石の意思 (与那国蚕)
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遠い過去

50,000字目指してみます。


「もう何年外に出てないだろうか」

声から察するにその男はそう一言発した。

 

「転移してもう100年くらいかな、言ってもずっとここに引きこもってたから大体だけど」

ふと記憶を辿る。一世紀前の事も鮮明に思い出せる。

これは身体が変わってしまったからなのだろうか?

 

YGGDRASIL

これは彼が人間時代にプレイしていたゲームだ。

二一二六年に発売されたDMMO-RPGで圧倒的な自由度を売りにしたゲームだった。

RPGは苦手だったが友人に無理矢理誘われる形で遊び始めた。無料じゃなかったらやってなかったかもしれない。

 

話は約112年前に遡る。

いくら人気のゲームであっても時間の経過による人口の減少は避けられないものであった。

それはYGGDRASILであってもだ。

サービス終了のアナウンスがされた時には

「あぁ終わるのか、それなら久々にやろうか」程度のものだった。

 

事実彼も最初の数年はやり込み、仕事以外の時は殆どログインしていたのだが、だんだんとマンネリ化して来てログイン頻度は月2回程度まで落ちていた。

 

それでも引退までいってなかったのは数多くのアップデートやフレンド達がいた(あった)からだ。

一時期他のゲームに浮気していたがやはりそこまで続かなかった。

 

基本料金無料ではあったがかなり課金していた。

最初は「こんなゲームに課金なんてしないよ」なんて言ってたのに結局課金していた。

それも今日で終わりだ。

 

サービス終了日

彼はフレンド達と集まって話をしていた

 

「今日で終わりか〜」

「結構課金したよなwww」

「あー勿体ない」

 

などとフレンド達と話していた。

別にこれ自体は珍しくない、ここ数年はこの意味の無い会話の為にログインしていたようなものだ。

それでも良かったと彼は思う。

話してるだけで楽しかったし何よりここまでやり込んだのだ。

もう思い残すこともない。そう思っていた。

 

1人のフレンドが思い付いたように話し出す。

「そう言えばバザーどうなってんの?」

 

バザーとはプレイヤー間でアイテムの売買が出来る機能である。

 

「どうせ今頃インフレ起こしてるよ」

「案外誰もいないんじゃね?ww」

などと詮索し始める。

 

「なら覗いてみるか」

 

1人の発言で皆がメニューを開く。

 

バザーは街にもあるのだが彼らは異形種だ。

入れる街も多くないしわざわざPK(異形種狩り)される趣味はない。

 

「しかし異形種狩りも減ったよな」

「そりゃそうだ、あのDQNギルドのお陰だろ」

「八ギルド連合全滅させたんだろ?そりゃ減るよ」

「マインズウールゴウン様々だな」

「あれ?そんな名前だっけ?」

「違うっけ?言われてみれば違うような…」

「アインズウールゴウンでしょwww」

「そっかそっか」

 

 

何でもない会話をしながらバザーを眺める。

 

「これワールドアイテムじゃんwww」

「まぁ最終日だしね」

「高過ぎだろwwwwww」

「そんな金ないもんなー」

「そりゃそうだ、ここ何年も喋ってるだけだぞ」

「そうかwwwそうだわなwww」

「てか最終日に物買ってどうすんの?」

 

この一言で皆メニューを閉じ始めた。

 

「じゃあ花火撃って終わろうか」

「それがいい」

「俺持ってないよwwww」

「ならあげるよ〜」

「これ使った後じゃんwwwwww」

「冗談冗談(笑)」

「ホントかよw」

 

そして思い思いに花火を撃ち始める。

 

「じゃあね〜、また別ゲーで〜」

「お疲れ〜」

「乙乙〜」

 

そして2人いたフレンドがログアウトしていく。

 

ふと時間を見る

 

23:32

 

「まだちょっと時間あるな〜、どうせなら最後まで残るか」

 

そして立ち上がると全身を眺める。

「こうして見るとデカイな〜」

 

彼が選択したアバターはクリスタルゴーレム。

身長は3m近くにもなり基礎能力もかなり高い。

しかしながら職業構成はかなりバラバラだ。

回復の出来るゴーレムは珍しいと言う理由で神官系の職業を取ってみたり、意外性のある物ばかりを取得していた。

 

何でもこなせる万能ゴーレムと言えば聞こえは言いが、実際は90Lvのガチ構成にすら負ける性能でPVPの勝率はほぼ0だ。

 

それでも楽しかったんだから問題ない。

そう自分に言い聞かせるとアイテムを眺め始めた。

「ガチャの外ればっかだ…」

見ると虚しくなってきてなんだかやるせなくなってきた。

 

「もういい時間だ」

 

23:58

 

草原に寝そべっていろいろ思い出す。

ーー楽しかったなーー

語彙力が無いせいでそれしか思い浮かばない。

でもそれでいい。今までそうだったんだから。

 

そして時は来る。

 

 

 




ここまで見て頂きありがとうございました。


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異変

2話です。


 

目の前に広がるのは吹雪

 

「え?なにこれ?」

 

彼は考えた。

なぜ草原にいたのに雪山らしき場所にいるのか?

そしてなぜ時間を過ぎてもログアウトしないのか。

思考の渦に囚われる。

そもそも吹雪が体に当たる感覚と言うのがおかしい。

それにコンソールも出ない。

 

「ん?体に当たる感覚?」

 

自分の手を見てみる。

透明に近い透き通った青に5本の指。

握ったり広げたりしてみる。

何かが違う。

 

可能性があるとすればバグで別のエリアに転移してしばらくコンソールも出ない状態になっているという事。

 

それだと吹雪が体に当たる感覚が説明出来ない。

 

これまでのYGGDRASILでは『触る』事は出来たのたが感触なんて無かったはずだ。

 

ならYGGDRASIL2なのか?

しかし告知無しのアップデートなど日本の電脳法に反しているし、コンソールが出ないのは監禁では無いのか。

 

「考えても無駄か…」

 

彼がとった行動は待つ。

時間が経てば“ある程度”の事は解決してくれる。

その為に雪の上を歩き出した。

足が雪に沈んでいく感覚が心地いい。

 

しばらく歩くと洞穴を見つける。

穴の大きさは2mほどだろうか?

身体の大きさを考えると少し小さいが、少々無理をしてかがめば入れるだろう。

薄暗いと言うよりはほぼ真っ暗だろう。

天気が吹雪でも無ければ明るいのかなぁなんて思うが、常時異常天候のエリアもあったしその考えは投げ捨てる。

 

3mほど進むと、視界が広くなった。

どうやら行き止まりだが広間のようになっている。

ふと視線を下にやると小さめの岩に横たわるように骨が落ちている。

 

骨といっても何かしらの装備はしているようだが…

 

「スケルトンウォーリアー?」

 

YGGDRASILの時に似たようなモンスターはいたのだが、かなり弱い。

そうなると今いる場所に強い敵はいないのだろうか?

 

しかしもう動かないということは殺されたのだろうか?

そもそもYGGDRASILでモンスターを倒すと、アイテムのドロップと同時にモンスターは消滅するのだ。

(勿論アイテムはドロップしない事の方が多いのだが)

そう考えると今までのYGGDRASILではないようだ。

 

色々考えながら眺めていると風化した紙のような物が落ちている。

不釣り合いな大きさの手で拾ってみるが、何が書いているのかはわからない。

それは決して風化しているからではなく、字が読めないのだ…

そもそもなんで字が読めないのだろうか?

記憶を辿るがこんな訳の分からない文字は見た事が無い。

昔小学校の教科書で見た象形文字というのが近いのだろうか?

紙にはびっしりと書いてるのだが読めなければ意味が無い。

しかしながら、ゲームであれば意味の無いようなものでも後々重要になってくる物である。

こういう考えのせいでか、アイテムボックスの上限はギリギリまで課金で増やしていた。

そしてその紙もアイテムボックスに入れるのだが…

 

「今どうやってアイテムボックスに入れた?」

 

さも当然のようにしていたが、YGGDRASIL時代にはコンソールのメニューを開いて出し入れしていた。

それがどうだろう、今では肩辺りの空間に手を入れているではないか。

ちなみに入れた手は消えてアイテムボックスの中に入っているらしい。

正確に言うと意識として全て伝わってきている。

ここまで異常なことが起こっているのだが、不思議なことにそこまでパニックになったりなどはない。

 

「自分自身結構オーバーな所があったのになんでここまで冷静なんだろう?」

 

 

 

その謎に辿り着くまで一世紀も経つとは知る由もない。

 

 

 

再び骨に目をやると、剣が落ちている。

ブロードソードのような細身の剣だ。

かなりの時間が経っているだろうに錆一つ無いということは結構いい物なのだろう。

拾って見ると見る見る内に大きくなっていく。

1.5mほどだろうが、どうやら魔法の剣らしい。

別に珍しいとは思わないが実際に大きくなるのは初めてでじっくりと眺めていた。

 

魔法の剣と言わず武器や防具なんかはかなりの数を保有していた。

これは貧乏性、そういうものだろうと考えていた。

 

「それはそうとゴーレムなのになんで意思があるんだろうか」

 

YGGDRASILのみならずゲームや創作物に出てきたゴーレムは命令に従うだけの存在だったはずだ。

 

「プレイヤーなんだから意思があって当然か」

 

考えることを放棄した。悪い癖だ。

 




ここまで見て頂きありがとうございました。


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意思

間違えて前書きに本文を書いていました。
消す作業が面倒ですね。
それでは3話です。

2016/06/29 21:06:30
誤字を修正しました


 

洞穴に篭って2日が経った。

未だにログアウト出来ない。

運営からの連絡もこない。

 

洞穴に篭って2週間が経った。

ログアウトは諦めた。

異世界転生の可能性が脳裏をよぎり始めた。

 

洞穴に篭って2ヶ月が経った。

不思議と退屈とは思わない。

ゴーレムだからだろうか。

 

洞穴に篭って2年が経った。

動く意思よりも動かない意思の方が強い。

もう少しこのままでいよう。

 

洞穴に篭って20年が経った。

外は晴れているようだ。

こんな日もあるんだな…。

 

洞穴に篭って40年が経った。

人間時代よりこの世界にいる方が長い。

未練はなかった。

もうこっちが現実なんだ。

 

洞穴に篭って80年が経った。

向こうの世界で生きていられる年数を超えた。

無論、富裕層ならばもう少し生きていれるだろうが、私のような貧困層では生きてはいられまい。

 

洞穴に篭って100年が経った。

きりがいいじゃないか。

そろそろ外に出てみるべきか。

 

 

「どうせならガチビルドで転移したかったな。」

 

そんな事を言っても何も変わらない。

無駄口を叩きつつ外に出る。

“いつもの”吹雪だ。

 

「さて、どこに行けばいいんだか。」

 

ゲームであれば、ある程度の指標はあるのだろうが、そんなものはない。

これは“現実”なのだから。

 

「川に沿って歩けば下まで降りれる。」

 

そんな昔の人が残した言葉を思い出し歩くが、雪山に川なんてあるはずもなく甘かったと考える。

 

「役に立たないじゃないですか〜」

 

冷気に対する完全耐性、種族特性の疲労無効などがなければ野垂れ死にだっただろう。

一気に斜面を降りていく。

途中ドラゴンらしき生物がいたが、あまり強そうではなかったので無視して進んでいく。

 

後から何かが当たってくる。

 

「なんだ?」

 

振り返ると黒色のドラゴンに肩を掴まれている。

黒と言うよりかは漆黒の表現が正しいだろうか?

軽く振りほどくとなんだか驚いている様子だ。

軽く振り解けるということは対した強さではないだろう。

そのまま頭を掴んで力を込める。

破裂音が鳴り響くとそのまま頭が吹き飛んだ。

 

「きったねー」

 

その辺が血で染まっている。

手に付着した血を雪で落としてドラゴンの亡骸を眺める。

“クソザコナメクジ”のLv100とはいえLv100には変わりない。

基礎能力は異形種のお陰で高くなっているしLv70程度の雑魚モンスターに苦戦はしないだろう。

このドラゴンにLv70もあるとは思えないが。

 

軽く1週間は歩いている。

別に暗闇でも暗視のお陰で歩けるし、問題は無いのだが方角や、場所がわからないのは辛い。

 

「やっと別の物が見えたぞ〜」

 

目の前に広がるのは森だ。

鳥のさえずりも聞こえてくる。

今までとは違う感触の土を踏みしめる。

前から枯れ木だろうか、パキリと折れる音がする。

 

「なんだ?この世界は爬虫類しかいないのか?」

 

目の前にいたのは蜥蜴人だった。




ここまで見て頂きありがとうございました。


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遭遇

茹で卵食べながら書いてました。
4話です。


 

 

蜥蜴人は後悔していた。

目の前にそびえ立つ巨大な石の様な物を見て。

そもそも普通ならアゼルリシア山脈に程近いこの場所まで来なかったのだから。

なぜここまで来てしまったのか。

なぜ姿が見えたのに目の前まで来てしまったのか。

全てが遅すぎた。

族長ですら霞んでしまうような存在感。

一言で言えば歪。

巨大な水晶を削って作り出したような存在。

何もかもが大きく力を感じさせる。

力で全てを決めるような部族にいたからこそ余計に感じてしまう。

圧倒的な力を。

いや、決めつけるのはまだ早い、族長は他の戦士達とは違うんだと考えを改めていると目の前の石の様な物から音がした。

 

「この世界には爬虫類しかいないのか?」

 

何を言ってるんだこの石は?

この周辺ですら他の種族はいる。

そんな当たり前のことを横殴りにするような発言。

それになんで石が喋ってるんだ?

こいつは生きているのか?自我があるのか?

聞きたいことは山ほどあるがまずは何者か聞かなければ埒が明かない。

 

「お前は何者なんだ?」

 

 

「その前に聞きたいんだがお前はプレイヤーか?」

 

 

ぷれいやーとはなんだ?

この石の言っていることは意味がわからない。

 

 

「ぷれいやー?なんだそれは?」

 

 

蜥蜴人なのにプレイヤーじゃないのか。

ますます訳がわからなくなってきた。

俺以外にプレイヤーはいないのか。

 

 

「すまない、こっちの事情だ。俺はクリスタルゴーレム。」

 

「クリスタルごーれむ?」

 

「そうだ。」

 

「すまない、ごーれむとはなんだ?種族名か?」

 

 

こいつはゴーレムを知らないのか。

そんなに人気無かったかなぁ。

確かに皆ハーフゴーレムの方ばっかり選んでたような気もするけど…

 

 

「そんなものだ、気にするな。」

 

「ところでお前は何をしに来たんだ?」

 

「後ろの山から来たんだがな、この世界がなんなのか知りたくてな。」

 

「アゼルリシア山脈からか。それより世界がどうのこうのとはなんなのだ?」

 

 

アゼルリシア山脈?あの山の名前なのか?

全く聞き覚えの無い山だ。やっぱり異世界か。

 

 

「あぁ、実はアゼルリシア?から外に出た事が無くてな。ちょっと外に出ようと思ったのだが全く街に着かないんだ。」

 

「街?集落の事か?」

 

「集落?集落と言うよりかはもっと発展してると思うんだが、ここには人間はいないのか?」

 

 

人間?外の世界にいる種族のことだろうか?

族長は旅人だから族長に聞けばわかるだろう。

しかしこんな“もの”を集落まで連れてってもいいのか?

狩猟班に所属する一端の俺如きが判断していいものなのか?

 

 

「うちの集落に来れば詳しい話を聞かせられるかも知らん。ただ…」

 

 

うちの集落?他にも蜥蜴人がいるのか?

蜥蜴人の集団生活?蜥蜴人の共存?

 

 

「ただ…なんだ?」

 

 

「俺達は別の種族を嫌う傾向にあるんだ。だから見返りと言ってはなんだが、こちらにメリットが欲しい。」

 

 

なんだこの蜥蜴人は…

 

 

「それはわかったが何がいいんだ?」

 

 

何がいい?

この石はなんでもポンポン渡せるほどのやつなのか?

それとも指の1本でも折って

「これをやろう、価値としては充分だ。」

とでも言うのか?

第一何も持ってないじゃないか…

 

 

「こちらから言っておいてなんだが何か持ってるのか?」

 

 

あぁ、そういう事か。

手ぶらだから不思議がってるんだな?

 

 

「なんでもあるぞ。剣でも防具でも。マジックアイテムでもいいぞ。」

 

 

肩の辺りをまさぐり何個か出してやった。

 

 

なんだこの化け物は…

どうして何も無い場所から物が出てくるんだ…

祭司の言ってた“魔法詠唱者”かもしれないな…

それよりこいつの出した武器やらなんやらはかなり価値があるんじゃないか?

よくわからないが…

 

 

「と…とりあえず俺に付いてきてくれ…」

 

「わかった。」

 

 

この蜥蜴人はなんで驚いてるんだ?

俺が出したのは被りがいくつもある物だけなんだが…

まぁこれで話が聞けるのはいいんだが。

 

 

しばらく歩くと地面が湿ってきた。

湿地帯とでも言うのだろうか?

ヌメヌメとした感触が足に伝わってくる。

なぜ石の体にヌメヌメとした感触が伝わるのかはわからないがそういう物なんだろう。

そんな事を言ってしまえば俺の声は何処から出ている。

何故口を開けていないのに声が出る。

頭が痛くなってくる。

無論頭もクリスタルなので痛くはならないのだろうが。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

しかしこの蜥蜴人は全く話さないな…

元からあんまり喋るタイプじゃないのか?

話した感じだと頭は回るようだから何か考えてるのだろうけど。

なんか見えだしたぞ。

周りが柵のようなもので囲まれている。

 

 

「少しここで待っていてくれ。」

 

「わかった。」

 

 

見た感じそこまで広くないな。

ほんとに集落みたいだ。

ん?なんか他の蜥蜴人にめっちゃ見られてるぞ俺。

今にも攻撃してきそうだ。

何もしてないのにな。

お、他の奴らより1回りでかい蜥蜴人が出てきたぞ。

あいつが族長っぽいな。

って腕太いなおい。

なんで片腕だけオーバーに鍛えてるんだ。

バランス考えろよ。あ、近づいてきた。

 

 

「お前が族長か?」

 

「そうだ、俺がこの“竜牙”の族長

────ゼンベル・ググーだ。」




ここまで読んで頂きありがとうございました。


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初めての戦闘

アゼルリシアにドラゴンなんていなかった。
いいね?

5話です。


“竜牙”の族長、ゼンベル・ググーに案内されるがまま中央の広場に入っていく。

それに連れて周りの蜥蜴人達が周りを囲んでゆく。

蜥蜴人達によって作られた簡易闘技場と言う表現が正しいだろうか。

 

「俺らが信じるのは強者のみ。話は狩猟班のヤツに聞いてる。」

 

「そうか、なら話が早いな。」

 

「さて、お前は何で戦うんだ?」

 

「お前が槍を持ってるんだ、俺は剣でやらせてもらおうか。」

 

そう言いながらアゼルリシアの洞穴で拾った剣を取り出す。

 

「ほう、魔法の剣か。えらく珍しい物を持ってやがる。しかしお前みたいな“デカブツ”に剣が扱えるのか?」

 

周りを囲む蜥蜴人達が笑い出す。

 

「おいおいお前に言われたくないぞ、右腕だけ異常に鍛えやがって。」

 

「ん?知らないのか?片腕だけ鍛えるってのはろまん?らしいぞ、昔、山小人が言ってた。」

 

「そりゃすまなかったな。」

 

「なら無駄口はこの辺にしようじゃないか」

 

ゼンベル・ググー、ゼンベルがゴーレムに向かって突っ込む、そして槍を“無造作に”振り回す。

 

かわってゴーレムは全く動かない。

 

そして轟音と共に凄まじい音が鳴り響く。

それはゴーレムが傷ついた音。

蜥蜴人達がそう確信して咆哮を上げる。

 

しかし、何事にも例外はある。

弱小プレイヤーと言えどもLv100。

そんな(この世界では異常とも言えるゴーレムに)生半可な攻撃では擦り傷も付かないだろう。

 

「!?」

 

ゼンベルは槍を捨て、大きく飛び退く。

 

「どうした?槍はブラフか?」

 

「どうやら本気でやらねぇと不味いらしい」

 

辺りが響めく。

族長が本気を出さないと不味い相手。

そんな相手はまだ攻撃すらしていないのだから。

 

「素手って事は修行僧か?」

 

「お前は・・・凄いな・・・」

 

たまたまの正解だったとは知る由もなく、距離を詰めていく。

そして修行僧のスキル

〈アイアン・ナチュラル・ウェポン〉を発動し、硬質化した爪を振り下ろす。

 

それをゴーレムは左手(剣を持っていない方の手)で受け流す。

 

(ちょっとはメンツがあるだろうからなぁ、かと言ってこれでダメージは入らないだろうし…)

 

もう1度硬質化した爪が振り下ろされる。

今度は防げない振りをして喰らう。

 

(ダメだ、どうしよう。)

 

「お前何で出来てるんだ?まさかアダマンタイトか?」

 

どうしてそんな柔らかい金属を出してくるんだ…

もしかしてこの世界にはそれ以上の金属は無い…?

声色を変える。

 

「次は本気で来い、殺すぞ。」

 

「どうやら次が最後のようだな。」

 

大きくゼンベルが飛び上がる。

そして頭に爪を振り下ろす・・・

蜥蜴人の誰もがそう思った。

しかし実際は左手で攻撃すると思わせて右手(凄い太い方)で下からアッパーのような形で胸から顎にあけて爪を振り上げる。

 

その瞬間ゴーレムは本気の力で自分自身を切りつける。

当然そんなスピードに蜥蜴人達(ゼンベル含む)は追い付けるわけもなく、ゼンベルの攻撃が通ったと思う。

 

「「ウォォオオ!!!」」

 

歓声が沸き立つ。

 

それと同時にゴーレムもかなり力を弱めてゼンベルを切りつける。

例えるならばナイフでティッシュを切り裂くように。

 

「グゥゥ……」

 

蜥蜴人達が見る限り両者は互角。

しかしゼンベルは違った。

 

手加減をしている。

そもそもなぜ今の攻撃が通ったのかも不明だ。

自分の爪ではあそこまでの傷はつけられないだろう。

 

修行僧のスキル

〈アイアン・ナチュラル・ウェポン〉

では自身の牙や爪を強化、つまり硬く出来る。

極限まで上り詰めれば、最高硬度のアダマンタイトですらひしゃげさせる事が出来るらしい。

しかし自分がそこまで到達しているかと言われれば否、良くて鋼鉄レベルだろう。

そして、今まで攻撃が通らなかったのを見ると、オリハルコン、又はアダマンタイト、その辺の硬質金属で出来ているのだろう。

それが最後の攻撃で、通った。

それはつまり、何らかの方法で自身を弱体化したと見るのが筋だ。

 

そして、さっきの攻撃。

速すぎて見えなかった。

恐らく致命傷だろう、このまま何もしていなくても失血死。

戦いを続けられる状況ではない。

 

「俺の負けだ。」

 

自身の欲望1つで部族を潰すわけにはいかない。

 

「なかなか強かったぞ。」

 

ゴーレムが近づいていくにつれ周りの蜥蜴人達が前に立ちふさがる。

トドメをさすと思ったのだろう。

 

「なんだ?治癒魔法はいらないのか?」

 

蜥蜴人は顔を見合わせる。

戦士であろう“物”が魔法なんて使えるはずがないだろうと。

 

「どいてくれないか?死んでしまっては面倒くさくなる。」

 

その言葉で蜥蜴人達は横に退いていく。

 

「お前本当に魔法が使えるのか?」

 

「あぁ、安心しろ。」

 

「〈ヒール(大治癒)〉」

 

ゼンベルの受けた傷が見る見るうちに塞がっていく。

 

「これほどまでとはな…」

 

ゼンベルが苦笑いで礼を言ってくる。

 

「まぁ大したことは無い、もう違和感は無いか?」

 

「あぁ、全くない。戦闘前より元気になった。今ならお前を倒せそうだ。」

 

「おいおい、また俺に治癒させるのか?」

 

「冗談だ。それよりお前さんの傷はいいのか?」

 

胸に受けた傷を指差し心配しているようだ。

脳筋の癖になかなかいいヤツじゃないか。

 

「これなら問題ない、自動回復でなんとかなるからな。」

 

「お、おう。それならいいんだが、兎も角決着はつけたんだ。お前は…酒を飲めるか?」

 

「飲めない事は無いだろうが…」

 

ユグドラシル時代に手に入れた“高性能オイル”なんて全性能アップの効果がある飲み物?を飲んでた記憶が蘇る。

 

「よっしゃ!酒盛りすんぞ!準備を始めろ!」

 

ゼンベルの一声で蜥蜴人達が動き出す。

 

 

 

 

「これで飲めなかったら笑いものだな…」

ゴーレムは新しい不安と葛藤していた。




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酒盛り

更新の間が空いてしまいました。
それでは6話です。


 

「これは…」

 

呆気に取られるゴーレム。

 

それはニメートル近い焚き火台の近くにドンと置かれた、高さ一メートル以上、口の直径は八十センチほどある壺。

 

「驚いたか?」

 

ゼンベルが自慢げにこちらを見る。

 

「これは四至宝と言われててだな、他にも武器やら鎧やらがあるんだ」

 

「四至宝?これが?」

 

そう言うとゴーレムが壺を出していく。

 

「酒の大壺なら6つあるな、これで十至宝か?」

 

笑いながら話すゴーレム。

 

「全くお前さんには敵わねぇよ」

 

ゼンベルが呆れて話す。

 

「それにしてもそれはどこで手に入れたんだ?」

 

「この壺は代々受け継がれている物だ、何処で手に入れたかはわからねぇ」

 

「そうか、しかしユグドラシルのアイテムがその辺にあるんだな」

 

「ユグドラシルってのはお前が来たとこだよな?

しかし名前はなんて言うんだ?一々お前って言うのもめんどくせぇ」

 

「あぁ、すまない名前はおみず・ウォーターだ」

 

ユグドラシル時代の名前を伝える。

初めて会う人にはおみずもウォーターも一緒じゃねぇかと毎回突っ込まれていた。

 

「オミズ ウォーターか」

 

「呼び方は何でもいいぞゼンベル」

 

「ならオミズと呼ばせてもらおうか」

 

「オミズか、それもそうだな」

 

「それよりこの壺は仕舞わなくていいのか?」

 

乱雑に置かれた六つの壺を指差す。

 

「これ別にいらないんだよね」

 

こんなマジックアイテムなら他にもかなりの数がある。

 

「と言っても邪魔だから仕舞うか。」

 

蜥蜴人が大人数で運んで来た大壺を片手で摘んで空間に入れていく。

 

「そろそろ飲もうぜオミズ」

 

飲みたくてたまらないゼンベルである

 

「俺はいつでもいいぜ」

 

飲めるか内心ハラハラしているオミズ

 

蜥蜴人達が壺から酒を汲んで行く。

ゼンベルも慣れた手つきで酒を汲むと木で出来たお椀いっぱいに入った酒を飲み干す。

 

「くぅ〜!」

 

この蜥蜴人おっさんくせぇな。

 

オミズもお椀を貰って酒を入れようとしたがここで問題が起きた。

腕が太すぎて壺に手が入らない。

 

するとゼンベルが気を利かして入れてくれた。

脳筋は優しい。

 

「ありがとう」

 

「どうって事はねぇよ」

 

お椀を貰って一口飲んでみる。

 

 

 

 

 

 

水…?

酒ではあるのだろうが酒本来の味はしない。

現実世界でも酒は飲んだことがある。

値段は高いし頭は痛くなるしで飲まない方がマシだったが。

兎に角何も問題が起きなければいい。

 

「うまいぞ」

 

味はしないが褒める。

こういうお世辞のようなものは大事だ。

 

「そうかそうか、そりゃあ良かった」

 

ゼンベルも笑いながら飲んでいる。

 

「それにしてもこの辺に人間は居ないのか?」

 

ここに来た理由を忘れるところだった。

情報収集をしなくては。

 

「この辺りにはいねぇな、ただ国はあるらしいぞ」

 

「そうなのか、何処にあるかはわかるか?」

 

出来れば国まで行って情報が欲しいところだ。

同胞もいるかもしれない。

 

「ここから近いなら王国?じゃねぇかな、山小人達は帝国の人間に武器を卸したりしてるらしいが」

 

「王国か帝国には行ったことがあるのか?」

 

「いや、行ったことはないな

行こうと思ったんだが、山小人が言うには人間の国には人間しかいないらしいしな

それに帝国なんかはエルフを奴隷にしてるらしいぞ」

 

思ってたより世紀末だ。

奴隷なんて漫画の世界かよ。

 

「うーん、それならこの姿じゃちょっとまずいかな」

 

改めて自分の姿を見直す。

 

「そう言えばゼンベルは強い方なんだよな?」

 

「あぁ、言っちゃなんだがこの辺の奴には負けねぇぞ」

 

お前を除いてな、と付け足しながら話す。

 

「なら王国はもう少し強いか?」

 

「わかんねぇな、基本ここから出ねぇし」

 

「そうか」

 

強さの基準がわからないのは辛い。

王国が全員カンストプレイヤーで構成されているかもしれない。

逆にレベル1ばかりかもしれない。

 

「どっちにしろこの姿は不味いな」

 

アイテムボックスを探り始める。

 

「これはいけるんじゃないか?」

 

“誰でもお手軽変身キット”

 

サービス終了日の数日前に高値で買ったプレイヤー製のアイテムだ。

 

使い方は至って簡単で自分のなりたい姿を選択するだけだ。

 

天使や悪魔、勿論人間にもなれるしドラゴンにだってなれる。

 

しかしこのアイテムにはペナルティがある。

変身後にはレベル制限がかかりレベル制限を解除するには“誰でもお手軽レベル制限解除キット”が必要なのだ。

サービス終了日も目前と言うこともあり、そんな物はいらないと買ってなかった。

これは大問題だ。

なぜならそのレベル制限は1なのだ。

上位悪魔であろうが伝説のドラゴンであろうが勇者であろうがLv1、これではただのハリボテだ。

あの時ドラゴンになって飛んでただけの自分を恨む。

 

「却下だな。」

 

大人しくサイズ変更の指輪を使う。

 

「なんだ小さくなれるんじゃねぇか」

 

「なれるんだがレベルは半分だぞ?」

 

「半分でも俺よりは強いんだろ?」

 

「まぁな」

 

指輪は基本2つしか装備出来ない。

その他は課金して付けるしかない。

しかし課金すればいいと言うことでもない。

課金時に選んだ指輪しか付けれない。

変えるには再課金だ。

という訳で自由に指輪を変更出来るのは2本分しか無い。

その一本分を使ったのだ。

ガチ勢で無くても耐性は埋めておきたい。

そういう物なのだ。

それにLv50になった。

カンストプレイヤーと敵対すればワンパンだろう。

なるべく目立たないようにしなくては。

ちなみに今のサイズは130センチ程度しかない。

確実になめられる。

 

「そう言えばゼンベルは欲しい物とかないか?」

 

「ねぇな」

 

「ほんとか?」

 

「あぁ、自分で強くなりたいしな」

 

「そういう事か、頑固な奴め」

 

「あいつらの性格が移ったのかもな」

 

「あいつら?」

 

「ほら、俺が山小人んとこ行ったって言ったろ?

そこにしばらくいたからよ」

 

「山小人って頑固そうだもんな」

「腕はいいがな、そろそろお開きにするか

寝てる奴もいるし」

 

「あぁ」

 

ゼンベルと協力して寝転がってる蜥蜴人達を1ヶ所に集める。

 

「ならまた明日なオミズ」

 

「また明日ゼンベル」

 

とは言ったもののゴーレムなので眠れはしない。

実質機能停止っぽくはなれるのだろうが。

大人しく村の外を眺めている事にした。

小鳥のさえずりやら虫の鳴き声やらが聞こえてくる。

ユグドラシルではこんなに風情は無かったから感慨深いものだ。

100年もひきこもらずにもう少し動いても良かったと考え直すおみず・ウォーターであった。




ここまで読んで頂きありがとうございました。


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道のり

読み応えの無さに定評がある今作品。
それでは7話です。


おみずはゼンベルと別れた後しばらく歩いていた。

 

「方角はあってるよなぁ…」

 

狩猟班の蜥蜴人に教えられた方角へ真っ直ぐ歩いているのだがなんせ初めての場所なので不安が残る。

それにしても歩くのは面倒臭いのなんの。

しばらく歩けば森を抜けれるらしいがどの蜥蜴人も森は抜けた事がなく、

その先に何があるのかはわからないとの事だった。

 

「湿地帯は懲り懲りだ。」

 

そして痺れを切らしたおみずは飛行(フライ)を唱える。

今まで使わなかったのは目立つから、と言う理由だったのだが

 

「もう目立つなら目立ってしまえ」

 

と将軍顔負けの諦めようで空中に浮遊していく。

 

そうしてスピードを上げて飛んでいるのだが

これがかなり新鮮で楽しかった。

ユグドラシル時代にアイテムを使ってドラゴンになった時とは比べ物にならない。

まぁ五感が制限されていた分当たり前とも言えるのだが。

 

 

少しの時間楽しんでいると辺りが開け平原が出てくる。

見渡せば申し訳程度に整備された道があった。

ただ足元の草を刈っただけのような道だ。

それに村もある。

これで人はいるとわかった。

本当に人かどうかはわからないが。

少し高度を落としてその村を観察してみるがなんとも面白いことに人間とゴブリンが一緒にいるではないか。

これならこの姿のまま王国に行っても大丈夫そうだ。

そのまま先へ進んでいく。

 

「あれが王国?」

 

周囲を壁で覆っているがなんか小さい。

国ってこんなもんなのだろうか。

 

その壁の下側に目をやると行列が出来ている。

入口はここなんだろう。

検閲?だったかな。

そのために並んでいるのだろう。

 

まぁ面倒臭いので壁を通り越して何処か降りれそうな場所を探す。

 

おみずは極度の面倒臭がりである。

 

何やら足元で人集りが出来ているせいでなかなか降りれない。

うざったいので裏道の方へ降りていく。

 

「え…きったねぇ…」

 

おみずの王国?へ対する感想はそれだけだった。

いくら裏道と言えど衛生環境が悪すぎる。

そこかしこにゴミやらガラクタやらが捨てられているし生きているのか死んでいるのかわからない人が何人も横たわっている。

 

「あの〜、ちょっといいですか?」

 

声をかけてみるがなかなか起きない。

それもそうだ。

こんな所で横たわる人間などまともでは無い。

衰弱しきって何も出来なくなった人間が殆どだ。

そんなこんな考えていると

 

「化物だ!」

 

服と言うよりはボロ布を纏った子供が自分より少し大きいゴーレム目掛けて叫ぶではないか。

 

「化け物とは失礼な…」

 

と言うより早く子供は走って逃げていく。

 

「出だしは最悪っと」

 

そうこうしている内に大通りに出るが何故か兵士と見られる集団に取り囲まれる。

 

「何者だ!」

 

「ええい!化け物を取り押さえろ!」

 

なんなんだこいつらと言いたいおみずであったが他の人間からするとお前がなんだ状態である。

兵士が4人、掴みかかって取り押さえようとするが、大したレベルでもない兵士に弱体化したとは言えレベル50のゴーレムを取り押さえられる訳もなく跳ね返される。

 

「早く冒険者組合に行って知らせてこい!化け物が出たと!」

 

またこいつ俺を化け物呼ばわりか…

異形種にしては可愛い方だと思うんだがなぁ。

それにしても冒険者ってなんだ?

気になるししばらく待ってやるか。

 

 

「あなた?がこの騒ぎを起こした犯人ですね」

 

と純白の鎧に身を包む美少女。

冒険者ってかわいいなぁ。

 

「あ、はい。起こすつもりは無かったのですが」

 

まずは敬語で様子を伺う。

 

「コイツは驚いた。ゴーレムが喋ってやがる」

 

コイツは驚いた。

人間のパーティーに山小人が混じってやがる。

 

「へんなの」

 

忍者か?ユグドラシル時代ではレベル60以上じゃないとなれなかったはずだが。

へんなの。

 

「よせ、こいつはかなりの強者だ。」

 

なんだこのチビ。

変な仮面被りやがって。

まぁ今は俺もチビなんだけど…

 

「取り敢えず戦う気が無いなら私達に付いてきてください。」

 

「あると言ったら?」

 

「それは困ります」

 

「いや、言ってみたかっただけです。それよりあなた達が冒険者ですか?」

 

「そうですが、それは歩きながら話しましょう。」

 

「あ、はい。」

 

若いのにしっかりしてるなぁ。

終始振り回されるおみずであった…




ここまで読んで頂きありがとうございました。


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