必殺真剣人  (審判の霊樹)
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0話  真剣人

プロローグです。まじこいは、まだ出てきません。


的は   

 

勘定吟味方与力 片岡新兵衛

 

同心      鏡 伝蔵

 

両替商     佐竹屋 徳吉

 

佐竹屋二番番頭 与助

 

依頼内容

 

片岡への賂を調達するため、佐竹屋が客に贋金使用の濡れ衣をかけ、

所持金を脅し取った挙句、鏡に斬殺させた。その娘たちの恨み。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「片岡か・・」

菊一輪とともに置かれていた手紙を読み、真剣人渡辺小五郎は言った。

「ったくよぉ・・せっかく鯛の刺身に生醤油かけて食おうと思ってたのに・・」

不満そうに真剣人経師屋涼次は言った。

「まあ、まあ。食道楽も過ぎねぇようにしねぇとな。」

皮肉気味に真剣人中村主水は言った。

「佐竹屋・・・あの野郎は俺がやる。」

目に殺気を宿しながら真剣人仕立て屋匳は言った。

「依頼料は五両・・やるね?」

真剣人元締め、花御殿のお菊が言った

「ああ」

「行こうか」

 

 

 

 

 

 

 

川神藩勘定奉行所

 

 

「片岡様。千両、漸く溜まりましてございます。これ、番頭さん」

佐竹屋は、手を二回鳴らし、与助を呼んだ。

片岡は与助が持ってきた千両箱を見てにんまりと笑うと

「うむ。では、例の件、お奉行様にお話ししておこう」

「ありがとうございます」

「もう危ない橋を渡ることもあるまい。さあ、飲め。ほら、番頭も飲め」

 

三人が高笑いしてる頃、邸内に忍び込む三つの影があった。

 

「っくはあ・・少し厠へ行ってくるぞ」

片岡が出ていくのを見計らい、涼次が障子の裏に身を寄せた。筆を取り出し、筆の柄の先から仕込み針を取り出し、

「いやぁ綺麗な星ですねぇ・・・・ぅぐっ!」

夜景を見に縁廊へ出た与助を羽交い絞めにし、針を肩から突き刺した。無論口は塞いで。

「ああ綺麗だ・・この世に見納めにしな」

そのまま心臓まで突き刺した。

 

「これ、番頭さん・・番頭さん?・・っ!ば、ば、番頭さん、ど、どうしました?」

倒れ伏して返事もしない与助に近寄った佐竹屋に

「お前もそうなるぜ」

不気味な声が聞こえた。

「だ、だれだ?どこにいる?で、出てきなさい!」

庭に向かって叫ぶ佐竹屋の耳に

「後ろだ」

「誰だ!」

声がまた聞こえ、誰もいない部屋に叫ぶ佐竹屋。同時に、縁の下から匳が現れ、仕立て糸を佐竹屋の首に巻き付ける。

そして足を巻き付け佐竹屋の体を固定し、糸を引いた。

「っぐぐぐぐぐぐぅぅぅぅ・・・」

逃げようとしてもがき苦しむ佐竹屋。しかし、体が固定され動けない。

「うぐ!あ・・・・」

急に引っ張ると佐竹屋は奇声を上げて弥助の上に重なるように倒れ伏した。

 

「ふう・・おい何をこんなところで・・おい、起きろ、佐竹屋、おき・・・っ!で、伝蔵!伝蔵はいないか!」

縁廊で息絶えている二人を発見した片岡は、すぐさま配下の鏡を呼び、

「曲者が入り込んだ。み、見ろ。佐竹屋が・・い、いや、それよりも曲者じゃ。探せ・・」

落ち着きを取り戻しつつ言った。

がさっ  庭の茂みが揺れる音がした。

「何者っ」

刀を抜き、鏡が庭の茂みに向かう。

「・・・・・・・」

刀を構えるが、一歩踏み出した瞬間、

「な・・・」

短刀が腹を突き刺していた。そのまま刀を抜いて、鏡の着物の裾で肩の血を拭いた。

 

「な、な、何者だ貴様・・」

片岡は狼狽しながら刀を抜き、言った。

「はっ。南町の中村というもんですが、この男と佐竹屋が組んで騙りやら辻斬りをやらかした、という情報が入ったもので」

中村はそういうと刀を鞘に納めた。

「黙れ!町方が勝手に勘定方に出入りして、このような狼藉・・・手打ちにしてくれる!そこに直れうがあっ!?」

いつの間にか後ろにいた小五郎が、

「うるせぇ。狼藉者もお前なら手打ちにされるのもお前だよ。馬鹿野郎」

背に刀を突き刺した。刃を抜くと、一度膝をついたが、立ち上がり、斬りかかってきたので身をかがめて腹を横に斬り、最後に脳天を垂直に叩き斬った。

片膝立ちの状態から後ろに倒れ、息絶えた。

 

「よし、帰ったら鯛の刺身だ。」

「手は洗えよ、血ぃついてるぜ」

「わぁってますよ。いわれなくてもね」

他愛もない会話をしていると、影からお菊が現れ、

「仕事は終わったようだね」

といい、皆、帰路についた。

 

 

 

 

 

 




まじこいのキャラは出てきませんでしたね。すいません。
なぜこんなものを書いたのかといいますと、単純に自分の執筆能力を試したかっただけです。
次の話では川神学園が出てきて、その次あたりで女子キャラ出して、その次で、風間ファミリーかな・・という感じの構想になっております。

ちなみに、仕事人とは職業名で、真剣人とはグループ名です。


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狙われた四天王 ~黛編~

由紀江は、名前だけ出ます。


町はずれにある寺 通称ー棺桶寺ー に五つの影があった。

 

「今回のはものすごい大仕事だよ。それこそ一世一代の、ね」

「相手は?」

「ふふ・・」

勿体ぶるお菊に、しびれを切らし、苛立ち気に聞く涼次の言葉に、意味ありげな笑みを浮かべながら重々しく言った。

「的は黛 由紀江、依頼金は・・」

「「「却下だ」」」

話が終わる前に、涼次以外の三人が言い放った。

「話は最後までお聞きよ。依頼金は千両だよ。せ・ん・りょ・う」

膨大な額である。一両は約八万円・・千倍で約一億円である。

「千両だぁ?うめぇもん食い放題じゃねぇか。よし、や・・」

やる、と言いかけた涼次の口をふさいで、

「まぁ、待て。誰だい?依頼主は。」

主水が聞いた。

「両替商 稲田屋 九郎右衛門・・・先月潰れたあそこさ。なんでも、風間ファミリーとかいうチンピラどもに、不当な金利で金を貸していたことを暴かれて、店が闕所になったらしいよ。その風間ファミリーの主戦力が黛由紀恵らしいよ」

匳が、

「なんだよ逆恨みか・・・俺は降りるぜ」

涼次は、

「ちっ。剣聖相手はな・・・」

主水も、

「だな、千両は惜しいが、命には代えられねぇ」

と、そろって降りた。

「そうかい・・・あんたはどうすんだい?」

「・・・・・・・・・やるぜ」

「え・・・」

てっきり断るだろうと思って聞いてみたが、小五郎の返事は、やる、だった。

「本気かい?」

「逆恨みごときに・・」

「ああ・・・逆恨みだろうと恨みは恨みだ」

小五郎は本気だ。

「なら・・・俺もやるぜ。」

「ああ、俺もやるか。」

「やれやれ・・まぁ、千両だしな・・・」

「・・・・ちっ。取り分減ったぜ」

結局、千両の力は偉大だった。

 

 

明くる日 南町奉行所 書庫

 

主水と小五郎が密談していた。

「お前さん、どうしてあんな依頼を受けたんだい?剣聖相手に喧嘩売る輩なんざまともな奴じゃねぇぜ?」

訝しげに聞く主水に小五郎は、

「だからだよ。そんな非常識な奴に俺たち真剣人の存在が割れてるんじゃ危なくて仕方ねぇだろ。それに、調べてみたけどよ、潰れた稲田屋は、全部本店じゃなくて支店だ。本店は江戸で大繁盛してるそうだぜ。田舎者だと舐められたな」

「なんだって?そりゃあ・・・俺たちも舐められたなぁ・・・・どうする?」

「的を変更するだけだ。依頼料は千両。的は

 

 両替商       稲田屋 九郎右衛門

 手代        矢太吉

 用心棒       板部 勇藏

 やくざ       小見山の才五郎

 

 の4人だ」

「自分の依頼料でやられるたぁな・・・。だが、小見山の才五郎ってのは?」

皮肉気に行った後、ふと思ったことを聞いてみた。

「ああ、隣藩の小見山藩の元中間で、稲田屋の子飼に成り下がった野郎だ。今は借金取りをしてやがる。何が店が闕所だ。大本はぴんぴんしてやがる。阿呆臭い」

「そうかい。で、段取りは?」

「ああ・・・・」

夜が明けていく・・

 

棺桶寺

 

「んだとぉ!?ふざけやがって・・・なめんじゃねえよ!」

息まく匳、

「おお、的が変わったか。剣聖さんに比べて随分とましじゃねえか。一人頭二百両には変わりねぇしな。これで当分美味いもん食って暮らせるぜ」

結局は食道楽な涼次であった。

「でも本当に来るかねぇ?」

お菊が聞いた。

「絶対にな。絶対にあいつらは俺の仕事を陰で見てくるはずだ。恐らく、失敗して死んだらよし、生きてたり万が一成功したら口封じにかかるつもりだろうな」

そこで陰に潜んで見ている輩をほか三人で退治する、という段取りな訳だ。

「いつやるんだい?」

「明日の夜だ」

段取り、決行日時が決まったので、皆帰路についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

皆、心の中で、

(二百両か・・・何に使おうか・・・)

と、そのことばかり考えていた。

 

 

 

 

 

 



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