ヴレイブトゥエンティ~隠された12人目の勇者~ (神狼 梟)
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復活した蠱毒の勇者

イシオス暦五年

ある森の中に存在する小屋の中で、暖炉に辺りながら勇者についての本を読んでいる少年がいた。

 

「『11人の勇者たちと12の英霊獣は誰一人かけることなく魔王を倒し、イーストは平和に満ちた。』か……。くっくっ、ほんと、知られてないんだな。」

 

少年は読んでいた本を閉じると、近くにあった机に置くと、おもむろに立ち上がり、壁にかけてある写真を見た。

 

「懐かしいなぁ………皆は元気だろうか。」

 

少年は懐かしむように写真に触れ、写っている12人の男女の名前と二つ名を言った。

 

「『爆炎勇者』ライル、『氷水勇者』セシル、『迅雷勇者』ゴウズ、『風嵐勇者』オキシィ、『極光勇者』リンク、『斬王勇者』キリト、『聖女勇者』リリィ、『奔放勇者』ジーン、『絶壁勇者』ルクス、『共鳴勇者』ルンリー、『錬産勇者』ミュウ、そして……『死神勇者』トミヤ。自分で言って恥ずかしいな。」

 

伝われていない12人目の勇者、それがこの物語の主人公であり、11の勇者最強とうたわれる『極光勇者』リンクおも、超える本当の勇者最強。

 

「そろそろ封印も切れる頃だ、平和になった世の中はどんな風になってるだろう。気になるなぁ。」

 

『死神勇者』トミヤ コウザカ。またの名を、『蠱毒の転移者』である。

 

 

───────────────────────

 

 

最初この世界──俺たちからすれば異世界なんだろう──イーストにきたときはほんと驚いた。

 

あ、俺たちってのは他にも同じクラスの奴とかがいたからな。

 

でも、俺に能力なんてなかった。あるのは???と表示されるスキルと、元からある鍛えぬかれた身体能力だけだった。

 

そのお陰で俺は虐めの対象に、でも、それでも俺を見捨てないでくれたのは幼馴染みの宮町 神成と鍵塚 仁だった。

 

二人のお陰で何とか保てたけど、それは1日にして崩れ去る。

 

俺たちを呼んだ王国側は突如俺たちを洗脳しようとした。だが、特に強い能力をもった二人と何人かは洗脳から逃れ、操られた生徒と戦った。

 

だが、所詮まぐれで掛からなかったやつが大半だった。次第に数が減り、遂に俺たちの中で最強だった仁まで洗脳されてしまった。

 

俺たち二人は逃げるも追い付かれ、神成は殺された。無能と判断されてた俺は不要だから殺せと命じたのだろう。それを庇って殺された。死に際に彼女は、俺に、

 

「大好きだった。」

 

そういって死んでいった。

 

そして、俺の中にある何かが壊れた。俺は気づかなかったが、そのときにあの???と表示された能力は『蠱毒』となった。

 

と、同時に新しい能力も手にはいったんだよなぁ。

 

びっくりしたよ、いきなり背中から某狩猟ゲームのゴマアブラみたいな手が生えたんだから。

 

そこからの記憶はあまりない、目を覚ました時には、そこは何もない荒野が広がっていたよ。

 

幼馴染みの死体も、クラスの皆の死体も、でもなぜか罪悪感なんてわかなかった。

 

そっからは、まぁ、適当にぶらぶらと歩いた。

そのときになって俺自身が膨大な能力を持ってることに気づいた。

 

見覚えがあるやつがあるなとおもったら、幼馴染みの能力だった。

 

今になってはどうでもいい。

 

 

《ピピピピピピ》

 

 

どうやら封印の期間が過ぎたようだな。まずは皆に会いに行くのが先かな。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

不思議な電子音が鳴り響くと、トミヤがいた小屋はまるでなにもなかったかのように消えていった。

 

トミヤは辺りを見渡すと、なにもいない空間に語りかけるよう話しかける。

 

「ルーン、よく俺の封印が終わるまで待ってたね。」

 

すると空間に突然割れ目が現れ、そこから犬耳を生やし、メイド服をきた女性が現れた。

 

「私はトミヤ様に従える身、そうやすやすと契約解除なんてしません。」

 

女性の名はルーン。トミヤが勇者たちと別れたあとに従者となった。メイド服は某弾幕ゲームの赤い館にいるメイドと同じ格好と言えばいいだろう。

 

「それに、私はティンダロスの猟犬の祖先であるヘルハウンズですよ?今まで長い間過ごすなかで、数十年なんてどうとも思いません。」

 

「そうだったな、マイノグーラは元気か?」

 

「マイノグーラ様ですか?とても元気ですよ。ニグラス様と共にトミヤ様と会うのを楽しみにしています。」

 

「…また会いに行かないとな。」

 

彼女の名はルーン。曲線が無い都市、ティンダロスにすむ猟犬、ティンダロスの猟犬の祖先に当たるヘルハウンズだ。。マイノグーラやニグラスと言うのは彼女たちの産みの親の事だ。

 

「そろそろいくか。俺の武器も回収しないといけないし。」

 

「あぁ、少々お待ちください。もうすぐ皆到着すると思われます。」

 

ん?皆?と考えていると、遠くの方から十二の光がトミヤたちの目の前に着地した。

 

「………お前たちは、どうして。」

 

「……私たち一同、主様の復活を知り駆けつけた模様です。」

 

一匹は黒い鱗をもつ漆黒の龍

一匹は額に角を着けた馬

一匹は全身が炎に包まれた鳥

一匹は蛇のように長い身体をもつ青い竜

一匹は亀のような硬い甲羅と尻尾が蛇

一匹は銀色の毛並みの美しい狼

一匹は銀色とは正反対の黒い狼

一匹は白く鋭い爪をもつ虎

一匹は二対の羽根をもつドレスをきた小さな妖精

一匹は薄い緑色の肌をもち、頭には花の髪飾りを着けた女性

一匹は全身鎧をきた騎士

一匹は黒いスライム

 

十二体の生物はトミヤに膝まずくかたちで現れた。

 

「契約は切ったはずだぞ。それにお前らは英霊獣だろ?」

「契約は両者が納得した場合のみ切られます。勇者様がたは勘が良ければ、主様の復活に気づいてるでしょう。」

 

「つれていくのも私の時空間に入れて行けばいいので問題ありません。」

 

「う~ん、いないよりはましだから、わかった。」

 

こうして、トミヤは十三の生物を引き連れ、自らの武器が眠る都市ドーンへと足を進めた。

 




どーも、作者です。気分転換で書いてるのでむっちゃ遅いです。
コメントを書いてくれればやる気が出ます。

では、


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テンプレ的に絡まれるが容赦しない

ヒュュュュューーーーーーー

 

 

はるか上空を高速で飛ぶ影がある。

 

「いぃぃやっほぉぉぉぉぉぉいぃ」

 

『やっほぉーーーーい!!』

 

飛んでいるのは、爆炎勇者の英霊獣である火を纏う不死鳥、フェニックスだ。その上で叫んでいるのはトミヤだ。突然、透明化の魔法はかけてある。

 

「いやーーー!フェニーに乗って飛ぶのは久しぶりだなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

『私もーーー!楽しーーーーーーーーーーよーーーー!』

 

二人(一匹と一人?)は恐らく本来の目的を忘れて単純に楽しんでるんだろう。と、そこへ、

 

(お楽しみのところ申し訳ございません、トミヤ様。あと一分後、目的地ドーンへとたどり着きます。フェニーちゃんにもつたえてください。)

 

(了解。伝えとくよ。)

「フェニー、あと一分でドーンにつくって。スピードダウンだよ。」

 

『わっかりましたーー!』

 

徐々にスピードが落ちていき、町が見えてくる頃にはスピードは最初に比べ格段に落ちていた。

 

「フェニー!あそこに降りてくれ。」

 

『はーーーい!』

 

トミヤが指した場所は町の外れ、いくら現状透明化の魔法をかけてるとはいえ、空から人が降ってくるところをみられたらなんと言えばいいか。

 

バサ、バサ、と、翼をはためかせ地面に着陸したフェニーはトミヤをおろし、時空間へと帰っていき、代わりに

ルーンがやって来た。

 

「トミヤ様、町へ入るには身分証なるものが必要らしいですが…………」

 

「大丈夫だ、問題ない。」

 

正にフラグをへし折る勢いで門へと歩いていった。

 

 

~~少年移動中~~

 

 

「むっ?そこのしょ「『スリープ』」……くぅ………ぐぅ………」

 

魔法を使って門番を眠らせたトミヤはそのまま町へと入っていった。

 

もちろん、トミヤの姿をみた門番の記憶を消すのも忘れない。

 

「さーて、まずはギルドだな。」

 

そうして、トミヤは町へと足を踏み入れた。

 

 

~~移動中~~

 

 

時刻は昼過ぎ、この町で人が一番多くなる時間だ。そして人の波をこえたその先には冒険者ギルド、ドーン支部が見えてくる。

 

「しっかし、この町も人が増えたなぁ。」

 

「増えたと言いましても、昔もそうだったのでは無いのですか?」

 

「多分、この町がゴウズとオキシィの出身地だからじゃないかな。あいつらも、リンクがこの町にきたときに仲間になったらしいし。」

 

「そうなんですね、おや、どうやらついたようですよ。」

 

ギルドの前についたトミヤとルーンは中に入っていった。

 

「おや、みない顔だね。」

 

突然、入ると声をかけられたのでそちらを向くと、エルフがいた。

 

「君たちもギルドに入りに?」

 

「あぁ、そうだ、あんたは?」

 

「おっと、失礼。僕はリンダート。しがない放浪エルフさ。ちなみにランクはB」

 

「俺はトミヤ、こっちのメイドがルーンだ。」

 

エルフのリンダートとトミヤは握手をする。

 

「君たちも丁度いいね、今日はSランク冒険者のパーティーが来てるらしい。初心者の試験の手伝いでね。」

 

「ふーん、興味ないな。まぁ、失礼する。いくぞ、ルーン。」

 

リンダートの話を軽く受け流すと、一番すいてる受付へと歩いていった。

 

「すみません、冒険者登録をしたいんですけど。」

 

「冒険者登録ですね、ではこちらの用紙に必要事項をかいてください。名前以外のところは空欄でも構いません。」

 

用紙には名前、出身地、スキル、魔法、その他エトセトラ………色々かかれていた。

 

それを手短にかくと、受付の人に渡す。

 

「…………はい、はい、これでよしと。冒険者についてのルールは聞きますか?」

 

「いえ、すぐに試験で結構です。Sランクパーティーがいると聞いたので。」

 

「わかりました。では、早いですが……ようこそ!冒険者ギルド、ドーン支部へ!私たちは貴方たちを歓迎します。こちらのカードをあちらにいる係のものに渡してください。」

 

「わかりました。」

 

二人分のカードには一番上に名前がかかれていて、その隣にFの文字がかかれている。

 

したに出身地とスキル、魔法とあるが、空白となっている。もちろん書いていないからだ。

 

受付をあとにし、係の人のところへといこうとすると、前を遮る影がある。

 

「おっと、悪いな小僧、係のとこにいきたいのなら一人でいきな、その嬢ちゃんには俺らSランクパーティー『大鬼の刃』が冒険者としてのルールを教えてやるよ。」

 

と、いいながら目の前の男はにやにやと話しかけてくる。後ろにいるのはパーティーメンバーだろう。にやにやしてるし。

 

「遠慮させてもらおう、こいつは俺のメイドだ。あんたらに貸すものでもないし触らせもしない。」

 

「……あぁ?おい、小僧。ちぃたぁ言葉がなってねぇんじゃねぇか?俺らはSだぞ?」

 

「だから?Sだから偉そうにしていいと?それとも……他の冒険者に弱く見られたくないからか?心が狭いねぇ。違う意味で尊敬するよ。」

 

やれやれ、と肩をすくめて苦笑いすると、相手は顔を赤くしてどなり始めた。

 

「てめぇ…………!言わせておけば!ぶっ殺す!」

 

相手が剣を抜こうとすると、パーティーメンバーが止めにはいる。

 

「リ、リーダー、いくら何でもこの中じゃ………」

 

「……チッ、そうだな。おい小僧、お前試験を受けるんだよなぁ。」

 

「そうだが?」

 

「俺と勝負しろ。ルールはデスマッチで。」

 

デスマッチの言葉で受付の人がいきなりたち始めた。

 

「しょ、初心者相手にデスマッチなんて、なにかんがえてるんですか!?」

 

「こいつが俺ら『大鬼の刃』になめた口聞くから悪いんだよ。なぁに、ちょっとしつけるだけだ。先にいってるから逃げるんじゃねぇぞ!」

 

いくぞお前ら!と声をあげ去っていった。

 

「………はぁ、ギルドマスターに会う前に片付けるか。」

 

 

 

 

そして時間は進み、試験場。トミヤと相手の男が向かい合っている。

 

「殺す前に名前を聞いとこう。」

 

「俺様はガウェイン。てめぇは?」

 

「トミヤだ。残念ながら武器を回収してないから素手だが、気にしないでほしい。」

 

回収?と首をかしげるも疑問を消し去り、剣を構えるガウェイン。

 

そして、

 

「これよりデスマッチ兼ランク決定試験を開始する!決闘開始ィ!」

 

「いくぞお─────!?」

 

ガウェインが進もうとした時には既にトミヤは懐にいる。そして、魔力が集まった手から一番得意な闇魔法が炸裂する。

 

「『ダークアウト』。」

 

魔法名が言われると同時に手から放たれた闇はガウェインを頭だけだして飲み込んだ。

 

「『ダークアウト』は相手を闇に閉じ込めるだけでなく、その闇はお前と同化する。つまりこれを爆発させたらお前と木っ端微塵だ。」

 

「だ、だが、『ダークアウト』は普通の攻撃では壊せないはず!」

 

そんなこと使用者が一番わかってる。この魔法は長い間使ってきた魔法。使い方はよく分かる。

 

「確かに、壊せない。だが、その上にある物質ごとならいける。」

 

トミヤの手に再び魔力が集まる。今度は氷の魔法。闇と違ってこちらは詠唱がいるそうだ。

 

「生者も亡者も関係なく、棺桶はすべてを閉じ込める『アイス・コフィン』。」

 

今度は頭ごと氷漬けになり、すぐに解凍しなければ恐らく凍死するだろう。

 

「ま、凍死するまで待つつもりなんてサラサラ無いけどね。じゃあ、バイバイ、Sランク冒険者さん。拳術技(フィストアーツ)『竜爪刺突』。」

 

トミヤの手を竜の爪のようなオーラが纏い、氷の塊に向かって突っ込む。一瞬止まったように見えたトミヤはいつの間にか氷の塊を貫通していた。

 

「……ふぅ、弱ぇなぁ……。本当にSランクなのか?」

 

トミヤは人を一人殺したにも関わらずなんとも思ってないかのような表情で試験場をあとにした。

 

ロビーに戻ってくると、なぜかそこにいる冒険者、受付嬢が全員まるでショッキング映像をみたあとのような顔になっていた。

 

「お帰りなさいませ、トミヤ様。お見事でした。」

 

「ん?見てたのか?」

 

「はい、どうやら映像の魔道具が置かれてたらしく、皆様は人が砕ける所をみてこんな顔に………」

 

「血を流さなかっただけましだろ?」

 

「「「「「「「ましじゃないわ!!」」」」」」」

 

顔を青くしていた冒険者は皆口を揃えて叫ぶ。

 

「でも、これでわかっただろ?以降俺たちに手を出そうとしたら…………いつの間にか死んでるかもな。」

 

ひぃっ!?と全員が怯えると、突然奥の階段からドタドタと降りてくる音が聞こえてきた。

 

「あ、やっぱ気づいたか────!?」

 

トミヤが吹っ飛ぶ。突然のことに動けなかったルーンは、すぐに向かおうとしたが、足に何か絡まって動けないことに気づく。

 

「これは樹木魔法!?なんと言う強度……!大丈夫ですか!?トミヤ様!」

 

「いつつ、なんとか無事だ。それにしても……」

 

「トミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤトミヤ────「わかったから、怖いから連呼すんな。」ぺしっ。

 

「あいたっ!?」

 

トミヤの上にまたがり頭を抑え悶絶する幼女。この幼女こそ、ドーン支部ギルドマスターの元SSランク冒険者の『森の神狼』の二つ名をもつ。

 

「久しぶりだなミミ。」

 

「会いたかったぞトミヤ!それにしてもトミヤの愛がいたい……。」

ミミ・ウルフォーズである。

 

 

 




正直言おう。


ここまで話が伸びるとは思わなかった!

てのはおいといて、今回から新しい魔法、技が出てきたら紹介しようとおもいます。


魔法

『ダークアウト』
闇属性中級魔法 拘束系統上位魔法

詠唱「黒き闇に捕らわれ、暗い牢獄へと誘え」

『アイス・コフィン』
オリジナル氷属性魔法 拘束系統上位魔法

詠唱「生者も亡者も関係なく、棺桶はすべてを閉じ込める」




『竜爪刺突』
拳術上位技 突攻撃

必要スキル 拳術技Lv8 魔力コントロールLv1


次回も見てください。


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勇者トミヤ、久しぶりにぶっ飛ばす 前

場所はドーン支部ギルドマスター室。そのなかで幼女とメイドが少年の片腕を持ちながらにらみあっている。

 

「何でこんなことになったんだろ····」

 

「「この幼女(メイド)が悪い!」」

 

「はぁ····俺的には早く渡して欲しいんだけどなぁ……」

 

なぜこうなったのかと言うと時は少しさかのぼる。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ギルマス室でにらみ会う少し前、トミヤの腹に突撃してきたミミは突然、後ろに引っ張られる。

 

「おい幼女、貴女はトミヤ様に何しているんですか?死にたいのですか?」

 

「ンだとおらぁ!人の事幼女って言いやがったな!離しやがれ、この糞メイド!」

 

「ンなっ……!糞メイドですって!?……貴女死にたいのですか?」

 

「こっちの台詞だごらぁ!!」

 

「「がるる……!!」」

 

いがみ合うルーンとミミ、そこに勇気をだして近づいている受付嬢がいた。

 

「あ、あの、ギルドマスター?「あぁん?」ひぃぃぃ!?すみませんすみません謝りますから~!」

 

「わりぃわりぃ。ちょっと話するから、あれ、持ってきてくれ。」

 

「え………、でも、………わかりました。すぐ持ってきます。」

 

声をかけてきた受付嬢は小走りで階段を上がり、奥へと消えていった。

 

「さて、トミヤと……糞メイド、俺についてこい。」

 

「さらっと糞メイドと……やはり殺るべきか。」

 

「お前らはまず喧嘩すんな。それと、あれって俺の?」

 

「それもギルマス室で話す。どうせ勇者たちのことも聞きたいんだろ?」

 

トミヤはうなずくと、ミミの後ろをついていった。

 

 

 

 

 

「ここだ。」

 

扉には蛍光色で『ギルマス室』と書かれたプレートがはってあった。

 

「適当に座ってくれ。」

 

部屋のなかは以外にも質素な感じではなくぬいぐるみやら可愛らしく、女の子が好きなものがかなり置かれていた。

 

「ふっ、やはり心まで幼女なんじゃないんですか───」

 

ルーンは言いきると同時に開いた穴に抵抗なく落ちていった。

 

「さて、これで話せるな。まず1つ、勇者たちはいまどこに?」

 

「王都の魔法学院だ。ギルド代表として、勇者全員がいってる。安心しろ、まだ枠が余ってるから入学入学可能だ。」

 

王都。トミヤにとっては苦い思い出しかない。なんせこの世界にくる原因となる奴が国王なのだから。

 

「俺の神器は?」「すぐに準備させよう。」「向こうにはいつでも入れるのか?」「大丈夫だ、問題ない。」

 

「あとは───」

 

 

 

[長いのでキ○グ・クリム○ン!]

 

 

 

トミヤが聞きたいことが終わったころ。ルーンが空間を裂いて現れた。

 

 

[ぜはぁ、ぜはぁ、トミヤ様、ほんと、やめてください。」

 

そういってトミヤの腕に絡み付くルーン。

 

「んなっ!?なに抱きついてンだよ!」

 

そういいながらも自分も抱きつくミミ。

 

そして光景は冒頭へと戻る。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

『トミヤ視点』

 

はぁ、全く、こいつらは会わさないほうがよかったなぁ。

それにしても王都か………まっ、突っかかって来たら返り討ちにしてやる。

 

 

 

コンコン

ガチャ「失礼します!ギルドマスター!大変です!王都の方に魔物の大群が現れました!」

 

はぁ!?えぇ!?まじ!?

 

「なんだと!チッ、しょうがねぇ、トミヤ、メイド、私に捕まれ。」

 

どうやら空間結晶でも使うのか。

空間結晶というのは、二対のアイテムで、一個を目的地に、もう一個をてにもって、置いた目的地の名前を言うとそこに転移できる便利アイテムだ!

 

「てっおい!俺のは!?」

 

「おっと、すまん。ホラよ。」

 

渡されたのは黒い腕輪。これが俺の武器。どんなのかは後で教えてやるよ。どうせ、使うだろうし。

 

「転移!王都グランツ!」

 

一瞬の発光のあと、次の瞬間には、俺たちの目の前には机に向かって話し合う4人の男女がいた。

 

「やっときたか『森の神狼』。後ろの二人は?」

 

「助っ人だ。メイドのほうはしらんが、トミヤの方は桁違いだぜ?」

 

俺の名前を口にした瞬間、奥にいた金髪の男が反応した。ってあれ、こいつもしかして………

 

「トミヤ、なのか?俺だ!リンクだ!」

 

やっぱり……リンクだったか。

 

「元気にしてるようだな、リンク。」

 

「あぁ、みんなお前の事を待っているぞ。」

「わかってる。その前に魔物の大群とやらを──「おい貴様!」たくっ……なんだよ。親友との再開に口を出すなよ。」

 

なんなんだよこのツンツン頭。毬栗か?毬栗なのか?

 

「貴様のようなやからが英雄であるリンク様に口を聞くなど笑止千万!ましてや親友だと……?嘘も大概にしろ!」

 

「「あぁん?」」

 

ツンツン頭が俺への悪口?を言い終わると同時にミミとルーンから強烈な殺気が当てられる。

 

「おいてめぇ、新人だろ?トミヤの事を知らずにグダグダ言ってよう。おいヘルメス!教育を疎かにしてんじゃねぇぞ!」

 

「こればかりは幼女に同意です。知りもしないでベラベラと喋るのは首と体がおさらばする覚悟があると見ていいので?」

 

「「なんか言えやこのツンツン頭!」」

 

………なんやかんやで仲がいいのか?この二人。

 

「あー……ミミ、そこら辺にしてやれ。」

 

「ルーン、そこまでだ俺はなんとも思ってないから。」

 

ヘルメスと呼ばれたリンクの隣にいる爺さんと俺が止めにはいったお陰で、ツンツン頭は気絶ですんだ。

 

「これでは戦えませんね~、一応南側の守護担当何ですが~。それにしても~トミヤさんでしたっけ~、何者何ですか~~」

 

まぁ、俺の昔を知ってる冒険者は古参組だからなぁ、

 

「オリヴィエが知らなくて当然だろう。トミヤが冒険者として活動していたのはリンクが魔王を討伐する10年以上前の事だからな。」

 

俺はなぜか不老なんだよな。不死ではないが寿命がないし。

 

「トミヤが協力してくれるのはありがたい。トミヤには先ほど倒れたカンダミアくん……あぁ、ツンツン頭の事ね。彼が守護担当の南にいってもらいたい。」

 

「わかった。ルーンをそちらに置く。「え!?」なにか連絡があったら言ってくれ。」

 

「ではリンク率いる勇者部隊とそこのメイドの嬢ちゃんが西側、オリヴィエ率いるクラン『神聖樹の乙女』は東側、ミミと俺が北側、南はトミヤにいってもらいたい。案内は俺がする。」

 

そういうとヘルメスはおもむろに立ち上がり

 

「全員必ずこの町を護るぞ!解散!……いくぞトミヤ。」

 

倒れたツンツン頭を放って俺たちは持ち場に向かった




かなりの不定期更新。でもよろしくお願いします。

最近マクロスΔにはまりまして、いいですよねマクロス。個人的にメッサー中尉が死んだところは感動しました。
では、また次回


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