あの重圧のままだといけないというと苦しかった。このままだとラブライブに出場できなるものだと思っていた。けど、改名のときにそれから卒業したんだよね」

そう、改名のときに偉大な先輩からの思い出から卒業することで、その苦しみ、重圧から解放された。

「そして、愛さん達と一緒になってラブライブ出場。でも、いろんなことがあったなぁ。期末テストでの赤点回避、UTXのiDとの出会い、最初にあった開会式でiDの個人技に気が動転して無理しちゃった。でも、あれはあれで私達の結束が固まった。そして、K9との対決。圧倒的な実力差。でも、楽しんでいこうという気持ちで打ち勝ったもんね」

雪穂はこれまでのことを思い出しながらこれからのことを考えていた。

「私は、いや、私達はスクールアイドルそのものを楽しんできたからラブライブでも優勝できたと思う。でも、ラブライブ優勝で周りの見る目が変わった」

雪穂はそう言うと、いろいろ考えるようになった。

(ラブライブ優勝まで私は応援してくれるファンを含めた私達が楽しめばいいと思っていた。しかし、ラブライブ優勝、μ’sとの対決に勝利したことで周りは私のことを一人のアイドルとして見るようになった。いろんなメディアからアイドルとして取材を受けた。そう、一人のアイドルとして扱ってもらった)

 そして、雪穂は進路についても考えるようになった。

(そして、位目、いろんな大学からアイドルとして活動しながら入学して欲しいと言っている。私、これからアイドル続けないといけないのかな。周りが期待しているからかな)

「私、やっぱりアイドル続けないといけないのかな」

雪穂はぼそっと本音を言った。だが、それだけが本音ではなかった。

「でも、私は何も取り柄がない。そんな人間がアイドルを続けることができるのかな」

雪穂にとってアイドルを続けていくのに自信がなかった。アイドルは生き残るのが厳しい世界である。そのことを知っている雪穂にとって、長年続ける自信はなかった。

「私、みんなのためにアイドル続けるべきなんだろうか。それとも…」

雪穂はこう言うと、寝込み、そのまま寝た。

 雪穂は今、アイドルとしての重圧に押しつぶされそうになっていた。周りの期待とそこからくる不安、その狭間でもがき苦しんでいる。楽しかったあのときの気持ちは今はなかった。

「ん~ん~」

 雪穂は寝ている間、うなされていた。アイドルを続けるか、続けないかという狭間での苦しみだった。

 

 そして、夕方―。

「あっ、寝てしまった」

雪穂は時計を見て一瞬びっくりして、

「まさか夕方まで寝てしまうとは。でも、とても苦しい夢だった」

と、夢の中でも苦しむ様子を思い出していた。

「アイドルを続ければいいのかな。それとも、やめた方がいいのかな。どっちがいいのですか。私のハッピーコースはどっちですか」

と叫びだす雪穂。だが、それは誰にも届かない心の叫びだった。アイドルという名の重圧は雪穂にとって重い足かせとなっていた。

「あっ、そういえば天からまだ年賀状、きていなかったかな」

苦しみながらもちょっと思ったことを言い出す雪穂だった。

 

 お正月が終わり、4日を迎えた。

「雪穂、雪穂、起きなさい!!」

母親の言葉に目覚める雪穂。

「うう、ちょっと眠い」

雪穂は正月3が日、十分に眠れなかった。まだ結論を出していなかった。

「あ、あ~」

大きなあくびをする雪穂。

「こら、みんなの前ではしたない」

あくびを注意する母親に対し、雪穂は、

「だって眠いんだもん」

と、反論する。

「そんなことより、中洲さんから手紙、届いているよ」

と、母親が言うと、雪穂はすぐに、

「天から。あっ、それ見せて」

と、母親の手から天からの手紙を奪い、それを自室に持って帰った。

「なんだろうね、あの子は」

雪穂の対応にちょっと苦笑いする母親だった。

 

「天、どうしているかな。元気にしているかな」

雪穂はそう言うと、すぐに手紙、というより封筒を開けた。50通以上の大学からの封筒を開けているため、手慣れていた。

「天、何度か電話したけど、ちょっと硬いからなぁ」

雪穂と天はラブライブ決勝以降、何度か電話をするくらいの中になっていた。同じ決勝に進んだグループのリーダーとして、いや、一緒に戦った同士としてだった。

「でも、手紙をくれるなんて、初めてじゃないかな」

雪穂はそう言うと、手紙を読み始めた。

「なになに。拝啓、お元気ですか。私も元気です」

そして、次の言葉を言う。

「手紙は初めてということで、私の思いを伝えます。私はラブライブ決勝のことをおぼえていますか。…、って、え!!」

天からの手紙、それは雪穂にとって目からウロコのでるものだった。

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 My course!!(私の進路/「天からの手紙」)

 

あのころ、私達はこう思っていた

アイドルは勝利あるのみだったと

全てが1番でないといけないのだと

自分達はそう思っていた

 

だけど 違うことに気付いた

あなた達の全てをみたことで

アイドルはとても楽しいものだと

みんなと楽しむことだと

 

アイドル勝利至上主義

という足かせをつけた私

でもね それは幻想だと

気付かせた あなたたちが

 

解放してくれた あなたたちが

アイドルとはとても楽しいものだと

気付かせてくれてありがとう

本当にありがとう

 

もし アイドルというくびきに

縛られているなら気付いてほしい

くびきは自らつくるものだと

アイドルという重圧に負けそうなら

あなた達の全てを見てみよう

気付くだろう 幻であることを

自ら作っていることを

 

「天…、あなた…、まさか…、サイコメトラー…」

そう思えるほどピンポイントに、雪穂にとっては体中に電気が走るような衝撃だった。

「そうか。私、自分で勝手にくびきをつくっていたんだ」

雪穂がそう言うと、ある言葉を口にした。

「そうだよ。アイドルって楽しむものだもの。楽しんだもの勝ちだもんね。よく考えたら、私自らアイドルを続けないといけない、みんなの期待を叶えないといけないという重圧を作っていたんだ。別に苦しむものではなかったんだ」

 そして、自分の気持ちを歌に紡いだ。

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 My course!!(私の進路/天からの手紙を受けて)

 

アイドルはとても楽しいことだと

なんで忘れていたのか

自らくびきをつくり

アイドルという重圧に負けていた

 

自分の夢があるなら進めばいい

どんなことがあっても

たとえアイドルにならなくても

みんなで楽しめばそれでいいんだ

 

自らつくりし足かせを

今まで引きずっていた 私は

でもね それが 幻想だと

気付いた 私は

 

アイドルは常に楽しいものです

みんなと楽しめばみんながアイドル

たとえ どんな苦しみがあっても

それを乗り越えでば 楽しみが待っている

 

自ら進んでいこう 自分の進路(コース)

たとえ それがアイドルでなくても

自ら決めた道 進めば

それが幸せ進路(ハッピーコース)だから

 

私の進路(コース)

みんなと楽しめる大学進学

アイドルではありません

普通の大学性になります

(でもね、楽しむからアイドルかもしれないけどね)

 

「お母さん、お母さん」

雪穂はすぐに客間に移動し、母親を呼んだ。

「雪穂、なにかようかい」

すると、雪穂は母親に直訴した。

「私、大学に行きたい!!」

これを聞いて母親は雪穂に確認をとる。

「もしかして、送ってきた大学入学案内の…」

だが、雪穂は首を横に振った。そして、

「私、普通の大学にいきたいの!!」

と断言した。

 すると、母親、雪穂を見るなり、

「本当に大丈夫?」

と、確認をとる。対する雪穂は、

「本当にいきたいです!!」

と断言する。

 すると、母親は、

「わかったわ。雪穂の決意、認めてあげるわ」

と、大学入学を認めてくれた。

 そして、雪穂はさらなる決意をした。

「そして、大学卒業したら、和菓子の作り方、教えて。私、家を継ぎたいの」

 これを聞いた母親は、

「わかったわ。けど、大学では思いっきり受けてみなさい」

と認めてくれた。

 だが、1つ問題があった。

「で、雪穂。ところで、大学の入試対策、しているの…」

母親がこう言うと、雪穂は、

「えっ?」

と答えた。

 

次回 「雪穂、大いに困る」

 

 




あとがき

 こんにちは、La55です。今秋からついに本当のクライマックスと言える最終章に突入しました。雪穂は本来学生です。でも、ラブライブ!アニメ本編では受験という話はでてきておりませんでした(ラブライブ!でのA-RISEとの対決などが中心でしたので…)。でも、学生である以上、進路問題は切っても切れぬものだと思い、最終章前半(第1・2回)は雪穂の進路問題がテーマとなっております。今回、雪穂は悩んだ上に天からの手紙により大学受験を決めました。しかし、それでも前途多難みたい…。次回をお楽しみに。

 で、今回の楽曲はMy courseです。これは3曲からなる楽曲です。雪穂の悩み(1曲目)、きっかけ(2曲目)、そして、決心(3曲目)を歌にした曲となっております。少しミュージカル風に読んでみたら雪穂の気持ちと重なるかもしれません。そんな風には作っているわけではないですけどね。

 で、ハーメルンの感想返信に記入しておりますが、最終章は全4話を予定しております。そして、それに加えて、最終章最終回の次週、最後の話として枝編とちょっとしたものを投稿しようと考えております。これは全部を最終章を書き上げた後、サンシャインを見てふと思いついたものです。ショートショートの形式を考えております。最終章最終話が投稿予定の日が9/16なので、もう1週伸ばしたいなと思い作りました。9/23日がこの作品の最終投稿日になる予定です。そして、9/24は・・・、サンシャインの最終回(?)。それもちょっと意識したのかもしれません。

 というわけで、この作品も残りあと4回となりました。最後まで楽しんでいってほしいと考えております。それでは、次回まで、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終章第2話 雪穂、大いに困る

「前回のラブライブΩ」
「私、高坂雪穂、音乃木坂の3年生。ラブライブが終了してから1ヶ月。その間、噂の人となった。私達オメガマックスの8人。その中で、私以外は将来、そして、進路を見つけていた。そして、私だけがまだ決めていない状況に」
「そして、正月、私のところには日本中の大学からアイドルとして入学してほしいという手紙が大量に届いた。私はこれまで楽しんでスクールアイドルをしていたのに、ラブライブ優勝でまわりの目が変わってしまい、このまま苦しいままでアイドルを続けないといけないのかと考えてしまう」
「しかし、(中洲)天さんの手紙を見て、自分でくびきを作っていたこと、そして、それこそが幻想であることに気付く。私は普通の大学生になるべく、大学一般入試を受験する事、そして、大学卒業したら家業の和菓子屋を継ぐことを決める」
「でも、それは新たな問題を生んでしまう」



第2話 雪穂、大いに困る

 

 2月下旬、音乃木坂の部室…。

「で、なんでまた落ちたの~」

亜里沙は雪穂に食い入るように言った。

「うわ~ん、ごめんなさい~」

雪穂は泣きながら亜里沙に謝った。

「で、落ちたの、何校目?」

愛は泣いている雪穂に対して質問した。

「…、5校目、…」

雪穂は小言でつぶやいた。

「これだけ落ちるとは何も言えないよ」

亜里沙はあきれた顔で言う。

「わ~ん、ごめんなさ~い」

雪穂は泣いて謝っていた。

 

 なんでこうなったのかというと、それは3学期の始業式まで遡る。

「私、やっぱり大学受験することにした」

雪穂の突然の言葉-。

「え~、今から受験するの~」

亜里沙は雪穂の言葉に驚いていた。

「でも~、今から受験となると、難しいんじゃないかしら」

愛も心配的に雪穂に向かって言った。

「それなら大丈夫だよ。だって、私は昔の私じゃないから」

雪穂は自信満々で答えていた。

「たしかにそうだな。昔よりよく勉強しているからな」

はやては雪穂の自信を裏付けるみたいに言った。

「私と愛ちゃんがいつもマンツーマンで教えていたからね」

亜里沙は自信満々に答えた。亜里沙の言う通り、あの赤点騒動のあと、赤点を回避するために、亜里沙と愛は雪穂にマンツーマンでよく勉強を教えていたのだ。(雪穂はこれを地獄のさたもドリル次第と言っていた)この結果、赤点どころか、全教科80点以上を取得していたのだ。

 雪穂は自信満々に言う。

「まっかせなさ~い」

 

「と、言って、1ヶ月。どこが『まっかせなさ~い』ですか」

愛は雪穂に怒鳴っていた。

「あのときはあのときだもん」

雪穂は言い訳じみた言葉で通す。

「たしかにあのときはそう思っていました」

はるかは雪穂をかばおうとしていると思える素振りで言う。

「そうでしょ、そうでしょ」

雪穂ははるかに対して相槌を打つ。

「でも、現実は違っていた。やっぱり一夜漬けでは大学は受かりません」

はるかは手のひらを返すがごとく言う。

「そんな~」

雪穂、落胆する。

「たしかに学力は上がりましたが、それは学校の中のテスト上での話。大学入試レベルとは格が違います」

と、はるかはなにかを悟がごとく答えていた。

「雪穂さん、まだ大丈夫です」

みやこはそんな雪穂を励ます。

「しかし、偏差値上位のところを狙っているわけではなく、むしろ、どんどん下げているのに合格しないなんて」

と、はるかは少し呆れた風に言う。

「と、なると、このまま落としていったらどうなるのでしょうか」

と、愛が心配そうに言う。

「と、なると、ア〇田大学!!」

と、亜里沙がいきなり答えだす。

「それはいやだ~」

雪穂はいやいやながら言う。

「なら、バ〇田大学!!」

亜里沙は矢継ぎばやに言う。

「それもやだ~」

雪穂はそれでもいやだという風に答える。

「目指せ!!バ〇ボンのパパの行った大学!!」

亜里沙は決めゼリフみたいに言う。

「亜里沙!!ごめんなさ~い」

雪穂は観念したかごとく亜里沙に謝る。

「そんな大学、あるのかな?」

みやこは目を輝きさせながら言った。

「みやこ君、そんな大学ありませんから」

はやてがみやこにツッコむ。

「バ〇田大学、ア〇田大学なんかに行きたくないよう~」

雪穂はそう言って泣き出した。

「バ〇田~、ア〇田~」

雪穂の周りをここあが走って面白がって言っている。

「ここあ~。それは雪穂姉様に失礼です~」

と、こころがここあに注文をしていた。

「でも、このままだと雪穂さんが心配です」

みやこはそう言うと、あることを思いついてこう言った。

「なら、はるかさんが教えたらどうですか。はるかさんはこころあの学力アップに貢献したのですから」

そう、はるかはこころあに勉強を教えたことにより、こころあは一年の間でも上位にはいるほどの学力を手にしたのだ。

「それなら、この私、代々木はるかが雪穂さんの受験をサポートしましょう」

と、はるかは自信満々に答えた。

「はるかちゃん、お願い!!」

と、雪穂はわらものすがる思いではるかにお願いをした。

 

 雪穂とはるかのマンツーマン勉強が始まった。

 が、始まってから30分後…。

「もう~だめ~」

雪穂はついに音をあげた。

「は、はやすぎる!!」

雪穂は見ていたはやてがびっくりしてこう言った。

「私じゃ手におえません。だって、要領が悪いんだもん」

はるかも音をあげていた。

「どうしてなの、はるか。まだ、雪穂は出来る子でしょ」

と、愛ははるかに問う。

「時間がないので要点だけ教えたのですが、それを応用する力がないんですよ。これだと応用力が試される入試には難しいかと」

と、はるかは嘆きながら答えた。

「はたしてどうすればいいのかな」

と、亜里沙は悩みながら言う。

「ごめんなさ~い」

雪穂は泣きながらみんなに謝罪していた。

 そんなとき、

コンコン

と、ドアからノックする音が聞こえ、ドアが開いた。

「あっ、南理事長。こんにちは」

みやこは南理事長が来たことに気付いて挨拶した。

 すると、南理事長はすぐに雪穂達8人にお願いをした。

「ごめんなさい。ちょっと理事長室まで来てくれないかな」

 

 雪穂達8人はすぐに理事長室に集まった。

 そして、机を前にして南理事長は8人にあることを伝えた。

「実はオメガマックスとして音乃木坂での最後のステージを企画して欲しいの。」

学校側からの提案だった。これには雪穂達8人は驚く。

 だが、南理事長の説明は続く。

「実は多くのところからオメガマックスの音乃木坂最後のライブをしてほしいという要望がきているの。マスコミ、オメガマックスのファン、それに音乃木坂の保護者、OB、OG、そして、在校生から。学校側としてもその要望に応えたいの」

 すると、愛が答えた。

「最後のライブですね。でも、もし、音乃木坂の講堂、いや、運動場でもキャパは小さすぎます」

 それに対し、みやこあがあることを提案する。

「なら、秋葉ドームでするのはどうですか」

だが、はやてが反論する。

「すでにイベントや野球の予定が入っている。それに、機材などでお金がかかりすぎる」

「それなら、武道館!!」

ここあが提案すると、こころも、

「武道館、武道館!!」

と、喜ぶ。

 しかし、これにははるかが反論する。

「武道館でしてもお金がかかりすぎる」

「なら、どうしたらいいの。誰か助けて~」

と、亜里沙が悩む。

 すると突然、

「だったら、秋葉原全体でライブをやろう!!」

と、雪穂が大きな声で言い出した。

「秋葉原!!」

これには雪穂以外の7人は驚いてしまった。

「そう、秋葉原。そこでもう一度スクフェスをやるんだ!!」

スクフェスことスクールアイドルフェスティバル-。3年前、μ’sが中心となって開いたスクールアイドルのためのお祭り。大盛況で終わった伝説のお祭りを今度はオメガマックスが中心となって行う。

「でも、それだと道路の許可が…」

と、はるかが反論すると、

「それなら、もうすでに秋葉原の自治体、警察署、消防署、そして、住民、街全体の許可を取ろうと申請を出しております。街全体を明るくしたいとね」

と、南理事長は堂々と答えた。実は、こんなことがあろうかと南理事長は関係各所に根回しを始めていたのだった。

「私達だけじゃない。iDやK9、全てのスクールアイドルのためのお祭りにしよう!!」

 これには南理事長も口をあんぐりしていた。

 だが、これにはほかの7人も賛同する。

「前回はそんなに準備に時間がなかったけど、今回は時間がある」

と、はるかがこう言うと、亜里沙も、

「全てのスクールアイドルの祭典。う~、なんていい響き~」

と、感動を覚えた。

「お祭り、お祭り~」

と、ここあが喜ぶと、こころも、

「ついに私達もお姉様達と同じ舞台に立てます」

と、意気込んでいた。

「お祭りとは。血が騒ぐな~」

と、はやてが言うと、

「スクフェスに参加できるとはすごい!!」

と、みやこは目を輝かしていた。

 こうして、3年ぶりに秋葉原でスクフェスが開催することが決まった。

 だが、水を差す言葉が愛から出た。

「でも、雪穂はまだ受験中では…」

「う…」

息詰まる雪穂。これに対して南理事長は非常な決断を下す。

「雪穂さんは受験が終わるまで参加しないこと。そのほかの7人で企画を進めてください」

 

 2日後…、

「雪穂がいない分、がんばろう」

「「「「「「オー!!」」」」」」

亜里沙の掛け声に愛達6人が呼応する。

「K9にiDは参加OKだって」

はるかが言うと、愛は、

「よしよしですね。これで10校目。出先としては良い方ですね」

と、うなずいて言った。

 亜里沙達7人が動く姿…。

「私も加わりたいなぁ」

と、雪穂は遠くの教室から7人を見て言った。一人だけ受験勉強する雪穂にとってこの時間は苦痛であり、さびしさでしかなかった。

「ああ、先に進めない」

勉強に身をゆだねることができない。どの教科をしても一つも覚えることができなかった。

「これだと勉強に身がはいらないか」

亜里沙達7人の動く姿は雪穂の苦痛、そして寂しさを加速する。そう、負のサイクルをどんどん加速していくしかなかった。

「仕方がない。家に帰ろう」

雪穂はこれではいけないと思い、家に帰ることにした。

 

「やっぱ家に帰っても勉強できないよ~」

雪穂はそう言うと大きくため息をついた。

 家に帰ってきたものも、雪穂にとっては心変わりすることはなかった。むしろ、苦痛と寂しさを加速するものでしかなかった。

「家にいると、もっと寂しくなるよ~、苦しいよ~」

家にたった1人、孤独の中の檻にいる雪穂。それは苦痛、寂しさを極限めで高めようしていた。

「これじゃ勉強できない。もう寝よう」

こう言って雪穂は苦痛、寂しさを逃れるためにベッドの上に行き、寝た。

 

「起きて…、起きて…」

雪穂の耳元で若い女性の小さなささやき声が聞こえた。

ハッ

雪穂は突然飛び起き、まわりを見渡した。

「誰もいない。空耳かな」

雪穂はそう言って寝ようとしていた。だが、

「起きて…、起きて…」

と、また同じささやき声が聞こえた。

ハッ

と、雪穂はまた飛び起きまわりをまた見渡すも、誰もいない。

「空耳…」

雪穂はそういうと、今度は別の言葉が聞こえた。

「来て…、来て…」

また、同じ人の声だったが、今度ははっきりと聞こえた。

「私、行かなくちゃ」

雪穂はそう言うと、まるで誰かに呼ばれるかごとく動き出した。

 雪穂が家を出ると、まるで霧が町中を支配しているがごとき状況だった。だが、雪穂はとある方向に歩き出した、声のある方へ。

 白い霧が町中を立ち込めているためか、雪穂は誰にもあわず進んでいく。

「あともう少し、あともう少し」

と、雪穂はこう言うと、なぜか迷わず進んでいった。

「よ~し、到着」

雪穂がある場所に到着した。見覚えのある場所だった。

「で、ここって万世橋!!」

そう、雪穂が到着したのは万世橋のたもと、レンガ街だったのだ。

 すると、美しい歌声が聞こえてきた。

ラ~ラ~ラララララ~♪

「誰かな?」

雪穂は美しい歌声の聞こえる方向に移動した。

 すると、美しい女性が見えてきた。

ラ~ラ~ラ~ラ~♪

雪穂はまだ歌い続けている女性に近づきこう言った。

「あ、あなたは誰ですか?」

すると、その女性は歌うのをやめ、雪穂に近づき、こう言った。

「私、私はただのシンガーだよ」

すると、雪穂はあることに気付いた。女性の顔、そして、格好が穂乃果から聞いたある人物とそっくりだった。

「あなたは、あの謎のシンガーさん!!」

雪穂はそう言うと、その女性はちょっとこけてこう言った。

「な、謎のシンガー…、私ってそう呼ばれているんだ」

これを受けて、雪穂はすぐにこう言った。

「私、聞いたことあります。私のお姉ちゃん…、穂乃果お姉ちゃんからスクフェスの前にあって迷っていた自分に道しるべを見つけてくれたって」

これを聞いた女性こと謎のシンガーはこう言った。

「あの子の妹さんなんだ。とても似ているね」

「それほどでも…」

雪穂は照れて言った。

 そして、謎のシンガーはすぐに本題に入ろうとする。

「ところで、どうして君はここにいるのかな」

すると、雪穂はこう答えた。

「小声で『来て』と聞こえて、呼ばれるまま、ここに来ました」

それを受けて、謎のシンガーはこう言った。

「ということは、なにかの運命に導かれてここに来たんだ」

「それはちょっと…」

と、雪穂は答えに窮する。

だが、謎のシンガーはそれを受けずこう述べた。

「あの時のあの子と同じなんだ。悩んでいるんだね」

そして、謎のシンガーは雪穂の手を握ると、こう言った。

「なら、私が連れて行ってあげる」

すると、雪穂をひっぱりながら、とある方向へと進んでいった。

「ちょっと…」

雪穂は反抗するも、引っ張る力が強く、離れることができない。

 どんどん進んでいく。しかし、まわりは白く、どこを走っているのかわからなかった。

 

 走ること5分-。

「よ~し、着いた!!」

謎のシンガーはそう言うと、いきなり止まった。

「は~は~」

雪穂も止まるが、肩で息をするくらい走り疲れてしまった。

「さ~て、私の役目もここまで。あとはあなた次第よ」

なぞのシンガーはこう言い残すと、霧の中に消えていった。

「ちょっ、ちょっとま~て~」

雪穂は謎のシンガーを追いかけるも見失った。

 謎のシンガーが消えるとともに白い霧もどんどん晴れていく。

「こ、ここって…」

雪穂は気付いた。自分がいる場所が音乃木坂の校門前にいることを。

「あ、雪穂~」

突然、雪穂を呼ぶ声が聞こえる。雪穂は気付いた、自分がよく知っている人がいることを。

「お、お姉ちゃん!!」

雪穂を呼びかけた声の主は穂乃果だった。

「雪穂、どうしてここに?」

穂乃果は雪穂にここにいる理由を問うた。すると、雪穂は、

「謎のシンガーさんにここに連れてこられたの」

と、言った。穂乃果はこれを受けてこう答えた。

「と、いうことは何かの運命に導かれたってことね。穂乃果もね、ここに来れば何かあると思ってここに来たんだ」

そして、穂乃果は雪穂の頭に手をのせてこう言った。

「雪穂、一人で悩まないで。穂乃果に相談してあげたら一緒に考えてあげるから」

 すると、雪穂は穂乃果に抱きつき、涙を流しながらこう言った。

「私、大学受験、失敗ばかり。みんなに迷惑かけぱっなし。どうすればいいの」

穂乃果、これを受けて、雪穂に向かって答える。

「それなら、穂乃果に任せなさい!!」

 そして、穂乃果はすぐに携帯を取り出し、あるところに電話する。

「あ~、もしもし、穂乃果だけど…、すぐに来てほしいの」

 

 そして、待つこと10分-。

「お待たせ、穂乃果」

そこに来たのは絵里だった。その横には、

「私も呼ばれたんだけど~」

と、真姫も一緒だった。そして、

「それ、私のセリフでしょ」

と、なぜかにこまで来ていた。

「絵里ちゃん、真姫ちゃん、お願い~」

穂乃果が絵里、真姫にお願いをする。その内容とは…。

「実は妹の雪穂が受験勉強に苦しんでいるの。助けてあげて~」

 これを受けて、

「穂乃果の頼みですもの。任せなさ~い」

と、絵里は承諾した。真姫も、

「私もいいわよ」

と承諾した。

「で、なんで、私まで呼ばれたの」

と、にこに穂乃果に迫ると、穂乃果は、

「え~と、おまけかな」

と、とぼけてスルーしようとした。これを受けて、にこ、

「なにがおまけですか~」

と、穂乃果の口を引っ張る。

「いて、いててて」

穂乃果はにこの攻撃をもろに食らっていた。

 一方、雪穂は絵里、真姫に向かってお願いをしていた。

「私、大学に合格したいんです。みんあと合流してスクフェスを成功へと導きたいんです。だから、お願いします」

それを受けて、絵里は、

「厳しいと思うから覚悟しなさい」

と、雪穂を元気づけていた。

 

「これまで合格できなかったのは範囲を広げ過ぎたため。これから雪穂の学力で短い時間で合格するには一つに絞り込むしかない」

絵里がこう言うと、ある大学をあげてこう言った。

「この大学は受験科目が3教科しかない。それも、雪穂の学力でも十分狙える」

さらに、真姫が雪穂に向かってこう言った。

「これから1週間、絵里と私でみっちり勉強をみてあげるから、死ぬ気でがんばりなさいよ」

これを受けて、雪穂は、

「ハイッ」

と、答えた。だが、1人忘れていた人物が…。

「で、私は…」

と、横にいたにこが言うと、

「おまけかな」

「ただのおまけ…」

と、絵里と真姫から言われる。

「なんで~」

と、にこは2人に文句を言おうとしていた。

 

 そして、雪穂はその大学に合格するため、絵里と真姫が作った予想問題集を繰り返し解き続けた。その問題集はその大学の過去問にそくしたものであり、雪穂が苦手としているところを重点的に行えるようにしていた。

「絵里先生、ここがわからないんですけど」

と、わからないところがあれば、

「それはね…」

と、絵里に教えてもらい、

「真姫先生、これであっていますか」

と、確認をとると、

「ん~、あっているんじゃないかしら」

と、真姫に正解をもらい、

「にこちゃん、にこにこに~」

と、言えば、

「にこにこに~、って、なんで私だけ雑な扱い…」

と、にこだけ雑に扱われていた。

 こうして、にこをからかうという息抜きをしつう、1週間、みっちりと勉強を仕込まれた雪穂だった。

 そして、雪穂はその大学の入試を受験した。

「私はやれることはやったんだ。絶対合格してやる!!」

と、雪穂は自分に言い聞かせて受験した。(ちなみに、受験申込は穂乃果が雪穂に黙って申し込んだ。穂乃果曰く、「例のシンガーが夢に現れて、『申込なさい』って言われたの」らしい)

 

 それから10日後…。その大学の玄関に雪穂と穂乃果がいた。

ぱたぱたぱた

その大学の合格した受験者の番号が記された紙が張り出された。

「あった、あったよ。私、合格したよ!!」

と、大喜びする雪穂。

「おめでとう」

と、雪穂と一緒に喜んでいた。

 

 雪穂はすぐに家に戻り、家族に合格を報告、その足で音乃木坂のアイドル研究部の部室に移動した。

 ドアを開けると、そこにはなにやら苦しい表情の亜里沙達7人がいた。

 亜里沙をみた雪穂、いきなり亜里沙にダイブする。

「私、私、合格したよ。大学に合格したよ!!」

と、言いながら雪穂は亜里沙に抱きついた。

「えっ、えっ、合格!?」

亜里沙は雪穂にいきなり抱きつかれたのか、困惑していた。

「そう。私、大学に合格したよ」

雪穂が言うと、暗い雰囲気だった部室の中が明るくなった。

「やったじゃないか。すごいぞ」

はやては自分のように喜んでいる。

「ついに合格だ~」「合格です~」

と、ここあ、こころも自分のように喜んだ。

「で、どこの大学に合格したの」

と、はるかが雪穂に質問した。

「私が合格した大学は…、日本橋女子大学の教育学部!!」

雪穂が自信満々に言うと、愛は、

「えっ…、まさか、先生を目指していたの?」

と、逆に唖然としていた。みやこも、

「雪穂さんは将来、先生、それも熱血的な」

と、言い出す。これには雪穂も、

「???」

と、ハテナを何個もつないだような顔をしていた。

 これに対し、亜里沙が答えた。

「日本橋女子大学の教育学部っていったら、熱血教師を多く輩出しているところだよ」

「えっ、私、そんなこと考えていなかった」

と、雪穂は本音を言った。

「考えていなかったのですか。それで合格できたんて奇跡ですわ」

と、愛は呆れてしまった。

「でも、合格できたなんて、おめでたいですね」

と、みやこはお祝いムードを継続させようとしていた。

「合格した~、とはいいとして」

と、雪穂、いきなり話題を変えた。そして、雪穂は亜里沙に質問した。

「ところで、なんで私が部室に入ってくるとき、なんで暗い顔していたの?」

 すると、亜里沙が泣きながら答えた。

「実はスクフェスの企画があんまりうまくいっていないの。参加を表したのはiD、K9を含めた10校のみ。それ以外は卒業するから、やる時間がないといった理由で断れるばかり。会場も許諾があまり得られないの」

 すると、雪穂は亜里沙の手を握り、こう言った。

「あまりにつまってもいい案は浮かばないよ」

そして、雪穂はあることを言い出した。

「そうだ。旅に行こう。それも私達8人で」

 

次回 「雪穂、おおいに喜ぶ」

 

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。初めての方は、はじめまして。La55です。今回は最終章第2回をお送りしております。雪穂は進学を決めたのですが、今から受験勉強ということで四苦八苦してしまいました。大学受験というのはとても苦しいものです。その苦しみに雪穂は飲み込まれそうになります。その苦しみを救ったのが謎のシンガー。この謎のシンガーは劇場版でも穂乃果の悩みを解決に導く助けとして登場しております。そして、今回も雪穂の苦しみを助け出す存在となりました。謎のシンガーの導きにより、穂乃果との再会、そして、絵里、真姫、おまけににこ(?)の助けを得て、無事、大学に合格することになりました。でも、こんなに簡単に合格できるなんて、絵里と真姫は(ついでににこも)スーパー先生!?なのでしょうか。それは謎です。

 話は変わりますが、前回、投稿して自分が驚いたこと、それは、ピクシブの閲覧数が前週比で約1.6倍に増えたことです。また、ハーメルンでもUA数は増えました。(と言っても、もともとの数が低いのでそれほど増えたわけではないのですが…)理由は簡単でした。ハーメルンで感想をもらったとき、タグについて、「ラブライブ」にしてしまったため、「ラブライブ!」の原作一覧に掲載されず、「その他原作」に掲載されているという指摘を受けました。確かにその他原作では誰も気付きませんね。たった「!」一文字を抜けていたために起きてしまった失態。これにはみなさんにお詫び申し上げるしかありませんでした。ということで、ピクシブ、ハーメルンともにタグの項目を修正しました。それが増えた理由かなと思っております。まだ他の理由があるかもしれませんが…。(ちなみに、指摘をしてくれた方は自分の作品とは違った、雪穂が主人公のラブライブ!の小説を投稿しております。ハーメルンのla55の投稿小説リストの下にあるお気に入り小説に表示しておりますので、読んでもらえたらと思います。とても良い作品ですし、読みやすいように工夫しております)

 今回は楽曲がございませんでした。お楽しみにしてくれていた方、本当に申し訳ない。で、今回は本編と最終章についてお話いたします。まず、本編ですが、1クールものの「15分アニメ」と認識して書いております。もし、「15分アニメ」だった場合、これぐらいの長さになるではないかということでそれを考えて1話分の長さを決めておりました。そのため、文字数にしては6000~9000字に抑えようとしております(第1話は例外、あれは長すぎてしまいました。反省、反省)。そして、話数についても、1クールの作品として成立するように14話に収めました。それに対し、最終章は本編から見て劇場版という立ち位置として認識しております。ラブライブ!でいうところのテレビシリーズと劇場版です。テーマ自体も本編と最終章ではまったく違います。本編と最終章では作品の印象ががらりと変わると思いますが、それを楽しんでもらえたら幸いです。

 ということで、あと残すところ2回プラス1回です。長かった雪穂達の物語もついに佳境を迎えようとしております。次回、ついに本編エピローグの舞台裏をお見せいたします。それでは今回はこれまで。さよなら、さよなら、さよなら。

追記
 先週の「ラブライブ!サンシャイン」第9話は本当に良い作品でした。何度もリピートして見ています。本当に良い作品です。うう~。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終章第3話 雪穂、大いに喜ぶ

「前回のラブライブΩ」
「私、高坂雪穂。音乃木坂の3年生」
「ついに大学受験を決めた私。しかし、現実は甘くなく、どこを受験しても落ちる日々、・亜里沙達から教えてもらうもうまくいかない。そんな中、南理事長からオメガマックス音乃木坂最後のステージの要請がくる。それに対し、私達は全国のスクールアイドルが中心となる祭り、スクールアイドルフェスティバルを開催しようと提案する。でも、私は大学受験のため、私以外の7人でスクフェスの準備を進めることに」
「たった1人寂しく勉強する私。そんな中、突然、謎のシンガーさんが私の前に現れた。私はそのシンガーさんに自分の悩みを告白。すると、ある人物のところに連れて行かれた。その人物は、(穂乃果)お姉ちゃん。お姉ちゃんは絵里さん、真姫さん(+おまけのこさん)を呼び、私の受験をサポートしてくれた」
「そして、大学受験を果たした。嬉しい。ありがとう、お姉ちゃん、絵里さん、真姫さん、おまけににこさん。そして、久しぶりに部室に顔を出すと、そこにはなかなか参加者が集まらず、困り果てた7人がいた。そして、私は言った」
「そうだ、旅に行こう。それも私達8人で」



第3話 雪穂、大いに喜ぶ

 

「ついに来ました、博多~」

 飛行機のタラップを降りた雪穂はとても大きな声で叫んだ。雪穂達8人は今まさに博多空港に降り立とうとしていた。

 なぜ今、博多なのか。それは、雪穂が大学合格後、部室に立ち寄った時まで遡る。スクールアイドルフェスティバル、通称スクフェスの準備がうまくいっていないことを知った雪穂は、

「旅に行こう」

と、提案していた。すると、

「そんなのんきでいいんですか。そんなに時間がありませんのに」

と、愛が反論する。でも、雪穂は、

「だからだよ。少しは気分をリフレッシュしないと」

と、落ち着いたように言った。

 これに対し、今度ははるかが雪穂に意見する。

「リフレッシュするにしては規模がデカいんじゃありませんか」

これに対しても、雪穂はこう答えた。

「それくらいの規模じゃないとリフレッシュできないんじゃないの、それにね…」

「それに…」

と、亜里沙、つられてしまう。雪穂はこれを見て、少し貯めてこう言った。

「それにね…、私達8人としていられるのはあと1ヶ月少し。ここでバ~ンと思い出づくりしたいと思ったんだ」

 これを聞いたみやこ、

「たしかに8人としての思い出づくり、私もしたいですね」

と言うと、こころあも、

「思い出づくり、思い出づくり~(です)」

と、はしゃぎまくる。はやても、

「それも一理あるな。僕は雪穂の考えに賛成する」

と、雪穂の意見に賛同する。

「私も」「私も」

と、次々に賛成に回る、愛を除いた5人。ついに、愛も、

「それなら私も異論はないわ」

と、賛成へとまわった。

「これで決まり!!」

と、雪穂は大いに喜び、こう言い続けた。

「で、旅行の行程とかは私におまかせ!!」

これに対し、愛は心配そうに言う。

「雪穂におまかせしてよろしいのでしょうか」

これを受けて亜里沙が答える。

「それは大丈夫。雪穂はそこはちゃんとしているよ。スキーしに雪山に行った穂乃果先輩達が穂乃果の天然さ故にかまくらで野宿しようとしたってことはならないから」

この言葉に、

「それならいいんですが…」

と、一応納得する愛。

 そんなやりとりを見ていないのか、雪穂ははるかにお願いをしていた。

「はるかちゃん、お願いがあるんだけど…」

すると、はるかは雪穂に近づく。

「なんでしょうか」

そして、雪穂は口をはるかの耳の近くに持っていき、

「実はね…(こそこそ)…」

と、内緒話を始めた。話し終わると、はるかは、

「わかりました。それなら、私も全力を尽くしましょう」

と言った。

 

 こうして、雪穂達8人は試験明けの休みを使い、2月19日から21日の2泊3日の予定で博多に卒業旅行に行くこととなった。

「どうして、また、博多なんですか」

と、ここあが言うと、

「それは私とはるか以外はナ・イ・ショ!!」

と、雪穂は少しおどけて答えた。

 

 空港に到着した雪穂達8人はすぐに太宰府へと移動した。

太宰府天満宮、ここは皆さんご存知の天神様こと菅原道真公が祭ってある、学問の神様としても有名である。

パンパン

「合格できてありがとうございました」

雪穂がこう言うと、本殿を前にして一礼した。

「ところで、手にぶら下げているのって何?」

と、はるかが雪穂に質問する。

「これは大学受験した時に肌身離さず持っていた合格祈願のお守り!!」

雪穂がこう言うと、今度はみやこが雪穂に質問した。

「で、誰から送ってきたのですか。太宰府天満宮って書いてあるから、雪穂さんが買ったものではないではないからね」

「それは私ですわ!!」

ど、本殿の陰から突然雪穂達8人の前に現れた少女。

「あっ、天さん、こんにちは」

と、雪穂、何も驚かず天に挨拶する。

「天さん!!何でここに!!」

と、はるかは突然現れた福博女子大学付属のスクールアイドルK9のリーダー、中洲天の突然の出現に驚いていた。

 天は続けて言う。

「そのお守り、雪穂さんが大学受験するって聞いたので、それならばと送ったものです」

 そして、愛はそんな天の隣にいたある少女におそるおそる挨拶する。

「え~と、カオルさん、こんにちは…」

またなにかイタズラを仕掛けてくるのではないかとビクビクする愛。だが、K9のメンバーで、天の隣にいる阿蘇カオルは、

「私、いつもイタズラばかりしていないよ」

と、愛の誤解を解くのに必死だった。

 

 参拝が終わり、近くの茶屋で梅ヶ餅を食べる雪穂達8人と天地とカオルと…、その他2人。

「で…、どうして、あの2人がいるのですか」

と、はやてはその他2人の方を指して言った。

「ん~、この餅、おいしい~です~」

「ん、本当、この餅、おいしい。それに、ほっかほか」

その他2人こと、UTX学院のスクールアイドルiDのナンシーとナターシャはお持ちを食べて感想を述べていた。

「2人、2人、おもしろい~」

と、ここあが言うと、

「実はね~、私が呼んじゃいましたのです~」

と、こころが暴露した。実はこころはiDの2人とメル友になっていたのだ。そして、卒業旅行するならばとiDの2人も一緒に呼んだのだ。

「私はとっても楽しいよ、iDの2人いてくれたら」

と、亜里沙も喜んで言った。

「天さん、ごめんだけど、旅行の案内、お願いしたいんだけど」

と、雪穂は天に旅行案内をお願いする。

「私なら大丈夫。任せてもらうわ」

と、天は胸を張ってそう答えた。

 

 博多市、長浜地区。雪穂達8人プラス天達4人はとあるお店で博多ラーメン、いや、長浜ラーメンを食べていた。

「おいしいです~」

と、こころが言うと、ここあも、

「体が温まります~」

と、喜んで食べていた。

「ここが博多ラーメン発祥の店ですわ」

と、天がこう言うと、

「ここから博多ラーメンが始まったのか」

と、はやてはものすごく感心しながら食べていた。

 おいしく食べている雪穂達8人と天とカオル。それに対し、iDの2人はあることに驚いていた。

「まさか、麺のおかわりができるなんて、なんてグレートなのかしら」

と、ナンシーが驚くと、ナターシャも、

「いや、おかわり、麺、だけじゃ、ない。肉も、できる」

と、ナンシーと一緒に驚いていた。

 これに対して、カオルは、

「ここはね、麺だけじゃなくて、肉もおかわりできるんだよ。肉好きの私にとっては喜ぶサービスだよね」

と、言った。

すると、横から、

「私、麺、肉、おかわり!!」

と、亜里沙が突然叫んだ。天、亜里沙の行動に少し怒りながら言った。

「亜里沙さん、こういうときは、『替え玉、替え肉』って言うんですの。それに、麺の固さも指定しないとお店の人はただ困るんですのよ」

これには亜里沙以外の雪穂達7人は驚いていた。

 カオルはこの行為を見て、

「また始まった。天は生粋の博多っ子なんだ。だから、ラーメンの食べ方にはこだわりがあるんだ。鍋奉行ならずラーメン奉行なんだ」

と、言った。これに対し、雪穂は、

「天さんの意外な一面を見てしまった~。あんまり見たくない場面だな~」

と、そう答えた。

 この後、天のラーメン奉行ぶりに雪穂達はただただ苦笑いするしかなかった。

 

天とカオルの案内のもと、博多のいろんなところをまわった雪穂達8人プラスiDの2人。そして、腹鶴温泉で12人で一泊することになった。

その露天風呂の中では、これこそ定番の…。

ポトン ポトン ポトン

スルン スルン スルン

「愛、はやて、ナンシーさん、なんで今回もこんなに悔しい思いするの」

と、はるかは自分の胸をその3人と比べて、いつものように悔しがっていた。

「私達はこれから大きくなるんです」

「そうだ、そうだ」

と、こころとここあもいつものように鼓舞していた。

はるかの言葉を受けて愛はこう言った。

「胸が大きいことはいいことだらけじゃないのよ。肩が凝りやすいんですね」

そして、ナンシーも、

「私も肩こり、厳しいです」

と、答える。これにナターシャは、

「大きな胸、贅沢な、悩み」

と、自分の胸を見つつ、反論していた。

 これを見たみやこは…、

「まったく、懲りない皆さんだなぁ」

と、遠くからこの光景を楽しんでみていた。

 一方、雪穂は天とカオルを近くに呼び寄せ、ひそひそ話をしていた。

「例の準備、できていますか」

と、雪穂が小声で言うと、

「私達の準備はすでにできております。明日は快晴、あの作戦を実行するにはとても良い日ですわ」

と、天は小声で答えた。

「みんなのスケジュールに合わせたぜ。K9はいつでもスタンバイできるぜ」

と、カオルはかっこよく決めてそう答えた。

 そして、雪穂は胸を比べて負けてふさぎこむはるかを呼び寄せ、訪ねた。

「各方面の連絡はOK?」

すると、はるかは、

「それはすでに準備済み!!みんな、あの場所に集まるようにしてあるよ」

 これを聞いた雪穂はすぐにみんなを呼んだ。

「みんあ、明日、ある場所に行くからね。心の準備、していてね」

 これを聞いた雪穂、天、カオル、はるか以外の8人。だが…、

「なんの心の準備が必要なの?」

と、亜里沙が答えるぐらい不思議がるのがほとんどだった。

 

 2日目。雪穂達12人は博多の南にあるクリーンランドにて絶叫コースターを乗りまくっていた。

「絶叫コースターに乗る心構えだったんだね」

と、亜里沙は天然ボケをかましていた。

「それは違うから」

と、雪穂はツッコむが、亜里沙は、

「どこにあるの~。お茶に砂糖をいれてくれる喫茶店は~」

と、ボケをかます。これには雪穂はツッコむのをためらった。

 

 こうして、クリーンランドを遊びたおした雪穂達12人は福博女子大学の大型バスに乗って一路ある場所へと向かっていた。

「ここってどこですの」

愛が尋ねると、はるかは堂々と答えた。

「ここは宮路竹神社。商売の神を祭る神社です」

 すると、みやこははるかに質問する。

「ここってそれだけ有名な神社なのでしょうか」

はやても質問する。

「そうだよね。僕達を連れてくるほどの神社なのかね」

 だが、こころはあることに気付いた。

「もしかして、この神社ってA〇R〇S〇Iの航空会社のCMで有名になったところじゃないのですか」

「?」

と、ここあは疑問に思う顔になる。

 すると、雪穂はこう答えた。

「そう、あのCMの神社なんだ」

 これを聞いて、亜里沙が驚きこう言った。

「あのCMって、とても綺麗だったんだよ」

そして、iDのナンシーも、

「私、あのCM、とても好き。とても綺麗だもの」

と、目を輝かせながら答えた。ナターシャも、

「あの、CM、綺麗。ロシアに、ない」

と、ナンシー同様に目を輝かせて言った。

「それでね、今日、この場所で、みんなの前で発表するの、解散を」

雪穂はこう言うと、みんなの目は真剣そのものになった。

「ああ、ついに、みんなの前で言うんだね」

と、亜里沙は何かに気付いていた風に答えた。

「この神社で発表とは凄いことしますね」

と、愛はあることが起こる日付のことを知っているかのごとく言った。

「で、何で、今から発表するんですか」

と、こころは雪穂に質問した。雪穂はあることを言った。

「ここでの、そして、今日、発表することこそがサプライズになるからだよ」

そう、ここでの、そして、2月20日という秀の発表こそ意義のあるものだった、

 そして、はるかは雪穂の言葉の説明をした。

「実は、あのCMと同じ状況が、今日、発生します。あのCMと同じ、石段上の鳥居、参道、その先にある島が一直線上に夕日で照らされる。そう、ゴールデンロードが現れるんだ」

そして、はるかは力強く言い始める。

「そして、これをほかの人達に見せる。私達の解散、そして、その先へと照らすゴールデンロード。これこそがサプライズとなるのです」

 すると、はやてがることに気付いた。

「サプライズか。そうか、このサプライズに合わせてスクフェスの開催を宣伝すれば参加校が増えるってことか」

 さらに、雪穂はあることを言う。

「そう、スクフェスの宣伝にもなる!!でも、私達だけだと「オメガマックスのスクフェス」になるから、iDとK9にも来てもらったの」

 すると、天はあることを言った。

「私もこの場を借りてあることを伝える」

そして、ナンシーもあることを言った。

「私達iDも、あることを伝えたいんだ」

さらに、雪穂はあることを言った。

「今年のスクフェスはスクールアイドルだけじゃない。スクールアイドルを卒業する3年生を送るための大きな送別会でもあるんだ」

雪穂はある言葉で締めた。

「今回のサプライズこそスクフェスの、そして、私達オメガマックスの、多くのスクールアイドルのためのサプライズにしていこう!!」

そして、雪穂達12人は手を高々に挙げてこう言いた。

「オー!!」

手を下げると、オメガマックス8人は本殿へと向かった。このサプライズの成功を祈願して…。

 

8人一緒に境内でお祈りする。

「さぁて、もう言う決心はついたね」

雪穂はほかの7人に確認を取る。

「うん。私達で決めたことだもんね」

と、亜里沙が言うと、愛、はるか、はやて、こころ、ここあが大きくうなづいた。

最後にみやこが、

「この8人で決めたことだもん。誰も反対しないよ」

と、言って大きくうなづいた。

「それなら、あの場所にいこう」

 

 参拝が終わり、雪穂達オメガマックス8人はゴールデンロードが見える石段の上の方へと進む。そして、見えてくる人の影。よく見て見ると、K9とiD全員だけでなく、ラン、スー、ミキことキャンディーズ三姉妹、南理事長、雪穂や亜里沙などオメガマックスのメンバーの両親、そしてμ’s、A-RISEといった先輩スクールアイドル、地元のスクールアイドル、いつものレポーターを含めた多くの取材陣がいた。

「なんだ、なんだ、この人の多さは…」

と、はやては人の多さに驚いていた。

「ふふふ、はやて、これこそ私の人脈をフル活用してできた結果です」

と、はるかは威張って言った。雪穂はこれを受けて、

「私がはるかちゃんに多くの人をこの場に集めてもらうようにお願いしたんだ。まさか、こんなに集まるなんて思っていなかったけど」

と、答えた。

「全員で言えるかしら」

と、亜里沙が心配そうに言うと、

「こんなの、ラブライブ決勝のときよりもだ、大丈夫だよ」

と、みやこも緊張気味に答えた。

「私達も緊張します」

と、ここあが言うと、こころもこう答えた。

「私もです…」

 だが、愛だけは違っていた。

「私達が活動してきたこそこんな多くの人達が集まったのです。今持てる全ての力をかける時ではありませんか」

と、愛が言うと、雪穂も、

「そうだよ。みんなが輝けるスクフェスを成功させるためにもこの場を元気とガッツで乗り越えていこう」

とみんなを鼓舞する。

「うん」とうなずく7人。

 そして、石段の上に到着するとオメガマックス8人はしゃべり始めた。

 まず、雪穂はあることを話し始めた。

「お集まりのみなさん。今日は集まってくださいましてありがとうございます。私達から重要なお知らせがございます。それでは聞いてください」

 そして、8人一緒に言った。

「「「「「「「「私達オメガマックスは3月31日をもって解散します!!」」」」」」」」

 一瞬まわり一面が驚きの渦とかした。

「雪穂~。ついに決めたんだね。でも、なんで、今、発表なの?」

穂乃果が泣いている雪穂に質問する。

「だって、μ’sのときは、みんなに言わなかったから、ほかの人に迷惑かけたでしょ」

と、雪穂が言うと、穂乃果は、

「そうだっけ」

と、とぼけるふりをしていた。

 オメガマックスのメンバー達はそんなやり取りを見て笑ったり、泣き続けたりとしていた。周りにいる人達も泣いているものもいた。

「ついにオメガマックスから解散という2文字がでてきました。噂は本当だったようです」

レポーターはこう言った。そして、こう言い続けた。

「でも、解散を言い切ったオメガマックスのメンバーの顔は清々しいものになっております。でも、どうして今日の発表なんでしょうか」

 この問いに雪穂は答えた。

「それはね、これを見せたかったの」

そう言って、みんなを石段の上に移動させた。

 すると、みんな全てが次の言葉を言った。

「きれい…」

そこには夕日、そして、1直線に伸びる参道とその先にある島だった。その夕日は参道と島を一直線に照らしていた。そう、それは黄金道、ゴールデンロードに見えた。これにはそこにいる全ての人が感動を覚えた。

 そして、オメガマックスはこれを受けて語り始めた。

「私達にはこの道、ゴールデンロードを歩いて明るい将来へと向かいます」

と、雪穂が言うと、亜里沙も、

「たとえ、これからなにがあっても、この道のことを思い返せば」

と、言うと、みやこも、

「きっと大丈夫だと思います」

という。

「そして、私達のことを忘れても」

と、愛が言えば、

「この道のことを思い返せば」

と、はるかが言い、

「思い出してくれると信じています」

と、はやてが言う。

「オメガマックスとしての活動は終わるけど」

と、ここあが言うと、

「私達はこの道の先へと進んでいきたいです」

と、こころが締める。

ゴールデンロード、この先に進めるための解散。将来へと向かうための前向きの解散であることを告げた。そう受け止める人達がほとんどだった。

 そして、雪穂は声をたからかに言う。

「そして、3月31日、秋葉原で3年ぶりにアイドルスクールフェスティバルを開催したいと思います」

 これを聞いて、レポーターはさらに驚きの表情で言った。

「なんと、ついに、3年ぶりにスクフェスが開催されることが発表されたぞ!!全国のスクールアイドルが集まることに…」

 だが、ある取材レポーターがあることを言った。

「しかし、まだ、参加者が少なすぎるとの情報もあります。開催自体困難とも言われています。それに、これだと、オメガマックスの解散のためのスクフェスといった印象があります」

 これに対し、雪穂は毅然とした態度で答えた。

「まず、これだけは言っておきます。オメガマックスの解散に向けたことに対してのイベント開催のお願いが今回のスクフェス開催の発端でした。しかし、私達はこれから卒業する3年生を送るためのスクフェスにしようと思い立ちました。私達を含め、3年生は3月31日をもって学校を卒業する、すなわち、スクールアイドルを卒業する。それをみんなで祝おう、私達はそう思っております」

 そして、iDの2人が前にでてきた。ナンシーは言う。

「私達iDは3月31日でもって活動をストップしちゃうの。2人とも卒業したら、自分の国にリターンしちゃうからね」

そして、ナターシャも、

「私、ロシア、帰る。そして、アイドル、広げる」

と、なにかを誓うがごとく言う。

 次に、K9が前にでてきた。

「私達K9に解散はありません。しかし、学校を卒業する以上、私達3年生3人はK9から卒業します」

と、天は高々に言った。そして、カオルも続けて言った。

「だが、ただ卒業するわけにはいけません。スクフェスで大輪の花を咲かせてから卒業したいです」

 これにレポーターは驚きながら言った。

「な、なんと、オメガマックスに続いてiD、K9から活動休止、卒業宣言がでたぞ!!」

レポーターは続けて言う。

「こういったこれからスクールアイドルを卒業する人達にむけての一大イベント!!スクフェスはスクールアイドルの祭典。しかし、それは最後の最後で一輪の大きな花を咲かせたいというスクールアイドルとしての使命、かもしれません。これは絶対に応援するしかないでしょ!!」

 この言葉に次々に賛同する取材陣の人達。これを受けて、雪穂はみんなにお願いした。

「取材レポーターさんの言う通り、参加者があまり集まっていません。そこで、私達と一緒にスクフェスを盛り上げるスクールアイドルを募集しております。私達と一緒にスクフェスを盛り上げていきましょう」

 そして、オメガマックス、iD、K9全員が一列に並びこう言った。

「全国のスクールアイドルのみなさん、どうぞ参加をお願いします」

そして、一礼した。

 

 この様子は翌日のスポーツ紙、テレビ番組でも大きく取り上げられた。それも、「日本で一番美しい解散宣言」という見出しでもって多くの人達に好意的に受け止められていた。

ジリリリリ

「わわわ、そこの電話、とって~」

音乃木坂の部室に鳴り響く電話をとろうとここあが叫んだ。

「電話だよ、電話だよ」

今度は机の上にあったケイタイが鳴り出した。

「この電話、私が取るです~」

と、こころも叫びながらケイタイを取ろうとする。

 解散宣言のことが放送されると、全国からスクフェスに参加したいというスクールアイドルから電話がひっきりなしにかかるようになった。

 だが、これだけではなかった。

「これ、北海道のスクールアイドルからのメールだよう」

と、亜里沙が言うと、みやこも

「これ、沖縄からだ」

メールでも100通以上がオメガマックス宛に送られてきていた。そのほとんどがスクフェスに参加したいというものだった。

 スクフェス参加を希望したスクールアイドルはその日だけで200以上にのぼった。これを受けて、雪穂は最初に参加を表明したK9、iDを含む10のスクールアイドルに、K9は九州、iDは関東という風にそのスクールアイドルのいる地区の取りまとめをお願いした。

 こうして、オメガマックスを中心に10チームものスクールアイドルのおかげで、スクフェスの準備はちゃくちゃくとスムーズに動いていた。ちなみに、スクフェスに参加するスクールアイドルは500を超えていた。そして、同じようなイベントを全国各地で行うことにもなり、それを合わせると1000を超えていた。

 とはいえ、スクフェスの準備はきついものだった。それでも、雪穂達8人はスクフェスを成功させるために一生懸命、しかし、とても楽しく活動していた。そう、スクフェスという最後の鐘が鳴る前に…。

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 最後の鐘が鳴る前に

 

楽しかったあの日々 はやく過ぎてく

もうすぐ鳴るんだ 別れという()

別れたくない でも 別れないといけない

 

(ずっと)一緒にいたい (ずっと)楽しみたい

(けれど)必ずあるんだ 出会いと別れが

だから さよならの鐘が鳴る前に

 

精一杯楽しもう 最後の一秒まで

記憶がすりきれる その瞬間まで

最高の仲間の時間 めいいっぱい楽しもう

 

残された時間 あと少し

楽しむには少なすぎる

けれど だから それでいい

楽しむ濃度 こゆくすればいい

限界まで楽しんでいこう

だから さよならの鐘が鳴る前に

 

精一杯楽しもう 最後の一秒まで

記憶がすりきれる その瞬間まで

最高の仲間の時間 めいいっぱい楽しもう

 

さよならの鐘が鳴る前に楽しもう

 

 こうして、準備していくうちに雪穂はあることを考え始めていた。

「スクフェスの準備はとても楽しい。でも、何か足りない」

そう思えるうちに音乃木坂の卒業式の日を迎えてしまった。3年である雪穂、亜里沙、愛は卒業証書を受け取った。

そして、その式典が終わり、愛は雪穂に謝っていた。

「ごめんなさい。例の歌、全然できていないのよ」

例の歌、それはスクフェスのとき、オメガマックス最後の歌として歌う歌だった。足りないもの、それは私達がスクフェスのときに歌う歌だと思った雪穂は愛に作詞作曲を依頼していた。しかし、愛は当日披露するSDSの歌の練習を監督しており、それによって作詞作曲がうまく進んでいなかったのだ。

 それを聞いた亜里沙、

「2人で何か隠しているんでしょ。もしかして、みんなで歌う歌のことじゃないのかな」

すると、愛は亜里沙に、

「そうなの。亜里沙、お願い、手伝ってくれない」

とお願いする。

 すると、亜里沙は意外なことを言った。

「それはね、私だけじゃなくて、はるかちゃん達にもいえるんじゃないの」

そして、亜里沙の近くにあった草むらからはるか達6人が現れた。

「愛、黙っているなんておかしいでしょ」

と、はるかが言うと、はやても、

「そうだよ、愛。こんなときこそ手伝わないと」

と言って、愛の肩を叩いた。

「それなら、歌詞の中に私達の名前を入れてみるのも一つの手では」

と、みやこが言うと、

「それはいいアイデア!!」

と、ここあが元気よく言い、

「まるで『僕光』です!!」

と、こころが締めた。

「みんな、ありがとう」

と、雪穂はお礼を言うと、

「それじゃ、私達の手で最後の歌、完成させちゃおう」

と元気よく言った。それを受けて、7人は

「「「「「「「オー!!」」」」」」」

と、手を高々に掲げた。

 

 翌日、雪穂達8人はスクフェスの準備と最後となる曲を作るため、学校で合宿を張ることになった。

「あのとき、私達6人は対決していたんだよね」

雪穂はオメガイズとマキシマムのユニット対決のことを思い出していた。

「そうでしたね。あのときはどうなるかと思いました」

と、愛も思い出して言った。

「そして、イタズラ勝負して、私達が加入して8人になったです」

と、こころが思い出して言うと、

「そして、テスト、あれは私にとって苦しいものだったよ」

と、みやこが思い出して言う。

「ラブライブではあのUTXのiDと勝負できたこと、僕は素晴らしいと思う」

と、はやてが言うと、

「さらにK9、(阿蘇)カオルとのイタズラ勝負、またしたかったなぁ」

と、ここあが楽しそうな顔で言った。

「ここはK9との勝負のことを思い出さないと」

と、はるかがツッコむと、

「そして、お姉ちゃん達μ’sとの伝説の対決、あれはあれで大変だったよ」

と、亜里沙は少しため息をつきながら言った。

「こうして見て見ると、1年間、いろんなことがあったね。これを曲に込めてみたいよ」

と、雪穂はしみじみになりながら言うと、

「そうですね。この曲は私達最初の曲「Little wing」から成長した私達のことを、そして、この1年間のことを詰め込んでいきたいですね」

と、愛が言う。

「なら、歌詞は決まっているじゃない。私達がこれから飛び立つ歌にしよう」

と、雪穂は力強く言うと、

「そうですね」

と、愛はうなずいて言った。

 そのあと、雪穂達8人は言葉を次々と出しあっていく。

「旅立つ」「はるか」「つばさ」「未来(あした)」そして「飛び立とう」

次々に歌詞を紡いでいく8人…。

 

 こうして、雪穂達8人はスクフェスの準備のかたわら、新曲をこつこつとつくり、スクフェス当日の朝、オメガマックス最後の歌、「TUBASA」を完成させた。

 そして、ついにスクールアイドルフェスティバルは開催されるのです。

 

次回 「卒業 別れのとき」

 

 




あとがき

 こんにちは、la55です。ついに最終章第3話までやってきました。今回の物語はどうでしたでしょうか。今回、ついにオメガマックスが解散をみんなの前で発表しました。それなら本編のエピローグで話しただろ。お察しの通りです。すでに解散についての舞台は本編エピローグで書いていました。でも、たった一場面しかなかったと自分では思い、詳しい内容を書くことになりました。実は最終章のプロットにはこの第3話のことは全く書いてありませんでした。作品を作る際、物語の大まかな内容を書いたプロットというものを普通作ります。そして、それをもとに物語を紡ぎます。自分もプロットを書いてそれをもとにこの「ラブライブΩ」を紡いできたのですが、ときたま、そのプロットを無視して、これなら面白いと、脱線気味に物語を紡いでしまいます。それが今回の最終章第3回です(あとでプロットとつじつまを合わせるのに少し苦労しますが)。プロットから脱線したことは本編でもあります。本編第3話、そして、本編のエピローグがもとのプロットには書いていないものでした。そのエピローグを発展させたのが今回の物語です。物語に破たんがないか心配ですが、今回の物語が次回の最終回、秋葉原での「スクールアイドルフェスティバル」に対して、雪穂達がどう取り組んでいったのか、それを書きたいがために今回の物語を書いてみました。

 で、今回の楽曲「最後の鐘が鳴る前に」ですが、これは雪穂達が「スクフェス」を準備する中でどのような思いで頑張っているのかを歌った曲です。「スクフェス」はスクールアイドル達の祭典であるとともに、雪穂達3年生、そして、オメガマックスとしての最後の舞台でもあります。別れのときは刻一刻近づこうとしております。さよならの鐘が鳴るその時まで精一杯楽しもうとする雪穂達。読者の皆さんも、親友と、仲間と、最後まで頑張って成し遂げたことがあるかもしれません。そのとき、準備する段階で、楽しい思い出とともに、その仲間と離れたくないと思ったことがあったかもしれません。でも、1つのことを成し遂げた時、別れが訪れることがあります。そんなとき、それは悲しい出来事ですが、仲間達との日々は楽しい思い出へと昇華されます。その楽しい思い出こそ、この歌に込められているものだと思っております。

 次回、ついに最終章も最終回を迎えます。そう、この物語もついに最後を迎えようとしております。雪穂達はスクフェスをどのように盛り上げようとするのでしょうか。そして、どんなクライマックスを迎えるのでしょうか。と、言っても、まだ枝編が残っているので、本当の最終投稿日は再来週なのですが。それでも、頑張っていきますので、楽しみに待っていてい下さい。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終章第4話 卒業、別れのとき

「よ~いしょ、こらしょ、どっこいしょ」

 スクールアイドルフェスティバル、通称スクフェスの前日、雪穂達はほかのスクールアイドルと共に秋葉原中を飾り付けしていた。そして、そのメインストリートに大きなバルーンアーチをかけていた。

「よ~し、完成!!みなさん、ありがとうございました!!」

「ありがとうございました!!」

雪穂の掛け声と共にまわりにいるスクールアイドル達は大声で反応する。バルーンアーチの歓声で明日行われるスクフェスの飾り付けが終わった。

「しかし、たった1日で飾り付けが終わるとは凄いバックアップを受けているんですね」

と、K9のリーダー、中洲天は驚いて言った。

「だって、3年前のスクフェスが大成功だったから、街の人達、今回も快く手伝ってくれたからね」

と、雪穂は胸を張って答えた。前回のスクフェスのこともあり、街の人達も1ヶ月前から気前よく準備を手伝っていた。そして、最初は及び腰の行政も、宮地竹での雪穂達の開催宣言により、全国的にスクフェスを盛り上げようという機運が高まったのを受け、日本のサブカルチャーを世界に発信しようと積極的に応援するように方向転換した。

「たった1ヶ月でこんなに大きなイベントにするなんて、雪穂さんは策士ですね」

と、天が雪穂を褒めるが、当の雪穂は、

「?」

と、なにかわからない風な素振りを見せた。

「雪穂~、(全国各地からの)中継モニター、準備できたよ~」

と、亜里沙が雪穂に準備ができたことを伝えに来た。

「よ~し、これで全国とすぐにつながるね」

と、雪穂は嬉しそうに言った。スクフェスにあやかろうと全国各地でスクフェスに似たイベントが開催されることになった。そこで、雪穂はそれを中継で結び、一緒に盛り上がろうとしていた。

「これで全国にいるスクールアイドルと一緒に楽しめるね」

雪穂は天にそう言うと、天もにっこり笑って、

「うん、これで全国のスクールアイドルと楽しめるわ!!」

と、答えた。

「それではみなさん、明日、またここに集合してね。解散!!」

と、雪穂は解散を宣言すると、すぐに学校に戻った。

「あと、新曲の最終調整だけ。これが私達オメガマックスの最後の共同作業になるんだもん。頑張らないと!!」

雪穂はこう言い残すと部室へと消えた、8人最後の合宿をするために。

 その夜、雪穂達8人は最後の練習を終わると、部室に布団を敷いてガールズトークで盛り上がった。まるでもうすぐ来る別れを忘れるみたいに。

 

最終章 最終回 「卒業、別れのとき」

 

「ついにやってきました、この日が。スクールアイドルフェスティバル、通称スクフェスが開催されようとしています!!」

レポーターが元気一杯にカメラに向かって話していた。

「ラブライブ優勝のオメガマックスをはじめ、全国各地から500を超えるスクールアイドルがここ秋葉原に集結しています!!秋葉原の大小50を超えるステージで今日一日、スクールアイドルがソング&ダンスしちゃいます!!」

レポーターが興奮していろいろと喋り出す。まるでマシンガントークをしているようなものだった。

 そして、レポーターはあることを言い出す。

「また、全国各地にてスクールアイドル主体のイベントが同時開催されています。それをなんと、秋葉原に設置したモニターで生中継で見ることができる!!これで全国のスクールアイドルを一度に見ることができるぞ!!」

そして、バルーンアーチ下のメインステージには全国各地から集まったスクールアイドルが集結していた。その先頭にはK9、iD、そして、雪穂達オメガマックスがいた。

「ついにオメガマックスのリーダー高坂雪穂さんが開会宣言をします!!」

レポーターがこう言うと、雪穂はみんなの前に出て、高らかに言った。

「みなさ~ん、元気ですか!!私達スクールアイドルはみんな元気です!!」

ウォー

雪穂の掛け声に呼応する観客達。雪穂はこれを見てさらに続ける。

「全国から500を超えるスクールアイドルが集まりました。今日1日、秋葉原中でこのスクールアイドルのステージ、行われます。全部見て、コンプリート目指そうぜ!!」

ウォー

雪穂の一言一言が観客達をオーバーヒートさせる。そして、雪穂はあることを言う。

「また、秋葉原中にあるモニターには全国各地で行われるスクールアイドルの祭りが中継しています。それを見てください!!」

ウォー

観客達のボルテージはマックスになる。そして、雪穂は締めの言葉を言う。

「今ここにいるみなさん、そして、全国にいるみなさん、私達スクールアイドルのステージを楽しんでください。それでは、スクフェス、スタート!!」

雪穂がこう言うと、それには大小多くの風船が飛ばされた。ついにスクフェスの火ぶたが切っておこされた。

 高らかにスクフェスの開会宣言を言った雪穂、すぐにみんなのもとに戻る。そして、オメガマックス、iD、K9を残して他のスクールアイドルは後ろへと後退する。残った3組のうち、雪穂、天、ナンシーが前に出てきた。

 その天が言い出した。

「それでは、オープニングアクト、始めます。私達K9、」

「iD、」

「オメガマックス」

と、ナンシーと雪穂が次々と言うと、最後に3人で合わせて言う。

「「「3組合同スペシャルメドレー、始まります!!」」」

 

ラブライブΩ スペシャルメドレー 「we are スクールアイドル(ID~TETOTE~虹)

 

インターナショナルな私達

生まれた国は違うけど

この美貌で日本人はいちころよ

 

ブラックシップのキャノンを一発

セレブティすらこぼしてしまう

 

アイドルに国境はない

だれでもアイドルになれる

美しさだけでなれてしまう

国籍すら関係ない

 

インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい私達

この美貌は誰にも負けない

たとえそれが日本人でもね

 

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

 

ココロの鼓動が聞こえる

友のココロの声が聞こえる

それが友とつながる

友と一緒になることさ

 

友と一緒に手をつなぐ

友と言える仲間と一つとなった

そんな証なのさ

 

(赤)熱き心で  (オレンジ)みずみずしく

(黄)空を照らす (緑)りんりんと

(水)空にこめて (青)海と一緒に

(紫)全てが混ざり合おう

 

全ての色あつまりしとき

私たちは最大で最高の

仲間になるよ

 

虹色にひかる 空を駆け抜けていく

青色のキャンパスに虹を描こう

大空に輝く 七色の道しるべ

それが合図さ 私たちの

明るい未来(あした)へ進む合図さ

 

日本だから面白い

アイドルだらけのこの文化

私達誰もが

アイドルになれるんだ

 

スクーアイドル日本

世界中で一番美しい文化です

この文化はどこにも負けない

たとえそれが世界中でもね

 

ウォー

観客はK9、iD、オメガマックスのスペシャルメドレーに酔いしれていた。

そして、レポーターはあることを口にした。

「とても素晴らしいステージでした。特にiD、ラブライブ関東予選で見せた、かみ合わないダンスから一転、息のピッタリあったダンスを披露してくれました。脱ズレズレコンビです!!」

「誰がズレズレコンビですか!!」

レポーターの言葉にツッコむナンシー。そう、ラブライブ関東予選であまりにもズレたダンスを披露したため、みんなはiDのことをズレズレコンビと呼ぶようになったのだ。

「私達、一生懸命、練習、した。だから、ズレズレ、じゃない」

と、ナターシャは説明する。

「とはいえ、まだ始まったばかり!!それでは、みなさん、一緒にスクフェスを楽しみましょう!!」

と、レポーターはそう言うと、何かに逃げるがごとくその場を離れた。

「こら、待ちなさい!!」

ナンシーがレポーターを追いかける。まるでル〇ンと銭〇の追いかけっこのようになる2人。これにはまわりにいる雪穂達は笑ってしまった。

 笑い終わると、雪穂はスクールアイドルみんなに言った。

「今日は始まったばかり!!みんな、楽しみましょう!!」

 

「次はソンマップで「一番小さな彼女」、その次はトレーナーで「ホライズン」です~」

こころが目を回しながらスケジュールを言っていく。オメガマックスは秋葉原の大小あるステージで次々と歌を披露していた。自分達が始めたことなので、責任を感じていろいろなステージに参加していた。

「これが主催するってことなんだね」

と、はやてが言うと、はるかも、

「私達が始めたことだもの。これはしないと」

と言う。それに対し、愛は、

「でも、これはこれで楽しいものですね」

と言うと、みやこも、

「これならずっとスクールアイドルしたいね」

と、元気よく答える。だが、あまりにも忙しさに、ここあは、

「もうスクールアイドルは十分っていう気持ちだよ」

と言うと、亜里沙も、

「もうへとへとだよ~」

と、嘆いていた。

 そんなとき、

ツルル ツルル

と、雪穂の携帯が鳴った。すぐにでる雪穂。すると、聞き慣れた声が聞こえた。

「雪穂さん。そちらはどうですか」

それは天の声だった。雪穂も答える。

「まだまだ元気だよ。そちらはどう?」

すると、天は元気よく、

「こちらもまだまだいけます!!」

と答えた。天達K9も秋葉原中のステージを駆け巡っていた。

 そんな天達に、雪穂は、

「まだまだあるからがんばってね」

と、天達K9にエールを送る。天も、

「そちらも頑張ってください」

と、エールを返した。

 だが、天の言葉はそれだけでは終わらなかった。

「そういえば、私達のカオルがμ’sの高坂穂乃果さんがステージ衣装を着て走っている姿を見かけたらしいわ」

その言葉に、

「!」

と、ビックリする雪穂。だが、ただの空見であると思った雪穂は、

「お姉ちゃんがステージ衣装を着て走っているなんて、ないない。それでは頑張ってね。またね~」

と、そのまま切ってしまった。

 しかし、その証言話は天達だけでなく、複数の目撃証言があったことは雪穂達には今だ知らなかった。

 

 スクフェスが終盤を迎えると、秋葉原中のステージで歌を披露していたスクールアイドル達がステージを終え、メインステージへと集まっていた、そこである歌を披露するために。

「みんな~、集まったか~」

雪穂がこう言うと、みんな揃って「ハイ!!」と大声を上げた。 

 メインステージにはオメガマックス、iD、K9をはじめとするスクールアイドル全員が並んでいた。そのまわりには観客達が見守っていた。

 雪穂が前に進み、観客達に何かを言おうとしていた。

「みなさん、今日一日楽しんでくれましたか。今からお見せするのは私達の…」

「ちょっと待った~」

雪穂の声を遮るがごとく大きな声がこだました。それはレポーターだった。

「そんな現役スクールアイドル達に私達からささやかなプレゼント!!」

雪穂達の前に大きなプレゼントボックスが現れた。

「なんなの!!」

ビックリする雪穂達。

「ボックスオープン」

レポーターの声と共にプレゼントボックスが開く。そこにいたのは…。

「お姉ちゃん!!」

雪穂は突然叫んだ。そこにいたのは穂乃果達μ’sとツバサ達A-RISEだった。

「やっぱり、この曲は私達がいないとね」

と、穂乃果が雪穂に言う。そう、この曲は穂乃果達当時のスクールアイドル達が力を結集してつくった曲である。

「私達μ’sとA-RISE、先輩スクールアイドルとして参加しちゃいます」

と、穂乃果は堂々とみんなのまえで宣言する。

「お姉ちゃん」

雪穂は泣きながら穂乃果に駆け寄る。

「ここはお姉ちゃんらしくしたいもんね」

と、穂乃果はちょっと威張るように言う。

 そして、μ’s、A-RISE、オメガマックス、iD、K9はその歌の立ち位置に移動した。雪穂は一歩前に進み、あることを話した。

「まさか、お姉ちゃん達μ’sと一緒に歌えるなんて、私達にとってサプライズです。私達全員知りませんでした。しかし、サプライズはこれだけではありません。モニターを見て下さい」

観客はモニターを見ると、全国各地で開催されているスクールアイドルの祭典の会場が映し出されていた。そこにはこの歌の衣装を着たスクールアイドルの姿があった。これを見て、雪穂は驚く観客達を見て言った。

「私達は今ここにいる。そして、全国各地に散らばる1000組以上のスクールアイドルと一緒にこの歌を歌います。この歌は昔、ここにいるμ’sが中心となり、全国のスクールアイドルが一緒になって紡いだ曲です。そして、今、μ’s、A-RISEといった先輩達、私達現役、そして、これからスクールアイドルとなる後輩達と一緒になって紡いでいく歌です」

そして、全員が大きな声でその曲の名を言う。

「聞いてください。SUNNY DAY SONG」

♪ツゥ~ル ツゥルルン ツゥ~ル

前奏に合わせて踊り出すスクールアイドル達。この日のために1週間前からみんなで練習した。みんなで合わせたのは昨日の1回だけ。それでもみんなと呼吸を合わせているがごとく踊り歌う。画面の向こう側のスクールアイドル達も一緒に合わせて踊る。そして、μ’sとA-RISEも雪穂達に合わせて踊っていた。

「お姉ちゃん達、すごい!!」

雪穂は穂乃果を見てそう思った。対して、穂乃果は、

「だって、私達も練習していたもん」

と言った風な顔つきで踊っていた。実はA-RISEも1週間前からこの曲を練習していたのだ。みんなのスケジュールを合わせるが大変だったと絵里の弁。

 スクールアイドル達の歌や踊りを見て、観客にはものすごい光景に見えた。それはまるで1つの大きな生き物が曲に合わせて踊っているように。

 

 そして、SDSが終わった。

パチパチパチ

観客から大きな拍手が送られる。

「ありがとうございます」

スクールアイドルみんなで大きな挨拶をする。

 お礼が言った後、オメガマックスは観客の前に出てきた。雪穂はさらに前に出て挨拶をする。

「私達はこれで…」

「ちょっと待った~」

雪穂の挨拶を遮る、ちょっと待ったコール。言ったのは…、みやこだった。

「雪穂さん、亜里沙さん、愛さん。前に出てきてください」

何かわからず前に出る雪穂、亜里沙、愛。すると、3人の前にみやこ、はやて、はるかが並んだ。そして、みやこが声を出した。

「これから渡したいものがあります。これは私達1,2年生が卒業する3年生へと心を込めた贈り物です」

 そして、みやこ、はやて、はるかは、雪穂、亜里沙、愛に証書を渡すような形であるものを渡そうとしていた。みやこは読み上げる。

「卒業証書、高坂雪穂殿。あなたはスクールアイドルの全過程を終了したことをここに証明します。平成〇年3月31日、スクールアイドル一同」

 そして、みやこは雪穂に証書を手渡した。スクールアイドルの卒業証書だった。亜里沙ははやてから、愛ははるかから卒業証書を受け取った。

「あ、ありがとう」

突然の出来事で泣き出しそうになる雪穂。しかし、これだけではなかった。みやこ、はやて、はるかが後ろに下がると、今度はこころあが前に出てきた。そして、雪穂、亜里沙、愛の前に出てきて、また別のものを手渡そうとしていた。

 こころがそのとき、口を広げて言った。

「私達からの感謝状です」

「私達の手作りですので、感動して読むといいよ」

こころあから感謝状を受け取る雪穂、亜里沙、愛。それにはこう書いてあった。

「感謝状。これまで私達下級生を引っ張ってくれたこと、そして、いい思い出を作ってくれてありがとうございます。これからは私達が頑張っていきます。これまで本当にありがとうございます」

感謝状を見て雪穂、亜里沙、愛は、

「こんな素晴らしいプレゼント、ありがとう」

と、泣きながらお礼を言った。すると、みやこ、はるか、はやて、こころ、ここあも突然、

「私達も素晴らしい思い出ありがとうございます」

と、泣きながら答えていた。

 雪穂は泣きながらもまわりを見渡す。すると、ほかのスクールアイドルも泣きながら3年生に卒業証書と感謝状を渡す姿があった。iDも、K9も泣きながら受け取っていた。

 だが、素晴らしいイベントにも終わりはある。雪穂は涙を拭いて観客の前に立った。そして、声を出した。

「楽しかった宴もこれで最後です。私達オメガマックスはこの1年間いろんな人達に会い、成長してきました。最初、私と亜里沙だけでした」

すると、亜里沙から、

「最初は2人だけだったもんねぇ」

と、思い出しながら言う。雪穂亜さらに続けた。

「そして、みやこが加入し、」

今度はみやこから、

「あのころの練習は超ハードでしたもんね」

と言われる。雪穂の話は続く。

「ユニット対決でもって愛さん、はるかさん、はやてさんと合流し、」

すると、愛から、

「あのころはあのころです」

とほほを染めて言い、はるかから、

「でも、あれがあるから私達が」

と言って、はやてもそれに続けて、

「今の僕達が成立したんだ」

と、うなずきながら言う。そして、雪穂の話は続く。

「そして、こころあも私達に合流した」

すると、こころあは、

「「私達がいるから今のオメガマックスが誕生したんです」」

と、口を合わせて言った。

 次に雪穂はiDとK9の方を向いて話し始めた。

「そして、ラブライブを通じて、iDのナンシーさん、ナターシャさん、K9の天さん、カオルさんと出会い、苦しみ、そして、成長しました」

すると、K9の天から、

「私達も雪穂さんからいたから成長できたと思います」

と、感謝の言葉が出てきた。

 そして、雪穂は最後の言葉を言う。

「私達、オメガマックスは今日をもって解散します。たった1年間という短い間でしたが、本当にいい思い出でした。私達を見守ったみなさん、本当にありがとうございました」

「「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」

雪穂の言葉に合わせてお礼を言うオメガマックスの8人。そして、雪穂は最後の曲の紹介へと入る。

「今から歌う曲は私達オメガマックスとしてファイナルソングとなります。これから飛び立つ私達を歌った曲となります。聞いてください。『TUBASA』!!」

 

ラブライブΩ 最終章 挿入歌 「TUBASA」

 

雪が去りし花咲く季節(とき)

旅立つときがやってきた

ありのまま進む未来(あした)

どうなるかわからないけど

 

はるか彼方に飛ぶために

大きな翼を手に入れた

こころ重ねあうたび強くなる

そんあ翼を手に入れたよ

 

さあ飛びたとう(あい)し友よ

(みやこ)から旅立つ日が来たよ

はやてのごとく過ぎし思い出 それをかてに

さあ 飛び立とう 友よ

 

生毛だらけの小さなとき

旅立つことが出来なかった

いくせんの苦しみ味わい

手を取り打ち勝ってきた

 

同じ苦しみにあってきた

大きな翼を得るために

気持ち重ねあうたびに嬉しくなれる

そんな喜び手に入れたよ

 

さあ進めよう(あい)し友よ

未来(あした)へと飛び立つ日が来たよ

涙を流し進む悲しさ それをかてに

さあ飛び立とう 友よ

 

飛びたい

(飛べなかった)

飛びたい!!

(今は違う)

飛びたい!!

(ここ)(あい)し友よ)

飛びたい!!

(さあ飛び立とう)

 

さあ飛び立とう(あい)し友よ

未来(あした)へと旅立つ日が来たよ

大きな白き翼羽ばたき希望(そら)に向かい

さあ飛びたとう 友よ

 

さあ飛びたとう 友よ

 

「TUBASA」を歌い終えたオメガマックス。涙を流しながら歌う姿を見て、観客からは大きな拍手でもって迎えられた。

 雪穂は泣きながらもスクフェスを締めようとしていた。

「これでスクフェスの全ての…」

 すると、穂乃果からある言葉が発せられた。

「アンコール」

すると、まわりにいたA-RISE、μ'sから、そして、それはほかのスクールアイドル、観客へとアンコールの掛け声が広がっていった。

「アンコール、アンコール」

秋葉原中に広がるアンコールの声、いや、モニター越しのスクールアイドルや観客からもアンコールの声が聞こえてきた。

 これを聞いて、雪穂は、

「アンコールってどうしよう」

と、あたふたしたが、亜里沙は、

「そんなの決まっているでしょ!!」

と言うと、愛は、

「アンコールを受けてもらうしかありません」

と言い、こころは、

「アンコール、アンコールです!!」

と、飛び跳ねて言い、ここあは、

「ここは一発、私達の最後の力をみせるとき!!」

と、ガッツポーズしながら言い、はるかも、

「まさかこんな展開になるなんて」

と驚きを隠せず、はやては、

「でも、これこそ僕達だぜ」

と、かっこよく決めて言う。そして、みやこから、

「雪穂さん、私達の最後のステージ、皆さんにお見せしましょう」

と、雪穂に元気をつける。

 雪穂はこれを受けて、観客の前に立ち、言った。

「それではアンコールをお受けします。これが私達の本当に最後の曲になります。みんなと紡いだ、あなたと一緒に紡いだ、そのような曲です。聞いてください」

 そして、8人一緒に曲名を言った。

「「「「「「「「OVER THE LEGEND!!」」」」」」」」

 

ラブライブΩ グランドエンディング曲 「OVER THE LEGEND」

 

私たち、開拓者(チャレンジャー)

 

(1)

遥か彼方に見える伝説の地(レジェンドラ)

先輩たち(レジェンドラ)が築いた希望の場所

 

私たちの力だけでは乗り越えられない

だから君と力を合わせてみれば

必ず乗り越えられるはずさ

 

伝説(とき)を(伝説(とき)を)乗り越えて(乗り越えて)

見えてくる未来(あした)の私たち

本当の(本当の)美しさ(美しさ)

心に秘めて未来(あした)に進もう

|Glory《グロリ my heart

 

(2)

夢という果てしない挑戦(チャレンジ)

先輩たち(チャレンジャー)が達した高みの場所

 

私たちと君と一緒でなら大丈夫さ

だって君と力を合わせてみれば

なんでも叶えられるはずさ

 

君と(君と)紡いでく(紡いでく)

1つだけの私たちの物語(ストーリー)

唯一の(唯一の)宝物(宝物)

心に秘めて一緒に進もう

Glow(グロー) my heart

 

手と手つなぐたび強くなれる

それが私たち

どんな苦しみがあったとしても

君とならば必ず乗り越えられるさ

 

伝説(とき)を(伝説(とき)を)乗り越えて(乗り越えて)

見えてくる未来の私たち

本当の(本当の)美しさ(美しさ)

心に秘めて一緒に進もう

Glory(グロリ)Glory(グロリ) my heart

 

君と紡ぐ私たちの伝説(ストーリー)

 

 本当にみんなと紡ぐ歌だった。歌の途中から、まわりのスクールアイドルたち、観客達が歌いはじめ、それは1つの大きな合唱へと変わった。会場中が、いや、日本中が一つになった、紡がれた瞬間だった。

 歌い終わると、雪穂は泣きながら言った。

「みんさん、本当にありがとうございました。これでみんなと一緒に紡がれたと思います。私たちはこれで解散となりますが、私達のことを忘れないでください」

そして、最後に雪穂は言った。

「これでスクフェスの全てのプログラムは終了します。この日のこと、私達スクールアイドルのことを忘れないでください。本当にありがとうございました」

 そして、雪穂達オメガマックス8人は、

「「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」」

と、一礼すると、まわりからも、

「ありがとうございました」

という声が聞こえてきた。

 だが、その声と裏腹に雪穂の心は悲しさからうずまいていた。

「どうして、もう終わりなのに、みんなと離れたくないよ~」

雪穂はそう思うと、涙を流せざるをえないものになった。大粒の涙を流す雪穂。涙をふくと、亜里沙達からも大粒の涙が流し続けていた。

「おわりたくないです~」

こころがこう叫ぶと、みやこも、

「私も離れたくないよ~」

と叫んでいた。

「みんな、円陣を組もう」

と雪穂が言うと、8人は円陣を組んだ。

 亜里沙からは、

「ありがとう」

という言葉が、愛からは、

「今がこれまでで一番の幸せ」

という言葉が出てくる。

 はるか、はやてはこれを見て、

「「今が最高!」」

と2人一緒に言う。

涙を流し続ける8人を見て、まわりからも、

「本当、今が一番最高だよ!!」

「本当にありがとう!!」

という言葉が次々に与えられていく。

 しかし、ついに最後のときを迎えてしまった。スクールアイドルという大きな籠から飛び立つ瞬間がついに訪れてしまったのだ。

「亜里沙、愛、はやて、こころ、ここあ、そして、みやこ。最後にいつものアレ、しよう」

雪穂が言うと、

「「「「「「「うん」」」」」」」

と他の7人がうなずく。そして、手を重ねて、

「1」と雪穂あが言うと、「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」と、亜里沙、みやこ、愛、はるか、はやて、こころ、ここあの順で言う。そして、まわりが「9」というと、

「オメガ~、マックス、アップ!!」

と、みんなで叫ぶ。みんあと一緒になった瞬間だった。

「「「「「「「「本当にありがとうございました」」」」」」」」

オメガマックス8人が最後に一礼する。

 そして、雪穂は最後に次の一言を他の7人に言った。

「再会したら、また一緒にやろうね」

これに対し、

「「「「「「「うん、また一緒にやろう」」」」」」」

と、声を合わせて答える7人。

 こうして、雪穂達のオメガマックスとしての物語は終わりを迎える。スクールアイドルという大きな籠から飛び立った雪穂達。また再会しようという約束を残して旅立っていた。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

グランドフィナーレ

 あれから3年―。

「ついに始まりました。大学生アイドルのラブライブ、ユニドル選手権。今まさに熱い火ぶたが切って落とされます」

いつものレポーターの掛け声とともに、大学生アイドル版ラブライブことユニドル選手権が始まろうとしていた。(ちなみに、ユニドルとは大学生版スクールアイドルであり、ユニヴァーシティーアイドル、縮めてユニドルである)

「では、予選を勝ち抜いてきた者達を紹介しま~す。まず、最初に全員が先生志望らしいが、なぜかアイドル続けています。日本橋女子大学のユニドル、HOT!!」

レポーターの紹介で数人を連れて出てきた女性は…、雪穂だった。雪穂は言う。

「やっとここまで来たんだね」

雪穂は大学入学してからアイドル研究部を自分から、それも初めから作り上げていた。日本橋女子大学にはアイドル研究部すらなかったのだ。

「とても長かったよ。でも、私のサポートなしじゃここに来れなかったよ」

こう言って雪穂の隣に来たのは元K9の阿蘇カオルだった。

「それは言えるかもしれないね。ちょっと空回りもしたときもあったけど」

と、カオルに答える雪穂。

「おいおい」

カオルはそんな雪穂にツッコミを入れる。

 だが、ユニドルの紹介は続いて言った。

「次はスクールアイドルに続いてユニドルも国際化、○○外国語大学のユニドル、iD(プラス)!!」

「こんにちは~」

けいちょうな日本語で出てきたのはあのナンシーだった。

「私、まだ、日本に、来た。アイドル、ロシアに、広める、ために」

と、音節を区切って話すナターシャの姿もあった。そして、

「私のこと、忘れないで~」

と出てきたのは、亜里沙だった。ロシアに戻った亜里沙だったが、今度は留学生として日本に戻ってきていたのだ。そして、同じ留学生のナンシーとナターシャに誘われてユニドルグループを結成していた。

 レポーターの紹介はまだまだ続く。

「今度は九州から。絶対女王は伊達じゃない。九州が生んだかわいい小娘達。その名は福博女子大学のユニドル、博多小娘(おとめ)!!」

「私達は楽しく、そして、勝つためにここまで来ました。私の力で!!」

と言って出てきたのは中洲天。そして、

「私の力じゃないでしょ。私達の力でしょ!!」

こう言って出てきたのは愛だった。愛は天との約束通り、福博女子大学に入学し、そのままプロデューサー兼ユニドルとして参加していた。

 そして、次の紹介は…。

「天才はどうして現れるのか。医者の卵、だが、アイドル、陸上日本のエース、なのに、アイドル。2人の天才が組んだハーモニー、△〇大学のユニドル、H&H!!」

そう言われ、出てきたのは…。

「私の知力でかなうアイドル、出てきてください」

と言って出てきたはるかと、

「まさか、僕がこのステージに立てるなんてね」

と、言って出てきたはやてだった。はるかとはやてはくしくも同じ大学に入学し、昔、スクールアイドルだったからということで、成り行きでユニドルになってしまったのだ。そして、なぜか一緒に組むことになったのだ。

 次々とユニドルを紹介するレポーター。そして、最後のユニドルを紹介する。

「最後は、去年は博多小娘(おとめ)にあと一歩及ばず準優勝。だが、今年はスクールアイドル界を席巻したあの双子が加入し、パワーアップ!!今年こそ優勝を狙う!!□□大学のユニドル、ビースト!!」

そこに出てきた3人組。

「去年は愛さんに負けちゃったから、今年こそリベンジ!!」

と、みやこが言って出てくる。

「ユニドル界も私達の天下で決まり!!」

と、ここあが張り切って出てくる。

「にこ姉様、私達達を見守ってくださいです~」

と、こころが祈りながら出てくる。みやこは大学入学してからすぐにユニドルとして単独活動をしていた。アイドルらしからぬガテン系の体つきながらダンスはピカイチ。たった一年でユニドル選手権を準優勝するほどの実力を見せた。そして、今年、そのみやこに誘われてスクールアイドル界を荒らしまわったこころあが加入していた。今年の対抗馬として目されていた。

 そして、開会式が終わり、舞台袖に移動するユニドル達。そして、8人が邂逅するときが来た。

「亜里沙、みやこ、愛、はるか、はやて、こころ、ここあ、お久しぶり」

まず声を掛けたのは雪穂だった。

「お元気でしたか」

とみやこが言うと、

「渡井は元気ですわ」

と愛が言う。はるかは、

「まさか、ここで集まるとは奇跡です」

と言うと、はやても、

「たしかに奇跡だ」

と驚いて言った。

「でも、事実は事実だよ」

とここあが言うと、

「昔に戻った感じです~」

とこころが懐かしそうに言った。

 そして、亜里沙は、

「また、私達8人で何か出来そうな感じがする~」

と言うと、雪穂は言った。

「ここで集まったのも何かの縁!!久しぶりに何かしよう」

と。これに対し、亜里沙達7人は

「「「「「「オー!!」」」」」」」

と答えた。

 こうして再び集まった雪穂達。3年前に籠から大きく飛び立った鳥達は大きく成長して戻ってきた、また何かをするために。そして、それは力強く、大きなうねりとしてこの日本を盛り上げていくのだろう。

 

 これで雪穂達の物語は終わる。だが、これで終わったわけではない。これから先、雪穂達は大きな挫折、大きな感動を経験していくだろう。

これから先の物語、それは君の心の中で紡いでいってほしい。そう、この物語は君と紡ぐ物語(ストーリー)なのだから。(了)

 

次回「ラストメッセージ」「μ→Ω→x」「新曲」

 

 




あとがき

 こんにちは。La55です。ついに最終章も最終回を迎えました。これまで読んで頂いてありがとうございます。雪穂達オメガマックスをはじめとするスクールアイドル達は大盛り上がりしながらスクフェスを成功へと導こうとしていました。今回は最終回らしく、お祭り感覚での回ともなりました。途中、スクールアイドルの卒業証書を雪穂達が受け取るシーンがありましたが、ここは、もし、3年がスクールアイドルを卒業するとき、こんなサプライズがあれば感動するのではと思い、このシーンを組み込みました。そして、雪穂達オメガマックスが最後の歌を熱唱したあと、みんなで集まって一緒に泣き出すシーン、これは、μ’sの東京ドームでのファイナルライブ最終日で、僕光を歌い終わったあと、みんなで集まって泣き出すシーンを参照にしました。自分は地元の映画館であったライブビューイングをこの様子を観ておりました。とても感動する、μ’sの6年間を締めくくるシーンだと思ってしまいました。そして、もし、雪穂達ももし解散するなら最後こうするのではと思い、このシーンを挿入しました。

 で、今回の楽曲の「TUBASA」ですが、この曲は本編第5話で雪穂達が6人になったときに発表した曲「Little wing」の対となる曲です。最初飛び立てなかった小鳥達が成長してついに飛び立つ。それを歌にしました。「Little wing」のときには雪穂達こと小鳥は「飛びたい」と言っても「飛び立てない」と嘆き、飛びたいという希望を抱くようになりました。そして、小鳥達は成長し、ついに飛び立つことができるようになりました。そして、飛び立っていく小鳥達。この曲は雪穂達がオメガマックスという巣から飛び立とうとする、それを歌にした曲。みなさんは飛び立つ雪穂達を見て、どう思いましたでしょうか。ちなみに、僕光をちょっと意識していたりします。この曲には僕光と同じ、オメガマックスメンバーの名前が散らばれております。見つけてみてはいかがでしょうか。

 と、いうことで、最終章も最終回ということで、メーンの話はこれでおしまいとなります。しかし、枝編と雪穂達からのラストメッセージ、そして、新曲を次回投稿します。これがこの「ラブライブΩ」の最終投稿になる予定です。本当に長い間読んで頂きましてありがとうございます。あと1回の投稿となります。さみしい限りですが、それでもまた読んで頂けたらと思います。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラストメッセージ
μ's→Ω→サンシャイン


 ラブライブが終わり、冬が訪れていた。雪穂は亜里沙と共に秋葉原の町中を歩いていた。

「ラブライブ、どうなるかと思ったけど、優勝できてよかったね」

と、雪穂が言うが、とうの亜里沙は、

「また、その話…、これで何十回目だよ」

と、少し呆れ顔で話していた。

 雪穂はそんな亜里沙とは裏腹にいろいろ話始める。亜里沙は何十回も聞いたことだけに飽き飽きしそうになったが、そういう風には見せず、聞いている。それは彼女自身も桂冠し誇れる物語だったからだ。

 そうしているうちに、駅前の大型ビジョンの前に着いた。そこには来年、5周年を迎えるラブライブの特別映像が流れていた。

「あっ、ラブライブの映像が流れているよ!!」

雪穂は亜里沙にも大型ビジョンに流れる特別映像のことを教える。

「あっ、本当だ~」

亜里沙はそれを見て感動していた。なぜなら、過去のラブライブ優勝者の映像が流れていたからだった。

第1回 A-RISE 第2回 μ‘s 第3回―

μ‘sの時に流れるお姉ちゃん達、穂乃果、絵里の踊っている姿を見る雪穂と亜里沙。昔の映像だけど、自分達と同じ年齢での映像は何度見たものだけど、それでも新鮮な感じがした。

「お姉ちゃん達もいろいろとあったんだね」

雪穂は昔聞いたμ‘sの歴史をいろいろと思い返していた。

 映像はまだ続いていた。

第5回 K9 第6回 オメガマックス

「わっ、私達の映像だよ」

亜里沙は雪穂にそのことを伝える。

「あっ、私達の映像、こうして見ていると、いろいろあったなぁ~」

雪穂はこう言うと、まるで昔のように感じるあの日々のことを思い返していた。

「でも、私達は新しい伝説をつくったんでしょ」

雪穂は見ていた亜里沙、そう言って雪穂の肩に手を差し伸べる。

「そうだったね。私達自身が伝説になるって、まだ、伝説をつくっていないでしょ」

雪穂は亜里沙にツッコむが、亜里沙は、

「もうすでに伝説、つくっていると思うけど…」

と、少しとぼける。

 そのとき、空に飛んでいたメイドカフェのチラシを拾うある少女の姿があった。

「あっ、ラブライブ…、すご~い」

その少女はチラシを拾うと同時に大型ビジョンに流れるラブライブの特別映像を見続けていた。

 そして、

「私、スクールアイドル…、やりたい!!いや、絶対になってみせる!!」

と、大きな声でそう宣言した。

 これを見た雪穂、

「あの子、スクールアイドルになりたいんだね。たとえ、いろんなことがあるかもしれない。けど、諦めなければ絶対になれるよ」

と、あの子に語りかけるように言った。だが、それはあの少女には聞こえていない。でも、それでも、聞こえていると信じて言っていた。

 その少女はチラシを拾い終わると同時にその少女の友達らしき別の少女がその子に駆け寄ってきた。

「ちかちゃ~ん、探したんだよ。さっ、このチラシ、メイドさんにお渡ししちゃお~」

そう言うと、その友達は映像を見ていた少女の手を引いてその場を離れていった。

 雪穂はその様子を見て、少し微笑んでいた。そんなとき、

 

ヒラリ

 

雪穂は一瞬驚いていた。いまさっきでチラシを拾いつつ映像を見ていた少女に白い翼が落ちてきたのだ。

「また、伝説はつくられるんだね」

雪穂はそのことを見て一言言った。

「雪穂~、亜里沙~、はやくいくわよ~」

遠くから呼ぶ愛の声、これを聞いた雪穂は、

「あっ、ちょっと待って~」

と、呼びかけに応じて愛達のところに駆け寄っていった。

 伝説から伝説へ。無印からオメガマックス、そしてサンシャインへ。μ‘sからオメガマックス、そしてAquourへ。伝説は引き継がれる。物語は続く。そう、私達という存在がいる限りは…。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラストメッセージ

亜里沙

「は~い、亜里沙です。最後まで見て下さってありがとう。みんな応援してくれたから、これまでやってこられました。応援してくれたみなさん、とても、ハラショー。これからもがんばっていくから、応援宜しくお願いします」

「みなさん、こんにちは。秋葉愛ですわ。たった1年間という間でしたが、中身の濃い1年だったと思いますわ。ひとえに私の…、ではなく、みなさんのおかげですわ。この場を借りてお礼申し上げます。でも、私達の物語はまだまだこれから。応援よろしくお願い致します。」

 

はるか

「代々木はるかです。ただのアイドルおたくである私が日本一のスクールアイドルになれたのもみなさんのおかげです。最初、愛についていった結果がこんなに嬉しい結果になれたとは、私にとって大きな誤算。でも、それもこれもみなさんのせいですから、これからも応援を続けてくださいね」

 

はやて

「僕の名は神宮はやて。陸上一筋の僕にとってスクールアイドルは新しい自分を見つけた瞬間だと思っております。新しい自分を見つけてくれたのもみんなのおかげと思います。陸上とスクールアイドルの2足のわらじになったけど、これからもみんなの応援、よろしく!!」

 

こころ

「私、矢澤こころです。(にこ)お姉様と同じスクールアイドルになりましたが、まさか、あのμ‘sに勝ってしまうとはいまだに信じられないです~。これもみなさんの応援の賜物です~。これからもスクールアイドルとして活躍していくから、応援よろしくです~」

 

ここあ

「ここあだよ~。まさか私がスクールアイドルの頂点に立つとは、やっぱり(にこ)姉ちゃんの妹だから、いや、私の努力の賜物!!それと、みんなの応援のお・か・げ!!私達の物語はこれで終わり!!じゃないよ。みなさんの応援があれば、まだ、帰ってくるからね~。それではバイバイ!!」

 

みやこ

「京城みやこです。私みたいなガテン系のアイドルであっても、一生懸命頑張れば、それだけで頑張っていける、そんな1年を過ごしたと思います。それもこれもみなさんの応援あってこそです。私はまだまだ頑張っていきます。元気爆発、そして、絶対に諦めない、そんな私達をこれからも見ていてください」

 

雪穂

「雪穂だよ。みんないろんなこと言っているけど、ただ言いたいことは1つだけ、皆の応援があったから、私達は伝説になった、ということ。これには私もお礼を言わせてください。本当にありがとう。私達のオメガマックスとしての物語は終わりますが、全てが終わったわけじゃないよ。これからも応援してくれたら私達もどんどんがんばっていくからね。だから、応援、宜しくね!!じゃ、みんな集合、せ~の」

 

8人

「本当にありがとうございました。これからも応援よろしくね!!」

 

雪穂

「それでは聞いてください。私達オメガマックスとしての本当に最後(?)の曲」

 

8人

「「「「「「「「Hallo,Hallo,say good-bye」」」」」」」」

 

「Hallo,Hallo,say good-bye」

 

最初から一緒ではない

一つ一つの小さな粒たち

でもぶつかりしとき

大きな形になる

 

それでもかがやけない

みんなの声が聞こえし

そしてどんどんかがやき

そして1つの大きな太陽になる

 

全てがそろいしとき

全てがかがやき

全てが静まるとき

全てがおわるわけじゃない

 

Hallo,Hallo,say good-bye

はじまりがあれば終わりはない

Hallo,Hallo,say good-bye

 

最初から一つではない

一つ一つの大きな粒たち

でも混ざりあるとき

全てがぶつかりあう

 

ぶつかりあたるごとに

1つの橋がかかりし

そしてどんどんつながり

そして1つのかがやく太陽になる

 

みんなつながるとき

みんなひとつに

みんな離れるとき

みんなと終わるわけじゃない

 

Hallo,Hallo,say good-bye

つながれしキズナ終わりはない

Hallo,Hallo,say good-bye

終わりあってもつながり続ける

 

全てが1つにつながるとき

それは永遠を示す

みんなの声とつながるキズナ

これをかてにかがやき続ける

仲間という名の太陽が

 

Hallo,Hallo,say good-bye

はじまりあれば終わりはない

Hallo,Hallo,say good-bye

みんな合わせかがやき続ける

Hallo,Hallo,say good-bye

つながりしキズナ終わりはない

Hallo,Hallo,say good-bye

みんな合わせつながり続ける

 

Hallo,Hallo,say good-bye

別れにサヨナラしようよ

 




あとがき

 こんにちは、la55です。枝編のほうはどうでしたでしょうか。オメガとサンシャインをつなぐ作品のつもりで書いてみました。これはサンシャインの放送が始まった時、サンシャイン第1回の冒頭のシーンを見て、頭の中でひらめいたのがこの枝編でした。といっても、ありきたりな内容ですので、少しがっかりした方もいらっしゃるかもしれません。とはいえ、オメガとサンシャインをつなぐ意味でも少しでも楽しめたらと思います。

 そして、「Hallo,Hallo,say good-bye」ですが、μ’sの「MOMENT RING」を意識して作詞したのですが、どちらかというと、そのカップリング曲の「さようならへさよなら!」に近いようになってしましました。これにはちょっと肩を落としてしまいました。とはいえ、これまでのオメガの物語を歌詞に込めて作詞しております。ラストメッセージにも書いている通り、ただのさようならではなく、これからも続けるようなさようならになるようになりたいと思うような詞になっております。

 これでオメガの全ての物語は終幕となります。長い間読んで頂きましてありがとうございます。どうでしたでしょうか。ただの駄作で終わったような感じになっておりませんでしょうか。その場合にはお詫び申し上げます。これから先、私はまだ物語を創造していきたいと思っておりますが、まだ、次回作についてはまだ白紙の段階です。こち亀最終回と同じくストックもない状態です。次回作は早くても半年後になるかもしれません。ちょっと長いかもしれませんが、楽しみに待っていただけたら幸いです。それでは、さようなら、さようなら、さようなら。

追記
 オメガの物語は終幕と言っておりますが、実は「オメガマックス」の物語が終わるの意味です。雪穂達の物語はまだ続けたいと思っております。とはいえ、7千文字もの文章を書くのにも多くのエネルギーを使うため、長文かつ毎週更新というのはちょっと難しいこと、そして、本当にストックがないのも事実です。そのため、短編集になるかもしれません。それでも楽しみにお待ちしてもらいたいと思っております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

聖地案内

聖地案内

 

神田明神(本編第1話など)

言わずと知れたラブライブ!の聖地。ラブライブサンシャインでもAqoursとSaint Snowとの出会いの場として描かれている。神田明神の境内に続く「男坂」はμ’s及びオメガマックスの練習の場となっている。絵馬などを販売しているところの裏にはラブライブ関連の声優さんの絵馬やチラシが貼ってあるらしい。なお、こち亀の聖地でもあり、巨大絵巻を作者が奉納したのは記憶に新しい。

 

牧〇うどん(本編第11話)

 博多を中心にチェーン展開しているうどん屋さん。博多はうどん発祥の地と自負しているほどうどん屋さんの激戦区でもあり、牧〇うどんはその中でも博多県内にチェーン展開しているほど地元では有名なうどん屋さんである。なお、博多のうどんはこしが柔らかいので有名である。博多ラーメンと並ぶ博多のソウルフードである。

 

博多市役所前広場(本編第11話)

 名の通り、博多市役所庁舎の前にある広場である。ここでは毎月、何かのイベントが開かれている。肉フェスにラーメンショー、博多のよさこいなどが開かれることがある。イベントが無いときは一般にも開放されている。芝生が敷かれているため、都会のオアシスにもなっている。

 

博多ドーム(本編第13・14話)

 言わずと知れた博多を代表する野球場。某プロ野球チームの本拠地でもあり、春から秋にかけて熱戦がおこなわれている。また、ジャ〇ーズなど大規模なコンサートが行われていることもある。A〇B48の総選挙発表会場にもなった。あの世界のホームラン王の博物館を併設している。なお、年に2~3回、コミケみたいなイベントが開催されている。

 

太宰府天満宮(最終章第3話)

 天神様こと菅原道真を祭る天満宮の総本山。勉学の神様を祭っているため、受験シーズンになると、多くの受験生が参拝に訪れる。また、近くには国立博物館もあるため、博物館目的に来られる方も多くいる。最近では外国人の参拝客も多く来られている。ちなみに、天満宮の近くには遊園地があり、子ども達にとって格好の遊び場である。

 

元祖長〇屋(最終章第3話)

 博多市長浜地区にあるラーメン屋。長浜地区には4つのラーメン屋さんがあり、しのぎを削っている。そのなかでも元祖は博多、いや、長浜ラーメンの元祖と言っているくらい長い歴史をもつラーメン屋である。特徴的なのは替玉と替肉システムである。替玉は博多、いや、長浜ラーメンの代名詞だが、替肉はこの店独特のシステムである。最近値上がりするときには地元の新聞で報道されるほど地元に愛されているお店である。ちなみに、博多には3年ぐらい前まで一杯150円でラーメンが食べられるお店があったほどラーメンの価格が他の地域と比べて低価格のところが多い(一部の店を除く)

 

腹鶴温泉(最終章第3話)

 筑後川沿いにある温泉地。川沿いにあるため、とても風光明媚なところでもある。昔からある旅館、ホテルが点在しており、昔ながらの温泉地と言ってもよい。

 

クリーンランド(最終章第3話)

 九州を代表する遊園地である。この遊園地の売りは7種以上もの絶叫マシン群である。休みでもなると、多くの若者がスリルを求めてここに集まる。いろんな遊具があるため、1日では遊べないかもしれない。なお、九州はいろんなところに遊園地、テーマパークが点在しており、大分にはハロー〇ティーなどを展開しているサン〇オのテーマパークまである。

 

宮地竹神社(本編エピローグ、最終章第3話)

 商売の神様を祭る神社として有名である。特にお正月などには大小多くの企業からお偉いさん方が商売繁盛を願うために参拝する。最近では「光の道」で一躍有名となる。「光の道」が有名になったのはAR〇SHIの出演している飛行機会社のCMが発端である。「光の道」とは、毎年、2月と10月、宮地竹神社の境内、参道、その先に浮かぶ島を夕日が照らすことで発生する現象である。参道と島が1つの光る道として照らされているため、幻想的は雰囲気となる。このため、「光の道」の発生する日は多くの参拝客が訪れる。

 

秋葉原

 言わずと知れたサブカルチャーの聖地。ここでA-RISEが、μ’sが、そして、オメガマックスが多くのスクールアイドルSDSを歌って踊った。そして、それがサンシャインになっても変わらない。そう、秋葉原こそラブライブの聖地であるのだから。

 

※聖地を訪問するときにはルールとマナーを守りましょう。

 

次作予告?

 

①ラブライブUC

 ラブライブΩはただの前振りでしかなかった。新たなる場所で、新たなる物語。1つの長編と4つの短編集が織りなす新たなる伝説が今、始まる。ラブライブUC、近日公開?

 

②ER

 La55の無謀な作品が始まる。ライトノベルでも難しいとされるロボットものに挑戦!!主人公はなんの取り柄のない男の子と女の子、そして、謎の子(操縦士)と幼いロボット!!戦闘あり、学園あり、なんでもありの物語。ER、近日公開?

 

③戦国ドライブ イエヤス伝 第2部

 戦いあり、お笑いあり、そして、ライブ!!戦国武将(アイドル)が自分の誇りをかけて勝負甲冑(ステージ衣装)をまとい、歌い踊る。戦国ドライブ、ついに第2幕の舞台が上がる。イエヤスはこれから先、どのようになっていくのだろうか。戦国ドライブ イエヤス伝 第2部、ついに開幕?

 

 




あとがき

 こんにちは、la55です。先週で最後と書きましたが、今回はこっそりと投稿しております。今回はラブライブΩの舞台となった場所、聖地の紹介です。読者に少しでも楽しんでもらいたいと思って、今回の投稿になりました。この聖地ですが、実際にあるところでもあります(平成28年9月29日現在)。なので、聖地巡礼もできなくもないかも。でも、他の作品でも同様ですが、聖地巡礼するときはルールとマナーを守りましょう。

 で、そのあとの次回作品ですが、まだ素案の状態です。まだまだできていないのが現状です。戦国ドライブだけ、プロットは完成しているのですが、それでもまだ物語を書くのはほぼ遠い状態です。でも、先週伝えた通り、半年後にはどれか1作品でも投稿できればと思っております。

 と、いうわけで、ラブライブΩの投稿は今週で終了です。ラブライブΩの素案ができて1年3ヶ月、本当に長かったものです。これまで駄作に付き合っていただいて、本当にありがとうございます。次回作もお楽しみにお待ちください。それでは、さようなら、さようなら、さようなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 第1章
ラブライブUC プロローグ


 大学―それは若者たちが青春を謳歌する場所。ある者は将来に向かってまい進し、ある者はここでしか出来ないことを熱心に行う。そして、ある者は4年という短い時間で成し遂げたい夢に向かって進もうとする。

 ユニバーシティーアイドル、通称ユニドル。大学生版スクールアイドルのこと。大学生として、仲間と一緒にアイドルとして活動していく。みんなで盛り上がり、みんなで青春を謳歌する。そんな素晴らしい仲間たちのこと。

 そして、ユニドルは1つの夢を叶えようとする。ユニドル選手権、通称ユニライブ。毎年1回冬に開催される、ユニドルの頂点を決める大会。ユニドルなら誰もが目指す大会。そこで優勝すること。それがユニドルなら誰でも叶えたい夢である。

 雪穂たち8人は伝説をつくり、そして、全国各地へと散らばった。彼女たちは果たしてまた、伝説をつくることができるのだろうか。それとも…。

 

あとがき

 

 こんにちは。La55です。ラブライブΩの最終投稿からすでに3週間が過ぎておりますが、みなさん、元気にしておりましたか。ラブライブΩの続編となるラブライブUCが今まさに始まろうとしております。と、いっても、まだ、本編はこのプロローグしか完成してないのが現状です。まだ本編はできておりません。待っている読者のみなさまには大変申し訳なく思っております。本当に申し訳ございません。

 で、ラブライブUCですが、UCは大学の英語名、university(総合大学)のUとcollege(単科大学)のCを掛け合わせたものです。ラブライブUCは前回の「次回予告」の通り、1つの長編と4つの短編集が織りなす物語となっております。そして、メインとなるのは雪穂たち日本橋女子大学のユニドル「HeaT」となっております。さらに、このユニドルには雪穂以外のオメガマックスメンバーは参加しないのですが、K9の阿蘇カオルが参加します。て、これはラブライブΩのグランドフィナーレを読めばわかることですが、「HeaT」は実は6人構成になっております。これはグランドフィナーレには書かれておりませんでした。あと4人は新しい登場人物なのではと予想できそうですが、新しい登場人物は3人だけで、もう1人は実はすでに登場している人物となります。ラブライブΩの登場人物設定にも出てくる人物です。それを予想するのも1つの楽しみになると思います。

 今の完成度ですが、現在、「HeaT」編のプロットで雪穂2年生編の最後まで出来ております。まだプロットなので、本編はまだ出来ず。他の短編集4つについても近いうちにプロットをつくろうかなと思っております。そのため、本編はまだ時間がかかると思います。それでも気長にお待ちしてくれるなら嬉しい限りです。次の投稿まで気長にお待ちください。それではさよなら、さよなら、さよなら。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC HeaT編 第1話 ユニドル、始めました

 20XX年、夏。スクールアイドル達の甲子園、第7回ラブライブ決勝。会場となった秋葉ドームでは熱気の渦が渦巻いていた。

「さあ、今回決勝に残った出場者達を呼んじゃいますよ~!!」

いつものレポーターは今回も前回に引き続き決勝の司会をしていた。マイクが必要ないではないかというくらい大声で決勝進出者を呼び出していく。

「九州代表、優勝候補の筆頭だ~、福博女子大学付属、K9!!」

K9のメンバーがステージに現れると、観客達は、

「K9!!K9!!K9!!」

と、大声で叫び始めた。それが会場全体で大きなコールとなる。

 次々に発表されていく決勝進出者達。そのたびごとに観客席からは大きなコールが沸き起こる。レポーターもそれを聞いてさらに続ける。

「東京代表、あのUTXからのかわいい刺客だ!!UTX学院、セイントスノー!!」

セイントスノーが呼ばれ、あの2人が現れると、

「セイントスノー!!セイントスノー!!」

と、観客達は今だせる最大のコールでもって2人を出迎えた。

 これで、司会者、観客達のボルテージは最大に達していた。

 そして、最後の一組が呼び出されようとしていた。

「これが最後の決勝進出者だ!!」

レポーターがこう叫ぶと、その組の名を呼んだ。

「東海代表、0から1へ、それを心に秘め、今、ここに飛び出します!! 浦の星女学院、Aqours!!」

「Aqours!! Aqours!! Aqours!!」

会場から観客達から出るAqoursコールが鳴り響く。その声を聞いてか、Aqoursの9人が元気よくステージ上に駆け上がっていった。

 

 で、これからラブライブUCが始まるのだが、物語の主人公達はステージ上に立っているラブライブ出場者達…ではない。今観客席にいるある少女が今回の主人公となる。

「これがラブライブなんだ!!」

その少女は目をギラギラにさせながらステージを見ていた。実は最初、行く予定はなかったのだ。ただ、少女の友達からもらった1枚のチケット。それがラブライブ決勝のチケットだった。このチケット、実はプレミアム化していた。去年のラブライブ決勝の伝説の対決、雪穂達が中心となって結成したオメガマックスと穂乃果達のμ’sの対決の影響により、ラブライブ関連のチケットは予約開始後即完売する事態となっていた。それほどプレミアム化していた。その友達も当初行く予定だったが、とある事情で行くことが出来ず、やむにやまれずその少女にあげたのだった。だが、そのチケットがその少女の運命を変える。

「すごい、すごーい。これがラブライブ決勝進出者のステージなんだ!!高校生とは見えないくらいすごいステージだ!!」

ステージ上に舞うスクールアイドル達。これが高校生の本気のステージとはいえないくらい迫力のあるステージだった。その少女は驚きながらそのステージをくぎつけるくらい見ていた。最初は面白半分だった。最近はやりの高校生達のアイドル、スクールアイドルとはなんだろうかと思っている程度だった。いや、このラブライブ決勝が始まるまではそう思っていた。ほとんどの人達はそうである。熱狂的なファンはごく一部しかない。それはどこにいっても、どの分野でも同じである。だって、まだ何も経験していないから。でも、一度経験すれば熱狂的なファンに変えてしまうかもしれない。そう、経験することこそファン獲得の重要な一歩となる。その少女はラブライブ決勝というものを観客という立場とはいえ、経験をしたことにより、スクールアイドルのとりこになってしまった。

 その少女はいろんなスクールアイドルのステージを見ては観客のみんなと叫んでいた。いろんなところからコールが沸き起こっていた。

 そして、Aqoursのステージとなった。会場はコールだけでなくブレードの光が会場中を激しく、いや、勇ましく舞っていた。会場中が一つとなる瞬間だった。

 

 全てのステージが終わり、ラブライブ決勝は残すところ優勝の発表だけとなった。

 レポーターは静かに優勝者のグループ名を叫ぶ。

「今回のラブライブ優勝者は…!!」

その名前を呼ばれた瞬間、そのグループのメンバーは喜び、抱き合っていた。観客達からは「ウォー」という大きなコールと共に「おめでとう」「よくがんばった」という声をちらほら聞こえてきた。

「これがラブライブなんだ。私もやりたい!!やりたいよ~!!」

少女はその言葉を言った。こんなステージ、自分もやりたい、やってみたい。そんな気持ちで一杯だった。自分もそのステージに立ち、みんなの歓声と共に会場と1つになりたい、そう思っていた。

 だが、1つ問題があった。それはこの夢を打ち砕くものに等しいものだった。

「でも、私、大学1年生なんだよな」

そう、スクールアイドルは高校生限定である。思い出してほしい。μ’s、オメガマックスは高校生のスクールアイドルだった。高校を卒業すればスクールアイドルを卒業することになる。A-RISEみたいに本当のアイドルになることも可能だが、高校を卒業すればスク^るアイドルとは見られない。また、μ’sみたいに卒業時に一騒動ということもある。少女は大学1年生。スクールアイドルにはなれないのだ。

「でもでも、スクールアイドルになれなくても、アイドルにはなれるよね」

この少女、少しでも前向きに考えようとする。それくらいアイドルになりたいと思っていた。

「それなら、アイドルになるためにも仲間集めしないとね」

その少女はなにかを決めたがごとく心に誓う。

 そんななか、とあるところからある話し声が聞こえてきた。

「今年のラブライブもとてもよかったね」

「そうだね」

「でも、去年のほうがよかったよ。全盛期のK9、そして、あの伝説のμ’sに勝負して、まさか勝ってしまうなんてね」

「グループ名って何だっけ?」

「忘れたの。オメガマックス、オメガマックス」

「そう、オメガマックス。確か解散したけど、そのときの3年生が今年、大学に進学したんだよ。たしか、リーダーの…」

「高坂雪穂だよ、高坂雪穂」

「そうそう、高坂雪穂だった」

この話し声に気付いたのか、その少女は耳をすまして言った。

「高坂…雪穂…」

 

 この物語はこの少女とその仲間達、そして、全国に散らばったオメガマックスのメンバー達の血と涙と汗、というのは言い過ぎただが、そのくらいするぐらい大きな物語である。そう、この少女、渋谷ヒカリを中心とする、新たに紡がれる、そう、あなたと一緒に紡がれる新しい物語である。

 

ラブライブUC テーマソング 「スマイルアゲイン」

 

仲間たちと 笑顔で進もう

 

(1)

たったひとりで 進んでいく

けわしい道のり 苦しんでいる

そうでもこえて いくのです

とても難しい  そんな道です

 

でもねそれで  いいのですか

本当にひとりで いいのですか

まわりをみれば みえませんか

あなたを助ける 仲間たちが

 

みんなと(みんなと)笑おう(笑おう)

前に(前に)すすむために

1人(1人)じゃない(じゃない)

私たち(私たち)仲間だから

 

笑っていけば必ず前に進める

だからみんなで笑っていこう

 

ラブライブUC HeaT編 第1話 ユニドル、始めました

 

 そして、舞台は秋に移る。

「私、アイドルやりたいんだけど、誰も組んでくれない。どうしようかな」

 渋谷ヒカリはそう嘆いていた。あのラブライブ決勝で決めたアイドルになる夢であったがその夢の実現は遠いものだった。

「みんな、忙しいとか、また今度ねとか、それで困っちゃうんだもの」

そう、ヒカリは自分の友達全員にアイドルになろうと声を掛けていたのだが、その全員とも断っていたのだった。それには原因があった。

 渋谷ヒカリ、大学一年生、日本橋女子大学教育学部の大学一年生。そう、前作(ラブライブΩ)の最終章を読んだ方なら気付いたはず。彼女が通う日本橋女子大学は熱血な教師を輩出する大学である。そこに通う学生のほとんどが教師志望だった。となると、通常の大学の講義の勉強だけでなく、教師になるための試験の勉強をしないといけない。それに加えて、バイトなどもしているため、アイドルとしての練習をする時間はとれないのが現状だった。

「それでもアイドルになりたい。アイドルになりた~い」

ヒカリはそう叫んでいたが、現実には厳しいものだった。

 でも、よく考えればヒカリ1人でアイドル始めてもいいのではないだろうか。今やネット社会。インターネットやSNSを使って自分1人で情報を発信しているアイドルもたくさんいる。いや、全国各地にいるアイドルグループみたいにあるグループのオーディションを受け、所属することもできた。

 しかし、彼女はそのようなことをしなかった。なぜなら、彼女は何もしなかったからだった。彼女にとってアイドルになりたい、即なれるものだと思っていたのだろうか。ところが、彼女は違っていた。アイドルというものは仲間がいて初めてなれるものだと思っていた。スクールアイドルもグループを結成して行動することが多いと思っていた。そう言った思い込みがあった。そのために一緒に活動してくれる仲間を探していたのだった。また、彼女はアイドルとしては素人だったため、アイドルグループのオーディションを受けることをためらっていたこともあった。この思い込みの強さ、これがヒカリにとってこの物語に少し影響を与えることになっていくかもしれない。

 それはさておき、ヒカリはちょっとさびしい気持ちになっていた。友達に会うことに、

「アイドルになりませんか」

「私と一緒にアイドルとして活動していこう」

と、強く迫っていたため、それを避ける友達が多く、ヒカリが近づいてきても、

「あっ、また、今度ね」

と、友達自ら離れていくことが多くなった。

「みんなどうしてアイドルになるのいやがるのだろうか。アイドルって楽しいものなのに」

ヒカリはそう言って嘆いていた。

「私にとってアイドルとは初めての夢なんだけどね」

ヒカリはそう言ってもの思いにふけっていた。そう、ヒカリにとってアイドルというものはこれまで生きてきた上で初めての夢だった。これまではあっち来たりこっち来たりの生き方をしていた。小学生の時はみんな花屋さんになりたいと言うため、自分も花屋さんなりたいと言ったりしていた。そして、日本橋女子大学に入学するのもただ単に家に近いため、そして、ちょうど自分の学力で入れる大学だったというものだった。別に先生になりたいという夢を持っているわけでもなかった。

「はやくアイドルになりた~い」

どこかで聞いたようなセリフを言ってヒカリは今日も一緒にアイドルグループを組む仲間を探していた。

 

 そして、翌日、ヒカリはとある講義を受けていた。

「あ~あ、昨日も(アイドルとして)活動してくれる人、いなかったな。誰かいないかな~」

そう言って背伸びをしていた。その講義は本を講師がただ読むだけのものであり、まるでお経の聞いているみたい眠たくなる人が多かった。むろん、真剣に聞いている学生はごく少数で、ヒカリをはじめとしたほとんどの学生はもうすでに寝ているか、もしくは眠りにつきそうになっていた。

 そんなとき、隣にいたまったく知らない学生達のおしゃべりが聞こえてきた。

「今年のラブライブ、とてもよかったね。テレビ中継を見たけど、すごいステージだった」

「そうだね。あれが高校生なんて信じられないね」

「いまやスクールアイドルも相当な実力がないと活躍できないものね」

ヒカリにとって今すぐにでも仲間にはいりたいおしゃべりだったが、そのヒカリ自身、眠気と戦うのに精一杯だったのではいることができなかった。

 それでもおしゃべりは続いていた。

「でも、去年のラブライブのほうがよかったよ」

「そうだね。だって、あのμ’sが負けるなんてね。たしか、誰だったかな?」

「オメガマックスだよ、オメガマックス」

「オメガマックス!!そうそう、あのゴールデンロードでの解散宣言。あれってよかったよね」

「それに、今年3月におこなったスクフェス(秋葉原を舞台に行われたスクールアイドルの祭典、スクールアイドルフェスティバルのこと)、あれ見たけど、あんなもの、見せられたら、やっぱりすごいと思っちゃうよね」

「そうだね。スクールアイドル千人とほかの地域にいるスクールアイドルとが一緒に踊ったサニーデイサンデー、あれは圧巻だったよ」

「私もあの中に入りたかったよ。参加していた友達に聞いたんだけど、あれって1週間ぐらい練習していたんだって。そして、踊ってみると、とても楽しかったんだって。なんでも一緒に踊るという一体感がとてもよかったんだって」

「ああ、私もあのとき参加したかった~」

たわいもないスクールアイドルについてのおしゃべり。ヒカリにとって一服の清涼剤、いや、睡眠導入剤になろうとしていた。

 だが、次の言葉がヒカリにとって目を覚ますどころか興奮剤になるものになった。

「そういえば、あのオメガマックスのリーダー、この大学に入学しているんだって」

「え~」

ヒカリはいきなり叫びだした。

「そこのキミ、授業中は静かにしなさい」

講義をしていた講師から注文を受けたヒカリ。でも、それでも寝耳に水というくらい、ヒカリにとって驚きのものだった。

「ねぇ、そのリーダーってどこにいるの」

おしゃべりしていた学生に迫るヒカリ。

「いやぁ~、どこにいるか判らないよ~。だって、何百人っているんだもの、この大学には」

言葉に窮するおしゃべり学生。

「どこにいるの。おしえて~」

それでもねだるヒカリ。

「私だってわからないよ、ごめん」

おしゃべり学生はヒカリに謝る。

「う~」

がっかりするヒカリ。それをみていたおしゃべり学生はちょっとかわいそうに見えたのか、ある言葉を口にした。

「でも、そのリーダーの名前なら知っているよ」

その言葉にがっかりしていたヒカリはいきなり目をキラキラにしていた。

「たしか、名前は…、高坂…、雪穂…」

「高坂…雪穂…」

おしゃべり学生の言葉にヒカリは目をキラキラにさせるから言葉を反芻させていた。

 

 こうしてヒカリによる高坂雪穂捕獲作戦が始まろうとしていた。

「高坂雪穂はね~、私、知らない」

「ここって~、学生多いから~、どこにいるか分からないし~」

ヒカリは雪穂を探すため、自分の友人網を振る活用していた。しかし、アイドルになろうなろうと迫っていたので、その場で逃げられるのが落ちだった。それでもいろんな学生から雪穂の場所を探しだそうとしていた。だが、前に上げた言葉のごとくどこにいるのか分からないのが現状だった。

 

 そうしているうちに2週間がたった。いまだに見つけられなかった。そんなとき、とある友達がヒカリにある言葉を言った。

「私もどこにいるのか分からない。でも、それならあの子なら知っているんじゃないかな」

「あの子?」

ヒカリは不思議そうにとある学生に言った。

「あの子、ほら、あそこで黒板に落書きをしそうにしている子」

それを聞いたヒカリ。突然、

「あの子なら知っている人ですね。ありがとう」

と言いだし、落書きをしそうとしている子に急いで近づいていった。

「あの~、そこの落書きしそうにしているあなた…」

落書き学生に近づき、声を掛ける雪穂。すると、落書き学生は突然驚き、こう言った。

「わっ、びっくりした。いたずらがまた見つかったと思ったよ」

すると、ヒカリ、すぐに落書き学生にこう言った。

「あの~、ちょっと人を探しています」

落書き学生、すぐに反応。

「もしかして、高坂雪穂さんのことですか」

ヒカリはこのことに驚いてこう言った。

「どうしてすぐにわかったんですか」

「だってそう見えたから」

落書き学生はちょっと偉そうに答えた。

「それはともかく、どこにいるのですか、高坂雪穂さんは」

ヒカリは落書き学生の両腕を掴み、迫ってきて言うと、落書き学生は驚いてこう言った。

「落ち着いて。高坂雪穂さんだったら、いつもカフェテリアで本を読んでいるよ」

落書き学生からその言葉を聞くと、ヒカリは、

「あ、ありがとうございます。カフェテリアに行ってきます」

と言って、お礼をしてからその場を離れた。

「ど、ど~も」

と、落書き学生はお礼を返すが、ヒカリはその場にはいなかった。

「あ~あ、猪突猛進なところは雪穂に似ているんだよなぁ。でも、あのヒカリって子、面白いね。これで雪穂の運命の歯車が動き出すんじゃないの」

落書き学生はこう言うと、少しずつにやけてきていた。

 

 カフェテリアに隣接する庭にはお茶を飲むための丸いテーブルやイスが置かれていた。学生達はそこでお茶を飲む行為がパリのお茶を飲む紳士淑女に似ているので、この場所をパリ広場と呼んでいた。

 そのパリ広場の奥にあるイスにはとある学生がいつも座って本を読んでいた。どんなときもそのイスがその学生の定位置だった。そんな学生、彼女のことをほかの人は座敷わらしと呼んでいた。

 彼女はいつも1人、どんなときでも1人だった。大学に入学してから友達は作らなかった。いつも本が友達だった。ちょっと暗い雰囲気を醸し出していた。彼女のまわりはいつも暗く感じてしまうため、彼女のまわりに近づく学生はいなかった、ヒカリが来る前までは…。

 彼女もこの日もいつもの通り、いつものカフェテリアの、いつものパリ広場の、いつものイスのところで本を読んでいた。彼女の読んでいた本は何かの経営学の本だった。いつもの通り誰も近づかない自分だけの空間を作っていた彼女。

 だが、この日は違っていた。とある音が聞こえてきた。ある足音が聞こえてきた。

 

ダダダダダダ

 

静寂を壊す音に、彼女は本を読むのをやめた。

「なんなの、この音は?」

彼女は珍しく怒っていた。本を読む気を削がれてしまったからだった。

「この音をだす人、どこにいるの?」

まわりを探す彼女。すると、ある物体、いや、人が彼女に向かって近づくのが見えた。

「あ、あ、あ~」

どんどん近づいてくる人を見て、雄叫びをあげる彼女。

「と、とまらない~。誰か止めて~」

その人は彼女に向かって突っ込んでいく。

「と、止めると言われても~」

彼女は右往左往しているが、そうしても無駄だった。

「あ、あ、ギャ~!!」

その人、ヒカリは彼女に向かって突進し、抱きかかえるようにぶつかってしまった。

「ご、ごめんなさい」

ヒカリは謝ると、彼女はいきなり怒り出した。

「ごめんなさいじゃないよ。せっかく本を読んでいたのに」

「ご、ごめんなさい」

ヒカリは彼女に何度も謝っていた。

「そんなに謝るならそれでいいけど。今度から気を付けなさいよ」

彼女はそう言うと、またイスに座り、本を読みだしていた。

「そうですね。気を付けます」

ヒカリはこう言うと、つかさず本題へと突入していった。

「ところで、あなた、高坂雪穂さんですね」

「ち、ちがいます」

彼女はこう言って否定すると、つけていたメガネ(伊達!!)を上下に動かして本を読み始めようとしていた。

「いや、高坂雪穂さんです!!間違いないです!!」

と、ヒカリはそう言って、彼女の前に立とうとしていた。

「いえ、違います」

彼女はそう言うと、ヒカリとは反対向きに向きを変えようとした。

「いえ、高坂雪穂さんです。その証拠に…」

と、ヒカリは彼女のそばに行き、あるフレーズを口にした。

「伝説を…」

すると、彼女の口からある言葉が出てきた。

「伝説を」

ヒカリはさらにあるフレーズを口にする。

「乗り越えて~」

すると、またも彼女の口からある言葉が出てきた。

「乗り越えて~」

そう、ヒカリが口にしたのはオメガマックスがスクフェスの時に最後に歌った曲「over the LEGEND」のフレーズだった。

「やっぱり高坂雪穂さんでしたね」

「……」

まさかの不意打ちにあい、言葉を窮する彼女、高坂雪穂はただ黙っているしかなかった。

 すると、ヒカリは雪穂にお願いした。

「高坂雪穂さん、お願いです。私と一緒にアイドルになってくれませんでしょうか」

ヒカリの突然のお願い。だが、雪穂は頭を縦に振ることはなかった。

「ごめんなさい。今そんな気分じゃないの」

それでも、ヒカリはくじけなかった。もう一度お願いする。

「雪穂さん、お願いです。私と一緒にアイドルグループを結成してくれませんか」

 しかし、雪穂は、

「ごめんなさい。その言葉、受け止めることはできない」

と言って、椅子から立つと、どこかに走り去っていった。

「雪穂さん…」

ヒカリはただ一人その場に立ち尽くすしかなかった。

 

 だが、ヒカリはくじけなかった。雪穂が行くところ、先回りし、

「雪穂さん、お願いです。私と一緒にアイドルになりませんか」

と言えば、

「それはお断りします!!」

と、雪穂が拒否する状況に、それが何日も、何十回も続いた。

 

 そして、1週間後…。

 1人で並木道を歩いていた雪穂。すると、ヒカリが雪穂に向かって抱きついてきた。そして、

「今日こそお願いです。私と一緒にアイドルになってください!!」

と、ヒカリは言うが、とうの雪穂は、

「何度も言っているでしょ。私はアイドルにはなりたくないの」

と、大声で叫んでいた。これにはヒカリは驚いてしまった。

「今日もだめですか」

ヒカリはこう言うと、雪穂に向かってこう言った。

「今日もだめ、昨日もだめ。これでは堂々巡り。それなら、その理由を聞かせてもらえませんでしょうか」

これに対し、雪穂は、

「…」

と、口を閉ざしたまま何も答えなかった。

 すると、ヒカリはこう言った。

「それならば何度でも続けますよ。続けてほしくなければ、ちゃんと理由をお願いします。その理由によっては、私、諦めますから」

 これに、雪穂が口を開き始め、こう言った。

「私…、もうアイドルしたくないの」

雪穂から出た拒否宣言。雪穂は続けてこう言った。

「私、あのスクフェスで燃え尽きたの。高校3年間、スクールアイドルとして全力を尽くしてきた。そして、あのスクフェスで全力疾走したんだ。そしたら何が残ったと思う。もうこれ以上できないという達成感だけが残ったの。これ以上やることはできないと思ったの。だからね、私、もう、アイドルとして何も残せないの。私のアイドルとしての青春は、あのスクフェスで完全燃焼したの。燃え尽きたの」

 すると、ヒカリは、

「それは違うでしょ。あのスクフェスはたしかに凄いかもしれません。でも、雪穂さんはそんな小さな人ではないと思います。燃え尽きてはいないと思います!!」

と、大きな声で雪穂に言った。

 その雪穂であるが、

「私はもう燃え尽きてしまったの。だから、静かに、させてください」

と言って、その場から逃げてしまった。

「雪穂さん、雪穂さん!!」

ヒカリはこう言うと、すぐに雪穂の後を追った。

 

 雪穂はいつも座っていたパリ広場のイスの近くに来ていた。そして、ヒカリもそこに来ていた。雪穂が言う。

「お願いだからそのまま静かにしてください」

対するヒカリも言う。

「雪穂さんはそんなもので燃え尽きる人じゃないでしょ」

2人は口論になると、まわりの人達はそう思っていた。

 だが、そこでも雪穂はヒカリから逃げ出そうとしていた。

「もう追いかけてこない…」

雪穂が逃げ出そうとした瞬間、ヒカリの視界から雪穂が消えてしまった。

「ゆ、雪穂さん!!」

ヒカリは突然のことでビックリした。そして、雪穂を探そうとした瞬間、

「キャ、キャー!!」

と、ヒカリもどこかに消えてしまった。

 2人はどこに消えてしまったのか、まわりにいた人達が探そうとしたとき、

「ちょっと待った~!!」

と、ある学生が2人が消えた場所にあらわれた。そして、その学生があることを言い出した。

「落とし穴作戦大成功!!」

 すると、2つある落とし穴からヒカリの頭がヒョンとでてきた。

「あいたたた。なんですか、この落とし穴は…」

ヒカリは落とし穴を作った学生に怒る。

「すこしは頭が冷えたかな」

と、悪げないように、落とし穴を作った学生はのほほ~んとした表情で言った。

 すると、ヒカリはその学生に対し、

「その言葉使いはない…って、あの落書きの学生じゃないか!!」

と、自分のことをひょんとした表情で答えていた。

「このイタズラはやっぱりカオル、あなただったのね」

と、もう一方の穴から雪穂が出てきてそう答えた。

「バレちゃっているのね。そうだよ。私、阿蘇カオルがした一大イタズラだよ」

と、落書き学生、落とし穴を作った学生こと阿蘇カオルがあっさり白状した。

「まさか、カオルがこの大学に進学していたとはね」

雪穂はカオルに対し、たんたんと言った。そして、

「どうして福博女子大学に進学しなかったの?なんでこの大学に進学したの?」

と、カオルに質問を投げつけて言った。

 すると、カオルはその理由を雪穂、そして、ヒカリに言い始めた。

「私はね、前回のラブライブの私達(福博女子大学付属:K9)みたいに誰かに管理されるような教育にはしたくないの。当時の私達は理事長の管理下のもと、勝利至上主義をまい進してきた。勝つことが全て、だった。それでもって管理された学校。こんな教育はしたくないの」

カオルはさらにこう言い続けた。

「私は去年のラブライブ決勝以降、自分達みたいに管理教育に施された生徒を出したくない、道を外さないよう生徒を導きたい、そういう先生になりたいと思って、この大学に入学したんだよ」

「なるほど…」

と、ヒカリは妙に納得していた。雪穂にいたっては、

「そうとう考えて決めてきたんだね」

と、しみじみとうなずいていた。

 だが、カオルの話はそれだけでは終わらなかった。

「それでね、その一環として大学でもアイドルになろうと思うの」

これにはヒカリと雪穂は驚いてしまった。

「カオルさんがアイドル、目指していたなんて…」

と、ヒカリは口をあんぐりしていたが、雪穂は、

「ふ~ん、そうなんだ」

と、疑いそうな目で見ていた。

「雪穂ったらなにを疑っている目をしているね」

と、カオルが言うと、さらにこう言い放った。

「雪穂は知らないかもしれないけど、大学にもね、スクールアイドルに似たアイドルがいるんだよ。ユニバーシティーアイドル、略してユニドル。大学生版スクールアイドルだよ」

これを聞いたヒカリは、

「まさか、私みたいに大学生でもスクールアイドルになれるなんて…、なんていいこと聞いたんでしょ」

と、目をキラキラにさせながら言うが、そのことをカオルが聞くと、

「いや、スクールアイドルじゃなくてユニドルだから」

と、ツッコンできた。

 そのツッコミを言うと、カオルはさらに言葉を続けた。

「そんなユニドルでもその頂点を決める大会がある。ユニドル選手権、通称ユニライブ。この大会で優勝することが私の目標!!」

ヒカリはこのカオルの言葉にすぐに反応する。

「ユニライブ、私も参加してみたい!!」

この言葉にカオルもすぐに反応した。

「そこでだ、このユニライブに参加するためにも私はユニドルグループを作りたい。なので、雪穂、それに、え~と、誰だっけ?」

「ヒカリです!!」

「そうそう、ヒカリ。私達3人でユニドルグループを作りましょう」

カオルの突然の提案にヒカリは、

「まさかカオルさんから声を掛けられるなんて。ハイッ!!私、そのグループに参加します!!」

と、即OKを出した。

 一方、雪穂はというと、

「私はやらないんだから。私のアイドルとしての青春はあのスクフェスで燃え尽きてしまったのだから」

と、断固拒否を貫いていた。

 すると、カオルはなぜか笑い始めてこう言った。

「そういっていられるのも今のうちだと思うよ。もうすぐ運命が変わるメールが届くから」

言ってすぐに1つのメールが雪穂、カオル両方の携帯に届いた。すぐに見る雪穂。雪穂はこのメールを見るなり、驚きはじめていた。

 そのメールの差出人は雪穂と同じ、元オメガマックスのメンバーの秋葉愛からのものだった。秋葉愛は博多にあるアイドル輩出で有名な大学、福博女子大学に進学していた。メールの内容を略して書くとこんなものだった。

「私(愛)は入学してから(元K9メンバーの)中洲天と霧島あやと『博多小娘』というグループを結成しました。そして、このあいだ、路上ライブを成功させ、これからユニライブに向けて練習中です」

そして、メールの最後にはこう書いてあった。

「私(愛)はあのスクフェスで交わした約束、また同じ舞台で再会しようという約束を守るために頑張っています。雪穂、そしてカオルもそれに向けて頑張ってください」

雪穂はこのメールを見て、涙を流してこう言った。

「愛、たとえ1人であってもスクフェスでした約束、守ろうとしていたんだ。また同じ舞台でオメガマックス8人会おうという約束、なんで忘れていたんだろう。本当は忘れてはいけなかった約束だったんだよ。思い出したよ」

雪穂はこう言うと、そこにいたヒカリ、カオルに向かって宣言する。

「私も2人のグループに参加する!!もう燃え尽きたりしない。今度こそスクフェスでした約束を守っていきたい!!」

「雪穂さん…」

ヒカリが言うと、カオルも、

「それでこそ雪穂だよ」

と、強くうなずいていた。

 そして、

「これで私、アイドル、イヤ、ユニドルになれるんだね。ヤッター!!」

と、ヒカリは力強くガッツポーズをしていた。

 

続く…といいたいところだが、1つ忘れていたことが…。

 

「ところで、この落とし穴、出にくいんだけど…」

ヒカリが言うと、雪穂も、

「この落とし穴、私達の身長ぐらいの深さがあるもんね」

と、少しがっかりした風に言った。

「カオルさん、外に出るの手伝ってくれませんか」

こう言うが、そのカオルはその場にはいなかった。すぐに逃げてしまったのだ。

「カオルさんがいないよ~。誰か助けて~」

そこにいたヒカリは泣きながら助けを叫んだ。

 結局、2人が落とし穴から出らえたのは30分後のことだった。むろん、カオルには大学側から大きなカミナリが落ちたのは言うまでもない。

 

つづく…?

 

次回 曲をつくろう

 




あとがき
 
 みなさん、こんにちは。La55です。お久しぶりです。UCのプロローグを書いてすでに1ヶ月半が経とうとしております。大変お待たせして申し訳ございません。この1ヶ月半、この物語のプロットを考えておりました。プロローグではHeaT編の2年生編まで完成しておりましたが、それ以外の4つの短編集のプロットもある程度完成させました。だが、ここからが問題が、HeaT編3年生編がまだできていない。ここは最終章ともいえるところであり、HeaT編とそれ以外の4つの短編集がまじりあうところなので難しい。ということで、今、本編を書きつつ考えております。

 で、第1話を書いてみたのですが、ちょっと苦戦しました。前作「ラブライブΩ」では準備に8ヶ月くらいかけていたので、ぽんぽんとかけていたのですが、今回は準備期間が短く、なおかつ準備不足ということで、なかなか筆が進まないのが現状でした。それでも、なんとか書けたと思います。駄作なのは申し訳ないのですが、楽しめたら幸いです。

 ということで、次の投稿がいつになるかはわかりませんが、次回まで楽しみにしてもらえたら幸いです。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC HeaT編 第2話

「前回のラブライブUC」
「私、高坂雪穂、日本橋女子大学の1年生。ヒカリは今年のラブライブを見て、自分もアイドルになりたいと夢を持つようになった」
「そして、ヒカリはそのアイドルの仲間を探すべく学内をまわるも全然見つからない。そんな中、誰かが私がここに通っていることも教えていたらしく、ヒカリは必死に私を探そうとする」
「それでも見つからなかったみたいだけど、ある学生(きっとカオルだよ、カオル)が自分の居場所を教えた。そして、見つかった私。そんな中で、私はヒカリから逃げた」
「ヒカリは『アイドルなりませんか』と言うけれど、私、あのころは高校末に行われていたスクフェスで燃え尽きていた。それで断ったのだけど、それでもヒカリは迫ってきた」
「そして、逃げている最中、カオルの掘った落とし穴に2人そろって落ちた。その上からカオルが出てきて言った。『大学にはユニドルというアイドルがいて、ユニライブというユニドル版ラブライブがある』ことを。そして、そのときに鳴った一つのメール。そこには博多でユニドルを結成し、路上ライブを成功させた(秋葉)愛さんからのメール。これを見て、私はユニライブで愛さん達と会うため、ユニドルになることを決めた」

(OP 1番のみ)



第2話 曲をつくろう

 

「これでアイドルになった~。やった~」

ヒカリは雪穂、カオルと一緒にアイドルになったことを喜んでいた。

「アイドルにじゃないよ、ユニドルだよ」

と、カオルはヒカリにツッコむ。

「それでもアイドルはアイドルだよ」

と、ヒカリはそのツッコミを返す。

「たしかにそうだけどね…」

と、カオルは少し諦め顔で答えていた。

と、ヒカリとカオルのノリツッコミを最初に見せてしまったが、今、どの状況なのか伝えないといけない。

 カオルの作った落とし穴から2人が救助されてから幾日かたっていた。そんな中、3人ともメルアドを交換していたので、この日、最初の会合を日本橋女子大学のカフェテリアの庭、通称「パリ広場」にて行うことになっていた。そして、ヒカリとカオルの2人が先に来ていたのだった。雪穂は講義の時間の関係上、2人に遅れて到着する予定である。

「しかし、カオルさんはおもしろいですね」

と、ヒカリが言うと、カオルも、

「そりゃ人生面白い方がいいんだもの。人生楽しまきゃ損、損!!」

と、威張った風に答える。

「でも、イタズラも楽しみの一つなのですか」

と、ヒカリが言うと、カオルは、

「イタズラこそ私の生きがい。イタズラこそ私の全てだもん」

と、これもまた威張るように答える。

「それだからこの前、こぴっどく怒られたのでしょ」

と、誰かの声がカオルに突き刺した。

「あっ、雪穂さん、こんにちは」

ヒカリが近づいてくる学生、雪穂に挨拶をした。

「ヒカリさん、こんにちは」

雪穂もヒカリに挨拶する。

「雪穂、それはそれ、これはこれ。イタズラこそ私の全てだもん」

カオル、まったく反省もせずに雪穂に堂々と答える。

「私を落とし穴に落とした後、あんだけ先生達からこびっとく怒られたのに、この顔、なんでニコニコしているのか分からないよ、ハー」

と、雪穂、カオルを見て深くため息をする。

「ま、雪穂さん、これがカオルさんのスタイルですよ」

と、ヒカリ、雪穂に向かってカオルのフォローをする。

「イタズラこそ私の全て、私はイタズラの全て」

と、カオルは雪穂、ヒカリのことを目もせず、はっきりと、というより意味不明な言葉を言いつつ威張っていた。

 

「で、これからユニドル活動するんですよね。なら、今からライブを行いましょう。いざ、コンサート会場へ、レッツゴー!!」

と、ヒカリは今にでも前もに進もうとしていた、何も考えずに。

「ちょっと待って、ヒカリさん」

雪穂はそんなヒカリを止める。

「なんで止めるのですか」

と、ヒカリは雪穂に問いかける。

「ユニドルになったからってすぐにライブを行えるわけではないの」

と、雪穂、ヒカリに答える。

「え~っ、アイドルになったらすぐにライブ出来るんじゃないんですか」

と、ヒカリ、雪穂に問い詰める。

 すると、雪穂、迫るヒカリを落ち着かせるようにヒカリの肩を叩き、こう答えた。

「私達はユニドルだけど、すぐにライブをするわけではないの。私達は結成してまもない。それも今日がはじめての会合。何もかもが初めての状態でライブでもしたら、恥をかくだけだよ」

「それでもライブをしてみたいなぁ」

と、ヒカリ、ぶりっこスタイルで雪穂に駆け寄る。

「それは違うよ」

と、今度はカオルが横から口を出す。そして、こう言いだした。

「アイドルは一日にもならずだよ。アイドルになれたとしても、初めての状態で行うとただの素人同然に見えてしまい、大ヒンシュクになってしまう。それは私にもお客様にも失礼というもの」

「そうでしょうか」

と、ヒカリ、ちょっと納得していない状況だが、

「そうですか…」

と、自分で少し肩を落としつつ答えていた。

「私たちはユニドルごっこをしにきたのではないの。ユニドルをしにきているの。それだけは自覚していてね」

と、雪穂は口を酸っぱくしていった。

「まっ、ライブができるように練習あるのみ。さっ、頑張りましょう」

と、カオル、ヒカリの肩を叩いて元気をつける。

「あ、そうですね…」

と、ちょっと納得していないふうにヒカリは答えていた。この気持ちが後に何かのものに発展していかなければいいのだが…。

「あっ、忘れていた!!」

と、カオルは何かを思い出したが如く叫んでいた。

「突然どうしたの!!」

と、雪穂は叫ぶ。ヒカリも驚いた、

「練習する前に曲を作っていなかった!!」

と、カオルは雪穂にそう答えて言った。

「でも、他のユニドル達の曲やアイドルの曲をカバーすればいいのではいないの?」

と、ヒカリもカオルに対し、そう答えるも、

「普通ならいいんだけど、自分達のライブをする際でも目玉となるものが必要でしょ。それに、ユニライブには必ずオリジナル曲でないといけないという規則があるの」

と、カオルは雪穂、ヒカリに向かってそう答えた。

「オリジナル曲…、確かに必要かも」

と、雪穂も納得して言った。

「オリジナル曲…、なんていう響き!!」

と、ヒカリもなにか心に安らぐような感じで言った。

 そして、ヒカリはこう言った。

「なら、そのオリジナル曲を作ってユニライブに参加しましょう」

 だが、雪穂、カオルはただ、

「……」

と、黙っているしかなかった。

「どうしたんですか。雪穂さん、カオルさん、曲を作りましょう」

と、ヒカリは雪穂とカオルに問いかけるも、

「…」

と、ただ黙ってしまう2人だった。

「曲を作りましょうよ」

と、ヒカリ、雪穂に迫るも、

「それはちょっと…」

と、雪穂は口を濁すように言う。すると、ヒカリ、今度はカオルに、

「曲を作りましょうよ」

と言いながら迫ると、

「ご、ごめん…」

と、謝るのみだった。

「どうしたんですか、雪穂さん、カオルさん」

と、雪穂とカオルに迫るヒカリ。

 これをみて、雪穂とカオルは観念したらしく、

「も、申し訳ございません!!」

と、ヒカリに謝ってしまう。

「ど、どうしたんですか、2人とも…」

と、ヒカリが2人の突然の謝罪にびっくりして言う。

 すると、雪穂は、

「私、曲が作れないの…」

と、ヒカリに対し白状する。

「わ、私も…」

と、カオルも白状した。

「曲が作れない…、って、私も曲は作れませんね」

と、ヒカリも2人に対し白状する。

「でも…、オリジナル曲がなければユニライブに参加できない…」

と、ヒカリ、少しガッカリするがごとく言う。

「曲を作るって結構難しいんだもんね。作詞作曲できるっていうだけでもすごいことなのに…」

と、雪穂は言う。

「私も作曲しようとしていても全然できなかった。やっぱ、作詞だけでもすごいよ」

と、カオルもそう答える。

「でも、ユニライブに参加したいよ~」

と、ヒカリは嘆く。

「う~、どうすれば」

と、雪穂は困り顔で言う。

「あっ、そうだ」

と、カオルは突然思いついたように言う。そして、

「それならこれから3人で曲をつくってみよう。3人寄れば文殊の知恵ってね」

と、大きな声で言う。

「3人で曲をつくるってすごいアイデアです」

と、ヒカリはガッテンと手をつく素振りをしてうなずきながら言った。

「それなら、早く考えましょう。そして、作詞作曲しましょう」

と、ヒカリもそれを進めるがごとく言う。

「でも、3人よっても大丈夫なのかしら」

と、雪穂だけ少し疑問を持つがごとく言っていた。

 

 そして、3時間後、

「やっぱダメでした~」

と、ヒカリは早々と音をあげていた。そして、

「カオルさん、3人寄ればじゃなかったのですか」

と、カオルに迫るも、

「たしかにそう言ったけど、やっぱり難しいものは難しいわ」

と、カオルも投げて言った。

「やっぱり大丈夫ではなかった…」

と、雪穂もこうなることを予測できているがごとく言う。

「そういう雪穂さんも曲、作れていないじゃないですか」

と、ヒカリ、雪穂に迫る。

「私にだってできるものとできないものがあるのです」

と、雪穂は何か開き直るように反論する。

「なら、どうすればいいのですか」

と、ヒカリは言うと、雪穂も、

「う~ん、どうしようか」

と答えに窮する。

 すると、カオル、ある提案をしてきた。

「それなら、これからそれを考えるためにも遊園地に行こう!!」

「「遊園地!!」」

雪穂、ヒカリ、そろって驚く。無理もない。とっておしみもない提案だったからだった。

「そう、遊園地!!」

カオルがそう言うと、その理由を言った。

「なぜなら、気分転換には最高の場所。気分転換できれば少しでも作詞作曲にプラスにもなるでしょ」

「たしかに言われることに一理あるかも」

と、雪穂も少し納得したかのように言う。

「頭の中をクリアにすれば確かにいいアイデアできるかも。よ~し、遊園地に行きましょう、雪穂さん、カオルさん!!」

と、ヒカリも遊園地に行くがごとく言う。

「で、本当のココロは」

と、雪穂、ヒカリに問う。すると、カオル、あっさり言う。

「本当は遊びたいだけ…」

と、本音をポロリと言っていた。

 

 ここは前楽園遊園地、日本最大級のジェットコースターや大観覧車、しまいにはスパ施設がある都心の遊園地である。

「これに乗るの!!」

雪穂はおどおどしながらカオルに言う。

「これに乗るの!!」

カオルはおどおどする雪穂に対し、後から押しながら言う。

「雪穂さん、観念してください!!

と、ヒカリは雪穂を引っ張りながら言う。

今から乗るものは日本最大級のジェットコースター「ウォーターワールド」である。最大傾斜角150度、1回転はあるは、プールがあってそこに台車まるごと突っ込む(ような感覚が味わえる。本当には突っ込みません。そこに穴があいていてそこに突っ込むようなもの。八景島にあるあのコースターを参照してね)はあるは、ちょっとツッコミ満載のコースターである。

「や、や、やめて~」

乗り場についても雪穂はこう言って嫌がっていた。

「もう観念してください」

ヒカリはこう言うと、雪穂をジェットコースターの、それも一番前に乗せる。

「そうですよ。観念しなさい」

カオルもそう言って雪穂を乗せる手伝いをする。

「や、や、やめて~」

と嫌がる雪穂。

「おとなしくしなさい」

と、ヒカリとカオルはそんな雪穂を押さえつける。

「それではバーを下しますよ~」

と、コースターのスタッフがバーを下すお知らせをする。

「う、う~」

と、バーを下されたため、逃げることができない雪穂、唸るだけであった。

「それでは、3・2・1、バイバーイ」

と、ジェットコースターが出発する。

「や、やめて~」

と、叫ぶ雪穂。

「まだ登っているだけでしょ」

と、ヒカリが言うと、

「最初からこの調子だとあとが続かないよ~」

と、カオルも横から言う。

「私、こういうの苦手なの。だから、おろして~」

と、雪穂が叫ぶも、

「もう始まったからおりれませんよ」

と、ヒカリがしらけ顔でこたえる。

「さあ、てっぺんだ。今から落ちるよ~」

と、カオルは元気よく答える。

「下から、おろし…」

と、雪穂が言った瞬間、

ガクッ

と音がした。そして…、

ズズズズ、ビュ~

と、コースターが下に向けて落下をし始めた。

「おろ、おろし…て~。ギャー」

レールに沿って落下するコースターに雪穂はただただ叫ぶだけ。

「やっほ~」

と叫ぶヒカリ。

「さいこう~」

と叫ぶカオル。

 そして、最初の一回転ループに入ると、

「まわまわ、まわる~、ギャー」

と、雪穂はただただ叫ぶだけ。

「「やっほ~」」

と叫ぶヒカリとカオル。

 そして、水に突っ込む(ように見える)ときには、

「水にぶつかる。誰か助けて~」

と、雪穂が叫ぶと、

「「ちょっと待ってね~」」

と、決まり文句を言うヒカリとカオル。

 そして、もとの乗り場に戻ると、

「う~ん、楽しかった」

と、ヒカリが言うと、カオルも、

「そうだね、楽しかった」

と答えた。その一方で、雪穂は

「…」

と、ただ無言で、かつ口から魂が抜きでたようになっていた。

 

「もう、あんなもの乗りたくない!!」

と、叫ぶ雪穂。雪穂にとってジェットコースターはただの化け物にしか見えていなかった。

「もう1回乗ろうよ」

とカオルがねだると、

「もう乗りたくありません」

と、雪穂は叫ぶ。

「でも、これで、頭の中は真っ白だね」

と、ヒカリが言うと、

「なにもかもが白くなりました」

と、雪穂はただ怒るだけでなにもとりやろうとはしなかった。

「あ~あ、楽しかったけど、こんな雪穂になったなら、もう乗れないね。なら、観覧車に行こう」

と、カオルは新たな提案をする。

「観覧車なら、いいでしょう」

と、雪穂も仕方なしで答えた。

「観覧車に早く行きましょう」

と、ヒカリは雪穂、カオルを引っ張って観覧車のところまで行こうとした。

 

観覧車などのアトラクションを全て制覇した雪穂達3人はスパ施設の大露天風呂で今日の疲れを癒していた。

「ごくらく、ごくらく~」

と、ヒカリが言うと、

「本当、今日楽しかったね~」

と、雪穂がニコニコしながら言った。

「本当だね~」

と、カオルも防水加工された袋に入れたスマホを操作しながら言った。

「本当に楽しかった~。まさか3人と一緒に楽しめるものだなんて、嬉しい限りだよ」

と、ヒカリはにこにこしながら答えた。

「で、何かを忘れていることが…」

と雪穂が言うと。

「そう、忘れているよ、曲作りをね」

と、カオルがそう知っているかごとく言った。

「あ~、曲作りのために遊園地に来ていたんだ」

ヒカリ、目をひきずりながら言っていた。

「あ~あ、私としたことが、すっかり忘れていた。曲作り、早くしないと…」

と、雪穂は声をあらたげて言った。

「だからね、今、その方法を模索していたよ。あっ、あった」

と、カオルは何かを見つけて言った。そして、続けてカオルははっきりと言った。

「私達素人が曲作りしても仕方がない。それよりも、プロに近いところに依頼すればいいのじゃない」

「「プロのところ?」」

と、雪穂、ヒカリが不思議そうに言うと、カオルは、

「そう、プロのところ」

と、あっさりとした表情で答えた。さらに、カオルはこう言った。

「私は今までネットでいろんなところを探していたの。そして、見つけたの。作詞作曲してくれるところを」

 だが、そのことについて少し困った表情をする人がいた。雪穂だった。雪穂はこう言った。

「でも、プロに頼むとお金がかかるんじゃないの」

それに対し、カオルは安心するように答えた。

「プロじゃないよ。プロに近いところだよ。私が見つけたのは無料の作詞作曲してくれるサイト、その名も『なぞの音楽屋さん』」

「謎の音楽屋さん!!」

と、ヒカリ、雪穂、共に驚きながら言った。

カオルはこう言った。

「このサイトは無料で作詞作曲をしてくれるサイトだよ。それに自動作曲ではなく、人の手で作曲してくれているサイト。完全無料、だからといってフィッシングサイトでもないよ」

安心であると言いたそうなカオルの態度に対し、ヒカリは目をキラキラしながらこう言った。

「そんなサイトが見つかるなんて。それなら早く依頼しましょう」

でも、雪穂はちょっと心配そうに言った。

「たとえ完全無料でも、それだとズルではないのでは…」

 だが、カオルはで~んと答えた。

「このサイトのことを誰にも話さないことがこのサイトを利用するための条件なんだ。それにもう依頼しちゃったもんね、雪穂のメールアドレスで」

「ちょっと、私のメルアドを勝手に使わないでよ」

雪穂はカオルにカンカンに怒ったが、とうのカオルは、

「そう怒らないでよ。さっ、あがりましょう」

と、言って、なんもなかったがごとくあがっていった。

 

 あがると、雪穂のスマホにメールが一通届いていた。

「あっ、あのサイトからだ。開いて大丈夫だろうか。まさかウイルスが…」

と、雪穂は心配そうに言うが、カオルは、

「えいっ」

と、勝手に雪穂のスマホのメールを開いてしまった。

「わっ、これで私のスマホは、ウィルスだらけ…、じゃない。ほっ」

と、安心しながら雪穂は言った。

「え~と、なになに。曲の感じ、印象はどのようなものがよいか。曲は早い方がよいか、遅い方がよいか、いろんな項目がありますね」

と、ヒカリはメールを見つつ言った。

「このサイトは自分達がどういった感じの曲が良いかいくつかの質問に答えればいいんだ」

と、カオルはこう言うと、雪穂とヒカリに対してこう言った。

「じゃ、どういった曲がいいかな」

すると、ヒカリは堂々と答えた。

「私はかっこいい曲がいいと思います。アイドルといえばかっこいい曲が一番と相場が決まっています」

 これに対して、雪穂も、

「それはいいかもね。かっこいい曲はいいんだよね」

 カオルはこれを受けてこう言った。

「そうだね。かっこいい曲がよいと。それをスマホに入力するね」

と、スマホに入力していったカオル。

 こうして、いくつかの項目を入力する事10分。

「これで送信!!」

と、カオルはこのサイトに送信した。

「これであとは曲が完成するのを待つだけ」

カオルはそう言って2人に対して言った。

「まだまだ今日は続くよ。まだ楽しみましょう」

これに対し、雪穂とヒカリは、

「「オー!!」」

と答えた。

 

 あるアパート、「謎の音楽屋さん」のサイト運営者はここにいた。

「お姉ちゃん、私達に作曲依頼だよ」

ある人物が言うと、その姉と呼ばれる人はこう言った。

「そうか。なら、作詞作曲をしましょうかね」

 これに対し、妹とみられる人物はこう言った。

「かっこいい曲ですか。ひさびさに私達の力を見せるときですね」

 それについて、姉はこう言った。

「でも、なにか、自分達の運命を変えそうな曲になるかもな」

「?」

妹はそれに対してハテナ顔をしていた。

 

 そして、3日後、そのサイトから雪穂宛てにメールが届いた。

「カオルさん、ヒカリさん。この前のサイトからメールが届いたよ~」

雪穂は練習の打ち合わせに来ていたヒカリ、カオルに向かってそう答えた。

「ついにきたんですね。聞いてみましょう」

ヒカリはすぐにパソコンを準備し、曲を聞いてみる。

「なんてかっこいい曲なんだ」

カオルも感動して心をうっとりしていた。

「本当ですね。で、曲の名前はなんて」

と、ヒカリが雪穂に言うと、雪穂は

「HeaT」

と、ただ答えた。

「「HeaT??」

と、カオルとヒカリは不思議そうに言うと、雪穂は、

「曲名はついていなかったの。でも、私、これを聞いてある言葉が出てきたの。HeaTって。熱くなるのHeatと音のbeat。これをかけてしまったの」

と言って、ただただ漠然と言っていた。

「HeaTですか。何かいい響きですね」

と、ヒカリが言うと、

「たしかにそうだ、そうだ。それならいっそう私達のグループ名も「HeaT」としてしまおうか」

と、カオルもこう言って自分達のグループ名すらも決めようとしていた。

 これに対し、雪穂は、

「たしかに私達のグループ名としてはいいかもしれないね」

と言う。ヒカリも、

「それなら、私達の名前は「HeaT」で決定!!」

と、大々的に自分達のグループ名を決めてしまった。

「私達のグループ名は「HeaT」、愛さん、私、頑張るからね」

と、雪穂はそう答えていた。

 

続く

 

ラブライブUC ED 「青春ビッグバン」

 

つながるココロ いっぱいにして

(どんどんつながっていく)

ひとりではなく みんなと一緒に

(どんどんひろがっていく)

すべてのココロ 一つになっていく

(どんどんまとまっていく)

 

ひとつのココロ それを起点に

ひろがるココロ 楽しさ伝え

ひろがる気持ち 一緒に楽しむ

 

はじけろ青春    もえろココロ

みんなと一緒なら  悲しむことない

ひとつのココロから すべてのココロへ

楽しむココロ    すべてひろがれ

 

次回 練習しないの

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。前回の投稿から久しぶりになります。今日まで投稿できずに待たせてしまい申し訳ございません。前回の投稿から今日までこの小説を書いておりました。そして、ようやくこの回ができましたので投稿した次第でございます。

 で、今回新しい曲も作りました。「青春ビッグバン」です。この曲ですが、当初は作る予定がなかったものでした。が、いろいろ作詞している最中に調子がのってしまい、作ってしまったのがこの曲です。前回出したOPの「スマイルアゲイン」は元気のある曲にしようとしているのですが、この「青春ビッグバン」もなぜか元気のある曲になってしまいました。OP、EDともに元気な曲というのもちょっとと考えてしまいます。

 というわけで、今回の話はどうでしたでしょうか。面白かったでしょうか。ここで次回以降の投稿についてお知らせいたします。次回以降は5週続けて投稿を行います。実はあと5話分作っておりましてそれを毎週投稿する予定です。お楽しみにしておいてください。それでは今回はこれまで。さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC HeaT編 第3話

「前回のラブライブUC」
「私、阿蘇カオル、日本橋大学の1年生。え~と、前回のお話だね。曲を作った。できなかった。外注した。終わり。って、これで終わった。って、これじゃだめ。わかった、わかった」
「私と雪穂、それにヒカリの3人はグループとして、活動するにあたり、曲を作ることになったの。しかし、よく考えてみれば、私達って曲を作ったことがない。雪穂も私も、もちろん新人のヒカリも曲を作ったことがない。でも、オリジナルの曲がないとユニライブに出場できないし、いつまでもほかのアイドルの曲のカバーをしても仕方がないからね」
「と、いうことで、曲作りを始めたんだけど、3時間たってもなにも思いつかない。ということで、曲作り(私にとって気分転換の意味もあるけどね)のために遊園地に行くことになったの。そこで怖がる雪穂を連れてジェットコースターに乗ったり、観覧車に乗ったりといろいろと乗りまくり、そして、全アトラクションを制覇しちゃった」
「で、肝心の曲作りだけど、ぜんぜん進まなかったの。スパでののんびりと過ごす私達。でも、作曲ができないということは死活問題…。でも、そこは私の出番。私がこっそりと調べておいたの。作曲してくれるサイトを探して見つけたの。その名も「謎の音楽屋さん」そこにダメもとで作曲を依頼したの」
「そして、3日後、「HeaT」と言う名の曲が送られてきたの。とってもかっこいい曲なの。しびれる~。でもって、私達のグループ名も「HeaT」にしてしまったの」

(OP 1番のみ)



第3話 「練習しないの」

 

 曲からできてから2週間後、もみじが落ちる月日になったある日…。

「渋谷さん、こんにちは」

「ヒカリ~、もう講義終ったの~」

 1回の講義を全て終わったヒカリに対し、道ゆく学生から声を掛けられている。ヒカリの友達である。

「わーお、今講義が全て終わったんだ」

友達から質問に答えるヒカリ。

「今日も綺麗だね、その髪」

「ずばり決まっているね、その髪」

友達から髪について褒められるヒカリ。

「やっぱり。だって1時間かけて整えているんだもの」

と、ヒカリは自慢の髪を手で触りながら言った。ヒカリはどこにもいる平凡な学生である。何をやってもどこにもいるかわりばえのない行動をする。だからこそヒカリは1つの特徴を持つことを欲していた。それが髪であった。ヒカリは腰までかかる長い髪をしていた。それも誰もがうらやむ真っ黒な髪である。だからこそヒカリは毎日1時間かけて髪を手入れしている。それほど自慢の髪であった。

「今からどこに行くの~」

ヒカリの友達から聞かれ、こう答えた。

「今からユニドルの練習!!」

「それならここでお別れだね、バイバーイ」

友達が別れを告げると、ヒカリも、

「頑張ってくるからね~、バイバーイ」

と、友達と別れを告げた。

 

「雪穂さん、カオルさん、こんにちは」

ヒカリは先に来ていた雪穂、カオルに挨拶をしていた。

「やぁ、ヒカリ、こんにちは」

カオルがヒカリに気付き、挨拶する。

「あっ、ヒカリさん、こんにちは。さて、練習を始めますかね」

雪穂はヒカリを見るなり、基礎練習をせず、すぐに練習を始めようとした。

「今日はどこからですかね」

ヒカリは雪穂に練習する箇所を確認する。

「え~と、1番のAメロのところからだよ」

カオルが雪穂にかわり、練習する箇所をヒカリに教える。

「じゃ、始めましょうか」

雪穂の声とともに練習を始めた。しかし、基礎練習はせず、いきなりダンス練習にはいった。あと2週間しか時間がなかったからだ。曲の振りつけを考えた日からずっとそうだった。

 

「1,2,3,4、1,2,3,4」

雪穂の掛け声と共に踊るカオルとヒカリ。

「ほら、ヒカリさん、少し遅れているよ」

雪穂の注意をヒカリは、

「はっ、はい」

と、天気よく声を出す。

 雪穂とカオルは一糸乱れないダンスをみせるのに対し、ヒカリのダンスはワンテンポ以上遅れていた。

「ちょっとストップ」

雪穂はダンス練習を止めた。そして、雪穂はヒカリに向かってこう言った。

「なんで遅れてしまうの。また、同じところで失敗しているでしょ」

「ご、ごめんなさい」

雪穂からの注文でヒカリは謝る。

「これで何回目かね。同じ注意ばかりしていると思うけど」

雪穂はぐちぐちとヒカリに言っている。

「本当にごめんなさい」

ヒカリは雪穂に対し、大きな礼をして謝る。

「まあまあ、ヒカリも謝っていることだし、これから練習すればいいじゃないか」

と、カオルは雪穂をなだめる。

「それはそうだけど、もう時間がないんだからね」

と、雪穂はカオルに対し、少しイライラしながら言う。

「本当にごめんなさい」

と、ヒカリはただただ謝るしかなかった。

「ごめんじゃすまないほど時間がないの。あと2週間しかないの、ユニライブは」

と、雪穂はヒカリに対し、怒りをぶつけながら言う。そう、現時点においてユニライブでの予選まで2週間しかないのだった。

「ほら、イライラしたって、怒りをぶつけたって時間が過ぎるだけだよ。それなら練習あるのみだよ」

と、カオルは雪穂に対し怒りをおさめるために言う。

「ほら、雪穂、ヒカリ、また同じところから始めるよ」

と、カオルははやばやと練習を再開させた。

 だが、それでも雪穂の怒りはおさまっていなかった。また、同じところでヒカリがミスすると、

「なんでそこでミスするの。何度言えばわかるの」

と、何度も言われ、それに対し、ヒカリは、

「ご、ごめんなさい」

と、何度も謝っていた。

 

 それから2日後、ヒカリは友達と偶然会っていた。

「あっ、ヒカリ、こんにちは」

「あっ、こんにちは」

ヒカリも友達に挨拶する。

「ユニドルの練習はどう?」

と、ヒカリの友達はヒカリに練習具合を聞く。

「あんまり進んでいないんだよ」

と、ヒカリは少しぐったりした表情で言う。

「それは大変だよね」

と、友達が言えば、ヒカリも、

「大変だよ~」

と、ヒカリはまたもぐったりした表情で言った。

「でも、大変なのは仕方がないんだもの」

と、友達はヒカリに言うと、ヒカリは、

「なんで仕方がないの?」

と、友達が聞き直す。

「だって、グループメンバーの高坂雪穂ってラブライブで優勝したグループのリーダーだし、阿蘇カオルさんはそのラブライブでの準優勝したグループの一員だったもの」

「えっ」

と、ヒカリはとてもビックリした表情で言った。

「あの2人はラブライブ界ではとても有名な2人だもの。特に高坂さんはラブライブでは伝説のグループμ’sのリーダー高坂穂乃果さんの妹でなおかつ、μ’sと戦って勝利したことでも有名だよ」

と、友達は興奮するように言った。

「私、知らなかった…」

と、ヒカリはただただ茫然とした表情で答えていた。

「なんで知らなかったの。ラブライブを知っている人なら誰もが知っていることだよ」

と、友達は今度はびっくりした表情で言った。

「だてT、ラブライブのことを知ったのは大学からだもの」

と、ヒカリは反論する。対して、友達は、

「なら、今年の3月末に行われたスクールアイドルフェスティバルのことは知らなかったの」

と言うも、ヒカリは、

「ただたんに大きなイベントがあるんだの認識しかなかった」

と、ただたんに答えていた。

「ヒカリってラブライブについて何も知らな過ぎなんだね。それなのによくもあの高坂さんとグループを組むなんてね」

と、友達は少し諦めの表情で言った。

「そんなの関係ないもん。私だってスクールアイドルのリーダーだったと聞いただけで一緒にやりたいからさそったものだもの」

と、ヒカリは反論するも、

「自分が凄いことをしているなんて知らないのかな。それくらい豪華メンバーでやっているんだもの、ヒカリ~」

と、友達はヒカリにそう告げる。

 これを受けて、ヒカリ、

「私って知らないうちに凄い人達をメンバーにしていたんだ。だから、あんなにダンスがうまいんだ。足して、私はただの素人。何もダンスなどしたことがないただの素人だもの。雪穂さんとカオルさん、息をあっているダンス。対して、私は追いつくだけでもやっと。ミスばかりしていてもおかしくないね」

 そして、ヒカリはあることを言ってしまう。

「私がいるだけで足手まといだもの。私はおじゃま虫なんだね」

 そして、ヒカリは友達に対し、

「大事なこと、教えてくれてありがとう。じゃ、さようなら」

と言って、さっさと友達のもとから去っていった。

「あっ、さようなら…」

友達はすぐに去っていったヒカリに対し、ただ見送ることしかできなかった。

 

 その日の練習時…。

「雪穂、こんにちは。まだヒカリは来ていないのかな」

と、カオルは雪穂にヒカリが来ていないか聞いてみると、

「あっ、カオルさん、こんにちは。まだヒカリさんは来ていないけど」

と、雪穂はいまだに来ないヒカリのことを心配しつつも、カオルに対し挨拶をした。

「でも、普通ならヒカリが来てもおかしくないと思うんだけど…」

と、カオルも心配そうに言うと、雪穂は、

「もう少し待っていようよ。来ると思うから」

と、もう少し待つことを決めた。

 

 それから1時間後…。

「まだヒカリこないね」

と、カオルは心配そうに言うと、雪穂も、

「何かあったんじゃないかな」

と、これまた心配そうに答えた。

「何か急用ができたからじゃないかな」

と、雪穂はなにかあるかと心配そうに言う。

「今日は仕事がないから2人が練習しよう」

と、カオルが言うと、雪穂も、

「それなら仕方がないね。練習を始めましょうか」

と、観念したらしく、2人で練習を始めた。

 

 だが、ヒカリが練習に来ない日が3日連続して起こった。

「ヒカリ、どうして練習に来ないのかな。これまでだったらどんなときって来ていたのに」

と、カオルが少し心配そうに言うと、

「今日も来ないなんてないと思いたいけど…」

と、雪穂は少しイライラしつつも心配そうに言う。

「今日も来ないってことはないよね」

と、カオルが言うと、

「もう少し待ってみようか」

と、雪穂はもう少し待つことを決めた。

 

 それから1時間後…。

「どうしてヒカリさんは来ないの」

と、雪穂はイライラをつのらせながら言う。

「少しは落ちついて、雪穂…」

と、カオルは怒る雪穂をなだめようとする。

「落ち着いていられないよ。3日連続で来ないなんて異常だよ、異常」

と、雪穂の怒りのボルテージは上がっているように言った。

「それはそうだけど…」

と、カオルは雪穂をなだめようよするも、雪穂は、

「私達「HeaT」の発起人はヒカリさんだよ、ヒカリさん。その発起人が練習をすっぽかすなんて普通ありえないことだよ。あの子、私達をバカにしているの」

と、完全に怒りのボルテージをマックスにさせつつ言った。

「風邪かもしれないかもよ」

と、カオルが言うも、

「風邪なんてありえない。絶対にサボっている」

と、雪穂、何か断言するがごとく言う。

「そうならば、明日、ヒカリの後をついていこうか」

と、カオルが提言すると、

「それはいいね。明日、ヒカリさんの後をついていこう」

と、雪穂も納得するがごとく言った。

 

 そして、翌日、1日の講義を終えたヒカリは足早に大学を出た。その後ろから雪穂、カオルは追いかけてきた。

「きっと理由があるんだよ。大丈夫、大丈夫」

と、カオルが言うも、

「いや、ただのサボりだね」

と、雪穂は断言した。

 カオルの心配をよそにヒカリは渋谷の街に繰り出した。

「あっ、この洋服、私も買ってみたい」

と、ヒカリはそう言いつつウィンドショッピングを続けていた。

 これを見ていたカオルは、

「まっ、なんかあるんでしょう。きっと…」

と、ちょっと雲行きが怪しくなりつつと思いつつ、言った。一方、雪穂は、

「絶対にサボりだ。決まりだ、決まり」

と、完全に怒るように言った。

 ヒカリはその後、ファーストフード店で食事をして、そのままゲームセンターに入る。

「このゲーム、したかったんだよね」

と、ヒカリが言うと、そのままゲームをしてしまった。

 隠れていた雪穂、ついに、

「もう堪忍袋の緒が切れました!!」

と、ついに怒りのボルテージを振り切ってしまい、怒りまくって言った。

「雪穂、ちょっと待って、どうどう」

と、カオルはそんな雪穂を落ち着かせようとするが、

「もう我慢できない」

と、ついに雪穂、隠れている場所からヒカリに向かって走りだし、

「ちょっと、ヒカリさん、なんでサボるの」

と言って、ゲームをしているヒカリを引っ張ってしまう。

「ゆ、雪穂さん!!」

と、驚くヒカリ。

「雪穂、ちょっと待って!!」

と、カオルも近づくも、

「カオルさんは黙って!!」

と、雪穂はカオルをも黙らせてしまう。

 そして、雪穂はヒカリに対し、怒りをぶつけるように言った。

「どうして練習をさぼるのですか。あなたが私達のグループの発起人でしょ。そんなあなたがなんでサボるのですか。普通ありえないでしょ。どうなの」

 すると、ヒカリ、少しびくびくしながら言う。

「そ、それは…」

 これを見て、カオルも、

「少しは落ちつこうよ。ヒカリも何か言いたそうですし」

と言うも、

「カオルさんは黙っておいて!!」

と、雪穂、カオルにも噛みつく。

「は、はい↓」

と、しゅんとなるカオル。

「あなたがどんな気持ちかわからないけど、練習をしない、なんていい度胸しているんだね」

と、雪穂が怒鳴ると、

「だ、だって…」

と、なにか言いたそうに言うヒカリ。

 そんなヒカリに対し、雪穂は、

「どんな理由があるか知らないけど、だた生半可な気持ちでいるなら、練習をずっとサボるなら、ユニライブに出る資格なんてあるわけないでしょ」

と、前以上に怒鳴って言う。

 すると、ヒカリ、

「だって、だって…」

と、言って、ついに泣き出してしまう。

「泣けばいいものだと…」

と雪穂が言うと、ヒカリ、ついに…。

「だって、私と雪穂さん、カオルさんのレベルが違いすぎるんだもの」

と、泣きながら本音を言うヒカリ。

「レ、レベルが違う…」

と、雪穂、怒りを忘れるがごとく、あっけにとられて言う。ヒカリの弁明は続く。

「だって、雪穂さん、カオルさんは去年のラブライブの優勝、準優勝したチームの出身。対して、私はただの素人。考えてみてよ、私だけレベルが低いんだもの。基礎練習をしたことすらないんだよ。いきなりダンス練習したら格の違いでわかるもの。いつも失敗するなんて当たり前だもの。私が足を引っ張るなんてあたり前。レベルの高い練習を前に失敗するのも当たり前だよ」

 ヒカリの本音に対し、雪穂、

「それでもねぇ」

と、ちょっと何か言いたそうに言おうとすると、横から、

「ちょっと待った~」

と、カオルが口を出してきた。そして、カオルは、

「それはそうかもしれないね。だって、ヒカリみたいにずぶの素人がいきなりレベルの高いダンス練習することじたい無謀かもね。期間が短いからいきなりダンス練習から入ったけど、よく考えれば基礎があってはじめて出来る練習だもんね。その基礎練習をまったく受けていないヒカリにとっては酷だったのかもね」

と、雪穂に諭すように言った。

「そうだけど…」

と、口を濁す雪穂。

 すると、カオルはヒカリに対し、あることを聞いた。

「ヒカリ、これまで練習してきて苦しかった?」

これに対し、ヒカリは、

「はい、練習自体は楽しかったけど、するごとにレベルの違いを見せつけられてきてとても苦しかった。そして、レベルの高い2人に追いつけないことに気付いたんだ」

と、答えた。

 雪穂はこれを聞いて、

「レベルが違いすぎる…。そうか、そうだよね。私達も最初から全てが出来るなんてないもんね」

と、少しずつ納得するがごとく言う。カオルも、

「そうだよ。私達だって基礎練習をしっかりしていたからレベルの高い練習をすることができるんだもんね」

雪穂とカオル、そう、忘れていたことを思い出していた。雪穂だって、カオルだって、基礎練習をしっかりとしていたからこそラブライブでレベルの高いダンスなどを成功させ、優秀な成績をラバライブで残せたのだ。特に雪穂にとっては大事なことだった。実は音乃木坂の1年だったとき、凛と真姫から基礎練習を入学してから3か月間みっちりと仕込まれていたのだ。そのため、ラブライブのときにはレベル高いダンスや歌などをこなすことができたのだ。それほどμ’sの曲などはレベルの高いものだった。(ちなみに、現実のμ’sのメンバーもアニメPVとの動きが完全に一致するように相当な練習をしている)

 2人がそんなことを思い出しているとき、ヒカリはこう言った。

「私だって「HeaT」の一員です。けれど、その前にずぶの素人です。どうかお願いします。私に基礎練習をつけてください」

 この言葉に対し、カオルは、

「たしかに基礎練習は大切だね。私達も今となって気付いたよ。私達はレベルの高い者同士での付き合いだけで考えていた。基礎がしっかりできているからダンス練習ができるものだと思っていた。でも、素人からみたら、レベルが高すぎだったんだね」

 それに、雪穂は、

「いや、レベルが高いからついていけない、ということだけじゃないね。むしろ、私達が気付かされるなんてね。レベルが高いかどうか関係なく基礎練習は必要だ。それをおろそかにするなんて私はどうにかしていたんだ」

と、自分を戒めるように言うと、ヒカリに対し、

「私こそごめんなさい。ヒカリさん、私は大事なことを忘れていた。グループていうのはいろんなレベルの人達がいるんだよね。その人達のことも考えて練習しないといけないんだよね」

と、謝るように言った。

 そして、雪穂はヒカリに向かって、

「私はヒカリの提案、受けようと思う。私達も一から気持ちを入れ替えてやっていきたいと思う。最初から基礎練習からやっていく。そして、ダンス練習についてもヒカリさんができるようにしていこう」

と、堂々と宣言した。カオルも、

「そうだよ、そのいきだよ。雪穂、私もその考えに賛成するよ」

と、雪穂の考えに賛成した。

 これに対し、ヒカリは、

「私もお願いします。これで本当の意味で「HeaT」は一つになったと思います」

と言って、3人一緒に喜ぼうとしていた。

 だが、1つの疑問がヒカリの頭の中をよぎった。そして、

「でも、どうして最初から基礎練習をしなかったのですか。たとえ短い期間しか練習できないとしても、最初から基礎練習をすればよかったのでは」

 これに対し、雪穂、

「だって、名前が渋谷でしょ。だったらあの有名な渋谷り…」

「それ以上言ってはいけません!!それ、他のゲームの出演者の名前だから!!」

と、カオル、雪穂の言葉を制する。

「雪穂さん、それ、ゲームのし過ぎです。少しはセーブしたほうが」

と、ヒカリは少し呆れた表情で答えた。

「でも、あと本番まで1週間ぐらいしかないけど、本当に大丈夫かな」

と、雪穂は突然ユニライブについて心配を始めると、

「それは大丈夫でしょ。だってここには去年のラブライブの優勝、準優勝のメンバーがいるんだから」

と、ヒカリはどーんと胸を張って答えた。

「それはちょっと…」

と、カオルが心配すると。

「でも、大丈夫ですよ」

と、ヒカリだけ胸を張って言った、黒く長い髪を揺らしながら。

 こうして、心配している雪穂、カオルをよそに一人だけ自信をみせるヒカリ。3人の絆を固くした日はすぎようとしていた。

 

ユニライブ予選まであと1週間あまり…

 

つづく

 

(ED 1番のみ)

次回 UNI LIVE!!

 

 




あとがき?



 みなさん、こんにちは。LA55です。今回のあとがきは短くすませたいと思います。単刀直入にいうと、このHeaT編はあと1回で最終回です。といっても、1年生の章が終わるというわけです。すでに2年生の章も投稿する予定ですが、まだ投稿は先の話になる予定です。では、残り3話は…。それはラブライブΩで登場した元3年生の話となります。その子もユニドルとして活動する予定です。完全オリジナルキャラでのお話となりますが、その話から読んでも前作を知らない読者がいてもいいように作っております。そして、来週の回では今回なかった楽曲が入ります。けっこうかっこよく作ったつもりですので楽しんでみてください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC  HeaT編 第4話

 ついにユニライブ東京都予選の日を迎えた。
「ついにユニライブ。私の目指していた大会がついに始まるんだ」
と、朝起きてそうそう元気一番のヒカリだった。
 一方、高坂家では…。
「ほらぁ、雪穂、起きなさい。今日は大事な日でしょ」
と、いつもご存知雪穂の母親が雪穂を起こそうとしていた。
「う~、あともう少し寝かせて…」
と、寝言を言う雪穂。
「それでも早く起きなさい!!」
と、掛布団をひっくり返す母親。
「う~、寒い、寒いよ~」
と、雪穂が縮こみながら言うと、
「なら、穂乃果からありがたい自慢話を聞かせてもらうのは…」
と、母親、あることを言う。
「それはやめて!!お姉ちゃんの自慢話はたくさん聞いたから」
と、さっさと目を覚ます雪穂。何度も聞かされる穂乃果の自慢話は雪穂にとってきついものだった(だからって、その話自体嫌いではないが、同じ内容を何度も聞かされることへの苦痛である)。
 そして、カオルは…。
「あっ、天、頑張っている。こちらも元気だよ。ついにユニライブ予選始まるよ。今日は頑張ってくるからね」
と、簡単なメールを高校のスクールアイドルのメンバーだった中洲天に送った。
 3人それぞれ決戦の朝を迎えていた。ついにはじまるユニライブ、3人に対する結果はいかに…。




第4回 UNI LIVE!!

 

 この1週間、雪穂、カオル、ヒカリは1日も休まずに練習をした。その前日に決めたように基礎練習とダンス・歌練習をしっかりとした。特に基礎練習ではあるが、ヒカリは一生懸命頑張っていた。そのため、基礎的な能力はこの1週間で見違えるものになった。足を180度開脚するのも少し無理してできるようになり、腕立て伏せしながらスマイルも少しだけどできるようになった。それにより、グループとしての全体のレベルは上がっていた。

 

「あっ、雪穂さん、おはようございます」

今日も長い黒髪をしっかりとまとめてきたヒカリ。

「お~、ヒカリさん。私もおはようございます」

対する雪穂もヒカリに対し挨拶をする。

3人は会場となる秋葉原公会堂の前に集まる約束をしていた。

「今日ちゃんと眠れた?」

と、雪穂が聞くと、ヒカリも、

「はいっ、十分に眠れました」

と、言葉を返す。1週間前にヒカリが練習をさぼっていることを雪穂が怒っているときとはぜんぜん違うものだった。

 そして、2人が会ってから2~3分後、

「雪穂~、ヒカリ~、お待たせ!!」

と、今度はカオルが2人の前に駆け足でかけてきた。

「いや~、大変待ったよう~」

と、ヒカリが冗談を言うと、

「いや、そんなに待っていないから」

と、雪穂がツッコむ。

「「ハハハハハ」」」

と、3人が笑ったその時、

「お~い、お久しぶりです~」

と、かけてくる女性が1人いた。

「あっ、レポーターさん、お久しぶりです」

と、雪穂がその女性のこといつものラブライブをレポートしてくれるお姉さん(レポーター)に挨拶する。

 レポーターは3人の前に着くなり、

「まさかお二人がユニドルになるなんてねぇ、びっくりしたよ。でも、それも青春の一つだね。ようこそ、ユニドルの世界へ。ようこそ、ユニライブへ」

と言って、雪穂とカオルをねぎらう。そして、レポーターはあと1人についても聞く。

「ところで、そこの彼女って高坂さんと阿蘇さんの付き人?」

ガクッ

と、ヒカリ、こけてしまう。すぐに雪穂がフォロー。

「いやいや、彼女は私達のグループ「HeaT」のメンバーで渋谷ヒカリさん、です」

これを聞いたレポーター、

「それは失礼しました。渋谷さん、これからよろしく!!」

これについて、ヒカリも、

「宜しくお願いします」

と、挨拶をかわした。

「では、今回の曲、楽しみにしているよ~」

と、レポーターは3人の場から離れていく。

「すごい人でしたね」

と、ヒカリがなにもわからないような雰囲気で話すと、

「あの人はいつもテンション高いからね~」

と、雪穂はちょっとにやにやしながら話していた。

「それがあの人のいいところだからね。だからどんなアイドルでも仲良くなれるんだよ」

と、カオルはうなずきながら言った。

 

「では、順番を決めま~す」

あのレポーターの前で順番を決める抽選が行われる。

「がんばってきてください」

と、抽選をしにいく雪穂に向かってヒカリがエールを送る。

「そうだね。では、えいっ」

抽選の箱からくじを引く雪穂。そして、開くと、

「え~と、ちょうど真ん中のところだね」

そう、ちょうど順番でいうところの折り返しのところが当たった。

「可もなく不可もなくだね。雪穂らしいね」

と、カオルもうなずく。ヒカリも、

「でも、これで私たちの歌を披露できるんですね」

と、ふかぶかしく、しみじみと言った。

「さあて、始まるまで最後の練習といきますか」

と、雪穂はカオル、ヒカリに対し、練習の誘いをする。

「そうですね」

と、ヒカリが言うと、カオルも、

「最後の悪あがきといきますか」

と、言って、3人とも近くの広場に向かって歩き始めた。

 

「さぁて、今年のユニドル選手権、ユニライブがついに始まりました~!!みんな元気ですか~」

と、司会役のレポーターの言葉に会場中、

「元気ですよ~」

と、叫び返す。そう、ついにユニライブが始まろうとしていた。

「う~、緊張しています」

と、ヒカリが言うと、

「私も緊張しているんだよ~」

と、雪穂が肩をぶるぶるふるわせながら言う。

「えっ、でも、スクールアイドルしていたから、そんなの慣れているのでは?」

と、ヒカリが問うと、雪穂は、

「それでも緊張するものは緊張するんだよ」

と投げ返す。カオルもそのことに対して、

「私も緊張しているよ。どんなときでも大一番のときは誰もが緊張するものだよ」

と、2人の会話に合わせるように言った。

 一方、そんな3人とは関係なく、会場では、

「それでは今の興奮を忘れないためにも、早速始めましょう。まずはエントリー1番…」

と、レポーターの大きな叫び声と共にユニライブ東京予選が始まろうとしていた。

 

 楽屋のテレビを通じて、ほかのユニドル達の様子を観ていたヒカリ、どちらかというと、みんなとの思い出づくりのためか、いろいろとミスしているグループが多かった。これを見て、ヒカリ、

「これなら私達が優勝してもおかしくはないでしょう」

と、たかをくくっていた。

 それに対し、雪穂は、

「そう問屋が卸さないと思うけど」

と、ヒカリにくぎを刺していた。

「でも、それぐらにの心意気でいかないと勝てるものも勝てなくなるよ」

と、カオルがヒカリをフォローする。

「そうですよ。なんだって去年のラブライブの優勝、準優勝メンバーがここにいるんですから。大丈夫ですよ」

と、ヒカリはどーんと胸を叩いて自慢する。

「その心意気だよ」

と、かおるは強くヒカリをよいしょする。

「戦いに絶対はないんだけどね」

と、雪穂は少しあおざめていた。

 そんなとき、

「日本橋女子大学「HeaT」さん、準備をお願いします」

と、大会関係者から呼ばれる声が聞こえてきた。

「それでは行きましょうかね」

と、雪穂が言うと、

「そうだね。頑張っていきましょう」

と、カオルが言う。そして、

「それでは、私達の歌をみんなにみせていきましょう」

と、ヒカリが最後を締める。

「では、掛け声をやりましょう」

と、ヒカリが言えば、

「そうだね。いつもの掛け声でね」

と、雪穂が言う。カオルが、

「それでは、せ~の」

と掛け声を出すと、

「1」「2」「3」と、雪穂、カオル、ヒカリの順番に言い、そして、

「「「HeaT、HeaT ON!!」」」

と、3人の掛け声が鳴り響いた。

 

 会場では司会であるレポーターが「HeaT」を呼ぼうとしていた。

「ついにあの伝説を作った彼女がユニドル界に降臨だ~。去年のラブライブ、あの伝説のスクールアイドルμ’sを打ち破ったグループのリーダー、高坂雪穂さんが率いるユニドル達だ~。日本橋女子大学のユニドル、その名も「HeaT」!!曲名はもちろん「HeaT」!!」

雪穂、カオル、ヒカリは「HeaT」の定位置に立ち止まる。

「それでは悔いのないように」

と、雪穂が言えば、

「そうだね。全力をだしていこう」

と、カオルが言い、

「私の全力、見せていこう!!」

と、ヒカリが締める。

 そして、曲が始まる。

 

「HeaT」編 挿入歌 「HeaT」

 

「あつく燃えあがれ HeaT

 

くらい世の中  苦しい心のまま

何もない中   うごかずのまま

何も見えない中 ともしびのないまま

先に進めない  止まったまま

 

だからみずから もえていこう

ともしびなりて 先導となる

すべてをてらし あかるくなる

だからみんな  オレについてくれ

 

心を燃やせ(Heat)心にきざめ(Beat)

心をもやせばあかるくなれる

心を燃やせ(Heat)心をこわせ(Beat)

心をこわせば新しくなれる

 

あつくなれ(あつくなれ)きざみこめ(きぜみこめ)

オレたちの心はあつくもえている」

 

 1番はなんとか乗り切っていた。2人になんとかついていくヒカリ、どこもずれているところはなかった。いや、完璧に踊れていた。ヒカリは見た。雪穂とカオルの顔を。余裕をもって踊っていた。対して、ヒカリは少しずつだが疲れてきていた。緊張しているのだ。むりもなかった。でも、ヒカリはそれでもついていこうとしていた。

 

「②

みらいないまま    すすめずきめずのまま

何もないまま     からっぽのまま

ひとりで燃えてるまま なにもしないまま

みなと進めない    止まったまま

 

だからみなから    もえていこう

あかるくなりて    太陽になる

みんなでもやし    あつーくなる

だからみんな     燃えて燃えてくれ

 

心をあつく(Heat)心をたたけ(Beat)

心をたたけば強気になれる

心をあつく(Heat)心よかわれ(Beat)

心が変わればより強くなれる

 

あつくなれ(あつくなれ)きざみこめ(きざみこめ)

オレ達の心は強くもえている」

 

「あっ」

ヒカリは思った。2番にはいってから、少しずつではあるがズレてきた。練習で指摘されてきたところだった。それでも、雪穂とカオルに合わせようとする。だが、それがミスをよんだ。ちょっとしたミス。でも、それがヒカリを慌てさせる。すると、ミスが次々と発生する。それでも、ヒカリは2人に合わせようとする。

 

「たった1人でも心あつく

もやし続ける

だけどみんなと心をあつく

もやせばそれだけで

とても明るくなれる

 

心を燃やせ(Heat)心にきざめ(Beat)

心をもやせばあかるくなれる

心を燃やせ(Heat)心をこわせ(Beat)

心をこわせば新しくなれる

 

あつくなれ(あつくなれ)きざみこめ(きぜみこめ)

オレたちの心はあつくもえている」

 

 そして、終わった。

「日本橋女子大学「HeaT」でした~」

と、レポーターの言葉に3人は、

「「「ありがとうございました」」」

と、観客達にお礼を言ってステージから降りた。

 

「ようやく終わった~」

と、ヒカリが言うと、

「お疲れ様。今までの中で最高の出来だったと思うよ」

と、カオルが言うと、

「今までの中ではねぇ」

と、雪穂はちょっとトーンを落として言った。

「雪穂、なんかあるの」

と、カオルは雪穂の様子を見て問うと、雪穂は、

「たしかに今までの中ではよかったと思うよ。でも、それはヒカリさんが一生懸命ついてこようとしたこと、ミスをしても、挽回しようとしていたことだと思う」

と言う。そして、雪穂はある言葉を口にした。

「そのミスは観客にはごまかせても審査員にごまかすことはできないかも。私がしっかりとヒカリさんのミスをカバーできていればよかった」

悔いの残る雪穂の言葉。それに対し、ヒカリはこう言った。

「大丈夫ですよ。私達のダンス、曲は今までのグループの中でも最高だったんだもの。絶対大丈夫ですよ」

ヒカリにとって自信ある発言だった。

 

 だが、ヒカリの自信はもろくも崩れようとしていた。後半にでてくるユニドル達は実力派ばかりだった。雪穂達「HeaT」以上にうまいユニドルはいくつもあった。彼女たちは前半にでてきた思い出づくりだけにでているユニドルたちではなかった。中にはユニドルとして4年間青春をかけている学生もいたのだ。そんなユニドルは甘くない、そうヒカリに思い知らせるために。

 

 そして、全てのユニドル達の演目が終わった、

「それでは関東予選に出場できるユニドルを発表します」

次々と呼ばれる他校のユニドルの名前。そして、発表が終わる「HeaT」の名前は…、なかった。

 楽屋に戻る3人。そのなかで、

「なんで、なんでないの」

と、ヒカリは悔しくて涙を流して言った。

「あ~あ、これでユニドル1年目は終わったね」

と、カオルは考え深く言った。

「これが私達の実力だったと思うよ」

と、雪穂も少し考え深くなって言った。

 それに対し、ヒカリは雪穂に向かって言った。

「悔しくないのですか。私達、負けてしまったんですよ」

これに対し、雪穂は、

「仕方のないことかもしれない:

と、ただ言うだけだった。それについてもヒカリは雪穂に食い下がる。

「だって、雪穂さんは去年のラブライブ優勝者、カオルさんはその準優勝者。負ける要素はなかったと思いますよ」

今となってはただのはったりにしかならない。そのようなことは雪穂とカオルからみてもあきらかだった。

 しかし、雪穂はある言葉を言った。

「私達の練習不足、それはあきらかだった。むしろ、この短期間でここまで仕上げたことがすごいことだと思う」

ヒカリはその時、雪穂を見た。そこには大きな涙を流していた。カオルも、

「私だって今回のことは悔しい。悔しいからこそ先に進む糧にするんだ」

と、涙を流してそう答えた。

 そして、雪穂は言った。

「私も悔しい。でも、現実は現実。私達だって負けることはあるんだ。この悔しさを糧に前に進んでいこう」

 この言葉を聞いたヒカリは、

「そう、そうですよね。この2人でしても今回は負けてしまうんですね。現実とはなんと悲しいものですね」

と言って、突然自分のカバンからハサミを取り出した。

「ちょっとヒカリさん、落ち着いて」

と、雪穂が言うと、カオルも、

「そうだよ、ヒカリさん。早まらないで」

と言って、ヒカリを抑えようとする。

 しかし、ヒカリは意外な行動をとる。

バサリッ バサリッ

と、自慢の自分の髪を切ってしまったのだ。

「ちょっとヒカリさん、どうしたの」

突然のヒカリの行動に雪穂、慌てる。

「あんな自慢の髪を切ってしまうんなんて、どうしたの」

と、カオルも突然の行動に驚く。

 だが、ヒカリにとってそれはあることの決意だった。

「雪穂さん、カオルさん。突然とってもない行動をとってしまい、ごめんなさい。でも、私は決めました。今回の失敗は、私の甘い考えが招いたもの。その失敗の責任をとるいみで自分の髪を切りました。この髪に誓います。これからは心を入れ替えて精進したいと思います」

ヒカリの心からの誓いは雪穂とカオルの心を動かした。

「私もこれからヒカリさんと一緒に頑張っていきます」」

と、雪穂はヒカリに対してそう宣言する。カオルも、

「私も宣言する。これから絶対に勝つために2人と一緒に頑張ります」

と、力強く宣言した。

 これに対し、ヒカリは、

「そうですよ。私達はこれからもっと力強く頑張っていけると思います。そして、ユニライブ優勝に向かって3人で頑張っていきましょう」

と、力強く言った。3人でこれからも進んでいく、そう決めたのだった。

 

 数日後、雪穂とカオルはとある美容室に来ていた。そこはヒカリのかかりつけの美容室だった。

「すいません、待たせてしまって」

美容室から出てくるヒカリ。そこにはショートになっているにも関わらず、綺麗な髪を保っていた。

「なんて美しいんだ」

カオルは驚いていた。雪穂も、

「それでも変わろうとしているんだね。その決意、私達も叶えたいものだね」

と、少し考え深く言っていた。

「さあ、来年のユニライブに向けて頑張りましょう」

ヒカリの言葉に雪穂、カオルは

「「オー」」

と、大声で掛け声を出していた。

 

 これで雪穂達「HeaT」の1年目が終わった。これから先、どのようにすすんでいくのだろうか。それはあとのお楽しみである。

                  (HeaT編 1年生の章 終わり)

 




あとがき

 みなさんこんにちは。La55です。ついにHeaT編第1章が終わりました。いかがだったでしょうか。雪穂達にとってちょっと残念な結果となってしまいましたが、これはこれから続く第2章「2年生編」へとつながっていきます。そう、あのラブライブで勝利した雪穂にとっても久しぶりの敗戦となっていると思います。その悔しさを胸に2年生編ではどのような展開を見せてくれるのでしょうか。それは後のお楽しみです。

 で、今回の楽曲「HeaT」ですが、これまでなかったようなかっこいい曲をコンセプトに作ってみました。これまでいろんな曲を作詞したのですが、よく考えてみればかっこいい曲って作ったことがなかったなと思いました。そこで、自分なりにかっこいい曲というのもを考えてみた結果がこの曲でした。と言っても作曲は出来ませんからもし作曲したらかっこいい曲になるのか、それともかっこよくない曲ができるのか、まだ分かりません。

 というわけで、今回でHeaT編第1章「1年生の章」はおわります。次回からはこのラブライブUCの短編集の1つが始まります。といっても、短編で終わらなかったというのが本当なのですが…。それでは、次回をお楽しみに。さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 博多小娘編 第1話

「ずるずるずる」

「ずる」

12月、ユニライブ予選が始まる前、博多の激安ラーメン屋で、秋葉愛、中洲天、霧島あやはラーメンを食べていた。

「もう冬ですね」

天は、愛、あやに向かってそう告げると、愛は、

「そうですね」

と、あいづちを打つと、あやも、

「そうですね」

と、あいづちを打つ。

「もうすぐユニライブですね」

と、天が言うと、愛とあやは無言のままあいづちを打つ。

「ずるずる」

「ずる」

3人のラーメンをすする音だけが聞こえてくる。

 それから5分後、無言状態を壊したのは愛の言葉だった。

「ついにユニライブ。これまでの苦労に報いるためにも頑張らないとね」

このことばに天は、

「そうですね。私達がいちから作り上げたものですものね」

と、なにか決心したように言い、あやも、

「たとえ誰が相手でも負ける気はありませんわ」

と、勝つ気まんまんで答えた。

「これまでいろんなことがありましたね」

と、愛が言うと、

「そうですね」

と、天が答える。

 そして、3人はこの9か月で起こったことを思い出していた。

 

(OP 1番のみ)

 

第1話 結成

 

 時は4月まで遡る。博多県博多市、福博女子大学、通称アイドル育成学校。この大学はアイドルなどを多く輩出している大学として有名である。

 その大学に音乃木坂学院のスクールアイドルオメガマックスのメンバーだった秋葉愛の姿があった。秋葉愛はこの大学のプロデュース科に入学したのだった。

「ここが私の通う大学なんだね。両親とお姉ちゃんと離れての1人生活。ちょっと不安だけど、大丈夫だよね」

と、ちょっと不安な顔をしつつもなにかを始めようとするがごとく言った。

「でも、できれば裏方として静かに生活できれば嬉しいことなのですが」

と、愛はそうつぶやいていた。愛としてはこれから先、スクールアイドルみたいに目立つようなことはせず、完全に裏方としてアイドルをプロデュースしていきたいと思っていた。それが自分にとって一番あっているものだと思っていたからだった。

「あれって誰だっけ~」

「ん~、見たことあるんだけど~」

遠くから愛の方を見て、こそこそ話をする入学生達。しかし、愛のことを知っている学生はほとんどいなかった。あんなに有名になったにもかかわらず、それでも人の記憶というものはブームが去れば忘れ去られるものである。

「ん~、やっぱり私のことは覚えていないわね。これから静かに暮らせるわ」

愛はまわりの様子を見るとちょっと嬉しそうに笑っていた。

 だが、この様子を見て、1人笑うものがいた。

「ついに愛が来てくれた。これで私の計画もついに動き出す。さあ、愛、私のものになりなさい、さあなりなさい」

遠くから隠れて、愛の方を見てはなにか怪しい言葉を発していた。

「ちょっと、あれってあの人だよね」

「そう、理事長の」

「でも、なにか怪しい雰囲気ね」

「なにか怪しいものを食べたのでしょうね」

「ちょっと関わらない方がいいね」

「そうだね」

怪しい言葉を発する学生の様子を見て、そっと逃げ出すまわりの学生達。愛のストーカーではないかという疑いの目をまわりにいたほとんどの学生が持っていた。

 

 そして、愛は入学氏が行われる講堂で席に座った。ついに始まる学生生活。とても有意義に、そして、とても静かな学生生活を暮していける、そう思っていた。その思いが崩れるともしれずに。

「これから入学式を始めます」

司会の言葉とともに入学式が始まる。

 

「次に…」

司会の言葉とともに式は厳かに進む。

「次に理事長の祝辞」

司会の言葉とともに福博女子大学の理事長、中洲博子が壇上に立ち、祝辞を述べ始めた。

「あなた方にとって大学は…」

長々しい祝辞が続く。それでも愛にとってはようやく入学できると実感できるものだった。大学生活がつに始まる、今しか味わえない感じを身に染みていたのだった。

「それでは祝辞を終わります」

理事長の長々しい祝辞が終わる。そして、

「次に新入生代表の挨拶。新入生代表、中洲天」

「はいっ」

司会の呼び出しに中洲天は大きな声で答えた。

「あれが新入生代表の中州天さんですね」

「たしかに。なんと凛々しい。やっぱり理事長の娘!!」

「でも、あっきまである新入生のストーカーしていなかった」

「なにかの見間違いでしょ」

客席からいろいろこそこそ話が飛びかう。中洲天、理事長の娘にして去年のラブライブ準優勝チーム、福博女子大学付属のスクールアイドルK9のリーダー、誰もがうらやむ、この新入生としての代表としては文句のない、非の打ちどころがない学生である。

 天が壇上に立ち、言葉を発した。

「え~、今日はお日柄もよく、私達にとってとても穏やかな日となりました」

さしあたりのない、けど、誰から聞いても文句のない言葉でもって言葉をつづる天。誰が聞いても心地のよい言葉達だった。

「これで新入生の言葉とかえさせて頂きます」

天の挨拶が終わる、と思っていたが…。

「と、言いたいことですが、ここで1つ言わせてもらいます」

天の突然の一言、それが愛の運命を変えることになる。

「そこに座っている秋葉愛、さっさと立ちなさい!!」

天はいきなり愛のいる方を指さし、で~んとした表情で言った。

「えっ」

愛は何のことなのかわからず、一瞬たちろいてしまう。

カシャッ

1つのスポットライトが愛に向かって放たれる。突然愛にスポットライトが注がれた。

「秋葉愛さんってたしか」

「そうだよ。あの秋葉愛さんだよ」

「この大学に入学していたんだ」

まわりが騒がしくなる。そう、秋葉愛、去年、音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックスの一員としてラブライブで優勝した。その楽曲のほとんどを作詞作曲していた、影の実力者である。あるものは影のリーダーとも言っていた。

 だが、天の言葉は続く。

「秋葉愛、いや、愛、私と一緒にアイドルグループ、いや、ユニドルグループを結成しなさい!!」

天の突然の宣言。これにはまわりの新入生からも、

「なんと、ここにきて、なんと、すごいことに」

「まさかのビッグカップル、いや、ビッググループ結成ですね」

「これは凄いグループになるんじゃないかな」

と、騒がしくなる。

 しかし、当の愛はこのことを、

「え~あ~う~」

と、困り顔で戸惑っといた。まわりからは、

「はやくイエスと答えなさい」

「どっちにしても誰かとユニドルグループ結成しないといけないんだから」

と、騒いでいた。ちなみに「最後の誰かとユニドルグループを結成しないといけない」というのは、福博女子大学アイドル学部では、学生活動の一環として、ソロ活動を宣言しない限り、必ずユニドルグループを結成するか、どこかに属しないといけないことになっていた。プロデュース科の愛としてもどこかに属し、裏方として活動することを考えていた。完全な裏方としてユニドルをプロデュースする、それが愛の考えだった。それが愛の言葉によって完全に崩されていた。

「さっ、愛、私と一緒にユニドルグループを結成しなさい」

天の言葉に愛は右往左往していた。だが…、

「やっぱり…、私は…、静かに…、暮らしたい…」

愛はこの言葉を静かに口ずさみ、ついに何かを決心したような顔を見せると、天に向かってある言葉を大きく言った。

「ごめんなさい」

ごめん、断りの言葉だった。愛はさらに言った。

「私はこれから一学生として、裏方として、誰かをプロデュースしていきたいの。天の気持ち、わかるよ。私とならいろんなことができるかもしれない。しかし、私は静かに暮らしていきたいの。だから、ごめんなさい。天の言葉、断ってしまってごめんなさい」

これを聞いた天、これを踏まえて、

「それなら仕方がないわね。私のわがままだったかもね。そうれだったらこの話はないことにするね」

と、言ったうえで、実の母親である理事長に対し、

「理事長、本当にごめんなさい。行事を行う中でとんだ茶番を見せてしまいました。これで私からの挨拶は以上となります。ご清聴ありがとうございました」

と言って、自分の席に戻っていった。

「ど、どうも、新入生からの挨拶でした」

突然の出来事に司会も驚きつつも次のコーナーへと進めていった。

 

「以上をもちまして入学式を終わります」

式が終わる。これをもって波乱万丈の入学式は終わった。

「ん~、終わった」

「これではれて大学生だね」

新有声からはいろんな言葉が聞こえてくる。そんな中でも、

「あの秋葉さんが来ているなら…」

「私達にとって、もしかするとプロデュースしてくれるかも…」

と、ちょっとよこしまな考えを持つ新入生もいた。

 この言葉を受けた愛は、

「天ってなんてことしてくれたのかな。これじゃ静かな大学生活を暮していけないよう~。」と、心の中でつぶやいていた。

 こんな愛の様子を見ていたひとがいた。理事長だった。

「ふふ、ふふふ」

と、不適な笑い声をしつつ、ただ、愛の方を見続けていた。

 

 入学式が終わった翌日、愛のまわりに多くの学生が集まっていた。

「秋葉さん、私をプロデュースしてください」

「いや、先輩である私をプロデュースしてくれ~」

愛にプロデュースしてもらいたい、そう思う学生達で群がっていた。

「私は…、私は…」

と、愛は何かを言いたいがごとくしていたのだが、

「私をプロデュースしてください」

「いや、私を…」

と、愛を囲む学生達の言葉などでかき消されてしまう。愛が求めていた静かな生活はたった1日で壊れてしまった。それでも、愛は…。

「私は…、私は…静かに暮らしていきたいのに~」

と、静かな生活を求めようと言葉を発した。しかし、

「私をプロデュースすれば静かになるでしょ」

「いや、私達をプロデュースすれば…」

と、ただたんにまわりの人達の言葉に打ち消されてしまう。

 だが、その事情もある校内放送の言葉に打ち消されてしまう。

「キンコンカンコーン。校内連絡です。秋葉愛さん、中洲天さん、霧島あやさん。大至急理事長室にきてください。繰り返します…」

と、学校中に愛、天、そして、霧島あやを呼ぶ校内放送が鳴り響いた。

「あっ、理事長に呼ばれている。ごめんなさい。ちょっと行くね」

と、愛はまわりにいる愛を求めている学生達を振りほどき、理事長室に向かった。

 

 理事長室。そこには愛、天、そして、霧島あや、そして、3人を読んだ理事長がそこにいた。

 ここで霧島あやについて紹介しておこう。あやは天と同じ福博女子大学付属のスクールアイドル、K9の一員であり、副リーダーだった。特にダンスのセンスがよく、K9のときはダンスの要であった。そして、鹿児島を代表する企業、霧島グループの一人娘である。

 それはさておき、愛、天、あやの3人が理事長の前に立っていた。理事長はそんな3人を前にある言葉を言った。

「まず集まってもらってありがとう。私はある考えをもとに3人に集まってもらった。」

 そして、ある言葉は3人にとって驚くものだった。

「秋葉愛さん、中洲天さん、そして、霧島あやさん、この3人でもってユニドルグループを結成しなさい」

学校の理事長直々の命令、それは、愛、天、あやの3人でのユニドル結成だった。

 この言葉に噛みついたのが天だった。

「ちょっとお母さん…」

「こら、ここでは理事長と言いなさい」

「はい、理事長…」

言葉に詰まる天、でも、それでも何かを言おうとした。

「理事長…、なんでいきなり私達にユニドルグループを結成しろって言ったの。もしかして、昨日の私の言葉を気にしたのですか」

 これに対し、理事長は、

「いや、それは違います」

すると、あやが何かに気付き言った。

「もしかして、私達グループを学校の広告塔として使いたいとしてかしら」

これを聞いた理事長、すぐに答える。

「たしかにその通りです。あなた方3人は実力もある。そして、ラブライブ優勝、準優勝のメンバーである。知名度もほかの生徒と比べて高い。そんな3人が一緒に組めばこのユニドル界、抜群の実力と知名度でもって制するのは時間の問題です」

「だから、それって私の昨日の…」

と、天が言うが、理事長は、

「いや、これは愛さんが入学することがわかったときから計画されていたものです」

と、答えた。

 されに理事長の話は続く。

「学校の広告塔になるのですから、学校側からも完全なバックアップを行います。優秀な講師陣による練習、有名な作曲家からの曲の提供、その他諸々。これでもって何か困るのでしょうか」

そして、理事長はある言葉を言った。

「そして、全国的に大々的な宣伝を行います。これで知名度はさらに上がることでしょう」

これには愛、あやは少したじろいた。

「なんて破格な条件…」

あやにとってはとてもよい条件である。学校側のバックアップを受けることができればすぐにでも全国区になることができる。そんなことはどこにいってもないことである。

「すごい条件、しかし、静かな生活が…」

愛にとってもいいものだった。プロデューサーというのは成功するのがほんの一握りしかいない。でも、全国区になれば将来は安泰となりやすい。それほど魅力的。だが、静かに暮らすという当初の夢が叶わなくなるというジレンマに陥っていた。

 しかし、1人だけ異なっていた。天だった。天はまっすぐ理事長に言った。

「私は、いや、私達は愛、あやとユニドルグループを結成します!!」

これを聞いた理事長、すぐに答える。

「それなら、いますぐにでも…」

「いえ…」

理事長の言葉を天は遮ってこう言った。

「いえ、私達は学校からのバックアップを受けません。私達の手で、私達の力で全国区にあがっていきます」

天の言葉に理事長は、

「ど、どうして…」

と、逆にたじろいてしまった。

 これを聞いた天はこう言った。

「私はまたあの二の舞を踏みたくないのです。去年、私はあなたのもとで学校の広告塔としてやってきて、圧倒的な力でもってスクールアイドル界を席巻しておりました。しかし、愛達にあったことによって、ただ学校の広告塔としてではなく、自分達の力でもってスクールアイドルを、ラブライブを勝ち抜けたことを知りました(前作ラブライブΩ参照)私はまた同じことを繰り返したくありません。今度こそ、私の力、いや、私達の力でもってユニライブに出場したいと思っております」

 この言葉に理事長は、

「また同じ轍を踏む…」

と、ちょっと戸惑う姿を継続していた。

 天の言葉に対してすぐに反応したのが愛だった。

「天、そんなこと考えていたの」

これに対し、天は、

「だって、高校3年間は理事長の、母のことしか目にしていなかった。スクールアイドルみんなを見下していた。でも、愛との出会いが目を覚ましてくれた。きっかけとなったんだもの。だからこそ、今はその悔いに報いるためにも自分の力でもってやっていきたいんだもの」

この言葉に対し、愛はすぐに答えた。

「私は…、私は天のグループに参加します。だって、そんな天を見ていたら、私、いやとは言えないんだもの。天の自らの力でやっていくという夢、一緒に叶えたいんだもの」

この言葉に、天は、

「でも、静かに暮らしていくという夢は…」

と言うも、愛は、

「それは今となっては無理と気付いたんだもの。だって、私は去年のラブライブ優勝を成し遂げているもの。これ静かに暮らす方が無理だもの」

と、笑顔で答えた。

 そして、あやも、

「天がこう言っているもの。私はいつも天についていくと決めているもの。私も天のグループに参加します」

と、言った。

 そして、3人は理事長に向かってこう言った。

「「「私達は私達でやっていきます。学校のバックアップは受けません」」」

これを聞いた理事長はこう言った。

「それなら、自分達の力で成し遂げていきなさい」

すると、3人は元気よく、

「ハイッ」

と、答えた。

 さらに理事長はこんなことを言った。

「私はこの決定について文句は言わないし、邪魔することはしない。これからも学生として頑張っていきなさい。ただし、特別扱いはしません。ほかの学生と同じ扱いをします。それだけは注意してください」

これに対しても「ハイッ」と3人は答えた。

 

 その日の夜、愛は博多にある自分の借りた家の寝室にいた。激動の1日だった。しかし、そんな疲れも忘れるような気持ちだった。

「ピンポーン」

「えっ」

突然の呼び出し音に驚く愛。

「は~い」

すぐにドアを開けにいく愛。

「こんばんは」

突然の訪問者、天だった。天はすぐさま驚くようなことを言った。

「ごめん。今日からここに住まわせて頂戴」

「ど、どうして」

驚く愛。その理由を天は言った。

「お母さんから言われたの、特別扱いをしない。ほかの学生と同じように自分で生活してみるものいい経験になるからって、家を追い出されてしまったの」

「…」

愛はただただ驚くだけだった。天も天だが、その母親である理事長も理事長だと。とってもしないことをするのは親子だと。そう思ってしまうほどに。

「でね、どこにも頼るところがないからここに来ちゃった。てへ」

これを見た愛、それならと、

「仕方がないね。まだ空き部屋もあるし、一緒にやっていきましょう」

と言った。すると、天も、

「そうですね。一緒に頑張りましょう」

と言う。そして、

「頑張りましょう」

と、誰か別の人が言ったような言葉が聞こえた。

「えっ、あや!!」天は突然驚いた。天の後ろに絢がいたのだった。

「私も仲間にいれてくれませんか」

これついて、愛も、

「仕方がありませんな。なら、3人一緒に住もう」

と言った。

 しかし、天は驚きつつもこう言った。

「家はどうした。まさか、家出してきたの?」

これに対し、あやは言った。

「言ったでしょ。私は天についていきますって。天がここに住むなら私もここに住むしかないでしょ」

「それはそうだけど…」

と、言葉に窮する天。

これを見た愛は、

「これは賑やかな大学生活になるんだろうな」

とそう思っていた。

 

(ED 1番のみ)

 

続く

 

次回予告 第2話 「路上」

 

(おまけ)

3人が住むことを決めた愛。しかし、心のなかではこう思っていた。

「しかし、これでは静かな生活という夢は完全に閉ざされてしまった。ああ、なんていう不幸かしら。ああちょっと悔やむなあ」

しかし、その悔やみも騒ぐ天とあやにちょっと癒されるものだった。

 

 

 




あとがき(?)

 みなさん、こんにちは。LA55です。ついに短編集(?)のひとつ、博多小娘編がはじまりました。この物語は1年生編であり、全3話を予定しております。HeaT編と比べて少し短いかもしれませんが、読んで頂けたらと思っております。HeaT編と比べても前作を知らない人たちにとっても読みやすくなっていると思っております。また、前作を知っている人たちにとっても少しにやっとするような物語になっていると思います。もし、それでなければ申し訳ございません。

 ちょっと短いあとがきですが、これから面白くなっていくと思います。それでなければごめんなさい。それではさよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 博多小娘編 第2話

「前回のラブライブUC」
「私、秋葉愛、福博女子大学の1年生ですわ。私はこの大学のプロデュース科の学生として入学したの。当初は静かに暮らそうとしていたのだけど、入学式の席で壇上から(中洲)天からの突然のユニドルグループの結成と私に対しての勧誘をされたの。でも、静かに暮らしたいために断ったの」
「しかし、1つの校内放送が私の運命を変えたの。入学式後、私と天、(霧島)あやが理事長室に集まるようにとの校内放送があったの。そして、理事長室に集められた3人。そこにいた理事長からの言葉、「学校の広告塔としてユニドルグループを結成しなさい」学校からの全面バックアップのもと、すぐにでも全国区になれる。その嬉しい響きに心が動く私とあや。しかし、天は3人でユニドルグループを結成するけど、学校のバックアップを受けない、自分達の手であがっていくことを宣言する。これを聞いた私は天のためになりたいと思い、その考えに賛同して天のグループに参加することに決めたの。いや、私がこのグループをうまくプロデュースしていくの」
「そして、その夜、家を追い出された天とそれについてきたあやが私の家に来たの。そのままじゃ大変と思い、一緒に暮らすことになったの。奇妙なシェア生活の始まりです。って、私、いつになったら静かに暮らせるのかしら~」

(OP 1番のみ)



第2話 路上

 

 愛、天、あやが一緒に住みだしてから数日後、ある問題が3人を困らせていた。

「お母さん(理事長)の前で「自分達の手で全国区になる」と言ったけど…」

と、天は困り顔で言った。

「たしかに問題ですね…」

と、あやも困り顔で言った。

「たしかに、今の段階では知名度がないのが現状ですね」

と、愛はその問題点をずばり指摘していた。3人を悩ます問題、それは知名度が低いということだった(というより、始めたばかりだからないのが当然なのだが)。3人の計画では今年のユニライブ決勝に出場することで知名度を上げるように思っていた。しかし、博多はアイドル激戦区であり、当然ながらユニドルに関しても激戦区だったりする。むろん、学内でも有名なユニドルがいるのも事実であり、その中で確実にユニライブ決勝に進出するためにも、ユニライブ前での知名度アップは欠かせないものだった。

 天は2人に対しこう言った。

「学校のバックアップがない以上、ほかの手で知名度を上げるしかないよ」

これに対し、あやは

「それなら、私の親の力ででーんと宣伝をしちゃうのはどうですか」

と、微笑みながら答えた。たしかに、あやは鹿児島を代表する企業グループ、霧島グループの経営者の一人娘である。そんなことできるかもしれない。

 だが、天は首を縦に振らず、こう言いた。

「それだと、学校からバックアップしているのと同じこと。これだとお金任せで、後ろめたさが残るだけだよ」

「それもそうですね。ほかに知名度を上げる方法ってないのかしら」

と、あやも再び困り顔で答えていた。

「そう深く考え込む前に食事にしましょう」

と、それまで夕食を作っていた愛がお鍋を持って2人のもとに戻ってきた。

「今日の優勝苦はなんでしょうか」

と、あやが目をきらきらにして愛の方を見た。

「今日の夕食は湯豆腐です」

と、愛が言うと、天は、

「それは美味しそう。さっそく食べましょう」

と、すぐさま鍋の中にある豆腐を突っつく。

「醤油だけじゃもと足りないから田楽味噌もありますよ」

と、愛が言うと、

「あら、田楽味噌って美味しそうかしら」

と、あやは目をきらきらにさせながら豆腐を食べようとしていた。

 

「それで、知名度アップはどうするの」

と、愛は天とあやに向かって問いかけた。

「まだ、見つからないんだよ」

と、あやもお手上げ状態で言った。

「3人ともラブライブの優勝、準優勝チームのメンバーだから、このままでも大丈夫…、でもないか」

と、天もため息をして答える。

 愛はそんな2人を見て口を開いた。

「それなら私にいい考えがあるのだけど…」

「「ええっ!!」」

と、天、あやとも驚いた表情で言った。

「と、その前に、この方法は他の人達もする方法なんだけど~」

と、愛は前置きを言いつつ、あることを言った。

「この3人で路上ライブをしたらどうかしら」

「「路上ライブ~」」

と、天とあや、2人、再び驚いた表情で答えた。

 愛はこれを見て、少しはにかみながら言う。

「路上ライブをしたら、少しでも知名度を上げることができると思うの。私もこの前、博多中心部にある新天町のところで路上ライブを行う歌手をみたことがあるのだけど、とてもうまかったもの。それに人も少し集まっていたものね」

新天町とは博多中心部にある商店街であり、週末になるとそこに多くの人々が集まる。だが、その夜ともなると、プロになりたい人達が路上ライブを行うことがある。そんな場所である。ちなみに、昼間に大道芸人やダンサーの催しがあったりする。

「路上ライブですか。私もそれを見て見たいものです。」

と、天が言うと、あやも、

「路上ライブ。なんてすごい響きなんでしょう」

と、目を輝かせながら言った。

 愛は2人の表情を見ると、

「それなら私達の当面の目標は路上ライブを成功させて、知名度を上げること」にしませんか」

と、2人に提言すると、

「それは決まりですね」

と、天がうなずきながら言う。そして、あやも、

「これからそれに向かって練習しましょう」

と、自信をもってそう答えた。

 すると、愛、何かを考えてから2人に、

「で、その路上ライブなんだけど、歌う曲は何がいいと思う?」

と、質問した。天は、

「ほかのアイドルの歌でもいいんじゃないかな」

と言うと、あやも、

「その曲をカバーするのもいいもんね」

と言う。

 だが、愛は2人とは違う考えを持っていた。2人に対し、あることを言った。

「たしかに、ほかのアイドルの曲をカバーするのもいいけど、それだと、ほかのユニドルと同じものになってしまう。それに、1年でユニライブ決勝に出場するためにも時間がなさすぎるよ」

これを聞いた天、少し考えて、

「たしかに短い時間でユニライブ決勝出場という目標を成し遂げるにも難しいものです」

と言い、有ることを提案した。

「それでしたら、私達の高校の時に所属していたチーム(オメガマックス、K9)の曲を私達3人でカバーすればいいのではありませんか」

これを聞いたあやはこう答えた。

「たしかにそれはいいアイデアですね。私達のチームの曲なら短い時間でカバーできるかもしれませんね」

 それを踏まえた上で愛はこのことを言った。

「それなら路上ライブは私達がもといたチームの曲をカバーすることで決定しましょう。で、あや、申し訳ございませんが、3人でも踊れるようにしてくれませんか。私はカバーする曲を3人でも歌えるように編曲しますから」

 これを聞いたあや、

「わかりました。それでね、愛、私と天からもお願いあるんだけど、愛のいたチームの曲の振付を教えてくれない。私達からも愛に自分達にいたチームの曲の振付を教えるから」

これに対して、愛は、

「それでいいと思いますよ」

と、うなずきながら言った。

 だが、愛が言おうとしていたのはそれだけではなかった。

「そして、この路上ライブのために新曲をつくろうと思うの」

 

 新曲をつくろうと宣言してから1ヶ月後…。

「曲ができないよ~」

機材などのレンタルの資金集めなども考えると、秋ごろに路上ライブを行うことに決めた3人は、このあいだ、お互いにもといたチームの曲の振付などを教え合っていたり、曲も3人で踊れるように編曲や振付の変更などをしていた。これらは順調にできていた。この前、その準備が終わったのだ。しかし、肝心の新曲づくりは暗礁に乗り上げていた。

「ふつうなら曲が出来ているんだけどなあ。私にとって、天とあやに対して曲つくるのって初めてだから。どんな曲がいいのかなあ」

愛はこう言ってピアノの周りをぐるぐる回っていた。

「愛、まだ学校に行く準備できないのぉ」

と、天は愛の様子を気づかずに愛を呼びかける。しかし、愛は新曲のことで頭が一杯であり、何も答えなかった。天は、

「まだだったらすぐそこに行くよ」

と言って、愛の近くまで動く。

 すると、ピアノの周りをぐるぐる回る愛の姿が天の目に見えた。これを見た天は、

「どうしたの。何か病気をしたの?」

と、愛に問う。すると、愛は天がいることに気付き、

「あ、天、おはよう」

と、軽く挨拶すると、またピアノの周りをぐるぐる回り始めた。

 すると、天、愛に対し、

「どうしたんだい。まさか一睡もしていないんじゃないのか」

と問う。そう、愛の様子は寝間着姿で髪がぼさぼさだったのだ。

「うん、ちょっとね。新曲を考えていたら徹夜しちゃった」

と、愛が答えると、天は問い返す。

「で、新曲は出来たの?」

「いや、まだ…」

これを聞いた天、すぐに愛を愛の寝室に連れて行く。

「愛、今からぐっすり寝なさい!!」

と、怒りながら言うと、愛は、

「でも、新曲が…」

と、元気ない声で言いかえす。しかし、天はそれを無視し、

「今はぐっすり眠ること。いいね」

と、怒鳴るように愛に言う。愛も仕方なく、

「う、うん」

とうなずき、ベッドの上で寝るとすぐに睡魔に襲われ、ぐっすり眠る。

 

 そして、お昼、愛は目を覚ました。

「う~ん、よく寝た」

と、愛が言ってまわりを見ると、そこには…。

「天、そして、あや…」

そう、天とあやが愛の寝室にいたのだった。

「まさか、学校をさぼって…」

と、愛が言うと、

「愛がどこかに逃げるんじゃないかと見張っていただけだ」

と、天はツンツンしながら言った。それを受けて、あやは、

「まっ、私と天は愛のことを心配していただけです」

と、本音を言った。

 そして、天はなにかをするかごとく、愛の手をつないだ。

「愛、まだ曲が出来ていないんだったね。それならとっておきの場所に連れて行く」

天はこう言うと、愛は、

「とっておきの場所?」

と、問い直す。これに対し、あやは、

「少しでも気分転換すれば新曲もかけるんじゃないのかな」

と言った。これを聞いた愛、

「そうだね。とっておきの場所、私に見せてください」

と答えた。

 

 愛が連れてこられた場所、それは…。

ぶーん ざぶーん

「す、すごーい」

愛が連れてこられた場所、それは海の仲道にある水族館、マリンワールドだった。

ざぶーん ざぶーん

イルカが丸い輪っかの間を飛び込んではプールに飛び込む。そのイルカの芸を愛、天、あやは観客席の前の方から見ていた。

「す、すご~い。こんなにイルカって飛ぶんだね」

愛にとってイルカショーは今まで見たことがなかった。家では親はとても有名な音楽家であり、家族一緒に楽しむことがあまりなかったぐらい忙しかった。唯一の姉も小さい時から芸能界にいため、家では自分1人ということが多かった。友達はいたが、水族館に行くことはあまりなかったのだ。

ざぶーん ざぶーん

水しぶきが3人にかかる。

「ちょっと~、ずぶ濡れじゃな~い」

天が言うと、あやも、

「でも、水にしたたるいい女になるよ」

と、喜びながら言った。

 イルカのショーの後はアシカのショーもあった。

「とてもかわいい。私に1つ欲しいかも、あのアシカさん」

と、愛が言うと、

「いや、ちょっとそれは無理でしょう」

と、天がツッコむ。だが、あやは、

「それだったら、私の家の力で1つ…」

と、本気にアシカを飼おうとしていた。天はそんなあやに対し、

「いやいや、それは止めてください」

と、ツッコミ返す。

 ショーのあとは3人はゆっくり水族館の中を巡った。

 

「う~ん、気持ちいい」

髪をなびかせながら愛は言った。水族館をまわった3人、今は高速船の上にいた。

「どう、今度は珍しいものを見にいくよ」

と、天は喜びながら言う。あやも、

「これこそ博多の宝ってものを見に行くんでしょ」

と言うと、天は、

「博多の男っていうものがどんなものなのか、これでわかるよ」

と、天は2人に向かってどうどうと宣伝をしていた。

 

「とても輝いているね。やっぱり黄金!!」

愛も驚きながら言う。だが、驚くのも無理がなかった。

「これこそ博多が誇る国宝、志賀島で見つかった金印だよ」

そう、「漢奴之国王」と掘られた国宝、金印であった。歴史の教科書で一度見たことがあるかもしれない、そんな金印である。

「この金印、私にも1つ欲しいですね」

と、あやは冗談とも思えないくらいな考えで言うと、天は、

「それはやめて。国宝だから。あやの宝じゃないから」

と、あやをなだめる。

「でも、あの金印、偶然見つかったものだよね」

と、愛が天に言うと、

「そうだよ。江戸時代のときに偶然見つかったものだよ」

と言った。これを聞いたあや、

「なら、今からでも見つけられるかもしれませんね」

と、何かを探そうとしていた。そんなあやに対し、天は、

「それはそうと今度はあっちにいこうよ」

と、あやを引っ張りつつ、次の展示物を見に動こうとしていた。

「で、次の展示物はこの槍だよ」

そこにはとても貴重な一本槍が飾っていた。

「これが日本号…」

愛は今でも輝いて見える槍を見てそう言った。

「そう、この日本号こそ博多の男を示すものだよ」

と、天は愛に対し説明する。その説明はこうだ。

「安土桃山の時代、博多の侍の1人がとある大名の祝賀の席で何杯もの酒の入った大盃を飲みほしたことで、その大名から授けられたものだよ。博多の男というのはそれぐらい勇猛果敢なものなんだ」

すると、横にいたあや、

「あれで天を衝いたら面白くなりそうだよ」

と、ちょっと冗談を言うと、天は、

「それはやめてね。あの槍はそんなことに使わないの」

と、言いかえす。

「でも、あの日本号が博多の男の気質を現れとはね」

と、愛はその日本号をずっと見ていた。

 その横では、あやは、

「と、いっても日本の男って草食男子だから、今もそんな気質とは言えないんだけどね」

と、言おうとしていたが、天から、

「それを言うのはやめなさい」

と、逆にツッコまれていた。

 

 3人は博多のいろんなところをまわり、楽しんでいった。そして、福博出会い橋についた。

「どうだった。博多の街って素晴らしいところでしょ」

天は愛に対して言うと、愛は、

「うん。博多ってすごいところだよ。ラブライブのときに来たけど、驚きは今の方が大きいよ」

と言うと、あやも、

「私も。博多の地に来てから数年だけど、やっぱり、私も気付かないところがあったよ。新しい発見もしたしね」

と、にこにこ笑顔で答えていた。

 そして、天はこう答えた。

「新しい曲ができないから連れてきたけど、これでいい曲がかけるんじゃないかな」

と。これに対し、愛はこう答えた。

「たしかにこれならいい曲がかけるかも。いや、今日のことを曲にしたらとても面白いかもしれない。これは曲作りがはかどるかも」

この言葉に、天は、

「博多を題材にした曲かあ。それなら私としても嬉しいと思うよ」

と言い、あやも、

「これは振付のしがいがありそうだよ」

と、わくわくしながら答えていた。

 

 愛は家に帰ると、すぐに曲作りを始めた。今日の経験をもとに曲を作りだす愛。それはとても楽しいものだったらしい。そして、新曲は完成した。すぐに振付を考える。あや、天はその振付をもとにコンビネーションを考える。こうして、新曲は形あるものへと生まれたのである。

 

「愛、1番テーブルにお酒持っていって」

「は、はい」

夏休み、3人はそろって居酒屋のバイトをしていた。3人とも親から仕送りをもらっているため、普通生活する分のお金はある。しかし、路上ライブのために資金を貯めたい3人にとって慣れないバイトをすることにした。

「あや、そこでサボったりしない」

天がそこでお客さんとおしゃべりしているあやに言うと、

「これも仕事のうちです」

と言うと、居酒屋の御主人も、無言で

「グー」

と、手をグーにして喜んでいた。

「これじゃまじめにしている私の方がバカをみていりうよ」

と、天は嘆いていた。

「ちょっと、ちょっと、まってえ~」

愛の方はいうと、どちらかといえばドジッ子キャラが定着しようとしていた。

「いや、私、ドジッ子キャラじゃありませんから」

と、愛本人は言おうとしているが、まわりから見ると、どうしてもドジッ子キャラにしか見えなかった。

 

 こういうことで、夏休みにバイトをしたおかげで、路上ライブをするための機材を借りることができるほど資金は集まった。しかし、1つ問題があった。チーム名であった。

「やっぱりスーパーホークスって言うのがいいのでは」

と、あやが言えば、

「いやいや、チームクインビーがいいって」

と、天は言い返す。どちらともぱっとしない名前である。

「2人ともやめてください」

と、愛は天とあやの2人の間に入って止める。

「「それじゃ何がいいのですか、愛は」」

と、2人揃って言って、愛の方を向く。

 すると、愛はこう言った。

「私は地元を愛する私達だからこそ、この名前がいいと思うの。私の考えたチーム名は…」

愛の言葉に愛の方を見る2人。

「「チーム名は…」

「チーム名は博多小娘。小娘と書いておとめって読むの」

愛の言葉に天とあやは、

「「博多小娘…」

と、言葉を反芻した。

「やっぱり駄目だった」

と、2人に聞く愛に対し、

「いや、とてもいいと思う。私達のチーム名は博多小娘でいこう」

と、天が喜んで言えば、あやも、

「そうですね。博多小娘。私達にとってふさわしい名前ですわ」

と言って、2人に対し手を取りやろうとしていた。

「私達は…」

愛の言葉の後に3人で、

「博多小娘!!」

と叫ぶ3人であった。

 こうしてチーム名も決まった3人はついに路上ライブの日をついに迎えるのです。

 

続く

 

(ED 1番のみ)

 

第3話 「実感」

 

 




あとがき

 こんにちは、la55です。博多小娘編もついに第2話となりました。次回が第1章の最終回となります。あまりにも短いものだと思います。が、それでも楽しんでいけたら幸いだと思います。そして、次回、この博多小娘編の曲も発表します(といいながら、詞だけですが…)最後までがんばりますのでこれからもよろしくお願いします。というわけで、短いあとがきですが、ここでおしまい。さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 博多小娘編 第3話

「前回のラブライブUC」
「こんにちは。私は中洲天、福博女子大学の1年生」
「ユニドルグループを結成した私、愛、あやの3人でしたが、知名度を上げるために路上ライブをすることを決める。そのなかで、ライブに使う曲について、私達が高校時代に所属していたスクールアイドルチームの曲を使いつつ、新曲を作ることに」
「でも、愛ったら1週間経ってもぜんぜんできていない。これではダメじゃん。ということで、博多の街を歩くことにした。マリンワールド、市博物館などを見ていくうちに、私達3人は博多の街をいろいろ知ることになる。こうして、私達の街、博多を題材にした曲を作り上げる。その曲、とても良いんだから」
「こうして曲を完成させた私達3人は慣れないバイト(というより、あやってただお客さんと話しているだけだけどね)として資金を稼ぎ、機材をレンタルすることができた」
「で、ここが重要な問題。私達のチーム名をつけないといけなかった。私、あやともにいろいろ案をだしたけど、どれもぱっとしない。そこで、愛は私達にふさわしい名前を出してくれた。「博多小娘」この名前、私、気に入った。あやも気に入ったらしく、私達は「博多小娘」として活動していくことになる」
「そして、ついに路上ライブの日が訪れたのです」

(OP 一番のみ)




第3話 実感

 

 10月初旬、新天町、夜、秘密裏にマイクなどの機材を設置する3人がいた。愛、天、あやの3人であった。このライブはゲリラ的に行われるようとしていた。なにもかもが自分達でレンタルしたものだ、いや、今日着る衣装も自分たちでつくったものだった。何もかもが本当に自分達で用意したものだった、

「スピーカーってこんなに小さいもので大丈夫なの?」

と、あやが愛に質問する。

「これでも高性能のスピーカーだよ。これ1つでまわりに音を広げてくれるよ。いつも使う大型スピーカーは私達じゃ持ちききれないし、あまりにも音が大きくてまわりに迷惑でしょ」

と、愛は答える。その一方で天はスタンドマイクを設置していた。

「スタンドマイクの高さはこれくらいかな?」

天が愛に言うと、愛はこう答えた。

「ちょっと、あやのマイクの高さ、高すぎるよ。これじゃ歌えないよ」

だが、あやはそれについて、

「その高さで大丈夫だよ。それくらい大きな声でいけるから」

と、ちょっと冗談じみた答えを返す。愛はこれを受けて、

「それじゃ、その高さでいこうか」

と言えば、

「ごめんなさい。私の間違いでした。冗談です~」

と、手を合わせて謝るように答える。

「あや、冗談はやめてね」

と、天はあやに軽く叱るように言う。

ハハハハハ

3人から楽しい笑い声が聞こえる。

 では、個の準備光景をほかの人はどのように見えているのだろうか。まわりの人から見ればいつもの光景だと思っていた。毎日のように博多の街のどこかで、このような路上ライブが行われている。それほど博多という街は音楽の街であった。

「よし、これで準備完了!!」

と、愛が言うと、

「あとはライブを待つだけ!!」

と、天が喜びながら言う。

「私達は観客じゃないんだからね。さっ、ステージ衣装に着替えましょう」

と、あやが2人を着替えへと引っ張り出した。

 

「ついに始まりますね」

愛は始まる前に少し緊張気味に言うと、

「まだお客さんは集まっていないけどね」

と、天は目の前にある真実を伝える。そう、誰も3人の前にはいなかった。

「歌えば集まりますよ」

と、あやが元気づけるように言う。

「では、始めましょうか」

と、愛は2人にそう告げた。

 

「は~い、私達」

「「「博多小娘です」」」

と、誰もいないにも関わらず名乗りをあげる。

「愛です」

「天です」

「あやです」

と、3人それぞれ名乗りをあげると、愛は自分達の紹介を始めた。

「私達は新しくユニドルグループとして結成した「博多小娘」です。まだ慣れていないこともありますが、これからよろしくお願いします」

そして、愛は、

「それでは、ライブスタート!!」

と、ライブのスタートを宣言した。

 それから、天は最初に歌う曲を紹介する。

「それでは最初の曲です。「TE TO TE」」

 

ラブライブUC 挿入歌 「TE TO TE」

 

「ポンと押すだけで友達申請

それでいいのですか

即読にしないと仲間外れ

本当にいいのですか

ネットだけの友達100人

本当の友達は何人ですか

自分を信じてくれる友達は

本当は何人ですか」

 

 まわりには人がよっては離れていく。少しは興味を持つ人達がいたが、すぐに離れようとする。そう、路上ライブをしている人が多いため、博多に住む人達にとって当たり前の光景だと認識されていたのだ。

 

「TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

TE TO TE TE TO TE

つないで(トントン)

 

ココロの鼓動が聞こえる

友のココロの声が聞こえる

それが友とつながる

友と一緒になることさ

 

友と一緒に手をつなぐ

友と言える仲間と一つとなった

そんな証なのさ」

 

 たとえまわりに通り過ぎる人達がいる。それでも3人は自分達の力を信じて歌う。自分達こそユニドル界でナンバーワンであることを信じて。そして、歌う。この路上ライブを大きな観客で埋めて成功することを。歌には自信がある。だからこそ、普通の駆け出しのアイドルがすることをしなかった。チラシ配りである。自分達のライブに見に来てくれる観客達を増やすため。必ずっていいほどチラシ配りをするものだった。しかし、自分達は歌で勝負しようとしている。現実は甘くない。しかし、それでも自分達の歌唱力を信じてかけてみたのだった。

「「TE TO TE」でした。次は…」

と、自分達のスクールアイドル(K9、オメガマックス)時代の持ち歌を次々に披露する。

「あれって何かな」

若いカップルが近づいてくる。女性が言ってはすぐに、

「すごくかわいいし、歌がうまいね」

と、褒めるが、とうの男性は、

「でも、これってオメガマックス(愛がもといたスクールアイドルグループ)K9(天、あやがもといたスクールアイドルグループ)のまねでしょ。どこでもやっていることだよ」

と、女性に諭す、とうの本人達が歌っていることを知らずに。

「でも、どこか似ているよ」

と、女性は男性に向かって言うも、

「それよりはやく美味しい伊万里牛ハンバーグ屋に行こう」

と、この場を離れようと男性が言うと、女性も仕方なく、

「わかったわ。ここを離れましょう」

と、男性と腕を組んでその場を離れていく。こういったことがほとんどだった。

 しかし、3人はこの様子を見ても諦めなかった。

(また離れていく。でも、私達ならきっと大丈夫だよ)

と、愛は心の中で言えば、心が通じているのか、天も、

(そうだよ。きっと私達の歌唱力なら集まってくれる)

と思い、あやも、

(これが私達の実力ではない。もっと力を出せば集まってきてくれる)

と、思う様になった。

 これがよかったのか、3人の歌は最初よりも力がはいるようになった。それにつれて、お客様が少しずつではあるが、集まってきた。

(そうだ。これこそ私達の実力。もっと強く歌ってみせる)

と、愛が心の中で言えば、天も、

(まだまだ力は残っているでしょ。なら、もっと力を見せてやる)

と思い、あやも、

(そうよ、私達の残っている力、全部出しきってやるんだから)

と、さらに力を込めるようになる。

 歌唱力がさらにアップする。どんなアイドルにも負けない圧倒的な歌唱力。すると、これまでほかの所にいっていたカップルが戻ってきた。

「あ~、あんなに集まってきている」

と、女性が言えば、さらに、

「たとえカバーしているだけとしても、あんなの本人と間違ってしまうよ」

と、3人を褒めた。男性は、

「ほら~、ほかの所にいこうよ」

と、この場を離れようとするが、女性は、

「いや、ここから離れない。3人の歌、最後まで聞く」

と、この場を離れようとしない。

「ああ、わかったよ。最後まで聞こう」

と、男性の方が音をあげてしまった。しかし、男性の方も、

「でも、この歌、とてもパワフルだ。もっと聞きたいなあ」

と言うようになった。

 こうして、徐々にではあるが、どんどんお客様が集まり、ついにはまわりに大きな人だまりができてしまった。

 そんなとき、ある人物がその近くを通りかかった。

「ああ、帰るのが遅くなっちゃった。お母さん、怒らないかな」

と言うと、すぐにあることに気付いた。

「あわ、この歓声は…」

と、声を出すと、すぐさま、人だまりの中につっこみ、前へとかきあげていった。

「それでは最後の曲です~」

と、愛が言うと、

「あ~、天さん、あやさん、そして愛さ~ん、こんばんは」

と、大きな声が聞こえてきた。

「え~と、(新垣)夕~、どうしたのですかあ」

と、天が言うと、

「そういう天さんもどうしたんですかあ」

と、夕が答える。ちなみに、新垣夕は天、あやが昔所属していたスクールアイドルグループK9のメンバーであり、今は新生K9のリーダーとして活動している。

「あれってK9のリーダー新垣夕さんだよね」

「そうだよ」

お客さんのまわりからもひそひそ話をしている。地元博多にとってK9は地元のアイドル以上に有名であった。

「私達は今、ライブをしているんだよ」

と、あやが答えると、

「ライブですか~、それはすごいですね」

と、夕が答える。

「夕さん、こんばんは」

と、愛が夕に挨拶すると、夕は、

「あっ、元オメガマックスの愛さん、こんばんは」

と、あっさり愛の身分を明かしてしまった。まわりからは、

「まさかオメガマックスの…」

「そうよ、あれってオメガマックスの曲を作った」

 そして、夕はさらに天、あやの身分すらも明かしてしまった。

「そして、元K9のリーダー、天さん、そして副リーダーのあやさん、あらためて、こんばんは」

 そして、まわりからも、

「まさか、K9の元リーダーと元副リーダーもいたなんて」

「まさに夢のゴールデントリオだよ」

なんでこんなに騒ぎ始めるか3人にはわかっていた。オメガマックス、K9は去年のラブライブの優勝、準優勝チームだからであった。そして、この二組は伝説のスクールアイドルとして、今なお語り継がれていた。そこに所属していた3人が一緒に組んでいるのだ。騒がない方が無理だった。

「お~い、あっちにオメガマックスとK9がいるぞ」

「よ~し、見てみよう」

人がどんどん3人のまわりに集まってきた。一時的だが、新天町中が大騒ぎになる。

「これだとまずい」

天が言うと、あやは、

「ここはひとまず退散しますか」

と言い、愛はすぐに、

「これで私達のライブは終わります。これからもよろしくね」

と、すぐに機材を撤収し、すぐに帰っていった。そこに残っていたのは、

「とてもよかったね」

「あの歌、もう一度聞きたいよ」

と、感動に浸る観客達と、

「あれ、私、なんか悪いことしたのかな」

と、ぽかんとたたずむ夕の姿のみだった。

 

 だが、このライブはそれだけでは終わらなかった。このライブの映像がなんとネット上で公開されてしまったのだ。むろん、3人が公開したものではなかった。最初からその準備はしていなかったのだ。これは観客達が録画したものだった。全部ではないにしろ、絶対的な歌唱力は世界中を騒がしていた。そして、ついには1週間で何百万回もの再生回数を伸ばしたのだった、これにより、博多小娘はネット上、博多では一時時の人となっていた。

 

「路上ライブ、成功したよ。メール送信終了」

愛は元オメガマックスの(高坂)雪穂にメールを送信していた。だが、心の中では

(本当は途中で切り上げてしまったとは言えないよね。それに最後の曲、新曲を披露しこそなったよ。ああ、悔いに残るなあ)

と、思い続けていた。

 

 こうして、愛達博多小娘は路上ライブで知名度をあげることに成功したことにより、ユニライブ校内予選を勝ち抜いたのであった。

 そして、この小説冒頭のラーメン屋に話が戻る。

「ついにユニライブが始まりますね」

と、天が言うと、

「はたしてどこまでいけるのでしょうね」

と、あやは心配そうに答える。

「それはもちろん優勝でしょう」

と、愛はで~んと胸を張る。

「でも、当初の予定は決勝進出でしょ」

と、あやが言うも、

「ここまできたら優勝しかないよ」

と、愛が答える。

「まだ予選すら突破していないのにね」

と、天にツッコまれると、

「夢は大きくないと叶わないよ」

と、愛はまたも胸を張って答えた。

 このとき、愛の心の中では、

(予選は絶対に突破できる。これだけは言える)

と、自信満々の気持ちだった。

 

 こうして、ユニライブ予選が始まった。ここで愛の予想は当たることになる。「知名度が高い=予選通過」とはならないのがこのユニライブにとって当たり前なのだが、愛達「博多小娘」にはそれに加えて圧倒的な歌唱力を持っているため、ほかの候補達を圧倒し、県予選、九州予選どちらもトップ通過したのだった。

 そして、ついにユニライブ決勝が始まった。結成たった1年で決勝に進出することじたいまれであり、さらにネットの知名度も抜群のため、今大会のダークホースと目されていた。

 楽屋では、ほかのユニドル達にまじって3人が輪になって手をつないでいた。

「ここまでやってこられたんだもん。絶対に優勝できるよ」

と、愛が言うと、

「そうだね。今の私達なら優勝できるよ」

と、天が言う。あやも、

「ここで負ける気がしない。私達なら絶対に成し遂げられるよ」

と、声を出していく。

 そして、3人の出番となると、3人は声を合わせて言った。

「「「博多小娘、ファイト、オー」」」

遠くから司会役のレポーターが3人を呼ぶ声がする。

「それでは博多が生んだかわいい小娘達です。博多小娘です。ど~ぞ」

「「「はい」」」

と、3人の返事が大きくこだました。

 

 3人はステージの上で円陣を組む。

「この曲は私達のソング、私達の力だよ」

と、愛が天、あやに向かって言うと、

「きっと誰よりも絶対うまい!!」

と、天も言い、あやも、

「これを決めて優勝決めます!!」

と、あやが堂々と宣言する。

 そして、観客達の方を向き、愛が声を出してこう言った。

「これが私達があなたに贈る歌です。聞いてください」

「「「福博出会い橋」」」

こうして曲が始まった。

 

ラブライブUC 挿入歌 「福博出会い橋」

 

2人は出会い、愛しあう。

 

博多の女は    やさしか

人ひとりをずっと すいとうと

やさしい心    持ち続ける

それほど心ひろい 女です

 

イルカみたいに 大きく飛び立ち

アシカみたいに 喜びあえる

全てをつつむ  全てを許す

全ての女が   心やさしき

 

福博出会い   心ひとつとなる

橋で出会う   2人の心も

全てを1つに  1つを全てに

そうすれば   もっと強く

もっとやさしい 心となる

 

福岡男は     強気か

人1人をずっと  守ろうと

つよーき心    持ち続ける

それほど心かたき 男です

 

ホークみたいに 大きくはばたく

ワスプみたいに 集まりあえる

全てをまもる  全てを許す

全ての男が   心つよしき

 

福博出会い   心1つになる

たもと出会う  2つの気持ちも

気持ちを1つに 気持ちを全てに

そうすれば   もっとかたく

もっと強気な  気持ちとなる

 

福博一つになってもう120年

1つの街に2つの姿重ねて

いっしょになる 喜び 悲しさ

ともに経験していく

 

福博出会い   心ひとつとなる

橋で出会う   2人の心も

全てを1つに  1つを全てに

そうすれば   もっと強く

もっとやさしい 心となる

 

「博多小娘でした」

全力出し切った。そう3人は思っていた。

「私達の歌、ベストでしたね」

と、天が言うも、

「これで優勝できるのかなあ」

と、愛が少し疑問を持ち始める。

「大丈夫ですよ。私達の歌は1番なのですから」

と、あやが言うも、

「ほかのユニドルもすごいと思います」

と、愛が言おうとするが、

「それはそれだよ。私達の方が一番なのは当たり前だよ」

と、天は自信満々に答えた。

「それならいいんだけど…」

と、愛もあまり言わないことにした。

 

 だが、ほかのユニドル達もこの日のために過酷な練習をしてきたのだ。そのため、このステージでベストを尽くすことは当たり前であった。都道府県大会みたいに思い出づくりに参加しているところではない。本気で優勝を目指すグループばかりであった。

 天とあやは自分達こそ優勝できると思っていた。それほど自信があった。ところが、それはただの間違いである。ほかのユニドル達も自分達に自信がある、優勝できると思っている。その思いの力がそれぞれの力になっているのだろう。

 愛はほかのユニドル達のステージを見た。そして、わかったことがあった。圧倒的な歌唱力だけでは勝てないことを。歌に加え、ダンスの量も必要であることを。それほど自分達の力が及ばないものがあることを知った。

 

 そして、全ての演目が終わり、優勝チームが発表された。

「優勝は…」

ここで博多小娘の名前が呼ばれることはなかった。

「これが現実なんだ」

と、愛が言うと、天は、

「どうして、どうして負けたの」

と、泣いていた。天にとって去年のラブライブと同じ優勝ができないことだった。

「まさか、私達の歌唱力が…」

と、あやが言うと、すぐに、

「私達の歌唱力は良かったと思う」

と、愛がつかさずフォローにはいった。そして、

「それだけじゃ駄目だった、ということだよ」

と、愛は天とあやに対し負けた要因を伝えた。

 さらに、愛は天、あやに対しこう鼓舞した。

「今年だけじゃない。来年も頑張ればいいんじゃないかな」

これに対し、天は、

「そうだよね。私達には来年もあるんだからね」

と言い、あやも、

「来年こそ優勝してみせます」

と、堂々と宣言した。

「来年こそ絶対に優勝するぞ」

「「「オー」」」

愛の言葉に3人は堂々と声をあげていた。

 

「博多小娘編」1年生編 完

 

2年生編へ続く

 




あとがき

 こんにちは、la55です。ついに博多小娘編も1年生編が終わりました。いかがだったでしょうか。あんまり楽しめないものでしたらごめんなさい。もし楽しめたら幸いです。愛達にとってとても悔しい結果でしたが、来年(2年生編)もあるということで頑張ってほしい限りです。ここで予告。この博多小娘編の2年生編ですがちょっとした騒動が起きます。それに対して愛達はどう立ち向かうのでしょうか。楽しみです。

 で、今回の楽曲ですが、2曲ありました。「TE TO TE」と「福博出会い橋」です。「TE TO TE」は実は前作「ラブライブΩ」で発表した曲です。今回は前作の曲も楽しんでもらおうと再掲載いたしました。前作も多くの楽曲を作っております。それも楽しんでいけたら幸いです。そして、新曲「福博出会い橋」ですが、実際に「福博出会い橋」という名で博多の那珂川に架かっております。この橋をモチーフに作ったのがこの曲です。福岡市は昔、武士の街「福岡」と商人の街「博多」の二つの街がありました。それが明治の市制の時、「福岡」が選ばれたため、現在の名は福岡市となっております。ちなみに、福岡市から博多市に改名しようという運動もおき、それに関する投票において、たった1票差で否決されることもおきております。(なお、この作品ではちょっとした理由で「博多市」としておりますが、理由については察しないでください)。それでも、博多に住む人達にとって「博多」という名前は特別な意味を持っております。そんな武士の街「福岡」と商人の街「博多」が出会う場所ということで「福博出会い橋」という橋ができました。現在でも「福岡」と「博多」を結ぶ橋として地元の人達に愛されております。自分も作詞した際、博多を代表するラブソングを作ろうと思い、作詞しました。もし、博多を訪れる際には立ち寄ってほしいと思っております。

 これで、「HeaT編」と「博多小娘編」の1年生編が終わりました。ここで、これからの投稿について説明します。実はここ最近忙しくて次回以降の話を書いておりませんでした。と、いうことで、次回以降の投稿については少し間が空きます。次回の投稿は初夏ぐらいを予定しております。そして、短編(?)集の残り3編も随時始まります。そのため、「2年生編」に関しては10話以上を予定しております。できれば毎週投稿をやっていきたいと思っております。大変ですが、これからも頑張っていきます。応援を宜しくお願いします。それでは、次回の投稿までしばしお待ちください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 第2章
ラブライブUC第2章プロローグ


 あの感動のフィナーレ(ラブライブΩ)から1年、ふたたび回り始める物語。あのメンバーは大学というステージでユニバーシティアイドル、略してユニドルとして、ユニドル最大の祭典、ユニドル選手権、ユニライブ優勝を目指して頑張ろうとしている。果たしてユニライブ優勝を成し遂げる大学はあるのだろうか。そして、それがどんな結果を生むのだろうか。ラブライブUC第2章、ついに開幕!!

 

あなたは伝説を見ることができるのだろうか。

 

あとがき

 

 みなさん、お久しぶりです。La55です。まずは謝罪を。前回の際、初夏に第2章がスタートすると書きましたが、始まるのが仲夏になってしまい、大変申し訳ございません。言い訳ではないのですが、これまでラブライブUC第2章を一生懸命書いておりました。実のところ、ノートに書いて、そして、パソコンに打ち込むため、なかなか先に進まない状況でした。本当に申し訳ございません。

 というわけで、長い時間お待たせしました。ついにラブライブUC第2章が開幕します。第1章はたった2つの物語しか展開しませんでしたが、第2章では5つの物語が展開されます。それはお互いに干渉し、最後には…。といっても一部を除いてそんなに長い物語にはなっておりません。皆さんのペースで読んでもらえたらと思います。

 ラブライブUC第2章ですが、来週7月7日金曜日より毎週1話ずつ金曜日に投稿予定です。全13話を予定しております。ただし、12話と最終話である13話は連続投稿する予定です。12話と13話は連続した物語であり、このラブライブUC第2章の根幹となす物語となります。ここだけの話、実はあまりにも筆がのってしまい、あまりにも長編になったため、分割したというのもあります。失敗、失敗。

 で、ラバライブUC第2章ですが、それぞれの物語にはそれぞれあるテーマが設定されております。それはそのメンバーにとって大変な苦難をしいたげるかもしれません。それを乗り越えられるかというのもひとつの楽しみかもしれません。もしくはやさしいテーマかもしれません。そのテーマについてどう思われるかは人それぞれですが、暖かく見守ってもらいたいと私はそう思っております。

 というわけで、ついにラブライブUC第2章が始まります。(高坂)雪穂たちはどのようにユニドルを楽しみ、そして、苦しみ、どのようになっていくのでしょうか。どうぞお楽しみください。それでは、次回まで、さよなら、さよなら、さよなら。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC HeaT編 第5話

チュンチュンチュン
 4月の、それも空気が冷たい早朝、スズメの鳴き声で起きる少女。
「ん~、よく寝た」
早起きする少女、渋谷ヒカリはそう言って起きると、すぐに練習着に着替え、日課の早朝マラソンを始めた。
「ん~、気持ちいい。やっぱ走るのは早朝が一番だね」
ヒカリは走りながらそう言うと、30分くらい走り込み、そして、ある場所へと向かった。
「ヒカリ、おはよう」
こう言ったのはヒカリが所属しているユニドルグループ「HeaT」のメンバー阿蘇カオルだった。
「カオルさん、おはようございます。そして、雪穂さんもおはようございます」
ヒカリがこう言うと、「HeaT」メンバーでリーダーの高坂雪穂も、
「おはよう、ヒカリ。今日も頑張らないとね」
と挨拶する。3人は今年こそユニドルの祭典、ユニライブ決勝を目指していこうということで、毎朝、早朝トレーニングをしていた。
「よし、腕立て伏せからしよう」
と、雪穂が言うと、3人は腕立て伏せを始めた。
「雪穂さん、雪穂さん。ところで、今年はメンバーを募集するのですか」
と、腕立て伏せの最中に雪穂に問いかける。
「ん~、そうだね。もう少しメンバーを増やしてみたいしね」
と、雪穂が言うと、カオルは、
「それなら今すぐにでも始めるべきだよ。だって、もうすぐ入学シーズンだもんね」
と言う。
「そうだね。もうすぐ新入生が入ってくるもんね。今から楽しみ~」
ワイワイガヤガヤと練習を楽しむ3人。だが、このとき、意外な落とし穴がまっていたのだった。

(OP 1番のみ)


第5話 双子の気持ち

 

そして、迎えた入学式。

「よ~し、勧誘するぞ~」

雪穂、カオル、ヒカリは入学式会場の体育館の前で勧誘するためにメガホンを持って、スタンバイしていた。その周りには野球サークルなどのたくさんのサークルに所属している人たちが今や新入生を勧誘しようとしていた。

 そして、新入生が集まろうとしたとき、ある出来事が起こった。

「あ~、確認しました。ありがとうございます」

なにかの団体が各サークルを回り、何かを調べていた。

 そして、その団体は雪穂たちの前にも来た。

「え~、私たちは学生会のものです。うちの大学にサークル登録をしていますか」

学生会と名乗る女子学生に雪穂たちは、

「?」

と、首をかしげてしまった。すると、女子学生はあることを言った。

「大学にサークル登録をしていますか。うちの大学はサークルを作る際、必ず大学に登録申請することが必要となります。サークル登録しないと、大学の公式なサークルとして認定されませんし、大学内外で活動することもできません」

そう、雪穂たちが通う日本橋女子大学はここ最近起きているいろんな大学のサークル内での各種問題(未成年へのアルハラなど)を防ぐため、サークルを許可制にしていた。そして、サークルを作る際には必ず大学に登録申請した上で問題がないか調査して認可するのだった。むろん、雪穂たちも例外ではなかった。

「非認可のサークルはここでは新入生を勧誘できません。お帰りください」

女子学生は大声で雪穂たちに言うと、雪穂は、

「私たちはサークルではなく、ユニドルグループです!!」

と反抗する。しかし、女子学生は聞く耳持たず反論する。

「ユニドルグループとしても、大学の名を語るのならサークルと同じです!!」

「ううっ」

これには雪穂も反論できない。

「おかえりください!!」

女子学生が大声で言うと、雪穂は、

「うう、わかりました」

と言い、すぐに片づけてその場をあとにした。

 だが、この様子を遠くから見ていた双子の新入生が見ていた。

「あの人たち、ちょっと残念そうだったね」

ちょっと明るそうな新入生が言うと、

「…、うん、そうかも」

と、軽くうなずくもう一人の新入生。

「…、あの人たちの法被、こう書いていた。「HeaT」、…」

と、ちょっとつぶやくと、明るそうな新入生は、

「なんて言ったの!!」

と、大声で言うと、もう一人の新入生は、

「…、なんでもない…」

と、言って、その後は黙っていた。

 

「よ~し、これで新入生を勧誘できるぞ~」

と、雪穂が元気よく言った。入学式のこともあり、雪穂はすぐに大学にサークル申請を行った。そして、一週間もの審査期間ののち、大学からサークルとして認められたのだった。日本橋女子大学としては初めてのユニドルサークルとなった。でも、それだけではなかった。

「しかし、よくこんな部室、いや、音楽室、貸してくれたね」

と、カオルは少し驚いていた。実は、大学初のユニドルサークルということもあり、大学側も雪穂たちに少し期待しているのか、あまり使われていない音楽室を部室として貸してくれたのだった。

「ここで練習できますし、作曲もできますね」

ヒカリはこういうと、音楽室を見回した。音楽室ということもあり、ある程度広さがあり、なおかつピアノもある。練習場としては文句のないものだった。

「それよりも勧誘、勧誘」

雪穂はこう言うと、カオル、ヒカリを連れて校門前に向かった。

 

「私たち、ユニドルグループ「HeaT」です。ただ今メンバーを練習しています」

雪穂は大きな声で勧誘するが、誰も振り向いてくれない。

「どうして振り向いてくれないのかな」

と、ヒカリが少し困り顔で言うと、カオルは、

「大丈夫だよ。そう心配するな」

と、言って、さらに」、

「え~、楽しい楽しいユニドル活動だよ。今なら楽しい活動がセットだよ」

と、何回か意味不明な言葉で勧誘をしていた。

 だが、1時間たっても声すらかけてもらえなかった。

「ん~、なんで振り向いてくれないんだよ~」

と、雪穂は困り顔で言うと、ヒカリはあることに気付いた。

「もしかして、もう勧誘の時期を逃してしまったのでは…」

そう、雪穂たちは勧誘の時期を逃していたのだった。雪穂たちが申請登録してから1週間たつ間にサークルに入りたい新入生はすでに自分が入りたいサークルを決めていたのだった。そして、残っているのはアルバイトなどが理由でサークルに入りたくない新入生だけであった。

 だが、一部の望みがある、そう考えた雪穂たちは1週間勧誘を行った。しかし、結果は同じだった。

「これで今年、新入りは見込めませんね」

と、ヒカリが言うと、

「そうだね。今年もこの3人で頑張るしかないね」

と、雪穂も少しがっかりした顔で答えてしまう。

 そんなとき、

「大変、大変だよ~」

と、叫ぶ声1つあり。突然2人のもとに飛び込んできたのは、

「カオル~!!」

そう、カオルだった。

「カオル、なにがあったのですか」

と、雪穂が言うと、カオル、

「ちょっと水~」

と、水を要求。ヒカリが持っていた水一杯を飲み干すと、すぐにあることを言った。

「ぜ~ぜ~、実は、「なぞの音楽屋さん」の運営者が私たちの大学に入学してきたんだって~」

これを聞いたヒカリ、すぐに、

「え~と、なんのことですか」

と、なんのことだかわからなかったらしく、カオルに問うと、

「忘れちゃったの。私たちの曲「HeaT」を作ってくれたサイトだよ。その運営者がこの大学にいるんだって」

これを聞いたヒカリ、

「それはすごいことだよ。これで私たちの弱点、作曲できないを十分カバーできますし、私たちの仲間になってくれたら百人力ですよ」

 そして、雪穂はあることを決めた。

「それはいいアイデアですね。こんなチャンス、逃したくない。よ~し、この新入生を早く見つけてしまいましょう」

雪穂がこう言うと、カオル、ヒカリも、

「「オー」」

と、叫んで3人とも飛び出し、部室をあとにした、鍵を締めずに。

 

 雪穂、カオル、ヒカリはそれぞれ違うアプローチでサイトを運営している新入生を探していた。

「ああ、私、高坂雪穂だけど、「なぞの音楽屋さん」の運営者、知らない」

雪穂は自分の知っている昔のスクールアイドル仲間に電話で確認していた。

「う~ん、ここではないか~」

カオルはSNSなどいろんなサイトをネットサーフィンしていろんな情報をあつめようとしていた。

 そして、ヒカリは…、

「ねぇ、このサイトの運営者らしき学生って知らない?」

と、学校中にいるいろんな友達に聞いてまわっていた。実は、ヒカリはユニドル活動として、学校内で練習していくかたわら、知名度を上げるために学校中の学生全てにいろいろとおしゃべりをしていたのだった。このため、ヒカリの友達といえる学生たちはとても多く、そのため、いろんな情報がヒカリに集まってくるのだった。だが、今回に限っては情報があまり入ってこなかった。

 

 そして、3日が過ぎた。学内カフェのパリ広場に集まる雪穂、カオル、ヒカリ。

「昔のスクールアイドル仲間に聞いているけど、全然見つからない」

と、雪穂が少し疲れた顔で答えると、カオルも、

「ネットからもわからない。サイト運営者はSNSもなにもしないから、情報が入ってこないよ」

と、目を真っ赤にして答えた。

 そんな2人に対し、ヒカリは、

「私もまだまだですけど、絶対に大丈夫ですよ。私もほかの学生に聞いてみますから」

と、頑張ります、というポーズをしつつ答えた。

「それじゃまだまだ頑張って探しましょう」

と、雪穂が言うと、3人とも別れていった。

 

「さぁて探しましょうと思いましたが、ちょっと部室に忘れ物しちゃった。部室に戻ろう、戻ろう」

2人と別れたヒカリ、どうやらなにか忘れ物をしたらしく、部室に戻ろうとしていた。

 そして、部室となっている音楽室に近づくヒカリ。すると、

「♪~」

と、誰かの歌声とピアノを弾く音が音楽室から聞こえてきた。

「あれ?雪穂さんかカオルさんが帰ってきているのかな」

と、不思議に思うヒカリ。音楽室に近づくと、

「いや、雪穂さん、カオルさんの声じゃない」

と、気付くヒカリ。ばれないように忍び足で近づく。

 すると、ヒカリがよく知っているフレーズが聞こえてきた。

「心をもやせ HeaT 心にきざめ HeaT」

そう、ヒカリたち「HeaT」の持ち歌「HeaT」のフレーズだった。ヒカリはばれずに音楽室の入り口に近づく。そして、

ガサッ

と、ドアを開くとすぐに、

「あなたは誰なの?」

と、ピアノを弾いている女子学生に向かって大声で言った。

 この声にピアノを弾いている女子学生は、

「え、あ、う」

と、驚き、ピアノの鍵盤に向かって、

「えいっ」

と、手を振り下ろす。

ジャーン

と、ピアノから大きな音が鳴ると、ヒカリはつかさず、

「うわっ」

と、体を縮ませてしまった。これを見ていた女子学生は、

「ごめんなさい」

と、ヒカリに謝りつつ、すぐに音楽室から逃げ出した。

「ごめんなさいって、ちょっと待ちなさい」

と、ヒカリはその女子学生向かって追いかける。そして、つかさずカオルに電話する。

「カオルさん、じつは…」

と、走りながら電話でちょっと話すと、電話を切る。

「まちなさ~い」

と、ヒカリはその女子学生に追いつこうするが、その学生の足が速く、なかなか追いつくことができない。むしろ、2人の距離は少しずつではあるが離れようとしていた。

「ま、待ちなさい」

結局、ヒカリはその学生に追いつけるどころか、離されてしまい、見失ってしまった。

「なんて足が速いんだ、あの子は…」

と、ヒカリ、息を切らせながら言う。そして、

「見失ったけど、これも作戦のうち。今ごろは…」

と、ヒカリ、大胆不敵な表情で言うと、すぐに、

「ギャー」

と、あの女子学生のわめき声が聞こえてきた。

「カオルさん、ついに捕まえてくれたんだね」

そう、ヒカリはカオルに電話する際、先回りしてもらうようにしていたのだった。そして、かおるはカオルで校舎の入り口に大きな落とし穴を掘っていたのでした。

「むぎゅ~」

落とし穴に落ちた女子学生は落とし穴の中で伸びてしまった。

 

「うう~」

落とし穴で伸びてしまった女子学生は目を覚ますと、

「ここはどこですか!!」

と、突然叫びだした。そして、まわりを見渡すと、

「ここは私が先ほどまでいた音楽室…」

と、大きな声で叫んでしまう。

「う~、うるさいよ。少しは静かにしてなさい」

と、ヒカリはその学生に言う。そう、女子学生が目を覚ましたのはその学生が先ほどまでピアノを弾いていた音楽室ことヒカリたちの部室だった。

「どうして私はここにいるの…」

と、その学生はちょっと首をかしげると、

「カオルがあなたを捕まえたからここに連れてきたんだよ」

と、雪穂がこう言うと、カオルは、

「ぺろぺろ」

と、舌をだしてごまかしていた。そう、落とし穴にその学生が落ちた後、学生は伸びてしまった。カオルはその学生を部室に運んできたのだった。そして、雪穂もそこで合流、学生が目を覚ますと、雪穂、カオル、ヒカリがその学生を囲んでいたのだった。

「で、私になにかご用ですか」

と、その女子学生が言うと、3人はいっせいにしゃべってしまう。

「~~~~~」

何を言っているのかわからない。その学生はすぐに、

「一緒にしゃべらないでください。1人ずつお願いします」

と、言うと、まずは雪穂が質問した。

「あなたのお名前はなんですか?」

と、聞くと、すぐにその女子学生は答えた。

「私の名前は川崎陸、…です」

その女子学生こと陸に対し、今度はカオルが言う。

「あなたが「なぞの音楽屋さん」の運営者じゃないのかな」

これに関しては陸、

「どうしてそういいきれるのですか」

と、答えをはぐらかそうとする。すると、今度はヒカリが、

「じゃ、どうしてこの部室へ「HeaT」を弾いて歌えるのですか」

と、言うと、

「そ、それは…」

と、言葉を濁してしまう陸。これに対し、ヒカリ、

「「HeaT」は私たちの曲、そして、それを作曲してくれた「なぞの音楽屋さん」の曲です。この曲をピアノで弾けるのは私たち、いや、私たちじゃ無理か、それを作曲した人しかいません」

と、誇らしげに言う。

「た、たしかにそうかも」

と、雪穂が納得すると、カオルも、

「黙っているなら認めたことになるよ」

と、陸に迫る。

 だが、そこに隙があった。陸、カオルが近づいたことで開いた隙間から3人のもとを逃げ出す。

「こら、待ちなさ~い」

と、ヒカリが言うと、そんなことを聞かずに全力で走る陸。

「本当に待ちなさい!!」

と、雪穂も叫ぶが、陸はそんなの関係なく全力で走るため、その距離は少しずつであるが、離れていった。そして、ついには、

「う~ん、どこに行ったのだろう」

と、カオルが言うくらい見失ってしまった。

 だが、それでだけで諦める雪穂ではなかった。

「でも、見失っても大丈夫だよ。行く場所は知っているからね」

雪穂がこう言うと、カオル、ヒカリを連れて、ある場所に先回りをした。

 

 陸はある場所に逃げ込んだ。その場所は…、2人が住んでいる木造アパートだった。

「お姉ちゃん、帰ってきたよ」

陸はそう言うと、お姉ちゃんと呼ばれる女性が奥から出てきた。

「陸…、帰って来たね…」

こう言うと、お姉ちゃんはすぐに奥に引っ込んでしまう。

「お姉ちゃんってば本当に憶病なんだから」

陸がそう言うと、お姉ちゃんの後をついていこうとする。

 だが、そんな一コマに突然侵入するものがいた。

「たのもう」

突然ドアが開くと、こう言った声が聞こえてきた。

「ヒカリ、たのもうじゃないでしょ。こんにちはでしょ」

と、「たのもう」と言ったヒカリに対して雪穂がツッコむ。

「ど、どうしてあなたたちがいるの!!」

突然の出来事で驚く陸。すると、カオルがその答えを言った。

「いろいろとネットで調べていくと、この場所が怪しいと思ったんだよ」

そして、雪穂はこう言った。

「そして、私も昔のスクールアイドルのいろんな人たちから作詞作曲がうまい双子がいるって聞いたんだ。その双子がここに住んでいるのではという噂を聞いてね。そして、カオルの話を聞いて確信に変わったんだよ」

「道理でここだとわかったんだね」

と、陸が言うと、

「陸…、誰と話しているの…」

と、奥にいたお姉ちゃんが出てきた。

「あっ、あなたがもう一人の子だね」

と、ヒカリが言うと、

「いや…、こないで…、こないで…」

と、お姉ちゃんはすぐに奥に引っ込んでしまう。

 これを見ていたヒカリは靴を脱いで、奥へと進んでいった。

「勝手にはいらないでください」

と、陸がヒカリに怒ろうとするも、ヒカリはそんなのお構いなく奥の部屋の中に入ろうとしていた。そして、部屋の中に入っていた。

「なんだ、これはいったい」

ヒカリが驚くのも無理もなかった。そこには音楽を作るのに必要なミキサーなどが置かれていた。一種の録音スタジオと言っても過言ではなかった。

「ここで「HeaT」ができたんだ…」

と、驚くヒカリ。

 だが、奥の部屋に逃げたお姉ちゃんもそこにいたわけで、ヒカリを見ておびえて丸くなっていた。

「こ、こないで…」

おびえるお姉ちゃんを見て、今度は陸が奥の部屋にはいってきた。

「あなた、お姉ちゃんがおびえているでしょ。早く出ていきなさい!!」

こんなことを言われたヒカリだったが、2人に対して意外な一言を言った。

「こんな暗いところにずっといたらずっと暗いままだよ」

そして、ヒカリは2人に対してこう言った。

「陸さんと言ったね。そして、そこのお姉ちゃん、2人ともなんだか暗いよ。それよりも、もっと明るいところで暮らそうよ。そうだね。私たちと一緒に踊りませんか。いや、踊ろうよ」

この言葉にお姉ちゃんと呼ばれた女の子は、

「そ、それは…、いや…、もっと…、いや…」

と、さらにおびえてしまった。一方、陸は、

「えっ」

と、少し気持ちがぐらついてしまう。

 ヒカリはそんな陸を見つつも、お姉ちゃんの方が気になるらしく、そのお姉ちゃんに近づこうとしていた。

「もっと明るく、もっと楽しみましょう」

そんなヒカリに対し、お姉ちゃんはある言葉を言った。

「…、わ、私…、いや…、本当にいや…」

これを聞いたのか、後から入ってきたカオルはそのお姉ちゃんに問う。

「どうしていやなの」

これに対し、お姉ちゃんはこう白状した。

「私…、は人と併せるのが苦手なの…、ネットの方が…、とても暮らしやすいの…」

「お姉ちゃん…」

陸は驚いていた。こんなに自分の気持ちを白状したことがなかったことだった、お姉ちゃんは…。

「う~ん」

と、唸るヒカリ。すると、雪穂がそのお姉ちゃんに近づいてこう言った。

「ネットでも仲間がいるかもしれないよ。でも、外の方がもっと楽しいと思うよ」

この言葉にそのお姉ちゃんは、

「でも…」

と、言葉を言うも、雪穂はこう付け加えた。

「もし、私たちと一緒に踊るなら、私たちが合わせてあげるよ。無理をしなくていいから。私たちと一緒に踊ろうよ」

これに対し、お姉ちゃんはこう言った。

「あなたの…、お名前は…」

すると、雪穂はこう言った。

「私の名前は高坂雪穂。日本橋女子大学の2年生だよ」

すると、そのお姉ちゃんは雪穂に向かって目を輝かせながらこう言った。

「あなたが…、あの…、高坂雪穂さんですね。私…、川崎空と…、申します…。私…、あなたと一緒に…、踊りたいです!!」

そのお姉ちゃんこと空の突然の言葉に陸は、

「お、お姉ちゃん…」

と、ただ驚いたままだった。

 ヒカリはそんな空に、

「どうしてそう思えたの、突然…」

と聞くと、空は、

「だって…、あのラブライブに優勝した…、ことがあるんだもの…、この高坂さんだよ…。そんな人が…、ここにいるなんて…、奇跡だよ…」

そして、空はあることを言いだした。

「私…、高坂さんと一緒に踊りたいという夢…、あったの…。私…、こんな有名人…、その人から誘われるなんて…、夢が叶うなんて…」

さらに言葉は続く。

「高坂さんはネットでも有名な人…。私にとって憧れの人…。私…、ぜひ…、高坂さんのグループに…、入って…、頑張る…。私…、「HeaT」に…、入る!!」

これには陸も口をあんぐりしたままだった。

「川崎空さん、あなたの加入、喜んでお受けいたします」

と、雪穂、空に駆け寄り、ハグをする。

「はい!!」

と、空を喜んだ表情で答えた。

 一方、陸は口をあんぐりしたままだった。

「…、お姉ちゃん、…」

これを見たヒカリ、陸に近づきこう言った。

「ところで、陸さん、あなたはどうしますか。いとしのお姉ちゃんが入るならあなたはどうしますか?」

これを聞いた陸、こう答えた。

「お姉ちゃんだけだとなにかと心配だもん。私も加入します!!」

これを聞いたカオル、すぐに、

「これで新入生2人目ゲット!!」

これに対し、陸は、

「いや、これは言葉のあやであって…」

だが、ヒカリは陸に対し、こう言った。

「なら、加入しなくてもいいんだよ。空さんと一緒に頑張っていくから」

陸、これを聞くと、

「いや、それは違う。お姉ちゃんが心配であって…」

これにカオル、すぐに反応。

「なら、加入するんでしょ」

陸はこれにすぐに反応し、

「それなら仕方ないでしょ。私も加入します!!」

これを聞いたヒカリは、

「ツンデレなんだから」

と、陸をからかっていた。

 一方、空はというと、

「高坂さん…、頑張りましょう…」

と、言って、雪穂に甘えていた。雪穂は、

「空さん、一緒に頑張りましょう」

と、空を撫でていた。

 こうして、2人増やして5人となった「HeaT」。だが、ここに不気味な影が5人を襲うとしていた。その不気味な影とは。次回をお楽しみに。

 

つづく

 

(ED 1番のみ)

 

次回 X、堕天!!

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。ついにラブライブUC第2章が始まりました。まず最初は雪穂たち「HeaT」編からです。ラブライブUCは5つの物語で構成されており、前回伝えた通り、それぞれにテーマが設定されております。「HeaT」編でのテーマは「メンバー増員と歌とは」です。「HeaT」編は今回を含めて3人増員しますが、これに対して雪穂たち3人はどんな表情をするのでしょうか。そして、みんなにとって歌い継がれている歌はどのようなものなんでしょうか。

 で、今回「HeaT」に加入した川崎陸、空ですが、妹である陸はどちらかというとアウトドア派、姉の空はインドア派、というより引きこもりの双子姉妹であります。苗字の川崎ですが、これは音楽のまちを目指している川崎市から名前を取っております。そして、陸と空と対比するように名前を配置しました。陸に対して海というのが一般的だと思いますけど、それはご愛嬌を。

 というわけで、「HeaT」編の第5話をお送りしました。どうだったでしょうか。あまりにも駄作なら申し訳ございません。次回は増員メンバーのもう1人が登場します。といってももうすでに「ラブライブΩ」で登場しており、「ラブライブΩ」の人物設定にも名前が載っております。はたして誰なのでしょうか。次回までお楽しみください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC HeaT編 第6話

「前回のラブライブUC」
「私、渋谷ヒカリ、日本橋女子大学の2年生。2年生になって初めての勧誘。しかし、勧誘するのにはサークル登録が必要だった。サークル登録をしていなかった。私たちはサークル登録することに。で、登録したのはいいのだけど、すでに勧誘の季節は過ぎてしまった」
「そんな中、以前私たちが使った曲を作ってくれるサイト「なぞの音楽屋さん」の運営者がこの大学に入学したという噂を聞く。いろんなアプローチをしていく私たち3人。そんな中、私は音楽室から私たちの曲「HeaT」を偶然耳にする。そこに向かうと、ある学生がピアノを弾いていた。その学生は私を見て逃げてしまう。しかし、ここは私たちのチームワーク。すぐにカオルさんにお願いしてその学生を捕まえてもらう」
「その学生は名前を「川崎陸」と言っていたが、一瞬のすきをついて逃げられてしまう。そして、とある木造アパートに陸さんは逃げてしまう。私たちもそこに向かう。そこに現れたのは陸さんとそのお姉さん、空さんだった。私は一緒に踊ろうと誘う。躊躇する空さん。しかし、雪穂さんの「私たちがあわせるから」の言葉で空さんは一緒にユニドルとして活動すると宣言してしまう。陸さんもあれよあれよのうちに私たちのメンバーになってしまう」
「しかし、私たちを襲う影が近づいているなんてこの時は知らなかった」

(OP 1番のみ)



第6話 X、堕天!!

 

 陸、空の加入騒動から2ヶ月後。6月になり、空も梅雨空の様子を見せるようになった。

 ここは部室である音楽室。

「ああ、ずっと雨ばかりだよね。ハー」

ヒカリはずっと雨が降っている様子を見て、ため息をしていた。

「外で練習できないというのも嫌なものですね」

と、ヒカリの隣にいた陸がその言葉に重ねてきた。

「私…、これでいい…、ネット…、できるから…」

と、今度は空が陸とヒカリにちょこっと反論した。

「3人とも。今できることをやりましょう。さっ、基礎練習するよ」

と、雪穂は外ばかりみるヒカリ、陸、空に注意する。

「まっ、雨ばかり降るんじゃステージ(を想定した)練習ができないもんね。

と、カオルは3人に対して同情しつつも、雪穂の言う方も同意する。

「でも、ずっと基礎練習ばかりじゃ飽きてしまいますよ」

と、ヒカリは雪穂とカオルに反論する。

「そうですよ。私もずっと基礎練習ばかりで飽きてきました」

 

と、陸もヒカリに合わせて反論する。

「この基礎練習がこれから先のステージ練習、そして、本番へとつながるんだよ」

と、雪穂はヒカリ、陸に対して反論を行う。

「そうだよ。ローマは一日にしてならず、アイドルも一日にしてならずだよ」

と、カオルも雪穂に同意する。

「4人とも…、やめて…、ケンカ…、しないで…」

と、空は4人に対して仲裁を求める。この空の行動に、ヒカリは、

「それもそうですね。それじゃ練習に戻りますか」

と言って、練習に戻る。陸も、

「そうですね。いつまでたってもこれじゃ終わらないよね」

と言って、いつもの基礎練習に戻る。

「って、いつもこれをしないと練習はじめないのかね」

と、雪穂、少し困りつつも、陸、ヒカリに言う。そう、毎日、雨のためか、こんな小芝居を毎日してはそれでもって練習を始めることを続けていた。

「まっ、雪穂も少しは我慢してよ。これも通過儀礼だからね」

と、カオル、雪穂に対して納得するように言う。空も、

「これは…、通過儀礼…、だよ…」

と、雪穂に対して、カオルと同じように言う。そして、基礎練習をする5人。これが今のいつもの風景だった。

 だが、この日は違っていた。いつもの予約調和がこの日、崩されてしまうのだ。

「それじゃ、ダンス練習はじめるよ」

と、雪穂はラジカセのスイッチを入れようとしたそのとき、

「…先輩」

と、廊下の方から誰かを呼ぶ声が聞こえてきた。

「…先輩、…先輩、…先輩」

と、エコーのように徐々に大きくなりつつ聞こえてきた。

 そして、その声はしっかりと聞こえてきた。

「カオル先輩、カオル先輩、カオル先輩!!」

そう、カオルを呼ぶ声が聞こえてきたのだった。

 そして、

ガラーッ

ドアを一気に開ける声とともに、

「カオル先輩!!」

と、言いつつ、カオルに対してダイブする金髪の女子がいた。

ドサッ

カオルもダイブした女子と共に倒れ込む。

「イリヤ!!」

カオルはその少女の名を叫んだ。そう、この飛び込んできた少女は小賀値イリヤ。カオルが高校のときに所属していたスクールアイドルK9の2年後輩である。

「カオル先輩、会いたかったですよ」

イリヤは金髪を振りかざしながら、ネコのようにカオルに甘えていた。

「イリヤさん、カオルさんが苦しそうだから離れたほうがいいですよ」

と、ヒカリ、イリヤに対してカオルから離れるように注意する。

 でも、イリヤは、

「いやです、いやです」

と、断固拒否する。

「お姉さん、私たちもイリヤさんを引き離すため、行くです」

と、陸、空に対してイリヤを引き離そうとイリヤを引っ張る。

「凄いです…。離れないです…」

と、空、なかなかイリヤが離れないので困る。

「イリヤさん、離れなさい」

雪穂はイリヤに注意するも、

「いやったらいやです」

と、断固拒否するイリヤ。カオルは、

「く、苦しい」

と、ただ苦しむだけだった。

 

「ようやく離れた」

雪穂は疲れながら言った。イリヤを引っ張ってから1時間後、ようやく、イリヤがカオルから離れた。

「く、苦しかった」

カオルは屍のようになりつつ、こう言った。

「イリヤさんでしたっけ。なんでこんなことしたのですか」

ヒカリはイリヤに対して怒りつつ質問する。

「イリヤはね、だって、だって…」

とイリヤ、ギャルっぽく言いつつも理由を言おうとした。

「イリヤはね、カオル先輩のあとを追ってきたの」

イリヤの発言に対して、

「カオルを追って…」

雪穂はイリヤの声に対してビックリした。

「イリヤは、カオル先輩のあとを追ってこの大学に入学したの」

このイリヤの言葉に、

「うそでしょ。この大学の入学って難しいんだよ。私だってギリギリだったのに」

と、ヒカリ、イリヤが入学したことにビックリした。

「イリヤ、とても待てなくて1年間一生懸命勉強したの。だって、イリヤはカオル先輩の2年後輩だもん。1年でも早くカオル先輩に会いたかったもん」

このイリヤの言葉に対し、陸は、

「まさか、飛び級で入学したの。私じゃ無理だよ」

と、あまりにもビックリして言った。

「凄い…、イリヤ…、凄い…」

空はこう言って、イリヤに対して目をキラキラさせて言った。

「だから、カオル先輩、私とイチャイチャしてください」

と、イリヤはカオルに再び飛び込む。

「イリヤ、カッ、ギャー」

イリヤ、カオルに抱きつき、べったり張り付く。

「離れなさ~い」

ヒカリはイリヤに引き離そうとするも、

「いやでーす」

と、イリヤ、カオルから離れようとしない。

「離れなさ~い」

「離れな…、さい…」

と、陸、空もイリヤを離そうとするもイリヤは離れない。

 カオルに抱きつくイリヤ、それを離そうとするヒカリ、陸、空。この光景がずっと続いた。

 

 そして、3時間後、

「カオルせんぱ~い」

イリヤはようやくカオルから離れた。

「し、死ぬかと思った。がく」

カオルはイリヤに長時間抱きつかれたためか、ぐったりしてしまった。

「ようやく離れた」

ヒカリも疲れた表情で言うと、

「私も疲れました」

と、陸もヒカリと合わせるように言った。

 この状況を見た雪穂、

「まさか、これをずっと続けるのですか」

と、イリヤに向かって質問した。

「イリヤ、ずっと続けるつもりだよ」

と、イリヤ、当たり前のように答える。この言葉に雪穂、

「ずっと続ける…」

と、ただ絶句するしかなかった。

「これが続くとなると、練習どころじゃないね」

と、ヒカリが言うと、雪穂はある言葉を言い出した。

「イリヤさん、このままだと私たちの練習の邪魔になります。そんなイリヤさんに対して私からの命令です。これからずっとカオル断ちを行いなさい」

雪穂からのカオル断ち命令。これに対して、イリヤ、

「イリヤ、そんなの関係ない、そんなの関係ない」

と、雪穂に反論する。しかし、雪穂はイリヤに対して、毅然とした態度で、

「これだと私たちの練習ができないの。絶対してもらいます」

と、言いきって、イリヤの反論を断ち切ってしまった。

 

 そして、翌日、また同じ音楽室で5人は練習していた。

「1、2、3、ハイ。1、2、3、ハイ」

5人はダンス練習をしていた。その横では、

「う~、う~」

と、ハンカチを口にくわえながらイリヤはカオルの方を見ていた。

「イリヤ、カオル先輩に飛び込みたい」

と言おうとすると、

「キッ」

と、雪穂のガン見を見て、

「イッ」

と、イリヤ、委縮する。この状況がずっと続いていた。

 

 そして、3時間後。

「ようし、これで練習終わり」

雪穂の掛け声で、ヒカリ、

「これで終わり!!」

と、喜びながら帰る準備をする。

「これでカオル先輩に飛び込める」

と、イリヤ、喜びながらカオルに飛び込もうとすると、

「キッ」

と、雪穂がガン見を見たイリヤ、

「いや、なんでもありません」

と、イリヤ、委縮してしまう。

「…」

と、空はそんなイリヤを見つめていた。

 

 音楽室の片隅にイリヤがいて、カオルに飛び込みたいが、雪穂のガン見によって飛び込めない、そのような状況が1週間も続いた。

 そんなイリヤだったが、ついにある状況が起こった。

「う、う、う~」

なにか言いたそうになるイリヤ。

「イリヤさん、どうしたの」

と、ヒカリがイリヤに対し質問すると、

「う、うっ、ウォー」

と、イリヤ、ついに雄叫びをあげた。

「う、うぉー」

イリヤの雄叫びはずっと続いた。

「ちょっとイリヤさん、やめてください」

雪穂はイリヤに注文するも、

「ウォー」

と、また雄叫びをあげている。

「雪穂、もしかすると、禁断症状が出たのでは」

と、カオル、イリヤの状況を冷静に分析して言った。

「イリヤさん…」

と、陸、イリヤを見つつ、心配そうに言った。

「う、ウォー、ゴホゴホ」

と、むせてしまうイリヤ。

「だ…、大丈夫…」

と、空が心配そうにイリヤに言うと、

「う、う~」

と、泣きだそうとするイリヤ。

 そして、イリヤは、

「う、う~」

と泣いて、

ガタッ

と、ドアを開けて外に出ていってしまった。

 この状況を見て、

「イリヤのあの状況、はじめて見たかも」

と、カオルが言うと、

「ちょっときつく当たり過ぎたかも」

と、雪穂、ちょっと反省するように言った。

「でも、これで練習の邪魔はなくなった、とは言えないね」

と、ヒカリも心配そうに言った。

「これからどうするのかな、イリヤさん」

と、陸もイリヤのいたところを見つつ言う。

「…」

と、空だけが黙っていた。

 だが、ここで時間だけが過ぎても仕方がなかった。

「しかし、ここで立っていても仕方がない。練習、再開するよ」

と、雪穂は練習を再開しようとする。

「それもそうだね。さっさと練習しましょう」

と、ヒカリが言う。

 そして、練習を再開しようとした、そのとき、

「あわ、お姉ちゃんがいない。どこに行ったのかな」

と、陸、いなくなった空を探しにまわりを見渡す。

「本当にどこにいちゃったのかな、お姉ちゃん」

陸はそう言って心配そうにしていた。

 

「う、う、う~」

泣いているイリヤ、隠れたのは音楽室の隣にあったなにも使われていない部屋だった。

「あまり…、泣かないで…、お願い…」

そう、泣いているイリヤに対して声を掛ける少女は…、空だった。

「泣いていては…、幸せが逃げるよ…」

空はイリヤに対して言葉を掛ける。

「う、う、う~」

と、泣きやむイリヤ。

「どうして…、カオルさんに…、飛び込むことしたの…」

と、それはイリヤに対して質問する。

 すると、イリヤはその答えを言い始めた。

「イリヤがカオル先輩を追いかける理由、それは2年前に遡るんだ」

イリヤは2年前のことを思い出していた。

「イリヤがいたスクールアイドルグループK9は当時のスクールアイドル界では覇者として降臨していたんだ。そのため、リーダーであった(中洲)天先輩は人を見下すような性格だったんだ。でも、カオル先輩はそんな天先輩を支えつつも、その性格を直そうと最後まで頑張っていたんだ」

そして、イリヤはこの日本橋女子大学に入学する理由を語った。

「そんなカオル先輩を見て、イリヤもカオル先輩になりたいと思うようになったんだ。カオル先輩がこの大学に入学した理由、それは天先輩みたいな生徒が生まれないように、やさしい生徒を生みたいという理由。イリヤもそんなカオル先輩の後を追いたいんだ」

そして、これまでの頑張りを空に披露した。

「でも、出来る限りカオル先輩に近づきたいから、イリヤ、この1年、頑張ってきたんだ。私もK9のメンバーだったからK9の活動をしつつ、勉強中心で頑張ってきた。そして、ついに飛び級を果たすことができたんだ。自分のやりたいことは全て後回しにしてね」

これを聞いた空、イリヤに対し、この反応した。

「それは…、すごいこと…、だね…。そんな信念…、私じゃマネができない…」

これに対し、イリヤ、

「そうでしょ」

と、胸を張って答える。

 だが、空が見せた反応はそれだけじゃなかった。

「でもね…、それって…、イリヤさんが…、カオルさんを…、独占することは…、違うよね…」

と、言った空。これに対し、イリヤは、

「えっ」

と、声をひっくり返して言う。空はイリヤに何かを見るように言った。

「私から見て…、この1週間見てきて…、ただカオルさんを独占している…、しか見えなかった…。イリヤさん…、ただカオルさんを独占しているしか…、見えなかった…」

 そして、空はイリヤに諭すように言った。

「私は…、この2ヶ月でわかったことがある…。私も…、これまで…、ネットだけで生活…、してきて…、わかってきた…。私の知らない世界…、私の知らないことが…、あったんだ…。そのことを知った…」

空はイリヤの様子をみつつ本心を言う。

「一つのことだけを…、見つめていただけでは…、知らないことばかり…、ほかのことを目を向けたら…、いろんな新しい発見ができる…。わたしはそう思う…。一つのことだけではなく…、全てのものを見れば…、絶対にいいことが起きる…」

さらに空の話は続く。

「私も…、このことを知ったのは…、つい最近のこと…。私が「HeaT」に入ってから…。「HeaT」に加入したから…。私もみんなこと…、ほかのことを知ることができた…」

 これに対し、イリヤは、

「新しいこと、それを知ること、イリヤにとってこの1年間忘れていたことかも。ずっとカオル先輩のことだけ追いかけていた」

と、少し考え方を改める様子で言った。

 そして、空はイリヤにあることを言った。

「イリヤさん…、ほかのこと…、いろんなことを…、一緒に探しましょう…」

しかし、イリヤはそれに躊躇する。

「イリヤはどうしたら新しいことを探せるのですか」

これに対して、空は意外な答えを言った。

「それなら…、「HeaT」に…、入れば…、いい…。私たちと一緒に…、新しいことを…、いろんなこと…、見つけていこう…」

 これを聞いたイリヤ、

「…」

と、黙るしかなかった。

 

 そして、翌日…。

「さあ、練習を始めるよ」

雪穂の一声で練習を始める5人。

 すると、そこへ、

「ちょっと…、話があります…」

と、空が雪穂に向かって進言した。

「私…、新しい…、メンバー…、見つけてきました…」

空はこう言うと、ドアを開けた。

「新メンバー候補のイリヤです」

こう言うと、ポニーテールをしたイリヤが現れた。

「イリヤさん!!:

と、ヒカリが驚きながら言うと、

「う、う、う~」

と、今度はカオルが引きはじめた。昨日のことがこたえていたのだった。

 しかし、イリヤはこう言った。

「昨日はごめんなさい。これからこのようなことはしません。本当にごめんなさい」

そして、ある誓いを言った。

「イリヤはこの6人で絶対にユニライブを優勝したい、そう思っています。もっと頑張りたいので、絶対に加入させてください」

これを聞いた雪穂、

「私たちの力になってくれるってことかな」

と言うと、

「はいっ!!イリヤの力、みんなのために尽くします」

と、イリヤは力強く答えた。

 これを聞いた陸は、

「私は反対しないよ。強力なメンバーがはいってくれるからね」

と言い、ヒカリも、

「そうですよ。イリヤさんが入れば百人力になれるかもしれないしね」

と答えた。

 一方、カオルも立ち直りつつ、

「イリヤなら同じスクールアイドルに所属していた私も、その技術などは保障する。昨日のことが起きないならね」

と伝えた。

 これを聞いた雪穂はイリヤに対し、

「それならイリヤさんの加入を認めます。ようこそ「HeaT」へ」

と、言って握手を求めた。イリヤも、

「はいっ、よろしくです」

と、雪穂と固い握手をした。

 これを見ていた空はイリヤに対し、

「おめでとう…」

と、小声で喜びを伝えた。

 こうして6人になった「HeaT」。この6人でもってユニライブに向かって進もうとしていた。これから先、なにか起きるかもしれないのに…。

 

第6話 イリヤ、堕落!! おわり

 

次回につづく

 

(ED 1番のみ)

 

次回 昔Dreamer

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。今回は「HeaT」最後のメンバー、小賀値イリヤが加入しました。みなさん、どうでしたか。前回のあとがきで前作「ラブライブΩ」の人物紹介のなかにいると書いておりましたが、まさかのマイナーな人物がメンバーになるなんて思っていましたでしょうか。本当にごめんなさい。でも、これからも「HeaT」メンバーもろともかわいがってください。

 というわけで、今回のお話どうでしたでしょうか。え、あとがきが短い。本当にごめんさない。でも、今回はあとがきを短くしてみました。短くするかわりに告知。次回はついに水着回、そして、浴衣回。といっても挿絵がないので水着回の威力も半減しております。では、挿絵を自分で描けばいいのですが、絵についてはあまりにもへたくそなので描くことができません。だれか挿絵を描いて~。と、いうわけで、次回をお楽しみに。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC HeaT編 第7話

「前回のラブライブUC」
「私、川崎陸、日本橋女子大学の1年生。梅雨空の中、部室で基礎練習をする私たち5人。そんなとき、小賀値イリヤさんが突然現れ、カオルさんに突然抱きついてしまう。イリヤさんを離そうとするも、まったく離れない。一度離れても再び抱きついてしまう。離そうとしても離れない」
「4時間の格闘の末、ようやく離れたイリヤさん。そんなイリヤさんに対し、リーダーの雪穂さんはカオルさん断ちをイリヤさんに命じた」
「イリヤさんのカオル断ちは1週間たって大変なことになる。なんとイリヤさんに禁断症状がでてしまった。突然叫びだすイリヤさん。そうかと思えば突然泣き出してしまい、部室から逃げ出してしまった。それを追ってお姉ちゃん(空)が出て行ったの。って、お姉ちゃん、私の知らないうちに誰にも知れずに出ていくってスゴい!!」
「お姉ちゃんがイリヤさんにカオルさんを追いかける理由を聞いた。その理由とは、昔、カオルさんとイリヤさんが所属していたスクールアイドルグループのリーダーの性格、人を見下すという性格を最後まで更生させようとしていたカオルさんのようになりたい、そのためにカオルさんの後を追いかけてきたことだった。お姉ちゃんは一つのことを追いかけるより、ほかのことに目を向けること、全てのものに目を向けることをイリヤさんに諭す」
「そして、イリヤさんは新しい「HeaT」のメンバーとして全てのものに目を向けていこうとした。って、感じでいいかな、お姉ちゃん。それでは第7話をお楽しみください」

(OP 1番のみ)




第7話 昔 Dreamer

 

「こっちおいでよ」

水着姿のカオルに対して、

「行きますよ」

と、これも水着姿のヒカリが呼びかけに応じる。

 ここは日本橋女子大学の九十九里浜にある大学合宿所。「HeaT」の6人はここで2泊3日の合宿をはることにした。目的は今冬のユニライブに向けての練習、そして、そこで披露する曲の作成であった。そして、今は親睦を深めるため、海水浴をしていた。

「しかし、陸さんの水着姿って大胆ですね」

と、ヒカリは陸の水着姿を褒めていた。

「いや~、ビキニがよく似合うかもかしら」

と、陸はビキニを見せつけて堂々と胸を張った。

「そういうカオルさんもビキニがとても綺麗です」

と、陸はカオルのビキニ姿を褒める。

「私、大学に入ってから胸が成長したからね」

と、カオルも堂々と胸を張る。

「どうせ、私は胸が小さいですよ」

と、雪穂、少しいじけてしまう雪穂の水着はフリルのついたワンピースであった。が、それ以上にいじける人もいた」

「…どうせ、私は、…これしか、…ないです」

空だった。空は高校のとき着ていた、というより小中高着ていたスク水だった。

「空ちゃん、そういじけない、いじけない」

イリヤは空に慰める。しかし、空は、

「…幼児体型、…昔から一緒、…子どもみたい」

と、さらにいじける。

 この2人の行為を見ていたカオル。イリヤに対して言う。

「イリヤ。空に言えないと思うよ。このナイスバディなイリヤでは」

そう、外国人のハーフであるイリヤ、この6人の中では体型がグラドル並といっても過言ではなかった。

「だって、イリヤ、体型には人一倍気を使うから」

と、体をくねくねしながら言う。

「ちょっと悔しいです。そんなイリヤさんにお仕置きです」

と、陸、イリヤに対してバケツ一杯の海水をぶちかける。

「きゃっ、陸さん、お返しです」

と、今度はイリヤが陸に対して海水を掛けようとするが、

「あれ、あれれれ」

と、間違った方向に海水をぶちかける。

「ギャ、ギャー」

と、かかったのは雪穂だった。

「イリヤ、ちょっと待ちなさい!!」

と、雪穂、イリヤに対して怒りながら迫ってくる。

「ご、ごめんなさい~」

と、逃げるイリヤ。これを見ていた4人は、

「ハハハ」

と、笑うしかなかった。

 こういったこともありながら、海水浴を楽しむ6人であった。

 

「う~ん、よく寝た」

と、ヒカリは目を覚ますとまわりはまだ寝ている雪穂たち5人の姿があった。

「ちょっとはしゃぎ過ぎたかもね」

と、ヒカリは深々しく言う。そう、6人は海水浴の後、海水浴の疲れをとるために昼寝をしていた。

「雪穂さん、早く起きてください。もうすぐ夕食ですね」

雪穂を起こすヒカリ。雪穂は、

「う~ん、よく寝た」

と、背伸びをしながら言った。

 6人が起きると、夕食が始まった。ちょうど調理サークルも合宿中しているため、今日の夕食は調理サークルご自慢のカレーだった。

「う~ん、美味しい」

と、ヒカリは喜びながら言うと、

「そりゃ、日本橋女子大学が誇る調理サークルだよ。大学祭のときなんてたった1時間で完売するほどの味だよ」

と、調理サークルの3年生が威張って言う。

「本当に美味しい」

と、雪穂もおいしく食べていた。

 

 夕食も終盤に入り、カオルは陸にあることを聞き出していた。

「ところで、陸、曲の方はできているの」

すると、陸は困りながら言った。

「曲なんだけど、このところ忙しくって曲作りができていなんだよね」

そう、陸たち川崎姉妹は「なぞの音楽屋さん」の運営をまだやっていた。舞い込む依頼を断ることなくやっており、それに加えて「HeaT」の練習や大学の講義を受けているため、余裕がなかった。

「…きつい、…曲、…ちょっと待って」

と、空もカレーを食べつつとっときつそうに言った。

「それならサイト運営なんてやめればいいじゃない」

と、イリヤが言うとも、

「…それはいや、…いい音楽を作る、…それが私たちの使命」

と、空は意固地になりつつ言う。

「それはそうなんだけどね」

と、ヒカリが言ってきた。そして、ヒカリは1つの提案をした。

「明日、この近くの神社で夏祭りがあるんだ。忙しい忙しいんじゃ根気詰めてしまうんだ。だったら、明日の夏祭りで気分転換して、翌日の最終日にみんなで曲作ってみよう」

この提案に対し、雪穂は、

「そうだね。空と陸だけに曲作りを押し付けても良くないしね。私たちも2人の曲作りのお手伝いしないとね」

と、言って、明日の夏祭りに参加することを決めた。反対する者はいなかった。

 

 合宿2日目、この日は朝から朝から夕まで練習に明け暮れていた。それでも6人にの顔に疲労の顔は見えなかった。なぜなら、6人とも夏祭りを楽しみにしていたからだった。

 そして、夕食が終わり、6人は近くの農家から浴衣を借り、浴衣姿で夏祭りを楽しんでいた。

「あっ、金魚逃げちゃった」

と、金魚すくいをしていた陸が言うと、

「それなら私が仕返ししてやるよ」

と、カオルがいってポイを豪快に水の中にいれると、

べちゃっ

と、ポイはすぐに外れてしまった。

「なんじゃこりゃー」

と、叫ぶカオル。その横では空が、

「…もう少し、…もう少し、…えい」

と、金魚を大漁にすくいあげていた。

 射的では、イリヤが、

「私は百発百中ですよ」

と言って、大きなぬいぐるみ向かって打つも、

ポスッ

と、ぬいぐるみは落ちるどころか堂々と立っていたままだった。

「なんでや~」

と、イリヤは叫ぶ。その横では空は、

「…もう少し、…もう少し、…えいっ」

と、的をどんどんあて、景品の数を増やしていた。

 

「空さん、すごいですね。大漁ですわ」

と、ヒカリは空を褒めていた。金魚すくい、射的だけではなく、カタヌキでも難しいカタを抜いては景品をゲットしていた。そのため、持ちきれないほどの景品や金魚を持っていた。

「…ブイ、…でも重い、…返してくる」

と言うと、雪穂は、

「それはもったいないと思うよ。それなら、地元の子どもたちにプレゼントしたら」

と、提案する。すると、空は、

「…うん、…そうする」

と、近くにいた子供たちに呼びかけた。

「…この景品、…欲しい人、…よっといで」

すると、子どもたちが、

「なにかあるのですか」

「なにか楽しいことがおこるかな」

と、そらに集まり始めた。

「…この景品、…あげる、…あげる」

と、子供たちに景品を渡す。

「ありがとう」

「やった~、いいものももらった」

と、子供たちは喜びながらそらから景品を受け取る。

 

 配り終わったあと、ある親が空に近づいてきた。

「本当にありがとうございます、景品をくださいまして」

と、母親が言うと、空は、

「…いや、…特に良いことは、…していない」

と、少し照れくさそうに言う。

 すると、その母親はそれに向かっていた。

「お礼といってもなんですが、今夜行われるステージの一番良い席にご招待していのですが」

これを聞いた雪穂は母親に聞いた

「それはいいですけど、いきなりで大丈夫ですか」

その母親は優しそうな顔で答えた。

「それは大丈夫です。これでも私はこの祭りの実行委員ですから」

それを聞いたカオル、

「それならお世話になります」

と言った。こうして6人はこの夏祭りのステージと向かった。

 

 雪穂たち6人は夏祭りのステージの貴賓席のところに招待されていた。ステージ上では子どもたちがμ’sの「スノーハレーション」を元気よく歌っていた。それもμ’sそっくりの踊りをしながら…。

「これ、お姉ちゃんたちの曲…」

と、雪穂がなにか感動したかのように言っていた。

「まさかスノハレがこんなところで聞けるとはね」

と、カオルも少しびっくりした表情で言った。

 ヒカリはその2人をみつつ、その母親にあることを聞いてみた。

「今、ステージの演目って何なんですか」

すると、母親は言った。

「今はカラオケ大会ですよ」

これを聞いた陸、1つ疑問に思う。

「でも、普通のカラオケ大会…じゃないみたいな」

そう、子どもたちのスノハレはμ’sの踊りそっくりだった。いや、レベルはすでにμ’sに匹敵するほどの踊りだった。

「ここのカラオケ大会はほかのところと違って本格的な踊りもしないといけないの。そうだね、ある種のものまね大会とみてもいいかもね」

と、母親は説明していた。

 そうこうしていくうちに子どもたちのスノハレが終わった。

「子ども会によるスノーハレーションでした。では、次は女子高生による「恋するフォーチュンクッキー」です」

司会がこう言うと、女子高生たちがA〇B48の「恋するフォーチュンクッキー」を踊りながら歌いだした。女子高生たちは歌いつつも可愛く踊る。

 その後も本格的な曲、いや、カラオケが続いた。

「次は若者有志が集まって結成しました、その名も「イブニング娘。」。曲はあの有名な曲、「モー〇ング娘。」で「ラブマシーン」」

これも本格的なダンスだった。歌もとても上手だった。

 「ラブマシーン」を歌い終わると、今度は30代の青年部の人たちがチャゲ&ア〇カの「YHA YHA YHA」を強く熱唱している。

 そんな中、母親は雪穂たち6人に対して言った。

「私もステージに参加するの。今から私たちのステージ、ちゃんと見てね」

そう言って、母親はステージ袖へと行った。これを聞いた雪穂、

「あのお母さん、何を歌うのかな」

これにはほかの5人も、

「わからないよ~」

と、ハテナ顔だった。

 そんな顔をしている6人を尻目に「YHA YHA YHA」は終わり、次の人へと変わろうとしていた。

「次は主婦会の人たちによるステージです。〇ニャン娘クラブで「セーラー服を脱がさないで」」

すると、6人を招待した母親を含めた10数人の人たちがステージ上で踊り始めた。これを見ていた雪穂は、

「この曲って80年代後半に流行った曲…」

と、少し驚きながら言うと、

「たしかにそうですね」

と、カオルも驚きながら言う。

「○ニャン娘クラブってなんですか…」

と、ヒカリが言うと、

「○ニャン娘クラブは昔のアイドルグループだよ。80年代後半、素人の人たちがオーディションを受け、結成されたグループ。そこからいろんな有名人が排出されたんだ」

と、陸は何かに取りつかれたように言った。

「…でも、…すごく、…きれい」

空はこう言って目を輝かせていた。そう、主婦とは見えないセーラー服を着ていても年齢がわからないような雰囲気をだしていた。

「これが素人、いや、すでにすべてがアイドル並だよ」

と、イリヤもビックリした。

「主婦会にによる「セーラー服を脱がさないで」でした」

司会がそう言うと、母親たちの曲が終わり、すぐに母親は雪穂たち6人のところに戻ってきた。

「とてもビックリしました。まさか、こんなにすごいものが見られるなんて」

雪穂がこう言うと、母親は、

「とてもよかったでしょ」

と、言って、胸を張って答えていた。

 すると、カオルはその母親に何かを聞いてみた。

「でも、何で、「セーラー服を脱がさない」をチョイスしたのですか」

それを聞いた母親はあることを言った。

「これはね、私たちがまだ高校生だったとき、青春の曲としてたくさんカラオケで歌った曲だからなんだ」

 これを聞いたヒカリ、

「青春の曲…」

と、言葉を詰まらせながら言った。

「そう、青春の曲…」

母親はそう言ってステージ上を見つめた。ステージではフォークソングの名曲「神田川」、そして、お祖父ちゃんたちが「高校三年生」を歌っていた。

 母親はこの様子を見て言った。

「歌は青春そのものなんどと私は思うんだ。「スノーハレーション」「恋するフォーチュンクッキー」「ラブマシーン」「YHA YHA YHA」「セーラー服を脱がさないで」「神田川」、そして、「高校三年生」どれもそのときの青春を暮していた人たちにとってとても大切な青春の一ページを刻むような曲なんだ」

 そして、母親は雪穂たち6人に向かって言った。

「歌はそれを歌った歌手だけでなく、それをカラオケ等で歌う人たちにとってもとても大切なものなんだ。歌が人々を結び付け、そして、夢へと昇華させる、夢を叶えるための人々を結びつけるもの。過去に出た曲は今となっても歌い続けている。そして、それを未来でも歌い続ける。だからこそ歌ってとても大切なものなんだ」

これを聞いた陸、

「歌ってそんなにすごいんだ」

と驚くと、空も、

「…そうかも、…しれない」

と、納得した表情で言った。

 すると、ヒカリは雪穂たち5人に向かって言った。

「今のこの気持ちを曲にしたらいいのができるんじゃないですか」

これに対し、イリヤも、

「そうですよ。歌を語り続けること、そんなのいい曲になるよ」

 これを見て、雪穂は、

「それなら、明日はほかのスケジュールはなしにして、作詞作曲に全力を尽くすのはどうかな」

と、5人に言う。カオルは、

「それはいいよね。とてもいい曲がつくれそうな予感…」

と言って、陸と空のほうを見る。陸と空は強くうなずくと、

「よ~し、明日は作詞作曲に全力を尽くすぞ」

と、雪穂が言うと、

「「「「「オー」」」」」

と、5人は拳を上にあげて言った。

 そして、ヒカリは母親に足して、

「今日は本当にありがとうございました」

とお礼を言うと、雪穂達5人も、

「「「「「ありがとうございました」」」」」

と言って、その場を去っていた。

 これを見ていた母親は、

「あの子たち、きっといい曲をつくるかもね」

と言うと、そこにその母親の夫みたいな人が現れ、

「そうだと思うよ、元〇ニャン娘クラブの○○さん」

と言うと、母親は、

「それは昔の話だよ。今はあなたの妻ですから」

と言って、その夫に駆け寄っていた。

 

 そして、合宿最終日、雪穂たち6人は昨日の夏祭りのステージでの興奮を冷まさないように曲について論議を重ねていった。歌とはなにか、そして、それを曲にどう落とすかを。

「やっぱみんなで歌うってとても楽しいし、だから今があるのだと思うよ」

と、雪穂が言うと、ヒカリは、

「未来というのもとても大事なものだよ。夢を叶えてくれる、それがとても大事なことだよ」

と答える。

 こうして帰る電車の中でも6人はいろいろと論議していた。

 合宿後、6人はメールなどで連絡を取りつつも、曲を作り上げ、ついにHeaTの新曲「過去、現在、未来」は完成した。

「ついに完成した。これこそ私たちの曲だよ」

雪穂が言うと、カオルも、

「これで今年のユニライブに臨むことができる」

と言い、ヒカリは、

「この曲で絶対に決勝に進めますよ」

と、確信をもって言い、陸は、

「私もそう思います」

と自信をもって言い、空は、

「…強い、…私でも、…これなら、…いける」

と、少し弱弱しく言い、イリヤにいたっては、

「なら、今から決勝大会にいくで~す」

と、張り切り過ぎていた。

 

 そして、秋となり、ついにユニライブ予選が始まった。

 雪穂達「HeaT」は近未来的な衣装を作り、予選を受けた。去年は都予選止まりだった「HeaT」だったが、今年は違っていた。曲が出来てから一生懸命練習をしてきた。去年は甘えから失態をしていたヒカリが自ら率先して練習に励むようになり、陸と空、そして、イリヤに対しては先輩としていろいろと教えるようになっていた。

「陸さん、少し遅れています。空さん、その調子です。イリヤさん、動作が崩れています」

ヒカリは陸、空、イリヤの3人に対していろいろと教えていく。それについていく3人。雪穂、カオルも安心していられるくらいヒカリを見ていた。

 こうして、1つのユニドルグループとして成長していく「HeaT」。この勢いはユニライブにおいても衰えることはなかった。

「東京都予選、1位は「HeaT」!!」

ユニライブ都予選ではトップ通過を果たした。

 そして、関東予選…。

「あれ、はるかにはやて、お久しぶり」

雪穂は久しぶりに(雪穂がスクールアイドル時代に所属していた)オメガマックスのメンバー、(代々木)はるかと(神宮)はやてを見つけて呼びかけていた。

「雪穂さん、お久しぶりです」

と、はるかがいうと、はやても、

「雪穂君もこのユニライブに参加していたんだ」

と、雪穂の手を取り合っていた。はるかとはやては東都大学に入学したあと、「H&H」というユニドルグループを結成、大学全面支援のもと、県予選を無事に通過、この関東予選に臨んでいた。

「これが雪穂君たちのユニドルグループなんだ」

と、はやてはカオルたち5人を見ていた。

「はやて、そして、はるか、こんにちは。いや、久しぶりだね」

と、カオルが言うと、はるかはすぐにはやての後ろに隠れた。

「何隠れているんだね、はるかくん」

はやてが言うと、はるかは、

「だって、またイタズラするんじゃないんですか」

と、警戒しながら言う。

「もうイタズラはしないよ」

と、カオルがいうと、

「ならいいのですが」

と、はるかははやての後ろからようやく出てきた。

「これが伝説のスクールアイドルオメガマックスのメンバーの2人なんだ」

と、ヒカリがいうと、

「それはそうですね。あのμ’sを破った伝説の…」

あと陸も驚きつつ言うと、空も、

「…3人が、…輝やしく、…みえる」

と、雪穂、はるか、はやてを見て、感動していた。

 一方、イリヤはというと、

「私もカオルさんと同じ、伝説のスクールアイドルK9のメンバーなんですけど…」

と、大声でいいたそうだったが、小声で仕方なく言う。それでも誰も聞いていなかった。

 

 こうして、ユニライブ関東予選に臨んだ2チーム。一生懸命歌うはるか、はやて、「H&H」に対し、これぞ王道という感じで堂々と歌う「HeaT」。結果は、

「それでは発表します。1位は…「HeaT」!!」

1位に呼ばれたのは「HeaT」だった。

「やった~!!」

喜ぶ雪穂に対し、ヒカリも、

「やっぱり私たちの力は凄い!!」

とガッツポーズを見せていた。

 これを見ていたはやては、

「やっぱりかなわないな」

と、相手にあっぱれを見せていた。一方、はるかは、

「負けたとしてもおかしくなかったね。でも、決勝ではリベンジさせてもらおうかね」

と、雪穂に向かって言った。そう、決勝に進めるのは関東予選の場合は3チーム。はるか、はやての「H&H」は2位に入ったので、決勝進出を決めていたのだった。

 雪穂ははるか、はやてに対し、

「決勝では優勝を狙うから、負けないよ」

と、胸を張って答えていた。

 こうして、ユニライブ決勝に進むことになった「HeaT」。果たして優勝することができるのだろうか。それとも…。

 

第7話 終わり

 

(ED 1番のみ)

 

次回 ユニライブ!!

 

※注意

 次回からはラブライブUC 博多小娘編 2年生編が始まります。ご了承ください。

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。とてもあつくなりましたね。日本のほとんどの地域が梅雨明けを迎えました。みなさんも暑さに負けないように頑張ってください。

 で、今回は歌について書いてみました。みなさんにとって歌ってなんでしょうか。楽しくなる、悲しくなる、もしくは…。自分は歌っていうのは青春そのものだと思います。みなさんが自分の青春時代に流行った歌、カラオケでみんなと熱唱する歌、いろいろあると思います。アニソンだけに限らず、Jポップやテクノ、カントリーなど、いろんなジャンルがあります。けれど、どの歌でも根底にあるのはその歌にあるいろんな想いだと思います。その意味ではラブライブ!の歌はいろんな想いにあふれた青春の歌かもしれません。

 で、ここでお知らせ。「HeaT」編は今回で一応終わります。次回からは「博多小娘」
編が始まります。次回もお楽しみください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 博多小娘編 第4話

チュンチュン
 今日の博多の街にスズメの鳴き声が聞こえてきた。
「1,2,3,4、1,2,3,4」
スズメの鳴き声と共に、早朝マラソンをする女子大生の声も聞こえてきた。
「あともう少しですよ。天、あや」
早朝マラソンを一緒にするのは愛、天、あやのユニドルグループ「博多小娘」だった。
「もう少し眠たかったのに~」と、言うのは天。早朝マラソンをするために早起きしたのだが、そのために睡眠時間が短かったのだ。
「いつも言っているでしょ。早寝、早起きが肝心だよ。あ~あ」
というのはあや。あやも眠たいのか、あくびがでてしまう。
「そういう私も少し眠たいかな」
と、愛も少し眠たそうに言う。
「眠たいのも仕方ないよね。だって、春休みの間って一日中休みなしなんだもん」
と、天は当たり前のように言う。
「そうだね。毎日夜遅くまで家で女子会するのも楽しみだもの」
と、あやは相槌を打つように言う。
「それでも、少しは考えないと毎日この調子だと毎朝行っている早朝トレーニングに支障がでてしまう」
と、愛は天とあや、2人に対し釘を打つ。
「「は~い」」
と、2人は軽く返事をした。そして、3人はマラソンを再開する。
 このように、博多小娘はいつも早朝トレーニングをする。そして、その光景は博多のいつもの光景の一部になろうとしていた。

(OP 1番のみ)




第4話 「別れ」

 

そして、春休みが終わり、新学期を迎える。

「今日から大学ですか。休みがなんか懐かしく思える」

と、天は考え深く言う。

「私も春休みの時がとてもよかったと思います。だって、いつでも夜遅くまでおしゃべりできるからね」

と、あやも少し考え深く言う。これに対し、愛は、

「それでも今日から学校です。気を引き締めていきましょう」

と、2人をけん制した。

 

 愛たち3人は学期始めに行われる講義説明会を受けた後、すぐに部室に移動する。ちなみに、福博女子大学アイドル学部の学生は必ずどこかのユニドルグループに所属するか、ソロ宣言してソロで活動するか、もしくは新しくユニドルグループを作るかどちらかしないといけない。そして、その中でも活動が優秀(ユニドル大会で上位に入るなど)なグループは部室をもらうことができる。愛たち博多小娘も昨年のユニライブで決勝大会に進出したため、今学期から部室をもらうことができた。

「ここがこれから私たちの部室ですね」

愛はとても喜んで言った。一方、天はというと、

「ほかのグループの部室と比べて少し狭いような」

と、不満を言っている。これに対し、あやは、

「でも、仕方ないよ。だってほかのグループは人数が多いから」

と、天をなだめた。そう、博多小娘は愛、天、あやの3人しかいなかった。では、ほかのグループはというと、中には50人規模の大所帯のところがあるくらいだった。むろん、そんな大所帯の所ほど大きな部室、それもいくつも当てがられる。博多小娘みたいに小所帯のグループが当てがられるこのは珍しいことだった。

「それでも部室で練習できるくらいの広さはあるよ」

と、愛は天に言う。

「それもそうですね」

と、天も少しは納得する。そう、ほかのグループの部室と比べて狭いとはいえ、少人数でも練習するくらいの広さはあった。

「部室の広さのことよりも新しい仲間を迎えましょう」

と、あやは2人を諭す。

「そうですね。新しい仲間を迎えましょう」

と、愛は部室のドアを開けた。そこにいたのは新しい1年生2人だった。

「ようこそ、博多小娘へ。というか久しぶり」

と、天は新入生2人に挨拶する。

「そうですね。はじめまして、じゃなくてお久しぶりですね」

と、あやも新入生2人に挨拶する。

「よ、おはよう、3人とも。うちもお久しぶりだね。愛さん、天さん、あやさん」

と、新入生その1が答える。

「お、おはようございます。わ、私もお久しぶりです」

と、新入生その2も答える。

「お久しぶりと言っても愛は2人のことあまり知らないから、自己紹介、お願い」

と、天は新入生2人に言う。

「それもそうだね。それでは、うちからやらせてもらいます。うちの名は新垣夕、沖縄の出身です。特にダンスが得意。宜しくお願いします」

と、新入生その1こと新垣夕が言う。

「あれ、秋の路上ライブに来てくれた夕さんですよね。でも、言葉使いが…」

と、愛はふと疑問に思う。これに対し、あやは、

「夕は言葉を使い分けているの。まったく知らない人には丁寧な言葉づかいで、身近な人だと砕けた言葉使いになるの。まっ、楽天的なのが玉にきずなんだけど」

と、説明する。夕はそれに対し、

「楽天的なのはいいことなのだ。細かいことは気にしない、気にしない」

と、軽く答える。

 そして、新入生その2の自己紹介が始まる。

「わ、私は高千穂羽衣と申します。私は歌が得意です。宜しくお願いいたしゅます」

と、舌をかんでしまうくらい緊張しているようだった。

 新入生その2こと高千穂羽衣に関して天が補足する。

「羽衣はおっとりしているけど、やるときはやる子だからね。そのこと、よろしく!!」

これを受けて、羽衣は、

「私もがんばりましゅ。本当に宜しくお願いしましゅ」

と、また舌をかんでしまうような言葉で挨拶した。

「そういえば、2人ともK9の一員だったんだよね」

と、愛は天に言う。そう、夕、羽衣ともに天、あやが高校時代所属していたスクールアイドルグループK9の元メンバーだった。

「でも、もっと希望者が多いと思っていたんだけど」

と、愛は付け加えて天に言った。

「たしかに希望者は何人かいたけど、今回は夕と羽衣2人に絞ったんだよね」

そう、天は新加入するメンバーを夕と羽衣の2人に絞った。新加入メンバーを選んだのは天だった。ユニライブ決勝に進出したことで何人か加入したいという新入生が来ていた。しかし、今年こそユニライブ優勝を目指したい天にとって愛、天、あやの動きに合わせられる即戦力を求めていたので、この2人になってしまった。むろん、ほかの希望者については推薦状を渡して、ほかの有力なユニドルグループに紹介したのだった。そして、あと一つ、2人しかえらんでいない理由があるのだが、それはあとで…。

「天の選んだ2人です。きっと戦力として活躍できると思いますよ」

と、あやは愛に言う。

「あの2人はとても個性的だけど、私もあの2人なら大丈夫と思うよ」

と、愛は天、あやに言う。そう、愛もこの2人が加入したらきっと素晴らしいものになると確信をもてたものだった。

 

 新加入の2人を含めた練習が終わった後、愛が住んでいる家に戻った。この家には天とあやの2人も一緒に住んでいるのだが…。

「こ、これでいいんでしょうか」

羽衣は調理の下ごしらえをしていた。それを天に見せると、

「いいんじゃないかな」

と、天は羽衣に同意をした。

 一方、風呂場の方からは、

「よ~し、風呂場の掃除、終わった。うちの速さからすれば何でもすぐに終わる!!」

と、夕が元気よく答える。これに対しあやは、

「ありがとうね、夕。あとは机の上を拭いてね」

というと、夕は、

「まかせとき~」

と、台所から布巾を持って机を拭いている。

ピンポーン

「ハーイ」

と、天が答えると、ドアを開ける。そこにいたのは手紙を持っていた愛だった。

「ただい…ま…、ってなんで夕と羽衣がいるんですか~」

と、愛は叫んで言う。すると、天は、

「だって博多小娘は共同生活するのが決まりでしょ」

と、平然と答える。愛は、

「そんな決まりないよ」

と言うも、天は、

「いやいや。もう決まっているよ。それに、これから2人が出ていっても出ていられないから」

と言う。それもそうだった。すでに2人の荷物は愛の家に運び入れていて、今から出ていっても2人が路頭に迷うのがオチだった。

「なんで天の強引さは折り紙つきなんだよね。もしかして、2人しか選ばなかったのは私の家に住むこと前提だったとのことだよね」

と、愛は天に迫ると、天は、

「そのようなこともあったような」

と、言葉を濁す。図星だったようだ。

「そんな天は今日から一週間トイレ掃除ね」

と、愛は天に罰を与える。

「そ、そんな~」

と、肩を落とす天。

 そんななか、愛はあやを呼ぶ。

「あや、なんか手紙が来ていたよ」

と、あやに手紙を渡す。

「なんでしょうか」

と、あやは手紙を開けると、

「…」

と、一瞬で無言になる。そして、

「ごめんなさい。食事の後にみんなを呼んでくれる」

と、あやは愛に元気ないような雰囲気で言った。

 

 そして、食事のあと、5人は大広間に集まった。

「で、話っていうのはなんだい」

と、天はあやに言う。あやは、

「明日、ちょっと実家に戻ります。帰ってくるまで4人でお願いね」

というと、愛は、

「いつ戻ってくるんだい?」

と、あやに聞く。すると、あやは、

「それはちょっとわからない。緊急の用事みたい。でも、はやく戻ってくるつもりよ」

と、答えた。

 これを見ていた夕は、

「なら、心配ないんじゃないの。だって、すぐに戻ってくるなら。なんくるないさ~」

と、にこにこしながら言うと、羽衣も、

「そう、そうですよ。心配ないですよ」

と、強くうなづきながら言った。

 だが、天だけは違っていた。あやの表情を見て一言、

「あれ、少し無理していないかなあ」

と、心配そうに言った。そして、愛に近づき、

「これから先、とっとした苦難があるかもしれない」

と、小さな声で言った。それを聞いた愛、

「私はそう思う」

とうなずき返した。

 

 翌日、あやは鹿児島にある実家に戻った。そして、4人での練習が始まる。

「1,2,3,4、1,2,3,4.夕、少しはやいですよ」

と、愛はテンポが少し早い為にずれた夕に注意する。

「それはごめんなさん。でも、あやさんがいなくても4人で踊るのはとても楽しい」

と、反省する素振りなく言う夕。

「まあまま、まだ初めてなんだから」

と、愛をなだめる天。

「確かにそうだけど~」

と、愛は少し焦っていた。これを見ていた夕、

「いつかはきっと合うはずだよ。なんくるないさあ」

と言って、愛の方を見る。そして、全く関係ないことを言い出した。

「私、このグループに入った理由。それは路上ライブに感動したからだよ。あんなライブ、今までの中で一番感動したんだ。少ししか見なかったけど、活き活きした先輩達を見て、とても感動したんだ」

 そして、夕は愛、天、羽衣に向かって言った。

「私もあの路上ライブを5人でしてみたいんだ。だから、焦らずいこう」

この言葉に、愛、

「そうですね。少し焦っていましたね」

と、言ってこわばった顔を緩ませた。

 そんな愛を見て、天は、

「では、もう1回合わせますか」

と、言って練習を再開した。

 

 しかし、肝心のあやはいつまでたっても帰ってこない。心配する4人。そんな感じで1週間がたったある日、ある情報が4人のもとにもたらされた。練習をしようとする愛、天、夕のもとに羽衣がその知らせをもたらせたのだ。

 羽衣は、3人が集まる部室に急いで駆け込む。そして、大事な事柄を息を詰まらせながら言おうとした。

「た、大変…、だよ…。大…変…だよ」

言葉を詰まらせる羽衣。これに対し、夕、

「ほら、お水」

と、水を羽衣に飲ませる羽衣。そして、羽衣は落ちつき、言った。

「あ、あやさんが、て、転校するかもしれません」

「「「て、転校!!」」」

と、驚く愛、天、夕の3人。

「そ、そうです。転校です~!!」

と、羽衣はもう一度言う。

 だが、夕は少し疑った。

「本当にそうですか。なんかうそっぽいけど」

これに対して、羽衣は確信のついた理由を言った。

「わ、私、いろんな人から聞いてきたんです。だ、だって、嘘かもしれないから」

そう、羽衣はあやの友達などからいろいろ聞いてきたのだ。羽衣の話は続く。

「で、理由はと聞くと、どうやら親の意向だそうです」

それに対しても夕は、

「それは嘘でしょ。あのアイドル活動を認めていた親が…」

だが、天は意外なことを言った。

「たしかに羽衣が言う通りかもしれない」

そして、天はこう言い続けた。

「あやは霧島グループの跡取りだもの。親がこうするのも無理はないよ。きっとどこかで経営学を教えたいのだと思うよ」

 ここでもう一度確認してみよう。あやこと霧島あやは鹿児島を代表する霧島グループの一人娘である。実は兄弟姉妹はいない本当の一人娘である。これだけでも親が跡取りとしてあやを転校させたい確証となる。

 話はもとに戻す。これを聞いた愛、

「どうしてそんなこと言わなかったのだよ。それだったら必ず言って欲しかった」

だが、天はさらに言った。

「そんなことあやは言わない。転校する事なんて言わない。だってあやはみんなと協調を大事にする人だから。みんなに迷惑を掛けたくないと思って黙っていたのだと思うよ」

 だが、それを聞いた愛、

「それなら理事長の所にいってくる」

と、言って部室をいきなり飛び出して行った。

「愛、ちょっと待って」

と、天はそんな愛を追いかける。

「愛さん、天さん、待って~」

「ま、まって~」

と、夕、羽衣も2人を追いかける。

 

 愛、天、夕、羽衣の4人は理事長室にいた。そこには当然のことならが、理事長であり、天の母親である中洲博子がいた。

「どうしてあやの転校を認めたんですか」

と、あいは理事長に向かって言った。すると理事長は、

「それがあやさん、霧島あやさんのご意向だからです」

と、言った。すると、天は強く言った。

「それは違うと思います。それって、絢の意思とは違うと思います」

されに夕が言う。

「それです。これは絶対に親が関係していま~す」

最後に羽衣が言う。

「り、理事長の力で、か、変えてくれませんか」

 だが、理事長は縦に首を振らなかった。そして、理事長は言った。

「たとえ、それが親のいいなりであったとしても変えることはできない。それが霧島あやさんが出した答えですから」

 すると、天は母親である理事長に言い放つ。

「なんでそんなことを言うの。あやは私にとって一大事な人なんだよ。たった親の一言ですぐに転校って間違っているよ」

これを聞いた理事長、すぐに反論する。

「それが大人の世界というものなのです。たとえ間違っていても、それに従うのが大人というものなのです」

すると、愛はあることを決めた。

「なら、その親からあやを救出すればいい。私はこれからあやを救出します。止めないでください」

 それを聞いた天は、

「それなら、私に任せなさい。あやがいる場所ならある程度知っているから」

と、言って愛に同調する。夕、羽衣も、

「そうだよね」

「そ、そうですね。行きましょう」

と、言って同調する。

 そして、愛たちはすぐに理事長にこう言った。

「私たちはあやを救出しに行きます。止めないでください」

こう言って愛たちは理事長室を後にした。これを見ていた理事長は、

「若いというのはいいものだね。でも、それができるのは今のうちだけ。私も今回の件はあやの親の傲慢さにちょっと引いている。天たちよ、絶対にあやさんを取り戻してきなさい」

 こうして理事長に送られた愛たち。無事にあやさんを取り戻すことができるのだろうか。次回に続く!!

 

(ED 1番のみ)

 

次回 「決意」

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。猛暑のなか、元気に暮らしておりますでしょうか。今回は愛たち「博多小娘」編の前編を投稿しております。お話としてはお楽しみいただけましたでしょうか。で、各お話にはテーマがあると前にお話ししましたが、今回のテーマは「親と子」です。なんで「親と子」なんでしょうか。それは親には子をこのように進めたいものがあると思うと同時に、子には自分が進めたいものがあります。それが違うとなるとどうなるのでしょうか。といっても、なんだか鉄板みたいなお話になっているのでは、と思う今日このごろ。とはいえ、愛たちはどんな答えを出すのでしょうか。それは次回のお楽しみです。

 で、これからのお話ですが、前編、後編の2話完結のお話が続きます。なんでかというと、楽だから、というわけではなく、その方が読みやすいと思ったからでした。今回も前編、後編のお話の予定です…、多分…。来週、「博多小娘」編2年生編、完結するのかな。ま、お楽しみください。それではまた来週、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 博多小娘編 第5話

「前回のラブライブUC」
「こんにちは、霧島あや、福博女子大学の2年生です」
「新学期となり、新しいメンバーとして新垣夕、高千穂羽衣の2人が加入した新生博多小娘。選んだのは天だけどね」
「そして、新メンバーの2人も愛の家に一緒に住むのだけど、私宛に届いた手紙が状況が一変する」
「私は手紙を読んだ後、愛たち4人を集め、実家に戻る事を告げ、翌日、実家に戻ったの。そして、4人だけの練習、夕は元気いっぱい、だから合わないこともある。だけど、このときから愛は少しあせってくる」
「一週間たって私が帰ってこないことを不安に覚える愛、天、夕のもとに羽衣から突然の知らせがはいる。私の転校の話だった。それも親の勝手での転校。それに怒った愛たちは理事長のところに殴り込み、理事長は私の本意として受け付けただけということだけど、それでは納得しない愛たち、それならばと愛たちは私の家に殴り込みをかけることを決定する」
「こうして私をめぐって醜い争いが…」
「ちょっと、あや、話を変えようとしないの」
「あら、天、ちょっとしたジョークよ」
「それならいいんだけど…。と言うわけで天でした。またね~」
「天たら、ね、うふふ。では、本編をどうぞ」

(OP 1番のみ)



第5話 「決意」

 

 突然だが、時は遡る。あやは霧島にある実家に帰って来た日。帰って来たその足で親の部屋まで行き、親と面会していた。

「おかえりなさい、あや」

母親の出迎いに対し、あやは、

「ただいま、お母様。で、なんですか、この手紙は」

と、母親の隣にいる父親に聞く。

「手紙に書いている限り、転校しなさいということだよ」

これに対し、あやは父親に怒る。

「転校っていきなりすぎじゃないですか。そもそも私は転校したくありません」

だが、父親は、

「そんなもの関係ない。転校て言ったら転校だ」

と、がんとしている。あやはそんな父に対し、

「私は今の学校でユニドルとして活躍したいの」

として、刃向うも、父親は、

「ユニドル、アイドル?」

と、言葉を窮すると、あやは、

「ユニドル!!」

と、言葉をきちっと言う。だが、父親は、

「ユニドル、そう、ユニドル。そんなユニドルというお遊びは止めなさい」

と、堂々とあやに言う。対するあやも、

「ユニドルはお遊びではありません」

と、毅然と言う。が、父親は、

「ユニドルとはただのお遊び。今必要なのは霧島グループの跡取りとして帝王学を学ぶことだ」

と、あやの言葉を断罪するかのように言う。

 それでもあやは、

「跡取りとしての勉強はいつでもできる。それよりもユニドルとしてみんなと一緒に活躍したい、今はそれが十分なんだよ」

と反論する。

 こういった言葉の応酬がかれこれ1時間続いた。それでも話は平行線のままだった。ついには、

「あや、少しは頭を冷やしなさい。あやを自分の部屋に連れて行きなさい」

と、父親は反論する娘、あやを自室に監禁するという荒業まで出すことになった。

 

 そして、時は戻る。自室に監禁状態となったあやは父親の言う通り転校に同意…、

「かれこれ一週間、なんで外に出られないのよ~。私は転校なんてまっぴらごめんだね」

同意どころか、自分の意見を変えるつもりはなかった。

「この部屋からどうしたら逃げ出すことができるのだろうか。早く天たちに会いたい」

むしろ、逃げ出す事を考えるようになっていた。

 

 舞台は変わる。九州自動車道を南下する車が一台あった。愛たち4人が乗る車であった。

「天っていつの間に車の免許を持っていたの?」

と、愛が車を運転する天に聞く。

「こういう時があると思って、1年生の春休みのときにこっそり取得していたんだ」

と、天が答えたその時、夕から、

「本当はみんなとハイキングに行きたいからだよね」

と、天の本音を代弁した。その天も、

「その通りなんだけどね」

と、舌をペロと出してごまかした。

 

 博多から約4時間、霧島の山々の麓に霧島家の実家がある。その近くに着いた愛たち4人は近くのホテルに宿をとり、その足であやの実家に向かった。

ピンポーン

天がインターフォンを押すと、使用人がドアを開け、ゲストルームに通される。

「ゲストルームにいるだけど、これからどうしようか」

と、愛は天に相談する。すると、天は、

「今から行きますか。あやはきっと自分の部屋にいるはずだよ」

と、今にも行きそうに言うも、羽衣から、

「そ、それはちょっと待って。騒がしくなっているから」

と、言われ、よく耳にすると、外が騒いでいた。

「おい、…。あや様の友達が来ているぞ」

「あや様に伝えないといけないのか」

「それは伝えるなとの父親様からの命令だ」

「わかりました」

と、外から聞こえてくる使用人たちの声。あやを救いに今出ると、使用人に見つかってしまう。

「そうだな。少し静まってから行動しよう」

と、天が決めると、静かに待つことにした。すると、祖とも少し静かになった。

 

 が、この静けさは10分ももたなかった。

「たいへんだ~」

外が再び騒がしくなる。

「どうしたんだ」

と、愛が言うと、天は、

「こ、これは今が千載一遇の好機かもしれない」

と、慌ただしく言って外に出る準備をする。夕も、

「これは一大事だね。うちの血も騒ぐよ」

と、なにか戦いを始める準備をする。

 愛はそんな2人を見て、

「なんで帰る準備しているの?」

と聞くと、天はあることを言った。

「私の勘だけど、あやはきっと何かをしでかしたんだよ」

 

 天の言う通りだった。自分の部屋に閉じ込められていたあやはいつも窓の外を見ていた。鳥かごの中に閉じ込められた鳥のような気持ちになっていた。だが、今日は違った珍しい訪問者が家の玄関の前に来ていたのだ。

「ん、あれって誰から」

よくのぞみこむあや。すると、

「あれって天と愛、それに夕に羽衣だ!!」

これを見たあや。ついにあることを決める。

「これは千載一遇のチャンス。こうしちゃいられない」

と、ついに部屋から逃げ出す準備を始める。

 そして、10分後、

「誰か、誰か助けて~」

と、あやが外に向かって大声をだすと、

「どうしました、あや様!!」

と、使用人がすぐに駆けつける。

ガチャ

と、使用人が開けた瞬間、

「ごめんなさい!!」

と、あやは使用人に向けて柔術を使い、使用人を倒すと、なにもできないようにコードで使用人をがんじがらめにする。

 こうして、あやは外に出るとすぐにあるところに向かった。

 

「あやがきっとどこかに逃げ出したんだよ。きっとそうだよ」

と、ゲストルームの外に出た天が言う。

「で、どこに逃げようとしているの」

と、愛が言うと、

「きっと玄関だよ。そこまで逃げ出したら、あとは合流のみだよ」

と、夕は堂々と言う。羽衣も、

「きっ、きっとそう。私も、そう思う」

と、うなずく。

 ゲストルームから玄関までの道は天が知っていた。過去に何度も遊びに来ていたのだ。

「あやにもうすぐ会える。会えるだよ」

と、夕は元気よく言う。

 ところで、使用人たちはどうしているのか。それはあやが逃げ出したことにより、上へ下への大騒動となっていた。

「あや様はどっちに行った」

「あや様は今、台所の所にいたわ」

「いや、あや様は父親様のところに行ったぞ」

「いや、ゲストルームに向かっているぞ」

情報が錯そうする中、使用人たちは右往左往していた。

 では、とうのあやはというと、

「今、台所だから次はトイレへと」

と、使用人に見つからないように大回りに逃げていた。

「よし、目指すは玄関、きっと、それにみんながいる」

あやは玄関へと向かった。

 

「まだあやは来ていないわね」

と、愛は周りを見回した。あやがつく前に玄関に着いた愛たち4人。

「でも、あやはここに来るわけ?」

と、愛は心配しているが、天は、

「それは大丈夫だよ。きっとここに来るよ」

と、元気よくうなずく。

 すると、玄関のあるドアの一つが開く。そこには、

「愛、天、夕、羽衣、会いたかった~」

と、あやが愛たちに飛び込んできた。

「あや、お久しぶり!!」

と、愛は飛び込んだあやにやさしくハグする。

「ついにあやに会えたぞ!!」

と、喜ぶ天。夕、羽衣も涙を流しながら喜んだ。

 だが、そんな状況は一変する。

「あや、その場から離れて私たちのところに来なさい」

玄関のドアの1つが開き、現れたのはあやの両親だった。

 父親の話は続く。

「あやはユニドルというお遊びを辞め、私の跡継ぎとして勉強する必要がある。それがわからないのか」

 これに対してあやは反論する。

「それはできません。私は愛たちと一緒にユニライブに出場したいの。そのためにもユニドルとして活動していくことが大事なの」

その言葉に対して、父親は、

「そんなもの幻想に過ぎない。今大事なものは跡取りとして勉強することしかない。ユニドルというお遊びはやめなさい」

と言って反論する。

 この平行線の言い争いに対し、愛たちも参戦する。

「ユニドルというのはお遊びではありません。私たちの青春です」

と、愛が言えば、天も、

「あやとずっといた私だからわかります。あやはユニドルとして精一杯努力をしています。そんなものをお遊びとは言わないで」

と言う。それに対しても父親は、

「そんなもの、いろんなことを言えばいいというわけじゃない!!」

と、一刀両断しようとする。

 すると、夕があることを言った。

「それなら、うちらが踊っているところを見せればいいんじゃない」

羽衣も、

「わ、私たちの力を見せればきっと心変わりします」

と、切実にそう言った。

 この言葉にあやと天はのった。

「そうですね、私たちの力をみせましょう」

と、あやが言えば、天も、

「そうだね。私たちの実力を見せましょう」

と、のる気だった。これを見た愛は、

「あやの父親、あなた方に私たちの実力を見せます。じっくり見ていてください」

 そして、すでに準備していたラジカセのスイッチをONする。

「それでは私たち博多小娘で「福博出会い橋」」

愛の一言で曲が始まった。

 

「福博出会い橋」

 

2人は出会い、愛しあう。

 

博多の女は    やさしか

人ひとりをずっと すいとうと

やさしい心    持ち続ける

それほど心ひろい 女です

 

イルカみたいに 大きく飛び立ち

アシカみたいに 喜びあえる

全てをつつむ  全てを許す

全ての女が   心やさしき

 

福博出会い   心ひとつとなる

橋で出会う   2人の心も

全てを1つに  1つを全てに

そうすれば   もっと強く

もっとやさしい 心となる

 

 曲が終わった。

「どうでしたか、父様」

あやの一言が父親に迫った。

「う、う~」

父親は困っていた。どのアイドルグループにも負けない圧倒的なダンス、そして、歌だったのだ。

「でも、5人で踊るのってこれが初めてだと思うけど」

と、夕が言えば、

「そ、それに、私とあやさんが踊りにくいスカートだし」

と、羽衣がぼそっと言う。そう、夕と羽衣の言う通り、実は5人で踊るのは初めてだった。最初の日はただ踊る位置の確認などしかしていないのだ。それからすぐにあやは実家に戻ったので、5人で練習することはなかった。そして、あやと羽衣はスカート姿、とくにあやはロングスカートをはいていたので踊りにくいものだった。そんな逆境をものともせずに完璧に踊ったのだった。

「父様。私はユニドルというものは自分の夢を掴むための唯一のものだと考えています。夢を叶えるためにもお願いします」

と、あやは腰を低くして父親にお願いをする。

「お願いします」

と、愛たち4人もあやの父親にお願いをする。

 すると、父親はあやにあることを聞いた。

「あやにとって夢とは何か?」

これを聞いたあやは父親に力強く言った。

「私の夢はユニドルの祭典、ユニライブにこの5人で優勝すること。そして、私たち5人が最高のユニドルであることを示すことです」

あやの言葉にあやの父親は少し考え、あることを言った。

「わかった。それなら、あや、お前の進む道を進みなさい」

これにはあやは、

「やったー」

と、喜ぶが、あやの父親の話は続いていた。

「ただし、今年のユニライブに優勝しなければ私の言う通り、転校して私の帝王学を学んでもらう」

これに関して、あやは、

「それはどうしてですか」

と、質問する。すると、あやの父親は答えた。

「私はあやの夢を叶えてあげたいと思っている。しかし、あやは霧島グループの跡取りでもある。そのことを忘れてはいけない。それを考えた場合、1年の猶予しかないと思ったのだ」

今年のユニライブ優勝、これがあやに残された最後の希望。それに困るあやだったが、天は、

「それなら、私たちであやの夢を叶えてやろうよ」

と、言えば、夕も、

「うちらの力なら必ず優勝できますよ」

と言い、羽衣も、

「そ、そうです。わ、私たちなら今年は優勝できます」

と、力強く答えた。

 この言葉を受けて、愛は、

「あやの父様、その言葉、固く噛みしめます。私たちの力で必ずや今年のユニライブでの優勝、そして、あやの夢を叶えたいと思います」

と、あやの父親の前で宣言をした。

 すると、あやの父親は、

「それならそれでよく、必ずやあやの夢を叶えてくれ」

と、言って、奥の方に引っ込んでいった。

 あやは大見得を切った4人に対し、

「本当によかったの、これで」

と、心配そうに言うと、

「私だって大見得を切ったと思うよ。でも、それじゃないとあやがかわいそうだもの」

と、愛はあやを抱いて言う。その横で天は、

「なにがあっても大丈夫だよ。私たちならきっと優勝できるよ」

と、あやの髪に手を置いて言った。夕も羽衣もニコニコ顔であやを見ていた。

「さぁて、大学に戻りましょうか」

と、天が言うと、あやを連れて宿の方にも戻った。

 

 宿に戻ってから1日泊まった後、5人は車で一路博多へ。

「でも、あと一年で結果を出さないといけないんだけど」

と、愛が言うと、あやは、

「あと一年あるんだよ。それまでに結果を出せばいいんだよ」

と、前向きに答える。これに対して、天は、

「あと一年だったら九州内をこのまま旅行しようよ」

と、提案する。しかし、愛は、

「今は大学の講義の方が大事。それよりもお休みの日に九州内を回るのが一番いいよ」

と、逆に提案をした。これを聞いた夕、

「うちもそれは賛成。うち、九州内回ることなんてあまりなかったから」

と、言うと、羽衣も、

「わ、私も、ご、5人で旅行するなんてとても楽しいかも」

と言うと、愛、

「これで決まり!!お休みの日は5人で九州内で旅行をしよう」

「「「「オー!!」」」」

と、4人の掛け声がまとまって聞こえてきた。

 

 こうして、博多小娘の5人はきつい練習やバイトなどでのお金集めなどをした。

 そして、夏、5人は貯めたお金で九州内を旅行した。佐賀では、

「ここが唐津くんちの山車なんだ。とても大きな魚だね」

と、唐津くんちの山車に驚く愛があり、長崎では、

「とても綺麗な洋館群だね」

と、天は驚き、熊本では、

「熊本城、今は壊れているけど、絶対に復活してな」

と、あやが地震で壊れた熊本城に思いをのせ、鹿児島では、

「疲れが癒える~。やっぱり温泉は気持ちよか~」

と、夕が桜島をバックに温泉に浸かり、宮崎では、

「こ、ここが鬼の洗濯板、お、大きかばい」

と、羽衣が青島の海岸を見て驚き、大分では、

「大分といえば湯の国、鹿児島にも負けない気持ちよさだ~」

と、夕が由布岳をバックに温泉に浸かり、最後に博多で、

「やっぱ地元の美味しいもが一番だ~」

と、天が嬉しそうに博多の名物明太子や水炊きを楽しんでいた。

 こうした中、愛はあることを思っていた。

「九州っていろんなおもむきがあるんだね。各県によって変わって見えてくる。九州って7つの面白いものが見えてくるんだね。7つの頂点、七芒星、これが私にとって九州とは何かという答えかもね」

と、いうふうに。

 こうして、愛はこの5人の旅行を通じて曲をつくるようになり、今年のユニライブにて歌う曲、「七芒星」を完成させた。

 

 そして、秋、ついにユニライブが始まった。

「今年こそ優勝するぞ」

と、愛の言葉に、

「「「「オー」」」」

と、答える4人。気合は十分だった。

 だが、ここで落とし穴があった。

「ちょっ、ごめんなさい」

ちゃんと練習しているのだが、少しずれたりする。

「ごめんなさい。私、失敗しちゃった」

と、あやが謝ると、天も、

「私も同じ、少しずれてしまった」

と、みんなに謝る。これまでこんなことはなかった。

 愛はこのことを考えるようになる。

「ユニライブは一発勝負の世界。失敗すればあやと一緒に踊れなくなる。このことが影響しているのでは」

 とはいえ、ところどころ綻びがあったにせよ、博多県大会はトップで通過する。

 続く九州大会では、

「う~ん、うちとしたことが~。あそこが悪かった~」

と、夕が言えば、羽衣も、

「わ、私も、あそこで失敗した…」

と、落ち込みながら言う。とはいえ、それほどほかの人にはわからないような失敗だったので、愛は、

「夕も羽衣も目立つような失敗をしていないのにこう言っている。それほど私たちのレベルはあがっているんだ」

と、思う様になった。

 しかし、これを見過ごすほどの審査員ではなかった。審査員からある言葉が告げられた。

「たしかに踊り、歌、共にトップレベルでした。少し綻びがありましたが誤差の範囲でしょう」

これには愛は、

「やっぱり審査員は見るところは見ているんだな」

と思った。

 しかし、次の言葉に愛は愕然した。

「しかし、楽しんでいない。ただ完璧に踊っているだけ。それしか感じられません」

審査員の言葉に愕然とする愛。

「ただ、踊っているだけ」

この審査員の言葉通りなのか、九州大会は…どうにか決勝進出を果たした。

「私たちってただ踊っているだけなの…」

愛はその言葉に傷ついた。

 そんな愛に対し、天は、

「それは一審査員の考えだよ。ほかの人から見れば楽しんでいるように見えているよ」

と、言葉をかける。まわりにいるあやも、

「大丈夫だよ」

と、言葉をかける。

 それでも愛にとって頭を抱えるような問題となった。楽しむとは何なのか、今の私たちになにが欠けているのか。その言葉を反芻しながら愛はユニライブ決勝へと進もうとしていた。

 

(ED 1番のみ)

 

次回 ユニライブ!!

 




あとがき

 みんさん、こんにちは。La55です。今回のラブライブUCはどうでしたでしょうか。自分の夢を叶えるため、そして、みんなの夢を叶えるために頑張る愛たち「博多小娘」でしたが、最後、なにかありそうな終わり方でしたね。果たして、愛たち「博多小娘」はこの後、どうなってしまうのでしょうか。それはのちのちのお楽しみです。とは言っても、「博多小娘」2年生編は今回で終わりです。なら、続かないのではないか。それについては秘密です。愛たちがどうなるのかはもうしばらくお待ちください。

 で、次回からは綾瀬亜里沙率いる「iD+」編が始まります。実はこの物語は前作「ラブライブΩ」にもほんの一部通じるようなテーマをもとに作られております。どのような展開が待っているのか。それは次回までのお楽しみです。では、次回、またお会いしましょう。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC iD+編 第1話

「ついに帰ってきたんだね、日本」
雪の降る北海道新千歳空港。そこに元スクールアイドルの女の子が降り立った。空港の外に出るなり、降り積もった雪に足跡をつける。
「これが私の日本第2章の始まりの一歩だね」
その子がそう言うと、手を回しながら回転する。
「やっぱり日本の雪は気持ちいい。ロシアじゃ感じないもんね」
喜ぶその子。回り過ぎたのか、雪のかたまりに突っ込む。
「ハハ、ハハハ」
それでも喜んでいる。それほど日本に帰ってきたかったのだ。
 雪だまりから脱出すると、その子は言った。
「さぁて、目指すは北外、北海外国語大学だよ」
その子こと、元音乃木坂学院のスクールアイドルオメガマックスのメンバーだった綾瀬亜里沙はこう言うと、すぐに電車の駅まで走り出したのだった。

(OP 1番のみ)




ラブライブUC iD+編 第1話 「Hallow,UniDoll!!」

 

 舞台が変わる。ここは北海外国語大学、通称北外の校門。日本で1番北にある外国語専門の大学として知られている。北外には多くの外国人が通っている。特にロシアと地理的に近いと言うこともあり、ロシアの交流が盛んでもあった。

「ついに北外か。なんて広いんだろう」

亜里沙はこう言うと、北外の門をくぐった。

「これで私も北外の一員なんだ」

亜里沙が考え深く言った。亜里沙にとって日本は長く暮らしていた場所であり、姉、絵里と思い出をたくさん作った場所だった。

「もっと日本のことを勉強したいもんね」

亜里沙が北外に入学した理由、それは日本のことをもっと知りたいためだった。亜里沙は高校3年間を音乃木坂に通っていたので、日本のことはよく知っていた。しかし、亜里沙はそれ以外のことを知りたいため、1年間ロシアの大学で勉強し、編入試験を受けて北外に編入してきたのだった。

「さぁて、レセプションルームってどこかな、あっちかな」

亜里沙が北外に今日来た理由、それは編入式前の歓迎レセプションに参加するためであった。このレセプションは北外の学生会主催で編入してくる外国人学生に対して学校の案内、そして、仲間作りのためのゲームなどを行う、つまり、友達作りの場でもあった。

「レセプションルーム?ここはトレーニングルームだよ」

と、亜里沙、ちょっと迷いつつもレセプションルームを探す。

 

「ようこそ、北外へ」

学生会会長が編入生50人に対して喜びの挨拶をsるう。

「いろんな人がいるんだね。友達たくさん作れそう」

亜里沙はそう言って周りを見渡す。すると、よく知って様な顔が見えた。

「あれって、誰だったけ。え~と」

思い出そうとするけれど、思い出せない。でも、よく知っているようだった。

 そうしているうちに、レセプションはゲームの時間に進もうとしていた。

「それでは、これからくじで決めたグループをつくってもらいます」

ゲーム進行役の視界からグループ作りを伝えられた、

「え~と、A、A~、A~」

亜里沙はAチームの集まる机を目指していた。そして、そこを見つけ座ると、

「あれー、亜里沙じゃない」

そこには金髪ナイスボディの女の子が座っていた。

「え~と、え~と、誰だっけ?」

すると、その子は亜里沙に言っていた。

「忘れたの~、私、私、ナンシーだよ~」

その子ことナンシーは亜里沙に言うと、

「あ、あ~、ナンシーさんだ、お久しぶり」

と、アメリカ出身のナンシーと握手する亜里沙。

「ようやく思い出したんだ~ね」

と、ナンシーは喜んで亜里沙の手を大きく振る。

「あんまり喜ばないでよ、恥ずかしいよ」

と、亜里沙はナンシーに喜びをおさめようとする。

 だが、亜里沙の驚きはまだあった。

ツンツン

と、亜里沙の横腹に突っつく女の子がいた。

「くすぐったい。誰?私の横腹を突くのは」

亜里沙はこう言うと、横を見る。すると、銀髪の少女がいた。

「忘れた、の、私、ナターシャ」

銀髪の少女ことロシア出身のナターシャが言う。

「ナターシャさん、どうしたの。まさか、ここに来たの?」

と、亜里沙が答える。この亜里沙の問いにナターシャ、

「私、この大学に、入学、したの」

と言って、顔をすぼめる。ちょっと恥ずかしいみたいだった。

「ナンシーさんにナターシャさん。まさかここで再会できるなんてすごいよ」

と、亜里沙は2人を見て喜んでいた。

「私もだよ、亜里沙、ナターシャ」

と、ナンシーが言うと、

「私、も、喜んで、いる」

と、喜びを表現できないナターシャも言う。

「さぁて、グループが出来たかな。これからゲームで楽しみましょう」

と、司会が言うと、会場にいる人たちは、

「オー」

と、大声で言っていた。亜里沙、ナンシーも負けずに、

「「オー」」

と、叫んでいた(逆にナターシャは小さな声で「オ、オ」と言っていた)

 

「今からお昼休みとなります。50分後にはもとの位置に戻ってください」

各チームは配られたお弁当を持っていろんな場所で食べていた。

「ところでナンシーさんはなんで日本に戻ってきたの?」

亜里沙はナンシーに聞く。因みに、ナンシー、ナターシャ共に高校時代にとある日本の有名な高校に留学していた経験をもっている。亜里沙とはそこで知り合ったことがある。

「私はアイドル文化を知るためにきたのでーす。地元アメリカではアイドル文化はまだ芽吹いていませ~ん。だから、私、アイドル文化をもっと知りたいために日本に戻ってきたので~す」

ナンシーは元気よく答える。すると、ナターシャも日本に戻ってきた理由を言う。

「私、日本と、ロシアの、架け橋に、なりたい」

ナターシャの目は輝いていた。これに対し、亜里沙、

「まさか、そこまで考えていたなんて、すごいよ、ナターシャ」

とても喜んでいた。ナターシャ、それを見て、

「私、亜里沙に、喜んで、もらえて、うれしい」

と、恥ずかしそうに言った。

 

 歓迎レセプションでは、いろんなゲームやクイズをやっていた。

「北海道のクラーク博士が最後に残した言葉とは?」

という問いかけに対し、ナンシーは、

「私は大使となるとで~す」

と答え、ナターシャも、

「大空に、大志を、いだけ」

と、少し正解からかするように答える。亜里沙は、

「2人ともボケないで。少年よ大志を抱け、ボーイズビーアンビシャスだよ」

と、2人にツッコミをいれる。

 これがずっと続いていたため、周りにいる編入生からはとても喜んでいた。これを見ていた亜里沙は、

「これも運命の再会なのかな」

と言うと、ナンシー、

それもそ~です。デスティニーです~」

と、答えた。一方、ナターシャも、

「これ、お笑い、の、運命」

と言うと、亜里沙は、

「そんな運命、いやです~」

と叫ぶと、まわりも、

ハハハ

と、笑っていた。

 

 楽しかった時間はすぐに終わってしまうものだった。歓迎レセプションは最後の項目に突入しようとしていた。

「さぁて、この歓迎レセプションも最後となってしまいました。最後は各チームで歌を披露してもらいます」

歌を歌う。これには亜里沙たち3人も驚いていた。

「みんなと歌を歌うなんて…」

と、亜里沙が驚いていた。歌を歌うことは久しぶりであり、その準備をしていなかった。亜里沙は歌う前はストレッチなどして歌う準備をしてから歌う方だった。

 だが、その事態をもっと悪化させることが起こった。

「ん~、ちょっと思ったんだけど、Aチームの彼女たちって見たことあるんだよね」

と、進行を助けていた学生会の学生が亜里沙たち3人を見て言った。

 そして、

「あ~、あの人たちってスクールアイドルだった人たちだよね」

と、手を打ちながら答えた。

 すると、学生会の会長がスマホで何かを調べると、突然叫んだ。

「彼女たちって元スクールアイドルiDのナンシーとナターシャだよ」

そう、ナンシーとナターシャは元々UDX学院のスクールアイドルiDだった。音乃木坂のスクールアイドルオメガマックスのメンバーだった亜里沙とはラブライブ関東予選のライバル同士だったのだ。

「まさか、ここでiDとあえるなんて…」

「いやいや、iDといったらスクールアイドルとして有名でしょ。ここで2人一緒にいるなんて…」

と、騒ぎ出す学生会。いやいや、それどころか、

「外国でもラブライブ人気あるよね」

「あの子たちって外国人初のスクールアイドルの…」

と、編入生の方からもナンシーとナターシャのことで騒ぎ始めた。

 これを見ていたナンシー、

「気がつかれちゃったらしょうがないじゃない。そうよ、私たちがUTX学園のスクールアイドル、そして、外国人初のスクールアイドルiDのメンバー、ナンシーよ」

こう言うと、ナターシャも黙っていなかった。

「ナンシー、騒ぎすぎ、でも、私も、紹介、する。私は、ナターシャ、同じ、iDの、メンバー」

そして、みんなの目は2人の…、隣にいた亜里沙にも向けられていた。

「たしか、彼女もスクールアイドルだったよね」

亜里沙はみんなの視線を見て、2人の見て、2人の影に隠れようとしていた。そんな亜里沙を見て、学生会の会長は言った。

「彼女は確か、iDの3番目のメンバーじゃ…」

これを聞いた亜里沙、

「iDはナンシーとナターシャの2人だけだよ」

とツッコむも、

「そうだよ、iDの3番目のメンバーだよ」

と言ってしまう。

 すると、学生会の学生からナンシーに向かって、

「iDが3人いるんなら、あの曲を歌ってくれませんか」

と言うと、ナンシーが答えた。

「それはOKだよ!!ね、ナターシャ、亜里沙」

これを聞いた亜里沙、

「えっ、私、あの曲は歌えないよ。踊ったことないよ」

と言うも、ナターシャから、

「亜里沙、諦める。私も、踊る、から」

と言われると、

「だから、私はiDじゃないのに…」

と叫ぶ亜里沙だった。

 だが、3人は結局ナンシーの強引さによってiDの代表曲、「インターナショナルアイドル」を歌うことになった。

 

「インターナショナルアイドル」

 

ハロー ダーリン

 

インターナショナルな私達

生まれた国は違うけど

この美貌で日本人はいちころよ

 

ブラックシップのキャノンを一発

セレブティすらこぼしてしまう

 

アイドルに国境はない

だれでもアイドルになれる

美しさだけでなれてしまう

国籍すら関係ない

 

インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい私達

この美貌は誰にも負けない

たとえそれが日本人でもね

 

ヒューヒュー

レセプションルームはコンサートホールのようになっていた。喜ぶ学生会と編入生たち。

「久しぶりに踊ったよ~。とても嬉しい~よ」

と、ナンシーは喜びながら言うと、

「私も、久しぶり、この歌、歌うの、1年ぶり」

と、真実を言う。すると、学生会会長は、

「まさか、1年ぶりに歌ってこのレベル。ブランクを感じさせない。とてもブラボー」

と、大きく拍手した。するとまわりも、

「素晴らしい、ブラボー、ブラボー」「iD、iD、iD」

と、大きな拍手の渦が生まれた。

 これを見ていたナンシーは突然あることを言い出した。

「これを見て、ピカとひらめいちゃった。私たちiDはここで再結成をします。スクールアイドルとして」

「ちょっと、何を言っているの」

亜里沙はナンシーに注意する。だが、ナンシーは、

「いや、決めたことですので、諦めません」

と、何を言っているのか分からないほど興奮していた。

 すると、学生会の会長が横から言ってきた。

「ナンシーさん、ちょっと違います」

これを聞いた亜里沙、

「これでナンシーの暴走が止められる」

と、思っていたが、学生会の会長は意外なこと(?)を言った。

「ナンシーさん、スクールアイドルじゃなくてユニドルですよ。スクールアイドルは高校生のアイドルのこと。大学じゃユニドルって言うんですよ」

どてっ

と、亜里沙はこけた。ナンシーのiD再結成のことを注意したのではなく、ただ単なる言い方の違いのことだった。

 これを聞いたナンシー、

「それはミステイクだったね。それじゃユニドルiD再結成だよね」

これを聞いた学生会と編入生たちは、

オー

と、雄叫びをあげた。

「あ~あ、それじゃ、ナンシー、勝手にしておいてね」

と、亜里沙ははんば諦め顔で言うと、ナターシャ、

「亜里沙、私、勝手に、再結成、された」

と、亜里沙に同情を求めるも、

「ナターシャさん、ナンシーさんの暴走につきあわせちゃったのね。でも、私はこの場を離れるね。じゃあね」

と、亜里沙、ナターシャをみくびり逃げようとする。

 だが、しかし、ナンシーはそれを見過ごさなかった。

「亜里沙、逃げないでね。あなたもiDのメンバーの一人なんだからね。いや、3人になったんだよ~。すご~いことだよ~。これから私たちの名前はiD+だよ~」

と叫ぶ。ナンシー、これを聞いた学生会と編入生たちは、

iD+、iD+、iD+

と、大きく叫んでいた。

 これを聞いた亜里沙、

「私を巻き込まないでよ~」

と、大きく叫ぶも、iD+コールに消されてしまった。

 

 こうしてiD+として活動することにしたナンシー、ナターシャ、そして亜里沙の3人だったが、ただのナンシーの思いつきかと思ったら、ナンシーの本気度は高いものだった。

「亜里沙、ちょっと遅いよ」

ダンスの練習中、少し遅くなる亜里沙を注意するナンシー。

「あっ、ちょっと待って~」

亜里沙もナンシーに答えると、今度は、

「ナターシャ、あなたは早すぎます」

と、ナンシーの注意はナターシャにも向けられる。

「ご、ごめん」

と、謝るナターシャ。このように、有言実行のナンシー、亜里沙はナターシャに、

「ナンシーってこんな性格だったけ」

と聞くと、ナターシャ、

「ナンシー、いつも、お気楽。でも、一度、決めたら、最後まで、行う」

と、ナンシーの性格について言う。

「さあ、練習を再開するよ~」

と、ナンシーは亜里沙とナターシャを呼ぶと、

「わかったよ~、ちょっと待ってね~」

と、亜里沙が答える。

 iD+として活動を始めたナンシー、ナターシャ、亜里沙の3人。だが、3人の知らないうちにいろんなことが起こっていた。

 

「編入生の3人がユニドルを結成したんだって」

「そうなんだ。なんでもスゴいグループらしいよ」

iD+の結成の情報は歓迎レセプションのときから学生会を中心に学内に広まっていった。レセプションのときの3人が歌うシーンはなぜか動画として残っており、その動画が学内ネットワークによって多くの学生に広まっていた。

 そして、

「iD+ファンクラブ。ただ今会員募集中で~す」

と、なぜかファンクラブが本人たちの知らないうちに結成する事態になっていた。

 そんなことを知らない亜里沙たち3人だったが、5月、

「よ~し、iD+最初のライブは学内の路上ライブで決まりですよ~」

と、ナンシーが言うと、

「路上、ライブ、なんか、楽しい」

と、ナターシャは喜び半分で答え、亜里沙も、

「ライブか~、久しぶりだなあ~」

と、考え深く言っていた。

 で、路上ライブを決めた翌日には、

「ファンクラブ号外、号外~。iD+の初ライブが決まった~」

と、ファンクラブ独自で号外を出す始末。

 で、もって3人は路上ライブを成功させようとチラシ配りに精を出していた。3人にとってファンクラブ自体知らず、少しずつ知名度を上げようとしていたのだった。

 そして、6月、梅雨のない北海道の晴れ渡る日、亜里沙たち3人は学内で路上ライブを行うこととなった。

「さぁて、何人来てくれるかな」

と、亜里沙が言うと、ナンシーは、

「きっと何百人も来るんですよ~」

と、何人か喜んでいるように答え、ナターシャは、

「あまり、こない、かも、しれない」

と、逆に少なく見積もるように言う。

 そして、会場となる路上を見ると、

「な、なんなの…」

亜里沙は驚いていた。それもそのはず。まわりは人人人、だらけだった。路上だけじゃない。校舎の窓にも人が一杯見えていたのだった。

「すご~い。こんなにお客さまが多いなんて」

ナンシーも驚いていた。ナターシャも、

「これが、お客さま、すごい」

多くのお客さまが来られたことに驚きと感動をした3人だったが、すでに気持ちを入れ替えていた。

「来てもらって本当にありがとうございます」

亜里沙がまずお客さまに挨拶する。

「私は今日、本当に来てくれて本当に嬉しい~で~す」

と、ナンシーもみんなに答える。

「私たちの、ステージ、楽しんで、ください」

と、ナターシャが締める。こうして路上ライブは始まった。

 

 そして、路上ライブは大成功に終わった。

「本当によかった~」

亜里沙はとても楽しかったらしく、本当に喜んでいた。

「それこそ私たちの実力ですよ~」

と、ナンシーも喜んでいた。

「私、こんな、ステージ、久しぶり、本当に、嬉しい」

と、ナターシャも喜んでいた。

 

 だが、そんな幸せもそう続かなかった。

 ナンシーはある手紙を受け取った。それは3人を驚愕させるものだった。その手紙にはこう書いてあった。

「外国人がアイドルのマネをするな」

 

(ED 1番のみ)

 

続く

 

次回 「Last Live!!」

 




あとがき

 みなさん、こんにちは、la55です。今回から亜里沙率いる「iD+」編が始まります。今回のテーマは「アイドルの国際化」です。これは前作「ラブライブΩ」第8~10話でも触れていますが、今回はさらに深く?触れております。今回はある意味テーマが深いかもしれません。この後どうなっていくのか、それは次回までのお楽しみです。なお、これを含めて残り3編は新しいユニドルグループのお話になります。

 ここでお知らせ。私自身、ヘタながらも4コマ漫画を作ってみました。ピクシブのみですが、「ねこねこらいおん」という4コマです。日本一ヘタで、日本一つまらない4コマです。構想3日、準備に1日、デザインに至ってはたった2分です。あまりにも短い時間でできてしまいました。本当なら長い時間かけた方がよかったかもしれません。本当にごめんなさい。でも、もし興味がありましたら閲覧して頂けたら幸いです。

 ということで、次回「iD+」編後編をお楽しみに。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC iD+編 第2話

「前回のラブライブUC」
「私、絢瀬亜里沙、北海外国語大学の2年生」
「私、北外に日本のことをもっと勉強したいと思い、編入したの。そして、歓迎レセプションの中で、アイドル文化をもっと知りたいナンシーと、日本とロシアの架け橋になりたいナターシャと再会したの」
「歓迎レセプションはゲームやクイズで盛り上がったわけで、最後、歌を歌うことになったんだけど、そのとき、まわりにいる学生たちに気付かれたの、ナンシーとナターシャが元スクールアイドルだったことを。というわけで、ナンシーとナターシャ、そして、なぜか私も歌うことになったの。って、私、iDのメンバーじゃないし。それに元音乃木坂学院のスクールアイドルだったわけだし。でも、私は…、といっているうちにあれよあれよという間に歌うことが決まる。どうして、誰か助けて~」
「でも、歌い終わったあと、1年のブランクを感じさせない歌とダンスで会場中大盛り上がり。これを受けて、ナンシー、iD+として再結成することを宣言してしまった。ナンシーの暴走、私とナターシャも巻き込まれちゃったじゃない」
「ただ、ナンシーの本気度は高いものだった。練習に気を抜かないもの。そんな練習のお蔭でほかの学生ではファンクラブを結成するほどiD+は人気になってきており、最初の学内路上ライブでは、まわりをお客さまで囲むほどの大人気になっていたわけ。路上ライブも大成功。しかし、ある手紙が私たち3人に届いたの」
「外国人がアイドルのまねをするな」

(OP 1番のみ)



第2話 「Last Live!!」

 

「外国人がアイドルのまねをするな」

「なんなの、この手紙。私たちに対しての挑戦状というわけ」

この手紙に怒っていたのはナンシーだった。

「アイドル、まね、して、いない」

ナターシャもこの手紙を読んで反論していた。

「この手紙ってどこにあったわけ」

亜里沙はまずは事実確認をすることにした。

「亜里沙、私たち、侮辱されたのだよ。冷静にいられないでしょ」

と、ナンシーは亜里沙に怒りながら言うも、亜里沙は、

「私だって悔しいよ。でも、これはまず冷静になって対応しないとまずいことになるよ」

と、ナンシーをなだめる。ナンシーも、

「それもそ~ですね」

と、怒りをまずおさめた。

 亜里沙はまず状況を確認する。

「ナンシーさん、まずはこの手紙をどこで見つけたのですか?」

亜里沙はこの手紙を最初に見つけたナンシーに問う。ナンシー曰く、

「この手紙は私たちの部室の前に落ちていたので~す。手紙の封筒には「iD+様♡」とまるでファンレターみたいであったので~す」

その封筒をナンシーは亜里沙に見せた。

「たしかにファンレターみたいだもんね」

と、亜里沙も感じる。

「でも、中身は、私たちを、傷つける、内容」

と、ナターシャは悔しい顔で言ってくる。

「たしかに中身はとてもいやな内容です」

と、亜里沙も認める。

 その中身とは簡単にいうと次の通りだった。

「外国人がアイドルのまねをするな。アイドルは日本の文化であり、日本だけのものだ。外国人が日本人みたいにアイドルのまねをするのは言語道断である。だからこそ、外国人がアイドルのまねをするな」

 だが、ナンシーはこの手紙に反論する。

「アイドル文化はたしかに日本を象徴する文化の一つで~す。でも、それは日本だけのものではなく、外国でも花が開こうとしておりま~す」

そして、どこかにあった世界地図をひっぱりだして、亜里沙とナターシャに説明を始める。

「私、アイドル文化を勉強して分かったことがあります。今やアイドル文化は世界中に広がっていることを。お隣の韓国では、日本とは違ったアイドル分が広がっております。そして、A〇Bは、上海とジャカルタに姉妹グループがあって、今度はバンコクにもグループを作ろうとしておりま~す」

さらに、ナンシーは自分の夢についても語った。

「私の夢は世界中にアイドル文化を広めることで~す。日本のアイドル文化は世界中でも通用できると思うので~す。国によっては難しいかもしれませんが、その地にあったアイドル文化に進化させれば、十分対応可能で~す」

 これを聞いたナターシャ、

「確かに、私も、そう思う」

と、ナンシーに同意し、亜里沙も、

「たしかに、私もそう思うよ。この手紙はアイドルに対する屈辱そのものだよ」

と同意していた。

 そして、亜里沙は一つの決断を下す。

「ナンシー、ナターシャ、この手紙の件は学校にお願いしてみよう。この手紙は完全に外国人に対する、いや、私たちに対する屈辱だもの。もしかすると、注意をしてくれるかもしれないし」

これを聞いたナンシー、

「それでいいと思うので~す」

と言って、ナターシャも、

「それ、決まり」

と同意した。

 亜里沙はこの後、大学の事務局お願いに行った。大学側としてもこの件に関しては調べてみることになった。

 

 だが、これは3人に対する嫌がらせの始まりでしかなかった。

「亜里沙、ナターシャ、これを見て」

ナンシーが持ってきたものは一つのパソコンだった。

「なんだって。牛乳1つ100円。とても安い!!」

と、亜里沙が言うと、

「これは違うよ。これは近くのスーパーのネットちらし。ではなく、こ~れ」

と、出したのはSNSの書き込みだった。

「外国人アイドルは出ていけ!!なんの、これは」

と、亜里沙が怒って言った。ナンシーは、

「このスレッドなんだけど、いろんなこと書いているの」

そこに書いていたこととは、この場では言えないくらい屈辱的なものだった。

「こんなの、ひどい、ひどすぎる」

ナターシャも絶句していた。

「賛同する人たちはいないけど、1人だけでいろんなこと、書いているね」

と、亜里沙が言うと、

「このスレッド、とても嫌です。即刻削除してもらいたいです」

と、ナンシーは怒りながら意見を言った。

 だが、亜里沙は現実を言った。

「今からでもスレッドを消してもらいたいけど、それが時間などがかかって難しいんだよね」

これに対して、ナンシー、

「もう、このスレッド消すのに時間がかかるなんて嫌です」

と、嘆いていた。

 

 3人に対する嫌がらせはさらに続く。3人に対して嫌がらせの手紙がどんどん届いたり、SNSには3人を中傷するスレッドが次々と立ち上がったり、それは3人のユニドル活動を邪魔するように感じとられそうにもなった。だが、実害みたいなものはなかった。3人の路上ライブを邪魔する、3人に対して目に見えるような嫌がらせをする、そんなことはなかった。が、3人にとってSNSや手紙による嫌がらせは精神的にも日々にきつくなるものだった。そして、ついに音を上げることがきてしまった。

 

 その日は2学期が始まる日であった。

「亜里沙、ナターシャ。ちょっとお話があるの」

ナンシーはなんか元気がない状況で2人を呼んだ。そして、そこから衝撃的な言葉がでてきた。

「私、この次のライブでiD+の活動を辞めようと思うの」

「えっ、どうしてなの。あんなに頑張ってきていたのに」

亜里沙が言うと、ナンシーは次のように答える。

「私、もういっぱいいっぱいだったの。あの手紙、SNSでの嫌がらせ、私にとって苦痛だったわけ。最初のうちはよかったけど、時間が経つにつれて苦痛を感じ始めようとしていたわけ。そして、もうアイドル辞めようかなと思っているの」

これを聞いたナターシャも、

「もう、アイドル、するの、悔いは、ない?」

と言うと、ナンシーはこう答えた。

「悔いは…、ある…。でも、苦痛を和らげるにはこれしかないの」

 そして、亜里沙は一つの決断を下した。

「仕方がないね。だったら、今度のライブをもって私たちの活動を終了することにしましょうか」

 これを聞いたナンシー、

「亜里沙、本当にいいの。勝手に引き込んだ形だったけど」

と言うと、亜里沙は、

「ナンシーがもうやめたいと思うのであれば、仕方がないと思うよ。私だって最初は乗り気じゃなかったけど、やってみて楽しかったんだもの。最後のライブにしても、この3人なら楽しめるよ」

と、ナンシーを元気づけるように言った。ナターシャはその横でナンシーの肩を叩き、

「私も、最後の、ライブ、頑張る」

と、声をかけて言った。これを聞いたナンシーは、

「2人とも…、ありがとう…」

と、泣きながら言った。

 

 ラストライブが決まったため、亜里沙は学校側にライブの申請を行った。そして、ライブの場所がなぜか体育館となってしまったのだ。

「なんで体育館なんですか」

と、亜里沙が聞くと、担当者の方曰く、

「最後のライブなんでしょ。だったら、この学校でキャパが一番大きいところでするのが一番でしょ」

とのこと。亜里沙は誰にも最後のライブの話をしたことがないのに、なぜ知っているのか不思議だった。実はどこかに漏れていたのか、ファンクラブの人たちが今度のライブが最後であるとの情報を掴んでおり、それが学内SNSで拡散されていたので、ほとんどの学生が知っていたのだった。

 3人は最後のライブに向けて一生懸命練習するとともに、チラシ配りでも精を出して行っていた。また、3人の知らないところでもファンクラブが一生懸命宣伝していた。

 

 こうして迎えたラストライブ当日、

「これが最後のライブだね」

と、亜里沙が言うと、ナンシーも、

「悔いの残らないように頑張っていくで~す」

と答え、ナターシャも、

「これが、最後。悔い、残したく、ない」

と答えた。

 そして、ナンシーは亜里沙、ナターシャに向かってこう言った。

「私のワガママのせいで2人に迷惑かけたで~す。これにはお詫びしたいで~す。でも、ついてきてくれて本当にありがとうで~す」

こう言われると、亜里沙も黙っていられなくなり、

「私はこうしていられるのも、ナンシーとナターシャのおかげだよ。今までありがとう」

と言うと、ナターシャも、

「私も、同じ、考え。今まで、ありがとう」

と答えた。

そして、亜里沙、ナンシー、ナターシャは円陣を組み、そして、名乗りを上げた。

「1」「2」「3」「「「iD+、インター、ナショナル~」

 そして、ステージへと駆け上った。

 

 3人はライブ会場を見てびっくりした。体育館の中はお客さまによってギューギューづめだった。

「これが私たちのファンなのかしら」

ナンシーが言うと、亜里沙は、

「まさか、こんなに集まってくれるなんて嬉しい」

と言うと、ナターシャも、

「私も、嬉しい」

と、涙を少し流しながら言った。

 

 多くのお客さまがおられるなか、亜里沙、ナンシー、ナターシャの3人はステージを縦横無尽に動きまわった。

「まだまだ、これからいくからね」

亜里沙が言うと、会場中から、

ウォー

と、大きなうねりとして声が上がる。

「次の歌は…」

と、ナンシーが言うと、ナターシャは、

「次の、歌、むすんで、ひらいて」

と言う。亜里沙はこれを受けて、

「むすんで…、って、これ、童謡だよ。違うよ」

と、ツッコむ。これを受けて、観客からは、

ワハハ

と、笑いがおきる。それほど3人と会場にいる観客たちには一体感があった。

 

 だが、そんな楽しい時間も過ぎるのが早かった。

 亜里沙は少し泣きながら言った。

「これが最後の曲となります」

これを聞いた観客たちから

エ~

と言うと、ナンシーは、

「本当にごめんなさい。でも、本当に楽しい時間で~した」

と言い、ナターシャも、

「本当に、今まで、楽しい、いい時間、ありがとう」

とお礼を言った。。

 そして、亜里沙、ナンシー、ナターシャが一列に並び、最後の歌を言った。

「それでは、最後の歌を聞いてください」

「「「ボーイズビーアンビシャス」」」

 

ラブライブUC iD+編 挿入歌 「ボーイズビーアンビシャス」

 

私たち iD+ 外国人だよ

(私違うよ クォーターだよ)

 

この地に降りた 3人のフェアリー

スノーグランドに まいのりたよ

(まいのりたじゃなく まいおりたの)

おりて・・・ つけた・・・

(黙らないでよ 何をつけたの)

 

この地に降りた理由は1つ

この地の文化を知るためです

すべてを吸収することで

私たちの大志を叶えていくよ

 

ボーイズビーアンビシャス

私たちは未だに白い心のまま

たとえ長い長いみちのりでも

大志を抱けば満たされていくよ

 

大きな大地 3人の足跡

スモールフット つけてきざむよ

(きざみこむじゃなくて のこしてだよ)

きざみ・・・ のこる・・・

(黙らないでよ 何がのこるの)

 

3人みても異なる見方

この地の文化は未知なのです

すべてを学習することで

私たちの大志を叶えていくよ

 

ボーイズビーアンビシャス

私たちの知らない知識文化のもの

たとえ多く多くのしかかるも

大志を抱けば克服できるよ

 

この日本は未知の文化ばかり

まんが アニメ 禅に大仏

だけど私たちから見れば

それがお宝 すべてがお宝

だから素晴らしい 誇れるよ

 

ボーイズビーアンビシャス

私たちは未だに白い心のまま

たとえ長い長いみちのりでも

大志を抱けば満たされていくよ

 

 3人にとって最後の曲なのだろうか、亜里沙達3人は涙を流しながら歌っていた。

 そして、曲が終わると、3人は何も言わず、

ポトッ

と、ステージの前にマイクを置き、そして、ステージ袖に引っ込んでしまった。これが3人の会場にいるファンたちへの別れ方であった。3人はみんなと別れの涙顔を見せたくなかったのだ。円満に終わりたい。その気持ちで一杯だった。

 3人は袖裏に着くなり、大きく涙を流した。

「エーンエーン」

亜里沙が大きく泣けば、ナンシーも、

「エ~ンエ~ン」

と泣く始末。ナターシャにいたっては、

「エ、ン、エ、ン」

と泣いているのか喋っているのかわからないものだった。

 だが、会場にいるファンにとって別れたくないものだった。

「やめないで」「続けて」「まだ続けてください」

そんな声が大きかった。いや、それだけではなかった。

「外国人だからってアイドル続けていいんだよ」

「そうだよ、そうだよ」

この言葉を聞いたとき、ナンシーは、

「えっ」

と、言葉に詰まった。そして、会場からこんな言葉がでてきた。

「ナンシーさんが誹謗中傷に悩まされていたことはみんな知っていました」

「一人だけ悩まされなくても大丈夫。みんないます」

「たとえ外国人であってもアイドルになれます。アイドルに国境はないんだよ」

これを聞いたナンシー、

「みんな、ありがとう」

と言うと、いきなりステージに駆け上がってしまう。

「ちょっと待って、ナンシーさん」

と、亜里沙が言うも、止めることができなかった。亜里沙、ナターシャ共に仕方なくステージに駆け上る。

 すると、会場中から聞き慣れた歌の大合唱が始まった。

 

「インターナショナルアイドル」

 

ハロー ダーリン

 

インターナショナルな私達

生まれた国は違うけど

この美貌で日本人はいちころよ

 

ブラックシップのキャノンを一発

セレブティすらこぼしてしまう

 

アイドルに国境はない

だれでもアイドルになれる

美しさだけでなれてしまう

国籍すら関係ない

 

インターナショナルアイドル

世界中で一番美しい私達

この美貌は誰にも負けない

たとえそれが日本人でもね

 

 みんなが歌い終わると、ナンシーは驚いていた。

「なんて素晴らしいこと。なんてとてもいい音だよ」

と、ナンシーが言うと、観客から、

「まだ続けてください」「応援しています」「負けないでください」

と、応援の言葉が次々とでていった。

 これに対し、ナンシー、

「本当にありがとう。まだ続けて欲しい声がこんなにいっぱいなんて」

と言うと、亜里沙は、

「これでiD+は終わり、だなんて言えるのかな」

と、ナンシーに声を掛ける。ナターシャも、

「終わり、なんて、寂しい。続けていれば、きっといいこと、ある」

と、ナンシーに言う。

「続けて」「やめないで」「大丈夫だよ」「応援しているよ」

と、会場中の応援が聞こえる中、ナンシーはある言葉を言った。

「私、辞めない。アイドル、辞めない。今からも、これからも、iD+として活動していく」

この言葉をナンシーが言うと、ステージに置いたマイクを持ち上げ、

「私、これからもiD+としてやっていきま~す。これからもよろしく~ね」

と、声を高くあげて言った。

 すると、亜里沙、ナターシャもステージ上に置いたマイクを取り上げ、

「ナンシーさんが言った通り、iD+はまだまだ活動していきます」

と、亜里沙が言うと、

「今後、好、ご期待」

と、ナターシャが声をあげて言った。

 

ワーワー

と、iD+の復活劇に盛り上がっている最中、会場の片隅ではパソコンを扱う男がいた。

「なんでアイドルなんて続けるんだよ。なら、もっと大きな花火を打ち上げてやる」

と言うと、パソコンで何かを操作している。画面にはナンシーの顔ののったアイコラ写真があった。それも全裸姿のアイコラ写真だった。

「送信!!」

と言うと、エンターキーを押す、が、

「あれあれ?」

と言い出す。送信しても送ることができないのだった。

 困っている男に対し、ある人物がその男の前に現れた。

「君が犯人だったなんてね」

と、ある人物が言うと、その男は見上げて言った。

「誰だ、お前は」

その人物は名乗った。

「私はこの北海外国語大学の学生会会長、そして、iD+のファンクラブ会長だ!!」

そう、この人物こと、北外の学生会会長でかつiD+ファンクラブ会長だった。

その会長がその男に言った。

「なかなかしっぽを掴めなかったが、ようやく見つけることができた。これ以上人に迷惑をかけるな」

だが、この男も黙っていなかった。

「それは嫌だね。あのナンシーって子、俺が告白をしても「私、あなたとは付き合えません」と断る始末。そんな彼女をもっとめちゃくちゃにさせたい。いや、アイドルというものに外国人がなることなんてやってはいけないことなんだよ。アイドルこそ日本の文化なんだぞ」

これを聞いた会長、その男に近づき、目の前でこう言った。

「アイドルというのはたしかに日本の文化だ。しかし、今やアイドルは国際化しているんだ。外国人だってアイドルになれる時代なんだよ。いや、昔からアイドルに国境はないんだよ。昔から外国人アイドルはたくさんいたんだよ」

そして、こう言い続けた。

「アイドルは今や身近な存在になった。そして、国際化も進んだ。世界中のみんながアイドルになれる時代を迎えているんだぞ」

男は会長のあまりにも迫力のあまり、ただ茫然としていただけだった。ただ茫然としているその男に対し、会長はある言葉を言った。

「あなたには学校からきつい処罰が下されます。それまではおとなしく自宅で謹慎しなさい」

そして、その男はこそっと言った。

「実はね、私もナンシーに振られたことがあるんだ。高校生のとき、ナンシーに告白したんだけど、振られちゃったの。でも、悔いはない。だって、あのナンシーの笑顔は誰のものでもないからね」

これを聞いたその男はがくっとした。その男はその後、後から来た大学の関係者によって大学のある場所へと運ばれていった。

 

 こうして活動を続けることになったiD+だが、このラストライブでの出来事があったおかげでiD+の知名度は北海道中の大学に広がっていった。

 そして、迎えたユニライブ北海道予選、iD+の姿があった。

「ついにユニライブですね」

と、亜里沙が言うと、ナンシーは、

「ついに私たちの時代がきたので~す」

とはしゃいでおり、ナターシャも、

「そう、です、そう、です」

と、はしゃいでいるのか、ふざけているのか、わからないくらいであった。そして、元気よく「ボーイズビーアンビシャス」を歌い切り、ついに北海道予選を突破した。

 だが、この勢いはそこまでだった。続く北海道・東北予選、

「なんてレベルの高いのでしょうか」

と、ナンシーがいうくらいレベルの高い強豪校が多かった。結果は…、予選敗退。3人のユニライブはここで終わった。

 

「なんてすごい大会なんでしょう、ユニライブは」

と、ナンシーが言うと、ナターシャも、

「今の、レベルじゃ、だめ」

と言う。こんな2人に対して、亜里沙は、

「まだ大丈夫だよ。だって来年があるじゃない」

そう、3人にはチャンスがあった。来年、今度こそユニライブ決勝に進出できるチャンスがあるのだ。

「そうですよ。来年に向けて頑張ればいいのですよ」

ナンシーが言うと、ナターシャも、

「来年、必ず、ユニライブ、決勝、に、進出、する」

と、決意を露わにしていた。

 これを見た亜里沙は2人を見て言った。

「来年こそユニライブ決勝に出て優勝目指すぞ」

「「「オー」」」

と、3人は来年に向けて明日から頑張ることを誓うのであった。

 

iD+編 2年生編 終わり 3年生編へ

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。今回はついにiD+編後編を投稿しました。みなさん、どうでしたでしょうか。「iD+」にとって今回のユニライブの結果は大変残念なものになりました。こんな結果になるなんて、とお思いの皆さま、大変申し訳ございません。

 で、今回のお話で出てきた曲、「ボーイズビーアンビシャス」はラブライブUCにとって久しぶりの曲です。これは「iD+」の3人を歌った曲であります。日本に来た外国人(亜里沙はクオーターだよ!!)にとって日本の文化に触れることはとても素晴らしいことかもしれません。外国人が日本に来る理由、その多くが日本の文化などに触れたいからかもしれません。そんな気持ちを歌にしてみました。みんさん、どうでしたでしょうか。

 ここでお知らせ。手書きの4コマ漫画、「ねこねこらいおん」をピクシブだけですが投稿しております。週一で投稿していきたいと思っております。ただし、いつまで投稿するかはまだ決めておりません。ぜひとも見て行ってください。

 では、今回はここまでです。次回もお楽しみください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC H&H編 第1話

「われらわれら日本一」
 ここは関東近郊にある大学、東都大学。人はこの大学のことを「最高学府かつ最高スポーツ校」と呼ぶ。日本のありとあらゆる天才が集まるだけでなく、日本でも指折りのスポーツ選手も集まる大学である。
 今年、この大学に2人の新入生が入学した。1人は将来は医者を目指すべく大学入試史上最高得点でも入学してきた少女、もう1人は史上最高のスプリンターとして将来を期待されている少女、この2人が東都大学に新しい風を巻き起こそうとしていた。




ラブライブUC H&H編 第1話 「2人のユニドル」

 

「う~ん、ここが日本の最高学府なんだね」

 東都大学東門にある少女が降り立った。代々木はるか、2年前のラブライブを優勝した音乃木坂学院スクールアイドルオメガマックスのメンバーであり、大学入試最高得点をマークして入学した才女である。と、同時に生粋のアイドルおたくである。

「って、私はアイドルおたくではありません」

と、どこか心の中でツッコミをいれてしまうはるかであるが、彼女の夢はアイドルになる…、

「ことじゃありません!!」

と、はるかから心のツッコミがきてしまった。実際は医者になることである。そのため、日本の最高学府である東都大学に入学してきた。この1年間東都大学に入るために一生懸命勉強し、勉強し過ぎて知らないうちに大学入試史上最高得点をマークするくらい勉強していたのだった。

「さっ、ここでもっといろんなことを勉強して、みんなの役に立てる医者になるぞ!!」

と、(だて!!)メガネを上下に動かしつつ校門をくぐろうとしていた。

 

 一方、東都大学西門にもある少女が降り立っていた。

「日本一のスプリンターになれるように頑張るぞ!!」

 彼女の名は神宮はやて。彼女もはるかと同じ2年前ラブライブに優勝した音乃木坂学院スクールアイドルオメガマックスのメンバーであり、将来史上最高のスプリンターとして期待されている少女である。ちなみに、彼女はアイドルおたくではない。

 彼女の夢は史上最高のスプリンターになることである。この1年間、音乃木坂の陸上部でエースとして活躍した。そして、夏に行われたインターハイで短距離において高校新をマークしたことにより、将来を期待されるようになった。そして、この大学にスポーツ推薦で入学してきたのだ。

「この1年間走り込みばかりしてきた。これからも走り込みの毎日だ!!」

はやては将来に向かって頑張ろうとしていた。

 

 ところで、この2人、実はこの大学に入学したことはお互い知らなかった。というのも、オメガマックスとしての活動を終了してからというもの、お互い自分の夢を叶えるため、一生懸命になっていたのだった。音乃木坂にいるときは2人は挨拶する程度しかなかった。雑談すらしなかったのだ。この2人が自分の夢を叶えるために入学してきたのは皮肉にも偶然としかなかった。いや、もしかすると必然かもしれない。なぜなら、この東都大学は日本最高学府かつ最高スポーツ校だから。だが、この2人の入学は偶然か、必然かわからないが、のちに運命的になるかもしれなかった。

 

「え~、今年は…」

 大学の講堂では入学式が行われていた。壇上では大学の学長が長い挨拶をしていた。はるかとはやては観客席のところで学長の話を聞いていた。この時点では2人ともお互い入学してきたことは知らなかった。なぜなら、入学式には何千人もの新入生が入っていたからだった。2人ともこれから先、まわりにいる新入生と友達を作り、4年間青春を謳歌することができると思っていた。

「医者になるという夢、ここにいるだけで達成できると思えるよ」

と、はるかは小さな声で言った。この大学には最新設備はもちろん世界的にも権威のある教授も数多くいらっしゃる。この下で学べるということははるかにとって幸せでもあった。

 一方、はやても、

「ここにいる新入生と切磋琢磨すれば僕の力は伸びる。そして、世界へと進出できる」

と、この大学に入学してきたことを実感していた。この大学には日本を代表する若きスプリンターたちが数多く入学してきた。まわりにはライバルたち、この人たちと一緒に切磋琢磨しながらタイムを縮め、世界へと羽ばたこうとする、それがはやての夢である。

 入学式は厳かの中進められ、そして終わった。

「これで明日から講義が始まる。どんな講義があるのかな」

と、はるかは講義を楽しみにしていた。

 一方、はやては、

「さぁて、明日は陸上部の初めての会合だ。頑張らないと」

と、明日からの本格始動に向けて気合をいれていた。

 2人とも別の出口から講堂をでていった。入学式後は各学科に分かれて講義の説明会が行われることになっていた。新入生はこの講義の説明会を受け、シラバスと1週間にわたり行われる模擬講義によって自分の受ける講義を決めていく。

 はるかは自分の気になる講義がないかシラバスを見ながら説明会のある校舎へと歩いていた。そのとき、

「すいませんが、代々木はるかさんですか」

と、はるかを呼び止める黒づくめの男がいた。

「はい、私が代々木はるかですが」

と、その男に反応するはるか。その男ははるかの前に立つと、

「すいませんが、これから来てもらいたいところがあるのですが」

と、はるかをどこかに連れ出そうとしていた。

「ちょっと、今から講義の説明会がありますので…」

と、断ろうとするはるか。

それを聞いた男はすぐに、

「あっ、それはすいません。私は大学のものなのですが…」

と、はるかに首にかけている名札を見せる。

「あっ、大学の事務員ですね」

と、名札に事務員であることを示すものをはるかは確認する。

「で、私になにか用事ですか」

と、はるかは男に質問すると、男ははるかにあることを伝える。

「実は、代々木はるかさんに学長室に来てもらいたいのです」

男はそう言うと、はるかの手を握ろうとしていた。

「ちょっとやめてください」

はるかはそう言うと、男の手を振り払おうとする。

「ご、ごめんなさい」

と、男が謝ると、すぐに、

「大変申し訳ございませんが、来てもらえますか」

と、はるかにお願いをする。無論、45度の最高礼でもってで。こうなるとはるかとはいえむげに断る事はできない。

「わかりました。それでは学長室に行きましょう」

と、はるかはこの男に学長室に連れていってもらうように頼んだ。

「ありがとうございます。それでは学長室へお連れいたします」

と、その男ははるかに学長室へと案内した。

 

 はるかは黒づくめの男によって学長室のドアの前に立った。

「しつれいします」

と、ドアを開けるはるか。そこにははるかが知っている顔がいた。

「はやて!!」

そこにいたのははやてだった。実ははやても学長室に呼ばれていた。だが、その横にいた男の顔には大きなあざがあった。

「どうして隣にいる男の顔にあざがあるの?」

と、はるかははやてに聞く。すると、はやて、

「実は僕の手を握ろうとして条件反射でやってしまった」

と白状する。実ははるかの時と同じように学長室に連れていこうとしていた際、その男ははやての手を握ろうとして、つい、はやてはその男の顔面にパンチを食らわせたのだった。

「大丈夫ですか」

と、はるかを連れだした男がはやてを連れだした男に聞くと、

「まだいたいですが、このくらいのあざはすぐに治りますよ」

と、元気があるように見せる。はやても、

「この度は本当に申し訳ない」

と、あざのある男にお詫びする。

「それくらい大丈夫です。これでも柔道部出身ですから、こんなの痛いうちにはいりません」

と、はやてを連れ出した男、はやてに対して大丈夫であることを伝える。

 そんなやりとりのあと、学長室にとある大男が現れた。

「これは2人ともご足労をおかけした」

その大男はこう言うと、学長室の大きな応接セットのイスに腰掛けた。

「あなたたちが代々木はるかさんと神宮はやてさんだね」

大男は2人を見て言うと、

「2人ともそこに立っているのもつらいだろう。イスに腰掛けてくれないかな」

と、はるかとはやて2人を応接セットの大男の反対にあるいすに腰掛けるようにお願いした。

「それではお言葉に甘えさせていただきます」

と、はるかがイスに腰掛けると、はやても無言でイスに腰掛けた。

 2人がイスに腰掛けると、その大男は2人に挨拶をした。

「2人ともこんにちは。私はこの東都大学で学長をしているものです」

と、2人に名詞を渡した。そこには学長を示す文字があった。

「あ、あなたが学長ですか。私は代々木はるかです」

と、はるかはいきなり学長に挨拶をした。はやても、

「これは失礼しました。僕は神宮はやてです」

と、少しびっくりしながら挨拶をした。

 すると、学長はいきなり立ち上がった。

「2人には実は私から学長命令があってここに呼んでもらった」

と、学長が言うと、2人をじっくりと見た。

「学長から直々の学長命令とは…」

と、はるかが言うと、学長は口を開いた。

「単刀直入に言おう。2人ともアイドル、いや、ユニドルとして活動しなさい」

学長からのお願い、それは2人でユニドルとして活動してもらうことだった。

「な、なんでユニドルとして…」

と、はるかが言うと、はやても、

「活動しないといけないのだろうか」

と、学長に聞き返す。すると、学長は2人に言った。

「2人でユニドルとして活動。これは大学としての絶対命題でもある」

そして、学長は2人にその理由を言った。

「実は少子高齢化の中、それぞれの大学は生徒募集にあの手この手を使っている。大阪にある大総大学はお笑いに力をいれている。九州博多にある福博女子大学ではアイドルに力をいれており、そこにいるユニドルは前年のユニドル選手権、通称ユニライブの決勝に進出し、優秀な成績を残している」

学長はさらにこの大学の現状についても語った。

「この大学はたしかに日本の最高学府かつ最高スポーツ校として有名だが、それいえにいらぬイメージがついてしまう。そのイメージとは…」

と言うと、はるかは、

「そのイメージとは…」

と言い返す。学長は話を続ける。

「そのイメージとは、頭が固すぎる、頑固すぎるというイメージだ。この大学は昔から旧帝大の流れをくむ。歴史ある大学である。そのため、伝統があり、それがいやで敬遠する生徒も多い。そして、このイメージのせいか、最近の生徒はこの大学に対して悪いイメージを持ってしまっている」

そして、学長は2人を見つめてこう言った。

「少しでもこの負のイメージを払拭したい。無論、大学のイメージ戦略という面もある。少しでもイメージアップしたいからね」

学長が言い終わると、はやては学長に向かって、

「では、なんで僕たちなんですか。ほかにも僕たちよりもアイドルにふさわしい人たちがいるのではないですか」

これに対し、学長は断言した。

「あなた方2人こそこの大学の中でアイドルにふさわしいからだ。その証拠に2年前のラブライブに優勝したではないか」

そう、2人は2年前のラブライブに優勝した音乃木坂学院スクールアイドルオメガマックスのメンバーであった。

 学長はさらに話し続ける。

「大学のイメージアップは今待ったなしの状況である。一からアイドルをつくる時間はない。むしろ2人はラブライブ優勝という大きなはくがある。すぐにでもユニドルとして活動し、大学のイメージアップに貢献してもらいたい」

学長の言葉のあと、はるかはあることを言った。

「ユニドルとして活動する。これによって自分の夢は遠のいてしまう。さらに、私たちはスクールアイドルを辞めて1年のブランクがある。1年のブランクはアイドルにとって致命的なダメージとなる」

 そして、はやても、

「私は日本一のスプリンターになりたいためにこの大学に入学した。僕の夢を大人たちであるあなたたちに壊されてしまうのか」

と、嘆いていた。

 すると、学長はあることを言った。

「それは大丈夫。むしろ、あなたたちの夢を応援したいと思っている。これは約束しよう、大学から最大限のバックアップをしよう。2人は大学から奨学金を支給するだけでなく、2人の夢を最短ルートで叶えるようにカリキュラムを組む。むろん、そのためにスケジュールがハードになるが、単位の心配はしなくてよい」

これを聞いたはるか、

「最短ルートで夢を叶えてくれる…」

と、目をキラキラにさせながら言うと、はやても、

「大学は単位が必要と言うが、その心配がない…」

と、ちょっとひいてしまう。

 そんな2人を見て学長は言い続けた。

「1年のブランクについては心配ない。1日のうち、平日の朝から夕までは講義や部活をしてもらいたい。そのかわり、夜や休日についてはユニドルになるための訓練をしてほしい。具体的には私たちが呼んだ講師陣やアイドルスクールでボイストレーニングやダンス練習などをしてもらう」

 そして、学長に対して決断を迫った。

「代々木さん、そして、神宮さん、ユニドルとして活動してくださいますか」

2人の近くまで顔を近づかせ、応接セットの机を叩く学長。これを見ていたはるかとはやて、びっくりする。そして、

「は、はい…」

と、まずはるかが白旗を上げた。対するはやては、

「最後に聞きますが、日本一のスプリンターになる夢を阻害するようなことはしないのですね」

と、学長に聞くと、

「それは大丈夫。私たちを信じなさい」

と、学長は確約をした。すると、はやても、

「それならこの話をお受けいたします」

と、ユニドルになることを承諾した。これを聞いた学長、

「本当にありがとう、2人とも。これで大学入試最高得点を記録した日本一の才女と、インターハイで高校新を記録した日本一のスプリンターの奇跡のコラボの実現、奇跡のユニドル結成だ~」

と、喜んでいた。これを見ていたはるか、

「大男である学長の笑い顔、なんかシュール」

と言うと、はやても、

「じっとしている方が威厳があるんだけど…」

と、妙に顔がひきずっていた。

 

 そして、翌日からはるか、はやてのユニドルとしての生活が始まった。2人は大学から特別なカリキュラムが用意された。

「まさか、あの教授からじかに教えてもらえるなんて…」

はるかは感動していた。一般の講義も受けているのだが、あいているコマの時間に自分が希望する教授からマンツーマンで講義を受けることができたからだった。これも単位として認められた。

 一方、はやては別の意味で感動していた。

「まさか、世界的に有名なコーチからじかに教えてもらえるなんて…」

はやては大学の講義が終わったあと、大学が用意してくれたコーチからマンツーマンでコーチを受けていた。そのコーチは世界的にも有名で、なおかつ、その教え子たちはみな世界中で大活躍しているくらい凄いコーチだった。そのコーチのマンツーマンの指導を受けられることははやてにとって天にも昇る気持ちだった。

 そして、夜になると、

「1、2、3、4、1、2、3、4」

と、大学近くのダンススクールに聞こえる声があった。

「もっと体を大きく伸ばす」

と、講師の声が聞こえてくる。

「ハイッ」と、はるかが答えると、はやても、

「わかりました」

と答える。

 2人はユニドルになるため、夜と休も休みなくトレーニングを行った。無論、平日の朝から夕は大学の講義や部活も休むことはなかった。

 2人は普通ユニドルでもしないような過酷なトレーニングを受けていた。とはいえ、若い女の子、休みの日も作られており、そのときは、

「はやて、原宿でも遊びに行こう!!」

と、はるかがはやてを誘ってウィンドショッピングなどをすることもあった。

 こうして、はるかとはやては大学が用意した特別カリキュラムとハードなトレーニングをすることで、大学の講義や部活を消化しつつもユニドルとしての基礎的な下地を作っていった。

 そして、6月。ついに2人はユニドルとして初めてのライブを開催することになった。ステージは東都大学の講堂だった。ここには約二千人以上が入る観客席がある。2人のユニドルとしてはもってこいの場所だった。

 そして、ユニドル名には2人は考えた結果、2人の名前のイニシャルから「H&H」という名前となった。

 ライブの日取りが決まると、2人はもっと頑張ろうとトレーニングに励むことになった。

「はるか、少し遅れているぞ」

はやてははるかに対して言うと、はるかも、

「はやては少しはやいかも」

と、はやてに対し注意する。そう、2人はトレーニング以外でも自主練をしていた。大学が用意したトレーニング以外にも自主練だけをしていた。そう、自主練だけをしていたのだった。大学側もライブに対して講堂での調整や2人へのバックアップを中心に行われていた。

 そして、講堂の前の掲示板にあるポスターが貼られた。

「東都大学初のユニドルグループ「H&H」ファーストライブ開催」

そう書かれたポスターだった。だが、ただそれだけだった。2人のファーストライブを宣伝するものはこれしかなかった。

 こうして、6月、2人のファーストライブが始まろうとしていた。

「ファーストライブはとても緊張する」

と、はるかが言うと、はやても、

「それもそうだな。この日が僕たちにとって最初の一歩になるのだから」

と、はるかに同意した。

 そして、幕があがった。だが、2人は愕然とした。広い観客席にいたのは…、たった数人だった。それも2人の講師をしている教授や学長、そして学生たち数人だった。

「ど、どうして…」

と、はるかはがっかりした。はやても、

「これが現実とは…」

と嘆いていた。

 それでもたった数人であったとしてもライブは行われた。だが、はるかとはやてにとってとても寂しいものだった。

 なぜ、2人のライブの観客は少なかったのだろうか。そして、2人はこれからユニドルとして活躍できるのか、それは次回のお楽しみである。

 

(ED 1番のみ)

 

続く

 

次回 「2人の力」

 

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。今回から「H&H」編が始まりました。みなさんお元気していましたでしょうか。この編も充分楽しめると思います。どうぞごゆっくりお読みくださいませ。

ところで、各編にはそれぞれテーマがあることは前にお話しした通りですが、この編のテーマはズバリ「支援と行動、結果」です。「博多小娘編」の場合、愛たちは大学からの支援を断ち切り、自分たちの手で「ユニライブ」に出場しました。それとは逆で、今回、はるかとはやては大学の支援を受け入れました。ただ、ラブライブ!を見ている人たちならご存知だと思いますが、穂乃果たち「μ’s」も千歌たち「Aqours」も最初のうちはビラ配りなどをして出来る限りライブにお客さんを呼んだりなどしていました(でも、「μ’s」の場合、たしか、リーダーを決めるためじゃなかったかしら)。それを、支援を受ける側(はるかたち)、支援をする側(大学)ともにしていなかったら、どうなるのでしょうか。はたして、はるかたちはこの先、どのようになっていくのでしょうか。

 ここでお知らせ。ピクシブだけですが、「ねこねこらいおん」という日本一ヘタで日本一つまらない4コマを投稿しております。今週は第4話は投稿しました。暇が有れば読んでみてください。

 と、いうわけで、今回のラブライブUCはどうでしたでしょうか。楽しかったでしょうか。ついに次回、「H&H」編後編をお送りいたします。次回をお楽しみに。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC H&H編 第2話

「前回のラブライブUC」
「私、代々木はるか、東都大学の1年生。日本の最高学府かつ最高スポーツ校である東都大学。そこに私と(神宮)はやてが入学した。私の夢は立派な医者になること、そして、はやての夢は日本一のスプリンターになること。その夢を叶えるための環境がここにはある、私もはやてもそう実感していた」
「しかし、入学式の後で状況は一変する。入学式のあと、大学の事務員に呼び止められ、学長室に行くことになる。学長室のドアを開けると、そこにははやてが先に来ていた。そして、大男の学長から突然の命令が出る」
「2人ともユニドルとして活動しなさい」
「大学の絶対命題とされたユニドル活動。そこには大学側の理由があった。その理由、それは大学のイメージ戦略だった。大学の今のイメージとは頭が固すぎる、頑固すぎるというイメージだった。旧帝大の流れをくむ歴史ある大学であるがゆえ、伝統があるというだけで敬遠されてしまう、そんなイメージを払拭させたいというのだ」
「しかし、私たちの夢を叶えたい、1年のブランクがあると伝えると、最大限のバックアップを大学側で行うことを約束。こうして、私たち2人はユニドルとして活動することになった」
「それから毎日、講義と部活、そして、ユニドルになるためのトレーニングをすることになり、ついにファーストライブを開催することになる」
「しかし、お客さまは数人しかいなかった」

(OP 1番のみ)



第2話 「2人の力」

 

 たった数人の観客とはいえ、ライブはライブ、はるかとはやて、2人は全力で駆け抜けていった。

「今日は来てくれてありがとう」

はるかがこう言うと、はやても、

「僕たちは今駆け出したばかりだ。これからもよろしく!!」

と、かっこよく決めた。

 2人ともライブを最後まで行い、やりきった気持ちになった。それと同時にやるせない気持ちになった。

 

「無事にライブをやりきってくれた。本当にありがとう」

ライブが終わり、ステージ裏の控室で学長はライブを終えたはるかとはやてに労をねぎらっていた。しかし、学長とは裏腹に、はるかとはやては少し納得していない顔をしていた。

「どうしたんだい、2人とも。あんまりいい顔していないけど」

この学長の言葉に対し、口火を切ったのははるかだった。

「どうしてお客さまがたった数人しかいなかったのですか!!」

はるかの心の中は複雑だった。たった数人しかいないところでのライブははるかにとって初めてだった。はやても口に出した。

「僕たちはこれまで一生懸命トレーニングを行い、この日のためにやってきました。でも、なんでお客さまがいないんでしょうか」

 これに対し、学長はこう言った。

「素人目線で申し訳ないが、ライブの完成度は高いものだった。2人の実力不足でないのは確かだ」

すると、はるかは学長に言った。

「であは、なぜお客さまがこないのでしょうか。私たちが悪かったのか」

 そんなとき、

コンコン

と、ドアを叩く音が聞こえてきた。

「はい、どうぞ」

と、はるかが答えると、ドアが開き、

「こ、こんにちは」

と、1人の女子学生が現れた。

「君は誰だね」

と、学長がその女子学生に聞くと、

「私は代々木(はるか)さんと同じ1年生の八王子あかりと申します」

と、女子学生ことあかりが言うと、あかりは学長に一礼した。

「あかり!!」

はるかはこう言うと、あかりのところに近づいた。

「代々木さん、八王子さんとはどういう仲なのだ」

と、学長がはるかに聞くと、

「あかりは私と同じ学科で学ぶ仲です。いわゆる親友の1人です」

と、はるかは恥ずかしながら言った。

 すると、あかりはあることを言った。

「私、はるかたちのライブを見ていたんだ」

そう、あかりは数少ないお客さまの1人だった。

「あのライブ、本当に良かったよ。私、感動したよ」

と、あかり、ライブの感想を話す。

「でも、お客さまが少なかったのがちょっと寂しかったね」

と、反対の意見を言うあかり。

 だが、あかりはある言葉を言った。

「でも、今回のライブを開催されること、ほとんどの学生が知らなかったんじゃないかな」

これを聞いたはやて、あかりにある質問をぶつけた。

「あかり君っていったね。今回のライブはどこで知ったんだい」

対するあかりは、

「私ははるかから直接聞いたから楽しみにしていたよ」

 そして、ある言葉をあかりは言った。

「でも、私は気付いたのはこのライブの宣伝がこの講堂にある掲示板に貼っていたポスターだけだったことだよ」

 さらに、あかりは重要なことを言った。

「私の知る限り、ほかのサークルが催し物をするとき、学内にある掲示板全てにポスターを貼るんだって。それでも来てくれるお客さまは少ないんだって」

 これを聞いたはるか、学長に問いただす。

「学長、私たちの、今回の、ライブ、宣伝していましたか」

対する学長、意外な答えを返した。

「宣伝?たしかにライブを行う告知はした。しかし、代々木さんと神宮さんの実績からすれば、そんなもの必要なのだろうか」

そして、隣にいた事務員からある言葉がでた。

「私たちは講堂前の掲示板とところしかポスターを貼りませんでした。2人は2年前のラブライブ優勝と言う実績があります。それは日本中の人たちがしっていることです。その2人がライブを行うのですから、ポスター1枚で多くのお客さまが来てくれると思っていました」

 これを聞いたあかり、

「えっ、はるかってあのラブライブで優勝したことあるの。頭がよくてなおかつ歌もうまい。なんてうらやましい」

と言うと、はるかは、

「あかりって、私がラブライブ優勝したことって知らなかったの。優勝した当時、テレビなどでも話題になっていたでしょ」

とあかりに言う。しかし、あかり、

「たしかに2年前のラブライブのときの話題ってテレビでもよく取り上げていたね。でも、私としては、グループ名がたしか…、オメガなんとか、しか覚えていないしね」

と、不完全な記憶をたどりつつ答える。

 これを聞いたはやては学長に抗議した。

「僕たちは大学側がバックアップしてくれると思ってトレーニングをしてきました。宣伝もきちんとやってくれると思っています。けど、たった1枚のポスターのみでやっていましたって宣伝したって言えるのでしょうか」

 これに対し、学長も、

「ラブライブ優勝のメンバーである君たちの力があれば…」

と、反論するも、はやて、

「八王子君みたいに僕たちがラブライブ優勝のメンバーであることを知らない人たちが多くいます。いや、僕たちの所属していたスクールアイドルのグループ名すら覚えていないでしょう」

そして、はやては学長に堂々と言った。

「今回の件は大学側に非があると思いますが」

 これに対し、学長は、

「それはなんとも言えないが…」

と、口をすぼかしてしまう。

 しかし、あかりははやてに反論する。

「神宮(はやて)さんの言うことも一理あると思います。しかし、それははるかや神宮さんにも言えるのではないでしょうか」

これを聞いたはるか、

「どうしてそう思えるの?」

と聞き返す。

 すると、あかりははるかとはやてに力強く言う。

「はるかたちはこれまで一生懸命トレーニングをしてきたんでしょ。でも、1つ忘れていない。私、いろんな町にいくけど、そこにいるスクールアイドルたちって自分たちのライブを成功させるためにビラ配りなどしているよ」

そして、あかりは2人にさらに力強く言った。

「はるかたちってユニドル結成してからビラ配りなどして知名度あげてきた?してないでしょ。知名度をあげるため、そして、ライブなどを成功させるためにビラ配りなどの地道な努力が必要でしょ。はるかたちって大学側に任せきりだと思うよ」

これははるか、はやてとともに、

「…」

と、黙るしかなかった。

 だが、あかりの指摘はそれだけではなかった。ここからが重要だった。はるかいわく、

「これは私の意見なんだけど、みんなあまり関心がないじゃないかな。私、はるかからこのライブがあるって聞いて見てみたいと思ったの。で、ほかの友達を誘うとしたんだけど、みんな、「自分は興味がない」「見る暇があれば自分の研究を進めたほうがよい」などと言って断っていたんだよね」

 これを聞いたはるか、

「みんな、私たちのことを興味持っていないなんて…」

と、ただ絶句するしかなかった。はやても、

「そこまでライブに行こうと思わないなんて…」

と、絶句しかなかった。

 そして、はるかは、

「私たちはまだスタート地点すら立っていなかった」

と言うと、はやてにこう言った。

「はやて、私たちは間違いを犯すところだったのかもしれない」

すると、はやても、

「それは僕も同じ意見だ」

と、はるかに言うと、

「僕たちはこの大学にいる全ての学生たちにライブに来てもらえるようにしていかないとな」

と言って、ある決意をしたような顔になった。

 そして、はるかもはやての顔を見てあることを決めた。

「私、いや、私たちは今からスタート地点に立つ!!」

はるかがこう言うと、はやてに向かってこう言った。

「私、みんなに私たちのことを知ってもらうため、小さいところからやってみる」

すると、はやても、

「それなら朝夕はビラ配りなどして少しでも知名度をあげていかないとな」

と、決意を露わにする。

 これを見ていた学長も、

「2人とも凄い決意をしたみたいだな。私たちも負けてはいられない。これからは本格的に2人のバックアップを行う。これは決定事項だ。大学をあげて宣伝などしていこう」

と決めた。

 この様子を見ていたあかりも、

「はやて、私も力になれることはないかな」

と言うと、はるか、

「あかりにはあかりにしかできないことをやってもらうつもりよ」

と、あかりに言うと、あかりは、

「?」

と、少しハテナ顔になった。

 

 こうして、本格的に動き出したはるかとはやてのH&H。

「私たち東都大学初のユニドル、H&Hです」

早朝トレーニングが終わるとすぐに校門前でビラ配りをする人たち。はるかとはやてだった。はるかはこう言うと、校門を通る学生1人1人にビラを渡す。

「かわいい子猫たち、僕たちのライブ、見に来てよね」

と、はやては女子学生たちに愛想を振りまいている。

「はやて様、かっこいい」

と、数人の女子学生をメロメロにさせると、

「よかったらこのビラ、もらってくれないかな」

と、その女子学生にビラを渡した。

 はるかも負けずに、

「かわいい子猫たち、よっといで」

と、言うと、

「うわ~、かわいい」

と、なぜかおたく風な人たちに囲まれてしまった。

「う、う~、よ、よかったら、このビラもらってくれないかな」

と、はるかが言うと、

「うぉー、メガネ娘からビラもらった~」

と、大喜びするおたく風な人たち。これを見たはるか、

「こ、これでよかったのかな…」

と、顔がひきずっていた。

 

「どうも、私たちH&Hです。よろしく!!」

と、ある日の大学の中にある広場、そこではるかとはやてはミニライブを開いていた。実ははるかとはやては、ビラ配り以外にもミニライブを学内でゲリラ的に行っていた。

「みんな元気~。私、はるかだよ」

はるかがこう言うと、

「うお~」

と、おたく風な人たちが叫びだす。

「みんな、元気していたかな。僕はみんなのヒーロー、はやて!!」

と、はやてが言うと、女子学生たちから、

「キャー」

と、黄色い歓声があがっていた。

 この様子を見ていた学生たちは、

「なにが始まるんだ」

と、少し興味があるらしく、2人のまわりに集まろうとしていた。

 そして、ミニライブを始めると、時間が経つうちに、

「す、すごい」

と、2人の圧巻するような歌やダンスに興味を持つようになっていった。

 

 そして、大学側も2人に力を入れるようになった。

 東都大学新聞、東都大学の全学生、全従業員の8割が読んでいる新聞がある。その新聞の特集ページにH&H特集と銘打ちはるかとはやてをフューチャーした記事が載った。

「これからどうしていきたいですか」

という質問に対し、

「ユニライブで優勝する事です」

と、はるかとはやては口をそろえて言う。

 この記事、実は大学側が東都大学新聞を発行している新聞サークルに提案したものだった。大学側はプロジェクトチームを作り、2人を大学内外で宣伝する体制づくりをした。 

 そして、7月のある日、はるかとはやては東都大学テレビという放送サークルのインタビューが行われることになった。

「2人ともラブライブ優勝チームの一員だったそうですけど」

と、インタビュアーが聞くと、

「たしかにそうです。でも、そのとき以上に頑張っているんだなと思っております」

と、はるかが答える。一方、はやては、

「そのときはまわりに助けてくれるメンバーがいました。しかし、今ははるか君と一緒にしないといけない。それほど大変なことだと思っております」

と、答えていた。

 このインタビューの様子は7月の東都大学テレビにて繰り返し放送され、H&Hの知名度をあげる要因ともなった。

 

 一方、あかりは別の意味でH&Hの知名度をあげるきっかけをつくろうとしていた。

「みんな、あのはるかには別の顔があるんだよ」

と、はるかとは別の友達にこう言うと、

「はるかは実はアイドルだったんだ。いや、ユニドルだね」

と、元気よく言う。そして、その友達にいろんなことをおしゃべりしながらH&Hの魅力などをその友達に伝えていった。そう、あかりは口コミという手段を用いてH&Hの知名度アップに貢献しようとしていた。

 だが、あかりがしていたのはそれだけではなかった。

「今度、大学の広場でH&Hのゲリラライブがあるよ」

と、ほかの学生をゲリラライブに誘うこともあった。その友達が2人のゲリラライブを見て、ほかの友達にライブの感想を言ってファンを広げていく。その意味ではあかりも2人のプロジェクトの一員だった。

 

 こうして、秋となり、ビラ配り、ゲリラミニライブ、口コミなどによって知名度、ファン共に増やしていったH&H。ついに秋のライブを開催することにした。会場は6月と同じ東都大学の講堂。それも大学祭のメインイベントの1つとなっていた。

「大丈夫でしょうか。6月みたいに数人しかいないのでは…」

はるかは心配していた。6月のライブみたいになるのではないかと。対するはやては、

「いや、それは大丈夫と思うよ。少なくても百人くらいはいると思うぞ」

と言うも、少しは心配していた。数千人もはいる講堂にとって百人というのはあまりにも少なすぎるものだった。

 そんな2人を見ていたのか、2人の隣にいたあかりは、

「2人とも心配性なんだから。これまでやってきた2人の頑張り、いや、大学をあげての頑張りがあったんだから、大丈夫だよ」

と、2人を元気づけるように言った。

「H&Hのみなさん、時間です」

と、大学祭スタッフに呼ばれるはるかとはやて。

「ほら、頑張りなさいよ」

と、あかりに元気づけられるはるかとはやて。

「お、おう、頑張ってくるからな」

と、はやてが言うと、

「私も頑張ってくるからね」

と、はるかも応答する。

 そして、2人は講堂のステージ上に立つ。

「はたして来てくれているかな」

と、はやてが言うと、

「今ここにある現実を受け止めるしかないよ」

と、はるかも言う。2人とも緊張していた。

「それではH&Hのライブを開始いたします」

と、司会の人が言うと、幕が上がった。

 幕が上がった瞬間、2人はびっくりした。

「頑張って~、はるか~」

「かっこいいぞ、はやて~」

観客席からいろんな声が聞こえてきた。最前席にははるか親衛隊たるおたくみたいな人たちとはやて親衛隊なる女子学生たちが陣取っていた。それだけではない。会場中人、人、人。ほぼ満席状態となっていた。

「こ、これが私たちのライブを見に来てくれたお客さまたちなんだね」

と、はるかが言うと、はやても、

「こんなの久しぶりに経験したよ。こんな多いお客さまの前で教えるなんて幸せなんだろうか」

と、涙を流していた。

「はるか~、はるか~、はるか~」

「はやて~、はやて~、はやて~」

2人の名を呼ぶ声援が聞こえてきた。

「この声援のためにも頑張らないとね」

と、はるかが言うと、はやても、

「そうだな。僕たちの全力をぶつけていこう」

と心に誓う。

 そして、一呼吸おいてはるかはお客さまの前でこう言った。

「私たちは東都大学初のユニドル「H&H」。最初のライブはたった数人しかいませんでした」

そして、はやてはそれに続いた。

「僕たちはトレーニングばかりしていて、何もしてきませんでした。しかし、みんなのお蔭で自分たちをプロデュースするようになりました」

さらに、はるかはこう言った。

「今、こんなにたくさんのお客さまがいるのはみんなのお蔭です」

さらにさらに、はやては、

「みんなのお蔭でこのステージに立つことができました」

と言うと、はるかとはやて、2人とも、

「本当にありがとうございました」

と、お客さまの前で一礼をした。

 すると、

パチパチパチ

と、大きな拍手が聞こえてきた。

 それを聞いたはるかとはやては、

「「本当にありがとうございます」」

と、一礼すると、

「それではまず最初の歌」

と、はるかが静かに言い、はやては、

「これは昔の僕たちをあらわしたような歌です」

と言って曲名を言った。

「それでは聞いてください。東京(鉄道)ダンジョン」

 

H&H編 挿入歌 東京(鉄道)ダンジョン

 

どこに進めばいいのか わかりません

 

私たち 東京初心者 うふふ

今から銀座に遊びにいくよ

電車にのりついで 遊びにいくよ

はじめてだけど大丈夫かな?

 

中央線に山手線

京葉線に東北線

常磐線に横須賀戦

着いてみれば海でした

 

迷いますます 東京は

いろいろありすぎて迷います

一本道じゃないのよ 東京は

まるで悩んでいる人でした

 

私たち 東京初心者 ですよ

今から上野にパンダみるよ

私鉄に乗り継いでパンダを見るよ

はじめてだけど大丈夫かな?

 

京成線に京王線

京急線に西武線

東武線に小田急線

着いてみれば山でした

 

迷いますます 東京は

複雑からみあい難しい

袋小路やぶこうじ はいります

まるで困っている人でした

 

東京はジャングルジャングル

人の悩みもジャングルジャングル

どこへいけばいいのかわからない

ナビがあってもわからない

それだけ複雑怪奇です

 

迷いますます 東京は

いろいろありすぎて迷います

一本道じゃないのよ 東京は

まるで悩んでいる人でした

 

 2人はこの曲を皮切りに全12曲を歌った。会場は2人の曲にヒートしまくっていた。そして、ライブが終わったその後、2人は東都大学を代表するユニドルとなった。また、2人ともこのライブで手ごたえを掴んだようだった。

 

 そんな2人だったが、2人の休まる暇がなかった。大学側が関東にあるいろんな大学の大学祭にゲストとして出演するように依頼していたのだった。出演を依頼された各大学は当初慎重だった。まったくどこにも知られていないユニドルをゲストとして呼ぶのはどうかと。しかし、東都大学講堂での2人のライブの成功を受け、考え方を一変、2人をゲストとして呼ぶことになった。

 こうして、はるか、はやての名はH&Hの名とともに関東中のユニドル界に旋風を巻き起こすぐらいになっていた。

 

 そして、ユニライブが始まった。県予選は文句なしのトップ通過となり、関東予選。ここで2人はライバルになるであろうグループと対決した。それははるか、はやてと同じく音乃木坂学院のスクールアイドルオメガマックスのメンバーであり、同じくラブライブ優勝を一緒に遂げた人物、高坂雪穂率いる日本橋女子大学のユニドル「HeaT」だった。

「まさか雪穂君がここに現れるとはね」

と、はやてが言うと、

「これは強力なライバルになるな」

と、はるかも警戒していた。

 その警戒はある意味正しかった。ユニライブ関東予選通過は「HeaT」「H&H」ともにしたのだが、1位は「HeaT」で、2位は「H&H」だった。

「やっぱり雪穂がここまでやれるとは…」

とはるかが悔しそうに言えば、

「雪穂君は2年かけてこのユニドルグループを作った。僕たちももっと頑張らないと」

と、険しい表情で答えた。

 

 こうして、初出場ながらユニライブ決勝に進出したH&H。決勝ではどうなるのだろうか、楽しみである。

 

次回 ユニライブ!!

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。今回のお話はどうでしたでしょうか。ファーストライブの失敗をもとに立ちあがろうとした「H&H」のはるかとはやて、少しは燃えるものがあったでしょうか。この物語は失敗したとしても、それをもとに頑張っていける読者たちにも読んでもらいたいと思っております。それが読者のみなさまにとって少しでも励みになればと思っております。

 で、今回の物語で出てきた曲「東京(鉄道)ダンジョン」ですが、これはある曲を意識して作詞しました。その曲とは、ラブライブ!サンシャインでおなじみのAqoursの「HAPPY PARTY TRAIN」です。この曲は夢に進む人たちを歌っている曲ですが、もし、迷ってしまうことがあればどうなるのでしょうか。夢に向かって一直線に進めればいいのですが、迷ってしまうことだってあります。それを考えた場合、人っていろいろと迷うことが多い人物です。それって東京の鉄道網と似ていませんでしょうか。東京の鉄道網っていろんなところに張り巡らせているため、一度乗り間違えると他のところに行ってしまうことがあります。特に地方に住んでいる人たちにとって東京の鉄道網は難敵かもしれません。慣れてしまえばどうってことないとしても、初心者にとっては難しいものです。それをちょっと意識して作詞してみました。あなたにとってどう感じたでしょうか。

 ここでお知らせ。ピクシブだけですが、「ねこねこらいおん」という4コマを投稿しております。もし暇があれば読んで頂けたら幸いです。

 次回ですが、ついに第2章最後の物語が始まります。前作の「ラブライブΩ」を読んでいる読者ならご存知ですが、ついに最後の一人が登場します。そして、舞台はついに大阪。どんな物語が展開されるのでしょうか。そして、大阪と言えば…。それは次回のお楽しみです。それでは、次回まで、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC ビースト編 第1話

ピロロロ~ ピロロロ~
「新大阪~、新大阪~」
ここは新幹線の新大阪のプラットホーム。ここに1人の少女が降り立った。
「ここが大阪か~。はじめてきたよ」
ここに降り立った少女の名は京城みやこ。2年前のラブライブで優勝した音乃木坂学院スクールアイドルオメガマックスのメンバーだった少女である。
「はじめまして、大阪。これからよろしくお願いします」
みやこは降り立つと、誰もいないにもかかわらずお辞儀をした。この様子を見ていたまわりの人たちは、
「ちょっとおかしいんじゃない」
と、噂話をしていたが、そんなのみやこには関係なく、
「?」
と、不思議がるぐらいしか思っていなかった。
 だが、みやこの近くをある子どもが通りかかると、その子どもから、なにか言われた。
「あっ、男女だ!!」
これを聞いたみやこ、
「…(男女か~)」
と、ただ黙りつつちょっと心の中で傷つきかけていた。そう、みやこはほかの少女とは違っていた。なぜなら彼女の体型はいわゆるガテン系といわれるものだった。



ラブライブUC Beast編 第1話 「アイドル×笑い=?」

 

 みやこが大阪に来た理由、それは大阪で大学生活をすること。みやこもついに大学生になった。というより、奇跡的に大学に入学できたといってもよかった。学力もそんなに高くないみやこにとって当初は就職を考えていた。しかし、大学生になりたいと思う気持ち、強い思いで大学を受験、そして、大阪のとある大学に入学できたということだった。

 引越荷物も片付いたころ、ついにみやこが大学に入学する日を迎えた。

「ここが私が今日から通う大学なんだ」

みやこは大学の校門前で喜んでいた。大総大学、ここがみやこが今日から通う大学の名前である。大阪でも一番、いや、日本でも有数の広大なキャンパスが広がる雄大な大学である。そして、ここには日本でも唯一のある学部がある。

「どないやっているのかな」

「もう付き合ってられん」

「どうもありがとうございました」

校門を通り過ぎると聞こえてくる声、その声のもとをたどるみやこ。そこには2人の学生がいた。

「おはようございます。ここでなにをしているのですか」

と、みやこが2人に聞くと、

「お笑いの練習しております」

と、ボケ担当の少女が言うと、

「毎朝毎朝練習しないとみにつかないんですよ」

と、ツッコミ担当の少女が言う。

「へぇ~、お笑いの練習をしているなんてすごいですよ」

と、みやこが褒めると、ボケ担当の少女は、

「大阪人ならばお笑いの一つもできなくてどないするの」

と言えば、ツッコミ担当の少女も、

「それはお笑いできない人にはつらい一言だろ」

と、ボケ担当の少女がツッコむ。

 すると、ボケ担当の少女、

「と、言うのは冗談で、私たちみたいにお笑いを目指す人たちにとって毎朝の練習は大事なものなんや」

と解説する。

「すごい、すごい」

と、みやこが言うと、ボケ担当の少女、

「そういうあんたは誰なのね」

と、聞くと、みやこ、

「京城みやこ、今日、この大学に入学する新入生です」

と答える。すると、ツッコミ担当の少女、

「京城、京城、どこかで聞いたことがある…」

と、なにかを思い出そうとすると、ボケ担当の少女、あることを思い出した。

「あ~、たしか2年前のワイドショーに出ていた、2年前のラブライブに優勝した子でしょ」

これを聞いたツッコミ担当の少女、

「それはすごい人物や、サインください!!」

と言うと、これを聞いたみやこ、

「いやいや、2年前の話だし、私、有名人じゃないし」

と、後ろに引いてみる。

 だが、ツッコミ担当の少女、負けていない。

「それでも時の人でしょ。それだけでも凄いよ」

と、みやこに迫ってくる。みやこ、

「サインだけね」

と、サインをする。すると、ツッコミ担当の少女、

「わ~い、ありがとう」

と、サインを高く上げて喜ぶ。

 サインを終え、みやこ、2人に聞いてみる。

「ところで、あなたたちのお名前は?」

 すると、2人は答えた。

「私はボケ担当の北野ぼたん」

と、ボケ担当ことぼたんが答えると、

「私はツッコミ担当の南野つくし」

と、ツッコミ担当ことつくしが答える。そして、2人は名乗った。

「「私達、大阪シスターズ」」

これを聞いたみやこ、

「すごい、すごい、はもっていた」

これを聞いたぼたん、

「これでもお笑い学部の2年生や」

と言う。すると、みやこ、

「お笑い学部!!」

と、疑問を呈す。これにつくしが答える。

「ここ大総大学は日本で唯一、お笑い学部があるんや。そこから日本有数のコメディアンが多く生まれているんや」

これを聞いたみやこ、

「こんな日本唯一のお笑い学部があるんだったら、すごい大学なんだね」

と、喜んでいた。これを聞いたぼたん、

「ここにはお笑いを目指す学生たちが多い。すごいだろう~」

と、胸を張って言う。

 すると、みやこ、あることを聞いた。

「と、言うことは、お笑いを目指すアイドルたちもいるんでしょ」

ところが、これにはつくしが心苦しく答える。

「たしかにそういう学生たちもいたわ。お笑いとアイドルを両立しようとしていた学生もいた。しかし、今はこの大学にアイドルを目指す学生たちはいないんわ」

 これを聞いたみやこ、

「アイドルを目指す学生がいない…」

と、がっかりした声で言うと、追い打ちをかけるようにぼたんがあることを言った。

「昔、ユニドル部というサークルがあったんだけど、今は休止状態なのね」

これにはみやこ、

「私、この大学でアイドル、ユニドルになろうと思っていたのに~」

と、さらに暗くなってしまった。

 これを聞いたつくし、

「それなら私たちと一緒にお笑い目指しませんか」

と言うと、みやこ、

「なら、お笑いやってみようかな」

と、お笑いを目指そうと決めた。

 

 みやこはまず相方を探すことを決めた。みやこは目指す姿はあの大阪シスターズのような漫才スタイルだった。

「どなたか私とお笑いを目指す人いませんか」

まるでマッチ売りの少女みたいに探しまくるみやこ。しかし、

「もう間に合っています」

「あんたとはやってられないわ」

と、断る学生がほとんどだった。

 これを遠くで見ていた人たちがいた。

「あんなみやこ見とれませんね」

と言うと、すぐにみやこに近づき、

「ちょっと来なさい!!」

と、みやこを林の中に連れ込む。

「ちょっとなんですかって、ぼたんさんにちくしさん」

みやこを連れ込んだのはぼたんとつくしだった。

「みやこさん、そんなことをしても誰も組んでくれないよ」

と、ぼたんがみやこに注意する。

「どうして、どうしてですか」

と、みやこが駄々っ子みたいに言うと、つくしが言う。

「まず、みやこさんの体格。どちらかというとガテン系だから、ほかの人と比べて目立ってしまう。これだと相方が目立たなくなる。お笑いの世界は目立ってなんぼの世界。だから、とにかく目立つみやこさんには相方にしたくない」

そして、ぼたんが言う。

「さらに、ほとんどの学生はみやこさんが東京からやってきたことを知っている。東京のお笑いと大阪のお笑いは違うところがある。特に、大阪の場合、日常的にお笑いに浸かっているため、お笑いに関する考えが東京よりもシビアです」

さらに、決定的なことをつくしは言う。

「そして、一番大事なことだけど、お笑いを目指す学生のほとんどはもうすでに相方を見つけている。だから、今から相方を目指しても難しいんだよ」

 これを聞いたみやこ、

「じゃ、どうすればいいの」

と言えば、ぼたんがあることを言った。

「それなら自分1人でお笑いを目指すのもありなのでは」

これを聞いたみやこ、

「だったら何か面白いことないの!!」

と、ぼたんとつくしに迫る。

「そ、それなら…」

と、つくしが言葉をつまらせながら言う。

「そ、それは…」

と、みやこがつくしに顔を近づけると、

「それなら、「大阪名物パチパチパンチや」をやってみては…」

と言う。

「それってなんなの」

と、みやこがつくしに言うと、横からぼたんがフォローする。

「これはね、銀製の灰皿を頭にぶつけて言うものだよ。昔、みやこさんみたいに体格のいいおじさんコメディアンがやっていたお笑いの1つだよ」

これを聞いたみやこ、

「ならやってみる!!」

と、どこかに行ってしまった。

 

 5分後、

「用意してきたよ」

と、みやこ、どこからか借りてきた灰皿を持ってきて言った。

「それ、どこにあったの…」

と、ぼたんが言うと、

「そこのお笑いサークルから借りてきた」

と、指をさして言った。

「こ、これは凄い…」

と、つくしが驚きつつ言う。

「では、やってみる!!」

と、みやこが言うと、

「大阪名物パチパチパンチ…」

と、頭に灰皿をぶつけながら言う。しかし、とてもシュールな光景に見えたため、つくしは、

「す、すご~い」

と、ただ茫然しながら言うしかなかった。

「ど、どうだった」

と、みやこが2人に感想を求めるも、

「す、すごかったよ」

と、なにもなかったように言うぼたん。

「やっぱダメだったかなぁ」

と、みやこ、喜んでいないぼたんとつくしを見てちょっとがっかりした風に答える。

 これを聞いたぼたん、

「だ、大丈夫だよ」

と、みやこを元気づける。つくしも、

「きっと新しい道が見つかるよ」

と、みやこを励まそうとする。

 しかし、みやこはわかっていた。

「やっぱり私にはお笑いのみちはだめなんだね」

と言うと、ぼたんとつくしに対し、

「今日は本当にありがとうね」

と、お礼を言って2人を残して立ち去っていった。

 

 その日の夜、みやこは自分の部屋で泣いていた。

「ユニドルをしようにもまわりにお笑いを目指す人だらけ。だれもユニドルを目指そうとしない」

そう、みやこは気付いていた。いや、気付かされたのだった。お笑いの道をあきらめた後、自分にはユニドルしかないと思い、一念発起、ユニドル部復活をしようと大学内をまわり呼びかけていたのだった。

「私と一緒にユニドルになりませんか」

しかし、学生たちの関心は意外なものだった。

「私はお笑いに進みたいんだ」

「ユニドル?それって楽しいの?」

「ユニドル目指すならお笑いに進んだ方が面白い」

まわりはお笑いを目指す人だらけだった。ユニドルになろう、興味を持とうとしている学生は皆無だった。

「どうすればいいのですか、こころあ…」

みやこはこころあこと矢澤こころ、矢澤ここあ姉妹の名を呼んだ。こころ、ここあはみやこと同じく2年前にラブライブで優勝した音乃木坂学院スクールアイドルオメガマックスのメンバーだった。いわば戦友といえる仲間だった。そして、オメガマックスが解散したあと、この1年間、3人でスクールアイドルを続けていた。それほど強いキズナで結ばれていた。ちなみに、こころ、ここあの姉は矢澤にこである。

「こころあ、こころあ、こころあ~」

と、泣き叫ぶみやこ。

 すると、誰かを呼ぶ声がだんだん聞こえてきた。

「…こ、…やこ、…みやこ~」

ドアから聞こえてくる懐かしい声。そして…、

バタン!!

みやこの部屋のドアが突然開いた。さらに、

「突撃!!」

と、聞いたことがある声である人物が飛んできた。

「わ~い!!」

飛び込んできた人物はそのままみやこに抱きついてきた。

「誰!!私に抱きついてきたの…って、こころさん!!」

そう、抱きついてきたのはこころだった。

「みやこ姉様、さびしかったです~」

こころも泣きだしてしまった。

「お姉ちゃん、泣かないで」

と、ドアからくるもう一人の人物…。

「ここあさん!!」

みやこはここあを見つけると、手を広げた。

「ハグしよう」

すると、ここあも、

「みやこ姉さん!!」

と、みやこに向かって抱きついてきた。

「こころさん、ここあさん、会いたかった」

みやこがこう言うと、こころあを抱きしめた。

「私もです、みやこ姉様」

と、こころが言うと、

「私もですよ、みやこ姉さん」

と、ここあも言って2人ともみやこを強く抱きしめた。

 

 抱きしめあったあと、みやこはこころあに聞いてみた。

「でも、どうしてここに来たの?」

これに対し、こころが言った。

「私たち、スクールアイドルのイベントのために大阪に来たんです」

これにみやこ、あることを聞いてみる。

「誰から寂しそうにしているって聞いたの?」

これに、ここあがあることを言った。

「たしか、大阪シスター…」

「ここあ、そのことはいったらだめって」

こころがここおを制すると、

「そうだった。だれにもいっちゃダメだった」

と、口を滑らしたことに気付いたここあ。みやこは、

(ぼたんさんとつくしさんの差し金だな)

と、思うようになった。

 すると、ここあが次のことを言った。

「みやこ姉さんがユニドルをしたいと思っているんですよね。でも、誰も組んでくれない。そう間違ってないですよね」

これを聞いたみやこ、

「うん」

と、うなずくと、こころがあることを言った。

「私、思うんですよ、みやこ姉様も1人だと思っている、けれど、実はまだ気付いていないのではないかと」

そして、重要なことを言った。

「私たちを含めて、仲間はどんなときでも見えない糸で結ばれていますよ。私たちこころあはまだスクールアイドルだけど、(ラブライブを優勝したオメガマックスのメンバー、高坂)雪穂姉様も、ほかのみんなも、ユニドルとして頑張っています。ここでくじけてはいけません。みんなと会うために、ユニライブ目指して頑張っています」

さらに、ここあが言いかぶせる。

「たとえ、仲間が遠くしかいないと思っても、たった一人しかいないと思っていても、私たちは必ず結ばれています」

 そして、こころあは2人合わせて言った。

「「私たちころあも遠くからみやこ姉さん(姉様)のことを見守っています」

 これを聞いたみやこ、立ち上がる。

「そうだよ。私は京城みやこ、ラブライブで優勝した音乃木坂学院スクールアイドルのメンバーだったこの私がここでくじけるわけにはいかない。こころあを含めて、私には遠くにいるけど私のことを大事にしてくれる仲間たちがいる。そう、私は1人ではない!!」

これを聞いたこころ、

「よっ、これこそ私たちの知るみやこ姉様ですよ~」

と、おおきくうなずく。

 すると、みやこがあることを言い出した。

「それなら、いいこと思いついた!!私、1人だけのユニドルになる!!大総大学、ユニドル部!!たった1人だけど、私、ユニドルになります!!自分だけだけど、ソロとしてユニドルデビューします!!」

 

(ED 1番のみ)

 

続く

 

第2話 「ソロ×みんな=プロジェクト」

 

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。ついに「ラブライブUC」最後の物語、「ビースト」編が始まりました。みんさん、どうでしたでしょうか。最後の登場となったのは、ガテン系美少女京城みやこです。たった自分1人でのスタート、果たしてどうなるのでしょうか。

 さて、それぞれの物語にはテーマがありますが、今回の物語のテーマはずばり、「ソロ」です。アイドルはグループを結成して活動することが多いですが、ソロで活動する方もいらっしゃいます。ラブライブにしても、いろんな作品でも、グループを結成して活動することが多いのですが、ソロとして活動するキャラクターもいます。では、ソロとして活動する際、どのような方針で活動すればいいのでしょうか。ゴスロリ、天然、薄情、などなど。みやこにとって最初は1人で活動するしかありません。まず最初にお笑いを目指しますが、あまりぱっとしませんでした。そのなかで、どんな方向に進めばいいのでしょうか。自分1人でやることにも限界があります。それをどう克服するのでしょうか。そして、みやこのこれからとる行動が次の物語にも影響を与えるものになるのでしょうか。それは次回のお楽しみです。

 と、いうわけで、次回のラブライブUCもお楽しみください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC ビースト編 第2話

「前回のラブライブUC」
「私、京城みやこ、大総大学の1年生」
「ついに大阪に来ました。大阪の大総大学に入学するために来ました。そして、入学式当日、ぼたんとつくしの先輩となる漫才コンビと出会いました。そこで、アイドルを目指す学生がいないことを知った私は、お笑いを目指そうとします」
「しかし、いくら相方を探そうとしても相方が見つからず。それなら1人で目指そうとするも、それも叶わず。どうしたらいいの」
「その日の夜、私は部屋で泣いていました。しかし、そこにこころあこと矢澤こころとここあ姉妹が飛び込んできたんです。突然の再会に喜ぶ3人。そして、こころあからたとえ一人でも遠くにいる仲間と見えない糸で結ばれていることを知りました」
「そして、私は決めました、自分1人、ソロとしてユニドルデビューすることを決めました」
「って、前回までのあらすじがいつもより短い。それは大阪だから短くしてみました」

(OP 1番のみ)



第2話 「ソロ×みんな=プロジェクト」

 

 こころあと会ってから次の日、みやこはすぐに事務室に申請を出した。

「すみません。ユニドル部の復活をお願いしたいんですけど」

みやこの突然の来襲で驚く若い事務員。

「ユニドル部か。そういえばその言葉を聞くのは久しぶりだな」

と、その隣にいた年配の事務員は想いにふけていた。

 そして、若い事務員は気を取り戻し説明する。

「え~、サークルの申請はこちらの用紙に必要事項を書いてください。それを書いてもらうことで無事に認められます」

これを聞いたみやこ、質問する。

「でも、なにか調査したりしてサークル設置の判断などしないのですか」

すると、年配の事務員が説明した。

「この大学は自由と自律をモットーにしております。それに、この大学には1万以上の学生がおり、サークルも数多くあります。調査などをする時間がないのが現状です」

これについて、みやこはもう1つ質問する。

「私、たった1人ですけど、大丈夫ですか?」

これについても年配の事務員が説明する。

「たしかに1人だけでは認められないこともあります。しかし、今日はユニドル部の復活ということもあり、それは大丈夫です。もともとあったサークルの復活には人数の制限はありませんから。それに裏方でもいいので、あとで集めてもらえばいいのですよ。そうそう、ほかのサークルとの掛け合いもOKですので、これから集めてください」

これを聞いたみやこ、

「ありがとうございます」

と、お礼を言うと、必要事項を書類に記入して提出し、事務室をあとにした。

 みやこが去ったあと、事務室には若い事務員が年配の事務員と話していた。

「本当に元気な子でしたね」

と、若い事務員が言うと、

「ユニドルか。久しぶりに聞く名前だね」

と、年配の事務員が昔を懐かしそうに思い出しながら言った。すると、若い事務員が、

「この大学にユニドル旋風が起きるといいですね」

と言えば、年配の事務員も、

「そうですね」

と、強くうなずきながら言った。

 

 一方、ユニドル部の復活を果たしたみやこ、さっそくユニドル部の部室に向かう。

「ここがユニドル部の部室だね」

ユニドルの部室、そこを開けると、ものすごく汚れていた。

「なんでこんなに汚いのかな」

みやこがそう言うと、片づけを始めた。

 この片付け、実はいろんなものが見つかって楽しいものだった。

「あ~、昔のお笑いを集めたビデオだ~」

「ここには昔のアイドルのDVDがある~」

こうしていろんなものが見つかったりして、一日かけての大掃除となった。

 

 掃除してからその次の日。

「これからどうしようか」

と、みやこは悩んでいた。ソロプロジェクトとして始動することは決まっていたが、なにをするかはまだ決まっていなかった。

「ユニドルはユニドルらしく踊って歌ってすればいいのかな」

そう思っていたところ、ちょうどテレビにある人物が映っていた。

「これって大阪でも有名なアイドルグループじゃない!!」

そう、大阪でも有名なアイドルグループが出ているテレビ番組だった。

「この番組って、たしか新喜劇の番組だよね。有名な人たちがアイドルグループのまわりにいる~」

この番組、実は新喜劇の番組であり、ゲストにアイドルグループのメンバーが出演しているものだった。

「へぇ~、なんかおもしろいよ」

みやこはそういうと、新喜劇の番組にのめり込んでいった。

 すると、アイドルがボケてみんながこけるシーンが現れた。

「へぇ~、ボケるとみんなこけるんだ」

これを見たみやこ、はっとひらめいた。

「それなら私がボケてばいいのだろうなぁ。そうすればたった1人でもみんながこければ面白いユニドルになれるな。あっ、そういえば掃除した時に見つけた昔のお笑いのビデオ、あれを参考にすればいいかな」

こうして、みやこは昨日見つけたお笑いのビデオを探しだし、何度も見返したりした。

 

 そして、次の日、

「なんや、なんや、面白いもの見せてくれるやろ」

と、ユニドル部部室に来たのは、この言葉を言ったぼたんと、

「ほんと、楽しみやな」

と言ったつくしだった。

「ようこそ、ユニドル部部室へ」

と、みやこが言うと、

「で、どない要件で私たちをよんだの?」

と、ぼたんが言うと、

「実はちょっと聞いてもらいたいものがあります」

と、みやこが言って、ぼたんとつくしを立たせた。

 そして、みやこは2人に向かって言った。

「だれがボケとんのや!!」

ポカ~ン

みやこが言った言葉にポカ~ンとするぼたんとつくし。

「血い吸うたろうか」

ポカ~ン

「ちっさいおじさん、ちっさいおじさん、ぜんまい仕掛けのちっさいおじさん」

ポカ~ン

「じゃあーりませんか~」

ポカ~ン

みやこが次々に繰り出すギャグにポカ~ンするしかないぼたんとつくし。そんな2人を見て、みやこ、

「どうしてこけてくれないの~」

と、泣き出しそうに2人に言う。

 すると、ぼたんはこう言った。

「みやこさん、ギャグっていうのはみんなとのあうんの呼吸で成立するものだんです」

さらに、つくしが怒りながら言った。

「それに今のは新喜劇で使われた昔のギャグです。これこそほかの人たちとのあうんの呼吸が大切なものなんです」

これを聞いたみやこ、

「Perfect Human」

と、さらにぼけると、

「そうじゃありません!!」

と、つくしに強く怒られてしまった。

 

「お笑いはやっぱり駄目だったかぁ」

みやこは少しガッカリしていた。

「お笑いを舐めたらいかん、舐めたら危険やで」

と、ぼたんに注意を受ける。つくしも、

「お笑いとアイドルの融合はとても面白いと思います。けど、だからこそ難しいものなのです」

と、自分の意見を言った。

 みやこは困った顔で言った。

「それじゃなにをすればいいの?」

すると、ぼたんがあることを言った。

「それじゃ、アイドルらしくかわいくなればいいのでは」

それを聞いたみやこ、

「本当にかわいくなれるかな?」

と、少し疑問になるも、

「それなら私にまかしとき」

と、つくしはどこからか用意した化粧セットをみやこの前に持ってきた。

「これで化粧するの?」

と、みやこが聞くと、

「私たちに化粧は任せなさい」

と、ぼたんは化粧セットを使ってみやこの化粧を始めた。

「できたら教えてください」

と、みやこが言うと目を閉じた。

 

 数分後。

「まだですか」

と、みやこが聞くと、

「まだですよ」

と、つくしが答えた。

 

 そして、30分後、

「はい、できた」

と、ぼたんが言うと、

「目を開けますね」

と、みやこは目を開けた。すると、

「なんじゃこりゃー」

と、驚くみやこ。

「どう、かわいいでしょ」

と、つくしは堂々と言う。みやこ、鏡に映る自分の顔に一言、

「これってピエロでしょ。ピエロの顔ですよね」

そう、みやこの顔はピエロのように化粧されていたのだった。

「私の認識だと、ピエロこそお笑いがとれるかわいい顔ですよ」

と、ぼたんが言うが、

「うひ、うひひ」

と、隣でつくしが笑いそうにしていた。

「これじゃかわいいじゃなくて、笑ってしまうじゃないですか」

と、みやこが言うと、

「たしかにピエロ顔じゃかわいくないかもしれないし…」

と、ぼたんがちょっとがっかりしたような感じで言う。

 ただ、つくしは別のことを言いだした。

「けど、ピエロにガテン系じゃかわいい、笑えるより凛々しいと思うけど」

これにはみやこ、

「そんなこと、言わないでください」

と、怒って言った。

 

「はあ、どうすればいいのだろうか」

ぼたん、つくしが帰ったあと、みやこは悩んでいた。ユニドルとしてどのようにして活動していけばいいのか、そのコンセプトがうかばないためだった。

「どうすれば人気になれるのかな」

悩むみやこ。

 そんなとき、みやこ、

「もしかすると、まだ知らない資料があるかもしれない」

と言って、ユニドル部に残っている資料を探ってみた。

 

 それから1時間後、

「これじゃない、あれじゃない」

と、探すみやこ。そんなとき、

ドサッ

と、みやこ、棚に肘をぶつけてしまう。

ポンッ

と、みやこの頭の上になにかが落ちてきた。

「ちょっとなにか落ちてきたな」

と、みやこ、あたまに落ちてきたものを拾うと、

「なになに。AB〇―zの番組?」

と、落ちてきたDVDのタイトル名を言った。

「たしか、AB〇-zってジャ〇ーズのグループだったよね」

と、みやこ、なにかを思い出すと、

「これにヒントがあるかもしれないな」

と、DVDをデッキにセットした。

「う~ん、これってAB〇-zのコンサートのものなんだ」

と、いろいろと見ると、

「!、これってもしかして…」

と、なにかヒントになるようなものを見つけたらしく、くぎいるように見つめていた。

 

 そして、翌日、

「あのようなことをするには体力づくりが必要」

と、いうことで、体力づくりをスタートさせる。

「やぁ、こんにちは」

と、走りながらまわりに挨拶するみやこ。途中、

「みやこさん、こんにちは。昨日はごめん!!」

と、ぼたんと会うと、

「昨日のことは大丈夫ですよ」

と、ぼたんのことを気にしつつも、みやこはぼたんを許した。

 すると、ぼたん、

「昨日のお詫びというわけじゃないけど、もし時間があいたら、みやこさんのお手伝いするから」

と、ぼたん直々にお願い。これを聞いたみやこ、

「本当ですか。それなら助かります」

と、嬉しそうに言った。

 すると、ぼたんの隣からひょいっとつくしが出てきて、

「私も昨日のお詫びとして手伝うから許して」

と、みやこに謝る。みやこは、

「大丈夫ですよ。それも手伝うなんて、なんて嬉しいことだよ」

と、嬉しそうに言う。

 

 こうして、ぼたんとつくしという強い仲間を得たみやこ、体力づくりのため、大学内をいろいろと走っては、

「おはようございます。何か手伝いましょうか」

と、いろんな学生たちの手伝いをするようになった。

 そして、踊りの練習をしていると、

「なんてかっこいいんでしょ。私もなにか手伝いましょうか」

と、多くの女子大生から手伝いの受入や差し入れが届くようになっていった。

 

 そして、秋、みやこは1つの大きな決定をする。

「よし、ライブをしよう」

これを聞いたマネージャー役となっていたぼたんは、

「それなら、グループ名を決めませんとね」

と言うと、隣にいた、同じくマネージャー役のつくしが、

「いや、これはプロジェクト名といってもいいのでは」

と、力強く言う。

「プロジェクト名か~」

と、みやこが言うと、ぼたん、

「あの踊り方をみれば一つしかないと思います」

と、言うと、つくしも、

「そうだね。一つしかないね」

と言う。

 そして、ぼたんとつくし、2人で元気よくプロジェクト名を言った。

「「Beast!!」」

「Beast?」

と、みやこが2人に聞くと、

「あの踊り方は動物そのもの、だからBeast」

と、ぼたんが言えば、

「Beast!!Beast!!」

と、つくしが元気よく叫ぶ。

「Beast!!よし、私のソロプロジェクト名はBeastに決定!!」

と、みやこが元気よく言った。

 そんなみやこを見て、ぼたんは言った。

「たしかに、これはみやこさんのソロプロジェクトですが、そこには何十、何百ものプロジェクトメンバーがいることを忘れないでください」

さらに、つくしも、

「そうだよ。特に私たちを忘れないでね」

と言った。そう、秋になるまで多くの学生と会い、その都度手伝いの申し入れがあとをたたなかったのだ。それほど大総大学はユニドルの復活を待ち望んでいたのだった。誰もがなりたがっていたが、お笑いという大学のイメージのため、なかなかなれなかったのだ。たとえ踊れなくてもみやこのために手伝いたい。そんな学生たちが今やみやこのソロプロジェクトの一員として頑張ってくれるのだ。

「それじゃ、私はライブのためにチラシづくりを…」

と、みやこが言うと、

「それは大丈夫。すでに手配は済んでいるよ」

と、ぼたんが言う。

「こういうときのために、すでにビラ配りの手配も済んでいます」

と、つくしが言う。

 そして、2人はみやこにこう言った。

「「みやこさんは一生懸命練習して、本番で素晴らしい歌を披露してください」

これを聞いたみやこ、

「うん、ありがとう。私も頑張るね」

と、強くうなずいた。

 

 そして、秋もふけゆく晴れたある日。

「本当に大丈夫かな」

と、みやこは心配そうにしていた。そう、ついにライブの日がきたのだった。会場は大総大学の一番広い広場だった。

「本当に大丈夫ですよ」

と、ぼたんは言った。つくしも、

「そうですよ。今日のためにビラ配り部隊が頑張りましたから」

と言う。そう、広場の近くにはビラ配り部隊が最後の頑張りをしていた。

「今日、13時からBeastファーストライブが広場で行われます」

と、ビラ配りの人が言えば、別の方向からも、

「とても楽しいライブとなります。どうぞきてください」

と、別のビラ配りの人が言っていた。

「みんな頑張っています。みやこさんは彼女たちのためにも全力でライブしてください」

と、ぼたんが言うと、みやこ、

「うん、頑張るよ」

と、ぼたんに答えた。

 そして、ついにライブ開始となる13時を迎えた。

「さぁ、時間です。Beastのごとく頑張ってください」

と、つくしが言うと、

「うん!!全力のかぎり、Beastのごとく頑張ります!!」

と、みやこ、元気よく言うと、ステージへと向かっていった。

 ステージに昇ったみやこが見たのは、

キャー

と、大きく歓声に包まれた何百もの観客の姿だった。

「本当に来てくれてありがとう」

みやこが観客にお礼を言うと、最初の曲を始めた。

「~♪」

歌っている最中、

「えいっ」

と、みやこは観客の前にでバク転を見せた。

オー!!

観客は驚いていた。ユニドルとしてのイメージががらりと変わったからだった。ユニドルとはアイドルみたいに一糸乱れぬダンスなどをみせるのだが、みやこは違った。アクロバットを持ち味としてかっこいいダンスを見せたのだった。

「てやっ」

みやこは続けてバク宙を見せる。この6か月間休まず練習してきた成果だった。

オー!!

と、またビックリする観客。これまでの女性アイドルの概念を打ち破るようなそんな気持ちになれる瞬間だった。

 

「本当にありがとう!!」

ライブは終わり、汗をふくみやこ。

「ついに終わりましたね。成功ですね」

と、ぼたんが言うと、

「たしかに今日は成功したね。けど、これが私のユニドルとしての最初の一歩だからね」

と、みやこも喜ぶ。そして、つくしも、

「これならユニライブも大丈夫ですね」

と言うと、みやこ、

「そうだった。ユニライブにエントリーしないと!!」

と、思い出したように言う。そう、ユニライブのエントリーがもうすぐ終わってしまうところなのだ。

 そんなとき、ぼたんが笑うように言った。

「それなら大丈夫ですよ。すでにエントリーしていますから」

それを聞いたみやこ、

「本当にありがとう」

とお礼を言うと、つくし、

「本当にギリギリでしたからね」

と、実情を話す。すると、みやこ、

「本当に本当にありがとう」

と、2人にお礼を言う。すると、ぼたんとつくし2人から、

「そのお礼はユニライブで見せてくださいね」

と、元気よく言った。

 

 こうして、Beastはユニライブに出場した。たった1人しかいないみやこであったが、その裏で何十、何百もの裏方の支えもあり、大阪府予選、そして、近畿予選を順調に勝ち進めることができた。そして、ついにユニライブ決勝、みやこはどんな活躍を見せてくれるのどうか。

 

(ED 1番のみ)

 

 次回 ユニライブ!!

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。台風などで遊べない今日このごろ。少しでもそんな不機嫌な雰囲気を私が投稿した物語で少しでも消し飛んでいけたらと思っております。

 今回で最後の物語であるビースト編も終わりとなりました。これで事前にお伝えしていた5つの物語が終わりました。で、今回で終わり…、ではありません。これまでの物語は本当の物語のプロローグでしかありません。次回、本当の物語を投稿します。その物語はこれまで5つの物語で出てきた登場人物が一つの物語に集結します。そこで行われるものとは。そして、どんな結末が待っているのでしょうか。そのヒントは「次回」のところに書いてありました。この物語はノート20ページ以上になってしまったので、前後編に分けてたて続けて投稿する予定です。どうぞお待ちください。

 ということで、次回、物語は佳境を迎えます。そして、次回が「ラブライブUC 第2章」は最終回を迎えます。それではさよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC ユニライブ編 前編

(前回までのあらすじ)
HeaT編
 ユニライブに向けて合宿をする雪穂たち6人。その中で作曲に苦しむ。そんなとき、お祭りに誘われた6人はカラオケ大会でスノハレ、ラブマシーンなどの青春の曲、そして、歌とはなにかを知る。そして、曲を完成させる。

博多小娘編
 メンバーの一人、あやはユニドルをやめさせ、帝王学を学ばせるため、父親によって監禁させられる。助けに行く愛たち4人。監禁場所に着いた愛たちはあやを助けに行こうとする。それに呼応するあや。途中で合流したあやと愛たちは連れ戻しにきた父親に歌を聞かせる。そして、父親はあやにユニライブ優勝という条件のもと、ユニドルを続けることを認める。しかし、ユニライブ九州大会決勝当日、ユニライブ優勝という重圧のため、審査員から「ただ踊っているだけ」と言われてしまう。

iD+編
 「外国人はアイドルのまねをするな」そんな手紙を受け取ったナンシーたち。その後もいろんな嫌がらせが続き、ナンシーたちはラストライブをすることを決める。そして、ラストライブ当日、新曲を歌う3人に対し、会場中から「やめないで」コールなどが鳴り響き、ナンシーたちは続けることを決める。が、ユニライブの壁は厚く、地方予選で敗退する。

H&H編
 ファーストライブは失敗に終わる。大学側があんまり宣伝していなかったこと、大学全面支援という甘い考えのもと、地道にビラ配りなどをしなかったはるかとはやてが原因だった。そこで、大学側は2人の宣伝に力を入れ、はるか、はやてもビラ配りやゲリラライブなどで地道に知名度を上げていく。そして、大学祭でのライブは大成功をおさめた。

Beast編
 自分1人のソロプロジェクトとして出発したみやこ。先輩たちとの試行錯誤をするが、うまくいかない。そんなとき、ジャ〇ーズのDVDをみたみやこはアクロバティックな動きを取り入れることを決める。練習のかてら、仲間を集めるみやこ。そして、秋のライブ時には手伝ってくれる仲間を集めたみやこはライブを成功へと導き、みんなが助けてくれるソロプロジェクトと進化させていった。




ユニライブ編 前編

 

「雪穂、ついにユニライブ決勝だね」

と、カオルは雪穂に声を掛けている。

「そうだね、ついに夢までみたステージに立てるんだね」

と、雪穂も考え深くいった。

 ここは武道館。ここではユニドル最大の祭典、ユニライブ決勝が始まろうとしていた。雪穂たち「HeaT」はユニライブ決勝に進出したグループごとにあてがられた楽屋で最後の準備をしていた。

「うう、緊張します」

と、陸が言えば、

「私…、も…」

と、空も体を固くしながら言う。

「それなら人という字を3回書いて飲み込めばいいんじゃない」

と、ヒカリは緊張感ないみたいにあっけらかんに言う。

「ヒカリさんってすごいですね、緊張しないなんて」

と、イリヤが言うも、ヒカリ、

「今のうちに緊張するなんてナンセンスだよ」

と、これまた大物という感じで言う。

 そんな6人以外にも来客はいた。

「私たちは出場できないけど、本当に頑張ってね」

と、雪穂に声を掛けると、

「うん、亜里沙の分も頑張ってくるからね」

と、雪穂は綾瀬亜里沙に向かって答えた。そう、地方予選に敗退してしまっていた「iD+」の亜里沙が「HeaT」の応援に来ていたのだ。

 だが、来客はそれだけではなかった。

「私たちが応援にきたのですから、「HeaT」の優勝は当然で~す」

というのは「iD+」のナンシー。

「大・丈・夫」

と言うのは「iD+」のナターシャ。因みに亜里沙は高校時代、雪穂と一緒に音乃木坂学院スクールアイドル、オメガマックスのメンバーとして活躍していた。ナンシー、ナターシャはそのオメガマックスのライバル、UTX学院スクールアイドルiDを結成していたのだ。

「もうそろそろだよ」

と、カオルが言うと、

「そうだね」

と、雪穂が強くうなずきながら言う。

 そんなとき、

「決勝進出者はステージにお集まりください」

というアナウンスが聞こえてきた。

「よし、カオル、陸、空、イリヤ、これまでの努力をここで発揮しよう」

と、雪穂は1人ずつ見ながら言うと、5人は、

「「「「「オー」」」」」

と、元気よく答える。そして、6人はステージへと向かった。

 

 一方、「博多小娘」の楽屋は暗い雰囲気になっていた。

「私たちが生き残るには優勝しかない」

と、愛は表情を硬く言うと、

「あんまり表情が硬いと優勝できないよ」

と、天が愛をなだめるも、

「ここで失敗したらあやと一笑にいられなくなるんだよ。そんなの嫌でしょ」

と、愛は天に向かって反論する。

 そんな愛だが、そのあやは、

「愛、大丈夫ですよ。この5人ならなんとかなりますよ」

と、逆に愛をなだめる。

「うちらがいるやさかい、そんなにきばんないほうがよい、よい」

と夕が言えば、

「私もそう思います。でも、私も失敗したら…」

と、羽衣は逆に心配してしまう。

 しかし、天は愛とは別のことを心配していた。

「しかし、地方予選で言われたこと、「楽しんでいない。ただ踊っているだけ」私たちは一生懸命頑張っているのに、どうして言われたのだろう」

と、天は地方予選の審査員に言われたことを考えていた。

 だが、時間はそんなに待ってくれなかった。

「ステージにお集まりください」

と、アナウンスが聞こえてくると、

「愛、天、今は前のことだけを全力で頑張りましょう」

と、あやは愛、天に対し、行動を促す。

「そうだね。今は前のことだけ考えましょう」

と、天が言えば、

「そうですね」

と、愛は逆にちょっと暗くなりながらも答える。重い雰囲気のまま、5人はステージへと向かった。

 

「H&H」の楽屋では、はるか、はやてのほか、学長も姿を見せていた。

「大学のためにも頑張ってきてもらいたい」

と、学長からのありがたい(?)お言葉をもらったはるか、はやて。

「私たちなら頑張れます。期待してください」

と、はるかが言えば、

「そうですね。僕らは今日のために頑張ってきたのですから」

と、はやても元気よく答える。

「ステージにお集まりください」

と、アナウンスが聞こえてくると、

「私たちのダンスがんばっていこう」

と、はるかははやてに言えば、

「そうだね。僕たちが一番だって証明してみせる!!」

と、はやても元気よく言う。こうして2人はステージへと向かった。

 

「Beast」楽屋ではみやこが1人静かに精神を統一していた。まわりには誰もいない。マネージャー役のぼたんとちくしもいない。だが、みやこは感じていた、自分1人ではないことを。まわりにはみやこを支えてくれる大事な仲間がいることを。それを糧にここまで頑張ってきたのだった。

 そんなとき、

「ステージにお集まりください」

と、アナウンスが聞こえてきた。みやこは、

「よし、頑張ってきますか」

と、一言言って、それからステージと向かった。

 

そして、ユニライブは始まった。

 

ユニライブ!!

 

「レディース&ジェントルメン、おとっさんにおっかさん、小さな子どもまで待っていました。ついにユニライブ決勝がはじまるよ~」

と、司会役のいつものレポーターが元気よく開会宣言を行った。

「ついにはじまったユニライブ。今回はあのラブライブで優勝したチームのメンバーもいるんだって。なんて楽しみなんでしょう。それでは今から出場チームを紹介するよ~」

と、レポーターは北から順に出場チームを紹介していく。

 そして、雪穂たちの紹介する番となる。

「関東からの出場チームだよ。熱血教師でてこいやー。日本橋女子大学「HeaT」!!」

 この言葉を聞いた雪穂たちは、

「ハイ!!」

と、元気よく答えた。

「日本最高の地位は勉学、スポーツだけではない。東都大学「H&H」!!」

と、レポーターが言えば、はるか、はやても、

「ハイ!!」

と、元気よく答えた。

 そして、関西へと紹介は続く。

「お笑いだけではありませんで。大総大学「Beast」!!」

これにはみやこはただたんにうなずくだけだった。

 そして、最後に九州からのチーム紹介をする。

「ユニドルナンバーワンは私たちしかいない。福博女子大学「博多小娘」!!」

だが、愛は緊張のあまり声がでず、天が代わりに、

「ハイ!!」

と、答えてしまっていた。

 

 レポーターは出場チームの照会が終わると、すぐに出場チームの演目の順番を発表した。

「今日は厳正なる抽選の結果、順番はこうなったよ~」

と、ステージ中央のスクリーンに向かってレポーターは言い張った。因みに、演目の順番は雪穂たちにも知らせておらず、この場での発表となっていた。

 演目の順番は…、

「私たちが1番…」

愛は驚嘆していた。愛たち「博多小娘」は1番…、この暗い気持ちのまま1番最初に歌うこと、愛にとってつらい現実だった。

「で、私たちは2番目か…」

はるかはちょっと驚いていた。2番目で歌うことに。1番は昨年ユニライブに出場している愛たち「博多小娘」がいるため、うまく歌えるかちょっと心配していたからだった。

 そして、雪穂たち「HeaT」は…、

「私たちは最後…、トリなんて」

と、雪穂はちょっと心配するも、ヒカリは、

「トリなんて、これこそ私たちにピッタリですよ」

と、逆に励ましていた。因みに、みやこの「Beast」はトリから2番目であり、みやこはただただ黙っていただけだった。

 

 そして、ユニライブの演目が始まった。

 ステージ袖には最初に登場する「博多小娘」がスタンバイしていた。

「大丈夫かな。失敗しないかな」

と、愛はまだ硬い表情をしていた。そんな愛に対し、天は、

「大丈夫だよ、元気だして」

と、慰めるも、愛は暗い表情をしたままだった。

 ステージでは、始まる準備が終わり、レポーターが前に出てきた。

「それでは始めましょう。トップバッターは九州代表「博多小娘」!!」

と、レポーターが言うと、あやは、

「さっ、頑張りましょう」

と、言うと、5人は円陣を組み、名乗りをあげた。

「1」「2」「3」「4」「5」「博多~、小娘~、イッツ、ショータイム」

そして、5人はステージへと駆け上った。

 

博多小娘 挿入歌 「七芒星」

 

「…」

一番最初に歌うはずの愛はただ黙っていた。そのときの愛の頭の中にはこれまでのことが走馬灯のように流れていた。頭の中がぐちゃぐちゃとなっていた。

 曲だけが流れていた。天はすぐに愛のもとに近づき、

「まさか緊張しすぎて…」

と、心配そうに言った。天にはわかっていた。失敗してはいけないという気持ちだけが先行し、緊張して歌えなかった愛のことが。

 ほかの3人も愛に近づくが、これを見た愛、

「みんな、ごめん…」

と、言い残してステージから逃げ出してしまった。

「愛、ちょっと待って~」

と天が言うと、ほかの3人とともに愛の後を追う。

 そして、ステージにはレポーターしかいなくなった。突然の出来事にきょとんとするレポーター。しかし、ここでユニライブをとめることはできない。そう考えたレポーター、

「なにがあったのかなぁ。でも、始まったばかりだよ。さぁて、次は関東代表「H&H」!!さぁ、でてこいや!!」

と言って、先に進めようとしていた。

 

 ステージ袖には今や今やと準備していた「H&H」のはるかとはやてがスタンバイしていた。

「「H&H」!!さぁ、でてこいや!!」

と、突然の呼び出しにびっくりするも、

「さぁて、頑張りましょうかね」

と、はるかが言えば、

「そうだな、僕たちの実力をみせつけようぜ!!」

と、はやても元気よく答えた。

 そう言っているうち、

ヒューン

と、誰かが駆け足で通り過ぎるのを2人は気付いた。

「あれって愛だよね」

と、はるかが言うと、はやても、

「ああ、あれは愛だな。どうしたんだろう」

と、はやてが言うと、すぐに、

「愛、ちょっと待って~」

と、叫ぶ天の声と、愛のあとを追う天たち4人の姿を見た。

「愛になんかあったんだろう」

と、はるかが心配そうに言うも、はやては、

「無常だけど、今は心配する暇はない。今は自分達のことだけ考えよう」

と言うと、走り抜けた愛を見つつもステージへと進もうとしていた。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC ユニライブ編 後編

 愛が向かった場所、それはステージ裏の一番端っこのところだった。

エ~ン エ~ン

と泣く愛。そこに天、あや、夕、羽衣が駆け寄ってきた。

「どうしたの、愛。普通、ここでビシッと決めるんじゃないの?」

と、あやが愛に駆け寄り声をかけるも、

「…」

と、愛は黙っているままだった。

「いつもの愛さんらしくないですよ」

と、夕が言うと、羽衣も、

「私もそう思います」

と、愛に言う。

 だが、天だけは違っていた。天は愛に近づき、こう言った。

「愛、もしかして、最初の出だしで失敗したから逃げ出したんじゃないかな。失敗してはいけないという気持ちが先走り過ぎちゃってしまったんだよ。ねっ、愛」

 すると、愛は4人の方を向き、真実を語った。

「天の言う通り、私は逃げてしまったのよ。私は失敗してはいけない、失敗したらなにもかもが終わる、このことしか考えていなかった。そして、案の定、出だしを失敗するということがおこった。頭が真っ白になった。本当ならまだ続けることができるかもしれない。けど、私はこう思ったの、私の失敗ですべてが終わった、あやがこれで転校してユニドルをやめることになる、そのことが怖かった。それから逃げるためにステージから、そして、あやから逃げてしまったの。私ってとても弱い、そして、ずるい人間なんだよ」

 だが、そんな愛の姿を見て、すぐにハグする人がいた。

「大丈夫だよ、愛。心配しないで」

こう言ってハグしたのは…、あやだった。あやは続けてこう言った。

「本当に大丈夫だよ。たとえ、私がいなくなってもやっていけるよ。だから、泣かないで。元気をだしてね」

これを聞いた愛、

「本当にごめんなさい」

と、あやと天、夕、羽衣に向かってお詫びをした。

 すると、天、夕、羽衣も愛のところに行き、あやと一緒にハグをした。

「あんまり心配しないでね」

天が言うと、夕も、

「そうですよ。なんとかなりますよ」

と、口添えをし、羽衣も、

「これからのこと、一緒に考えましょう」

と、愛に提案をしようとも持ちかけていた。

 だが、この様子を見ていた人物がいた。そして、愛たち5人に声を掛けた。

「私もだいたいのことは聞きました。そんなに泣かないでください」

こう言ってきたのは…雪穂だった。

 

 雪穂はカオルたち4人とともにステージ裏で最後の打ち合わせをしていた。すると、突然泣きながら一番端っこに走っていく愛の姿を目撃した。

「どうしたんだろう、愛さん。なにかあったのかな」

と、雪穂の隣にいた亜里沙が言うと、すぐに愛の所に駆け寄る天たち4人の姿も見えたため、

「何かあったのかもしれない。ちょっといってみよう」

と、雪穂が言うと、雪穂たち「HeaT」の5人と亜里沙、ナンシー、ナターシャは愛の近くまで近づこうとした。

 そして、愛たちの会話を聞いた上で、

「やっぱり愛のことが心配だ。声を掛けてみよう」

と、雪穂は愛たちに声を掛けたのだった。

 

「ユニドルをやめさせるなんて、なんてひどい話で~す」

と、ナンシーが言うと、ナターシャも、

「ひどい、仕打ち、とても、いや」

と、怒って言った。ヒカリも、

「本当ですよ。ユニドルが青春そのものなんですから」

と言うも、愛は、

「本当に心配かけてごめんなさい。でも、これは私たちの問題。そんなに怒らないで」

と、やさしそうに答える。

 そんな愛に対し、

「ちょっと待った~」

と、いきなり飛び込んでくる人物がいた。そして、その人物はすぐに愛に対しハグをした。

「痛い、痛い。やめて」

と、愛が言うと、その人物は、

「ごめん、ごめん」

と謝って、ハグをやめた。愛はその人物を見上げてこう言った。

「はるか…」

そう、飛び込んできたのは、はるかだった。歌が終わり、ステージ裏がさわがしいと思い、飛び込んできたのだった。

「はるか、後先考えずに飛び込むのはやめなさい」

と、追いついてきたはやてに注意を受ける。

「本当にごめんなさい。でお、いつもの愛らしくないから心配してきちゃった」

と、はるかが弁明すると、すぐに、

「どうして愛がこうなっちゃったの?」

と、天に聞く。天はユニライブ優勝しないとあやがいなくなること、そのことがもとで愛が失敗したことを言うと、

「そんなの関係ないじゃない」

と、はるかは愛に向かってこう言った。

「愛、ハグしよう」

 すると、愛、はるかのところに行き、ハグしてもらう。それだけではなかった。これを見ていたはやて、雪穂、そして、亜里沙も愛のところに行き、一緒にハグした。

「そんなに力まないで。いつもの愛でいてよ」

と、はるかが言うと、はやても、

「高校のときを思い出してみよう、あの楽しい日々を」

と言う。雪穂は、

「愛はいつもみんなのこと考えていたでしょ。私たちがオメガマックスとして活躍してくれたときもそうだったでしょ」

と、高校時代、音乃木坂学院スクールアイドルとして活躍していたときのことを思い出して言った。愛、雪穂、亜里沙、はるか、はやて、そして、ここにいないがみやこは高校のとき、スクールアイドルオメガマックスとして活動し、ラブライブで優勝したことがあった。亜里沙もそのことを思い出し、

「ラブライブで優勝したときも愛さんはみんなのことを考えてくれていたんだから。だからこそ、今はあんまり思いつめないでね」

と、愛を慰めた。

 これを受けてか、愛、

「本当にごめんなさい」

と、大きく叫びながら涙を流した。

 そして、天とあやのところに近づく人物がいた。

「天、あや、そんなに愛を攻めないでね。コチョコチョコチョ」

と、泣き出す天。コチョコチョ攻撃をしていたのはカオルだった。

「カオル、やめなさい。天がかわいそうでしょ」

と、カオルにチョップするあや。それを見ていて、

「先輩たちってやっぱり仲がいいんですね」

と言うのはイリヤだった。

「そんなイリヤもなんか変わっちゃったんじゃない」

と、夕が言うと、

「そうかな」

と、イリヤが聞き返す。それに対して、羽衣も、

「そうですよ。変わりましたよ」

と答えた。因みに、天、あや、カオル、夕、羽衣、イリヤは高校時代、雪穂たちオメガマックスとラブライブ優勝をかけて戦った福博女子大学付属のスクールアイドルK9のメンバーだった。

 

「本当にごめんなさい」

と泣く愛に対し、雪穂、

「そんなに泣かないでね」

となだめる。が、いっこうに泣きやまない愛。

 そんなとき、ヒカリがあることを思いついた。

「雪穂さん、こういうときこそ他の出演者の演技を見るのがいいのでは」

と、雪穂に提案した。

「そうだね。そうしよう」

と、雪穂は愛を連れてステージ袖へと引っ張って行く。

「ちょっと、雪穂、どこに連れていくの?」

と、愛は言うが、

「少しはほかの出場者の演技を見たら、笑顔が取り戻せるよ」

と、雪穂が言うと、

「そうでしょうか」

と、愛は疑問に持つ。が、雪穂はそんな愛のことは無視して、強制的にステージ袖に連れて行った。着いたとき、ステージに立っていたのは…みやこだった。

 

 みやこは開会の挨拶のあと、楽屋にこもり、最後の練習をしていた。たった1人で入念に構成を確認する。みやこ、たった1人しかいないのには理由があった。普段であればぼたん、ちくしみたいにみんなとがやがやしているが、今回はステージに立つのは自分1人だけ、そのことを実感するためにあえて1人しかいなかった。しかし、寂しくはない。ぼたん、ちくしを含めて客席から応援してくれる仲間がいることをみやこは知っていた。その声援を胸に、みやこはもくもくと確認していた。

 そして、みやこを呼ぶ声が聞こえた。

「「Beast」さん、ステージに立つ準備をしてください」

これを聞いたみやこ、

「みんな、頑張ってくるからね」

と言うと、楽屋を後にした。

 

 雪穂と愛がステージ袖に着いたこと、みやこは今から踊ろうとしていた。観客席からは、

「みやこ~、頑張れ~」

「大阪の底力を見せてくれ~」

と、みやこを応援する大応援団がみやこに向かって声援を送っていた。その言葉はみやこの思いを強くする。

「私はソロ。でも、それでも、応援してくれる仲間がいる。私はソロプロジェクト「Beast」。私は1人じゃない。みんなの支えがあるからこそ、これまでやってこられたんだ。だからこそ、私は全力で頑張れる!!」

みやこがこう言うと、レポーターもこのみやこの頑張りに講じて、こう紹介を始めた。

「私はたった1人じゃない。まわりに支えてくれる仲間たちがいる。大総大学ユニドル、ソロプロジェクト「Beast」!!ここに登場だ~!!そんな仲間に送る歌。それでは歌ってください。「WARAI MIRAI」!!」

これを受けてみやこは、

「私は「Beast」!!仲間のために歌い尽くす!!」

と叫び、歌い始めた。

 

Beast 挿入歌 「WA・RA・I MI・RA・I」

 

「①

どうして悲しい顔しているの

それでは幸せ逃げていくよ

まるで何かを失ったような

とても悲しい顔をしているよ

 

もっともっと笑おうよ

そしたら幸せがくるよ

声をあげて笑おうよ

どんどん幸せを呼び込もうよ

 

笑いは全ての幸せのみなもと

笑いは人の力のみなもと

だから ひとりで 笑っちゃおう

それが未来へとつながるんだから」

 

 1番が歌い終わると、「Beast」自慢のアクロバティックが始まる。バク転、バク宙をこなしていくみよこ。

 だが、3回目のバク転をしたあと、

「あっ」

と、みやこが言うと、勢いあまって後ろにこけてしまう。痛恨のミス、誰もがそう思っていた。

 だが、みやこはちがっていた。なにもなかったように立ちあがり、みんなに笑顔を振りむいていた。それだけじゃない。また、バク転を行い、そして、勢いのあまり後ろにこけそうになると、

「そうよっと」

と、後転を行い、さらに、バク宙へとつなげていったのだ。これには会場中から、

パチパチパチ

と、大きな拍手がおきあがった。みやこはそれを見て、2番へと歌い続けた。

 

「②

どうしてみんなで黙っているの

それでは仲良くなれないでしょ

まるで何かを失ったような

とても静かな顔をしているよ

 

もっともっと笑おうよ

そしたら仲良しになるよ

声をあげて笑おうよ

どんどん仲良しになれるんだよ

 

笑いは全てのつながりのみなもと

笑いは人の全てのみなもと

だから みんなで 笑っちゃおう

それが未来へとつながるんだから

 

大阪は笑いの都 お笑いが全て

全ての笑いが みんなの活力

笑ってなんぼの 元気のいい街

だからこそみんなで 元気に笑っちゃおう

笑いは全ての幸せのみなもと

笑いは人の全てのみなもと

だから みんなで 笑っちゃおう

それが未来へとつながるんだから

 

だから みんなで 笑っちゃおう」

 

ウォー パチパチパチ

と、スタンディングオベーションで拍手をする観客たち。これを見たみやこは、

「本当にありがとうございます」

と、一礼をしてステージ袖へと引っ込んでいった。

 

「す、すごい」

愛は絶句していた。

「まさか、みやこがこんなにすごいことができるなんて…」

と、雪穂も絶句していた。

 そんな中、楽屋に戻ろうとするみやこが愛と雪穂の前を通ろうとする。

「みやこ、ちょっと待って」

と、雪穂がみやこを呼び止めると、

「あれ、雪穂さんに愛さん、こんにちは」

と、みやこが愛と雪穂に挨拶をした。

 すると、すぐにみやこにあることを聞いた。

「みやこ、今さっき、バク天を失敗した際、あのあと、なにもなかったようにしていたけど、どうしてそうしたの?」

 それに対し、みやこはこう言った。

「だって、ミスといってもそんなもの関係ないと思います。だって、ミスはミス、それを取り戻すほどの自信とパワフルな動きがありますから」

これを聞いた愛、

「私、ミスしたからこれで終わりとしか考えていなかった。ミスしたからとしてもそれを取り戻すほどの自信と頑張りがあればよかったんだ」

と言う。

だが、みやこの話はまだ続いていた。

「愛さん、ミスしたとしてもいいと思いますよ。だって、私はミスというのも一つの楽しみと思えるんですもの。ユニドルというのはスクールアイドルと同じ、楽しんでなんぼの世界だと思いますよ」

 この言葉を聞いた愛、下にへばりつき、

「そうだったんだ。九州大会のときに審査員に言われていたことってこれだったんだ」

と言って、突然笑いだした。

「どうしたの、愛。そんなに笑いだして」

と、天が言うと、愛は笑いながらも見上げた。そこには天、あや、夕、羽衣がいた。愛は4人を見て答えた。

「私はなにか間違っていたのかもしれない。だって、たった1回のミスのためだけに途中で投げ出すなんて本当に情けないよ。とても悔しいことだよ」

これを聞いたあや、

「そうだよ。だって、たった1回のミスで全てが終わるだけじゃない。そんなのおかしいよ。私はまだこの5人で歌い続けてたい」

これを受けて、愛はこう希望を伝えた。

「私は、たとえこれが最後になっても、この5人でまた歌いたい。歌い続けたい。もう1度やっていこうよ」

そして、愛はこう言い締めた。

「そして、楽しんでいこう。いつもの私たちみたいに歌い踊ることで自分たちは楽しんでいることをみんなの前で伝えていこう」

これを聞いた天は、

「そうだね。あや、夕、そして、羽衣。私たちは楽しんでいこう」

これを聞いたあや、夕、羽衣は、

「「「うん」」」

と、強くうなずいた。

 そして、天は最後にこう言った。

「もしかすると、私たちも緊張していたのかもしれない。でも、緊張していては何も始まらない。だからこそ、気楽にやっていこう」

「「「「うん」」」」

天の言葉を聞いた愛、あや、夕、羽衣は強くうなずいた。

 

「これで愛たちの件は一件落着だね」

雪穂は愛たち5人を見て安堵していた。しかし、1つ忘れていたことが…。

「雪穂さん、もう始まりますよ!!」

ヒカリの声に気付いた雪穂。そう、「Beast」の次は「HeaT」の番だった。

「そうだった。私たちの番だったね」

雪穂がこう言うと、カオルは、

「一つのことに一生懸命なのは雪穂のいいところであり、悪いところだもんね」

と言うと、陸も、

「そうですよ。私たちのことを忘れないでください」

と言えば、空も、

「そう…、そう…、そうです…」

と、少し怒り顔で言った。

「雪穂さん、私たちのこれからのステージ、輝かせてください」

と、イリヤが言うと、雪穂はカオルたち5人に向かってこう言った。

「私たちは私たちで頑張っていく。さあ、これから最高のステージにしていくよ!!」

 そして、名乗りを始めた。

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「HeaT、HeaT ON!!」

6人の掛け声が会場中に鳴り響き、そして、ステージへと駆け上った。

 

「ついに出て来ました。最後の超新星!!待っていましたとばかり満のじしての登場です!!燃え上がれ!!HeaT!!立ち上がれ!!HeaT!!日本橋女子大学「HeaT」!!」

レポーターが力強く言うと、雪穂がマイクを通じてこう言った。

「私たちはこの6人でやってきました。だからこそ力強く歌います。私たちは「HeaT」!!だから、聞いてください。「HeaT」で「過去、現在、未来(old now future)」」

 

HeaT 挿入歌 「過去、現在、未来(old naw future)」

 

今ここにいる  私たち

何でできてる  なのだろうか

だれも知らない 本当に

私たちだけが  知っている

 

昔よく歌った  あの曲を

みんなと歌った たのしい記憶

いろんな曲を  歌い続けて

そして今が   できてきたんだよ

 

過去 現在 そして 未来

私たちは ずっと 歌い続けている

1つの夢に向かって 歌い続けること

それが私たちが叶えたい夢だから

 

明日見えている 私たち

何をしている  なのだろうか

だれも知らない 本当に

私たちだけが  感じてる

 

強く思い続け   あの夢を

みんなとつながり 嬉しい予感

いろんな夢を   叶え続けて

そして明日は   できていくんだよ

 

過去 現在 そして 未来

私たちは ずっと叶え続けていく

みんなの夢を叶えて思い続けること

それが私たちが叶える夢だから

 

誰もが持っている それが夢

誰もがそれを叶えようと動く

過去やってきたことが今と明日をつくる

失敗することもあるけど

心配しないでほしい

過去のことはけして無駄ではない

それが明るい明日を創るから

 

過去 現在 そして 未来

私たちはずっと歌い続けている

みんなの夢を叶えて歌い続けること

それが私たちが叶えたい夢だから

 

そして明るい未来が待っているんだ

 

ウォー パチパチパチ

「Beast」のとき以上にスタンディングオベーションと拍手が鳴り響く。

「やった~、やったよ」

と、ヒカリが喜ぶ。雪穂は、

「これだけやればきっと大丈夫だ」

と、安心すると、力が抜けてしまった。周りを見ると、安心しきっているカオル、陸、空、イリヤの姿が見えた。

 そして、レポーターはこの様子を見て、こう言った。

「「HeaT」の全力での歌、よかったですね。これで全ての演目が終わり…」

「ちょっと待った~」

と、レポーターの言葉を遮ったのは…、

「雪穂さん!!」

そう、雪穂だった。ヒカリは雪穂にこう言うと、雪穂のもとに駆け寄った。

「なにがちょっと待ったなんですか」

ヒカリがこう言うと、雪穂はこう言った。

「まだ残っていますよ。愛たち「博多小娘」が!!」

そして、雪穂はこう言った。

「もう一度愛たちにチャンスを与えてください。もう一度歌うチャンスをあげてください」

「でも、もうすべての演目は終了…」

と、レポーターもたじたじしえちるところ、1人の男がステージ上にあがってきた。

「私はこのユニライブの審査員長です。全ての演目は終わったのです。「博多小娘」さんには大変申し訳ないのですが、あの時点で棄権とみなさないといけません」

これを聞いた観客たちからは、

ブーブー

と、ブーイングが鳴り響く。そして、ステージ上では、

「私たちからもお願いします。もう一度「博多小娘」にチャンスをください」

そこにいたのは「H&H」のはるかとはやて、「Beast」のみやこだった。そして、カオル、イリヤも「博多小娘にもう一度チャンスを」と進言した。

 しかし、審査員長は、

「それでもだめです!!」

との一点張りだった。

 だが、そんなとき、状況は一変した。

「私たちからもお願いします」

と、ステージ上にユニライブ決勝に出場した「博多小娘」を除くユニドルたちが集まり、審査員たちに直訴した。そして、観客席からも、

博多小娘、小娘、小娘

と、「博多小娘」コールが鳴り響いた。

 これを見ていたレポーター、ついに決断した。

「私もこんな声援は初めてだ!!なら、私の権限で決めましょう!!「博多小娘」さん、カムバック!!」

これを聞いたユニドルと観客たちは

オー

と、喜んでいた。

 

 これを見ていた愛、天、あや、夕、羽衣たち「博多小娘」、

「ありがとう、雪穂。本当にありがとう」

と、泣く愛。対する天はこう言った。

「これも天からのめぐみだよ。これこそラストチャンスだよ」

そして、あやは愛たち4人に対しこう言った。

「これがラストチャンス。悔いが残らないように頑張っていこう」

夕、羽衣は強くうなずく。

「それでは、これが本当の最後の演目だ~!!博多に生まれた可愛い乙女、ついにその大輪の花が咲こうとしています。福博女子大学「博多小娘」!!」

レポーターの紹介と共に愛たち5人はステージへと駆け上った。

 

「本当にありがとうございます。私たちのワガママのせいで迷惑をおかけして申し訳ございません。このチャンス、絶対に生かしていきます」

愛がこう言うと、天が曲名を言った。

「それでは聞いてください。「博多小娘」で「ヘクタグラム」」

 

博多小娘 挿入歌 「ヘクタグラム(七芒星)」

 

七つの想いよ 輝き満たせよ

 

自由と思い   悦びあふれる

それが私たちの 元気の源です

知恵と愛を   受け継ぎ輝く

それが私たちの 本当の姿です

 

全てのものが 顕現する

明るいもの  暗いもの

それを全て  一つになれば

私たちは   本当になる

 

かがやけ   私たちのヘプタグラム

全てのものに 平和と自由を

全ての人に  夢をのせて

輝く未来へ  進めよ Let Go!!

 

服をと思い   探し始める

それが私たちの 本当の気持ちです

大きくても   長くていてもね

それは私たちは 関係はありません

 

全てのものが 悦びだす

私たちの   気持ちとは

全て加護し  1つとなれば

咲き乱れて  綺麗になるさ

 

輝け    私たちのヘプタグラム

明るい明日 響き聞かせよ

全ての人の 夢をのせて

明るい未来を 始めよ Let Go!!

 

7つの心を1つにし

形作られるヘプタグラム

たとえどんな苦難があっても

たとえどんな困難があっても

私たちのヘプタグラムの前では

跳ねのけてくれるよ

 

かがやけ   私たちのヘプタグラム

全てのものに 平和と自由を

全ての人に  夢をのせて

輝く未来へ  進めよ Let Go!!

 

 そして、「博多小娘」の曲が終わった。愛は周りを見た。天、あや、夕、羽衣共に全力を出し切った様子だった。少しの静けさのあと、観客席からは、

ウォー パチパチパチ

とのスタンディングオベーションと拍手、そして、

博多小娘 小娘 小娘

と、これまた博多小娘のコールが響いていた。

 

「これで全ての演目は本当に終了です。これから審査に入ります。もうしばらくお待ちください」

レポーターが言うと、ユニドルたちはそれぞれの楽屋に戻っていた。

 雪穂達「HeaT」は、

「これまでの頑張りは無駄はなかった。絶対にいける」

と、雪穂はカオルたちに声をかけていた。

 はるかたち「H&H」は、

「私たちだって頑張ってきたんだ。大丈夫だよ」

と、はるかははやてにこう言って心を落ち着かせていた。

 みやこの「Beast」は、

「…」

と、黙ったままだった。

 そして、博多小娘は、

「全力でやったんだ。だからこそ、これからもやっていける」

と、天はあや、夕、羽衣を元気づける。が、愛は、

「大丈夫かな…?」

と、心配そうにしていた。

 

「さぁ、ついに結果が出ました!!これから発表するよ~。気持ちの準備ができたかな?」

と、レポーターの掛け声とともに結果発表が始まった。

「それでは発表します。第3位は…」

レポーターのためと共についに発表される。

「「HeaT」!!」

これを聞いた瞬間、雪穂からは、

「3位だなんて~!!」

と、ため息をつく言葉が出てきた。一方、ヒカリは、

「まさか、決勝進出初めてで、第3位なんて、すごい、すごい!!」

と、逆に大喜びしていた。「HeaT」メンバーのカオル、陸、空、イリヤも喜んでいた。

「そして、2位は…」

と、レポーター、ためにためて言う。

「「Beast」!!」

これを聞いた瞬間、みやこは、

「やったーぞ~!!」

と、これまで静かにしていたみやこは喜びをを爆発させて観客席に向かってガッツポーズをしていた。観客席からも、

「みやこ~、やったね~」

と、大歓声が響いていた。

 そして、優勝の発表へと移る。

「そして、優勝は…」

と、レポーター、ためにためて、ためて、

「「博多小娘」!!」

と、ついに優勝者である「博多小娘」の名前が呼ばれた。

「…」

愛は黙っていたが、

「やった、やった~。これであやとまだ続けられる!!」

と、天は喜び、愛と手を取り合って喜んでいた。

「…、私たち、ついに優勝したんだね。ヤッター」

黙っていた愛も天と一緒に手を取り合って喜んでいた。

「これこそ、本当のラストチャンスだったんだね。それをものにしたうちらってなんてすごいんだ」

と、夕は泣いて喜べば、羽衣も、

「よかった、よかったよ~」

と、涙を流しながら答えていた。

 一方、あやは大きな涙を流していた。

「これでユニドルをやめなくてすむ。これからもずっと天たちと活動していける。本当にありがとう、本当に」

と、あやが言うと、それを見ていた愛と天に、

「「さあ、いっしょに喜ぼう」」

と、言われ、それに対して、あやも、

「うん」

と、大きく笑いながら2人に答えていた。

 

「HeaT」編

 雪穂たちは楽屋に戻ると、雪穂を除く5人は喜んでいた。

「私たち、3位になれたんだね」

 だが、雪穂は考えが別にあった。

「私たちはまだ3位でしかない。本当にいいのだろうか」

これに対し、ヒカリはこう答えた。

「今は3位でしょ。でも、来年には必ず優勝できる、私はそう思いますよ」

そして、ヒカリはカオル、陸、空、そして、イリヤとカタを組みながら雪穂に迫りつつこう言った。

「だからこそ、来年は優勝を目指しましょう」

そこには大粒な涙が落ちていた。実は5人とも悔しかったのだ、3位であったことに。だからこそ、来年は優勝を目指そうと5人は決めていたのだ。それを見ていた雪穂は、

「そうだね。来年こそは頑張ろう」

と、カオル、ヒカリ、陸、空、イリヤと誓い合うのであった。

 

「博多小娘」編

 愛たちは優勝カップを手に楽屋に戻っていた。

「本当にありがとう。本当にありがとう」

と、愛は天に対してお礼を言い続けていた。天も、

「これは私たちが掴んだ勝利だよ。あんまり泣かないで」

と言うと、愛も、

「それもそうだね」

と、元気よく答えていた。

 そして、あやは天たち4人に対し、

「本当に私のために頑張ってくれて本当にありがとうございます。私もこれから「博多小娘」の一員として頑張っていきます」

これに対し、天も、

「あやが続ける以上、来年も優勝するしかない!!だからこそ、今以上に頑張っていこう」

と言うと、愛、あや、夕、羽衣も

「「「「オー!!」」」」

と、元気よく答えるのだった。

 

「iD+」編

 この様子をステージ袖から見ていた亜里沙、ナンシー、ナターシャの3人。

「これがユニライブ決勝なんだね。私たちも来年、この場所に立てるかな」

と、亜里沙が言うと、

「絶対に来年こそ、この決勝の地に立てるので~す。だからこそ、頑張るので~す」

と、ナンシーが元気よく答え、

「それ、一番、大事。だから、頑張る、しか、ない」

と、ナターシャも答えていた。

 3人は心の中に誓っていた、来年こそは決勝に進んで優勝することを。そのためにも頑張ることだということを。

 

「H&H」編

 はるかとはやては少しがっかりして戻ってきていた。かつて仲間だった雪穂や愛たちに破れてしまったことを。これが原因で大学からのバックアップが受けられなくなることを。

「はやて、たとえ大学のバックアップがなくなってもユニドル、続けていこう」

と、はるかが言うと、

「そうだね。僕たちは来年に向けて頑張っていけるよ」

と、はやても答えた。

 そんな中、楽屋に着いた2人も待っていたのは大喜びの学長とあかりたち学生一同だった。

「本当にお疲れ様。今回はとてもよかったぞ」

と、学長が言うと、さらに一言言った。

「今回は残念であった。しかし、私は満足している。初出場で決勝に進出、そして、いいところまで成績を残してくれた。来年こそは頑張ってほしい。これからも私たち大学は2人をバックアップしていこう」

 これを聞いたはるか、

「本当ですか?」

と、聞くと、学長も、

「本当だ。来年こそは頑張ってもらいたい」

と、答える。はやて、はるかと共に、

「「はい、来年に向けて頑張ります!!」

と、答えて言った。

 

「Beast」編

 みやこは黙って楽屋へと戻った。また1人で静かに過ごしていこうと考えていた。

 しかし、楽屋に戻ると、

「準優勝おめでとう」

と、ぼたん、ちくしを初めとした「Beast」を支えた学生たちが待っていた。

「どうしたの、みんな。まだ観客席にいると思っていたんだけど」

と、みやこが言うと、ぼたんはみやこに対し、答える。

「初出場で準優勝ってすごいことじゃない。だからこそ、一緒に祝おうと思ってね」

そして、ちくしは、

「たった1人だけじゃつまらないじゃない。だから、みんなで一緒に祝いたいんだよ」

 これを聞いたみやこ、

「それもそうだね。私1人のプロジェクトじゃない。みんなのプロジェクトだもんね。私は1人じゃない。今回は準優勝だったけど、来年は優勝を目指すぞ」

と答える。これを聞いたみんな、

「オー」

と、元気よく答えてくれた。

 

 こうして、ユニライブ決勝は幕を閉じた。だが、来年に向けての戦いは始まったばかりである。来年、どんな風になるのだろうか。そして、来年の戦いはどんなチームが優勝するのだろうか。次回ユニライブをお楽しみに!!

 

「HeaT編 2年生編 終了」「博多小娘編 2年生編 終了」

「H&H編 1年生編 終了」「Beast編 1年生編 終了」

 

「ラブライブUC 第2章 おわり」

 

次回へとすすむ

 




ちょっと長い?あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。ついにラブライブUC第2章が終わりました。みなさん、どうでしたでしょうか。ピクシブだけですが、今回は少し工夫を凝らして「マルチエンディング」を採用してみました。どうだったでしょうか。そして、今回の「ユニライブ」編はちょっと長い物語になってしまいました。ノートで20ページ以上になっております。どうしてそうなったのでしょうか

当初の予定では各グループが歌って結果を出して終わりだったので、通常と同じノート10ページ前後で終わるはずでした。ところが、それでは面白くないと思い、なにかエッセンスがないか探しておりました。それが今年の2月下旬の話でした。ところで、ラブライブファンにとって2月下旬にイベントがありました。そうです、Aqoursのファーストライブがあったのです。その2日目、私はライブビューイングでライブを見ていたのですが、「想いよひとつになれ」のとき、桜内梨子役の逢田梨香子さんがピアノを弾く際、最初、間違ってしまったところがありました。そのとき、他のメンバーが駆け寄り、励まし、再度挑戦、そして、成功させたところがありました。それを見て、私は帰ってからすぐにプロットを書き直し、今回の物語へと書き上げました。秋葉愛がミスをしてしまい、逃げ出してしまう。逢田さんはたとえ失敗しても逃げ出さず、再度挑戦して成功しましたが、愛は失敗したことで逃げ出してしまいましたが、他のメンバーや昔の仲間から励ましを受けて再度挑戦しました。あなたがもし失敗したらどうしますか。自分としては失敗を恐れずに、逢田さんや愛みたいに再度挑戦して頑張ってほしいと思っております。

 で、今回、新曲として3曲載せましたが、その曲の説明を少しします。

「HeaT」の「過去現在未来」ですが、「HeaT」編第7話でも語っている通り、歌は過去、現在、そして未来にわたって歌い続けていくものです。世代によっては未来に残したい歌はバラバラですが、それでも、私たちは多くの歌に思いをのせて、そして、未来へと残していこうとしております。そう考えると、歌と言うのは私たちにとって青春であり、夢であり、財産ではないでしょうか。そういう思いで「過去現在未来」を作詞しました。

 2曲目、「ビースト」の「WARAI MIRAI」ですが、曲に書いている通り、大阪は「笑いの都」であると仮定して作詞しました。大阪にはヨシモトなどお笑いに関わる事務所、そして、芸人さんや関係者がたくさんおります。大阪はそういう意味で「笑いの都」といえるかもしれません。だからこそ、大阪はこれまで活気にあふれている、そして、これからも元気でやっていけると思っております。そして、笑いはみんなと自分をつなげる大事なスパイスでもあります。それだけではありません。自分の活力にもなるものです。笑いというのを舐めてはいけません。笑いこそ世の中を動かす原動力にもなっております。この曲はそういうことを伝えたくて作詞しました。

 そして、3曲目、「ヘプタグラム」ですが、あまり聞かれない言葉だと思います。別名「七芒星」とも言われます。この形は「不可能を可能にする」の意味があるといわれております。また、角にはそれぞれ「自由」「悦び」「知恵」「愛」「顕現(神などがはっきりとした姿で現れる)」「平和」「合一(1つになる)」の意味合いがあるとされております。この曲は愛たち「博多小娘」がどんな苦難や困難があっても、たとえ不可能なことがあっても可能にしてくれる、そして、それは私たちにも当てはめることができると思い、作詞しました。なお、この曲のなかには7つの角の意味合い(「自由」「悦び」「知恵」「愛」「顕現」「平和」「合一」)を入れ込んでおり、「ヘプタグラム」という曲そのものに意味合いを深めております。あと、これは余談ですが、実はこの曲にもある曲を参考しております。それも2曲。1曲目はAqoursの「HAPPY PARTY TRAIN」なのですが、この曲を参考しようと思って作詞している間に、そのことを忘れてしまい、あまり参考にしなかった節があります。それに気付いてとってつけてしましました。それが「輝く未来へ  進めよ Let Go!!」のところです。そして、もう1曲はPCゲーム「まいてつ」の最後の曲、「ナインスターズ」です。この曲は未来へと進もうとする姿を歌った曲であります。この曲に触発されたのか、明るい曲調を意識して作詞しました。

 少し長くなりましたが、これからについて語りたいと思います。まず、この作品ですが、来週はいつものサプライズをしたいと思っております。そして、次の章で最後となります。「ラブライブUC 最終章」として展開していく予定です。といっても、今のところ、プロットすらできない状況です。それでも近いうちに投稿したいと思います。それがいつになるかはわかりませんが。そして、投稿している4コマ「ねこねこらいおん」ですが、もう少し続きます。どうぞお楽しみください。

 ということで、少し長いですが、あとがきとさせていただきます。読んで頂きありがとうございます。それでは次回をお楽しみに。さよなら、さよなら、さよなら。




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

人物設定 その2

高坂雪穂

 音乃木坂学院卒。元オメガマックスのリーダー。わりとしっかりものだが、と突猛進のところがあり、ちょっと抜けていたりとする。当初は大学ではアイドル活動をしないと決めていたが、あることがきっかけでまたアイドル活動をすることになる。

阿蘇カオル

 福博女子大学付属卒。イタズラ好き。なにかあるとすぐにイタズラを行う。しかし、がんばり屋さんであり、大学にはいってからもいつでもアイドル活動ができるようにダンス練習などをしていた。そして、雪穂と一緒に活動するようになると、さらに練習をするようになる。

渋谷ヒカリ

 今どきの若者。休みの日であっても友達と一緒に遊びに行く。夢は入学当初はなかったが、雪穂との運命?の出会いをもとに、ユニドルへの道をまい進するようになる。といっても、なれたからって夢は叶うと思ったらしく、練習をあまりしなかったりする。長く黒い髪がお気に入りだが、とある理由で短髪になる。

川崎空

 川崎ツインズの姉。雪穂たちとは学年が1つ下になる。歌詞を担当する。開始を作るのは1人で作るのがいいということで、引きこもることが多い。「なぞの音楽屋さん」のサイト作成を請け負っている。みんなとあわせるのが苦手。

川崎陸

 川崎ツインズの妹。雪穂たちとは学年が1つ下。作曲を担当する。姉と違い、作曲は活動的が良いということで、よく遊びに行くこと多い。サイト運営は姉に任せており、自分は自由気ままにしている。

小賀値イリヤ

 福博女子大学付属卒。年は雪穂たちとは2年下だが、飛び級で入学してきた。入学した理由は、憧れていたカオルと同じ道を進みたいから。長い金髪がトレードマークは変わらずだが、1年間一生懸命勉強していたのか、流行には疎くなっている。

 

渋谷ヒカリ→文化の中心地渋谷+ヒカリ(光)

川崎空・川崎陸→音楽の街川崎+空と陸

小賀値イリヤ→長崎にある島の名前+外国語ぽい名前.

 

あとがき

 

 みなさん、こんにちは。La55です。サプライズですが、やっぱり人物設定でした。みなさん、どうでしたか。「BeaT」の設定だけですがだしてみました。では、それ以外の設定は?とお思いだと思いますが、前回の設定を参照しております。それ以外の人物(「ビースト編」のちくしなど)は文章を書いている最中に思い付きで書いてしまったので、ちゃんとした設定がありませんでした。それはそれで問題なのですが…?

 

 で、今回お話するのが、「ラブライブUC 第2章」についてです。今回、5つの物語があって、最後の物語である「ユニライブ」に集結する形をとっております。自分自身としてはこれは一つの大きな試みでした。これまでみたい、そして、普通の小説みたいにただ時系列通りに話が進むのでは面白くないと思い、今回は全く異なるテーマの小説を5つ書き、それが最後に一つの物語になるようにしました。もしかすると読みにくいかもしれませんが、最後まで読んでいてくれた方、本当にありがとうございます。また、「いいね」をしてくれた方にも御礼申し上げます。

 

 「ラブライブUC 最終章」ですが、投稿がいつになるかわかりません。それでもお待ちして頂けたらさいわいです。それではさよなら、さよなら、さよなら。

 

追記2017/10/27

 みなさん、こんにちは。La55です。「ラブライブUC 第2章」が終わって1ヶ月が過ぎようとしております。みなさま、お元気でしたでしょうか。

 

 ところで、みなさまにお礼を言わなければなりません。ピクシブでの自分の小説の閲覧数が1万を突破しました。また、ハーメルンでも「ラブライブΩ・UC」のUA数でも5千を突破いたしました。本当にありがとうございます。とはいっても、ピクシブの場合、最初に投稿した「謎のドリンク」が全体の15%を占めますし、ハーメルンも「ラブライブΩ」の第1話が全体の15%を占めるので、なんとも言えないのが現状ですが…。それでも、本当にありがとうと言いたいと思います。繰り返しになりますが、本当にありがとうございます。じつのところ、多くの方に読まれてくれたのか、考えた際、ターニングポイントとして、ハーメルンでの1人の読者の感想が大きかったの思います。今は読めないのですが、最初、タグを「ラブライブ」していたのを指摘、そして、それではタグ検索で「その他」に分類されてしまうということで、「ラブライブ!」とタグ編集した方がよいというものでした。「!」とたった一文字入れていなかったためにあまり読まれていないことに気付いたので、タグ編集を行った結果、閲覧数、UA数が伸びました。その意味でも、感想はとても大切なものだと思いました。指摘をしてくれた読者には本当にお礼を言いたいと思います。

 

 で、現状ですが、「ラブライブUC 最終章」のプロットはできましたが、まだ、歌と本編はできておりません。近々作りたいと思っておりますが、このようの状況ですので、投稿時期については未定とさせていただきます。それとは別にこの作品の外伝を作ってみたいなとも考えております。ただ、それもまだ未定です。

 

 ということで、もう暫らくお待ちいただけたら幸いと思っております。お待ちしている間、ピクシブだけですが、「ねこねこらいおん」という4コマ漫画も投稿しておりますので見ていただけたら幸いです。今日からセカンドシーズンが始まります。そちらの方も宜しくお願いいたします。それでは、また会う日まで、さよなら、さよなら、さよなら。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 最終章
ラブライブUC 最終章 プロローグ


「ついに始まりました。大学生アイドル、ユニドルのラブライブ、ユニドル選手権、ユニライブ。今まさに暑い火蓋が切って落とされます」

いつものレポーターの言葉によってユニライブは始まった。

「みんな~、元気かい~」

オー!!

レポーターの言葉は会場にいる観客すべてを巻き込もうとしていた。

「まだ声が小さい。みんな~、元気か~い」

オー!!!!

「これこそユニライブだよ。では、予選を勝ち抜いてきた者たちを紹介するぜ」

観客をたきつけたレポーター、決勝進出グループを紹介し始める。

「まず、最初に全員が先生希望らしいが、なぜかユニドル続けています。日本橋女子大学のユニドル、「HeaT」!!」

レポーターに呼ばれ、壇上に立つ雪穂たち。雪穂を先頭にカオル、ヒカリ、陸、空、イリヤの順に入ってくる。

「やっとここまで来たんだね」

雪穂はこう言うと、カオルは、

「とても長かったよ。でも、私のサポートなしじゃ来られなかったよ」

と、雪穂に告げる。雪穂はこれに対し、

「それは言えるかもしれないね。ちょっと空回りもしたときもあるけど」

と言うと、カオルは、

「おいおい」

と、ツッコむ。

 ヒカリはこの2人のやり取りを見て、雪穂に言った。

「でも、去年もユニライブ決勝に出たんだから、とても長くないのでは?」

これに対し、雪穂、

「たしかに去年も決勝出たけど、それでも今回のユニライブはこれまでの集大成としてやっていきたいんだよ。それに、かつての仲間が揃うなんてそうそうにないからね」

と、言って、雪穂たちの隣を見た。

「次はスクールアイドルに続いてユニドルも国際化!!北海外国語大学のユニドル、iD+(プラス)!!」

レポーターの紹介と共にステージに駆け込んできたのは。

「こんにちは~」

と流暢な日本語で話したナンシー、

「私、まだ、日本に、来た。アイドル、ロシアに、広める、ために」

と、いつもの通りの言葉使いをするナターシャ、そして、

「私のことを忘れないで~」

と、少し涙目の亜里沙だった。

 さらにレポーターの紹介は続く。

「今度は九州から、絶対女王は伊達じゃない。九州が生んだかわいい小娘たち。その名は福博女子大学のユニドル、「博多小娘」!!」

「私たちは楽しく、そして、勝つためにここまで来ました、私の力で!!」

と、天が叫ぶと、つかさず、

「私の力じゃないでしょ。私たちの力でしょ!!」

と、愛がツッコんだ。それを見ていたあや、夕、羽衣、イネ、ゆずは少しはみかんでいた。

 レポーター、次の紹介は・・・。

「天才はどうして現れるのか。医者の卵、だが、ユニドル。陸上日本のエース、なのに、ユニドル。2人の天才が組んだハーモニー。東都大学のユニドル、「H&H」!!」

この言葉に、

「私の知力を凌駕するアイドル、出てきてください!!」

と、はるか、堂々と挑発すると、

「はいはい」

と、はやてがはるかを抑えようとしていた。

 このあと、ほかのユニドルたちを紹介するレポーター。そして、最後のユニドルを紹介する。

「最後は、去年は「博多小娘」にあと一歩及ばず準優勝。だが、今年はあのスクールアイドル界を席巻したあの双子が加入しパワーアップ。今年こそ優勝を狙う!!大総大学のユニドル、「ビースト」!!」

これを聞いて、

「去年は愛さんたちに負けちゃったから、今年こそリベンジ!!」

と、みやこが言って出てくると、その横から、

「ユニドル界も私たちの天下で決まり!!」

と、ここあが張り切りしすぎると、

「にこ姉さま、私たちを見守ってくださいです~」

と、こころも祈りながら出てきた。

「かつての仲間がひとつの舞台でライバル同士で戦える。そんな幸せなことなんてないと思うよ」

雪穂はかつての仲間たちを見てこう言うと、ヒカリも、

「そうですね。こんなすごい人たちと戦えるなんて、もうないかもしれませんからね」

と、穏やかに答えた。

 

「これで開会式は終わるよ~。でもね、これからすごいステージが見られるからね。もう少し待っててね」

 ユニドルたちはこの言葉で舞台袖に移動した。そして、雪穂はあるところに移動していた。そこにいたのはかつての仲間たちだった。

「亜里沙、みやこ、愛、はるか、はやて、こころ、ここあ、お久しぶり」

雪穂が言うと、みやこは、

「お元気でしたか」

と言うと、愛も、

「私は元気ですわ」

と言って、はるかは、

「まさか、ここで集まるとは奇跡です」

と言い、はやても、

「たしかに奇跡だ」

と、驚いて言った。これに対し、ここあは、

「でも事実は事実だよ」

と言うと、こころは、

「昔に戻った感じです~」

と言う。しかし、その横からヒカリが、

「でも、こころさんとここあさん以外は去年も一緒にいたのでは」

とツッコむと、雪穂、

「その時以来だし、こころとここあとは3年ぶりだもんね」

と言う。これを聞いたヒカリは、

「たしかにそうですね」

と、納得していた。

 そして、亜里沙はあることを言った。

「また、私たち8人で何か出来そうな感じがする~」

と言うと、雪穂、

「ここで来たのは何かの縁、久しぶりに何かしようか」

と言い出す。これに対し、亜里沙たち7人は、

「「「「「「「オー!!」」」」」」」

と答えた。

 すると、愛は、

「このあとで・・・」

と、不気味な笑いをすると、雪穂は、

「?」

と、少しかしこまった表情をしていた。

 

「それでは、ユニドルのみなさん、それぞれの楽屋に戻ってください」

大会スタッフの掛け声を聞いた雪穂、

「それじゃ、またあとでね」

と言うと、亜里沙たちも、

「またあとでね」

と言って別れた。

「しかし、この一年、いろんなことがあったなぁ」

雪穂は自分たちの楽屋に着くと、この1年で起こったことを思い返していた。

「たしかにいろんなことがありましたね」

と、ヒカリも雪穂と一緒に思い返していた。

 そう、この1年、いろんなことがあった。それはほかのメンバーも同じことだった。亜里沙たちもこの1年に起きた出来事を思い返していた。

 これから語られる物語はこの1年で起こった物語である。さて、どんな物語が語られるのだろうか。

 




あとがき

 みなさん、お久しぶりです。La55です。長い間お待たせいたしまして申し訳ございません。ようやく再開できるはこびとなりました。「ラブライブUC最終章」、ついに開幕です。初めての方、お久しぶりの方にちょっとこの小説の説明を少し。この小説は大学生となった高坂穂乃果の妹、高坂雪穂などが大学生アイドル、ユニドルとして活躍していく二次創作小説です。ちなみに、高校時代をつづった二次創作小説「ラブライブΩ」もあわせてご覧ください。ここで注意。この小説は二次創作です。ここ重要。二次創作です。ご注意を。

 で、最終章なのですが、物語の長さからいえば、第2章と比べて少ないです。第1章と同じくらいかもしれません。この物語には5つのユニドルグループが出てくるのですが、この章では一グループにつき、1~2話分しかありません。というより、ほとんどのグループは1話分しかありません。第2章では、一グループにつき2~3話分あったのですが、今回は1話完結を目指しました。そのほうが読者のほうも最後まで一気に読めるかなと思い1話完結を多くしました(でも、本当は書く時間がなかったのが原因かもしれない…)。とはいえ、物語のほうは1グループ1話であっても面白さは凝縮しているつもりです…、というより、1話のなかに内容が濃い物語を凝縮したつもりが、ふたを開けてみれば、ノート10ページ分(4000~5000字)の予定がノート14~16ページ分(7000~8000字)になってしまうとは…。とほほ。

 で、小説の内容なのですが、全グループともユニドルの祭典、ユニライブ決勝に進出しております(それは今回のプロローグを読んでもらったら気づいてくれたと思っております)。なんでこのプロローグなのかといいますと、それは前作「ラブライブΩ 最終章」グランドエンディングの内容とリンクしているからです。前作を読んでいる方ならお分かりだと思いますが、前作のグランドエンディングと今回のプロローグがつながっております。なので、この最終章はそのグループのメンバーがこの1年に起こったことを思い返すことで物語がはじまります。これまでの第1章、第2章と話の流れが違います。ご注意ください。

 突然ですが、ここでお知らせですが、3点ほどご連絡があります。
①この二次創作小説はピクシブ、ハーメルンの2つの小説投稿サイトに投稿しておりますが、ピクシブにも予約投稿が実装されたので、この機能を使い、二つのサイトとも、毎週金曜の17時25分に最新話を投稿するようにしたいと思います(ちなみに、なぜこの時間なのかというと、LA55の55から(5×5=)25だから)。これまではピクシブで予約投稿できなかったので、ハーメルンでは予約投稿機能を使い、17時25分に投稿しているのに、ピクシブのみ、諸事情により、木曜投稿だったり、金曜でも夜の投稿になったりとタイムラグが発生していました。これがなくなり、ピクシブ、ハーメルン、ともに同じ時間から読めるようになります。ただし、まだ、ピクシブ予約投稿を試したことがないので、実施できるかは不透明かも…。
②「ラブライブUC 最終章」ですが、今年の3月の最終金曜まで毎週金曜に投稿する予定です。そして、4月1日にこの物語の特別編を投稿する予定です。ちなみに、4月1日はエイプリルフール、なのですが、2年前、この二次創作小説の原点と言うべき、「ラブライブΩ 第1話」が投稿された日なのです。お楽しみにお待ちください。
③で、この最終章なのですが、各グループの物語に「μ’s」メンバーが特別参加します。それも重要な役どころです。これも二次創作小説の醍醐味かもしれません。どんな役どころなのかは読んでみてのお楽しみに。

 と、いうことで、長くなりましたが、あとがきもあと少しで終了です。読んでいただきありがとうございます。現在、小説は最後の一歩手前まで書き終えております。また、下書きは手書きのため、パソコンへの打ち込みが必要なのですが、それもおよそ半分まで打ち込みは終了しております。あとは予定通り投稿していくつもりです。そのつもりでおりますので、お待ちいただけますようお願いいたします。それでは、次週まで、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 最終章 ビースト編

「この3人でここまで来られたんだな」

楽屋に着いたみやこは考えていた。その横には、

「今年こそ優勝をする!!」

と、ここあが叫んでいると、

「そうです。私たちこそ今年のユニライブで優勝するのです~」

と、こころが口添えをしていた。

「たしかに、今の私たちの力ならいけるかもしれません」

と、マネージャー役のぼたんが言うと、

「いろんな苦難を乗り越えてきたからいるのです」

と、同じくマネージャー役のつくしも答える。

 これを聞いたみやこ、

「たしかにこの1年、みんなのプロジェクトとして分裂の危機があったもんね」

と、何かを思い返そうとしていた。

 

ラブライブUC 最終章 ビースト編 「まぜて危険?」

 

 話は4月にさかのぼる。

「ここがみやこ姉さんのいる大総大学なんだね」

と、小さな子どもっぽい新入生が門の前に立っていた。

「そうです、そうです。ここがみやこ姉さまがいる大総大学です~」

と、これまた小さな子どもっぽい新入生がもう1人門の前に立っていた。これを見ていた大総大学の学生は2人の新入生を見て、

「なんてかわいい」

「こんな新入生がいるなんて、うちの大学も捨てたもんじゃないよね」

と、2人のかわいらしさなどからざわついていた。

 すると、ある大学生がその2人を見てあることに気づいた。

「あれって、もしかして、去年のスクールアイドル界を席巻した矢澤姉妹じゃないか」

「そうだよ。あの2人はスクールアイドル界に旋風を起こした矢澤姉妹に間違いないよ」

これを聞いた小さな子どもっぽい新入生その1は言った。

「たしかに、私こそ、あの矢澤にこを姉にもつ矢澤ここあ!!」

その隣にいた小さな子どもっぽい新入生その2も言った。

「そして、私は矢澤こころです~」

そして、二人揃って言う。

「「私たちこそ、矢澤シスターズ、またの名をこころあ(です~)!!」」

そう、この2人こそ、伝説のスクールアイドル「μ’s」のメンバーの1人、矢澤にこの双子の妹にして、そして、3年前のラブライブを優勝した、これまた伝説のスクールアイドル「オメガマックス」のメンバー、そして、去年のスクールアイドル界を席巻した双子、矢澤シスターズ、またの名をこころあであった。

「あのこころあがうちの大学に入学するなんて」

「これでうちの大学の株もあがるぞ」

こう言っている大学生たちを横目にここあは、

「そうです。私たちがいればこの大学は日本一になるのも時間の問題!!」

と、自慢そうに言うが、その横にいるこころは、

「それは気負いすぎです~」

と、少し控えめに言う。これを見ていた大学生たち、

ドッキューン

と、なにか心が射抜かれた感じになっていた。

 

「おーい、こころあがうちの大学に入学してきたぞ」

こころあの入学のことは1日も経たずに大学中に広がってきた。

「あのこころあがうちの大学に入学してきたということは、ユニドルとして活動するんだよね」

「そうに違いない。これで今年のユニライブは優勝間違いない!!」

と、大学中が騒然となっていた。また、こころあがユニドルとして活動することにより、今年こそユニライブに優勝できるのではという憶測も広がっていた。

 

 だが、すぐに、それはあるものによって悲鳴に変わった。

「そういえば、この大学にはすでにユニドルいたよな~」

「そうだよ。たしか、去年度のユニライブに準優勝したあの人が~」

そう、みんなは思い出していた。たった1人で始め、今ではソロプロジェクトとして多くの学生がかかわっているプロジェクトが・・・。

「京城みやこさんだよ。たしか、ビーストというソロプロジェクトをしていたよね」

そう、みやこ率いるソロプロジェクト、ビーストがすでに大総大学のユニドルとして活動していたのだった。

「と、いうことはビーストとこころあの二組が、この大総大学のユニドルの座をめぐってバトルが・・・」

「それはいやー」

二組が大総大学のユニドルの座をめぐって戦いを繰り広げる、そんな憶測がすぐに学内をめぐっていった。

 学内では二組の戦いを望むもの、そして、それを避けようとするものの二つに分かれようとしていた。

 しかし、その憶測もある2人の行動によって収まることとなる。

 

コンコン

「みやこ姉さん、いますか」

ビーストの部室、もとい、ビーストプロジェクト本部の前にある学生がドアを叩いてみやこを呼んでいた。

「みやこ姉さま、いませんか」

その隣にいる学生もみやこを呼んでいた。

「はい、どうぞ」

本部の中にいたみやこはドアを開いた。みやこは本部で筋トレの最中であった。アクション、アクロバットを特徴とするビーストにとって体を鍛えるのがとても大切なことであった。

 みやこがドアを開けると、

「みやこ姉さん、会いたかった」

と、突然その学生がみやこに飛び掛ってきた。

「みやこ姉さま、私も会いたかったです~」

と、もう1人の学生もみやこに飛び込んできた。

「こころに、ここあ、お久しぶり」

と、みやこは飛び込んできた学生、こころとここあを抱きしめてこう言った。

 すると、ここあがこう言った。

「私たち、みやこ姉さんと一緒に大学生活をしたくて、二人揃って大総大学を受験したんだよ」

さらにこころも、

「そうです、そうです。私はみやこ姉さまなしでは生きられないで~す」

と、みやこに対して言った。

 対するみやこ、

「こころ、ここあ、1年間待っていたよ。また2人に会えるなんて、私は幸せだよ」

と、2人をハグして答えていた。

 ハグを終えた3人。こころはみやこに聞いた。

「ところで、今、何をしているのですか」

これを聞いたみやこ、すぐに答える。

「私はこの大学でソロプロジェクトとしてユニドルやっているんだ。1年前、(こころあ)2人が私の家を訪ねてからまもなくソロプロジェクトとしてユニドル、ビーストを始めたんだ。そして、私1人だったのが、ぼたんにつくし、そして、いろんな人たちが力を貸してくれて、そして、私を中心としたソロプロジェクトとして成長したんだよ」

その隣にいたぼたんは力強く言った。

「みんなが力をあわせた結果、去年度のユニライブは準優勝したんだよ」

さらに、隣にいたつくしは力強く言った。

「そうだよ。私たちが力をあわせたら今年こそ優勝できるぞ」

これを聞いたこころ、あることを思いついてみやこに聞いてみた。

「そのビーストってまだ募集していますか?」

これを聞いたみやこ、

「たしか、プロジェクトメンバーはまだまだ募集していたよね。ぼたんさん」

と言うと、ぼたん、

「たしかに、去年度卒業していったプロジェクトメンバーの補充を考えていたところなんだ」

と言い、つくしも、

「新入生にも声をかけようとしているところなんだ」

と言った。

 これを聞いたここあ、

「それだったら、私たちもそのメンバーに入りたい!!」

と言い出し、こころも、

「私も入りたいです~」

と言い出した。

 これを聞いたみやこ、

「それは大歓迎だよ」

と喜び、みやこはぼたんとつくしを見ると、

「たしかに、私たちも大歓迎だよ」

と、ぼたんは喜んでいたが、つくしは、

「でも、スクールアイドルとして実績もあるこころちゃん、ここあちゃんにとって裏方の仕事をさせるのもねぇ」

と、少し心配そうに言う。

 だが、これに対して、ここあはあることを言った。

「だれが裏方をすると言ったんですか。私たちはみやこ姉さんと一緒にステージに立つのです!!」

そして、こころも、

「そうです。私たちはみやこ姉さまとともにステージに立つのです」

「・・・」

これを聞いたぼたんとつくしはただ呆然としていた。

 

 こころあがビーストに参加するということはすぐに学内を巡りめぐった。それまであったビーストとこころあの大総大学のユニドルの座をめぐる戦いは杞憂に終わった。しかし、ビーストのステージにみやことともにこころあが立つことに関してはプロジェクトメンバーの間でも論争になっていた。なぜなら・・・。

「ビーストってアクション、アクロバットを売りにしていたよね。それってあのこころあにもさせようとするのかね」

「そうだよ。あのこころあ、スクールアイドル時代はかわいさを前面に売りにしていたよね。それが、アクション、アクロバットが売りのビーストになじむのかね」

そう、ビーストの売りはアクション、アクロバットであった。対して、こころあはにこゆずりのかわいさを前面に出していたのだった。それを考えた場合、水と油のような関係にならないか心配してのことだった。

 

 このこころあの論争はついにプロジェクトメンバーをがっつり二つに分けてしまった。こころあをフロントメンバーとして受け入れる派と、受け入れない派に分けてしまった。

「こころあがいれば、化学反応が起こって、今年こそユニライブ優勝できる!!」

「いや、逆に水と油になってしまって、予選敗退になりえなくもない」

と、この論争が1週間も続いた。

 これを見ていた当事者のこころは、

「私たちはみやこ姉さんと一緒にやれば絶対うまくいくのです」

と、受け入れる派に発破をかけると、こころも、

「そうです、そうです。絶対うまくいくのです~」

と、さらに発破をかける。

 対して、受け入れられない派は、

「当事者であるこころあが発破をかけている。これではいけない。みやこさんを中心としたソロプロジェクトのままの方がいい」

「そうだ、そうだ」

と譲る気配がなかった。

 ちなみにみやこは、

「う~、これじゃプロジェクト自体が空中分解してしまうよ~」

と、困り顔だった。

 

 1週間後、この様子を見ていたある組織がついに動き出した。

「私たちは学生会である。このような事態はゆゆしきことである。そのため、すぐにでも解決しないといけない」

学生かはソロプロジェクト本部に入ってくるなり、みやこ、ぼたん、つくしなどソロプロジェクトの中心メンバーに向かってこう言い出した。

「学生会・・・」

みやこはただ呆然としていた。

「なんで学生会がしゃしゃりでてきたのですか」

と、ぼたんが学生会に反抗すると、

「学生会は部活動、サークル活動を取り締まっている。むろん、このプロジェクトで起こっている問題は、今や、学内を巻き込んでいる。これではみんなの学生生活に支障がでてしまう」

と、学生会も反論する。

「・・・」

と、つくしが何も反抗できないことをみると、学生会はある提案をみやこたちにしてきた。

「明日、一番大きな教室にプロジェクトメンバー全員を集めなさい。そこで徹底的に話し合いなさい」

こう学生会が言うと、みやこたちもただただ従うしかなかった。

 

 翌日、すべての授業が終わったあと、プロジェクトメンバー全員が学内の中で一番大きな教室に集まった。

「それにしても、ちょうど半分に分かれるなんて・・・」

と、ぼたんはびっくりしていた。こころあをフロントメンバーに受け入れる派、受け入れない派が教室の中心線を境にちょうど分かれていたのだった。受け入れる派半分、受け入れない派半分。

「いまからこころあをフロントメンバーに受け入れるか、受け入れないか、話し合いで決めてほしい」

つくしはそう言うと、みやこはプロジェクトメンバーに向けてこう言った。

「ここで決めたことはこれから先、文句を言わないでほしい。全員の総意としてください」

これを聞いたプロジェクトメンバー全員がうなずく。

 そして、論争が始まった。

 ちょうどそのころ、大学の門のところにある2人組が立っていた。

「ここが妹たちが進んだ大学なんだね。妹たち、元気にしているかな」

と、有る人物が言うと、

「あんまり大事にしないでね」

と、隣にいた人物が心配そうに言った。

 

「こころあがいればユニライブ優勝は間違いない!!」

「いや、逆に悪くなってしまう」

論争は一時間たっても平行線のままだった。

「こころあはスクールアイドル界を圧巻した実績がある。それ加われば百人力だ」

「いや、逆に水と油の状態になってしまう。逆効果になってしまう」

いろんなところから賛成意見、反対意見がでてくる。ただし、それだけであった。ひとつにまとめるような意見はなかった。

「う~、このままじゃまとまらないよ~」

と、みやこ、泣きそうになる。

「だれかこの場をまとめられる人はいないのかな」

と、ぼたんが言うと、

「そんな人、いないよ~」

と、ちくしが嘆く。この場にいた学生会のメンバーは、

「このままじゃらちがあかない。このままじゃ空中分解かな」

と、心配そうにしていた。ちなみに、こころあはこのとき、

「まだ決まらないのかな」

と、ここあが言うと、こころも、

「はやく決めてほしいです~」

と、他人のような素振りをしていた。

 そして、みやこはこう言い出した。

「だれか助けて~」

 そんなとき、

バ~ン

と、ドアが突然開いて、人があらわれた。

「まちなさ~い。この論争、私たちも参加するよ~」

だれか見覚えのある顔があらわれると、いきなりこう言った。

 続けて、これも見覚えのある顔があらわれて、こう言った。

「にこちゃ~ん、突然すぎだよ~」

これを見ていたこころあ、すぐにその人物に寄り付く。

「にこ姉ちゃ~ん、会いたかったよ~」

ここあがこう言ってその人物に抱きつくと、こころも、

「にこ姉さま、私も会いたかったです~」

と、抱きついてきた。

「にこさんにことりさん、なんでここに」

みやこはただ呆然として言った。そう、そこにいたのはあの伝説のスクールアイドル、μ’sのメンバーの1人、矢澤にこと南ことりだったのだ。

 にこはみやこにこう言った。

「私の妹がお世話になっていると思って訪ねてきたのだ、にこにこに~」

そして、ことりもみやこにこう言った。

「私はにこちゃんの付き添い。でも、こんな場面につきそうなんて・・・」

 にこはこころあをあやすなり、プロジェクトメンバーを見回してこう言った。

「で、どうしてこんなに人が集まってきてるの?」

これに対して、みやこは説明する。

「実はフロントメンバーとしてこころあ、いや、にこさんの妹さんをいれるか問題になっていまして・・・」

これを聞いたにこ、

「たったそれだけで問題になっているのか~」

と言うと、これを聞いた受け入れない派のメンバーからにこに向かって言う。

「私たちはこれまでみやこさんのソロプロジェクトとしてやってきました。こころあはかわいさを前面にだしたグループ。対して、みやこさんはアクション、アクロバットを中心とするもの。水と油の関係です」

 これに対して、にこは怒り始めてこう言った。

「それがどうだっていうの。それって関係ないでしょ。最初から決めつけるなんてどうしようもないでしょ」

これを聞いた受け入れない派のメンバーは恐縮した。

 にこの言葉は続く。

「最初から決めつけるなんてちょっとおかしいでしょ。まだ試していないのに。一度試してみてから言いなさいよ」

これには受け入れない派のメンバーには言い換えられない状況だった。

「やっぱり私たちの意見があっているんだ」

と、受け入れる派は一同に喜ぶ。

 しかし、これに対してもにこは怒った。

「受け入れる派も一緒!!自分たちの言い分だけを主張するだけではプロジェクトを分断してしまう。そのことを考えていなかったの」

これを聞いた受け入れる派も一瞬でしゅんとなる。

 にこはすぐにみやこに近づき、こう言った。

「みやこ、あなたにこころあを、私の妹たちを託すわ。あの2人を一流のユニドルに、そして、アイドルにしてほしいの」

そして、すぐににこはこう言った。

「て、私、ちょっとぶりっこしちゃった。にこにこに~」

ドテッ

みんながこけてしまった。

 この様子を見ていたことりはすぐに壇上にあがった。

「みんなに言いたいことがあるの~」

ことりの言葉に周りはシーンとする。ことりはそれを見てこう言った。

「たしかに個性は人によってかわるものなの。みんなにとってそんな人たちと付き合うことが多いものなの。でもね、そういった人たちと上手に付き合うことが大事なの。今回のこともそう。かわいさとアクションは水と油の関係なのかもしれないけど、どんな化学反応を見せるのかわからないから面白いの」

そして、ことりはみやこに向かってこう言った。

「μ’sのときも個性的なメンバー同士で上手に付き合ってきたからラブライブ優勝までできたと思うの。だから、忘れないで、みやこちゃんならこころあと一緒にやっていけると思うよ」

 これを聞いたみやこ、

「はい、ことりさんの言うとおりですね。私、忘れていました、どんなときでも個性的なメンバー同士でもやっていけることが」

これを聞いたにこ、みやこに向かってあることを言い出した。

「そうだよ、みやこ。たしか、これまでもこころあと一緒にいろいろやってきたでしょ」

エー

これを聞いたプロジェクトメンバー全てが驚いていた。みやこいわく、

「たしかに。3年前にはこころあと一緒に、オメガマックスとしてラブライブ優勝していますし、オメガマックス解散後はこころあと一緒に一年間スクールアイドルとして活動していましたし・・・」

これを聞いたぼたん言う。

「今、しれっと大事なこと言っていたよね。こころあと一緒に活動していたことを」

それに対して、みやこ、

「たしかにこれまで言ってきませんでしたね~」

と言うと、これを聞いていたつくし、みやこに対して一言。

「それを最初に言え~」

「言え~」

と、つくしに続いてプロジェクトメンバー全員からみやこに向かって総ツッコミ。

「ごめんなさ~い」

と、みやこ、謝る。

 こうして、全員一致でこころあをフロントメンバーに迎えることが決まり、ビーストはみやこのソロプロジェクトからこころあを加えたプロジェクトとして生まれ変わった。

 

 だが、これからが大変だった、みやこのアクション、アクロバットにこころあのかわいさをあわせるのに。プロジェクトメンバーは試行錯誤を繰り返しながらステージ構成を考えていった。みやこ、こころあも一緒に考えながらやっていった。

 こうして、プロジェクトメンバー同士で考えぬいた末、アクション、アクロバット、かわいさ全てを前面に出ている曲が出来上がった。ビーストはこれをもとにユニライブ予選から参加、そして、2年連続で決勝に進出できたのだった。

 

「「ビースト」さん、準備をお願いします」

この1年起こったことを思い出していたみやこ、こころ、ここあ、ぼたん、つくしは大会スタッフの声を聞いてわれに返っていった。

「あの騒ぎのお陰で私たちはひとつになれたんだ」

みやこはこう言うと、ここあも、

「そうですね。だからこそ、今度は優勝です」

と言うと、こころも、

「優勝、優勝です~」

と叫んでいた。

「さあて、私たちは舞台袖で見ていますから、ここ一番の元気を見せてください」

と、ぼたんが言うと、

「今度こそ優勝を大総大学にもたらして下さい」

と、ちくしも言った。

「ああ。優勝あるのみ!!」

と、みやこが言うと、みやことこころあは3人でステージへと駆け上がった。

 

 3人はステージ上に着くとあることを口にした。

「私たちのステージは日本一、いや、世界一です」

ここあが言うと、こころも、

「そうです、そうです。それを見せつけるので~す」

と言い、みやこは、

「それじゃいくで~」

と叫ぶ。

 これを聞いたレポーター、

「それでは、名前の如く叫びまくれ。大総大学ユニドル「ビースト」、曲は「SAFARI」!!」

そして、曲が始まった。

 

ラブライブUC 最終章 ビースト 「SAFARI」

 

たくさんある

すべてがたくさんある

それが サファリ あれが サファリ

 

ウサギ シマウマ キリンにゾウ

カワイイものいれば

ライオン チーター ヒョウにトラ

コワイイものもいる

 

弱肉強食 強いものが生き残る

それでも みんな

一生懸命 一生懸命

一生懸命 一生懸命

生きている

 

全てがいる世界 それがサファリ

サファリがこの世界のルール

どんなことがあっても生きる

生きることが全てだ

タノシイこと カナシイこと

たくさんある

すべてがたくさんある

それがサファリ あれがサファリ

 

仲間 一緒 かけてーいく

タノシイことあれば

仲間を 見捨てて 逃げてーいく

カナシイこともある

 

弱肉強食 かなしきことあるけれど

一生懸命 一生懸命

一生懸命 一生懸命

生きている

 

全てがある世界 それがサファリ

なんでもおきてしまう 世界

どんなことがおきても生きる

生きることが全てだ

 

たとえ なにがあっても

イジメられていても

悲しいことがあっても

それを全てうけとめて

それを糧に生きてくれ

 

全てがいる世界 それがサファリ

サファリがこの世界のルール

どんなことがあっても生きる

生きることが全てだ

 

生きることが全てだ

 

「大総大学のユニドル、「ビースト」でした。拍手」

と、レポーターが言うと、

「「「ありがとうございました」」」

と、みやこ、こころあは礼をした。

 

3人はステージからでると、

「疲れたです~」

と、ここあが言うと、こころも、

「私もです~」

と、言って、そこに座り込んでしまった。

 みやこはそんな2人を見て、

「これで全力はだしきった。あとは天命を待つのみ」

と、すっきりした表情で言った。

「そうですよ。絶対優勝です」

と、ここあが言うと、

「そうです~、優勝です~」

と、こころも言う。

「そう願いたい。絶対に優勝したい」

と、みやこも2人を見つつ笑顔で答えた。

 




あとがき

 みんさん、こんにちは、La55です。さて、こんかいは「ビースト」編をお送りいたしました。みなさん、どうでしたか。今回はこころあの加入騒動がメインとなりました。けっこう、どたばた騒ぎみたいな展開になりましたが、おもしろかったでしょうか。

 で、今回の「μ’s」からの特別ゲストはにことことりでした。って、よく考えたらあまりみかけないコンビでしたが…。普通でしたら、にこ&真姫なのですが、これはとある理由で真姫が別のグループで出てくるため、にこ、今回はなぜかことりと組むことに…。はたして、ことりはにこを抑えることができるのか…。って、話が脱線しましたが、今回のでこぼこコンビ、いかがだったでしょうか。次回も別のメンバーが特別ゲストとして出ますので、お楽しみに。

 ここで曲の解説を少し。今回の曲、「サファリ」ですが、これは「一生懸命に生きる(人間を含む)動物への応援歌」みたいなものです。いろんなことがあったとしても、一生懸命生きることこそ全てである、そのことをいいたい曲であります。世の中に生きる動物は一生懸命生きています。たとえアリみたいな小さな動物からクジラのような大きな動物まで。人も一生懸命生きています。それを考えてみると、私たちも一生懸命生きています。この曲のように一生懸命生きてほしい、その思い出で作詞しました。みなさんもこの曲を励みに一生懸命生きてくれたら幸いです。

 さて、ここでお知らせ。現在、この二次創作小説と同じ金曜に投稿しております四コママンガ「ねこねこらいおん」のほうもよろしくお願いします。そして、この二次創作小説ですが、今のところ、最終回までパソコンへの打ち込みが終わっております。あとは、特別編を書いてパソコンに打ち込むのみとなっております。さらに、ここで重大発表になるかもしれません。この二次創作小説は最終章に突入しておりますが、次回作について3つほど考えております。一つ目は略称「IS」。ちなみに、「イスラム国」「インフィニット・ストラトス」とは関係ございません。二つ目は略称「SD」。これについてはなにもいわず。そして、三つ目は略称「ER」。実はこの名前は一度、この二次創作小説でも出てきております。このうち1つを次の次回作にしようかなと思っております。さて、どれになるのか、それはのちほどのお楽しみに。

 というわけで、今回はいかがでしたでしょうか。おもしろかったらいいのですが、もし、駄作だったらごめんなさい。最終章はまだまだ続きます。お楽しみにお待ちください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 最終章 H&H編

「まさか2年連続で決勝に進出できるなんてびっくりだよね」
楽屋に戻ったはるかははやてに対し、早速言葉をかける。
「それもそうだ。それに、まさか僕ら8人が再び集まるなんて驚きだよ」
と、はやても言葉を返す。
「でも、本当だったら、私たちにとってこれが最後のステージになる予定だったのに・・・」
と、はるかは何かを思い出したように言う。
「でも、ある人たちの言葉によって、来年以降も続けようとしている」
はるかはそのある人たちのことを思いつつ言う。
「そうだな。この1年に起こったこと、思い返そうか」
はやてはそう言うと、この1年で起こったことを思い出していた。



ラブライブUC 最終章 H&H編 「ユニドル、やめます?」

 

 ときは9月。はるかとはやては2年生になってからすでに5ヶ月が過ぎようとしていた。

「はやて、おひさしぶり」

はるかはダンス練習場にはいるなり、先に来ていたはやてに挨拶した。

「はるか、おひさしぶりだね」

はやてもはるかに対して挨拶をする。

「はやて、今年のインカレお疲れ様。まさか大学新で優勝するなんて驚いたよ」

はるかははやてに対し喜びつつも祝福していた。

「そんなはるかも新しい論文が科学雑誌に発表されたじゃないか」

はやてもはるかに対し祝福する。

 実は大学の夏休み期間中、はるかとはやてはユニドル活動をセーブし、それぞれの本業である、はるかは(医学部での)論文作り、はやては陸上に集中していた。その結果、はるかは1年かけて作った論文を科学雑誌に発表し、はやてはインカレ短距離走にて大学新をだして優勝していた。

「これでユニドルをしつつ、私たちの夢に近づいていけるような気がしてきたよ」

と、はるかは喜んでいる。

 が、逆にはやてはちょっと慎重そうな表情をしていた。それを見たはるか、

「ん、どうしたの、はやて。うれしくないの」

と、はやてに直接問うと、はやては少し考え、あることを口にした。

「たしかにユニドルをしつつ自分の夢に近づけるのはうれしいよ。でも・・・」

はやては少し口がどもった。答えを聞きたいはるか、はやてに対し、

「なんかあるの?私に話してみて」

と、はやての目を見つつ、何かを聞こうとしていた。

 はやてははるかの行動に触発されたのか、はるかに対して答えた。

「このままユニドルとして活動していいのだろうか」

これにははるかは、

「どうしたの。はやて、何かあったの?」

と、聞き返すが、はやては自分の心のうちを答えようとしていた。

「はるか、僕らは今になって思うようになったんだ、ユニドルとして活動すること、そして、大学生として勉学やスポーツに打ち込むこと、この2足のわらじの状態のまま、来年以降も続けることができるのだろうかを」

 これに対し、はるかはこう答えた。

「これまでやってこれたんじゃないか」

 だが、はやてが考えていることははるかの想像以上だった。はやていわく、

「たしかにこれまでは2足のわらじでやってきた。だけど、それはこれまでの話。これから先、僕たちは普通の大学生の生活とはかけ離れようとしている」

そして、はやてははるかに諭すように言った。

「僕たちの場合、大学生という本業の方で活動する場所が広くなろうとしている。僕の場合、インカレに優勝したことにより、陸上選手としてせかいに羽ばたこうとしている。はるかも、論文を発表したことにより、活躍の場を世界に広げようとしている。そんな状態でユニドルとして活動できるのだろうか」

 これを聞いたはるか、

「たしかにそうかも。これから先、本業のほうで忙しくなるとユニドルのほうがおろそかになる。逆にユニドルをメインにすると、本業のほうに支障がでるし、自分の体に異変がおきるかもしれない・・・」

と、少し考えるようになる。

 はるかが考えて1分後、はるかの口からある言葉が出てくる。

「今度のユニライブでユニドルとしての活動をやめよう。二兎追うもの一兎を得ず、だよ。本業である大学生としての勉学、スポーツをおろそかにすることはできない」

 これを聞いたはやて、

「たしかにそうだな。本業である大学生としての活動、ユニドルの活動、どちらかに力をいれてしまうと、もう一方のほうがおろそかになってしまう。逆に両方ともやってしまうと、今度は自分たちの体がもたない。ここが潮時かもしれないな」

と、言うと、はるかに向かってこう言い放った。

「はるか、今度の月曜にも学長に自分たちの気持ちを伝えよう、今度のユニライブをもってユニドルとしての活動をやめることを」

これを聞いたはるか、

「わかった。今度の月曜に学長に伝えよう」

と答え、大きくうなずいていた。

 

 翌朝・・・。

「で、なんのようだね」

と、はるかとはやて、2人の前に立つ大男、学長は眼孔を強く開いて2人に問うた。2人は昨日のうちに学長にアポをとり、いのいちばんに学長に会うことにしたのだった。

「実はお話したいことがあります・・・」

はるかはちょっとおびえるように言う。学長のギランとした眼にはるかはおびえていた。

「ほほ~、もしかして代々木(はるか)さんが論文を発表したこと、神宮(はやて)さんがインカレで優勝したことをお祝いしてもらいたいのかね。それについては後日、大々的に祝賀会を開くことにしよう。これでわが校のユニドル「H&H」の人気は不動に・・・」

学長が声を高々に言っている最中に、ある言葉がその声を遮る。

「ちょっと待ってください」

学長の声を遮ったのははやてだった。

「そのユニドルについてお話したいことがあります」

はやては学長に向かって言う。でも、男勝りのはやてであっても学長の前で堂々と言うのはちょっと怖かった。げんに、はやては震えていた。

 だが、はやては勇気を振り絞って学長に言った。

「僕たちは今度のユニライブをもってユニドル活動をやめようと思っております」

これを聞いた学長、突然びっくりしてはやての顔に迫る。

「どうしてだ。ユニドルとしてはこれから人気が出てくるんだぞ」

学長はこう言うと、顔をさらにはやての顔に近づける。

「・・・」

はやては顔を近づけてくる学長にびびり、声をあげることができなかった。

「が、学長・・・、それには理由があります」

なにもいえなくなったはやてにかわり、はるかが勇気を振り絞って言う。

「私たちはたしかにこの1年半でユニドルとしてユニライブ決勝に進出しましたし、大学生の学業として論文を発表したり、インカレで優勝したりと、両面で結果をだしてきました。しかし、これ以上両面で頑張った場合、共倒れしてしまう可能性があります。それ以上に、どちらかを頑張ればその一方が疎かになることもあります」

 これを聞いた学長、

「たしかにそうなる可能性があるかな」

と、一応納得しているようにみえたが、

「だが、それでは困るんだな」

と、すぐに手のひらをかえしたがごとく言う。

 学長の話は続く。

「わが校の顔であるユニドル「H&H」の活躍によって、まわりから硬いイメージが払拭されようとしている。そればかりか、わが校の入学希望者数は去年度過去最高をたたきだした。わが校のためにこれからも頑張ってもらわないと困るのだが・・・」

学長は困った顔をしていた。しかし、はるかは、

「このままではどちらか一方がだめになるか、共倒れになるかのどちらかしかありません」

と、力強く言う。

 だが、学長も負けていなかった。

「「H&H」はもうわが校にとって必要不可欠な存在になっている。それがなければわが校、東都大学は終わってしまうんだ!!」

 これに対して、今度ははやてが反論する。

「僕たちなしでも東都大学はやっていけます。だって、東都大学は日本でも一番の大学、日本の最高学府かつ日本一のスポーツ校ですから」

それでも学長はひるまなかった。

「いいかね。私はユニドルをやめるのは許さない。これからもわが校のために頑張ってもらいたい」

はるか、また反論。

「このままだと、私たちがだめになります。ユニドルと学業、どちらかしか取れないなら、学業の方を取ります。自分の方が大事ですから」

はやて、はるかを援護射撃。

「僕もはるかの言うとおりと思います。僕たちにとって大事なのは、今より将来のこと、そして、まわりより自分のことです」

 だが、学長はあることを言いだした。

「代々木さんに神宮さん、もしかして自分で限界を決めていないかな」

これを聞いたはるか、

「限界ってなんですか。私が限界を決めているって言いたいのですか」

と反論。はやても、

「そうです。僕たちはそんな限界を決めているわけではありません。これ以上2つのことをやってしまうと、きっと倒れてしまうことを言いたいのです」

学長、これを聞いてはっきり言う。

「いや、限界を決めている!!」

これに対して2人は反論、

「いや、決めていない!!」

しかし、学長は聞く耳をもたず。

「言っておく、私はユニドルをやめるのは許さないからな!!」

 

 論議を打ち切られ学長室をあとにしたはるかとはやて。

「絶対に大学のことしか考えていないよ」

と、はるかは怒りながら言うと、はやても、

「たしかにそうだ。あれは絶対大学のことしか考えていない証拠だ。僕たちのことはまったく考えていないんだろうな」

と、怒りながら言う。2人の心の中は学長への怒りでいっぱいだった。

 

 そして、このはるか、はやてと学長の言い争いから1週間、はるか、はやての2人はユニドルの練習に力がはいらない状態が続いていた。

「1、2、3、はい。はるかさん、テンポが遅くなっているよ。はやてさん、動きが小さいですよ」

ダンスの先生から注意を受けるはるかとはやて。

「はい、わかりました」

と、はるかは不機嫌そうに言うと、はやても、

「わかりましたから、これ以上は言わないでください」

と、こちらも不機嫌そうに言った。

「なにかあったかわかりませんが、真面目にしないと怪我をしていしまうことにつながりかけませんからね。ちゃんと真面目にやってください」

と、ダンスの先生からさらに注意を受ける2人。

「「は~い」」

と、2人ともこれまた不真面目な返事をしていた。

 

 練習終了後、はるかとはやて2人はいつものようにとあるファミレスで遅めの夕食をとっていた。

「ダンスの先生も先生だよ。こちらはもうやる気もないのに、いろいろと言ってくる。もうほっといてくださいって感じだよ。もぐもぐ」

と、はるか、怒りながらなおかつ目の前のハンバーグ定食を食べながらはやてに向かって言うと、はやても、

「たしかに言えている。僕たちのことは無視してもいいとこちら側が思っているのも気づかずに。もぐもぐ」

と、こちらも怒りながらなおかつささ身チーズかつ定食を食べながら言う。

「学長も学長だよ。限界を決めているわけでもないのに。どうして限界を決めているって言うんだよ!!もぐもぐ」

はるかは文句を言いつつハンバーグを食べている。

「あ~も~、むしゃくしゃする。もぐもぐ」

はやても怒りながらささ身チーズかつを食べている。

「限界、限界って、その限界を迎えさせているのは大学側っていうのによ~」

はるかの怒りは頂点に達した。はるかはこう言うと、手を振り上げ机に向かって振り下ろす。

ドンッ

机を力いっぱい叩くと、その拍子に、

ぴょーん

と、持っていたフォークが通路側に飛んでいった。

「あっ」

そのフォークはきれいな放物線を描きながら栄光の架け橋として、生涯・・・、ではなかった。そのフォークはその通路を歩いていた2人組のある人物のところへ・・・。

「危ない!!」

はやての一言が聞こえたのか、その人物はすぐに華麗なステップで、

ヒョイッ

と、そのフォークをかわした。フォークはそのまま通路の床に落ちた。

「大変申し訳ございません、って、あなたは・・・」

目の前の人物にはるかは絶句した、なぜなら。

「西木野真姫さん!!」

その人物は真姫だった。

「本当に危ないんだから。たしかに私は西木野真姫だけど」

そして、はやてはその真姫の隣にいる人物にびっくりした。

「真姫さんの隣にいるのって園田海未さんですよね」

すると、もう1人の人物もはやてにむかって挨拶した。

「こんばんは、園田海未です」

はるかとはやてはびっくりした。

「なんで真姫さんと海未さんがここにいるのですか」

と、はるかがびっくりしつつ言うと、真姫は、

「私はここで食事にきたのだけど、なにかおかしいかな」

と言うと、はるかも、

「いや、ぜんぜん」

と、ちょっとひきつつ言う。

「ところで、挨拶がまだでしたね。真姫さん、海未さん、お久しぶりです。会うのは3年ぶりですね」

と、はやては海未に向かって挨拶する。

「たしか、(高坂)穂乃果の妹の雪穂の友達でしたね。たしか、神宮はやてさんと、隣にいるのは代々木はるかさんでしたね」

と、海未が挨拶すると、これを聞いたはるか、

「まさか、あの伝説のスクールアイドルミューズの海未さんに名前を覚えてもらえるなんて」

と、目をキラキラさせながら言うと、

「そういうあなたも伝説のスクールアイドルだったでしょ」

と、真姫にツッコミをいれられてしまう。

(※詳しくは前作ラブライブΩをご覧ください)

 

「ところで、どうしたんですか、大声で「限界が~」としゃべっていたのは」

と、海未がはるかに対して質問を投げかけた。ちなみに、真姫がツッコミをいれたあと、真姫と海未ははるかとはやてと顔を向かい合うように座っていた。こっち側にはるかとはやて、向かい側に真姫と海未。まるで面談をするようの雰囲気となっていた。

「実は私たち、ユニドル活動をやめようと思っているのです。それを学長に伝えたらだめだって。そして、それで自分たちで限界を決めているって言われたのです。私たちは限界を決めていないのに」

 これを聞いた真姫、つかさず聞く。

「どうしてやめようと思う?どうして?」

これを聞いたはやて、すぐに、

「僕たちはこわいのです、ユニドルと学業、スポーツの両立が、両方ともやって共倒れしてしまうことが。僕はインカレで優勝しました。はるかは論文を発表しました。これから先、僕たちは学業やスポーツをより広くやっていかないといけない。それだとユニドルとして活動しても中途半端になってしまう。その逆も然り。そして、両方とも一生懸命した場合、倒れてしまうのが関の山です」

と、自分の思いを真姫に語った。

 真姫ははやての言葉を聞いてから数秒考えたあと、意外な言葉をはるかとはやてに言った。

「本当に共倒れしてしむのかしら」

「「えっ」」

はるかとはやてはあっけらかんに驚いていた。本当に意外な言葉だった。真姫はつかさず言葉を続ける。

「たしかに私からみても学業、スポーツとユニドル、2つ同時に物事に向き合うのは大変だと思うわ。それに、はるかさんとはやてさんの2人の場合、普通の大学生と比べて忙しさのレベルが格段上でしょうし。すでに日本一のレベルかもしれないね。けど、それで本当に倒れてしまうのかな?」

これを聞いたはるか、すぐに真姫に向かって反論する。

「日本一のレベルなんですよ。共倒れしてもおかしくないレベルですよ」

 すると、真姫はある話を始めた。

「私はそう思わない。なぜなら、それを成し遂げた人たちがいるから」

「「成し遂げた人たち」」

はるかとはやては驚いていた、日本一の忙しさを成し遂げた大学生がいたことに。真姫は話を続けた。

「その人たちは福島の方で歯科医になるために大学で勉強していた。しかし、それと同時に歌手グループとして福島から、それも小さいところからアーティスト活動を始めた。そのアーティスト活動はあまりにも評判がよく、有名なレーベルが10数社との競争の末にそのアーティストを所属させたほどだった」

そして、真姫は話をさらに進めた。

「そのアーティストはやがて日本を代表するアーティストになった。発売したアルバムは日本でその年で発売されたその年を代表するアルバムの1枚となった」

すると、はるかはあることを言った。

「ということは、そのアーティストは大学の勉学が成り立たなくなり中退・・・」

だが、真姫はそれを否定した。

「いや、大学では歯科医になる勉学は続けていた。そして、そのアーティストはついに紆余曲折しながらも歯科医になるための試験に合格した」

「それで、そのアーティストは今はどうしているのですか」

はやてが聞くと、真姫はそのことについて語った。

「そのアーティストは今、各地に散らばるも、歯科医として働いている。もちろん、アーティストとしても活動を続けている」

これを聞いたはるか、すぐに、

「もしかして、そのアーティストって、あの4人組のグループで、いつもは顔を隠して活動している・・・」

というと、真姫は、

「そう。あの4人組アーティストのこと。7枚目のシングルはあの大人気ドラマの主題歌にもなったことがあるくらい、有名なアーティスト・・・」

と答えた。

 はやては真姫の話を聞いた上で、

「まさか、私たちと同じようにアーティストと学業の二束のわらじを成し遂げている人たちがいるなんて・・・」

と驚いていた。

 すると、海未はつかさずはやてにこう言った。

「たしかにアーティストとして二束のわらじを成し遂げた人たちもいるけど、スポーツと芸能人というよりもモデルとして二束のわらじを成功させている人たちもいるのです」

これを聞いたはやて、

「そんな人たちがいるのですか」

と言うと、海未はすぐにはやてに教えた。

「日本では子役にフィギュアスケートと仕事を両立させている子もいるけど、普通はいない。けど、外国に目を向けると、世界のトップレベルのテニス選手やフィギュアスケートの選手が、これも世界トップレベルのファッションショーにモデルとして参加していることが多いのです」

そして、海未ははやてにある雑誌を見せた。

「これって・・・」

はやては海未に聞くと、海未は、

「これは有名なテニス選手で、こちらが有名なフィギュア選手です」

海未が指をさした写真の人物を見ると、はやてがよく知っている選手ばかりだった。

「こんなにスポーツとモデルを両立している選手が多いなんて」

はやては驚くしかなかった。

「で、限界がどうかの話だけど…」

と、真姫は話を戻そうとしていた。

「「はい・・・」」

と、はるか、はやては姿勢を正して聞く。真姫いわく、

「限界というのは自分が最初から決めるものではない。むしろ、やる前から限界を決めていては成長できないもの」

続けて海未が言う。

「限界を感じて初めて限界をすることができます。けれど、その限界すら突破するのが一流の人たちなのです」

これを聞いたはるか、

「限界を決めていたの、私たち。そんな気持ちなかったのに・・・」

と、ちょっと気を落としつつ言うと、真姫はあることを言った。

「人はとても弱い動物であるの。知らないうちに限界を決めてしまう。だから、普通の人たちはその限界を迎えるとすぐにやめてしまう。そこでやめてしまったらこれから先に起きる可能性をも失ってしまう。将来の可能性というのは限界を突破して初めて花開くものだからね」

 そして、海未ははっきりと言う。

「そこであきらめたらゲームセットです。あきらめないでください。あがいてあがいてあがききってください。あの最後まであがいてあがき続けて輝きを見つけたアクアのように」

 これを聞いたはやて、

「僕たちは知らないうちに限界を決めていた。だけど、その限界を突破して初めて将来の可能性がひろがるのかぁ」

と言うと、はやてははるかの手を取りこう言った。

「はるか、真姫さん海未さんの言うとおりだよ。僕たちはさらに先に進むためにも限界を突破しないといけないんだよ」

この言葉にはるかも、

「それもそうだね。私たちにはまだまだ先がある。限界なんて突破しないといけない。ユニドルと学業、スポーツの両立はできないなんて、共倒れになるなんて、言ってはいけないんだよね」

と言った。

 これを聞いた真姫、すぐに、

「これを聞いて私たちもスッキリしました。でも、やりすぎるのは体に毒です。少しくらいはユニドル活動をセーブしないといけません。そうですよね、東都大学の学長」

と言うと、すぐに隣の客席からある大男があらわれた。

「ちゃんとそこにいることを知っていたんですね。西木野真姫さん」

その大男こと学長は真姫にこう言うと、はるか、はやては驚いてしまった。

「学長!!どうしてここにいるのですか?」

はるかがこう言うと、はやても、

「もしかして僕たちをつけてきたのですか」

と、体を学長から離そうとしていた。

「いやいや、覗き見しようとしていたのではないのですぞ。私はその…」

と、学長、はやて、はるかに弁解しようとしていたので、海未が助け舟をだした。

「学長はずっといたわけではなく、私たちとはるかさん、はやてさんが話しているときに入ってきました。決して覗きではありません」

 その学長、はるかとはやてに向かって飛び込み、抱きしめてこう言った。

「ごめんよ、ごめんよ。私も大学のことしか考えていなかった。これからは2人のことも考えてサポートしていくから、これからも頑張ってくれ」

 これを聞いたはるか、

「私たちもごめんなさい。わがままだったのかもしれませんでした。これからもサポートを宜しくお願いします」

 これを見ていた海未、

「これでめでたし、めでたし、ですね」

と、穏やかな表情ではるかと学長を見つめていた。

「で、真姫さん、なんで僕たちがここにいることを知っていたのですか」

と、はやてが真姫に言うと、真姫は少しおどおどしながらこう言った。

「本当に偶然だったんです。本当に偶然だったんです~」

真姫の雄たけびが街中に響いていた。

 

「「H&H」さん、準備をお願いします」

大会スタッフがはるかとはやての2人を呼ぶ声が聞こえた。

「これから私たちの時代が必ずくる。そのためにも絶対に優勝しようね、はやて」

はるかがこう言うとはやても、

「たしかにそうだな。僕たちの力、ここで見せつけていこう」

と、自分たちを鼓舞しながら答えていた。

 

はるかとはやて、2人はステージに立った。

「絶対に優勝する、それが私たちの願い!!」

はるかがこう言うと、

「そうだ。二束のわらじでも3足のわらじでもどんとこい。僕たちが必ず乗りこなしてみせる!!」

と、はやても元気よく言う。

 これを聞いたレポーター、元気よく紹介する。

「それでは、はじけて、はじけて、はじけまくれ。東都大学のユニドル「H&H」、曲は「TOKYO GAME」!! 」

 そして、曲が始まった。

 

ラブライブUC 最終章 H&H編 「TOKYO GAME」

 

ジャンプ ジャンプ ジャジャンプ

(ジャンプ ジャンプ ジャジャンプ)

キック キック キキック

(キック キック キキック)

トウキョウ 全てがゲームの世界

どんなことがおきても おかしくない

復活はないけど(ないけど)

どんなことがあっても おかしくない

 

いろいろな状況 起きている

ないということがない

しかし ないものはある

それがいきかえりよ

 

どんなことがあっても

いろんなことがあっても

楽しくすごすことができる

だから一緒に楽しもうよ

それが私たちの町 トウキョウ

 

ファイヤ ファイヤ ファファイヤ

(ファイヤ ファイヤ ファファイヤ)

パンチ パンチ パパンチ

(パンチ パンチ パパンチ)

 

トウキョウ 全てがゲームの舞台

どんなものがきてもー おかしくない

復活はないけど(ないけど)

どんなものがあってもおかしくない

 

いろんなアイテム 売っている

ないというものがない

しかしないものがある

それが復活草

 

どんなものがあっても

いろんなものがあっても

楽しいことばかりと思う

だから素敵にくらしていく

それが私たちの町 トウキョウ

 

いろんなことがおきる

全てのことがおきる

それがトウキョウ(トウキョウ)

なにもかもが楽しい

なにもかもがおもしろい

だから私たちはこの町が好き

 

どんなことがあっても

いろんなことがあっても

楽しくすごすことができる

だから一緒に楽しもうよ

それが私たちの町 トウキョウ

 

「東都大学のユニドル「H&H」でした!!」

と、レポーターが言うと、

「「センキュー」」

と、2人は元気よく答えた。

 

 2人がステージから降りるとすぐにステージ袖にいた学長がすぐに2人に抱きついてこう言った。

「とても素晴らしいステージだったぞ」

これを聞いたはるか、

「私はまだ限界をこえていないと思っている。しかし、いつかその限界を突破すれば今以上の素晴らしいステージができると思える」

と、力強く言うと、はやても、

「僕もまだ限界を突破できないでいる。しかし、今日はそれでも素晴らしいステージができたと思う」

これを聞いた学長、

「この素晴らしいステージを見せてもまだまだ道半ばか。2人とも絶対にこれから先も今日以上のステージを見せてくれ」

と言って2人を激励した。

 はるか、はやて、学長の3人の顔にはこれから先、必ず今日以上のステージをつくっていこうという決意ともとれる顔をしていた。

 

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。LA55です。今回は「H&H」編です。みなさん、今回の物語はどうでしたか。今回はちょっと物語としては少し違った結果となりました。みなさん納得するようなものでしたでしょうか。これについては書き終えたあと、少し考えましたが、あとにくるほかのグループの物語と対照的にしたいため、このままにしました。ということは、あとのグループの物語は悲劇に…、にはなりませんが、予想がつかない展開になると思います。お楽しみにしてください。

 で、今回の「ミューズ」からの特別ゲストは海未と真姫でした。前回、真姫がでてこなかったのは今回出させるためでした。本当ならにこと一緒に出したほうが良かったのですが、にこって頭良かったかなと思い、今回は海未とタッグを組んでもらいました。まっ、にこはよく考えたら本編でテスト赤点取りそうになっていましたしね。今回、真姫と海未を出した理由、それは大学入学試験をトップで合格するはるかに対して、真姫も医学部志望するくらい頭がいいから、そして、トップアスリートであるはやてに対して、こちらも弓道部との掛け持ちで、スポーツに明るい(と、私ではそう思っている)海未というぐあいです。ところで、海未ってたしかファーストシングルでは剣道部所属って言っていたのに、いつのまにか弓道部に変わっているのってどうしてなのかな?(っと、自分ではいつも疑問に感じております)

話は変わります。今回の曲、「TOKYO GAME」についてです。今回は前回の「東京(鉄道)ダンジョン」と同じように東京をテーマにした曲となっております。今年1月、とある理由で東京を訪れたのですが、そのとき感じていたのが、「東京ってまるでゲームみたいな街だな」でした。そう、東京はいろんなもので満ち溢れています。いろんなアイテムがあふれかえっています。いろんな人たちが集まっています。まるでゲームの世界のように。それを曲にしたのが今回の曲となります。みなさんにとって東京ってどんな街でしょうか。(とはいえ、今年1月に東京を訪れた際、地下鉄乗り換えをするとき、道に迷ってしまったのは秘密です。本当に東京の鉄道ってダンジョンみたいだな)

 というわけで、今回の物語はどうでしたか。次回は今回とはちがった物語が展開する予定です。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 最終章 iD+編

「ついにここまできたんだね」
iD+楽屋、亜里沙がナンシー、ナターシャの2人に向かってこう言うと、
「そ~ですね~。ついにここまできましたね~」
と、元気よく答え、ナターシャは、
「私、超、感動~」
と、喜びをあらわしていた。
「このユニライブのステージに立てるなんて奇跡だよね」
と、亜里沙が喜びながら言うと、
「そ~です。苦節2年、ついにここまできたので~す」
と、ナンシーも喜びながら言い、
「去年、とは、違う。今年、は、優勝、候補」
と、ナターシャも笑っているのかわからない表情で言った。
 だが、亜里沙はすぐに悲しい顔になってこう言った。
「でも、私たちにとって最初で最後のステージだもんね」
これを見て、ナンシーもすぐに真面目な顔になって言った。
「たしかに、私たちにとってこのステージに立てる最初で最後の機会、そして、優勝できる最初で最後のチャンスで~す」
これを聞いたナターシャも真面目な顔でこう答えた。
「そう、最初、最後、チャンス。私たち、あと、ない」
最初で、最後のチャンス。これはいったいどうしたことだろうか。



ラブライブUC 最終章 「延長、できますか?」

 

 話は4月までにさかのぼる。

 亜里沙、ナンシー、ナターシャの留学生生活も2年目を迎えようとしていた。

「ついに新しい年がきました~」

ナンシーは大学にはいるなり、大声を出して言った。

「ナンシー、大声で叫ぶのは恥ずかしいよ~。それに新しい年じゃなくて、年度だし、学年だよ~」

と、亜里沙はナンシーに注意する。だが、ナンシー、

「それでもうれしいのですよ~。ハッピーになるのですよ~」

と、いっこうにやめる気はしなかった。

 そんなナンシーを見て、亜里沙はすぐに隣にいたナターシャにお願いする。

「ナターシャ、ナンシーを止めて」

だが、そのナターシャ、ナンシーを見るなり、

「ナンシー、喜ぶ、私も、ヤッター」

と、こちらは小さいけど、一生懸命な声で叫んでいた。

「ナターシャ、やめて。ナンシーもやめて~」

亜里沙の叫び声が学内にこだました。

 

「みなさん、おはよう」

教室に入るなり、亜里沙はまわりにいる友達に挨拶をした。

「みなさん、おはようございま~す」

と、ナンシーも大声で挨拶すると、ナターシャも、

「おはよう、ご、ざいます」

と、ちょっとかんでしまったが、だれも気づかない声で挨拶した。

「おはよう、3人とも元気だね」

と、友達の1人が3人に挨拶をかわすと、すぐに3人に言った。

「もう3人が来てから1年が経つんだね。時間が経つのははやいよ」

これを聞いたナンシーはこう言った。

「たしかに1年経つので~す、ここにくるのは」

ナンシーはこの1年起こったことを振り返りつつ、走馬灯のように、えっ、走馬灯のように?

「ナターシャ、ナンシーをぐるぐる回さないで~」

亜里沙はナターシャに注意した。そう、ナターシャはナンシーを大きく揺さぶり続けていた、まるでナンシーがコマになったように。

「うっ、たのし、かった、のに」

ナターシャはぶつくさ言い続けていた。

「あ~、目がまわるので~す」

ナンシーは目をまわしつつ言った。

 

「ところで、留学期間って2年だったけ、3年だったけ」

目をまわしたナンシーを寝かしつつ、友達は亜里沙に聞いた。

「たしか、2年だったよね、ナターシャ」

亜里沙の言葉にナターシャが答える。

「たしか、3年、だった、ような」

「違うよ、2年だよ」

ナターシャの答えに横になっていたナンシーが訂正を言った。

「ナンシー!!大丈夫?」

ナンシーを心配してか、亜里沙がナンシーに近寄って言った。

「私なら大丈夫。私の記憶が確かなら2年だよ」

ナンシーがこう言うと、聞いた友達は亜里沙たちに驚いたように言った。

「ということは、あと1年で留学が終わっちゃうんだ」

 これを聞いた亜里沙、

「えっ、私たちの留学期間ってあと1年しかないの!!」

と、驚いたように言うと、ナンシーからも、

「あと1年で留学終わっちゃうなんてやだよ~」

と、大声で言えば、ナターシャも、

「なんて、短い、2年って、短い」

と、驚いたそぶりをしつつ言った。これを聞いた友達、

「いや、留学期間が2年って普通の留学としては長い方だから」

と、ナターシャにツッコミをいれる。

 しかし、あと1年しか留学期間がないことに気づいた亜里沙たち3人はまたあることに気づいた。

「ということは、私たちってこの大学にいられるのはあと1年しかないんだ」

と、亜里沙がこう言うと、

「そんなのいやです~。ずっといたいです~」

と、ナンシーが叫び走り始め、

「私、も、いたい。ずっと、いたい」

と、机にかじりついて離さないナターシャ。これを見ていた友達、

「それってはやく気づこうよ。それに、そんな行動されてもツッコミきれないよ」

と、心の中でぼそっと言っていた。

 

「あと1年しかいられないのはヤダよ」

と、亜里沙がこう言うと、ナンシー、

「私は今の友達と一緒に卒業したい」

と、嘆いていれば、ナターシャも、

「たしか、に。私、も、みんな、と、卒業、する」

と、嘆いているような顔で答えた。

「それなら、学長に直訴しよう」

亜里沙がこう言い出すと、ナンシーは、

「もしかして、留学期間を延ばしてもらえるの?」

と聞けば、亜里沙、

「そう、直訴すれば延びるはず!!」

と、大きな声で言えば、ナターシャ、

「そう、直訴、する」

と、亜里沙に同意した。

 

「学長、直訴、する」

学長室。学長の前に立った亜里沙たち3人。ナターシャはいのいちばんでこう言った。

「な、なんだ、直訴って?」

学長、驚きつつ3人に聞いてみる。

 亜里沙は学長を見るなり、大声で言った。

「学長、すみませんが、留学期間を延ばしてください!!」

「留学?期間?」

学長はハテナ顔で少し困って言った。これを見た亜里沙、

「す、すみません。私は絢瀬亜里沙、隣にいるのはナンシーとナターシャです。私たちはこの大学にきている留学生です」

これを聞いた学長、

「あっ、亜里沙君とナンシー君とナターシャ君だね。たしかに、去年来た留学生だったね」

と、思い出した風に言った。

「そんなことよりも、直訴、直訴、直訴で~す。留学期間、延ばしてくださ~い」

と、ナンシーがあつく学長に言うと、学長、

「延ばすって留学期間を?」

と言えば、ナンシー、

「そうです。留学期間を延ばしてください。私たちはまだ帰りたくありませ~ん。みんなと一緒に卒業したいので~す」

と、学長に自分の思いを言うと、学長、

「たしか、留学期間は2年だったよね。来年の3月にはそれぞれの国に帰るのだよね」

と、確認をとると、ナンシー、

「そうです。来年帰国じゃなく、再来年に帰国にしてほしいで~す」

と言う。ナターシャからも、

「私も、お願い。留学、期間、延ばして、ほしい」

と、目をキラキラにさせながら言う。

「留学期間か~」

と、学長がこう言うと、学長、少し考えてこう言った。

「結論から言うと、留学期間を延ばすことはできない」

 これを聞いた亜里沙、

「なんで延ばせないのですか!!」

と、学長にあつく言うと、学長、

「これは私1人では決められないことだ。なぜなら、留学期間については外国にある大学との取り決めによって最大2年間しか留学できないことになっている。通常なら1年なんだけど、あなたたち3人は高校のときに日本の高校に通っていたことがあるから2年間留学できるようにしていたのだ」

と、冷静に答えた。亜里沙、

「私たちの一存で延ばすことはできないのですか?」

と言うも、学長、

「留学期間をこれ以上延ばすことはできない。それはこちら側が相手方の大学との約束を破ることになるからだ」

と、強く言い放つ。亜里沙、

「約束を破る…」

と、意気消沈しているが、その一方で、ナンシーは、

「いや、延ばすことはできる!!」

と、一点張りの意見で学長にたてつく。ナターシャも、

「私、も、できる。延ばす、こと、できる」

と、学長にたてつく素振りをみせる。

「できないたらできない」

と、学長、ナンシー、ナターシャに反論する。

「できる、できる」

「で、き、る」

と、ナンシーとナターシャ、たてつく。

 これを見ていた亜里沙、ナンシーとナターシャ、2人の首を掴み、

「帰るよ。学長、失礼しました」

と言って、ナンシー、ナターシャを鷲掴みにして学長室をあとにした。

「こ、こちらこそ」

亜里沙のとっさの行動に学長はただ呆然としていた。

 

「なんでじゃましたの~」

と、ナンシーが亜里沙に言う。ここは「iD+」がよく使う練習場、というより空き教室である。

「学長が言っていたでしょ。留学期間を延ばすことはできないって」

と、亜里沙が言うも、ナンシーは、

「延ばすことはできる。学長はただそれをする努力をしていないだけ」

と、亜里沙に言い返す。亜里沙も、

「大学同士の約束である以上、私たちの意見次第で変わるものじゃないよ」

と、言い返すも、ナンシー、

「いや、約束というのはただの決まりごと。決まりごとはそのときによって変わるもの。私たちの方が正しければ、決まりは変えることができるの!!」

と、言い返す。

 これではらちがあかないと思った亜里沙、

「ナターシャはどう考えているの?」

と、ナターシャに聞くが、ナターシャ、

「私、ナンシー、と、同じ、意見。私たちの、希望、あれば、決まり、は、変え、られる」

と、ナンシーの味方をしていた。

「決まりである以上、仕方がないよ」

と、亜里沙はナンシー、ナターシャに必死に言うも、

「決まりとは関係ない。決まりであっても関係ない」

と言うナンシーと、

「決まり、私たち、関係、ない」

と言うナターシャ。この状態、平行線である。

「う~ん」

とうなる亜里沙。その亜里沙、心の中ではこう思っていた。

「なんでナンシーとナターシャ、あきらめないのかな」

だが、この思いを口にするのはやめてしまった。

 

 翌日、

「1,2,3,4」

亜里沙、ナンシー、ナターシャはダンス練習をしていた。次回のユニライブに向けての練習だった。

「ナンシー、少し遅れているよ。ナターシャ、少し速いよ」

ダンスにあわせてみて、亜里沙はナンシーとナターシャに注意する。

「あっ、そうですか。それはごめんなさい~」

と、ナンシーはちょっとふざけた表情で答えていた。一方、

「そう、私、間違っていない。亜里沙、が、遅れて、いる、だけ」

と、ナターシャもむすっとした表情で反論していた。

「これじゃ今年のユニライブも予選敗退だよ。ちゃんとしようよ」

と、亜里沙が言うも、

「そんな亜里沙も間違っているんじゃないですか~」

と、ナンシー、激しく反論。ナターシャも、

「亜里沙、間違い、だらけ。アウト~」

と、有佐に対して文句を言う。

「私は間違っていない!!」

と、亜里沙、ナンシーとナターシャに激しく反論。

「絶対に間違っていない。ほら、もう一度やるよ」

と、亜里沙は強引に練習を再開した。

 だが、こんな状態であうはずもなく、

「なんで、あわせようとしないの!!」

と、亜里沙が再び怒りだすも、

「あっ、そうですか。ごめんなさ~い」

と、ふざけるように言うナンシーと、

「間違って、いるの、亜里沙」

と、逆に間違いを指摘するナターシャ。この日はこれが続いたため、亜里沙はしかたなく解散した。

 

 その翌日、「iD+」の練習場に来たのは亜里沙1人だった。

「どうしてサボろうとするの。まじめにやってよ」

と、亜里沙が言うも、誰一人来る訳でもなく、電話してもなにも変わらなかった。亜里沙は仕方なく帰ることにした。

 

 その次の日も次の日も亜里沙は練習場に来るも、誰一人も来なかった。

 そして、1週間後、その亜里沙も練習場にあらわれなくなった。「iD+」は意見の不一致という、どのアーティストグループでも解放の際にでてくる理由のひとつとしてあげられる状態で自然消滅してしまうのだろうか。

 

 世の中はGWにはいっていた。練習場にいかなくなった亜里沙はアルバイト、友達との遊びなどをして暮らしていた。ナンシーとナターシャとは教室で一緒にいても話さない状況だった。

 そんななか…。

コンコン

亜里沙の家に突然ドアを叩く音が聞こえてきた。

「は~い、どなたですか」

亜里沙がドアを開くと、

「亜里沙~、お久しぶり~」

と、突然亜里沙を抱きしめる女性の姿が…。

「お、お姉ちゃん!!」

亜里沙はそう言うと引き離そうとしていた。そう、亜里沙を抱きついてきたのは、亜里沙の姉、絢瀬絵里だった。

「元気にしていた?どう、勉強はかどっている?」

絵里は亜里沙にいろいろと質問する。

「なんで、お姉ちゃんがきているの?」

亜里沙は絵里に聞いてみると、

「それは簡単。亜里沙の様子を見にきたのよ」

 そして、その横からは、

「亜里沙ちゃ~ん、元気~?」

と、こちらもおなじみの東條希も顔をだした。

「希さんもきていたのですか?」

と、亜里沙が言うと、希も、

「だってタロットカードがきた方がよいって教えてくれるんだもん」

と、意味不明?な言葉で答えていた。

「ところで、亜里沙、今、どうしているの?ユニドルの練習をしなくていいの?」

と、絵里は突然亜里沙に質問すると、亜里沙、

「あっ、それはね…」

と、言葉を濁していた。

「そういえば、雪穂ちゃんはGW中もユニドルの練習を一生懸命頑張っているって、言っていたよ。今年こそユニライブ優勝するんだって」

と、希が笑いつつ言うと、

「えっ、雪穂、頑張っているの」

と、亜里沙が言うと、

「もしかして、ナンシーとナターシャとケンカしているんじゃないかな」

と、絵里、するどく指摘すると、

「ドキッ」

と、亜里沙、わかりやすそうな顔をする。これを見ていた絵里、

「亜里沙~、すぐにナンシーとナターシャを呼びなさい、今すぐに!!」

と、亜里沙に大声で言うも、

「でも~」

と、ダダをこねる亜里沙。つかさず絵里、

「は、や、く、連れてきなさ~い!!」

と、さらなる大声で亜里沙に言うと、

「は、はい~」

と、すぐにナンシーとナターシャの家に出かける亜里沙。その動きはまるで驚いて行動するある動物と同じだった。

 

 30分後、

「なんで私、ここにいるのですか~」

と、ふてくされるナンシー、

「私、まだ、眠い、…」

と、眠け顔のナターシャ、そして、

「なんで3人とも正座しないといけないのですか~」

と、嘆いている亜里沙の姿があった。3人仲良く?正座をしていた。

「なんで怒っているのか、わかっているでしょうね!!」

と、絵里は3人に向かって怒っていた。

「私にはわかりませ~ん」

と、ナンシーがくちごたえすると、

「ナンシー、少しは黙ってください」

と、絵里は激しく注意をした。

「は~い」

と、ナンシーが言うと、絵里、

「短く、「はい」、です!!」

と、ナンシーに激しく注意すると、ナンシー、

「はい!!」

と、驚いてしまい、はっきりと言った。

「で、なんで、怒って、いる、の?」

と、ナターシャが不思議そうに言うと、

「あなたたちの態度に怒っているのです」

と、絵里、どなるように言う。

 そして、続けて絵里は言った。

「あなたたちはGWの最中にもかかわらず、ユニドルの練習をしていない。雪穂はGW返上でユニライブ優勝を目指して練習している。それに対し、あなたたちは何もしていない」

これに対し、亜里沙、

「だって~、ナンシーとナターシャが練習に参加しないんだよ~」

と、ダダをこねるも、

「参加しないのは亜里沙も一緒です!!」

と、絵里、亜里沙にきつく言う。

「うう」

と、うなる亜里沙。

 これを見ていた絵里、らちがあかないと思うと、すぐに核心にふれていこうと思い、

「ところで、どうして仲間割れをするようになったの?あんなに仲良くやっていたのに?」

と、亜里沙に聞くと、

「だって~、ナンシーとナターシャとは考えの不一致、というか、なんというか~」

と、亜里沙、少しぼかして言うも、

「考えの不一致~。それだけでは納得できない。詳しく言いなさい!!」

と、絵里、亜里沙に詰め寄る。

「なんというか…」

と、ごまかそうとする亜里沙に対し、絵里、

「はっきりいいなさい!!」

と、怒鳴るようにいう。t

「はい!!わかりました!!」

と、亜里沙は観念したのかのごとく言った。

 

「で、なんで考えの不一致、なんかしたの?」

絵里が言うと、亜里沙は、

「実は、留学期間の延長について意見があわないの」

と、答えると、ナンシーは、

「学長が決まりだからできないと言うけど、決まりなんて関係ない、ない。延ばすことはできる、できる」

と、元気よく答えると、ナターシャも、

「延びる、延びる」

と、ナンシーの意見に同意した。

 だが、絵里は別の見方をしていた。絵里は、

「留学期間の延長っていうけど、亜里沙、ナンシー、ナターシャにとってどうして延長したくないの、どうして延長したいの?」

と、亜里沙、ナンシー、ナターシャそれぞれに理由を聞こうとしていた。

「延長できないのは決まりなんでしょ。大学間での約束ごと、決まりごとってとても大切なことだもの。勝手に破っては相手方に迷惑だし…」

と、まともなことを言う亜里沙。一方、ナンシーは、

「決まりって破るものだもの。私たちにとって不利なものは変えてしまえばいいんだよ」

と、亜里沙に反論する。

 だが、ここにある人物があらわられる。

「本当のことを言わないと胸をワシワシしちゃうよ」

そう、希であった。ナンシーに対し、胸のワシワシ攻撃を宣言する。

「ナターシャ、私を守って!!」

と、ナンシー、ナターシャに援軍要請。しかし、

「フニャ~、フニャ~」

と、ナターシャは腑抜け状態だった。そう、すでにナターシャは希のワシワシ攻撃をくらい、へたっていた。

「本当のことを言います。亜里沙、ナターシャと一緒にユニドル活動を続けられなくなるからだよ~」

ナンシーの突然の言葉に亜里沙、

「えっ」

と、驚いていた。そして、

「どうしてそんなこと言わなかったの。私だってナンシーとナターシャと一緒にずっとユニドル活動続けたいよ」

と、亜里沙も本音を言ってしまう。

 そして、亜里沙とナンシーはナターシャの方を見る。ナターシャ、少しへたれているも、

「私、も、2人、と、一緒、ユニドル、続け、たい」

と、これまたへたれた声で言う。

「これで3人の本音、聞いたじゃない。どう、私のワシワシ攻撃は」

と、希、絵里に言うと、

「本当にそうね。3人とも意見の不一致していないじゃない」

と、絵里も亜里沙に納得するように言った。亜里沙も、

「そうなんだ。2人もユニドルのことを考えていたんだ」

と、納得したかのように言った。

 だが、1人納得していないのがいた。

「でも、これじゃもやもやしまくり。こうなったら、ナンシーちゃんにワシワシ攻撃!!」

希だった。希はこう言うと、ナンシーに対しワシワシ攻撃実施。

「やめて~、やめて~」

と、ナンシーが何度せがましても、

「おお、ふくよかな胸、気持ちいい」

と、希、楽しそうに胸をもむ。

「ふにゃ~」

と、へだるナンシー。そして、

「次は亜里沙ちゃんにワシワシ攻撃」

と、今度は亜里沙に標的を定めた希。

「希さん、や、やめて~」

亜里沙の叫び声がこだました。

 

「これで3人ともすっきりしたでしょ。どう、私のワシワシ攻撃は?」

希が胸をはって言うも、3人ともプシュー状態だった。

「で、留学期間の延長のことだけど、どうしてこの大学に留学してきたのか、思い出してごらん」

と、絵里が言うと、亜里沙たち3人は少し考え、思い出した。

「たしか、日本の文化を吸収し外国に広めることだった」

と、亜里沙が言うと、ナンシーも、

「そうです。日本のアイドル文化を吸収、それをアメリカに広めるためで~す」

と言えば、ナターシャも、

「そう。私も、日本の、文化、知って、ロシアに、ひろめる」

と言った。

 これを聞いた絵里、

「あなたたちにとってそれがこの日本に来ている理由。ユニドルも日本の文化を吸収するための手段。けれど、手段が逆に目的に変わってしまったら、逆に本来の目的を忘れてしまい、本末転倒になってしまう」

と、亜里沙たち3人に諭す。これを聞いた亜里沙、

「そうだよ。私たちは日本の文化を世界中に広めるために来たんだ。そして、それをするために世界に飛び出さないといけない。それを忘れちゃいけないんだ」

と言うと、ナンシーも、

「忘れていました。そうです。日本の文化、吸収するために来たのです。それを広めるため、旅立たないといけないのです」

と、目をぱちくりしながら言えば、ナターシャも、

「そう、です。ここ、に、ずっと、いては、いけません。世界に、日本の、アイドル、文化、広げ、なくては」

と、少し長セリフで答えていた。

 そして、絵里はこう閉めた。

「いい、決まりごとはちゃんと守らないといけない。けど、その前に自分の本来の目的を忘れてはいけない。本来の目的のためにいろんなことをしてもいいけど、それには始まりあれば終わりもある。その期限のなかでどう輝けていけるかが重要だと思うよ」

 これを聞いた亜里沙、

「そうだね。始まりあれば終わりあり。よ~し、決めた。「iD+」の活動、来年の3月まで!!留学期限までだけど、それまでも~と頑張ろうよ、ナンシー、ナターシャ」

と言うと、ナンシーも、

「そうです。決められた期限でどう輝けるのか、それを吸収して今後に活かしていけるのかが必要で~す」

と、元気よく言えば、ナターシャも、

「そう、私、来年、3月、まで、iD+、頑張る」

と、覚悟の顔で答えていた。

 

 こうして、iD+の活動を来年の3月でもって休止することを決めた亜里沙たち3人は、ユニドル活動に精を出し、ついにユニライブ予選を突破して、決勝へと進めることができたのだった。

 

「こうして、私たちはユニライブ決勝に進めたのでした。ちゃんちゃん」

亜里沙がこう言うと、ナンシーは、

「まだ、私たちの物語は終わっていないよ。この決勝で活躍するんだから」

と言えば、ナターシャも、

「そう、私たち、の、時代、くる」

と言って2人を笑わせていた。

 そうしているに時間がきた。

「iD+さん、準備をお願いします」

大会スタッフの呼ぶ声に、亜里沙、

「さあ、私たちの時代、切り開こうよ」

と言えば、ナンシーも、

「そうです。私たちの実力、教えてあげるので~す」

と言えば、ナターシャも、

「そう、です。私、たち、頑張る、です」

と答えていた。

 

 ステージに立った3人、何も言わなかった。だが、3人は思っていた。絶対に優勝できると。レポーターはその3人の顔つきを見て言った。

「さあ、次は北海道が生んだ小さな奇跡、北海外国語大学のユニドル、「iD+」によるステージ、曲は「ワールドポッシブル」!!」

 

ラブライブUC 最終章 iD+編 「ワールドポッシブル」

 

あなたはこの現実みれますか

 

全ての世界を見ていくと

悲しいことばかり起きている

私たちはたのしいことだらけ

しかし 本当はかなしいことばかり

 

世界は戦争ばかりしている

いろんなところで死の恐怖

いつ死んでもおかしくない

だからこそ 私は最後の一秒まで

どんなことがあっても生きていく

 

少しでもいいから世界のために

動いてくれ(動いてくれ)

どんな小さなことでも

ひとつの行動が世界をかえていく

 

全ての世界を見ていくと

苦しいことばかり起きている

私たちはうれしいことばかり

しかし本当は苦しいことばかり

 

世界にきれいな水は少ない

いろんなところで死の恐怖

どこ飲んでもおなかこわす

だからこそ どんなになっても変わってもー

ほかの人とみんな生きていく

 

少しでもいいからみんなのために

動いてくれ(動いてくれ)

みんな生きることでも

ひとつの動きが世界をかえていく

 

この世界はひとつ 全てがひとつ

だからこそ忘れないでほしい

みんな生きていることを

だからこそ(だからこそ)

小さくても動いてくれ

 

少しでもいいから世界のために

動いてくれ(動いてくれ)

どんなに小さなことでも

ひとつの行動が世界をかえていく

 

ひとつの行動が世界をかえていく

 

「iD+でした。もう1度大きな拍手を」

拍手の音がこまだしている間、亜里沙たち3人はステージ袖に移動していた。

「私たちの全力、みんなに見せつけられたかな」

と、亜里沙が言うと、ナンシー、

「大丈夫、私たちの魅力、伝わったはずだよ」

と、元気よく言う。ナターシャも、

「私、たち、絶対、優勝、する」

と、元気よく答えていた。

「私たちのユニドルとしての活動は最後だけど、それでも、これから先、私たちは頑張っていける。そうでしょ」

亜里沙の言葉にナンシー、ナターシャ共に、

「「うん」」

と答えていた。

 




あとがき

みなさん、こんにちは。LA55です。今回は亜里沙たち「iD+」の物語でした。今回はみなさんにとって納得するようなクライマックスだったでしょうか。前回の「H&H」編とは違い活動を休止することになりましたが、これでいいのかと思っている方もいらっしゃるかもしれません。もっと活動できるのではという方もいらっしゃると思います。しかし、今回はやむおえず活動休止にすることにしました。その意味では、今回特別出演した絵里と希にはちょっといやな役を押し付けたかもしれません。

 で、今回の「μ's」からの特別ゲストは絵里と希でした。「ラブライブ!」本編でも生徒会長と副会長の名コンビとして頑張っていましたね。で、今回もこの2人がコンビを組んでもらいました。今回は妹でもある亜里沙のため、というよりも、亜里沙たちを叱る役になってしまいました。もし、それで気分を害された方がおりましたら大変申し訳ございません。そして、今回は希の必殺技、ワシワシ攻撃も特別に再現してみました。あのことりすら嫌がるワシワシ攻撃、あれってセクハラにならないのでしょうか。

 そして、今回の曲は「ワールドポッシブル」です。この曲は「たとえ小さなことでも世界のために動いてくれ」ということを訴えたい曲です。私たちはどんなときでも世界とは密接に係わっています。たとえば、ごみを捨てる行為1つにしても、そのごみがリサイクルされることで、いろんなものに生まれ変わり、それが世界中の人たちの役に立てることもできます。その逆もしかりです。人は行動することにより、世界はいろいろ変わっていくものです。それを考えた場合、私たちも世界をよりよい方向に進めるためにも、世界の役に立てるよう行動していけたらと思います。

 というわけで、今回はここまで。最後に、この物語にブックマーク、いいねをつけてくれた方、本当にありがとうございます。1つだけであっても嬉しいものです。また、4コママンガ「ねこねこらいおん」ですが、1日だけでしたが、閲覧数が100を数えました。読んでいただいた方、本当にありがとうございます。これからも頑張っていきますので、よろしくお願いいたします。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 最終章 博多小娘編

「ついにきましたね、私たちの最後のステージが」
ここはユニライブの「博多小娘」の楽屋。愛たちはほかのメンバー6人に呼びかけている。
「そうだね。これが私たちにとって最後のステージ」
と、天がそう答えると、あやも、
「そうですね。ここで全力を出し切りましょう」
と答え、夕も、
「ここで全力ださないとうちらが悔やんでしまうぜ」
と全力で答え、羽衣は、
「が、がんばれしゅ」
と、緊張してか噛んでしまい、新加入の(鹿島)イネから、
「羽衣、噛みすぎ、噛みすぎ」
と注意するも、これまた新加入の(安心院)ゆずに、
「仕方がないよう、これが本当の最後のステージになるんだから」
と、ドライにフォローしていた。
 これを見ていた愛、
「さあ、最後のステージ、頑張りましょう」
と、ゲキをいれると、天たち6人は、
「「「「「「オー」」」」」」
と、呼応していた。
 しかし、なぜ最後のステージなのか。それは去年の4月に話が戻る。



ラブライブUC 最終章 博多小娘編 「最後の抵抗?」

 

「こんなに忙しいのって3年ぶりかしら」

愛はテレビ局の廊下を走っていた。愛たち「博多小娘」は全国ネットで博多のテレビ局から歌を披露する予定があるのだった。

「それもこれもユニライブに優勝したからだもんね。もぐもぐ」

と、天もパンをくわえながら走っていた。

「天、口にパンをくわえながら、そして、しゃべりながら走るのはやめなさい」

と、あやは天に注文をした。

「でも、新加入の私も参加していいのでしょうか」

と、4月に加入したばかりで元福博女子大学付属のスクールアイドル「K9」のメンバーだったイネが言うと、

「気にしない、気にしない。心配しなくても大丈夫:

と、これまた新加入の元福博(略)の、

「こら~、略するなぁ~」

ツッコミが入ったので略せず、元福博女子大学付属のスクールアイドル「K9」のメンバーだったゆずがイネを元気づけていた。

「でも、まさかユニライブに優勝したことで、人気に火がつくなんて、うちらってラッキーガールじゃない」

と、夕は陽気に言うも、

「羽衣たちにとって予想外だもんね」

と、羽衣はちょっとこわばりながら言う。

「いや、これは予想外じゃないよ」

と、天がパンを食べ終えてから話すと、

「そうです。これは優勝したからこそおきたことなのです」

と、愛はそう言った。

 愛たち「博多小娘」は去年度に行われた大学生アイドル、ユニドルの祭典、ユニライブに優勝したことにより、これまでの状況が一転した。一ユニドルでしかなかった「博多小娘」だったのだが、ユニライブ優勝が大々的にメディアが報じたため、一夜のうちに「博多小娘」の名前が全国的に広まってしまったのだ。それにより、ユニライブ終了直後から各メディアに引っ張りだこになっていた。

「でも、なんでこんなに有名になったのかしら」

と、あやが不思議そうに言うと、

「そんなのを心配しても仕方がないよ。今は今を一生懸命楽しもう」

と、天があやに対して言うが、そのことを愛は、

「でも、あやの言葉も一理ある。どうしてこんなに人気になったのだろう」

と、考えていた。

 

 そして、その疑問を愛は考えたまま、夏を迎えようとしていた。

「今年って何ヶ所夏祭りまわらなくてはいかないの?」

と、天が言うと、

「たしか10ヶ所以上だったはずよ」

と、あやはたんたんに答えていた。

 一方、愛はあることを考えていた。

「あまりにもできすぎている」

と、愛が言うと、天は、

「なにができすぎているの?」

と、愛に質問すると、つかさず愛は、

「この状況だよ。たしかにユニライブに優勝したけど、こんな人気になるなんて以上だよ」

と、答えたが、とうの天は、

「でも、それって愛がラブライブに優勝したとこも同じことが起こっているじゃない」

と答えた。たしかに、愛は3年前、音乃木坂学院にいたとき、ラブライブに優勝し、と同時にメディアに大々的に報じられ、全国的地位を獲得していた。しかし、

「たしかに3年前と同じ状況だけど、それでもおかしいの」

と、あいが荒々しく天に言うと、

「どうして?」

と、逆に天に聞かれることに。それに対し、愛、

「おかしいと思う根拠、それは、一昨年度にユニライブに優勝したユニドルはそんなに全国区になっていないことだよ」

と言うと、天、

「たしかにそうかも」

と、納得することに。そういえば、一昨年度、愛、天、あやがまだまだ大学一年のときのユニライブだが、愛たちはユニライブ決勝でくしくも優勝を逃していた。別のユニドルが優勝したのだ。しかし、そのときはただ優勝したことを一部のメディアが報じただけであり、全国区になったわけではなかった。

「そして、私が3年前にラブライブ優勝で、所属していたスクールアイドル「オメガマックス」が全国区になったのは、伝説のスクールアイドル「ミューズ」を倒したのがきっかけよ」

と、愛は力強く言う。そう、愛たちスクールアイドル「オメガマックス」が全国区になったのは、ラブライブで優勝したあとで行われた「ミューズ」との対決に勝利したことによるのが大きかった。

「そういえばそうだったね」

と、あやが言うと、天は、

「たしか、あのとき愛たち「オメガマックス」と(高坂)穂乃果さんたち「ミューズ」が対決させたのって、私の母、(中洲)博子の策略だったじゃなかったかしら」

と言うと、愛も、

「そういえば中洲(博子)理事長が当初(天たちが所属していた福博女子大学付属の)スクールアイドル「K9」の人気を加速させるために仕組んでいたけれど、「K9」が「オメガマックス」に敗れたために仕方なく(愛が所属していた)「オメガマックス」にぶつけてきたのが実情だけどね」

と、本当のことを言うと、天、

「ということは、私たち(「博多小娘」)の人気が全国区になっているのも、(中洲博子)理事長が裏で手をひいている可能性があるね」

と言うと、すぐにある場所に向かおうとしていた。

「天、どこにいくの?」

愛はこう言うと、天はすぐに答えた。

「決まっているでしょ、理事長のところよ」

 

 天はすぐに理事長室の前に立ち、突然ドアを蹴飛ばしてこう言った。

「お母さん(中洲博子理事長)、ちょっとお話があります」

そのとき、理事長は優雅にティータイムを楽しんでいた。

「なんですか。騒々しい」

理事長がこう言うと、すぐに天の元に愛たち6人が追いついてきて、天の後ろに並んだ。

「そろいもそろってなんですか」

と、理事長が言うと、天はたんをきってこう言った。

「もしかして、私たち(「博多小娘」)が全国区になったのってお母さんの仕業じゃないのですか」

これを聞いた理事長、

「天、ここでは理事長と呼びなさい」

と、穏やかに言うも、

「ごまかさないでください」

と、天は怒りながら言う。

 そして、ついに理事長がある言葉を言った。

「たしかに天たち「博多小娘」を全国区にしたのは私の力が大きいのよ」

これを聞いた愛、すぐに理事長に質問する。

「どうして、私たち「博多小娘」の人気を全国区に広げようとしたのですか」

これを聞いた理事長は優雅に答えた。

「この大学の知名度をあげるため、そして、受験者数を増やすためです」

これを聞いた天、鬼の形相で理事長をにらみつけながら言った。

「私、言いましたよね、入学式のあと、ここに愛、あや、そして、私が集められたときに、学校の広告塔にはならないと」

これに対しても、理事長、ひらりとかわすように言った。

「たしかに、天たちは広告塔にならないと言いました。が、それは天たちだけが思っているだけ。ほかの人たちからは天たち「博多小娘」は私たちの大学、福博女子大学のユニドルとしか見ておりません」

 そして、ある事実を天たちに言った。

「私はただそれを利用していただけです。ただ「「博多小娘」は私の大学、福博女子大学のユニドルです」とそれをメディアに伝えただけです。そしたらどうでしょう。「博多小娘」は2年かけてシンデレラストーリーを駆け上がってきたユニドルであると勝手に脚色をかけてしまったおかげで、いまや「博多小娘」は全国区に…」

 これを聞いた夕、

「メディアが勝手に脚色を、と言っているけど、それって、脚色をさせようとしたのって理事長の差し金じゃないの」

と指摘すると、理事長、

「それはそれとして…:

と、口をにごすと、すぐに、

「これから先もこの大学のためにどんどんメディアに露出して、受験者数を増やしてください。知名度をあげてください」

と、大々的に言った。

 しかし、これを見て気に食わないやつらがいた。

「なんで自分のためだけ考えているんだよ」

怒っていた、天が。天は怒りながら自分の母である理事長に言った。

「今も昔もそう。自分のことだけ考えている。この大学のためと言いつつも、本当は自分のことしか考えていないでしょ」

と。天は理事長にさらに怒りながら言う。

「私はこれ以上大学の広告塔として活動したくない。私からは以上」

と言って、天は理事長室から出て行った。

 これを見ていた理事長、

「秋葉(愛)さん、あなたなら同意してもらえますね」

と、愛に向かって言うも、愛、

「私も天と同じ意見です。私もこれ以上大学の広告塔になりたくありません」

と言うと、天のあとを追った。

 そして、あやも、

「私もこれ以上理事長とかかわりたくありません」

と言って理事長室をあとにすると、ほかの4人も天たちのあとを追った。

 そして、理事長室にたった1人になった理事長。

「なんていう人たちなの。そんな気なら、私の実力をみせてあげる」

と言うと、すぐにある場所に電話をかけめぐった。

 

 翌日、愛ははやめに起きた。なにか嫌な予感がしていたからだ。

「むりゃー、食べられないよ」

と、天が寝言を言いつつ寝ている横で、愛は1人起きて一足早く大学へと向かった。

 そして、部室のところに行き、鍵を開ける。しかし、いつも開くはずの鍵が回らない。いくらまわしても鍵は開かなかった。

「あれ、どうして開かないの?」

愛は言ったが、すぐに気づいた。夜のうちに鍵を付け替えられたのだ。愛は思った、これは理事長の仕業だと。

 だが、理事長の嫌がらせは続く。部室が使えないと愛からの報告で、天たちはすぐに練習場に駆けつけていた。福博女子大学では練習場は共有であり、誰でも申請をすれば誰でも使えるのだ。愛たちは事前に練習場を使う申請をしており、今日も使う予定だったのだが…。

「あれ、誰か使っている…」

1番最初に到着したイネが気づいて言った。そう、練習場には誰もいないはずなのに、そこには別のグループが練習していたのだった。

「あれ、「博多小娘」じゃん。どうしたの?」

練習場にいたグループの1人が言うと、すぐに夕が駆け寄って言った。

「今日はうちらが使う予定だけど、どうして?」

これを聞いた練習していたグループの1人が言った。

「あれ、聞いていないの。「博多小娘」の練習が急遽中止になったから、使っていいよって、昨日の夜、電話があったんだよ」

これを聞いたあや、すぐに、

「ありがとう。それじゃまたね」

と、その練習場を離れると、すぐに別の練習場に行く。が、

「あっ、この練習場は私たちが使っているよ」

「ごめんけど、譲れないわ」

と、練習場が譲ってもらえるところはどこにもなかった。

 練習場が使えないことを聞いた天、すぐに練習場を管理している事務室に行き、着くさま、

「どうして部室や練習場が使えないのですか?」

と、事務局長に迫るも、

「ど、どうしてかな~」

と、口をにごす事務局長。そこで、あやの出番。

「んとね、私、こんなものを拾ったんですけど」

と、1枚の写真が提示された。それには事務局長と他の事務員との密会…。

「わ、わかった。正直に言おう」

と、白旗を揚げてしまった事務局長。事務局長いわく、

「これは理事長の指示だ。「博多小娘」の部室及び練習室の使用を禁ずるとな」

 これを聞いた天、

「どうしてそんなことを…」

と怒るも、愛は冷静だった。愛は言った。

「たとえ部室や練習場が使えなくても練習をする場所はたくさんある。」

そうだった、愛の言うとおりだった。アイドルの街博多には数多くの貸しスタジオがある。そこで練習すればいいのである。

「でも、部室に曲の音源とかなおしてあるよね」

夕は指摘した。たしかに、部室には練習の要となる音源など練習に欠かせないようなものがたくさん残っている。

「羽衣も練習着、部室に置いてある…」

と、羽衣が心配そうに言うと、ゆずも、

「たしかに、私も体作りに使う鉄アレイなどがあるのに…」

と心配そうに言うも、愛、

「音源とかは大丈夫。もしものために家に音源の予備もあるし、最低限必要なものはすぐにでも用意できるよ」

と、やさしく言うと、天、

「あれこれ考えていてはいけない。今できることをやろう」

と、みんなを元気づけた。

 そんななか、あやは不気味に笑っていた。

「しかし、こんななんてこともない写真で事務局長がびびるなんてね」

その写真を見ていた。そこに写っていたのは事務局長とほかの事務員との密会…、ではなく、その事務員も参加した忘年会で披露されていた事務局長のドジョウすくいをしている写真だった。事務局長いわく、

「自分はいやなのに、理事長や事務員たちがやれやれと言われて、仕方なくしたもの…。恥ずかしい」

ということだとか…。パワハラにはご注意を…。

 

 この日以降、愛たちは各貸しスタジオを転々としながら練習をしていたが、理事長の魔の手は確実に愛たちに迫っていた。

「みんな、大変、大変」

部室などの締め出しから2週間後、今度はあやが嫌な知らせを伝えにきた。

「夏祭りの参加が急遽取りやめになったって」

あやが言うと、天、

「それはそうだろう。だって、理事長が勝手に申請したものだし…」

と、冷静に言うも、次は夕が騒いで戻ってきた。

「天、テレビ局の収録どころか、雑誌の取材、などなど全てキャンセルだって」

と夕が言うが、天、まだ冷静に…、

「それもそうだろう。だって理事長の…」

と言っているまもなく、横から、愛、口だす。

「ちょっとおかしいよ。全部が全部理事長の差し金とはいえないよ。そのなかには実際にオファーされたものもあるんじゃないかな。それに、もしかすると、これ以上、最悪なことがおこるのではないだろうか」

これを聞いた天、

「…」

と、今度は口をつむぐが、愛の言葉が真実となることが起こった。

「大変、大変」

と、今度は羽衣が飛び込んできた。

「ネットばかりか、博多市内中に羽衣たちの誹謗中傷が書かれているよ」

と、羽衣が言うと、これを聞いた愛、すぐに指示。

「イネ、ゆず、市内をまわってきて。私はネットを見るから」

そして、イネ、ゆずは市内をまわり、愛は自らネットの様子を探った。

 

 そして、2時間後、

「まさか理事長、こんなことをするなんて…」

愛は愕然とした。ネットには「博多小娘」を誹謗中傷する書き込みが書かれていた。ユニライブ優勝は捏造だった、各メディアの露出は××、そして、後輩ユニドルに対してのパワハラなどなど。

 そして、帰ってきたイネ、ゆずは顔を真っ白白になっていた。

「街のいたるところに言われようもない誹謗中傷の紙が貼られていた」

イネの言葉だけではなかった。今度は夕から報告があった。

「貸しスタジオ全てから貸出不可だと電話きたよ」

今度は貸しスタジオから貸出できないとの報告に対し、愛、

「八方塞がりか~。そうなったら大学に抗議を…」

と、言っているもつかの間、今度は天から報告が。

「愛、さっきから大学側に抗議しているけど、取り扱ってもらえない」

この報告を受けた愛、ついには…。

「こうなったら仕方がない。あれしかないな」

と愛が言うと、天は、

「ついにあれをやるんだね」

と、これまた愛に呼応した。これに対し夕たち、

「?」

と、ハテナ顔をすると、愛は言った。

「「博多小娘」の原点に戻るんだ」

これを聞いた夕、あることに気づいて言った。

「まさか、ゲリラライブ!!」

愛はそのことを聞くと言った。

「そう、ゲリラライブ!!」

 

 新天町、夜9時。普通なら街の中を通る人たちの話し声しか聞こえないのに、この日は違っていた。新天町の中央ドームには人だかりができていた。その人だかりの前には、愛たち「博多小娘」7人が踊る態勢をとっていた。愛たちはゲリラライブを決行することを決めると、すぐにネットでゲリラライブを告知した。場所についてはただある場所としか示していなかったが、「博多小娘」をよく知る地元の人たちはすぐにその場所が新天町であることに気づいた。なぜなら、「博多小娘」は愛、天、あやが1年のとき、ゲリラライブを行った唯一の場所だから。

「さあ、時間よ」

と、愛が言うと、天は元気よく、

「よっしゃー、はじけまくるぞ」

と言うと、CDラジカセの再生スイッチを押し、曲をかける。

「さあ、最初の曲は…」

と、愛が言った瞬間、ある人物が止めにはいった。

「やめなさい!!大学としてゲリラライブは許しません」

止めにはいったのは大学の警備員たちだった。

「やめて。ここでゲリラライブさせて~」

と、愛は叫ぶが、警備員たちは、

「ゲリラライブを禁止している以上、やめてもらいます」

と、「博多小娘」7人を力ずくで抑えていく。

 取り押さえられた愛たち7人。そこにある女性が7人の前に立ちはだかった。

「どうですか。私に逆らったらこうなることを身をもって感じましたか」

そこに立っていたのは中洲博子理事長だった。

「お母さん、なんてことをしてくれたの」

天は実の母である理事長にたてつくも、理事長は、

「そんなの関係ありません。私にあなた(天)のことを実の娘とは思っていません。私に逆らうおまえに対し、勘当を申し伝えます」

と言うと、これを聞いた天、

「…」

と、黙るしかなかった。

「さっ、あなた方も散った、散った。こんなゲリラライブ、許されるわけがないでしょ。これで「博多小娘」もおしまい。これからは私の大学のほかのユニドルがこの日本で、私の大学の広告塔として宣伝してくれるでしょう」

と、理事長が観客たちを散らせようとしたとき、

「ちょっと待つだニャー」

と、どこか聞いた声が新天町中に響きわたった。

「誰!!」

と、理事長が言うと、まわりを見回した。そこにいたのは…。

「あなたはだれ?」

だれと言われた女性はがくっと倒れこみ、名前を言った。

「凛の名前は星空凛だニャー」

愛は凛の姿を見て驚いて言った。

「凛先輩!!」

そう、まるで正義の味方のごとくあらわれたのは伝説のスクールアイドル「ミューズ」のメンバー、星空凛と、

「私もいます!!」

と、凛の横からあらわれたのは同じく「ミューズ」メンバーの1人、小泉花陽だった。

「花陽先輩!!」

愛は驚いていた、あの「ミューズ」のメンバー2人がここに光臨したことを。

「愛ちゃん。実情はわかりました。ちょっと待ってください」

と、花陽が言うと、理事長の前に立った。

「小泉さん、伝説のスクールアイドル「ミューズ」のメンバーとしても、そこをどいてくださいますね」

と、理事長の前に立った花陽をどかそうとするも、

「いえ、そこから立ちのきするつもりはありません」

と、花陽は理事長の前をどかなかった。

 そして、花陽は愛に語り始めた。

「愛ちゃん、なんでゲリラライブを突然しようとしたの?」

これに愛、

「だって、これだと私たち自身、ユニドル活動続けられなくて、それならダメでもともとだけど、一面発起して観客のみんなに私たちは無実であることを知らしめたくて…」

と、答えると、花陽、

「ゲリラライブは悪いことじゃないわ。だって、ゲリラライブってまわりのみんなとどんなときでも楽しく過ごせるもん」

と言うと、愛、

「花陽先輩…」

と、あこがれの目で言うも、突然、

「でも、いくらゲリラライブがよくても、なんの目的もないゲリラライブって悲しいものはないよ」

と、花陽から言われると、愛、

「…」

と、黙ってしまった。

 そして、花陽は理事長の目を鋭く見つめると、愛に向かって言う。

「愛ちゃん、ユニドルやスクールアイドルって何でいると思う?」

これを聞いた愛、

「わかりません。教えてください」

と、花陽に聞くと、花陽は笑顔で答えた。

「ユニドルもスクールアイドルもいる理由はひとつだけ。それは、みんなを楽しませることができるから。そして、ユニドルやスクールアイドルにならだれだってなれるから」

 さらに、花陽は愛に向かってこう言った。

「愛ちゃん、あなたたちはユニライブで優勝した。なぜできたと思う。それはほかの人たちと比べてそのときを楽しむことができたから。みんなと楽しいことができたからだよ」

 そして、花陽はあることを愛に伝えた。

「愛ちゃん、ユニドルに限らず、アイドルとは楽しんでいけばいいと思うよ。楽しみを忘れたアイドル、いや、ユニドルはただの人たちだよ」

これを聞いた愛、

「楽しむこと…。そうか、私、楽しむことを忘れてしまっていたんだ。なんの意味もなくゲリラライブをしてしまった。楽しむことを忘れてしまうなんて…」

と、悔しそうに言うと、花陽は、

「それに、みんなと楽しむ方法はユニドルだけじゃないんだよ」

と、笑いながら言う。そんな花陽を見て、愛、

「どんな方法?」

と言うと、花陽、

「ユニドルとして活動しなくても、ユニライブに参加しなくても、アイドルとしていろんな方法でみんなと一緒に楽しめることができるんだよ」

と、笑いながら言う。これを聞いた愛、

「いろんな方法で?」

と、花陽に聞くと、花陽、

「そう、いろんな方法で、いろんな形でアイドル活動はできるってことだよ」

と、愛に向かってウインクしながら言った。

 だが、この会話をあまり芳しくみていない人がいた。理事長だった。

「いくら言っても、ユニドルに限らず、アイドルっていうのは商品なんだ。その商品をどう扱うかによってアイドルの価値が決まるんだ」

理事長がこう言うと、花陽に向かって襲ってきた。

 だが、それを遮る女性がいた。

カッチーン

「大丈夫、かよちん!!」

理事長を止めたのは凛だった。凛は理事長を止めると、理事長に対して言った。

「いくらアイドルを支える裏方としても、そのアイドル、いや、ユニドルの活動を妨害することはよくないころニャ、絶対間違っているニャ」

これを聞いた理事長、警備員にあることを指示、

「警備員たち、この凛という少女を取り押さえなさい」

と。警備員、愛たち7人を取り押さえることをやめ、なぜか理事長の後ろの方に集結していき、そして…、

「かかれー」

と、凛に向かって警備員、ダッシュ。と、同時に凛は、

「エイヤー」

と、理事長を警備員に向けて力いっぱい放出。すると、理事長、

「アラアラアラー」

と、後ろに向かってフラフラしながら倒れるかのように移動すると、前に向かってダッシュしていた警備員にぶつかり、

ジャラーン

と、まるで将棋倒しのように理事長、警備員もろとも倒れてしまった。

 これを見ていた凛、

「ちょっとやりすぎたニャー」

と言うと、愛たちに向かって元気にこう言った。

「どんな方法であれ、楽しむことこそ幸せになれるいい方法だニャー」

 これを聞いた愛、あることを思いつき、天たちに向かって元気にこう言った。

「よ~し、決めた。私、大学から独立する!!これからはユニドルではなく、アイドルとしてみんなと活動していく。ユニドルという枠にとらわれない、私たちだけのアイドルとしてみんなと楽しんでいけるように頑張っていく」

これを聞いた天、

「う~ん、たしかにそれが面白いかも。私、賛成」

と、元気よく手をあげると、あやも、

「それこそ私たち「博多小娘」よ。どんなときでも私たちは一緒。私、賛成します」

と、はっきりと言うと、ほかの4人も、

「賛成」「賛成です~」「賛成しかない」「賛・成」

と、元気よく答えた。

 そして、愛はたからかに宣言した。

「私たちは今日をもってユニドルを…」

これに花陽は言葉を制した。

「突然独立宣言してはまた同じことの繰り返しです。いろんな準備をしてから独立してくださいね」

この言葉を聞いてか、愛は内容を修正して、たからかに宣言した。

「私たち「博多小娘」は今年度のユニライブをもってユニドルを卒業して、一アイドルとして本格的に活動します!!」

これを聞いたまわりの観客は大きな拍手をもって迎えた。

 だが、1人納得していない人がいた。

「私は認めませんからね。私の大学のユニドルである以上認められません」

そんな理事長にある人が近づいていた。

「あの~、理事長~」

理事長の前に立ったのは大学の事務局長だった。

「事務局長、いいところにきました。すぐ、あの9人(「博多小娘」7人+凛と花陽)を捕らえなさい!!」

だが、事務局長からでてきた言葉は意外なものだった。

「理事長、それはできません」

「なぜ?」

理事長が言うと、事務局長は言った。

「理事長、あなたは先ほど、臨時理事会において解任が決まりました。今回の件で大学のお金を無断で私的利用したことが発覚しました。それだけでなく、いろんなところから「博多小娘」に対する大学側の対応に多くの苦情が大学に寄せられました。今回はやりすぎました。少しは反省してください」

理事長はこういわれてしまい、ただしゅんとするしかなかった。

「さあ、これでこれから先も「博多小娘」として活動できるぞ~」

と、天が元気よく言うと、愛、

「なんか忘れていませんか」

と、天に言う。天、

「?」

とハテナ顔をすると、愛、元気よく、

「さあ、ゲリラライブの再開です」

と答えた。これを聞いたあや、

「でも、ゲリラライブ再開してもいいのかしら?」

と、リンに問いかけると、

「いいんじゃないかニャ~」

と答え、これを聞いた愛、

「よ~し、ゲリラライブの再開です。凛先輩、花陽先輩、一緒に楽しみましょう」

と、凛と花陽の手をひき、ゲリラライブに参加させようとしていた。

 凛は元気よく、

「やってみるニャー」

と、答えて参加しようとしていたが、花陽はというと、

「え、ど、どうして、参加。ああ、誰か助けて~」

と叫んでいたそうな。

 こうして、新天町は「博多小娘」のゲリラライブによって楽しい夜を過ごしていったのだった。ちなみに、理事長は長期間にわたる大学資金の私的利用が明るみになってしまい、警察のお世話を受けているらしい。

 

 今回で最後のユニライブとすることにした7人は、大会スタッフから呼ばれると、ステージ袖に立ち、でる準備をしていた。

「あのあと、新しい理事長が選ばれて、大学は平穏になったんだよね」

と、あやが言うと、天は、

「それは私があの大学を引き継ぐまでの代わりの理事長ですもん」

と答えると、愛は、

「さあ、ユニドルとしての最後のステージ、頑張っていきましょう」

と言うと、7人は円陣を組み、

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」と、声を大として言い、

「博多小娘、オン、ステージ」

と、元気よく言った。

 

「さあ、次は前回の王者にして連覇の期待がかかる、福博女子大学のユニドル、「博多小娘」で、曲は「HAKATA LIVE」!!」

レポーターの声と共に愛たちは歌い始める。

 

ラブライブUC 最終章 博多小娘 「HAKATA LIVE」

 

LIVE LIVE LIVE LIVE

 

私たちは生きている

HAKATAに生きている

カモン レッツダンス(ダンス!!)

街が全てステージ みんなが出演者

カモン レッツダンス(ダンス!!)

 

だからこそ楽しい 暮らすことが

街がひとつのテーマパーク

何があってもなくても

いろんなことが次々におこるさ

 

HAKATA LIVE!!

全てが私たちの仲間たちさ

HAKAAT LIVE!!

全てが私たちのステージ

だからこそ私たちは楽しむ

この街が好きだから

 

私たちは喜ぶよ

HAKATAにいることを

カモン レッツダンス(ダンス!!)

ほかにあってなくてもここなら全てある

カモン レッツダンス(ダンス!!)

 

だからこそうれしい くらすことが

街がひとつのデパートなの

何があってもなくても

ここなら全ていろいろとそろうさ

 

HAKATA LIVE!!

みんなと私たちは仲間同士

HAKATA LIVE!!

全ての仲間たちのステージ

だからこそ 一緒にきて参加し

この街を楽しもう

 

さあ この街にきてよね

ここにくればもう出演者

悲しいことがあってもなくても

ここなら全て流してくれるさ

だからおいでよ きてみてよ

HAKATAはみんなをまっているよ

 

HAKATA LIVE!!

全てが私たちの仲間たちさ

HAKAAT LIVE!!

全てが私たちのステージ

だからこそ私たちは楽しむ

この街が好きだから

 

この街を楽しもう

 

「「博多小娘」でした。みんな拍手!!」

レポーターの声と共にステージを降りる7人。

「ついにユニライブのステージが終わりました」

愛が言うと、天はすぐに答えた。

「でも、これからはユニドルとしてではなく、アイドルとして頑張っていくんだ。ラストではない。これがスタートになるんだよ」

これにあや、すぐに反応。

「そうです。あのゲリラライブのように、みんなを楽しませていきましょう」

これを聞いた愛、

「そうだね。これからが私たちのアイドルとしてのステージが始まるんだね」

と、嬉しそうに答えていた。

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。LA55です。今回は「博多小娘」編をお送りしております。前回のユニライブに優勝した「博多小娘」、その優勝のせいで大学の宣伝に使われてしまいます。それに気づきそれに反発するのが今回の話の流れでしたが、実は「博多小娘」、結成も大学からの指示を断り、自分たちの手で結成した、というのが前にありました(詳しくは「博多小娘」1年生編第1話をお読みください)。どんなときでも反発してきましたが、今回ばかりは大学側の力が強かったかもしれません。でも、あの2人の登場で流れは「博多小娘」の方に。そんなストーリーでしたが、みなさんは楽しめましたでしょうか。中州博子ファンの皆さん、大変申し訳ございません。前作「ラブライブΩ」のときからどちらかというと、敵役みたいな役割をしております。それが今回の騒動が原因で理事長職を解任されるというオチになってしまいました。大変申し訳ない。

 で、あの2人ですが、「ミューズ」のメンバーである小泉花陽と星空凛が今回の特別ゲストでした。やっぱりこの2人はコンビで出たほうがとてもよいと感じ、2人揃っての登場となりました。ユニドルについて熱く語る花陽にその花陽を守る凛、みなさんにはどう感じ取れたでしょうか。2人の人物像とはぜんぜん似ていないと思われている方、本当にごめんなさい。自分が思っている人物像にあわせて作っております。異質と感じている方、本当にごめんなさい。

 で、今回の曲は「HAKATA LIVE」です。この曲は博多を舞台にミュージカルをしたらどうなるかをコンセプトに作詞しました。本当なら作曲できたらとても楽しい曲になれるのですが、ボーカロイドを含めて作曲したことがない自分、本当になさけない、うう。なので、みなさんは心のなかで楽しんでみてください。実際、博多という街はとても面白い街です。おいしいものもたくさんございますし、楽しめるところも多いと思います。今期放送中のアニメの舞台にもなっております。実際のところ、殺し屋自体人口の3%もいるわけないのですがね。

 というわけで今回の物語はどうでしたでしょうか。物語については特別編もすでに書き終わっており、それをパソコンに打ち込むだけとなっております。この物語はあともう少しでクライマックスを迎えます。それに向けて頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします。それでは、みなさん、さようなら、さようなら、さようなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC 最終章 HeaT編 前編

「今年もついにこのステージに立てるのかぁ~」
開会式が終わり、楽屋に戻っている最中、雪穂はつい口にした言葉、これにカオルは気づいていた。
「たしかに、去年もこのステージに立っているけどね」
それに対し、ヒカリは、
「でも、去年は優勝できませんでしたが、今年こそは」
と、心強く言うと、陸も、
「そうですね。私たちの実力は去年より上がっています」
と答え、空も、
「そう…、私たち…、去年と…、ちがう…」
と、なにか自信を持つように言う。
 そして、イリヤは、そんな川崎ツインズ(陸、空)を見て、
「この1年、いろんなことがありましたから。特に陸、空、私の3人はこの1年で成長しました」
と、元気よく言うも、ヒカリから、
「3人だけじゃないでしょ。私たち6人ともこの1年で成長したんだよ。間違えないでね」
と、答えていた。
 そして、楽屋に着くと、雪穂は机の上に置いていた写真立てを見た。そこに写っている写真は結婚式に着るウェディングドレス姿のある女性と、隣には同じく結婚式に着るタキシード姿の男性、そう、結婚式の時に撮るツーショット写真だった。
「お姉ちゃん、頑張ってくるからね」
?!。もしかして、その写真に写っているのって、穂乃果?穂乃果は結婚したの?その話は去年の6月にさかのぼる。



ラブライブUC 最終章 HeaT編 前編 「新しい道」

 

 雪穂、カオル、ヒカリは、その年の4月にめでたく大学3年生へと進級した。もちろん、卒業に必要な単位もコンスタントに取得?していた。そして、ユニドルグループ「HeaT」も活動の幅を広げていた。前年度のユニドルの祭典、ユニライブ決勝に進出し、3位と大健闘したため、大学内外のイベントに呼ばれることが多くなったのだ。

そして、新入生が入ってくる4月に新メンバー募集は…、しなかった。雪穂いわく、「今年こそユニライブに優勝するためにも、6人の力を結束しないといけない。今はこの6人で最大限にパワーを高めていきたい」、でも、本音は…、「だって募集をかけるの忘れてしまったんだもん」。去年といい、今年といい、雪穂のおとぼけぶりは健在だった。

そして、月は巡り、6月…、雪穂はあることに悩んでいた。

「ああ、将来どうしようかな」

そう、雪穂は大学卒業後の進路について悩んでいた。高校卒業のとき、将来について、実家の和菓子屋を継ごうと決めた(「ラブライブΩ最終章第1話」参照)のだが、今ここにきてまた悩み始めていたのだった。

「このまま実家の和菓子屋を継ごうかな、それとも、先生になったほうがいいのかな」

なんでこんなに悩んでいるのだろうか。それには理由があった。それはいろんなところから先生として活躍してほしい、と、言われているのだ。なぜなら、ラブライブにおいて、リーダーとして優勝し、ユニライブにしても、2年間リーダーとして3位までのぼりつめた実績があるからだった。リーダーとしてのこれからの学校を引っ張っていくための技量に期待してのものだった。

「しかし、私、ここ最近先生について面白く感じるようになったんだもんね」

雪穂が進路について悩むようになった理由、もうひとつあった。それは、人に教えることの楽しさをここ最近知ったからだった。雪穂はいろんな実習をする際、生徒や学生相手にいろいろと教えるのだが、その時、いろんなことを教えることがとても楽しく感じるようになってきたのだ。これも高校から大学までリーダーとしてみんなを引っ張ってきたことが遠因かもしれない。

「ああ、本当、どっちに進めばいいのだろうか」

そんな雪穂、大学の部室に入るなり、突然、

プルプルー

と、スマホから電話が鳴る着信音が聞こえてくる。

「はい、は~い」

雪穂はスマホをかばんから出すと、電話にでた。

 すると、スマホからある大きな声が…。

「雪穂~、どこにいる」

雪穂は突然の大声にスマホを耳から離した。聞こえてきた声の主は…穂乃果だった。

 

「雪穂~、会いたかったよ~」

大学の校門で待ち合わせた雪穂と穂乃果。穂乃果は雪穂を見つけるなり、いきなり雪穂に抱きついてきて言った。

「く、苦しいよ~。離して~」

抱きつかれた雪穂は苦しそうに穂乃果に訴える。

「ご、ごめ~ん」

穂乃果はこう言うと、苦しそうにしている雪穂を見つつ、抱きつくのをやめた。

 そして、穂乃果は雪穂に対して言ったセリフは…、

「雪穂~、本当にお久しぶり~」

「今日の朝、会ったばかりじゃな~い」

雪穂は穂乃果にツッコむ。そう、穂乃果は朝、雪穂と会っている、というより、今だに一緒に暮らしている。

「だって~、いつも一緒に暮らしていても、会うときの感動っていつでも味わいたいじゃない」

穂乃果がただ、このように答えるも、雪穂、

「そんなお気楽なのはお姉ちゃんだけです」

と、姉こと穂乃果を突き放す。

「って、そういうことで来たんじゃなかった」

と、穂乃果、すぐに態度を変える。

「ふざけていたのって、お姉ちゃんじゃ~」

と、雪穂、再び穂乃果にツッコむも、穂乃果はそれをスルー、すぐにまじめモードに移行した。

「雪穂、実はお願いがあるんだ」

穂乃果の真面目な言葉に雪穂、

「うん」

と、ツバを飲み込む。

「実はこれを見てほしい」

と、穂乃果、一枚の写真を雪穂に見せた。

「えっ、お姉ちゃん、結婚するの!!」

雪穂はこう言って驚いていた。そう、その写真には白無垢姿の穂乃果が写っていたのだ。

「そう、穂乃果はついに結婚…」

穂乃果の言葉に雪穂、

「結婚…」

と、ツバを再び飲み込む。

 そして、穂乃果の言葉は…、

「結婚式場からモデルをしてくれないかっていわれているんだ」

この言葉に雪穂、

「ガクッ」

と、ズッコケてしまった。

「お姉ちゃ~ん」

と、雪穂、穂乃果に怒るも、

「ペロペロ」

と、穂乃果、ごまかす。

「で、ね、いろんな写真を撮ってもらったんだ」

と、結婚式場の写真らしく、穂乃果のウェディング姿の写真や、ケーキ入刀の写真などを雪穂に見せた。

「わ~、すご~い」

雪穂は穂乃果の写真に驚いていた。それはまるで穂乃果が結婚式を開いていてもおかしくない、そのような写真だった。

「でね、お願いがあるんだ~」

と、穂乃果、雪穂に再びお願いをした。

「実は穂乃果の~」

穂乃果の言葉に雪穂、

「うん…」

と、これまた再びツバを飲み込む。

「実は穂乃果の友達が結婚するの~。その結婚式にでてほしいの~」

と、穂乃果、意外なことを言う。

「え~」

雪穂、あまりにも意外な言葉にびっくりする。

 穂乃果の言葉は続く。

「その友達って雪穂もお世話になっているでしょ。だから、雪穂にも結婚式にでてもらいたいんだ」

さらに、穂乃果は意外な言葉を連発した。

「それに、今回は多くの人たちから祝福を得たいという友達の希望から、え~と、雪穂が所属しているユニドル、たしか「HeaT」の人たちも招待したいんだ~」

 これを聞いた雪穂、

「でも~、私はともかく、カオルたちも参加したら、参加者が多過ぎるんじゃ~」

というも、穂乃果、

「それは大丈夫だよ。だって、行う場所って公園だもん」

と、これまた意外なことを言う。

「公園…」

これには雪穂、言葉を失うしかなかった。

 穂乃果はこれを見て言葉を続けた。

「意外なことかもしれないけれど、緑あふれる公園で、園遊式の結婚式をすることが友達の夢だったんだ」

これを聞いた雪穂、

「そうなんだ。だったら、私、結婚式に参加する。カオルたちも参加するよ」

と、穂乃果に言った。

 

「結婚式!!」

雪穂の言葉に驚くカオルたち5人。

「でも、私たちが参加していいんでしょうか」

ヒカリ、雪穂に聞くも、

「お姉ちゃんからそれはOKだって」

と、雪穂、軽く答える。

「でも、参加する以上、何かしたほうがいいかも」

と、カオルが答えると、イリヤ、

「それだったら、落とし穴をつくろうと考えていないでしょうね」

と、カオルに釘を打つ。

「いや、それはちょっとやめておくよ。だって、その結果、新婚2人とも死亡して逮捕されたことがあるんだもん」

と、カオル、それはちゃんと自覚していた。

「でも、なにかしたいなぁ」

と、陸が言うと、

「私…、も…、なにか…、やりたい…」

と、小声で言う。

 すると、雪穂、

「私もお世話になったお姉ちゃんの友達のために、なにかできればいいんだけど」

と、少し悩むと、ヒカリ、あることを思いついた。

「雪穂さん、私にいいアイデアがひらめきました」

これに、雪穂、

「それってな~に?」

と聞くと、ヒカリ、

「歌を送りましょう。私たちはユニドルです。私たちには歌があります。その友達に歌を送りましょう」

と、提案する。これにイリヤ、

「それはいいですね。歌を送りましょう」

と、ヒカリの意見に賛成する。

 しかし、反対する人もいた。

「私は反対。私たちの持ち歌のなかに結婚ソングある?」

カオルだった。そう、「HeaT」の持ち歌のなかに結婚ソングはなかった。

「それだったら、ほかのグループの曲をカバーするのはどうでしょうか。たとえば、「μ’s」の「Love wing bell」とかどうでしょうか」

ヒカリの言葉に、カオル、

「う~ん、ほかのグループの楽曲というのも味気ないんじゃないかな」

と、これに反対。

 すると、黙っていた雪穂が代案を思いつく。

「それだったら新曲はどうかな」

これを聞いたヒカリ、

「それ、いいんじゃないですか」

と、雪穂案に賛成。カオルも、

「それっだったらいいですよ。イリヤは?」

と、イリヤに聞くと、

「イリヤもさんせ~い」

と、雪穂の案に賛成した。

 しかし、そんな4人に対し、川崎ツインズは黙ったままだった。

「陸、空、どうかな?」

雪穂が陸と空に聞くと、陸から一言。

「私も賛成なのですが、新曲となると…」

と、口を濁してしまう。空も、

「ちょっと…、難しい…」

と一言。

「どうして」

ヒカリが聞くと、陸はその理由を言った。

「今、私たちは今度のユニライブにむけて新曲を作っています。それに、サイトの方からも作曲依頼が多くて…」

空も無言でうなずく。川崎ツインズはインターネットサイト「なぞの音楽屋さん」を運営しており、無料で作曲依頼を受けている。その依頼が殺到しているのだ。

 これを聞いたヒカリ、

「だったら、私たちで作詞作曲しましょう」

と、突然のことを言い出した。カオル、

「私たち自身って、ヒカリ、本当にできるの?」

と、心配そうに言うも、雪穂、

「たしかにいい案かもしれないね」

と、ヒカリの案に大賛成した。イリヤも、

「それはいい考えだね」

と賛成し、陸、空もうなずいていた。

 最後にカオルも、

「みんなが賛成しているなら、反対する理由はないよ」

と、賛成にまわる。

 こうして、みんなで新曲をつくることになった。

 

「まず、最初はお姉ちゃんの友達に会いに行こう」

と、雪穂の提案で、その友達に会いに行く雪穂たち6人。

「雪穂ちゃん、こんにちは」

その穂乃果の友達から挨拶を受けると、

「結婚おめでとうございます。ところで…」

と、いろんなことを聞いていた。

 

 彼氏とのいろんな話を聞いた雪穂たち6人、そして、作詞にはいる。

「やっぱり前向きの曲がいいね」

と、ヒカリが言うと、イリヤ、

「それはそうでしょう。ここで後向きにするような曲はナッシングよ」

と言えば、カオル、

「それなら、「贈る言葉」みたいにすればいいんじゃないかな」

と提案。カオルと同じ九州出身の海援隊の曲ということもあるみたいだが、

「カオルさん、それはダメ!!「贈る言葉」はもともと失恋ソングなんだから」

と、陸がカオルに注意をする。これを聞いたカオル、

「へ~、そうなんだ」

とうなずいていた。

 そんなやりとりを尻目に空はもくもくと作詞に取り組んでいた。

「どう、進んでいる?」

と、空に聞くと、空、

「うん…、進んでいる…」

と言った上でさらに、

「陸や…、カオルさんたち…、の…、やりとり…、楽しい…」

と言えば、雪穂、

「そうだね。これができるのもあと少しかもね」

と、ちょっと悲しそうに言うも、空、

「?…」

と、少し首をかしげていた。

 

 こうして、空の協力を受けて作詞が終わったあと、陸を中心として作曲にも取り組む雪穂たち6人。

「やっぱりタンバリンやトライアングルをいれようよ」

と、ヒカリが言えば、カオル、

「それはやめたほうがいいんじゃな~い。だって、それだとラテンになっちゃうから、切腹」

と、なぜかギター侍の見ていた陸、

「って、もしかして、ギターでアコースティックをやりたいからまねしたんじゃないでしょうね」

と聞くと、カオル、

「あっ、ばれちゃった」

と、ペロペロ顔で答える。

 これを見ていた雪穂、

「やっぱり今の時間が一番楽しいね」

と言うと、空は、

「?…」

と、これまた少し首をかしげていた。

 

 こうしてできた新曲、その発表の日、つまり、穂乃果の友達の結婚式の日を迎えるのであった。

 

「結婚おめでとう」「おめでとう」

と、結婚する2人の門出を祝う声が聞こえるなか、バージンロードを歩く新郎新婦の2人。そんなところを雪穂たちはバージンロードのそばで見ていた。

「本当にかわいい」

雪穂が言うと、カオルも、

「それはそうでしょう。2人の新たな出発だもんね」

と、少し泣きながら言うと、イリヤも、

「私もこんな結婚式したい」

と、目をキラキラさせながら言っていた。

 

 そして、結婚披露宴が行われる公園の庭園では、いろんな料理がならんでいた。

「おいしい、おいしいよ」

と、ヒカリはテーブルにあるものをかたっぱしから食べていた。

 陸はヒカリに対し、

「ヒカリさん、少しは落ち着いて食べてください」

と、注文するも、空から、

「陸…、そんな…、こと…、言えない…、よ…」

と、陸を注意。そう、陸も、持っているお皿にはいっぱい料理の品がもってあった。

 

「それでは、これから披露宴参加者によるだしもの披露です」

と、司会の人のアナウンスを聞いた雪穂たち6人。

「ついに出番ですね」

と、イリヤが言うと、

「さあ、私たちのステージ、成功させないとな」

と、カオルが言う。カオルの言葉に、ヒカリ、

「今回は主役である新郎新婦を喜ばせること優先です」

と、カオルに釘を打つ。陸は、

「(空)お姉ちゃん、一緒に頑張っていこう」

と言えば、

「うん…、私も…、頑張る…」

と、声をあげて言った。

「それでは、最初に新婦の友人の高坂穂乃果さんの妹でもあります、高坂雪穂さん率いるユニドルグループ「HeaT 」です」

パチパチパチ

盛大な拍手によって迎えられた雪穂たち6人。ステージに立った6人はまず新郎新婦に礼をした。

 そして、雪穂がマイクを持つと、新郎新婦の方を向いて言った。

「新郎新婦、ご結婚おめでとうございます。私たちはユニドルグループ「HeaT」です。今日はお祝いの席に呼んでいただきありがとうございます。たった1曲だけですが、曲を送らせていただきます。それでは聞いてください。「新しい道」」

 

ラブライブUC 最終章 HeaT 結婚ソング 「新しい道」

 

Go to the New Road Let’s Go

 

あなたは今から進む 未来へ

(Go to the New Road)

あなたは旅立つ 新しきパートナーと

(Go to the New Road)

あなたは新しき世界へすすめる

(Go to the New Road)

 

これから困難あっても大丈夫

だってあなたにはたものしい人がいる

これから一緒にやっていける

そんなパートナーを得てるから

 

Go to the New Road

あなたたちが進む新しい道

Go to the New Road

なにもおそれずにすすめばいいさ

あなたたちこそ幸せになれる

だってこれから進む道はバラ色さ

 

あなたはこれからみせるあかりは

(Go to the New Road)

あなたのすべてを受止めるパートナーが

(Go to the New Road)

だからさ新しき世界へすすめる

(Go to the New Road)

 

これから危険があっても大丈夫

だってあなたにはお似合いの人がいる

これから支えてくれてあげる

そんなパートナーを待てるから

 

Go to the New Road

あなたたちはずっとやっていけるさ

Go to the New Road

なにも心配しなくてもいいさ

あなたたちこそ幸せになれる

だってこれから乗り越えるさ幸せを

 

これまでやってきたのさ 私たちと

だけどあなたは知っている

たとえあなたたち2人だけ

視界なくなってもやっていける

なぜなら あなたたち2人は

史上最高のパートナー同士だから

 

Go to the New Road

あなたたちが進む新しい道

Go to the New Road

なにもおそれずにすすめばいいさ

あなたたちこそ幸せになれる

だってこれから進む道はバラ色さ

 

Go to the New Road

Go to the New Road

 

 そして、曲が終わると、

パチパチパチ

と、会場中から盛大な拍手が響きわたった。ただ、この拍手は披露宴参加者だけでなく、その公園に遊びに来ていた人たちからもあった。公園で行われているので、その公園に遊びに来ていた人たちも「HeaT」の歌声に誘われてきていたのだった。

「いいぞ~」「よかったよ~」

いろんな方向から聞こえてくる歓声に雪穂たちは微笑みでかえしていた。

 

 こうして、結婚式は大成功のうちに終わった。しかし、まだ残っている問題があった。そう、雪穂の進路問題だった。雪穂はどんな答えをだすのだろうか。それは次回へと続く。

 

次回 ラブライブUC 最終章 「HeaT」編 後編

 

最終回まであと3回

 




あとがき

みなさん、こんにちは。La55です。今回は雪穂たち「HeaT」の物語の前編です。雪穂の進路問題がまたも再熱してしまいました。前作「ラブライブΩ」で解決したのかと思えばまたも悩んでおります。果たして次回雪穂はどんな結論をだすのでしょうか。それではさよなら、さよなら、さよなら…、ではありません。今回は雪穂の進路問題に加えて、穂乃果の友達が結婚するということでそれを祝うという内容でした。穂乃果の友達って誰?って思う人が多いと思います。それはご想像にお任せします。穂乃果ですから友達多そうですが…。今回の物語ですが、自分に係わりのある人の結婚式がこの物語を考えるきっかけとなりました。自分も結婚式に招待されてので参加したのですが、その結婚式はとてもいいものでした。そこで、「ラブライブUC」でも結婚式をテーマにした物語を作ってみようと思い、このお話を作りました。みなさんにとって結婚式って憧れだと思います。もし、友達や親戚が結婚式を行うのであれば、盛大に祝ってほしい、私はそう思います。

 で、今回の曲、「新しい道」ですが、これから新しい門出を迎える新郎新婦に向けた応援ソングとなっております。これから先、新郎新婦はいろんな道を進んでいくと思います。それがたとえ困難な道のりであっても、たとえそれが苦しい道であっても、2人なら2人仲良く越えていける、そんな2人を私たちは応援していきたい、そんな気持ちを込めた曲となっております。曲調としてはポップテンポな感じで作詞をしましたが、みなさんにとってどんな曲調を想像しましたでしょうか。作曲ができればいいのですが、自分は作曲できず、うう。

 というわけで、今回のお話はここまで。この「ラブライブUC」ですが、最終回まであと3回となりました。はたしてどんな結末を迎えるのでしょうか。ここでお知らせ。これまでピクシブとハーメルンの投稿時間を同じ午後5時25分ごろにしておりましたが、諸事情によりピクシブの投稿時間を昔みたいに不定期にしたいと思います。といっても、金曜日までには投稿しますので、どうぞお楽しみください。それでは今度こそ、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC最終章 HeaT編 後編

「う~、どうしようかな」
穂乃果の友達の結婚式が終わってから1週間が経っていた。雪穂はまだ悩んでいた、実家の和菓子屋を継ぐか、もしくは、先生になるのかを。
「あっちをたてたら、こちらがたたず。こちらをたてたらあちらがたたず」
雪穂の悩みはまるで出口の見えない迷路のようだった。
 そうしているうちに1時間が経った。
「や~ん、どちらにも決められな~い」
袋小路にはいった雪穂だった。
 そんなとき、だれか雪穂を呼ぶ声が…。
「…さん、…ほさん、雪穂さん!!」
「はにゃ?」
雪穂は驚いてしまった。すぐにまわりを見渡す。すると、見慣れた姿を見つける。
「ヒカリ!!」
そう、雪穂を呼んだのはヒカリだった。ヒカリはすぐに雪穂に言う。
「雪穂さん、問題です!!大問題です!!」
「問題?なにか起こったの?」
雪穂はヒカリに問う。すると、ヒカリ、姿勢を正して言う。
「問題です!!これから私たち、どうすればいいのですか!!」
「え?」
雪穂はただ唖然となった。



ラブライブUC 最終章 HeaT編 後編 「最後の舞台(ラストステージ)」

「「私たち」ってどうしたの?」

雪穂がヒカリに言うと、ヒカリは泣きながら言った。

「今後のことについて、カオルさん、イリヤさんと、陸さん、空さんがケンカしているんですよ」

「え?」

雪穂は驚いていた。1週間前に結婚式で新曲を歌ったというのに、あんなに仲がよかったのに、たった1週間でケンカしてしまったのだ。

「ヒカリ、すぐに4人のところに連れて行きなさい」

雪穂はヒカリに言うと、ヒカリはすぐに、

「はい、わかりました」

と、雪穂を4人のところに連れて行った。

 

「やめたくない!!」

「やめるしかない!!」

ケンカをしている4人がいるパリ広場(大学内にあるカフェテリア)に直行した雪穂とヒカリが見たものとは、激しく口論しているカオルたち4人だった。

「4人ともやめなさい!!」

雪穂はカオルたち4人のあいだにはいり、4人を引き離した。

「どうしてこういうことになったの?」

雪穂はカオルたち4人にケンカをした理由を聞くと、カオルは、

「これから先の「HeaT」についてです!!」

と、いじけたように答えた。

「これから先の「HeaT」について?」

と、雪穂、カオルに聞くも、カオルは、

「これ以上言いたくない」

と、怒って黙ってしまった。

「意味がわからない?」

と、雪穂がヒカリにケンカの理由を詳しく聞こうとすると、ヒカリ、

「実はね…」

と、ケンカの理由を話し始めた。ヒカリいわく、

「実は「HeaT」を続けるか否かについてもめているんだ。私とカオルさん、それに雪穂さんは今年で大学3年生。来年には教育実習に教員採用試験があるから、ユニドルとして活動できるのは今年度いっぱいが限度。それに、今年は新メンバーを募集していないから、来年はイリヤさん、陸さん、空さんの3人しか残らない。そのことを考えると、「HeaT」の活動を今年度いっぱいまでにしよう」と、陸さんと空さんが提案したの。しかし、カオルさんとイリヤさんが反対してしまって。いくら話あっても平行線のままなんだ」

 これを聞いた雪穂、陸と空にすぐに問う。

「どうして「HeaT」の活動をやめようと思うようになったの?楽しくなかったかな、ユニドル活動」

これに対し、陸は、

「いや、今でも楽しいと思っているよ」

と答えると、雪穂、

「じゃ、どうして?」

と聞きなおす。すると、いつもはおとなしい空が興奮した表情で答えた。

「だって…、こんな…、楽しい…、時間…、終わるの…、いや…。でも…、終わりは…、来る…。楽しい…、うちに…、終わり…、たい…」

これを聞いた雪穂、今度は逆に、カオル、イリヤに問う。

「陸、空がこんなに言っているけど、2人はどうなのかな」

すると、イリヤが答えた。

「たとえ、イリヤと陸と空しか残らなくてもやっていける。3人だけになってもやっていける!!」

その横からカオルが大声でこう言い出した。

「言っておくけど、私は4年生になってもユニドル活動は続けていくからね」

これにはヒカリ、ツッコミをいれる。

「カオルさん、それはちょっと無理があるんじゃないかな。だって、カオルさんの教育実習先って博多か熊本じゃないですか。それに、教員採用試験はそんなに甘いものじゃないですよ」

これにはカオル、ヒカリに反論。

「そういうヒカリは「HeaT」活動休止論者なのですか」

これを聞いたヒカリ、

「そ、それは…、どっちともいえません」

と、しゅんとなりながら答えた。

 ただ、この光景、それに4人の意見を聞いた雪穂、

「う~ん、どうしたらいいのだろうか」

と、ただ悩むことしかできなかった。

 

「自分の進路、それに「HeaT」をどうしたらよいのか。この2人の問題だけで私の頭の中がパンクしちゃうよ」

雪穂はカオルたち4人のケンカから1週間たってもなおも悩み続けていた。1週間たった今でも4人の仲は亀裂がはいったままだった。活動継続派のカオル、イリヤお活動休止派の陸、空。このままだと「HeaT」は空中分解してしまう。しかし、とうの雪穂は自分の進路のこともあり、先に進めることすらできなかった。

「う~、私としては「HeaT」の活動はやめたくない。けど、来年度はそれをする余裕すらなくなると思う。続けるべきなんだろうか、それともやめるべきなんだろうか」

むろん、押し問答を繰り返すだけなので、いつまでたっても答えはでてこなかった。

 しまいにはこんな状態に。

「私の進路、やめようか、続けようか…」

先生になるか、和菓子屋を継ぐかという進路問題と「HeaT」のこれからについて、この2つの問題がごっちゃになってしまい、なにが言いたいのかわからなくなるような状況までつくってしまった。

 そんななか、こんな雪穂を影から見ている人がいた。

「雪穂さん、これじゃ悲しすぎるよ」

そして、その人はあることを決めた。

「よし、穂乃果さんに相談してみよう」

 

 その人はすぐに穂乃果に連絡すると、その翌日にはファミレスのところで穂乃果と待ち合わせをすることになった。

「あっ、…ちゃん、こんにちは」

穂乃果は元気に挨拶すると、その人は静かに、

「…こん、にちは…」

穂乃果に挨拶した。

 そして、その人は雪穂の現状について話すと、穂乃果は、

「うん、わかった」

と、元気よくうなずいて立った。その人はすぐに、

「でも、それだと穂乃果さんの未来すら決めてしまうことに」

というと、穂乃果、

「それでもいいんじゃないかな。だって、私の大切な妹なんだもん」

と、元気よく答えた。

 

「ああ。こっちをたてたら、あってがたたず。あっちがたてたら、こっちがたたず。あ~」

ある人が穂乃果に会った翌日、雪穂はまだ悩んでいた。カオル、イリヤと陸、空、2組の意見をさっきまで聞いていたのだった。

陸、空は、

「私たちは来年度、イリヤと3人しかいなくなる。新メンバーを集めても、今以上の「HeaT」を作るのは無理だと思う。なら、今のうちにやめるのがいいんじゃないかな」

「うん…、うん…」

とのこと。

一方、カオル、イリヤの方は、

「私は、この楽しい時間はずっと続くと思うよ。たとえ、私、雪穂、ヒカリがいなくなっても、新メンバーが入れば楽しいことは続けることができる」

「カオルさんの言うとおり、アイドルグループだって卒業と新加入を繰り返して生き続けているんだよ」

 2組とも考え方は違っている。どっちも言っていることはおかしいところはない。しかし、あいたがえないものだった。

「このままじゃ「HeaT」は空中分解、いや、それよりも、私も先生になるか、和菓子屋を継ぐか、どちらかを選ばないといけない。どうしたらいいの~」

雪穂は叫んだ。と、同時に、

プルルプルル

と、スマホからメールの着信音が聞こえてきた。

「だれからだよ~。こんなに悩んでいるのに~」

そこにはいやいやながらスマホを見ると、そこにはよく知っている名前が…。

「お、お姉ちゃん!!」

そこには雪穂の姉である穂乃果の名前がでていた。そのメール内容とは…。

「とても大事なお話があります。すぐに神田明神にきてください」

 このメール文に雪穂、

「なんだろう、大事な話って」

と言うと、すぐに神田明神へと走っていった。

 

 神田明神に着いた雪穂、本殿の近くに行くと、すぐに穂乃果を見つけ、

「お姉ちゃん」

と言って、穂乃果のそばに近づいた。

 すると、穂乃果は雪穂に一言、

「雪穂」

と言うと、話し始めた。

「雪穂。ここ最近、元気ないじゃない。どうしたの?穂乃果に教えて」

 これを聞いた雪穂、

「お姉ちゃんには関係ない!!」

と、言葉ではムスッとするも、顔は正直であり、難しい顔をしていた。

「そんなに難しい顔をしても、眉間にしわがよるだけだよ。正直に言ってみなさい。もしかするとスッキリするかも」

と、穂乃果。雪穂に近寄って言うも、

「そんなの関係ない!!」

と、雪穂、頑固の1点張り。

 すると、穂乃果はあることを言い出した。

「もしかして、進路の話のことかな」

これを聞いた雪穂、

「えっ!!」

と、驚きの表情をとると、穂乃果、これを見逃さず、

「やっぱり進路の話なんでしょ」

と、雪穂をからかうような素振りで近づくと、

「それが悪い!!お姉ちゃんには関係ないでしょ!!」

と、雪穂、穂乃果を振り払おうとする。

 これを見た穂乃果、

「雪穂!!だれも関係ないわけじゃないでしょ!!」

と、雪穂に怒るようにと、雪穂、

「お姉ちゃん…」

と、子犬のようにおびえながら言った。穂乃果が怒ることはあまりない。その穂乃果が雪穂のために怒っている、それくらい珍しく、珍しいためにおびえてしまったのだった。

 穂乃果はこの瞬間を見逃さず、雪穂に迫り、こう言った。

「雪穂、穂乃果が相談にのるから、話してごらん」

 これを聞いた雪穂、

「お姉ちゃん…」

と、泣きながら穂乃果に抱きついた。

 

「それで、進路のことで悩んでいたでしょ」

穂乃果は雪穂にやさしく言うと、雪穂は静かに言い始めた。

「実は、実家の和菓子屋を継ぐか、先生になるか悩んでいるの」

これを聞いた穂乃果、雪穂に、

「たしか、雪穂が高3の卒業前に和菓子屋を継ぐって言っていたじゃない。なのに、今となって先生になりたいってちょっとむしがよくない?」

と、言うと、雪穂、

「大学にはいっていろんなことを知ったんだ。いろんな人たちに会い、いろんなことを学んだ。高校のこともそうだけど、大学のときはそれ以上だった。そこで、私は人に教えることの面白さを知ったんだ。私はいろんなことを教える側につきたい。しかし、それだともとからの夢である和菓子屋を継ぐことができなくなる…」

 そして、穂乃果、次に雪穂に聞く。

「悩んでいるのってそれだけ?」

これを聞いた雪穂、次の悩みをうちあける。

「あともうひとつ。私たちのユニドルグループ「HeaT」の今後についてだよ。今、継続派と終了派の2組に分かれてしまっているの。続けるべきか、終了させるべきか。どうしたらいいの?」

 これを聞いた穂乃果。すると、泣いている雪穂の顔を見て、

「雪穂、あんまり泣かなくていいんだよ」

と、雪穂の涙をぬぐってやると、穂乃果、

「よしっ!!」

と、まるであることを決めたみたいに雪穂の顔を真正面から見てこう言った。

「穂乃果、決めたよ!!」

「えっ?」

雪穂はまるでビックリしたように言うと、穂乃果はそんなことを気にせずにある大事なことを雪穂に言った。

「穂乃果が実家の和菓子屋を継ぎます!!」

「お、お姉ちゃん…」

雪穂は唖然としていた。穂乃果が実家の和菓子屋を継ぐ宣言。あまりにもビックリするようなことだった。穂乃果は雪穂にこう言い続けた。

「穂乃果がこれまでダラダラしていたんじゃないんだよ。父親から和菓子作りのイロハをいろいろと教えてもらっていたんだよ。それに、(綾瀬)絵里ちゃんや(南)ことりちゃんなどから教えてもらった和菓子屋さんで修行してもらっていたんだよ」

 これを聞いた雪穂、

「でも、そのような様子、見せていなかったじゃない」

と言うと、穂乃果、

「東京だけでも和菓子屋はたくさんあるんだよ。東京を舐めるなってね」

と言うと、穂乃果は雪穂の顔に手を置き、やさしくこう言った。

「だから、雪穂は好きなことをしていいんだよ」

 雪穂、穂乃果の言葉に元気をつけ…ておらず、穂乃果に心配そうに言った。

「お姉ちゃん、もしかして、嫌々で決めていない?私のためだけに犠牲になっていない?」

これを聞いた穂乃果はハッキリと、

「いや、これは穂乃果が決めたことだよ。だって、私の夢はもとから和菓子屋になること、昔から決めていたことだよ」

と言うと、雪穂に向かってやさしく言った。

「雪穂、穂乃果と一緒に和菓子屋を継いでもいいし、先生になってもいいよ。でも、選べるのはひとつだけだよ。好きなほうを選びなさい」

 雪穂はこの穂乃果の言葉にある真実を語り始めた。

「私が和菓子屋になりたい理由、それは実家の和菓子屋の火を消したくなかったから。でも、お姉ちゃんが継ぐならその必要はなくなった。でも、もしかすると、私の心の中に和菓子屋なら楽に就職できると思っていたかもね」

 そして、あることを決めたみたいに雪穂は穂乃果に言った。

「私、先生になる。先生になってみんなに楽しいこと、面白いことを教えていきたい」

これを聞いた穂乃果、すると、すぐにある重要なことを言った。

「ようやく自分の将来について決めたか。よしよし。でも、忘れていないよね。先生になるにはそれなりに準備が必要だよ」

それを聞いた雪穂、穂乃果に堂々と言う。

「それは大丈夫。だって、大学では教職課程を受けているんだよ。授業自体が先生になるための準備になるんだよ」

穂乃果、自信満々の雪穂に言う。

「でも、教員採用試験の準備は?」

これについても雪穂、堂々と、

「それも、友達と一緒に勉強しているから大丈夫。お姉ちゃんじゃないから」

と言うと、穂乃果はある事実を伝えた。

「でも、この先、教育実習などでみんなとやれる時間がなくなるよ。ユニドルグループ「HeaT」をどうしていくの?」

これを聞いた雪穂はすぐにしゅんとなってしまう。

「それは…」

 すると、穂乃果はあることを言った。

「今が決めどきじゃないかな、グループについて。今のまま続けてもいいけど、教育実習などであまり時間がとれないとまわりに迷惑だし、それにやめたとしても残ったメンバーにとってこれから先、やっていけるかわからない。それにね…」

「それに…」

穂乃果の言葉に雪穂はつられてしまう。穂乃果は言った。

「今のメンバーといるのが楽しいなら、楽しいうちにやめるのもひとつの手かもね。穂乃果もμ’sとして活動しているうちに、このメンバーで楽しいうちにそれも決められた期限の中でやり遂げたほうがよいと思って、μ’sを活動休止にしたんだよ。雪穂も高校のときに楽しいうちに限られた時間の中でやり遂げようと思ったから解散したんでしょ」

これを聞いた雪穂はただ黙っているしかなかった。

 そして、穂乃果はこの言葉をもって締めた。

「ほかの人たちのこともそうだけど、一番大事なのは自分の心の中だと思うよ。だらだら続けて、あとで後悔するよりも、今のうちに決めて、あとで後悔しないようにしたほうがいいよ」

 これを聞いた雪穂、ついにあることを決めた。

「私、わかったよ。このままだと「HeaT」をただ続けていてはいけない。今のメンバーだからこそ楽しい。ただ、時間は限られている。こんな楽しいことがずっと続くわけではない。どこかできっぱりとやめたほうがいいのかもしれない」

雪穂はこう言うと、穂乃果の前で堂々と宣言した。

「私、「HeaT」を今年度をもって解散しようと思う。そうしたほうがだらだら続けるよりも、とてもきっぱりした、すがすがしい、そして、この楽しさが思い出として残せるものになると思えるんだ」

 これを聞いた穂乃果はまわりを見渡し、手で「こいこい」という合図をだしていた。

「ってことですよ。どうですか、みなさん」

「?」

と、雪穂が首をかしげると、あるものが隠れていることを知り、こう言った。

「えっ、ど、どうして、なんでいるの?」

あるものとは、本殿のお賽銭箱の後ろに隠れていたものとは…。

「カオルにヒカリ、イリヤに陸、空…」

そう、隠れていたのは雪穂以外の「HeaT」メンバーだった。

「でも、ケンカしていたのでは…」

雪穂は唖然としていたが、カオルはすぐに説明した。

「実は、私たち、ケンカはしていなかったんだ」

「え~」

雪穂は唖然としたままだった。すぐにヒカリは補足説明をした。

「私も騙されていたんだけど、ケンカになりそこねたっていうのが正解かな。結婚式のあと、カオルさん、イリヤさん、陸さん、空さんは「HeaT」の今後についてどうしようか考えていたんだ。だって、雪穂さん、今後のことなんて考えていないんだもん」

これを聞いた雪穂はただ言い訳を言った。

「それは、なるようになるってことじゃない」

これを聞いた陸、

「だから心配になっているんです。「HeaT」は私たちにとって大切なもの。でも、これはずっと続くものじゃない。だから、自分たちにとって楽しいと思えるときにやめるのが一番いいと思っていたのです」

と言うと、イリヤも、

「イリヤもそう思います。やっぱり「HeaT」は私たちだからこそ楽しいのだと思います。ほかのメンバーがはいってきても、この楽しさにはかなわないよ」

と、元気よく答えた。でも、空はあることを言った。

「けど…、イリヤさん…、本当は…、最初…、やめたく…、ない…、と…、言った…」

これにはイリヤ、

「それはシー」

と言うと、ヒカリはあることを言った。

「最初、ケンカになりそうになったけど、そのときの雪穂さんの対応がちょっと心配になったから、あとで私以外の4人で話し合ったそうです、このままだと雪穂さんが壊れるじゃないかって。でも、これが雪穂さんにとってある種の試練じゃないかって。だから、私以外の4人は「HeaT」は解散したほうがよいと思いつつも、対立しているように見せたそうです」

 そして、ヒカリは雪穂にこう言った。

「でも、その対立を見せても雪穂さんはほかのことを考えているみたいだったので、もしかしたら進路のことかなと思ったんです。そこで、雪穂さんの姉である穂乃果さんに昨日相談したんです」

すると、穂乃果は雪穂に元気よく言った。

「穂乃果はヒカリちゃんから聞いてわかったんだ、もしかしたら穂乃果が原因じゃないかって」

この言葉に雪穂、はっきり言う。

「そうだよ。だって、お姉ちゃん、今でもダラダラいたり、どっかに行ったりしかしていないじゃない」

これに対し、穂乃果、

「それは雪穂が大学にずっと行っていたり、ヒカリちゃんたちと練習したりしたからだよ。雪穂自身、長い間家を空けていたのが原因だよ。本当はその間、ずっといろんなことをしていたんだからね」

と、元気よく反論する。

「そんなに見えていないのが現状でしょ」

と、雪穂、穂乃果に再び反論する。だが、これだと雪穂と穂乃果のケンカに発展しかねない。そう思ったカオルはすぐに手をうつ。

「雪穂、穂乃果さんとのケンカは別にしてね。それより、これから「HeaT」をどうするか、もう決めているでしょ、雪穂」

 すると、雪穂はきっちりと言う。

「わかっている。「HeaT」は今年度末をもって解散する。みんな、いいでしょ」

これにカオル、

「私は賛成。最後まで頑張るよ」

と言うと、イリヤも、

「イリヤも賛成。最後の花道を頑張らないとね」

と言うと、陸も、

「賛成、賛成、大賛成。最後と聞いちゃうとうずうずするね」

と言えば、空も、

「賛成…、それに…、陸…、はしゃぎ…、すぎ…」

と言う。

 そして、雪穂は言った。

「ヒカリ、あなたの意見はどうなの?この「HeaT」の発起人でしょ」

すると、ヒカリは元気よく言った。

「そんなの決まっているじゃない。私はみんなと意見は一緒だよ。こんな楽しい時間が終わる。それは悲しいことだけど、それでも、一生懸命やり遂げれば、絶対にいい思い出として残るよ」

 これを聞いた雪穂はついにある目標を決めた。

「みんなの意見はひとつになった。今年度で解散、これは決定。けど、そうなると、今度のユニライブが最後のチャンス。それなら、今度のユニライブで必ず優勝、絶対に優勝する。どう、みんな?」

この雪穂の決意に、みんな、

「「「「「うん」」」」」

と、うなずいていた。

 

「こうして、6人はユニライブまでの間、一生懸命駆け抜けていきましたとさ、チャンチャン」

カオルがこう言うと、雪穂はカオルを注意する。

「カオル、あと少しでユニライブ決勝のステージだよ。あまりふざけないでね」

この雪穂の言葉にヒカリはすぐに反応する。

「雪穂さん、カオルさんの言うことはもっともですよ。秋の大学祭、そして、日本中のほかの大学の大学祭に呼ばれて参加したおかげで、知名度、実力共にアップしました」

 そして、カオルは続けて言った。

「それに、毎日の練習のおかげでフォーメーションもばっちり。これも今日という本番のため!!」

これを聞いた雪穂、

「最初は私にカオルにヒカリ、3人しかいなかった」

と言うと、カオルは続けて、

「でも、最初の3人だけでも一生懸命頑張った」

と言うと、ヒカリはさらに言った。

「しかし、私のせいで初戦敗退…」

すると、ヒカリは自分の髪をさわった。2年前、最初に挑戦したユニライブで初戦敗退した際、けじめとして切った髪、今ではもとの状態に戻ったが、それでも、ヒカリにとって一種のけじめだった。

 その3人のまわりに陸、空、イリヤの3人が寄り添う。

「そして…、私…、たちが…、加入…、した…」

空が言うと、陸も、

「私の場合、一種の強迫みたいだった。けど、その選択は間違いじゃなかったと思うよ」

と言うと、イリヤは、

「イリヤの場合、どちらかというと、カオルさんのストーカーみたいなものだったけど、このグループの中に入れて本当によかったと思う。ありがとう、空」

と、空にお礼を言うと、ヒカリは最後にこう言った。

「最初は私のわがままから生まれたけど、それでも一生懸命やってこれたから、こんな楽しさが生まれたと思っている。みんな、ありがとう」

ヒカリの最後の言葉からまもなく、

「「HeaT」さん、もうすぐ本番です。準備をお願いします」

と、大会スタッフから呼ばれる声が聞こえてきた。

「よし、みんな、行こう、最後のステージへ」

雪穂がこう言うと、カオルたち5人は一緒に、

「「「「「はい!!」」」」」

と、元気よく答えた。

 

「ついに今年のユニライブ、最後の出場者になりました」

司会役のレポーターが言うと、雪穂たち6人はステージにあがる。

「私たちのステージ、成功させる!!」

雪穂がステージ中央に着くやいなや大声で言えば、

「これこそ私たちにとって一番の見せ場!!」

と、カオルも大声で言い、

「ここで完全燃焼です」

と、陸も大声で言えば、

「すべて…、だし…、きる…」

と、空も今言える最大な声で言い、

「イリヤ、いや、全員が一丸となる!!」

と、イリヤも大声で言い、そして、最後にヒカリが、

「ここで、私たちの全てをだしきる!!」

と、大声で言うと、雪穂、カオル、ヒカリ、陸、空、イリヤの順に、

「1」「2」「3」「4」「5」「6」

と、円陣を組みつつ大声で数字を叫ぶと、

「「「「「「HeaT、HeaT ON!!」」」」」」

と、大声で名乗りをあげた。

 これを見ていたレポーター、

「それでは準備ができたようですね」

と、言うと、雪穂たちはフォーメーションの位置に移動する。

 これを見届けると、レポーターはついに言った。

「今回のラストを飾るのはこのグループ。名前の如く熱くなれ!!もえろ、もえろ、もっともえろ!!日本橋女子大学のユニドル「HeaT」で、「日本橋」!!」

 

 そして、「HeaT」最後の舞台(ラストステージ)が始まった。

 

ラブライブUC 最終章 HeaT編 「日本橋」

 

全ての道が通じているよ

 

今から別れる 私たちだけど

いろんな(いろんな)ところに(ところに)

行くことができる場所

それが日本橋

 

日本の道の基点 日本橋

たとえどんなところでも

日本橋を通っていけば

いろんなところに会いにいけるよ

 

たとえはなればなれになっても

必ず会うことができる

私たちの心はひとつ

だからこそ 笑って別れよう

涙をこらえて さよならしよう

 

今から別れる私たちだけど

かなしい(かなしい)涙を(涙を)

おくことができる場所

それが日本橋

 

五つの道の基点 日本橋

5つ離れあってでも

あつき心忘れなければ

いろんな気持ちを感じとれるよ

 

たとえはなればなれになっても

必ずつながっていける

私たちの心はひとつ

だからこそ 心に刻みつけ

悲しみこらえて さよならしよう

 

私たちの青春 それが日本橋

いろんなところに行くことも

はなれた心をつなぐことも

できる場所 それが日本橋

だからこそ 忘れずに

絶対にまた会おうよ

 

たとえはなればなれになっても

必ず会うことができる

私たちの心はひとつ

だからこそ 笑って別れよう

涙をこらえて さよならしよう

 

「「HeaT」でした。大大大、大拍手~!!」

と、レポーターが言うと、会場中から大きな拍手が贈られた。

「「「「「「ありがとうございました」」」」」」

雪穂たち6人は観客に向かって挨拶をすると、すぐにステージを降りた。

 そして、雪穂は降りるとすぐにほかのメンバーを集め、こう言った。

「私は全てを出し切ったと思う。けど、それでも楽しさだけが残ったと思う。みんな、ありがとう」

これに対し、カオル、

「いや、私こそ、こんな素晴らしいステージ、もう体験できないなんて、悲しいと思うよ」

と言えば、ヒカリも、

「でも、これが最後です。絶対に忘れるわけにはいけません」

と言えば、陸も、

「そうです、そうです。このステージは絶対に忘れない」

と言う。空も、

「ここで…、みんなと…、歌った…、こと…、忘れ…、ない…」

と言い、イリヤも、

「私たちこそ最高のユニドルグループです」

と言った。

 そして、最後に、雪穂はこう言って締めた。

「私たちのラストステージ、絶対に観客みんな忘れないと思う。本当にありがとう」

 

 そのこと、ステージではレポーターがあることを言っていた。

「これで全ての出演が終わったよ。これから審査にはいるから、ちょっと待ってね」

これで全ての出演が終わった。はたして、栄光を輝かせるのはどのグループなのか。

 

次回 ついにラブライブUC最終回 エンディングに続く

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。LA55です。ついに「HeaT」編も最終回となりました。これまで5つの物語を同時に進行することで1つの物語へと紡がれてきました。そして、次回、ついにその物語がクライマックスを迎えます。この約1年半もの間紡がれてきた物語、「ラブライブUC」。みなさんにとって5つの物語、どう感じ取ってくれたでしょうか。とても楽しかった、とても感動したと思ってもらえたら幸いです。また、ほかの人たちにもこの物語を教えてあげてくれたら幸いです。それはともあれ、次回、ついに最終回。お楽しみください。

 で、前回、今回の特別ゲストはもちろん高坂穂乃果さんでした。前回、今回ともとても重要な役回りをしてくれました。雪穂にとってたった一人のお姉ちゃんである穂乃果。穂乃果にとっても雪穂はたった一人の妹です。それゆえに雪穂が困っているのを助けてあげた穂乃果。妹想い、仲間想いこそ穂乃果の真骨頂だと私は思いました。だからこそ穂乃果はμ’sのリーダーとして、そして、物語の主人公としてやってこれたと思います。そんな穂乃果、これからもみんなのために頑張ってくれると思います。

 で、今回の曲、「日本橋」ですが、この曲は別れについて歌った曲であります。前作「ラブライブΩ」においても別れの曲はありましたが、今回はどこにいても心はつながっていること、だからこそ別れても大丈夫であることを歌っております。日本橋は江戸時代、五街道の基点として整備されました。そして、現在も日本の道の基点としてその役目を務めております。そう考えると、日本橋は昔から基点として日本のいろんなところを結んでいると思います。私はそう考えると、日本橋こそ日本にいる人たちを結ぶ上で重要なところと思っております。そして、雪穂たちが通っている大学は「日本橋女子大学」。たとえ離れ離れになろうとも、日本橋という基点を結ぶことで一緒になれる、だからこそ別れても大丈夫だよ、それが雪穂たち「HeaT」であったとしても、そんな心情をこの曲には織り込まれております。

 と、いうわけで、今回はいかがでしたでしょうか。次回はついに最終回。ちなみに、ただの最終回ではありません。次回は新曲も2曲でてきます。そう、ただの最終回ではありません。それもあり、とても長くなっております。それでも読んでくれたら幸いです。そして、2日後の4月1日、前作「ラブライブΩ」が初めて投稿されてから2年目、特別編を投稿します。これもただの特別編ではありません。詳しいことは次回のあとがきでお話します。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブ 最終章 エンディング

ラブライブUC 最終章 エンディング

 

 全ての演目が終わった。あとは審査を待つのみ。会場は静まりかえっていた。全てのユニドルたちは結果をいまかいまかと待っていた。

「う~、こんなに静まりかえっているのってとてもいやだな~」

と、ユニドルのひとり…、ではなく、司会役のレポーターが言っている。いや、司会であるあんたが言っちゃいけないセリフでしょ。

「だって退屈なんだもん」

あんたがいっちゃおしまいでしょ。

と、レポーターへのツッコミはこれまでとして、そんななか、レポーターに近づくある人の姿が…。

「だ、だれだにゃ」

レポーターはその人に驚く。その人はレポーターのそばに行き、内緒話をするようにレポーターの耳元でこそこそ話をした。

「え~、それは本当ですか~」

レポーターは驚いた。

「これは一大事だ~。すぐに発表しますね」

と、すぐにステージへと駆け上った。ちなみに、レポーターに近づいた人は大会スタッフだった。

 レポーターはステージにのぼると、すぐにマイクに向かってしゃべり始めた。

「みんなにビッグニュースにゃ~。今から登場する3組から重大発表があるみたいだよ~。なんだろうかにゃ~」

 そして、その3組がステージにあがってきた。その3組とは、「HeaT」「iD+」「博多小娘」たちだった。

 まず、最初にマイクをもったのが「iD+」だった。

「「iD+」の亜里沙です。私たちから発表があります。「iD+」はこのユニライブをもって活動を休止します」

亜里沙からの突然の活動休止報告に会場中、

「え~」「うそ~」

と言う声が響き渡った。亜里沙の話は続く。

「私たち3人はともに留学生です。その留学期間が今年の3月まで。それまでにそれぞれの国に帰らないといけません。今まで本当にありがとうございました」

これを聞いた上で、ナンシーがマイクを持つ。

「ナンシーだよ。私はあと少しでアメリカに戻っちゃうけど、本当に楽しかったよ。今まで本当にありがとう」

 そして、ナターシャにマイクが渡る。

「ナターシャ。今まで、本当に、ありがとう。楽しかった。また、ね」

マイクを亜里沙に渡る。

「私からもありがとうって言わせて。本当に楽しい、楽しい2年間でした。本当にありがとう」

亜里沙が言うと、会場から大きな拍手が響き渡った。

 亜里沙から天へとマイクが渡る。次は「博多小娘」の番である。

「「博多小娘」の天です。もうみなさん、もうご存知だと思いますが、私たち「博多小娘」はこのユニライブをもってユニドルを卒業します!!」

と、天が言うと、会場中から、

「知ってた」「本当にありがとう」

と言う声が響き渡っていた。博多でおこったゲリラライブ騒動と、そこでおこったユニドルからの卒業宣言は全国的にニュースになっていた。

 天から愛にマイクが渡る。

「愛です。これまで本当にありがとう。そして、今度の騒動でご迷惑をおかけして申し訳ございません」

愛の言葉に、観客から、

「大丈夫だよ」「気にしないでね」

と、激励の言葉が聞こえてくると、愛、

「本当にありがとうございます」

と、一礼として、マイクをあやに渡す。

「あやです。これまで本当に応援してくれてありがとうございます。たった3年間でしたが、楽しく過ごすことができました。ありがとうございます」

と、あやらしい挨拶のあと、天に再びマイクが戻る。天は観客に向かって最後の挨拶をする。

「これからはアイドルとして活動していきます。ユニドルから卒業するけど、「博多小娘」としてはまだまだ活動していきますから、これからも応援をよろしく!!」

 そして、天はマイクを雪穂に渡した。雪穂はすぐにマイクを持つと、すぐに発表した。

「「HeaT」の雪穂です。私たちは今年の3月で解散します!!」

これには会場中から、

「えっ」「本当」「今のステージってすごかったのに…」

と、「iD+」以上のざわめきがおこっていた。

 このざわめきを沈めようというのか、カオルはすぐさま雪穂からマイクを奪うと言う。

「解散、解散っていうけれど、意見の不一致といったうしろむきの理由ではなく、これからいろんなところで活躍していくための解散だ!!そこんところ、間違えっちて」

と、途中で舌を噛んでしまうカオル。これにはつかさず、

ハハハハ

という笑い声が聞こえてくる。カオルはつかさず、

「ここんところ、間違えるなよ。あばよ!!」

と、言い直してマイクをヒカリに渡す。

 ヒカリ、突然のことで気が動転したのか、

「「HeaT」のヒカリです。今日はお日柄もよく…」

と、あがってしまう。これには会場中から、

ハハハハ

と、2回目の大笑いが発生。それでもヒカリは気を落ち着かせ、言った。

「「HeaT」のヒカリです。突然マイクを渡されて気が動転してしまいました。ごめんなさい。でも、この「HeaT」は私のわがままで始まったグループでした。それが、このステージに立てるまでに成長できたことはとても嬉しいです。これで「HeaT」のステージは終わりになるけど、本当にありがとうございました」

これを観客たちから、

ヒュー パチパチパチ

と、スタンディングオベーションでもって迎えられた。

「それではマイクを雪穂さんにお返しします」

と、ヒカリ、雪穂にマイクを渡す。

 そして、雪穂は元気よく言う。

「私たち「HeaT」はこれから先、いろんなところで別の形で活躍していきます。たとえ、ユニドルじゃなくても、たとえ、アイドルじゃなくても、これから先も、応援してください。よろしくお願いします」

雪穂は言い終わると、マイクをレポーターに渡した。

 レポーターは3組の発表を聞いた上で、

「とても悲しいお知らせだったね。でも、これは彼女たちが決めたこと。私たちは心置きなく送り出しましょう」

これを聞いた観客、

「本当にこれまでありがとう」「元気でね~」

という応援とともに、スタンディングオベーションが再び行われた。

 と、またも大会スタッフからレポーターへ連絡がくる。

「えっ、あっ、はい、わかりました」

と、レポーターが言うと、すぐにレポーターの雰囲気が変わった。

「お待たせいたしました。審査が終わりました。ここで結果発表だ~。の前にちょっとトイレ休憩、の時間だよ」

と、レポーター、お茶目に言うと、

ドテッ

と、会場中がこけてしまった。

 

 無事に?トイレ休憩を終わり、ステージにはレポーターとユニライブ決勝進出者全員が揃っていた。

「それでは結果発表です」

あたり一面暗くなる。決勝進出者全員が固唾を飲み込んでいた。

「3位から発表します。3位は…」

ドラム音が鳴る。

ドドドドドドドン

と、ドラム音が終わると、3位のところにスポットライトがあたる。

「3位は大総大学のユニドル、「ビースト」!!」

これを聞いた瞬間、こころは、

「やった~、3位です、3位です~」

と喜ぶと、ここあも、

「やった~、やった~です。3位になれました」

と、喜んでいるが、とうのみやこは、

「3位か~。来年こそは優勝を目指さないとね」

と、たんたんと納得しているような雰囲気だった。

「そして、2位の発表です。2位は…」

と、これまたドラム音が鳴り響く。

ドドドドドドドン

そして、2位のところにスポットライトがあたった瞬間、突然会場中に泣き声が響き渡った。レポーターはそれを見ていたが、たんたんと進める。

「2位は福博女子大学のユニドル、「博多小娘」!!」

ふつうなら笑い声なのだが、「博多小娘」7人全員が泣いていた。

「え~ん、連覇できなかったよ~」

と、天は大きく泣き出すと、愛も、

「ごめんなさ~い。私の力不足です~」

と、みんなにあやまるも、あやからは、

「いや、みんなの力不足です~」

と、これまた悔やみの泣き顔だった。夕、羽衣、イネ、ゆず、全てが泣いていた。悔し涙だった。この様子を見ていたレポーター、

「「博多小娘」は去年、優勝しています。そして、今回は連覇がかかっていました。けど、ここは勝負の世界、非情です。非情で無いとやっていけません。それでは、優勝の発表です」

と、ドラム音が鳴り響く。

ドドドドドド

まだ呼ばれていない「H&H」のはるか、

「私たちにスポットライトを…」

と思い、はやても、

「そうだ。私たちの優勝だ~」

と思う。「iD+」の亜里沙も、

「このチャンス、逃したくない~」

と思う。そして、「HeaT」の雪穂も、

「優勝は私たちの手に…」

と、必死に思っていた。

ドドド ドン

と、ドラム音が終わると、優勝者のところにスポットライトがあたった。

「優勝は…、日本橋女子大学のユニドル、「HeaT」!!宿願達成、おめでとう!!」

この瞬間、雪穂、カオル、ヒカリ、陸、空、イリヤの6人は、

「「「「「「ヤッター」」」」」」

と、大きな声で喜んでいた。

「やった~、やりましたよ。優勝です」

と、ヒカリが喜びながら言うと、カオルも、

「これで去年のリベンジをはたせたぞ」

と言えば、陸も、

「最後の最後でやりました、って感じです」

と、喜び、空も、

「私…、やった…、やった…、です…」

と、喜んでいた。一方、イリヤは、

「天さん、みんな、本当にごめんなさい。でも、これも勝負の世界。許してください」

と、高校のとき同じグループにいた天たちにわびていた。

 レポーターはすぐに雪穂のところに行き、すぐにマイクを向けた。

「高坂雪穂さん、ラブライブ、ユニライブの二冠を達成しましたが、どんな気持ちですか?」

と、レポーター言うと、雪穂、

「本当に優勝できたんだなという嬉しい気持ちと、ほかのユニドルたちに申し訳ないという気持ち、二つをもっております」

と、答えた。事実、雪穂はこの3年間の集大成として望んだこのユニライブにおいて、優勝というかたちで締められたことはとても嬉しいが、愛やみやこ、はるか、はやて、こころあ、そして、大親友の亜里沙に本当に申し訳ないとの気持ちも持ち合わせていた。

「もとのグループ、いや、全国のユニドルたちを思いやる気持ち、やっぱりすごいと思いますよ。それでも、勝負の世界は非情です」

と、レポーターも雪穂に同情する。だが、それもつかのま、レポーター、

「でも、でもでも、本当におめでとうございます。優勝おめでとうございます。「HeaT」でした。本当におめでとう」

と言って、結果発表を終えた。

 雪穂はカオル、ヒカリ、陸、空、イリヤの方を向き、言った。

「みんな、本当にありがとう。これできっぱり終われるね」

これにヒカリ、

「本当は私のセリフだと思いますが、本当にいい結果をだしました」

と言えば、カオルも、

「終わりよければすべてよしです」

と、あっけらかんに言えば、陸も、

「そうですよ。これこそ私たちの力です」

と、元気よく言えば、空も、

「そう…、私たち…、の…、力…、だし…、きった…」

と、うなずきながら言う。

 そして、雪穂は5人に言った。

「さっ、これで心おきなくやめられる。錦をもって大学に戻ろう」

 だが、1人だけ違うところを見ていた。イリヤだった。

「雪穂さん、それはちょっと待ってください。これから最後の大花火が残っているのですから」

と、イリヤが言うと、

「「?」」

と、雪穂とカオルがハテナ顔で答えていた。

「カオルさん、いや、カオル先輩、忘れてしまったのですか?」

と、イリヤが言うと、カオル、

「そうだった、そうだったね」

と、なにかを思い出した風に答えた。

 そして、カオルはあることを言い出す。

「雪穂。さっ、最後の大舞台、始まるよ」

雪穂は後をむいた。すると…。

 

 すると、そこには別の衣装を着ていた人たちの姿が…。

「あれっ、天たちの衣装がいつのまにか変わって…」

雪穂は唖然としていた。天、あや、夕、羽衣、イネ、ゆず。そう、元福博女子大学付属のスクールアイドル、「K9」のみんなだった。

「って、カオルもイリヤも衣装が変わっている」

と、雪穂、驚く。そう、元「K9」のメンバーであるカオル、イリヤも衣装を変えたのである。雪穂が何もわからないまま、ことが進む。突然暗くなり、元「K9」のメンバーにスポットライトがあたると、レポーターは叫び始めた。

「さっ、これから始まるのは伝説のスクールアイドル「K9」と「オメガマックス」のステージだよ。これはユニドルで集まったみんなからのお祝いのプレゼントだよ。嬉しく受け取ってみよう」

「?プレゼント?ステージ?」

と、不思議がる雪穂。すると、突然、

「はい、雪穂はこっちね」

と、愛から突然ひっぱられてステージの外に連れ出される雪穂。

「えっ、なに?なにがあっているの?」

と、雪穂が言うも、何もせずにステージから消えた。

 

「私たち、福博女子大学付属の元スクールアイドル「K9」です。みんな、待ってくれたかな?」

と、天が元気よく言うと、カオルも、

「「K9」の復活ライブだぜ。どんどん盛り上がっていこう」

と、声が擦り切れるまで言うと、あやも、

「今はスクールアイドルじゃないけど、短い時間だけど、楽しんでください」

と、言えば、天はいきなり叫び始めた。

「それでは、聞いてください。新曲です。「Around the world」!!」

そして、曲が始まった。

 

ラブライブUC 最終章 K9 「Around the world」

 

世界をまわせ ぐるっとまわせ!!

 

全ての中心は私たち

(Around the world Around the world)

全てが私たちのまわりをまわっている

(Around the world Around the world)

だからこそ 全てをとりこんでやる

 

だけど 君をとりこむことができないんだ

だって君は 私たちの仲間だから

だから 君にお願いがあるんだ

私たちと一緒に世界にとびだそうぜ

 

世界をまわす 私たちの力

君とのきずなとならば

きっと世界は私たちの中に

おちていくのさ Around the world

 

全てのみなもとは私たち

(Around the world Around the world)

全てを私たちがつくってまわってる

(Around the world Around the world)

だからこそ全てを作って~やる

 

だけど 君を作り出すことはできないんだ

だってきみは 私たちのたからだから

だから 君にお願いがあるんだ

私たちと一緒に世界を作りだそう

 

世界を作る 私たちの力

君とのきずなとならば

きっと世界は私たちの中で

作りだすのさ Around the world

 

私たちはとてもわがまま

だって生きるには必要

だけど ひとつだけちがう

それが君さ 大切な仲間

忘れないで だって君は

私たちと同じ大切なパートナー

 

Around the world

 

世界をまわす 私たちの力

君とのきずなとならば

きっと世界は私たちの中に

おちていくのさ Around the world

 

もう1回

 

世界を作る 私たちの力

君とのきずなとならば

きっと世界は私たちの中で

作りだすのさ Around the world

 

君と私たちは大切なパートナー

 

「K9」がステージで歌い始めるあいだ、ステージ裏では雪穂が愛によって連れさらわれていた。そして、着いた場所で、

「はいっ、脱いで、脱いで」

と、そこにいたはるかから今着ていた衣装を脱がされる雪穂。

「う~、寒い、それに、お嫁にいけない」

と、下着姿になった雪穂。すると、そこにいた亜里沙から、

「これを着てね」

と、ある衣装を渡される。

「あれっ、これって着たことのない衣装だね」

その衣装はこれまで着たことがなかったが、少し懐かしかった。雪穂が所属していた音乃木坂学院の元スクールアイドル「オメガマックス」の雪穂のイメージカラー、オレンジがあしらわれていたのだった。

「これで8人揃いましたね」

と、愛が言うと、雪穂はまわりを見た。まわりにいるのは、亜里沙、愛、はるか、はやて、みやこ、こころ、ここあ。そう、音乃木坂学院のスクールアイドル「オメガマックス」のメンバー、そして、部外者であるヒカリ…。

「部外者で悪かったね」

と、ヒカリからツッコミがくるも、それはスルーして、9人がいた。

「実はユニライブのあと、スペシャルイベントとして、「K9」と「オメガマックス」のスペシャルステージを思いついていたのです」

と、愛が雪穂に事情を説明した。簡単に言うとこうである。

「最初、ユニライブ決勝進出者を見た天が立案した。最初、「K9」だけと思っていたが、それでは面白くないと、「オメガマックス」も、と、いうことになった。そして、天が中心となり、雪穂には内緒で物事を進めた。そして、「K9」と「オメガマックス(雪穂を除く)」は、この1ヶ月、ユニライブに向けての練習のほかに、「K9」「オメガマックス」の練習を進めていた」

 これを聞いた雪穂、

「なんで私に相談しなかったの?」

と言うと、ここあ、

「それってサプライズにならないからだよね」

と言えば、こころ、

「そうです、そうです」

と答えた。雪穂、これを聞いて、

「私、練習しなくて大丈夫なの?」

と、心配そうに言うも、亜里沙、

「それほど難しいものじゃないし、大丈夫、大丈夫」

と答え、はやても、

「僕たちも1日でマスターするくらい簡単なものだ」

と答える。実際、愛からレクチャーを受けると、

「あれ、簡単だ」

と、雪穂、答える。

 そして、新曲の楽譜をみておぼえる雪穂。これで準備完了と思った瞬間。

「で、私はなぜここにいるの?」

そう、ひとりだけ部外者がいた。ヒカリである。なぜ、ここにヒカリがいるのか。

「それはこういうことです:

と、突然はるかから衣装を脱がされるヒカリ。

「キャ~、見ないで~」

と、下着姿になるヒカリ。すると、はるかはヒカリに新しい衣装を渡される。

「はい、これ、衣装ね」

と、はるか。それを着てみるヒカリ。すると、

「あれ、みんなと同じ衣装」

そう、「オメガマックス」が着ている同じ衣装だった。違うところは、水色と白色を基調としているところだった。

「そう、ようこそ、「オメガマックス」9人目の席へ」

と、雪穂が言うと、ヒカリ、

「えっ、私が9番目?」

と聞きなおす。

「そう、9番目。あなたを「オメガマックス」9番目のメンバーとしてご招待します」

と、愛が言うと、

「私がメンバー。まさか、こんなときにスクールアイドルになれるなんて…」

と、嬉しがるヒカリ。

 すると、ステージから聞こえてきたのが、

「以上、「K9」でした。センキュー」

と言う天の締めの言葉だった。

「「オメガマックス」さん、準備をお願いします」

と、大会スタッフの声が聞こえてくると、

「は~い」

と、雪穂たち8人がステージへと駆け上る。

「わ、私は…」

と、おどおどするヒカリ。

「さっ、私たちのステージへ、行こう」

と、雪穂が言うと、

「うん!!」

と、ヒカリ、元気よく返事をし、ステージへ駆け上がっていった。

 

「こんにちは。私たち音乃木坂学院の元スクールアイドル、「オメガマックス」です」

雪穂の声とともに会場から、

オメガ、オメガ、オメガ

と、オメガコールが聞こえてくる。

 すると、愛から、

「これから発表する曲は新曲です。早速聞いてください」

と言うと、雪穂たち9人はステージ中央に集まり、名乗りをあげる。

「1」と雪穂、「2」と亜里沙、「3」とみやこ、「4」と愛、「5」とはるか、「6」とはやて、「7」とここあ、「8」とこころが大きく言う。そして、「9」とヒカリが元気よく言う。さらに、「10」と観客席から聞こえてくる。

 雪穂はこれを聞いて大きく叫ぶ。

「すべての人に最大級で、最高級の幸せを」

 そして、9人全員で叫ぶ。

「「「「「「「「「オメガ、マックス、アップ」」」」」」」」」

言い終わった9人は円陣を解除して、歌のフォーメーションの位置に移動する。移動終わったあと、雪穂は言った。

「聞いてください。「スペシャルソング」!!」

 

ラブライブUC 最終章 オメガマックス 「スペシャルソング」

 

この曲は君たちに贈ります

 

全ての命を持つものよ

声を大にして言いたい

今から大事なことを言う

忘れるなよ 絶対に

 

全てのものよ 命をもってススメ!!

この世の中 受け取った命

命をもやして 進むことがある

そのときまで 命を大事に

そして ここ1番に命を燃やせ!!

 

心が1つ 命も1つ

だから必用 全てが必要

君たちに贈る 命をもやすソング

だからいうよ スペシャルソング

 

全ての心を持つものよ

声を大にして言いたい

これから大事なことを言う

聞いてくれよ 絶対に

 

全てのものよ 心を大事しなよ!!

 

この時代に 授かりし心

心が全てをつかさどっている

心解きて 全てをすすめて

そしてここ1番に力をかえろ!!

 

心は1つ 命も1つ

だから大事さ 全てが大事さ

君たちに贈る 心を燃やすソング

だからいうよ スペシャルソング

 

心をなくせば 命もなくす

命をなくせば 心をなくす

だから必要 すべてが必要

だから忘れないでくれ

命を心を絶対になくすなよ

 

心は1つ 命も1つ

だから必要 全てが必要

君たちに贈る 全てが必要

君たちに贈る 全てを燃やすソング

だから言うよ スペシャルソング

 

もう1回言うよ スペシャルソング

 

 そして、いろんな曲を熱唱した「オメガマックス」。9人目のメンバー、ヒカリもなんとかついていっている。そして、最後の曲が終わると、

「以上、「オメガマックス」でした。ありがとうございました」

と、雪穂が言うと、ほかの8人も、

「「「「「「「「ありがとうございました」」」」」」」」

と、挨拶する。そして、ステージ袖に移動すると、ヒカリ、

「本当にありがとうございます。まさかスクールアイドルになれるなんて」

と、嬉しそうに言うと、

「それでもよかったと思うよ」

と、愛、ヒカリを褒める。

「よかったね、ヒカリ」

と、雪穂が言えば、

「はい」

と、ヒカリが答えた。

 

 これで全てが終わり、ではなかった。「K9」と「オメガマックス」のおかげで会場が一体となったためか、突然、

オメガ、オメガ、オメガ、K9、K9、K9、アンコール、アンコール

と、アンコールが聞こえてくると、

「やっぱりアンコールしないといけないね」

と、天が言うと、雪穂も、

「そうだね。アンコール、やりますか」

と言い出す。「K9」「オメガマックス」各メンバーからも、

「アンコール、いっちょやりますか」

「アンコールですか。とてもいい響き、やるしかないね」

と言う声が聞こえてくる。

 そんな中、ヒカリはほかのユニドルたちに言った。

「どうですか、私たちと一緒にアンコール、答えてくれませんか」

これを聞いたほかのユニドルたちも、

「そうですね。私たちも一緒にアンコールに答えましょう」

「アンコール、アルコール、どう違う、いや、アンコール、答えるべき」

と、ちょっと違った方向にいこうとしている人もいるが、そこにいるユニドル全員がアンコールに同意する。

 そして、アンコールに答える形でそこにいるユニドル全員でステージに駆け上り、雪穂はこう言った。

「アンコール、ありがとう。私たちがここにいるのも、観客全ての人たちのおかげです。本当に応援してくれてありがとうございます」

「ありがとうございます」

と、ユニドル全員でお礼を言うと、雪穂は元気よく曲紹介をした。

「これがこのユニライブ、最後の曲となります。本当にありがとうございました。では、聞いてください。「スマイルアゲイン」!!」

 

ラブライブUC 最終章 グランドエンディング曲 「スマイルアゲイン」

 

仲間たちと 笑顔で進もう

 

(1)

たったひとりで 進んでいく

けわしい道のり 苦しんでいる

そうでもこえて いくのです

とても難しい  そんな道です

 

でもねそれで  いいのですか

本当にひとりで いいのですか

まわりをみれば みえませんか

あなたを助ける 仲間たちが

 

みんなと(みんなと)笑おう(笑おう)

前に(前に)すすむために

1人(1人)じゃない(じゃない)

私たち(私たち)仲間だから

 

笑っていけば必ず前に進める

だからみんなで笑っていこう

 

(2)

たったひとりで こばんでいる

けわしい山々  手がふるえてる

先にはなにも  見えてこず

とても困難な  そんな山です

 

でもねそれで   気付きますか

笑って見てみれば 気付きますか

まわりをみれば  見えませんか

あなたと笑える  仲間たちが

 

1人と(1人と)みんなと(みんなと)

笑う(笑う)生きるために

すべて(すべて)つなぐ(つなぐ)

私たち(私たち)1つだから

笑っていけば必ずこえていけるさ

だからみんなで笑っていこう

 

仲間と一緒にやっていけば

必ず見えてくる頂点(トップ)が

たとえライバルであっても

それを過ぎれば仲間さ

 

みんなと(みんなと)笑おう(笑おう)

前に(前に)すすむために

1人(1人)じゃない(じゃない)

私たち(私たち)仲間だから

 

笑っていけば必ず前に進める

だからみんなで笑っていこう

 

 曲が終わると、ユニドル全員で集まり、

「ありがとうございました」

と、一礼をしてステージ袖に移動した。会場中から、

「ありがとう」「とてもよかったよ~」

と言う声援とともに、スタンディングオベーションがおこっていた。これを見ていたレポーター、

「ちょっと終わるのは名残惜しいけど、いつかは終わらないといけない。それでは、これで今年度のユニライブはおしまい。それじゃ~ね~、バイバイビー」

と言うと、ステージは暗くなった。だが、観客たちからの拍手、声援は終わらなかったという。

 

「雪穂さん、私の夢を叶えてくれてありがとうございます」

と、お礼を言いつつ雪穂を抱きしめるヒカリ。

「いや、それほどでも」

と、雪穂が言うと、その横から、

「ヒカリというやつ、とてもよかったぞ」

と、天がヒカリを抱きしめる。

「く、苦しいですよ、天さん」

と、ヒカリが言うと、天、

「ごめんなさい」

と謝る。

「本当に楽しい日です」

と、亜里沙が言えば、

「そういう日もあって嬉しいもんだね」

と、カオルも言っている。

 だが、楽しい時間は終わりを迎えようとしていた。

「それでは、それぞれの楽屋に移動してください」

と、大会スタッフが言うと、

「それじゃまたね」

と、雪穂はみんなに言うと、

「それじゃまた」

と、それぞれの楽屋に戻っていった。

 

(ビースト編)

「おつかれ、3位おめでとう」

みやこたちが着くなり、ぼたんが祝って言った。

「でも、3位。もう少しやれることはあった」

と、みやこは反省そうに言うも、

「それでも3位。今はそれでいい。来年こそ優勝すればいい」

と、つくしはみやこを慰める。

「そうですよ。来年がるのですから」

と、ここあが言うと、

「そうです。来年、リベンジです~」

と、こころが言う。みやこも、

「それはそうだね」

と、答えていた。

 そんなとき、ぼたんが何かを言い出した。

「あっ、そうだ。いいこと思いついた。あのね~」

と、みやこたちは静かに聞いていた。

 

(H&H編)

「ついに2年目も終わったね」

と、はるかが言うと、

「でも、今年は4位。去年よりかはあがった」

と、はやても言う。そう、4位入賞を果たしたのだ。去年よりかはあがっている。

「来年は3年生か。まだユニドル続けられるかな」

と、はるかが言うも、はやては、

「まだ続けられるよ。限界すら知らない僕たちならね」

と、元気よく答える。

 そんなとき、学長が楽屋に来ていた。

「4位入賞おめでとう。来年こそは優勝あるのみだ」

と、学長が言うと、はるか、

「そうだね。来年こそは優勝する」

と誓うと、はやても誓った。

「来年こそは優勝あるのみ!!いくぞ!!」

 

(iD+編)

「終わっちゃったね」

と、亜里沙が言うと、ナンシーも、

「いいところまでいったのですが…」

と、悔しそうに言うと、ナターシャも、

「本当、に、悔しい」

と言っていた。これで最初で最後のユニライブ決勝は終わった。

「でも、いい思い出、できたね」

と、亜里沙が言うと、ナンシー、

「これで悔いはないで~す。これでユニドルとしてはさよならで~す」

と答えると、ナターシャも、

「でも、この、経験、絶対、いきて、いく」

と言い出す。

 そして、3人は言った。

「「「ユニドル、さよなら。そして、新しい、私、こんにちは」」」

 

(博多小娘編)

「悔しいよ。これで卒業なんて」

と、夕は言うも、羽衣、

「でも、連覇できませんでした」

と、泣きながら言うと、イネは、

「今回は「HeaT」にやられた。でも、今度は逆転する」

と言うも、ゆずから、

「その「HeaT」は解散ですよ。そして、私たちは卒業です」

と冷静に言う。

 そんななか、天とあやはそんな4人を見つつ言った。

「まさか2位とはね。でも、それは「博多小娘」としてはいい教訓になったのかもね」

と、あやが言うと、天は、

「今回でユニドルは卒業だけど、今度はアイドルの頂点に立ってやるだけのことよ」

と元気よく言うと、愛、

「そうです。今度はアイドルの頂点に立ってみせるのです。そうでしょ、みんな!!」

と言うと、全員、

「オー!!」

と、いい反応を見せていた。

 

(HeaT編)

 ユニライブが終わってから1ヶ月がたった。3月31日、場所は日本橋女子大学カフェテリア、通称パリ広場。そこに雪穂、カオル、ヒカリ、陸、空、イリヤの「HeaT」6人と関係者、日本橋女子大学の学生、それに愛たち「博多小娘」、亜里沙たち「iD+」、はるかとはやての「H&H」、みやこ、こころあの「ビースト」が揃っていた。

「今から解散式をおこないます」

雪穂がこう言うと、横にあった旗を持った。旗には真紅の生地に大きく「ユニライブ」と書かれていた。ユニライブの優勝旗だった。

「これを学長にお渡しします」

と、雪穂は優勝旗を学長に渡した。それまで「HeaT」の部室に飾っていた優勝旗。それがこれから大学に新しくつくられたメモリアルルームの中に飾られることになっている。そこには大学の歴史に大きく刻まれた「HeaT」というグループの思い出が飾られることになっている。

「ついにこの日をもって終わります」

と、イリヤが泣きながら言うと、

「絶対にこの日を忘れません」

と、陸も泣きながら言えば、

「私…、これ…、まで…、楽し…、かった…」

と、空も泣きながら言えば、

「でも、そんな日も今日で終わりです」

と、ヒカリが泣きながら言えば、

「しかし、「HeaT」はみんなの心の中からなくなることはありません」

と、カオルが泣きながら言えば、

「だって、「HeaT」はみんなの心の中で生き続けるのですから」

と、雪穂は大きな涙を流して言い切る。

 そして、6人は一列となり、

「これまで本当にありがとうございました」

と、お礼をみんなの前でおこなった。そのとき、6人は夕日に照らされていた。6人はその夕日の方向に向くと、少しずつ歩き始めた。

「さようなら…」「さようなら…」

と、手を振るみんな。

そして、6人は少し歩いた瞬間、ぱんと消えて、消えて、えっ、消えてしまった。

「どうしたんだ」

愛は心配そうに6人が消えた方向に走ってみる。すると、そこには落とし穴にはまっている雪穂の姿が。そう、6人は落とし穴に落ちていたのだった。

「またカオル、落とし穴掘ったでしょ」

と、雪穂が言うも、カオル、

「それなら私もはまるわけ、ないでしょ」

と言う。だが、前科持ちのカオルにとって苦しい弁明。そんなとき、

「実は私たちが掘ったのだ」

と、名乗り出たのがこころだった。

「やっぱり、こんなじめじめしたのはいやで~す」

と、こころも白状した。

「こころあの仕業か。なら、この落とし穴にあるこの線を切れば」

と、カオル、仕返しとばかりに落とし穴の底にある紐を切る。すると、

ドカーン

パリ広場が一瞬で落とし穴へとはやがわり。みんなそろって落とし穴へ。だが、それだけでは終わらなかった。まわりの建物もついでに倒れてしまった。こうして、日本橋女子大学は廃墟になり、廃校に…。

「なりません!!」

と、カオルからツッコミを受ける。そんなパリ広場を覆う落とし穴はない。と、いうことで、パリ広場そのものが落とし穴という嘘はほっといて。

 話を戻す。落とし穴に落ちた6人。しかし、顔は笑っていた。

「まさか、落とし穴で始まって、落とし穴で終わるなんて」

と、ヒカリは笑っていた。そんなとき、髪をひるがえす、ことはなかった。ユニライブのあと、のばしていた髪をバッサリと切ったのだ。そのことを雪穂から聞かれたことがある。

 

「なんでのばしていた髪、切ったの?とてもきれいなのに」

すると、ヒカリはこう答えた。

「私、新しい夢、もったんです」

「新しい夢?」

雪穂が言うと、ヒカリは答えた。

「私はスクールアイドル、ユニドルを側面から支えていこうと思っているんです」

これを聞いた雪穂、

「それ、いいんじゃないかな」

と、答えた。そんでもって、そこにいたカオル、

「私もスクールアイドルを手助けする仕事、しようかな」

と、言い出すと、雪穂、

「それはないない」

と、完全否定。カオル、

「そうふざけないで」

と言うと、雪穂、ヒカリは笑っていた。

 落とし穴に落ちたヒカリの言葉に雪穂、

「まっ、そんなグループでしたってことですよ」

と、笑いながら言うと、カオル、

「そういうこと、そういうこと」

と言って、6人全員で、

ハハハハハハ

と、笑いとばしていた。

 こうして、「HeaT」はその年の3月31日をもって解散となった。「HeaT」はこの後、ユニドル界にレジェンドとして名を刻むこととなった。そう、「HeaT」はユニドル界を代表するグループの1つとなったのだ。

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブUC グランドフィナーレ





ラブライブUC グランドフィナーレ

 

 「HeaT」が解散してから3年後…。

 

「はい、株式会社ビーストプロダクションです」

大阪、梅田。ここにみやこたちが創立したプロダクション、ビーストプロダクションがある。みやこたちは大学卒業を待たずにプロジェクト参加者全員で1つの会社(プロダクション)、ビーストプロダクションをつくってしまった。これは大阪では大きなニュースとして扱われた。

「はい、「ビースト」のみやこです」

「こころもいるです~」

「ここあもいるよ」

と、元気よく答える3人。ときたま会社のオフィスに打ち合わせに来る。

「ほんま、とてもいいですね」

と、ぼたん。

「でも、お高いんでしょ」

と、つくしも言う。しかし、オフィスにはいなかった。テレビからでてくる音だった。ぼたんとつくしも芸人として活動していた。

「でも、仕事ができるのも、ここにいるプロジェクトメンバー全員のおかげです。本当にありがとう」

と、みやこはオフィスにいるメンバー全員にお礼を言う。

 みやこは思った。大阪でも1番、2番のアイドルとなった「ビースト」、でも、その原点は、スクールアイドルとしてのレビューであり、こころあとの出会いであり、「ビースト」として活動はじめたことだと。

 

「「ユニドルのレジェンド、「H&H」です!!」」

はるか、はやてはまだユニドルとして活動していた。去年度、大学4年生になってはじめてユニライブで優勝した。そして、今、2人は大学院生として活動している。

「私は医師の卵として頑張っていますが、みなさんは頑張っていますか?」

東都大学病院の研修医として活躍しているはるかが言うと、

「いやいや、僕みたいに日本のトップアスリートから言われた方がみんな聞きやすいでしょ」

と、なにか意味不明なことを言うはやて。彼女も大学院生としてトップアスリート育成方法を勉強しつつ、いまだに日本陸上界のトップアスリートとして活躍していた。

 ふたりは言い争っているが、心はひとつ。

「これからのユニドル界は私たちがひっぱっていく」

と、はるかが思うと、はやても、

「そうだ。僕たちの力でユニドル界をひろげていく」

と、思うのであった。

 

「もう3年になるんだね」

と、亜里沙は空を見上げて言った。亜里沙はロシアに戻ったあと、またに日本に戻っていた。

「あの~、なにが3年なのですか」

まわりにいる人から言われると、

「いや、なんでもないよ」

と、手を振りながら断る亜里沙。亜里沙は今、外国の文化を日本に紹介する仕事をしている。いろいろあってはいるが、それでも1人で頑張っている。

「でも、ナンシーとナターシャ、元気にしているかな」

ナンシーとナターシャ、それぞれの国に戻った2人は、その国でアイドルとして活躍している。そして、その際、日本の文化、特にアイドル文化をその国で広げている。そして、このたび、日本凱旋ツアーと題して2人が戻ってくる。

「さあ、2人に負けずに頑張らないとね」

と、お茶に砂糖をいれつつそれを飲み干す。亜里沙の間違った日本作法は見ないつつ、ただ頑張っていこうと、そう思う亜里沙だった。

 

「「博多小娘」です。よろしくお願いします」

元気な声で挨拶するのは天だった。

「でも、今回も○○ミュージックランキング連続1位とはやっぱりすごいね」

ある音楽番組の司会が「博多小娘」をほめていた。「博多小娘」はあの3年前のユニライブ終了後、すぐに自分たちのためのプロダクションをつくり、小さな祭でのライブなど小さいことからこつこつと頑張り続け、ついにミュージックランキング1位を連続してとるなど、日本を代表するアイドルグループに成長していた。

「それもこれもメンバー兼プロデューサーの愛さんのおかげです」

と、天は愛をほめる。すると、愛、

「いや、まだまだですよ」

と、遠慮をしていた。

 

「「博多小娘」でした。ありがとうございました」

司会が言うと、すぐに「博多小娘」はスタジオを離れた。

「まさか、日本でも有数のアイドルになるなんて、すごいよ」

と、天は愛をほめまくる。

「いや、本当にまだまだです。だって、目指すはあの有名プロデューサーですもの」

と、愛、目指すあのプロデューサーの顔を浮かべる。

「で、ところで、例の手紙、きたのですか」

と、あやから愛に質問すると、

「ああ、きました。これは久しぶりに腕がなるね」

と、愛、元気よく答えていた。

「で、いつになったら福博女子大学の理事長になるのかな?」

と、愛、天にキラーパス。すると、天は答えた。

「まだまだだよ。だって、このアイドルの仕事、とても面白いんだもん」

すると、あや、何か言い出す。

「それだと、あの子、今ごろ悔しがっているでしょうね」

 

「ヘックション」

イリヤはくしゃみをした。

「だれか私のうわさしているのかな」

イリヤが言うと、まわりにいる学生は、

「そんなことより、指導お願いしますよ、理事長先生」

と言い出す。

「はいはい」

とイリヤは言った。イリヤは卒業後、母校、福博女子大学の講師に就任したが、それと同時に天から理事長代理の仕事を押しつけられていた。

「でも、なんで私に理事長の仕事を押しつけたのですか~、天先輩!!」

イリヤは嘆いていた。しかし、嘆いていてもしかたがなかった。心機一転、心を入れ替えるイリヤ。

「さっ、まず、最初からね。それから、心の中では楽しくやってみせてね」

「は~い」

イリヤ先生の言葉に学生たちはついていった。

 

「HeaT」のメンバーの中で一番行方がつかめないのが陸と空、川崎ツインズだった。大学卒業と同時にどこかに行ってしまったのだ。ただ1つだけわかっていることがあった。それは、今でも無料作詞作曲サイト「なぞの音楽屋さん」の運営を続けていることだった。このサイト、今では日本有数の有名なサイトにはなっているが、今だに謎が多いとされる。しかし、その運営者が川崎ツインズであることを知っているのはごくわずかである。

 そして、かぜの噂ではあるが、川崎ツインズはどこかの小さな町で音楽教室を開いているらしい。

「はい、ドレミ」

「ドレミ」

「いいよ、いいよ」

そんな声が聞こえてくるようだった。

 

 一方、カオルは大学卒業と同時に穴掘り…、

「になるわけないでしょ」

と、ツッコミをいれるカオル。

「さあ、これからはじめるよ。いい、楽しさを前面にだしていこう」

と、スクールアイドルを育てるアドバイザーとして、全国をとびまわっていた。カオルは楽しさを前面にだしていこう、というモットーでスクールアイドルを育てている。

「さあ、もう1回繰りかえしていこう。もっと、心の中から楽しさをだしていこう」

と、カオルの言葉にスクールアイドルたちも、

「はい!!」

と答えていた。

 

 ヒカリは大学卒業しても、大学院生として大学に残っていた。

「イリヤさんは先生、カオルさんはアドバイザー、なら、私は運営側にまわって、側面からスクールアイドル、ユニドルを育てていこう」

ヒカリは将来的には博士号をとり、スクールアイドル、ユニドルを支える側としてやっていこうと考えていた。博士号をとったほうがプラスになると考えていたからだった。

「でも、なんでこんな手紙がきたんだろうか。私、スクールアイドルではなかったのに」

ヒカリは不思議そうに思っていた。しかし、ヒカリはこれから先、もっと頑張れば、楽しさを前面にだしていけば、やっていける、そう思っていた。明るいスクールアイドル、ユニドルのために。

 

 そして、雪穂は…。

「雪穂先生」

ある生徒に呼ばれた雪穂。

「は~い、ただいま」

と、雪穂、その生徒に駆け寄る。雪穂は鹿児島県の離島、九龍島にて高校の先生をしていた。

「生徒全員が呼んでいます。はやく来てください」

と、生徒会長らしき生徒から呼ばれると、

「はいはい、ちょっと待ってね。でも、生徒全員といっても9人しかいないのにね」

と、少し早歩きで廊下を歩いていた。ここで気づいただろうか。雪穂がいる高校、実は生徒が9人しかいないのだ。この九龍島、人口が500人あまり。ただ、離島ということもあり、まわりの島も人が少なく、高校がない。ということで、このまわりの島の中心の島である九龍島に町立高校がこの九龍島に建てられたのだ。しかし、過疎化には逆らえず、生徒はたった9人しかいない。でも、雪穂にとってはファミリーのような感覚であり、とても居心地のいいものだった。

「みんな、揃ったかな。それでは、私から一言」

と、雪穂が言うと、

「楽しさこそが全て。人生は全て楽しければそれでいいんだよ」

と言うと、生徒の1人から、

「ああ、やっぱり。今年、入ってきたばかりだから誤魔化しているんだ。そんなに人生、面白いものじゃないでしょ、この経験不足の教師」

と言われると、雪穂、

「たしかに。楽あれば苦もあるさ。けど、人生っていうのは楽しいと思えば、本当にハッピーになれるんだよ」

と、生徒みんなに言い聞かせる雪穂、そんな雪穂に9人はいきいきとしていた(?)。

「やっぱハッピーこそすべてなんだね」

と、生徒の1人が目をキラキラさせていた。

 そんななか、町で唯一の郵便配達人の姿が…。

「高坂さん、手紙が来てますよ」

「手紙?」

雪穂は手紙を受け取ると開いた。この手紙が雪穂、そして、生徒9人の運命を変えるものとは知らずに…。

 

 これで「HeaT」の物語は終わる。しかし、まだ、この物語の登場人物のストーリーはまだ始まったばかりである。これから先の物語は君たちが心の中で紡いでいってほしい。そう、この物語は君と紡ぐ物語(ストーリー)なのだから。

 

ラブライブUC 最終章 了

 

「次回」 ラブライブΩ/UC the final story

 

「スペシャルステージ」

 

物語はついにクライマックスへ こうご期待!!

 




あとがき

 みなさん、こんにちは。La55です。ついにラブライブUCが最終回を迎えました。約1年半かけて投稿してきたこの二次創作小説。私にとってとても長かったと思います。話数も前作ラブライブΩの18話を超えて28話。これだと2クールアニメができるくらいの話数になったと思います。みなさんにとってこの物語はどうでしたでしょうか。人によっては駄作と思っている方もいらっしゃるかもしれません。その場合には申し訳ございません。でも、この二次創作小説を楽しみにしてくれている方々にはこれまで楽しんでいただきありがとうございます。これからも頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。

 で、今回は2曲も作詞しました。1曲目の「Around the world」は仲間とともに頑張っていく人たちにおくる歌です。仲間と一緒にやっていくことはとても素晴らしいことです。たった1人ではできないことも仲間とならできることもあります。仲間はとてもとても大切なものであります。そんな仲間がいるからこそいろいろなことがたくさんできます。しかし、それは仲間のメンバー同士でもいえること。かたい絆こそ力になる、それを歌った曲でもあります。
 2曲目の「スペシャルソング」は、一生懸命生きようとする私たちにおくる歌です。私たちは日頃から生きていますが、命を、心を、大事にしたことはありますか。人は生きていくうえで頑張っていますが、いろんな試練が待ち構えています。そのなかで、なにもせずにただ失敗だけを受け入れる人たち、失敗したことにより自分の命を、自分の心を自ら絶とうとする人たちもいます。でも、それでいいのでしょうか。あとひと踏ん張りできないのでしょうか。失敗したから命を絶とう、心を絶とうとしていいのでしょうか。私たちは危機的状況において悪あがきをしてしまいます。それこそ生きている証拠だと思います。失敗してもまだ立ち上がれる、そう思うこと、これも生きている証拠だと思います。もし、苦しいとき、失敗したとき、この曲のことを思い出してください。そして、力を再び出してください。

 というわけで、今回のラブライブUC、いかがでしたでしょうか。最終回ということでちょっと長くなってしまい申し訳ございません。本当なら短くするところ、調子にのって長くなってしまいました。申し訳ない。では、また会う日まで、さようなら…、ではありません。今回投稿してからたった翌々日なのですが、特別編を投稿します。ただの特別編ではありません。本編の次回予告に書いているとおり、「ラブライブΩ」及び「ラブライブUC」のファイナルストーリーとなります。「ラブライブΩ」の「ラストメッセージ」みたいな短編ではありません。ちゃんとした長編になる予定です。新曲も4曲はいる予定です。そして、特別ゲストもでます。翌々日までしばらくお待ちください。それでは、さよなら、さよなら、さよなら。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ラブライブΩ/UC the final story 「スペシャルライブ」

 東京都千代田区、神田明神もあるこの町にある高校がある。国立音乃木坂学院高校。レジェンドスクールアイドル「μ’s」、そして、「オメガマックス」が所属していた高校。歴史のある高校、そして、「ラブライブ!」にて2度の優勝もしたことがある高校。しかし、この高校には今、スクールアイドルはいない。雪穂たちが卒業すると同時にこの高校からスクールアイドルはいなくなった。もう1度言う。この高校にはあの「オメガマックス」を最後にスクールアイドルはいなくなった。いや、もういないといっていいだろう。

 そんな音乃木坂学院にあるひとりの女性があらわれた。

「うわ~、ひさしぶりだ~」

その女性はこう言うと、表の校門から中に入っていた。そのあと、中に入るなり、

「どこも変わっていない、6年ぶりなのに」

と、感激しつつ校内をまわっていく。ライブなどをしていた講堂、音乃木坂のシンボル?アルパカ、そして、よく練習していた屋上…、どれもこれも懐かしい思いがこみあがっていた。

 そして、その女性はある場所に立ち止まった。その場所、それは「μ’s」「オメガマックス」を排出した部、アイドル研究部の部室だった。その部室に通じるたった一つのドアを、その女性は開けた。

「高坂雪穂、ただ今戻りました」

 

ラブライブΩ/UC the final story 「スペシャルライブ」

 

 話は数日前に戻る。高坂雪穂、彼女は日本橋女子大学を卒業後、1年間大学の付属高校でほかの教科の免許を取得するため、先生見習いとして勤務し、そのあと、鹿児島県九龍町の要請により、九龍町を形成する島のうちのひとつ、九龍島にある町立高校、九龍島高校に赴任していた。

 そんな8月のある日、雪穂のところにある手紙が届いた。

「高坂さん、手紙がきてますよ」

「手紙?」

雪穂はそう言うと、島でたった一人の郵便配達人から手紙を受け取った。

「なんだろうかな?」

雪穂は手紙を広げた。すると、そこには…。

「ラブライブ10年目記念パーティー…」

そう、雪穂が受け取った手紙にはラブライブ10年目を祝うパーティーの参加証が入っていたのだ。

「そうかぁ、ラブライブも10年目なのかぁ」

雪穂はラブライブが10年目を迎えたことをはじめて知った。

 そして、雪穂は手紙を読み続けた。内容はラブライブが10年目を迎えるのにあたり、盛大なパーティーが行われるというものだった。

 だが、読み続けていくうちに雪穂の顔の表情があやしくなっていく。

「えっ、盛大にパーティーするのに参加するのってこれだけ!!」

その手紙にはパーティーの参加者、というより招待客が書いてあった。そこにはラブライブ運営にかかわるもの、そのラブライブを応援している企業のお偉いさん、有力校の先生たち、そして、歴代優勝グループの人たちだけだった。

「ラブライブって参加しているスクールアイドルとそれを応援している学生たち、いや、お客さんたちがいるから成り立っているのに…」

そう、ラブライブ10年目を祝うのがこのパーティーのみだった。夏のラブライブもただたんに第○回といっているだけで、特別祝うものではなかったのだ。

 そんな考えのなか、雪穂、

「!」

と、あることを思いつく。すぐにある人に電話する。

「愛、ひさしぶり!!」

「どうしたの、雪穂。ひさしぶりじゃない」

電話をしたのは雪穂が音乃木坂時代スクールアイドル「オメガマックス」のメンバーだった秋葉愛だった。愛はアイドルグループ「博多小娘」のメンバー兼プロデューサーを勤めていた。

「…ということをしたいのだけど、どうかな」

雪穂の言葉に愛、

「たしかにこの手紙に書いている内容だと、ラブライブの運営関係者と歴代の優勝者のみのパーティーになる。でも、ラブライブってほかのスクールアイドル、そして、お客さまがいるから成り立つものね。私もこれを打破しようとあることを考えていたの。それはね…」

と、雪穂にある考えを伝える。これを聞いた雪穂、

「それいいじゃない。それじゃ、私と愛の案、ミックスしちゃお。よ~し、みんなに電話しちゃお」

と言うと、すぐに電話をきり、いろんなところに電話をかけめぐった。雪穂はいろんなところに雪穂と愛の考えをミックスした案を語ると、相手方のほとんどが賛成にまわった。

 そして、雪穂と愛の考えをミックスした案は雪穂の知らないところで大きくなっていき、数日後、報道機関によって大きく報じられた。

「な~んと、ラブライブ10年目を記念したスペシャルなパーティーが東京で大々的に行われます!!」

そう、ごく少数のパーティーではなく、誰でも参加できる、大きなパーティーへと変貌していたのだった。

 雪穂は話がそんなに大きくなっていることを知らず、音乃木坂学院を訪れ、アイドル研究部の部室があった部屋に向かっていた。

 雪穂は部室があった部屋に向かっている最中、あることを考えていた。

「もう、私たちの面影はないんだね。いや、私たちが卒業するときに何も残さずに去っていったからね」

そう、音乃木坂にはスクールアイドルの面影はなにもなかった。そう、「μ’s」「オメガマックス」2つのグループがラブライブで優勝したのに、その面影はなにもないのだ。あのラブライブの優勝旗すらないのだった。そして、スクールアイドルはいなくなった。

「この音乃木坂にスクールアイドル、いや、私たち「μ’s」「オメガマックス」の痕跡すらない理由、それにはある想いがあるからなんだけど」

雪穂はこう言うと、昔の思い出を思い返した。

 

 雪穂たち「オメガマックス」が夏のラブライブで優勝し、雪穂が進路について考えていた、というより悩み続け、そして、受験して日本橋女子大学に合格、そして、愛たちと一緒にスクールアイドルフェスティバルにむけて頑張っていたとき、雪穂は穂乃果に呼ばれていた。

「雪穂~、ごめ~ん。ちょっとお願いがあるの」

と、穂乃果が言うと、雪穂、

「な~に?」

と、穂乃果に聞く。すると、穂乃果、突然とんでもないことを言い出す。

「実は音乃木坂にはなにも残さないでほしいの。なにも残さずに。スクールアイドルに関するもの全て残さないでほしいの」

これを聞いた雪穂、

「え~、なんで~」

と、言い返す。穂乃果、すぐに、

「ごめ~ん。でも、本当になにも残さず去ってほしいの」

と言う。言葉使いが少しちゃらい。しかし、穂乃果の表情はいつも以上に真剣だった。

「お姉ちゃん…、なにか考えがあるの?」

と、雪穂は真面目に聞き返す。

 そんな雪穂の言葉に穂乃果は自分の考えを言い始めた。

「今の音乃木坂はみんなの心がつながっているからできたものなんだ。私たち(「μ’s」)がスクールアイドルとして活動して、それが音乃木坂の生徒全員の心を結びつけた。それがラブライブ優勝へとつながっていった。そして、雪穂たち(「オメガマックス」)がそれを受け継ぎ、当時のラブライブ、スクールアイドル界にあったスクールアイドル勝利至上主義を打破して、なおかつ、この音乃木坂を1つにした」

そして、穂乃果は考えの核心を言った。

「でも、これ以上この音乃木坂がスクールアイドルありきにしちゃだめだと思うの。もし、困ったときのスクールアイドルだよりじゃだめなの。もし音乃木坂になにかあったとき、スクールアイドルにすがればいいという甘い考えだと、音乃木坂はだめになるの。今の音乃木坂は私たち(「μ’s」)と雪穂たち(「オメガマックス」)のおかげで生徒1人1人の心がつながっているんだ。でも、これ以上スクールアイドルにすがるわけにはいかない。これからはものがなくても心がつながっている、そんな考えのもとで音乃木坂を発展してほしいんだ」

これを聞いた雪穂、

「うん、わかった。お姉ちゃんの言うとおりだね」

と言うと、すぐに「オメガマックス」メンバー全員に電話をし、穂乃果の考えを伝えると、すぐに集まり、自分たちの身のふりを考え始めた。

 そして、すぐに行動を始めた。卒業する3年生である雪穂、愛、(綾瀬)亜里沙は別にして、(代々木)はるかと(神宮)はやてはスクールアイドルから卒業することを決定し、(京城)みやこと(矢澤)こころ、ここあ姉妹も、スクールアイドルを続けるためにほかの高校に転向することを決めた。

 そして、スクールアイドルフェスティバルが行われた3月31日の翌日、4月1日にはアイドル研究部の部室はもぬけの殻になっていた。ラブライブ優勝旗も理事長室の奥の奥になおされ、2度と見ることはなくなったのだ。そう、まるで音乃木坂からスクールアイドルがこくぜんと消えた。それは今の音乃木坂はみんなの心がつながっているから、ものがなくても、みんなの心がつながっているからと言いがたいためなのかと…。

 

「そして、音乃木坂からスクールアイドルはいなくなったけど、心はつながっているから、たとえスクールアイドルがいなくてもみんな頑張っているんだよね」

と、雪穂は6年前のことを思い返しているうちにアイドル研究部の部室の前に到着した。

「さて、みんな集まっているかな。それじゃ開けるとしますか」

雪穂がこう言うと、ドアを開けた。

「高坂雪穂、ただいま戻りました!!」

すると、懐かしい声が聞こえてきた。

「遅いですよ、雪穂。どれだけ待たせたのですか」

と、愛が雪穂に怒ると、雪穂、

「だって~、九龍島から鹿児島市内に行くのに何日も船がかかるし、鹿児島から東京行くだけでも時間がかかるんだよ。許して~」

とねだると、

「そんなの関係ないですよ!!」

と、愛の隣にいたはるかがいきなり怒ると、

「まあ、まあ。悪気がないんだし、許してあげてよ」

と、はやてが愛とはるかをなだめる。

 そして、突然雪穂にむかって飛び込む影が…。

「雪穂お姉さん、会いたかったよ~」

と、ここあが雪穂にむかって飛び込みつつ言うと、

「私もです~」

と、今度はこころも雪穂にむかって飛び込みつつ言う。

「こころあ~、ひさしぶり~」

と、雪穂は飛び込んできたこころあの頭をさすると、

「雪穂さん、会いたかったです。今の私がいるのも雪穂さんのおかげです」

と、みやこが泣きながら雪穂に近づいてきた。

「みやこ、少しは落ち着いて」

と、雪穂がみやこにやさしく言う。

 最後にある人物が雪穂に近づく。

「雪穂、本当におひさしぶり。会いたかったよ~」

そう、大の親友であり、まきりんぱなが卒業したあと、2人しかいなかったアイドル研究部を一緒に盛り上げたあの人が…。

「亜里沙~」

雪穂がこう叫ぶと、すぐにハグする。

「雪穂~、雪穂~」

ハグした相手、それは亜里沙だった。亜里沙も雪穂にハグしかえす。こうして、3年ぶりに雪穂たち「オメガマックス」8人は集まった、はずだった。

「あの~、忘れていませんか~」

そう、この部室には雪穂たち8人以外にもう1人いた。

「あれ、いたのですか~」

と、愛がわざといたずらするように言うと、

「最初からいました!!」

と、言い返す。

「ヒカリ~、ひさしぶり~。どうしてここにいるの?」

と、雪穂、わざと言う。

「雪穂さん!!呼んだの、雪穂さんでしょ!!」

と言った人物、大学時代、雪穂と一緒に組んでいたユニドルグループ「HeaT」のメンバーの1人、渋谷ヒカリである。

「私、スクールアイドルじゃなかったのにパーティーの案内状はくるわ、そんなときに音乃木坂に至急来いと言われてしまうは、頭の中が混乱しています」

と、ヒカリがそう言うと、雪穂はすぐ、

「でも、3年前のユニライブで行ったシークレットライブで「9人目の「オメガマックス」メンバーという認識が広がっていた証拠だよ」

と言うと、ヒカリ、

「そうですか。それなら納得します」

と、少しふてくされて言う。

 そして、すぐに雪穂は愛にあることを言った。

「例のもの、できている?」

これを聞いた愛、

「すでに完成しています。すぐにでも練習にはいれるよ」

と言うと、雪穂、すぐに、

「それじゃ、このメンバーで練習、はじめるよ!!」

と言うと、ほかの8人は、

「「「「「「「「オー」」」」」」」」

と、叫びあっていた。

 

 そして、練習してから1時間後。

「タンタンターン。はい、終了」

と、愛の声が聞こえると、雪穂、

「そうだったかな?」

と、聞いてまわる。

「なんですか、これ、すごく合っているのですが…」

と、ヒカリが言うと、

「完璧です。やっぱりこのメンバーが最高です」

と、みやこは驚きを隠さなかった。そう、まったく合わせていないのにもかかわらず。たった短時間のうちに全員が合わせてきたのだった。チームワークが昔以上のものになっていた。

「やっぱりこのメンバーならばっちりでしょ」

と、雪穂が言うと、

「でも、ヒカリ以外はね」

と、ここあがいたずらそうに言うと、

「しかたないでしょ。オリジナルメンバーじゃないんだから」

と、ヒカリが反論。でも、それでもヒカリも十分合わせていたのだった。

「ハハハハ」

と、まわりのメンバーが笑う。

 でも、雪穂はわかっていた。この数回のあいだ、各人とも忙しいスケジュールの合間を縫うように練習してきたことを。

「全員合ってきている。でも、もっと完璧に仕上げるためにも頑張っていきましょう」

と、雪穂が言うと、

「「「「「「「「ハイッ」」」」」」」」

と、全員が答えた。

 

 そして、1週間後…。

「さあ、本番の日ですよ~」

と、雪穂は意気込んでいた。そう、今日はラブライブ10年目記念パーティーの日である。最初はうちうちでやろうとしていたラブライブ実行委員会は雪穂の身勝手な(?)行動により、会場を都内のホテルから、なんと秋葉ドームへと変更しないといけないことになってしまった。「まさか野球シーズン途中にもかかわらず会場が取れたなんて奇跡だよ」との委員会の委員の話も。そして、このパーティーの様子は全国にネット中継されることにもなった。なぜなら、予告なしで入場券販売したところ、たった5分で完売、入場券がプレミアム化し、これではいけないと、急遽ネット中継することになった。ちなみに、入場券が完売したことにより、赤字予想から大幅黒字になったとか。

 開始10分前。ステージ袖にはラブライブ歴代優勝グループなどが集まっていた。

「お姉ちゃん、おひさしぶり!!」

と、雪穂は「μ’s」のリーダーである穂乃果にあいさつする。

「雪穂、ヤッホー」

と、穂乃果も元気よくこたえる。その横から、

「やあ、雪穂さん、こんにちは」

と、A-RISEのつばさがこたえる。

「つばささん、こんにちは」

と、雪穂がこたえると、つばさも、

「私も元気だよ。そして、こいつも…」

と、つばさのうしろにかくれている人も…。

「雪穂、こんにちは。私は、元気、元気、大元気!!」

と、「K9」の天があらわれる。

「天さんも来てくれたんですね」

と、雪穂が言うと、天も、

「そうだよ」

と、元気にこたえる。

 雪穂は各グループにあいさつしていく。その途中、あるグループに会う。

「あ、こんにちは」

と、雪穂、あいさつすると、そのグループのリーダーらしき人から、

「こんにちは。私は「Aqours」のリーダー、髙海千歌です。「オメガマックス」さんですよね。ラブライブ、ユニライブともに見ていました。とてもよかったです。これからもよろしく!!」

と、「Aqours」のリーダー千歌があいさつする。これに雪穂、

「よろしくね。でも、あの秋葉原でチラシを拾っていた子がこんなに大きくなるなんて…」

と、意味深みに言うと、千歌、

「?」

と思ってしまった。

 雪穂は「Aqours」のあいさつのあと、まわりを見渡した。ラブライブ歴代優勝グループだけではなかった。当初の予定がなかったグループもよばれていた。「Aqours」の隣には「Saint Snow」がいる。そして、「オメガマックス」の隣には、

「雪穂、こんにちは。元気だった?」

と、よりグラマーに成長したナンシーが雪穂にあいさつする。

「ナンシー、こんにちは。「iD」も参加することになったんだね」

と、雪穂。そう、「iD」もこのパーティーに参加することになったのだ。ナンシーは言う。

「世界ツアーの真っ最中なんだけど、やっぱり原点はラブライブだからね、来ちゃった」

 その隣にはナターシャもいた。

「私、世界、ツアー、の、真っ最中。でも、出たかった」

と、ナターシャ。雪穂はそんな2人に対し、

「それはよかった、よかった。じゃ、ステージの上でね」

と、雪穂言う。こうして雪穂のあいさつ行脚は終わりをむかえる。

 そして、ステージは開幕した。

「さあ、今からラブライブ10年目記念パーティーのはじまりだよ。はっちゃける準備はできたかな~」

と、司会役のいつものレポーターもはっちゃけている。10年たっても変わらずである。

「それでははじめましょう。歴代のスクールアイドル、カモーン」

と、レポーターが歴代スクールアイドルを呼ぶ。

 ステージ袖ではスクールアイドルたちが待っていた。

「さあ、行きましょう。雪穂、掛け声を」

と、天が言うと、雪穂、

「では、行きましょう。われら」

と、大きな声で言うと、そこにいるスクールアイドルみんな、

「われら、スクールアイドル!!」

と、大声で言う。それからステージへと舞い上がった。

 

 パーティーは昔の話やクイズ、ゲームで盛り上がった。そして、中盤に差し掛かったところで、レポーターはあることを言い始めた。

「さて、ここからはプログラムにも載っていないシークレットイベントだよ」

すると、雪穂が前に出て言う。

「今からするのは、レジェンドスクールアイドルによるライブ、スペシャルライブです!!どうぞお楽しみください」

そう、雪穂がたくらんでいたのは、雪穂たちレジェンドスクールアイドルによるライブ、スペシャルライブであった。

 レポーターは雪穂の言葉のあと、進行を進めた。

「では、トップバッターは「A-RISE」、曲は…」

と、まず、「A-RISE」が先行で会場を盛り上げようとする。

 そして、

「「A-RISE」の次は「μ’s」!!この2組がいたから今のラブライブは続いている。局は…、どうぞ」

と、今度は「μ’s」がバトンを受け継ぎ、会場中をヒートアップさせる。

 そして、それぞれのレジェンドスクールアイドルたちは全力をもって歌い、会場中を盛り上げていった。

 

 ライブも終盤にあたり、「Saint Snow」が、「Aqours」が歌い終わると、残りは雪穂たち3組のみになった。

「本日はどうもありがとうございました。最後となりますが、私たち「K9」「iD」「オメガマックス」3連続ステージを見ていってください」

と、雪穂が言うと、まず最初に「K9」のリーダー天が前にでる。

「これから歌う曲はすべて新曲だ!!それもすべて「オメガマックス」のメンバーで現在「博多小娘」のメンバー兼プロデューサーである秋葉愛が作詞作曲したものだ!!」

そう、愛が考えた秘策、それは「K9」「iD」「オメガマックス」ともに新曲でのライブだった。愛はこの日のために新曲を3曲+1曲をつくっていたのだった。

「さあ、いくぞ!!「K9」で「一・致・団・結」!!」

この言葉に会場中はさらに盛り上がる。そして、曲がはじまった。

 

K9 「一・致・団・結」

 

いっき いっき いっき いっき

 

たった1人で悲しむなよ

たとえできないかべがあっても

どんなことがあったとしても

仲間をよべばできるはずさ

 

よんだ仲間が力をあわせば

できないことはない

でもできないと思うことあれば

この言葉をさけんでみよう

 

一・致・団・結 一・致・団・結

 

力をあわせば必ず通る

みんなの心をあわせる

これが私たちのパワーの源

こえられないかべはないのさ

 

たった1人であきらめるな

たとえ不可能思うことでも

どんなことを思うとしても

気持ちがあればできるはずさ

 

すべて仲間の気持ちをあわせば

できないことはない

でもあわせてもできないとあれば

この言葉をさけんでみよう

 

一・致・団・結 一・致・団・結

 

気持ちをあわせば必ず決める

みんなの気持ちをあわせる

これが私たちの最後の切り札

不可能から可能変わるさ

 

たとえどんな苦難があっても

それをこえるだけの力はある

あきらめたらゲームオーバー

だからこそあきらめるな

みんな一緒に

一・致・団・結 一・致・団・結

力あわせれば不可能はない

 

一・致・団・結 一・致・団・結

 

力をあわせば必ず通る

みんなの心をあわせる

これが私たちのパワーの源

こえられない壁はないのさ

 

みんなと一緒に一致団結

 

「「K9」でした。ナンシー、あとはよろしく!!」

天がこう言うと、次に「iD」のナンシーにマイクが移る。

「次は「iD」です~。ヒートを冷まさないためにも、さくっといっちゃうよ。曲は「カモン ザ カモン」!!」

そして、曲がはじまる。

 

iD 「カモン ザ カモン」

 

カモン ザ カモン

カモン ザ カモン

 

私たちの魅惑をみせてあげる

魅惑にかかれば男なんていちころ

そんなにセクシーな私たち

たとえそれが犬であってもね

 

セクシー オン ザ セクシー

私のスタイルはセクシー

セクシー オン ザ セクシー

そんなにセクシーだから

地球上の全ての男は私のとりこに

 

カモン ザ カモン

よっておいで見ておいで

カモン ザ カモン

私が全てを忘れさせてやる

 

私たちの秘密をみせてあげる

秘密をみせれば男なんていちころ

そんなにミステリな私たち

たとえそれが猫であってもね

 

シークレ トゥ ザ シークレ

私のハーートのなかみは

シークレ トゥ ザ シークレ

すべてがひみつであるの

だからこーそ全ての男に見せてはあげない

 

カモン ザ カモン

秘密かくしすきみせる

カモン ザ カモン

私の弱みは見せてあげーない

 

私たちのセクシーさは努力の賜物

どんな男でもいちころにする

スタイルがよければいい

というわけではない

努力をすればいつかは

男を惑わす女になれる

 

カモン ザ カモン

よっておいで見ておいで

カモン ザ カモン

私が全てを忘れさせてやる

 

カモン ザ カモン

秘密かくしすきみせる

カモン ザ カモン

私の弱みは見せてあげーない

 

カモン ザ カモン

 

「「iD」でした。最後は「オメガマックス」だよ」

と、ナンシーが言うと、雪穂が出てくる。

「ライブはこれで最後だけど、みんな、盛り上がっているか~い」

雪穂の言葉に会場中、

「オー」

と、元気に返答する。これを聞いた雪穂、

「今から歌う曲はこれからスクールアイドルとして活躍していく人たちに贈る歌です」

と言い、そんなとき、雪穂は思った。

(川崎ツインズ、来ているかな)

そう、大学卒業以降連絡が取れない川崎陸、空姉妹、そう、川崎ツインズのことである。雪穂はこのパーティーの入場券を送ったのだった。しかし、それでも音沙汰はなかった。

 そんなとき、会場に七色に光る場所を見つける。七色、それはレインボーカラー、「オメガマックス」をあらわす色である。

(陸、空…)

雪穂にはわかっていた。レインボーカラーのところに川崎ツインズはいる。実際、その観客席からわずかな声が聞こえてきた。

「雪穂さんはさびしんぼなんですから…」

「雪穂…、さん…、さびしんぼ…、さびしんぼ…」

それが川崎ツインズかどうかはわからない。でも、雪穂は川崎ツインズであると確信していた。

 それでも時は待ってくれない。「オメガマックス」9人はステージ中央に集まり、名乗りをあげる。

「1」「2」「3」「4」「5」「6」「7」「8」「9」と、9人それぞれ数字を言うと、会場中から「10」と大きな声が聞こえてくる。

 それを聞いた9人は大きく言う。

「オメガ~、マックス、アップ!!」

そして、会場のボルテージもマックスになると、雪穂は言った。

「それでは聞いてください。「オメガマックス」で、「ゴールデンロード」」

そして、曲ははじまった。

 

オメガマックス 「ゴールデンロード」

 

今とびたつ小鳥たちへ

 

さあ この道から飛びたて

きみたちのためのこの道を

全ての先人が残した

きみたちのためのこの道を

 

たとえこれから苦難があっても

それをはねのける力がある

だからこそ自信をもって

大きく羽ばたいていってね

 

ゴールデンロード

君たちだけの道

ゴールデンロード

君たちの進む道

自信をもっておおきく羽ばたいて

とびたっていってね

 

さあ この道から飛びたて

君たちの進むこの道を

苦難をはねのける力が

秘めている強い小鳥たち

 

たとえ大きなかべがあっても

それを乗り越える力がある

だからこそ自信をもって

大きく進んでいってね

 

ゴールデンロード

はじまりとなる道

ゴールデンロード

旅立ちのための道

自信をもっておおきく羽ばたいて

とびたっていってね

 

ゴールデンロード

全てのはじまりの道

ゴールデンロード

君たちがとびたつ道

これからは君たちだけだけど

それでもやっていけるよ

なぜなら君たちは

光輝く特別な存在だから

 

ゴールデンロード

君たちだけの道

ゴールデンロード

君たちの進む道

自信をもっておおきく羽ばたいて

とびたっていってね

 

ゴールデンロード

旅立つ君たちに送る

特別なロード

 

「「オメガマックス」でした。これでライブは終了です。みんな、ありがとう」

と、雪穂が言うと、ステージ上は暗くなった。だが、会場中は静かになるどころか、さらにヒートアップしていた。すぐに、

アンコール アンコール アンコール

と、アンコールを呼ぶ声が聞こえてくる。その言葉は会場中に広がり始め、会場のお客さま全員が一同に大声で言う。

アンコール アンコール アンコール

 この言葉に雪穂、

「レジェンドスクールアイドルのみんな、もう1曲いこうか」

の呼びかけに、ステージ上にいるレジェンドスクールアイドルみんな、

「行こう!!」

と、大声で言う。この言葉に会場中から、

ワー

と、喜ぶ声が聞こえてきた。

 この喜ぶ声に雪穂はステージ中央に行き、こう言った。

「アンコールありがとうございます。この言葉に私たちは元気づけられました。今度の曲が本当に最後の曲となります。私たちレジェンドスクールアイドルみんなで歌います。この日のための、ここにいるみんなのための曲。新しいSDSです。聞いてください」

そして、レジェンドスクールアイドルみんなで曲名を言った。

「スペシャルデイソング!!」

そして、曲がはじまった。

 

スペシャルライブ エンディング曲 「スペシャル デイ ソング」

 

スペシャルな1日を過ごそうよ

 

この日をどれだけ待っていたのか

(スペシャルデイ スペシャルソング)

みんながまちこがれていたこの日が

(スペシャルデイ スペシャルソング)

 

大きくお祝いしようよ

すべてをハッピーにするために

だから泣くのはやめよう

泣けば泣くほどハッピー逃げるから

 

スペシャルデイ スペシャルソング

スペシャルでい スペシャルソング

全てがハッピーになる一日

スペシャルデイ スペシャルソング

スペシャルな1日だから

すべて楽しんでいこうよ

 

みんなが楽しむすべてのものに

(スペシャルデイ スペシャルソング)

とてもね楽しんでいるよすべてで

(スペシャルデイ スペシャルソング)

 

大きく楽しみましょうよ

すべてをハッピーにするために

だからひとりになるなよ

ひとりだけではハッピーでないから

 

スペシャルデイ スペシャルソング

スペシャルデイ スペシャルソング

すべてが楽しめるいい一日

スペシャルデイ スペシャルソング

とてもいい一日だから

すべて楽しんでいこうよ

 

 

みんながまちこがれていたこの日を

地球すべてが舞台

すべての人が出演者

すべてがすべてハッピーに

だからすべての呪縛をときはないて

おおいに楽しもうよ

すべてがすべてハッピーになるために

 

スペシャルデイ スペシャルソング

すべてがハッピーになる一日

スペシャルデイ スペシャルソング

すべてが楽しめるいい一日

スペシャルデイ スペシャルソング

スペシャルな一日だから

すべて楽しんでいこうよ

すべて楽しんでいこうよ

 

スペシャルデイ スペシャルソング

スペシャルデイ スペシャルソング

スペシャルデイ スペシャルソング

(フェイドアウト)

 

「「スペシャルデイソング」でした。みんな、本当にありがとう。これからもスクールアイドルは増え続けます。これからもスクールアイドルを応援してください。レジェンドスクールアイドルでした!!」

と、雪穂は最後のあいさつをすると、レジェンドスクールアイドルみんなステージ袖へと移動した。

「レジェンドスクールアイドルのみんなでした。はじめての方も、ひさしぶりの方も、はっちゃけてくれたかな。これでパーティーは終わるけど、これからもラブライブを応援してね。それじゃーねー、バイバイ」

と、レポーターがパーティーを締める。これを見ていた雪穂、

「これで私たちのパーティーは終わるんだね」

と言うと、愛、

「でも、私たちはこれからも輝き続けるよ」

と言えば、ヒカリも、

「そうです。これからは私たちとともにこれから生まれるスクールアイドルたちを磨き、輝かせていきますよ」

と言う。その横には穂乃果が顔を出し、

「これからもラブライブは続いていく」

といえば、偶然横にいた「Aqours」の千歌も、

「千歌たちは輝きを見つけました。そして、これからもいろんなスクールアイドルたちが輝きを見つけると思います」

と言い、雪穂は最後にこう締めた。

「そうだね。これらもスクールアイドルは、ラブライブは輝き続けるんだね」

 

ラブライブΩ/UC グランドエンディング 「Over the LEGEND」

 

私たち、開拓者(チャレンジャー)

 

(1)

遥か彼方に見える伝説の地(レジェンド)

先輩たち(レジェンドラ)が築いた希望の場所

 

私たちの力だけでは乗り越えられない

だから君と力を合わせてみれば

必ず乗り越えられるはずさ

 

伝説(とき)を(伝説(とき)を)乗り越えて(乗り越えて)

見えてくる未来(あした)の私たち

本当の(本当の)美しさ(美しさ)

心に秘めて未来(あした)に進もう

Glory(グロリ) my heart

 

(2)

夢という果てしない挑戦(チャレンジ)

先輩たち(チャレンジャー)が達した高みの場所

 

私たちと君と一緒でなら大丈夫さ

だって君と力を合わせてみれば

なんでも叶えられるはずさ

 

君と(君と)紡いでく(紡いでく)

1つだけの私たちの物語(ストーリー)

唯一の(唯一の)宝物(宝物)

心に秘めて一緒に進もう

Glow(グロー) my heart

 

手と手つなぐたび強くなれる

それが私たち

どんな苦しみがあったとしても

君とならば必ず乗り越えられるさ

 

伝説(とき)を(伝説(とき)を)乗り越えて(乗り越えて)

見えてくる未来の私たち

本当の(本当の)美しさ(美しさ)

心に秘めて一緒に進もう

Glory(グロリ) my heart

 

君と紡ぐ私たちの伝説(ストーリー)

 

 このパーティーはネットで中継され、ここ、九龍島でも九龍島高校生徒全員が見ていた。

「雪穂先生ってすごい人だったんだね」

と、ある生徒が言えば、

「しかし、ちゃらちゃらしているんです。不潔です!!」

と言う生徒会長。

 しかし、ある学生はこの中継を見てこう思った。

「私もスクールアイドルになりたい。そして、この高校を、この島を、この町を救いたい!!」

 

 そして、数日後、島に戻ってきた雪穂にその生徒はこう告げた。

「私、スクールアイドルになりたい!!雪穂先生、私にもなれますか?」

この言葉に雪穂、

「頑張ればなれるよ。そして、自分の輝きを見つければ、心から楽しむことができれば、それは自分だけのスクールアイドルになれるよ」

と雪穂が言えば、これを聞いた生徒、

「ハイッ!!」

と言う。すると、雪穂はその生徒にあるものをプレゼントした。

「はい、これ、あげるね」

雪穂が言うと、その生徒は驚いた。

「羽?白い羽?」

「そう、白い羽」

その生徒に渡したのは雪穂が持つ白い羽。雪穂にはもう必要ないけど、その生徒にとってこれから必要となる白い羽。

 雪穂からその生徒へ時代は変わる。すべてが変わる。この行為が次の世代へと移る儀式かもしれない。

 

 そして、新しい物語が始まる。

 

 ラブライブΩ/ラブライブUC 完

 

次回予告?

 

①ラブライブ!に新しい風が吹く。舞台は鹿児島県の離島、九龍島。高校の危機、島の危機、町の危機に9人の生徒が立ち上がる。立ちはだかるのは力強きライバルたち、だけじゃない!!いろんなものが9人の生徒に立ちはだかっていく。いろんな試練をくぐりぬけた先に見えるものとは?

 

「ラブライブΩ/UC 外伝 ラブライブ!IS」近日公開?

 

②La55の無謀な作品が始まる。ライトノベルでも難しいとされるロボットものに挑戦!!主人公はなんの取柄ものない男の子と女の子、そして、謎の子(操縦士!!)と幼いロボット!!戦闘あり、学園あり、なんでもありの物語。

 

「ER」近日公開?

 

(って、また同じ文言でしょ!!)

 

③明治45年7月30日、明治天皇が崩御し、激動の明治の時代が終わった。そして、大正がはじまった。ときに大正元年。1人の少女はある少年と偶然出会ったことにより、少女の、そして、世界の運命は大きく変わろうとしていた。はたして、少女が見る運命とは…。

 

「大正維新伝 SD」近日公開?

 

 




あとがき

 ついに特別編が終わりました。今回は「ラブライブΩ」及び「ラブライブUC」の本当の完結編となります。「ラブライブΩ」第1話を投稿してからはや2年。とても長かったと思いました。それでもこの物語を完結することができました。それも応援してくれている読者の方々のおかげです。本当にありがとうございます。あなたにとってこの物語はどうでしたか。とてもおもしろかったならとてもうれしいです。駄作と感じたならごめんなさい。それでも、この物語を完結できたことはとてもうれしいです。こんな長編はもう書けないと思います。本当に応援してくれてありがとうございました。

 で、今回の特別ゲストは「Aqours」から髙海千歌さんでした。この子は「ラブライブΩ」の「ラストメッセージ」にも少しだけ出ていたのですが、今回、まんをじしての登場となりました。もちろん、「μ’s」の高坂穂乃果さんもでております。「ラブライブ!サンシャイン!!」では自分だけの輝きを見つけた千歌さん。その輝きをまだ持っていると思います。その輝きをスペシャルステージでも見せてくれたと思います。

 そして、忘れていないでしょうか。「ラブライブ!サンシャイン!」の第1期12話、音乃木坂に向かった千歌たちが見た現実、音乃木坂にスクールアイドルがいなくなったことを。この二次創作小説の流れだと(というより、本編でもそうだが)、雪穂たちが卒業した後、スクールアイドルがいなくなったことになります。その答えを自分なりに考え、この特別編前半部分に書いてみました。むろん、この二次創作小説の流れなので、実際には違う答えかもしれません。でも、あるものに頼り切ってしまうと案外人間はもろくなります。それを考えた場合、なにかに頼るより、みんなとの心のつながりがあったこそ廃校騒動、「μ’s」のラブライブ優勝につながったと思います。それはこの二次創作小説では「オメガマックス」へとつながりました。そして、心のつながりは穂乃果たちが、雪穂たちが残した大きな財産として音乃木坂に残したのだと思っております。あなたにとって心のつながりとはなんですか。

 で、今回の新曲は4曲です。長くなりそうなので簡潔に話していきます。「一・致・団・結」はその名のとおり、一致団結することを歌った曲です。一致団結することは苦手という人もいます。自分もそうです。ただ、人は仲間と一緒に一致団結しないといけないときがあります。そんなときこそ、この曲を思い出してください。
 2曲目の「カモン ザ カモン」は「iD」らしい曲になっております。ナンシーやナターシャのセクシーさを前面にだした曲だと思います。「ラブライブΩ」で出した「インターナショナルアイドル」と同様、少しアップテンポな曲調を意識して作詞してみました。
 3曲目の「ゴールデンロード」、これは「ラブライブΩ」の「Little wing」「TUBASA」を意識した曲となっております。「Little wing」で育った小鳥たちが「TUBASA」で大きくはばたち、そして、「ゴールデンロード」にて、今度は自分たちの後輩たちが飛び立っていくのを見守る様子を描いております。そして、「ゴールデンロード」という曲の名は「ラブライブΩ最終章ゴールデンロード」から名付けました。このように、この曲自体、この作品の集大成としての作られた曲でもあります。
 さいごの曲、「スペシャルデイソング」ですが、これは、新しいSDSを作ろうと思い作詞しました。みなさんにとってSDSといえば「ラブライブ!劇場版」の「Sunny Day Song」だと思います。私もこの曲は大好きです。ただ、私はこの曲に匹敵するような新しいSDSを作ってみたいと思い、できたのがこの曲です。とても楽しいお祭り、それを精一杯楽しむ、それを祝う歌こそこの曲だと思いました。ものすごいアップテンポな曲と意識して作りましたが、みなさんにはどんな曲調を想像してみたでしょうか。

 で、次回作なのですが、今のところ、次回予告?に書いてあります3作品をもとに物語を紡いでいきたいと思っております。ただし、どの作品もまだプロットすらできていません。そのため、次回作を投稿できるのははやくて夏ごろ、できれば秋までには投稿したいと思っております。また、その次の作品もできれば来年冬か春には投稿したいと思っております。もしかすると、別の作品がくるかも…(単なる妄想)。

と、いうわけでお別れの時間がついにきてしまいました。「ラブライブΩ」及び「ラブライブUC」の物語はここに完結しました。それでも、雪穂たちと紡いだ物語は終わりを迎えたわけではありません。もしかすると、まだ続けるかもしれません。それでもよんでもらえたら幸いです。それでは次回作まで、みなさん、さよなら、さよなら、さよなら。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。