麦わらの姉 (imuka)
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キャラ紹介

ネタバレを含みます


また殴り書きです



それでも読みたい人はどうぞ















■主要キャラ

 

【名前】

フィルナ

 

【立ち位置】

主人公 戦闘員

 

【年齢】

一話   9歳

二話   10歳

三話   14歳

六話以降 24歳

 

【身長】

174㎝(24歳)

 

【髪の色】

濃藍

 

【髪型と長さ】

腰まであるポニーテール

 

【格好】

基本はシャツにショートパンツ

また暑くないときは薄手のロングコートを着たりしている

 

【懸賞金】

4000万ベリー

→9000万ベリー

 

【渾名】

戦鬼のフィルナ

由来は海軍との戦闘で鬼のような戦いを行ったところから

 

【戦闘スタイル】

体術、剣術など色々

早斬りを得意とする

剣術に関してはミホークに筋がいいと言われたりしている

 

【覇気】

「武装色」

苦手で纏うことはできるがムラがあったりと安定しない

→追記

 十六話 

 Mr.6との戦闘で攻撃で扱う武装色をほぼ習得

 確実に自然系をとらえることができるようになった

 

「見聞色」

完全にコントロールが可能

 

「覇王色」

不可

 

 

【武器】 

「刀」夜一 

   ミホークからもらった大業物の一本

   柄や鍔、鞘までが夜の様な黒さしており、刀身自体は月の明かりのように美しい     

 

「小太刀」真影 

   夜一の対となる小太刀

   夜一と違いすべてが黒の黒刀

 

【補足】

ワイクスという島で起きた謎の病気の唯一の生き残り

Drくれはが診断したところ病気の抗体のようなものが見つかりそれがなんらかの影響を与える可能性がある

定期的にチョッパーの診断を受けている

 

性格は冷静で真面目

少しさみしがり屋

基本的に海軍嫌いだが正義や悪はあいまいなものと考えているため”海軍だから”という理由で相手を拒絶することはない

 

ルフィたちの義姉

早くに両親を亡くしたせいか家族である義弟たちが大切

義弟たちの行動に対しあまり口出しはしないが、危険にさらされるとわが身をかえりみず守ろうとする

また本人は克服しているつもりだが心的外傷を抱えており、そこに触れると暴走する

 

マリフォード滞在時に多くの人に色々なことを教わるなど経験と速度が取り柄

生まれつき見聞色が使え、4年間、盗みで生計がたっていたのはこれのおかげである

 

 

 

* * *

 

【名前】

モンキー・D・ルフィ

 

【立ち位置】

副主人公 船長

 

【戦闘スタイル他】

基本は原作通り

 

【懸賞金】

3000万ベリー

→1億ベリー

 

【渾名】

麦わらのルフィ

 

【覇気】

「武装色」

フィルナの見よう見真似

完全に無意識

 

「見聞色」

野生のカン

 

「覇王色」

未知

 

【補足】

基本的には原作まんまだがフィルナが厳しく躾けたので最低限のマナーや知識はある

割と姉ちゃんっ子でフィルナのことが姉兄の中で一番好き

フィルナが笑顔で怒ると震える

 

 

* * *

 

【名前】

ロロノア・ゾロ

 

【立ち位置】

戦闘員

 

【戦闘スタイル他】

基本は原作通りだが

早くに斬撃を飛ばすなど成長が原作より早い

 

【懸賞金】

6000万ベリー

 

【渾名】

海賊狩りのゾロ

 

【覇気】

「武装色」

なし

 

「見聞色」

なし

 

「覇王色」

なし

 

【補足】

剣士と名乗ってはいないが

剣術ではフィルナに劣っているため

彼女が戦闘している際にはよく観察していることが多い

自分より実力が上、かつ年上ということもありそれなりに敬意を払っている

 

* * *

 

【名前】

ナミ

 

【立ち位置】

航海士

 

【補足】

アーロン海賊団が大っ嫌いな海賊泥棒

ルフィたちのまったりとした海賊らしくない空気が結構好き

アーロン海賊団壊滅後、正式に航海士として迎えられる

 

* * *

 

【名前】

ウソップ

 

【立ち位置】

狙撃手

 

【戦闘スタイル他】

基本は原作通り

 

【補足】

嘘が得意なやるときはやる男

アーロン海賊団戦では傷口が開いたゾロの代わりにハチを撃退した

それを機に少し逃げ腰じゃなくなった

 

* * *

 

【名前】

サンジ

 

【立ち位置】

コック

 

【戦闘スタイル他】

基本は原作通り

 

【補足】

女好きなコック

レストランで料理を続けると言い続けたがゼフに背中を押されオールブルーを目指す

 

 

* * *

 

【名前】

トニートニー・チョッパー

 

【立ち位置】

船医

 

【戦闘スタイル他】

基本は原作通り

 

【補足】

Drくれはの医療技術を受け継いだトナカイ

ルフィの熱い勧誘で仲間に

Drくれはの代わりにフィルナの中にあるものを調査中

 

* * *

 

【名前】

ニコ・ロビン

 

【立ち位置】

考古学者

 

【戦闘スタイル他】

基本は原作通り

 

【補足】

アラバスタ出向前にフィルナに船にいることがバレる

ボン・クレーからはロビンが本当に求めているモノが何故かばれている

フィルナからはルフィが信用したのでそこまで敵対心を持たないといった印象

 

 

■オリジナル敵キャラ

 

【名前】

Mr.6

 

【悪魔の実】

ヒトヒトの実 モデル ヴァンパイア

 

【補足】

一人称 吾輩 

口癖 ご明察!

 

BWのフロンティアエージェントとして活動していたがボス、クロコダイルの指示でアラバスタに来た

悪魔の実を食べるまではそこまで戦闘力は高くなく6という地位にいたがアラバスタに呼ばれる数日前に悪魔の実を発見。食べる

その後、すでに悪魔の実の能力者であったミス・マザーズデーのカベカベの実を利用し太陽からの光を無効化。弱点を克服した

 

フィルナと戦闘し、圧倒していたが覇気で攻撃を受け戻らない血が出たことに動揺

上空に逃げたが太陽を遮っていたカベを壊され焼けた

 

【ヴァンパイアの能力】

身体能力のすべてが上がり、翼を利用し飛ぶこともできる

すさまじい再生力を持ち頭を切られても、つぶされても血があれば再生する

体内に取り込んでいない他人の血でも地面や壁についているものは吸収し自身のものとして取り込める

定期的に血を貯めてストックを用意しておけばほぼ無限に戦える

取り込んだ血は武器にもなり硬さ形を自在に操る

 

フィルナが行ったように覇気で攻撃を受け体から切り離されると一部能力が消え体内に戻ってこなくなる

浅い切り傷や打撃などは血がその場所を巡回することで覇気での攻撃の影響は受けない

 

 

* * *

 

【名前】

ミス・マザーズデー

 

【悪魔の実】

カベカベの実

 

 

【補足】

Mr.6と同じでアラバスタにくる

 

攻撃術は一切持たず支援特化

当初はMr.3と組むはずだったが性格面でうまくいかずなけなく解散

そのときパートナーのいなかったMr.6と組む

 

【カベカベの能力】

様々なものに見えるカベから見えないカベを張ることができる

あいまいな表現でもカベを張ることができMr.6には太陽光のカベを張った

 

 

 




今後追加したり、修正があったりすると思います


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一話  フィルナ

初投稿作品、始まります!!


   

 

 

   ー偉大なる航路ー

 

 

 一人の少女が海軍の船に潜んでいた。

 少女は腰まである青みかかった黒の髪をポニーテールにして結んでいる。

 

「まさか食べ物盗んでる間に出航しちゃうなんて…。」

 

 少女、フィルナは困り果てていた。

 食べ物を盗むために海軍の船に忍び込んだのだが、慎重になりすぎたせいか、思いのほか時間をかけてしまい船が出航してしまった。

 

「どうしよぅ…。あんな場所未練はないけど…見つかったら殺されるよね…。」

 

 フィルナの故郷、ワイクスはきれいな場所であった。

 フィルナが生まれた頃は。

 

 しかし彼女が5歳の時、島に謎の病原菌が蔓延した。

 病状は高熱がでて動けなくなると、症状自体は複雑なものではなかった。

 しかし、様々な薬、治療を試したが熱が下がることなく、さらに高熱を出し死亡するというものだった。致死率100%とまで言われ、島の多くの人間が死亡した。

 

 一部、金を持っていた人間、海軍などは病原菌が移るのを恐れ、他の島へと移住していた。もちろん、フィルナ達も外の島へでていく予定だった。

 しかし出航前日、両親が病原菌に感染し、移住を断念しなければならなくなってしまった。両親は自分たちのことは放っておいて娘だけでも移住させようとしたがフィルナはそれを頑なに拒否した。

 フィルナは5歳ながらもひたすら両親を看病した。

 だがフィルナの看病は報われることなく、両親は他界してしまった。

 

 両親の遺体を土に還し悲しみに暮れてたフィルナにもついに病原菌が感染してしまう。このときすでに島の治安は悪く、それなりに裕福だったフィルナの家は強盗に狙われた。

 家にいることの危険性を察知したフィルナは、強盗が金目のものに気を取れられている間に体を引きずりながら家をでた。

 向かう場所は一つ、父親に教えてもらった秘密の洞窟。そこには保存食などが置いてあり、もしものために避難する場所として教えてもらっていた。

 誰かにばれたらだめだ、そう思ったフィルナは必死に洞窟にむかった。

 幸いフィルナは生まれつき人の気配がよくわかる子であった。その能力(チカラ)のおかげか体を引きずりながらも強盗などの犯罪者に見つかることなく洞窟まで移動できた。

 

 フィルナは洞窟についたものの、きっと死ぬのだろうと思っていた。病気にかかり助かった人間は今まで見た事がない。誰にも看取られることもなく、独りで死ぬのだろう。

 悲しくなり涙がたくさんでたが、疲れがきたフィルナはそのまま眠りについた。

 

 何日、意識が朦朧とした日が続いたのだろう。

 なんの悪戯か、フィルナは病気が完治していた。原因はわからない。ただわかるのは彼女が唯一、病気にかかり生き残ったということだった。

 だがフィルナは生きていることに絶望した。

 死んで両親に会える、そうずっと思っていたから。自殺も考えた、しかし決断することができなかった。

 刃物を首に向けると手が震えた。死にたくなかった、生きたいと強く思った。結局、死ぬことはできなかった。また、たくさんの涙がでた。

 

 数日がたち食糧は尽きかけていた。何もしなくてもお腹は減る。

 フィルナは少しだけおいてあったお金をもち洞窟の外に出た。お金の意味があるのかはわからない。

 この数日で島がどうなったかもわからない。様子を見るという意味でも町に足を踏み出した。

 

 考えていたより普通にみえる町があった。市場はでていたり買い物する人間も見えた。

 しかしどう見ても場違いな、犯罪者のようなものちらほら見えた。数日の間にいったいなにがあったのか。

 フィルナは気になり、魚を売っていた年配の女性に話を聞いた。曰く、逃げ出した海軍が本部の人間をつれ戻ってきた。

 病気を調査するといっていたが海軍が来た時を境に病気にかかるものがいなくなった。病気も自然に消えることもあるのでそういうことなのだろうと女性はいっていたが、ずいぶんと不可解だった。

 フィルナは魚を買い、女性にお礼をいい洞窟に戻ることにした。腑に落ちない内容ではあったがそれよりも考えなければいけないことができた。

 お金がない、魚を買ったが恐ろしく値段が高かった。ぎりぎり足りたがこれですべてのお金を使ってしまった。

 今後どうするかを考えながら洞窟近くまで来ると、洞窟の近くで人の気配がする。洞窟の場所がばれたのかとフィルナは息と気配を殺しながら気配のするほうへ近づい。た

そこには海兵と思われる人間と白衣をきた人間が会話をしていた。

 フィルナはそこで聞きたくない内容を耳にした。

 

「致死率はいいが何分、感染率が悪いな。」

 

「ああ、ある程度の人間は感染したが逃げ出したやつをのぞいても半分いくかいかないかってとこだな。」

 

「まだまだ改良の余地はあるな。」

 

「しかしよかったのか?途中でやめて。」

 

「かまわんよ、これ以上成果がでないから。」

 

「わかった、ならこの島からもそろそろおさらばだな。」

 

 そう会話すると男たちはどこかへ歩いて行った。フィルナは驚愕していた。

 ”あれ”は人の手で起きたものなのか。

 そしてそれは海軍が行った。

 フィルナは激しい怒りと憎悪にかられた。

 ”ふざけるな”

 ただその怒りをぶつける相手はもうそこにはいなかった。

 

 

 ”なにが正義だ”

 あの日そう思ったときから4年の歳月がたち、フィルナはもう9歳になっていた。

 あのあと海軍が島を出ていき治安が再び悪化。フィルナも犯罪に手を伸ばさなければ生きていけなかった。

 持ち前の能力と鍛えた足の速さを活かし、盗みなどをし生計を立てていた。

 時には海賊、海軍にも盗みを行った。海軍は出て行ったあと定期的に島に来る。

 ただ治安をよくするためではなく、なにか調査しているようだった。皆、何のためにくるのかと不満をもっていたがフィルナにはわかっていた。

 あの時の調査をまだしてるのだろう、と。

 

 

 そしてこの日、定期的にきた海軍の船の食糧を盗みに侵入した。

 無様にも船は出航してしまったが。

 

「あ、島を出るなら母さんと父さんのお墓にあいさつしてからがよかったなぁ。」

 

 そんなことをつぶやいていると自分に近づいてくる気配がある。

 さきほどから近くまできた海兵を後ろから奇襲し、気絶させ5人ほど近くで伸びている。もちろん縄で縛って武器を奪った。

 どうやらこの船は腕っぷしは乗っていないらしい。

 この調子でほかのやつらもノシてしまって船を奪おう。そんなことをフィルナは考えていた。

 近づいた気配は自分がいる倉庫の前の扉まで来た。さすがに5人も戻ってきていないので少し騒ぎになっているようだ。

 ”大丈夫、気配は一人、やれる”

 そう心の中でつぶやくと扉を開くのをじっと待った。しかしその気配の人物は倉庫の扉の前で止まった。

 ”なぜ入ってこない?”

 そうフィルナが疑問に思っていると

 

「そこにいるのはわかってるよぉ~、おとなしく出ておいでぇ~子猫ちゃん。」

 

 すこし語尾が長くしゃべる男の声だった。フィルナは少しドキッとしたが

 ”ハッタリだ、気づくわけがない”

 と思いそのまま身をひそめていた。

 

「出てこないならこっちから行くよぉ~。」

 

 男は扉に手をかける。フィルナはさらに気配を消そうとした。

 扉があき、長身の男が倉庫に入ってきた。男が入ってきた瞬間ものすごい速さで男の背後をとり奪った刀で首を切った。

 完全に殺ったと思った。現に刀は男の首を落とした。しかし手ごたえが小さすぎた。

 

「いやぁ~危ないねぇ~。」

 

 男の首から上は何事もなかったかのようにもどっていた。

 なぜ、と考える前に男の蹴りがフィルナを襲う。全く見えなかったが反射的に身体を守った。

ドゴンッ!

 フィルナは入口から反対の奥まで飛ばされる。

 

「かッ…げほッ…。」

 

「気配の消し方、速さ、まるで子供とは思えないけど相手が悪かったねぇ~。」

 

 男がゆっくり歩きながらフィルナに近づいてくる。

 ”意識を失うわけにいかない、死ぬその直前まで抗ってやる”

 フィルナは朦朧としながらも男を睨みつけた。

 

「おかしぃねぇ~手加減したけど意識くらいは失うと思ったんだけどねぇ~。」

 

 男は意識を失っていないフィルナを見て少し驚いた。フィルナは痛む体を無視し、再び男に切りかかる。

 

「うわああああああああああああアア!!」

 

 しかし男はよけるそぶりも見せなかった。振った刀が通りぬける。2回3回と振るがすべて通りぬける。

 そこまで振ってフィルナは気が付いた。

 ”コイツ悪魔の実の能力者だ”

 話は聞いたことはあった。実際に見るのは初めて。フィルナは戦うのやめ、逃亡を図る。

 刀を投げつけ少しでも相手の視界を奪い扉のほうへ駈け出した。そして扉に手をかけようとしたときすぐ横から声がした。

 

「遅いねぇ~。」

 

 すぐにげきれるとは思っていなかった。

 たしかに先ほど蹴られたせいで全力速は出せないにしても足の速さには自信があった。

 それを一瞬で横につかれた。再び男の蹴りが襲う。

 身体を守ることもできずフィルナは再び吹き飛んだ。床を転がり身体のあちこちを打った。

 もう意識を保つのも限界だった。

 

「子供の割には頑張ったともうけどこれで終わりだよぉ~。」

 

 殺される。フィルナは遠くなる意識の中、そう思った。

 

「そこまでだ、ボルサリーノ。」

 

 別の男が倉庫に入ってき目の前の男を止めた。フィルナはそれを認識した瞬間、意識が途切れた。

 

 




三人称って難しい


いきなり黄猿さん登場
この時はまだ大将じゃない設定です

ちなみにフィルナはルフィの7歳年上の設定です
ルフィたちの登場はもう少し後です
空島にいたアイサと同じく、生まれつき見聞色を持っています
細かい設定は少し物語が進んでから掲載する予定です


誤字脱字などございましたら、遠慮なくご報告ください
感想お待ちしています



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二話  海軍

多くの閲覧ありがとうございます!

勢いに乗って貯め書きしてあるのを放出します!

では続きをどうぞ!!


 フィルナが目を覚ますとベットの上だった。自分の身体を見ると治療もされていた。

 揺れを感じているのを鑑みると、ここが船でまだ海の上だということが分かった。自分はどのくらい寝ていたのだろう。

 そんなことを考えていると男が三人、入ってきた。一人は自分と戦っていた男だ。

 

「起きたようだな。」

 

 声からこの人が戦いを止めてくれた人だろう。髪が丸く円を描き大仏のような人だ。

 彼はセンゴクと名乗った。そしてその横にいるせんべいをバリバリと食べている男、彼はガープというらしい。

 名前だけはフィルナにも聞き覚えがあった。

 

”仏のセンゴク”

 

”英雄ガープ”

 

 海軍の有名な海兵だった。そして自分と戦っていた男。戦ったといっても一方的にやられていただけだ。

 彼はボルサリーノというらしい。彼らが名乗るとフィルナも短く名前だけを名乗った。

 

「なんで私を助けたの。」

 

 少し睨みながらセンゴクに聞いた。フィルナが一番気にしていたことだった。

 

「君がまだ子供であり、海賊でないからだ。」

 

「それでも私は盗みとかもする犯罪者だよ。」

 

「まだ君は幼い。いくらなんでも子供を殺すものか。」

 

 センゴクから少し同情のような感情が読み取れた。

 

「ところで君はいつから乗っていた?」

 

「ワイクス。」

 

 フィルナが短く答えるとセンゴク達の顔が少し曇った。

 

「同情なんていらない、私はどうなるの?」

 

 フィルナは同情してほしいわけでも謝ってほしいわけでもなかった。

 ただ、家族を還してほしかった。そんなことは無理なのはわかってる。だからフィルナは何も言わない。

 少しの沈黙の後、せんべいを食べていて黙っていたガープがしゃべりだした。

 

「わしのところにこんか?」

 

「は?」

 

 フィルナは驚いた。そんなことを言われると思わなかった。

 

「ボルサリーノの話を聞いた限りだと子供とは思えない身体能力があるそうじゃないか

どうじゃ?わしのもとでそれを磨いてみないか?」

 

 突然の誘いにかなり戸惑ったもののフィルナは短くこう答えた。

 

「海軍には入らないよ。」

 

「それでもかまわんわい。」

 

 がっはっは、とガープは笑いながら部屋を後にした。

 それからフィルナはセンゴクとボルサリーノに今後について話を聞いた。

 まずこの船が向かっているのは海軍本部マリンフォードである。次に稽古は怪我が治り次第始める。稽古は船の上ではガープ、センゴク、ボルサリーノだけだが、マリンフォードについたら他の人間にも見させる。出ていきたくなったらいつでも出て行って構わない。

 次に自分の持っている能力は見聞色というものであること。ボルサリーノはピカピカの実の能力者である。自然の能力者に攻撃するには覇気という力が必要であること。

 そこまで説明されてフィルナは再び疑問に思った。

 

「なぜそこまでしてくれるの?」

 

 今度は睨みつけるのではなく困惑した顔でセンゴクに問いかけた。センゴクはニッと笑う。

 

「言っただろう、君は幼い。まだまだ選択肢はたくさんある。それに君には生きるという強い意志が感じられる。そんな子供に希望をもってほしいと思うだけだ。」

 

 フィルナは暖かい言葉をかけられ涙がでそうになったが我慢し、海軍にはこういうひともいるんだ、と考えを少し改めた。

 

 

* * *

 

 

「鬼か、あの人たちは。」

 

 マリフォードについて1年。

 フィルナの稽古はすさまじいものだった。

 新兵との百人組手。覇気というものがわかっていないのにもかかわらず自然の能力者との戦闘。ボルサリーノからひたすら逃げ回ったり、外に出たと思ったら鉢合わせた鷹の目・ミホークとの戦闘。彼女は1年で新兵から王下七武海、海軍大将の相手までさせられていた。もちろん勉学も行われた。

 しかし極端に強くなったわけではない。彼女はまだ幼く成長期であるため同年代やそこらの山賊、海賊の一人や二人ならまだしも、訓練を積んだ大人にはまだまだ勝てるわけがなかった。

 しかしフィルナの見聞色、剣技、すばやさ、反射神経には目を見張るものがあり、ミホークも筋がいいとほめていた。

 

 覇気を少し扱えるようになり自然の能力者に触れるようになったころ、ガープがフィルナにある話を持ちかけてきた。

 

「おじいちゃんなに?稽古の日じゃないでしょ?」

 

 フィルナがガープをおじいちゃんと呼ぶのはガープが呼んでほしいとフィルナに泣きつき、あまりにも駄々をこねるのでセンゴクとおつるが説得を重ねてしぶしぶ呼ぶようになった。

 本人はしぶしぶというが実はまんざらではない。

 

「うむ、実は三歳になるわしの孫が東の海におってな。」

 

「えーとルフィだっけ?」

 

「うむ、フーシャ村というところに住んでいてな。わしもたまに様子を見に行ってるんじゃがはやり一人にさせておくと不安での。」

 

「一人?」

 

 フィルナは”一人”という単語が気になった。

 

「ルフィは両親がいなくての、村の人間には見てはもらってはいるんじゃが。」

 

「自分はずっといられないから私がそこにいて面倒をみてほしい、と。」

 

 うむ、とガープはうなずいた。

 フィルナは考えた。

 対人を除けば基本的にどこでも修業はできる。ここの人たちにはよくしてもらっている。だがいつかはここを出ていくつもりだ。

 いい機会だとは思う。もちろん海軍に対する考えも少しは変わってきていた。自分はどうしたいか。

 そう考えたとき”一人”という単語を思いだしフィルナは決断する。

 

「わかった、いいよ。」

 

 フィルナは自分より幼い子供を一人にはしておけなかった。

 

「あ、でもひとつだけいい?」

 

「なんじゃ?」

 

「一回に故郷に、ワイクスに帰りたい。」

 

「寄る分には構わないがどうするんじゃ?あそこは最近さらに治安が悪いと聞くぞ。」

 

「父さんと母さんの…両親の墓参りしたいんだ、とうぶんいけないだろうから。」

 

「そうか…そうじゃな、墓参りにはわしもいこう。」

 

「一人で大丈夫だよ?」

 

「一人娘を預かってるんじゃ、あいさつ行かなきゃ失礼じゃろ。」

 

「今更じゃん。」

 

 フィルナは笑った。

 

 

 フィルナが旅立つことを決めた次の日。

 お世話になった人たち、仲の良かった人たちにあいさつをして回った。多くの人が残念がっていたが稽古をつけてもらった面々には激励とたくさんの課題をもらった。フィルナは少し苦笑いをしながらもそれを受け取り”お世話になりました”と頭を下げた。

 明日にはマリンフォードを出る。フィルナ自信、荷物はほとんどないので荷造りはすぐに終わった。

 数着の着替え、課題の紙、筋トレ道具、ミホークからもらった愛刀・夜一(ヨイチ)。読書はそれなりに好きだったのだが借り物だったのですべて持ち主に返した。1年間お世話になった部屋をきれいに掃除し、まだあいさつをしていないセンゴクのもとへ向かった。

コンコンッ。

 フィルナがノックすると中から”入れ”と声がする。

 

「失礼します。」

 

 フィルナが入るとセンゴクは書類とにらめっこしていた。

 

「相変わらず書類が片付かないんだね。」

 

「まあな、いつになってもこれは苦手だ。」

 

 少しクスッと笑ったフィルナにセンゴクはこりごりだ、と言わんばかりの顔をする。そんなセンゴクの手が止まったところでフィルナが切り出す。

 

「お礼とお別れのあいさつにきました。」

 

 センゴクは少し目を瞑るとそのまま思いふけったように語りだす。

 

「君がここにきてもう1年か……来たころとは違いずいぶん成長したな。」

 

「そうかな、自分じゃよくわからない。」

 

「成長したとも。心身ともにな。ゆえに残念だ、きっといい海兵になるだろうに。」

 

「私の意見は一年前と変わらないよ、センゴクさん。私は海軍には入らない。」

 

「なぜ?…と聞いてもいいか。」

 

「海賊にも海兵にも悪や正義があるのを知ったから。私は私の信じる道で守りたいものを守る。」

 

「それが君の正義か…。」

 

「海軍風に言うならね。」

 

 センゴクは閉じていた目を開き立ち上がるとフィルナに向け、手を差し出した。

 

「君の今後に期待しているよ。」

 

 フィルナはクスッと笑い手を取る。

 

「それはどういう意味で?…一年間お世話になりました。」

 

 握手をかわし、頭を下げるとフィルナは部屋を出る。

 次の日、フィルナはマリンフォードを旅立った。

 




黄猿が出たとおもったら今度はセンゴクにガープ
すげぇ、人間関係になってるな

フィルナはマリンフォード滞在中にクザンやロシナンテ、スモーカーなど物語に関係する海兵に出会っていたりします
クザンに関しては修業をつけてもらった一人です

初期段階でルフィたちより強くなったりしますが最強ものにはしない予定です
フィルナは素早いだけでパワーはそんなにないです

次の話にルフィが登場します



誤字脱字などございましたら、遠慮なくご報告ください
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三話  弟と姉と海賊

書いてる途中で長くなりすぎたから分割して途中のやつを投稿


   

 

 

   -フーシャ村 酒場ー

 

 

 出会ったそうそうガープの熱い抱擁がルフィを襲いひと段落した後、カウンター席で待っていたフィルナにようやくガープから声がかかった。

 ガープとのやり取りを見ていてフィルナがルフィに持った印象は”元気で純粋な子”だった。ただやはりおじいちゃん、ガープの孫だからだろうか。どこか奥に強いエネルギーを感じた。

 

「初めまして、ルフィ。私はフィルナ。君の……お姉さんみたいなものかな。これからよろしくね。」

 

「おう!よろしくな!フ…フィル?………姉ちゃんはどうしてじいちゃんと一緒に来たんだ?」

 

「フィルナはこれからお前と一緒に暮らすんじゃ。」

 

「そうなのか!よろしくな!姉ちゃん!」

 

 姉ちゃんと呼ばれるのに、少し戸惑いと喜びを抱きながら本当に元気で純粋な子だなぁとフィルナは考えていた。

 そんな特別印象に残るわけでもないような出会いをし、二人での生活が始まった。

 

「ああ、こいつあの人の孫だわ。」

 

 一緒に暮らし始めて数か月。

 フィルナがこれまでのルフィを見て思ったことだった。いい意味でも悪い意味でもルフィは自由だった。冒険と称し、一人で山に向かったり、たいして泳げもしないのに海に飛び込んだり、マキノさんはいいと言っていたが宝もないのに宝払いとか。

 海賊に憧れるのは構わなかったが最低限の節度とマナーはもってほしいとフィルナは思った。

 だがルフィはまだ3歳。まだまだこれからだ。

 ”これからいろいろなことを学んでいけばいい”

 そう考えたフィルナは自分が知っている知識をルフィに教えることにした。フィルナ自身もまだ10歳になったばかりだが人よりは様々な経験をしている。

 

 最初は”勉強なんていやだ”とだだをこねたりもしたが”そんなんじゃ海賊になれないよ”というと素直に話を聞いたりした。

 フィルナは人にものを教えるのは初めてであったが思いのほかルフィの呑み込みが早くどんどん吸収していった。

 基本ルフィはやる気がないとそのことについてはまったく覚えたりしない。しかし一度やる気のスイッチがはいるとすごい勢いで吸収していく。フィルナは少しルフィが羨ましかった。”その呑み込みの早さを少しでも分けてくれ”と思うほど。

 自由奔放なところは変わらなかったが。

 

 フィルナが来てから2年がたち、ルフィが5歳になってからは強くなりたいと言い出し自分が日頃行っていた鍛錬を教えたり、稽古をつけてやった。自分がやっていた鍛錬とはマリンフォードにいたころの鍛錬であり、生半可な内容ではないのでルフィはすぐ根を上げるかと思っていたのだが、体力の限界を迎えても根性だけでついてくるルフィを見てフィルナは驚愕した。

 ”私は半分くらいで動けなくなったんだけどな”

 ショックを受けつつルフィに自分の持っている技術を教えていった。

 

 

 そんな日々を続けてまた2年がたち、村に海賊がやってきた。

 海賊船の近くには多くの村人が集まっていた。ルフィやフィルナもそこへ近づく。

フィルナは念の為、夜一(ヨイチ)を持って行った。海賊船から人が下りてきて集まっていた村人たちに緊張が走る。

 

「俺たちは今ここらを冒険してる海賊なんだが、ここを拠点にしたいと思ってるんだが構わないか?」

 

 杖を突きながら村長が前に出る。

 

「村に危害を加えないと誓うならいいだろう。」

 

「ああ、かまわない、そういうのはあまりしない主義なんでね。」

 

「なら好きにしろ。」

 

 それを聞いて村人の一部が動揺する。

 

「いいんですか!?相手は海賊ですよ!?向こうには約束を守る理由なんてない。」

 

「”赤髪”が無意味な殺生や略奪を行ったという話は聞いたことがない、問題ないはずじゃ。」

 

 少し動揺している村人をよそにルフィはキラキラした目で海賊たちを見ていた。そんな中、フィルナはキラキラしている弟を横目に”どおりで見たことある海賊旗だと思ったら赤髪か”などと少し能天気に考えていた。

 そんな能天気に考えていると話し合いが終わり、村人が戻っていく。”私たちも戻ろう”そう言おうと隣を見ると弟はすでにいなく海賊たちのところへ突撃していた。

 考えなしに突っ込んでいく弟に内心ため息をつきながらフィルナも海賊たちのほうへ足を向けた。

 

「お前たち海賊なんだよな!」

 

「君はそんなわかりきったことを聞きに突撃したのかい?」

 

 後ろから歩いてきたフィルナが呆れながらルフィに聞く。

 

「ああ、確かに俺たちは海賊だが、俺たちになにかようなのか?」

 

 赤髪の男がルフィとフィルナを交互に見た。

 

「海賊の話を聞きたいんだ!そういえば名前はなんていうんだ?俺はルフィ!よろしく!」

 

「先に名乗ったのはいいことだけど、もう少し聞き方があるとおもうよ?彼らは赤髪海賊団、でたぶんこの人が赤髪のシャンクス。」

 

「へぇ、俺たちを知ってるのかい。」

 

「こんな辺境な地でも知られるくらい有名ってことですよ、シャンクスさん。」

 

「ははは、違いない。」

 

「へぇー、シャンクス達は有名人なのか。」

 

「君は海賊になりたいという割にはそこらへん全く興味ないよね。」

 

 フィルナは呆れてため息をつく。海賊になりたいという弟の意見を汲んで少なくとも東の海の海賊について調べたりしたのだが、ルフィは一切興味を示さなかった。

 そんな二人をやり取りを見ていたシャンクスの視線に気が付いたフィルナはルフィの頭を撫でながらあいさつをする。

 

「ああ、そういえばあいさつが遅れました、私はフィルナって言います。こっちが弟のルフィ。」

 

 ルフィは先ほど自己紹介したがフィルナが付け足して紹介しなおす。

 

「姉弟なのか。」

 

「いえ、血は繋がってませんよ。義姉弟ってとこです。」

 

「ほおー、まあ別に珍しくもないか…ああ、別に敬語なんて使えわなくていい。”さん”もいらない。俺たちは海賊だぜ?」

 

「海賊がどう関係するかはしらないけど、わかった。普通にしゃべるよ。」

 

「ところでフィルナはなにかやっているのか?」

 

「見てわかると通り、剣術と武術を少し。」

 

 夜一を前に出して見せる。シャンクスが夜一を見て少し驚く。

 

「その刀は……いや、なんでもない。……なんだ?もしかしてもしもの時は君が戦うつもりだったのか?」

 

「もしもの時は、ね。何となく大丈夫なのわかってたから本当にもしもの時のために持ってきただけ。」

 

「わかるとは?」

 

「あなたたちの船からは陽気な感じがとれたから。」

 

「覇気が使えるのか!?」

 

「違うよ、覇気じゃなくてシャンクスたち雰囲気のことだよ。」

 

 クスッと笑いながら”使えはするけどね”とボソッと付け加える。

 ようやく二人の話が終わりルフィがうずうずしてるのが見えたフィルナはルフィに声をかける。

 

「ああ、ルフィはシャンクスたちの話を聞きたいんだっけ。いいよ、あんまり迷惑かけないようにね。私酒場にいるから。シャンクス、ルフィをお願いします。」

 

 ”わかった”という返事を聞き、フィルナはその場を後にした。

 




マリンフォードを出てから月日がたち肉体も精神どんどん成長していくフィルナ
平和な村で修業をしているのでフィルナは村の中でも一番強いです
ルフィもフィルナに色々教わっているため原作より強くまた利口がいいかもしれません
自由人なところはかわりませんが


このままだと山賊さんフルボッコにあっちゃう…


ちなみに主人公の名前のフィルナはルとフィを反対にして何となく語尾がよさそうなものをつけただけの安直な名前です


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四話  姉は心配症

文章が浮かぶ、浮かぶぞおおおお(錯乱


 フィルナは2年ほど前からマキノの酒場で働いている。

 もちろんガープからお金は来ている。ただ何もしないのは落ち着かず働くことにした。

 ルフィと一緒に日課の修業を終え、そのあと酒場へ向かう。基本的にルフィも好きに遊んだあとは酒場にやってくるので仕事が終わった後、ルフィの一日を聞きながらそこでご飯を食べ帰宅する。そんな毎日だ。

 そしてフィルナは今日もいつも通り酒場に行き働く。

 ”そういえばシャンクスたち酒場ないか聞いてたな。忙しくなるかも”

 フィルナは少し気合いを入れながら酒場の扉を開けて入った。

 

 ルフィはシャンクスたちがきてからは毎日のようにシャンクスたちのところへ通った。

 そんな楽しそうなルフィやシャンクスたちを見てフィルナも楽しそうだった。

 

 

* * *

 

 

 シャンクスたちが来てから一年ほどたったある日のこと。

 

「こんの馬鹿弟ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

「いたぁぁあぁぁ!!」

 

ボカッ!!

 ものすごい音が酒場に響いた。

 ルフィが涙を浮かべながら頭を押さえていた。そんなルフィの左目の下には刺し傷があった。海賊になりたいというのが遊び半分じゃないことを証明するために自分で刺したのだ。

 

「なんでそんなことしたの。」

 

「シャ、シャンクスたちに遊び半分じゃないとこを見せたくて。」

 

「それを証明することが自分を傷つけることなの?」

 

 殴った時こそ怒鳴っていたフィルナだが今は静かに、ただ静かに怒っていた。

 

「もう少し上に刺して目が見えなくなったらどうするつもりだったの?」

 

「そ、それは…。」

 

「フィルナ、そんくらいにしてやってくれ。俺たちも少しからかいすぎたさ。だが男ってやつはそういうもんだぜ?」

 

「男って括りで片付けないで。シャンクス。………ルフィもルフィよ。あんまり無茶しないで。私すごく心配したんだからね。」

 

 怒っていたときは変わり口調を柔らかくし、ルフィを抱きしめながら頭を撫でた。

 

「君はまだ7歳なんだよ?これからまだまだ強くなるし、色々なことを学んでいくことになる。でもこんな無茶今からしてたらいくつ命あっても足りないよ?」

 

「…ごめんなさい。」

 

 ルフィは謝りながらフィルナを抱きしめ返した。”とりあえず一件落着かな”と二人をマキノは少し微笑みながら見ていた。

 そんな微笑ましい光景をもう少し見ていたかったがマキノはフィルナに声をかけることにした。

 

「さ、フィルナお店手伝って。」

 

「あ、うん。わかった。」

 

 フィルナはルフィを離し、また少しだけ頭を撫でてマキノと同じカウンターの中に入った。

 

 そんなひと騒動があったあとシャンクスたちはルフィの根性に乾杯し、ちょっとした宴会になっていた。

 

「お頭、いいんじゃねか?一回くらい航海に連れてってもよぉ。」

 

「そうだぜ、そうだぜ。」

 

 船員の数人がいう。その言葉にルフィは少し期待する。

 

「じゃあだれか代わりに降りろよ。」

 

「さあ、この話は終わりだ。飲もう。」

 

「味方じゃねえのかよ!!」

 

「まあ、要するにお前はガキすぎるってことだよ。さっきフィルナに怒られた通り

お前にはまだ全然まわりが見えてないからな。」

 

 その言葉に”うっ…”とルフィは言葉が詰まる。。ルフィはさきほど怒られたばかりなのでそれについてあまり言い返せない。そんなルフィを見て副船長のベン・ベックマンが声をかける。

 

「ルフィ、お頭の気持ちも少しは理解してやれ。」

 

「シャンクスの気持ち?」

 

「ああ、あれでも海賊の一統を率いるお頭だ。冒険の楽しさも知っていればその分危険なことも知っている。お前がさっき怪我したこと以上のことをな。別にお頭はお前が海賊になりたいって心意気を踏みにじってるわけじゃないのさ。」

 

 そんなベックマンの言葉を理解できるけど納得できない、言わんばかりの顔で聞いていた。実際、シャンクスはルフィをからかうのを楽しんではいるからだ。そんな少しぶすっとしたルフィにフィルナが話しかける。

 

「ルフィ、少し早いけどお昼にする?」

 

「うん!そうする!」

 

 ”じゃ、作ってくるね”といいフィルナは厨房のほうへ行く。

 すでにお腹が空きはじめていたルフィはシャンクスたちが食べているものを少しもらいながらシャンクスに話しかける。

 

「なあ、シャンクス。あとどのくらい村にいるの?」

 

「そうだな、もうここにきて1年くらいだからな。あと1,2回航海したらこの村を離れてずっと北へ向かおうと思ってる。」

 

「ふーん、あと1,2回かぁ。」

 

 さみしそうな顔をルフィがしていると酒場の扉が蹴り開けられる。すると中に男達がぞろぞろと入ってきた。

 

「邪魔するぜ。」

 

 髭の生えた頭が少しちょんまげに見える男がカウンターまでやってきた。

 

「俺たちは山賊だ。が…別に店を荒らしに来たわけじゃねぇ。酒を売ってくれ、樽で10個ほど。」

 

「ごめんなさい。酒は今、ちょうど切らしてるんです。」

 

 マキノが少し戸惑った風にいうと山賊が周りをみてこういった。

 

「んん?おかしな話だ。海賊たちが何か飲んでるようだがアレは水か?」

 

「今出ているお酒で全部なので。」

 

 いつの間にか厨房から戻ってきたフィルナがルフィにご飯を出しながら答えた。ルフィがなにかの実を食べていたがきっとシャンクスにもらったのだろう。

 少し緊迫な雰囲気の中シャンクスが気さくに山賊に話かける。

 

「悪いな、俺たちが店の酒を飲み尽くしちまったみたいで。これでよかったらやるよ、まだ栓も開けてない。」

 

 そう言って酒の入った瓶を差し出す。山賊は何も答えずその瓶を割り、シャンクスに酒をかけた。シャンクスはなにも動じずに床を見て

 

「あーあ、床がびしょびしょだ。」

 

「モップと塵取り持ってくる。」

 

 フィルナが用具をとりにバックへ行く。

 

「貴様おれをだれだと思ってる。瓶一本じゃ寝酒にもなりゃしないぜ。…これを見ろ。」

 

 そう言いながら懐から一枚の紙を出す。それは手配書だった。

 

「800万ベリーが俺の首にかかってる。第一級のお尋ね者ってわけだ。56人殺したのさ、お前みたいな生意気な奴を。わかったら今後気をつけろ。」

 

「フィルナ、モップまだか?」

 

 シャンクスはあまり気にせず床に散った瓶の破片を集めだした。そんな様子をみた山賊は刀を抜き席にあった料理などを切りつけ散らかした。

 

「よほど掃除が好きらしい。これくらいならやりがいがあるだろう。」

 

 そう言うと”じゃあな腰抜け”といい山賊たちは出て行った。

 ”シャンクス大丈夫?”とモップ、塵取り、タオルを持ったフィルナがシャンクスの前まで来てもっていたタオルを渡した。

 シャンクスはそれを受け取り”ああ、問題ない”と返す。一連のやりとりを見ていた船員たちが笑い始めた。

 

「はっはっは!派手にやられたな!!お頭。」

 

「はっはっは!」

 

 シャンクスも笑って返す。そんな光景を見たルフィは怒ったように言った。

 

「なんで笑ってるんだよ!あんなのかっこ悪いじゃんか!」

 

「気持ちはわかるが酒をかけられただけだ。怒るほどじゃないだろ。」

 

 その言葉にルフィはさらに怒り出て行こうとする。そんなルフィを”まあ、待てよ”とシャンクスが腕をつかんだその時だった。

 ルフィの腕が伸びた。

 

「「「「「はぁっ!?」」」」」

 

 その場にいた全員が驚愕した。そしてひとつの答えに結びつく。船員の一人が宝箱を開け中身を確認する。

 

「ない!!敵船から奪ったゴムゴムの実がない!!」

 

「なにぃぃぃぃ!!」

 

「ルフィ!まさかこんな実食ったんじゃ。」

 

 イラストをみせるとルフィは”うん。飯前のデザートに”と答えた。シャンクスがかなり焦ったようにルフィに詰め寄る。

 

「ゴムゴムの実はな!悪魔の実とも呼ばれる海の秘宝なんだ!!食えば全身ゴム人間!しかも一生泳げない体になっちまうんだ!!」

 

「えええええええええええええええええええええええええ!!」

 

 ルフィは大声を上げて驚く。フィルナも驚きはしたが深呼吸をして落ち着くと、手をおでこに置きため息をついて”おじいちゃんになんていおう”と頭を悩ませていた。

 




一時間くらいで連続投稿☆

フィルナはシャンクスに酒がかけられてことに関して対してなにも思っていません
マリンフォードにいたときもああいうことはあったのである程度は慣れています

ただルフィのことになると冷静さが欠けたりします
両親を早くに失った彼女にとって今はルフィとカーブが唯一の家族です
なのですごく大切です



なんか文字数の割にはあんまり進んでないな…
もっとサクサク進めたほうがいいのかな…

現在エースたちとの話を後にしようか先にしようか悩み中


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五話  VS山賊

多くの閲覧ありがとうございます

今回は少し短いです


 ルフィがゴム人間になって数日。

 あの時は大騒ぎをしていたルフィだったが前向きにことを考えゴム人間になれたことを喜ぶことにした。

 そんなルフィはシャンクスたちがいないので酒場でのんびりしている。

 

 その日はフィルナは酒場は休みだった。

 休みのは鍛錬もせず体を休め、読書しているのがフィルナの日課だった。

 ”ルフィが帰ってきたら晩御飯作らないとな”そんなことを考えていると酒場のほうで嫌な気を感じた。”この感じはあの山賊たちかな…?ルフィの気も少し乱れてる”ルフィの気の乱れを感じ不安になったフィルナは夜一を持ち家を飛び出した。

 自分の足なら5分もかからない。フィルナは一気にトップスピードまで加速し酒場へ急いだ

 

 

 酒場近くにつくとそこには山賊が三人伸びていた。

 近くで山賊たちがルフィを殴る蹴るなどをしている。どちらが喧嘩を売ったかはわからないが伸びている3人はルフィがやったのだろう。

 ”鍛錬の成果が出ていていいことだ”と思いながらも内心ため息をつく。フィルナはそのまま山賊たちに近づき声をかけた。

 

「弟を離してくれないかな。」

 

 その言葉に山賊たちが一斉に振り返る。

 フィルナの姿を確認した髭の生えた山賊はニタァと笑い告げた。

 

「だめだね、このガキは俺たちに喧嘩を売ったんだ。それとも何か?嬢ちゃんが相手をしてくれるのか。」

 

 山賊たちは下品な笑みを浮かべ、ニタニタしがらこちらを見る。

 ルフィを見るとゴムになったおかげたろうか、大した怪我はしていないようだった。フィルナはため息をつきルフィに話しかける。

 

「無茶なことはあんまりしないでって話したばかりだけど?ルフィ。」

 

「だ、だって…。」

 

「言い訳しない。大人を三人も倒したのはすごいけど勝てないんだったら最初から仕掛けちゃだめでしょ。」

 

 ”うう…”とルフィは怒られなにも言い返せなかった。

 そんな会話している二人に山賊は無視されたと思い大声を出して言い放つ。

 

「だらだらしゃべってんじゃねぇ!てめぇが相手になるのかそうじゃないのか!」

 

「はぁ、やれやれ。ルフィ、帰ったらお説教だからね。…きなよ、山賊サン。相手してあげるから。」

 

 フィルナは挑発するように人差し指でちょいちょいとやった。その行為に山賊たちは頭に血が上り突っ込んでくる。

 

 結果をいえば山賊たちは何もできなかった。殴りかかっても、刀で切りかかっても、銃で撃っても何一つフィルナには当たらなかった。夜一を抜刀するまでもなく山賊をいなし、1人をのぞいて全員伸びていた。フィルナは”やれやれ”とした顔で最後に残ったルフィを捕まえている山賊をみた。

 

「さて、そろそろ弟を離してくれないかな。」

 

 山賊は顔面をヒクつかせてる。想定外過ぎて思考が追い付いていないのだろう。ルフィは”姉ちゃんつえぇ”などと呑気に感想を言っていた。

 

「これはお前がやったのか。」

 

 後ろから声がし、振り返るとそこには村長とマキノ、赤髪海賊団がいた。

 

「シャンクス、もどってきたんだ。」

 

バンッ!

 ほんの一瞬だった。少しシャンクスに気を取られたその一瞬に山賊は閃光玉と催涙玉を地面にたたきつけた。視界を奪われ催涙玉のせいで鼻などの器官もやられる。視力が回復し、催涙玉の煙が晴れたときにはもう山賊もルフィもそこにはいなかった。フィルナは見聞色の覇気を使いルフィを探す。ルフィは港のほうにいた。

 ”まずい”とフィルナは思った。ルフィは悪魔の実の影響でカナヅチだ。海に落とされたら無事じゃない。フィルナは全力で走り出す。

 ”お願い間に合って”弟の、家族の無事を祈って駆け抜けた。

 

 全力で走り出したフィルナだったが、さっきの催涙玉になにか入っていたのだろうかフィルナはいつもより自分が遅いことに気が付いた。

 ”このままじゃ間に合わない”山賊とルフィはもう海の上だ。急がないとルフィの身が危ない。自分の不甲斐無さを噛みしめたときシャンクスが自分の全力より速い速度で自分を追い抜いて行った。

 

―――――――――――

 

 フィルナが港に着くとルフィとシャンクスの姿が見えた。ルフィは泣いていたがどこにも怪我はないようだった。ルフィの無事な姿を確認し喜んだ束の間、シャンクスの腕を見て驚愕した。左腕がなくなっていた。

 フィルナは頭が真っ白になりながらも震える声でシャンクスに問いかける。

 

「シャンクス、腕。」

 

「ん?ああ、気にするな。腕の一本くらい。」

 

「気にするなって…!!?…そんな…!?」

 

 興奮していうフィルナにシャンクスは頭を撫でてやる。”気にしなくていい”シャンクスはそういって気さくに笑う。そんなシャンクスにフィルナは泣きながら謝りだす。

 

「ごめんなさい……ごめんな…さい。」

 

「なんで謝る。お前は悪くない。」

 

「だって……あの時……私がちゃ…んとみ…てれば。」

 

「油断してたのは俺たちも同じさ。」

 

 フィルナは泣きながらずっとシャンクスに謝っていた。”私は弟の憧れの人を傷つけてしまった”そう考え涙が止まらなかった。

 シャンクスはルフィとフィルナが泣き止むまでずっとそこにいてくれた。

 

 

* * *

 

 

 騒動があった数日後。

 シャンクスたちはここを出ることを決めた。港にはルフィ、フィルナ、マキノ、出港の準備をしている船員たちがいた。

 

「いくのか、ジャンクス?」

 

「ああ、ずいぶんと長居しちまったしな。」

 

「そっか。」

 

「なんだ、連れてけとかいうと思ったのに。」

 

「ううん、いいんだ。俺は俺で海賊を始める。そしてシャンクスなんて超えて海賊王になる!」

 

「ほう、俺たちを超えるか。そりゃ楽しみだ。…じゃあ、この帽子をお前に預ける。俺の大切な帽子だ。」

 

 そういってルフィにかぶっていた麦わら帽子をかぶせる。

 

「いつかきっと返しにこい。立派な海賊になってな。」

 

 ルフィは声に出さずに泣いていた。そんなルフィをみてフィルナは頭をなでる。二人ともシャンクスとの別れはさみしかった。シャンクスはそんな二人を見て少し笑いながら船に乗った。

 

「あいつは大きくなるぜ。」

 

「ああ、なんせガキの頃の俺にそっくりだ。――帆をはれ!イカリを上げろ!出航だ!」

 

 こうしてシャンクス達赤髪海賊団はフーシャ村を後にした。

 

 

 

   -10年後ー

 

 小舟に二人の男女が乗っている。

 

「フィルナも行くなんて意外ね。」

 

「海賊にはあんま興味ないけど、そういう約束だから。」

 

「ルフィもフィルナも気を付けてね。」

 

「「行ってきます。」」

 

 小舟は陸を離れていく。

 

「とうとう行っちゃいましたね。村長。」

 

「海賊なんぞ、村の恥じゃ。」

 

「さびしくなるねー。」

 

 村の人たちがワイワイと話す。

 

 

 

   -フーシャ村 近海ー

 

「やー、今日は船出日和だなー。」

 

「そうだね。こんな小舟じゃなきゃ、なおよかったんだけど。――あ、ルフィ来たよ。」

 

ザバァ!

 近海の主が姿を現す。

 

「出たか、近海の主。けど相手が悪かったな。」

 

「任せるね。ルフィ。」

 

「おう。10年鍛えた俺の技を見ろ!」

 

 ”ゴムゴムの銃!”

 ズドォン!と音を立て近海の主を倒す。

 

「思い知ったか、魚め。」

 

 ルフィは戻ってきた腕をグルグル回しながらニッと笑う。

 

「まずは仲間集めしなきゃなー、姉ちゃんどれくらいがいい?」

 

「好きなだけどうぞ。仲間も大切だけどちゃんとした船も必要だからね?」

 

「ま、適当でいいか!よぉし!頑張るぞ!」

 

 10年たっても成長しなかった弟の部分をみて少し呆れながらもフィルナは微笑んだ。そしてルフィは叫ぶ。

 

「海賊王に俺はなる!!」

 

 かくして大いなる旅は始まった。




俺たちの冒険はこれからだ!的な
いやもちろんまだまだ続きますけどね

基本は麦わら海賊団+フィルナで話を進めます
なのでまだまだ長々とつづける予定です


原作だと見聞色は気配と記載されてますが
文章的におかしな感じがしたので”気”に表現を変えました

フィルナはまだまだ未熟なので動揺したりすると見聞色が使えなくなります
空島にいたサトリのように
なので今回、シャンクスに意識が行き過ぎて山賊の行動を止めることができませんでした



約束についてや10年間の内容については原作と同じタイミングかサブストーリ的に少しずつ挟もうかと考えています


ようやく本編入れる…


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六話  コビーとイカついおばさん

さくっと書いたので短いです


ではどうぞ


   

 

 

   -東の海ー

 

 

 

 ほんの少し仮眠をとったフィルナは仮眠をとったことを後悔した。フィルナ達を乗せた小舟は渦でくるくる回っている。

 

「いやーまさかこんな大渦にのまれるとは。うかつだった。」

 

「ルフィ。なんで数分寝てただけでこんな事態になるの。」

 

 フィルナはため息をつきつつ、頭に手を当て眉間にしわがよっていた。緊急事態に割とマイペースな二人を乗せた小舟は渦に飲まれていった。

 

 

 

   ―とある島の海岸ー

 

 

「おい、あんなとこに酒樽と女がいるぜ。」

 

「けっこうべっぴんさんじゃねぇか!」

 

「こいつはいい。今は俺たち三人と雑用しかいないからなぁ。わかってるよな雑用!」

 

「は、はいぃ。」

 

 そんな会話をしながらニタニタと男たちが近づく。男たちが近づくと女性は意識を戻す。

 

「ケホッ…ケホッ……。ああ、さすがに死ぬかと思った。夜一と…財布はあるか。よかった。」

 

 女性は樽をゴンゴンとたたくと男たちと目があった。

 

「誰?」

 

「へへっ、ねえちゃん大変だっただろ。おれたちが助けてやるよ。」

 

 ”いや、必要ない”そう言おうとしたとき樽から男が出てきた。

 

「いやーよく寝た!なんとか助かったみたいだな!よかったよかった。」

 

「船なくしたけどね。」

 

 そんな二人の会話を呆然と男たちは見ていた。

 

「姉ちゃん、こいつら誰?」

 

「知らない。目が覚めたらいた。」

 

 ”お前らが誰だ!”

 そう言い終わる前に金棒が飛んできてあたりに砂煙が上がる。

 

「さぼってんじゃないよ!!」

 

 砂煙が晴れると樽の二人組はいなくなっていた。

 

 

 

   ー海岸から少し離れた場所ー

 

 

「びっくりしたね。」

 

 樽に腰かけているフィルナがいう。樽に入ったままのルフィが樽から出ながら。

 

「だなー。…でこいつは?」

 

 眼鏡をかけた雑用と呼ばれていた少年に二人は視線を向ける。

 

「え、えっとぼくはコビーといいます。海賊”金棒のアルビダ”で雑用係りをしてます。」

 

「ふーん。ま、どうでもいいや。俺はルフィ。」

 

「フィルナ。」

 

「えっと、お二人は大丈夫なんですか?」

 

 フィルナとルフィは”なにが?”という顔でコビーを見る。二人は頭に?を浮かべながらフィルナはコビーに聞く。

 

「ああ、コビー。船とかない?渦にのまれて沈んじゃったんだよね。」

 

「渦!?ふつう死ぬと思うんですが。」

 

「さすがにやばかったなぁ。はっはっは。」

 

 ルフィは笑った。

 ”笑い事じゃないでしょ”とフィルナは少し不機嫌そうにいう。そんな中コビーは疑問を口にした。

 

「お二人はなんで海に?」

 

「おれはさ、海賊王になるんだ。」

 

 そんな堂々としたルフィをフィルナは微笑みながら見ていた。

 

「か…!海賊王!?つまりワンピースを目指すってことですか!?死にますよ!?」

 

「おれは死んでもいいんだ。」

 

「え?」

 

「おれがなるって決めたんだ。そのために戦って死ぬなら別にいい。」

 

「私が死なせないけどね。」

 

「はははっ。頼りにしてるぜ、姉ちゃん。」

 

 そんな二人の堂々している二人にコビーは震える。

 ”なんてすごい覚悟なんだろう…考えともなかった”コビーは涙を流しながらつぶやく

 

「ぼくにも…できるでしょうか。死ぬ気なら。」

 

「なにが?」

 

「ぼくでも…海軍に入れるでしょうか。」

 

「海軍?」

 

「海軍に入って悪い奴を取り締まるのがぼくの夢なんです!!やれるでしょうか!?」

 

「しらねぇよ。」

 

「いえやります。そうだ!まず手始めにあのアルビダを捕えて…。」

 

 そのセリフを最後までいう前にいかつい女が金棒を地面にたたきつけて登場する。

 

「だれを捕まえるって!?コビー!!」

 

 イカつい女”金棒のアルビダ”はコビーを睨みつけた。

 

「この私から逃げれると思ってんのかい!?―そいつらかい。お前が雇ったっていう賞金稼ぎは。ロロノア・ゾロじゃなさそうだね。」

 

「コビー。だれだ?このイカついオバサンは。」

 

「ルフィ、もう少し言い方があると思うよ?まあこれはさすがに同じ女として恥ずかしいけど。」

 

 アルビダはピキピキと怒りをあらわにしている。

 

「て、訂正してください。このお方はこの海で一番……一番…――。」

 

 そこまで言ってコビーは先ほどのルフィのセリフが頭をよぎる。

 

「一番……イカついたクソ婆です!!」

 

「このガキャーーーーー!!」

 

 アルビダはブチ切れて金棒をコビーに振り下ろす。

 

「よくいった、コビー。あとはまかせな。」

 

「二人まとめてやってやるよ!!」

 

 ルフィはコビーの前にでて頭から金棒を受ける。

 

「きかないね、ゴムだから。」

 

 そこまで言うとルフィは”ゴムゴムの銃”でアルビダを吹き飛ばした。そうして残党にいう。

 

「コビーに船をくれてやれ。こいつは海軍に入るんだ。黙っていかせろ。」

 

 かくしてコビーは小船を手に入れフィルナとルフィの二人もそこに乗った。

 フィルナは”アルビダの船もらえば?”といったがルフィは”ダサいから嫌だ”と拒否したのでコビーの小船をコビーを海軍まで送ったあともらうことにした。

 




コビーとの出会いは大切なイメージがありますがアルビダとの出会いはそこまでじゃないイメージです。個人的に


本当はゾロの話までもっていければと思っていたんですが
同じ話にあるとおかしな感じだったので分けることにしました


原作を読み直して思ったのですがバギーとアローンはもっと強くていいんじゃないかと思ってます
ので強化します
ルフィも原作より強い設定なのでたぶん大丈夫



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七話  ロロノア・ゾロ

長くなってしまいました

ではどうぞ


   

 

 

   -海軍基地の町  シェルズタウンー

 

 

 三人は店に入り食事をしていた。

 

「じゃ、コビーとはこの町でお別れだな。海軍に入って立派な海兵になれよ。」

 

「はい。ルフィさんたちも立派な(?)海賊になってください。」

 

 コビーは少し流れた涙をふく。

 

「そいうえば基地にいるのかな?ゾロってやつは。」

 

 その言葉を言った瞬間、店の客が全員ひっくりかえった。三人は頭に?を浮かべながらもすぐ気が付く。

 

「ゾロの名はここでは禁句みたいだね。」

 

「みたいですね。…そういえばさっき張り紙を見たんですけど、ここにはモーガン大佐という…。」

 

 また客たちがひっくり返った。

 これにはさすがに三人はわけがわからず、とりあえず店を出ることにした。

 

 

   -海軍基地前ー

 

 

「なかなかおもしろいお店だったね。で、行かないの?コビー。」

 

「ぼく不安ですよ。海軍の大佐の名前を聞いてあんなに驚くなんて…。」

 

「なんかノリで吹っ飛んだんじゃねえの?」

 

 ケラケラ笑いながらルフィは塀から顔をのぞかせる。

 

「さーて、ゾロってやつはどこかなぁ。」

 

「あっちのほう…かな。」

 

 フィルナが気配のするほうに歩きだした。二人もそれについていく。進んだ先の塀をのぼり顔を出すと男が縛られていた。

 

「へぇー、あれがそうか。」

 

「あんな縛り方だと逃げようと思えば逃げれる気がするんだけど。」

 

 コビーは”本物だぁぁぁ”とビビッている。そんな三人の会話が聞こえたのかゾロが声をかける。

 

「おい、お前ら。こっちきて縄ほどいてくんねぇか。9日間もこのままだとさすがにくたばりそうだ。」

 

 二ィとゾロは口角をつりあげる。

 

「あいつ笑ってるぞ。」

 

「礼ならするぜ。そこら辺の賞金首ぶっ殺しててめぇらにくれてやる。嘘はいわねぇ、約束は守る。」

 

 そんな会話をしていると少女が横からやってきて塀を越えていった。少女が手に持っているのはおにぎり。どうやらゾロに食べさせるために持ってきたようだった。いるあげるの問答をやっていると一人の男が海兵二人を連れてやってきた。

 

「おい!ロロノアぁ。弱い者いじめはよくないぞぉ。」

 

「ちっ…七光りの馬鹿息子が…。」

 

「馬鹿?調子に乗るなよ。俺の親父はかのモーガン大佐だぞ。」

 

 モーガン大佐の息子は偉そうにいうと少女のほうをみた。

 

「おやおや、おにぎりの差し入れかい。」

 

 男はおにぎりを取り食べた。

 

「あま!?なんだこれは!?おにぎりはふつう塩だろ!?」

 

「だって甘いほうがおいしいとおもって。」

 

 ”こんなもん食えるか”そういいながらおにぎりを踏みつぶした。少女は泣きながらおにぎりを見て、それを見た男は後ろにいた海兵に”塀の外へ投げろ”と指示をする。海兵は少しためらいながらも少女を塀の外に投げた。投げられたフィルナが受け止める。

 男は”一か月せいぜい頑張れよ”とゾロに言い残し去って行った。

 

 男が去った後、ルフィがゾロに近づく。

 

「なんだ、まだいたのか。親父に言いつけられるぜ。」

 

「今、一緒に海賊になる仲間を探してるんだ。」

 

「はん、海賊だと?でなんだ、縄をほどくから仲間になれとかいうんじゃないだろうな。」

 

「いや、まだ誘うつもりはねぇよ。」

 

「俺は別にお前に助けてもらわなくても自力で生き延びる。一か月このまま生き延びてりゃ逃がしてやるとあの馬鹿息子は約束してくれた。俺は生き延びてやりたいことを成し遂げる。」

 

「おれじゃ一週間で餓死する自信があるけどね。」

 

「お前とは気力が違うんだよ。仲間探しなら他を当たれ。」

 

 ルフィがその言葉に従いその場を後にしようとするとゾロが声をかける。

 

「ちょっとまて。それ…とってくんねぇか。」

 

「これ食うのか?もうおにぎりじゃなくてこれ泥のかたまりだぞ。」

 

「ガタガタぬかすな。落ちてんの全部だ。」

 

 ゾロは先ほど踏みつぶされたおにぎりをバリバリと音を立てながら食べた。

 

「さっきのガキに伝えてくれ。うまかった。ごちそうさまでしたってよ。」

 

――――――――――――――

 

 ルフィ達は少女を自宅まで連れて行く途中、先ほどの男が歩いてきた。

 

「おい、頭がたけぇぞ。ロロノアみてぇになりてぇか。」

 

 住民が頭を下げている真ん中にあの男がいた。

 

「ああそうだ、ロロノアは3日後に公開処刑する。楽しみにしてろよ?」

 

「3日?」

 

 ルフィは約束の話と違うと思い男に問う。

 

「一か月の約束はどうしたんだ?」

 

「ん?どこでそれを聞いた?んなもん嘘に決まってんだろ。そんなの守る馬鹿がとこにいるんだ。」

 

 フィルナにはルフィからブチっと音がした気がした。

 その瞬間

ドガァッ!

 ルフィは男を殴った。

 その行動にフィルナは”あーあ”という顔をしていた。住人が動揺する。コビーが止めに入った。

 

「ルフィさん!相手は仮にも海軍ですよ!?」

 

「しるか、何をやっててもクズはクズだ。」

 

「殴りやがったな…この俺を…!親父にいいつけてやるからな!!」

 

 男はそういいながら海兵に担がれ連れて行かれた。

 

「あんなのもうこれ以上殴る価値すらねぇ。」

 

 ため息をついているルフィにフィルナは声をかけた。

 

「これからどうするの?」

 

「ゾロを仲間にするよ。」

 

 ”わかった”とフィルナは返事をし、連れていた少女に”ここなら一人で帰れるね”といい少女を帰した。

 

「じゃ、また基地にいかないとね。」

 

 

 

   -海軍基地 磔場ー

 

 

「よっ。」

 

「また来たのかよ。勧誘なら断ったはずだぜ。」

 

「おれはルフィ。縄といてやるから仲間になってくれ。」

 

「話聞いてんのかてめぇ。だれが好んで海賊なんて外道になるか。」

 

「いいじゃんか。元々悪い賞金稼ぎ言われてるんだから。」

 

「世間でどういわれてるかは知らんが俺は俺の信念に後悔するようなことは何一つしちゃいねぇ。これかもそうだ。だから海賊にもならねえ。」

 

「知るか!おれが仲間にするって決めたんだ!」

 

「勝手なこと言ってんじゃね!!」

 

 そこでようやく塀の上で座っていたフィルナがゾロのもとへ来る。

 

「ごめんね?ルフィ決めたらまず意見曲げないから。」

 

 唖然としがらゾロはフィルナが右手に持っていた刀が気になった。

 

「ああ、紹介が遅れたね。私はフィルナ、ルフィとは義姉弟だよ。」

 

「……あんた、剣士なのか?」

 

「違うよ。私は戦闘において剣術以外も使うから。」

 

「そういえばおまえ刀は?」

 

「とられたよ、馬鹿息子に。命の次に大切なおれの宝だ。」

 

「へぇー。ならおれが馬鹿息子から奪ってやる。」

 

「あぁ?」

 

「そしておれから刀を返してほしければ仲間になれ。」

 

「たちわりぃぞ!!」

 

 そういってルフィは基地のほうへ行ってしまった。そんなやりとりをフィルナは笑って見ていた。

 

「おい!お前の弟だろ!?止めろよ1?」

 

「いいんじゃないかな。実に海賊らしくて。」

 

「んなっ…。」

 

「ルフィは所謂一般的な海賊のような略奪とかそういうのにあんまり興味がなくてね。強いて言うなら我儘なことぐらいで。しかも曲がったことが嫌いだから。」

 

「なんでその海賊行為を俺が受けなきゃならねぇ!!」

 

「ルフィに気に入られたから?」

 

 ”埒があかねぇ”ゾロがそんなことを思っているとフィルナが動き出す。

 

「私も手伝い行こうかな。」

 

 そういうとフィルナはゾロの目の前から消えた。正確にはゾロの目ではとらえられないスピードで移動した。

 

 

   -基地内ー

 

 

「刀もだけど記録指針も手に入れないと。」

 

 フィルナが事前に偉大なる航路について調べたことがある。

 まず偉大なる航路では通常のコンパスではなく記録指針を使うこと。また永久指針と言ってひとつの島のみを指すものもあること。天候が恐ろしく不安定で常識が通用しないこと。

 調べてわかったのはこの3つであったが記録指針は必須。どこかで確実に手に入れなければいけなかった。

 

 海兵はどうやら屋上に集まっているらしく静かだ。

 重要そうな部屋をひとつひとつ回ったが特にめぼしいものはなかった。”どうしよう”フィルナが悩んでいるとルフィの気配が磔場へ動いた。窓から見るとずいぶんと派手にやっている。これ以上探しても意味がないと判断したフィルナは磔場に移動することにした。

 

 

 

   -海軍基地 磔場ー

 

 

 ゾロとコビーに向けて銃が放たれる。そこにルフィが割り込んで弾を弾き返した。

 

「きかーーーん!!」

 

「お前何者なんだ!?」

 

「俺は海賊王になる男だ!!ほら宝物。わかんねぇから3本持ってきちまった。」

 

「3本とも俺のさ。三刀流なんでね。」

 

「ここでおれと一緒に海軍に戦えば政府にたてつく悪党だ。このまま死ぬのとどっちがいい?」

 

「お前は悪魔の息子かよ…いいぜ、くたばるくらいならなってやるよ海賊に。」

 

「やったー!仲間になってくれんのかー!」

 

「わかったら早く縄をほどけ。」

 

 海兵たちがモーガンの指示で切り込んできている。

 

「ほれ、片方とれたぞ。」

 

 マイペースなルフィに焦るようにゾロが怒鳴る。

 

「早く刀をよこせ!!」

 

ガキィィンッ!!

 十人以上の海兵がルフィたちに切りかかったがゾロにすべて止められる。

 

「海賊にはなってやるよ、約束だ。だがな俺には野望がある。世界一の剣豪になることだ。悪名でもなんでも俺の名を世界に轟かせてやる誘ったのはてめぇだ!もし野望を断念するようなことがあったらその時は腹を切ってわびろ!」

 

「いいね、世界一の剣豪。海賊王の仲間ならそれくらいなってもらわないと困る。」

 

「ケっ言うね。」

 

 いつまでも抑えられている海兵に対してモーガンが”早く殺せぇ!”と発破をかける。海兵たちは一度ゾロから離れ再度切りかかる。

 ルフィはゾロに”しゃがめ”と指示を出す。

 

「ゴムゴムの鞭!!」

 

 ルフィは足を伸ばしそのまま横に薙ぎ払った。海兵たちが全員吹き飛ぶ。

 

「てめぇは一体。」

 

「おれはゴム人間。」

 

 ”ゴ、ゴム人間!?” ”つ、強すぎる” ”我々では手に負えません”海兵に次々と動揺が走る。そんな中モーガンが前に出てきた。

 

「今弱音吐いたやつは、頭撃って自害しろ…命令だぁ!!」

 

 海兵はビビりながらも命令に従い頭に銃を向ける。

 

「馬鹿なことをするんじゃない。」

 

ドカッ!

 その海兵たちを後ろからやってきたフィルナが蹴り飛ばした。蹴られた衝撃で海兵たちは気を失う。

 

「お、姉ちゃん。」

 

「子も馬鹿なら親も馬鹿か。ルフィ、早くその馬鹿大佐を倒してちゃって。」

 

「おう!」

 

「次から次へと…全員死刑だぁ!!」

 

「やってみろ。」

 

 ルフィはモーガンの右腕についている斧を軽くよけて顔面に蹴りを入れる。モーガンはさらに怒り斧を振り回してくる。ルフィはそれをすべて交わし、再び蹴りをいれた。蹴りが入ったモーガンは立っていられなくなり倒れる。

 ルフィが倒れたモーガンの胸倉をつかみ怒ったようにいう

 

「なにが海軍だ。コビーの夢壊しやがって。」

 

 モーガンに拳を振り下ろそうとしたとき”まてぇ!!”と声がした。ルフィは構わず拳を振り落す。

 

「まてって言ってんだろ!この馬鹿!」

 

 見ると馬鹿息子がコビーに向けて銃を構えていた。

 

「少しでも動けばコイツの頭が吹き飛ぶぞ!」

 

「ルフィさん!ぼくは!ルフィさんの邪魔をしたくありません!死んでも!!」

 

「ああ、知ってるよ。」

 

 ルフィはコビーにニッと笑い返し馬鹿息子に拳を向ける。

 

「馬鹿息子。コビーの覚悟は本物だぞ。」

 

 馬鹿息子は”う、うごくな”と狼狽えた。ルフィは構えた拳をそのまま馬鹿息子に放とうとする。

 

「ルフィさん後ろ!」

 

 後ろでモーガンが斧を振り上げていた。

 

「ゴムゴムの銃!」

 

そんなこと構わずルフィは馬鹿息子に放った。

 

「ナイス、ゾロ。」

 

「お安い御用だ、船長。」

 

 モーガンはゾロが倒していた。その瞬間、海兵たちから歓喜の声が上がる。

 

「やったー!!」「解放された!!」「海軍バンザーイ!!」

 

「大佐やられて喜んでるよ。」

 

 

   ーシェルズタウン 酒場ー

 

 

「ぷはー!食った!さすがに9日食わねぇと極限だった!」

 

「なんだよ、一か月とか無理だったんじゃねぇか。」

 

「なんで俺より食が進んでるんだ。」

 

 ゾロはルフィの頭を軽く叩いた。フィルナは店主に”すいません。ごちそうになっちゃって”などと話している。

 

「これからどこへ向かうつもりなんだ?」

 

「偉大なる航路へ向かおう。」

 

「まって。その前に船を手に入れなきゃ。あんな小舟じゃ絶対無理。」

 

 ルフィの言葉にフィルナがストップをかけた。

 

「あとできれば航海士もほしい。私たち一般より少しできる程度しかないから。」

 

「んーま、確かに仲間はまだほしいな。」

 

「まだ偉大なる航路の入り口までいくつか島があるからそれまでに船と航海士が仲間になれば。」

 

「じゃあ、いくつか島をよりながら偉大なる航路へ向かおう!」

 

 そんな話をしていると一人の海兵が入ってくる。

 

「君ら海賊だというのは本当かね。」

 

「ああ、そうだよ。」

 

「君らには感謝している。だが君らが海賊ということなら海軍として黙ってはいられん。即刻、町から立ち去ってもらう。せめてもの義理を通し本部への連絡は避ける。」

 

 その言葉を聞き住人から不満の声が上がる。そんなのも気にせずにルフィたちは立ち上がり店を出ていく。コビーを残して。そんな残ったコビーをみて海兵が声をかける。

 

「君も仲間じゃないのかい?」

 

「いえ、ぼくはあの人たちの仲間じゃありません。」

 

「待ちたまえ。君たち。本当に仲間じゃないんだな?」

 

「おれ、こいつがなにしてたかた知ってるよ。」

 

「ルフィさん!?」

 

「どこの島かわかんないけどイカついおばさんのアルビダって海賊のとこで2年間…――。」

 

「やめてくださいよ!」

 

 

 コビーがルフィを殴った。殴られたルフィは二ィッと笑い殴り返す。

 

「やったな!この!」

 

ボカッバキッ

 数発殴ったところで海兵が止めに入る。

 

「もういい!君たちが仲間でないことはわかった!即刻町を出るんだ!」

 

 ルフィは特に気にした様子もなくコビーから離れフィルナたちと港に向かった。

 

 

 

   ーシェルズタウン 港ー

 

「たいした猿芝居だったな。あれじゃばれてもしかたないぜ。」

 

「あとはコビーがなんとかする、絶対。」

 

「何にしてもいい船出だ。みんなにきらわれちゃ後引かなくて海賊らしい。」

 

「だはは、そうだな。」

 

 出航の準備をしていると後ろからコビーがやってきて敬礼する。

 

「ありがとうございました!このご恩は一生忘れません!」

 

「海兵に感謝される海賊なんて聞いたことねぇぜ。」

 

「しししし!また逢おうな!コビー!」

 

 そう言ってルフィは手を振る。

 ルフィたちが出航と同時に海兵すべてが集まり敬礼をする。

 

「いい友達をもったな。」

 

「はい!」

 

「我々の今の敬礼は海軍軍法の規律を侵すものである!よって全員一週間飯抜きだ!」

 

「はっ!」

 

 こうしてルフィたちはシェルズタウンを後にした。仲間を一人”海賊狩りのゾロ”を引き込み船はゆく。

 

 

 




かなりカットしたつもりだけど長くなってしましました


ヘルメッポは原作で一度もルフィたちの前で名乗ってないのでずっと馬鹿息子と呼ばせておきました(笑)


フィルナを戦闘に参加させる予定でしたが見せ場を作ることができず海兵の自害を止めるという役で我慢してもらいました



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八話  道化のバギー

かなり原作に手を加え駄文に加速がかかっています
流れのもっていきかたが強引かもしれません



ではどうぞ


   -オルガン諸島  オレンジの町ー

 

 

「全然人気がないね。」

 

 町には全く人気がなく静まり返っていた。フィルナは見聞色を使い気配を探るのに意識を集中した。気配の塊を二つ見つける。。

 

「ここからまっすぐと町のはずれのほうに人が集まってる。」

 

「じゃまっすぐいくか!」

 

 三人は歩を進める。まっすぐいった先には気配の強いのが一人いる。

 ”気を引き締めるか”そうフィルナ一人意識を切り替えた。

 

―――――――――――

 

 町を歩いていると鎧と槍を持った老人が犬に餌をあげていた。

 

「お、じいさんがいるぞ。」

 

「話を聞いてみよっか。」

 

 三人は老人に近づく。

 

「なんじゃ、お前たちは。」

 

「町全然人いないけどなんかあったんか?」

 

「今この町はバギー海賊団が来て居ての。住民は皆避難している。」

 

「へぇー。そんなに怖いのか。ハギーってやつは。」

 

「バギーね。結構有名だよ。爆弾好きだって。」

 

「で、お前たちは何者だ?」

 

「海賊だ!」

 

「なに!?」

 

 老人が過剰に反応し、槍を構えた。

 

「まっておじいさん。略奪とかそういうことをしに来たわけじゃない。仲間になってくれる航海士と船を探してるの。」

 

「船と航海士?」

 

 老人はフィルナの落ち着いた対応に冷静になり聞き返す。

 

「おう!さすがに今のままじゃ偉大なる航路は無理そうだしな!」

 

 ルフィがはっはっはと笑う。老人は槍を下して”そうか”とつぶやく。

 

「この町では難しいじゃろうな。船は漁船しかないし海賊になろうってもの好きもおらんわ。」

 

「そっかー。そういえばじいさんはなんで避難してないんだ?」

 

「この子が、シュシュが店番をしておるからの。餌をやりに来たんじゃ。」

 

「なんで店番を?」

 

 フィルナがシュシュを撫でながら聞いた。

 

「この店の主人はわしの親友でな。この店は10年前そいつとシュシュが一緒に開いた店なんじゃ、たくさん思い出が詰まっておる。あいつはもう死んじまったがシュシュにとってこの店は宝物なんじゃ。」

 

「そっか。この子のこの怪我はきっと店を守るために海賊たちと戦ってついたんだね。」

 

 フィルナはとても優しい顔で”えらいえらい”とシュシュを撫でる。老人は撫でられて気持ちよさそうなシュシュを見て呆れたようにいう。

 

「じゃが困ったもんよ。わしがいくら避難させようとしてもまったく動こうとしない。わしがこうして餌をやらなければ餓死するってのに。」

 

 老人は呆れていわしていたもののまんざらではないようだった。老人もまたここに来る意味があるのだろう。

 そんな老人を三人は意味ありげに見ていると少し困った顔で老人が語りだした。

 

「ここは40年前は何もなかった。何もないところから少しずつ町民を増やし、発展していった。この町はわしらが作ったんじゃ。ゆえにこの町はわしの宝じゃ!その町をほっておけなくてな一人で見て回ってるんじゃ。」

 

 ルフィは老人の熱い語りにとても楽しそうに笑う。

 

「いいね、じいさん。おれ、じいさんみたいなの好きだぜ。」

 

 その言葉に老人は笑顔で返した。フィルナやゾロも賛同するかのように笑う。そしてフィルナがわざとらしく喋りだす。

 

「そっか、じゃあ町が占領状態で大変だね。でも海賊の私たちには関係ないね。」

 

 意図に気が付いたゾロがそれにのる。

 

「そうだな。俺たちは偉大なる航路行かなきゃならんからな。バギーってやつが海図でも持ってない限り用はないな。」

 

「でもここらで有名だしなんかの海図くらいはあるんじゃない?あと船も。」

 

 そこまで喋ってルフィがそれにのる。

 

「じゃ、奪うか!海図!」

 

 そういうと三人は立ち上がり歩き出す。老人は驚いて三人を止めようとする。

 

「ま、まて!」

 

「じいさんは関係ねぇよ。おれたちがバギーにようあるからバギーのところに行くんだ。」

 

「そうそう。おとなしく帰った方が身のためだぜ。」

 

 驚きで固まっている老人を置いて三人はその場を後にした。

 

 

   ー酒場  屋上ー

 

 

「俺の海図に手を出すとはいい度胸だな。だが相手が悪かったな。」

 

 男 ”道化のバギー”が椅子に座って足を組み檻の前にいた。檻の中には一人の女性がいる。

 女性は檻の中で悪態をつく。

 

「くそっ。がばがばだったからいけると思ったのに…。」

 

 女性はひたすらどうやって逃げるかを考えている。

 

「くくくっ。一生懸命に逃げる方法を考えているな。まあ精々頑張るんだな。お前の相手をしていたいところだがどうやら客だ。」

 

 そう言った瞬間三人の男女が屋上に飛び乗ってきた。近くにいた船員が数人やられる。いきなりの奇襲で動揺が走る。

 しかしバギーは特に気にすることもなく三人に問いかけた。

 

「でなんのようだ?お前たち。」

 

「お前をぶっ飛ばしにきた!」

 

「そのついでにいい船か海図がないかと。」

 

「以下同文。」

 

「海図ならここにあるがぁ……こいつはやれねぇな。」

 

「いいよ。奪うから。」

 

「できるもんならやってみろ!」

 

 その言葉を合図に一斉にバギー海賊団が襲いかかってきた。

 

「ゴムゴムの鞭!!」

 

 ルフィの伸びた足が船員たちを襲う。フィルナやゾロも刀を抜刀し切りかかる。

 わずか数分で三人と一匹を残して全滅していた。

 

「やはり彼らではだめですか。」

 

「しかたない。実力差がありすぎる。」

 

「まったく…おい!うごけねぇやつ連れて引っ込んでろ!カバジ!モージ!めんどくせがとっとケリつけるぞ。」

 

「「はい、バギー船長。」」

 

 バギーに呼ばれ二人の男が出てくる。一人はライオンに乗っておりもう一人は口から刀を出した。

 そしてバギー自身も立ち上がる

 

「あの刀持ってるやつはもらうぜ。」

 

「じゃ、おれライオン!」

 

「普通は船長同士がやるもんじゃないの?」

 

「えー、ならあのでかっ鼻やるよ。」

 

 その瞬間バギーが切れた。

 

「だれが赤でかっ鼻だぁ!!!!」

 

 ”そこまでいってないよ”と内心フィルナは突っ込んだ。どうやら結構気にしているらしい。

 

「あの麦わらは生かしとけねぇ!あれは俺がもらう。他は好きにしろ。」

 

「では指名があったので私は剣士のほうに。」

 

「なら余りの女は俺だな。いくぞ!リッチー!」

 

 戦闘が始まった。




戦闘が長くなってしまったので戦闘前に切ることにしました


駄文が続きますが次回の原作より強くなっているバギー海賊団をお楽しみに!


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九話  VSバギー海賊団

様々なご意見等をいただいているのでできる限り取り入れていければな、と思っています

戦闘回です


ではどうぞ


   

   -フィルナVSモージ&リッチー(ライオン)ー

 

 

「女だからって容赦はせんぞ!」

 

「どうぞ。お構いなく。」

 

 フィルナは目の前の敵より後ろにいる檻の中の女性が気になった。

 ”あの子は…”

 相手にする気のない態度のフィルナにモージは怒りをあらわにする。

 

「なめおって!行け!リッチー!!」

 

 リッチーの爪がフィルナに襲い掛かる。

 

「遅い。」

 

 フィルナをいともたやすくそれをよけリッチーを無視しモージに切りかかった。

ガギィンッ!

 モージは懐から出した短刀で攻撃を受け止めた。フィルナは少し驚く。

 

「俺が猛獣使いだから俺自身は弱いと思っただろう。」

 

「うん。思った。少し驚いたよ。」

 

 会話をしているとリッチーが再び攻撃してくる。

 フィルナはモージに蹴りを出しモージと距離を取ってリッチーの攻撃をよけた。猛攻は続く。

 一人と一匹の連携はすさまじく微妙に攻撃をづらしよけにくくしてくる。

 ”このままいけば…”

 フィルナはよけることに専念し、端にあった女性が捕えられている檻に背中が当たった。

 

「はははっ!なにもできまい!このまま八つ裂きにしてやる!」

 

「まだ一発も当たってないんだけど…。」

 

 フィルナの突っ込みを無視しリッチーとモージが仕掛けてくる。

 ”出してあげるから下がれるだけ後ろにいて”

 フィルナは檻の中の女性そう告げるとギリギリまでリッチーの攻撃をひきつけよける。

バギィ!!

 リッチーの爪は檻の上の部分を破壊し、檻として機能しなくなった。

 

「すごい威力だね。」

 

 フィルナがそう言いながら女性を檻から抱え出した。そしてそのままモージ達の後ろを取る。

 

「怪我はない?」

 

 フィルナは女性にそう聞くと女性は戸惑った顔で肯いた。無事を確認したフィルナは女性をおろし、再びモージたちと対峙する。

 

「きさま、これが狙いだったのか。」

 

「さすがに檻を壊すのは骨が折れそうだったから。」

 

「だがそれで勝ったと…。」

 

 ザンッ!

 モージが喋っていたがその言葉は途中で途切れる。

 正面にいたフィルナがすでに後ろにいて刀を納刀していた。

 

「だから遅いって。」

 

 モージたちは切られそのまま倒れた。

 フィルナは意識を失ったことを確認したあとルフィたちのほうを見た。

 

 

 

   -ゾロVSカバジー

 

 時間は少し遡り

 酒場の屋上から下り酒場入り口前

 

「バギー海賊団参謀長”曲芸のカバジ”だ。」

 

「ロロノア・ゾロ、剣士だ。」

 

「ほう、有名な海賊狩りか。光栄だね。一人の剣士として君を切れるとは。」

 

 ”いくぞ!”カバジがそういうと一輪車に乗り切りかかってくる。ゾロは刀を両手に持ちカバジの攻撃を受け止める。

ギンッ!

 

「ひとつ言っておくが私は剣士でもあり曲芸師でもあるのだ。」

 

「だからなんだよ。」

 

「刀以外にも攻撃方法があるということさ!」

 

 ”曲技!カミカゼ殺人コマ!”

 カバジはそういうと刃のついたコマを回転させいくつも投げてきた。

 ゾロは三本目を口にくわえコマたちを受け流す。

 

「まだまだいくぞ!」

 

 ”曲技!ジャグリングナイフ”

 今度は回転のかかったナイフが飛んでくる。

 ”次から次へと…”

 飛び道具ばかりで少しイラつきながらもすべてをいなした。そして正面を見るとカバジが一輪車からおり両手で刀を構えている。

 

「これは集中しないと撃てんのでな。」

 

 ”飛ぶ斬撃!大鷲!”

 ゾロは飛ぶ斬撃なんてものは見たことがなかったが本能的にまずいことを察知し横によけた。しかしわき腹が深く切れる。

 

「ガフッ!」

 

 切れたわき腹を押さえながら転がった。カバジがそれを見下ろす。

 

「よくよけたな、我が必殺の一撃を。」

 

「なんだ…今のは…。」

 

 ゾロは苦しみながらもカバジに聞いた。

 

「飛ぶ斬撃さ。もっとも私も集中せんとだせんし、一日に出せてよくて数発だ。」

 

「飛ぶ…斬撃…!?」

 

 ゾロは驚きながら目の前の男の認識を変えた。

 ”強い”一輪車に乗って攻めてくるものだから少しなめていた。

 ”こいつに勝てば俺はまだまだ強くなれる”

 痛むわき腹を押さえながらゾロは立ち上がる。

 

「相当深く入ったはずだ。無理はしないほうがいい。」

 

「うるせぇ!剣士と名乗るやつに俺は負けるかけにはいかないんだ。」

 

 カバジは半ばあきれながらも攻撃を仕掛けてきた。再びコマやナイフなど飛び道具を出す。

 ゾロはそれを防ごうとするが傷が痛みすべてを防げない。

 次々と体に傷ができていった。いくつもの傷を負いついに膝をつく。

 ”限界だな”カバジはため息をつきながら数本のナイフを頭に向かって投げた。

 

「もう楽になれ。」

 

 ゾロは考えていた。確かに実力差はある。だがそもそもゾロは相手によることすらできていない。

”せめて届けば…”

 そう考えたとき、先ほどカバジが見せた斬撃を思い出す。逃げることはない。ここで逃げるくらいなら死んだほうがましだ。

 一か八かのぶっつけ本番。ゾロは口にくわえていた刀と左手の刀を置いた。

 立ち上がり右手で刀を持ち右手首を左手で添える。ナイフが飛んでくる。それに気をとられずに意識を集中させる。

 全力で刀を振った。

 

「なっ…!?」

 

ドゴォン!!

 斬撃が飛んだ。飛んできていたナイフを弾き飛ばしカバジに直撃し倒れた。

 

「まさか…一回見せただけでマネされるとはな。」

 

「感謝するぜ曲芸師。これでまた一歩前に進めた。」

 

「はっ。くそくらえ。」

 

 カバジはそういうと意識を落とした。

”やべぇ、血が足りねぇ”

 前のめりに倒れそうなところをフィルナに支えられた。

 

「お疲れ様。」

 

「ああ、わりが後頼むわ。」

 

 そういってゾロは寝る。

 フィルナが治療しようと医療具を出すとルフィがこちらに吹き飛んできた。

 あまりよくないと判断したフィルナは檻から救出した女性に”ゾロをお願い”と告げてルフィのもとへ向かった。

 

 

 

   -ルフィVSバギーー

 

 

 また少し時間が遡る

 

「てめぇ生きて帰れると思うなよ。どこの馬の骨かしらんがこの俺様に刃向いやがって。」

 

「うるせぇ、お前なんかにやられるか。」

 

 ルフィが殴りかかる。

 

「そんな攻撃が当たるか。」

 

 バギーはひらりとそれをかわしルフィの顔面を蹴った。

 

「きかないね、ゴムだから。」

 

 ”きいていない?”

 バギーはルフィのものともしない感じに違和感を覚えた。加減したつもりはない。少なくとも鼻血くらいは出るはずだ。

 

「お前、悪魔の実を食べたのか。」

 

「ああ、おれはゴムゴムの実を食べたゴム人間だ。」

 

「ゴム?なるほど、だから打撃がきかないのか。」

 

 バギーはナイフを取り出し投げつける。

 

「斬撃ならきくだろ!」

 

 ルフィはナイフをよけようとする。よく見ると靴の先に針が付いた足が混じって飛んできていた。

 

「あぶね!」

 

 足はまっすぐ飛ぶナイフとは違い的確にルフィを狙った。

 

「なんだ!今のは。」

 

「俺様もお前と同じ悪魔の実を食べたのさ。」

 

 そういうバギーのもとに足が帰っていく。

 

「俺様が食べたのはバラバラの実。バラバラ人間ってわけだ。」

 

 体をバラバラにしながら襲い掛かってくる。

”ゴムゴムの銃!”

 ルフィは武器を持っている部分に気を付けながらバギーの顔面めがけて腕を伸ばした。

 しかしルフィの攻撃は当たらない。

 

「見え見えなんだよ。」

 

 バギーは攻撃をよけつつ分離している下半身でルフィを蹴り飛ばした。

バキィッ!

 

「ガ八ッ!…痛ってー!なんで蹴りが痛いんだよ!」

 

「くはは!これだから能力に頼りっぱなしのやつは。これは武装色っていうんだよ!」

 

 今度は拳がルフィを襲う。またしても攻撃がルフィに入る。

 

「くっ……姉ちゃんが使ってたやつか。」

 

「ほう、この東の海に覇気が使えるやつがいるとはな。だがどうする?自慢のゴムも俺様の前では無意味だ。」

 

「くらっちゃいけないならよけるだけだ!」

 

「いつまでもよけれるか!?バラバラァ!」

 

 再びルフィに攻撃がくる。ルフィはよけつつも反撃を試みたがどれも見切れら攻撃が当たらなかった。

 

「くそっ!」

 

「よそ見している暇があるのかぁ!?」

 

 拳がルフィに直撃する。ルフィは吹き飛び転がった。そのまま隣の民家に突っ込む。

 

「覇気も使えない小物が俺様に挑むからそうなる。」

 

 バギーはバラバラにした体を戻す。気配をたどると部下二人が意識を失っていることがわかった。

 

「モージたちがやられたのか…!?」

 

二人とも覇気は使えないにしろそれなりに実力があったはずだ。どうやら相手をなめすぎていたらしい。

”早く麦わらを殺して残りの二人も殺すか”

そう考えた瞬間ルフィとフィルナがバギーの後ろにあらわれ、顔面を殴った。

バキィ!

二人分の拳をうけ吹き飛ぶ。

 

「ブベラッ!」

 

「どうだ!当たったぞ!」

 

「てめぇらよくも俺様の顔を…!!」

 

「覇気が使えるんだね。悪いけど二人がかりでやらせてもらう。」

 

「かまわねぇさ…どうせ仲良く死ぬんだからなぁ!!」

 

 バギーはバラバラになり二人を襲う。フィルナも得意ではないが武装色を纏った。

 

「ほう、お前が覇気使いか。だがまだまだ未熟だな!」

 

「自覚してるよ!」

 

 武装色を纏った拳と刀がぶつかる。その横でルフィがバギーの顔めがけて振りかぶる。

ブンッ!

 ルフィの拳は当たりこそしなかったがどんどん速度が上がってきている。

 

「ちぃっ!邪魔だ麦わら!くらえ特製バギー玉!」

 

ボカァァァァン!!

 靴の先から小さな玉が出てルフィに当たり大爆発を起こした。

 

「ルフィ!?」

 

「人の心配してる場合か!?」

 

 拳が飛んでくる。顔面と腹に拳をもらい少しよろけた。

 

「うぐぅ…!」

 

”この…!”

 しかしフィルナは怯まない。むしろ加速した。そしてそのままもてる最大速度を持ってバギーの体を殴った。

メキメキッ!

 体は大きく吹き飛ぶ。バギーにはフィルナの姿がまったく見えなかった。

 

「がはっ!…くそ…なんて速さだ。」

 

 とっさに武装色を防御に回したので致命傷は免れただダメージはでかい。このままあの速さで動かれるとバラバラにしている分攻撃をもらう。そう判断したバギーは体をくっつけようとした。が、体に激痛が走る。

 先ほど体が吹き飛んで方を見るとルフィが黒焦げになりながら体を掴んでいた。

 

「お、俺様の体を…!?」

 

「よけられるんだったら捕まえちまえば簡単だよな。」

 

 ルフィは体のほうに一発いれバギーが怯んだところに顔面めがけて両手を打ち込んだ。

 

「ゴムゴムのバズーカ!!」

 

 そのルフィの両手は打ち込んだ瞬間、覇気を纏っていた。バギーの顔は見えないとこまで飛んでしまったがあれでは戦闘は続けられないだろう。

 フィルナはそれを見て一息つきルフィは両手を上げ”勝った!”と告げた。

 

 

   -ゾロが寝ている場所ー

 

 

 道端においてきたゾロを見ると助けた女性が治療をしていてくれた。

 

「ごめんね、急に任せて。」

 

「ううん、助けてくれてありがとう。私はナミ。」

 

「私はフィルナ。こっちが義弟のルフィ。で、そこで寝てるのがゾロ。」

 

「三人はなんでバギーに?」

 

「じいさんが…「お前たち無事か!」」

 

「おじいさん、それにシュシュも。」

 

 老人とシュシュがやってきた。

 

「なんでここに?」

 

「爆発音がして居ても立っても居られなくての。」

 

「そっか。バギーたちならもう倒したよ。」

 

「お前たち……。」

 

 怪我をしてる三人を見て老人は礼をいう。

 

「すまん!ありがとう!」

 

「おれたちがやりたいからやっただけだぜ。」

 

 ルフィは”シシシッ”と笑った。

 

「あ、おじいさん、医者とかいない?ゾロの脇腹結構深く切れてるんだ。」

 

「ああ、それなら避難している住民を呼んで来よう。さきに病院に行っててくれ。」

 

 そういうと老人は駆け出した。シュシュもそれに続く。ゾロを担ぎながらルフィたちは病院へ移動した。

 




強化についてご意見いただいていましたが当初の予定通りバギーは強化しました
私個人としてはあのバカキャラは好きです


戦闘描写は難しいですね
書くのにだいぶ時間をかけました

人間描写もうまくかけていませんがご意見などいただければどんどん取り入れていきたいと思いますので今後ともよろしくお願いします



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感想お待ちしています


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十話  新しい仲間たち

難しいね、人間描写
もしかしたら大幅に修正するかもしれません


ではどうぞ


   -病院ー

 

 

「そういうことだったんだ。おじいさんのために。」

 

 ナミは事情を聞き納得したようだった。

 

「だからおれたちが好きでやっただけでじいさんのためじゃない。」

 

 ルフィは少し不貞腐れたようなそんな顔をした。ナミはそれを見てクスッと笑う。

 

「ナミはなんでバギーに捕まったの?」

 

「えっと…。」

 

 なにか気まずそうにしているナミを見てフィルナは”無理に答えなくていいよ”といった。会話をしていたフィルナはふとあることに気が付いた。

 

「あ、バギー吹き飛ばしちゃったけど海図どこにあるかな。」

 

「海図ってこれ?」

 

 ナミが懐から紙を出した。

 

「おお!ナミ!それをくれねぇか?!」

 

「……ひとつ条件があるわ。」

 

 ナミは一呼吸すると条件をいう。

 

「アーロンっていう海賊を倒してほしいの。」

 

 フィルナはアーロンの名前は聞いたことがあった。

 数年前に王下七武海のジンベイが加入を条件に釈放した魚人だ。現在、東の海の賞金首で最高額。

 

「理由を聞いてもいい?」

 

 そうフィルナが聞くとナミは唇を噛みながら下を向いて顔を隠した。答えないナミに対しフィルナは追求せず、ルフィに意見を聞く。

 

「どうする?船長。」

 

 ルフィは”ううーん”と悩んだ後、何かひらめいたようで”ポンッ”と手を叩く。

 

「海図持ってるってことはナミ、海図読めるんだよな!?」

 

 突然の問いにナミは少し驚きながらも”ええ”と返す。

 

「ならウチの航海士になってくれよ!」

 

「ルフィ。要求増えてるけど。」

 

 ナミは深く考えた末にゆっくりと答えた。

 

「………アーロンを倒したら考えてもいいわ。」

 

「ならとっとと倒しに行こう!どこにいるんだ?」

 

「コノミ諸島にいるわ。」

 

「よし!ゾロ起こしていくか!」

 

「まって、あんな小舟じゃ数回陸につきながら行かなきゃ無理だよ。」

 

「すぐでなくてもいいわ。わたしもいくつか寄り道したいから。」

 

「なら一度、近場のゲッコー諸島を目指しましょう。」

 

「おし!ゾロ起こしてくる!」

 

 ルフィがそういうとゾロがいる病室に駈け出した。病室が途端にうるさくなる。

 

「ごめんね、騒々しくて。」

 

「ううん、大丈夫。」

 

 フィルナは笑顔で答えるナミがなぜか少し無理しているように見え思わず頭を撫でた。

 

「女の子1人で海にでて大変でしょう。一緒にいる間は頼ってくれていいからね。」

 

 突然撫でられたナミはかなり動揺していたがフィルナの言葉にゆっくりと肯いた。そんなことをしているとルフィがゾロを引きずりながら出てきた。

 4人は医者を呼んでくれた老人に挨拶をし、オレンジの町を後にした。

 

 

 

   -ゲッコー諸島への途中ー

 

 

「で、こいつは?」

 

「ウチの航海士だ!」

 

「いやだから決まったわけじゃないからね。今のところは取引相手。」

 

「いいじゃん。仲間で。」

 

「仲間ではあるけどウチの航海士ではないよ?」

 

 そんなやり取りをナミは少し笑いながら見ていた。

 

 

 

   ーゲッコー諸島 シロップ村近くの海岸ー

 

 

 4人の前に一人の男が立ちふさがっていた。

 

「おれはこの村に君臨する大海賊!ウソップだ!おれには8千人の部下がいる!」

 

「………うそでしょ。」

 

「なに!?ばれた!」

 

 もはやコントのような光景に少し呆れながらフィルナは”近場にもう少し大きい町があったはず”とウソップに聞いた。

 

「ああ、隣町か。たしかに買い物するならあっちのほうがいいかもな。」

 

「じゃあ、私隣町行くからルフィたちはこの村にいて。探すのは今後使えそうな情報と船の二つ。くれぐれも問題は起こさないでよ?着く島着く島で問題起こしたくないからね。」

 

 ”はーい”と気の抜けた返事を気の抜けた返事を聞くとナミに”この馬鹿たちお願いね”と頼んだ。

 フィルナは少し大きめな鞄を持つと”行ってきます”と言って隣町に向かった。

 

 

 

   -隣町ー

 

 

 フィルナは隣町に着くと食糧と船を探して回った。結果は船ははずれ、正確に言えばシロップ村のお屋敷の人が持っているかもしれないとのこと。

”無駄足だったかなぁ”そんなことを考えているとお店のおじさんがある話を持ちかけた。

 

「姉ちゃんは海上レストランに行ったことがあるかい?」

 

「ううん。名前を聞いたことがあるくらい。」

 

「一度行ってみるといい。あそこの料理はうまいぞ!ただ偉大なる航路近くで海軍も多いからな目立たないようにな。」

 

「そっか。入り口近いのか。」

 

「ああ、ローグタウンでは気をつけな。スモーカーっていう大佐がかなりの腕前らしいからな。」

 

 ”スモーカー”と聞いてフィルナの眉間にしわが寄った。スモーカーは雑用で祖父の船にいた

 ”あの人あそこ勤務なのか……雑用だった人が大佐になるとは”

 そこまで印象に残る人物であったあわけではないが稽古中に蹴り飛ばした相手なのは覚えている。

 

「わかった。気を付けるよ。おじさんありがと。」

 

 ”まいどあり”と言ったおじさんに手を振りひとまずシロップ村に戻ることにした。

 

 

 

   -シロップ村近くの海岸ー

 

 

 フィルナが戻るとそこにはなぜか怒っている眼鏡をかけた人とそれにビビッている人たち。船首につぶされながら寝ている弟に、なぜか刀一本で戦っているゾロ。ナミは肩に怪我をしているしウソップは血だらけだ。

 

「これはいったいどういうこと?」

 

 そのセリフでその場にいた全員が一斉にフィルナを見た。問題を起こすなといったのにこうも派手に戦闘している状況に、静かに怒りながらひとまずナミのところへ移動する。

 

「ナミ、大丈夫?」

 

「大丈夫、大した怪我じゃないから。」

 

「事情は後で聞くわ。とりあえずここにいるの全員倒せばいいよね。」

 

 フィルナが荷物を置き、刀を抜刀すると”愚弟起こしておいて”という。ゆっくりとした足取りで呆然と見ているやつらの真ん中を通る。眼鏡をかけた男が叫ぶ。

 

「なにぼさっとしている!女の1人すぐ殺せ!」

 

 男の声に反応し、男たちが一斉に攻撃を仕掛ける。

 しかしフィルナはそれにものともせず飛びかかってきた男たちをすべて切り捨てた。

 

「こ、こいつもキャプテン・クロと同じ技をつかうのか!」

 

「は、速すぎて見えなかった!」

 

 一瞬の出来事に動揺が走る。

 

「な、なんだ。あの速さは。お前はいったいなんだ!」

 

「そこで寝ている男の姉だよ。」

 

 動揺して聞いてくる眼鏡の男にルフィを指してフィルナは静かに答える。

 

「お、俺の計画は狂わない。」

 

 そういうと男は切りかかってきた。

 

「バギーのほうが速かったよ。」

 

 フィルナが一言いうと眼鏡の男の頭をつかみ地面に叩きつけた。

ドガァン!

 もう起き上がれないだろう。それを見てチャクラムを持っていた男が地面に座り込んだ。

 

「う、うそだろ。クロが一発で……。」

 

 フィルナは戦意を失った男たちを見て眼鏡をかけた男を再度つかみ投げる。

 

「戦えないならこいつもってどこへでも行きなさい。」

 

 投げられた男を受け取ると一目散に男たちは逃げ出した。そこでルフィがようやく起きる。そんなルフィを笑顔で怒りながらフィルナは聞いた。

 

「さて、事情を説明してもらいましょうか。」

 

 ルフィたちはその笑顔に少し震えていた。

 

 

 

   ー飯屋ー

 

 

「なるほどね。それで手を出したと。」

 

 理由を聞けば富豪の娘であるカヤを殺し財産を奪おうとするクロの計画を止めるためにウソップに協力したとのこと。

 ご飯を食べながら一通りの説明が終わり、納得したフィルナは説教をなしにすることにした。ルフィはそれを聞いてホッとする。

 食事が終わりルフィたちが席を立つ。

 

「そろそろ行こうか。」

 

「ああ!」

 

 そこにカヤがやってきた。

 

「ここにいらしてたんですね。」

 

「寝てなくていいのか?」

 

「はい。いつまでも落ち込んでいられませんから。それより皆さん、船必要なんですよね。」

 

 

 

   -海岸ー

 

 

「おお!」

 

「羊ね。」

 

「へぇ。」

 

「キャラヴェル!」

 

 そこには船首に羊の頭が付いた船があった。

 

「私がデザインした、”ゴーイングメリー号”です。」

 

「ほんとにもらっていいの?」

 

「ええ、ぜひ。航海に必要そうなものはすべて積んどきました。」

 

「至れり尽くせりで悪い。」

 

「いえ、気にしないでください。」

 

 荷物を移し4人が乗り込もうとするとウソップが坂を転がってきた。

 

「うおおおおおおおおおお!止めてくれええええええええ!」

 

 ルフィとゾロが足でウソップを止める。大荷物を持っているウソップをみてカヤはいう。

 

「海に出るんですね。」

 

「ああ、ようやく決心がついたんだ。」

 

「さみしくなります。」

 

「今度村に来たらそれこそ嘘みてぇな冒険の話をしてやるよ。」

 

「うん、楽しみにしてます。」

 

「お前らも元気でな。またどこかで会おう。」

 

 ウソップがそうルフィたちにいう。

 

「何言ってんだ?俺たちはもう仲間だろ?」

 

「早く乗れ。」

 

 そんなルフィとゾロの誘いにウソップは驚きながらも

 

「おれが船長だろうなぁ!」

 

 といいながら仲間に加わった。

 

 

 

 

 

「新しい仲間と船にかんぱーい!!」

 

 そうしてルフィたちは新しい船と新しい仲間とともにシロップ村を後にした。

 

 

 

 

 

 

 




途中できると短くなるのでウソップまで話をつなげました

ナミですが海賊が嫌いではなくアーロン海賊団が嫌いに改変しました
それの影響でルフィたちへの印象が違います


キャプテン・クロは瞬殺してしまいました(笑)
速度でフィルナが負けるわけないので



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十一話  鷹の目の男

話の内容が原作と異なります


ではどうぞ


 壊血病で死にかけていたヨサク、ジョニーを助け後、コックを求めて海上レストランへやってきたルフィたちだったが海軍の撃ってきた砲弾を跳ね返しレストランにあててしまった。謝りに行ったルフィだったが一年雑用しろとのこと。

 とりあえずフィルナたちは食事をとるためにレストランに入った。食事をとっているとルフィがバックから出てくる。

 

「あ、お前ら。」

 

「一年雑用だってなぁ。」

 

「旗、描き直していいか?」

 

「一年も雑用ってどうするの?」

 

 ゾロたちは半ばからかいだったがフィルナは真面目にどうするつもりか聞いていた。

 

「おっさんをどうにか説得するよ、あと仲間にしたいやつも見つけたんだ!もう少しまってくれ!」

 

「そういうなら別にいいけど。」

 

 ルフィとフィルナが話していると後ろから黒スーツを着た男が話しかけてくる。

 

「ああ、なんという幸運!今日という出会いがぼくに今海賊になる覚悟を与えた!」

 

 男は目をハートにしながらフィルナとナミに接近した。

 

「えっと…どちらさま?」

 

「これは失礼。ぼくはここで副料理長をしています。サンジといいます。」

 

「ご丁寧にどうも。」

 

「おお、こいつだよ!仲間にしたいやつってのは。」

 

「そうなの?ウチでコックしない?」

 

「お誘いはうれしいのですがとてもおおきな障害が――。」

 

「サンジ、障害ってのは俺のことだろう。」

 

「げっ!じじい!」

 

 オーナーの男ができてサンジともめはじめる。親子喧嘩のような二人のやりとりをみて少し微笑むとフィルナはそのまま食事を続ける。誰も止めないところを見るとよくある光景なのだろう。

 ”仲がいいな”そう考えるとフィルナはまた笑みをこぼした。

 

 

 それから少したち巨大なガレオン船がやってきた。中から一人の男が大柄の男を抱えて店に入ってくる。

 大柄の男の名前は首領・クリーク。東の海の覇者ともいわれる男。

 彼を含め彼らは食事がほしいらしい。

 ”なにもしないっていってるけどあれは嘘ね”フィルナはクリークの言葉が嘘だと感じた。案の定サンジが食事を渡すと態度を一変する。要求は船員分の食事と船をよこせと言ってきた。シェフたちは大反発したが命令だというクリーク。揉めているとオーナー・ゼフが食事を持ってきた。

 ”赫足のゼフ”クリークはオーナをそう呼んだ。名前を聞いたことはあるがもう10年近く前の話だ。ゼフに対しクリークは航海日誌を寄こせという。もちろんゼフが受け入れるわけもなく突っぱねる。挙句に”ひとつなぎの大秘法”の単語がでてルフィが”海賊王になるのはおれだ!”と言い出したり、いますぐここで戦闘しそうな勢いだったがクリークは食事を持ってレストランを出た。

 

 

 クリークがレストランを出て、少したった頃。フィルナは外にとんでもないものの気配を感じ外に飛び出した。

 ”この感じ…まさか……!?”

 突然の行動にルフィたちも後に続く。

ズババンッ!!

 外に出た瞬間、巨大ガレオンが真っ二つに切れた。

 

「な…ッ!」

 

「はっ…!?」

 

 誰もがその光景に驚いた。割れた衝撃で大きな波が起きる。

 フィルナ達は泊めてあったG・メリー号の錨を急いで上げる。間一髪、波にのまれるのを防いだ。

 

「い、いったいなにがおきたんだ…!?」

 

 ヨサク、ジョニーを含む6人は突然の出来事に座り込んだ。しかしフィルナは立ったまま一点をずっと見ている。

 

「あの人が……斬ったんだよ。」

 

 フィルナが見る先には一人の男が黒い船に座っている。

 

「まさか、あいつが…。」

 

 ゾロが震えていうとフィルナが”そう”と答える。

 

「王下七武海。世界中の剣士の頂点に立つ人、ジュラキュール・ミホーク。またの名を鷹の目のミホーク。」

 

「なんでそんなすごい奴にクリークは狙われてるんだ!?」

 

「ゼフさんが言った通りかもよ、昼寝の邪魔したとか、もしくは暇つぶしとか、ね。あの人そういう人だから。」

 

「知ってんのか?」

 

「少し、昔にね。」

 

「なんにせよいい、まさかこんなところで会えるとは思ってなかった。」

 

 ゾロはそういうとミホークに近づき”勝負しようぜ”と言い放つ。二人の実力差は戦わずともはっきりしている。

 だがフィルナはゾロを止めるつもりはない。彼はこのために海出て戦っているのだから。

 

 ミホークはゾロに対しおもちゃともいえるナイフで相手をする。ゾロの三刀流そのナイフで受けきりゾロをはじく。何度も挑むが変わらず、ナイフでいなされる。

 そしてナイフがゾロの胸に刺さった。刺されてもなお、引かないゾロ見てミホークは満足そうに笑う。そして黒刀を抜いた。ゾロとミホークの刀が交差する。

”三・千・世・界!!”

 口にくわえていた刀以外が折れた。ゾロは刀を納刀するとミホークに振り向き一太刀を浴びる。そしてそのまま海に落ちていった。

 ヨサクとジョニーが海に飛び込む。

 

「チキショー!!!!」

 

 ルフィはミホークに仕掛ける。ルフィの突撃はさらりとかわされ頭から突っ込んだ。ゾロが船に引き上げられる。

 

「ナミ!あるだけ医療道具持ってきて!」

 

 フィルナが止血をしながらナミに指示を出す。ミホークは生かしてあると言っていたがひどい傷であることには変わりない。ミホークがゾロにいう。

 

「己を知り、世界を知り、強くなれロロノア。俺は先幾年月でもこの最強の座で貴様を待つ。この俺を超えててみよ。ロロノア!!」

 

「姉ちゃん!ゾロは!?」

 

「生きてる!けど、かなり危ない!」

 

 そんな会話が聞こえたのかゾロは刀を上にあげる。ゾロはルフィに約束する。

”ミホークに勝つまでは負けない”と

 ルフィもそれに文句ないと笑いミホークもニヤッと笑っていた。

 

「いいチームだ。また会いたいものだな、お前たちとは。」

 

 ミホークはそこまでいうとフィルナのほうを見る。フィルナはその視線に背筋を震えさせながらも立ち上がる。

 

「ナミ、ごめん。ゾロをお願い。あと船を少しここから離しておいて。」

 

 夜一を強く握りながらミホークと目線を合わせる。会話はない。

 だがひとつきっかけがあれば切りあうようなそんな雰囲気。そこにクリークが割り込んでくる。

 

「オウ、鷹の目よ。てめぇは俺の首を取りに来たんじゃねぇのか?」

 

「そのつもりだったがな。別件ができた。もう貴様にようはない。どこへでも行け。」

 

「ルフィ、クリークをお願い。私忙しくなるから。」

 

 ”おう”と返事をするルフィ。

 相手にされないクリークは少し怒りながら砲弾を撃った。そしてそれが開始の合図となった。ミホークとフィルナの刀が交じり合う。

 

「東の海にいるとは聞いていたがこんなところで会うとはな。」

 

「こっちのセリフだよ。ミホークさんがこんなところ来ると思ってなかった!」

 

 フィルナは加速しながら水上を走る。

 ”昔は逃げてばかりだったけど今は違う!”

 再び切りかかる。が、黒刀に防がれる。

 

「ちゃんと修業をしていたようだな。速さや動きのキレが増している。」

 

 愉しそうに笑うミホークを見て”相変わらずだなぁ!”と引き攣らせながら距離をとった。次の瞬間、斬撃が飛んでくる。とっさに避けたが頬を切った。

 ”あの時も化け物みたいだったのにさらに化け物になってる。もっと、もっと加速しなきゃ”さらに速度を上げようとする。

 今度はミホークから仕掛けてきた。ミホークの攻撃をフィルナは受けれない。

 ”くる!”

 ギリギリまで読み、躱す。鼻先ギリギリを黒刀が通る。気が付けばレストランからそれなりに離れている。あそこからも戦闘の音がする。

 ”いや、気にしている場合じゃない”

 フィルナは向こうの様子が少し気になったが、目の前の”最強”に対しそんな余裕を見せれるわけがなくすぐに切り替えた。

 

「武装色がまだまだだな。それではこの俺には攻撃が届かないぞ。」

 

 フィルナは武装色をうまく纏えない。そのため威力が激減している。

 ”集中、集中しなきゃ”

 しかしその焦りが余計に制御を妨げる。

 

「隙だらけだな。」

 

 フィルナは咄嗟にガードしたが横薙ぎをもらい水上を三回ほどバウンドした。切り口は浅い。だが三回もはねた衝撃で身体を痛めた。

 ”まずい!沈むわけには!”

 海に沈みそうになり急いで海面から顔を出す。

 

「これまでか?」

 

 海面から顔を出すとミホークが船に座ってフィルナの首元に黒刀を当てた。フィルナは呼吸を整える。

 ”昔と変わらず強い、全然歯が立たない……でも負けるわけにはいかないから”

 フィルナはゆっくりと深呼吸をした。

 

「さあ、どうする?」

 

 ”私の今出せる全力を……!!”

 フィルナは夜一をもっていない右手に武装色を纏い黒刀を弾く。

 ”発勁!”

 黒刀がミホークの手から離れた。海から上がり船に乗る。ミホークに刀を拾われる前に攻撃を続ける。

 ”拾わせるか!”

  体術、剣術、もてる全てで攻撃を仕掛けるが、いなされる。挙句に反撃に拳をもらい刀を拾われてしまった。

 

「今のは悪くなかった。ではそろそろ終わりにしよう。」

 

 ミホークが構える。それを見てフィルナは夜一を納刀し、抜刀術の構えをとる。

 ”これが私のできる最速、最強の剣術”

 ミホークの刀が降られる。フィルナはそれを寸前のところで横に避け抜刀した。

 ”霞の太刀!”

 が、その攻撃は届くことなく腹に一撃をもらったフィルナは意識を失った。

 

 

―――――――――――――――――

 

 

「ん…うん…っていたたたっ…。」

 

「目を覚ましたか。」

 

 起き上がるとミホークが背中を向けて座っていた。

 身体を見ると出血していたところには包帯など治療がしてある。

 

「最後の動きはなかなかだった。あれを常にできるようにするのだな。」

 

 マリンフォードで暮らしていたころと変わらない。

 出会ったら意識が飛ぶまで切りあい、意識が戻ると戦闘について評価をもらう。

これだけの歳月が流れたというのにミホークはフィルナに対してそこを変えていなかった。

 弟子ではないがフィルナにとってミホークは多くいる師匠の中の一人。

 そんな師を”変わらないなぁ”と少し笑っているとミホークから小太刀が投げられた。

 

「それは夜一と対になるものだ、名を真影(シエイ)という。お前は器用だ。すぐに使えるだろう。」

 

 それだけいうとG・メリー号の近くまで船をつけた。ミホークはレストランの方へ視線をやる。

 

「そこの戦いもそろそろ終わりだ。行け。」

 

 フィルナはG・メリー号に移る。ヨサクやジョニーが出てきて”やんのか!この!”とか言い出したが止めた。ミホークは少し笑うと何も言わずそのままどこかへ行ってしまった。フィルナはその後ろ姿に頭を下げる。その姿が見えなくなるまで頭を下げていた。

 

 

 




原作と違いナミが船を持って脱走していません
船をレストランから離しゾロの治療をしていました
次回、ナミにスポットが当てれればと



フィルナの水上を動いたやつですが月歩の下位みたいなものです
ミホーク自身、弟子として見ているわけではありませんが幼い子のめんどうを見た大人として、大きくなってもそれなりに気にかけています
ルフィやゾロも含めいろんな意味で彼のお気に入りです

ミホークが真影を渡していなかったのは最近見つけたためで、様子を見るついでに渡しにきたという設定です
たまたまいたクリークはついでのついでです(笑)

ちなみにクリークはフィルナがミホークに頭を下げている間にやられました(笑)





今回文章の書き方を結構変えたつもりですがどうでしょうか
まだ改善点はたくさんあると思いますがうまく描写できればな、と思います


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十二話  ナミとアーロンと海軍と

残酷な描写がございます



ではどうぞ


   -海上レストランー

 

 ゾロの応急手当を終え、レストランに戻るとクリーク一味が狭い船に積まれて去って行ったところだった。ルフィを見ると海に落ちたらしく濡れて意識を失っている。海から引き揚げたサンジにお礼をいい、ルフィの怪我の具合を見る。結構怪我をしているが致命傷ではないようだ。

 その様子に少しホッとしたフィルナはゼフに話しかける。雑用の件を説得しようと思ったのだがどうやらルフィのほうからクリークを追い出したらやめていいと条件を出したらしく無事追い払ったので雑用はやめることになった。後はコックとして誘うサンジなのだがどうやらここでコックを続ける決意は固い。

 ひとまずルフィが意識を取り戻すまで待つことになった。半日がたち、ルフィの意識が戻るとルフィは再びサンジをコックに誘う。あきらめきれないルフィと引かないサンジを見て、ゼフが”いっちまえ”と突き放すようにいう。

 二人はまたもめはじめる。

 ”二人とも素直じゃないんだから”と、フィルナはそんなことを思いながらゼフとサンジのやりとりを見ている。

 サンジがくそっといい部屋を出ていくとゼフがルフィに”連れて行ってやってくれ。あいつの夢なんだ”と言われるが、ルフィはサンジの口から聞くまでは納得できないから無理には連れていけないと尤もな意見を言う。

 

「ゾロに対しては半ば脅迫だった気がするんだけど。」

 

 とフィルナは思わずルフィに突っ込みを入れるがそんなことねぇよと笑っていた。その後ゾロも目を覚ましそろそろ出航しようとフィルナが促す。ルフィもそれに肯き、ゼフやコックたちにあいさつをする。サンジにあいさつをしようとしたところサンジが”俺もつれていけ”と言い出した。

 恐らく先ほどの話が聞こえていたのだろう。

 ”そうまでして俺をおいだしたいんだろう”とまた素直じゃないセリフを言うサンジに少しため息をつき、ゼフもやはり素直じゃない返しをする。

 荷物をまとめるから少し待ってくれといったサンジをG・メリー号で待った。

 鞄を持ったサンジが出てくる。二人のコックがサンジに攻撃を仕掛けるが瞬殺。船に乗り込もうとするサンジにゼフが声をかける

 

「サンジ、風邪ひくなよ。」

 

 その言葉を聞いたサンジは涙をこぼしながら土下座し大声でいう。

 

「オーナーゼフ!!長い間、くそお世話になりました!このご恩は一生忘れません!!」

 

 ゼフも涙を浮かべてるとコックたちが次々と”さみしいぞ”などとワンワン泣き出す。そんな彼らに”また逢おう!”とサンジは言うと船に乗り込み出航した。

 レストランが見えなくなるまで涙を浮かべていたサンジにフィルナはハンカチを渡し”いい人たちだね”と優しく微笑んだ。

 

 

 

 

   ー海上ー

 

 

 コノミ諸島へ船を進めること少しナミが少し言いずらそうに話を切り出した。

 

「少し……、聞いてほしいことがあるの。」

 

 そしてナミは自身の身の上を話し始めた。話すにつれてどんどん苦痛の顔になっていく。それでもナミは最後まで話した

 

「故郷を…救いたい……!自由…に……なり…たい!」

 

 そこまで言うとナミは大粒の涙をこぼした。フィルナはナミを抱きしめる。なにも言わずただただ抱きしめ頭を撫でる。ナミがフィルナを抱きしめ返し言う。

 

「ほんとは皆にアローンと戦ってほしくない。こんな私を、素性もよくわからない人間を仲間って呼んでくれて。こうして抱きしめてくれる人達が傷ついてほしくない。」

 

「関係ねぇよ。」

 

 ルフィがさらりと言う。ナミは少し顔を上げルフィを見た。

 

「仲間が助けてって言ってるんだ。助けんのは当然だろ?」

 

 仲間たちが同意する。黙っていたフィルナがナミに声をかける。

 

「大丈夫。もう独りなんかじゃないから。」

 

 ナミはそれに肯きながらフィルナの胸に顔を埋めた。

 

 

 

 

   -コノミ諸島 ココヤシ村ー

 

 

「とりあえずゾロを医者に見せたいね。」

 

「そうね、村にドクターがいるわ。あいつらが誰かくる前に見せちゃいましょう。」

 

 ゾロは寝てれば治ると言い張ったがあの傷で動いているほうがおかしいので無理やり連れて行き見てもらうことにした。

 

「ゾロは留守番ね。」

 

「なに!俺もいくぞ!?」

 

「だめ、全治2年って言われたでしょ。今回は休んでいなさい。」

 

 そこまで言うとフィルナは紐でゾロをベットに縛り付けた。

 

「ドクター、この馬鹿が動かないようにお願いします。」

 

「本当に行くのか!?アーロンパークに!?」

 

「もちろん、仲間の涙を見てほっとける性質じゃないから。」

 

 ルフィ、フィルナ、ウソップ、サンジが出ていく。ナミがその後ろについてきた。

 

「私もいく!自分のことだもの。」

 

 その一言に住人達も反応する

 ”俺たちの村だ!人任せになんてできない!”

 そんな住人達を少し困りながら見ていたが決断したようにフィルナがいう。

 

「来てもいいけど邪魔しないでね。」

 

 こうしてゾロをベットに放置し、ルフィたち一向はアーロンパークに向かった。

 

 

 

   -アーロンパークー

 

 

 入り口の扉をゆっくりと開け、後ろの住人たちに”そこにいてね”と告げる。扉を開けるとそこには多くの魚人たちがいた。魚人たちの視線が集まる。

 椅子に座っていた魚人が話しかける。彼がアーロンの様だ。

 

「なんのようだ。」

 

「反逆よ。」

 

 住人の代表としてナミが答えた。

 

「私たちはもうあんたには従わない!」

 

「くっはっはっは!全員ここで死ぬ気か!」

 

「死ぬのはお前らだ!」

 

ばきっ!

 ルフィがそういうと駆け出し数人の魚人を吹き飛ばした。フィルナ、サンジ、いつも間にかいたゾロもそれに続く。

 

「我が同胞を!?」

 

 ウソップが”俺の指示通りだな”などと言いながら後ろからくる。

 

「休んでなさいって言ったはずよ。」

 

「俺だけ寝てるわけにもいかにだろ。」

 

 ゾロの頑固さに少し呆れながらもひとまずそこにいることを認めた。余裕をこいているフィルナ達にイライラしながらアーロンが叫ぶ。

 

「よほど死にたいらしいな!ハチ!」

 

「あいよ!いでよ!巨大なる戦闘員よ!」

 

 ハチと呼ばれたタコの魚人がラッパのような音を鳴らすと牛の怪獣が海から出てきた。他の魚人たちも仕掛けてくる。フィルナが小声で”雑魚が”とつぶやくと消えた。

”霞斬り”

 フィルナは幹部と思われる三人の前に二刀を抜刀して立っていた。次の瞬間、攻撃を仕掛けてきた怪獣を含む魚人が倒れた。

 

「「んな!?」」

 

 住人やアーロンから動揺が走る。

 

「あの程度なら、東の海でもいるよ。」

 

 ルフィは少し背筋に寒気を感じた。フィルナの様子が変だ。怒ると怖い姉ではあるが、あの状態の姉を見たことはない。

 ”ルフィ。アーロンもらうから”と告げるとフィルナは幹部の横をスタスタと通り過ぎて行こうとする。エイの魚人がそれを殴って止めようとする。

 

「おい、魚マン。レディを殴ろうとしてんじゃねぇよ。」

 

 サンジがそれを止める。ルフィがキスの魚人をウソップ、ゾロがハチと呼ばれたタコの魚人と対峙している。フィルナはそれらの様子に特に気にすることなくアローンの前まで来た。

 

「女が一人、俺に勝てると思っているのか?」

 

「雑魚ほどよくしゃべるっていうけどまさにその通りなのかな?」

 

「てめぇ!」

 

 アーロンが噛みついてくる。後ろではすでに戦闘が始まっている。アーロンは何度もか噛みつこうとしてくるがフィルナはすべてかわす。当たらないことを察したのか今度は手に水を持ち、投げた。それをよけたフィルナの後ろの壁が吹きとぶ。フィルナはそれを気にも留めずアーロンに斬りかかる。武装色を纏った刀がアーロンを襲う。

 しかしアーロンも武装色を纏い防ぐ。

 

「へぇ、偉大なる航路出身なだけあって覇気使えるんだ。」

 

「なめてんじゃねぇぞ!下等な生命体がァ!!」

 

 歯を口から出し両手に持ってアーロンに対し二刀でいなしていく。当たらないことにいらつき大振りになったアーロンに真影が当たる。アローンの腕が切れる。

 ”浅いな”そう判断したフィルナはアーロンを蹴り飛ばし海にブチこんだ。アーロンが海から出てくるのを待ちながら真影を鞘にしまい慣れた一刀に切り替える。

 アーロンは出てこない。周りを見るとサンジとルフィが怪我をしながらも勝利していた

 傷口が開いたゾロが倒れている。ウソップとハチはどこか遊んでいるように見える。

 アーロンが海にいるのはわかっているのだが出てこない。少し、助走をつけるようにアーロンの気配が下がるとすごい勢いで海から飛び出した。

 

「鮫・ON・DARTS!」

 

 フィルナはそれを躱した際に夜一を振った。建物に突っ込んだアーロンから悲鳴が上がる。

 

「は、鼻がぁあああああああああああああああああああああ!!」

 

 フィルナの足元にはアローンの鼻が落ちていた。ものすごい奇声と建物を破壊しながらアーロンがでかいノコギリの様なものを持って出てくる。

 

「自慢の鼻が台無しね。」

 

 もはや挑発も聞こえていないほど発狂したアーロンは乱暴に武器を振るう。フィルナはそれを夜一と真影で受け止めたが怒り狂ったアーロンの馬鹿力で弾かれてしまう。武器を弾かれ手ぶらになったフィルナに攻撃が襲う。頬と肩を少しかすめながら、アーロンの懐に入り右拳をトンッと腹に当てるとアーロンが吹き飛んだ。アーロンが吹き飛び建物にあたると支柱が壊れたのかアーロンパークが崩れ落ちた。

ボカァアアアアアン!

 住人達を含む全員が建物から離れる。一番近くにいたフィルナが逃げるのが見えなかったナミやルフィは思わず名前を呼ぶ。

 

「フィルナァぁぁぁ!?」「姉ちゃーァアアん!?」

 

 土埃が晴れると刀を拾い納刀しながら頬から出ている血を舐めているフィルナが見えた。ナミたちの視線に気が付きいつもの笑顔で微笑む。

 

「終わったよ。」

 

 その瞬間住人達から歓声が上がる。

 

「アーロンパークが落ちたぁああああああああああ!」

 

 住人達は両手を上げて喜んだ。喜ぶ住人達を見て笑顔になるルフィたちにフィルナは近づく。

 

「怪我は大丈夫?」

 

「んん?対して怪我してねぇよ。姉ちゃんこそ大丈夫かよ。」

 

「問題ないよ。ゾロ、サンジやウソップも大丈夫?」

 

 ”ああ、問題ねぇ” ”大丈夫です!お姉さま!” ”ま、まあ当然ぴんぴんしている!”

 ゾロは明らかに傷が開いており、二人は怪我をしていたが大丈夫そうだった。

 ”ゾロは無茶しすぎね”とため息をつく。そこにナミが近づいてくる。ナミは全員を抱きしめる勢いで飛びついた。

 

「…ありがとぅ。」

 

 ナミは泣いているようだった。ルフィたちは笑顔で顔を合わせていう。

 ”気にすんな”と一言。

 

 

「そこまでだ!貴様ら!」

 

 皆が喜び嬉々としている中水を差した男がいた。フィルナがその姿を見て激しい憎悪を見せた。

 

「いや、ごくろう。名もない海賊がアーロンを討ち取るとは思わなかった。だがこれでアーロンに渡すはずだった金もここにある金品もすべて私、ネズミ大佐のものだ!全員武器を捨てろ!この手柄、もら…――。」

 

 その言葉は最後まで続かなかった。突き出したネズミ大佐の左腕が宙を飛んだ。

 

「ぎゃああああああああああああああああああああああ!う、腕があああああ!」

 

 気が付くとフィルナは海兵たちの中央にいた。びりびりと怒りがルフィたちにも伝わる

 フィルナはただ冷たい顔をしていた。しかし頭は完全に沸騰していた。海兵たちがフィルナを捕えようと囲み仕掛ける。

 だが、アーロンに屈していた海兵たちが敵うわけがなく次々とやられていく。その姿はまさに鬼だった。

 全ての海兵が動けなくりなり、再びフィルナはネズミに近づいた。無い腕を押さえながら必死に逃げようとする。

 

「ひぃぃ!た、助けてくれ!嫌だ!死にたくない!」

 

 命乞いをするネズミに対しフィルナは冷たく言い放った。

 

「お前はここの人たちがそう言ったとき何もしなかったんだろ。」

 

 ネズミの顔が固まった。フィルナは続ける。

 

「何が正義だ。私はお前たちみたいなのが一番嫌いだ。正義面で何もしやしない。」

 

 ネズミの腹に刀を刺す。また悲鳴を上げるネズミ。

 

「結局お前たちは自分の都合のいいようにしかやらないんだ。まっすぐ進もうとしているやつがいるにも関わらず。」

 

 腹から刀を抜き傷口を踏む。小便をたらし、よだれと涙と鼻水を出している男に”この屑が…”と言い刀を振り下ろそうとした。それをナミやルフィたちが腕に抱きつき止めた。

 

「ストップだ、姉ちゃん。」

 

 フィルナはルフィのほうを見る。フィルナの顔は先ほどと違い泣きそうな顔だった。ナミが腰に抱きつきながら絞り出した声でいう。

 

「いいの、もう。アーロンパークは沈んだ。だからもういいんだよ。」

 

 ナミに続くように住人達もいう。

 

「そうだ、もうこれ以上戦わなくていい。君の気持ちは十分伝わった。」

 

 それを聞きフィルナはゆっくりと腕を下した。その場にいた全員がホッとする。足元にいたネズミを見ると泡を吹いて気絶していた。

 

 

 

 

 緊迫した空気がなくなり住人達は島中にアーロンパーク崩壊を知らせに駈け出した。

 その後数日間、島は解放を大いに喜んだのだった。

 

 




決めていた描写をしたらなぜかアーロンが弱くなってしまいました
強化するとかいったけど(笑)
反省はしている後悔はしていない!


フィルナ、ブチ切れ回でした
近々載せる予定のキャラ設定にも記載しますがフィルナは切れると暴走するタイプです
詳しくはキャラ設定で
またフィルナが言っていたまっすぐ進もうとしているやつとはコビーとかを指しています



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十三話  煙男とBWと王女

原作ほぼまんまですが一部入れたい描写があったので書くことにしました
流し読みくらいがちょうどいいと思われます

ではどうぞ


 アーロンを倒しナミを正式に仲間に加えたルフィたちは偉大なる航路の玄関口となるローグタウンへ向かっていた。

 途中ナミが買った新聞の中にルフィとフィルナの手配書が出てきた。

 

麦わらのルフィ  3000万ベリー

戦鬼のフィルナ  4000万ベリー

 

 ”ルフィより私が高いのはアーロンとネズミ大佐にやったやつのせいかな”

 少しフィルナは悲しそうに笑う。

 ”これで私もお尋ね者か、おじいちゃん怒ってそうだな”自身の手配書を持ちながら空を見上げた。

 

 

   -ローグタウンー

 

 刀を買いに行きたいと言い出したゾロにフィルナは付き添うことにした。途中女剣士が二人の海賊に絡まれて撃退するなんてこともあった。

 

「そんなに似てたの?親友に。」

 

「あれはもはやパクリだな。しかも剣士とか。」

 

「いるもんなんだねー。同じ顔の人って。」

 

 フィルナはクスクスと笑うが”笑い事じゃねぇよ”とゾロが反論した。他愛もない話をしていると武器屋に着く。ゾロが所持金額をいい二本刀がほしいと告げると店主は適当に答える。そんな店主だったがゾロの腰につけている刀を見て動揺した。

 それもそうだろう。ゾロの持っているのは”和道一文字”大業工の一本の名刀だ。店主は価値のわかっていないゾロから買おうとしているようだがあれはゾロが親友から貰ったものと言っていたからいくら積まれても渡すことはないだろう。フィルナはそう思い店の中の武器を見て回る。

 店を見ていると一人客が入ってきてゾロと店主のやり取りに入り込んだ。客は先ほどの女性でべらべらと和道一文字についてしゃべる。喋られたことを怒りながら刀が入った樽を指さし”そこから好きなの選べ”とゾロに吐き捨てた。せっかくの付き添いなのでフィルナも一緒に樽の刀をあさる。

 漁っているとひとつ、違うものを見つけた。これは知っている。フィルナは思わず店主に聞いた。

 

「おじさん、これ本当に5万ベリーでいいの?」

 

 その言葉に店主の表情が曇る。ゾロがよこせっと言わんばかりに手を出したのでそれを渡した。刀を見て女性が驚く。

 

「それってまさか三代鬼徹ですか!?」

 

 ”三代鬼徹”名前の通り三代目の鬼徹。

 しかし鬼徹一派は優れた刀ではあったがどれも妖刀で持ち主は悲運な死を遂げている。

 

「妖刀か。」

 

「なんだ、知ってるの?」

 

「いや、わかる。」

 

 フィルナはゾロの言葉に”へぇー”と少し感心した。ゾロはそのまま鬼徹を見ていると二ィと笑いコイツをもらうと言い出した。店主はそれを拒んだがゾロは呪いと運を勝負してみようと言い出し上に向かって鬼徹を回転させながら投げた。

 腕を出し、鬼徹が落ちてくるのを待つ。店に戦慄が走った。鬼徹はゾロに刃を当てることなく床に刺さった。店主や女性が転げ落ちる。その光景にフィルナは素直に”すごい”と驚いた。鬼徹を床から抜くとフィルナにもう一本選ぶようにいう。

 選び始めたフィルナに”ちょっとまて!”といい店主が奥へ行った。店主が一本刀をもって出てくる。持ってきた刀は良業物”雪走”店主の店である最高の刀だそうだ。金がないゾロがいうと鬼徹も含め金はいいという。

 ゾロはそれを快くもらい店を出ていく。フィルナは”もう少し見ていく”とゾロに告げ店に残った。店主にナイフやワイヤーなど今後戦闘で使えそうなものがないかと聞く。

 いくつかほしいものがありフィルナはそれを買うと店を後にした。

 

 店を出た後、空を見ると少し天気が悪い。一旦船に戻ることにした。船に戻る途中広場のほうで大きな雷が落ち途端に雨が降り出した。フィルナは足早に船に向かう。船に着くとウソップとナミがいた。

 状況を聞くとルフィが処刑台で捕まっていてゾロとサンジが助けに行った。あと嵐が来るとのこと。

 馬鹿なことをしている弟にため息をつきながらもフィルナはルフィたちを迎えに行った。

 

―――――――――――――――――――

 

 駈け出しているとそこには煙につかまっているルフィがいた。覇気を使い攻撃を仕掛ける。

ドガッ!

 煙男が蹴られたことに驚いた。解放されたルフィとサンジを見てゾロがいないことに気が付く。

 

「ゾロは?」

 

「すぐ追いつくって!」

 

「わかったわ、先行って。」

 

 ルフィたちを先に行かせ煙男と対峙する。男が話しかけてくる。

 

「まさか海賊になっていたとはな。」

 

「私のこと覚えてたんだ?」

 

「当然だ、女に蹴り飛ばされたなんて一生の恥だ。」

 

「何年も前の話じゃない。スモーカー君?さんのほうがいいかな?」

 

「ほざけ。」

 

 スモーカーは腕を飛ばしてくる。ゾロはすぐそこまで来ている。

 ”軽く相手して早く逃げなきゃ”そう考えたフィルナは回避に専念する。

 武装色で攻撃を受け流しているとゾロが視界に入った。

 

「フィルナ!いくぞ!」

 

 その声に返事をし、昔と同じようにスモーカーに回し蹴りをして吹き飛ばす。瞬間ものすごい突風が吹いた。その突風に少しよろけながら走り出す。スモーカーは追ってきていない。二人が船に乗るとすぐに出航した。

 嵐の中進んでいく船の上でそれぞれがそれぞれの想いを胸に偉大なる航路を目指す。

 

 

 

 

   -偉大なる航路 二子岬ー

 

 

「はい、ナミ。これ。」

 

 クジラに飲まれたり、そのクジラが命を狙われてたり、ルフィがマスト持ってクジラとケンカしたり、そのルフィに説教したりと色々ありひと段落した頃、フィルナはナミにあるものを渡す。

 

「これはなぁに?」

 

「あれ?言ってなかったっけ?記録指針。偉大なる航路で絶対に必要なものよ。」

 

「なんでこんなものが?」

 

「コンパス見てみなさい。」

 

「え?方角を示さない!?」

 

 ”そうだ”とクジラ、ラブーンの様子を見ていたクロッカスが戻ってきていう。偉大なる航路にある島々はある特殊な鉱物を持つため磁気異常を起こしている。

 そのためある法則にしたがって島々が帯びている磁気を辿るために必要なのが記録指針。フィルナとクロッカスの説明が終わると少し焦げた二人の男女がやってきた。先ほどクジラの命を狙っていた二人である。船をなくしたので町まで送ってほしいとのこと

ナミは少しからかっていたがルフィが連れてってもいいと言い出したので彼らの町ウィスキーピークへ行くことになった。

 

――――――――――――――――――

 

 

 偉大なる航路の航海はとても困難なものでルフィたちは想像を絶する忙しさに目を回した。その忙しさにも終わりをつげ、一つ目の島が見えてきた。

島が見えたところで二人組は船から去って行く。島に上陸すると歓迎の町と称し絶賛された。

 ”ずいぶんとうんくさい町ね”歓迎され喜ぶ三人を見て額に手を当てながらフィルナも船を降りる。そしてそのまま宴会となった。

 

 

――――――――――――――――――

 

 日も沈み飲んで食ってを繰り返し静かになった島。

 住人達が部屋からいなくなったことを確認するとフィルナは飲みつぶれたフリをやめ起き上がる。外ではゾロが戦闘を始めたようだった。

 ”まあ、こんなことだと思った”ルフィ、サンジ、ウソップの爆睡している三人を見てため息が出る。

 

「もう少し緊張感もってほしいな。」

 

「そうねー、こんなんのに引っかかってちゃやってられないわよ。」

 

 ナミが横にやってくる。

 ”なにかいいものあった?”とナミに聞くと首を振る。どうやら空振り終わったようだった。フィルナは”少し見て回ってくるね”と告げ部屋から出た。ゾロがいるであろう方から大砲の音が聞こえてくる。

 特に問題ないと判断したフィルナは散策を始める。町のいろいろな場所を回ったが今後役に立ちそうな情報やものはなかった。諦めて戻ろうとすると何故かルフィとゾロが闘っている気配がした。理由はわからなかったがその場に急ぐことにした。

 着くとちょうど初めて見る二人組が吹き飛んだ。吹き飛ばした二人組に特に興味も示さず戦いを再開しようとしている二人に接近し蹴っ飛ばした。

 

「いったいなにやってるの?」

 

 フィルナの冷たい視線が二人に刺さる。ルフィは反射的に正座をしてフィルナの前に座る。話を聞くとどうやらルフィが勘違いをしてゾロに戦いを挑んだとか。

 馬鹿な弟に拳骨を食らわせると”ちゃんと話を聞きなさいっていつも言ってるでしょ”と説教。

 ゾロはナミの指示(脅迫ともいう)でカルガモに乗っていたミス・ウェンズデーことネフィルタリ・ビビを助けに来ていたらしい。ビビはアラバスタという国の王女でナミは助けるかわりにお金を要求していた。しかしお金を払うことは無理とのこと。

 なんでも現在アラバスタは内乱中、しかもバロックワークスという秘密組織が国を乗っ取ろうとしている。

 しかもその組織の社長は王下七武海クロコダイル。名前を聞いてナミは取り乱したがルフィとゾロは楽しそうだった。

 その後ナミが一人コントのようなことしていると、イガラムと呼ばれた男がやってきた。彼から自分がおとりとしてでるからビビをアラバスタへ送り届けてほしいとのこと。ルフィはそれを軽く承諾し彼はおとりとして先に船を出した。船が少し離れた瞬間、海が火の海とかした。全員に動揺が走る。

 ルフィたちはすぐ出航することを決め、ビビを連れて船へ向かった。寝ているサンジとウソップを無理やり船に押し込み出航す。

 少しすると船に何者かが近づいてくるのをフィルナは感じ、来ているほうへ足を向ける。

 見るとカメに乗った女性が船に乗り込もうとしている。

 

「貴女はだれ?」

 

 ルフィたちにも聞こえるよう少し大きめな声で言う。その声を聴いてルフィたちも集まる。

 

「こっそり乗り込もうとしたのにばれちゃったわね。」

 

 女性はそういうとカメの上に乗りなおす。ビビが彼女をみて動揺した。

 彼女はミス・オールサンデー。クロコダイルのパートナー。フィルナはその顔に少し見覚えがあった。

 ”どこでみたんだろう”考えても思い出せなかった。

 彼女はどこかからかったようにビビたちの相手をすると永久指針を渡してくる。それはアラバスタのひとつ前の島を指しているらしい。

 しかしルフィはそれを握りつぶすと”この船の行先を勝手に決めるな”と少し怒った風に言った。ミス・オールサンデーはそれをみて少し面白そうに微笑むと去って行く。

 

 船は次の島、リトルガーデンへ進む。

 




フィルナとスモーカーの短いながらも書きたい描写でしてほぼ原作通りですが入れました
スイマセン

フィルナがアーロンを倒してしまったのでルフィの懸賞金を変えるか悩んだのですがあえてそのままにしました
クリークとか倒してるからいいよね(笑)



キャラ設定のせようとしたらフィルナだけじゃ1000文字いかなかったorz
必ず近々のせます


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十四話  アラバスタへ

タイトルが浮かばなかった(笑)


ではどうぞ


 リトルガーデンに着くとそこには二つの大きな気配、巨人がいた。

 話によるとリトルガーデンの記録指針がたまる時間は1年らしい。

 巨人、ブロギーには”まあ、気長にいるんだな”と笑いながら100年もの長い間理由も忘れた決闘に出かけた。

 フィルナはどうにかする方法はないかと他にいる気配のところへと足を向けることにした。向かった先には白い家が建っていた。中から話声がする。話を聞くかがり、どうやら中にいる彼らはあの巨人たちの決闘を邪魔するらしい。そこまで聞いたフィルナは特になにも考えずに扉を開けた。

 突然入ってきたフィルナに中にいた男女が動揺する。

 

「な、なんだネ!?君は!」

 

「しらなくていいよ。直にわからなくなるから。」

 

 

* * *

 

 

 中にいた3人を倒し、1人が降参したところでサンジが入ってきた。

 

「これはどういう状況だい?フィルナちゃん。」

 

「決闘を邪魔する無粋者がいたから叩きのめしたんだけど、そういえばあなたたちは何者?」

 

 フィルナが降参した1人の帽子をかぶった女の子に聞いたとき電伝虫が鳴る。サンジがそれに”はい、クソレストラン”などと適当に出た。

 電話の相手はなんとクロコダイル。状況を察した二人はうまく口裏を合わせる。

 無事抹殺が完了し、追っ手の必要はなし。永遠指針が届くはずなのでそれでアバラスタに来いとのこと。電話を切るとうまくことが運んだことを祝い、サンジとハイタッチする。

 

「これで少なくとも追っ手は来ないね。」

 

「ああ、あとはアンラッキーズってのを待つだけだが…――。」

 

 二人があいている窓に目を向けるとそこにラッコとハゲタカがいた。無言で二匹を捕まえ気絶させた後、永遠指針を奪った。

 

 

* * *

 

 

 ルフィの気配がするところに行くとルフィが挟まっていた。ウソップやナミ、ビビが一生懸命出そうと引っ張っている。

 

「なにしてるの?」

 

 ルフィを無理やり出しながら聞いた。話を聞くとルフィは決闘が汚されたと怒っていた

 フィルナは邪魔者はもういないことを告げ、永遠指針も手に入れたことを言うとひとまず決闘している場所へと向かった。フィルナ達が着くと決着がついていた。近くにサイを運んでいるゾロがいる。ブロギーが泣いてた。

 

「73467戦…1勝…。」

 

「ブロギーさん、水を差すようだけど話を聞いてくれる?」

 

 フィルナは事の顛末を説明した。話を聞いたブロギーは驚きと動揺が隠せないようだった。

 

「ごめんなさい。決着がつく前に話ができればよかったんだけど。」

 

 そう言いつつフィルナはドリーに近づくと微かだが鼓動を感じた。慌てて様子を見る。生きている。気を失っているが確かに生きている。フィルナはそれを告げると包帯などを持ってくるように皆に指示を出した。包帯などできる治療を行う。

 治療を行っている最中にドリーは意識を取り戻し、ブロギーは生きていることに大喜びした。

 

「じゃあ、私たちはそろそろいくね。」

 

「ああ、世話になったな。」

 

 フィルナ達は船に戻り出航する。出航の際、二人の巨人が礼として目の前を阻んだ島食い金魚を倒してくれた。皆、その凄さ、力強さに震えた。

 

 まだ感激から抜けないルフィとウソップが肩を組み喜んでいる横でぐったりしたナミとビビにフィルナが話しかける。

 

「これでアラバスタにいけるね。」

 

「無事につけるかしらね。」

 

「ええ、生きて…アバラスタへ。」

 

 ナミの言葉に少し笑いながら返したビビの頭を撫でるとフィルナは少しおぼつかない足取りで船内に向かう。

 ”色々続いて疲れてるのかな、ふらふらする”そう感じたフィルナは休むことにした。

 

「ナミ、わたし少し休むね。」

 

 そう言った瞬間フィルナが倒れた。

 ”あれ?おかしいな。そこまでじゃないはずなんだけど”

 そんなことを考えていると意識が遠くなっていきナミやビビ、ルフィたちの声が遠くに聞こえた。

 

 目を覚ますとルフィやサンジたちが狼狽えていた。まだ頭がくらくらする上に、意識が朦朧とする。あまりにもルフィたちが慌てていたので少し笑ながら大丈夫と告げる。

 

「休んでいれば治るからそんなに取り乱さないで。アラバスタに行けば医者はいるでしょ。今は急がなきゃ。」

 

 高熱で危ないとビビが反論したがフィルナはなにも言わずにナミを見た。ナミは察したように引き出しから新聞を出す。内容はアラバスタのこと。国王軍の兵士30万人が反乱軍に寝返ったという内容だった。

 

「それ、3日前の新聞。このままだと、どんどん激化するでしょうね。」

 

 ”大丈夫、今までの疲れが来ただけよ”とフィルナは笑顔で答える。船内に沈黙が走る

 ビビは何かを決意したように顔を上げ、全員に告げる。

 

「私は、とにかく祖国に帰るために先を急ぎたい。だからこの船の”最大船速”で進んでほしい。」

 

 ナミやサンジが複雑な顔をしつつ黙って聞いている。フィルナは笑顔をし”そうね”と答えた。

 

「だから、医者を探しましょう。それがこの船の”最大船速”でしょう。」

 

 皆がそれに肯く。フィルナは反論しようとしたがルフィがそれを言い切る前に拳を振った。それにまったく反応できずに目の前に来た拳を見てフィルナは少し驚いた。

 

「全然大丈夫じゃねぇよ。姉ちゃん。少し具合悪いくらいならこんなの簡単に躱せるだろ。そんなに悪い姉ちゃん今まで見たことねぇし、いつも俺たちに無理するなって言ってただろ。」

 

 フィルナはそんなことを言われ鳩が豆鉄砲を食ったような顔をした。

 

「まさかルフィにそんなこと言われるとは…ね。わかった…よ。」

 

 そこまで言うとフィルナはそのまま目を閉じた。その様子にルフィは心配そうに覗き込む。

 ナミが”寝ただけよ”と告げ船を動かすためにゾロたちを連れて船室を出た。

 

 

* * *

 

 

 フィルナが目を覚ますとよくわからない生物がいた。

 ”二足歩行のトナカイ?あれ?ここは?”

 ルフィに山を登るとかそういう話をされた記憶がある。ひとまず目の前のトナカイらしき生物に話しかける。

 

「ここはどこ?あたなは?」

 

 そういうとそのトナカイはビクッ!と反応し、近くにあった棚に体をぶつけていた。トナカイは体を隠し(本人はそのつもり)フィルナに問いかける。

 

「ね、熱は大丈夫か?」

 

「あ、喋った。」

 

 なぜかそれに驚きどこかへ行ってしまった。代わりに一人の女性が部屋に入ってくる。入ってくるなりおでこに人差し指を当てる。

 

「37.5度、かなり熱が引いたようだね。大した生命力だ、小娘。ハッピーかい!?」

 

「あなたは?」

 

「私はDrくれは。医者さ。ドクトリーヌと呼びな。ヒーーヒッヒ!」

 

 Drくれはによるとここは山のてっぺんのお城でルフィが担いで登ってきたらしい。フィルナを苦しめていた原因はダニの持つ猛毒のせいだった。しかも進行が早く本来ならとっくに死んでいてもおかしくはなかったらしい。

 

「45度も熱を出して生きてるなんて今まで見たことないね。あんたの中に抗体のようなのが見つかった、ずいぶん昔のね。確証はないがそのおかげだろう。」

 

 フィルナは昔の抗体、高熱で思い当たるものがあった。

 ”まさか’あれ’のおかげで助かったっていうの?”そう考えたフィルナの表情は曇る。

 

「その表情は思い当たる節があるのかい?」

 

「ドクトリーヌは”ワイクス”って島を知ってる?」

 

「20年近く前に謎の病気が流行ったあそこかい?」

 

「うん。私はそこの……”あれ”に罹って唯一生き残った人間なの…。」

 

「なんだって!?」

 

 さすがのDrくれはも驚いた。とんでもない告白だった。致死率100%と言われた病気の生還者がいたとは。

 

「それはとんでもないことだ!あの病気の生還者ってのは…!?」

 

「あれは病気なんかじゃない!!」

 

「何だって…?」

 

「あれは……海軍が作った…病気に見せた細菌兵器だよ。」

 

「どういうことだい?」

 

 フィルナは自身が見たこと聞いたことをこと喋った。自分のその時の経験は兄弟にしか喋っていない。引き取ってくれたガープやセンゴクに言おうと思っていたが困らせるだけなのが分かっていた。

 なぜDrくれはに喋ったかは自分でもわからなかったが何故か聞いてほしかった。Drくれはは何も言わずただただ聞いてくれた。

 話が終わりフィルナは一息つく。

 

「あの時の私は冷静じゃなかったから、もしかしたら違う風にとっているかもしれない。けど海軍はほぼ間違いなくかかわってる。」

 

「もう少しお前の中にある”もの”について調べてみよう。私は科学者じゃないからなにかわかるかは定かじゃないがね。ひとまず休みな。まだ完治したわけじゃない。」

 

 フィルナは沈んだ表情をしつつもそれに肯き瞼を閉じた。

 

―――――――――――――――

 

 次に目を覚ますとトナカイのチョッパーが仲間になっており、なぜかソリに乗った状態でDrくれはに追いかけられ、ロープを下り始めていた。

 

「これはどんな状況?」

 

 苦笑いしながらフィルナを落ちないように捕まえていたルフィに聞く。

 ゛俺もよくわかんねぇ゛とシシッと笑いながら返された。ソリが無事山をつないでいたロープを下りる。船に向かう途中大砲の音が聞こえ足を止め山を見る。

 そこにはとても幻想的な光景があった。

 雪が桜色に染まりドラムロックを幹にそれはとても大きな桜の木が。

 

「すごい。」「すげぇ。」「綺麗。」

 

 皆感動している。チョッパーがそれを見て泣きながら叫ぶ。

 

「うおおおおおおお!!!」

 

 その叫びに何が詰まっているのかはわからない。

 ただ目の前の桜とチョッパーが泣きながら叫んでいることにはフィルナの知らない、とても大事なものがあった。

 

 

* * *

 

 

 新しい仲間と桜を祝うルフィたち。大騒ぎしている中、チョッパーはまだ島のほうを見ている。フィルナはチョッパーにグラスを渡す。

 

「はい、これ。これからよろしくねチョッパー。」

 

「あ、うん。体調は問題ないか?」

 

「大丈夫。ずっと寝てたし。…そういえばこれはチョッパーの?」

 

「え!?俺のリュック!?なんで!?」

 

「ソリにのってたよ。……そっか。なんでもお見通しだったんだね。」

 

 チョッパーはリュックをジーッと見た。

 ”素敵な人ね”とフィルナが言ったところでリュックに紙が入っていることに気が付いた。ひとつはチョッパーに、もう一つはフィルナにだった。

 

「これ。おまえにだって。」

 

 フィルナはなんだろうと思いながらもチョッパーから紙を受け取る。そこにはDrくれはから”あれ”についてだった。

 

 ”まず結果だがわからなかった。ただ最初は熱に反応して動いていると思っていたんだが関係なしにお前の中でゆっくりとだが活動していることが分かった。これは何かしらお前に影響を与えるだろう。話を聞いた限りではプラスに働くとは思えない。

 チョッパーに説明してある。定期的に見るようにも言ってあるから検診を受けるように。異常を感じたらすぐに見てもらいな。

――追伸 馬鹿息子をよろしく”

 

 今まで気にしていなかったと言えば嘘になるが医者の口から言われるとさすがに動揺が走る。内容を読んで少し引き攣った顔をしているフィルナにチョッパーは心配そうに見る。落ち着かせるように深呼吸をしチョッパーに笑顔を向けた。

 

「大丈夫。今まで通りだよ。それに知りたいことが少しわかったんだし。」

 

 ”検診とかよろしくね”と告げるとちょうどウソップの音頭が乾杯直前だったのでチョッパーにグラスを持たせ新しい仲間を祝い乾杯をする。

 

「新しい仲間、船医トニートニー・チョッパー乗船を祝し、乾杯!」

 

「かんぱーーーーい!!」

 

 一行は船医、チョッパーを仲間に加え、アラバスタを目指す。

 




違うことにかまけてて投稿が遅くなりました




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十五話  進む者阻む者信じる者

お気に入り数が300、ユニークアクセスも30000越えありがとうございます!
き、気合いを入れて書かねば((((;゚Д゚))))


アラバスタ編もいよいよ終盤!
これだ!っていうサブタイトルが浮かびません


ではどうぞ


   -アラバスタ ナノハナの町ー

 

 食べ物を求めて飛び出していったルフィを追いかけたフィルナ。どこか懐かしい気配を感じつつも、スモーカーの登場に苦笑いをする。

 

「担当の場所離れてもいいの?」

 

「てめぇらを捕まえるためだ。」

 

「はぁ、ルフィ逃げるよ。これおじさん代金。おつりはいらない。」

 

 そこまでいうとルフィは食べながら”ごちそうさま!”と口にあるだけ詰め込んで店を出る。飛ばしてきたスモーカーの手を弾きながらフィルナも店を後にする。店を出るとスモーカーの一声で次々と海兵がやってくる。

 仲間と合流するにもこのままだと全員見つかってしまうのでどうしようかと考えているとルフィがゾロたちを見つけそちらに走り出す。

 ”ああ、もう!”と悪態をつきながらフィルナもそれを追う。スモーカーが再び接近し、飛ばしてきた腕をフィルナが弾こうとしたとき火が飛んできた。

 男が立っている。その姿を見てルフィは驚き、フィルナは笑顔になった。懐かしい気配の正体は弟のエースだった。

 

「「エース!」」

 

「久しぶりだな、姉さん、ルフィ。…これじゃ話もできないな。先に行っててくれ。」

 

 そういわれるとルフィとフィルナは肯き仲間たちに船へ走るように言う。フィルナは”たくましくなったね”と心の中でつぶやいた。

 

 

* * *

 

 

 船を出し内陸の川へ向かう途中、エースがやってきた。

 

「よう。…ああ、どうも皆さん。いつも姉と弟がお世話になってます。」

 

「久しぶり、エース。」

 

「ああ、久しぶり。姉さん。」

 

「3年見ない間に大きなったね。」

 

「姉さんの身長越したよ。」

 

「しかもずいぶんと強くなって…もうエースには勝てないかな?」

 

「どうだろな。」

 

「”火拳”なんて名前ついてたからまさかと思ったけど悪魔の実食べたんだ。」

 

「昔はおれのことカナヅチって馬鹿にしてたくせに。」

 

「はっはっは、そんなこともいったな。」

 

 ずいぶんと楽しそうに会話している3人を見てサンジが”お茶でも出そうか?”と聞いてくる。しかしエースは”いや、そんな長居はしないからお気遣いなく”と断った。その後一つの紙切れを渡してくる。

 

「ルフィ、こいつを持ってろ。ああ、半分にして姉さんにも渡してくれ。」

 

「これは?」

 

「これが俺たちをまた引き合わせる。」

 

 特にルフィとフィルナはそれについて言及せずに肯いた。

 

「姉さん、ルフィを頼む。――おめぇらも手を焼くだろうがよろしく頼むよ。」

 

「ええ、エースも無理だけはしないように。」

 

 フィルナはそういうとエースを抱きしめる。エースもそれにこたえるように抱きしめかえした。フィルナから離れルフィと拳をガツンと合わせると隣に泊めてある小さな船に乗った。

 

「もう行くのか?」

 

「ああ、次会うときは海賊の高みだ。」

 

「ししっ!またな!」

 

「またね。」

 

 ルフィとフィルナが見送る中、エースは船を動かし”黒ひげ”を探しに行った。

 

 

* * *

 

 

 エースと別れ今後の行先について話していると地図を見てフィルナはふと思った。

 

「ずいぶんと広いね。」

 

「ええ、アラバスタは砂漠だらけだけど、島自体はとても大きな島よ。」

 

 フィルナは少し考えビビに聞く。

 

「カルーをアルバーナに先に行かせるのよね?」

 

「そうね。父たちに知らせたいから。」

 

「わたしはそっちに行く。なにがあるかわからないからとれる手は取っておこう。」

 

「一人で大丈夫?」

 

「道はカルーがわかってるんでしょ?ついたら向こうから電伝虫で連絡する。」

 

 ”いいよね?ルフィ”とフィルナ尋ねながらカルーを撫でる。ルフィはいいんじゃないかと適当に答えた。

 水と食料を少し分け、フィルナはカルーに乗る。

 

「後で会いましょう。」

 

「ええ。」

 

「ルフィ、後よろしくね。」

 

 

* * *

 

 

 カルーに乗っているとはいえ砂漠越えはとてもつらく体力を消耗するものだった。カルーのタイミングで休憩をとらせ、アルバーナに着いたのは次の日だった。

 門兵に事情を告げ、宮殿に入れてもらう。少し怪しまれたがカルーの存在を確認するとすんなり入れてもらえた。

 

「お初にお目にかかります。コブラ国王。話は色々とありますが、まずはこれをどうぞ。」

 

 国王、コブラにビビの手紙を渡す。コブラは内容を読むにつれ、表情が悪くなっていく。読み終わったコブラは手を額に置き、深く息を吸う。隣にいたチャカやペルが手紙を受け取る。

 

「なんということだ。」

 

「連絡をとったところビビたちは今レインベースに向かっているそうです。そろそろつくころとは思います。」

 

「君たちは…なぜ…。」

 

「船長のいうことを聞いているだけですよ。」

 

 フィルナがおどけたように言う。

 コブラはそれ以上を追及せず座っていた椅子から立ち上がり、窓際へ歩いた。今後について考えているのだろう。

 チャカとペルが内容を読み驚愕しているとコブラが呼びかけた。

 

「ただちに兵に遠征の準備を!レインベースに討ってでるぞ!」

 

 チャカたちがそれに反対するがコブラは動じない。

 

「宮殿が反乱軍に落とされたからなんだというのだ。言ったはずだぞ。国とは”人”なのだ。」

 

 チャカたちはその気迫に黙る。

 

「ここで我々がぶつかればそれこそクロコダイルの思うつぼだ。相手は王下七武海、なんの犠牲も払わず倒せる相手ではない。たとえ国王軍が滅んだとしても国民の手で国は再生する。チャカ、戦陣会議を開く。人を集めろ。ペルは先行して敵地視察へ。」

 

 フィルナはすごい気迫と決断力、そして考えのまとまりの速さに感服していた。

 

「出陣は明朝だ!全兵出撃準備!」

 

 ”はッ!”とチャカとペルは頭を下げ返事をすると準備のため部屋を出て行った。

 コブラがフィルナを見る。

 

「君はどうする?」

 

 こちらの意思が固まっているならルフィたちと合流してもいいのかもしれない。そう考えたフィルナはペルと先行に出ることにした。

 

「ご判断はわかりました。私も先行してレインベースへ向かいます。」

 

「わかった。ペルとともに行くといい。」

 

「はい。まだどうなるかわかりません。お気をつけてください。」

 

 フィルナはペルを追いかけるために部屋を後にした。

 

 

* * *

 

 

 ペルの背中に乗っていたフィルナだったが途中でペルを先に行かせ、砂漠を走るフィルナ。

 いつもの速度が出せればペルより早く移動できるのだが足が砂にとられうまく加速できず、いつもの半分近くの速度で移動している。走っているとレインベースの方角に砂嵐が見えた。

 

――――――――――――――――――

 

 フィルナが砂嵐が発生したところに行くと、ミス・オールサンデーにルフィが助けられていた。

 

「どういうこと?」

 

「特に意味はないわ。」

 

 ルフィになにか質問していたようだったがフィルナには聞こえなかった。ジッとミス・オールサンデーを見ていると怪我を負ったペルが現れる。仕掛けようとするがすでにペル自身も満身創痍。ミス・オールサンデーは特に相手にすることなくその場を去った。

 

「ルフィ、大丈夫?」

 

 ルフィに近寄り怪我の具合を見る。あの時のゾロほどではないが結構重症だった。

 だが意識ははっきりとし、”肉!”と食べ物を要求している。

 治療をするためにルフィを背負い、ペルに声をかける。

 

「動ける?」

 

「ああ、だがこのままでは…。」

 

「まだこれからだよ。さっきの話だとビビたち行き違ったみたいだけどアルバーナに向かってることはわかった。ひとまず2人の治療をしなきゃ。」

 

 ルフィとペルを連れ、レインベースの診療所へ連れて行き、現状をルフィとペルから聞いたフィルナはアルバーナへ反転することにした。

 

「先にアルバーナへ戻る。私の移動速度で間に合うかわからないけど。」

 

「それならあの女が使っていたF‐ワニを使うといい。ここにも借りれる場所があるはずだ。」

 

「わかった、聞いてみる。ルフィをお願い。」

 

 ペルにルフィの移動を頼むと肉をむしゃむしゃ食べているルフィのほうを見る。

 

「覇気を私より使いきれていないルフィが自然系の相手は難しと思うけど大丈夫?」

 

「おう!秘策はあるんだ!今度は勝さ!」

 

「ならいいけど……無理はだめだからね。」

 

 ルフィのことを心配しつつもフィルナは診療所を後にした。診療所を出た後F-ワニを借りるとフィルナはアルバーナに向う。

 

決戦はアルバーナへ…!!




Mr.2とは出会いの描写を省きましたが出会っています

裏をかいたつもりで別行動したフィルナでしたが合流という選択をとったため、描写はありませんでしたが国王が誘拐されてしました
フィルナがいたら防いでたかもしれません


次回!アラバスタ編完結(予定)!


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十六話  VS Mr.6&ミス・マザーズデー

アラバスタ編が終わると言ったな、あれは嘘だ


ほぼオリジナル回



ではどうぞ


   -アラバスタ アルバーナー

 

 南西の入り口にF‐ワニを止めるフィルナ。まだ戦いは起きていない。ビビたちを探すため意識を高めようとしたとき南門前方のほうで爆発が起きた。爆発近くにビビとカルーがいる。反乱軍が見えたことで察したフィルナはビビの方へと駈け出した

 ビビが大声で止まるように呼びかけている。だが反乱軍には土煙と自分たちの移動の音で聞こえていない

 ”あのままじゃビビが危ない!”

 反乱軍の先頭がビビを通り過ぎ後ろから200万もの軍勢が押し寄せている。フィルナはビビとカルーを庇うように覆いかぶさった。国王軍と反乱軍の戦闘が始まった。 

 

 

* * *

 

 

「大丈夫?」

 

「私は大丈夫だけど…フィルナさんが…!?」

 

「大丈夫、鍛え方が…違うから。」

 

 これ以上血を流してほしくないと願ったビビの意思を組んだフィルナは防御のため武装色も使わなかった。人の波が激しく、庇いながらも回避も難しくフィルナは馬や人に蹴られボロボロだった。

 

「私はいいから行きなさい。まだやれることがあるでしょ。」

 

「で………うん。わかった。カルー、チャカのところへ急いで!」

 

 ビビとカルーが駆けていった。

 

「いたた……。私も行かなきゃ…しかし武装色で防御しないと馬や普通の人の蹴りも結構痛いな…。」

 

 歩きながら意識を集中させ、皆がいる場所を探す。ゾロとナミ、サンジが一人でウソップとチョッパー、皆戦っているのがわかる。

 援護に行くべきか。そう考えたが、皆確実に実力をつけている。ここはビビを追いかけることが優先と判断する。痛む体を引きづりながらフィルナは王宮へと足を向けた。

 

 

* * *

 

 

 戦闘の激しい地域を避け、迂回しながらビビの気配を追う。

 王宮に近づいたとき二人の男女が現れた。

 

「ここを通すわけにはいかんぜよ。」

 

「だれ?」

 

「吾輩はMr.6!」

 

「私はミス・マザーズデー!」

 

「BW…!」

 

「ご明察!ボスにお目にかかることはできなかったが最終作戦として吾輩たちに仕事を下さった!」

 

「私の足止めが仕事?」

 

「そうだがそうじゃない。麦わらの一味を一人も王宮に入れるな、とのことだ。」

 

「幸いオフィサーエージェントが他の連中を相手してくれているので貴方一人を足止めすれば私たちの任務は完了ってことです。」

 

「手負いのところ悪いが一つ命をもらうとしようか!」

 

 Mr.6がそこまで言うと凄まじい速度で接近し鋭い爪をフィルナに振る。

 ”早い!?”反応が遅れたフィルナは腕を切り裂かれてしまう。

 

「ほう。この速度をよけるか!」

 

「Mr.5やMr.3はこんなに強くなかったけど。」

 

「疑問はもっともだ。番号が後ろの我々がなぜこんなに強いか…だろう?」

 

 思わず聞いたフィルナに対しMr.6はゆったりとした物腰で答える

 

「当然だ。吾輩が強くなったのはつい最近だからな。」

 

「悪魔の実を食べた?」

 

「ご明察!まさにその通り!吾輩の食べたのはヒトヒトの実、モデルヴァンパイア!ヴァンパイアとなった吾輩は今までにない人を超える腕力、脚力、再生力、そして空を飛ぶ力を得た!」

 

「吸血鬼ならこのアラバスタの太陽はきついんじゃない?」

 

「はっはっは!確かにヴァンパイア形態になったら太陽は弱点となるが当然対策してある。」

 

「それについては?」

 

「教えると思うか!?」

 

 再びMr.6が襲ってくる。さらに爪を出し、翼を広げ突っ込んでくる。目が追い付かない速度ではない。フィルナは夜一と真影を抜き爪を受け止める。なんとか受け止めることに成功したフィルナだったが凄まじい力で空に蹴り上げられ空中に放り出されてしまう。

 

「まだまだゆくぞ!」

 

 体勢を立て直すことや防御も儘らない状態で踵落としをうける。

ドコォオン!

 

「ガハッ…!……なんて身体能力…。」

 

「おお!まだ立てるのか!君も悪魔の実の能力者なのか?」

 

「残念、私は普通の人間だよ。」

 

「なるほど。素晴らしいな。」

 

 ゆったりと近づいてくるMr.6に対しフィルナは思考を巡らせる。

 ”太陽をあれほど浴びているのになんでちっとも効いていない?それともさっきの話自体が嘘?一番怪しいのは後ろで戦闘に参加していないミス・マザーズデー、彼女が怪しい気もするんだけど…。あの人の性格なのか能力なのか動きも読みずらい”

 しかし長く考えをさせてもらえるはずもなく次々と攻撃がくる。Mr.6の攻撃を躱し距離をとる。

 だが後ろにいくら下がってもすぐに距離を詰められてしまう。夜一と真影で攻撃を受けたりするがどんどんと体に傷ができていく。

 

「まだ倒れんか。」

 

「はぁ…はぁ…はぁ。」

 

「ならばこれはどうだ!」

 

 突然Mr.6の腕が伸び、避けたフィルナの後ろの建物が崩れた。すかさずフィルナは伸びた腕を斬る。

 しかし腕は蝙蝠になり霧散し空振りに終わる。

 

「悪くない判断だったがな。さすがに当たるほど馬鹿ではないよ。」

 

「ほんと……強い…ね…。」

 

「実力差は理解いただけたかな?ならそろそろ終わりにしよう。心配はない、後から仲間も向かわせるさ。」

 

 フィルナはゆっくりと深呼吸し、はっきりとした口調で答えた。

 

「でも負けることはできない」

 

 その言葉にMr.6は愉しそうに笑ったがミス・マザーズデーは解せないと言わんばかりの顔をした。

 ”正直なめすぎてた。BWなんてもう敵じゃないってどこかで思ってたかもしれない。慢心は捨てろ。そんなのだからルフィがあんな大怪我したんだ。私は……!”

 フィルナは両頬を自ら叩くと先ほどよりずっと早く動きMr.6とぶつかり合う。

 

「はは!いいぞ!先ほどとは別人のようだ!」

 

「舐めてたのは認める。ずいぶんと慢心してた。でもそれはおしまい。」

 

 Mr.6に攻撃が当たり始めている。

 少し、なにかに当たる様な膜のようなものを感じたが無視して斬りつける。再生力が高く斬った端から塞がれていっているが無限ではないはず。

 

「はああぁぁぁぁ!」

 

 フィルナの二刀がMr.6を襲う。

 加速していくフィルナについていけなくなったMr.6はどんどん傷ついでいく。そして両腕、両足を切り落とし頭を落とした。

 

 

「これで…!」

 

「いや、これでは駄目だ。」

 

 次の瞬間、Mr.6の切り落とされた部分が血の液状化になると胴体に吸収され切ったとこが生えてきた。

 

「なっ…!?」

 

「吾輩は血があればいくらでも再生できる。首を落としたくらいでは倒せんよ。」

 

 動揺したフィルナをよそにMr.6はミス・マザーズデーに何かを要求した。ミス・マザーズデーは瓶をMr.6に渡し、また後ろに下がる。

 

「吾輩の体内に吸収し、出した血はほぼ自在に操れる。」

 

 そういうとMr.6は瓶から血を出し鎌のような形状に変えた。

 

「やはりヴァンパイアと言ったら鎌だろう。」

 

「死神の間違いでしょ。」

 

 Mr.6が鎌を振り回して襲ってくる。

 速度事態は早くなっていないが当たればただではすまない。しかも自在に操れるということは安易に鎌を受け止めることも危険である。フィルナは鎌を躱しながら再び攻撃を開始する。

 しかし腕を切り落としても、首を切っても相手の体力が減っていくわけでもなくフィルナの体力だけが減っていった。

 

「粘るな。ではこれはどうだ、ブラッティレイン!」

 

 Mr.6が鎌を上に投げるといくつもの針のような形に変わり降り注いだ。振ってくる針を躱すものの地面に刺さった針が反転し、フィルナの右足に刺さった。苦痛に顔を歪めるが動きを止めるわけにはいかない。

 ”くっ…武装色が下手糞なのがここにきて…ッ!”

 右足以外の場所に飛んできた針は武装色で防御したが全身にうまく纏えなかったため足に刺さってしまった。針は何度でも襲ってくる。それに合わせMr.6も爪を振りかざしてくる。

 

「先ほどから妙に攻撃が防がれるが…どういう…――。」

 

 Mr.6があたったはずの個所に針が刺さっていないことを疑問に持った瞬間、フィルナがその隙をついて蹴り飛ばした。

 大きく吹き飛び建物に突っ込むMr.6。そしてそのままフィルナはミス・マザーズデーのほうへ駈け出す。

 ”攻撃がまともに通らない以上どうにかして日光を浴びさせる。そのためには恐らく…”

 フィルナが二刀をミス・マザーズデーに振ると特に避ける素振りもせず目の前のなにかに阻まれ止まった。

 

「これ…は…?」

 

「ご明察。彼女はカベカベの実の能力者。あらゆるものに壁を作る能力。そして吾輩に日光からカベを作ってもらっている。」

 

「悪魔の実の力なら……。」

 

 あることに気が付いたフィルナはMr.6に向き直り斬りつける。

 絶望するわけでもなくむしろ活路を見出したような顔をするフィルナに驚きながら後ろに下がり攻撃をよける。

 フィルナは体に隠し持っていた両端にナイフが付いたワイヤー投擲し、Mr.6の右腕にナイフを刺した。そしてそのままワイヤーが絡まる。刺さったナイフと巻きついてきたワイヤーを外すため右腕を蝙蝠に変えようとしたとき、さらに加速し接近したフィルナが二刀を振り、両腕を落とした。

 その攻撃はフィルナができる最高の武装色を纏った攻撃だった。腕が落ちる。腕を液状化し戻そうとしたが一部戻らず片腕分の血液しか吸収できなかった。初めてMr.6に焦りが出る。

 

「な、なにをした!?」

 

 フィルナは返事をしない。武装色を防御に回さず攻撃に集中特化。

 ”全部やろうとするからいけないんだ。あの時と同じように攻撃だけを意識していけば…!!”

 接近してくるフィルナに思わずMr.6は翼を広げて飛んだ。

 ”そして見誤るな……。ミホークさんの言っていた何を斬るかはこういうことなんだッ!!”

 空中にとんだMr.6を見上げ真影を軽く縦に振った。”飛斬り”次の瞬間、Mr.6が叫び声をあげながら燃え出した。

 

「え…!?」

 

 ミス・マザーズデーはMr.6に張ってあったカベが壊されたことにとても驚いた。そして落ちていくMr.6に再びカベをかけるために手をかざす。

 しかしその行為をフィルナは許さない。

 

「防御のカベも壊させてもらったよ。」

 

 ”飛燕瞬鋼”ミス・マザーズデーの前方にいたはずのフィルナが一瞬で後ろに回り身体に十字の切り傷をつけた。

 

「礼を言うね。ずっと進めなかったものがやっと進むことができた。」

 

 フィルナは振り返ることはせず聞こえているかわからない相手にそう告げると納刀し、”血流しすぎたな”とつぶやきながらその場を後にした。

 

 

 

 

 

 




名前しか出てなかったMr.6とミス・マザーズデーを能力者として登場
ミス・マザーズデーはほとんど描写できませんでしたがどうだったでしょうか?
詳細はキャラ設定に書きます


楽に倒せる敵が続き慢心していたフィルナに強敵が阻みました
ルフィが敗北した時も特に焦らなかったのはルフィ自身が元気であったこととフィルナが自分が最終的に敵を倒せばいいと言う慢心からでした
怪我を負い、攻撃が通用しない相手に気持ちを入れ替え挑み、見事ステップアップとともに勝利
今後、攻撃に使う武装色は自在に操ることができるでしょう



最後一気に敵を追い込めたのは所謂、バトル漫画の定番です
覚醒したら一瞬なんです(笑)



次回こそアラバスタ編完結(予定)!


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一七話  戦いが終わる雨

戦闘描写難しいぃ!!


ではどうぞ


 王宮前に着くとすでに戦いが激化していた。

 近くにルフィたちを見つけ近づく。

 

「調子はどう?ルフィ」

 

「絶好調だ!」

 

 腕を宮殿に伸ばし笑う。フィルナもそれにつられたように笑う。

 そんなことをしていると仲間たちが次々と集まってくる。

 

「な!な!俺の言ったとおりだろ!」

 

「わかったわかった。」

 

 ウソップが半泣きになりながら登場しチョッパーやサンジ、続いてナミやゾロもやってきた。仲間たちのいつもの会話を聞いてビビは少し落ち着いたような顔をした。ルフィが一呼吸おいて仲間たちに言う。

 

「悪ィみんな。おれ”あいつ”にいっぺん負けちまったんだ。だからもう負けねェ!!!あとよろしく。」

 

「さっさと行って来い。」「お前がやらなきゃだれがやるんだ!」「これ以上怪我しないようにね。」

 

「終わりにするぞ。全部!」

 

「「「「「「おォし!!」」」」」」

 

 全員が返事をし手を上にあげる。ルフィはそれに反応し、宮殿に飛んで行った。ビビは砲撃手を探す事をフィルナ達に話す。

 直径5kmの爆発ということは2.5km離れた場所から狙ってるのではと話すウソップだがビビは否定する。爆発に巻き込まれない場所から狙っているとウソップは推測したが、クロコダイルは砲撃手ごと巻き込む奴だと話すビビ。

 

「くえねぇ野郎だ。」

 

「でも砲撃なら場所はかなり限られるはず。」

 

「ならさっさと…――。」

 

 そこまで喋っていたゾロが敵の接近に気が付き振り上げられた刀をとめサンジが敵を蹴る。

 

「ビリオンズ…!」

 

「ゾロ、サンジ。秒で片付けるよ。」

 

 その瞬間フィルナ、ゾロ、サンジがビリオンズに襲い掛かりウソップ達は散り散りになって探し始めた。ビリオンズを倒したフィルナ達も散り散りになる。

 フィルナは弾などが飛んでこないように建物の上に行く。見聞色を使い人の気配を辿る

 ”人の流れが多い……これで探すのは難しいかな…――――時計塔のてっぺんにだれかいる…!”

 後ろから気配がし、攻撃がくると判断したフィルナは防御態勢にはいる。相手の拳と抜刀した夜一がぶつかる。

 

「チャパパパ。よく避けたな。」

 

 丸いでかい男がそこにいた。謎の男の登場に思わず眉間にしわが寄る。

 

「何者?」

 

「知りたいか?チャパパパ。」

 

「…………。」

 

「おいらはCP9のフクロウ。」

 

「CP………9…!?」

 

「チャパパパ。まあ、どうでもいい話だ。目的のついでだからな。」

 

 そこまでいうとフクロウは拳を振ってくる。フィルナは覇気を纏った夜一でそれを受ける。

バキィッ!!

 凄まじい衝突音が響く。

 ”覇気を纏っているわけじゃない…?”

 どこか違和感のある拳に戸惑いながらも攻撃を防ぐ。

 

「やるなお前。賞金首4000万とは思えないぞ。」

 

「褒められてもうれしくない。」

 

 再び拳が飛んでくる。しかし今度は早く鋭い。重い衝撃に少し怯みながらも受け流す。間髪入れず次々とくる拳。フィルナは真影も抜刀し二刀で対応する。

 ”ちっ……こんなことしている場合じゃ”

 刻々と発射時間が近づいてきている中の戦闘はフィルナに焦りを感じさせていた。

 

「考え事とは余裕だなー。そんなに砲撃が気になるか?」

 

 いきなり確信のついたことを言われ動揺するフィルナ。

 

「なんで砲撃のこと知ってるの?」

 

「おいらは諜報員だからなー。それぐらいは調べればわかる。」

 

「つまり砲撃があると知りつつも何もしないと。」

 

「それはおいらの仕事じゃないし、目的は別だからなー。」

 

「これだから……ッ!」

 

 フィルナは怒りをあらわにしながらフクロウに仕掛ける。

 

「何を怒っているんだー?お前が怒る理由はないはずだ。」

 

「うるさいッ!」

 

 フィルナが攻撃を始めると躱すのに専念するフクロウ。

 

「チャパパパ。お前の攻撃はもうらうとよくない感じがするなー。」

 

「いつまでもよけれると思うな…!」

 

「紙絵 ”軟泥”」

 

 身体がぐにゃりと曲がり夜一を躱す。その急な形状の変化に驚きつつもフィルナは攻撃を続ける。

 だが速度を上げるため踏み込んだとき怪我をしていた右足が悲鳴を上げた。

 

「うぐぅぅ!」

 

 当然フクロウはその隙を逃さない”獣厳!”凄まじい速度の拳がフィルナの右肩に当たる。

 フィルナはそのまま勢いを殺すことができず建物から下に落ちていく。

 

「トドメを指したいところだけど時間がもうないからなー。」

 

 そう独り言をつぶやくとフクロウはどこかへ行ってしまった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

「げほげほっ!――――強いな。どっか行っちゃったけど。」

 

 今はフクロウの相手をしている場合ではないので追うことはせず、恐らくあるであろう時計塔へ足を運ぶ。

 時計塔に着くとウソップとチョッパー、ビビが何故か重なってすごい体勢になっていた。

 少し離れた位置にいたナミに話しかけようとするとまたビリオンズがやってきたのが見えた。

 

「どういう状況って聞きたいところだけどそうもいかないね。任せるけど大丈夫?」

 

「うん、大丈夫。あいつらお願い。」

 

 フィルナが”わかった”と返事をするとどこから湧いて出てきたかわからない量のビリオンズと向かいあう。連戦続きでだいぶ体が悲鳴を上げているが止まるわけにもいかない。

 先頭で突っ込んできた男を蹴り飛ばし後ろにいた奴らを巻き込む。銃弾を夜一で弾き、振りかぶってきた刃物を真影で受ける。回転し周りに接近してきたやつらを倒す。再び撃とうとしているやつにナイフを投擲し阻止。

 斬撃、蹴り、投擲、拳、頭突き、関節技。すべてを使ってビリオンズを蹴散らしていく。

 

「はああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 大量にいたビリオンズはわずか1分足らずで壊滅したフィルナが納刀しながらナミたちのほうを見る。

 

「そっちはどう?」

 

「それが…。」

 

 ナミが悔しそうな顔をしながら砲弾が時限式と説明してくれた。それを聞きフィルナが歯を噛みしめて時計塔を見上げるとペルが入っていくのが見えた。

 

「あれは……。」

 

 皆が見上げ沈黙していると砲弾をもって出ていくペルが見えた。”まさか”恐らく見ていた全員がそう思ったはずだ。

 ペルはそのまま上空に上がっていき砲弾が爆発した。爆発の衝撃が地上にいたフィルナたちにもくる。その衝撃で戦場が一度静かになった。

 

「あの野郎…。」

 

「国を………守ったんだわ…。」

 

 その行動に誰もが衝撃を受けていた。しかしそんなこともお構いなしにすぐに戦いが再開される。フィルナ達は上の方から聞こえる声に反応する。

 ビビが時計台から宮前広場の兵士に向かって叫び続けているのだった。

 

「戦いをやめてください!」

 

「ビビ…ッ!」

 

 フィルナが駆けだした。

 ナミがウソップたちをド突き、戦いを止めるように一人でも犠牲者を減らせと涙目で言う。

 フィルナは殴り、蹴り次々と気絶させていく。ゾロたちもそれに続き戦いをやめさせる

 何人も気絶させたところでフィルナはふと西の方角をみた。人に見えるが誰かはわからない。だが見聞色が使えるフィルナにはわかった。

 

「あれ…。」

 

 それは大きくもなく小さいわけでもない声で言った言葉だったが仲間たちがフィルナの見た方へ向く。仲間たちも見えるはずはないだろう。それもでわかったのだ。

 クロコダイルが地面からでて、遥か上空に打ち上げられている。

 

「……何であんなトコから飛び出してくんのかはわからねェが…!!」

 

「………そうさとにかく…!!!」

 

「ルフィ…ッ!」

 

「「「「「あいつが勝ったんだ!!」」」」」

 

 全員がガッツポーズをとる。

 それを見ていたビビは膝から崩れ落ちる。

 

「もう敵はいないのに………!!これ以上血を流さないで…!!戦いを…!!やめて下さい!!」

 

 そう叫ぶビビ。その瞬間、空から雨が降ってきた。

 雨が降り始め塵旋風が晴れていく。武器に迷いが出たの感じフィルナたちも手を止める。

 

「もうこれ以上…!!!戦わないでください!!」

 

「ビビの声が届いた…!」

 

 国民達は戦いをやめ、不在だったはずのビビの姿に驚いている。

 

「今振っている雨は昔のようにまた振ります。悪夢はすべて終わりましたから…!」

 

 国民達は”悪夢”という言葉で片付くはずがないと反論している。そんな中、ボロボロのチャカが起き上がり武器を捨てるように国王軍に告げる。

 

「おま…コホンマ…マ~~…お前達もだ!!反乱軍!!」

 

 そこにいたのはイガラムだった。生きていたことに驚愕する一同。イガラムは子供を抱えている。子供がナノハナを襲った国王軍は偽物だと話し始める。

 コーザがすべて仕組まれていたんだと離し、イガラムが全てを話すので武器を捨てるように言う。その言葉に全員武器を捨てた。

 

 

* * *

 

 

「あ、いたいた。」

 

 コブラに背負われているルフィを見つけフィルナが駆けよる。

 

「すいません、弟を背負ってもらって。」

 

「ああ、構わんよ。ここまで背負って登ったのは彼だからな。」

 

「このおっさんは…?」

 

「この人は――。」

 

「みんな!!パパ!!?」

 

 ビビが後ろからやってきて声をかける。目の前の男が国王だということに驚いたりしつつも戻るよう告げる。

 

「広場へ戻れ。」

 

「そりゃそうだ…せっかく止まった国の反乱に…王や王女の言葉もナシじゃシマらねェもんな。」

 

「ええ、だったら皆のことも――。」

 

「ビビちゃん、わかってんだろ?俺たちはフダツキだよ。国になんてもんにかかわる気はねぇ。」

 

「おれははらがへった。」

 

「へとへとなの、勝手に宮殿に行ってるわ。」

 

 皆がそう言う中、フィルナはルフィに膝枕をしながらビビに大丈夫と笑いかける。ビビがそれに肯きコブラととも広場に戻っていく。

 それを見送ったところで皆倒れた。

 

「皆、おつかれさま。」

 

 ナミの頭に布などを置いてやり壁にもたれかかるとルフィの頭を撫でつつ皆の様子を見た。皆よく寝ている。今までにない激しい一日だった。フィルナは空を見上げ雨を体に感じながら目をつぶった。

 

 




まさかのCP9の登場
読めても当たらなければどうということはないッ!
そんな感じでフクロウにフィルナの攻撃はあたりませんでした
砲撃の時間がなければ負けていたかもしれませんね

原作まんまの部分多めですがここのシーンは外せないと個人的に思うのでそのままですが入れました
次回のオカマもまんま大目になるかもしれません
あいついいやつなんだもん


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感想お待ちしています

フクロウの一人称って”おいら”でよかったっけ…?


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一八話  さらば友よ

一か月も放置してすみません!!
文字数少なくてすいみません!!


オリジナル要素以外はほぼカットしましたが、基本は原作通りです。


ではどうぞ。


 フィルナが目を覚ますといつの間にかベットで寝ていた。治療はされており、まわりを見ると仲間たちも寝ている。外は暗く雨が振り続いていた。

 フィルナは起き上がり窓際で外を見ていたビビに近づく。

 

「フィルナさん、もう起きて大丈夫?」

 

「大丈夫。動くとまだ痛むところあるけど。」

 

「よかった。ルフィさんやウソップさんもそうだけど皆、怪我ひどいから。」

 

「今回は本当に疲れたわ。皆あんなところで寝ちゃったし。」

 

「本当にありがとう。」

 

「どういたしまして。」

 

 フィルナはクスッと笑うとそう返した。

 その後、ビビと雨を見ていていたが睡魔がやってきたのでベットに戻った。

 次に起きるとルフィを除く仲間たちも起き、ルフィが起きるまで買い物へ行ったりと休みを満喫していた。

 そして3日後、ルフィが目を覚まし大食堂で皆揃ってご飯を食べ、大浴場でお風呂に入りその夜出発を決める。船はMr.2がもっているとのことでとりあえず行ってみることになった。

 そして悩んでいるビビに船に乗るチャンスを与え出発する。

 

―――――――――――――――――――――――

 

「おひさしぶりっねぃ!」

 

 Mr.2が船のメインマストの一番上でオカマ道のマントをなびかせながら立っていた。

特別それに反応せず皆、荷物を下す。カルガモたちと別れを告げ、Mr.2のノリ突っ込みを聞いたところでようやく要件に入る。

 

「で、海軍に包囲されているから一人でも多く援軍がほしい、と。」

 

「そうよ!!?こんな時こそ!!! こんな時代だからこそ!!!つどえ!!! 友情の名の下に!!!」

 

「「「おおおお!」」」

 

 それにルフィたちが何故か同調し、同行することを受け入れることになる。フィルナは少しため息をつきながらひとまず荷物を運びこむ。ふと、船内に気配を感じ、Mr.2に聞く。

 

「船内に誰かいるの?」

 

「え?あーー…。気付いちゃったなら仕方ないわねぃ。――ニコちゃん、ばれたみたいよー。」

 

M r.2が船室の扉を開け、声をかけると中から1人出てくる。それはミス・オールサンデーだった。ルフィ以外、全員に動揺が走る。

 

「なんだ、お前。生きてたのか。」

 

 能天気な発言をするルフィに反し、フィルナ、ゾロ、ナミは武器を構える。サンジはいつも通り。チョッパーは叫びつつも状況を理解していないようだった。

 

「そんな物騒なものは向けないで。」

 

 そういうと手が生えてきて武器を払われた。動揺する一味にMr.2は落ち着くようにいう。

 

「まあ落ち着きなさいよぉ。―BWが壊滅した今、そこのニコちゃんもあちしと一緒なのよ。」

 

「ニコちゃん?」

 

「サンデーちゃんの名前よぉ。ニコ・ロビン。」

 

 その名前を聞いた途端、フィルナは合点がいく。

 

「どおりで見たことある顔だと思った。」

 

「ええ。結構有名だから。――さて、モンキー・D・ルフィ。貴方は私にしたことに対して責任をとってもらうわ。」

 

「え”ルフィなにをしたの?」

 

 責任という言葉が出てきてすごい勢いでルフィを見るフィルナ。

 

「???おれなんかしたか?」

 

「ルフィ!?ことによってはわからないじゃすまされないよ!?」

 

「貴方は死ぬつもりだった私を生かし、地上まで連れ戻した。-―その責任をとって。」

 

「わかんねぇやつだな。おれにどうしろっていうんだ。」

 

「私を仲間に入れて。」

 

「「「「「「は!?」」」」」」

 

 突然のセリフに全員が声をそろえる。Mr.2だけがいい笑顔で笑っていた。

 

――――――――――――――――――

 

 ロビンの乗船を許可したルフィ。色々思うことは皆あったが、ルフィの決めたことに従った。

 朝になり船を出す。しかしMr.2が言っていた通り海軍の包囲網に捕まり、"黒檻のヒナ"名物の黒ヤリの陣で鉄の槍を撃たれ船に次々と穴が開いていく。

 

「これは困ったね。」

 

「くそぉ!砲弾撃ってこい!」

 

 一定の距離を保ち、接近させようとしていない海軍の船に手も足も出ない状態だったが、ウソップの放った砲弾が直撃する。

 

「やるわねぇい!長鼻ちゃん!」

 

 陣が崩れ、そこから抜けようと言うMr.2にルフィは仲間を迎えに行くためにそっちにはいけないことを告げる。

 Mr.2は少し考えた後、おとり役を買って出た。

 

「でもそれじゃあ…。」

 

「あちしたちは大丈夫よ。うまく切り抜けるわ。さあ野郎ども!準備を済ませるのよ!――ニコちゃん、ちょっといいかしら?」

 

 自分の部下に指示を出すとロビンに近寄り話しかける。

 

「なに?」

 

「麦ちゃんたちはいいやつらよ。あちしが保証するわ。――だからニコちゃんも頑張ってね。」

 

「ッ!」

 

 Mr.2はそういってロビンにウインクすると自分の船に戻っていく。

 

「ボンちゃん!」

 

「麦ちゃん!また会いましょう!」

 

 親指を立てMr.2を乗せた船は離れ、海軍もそれを追った。その船に向かってルフィたちは叫ぶ。

 

「「「「お前のこと、絶対に!忘れないからなー!!」」」」

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 約束の場所にビビが見え、一緒に行けないこと告げられる。

 

「いつかまた会えたら!!もう一度、仲間と呼んでくれますか!?」

 

 それに返事をしようとしたルフィをフィルナは止める。

 

「返事を返しちゃだめ!海軍が近くにいる!返事をしたらビビの立場が悪くなる。」

 

 そう言いつつもフィルナ自身返事をしてやりたかった。なにか返事になるものはないか、そう考えたとき腕の×印を思い出す。Mr.2対策でつけた仲間の印。フィルナは何も言わずルフィに見せるとルフィも肯き、仲間たちもそれを見て察した。

 

 

 

 

 全員背中を向け腕を上げる。

 "これから何が起こっても左腕のこれが仲間の印だ"

 

「出航!!」

 

 




個人的にボンちゃんことベンサムはかなりいいキャラだと思うですよね。
人情に厚く、涙もろかったり、意外と気が使えるオカマ。かなり好きなキャラです。

今回、原作通りなところをどう処理するか悩んだ割には全然かけていないという…(汗
次回の更新はもう少し早くしたいと思います。あと内容もできるだけ濃く。



余談ですがルフィたちが腕を上げている間、ロビンは空気を読んで船内にいました。



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一九話  空島へ

あけましておめでとうございます。
スランプ気味で更新が遅い私ですが今年もよろしくお願いします。



ではどうぞ。


 空からガレオン船が落ちてきたと思ったら指針を空に奪われ、ロビンの提案で近くの島に行くものの空島の手がかりは見つからず、黄金探しをしているというモンブラン・クリケットのもとへ向かう。空島の可能性があることを教えられ空島の存在に期待する一味。

 すっかり意気投合して宴会を開いていたのだが、偉大なる海をまっすぐに進むためのサウスバードが必要だということに気が付き、森に入る。苦労しつつもロビンの活躍で無事捕まえることに成功する。しかし戻ると船が破壊され、クリケット含む猿山連合軍は壊滅していた。犯人のベラミー海賊団に怒るルフィを道案内としてフィルナはついていくことにした。

 

 

   -モックタウンー

 

「ベラミーぃぃぃぃぃぃ!」

 

 名前を呼ばれたベラミーは酒場から出てきてルフィに近づく。フィルナは2人が会話を始めると酒場に入ろうとする。しかしそれをベラミーの仲間が止める。

 

「どいて。」

 

「なんの用だ?」

 

「黄金を返してもらいに。」

 

「なんだ、お前もあいつの仲間か。」

 

 その言葉を無視し、中へ入ろうとするフィルナを手を広げ遮る。

 

「おっと、お宝を奪え返しに来てるやつを黙って素通りはできないな。通りたかったら俺をたお――。」

 

「そいつ!9000万ベリーの戦鬼のフィルナだ!」

 

「まだそんなこと言ってんのか?こいつのどこが凶悪犯に見えるんだ?あいつもそうだが――。」

 

 そこまでいい男はルフィとベラミーの方へ向いた。ちょうどベラミーがルフィに突っ込んで行く瞬間で、その場にいた奴らはベラミーの勝ちを確信していた。

ドンッ!

 しかしその光景は訪れない。突っ込んできたベラミーをルフィが叩きつけベラミーは起き上がることはなかった。

 

「お、おいベラミー。何やってんだよ。立ち上がっていつものショーを見せてくれよ!お前は!5500万の大型ルーキーだぜ!?」

 

「一ついいことを教えてあげる。政府が付ける賞金額だけどアレは凶悪度ではなく危険度。決して見た目だけで判断できるものじゃない。」

 

 フィルナはそう告げると酒場の中に入っていき黄金を持ってくる。

 

「黄金あったし帰ろう。ルフィ。」

 

「お、さすが姉ちゃん!じゃ、早いとこおっさんのところへ届けるか!」

 

「ま、まてよ!まだ俺が残ってるぜ!どこ行くつもりだ!」

 

「やめろって!」

 

 ルフィとフィルナは顔を見合わせるとフィルナは首を傾げ、ルフィは空を指さして答える。

 

「どこって―。」「空。」

 

 

* * *

 

 

 クリケットに黄金を渡し、修理された船に乗り込みサウスバードの指す方角を頼りに、まっすぐ南へ進む。

 積帝雲が空を覆いあっという間に暗くり、ノックアップストリームに乗るため大きな渦に呑み込まれていく船。

 

「大渦はあんまりいい思い出ないね。」

 

「そーいやー村を出たときも飲まれてたっけ。」

 

 大渦に呑まれているにも関わらず能天気な会話をする姉弟。ナミやウソップ、チョッパーは大騒ぎ。しかし船は止まることなく渦の中央へ飛び込んだ。

 

「「「ああああああああああああ――――あ?」」」

 

 突然渦がなくなり普通の海に戻る。

 

「?―どういうこと?」

 

 皆が疑問に思っていると船が一隻近づいてくる。

 

「ゼハハハハ!追いついたぞ!麦わらのルフィ!戦鬼のフィルナ!海賊狩りのゾロ!」

 

「誰?」

 

「モックタウンであったやつだ。」

 

「てめぇの1億の首!もらいにきたぁ!」

 

「1億?なんの話だ?」

 

「そういえばさっき懸賞金がどうだのって―。」

 

「おめぇの首には1億ベリーの賞金懸ってんだよ!そして戦鬼のフィルナ!てめぇは9000万!海賊狩りのゾロには6000万だ!」

 

「クロコダイルの一件で跳ね上がったんだ。」

 

「6000万か、不満だねぇ。」

 

 サンジが自分の手配書はないのかと騒いだりしているがそんな会話も長くは続かない。海が盛り上がり空に向けて海水が飛び出した。中心にいなかった黒ひげの船は吹き飛ぶ。フィルナたちも突然のことに取り乱すがナミの機転で船をノックアップストリームに乗せ空を目指した。

 

 

 





結局3か月も更新しなかったのに対して内容ありません。すいません。




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二十話  空島

半年ぶりでございます。

短いでございます。


 

 

 

突き上げる海流(ノックアップストリーム)に乗り、雲を抜けたフィルナたちを待っていたのは一面真っ白な雲の海だった。

 一味はとても幻想的な光景に感動するが休む間もなく、怪獣、ゲリラに襲われる。

 空気が薄く体が鈍いことに違和感を覚えつつも、ゲリラを撃退した一味の前にフリーの傭兵を名乗る老人が現れ、この上にさらに海があることを教えてくれる。

 老人の言葉を信じ、上の海への入り口を探す。

 入り口では老婆が写真を撮りながら、お金を払うことを要求。しかし払わなくてもいいと言われそのまま上の海へとエビによって向かっていった。

 

 そして上の海で一味を待っていたのは雲で作られた不思議な島だった。

 

 

 

 

「凄い不思議。いったいどうなってるの?これ。」

 

 はしゃぐルフィたちを横目にフィルナは島の基盤の雲や建造物を見て触る。

 

「下の海にもあった沈まない雲が島の基盤になっているのかしら?」

 

 同じく島の構造などに興味を持ったロビンがフィルナの隣で同じように調べる。

 フィルナ達が調べ物をしているとルフィたちが空島の住人たちに出会い、フィルナたちもそこに合流した。

 

 

 

「へぇー。面白いわね(ダイアル)

 

 コニスと名乗った女性とその父親、パガヤの家にお邪魔した一味は空島に存在する特殊な貝に触れていた。ナミはウェイバーという乗り物を乗り回している。

 様々な貝に触れつつサンジが出した食事を堪能しているといつの間にかナミが見える範囲から居なくなっておりコニスたちがナミが聖域に向かってないか心配する。

 

「絶対に入っちゃダメなところか~。」

 

 ルフィがうずうずしながらサンジの食事を摘まむ。

 

「どれにしても一度ナミを探しにいくしかねぇだろ?」

 

 ゾロの言葉に皆肯くと、コニスたちにお礼を言いつつ船へ向かう。

 

「あれは…?」

 

 謎の匍匐前進している集団を見て呟くと、彼らは立ち上がりコニスたちに挨拶を交わした。

 

「貴方たちですね。不法入国者は。」

 

 ホワイトベレー部隊隊長、マッキンリーと名乗った男のその言葉にコニスたちは驚き、フィルナたちは首を傾げる。

 

「入国料一人10億エクストルを払っていないでしょう。」

 

「だからエクストルってベリーでいくらなのよ。」

 

 ここまで通貨について誰も喋らなかったことに半ば呆れつつフィルナは聞く。

 

「ベリー。青海での通貨ですね。1万エクストルが1ベリーになります。」

 

「つまり80万ベリー払えと?」

 

「いえ、不法入国ですのでその10倍を払っていただきます。」

 

「たけぇよ!!!米がどんだけ買えると思ってるんだ!!」

 

 あまりの値段にサンジが叫び、フィルナも船にあるお金があと10万ベリーを切っていたことを思い出す。

 

「んな詐欺みてぇなマネされて、ましてやそんな金払えるか。――もういい、ナミさんを探しに行こうぜ。」

 

 サンジが相手にしてられるかと船に乗り込もうとするとちょうどナミが戻ってくる。

 

「待って!!そいつらに逆らっちゃダメ!!」

 

「逆らわないのはいいけど800万ベリー払えってよ?」

 

「そう。お金で解決するのね。――800万ベリー――――高すぎるわよ!!!!」

 

「「「おい。」」」

 

 あまりの金額にナミは怒りながらマッキンリーをウェイバーで引き倒す。

 それを見てホワイトベレー部隊が武器を構え、マッキンリーの言葉と同時に攻撃を仕掛けてきた。

 放たれた矢が雲の道を作り、そこを辿りながら接近してくる。

 

「面白いね。空島の戦闘は。」

 

「しししっ。わくわくしてきた。」

 

 ルフィとフィルナは攻撃を難なく避けると瞬く間にホワイトベレー部隊を全滅させた。

 

「ナミ、残高いくら?」

 

「5万!!」

 

「あー、そんなに減ってたのね。」

 

「船長だから言わせてもらうけどな。なんでそんなに貧乏なんだ!」

 

「「「「お前の食費だ!!」」」」

 

 

 

 

 弁当を作り、釘などの船を修理するための道具をもらいにサンジ、ウソップ、ルフィがコニスの家から戻って来るまでに錨をあげ、出向の準備をしていると船に近づく気配を感じ海を見る。

 

「これは登ってきたときのエビ…?」

 

 フィルナがそう呟いた瞬間エビは一気に船の下に回り、船を掴んだ。

 

「しまった!!」

 

 意図を読んだフィルナはエビの手を攻撃するが、殻を破り中まで抉っているにも関わらず離そうとしない。

 

「全員飛び降りろ!!」

 

「いや、駄目ね。」

 

 フィルナは武器を納刀しつつ、ゾロの言葉を否定すると船の後ろで泳いでいる空獣を指さす。

 

「やられたわ。まさかこんな形で強行されるとは。」

 

「またあの島に行くの!?」

 

「神とのご対面ってか?」

 

「ぎゃああああああぁぁあああ。」

 

「いったい何が来るのかしらね。」

 

 各々に反応を無視しつつ、エビは聖域神の島(アッパーヤード)へと向かう。

 

 

 

 エビに連れられ神の島(アッパーヤード)の祭壇の上に船を置かれたフィルナたち。

 ひとまず探索に出てみようと船にチョッパーを残し、島の端まで来ていた。

 

「なるほど。」

 

「マジか…。」

 

 納得と驚きの言葉を吐くとナミがゆっくりと語る。

 

「ジャヤは沈んだんじゃない…。ずっと空を飛んでいたんだ…。」

 

突き上げる海流(ノックアップストリーム)は島すら空に上げるのね。」

 

 それぞれにここがジャヤであることの感想を言っていると、フィルナは船に残したチョッパーの変化を感じた。

 

「船で何かあった!!先に戻る!!」

 

 

 




かなり駆け足でしたが空島編の本編はこれからなので後3,4話くらい続きます。


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二十一話 神官

お久しぶりです。
なんとか更新しましたが短いであります。




 

 

 空の騎士、ガン・フォールがやられ、後を追う様にチョッパーが沈んだと同時にフィルナが船の場所へと着いた。

 

「ああ、次の生贄か。」

 

「生贄になるつもりはないよ。」

 

「はっ。」

 

 フィルナは鞄を木の近くに置き、祭壇の方へと飛び上がる。

 

「その跳躍力には感服するが自ら空中に身を投げるとは愚か!!」

 

 怪鳥に乗り飛んできた男はフィルナに槍を突き刺そうとする。しかしフィルナは空中を蹴ると後ろに回り、夜一を振った。

 

「んな!?」

 

 男は驚愕の表情を浮かべながらも間一髪のところでフィルナの攻撃を避ける。

 

「避けるんだ。」

 

「当たり前だ。我ら神官は厳しい修業の末、心綱を習得しているのだ。お前の動きなど簡単に―――ッ!?」

 

 男の台詞が終わる前にフィルナは男に対して蹴りを放つ。顔スレスレをフィルナの足が通り、冷や汗をかく。

 

「また避けた。」

 

 ”チョッパーが沈んだ以上、あんまり時間かけれない―――感じ的に心綱ってのは見聞色のことかな?なら――”

 フィルナは一気に速度に上げ、男の頭に踵落としを繰り出した。

 

「ま、動きが読めても速度について来れなければ意味ないよね。」

 

「――っ!?!?」

 

 ドコンッ!!

 踵落としを食らった男は怪鳥と共に勢いよく水の中へと落ちて行った。

 

「神官って言ってたけど、あっけないわね。―――あ、早くチョッパーたち助けなきゃ。」

 

 フィルナは上着を脱ぐと水の中へと潜る。

 底の方でガン・フォール、チョッパー、鳥馬を回収すると水から上がり、まずチョッパーの意識を戻す。

 

「チョッパー!!しっかりして!!」

 

 数度、チョッパーの頬を叩くとチョッパーは目を覚ます。

 

「んは!?…はぁ…はぁ…。フィルナ…?」

 

「大丈夫?」

 

「う、うん。…大丈夫。」

 

「そう。なら怪我してるところ悪いけどおじいさんの怪我診てくれる?」

 

「あ、ああ。わかった。―――フィルナは?」

 

あれ(・・)の相手しなきゃ。」

 

 ガン・フォールを指さしながらチョッパーに指示を出すとフィルナは水から出てきた男を見る。

 

「上がってくるとは思ってなかったよ。」

 

「俺を舐めるなよ。――紐の試練!!」

 

 男は手をかざし、そして槍を持ってフィルナに向かってくる。

 

「紐…?―――ああ、そういうことね。」

 

 いち早く気が付いたフィルナは男が切り抜けた瞬間、空中で何かを掴む仕草をした。そして自分の方へ引っ張る動作をする。

 

「あが!?」

 

 フィルナが引っ張る仕草をした瞬間、男は一気にフィルナの方へと引き寄せられる。勢いよく引っ張られた男の背中を、これまた勢いよく蹴った。

 蹴りが入った瞬間にフィルナは掴んでいた何かを手から離す。

 

「じゃぁ、ね。」

 

 蹴られた男は勢いよく吹っ飛び森の中へと飛んで行った。

 男が戻ってこないことを確認するとフィルナはチョッパーの元へと戻る。

 

「何か手伝える?」

 

「えっと…包帯をもう少し持ってきてくれるか?あと身体冷やしちゃってるからお湯を。」

 

「ん、わかった。――大丈夫そう?」

 

「一応、急所は外れてる。――ただ空の騎士の年齢的に体力が…。」

 

「そうね。急いで包帯取ってくる。」

 

 

―――――――――――――――

 

 

 チョッパーの指示を受けながら治療の手伝いをし、沈んだメインマストを上げていると丁度、ゾロたちが戻ってきた。

 

「フィルナ!!チョッパー!!無事か!!」

 

「ええ、問題ないよ。」

 

 メインマストを岸に上げながらゾロに返事を返すと川の方からルフィたちがやってくる。

 

「うぉぉぉ!!お前ら無事かぁぁ!!」

 

「あっちも問題なさそうだね。」

 

 ルフィたちの合流に一安心すると野営の準備を始めることにした。

 




すっかり亀更新の私を気長に待っていただけると、とてもうれしいです。


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二十二話 スカイピアとエネル

とってもお久しぶりです。

忙しくはありましたが生きてました。








 

 

 空島がノーランドの言っていた黄金郷と分かった一向は黄金探しのため、二手に分かれる。G・メリー号が修理されていたことやウソップが夜に見たという謎の人物、という不思議こそあったものの一時それは置いておき各自準備を進めた。

 ルフィ、ゾロ、チョッパー、ロビンに黄金卿の探索を任せ、脱出ルート確保にフィルナ、ナミ、ウソップ、サンジ、怪我人のガン・フォールとピエールを連れ船を動かしていた。

 

 

「この国の……歴史を…少し語ろうか。」

 

 そうガン・フォールが言葉を発するとフィルナたちはそれを聞くように口を塞いだ。

 

「吾輩は…6年前まで”神”であった。」

 

「おっさん、頭打ったか?」

 

 ウソップのツッコミにピエールが噛みつく。

 

「この神の島(アッパーヤード)がこの国に来たのはおぬしら知っている通り400年前だと聞いている。

―――それまでのスカイピアはたまに青海からやってくる物資を重宝しながら生活していた。そんなある日、”奇跡”が起きた。」

 

(ジャヤ)がここに来たのね?」

 

 フィルナの質問にガン・フォールは肯く。

 

「空の物たちはそれを聖地として崇め、喜んだ。――しかし大地(ヴァ―ス)には先住民がいて、戦いが起きた。そのもの達こそが”シャンディア”。」

 

「ゲリラのことか。」

 

「じゃあ彼らは故郷を取り戻そうとして戦っているだけ?」

 

「うむ。」

 

「「じゃあおめーらがわりぃんじゃねぇか!!」」

 

 サンジとウソップが言うとピエールが再び噛みついたがガン・フォールは悲しむようにそれの言葉を肯定した。

 

「おぬしらの言うことに間違いない。――――ああ、すまん。少し薬をもらおう。」

 

「―――神・エネルは?あれは何なの?」

 

「わしがまだ神であったとき、どこぞの空島から軍団を引き連れてわしの率いていた神隊とシャンディアに大打撃を与え、神に君臨した…。6年前のことだ。」

 

「シャンディアにとっては誰が君臨していようと関係ないから故郷を取り戻すためにエネルと戦うってわけね。」

 

「うむ。――その後、わしは国を追放され、神隊は労働力として連れていかれた。今、神隊が何をしているかはわしにはわからん。」

 

「楽園のつもりできたのに、まったく。黄金卿はとんでもないところにきっちゃってたのね。」

 

「おお、そうだ。お主らが昨日から話しているオーゴンとはなんだ?」

 

「「「え?」」」

 

「ヤハハハ。だからお前たちは馬鹿なのだ、ガン・フォール。」

 

 突然、男が甲板に現れた。ガン・フォールが男の姿見て叫ぶ。

 

「エネル!!」

 

「こいつが…?」

 

 全員が体勢を整え、戦闘準備をする。

 

「そう構えるな。静かにしていれば別に危害は加えん。」

 

「いきなり敵の大将が来て、はいそうですかと肯けるかよ!!」

 

「待って!!サンジ!!」

 

 フィルナの制止も聞かずサンジはエネルに蹴りを入れるが蹴りがエネルに当たった途端、サンジが光を放ち黒こげになった。

 

「ッ!?今のはッ!」

 

「馬鹿な男だ。危害は加えないと言っているのに。」

 

 エネルは笑いながら持っている金棒をクルクルと回す。フィルナの後ろではウソップが大騒ぎしていたが、エネルが黙らせた。

 

「騒がしいぞ。」

 

 エネルの人差し指がウソップに触れると先ほどサンジが受けたように黒こげになる。

 

「静かにしていれば危害は加えない。いいな?」

 

 エネルのその言葉にナミは口を押えながらコクコクと肯き、フィルナは構えたまま黙っていた。

”動きに反応できなかった。どうやって今後ろに回られた?……悪魔の実、それも【ピカピカ】に近い速度で動く…。サンジに蹴りが通らなかったところを見ると自然系か。”

 エネルが淡々とガン・フォールに話す中、フィルナはエネルに対する打開策を模索する。

 エネルは話を終えると来たときと同じように消えた。そして入れ替わるように男が2人乗り込んでくる。

 

「「ほっほーう。神について考える必要はない!!ここで死ぬのだからな!!」」

 

「あーもー次から次へと…ッ!――ナミ!!2人を部屋の中に!!」

 

 ナミに指示を出しつつ、乗り込んできた丸い男2人を睨みつける。

 

「逃がすか!!そいつらは兄貴の憎き仇!!」

 

「貴方たちの相手は私。」

 

 フィルナは男たちの前に立ちはだかると夜一を抜刀する。

 

「女1人で俺たちを止められるかぁ!!!」

 

「そう思うなら私を倒してみなさい。」

 

 回転しながら向ってくる2人の片方の顔面に容赦なく蹴りを入れた。それを食らったコトリは先ほどとは逆回転になりながら船から落ちる。

 

「コトリィ!?」

 

「やっぱり大したことないわね。」

 

 驚き、余所見をした男をフィルナは夜一で斬りつけそのまま船から放り投げた。

 

「見聞色に頼り過ぎな上に、心を乱しすぎね。」

 

 敵の排除を完了したフィルナは夜一を納刀し、唖然としているガン・フォールを覗き込んだ。

 ガン・フォールが驚いているのはその実力にだった。乗り込んできた丸い男たち。ホトリとコトリは副神兵長である。スカイピア神官の雑兵ではない。それを瞬く間に倒してしまういう実力に。

 

「――おじいさん大丈夫?」

 

 ガン・フォールは目の前で手を振られ、ハッとする。

 

「こうしてはいられん!!さっきのエネルの言葉も気になる。すまんがわしは行く!!」

 

「その怪我じゃ――!」

 

 さっとピエールに乗り、瞬く間に船から離れたガン・フォールをフィルナは止めることができなかった。

 止められなかった自分と制止も聞かず飛び出したガン・フォールに軽くため息を吐くと、サンジたちの治療をナミに任せ、島の状況を図るために目を瞑る。

 

”4人は…――これはきっとバラバラね。ルフィ、何か感じづらいけど…なんだろ。弱ってるとかそういう感じじゃないのに。――ずいぶんと変な動きしてるけどこっちには近づいてきてる。

 ――おじいさんが目指しているのが言っていた社かな?幸いこっちには人は固まっていない。社が向こう側ってことだからか。エネルの動きが感知し辛い。居る感じはあるけど的確な場所がわからない感じがする。”

 

 フィルナは目を開くと船内に入り、ナミに声をかけた。

 

「ナミ、船を任せるわ。幸いこっち側には人はほとんど居ないみたいだし、ルフィが孤立して動いてるみたいだからきっと向こうのチームはバラバラだわ。」

 

「え”私を独りにしないでよ!?」

 

「こっちには大きな戦闘は起きてないから大丈夫だよ。それにバラバラの皆集めないと。特にゾロは極度の方向音痴だから、ね。」

 

「………ほんとうに大丈夫なんでしょうね?」

 

「私が感知できる範囲では、ね。

――ガン・フォールのおじいさんが向かった方角が神の社ならこっち側にはゲリラたちはいないはず。神官たちもそれの防衛に入っているはずだからこっちには無理に広げないと思う。」

 

「はぁ…。わかったわ。ゾロのあれは筋金入りだもんね。――あんまり遅くならないでよ?」

 

 呆れ顔のナミに少し苦笑いを返しつつ”わかったわ”とフィルナは返事をすると船から大樹の枝へと飛び移っていった。

 

「ルフィは気配を感じ取れるから後回し、ね。――ロビンやチョッパーはちゃんと方角がわかるはずだし…やっぱりゾロからかな。」

 

 枝から枝へと次々に飛び移りつつ呟くと、ひとまず最初に分かれた場所へと足を速めた。

 

 

* * *

 

 

「居た――ってなんでゾロ、空に飛んでる、の、か、な!!」

 

 攻撃をしてきた神官に反撃をしながら漸く見つけた仲間の気配が上空にあり、驚く。

 神官を片付け、集中するように目を瞑るとゾロへと意識を向ける。

 

「なるほどね。サウスバードに掴まっているのか。――方角はあっているみたいだしもう放置でいいか。ハァ…。」

 

 無駄手間を踏んだフィルナは盛大にため息を吐つつも皆と合流するために移動しようとしたその時、エネルの気配を感じ、足を止める。

 

「ヤハハハ。その動き、お前、心綱を習得しているな?」

 

 自分の存在に気が付いたのがうれしいのかエネルは楽しそうに笑い、金棒をクルクルと回しながら姿を現した。

 

「ゲーム終了まで時間がある。シュラを倒し、心綱が使えるお前は見所がある。私の存在にも気が付いた。少しお前と遊ぼうか。」

 

「遊びと言わずここで落ちなさい。」

 

「ヤハハハ!不届き!!」

 

 大口を開けるエネルの後ろを取り、夜一を振る。エネルが金棒でそれを防ぐと凄まじい音を立てた。

 

「その身形の割には重い攻撃をするな!女!!」

 

 エネルの言葉には返事もせず、真影も抜刀し、エネルに斬りかかる。攻撃を受けることにどこか危機感を覚えたエネルはそれを避け、距離を取った。

 

「強い。お前は間違いなくこの島で私の次に強い。少し残念だが、お前は危険だと私の身体警告している。ここで摘むとしよう。―――3000万V雷鳥!!!」

 

「武装色・(ながれ)。」

 

 エネルが雷の鳥を出すとフィルナは納刀し、武装色を手に纏う。そしてそのまま雷の鳥を両手で受け止め、横へと流した。

 

「?――貴様何をした?」

 

「やっぱり武装色は知らないんだね。」

 

「ぶそうしょく?」

 

 首をかしげたエネルを無視し、今度は抜刀せずエネルの前に接近、拳を振る。

 

「発勁・(とおし)。」

 

 ドゥン!!と大きな音を立てエネルが宙に浮く。

 

「がはぁ!?!?!?!?――貴様!?」

 

 エネルはその威力よりも自身が物理攻撃を受けたことに驚いた。

 フィルナは驚愕した顔を浮かべているエネルを無視し追撃をかける。

 

「抜刀術・迅。」

 

 宙に浮いたエネルの後ろから夜一を振ったが、エネルはそれを間一髪のところで体を雷に大樹の上へ避けた。

 が、フィルナの攻撃は止まらない。

 

「一閃。」

 

 夜一を縦に振ると大樹が斬れ、倒れる。エネルは再び雷となり隣の大樹へと移動する。

 

「舐めるなよ!!女ぁ!!」

 

 エネルが叫び、雷を出そうとするがフィルナはそれよりも早く、エネルの後ろを取る。

 

「ちぃ!!」

 

 金棒と夜一がぶつかり合う。

 

「一億V放電!!」

 

 放電したエネルにフィルナは距離を取る。

 

「ヤハハハ。どういう原理で雷鳥を流したかわからんが出力を上げれば流すことはできんわけだ。そして接近されなければ攻撃は避けれる。

――驚きはしたが種が分かれば大したことはない。一億V雷獣・極!!」

 

 狼の姿に変化した雷撃がフィルナに向かってくる。

 

「その速度じゃ私は捉えられない。」

 

 フィルナは狼を避けるとエネルへ夜一を振る。

 

「無駄だ。放電!!」

 

 再び放電したエネルにフィルナは距離を取り、手を止めた。

 

「このままじゃ埒が明かない。」

 

「まったくだ。―――だが、いい時間になってきた。女。私を倒したかったらジャイアントジャックまで来るがいい。」

 

 エネルはそういうと雷となり、その場を離れていった。

 

「ああなると追える速度じゃない、か。”ゴロゴロの実”、結構厄介だね。」

 

 フィルナは一息吐きながら夜一を納刀すると仲間の元へと駆けた。

 

 

 

 

 




あと2話くらいで空島編も終わりです。
書き溜めが出来てきたので次回はそんなに遅くならない予定です。


誤字脱字などございましたら、遠慮なくご報告ください。
感想お待ちしています。



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