お寺の息子 (龍やん)
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設定

台湾旅行いってて更新出来んかった

今更設定です笑

オリキャラ迅くんだけの予定が…


オリ主の設定

 

九重迅

 

最強の魔法師を創るというコンセプトのもと、遺伝子操作で生まれた。

 

13歳になるまでは迅の事を産んだ母体が普通の一般常識や価値観について教えていた。

 

かなり非人道的な投薬、人体実験、暗殺訓練をさせられていたため痛覚が通常の人より鈍い。

 

母体からはとても愛され育ったが同じ年代の子供とのふれあいがあまりなかったため友情や恋愛は良くわかってない。

 

 

 

身長177センチ 体重73キロ

 

体格は体重のわりには細身、脱ぐとガッチリしている。

 

身体に生傷が多いため、基本は肌が隠れるようにしている。

 

容姿は目がちょっときついがわりと整っている

 

左耳にリングのピアスをつけている。

 

 

 

 

性格はわりと、細かい事は気にしない大雑把その上の面倒臭がり。しかしやらなきゃいけないことはキッチリとやるし妥協もしない。

 

非行少年ではないがあまりバレなきゃ気にしないタイプ。

 

争いごとに関しては、自分の事ならさっさと折れるがどうしようもない場合は手荒い事も辞さない。

 

好きな食い物は海鮮系

 

嫌いな食い物は特にないが甘すぎるとダメ

 

趣味は魔法に関して調べること、読書。

 

自分の魔法にコンプレックスを抱いている。

 

 

 

使用魔法は特殊なサイオンを纏った自己強化(身体能力向上、反応速度上昇)

 

副産物として精神干渉、アンティナイトによるジャミングを受けない。

 

普通のCADが使えないので戦闘時は特殊なサイオンに最適化された小太刀を使用する

 

幻術幻影、相手の視覚にハメて自分の幻影を複数見せる。

 

纏衣の逃げ水、義父九重八雲オリジナル古式魔法

目の能力???

 

 

 

 

 

九重家

 

九重八雲と九重迅の二人

 

天台宗のお寺の仕事とお偉いさん方の護衛、あとは九重道場を生業としている

 

護衛の依頼は主に十師族の幹部や政府のお偉い方の、プライベートや密会など事情を知られたくないときの()()()として、他は人員の足らない場合の補充といったことで受ける。

 

護衛の任務は八雲と迅以外は他に5人ほど着く(全員住職)

 

九重道場は門下生が20人ほどいる。

 

八雲個人で情報収集の依頼を受けることもある(気まぐれ)

 

 

 

 

 

九重八雲

 

沖縄海戦中に日本政府からある研究所の捜査依頼を受けて迅と出会う。

 

暴走していた迅と交戦し無力化。その際に迅に泣きながら、他人を傷つけるのではなく守る力を教えてくれと言われた。

 

政府には猛反対されたが交渉の末迅を養子として引き取った。

 

迅には自分の忍びとしての能力以外に倫理観や価値観、一般常識の他に心のあり方を教えた。

 

迅の母体になった人について調べている。

 

 

 

 

 

 




入学編終ったあとに過去編書く予定なのでその時にまた詳しく書きます!



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入学編
1話


九重八雲さんに息子いたらどうなんだろうという妄想を形にしたいという願い


夢を見ていた、その夢は透明なガラスの容器の中にいる自分を、たくさんの白衣を着た人達が見ていた。

 

ただ見ていると言うよりは観察されているような、とても不快感がぬぐえない視線に晒されていた。

 

場面が変わり今度は頭に変な機械を取り付けられていた。

 

白衣を着た研究員がボタンの様なものを押したら頭が破裂しそうなほどの莫大な情報が脳内に流れ込んできた。

 

凄まじい頭痛とともに視界が暗転した。

 

目を開けると眩しい白い光。

 

手で目を隠そうとすると何かに固定されていた、まるで磔にようにベッドに固定されていた。

 

首に注射器を刺され、何かを投与されたあと身体中に特に右目に激痛がはしった、じたばたするが努力のかいなく意識を手放す。

 

目を開けると今度は目の前のテーブルに林檎が置いてあった、頭には機械が着いていた。

 

研究員の実験開始という言葉を認識すると同時に頭痛、右目に激痛が走った。

 

気が付くと林檎とテーブルが消えていた。

 

研究員たちは大声で実験成功だと喜んでいるように見えた。

 

激しい疲労感とともに意識が飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

目を覚ますとそこは見知った天井だった

 

「夢か…」

 

朝の陽気が窓から射し込んでる。

 

気が付くと凄い汗をかいていた。

 

熱くも冷たくもない何も感じない汗だった。

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう親父」

 

「うんおはよう迅君」

 

俺こと九重迅の朝はわりと早い。

俺んちは寺で朝必ずお寺の掃除と親父、九重八雲の弟子(門下生)と鍛練(組手とか座禅とかランニングなどなど)

 

あとは当番制だが朝食作りがあり忙しい。

 

しかし今日はいつもと違い鍛練は無かった。

 

「迅君今日は入学式だから鍛練はしなくていいからゆっくり支度しなさい」

 

親父なりの気遣いってとこかな?

俺は今年から国立魔法大学付属第一高校に通うことになっている。

ちなみに2科生である。

 

「そっかそりゃありがたい!んじゃゆっくりしてるわ」

 

「朝食できたら呼ぶよ~」

 

「はいよー」

 

 

 

 

「「いただきます」」

門下生達「いただきます!!」

 

朝食は門下生も一緒に食べることになっているので毎朝賑やかだ。

 

「そういえば迅君高校生活にたいして何か楽しみとかはあるのかい?」

親父がニヤニヤしながら聞いてきた、何でニヤニヤしてんだこのハゲは…

 

「うーんこれといってないけど強いて言うなら色んな魔法が見れるのが楽しみかな?」

 

「まぁ迅君普通の魔法あまり使えないもんね」

 

あまりではなくほとんど使えない。

 

それどころか体質のためCADとか触ると壊れてしまう。

 

ならなぜ魔法で有名な第一高校に入れたのか。

 

本来ならCADにサイオンをながして魔法式を構築し魔法を発動させるのが普通だが、俺はサイオンが特殊なためCADにサイオンを流すと壊れてしまう。

 

基本的にはサイオンは非物質粒子なのだが、俺のサイオンは電気という性質があったのである。

 

そのため実技テストはほとんどダメで(CADを使用していないのに発動速度が学年トップ以外は試験機に壊れないほどの本当に少量のサイオンしか流せずビリ)筆記試験がトップタイだったためなんとか2科生になった。

 

合格出来た理由は自分が使えない魔法に興味があっていっぱい勉強したためであった。

 

他の人が扱う普通の魔法が凄く新鮮に見えるのだ。

 

「まぁ今さら気にしてねーしな、しかも普通の人と違うってなんか得してるみたいだし。あんまり困ったこともないし忍術も使えるし」

 

「まぁ今じゃ()()()()()()なら迅君のが強いしね」

 

「ただの組手じゃあまだ互角くらいだけどな」

 

「そこもそろそろ抜かれそうで怖いよ」

 

「若いしな」

 

ニヤニヤしながら言ってやった

 

「僕も若く見られるんだけどな~」

 

「見られるだけだろ中身は爺いなんだからあんまJK見てはしゃぐなよ?」

 

「迅君ロマンは捨てられないんだよ!!」

 

「黙れよハゲ」

 

「「ごちそうさま」」

門下生「ごちそうさまでした!」

 

「んじゃあまあ行ってきます!」

 

「迅君待つんだ!」

 

「どうした?」

 

「写真取り忘れた!」

 

「は?」

 

「いやせっかくの高校入学なんだから写真とってあげるよ!いや撮らせてください!」

 

俺の親父、九重八雲は意外と子煩悩だった。




八雲さんが迅君を拾ったという設定です

いつかその話も書きます多分


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2話

「ちょっと早く着きすぎたかな」

 

俺は今第一高校の門をくぐった。

 

入学式までちょっと時間があるなと思いながら何をして待ってようか考えていた。

 

「まぁまだ全然早いけど会場にははいれるよな」

 

先に入って寝てようかなと考えながら俺は会場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえねえあの子ウィードだよね?」

 

「こんなに早くから会場に入ってるとか恥ずかしくないのかしら」

 

「スペアのくせに恥ずかしいよね」

 

「Zzz…Zzz」

 

周りの声が聞こえない位爆睡していた。

 

 

 

「あっちの方席結構空いてるね」

 

「そうだね」

 

空いてる席を探してた私と雫は、纏まって空いてる場所に向かって歩いていたのだが、近づくにつれてその空きかたがが奇妙であることに気が付く。

 

それは一人の生徒の周りだけがキレイに2席づつほど空いていて、周りにいる他の生徒がその一人の生徒に訝しげな視線を向けていた。

 

なんとも座りにくい雰囲気だったのだが、わらわらと席が埋まり始めていたので仕方なく二人で隣の席についた。そこでやっと隣の寝ている生徒が視線を集めていたのかがわかった。彼は2科生だったのだ。

 

「この人凄いね…」

 

「うん…」

 

席順は決められているわけではないが、暗黙の了解なのか席は前半分は1科生、後ろが2科生とキレイに別れていた。

 

その中、その生徒は1科生の真ん中に1人だけ2科生で座っており、おまけに爆睡しているという状況。

 

差別意識の無い私達でも「この人大丈夫かな?」と思ったほどである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?あれ?入学式おわった?」

 

ガヤガヤしはじめたあたりでようやく目を覚ました俺は状況を理解できていなかったのでとりあえず隣の人に声をかけた。

 

「なぁ入学式って終わったのか?」

 

「ひゃい!?」

 

なんかめっちゃ驚かれた。

 

「おわったよ、ほのかは変な声出さないで」

 

「いきなりでびっくりしたんだよ~」

 

「なんかわりぃな」

 

「大丈夫ですよ!」

 

「ところでさ、このあとどうするか分かる?」

 

「あぁそうですよね、ずっと寝てましたもんね」

 

「いやぁ早く着いたからちょっと寝ようと思ったら大分やらかしたらしい、だから教えてもらえると助かるんだが」

 

「いいですよ!このあとはIDカード交付があるので窓口に行くんですよ!」

 

「そうなのか!ところでその窓口ってどこにあるんだ?」

 

「それなら一緒に行く?」

 

「そうですねその方がいいですね」

 

「わりぃな助かるわ!」

 

「いいえ!まずは自己紹介しますね、光井ほのかです!」

 

「北山雫」

 

「俺は九重迅よろしく」

 

「じゃあいきましょうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人とも1科生なのか?」

 

「そうですよ!」

 

「うん」

 

光井さんと北山さんが順番に答える。

 

「なんかわりぃな。2科生なんかのために説明までしてもらっちゃってよ」

 

「困った時はお互い様ですよ!」

 

その言葉はとってもありがたいっす!

 

「でも迅はすごい」

 

「何がだ?」

 

「あの視線のなか爆睡できて」

 

「視線?」

 

なに?俺めっちゃみられてたの?

 

「すごかったんですよ?2科生なのに前の真ん中のほうに座って寝てるんですもん、軽く引いちゃいましたよ」

 

そういうことですか。でも自由席だったような。

 

「でも席順は決まってなかったよな?」

 

「そうなんですけど何故か1科と2科で別れてたんですよね」

 

あぁコレがハゲの言ってた差別意識というやつか。

 

「なんかちょっとやな感じだった…」

 

「まぁ2科生は劣等感、1科生は差別意識が出てんだろ、現時点ではあまり変わり無いのにな、まぁ俺も魔法が苦手だから2科生だしな」

 

でもくだらねーな、ってか学校側もなにもしてないのかよ…

 

「私たちも1科生ですけどあまりそういう空気が蔓延するのはちょっといやですね…」

 

「同じ1科生として恥ずかしい…」

 

「まぁ良かったよ初めに話しかけたのがあんたらで!」

 

一番最初から人柄の良い子たちと知り合えた俺は結構引きが強いらしい。

 

「そう思ってもらえたらよかったです、迅さんは最初はちょっと怖かったですけど面白い人で良かったです!」

 

「うん迅面白い!入学式で爆睡はなかなかできないよ」

 

「そうだな貴重な体験だったわ」

 

覚えてないけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IDカードを受け取った、おれはE組らしい。

 

「俺はE組らしい」

 

「私はA組」

 

「良かったー雫と一緒だ~」

 

「今日はこの後自由なんだよな?」

 

「うん」

 

「まぁあまり一緒にいても視線を集めて二人に良いことはないから俺はそろそろ帰るわ」

 

俺は目立ちたがりなわけじゃないしな。

 

「そんな事ないです!でもそうですね私たちもそろそろ帰ろうかな」

 

「うん帰ろう、あと迅はもう友達、だから気にしないで」

 

「そっかありがとな、助かったよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして俺は帰路についた、ってか俺まだ同じ2科生の友達いねーじゃん!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たでーまー」

 

「お帰り迅君、どうだった入学式」

 

「寝てて全く聴いてなかった!」

 

わろえない。

 

「迅君らしいね、友達は出来た?」

 

「おう!1科生の女の子二人が寝てた俺に色々おしえてくれたよ」

 

「そりゃよかったね、でも珍しい子たちもいたもんだ」

 

「他のやつらは1科生だと優越感に浸りきったプライドの塊みたいなやつらばっか、逆に2科生はまだ始まってもないのに負けてるヤツばっかだったな」

 

「どこも2科生制度がある学校はそういう差別意識がやっぱり根強くあるみたいだね」

 

くだんねーな、まぁ腐ろうが伸びようがそいつ次第だからな。

 

「そういうもんか、まぁ俺は好きにやるよ」

 

「君は産まれた時から過酷な人生を歩んできたからね、しっかり学生生活を謳歌しなよ」

 

「あんたに拾われてからは人並みだよ、まぁ頑張る気はないが少し楽しみではあるからな、なるようになるさ」

 

「あと、僕の弟子が二人ほど第一高校に居るから声をかけてみるといいかもね」

 

「まぁ見つけたらな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




全然進まんかったでも頑張ります!

あと、達也と迅君はまだ顔を合わせてないです!
迅君は基本的には一人で鍛練してるってことにしといてください


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3話

次の日

 

「あれ?親父飯いらねーの?」

 

「うんさっき弟子の妹さんからサンドイッチ貰ったんだよ」

 

「あーだから鼻の下伸びちゃってんのね」

 

「yes!」

 

「肯定すんなよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校でーす。

 

「俺の席はー…あれか!」

 

まだ2科生の知り合いがいない俺は教室に入って、とりあえず自分の席を探した。

 

男子生徒二人と女子生徒二人が喋ってる間に自分の席を見つけた、めっちゃ入りづらいがそこは気にしない。

 

「あんたがこの席か?」

 

ハーフっぽいガタイの良い男子が話しかけてきた。

 

「そうだ、悪いな会話してる間で」

 

「いや、むしろ入りづらかったろ?」

 

そんな事ないんだがなぁ。

 

「まぁ自分の席だからな。あまり気にはしなかったな」

 

「そうかそれならよかったわ、とりあえず自己紹介! 俺は西城レオンハルトだ。レオって呼んでくれ!席も隣だしよろしくな!」

 

レオか、呼びやすくていいな!

 

「こいつは達也だ」

 

「司波達也だ、悪いな騒がしくて」

 

なんだか頭良さそう。でもどこかシスコンっぽいな。

 

「むしろ自分から話しかけなくてすんだからよかったよ」

 

「私は千葉エリカよろしくねー!こっちの子が柴田美月」

 

元気なヤツだなぁ。

 

「柴田美月ですよろしくお願いします」

 

眼鏡女子なんて珍しいな。

 

「よろしく!あぁ、俺がまだ名乗ってなかったな、俺は九重迅だまぁ好きに呼んでくれ」

 

司波がなにやら訝しげな目でみているがあまり気にはしなかった。

 

自己紹介が終わりちょうどよく予鈴がなってこれからの指示が前のスクリーンに写し出される 。

 

少しして本鈴と同時に一人の女性が入ってきた。

 

「欠席者はいないみたいですね、それでは皆さん入学おめでとうございます!」

 

メチャクチャ知ってる人だった。

 

「初めまして私はここで総合カウンセラーをしている小野遥です!」

 

そういやカウンセラーやってるとか言ってたっけ。

 

こちらを見てニコッとしてきたのでとりあえず目線で返した。

 

小野遥と俺は顔見知りである、親父の弟子である小野遥とはなんどか手合わせしたことがあるが、度肝を抜かれた。女性のわりに大胆で多彩な攻め、そして揺れるおっぱ…ゲフンゲフン、まぁ筋は驚くほどによくなかなか楽しかった覚えがある。

 

何より彼女の隠行はなかなかのものだった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあと色々説明があり履修登録をする。

 

俺は色んな魔法を見たいのでとりあえず広く満遍なく実技が多い授業を取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてそろそろ帰りますか!」

 

俺は色んな魔法が見たかったから皆とは別行動し、終わりギリギリまで見学していた、そのため教室は既にまばらで下校してる人達も多かった。

 

「上級生になると結構本格的なんだなー」

 

なんて考えながら校門に向かってると。

 

「いい加減に諦めたらどうなんですか」

 

なんだ?

 

前を見ると見知った顔の生徒と、知らない生徒がなにやら揉めていた。

 

なんか面倒臭そうだな…でもそこを通らないと帰れないんですよね…

 

それに見知った顔の中に、1科生の一番最初に仲良くなった光井さんと北山さんがいた。

 

「こりゃさすがに知らぬ存ぜぬじゃ通せないな。恩もあるし」

 

まぁなるようになるさ。

 

「なんか穏やかじゃないな、校門の前じゃ邪魔だぞ?」

 

視線が一気に集まる。

 

「迅か!」

 

達也が答えた。

 

「うるさいウィードは黙ってろ」

 

名前の知らないモブ崎が叫ぶ。

 

「おいおい随分辛辣だな、ところでなんでこんなんなってんだ?」

 

「妹が…」

 

「あぁ察したわ…」

 

食いぎみに答えた、達也の妹の事は昼前に聞いてたので知ってた。入学式寝てた俺は実物を見るのが初めてだったが、達也の隣に立ってる困った顔をした女の子を見て察した。

 

「つまり達也の妹ちゃんと帰りたい1科生。達也と帰りたい妹ちゃんてとこか?」

 

「そんなとこだ…」

 

「本当すみません」

 

「謝る必要はないけどな、妹ちゃんももう少し気を使った方がいいかもな。容姿が優れている人は面倒事を避けるために人一倍気を使わなきゃいけないらしいから。」

 

そうこう言ってるうちに向こうは更にヒートアップ。相手は森崎という1科生らしい。

 

「同じ新入生じゃないですか、あなたたちブルームが今の時点で一体どれだけ優れてるというんですかっ?」

 

スゲーな結構大人しい顔して大胆なこと言う…

 

「どれだけ優れてるか、知りたいなら教えてやるぞ」

 

「ハッ、おもしれえ!是非とも教えてもらおうじゃねぇか!」

 

「だったら教えてやる!」

 

そう言った森崎の動きを見て気が付く。

 

何やってんのこいつ?

 

CADを人に向けようとしてない?

 

それはやってはいけないことだ、魔法師は簡単に人の命を奪うことが出来てしまう。

 

だから魔法師は簡単にその力を人に向けてはいけない。ましてや1科2科の違いはあるが同じ生徒に…

 

脳内が急速に冷えてゆく…

 

 

 

そして森崎がホルスターに手をかけた時、既にホルスターの中にはCADは()()()()

 

達也は驚愕していた。たった今話してたはずの俺が特化型CADを、森崎の背後で後頭部に向かって構えているのだから、そりゃおどろくか。

 

「カチャリ…」

 

腐っても1科生。さすが優秀者の証。

でも、まぁそうとう焦ったのだろう。ホルスターの中にあるはずのものがないことに。

そして今の音を聞いて気が付いたのだろう。自分のCADを自分に向けられているということに。

 

本来CADは魔法を発動させるためのもの。いくら拳銃の形をしていても実弾が出るわけではない。確かにそのような魔法も無いことはないが、他人のCADで魔法は発動しない。

魔法師なら誰もが知っているであろう事実。

しかしこの場の空気は少し違ったように見えた。

まるでこのモブキャラが本物の拳銃を向けられているかのようなそんな冷たく重たい雰囲気だった。

 

「お前今何しようとした?」

 

自分で思った以上に空気が底冷えしそうなほど冷たく、無機質な言葉を森崎に向けていた。

 

「CADってのは人に向けてはいけないと魔法師なら教わると思うんだが、まだ授業始まってないから知りませんでしたとか言わないよな?」

 

お前も向けてるじゃんと思った奴も中にはいたかもしれないが、あくまで俺が構えてるCADは森崎のであるため魔法は発動しない、そもそも俺CADを使えないし。

 

それ以前にそんな事言える空気じゃなかった。

 

「学外での人に向けた魔法発動は重罪だ。お前は何をしようとしたのか理解してるか?ましてや同じ学校の生徒だろ。」

 

ようやく周りの生徒たちも冷静さを取り戻し始めたのか、1科生の中には襲いかかろうとするもの、魔法を発動しようとするものがいた。

 

二人の名前も知らない1科生が詰め寄る。

 

「甘ぇよ!」

 

俺がそう言った次の瞬間には特化型CADを2()()持って襲いかかろうとした二人の顎に突き付ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はなにが起きているのか理解が追い付いていなかった。

現実は森崎にCADを構えて立ってる迅がいた。

迅が何か喋っていたがそれを聞き取ることがちゃんとできないくらいにはテンパっていた。

 

1科生の何人かが我に返り、襲いかかろうとしていた。そこに追い討ちをかけるように一言きこえる

 

「借りるぞ達也…」

 

その言葉と同時に2丁の拳銃を二人の顎に突き付けている迅がいた。よく見ると一丁は自分のCADシルバーホーンであった。

 

俺が全く捉えられずしかも得物を抜かれてるとは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんかようか?二人とも」

 

襲いかかろうとした二人は何が起きたのかわからないといった表情だった

 

「同じ学校の生徒なんだから、仲良くしようぜ?」

 

「ふざけるな!!」

 

俺の言葉に誰かがキレる。

 

他の何人かが攻撃しようとしていたが光井さんがそれを見てとっさに魔法を発動させようとした。

 

攻撃しようとしたものを見てから発動させようとしたので、俺はなんかしらの目眩ましか無力化させてくれるんだろうと思ってたのだが、光井さんの背後から魔法の飛来。それも、随分自信があるのか狙ったのは起動式だった。

 

いくら起動式を狙ったとしても、人に向けて魔法使っちゃダメでしょ。皆さんこうもポンポン使うけどさ…

 

 

 

バチッバチチチチ!!

 

俺は、稲妻が走ったかのような音ととも光井さんと飛来した魔法の間に割り込み、飛来した魔法を片手でうけ消滅させた。

 

 

 

 

 

 

「止めなさい!自衛目的以外での魔法による対人攻撃は犯罪よ」

 

「その言葉そっくりそのままあんたに返って来るけど?」

 

「風紀委員の渡辺麻利だ、1ーAと1ーEの生徒だな事情を聞く着いてこい!」

 

そして()()から声をかけた

 

「いやいやだから話をきけよ…」

 

「「!?」」

 

驚かす半分牽制半分だったんだけど飛び上がりそうだったな。

 

「自衛目的以外での魔法使用はいけないんだろ?それってあんたのことじゃないの?ここにいる誰も魔法は使用してないけど?」

 

「そこの女子生徒が発動させようとしただろ!それ以外の生徒もだ」

 

「でも発動してないよね?」

 

たしかに魔法を発動させようとしてはいたが、全て俺が先手を取っていたし、発動する前に発動できない状況になっていた。最後魔法を消滅させるのに魔法を使ったが自衛目的と言えるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すみません悪ふざけが過ぎました」

 

達也が唐突に言い出す。

 

「悪ふざけ?悪ふざけには見えないのだけど?」

 

そりゃそうだ。ガチでしたもん。

 

「森崎一門のクイックドロウは有名ですから後学のために見せてもらうだけのつもりだったんですが、あまりにも真に迫っていたのでつい手がでてしまったんですよ」

 

いや、さすがに無理やり感が否めないけど、そういうことなら乗っかっとこう。

 

 

「この男はそんな感じではないみたいだか?」

 

いきなりピンチ到来…

 

「ああそういうことだったのか」

 

「どういうことだ?」

 

渡辺先輩が問う。

 

「いや俺はたまたま通りがかっただけだったんだよ、そしたらCADを抜こうとしてたから先に取り上げたんだ。魔法を人に向けて発動させるようにみえたからさ。」

 

「まさか後学のための実演とは思ってなかったんだよ。なるほど、そうなると大分引っ掻き回したみたいだな…。そんでもっていきなり知らないやつが邪魔をして驚いたからこの子は魔法を発動させようとしたんじゃないの?」

 

これが俺の全力です。あとはなるようにしかならねーな。

 

「そうだと思います」

 

俺の問いに達也が答える。

 

「それに魔法も目眩まし程度の閃光魔法でした」

 

え?起動式読めんの?

 

「つまりこの場を勘違いして引っ掻き回した俺に責任があるみたいだな…ご迷惑をかけてすみませんでした」

 

「しかしなぁ…」

 

「まぁまぁ麻利もういいじゃない達也君本当にただの勘違いだったのよね?」

 

「はい」

 

「まぁ生徒会長が言うなら仕方がない今回は不問にしよう」

 

いやはや、ラッキーだったな。

 

ってかこの人生徒会長だったんだ。

 

だから自信満々に起動式なんかねらったのか。

 

まぁ、あんま誉められたやりかたじゃないよなぁ。

 

「君らの名前は?」

 

「1年E組司波達也です」

 

「同じく九重迅です」

 

「覚えておこう」

 

 

いや、結構です…

 

 

 

 

 

 




とりあえずこの辺でぶったぎります

文字数増えたのにやっぱりあんま進んでないなごめんなさい

修正しました報告あざす!


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4話

妄想を加速させた!


「じゃあ帰ろうぜ」

 

「そうだな」

 

俺の言葉に達也が答える。

 

「光井ほのかです、さっきは失礼なことを言って申し訳ありませんでした」

 

と光井さんが達也と妹ちゃんに謝っていた。

 

「森崎君はああ言ってましたけど、大事に至らなかったのはお兄さんと迅さんのおかげです」

 

「いや別に問題ないが、お兄さんはやめてくれこれでも同い年だ」

 

「では何とお呼びすれば…」

 

「達也でいいから…」

 

「…分かりました…それで…あの…」

 

「んじゃあ光井さんも北山さんも一緒に帰ろうぜー」

 

俺が絶妙なタイミングで割り込んだ。

 

「レオも千葉さんも柴田さんも帰ろうぜー」

 

「そうだな皆で帰ろうか!」

 

レオがのって来た

 

「あんたは別でもいいわよ」

 

千葉さんが笑いながらレオを罵倒した

 

「なんでだよ!!」

 

 

 

 

 

「そういや迅はそっちのお二人さんとは知り合いだったのか?」

 

レオが聞いてきた

 

「あぁ入学式の日にな」

 

「そうなんですよ雫と一緒に空いてる席を探してたら1科生の真ん中で爆睡してたんですよ」

 

「それで迅の周りだけ席が空いてて座れたんだ」

 

光井さんと北山さんが呆れながら答えた。

 

「まぁ結局入学式の間ずーと寝てたんだわ。んで起きたら終わってて皆移動し始めてたんだけど、俺はなにがなんだか分からずとりあえず隣に座ってた二人に話しかけて、色々丁寧に教えてもらったわけだ」

 

「そっかそれで知り合いだったんだ」

 

エリカが納得していた。

 

 

 

なんだかんだで皆で帰ることになったんだが、達也が両手に華を体現していた。

 

「じゃあ深雪さんのCADを調整してるのは達也さんなんですか?」

 

「えぇ。お兄様にお任せするのが一番安心ですから」

 

達也を挟んでほのかと深雪が喋ってる。ってかこの兄妹仲良すぎだろ…

 

「スゲーな達也はCADいじれるのか!」

 

俺は驚きながら聞いた。

 

「まぁ深雪は処理能力が高いからな、少し手を加えるだけで手が掛からない」

 

「でもそれって、デバイスのOSを理解してないと出来ないですよね?」

 

達也の答えに美月が参戦してきた。

 

「あとはシステムにアクセスできるスキルもな」

 

レオが言う。

 

「じゃあ私のホウキも見てよ」

 

「無理!こんな特殊なCADは触れない」

 

「へーこれもCADなのかーいろんなのがあるんだなぁ!」

 

エリカと達也のやり取りをまたまた俺が割ってはいった。

 

「俺はCAD使えないからあんまりよくわかんねーや」

 

一同「「は?」」

 

「え?」

 

あれ?ああそうか説明してないもんね、そりゃみんなアホヅラするわ。

 

「現代魔法を使うのにCADは必要不可欠ですよね?」

 

「無しでも魔法は発動するけど時間が掛かりすぎる」

 

美月の疑問に達也が答える。

 

「あぁ俺体質なのかCADにサイオン通すとCAD壊れるんだよね」

 

一同「「は?」」

 

「一体どういうことですか?」

 

深雪が質問してきた

 

「なんか普通はサイオンて非物質粒子ってもので性質とかは介在しないらしいんだが、俺のサイオンって電気の性質を持ってるんだよね」

 

「つまり、俺は普通の魔法はほとんど使えないんだよね」

 

一同「「は?」」

 

「ではどうやってこの学校に入ったんですか?」

 

今度はほのかの質問。

 

「大きい機械だったら本当に少量なら流しても大丈夫らしくてな、あとは筆記試験をめっちゃ頑張ったんだよ」

 

「まぁ魔法師で言うと欠陥品だな」

 

俺のその言葉に達也はとても難しい顔をしていた。

 

「お兄様…」

 

深雪が達也を心配そうにみていた。

 

「どうした達也?」

 

「いや、大丈夫だ気にしないでくれ」

 

俺の問に達也はさっきまでの思い詰めた表情など全く消し普通に返してきた。

 

この後みんな駅で別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司波家

 

「どうしましたお兄様?」

 

「いや、何でもないよ!」

 

「帰りの迅さんの言葉ですか?」

 

「はぁ、深雪には敵わないな」

 

「お兄様は欠陥品なんかじゃありません!!」

 

「落ち着け深雪」

 

「すみません…でも…」

 

「深雪もう寝なさい明日も学校だ」

 

「分かりました…おやすみなさい」

 

 

 

九重迅入試結果

 

実技 評価判定 SS~E

 

項目 魔法式の規模 判定 E

強度 判定 E

 

発動速度 判定 SS (歴代最速)

 

筆記試験 7教科合計674点

 

 

達也は秘密裏に入手した迅の入試結果を見ていた

 

「ハァ…どう考えても普通じゃないな…しかも入試結果は出てくるのに迅の個人情報は何一つ出てこない……お前は何者なんだ?」

 

「それにあの動き…師匠と似た動き…そして九重という名前…」

 

こうして司波家の夜は更けてゆく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九重家

 

「なぁ親父」

 

「なんだい迅君」

 

「起動式を見ただけで読み取るなんてできんのか?」

 

達也君のことかな?

 

「特殊な目とか解析が得意な人は出きるかもね」

 

「そうか、うらやましいなー」

 

「どうしてだい?」

 

「見たことのない魔法であっても起動式が読めればある程度理解できるじゃん!超便利じゃね?」

 

「まぁそうだね」

 

「あ!そう言えば、護衛の依頼を受けたんだけどその日ちょうど誰も空いてないから迅君行ってくれないかい?」

 

「良いけど親父は?」

 

「僕も用事があるんだよ」

 

「そうか、んで内容は?」

 

「七草家の護衛の任務だね」

 

七草?ナンバーズだったよな?なんか他で聞いたような…

 

「たしか七草家ってナンバーズだったよな?護衛に困るような家だっけ?」

 

「その日は当主とその双子の娘さんが関西の方で会合があるらしいんだけど、ちょうど十師族の会議と被ったらしくてね護衛を2つに割かなくちゃいけなくなったらしいんだ」

 

「十師族の会議の方は誰が出るんだ?」

 

「七草家の長女だよ」

 

「んじゃあ俺は長女のほうか」

 

「察しがいいね」

 

「当主のほうはうちが出るなら直属を多く引き連れていくでしょ?」

 

「さすが迅君!んで詳しい内容なんだけど、後日会って打ち合わせをしてきてほしいんだ」

 

「いつだ?」

 

「明後日の夕方6時に十師族御用達のホテルの一室だそうだ」

 

「あぁあそこね、わかった」

 

「その日になったらまた言うよ!」

 

「頼むわ!じゃあ俺はそろそろ寝るわ」

 

「おやすみ~」

 

 

 




迅君の体質にたいしてはあまり突っ込まないでください泣

カカシ先生の雷斬りみたいにバチバチしてたら格好いいかなと思ったんです

あと九重家はお偉いさんに護衛の派遣をしているという後付け設定が登場。

あと近いうちに迅君と九重家の設定みたいなの描きます


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5話

UAがあとちょっとで5000
お気に入りが73件
感想もいただいて作者は正直緊張してますww
ただ、精一杯書きますのでこれからも作者の妄想にお付き合い下さい!


次の日

 

 

「おはよー」

 

「おお迅おはよー」

 

「お早う御座います」

 

「おっはー」

 

レオ、美月、エリカが順に挨拶する。

 

「あれ?達也は?」

 

「ああなんか朝校門前で生徒会長につかまってたな」

 

レオが答える。

 

「ふーん」

 

「おはよう」

 

なんて噂をしていたら本人到着。

 

「おお達也、なんか朝から生徒会長に捕まってたらしいな」

 

「ああ、なんか生徒会室でお昼を食べないかと深雪と一緒に誘われてな」

 

「へーまぁ妹ちゃんの生徒会勧誘とかそんなとこか」

 

「だと思う」

 

「まぁ新入生総代だもんなー」

 

「でも迅寝てたんだよな?」

 

ニヤニヤすんなよ。

 

「レオうっさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼終わり達也が神妙な面持ちでやって来た。

 

「迅、放課後予定あるか?」

 

達也が放課後の予定を聞いてくるなんて気になるな。

 

「いんや特にねーな」

 

「ちょっと付き合ってくれないか?」

 

「あぁ別にいいぞ!」

 

「詳しいことは放課後説明する」

 

「了解」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後…俺はなぜこんなとこにいるのだろう…とりあえずついてきてくれと言われついてきたらやべーとこだった…

 

「達也どういうことだ?」

 

「すまん…」

 

「まぁまぁ座って九重君!」

 

会長さんが言う。

 

こんなの座ったら負けでしょ!

 

「嫌です。帰ります!」

 

「予定はないんだろ?」

 

ニヤッとしながら渡辺先輩が言ってきた。

 

クッソこんなことなら断っとくべきだった。

 

「チッ、なんですか?昨日問題を起こしたからやっぱり処罰とかそんなんすか?」

 

勘弁してくれ。

 

「違います」

 

市原先輩が答えた。

 

「じゃあなんすか?」

 

「風紀委員に入ってほしいのよ」

 

「は?どういうことですか?」

 

「昨日の君の身のこなしは見事だったからな。しかも人に向けて魔法を発動させることをあまり良く思ってないように見えてな、風紀委員にピッタリじゃないかと思って」

 

「はぁ、ってかそんな簡単に決めちゃって良いんですか?」

 

「風紀委員の推薦枠が埋まってなくてなそれで…」

 

「俺2科なんすけど?」

 

食いぎみに答えた。

 

「そこは問題ない!そこにいる司波君も風紀委員に入るからな」

 

「は!?達也もしかして道連れにしやがったな?」

 

「すまん…妹がらみで断れなくてな。せめて2科の知ってるヤツがいたらと思ってな」

 

「はぁ…まぁ放課後遅くならないなら別にいいですよ」

 

「おや?意外とすんなり折れるんだな」

 

渡辺先輩が意外そうに言う。

「別にそこまで露骨に嫌な訳ではないですから。それに何かしらやってみたいと思ってましたし。でも部活は放課後も活動があったりしますけど、風紀委員ならそんなこともあまり無さそうですしね」

 

「放課後何かあるの?」

 

真由美が小首を傾げ問う。表情と仕草があざとかった。

 

「家業の手伝いがあるんですよ」

 

「ほう!偉いじゃないか、家の手伝いならしょうがないな、言ってくれれば放課後の見回りは免除しよう!」

 

「なら大丈夫っす!」

 

 

コンコン

 

生徒会室の扉がノックされ外から男子生徒が入ってきた。

 

「すみません遅くなりました」

 

「はんぞー君遅い!」

 

「すみません、司波深雪さん、副会長の服部刑部です、生徒会へようこそ!」

 

ちらっとこちらを一瞥し深雪にだけ挨拶をした。

 

感じ悪いな。

 

「じゃあ、あたしらは移動しようか!」

 

渡辺先輩が何処かへ移動すると言う、まぁ風紀委員会の本部かなんかだろう

 

「どちらへ?」

 

達也が聞く。

 

「風紀委員本部だよこの下だ、と言ってもなかで繋がってるんだがな」

 

「なんか変わった造りっすね」

 

「あたしもそう思うよ!」

 

「渡辺先輩待ってください!」

 

服部先輩が呼び止めた。

 

「なんだい服部刑部少丞範蔵副会長」

 

なんだそのくそ長い名前…なのか?

 

「フルネームで呼ばないで下さい!」

 

名前でした。

 

「まぁまぁ、それで何はんぞー君」

 

「話したいのは風紀委員の補充の件です」

 

あぁ、なるほどねこの人もそういうタイプの人か…

 

「なんだ?」

 

「その一年生二人を風紀委員に任命するのは反対です」

 

「おかしなことを言う。司波達也君を風紀委員に任命したのは生徒会長だ、それに九重迅君を任命したのは他でもない私だ」

 

「嫌々ならやらない方がいいのでは?」

 

あれ?そんな嫌そうにみえた?

 

「拒否権を行使するのは君じゃなくて、彼らだ」

 

厳密に言うと拒否権なかったけどね。

 

「過去にウィードを風紀委員に任命した例はありません」

 

「それは、禁止用語だぞ、副会長おまえは風紀委員長の私に摘発されたいのか?」

 

「取り繕ったて仕方ないでしょ…それとも全校生徒の3分の1摘発するつもりですか?」

 

禁止用語じゃなくなってますね…

 

「私は副会長として二人の風紀委員任命には反対です!魔法力の乏しい2科生は務まりません、この誤った登用がいつか会長の対面を傷つけるでしょう」

 

まぁこの人の言ってることは間違ってはないんだよな。

 

「待ってください」

 

お?来たなブラコン。

 

「たしかに兄は魔法実技の成績が芳しくありませんが、それは評価方法に兄の力が適合してないだけのことです。実戦ならば兄は誰にも負けません」

 

「司波さん、魔法師は身内贔屓に目を曇らせないようにしないと…」

 

ヤバイこれ長くなるヤツ。

 

「あんさー、それまだ長くなる?」

 

これ以上は達也の胃が持たなそうなので止めなきゃマズイな。

 

「もうめんどくさいから副会長と達也で模擬戦でもなんでもやれば良いじゃん。正直、副会長の言ってることは分かるんだけど聞いててあまり気分の良いもんじゃないしさ、達也の力が評価方法に合ってないってのも気になるし」

 

「おい!お前の意見など…」

 

「そもそも誰も副会長の意見なんか聞いてないんだよね」

 

めっちゃ食いぎみに言い放つ。

 

「なんだと?!」

 

「ってことで生徒会長さんとりあえず模擬戦やろ!」

 

まぁ戦うの達也だしな、ニヤニヤしながら高みの見物してやろフフフ

 

「じゃなきゃ何時までたっても帰れん」

 

「そうね、では生徒会長の権限で服部副会長と司波達也君の模擬戦を認めます。15分後、場所は第3演習室、模擬戦は非公開、双方CADの使用を認めます!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「迅やってくれたな」

 

達也が恨めしそうに言う

 

「まぁ仕返しだと思ってくれ。それにあのままじゃ妹ちゃんも余計なこと言いそうだったしな。あまり聞かれたくないこともあるんだろ?」

 

(コイツ…)

 

「まぁちゃちゃっと終わらしてくれよ!」

 

 




長くなりそうだったので一回切ります

入学編を書き終わったら迅と八雲の馴れ初めを描きます!



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6話

皆さん感想、お気に入り、ありがとうございます!

特に感想はとてもためになります!

これからもよろしくお願いいたします!


「お待たせしました」

 

達也がアタッシュケースからCADを出し演習室の中央へ歩いてくる。

 

「いつも複数のストレージを持ち歩いてるのか?」

 

服部先輩が興味無さげに聞く。

 

「ええ、汎用型を使うには処理能力が足りないので」

 

「ふん」

 

達也が自虐的に言うと、服部先輩が冷笑をかえす。

 

「ちなみに九重君はどっちが勝つと思う?」

 

会長が楽しそうに聞いてくる。

 

「まぁどっちが強いとかは分かんないっすけど、服部先輩が負けますね」

 

「どうしてそう思うんですか?」

 

妹ちゃんが不思議そうに聞く。

 

「まぁ簡単に言っちゃえば油断しすぎ。あと過信しすぎ。」

 

「服部は入学以来負け無しだぞ?」

 

渡辺先輩も正直服部先輩が勝つと思っているみたいだ。

 

「それはほとんどが1科生との試合じゃないですか?」

 

「そうだな、そもそも2科生と試合なんて殆ど無いからな」

 

「まぁそうでしょうね、見てればわかりますよ!」

 

 

 

「ではルールを説明する。合図があるまでCADの起動は無し。直接攻撃間接攻撃問わず死に至らしめる術式の禁止。回復不能に至らしめる術式の禁止。武器使用は禁止。素手はあり。一方が負けを認めるか、審判が続行不能と判断した場合は試合終了。ルールを破ったら負け。その時は私が入り力ずくで止めるから覚悟しておけ!以上」

 

 

 

 

「始め!」

 

試合は一瞬で決した…

 

バタン…

 

ほらね。ってか今体術だったよな?まさか親父の言ってた二人目って…

 

 

「し…勝者、司波達也」

 

 

 

「今の動きは、あらかじめ自己加速術式を起動していたのか?」

 

渡辺先輩が焦っている。

 

「いえ、その可能性がないのは渡辺先輩が一番良く分かってると思いますが、あれは正真正銘身体的な動きですよ」

 

「それは私も証言します!あれは兄の体術です。兄は忍術使い九重八雲先生の指導を受けているのです」

 

やっぱり…

 

「やっぱりそうか、親父の言ってた第一高校に弟子がいるって達也のことか」

 

「「え??」」

 

「え?」

 

なんか変なこと言ったっけ?

 

「九重君のお父さんってあの忍術使い九重八雲さんなの!?」

 

会長が驚いている。

 

「そうっすけど言ってなかったでしたっけ?」

 

「あぁ言ってなかったな」

 

達也が言う。

 

「まぁいいよそんな事は」

 

((そんなことじゃねーよ!))

 

 

 

 

「服部先輩の敗因は試合を始める前から勝ったシュミレーションをしていたからですね。要は心の持ちようですよ」

 

「そりゃ誰だってシュミレーションくらいするだろ」

 

「それは()()()()()シュミレーションですよね?服部先輩は最初の前提がもう勝っちゃってたんですよ。その上でどう倒すかをシュミレーションしたんで、予想外のことが起きてあっさり足元を掬われたんですよ」

 

「なるほど、ところで服部を倒したのはなんだったんだ?」

 

渡辺先輩がたずねる、それは俺も気になるな。

 

「あれも忍術なの?」

 

「あれは魔法ですよ。服部先輩は酔ったんです」

 

「波の合成ですか」

 

市原先輩が答える。

 

「でもそのためには座標、強度、持続時間に加えて振動数まで変数化するとなると……まさかそれを実行したんですか!?」

 

スゲーなそんな魔法もあるのか…たしかに理論上は可能だろうけど。

 

「多変数化は学校での評価にはないですからね…」

 

「なるほど目が曇ってたのは俺の方だったのか。司波さん身内贔屓などと失礼なことを言って申し訳ない」

 

いつの間にか起き上がった服部先輩がフラフラこちらに近づきながら謝る。

 

「私の方こそ生意気なことを…申し訳ございません」

 

「はんぞー君大丈夫?」

 

「ちょっと朦朧としますがまぁ大丈夫です」

 

「それに九重の言ってたこともあながち間違ってない。俺はどこかで勝ちを確信していた…」

 

その心の持ちようが戦いだと致命的な隙を産んだりするんだよね。

 

「まぁとりあえずこれで一件落着、そろそろお開きに…」

 

「待て!迅、俺と模擬戦しないか?」

 

(ここで迅の力を測っておきたい)

 

「は?」

 

今日に限ってこのシスコンめっちゃ好戦的じゃん…

 

「それは良い案ね、どっちにしろ九重君にも模擬戦してもらうつもりだったから」

 

「なんでだよ」

 

「九重君も2科だから?」

 

「差別かよ…」

 

あんまり戦うの好きじゃないんだけど…逃げられそうもないからなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「九重君準備はできた?」

 

「まぁ、あと生徒会長さん2つお願いが!」

 

「なにかしら?」

 

「まず試合時間を5分に設定してください」

 

「あとここで見たもの聴いたものは他言無用でお願いします」

 

「分かったわ約束する!」

 

「んじゃ達也お手柔らかにな」

 

「こちらこそ」

 

 

 

 

「始め」

 

渡辺先輩の声で試合が始まる。

 

「達也がどれぐらい体術を修めてるかみてやるよ」

 

「それならこちらから行かして貰う!」

 

俺の目の前にまるでワープしたかのように一瞬で達也が現れそのまま右の正拳突き

 

誰もが直撃したように見えただろう…

 

達也の拳は空を斬り、伸びきった拳の先に迅が立っていた

 

「へー縮地か!なかなかやるねぇ」

 

と言いながら俺は印を結び達也の目を見る。

 

「!?」

 

達也は面食らったような顔をしたがすぐに追撃。

 

あれ?今一応幻術で俺が5人位に見えてるさずだったんだけど?

 

「もしかして幻術見破った?凄いな流石良い目をもってる」

 

(コイツ俺の目のことまで…)

 

その追撃をさらっとかわし、迅と達也の距離が空く。

 

達也がCADを構えそのまま引き金を引いた

 

終わったと誰もが思ったみたいだが、俺は大きく腕をひらいて…

 

パァァァン…

 

猫騙しをした

 

「何?今の?」

 

「もしかして波の合成を上から叩いてつぶした!?」

 

市原先輩流石ですね

 

「たしかに少しでも干渉出来れば効果は著しく落ちるとは思うけど、目に見えるものじゃないのよ?」

 

会長が信じられないような面持ちだった。

 

その後2、3度俺と達也は打ち合ったが、結局決着はつかず5分がたった

 

「それまで!引き分けだな」

 

「ふー何時もの鍛練より気合いが入ったな」

 

「ちょっと九重君、聞きたいことがたくさんあるんだけど?」

 

「ハイハイ解説ですね!ではまずなにが聞きたいですか?」

 

「そうね…一番最初達也くんが九重君に迫った動きは何?瞬間移動に見えたけど」

 

「あれは縮地って言って相手の意識の隙をついて接近する身体捌きですよ」

 

「じゃあ九重が避けた動きも?」

 

「そうですねその応用です!」

 

「そのあと幻術がどうのって言ってたけど…」

 

「あぁ、あれは本当は印を結んで視覚に訴えた幻術を掛けて、達也には俺が5人に見えてた筈なんですけどね。即効で破られました」

 

たははと笑いながら言う。

 

「そんな事が…その幻術を掛けられる九重君も凄いですけど即効で解く司波君も凄いですね」

 

「まぁ俺は簡単な、ちょっと撹乱するくらいのしか出来ません、だから解き方を知ってれば簡単に解かれてしまうこともありますけど、それにしてはかなり冷静でしたね」

 

多分達也の目が特殊なんだろうけど余計なことは言わない方がいいな…

 

「あと最後の魔法を九重が破ったのは?」

 

「あぁ、あれはたまたまです!」

 

「「は?」」

 

「あれは波を上からぶっ叩けば消せんじゃね?って思って、大体の位置は三半規管の近く、まぁ顔の近くかなと思って!あとは勘です!」

 

「勘で防げるって…」

 

生徒会長が呆れる

 

「はい!これで一応俺等の実力は示せたと思いますがまだ風紀委員入りに反対しますか副会長?」

 

「いや、文句はない、むしろ失礼な物言い許してもらいたい…」

 

服部副会長が申し訳無さそうに言う

 

「気にしてないんで大丈夫っす」

 

「俺も気にしてないです!」

 

「そっかそれはよかった、これからは偏見はしないようもっと自分を高めよう」

 

「がんばれはんぞー君」

 

 

 

そのあと二人は風紀委員の説明を受けて帰宅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司波家

 

「お兄様、コーヒーが入りました」

 

「ありがとう深雪!」

 

「お兄様…」

 

「どうした?」

 

「今日の九重さんとの模擬戦お兄様はどう感じましたか?」

 

「そうだな正直体術では全く敵わないなだろうな」

 

(かなり手を抜かれていたからな…)

 

「そうですか…お兄様の力がもっと人前で出せれば…」

 

「はぁ…深雪、お前が俺の代わりに悔しいと思ってくれればそれだけで俺は十分だ、それに俺の能力は機密事項だしょうがない」

 

「お兄様」

 

「さぁもう寝よう!明日は朝早く九重寺に鍛練に行く!一緒に来てくれるか?」

 

「もちろんですお兄様!!」

 

深雪さんはチョロインでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九重家

 

「なぁ親父!この間言ってた二人って遥ちゃんと達也だろ?」

 

「そうだよ達也君方は聞いたのかい?」

 

「いんや、色々あって模擬戦したんだわ」

 

「それは興味深いね!どっちが勝ったんだい?」

 

「引き分けだよ!達也も全力って訳じゃなかったしな。ただ体術に関しては流石に俺に分があったな」

 

「そうかい、使ったのは体術だけかい?」

 

「いや、幻術も使ったけど即効で解かれた!ありゃなんか特別な目してんな!死角からの攻撃もキッチリ防ぎやがった」

 

(流石迅君鋭いね)

 

「迅君は()()()()()はつかったのかい?」

 

「説明が怠かったから使ってない!」

 

「くれぐれも()()()()使っちゃだめだよ!」

 

「分かってるよ!ケジメだからな!誰かを守るときにしか使わん」

 

「そうかい!あ!あとあしたの護衛の、打ち合わせだけど6時にホテルの503号室、もう迅君の資料は向こうの当主に渡ってるから合言葉とかはとくにないよ!」

 

「了解!」

 

「じゃあそろそろ寝るわ!」

 

「うん!おやすみ!」

 

 

 

 

 

 

 

 



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7話

気付いたらUA10000超え、あとちょっとでお気に入り200ちょっとびっくりしました!

感想も、シロウトの私にとてもためになる感想ばかりでとても感謝しております!

評価も3件ほど入っていました!

今の自分のレベルを確認できる指標となるので、気が向いたらしてやってください!では



 

次の日お昼

 

なぜか俺はまた生徒会室にいた…

 

「今日から1週間風紀委員はフル回転だ!忙しいぞ~」

 

とややテンション高めに渡辺先輩が言い出した。

 

「まぁ忙しくなるのはわかったんですけど、勧誘が激しすぎて授業に支障をきたすレベルって最早勧誘っていえるんですか?」

 

各部活で戦争でもすんの?ハハハ笑えねぇ…

 

「学校側はとめないんですか?」

 

達也も少しげんなりしていた。

 

「学校側としても、九校戦の成績を上げてもらいたいから。新入生の入部率を上げるためか、少しのルール破りは黙認状態なの。」

 

生徒会長が答える。

 

「無論、表向きはルールがあるし、違反したクラブには部員連帯責任の罰則もあるが、陰では殴り合いや魔法の打ち合いになることも、残念ながら珍しくない」

 

渡辺先輩が真剣な面持ちで言う。

 

「殆ど新入生を取り合った戦争ですね…」

 

ってか野面で魔法ぶっぱなすとか一歩間違えたら犯罪者だからね?なに考えてんのかな。

 

「CADの使用は禁止されているのでは?」

 

達也が質問する

 

「各部活の紹介やデモンストレーションのためにこの一週間は解禁なのよ」

 

会長が言う。

 

この学校物騒すぎるだろ…

 

「まぁ今年は人員の補充が間に合ったからな!」

 

「良かったわね麻利!」

 

いやよくねぇから…一応俺ら2科生だから…

 

「標的は成績優秀の1科生でしょ俺らはあんま関係ないでしょ?」

 

2科生は黙って見守ってますよ!

 

「即戦力として期待してるぞ!!」

 

笑顔すぎでしょ…

 

「はぁわかりました放課後は巡回ですね?」

 

「あ!放課後は俺用事…「時間ギリギリまで頑張ってくれ!」…イエッサー…」

 

まぁ間に合えばいいしとりあえず部活勧誘がどの程度なのか見とかないとな。

 

「会長…私達も取り締まりに加わるのですか?」

 

妹ちゃんの言う私達とは生徒会役員の事かな?

 

「巡回の応援はあーちゃんにいってもらいます!私とはんぞー君は、何かあった時のために部活連本部に行かなきゃならないので、深雪さんはリンちゃんとお留守番です」

 

「…分かりました」

 

なんでちょっとガッカリしてんの?そんなに周り氷漬けにしたいの?

 

「ってかさ、あーちゃんてあのちっちゃいマスコットみたいな人ですよね?」

 

俺はふと思った、あまり大丈夫そうには見えないのだが…

 

達也も同じ事を思ったのか少し気にしてる感じだった

 

「九重君、人は見かけによらないのよ?」

 

そうだけど…どっかの蛞蝓姫みたいに超怪力とかそんなかんじなのか?

 

「そうだな、気が弱そうだがあいつの魔法、梓弓は大勢が騒ぎだして収拾が付かないというシチュエーションでは絶大な効果を発揮するからな」

 

なにそれ?精神干渉系か何かか?

 

「梓弓…?正式な固有名称じゃありませんよね?系統外魔法ですか?」

 

と達也が聞いた。ってかもしかしてデータベースそのまま丸暗記とかしてんの?

 

「達也君が言うように梓弓は情動干渉系の系統外魔法よ。一定のエリアにいる人間をある種のトランス状態に誘導する効果があるのよ」

 

と会長が言う。

 

「意識を奪ったり乗っ取ったりするわけではないから無抵抗状態にすることはできないが、個人ではなくエリアに対して働きかける魔法だから集団を沈静化させるにはもってこいの魔法だな」

 

そんな魔法もあんのか~と呑気な事を考えていたが、もし俺がその魔法にもっと早く出会っていたら俺はあんな凄惨な光景を繰り広げずに済んだのではと、そんなどうしようもないことを少し考えてしまった。

 

「うん?九重君どうしたの?」

 

「え…?ああいやスゲー魔法だなと思って!」

 

少し下らないことを考えすぎたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後…

 

 

「さて、風紀委員会に行きますか…」

 

プルルル…電話がなった、相手は親父か。

 

「もしもし」

 

「やぁ迅くん!」

 

「どうした?親父」

 

「いや朝伝え忘れた事があってね」

 

「なんだ?」

 

「迅くんブランシュって知ってるかい?」

 

「ああ、確か反魔法国際政治団体だっけ?なんかテロっぽいこともしてるらしいけど、それがどうした?」

 

「その下部組織のエガリテっていう組織の構成員が最近第一高校の周辺をうろうろしてるらしいんだ」

 

「マジか…すぐ動きそうなのか?」

 

「いや、今のところは目だった動きはないんだけど、少し気にしといて欲しかったんだよ」

 

「わかった、少し調べておくよ!」

 

「僕はブランシュの方を探っておくから」

 

「了解」

 

「あと、今日の打ち合わせよろしくね!」

 

「はいよー」

 

ブチプープー

 

「なんか俺めっちゃ忙しくね?」

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで風紀委員会本部。

 

「なんでお前らがここにいるんだ!!」

 

めっちゃ耳キーンなったわ…

 

「いくらなんでもそれは非常識だろ」

 

達也も呆れている。

 

「なにぃ!!」

 

「うるさいぞ新入り!」

 

いや、委員長さんや、俺めっちゃ静か…

 

「ここは風紀委員会の業務会議だ!風紀委員以外の者はいないのが道理、その程度の事は弁えたまえ!」

 

おおぉーカッコいい!

 

「申し訳ありません」

 

森崎かっこわる。

 

「まぁいい、全員そろったな。そのまま聞いてくれ。今年もあのバカ騒ぎの一週間がやってきた!風紀委員会最初の山場だ、皆気を引き締めてくれ!くれぐれも風紀委員が率先して問題をおこすなよ!」

 

当たり前だろ…

 

「幸い今年は卒業生分の補充が間に合った、紹介する」

 

「右から、1-A森崎駿、1-E司波達也、1-E九重迅だ今日からパトロールに加わる!」

 

「使えるんですか?」

 

まぁそうなっちゃいますよね…

 

「ああ、司波と九重はこの目で見てるし、森崎のデバイス操作もなかなかのものだ」

 

「それとも不安ならお前がみるか?」

 

おいおい随分荒っぽいな

 

「いいえやめときます」

 

「よろしい、では各自行動に移ってくれ!新入りはこっちにこい!」

 

皆一斉に立ち上がり散っていった

 

「まずはこれを渡す、スイッチは問題行動を発見したら入れろ。撮影を意識しなくて良いぞ基本は風紀委員の証言が証拠になる。」

 

念のためってことね

 

「あとはCADだが、使う際は特に許可はいらない。」

 

「質問よろしいですか?」

 

「なんだ?」

 

「CADは委員会の備品を使って良いですか?」

 

ん?達也は特化型もってたよな

 

「構わないが、理由は?あれは旧式だぞ?」

 

「いくら旧式といってもあれはエキスパート仕様の高級品ですよ…?」

 

達也が呆れながら答える

 

「そうなのか?そんな物を我々はガラクタ扱いしてたのか…」

 

いやいやそもそもCAD自体がわりと高級品じゃね?俺は使えんからよく分からんが

 

「中条先輩ならあのシリーズのことも良く知っていそうですが」

 

確かに

 

「ああ、中条は怖がって此方には来ないんだ」

 

「ふふふ」

 

やべつい笑ってしまった

 

「笑ってやるな…まぁそういうことなら構わない、どうせ埃かぶっていたものだ。」

 

「ならこの2機借ります」

 

2機?CADって2機同時にはつかえなかったよな?達也は本田選手にでもなるのか?

 

「2機?…君は本当に面白いな」

 

「俺も質問いいっすか?」

 

「なんだ?」

 

「俺は普通のCAD使えないので、ケガさせないように刃潰しした自前の得物使ってもいいですか?」

 

「なんだお前剣客だったのか?」

 

「まぁ小太刀ですけど」

ってか何でこの人嬉しそうに聞いてきたの?

 

「ほぅ今度手合わせ願おうか」

 

「まぁ機会があれば…あと4時半頃に俺は用事のため抜けるので連絡します。」

 

嫌ですとは言えないよな…

 

「わかった!」

 

「では各自解散!」

 

 

 

 




ちょっと長くなりそうなので強引に切ります

全然進まなかった…

あと各話修正してますよろしくお願いします


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8話

「うわぁ…」

 

俺は今第一高校の部活勧誘を目の当たりにしているが想像以上に激しかった…

 

何て言うかタイムセールに全てをかけているオバチャンたちが魔法を使ってる感じ。

 

「ここまで来ると何が不正なのかわかんねーよ。」

 

なんて独り言を言っているそばから…

 

「きゃーーー!!」

 

頭上から悲鳴が聞こえた。

 

その方に目を向けるとスケートボードが飛んでいた。

 

正確にはスケートボードで飛んでいる人がいたのだが、なんか人みたいな物を抱えている

 

「助けてーー!!」

 

 

 

 

 

はい!人でしたね!しかも助けを求めていた。

 

追いかけようとしたら頭のてっぺんに何かが掠めた

 

何かと思い上を見上げると…

 

 

 

 

 

 

はい!スケートボードでした!しかも人抱えてました!

 

大丈夫かな禿げてないかな?いくら家が寺だからといってもおれは住職じゃねーから!ただのお寺の息子(養子)だから!

 

それより何?第一高校の部活勧誘ってスケートボード飛び交うの?

 

ってかあれ完全に拐ってるよね?しかもあれ北山さんと光井さんだよね?

 

部活勧誘に人拐いって無法地帯過ぎるでしょ…

 

「はぁ…追いかけよう…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「やった!新入部員GET」

 

「止まれバカたれ」

 

「っっっっ!?」

 

スケートボードに乗る女子生徒はいきなり目の前に現れた()に突っ込んだが…

 

バフン

 

「え?」

 

突っ込まれた俺は消え。

 

「はい!被害者GET」

 

()()()()は被害者をGETした。

 

「え!?…えぇーーーーー!?」

 

めっちゃ驚いていた。

 

そこに二人目襲来。

 

「やば!!」

 

どっか逃げていった。

 

もう遅いけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

謎の飛来するボード二人組から、光井さんと北山さんを奪還し今お礼を言われていた。

 

「それよりもビックリしましたよ、いきなり飛んでいる目の前に現れたんですもん!」

 

「私は気付いたら抱えてる人が迅に変わってた」

 

光井さんと北山さんが興奮気味に言う。

 

「あれ分身だけどな」

 

「「え?」」

 

「正確には分身もどき!まぁ手品みたいなもんだな説明は面倒だからしないぞ、手品は種を知らない方が面白いしな」

 

詳しく説明すると分身もどきに突っ込んだ瞬間俺が光井さんをかっさらったって感じ

 

「北山さんの方は逃げられる寸前、相手が目を離した瞬間にさっと近寄ってその辺に落ちてた人形と交換しといた!まぁ変わり身みたいな感じ」

 

「あの一瞬でそんな事を…」

 

「まぁな、多分今頃…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フッフフーンフーン♪」

 

「ねぇあの人ダッチワイフ抱えながら飛んで、しかも鼻歌歌ってない?」

 

「新手の変態かよ」

 

「「「うわぁー…」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事になってると思うぞ」

 

「「人形ってダッチワイフかよ!」」

 

ってか誰だよそんなもん高校に持ち込んだやつは…

 

「まぁ何はともあれ助かりました!あと私の事はほのかでいいですよ!」

 

「私も雫でいい!」

 

「そうか!まぁ俺の事は好きに呼んでくれてかまわんぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

部活連本部…

 

「これは何だ九重?」

 

「はあ、生徒が拐われていたので奪還しましたあと危険物没収」

 

「でも捕まえられなかったので取り敢えず動画だけでもと」

 

早く帰りたいんだよ…

 

「動きが速すぎてあまりちゃんと写ってないわね」

 

「バイアスロン部OBのバカ二人だろ」

 

会長と渡辺先輩が映像を見ながら言う。

 

「ダッチワイフだけはやたらとキレイ写ってるな」

 

十文字会頭ダッチ見すぎ。

 

「気のせいですね」

 

「まぁそういう事にしておく」

 

流石渡辺先輩話がはやい!

 

「じゃあ用事あるので帰りますね」

 

「ああお疲れさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

17時50分某ホテル前…

 

 

 

「約束の時間10分前完璧だな」

 

俺は今護衛依頼の打ち合わせをするホテルの前にいる。

 

服装はもちろん仕事の打ち合わせなのでスーツを着てしっかりネクタイも絞め、眼鏡を掛けている。

 

 

このホテルは何度か打ち合わせで使っているので勝手は知っている。

 

フロントのお姉さんに挨拶し要件を伝える

 

「503号室に仕事の方が来たと伝えてくれ」

 

「かしこまりました」

 

返事を聞き終わってからエレベーターに向かって歩いて行く。

 

フロントのお姉さんの笑顔が眩しかった…

 

エレベーターを開けて待ってくれていたお姉さんに一言お礼をし、エレベーターに乗り込み5階を押す

 

エレベーター前に立っていたお姉さんの笑顔が眩しかった…

 

ここのホテルお姉さん笑顔眩しすぎるでしょ

流石ホテルの名前が「ホテル太陽」なだけあるな…

 

なんてしょうもないことを考えている間にエレベーターは5階に到着。

 

部屋の前に執事服を着た老紳士が立っていた。

 

「お仕事の打ち合わせに来ました九重迅と申します」

 

「そうですかあなたが…お嬢様はこの中です少々お待ち下さい」

 

そう言い部屋に入って行った。

 

はてさてどんなお嬢様なんでしょうか。

 

「お待たせしました九重様お入り下さい」

 

「失礼致します」

 

俺はあまりちゃんと相手を見ず、入ると同時にお辞儀をした。

 

「今回の護衛を務めさせていただきます九重迅と申します」

 

顔をあげると、そこにはめっちゃ知った顔が驚いたように立っていた。

 

「え!?九重君?」

 

「は!?生徒会長さん?」

 

見事にハモった。

 

「では私は外にいますのでごゆっくり」

 

一瞬ニヤッとし老紳士は退出していった。

 

なんで意味ありげなんだよ。

 

「え!?九重君はなんで驚いてるの?」

 

「いや、生徒会長がここにいたからですよ」

 

「ちょっと待って九重君私の名前知らなかったの?」

 

「生徒会長?」

 

そういやこの人会長って事以外なんも知らねーや。

 

「それ名前じゃないわね」

 

「冗談ですよでも本当に知らなかったですね」

 

「入学式で挨拶したわよ!」

 

「始めから終わりまで寝てました!」

 

「あぁ…そう…」

 

凄い残念な物を見たかの如く額に手を当て会長が俯く。

 

「では逆に何故会長は驚かれていたんですか?」

 

確か資料は渡ってるっていってたよな?

 

「私は父から護衛の依頼を出したから今日ここで顔を合わせてこいとしか言われてなかったのよ」

 

「何て言うか世間は狭いですね…」

 

「そうね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「まぁこんな世間話はさておき仕事の話をしましょう」

 

「そうね、まずその護衛の話なんだけど、現当主と私の妹たちが京都の方で会合があってこちらが少し手薄になってしまうため、私が出る十師族の会議の護衛を頼みたいの」

 

「具体的な日取りは?」

 

「来月の中頃ね」

 

「わりと先の話なんですね」

 

「ええ…」

 

煮え切らない感じだが。

 

恐らく身近な学校周りの問題や、今回の七草家が手薄になるなど他の十師族に聞かせたくない事もあり、取り敢えず早めにしっかりした護衛だけでも先に押さえておきたいといったとこだろう。

 

プルルル

 

会長の電話がなった。

 

「ちょっと失礼します」

 

会長が席を外した。

 

まさか護衛の対象が生徒会長とは…ちょっとやりにくいな。

 

なんて考えていると、会長が困惑した様子で帰って来た。

 

「九重君現当主、私の父が話したいそうなんだけど…」

 

「代わりましょう」

 

「もしもし」

 

『君が九重迅君かい?』

 

「はい、今回依頼を受けました九重寺、九重八雲の息子九重迅と申します」

 

『そこにいる私の娘にもわかるようにテレビ電話にしてくれ』

 

「わかりました」

 

『改めて七草家当主七草弘一と言う、君の話はよく聞くよ』

 

「大変恐縮です」

 

『まさかあの殺戮マシーンを生む実験の被験者が、まさか護衛任務に着いているとは思ってなかったが』

 

わざわざ会長に聞かすように言うとは…クサレ親父。

 

「ちょっとお父さん!!」

 

「今回の仕事、しっかり全うさせてもらいます。しかし七草当主殿ここには貴方と私の二人だけではございません。いくら七草家長女と言ってもまだ高校生の女の子です。レディの前でするような話ではないですね」

 

『おっと、気にさわったなら失礼、しかし流石は九重八雲の息子と言うところか』

 

とんだ狸やろうだね。

 

「こちらこそ失礼な物言い申し訳ございません、まだまだ未熟者ですが仕事はしっかりやらせていただきます」

 

『まぁ腕の方ははなから心配などしてない、少し頼みたいの事があってね』

 

『最近第一高校にちょっかいを出そうとしてる輩がいるみたいでね、聞けば君は第一高校に通ってるそうじゃないか』

 

そらきた、これは当主殿も折り込み済みってとこかな。

 

「ちょっと待ってそれは十師族が他の人に頼む話ではないわ!」

 

会長が焦り気味に言う。

 

『まぁ落ち着け、話はまだ終わってない』

 

「ボディガードですか?」

 

『そこまでする必要はないがそんなとこだな』

 

「あまり必要だとは思えないのですが?」

 

学年も違ければ1科2科の問題もあるしな。

あまり表だって動けない。

 

『君の家でも既に調べているだろう?なに少し気にかけてくれるだけでいい』

 

ブランシュか。

 

「それくらいであれば、知人なら自分の意思で守ろうと思っているのでご心配なく」

 

言われるまでもないな。

 

『そうかそれなら問題ない、失礼な事を言ったがしっかり()()()()()()()()よかったよ。では娘を頼んだぞ。

あぁ、あと会議のあとつまり私達が帰るまでの1日、2日七草家本邸で過ごしてくれ、では』

 

ブチプープー

 

七草家本邸って俺はいいが会長が…ほら赤くなってますよ。

それに育ってくれてか…なにを考えてるんだかな。

 

「ごめんなさい九重君…」

 

「気にしないで下さい、やっぱり娘が可愛いんですよ」

 

「いや、あなたの事を…」

 

あぁ、そっちね。

 

「確かにいい気分ではなかったですけど事実ですから会長が気にすることではないですよ」

 

「……」

 

気まずいな…

 

「今日はもう遅いです、そろそろお開きにしましょう

また会議が近くなったらその時また詳しく話しましょう」

 

「わかったわ、最後に私の名前は七草真由美よ生徒会長なんて名前じゃないからね!これからは真由美って読んでちょうだい迅くん」

 

「分かりました会長!」

 

「呼んでくれないの…?」

 

そんな目でみるなよ…

 

「はぁ…真由美さんでいいですか?」

 

「まあ今はそれでもいいかな」

 

なんだか悪い笑みを浮かべてる

後々呼ばせる気かよってかさっきのしおらしさどこいった…

 

 

 

 

 

 

 




長くなってしまった…

それに仕事忙しくて投稿遅れた…

取り敢えずこれからは2日か3日いないの投稿を目指します


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9話

「おおぉースゲーな」

 

俺は今完全にこの部活勧誘期間をエンジョイしていた。

 

何故なら、第一高校に入った目的が普通の魔法や他人の魔法を見て見識を深めたいと思ったからなのである。

 

つまりこの部活勧誘期間というのは沢山の人がいろんな魔法を使って魅せているので、自然とその目的が達成されているのだ。

 

もちろん風紀委員の仕事も忘れてはいない。

 

見て回っている時になにか問題があれば介入して捕まえたり、話を聞いて和解させたりしていった。

 

なんだか達也は凄い走り回って大変そうだったが、俺はそんなに忙しいとは感じていなかった。

 

問題解決の数は達也程ではないがそれなりだった、しかもあまり手荒な事はしていなかったので特に目の敵にされることもなく、わりと楽しんでいた。

 

 

 

 

 

 

 

部活勧誘期間も終わり見回りをちゃちゃっと終わらせ俺は帰宅途中だった。

 

「ん?あれは雫とほのかあと誰だ?」

 

道路を挟んだ向こう側に雫とほのかと赤髪の女子生徒がなにかを追っていた。

 

「なーんかキナ臭いな」

 

取り敢えずついていくか。

 

どうやら眼鏡をかけた男子生徒を尾行しているらしい

 

「ありゃ誘い込まれてるな」

 

3人であんなヘタクソな尾行してりゃ猿でも気がつくぞ…

 

なんて考えながら俺も尾行してるんだけどな。

 

すると眼鏡の男子生徒が急に走り出した。

 

ほのか、雫、赤髪の女子も走り出すが2つ目の角を曲がったところで撒かれていた。

 

「ん?」

 

バイクが5台ほど急に現れて雫たちを囲んだ

 

「やっぱり誘い込まれてたな」

 

相手は5人で全員魔法師では無さそうだがナイフやバッドを持っている、拳銃を持ったヤツも1人いたが他に気になる事もあったので…

 

「少し様子を見るか」

 

雫の合図で3人とも走り出した

 

各々魔法を使って撹乱したり倒そうとしたりしていたのだが…

 

 

キーーーーン

 

「なんだ!?」

 

5人が右手を出した途端雫、ほのか、赤髪の女子は頭を抱えて苦しみ出した

 

「あの右手に着いてる指輪…アンティナイトか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「頭が…」

 

相手が指輪を出した途端に魔法が使えなくなり頭が痛くなった。

とても立っていられなくなり倒れてしまう。

 

他の二人も苦しそうにしている。

 

「このアンティナイトを使えばお前ら魔法師もただの高校生だ」

 

「組織の計画を邪魔するやつらは始末する」

 

雫もエイミィも動けない。

 

男がナイフを出し近づいてくる。

 

何も出来ない、動けないし魔法も使えない。

 

「嫌…」

 

男がナイフを振りかぶった

 

思わず目をぎゅっとつむり祈る。

 

「誰か助けて!!」

 

まだ死にたくない…

 

永遠のように感じたが一向に痛みと衝撃はやってこない。

 

代りに聞き覚えのある声が聞こえる。

 

 

 

 

 

「私の学友に手を出さないでもらえますか?」

 

 

 

 

 

 

恐る恐る目を開けるとそこには振りかぶったまま硬直している男とCADを構えた深雪が立っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1人は妹ちゃんだったのか中々の隠形だったな気配までしかわからなかった」

 

俺は依然として隠れて眺めていたが。

ほのかがナイフで刺されそうになったときは流石に出かかった。

けど妹ちゃんが登場したので俺は隠れているもう1人の敵を処理しに行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫ほのか、雫、エイミィ?」

 

「ありがとう深雪」

 

「でも凄いねアンティナイトのジャミングより事象干渉力が高いなんて」

 

「しかも一発で倒しちゃうし」

 

私がたまたま胸騒ぎがして付いて来てみれば…

本当何もなくてよかった。

 

「そろそろ帰りなさい。事後処理のため私は少し残るわ」

 

「わかった!本当にありがとう」

 

そう言い3人は歩いて行きちょっと行ったところで振り返りこちらに手を振っていたが、いきなり…

 

「深雪危ない!!!」

 

と叫ばれた瞬間後ろを振り向いた。そこには歪な笑みを浮かべ倒したはずの男が銃を向け、そして引き金を引いた。

 

一瞬で脳内をいろんな考えが巡った。

 

倒したのではないのか?

 

何故銃を向けられているのか?

 

私は死ぬのか?

 

なぜ?

 

そして答えに行き着いた。

 

ツメが甘かった。倒したと思い油断した。少し天狗になっていたのだ。

 

きっとお兄様だったらこんな風にはなっていない。

 

そのお兄様も今は助けに来てはくれない。

 

これは私の油断が招いた結果なのだと頭で理解しているが、どうしても考えてしまう。

 

お兄様の事を…

 

そして恥ずかしくも願ってしまう。

 

「助けてお兄様!!」

 

願った瞬間目の前に雷鳴が走る。

 

 

 

 

 

 

 

バチッバチチチチ!!

 

「お兄様じゃなくてごめんな」

 

助けてもらったのに謝られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやいや尋問してたら悲鳴が聞こえたから飛んできたわ!妹ちゃんごめんな達也じゃなくて」

 

「い、いえこちらこそ命を救ってもらったんですありがとうございます!」

 

妹ちゃんが恥ずかしそうにお礼を言ってきた

 

「み゛ゆ゛ぎ〰よかったよ〰」

 

ほのかが妹ちゃんに抱き付く。

 

まぁ、無事でなによりだな。

 

「そう言えば迅さっき尋問してたって言ってたけど?」

 

雫が聞いてくる。

 

「あぁ今倒した奴の仲間!お前らが戦った以外に1人隠れてたんだよ」

 

「え!?」

 

赤髪がビックリする。

 

「そういやどちらさん?」

 

「私?私はエイミィ、英美=アメリア=ゴールディ=明智。エイミィでいいわ。あなたは?」

 

「俺は九重迅だ好きに呼んでくれ」

 

「OK迅、ところで迅はどっからか見てたような口ぶりだけど?」

 

「ああ、お前らがヘタクソな尾行で眼鏡に誘い込まれるところからしっかり見てたぞ!」

 

素人丸出しだったな。

 

「「え!?」」

 

「なんで助けてくれなかったんですか?」

 

ほのかが少し怒っている。

 

「まあまあ落ち着け。理由はお前らが戦った以外に2人、人の気配を感じてたからすぐに出て行けなかったんだよ。

流石にほのかが殺られそうになった時は出ようと思ったけど、妹ちゃんが出て来たから俺は残る1人を倒しに行ったんだよ」

 

「そうだったんだありがとう迅」

 

「ありがとうございます迅さん」

 

雫とほのかが礼を言ってきた。

 

「まあ気にすんな!それにしても驚いたのは妹ちゃんの隠形だ。なかなかの物で気配以外は敵か味方かもわかんなかった」

 

「一応九重八雲先生に教えを受けたので」

 

「そうか妹ちゃんも親父に…セクハラうけなかった?」

 

「…少し…」

 

深雪が複雑そうな顔をしている。

 

「そうか…ごめんな…」

 

本当に、すまないと思う。

 

「え!?迅の家ってあの護衛で有名な九重寺の?」

 

エイミィが驚いている。

 

「まぁそうだな」

 

「そうだったんだ私の家も何度か助けてもらったんだよ」

 

雫も驚いている。

 

「マジか!これからもご贔屓に頼むわ!」

 

さて親父には事後処理してもらうか。

 

「さて事後処理はウチの方で頼むわ!お前らは俺が責任を持って送ってくよ」

 

「あ!私は迎えが来るから大丈夫だよ」

 

エイミィが言う。

 

「そうかじゃあ迎えが来るまで待ってから帰るか」

 

「ありがとう!」

 

「俺は電話するからちょっと待っててくれ」

 

 

 

プルルル

 

「なんだい迅君」

 

「親父ちょっと事後処理してほしいんだわ」

 

「ブランシュかい?」

 

「そうだ!ちょっと友達が巻き込まれてな俺はそいつら送ってくから」

 

「了解!メールで詳細を送ってくれ」

 

「はいよ!」

 

プープー

 

ちょうどエイミィの迎えが来た。

どうやらエイミィの家の通り道に雫とほのかの家もあるらしく3人は車で帰った。

 

「んじゃあ妹ちゃんも帰ろうか」

 

「はい!わざわざすいません」

 

何だかんだ妹ちゃんと二人って初だな。

 

「気にすんな!1人で帰ると余計なこと考えちゃうだろ?2人のほうが気が紛れるからな、一応お前らは危険な目に合ったんだから」

 

「はい…」

 

「そんな辛気臭い顔すんな!幸せが逃げるぞ」

 

 

 

 

 

帰り道…

 

「九重君1つ聞いてもいいですか?」

 

難しい顔をして妹ちゃんが話しかけてきた。

 

「迅で良いぞ!んでなんだ?」

 

「どうしたらそんなに強くなれるんですか?」

 

あなた充分強いでしょ!

 

「妹ちゃんのが強いだろ…嫌みか?」

 

「違います!!魔法の話ではありません!人間の部分。判断だったり気持ちだったりです」

 

ああ、そういうことね。

 

「それは妹ちゃんの兄に聞けばいいんじゃないか?ちょっと人間味が薄いけど」

 

「兄は素晴らしい人です!!」

 

おお!流石ブラコン反応が過剰だね。

 

「落ち着けって…」

 

「…すみません取り乱して」

 

「いいよ、んでさっきの話だけどなんでそんな事聞いたんだ?」

 

「私は今日銃を向けられた時何も出来ませんでした。倒したと思っていたんです…私が油断していたのは分かっています。でも…兄や、迅さんならこうはなっていなかったと思います。」

 

結構凹んでんのな

そんなに気にすることないと思うけど。

 

「まぁ、普通だったら当たり前の事なんだけどな。

そもそもあんなシチュエーション事態が稀なんだよ。どんなに卓越した魔法力があっても、経験がなければ何も出来ない。つまり慣れてないだけ。

まぁあれに慣れてたらもう殆ど人間辞めちゃってるけどな。

つまり、あまり気にしてもしょうがないんだよ。

誰だってやったことがない事は出来ない。だったら貴重な体験をしたと前向きに考えて、次同じような事が合った時に同じ結果にならないようにすればいい!今は生きてる事を素直に喜ぶ!死んでたら次は無かったんだラッキーだろ?」

 

妹ちゃんは目を丸くしていたがクスッと笑いそうですねと言った。

 

「なんだか元気が出ました!ありがとうございます

あと妹ちゃんじゃなくて深雪と呼んで下さい」

 

「はいよ!この辺か?」

 

そろそろ司波家付近だろう。

 

「はいもうすぐそこが家です」

 

「そっかじゃあもう大丈夫だな達也によろしく言っといてくれ」

 

「分かりました今日はホントにありがとうございます」

 

「じゃあな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

司馬家…

 

「お兄様!」

 

「どうした深雪?」

 

「実は今日…」

 

 

 

「…ってことがありまして」

 

「そうか、俺はガーディアン失格だな」

 

「そんな事ありません!!私が余計な事をしなければ…」

 

「迅には俺の方からも礼を言っておく」

 

「分かりました」

 

「ではおやすみなさい」

 

「ああおやすみ」

 

 

 

最強魔法師創造計画

 

そう書かれた資料を俺は読んでいた、生き残ったのはたった1人の少年らしい…

 

「まさかな…」

 

 

 

 

 

 

 




全然内容が進まなかった

めっちゃ眠い中で書いたのでいつも以上にワケわかんないかもしれないです


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10話

なんか評価の棒に色が付きました!!

びっくりしました、ありがとうございます!

UA20000越え、お気に入り270越え、本当にありがとうございます!

皆さんからの指摘もありがたいです!

ちゃんと治せているか正直よくわかってないですが、めっちゃ頑張ってるのでこれからもよろしくお願いいたします!!


学校外での騒動から1週間殆どがたった放課後。

 

 

『全校生徒の皆さん!』

 

めっちゃ耳キーンなったわ…

 

周りもこの騒ぎにざわざわしている。

 

『失礼しました。全校生徒の皆さん!』

 

「ボリューム調整をミスったようだな」

 

「いやいや、突っ込んでる場合じゃないから」

 

達也が呟きエリカがツッコミを入れていた。

 

『僕たちは、学内の差別撤廃を目指す有志同盟です!』

 

「有志ねぇ」

 

達也が何やら呟いていた。

 

 

 

 

「これって俺ら絶対呼ばれるよね…」

 

「だろうな…」

 

俺の悲しげな嘆きに達也もげんなりした様子だった。

 

そんな嘆きはよそに早速連絡が入った。

 

なんで俺は風紀委員なのに真由美さんからメールくんだよ…

 

「行くか迅」

 

「はぁ…そうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、お兄様と迅さん」

 

「深雪も呼び出しか?」

 

「はい、会長から、放送室前へ行くようにと」

 

俺らと一緒だな。

 

「どうせ、ブランシュがからんでんだろうな」

 

「やはり迅も知っていたか」

 

達也が言う。

 

「まぁな、親父から話は聞いてる」

 

「そうか…」

 

そうこう言ってるうちに放送室の前に到着。

 

「遅いぞ」

 

「すいません」

 

形だけだが言われ、達也が返し、俺はお辞儀だけした。

 

達也が状況確認をしているが、なんだかめんどくさくなりそうだった。

 

方針を決めかねていたのだ。

 

「俺に任せてもらえませんかね」

 

といきなり達也が人の悪い笑みを浮かべながら言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ達也って鬼畜だな…」

 

そんな呟きが出てしまうような方法であっさり解決してしまった。

 

いきなり達也が壬生先輩とやらに電話をかけ、交渉に応じるから出てこいと言ったのだが、自由を保証されたのが電話に出た先輩だけで全員ではなかったのだ。

 

その意図に気が付かないで、ノコノコ出てきた奴等が見事お縄にかかるという、何とも鬼畜と言ってしまいたくなるような案をサラッと実行したのだ。

 

 

そのあと真由美さんが割り込み、明後日の放課後に討論会を開いてそこで話しましょうという事になりその場は解散となったのだが…

 

「迅君ちょっとついてきて」

 

と俺だけ呼び出され生徒会室につれてかれた。

 

「少し話しておきたい事があって」

 

「なんすか?」

 

真由美さんは難しい顔をしていた。

 

「多分明後日の討論会、無事には済まなそうなの…」

 

「なんか情報でもあったんすか?」

 

「今回の騒動にはやっぱり裏にブランシュが着いてるみたいなんだけど、最近かなり活発に動き始めたらしいのよ…」

 

ほうほう、そろそろこっちも手を打つかな。

 

「なるほど、それで討論会の日になにかあると」

 

「そうなの…」

 

まぁ、この人も苦労してるんだろう。

 

なにせ七草家という十師族の家柄、おまけに学校では生徒会長。

 

さっきの討論会をやろうと言ったのも、あちら側は申したい事があり、こちら側はさっさと問題を鎮静化させたい。間をとってなおかつ後腐れなくするならあれがベストだったと俺も思う。

 

しかしブランシュの動向も無視できない。

もしかしたら人命が関わってくるかもしれないのだ。

 

板挟みにされかなり参ってる感じだった。

 

「真由美さんの選択は間違ってないですよ。むしろよくここまでベストな解を出しつづけましたね。素直に凄いと思います。流石七草家の長女おまけに生徒会長」

 

「迅君…」

 

誰かに相談できるような事でもないので、やはり精神的に少し来ていたのだろう。真由美さんの瞳が少し揺れた。

 

「あとは裏方の仕事です、真由美さんは討論会の日までゆっくりしていてください」

 

「迅君は?」

 

心配そうに聞いてくる。

 

「俺は俺の仕事をしますよ。それに後付けではありましたが七草家の現当主さんから「娘を頼む」と依頼を受けましたしね」

 

俺はニコッと微笑んだ。

 

「ありがとう!ではお願いします」

 

真由美さんもようやく笑った。

 

「はい、では討論会の日にまた連絡します!では」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の夜…

 

俺はブランシュのアジト前にいた。

 

取り敢えず今日の目的は、大きめの重火器の細工と弾の押収、ようは使えなくする。

 

無事武器庫に潜入し、ずらっと並べられた武器を前にため息混じりに俺は言った。

 

「さぁて、やりますか…」

 

 

 

1時間後…

 

「はぁ、終わった…あとは明日の討論会前に再度アジトに潜入、武装解除し気絶させ、学校にもどりしたっぱたちの処理をして、手筈どうり遥ちゃんに皆にアジトの場所を教えさせ俺は学校に残ると…完璧だな!」

 

取り敢えず眠いから帰ろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日の昼

 

俺は再度アジトに潜入し、テロリストを全員気絶させた。その際に1人尋問し第一高校に潜んでいるしたっぱの行動と目的を聞き出しておいた。待機してた親父に武器の処理を任せて学校に戻った。

 

 

「それで迅君、報告って?」

 

「取り敢えずめっちゃ眠いっす」

 

「…」

 

やべっ、シリアスでした。

 

「はいはい、本題に入ります。まずは第一高校に忍び混んでいるブランシュのしたっぱは、機密文書を盗み出す事が目的らしいですね。あと進入経路とだいたいの人数はメールにて送ってあります。」

 

「ありがとう、あとはブランシュ自体の動きね」

 

「ああ、それはアジトで気絶してるんで大丈夫です!」

 

「え!?」

 

「既に俺が潜入して武装解除と武器の押収は済んでるんで!あとは、達也とかその他諸々の人達が後でアジトに行く位に目が覚めると思うので、軽く戦ってもらって、最後に十文字先輩に家の力で揉み消してもらって終わりです。」

 

「なので、十文字家は学校外での解決。七草家は学校内の解決っていうシナリオなんで、御家への体裁は問題ないかと。あと達也とか他の人達には気を見て俺の知り合いがアジトの場所を教えるっていう手筈になってるんで。余計な事はしなくていいですよ。その時に真由美さんは適当に合わせといてくれればいいんで」

 

真由美さんが言葉を失ってアホずら晒してる。

 

「じゃあ、私は…「討論会()()頑張って下さい」はい…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして討論会…

 

正直言って討論会というなの1人舞台になっていた。

 

ひたすら同盟側を論破、論破、論破、なんだか可哀想になってきた。

 

最後に真由美さんが…

 

「生徒会長以外の生徒会役員選出に対する制限を、私の生徒会長退任時の総会で撤廃することで、生徒会長としての最後の仕事にするつもりです。

少々早い公約ですが、人の心を力づくで変えることはできないし、してはならない以上、それ以外のことで、出来る限りの改善策に取り組んでいくつもりです」

 

満場の拍手が舞い起きたが、時間差で講堂内に轟音が鳴り響いた…

 

窓ガラスが破られ中に榴弾が投げ込まれるが、地面に着地する前に俺がキャッチ、飛んで来た窓ガラスに投げ返す、同時に投げた方に走り出し外にいた敵を捕まえた。

 

縛り上げ、講堂内に戻ると達也と深雪が走って来た。

 

「俺らは実技棟に行ってくる」

 

「はいよ!ここは任せとけ」

 

「お願いします!」

 

二人はそう言い走り去って行った。

 

まぁ進入経路とかも指示を出すように真由美さんから渡辺先輩に言っておいてくれと、お願いしたから楽勝だろう。

 

それに講堂内は渡辺先輩もいるし余裕だな。

 

そのあとしばらくして、壬生先輩を捕らえ今保健室にいると連絡がはいり、渡辺先輩と真由美さんと俺はそちらに向かった

 

保健室で達也達と合流し、壬生先輩の誤解(記憶操作の疑い)を解き今後の話をしていた。

 

壬生先輩の口から背後にブランシュがいたと聞き。

 

「あとは奴等が何処にいるか、ということですか」

 

「達也君もしかして彼らと一戦交えるの?」

 

真由美さんがおそるおそる聞く。

 

「いえ、叩き潰すんですよ」

 

達也がさらっと過激な事を言う…大丈夫か?

 

「危険だ!学生の域を出ている」

 

渡辺先輩が言う。

 

「俺と深雪の生活圏がテロの被害に遭ったんです。俺はもう当事者ですよ」

 

と達也が口にし色々反対されながらも、深雪、レオ、エリカの参戦が決定しこちらの予想通りになっていった。

 

遥ちゃんも扉の前で待機している。

 

「しかしお兄様、どうやって相手の拠点を突き止めればいいのでしょうか。壬生先輩の聞いていた中継基地も既に引き払われているでしょうし」

 

「そうだな、そもそも最初から手がかりになりそうなものは置かれてなかっただろうな」

 

「では?」

 

手がかりがないのに困った素振りのない達也に深雪が答えを促す。

 

「分からないのなら、知ってる人に聞けばいい」

 

「知ってる人?」

 

「心当たりがあるのか達也?」

 

エリカとレオの問いには答えず、達也は出入口の扉を開けた。

 

「小野先生?」

 

ヤベーマジで完璧過ぎてにやけそう。

 

真由美さんの言葉を受け、苦笑いを返し、ちらっとこっちを見た。

 

(サンキュー遥ちゃん!)

 

(今度甘いもの奢ってね!)

 

(任せとけ!)

 

と一瞬でアイコンタクトし遥ちゃんが言う。

 

「九重八雲先生秘蔵の弟子から隠れおおせようなんて甘かったか…」

 

そのあと地図でアジトの場所を聞きエリカとレオが近すぎて怒っていた。

 

「車のがいいだろうな」

 

「正面突破ですね!」

 

「それが一番相手の意表を突けるだろう」

 

「妥当な策だな、車は俺が用意しよう」

 

よっしゃ十文字パイせん参戦決定。

 

「え?十文字君も行くの?」

 

真由美さんが言う。

 

「十師族に名を連ねている物として同然の務めだ!」

 

「…じゃあ、」

 

「七草お前は駄目だ」

 

「この状況で生徒会長が不在になるのは不味い」

 

十文字先輩と渡辺先輩から止められる。

 

「同じ理由で摩利あなたも駄目よ、残党がいるかもしれないのに風紀委員長にいなくなられるのは困るわ」

 

良いぞ!真由美さんなかなかの役者っぷり!

 

「迅お前はどうするんだ?」

 

「え?」

 

レオが聞いてきた。

 

「俺は行かね!留守番してるよ、眠いし必要無さそうだしな」

 

その後達也たちは保健室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜…

 

俺は達也に呼び出されていた。

 

「悪い待たせたな」

 

「いや、大丈夫だ」

 

俺が着いた時には達也はベンチで座っていた。

 

「んで?話ってなんだ?」

 

「お前ブランシュのアジト知っていただろ?」

 

流石気づいたか…

 

「一応聞こうか理由は?」

 

「まずアジトにいたやつらは武器を持ってなかった。それに既に手負いな感じだった。

あと、俺らが乗り込んで行った時に何故か向こうはかなり困惑した感じで、待ち受けてもいなかった。つまり俺らが行く前にだれかが先にいって武装解除し、おまけに気絶させていたのだろう。じゃなきゃあまりにもおかしい。

学校を襲った奴らも武器が使えないと喚いてる者がいた」

 

正解!流石達也。

 

「まぁ隠す必要も余りないからな、説明された通り俺が先に動いてたな」

 

「何が目的だ?」

 

「まぁそんな怖い顔すんなよ。俺は依頼の為に動いただけだからな。お前らに何かする気はないよ。俺は()()だからな」

 

「そうか…」

 

「1つアドバイスしといてやる」

 

「なんだ?」

 

「余り過激な物言いは詮索の元だぞ。普通いくら生活圏がテロの被害にあっても自分から潰しに行くと言うやつはいない。確かに達也ならできるだろう。けど詮索されたくないなら普通に大人しくしておくべきだ」

 

「お前はどこまで知っているんだ?」

 

言われるほど知ってるわけじゃないんだよな…あくまで想像の域を出ない。

 

「親父と一緒でお前の家については何も分からなかった。情報規制は完璧だったな。完璧すぎて違和感があったけどな。」

 

俺はニヤッと笑う。

 

「そうか…」

 

達也は無表情だ。

 

「まぁ隠してる位だ訳ありなんだろう。詮索しようとも誰かに言おうとも思ってない」

 

「そうか…」

 

「まぁ何か困った事があったら言ってくれよ、俺にできる範囲なら助けてやる」

 

「わかったありがとう、最後に1つだけいいか?」

 

「なんだ?」

 

「最強魔法師創造計画って知ってるか?」

 

そりゃあ俺が生涯一番聞きたくない単語だろうな。

 

「…ああ知ってる、俺がたった1人の生き残りの少年だからな。」

 

「やはりか…」

 

「今じゃ内容を知ってる人間は俺しかいないが、それは後世に残せるような物ではない。よって話せない。詮索もしないでくれ」

 

「わかった…」

 

「ただ言えることは、今の俺もお前もただの高校生だ、学校を楽しもうぜ!」

 

「そうだな!」

 

こうして俺と達也は別れ帰宅した。

 




あと1話で入学編は終わりの予定です

やっぱり過去編は九校戦の後に書きます

何となくその方がいいかと思いまして

すいません、大事なミスがありました10話と8話を修正させていただきました!

真由美さんは次期当主ではなかった私の勘違いですすみません…


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11話

 

はい!私九重迅は只今絶賛仕事中です!

 

ブランシュ討伐から約3週間。

 

何度か打ち合わせをし今日が仕事の日です!

 

十師族の会議、しかし今日の内容は会議と言うよりお食事会に近いらしい、族に言う立食パーティー的なやつだ。

 

同い年位の人もいるが、俺はここに仕事として来ているのでお喋りに興じている暇はない。

 

仕事の内容だが特に大したことをするわけではない。

 

今回俺が仕事として仕える七草真由美お嬢様のエスコートだ。

 

まぁ執事を想像していただけば分かりやすいかな

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着致しましたお嬢様」

 

車の後部座席のドアを開け手を取り、真由美さんが車から出てくる。

 

「ありがとう迅」

 

ちなみに真由美さんが俺を迅と呼んでいるのは、この十師族会議で俺の事を九重と呼ばれるのは色々不味いため。

 

ようは、顧客の信用の問題だ。

お忍びを護衛すると言うことは、その人の秘密を知るに等しい、その秘密を知ってる奴が会場にいたら、あまりいい気はしない。九重って聞くだけで敏感に反応する人がいるくらいだ。

 

それに、家の誰が護衛に行ってるかなんて一々覚えてない、だったら最初から九重と呼ばれなければ気がつかれない、なので家の寺では適当な偽名で呼ばせたりなど義務づけられている。

 

俺の場合はまだそんなに任務に着いてないため下の名前で呼んでもらってるけど

 

「迅さんお嬢様をお願いします」

 

名倉さんからインカムが入る

 

「了解しました」

 

本当なら名倉さんが同行するはずなのだが、

「九重様の方がお嬢様も気が楽だと思いますので」

と言われ今回は会場内まで俺が同行することになった。

 

席まで案内して真由美さんを座らせる。

 

「では、私は会場内の警備を確認して参りますので何かあればお呼び下さい」

 

「わかったわ」

 

心なしか少し楽しそうな表情だった

 

 

 

 

 

会場内を回ってる時に…

 

「パサっ」

 

目の前でハンカチを落とした女の人がいた

 

「すみません」

 

すぐに拾って駆け寄り

 

「落とされましたよ」

 

と引き留めハンカチを差し出す

 

「あら、ありがとう」

 

振り返った女性は、大人な美しさと少女のような可愛さ、そしてとても妖しい雰囲気を持った不思議な人だった。

 

「では、失礼します」

 

「待ちなさい」

 

呼び止められただけなのにとても重たい気がした

 

「なんでしょうか?」

 

あくまでニコッとしたまま振り替える

 

「あなた、どこかで会ったかしら?」

 

こんなやつと出会ってたら俺は忘れねーよ、でも知らないから初対面だな、多分…

 

「…申し訳ありません、どこかでお会いしたのかもしれませんが、僕自身覚えがなかったもので…」

 

ここは本当に申し訳無さそうに謝罪しとく

 

「そう…私の勘違いかもしれないわね、引き留めてごめんなさい」

 

「いいえ、お気になさらず、では」

 

俺は取り敢えず立ち去る

 

そのあと会場内をしっかり確認し真由美さんのとこえ戻った

 

 

 

 

 

戻ったのだけど何やら喋っていたので遠くから見ていた

 

 

「今年は息子が第三高校に入ってね、九校戦優勝すると息巻いていたからね」

 

「そうですか、私たちも今年で卒業なので全力で九校戦優勝を目指しています。お互い良い試合ができるといいですね」

 

「おお、いたいた、将輝こっちきて挨拶しなさい。

こいつが今年第三高校に入った息子です、」

 

「一条将輝です」

 

あれが一条家か

 

「第一高校で生徒会長をしてます七草真由美です、よろしくね一条君」

 

「よろしくお願いします」

 

「今九校戦の話をしてたんだよ」

 

「そうだったんですか、今年の第三高校は強いですよ!」

 

「第一高校も今年優秀な一年生が入ってきてくれました、九校戦が楽しみですね」

 

建前って奴っすか、ははは

 

 

 

と思っていたら電話が入った、七草家の当主様からだった

 

「どうされました、当主様?」

 

『どうだい?君の嫌いな十師族たちの会議は』

 

本当いい性格してるよな…別に嫌いじゃないんだからね!

 

「どうと言われましても…特に思うことは御座いません」

 

『そうかい、娘はなにをしてる?』

 

「一条家の当主様とその息子さんとしゃべられてます」

 

「ちょっと代わってくれ」

 

「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

「第三高校は実力主義なので、1年でもあまり関係なく色んな事を任されますね」

 

一条将輝が何やら第三高校を語っていたが…

 

「お話の途中にすみません、お嬢様当主様からお電話です」

 

野面でぶったぎりました、サーセン

 

「すいませんちょっと失礼します」

 

真由美さんがその場を去って行った

 

「すみません一条様、お話の腰を折ってしまって」

 

取り敢えず謝っとく

 

「いや、気にしてません、」

 

どうやら、人柄は良いそうだ、ほらすぐに囲まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真由美さんを追いかけて行くと、電話は終わったらしいがなんか複雑そうな顔をしていた

 

「どうされましたお嬢様?」

 

「え?あ、大丈夫よ!」

 

そうは見えないが…

 

「そうですか」

 

「あら、あなたさっきの」

 

とても柔らかくそして人を惑わせそうな声がし振り向くとさっきのハンカチの人がいた。

 

「四葉真夜さん!?」

 

うちのお嬢様がめっちゃ驚いていた

 

ってかこの人が四葉の…

 

「あなたは確か弘一さんの娘…真由美さんだったかしら?」

 

凄く興味無さそうに言う

 

「弘一さんは今日は来てないみたいね」

 

「はい、私が代理で来ました」

 

「なるほど、では先ほどハンカチを拾ってくれたあなたは真由美さんの護衛でしたのね」

 

「はい」

 

そこに四葉家の執事であろう人が四葉真夜のもとへ駆け寄ってきた。

 

一言二言交わし…

 

「少し急用ができました、もう少しお喋りしたかったのですがしょうがないですね」

 

あ、結構です!

 

「また会えるのを楽しみにしてるわ」

 

それは、どちらに向けて言ってるのだろうか…

 

「では、さようなら真由美さん、あと……切り裂きジャック(ジャック ザ リッパー)

 

どうやら俺に向けて言ってたらしい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議と言う名のお食事会は終わり、場所は七草邸

 

「はぁ…疲れた…」

 

思わず声に出てしまうくらい精神的に疲れた

 

プルルル

 

電話が鳴った、親父からだった。

 

「もしもし」

 

『お疲れ様迅君、会議はどうだった?』

 

「仕事はちゃんとこなしたよ、色々あったけどな…」

 

『何かあったのかい?』

 

「四葉家の当主さんが来てたよ」

 

『それはまた珍しいね…』

 

「ああ、俺は顔を覚えてなかったからさ、ハンカチを落としたから拾って渡したんだけど、それで目をつけられたみたいでね。懐かしい呼び名で呼ばれたよ…」

 

『大変だったみたいだね』

 

電話先でケラケラ笑っている…

 

「笑うなよ!めっちゃ疲れたよ、おまけに真由美さんにもきかれちゃったし…俺の平穏が音を立てて崩れて行った気がしたよ…」

 

『災難だったね、でも全部過去の事だ、気にしないことだね』

 

「ああ、分かってるさ。明日には帰れるみたいだから」

 

『了解、迅君の好きな海鮮料理食べに行こうか』

 

「ありがとう、テンションちょっとあがったよ」

 

『じゃあ、引き続き頑張って』

 

「はいよ」

 

プープー

 

言うてももうそんなにやることもないんだよな

 

コンコン

 

「どうぞ!」

 

「お疲れ様迅君」

 

「お疲れ様です真由美さん、どうしました?」

 

「いや、なにやってるかなーと思って」

 

ちょっと緊張してるようだ

 

「仕事の報告で電話してました」

 

「そう、迅君はいつくらいから家の仕事を手伝っているの?」

 

「1年半くらい前からですかね」

 

「そう…やっぱり大変?」

 

「まぁ俺はそんなに任される事はないんで、そんなでもないですけど、仕事柄人の身や命を守るんでやっぱり気は張りますよね」

 

仕事終わると疲れたって実感するしな

 

「そっか、なんか同じ年代に思えないのよね」

 

「そうですか?」

 

「うん、ブランシュの時もそうだったけど、面倒くさそうに見えてもやることは人一倍キッチリこなすし、どこか達観してる」

 

そうかな?

 

「そんな事言ったら、達也とかそれこそ真由美さんだって同じですよ」

 

「確かに達也君もそうだけど、どこか冷たいのよね」

 

「まぁヤツは起伏が少ないですしね」

 

「だから、二人を見ると自分が凄く子供っぽく感じちゃうのよ」

 

「そんな事ないと思いますけどね、今日だってしっかり当主さんの代理をしっかり努めてたじゃないですか!凄い立派でしたよ!」

 

急に言われてびっくりしたのか、段々赤くなりうつむきながら…

 

「…ありがとう」

 

照れてやんの

 

「照れてますね?」

 

「しょうがないじゃない!あまり面と向かって言われることもないし、七草家の長女として当たり前にこなさないといけないもの」

 

それを当たり前にこなせる人がいったいどれ程いるのかってことなんだよね

 

「それを当たり前だと思えるのがもう凄いですよ」

 

「迅君は違うの?」

 

「俺の場合は仕事ですからね、割り切ってますよ」

 

「でも、やっぱり辛いと思う事はあるでしょ?」

 

「辛いとは思わないです、無事に終わればいいなとは思いますけどね」

 

「それはそうだけど、少しでも恐怖とか、嫌だとか思ったりしないの?」

 

「割り切ってますからね、真由美さんの家が十師族でその長女だからって言うのとかわんないですよ」

 

「すごいわね…私はそう思えない、どうしても嫌だとか、場合によっては怖いとも思う…

迅君はブランシュのアジトに一人で行った時何とも思わなかったの?」

 

「恐怖的な感情はまったくなかったですね、さっさと終わらそう位に思ってましたね」

 

「それってもう凄いっていうか、普通じゃないわね」

 

普通じゃないね…

 

「普通じゃない…ですか…」

 

「あ、ごめんなさい…」

 

自分がわりと失礼な事を言ってるのに気が付いたらしい

 

「確かに俺は普通ではないですね」

 

「え…?」

 

「まぁ真由美さんは後々知る事になると思うので先に話しときますよ」

 

「え?」

 

「俺は生まれが特殊だったんですよ、詳しくは言えないですけど。」

 

「簡単に説明すると実験動物みたいな感じですかね」

 

「!?…」

 

意味がわからないよ、って表情をしている

 

「普通の人間のようには扱われず、ただ機械のように人を殺すため訓練をし、薬物を投与され、研究者たちの研究意欲を満たすための道具として生きてました」

 

「そして、俺が13歳になったある日、九重八雲に助けられそのまま引き取られました」

 

俺は淡々と語った、真由美さんは凄い戸惑っているようだ

 

まぁそうだよねいきなりこんな、胸くそ悪い話を聞かされたんだそうなるわ…なんか罪悪感が…

 

「そうだったんだ…」

 

「だから、真由美さんが俺の事を普通じゃないって言うのは間違ってないです、ただそれは、俺はそういう過去があったから辛く感じなかったり、割り切れたり出来るってだけなんです。」

 

「逆に俺から見たら真由美さんは、十分すごいですよ」

 

「……そうなんだ…ごめんなさい、良く知りもしないで酷いことを言って」

 

「いいんですよ、真由美さんの反応が普通ですから、それに真由美さんのお父さんは、どこまでかは分からないですが俺の事を知ってたみたいなので」

 

「うん…」

 

「会議の時、当主さんからの電話、あれは俺の事を調べろとかそんな内容だったんじゃないですか?」

 

「……」

 

図星っすね…

 

「世の中、異端なる物は排除されますからね…」

 

「まぁ余り深く考えても仕方ないので気にしないで下さい、真由美さんが悪いんじゃなくて、世の中が悪い、そう考えましょ!」

 

「ごめんなさい…」

 

「俺は謝られるような事を真由美さんからされた訳じゃありません」

 

「…でも」

 

「だったら今度俺に上手い海鮮料理を奢って下さい!」

 

「え!?」

 

「おれ、魚介類が好きなんで!期待してます!はい、この話終わり!」

 

「あ!あと当主さんに、あんまり余計な事するとうっかり命を落としちゃうぞキラッ、とでも言っといてください!」

 

これが、冗談で済めばいいけどね…

 

「フフフ、分かったわ」

 

「そうそう、笑ってた方がいいっすよ辛気臭いの似合わないから!」

 

「ありがとう、じゃあ私は部屋に戻るわ!何かあったら呼んでね」

 

「はい、お休みなさい」

 

「うん!お休みなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

特に何もなく帰って来た七草当主に挨拶をして、俺は家に帰った。

 

 

「ただいまー」

 

「お帰り迅君!お疲れ様」

 

「七草の当主に会ってしっかり挨拶してきたぞ」

 

「そうかいそりゃあ良かった」

 

「やっぱりあまり好かれてはないのな」

 

「なんか言われたかい?」

 

「いやとくには、ただ雰囲気がね…」

 

「そうか、まぁ海鮮料理食べに行こう!」

 

「そうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

七草邸…

 

「九重迅はどうだった?」

 

「…」

 

「なにか聞けたか?」

 

「ええ…彼の過去の話をちょっと」

 

「まぁ、時代が生み出した悲しい産物だよ」

 

「あと、あんまり余計な事をするとうっかり命落としちゃうぞキラって言ってたわよ」

 

「マジで?」

 

 

しばらく眠れない夜を経験する七草家当主であった




本当はもっと早く投稿したかった…

ってかやっと書き終わった…

てか、文字数が…

取り敢えず入学編終わり!




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九校戦編
12話


 

俺は今生徒指導室とかいう場所にいた

 

何故か?

 

テストの点数が良かったからだって!

 

何故?

 

知らねーよ、なんで点数良いのに指導うけんだよ…

 

そうか、あれか?2科生だからか?いやいや差別でしょ!

 

まったくもって心外だ!

 

手を抜いてるだ?

 

抜いてねーよ!

 

俺が普通にサイオン流したら壊れちゃうでしょ!

 

流せる範囲で全力全快だよ!

 

実技の成績?

 

ビリから3番目だよ…

 

しかも下の二人テストの日に休んだらしい…

 

つまり…ビリだよ!

 

筆記テスト?

 

ハッハッハー聞きたいかい?そうか聞きたいか!

 

1位でーす!

 

勉強しましたから!自分の好きな事ですもん!

 

はい!回想終わり!

 

 

「ってな感じだな!」

 

「回想なげーよ」

 

そんな事いうなよレオさん

 

「でも意外ですね、迅さんが筆記1位なんて」

 

ほのかよ、もっと褒めてくれ!

 

「迅、多分誉められてはない!」

 

雫さん、そうなのか!?

 

んな冗談はさておき

 

「俺入試の筆記テスト1位タイだぞ?」

 

「「「え!?」」」

 

「え?」

 

「意外すぎるでしょ」

 

エリカが言う

 

「お前ら失礼すぎない?」

 

「バカには見えないけど、決して良くも見えない」

 

雫さん…

 

「確かに…」

 

柴田さんまで…

 

「ボロカスだな…」

 

別にいいもん、気になんかしてないもん…はぁ…

 

「気にするな迅」

 

達也~うるうるしちゃう

 

「そういえば誤解は解けたのか?」

 

レオがニヤニヤしながら言う

 

「ああ、手を抜いていないという事は分かって貰えた、その代わり転校を進められた」

 

「!?どういうことですか?」

 

ほのかさん食い付きすぎて怖いっす

 

「四校の方が向いてるだとさ」

 

 

「ふざけてるな、1回目のテストで転校を進める先生とか教師やめた方がいいと思うぞ」

 

流石に俺も呆れた

ってかなんで俺は言われなかったんだ?

 

「なんて答えたんですか?」

 

柴田さんが不安げに聞く

 

「もちろん断った」

 

「そうだよな!」

 

レオが頷く

 

「そういえば、もうそろ九校戦だな」

 

レオが言う

 

「九校戦といえば、深雪がぼやいてたよ、準備することが多すぎると」

 

達也が連想する

 

「深雪さんは自分でも出場なさるんですよね?大変ですね」

 

柴田さんが心配そうに言う

 

「深雪なら新人戦なんて楽勝でしょ?むしろ準備の方が大変そうね」

 

エリカが言う

 

「油断はできない、今年は三校に一条の御曹司が入ったらしいから」

 

雫が表情乏しいけど、険しそうに言う

 

「ああ!一条将輝でしょ?この間見かけたわ」

 

「「は!?」」

 

「え?」

 

「どこで?」

 

雫が興奮げに聞いてくる

 

「この間、十師族の関係者を護衛したときに、その一条将輝と一条家の当主さんがいたんだよ。

かなり自信ありげに三校自慢してたから間違いないな」

 

「なんかサラッと凄いこと言われた気がする…」

 

エリカが呆れぎみに言う

 

「それにしても雫詳しいな」

 

「雫はモノリスコードが好きで毎年見に行ってるんですよ」

 

ほのかが答える

 

「へー、じゃあ今年は観戦だけじゃなくて、自分も九校戦出れて楽しみだろ?」

 

「うん!」

 

本当に楽しみのようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜…

 

「これから深雪君と達也君が家にくるよ!」

 

「へー何しに来んの?」

 

「深雪君の九校戦出場が内定したらしくてね、その為のトレーニングだよ」

 

「なるほどね」

 

「そこでね…ヒソヒソ」

 

「ほほう、面白そうだなニヤニヤ」

 

俺ら親子揃って大分邪悪な笑みを浮かべていたことだろう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今妹の九校戦出場内定に伴い、師匠にトレーニングをしてもらうためにバイクで九重寺に来ていた…

 

この時間、師匠は門弟に暗闇稽古をしてるはず、門の外からも若干だが気配を感じる

 

俺は邪魔にならないように、古びた引き戸をゆっくり開けた…

 

ヒュン…

 

音とともに手裏剣が飛来した、それを防弾防刃グラブで打ち払い、ツナギに仕込んでおいた鉛玉を投げ返す。

弾き玉という暗器を使った技だ。

 

手応えは全くなかった

 

「弾き玉はあまり上達してないようだね。魔法があるからと安心せずに、飛び道具も練習しなきゃ。でも、手裏剣を掴み取らず払い落としたのは的確な判断だよ、達也君」

 

気配は無く、声だけが聞こえた

 

俺は声が聞こえた正面奥にではなく、右横の壁に向かって再度鉛玉を投擲した

 

「うひょっ!?」

 

気の抜けた悲鳴とともに気配が波紋のように広がる

 

俺はとっさに、深雪を抱いて後ろへ跳んだ

 

間一髪、妹を庇う背中の紙一重を、上から下へ、天上から急降下した黒い剣風が疾り抜けた。

 

片足で素早くステップし、表面を全て黒く塗り潰した木刀を踏みつける。

 

引き抜いて二の太刀を放とうとしていた師匠は、びくともしない獲物に諦め手を離そうとした…

 

次の瞬間、あり得ない程の殺気が背中を走り、木刀を踏んだまんま後ろを振り向く。

 

そこには何もなく、後ろから知った声がする。

 

「ダメだろ達也~、お姫様はちゃんと守らないと!」

 

俺はハッとし、手に抱えているはずの深雪を見ると、そこには見知らぬ人形(族に言うダッチワイフ)を大事そうに抱えていた

 

恐る恐る声のした方に目を向けるとそこには、左手で深雪の肩を抱え、右手でハゲとハイタッチしているバカ野郎がいた。

深雪の方は何が起きたのか全く理解出来てないようだった

 

「達也君、いったいっフフ何を抱えてっフフフいるんだい?」

 

師匠が笑いを堪えきれていない…

 

「こっこれは…」

 

「達也~勝ちを確信したな?戦場では何が起こるか分からないんだ、その心の持ちようが決定的な隙を生んでしまうんだよキラッ」

 

(こんのクソ坊主どもがぁあ!!)(注意、迅君は禿げてません)

 

「もう、二人ともお止め下さい!それとお兄様は、その大事そうに抱えてるお人形についてあとでゆっくりお話ししましょうね!」

 

深雪…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「楽しかった」

 

「…」

 

「そんなに怒るなよ達也」

 

「いい経験になったんじゃないかい?」

 

「まぁそうですね…」

 

複雑そうな顔をしている

 

そんな中深雪は黙々と親父の鬼火を追いかけている

 

すると…

 

「誰だ」

 

達也がいきり立つ

 

「遥君じゃないか~」

 

親父が言う

 

「師匠はともかく、達也君にまで気づかれるなんて、私の技が衰えているのかしら?」

 

「そんなことねーよ」

 

「きゃっ!?」

 

「ダメだろ迅君、お客様を驚かしちゃ」

 

「もうお客って感じじゃねーだろ…」

 

俺は遥ちゃんの背後から声をかけた

 

「迅君か、びっくりさせないで下さい!それともここでは先生とお呼びしたほうがいいかしら?」

 

ニヤニヤしながら聞いてくる

 

「迅でいいよ」

 

「どういうことですか小野先生?」

 

深雪が怪訝そうに問う

 

「私は戦闘技術に関しては迅君に教えて貰ってたのよ。例えば…」

 

キッ

 

「こんな風にね」

 

遥ちゃんがいきなり達也の背後に現れ短刀を首に宛てる

 

 

「!?」

 

「お兄様!!」

 

「さすが兄弟子、銃口を宛てられるなんて初めてよ」

 

両者ニヤっとする

 

「まったく見えませんでした…」

 

深雪が驚く

 

「そりゃあ俺が教えたからな!」

 

「確かに、さっき迅に背後を取られた感じと似ていたな」

 

この後達也と遥ちゃんの黒い会話が行われたが俺は興味無かったので深雪と遊んでた

 

 

 

「そういえば迅君、九校戦出るんでしょ?」

 

「「え!?」」

 

深雪と達也がハモった

 

「あれガチなやつだったの?」

 

ってか唐突過ぎだよ遥ちゃん…

 

「先生方の中じゃほぼ決定みたいよ?」

 

遥ちゃんが言う

 

「マジかよ…」

 

「どういうことですか?」

 

深雪が聞いてきた

 

「いや、今日の帰りに真由美さんからメール貰ってな、新人戦のモノリスコードに出てくれって言われてさ…」

 

「また、何かやらかしたのか?」

 

達也が呆れぎみに聞いてきた

 

まぁ何もやってない訳じゃないけどさ、護衛とかしたし真由美さんの

 

「いや、S級ライセンス持ってるのバレたらしい」

 

「!?」

 

「ライセンスって普通Aまでじゃないんですか?」

 

「いや、Sはあまり知られてないんだ」

 

深雪の疑問に達也が答える

 

「Aまでは主に魔法の技能が見られるんだけど、Sは純粋な戦闘能力、潜入技術、あとサバイバル検定と実務を見られる」

 

「つまり、普通はAをクリア出来る魔法師の中の更に戦闘能力が高く特別な訓練を積んだ人しか取れないんだ」

 

親父が説明する

 

「縛りが少ない代わりにハードルがやたら高いんだよ」

 

「難し過ぎて合格するどころか受ける人すらいないんだ」

 

俺と親父が言う

 

「ちなみに、ちゃっかり親父も持ってる!しかも殆どがコンピューターで合否の判定をしてるんだけど、最後に親父の審査を抜けないと合格できない」

 

「聞いただけで取れる気がしないな…」

 

「達也なら戦闘能力に関して言えば、魔法が共鳴以外に何か強力なのが他に1つでも使えれば通るな、あとはサバイバルかな」

 

「さすがにサバイバルしたことはないな…」

 

「お兄様頑張って下さい!!」

 

深雪の目がキラキラしている

 

「話を戻すと、先生の誰かが俺がライセンス持ちだって気がついて、それを真由美さんに言ったらしいんだわ…」

 

「いつ取ったんだ?」

 

達也が聞く

 

「一年半前!護衛の任務手伝う為に取った!」

 

「確かに、ライセンスとか目に見えて分かる物が無いと護衛される側も嫌ですもんね」

 

深雪が頷く

 

「詳しい話は後日生徒会長からされると思うわ!迅君頑張ってね!」

 

ありがとう遥ちゃん…はぁ…

 

こうして迅君の九校戦出場が決定

 

 




なんかめっちゃ早く書けたので投稿です

迅君と八雲さんの暗闇攻撃とか…


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13話

すいませんめっちゃ遅れて

2、3日で投稿するとか言ってる奴がいましたけど全然無理でしたね…

仕事に追われてました…


「オラオラどけー!!」

 

そう言いながらレオがボールに突っ込んでいく

 

俺らは今レッグボールって言うフットサルが進化したようなスポーツをやっている。

魔法科高校でも普通に体育の授業は存在するのだ。

 

試合はわりと白熱していた

 

相手にはレオと達也がいるのだが、なかなかどうして二人とも上手い

 

レオが中央へパス。それに達也が素早く反応しディフェンスとディフェンスの間をトラップで抜き去る。

 

「ヤバイ!!」

 

俺がそう言った時には既に一人ディフェンスに行っていた。吉田幹比古だ。

 

いくらディフェンスを抜き去ったとは言ってもトラップで、しかも二人躱していたので体勢はあまり良くなかった。

そこに吉田の鋭いチェックで達也はたまらずサイドにボールを出すが…

 

「あまし!!」

 

吉田がしっかりパスコースを切っていたのでここは楽々インターセプト。

 

「くっ!」

 

しかし達也も切り替えが早く、すぐさまプレスに来る。

 

それを見越して無理せずボールを戻し、ディフェンスラインで回し仕切り直す。

 

「くっそ~やるな」

 

レオが楽しそうに言う

 

「ああ、迅はもちろんだが、あの吉田がかなりやり手だ。プレスも早いし何より周りが良く見えている」

 

達也も驚いている。

 

正直俺もかなり驚いている。

 

俺や達也、レオと遜色ない動きをする。

 

そうこう言ってる間に右サイドからパスを受けセンターサークルの右側付近で吉田がボールを持つ。

 

緩いドリブルでルックアップ。

 

相手のディフェンスが二枚プレスに行く。一枚はレオだ

 

「やらせねぇぞ!」

 

レオが闘争心むき出しに迫る

 

ここで凄いのが、レッグボールで使われるボールは反発力が高くとてもドリブルしにくいのだ。それを足元も見ずにドリブルする吉田の技術の高さが垣間見える。

 

レオがボールに足を伸ばす瞬間吉田はパスを出す。

 

レオともう一人迫っていたディフェンスの間を通す左サイドから走り込む俺へのスルーパス。

 

ボールはセンターサークル付近から放たれディフェンスの間を抜けペナルティエリアに侵入。

 

達也が俺にマンツーで付いて来る。

 

「簡単にはやらせん!」

 

俺のダッシュについてこれるのは達也位だもんな

 

「いいや、俺の勝ちだ!」

 

俺はそのボールを左足でトラップすると見せかけスルー。

 

左足を抜けたボールを股を通り抜ける前に右足のインサイドで少し触り、ボールの軌道を変える。

 

軌道の変わったボールはそのまま左のゴールポストを触りゴールに入る。キーパーは動けない。

 

その瞬間周りから歓声があがる

 

俺は走ってきた吉田とハイタッチをかわす。

 

「ナイッシュー九重君!」

 

吉田が笑いながら言う

 

「いやいや俺は殆ど何もやってねーよ。ナイスパス吉田!」

 

「やられたよ迅、まさかトラップじゃなくて流し入れるなんてな」

 

達也が悔しそうに言ってきた

 

「駆け引きだよ達也」

 

俺も笑いながら返す

 

「それにしてもスゲーパスだったな」

 

レオも寄ってきた

 

「そうだな、ここしかないって言うような絶妙なパスだったな」

 

達也も言う

 

「あれに追い付ける九重君と司波君も大概だと思うよ」

 

吉田が苦笑いしながら言う

 

「それと、僕の事は幹比古と呼んでくれ。名字で呼ばれるのは好きではないんだ」

 

「了解!俺の事はレオと呼んでくれ」

 

「では、俺も幹比古と呼ばせてもらおう。もちろん俺の事は達也と呼んでもらってかまわない」

 

「よろしく幹比古!俺の事は好きに呼んでくれ」

 

「OKレオ、達也、迅!」

 

この後エリカと美月が乱入し、エリカが履いていた今時珍しいブルマの話や、幹比古がエリカと幼馴染みなどの話をしていたが、あまりにもいじり倒されていた幹比古を案じて達也がそれとなくエリカを退場させた。

 

「悪かったね気を使わせちゃって」

 

「余計なお世話だったかもしれないがな」

 

幹比古が言い達也が答える

 

「まぁ今は一応授業中だからな間違ってないだろ」

 

俺がそういうと

 

「それにしても達也は落ち着いてるね」

 

「いきなりなんの事だ?」

 

幹比古の言葉に達也が困惑気味に返す

 

「何って…」

 

幹比古もあまりちゃんと考えてなかったらしい

 

「えーと、ほらエリカのあの格好を見ても少しも動じてる様子がなかったし」

 

「…いきなりで驚いたことには驚いたが、動揺するほどの露出度じゃなかっただろ?水着やレオタードよりは大人しいとおもうぞ?」

 

幹比古も何言ってんだと思ったけどこいつも大概だな…

 

「水着やレオタードよりも地味だから平気だ、ってのも何か違う気がするんだが」

 

確かに、レオの指摘はもっともだ

 

「枯れてるね達也」

 

「枯れてるんじゃなくて、達也の場合採点が辛すぎるんだよな。あんだけ美少女な妹がいりゃ大抵の女には興味が湧かないんだろ」

 

「ふむふむ、なるほど。達也は深雪のレオタードや水着姿を見慣れてると…」

 

「「え!?」」

 

「迅、塵になりたいのか?」

 

「まぁ、達也は深雪よりダッチワイフのが大切らしいけど」

 

「「え!?」」

 

「あ!ちなみにコレがそんときの写メね」

 

俺はこの間の俺ん家での達也の珍プレーを見せた

 

「な?凄い大切そうに抱いてるだろ?」

 

「ほんとだ…」

 

「確かに…」

 

レオと幹比古が信じられないと言うような顔をしている

 

俺はニヤニヤしながら達也を見ると…

 

「迅遺言はあるか?」

 

そこには般若が立ってた

 

 

 

 

 

 

「確かに入学式の時に見たけど、見とれるって言うよりびっくりしたよ、あんな綺麗な女の子実在するんだって」

 

「お?かわいい妹が狙われてるぜ?兄貴からしたらどうよ?」

 

幹比古をレオがちゃかす

 

「よしてよ、そんなんじゃないって。ただ話すだけならともかく、それ以上の関係なんて考えただけで怖じ気づいちゃうって。彼女にするならもっと気楽に付き合える相手がいいな」

 

幹比古の言葉にレオがわざとらしく深く頷く

 

「そうだよな、まぁそれでなくても彼女は難攻不落のブラコンっぽいし、付き合う為には無敵のシスコン兄貴を突破せにゃならんし…ハードルがたけーな」

 

レオが肩を竦めて言う

 

「たしかにこのシスコン軍曹、妹が彼氏とか連れてきたらいきなり、「私の戦闘力は53万です」とか言いながら彼氏虐殺しそうだもんな」

 

「深雪が迅みたいなのを連れてきたら敷居を跨ぐ前に塵も残さず消滅させるかもな」

 

「…こえーよ…」

 

マジな殺気でてっから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼、何故か俺は生徒会室で生徒会メンバーに達也と渡辺先輩を混ぜた中にいた

 

生徒会長の真由美さんが盛大に愚痴りまくっていた

 

「あのーなんで俺は呼ばれたんですかね?」

 

「何でって、迅君も九校戦にでるじゃない?だからそれについて色々聞こうかと思って」

 

なんで出る予定なんだよ…

 

「俺はまだ何の返事もしてないしそもそも詳細も聞いてないんですけど…」

 

「出てくれないの?」

 

真由美さん、そんなにうるうるしながら上目遣いで見んじゃねーよ断れないだろうが!

 

「まぁ、先生方の方でもそうなっているって聞いたので断りはしないですけど、何が聞きたいんですか?」

 

僕は諦めました色々と…

 

「迅君のCADの事とか、ライセンスの事とか…」

 

「ああ、メカニックはいらないっす!ライセンスは説明面倒なんで、自分で調べるかそこにいる達也に聞いてください」

 

食い気味に答える

 

「うー」

 

期待していた返答ではなかったのか、真由美さんが唸る…可愛いじゃないか

 

この後渡辺先輩が自分のCADを自分で調整できないとか、市原先輩が技術スタッフを断ったりと何だか色々悩んでいるようだったのだが、達也が立ち上がろうとしていたので、逃がさない為に言ってやった

 

「なんで皆でそんなに悩んでんすか?」

 

「悩むに決まってるじゃない!技術スタッフは大事なのよ?」

 

「だから一緒に飯食ってる中にもいるじゃないですか技術スタッフにふさわしい奴がそこに」

 

俺は達也をニヤニヤしながら指先した

 

達也が恨めしそうに俺を睨み付ける

 

ざまぁみろ!道づれにしてやる!

 

「確かに司波君ならいいんじゃないですか?」

 

これはびっくり、中条先輩が食いついた

 

「深雪さんのCADは司波君が調整しているそうです。1度見せて貰いましたが、一流クラフトマンに勝るとも劣らない仕上がりでした」

 

真由美さんがいきなりガバッと起き上がり言った

 

「盲点だったわ…」

 

と。

 

「うっかりしていた…委員会の備品もコイツが調整していたな。自分しか使ってないから思い至らなかったが」

 

達也も反抗するが深雪の一撃で撃沈。

 

放課後達也をメカニックに入れるか否かを決めることになった

 

ドンマイ達也!

 

 

 




こんなに間が空いたのに全然進まんかった泣

まだちょっと仕事忙しいので、週1回投稿できるようには頑張ります!


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14話

お気に入りがあとちょっとで400…

評価が黄色からオレンジになった…

なにが言いたいかと言うと、こんな下手くそな文書読んでくれてありがとうございます!


 

「おはよう九重、聞いたぞ!がんばれよ!」

 

「司波君がんばって!」

 

「おはようございます、司波君応援してますよ!」

 

「オッス九重、気張れよ!」

 

月曜日、俺は教室に着くなり達也と一緒にめっちゃ激励されてた。

 

最初は何の事か分かんなく、エリカに何コレ?

っと聞いたら

 

「あんた九校戦出るんでしょ?その事以外になんかあるの?」

 

っとジト目で言われた

 

そんときはそうか!となったのだが

 

「なんでもう皆知ってんの」

 

「分からん」

 

達也もびっくりしているようだ

 

達也も先週の放課後に選定会議にてエンジニア入りが決まった

 

あの服部先輩が太鼓判を押したらしい

 

「情報がはえーな」

 

レオが言う

 

「確か今日が正式発表じゃなかったっけ?」

 

「ああ」

 

エリカが首を傾げながら聞いたのに対して達也は冴えない顔で答える

 

「5限目が全校集会に変更されてましたよね?」

 

「そうらしいな」

 

美月の問いに俺が端末を見ながら答える

 

「発足式に達也さんと迅さんも出るんでしょ?」

 

「yes」

 

美月の質問に達也は頷き、俺は答えた。達也は浮かない顔をしている

 

「確かエンジニアって一年からは達也だけなんだよな?」

 

レオが聞く

 

そうなのだ。選手は新人戦があるため一年からも出るのだが、エンジニアはそういうわけではないので、一年からは達也だけなのだ。

 

「迅君も2科の中じゃ一人だけだよね?」

 

エリカに頷く

 

もちろん2科の中からじゃ3学年全部合わせても俺一人なのだ

 

「1科の奴らはスゲー悔しそうだったな」

 

レオの言葉に達也が胃が痛いと言わんばかりにため息をついた

 

「達也、諦めろ。俺も同じようなもんだからさ。重荷は半分持ってやるよ」

 

「ああ、そうだな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4時限目終了後…

 

「「何コレ?」」

 

講堂の舞台裏で達也はブルゾンを、俺はスポーツジャケットのような物を深雪から手渡されていた

 

達也は何だかわかっていたらしいが、俺は正直良く分かんなかった

 

「達也君のは技術スタッフのユニフォーム、迅君のは選手用のユニフォームよ。発足式では制服の代わりにそれを着てね」

 

真由美さんから回答が返ってきた

 

達也は深雪に、俺は真由美さんに着せて貰ったのだが…

 

「おい!ちょっと待て!」

 

達也と深雪が俺のその一言でこっちを見たのだが、達也は直ぐに目を反らし、深雪は驚いていた

 

「どう考えてもサイズ合ってないだろ」

 

目の前で真由美さんが笑ってる。笑っていると言うより腹抱えて爆笑している。

 

笑ってんじゃねーよ…

 

今の俺はピッチピチのジャケットを着たムチムチのヤバイ奴になっていた。ボタンが今にもはち切れそうになっていた。

 

「それにしても迅君意外と体格良いのね」

 

俺の真っ正直で真由美さんがまじまじと俺の胸や二の腕を見ていた

 

そのままボーッとしながら人差し指で俺の胸筋に触れた

 

「何してんの真由美さん?」

 

「え…え!?あれ?」

 

何やらめっちゃ顔を赤くしてわたわたしている。それを見て俺は心の中でニヤっとした。少し仕返ししてやろう。

 

「なんで胸触ったんすか?」

 

ズイッと近づき、真由美さんの顎をくいっと持ち上げ、自分の顔を近づけ、口の端を悪そうに持ち上げニヤっとしながら言うと

 

「あわわわ…」

 

あわわわなんて言う奴初めて見たぞ…テンパりすぎじゃない?

 

「迅君なんかもう知らない!!」

 

そう言い俺を突飛ばし走って行ってしまった

 

「迅、やりすぎだ…」

 

「迅さん性格悪いですよ…」

 

司波兄妹に言われた。

日常生活でもやってそうなやつらに言われたくないわ!

 

この後発足式でボタン飛ばしてめっちゃ笑われた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八月一日…

 

この時期になると嫌でも思い出す事がある。

 

沖縄海戦…

 

最低にして最悪の記憶。

 

同時に忘れられない、忘れてはいけない記憶。

 

大切な人を亡くした悲しい記憶…

 

夢で見る過去の映像

 

 

 

「はぁ…あまりいい目覚めではないよな…」

 

俺は独りつぶやきベットから降りる

 

シャワーを浴び、準備を整え食堂に向かう。

 

親父が新聞を読んでいた。

 

「おはよう親父!」

 

「おはよう迅君」

 

軽く挨拶をして食事当番が作ったおにぎりを頬張る

 

「九校戦楽しみだね」

 

親父が楽しそうに言ってきた

 

「まぁそうだな、どちらかと言うと俺は出るより観戦したいんだけどな」

 

各高校の色んな魔法が見れるのだ!そんな機会はあまりない

 

「そういわずに楽しんで来なよ」

 

「まぁ折角選ばれたしな、それなりにやって来るよ」

 

「うんうん!応援してるよ!」

 

「ありがとさん」

 

そう軽い感じで話していたのだが、親父が思い出したように俺に言ってきた

 

「そう言えば、少し妙な事を聞いたんだ」

 

「なんだ?」

 

「昔から九校戦っていうのは裏で賭博の対象になってるんだよ。マフィアや政治家、裏に関係する者でわりと大々的に進行されているんだ」

 

「へぇー」

 

まぁ考えてみればそうだろう。

 

競い合って、明確な順位が付くのだ、賭博の対象になっていてもおかしくはないだろう。

 

「今年の本命は去年、一昨年優勝している第一高校なんだけどね、毎年その賭博の中心になっているあるマフィアが今回本命を外して大金を賭けているらしいんだ」

 

「ただの大穴狙いじゃないのか?」

 

「そのマフィアなんだけど、上納金のノルマが結構厳しいマフィアなんだ。その上わざわざ大金を大穴に賭けている。おまけに今マフィアどうしで大きめな取引の最中らしくてね。臭いとは思わないかい?」

 

そう言われればそうだけどさ…

 

「確かになんかありそうだけど、あまりにも魂胆が見えすぎてない?仮にそれで九校戦で何かあったら、「私たちがイカサマしました」って言ってるようなもんだぞ?」

 

「相手はマフィアだからね、やるなら勿論何かバレないよう細工してくるだろうね」

 

確かに、ノルマがキツイ上に取引があるのだ。普通なら大穴に大金など賭けない。

 

何かあると見るのが自然だな。

 

「まぁ一応警戒はしとくよ」

 

「うん!こっちでももう少し調べとくから何かあったら連絡するよ」

 

親父が言う

 

「了解」

 

「九校戦は君たち生徒以外に一般の観客も大勢来るからね。何かあったら手段は選ばなくていい。その代わり秘密裏に頼むよ。」

 

親父がここまで言うからには何かあるんだろう。

 

はぁ…忙しくなりそうだ…

 

「はいよ。んじゃ、俺はそろそろ行くわ」

 

「うん!がんばってね!」

 

「おう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはようさん達也!」

 

「おはよう迅早いな、ってお前格好がヤル気無さすぎだろ…甚平って…」

 

「そうか?格好は何でも良いって言ってたからな!家だと基本は甚平だし、楽なんだよ」

 

今の俺の格好は紺の甚平に下駄というなんとも夏っぽい楽な服装。ダル着というやつだな。

 

「そうか」

 

「俺は取り敢えずバス乗って荷物おいて来るわ。そしたら代わるから達也も少しは涼んでこいよ」

 

いくらなんでもこの炎天下に一人だけ外で乗車確認はかわいそすぎる

 

「悪いな、それならよろしく頼む」

 

「おう!10分置きに交代な!」

 

「了解」

 

俺はバスに乗り込む。

 

一番最初に渡辺先輩に話しかけられた

 

「おいおい、いくらなんでも甚平はヤル気無さすぎだろ」

 

何コレデジャヴ?

 

「それ、外の達也にも言われましたよ」

 

「そりゃそうだ、それにしても似合ってるな…まったく違和感がない」

 

「まぁ、家だとこの格好でゴロゴロしてますからね」

 

そう言い俺は後ろの方の席の窓際に座り荷物を置きまた外に出る

 

 

 

 

 

 

しばらくして、来てないのは真由美さんだけとなった。

 

どうやら家の用事らしい。

 

乗車確認の仕事は、残り一人なので達也があとはやるというので任せて俺はバスの座席に座っていた。

 

しかし、なぜか俺の席の隣はずーっと空いている。

 

誰も座りたがらないのだ…解せぬ

 

「皆ごめんなさい遅くなってしまって」

 

どうやら残り一人が来たようだ

 

その人はキョロキョロし、俺と目が合うとニコッとし、俺の横にやって来た。そしてやっぱり俺の格好を見てびっくりしていた。

 

「凶悪なほど似合ってるわね…」

 

「ありがとうございます。真由美さんもお洋服とっても

似合ってますよ」

 

ニコッとしながら言うと真由美さんは嬉しそうにありがとうと言い隣に腰を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

バスは出発し、真由美さんのちょっかいを軽く流しながら外をボケーっと眺めていた。

 

入道雲がスゲーなーなんて考えながら何となく、向こうから走ってくる車に目が着いた。

 

端からみたら何のへんてつもない車なのだが、背中に冷たい物が走った…その瞬間、その車は横転しそうに火花を散らしながら滑り始めた。

 

バス内の誰かが

「危ない!!」

と叫ぶ。

 

向こうの車線だったので、その時はあまり騒ぎになってなかったのだが、ガードレールにぶつかり、あろうことか飛び越えこちらに突っ込んできた。

 

「はぁ…マジかよ…」

 

思わずそんな気の抜けるような一言が出てしまう

 

バスの中は阿鼻叫喚。

 

「ぶっ飛べ」

 

「消えろ」

 

「止まって」

 

魔法が一斉に発動され、キャストジャミングのようになってしまう。

 

「よいしょ」

 

「な…何してるの迅君!?」

 

俺は止まっているバスの窓を開け屋根に登ろうとしていた。

 

「安心してください、ただの人助けですよ」

 

やさしく柔らかい声音でそう答える。

 

「あ!深雪消火よろしく!」

 

そう言い俺は迫ってくる車に向かって大ジャンプ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「深雪消火よろしく!」

 

見知った声が私に言った。

 

確認することも出来ないような状況でも私は焦ったりなどしなかった。

 

前に自分が油断し、殺されそうになった時とは違い今は思考する余裕があるのだ。

 

それに、今この場にはこの状況に対して即座に対処できる魔法師が二人もいる。一人は別の車だけど…

 

私は私の役割を全うするために、魔法の準備をする。

 

次の瞬間車の上空から小太刀が降ってきて車に刺さる。

 

ほぼ同時に人が降ってきた。

 

刺さった小太刀の上に着地し…

 

ドゴォォンバチチチチ…バチ

 

と言う何かが潰れるような重い音と、雷が落ちたかのような凄まじい音が同時にし、車が半分潰れ止まっていた。

 

小太刀の上でクルっと回りこっちを向きニコッとしながら彼は言った

 

「後よろしく!」

 

私は準備していた魔法を展開し燃えていた車体を消火した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「助かったわ迅君!ありがとう!」

 

「ああ、本当に助かった」

 

バスに戻った俺を真由美さんと渡辺先輩が出迎えてくれた。

 

「まぁあの中じゃ魔法の行使は難しいっすからね。たまたま2科生の俺が役に立ったってだけっすよ。適材適所ってヤツっすね。褒めるならあの中で冷静に対処した深雪と市原先輩を褒めるべきですね。」

 

「リンちゃん?」

 

真由美さんが首を傾げながら聞く

 

「バス止めたの市原先輩っすよね?」

 

俺は市原先輩の方を見て尋ねる。

 

「よく気がつきましたね」

 

市原先輩が無表情に答える

 

「一番最初に動き出してましたからね。多分深雪も気がついてたんじゃない?大分冷静だったし。」

 

いつぞやに比べて遥かに冷静で、尚且つしっかりやり遂げていた。

 

「そうですね、市原先輩や渡辺先輩の迅速な対応のお陰で冷静に対処出来ました。ありがとうございます」

 

深雪が綺麗なお辞儀をする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、何事もなく会場に着いた。バスを降たのだが、雫がなんだか元気がない

 

「どうしたん雫?」

 

複雑な顔をしていた

 

「何もできなかった。それどころか皆の邪魔をしちゃった」

 

「ああ、さっきのね。あんまり気にすることないんじゃないの?森崎も雫もちゃんと対応できてたじゃん!ちょっと適切じゃなかったってだけでしょ。」

 

反応出来ただけ優秀だ

 

「でも…」

 

「良い経験が出来たと思えばいいじゃん!別に誰か怪我したわけでもないしな。前に深雪にも言ったけど、あんなのは滅多にある訳じゃないんだ。死んでたら次はないんだ、ラッキーって思った方が良い」

 

でないと疲れちまう

 

「うんそうする」

 

「よし!九校戦頑張ろうぜ!」

 

「うん!」

 

何も起こらないわけないよなぁ

 

なんて考えながら俺はホテルの中に入って行く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




なんかくっそ長くなってしまった…


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15話

お気に入りが400越えた!!

UA40000越えた!!

皆様ありがとうございます!!

今回の話はあまり山場が無いうえにあまり進まないです…


「懇親会?」

 

「九校戦に出場する選手たちの立食パーティーだよ」

 

俺は今たまたま出くわしたエリカに説明を受けていた。

 

なんでもエリカ、幹比古、美月、レオはホテルでのバイトで来ているらしい。

 

「それって甚平で出てもいいのかな?」

 

「ダメです」

 

深雪にバッサリ切り捨てられた。

 

「各校制服が義務づけられている」

 

達也が呆れた顔で説明する。

 

「本当に何もしらないのね…」

 

エリカも呆れる

 

「興味無かったからな~」

 

本当は興味が無かったわけではない。

 

九校戦という物があるとは知ってたし、何をするのかも知っていた。

 

ただ自分が出ることなんて未来永劫ないと思っていたから自然と興味がなくなったということだ。

 

「興味が無かったんじゃなくて、お前の場合説明を受けてる時寝てただろ…」

 

達也が呆れきっていた

 

「んで?その懇親会ってのは出なくてもいいのか?」

 

「原則は参加ですよ」

 

深雪が答える。

 

「なんか俺とか変に目立ちそうだからでないほうが無難かと。まぁ達也はシスコンだから深雪に変な虫がつかないように出るんだろうけどさ」

 

他の学校は2科生から九校戦に出てるヤツなんていないだろうからな。

 

技術スタッフの達也は紋章着きの制服を借りていたが、選手の俺はわざわざ借りるのは面倒臭かったので普通にいつも通り自分の制服なのだ。

 

絶対悪目立ちする。

 

それでなくても、何かあったら秘密裏に処理しないといけないのだ。

目立って何も出来ませんでしたなんて笑えない。

 

「でも、迅も選ばれて2科生でも九校戦に出るんだからそんなの気にしなくていいじゃないの?」

 

エリカが言う

 

「そうですよ。お兄さまもそうですけど、気にしちゃダメです!二人ともとっても強いんですから!」

 

深雪がそう言う

 

なんだかコイツのブラコン俺にも飛び火してない?

俺あなたのお兄さまじゃないお?

 

「わかったよサボらず出るよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい懇親会。

 

「九校戦に出る奴ってこんなにいんの!?」

 

俺はその人の多さにびっくりした。

 

「全部で300~400人ほどだよ」

 

隣にいた雫が答えてくれた。

 

「へぇーこんだけいたら俺もそんなに目立たないか」

 

ひそひそ、ひそひそ

 

俺の周りのやつらがこっち見てめっちゃひそひそしている

 

「俺めっちゃ目立ってるね」

 

やはり2科生は嫌でも目立つらしい

 

「そうだね」

 

雫も頷く

 

キョロキョロしていたら、達也を発見…

 

深雪と一緒にいるせいでめっちゃ目立ってた。

 

なんなら俺より数倍は目立っていた。

 

周りの奴等は深雪に話しかけたいが、隣に達也が立ってるために誰も踏み出せないでいる。

 

「あいつは番犬かよ…」

 

「でも、深雪も満更じゃなさそう」

 

雫が深雪を見てそう言う。

 

「雫はほのかとか深雪の所に行かなくていいのか?」

 

「うん、変に話しかけられるのは嫌だ」

 

「さいですか」

 

確かに俺の近くに入れば不用意に話しかけられる事はないだろうな。

 

俺は雫と二人で料理を食べながら各校の選手をボーッと眺めていた。

 

会場がいきなり暗くなり、マイクを持った司会のような人が壇上横に現れた。

 

どうやら九島烈が出てくるらしい。

 

壇上が明るくなり、九島烈の代わりにパーティードレスを着た美女が現れた。

 

正確に言うと九島烈はいるのだが、美女が目立ち過ぎて九島烈が隠れてしまっている。

 

「まぁトリックスター言われているだけはあるって事なのかな?」

 

「どういうこと?」

 

雫がぽかーんとしている。なんだか可愛いマスコットキャラみたいだ。

 

「まぁ、目を凝らして良く見てみな」

 

そう俺が言うと、雫は真剣な顔をして壇上を見る

 

「あ!」

 

「わかったか?」

 

「うん!いた!」

 

「まぁ簡単な意識を誘導する魔法だよ。魔法の中でもかなり弱い部類に入るけど。」

 

九島烈は、そんな弱い魔法で会場皆の目を欺いたのだ。

 

並みの事ではない。

 

「きっと九島さんは、大きくて目立つ華やかな魔法もいいけど、目立たない魔法でも思考を凝らし、使い方しだいでこの会場の皆を出し抜くこともできる。だからもっと腕を磨けよって言いたいんだと思うよ!」

 

「なるほど」

 

雫は良いものが見れたと言わんばかりに機嫌が良さそうだった。

 

この後、九島烈が俺が雫に言ったような内容をもっと丁寧に、会場の皆に説いていた。

 

話が終わり、九島烈がお辞儀をした。

 

顔を上げたとき不意に目が合った。

 

九島烈はニッと一瞬笑い壇上を降りていった。

 

バレた…後であいさつしに行かなきゃな

 

そう心の中で誓った

 

そのあと宛もなくぷらぷらしていたら雫が

 

「ちょっとトイレ言ってくる」

 

と言った。ちょうどいい。

 

「了解」

 

雫はトテテテと小走りで去っていった。

 

俺は気配を消し、自分の今できる最大の穏形をした。

 

ターゲットに背後から近づき声をかけようとした時…

 

「久しぶりだね迅」

 

「マジかよ爺さん。俺の全力だったんだけどな。まだまだ上を目指せるってことか…」

 

ゲームとかだったら穏形レベルカンストしてると思ってたんだけどな。

 

そうではないらしい。

 

「それ以上になりたいと?」

 

「そういうわけじゃないけどさ、目指す事が出来るってことだよ。」

 

「そうかい。八雲殿は元気かい?」

 

「ああ、こっちが引くほど元気だ。」

 

あれでジジイとかどんな悪夢だよ…

 

「カッカッカッそうかいそうかい。何よりだな。」

 

「まぁな。」

 

俺とこの九島烈は知り合いだ。

 

俺の親父、九重八雲が俺の事を引き取ると言った時、唯一賛成をした人だった。

 

「どうやら、お前さんもこの九校戦に出るそうじゃないか」

 

「ああ、成り行きでな。」

 

「今年の九校戦はたのしみだな」

 

「お眼鏡にかなったヤツでもいるのか?」

 

「おお!お前さんと一緒の第一高校の一年生じゃ。」

 

「男?女?」

 

「そう言えば兄妹みたいだったな」

 

ああ、一瞬で誰だか分かってしまった…

 

やっぱ達也もスゲーな爺さんに目を付けられるとは。

 

「ああ、一瞬で誰だかわかったわ」

 

「そうかい、おや?あの子お前さんの隣にいたこじゃないか?」

 

そう言われそっちを見ると雫が他の学校の奴等に集られていた。

 

「そうだな、困ってそうだから俺は行くよ」

 

「そうかい、競技頑張れよ応援してるぞ」

 

「ありがとさん。あと、もしかしたらこの九校戦中に爺さんの力を借りることがあるかもわからん。」

 

「ああ、小耳に挟んでおる、お前さんも大変だな。」

 

さすが、情報が早いな

 

「まぁな、しょうがないさ」

 

「そうか、好きに頼ってくれてかまわん」

 

「サンキュー、じゃ!」

 

そういい俺は雫の元へ向かう。

 

 

 

 

「迅君!」

 

目指している方とは別の方向からそう声をかけられそちらに目を向けると、焦った顔をしながら真由美さんが小走りでこっちに来た。

 

「どうしました?」

 

何となく切羽詰まった顔をしているのであまり良い事ではないのだろう。

 

「ちょっとお願いがあるの!」

 

「ちょっと待って下さい。雫が困ってそうなのでそのあとでもいいですか?」

 

「わかったわ」

 

そういい俺はまた雫の元へ向かう。

 

 

 

 

「迅どこ行ってたの?」

 

少し機嫌が良くないみたいだ…

 

「悪いな少し挨拶にな」

 

「そっか」

 

どうやら怒ってはないらしい

 

「この後会長にも呼ばれてるんだよな…」

 

「なにかやらかしたの?」

 

「ちげーよ多分」

 

何で皆すぐ俺が何かやらかしたと思うの?

 

そんな問題児じゃないよ?

 

「そっか私も行って良いかな?」

 

「いいんじゃないか?」

 

そういい二人で向かうことになった。

 

 

 

 

 

 

 

「真由美さん来ましたよ」

 

「失礼します」

 

俺と雫が指定された部屋に入るとそこには十文字先輩と渡辺先輩、市原先輩がいた。皆一様に険しい顔だ。

 

ってか勢揃いかよ…なんか嫌な予感しかしない。

 

「さて、九重ここに呼んだのはわけがある。」

 

渡辺先輩が切り出した

 

「なんでしょう?」

 

そう俺が聞くと

 

「率直に言う!」

 

今度は十文字先輩だ。

 

「迅君新人戦のクラウドボールに出てほしいの」

 

最後は真由美さん。なんかやたらと息があってたな…

 

「なんでですか?」

 

「男子の新人戦クラウドボールに出るはずだった子が、会場入りしたあと少し練習していたみたいなんだけど、そこで怪我をしてしまって代わりに迅君に出てほしいの。」

 

「練習場は他の学校の貸しきりでは?」

 

「自主連だったそうだ。アップやストレッチのために少しだけスペースがある。そこは他校も共同のスペースなんだが、少し接触があったみたいでな。事故だよ。」

 

渡辺先輩がそう続けた。

 

「そうですか…他の人は出れないんすか?」

 

「みんなクラウドボールの準備をしてないんです」

 

市原先輩が言う。

 

「俺なら普通のCADを使わないからその準備が必用ないからですかね?」

 

「そう言うことだな。それにお前なら技術スタッフも必用ないからな。」

 

渡辺先輩が頷く。

 

正直言うと出たくないです…

 

ふと隣を見ると雫が目を輝かせていた。

 

なんで輝いてるんですか…?

 

「迅なら行ける!」

 

ものすごい勢いで加勢されてしまった。

 

取りつく島はなさそうだな…

 

「まぁ、断れる雰囲気ではなさそうですね…他の選手からの苦言はそちらで対応してくださいね。あと、1つ御願いがあります。」

 

「苦言が出るとは思えないけど、任せて。それよりお願いってなに?」

 

真由美さんが言う

 

「クラウドボールに出る一校の全選手と試合させてください。あと、使う魔法やプレースタイルも内緒で、ようは、俺に前情報なしの状態で試合させてください。」

 

このお願いには流石に俺以外の5人は驚いていた。

 

「一応何故だか教えてもらえますか?」

 

「まず、今から戦術やプレーに関して口答で説明されても間違いなく間に合わないでしょう。だったら最初っからやってみて自分で考えたいので。あとは、一校自体がレベルが高いのでそれを基準にできるからですね。」

 

「そういう事なら他の選手にもお願いしておくわ。」

 

真由美さんが納得したように頷く。

 

「お願いします。」

 

 




なんかスゲー強引だったかな?

よく考えたら新人戦のモノリスまで迅君あんまり出番無いので急遽クラウドボールに出します


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16話

休みが欲しいです…

それはさておき…

お気に入り500

ありがとうござます!

これからも頑張ります!


 

「なんだかものすごい目立ちそうな事になったけど大丈夫かなぁ」

 

なんて独り言を言ってしまう位には参っていた。

 

なんか自分で難易度上げている気がするわ…

 

俺は今外を散歩していた。

 

頭を冷やしていたのだ。

 

「もうyesマンにはならん!!」

 

そう俺は気合いを入れた。

 

そこに唐突に不穏な気配がする。

 

俺は自分の気配を消し、不穏な気配がする方へ向かった。

 

そこには先客がいた。幹比古と達也だ。正確には達也はまだ出ていってない。

大方俺と一緒で不穏な気配に釣られたんだろう。

 

相手は3人のようだ。

 

「面白い組み合わせだな」

 

俺はとりあえず傍観することにした。

 

単純に幹比古の能力を知りたいってのと、達也がいれば問題はないと考えたのだ。

 

 

最悪俺が出てけば問題ないだろう。

 

ちなみに達也も俺には気がついていない。

 

「さぁて、どうなるかな?」

 

幹比古が賊3人に対して3枚の呪符を用意した。

 

「古式魔法か…」

 

賊も幹比古に気がつき銃を構える。

 

結果的に賊は幹比古の魔法で倒されたのだが、その前に達也が魔法で相手の武装を解除。

 

正直、幹比古の魔法が間に合ったかはきわどかった。

 

少し術式に無駄があるのだろう。

 

 

 

そのあと達也が幹比古に対して説教染みたアドバイスをしていたのだが…

 

「魔法を見ただけで構造が分かるって…チートかよ…そりゃ俺の幻術も破られるわ…」

 

驚きの新事実だった。

 

そのあと幹比古が警備を呼びに行ったのだが、更なる驚きが待っていた

 

「随分容赦のないアドバイスだったな特尉」

 

おいおい、達也さん軍所属だったんですか…しかも風間玄信…あの糞野郎…

 

「隠れてないで出てきたらどうだ?」

 

風間が呼び掛ける

 

「!?」

 

バレた…。今日だけで二人に俺の穏形バレるって…自信無くすわ…

 

「さすがっすねオッサン」

 

「やはりか糞ガキ」

 

出てきた俺に風間が納得したように返してきた

 

親父の一番弟子、風間には昔スゲーしごかれた。毎度毎度ボコボコにされるので、最後に組み手した時に勝って埋めてやった。そのため、この呼び方に呼ばれかただ。

 

「迅!」

 

達也が驚き、同時に戦闘体制に入った。

 

風間が手をかざし達也を止める。

 

「特尉、止しなさい」

 

「しかし…」

 

「そいつは約束と秘密は絶対に守る」

 

えらく買われてんな。まぁその通りだけどな。仕事柄、客との約束と秘密は絶対だ。

 

「そういう事だ。まさか軍所属とは驚いたよ。しかもその糞ファック野郎の下とは。それにその目…何か有るとは思ってたけど流石だなぁ」

 

俺はニタつきながら達也を煽る。

 

「盗み聞きとは関心しないな迅」

 

達也が冷静に返す

 

「一応俺は忍の息子なんだけど…」

 

まぁバレた俺が悪いな。

 

「迅もほどほどにしとけよ」

 

風間が嗜めるように言う。

 

「ハイハイ、まぁ悪かったよ達也、悪気があったわけじゃない。不穏な気配がしてやって来たら幹比古と達也がいたんだよ」

 

「そういう事か…」

 

達也が頭を抱える。

 

「本当は幹比古がどれくらい()()()か見たかったんだよ。思わぬ収穫があったけどな。勿論他言はしない。」

 

「ああ、そうしてくれ」

 

何とか矛を納めてくれた。

 

「さて、この賊たちは私に任せて、君らは戻れ。明日から九校戦だゆっくり休みなさい。」

 

んじゃお言葉に甘えますか。

 

「じゃあよろしく!」

 

俺は部屋に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

九校戦1日目…

 

今日の競技はスピードシューティングの予選から決勝までと、バトルボートの予選。

 

だったのだが…

 

「寝坊した…」

 

理由は、毎朝の鍛練や朝食当番から一時的に開放されていると言う、精神的余裕が深い眠りを誘発させたのだ、と思う…。

 

「何時だ?」

 

11時半…もう午前中の競技終わってんだろ…

 

ああ、観戦したかった…

 

まぁ午後はスピードシューティングの決勝トーナメントやるからそれを見に行くか。

 

なんて考えていると…

 

ブブブ…

 

メールが着たようだ大方達也とかがなにやってんだ?って送ってきたのだろう。

 

【迅君勝ったよ♪見てた??】

 

は?

 

俺は誰からのメールか確認せずに見たため一瞬意味がわかんなかった。

 

「真由美さんだ…しかも俺見てない…ここは正直に言うか、見たと嘘をつくか…ってかなんだよこの文面彼女か!」

 

いつもなら正直に見てないと言うのだが、起きたばかりで頭が回ってないのと、寝坊したという焦りから何故か、【見ました!】

 

と送ってしまった。

 

「嘘をついてしまった…まぁばれねぇだろハハハ」

 

そんなしょうもない独り言を言ってると…

 

ブブブ…

 

【なんで嘘つくの?】

 

「………」

 

秒でバレとるやん…

 

ヤバイヤバイこれ怒ってるよね?絶対怒ってるよね?

 

俺が(^^;)(;^^)⬅こんなんなりながらてんぱってると

 

ブブブ…

 

【ねぇなんで嘘つくの?なんでメール返してくれないの?】

 

「………」

 

お前ヤンデレかよ!!メール来てからまだ30秒位だったぞ!?

 

やべぇ…やべぇ…俺かつてない位にはテンパってる。

 

俺は腹をくくって電話することにした。

 

プルルル…プルルルガチャ…うわぁ出た…

 

「もしもし、真由美さん?」

 

 

『……』

 

あれっ?

 

「もしもし?」

 

『………』

 

あ!これヤバイやつじゃない?

 

「もしもーし!!」

 

『…なによ…』

 

よかった…喋った

 

「本当に申し訳ございませんでした!!」

 

 

この後めちゃくちゃ怒られた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう本当に迅君ったらもう!」

 

プンプンと言う音が聞こえて来そうなほどプンプンしていた。

 

「本当にすんません」

 

今俺は真由美さんと昼食を取っている。

 

嘘をついた罰として一緒に飯を食べる事になった。

 

「しかしこの後も競技なのにこんなところで飯なんか食ってて大丈夫ですか?」

 

「いいのよ、お腹減っちゃったんだから!」

 

真由美さんは美味しそうにサンドウィッチを食べながら答える。

 

「緊張感ねぇな…」

 

俺は小声で呟いた

 

「失礼ね!私も緊張位するわよ!」

 

真由美さんが頬っぺたを膨らましながら言った。あざとい…

 

「ハイハイ、まぁ応援してますよ」

 

「なんか適当な感じがする…」

 

んなこと言ってもあんたどうせ優勝するじゃん…

 

「あんまりプレッシャーかけるのはよくないでしょ?」

 

とりあえずそう言っておく。

 

「う~んまぁ良いわ。そういうことにしといてあげる!」

 

「さいですか」

 

「あ!あと明日の競技終わりに迅君の言ってたクラウドボールの練習するわよ!」

 

流石真由美さん行動が早い

 

「そうですか、無理を言ってすみません」

 

「こっちが無理矢理出てもらうようにしちゃったからね。それくらいはするわよ」

 

「ありがとうございます」

 

「どういたしまして!じゃあ私はそろそろ行くわ!ちゃんと見ててね!」

 

真由美さんは無邪気に笑いながら俺にそう言った。

 

その姿が凄く子供っぽく見え自然と微笑んでしまう。

 

「はい!分かりました!」

 

そう言い俺たちは別れた。

 

この後俺が観戦しに行ったスピードシューティングは真由美さんが圧倒的強さで優勝。

 

バトルボートも渡辺先輩が余裕で予選を勝ち上がった。

 

あと、見に行ってないが、服部先輩も勝ち上がったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

今日は俺にとって大事なクラウドボール本選の予選~決勝が行われる。

 

ここである程度の傾向や対策を立てられれば…

 

なんて受験生みたいなことを考えながら俺は、競技が行われる会場で試合を見ていた。

 

今日第一高校から出場するのは、昨日スピードシューティングを優勝した七草真由美である。

 

連日の競技で、なおかつツラいと評判のクラウドボールだが…

 

 

「勝者、第一高校七草真由美」

 

なんかめっちゃ普通にストレートで勝ましたね。

 

この調子ならこの競技も優勝するだろう。

 

 

 

本選のクラウドボールを見てだいたいどういう感じか分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今日の全競技が終わり、今から俺のクラウドボールの練習試合。

 

因みに真由美さんはクラウドボール優勝した。

 

なんかもう相手の選手可哀想だったな…

 

「本当に全員と戦うの?」

 

真由美さんが聞いてきた。

 

今ここにいるのは1年から3年までの、クラウドボールに出場する、またはした一校の選手たち。

 

つまり、一種目3人出場、プラス新人戦に出る人なので、男女合わせて11人。

 

「そのつもりですけど、時間もあまりないので2セットずつやりましょう!」

 

「分かったわ。皆怪我しないようにね。」

 

「「はい!」」

 

真由美さんの一言に皆返事を返す。

 

「とりあえず1年生からやりますか」

 

俺が言うと…

 

「じゃあ私から!」

 

確か1-B里見スバルだったかな?

 

「んじゃやりますか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果は新人戦出場の1年5人には惨敗。

 

ヒソヒソ聞こえてきた。

 

「なんだよ、わざわざ付き合ってやってんのに誰からも1セットも取れてないじゃん」

 

「コイツじゃ1勝もできないんじゃないの?」

 

「会長もヤキが回ったんじゃん?」

 

なんて聞こえてきた。

 

真由美さんも少し苦い顔をしている。

 

「さて、次は本選出場した2、3年生ですねお手柔らかに。」

 

対照的に俺はニコニコしていた。

 

「やる意味あるのかね。さっきの1年生達との試合で分かったでしょ?身の程知らずだって。」

 

相手の2年生が言ってきた。

 

「まぁまぁ、そう言わずに付き合って下さいよ。」

 

相も変わらずニコニコしながら返す。

 

「チッ」

 

舌打ちとはなめられたもんだね全く。

 

試合開始のブザーが鳴る。

 

最初のボールは俺の所に来た。

 

俺は俯きながらニヤァと笑った

 

トントン…

 

ボールは相手のコートに転がっている。

 

「真由美さんカウント」

 

誰も反応しないので真由美さんに声をかけた。

 

「…え!?あ!はい!」

 

皆表情が固まっている。

 

まだまだ始まったばかりですよ?

 

俺は心の中で笑った。

 

 

 

そもそも俺はこの競技ほど俺に適した物もないと思っていた。

 

何故なら魔法が使えなくても出来るから。

 

ただ球を相手コートに沈めれば良いだけなのだ。

 

身体能力には自信があるし、ヤバくなれば忍術や幻術もある。

 

なら、何故俺は同じ一年には負けたのか。

 

2つ理由がある。まず慣らすため。

 

何でもとりあえずやってみないとわからない。

 

ある程度想像出来ても、実際やってみると違うと言うことは多々ある。

 

その、想像と現実のズレをなくすため、いわば感触を掴むためのアップと言うヤツだ。

 

もう1つは、俺が勝つことにあまりメリットが無いため。

 

何故なら、本選に出場した2、3年生は、既に試合が終了しているため、俺がボコボコにしても支障はないが、これから新人戦を控える1年は、それこそ2科生相手に負けたとなったら自信を無くしかねない。

 

だからと言って、2科生に勝ったからといって有頂天になるやつもいないだろう。

 

だからあまり勝つ意味が無かったのだ。

 

アップも兼ねてるしね。

 

それに、やはり1年よりも2、3年の方が強い。

 

()()になって貰うなら強い方がいい。

 

「さて、どんどん行きましょ!」

 

 

 

 

この後キッチリ本選出場した5人をボコボコにして、残るは真由美さんだけになった。

 

流石にラケット3本ほどダメにしたけどね。

 

「さて、最後の相手ですね」

 

ここまでで、周りの俺に対する評価、考え方は変わっていた。

 

「「アイツ化けもんかよ!!」」

 

「ほとんど身体能力でゴリ押しとかやめて…」

 

「これでテニスの○子様みたいに、まだまだだね!とか言われたら一生立ち直れねーよ…」

 

なんて声が上がってる。

 

「簡単に勝てると思わないでね」

 

思ってないです…

 

でも、ここで真由美さんといい勝負出来るなら新人戦に出ても結果は出るだろう。

 

「お手柔らかにおなしゃす!」

 

俺はわくわくしていた。

 

 

 

 

 




仕事の合間に書いていたので変なとこあるかもしんないです。

相変わらず纏まりがなくてすんません…


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17話

「し…勝者、九重君」

 

私は何が起きたのか分からなかった。

 

最初試合は私優勢で進んでいた。

 

迅君は身体能力でボールをラケットで返してくる。

 

それに対して私は魔法、ダブルバウンドで返していた。

 

それに、九重君は忍術や幻術を使える。勿論その警戒もしていたので、マルチスコープを開幕から使っていた。

 

ボールが増えていくにつれて迅君は激しく動き回っていた。

 

それでも正確に返してくるあたりが人間離れしている。

 

流石に8個になっても返してくるのには驚いたけど、私の有利は揺るぎないと思っていた。

 

 

しかし、9個目のボールが迅君のコート内に放たれた時違和感を感じる。

 

何故か返したボールがすべて同じタイミングで迅君のコートに入ったのだ。

 

それも、迅君の持つラケットに向かって吸い寄せられるように一点に。

 

それを迅君はラケット一振りで9個を同時に打った。

 

私はその放たれた9個のボールを返すために魔法を展開しようとした。

 

その瞬間、ボールが加速したかのように一瞬で私の目の前に迫ったように見えた。

 

勿論びっくりしたが、それでも冷静に魔法を発動させたはずだったのだが、魔法は発動せず9個のボールは私のコートに落ちた。

 

2セット目は一進一退の攻防で迅君のコートに3個私のコートに2つ落ちていた。

 

コート内で3つのボールを打ち合う。

 

私はダブルバウンドの他に別の加速系魔法も混ぜながら試合をリードしていたのだが、あり得ない位バテていた。

 

最終的には押しきられ逆転され負けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石真由美さんめっちゃ強かったわ~」

 

正直この作戦が上手くいかなかった場合成す術なく負けていた。

 

「いまだに何故負けたか分からないわ…」

 

「聞きたいですか?」

 

その一言に真由美さんの他に周りにいた奴等も頷く。

 

「まぁただの奇策ですけどね。真由美さんが最初からダブルバウンド以外の魔法を使ってたら俺は負けてましたよ。」

 

「どういうこと?」

 

真由美さんが首を傾げる

 

「真由美さん本選でも、ダブルバウンド以外使ってなかったじゃないですか?

だから使えた奇策なんすけど、ダブルバウンドって反射みたいに返ってくるんで、場所もそうですけど、ボールの威力もある程度こっちで調整できるんですよ。

相手が真由美さんじゃなければ、パワーやスピードでゴリ押しするんですけど、スピードシューティング優勝している真由美さんにはどんなに速いボールを打っても知覚能力と魔法力で返されちゃうんですよ。

だから奇策のためにわざわざ調整して全部のボールを、壁にぶつけたり威力を調整して、真由美さんにバレないように、最後俺のラケットに集まるようにしたんです。」

 

皆呆然としているなか…

 

「いったい何のためにそんな手の込んだ事をしたんだ?」

 

桐原先輩が皆の疑問を代弁した。

 

「意識を逸らすためですよ。真由美さん、最後ボールがいきなり目の前に現れたように見えませんでしたか?」

 

「見えたわね。9個のボールがいきなり目の前に現れたように…それが一番気になったわ。あれは忍術?」

 

真由美さんが真剣な顔をして言う

 

「忍術って言うよりは、手品みたいなもんですね」

 

「手品?」

 

「本当は近くに見えたんじゃなくて、()()()()()()()()()()()()()()()だけですよ。」

 

「「!?」」

 

「あの瞬間、真由美さんは9個のボールを打ち返すためにボールから、一瞬自分の魔法展開に意識をもってかれたと思うんですけど、そのあとボールに意識を戻したときに、視界いっぱいにボールが広がって、それ以外に目がいかなかったんじゃないですか?」

 

「確かに言われてみれば…」

 

「それにマルチスコープも使ってたんでよりいっそうボールが()()()()()()()()んです。

ボールが自分に向かって飛んできているのは分かっているので、ボールが鮮明見えただけで、想定している距離より近いと勘違いしたんですよ。俺としては反射的に目を瞑ってほしかったんですけどね。」

 

勿論ボールを目立たせるために自分の気配を消して、周りに目が行かないように軽い幻術はかけたけどね。

 

そこは流石真由美さんと言うべきだ。冷静に対処しようとしていた。

 

ちなみに最後真由美さんがバテたのは、魔法を併用していたのもあるが、精神的なものも勿論ある。

 

誰もが魔法を発動できなかったり、その理由が分からなければ精神的に追い詰められる。

 

その他にも小技として、ダブルバウンドに対してボールに凄まじい回転をかけることによって、ただボールの飛んできた方向に対してだけベクトルを逆転させるのではなく、そのボールの回転にも作用させることによって、ただボールを返させるよりも魔法発動に負荷をかけられるのでは?と思い実行していた。

 

今回はその辺が上手くハマった感じだ。

 

「全部迅君の掌の上だったのね…」

 

真由美さんが疲れたように肩を落とした。

 

「まぁ俺みたいに普通に魔法を使えない、なんちゃって魔法師は頭を使わないとね!」

 

「いやいや、その前に身体能力がゴリラの2乗とかどんな悪夢だよ…」

 

俺の言葉に桐原先輩が呆れながら言う。

 

鍛えてますから!!

 

「そんじゃ皆さんありがとうござます!これで新人戦に対して戦いかたや感触も掴めたので、良いとこまで行けそうです」

 

(いやいや、お前より強いやつがいたらそいつ人間辞めちゃってるから!)

 

皆が何故か溜息をついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3日目

 

俺は皆で女子の本選バトルボートを見に来ていた。

 

渡辺先輩が出場している。

 

服部先輩が出ている男子の方も見に行きたかったのだが、生憎時間が被っていたので、委員会の上司を優先した。

 

レースは渡辺先輩がリードするもほぼ団子状態。

 

「さすが七校。手強い!」

 

「あれって去年の決勝カードですよね?」

 

と、となりで雫と美月が喋っている。

 

観戦スタンドから見える最後のコーナーに差し掛かったとき、俺は何故か嫌な感じがして咄嗟に立ち上がる。

 

そのとたん何処からか悲鳴が上がる。

 

「オーバースピードだ!!」

 

と、誰かが叫ぶ。

 

渡辺先輩の直ぐ後ろにいた七校の選手がオーバースピードで曲がりきれずそのまま渡辺先輩に突っ込む。

 

渡辺先輩も何とか対応しようとするが、唐突に水面が不自然に凹み渡辺先輩のボードを飲み込む。

 

この時には既に俺は走り出していた。

 

渡辺先輩はバランスを崩し七校選手と激突。

 

そのままフェンスに飛んでいく。

 

「間に合え!!」

 

俺はまず、フェンスと二人の間に体を滑り込ませ、渡辺先輩をキャッチ、それと同時に七校選手も小脇でキャッチし、フェンスを足場に踏みとどまり何とか二人を助ける。

 

「あっぶねー」

 

とりあえず二人をおろしたところで運営委員会と達也がやってくる。

 

七校選手に怪我はなかったが、渡辺先輩の方は肩と足を怪我していた。

 

肩は七校選手とぶつかったとき、足はボードが飲まれた時に捻ったのだろう。

 

二人とも気絶していた。

 

「二人ともたいした怪我はしてないですけど、ショックで気絶しています。大事をとってこの後の競技には絶対出さないで下さい。」

 

運営委員会の方にそう言い俺は達也を呼び寄せその場を後にした。

 

 

 

「達也、どう思う?」

 

「事故にしては不自然な事が多かった」

 

俺の問に、最初から聞かれるのを分かってたかのように達也が返す。

 

そうだ、あんだけ渡辺先輩について行ける七校選手がブレーキを掛けないわけがない。

 

ブレーキが間に合わなかったのなら、もう少し何とか曲がろうや、止まろうなどの動作が見れてもよかったのだが、あまりにも唐突に、あたかも()()()()()()()()()()()()()()()かのように自然に吹き飛んでいった。

 

渡辺先輩がバランスを崩したのも、あのときの水面は変だった。

 

「やっぱりそう思うか…」

 

「まだ断定はできないがな」

 

俺の呟きに達也が答える。

 

「俺は妨害があっと観ている。誰を狙ったのかは定かではないけどな。それが相手の魔法によるものなのか、CADによる細工なのかも分からないが。だけど細工による物という可能性がある以上エンジニアとして達也もデバイス面では警戒しといてくれ。俺は第三者の方を警戒する。」

 

「分かった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜…

 

「もしもし」

 

『やぁ迅君どうしたんだい?』

 

「親父、早くもちょっかいをだされたよ、うちの高校の先輩が怪我をした。」

 

『競技中にかい?』

 

「ああ、随分手が込んでいたように見えたな。俺が間に合わなかったら大惨事になっていた。」

 

『そうかい…その辺の動きはこっちからも探ってみるよ。何か分かったら連絡するよ』

 

「分かった。あと、九島の爺さんがいたよ」

 

『そうかい、なんか言ってた?』

 

「八雲殿は元気か?って聞かれたよ。意味わかんないくらい元気だっていったら笑ってたよ」

 

『そっか。そう言えば明日から新人戦だね。』

 

「ああ…何故かクラウドボールにも出ることになってしまった。」

 

『おお!そうかい!日程は?』

 

「2日目だな。」

 

『……そうか!』

 

なんだ?今の変な間は。

 

「まぁそう言う事だからなんだか目立たずにって難しくなったわ」

 

『だったら逆に目立ちまくって九重寺の事を宣伝してくれてもOKだよ』

 

ケタケタ笑いながらうちのハゲ親父はふざけた事を言い出した。

 

「…まさかそんな考え方があったなんて。何だかめっちゃテンション上がってきた!」

 

『あくまでも、最終手段だよ?一般人には刺激が強すぎる事も起きるかもしれないからね、そういうのは隠密に頼むよ?』

 

「了解!」

 

ブチップープー

 

 

 

「2日目の迅君のクラウドボール…絶対見に行こう!!」

 

そう心に誓ったハゲであった。

 

 

 

 

 




オリジナルの展開を入れると話がすすまねぇ…

内容が意味わかんないようになってないか心配です…

あくまでも魔法の知識はよく分かっていません!

なので頭可笑しいこと書いてたらすんません。

次回から新人戦!迅君のゴリラっぷりに御期待ください!あと八雲さんも出す予定です!



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18話

九校戦4日目

 

俺は今日特に予定も無かったので、雫のスピードシューティング予選を見た後会場をぶらぶらしていた。

 

「スゲかったなスピードシューティング。」

 

俺は歩きながらつい、独り言を言ってしまった。

 

確かに雫も凄いんだけど、デバイスの調整をした達也がヤバかった。ありゃチートアイテムだわ。

 

あくまで、競技用であり実戦向きではないのだが、発想も凄いし何より無駄がない。

 

あんなの処理できるやつが使えば誰でも優勝出来ちゃうだろ…

 

まぁ処理出来るから優勝出来るんだけどな。

 

それに、雫だけじゃなく達也が担当した残りの二人も余裕で予選を通過した。

 

「やっぱりデバイスって大事なんだなぁ~」

 

俺はわかんねーけど。

 

「ちょっとそこのあなた!」

 

でも、やっぱり自分の体一つで勝ち上がってくスポ根系のヤツがいても良いと思うんだよね。

 

「ちょっと聞いていますの!?」

 

俺はそう言う風になりたい!!

 

「ちょっと!!」

 

あん?。

 

「ん?おれ?」

 

「ここには私と貴方しかいないでしょ!」

 

見知らぬ少女が言う。

 

「わりぃわりぃ、考え事してたわ。んで、なんかようっすか?」

 

「ここは三校のテントなのだけど?」

 

どうやら俺はボケーと歩いていて三校のテントの近くに来てしまったらしい。

 

「こりゃうっかり。ボーッとしすぎたみたいだな。」

 

そういい俺は回れ右してしれーっと去っていこうと思ったのだが…

 

「待ちなさい!第一高校の生徒よね?三校のテントの近くにいたってことはスパイかなにか?」

 

こんなアホなスパイがいるかよ…

 

俺がその気になれば三校の情報はおろか、あんたの今日の下着の色まで筒抜けだぞ?

 

「そりゃ誤解だ。俺はただボーッとしてただけだし。不快な思いをさせたなら謝ろう。」

 

だいたいこう言えば引いてくれるものだ。

 

「信用出来ないわね!それにあなた2科生よね?まさか第一高校は2科生をスパイに使うなんて…」

 

ダルいなお前!

 

そこは素直に受け取ってさよならするとこだろ…

 

「何事じゃ?」

 

増援とは…ついてない…

 

ぞろぞろ二人やって来た。

 

「申し遅れたわね、私は第三高校一色愛梨と申します。今来た二人は四十九院沓子と十七夜栞よ。」

 

おいおい、いきなり自己紹介始めたんだけど…

 

スパイの疑いを掛けてる相手にいきなり自己紹介とか頭弱いのかよ…

 

それに四十九院沓子って……もしかして。

 

「お主迅か!?」

 

やっぱりか!

 

「やっぱり沓子か!」

 

まさかこんなとこで知り合いに会うとは。いやはや世間は狭いな。

 

「じーん!久しいなぁ元気にしとったか?」

 

沓子は飛び付いて来て俺の首に捕まって一周すると正面に帰って来た。

 

「元気だぞ~沓子も相変わらずだな。」

 

頭をわしゃわしゃ撫でてやる。

 

「あのー沓子さん?紹介していただいてよろしいでしょうか?」

 

一色と名乗った子が困り顔で言う。

 

「おぉすまんすまん。コイツは九重迅!第一高校の…なに!?お主2科生なのか?うちに来とれば間違いなく1科生だったろうに。」

 

おいおいそれはないだろ…俺の制服の紋章を見て気がついたのだろうけど。

 

「そりゃねぇよ、魔法が使えないヤツが1科生なんてよ」

 

「うちは実力主義じゃからな!強ければなれる!」

 

沓子さんや、あまりに適当すぎるやろ…

 

「少々語弊がありますよ沓子さん。一定の魔法技能がないと1科生にはなれません。」

 

一色さんが嗜める。

 

そりゃそうだ。

 

「それにしても迅が2科生なんて余程第一高校は選手が充実しているんだな。または見る目が無いのか…」

 

沓子がやれやれといった感じで言う。

 

「まぁ見る目がない訳じゃないだろ、おれ新人戦出るし。」

 

「「え!?」」

 

「まことか!!何に出るんじゃ!?」

 

「クラウドボールとモノリスコード」

 

「あなた、クラウドボール優勝経験はありますの?」

 

俺の一言にすかさず一色さんが目を細めて聞いてきた。

 

「あるわけ無いじゃん初めてやるんだもん」

 

俺が真顔で答えると…

 

「沓子さん、どうやら第一高校は選手が充実してるんではなく足りないみたいですね。2科生、ましてはクラウドボール初心者を出してくるなんて。この競技はそんなに簡単な物じゃありません!なんなら私もクラウドボールに出場しますので、私のプレーをお手本にしても構いませんよ?」

 

おうおう言ってくれるね。

 

一色愛梨だったか?こんだけ言うんだ自信があるんだろう。

 

だったら真由美さん位退屈しない相手もいるかもしれないな。

 

「そんだけ言うんだから、第三高校は俺を楽しませてくれるだけの人が出てきてくれるんだろ?」

 

俺がニヤァとする。

 

「も…勿論ですわ!」

 

「そうかい、じゃあ言うことはもうないな、沓子は何に出るんだ?」

 

「バトルボートじゃ!」

 

「やっぱりそうか、頑張れよ応援してるぞ!」

 

コイツの家が水を司る古式魔法得意だったからな。

 

「おう!わしも応援してるぞ迅!」

 

「あ!それと、一応俺がスパイじゃないって説明しといてくれ」

 

「なんじゃ?またボケーっとしてなんかやらかしたのか?」

 

沓子さん鋭い…

 

「まぁそんなとこだ。それじゃあな」

 

雫のスピードシューティング決勝みなきゃ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「迅どこいってたんだよ!」

 

「ちょっと知り合いに会ってな。話をしてたんだよ」

 

「その知り合いって九校戦の選手?」

 

レオ、エリカが話しかけてきた。

 

「ああ、第三高校の四十九院沓子って子。バトルボートに出るって言ってたからほのかと戦うな!」

 

ほのかの顔が一瞬強張る。

 

「強いんですか?」

 

美月が聞いてくる

 

「競技を見た訳じゃないから分かんないけど多分良いとこまで行くんじゃないかな。緊張するタイプじゃないから失敗することもないだろうし。会ったら紹介するよ。」

 

この後競技が始まるまでしばらく喋っていた、

 

 

 

 

スピードシューティング決勝…

 

結果から言うと雫が優勝したんだが…

 

なんと、2位がエイミィ3位が滝川さんと第一高校が表彰台を独占。

 

喜ばしい事なんだが…

 

選手もそうだけど、達也無双しすぎじゃね?

 

なんだか大学の方から新しい魔法を登録したいと打診が来てるらしい。

 

普通にスゲーよね。

 

相変わらずのチートっぷりっすね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第一高校ミーティングルーム…

 

「男子スピードシューティング…森崎君が準優勝したけど」

 

「残りの二人は予選落ちか…」

 

私の言葉に摩利が続く。

 

「男子と女子で逆の結果になっちゃったわね」

 

「そんなに悲観しなくても良いと思いますけど。点数では女子の貯金が効いてますし。」

 

私の言葉に今度は鈴音が続く。

 

「確かにあまり悲観的になるのは良くないがな…」

 

十文字君が言う。

 

「しかし、男子の不振は早打ちだけではない。波乗りでも女子の予選突破二人に対して男子は一人…」

 

「将来的にズルズル行くと不味いな。」

 

「確かに明日のクラウドボールはともかく他はそうね…」

 

私も摩利や十文字君と同意見だ。

 

「うん?どういうことだ?」

 

十文字君が聞いてくる。

 

「なにが?」

 

なんか変なこと言ったかしら?

 

「クラウドボールは問題ないのか?」

 

摩利が不思議そうにしている。

 

ああ、そう言うことね。

 

「そう言えば言ってなかったわね。明日のクラウドボールに

迅君が出るじゃない?彼クラウドボールに出る一校選手と試合させてくれって言ってたでしょ?」

 

「ああ、言ってたな。」

 

摩利が答える。

 

「あれ、昨日の競技終わりにやったのよ。新人戦に出る一年から順番に全員と2セットずつ試合をしたんだけど、新人戦に出る一年には1セットも取れずに負けたんだけど、そのあと本選が終わった2、3年は迅君にボコボコにされたわ。一応女子の本選優勝した私ですら1セットも取れなかったわ」

 

「「!?」」

 

「真由美が1セットも取れなかったのか!?」

 

摩利、凄い顔している…そりゃあ驚くわよね…

 

「1セット目なんて1点も取れなかったのよ。自信無くすわ…」

 

「そうか、だったら期待できそうだな。」

 

十文字君がそう言う。

 

戦ったからわかるけど、期待とかの前にあれに勝てる人は間違いなく人間辞めてるわよ…

 

「そんだけ強いのにどうして1年生には負けたんでしょう?」

 

鈴音が首を傾げている。

 

「慣らすのが目的だったのと、ボコボコにしたら新人戦前なのに自信無くしちゃうと思ったらしいわよ」

 

「「あぁね…」」

 

皆でハモっていた。仲良いわね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新人戦2日目…

 

今日は待ちに待った新人戦クラウドボール!

 

俺のユニフォームは勿論甚平!

 

相手は第五高校らしい。

 

試合はクラウドボール一回戦最終試合。

 

「結構客多いな。」

 

「最後の試合だからな終わった奴も見に来てるんだよ」

 

達也がそう言う。

 

「そうだよな!まぁゆったり楽しんで来るよ」

 

なんて喋っていると…

 

「お前が俺の最初の相手かウキョキョキョキョ!」

 

なんだコイツ…なんかムカつく…

 

「よ…よろしく」

 

あまりの不快感に思わずどもる。

 

「相手が2科生とか楽勝だなウキョキョキョキョ」

 

 

「ってか恥ずかしくねぇーのかよウキョキョキョキョ」

 

 

「俺だったら絶対出ないね。無様に負けるからウキョキョキョキョ」

 

…うっ…ぜぇぇえ!!

 

俺は達也にひっそりと一言言った。

 

「予定変更だ。一球で終わらす。」

 

「お…おう」

 

(めっちゃ殺気でてんな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一回戦最終試合、第一高校九重迅君対第五高校モブサキモブ汚君の試合を始めます」

 

ここには今俺とエリカ、美月、雫、ほのか、深雪、レオ、幹比古、まぁ全員いるな。

 

「達也君、迅緊張してた?」

 

エリカがニヤニヤしながら聞いてきた

 

「いや…殺気立ってたな…」

 

「え?」

 

「始まりますよ!」

 

ほのかが言う。

 

ブザーがなり、最初のボールは迅の方へ飛んだ。

 

その瞬間迅の姿がブレ、ボールが消えた。

 

迅が歩いてコートを去っていく。

 

「え!?何?どういうこと?」

 

エリカがテンパる。

 

「おい!相手を見ろ!」

 

レオが大きい声で叫ぶ。

 

相手をよく見ると、顔面にボールがめり込んでいた。

 

しかもそのボールが出てこないのだ。

 

相手は立ったまんま動かない。

 

思わず俺を含め皆が言う。

 

「「うわぁ…」」

 

迅が言ってた一球で終わらすってこういうことか…

 

((絶対怒らせないようにしよう…))

 

こうして迅君の新人戦初試合は2秒で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

八雲「迅君…やり過ぎだよ…」




なぜ沓子ちゃんと迅君を知り合いにしたかって?

優等生の沓子ちゃんが可愛かったからです!

あとは、あまり原作に関わりがないからです。

ちなみに作者は水波ちゃんと真由美さんも好きです。


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19話

あまりの仕事の忙しさでなかなか投稿できなかった…

ちょこちょこ書いてはいたけどなんか上手く書けなかった…

全然進んでない…


ヒソヒソ

 

ヒソヒソ

 

「めっちゃヒソヒソされてんな」

 

「そりゃそうよ、開始2秒で相手を病院送りとか聞いたことないわよ。それに誰もラケット振ったのさえ見えなかったんだから。一部じゃ新種の魔法だとか言われてるわよ!」

 

真由美さんは頭を押さえてる。

 

「魔法つかってないんですけど…」

 

どちらかと言うと新種の人類なんだよな。

 

「知ってるわよ…」

 

いや、まぁやり過ぎたとは思ってるよ?悪いとは思ってないけど。

 

だってめっちゃ顔ウザかったんだもん!この世のものとは思えないほどウザかった。

 

なんなら不快感で吐きそうだった。

 

「まぁ次の試合からは、ちゃんと試合っぽくやると思うんで大丈夫ですよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何だかんだ準決勝。

 

 

「準決勝第二試合、勝者第一高校九重君。」

 

今のところ特に問題無く勝ち進んでいる。

 

俺は試合が終わったあと、雫、エリカ、レオ、深雪、ほのかと合流した。

 

「いやいや、この試合も余裕だったわね!」

 

エリカが俺の背中をバン!と叩きながら言う。

 

「おう! まぁ今んとこ問題ないな」

 

「問題ないどころか失点もないよな」

 

とレオが言う。

 

「コートにボールが2個以上にすらなってないですもんね」

 

ほのかが続く

 

「同じ人間か疑わしいレベル」

 

「際どいけど同じ人間ですね」

 

雫の言葉に割とマジに返した。

 

「正直物足りないと思ってるんじゃないですか?」

 

深雪が言う。たまにこの子凄い好戦的な事を言う時あるよね。

 

「まぁ、そんな事無いと言えば嘘になるな。でも、次は少しばかり骨のあるヤツが出てきそうだけどな」

 

俺がニヤッとすると、タイミングを見計らったかのように三校の制服を着たヤツが3人出てきた。一色さんと、沓子、あと爽やかな男だ。

 

「お話のところ失礼、君が九重迅君だね?」

 

めっちゃ爽やかな男が話しかけてきた。

 

「じ~ん!」

 

ねぇ今ってシリアスな雰囲気じゃなかったっけ?沓子さん?

 

飛び付いてきて俺の首を持ってグルグル回っている。

 

「迅!やっぱりお主は強いなぁ~」

 

「沓子、話しかけてきた爽やかなヤツが困ってるからやめなさい」

 

「おーそうじゃったな、すまん興奮しすぎた。」

 

そう言い俺から降りると沓子は二人の方へ戻った。

 

「第一高校の皆様には自己紹介がまだでしたね、私は一色愛理と申します、そして今そこの九重君に抱きついてグルグル回ってたのが…」

 

「四十九院沓子じゃ!」

 

沓子が一色さんの自己紹介を遮って言う。

 

「そして僕が君の決勝での相手、高宮直。よろしくね!」

 

ニコッと爽やかに言い放った。

 

「そりゃご丁寧にどうも、んで?なにようですか?まさかここに談笑しにきたわけじゃないだろ?」

 

俺は軽い感じで聞く。

 

「初心者で2科生の九重君が運良く勝ち上がっていると聞きまして、調子のほどをうかがいに来ましたの」

 

随分と嫌われたもんだねぇ。

 

一色さんの言葉に隣にいる高宮君は苦笑いしている。

 

「調子をうかがいに来た割には随分と失礼な物言いですね。恥ずかしくないのですか?」

 

俺の後ろから深雪が冷気纏いながら前に出てくる。

 

物凄い怒ってらっしゃる。

 

「私は事実を言っているだけなのですけど、あなたの方こそ名前も名乗らずに不躾なのでは?」

 

こっちも引かずに一色さんが切り返す。

 

「貴方のように真実を直視出来ないような方に名乗る名前は持ち合わせておりません!」

 

これぞ一触即発ってヤツですね。

 

まぁ間違いなくこれ以上は場が持たないな…

 

「ハイハイその辺にしとけよ。」

 

俺はそう言い、深雪の肩に手をポンッと置き

 

「落ち着け、らしくないぞ」

 

と、一言声をかけた。

 

「すいません…」

 

我に返ったのか少しシュンとしながら謝ってきた。

 

「一色さんも、ヤル気満々なのは良いんだけどさ、戦うのはあんたじゃなくて高宮だろ?それよりも、人の心配する前に自分の心配したら?」

 

お前この後女子の決勝だろ。こんなとこで油売ってる暇あんのかよ。

 

「ふん!貴方に言われるまでもありません!」

 

「そうかい、じゃあ俺の調子はサイコー。調子を聞きに来たんならコレで任務完了だろ?一色さんも女子の決勝あるんだからそろそろ戻った方がいいんじゃないか?」

 

「大きなお世話ですわ!!」

 

そう言い一色さんはプリプリ怒りながら去っていった。

 

「ゴメンね迷惑をかけちゃって。」

 

高宮が言う。

 

「別に気にしてねーよ」

 

「僕は試合前に、魔法を使わずに勝ち上がってきた君の顔が見たかっただけだったんだよね…」

 

「そうかい、まぁ試合楽しみにしてるよ。」

 

「うん!お互い頑張ろう」

 

そう言い高宮も一色を追いかけていった。

 

「沓子!お前には俺の友達を紹介する」

 

この後改めて自己紹介をした。

 

 

 

 

 

 

 

「な~んじゃ第一高校は2科生であっても粒揃いじゃな」

 

沓子がレオ、エリカを見てびっくりしている。

 

「ああ、他にも二人ほどスゲーやつがいるな。」

 

「ほほう!それに美月、お前さんは水晶眼持ちか。随分とまぁ面白い」

 

美月が焦った顔をする。

 

「大丈夫じゃ!誰にも喋らんから安心せい!」

 

沓子が任せろと言わんばかりに胸を張る。

 

「雫はスピードシューティング優勝しておったな。近くで見るとやはり流石と言うべきか、ほのかはわしと同じバトルボード、いやはや強敵じゃな。」

 

そして沓子が深雪の方を見る。

 

「お主は……」

 

沓子が険しい顔をし俺をチラッと見た、俺が目でサラッと余計なことは言うなよと伝える。

 

まぁ、沓子も言っていいものか悩んだんだろう。

 

「お主は、男の兄弟がおるんじゃないか?」

 

「ええ、お兄様が。」

 

「そうかなるほど……おっともうこんな時間かわしはそろそろ行く。みな、迅の事をよろしくたのむ。こやつは何かあればとんでもなく頼りになるが、なにもないとただの怠け者じゃからな」

 

 

 

「ハイハイんじゃまたな!」

 

沓子はニコニコしながら三校のテントに帰っていった。

 

「随分と鋭い方でしたね。」

 

美月が言う。

 

「特殊な観察眼をお持ちなのですか?」

 

深雪が心配そうに聞いてきた。

 

「ああ、アイツは達也や、美月みたいにしっかり見えている訳じゃないんだ。ただ、あいつは天性の直感があってな。見えているよりも正確かもしんねーな。

まぁ、余計なことは絶対言わない。さっきもなにかしら感じてたんだろうけど何も言わなかっただろ?

だから心配しなくても大丈夫だ。」

 

「そうですか。分かりました。」

 

最後の方を小声で深雪に言うと、安心したように笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラウドボール男子決勝

 

今年の新人戦男子は少しばかり面白味にかけるかな。

 

なんて考えていると僕の前の席に第一高校の制服を着た一団がやって来た。

 

「お!深雪君と達也君、それに七草のご令嬢、千葉の娘さん、吉田家のご子息。あれ?沓子君まで?迅君は人気者だね~」

 

小声で呟く。

 

その他にも何人か男も女の子もいた。僕は気配を消して、皆の座る席にブーブークッションを置く。(どっから出したかは聞かないでね!)

 

皆が席に着く。

 

ブビーブリブリブリ~!!

 

「「「!?!?」」」

 

「クククッハッハッハ!」

 

あまりの激しい音に思わず笑ってしまった。

 

「「「!?!?」」」

 

「誰だ!?」

 

流石達也くん、反応が早い。千葉の子も良い動きだね。

 

僕は振り向いた彼等の背後から……

 

「危ないから没収ね!」

 

と声をかけると同時に皆のCADを没収。

 

厳密に言うとブーブークッション置く時には、特化型以外はほとんど取り上げてたんだけどね。

 

アハハ驚いてるね。

 

「先生!?」

 

深雪君がいち早く気がつく。

 

昔より冷静になったね。若い子は成長がはやいなぁ。

 

「アハハ、バレちゃったね!」

 

と言いながら麦わら帽子をとる。

 

「師匠、冗談にしてはやりすぎじゃないですか?」

 

達也君が恨めしそうに言ってくる。

 

「ええっと……達也くん、深雪さんどなた?」

 

七草のご令嬢が戸惑っている。可愛い。

 

「この御方は九重八雲師匠。迅の父親ですよ」

 

「「「えええぇぇー!?」」」

 

良い反応をありがとう。

 

「どうも、九重寺住職、忍の九重八雲と申します。」

 

軽くお辞儀をする。

 

「八雲殿!お元気だったか!」

 

沓子君が飛び付いてきた。

 

「沓子君お久しぶりだね!元気だったよ~!」

 

「確かに、さっきの動き、迅そっくり。ほとんど見えなかったけど。」

 

「この方が迅さんのお父さん…」

 

北山家のご令嬢に光井家の娘さんか。

 

どの子も可愛いなぁ。

 

「お初に御目にかかります。七草家の長女、七草真由美と申します。以前は大変お世話になりました。」

 

流石十師族の長女だね。

 

「いやいや、僕は何もしてないよ!迅君はちゃんと仕事してたかな?」

 

「はい!とても助かりました!」

 

「そうかい、それは良かった!」

 

「突っ込みどころがおおすぎるよ!!」

 

吉田家の子がテンパってる。

 

そんな感じで各自自己紹介された。

 

 

 

 

 

 

「それで、師匠どうしてこんなところに?」

 

達也くん、いくらなんでもそれは愚問だよ!

 

「そんなの決まってるじゃないか!迅君の晴れ姿をこの目に焼き付けるためだよ!!」

 

(((まさかの親バカ!?)))

 

「それにしてもイタズラが過ぎるのではないですか?」

 

深雪君の良い笑顔が恐い。

 

「いや~若い子を見るとついついちょっかい出したくなるんだよ!」

 

(((変態!?)))

 

「それにしても、皆さん僕の奇襲に対して良い反応だったね!僕は俗世にあまり興味はないけど、魔法師の未来は安泰そうだね。」

 

「そうですね。迅君を含め第一高校には優秀な生徒が多いです」

 

真由美君がニコニコしながら言う。

 

「おっと!そろそろ迅君の試合が始まるね。」

 

僕がそう言うと、皆が今から試合が開始されるコートに目を向ける。

 

 

 

「これより新人戦男子クラウドボール決勝、第一高校九重君と第三高校高宮君の試合を始めます!」

 

放送が流れ試合が始まる。

 

 

 

 

 

 

 




とりあえず苦し紛れのオリキャラ投入。

八雲さんには試合の解説をやっていただきます。


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20話

ネットを挟み俺は、相手の高宮と握手をかわす。

 

「さっきぶりだな」

 

「そうだね。お互い悔いのない試合にしよう!」

 

爽やか系イケメンですね。

 

高宮は俺と同じくラケットを持ってきていた。

 

「そうね、俺個人としてはわりと満足な感じなんだけど、上からの指示で適当な事は出来んからな。」

 

圧力掛けてきてんだよなうちの先輩方が…

 

特に真由美さん…

 

「新人戦クラウドボール決勝。第一高校九重迅君対第三高校高宮直君の試合を始めます。」

 

そうこう言ってるうちに試合開始の放送が流れる。

 

所定の位置に着き、カウントダウンからブザーがなりボールが打ち出される。

 

 

 

会場は静かだった。

 

ボールが俺のコートに入る。

 

ラケットを轟音と共に振り抜く。

 

ジャストミートしたラケットはぶっ壊れ吹き飛んだが、ボールはしっかり飛んだ。

 

 

初戦で相手の顔面に全力でぶちこんだ玉を高宮のコートの端に打ち込んだ。

 

俺ですら決まったと思ったのだが、打ったはずのボールはゆっくり俺のコートのネット際に落ちた。

 

相手のコートを見ると高宮も持っていたラケットを吹き飛ばしていた。ちなみに壊れては無さそうだ。

 

 

 

「やるねぇ」

 

俺はニヤァとしながら、高宮に言う。

 

「いやいや、僕の場合は加速術式使った動きだし、なにより反動軽減の魔法掛けてたからね。仮に見えてたとしてもこれは普通返せないよ。うわさどうり人間辞めちゃってるね。」

 

高宮が苦笑いしながら返してきた。

 

「別に辞めちゃいねぇよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全然見えなかった」

 

「ってか、迅に関しては今更もう驚かないけど、相手の高宮だっけ?かなりやるんじゃないか?」

 

エリカ君もレオ君も、あまりにハイレベルな戦いに驚いていた。

 

「そうだね。多分迅君も今の一球を返せないなら早々に試合を終わらせたと思うけど、これは楽しみだね。」

 

実際どれくらいの実力があるかを確かめるために、かなりエグ味のあるボールを打ったんだろうけど、それを高宮君は見事に返した。

 

これは、迅君も苦労しそうだね。

 

「でもたしか、あの高宮選手って、ラケットじゃなくて魔法主体だったはずだけど」

 

真由美君の一言で皆驚く。

 

「そうですね、高宮選手は魔法主体で、しかも相手や、状況に合わせて魔法を変える臨機応変な選手ですね。驚異的なのは彼はこの決勝まで、同じ魔法を1度も使ってないんです。つまり、1試合、1試合違う魔法を、何種類か使い分けてるんですよ。」

 

「それってかなりすごいよね?実際使い慣れた魔法ってのは絶対あるし、得意不得意っていうのは人によってあるから少しは偏るはずなんだ。魔法科高校に入って一年目の一年生がただでさえ試合数の多いクラウドボールで、同じ魔法を使わずに決勝まで来るって正直化け物だと思うよ…」

 

そうなのだ。達也君と幹比古君の言う通り、相手の高宮選手は魔法技能に関してかなり高い能力を持っている。それこそ十師族に匹敵するレベルでだ。

 

「迅大丈夫かな?」

 

無表情ながら少し心配そうに雫君が呟く。

 

「迅さんの事だから何か考えていると思いますけど、苦戦は免れないですね。」

 

深雪君も心配そうにしている。

 

さぁどうするかな迅君は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?ラケットは?」

 

高宮がベンチにラケットを置きにいった。

 

「僕は基本的に魔法オンリーだからさ、ラケット使ったのは何だかんだ初めてだったよ」

 

どうやら爽やか君は、顔に似合わず好戦的らしい。

 

随分と舐められているようだなぁ。

 

「随分と自信があるようで何よりですねぇ」

 

飛びきり苦い顔で言ってやった。

 

 

 

 

 

この後試合は高宮君優勢で進んでいった。

 

セットカウント2-1で迅君が負けている。

 

「何とか1セット取ったけど、正直万策尽きたって感じだな」

 

「それでも凄かったです。ボールとボールをぶつけて軌道を変えたり、打ったボールの軌道上に二つ目に打ったボールを乗せて死角を突いたり、ある意味魔法よりも凄いものを見ました」

 

レオ君と美月君が言ったように、何とか奇策で1セット取った形だが、これがこの後通用するかどうかと言うとやはり厳しいものがある。あくまで奇策は奇策。意表を突いた攻撃なのだ。1度見れば対処される可能性はグッと上がる。

 

その結果3セット目は高宮選手に取られた。

 

「このままじゃ厳しいわね…」

 

エリカ君が言うように、このままでは迅君の敗北は目に見えていたが…

 

「そのわりには凄い落ち着いているな。負けている奴には見えない」

 

「確かに、何だか楽しそうね。」

 

達也君と真由美君が迅君を見てそう呟く。

 

「彼は一応魔法師の卵としてこの第一高校に入り、九校戦に出ているからね。流石の迅君も魔法無しで優勝出来るとは思ってないと思うよ。」

 

それに、このまま魔法を使おうが使わなかろうが、競技に出て決勝まで進んでる時点で目立たず穏便にとはいかないだろうからね。そろそろ腹を括る頃じゃないかな。

 

僕の言葉に敗北ムードだった皆が少し持ち直す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり魔法無しだと限界あるよねぇ…」

 

俺は思わず苦笑いしながら呟く。

 

正直俺は魔法が苦手だ。めっちゃ苦手…

 

だけど、全く使えないと言う訳ではなく、CADが体質によって使えないから通常の魔法を使わないだけであって、使えないことは無い。

 

ただ、それはあくまで普通の魔法ならの話しでだ。

 

はぁ…やるか

 

気合いを入れ、俺は高宮の方を向きニヤッと笑った。

 

「いやいや、ここまでやられるとは思ってなかったわ。退屈どころかかなりenjoyしちゃってるわ。」

 

俺の一言に高宮も、とっても爽やかなイイ笑顔を向けながら返してくる。

 

「僕もとっても楽しいよ!だけど最後は僕が勝たせてもらうよ。」

 

その自信に満ち溢れた物言い、負ける気は無い様だった。

 

「そうかい。なら俺も良いもの見せてやるよ。まぁ見えたらの話しだけどな。」

 

ブザーがなり第4セットが始まった。

 

高宮のコートにボールが入り魔法が発動される。

 

加速系の魔法だ。

 

あっという間に俺のコートの端に迫るが…

 

「さて、見えたかな?」

 

ラケットの轟音と雷鳴が響き渡った頃にはボールは高宮のコートに落ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれって確か…」

 

「迅さんの魔法でしたよね?」

 

爆発音に驚きながらも、エリカ君とほのか君が口を開く。

 

「そうだね迅君の魔法だね。」

 

僕の言葉に、皆はあまり要領を得ない顔をしている。

 

「何をしたんですか?」と、美月が聞いてきた。

 

「別に凄い事をしたわけじゃないよ。達也君は分かったかい?」

 

そういいながら、達也君の方を見ると、パッと見いつもと変わらず無表情に見えるが、目は少しばかり驚いている様子だった。

 

「身体能力強化ですか?」

 

「流石だね達也君。よく分かったね。」

 

「正確に言えば分からなかったです。魔法の発動兆候、周りに対して事象改変の跡もない。それなのにあの動き…。わかったのはただの消去法ですよ。」

 

それでも当ててしまう達也君は流石だね。

 

「え!?ただ身体能力が上がっただけ?」

 

エリカ君が驚いている。

 

まぁ、あんだけ派手な音を立てて、ただ身体能力が上がっただけです。って言ったらそりゃ別の意味でびっくりするだろう。

 

「確かにただ身体能力が上がっただけかもしれないが、あの、ただでさえ人間離れした迅の身体能力が更に上がったと考えたらそれだけで脅威だろ。」

 

達也君がわかりやすく解説してくれた。

 

「「あぁ、確かに。」」

 

どうやら満場一致で納得してくれたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このセットを力技で押し切り。

 

セットカウント2-2の同点。

 

試合は振り出しに戻った。

 

「本当はこれで終わるはずだったんだけどなぁ。」

 

邪悪な笑みを浮かべながら一言漏らす。

 

本当にここまでやる気は無かったんだよね。

 

「正直めっちゃ楽しかったからお礼に最後()()出すわ。」

 

始まる前までは正直負けてもいいかな?と少し思っていたところもあったが、ちょっと火が着いたわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果最終セット9-0で高宮君はボールを捉える事すらできなく試合は迅君が勝った。

 

 




とりあえず言い訳させてください。

めっちゃ仕事忙しくてそれどころじゃありませんでしたスンマセン。

オマケに何度も内容ぶっ飛んでもう良くわからなくなってました。

でもまだ書きたい事沢山あるのに...となったので頑張って書きました。

とりあえず続きは沢山考えているので途中で挫折せずに書ききります!
これからもよろしくお願いします!!


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21話

「勝者、第一高校九重迅君」

 

最終セット、俺は普通に本気を出しました。

 

はい、正直言えばやり過ぎたかなぁと思わないことも無いかな。

 

ちょっと楽しくなっちゃったんだよね。

 

まぁ、簡単に説明するとコートにボールが2つになる事が無いくらいにはボコボコでしたね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

観客席...

 

「おい、誰だよ今更迅に関しては驚かないとか言ったやつ!」

 

「とりあえず優勝はしたね...」

 

レオ君が頭を抱えながら叫び、吉田くんはもはや理解するのを諦めかけていた。

 

「いやぁーまさかアレまでつかうとはなぁ。よっぽど楽しかったんだろうね。達也君はなんだかわかるよね?」

 

「纏衣の逃げ水ですよね?」

 

僕の振りに対して驚きもせずに淡々と返答、しかし内心はかなり驚いているはずだ。

 

「正解だよ!流石だね。」

 

「ありがとうございます。迅も使えたんですね。」

 

「そりゃあ僕の息子だもん!!」

 

((うわぁーめっちゃ嬉しそう...))

 

「ところでその、纏衣の逃げ水ってなんですか?」

 

美月君が首を傾げている。

 

「あれは、古式魔法だね。本体とは離れた場所に本体そっくりな物を映し出す魔法だよ!しかも、音とか、熱なんかも本体そっくりなんだよ!」

 

「あんな古式魔法が...」

 

吉田くんがさっきと打って変わって興味深々のようだ。

 

僕のオリジナルだからあまりお目にかかれるものじゃないよね。

 

「まぁ、本物そっくりな物を映し出しているだけで、実際は本物のボールも飛んでいるんだけどね。

そこはしっかり視線を誘導したり、映し出す場所を工夫したりして、本物が見つからないようにしていたね。」

 

そこは流石忍びだね。

 

「でも、迅君CAD持ってないですよね?」

 

ほのか君が当然の疑問を呟く

 

「多分4セット目の最後位から準備してたんじゃない?」

 

CADを持ってなくても魔法を発動させる事はできる。

 

ただ発動するまでにかかるラグが長いため、実戦で使い物にならないと言うだけなのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぁ〜疲れた〜」

 

まぁあんだけ動いて久々に纏衣の逃げ水まで使ったのだ。

 

そりゃ疲れるよな...

 

なんて考えながら会場を出るとそこには仁王立ちで一色さんが出迎えてくれた。。

 

ものすんごい何か言いたそうだ。

 

「あ〜、えーと、なんざんしょ?」

 

この先起こるめんどくさそうなやり取りがありありと想像出来てなんともやる気のない声で話しかけてしまった。

 

「あなたに聞きたい事があります!」

 

でしょうね、顔が物語ってますよ。

 

とは言えないけどね。

 

「はい、なんでしょう?出来れば手短にお願いしたいところなんですが…」

 

疲れてるんですよ私しゃ...

 

「あなたはさっきの試合、ずーっと手を抜いていたんですか?」

 

あぁ最後が最後だもんなぁ。そういう訳じゃないんだよね。

 

「いんや、全然。確かに最後は俺がストレートで取ったけどそれはそこまでの過程があってのことだから。むしろかなり全力だったし、かなり楽しめたよ。」

 

まぁ最初の一球で雑魚ければ終わらすつもりだったけどね。

 

「そうですか…正直私にはあなたが何をしたのかは分かりませんでした。それどころか高宮君が負けたのすらまだ信じられないんです。」

 

どうやら、怒りよりも今のところは困惑が勝っているのだろう。なんともやり切れない感じがにじみ出ていた。

 

「だからとりあえずあなたに言いたい事があります!」

 

一色さんは勢いよくそう言い、そのままの勢いで頭を下げた。

 

「無礼な物言い本当に申し訳ございませんでした。」

 

てっきり罵詈雑言を浴びせられるのかと思っていたのだが、これは意外だった。

 

「とりあえず別に気にしてないけど、急にどうした?」

 

あまりの意外さにこっちが心配になっちゃったよ。

 

「あなたは二科生だからと、馬鹿にされながらも高宮君に正々堂々と挑み、そして勝ちました。試合も堂々としていて、それだけで私はどんだけ自分の目が曇っていたのか分かりました。間違えたのなら謝罪は当然です。」

 

なんやかんやしっかりしたお嬢様なのだろう。

 

「いいよ、別に最初から気にしてないよ。まぁ、高宮との試合もスゲー楽しかったし。そう言えば一色さんは女子のクラウドボールで優勝したんだっけ?おめでとさん!」

 

まぁ、あんだけ大口叩くだけあってやっぱり強かったってことだね。本当は女子の試合も見たかったんだけどなぁ。

 

「ありがとうございます。」

 

「楽しかった?」

 

「はい?」

 

俺の言葉に呆けた返事が帰ってきた。

 

「試合、楽しかった?」

 

俺が再び同じ事を聞くと少し考えていた。

 

「...そうですね、優勝もしましたしそれなりには楽しめたかなとは思います。」

 

少し要領を得ない回答だった。何故そんな事聞かれているのか分からないという感じだった。

 

「そうかい!そりゃよかった。これは俺の親父の受け売りだが、人は楽しむ事が出来なくなってしまったら成長は止まってしまう。どんだけ頑張っても楽しみ、挑戦し続ける奴には勝てないんだ。せっかくの舞台だから楽しまないと損だよってこと!まぁあんまり深く考えなくていいよ。」

 

「そうですか。楽しむ...そうですね少し忘れていたかもしれないですね。ではそろそろ私は戻ります。お時間を取らせて申し訳ございません。」

 

「あいよ、じゃあな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後俺はテントに帰った後めっちゃくちゃ質問攻めにされた。

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜...

 

俺は食堂での夜飯をめっちゃ貪り食っていた。

 

この時間は一高の選手たちが集まって食事をする。

 

グループは自然と別れるものだが、俺は基本的に食いたいものを食えれば良いので1人でいたのだが、その中でも視線を集めるのは深雪たちのグループだ。

 

「凄かったわよね深雪のアレ」

 

「インフェルノって言うんでしょ?先輩たちが言ってた。A級魔法師でもなかなか成功しないのにって」

 

流石ですね深雪嬢...

 

その後エイミィーや、雫のコスプレの話なんかが出ていたのだが...

 

「雫がスピード・シューティングで使った術式って司波君のオリジナルなんでしょ?」

 

「インフェルノをプログラム出来たのも司波君だからですよね?」

 

「ほのかの幻惑作戦も司波君が考えたって聞いてるよ」

 

うわぁー...凄い褒められてるのに当の本人は凄く居心地が悪そうな顔してる。

 

まぁ、しょうがないよね達也だもん!!

 

実際達也の組んだCADは、俺の目からしても他の奴が組んだCADの2、3世代は先を行くような性能だった。

 

んなもんを、一介の高校生が組んだってんだから波紋を呼んでもおかしくはない。それも1人のだけならまぁ、百歩譲って出来たとしても、達也が見てるのは1人じゃない。

 

スピード・シューティングに関しては達也が見た子達で表彰台を独占。

 

こんだけ結果を出してれば猿だって達也が凄いってわかる。

 

この後1人の女子生徒が「達也君に見てもらえば私も優勝出来たかも」なんて言って深雪に説教されていたが、そう思われても仕方ないよなぁなんて考えていた。

 

そんな和気あいあいしている女子組と対照的に1年男子は少し暗めだった。

 

結果としては、森崎がスピード・シューティングで準優勝。クラウドボールで俺が優勝と決して悪くは無いのだが、あまりにも女子の結果が出来すぎていて自然と後ろめたさを感じてしまっている。特に一科生。

 

準優勝と優勝をしているが、優勝した俺は二科生。

俺としてはそこは気にせず野郎は野郎で盛り上がりたい所なんだけどな。

 

俺がこのなんとも言えない空気を察してどうしようかと思案していると、遠くから視線を感じてそちらに目を向ける。すると、真由美さんが良い笑顔をしながらこっちを見ていた。

 

『よろしくね!』

 

口パクだったが何を言ってるのかはしっかり分かった。

 

これ本来は俺の仕事じゃないよね...

 

俺は今にもいきり立ちそうな森崎に近ずいた。

 

「女子の方はだいぶ盛り上がってんな」

 

森崎は俺の方を向いて忌々しそうに俺を睨んだ。

 

「九重...」

 

「まぁまぁそんなに殺気立つなよ。男子の方だって成績はそんなに悪くないだろ?寧ろかなりいいと言っても過言じゃない。ここまでの新人戦2種目とも入賞してんだしさ。」

 

俺は軽く、しかし少し諭すように言った。

 

「ちっ...なんなんだよお前らは...」

 

なんだって言われてもねぇ...

 

「適材適所って言葉知ってるか?」

 

俺の急な一言に森崎は先ほどの忌々しそうなを顔しながらも「何言ってんだコイツ」見たいな目をしていた。

 

「何が言いたいかって言うとな、正直達也と俺がお前と一緒のスピード・シューティングに出た所でお前に勝つどころか入賞すら出来ない。これは間違いない。お前がクラウドボールに出たら入賞は出来たかもしれない。それでもスピード・シューティングに比べたら確率は下がると思う。事CADの調整に関しては問題外だ。だから他人を恨めしそうに見た所であまり意味は無いんだよ。だって得意な物が違うんだもん。特に俺と達也は二科生、魔法が得意じゃない。クラウドボールだったら魔法がなくてもたまたま戦えたから俺は出れたし、達也はたまたま座学が出来たからCADの調整をした。適材適所だろ?」

 

さっきに比べれば森崎も大分落ち着いたように見える。流石にまだ納得言ってないと言った顔はしているが、まぁ仕方ないよなぁ。

 

「まぁ、何が言いたいかって言うとな、俺とお前はモノリスコードで一緒に戦う仲間だろ?女子はともかく、野郎は野郎で盛り上がろうぜ!って事。せっかく選ばれて戦うんだから楽しもうぜ?」

 

いやいや柄でもないことを言ってんなとは思ってます。

 

しかし俺の言ってる事が分からない訳じゃないだろうし、周りの男達も「そうだよな」とか、俺達もやってやろうぜ的な雰囲気に少しはなってきた。

 

森崎も納得したみたいだが、お前らには負けんとか言って来た。

 

俺はそもそも争う気もないのだが…

 

そんな感じでひと仕事終えた感が否めない俺は、真由美さんに少し文句を言おうと思い、女子のグループの方に歩いていると女子の会話が聞こえてきた。

 

「そう言えば、男子のクラウドボールで優勝した九重君だっけ?あの人も凄かったよねぇ」

 

「そうそう!特に決勝。流石にダメかなと思ったんだけど、逆転して最後なんか圧勝だったもんね!」

 

「ちょっとカッコよかったよね!甚平めっちゃ似合ってたし!」

 

「一緒に夏祭り行きたーい!」

 

なんか最後変な奴がいたけどきにしたら負けなのかもしれない。

 

「深雪結構九重君と仲いいよね?どうなの?」

 

「迅さんはとってもいい人よ?頼りになるし。」

 

なんであなたが鼻高くなってんだよ...

 

俺はお前の兄じゃないからね?

 

とりあえず森崎達には聞かせられないなと思った。

 

その後真由美さんの所に行き、デコピンしてやった。

 

めっちゃ悶絶してた。




なげー上に進んでねー...

サーセン、仕事忙しすぎてなかなか更新出来ませんでした。

ただ妄想だけは加速してるので、最低でも月1回は投稿できるように頑張ります。

あ!あと日間ランキング25位に入ってました!お気に入りももうちょっとで1000件、UAもあとちょっとで100000!
読んでくれている方々に感謝してます!ありがとうございます。これからもよろしくお願いします!!
あと、設定に迅君の使える魔法、纏衣の逃げ水追加しました!


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22話

お気に入り1000件突破!!

ありがたき幸せ。。。

忙しくてなかなか更新出来ないけど、頑張ります。



新人戦3日目...

 

今日は新人戦バトルボードとアイスピラーズブレイクの三回戦~決勝があるのだが、俺らは今絶賛絡まれていた。

 

ちょうどアイスピラーズブレイクに深雪が出場するので、見に行こうと部屋を出て歩いていると、達也と深雪にあったのだ。

 

これから、準備のために控え室に向かうと言っていたので、そっちに寄り道してから観戦するスタンドに行けばいいや、と思い一緒に歩いていたら、正面から男が2人歩いてきた。

 

イケメンと、塾帰りの中学生見たいな奴だ。

 

2人ともこちらと目が合うと立ち止まり、いきなり自己紹介してきた。

 

「第三高校一年、一条将輝だ」

 

と、イケメンが言い出し、

 

「同じく第三高校一年、吉祥寺真紅郎です」

 

と中学生が言い出した。

 

草むらの虫取り少年だっていきなり名乗らないよ?

 

「第一高校一年、司波達也だ。」

 

お前も名乗っちゃうのかよ...

 

少しこの流れに逆らえないかなと思い黙ってると、皆が射殺さんばかりにこっちをみている。

 

「第一高校一年、九重迅...です。」

 

怖ぇよ...。

 

「そんで、『クリムゾンプリンス』と『カーディナルジョージ』が試合前に何のようだ?」

 

二つ名的なヤツだね。俺も昔は心無い名前で呼ばれたなぁ。あれ結構恥ずかしいんだよね。

 

「ほう.....オレの事だけじゃなく、ジョージのことまで知ってるとは話が早いな」

 

それに関しては俺も知ってる。詳しくはないが。

 

「しば、たつや...聞いたことの無い名です。ですがもう忘れません。おそらくはこの九校戦始まって以来の天才技術者。試合前に失礼かとも。思いましたが僕達は君の顔を見に来ました。」

 

「そこに、まさかクラウドボールで直を破った九重がいるとは思ってなかったけどな。」

 

本当に第三高校の生徒にはよく絡まれるよなぁ...なんか因縁でもあったっけか?

 

「弱冠13歳でカーディナルコードの1つを見つけた天才に、天才と言われるのは恐縮だが...確かに非常識だな。」

 

「確かにな。まぁ、俺は特にこの後何もないけどね、そちらのお姫様はそういう訳には行かないから。お二人さんは達也に用があるみたいだし、深雪は先に準備して来いよ。」

 

俺がそういうと、深雪はニコッとしながら「分かりました」と言い、控え室の中に入っていった。

 

その様子はあまりにも華麗に相手の2人を無視していて、いっそ清々しかった。

 

まぁ、俺も長居はしたくないけどね。

 

この後達也が、プリンスもこのあと試合じゃないのかと聞くと、言葉に詰まっていた。

 

「僕達は明日のモノリスコードに出ます。」

 

吉祥寺がすかさずフォローしているが、まぁ思春期だからね...

 

「君たちはどうなんですか?」

 

「そっちは担当しない。」

 

達也が吉祥寺に答える。

 

「俺は出るよ!モノリス。」

 

「そうか、それは楽しみだな」

 

「でも、勝つのは僕達です。」

 

一条と吉祥寺が自信満々に言い放った。なんでこうも第三高校って自信に満ち溢れてんの?

 

まぁ、悪い事じゃないけどさ、謙虚さにかけるよね。

 

「んじゃ俺も程々に頑張らせてもらうわ。御手柔らかによろしく。」

 

そう言い俺はニヤっと笑った。

 

 

 

なんて一幕もあったが、今は達也と深雪と控え室にいる。

 

何となくそのまま立ち去るのも、先の2人と道が一緒になったらやだなぁとか、考えながら結局何となくで控え室にお邪魔した。

 

「いやいや衣装キマってんな!これだけ見てたらこれから九校戦の試合だとは誰もおもわないだろ。」

 

「ありがとうございます。」

 

完全にいい所の巫女さんですね。

 

「本当に流石だわ。そりゃプリンスも鼻の下が伸びるよなぁ。その辺達也的にはどうよ?」

 

俺は完全にニヤニヤしながら達也に目を向けると、当の本人はあまり気にしてない様子。

 

「何の話ですか?」

 

深雪がキョトンとしている。

 

「いや、さっき深雪が先に控え室に入ってったとき、相手の2人を一瞬も気にせずに華麗に無視したろ?そん時に一条が目に見えて落胆してたんだよ。それを見て達也も呆れてたけどな。」

 

俺はカッカッカッと笑いながら深雪にさっきの話をした。

 

「あれは.....あちらが悪いです。」

 

やはりあれは少し癇に障ったらしい。

 

「まぁ、深雪は悪くないから気にしなくても大丈夫さ。それよりも、色恋に疎い俺だって分かるんだ、一条はお前に気があんだろ?その辺深雪はどう思う?」

 

達也も何か言いたそうにしながら俺の言葉に耳を傾けていた。

 

まぁ、兄として気になる所ではあるのだろう。

 

「そうですね、あまりタイプではないですね。」

 

一条.....ドンマイ。

 

「そいじゃあ深雪はどんな男がタイプなんだ?」

 

聞いたはいいが、言ってから深雪が重度のブラコンなのを思い出した。

 

「そうですね.....何事にも動じず、冷静で周りが良く見えていて、引っ張って行ってくれるそんな人がいいですね」

 

いやに、期待と羨望の眼差しで見られてた気がするが気の所為ということにしておこう。

 

てかこのお姫様を引っ張れる男なんていらっしゃるのでしょうか...

 

そう言えば一条君全然オレに気付いて無かった事に少しほっとしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の競技が全て終了した。

 

結果から言うと、司波兄妹マジパネェわ。

 

達也がCAD担当した、3人が全員入賞。

 

おまけに深雪はぶっちぎって優勝。

 

バトルボードに関しては沓子も頑張っていたが、優勝したのはほのかだった。

 

光井家お得意の光学系魔法を巧みに使った戦術で危なげない試合運びだった。

 

ちなみに戦術立案は達也。

 

ここでも達也の手腕が際立つ。

 

とりあえず...

 

 

 

 

 

 

 

 

お前らなんなの?隠す気あんの?

 

俺も想像の域を出ないが、おそらくはあの名家の出だとは思っているけど、本人たちがあまりにも隠す気が無いので想像は確信に変わりつつある。

 

とは言っても、俺自身は特に干渉しようとは思ってない。

 

本人達も、隠す気がある様には見えないが、知られたくは無いみたいなのでわざわざこちらから言うことも無い。俺も親父と一緒で俗世にあまり興味が無いため広めてやろうとも思ってない。

 

友達と言う物が今まであまりいなかったからよくわからない事が多いが、これからも2人...いや、この学校で知り合った人達は大切にして行きたいと思っている。

 

そんなこんなで俺は森崎たちとモノリスの打ち合わせをした後、真由美さんに呼ばれてホテルの近くの公園に来ていた。

 

「ごめんなさい、待った?」

 

「俺も今来たとこっすよ。」

 

「そう、よかった。」

 

公園は夜遅いこともあって静かだ。しばしの沈黙を破るように俺が切り出す。

 

「そんで?話ってなんすか?」

 

俺がそう言うと真由美さんは少し困ったような顔をしていた。

 

「迅君は達也君、深雪さんの事どう思いますか?」

 

まぁそりゃそうなるよね。聞いたことの無い名前が九校戦始まって以来の活躍をしているのだ。それも兄妹で2人とも。

 

十師族が目をつけるのも当たり前だ。

 

「どうって...仲のいい兄妹だなと」

 

まぁ正直なところ俺は何も知らないと言っても過言じゃない。

 

あくまでも想像の域を出ないのだ。

 

とりあえずしらばっくれる。

 

「私もそう思うけど、今聞きたいのはそういう事じゃ無いの。」

 

「まぁいやに()()()()()()()だとは思いますね。でも、俺はあの2人に関しては特に有益な情報はもってないですよ。」

 

まぁ、嘘はついてないよ?本当に情報として、確定的な事は何一つもってないから。調べてないだけとも言うけどね。

 

「確かに今回の九校戦で、彼らはとても活躍してくれてるわ。それは生徒会長をやってる私からしても、とても嬉しい事です。でも、目立つ事は決していい事だけじゃない。それは迅君もよくわかるでしょ?」

 

「そうっすね。そりゃもう痛いほど。」

 

「2人とも既に十師族の目に止まっているわ。それ以外にもきっと...」

 

この人本当にいい人だよね。小悪魔的なところもあるけど、基本は面倒見のいいお姉さんなんだよなぁ。

 

だから、毎回俺はこの人の頼みを断れないんだよなぁ...

 

「まぁ、俺の目の届く範囲なら助けますし、達也ならあまり心配も無いですよ。それよりも、今は自分の心配をしましょうか!」

 

どうやら真由美さんは気が付かなかったみたいだけど、お客さんがやって来たようだ。

 

俺は真由美さんにマルチスコープを展開するように言った。

 

敵は5人。

 

「さて、真由美さんはそこで誰か来ないか見ててください。俺はお掃除してくるんで。」

 

そう言い終わる時には小太刀を投げていた。

 

俺は気配を消し、投げた小太刀と共に敵に接近し、敵が回避動作を取った瞬間小太刀をキャッチし、そのまま敵を切り付けた。

 

刃は潰してあるので、致命傷にはならないが、一撃で意識を刈り取ると、そのまま倒した敵を掴み近くにいたもう1人の敵に投げつけた。

 

「はい、2人撃破。」

 

この時点で残る敵は3人。

 

装備は、1人はマシンガン、2人はCADを構えていた。

 

魔法に、銃火器。まとめて対応するにはちょこっと面倒なかんじだなぁ。

 

コレが遮蔽物が多いならまだしも、少ない公園に、オマケに俺だけじゃなくて真由美さんもいる。

 

殺るなら一瞬だな。

 

俺は小太刀をもう1本出し構える。

 

CAD持ちの1人が恐らく自己加速術式で急接近してくる。

 

俺も縮地で一気に間合いを詰めると同時にマシンガン持ちに小太刀を投げる。

 

いきなり目の前に現れ驚いたのか、突撃してきた相手は直線的な攻撃になる。それを半身で躱し膝蹴りを決め魔法を使う。

 

「飛雷神」

 

 

俺は一瞬でマシンガン持ちの前に現れ、1人目を倒した時の様に切り付けた。

 

残るは1人。

 

幻術を使い撹乱しながら近づき、何も出来ない敵にサイオンを使った手刀で痺れさせ、気絶させた。

 

照準を真由美さんに向けようともしていたけど、まぁあまり意味は無かったね。

 

 

 

 

 

「終わりました。大丈夫だとは思いますけど、怪我は無いですか?」

 

「え...ええ、大丈夫よ。それにしても迅君よく気がついたわね。」

 

「まぁ、索敵と隠密は基本っすからね。」

 

敵より早く見つけ、気付かれる前に倒す。これ、基本です。

 

「それに迅君何あの魔法?瞬間移動に見えたけど...」

 

「あぁ、あれは俺のオリジナルですよ。一応古式魔法なのかな?俺のサイオンって特殊って話はしましたよね?」

 

「そうね、電気質だってきいたわ。」

 

「この小太刀も特殊で俺のサイオンに最適化されてるんです。簡単に説明すると、俺とこの小太刀は回線が繋がってるんですよ。なんで距離に限界はありますけど、小太刀のある場所まで電気が流れる速度、つまり光の速さで移動する事が出来るんです。逆もしかり。」

 

「なるほど、ってことは空間を瞬間移動してるんじゃなくて、小太刀までの距離を光の速さで移動しているのね?」

 

流石っすね飲み込みが早い。

 

「まぁそういうことっすね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よいしょ、まぁこんな感じかな。」

 

俺は気絶させた敵を縛り上げていた。

 

「迅君この人たちは何が目的だったのかしら?」

 

真由美さんは難しい顔をしていた。

 

「十中八九、九校戦の妨害だと思います。一校が勝つと面白くないと思ってる輩がいるんでしょう。それに、この場面は絶好のチャンスだったんですよ。」

 

「どういうこと?」

 

真由美さんは首を傾げている。

 

「少なからず、彼らは俺と真由美さんの顔と名前を知っていたんですよ。敵兵もそこそこ訓練されてましたし。優先順位はまだ競技の残っている俺のが高いとは思いますけど、真由美さんも一校のトップだ。同時に潰せたら、一校に対して大きな打撃を与えることができる。」

 

「確かにそうね。でも、一体誰が...」

 

まぁ、誰であっても見つけたが最期だけどな。




ある忍者マンガから技名借りました

中身は大部劣化してるけどね。

忙しいので纏まりのない文章になってしまったけど読んでいただけたら幸いです。


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