アルカナTHEリベリオン (イオ・りん)
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アルカナTHEリベリオン 登場人物紹介

ハーメルンでは初投稿です。
こちらはアルカナTHEリベリオンの作品紹介です
少しでも見ていただけると嬉しいです!

不定期更新となりますがなにとぞよろしくお願いします!!


ストーリー

時は少し未来、日本では謎の怪奇現象が発生していた。失踪、謎のノイズ、メッセージ、数々の現象が起こっている、それらの共通点は「その現象が電子機器のある場所で起こっている事」である。ある日好奇心でその現象を調べようとする私立テクノアカデミー高の生徒、桜木彩に半ば強引に連れてかれた幼馴染兼親友の獅子堂ハルトはその現象の現場に落ちてあった端末機に触れた時付かないはずのパソコンから紅いライオンを目にする、その後ゲームセンターでゲームに粒子化され取り込まれる人間を発見し巻き込まれる形で迷い込み怪物と機械を模した戦士の戦いを目にする。そこで出会った三日月伊織とその義妹である葵にサイバープログラムとクリーチャー、リベリオンについて語られる。

事件の真相はクリーチャーによる行動であった。真実を知ったハルトはクリーチャーと戦う事を決意、紅いライオンをパートナーにソルリベリオンの使用者となる。

これが彼を壮絶な戦いへと巻き込むのであった。

 

登場人物

 

共通点は学生

 

 

 

【挿絵表示】

 

獅子堂ハルト

本作の主人公

ソルリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「プロミネンスレオ」

私立テクノアカデミー高の高等部1年の少年。初登場時15歳。茶髪の短髪。

幼馴染兼、親友の彩に、半ば強引に謎の怪奇現象の調査に連れてかれ、そこで偶然アルカナ・デバイスを拾い、そこから壮絶な戦いに巻き込まれる。

困った人を放って置けない性格。考える事が苦手で「動きながら考える」がモットー。正義感が人一倍強い。

伊織曰くテクノアカデミー高に入れた事が奇跡と言われる程頭が弱い子だが、いざという時は突発的な発想が浮かぶ(良くも悪くもバカ)

周囲に捕らわれない性格だが伊織の事情に苦悩する一面がある。

彩に好意を抱かれているが気付いてはいない模様。

 

 

 

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三日月伊織(みかづきいおり)

本作のもう1人の主人公

ルナリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「ブルームーンファルコン」

幼少期に両親を事故で無くし以来妹の由那と同じく事故で両親を亡くした義理妹の葵と叔母の家で暮らすようになる。初登場時15歳。黒髪の短髪

一見クールな性格に見えるが葵曰く「叔母の影響かおばちゃんみたいな性格」と言われている。

テクノアカデミー高の生徒で成績トップの優等生(ハルトは全く知らなかったらしい)、才色兼備で出来ない事はないと言われる程。

家事全般は彼が行っている、かなりの綺麗好き。ファミレスでバイトしている。

デッドリベリオンから人を守ろうと奮闘するなど彼なりの優しさを持つ

 

 

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切島一貴(きりしまかずき)

デッドリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「デスサイスマンティス」

ハルトと同じくテクノアカデミー高の生徒でハルトの1つ上の先輩。初登場時17歳。こげ茶のオカッパ頭。

社交的で紳士的だが裏ではデッドリベリオンの力を利用し怪奇現象を手に取り連続殺人を繰り返す殺人鬼でありその死体を証拠隠滅にデスサイスマンティスに食わせている。

スプラッタ映画が趣味でありデスサイスマンティスの捕食がそれと似ており気に入っている。女性を狙うのは「悲鳴がいい音色だから」と言う狂気的な美学を持つ。

人やクリーチャーを捕食させたのもあるがランクの低いデッドリベリオンでルナリベリオンを圧倒するなど本人の実力も高いと思われる。

 

 

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国枝半蔵(くにえだはんぞう)

チャリオットリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「シルバアーマホース」

若くしてとあるコンクールで最優秀賞を受賞した天才小説家。少し両側の髪が伸びた容姿をしている。初登場時15歳

始めてあったハルトに興味を持ち彼と関わりを持ち始める。その際にハルトがリベリオン使用者である事を知る。

戦いに身を投じる理由は「ある人の行方を知る」事。

紳士的で丁寧な口調で礼儀正しい性格だが戦いの時は手加減のない攻撃を繰り出す。

生活面ではだらしない一面を持ち、ほぼ毎日カップ麺を食していたという。

 

 

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星流凜(せいりゅうりん)

スターリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「スターウェイブ」

少年ながら旅人であり常にハーモニカを常時している。少し長い白髪、初登場時16歳

世界平和を望んでおりリベリオン同士の戦いを好まず逆に止めようとしている。

音楽を好んでおり、ハーモニカを愛用している。以前は親友とピアノをやっていた。

 

 

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和野要人(わのかなめ)

フォーチュンリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「ディスティニーラチェルタ」

普段は気弱な少年を演じているが、本性は残忍で人をクリーチャーに襲わせ、それを動画にアップしている。初登場時14歳。

戦う理由は「戦い事態を最高のエンターテインメントする」である。

中学生でありながら、プログラミングにおいて天才的で、学校のデータも即座にハッキング出来る。

オムレツが好物だが、ケチャップは嫌い。

 

 

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黒崎我怨(くろさきがおん)

フールリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「バイオヘルダイル」

いくつもの不良校を廃校に追い込んだ男であり、常に喧嘩を求めていた所、リベリオンバトルの参加を勧めらる。初登場時18歳。

いかなる状況でも戦いを好んでおり、相手を倒す際には一切ようしゃをしない残忍さを持つ。屋台の食事を好んでいる。風呂は常にドラム缶。

願いなどなく、「飢え」を満たすために戦っている。

 

 

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逆倉真弥(さかくらしんや)

ハングドリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「バンデッドシーミア」

春ヶ岬学園の生徒会長で、成績も3年連続1位を取っている秀才。初登場時18歳。

知的欲求が強く、他者を見下す一面を持つ。戦う理由は「宇宙の真理を理解する」

眼鏡の事になると繊細的であり、傷が1つでもあると、すぐに眼鏡屋に行くらしい。

家に50個近くのスペアがある。

 

 

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永遠野双葉(とわのふたば)

ラヴァーズリベリオンFの使用者、パートナークリーチャーは「ドラゴキューピット」

愛人と恋人と同士であり常に彼の事を考えている。初登場時16歳。

愛人の為ならどんな事も平然と行い、彼の足を怪我させた連中をドラゴキューピットの餌にする程である。

1人になると精神的不安に陥り愛人がいないと安定しない。

家事全般が苦手で、常に愛人に任せている。目玉焼きにはマヨネーズ派。

 

 

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深井愛人(ふかいあいと)

ラヴァーズリベリオンMの使用者、パートナークリーチャーは「ドラゴキューピット」

双葉とは恋人同士で、家族以上に愛し合っている。初登場時16歳。

元々はバスケットボール選手であったが、怪我が原因で選手の道を断った。

戦う理由は「双葉との永遠の愛を掴む」

納豆が好物であり、納豆を買ってこないと、双葉を喧嘩になる程ぐらい好きらしい。

目玉焼きにも納豆を掛ける。

 

田井中力(たいなかりき)

ストレングスリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「ペインエレファント」

家族を養う為、東京へ野菜を売りに来ていた所、リベリオンの使用者に選ばれてしまう。初登場時18歳。

心優しい人物で、初めて出会ったハルトとも打ち解けている。

戦う理由は「実家の畑を豊かにする」

野菜を育てているが、ゴーヤだけは苦手。

 

 

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早乙女灯梨(さおとめともり)

ハーミットリベリオンの使用者、パートナークリーチャーは「ヴェノムクラーケン」

謎の多い美女、時折男性の様な荒い口調にもなる。年齢は不明。

他の使用者の中でもかなりの残忍であり、口封じの為、一般人も平気で殺す。

昔は地味な女性であり、弟の事を気にして女らしい恰好をする様になった。

男性に求めるモノは「愛らしさ」

週1でペットショップでバイトをしていたらしい。

 

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天条仁(てんじょうじん)

テンパランスリベリオンの使用者。

マイペースな性格。怒ると非情に徹する時もある。初登場時15歳。

父親が事業に失敗し、多額の借金を抱えており、家庭崩壊寸前の状態。

それが原因でいじめにあっており、そこに突け込まれたかのように、リベリオンの使用者に選ばれた。

戦う理由は「あの頃の家族に戻る事」

愛犬の「ジョージ」の散歩が、唯一の楽しみ。

 

 

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志向正義(しこうまさき)

ジャスティスリベリオンの使用者。

正義感が強く、根は真面目。初登場時12歳。

その正義感のあまり、悪人に対しては非情であり、徹底的に制裁を下す。

学校内では、成績優秀であり、周囲に頼られているが、それを気に入らない者もいる。

 

 

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アリア・クィンテット

エンプレスリベリオンの使用者。

明るい性格で、人懐っこい一面を持つ。初登場時16歳。

物心付いた頃から、施設で育てられており、本当の名前、両親、生まれた場所を知らない。

施設の人達とは良好な関係ではあらず、度々施設を抜け出している。

戦いに願う事は「本当の家族が知りたい」

明るい反面、辛辣な事を言われると、酷く落ち込んでしまう。寝る時には下着を履かない派。生粋の甘党。自称、食べても太らない系女子。

 

皇圭(すめらぎけい)

エンペラーリベリオンの使用者。

若くして皇グループの社長の君臨する。初登場時17歳。

カリスマ性に溢れており、全世界に開発した電子機器を普及させた。

常に頂点を目指しており、強い者がいる程好奇心が湧いてくる。

家にペンギン5羽飼っているぐらい、ペンギン好き。

 

 

「使用者の関係者」

 

 

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桜木彩(さくらぎさや)

本作のヒロインの1人

ハルトの幼馴染兼親友。初登場時15歳。

オカルトや超常現象好きで今回発生した怪奇現象にも興味を抱いている。

クリーチャーに襲われ気を失う事が多い為、リベリオンの姿を見れないままである。

幼い頃に誘拐事件に巻き込まれた事があり、それが原因で怖がりな性格になってしまい、オカルト好きもそれを克服の為に興味をもった。

4話にてデスサイスマンティスに襲われるがソルリベリオンに救われ笑顔を取り戻した。

ハルトに好意を抱いてる模様。

 

 

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三日月葵(みかづきあおい)

伊織の義理の妹、初登場時12歳。

伊織の両親との交通事故で親を亡くし義理の妹として彼の叔母の家で暮らすようになる。

伊織がリベリオン使用者として戦っている事を知っており時折彼を心配している。また心の中では戦ってほしくない模様。

料理が下手で伊織に教えてもらう時がある。

伊織をフォローする事はあるが若干落としている事もしばしば。

胸が小さい事を非常に気にしている。故に彩が羨ましいらしい。

 

三日月由奈(みかづきゆな)

伊織の実妹、初登場時11歳

両親を亡くし兄と葵と共に叔母の家で暮らすようになるが10歳の頃に原因不明の病に犯され目が見えなくなり入院生活が続いている。

伊織にとって最も大事な存在であり彼女の病気を治す事が戦う理由となる。

心優しく病と闘いながらも心配かけまいと笑顔を見せている。

 

獅子堂夏姫(ししどうなつき)

ハルトの姉、初登場時19歳

大学と家での食事以外は部屋から出ない。

プロゲーマーであり実況プレイヤー(ワルプルギス)とは彼女の事。

弟に無関心と思われるが意外と弟思いの優しい姉である。

 

 

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青葉カレン(あおば)

伊織と同じクラスの女の子、初登場時15歳。

新聞部に所属しており、連続失踪事件について調べており、伊織やハルトに接触する。

双園祭がきっかけで伊織の事が気になり始めている。

実は腐女子であり、学校内でそう言った関係の男子を探しているとか、いないとか。

恋愛映画に、ハンカチが手放せない。

 

「機体紹介」

 

ソルリベリオン

全長180㎝体重96キロ

タロットカードの「SUN(太陽)」を意味する

獅子堂ハルトの使用するリベリオン、総合ランクB

契約クリーチャーは紅いライオン「プロミネンスレオ」

メインカラーは朱色、基本的なスタイルで肩は鬣を意識し、胸にプロミネンスレオの顔が模してあり頭部は鬣を左右に固めた様なヘッドギアの構成をしている。

常設武器はガットレット式の「アポロナックル」デバイスは右肩に取り付けてある。

 

未契約体

クリーチャーを契約していない状態の姿。

基本カラーが朱色ではなく紺と銀のツートンカラーで肩のアーマーなどが付いていない。総合ランクE

唯一左腕に小手が取り付けられているが飾りと言っても過言ではないくらい耐久性が非常に低い。

使用メモリーも全てランクEよりも低い。

 

 

使用メモリー

 

ソードイン

レオンハートソード ランクC+

プロミネンスレオの腕と爪の形をしたクロー型の剣で爪の様な3本剣のモードと、それを1つにした大型剣モードを使い分ける、剣を外し拳としても使用可能である。

必殺技は「レオンハートスラッシュ」

 

バスターイン

レオバスター ランクB

プロミネンスレオの顔の形をした武器、単発で弾を撃つタイプとチャージショットタイプを使い分ける、また噛みつき攻撃も可能としている。

必殺技は「ブレイズレオバスター」

 

ロッドイン

ブロンズロッド ランクE-

未契約体の時に使用。

ランクも最低の数値で、クリーチャーの攻撃ですぐにへし曲がってしまう。

 

フィニッシュイン

プロミネンスブレイカー ランクA

プロミネンスレオの口から出された火球を拳、足、体に纏い相手に一撃を与える。発動時は腰を低く構え大きくジャンプする。

 

 

ルナリベリオン

全長190㎝体重83キロ

タロットカードの「MOON()」を意味する

三日月伊織の使用するリベリオン、総合ランクB

契約クリーチャーは青いハヤブサ「ブルームーンファルコン」

メインカラーは青と黒と黄色、中世の騎士と侍を合わせた様な姿をしおり三日月を思わせるアーマーが特徴的。

常設武器は日本刀式の「妖刀真月」デバイスは真月の鍔に取り付ける。

22体の中で最も早く使用者の見つかった機体。

 

使用メモリー

 

ソードイン

牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり) ランクC

ブレードの様な大剣。その重量から一撃のダメージは高いが、空振りすると隙が出来る弱点を持つ

 

シャドーイン

ブラックミラージュ ランクD

2人~6人の分身を生み出す(分身は全身が黒い)

 

シールドイン

ルナ―ズイージス ランクC-

ブルームーンファルコンの翼を模したシールド。羽根部分が剣の様に鋭く格闘武器としても扱える。

 

フィニッシュイン

羅刹・滅却翔(らせつ めっきゃくしょう) ランクB

ブルームーンファルコンが背中に装備され、真月、または牙王天羽々斬で、連続で敵を斬り付け最後に大きく剣で切り裂く(一撃のみの場合もある)

 

 

デッドリベリオン

全長187㎝体重94キロ

タロットカードの「DEATH()」を意味する

切島一貴が使用するリベリオン、総合ランクD-

契約クリーチャーは緑と黒のカマキリ「デスサイスマンティス」

メインカラーは緑と黒、黒のフードを被り、カマキリ様な目と触覚を合わせたヘッドギアが特徴的で、カマキリの下半身をロングコートにしたようなアーマーが特徴。

常設武器は大鎌の「ジャックデスサイズ」デバイスはジャックデスサイズの上部に取り付けている。

連続殺人怪事件を繰り返す、その実態は一貴本人の趣味であった。基本スペックはリベリオンの中でも1番低い方だが、人やクリーチャーを食わせ続ける事によりソルリベリオンやルナリベリオンにも劣らない力を発揮する。

 

使用メモリー

 

ソードイン

デススラッシャー ランクE

デスサイスマンティスの腕の形をした小型化の鎌。直接腕に取り付けたり、ブーメランとして扱うことも出来る。

 

シールドイン

デスシールド ランクD

デスサイスマンティスの下半身の形をした盾。羽根を展開する事で防御範囲を拡大する

 

フィニッシュイン

デッドリースライサー ランクC-

デスサイスマンティスの鎌を踏み台にして、飛び回転し真空刃を作り敵を切り刻む。

リベリオンの中でも一番数値の低い技であるが、人やクリーチャーの捕食によりランク以上の威力を引き出している。

 

チャリオットリベリオン

全長184㎝体重100キロ

タロットカードの「CHARIOT(戦車)」を意味する

国枝半蔵が使用するリベリオン。総合ランクA

契約クリーチャーは銀の馬「シルバアーマホース」戦車型の「チャリオットフォートレス」を引かせている。

銀色の甲冑に、陸軍の様な姿をしている。

常設武器は剣と小型銃に変形する「ギミックガンソード」デバイスは、銃のの上部に取り付ける。

 

使用メモリー

 

ショットイン

キャプチャースナイプライフル ランクB

背中に大きなエネルギータンクと太いスナイパーライフルを思わせる重火器

大砲並の威力を持ちスコープでターゲットに集中できる

必殺技は「ブラストファイアワークス」

 

バスターイン

アーマーカノン ランクA-

背中に取り付ける2つの滑空砲。重量に見えるが、意外と軽量。

 

フィニッシュイン

クリーヴ・オブ・ロード ランクS

シルバアーマホースとチャリオットフォートレスを召喚し、フォートレスに乗り装備されている武装を発射させながら相手に向かって突撃する。

ギミックガンソードを操縦桿として取り付け操作する為、若干のタイムラグがあるのが弱点だが、それを除けばリベリオンの中で一二を競う攻撃範囲を誇る。

 

 

ハングドリベリオン

全長197㎝体重98キロ

タロットカードのHANGED MAN(吊るされた男)を意味する。総合ランクB+

猿の顔を逆さにしたようなヘッドをしており手足のアーマーも逆さまのデザインをしている。身軽な動きを得意としたスピード戦を得意としており、周囲に吊るされる様にぶら下がる事で相手を翻弄する。

契約クリーチャーはこげ茶色の手長猿「バンデットシーミア」シーミアはラテン語で猿を意味する。

常設武器は存在しないが、手足が自在に伸縮しあらゆる場所にくっついて移動可能である。

 

使用メモリー

 

ソードイン

ハングドナイフ ランクC

持ちでが逆さの小型ナイフを無数に召喚する。

 

スィングイン

リバースウィップ ランクC+

茶色い鞭の様な武器、ハングドの腕同様、自在に伸縮が可能。

 

フィニッシュイン

デスハング・ド・オーバーキル ランクB

バンデットシーミアが手足を伸ばし相手を囲む様にしハングドリベリオンがパチンコの様に反射し攻撃を繰り返し止めの蹴りを与える。

「狭い所でしか有効じゃない」「壁のない所では発動できない」「バンデットシーミアの手足がずらされると攻撃が中断される」と致命的な弱点を持ち使用できる場所は少ないが決まればほぼ一撃必殺と言える程の殺傷威力を持つ。

 

スターリベリオン

全長195㎝体重99キロ

タロットカードのSTAR()を意味する。

星流凜が使用するリベリオン、総合ランクB

契約クリーチャーは機械化したようなヒトデ「スターウェイブ」直訳すると星流と言う。

常設武器は十字架を模した盾型の「スターシールド」溶解液をも防ぐ防御力を誇る、デバイスはシールドの裏側に取り付けられている。近接戦闘武器としても扱える。

 

ソードイン

スターソード ランクC

大型の手裏剣の様な形をした剣、攻撃範囲が広い。

 

シールドイン

ウェーブバリア ランクC+

スターシールドから電磁波状のバリアを発生させる、磁力により鉄製の物を引き寄せることも出来る。

 

フィニッシュイン

スターメテオ ランクB

スターウェイブの上に乗り上空から小型の星型の手裏剣を相手に落とし最後に突撃する。

攻撃後の反動があるが直撃直前にスターメテオから降り反動を軽減させる。

 

フォーチュンリベリオン

全長189㎝体重120キロ

和野要人が使用するリベリオン、タロットカードの「WHEEL OF FORTUNE」を意味する。総合ランクB+

メインカラーは赤茶色、常設武器が無いものの強固な装甲「機重甲イージスアルモア」と耐久力を誇りそれを活かした肉弾戦を得意とする。デバイスは左胸に収納されている。

 

ナックルイン

ホイールパンチャー ランクC+

太い棘の付いたタイヤの様なナックル型の格闘武器、耐久性もあるため小型盾としても使用できる。

 

マークイン

ブリングサイン ランク無し

クリーチャーを引き寄せる、このメモリーは基本デバイスに装填せずクリーチャーをおびき寄せたい所に投げつける。デバイスに装填した場合自身にクリーチャーが寄って来る。またリベリオンを使用せずとも使う事が出来る。

 

ローブイン

ローブトラッシュ ランクE

相手の武器を奪う能力、初期状態から使用回数が多い。

 

フィニッシュイン

ホイール・オブ・ディスティニー ランクB

ディスティニーラチェルタと共に転がりながら回転し相手を連続で弾き止めに挟み撃ちにして相手に激突する。

 

 

フールリベリオン

全長189㎝体重83キロ

黒崎我怨が使用するリベリオン。タロットカードの「FOOL」を意味する。総合ランクA+

メインカラーはダークグレー、全体がワニの皮膚を思わせる装甲をしており眼も他のリベリオンと異なり鋭いデザインをしている。身軽な格闘戦や襲撃を得意としており我怨本人の凶暴性がそれに加わり強力な力を持っている。

21体のリベリオンとは異なり黒幕が急遽追加させたリベリオンである。

 

ソードイン

ダイルブレード ランクB

バイオヘルダイルの尻尾を模した鋸型の剣、かなりの破壊力を誇っている。下部のヒモを引っ張るとチェーンソーの様に振動しあらゆる物を破壊する。

 

フィニッシュイン

ファングラッシャー・バイオレンス ランクS-

バイオヘルダイルが相手の体を強力な顎でかみ砕く様に挟み、それをフールリベリオンの方向に投げつけ、またフールリベリオンが両足で顎でかみ砕く様に挟み、地面に引きずり、最後に蹴飛ばす。弱点もなく強力な技で非常に厄介である。

 

 

ラヴァーズリベリオン(F&M同様)(フォーメイル メイル)

全長190㎝体重88キロ

深井愛人及び、永遠野双葉が使用するリベリオン。タロットカードの「LOVERS」を意味する。総合ランクC+

愛人が使用する場合メインカラーはシアン、双葉が使用する場合メインカラーはマゼンタ。

脚にパワージャッキが展開され、身軽な細い体型に螺旋状に渦巻く肩のアーマー、右目は青、左目はピンクの両目ツインアイを持ち膝にはハートマークが刻まれている

デバイスが2つ存在し、2人の使用者として戦う。変身できるのは1人のみで、片方が使用すると、もう片方には変身機能が失われる。

ランクは、デッドリベリオンより上だが、単純なパワー戦では劣っている。

その為、2人で交互に使用し、制限時間やシステムメモリーの使用制限の制約を無視して戦い相手を惑わせる戦闘スタイルを持つ。

 

ショットイン

ラビリンスボウ ランクC

ドラゴキューピットを弓の形にした武器。

チャージモードと、連射モード、近接武器として扱える。

 

トランスイン

スキャニングコピー ランク無し

相手の武器、姿を解析し、自身の物にする。ただしスペックは使用者と同じになる為、強い相手をコピーしても強さはそのまま。

 

フィニッシュイン

ラブレイトヘイト ランクB-

相手をラヴァーズリベリオンの方向に投げつけ、それを蹴り返し、それをまた、ドラゴキューピットが叩きつけ、それを繰り返し、最後には、ドラゴキューピットが使用している方とは別のラヴァーズリベリオンに変化し、2人同時に、踵落としを食らわせる。

 

 

ストレングスリベリオン

全長234㎝体重150キロ

田井中力が使用するリベリオン、タロットカードの「THE STRENGTH(ストレングス)」を意味している。総合ランクA-。

両腕が大きく、巨大なガントレットが目立ち、ゾウの耳を尖らせた様な、ヘッドギアをし、今までのリベリオンより、一回り大きく、体格がゴツイ。22機のリベリオンの中でも、一番高身長で、体重が重い。

 

パワーイン

ビルドアッパー ランクB-

筋力上昇させる能力。通常の10倍の力を引き出す為、元々パワーのあるストレングスリベリオンだと他のリベリオンが使用する以上の力が引き出される。

 

フィニッシュイン

ダイナミック・ウィン・ホール ランクA+

ペインエレファントが地響きを鳴らし、怯んだと所を花で巻き付け、地面に叩きつけた後、ストレングスリベリオンの方に投げつける。その後敵をを両手で掴み、地面に叩きつけ、ローリングクレイドルの様に、回転し、最後に壁の方に叩きつける。

 

 

ハーミットリベリオン

全長200㎝体重79キロ

早乙女灯梨が使用するリベリオン。タロットカードの「HERMIT」(ハーミット)を意味する。総合ランクA

白と紫色がメインの、肩に、槍を模した、突起が目立ち、背面は、触手の様な物が、ロングコートの様になっており、手足には、ランタンを思わせる形のデザインをした、黄色に光る、アーマーが取り付けられ、頭部には、額に、1つの目が、赤く光るのが特徴。最大、8本の槍を備えている。

目的は不明だが、ギガ・オーガの、一部を回収している。

 

スピアイン

クラーケニール ランクB-

大型の槍を召喚し、相手を一掃する。

 

フィニッシュイン

ハーミット・ロウ ランクB

ヴェノムクラーケンが相手を巻き付け、地面に叩きつけた後、触手で連続で突き、吹き飛ばされた所をハーミットリベリオンがハーケンスピアを投げ、相手を貫く。




今回は見る前に一通りの作品紹介です、これで少しでもみたいなと思ってくれれば何よりです
不満、改善などは遠慮なくどうぞ!

随時更新予定です!



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アルカナTHEリベリオン 用語紹介

こちらは用語紹介です。
随時更新予定です。


サイバープログラム

本作のキーパーソン。電子機器から出入りが可能、一見、普通の世界の様に見えるが、辺りにノイズが入り混じっており、建物などが、コガネムシの様な色合いとなっている。

一般人が入り込むと、5分も立たずに、ノイズとなり消滅するが、リベリオン使用者であれば、自由に行動出来る(正確にはアルカナ・デバイス持つ人間)

ゲートへの出入りはどこからでも可能であるが、クリーチャーと契約していないリベリオンは、一度入った場所もしくは入ってから24時間後に、ランダムに出現する出口専用ゲートからしか出られない。

 

リベリオン

本作における戦闘用スーツ。機械的なデザインであり肉体は取り込まる仕組みになっており腕を破壊されても実際に腕が切断される訳ではない。スペックはランクで判定しており、最低Eから最大SSと表記される。

「黒幕」が開発し、0番目を含め全部で22体存在する。全てがタロットカードの、大アルカナの暗示を由来としている。

 

アルカナ・デバイス

リベリオンを装着する際に使用する端末機。

裏面にはクリーチャーを表すレーダーを搭載している。装着する際には右左どちらかの二の腕に取り付ける必要がある。システムメモリーを装填することが出来る。

変身後は、リベリオンが使用する常設武器に取り付けられる(一部例外あり)

また固有の武器に装備する事も出来る。これを持つ者はサイバープログラムに出入りが自由でありディバイダーでなくとも可能とされている。

リベリオンバトルのルールもこれに記載されている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

ルール

リベリオンバトルにおいて設けられているルール。

これに違反した使用者は、モニタ曰く「チョー凄い罰」が待っているらしい。

 

①「勝ち残れるのはただ1人、勝者には望みの叶ある物を提供する」

 

②「14日以内に契約しているクリーチャーにエネルギーを補給しなければ契約違反とみなしそのクリーチャーに喰われるので定期的に補給をただし食べすぎにはご注意を」

 

③「戦いに敗北=死んだ場合は使用者の記憶及び存在が抹消される、また他の使用者には記憶が残る」

 

④「サイバープログラムの出口は1時間後に消える、その後は24時間後に出口専用のゲートが開かれるのでそれまでは出る事は出来ない」

 

⑤「サイバープログラム及び、現実世界でのリベリオンの使用時間は1時間、再使用には、1時間を空けなければならない。

しかしサイバープログラムと現実世界で交互に行き来し、変身を解除する事で、制限時間が時間はリセットされる」

 

⑥「自身のデバイスを故意に破壊する事はペナルティと見做す」

   

⑦「リベリオンを使用した戦い以外の方法で殺す事(脱落させる事)もペナルティと見做す」

 

 

システムメモリー

ビーカーの様な形をしており、メモリに応じて様々な力を使うことが出来る。戦いの経験値に応じて使用回数使用できるカードが増える仕組みとなっている。リベリオン同様ランクで能力が判定される。

 

ウェポンメモリー

武器を取り出すときに使用する、使用者によって出される武器は異なる。盾や防御系もこちらに含まれる。

 

特殊系メモリー

特殊能力が扱える、実体を消す、分身する、軟化するなどの能力がある。殆どがランク無しである。

 

フィニッシュメモリー

必殺技を使用する際に使用する。これのみ1回の戦闘に付き1回のみしか使用できない(複数所持の場合も1個につい1回のみなっている)

 

 

契約カード

クリーチャーと契約するタロットカード型のカード。

クリーチャーに近づける事で、契約成立する。デバイスに翳したり、カードを見せる事で召喚可能となっている。

破ったり、破損すると、契約破棄とみなされ、捕食対称となってしまう。

使用者にそれぞれ最初に3枚用意されている。複数のクリーチャーとも契約が可能であり、他の使用者から奪ったカードでも、契約可能である。

 

ユニゾンカード

クリーチャーと融合する力を持ったカード。

2つの力をを宿しており、それらの能力も付与される。デバイスに翳す事で変身可能となっており、デバイスもまた、専用武器へと変化する。

 

 

可夢偉町(かむいちょう)

本作の舞台である、ハルト達が住む都市。機械技術が発達しており、近未来に近づいている。

ショッピングモール、ゲームセンター、スタジアムなどの施設がある他、使われなくなった廃墟なども多い。

夜は大人のお店が繁盛しているらしい。



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第0話「孤独な歴戦」

今回は第1話より前の第0話を公開です!
本編より早く登場するリベリオンも登場です!!
第1話にてハルト達が調べにいった屋敷に注目です!

それでは第0話どうぞ!


今回描かれるのは物語から約1年前なる。

 

謎の怪奇現象…その実態はサイバープログラムに存在するクリーチャーによる仕業であった……。

その中で1人戦う戦士がいた三日月伊織ことムーンリベリオンだ肩や膝が満月の様に丸いデザインとなり黄色を中心としたカラーとなっている。

伊織はルナリベリオンの使用者だが一体どういうことなのか……?それは今回の話にある。

 

「くっ…これで最後か!」

 

その声はまだ少し幼く聞こえる、ムーンリベリオンは狼の顔を模した(ヴォルフソード)で無数のビーワスプを倒していく。

その残骸を灰色の狼のクリーチャー(グレイヴォルフ)が貪り尽す。

 

「はぁ…はぁ…これで全部か…これでけ与えれば十分だろ…」

 

クリーチャーを倒し強化するこの頃はまだ単調的な考えを持っている伊織。

 

「これで勝ち残れば由那の病気は…」

 

それは妹の由那の為…家族の為その決意を胸に秘めた伊織の前に黄色い光弾が襲い掛かった。

 

「うわっ!?新手か…!?」

 

「悪いけどあなたにはここで倒されてもらうわ」

 

そこへ1体のリベリオンと思われる戦士(サンリベリオン)が現れた。その姿は肩の形は太陽を思わせ全体が黄色とオレンジがメインカラーとなっている、声からして女性である事が分かる

サンリベリオンは左の手の甲の取り付けてあるデバイスにシステムメモリーを装填し「バスターイン」の音声が発せられそこらにある車の上に立っている黄色い九尾の狐のクリーチャー(アポロナインフォックス)が現れアポロナインフォックスの九尾の尻尾を模した武器(フォックスレーザー)が右手に取り付けられる、それをムーンリベリオンに目がけて叩き付けるがそれを避けられる。

 

「負けられないんだ…妹の…命が掛かってるんだ!!」

 

「そうね、でも私にも負けられない理由があるの」

 

サンリベリオンの正体は姫宮灯(ひめみやあかり)、エネルギー開発会社(姫宮グループ)の社長の1人娘、桃色の長髪が特徴で足もスラッとした外見で美人である、ある時姫宮グループはある会社に株を取られ、会社は倒産し父親はそのショックで屋敷に引きこもってしまう、彼女の望みは「父親の会社を復活させる事」だ。

 

徐々に追い込まれるムーンリベリオンは壁に追い込まれる、サンリベリオンはフォックスレーザーの尻尾を模す部分を展開させエネルギーチャージを開始する、エネルギーは1分と立たない内に貯まりきり強烈な一撃(サテライトフォックス)が放たれ壁ごと破壊されムーンリベリオンは吹き飛ばされる、立てるのが限界のムーンリベリオンにサンリベリオンはゆっくりと近づいて来る、ムーンリベリオンはタロットカードを取り出しグレイヴォルフを召喚する、グレイヴォルフはサンリベリオンの右腕に噛みつくがそれを思い切り振り払われる、サンリベリオンがホルダーからシステムメモリーを取り出そうとしたその時!1本の長い手の様な物がサンリベリオンの左肩を貫いた、サンリベリオンが後ろを振り向くとそこにはが猿の顔を逆さにしたような顔をした戦士(ハングドリベリオン)が立っていた、肩と腕や太ももや足のアーマーも全て逆さではないかと思うくらいアンバランスな見た目だ。

 

「フフフ…相手は1人とは限りませんよ」

 

声はややの太くそして丁寧な口調でハングドリベリオンは挑発する様に誘いだす、サンリベリオンはその挑発に乗った様にハングドリベリオンの元へ走り出し殴りかかるがそれを簡単に避けられる、ハングドリベリオンは近くにあった信号機にぶら下がり自在に伸びる腕でサンリベリオンを追い込む、ムーンリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出しヴォルフソードに取り付けられていたデバイスに装填し「フィニッシュイン」の音声と共にグレイヴォルフと共に走り出し大きくジャンプしヴォルフソードを投げ蹴り貫く様に信号機にぶら下がるハングドリベリオンに向かって必殺技(ヴォルフライトニング)を発動する…がそこへ手長サルの様なクリーチャー(バンデットシーミア)がムーンリベリオンを掴み地面に投げつける。

 

「隙を突くとは……やりますね、ですがこれで終わりです」

 

ハングドリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出し右腰にあるデバイスに装填し「ソードイン」の音声と共に無数の持ち手が逆さのナイフ(ハングドナイフ)が現れムーンリベリオンとグレイヴォルフに襲い掛かる。

 

「グアっ!!何で…強化した…のに…!!」

 

「残念ですがクリーチャーを強化しただけでは勝てません」

 

ハングドリベリオンはバンデットシーミアに命令する様に首を右に振りグレイヴォルフの元へ向かわせてた、バンデットシーミアはグレイヴォルフの首元を噛み千切り前足を掴み引っ張り千切る、ムーンリベリオンの体は色がだんだん薄くなり肩などのアーマーが消えていく。

 

「まさか…クリーチャーとの契約が…」

 

もうすでにグレイヴォルフは動かなくなっていた…ハングドリベリオンの力の前に未契約状態となったムーンリベリオンは逃げだすざろう得なかった。

 

サンリベリオンもハングドリベリオンの猛攻撃に既に瀕死の状態ながらある屋敷の方へ逃げて行った、そこは後にハルト達が向かう屋敷であったつまりそこは現実世界でいうと姫宮家の屋敷だったのだ勿論ここはサイバープログラムの中のため人などいないしかし現実世界では父親がそこに引きこもっている、サンリベリオンは父親の引きこもっている部屋へ隠れ一言呟く。

 

「戦いに勝てばお父さんはもう一度…あの頃の様に…」

 

父親を尊敬し自身もその背中をみて育った灯、彼女は父親の為に戦う……、弱った体を癒そうとするが下の方から「フィニッシュイン」の音声が聞こえた窓の方を見るとそこには既にハングドリベリオンが屋敷の外にいた。

 

「そこにいるのが失敗でしたね」

 

ハングドリベリオンは大きくジャンプし反対側にはバンデットシーミアが同じようにジャンプしサンリベリオンのいる部屋に侵入し手足を伸ばしサンリベリオンを囲むようにする、ハングリベリオンは部屋に侵入しハングドナイフを片手に4本づつ指の間に挟みバンデットシーミアの伸びた手に足をつけパチンコの様に反射しそれを交互に繰り返し、止めに両腕を伸ばしサンリベリオンの頭を掴み頭をもぎ取る様に胸部を蹴り上げ必殺技(デスハング・ド・オーバーキル)が決まる、サンリベリオンは壁に叩きつけらその衝撃でデバイスだけがパソコンの中に入り現実世界に移動される、デバイスを失いサンリベリオンのアーマーが解除される灯の体は粒子に包まれ消滅しようとする。

 

「いや…こんなの…お父さん…ゴメンなさい…私…出来なかったよ…」

 

そう言葉を残し顔を涙でグチャグチャになった状態で灯は消滅した。契約解除となったからかアポロナインフォックスは雄たけびを上げ何処かへ去った。

 

「これで1人…随分あっけなかったですね」

 

ハングリベリオンは屋敷の外に出て行った。その頃現実世界の姫宮家の屋敷では引きこもった父親の前にデバイスが放出された、父親がデバイスを手に取ると……

 

「何だ……灯っ!!まさか灯は…そんな…ああああああああああああああああ!!」

 

本来リベリオンの使用者は死ぬと記憶が消えるがデバイスを手にするとその記憶が脳内に浮かび記憶が戻る、娘の死に絶望する父、放心状態となり一歩も動こうとしない、そんな彼の近くにあったブラウン管のテレビにプロミネンスレオが写る………………

 

そして何とか現実世界に戻った伊織はボロボロの状態だった、そこへまだ11歳の頃の葵が駆け付ける。

 

「義兄さん!!酷い怪我…」

 

「クソっ!!俺のクリーチャーが倒された…これじゃ…由那を…由那を…!!」

 

グレイヴォルフが倒され絶望的状況に追い込まれた伊織、しかしその時彼の目の前に電気ショップのテレビから青い鳥のクリーチャー…ブルームーンファルコンが写り出す。

 

「俺に…力を…力を寄越せ!!」

 

人目を気にせず伊織は何も書かれていないタロットカードをデバイスに翳しブルームーンファルコンは伊織をすり抜ける様に突き抜ける、カードはブルームーンファルコンが描かれたMOON()のカードへと変化した。

 

「これでもう一度…由那…俺が救ってやるからな…」

 

「義兄さん……」

 

再び力を手にし改めて由那を救うと誓う伊織……その表情は修羅の道へ行くような顔だ、葵はそれを心配するように見つめる。

そしてその後伊織はムーンリベリオン改めルナリベリオンを纏い再び戦いの中へと…

 

これはまだ始まったばかりに過ぎない…リベリオン使用者はまだ全員そろっていない…そしてその一年後戦いは本格的に始動する。

1人の少年がデバイスを手にし伊織と出会い物語は始まるのだった……………

 

そして物語は第1話へと進む……




第0話…1年前に起きた戦い……そしてソルリベリオンは前の使用者存在した…

果たして灯の父親はこの後どうなったのか……それはもうお分かりのはず…

そして本編に先駆けて登場したハングドリベリオン、使用者はまだ不明ですが今後の登場にご期待ください。

そして去っていったアポロナインフォックス……今後どう出てくるのかはたまた…

因みにクリーチャーとの契約はどのクリーチャーでも構いません、例えばソルリベリオンがビーワスプと契約した場合カードには「SUN」と書かれます。
元々それぞれタロットカードの名前を由来としており制限などはありません。

ハルト達の入った屋敷は姫宮家の屋敷…そしてそこにあった灯のデバイスはハルトに受け継がれて彼は戦いの場へと引き込まれる…果たしてその先に何があるのか?

今後にもご期待ください!!


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第1章
第1話「紅い獅子 青いハヤブサ」


完成しましたアルカナTHEリベリオン第1話、未熟な所は有りますが観覧してもらえるとなによりです!
切なく、果てしなく、そして葛藤する物語…、それぞれの道を行く者達による戦い…。
それでは第1話気軽に見てください


時は少し未来、日本では、謎の怪奇現象が発生していた。失踪、謎のノイズ、メッセージ、数々の現象が、起こっている、それらの共通点は「その現象がテレビや、カメラなどの、電子機器のある場所で起こっている事」である。そんな不穏な日々が続く、ある日の事から物語は始まるのであった。雨が降りそうな曇った空の中、とある高校で1人の少年が大きく欠伸をしながらだるそうに教室の天井を見るのであった。

 

「あ~、ダリィな……、何かこう面白い事ないかな~」

 

俺の名前は、獅子堂(ししどう)ハルト、まぁどこにでもいる、平凡的な高校生、そんな俺の通う高校、それは可夢偉町(かむいちょう)にある、私立テクノアカデミー高、ぶっちゃけ言えば電子機器とかを専門に扱う所だ、俺がここに入ったの興味があったのもあるし何かドデカイ事をしたいからだ。まっ最近じゃ特にやりたい事が見つからないがな~。

 

とそこへ1人の女子生徒が、ハルトの元へ駆けつけ、机を勢いよく「ドンっ!!」と叩くのであった。

 

「オッス~、上の空を見るハルト君~、今もしかしてお暇か~い」

 

この陽気で紺色のポニーテールの女は桜木彩(さくらぎさや)、幼馴染兼親友だ、とにかく明るくて強気で、可愛さは何処にいった?ってくらい男っぽい女だ。そのテンションは嫌いじゃないが…

 

オカルトと不思議好きのコイツが言う事は、大体分かるが………

 

「暇ならば私と一緒に最近流行りの怪奇現象を、調査使用じゃないか!、1人じゃ不安だしさ~、せっかく入れる所見つかったんだしさ!なっ!なっ!なっ!」

 

彩は顔を近づけ、ハルトを見つめる。ハルトは断り気味だったが、彩は強引に彼の手を引っ張り、すぐ様学校を出るのであった。歩いて30分、向かった先は、古びた大きな洋館、最近ここで、怪奇現象が起きたのであった。

 

その怪奇現象とは人の失踪、鳴り響くノイズ、壁などに写る謎のメッセージ、ポルターガイストとは、また一味違った感じだ、その現象の共通点は「電子機器のある場所で起こっている事」だ、これがキーワードになる。文字通り屋敷は荒れている。

 

古いブラウン管のテレビ、画面の割れているパソコンが置かれていた。どちらもスノーノイズが流れ、とても見れるような物ではない状態だ。

 

「ひぇ~こりゃ誰か住んでたって所だな~、だとしても何でこんな廃墟に?変わった奴もいるもんだな~」

 

ハルトは当初現象の事を、大人がパソコンなどやりすぎの防止の為の、作り話と思っていた。しかし、現場を見て、改めて確信した、怪奇現象が起こった事を。

 

部屋の中を探索していると、足の小指が何かにぶつかった。ハルトは大きく跳ね上がり、小指に息を、フーフーするのであった。

足元を見てみると、古臭い所にあるとは思えない、近未来的な、灰色の"端末機″らしきものが落ちてあった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

ハルトはそれを、珍しい物を見る様に、見惚れるのであった。

 

「なんだこりゃ?それに何だ、このペンダント?それに・・・・・・・タロットカード?」

 

端末機と一緒に、落ちてあったのは、何かに引きずり込まれそうな、デザインのペンダントと、絵のないタロットカードの様なカードだった。

それをじっくり見ていると、古いパソコンから、大きく「グルルルル……」雄たけびの様な、ノイズの様な、音が流れ出した。

 

「なっ、なんだ・・・・・・・?何かの声じゃ・・・・・・・ないよな?」

 

ハルトが後ろを振り返ると、そこから突然と、紅いライオンが現れ「グオオオォォォォォっ!!」と雄たけびを上げながら、ハルトを襲い掛かろうとする――――――――――

 

大きく声を挙げ、両手で防ごうとした、その時―――――――ペンダントから電磁波の様な、バリアが発生し、そのバリアに紅いライオンは、弾かれた。

 

紅いライオンはパソコンではなく近くにあった、ブラウン管のテレビに吸い込まれる様に消えてゆくのであった。ハルトはその場で、腰が抜ける様に、尻餅を着いた。

 

「なっ…何だった今のは…、ライオン…だよな?、一体何で…悪い夢でも見てるのか?」

 

ハルトは自分の頬を抓る、抓った頬は痛い、これは夢じゃない、現実だ。唖然とするハルトの目の前に、他の部屋を調べていた彩が来た。

 

「どうしたのさ~急に大きな声出して?まさか、お化けが出たとか言うんじゃないよね~」

 

彩は、尻餅をついていたハルトをからかいながら、彼の手を掴み、立ち上がらせた。

 

「まさか・・・・・・・それよりさもう帰らね?随分暗くなったし」

 

言えるわけない・・・・・ついさっき目の前で、現象らしき出来事に遭遇したなんてさ・・・・・何かの間違いだよ、きっとこの家の、主の変わった警報みたいなもんさ。でも人いねぇよな・・・・・・・・

 

俺は焦る様に、彩の手を握り、屋敷を急いで去った。

 

「ちぇ~結局収穫なしか~まぁそんな簡単じゃないよね~んじゃっ、また!」

 

ハルトと彩は、街角の分かれ道で別れた。一方屋敷では・・・・・・・入り口近くで小説を読みながら、屋敷を見つめる男の姿が、この男は一体・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

翌朝、今日は土曜日なので、ハルトは電気街のゲームセンターへ、遊びに行った。昨日拾った端末機持ち歩き・・・・・・・

これが彼の人生を大きく変える事となる・・・・・・・・・・

 

「あ――――!!全然取れね―――!はぁ・・・また失敗だ・・・・・・」

 

またクレーンで失敗、これで何度目だよ・・・・・・・・・・

周りなんて気にせず、俺は大きく叫んだ。そんな時だ、1人で、格闘ゲームしている奴を見てた、何というか、普通の光景だ。

その時だ、そのゲームの画面が突然と、スノーノイズが流れ始めた。ソイツは当然「何だ壊れたか?」とイラつく訳だ。するとだ突然画面から、サソリみたいなハサミが現れ、そいつの体を、挟み、画面の中に引きずりこんだ、誰にも知られず。

突然と、密かに消えて行った。

 

「なっ・・・なんなんだよ・・・おい、どうなってんだよ!!」

 

俺はすぐ様、そのゲーム台に近づいた。

辺りを調べてるが、特に何も以上はない、スノーノイズのままの画面を除いて。その画面をよく見ていると、俺は誰かに押されたかのように、画面に顔がぶつかりそうになる。だが、ぶつかる事はなく、逆にさっきの奴みたいに、吸い込まれた、その中はまさに砂嵐の光景だ、そのまま流れていくように前へ進むと、突然昨日拾った端末機が光俺の体を包んだ。

 

「・・・・・・・・遅かったか」

 

一方、ゲームセンター内では、昨日、屋敷の近くにいた男が、スノーノイズの流れるゲーム台の近くにいた。その男の手には、ハルトと同じ、端末機を手にしていた、しかし、ハルトと違い青い色をしていた。

 

「う~ん・・・アレ?・・・・俺ゲーセンにいたよな・・・何で外に?それにここは?」

 

意識が朦朧する中、目の前はゲーセンではなく、電気街のど真ん中であった。しかし、普通の街中ではなく、建物などが、コガネムシの様な、色合いをしている。ハルトは、壁によっかかろうとした瞬間だった、ガラス越しに映るハルトの姿、しかしその姿は、機械を思わせる姿だった。

 

紺と銀のツートンカラーで、黄色い両目(ツインアイ)をし、丸みのある肩パーツ、ある程度しか防御出来なさそうな、肘の小手が装備されている、ただ1つ「弱そうな機械」みたいな姿になっていた。その姿に驚いたか、ハルトはその体を触る。

 

「はぁっ?何だこりゃ!?一体どうなって・・・・・ってマジかよ・・・・・・コレ仮想ゲームとかじゃないよな・・・・・・?」

 

嘘だと信じたい、でも目の前で起こってるのは現実、もう何が何だか分からねぇよ!!

 

俺は唖然した、そりゃそうだ、気が付いたら機械の様な体になってんだからよ。そんな驚いてる中、俺の後ろにはさっき人を画面の中に引きずりこんだ、サソリのような黒い怪物がいやがった。途轍もなく毒々しい姿をして、ヤバさが伝わってきた。

 

ってか・・・・・・・・思ったよりデカい、俺の顔は真っ青になった、顔見えないけど。

サソリの様な怪物は、突然と俺に、尻尾を突き刺そうとした、とっさの事だが、何故か避けられた、体が軽くなった?と感じる程思うような動きだ。

ワケも分からず俺は、その場から逃げた、逃げ続ける中、サソリの様な怪物は、口から液体を吐き出し、その液体が掛かった所は、綺麗サッパリと溶けていく、あんなの当たったら、一溜まりもない!、どうすればいいかも分からないまま、逃げ続けて、かれこれ、30分ぐらいたったのだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・

 

サソリの様な怪物は、銃弾を弾き返す様な固い皮膚を持ち、毒々しい尻尾を持ち、鉄をも真っ二つに出来そうな、鋭いハサミを持ち、張り付いて移動できそうな、8本足の足を持つ。

 

「っく・・・何なんだよ!あぁもう最悪だ!これからどうすりゃいいんだ?コレ、どうやったら外れるんだ?」

 

ハルトは装着されている機械の頭を取り外そうとするが、ビクともしない。そう焦る中、サソリの様な怪物が迫って来た、絶体絶命――――――!!

 

と思われたが、突然と大きなモニターから、同じく、機械的な体をした者が現れた。青いカラーをしており、中世の騎士と、日本の武者を合わせた姿をしており、肩や頭には、三日月を模様する形をしていて、胸部は、鳥の顔を思わせるデザインしており、ハルトと違い、肩に尖りがある腕に、黄色いラインがある人物だ。

 

サソリの様な怪物は、青い戦士の方向を向き、尻尾の針を発射した、青い戦士は、背中に取り付いてた、赤いパラシュートの様なアーマーを解除し、そのアーマーで針を防御した。青い戦士は、ハルトの元へ飛び降りた。

 

「何だ、まだクリーチャーを持ってないのか?命知らずな奴だな・・・大人しくそこでみてろ」

 

青い機体は呆れ口調で、ハルトを後ろに下がらせた。どうやらあのサソリの様な怪物をクリーチャー(ベノスティンガー)と言うらしい。

 

そう言い、青い戦士は、左腰に取り付けていたホルダーから、1本のビーカーみたいな棒を取り出した。それを、武器であろう刀についている、青い端末機の背部に、差し込んだ。すると「ソードイン」と電子音声が発した。

空から青い鳥が現れ、空から大剣を落とした。青い戦士は、ベノスティンガーに突撃し、大剣と刀の二刀流を振りかざし、斬り付ける。しかしそう簡単にダメージを与える事が出来ず、剣の攻撃を弾かれる。

 

キィィン!!ガキィン!!

 

「あぁ使うのか・・・・・・俺にも使えるかな?」

 

それを見たハルトは、見様見真似で、左腰のホルダーに触れ、ビーカーの様な棒を取り出した。すると何故か、右肩に取り付いていた端末機が、縦に下がった。そこに棒を差し込むと、自動的に端末機が上がり、それと同時に「ロッドイン」と電子音声が発し、空から雑に銀色の棒(ブロンズロッド)が「ポロっと」落ちてきた。

それを拾い、ハルトは、ベノスティンガーに突っ込んだ。青い機体はそれを止めようとするが・・・・

 

「何か・・・意味分からねぇけど・・・俺もやってみっか!!」

 

「おいバカ、そんなんでどうにかなる相手じゃ―――――」

 

ガキン―――

 

「ウォォォォォォ!!って嘘・・・曲がった!?」

 

ハルトの一撃は、ベノスティンガーハサミに当たった、がしかし、棒はグニャッと曲がり、ハサミで殴られ、ハルトは後ろへ吹き飛ばされた。

青い機体は、呆れて頭を押さえる、そして手を翳し、そこからタロットカードが現れた。そこにはハルトとのカードとは違い、青い鳥の絵と、月が描かれ「(MOON)」の文字が刻まれていた。

それを青い端末に翳すと、カードから、青い鳥が現れ、その嘴で、猛スピードで、ベノスティンガーを突いた、突かれた体には小さな穴が空き、苦しみ出し、むしゃらに暴れ始めた。

 

その姿は、三日月を思わせる頭の飾りや、羽根を特徴とし、足の爪は純金の様に輝き、あらゆるものを掴めそうだ、刀の様に鋭い嘴をもつ。

 

「さて・・・これで終いだ!!」

 

青い機体は、左腰から棒を取り出し、再びそれを、青い端末機に差し込むと「フィニッシュイン」と音声と共に、青い鳥が機体の背中を掴み、空高く飛び上がり、目にも見えない速さで、べノスティンガーに突撃し、大剣の高速な剣裁きで、何度も切り裂く、そして最後に、上空から剣で斬り上げ、ベノスティンガーは真っ二つとなり、爆散し、その残骸は粒子状のエネルギーとなり、青い鳥が、啄む様に食べ始めた。

 

「うげっ・・・エグッ・・・まぁ何より助かったよ~ありがとなっ、てかこれ何なんだよ!?アンタ知ってんのか?」

 

礼を述べ、質問責めするハルトは、青い戦士に手を伸ばすが、それをあっけなく振り払われた。

 

「戦う気がないなら消えろ、ここは甘ちゃんのくる場所じゃ・・・・・・・・っ!?」

 

「グルアァァァァァァァァァァァ!!」

 

青い機体が、ハルトを呆れ口調で、ここから去る様に言うが、その時ビルの上に、屋敷で見た紅いライオンが現れ、口から火炎の弾を2人の方向へ吐き出した。

その衝撃で辺りのビルは破壊され、逃げようとすえう二人は、小さな建物の中まで吹き飛ばされた・・・・・・・・

 

「うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――!!」

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回のクリーチャー】

ベノスティンガー
巨大な赤紫のサソリ型クリーチャー。ランクA
両腕の巨大なハサミと尻尾の針を武器とする。あらゆるものを弾き返す程頑丈な皮膚を持つ
ゲームセンターに訪れた若者を狙いエサとしていた。



見ていただきありがとうございます。
最初なので、まだ分からない所もありますが、話が進むにつれ、明かされることになります!!
次回では今回起きた出来事が明らかになります(作品紹介でネタバレとは言わないでねw)
それでは次回にご期待ください!


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第2話「覚醒の太陽」

前回のあらすじ

幼馴染兼親友の桜木彩に、半ば強引に原因不明の怪奇現象を調査しに行った獅子堂ハルト
屋敷で発見した端末機を拾うと、パソコンから紅いライオンが現れる。
翌日ゲームセンターで人が怪物にゲームの台に引きずり込まれる現象を目にするハルト、同じくゲームの台に引きずり込まれ、機械の様な姿となってしまう、そこへ同じく青い機械のような姿をした人物に助けられる、怪物を倒した後突然紅いライオンが現れ攻撃して来る。



紅いライオンの火炎の玉をくらい、小さな建物にまで吹き飛ばされたハルトと青い戦士、2人共立ちくらみながらも、その小さな建物の中へと非難した。

 

その建物は、ハルトが吸い込まれたゲームセンターと同じ構造だ。よく見ればこの謎の空間は、ハルトの住む街とよく似ている。

その違いは、建物がコガネムシの様な色合いをしているのと、人が誰1人ともいない。最初に吸い込まれた人さえも・・・・・

紅いライオンから身を隠し、この場を去るのを待った。その時ハルトの体から、粒子あふれだした。それを見た青い戦士は、ハルトに問い掛ける。

 

「おいお前、ここに入ってどれくらい経つ?」

 

「えっと・・・・ざっと50分くらいは経つかな?」

 

ハルトがこの空間に迷い込み、およそ50分ほど経過していた。その言葉を聞いた青い戦士は、ため息をつきながら、ハルトに言い返す。

 

「命知らずだな・・・・お前、後10分で、1日はここから出られなくなるぞ」

 

それを聞いたハルトは、思わず大声で驚いてしまった。

 

「ハァっ!?何だそりゃ!何だよ、出られなくなるってよ!!」

 

何だって、ここから出られない!?ウソだろ・・・・・でも、どうやって出ればいいか分からねぇよ!!俺が頭を抱えて悩んでる時、紅いライオンが、こちらに戻って来やがった、マズい、俺の声に反応したか?

あ~もうどうにでもなれ!と思った矢先、青い戦士の奴が、俺の肩を叩いた

 

「その様子じゃ出る方法も知らない様だな・・・・・よく見てろよ、1回しかやらないからな」

 

その言葉を最後に、青い戦士は、クレーンゲームのゲームセンター内にある、両替機のモニターへ近づいた。そこに手が触れた瞬間、モニターから、スノーノイズが流れ始め、青い戦士は、その中に吸い込まれる様に消えて行った。

 

「成程、よし・・・・・・ってえぇ!!出れねぇ!どうなってんだ!?」

 

ハルトも同じ様に、両替機に近づいたが、何も反応が起きない。

出れない状況に、焦りを感じるハルト。そこに追い打ちを掛ける様に、紅いライオンが、どんどんこちらへ迫ってくる。

ハルトは、考えるに考え続けた。その時、ある事を思い出した。それはこの中が、さっきのゲームセンターと構造が同じと言う事、つまりは、自分が吸い込まれた、ゲームの台があると言う事だ。

 

「確かこれだよな・・・・・ええっと・・・・・・・・何列目だっけ?」

 

間抜けな事に、ハルトは、自分が吸い込まれたゲームが、何列目にあるか忘れてしまった。紅いライオンの右前足が、ゲームセンターの入り口に、突っ込んで来た。

ハルトは当てずっぽうに、1列目からゲームの台に、入り込もうとする。どんどん足がこちらに近づく、もうダメかと思ったその時、右から5列目のゲームの台に近づいたハルトは、足を滑らせ、偶然にも、その画面の中に入っていった。

 

ゲームの台から、吐き出される様に出てきたハルトは、近くにあった椅子に、頭をぶつけ、気を失ってしまった。周りはそれを気にしていない様子だ、するとそこへ、1人の男が気を失ったハルトに近づき、彼を抱え、ゲームセンターから出るのであった。

 

「う~ん・・・アレ、ここどこだ?確か俺は変な場所に迷い込んで・・・それで出られたような・・・」

 

ハルトが目を覚まし、最初に見たのは見慣れない天井だった。どこかの家のようだが・・・・・・ハルトは起き上がり、すぐそばにあった窓のカーテンを開けると、外はもう夕方だった。夕焼けで、街が良く見える景色、その下を見てみると、20mくらいはある。

 

かなり高いビルの様だが・・・・・・ハルトが周りをキョロキョロしていると、入り口であろうドアが開き、そこにはバケツとタオルを持った、黒いロングストレートの、12歳くらいの女の子が、目の前にいた。

 

「あっ・・・・・・・起きたんだ、目が覚めなかったらどうしようかと」

 

そう女の子は、棒読みな表情をしながら、口にした、その表情にハルトは、何ともいえない表情をした。

 

「あの・・・・・・もしかして君が運んでくれたとか?」

 

「まさか、私じゃあなたを運べないよ」

 

女の子は横を向きながら、ハルトの質問を返した、その答えにハルトは「ですよね~」と苦笑いしながら思った。

するとそこへ、入り口から1人の男がやってきた、薄い紺のジーパン、白いワイシャツ着てお、り黒い髪が少し跳ねて、黒い瞳の釣り目の男だ。その顔はハルトが、屋敷から去った後に近くにいた男と同じだ

 

「俺だよ、はぁ・・・・・・何でこんな奴運んだのか・・・・・・自分でも分からないくらいだ」

 

ハルトを小バカにする男の態度に、ムカッとなったハルト。しかしよく考えてみると、男の声はあの青い戦士と同じ声だと思った。

 

「あんた・・・・・・まさかあの青いヤツか?」

 

「あぁそうだが、本当に何も知らない様だな」

 

ハルトの質問に、頭をかきながら答える男。あの青い戦士の正体はこの男だった、その事に驚いたハルトは、男の両肩を掴み質問責めした。

 

「って事は、あの変な空間の事知ってるんだよな!!それにあの怪物・・・クリーチャーの事も!それに俺らが纏ってたアレは何だよ!?ってかアンタの名前は?」

 

「最後にそれかよ・・・・っく・・・・俺は三日月伊織、んでこっちが妹の葵、まぁ義妹だけどな」

 

男が最初に答えたのが、最後の質問だった。

男の名前は三日月伊織(みかづきいおり)、そして隣の女の子は、三日月(あおい)、彼女は義理の妹だが、その関係は?

それは後にして伊織は、ハルトの連続の質問を段取りを経て説明する。

 

「まずはだな・・・俺達が纏ったあの機械の鎧、アレはリベリオンと言われるモノだ。お前も持ってるだろ、アルカナ・デバイス、その端末機だ、ソイツを持っている奴だ大体そうだ」

 

ハルト達が纏う機械、それは「リベリオン」と呼ばれる、所謂戦闘スーツだ。

屋敷で拾った端末機は、アルカナ・デバイス、これがリベリオンを装着する、アイテムだ。ハルトのは灰色、伊織のは青色をしている。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「んであの怪物クリーチャー、アレはお前らの言う「現象」起こす連中だ、人を襲い、そして喰う、そうして奴らは力を得る」

 

クリーチャーとは、あの怪奇現象起こしている正体だった、それを聞いたハルトは、驚きを隠せなかった。現象の真実がこうアッサリと分かってしまった事に。

奴らは人を襲い、あの空間に引きずり込み喰う、言わば人は「エサ」認識されている、喰う事で、クリーチャーは力を得る。

ハルトは最初に、引きずり込まれた人は、喰われたと分かり、膝から崩れ落ちた。

 

 

「はぁ・・・・・・・で最後にあの空間だ、アレはサイバープログラム、言うなれりゃ、電脳空間と呼んでもいいだろう。んでコイツで入る事が出来るのさ、こんな電子機器の前でな、んで入って1時間経過したら24、時間は出れなくなる、24時間経過したら専用の出口が現れる、それまではそこで、クリーチャーと戦うか、逃げるか、生き延びるしかない」

 

最後に謎の空間の事、アレはサイバープログラムと呼ばれている、つまりは電脳空間とも言える。アルカナ・デバイス持つ者は電子機器を介して、自由に出入りが出来る。

 

サイバープログラムに入り、1時間後には全ての出口が封鎖され、24時間後に発生する出口が現れるまでは、そこで過ごさなくてはならない、またリベリオン戦闘時間も、1時間であり1時間経過すると、強制解除され、1時間間を空けなければ、再装着出来ない。

全てを知ったハルトは、唖然とするばかりだ。

 

「どうだ?これでこりたろ、んじゃソイツを渡しな」

 

全てを放し終えた伊織は、ハルトに、アルカナ・デバイスを渡すように言った。普通なら素直に渡すはずだが、ハルトは何故か渡すのを拒んだ。

 

「いや・・・こいつがあれば・・・現象に巻き込まれる人を救えるんだよな・・・」

 

「だとしたら何だ?まだクリーチャーを持ってないお前に、出来るか?それにそんな半端な覚悟じゃ戦えないな」

 

伊織はハルトに、戦う覚悟を問う。ハルトはまだ未完全、つまりは伊織の様にクリーチャーをパートナーにしていない。その問いに悩むハルト、そこに葵が、口を挟む。

 

「いいんじゃない?考えさせれば、それにこの人、あのペンダントあるし、ゆっくり考えられると思うよ」

 

葵の言うペンダント、昨日アルカナ・デバイスと一緒に拾ったペンダントを指している、葵によれば、アレはクリーチャーを寄せ付けないバリアを発生するものだった。

彼女もまた、伊織の事情を理解し、協力しているのだろうか?

 

「フンっまぁいい、ほらピンピンしてるならさっさと帰れ」

 

伊織はハルトの背中を押し、家から出そうとする。玄関にたどり着き、ドアを開ける、その時、伊織が小さな声で、ハルトの耳元で、ある一言をささやく

 

「もし、お前が戦う気になるなら・・・手加減はしないぞ」

 

この意味とは?ハルトは、その言葉がよく分からなかった。ハルトは言われるがままに、エレベーターに乗り、1Fまで降りた、外へ出て、建物の方を見ると、それはまぁ、いかにも高級そうなビルだ。

今回の出来事を考えてる内に、自分の家まで帰って来た。ハルトの家は、マンションではあるが伊織とは違って、普通の変わりないマンションだ、家のカギを開け中へ入る。

 

「ただいまー、姉ちゃんいるー?」

 

ハルトは自分の姉を呼ぶ、両親が仕事で多忙な為、姉と2人暮らしだ。姉の名は獅子堂夏姫(なつき)、ハルトの声に夏姫は反応し自分の部屋から出てきた。

 

「おぉーおかえり、随分遅かったね道にでもまよったの?」

 

夏姫は、面倒くさそうに声を掛けた、普段から夏姫は、ダラしなく、大学と家での食事以外は、常に部屋に引きこもってる。

 

「あぁ・・・ゲームに夢中になってたらつい時間が経ってね、大したことじゃないよ」

 

「ふぅ~ん、じゃぁご飯お願いね~」

 

夏姫はハルトにご飯を作れとお願いした、嫌々ながらも夕食の支度をした今日の献立は炒飯だ、料理を作っている時でも今日起こった事を考えていた。

そんなこんなで夕食が出来上がり夏姫を呼んだ。

 

「お~い姉ちゃんご飯出来たよ~」

 

夏姫は眠そうにフラフラしながらリビングへ向かった。茶髪に短めのポニーテールに、緑色のヘッドホンを首に掛け、灰色のパーカに白色のズボン姿だ。

 

夕飯を食べてる時でも、ハルトはまだ考えていた。

食べ終え食器を片づけた後、自分の部屋に戻り、昨日拾ったペンダントとタロットカードを引き出しから出した。

 

「このカード・・・何となく使い方が分かってきた気がしてきた・・・」

 

タロットカードをじっと見つめていると、自分のパソコンから、紅いライオンの声が聞こえた、ハルトがパソコンの方を振り向いたが特に何も変わらず、パソコンは普通に起動している状態だ。

 

「今日は疲れた・・・・・もう寝よう」

 

ハルトはそのままベッドに倒れ、そのまま眠りについた。

そして翌朝ハルトは特に用もないが、外へ出た今度はアルカナ・デバイスだけでなく、ペンダントとカードを持って行き・・・・

 

そんな不穏や空気が漂う中、桜木彩(さくらぎさや)が見渡りの良い公園で自動販売機で飲み物を買おうとした時・・・・・

 

「ん・・・・・・・パスが効かないな・・・・・・故障かな?」

 

自販機のICカードとタッチする所が反応せず、故障かと思っていた。

その時、自販機のモニターはスノーノイズが流れ始め、中から二足歩行と化した、異様に肩の尖った蜂型のクリーチャー(ビーワスプ)が現れる。ミツバチの様な黄色と、黒を基調として、針を思わせる様な肩のアーマーが特徴で、尻尾部分にはエネルギーを貯めている様な袋を持ち、背中には針を思わせるこん棒の様な武器をもっており、スズメバチの様な鋭い目をしている。

 

ビーワスプは彩を強く掴みだし、サイバープログラム内へと引きずりこもうとする、彩はビーワスプの手を振りほどこうとするが、力の差がありすぎる、体中が震え恐くて声も出せない彩は、心の中で助けを望んだ、その時伊織が走って駆け付け、ビーワスプを蹴り飛ばした。

 

「おいアンタ!しっかりしろ!」

 

伊織は彩を抱えベンチに寝かせた、幸い彩は気を失ってるだけだ。

ズボンのポケットからアルカナ・デバイスを取り出し、自販機のモニターに近づけると、右側の二の腕からデバイスを取り付けられるアタッチメントが現れた。

右腕で刀を抜く様な構えをし「セット・オン!」と叫び左腕に持っていたアルカナ・デバイスを、アタッチメントに取り付けその彼の体はノイズに覆われる様に青い機体(ルナリベリオン)を纏った。

 

ルナリベリオンとなった伊織は、粒子になる様に自販機のモニターに入り込む、その中はまるでロボットが出撃するカタパルトみたいな場所であり、ルナリベリオンの背中に赤いパラシュート(ゲートブースター)の様なアーマーが取り付けられ、右側のモニターに「GO」のサインが現れ、それと同時にルナリベリオンが発射され、虹色の空間を高速で移動し、光の先へ向かう、光の中を出るとそこは、サイバープログラムに繋がっており、その場所は今いた公園と同じものだ。

 

ゲートブースターを外し、右腰に装備されているを(真月)構え、真月の鍔にデバイスを取り付け、ビーワスプに切りかかる。

時を同じくして何かに呼ばれたようにハルトは公園にやって来た、辺りを見回すとベンチで気を失っている彩の姿があった。

 

「彩?おい彩!!しっかりしろ!」

 

「安心して気を失っているだけだから」

 

ハルトが彩の肩を揺らしていると、後ろから葵が彼の肩に手を置き声を掛けてきた。気を失っているだけだと知り、安心するハルト、その瞬間頭の中から、伊織がビーワスプと戦っているヴィジョンが写り出す。

 

「そうか・・・あいつ戦ってるのか・・・俺も・・・」

 

ハルトは白紙のタロットカードを見つめる。その姿を見る葵は・・・・・・

 

「本当にそれでいいの?今なら引き返せるのに・・・」

 

昨日と違い、ハルトが戦うのを止めようとする葵、彼女も本心ではハルトが戦うのを拒んでいる。

 

ハルトは彩の元へ向かい、彼女にクリーチャーを寄せ付けないペンダントを手に握らせる。

 

「ちょっと!本気なの!?」

 

「やっぱさ・・・放って置けないんだよね、昔っから一度知ったらさ、最後まで知らなきゃ気が済まない性格なんだ」

 

昔から困りごとを放って置けない、冗談絡みの笑いに見えるが、ハルトしかしその目は本気の目だった。そんな時、近くの公衆電話のモニターから、紅いライオンが写り出した。

 

「もしかして、アナタを待ってたのかもしれないわね、あのライオン、後悔・・・する事になるかもよ」

 

「後悔なら散々してもう慣れてるって」

 

そしてハルトはカードをデバイスに翳した、紅いライオンはそれに反応するように、こちら側に現れ、ハルトと一体化するように彼の体を突き抜けた。

 

ハルトは赤い空間に飲み込まれ、昨日の機体の姿になった。

 

その体は徐々に変化を遂げ、丸みのあった肩は鬣を太陽みたいな形をした様な尖ったアーマーが、胸部はライオンの顔を模した形のアーマーが両腕に、攻撃力の高そうなガントレット、頭部は鬣を左右に固めた様なヘットギアが生成され、デバイスには太陽に獅子の鬣を加えたエンブレムが現れ、機体は朱色と白色と若干黄色と黒を含んだ色合いとなり、デバイスも赤い色に変わり出した、そしてカードはと太陽の絵が現れ、カードには「太陽(SUN)」の文字と紅いライオン(プロミネンスレオ)の絵が浮かび上がった。

 

太陽の意味を持つ(ソル)リベリオンが誕生した。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ハァっ!!」

 

ルナリベリオンは、ビーワスプを大剣(牙王天羽々斬)で吹き飛ばし、止めを刺そうとした。その時―――――

ビーワスプは、巨大なスズメ蜂の様な姿へと変貌する。

 

尻尾の鋭い針が、ルナリベリオンの右腕に命中し、痺れ出し膝をつきながら倒れ込んでしまう、それに追い打ちを掛ける様に、無数の針が彼を襲う、その時ソルリベリオンが駆け付け、全ての針を素手で弾き返す。そして後ろにプロミネンスレオが大きく雄たけびを上げて、飛び降りてきた、その光景をルナリベリオンが右腕を抑えながら見つめる。

 

「アイツ・・・・まさかあの赤い獅子と――――」

 

ソルリベリオンは、右二の腕に取り付けてるデバイスを90度に回転させ、左腰のホルダーから1本の(システムメモリー)を取り出し、デバイスに装填し元の状態に戻し「ソードイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオが口から前足を模したナックルの様な武器(レオンハートソード)を射出し、右手に装備し、腕から3本の剣が出現した。

 

「ハッ!セヤァ!!トゥッ!」

 

その剣は、巨大化したビーワスプを斬り付け、徐々に弱らせてゆく。ビーワスプも負けじと、腕の針で反撃しようとするが、それを軽々と避ける。

そしてホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填させ「フィニッシュイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオと共に飛び上がり口から出された火球を拳に纏い、上空からビーワスプに向かって拳を振りかざし必殺技(プロミネンスブレイカー)が発動される。

 

ゴォォォォォォ、バゴ―――ンっ!! ドガ―――ン!!

 

プロミネンスブレイカーをまともに受けたビーワスプは、爆散しその残骸をプロミネンスレオは上から水を飲むかの様に、食べ始めた。

 

「ソルリベリオン・・・・・・・・・か」

 

そこへ、腕の痺れの取れたルナリベリオンが近づいて来た。

 

「そういや・・・もう一つ言い忘れてた事があるな・・・」

 

真月を構えルナリベリオンはソルリベリオンを斬り付けようとする、果たしてどうなる――――――――――!?

 

「っ―――!?」

 

現在リベリオン使用者21人中残り21人

 

ToBe Continued……




「今回のリベリオン&クリーチャー」

ソルリベリオン

【全長】180㎝

【体重】96キロ

【総合ランク】B

【常設武器】太陽拳アポロナックル

【使用メモリー】



【ソードイン】
ソードイン
レオンハートソード ランクC+
プロミネンスレオの腕と爪の形をしたクロー型の剣で爪の様な3本剣のモードとそれを1つにした大型剣モードを使い分ける、剣を外し拳としても使用可能である。

【バスターイン】
レオバスター ランクB
プロミネンスレオの顔の形をした手甲型の武器、単発で弾を撃つタイプとチャージショットタイプを使い分ける、また噛みつき攻撃も可能としている。威力も高い為必殺武器としても扱われる。

【シールドイン】
ライオディフェンダー ランクB-
プロミネンスレオの鬣を模した盾、吸収性に優れており質量の持った攻撃(ビームや炎など)の防御に特化している。

【ロッドイン】
ブロンズロッド ランクE-
未契約体の時に使用。何も変哲もないただの棒
ランクも最低の数値でクリーチャーの攻撃ですぐにへし曲がってしまう。

【フィニッシュイン】
プロミネンスブレイカー ランクA
プロミネンスレオの口から出された火球を拳、足、体に纏い相手に一撃を与える。発動時は腰を低く構え大きくジャンプする。

獅子堂ハルトが使用するリベリオン。タロットカードの「SUN」を意味する。メインカラーは朱色。全体的にライオンを思わせる姿をしている。
何処かしら特化している訳でなくバランス性の良く扱いやすがハルトが戦い慣れしてない分使いこなせていない。


【契約クリーチャー】プロミネンスレオ

【全長】4m

【体重】450キロ

ハルトが契約する炎を纏ったような紅いライオン型のクリーチャー、ランクA
元々伊織が付け狙っていたクリーチャーで相当の力を誇る。6000℃の火球をと前足の剣の様に尖った爪を武器にする。屋敷に侵入した人をエサにしていたがハルトと契約し彼のパートナーとなる。


ルナリベリオン

【全長】190㎝

【体重】83キロ

【総合ランク】B

【常設武器】妖刀真月

【使用メモリー】



【ソードイン】
牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり)ランクC
ブレードの様な大剣、その重量から一撃のダメージは高いが空振りすると隙が出来る弱点を持つ

【シャドーイン】
ブラックミラージュ ランクD
2人~6人の分身を生み出す(分身は全身が黒い)

【ストームイン】
ウィングハリケーン ランクE
ブルームーンファルコンの羽根で大きな風を起こす。
攻撃力はないが相手の足止めなどに多用される。

【フィニッシュイン】
羅刹滅却翔 ランクB
ブルームーンファルコンが背中に着き真月または牙王天羽々斬で連続で敵を斬り付け最後に大きく剣で切り裂く(一撃のみの場合もある)

三日月伊織が使用するリベリオン。タロットカードの「MOON」を意味する。三日月を模した中世の騎士と侍を混ぜた様な姿をしている。メインカラーは青色。
近接戦闘に特化し身軽なスピード剣術を得意とする。伊織が戦い慣れしているためランク以上の力を引き出している。

【契約クリーチャー】ブルームーンファルコン

【全長】3m

【体重】120キロ

伊織が契約する三日月型の翼を持つ青いハヤブサ型のクリーチャー。ランクB+
ルナリベリオンの背中に合体させ飛行能力を与える他足の鋭い爪を嘴を武器にし翼で大きな風を起こす。最大マッハ4で移動出来る。


ビーワスプ
ミツバチ型のクリーチャー。ランクE
基本は複数で行動する事が多いが巨大化する個体は個別に行動する。
腕の針を武器とする、巨大化の場合は尻の針は刺した相手を一定時間麻痺させる。


第2話観覧ありがとうございます!

少しづつではありますが謎が解明されました!!しかしまだまだ謎は多いばかり、今回から最後にリベリオンのカウントを追加しましたその意味とは…次回それが明らかになります
それではまた次回!



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第3話「狂気の死神デッドリベリオン」

前回のあらすじ紅いライオンの攻撃を受け気を失ったハルトは気を失う、目覚めた場所はルナリベリオンの使用者である三日月伊織の住む家だったハルトは伊織とその義妹である葵からリベリオン、クリーチャー、サイバープログラムについてを教えられる。
その翌日彩がクリーチャーに襲われるが伊織がそれを間一髪で救う。
そしてハルトはクリーチャーから人々を守るため紅いライオンと契約しソルリベリオンの使用者となる、初戦闘で見事クリーチャーを倒すが突然ルナリベリオンが切りかかる

それでは第3話どうぞ!



ルナリベリオンは真月を構え、ソルリベリオンを斬り付け、ゆっくりと近づいていく。

 

「グァっ!!ちょっ・・・・一体何なんだよ、攻撃しやがって!」

 

「前に言ったよな、お前が戦うなら手加減はしないって」

 

起き上がるソルリベリオンを、躊躇なく真月で追い打ちを掛けるルナリベリオン、攻撃される意味も分からず、ただひたすら防御する一方のソルリベリオンも、ここまで来ると我慢の限界の様だ。

 

「ヤロウ・・・・そっちがその気なら・・・・」

 

ソルリベリオンは、腰のホルダーからシステムメモリーを取り出そうとするが、ホルダーには1本も残っていない。

その状況に焦りを感じる。

 

「アレっ!?マジかよもぅねぇのか!?」

 

「何だ、まだそれくらいしか出せないのか、それじゃこの戦いは勝てない―――!!」

 

戦いに勝てないと言う意味とは・・・・・・・・・・・・・?

そういうとルナリベリオンは、ホルダーから二本のシステムメモリーを取り出し、最初の1本目を、デバイスに装填「シャドーイン」の電子音声と共に、自分の影から真っ黒なもう1体の自分が現れ、増殖するように次々増えて、本体含め合計6体となった。6体同時にもう1本のメモリーを装填「ソードイン」の電子音声と共に、青い鳥から、牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり)を自身と分身の分を落とした。

分身との一斉攻撃に、成す術もなくなったソルリベリオンは、とうとう地面に倒れ込んだ。

 

「くっ・・・・・うぅ」

 

その倒れた姿を見下す様に、腰のホルダーから1本システムメモリー取り出し、装填しようとしたその時・・・・・・・

 

「もうやめて!!お義兄ちゃん!!」

 

現実世界の葵が自販機のモニターを叩きだす、その言葉に躊躇するように、彼は真月を降ろし、メモリーをホルダーの中に戻しサイバープログラムを出た。

 

「助かった・・・・のか?」

 

間一髪危機を免れた落ち着いたかの様にハルトも現実世界に戻った。

 

「ちょっと、どういう事だよ!ちゃんと説明しろよ!」

 

ハルトは伊織の肩に掴みかかるが、それを振り払われる。

 

「お前はいちいち聞く事しか出来ないのか・・・・・ちょっとは自分で考えろ!!」

 

質問ばかりのハルトに、さすがに伊織もキレている、それを止めようとしたいが止められない葵。その声に起こされたように彩が目を覚ました。

 

「アレ・・・私何を・・・ってハルト?」

 

目が覚めた彩を見て一安心のハルト、そして彩は伊織の方を見て・・・・・

 

「あっ、あなたもしかして、2組の三日月伊織でしょ、学年トップの!」

 

何と伊織はハルト達の学年のトップであった、学校内では有名らしい・・・・が

 

「うっそ!マジで!?知らんかった・・・・」

 

ハルトは知らなかったみたいだ。

 

「・・・何でこんなバカがあの高校に入れたのか・・・もういい行くぞ」

 

伊織はどうでも良いような口調で、葵の肩を叩きその場を去り、葵もそれについていく。その帰りの最中・・・・・

 

「何で止めた?分かってるはずだろ」

 

「うん・・・・・でもヤッパリ・・・・・」

 

伊織の事情を知る葵だが複、雑な気持ちを抱いている仕方のない事なのかもしれない・・・・・

公園に残ったハルトと彩は、ベンチに座り込んでいた。

 

「まさかアンタがあの三日月伊織と知り合いとはね~ハハハ・・・詳しい事は覚えてないけどさ・・・怖かった、どうなんっちゃうんだろうってさ・・・」

 

「彩・・・・・・」

 

「な~んて!ある意味凄い事かもよ!現象に遭遇したんだしさやっぱりあったんだよね!うん」

 

彩は落ち込んでいる様子かと思いきや、いつも通りのテンションだ、しかしその手は少し震えていた。

 

「あぁ・・・・・そっか~そうだよな!」

 

それを察したハルトはその場に合わせる様にいつも通りの会話をした、帰りに際慰めたやるべきだったか頭を抱えながら1人悩んでいた。

 

その日の夜人気の少ない路地裏に、大量の血が壁辺りに広がっていた。そこにはフードを被った謎の人物が・・・・・一体何者なのか?

 

翌朝ハルトは寝坊してしまい、起きたのが8時、遅刻確定だ大慌てで走って学校へ向かう走る最中、ビルのモニターにあるニュースが放送していた。

 

その内容は近辺で起きている「連続殺人怪事件」だった。何でも現場は、大量の血で覆われているが、死体が見つかっていない、これは確かに怪事件だ・・・・・・

 

ハルトは40分遅刻で、学校へ着き、すぐ様、教師に説教をくらう。今に始まった事ではなく、3日に1回遅刻するペースの様だ。

学校内では、ニュースになった連続殺人怪事件の話で持ち切りだった、そんな事にも関わらず、大あくびをしながら廊下を歩いていると、ハルトに、こげ茶のオカッパ頭が特徴な、男が話しかけてきた。

 

「もしかして君獅子堂ハルト君だよね?」

 

「はぁそうですけど・・・・」

 

「もしよければ・・・・君に話があるんだけど、いいかな?昼休みに屋上まで来てくれないかな?」

 

その男の約束通り、昼休み屋上までやってきたハルト。屋上ではすでに男が待っていた。

 

「来てくれたね、僕は切島一貴、君の先輩だよ、実は、最近起きている例の事件で君に教えたい事があってね、君の友達にその手の事に興味があるって聞いて、君から伝えてほしいんだよ」

 

「はぁ・・・・・・・でも何で本人じゃなく俺に?」

 

「実はと言うと、僕は女の人と話すのが苦手でね・・・・恥ずかしながらそれで友人である君にって事」

 

男の名前は切島一貴(きりしまかずき)、ハルト達の1個上の先輩だ。成績はいい方で、周囲からも慕われている。

その手の事に興味のある友達ってのは多分、いや間違いなく彩の事だ。今の心境状彼女の状態からして、ハルトは心の隅に本人に直接聞かないでよかったと思ってる。

 

「僕ちょっと見ちゃったんだよね、犯人らしき姿を・・・何とか写真に収められてね・・・これがその写真だよ」

 

一貴から1枚の写真が渡されたそこにはビルの屋上にフードを被った何かが飛んでいる姿が見える、小さくてよく分からないがそれは間違いなく、人間ではないと確信できるぐらい、あまりにも長身が長すぎる、それに腕には、凶器と思われるモノを持っているが持ってるのではなくまるで腕そのものの様だ…。

 

(これ・・・・まさかクリーチャーの仕業か・・・!)

 

「でも、あまり深追いしない方がいいよ、見せた僕が言うのも何だけど危険かもしれないし」

 

「そうですよね・・・・まぁこの事は本人に追々で」

 

話を聞き終えたハルトはすぐ様屋上を出た。

 

実際、本人には話す気はない様だ。また怖い思いをさせたくないから・・・・

その日の学校が終わると、すぐ様に夜ハルトは写真の場所へ向かった、まだこの辺にいるのではないのかと、ハルトは事件の起きそうな、ビルとビルの間の路地裏を。くまなく探し始めた。

 

その後ろには、顔を隠した黒ずくめの人物が、そしてその手には鎌と目、大きな骸骨のエンブレムが刻まれたアルカナ・デバイスを持っており、床にタロットカードを置いた。そのカードにはフードを被せたカマキリの絵と、(DEATH)の文字が刻まれていた。

 

「まだこの辺を襲う可能性はある・・・早いとこ見つけ出さないとな・・・」

 

探せる所を探しているが、その気配も予兆もない、今日は起こらないのかと思い帰ろうとした矢先、10mも離れてない所から女性の悲鳴が聞こえ、すぐ様ハルトはその場に駆け付けた。そこには襲われている女性と、写真で見たフードを被り、鎌を持ったクリーチャー(デスサイスマンティス)がいた。デスサイスマンティスはすぐ様近くの、電線ケーブルの中に吸い込まれる様に入り込んだ。

 

ハルトは女性にここから離れる様に言い、女性が去った後、アルカナ・デバイスをケーブルに近づけ、アタッチメントが取り付けられ右手を前に出し拳を握るポーズをし「セット・オン!」と叫びデバイスを取り付けソルリベリオンを纏った。

 

すぐ様ゲーブルの中へ入り、カタパルトでゲートブースターを背中に取り付け「GO」サインと共にカタパルトから発射され、サイバープログラムへ向かうのだった。サイバープログラムも現実世界に合わせて暗くなっている。

 

「シィィィィィィ――――」

 

「お前が今回の事件の犯人か・・・・俺がブッ倒してやる!!」

 

デスサイスマンティスを指さし、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、レオンハートソードが空から降って来て、それを手に取りソルリベリオンは、デスサイスマンティスに先制攻撃を仕掛けた。その攻撃は右腕の鎌で防がれ、左腕の鎌で反撃を喰らう。

 

負けじと応戦し、剣撃で腹部にダメージを与える。着々とダメージを与え止めを刺そうとしたその時――――――

空が空間が開きゲートブースター背中に取り付けた、緑と黒の戦士が現れた。

 

背中に大きな鎌を背負っており、頭部にはフードを被り、カマキリ様な目と触覚を合わせたヘッドギアが特徴的で、カマキリの下半身をロングコートにしたような、アーマーを付けた戦士だ。そして緑の戦士はソルリベリオンへと近づき・・・・・・

 

「それ・・・・あんたもリベリオンなのか?なら一緒に・・・グァッ―――!?」

 

突然緑の戦士は、背中の大きな鎌(ジャックデスサイズ)で、ソルリベリオンを斬り付けた。その後腹部を蹴り4m程まで蹴り飛ばした。そこにデスサイスマンティスが、飛びながらこちらへ近づき、両腕の鎌で追い打ちの一撃を浴びせた。

 

「まさか・・・・ソイツはあんたの契約したクリーチャーなのか!?」

 

見てみれば、緑の戦士とデスサイスマンティスは共通点は多い。つまりは今回の事件はこの緑の戦士が犯人なのか?

 

緑の戦士は左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、鎌に取り付けているデバイスに装填し「ソードイン」の電子音声と共に左腕に、デスサイスマンティスの腕の鎌の形をした小さな鎌(デススラッシャー)を取り付けた。

 

緑の戦士は容赦なく、ソルリベリオンを切り裂き、徐々に弱らせていく。

 

「あんたが犯人なら・・・・許せない!」

 

あの緑の戦士が犯人と確信し、ソルリベリオンは倒れながらも、拳を握りしめ、怒りを表わせす。

ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共に、空からプロミネンスレオの顔の形をした手甲(レオファング)が降ってきて、それを右腕に取り付けた。

 

それを緑の戦士の方向に構え、口からエネルギーをチャージし始めた、緑の戦士はそれに対抗すべく、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填「シールドイン」の電子音声と共に、デスサイスマンティスの下半身の形をした、(デスシールド)が現れ、両側の羽根を展開する。エネルギーのチャージが完了し、それを一気に緑の戦士に発射した―――――

緑の戦士はそれを防ぐが、威力が強かったた為、爆風で後ろの方向へ6m程吹き飛ばされる。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・」

 

ソルリベリオンが緑の戦士に近づこうとした瞬間、右腕に取り付けたいたデススラッシャーを、ブーメランにして、投げつけ、ソルリベリオンの足に直撃した。足にダメージを負い、膝を着くソルリベリオンに対し、緑の戦士が鎌で止めを刺そうとしたその時、緑の戦士を1本の剣が鎌を弾き拳で殴り飛ばす。

 

「これくらい手こずるとは・・・・お前はやっぱり向いていなかったそうだな」

 

ルナリベリオンの一撃だった、膝を着いているソルリベリオンに対し、少々上から目線でモノを言う。

 

「お前・・・・・あいつを知ってるのか?」

 

「あぁ、俺達と同じリベリオンだ。デッドリベリオン、あの今回の事件の犯人だ」

 

緑の戦士の名はデッドリベリオン、大アルカナの「DEATH()」暗示を持つリベリオンだ。

 

ハルトも思っていた通り、今回の事件の犯人だった。2人の戦士を見てデッドリベリオンは・・・・

 

「2対1じゃ分が悪い、ここは体制を立て直すとするか」

 

その一言を最後に、デッドリベリオンはビルのモニターから、サイバープログラムを出るのだった。

その後深追いせずに2人ともサイバープログラム抜け出した。

 

「おい、お前もあいつを追ってたのか?」

 

「あぁそうだ、あいつを倒す為にな・・・・・・・・・・・・・前にも言ったろ「勝つため」にだ」

 

伊織の言う勝つ為と言う言葉・・・・・・・これは何を意味するのか?ハルトはその理由を聞き始めた。

 

「なぁ、その・・・・・・・・・・・・勝つ為って・・・・・・・・・・・なんだよ?」

 

「俺達リベリオンはな、リベリオン同士戦う宿命なのさ、己の為にな」

 

己の為に、リベリオン同士が戦う、それに何の意味があるのか頭で考えるハルト。なら伊織は何のために戦うのか・・・・・・

 

「でも・・・・俺はそれでも人をクリーチャーから助ける為に、リベリオンなったんだ!!」

 

「フンっ・・・・それもまた「己の為」だな、いずれ分かる話だ」

 

そう言い伊織は、バス停に停車していたバスに乗り自分のマンションへ帰るのだった。

そしてハルトは1つ疑問に思った、デッドリベリオンの声を何処かで聞き覚えがある、それもつい最近に・・・・・デッドリベリオンはハルトの身近な人物なのかそれとも・・・・・

 

時を同じく、デッドリベリオンの使用者であろう、黒づくめの男が、腕を抑えて、ビルの屋上で座り込んでいた。

左手には何故か彩の写真が・・・・・それを見ながら、顔を隠しても狂気的な表情が伝わる、これは何を意味するのか・・・・果たしてどうなってしまうのか?

 

 

現在リベリオン使用者 21人中残り21人

 

ToBe Continued……




ご観覧ありがとうございます!

今回からまた新しいリベリオンが登場しました今後も何体もリベリオンは登場します!しかし全員が正義とは限らずまともな奴は少ないんじゃないのか?と言わせるくらい悪人がほとんどですね(笑)

勝ち続ける理由……その先に何があるのか?相変わらず謎が多いです

それではまた次回!!


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第4話「壮絶リベリオンバトル」

今回の話は少し過激です…

前回のあらすじ
ソルリベリオンに覚醒したハルト、初陣で勝利をおさめるがその直後ルナリベリオンの襲撃に合う。圧倒され止めを刺されそうになるが葵により止められる。
翌日世間は謎の連続殺人怪事件の話で持ちきりだったそんな中1つ上の先輩の切島一貴に犯人らしきものが移ってる写真を渡されその場所へ向かう、事件はクリーチャーによる仕業だったハルトはそのクリーチャーを倒そうとするがそこへ新たなリベリオンデッドリベリオンが現れ襲撃される。
果たしてデッドリベリオン=犯人の正体とは・・・

それでは第4話どうぞ!



翌朝ハルトは目が覚めると寝起きながらも、昨日の事を考えていた、伊織の言葉、そしてデッドリベリオンの正体を。

 

「やっぱ聞いた事あるんだよな~アイツの声、昔からじゃない・・・最近に」

 

あんまよく聞く声じゃないが・・・まさか犯人は俺の周りに!?そんな事は信じたくない、友人、家族を疑いたくなんかない、でも・・・・俺は頭をくしゃくしゃに搔いた。

 

ハルトは悩んだ、だがそれよりも心配している事が1つ、彩が狙われるのではいかと、昨夜家に帰り、今回の事件を調べた、そこで発見したのは1つの共通点だったそれは「全員女性」である事、もし犯人が身近な人物だとしたら、彩の身が危険かもしれないと感じている。

 

ハルトは気を引き締め学校へ向かおうとすると、マンションの入り口に伊織が立っていた。黒の学生服の彼を見るのは初めてだ、そしてこちらを睨むように見る。

 

「なっ・・・何だよ?」

 

「お前はこの手から手を引け、お前じゃ荷が重い」

 

「なっ!?今更言うか!!引ける訳ねぇだろ・・・もし・・・もし・・・彩の身に何かあったら!!」

 

ハルトは言い返すが、伊織は彼の胸ぐらを掴み、壁に押し付けた。

 

「だから何だ?いいか、お前のそのお節介が彼女を傷つけるんだ!いい加減分かれ、このバカっ!仮にもあのペンダントを渡したんだろ?少なくとも、リベリオンやクリーチャーの攻撃からは守られる、それとお前に、アイツを倒す覚悟があるか?ないならお前が死ぬだけだ」

 

伊織はハルトに覚悟があるか尋ねた、倒す覚悟がなきゃ、逆に倒される、そうすれば、逆に傷つくのは彩の方だ、ハルトは背筋を震わせた。

 

「とにかくだ、今回は黙って見てろ、大人しくクリーチャー退治でもしていればいい」

 

その言葉を最後に、伊織はその場を去った、ハルトは掴まれた胸ぐらを抑え、去る伊織を見つめる

 

「俺だって・・・・・何も出来ないまま見てるなんて、出来るかよ」

 

複雑な心境を抱えながら、ハルトは学校へ向かった。自分の教室へ向かおうとすると、後ろから一貴が話しかけてきた。

 

「ハルト君!昨日も事件あったらしいけど、大丈夫だった?被害者は出なかった様だけど、僕があの写真渡したから、調べに行ったかと思うと・・・」

 

「あぁ・・・大丈夫っすよ!俺が来た時には、終わってたみたいなもんですから」

 

一貴は昨晩、ハルトが現場に向かったかと思い、心配そうな顔をしていた。

 

「そうか・・・よかったよ、危ないから気を付けた方がいいよ、ゴメンね、僕があんな写真見せたばかりに・・・」

 

「いえいえ、そんな事ないですよ!にしても犯人捕まればいいですね!」

 

自分のせいで、危険な目にあったのではないかと罪悪感を抱く一貴、それを気に留めず、励ますハルト、一貴は一安心の顔を見せた。

 

「とにかく気を付けますから、心配しないでください!」

 

ハルトは胸を張り、自信満々に言うのであった。一貴もそれを見て安心した。

 

そして時間は流れ昼休みの時間・・・・・

 

「おっす~お昼一緒にどう?」

 

何気ない笑顔で、彩がお昼を一緒に食べないかと声を掛けてきた、何だか無理をしている雰囲気だった、1人じゃ怖いと思われる。

 

「ん?あっ、あぁ、一緒に食おうぜ」

 

2人は机を向かい合わせにしながら、弁当を食べる、彩の弁当箱の中身は、冷凍食品や昨日の残りものがほとんどに対しハルトは夜の内に作っておいたチキンライスだ。

ハルトはこう見えても料理は出来る方だ。

 

「ハルトは意外と料理は美味いんだよね~今度教えてよ♪」

 

「おぅいいぜ、教えるのが大変そうだな~」

 

「ひど~い、まぁお手柔らかにお願いしますよ~」

 

普通に見れば何も変わらない、何時もの日常的な会話だ、しかし彩にとっては安心感が欲しかった。

 

(あぁ見えても彩は臆病な所あるからな・・・・何かあったら俺が何とかしないと・・・)

 

彩の身を第一にするが、その中で伊織の言葉が脳裏を走る、自分が逆に彼女を傷つけてしまうのかと、不安が募る一方である。

 

「ワリィ、ちょっと出るわ」

 

そう言いハルトは水道の方へ向かった、ハルトが席を立つ時、彼の机からある物が落ち彩がこれを拾った……

 

「ん・・・・・?コレって・・・」

 

それは昨日一貴に渡された写真だった、それを見て彩は体をゾッとした。

 

「嘘・・・・人じゃ・・・・ないよね?夢じゃなかったんだ・・・」

 

彩は写真をソッとハルトの机の中にしまった。ハルトが戻ってくると、何事もない様な顔で出迎えた。彼女の強がり辛い顔を見せたくない、恐くても我慢している。

学校が終わり、ハルトが頼まれていた買い物へ向かおうとすると、そこに買い物をしてたであろう葵と遭遇した。

 

「あっ・・・・どうも~」

 

「これはどうも奇遇ですね」

 

兄が多忙の為買い、物は葵が担当している。ハルトは何気なく、伊織に対する愚痴を少し零すと・・・・

 

「何て言うかさ~嫌味な奴だし、クールぶって憎ったらしいというかさ~」

 

「まぁ・・・・・確かに兄は手先は器用だけど、口先は不器用で、友達がいなくて、おばちゃん臭くて、喧嘩っ早いけど・・・・それでも家族をなにより大事にしてるんですよ、あぁみえて」

 

葵は兄をフォローしているのか、ぼろ糞言ってるのか・・・・・つまりは何だかんだで、家族を大事にしてる事はよく分かった

 

「アイツがねぇ~だったら尚更・・・・」

 

そう言いハルトは買い物そっちのけで、商店街とは逆の街中の方へ向かった。葵は「仕方ない人」と息をつくのであった。

その頃彩は帰りの電車が遅れて、何時もと帰りが少し遅くなり、近道を通っていた。一通りの少ない路地裏の様な所だ。

 

「やっば~い結構遅くなった!心配してなきゃいいけど・・・・」

 

慌てて帰る彩、走る途中ポケットのある物が太ももに当たった、ハルトが渡したペンダントだ。

 

「アリャ、そう言えば入れっぱなしだったな~ずっと持ってたけどコレ何だろう?確かハルトがお守りだとか・・・・・」

 

話は昨日に遡る。

 

「ん?アレっこんなの持ってたっけ?」

 

彩はハルトと話し終えた時、手に握ってたペンダントに気付いた。

 

「あっ・・・・あぁ~それ?お守りみたいなもんだよ!偶然手に入れてさどうかな~って」

 

本当はクリーチャーから彩を守る為に渡した、常に持っているには「お守り」と言った方が丁度いい。

 

「でも綺麗だな・・・・何か本当に効果ありそう」

 

ペンダントを見つめながら暗い通りを歩く彩、その近くには昨日彩の写真を持っていた黒づくめの男が近くにいた。男はデスサイスマンティスのカードを取り出そうとしたその時後ろから1人の警官が後ろら肩を掴んで来た。

 

「ちょっと、こんな時間にそんな恰好で何してるの?取りあえず署まで来てもらおうか」

 

警官が黒づくめの男を署に連れてこうとして時男は力づくで逃げ出した、警官はそれを追いかけ続ける。

 

「アレっ?道間違えたかな~え~っと・・・・・・確かこっちの方向だよね!」

 

その頃彩は道を間違えたか、行き止まりの方へ行ってしまった、行き止まりとは反対の方向へ行こうとしたその時200m近くで、黒づくめの男が走って来る。それをパトロールしていた警官が、力づくで取り押さえた。警察が男に手錠を掛けようとした、その時、警官が腰に付けていた、通信機からデスサイスマンティスが現れた。

男はあらかじめ、逃げる最中、カードを取り出していた。デスサイスマンティスは警官を羽交い絞めにする様に食いはじめた。

 

「グシャァァァァァァァ!!」

 

「なっなんだ!?化け物なのか!やっやめてくれえええええぇぇぇ!!」

 

抵抗する間もなく警官は跡形もなく食べられてしまった警官の帽子と通信機を残し・・・・・・・

 

それを目にしてしまった彩は、膝から崩れ落ちた。

 

「えっ・・・・・?何今の、食べられた・・・?」

 

彩の体を震えが止まらない、そこへ恐る恐る近づくデスサイスマンティス、立とうとしても、怖くて足が上がらない。

抵抗出来ない彩、そして、デスサイスマンティスの鎌が彼女目掛けて、振り下ろされた時、彩の手に握っていたペンダントが赤く光出し、振り下ろした鎌をバリアの様に弾いた。

 

ハルトがプロミネンスレオに襲われかけた時の様に、デスサイスマンティスはその衝撃で、下の方へ落ちて行った、彩はとっさに足が動きその場を逃げ出した。

 

(どういう事!?怪物?まさか本当にいるなんて・・・助けて・・・ハルト―――――!)

 

彩は逃げながら脅えている、そして心の中でハルトの名前を呼び続ける。

 

それに反応したかの様に、ハルトが辺りを見回していると、そのビジョンが頭の中に流れ始めた。

 

「彩が襲われてる!?あそこの路地裏って・・・・遠くはないハズだ!無事でいてくれ・・・・・彩!」

 

夜となり辺りは暗くなり始めた・・・・・

彩は遠くまで逃げた、逃げた先は、路地裏の中で最も、高く荒廃したビルであった。そこの駐車場の柱に彩は隠れている。

 

「私どうなっちゃうの?嫌だよ・・・・怖いよ・・・」

 

彩は恐怖に怯えている、その理由は彼女の過去にあった。

幼い頃誘拐事件に巻き込まれ、とてつもなく怖い思いを経験していた、それ以降周りに気を使わせないように、笑顔で振るまっていた、ハルトも知らない訳ではない。

怪奇現象を調査しようと言い出したのも、それを克服するためでもあった。

 

彩が怯えているとると、柱の後ろから大きな鎌が、彼女の喉元に寸止めで振り下ろされた。デスサイスマンティスが既に後ろにいた。

誰も助けに来ない、そんな絶望的状況に追い込まれ目を瞑る彩。デスサイスマンティスが鎌を大きく振り下ろそうとしたその時

 

「ダぁっ!!」

 

ソルリベリオンが古びた監視カメラから飛び出し、デスサイスマンティス左ストレートで殴り、ビルの下へ落とした。

彩は意識が朦朧とする中、ソルリベリオンの姿を見ていた。しかし視界がぼやけて、ハッキリとは見えてない。

 

「もしかして・・・・助け・・・・」

 

ドサッ・・・・・

 

彩は気を失い地面に倒れた、ソルリベリオンのアーマーを解除したハルトは、気を失っている彩を抱え、犯人に見つからなそうなビル4Fの部屋の休憩所らしき場所に寝かした。

ハルトは部屋を出て、駐車場に戻り、犯人がいるか辺りを見回した、そこには上の方に上がろうとする犯人の姿が見え、ハルトはそれを追いかける。

 

「このっ!!よくも彩に手出したな!!絶対捕まえてやる!」

 

ハルトは両手の拳を強く握り締めながら、猛ダッシュで犯人の方へ走る。犯人が逃げた先は屋上だった。逃げる手立てのない犯人はとうとうハルトに押さえつけられた。

 

「さぁ・・・正体見せやがれこの野郎!!」

 

ハルトが犯人のサングラスとマスクを外した。果たして犯人の正体とは・・・・

 

「んなっ!?・・・・ウソだろ、何であんたが!?」

 

「・・・・バレちゃしょうがないねそうだよ、僕が犯人さ!!」

 

切島一貴だった・・・・・犯人の正体に戸惑いを隠せないハルト、一貴はハルトと接した時とは違い、狂気的な笑みを抱えており、その左手には彩の写真を手にしていた。

 

「先輩!!何であんたがこんな事を!?何で彩を!!」

 

ハルトは未だに信じられなかった。一貴が連続殺人怪事件の犯人である事、そしてデッドリベリオンの使用者である事に。

 

何故こんな事をしたのかを尋ねる、しかしその答えは、ハルトの知っている一貴の答えとは程遠いものだった。

 

「そんなの・・・・決まってるじゃないか"楽しい"からさ!!僕はこう見えてもスプラッタやホラー映画が趣味でね・・・今回の事件・・・まさにそれじゃないか!!話は少し前さある時、ある人からコイツを渡されてね、初めは動揺したさ・・・でもねコイツで始めて殺した時、本当に快感だったよ!!それに死体はアイツが喰ってくれる、今じゃ不思議じゃないだろ、失踪事件なんてよくある事じゃないか・・・・それから僕は何人も殺したよ・・・死ぬ前の悲鳴とてもいい音色だった・・・」

 

その答えはあまりに狂気的で、残酷的だった。彼の趣味の為に繰り返された連続殺人、そしてその死体は、全てデスサイスマンティスが捕食していた。しかし何故殺人事件と断定されたのか・・・・それは被害者の一部が残っていたからだった・・・・・

 

「やはり女性の悲鳴は何よりだ、そして今回彼女を狙ったのはね・・・強気な子ほど、いい悲鳴を奏でるからさ!!いやはや予想通りだったね!!アハハハハハハハハ!!」

 

一貴の笑みは狂気的で、とても人間とは思えない、ハルトは彼の行った事に、怒りが隠せず拳を強く握りしめる。

 

「そんな事の為に・・・・・そんな事の為に彩を巻き込んだのか!?彩は・・・あぁ見えても怖がりなんだよ!!小さい頃に怖い思いして、それをずっと我慢して、強がってたんだ!!アンタだけは絶対にゆるさねぇ!!」

 

ハルトが一貴に近づき殴りかかろうとした時・・・・・

 

「やめろ!そんな怒り任せで何になる?」

 

後ろから伊織が彼の手を掴み、止めに掛かった、そして二人の方へ歩いてゆく。

 

「邪魔すんなよ!コイツは・・・コイツは彩を!!」

 

「それが怒り任せだと言うんだ、お前にコイツは止められないし倒せない、いいかあの子の事を考えてるなら、冷静になれ、そんなんあの子は望んでないハズだ」

 

ハルトは強く握っていた拳を緩めた、ぶつけられない怒りをその場にあった石ころを蹴りぶつけた。

 

「それにコイツは俺にとって"けじめ‶でもあるんだ、俺が止められなかったから、好き放題させてしまったからな・・・」

 

伊織は事件が起こる直前を察知し、駆け付けようとするが、そこでデスサイスマンティスの邪魔が入り、手遅れとなってしまった、彼はその責任を感じていた。

 

「お前・・・そこまで・・・」

 

「関係のない人を巻き込むのは煮え切らないからな」

 

「あっハハハハハ!!温いねぇ!でも僕はやめないよぉ、最後まで"勝ち残る‶為にもね…」

 

一貴の狂気的な笑みは、少々冷静になり、ポケットからアルカナ・デバイスを取り出した、伊織もコートの裾からアルカナ・デバイスを取り出す、お互いドアの近くにあったカードキーを読み取る機械に、デバイスを向け右二の腕にアタッチメントが取り付けられ「セット・オン!」の言葉と共に、デバイスをアタッチメントに取り付け、伊織はルナリベリオンを、一貴はデッドリベリオンを纏いカードキーを読み取る機械の中へ、入り込んだ。

 

2人はサイバープログラムに着き、それぞれの武器を構える。さっきとは違い人気がなく、静かな状況・・・・・そこへ風が吹き壁が崩れ瓦礫が落ちる瞬間、互いの武器を握り締め、衝突する。火花を散らすつばぜり合い、ジャックデスサイズの大きさ故に、真月は弾かてしまう。

 

デッドリベリオンは、ジャックデスサイズで斬るのではなく、持ち手を逆さにし、ルナリベリオンの腹部を突いた。

ルナリベリオンは飛ばされ、倒れ込む。そこをデッドリベリオンの腕が、ルナリベリオンの首を絞め、ジャックデスサイズを腹部に突き付ける。

 

「その程度かな?これじゃぁ、デスサイスマンティスに押されても仕方ないね~」

 

「それはっ・・・・どうかな?」

 

ルナリベリオンは絞められてる腕を左手で掴みつつ、真月を鞘に戻し、右手で左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「ストームイン」の電子音声と共に、青い鳥(ブルームーンファルコン)が現れ、翼で大きな風を起こし、デッドリベリオンを4m先に吹き飛ばす。

続けてルナリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、ブルームーンファルコンの背部から、牙王天羽々斬が降りそれを手に取る。

 

デッドリベリオンもそれに対抗し、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、デススラッシャーが現れ、それを左腕に装着する。

 

激しくなる戦闘状況は、デッドリベリオンの方が若干有利とされている。

推測ではデッドリベリオンの方がスペックが低いとされているが、デスサイスマンティスがクリーチャー、並びに人を喰い続けた結果、スペック以上の力を引き出している。

ルナリベリオンも負けじと、牙王天羽々斬を強く振り下ろし、デッドリベリオンを斬り付け、右肩とデバイスに命中する。デッドリベリオンはデススラッシャーの一撃を、ルナリベリオンの右太ももに命中し、2人同時に弾き飛ばされる。

 

ルナリベリオンがホルダーからシステムメモリーを取り出し、同じくデッドリベリオンもホルダーからシステムメモリーを取り出す。お互い同時にメモリーを装填、「同時に「フィニッシュイン」の電子音声が発せられ、ルナリベリオンは猛ダッシュで走り、ブルームーンファルコンが背中に取り付けられ、上空へ羽ばたき、デッドリベリオンに牙王天羽々斬を振り下ろす。

 

デッドリベリオンの後ろにデスサイスマンティスが召喚され、デスサイスマンティスの鎌を踏み台に、飛び上がり高速で体を回転し、デスサイスマンティスも勢いよく鎌を出し真空刃を出す、ルナリベリオンの羅刹・滅却翔とデッドリベリオンの必殺技(デッドリースライサー)が激しくぶつかりあう。果たして勝負の行方は――――――――――

 

「くっ・・・押された!?そんなバカな・・・・・・・・・」

 

ルナリベリオンは、地面を強く叩き付ける。悔しがるように、地面を叩いた。

 

「フフフ・・・勝負あり、まずは1人って所かな」

 

デッドリベリオンが、必殺技の勝負に押し勝った。勝利を確信し、高らかに笑った。

 

「この程度かい?それじゃぁ終わりにしよう、君の悲鳴は美しくない・・・・・・・・さぁいけ、デスサイスマンティス!」

 

ズザァンっ―――!!

 

デスサイスマンティスが腕の鎌を振り下ろした――――――

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

しかし切り落としたのは、デッドリベリオンの左腕だった。

 

「おい・・・何やってるんだ!?相手はあっちだろっ・・・・何を考えているんだ!!」

 

デスサイスマンティスの目は赤く光り出し、獣の様に息が荒くなった。

 

「ハァ・・・ハァ・・・っ暴走したか・・・・!?」

 

「ガァァァァァァァ!!」

 

デスサイスマンティスは暴走を始めた。ルナリベリオンの攻撃で、デバイスが損傷したのもあるが、最大の原因は「急激に強化させすぎた」人やクリーチャーを食べ続け、その力を抑えきれなくなってしまった。

デッドリベリオンに容赦なく鎌が振り落とされ、今度は右腕を切り落とされる。両腕を失い、抵抗する術を失ったデッドリベリオンを、どんどん切り刻んでいった。

 

「やめろ・・・僕は・・・僕はまだっ!!アアアァァァァァァァァァァァァァ」

 

切り刻まれ、デッドリベリオンはとうとうバラバラになり、その狂気的な声も聞こえなくなった。そのバラバラになったデッドリベリオンを、デスサイズマンティスは喰い始めた。

喰い終えたデスサイスマンティスは、ルナリベリオンの方へ向かった、デッドリースライサーのダメージで、動けないルナリベリオンに、鎌が振り下ろされた―――――――――!!

 

「ッ・・・・・・!!」

 

カキンッ―――!!

 

しかしその鎌は、突如現れたソルリベリオンのレオンハートソードで塞がれ、逆に斬り付けられる。

 

「フゥ・・・間一髪だったな」

 

「お前っ・・・何でここ!?」

 

それは少し前に遡る、伊織の言う通り、彩の元へ向かった。気を失っている彼女の手にハルトはソッと触れると・・・

 

「怖いよ・・・ハルト・・・」

 

彩は寝言でそう呟いた、その腕はかすかに震えており、その怖さがハルトにも伝わった。

 

「彩・・・・安心しろ!よしっ!!」

 

ハルトは近くにあった壊れかけたパソコンにデバイスを近づけ、ソルリベリオンを纏い、屋上の屋上の方へと向かい、今に至る。

 

「後は任せな、俺にも"けじめ‶ってのがあるからな!!」

 

気が狂った様に、襲いかかる。デスサイスマンティスの攻撃を、両肩付いている(ライオディフェンダー)で防御し、デスサイスマンティスを、タックルで吹き飛ばす。

 

ソルリベリオンは、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「フィニッシュイン」の音声と共に、プロミネンスレオが召喚され、共にジャンプし、口から出された火球を足にに纏い、空からプロミネンスブレイカー(キックver.)を発動させ、デスサイスマンティスにキックを決める!!

 

その衝撃に耐え切れずデスサイズマンティスは爆散した。プロミネンスレオがその残骸を喰い始めるが・・・

 

「待て・・・・辞めてくれ!!」

 

ソルリベリオンは、プロミネンスレオに喰うのを辞めろと叫んだ。言う事を聞くように、プロミネンスレオは食べるのを辞める。

 

「まだそんな事を言うか、クリーチャーを強くしなければ生き残れないぞ、まっコイツみたいに喰いすぎない程度にな」

 

そこへブルームーンファルコンが降りてきて、その残骸を食べ始めた。

 

「だけど・・・だとしても人を喰い続けてきた奴を・・・・喰わせたくはない!」

 

「フンっ・・・喰いたくない気持ちは分からない訳でもないが、そんなんじゃ勝つ事は出来ない・・・倒すべき相手は19人・・・勿論お前もだ!!」

 

ルナリベリオンは今回デッドリベリオンに押され、改めて強くなる事を決心した。

その言葉を残し、サイバープログラムから出たルナリベリオンに続くように、ソルリベリオンは、別の出口からサイバープログラムを出るのだった、そこは彩の眠っている部屋だった。

 

「彩・・・・彩!!」

 

ハルトは彩の肩を揺らしたその揺れに気付き彩は目を覚ました。

 

「ハルト・・・ハルト――――――っ!!」

 

彩はハルトの姿を見て安心したか、彼をギュッと抱きしめだす。その手の震えから彼女の恐怖が伝わっていく。

 

「怖かったよ・・・・もしかして助けに来てくれたの?」

 

「えっ・・・あぁ心配になってな」

 

「アレ・・・でもあの赤い鎧の人は?ボンヤリだけど、見えたの赤い鎧を着た人が助けに来てくれたの・・・」

 

ハルトはその赤い鎧を来た人物(ソルリベリオン)が、自分である事は黙っておいた。

 

「もう大丈夫だ、さぁ行こう」

 

ハルトは彩の手を取り、ビルを出る。そこには複数の警察がビルの周りとか囲んでいた。

 

「君大丈夫かい!!他の警官から連絡を聞いて、駆けつけたのだが・・・・それで犯人は?」

 

「あぁ・・・・犯人は・・・悲鳴を残して何処かへ消えてしまいました・・・・・・・・・・・・」

 

この事はあながち嘘ではない、一貴は悲鳴を残し切り刻まれたのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「そうか・・・良いと言うのか何というのか・・・」

 

警官も良かったとは言い難い、複雑な気持ちだ。ただ1つ彩が無事だった事に安心していた。

その後、警察に保護され、一連の流れの事情を聞かされた。

 

そして事件が終わり1日が過ぎた・・・・彩は念の為、今日は学校を休む事になった。心配はないと思うが・・・そして俺は学校へ着き自分の教室、じゃなく2年の・・・霧島先輩の教室へ向かった。

 

「あの・・・スミマセン、切島一貴先輩に用があるのですが・・・」

 

俺は何も知らない様に霧島先輩がいるか尋ねた。返って来た答え、それはとんでもない答えだった・・・・・・・・・・

 

「切島一貴?そんな人このクラスにはいないよ、他のクラスじゃないかな?」

 

このクラスにはいない?おかしい・・・確か先輩はこの4組のはずだが・・・・・・念のため名簿を見せてもらうが切島先輩の名前は書かれていなかった。

 

「おかしい・・・どういう事だ・・・」

 

あれから先生にも尋ねてみたが、誰1人先輩の事を知らない・・・・悩みに考え続けてると前の人にぶつかった。

 

「っく・・・前見て歩けよ・・・このバカ」

 

そのぶつかった人物は伊織であった。アイツなら分かるかもしれない・・・

 

「悪かったな・・・それよりお前!切島先輩の事・・・」

 

「ここで話すな、屋上に来い」

 

伊織は俺の口を押え屋上へ連れ出した

 

「それでさっきの話だが・・・」

 

「あぁもちろん覚えてる、デッドリベリオンの事だろ、いいかリベリオンの使用者は敗北、つまりは死ねばその存在が抹消され、その記憶さえ無かった事になる、俺達を除いてな」

 

「なっ・・・存在が消される・・・記憶が消える!?」

 

俺は戸惑った、つまりはクラス全員が先輩は元々いなかった事になっている・・・・嘘だろ・・・

 

「これで分かったろ、これは生半可で戦うもんじゃない。少しは懲りたか?」

 

「だとしても・・・・だとしてもだ!俺はそれでも人を守る・・・・何て言われても・・・」

 

少々弱気ながらハルトは、伊織の言葉に反抗する。伊織はハルトの胸ぐらを掴む。しかしハルトは目の色を変えず伊織の方を見続ける。

 

「だったら好きにしろ・・・・でも、いずれお前を倒す時は来る」

 

その言葉を残しつつ、伊織は屋上を出た。

 

―――学校が終わり、ハルトは彩の家に向かう。今日のプリントを渡すのと、彼女の様子を見に・・・・

 

「あらハルト君、いらっしゃい」

 

ハルトは彩の家のインターホンを鳴らした、ドアを開けたのは彼女の母。彩に似て、長い髪をした美人な人だ。

 

「あの・・・今日のプリントです。それと彩の様子ですが・・・」

 

「あら心配してくれてたの、ありがとう~彩も喜んでくれると思うわ。彩~ハルト君来てるわよ~」

 

母が彩にハルトが来たと呼びかけるが、うんとも言わない。

 

「ゴメンね、多分来てほしいと思うのよ、いってあげて」

 

そう言い母はハルトを家に入れ、彩の部屋に向かわせる。

 

「彩・・・大丈夫か?」

 

布団に包まる彩すると突然布団を剥がし…

 

「そりゃ・・・恐かったよ、今でも鮮明に覚えてる。あんな怪物に襲われたんだよ・・・そりゃ誰だって、あぁなるよ・・・」

 

彩は話してる内に涙を零していた、ずっと強がってた分、思い切り泣いた。

 

「でも・・・来てくれてありがとう・・・ハルト、あの時もそうだよね私が誘拐された時も」

 

彩が誘拐された時、犯人が捕まった直後、警察に保護された彩の元へ駆けつけたのはハルトだった。

 

「彩大丈夫か!もう心配しないでいいぜ!」

 

幼い頃のハルトは胸を張っていた。

 

「何もしてないじゃん・・・ヒック・・・」

 

そう彩は言い返すが、ハルトの胸に泣きついたらしい。

 

「ハルトがいたから、私何とかやってこられたかも、ありがとうねハルト♡」

 

彩はハルトの頬に口づけした。

 

「ななな///イキナリなにすんだよ!?」

 

ハルトはその行動に動揺を隠せないでいた。

 

「こんな事するの・・・ハルトだけなんだからね!」

 

彩はいつも通りの笑顔を取り戻した、その笑顔にハルトもまた励まされた。

 

(そうだよ・・・誰かの為に戦える・・・それだけでいいんだ・・・)

 

ハルトは胸にそう誓ったのだ。

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 21人中残り20人

 

ToBe Continued……




【今回のリベリオン&クリーチャー】

デッドリベリオン

【全長】187㎝

【体重】94キロ

【総合ランク】D-

【常設武器】緑死鎌ジャックデスサイズ

切島一貴が使用するリベリオン。タロットカードの「DEATE」を意味する。
メインカラーは緑と黒。死神を思わせるフードとカマキリ人型にしたを思わせる姿をしている。総合ランクはリベリオンの中でも低い方だがデスサイスマンティスに人やクリーチャーを捕食させ数値以上の力を引き出している。

【使用メモリー】


【ソードイン】
デススラッシャー ランクE
デスサイスマンティスの腕の形をした小型化の鎌、直接腕に取り付けたりブーメランとして扱うことも出来る。

【シールドイン】
デスシールド ランクD
デスサイスマンティスの下半身の形をした盾、羽根を展開する事で防御範囲を拡大する

【フィニッシュイン】
デッドリースライサー ランクC-
デスサイスマンティスの鎌を踏み台にして飛び回転し真空刃を作り敵を切り刻む。
リベリオンの中でも一番数値の低い技であるが人やクリーチャーの捕食によりランク以上の威力を引き出している。

【契約クリーチャー】デスサイスマンティス

【全長】185㎝

【体重】86キロ

カマキリに死神の様なフードを被せたクリーチャー。ランクC
両腕の鎌を武器する、羽根はある程度の防御力を持つ。デッドリベリオンが殺した女性を捕食し数値以上の力を持つ。しかし捕食を繰り返し力を抑えきれずに暴走しデッドリベリオンを切り刻み捕食する、最後はソルリベリオンのプロミネンスブレイカーを喰らい倒される。


ご観覧ありがとうございます!

犯人の犯行…それはとても単調的で残酷でした…、この残酷な衝動これがリベリオン使用者を大きく狂わせます。

一貴にデバイスを渡した人物…その人物とは…

ハルトと彩の進展…はてさてどうなりますかね~

次回も新たなリベリオンの登場がありますさてどんな奴が登場するでしょう?
そして伊織の戦う理由も明らかに?

何と早くも0話の製作予定!!

次回もご期待ください!!


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第5話「不動の戦車」

前回のあらすじ
彩が連続殺人怪事件の犯人に襲われハルトはそれを助ける。
事件の犯人はハルトに協力的だった切島一貴だった…ルナリベリオンとデッドリベリオンの一騎打ちとなりデッドリベリオンが圧倒するしかしデスサイスマンティスの暴走によりデッドリベリオンによって切り刻まれ喰われてしまう、ソルリベリオンによってデスサイスマンティスは倒され彩を救うことが出来た。
彼女もまた笑顔を取り戻す事が出来たのだった。

それでは第5話どうぞ!!


連続殺人怪事件の話から一週間が経ち、彩も学校へ復帰した。最初の頃は事件の事を聞かれ戸惑った所もあったが、ハルトが庇ってくれた。

 

それからは誰も事件については聞かなくなった、あれから彩もいつも通りの生活が戻って来た。

 

「ありがとね、また助けてもらっちゃって」

 

「改まんなよ、聞かれるのイヤだと思ったからだよ」

 

時間は掛かったが、ようやく彩もいつものペースを取り戻した。

そんな中、街中の本屋の近くで、ある行列が出来ていた。珍しいもんだな・・・・・・・こんな所に行列なんて・・・・・その中に葵ちゃんもその列に並んでいた。

 

「アレ?葵ちゃん?どうしたのこんな所で」

 

「あっハルトさん、それに彩さんも、実は今ここで国枝半蔵(くにえだはんぞう)先生のサイン会が行われてるんですよ」

 

「国枝って・・・・・・・・・・・・あっ!!あの小説家の!?一度読んだことある!」

 

この行列は天才小説家、国枝半蔵のサイン会であった。

彼は幼い頃に書いた小説が話題となり、とあるコンクールで最優秀賞を受賞し、様々なジャンルの作品を書いている小説家である。

ハルト達と歳変わらなく、少し両側の髪が伸びている容姿である。

 

「はい!私あの人の大ファンで・・・・・・・ここで会えるなんて、思いもしませんでした。まだ並べるのでお2人もどうですか?」

 

「そうだね!ねっ、ハルト!」

 

「あっ・・・あぁそうだな」

 

ハルトは心の中で、小説なんて一度も読んだ事がないなんて一度も言えない、と思った。

2人も列に並び、着々と列が少なくなり、葵達の番がやってきた。

 

「あの、新作読ませてもらいました!とても素晴らしかったです!これからも頑張ってください!!」

 

「ありがとう、そう言ってくれると、ますます新作が捗るよ、これからもご期待に添える様、頑張らせてもらうね」

 

「いやぁ~一度読んだんですけど、ハマりましてね~ここで会えるなんて光栄です」

 

「興味を持ってくれて嬉しいよ、他にも色々と読んでもらえると、嬉しいな~」

 

まさにプロといえる親切な対応だ。葵と彩はとても喜んだ表情を浮かべ、手を握り合っていた。

葵、彩の番が終わり、ハルトの番がやって来た。小説を一度も読んだことのないハルトは緊張している。

 

「あの~小説って一度も読んだ事ないんですけど・・・始めるにはいい作品とかってありますかね~」

 

それはあまりにプロに聞く事ではなかった、しかし半蔵は・・・・・・・・・・・・

 

「そうだね・・・・・・・それなら「夕日の彼方」なんてどうかな?」

 

半蔵はハルトの質問にプロらしく答えた。しかし勧めたのは自分の作品ではなかった。彼も自分の作品を勧める程、傲慢ではないのだろう。

 

「そうですか・・・ありがとうございます!」

 

礼を述べたハルトはすぐ様本屋に向かい、紹介された小説を買いに行くのであった。

 

「面白いね・・・・・・・彼」

 

半蔵はハルトに興味を示す目をし、どこか笑った顔をしていた。

 

「ありゃ・・・3日で飽きるな」

 

彩は呆れたようにため息をついた。しかし何処か母親の様な目で見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・・・・じゃぁ早速読んでみますか!!」

 

・・・・・・・・・・ZZZzzzzz

 

ハルトは家に帰るとすぐに買ってきた小説を読み始めた、しかし1時間後、ハルトは寝てしまった、読んだページは10ページ程3日どころか、1時間もも持たなかった。

 

一方伊織の住むマンションでは・・・

 

「ん?新しい本か葵?お前も好きだな~」

 

伊織はハルトには見せない表情をしていた。葵は今日出た半蔵の小説を読んでいた。

 

「うん!とても面白いんだ、今度は動物愛を題材にしてるんだ」

 

葵は興味深々に小説を読む、伊織はその光景を安心するかの様に見つめる。

 

 

 

そして翌日・・・ハルトはおばあさんを病院へ連れてっていた。大方、困っていて放って置けなかったのだろう。ハルトは一仕事終えた様に羽根を伸ばし、帰ろうとすると・・・・・・・・・・そこには車椅子に乗り、黒髪をなびかせる、目の瞑った少女と伊織の姿があった、とても見た事もない伊織の笑顔、それを見つめるハルト、後ろうへ下がろうとするが、靴で木の枝を折ってしまいその音に伊織が気付いた。

 

「よっ・・・よぅ」

 

「おまっ・・・!?」

 

伊織がハルトの姿に驚き目の色を変える、車いすの少女が伊織の手を引っ張る。

 

「ねぇ、あそこに誰かいるの?もしかしてお友達?」

 

「何でもないよ、じゃぁ戻ろうか」

 

伊織は何もなかったの様に、車いすの少女と一緒に、病院の入り口へ入り病室へ向かう。ハルトは入り口でその姿を見る。その後伊織が戻ってくると、豹変したかの様に、ハルトを病院の裏側に連れ込み、ハルトの胸倉を掴み、壁まで押し飛ばした。

 

「んなっ!?お前イキナリそれかよ!!」

 

「お前・・・何処まで俺に・・・!!」

 

伊織の怒りは限界を超え、ハルトを殴りかかろうとする、がそこへ葵が来て・・・

 

「義兄さん!!それはいくら何でも、理不尽すぎるよ!!」

 

葵の言葉に拳を止める伊織、頭を抱えその場を離れる。

 

「ゴメンなさい、でもどうしてここに?」

 

「えぇっと・・・困った人がいて放って置けなくてさ・・・病院まで連れったのさ・・・それで・・・あの子は?」

 

「あの子は…由那(ゆな)、あの人の本当の妹です」

 

車椅子の少女の名は三日月由那、伊織の本当の妹である。

 

「実は・・・由那は1年前に原因不明の病にに掛かってて・・・・目が見えないんです」

 

「そっか・・・・ゴメン余計な事したね」

 

由那は1年前に原因不明の病に犯され、目が見えなくなってしまい、入院生活が続いている。目の瞑ってた理由はそれにある。

 

「いえ・・・何時かは知るかもしれなかったので・・・前にも言った通り兄は、家族を何より大事に思ってるんです」

 

伊織の戦う理由・・・・それは家族を守る為、そして妹の由那の病気を治す為に戦っていた・・・・・その真実にハルトは言い返すことが出来なかった。

 

そして彼がここまで家族にこだわるのは、彼の過去にある。それは5年も前の話になる、ある交通事故が起きた、2つの車の衝突事故であった。運転席の2人は死亡、後部座席にのっていた伊織と由那、そして相手側の車に乗っていた葵だけが無事だった。3人は伊織の親戚の叔母に育てられることになった。

 

「じゃぁ・・・あいつは妹の病気を治す為に・・・」

 

「恐らく・・・じゃないとあそこまで執着しないと思います」

 

伊織の戦う理由それは妹の病気を治す為・・・・しかし勝ち続ければそれが可能なのか?ハルトはそこに疑問を感じた。

 

「でも・・・勝ち続けて病気が治るとは・・・・」

 

「本当だ」

 

そこへ伊織が戻ってきた。

 

「俺はある奴から聞いた、この戦いに勝てば、妹の・・・由那の病気が治る力が手に入ると・・・」

 

伊織は丁度1年前に妹を助けられない事を悔んでた、その時にある人物から、デバイスを渡されルナリベリオンとして戦い続けた、しかし彼もその男の素性までは知らない・・・

 

「みんなそうだ、この戦いに参加してる奴は己の望むモノの為に戦う・・・・それがどんなモノでも!」

 

伊織だけではなく、他のリベリオン使用者も同じ様に、望むモノの為に戦っていた。切島一貴も「スプラッタ映画の再現」の為に・・・他にも富、名声、力・・・理由はそれぞれあるだろう・・・・

 

「そんな・・・だけど俺はッ―――!!」

 

ハルトの言葉を掻き消す様に、伊織が言い返す。

 

「もうその言葉は聞き飽きた!とにかく俺は妹の病気を治す!その為ならなんだってしてやる・・・・」

 

伊織の拳は強く握られていた。ハルトはその姿にどうすればいいか、頭をくしゃくしゃに掻き回した。

そこへ2人にこの周辺にクリーチャーが現れるビジョンが流れ始める。

 

「っく・・・・話は後だ!」

 

「その様・・・・だな」

 

2人は病院の屋上へ向かい、電波を受信するアンテナにデバイスを向け、2人の右二の腕にアタッチメントが取り付けられ「セットオン!」の言葉と共に、デバイスを取り付けハルトはソルリベリオンを、伊織はルナリベリオンを纏い、アンテナの中へ入っていった。

 

サイバープログラムに着くと、そこにはサイに岩をくっつけた様な姿をしたクリーチャー(ライノトラスト)が待ち構えており、2人に向かい突進してきた。

 

「っ・・・・・今回は重量型か」

 

「さっさと終わらせてやる!!」

 

ソルリベリオンはジャンプし、ライノトラストに向かって、蹴りを入れる。

しかしライノトラストの装甲には、ビクともせず、逆に病院の壁に弾き飛ばされる。

ルナリベリオンはホルダーから、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填し「ソードイン」の電子音声と共に、ブルームーンファルコンから牙王天羽々斬が降り、それ手に取りライノトラストへと斬り付ける。

 

「さすがに硬いか・・・隙間を狙うか・・・」

 

2人を振り払う様に、ライノトラストが後ろかに下がると、角から電撃を放つ、2人はその攻撃に動きを止められる。

 

「野郎っ―――!こっちにだって手はあるんだぜ!」

 

ソルリベリオンはホルダーから、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填し「シールドイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオの鬣を模した、ライオディフェンダー1つが呼び出され、それを手に取る。

電撃を防御しながらソルリベリオンは突き進む。

 

「ウオオオオォォォォォォ―――!!」

 

ライノトラストに近づき、シールドでライノトラストの角を叩き折る。弱った所をソルリベリオンが蹴り上げ後ろへ飛ばす。

2人が止めを刺そうとホルダーからシステムメモリーを取り出そうとしたその時―――!!

 

突然後ろから「フィニッシュイン」の電子音声が発せられる。

 

「なっ・・・もう1人リベリオンが待ち伏せてたのか!?」

 

「4人目の・・・リベリオン?」

 

2人が後ろを向くと、甲冑に陸軍を合わせた様な姿をした銀色の戦士(チャリオットリベリオン)が立っていた。チャリオットリベリオンの前に、鎧を着せた2頭の馬のクリーチャー(シルバアーマホース)が召喚され、その後ろには馬車の様な戦車(チャリオットフォートレス)を引っ張っている。

 

チャリオットリベリオンがそれに飛び乗り、武器であろう小型の剣を、操縦桿にする様に突き刺し、それを前に倒す、シルバメタホースはそれに合わせる様に、2人とライノトラストに向かって突撃する。チャリオットフォートレスに装備されている、槍が発射され、さらに前部に付けられている大砲から、砲弾が発射される。砲弾と槍は、2人とライノトラストに命中し、追い打ちを喰らわせる様に突撃し必殺技(クリーヴ・オブ・ロード)が炸裂する――――――――――

 

ライノトラストは爆散し2人は吹き飛ばされたその先にあった、自販機に引きずり込まれ、サイバープログラムを強制的に弾き出され現実世界に戻される。

チャリオットリベリオンはその光景を見つめる。

 

「手ごたえがない・・・仕留めそこねたかな?」

 

その言葉を残し、病院の中にあったテレビに入り、現実世界へ戻る、そして現実世界に戻ったそしてその鎧を解くその正体は・・・・・・・

 

「2人同時に倒せるチャンスだったのに・・・・惜しかったね」

 

国枝半蔵であった。その手にはシルバアーマホースが描かれたCHARIOT(戦車)のカードを持っていた。果たして彼がこの戦いに参加する理由とは・・・・・

 

「義兄さん!ハルトさん!大丈夫!?」

 

弾き出された所に、葵が駆け付けた、ハルトと伊織は相当のダメージを負い、立てずにいたが、伊織は無理に立ち上がりその場を去る。ハルトは何とか立ち上がろうとしたが、立てなかった。

 

「おい待てよ!どこ行くんだよ!?」

 

「イチイチお前に言う理由はない・・・・」

 

葵はその姿を心配そうに見ていた。半蔵はその反対側の方向におり、2人に悟られないようその場を去るのであった。

 

「何だよ・・・こんな戦い・・・・意味分かんねぇよ・・・・」

 

ハルトは壁に座り込み、頭を抱えるのであった・・・・リベリオン使用者が己の望むモノの為に戦う、その戦いの先に待つ「モノ」とは一体何なのか―――

 

 

 

現在リベリオン使用者21人中残り20人

 

ToBe Continued……




【今回のクリーチャー】

ライノトラスト
灰色のサイ型のクリーチャー。ランクB+
強固な装甲と頭部のツノを武器とする。突進攻撃を得意とする。


今回も新たなリベリオンが登場しました!

国枝半蔵は探偵にするか小説家にするか迷いましたが小説家の方にしました!

半蔵とハルトの出会いが今後どの様な展開になるのか……

そして伊織の家族への執着…それは両親失いその尊さを知ったから…

そして次回はどの様な展開になるのか?

それではまた次回!!


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第6話「葛藤」

前回のあらすじ
伊織の戦う理由を知ったハルト、妹由那の為に勝利を求める伊織、そんな2人の前に新たなリベリオン、チャリオットリベリオンが現れクリーチャー諸共攻撃を喰らう。
チャリオットリベリオンの正体は天才小説家の国枝半蔵であった、果たして彼は何の為に戦っているのか…そして焦る伊織に待ち受けるものは……?

遅れましたが第6話どうぞ!


前の戦いでダメージを負ったハルトは、近くが病院だったため、治療してもらう事になった。怪我の理由は「ちょっとした喧嘩」と誤魔化した。

 

「イテててて・・・まさか後ろから来るなんて・・・アイツも自分の為に戦ってるのかな・・・?」

 

ハルトは、チャリオットリベリオンも己の為に戦ってるのかと考えていた。

そこに葵は・・・

 

「あの・・・一緒に来てくれませんか?由那ちゃんの所へ」

 

「えっ?・・・俺が?」

 

葵はハルトに、由那の所へ来てほしいと言った。ハルトは言われるままに、由那の病室まで連いていく。

 

「由奈ちゃん、ゴメンねさっきは急に」

 

「気にしてないよお義姉ちゃん、そこに誰かいるの?」

 

目の見えない由那だが、葵の隣にハルトがいるのが分かった。

 

「えっと・・・この人は・・・義兄さんの友達・・・みたいな人」

 

「もしかして、さっき近くにいた人?でもどうして、お兄ちゃん慌てた様子だったのかな~?」

 

由那は、伊織が慌ててたような感じを察していた、その言葉に葵は・・・

 

「違うよ、ただ・・・恥ずかしかったのかもね」

 

「そうなんだ~もぅ、お兄ちゃんったら」

 

葵は伊織の慌てた理由を、笑顔混じりで誤魔化した、すると由那はハルトに声を掛ける。

 

「あのね・・・・お兄ちゃんあぁ見えて友達少なくて・・・・口は悪いかもしれないけど、仲良くしてあげてください」

 

由那は丁寧に、ハルトの服の裾を掴みだし、兄をよろしくと伝えた。

 

「あぁ・・・うん!そこまでいわれたらな~」

 

ハルトは由那の言葉に頷く様に、伊織と仲良くする事を約束した。

 

「じゃぁ・・・俺そろそろいくよ」

 

ハルトは病室を出た。その後ハルトが広場の芝生で寝ころびながら、ある事を考えていた。

 

「アイツ・・・妹の為にあそこまで・・・でも何だかんだいって人も助けてるし・・・憎めない奴なんだよな~」

 

伊織は妹の為なら容赦はないが、それでも一般人は助ける。前に言ってた「関係ない人を巻き込むのは煮え切らない」からだろう。根っから性根は腐ってない伊織に、ハルトはどうすればいいか悩む。そこへ後ろから人影が・・・・・

 

「やぁ、また会ったね」

 

国枝半蔵が後ろから声を掛けて来た、しかしお互いがリベリオン使用者である事はまだ知らない。

 

「あっ・・・国枝さん!」

 

「半蔵でいいよ、えっと君は・・・」

 

「ハルトです!獅子堂ハルト!」

 

「そっか~、じゃぁハルト君と呼ばせてもらうよ」

 

半蔵はハルトの隣に座った、そしてハルトに話を掛ける。

 

「そういえば、昨日紹介した本どうだったかな?」

 

「あっ・・・それがまだ途中なもんで~難しいもんっすよね~」

 

途中どころか、10ページ程しか読んでいないハルト。それを暖かい目で見る半蔵、しかし体の痛みを抑えるハルトに、さっき自分が与えたダメージと似ている所に勘付く。

 

「それで、どうかしたんすか?」

 

「えっ・・・あぁ~君を最初に見た時に、いいアイディアが思いつきそうだなってね。今度の作品のね」

 

半蔵はハルトを見て、次の作品のアイディアを考えていた、ハルトはその事に照れ隠しをする。

 

「いやぁ~そんな~!!俺なんかアイディアにならないっすよ~」

 

「いや、君みたいな活発な所が新しいインパクトを生み出すんだよ!」

 

話している内に、半蔵は熱く語り始める。

そんな中ハルトはある事を聞き出した。

 

「そう言えば・・・半蔵さんはどうして小説家に?」

 

半蔵が小説を書き始めた事についてだ、その質問に半蔵は・・・

 

「簡単に言うと始めて書いたのは、自分の心境・・・って所かな、それがたまたま賞を取ってね。それから次々に作品を書いたよ、まぁただ1つ理由があるとすれば・・・ある人に、僕の書いた小説を見てもらいたいって所かな」

 

半蔵の言うある人・・・それは彼にとって大事な人だろう・・・その人物とは?

 

「でもその人は、今どこにいるか分からないし、生きてるかどうかも分からない。だからこそ僕はその人に、一言感想が聞きたいんだ・・・」

 

「きっと会えますよ!半蔵さんが会いたいと思うならきっと!!」

 

少し浮かない顔をした、半蔵をハルトは励ます、何とも暑苦しくお節介だ、しかし半蔵は・・・

 

「そうだね、ありがとうやっぱり君は面白いね、ますますアイディアが浮かんでくるよ」

 

「エヘヘ・・・よく、言われます、でも・・・何か俺も、スッキリしました!ありがとうございます!」

 

お互い何かが晴れた様な、表情を浮かべた、ハルトはすぐ様立ち上がり、その場を去り走りだした。

 

「・・・しかし彼も、リベリオン使用者とは・・・少々胸が痛むね」

 

半蔵はポケットの中にあった、デバイスを手にし呟く。

そのデバイスは銀色で、甲冑を着せた馬のマークをしている。彼の目的はある人の行方を知る事・・・・

 

一方伊織は傷ついた体を抑え、自販機の後ろにもたれ掛っていた。

 

「クッソ!俺は・・・俺は決めただろ・・・由那を何としても救うって・・・これじゃ・・・何時までたっても終わらねぇ・・・!」

 

持たれていた自販機を、左腕で強く叩き、焦りを感じている。

1日も早く妹の病気を治したい、その一心で戦う伊織に、他の事を、える余裕なんてなかった。

そんな伊織に、サイバープログラムにクリーチャーが現れるビジョンが流れた。その場所は地下鉄の駅内だ、伊織はすぐ様、その地下鉄へ向かった。

 

「こんな時にクリーチャーか!」

 

その頃半蔵も同じようにクリーチャーのビジョンを見て、地下鉄に向かっている、ハルトは・・・少し遅れて気付いた様だ。

 

伊織と半蔵は同じタイミングで、地下鉄に到着し、伊織はエレベーターの中にあるボタンに、半蔵は人目の付かない前の列にある、非常ボタンにデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に伊織はルナリベリオンを、半蔵はチャリオットリベリオンを纏った。2人共それぞれボタンの中に入り、カタパルトでゲートブースターを装着し「GO!!」のサインと共に発射されサイバープログラムへと向かう。

 

今回現れたクリーチャーは、刺々しい針のついた鎧を纏うカエルのクリーチャー(アクスフロッグ)だ。

 

アクスフロッグを、最初に発見したのは、チャリオットリベリオンだ、腰に着けていた小型銃型の武器(ギミックガンソード)を手に取り、トリガーを引き、ビーム弾がアクスフロッグに向かって、発射するが鎧を纏ってるためか、攻撃が通らない。そこへルナリベリオンが飛び込み真月で、鎧の隙間を攻撃するが、素早い動きでかわされてしまう。

 

「ちっ、随分すばしっこい奴だな・・・」

 

ルナリベリオンがアクスフロッグを追いかけていく、チャリオットリベリオンは地下鉄の上に登り、左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、ギミックガンソードに取り付けてある、デバイスに装填し「ショットイン」の電子音声と共に、背部にエネルギータンクの様な物が取り付けられ、太いスナイパーライフルの様な武器(キャプチャースナイプライフル)と右手に持ち、ギミックガンソードを持ち手にする様に、連結する、キャプチャースナイプライフルから、スコープが現れ、標準をアクスフロッグの鎧の隙間に集中する。

 

ルナリベリオンがアクスフロッグに徐々に、ダメージを与えるが舌で巻かれ、天井に叩きつけられる。その隙を狙い、チャリオットリベリオンは、キャプチャースナイプライフルのトリガーを引き、強大なレーザー光線が、アクスフロッグの鎧の隙間を貫通する。アクスフロッグは爆死し、その残骸をシルバメタホースが食べ始める。

 

その様子を見ているチャリオットリベリオンの真上から、突然ルナリベリオンが襲い掛かる!

 

「野蛮な攻撃だね・・・嫌いじゃないけど!!」

 

チャリオットリベリオンはその剣撃をかわし、ギミックガンソードで、ルナリベリオンの腹部を撃ち抜く。しかしルナリベリオンは、その腕を掴みチャリオットリベリオンを斬り付けようとする。だが抑えられたギミックガンソードを手放し、反対側の腕に持ち替え、ガンソードを直線状に切り替え、銃口から刃が現れ、ギミックガンソードソードモードで真月対抗する。

 

「なにっ!?銃と剣を内蔵してるだと―――!!」

 

剣同士のつばぜり合いの中、お互いの剣の一撃により後ろの方へ、吹き飛ばされる。チャリオットリベリオンがホルダーから、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填しようとした時、ルナリベリオンが先にメモリーを取り出し、デバイスに装填し「ストームイン」の電子音声と共に、ブルームーンファルコンが現れ、翼で大きな風を起こ、しチャリオットリベリオンは風に押され、前に進めない、その隙に、ルナリベリオンは近くにあった、売店のレジの中に入り込み、サイバープログラムを抜け出した。

サイバープログラムを出た伊織は、さっきよりもボロボロの状態だった。

 

「何でだ・・・俺はあの日から覚悟を決めたのに・・・」

 

それは1年前あるリベリオンとの戦闘で前に契約していたクリーチャーを失った。時その日から力を求める様になった(0話参照)

 

しかしハルトとの出会いが彼の決意を鈍らせてしまう。どこか彼にもまだ迷いがある、実質この手で人を殺める事になるのだから・・・・

そんな自分の迷いに、ゴミ箱を蹴り飛ばし焦りを表す。

 

一方辺りが夕日で染まる頃、ハルトは地下鉄に駆け付けようとするが、途中でアクスフロッグが倒されるビジョンを見て、戦いが終わったのと察し帰る途中だった。するとそこで彩と遭遇するのであった。

 

「あっ!ハルトじゃ~ん丁度良かった、荷物運ぶの手伝ってくんない?」

 

彩の両腕には、大量に食料が入っているエコバッグを持っていた買い物の帰りだろう。

 

「たっく・・・しょうがねぇな・・・」

 

ハルトがバッグを持ってあげようとした時、さっき受けた傷が痛み、持とうとした腕が少し痺れる。

 

「えっ?もしかして怪我してるの?じゃぁ・・・こうしようか」

 

そう言うと彩は、バッグの持ち手の片方を持ち、2人で1つを持つようにしたハルトは、両腕傷めてるため、もう1つは彩が持っている。

 

「あっ・・・悪いな、これくらいで持てないなんて」

 

「いいって、それにこういうの、たまにはいいじゃん!小さい頃はよくやってたよね~」

 

小さい頃から、2人で買い物を頼まれる事があり、いつも2人で1つの袋を持っていた。

 

「そうだったな、何か久しぶりだなこういうの」

 

「うん、何だか嬉しい♪」

 

話が夢中になっている内に、彩の家に到着した。

 

「せっかくだし、お茶くらいご馳走するよ~」

 

「んじゃっ、お言葉に甘えますかな」

 

ハルトは彩の家で、お茶する事になった。ハルトがリビングのソファで待っていると、彩が紅茶と救急箱を持って来た。

 

「ほら腕出して、ちょっと染みるけど、少しは良くなるよ」

 

「えっ!?いぃって!こんなのすぐに治るし・・・ってか見てもらったばっかだし」

 

彩の治療を断るハルトは、無理やり腕に薬を塗られる。当然染みるので、ハルトは少し痛みを感じる。

 

「全く・・・一体どこでこんな怪我したの?」

 

「えぇっと・・・ちょっと絡まれた人を助けようと・・・なんて」

 

ハルトは怪我の理由を誤魔化した。馬に退かれて出来た傷とは、一言も言えるわけがない。

 

「ハァ・・・困った人を放って置けないのは知ってるけど、あんま無茶しないでよ、心配するから」

 

「えっ?最後なんて言った?」

 

「何でもない、はいっ、これでお終い!!」

 

彩はハルトの腕に、包帯を巻き、その腕を軽く叩いた。

 

「って―――――ありがとな、ここまでしてくれて」

 

ハルトは叩かれた腕を抑える。彩に出された紅茶を飲み、心が温まるからか、一息つく。

 

「何か・・・こうしてると落ち着く」

 

「うん、私もさ、ハルトがいるととっても落ち着く、昔からの仲だからかな」

 

何だかとてもいい雰囲気のハルトと彩、辺りも暗くなってきて、ハルトは帰る準備をする。

 

「んじゃ、俺帰るわ、ごっそさんな、今度暇あれば家来いよ、姉ちゃんのゲーム借りてやろうぜ」

 

「えっ!?うっ・・・うん今度ね!そうだよね・・・普通に遊ぶんだよね~」

 

彩は何かと勘違いした様だ、ハルトは彩の家を出て家に帰る。

その頃半蔵は庶民的な雰囲気を出す自宅にて小説の執筆をしながらある事を考えていた。

 

「あの青いリベリオンの使用者・・・ハルト君じゃなかった・・・そういえばあの時、少し姿が見えたな・・・アレは確か・・・」

 

半蔵は、ルナリベリオンの使用者がハルトじゃないかと思ったが、予想は外れていた。どうやら半蔵は、伊織と面識がある様な雰囲気があるが、その意味とは・・・・・・

 

 

 

現在リベリオン使用者 21人中残り20人

 

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回のリベリオン&クリーチャー】


チャリオットリベリオン

【全長】184㎝

【体重】100キロ

【総合ランク】A

【常設武器】二段剣銃ギミックガンソード

【使用メモリー】

【ショットイン】
キャプチャースナイプライフル ランクB
背中に大きなエネルギータンクと太いスナイパーライフルを思わせる重火器大砲並の威力を持ちスコープでターゲットに集中できる

【フィニッシュイン】
クリーヴ・オブ・ロード ランクS
シルバアーマホースとチャリオットフォートレスを召喚しフォートレスに乗り装備されている武装を発射させながら突撃する。ギミックガンソードを操縦桿として取り付け操作するため若干のタイムラグがあるのが弱点だがそれを除けばリベリオンの中で一二を競う攻撃範囲を誇る。

【契約クリーチャー】シルバアーマホース

【全長】180㎝

【体重】500キロ(チャリオットフォートレス含む)

甲冑を着せた銀色の馬型クリーチャー。ランクA
2体同時に召喚されるがエサは2体で1体の扱いのため複数契約と認識されない、しかし単体では本領を発揮できない。

【チャリオットフォートレス】
シルバアーマホースが引かせる戦車。これを使用する事で本領を発揮出来る。
強固な防御力を誇り1度走り出したら簡単には止められない。



アクスフロッグ
針の付いた鎧を着せたカエル型のクリーチャー。ランクD+
鎧を着けているため攻撃が通らない事が多いが鎧の隙間が大きいので射撃武器が有効である。針を飛ばして攻撃する事も出来る。


ご観覧ありがとうございます!

ハルトと半蔵の出会い…これがどう戦いに影響するのか?

そして最近戦績の良くない伊織…勝たなければならないのにその焦りが悪く影響しチャリオットリベリオンに押されてしまう、伊織の成長にも期待してください!

ハルトも他の使用者の考えに頭を悩ませる、彼の言葉は通じるのか!

そして次回そんな伊織の前に新たなリベリオン使用者が!!

それでは次回もご期待ください!!


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第7話「流れつく星」

前回のあらすじ

由那を助ける事で必死の伊織にクリーチャーが襲い掛かる。
そこにチャリオットリベリオンの襲撃に遭い痛手を負う、間一髪撤退した伊織、自分の力のなさに不甲斐無いと感じ焦る。


ルナリベリオンとチャリオットリベリオンの戦闘が起こったその日の夜。

展望台でハーモニカで、キラキラ星を吹く白髪の少年がいた。その男の腰には、黄色いアルカナ・デバイスが取り付けられている。この彼もまたリベリオン使用者なのか・・・・・

 

 

翌日、伊織は落ち着かないのか、白のTシャツと黒のYシャツの服装で、外を出歩いていた。

行く当てもないまま、公園の噴水広場で座り込んでいると、近くからハーモニカでキラキラ星を吹く音が聴こえる。

音のする方を向くとそこには、ハーモニカを吹く白い髪少年と、その周りに、子供たちが聴きに来た様に側にいた。

伊織も自然と癒される様に、その音を目をつむり聞く。

 

キラキラ星を吹き終えた少年は、伊織の方へ向かい、隣に座り出す。そしてある一言を呟いた―――――

 

「月の正位置、不安、裏切り、未来が見えない」

 

「なっ―――!?」

 

それはタロットカードの月の暗示だった。

伊織は少年の方を振り向く。それに月を口にする事から、少年がリベリオン使用者だと確信した。

 

「だが悪い事ばかりじゃないさ、逆位置は好転の兆し、いい事だってあるさ」

 

今度は逆位置の方を呟く、好転の兆し・・・良い事のある、明るい未来が待ってると言う事。

少年は伊織をからかってる訳ではなさそうだが―――

 

「何が言いたい・・・俺を馬鹿にしてるのか!?」

 

伊織は少年の胸ぐらを掴もうとするが、周りの子供達を気にしたからか、掴もうとした瞬間にとどまった。

 

「いや、お前、何処か焦ってる様子が見えたからな」

 

「俺が・・・焦ってる?そう思うか・・・だったら―――!!」

 

伊織が少年に、アルカナデバイスを突きつけ、戦いを挑もうとするが・・・・・・・・

 

「待て、俺は何も戦うつもりはない。けど、せめて戦うなら場所を変えよう」

 

そう言い少年は、伊織をある場所へ案内した。

その場所は廃校となった大学だ、人目も付かなく戦うには丁度良い所だ。

 

「ここなら、気を楽にして出来るだろ?」

 

「随分な場所を知ってるのな・・・とりあえず、アンタの名前ぐらいは聞いてやるよ」

 

「・・・星流凜(せいりゅうりん)だ」

 

少年の名は星流凜。

伊織は返答を返す様に、自分の名前を名乗る。

 

「三日月伊織だ、さっさと始めようぜ」

 

伊織は急かす様にして、凜にデバイスを突きつける。

凜も落ち着いた表情でデバイスを見せる、星を三角に並べたエンブレムが見える、STAR()の暗示だろう。

 

伊織と凜は、放送室と思われる部屋のモニターにデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に伊織は右二の腕に、凜は左二の腕にデバイスを、アタッチメントに取り付ける。

伊織はルナリベリオンに、凜は黄色のカラーがベースの、肩は星を半分こにした様なアーマーが特徴のリベリオン(スターリベリオン)に変身し、モニターの中へ入り込む。

 

2人がゲートブースターを使い、サイバープログラムに到着するとすぐ様ゲートブースターを外し、ルナリベリオンは真月を、スターリベリオンは十字架型の盾(スターシールド)を構える。

 

「ウォォォォォォ―――!!」

 

「ハァァァァァァっ―――!!」

 

2人は勢いよく声を上げ、前に突き進み、互いの武器をぶつけ合う。

 

「コイツっ・・・手練れ手るな!?」

 

「それはどうもっ―――!」

 

スターリベリオンは、ルナリベリオンの腹部を蹴り飛ばす。

そして右腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、スターシールドに取り付けてある、デバイスに装填する「ソードイン」の電子音声と共に、空から星を二重に重ねた様な大きい手裏剣と思われる(スターブレード)が降り、それを右手で斬りかかる。

 

ルナリベリオンはそれを間一髪かわし、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填し「シャドーイン」の電子音声と共に、自身の分身を4体生み出す。

相手を囲むように近づき、全員が真月を突きつける。

 

「これは・・・・参ったね―――」

 

辺りを見回し頭を抱える、しかしその口調は少し余裕が見える。

 

ルナリベリオンは分身全員と共に、スターリベリオンに真月を振り下ろそうとしたその時―――!

分身をある物体が突き抜ける様に、空中浮遊する。その物体はよく見ればヒトデを機械化させた様なクリーチャー(スターウェイブ)だった。

 

ファン―――!!ファン―――!!ファン―――!!

 

「アレが・・・コイツのクリーチャーか!?」

 

「そろそろ・・・終わりにしよう―――!」

 

スターリベリオンはシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填し「フィニッシュイン」の電子音声と共に、スターウェイブの上に飛び乗り、スターウェイブの裏側から小さな星が無数に手裏剣の如く、ルナリベリオンの方に落とし、スターブレイドを二刀流に構え上空から急降下する様に、落下し必殺技(スターメテオ)が直撃する。

ルナリベリオンはスターメテオをまともに受け、校庭の方へ吹き飛ばされる。

 

ファァァァァァァ―――ズドォォォォォォォォッン―――!!

 

「クッ・・・!俺は・・・俺はっ!」

 

立ち上がろうとするルナリベリオンに、スターリベリオンがゆっくり近づく。

そしてスターブレードを、ルナリベリオンに振りかざす―――――

 

が、スターリベリオンは寸止めで止めた。それを逆手に取る様に、ルナリベリオンは真月でスターリベリオンを斬り付け、倒れ込ませる。

ルナリベリオンが、スターリベリオンに馬乗りし、真月でスターリベリオンの腹部を貫こうとした・・・・しかしそれも、寸止めで止めてしまった。ルナリベリオンの腕は震え、そして息が荒くなり始めた。

 

「そうか・・・お前はまだ・・・」

 

スターリベリオンがルナリベリオンを見つめ、何かを感じた。

その時2人に、現実世界で教室内で子供が迷い込み、ヘビを人型にしたクリーチャー(ブラッドコブラ)に狙われてるビジョンが流れ出した。

 

「これは、マズいね・・・!!」

 

スターリベリオンはすぐ様、現実世界に戻り、アーマーを解除し急いで教室の方へ向かう。

ルナリベリオンも変身は解除しないが、凜の向かう方向へ連いていく。

 

ブラッドコブラは、壊れかけたテレビから飛び出し、子供に襲い掛かろうとする――――――

しかし、凜がその場に駆け付け、ブラッドコブラを蹴り飛ばし、テレビの方へ飛ばし引きずり込まれいった。

どうやら子供は、クリーチャーに狙われていた事に気付いていない様だ。

 

「君、ダメじゃないか。こんな危ない所に1人で来ちゃ、さぁここから出ようか」

 

凜は子供を心配するように手を取り、大学から出た。

校門近くには、母親らしき女性が、子供を探す様にキョロキョロしていた。

 

「ユウ!もうっ心配させないでよ!!」

 

「ゴメンなさい・・・」

 

母親は子供を強く抱きしめた、子供も母親に謝った。

 

「ありがとうございます・・・本当に感謝してます!」

 

「いえいえ、無事で何よりです。僕、もう危ない事しちゃダメだよ」

 

凜は子供の頭を優しく撫で、笑顔を見せる。

それを後ろから見ている伊織。

 

「お前は・・・一体なんの為に・・・」

 

「理由なんて特にないさ・・・ただ1つあるとすれば、世界平和ってやつかな」

 

「世界平和」少なくとも欲望まみれな願いではない。ぞれを聞いた伊織はハルトを思い出す。

 

「っく・・・そんな事言う奴、あのバカ以外にいやがるとはな・・・」

 

「へぇ~俺以外に同じ事を考えてる奴がいるなんて・・・」

 

凜は伊織の言った言葉に、興味を示す。

 

「あぁ・・・だがそいつはバカで考えもしないで、行動しやがって、人の事情に首突っ込んで来やがって・・・」

 

伊織はハルトの事を嫌味を言う様に話した。その言葉に凜は・・・・・・

 

「フフッ、お前、随分ソイツを気にしてんのな」

 

「ハァ?そんなワケあるかっ!何が悲しくてあんなバカを・・・・」

 

伊織は頑なに否定した。しかしどこか同様している様に見える。

 

「だが、どうでもいいならそこまで言わないだろう」

 

その言葉に伊織は返す事も出来なかった。

 

「あぁ・・・まぁここじゃなんだ、落ち着いたところで話そう」

 

伊織と凜は、話すには丁度良い静かな喫茶店(トゥンクティ)へ向かった。

小鳥が静かに鳴き風が心地よい。2人はコーヒーを飲みながら話を続ける。

 

「別に俺は好んで戦う訳じゃないさ、ただ、相手から戦いを挑まれたら・・・致し方ないと思ってる」

 

「フンっ・・・俺にはどうしても勝たなきゃならない理由がある。誰であっても戦わなきゃならない」

 

「だが、お前は俺を倒せたのに倒せなかった。それは心のどこかで戸惑いを感じているからだ」

 

心の戸惑い・・・・由那や葵の気持ち、リベリオンを倒し続ける事、頭いっぱい悩み頭を抑える伊織。

するとそこへ、1人の男が伊織と凜の席に近づいてきた―――国枝半蔵だ。

 

「やっぱり・・・君だったんだね、あの青いリベリオンは」

 

「成程・・・つまりお前があの時の甲冑野郎(チャリオットリベリオン)と言う訳だ」

 

半蔵と伊織は互いにリベリオン使用者だった事を知った。

半蔵は少し挑発的な態度を取る。

何故、半蔵が伊織の事を知ってたか・・・・それは半蔵の通う高校、「華ヶ岬学園」(はるがさきがくえん)に伊織は入学する予定だったが、由那の事もありそれを辞退していた。

成績としては伊織の方が上だった為、半蔵にとって印象に残っていた。

 

「つまりは、そこの隣の君も使用者って訳だ」

 

「そういう事になるね、でもご生憎様、俺は戦うつもりはない」

 

半蔵は凜もリベリオン使用者である事を尋ね、凜は正直に答える。

 

「成程・・・まぁ僕も今日は戦いに来たわけじゃないさ。偶然姿を見たから一応確認って訳さ、それじゃぁ僕は原稿の続きがあるので」

 

半蔵は喫茶店を後にし、そして凜は自分の意見を述べる。

 

「だが正直言えばこの戦い、本当に望みが叶うと言うのか?そもそも誰が何の為に仕組んだ、出来る事ならこの戦いを終わらせたい」

 

「お前の意見は分かった、それでも俺は・・・家族の為に戦う、数少ない家族だからな・・・」

 

どこか浮かない表情の伊織、由那や葵の事を考えてだろうかハルトを倒す事にさえ同様を感じてしまう。

するとそこへ葵がやって来た、買い物の帰りだろうか。

 

「珍しいね、義兄さんがこんな所に来るなんて、隣の人は?」

 

「始めまして、俺は星流凜、伊織とは・・・友達って所かな」

 

初対面であった葵に凜は、紳士的な挨拶をした。そして友達と言う発言に伊織と葵が驚く。

 

「ちょっとまて!?何時から俺とお前は友達になった!?」

 

伊織は凜の肩を掴みだす、葵は何故か感激する様に、嬉し気な表情を浮かべる。

 

「義兄さんに友達!口は悪い兄ですがなにとぞよろしくお願いします!」

 

葵は伊織に友達が出来た事に喜んでいた。その光景に伊織は呆れて溜息をついた。

 

「っく・・・そういう事にしとくか、仕方のないこった」

 

少し笑った表情をする伊織、その顔を見て凜は微笑んだ。

 

◇◆◇

 

そしてその夜・・・・ハルトはというと―――

 

「グァっ!?・・・コイツっ・・・・何なんだよ!?」

 

「それじゃつまらないよ~もっと楽しませてよねっ―――!!」

 

ソルリベリオンが赤茶色がベースのガタイの良い体型の姿でアルマジロトカゲを思わせる刺々しいデザインをしており両手には棘のついたナックル系の武器を持ったリベリオンに吹き飛ばされていた、果たしてハルトに一体何があったのか!?

 

 

現在リベリオン使用者21人中残り20人

 

ToBe Continued……

 




【今回のリベリオン&クリーチャー】

スターリベリオン

【全長】195㎝

【体重】99キロ

【総合ランク】B

【常設武器】星天盾スターシールド

【使用メモリー】

【ソードイン】
スターソード ランクC
星を2つ重ねた様な大型の手裏剣の様な形をした剣、剣先が長く攻撃範囲が広い。

【フィニッシュイン】
スターメテオ ランクB
スターウェイブの上に乗り上空から小型の星型の手裏剣を相手に落とし最後に突撃する。
攻撃後の反動があるが直撃直前にスターメテオから降り反動を軽減させる。

星流凜が使用するリベリオン。星を半分に割った様な姿をしている。メインカラーは黄色。忍者の様なトリッキーな攻撃を得意としている。凜が戦いを好まないためかリベリオン同士の戦いでは本領を発揮していない模様。

【契約クリーチャー】スターウェイブ

【全長】300㎝

【体重】70キロ

黄色のヒトデを二重にして機械化させた様なクリーチャー。ランクA
背部から星型の手裏剣を放出する、スターリベリオンがそれを手に持ち武器にする事も可能(スターダート ランクD)スターリベリオンを乗せUFOの様な動きを見せる。水中での行動も可能とされている。


ブラッドコブラ
ヘビ型のクリーチャー。ランクB
口の牙を武器に噛まれたら最後全身を毒に犯され死に至らせる。


新たなリベリオン、スターリベリオン彼もまたハルト同様に戦いを好まず止めようとする考えを持つ。

少しは冷静になった伊織、しかしその先には数々のクリーチャーやリベリオンが待ち受ける彼の戦いに見出すものとは―――

タロットカードの暗示を語るのは魔術師(マジシャン)と言うイメージ強い方もいるかもしれませんね、スターの方が味方であってほしいと思い選抜しました!

そしてハルトに立ち塞がる新たなリベリオン…果たしてどうなるのか?

続きにご期待ください!!

意見などあれば気軽に投稿してください


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第8話「動き出す輪」

前回のあらすじ

伊織はスターリベリオンの使用者である星流凜と出会う、彼と戦うが引き分けに終わる。
凜は戦いを終わらせる為に行動するそして妹を救う為に戦う伊織…彼の心に迷いが生まれる
葵の笑顔に何を思わすのか……?
そしてハルトは謎のリベリオンに襲われる、果たしてその正体は!?


伊織と凜が出会った同時刻、ハルトと彩は2人で出掛けていた。

 

「これってさ・・・デートに見えないかな?」

「ハァ?何時もこんな感じだろガキん頃から」

 

彩はハルトと歩いてるところをデートに見えないか聞いたがハルトにそんなつもりは全くない、むしろ何時もの事だから特に違和感さえない

 

「だよね~」

 

笑って誤魔化す彩。しかし、心の中ではちょっと残念そうだった。

2人が歩いていると、路地裏から大きな声が聞こえた。

その方向を見ると、若竹緑色の短髪の中学生らしき灰色の学生服を着た少年が、不良3人に絡まれていた。

 

「あの・・・・・僕、お金なんて・・・・・・」

「随分持ってそうな服装じゃぁねえか~ホレ3枚で十分だからさ~」

「この服の落とし前としては、足りないけどなぁ~」

 

不良たちの服は少し汚れていた。よくある当たり屋と言う奴だ、彩はスマートフォンを手に取り、警察に通報しようとしたがハルトが突然不良達の懐へ入り込んで、少年を庇う。

 

「おいおい、中学生相手に大人げないんじゃないスか!?それにそれくらい洗えば落ちるって」

「あぁ!?いきなり割り込んで偉そうな口聞いてんじゃねぇぞ!!」

 

後先考えないハルトの言葉、それに不良たちは怒り拳を大きく振りかざし、ハルトに殴りかかろうとする。

しかしハルトは不思議と体が動き、その拳を軽々と避ける、リベリオンとして戦ってきたハルトにとって、これくらいの動きは遅く見えた様だ

 

「アレ?避けちゃった・・・・・・・・」

 

自分でも唖然とするハルト、しかし隙を取られたかもう1人の不良に頬を殴られ、壁の方に叩きつけられてしまう。

 

「何だ、マグレじゃねぇか!驚かせやがってよぉ!!」

 

不良たちは容赦なくハルトに殴りかかろうとしたその時、パトカーのサイレンが鳴り響いた。

それを聞いた不良達は、慌ててその場を逃げ出した。壁にもたれ掛かるハルトに、彩が駆け寄る。

 

「全く・・・アタシが警察呼ばなかったらどうなってた事か・・・」

 

「おかげて助かったんだ、サンキュな。ってところでお前は大丈夫か?」

 

ハルトは彩の手を借り、立ち上がった。そして少年の方に向かい、彼を心配する。

 

「あっ・・・えっと・・・・大丈夫ですじゃっじゃぁ僕はこれで」

 

少年は怖くなってしまったのか、その場を駆け足で去る。

 

「イテテテ・・・」

 

ハルトは殴られた頬を抑える。

 

「そういえばさ・・・不良である噂を聞いたんだけどさ・・・」

 

「噂?」

 

「最近不良達が、怪物に襲われてる動画をよく見るって」

 

「怪物に!?しかも動画に取られているって・・・・まさかな」

 

動画サイト(ビーキューブ)でここ最近不良を中心に、怪物に襲われ、追いかけられる動画が最近になって、頻繁に投稿されている。まるで捕まったら死ぬ鬼ごっこの様に・・・・・・・・・

ハルトはそれをリベリオン使用者の仕業なんじゃないかと思っていた。

 

「またあの時の様な事があると・・・・・・・・ちょっと怖いな」

 

今まで強がってた彩だが、最近は本音を漏らす様になった。

ハルトはそんな彩の肩を叩いた。

 

「お前が心配するような事は何もねぇよ!だから安心しろ」

 

ハルトの言葉に彩は顔を赤くする。

 

「ハルト・・・・分かった!ハルトを信じるよ!」

 

ハルトの事を強く信頼する彩。

 

その夜、ハルトは不良のいそうな廃工場へと向かった。3件程探し、ようやく不良グループを発見した。

しかも昼間に会った不良だった。中をコッソリと除くと、6人おり、警察から逃げた事を笑話しにしている。

辺りを見回すが、他に人はいなさそうだ。そんな時、何かが落ちてくる音がした、不良達はその方向へと向かい、拾った。

 

その瞬間――――――背後から1人の不良の襟首を舐める様なゾッとした感触が襲う。

後ろを振り向いてみるとそこには、前回、伊織と凜の遭遇したブラッドコブラに、その同族と思われるヘビのクリーチャー(シャープスネイク)が目の前にいた。

 

不良達は、恐怖に見舞われた顔をしながら、逃げ出す。

しかし、やや太り気味の不良は、逃げ遅れてしまい、シャープスネイクの尻尾を模した左腕に足を縛られ、スマートフォンのある方向へ投げられ吸い込まれていく。

 

「マジったのかよ・・・・これもあの時みたいに・・・・・・」

 

俺はかつて起こった連続殺人怪事件の事を思い出した。

切島先輩の様に快楽的にこの様な事をしているなら、尚更許せない・・・・・・!

 

ハルトが左手の拳を握り、不良たちを助けようとした時、隣で誰かの笑い声が聞こえた。

 

「アハハハハ!!逃げるね~いいよぉ、そうでなくちゃ楽しくないもんね~」

 

ハルトがその方向を見てみると、隣にいたのは昼間絡まれていた少年だった。

片手にはビデオカメラを持っていた。つまりは少年このが犯人だった―――

 

少年の名前は和野要人(わのかなめ)

 

「おい・・・・・まさかお前なのか?こんな事したのは?」

 

「ん、あぁいたんだ、どうコレ?スリルあるよねぇ~」

 

要人の表情は、昼にあったオドオドした態度とは違い、今この光景を楽しんでまるで視聴者目線で見ている顔だ。

ハルトはその変わり様に、驚きを隠せなかった。

 

「お前もきりっ・・・・デッドリベリオンの様に、楽しんでやってるのか?」

 

「デッド?あぁ~あの連続殺人怪事件の、僕をあんな変態と一緒にしないでよ、僕が楽しんでもらうのはギャラリー達だよ」

 

要人の言うギャラリー、つまりは動画を見る視聴者の事だ。

彼が投稿した動画は、どれも10万回近く視聴されている。

彼らが求めてるものは、そう「刺激」だ。

 

「人生ってさ~同じ事ばかりでつまらないじゃん?だから僕が刺激を与えてるんだよ~どうせやるなら面白い方が楽しいに決まってるじゃん!!」

 

つまらない人生に刺激を与える事・・・・・それだけの理由で関係ない人を巻き込む…要人はわざと絡まれたフリをして契約クリーチャーに不良を追跡させ油断している所を襲わせた

 

「ってかさ~アンタが必死こいて僕を助けたのには笑えたわ、あの時お腹痛すぎて仕方なかったよ~」

 

要人は今でも笑が止まらなく腹を抑えている、その勝手すぎる行動にハルトは限界だった。

 

「だからって無差別に人を巻き込む奴があるかよ!!」

 

「無差別?何言ってるの、僕が襲わせているのはあくまで、社会に貢献できない奴らだけだよ」

 

言われてみれば襲われていたのは全て不良だった。要人も誰かれ構わず人を襲わせていた訳じゃない。

 

「って・・・・どうやらアンタもリベリオン使用者っぽいね」

 

要人は今更ハルトがリベリオン使用者だと言う事に気が付いた、それほど眼中になかったのだろう。

するとそこへブラッドコブラとシャープスネイクが2人に飛び掛かって来た、どうやらあの2匹は要人の契約クリーチャーではない様だ。

 

「あ~やっぱこうなっちゃうよね、また証拠隠滅しなきゃじゃん」

 

要人はポケットからアルカナ・デバイスを取り出した。

デバイスには輪っかに囲まれた尖ったトカゲの様なデザインをしていた。

 

デバイスを不良のバイクにあったタブレットに近づけ、左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

デバイスを振り下ろす様に構え「セットオン!」の叫びと共に、アタッチメントにデバイスを取り付ける。

 

そして赤茶色がベースのガタイの良い体型の姿でアルマジロトカゲを思わせる刺々しいデザインをした姿のリベリオン(フォーチュンリベリオン)に変身した。

今回はサイバープログラム内ではなく、現実世界での戦いのためそのままブラッドコブラに突撃する。

 

「っく・・・・・・セットオン―――!」

 

ハルトも遅れながらもソルリベリオンに変身し、シャープスネイクにパンチを浴びせる。

ブラッドコブラの尻尾を模した左腕の一撃が、フォーチュンリベリオンに直撃するもビクともしない。

どうやら防御力に特化したリベリオンなのだろう。

逆に、ブラッドコブラの左腕を掴み、右ストレートが炸裂する。

 

「これなら今日も楽チンだね、でもちょっと物足りないな~お手並み拝見としますか」

 

フォーチュンリベリオンは、余裕の表情を浮かべ、退屈そうに腕組みをする。

 

一方ソルリベリオンはレオンハートソードで、シャープスネイクを斬り付ける。

着々とダメージを与え有利に状況にある。その光景を見たフォーチュンリベリオンは、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しソルリベリオンの方に投げる。

落ちたメモリーは突然ピンク色に光り出し、その光に反応する様に、ブラッドコブラはソルリベリオンの方向へ向かう。

 

「えっどうなってんだ?まさかコレか・・・・・・」

 

ソルリベリオンはクリーチャー2体に囲まれながらも、それを振り払い、フォーチュンリベリオンが投げたメモリーを手に取る、そこには「MARK IN(マークイン)」と書かれていた。

能力はクリーチャーを引き寄せる事、これを不良たちの近くに投げ、クリーチャーをおびき寄せたと言う事だ。

 

「あ~あ、ネタバレ早いよ、まっいいけどね」

 

フォーチュンリベリオンは、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、左胸をスライドさせ収納されていたデバイスに装填「ナックルイン」の電子音声と共に、太い棘が付いたタイヤの様な、ナックル系の格闘武器(ホイールパンチャー)を両手に装備させ2体のクリーチャーに殴りかかる。

 

「うわぁ・・・痛そうだな・・・」

 

ソルリベリオンは体をゾッとする様に、小刻みに震えた、フォーチュンリベリオンの容赦のない攻撃が、ブラッドコブラを吹き飛ばす――――――!

シャープスネイクは弱りながらも近くにあった車のドアを破壊し、カーナビの中に入り込み逃げ出す。

 

「1匹逃しちゃったよ・・・・・まぁ後でどうにでもなるけどね」

 

フォーチュンリベリオンは八つ当たりするかの様に、ブラッドコブラの腹部を蹴り、ホルダーからシステムメモリーを取り出しデバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、屋根の上から赤茶色のアルマジロトカゲ型のクリーチャー(ディスティニーラチェルタ)が丸くなった状態で転がながら現れる。

 

隣同士に立ったフォーチュンリベリオンとディスティニーラチェルタは、互いを回す様に臀部を持ち上げ、一斉に丸くなり高速でタイヤの様に回転しはじめ、ブラッドコブラ目掛けて突撃し連続で弾く。

最後に挟み撃ちにして、ブラッドコブラに激突し必殺技(ホイール・オブ・ディスティニー)が決まり、ブラッドコブラは爆発する。

ソルリベリオンはその光景を見ているしかなかった、その時フォーチュンリベリオンがこちらに近づく

 

「待てよ!リベリオン同士戦うつもりなんて・・・」

 

「ふぅ~ん、まっどうでもいいけどね――――ッ!」

 

ソルリベリオンの言葉を耳にせず、フォーチュンリベリオンはホイールパンチャーの左ジャブの一撃を喰らわせる。

その強烈な一撃に、ソルリベリオンは吹き飛ばされてしまった。

 

「グァっ・・・!?コイツっ・・・・・何なんだよ!」

 

「それじゃつまらないよ~もっと楽しませてよねっ!」

 

フォーチュンリベリオンは止める事なく、ソルリベリオンを殴り続ける。

一度抵抗はしたものの、それをいとも簡単に跳ね除けられる。そしてとうとう立つのが、やっとな状態に追い込まれてしまう。

 

「クッ・・・くそう・・・」

 

「ハァ・・・・アンタ予想以上につまらなすぎ、もういいよ」

 

攻撃をしないソルリベリオンに呆れてしまい、フォーチュンリベリオンは止めの一撃に鳩尾に右ストレートをお見舞いする。

ソルリベリオンの変身は解除され、ハルトはその場に倒れ込んでしまう。

 

「何かもう、つまらなくなっちゃったから、もう帰るわ」

 

フォーチュンリベリオンの変身を解除した要人は、その場を去る。

ハルトは視界がぼやけ、意識が少しづつ薄れてゆく。そこへクリーチャーの気配を追って来たのか、伊織と凜が駆け付けた。

そこで凜は倒れているハルトを発見する。

 

「おいお前、大丈夫か!?」

 

凜はハルトの肩を組む様に抱え、伊織に反対側の手伝いを頼む。

 

「ん・・・・伊織?とアンタは・・・?」

 

「星流凜だ、一体何があった?」

 

意識の戻ったハルトは伊織と凜に今回起こった事を話した。ハルトは悔しそうな表情を浮かべる、不甲斐無い自分に・・・・

 

「それでこのザマか、情けないな」

 

伊織はハルトを煽る様な態度をとる。

 

「取りあえず休ませた方がいい、今日は俺の泊まってる宿で休ませる事にするよ」

 

凜はハルトを、自分の泊まっている宿へ連れて行くことにした。

リベリオン同士の戦いを拒むハルトに呆れを感じつつも、伊織自身も複雑な心境を抱えたままであった。

 

◇◆◇

 

一方要人は、パソコンの画面が並んでいる部屋に籠っていた。

そしてその手にはディスティニーラチェルタの描かれた「WHEEL OF FORTUNE」(運命の輪)のタロットカードを手にしていた。そしてその画面には、テクノアカデミー高の校内の図面が写っていた。一体要人は何を企ているのか・・・・・・・?

 

「フフフ・・・これは今まで以上に面白そうな事になりそうだね・・・」

 

そして時を同じく・・・・・・・

 

「噂通りだよ・・・・イカれた奴だよ・・・・敵うワケねぇよ――――――!」

 

古びた協会で50人近くの不良が、1人の赤髪に黒色のメッシュに、血に染まった様な赤い瞳を持つ男に、全滅させられていた・・・その男は右手に掛かっていた返り血を舐める。

 

「弱ぇ・・・・もっと・・・・強い奴はいねぇのかぁ!!」

 

苛立つ様に左手に持っていた鉄パイプで、鐘に目がけて投げつける。

鉄パイプは命中し鐘の音が鳴り響く。まるで倒れた不良達へのささやかな音色の様に・・・この男は一体何者なのか―――

 

 

現在リベリオン使用者21人中残り20人

 

ToBe Continued……




【今回のリベリオン&クリーチャー】


フォーチュンリベリオン

【全長】189㎝

【体重】120キロ

【総合ランク】B+

【常設武器】無し

【使用メモリー】


【ナックルイン】
ホイールパンチャー ランクC+
太い棘の付いたタイヤの様なナックル型の格闘武器、耐久性もあるため小型盾としても使用できる。

【マークイン】
ブリングサイン ランク無し
クリーチャーを引き寄せる、このメモリーは基本デバイスに装填せずクリーチャーをおびき寄せたい所に投げつける。デバイスに装填した場合自身にクリーチャーが寄って来る。またリベリオンを使用せずとも使う事が出来る。

【フィニッシュイン】
ホイール・オブ・ディスティニー ランクB
ディスティニーラチェルタと共に転がりながら回転し相手を連続で弾き止めに挟み撃ちにして相手に激突する。

和野要人が使用するリベリオン、タロットカードの「WHEEL OF FORTUNE」を意味する。
メインカラーは赤茶色、常設武器が無いものの強固な装甲「機重甲イージスアルモア」と耐久力を誇りそれを活かした肉弾戦を得意とする。デバイスは左胸に収納されている。

【契約クリーチャー】ディスティニーラチェルタ

【全長】210㎝

【体重】140キロ

赤茶色のアルマジロトカゲ型のクリーチャー。ランクB、ラチェルタはラテン語で「トカゲ」を意味末る。丸くなる事で高速で回転し相手に激突する、フォーチュン同様防御力と耐久力に優れている為ちょっとやそっとじゃダメージを与えられない。


シャープスネイク
ブラッドコブラと同族のヘビ型のクリーチャー。ランクC+
ヘビの尻尾を模した左腕が武器でムチやロープの様な攻撃を行う。


今回現れたフォーチュンリベリオン…彼はつまらない日常に刺激を与えるために行った行為…デッドリベリオン同様自己満足なのかもしれないが規模が違う…視聴者さえも刺激させてしまう…果たしてこの行いがどう出るのか?
そして次回は要人の計画が襲い掛かる!!そして最後に現れた男は一体どう関わるのか?

それではまた次回!!


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第9話「開幕宣言」

前回のあらすじ

ここ最近動画サイトにて不良が怪物に襲われる動画が投稿されている。
その実態を調べようとしたハルト、その実態はフォーチュンリベリオンこと和野要人がクリーチャーをおびき寄せ不良達を襲っていた。
クリーチャーを撃破したフォーチュンがソルリベリオンに襲い掛かる、猛攻な攻撃の前にソルリベリオンは遂に倒れてしまう……
そして満月が光る夜、古びた協会で不良を50人近くを1人で叩きのめした男は一体何者か……?


満月が光る夜、古びた協会で不良を50人近くを1人で叩きのめした男は不満を爆発させるように瓦礫を素手で叩き割る。

 

「あぁ…求めてやがる…血が疼く…もっと派手に暴れられられねぇのか!!」

 

男の名は黒崎我怨(くろさきがおん)、身長は175㎝くらいあり赤い髪に黒いメッシュで赤と黒のジャケットを着ている。

 

12歳の頃に不良校を10校も廃校にし凶暴かつ凶悪な性格をしており常に喧嘩が絶えない、挑む不良からは「バケモノに見える程イカれた強さとヤバさを持つ」と言われている。死体蹴りする様に1人の不良を蹴り続ける我怨の前にマントを羽織りピエロの様な仮面で顔の見えない人物が拍手しながらやってくる。

 

「なんだぁ?そのフザけた格好は?死に急ぎたいようなだな…」

 

我怨はマントの人物に瓦礫を投げる、しかしマントの人物はすり抜ける様に瓦礫を避ける、そして我怨に顔を近づける。

 

「君の様な男は戦うべき存在に相応しい、是非とも加わってもらいたい」

 

マントの人物は大きく手を広げる、何を言ってるのか分からない我怨は頭を搔く。

 

「訳の分からねぇ勧誘なんざ聞く耳ないぜ、他をあたんな」

 

「そう言わずにコレを」

 

マントの人物が渡したのは何とアルカナ・デバイスだった、デバイスは既にクリーチャーが契約されている様でダークグレーの色をしておりワニにドクロの兜を付けたエンブレムが描かれていた、そしてタロットカードを渡す。

 

そこにはダークグレーの色をした凶暴なクロコダイル型のクリーチャー(バイオヘルダイル)が描かれておりFOOL(フール)の文字が刻まれていた、つまりはタロットカードにおける0番目のカードの名を持つリベリオン(フールリベリオン)だ。我怨がデバイスを手に取ると突如と3体の2足歩行のハイエナ型のクリーチャー(イエナイェーガー)が我怨に襲い掛かる―――

 

その姿は山賊を思わせる様な服装をしており1匹リーダーの証の様な赤いタスキを着けている、それぞれ山刀を手に持ったり、左手に武器腕型のハンドガンを取り付けている。

 

「使い方はもう分かるはずだよ、君の心が知っている」

 

その言葉を残しマントの人物は姿を消す、最初は意味が分からなかった我怨だがその脳裏にデバイスの使い方が浮かんだ。

 

「成程…コイツはおもしれぇ…セットオン!」

 

我怨はデバイスを協会にあったラジカセに翳すとデバイスを持つ手を反対側の左腕にアタッチメントが取り付けられ首を掻っ切る様なポーズを取りデバイスをアタッチメントに取り付ける。

 

我怨の体がスキャンされる様にフールリベリオンを纏う、メインカラーはダークグレーで赤い瞳をしており、全身がワニの皮膚を思わせる装甲を持ち、肩はワニの尻尾の様に尖っておりデバイスは左手に取り付けられている、バイオヘルダイルの顔の形をした手甲型の武器(ダイルデンジャー)の中に収納されている、目も他のリベリオンと異なり睨む様に両目(ツインアイ)が鋭い。

 

「ほぅ…少しは楽しめそうだな…」

 

フールリベリオンは右手の指をポキポキならしイエナイェーガー3体まとめて蹴飛ばす。

 

右腰に取り付けてあるホルダーからシステムメモリーを取り出しダイルデンジャーの口を開き中にあるデバイスにシステムメモリーをデバイスに装填し、その口を閉じ「ソードイン」の電子音声と共に空から降って来たワニの尻尾に鋸を付けた様な形の鋸型の剣(ダイルブレード)を右手に持ちイエナイェーガーに斬りかかる、その斬撃は腹部に壮大なダメージを与え3体とも腹を抑える。

 

「ハハハ…!!最高だなぁ、オラぁっ!!」

 

フールリベリオンはイエナイェーガーを何度も何度もダイルブレードで斬り裂く、15回目の斬撃でイエナイェーガーは吹き飛ばされダメージに耐え切れず爆発する。

 

「何だもう終わりか?あっけないな…」

 

我怨はフールのアーマーを解除した。そこへ再びマントの人物が現れた。

 

「これから君は同じ力を持つ者同士と戦いになる事になる、戦いからは逃れられない…君を除き21人倒すまでは、そうすれば望むモノは全て手に入れる」

 

フールを除き21人…本来リベリオンは21体しかいない…つまりは1体追加され合計22体のバトルロワイヤルと言う事になる。しかし既にデッドリベリオンが脱落している為実質21体となる。リベリオン同士の戦いと聞き一見普通に見えるが奥底に狂気が眠る様な笑顔を浮かべる。

 

「これは当分楽しめそうだ…ゾクゾクするぜぇ」

 

マントの人物はそんな我怨をみてニヤりと笑う……………そして透ける様に姿を消す。

 

果たしてこの人物の正体は―――

 

 

◇◆◇

 

「うぅ…ここは?」

 

翌日、ハルトが目を覚ますとサイバープログラムとは違った黒い空間で趣味の悪いピエロの顔を思わせる椅子に座っていた。

 

「サイバープログラム…じゃないよな?」

 

ハルトが辺りをキョロキョロと辺りを見回してると陽気な声が脳内から流れてだす。

 

「全員集合してるかなー?あっでももう1人死んじゃったのか~全く~チミタチは気が早すぎるよ~何で全員揃う前に戦い始めちゃうのかな~」

 

「何だこの声?それに「チミタチ」って…ここには俺一人しか…」

 

「今いるのは自分だけとか思ってるヤツいるでしょ~、じゃぁここらでオ―――プン!!」

 

その言葉と共に指パッチンする音が聴こえる、その音と共に空間が開く様に会議をするような机が現れその周りには自分を含め21人同じ様に座っていた、自分以外シルエットの為誰が誰だか分からない、ただハルトが疑問に思う事がある、それは1つだけ席が空いていた。

 

「なっ…何だよコレ!?そういやリベリオン使用者は21人…でも席は22人…」

 

ハルトが考えていると何時の間にかへんてこな着ぐるみが上から落ちる様に降り華麗に机の上に着地した。雪だるまみたいな姿をしており下半身は赤くへそが黒い、目と口がピエロの様にニヤけており顔半分が仮面で覆われてるみたいな感じをしている。

 

「ジャンジャン―ん!!どう?驚いた?驚いたよね~、そりゃそうだよこんなへんてこな着ぐるみが来たら誰でも驚くよ~って僕は着ぐるみじゃないよ!!」

 

へんてこな着ぐるみは自分でボケて自分でツッコミを入れる。

 

「一体なんなんだここは……」

 

シルエットの為姿が見えないが声からして伊織だとハルトは気づいた、そしてへんてこな着ぐるみは伊織の質問に答える。

 

「僕はモニタ、チミタチにアルカナ・デバイスを渡した張本人が送り込んだ監視役なのだ~そしてここは戦いの途中経過を報告するミーティングルームみたいな所なのです」

 

着ぐるみの名は「モニタ」、今の話に周囲が驚いていた、数人は冷静な対応をとっていた。

 

「何だと……渡した張本人!?」

 

ハルトは驚いて机ドンっ!!と叩きモニタの方に顔を近づける。しかしモニタは黒幕について一切喋る気はない。

 

「あ~そっか、拾ったヤツもいるんだっけ?全くせっかく渡してやったのに手放したり負けちゃうなんて~おかげで人生台無しになっちゃったね~」

 

「下らない話はいい、さっさと用件を言え」

 

伊織はモニタを急かす、それをからかう様に言い返す。

 

「まぁまぁ、そんな焦らなくてもすぐに話すよ、まったく君はせっかちだね~やっぱりチミは後から渡しておけば良かったね~まぁ誰も倒せなかったから1人で済んだけど~じゃぁ本題に入るね、何とリベリオン使用者が全員決まりました、これによりリベリオン同士の戦いは本格的にスタートします!!今までのは準備運動みたいなもんだからね、本当なら22人全員揃ってくれたらいいのに…ショボボン、君たちはとっくに始まってる風に始めちゃうから~まぁチミタチがそれほど本気って事は嬉しいんだけどね、でもある程度ルールがないと好き放題やるから決めさせてもらうね、ちょっとお待ちください~」

 

モニタはタブレットを手に取り何かを打ち込み始めた。使用者全員がお互いを睨み始める、そんな中ハルトは目を合わせない様にしていた。

 

「ここにいる奴ら全員がリベリオン使用者…って事はあのガキも!?」

 

ハルトはここに要人もいると確信した、ハルトが要人を探しに行こうとしたが見えない障壁にぶつかってしまう。この周りは見えない壁で囲まれており移動が出来なくなっている。

 

「準備完了~ではチミタチ持っているアルカナ・デバイスの裏側をご覧ください、そして真ん中のボタンを押してください」

 

全員がアルカナ・デバイスの裏側を見る、裏にはiPhoneを思わせる様な画面になっていた、と言うよりも誰もが今まで裏側なんて気にしていなかった。そしてモニタの言われるままに真ん中のボタンを押す、押したと同時に画面から「ARCANA(アルカナ)」と言う文字が現れ携帯のホーム画面の様な画面となった。

 

「今このアルカナ・デバイスは色々な機能を追加しました、これによりバトルがさらに盛り上がると思います!喜んでくれると嬉しいな~」

 

全員が画面をいじりはじめる、最初に発見されたのは戦いにおけるルールであった。1つ目の項目には「勝ち残れるのはただ1人、勝者には望みの叶うある物を提供する」これはみんな最初から分かっている事だ。

2つ目には「14日以内に契約しているクリーチャーにエネルギーを補給しなければ契約違反とみなしそのクリーチャーに喰われるので定期的に補給をただし食べすぎにはご注意を」これを見て大抵の使用者の顔はやや青くなった。食べすぎに注意…切島一貴はそれが要因で脱落してしまった…全員それに気を付けようと感じた。

 

3つ目は「戦いに敗北=死んだ場合は使用者の記憶及び存在が抹消される、また他の使用者には記憶が残る」

これも分かっていた事だ、現に切島一貴の存在は抹消されている。しかしデバイスを手にした人はその消された記憶が蘇る。

 

4つ目は「サイバープログラムの出口は1時間後に消える、その後は24時間後に出口専用のゲートが開かれるのでそれまでは出る事は出来ない」これも以前から知っている事だ

 

5つ目は「サイバープログラム及び、現実世界でのリベリオンの使用時間は1時間、再使用には1時間を空けなければならない、しかしサイバープログラムと現実世界で交互に行き来しリベリオンを解除する事で制限時間が時間はリセットされる」リベリオンの仕様には制限時間が限られていた、長期の戦いとなるとこれの繰り返しが激しくなるだろう。

 

6つ目は「自身のデバイスを故意に破壊する事はペナルティと見做す」7つ目は「リベリオン同士の戦い以外での殺す事(脱落させる事)もペナルティと見做す」ペナルティとは何なのだろうか?全員が少し気になっていた。

 

「ペナルティはチョ―――凄い罰です!痛いじゃスマないよ~もしかしたら死にたいとか思っちゃったり」

 

モニタはクスクス笑っていた、その笑いにハルトは机を「バンっ!!」と叩きだし怒り表す。

 

「フザけるなっ!!何でそんな楽しんでるんだよ!?人の命が掛かってるんだぞ!?」

 

その行動にほとんどの使用者が呆れていた、普通の対応をしているのは同じ考えを持つ凜くらいだろう。

 

「なに感情的に熱くなっちゃってんの?いいかい?チミらはそれぞれの願いや野望のために戦ってるんだ、勝ったら叶えてやるってんだ!だかや殺りたい放題しちゃえばいいのさ!!」

 

モニタはハルトの発言に逆切れした、そして引き続きルールを見る。

 

8つ目は「クリーチャーの契約カードは各自3枚渡されている契約するクリーチャーは好きに決めてよい」改めて確認するとタロットカードは契約したのを含めて3枚あった、しかしハルトは2枚しかなかった。

 

「何で俺だけ2枚何だ?」

 

「そいつはお前の前任者が既に使用しているからだ」

 

ハルトが疑問に思ってたところを伊織が答えた、なぜならハルトが持つデバイスは元々他の使用者が使っており伊織と一度戦ってたから知っている(0話参照)

 

「俺も残り2枚しかないがな」

 

伊織の場合はかつて契約していたクリーチャーが倒されブルームーンファルコンと再契約していたからだ。

 

以上でルールの項目が終わった、またルールに書かれてはいないがデバイスが破壊されず他の人に渡った場合その人が使用者となり戦いが続行される、つまり完全に脱落させるにはリベリオンを倒した後にそのデバイスを破壊する事となる。

次にルールのアイコンの隣にレーダーと思われるアイコンを押してみる、するとクリーチャーを探すようなレーダーが写りだす。

 

「これはクリーチャーを探知するためのものだよ、より近くにいると頭にビジョンが浮かぶけど凄い離れてもこれが探知してくれるんだ、エネルギーを補給してない奴には安心だね!黒幕もチミタチの戦いを待ってるんだ!残りは21人次は誰がやられるのかな~?じゃぁ皆さんどんどん戦ってね~」

 

そう言い残しモニタはUFOにさらわれる様に上空へゆっくり吸い込まるそれをハルトが追いかけようとした瞬間目に映ったのは部屋の天井だった。

 

「アレ?戻った…ってここは?」

 

ハルトのいる場所は街のより所の宿だった、何が何だかサッパリ分からないハルト、辺りを見回していると後ろから凜がポンっと肩を叩いた。

 

「やぁ、目覚めかい」

 

「あっ…アンタは?」

 

ハルトは凜の顔をよく覚えていない、無理もない始めてあった時は意識が朦朧としてたのだから

 

「じゃぁ改めて、星流凜だ」

 

「しっ…獅子堂ハルトだ」

 

昨日の事もあり少し不安気なハルト、そんな彼に凜は―――

 

「心配するな、俺もお前と同じだ、戦うつもりなんてない」

 

それを聞いたハルトは少し安心した様子をみせる。

 

「そっか~1人でも気持ちが同じ奴がいると助かるよ、ってかアンタが俺をここまで?」

 

「まぁな、宿だがな、俺は旅をしている身なんでな」

 

風来坊の様なマント、旅人が使う洗濯袋、確かに旅人って感じだ。

 

「って事はアンタもさっきあの場所に?」

 

「まぁな、しかし一体何者なんだ?黒幕って言うのは俺達を戦わせて何になるというのか?」

 

考えれば考える程謎が深まる、そんな中ハルトはある事に気付く、時計を見ていると時刻は8時40分、そしてカレンダーを見ると今日は5月24日月曜日、と言う事は……

 

「あ――――っ!!遅刻確定だ!!しかも家に戻らないといけないし…ハァ」

 

旅館からハルトの家までおおよそ1時間、学校まで約30分遅刻どころか大遅刻だ。どうしようもなく焦るハルトに凜はお腹を抱えて笑う。

 

「ハハっ、こんな時に学校の心配か」

 

「単位取れなきゃ留年なんだよ!!どうしよう…取りあえず彩に電話しとくか…」

 

ハルトは慌てて彩に電話を掛ける、しかし返って来たのは予想外の言葉であった。

 

「ハルト!?今学校が…大変な事になってるの!!」

 

「学校が…!?おいっ一体何があったんだよ!?」

 

「それがね、突然シャッターが閉まって全員閉じ込められ…っ」

 

言葉の途中で電話が切れた、何が起こったのか全く分からない、凜も心配そうな顔をする。

 

「とにかく早く向かおう!」

 

「あっ…あぁ!!分かった!!」

 

ハルトと凜はテレビにデバイスを翳しハルトは右二の腕に凜は左二の腕にアタッチメントに取り付けられ「セットオン!」と叫びデバイスをアタッチメントに取り付けハルトはソルリベリオンを凜はスターリベリオンを装着する、2人はサイバープログラムからショートカットで学校に向かうためスターウェイブに乗り移動する。走るよりも早くテクノアカデミー高へ辿り着いた、窓やドアはシャッターで絞められ生徒や教師の殆どが閉じ込められた状態だった、周囲には警察や事態を嗅ぎ付けてやってきた人やマスコミでいっぱいだ。

 

凜はデバイスのレーダー機能を使いクリーチャーがいないか確認をする、レーダーには反応がない。

 

「…クリーチャーはいない様だ」

 

「それじゃぁ、一体どうなって…」

 

するとハルトのスマートフォンが鳴り始める、見てみると非通知と書かれた人物からの電話だった、おそるおそる電話に出ると―――

 

「はぁ~い楽しんでもらえてるでようか~?」

 

要人からの電話だった、要人はテクノアカデミー高の全体が見えるビルの屋上にいる、ハルトはその声に強くスマホを握り締める。何故要人がハルトの携帯番号や学校先を知っているのか…それは昨日戦った後にハルトが気を失ってる時に彼のスマホを覗いていた、その為彼の電話番号や学校の事を知っていた。

 

「お前…何したんだ!?」

 

「いやねぇ~ちょっとした事を始めようと思ってね~これからアンタの学校に僕の契約クリーチャーがエサをばらまく、そしてクリーチャーが大量に発生してそれを生中継と言う訳さ、カメラは各地に設置してあるからどこからでも見れる様になってるよ~あぁでもアンタが1人で助けて何人守れるか?ってのも面白そうだね~どうだい素晴らしいショーだと思わない?」

 

要人のやろうとしている事は今まで不良を追い回す動画を大規模にテクノアカデミー高の中で繰り広げようとしていた、しかし要人は社会に貢献しない人達しか狙わなかったが…

ディスティニーラチェルタがデバイス反応しなかったのは要人が特殊な電波で妨害しているからだ。

 

「何でこんな事にしたかって?アンタが悪いんだよ~だって戦う気にならないから、だから理由を作ってちゃんとバトルに参加してもらいたんだよ~」

 

全てはハルトを戦わせる為にその理由を作るためだけに、要人にとってやる事全てエンターテインメントの様に思っている。その勝手ぶりにハルトも我慢の限界だった。

 

「そんな事の為に俺の学校を巻き込んだってのか!?んだったら俺を襲撃すりゃいいじゃねぇか!!」

 

「だ~か~ら~それじゃつまらないって言ってるの!言ったじゃん~やるなら面白いほうがいいってさ~まっよろしく頼むよ~んじゃバイバ~イ」

 

要人はご機嫌な口調で電話を切る、ハルトは怒りのあまりデバイスを強く握り締めるのであった。

 

「あぁそうかよ…だったら望み通り…」

 

ハルトは学校のみんなを助けるのに頭がいっぱいだった、間に合わない内に助けに行こうとポケットに仕舞っていたデバイスを手にする、しかし凜がハルトの肩を掴み止めようとする。

 

「おい待て!それじゃ相手の思うツボだ」

 

「じゃぁどうしろって言うんだよ!?これじゃぁみんなが…俺のせいで…」

 

ハルトは拳を強く握り膝から崩れ落ちた。凜も助けたいがうかつに近づけず悔しさを滲みだす。

 

◇◆◇

 

伊織も校内に閉じ込められていた、リベリオンになれば脱出できるが1人皆を置いて出る訳にはいかない、それに周囲にバレてはなるまいと不本意であるが校内に残っていた。そんな中図書室に隠れる彩を見つける。

 

「あっアンタ…」

 

「浮かない顔してるな」

 

彩は体育座りをしながら少し不安な表情を見せ、伊織はその隣に座る。

 

「よく起こるよね…こういう事」

 

「あぁ…おっかないもんだ」

 

伊織は彩が小さくハルトの名前を呼んでる事に気付いた、頭を抱え自分の不甲斐無さに悔しがる。

 

(っく…何で俺が悔しがるんだ!?でも放っておけないってのは分かって来たかもな…失うのが恐くてやりたくなかったんだ…)

 

伊織は図書室に遭ったパソコンにブルームーンファルコンのカードを翳した、ブルームーンファルコンはパソコンの中に入り込む。

 

「頼んだぞ」

 

伊織はブルームーンファルコンを使い代わりにサイバープログラムの中を調査してもらう事にした、以前クリーチャーを失った事からまた失うのではないかと不安だったが、彩の姿を見て気が変わった様だ。

 

「あくまで借りを返しただけだ…あぁそうだ」

 

ハルトに何度か助けられた借りを返しただけだと自分に暗示をかける伊織。

ブルームーンファルコンは辺りを見回していると学校の屋上の方にマークインのメモリーを持ち移動しているディスティニーラチェルタの姿を発見し、妨害する様に嘴で襲いにかかる

 

「キィィィィィィィィィィ!!」

 

ブルームーンファルコンは雄たけびを上げ自慢の嘴と爪を活かしディスティニーラチェルタを足止めしている、ハルトと凜はその光景のビジョンが脳内に浮かぶ。

 

「まさか…伊織の奴が!?」

 

「でも…ルナリベリオンが見当たらない…リベリオンになれない代わりにクリーチャーで足止めか…フンッ、アイツもお人好しだな」

 

ハルトと凜は周りを取り囲んでる警官をくぐり抜け校舎の近くに向かう、そこでリベリオンを装着出来る電子機器や電気の通る所を探すが、こんな時に限って見当たらない。

 

「え~っと、あるのはスピーカーだけ…でも高くて使うことが出来ない…っくそ!!こもままじゃあのガキの思うままだ…」

 

リベリオンを装着する際に電子機器などに近づける距離はおよそ3㎝程、そのため遠くからでは使用する事が出来ない、焦り始めるハルトに凜が提案する。

 

「仕方ない、こうなったら屋上に登るしかない」

 

「屋上に登るったってどうやって登るんだよ!?」

 

屋上なら近くに校内放送用のモニターがある、それを介せばリベリオンを装着する事は出来る、しかし屋上まで約15m、登る事はほぼ不可能に近いが…

 

「こうするのさっ!!」

 

凜は校舎に取り付けられている太いパイプを伝って屋上まで登り始めた、ハルトもそれを真似て反対側のパイプを伝って屋上へ向かう。

 

◇◆◇

 

その頃要人はディスティニーラチェルタがブルームーンファルコンに足止めされてる事に気付いていた。

 

「全く…しょうがないね…セットオン!」

 

要人は手に持っていたパソコンにデバイスを翳しデバイスを振り下ろす様に構えデバイスをアタッチメントが取り付けフォーチュンリベリオンを装着し、サイバープログラムへ向かい、すぐ様ディスティニーラチェルタのいる学校の屋上へと駆け付ける。

 

「全く手こずらせちゃって……まぁ1匹程度大したことないけどねっ!!」

 

フォーチュンリベリオンはブルームーンファルコンに右足の強烈なキックをお見舞いする、倒れてる所に左足で蹴り上げる。伊織にその光景がビジョンで流れ出す。

 

「お出ましか…悪いが少しここで待ってくれ、辺りの様子を見てくる」

 

「あっ…うん、気を付けてね」

 

伊織はブルームーンファルコンを助けるため図書室を出る、それを見ていた彩は不安げだが以前よりは辛抱している。

 

自分だけ逃げるのを拒んだ伊織だがまたクリーチャーを失う事に恐れており過去の戦いがフラッシュッバックする。

すぐ様パソコン室に駆け付けた、幸い人は誰もいない、伊織はデバイスをパソコンのモニターに翳し右腕で刀を構えるポーズをし「セットオン!」の叫びと共に左腕に持っていたデバイスを右二の腕に取り付けルナリベリオンを装着する、パソコンの中に入り込みゲートブースターを介してサイバープログラムへ向かう。

 

「あそこか…」

 

伊織は100mを6秒で走るスピードでフォーチュンリベリオンのいる方に駆ける。

 

「ん?ご主人様の到来かな?」

 

それに気づいたフォーチュンリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し左胸をスライドさせ現れたデバイスにシステムメモリーを装填する「ナックルイン」の電子音声と共にホイールパンチャーが召喚され両腕に装備する、そのままルナリベリオンの方向へ突撃し両腕でストレートに殴り飛ばす。

 

「んなっ!?やってくれるな…」

 

ルナリベリオンは倒れ込むもすぐ様立ち上がり左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し真月に取り付けてあるデバイスに装填し「ソードイン」の電子音声と共に牙王天羽々斬が召喚され両手で持ち、反撃を行う。

 

シャキィィン――――!!牙王天羽々斬の斬撃がフォーチュンリベリオンに直撃する、硬い装甲も斬撃の攻撃に斬り付けられ6㎝程のカーブ状の切り傷が付く。

 

「ウソ!?案外やるじゃん~でもそろそろタイムオーバーなわけっ」

 

フォーチュンリベリオンは屋上のドアを叩き怖し左腰のホルダーからシステムメモリーを4本取り出す。

 

「これだけあれば十分ゲストは寄って来るでしょう」

 

マークインを4本…それ放てば多くのクリーチャーが呼び寄せられ現実世界へ現れ学校は悲惨な光景と化す、それを阻止しようとルナリベリオンが真月で斬り掛かろうとするがディスティニーラチェルタの突進に阻まれてしまう。

 

「それじゃぁ…第二ラウンド…って何よ?」

 

フォーチュンリベリオンがマークインのメモリーを投げようとしたその時、突然持っていたスマートフォンが鳴り始める。画面を開くとそこにはハッキングされた様な魔女が笑う画面になっていた……一方現実世界では―――

 

「もうちょいか…あと一息だな!!」

 

「あぁ…間に合えばいいが…」

 

ハルトと凜はあれから約半分程登っていた、あと一息とペースを上げる2人、すると突然シャッターが開きだす、その場所は偶然にも彩のいる図書室だった!!

 

「どういう事だ…突然開いた…一体何が?」

 

突然シャッターが開いた事に驚く凜、そしてハルトが最初に発見したのは彩だった。

 

「彩っ!!俺だ!!ここあけてくれ!!」

 

ハルトは彩に気付いてもらう様に右足で窓をドンドン蹴り始める。

 

「ハルト!?何でこんな所に!?今開けるから待ってて!!」

 

ハルトに気付いた彩は急いで窓を開ける、2人が窓から図書室へ飛び移る、ハルトは慣れない事をしたからか着地に失敗する、凜は見事に着地に成功する。

 

「大丈夫か!?屋上から向かおうとしたんだけど一体何で突然シャッターが開いたんだ?」

 

やはり突然シャッターが開いた事に3人は疑問を抱いていた、そんな時ある生徒のつぶやきを聞いた

 

「なぁ?やっぱコレってワルプルギスのおかげじゃね!!」「だよなぁ、こんな事出来るのあのワルプルギスぐらいだよな」

 

生徒達の言う「ワルプルギス」それは一体何なのか……?

 

「もしかして…あのワルプルギス!?天才ゲーマーの!?」

 

彩はふとワルプルギスの事を思い出した。

ワルプルギス…それは多数の動画サイトで有名な天才プロゲーマー実況プレイヤー、しかし何故今回の件に関わるのか……?

 

「確か噂で聞いた事あるんだよ…」

 

その噂とは……本業はハッカーである事、それなら納得がいくだろう。そしてその正体は「このテクノアカデミー高の卒業生である事」……

 

果たしてそのワルプルギスの正体とは…一仕事終えた様に額を拭く姿……果たしてその人物は……

 

「愛しき母校を襲うなんて…私に喧嘩売ってるも当然だっての」

 

その正体は何とハルトの姉である獅子堂夏姫であった!!部屋から籠る理由…ゲーム動画を撮っていた…それなら納得がつくだろう、ハルト自身も知らないであろう…まさか自分の姉がプロゲーマーでハッカーであるなんて…

 

「とにかくお前は避難してろ!!」

 

「ちょっと待って!!まだ伊織が!!」

 

彩は様子を見に行った伊織の事を気にしていた、ハルトは心配させまいと彼女の肩を掴む。

 

「しょうがねぇ奴だな~!!分かった、後は俺達で何とかするから!」

 

ハルトが顔を頷くと凜も相づち打つ様に顔を頷き図書室を出る、彩も急いで図書室を出て校庭の方へ向かう。

 

一方計画を邪魔されたフォーチュンリベリオンは酷く苛立っていた。

 

「っく邪魔してくれちゃってさ!!これじゃぁせっかくのショーが台無しじゃんか!!」

 

その隙を突く様に後ろからルナリベリオンが牙王天羽々斬で斬り付け7m程吹き飛ばされる、フォーチュンリベリオンは立ちすくみ動けない、そこにルナリベリオンがゆっくりと近づく……

 

その頃ハルトと凜は図書室のパソコンからリベリオンを装着しルナリベリオンとフォーチュンリベリオンを探していた、屋上の方へ向かおうとするがそこへ前回逃したシャープスネイクの左腕の尻尾の攻撃が2人を阻む!!

 

「っく……こんな時に!!」

 

「だがここで邪魔してくれたのが幸いだったな」

 

もしもシャープスネイクが現実世界に侵入していたら校舎内は大惨事であっただろう、そうならなかった事にスターリベリオンは安心した。

 

「シャァァァァァァァ!!」

 

シャープスネイクは口から紫色の体液を吐き出す、2人はそれを避ける、避けた先の教室に体液が当たり壁が溶けだす。

 

「うっそだろ!?当たったら一溜まりもねぇぞ!!」

 

「だったら一気にカタを着けよう!!」

 

スターリベリオンとソルリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出しデバイスに装填する、ソルリベリオンは「バスターイン」の電子音声と共にレオバスターが召喚され左腕に取り付けエネルギーをチャージし瞬時にエネルギーが溜る。

 

ブァァァァ―――ン!!

 

必殺技(ブレイズレオバスター)がシャープスネイクに目掛けて撃ち込まれる。

 

スターリベリオンは「フィニッシュイン」の電子音声と共にスターウェイブが召喚され飛び乗り

 

シャープスネイクの真上の方に飛び小型の星型手裏剣を飛ばし最後に相手に突撃する

 

ファァァァァァァ、ズドォォォォォォォォッン!!

 

スターメテオが直撃する。2大必殺をくらいシャープスネイクは突き破られた窓から10m程吹き飛び爆発する。

 

「何とか倒したな……」

 

「あぁ…それより先へ急ごう」

 

2人は急いでルナリベリオンのいる屋上へ向かう、屋上に着きその目に見た光景は牙王天羽々斬をフォーチュンリベリオンの喉元に突き付けるルナリベリオンの姿だった。

 

「勝負あり…だな」

 

「おい、やめろ!!その手を汚せば二度とあの頃には戻れなくなるぞ!!」

 

「俺は…この戦いに勝たなきゃならない!!」

 

スターリベリオンの説得を耳にせずルナリベリオンは牙王天羽々斬をフォーチュンリベリオンを真っ二つにする様に振り下ろす、ソルリベリオンはそれを止めようと走り出す

果たしてどうなるのか――――――?

 

1機追加により、現在リベリオン使用者22人中残り21人

 

ToBe Continued……




【今回のリベリオン&クリーチャー】

フールリベリオン

【全長】189㎝

【体重】83キロ

【総合ランク】A+

【常設武器】壊砕牙ダイルデンジャー

【使用メモリー】


【ソードイン】
ダイルブレード ランクB
バイオヘルダイルの尻尾を模した鋸型の剣、かなりの破壊力を誇っている。下部のヒモを引っ張るとチェーンソーの様に振動しあらゆる物を破壊する。

黒崎我怨が使用するリベリオン。タロットカードの「FOOL」を意味する。
メインカラーはダークグレー、全体がワニの皮膚を思わせる装甲をしており眼も他のリベリオンと異なり鋭いデザインをしている。
身軽な格闘戦や襲撃を得意としており我怨本人の凶暴性がそれに加わり強力な力を持っている。
21体のリベリオンとは異なり黒幕が急遽追加させたリベリオンである。

【契約クリーチャー】バイオヘルダイル

【全長】5m

【体重】400キロ

ダークグレーのクロコダイル型のクリーチャー。ランクA+
強力な顎を持ちあらゆる物を噛み砕く。体格とは裏腹に速い動きをする。

イエナイェーガー

ハイエナ型のクリーチャー。ランクC-
団体行動を基本としている。山賊の様な格好をしており、山刀や武器腕型のハンドガンを武器にしている。
とても大衆の臭い個体も存在する。リーダーは赤いタスキを着けている。

今回登場したフールリベリオンはとにかく脅威な存在となります…彼の登場により加速する戦いに嵐が巻き起こります!!

急遽リベリオンを追加させた黒幕…その目的とは!?モニタのいる部屋は使用者にどう影響させるのか?

次回第1部クライマックス直前…どの様な展開が起きるのか…

それではまた次回!!

感想お待ちしてます


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第10話「戦士の休息」

約1週間以上ぶりの投稿です、忘れられてしまってると思いますが見てもらえると嬉しい限りです!


前回のあらすじ
新たにフールリベリオンが追加され本格的にリベリオン使用者同士の戦いが始まった。
フォーチュンリベリオンに敗れたハルトは凜の泊まる宿に休まされていた、学校へ向かおうとした時、学校は要人によって占拠されてしまった!伊織が応戦するも若干押され気味となってしまう、そんな時ワルプルギス(獅子堂夏姫)によって学校が開放される、状況が逆転し遂にルナリベリオンがフォーチュンリベリオンを追い詰める、そしてルナリベリオンの剣が突きつけられる―――


ルナリベリオンはフォーチュンリベリオンに目掛けて牙王天羽々斬を振り下ろす、ソルリベリオンが走りだしそれを止めようとする、しかし時は既に遅かった……

だが牙王天羽々斬が振り下ろされたその先……それはフォーチュンではなくその右斜めの地面に突き刺さっていた。その手に迷いはなかった…だがわずかな迷いが剣先の軸をずらした。

 

「な~んだ、情けない、そんなんで良く参加できたね!!」

 

フォーチュンリベリオンはルナリベリオンの隙を突き左足で蹴り上げる、そして右腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し左胸をスライドさせそこから現れたデバイスに装填し「フィニッシュイン」の電子音声と共に互いを回す様に臀部を持ち上げ一斉に丸くなりルナリベリオンの突撃しようとする、そこへソルリベリオンとスターリベリオンがホルダーからシステムメモリーを取り出しそれぞれのデバイスに装填し「シールドイン」の電子音声と共にソルリベリオンは召喚されたライオディフェンダーを2つ手に取り、スターリベリオンはスターシールドから電磁波のバリア(ウェーブバリア)を発動する、2人はルナリベリオンを囲む様に守りの体性に入り、ホイール・オブ・ディスティニーを防御する。激突の衝撃で3人共10mの方向へ吹き飛ばされる。

 

ゴロロロロロロロ――――ズドォォォォォォン―――!!

 

「な~んだ、大した事ないね~これじゃぁつまらないよ、あ~あ、次の計画でも考えよ」

 

吹き飛ばされた3人を見つつフォーチュンリベリオンは自分のいたビルの方向に走り去る―――。

吹き飛ばされた衝撃で倒れ込む3人、スターリベリオンとソルリベリオンは立ち上がるがルナリベリオンは立ち上がれず膝を付き、崩れて倒れている。

 

「あんニャロ~今度こそはコテンパンにしてやる!!って伊織、大丈夫か?随分ダメージデカい様だけど……」

 

ソルリベリオンが手を伸ばしたその時、ルナリベリオンはその手を振り払い上半身だけ起き上がり大きく雄たけびを上げる様に悔しさを声に表す様に叫ぶ。

 

「……っそが…クソがあああああああああああああああ!!」

 

その叫びと共にダメージが限界を超えたからかルナリベリオンのアーマーは解除される。力を使い果たしたように伊織は倒れる。それをソルリベリオンとスターリベリオンが彼の腕を掴む。

倒れた伊織を抱え2人はサイバープログラムから出て、屋上に辿り着く。凜は気を失う伊織の顔を見てどれだけ戦い続けたかを感じた。

 

「ここまでなるまで戦ってたとはな……休む暇などなかっただろう…」

 

「そこまでしてアイツは……」

 

ハルトにも伊織が由那を救う為に自分の身まで切り捨てる勢いで戦いに身を投じた彼の覚悟を感じ取る、

2人は伊織の肩を組む様に抱え校舎から出る、校舎を出ると沢山のマスコミや野次達が多人数周りを囲むようにいた、その中で、ハルトと伊織を心配しながら校舎を見つめる彩の姿を発見した。

 

「あっいたっ!、お~い彩~無事か~?」

 

ハルトもあの後彩が無事避難したか心配していた。ハルトの姿を見た彩は彼を呼ぶように右手を振る。

 

「あっハルト!!伊織は……って何があったの!?」

 

気を失う伊織の姿を見て彩は驚く、凜がある程度誤魔化しながら彼女に事情を説明する。

 

「まぁ…生徒を助けようとして何者かに襲われたって所かな…」

 

「そうなんだ…ってそう言えばアナタは?」

 

今更であるが彩は当然初対面である凜を知らない。彩は凜に彼の名前を聞いた。

 

「あぁ、そうだったな…俺は星流凜、2人とは…友人って所だ」

 

ハルトも今日会った(正確には昨日助けられた)が友人と言っても嘘にはならない、彩は知らぬ間に友達を作ってたハルトを冗談絡みでからかう。

 

「アンタも知らぬ間に友達作るね~でも良かったよ…」

 

彩は気を失う伊織を見て心配する様子を見せるが戻って来た事に安心していた。ハルトと凜は伊織を彼のマンションまで運ぶ事にした。

 

「確かコイツん家はそんなに遠くない、葵ちゃんはまだ学校だと思うけど…その辺に寝かすよりマシだろ」

 

「あぁそうだな、取りあえず行くとするか」

 

◇◆◇

 

時刻は12時30分……葵はまだテクノアカデミー高の事件を知らないからか彼女の通う「華々岬学園付属高校」にて伊織の作ったお弁当を食べ終えお手洗いに向かうとした廊下で2人の女子生徒がスマホを見ながら話していた、それはついさっき起こったテクノアカデミー高で起こった事件の事だった、葵がリアルタイムに最新ニュースを見れるスマホアプリ「リアルタイムショット」を開くとテクノアカデミー高で起こった事件が乗ってあった。そのニュースの記事の内容を見て義兄を心配する表情を浮かべる。

 

「義兄さん…無理してないといいけど…」

 

無茶ばかりする伊織の事だから余計に心配する葵、残念な事に予感は的中していた。

その頃ハルトと凜は伊織のマンションに辿り着いた、現在時刻は13時丁度、当然ながら学校は休学となった。

 

ハルトがマンションに入ろうとするとある事に気付く、伊織の家の番号だ。

 

「あ~これじゃぁはいれねぇな…どうする?」

 

「ふぅ…こういう使い方はあまりしたくないのだが今の状態じゃ仕方ないな、今回だけだと思いたい」

 

凜はため息をつきながらアルカナ・デバイスを手に取る、ハルトは凜の考えてる事に気付き手を「ポンっ」と叩く。

マンションに入れないハルトと凜はリベリオンを装着しサイバープログラムを介して伊織の住む階に向かう。階段を地道に登り1部屋づつ調べ、5回に辿り着いた所でようやく「503 三日月家」と書かれたドアを見つける、2人は近くの換気扇を介して現実世界に戻る。

 

「悪いな…ちと使わせてもらうぞ」

 

ハルトは伊織のズボンのポケットから鍵を取り出し彼の家の中に入る。ハルトにとって初めて出会った時以来だ、凜はリビングから右の方のドアを開ける、そこはハルトは以前気を失った時に寝かされてた部屋だ。

 

「ここに寝かせるとしよう、布団を用意してくれないか?」

 

凜はハルトに布団を用意してほしいと頼む。言われるままにハルトは近くにあった押し入れから布団を敷く。凜は汚れた伊織の制服を脱がし始める。その体には戦いで出来たであろう傷跡が体中に残っていた。

 

「こんなになるまで戦っていたのか…しかしそこまでして…」

 

伊織の傷を見て浮かない顔をする凜、何故ここまでして戦うのか思っていた、そんな時彼の目に写ったのは青空の公園でブランコに乗る笑顔を見せる少女(由那)とその肩を優しくつ握りながら笑顔を浮かべる少年(伊織)の写真だった。凜は(伊織)の戦う理由がようやく分かった。そして前に言っていた˝家族の為˝と言う事を思い出した。

 

「そういう事か…確かに言ってたな…˝家族の為˝と」

 

その理由に納得するもやはり戦い続ける事が彼の為にならないと感じる凜、そこへ布団を敷き終わったハルトがやって来た。

 

「凜、終わったぜ、早く横にさせようぜ」

 

ハルトに気付いた凜は気を失ってる伊織を布団に寝かせた、寝かせた伊織の表情は戦いに疲れ癒されている様に見える。

 

「こんな顔して眠りやがって…そこまで必死だったんだな―――」

 

「だな、よほど疲れていたんだろう、心身共にな」

 

伊織の表情を見て「しょうがない」と息を吐きながら凜は立ち上がり洗面台へ向かいタオルを濡らしに行った。

ハルトも疲れたからか欠伸をする姿を見せる。

 

◇◆◇

 

それから時間が経ち16時36分、学校が終わった葵が急いで家に帰ろうとする、(伊織)が心配で仕方なく慌てた様子だ。大急ぎでマンションに戻り自宅のドアを開ける、そこには普段は見ない靴が2つ置いてあった、どちらも見覚えのあるものだ、黒い靴の方はハルト、青い靴の方は凜の靴だった、葵はすぐ様飛び出す様に靴を脱ぎリビングから右のドアを開ける、そこには傷ついた体を癒す様に眠る伊織の姿があった。

 

「義兄さん!どうしてこんな……」

 

予感が的中したからか葵は焦りを隠せない表情をしていた、そして心配する様に彼の肩を掴む。そこへハルトと凜がこちらに来た。

 

「あっ…おかえり…ゴメン勝手に上がり込んで…」

 

「休ませるにはやむおえずだったのでな…」

 

2人(ハルトと凜)は申し訳なさそうに頭を搔いた。葵は怒る分けもなく伊織を助けてくれたことに感謝していた。

 

「2人がここまで運んで来たんですか?…ありがとうございます」

 

その表情は一安心しただろうか瞳から涙がポロポロ零れ出す。そんな彼女()の姿を見てハルトは慰めようとする。

 

「大丈夫だって!元気になるって!葵ちゃんや由奈ちゃんが心配したら余計に焦るしさ……」

 

その表情はどこか頼りない感じがあった、他人事かもしれないがハルトは自分なりに気遣ってるつもりだ。

 

「そうですよね…私がしっかりしないと!」

 

励まされたからか制服の裾を捲る葵、その勢いのまま台所へ向かい一番下の引き出しからボールをザルを取り出しそのザルに米を3合程入れ米を研ぎ始める。

 

「葵ちゃん…何を?」

 

「決まってます!義兄さんにおかゆ作ってるんです!」

 

やる気マンマンの表情を浮かべる葵、その表情を見て2人はホッとする様に笑う。研ぎ終えた米を炊飯器に入れようとする葵、しかし驚いた事か米の入ったお釜には水が入っていなかった!それを見たハルトは慌てて葵が炊飯器のスイッチを押すのを止めた。

 

「ちょっと葵ちゃん!?お米炊く時は水入れなきゃダメだよ!!」

 

「えぇっそうなんですか!?」

 

葵は初めて知った様に驚く、その瞬間ハルトは葵は料理が下手だと言う事を確信した。

 

「お米を炊くときは入れたお米の合のメモリに合わせて水を入れるんだよ、ほら3って書いてあるでしょ」

 

ハルトは葵に米の炊き方を丁寧に説明する。教えてもらった通りに葵はお釜に3のメモリの所まで水を入れもう一度炊飯器にお釜を入れスイッチを入れる。

 

「ハルトさんって料理得意なんんですか?」

 

「まぁ…ある程度はね、今度時間があったら色々教えて上げよっか?」

 

「ハイ!私…兄からもよく下手って言われるんです…上手くなろうと頑張ってるんですけど…」

 

これでも葵なりには努力している様だ、そんな張り切る顔を見てハルトもやる気が湧いてきた。

 

「うっし!じゃぁ炊けるの待ちますか!」

 

時刻は17時丁度、ご飯が炊けるまであと1時間……長々と待っていた、ようやく1時間が経ちご飯が炊けた、おかゆを作るのに小さい鍋を持ってくるが、それと一緒に葵は油までもって来る。

 

「油は使わないよ!」

 

ハルトはツッコミを入れる様に葵に油は必要ないと指摘する。

 

「うぅ…スミマセン…」

 

葵は申し訳なさそうに頭を抑え落ち込んだ様子を見せる。言い過ぎたかと思いハルトも謝る。

 

「あぁ…ゴメン、普通にご飯に水入れてトロトロに煮立ったら弱火にする、でもコゲが付かない様に時々かき混ぜるんだよ」

 

ハルトさんは私におかゆの作り方を教えてくれた、凜さんはその間に食器を出していました、普段は叔母が仕事でいなくて兄と2人で生活していた為こうしているのが何だか嬉しくてしょうがないです、私は心の中で「こんな日がずっと続いて欲しい」と感じました……でもきっと無理かもしれません…だってハルトさんも凜さんもリベリオン使用者、いずれは兄と戦うかもしれない…そう考えてしまうと胸が痛いです、でも今こうしていると嫌な事も忘れてしまうくらい楽しいです。

 

「ほら、美味く出来たでしょ、後は塩を適量振って完成~」

 

ハルトさんに教えて貰った通りにやったおかげで美味くおかゆが出来ました!初めてかもしれません、こんなに美味く出来たのは…義兄さんに教えて貰う時は何時も失敗なのに……そこに関してはハルトさんの方が勝ってますね、私は凜さんの用意したお椀に作ったおかゆをよそって塩を適量振りかけて、トレイに乗せて義兄さんの所へ持っていく

 

「義兄さん?起きれる?」

 

私は寝ている義兄さんを起こそうとおかゆを小さなテーブルに置き肩を揺らす。

 

「ぅん…葵か…確か俺は……」

 

伊織は目を覚まし起き上がる、まだ頭がふら付くからかボーっとしている、そして葵の横にあるテーブルのおかゆに目が向く。

 

「アレ…もしかして…お前が?」

 

伊織はまだ疲れ気味の口調で言う、葵は頷きハルトに教えて貰った事を話す、そして伊織はハルトの方向を向く。

 

「……また借りを作っちまった…」

 

これ以上借りを作らまいと思った伊織だがまた作ってしまった事に右手で頭を抑える。

 

「おっ…俺だって少しは心配したんだぞ!!」

 

ハルトは照れくさく言い返す。伊織はゆっくりと立ち上がり小さなテーブルの方に向かい座布団に座る。スプーンを手に取り大さじ1杯程度におかゆをよそい、少し冷ます様にフーフーと息を吹き1口食べる。

 

「…美味いな、初めてじゃないか美味く作れたの」

 

葵の作ったおかゆを美味いと伊織は評価する、しかし葵は頬を膨らましていた。まるで今まで美味しくなかったと言われたと思ったのだろう。

 

「もうっ!それじゃぁ今まで美味しくないって言ってるもんじゃん!」

 

こうしてみると普通の家族の様な雰囲気で伊織も今までのキツイ表情とは裏腹に優しい顔をしていた。

そこに凜が(こんな顔するんだ~)とにこやかな表情をしていた。

 

「まっ元気になりそうでなによりだな」

 

俺は2人(伊織と葵ちゃん)の穏やかな雰囲気を見て一安心した、そこに凜は「そろそろ行こう」と言いながら俺の肩を叩いた。

 

「そうだな、あっでもせめて食器洗ってから…」

 

「いえ、後は私がやりますので大丈夫です」

 

葵ちゃんの一言を聞いて納得した俺は凜と一緒に伊織の家から出た、エレベーターに乗ってる時凜が話しかけてきた。

 

「お前には…戦う理由とかあるのか?」

 

それは俺に戦う理由はあるかどうかだった、でも俺の答えは変わらない。

 

「俺は…クリーチャーから人を守る為にリベリオン使用者になったつもりだ、今も…これからも」

 

俺の答えを聞いた凜は安心した様な表情をしていた。

 

「それを聞いて安心したよ、お前とならこの戦いを止められそうだ」

 

だが俺には1つ不安があった…ハルトの暗示…SUN(太陽)伊織のMOON()は正位置と逆位置では全く違う、対立する存在と言っても過言ではない……決して交わる事のない存在…それを変えられるのはあの2人次第だ……

 

「んじゃっ俺こっちだけど凜は?」

 

「あっ…あぁ俺はこっちの方なんでな」

 

ハルトと凜の帰る方向は別だったため2人は十字にそれぞれ左右反対の方に分かれてハルトは自分の家に、凜は宿ではなく満喫へ向かった。

 

「何だかんだで結構遅くなったな~」

 

スマホの時計を見たら時間は19時26分だった、こりゃヤバい、姉ちゃん腹すかせて怒ってるかもな~俺は大急ぎで家に帰った。

 

「ゴメン!帰るの遅くなって!」

 

俺は家に帰ってすぐ様姉ちゃんの部屋のドアを開けた、しかし部屋を見ると誰もいなかった、辺りを探してみるとリビングのテーブルで味噌味のカップ麺(ビックヌードル)のを食ってる姉ちゃんの姿があった。

 

「おかえり」

 

姉ちゃんは何時もと変わらないぼ~っとした表情をしていた、怒ってるかどうかも分からない、すると姉ちゃんが俺の方に近づき話をかけて来た。

 

「今日の事ネットで見たよ、大丈夫だった?それに昨日帰って来なかったし」

 

夏姫はどこかハルトを心配している様な表情をしていた、普段はだらしない彼女でも弟の事はなにより心配していた、もしかしたらハルトを助ける為にテクノアカデミー高のハッキングを解除したのかもしれない。

 

「あっ…大丈夫だよ、ちょっと絡まれた所親切な人に拾われて…それで学校にはいなかったから…でも大きな被害が出なくてよかったよ」

 

「そう……なら心配ないわね、彩ちゃんも怪我とかなかった?」

 

「大丈夫だったよ、前の事もあって心配だったけど……今回は大丈夫っぽい!」

 

しかし姉ちゃんが人の心配とは……そりゃするよな、ってかなら助けてくれよ…ってそりゃ無理か~

 

しかしハルトは知らない、学校を救ったのが夏姫本人だと言う事を―――

 

「んじゃぁ俺も適当に食って寝るわ…」

 

「あっ、じゃぁ私のも洗っといてね~」

 

姉ちゃんは食べ終わったカップ麺の容器を台所に置き自分の部屋に戻っていった、時間もなかったし今日は醤油味のビッグヌードルだけで夕食をすました。

 

「しっかしあのガキ…今度あったら成敗しねぇとな!!」

 

元はと言えばあのガキ(要人)のせいじゃねぇか!今度という今度は辞めさせねぇと……凜もいるしきっと出来るはずだ!!

この頃の俺は……そんな事を思っていた、でも……現実はそんなに甘くなかった―――

 

「ごっそさん!!じゃぁ容器を洗いますか~」

 

ハルトは夏姫のを含め2つの容器を洗い、すぐ様シャワーを済ませ、そのまま眠りについた―――

 

―――翌日、午前10時、目を覚ますとスマホに学校からメールが来ており、文には「本日は教師による緊急会議を行うため休校とする」と書かれていた。昨日の事の話し合いだろう、しかし休みになるなんてな……休みなのは嬉しいがアイツのせいだしな…喜べるわけない、姉ちゃんはいつも通り大学に行ってるため家には俺一人だ。

ゲームでもしようかとゲーム機本体(Z-BOXΩ)を自分の部屋から取り出そうした時、突然俺のスマホが鳴り始めた、今度は電話だ、まさかまたアイツか!?俺は用心深く電話に出る、その相手は―――

 

「あっ、ハルト?私、彩だよ~あのさ…今日休みになった訳だそっち行ってもいいかな…1人じゃ何かな~って」

 

彩からの電話だった、そういやアイツの両親も平日は殆んど働いてるからな~確かにこの間「たまには家きて遊ぼうぜ!」みたいなこと言ったな…

 

「おぉいいぜ!何時でも空いてるから待ってるぜ~」

 

「うん、じゃぁすぐに向かうね!」

 

彩は上機嫌だった、ハルトはすぐに「元気ハツラツ!!」と大きく描かれた白いシャツに紺色の半ズボンに着替え、少し周りを片付けようとゴミ捨てを始めた。

 

「まぁ…これくらいならいいんじゃないかな?」

 

20分後…ハルトは満足感を感じていた、「フゥ~」と息をついているとインターホンのなる音がした、ハルトがドアを開けると彩が待ち構えていた。服装は白いノースリーブのブラウスに買ったばかりかと思われるオレンジ色のプリーツスカートでちょっと可愛らしい格好をしている、さらにチャームにウサギのリボンでポニーテールを縛っている

 

「来ちゃった」

 

彩は「テヘッ」とするような可愛らしい表情をしていた、鈍感なのかハルトは普通通りの対応で彩を家に入れた。

 

「早いな~まぁ上がれよ」

 

「お邪魔しま~す!何か久しぶりだねこういうの」

 

そういや彩が家に来たのは何時ぶりだろう…軽く2年前かな…小学校の頃はよく一緒に遊んだんだが中学入って色々と忙しくなったからな、今は大分落ち着いた方だ。

 

「まぁ手始めに…コイツやるか」

 

ハルトが手に持ち出したゲームはZ-BOXΩのソフト(ハイスピードデンジャーズ)いわゆるレースゲームだ、道中に手にしたアイテム(マシンガンやバズーカ)を駆使してゴールを目指すルール無用のレースだ。

早速2人(ハルトと彩)はコントローラーを手にし、ゲームを始める、最初のステージは炎に包まれた森だった、10台の車がスタート地点で待機している、ハルトは赤色の、彩はピンク色の車を使用している、レーススタートの合図であるシグナルが赤から青へと変わり前車猛スピードで走り出す、操作がイマイチ思い出せない彩は少し遅れをとる

1位は緑色の車のCPU、ハルトは5位だった、それを追い抜こうとアイテムが入ってるであろう箱に接触しアイテム(手榴弾)を獲得する、入手した手榴弾をすぐ様1位の方向へと右のR2ボタンで狙いを定め定まった瞬間ボタン放し手榴弾を投げる、投げた手榴弾は見事に1位に命中、爆発し、そのまま他の車が先へ進みとうとうハルトが1位になり「ニシシシ…」と喜ぶ表情を見せる、そんな時後方から物凄いスピードで走って来る車を見る、彩の車だ、道中でごく稀に出てくる最強のアイテム(デストロイキラー)を入手し無敵状態となり車やあらゆる障害物を吹き飛ばし進み続ける。

 

「これで逆転待ったなしね!!」

 

当然ハルトの車も吹き飛ばされる、もはやゲームのパワーバランスが成り立たない、そんなこんなでゲームが終わり1位は彩の手に渡った。

 

「あ~~~~っ!!あんなの反則だろ!!」

 

「フッフ~ン!!運の勝利と言いたまえ!!」

 

勝利したからか彩は余裕の笑みを浮かべる、アッサリ負けたからか膝から崩れショックを受けるハルト。

時刻は11時半、そろそろ昼ご飯の頃間だろう。

 

「そろそろ何か食うか?要望があるなら作るけど」

 

「う~ん…作ってくれるのも嬉しいけど…一緒にどっかで食べてかない?たまには」

 

彩は家で昼食を食べるよりもハルトと一緒に外で昼食を食べたいと言う、ここ最近は2人でいる事は多いが一緒にご飯を食べる事はなかった。

 

「おぅ!んじゃ早速行きますか!」

 

ハルトとは彩は家を出て近くのファミレス(マイルドスター)へ向かった、歩いて10分、気付けばもう入り口前に辿り着いた。

 

「いらっしゃいませ~2名様でよろしいでしょうか?」

 

「あっ、はい、2名で」

 

2人は店員に丁寧に誘導され2人用の席に座った、メニューを開こうとすると水を置きに来た店員が来た、その店員は―――

 

「おまっ……」

 

「ふぁっ……!?」

 

「へぇ~以外」

 

その店員は何と伊織だった、見間違いかと思われたが目つきの悪さ、不愛想な格好、間違いなく伊織だ、右腕には昨日怪我した時に巻いた包帯を巻いていた。

その姿にハルトも彩も驚いていた。

 

「お前こんな所で……って動いて大丈夫なのかよ!?」

 

「お前には関係ないだろ…どうぞごゆっくり」

 

伊織は水を2人分置き呆れ文句を言いながら休憩室に戻って行った。伊織は頭を押さえ壁にもたれ掛る。

 

「何でよりによってアイツが……」

 

そんな所を店長である吉田陽菜(よしだはるな)に見られる。

 

「あらどうしたの?ちょっと調子悪いみたいだけど…今日新しいバイトの子来るからあまり無理しなくていいよ」

 

陽菜は優しく伊織の肩を叩く、一息つき椅子に座る伊織、その後ろからドアの開く音がし1人の少年が入って来た、店長の言う新しいバイトだろう……その少年とは―――

 

「今日からお世話になります、星流凜です、よろしくお願いします」

 

「あら、早いのね~じゃぁ早速だけどお皿洗い頼んでもらってもいいかしら?」

 

新しいバイト……それは凜の事だった、その姿に伊織はさっきハルトがしていた驚いた顔をしていた。

 

「お前…何でここに!?」

 

「あら、知り合いなの?」

 

「はい、ちょっとした仲で、そろそろ金欠でな、しばらくここにいるからな」

 

凜のバイトする理由、彼は旅人の身であり、宿などに泊まる資金が必要なのだろう。その理由に納得し溜息をする伊織、凜は昨日の事もあり彼を心配していた。

 

「と言うよりお前は大丈夫なのか?倒れたばっかで?」

 

「お前に心配されるほどじゃない、これくらいどうもない」

 

何事も無かった様に伊織はステステと厨房の方に歩く、凜はすぐ様白のワイシャツと紺色のスラックスに着替え店長に言われた通り厨房の皿洗いを始める。

 

◇◆◇

 

「しっかしアイツがここでバイトしてるなんて意外だな~」

 

「アタシはあんたがあの人と仲がいいのが意外だよ、性格真逆なのに」

 

メニューを開き何を頼むか決めながら雑談するハルトと彩、今でも伊織がバイトしてる事に驚いている。

 

「仲いいってわけじゃねぇよ~まぁ何となくいるっていうかさ~」

 

「ふぅ~ん、色々とあるんだね」

 

何があるかはあえて聞かない彩、人の事にとやかく首を突っ込む性格ではない様だ。

 

「あっコレにするわ!」

 

「あっ、いいね~それ、アタシもそれにする♪」

 

ハルトと彩は注文するメニューを決め左奥にあったボタンを押す、「ピンポーン」と音が鳴ると同時に青いスカートにガーデニングエプロン姿の女性店員がやってきた、伊織が来るかと期待したがそんな事はなかった。

 

「ご注文はお決まりでしょうか~?」

 

「えっと…このまろやかふんわりオムライスを2つ」

 

注文したのは「まろやかふんわりオムライス」だった、たまごがふんわりしてまろやかで店内でも人気ナンバー1のメニューだ。

 

「かしこまりました~少々お待ち下さい」

 

注文してから13分、ようやくまろやかふんわりオムライスが2つテーブルに出された。

 

「大変ながらくお待たせしました~まろやかふんわりオムライスです、ご注文は以上でよろしいでしょうか?」

 

「あっ、ハイ」

 

女性店員が去るとすぐ様スプーンを手に取り食事に入るのであった、その味はというと……

 

「おぉ!!こりゃ美味い!!このたまごのふんわりがご飯を包んでまろやかな味わいをだす…こりゃとても真似出来ねぇ」

 

「ホントだ、美味しい!!頼んでよかった~」

 

2人共感激する程の美味さだった、まさにほっぺが落ちる美味さ、店内のほとんどが、このまろやかふんわりオムライスを頼んでいた。

食べ始めてから10分、あっという間に完食した。

 

「いやぁ~美味かった~」

 

「うんうん!お腹いっぱいだよ~」

 

2人はお腹を満たされた様にお腹を押さえる。

 

「んじゃ、そろそろ行くか」

 

「そうだね」

 

ちょっと休憩した後、2人は立ち上がりカウンターの方へ向かった。

 

「お会計、1400円でございま~す」

 

1400円、つまりは1杯700円と言う事になる、あの美味さで700円…安い!

お金を支払った後、すぐ様店内を出て少し街中を歩くのであった。

 

「はぁ~いい天気だね~」

 

空を見上げると透き通るような青空、忘れてると思うが今日は昨日の事もあり学校が休み、とは言え彩は充実していた。

そんな楽し気な表情を見てハルトもにこやかに笑う

 

「楽しそうで何よりだよ」

 

「最近色々とあって不安な事もあるけどさ…ハルトがいてくれると凄い助かる」

 

「あっ…そうか~そりゃありがたい事だ…」

 

「それでね…実はアタシ…そのっ…ハルトの事が―――」

 

彩が言葉を言いかけた時、葵が後ろから駆け付けて息を荒くしながら声を掛けてきた、彩にとってはタイミングが悪かった。

 

「あっハルトさん!!義兄さん見かけませんでした?朝起きたらいなくなってて…」

 

「あっ、それならあそこでバイトしてたよ、ってかやっぱりアイツ一言も声掛けずに行ったのかよ……」

 

ハルトは伊織のいるマイルドスターを指さしながら葵に説明した、それを聞いた葵はすぐ様その方向へ向かう。

 

「ありがとうございます!!」

 

「まったく…心配させてるのはどっちだよ…そういやさっき何か言いかけててたけど何?」

 

ハルトは伊織の事で溜息をつく、そして彩が何を言いかけてたのかを聞く。

 

「……何でもないっ、それより今日は休みなんだし満喫しようしよ~」

 

彩は言うのを諦めた、一体何を伝えようとしたのか……彩はハルトの手を引っ張りながら前に進む―――

 

◇◆◇

 

一方葵はマイルドスターの裏口から伊織が来るのを待った、予想通りゴミを捨てに来た伊織がドアを開けて出てきた、そこを葵は彼の裾を掴む。

 

「義兄さん!!まだ怪我万全じゃないでしょ!!全く…また開いたらどうするの…」

 

葵は伊織を心配そうな目で見つめる、そんな彼女の頭を伊織は撫でる。

 

「悪かったよ、仕事が終わったら一緒に何処か食べに行こう」

 

「…じゃぁここであの有名なまろやかふんわりオムライスを!!」

 

葵もハルト達が食べたまろやかふんわりオムライスを食べたかった、伊織はそんな葵を見て健やかに笑う、その光景を凜は影から見守る。

 

「フフっ、アイツも笑うんだな」

 

一見すれば何も変わらない日常…しかしその裏では誰にも知られないままリベリオン同士の戦いが繰り広げられる…

そしてその先に何を掴めるのか…それは自分だけが知る。

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り21人

 

ToBe Continued……




【今回新たに使用されたシステムメモリー】

【スターリベリオン】
     ↓
【シールドイン】
ウェーブバリア ランクC+
スターシールドから電磁波状のバリアを発生させる、磁力により鉄製の物を引き寄せることも出来る。

今回はどちらかと言うと日常回でした~
戦い続ける中何を癒しにするのか……戦士を支える女神がいる…みたいな感じですね。

次回も戦いはますますヒートアップ!!遂にアイツも……

それではまた次回!!

感想、指摘があれば容赦なくどうぞ


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第11話「加速するリベリオンバトル」

FGOの10連で爆死しモチベーションダウン中だった月宮伊織です、残す所第1部もあと2話……果たしてどんな展開になるんでしょうかね…

前回のあらすじ
フォーチュンリベリオンの攻撃に押されたソルリベリオン、スターリベリオン、そしてルナリベリオン、フォーチュンリベリオンに止めを刺せなかった伊織は2人の目の前で悔しさを表す。
これまでの戦いのダメージが応え倒れてしまった伊織、それをハルトと凜は彼の家まで運び込む。戦い続ける伊織を心配する葵…要人の起こした事件もあり学校が休みとなり、ハルト達は一時の休息を得た。しかし要人の計画はまだ終わらない、次は何をたくらんでいるのか……


要人が起こしたテクノアカデミー高を占拠してから1週間が経ち、ようやく授業が再開した。

一見何事も無い様な光景だが今後同じ事態を起こさない様、さらに警備を強化し、高度な対ハッキング用ブロックを掛けた(ワルプルギスでも難関と教師達は断言している)これで一安心だろう、そう生徒達は心に秘める。

 

「しっかし…アレから音沙汰ねぇな~逆に不安だ」

 

6月1日―――時刻は16時50分。あれから要人も何もしてこない、飽きたのであろうか?その方がありがたいと信じるハルト。

そんな時、頭にクリーチャーが現れるビジョンが流れだす、デバイスを見てみると、その場所は、近くのスーパーの中であった。

 

「っく…久々のお出ましだな!!」

 

ハルトはすぐ様そのデパートへと走り出す、走り出して4分、ようやく到着しデパート内3Fのフロアにあった、証明写真機の中に入りポケットの中に入れていたデバイスを手に取り写真機のモニターに翳し、右二の腕にアタッチメントが取り付けられ「セットオン!」の叫びと共にデバイスをアタッチメントに取り付け、ハルトはソルリベリオンを装着する。

左腕を口元に構えソルリベリオンは写真機の中に入り込み、カタパルトの様な所(サイバーゲート)でゲートブースターを取り付け「GO」のサインと共に発射され、サイバープログラムへと突入する。

 

「っし…アイツか!!」

 

ソルリベリオンの目の前にはカジキを人型にしたクリーチャー(マーリンソー)が左腕のフェンシングのフルーレを思わせる様な剣を構えてゆっくりとソルリベリオンの方に進んでゆく、その姿はカジキの背ビレが棘の様になっており頭にカジキの口の様な角が特徴的だ。

ソルリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しデバイスに装填し「ソードイン」の電子音声と共に後ろから飛んでくるように召喚されたレオンハートソードを両腕に装備する。

 

「ウォォォォォォ!!」

 

勢いよく走り出しマーリンフルーレを斬り付けようとするソルリベリオン、だがその攻撃は難なくかわされてしまい右足で引っ掛けられ転がり込んでしまう。

 

「ウグッ!?って~~コンチクショウめっ!!」

 

すぐに立ち上がったソルリベリオンはマーリンフルーレの腹部を右足で蹴り、怯んだ所をレオンハートソードで両肩を突き、5m程吹き飛ばす。

止めを刺そうと左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出そうとしたその時!!突然後ろから大砲の弾の様な物がマーリンフルーレに命中し爆散した。

 

「んなっ!?誰だ!!」

 

ソルリベリオンが後ろを振り向くと、そこには両腕に大砲の様なキャノン(ブラストカノン)を構えているチャリオットリベリオンの姿があった。

 

「おっお前!!あの時の甲冑野郎か!?」

 

以前チャリオットリベリオンにクリーチャー諸共吹き飛ばされたソルリベリオンはチャリオットを指さし、彼のいる方向へ向かう。

その距離10㎝の所でチャリオットリベリオンは右腰に着けていたギミックガンソードを取り出し、ソルリベリオンの鳩尾目掛けて撃ち込む。

 

「グァっ!?んニャロー!!」

 

左腕で腹を抑えながら、ソルリベリオンはチャリオットリベリオンを殴ろうとするが、アッサリ交されてしまう。その隙を突かれギミックガンソードでうなじを叩きつけられてしまう。

 

「あっ…うぅ…」

 

ドサッ…ソルリベリオンはその場に倒れ込んでしまう、そしてチャリオットリベリオンは小言で―――

 

「君と戦うのは出来るだけ避けたいんだよ…」

 

チャリオットリベリオン事国枝半蔵はハルトを気に入っており、なるべく戦いたくなく、他の誰かが倒す事を望んでいる。

 

「と言う訳なんでここはひとまず退散させてもらうよ」

 

その言葉を残しチャリオットリベリオンは近くにあったATMからサイバープログラムを出る。

ソルリベリオンはまだ気を失っている、そこへ戦いを見物してたかと思われるフォーチュンリベリオンが柱の陰から現れ、ソルリベリオンの方へ近づく。

 

「あ~あ、またやられちゃったの?つまらないよな~でもっまた盛大に盛り上がる為には、まだまだ利用価値があるからしばらくはいかしておいとくね♪」

 

フォーチュンリベリオンはソルリベリオンを肩に持ち上げ、広場のある屋上の方へ向かい、そこにあった自販機にソルリベリオンを放り込む。

そしてフォーチュンリベリオンが次に企んでいる事とは?―――

 

ハルトが目を覚ますと、ベンチの上でうつ伏せになっていた、何があったかサッパリ分からないハルトは辺りをキョロキョロ見回す、そんなハルトを近くで遊んでいた子供達は目を合わせない様に後ろを向く。

 

「アレ…俺は確か…甲冑野郎に…しっかしアイツは何者なんだ?」

 

ハルトはまだ知らない、チャリオットリベリオンの正体があの国枝半蔵である事を…知っているのは伊織と凜くらいであろう―――

よく分からないままハルトはスーパーにいるので夕食の買い物を済ませようとする。

 

◇◆◇

 

同時刻。一方伊織は怪我が完治しクリーチャーを倒し続けていた。倒し終えサイバープログラムから出た伊織は偶然凜と会う。

 

「またクリーチャー退治かい?」

 

「だったら何だ?お前には関係ないだろ」

 

「妹さんの件なら…やめておけ」

 

凜は伊織の家に行ったときに彼の戦う理由を知った、その言葉に伊織は凜の胸ぐらを掴む。

 

「簡単に言うなよ…!!アイツが…由那がどれだけ苦しい思いをしてると思ってるんだ?少しでも早く昔みてぇに元気な姿が見られるなら…俺は何だってする!!」

 

「でも、お前にそれは出来なかった、だったら無理に強がるな、それが彼女達を心配させるんだ!!」

 

凜は逆に伊織の胸ぐらを掴み返す、何時も出さないくらい感情的だった。胸ぐらを掴まれた時、伊織は以前デッドリベリオン(切島一貴)が起こした連続殺人怪事件の中でハルトに言った事を思い出した、まさに自分がハルトに言った事と同じだった。

 

「だったらこのまま由那を見殺しにしろと?そんな事俺にしろって言うのか―――!!」

 

「そうじゃない、ただ1つ、可能性がある」

 

凜の言う由那を救う可能性とは……

 

「リベリオンの中にも病や傷を治す能力を持つ奴もいるかもしれない、極めて低いが掛ける価値はあると思う」

 

確かに低い可能性ではあるがそんな力を持つリベリオンもいてもおかしくはない、しかし伊織はその可能性を拒んだ。

 

「もしそんな奴がいたとしても、素直に聞いてくれるとは思えないな、それにこの戦いに身を投じた時点で戦いからは逃れられない、お前だってそうだろう?」

 

その反論に凜は言い返すことはなかった、だが彼が戦いを止めると言う目的も変わらない。

 

「あぁ…そうだな、逃れられないかもな、だからこそこの戦いを終わらせなきゃいけない」

 

やはり相容れぬのか……この戦いには何が残るのか……本当に望みが叶うのか?2人(伊織と凜)が互いの目を見る光景を激励させるように風が吹く。

 

◇◆◇

 

その同時刻。葵は買い物を済ませ家に帰ろうとしていた、そんな中ある事に気付く、スカートのポケットの中にしまってたハンカチを落としてしまった様だ、柄はピンクと紫の縞々模様だ。

 

「あれ…ない!どこに落としたんだろう…?」

 

安物ではあるが伊織が買ってきたハンカチでもあり落としてしまった事に焦っていた、そんな時ある男が葵が落としたと思われるであろうピンクと紫の縞々模様のハンカチを差し出した―――和野要人だ…

 

「コレ…君の落としたのかな?さっき落とす所見てさ」

 

「あっ…はい!ありがとうございます―!よかった…」

 

葵はハンカチが見つかった事に喜び要人にお礼を言いハンカチを愛らしいクマさんがプリントされてある白いエコバッグにしまう、しかしそのハンカチの真ん中が少し棒状に膨らんでいた……

 

「いえいえ、間違ってなくてよかったよ」

 

要人は葵に手を振りながらその場を去った、葵との距離から10mの所で彼の表情は悪どい笑顔をしていた、一体今度は何が目的なのか……?

 

次の計画を着々と進めようとする要人、その近くの路地裏喧嘩をする様な音が聴こえる、要人がそれを覗くと1人の男が3人の不良を蹴散らし2人が顔面を壁に減り込まれていた―――黒崎我怨だ、物足りないからか頭を抱え石ころを蹴り上げる、その時彼の頭にクリーチャーのビジョンが流れ込んだ―――そのクリーチャーはディスティニーラチェルタだった。

 

「この感覚……何だ?」

 

頭のビジョンを振り払おうとする我怨、その彼の目の前に要人が駆け寄る。

 

「もしかしてクリーチャーの気配感じてること気付かない?さてはアンタが最後に選ばれた使用者って訳?」

 

挑発的な態度を取る要人を見て我怨はアルカナ・デバイスを取り出す、しかし要人は戦う気はなく降参する様な手の上げ方をする。

 

「まぁまぁ、今は戦う準備の最中でね、そうだ!アンタにも協力してほしいんだよ~最近まともに戦おうとしない腑抜けが多くてね~アンタも戦いを楽しみたい方でしょ、だったら尚更盛り上がるよ~なんせリベリオン使用者を一気に集めて戦わせるんだもんねゲストも沢山呼ぶから楽しいよ~」

 

要人はマークインのメモリーを振り回しながら我怨に提案を求める、彼が行うの次の計画…それはリベリオン使用者を多く集め壮大なバトルを行う事、そこにさらにクリーチャーを大量に呼び寄せ文字通りバトルロワイヤルをしようと企てていた。

 

「ふぅ~ん、悪くねぇなぁ…退屈過ぎて仕方なかったんだなぁ……んで具体的にどうすりゃいい?」

 

我怨は素直に要人の計画に乗った、不本意ではない、退屈過ぎる喧嘩に飽き飽きしている彼にとっては最高のステージになるであろう。

 

「まぁ僕は腑抜け共を駆り立ててくるからアンタにはこの人をおびき出してもらおうかな、喜んで参加してくれると思うよ~多分喫茶店にいる可能性が高いかな」

 

要人が我怨にある男の写真を渡した……国枝半蔵の写真だ、要人は既にチャリオットリベリオンの使用者が半蔵である事を知っていた。受け取った写真を握り絞めた我怨は路地裏を出て半蔵を探しにいった。

 

「喫茶店か…手あたり次第探しゃぁ現れるだろうな……」

 

そのまま辺りの喫茶店を手あたり次第に探しに行く我怨、その様子を見て要人は次は計画が上手くいくと思い顎に手を当てながら「ニヤっ」っと笑う。

 

「この調子なら後は何とかなるかな……」

 

◇◆◇

 

17時18分。デパートを出たハルトはというと、自販機でコーラを買い一息ついていた。

 

「プハ~!!生き返る~って訳でもないがな……早い内にアイツを止めないと……」

 

ハルトは要人が次に何をするかと思い止めなければと感じた。しかし着々と計画が進んでいくのに気づかないのであった……

するとそこへハルトの後ろから何かがいる気配を感じた。クリーチャーではないかとハルトが後ろを振り向くと、何者かが気付かれたからか「ギクっ!!」と体を震わせ電柱に身を隠した。

 

「ん?誰かいるのかー?」

 

しかし返事は返って来ない、仕方なくハルトが電柱に近づくと慌てるかの様に何者かが飛び出した。紺色のシフォンブラウスに白色のブルームスカートの格好から女の子の様だ。よく分からないままそれを追いかけるハルト、追いかける事10分逃げていた、女の子も走り疲れたからか、辿り着いた街中で手に膝を着いて息を荒立てる。よく見ればその女の子はハルトと同い年と思われ、栗色のグラデーションボブの髪型をした女の子であった。ハルトもようやくその女の子元に辿り着いた。

 

「ハァ…ハァ…追いついた…お前…何で俺を見てたんだ?」

 

ハルトは何故自分を見ていたのかと女の子に尋ねる。その質問に彼女は…

 

「えぇっと…その…貴方にお聞きしたい事がありまして……」

 

女の子は指をツンツンして恥ずかしがりながらハルトの問いに答える。

 

「俺に?一体何の用で?」

 

「それはですね…この頃度々起きている謎の失踪事件についてです!とある情報によればあなたがよくその現場にいると伺ったので!何か知ってるのではないかと!」

 

「ビシッ!」と指し、ハルトに問い掛ける。確かにハルトはリベリオンとしてクリーチャーと戦ってるので当然現場には現れる、だがしかしここで「実は電子機器を通して怪物と戦ってる」何て言える訳ない、言ったとしても信じてもらえる訳ない、そう思ったハルトは彼女の問いに誤魔化しを入れて答えるのであった。

 

「あ~うんうん、最近はインターネットでよく情報がすぐ流れるから行くことはあるからね~まぁ何も収穫はないけどね」

 

その答えに「確かに最近じゃすぐに情報流れるしね~」と女の子は首を頷きながら納得する。するとハルトは女の子が何者かを尋ねる。

 

「あっゴメンねこっちから名乗らなきゃね、私は青葉カレン、テクノアカデミー高の1年生の2組で新聞部よ、改めてよろしく」

 

俺とテクノアカデミー高の生徒か…2組と言うと伊織と同じクラスだな、そういや新聞部が書く記事に彼女の名前が載ってたな~

 

カレンの名前を聞いた後、言葉を返す様にハルトも自己紹介する。

 

「あっ、俺は獅子堂ハルト、因みに俺は1組だよ」

 

「知ってますよ~有名ですもん」

 

「えぇ!?俺が?いやぁ~照れるな~」

 

「遅刻、居眠り等で有名ですもんね?」

 

カレンは笑顔で言う。確かにあそこまで遅刻が多いのはハルトぐらいだろう、それを聞いたハルトは腰が下がり手を下に下げる様にフラフラさせてガッカリする。

 

「結局偶然みたいなもんか~付き合ってもらってゴメンね、あっいい情報あったら共有して欲しいな~お礼は弾むからさ!」

 

カレンはハルトに得た情報を回して欲しいと頼まれた、一応「了解」と了承するハルト、だが内心「あまり知らない方がいいかもな…」と思っていた。

知った方がいいのか……だとしてもリベリオン以外にクリーチャーは対処できない…ある意味孤独な戦いなのかもしれない……ハルトはそう感じた。

 

翌日が過ぎた……6月2日、午後12時丁度、学校も昼休みの時間、昼食を食べ終えたハルトは伊織のいる1年2組へ向かった。

 

「スイマセーン、三日月伊織いますか~?」

 

ハルトが1年2組に来た瞬間、すぐ様伊織が待ち構えていた。

 

「何だ?お前に話すことはもうないが」

 

「そうじゃなくて…まぁ来てくれ」

 

周りを気にしたハルトは伊織を連れ何時もの様に屋上へ連れ出した。そしてハルトは伊織にある事を聞く。

 

「お前さ…もし俺達が戦ってる事が世間に知られたらどうするよ?」

 

その問いに伊織は……

 

「そんな事関係ない、俺は目的を果たすだけだ…用件はそれだけか?だったら帰らせてもらう」

 

伊織が屋上から出るとハルトがそれを追いかける、その所をポッチャリ体型の白髪のオールバックの教師飯田光彦(いいだみつひこ)が目撃し2人に声を掛ける。

 

「珍しいな~お前ら2人がつるむとは、感心だ!ところで暇なら手伝ってもらいたい事があるんだが職員室まで来てくれないか?」

 

2人(ハルトと伊織)は光彦先生に言われるままに職員室まで連いてく。職員室に辿り着いた。入って右から3番目の机に2つのダンボールが置いてあった、光彦先生はそのダンボールを指さし「コレ、生徒会室に運んできて」と2人に頼む、断る理由もなく、2人はダンボールを受け取る、手に持った瞬間、ハルトはあまりの重さに手を放しかける程の重さだ、しかし伊織は微動だにてず難なく持ち上げる、光彦先生は2人に「じゃっ任せたよ~鍵は多分生徒会長が中にいると思うから開いてるはずだよ~」と軽い感じで言い左から6番目の机に座りセンベイを齧る。

 

生徒会室は2F、職員室は1F、そこまで遠くはない、生徒会室へ向かう中、ハルトと伊織は互いを嫌そうな目で睨む。

 

「何で俺がこんな目に……お前のせいだこのバカ!」

 

「あ~はいはい悪ぅございました」

 

伊織の言葉にハルトはスネる様に言い返す、そんな会話をしているとあっという間に生徒会室に到着する。

 

「ここか、失礼しま~す、会長さんいますか~」

 

ダンボールを手に持っているため両手が塞がってるハルトは足で生徒会室のドアをノックする。すると生徒会室のドアが開く、ドアが開くと長身で短髪で右側金髪、左側黒髪と変わった色合いをしており紅色の瞳を持つ少年が2人を向かい入れた、彼が生徒会長の神ヶ崎界斗(かみがさきかいと)である、成績優秀、才色兼備で周囲からも人望が厚い、ある意味伊織と正反対と言える。

 

「もしかして資料持ってきてくれたのかい?助かるよ~、そこの机に置いといていいから」

 

界斗の手の方向は入り口からすぐ右隣りの大きな机を指していた、2人はすぐ様その机にダンボールを置いて一息つく。

 

「ありがとうね、この資料は先週の件の事でね、会議で話し合った対策の案なんだ、上手くまとめないとならなくてね、大変だよ」

 

その表情は文句を言う感じはなくむしろ大変喜んでいる様な笑顔だった、ハルトはその表情を見て「凄い人だなぁ」と感じながら伊織と見比べた、その行動に伊織は少し怒ったからかハルトの足を踏む。

 

「少しでも生徒達を安心させる為にも迅速ですませないと……2人共ありがとうね」

 

2人に感謝を述べてダンボールに入っていた資料を取り出し、見始める、邪魔しないと2人は静かにドアを閉める。

 

時は過ぎ午後15時50分―――学校が終わり、家に帰ろうとするハルトと伊織、校門を出るとそこには……要人が待ち構えていた。

 

「やぁ~やぁお久しぶり」

 

「テっメ!!一体何の用だ!!」

 

余裕そうな表情を浮かべる要人、その態度にハルトは怒りを隠しきれない、しかし伊織はそれを素通りしようとするが……

 

「いいのかなぁ~?そんな逃げ越しで?」

 

素通りする伊織を挑発的な態度で止める要人、その憎たらしい顔を伊織は鋭い目で睨む。

 

「おぉ~怖い怖い、まぁ逃げるならいいけど、まっ大事な大事な妹ちゃんに何かあっても知らないけど」

 

その言葉を聞き伊織は強い勢いで要人の胸ぐらを掴む。周囲がその光景を見てざわつき始めたからか、掴んでいる手を放す。

 

「ふぅ…もしここで逃げるって言うなら、コイツを見れば分かるよね?」

 

要人が手に取り出したのはマークインのメモリーだった、それを見た伊織は背筋が凍る様にゾッとする。

 

「お前…まさか…」

 

昨日葵が落としたハンカチを拾って渡したと同時にマークインのメモリーを仕込んだのか!?彼ならやりかねない……ひょっとするとまだ鞄の中に……だとすると一大事だ、葵まで巻き込もうとする要人の行動に伊織は両手の拳を強く握る。

 

「さぁ~どうだろうね~今じゃ妹ちゃんはお家に帰る途中かもね~もしそうなら……」

 

要人の非道なやり方にとうとうハルトが限界を向かえる。

 

「黙って聞いてりゃ…好き放題言いやがって!!今日と言う今日はぶん殴って―――」

 

ハルトは左手の拳を握りしめて要人に目掛けて振りかざすが、伊織がそれを右腕止める、ハルトの左手を強く握り彼の要人に対する怒りを感じた。

 

「…葵を…頼んだ」

 

伊織のその表情は怒り混じり悔し気な感じだった、心の底から要人を殴りたいがリベリオンバトルのルールの1つ「リベリオン同士の戦い以外での脱落させることはペナルティと見做す」事もある為、一思いにその場で殴る事が出来ない……要人はそれを考えての行動だろう。

 

「素直でいいねぇ~でも僕はアンタらと違って甘くないよ、簡単に止め刺せるしここじゃ何だから場所を変えようか」

 

要人は伊織をある場所へ案内した、葵を任されたハルトはの彼女の所へ向かうためスマートフォンを手に取り彼女に電話を掛ける。

携帯電話(シャインS)が鳴ってる事に気付いた葵はすぐ様取り出し電話に出る。

 

「モシモシ、ハルトさん?どうかしました?」

 

「葵ちゃん!?今どこにいる?」

 

「えっと…商店街で買い物してますが…」

 

葵は通学用の鞄と別に買い物用のエコバッグを持っていた、そのバッグは昨日も使っていた愛らしいクマさんのプリントされている白いエコバッグだった、ひょっとするとまだメモリーがまだ中に……それを心配しすぐに駆け付けようとするハルト、その時、葵の名前を呼ぶ男の声が聞こえた―――凜の声だった。

 

「アレ?今日も買い物?」

 

「あっ凜さん、今丁度ハルトさんが電話してきて」

 

凜の声が聞こえたハルトは葵にすぐ様凜に変わって欲しいと頼んだ。言われるままに凜にシャインSを渡して凜が電話に出る。

 

「凜か?丁度よかった!あのガキ…要人の奴が葵ちゃんに何か仕込んだみたいなんだ!調べてくれないか?」

 

「何だと?分かった、任せてくれ!」

 

「あぁ頼んだ!俺は2人を追う、悪いけど葵ちゃんを守ってくれ!!」

 

ハルトは近くにいた凜に葵に何か仕込まれてないか探って欲しいと頼む、それを引き受けた凜は葵にエコバッグを見せてほしいと頼む。

 

「ちょっとそのバッグの中見せてもらえないかな?」

 

「あっ…はい、どうぞ」

 

葵はエコバッグを凜に渡す、エコバッグを探るがまだ買い物を済ませてないのか昨洗濯し忘れたハンカチのみだった、もしやハンカチの中に仕込まれているのか!?凜は急いでハンカチを取り出す、しかしハンカチのふくらみはなく何も入っていなかった。

 

「ないか……葵ちゃん、鞄に見慣れない物とか入ってないよね?」

 

「えぇっと……大丈夫です怪しい物とかはいってないです」

 

葵は通学用の鞄を見てみるが怪しい物は何もない、つまり全ては要人のハッタリだった、ハンカチの膨らみも偶然だろう、伊織を挑発させる為に一芝居入れていたのだろう。

凜がハルトに電話を掛け直し全てがハッタリだった事を伝える。

 

「マジかよ!?……あのヤロー!本気でとっちめてやる!!」

 

その事を知ったハルトは電話を切り、すぐ様伊織の向かった方へ走る。事態を知った凜も加勢しようとリベリオンを纏える場所がないか見回す。

 

「とりあえず、ここは危ないかもしれない、すぐに家に帰った方がいい」

 

「えっ…あっ…ハイ」

 

凜に背中を優しく押され葵は商店街を抜ける、凜は商店街近くの角の裏の自販機にデバイスを翳し「セットオン!」の叫びと共にデバイスを左二の腕に付けられたアタッチメントに取り付けスターリベリオンを装着すし自販機の中に入り込む、その光景を葵は後ろから見つめていた。

 

「やっぱり…義兄さん……」

 

葵は胸を抑え瞳から少し涙が流れていた、また伊織が戦ってるのではないかと思うと胸を傷めていた。

 

(どうして義兄さんが戦わなきゃならないの…ハルトさんも凜さんも…どうして…)

 

涙が抑えきれず手で顔を隠す葵、みんなが戦う事に何もできない自分が悔しくて仕方がない…

 

◇◆◇

 

一方伊織と要人は既にある場所へと到着していた、その場所は今は休館中のトー・テム・ポールの様な柱が無数にある美術館だった。

 

「ここなら気楽に殺れるでしょ♪」

 

戦いをエンターテインメントの様に楽しもうとする要人、そんな彼を睨みながら伊織はデバイスを取り要人が用意したパソコンに翳す、刀を構えるポーズを取り「セットオン!」の叫びと共に右二の腕に付けてあるアタッチメントにデバイスを取り付け、ルナリベリオンを装着する。

 

「殺る気満々で何よりだよ、セットオン―――――!」

 

要人もデバイスを振り下ろす様な構えを取り、右二の腕に付けてるアタッチメントにデバイスを取り付け、フォーチュンリベリオンを装着する。ルナリベリオンとフォーチュンリベリオンはパソコンの中に入り込みサイバーゲートでゲートブースターを取り付け「GO」のサインと共に発射されサイバープログラムへ向かう。お互いゲートブースターを取り外し、ルナリベリオンは真月を、フォーチュンリベリオンはファイティングポーズを構える。

 

「ハァァァァァっ!!」

 

先制攻撃を仕掛けたのはルナリベリオンの方だった、振り下ろした真月の一撃はフォーチュンリベリオンの左肩に直撃するが、その一撃は強固な装甲にはビクともしない。

 

「そんな生ヌルい攻撃…喰らわないよ!!」

 

真月を左手で掴み、フォーチュンリベリオンはルナリベリオンの腹部を蹴り飛ばす、約2mの方向へ吹き飛ばされたルナリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し新月の鍔に取り付けられていたデバイスにメモリーを装填し「ソードイン」の電子音声と共にブルームーンファルコンが上空から牙王天羽々斬を落としそれを両手で持ち構える。

 

「そうかい…ならコレならどうかな!!」

 

牙王天羽々斬を大きく振り上げフォーチュンリベリオンの方へ突撃する―――

 

◇◆◇

 

同時刻、国枝半蔵は何時もの様に喫茶店(トゥンクティ)にて新作の小説の執筆をしていた、下書きの鉛筆が折れ鉛筆削りを取り出そうとしたその時、彼の座る机の上に足を「ドンっ!」と乗っける男が現れた―――黒崎我怨だ。

 

「よぉ…探したぜ…中々見つからなくて苦労したんだ・・・・・」

 

半ギレ気味で半蔵に顔を近づける我怨、とはいえ半蔵にとって我怨が何を言ってるのかさっぱり分からない、足を退けろと説教染みた事を言う半蔵に我怨はアルカナ・デバイス彼に突きつける。

 

「コレを見れ分かると思うんだがな~」

 

「成程…そういう事か、何処で嗅ぎ付けたかは知らないけど、邪魔されて気が落ち着かなくなってね、いいよ相手してあげるよ」

 

我怨の誘いに乗った半蔵は律儀にコーヒー代290円を机に置き、近くの駐車場に向かう。そこにあった駐車券の販売機に我怨はデバイスを翳し右手を後ろに構え左手で首を掻っ切るポーズを取り「セットオン!」の叫びと共に左二の腕に付けてあるアタッチメントにデバイスを取り付けフールリベリオンを纏い柔軟させる様に右腕を回し、一足先に販売機の中に入り込む。

 

「全く…主催者も何でこんな恐ろしい奴選ぶのかね・・・・まぁそれ程簡単じゃないと言う訳だろうけど・・・セットオン!」

 

どうやら半蔵は我怨の事を少しは知っているらしい、主催者への文句を垂らしながらデバイスを持つ左腕を右手で持ちガッツポーズの様な構えをし、右二の腕に付けてあるアタッチメントにデバイスを取り付けチャリオットリベリオンを装着し販売機の中に入り込む。互いがサイバーゲートでゲートブースターを取り付け「GO」のサインと共にサイバープログラムへ向かう。ゲートブースターを取り外し、チャリオットリベリオンはギミックガンソードをガンモードにして構え、フールリベリオンは左二の腕に付いてあるダイルデンジャーを右手に取り付け、下顎を開き左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しダイルデンジャーの口の中に差し込み下顎を閉じると「ソードイン」の電子音声が鳴り、後ろからダイルブレードが飛び出し、それを左手に持ち突きつける様に構える。

 

「ハァっ―――!!」

 

「ウラァ―――!!」

 

先手でチャリオットリベリオンのギミックガンソードの弾丸が放たれるが、それをフールリベリオンはダイルブレードで全て弾き返す。ダイルブレードが振り下ろされる瞬間、ギミックガンソードをソードモードに変えその一撃を受け止めるつばぜり合いが続く中、フールリベリオンがダイルブレードの下部分の紐を引っ張ると刀身がチェーンソーの様に振動を始め、ギミックガンソードの刀身が削れていく。

 

「成程……これはかなり厄介だね」

 

削れていく刃を見てチャリオットリベリオンは刃を瞬時にしまい込み、受け止め所の無くなったダイルブレードは地面に突き刺さる、その隙を突きギミックガンソードをガンモードに変形させ、フールリベリオンの腹部に目掛け銃弾を撃ち込む、その弾数、1秒で約120発。

 

「イテぇ……だが悪くねぇ痛みだぜ…」

 

撃たれた腹部を右手で抑える、しかしその痛みさえも快感に感じている。その姿を見たチャリオットリベリオンは2m程後ろに下がる。

 

「そうかい、なら、もっと痛いのをお見舞いさせてあげるよ」

 

チャリオットリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しギミックガンソードの上部分に取り付けてあるデバイスに装填し「ショットイン」の電子音声と共に背後からキャプチャースナイプライフルが召喚され、それを背中に連結させる。

 

「直撃でいいよね―――!!」

 

スコープをフールリベリオンの胸部に集中させる、ターゲットをロック完了し、チャリオットリベリオンはトリガーの引き金を引き、膨大なエネルギーを誇る粒子ビームが発射される、その瞬間、フールリベリオンは横1m30cm程度に走り出し、粒子ビームを回避する。走り続けるフールリベリオンに今度はキャプチャースナイプライフルの弾を砲弾に切り替え追いかける様に連続でフールリベリオン目掛けて発射する。ギリギリの距離で回避し、背後は爆風に塗れる。

 

「ハハハハハ!!いいね!もっと来いよ―――!!」

 

砲弾の攻撃を諸共せず、誘い出す様に走り出すフールリベリオン、表情は仮面を覆ってるため分からないが、戦いを楽しみ狂気を浮かべる様だ、間合いの距離を取る為已むお得ず、チャリオットリベリオンはフールリベリオンを追いかける―――。

 

◇◆◇

 

時刻は16時丁度、伊織と要人を追いかけるハルト、しかし当然の如く見失う。「サイバープログラム内で合流すればいいか」と思い、近くの電気ショップで20インチテレビにデバイスを翳す、右腕を前に出し拳を握り締め「セットオン!」の叫びと共に右二の腕に付けてあるアタッチメントにデバイスを取り付けソルリベリオンを装着、左腕を口元に近づけ拳を「ギュっ!」と握り締めテレビの中に入り込む。幸い他の客には見られていない様だ。

 

サイバープログラムへ辿り着いたソルリベリオンは電気ショップを抜け、辺りを見回し、ルナリベリオンとフォーチュンリベリオンを探す、デバイスの裏側を見ると、レーダーには2機のリベリオンが戦ってる反応が2つあった、その内の左上の方にもう1機が駆け付ける反応がある、それを見たソルリベリオンは3機が集合する方の中央通りから右の方向へ走り出す。

 

「まさかもう戦ってるのか…これじゃまた…」

 

ソルリベリオンが心配してる事…それは以前デッドリベリオンが死んだ時の様にまた誰かが死ぬのではないかと……いくらフォーチュンリベリオンが嫌な奴でも命がある事に変わりはない、まだリベリオン同士の戦いに疑問を抱く、3機のリベリオンが集まる場所まで後90m、時間を短縮させるため、ビルの上に飛び上がり、飛び乗る様にビルの上を進む、そこへ無数のナイフがソルリベリオンに襲い掛かる、ナイフを避けようとしたソルリベリオンはバランスを崩してしまい30mあるビルから落下する。

ビルから落ちたソルリベリオンは腰を抑えながら立ち上がる。上空を見上げると、1機の茶色の戦士が信号機に飛び乗り、逆さ吊るされる様にになってソルリベリオンを見つめる。その姿は猿の顔を逆さにしたような顔をしており、両目(ツインアイ)が黄色に光り、肩と腕や太ももや足のアーマーも全て逆さではないかと思うくらいアンバランスな見た目をしている…逆さに吊るす去れるような姿からHANGED MAN(ハングドマン)の暗示を持つ戦士(ハングドリベリオン)と思われる―――。

 

「また新しいリベリオンかよ……こっちは急いでるのによ!!」

 

ソルリベリオンはハングドリベリオンに「退いてくれ!」と手を振り下ろすが、その言葉に聞く耳を持たず、ハングドリベリオンは両手の指先に3本づつ挟んでいるナイフ形の武器(ハングドナイフ)を突きつける様に構えソルリベリオンの方に突き進んでゆく―――

 

◇◆◇

 

一方その頃、舞台は変わり美術館の駐車場内ではルナリベリオンはフォーチュンリベリオンの拳の打撃攻撃に若干押されていた、防御態勢を取ろうと左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し真月の鍔に取り付けてあるデバイスに装填し「シールドイン」の電子音声と共にブルームーンファルコンの翼を模した盾(ルナ―ズイージス)を右腕に装備しようとした、その時瞬時にフォーチュンリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し左胸をスライドし、そこに収納されていたデバイスに装填し「ローブイン」の電子音声と共にルナリベリオンが装備しようとしたルナ―ズイージスをフォーチュンリベリオンに引き寄せられ、フォーチュンリベリオンの左腕に装備される。

 

「こういったメモリーもあるの、面白いよね~」

 

奪ったルナ―ズイージスを見せびらかす様に前に出し、ルナリベリオンを煽る。そこへスターリベリオンも合流する。

 

「2対1って訳ね~まぁアンタらは何人束になろうと余裕だっつーの!!」

 

余裕の態度を取りルナリベリオンとスターリベリオンを奪ったルナ―ズイージスで6m程の真っ直ぐな方向に吹き飛ばす。

 

「っく…コイツ…前より強く…」

 

「いやぁ~戦い方が違うって奴かな?こっちはマジで殺りに掛かってるからねっ!!」

 

容赦のフォーチュンリベリオンがルナ―ズイージスを投げ捨て、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し左胸をスライドし、そこに収納されていたデバイスに装填し「ナックルイン」の電子音声と共にホイールパンチャーが召喚され両腕に装備し、2体(ルナリベリオンとスターリベリオン)の方向に走り出し正拳突きをお見舞いさせる。

 

「あぁっ!!やるしかないか……」

 

スターリベリオンは右腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しスターシールドの裏側に取り付けていたデバイスに装填し「フィニッシュイン」の電子音声と共にスターウェイブが召喚され、その上にスターリベリオンが乗りフォーチュンリベリオンの上空にスターダートを落とし、そのまま突撃する、その時フォーチュンリベリオンが左腰のホルダーからマークインのシステムメモリーを取り出し斜め横の方に投げる、それに引き寄せられる様にスターウェイブがそっちの方向に突撃し壁に激突した衝撃でスターリベリオンは振り下ろされてしまう。

 

「契約クリーチャーにも効果あるんだよね~」

 

マークインは元から使用制限がなく、クリーチャーを引き寄せる、そして使用者の経験によっては相手の契約クリーチャーにもその効果が適用される、ある意味を持って最強クラスの力を持つ、そして相手の武器を奪う「ローブイン」を持つフォーチュンリベリオン……敵に回したら厄介な相手だ…

 

「しかし遅いな~!まだギャラリーが少ないっての…まぁコッチはコッチで楽しませて―――」

 

どうやらフォーチュンリベリオンはそれぞれバラバラに戦ってるリベリオン達をここ1ヶ所に集め壮大なバトルを繰り広げようと企てていた、そのため極力すぐに2人を倒さない様にしていた、もう少しダメージを与えようとフォーチュンリベリオンは飛び上がり拳を振り上げる、その時、ソルリベリオンが壁をぶち抜き転がり込みながら現れる。

 

「やっとだよ、遅いよ~まったく……アレ?ふぅ~ん、これは僕も驚いたを」

 

転がり込んだソルリベリオンの前にハングドリベリオンが現れる、この展開はフォーチュン自身も予想しておらず驚いていた。

そしてハングドリベリオンの姿を見てルナリベリオンは驚く姿勢を見せる。

 

「あっ…アイツはあの時の…何故ここに!?」

 

「知り合いなのか?」

 

それはかつてルナリベリオンはハングドリベリオンと戦いかつて契約していたクリーチャー、「グレイヴォルフ」を失っている(0話参照)驚くルナリベリオンを見てハングドリベリオンは声を掛ける。

 

「誰かと思えば…月の暗示を持ったリベリオンですか、しかし満月は三日月に欠けてしまったと…」

 

その声はややの太くそして丁寧な口調だ。

かつてグレイヴォルフと契約していた頃はムーンリベリオンと名乗っており、文字通り満月(ムーン)からルナ(三日月)に欠けたと言う訳だ。真月を強く握り締めルナリベリオンは勢いよく「ウオオオオ―――!!」と叫びハングドリベリオンに斬り掛かる、しかしそれをハングドナイフで受け止める。

 

「多少は腕が上がった…と言う訳ですか!!」

 

攻撃を防いだハングドリベリオンは真月を弾き、ルナリベリオンをハングドナイフで斬り付け、4m程弾き飛ばす。

 

「それにしても…残り21人と聞き驚きましたよ、私が倒したから少なくとも19人のはずだったのに…手間が増えましたね」

 

かつてハングドリベリオンはソルリベリオンの前任者…サンリベリオン(姫宮灯)を倒しており、フールが追加されなければ残り19人のはずであった、しかしフールの追加、サンリベリオンの後継者、ソルリベリオンの登場により残り人数は21人となった。手間が増えた事に右手で頭を抑えながらソルリベリオンの方向を見つめる。そこへフォーチュンリベリオンが飛び掛かる。

 

「予想外なゲストが来てくれ嬉しい所だけどさ…悪いけど倒されてもらうよ!!」

 

「成程…大人数での戦いがお好みでしたか!!」

 

フォーチュンリベリオンの両手のストレートを難なく受け止めたハングドリベリオンは左腕に持つハングドナイフでフォーチュンリベリオンを刺す様に突く、だがこの程度の攻撃ではビクともしないが少し怯んでしまう。

 

「やっぱ勝つのは簡単じゃないね~でも積極的なのはうれしいねぇ」

 

戦いに積極的な相手が現れ喜ぶフォーチュンリベリオン。それと同時にチャリオットリベリオンと交戦していたフールリベリオンも現れる、背後からチャリオットリベリオンの姿が見える、これで総勢7人のリベリオン使用者が揃った。

 

「やっと来たね…それじゃぁ最高のショーの始まりだ!!」

 

7人のリベリオン使用者が揃い喜びを挙げたフォーチュンリベリオンは左腰のホルダーから「マークイン」のシステムメモリーを4本取り出し2本づつ左右の指に挟み、それを一斉に投げ出す、メモリーがピンクに光出すと同時に……その光に群がる様に大量のクリーチャーが出現した、その中にはかつて現れたビーワスプ、そしてその同族のスズメバチ型のクリーチャー(ビーアーミー)やシャープスネイクやブラッドコブラ、ライノトラスト等……これまで現れたクリーチャーが総勢200体はいる。

 

「んなっ!?こんなに大量のクリーチャーを……」

 

「とんた悪趣味だな…」

 

「ホゥ…面白そうじゃねぇか…これは楽しめそうだなぁ!!」

 

ソルリベリオンとルナリベリオンとスターリベリオンは現れた大量のクリーチャーを目の前にして驚いていた、その中フールリベリオンは大量のクリーチャーを前に感激しながらクリーチャー達に攻撃を開始する、チャリオットリベリオンはその状況を少し様子見している。

 

「さぁ…クリーチャーに食い殺されるか…リベリオンに倒されるか…面白くなりそうだ…」

 

大量のクリーチャーの出現…そして7人のリベリオン…今ここで壮大な戦いが始まる!!次回…第1部最終回!!

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り21人

 

 

ToBe Continued……




【今回のリベリオン&クリーチャー】


ハングドリベリオン

【全長】197㎝

【体重】98キロ

【総合ランク】B+

【常設武器】無し

【使用メモリー】
    ↓

【ソードイン】
ハングドナイフ ランクC+
持ち手が逆さの小型ナイフ、1本1本は威力は低いが複数持つ事で力を発揮する。

現在使用者は不明
タロットカードの「THE HANGED MAN」の暗示を意味する。
猿の顔を逆さにしたようなヘッドをしており手足のアーマーも逆さまのデザインをしている。身軽な動きを得意としたスピード戦を得意としており、周囲に吊るされる様にぶら下がる事で相手を翻弄する。


ビーアーミー
ビーワスプの同族でスズメバチ型のクリーチャー ランクD
全体的にビーワスプより鋭い姿をしている。
針を思わせるライフルの様な武器腕が特徴的。


【今回新たに使用されてシステムメモリー】

ルナリベリオン
【シールドイン】
ルナ―ズイージス ランクC-
ブルームーンファルコンの翼を模したシールド、羽根部分が剣の様に鋭く格闘武器としても扱える。

フォーチュンリベリオン
【ローブイン】
ローブトラッシュ ランクE
相手の武器を奪う能力、初期状態から使用回数が多い。

ついに7人のリベリオンがそろい大規模な決戦となりました
それぞれ戦う理由の異なる者同士の戦い…果たしてどんな結末が待っているのか!
そして次は誰が脱落するのであろうか?そして0話で先行登場したハングドリベリオンが遂に本編で登場!果たしてその正体はいかに…
いよいよ次回で第1部最終回…果たしてどうなるのか……乞うご期待!!

感想、指摘あればお構いなくどうぞ~


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第12話「崩れる運命」

最近、遊戯王のパックでスタヴェやクリスタルウィングが当たり気分上昇中の月宮伊織です!

いよいよ第1部最終回!果たしてどんな結末が待っているのか……

前回のあらすじ

要人に葵を人質に取られ戦う事を強いられた伊織。しかしそれは伊織を戦わせるためのハッタリであった。それに引き寄せられるように半蔵も、我怨も、凜も、そしてハルトも戦いに身を投じる。そして要人の予想しなかったハングドリベリオンの登場。7人のリベリオンが集結!!そしてフォーチュンリベリオンの持つマークインのメモリーによって200体にも並ぶクリーチャー達が現れ戦いは大乱戦に…その結末は!?


大量に出現したクリーチャー達を目の前に、それぞれの武器を構え、戦闘に備える。

 

「こんな大量に・・・・・こんな事までして楽しみたいのか・・・・・・・・・・アイツは!!」

 

ソルリベリオンは、フォーチュンリベリオンの方を、睨むように見つめる。余裕の態度を取り、両手を大きく上げるフォーチュンリベリオンの目の前に、5体のクリーチャーが襲い掛かる。カウンターを取る様に、攻撃を回避しつつ攻撃してきた一体のビーアーミーを吹き飛ばす。

 

「ふぅ~危ない、危ない、コイツはあくまで引き寄せる能力だからね!」

 

マークインのメモリーは、あくまでクリーチャーを「引き寄せる」あるいは「おびき寄せる」のみで「操る」能力ではない。その為、引き寄せられたクリーチャーもフォーチュンリベリオンに攻撃を仕掛ける。

 

「自分さえ攻撃すると言うのにこんな大量に…裏を返せばエネルギーを大量に与えるチャンスだが…」

 

ルナリベリオンは逆にこの状況を、クリーチャーを強化させるチャンスだと考える。しかしそこへハングドリベリオンがハングドナイフを投げつけルナリベリオンの行動を阻む。

 

「おっと・・・・敵はクリーチャーだけとは限りませんよ」

 

「そうだったな・・・・・ハァァァっ!!」

 

ドっ!!

 

ルナリベリオンはハングドリベリオンの方へ飛び上がり、牙王天羽々斬を左右に振る。しかしハングリベリオンは右腕を伸ばし、急速にルナリベリオンに近づき、腹部に蹴りをお見舞いする。

 

「ガァっ!?」

 

「お忘れでしたか?私の能力?まだまだ甘いですねぇ」

 

ハングドリベリオンは眼鏡を「クイッ」と上げる様な仕草をしながら、ルナリベリオンを下に見る様な言いぐさを放つ。

 

◇◆◇

 

その頃ソルリベリオンとスターリベリオンは、突如と現れたフールリベリオンの猛攻な襲撃を受けていた。

 

「ハハハ!!こんなにいるとはなぁ!!おかげで楽しめそうだぜ!!」

 

バギっ!!ドゴっ!!ガンっ!!

 

フールリベリオンはソルリベリオン目掛けてダイルブレードを叩き付けるように振り下ろす、その攻撃をスターリベリオンがスターシールドで庇う様に防御する。

 

「コイツ・・・・大分ヤバい奴かもな・・・・・」

 

「あぁ…しかしこんな奴を使用者に選ぶとは…何を考えてるんだ?」

 

その攻撃的な行動から2人(ソルリベリオンとススターリベリオン)はフールリベリオンがとてつもなく狂暴かつヤバい人物だと確信する。そしてフールリベリオンは30体のクリーチャーの標的となり囲まれるものの強引に切り抜ける様にダイルブレードを振り回し、クリーチャー達を蹴散らしてゆく。

 

「どうする?この数…このままだと時間切れになるかもな」

 

「そうだな、確かにこの数を相手にまともにやれるとは思えないな……」

 

200体にも及ぶクリーチャー、そして7人のリベリオン、この数を真正面で戦えば長期戦になるのが妥当、その場合だと「システムメモリーが尽きる」「時間切れになり24時間は現実世界に戻れない」「体力の激しい消耗」が考えられる。その考えを上でスターリベリオンは……

 

「よし、一気に必殺技でクリーチャーを蹴散らして爆風に紛れて一旦退こう」

 

その考えに提案したソルリベリオンはルナリベリオン(伊織)を呼ぶ。

 

「おい、伊織!俺達の必殺技で一気にこのクリーチャー共蹴散らして爆発に紛れて一旦引くぞ!!」

 

しかしルナリベリオンはその提案を否定する。

 

「フザけるな!!ここで一気にリベリオンを倒せば数が大幅に減らせる!それにこいつらを片付ければクリーチャー強化にもなる…」

 

クリーチャーの猛攻を受けつつも反撃を行うルナリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し真月に取り付けてあるデバイスに装填し「シャドーイン」の電子音声と共に自身の影から黒い分身を計6体呼び出す。6体の分身はそれぞれ大量のクリーチャーの中に入り込み攻撃を仕掛ける。

そして本体は大きな箱の上に立つハングドリベリオンを睨む。

 

「やれやれ…まだ懲りずに…」

 

溜息をついたハングドリベリオンは箱の上から飛び降りる様に降り、そのままルナリベリオンの方向へ前進する―――

 

一方ソルリベリオンとスターリベリオンは40体程度のクリーチャーとの乱戦の中、突然とフォーチュンリベリオンが突撃して来た。

 

「いいね~こんなに刺激のある戦い…こういうのを待ってたんだよね~」

 

フォーチュンリベリオンのホイールパンチャーの一撃をソルリベリオンは(アポロナックル)で受け止める。

 

「んだと!?ハッタリまでかましてまで、ここまでやりてぇのか!!」

 

ハルトの怒りは限界まで達していた、以前学校を巻き込んだこと、そしてハッタリだったとはいえ、葵を巻き込んだ事に―――

 

偶然その会話を耳にしていたルナリベリオンは葵にマークインのメモリーを仕込んだことがハッタリだと気付き分身を1体フォーチュンリベリオンの方に向かわせた。

 

「そういう事か…よくも騙してくれたもんだ!!」

 

ソルリベリオンの右拳のストレートががフォーチュンリベリオンの腹部に直撃する、と同時に追い打ちを浴びせる様にルナリベリオンの分身の真月の斬撃がフォーチュンリベリオンの左腕を斬り付ける。

 

カキン―――!!

 

「ぐっ…アララ怒らせちゃった?でもこうでもしないとアンタ達本気にならないよね~」

 

強烈な二撃を喰らっても強固な装甲(イージスアルモア)にとってはかすり傷程度にしか感じない、余裕の表情を誇り手首を振るフォーチュンリベリオン、その姿を見たスターリベリオンがある忠告を言う。

 

「フォーチュンの逆位置…同じことの繰り返し……成功せいてる様に見えるが失敗するかもな」

 

それはフォーチュンの逆位置「計画の中断」「なかなか方向転換がはかれない」「同じことの繰り返し」…簡単に言えば思い通りにならないと言えばよいだろう。忠告を聞いたフォーチュンリベリオン、しかしその言葉を聞いてもその余裕の態度は変わらない。

 

「ふぅ~ん、まぁ一番端っこにでも入れておくよっ!!」

 

ボガン―――!!

 

フォーチュンリベリオンはスターリベリオンの方向に向かって、ホイールパンチャーを投げつける、その一撃を受けたスターリベリオンは4mの方向に後退する。

 

「グゥっ!……聞く耳を持たない…か……」

 

もはやフォーチュンリベリオンに聞く耳はない、ただ戦いを楽しみ殺し合いをさせる……こんな事に意味があるのだろうか?

 

◇◆◇

 

同じ頃チャリオットリベリオンはビーアーミー3体と交戦していた、銃撃と剣撃を使い分けながら徐々にダメージを与えてゆく。その戦い方はある格闘術(ガン=カタ)を思わせる―――。激しい攻撃の中3体のビーアーミーは爆発する。

 

爆風の煙が消え、目の前に見えるのは自分以外のリベリオンが戦う姿であった……その光景を見たチャリオットリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填し「フィニッシュイン」の電子音声と共にシルバアーマホースとチャリオットフォートレスが召喚され、フォートレスの玉座に向かって跳躍し、ギミックガンソードを玉座の前に差し込む、そしてそれをレバーの様に前に倒す、それと同時にシルバアーマホースは「ヒヒーン!!」と飛び上がり6体のリベリオンと無数のクリーチャーに向かって突撃する、と同時にフォートレスに取り付けてあった槍が放たれ大砲から何発も砲弾が発射され「クリーヴ・オブ・ロード」が発動される!!

それをいち早く知ったフールリベリオンは後ろの方に後退しようとする。

 

「これからは逃れられないよ!」

 

クリーヴ・オブ・ロードは攻撃範囲が広いため今いる駐車場の中、そして大量のクリーチャーがいる中で避けるのは困難と思われる、それを見たフォーチュンリベリオンは…

 

「ヤッバ!?」

 

慌てて左腰のホルダーからマークインのシステムメモリーを取り出そうとする、それを見たフールリベリオンはそっちの方向へ向かう。一方ハングドリベリオンは自らの左腕を伸ばし屋上の柱を掴み上の方向に回避しようとする。ソルリベリオンとルナリベリオンとスターリベリオンは急いでシステムメモリーを取り出しそれぞれのデバイスに装填し「シールドイン」の電子音声と共にソルリベリオンはライオディフェンダーを装備、ルナリベリオンはルナ―ズイージスを装備、スターリベリオンはスターシールドからウェーブバリアを発生させる。

 

パカラっパカラっ、キィィィィィィィィィィ!!―――ズドォォォォォォォォン!

 

そしてチャリオットフォートレスは大量のクリーチャー、6人のリベリオンに突撃する―――3人《ソルリベリオン、ルナリベリオン、スターリベリオン》は爆風の衝撃で壁に激突し、大量のクリーチャーは激突を直撃し爆発しそれと共に建物は崩壊、そのままチャリオットフォートレスは突き進み建物のを出る、チャリオットフォートレスを降りて崩壊する建物を見てチャリオットリベリオンは……

 

「こういう戦いはまとめて仕留めるのが一番だ」

 

と一言残しゆっくり歩き、60m先にあった電線を介してサイバープログラムを出る。

 

「オイっ…無事か?」

 

「あぁ何とかな…」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ―――

 

壁に激突した3人は瓦礫を振り払い立ち上る。間一髪直撃を免れるが多大なダメージを喰らう、唯一ハングドリベリオンは屋上に逃れていたため無傷であるが屋上も崩壊し崩壊した駐車場に着地する様に飛び降りる、そして爆風の煙が晴れる、そこにはフォーチュンリベリオンが微動だにせず立っていた、あの一撃でさえもフォーチュンリベリオンの装甲にはダメージを与えられないのか……

 

「アイツ…アレを喰らってもまだ無事だってのか!?」

 

その強固な装甲に3人は驚く……しかし!!

 

ゴトンっ!シュゥゥゥゥ……

 

突然とフォーチュンリベリオンの右腕が暴発する様に外れる、そして膝を着いて倒れる、その横からフールリベリオンが姿を現す。

 

「お前っ…折角…僕が場を…盛り上げてやったのに…」

 

さっきまでの余裕の態度はなくかなり弱った口調だ、そしてフールリベリオンもまた無傷であった。

 

「あぁ…壮大に盛り上がったぜぇ、だから最後は…ドデカイ花火で終わらせようじゃぁねぇかぁ」

 

一体何が起こったのか…時間は少し前に遡る。

 

「ヤッバ!?」

 

フォーチュンリベリオンが慌ててマークインのメモリーをホルダーから取り出そうとする、当初フォーチュンリベリオンはこれを別の方向に投げてシルバアーマホースの軌道をずらそうとした、だがしかしそれを見たフールリベリオンがこちらに近づきマークインのメモリーをフォーチュンリベリオンから取り上げ彼の左胸をスライドさせそこから現れたデバイスに装填させる「マークイン」の電子音声と共に大量のクリーチャーはフォーチュンリベリオンに引き寄せられるように近づき周りを囲む。

フールリベリオンはそのまま後ろの方に後退してゆく。そしてチャリオットリベリオン本人も気付かなかったかシルバアーマホースはフォーチュンリベリオンの方向に進んでいた。これによりクリーヴ・オブ・ロードはフォーチュンリベリオンに直撃しまた大量のクリーチャーの爆発もまともに喰らってしまった。

 

「クッ…アァっ!?」

 

受けた仕打ちを返そうとする様にフォーチュンリベリオンはフールリベリオンに左ストレートをする、しかしフールリベリオンはそれを軽く避ける。そしてまだマークインの効力が残っているからか生き残ったクリーチャーがフォーチュンリベリオンの方に近づいていく、それを残った力を振り絞り振り払おうとする。

 

「こんな…はずじゃ…これじゃ…計画が…グッ!!」

 

その光景を見たフールリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し右手のダイルデンジャーを顎を開きその中のデバイスに装填し顎を閉じる「フィニッシュイン」の電子音声と共にフォーチュンリベリオンの後方からバイオヘルダイルが召喚される、必殺技(「ファングラッシャー・バイオレンス」)が発動される。

そして大量のクリーチャーに囲まれたフォーチュンリベリオンを強力な顎で挟み飛び上がる、それと同時にフールリベリオンも跳躍し両足をワニの顎を開くような構えをする、その構えと同時にバイオヘルダイルはフールリベリオンの方向に投げつける様に振り放す、そのフォーチュンリベリオンを両足で空中で顎で上半身と下半身がかみ砕かれる様に強く挟み、様にして掴み地面の方に叩き付け引きずられ。

 

「オラアアアアアアアアアアアアアアアっ!!」

 

ギギギギギギギギギギギ―――

 

「グアアアアアアァァァァァァァァァァァっ!!

 

引きずられた摩擦で装甲が削れられる、そして挟んでいた両足を放し最後に右足でサッカーボールを蹴飛ばす様に壁の方に勢いよく蹴飛ばす、壁に叩きつけられたフォーチュンリベリオンは体から火花が飛び散り出す。

 

「そんな…!?僕は…僕はぁ!!」

 

バチっ…バチっ…バチチ…ジジジ……チュド――――――っン!!

 

情けない一言を残しフォーチュンリベリオンは大爆発を起こす!その爆風から身を守る様に3人は両腕で爆風を防ぐ、爆風の煙が晴れ最初に見えたのはフォーチュンリベリオンの下半身であった。

 

「アイツ…あれを喰らってまだ…」

 

「いや…」

 

スターリベリオンは目を背ける様に顔を後ろの方に向く、そこには驚くべき光景が―――フォーチュンリベリオンは…上半身が無くなっていた…残っていたのは下半身だけであった…つまりフォーチュンリベリオン(和野要人)は死んだ。その光景をフールリベリオンは笑いながら見上げる。

 

「ハハハハハ!!いい感じだぁ、まさに俺が求めてたモノだ!!ハハハハハ!!」

 

ソルリベリオンは拳を握り締めフールリベリオンの方を鋭く睨む。

 

「お前―――何であんな事を!?」

 

「あぁん…それがこの戦いのルールだろぅ…勝ち残る為に戦う…そして負けた者は死あるのみ、それだけだろ?」

 

確かにアイツ(要人)ムカつく野郎だ…だからってあそこまで……殺す事なんてないだろ!!1つだけ分かった事がある…コイツだけは…許せねぇ…コイツだけは!!

 

「フザけるな!!人の命を奪ってそんなに楽しいか!?お前イカれてやがるよ!!」

 

ソルリベリオンはフールリベリオンに拳を突きだす。その怒りを感じ取る様に後ろからプロミネンスレオが現れ雄たけびをあげる。

 

「イカれてる…そいつは結構な事だぁ」

 

ガオオオォォォォォォ!! シィィィィィィ!!

 

それに対抗する様にフールリベリオンに後ろにバイオヘルダイルが現れる、そして2匹は激しくにらみ合い火花を散らす。そしてフールリベリオンが先制攻撃としてソルリベリオンの方に前進し、ダイルデンジャーで叩きつけようとする―――その時!!

 

ビューン!ビューン!ビューン!

 

上空から尻尾を思わせるビッドの様な物体が上空から現れ2人(ソルリベリオンとフールリベリオン)目掛けてレーザーの様な光線が発射される。

 

「何だ……一体?」

 

「あっ…アレは……」

 

ルナリベリオンが瓦礫で出来た山を見つめる……そこには9本の尾を持つキツネ型のクリーチャー(アポロナインフォックス)が雄たけびをあげて立ちはだかっていた。

 

「新手のクリーチャー!?こんな時に…」

 

「成程…これは退いた方が得策でしょうね…」

 

時間差はあるもののほぼ同じ時間にリベリオンを装着した5人の体は粒子が零れだしていた、時間切れが近づいている、それを感じたハングドリベリオンはいち早くその場から離脱する。

 

アポロナインフォックスは尻尾をビッド状に分裂させ残った4人のリベリオンを襲う。

 

チュド――――ンっ!!ビューン!ビューン!ビューン!

 

「クッ…ここはいったん退くぞ!!俺が隙を作るその内に!!」

 

「あっ…あぁ!その方が良さそうだな!」

 

「チッ、仕方ない……」

 

スターリベリオンはスターェイブの描かれたSTAR()のカードを取り出しデバイスに翳す、それと同時にスターウェイブが召喚されアポロナインフォックスの上空に星の形をした手裏剣(スターダート)撒き散らし周囲を撹乱させる、その隙に3人は崩壊した建物を一気に走り抜け自販機に入り込みサイバープログラムから脱出する。

そして必然的に標的は、残ったフールリベリオンとなった。

 

「面白れぇ…いいぜ掛かって来いよぉ」

 

フールリベリオンはアポロナインフォックスを左腕で誘う様に挑発する。その誘いに乗る様にアポロナインフォックスはフールリベリオンの方向に突撃する―――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

その頃サイバープログラムを出たハルトと伊織と凜は戦いのダメージからか、疲れ果てた表情をしていた。

 

「ハァ…ハァ…これが…戦いなのか…」

 

「あぁ…俺も始めてかもな…あそこまでは」

 

あの悲惨な戦いは凜でさえも始めてであった様だ。それでもまだ冷静な態度を取る伊織。

 

「これで分かっただろ、この戦いが…お前らが言うほど甘くない事を!」

 

改めて突きつけられた、この戦いの過酷さを…

 

「あぁそうだな、でもだからこそ止めなきゃならないんじゃないのか?」

 

「確かに許せねぇよ…だからもう誰も死なせたくない!」

 

それでもなお、凜とハルトの答えは変わらない…その言葉に伊織はもう何もいう事はなかった。

 

「いずれはお前たちも倒す…だが葵の事は礼を言う…」

 

伊織は葵事に関して不本意であるが礼を述べその場を去る……

 

「全く…素直じゃないのか何なのか…とにかく…今日は体を休めた方がいい…」

 

「あっ、そうだな…じゃぁ」

 

これが…リベリオン同士の戦い…こんな事って…何でこんな事させるんだよ…一体何で…それにあんなヤバい奴(フールリベリオン)まで使用者に選びやがってそれを黒幕って奴は眺めてるだけなのか…だったら尚更止めねぇと…これ以上犠牲者を出させないためにも!!

 

それでも戦う事に躊躇いを抱く……そんな秘中を抱く中家に帰る―――

 

「ただいま……」

 

時刻は18時丁度、家に帰って来たハルト、それを迎え入れたのは何と彩であった。

 

「おかえり~」

 

「って彩!?何で家に?」

 

「帰りさ、ハルト何か慌ててた様子だったの見てさ、それが心配になって……」

 

要人とのやり取りの後急いでリベリオンを装着するために走り出した所を目撃してた彩、後を追ったがすぐに見失ってしまった、それで家に戻るまで待っていたらしい。

 

「えっと…まぁちょっと絡まれたと言うかなんというか…」

 

ハルトは何とか理由を誤魔化そうとする…彩は頬を膨らませていた。

 

「もぅ…何があったかは深くは聞かないけどさ…心配させないでよ…」

 

俺の事を心配してる…やっぱ話した方がいいのか……いやっ!彩は巻き込みたくない……話す訳にはいかない…

 

「悪ぃ…ホント、大した事ないからさ、大丈夫だって!」

 

何時も通りの笑顔で乗り切るハルト、その笑顔を見て呆れながらも信じている彩。

 

「うん、ハルトがそう言うなら大丈夫だよね、分かった」

 

取りあえず一安心かな、しかし空も暗くなったな……一人じゃ危ないだろうし…送っていくか、っと思ったら姉ちゃんが部屋から出てきて……

 

「今日は遅いし、泊まってけば?制服とか私の奴残ってるからそれ使っていいよ」

 

「ちょっ!?姉ちゃん何言ってんの!?いきなり泊まれと言われたって…なぁ?」

 

ちょっ!?姉ちゃん急に何言い出すんだ!?確かに着替えくらいなら何とかなると思うが……流石にコレはまずいだろ……

 

「いいんですか!じゃぁ…お言葉に甘えて…」

 

彩は少し恥ずかしがりそそうな表情で泊まる事を受け入れる、突然の事でハルトは驚きを隠せない。そしてこれがあの戦いの後である事……

 

「決まりね♪じゃぁ親御さんには電話してくるから~」

 

もしかして…お姉さん、私がハルトの事…それを知っててあんな事いったのかな?ハルトの家で泊まる…小学生以来で何かドキドキするな!まったく……どうしてハルトは気づいてくれないんだろ?こんなに…こんなにアプローチしてるのに―――ってハルトに言っても無理もないか…その手の事に鈍感だし。

 

「っく姉ちゃんったら…勝手な事を…まぁ今日くらいなら仕方ないか」

 

「えへへ…こんなの小学生以来だね♪」

 

しょうがないな~と思いながら俺はすぐ様夕飯の支度をする。と言っても昨日の残りのシチューだから温めて終わりだけどな、ご飯も朝予約して1時間前には炊けている。

シチュー温める間に彩に皿を用意する事を頼んだ。

温め終わり、用意したさらにシチューを盛る。いつもなら部屋を出る姉ちゃんだが、今日は何故か「部屋で食べると言う」一体どうしたのやら…

そんなこんなで俺と彩、2人で夕飯を食べる事になった。

 

「う~ん!ハルトの作るご飯は美味しいね~」

 

「そう言われると正直嬉しい」

 

少し前なら変わらない日常……でも今は変わってしまった、己の願いを叶える為の戦いに身を投じているんだからな。でも…こんな時が少しだが心が安らぐ。だから俺は人を守るために…戦いを止める為に…

 

途中食事に夢中になってしまったからか無言で食べ続け、そのまま食べ終わりハルトは皿を洗い始める。

 

「ねぇねぇ~お風呂先いいかな?」

 

彩は先にお風呂に入ろうとする、ハルトはあまりよく聞き取れなかったからか首を頷くだけだった。そして皿を洗い終わったハルトは……

 

「さ~て…洗濯物入れてくるか~」

 

洗濯物を入れようと洗面台へ向かう、そしてそのドアを開けると……

 

「あっ……」

 

「――――////っ!?」

 

彩が服を脱いでおり既に下着のホックを外す所であった。その姿を見てしまったハルトは急いでドアを絞め彩に謝る。

 

「ごっ…ゴメン!!入ってるなんて…」

 

やはりハルトは話を聞いていなかった様だ。

 

「さっき言ったのに…バカっ」

 

流石にほぼ裸の状態で見られた彩は顔を赤らめその場に蹲る。ハルトも見てしまったからか顔を赤くしている。

 

(にしても…ちょっとはキレイだったな…)

 

少しながら彩の事を褒めるハルト、彼も男である。

 

風呂に入り終えパジャマに着替えた彩が洗面台から出るとハルトの方も向く。

 

「見た……」

 

「えっ、なにを?」

 

ハルトは何事も無かったかの様な顔をしている、そして彩はハルトの両肩を掴む。

 

「だ~か~ら~!!」

 

「あっ…イヤっ!見てない何も見てません!!」

 

若干見てしまったハルトだが彩の為を思って何とか誤魔化そうとする。

 

「本当に…?」

 

彩の顔は少し泣きそうな顔をしている。

 

「あぁ本当さ!!」

 

ハルトは言い切る、それを信じた彩は安心する。

 

「じゃぁ…許す、でも今度は気を付けてよね///!!」

 

その状況を陰で見てニヤっと笑う、夏姫…この展開が狙いだったのか?

 

「フフフ…いいわねぇ、ファイトよ彩ちゃん!」

 

やはり影ながら彩の恋を応援しえいた……反省したハルトはそのまま風呂に入る。

 

「フゥ……傷にしみるなぁ」

 

天井を見ながら今回の戦いの事を思い出す、そして改めて自分が何も出来なかった事を悔む。

 

「俺も…強くならなきゃな!!」

 

そう決心したハルトは力強く体と頭を洗う。風呂から上がり体をしっかりと吹きそのままベットに入ろもうとするが…

 

「そういや彩の寝る所は……」

 

まだ彩の寝る場所が決まってない、自分の部屋のベッドは散らかっているためとても持て成す場ではない。

 

「よし…布団出すか」

 

ハルトは押し入れに仕舞ってあった白と紺色の布団を取り出しリビングの真ん中に敷く。

 

「ンフフフ~フカフカ~気持ちいな~」

 

敷き終えた布団に彩はジャンプして飛び込む、抱きしめる様に布団に蹲る。

 

「んじゃぁもう寝るから……お休み」

 

「うん!お休み~」

 

ハルトはリビングの電気を消し、自分の部屋に戻りそのまま眠りに付く……そしてふと目を覚ますと…以前見た黒い空間の不気味なピエロを思わせる椅子に座っていた。

 

「またか…」

 

そしてそのテーブルの真ん中には、巨大なダルマ落としで遊んでいるモニタの姿があった。

 

「ヨイショっ!ヨイショっ!…あっ!?ショボン……」

 

あと一歩の所でダルマが落ち、モニタは落ち込む。

 

「ふぅ…さてチミタチ!今回の戦いで1人脱落者が現れましたね~この調子でドンドン頑張っちゃって下さい!」

 

フォーチュンリベリオンが倒された事を喜び、そしてさらに戦いを盛り上げる様に駆り立てるモニタ、そのフザけた態度にハルトは机を強い勢いで叩く。

 

「いい加減にしろよ!!何の為に俺達を戦わせる!?人が死ぬんだぞ!!」

 

その言葉にモニタは逆切れを起こす。

 

「またチミか~!!言ったじゃないか~この戦いに勝利したら願いを叶えてやるって!!だから戦えって言ってるの!まだ分からないかな~金!精!富!力!何でも手に入るんだよ!張り切るのは当然じゃないか~まぁ中には下らない願いを抱く奴もいるけど」

 

モニタは演説するかの様に、またブロードウェイを歩くように語り始める。そして伊織であろうシルエットを見つめ鼻で笑う。

 

「っ……」

 

鼻で笑われた事に拳を握る伊織、それでもなお、モニタは笑いを止めない。 

 

「と言う訳なので…皆さんこれからも最後の1人になるまでじゃんじゃん戦って下さい!あっ、でもルールは守ってね~もし破ったら…分かってるよね?」

 

その顔はピエロの様な奇妙な笑顔だがその裏には狂気じみた視線にも見える。満足したような態度を取り、モニタは空間の奥の方向に消えて行った。

 

「フフフ…これから面白くなりそうだぜ」

 

我怨であろうシルエットはこれからの展開に刺激がほとばしり興奮が止まらない。

 

「…一体何なんだアイツは…アレが黒幕…じゃないよな、確か前に゛監視約゛って言ってたしな……」

 

モニタはあくまで「監視役」つまりその裏に黒幕がいると思われる。

 

「だったら暴くしかねぇじゃなねぇか…その黒幕って奴をよぉ!!」

 

ハルトは黒幕の正体を突き止める事を決意する。そしてその黒幕を倒す事で戦いを終わらせる、ハルトの新たな決意はその鋭い瞳からも伝わってくる。

 

そしてハルトが目を覚ます。時刻は午前7時、何時もより早く起きる事が出来たハルトは腕を伸ばし部屋から出る。

 

「アレ?何時も遅刻寸前なのに珍しいね~」

 

モチロン彩も起きていた、何時も遅刻寸前のハルトが余裕で起きる事に驚いている。

 

「おはよぅ、今朝飯作るから待ってな~」

 

ハルトは急いで朝食の食パンをトースターの中に入れる。その手さばきに彩は唖然としている。パンが焼き終わりすぐ様皿の上に乗せる。

 

「ほぃっ!トッピングはお好みで」

 

朝食はパン1枚とヨーグルト、そしてインスタントのコーンスープ。トッピングとしてイチゴジャム、マーガリン、生ハムが置いてある。

 

「うぉ~いっただきま~す♪」

 

朝食立食べ始めるハルトと彩、我ながら美味いと感じるハルト、彩もあまりの美味しさに右手で頬を抑える。

 

「う~んこれが味わえるなら毎日来てもいいかも~」

 

「おいおい、勘弁してくれよ~」

 

冗談混じりながらの会話、まるでそれは……朝食を食べ終え食器を片付けるハルト。制服に着替え終え、家を出て学校を迎える、新たな一日を迎える様に朝日が眩しい。

しかしその裏ではリベリオン使用者達の戦いが繰り広げられる……その戦いの先には何が待ち受けているのか……ハルトの運命は……新たな展開が待ち受ける!

 

◇◆◇

 

同時刻、サイバープログラム内で暴れている白いヤギ型のクリーチャーの目の前には、シアンカラーを中心とし、体のラインはマゼンタ色、身軽な細い体型に螺旋状に渦巻く肩のアーマー、右目は青、左目はピンクの両目(ツインアイ)を持ち足にパワージャッキが展開された戦士の姿がある。

 

シギャアアアアア!!

 

ヤギ型のクリーチャーはそのシアンの戦士に襲い掛かる、それを軽く避け背後から右足の蹴りをお見舞いする。

 

グゥゥゥゥゥゥ

 

ヤギ型のクリーチャーはその蹴りに怯むがすぐ様後ろを振り返り、シアン色の戦士に突進する。

 

「後は、任せたよ~」

 

その声は爽やかな美青年の様な口調であった。

シアン色の戦士はその突進を軽く避け、跳躍する。そして飛んだ先のテレビに入り込む。周囲を見渡すヤギ型のクリーチャー、その背後から何者かの蹴りがお見舞いされ後退する。

 

その姿はさっきのシアン色の戦士そのままであるがメインカラーのシアンとラインカラーのマゼンタが逆転している。

 

「オーケーさぁ…行くわよ」

 

そしてその口調はさっきの美青年の声ではなく可愛らしい少女の声であった、果たして一体何者なのか……

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り20人

 

ToBe Continued……




【今回使用されたシステムメモリー】

【フールリベリオン】


【フィニッシュイン】

ファングラッシャー・バイオレンス ランクS-

バイオヘルダイルが相手の体を強力な顎でかみ砕く様に挟み、それをフールリベリオンの方向に投げつけ、またフールリベリオンが両足で顎でかみ砕く様に挟み、地面に引きずり、最後に蹴飛ばす。弱点もなく強力な技で非常に厄介である。


第1部もこれで終わり……そして戦いは新たなステージへ……

しばらくはバンデットTHEリベリオンの方を書くのでお休みいたします!!

最後に現れた戦士……一体何者なのか?そしていまだ判明されていないハングドリベリオンの正体とは?はたまたアポロナインフォックスと戦闘になった我怨はどうやってくぐり抜けたのか!?

気になるところは色々ありますがしばしの間お持ち下さい!!

では第2部の始まるその日まで!!


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第2章
第13話「愛、故に」


ようやく再開!第2部の始まりです!!
前回はフォーチュンの死で終わりました。新たな始まり……ハルト達に待ち受ける物とは?
そしてちょこっとだけ登場した、新たなリベリオン、戦いは次のステージへと進む!

前回までのあらすじ
7人のリベリオン、そしておびき寄せられたクリーチャー達の乱戦、チャリオットリベリオンのクリーヴ・オブ・ロードにより、戦況は大きく変わった。フォーチュンリベリオンはフールリベリオンにより、攻撃を直撃、及びクリーチャー達の的となってしまう。
残った力で、反撃を仕掛けるも、フールリベリオンのファングラッシャーバイオレンスを喰らい、倒される―――そしてアポロナインフォックスの襲撃、それに1人立ち向かうフールリベリオン。

残るリベリオンは20人、ここから新たな戦いが幕を開ける。


7人のリベリオンの大乱戦から2週間が経過していた。

6月16日、午後16時丁度。学校を終えたハルトは、寄り道に、噴水のある公園でボ~っとしていた。

 

「あれから何も進展なし・・・って、ない方がいいんだが」

 

この2週間、クリーチャーが現れるくらいで、リベリオン同士の戦いは起こっていなかった。ハルトとしては、それがありがたいと思っている。望みを叶える為に、殺し合う、普通なら、そんな事耐えられるワケがない。そんな事を考えるハルトの前に、カレンが通りか掛かり、声を掛ける。

 

「どうも~奇遇ですね」

 

「んっ?あぁ、たまにはこうなりたい時があるのよ」

 

カレンがハルトの隣に座る。そして彼に、声を掛ける。

 

「そう言えば、あの秀才な三日月伊織さんとよく一緒にいますけど、どういう関係なんですか?」

 

それは伊織の事であった、言われてみれば、リベリオン同士と言う事もあり、彼とはよく一緒に行動する事が多くなった。もしや何か誤解されているのでは……思わず鳥肌が立つ程であった。

 

「いやぁ~まぁ、なんと言うか・・・たまたま会う度に、先生に仕事頼まれる程度だよ!」

 

何とか誤魔化す。あながち間違いではない、一度は生徒会室にダンボールを運ぶのを頼まれたのだから。その理由に、カレンは首を頷き納得した。

 

「なぁ~んだ、そんな事ですか~てっきり・・・」

 

カレンは顔を、下の方に向き、怪しそうに笑う。その表情にハルトは、ゾッとする。

 

「ヨイしょっと!ありがとうございます、では私はこれにて!」

 

カレンは、立ち上がり、そのまま前進し、その場を去る。

公園から帰る中、場面に遭遇する。それは恋人同士と思われる16歳ほどの、男女がいた。男は、長身で、明るい茶髪、紳士的な、純白な服を着た―――深井愛人(ふかいあいと)と、少女は、愛人と身長20㎝差で、長くて綺麗な黒髪、黒いノースリーブのワンピースを着た―――永遠野双葉(とわのふたば)が、ベンチでお互いを抱きしめ合う姿だった。

それを見たカレンは、ため息をつきながら、そのまま歩き、小声で一言呟く。

 

「ふぇ~、あういうのはヒッソりといてほしいよね・・・・」

 

男と少女は、周りを気にせず、まるで自分だけしかいない様に、抱きしめている。その目は、お互いしか見ていない様に・・・・

 

「愛してるよ・・・」

 

「えぇ、私もよ」

 

愛をささやく2人、そのベンチの後ろには、凜が座っていた。どうやら気付いてないみたいだ。

 

「・・・・恋人・・・か」

 

凜が手にしてたのは、LOVERS(恋人たち)のタロットカードであった。カードをしまい、立ち上がり、ハルトのいる噴水の方へ向かう。

 

「あっ、凜!来てたのか」

 

その姿を、ハルトが発見し、声を掛けながら、手を振る。

 

「ハルト!あれから何か変わりはないか?」

 

凜は、ハルトの隣に座り、あの時以来、何か変わりがないかを聞く。

 

「いや、何もないぜ、そっちもないっぽいな」

 

お互い進展はない様だ。2人は沈む夕日を見つめていた。

 

「だが・・・次に現れる奴・・・恐らくコレだ」

 

凜は、ハルトに1枚のタロットカードを渡す。さっき手にしていた、LOVERSのカードだ。しかし・・・

 

「えっと・・・コレ何て読むんだ?」

 

英語事態が読めていなかった、そのポカンとした表情をしたハルトに溜息をしながら、LOVERSの意味を教える。

 

「そこからか・・・伊織の言うとりのバカ・・・か、LOVERS(ラヴァーズ)、すなわち恋人って意味だ」

 

意味を理解したのか、両手をポンっ、と叩く。

 

「恋人っていうと・・・アレみたいな?」

 

ハルトの方からも、抱き合う男と少女の姿は見えていた。ずっと目に入っていたと思うと・・・気の毒だ。

 

「あっ、あぁ・・・そんな感じだな」

 

あんま気にしてなかったが・・・随分長い間抱き合ってるよな、暑苦しくないのか?分かんねぇな~まさか・・・なあの2人が次に現れるリベリオンでした~なんて。そんなバカな。今はそんな冗談が言える余裕があった・・・

 

「ともあれ、被害が増える前に、この戦いを止めないと・・・だな!」

 

「あぁ、こんな事は終わらせないといけない」

 

そう言い、2人は立ち上がり、公園を去る、抱き合う2人を気遣う様に反対側の方へ・・・

 

「行った・・・?」

 

「あぁ・・・ようやく」

 

人もいなくなり、静かな夜・・・二人はそっと顔を近づけ、そして―――

がその瞬間、2人は同時に、頭を押さえ始める。

 

「はぁ・・・何時もいい時に」

 

「ホント、空気読めないよね」

 

二人はベンチから立ち上がり、公園内にある、管理事務局へ向かう。そこの入り口にある、カードキーに愛人がある物を手に取る・・・・アルカナ・デバイスだ。

 

「それじゃ、後でね」

 

「うん、気を付けてね♪」

 

双葉の手にも・・・・アルカナ・デバイスを手にしていた。2人もまた、リベリオン使用者として選ばれた人間だった。しかし勝者は1人のみ、それなのに2人は愛し合う。それは一体なぜなのか・・・・・?愛人がカードキーに、アルカナ・デバイスを翳し、彼の左二の腕に、アタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン―――」

 

その叫びと共に、デバイスをアタッチメントに取り付け、シアンカラーを中心とし、体のラインはマゼンタ色、、脚にパワージャッキが展開され、身軽な細い体型に螺旋状に渦巻く肩のアーマー、右目は青、左目はピンクの両目ツインアイを持ち膝にはハートマークが刻まれている、戦士の姿に変わる。その姿から恋人を意味するリベリオン(ラヴァーズリベリオン)と思われる。

 

「それじゃ」

 

ラヴァーズリベリオンは、カードキーの中に吸い込まれる様に、入り込み、でゲートブースターを取り付け「GO」のサインと共に発射され、サイバープログラムへと突入する。

 

「いってらっしゃい」

 

双葉は変身せず、管理事務局から離れる。一体何故なのか・・・・?

 

サイバープログラムに到着したラヴァーズリベリオンの目の前には、角と頭が金属で覆われているのが特徴のヤギ型のクリーチャー(アヘッドカプリコーン)が待ち伏せたの様に、威嚇する構えをしていた。

 

「またコイツか・・・2度も邪魔するなっての!!」

 

右手を握り締め、アヘッドカプリコーンに突撃する。そのパンチをかわされ、その右手を掴まれ、背負い投げをお見舞いされる。

以前、ラヴァーズリベリオンは、アヘッドカプリコーンと交戦しており、その時は逃がしてしまった。どうやら2度もいい雰囲気を邪魔され、我慢の限界の様だった。

 

「っ―――!?全く・・・・無駄にウザいね!!」

 

ラヴァーズリベリオンは、管理事務局の壁の方向に飛び、その壁を、蹴り上げ、その際に、パワージャッキ(ラヴァージャッキ)がバネの様に縮み、飛び上がる様に戻る、腕をクロスさせ、アヘッドカプリコーンに向かって、勢いをつけた突進を喰らわせる。

 

ガキン―――!!

 

その突進は、直撃し、真っ直ぐに、10mの方向へ吹き飛ばされる。アヘッドカプリコーンは立ち上がり、その場から逃げ出す。

 

「あの距離だと・・・丁度いいね。双葉、街の方に逃げたよ!」

 

ラヴァーズリベリオンは、左太ももに付けてあったデバイスを取り外し、双葉にアヘッドカプリコーンが街の方に逃げた事を伝える。

 

「了解、あの時のね・・・・また邪魔してくれちゃって・・・・」

 

双葉は、街中の方に走り、路地裏の方に向かう。

一方、ラヴァーズリベリオンは、アヘッドカプリコーンを追いかけながら、双葉が向かっている路地裏に誘導しようと、LOVERSのタロットカードを手に取る、そこにはシアンとマゼンタ色をした、鋭い天使の様な翼を持ち、光線を吐きそうな長い口、タツノオトシゴを龍にした様なクリーチャー(ドラゴキューピット)が描かれたいた。

 

「頼んだよ、僕らのキューピット」

 

ラヴァーズリベリオンがフィンガースナップをしながら、アヘッドカプリコーンを指さすと、ドラゴキューピットが、口から緑色の光線を吐き出す。その光線から逃げる様に走り出すアヘッドカプリコーン、それはまるで何処かに誘導する様に・・・・・

 

 

◇◆◇

 

一方、路地裏についた双葉は、そこにあった、いかにもスパイが使いそうな、公衆電話の前で、待機する。

それと同じくして、クリーチャーの反応を察知したハルトと凜が変身できる場所を探しながら、走っていた。

 

「それにしても、人多いな」

 

「そりゃ、都会だもんね」

 

夜になっても人は大勢いる。うかつに変身すると、目立ってしまう。そんな中、路地裏を発見する。しかしそこは、双葉のいる場所であった。

 

「よしっ、あそこなら・・・」

 

何も知らずに路地裏へ向かおうとするハルト、しかしそれを凜が、彼の襟を掴んで止める。

 

「待てっ!!誰かいる」

 

凜が路地裏に少女―――双葉の姿を発見し、ビルの角に隠れる。

 

「アレって・・・さっきの・・・」

 

何故いるのか、それを疑問に思っている2人、しかしまだ彼女がリベリオン使用者である事をまだ知らない。

 

同じ頃、ラヴァーズリベリオンは、とうとうアヘッドカプリコーンを路地裏に追い詰める。

 

「それじゃぁ、バトンタッチだね」

 

そう言い、壁の方にジャンプし、姿を消す。それと同時に、双葉がデバイスを取り出し、公衆電話に翳し、右二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「そろそろね・・・セットオン―――」

 

その叫びと共に双葉は、右二の腕にデバイスを取り付け、リベリオンへと変身する。その姿は、ラヴァーズリベリオンそのもの、しかし体とラインのカラーが逆転している。それだけの違いだった。

 

その姿に、ハルトと凜は驚いていた。

 

「やっぱり・・・・アイツもリベリオン使用者・・・」

 

「だな、俺達も行くぞ」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンが公衆電話に入り込むと、その後を追う様に、ハルトと凜も、リベリオンを装着し、公衆電話に入る。

サイバープログラムに着くと、既に、マゼンタのラヴァーズリベリオンがアヘッドカプリコーンと戦闘を開始していた。

 

「ハァっ―――!!」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンの回し蹴りが、アヘッドカプリコーンに直撃する。そして左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右太ももに取り付けてあるデバイスに、装填する「ショットイン」の電子音声と共に、ドラゴキューピットを、弓に変形させた様な武器―――ラビリンスボウが召喚され、それを右手に取る。

 

「とびっきりの・・・いくわよ―――!!」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンがラビリンスボウを引き、狙いを、アヘッドカプリコーンに定める。

 

グググ・・・・・

 

「ハァっ―――!!」

 

ビュン―――ッ!!

 

引いたラビリンスボウを、一気に離し、発射された矢が、アヘッドカプリコーンの体を貫く。貫かれた体を抑えながら、反撃しようと、飛び掛かる・・・・・がしかし、貫いた矢が、背後から、再び、貫く―――!!

 

グサッ―――!!

 

「チェックメイトね」

 

アヘッドカプリコーンの体は、光に包まれ・・・・空中で爆散した。その光景を見た、ソルリベリオンとスターリベリオンは出る間もなく、ただ唖然としていた。

それを見たマゼンタのラヴァーズリベリオンは・・・・突然と2人に襲い掛かる―――!!

 

「んなっ!?イキナリかよ!」

 

「やはりコイツも・・・簡単には納得しない様だな!」

 

分かってはいたが、少々同様していた。スターリベリオンは、右腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、スターシールドに装填する「ソードイン」の電子音声と共に、スターブレードが召喚され、それを左手に取り、マゼンタのラヴァーズリベリオンの攻撃を防ぐ。

 

ギンっ―――!!

 

「コイツっ・・・・中々やる様だねっ!!」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンは、後ろに一回転しながらジャンプし、ラビリンスボウを連射させ、それをスターリベリオンは、スターシールドで防ぐ。

その後ろから、ソルリベリオンが、レオンハートソードで斬り掛かる。

 

「っと・・・2体も・・・ゆっくり出来ないわね~」

 

連戦に頭を抱えるマゼンタのラヴァーズリベリオン。2人の足元に、ラビリンスボウを放ち、すぐ様、テレビの方に入り込む。

 

「逃げた・・・・?」

 

「戦略的撤退・・・なのか?」

 

その行動に警戒を怠らない2人、その背後から突然と、愛人の変身する、シアンのラヴァーズリベリオンがスターリベリオンの背中に蹴りをお見舞いする。

 

「グぁっ―――!?」

 

「凜!!アイツ・・・・」

 

シアンのラヴァーズリベリオンにレオンハートソードを突きつける。よくその姿を見ていると、さっき現れたマゼンタのラヴァーズリベリオンと色が違う事に気付く。

 

「コイツ・・・さっきと色が違うぞ、どういう事だ?」

 

「まさか・・・2人使用者がいるって事か?」

 

ラヴァーズリベリオンの能力、それは使用者が2人いる事、とは言っても、2人同時に変身出来る訳ではない。片方が変身していると、もう片方のデバイスには、変身機能がなくなる。しかし交互に後退する事により、制限時間とシステムメモリー使用回数の制約を気にする事なく、戦う事が出来る。また同じリベリオンとしても扱われるので、2人一緒に勝者となる事が出来る。まさに恋人の意味を持つリベリオンに相応しい能力だ。

 

「だが2人同時に来ないと言う事は・・・・使えるのは1人に限るって訳だ」

 

スターリベリオンはその事に気付いた。

 

「分かった所で、勝てるかな?」

 

シアンのラヴァーズリベリオンは、2人を挑発する様に誘う、そこにソルリベリオンが戦いを止めようと、説得に入る。

 

「ちょっと待てって!!こんな戦い辞めようぜ」

 

しかし、聞く耳など持たない。シアンのラヴァーズリベリオンは、右腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、左太ももに取り付けてあるデバイスに装填する「ショットイン」の電子音声と共に、ラビリンスボウが召喚されそれを手に取ると、すぐ様、弓の刃で、2人に斬り掛かる。

 

ザシュ―――!!

 

「何を行ってるのかな?僕達は永遠の幸せを求める、その為なら誰が相手だろうが―――!!」

 

斬撃の猛攻に、押し負けるソルリベリオン。それに対抗しようと、左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「シールドイン」の電子音声と共に、ライオディフェンダーが2つ召喚され、両手に装備し、斬撃を防御する。

 

ラヴァーズリベリオンの望み、それは愛人と双葉、2人の永遠の幸せ。誰にも邪魔されない愛の楽園を築く・・・・・

 

「クッ・・・・だったら・・・大人しく愛し合ってろ!!」

 

ギギギ・・・・カキン―――!!

 

斬撃を押し返し、無意識に、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオが召喚され、共に飛び上がり、口から出された火球を足にに纏い空からプロミネンスブレイカー(キックver.)を発動する。その蹴りは、真っ直ぐに、ラヴァーズリベリオンに降りかかる――――

 

ゴゴゴ・・・・・・・・ゴォ――――ン!!

 

「待てっ、ハルト―――!!」

 

「っ―――!?」

 

スターリベリオンの言葉に反応し我に帰ったソルリベリオンは、蹴りを45度の方に曲げ、プロミネンスブレイカーは地面の方を蹴った。

 

「フゥ・・・・驚かせないでよね!!」

 

シアンのラヴァーズリベリオンは、体制を立て直し、ソルリベリオンに蹴りをお見舞いし、10mまで吹き飛ばす。

 

「ぐぅ・・・・俺は・・・・」

 

ラビリンスボウを引き、エネルギーがチャージされ始める。

 

「オイ、しっかりしろ!このままじゃ―――」

 

自分がラヴァーズリベリオンを倒そうとした事に動揺し、身動きが取れない。そんなソルリベリオンの腕を、スターリベリオンが掴む。

 

「もう遅いよ・・・・じゃぁアディオス」

 

ラビリンスボウから、エネルギー状の矢が放たれる・・・・・・その瞬間―――突然と、シアンのラヴァーズリベリオンの周りが爆発を起こす!!その衝撃に30m程、吹き飛ばされる。

 

「一体何が・・・」

 

スターリベリオンが上の方向を見る。するとそこには、ビルの上で、キャプチャースナイプライフルを構えたチャリオットリベリオンの姿があった。

 

「アイツ・・・なんのつもりだ?」

 

チャリオットリベリオンは助けたのか・・・・・その真意は不明だ。その隙に、スターリベリオンは、ソルリベリオンを立ち上がらせる。

 

「ここは退くぞ、体制を立て直そう」

 

「あっ・・・・あぁ、そうだな」

 

巻き起こる爆風の中、2人は、ビルの屋上まで登り、そこにあった電線から、サイバープログラムを抜け出す。

 

「クッ・・・・一体なにが?」

 

爆風を振り払いながら立ち上がるシアンのラヴァーズリベリオン。爆風を消すが、そこには2人の姿はなかった。

 

「逃げられたか・・・まぁいいさ、何時でも倒せるからね」

 

その表情からは、余裕の笑みが浮かばれる。そのまま、双葉が変身した、公衆電話からサイバープログラムを抜ける。

 

「おかえり、大丈夫だった?」

 

心配そうに声を掛ける双葉、しかしどこか彼を信頼する様に安心する部分も見える。

 

「まぁ・・・何とかね、まだやられる訳にはいかないからね」

 

「よかった・・・」

 

そのままは双葉は、愛人を抱きしめ、そして唐突にキスをする、それもかなりディープな・・・・

 

「ん・・・積極的だなぁ、でももう少し雰囲気の出る所の方が、いいかもね」

 

優しく双葉の頭を撫でる。愛し合う2人、まさに誰もが求める理想の恋人関係・・・・・リベリオン使用者である事を除き・・・・・

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

一方、ハルト達は、とある工場にあるトラックから、現実世界に戻って来た。

 

「俺・・・・本気で・・・やろうと・・・・」

 

ハルトは、ラヴァーズリベリオンを本気で倒そうとした事に、戸惑い、今でも手が震えている。その手を凜が掴む。

 

「無理もないさ、戦いが続くんだ、無意識になる事はあるさ。にしても普通に説得するのが無理となると・・・・」

 

凜の出す戦いを止める新たな方法、それは・・・・

 

「何か情報が必要だな。この戦いの本当の意味に関わる情報を」

 

「って言っても・・・・そんな情報簡単に見つかるか?」

 

リベリオンがどう作られたかも謎のままで、情報が簡単に掴めるわけがない、一体どうすれば・・・・・

 

「このリベリオン事態、誰かが作ったのは確かだ。例えば大手企業とか」

 

こんな高性能なリベリオンを作れるのは有名な大手企業、もしくは軍だと、凜は推測する。

 

「そりゃぁ、こんなん、そんな所しか作れないかもしれないけど・・・・俺達を戦わせる理由になるか?それなら社員で試せばいいだろうに」

 

確かに、戦わせるなら、俺達じゃなく、社員にテストすればいい。だが、軍用使う様な物じゃない。それにサイバープログラム、あんな世界、誰が発見したのか・・・ファンタジーものでよく見る異世界とはまた違う、まるでこの現実世界を再現してる様だ・・・・

 

「ん?だとすると、何か研究・・・とか?」

 

「・・・・それも1つの可能性だな。ともかく、一度調べてみよう」

 

こうして、1日が過ぎた・・・・・

 

翌日、6月17日、午後12時丁度、ハルトが、屋上で、寝転がりながら、昼ご飯のコッペパンを口に加え、空を見つめていた。

 

「ハァ・・・情報・・・か、どこから探せばいいのか・・・」

 

戦いを止めるため、まずどこから探ればいいのか、そこに悩んでいた。そしてもう1つ、昨日自分が手を下しかけた事を・・・・・

 

「俺はただ・・・人を、クリーチャーからを守る為に・・・・」

 

最初はクリーチャーを倒す為にリベリオンになった。それが今じゃ、望みの為に、22人で戦い合え?頭もこんがらがるって―――!!それに・・・フールだっけ、アイツは俺達の目の前で、あのガキ(要人)を・・・・殺す事にも躊躇ねぇ奴だった・・・・もし次が自分だと思うと・・・・ここ2週間はそんな悪夢に魘されっぱなしだった・・・

 

ハルトが自分の心の中で、葛藤していると、屋上のドアが開く、そして伊織が、こちらに歩いてゆく。

 

「ハァ・・・何でまたお前が・・・」

 

伊織が嫌味の様な一言を言うと、ハルトも嫌味を言い返す。

 

「そりゃ、コッチのセリフだ・・・・そんな気分なんだよ」

 

伊織が隣に座る、ハルトとの距離を、少し空けて。袋に入っていた、おにぎりを食べる伊織に、ハルトが話しかける。

 

「昨日・・・新しいリベリオンにあった、ちょっと特殊な奴だったよ」

 

昨日、ラヴァーズリベリオンに遭遇した事だ。それをある程度、耳に入れる伊織。新たな敵の情報は知りたいのだから。

 

「そうか、で、お前はまた「戦いは辞めろー」なんて言ったか」

 

「ハイハイその通りだよ、だけど、無意識に倒そうとしていた」

 

浮かない表情をするハルトの顔をみて、伊織は少し距離を詰め寄る。

 

「珍しいな、でも倒せなかったと」

 

皮肉を言う伊織に、言い返すことが出来ない。

 

「あぁ、そうだよ!俺だってもう何が何だか分からねぇよ・・・・」

 

ハルトは頭をくしゃくしゃに掻き回す。その姿に、伊織が溜息をつく。

 

「嫌ならいいんだぞ、リベリオンになった時点で、逃げ場はないがな」

 

14日以内に、契約クリーチャーにエサを与えなければ、契約破棄と見做され、エサと認識され、食べられる・・・・もはやリベリオン使用者に逃げ道は存在しない。最後の1人になるまで戦い続ける事しか出来ない。そんな運命を背負ったハルトは、何だか疲れた表情を見せる。

 

「まぁ、どうするかはお前の好きにすればいいさ」

 

伊織は立ち上がり、屋上を出る。助ける訳でもない、ただ皮肉を残し・・・・ハルトは頭を押さえ、大声で叫ぶ。

 

「アアアアアア―――――――――!!」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

そして放課後。1人寂しく下校するハルト。助けを求める事は出来ない。そんな孤独な状況を強いられている。

 

「俺は・・・・どうすりゃ・・・・」

 

そんな時、道路の向かい側に、蝶々を追いかける身長130㎝程の、赤い髪のツインテールの少女を見かける。そんな平和な光景に、少し顔が笑うハルト。しかし―――その時、頭の中に、クリーチャーの現れるヴィジョンが浮かぶ、その場所は・・・・少女の間近だった―――!!

 

「マズいっ―――!!」

 

だが時既に遅し―――少女の後ろの、テレビから、かつて現れた、ベノスティンガーの亜種、であるサソリ型のクリーチャー(シザ―スティンガー)のハサミが少女の目の前に現れ、突き刺そうとする――――少女は、突然の事に、体を小さくするが、それもお構いなしに、襲い掛かる―――

 

「キャ―――!」

 

だがその時、ライオンの様な足がシザ―スティンガーを引きずり込む様に、引っ張る―――プロミネンスレオだった。

 

プロミネンスレオが引っ張ってる間、少女を抱きかかえ、守ろうとする。そしてプロミネンスレオの姿を見て、呟く。

 

「お前・・・・」

 

単純に、14日が近づている、プロミネンスレオは腹を空かし、ハルトを襲おうとした矢先、目の前に現れた、シザ―スティンガーを攻撃しただけに過ぎない。だがハルトにはこう感じた。

 

「人を守れ・・・って言いたいのか?」

 

勘違いではあるが、プロミネンスレオに気付かされた。人を守る為に戦う事は忘れるなと・・・・

 

「君、早くここから離れて!」

 

「うっ・・・うん」

 

少女は、ハルトに言われた通り、この場から離れ、走る。そしてハルトは、アルカナ・デバイスを取り出し、シザ―スティンガーの現れたテレビに翳す。

 

「戦いを止める事も重要だ・・・でも・・・・セット・・・オン―――!!」

 

デバイスを、右二の腕に取り付け、ソルリベリオンを纏う。そのまま、テレビの中に入り込み、サイバーゲートでゲートブースターを取り付け「GO」のサインと共に、発射され、サイバープログラムへ突入する。

 

サイバープログラムに着くと、目の前にはシザ―スティンガーが待ち構えていた。その姿は、ベノスティンガーと同じ姿だが、体が金色に染まっており、ハサミには、毒々しい紫色をしている。

 

「戦いは止める・・・そして人を守る―――!!」

 

ソルリベリオンは左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「フレイムイン」の電子音声と共に、全身が炎に包まれる。

 

ゴゴゴゴゴ・・・・・・・・

 

「ウオオオォォォォォォ―――!!」

 

炎の纏ったソルリベリオンは、そのままシザ―スティンガーに突進する―――巨体な体故に、押される事はないが、纏った炎が、シザ―スティンガーに燃え移り、苦しみ出す。

 

後ろに下がり、左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオが召喚され、共に飛び上がり、口から出された火球を足にに纏い空からプロミネンスブレイカー(キックver.)を発動する。

 

ゴゴゴ―――スドォォォォォォ―――ン!!

 

その蹴りは、シザ―スティンガーに直撃し、爆散する。プロミネンスレオは、久々のエサに、喜ぶ様に、その残骸を捕食する。

 

「そうだ・・・俺は人を守るために、リベリオンになった・・・今もそれは変わらない!!」

 

そう再び胸に決意し、拳を握り締めるハルト・・・・戦いも止める、そして守り続ける―――この先なのが起きようとも・・・・

 

 

 

 

◇◆◇

 

その頃、凜はマンガ喫茶のパソコンで、リベリオン、そしてサイバープログラムの手がかりを探していた、そして、ある情報を掴んだ。

 

「コレは・・・・そういう事だったか・・・・」

 

凜が掴んだ情報・・・・一体何なのか・・・・?

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り20人

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&クリーチャー】

ラヴァーズリベリオン

【全長】190㎝

【体重】88キロ

【総合ランク】C+

【使用メモリー】
   ↓
【ショットイン】
ラビリンスボウ ランクC
ドラゴキューピットを弓の形にした武器。
チャージモードと、連射モード、近接武器として扱える。

深井愛人及び、永遠野双葉が使用するリベリオン。タロットカードの「LOVERS」を意味する。愛人が使用する場合メインカラーはシアン、双葉が使用する場合メインカラーはマゼンタ。
脚にパワージャッキが展開され、身軽な細い体型に螺旋状に渦巻く肩のアーマー、右目は青、左目はピンクの両目ツインアイを持ち膝にはハートマークが刻まれている
デバイスが2つ存在し、2人の使用者として戦う。変身できるのは1人のみで、片方が使用すると、もう片方には変身機能が失われる。
ランクは、デッドリベリオンより上だが、単純なパワー戦では劣っている。そのため、2人で交互に使用し、制限時間やシステムメモリーの使用制限の制約を無視して戦い、相手を惑わせる戦闘スタイルを持つ。

【契約クリーチャー】ドラゴキューピット

【全長】6m

【体重】250キロ

タツノオトシゴを龍にした様なクリーチャー。ランクB-
天使の様な羽根持ち、鋭く長い口が特徴的。エネルギー弾を放つ。


【今回登場したシステムメモリー】

ソルリベリオン

【フレイムイン】
フレイムウェア ランク無し
炎を纏い、相手に突撃、または武器に炎攻撃を付与する。



【クリーチャー】

シザーススティンガー
ベノスティンガーの亜種の、金色のサソリ型クリーチャー。ランクA+
毒々しいハサミには、猛毒が仕込まれており、挟まれたら最後、体全身に毒が回り、死に至る。





久々の投稿、いかがだったでしょうか?
新たに登場したラヴァーズリベリオンはとんたリア充です。非リアな主には難しい難題です(笑)どこまで書けるか。
戦いの中で最初の目的を忘れていたハルト、勘違いとはいえ、プロミネンスレオに気付かされる。契約クリーチャーにも感情が芽生えた・・・・かもしれません。
そして凜の掴んだ情報が今後の展開を大きく左右する・・・・そんな次回はお祭り回?です!ご期待ください!

感想、指摘待ってます。


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第14話「真理の探究者」

今回は謎が少しだけ明らかになる回です。そして伊織の前にアイツが・・・・・


前回までのあらすじ

新たなリベリオン、ラヴァーズリベリオンと出くわすハルトと凜。その中で、ハルトは、ラヴァーズリベリオンを無意識に、倒そうとしていた。
戦いの中で、我を忘れかけた所、クリーチャーに襲われかけた少女を助けるプロミネンスレオに気付かされる。そしてハルトは改めて「人を守るために戦う」事を決意する。
その頃凜は、ある情報を入手した・・・・・


「こういう事だったか・・・・」

 

凜が見ていたパソコンの画面には「姫宮グループ」に関してのサイトであった。姫宮グループは、エネルギー開発会社であったが、2年前に、倒産している。このサイトはその当時の復元、所謂、魚拓といった所だ。かつてハルトの前に「太陽」のリベリオンの使用者であった、姫宮灯の父が経営していた。しかし彼女は、ハングドに倒され、消滅している。そして父親も・・・・・

 

サイトには「電脳世界への発展」「それに伴う専用スーツ」の情報が書かれていた。電脳世界=サイバープログラム、スーツ=リベリオンと解釈すれば、合致する。戦いの発端は、姫宮グループにあるのか、サイトをよく見ながら、真剣に考える凜。

 

「こうしてはいられない、早くハルト達に―――」

 

凜が椅子から立ち上がり、ハルト達に、この事を知らせに向かう、その時―――急に辺りが暗転しだした。すると、突然後ろから、サーカスで使うバランスボールで玉乗りをしているモニタが現れる。

 

「チミチミ~いきなりネタバレはダメだよ~それじゃつまらないじゃないか」

 

モニタは凜に、ネタバレ、得た情報を伝える事を止めようとする、しかし凜は聞く耳を持たない。そんな彼に、あるカードを1枚渡す。

 

「まぁ、これで勘弁してよ~君の為にもさ」

 

モニタの言葉には、どこか重みがあった。凜はつい、そのカードを受け取ってしまう。カードには雷と風、すなわち嵐を思わせるデザインが描かれており「STORM」()「UNISON」(ユニゾン)の文字が、刻まれていた。それを受け取った凜は、体が震えだす。何か恐怖を植え付けられた様に・・・・

 

「まっ、そんな訳だからよろしく頼むね~」

 

モニタの右目は、血がにじむ様に、赤く光っていた。身体が震えながらも、凜はハルト達の元へ向かおうとする。

 

「ただの脅しだ、それよりも、早く伝えなければ・・・」

 

凜が操作していたパソコンには、岩石巨人を思わせるクリーチャー(ギガ・オーガ)が写る、これは一体何を意味するのか・・・・

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

それから1週間後、6月24日、14時20分

ハルトは欠伸をしながら、廊下を歩いている。周りは何かの準備で忙しい様子、教室内を屋台などの、出し物の準備だ。

 

「あり?何かあったかな~」

 

頭を搔きながら何が何なのか悩んでいると、後ろから彩が声を掛ける。

 

「知らないの?来週、他校との交流を兼ねた双園祭があるから、その準備だよ」

 

それは、テクノアカデミー高と、春ヶ岬学園との交流を兼ねた、合同双園祭の準備であった。どうやら、ハルトは知らなかった様だ。

 

「あぁ~そういやそんなのもあった・・・かな?」

 

「全く、しょうがないなぁ、ハルトは、ほら、アタシ達も準備があるんだから、教室戻るよ」

 

そう言い、彩はハルトの手を取り、自分の教室へと戻る。戻るとすぐ様、出し物の準備に掛かる。ハルト達のクラスは、どうやら喫茶店の様だ。アンティークな内装で飾っており、雰囲気を出している。

 

「随分凝ってるな~こりゃ、頑張らないとな~」

 

「だね~来週までには何とかなりそうだね」

 

準備の最中、ハルトと彩は、人一倍張り切っていた。一方、伊織の方はと言うと・・・・・

 

「お~い三日月、そこ頼むわ~」

 

「あぁ・・・分かった」

 

こちらも準備に取り掛かっていた、伊織のクラスの出し物は、お化け屋敷の様だ。ダンボールを迷路の様に設置し、黒く塗り、雰囲気を出している。伊織はクラスメイトに頼まれ、ダンボールを黒いペンキで塗っていた。

 

(っく・・・・面倒くせぇ・・・)

 

内心伊織は、嫌々であった。そんな中、1人のクラスメイトの女子が隣に座る―――カレンだった。

カレンは、伊織に声を掛ける。

 

「三日月伊織さんだよね、私、青葉カレン、よろしくね」

 

カレンは伊織に、自己紹介をする。しかし彼は話を聞いていない様で、黙々とペンキを塗っている。

 

「ちょっと聞きたい事あるんだけど、いいかな~?」

 

鬱陶しく感じたのか、伊織は溜息をつく。

 

「最近噂されてる、連続失踪事件の事なんだけど、何か知らないかな?」

 

連続失踪事件について何か知ってるか聞かれた。伊織は鋭く彼女を睨み、言い返す。

 

「何で俺なんだ、悪いが知らないね」

 

「そっか、やっぱそうだよね、ゴメンね、手止めちゃって。それじゃ」

 

カレンはそのまま、伊織の元を離れる。伊織は何故か、浮かない顔をしていた。少しキツく言い過ぎたのではないかと。ハルト様なのなら、まだ問題はないが、相手は女性、他人はどうでもよいと思う程、彼の根は腐ってはいない様だ。

 

「っく・・・・妙な事に首突っ込んでるな、面倒事にならなきゃいいが」

 

伊織がリベリオンバトルで1番避けたい事それは、他人を巻き込む事、妹の命が掛かってるとは言え、関係ない人を巻き込む事には、罪悪感を抱いてる様だ。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

そして放課後、家に帰って来た伊織は、すぐ様、ベッドの上に寝転がる。その様子を見た葵が、声を掛ける。

 

「珍しいね、義兄さんが、そんなに疲れるなんて」

 

「あぁ・・・まぁな、ん・・・アレは?」

 

伊織のテーブルの方を見て、見慣れない熊の置物が何なのか、葵に聞く。

 

「あぁ~ついさっきまで、おばさんが帰ってきてね、その時のお土産だって、すぐに行っちゃったけど」

 

熊の置物は、伊織の叔母である、三日月日和(みかつきひより)が持ってきたお土産であった。彼女は世界をまたにかける仕事をしているらしく、中々帰って来れない。帰って来れたとしても、すぐ様仕事に戻る程、忙しいらしい。

 

「そうか・・・」

 

納得した伊織は、そのまま眠りに付こうとした時、ある事を思い出す。双園祭で合同に行うもう1つの学校、春ヶ岬学園の事を。

 

「嫌でも、面倒な事になりそうだな・・・」

 

春ヶ岬学園には、チャリオットリベリオン事、国枝半蔵がいる事を思い出した。伊織は何か、嫌な予感を感じていた。それがあんな事になるとは・・・・まだ自分自身もしらない・・・・・

 

 

 

 

◇◆◇

 

そして、一週間が過ぎ、7月1日。朝8時丁度。全ての準備が終わり、後は双園祭が始まるのを待つだけ。伊織は、自販機でブラックコーヒーを購入し、眠気覚ましに、それを飲む。そこに、1人の男性が声を掛けて来た。鼠色の整えた短髪に、銀淵眼鏡が目立つ、身長180㎝程の男性だ。そして伊織とは異なる、灰色の学生服である事から、春ヶ岬学園の生徒と思われる。

 

「すみません、生徒会室は何処でしょうか?」

 

男性は、生徒会室が何処かを尋ねた。面倒だが、仕方なく、伊織はその男性を生徒会室まで案内する。

 

「この角曲がった先、ここが生徒会室だ」

 

生徒会室まで案内した伊織は、そのまま、生徒会室のドアを開ける。

 

「ん?三日月君か、何か用かな?」

 

「俺じゃなく、この人が」

 

生徒会室には、界斗が入念に、今日のスケジュールを確認していた。後ろに下がった伊織に変わる様に、男性は生徒会室に入り、自己紹介をする。

 

「失礼します、始めまして、私、春ヶ岬学園の生徒会副会長逆倉真弥(さかくらしんや)と申します。」

 

男性の名は、逆倉真弥。春ヶ岬学園生徒会の副会長を務めている。挨拶がてら、界斗に挨拶しに来たのであろう。

 

「こちらこそ、会長の神ヶ崎です。今日は一日よろしく」

 

界斗も、真弥に自己紹介をする。その様子を見た伊織は、その場を離れ、外にあったベンチに座る。

 

「ハァ・・・」

 

ため息をついていると、呑気に蹴伸びしている、ハルトの姿を発見する。

 

「よぉ」

 

「ハァ・・・気楽な奴だ・・・」

 

ハルトの能天気っぷりに、伊織は呆れていた。

 

「こんな、お祭り日和なんだ!そんな時ぐらい他のしまないとな!」

 

一週間ちょっと前まで、悩んでた様な奴とは思えないくらいのテンションだな。やはりコイツは本物のバカだ。まぁ・・・それがコイツらしいんだがな。

 

「多分葵ちゃんも来るだろうぜ、そういや凜にも連絡・・・あっ、アイツ、携帯持ってないか・・・」

 

そうか・・・葵も来るとか言ってたな、まぁ、凜の事だ、やる事くらい、気付いてるかもな。

 

ピンポンパンポーン

 

校内から、放送が流れ始めた。

 

「これより、開会式を行います。各生徒は、体育館に集合してください」

 

もうそんな時間か、まぁ、仕方ない、そう思いながら、仕方なくあのバカと一緒に体育館へ向かう事になった。

 

「これより、テクノアカデミー高、春ヶ岬学園合同の、双園祭を開催いたします。1日限りですが、深い交流が行えればよいと思っております」

 

9時丁度、会長の界斗の言葉と共に、双園祭は始まった。会場はテクノアカデミー高であるが、2校で行うため、規模はデカい、屋台、出し物、展示、様々な物が展開されている。

 

「ふぇ~忙しいもんだぜ、以外に多いなぁ」

 

ハルトは、料理担当で、裏方で、注文された料理を作っている。オムライス、パスタ類、洋風な物を中心のメニューとされている。

 

「すいません、このオムライスと、コーヒー2つ」

 

「ハイハ~イ、ハルト君、オムライス2つに、コーヒー2杯、お願いね~」

 

白と黒のウェイトレス姿の彩が、客の注文を聞き受け、それをハルトにオーダーする。料理担当はハルトを含め4人、まさに猫の手も借りたいくらいだ。ハルトも大忙しだ。

 

「ヒィ~こりゃ、手が足りねぇぜ~」

 

しかし、ハルトの作る料理は、逸品だ。本番前に試作で作ったオムライスは評判が良かった。教師からも「ハルトは料理は美味いな」と言われる程、しかし何処か何とも言えない。

 

客からも「これは美味い」「お店のより美味しいかも!」と声が聞こえる。その言葉を聞いたハルトは、一倍やる気が出ている。

 

一方の伊織はと言うと、お化け屋敷の首だけの落ち武者の役をしている、落ち武者の長髪のカツラを被り、自作であろう、刺さった弓矢が味を出している。だがあまりに無表情の為、3人に1人は鼻で笑う。彼にとっても恥ずかしいものだ。

 

(っく・・・何で俺がんな事・・・)

 

内心面倒だと思っている。そんな彼の後ろからカレンが肩を叩く。

 

「ちょっと、ちょっと、そんなんじゃ誰も怖がらないよ~もっと驚かせないと」

 

彼女の言葉を聞き、顔に少し不満を募らせたような表情になった。それを見たカップルはその恐ろしさに怖がり、走り出す。

 

「ギャーーーー!!」「落ち武者ってか、般若の面よーーーー!!」

 

その驚きの様子に、伊織は少し戸惑っていた。

 

「そんなにか・・・・?」

 

伊織の登板も終わり、当てもなく、校内を歩いていると、葵の姿が見えた。

 

「あっ、義兄さーん」

 

「おぉ、葵か、よく来れたな」

 

「うん、何とかね、さっきハルトさんの所行ってきたよ~あっちもそろそろ終わるから、合流出来るって」

 

「そうか」

 

心の中では(あのバカと一緒に行かなアカンのか・・・)と不満が垂れかけている。

 

「でも、義兄さんのお化け、見たかったなーちょっと残念」

 

「あぁ・・・・辞めといた方が・・・いいぞ」

 

客が走り出す程の怖さを、葵には見せられない、そう感じた伊織、少し苦笑いをしている。

 

「えぇ~お化けなんて怖くないのに」

 

葵は「ブゥ~」と頬を膨らませる。そんな中、ハルトと彩が後ろからやって来た。

 

「うぃ~す、お待たせっ!」

 

「別に待ってねぇよ」

 

合流したハルトに、愚痴を零す。その一言に「グサっ」と何かが刺さる様な表情のハルト。仲の良くない2人を見て、少し寂しそうな顔をする葵。2人には仲良くなってほしい、その思いが胸に募る。

 

「あっ、そういや、凜見なかった?アイツ携帯持ってないから、連絡取れなくて・・・」

 

「それなんですけど、実は今日、会ってないんですよ」

 

葵ちゃんも凜にあってないのか・・・来ると思ったんだけどな~まっ何か買ってやっかな。

 

それから俺達は、色々回った。屋台、電池博物館、作文、ミニライブ、演劇、3時間で半周近く周れたかな?

 

「ふぅ~結構回ったな」

 

「だね~楽しいね、ねっ葵ちゃん」

 

「はい、とっても楽しかったです、だよね?義兄さん」

 

「あっ・・・あぁ、()()()()にな」

 

伊織も少しは楽しめた様だ。その言葉を聞いて、葵は満足そうな笑みを浮かべた。

 

「ちょい、行ってくるわ」

 

突然、伊織は、右側の廊下の方に歩き出した。下駄箱近くにあった自販機で、ミルクティーを買う。伊織はミルク系はあまり飲まないのだが・・・・そして伊織の向かった先は―――

 

「ふぅ~これで休憩っと」

 

伊織のクラスの教室のお化け屋敷であった。そこには当番を終えたカレンの姿があった。伊織は、そんな彼女の元へ向かった。

 

「あっ、三日月君、どうしたの?休憩なのに」

 

「・・・・この間は悪かったな」

 

伊織はカレンにミルクティーを差し出した。先週キツく言ってしまった事を気にしていたのだろう。ミルクティーを受け取り、少し顔がニヤける。

 

「フフっ・・・意外といい人なんだね」

 

何時もは何考えてるか分からない伊織が、意外に優しいだと思い、笑みを浮かべる。

 

伊織も心がされた様な顔をしている。そんな2人に、1人の少女が声を掛ける。身長167㎝程で、長い金髪で、翡翠色の瞳をした、帰国子女の様な美少女だった。

 

「ちょっといいかな?このジャンボパフェのある所に行きたいんだけど、何処か知りませんか?」

 

「あぁ~そこなら、ここの階段上がって、4階の教室の2番目ですよ」

 

カレンが少女に、ジャンボパフェのある店の場所を説明する。それを聞いた少女は、すぐ様、階段の方へ向かう。

 

「そこだったか、ありがとう」

 

その時、伊織と目が合う様な気がした・・・・伊織もまた彼女に見惚れた様に見ていた・・・

 

・・・・何だったんだ?まさか・・・な。一瞬リベリオン使用者なのか、と思ったが流石に考えすぎか・・・

 

少女に見惚れた伊織を、カレンが肘撃ちでからかう。

 

「もしかして見惚れてた?意外とあういう子が好みなのかな?」

 

「・・・んなワケないだろ、様は済んだ、じゃぁな」

 

そう言い、伊織はその場を去る。彼の意外な一面を見たカレンは、少々面白がる様に浮かれていた。

 

 

◇◆◇

 

一方ハルトはと言うと・・・・・

 

「イテテ・・・・なぜこんな事に・・・」

 

トイレにいた、そして隣のトイレには・・・

 

「ヤレヤレ・・・・恐るべしだね」

 

国枝半蔵が隣のトイレにいた。お互い腹を抱えている状態であった。何故この2人がトイレにいるのと言うと・・・・話は少し前に遡る。

伊織がカレンの元へ向かった後、ハルト達は半蔵と遭遇した。

 

「やぁ、またあったね、ハルト君」

 

「半蔵さん!来てたんですね」

 

2人の親しさに、彩と葵は不思議に思っていた。

 

「ん?あの2人、随分親しいね」

 

「国枝先生と親しい仲・・・ハルトさんいつの間に・・・」

 

半蔵は、2人にハルトと親しくなった理由を放す。

 

「彼を見た時、面白いと感じてね、是非作品の参考になれるかなと思って、おかげで次は新しいジャンルが書けそうだよ」

 

「いやぁ~そんな褒められるような~」

 

ハルトは相変わらず照れた表情をしていた。

 

「あっ、そうだ!もしよろしければコレ・・・」

 

葵は、鞄に入れていたある物を半蔵に渡した。その中身は・・・・

 

「おや?コレは美味しそうだね、ありがとう」

 

クッキーの詰め合わせであった。可愛らしい熊やウサギの形、手作りであるだろう。その事に気付いたハルトは少々苦笑いをした。そんな彼にも・・・・・

 

「実は・・・もう1つ作ってあって、本当は義兄さんに渡すつもりだったんですが・・・ハルトさんに上げます」

 

「おっ・・・俺にも!?あっ・・・ありがとう」

 

葵の料理は少々何処かずれている。その事に不安を感じているのか、ハルトの顔は引きつってる。

 

「じゃぁ、僕はこれで、またね」

 

半蔵はその場を後にした。別れるのが寂しいのか、葵は少しションボリとした顔をしていた。

 

「俺も・・・ちょっと外の方見てくるわ」

 

そう言い、ハルトも下の階段の方へ走り出す。そして人目につかない隅っこで葵の手作りクッキーを見つめる。

 

「大丈夫・・・だよな・・・せっかくだし―――」

 

クッキーを1枚取り出し、思い切ってそれを口にする―――その瞬間、ハルトの腹から嫌な音が鳴り始めた。腹を抱え、急いでハルトはトイレの方向に駆けこむ。

 

その頃葵と彩は・・・・・

 

「あっ、もう1袋ありました」

 

「お~どれどれ」

 

葵はもう1つクッキーの袋がある事を思い出し、彩に渡し、それを「パクり」と食べる。

 

「う~ん美味しいね、いい奥さんになれるかもね」

 

「そんな////私が奥さんだなんて・・・・」

 

クッキーを高評価され、葵の頬が赤く染まる。彩は所々味オンチなのか、葵のクッキーを食べても何ともなかった。しかしハルトは・・・・・

 

「予感はしてたけど・・・・まさかここまでとは・・・」

 

ハルトは、トイレの中で蹲っていた。当面出れそうな様子じゃない。隣からも、同じような声が聞こえてきた。

 

「うぅ・・・・これは・・・予想外だよ」

 

「その声・・・・半蔵先生!?やっぱり・・・」

 

国枝半蔵だった。彼もまた、葵のクッキーを食べ、腹を下していた。

 

 

「イテテ・・・・なぜこんな事に・・・」

 

「ヤレヤレ・・・・恐るべしだね」

 

葵のクッキーは2人にとって、腹を下す程であった。一体中身は何をいれていたのか・・・・・

そこへ、伊織が手を洗いにやって来た。2人の唸り声を聞き、ため息をつく。

 

「何やってんだ・・・あのバカ・・・それにチャリオットも・・・・」

 

ハルトはチャリオットと言う言葉に反応し、伊織に声を掛ける。

 

「おいちょっとまて!チャリオット・・・・・半蔵先生がか!?」

 

「気付かなかったのか?まぁ、お前みたいなバカじゃ気付かないよな・・・ソイツはチャリオットだ」

 

呆れれ口調で、半蔵の正体をアッサリと教える伊織、チャリオットリベリオンの正体に驚きを隠せないハルト、それを聞いた半蔵に声を掛ける。

 

「どういう事だよ!?アンタ・・・何であんな戦いに!!」

 

「まぁ・・・色々あるんだよね、これだけは言っとくよ、僕は別に君を倒す為に近づいた訳じゃないよ・・・最初は半分その気だったけどね」

 

半蔵は当初、ハルトの正体に気付き、倒そうと近づいてた。だが彼に会う度に、その気が失せてきた。前回ラヴァーズから助けたのも、同様かもしれない。

余談だが、ハルトと半蔵は、2週間に1度会っていたらしい。

 

「黙ってたのは謝るよ・・・・」

 

「・・・でも、そういや・・・・」

 

ハルトは以前半蔵と話した事を思い出した「ある人の行方を知りたい」それが彼の戦う理由だと、ハルトは察した。

 

「・・・・そうだったな・・・」

 

顔を下に向けるハルト。しかしここはトイレの中、暗い雰囲気もここではあまりにもシュールである。気を取り直したか、ハルトは再び伊織に声を掛ける。

 

「そうだ!頼みがあるんだ!!」

 

「何だよ」

 

その頼みとは・・・・・・

 

「ワリィ、トイレットペーパー持ってきてくれねぇ?」

 

ハルトのトイレのトイレットペーパーが、不幸な事に切れていた。呆れる様に溜息をし、ハルトの方に、トイレットペーパーを投げ込む。

 

「サンキュー」

 

「あっ・・・ハルト君・・・僕にも・・・」

 

トイレを終えたハルトに、半蔵もトイレットペーパーを要求していた。しかしハルトは半蔵の方に舌を出しながらこう言う。

 

「今までやられた分だ、これでお相子にしようぜ、先生♪」

 

これまで戦った時に襲撃された分の仕返しに、ハルトは半蔵にトイレットペーパーを渡さず、そのままトイレを去った・・・・・その状況に半蔵は大きく笑う。

 

「ハハハハハ―――やっぱり・・・君は面白いよ、嫌いじゃないよそう言うの」

 

悔しい様子はなく、むしろ彼を評価している。ハルトの方はと言うと、少しスッキリした表情をしていた、両方の意味で。

 

一方の伊織は、一仕事終え、屋上で寝転がりながら、空を見ていた。そして幼い日の事を思い出していた。

 

「お兄ちゃーん、こっちこっち~」

 

「そんなに、走ると危ないぞー」

 

幼い頃はまだ無邪気に走り、何も考えなくてよかった。あの日までは・・・・

 

「由那!どうした、しっかりしろ!?」

 

「由奈ちゃん!しっかり―――!!」

 

「お兄ちゃん・・・義姉ちゃん・・・熱い・・・何も見えないよ・・・・」

 

それは突然の出来事だった。妹の由那の病気は突然だった。あまりにも悲痛な苦しみ、胸を抑え、視界がぼやけ、そして何も見えなくなり、足も動かなくなった。由那の病名は未だに不明のまま、当然治療法もない。だからこそ、リベリオン同士の戦いに勝利しなければならない。未だに倒せないことに、悔しさを拳にぶつける伊織・・・・

 

「こんな事、してる場合じゃねぇ・・・俺は・・・」

 

後ろからドアの開く音が聴こえた。またハルトなのかと呆れて後ろを振り向くが・・・・・

 

「おや、先客がいましたか」

 

現れたのは、さっきあった副会長の逆倉真弥であった。彼だった事に驚く伊織。そして真弥は伊織の隣に立つ。

 

「何か悩んでるようですね、まるで「満月の掛けた三日月」の様だ」

 

その言葉に、伊織は反応し、真弥の顔の方を向き、目を鋭くする。

 

「その言葉、何処かで聞いた事あるんだよな、聞き間違いかな?」

 

「フフフ・・・その反応、やはり貴方でしたか、こうして会うのは初めてですね、三日月伊織クン」

 

その言葉は、かつてハングドリベリオンが伊織に放った言葉、つまり・・・ハングドリベリオンの正体は逆倉真弥と言う事になる。

 

「お前・・・最初から知ってて俺に近づいたのか?」

 

真弥は最初から伊織がルナリベリオンである事に気付き、あえて声を掛けたのか?その真意は?

 

「えぇ、ただ、勘付いていた、とだけ言っときましょう。あの言葉を言えば貴方が反応すると思いまして」

 

随分と挑発的な態度だな・・・・コイツ、だがいい機会だ、コイツには散々と借りがあるしな・・・返すのには丁度いい機会かもな「物理的に」な!!

 

「どうやら、因縁に決着を付けるには持って来いかもな」

 

伊織は裾に隠していた、アルカナ・デバイスを突きつける。それに対抗し真弥も、アルカナ・デバイスを制服の中から取り出す。彼のデバイスは茶色がベースで、クリーチャーシンボルにはバンデットシーミアが刻まれている。

 

「いいでしょう、そろそろ貴方の顔も見飽きた、ここでケリを付けましょう」

 

そう言い2人は屋上の監視カメラに同時にデバイスを翳す「セットオン―――」の発言と共にデバイスを右二の腕に取り付け、伊織はルナリベリオンを、真弥はハングドリベリオンを装着する。そのまま監視カメラの中に入り、サイバープログラムへ向かう。

 

「ん・・・・この感覚・・・また戦いが始まったかぁ・・・」

 

校庭には、串焼きを食べながらリベリオン同士の戦いを察知した我怨の姿があった。

 

 

◇◆◇

サイバープログラムへ辿り着き、ルナリベリオンは真月を、ハングドリベリオンはハングドナイフを手に取り、互いに向かって突撃する―――

 

カキン―――!!

 

互いの武器がぶつかり合い、激しく火花が飛び散る。ルナリベリオンが力押しでハングドリベリオンを押そうとするが、突然足に何かが絡み、一回転して地面に叩きつけられる。その後ろのには、ハングドリベリオンの契約クリーチャー、バンデットシーミアが手を伸ばし、ルナリベリオンの足を引っ掻けていた。

 

「ここが違うんですよ、戦いは力任せじゃどうにもならない」

 

ハングドリベリオンは自分の頭を指で突き、挑発的な態度を取る。その態度に怒りを感じたか、ルナリベリオンは上空に飛びがり、急落下の勢いに任せ、真月を振りかざす。

 

フゥ―――ズドォォォォォ―――ン!!

 

それを軽く避け、回避される、降ろされた真月は地面を叩き付け、その衝撃で地面が割れる。

 

「ほほぉ・・・侮ってはいけませんね、少しは楽しませてくれますね」

 

余裕に信号機の上に乗るハングドリベリオン。その姿を見て、ニヤリと笑うルナリベリオン、何か策があるのか?そして2人が入った監視カメラのある屋上では、我怨が串を噛みながら、様子を見ていた。

 

「やってるねぇ、ゾクゾクさせるねぇ・・・」

 

そして彼の手には九尾の狐のクリーチャー・・・アポロナインフォックスの描かれたカードを手にしていた。そのカードはかつてサンリベリオンが使用していた「SUN」の文字が書かれておらず、フールリベリオンの「FOOL」の文字が書かれていた。

 

 

◇◆◇

 

そして同じ頃、凜は・・・・・

 

「ハァ・・・ハァ・・・こうなるとは・・・思っていたが・・・」

 

ギガ・オーガに苦戦する、スターリベリオンの姿があった。真実を知った凜、これはモニタが口封じの為に彼を消そうとしているのか・・・・

それぞれ、違う所での戦いが始まっていた・・・・

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り20人

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したクリーチャー】


バンデッドシーミア

全長200㎝

ハングドリベリオンが契約する、手長サル型のクリーチャー。ランクB-
腕が自在に伸縮し、ハングドリベリオンとの連携で、相手を有利な場所へ誘い込む。
身軽な動きで相手を翻弄する。


ギガ・オーガ

全長400㎝

岩石巨人を思わせるクリーチャー。ランクS+
巨大な両腕が特徴的で、どんな相手もこの拳を防ぐのは困難である。


遂にハングドの正体が明かされました。知的でどこか腹黒い奴です。
そして様々な場所で戦いが繰り広げられる・・・・その一方で主人公であるハルトはどう動くのか・・・

そしてアポロナインフォックスのカードを手にしていた我怨・・・・次回第1部ラストの後が明らかに―――!!

次回もご期待ください!

感想待ってます。


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第15話「吊るされた男の末路」

更新遅れて申し訳ございません。

最近、頭がオーバーヒートしており、集中できない日が続いておりました。
今後は、少しでもペースを上げていきたいと思います。

今回も新たなリベリオンが登場します!また厄介な奴になるでしょう・・・・・・・
ちょっとした登場ですが、少しづつヒントが・・・・・
そして凜がピンチ・・・・・どうなるか?

PS.あとがきは後日更新いたします。


ハングドリベリオンと対決する、ルナリベリオン、状況はやや押されている、体制を立て直すため、建物から降り、広場の方へ移動する。

 

「逃げてばかりじゃ、勝てませんよ」

 

ハングドリベリオンは、右腕を伸ばし、電線を掴み、その上に立ち、綱渡りの様に走り、ルナリベリオンを追いかける。

 

「クッ・・・・そっちがその気なら!」

 

ルナリベリオンは、ブルームーンファルコンを呼び出し、自身の背中に合体させ、ハングドリベリオンのいる、電線まで移動し、空中から、新月で、斬り付ける!

 

「そういう芸がありましたか、では、これはどうでしょう?」

 

そう言うと、ホルダーから、システムメモリーを取り出し、右腰に取り付けてある、デバイスに装填する「スィングイン」の電子音声と共に、空中から、茶色い鞭の様な武器(リバースウィップ)が召喚され、それを右手に取る。そして、ブルームーンファルコンの背中に向かって、巻き付け、地面に叩き落とす。

 

ズドォォォォォォオオオオォォォォォ―――――ン!

 

「ガァっ―――!」

 

地面に叩きつけられたルナリベリオンは、右腕を軸に、立ち上がるが、満身創痍な状態だ。余裕な態度を構え、眼鏡を「クイッ」と上げるような素振り見せるハングドリベリオン、だがしかし、その瞬間―――電線が千切れだす。

 

「何っ!?」

 

電線が完全に千切れ、空中に落下する、ハングドリベリオン、近くの建物に足をつけ、急落下を回避し、地上に降りる。ルナリベリオンがハングドリベリオンを斬り付ける前に、電線に切れ目を入れていた。

 

「これは、してやられました、アナタごときに落とされるとは」

 

「あいにく、ここでやられるわけには、いかねぇんだよ!」

 

新月を突きつけ、睨むルナリベリオン。その姿を見て、ハングドリベリオンは、笑い出す。

 

「ハハハ――――!人は何か目的があると、それに対して必死になる、それが人間の心理」

 

「じゃぁ、お前には何があるって言うんだ?」

 

ハングドリベリオンの目的を聞き出そうとする、返って来た答えは―――――

 

「大方、大半が、金、力、名声・・・・・単純なものばかりだ、だが私は違う、私がこの戦いに望むもの・・・・宇宙の真理ですよ。何故、この星は生まれ、神が人を作ったのか・・・・・この宇宙そのものを理解し、私は誰にも到達出来ない領域へ行く!」

 

宇宙の真理?そんなもん知ってどうなる?誰にも辿り着けない領域・・・・・俺にとっちゃ、意味のねぇもんだ。尚更負けるわけにはいかねぇ!

新月を握り締め、右足を踏みしめる。あのいけ好かない野郎を睨み、前進する。

 

「また、突撃ですか、芸がないですね!」

 

前進するルナリベリオンに、ハングドリベリオンは、ハングドナイフを投げる。直撃する直前に、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、新月に取り付けてあるデバイスに装填する「シャドーイン」の電子音声と共に、ナイフの目の前に、黒いルナリベリオンの分身が現れ、分身が新月で、ナイフを叩き落とす。

 

「分身だと!?小賢しい・・・・・・」

 

分身は3体、4体、最終的に7体となり、ハングドリベリオンに向かって突き進む。その分身を手当たりに消す様に、リバースウィップを振るい、分身に攻撃を行う。

 

フッ―――フッ―――フッ―――

 

「所詮分身!簡単に消えて――――」

 

分身を消すが、目の前に、本物のルナリベリオンの姿が見当たらない事に気づき、唖然とする。その瞬間―――後ろの方から、電流の音が聞こえ、その方向を振り向く―――

 

「これは予想していなかったか?」

 

後ろには、雷を纏った、新月を構えた、ルナリベリオンの姿があった。咄嗟に、リバースウィップを振るおうとしたが、気づいた時にはもう遅かった。雷を纏った新月は、ハングドリベリオンの胸部に直撃し、斬り傷を与え、10mの方向に、まっすぐに吹き飛ばす!立ち上がろうとするが、電撃が体に走り、立ち上がる事が出来ず、屈辱を受け、怒りを露にする。

 

「この・・・・凡人風情が!よくも私を・・・・・」

 

「あまり凡人を甘く見てると、足元をすくわれる、覚えておくんだな、と言っても、もぅ覚える必要はないがな」

 

そういうと、ゆっくりと、体に雷を纏いながら、ハングドリベリオンの方に向かう、ルナリベリオン。必死の抵抗か、ハングドナイフを無造作に投げるが、どれも狙いが外れるか、命中しても、雷によって、弾かれる。

 

「くっ・・・・私は・・・・宇宙を理解する!凡人には理解できない領域に・・・・・辿り着くんだ!」

 

「そうか、地獄の果てから、辿り着けるといいな」

 

その言葉を最後に、ルナリベリオンが新月を、ハングドリベリオンの頭部から目掛けて、振り下ろす―――――がしかし、その直前、1発の火球が、2人に直撃する!

 

「っ・・・・何だ!?」

 

火球が直撃する前に、ルナリベリオンは、後方へ下がり、ハングドリベリオンは、その衝撃で、また吹き飛ばされる。

 

「この火球・・・・・またですか」

 

2人が目の前を見ると、30m先に、アポロナインフォックスの姿が見える。そして、その背後から、ゆっくりと前進してくる影が――――

 

「どういう事ですか・・・・・」

 

「何なんだ・・・・・そんな馬鹿な事が・・・・」

 

2人が驚くのは無理もない、その姿は、その姿は肩の形は太陽を思わせ全体が黄色とオレンジがメインカラーの戦士、サンリベリオンそのものなのだから。サンリベリオン事態、今はハルトが扱う、ソルリベリオンとなっており、元々の使用者である、姫宮灯は、ハングドリベリオンに倒されている。今ここに立っている事自体、ありえないのだから。

 

「あれは私が倒した・・・・・それに、新しい使用者となっている・・・・・まさか、私への恨みを晴らしに、地獄から舞い降りたと!?」

 

あまりの、想定外の事態に、混乱しているのか、意味も分からない言葉を言い始める。そんなハングドリベリオンに向かって走る、サンリベリオン。

 

「しまっ―――」

 

反応が遅れ、頭を掴まれ、そのまま、地面に叩きつけられ、頭を踏まれる。それを見るルナリベリオンは、うかつに動かない方がいいと判断し、警戒しつつ、後ろに下がる。

 

「あのバカではないな・・・・あんな攻撃的な動きはしない、だとしたら本当に何なんだ・・・・」

 

あのサンリベリオンが、ハルトでないと確信し、逆に謎が深まる。ハングドリベリオンは、頭を踏まれながらも、立ち上がろうとし、一言、サンリベリオンに放つ。

 

「そこまでして・・・・私に恨みを晴らしたいですか?フフフ・・・・・何と愚かな・・・・」

 

その言葉に対し、サンリベリオンが、一言、言い返す。

 

「ハハハハハ――――オイオイ・・・・・何か、1つ、勘違いしていないか?」

 

「――――――!?」

 

サンリベリオンの声は、灯ではなかった。それどころか、女性ではなく、男性の声、ルナリベリオンはその声に聞き覚えがあった。そして、サンリベリオンの体から、ノイズが流れ始める。

 

「まさか、ここまでバレないとは・・・・面白いなぁ・・・・」

 

ノイズが晴れると、その姿は、サンリベリオンではなく、フールリベリオンとなっていた!その姿に、ハングドリベリオンは驚きを隠せずにいた。

 

「なん・・・・だと!?どういう事だ!」

 

「あぁ・・・・こういう事さぁ」

 

フールリベリオンが右手に持っていた、カードを、ハングドリベリオンに突きつける。そのカードは、アポロナインフォックスに「FOOL(フール)」の文字が、刻まれたいた。

 

「なっ・・・・・何故、そのカードを・・・・!?」

 

カードを目にした、ハングドリベリオンは、驚きを隠せずにいた。そして、その全貌を、フールリベリオンは説明しだす。

 

「なぁに、簡単な事さ、俺たちは、この契約カードを何枚貰っている?」

 

「・・・・まさか―――――!?」

 

「ふふふ・・・その通りさ」

 

フールリベリオンは、アポロナインフォックスと契約していたのだ。最初に3枚契約カードを手にしている。その内の1枚を、フールリベリオンはアポロナインフォックスに使用していたのだ。

 

「ありえない・・・契約クリーチャーが2体なんて・・・・そんな馬鹿な事が!」

 

契約クリーチャーを2体持つ事に、未だに信じられないハングドリベリオン。その同様する姿に、フールリベリオンが一言を放つ。

 

「別に、契約クリーチャーが1体なんてルールは1つもねぇ・・・・・そうだよなぁ・・・・モニタ」

 

ビルの大きなモニターに向かって、モニタの名を放つ。それに反応する様に、モニターの画面から、モニタが映し出される。

 

「その通り、契約するクリーチャーは1体じゃなくてもいいんだよ、ただ、その分、餌を与える手間が増えるけどね、フフフフ・・・・・」

 

その言葉を最後に、写っていた画面が「プツン―」と消える。契約クリーチャーが多ければ、その分、1体ずつに、餌を与えなければならない。そう言った意味では、リスクは高くなる。だが、フールリベリオンにそんな事は関係ない、ただひたすら戦い、暴れる。目の前の敵を叩き潰すのだから・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・」

 

その状況を見たルナリベリオンは、動くか動かないか、考えている。今なら、返り討ちにするチャンス。だが、フールリベリオンに勝てるか、フールリベリオンから放たれる、狂気のオーラを感じ、足元が震えている。

 

「それじゃぁ・・・・終わりにしようじゃないかぁ――――!」

 

フールリベリオンは、左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右手のダイルデンジャーの顎を開き、その中の、デバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、アポロナインフォックスの尻尾を思わせる武器(フォックスレーザー)を、左手に装備し、飛び上がる。それと同時に、アポロナインフォックスの9本の尾が、ハングドリベリオンの方向に円を作り始める。その円に狙いを定め、フォックスレーザーのエネルギーを貯めこむ。

 

ギュイィィィィィィィィィ――――ン

 

「クッ・・・・・」

 

その場から逃げようとする、ハングドリベリオン。だがしかし、戦いのダメージが大きく、立ち上がる事が出来ない。そして、フォックスレーザーのエネルギーが溜まり終え、尻尾で構成した、円に目掛けて、必殺技(ブレイズデストロイ)が発動される!放たれた一撃は、円に到達すると、威力を増し、紅蓮の熱光線へと、変化する。

 

「私は・・・・宇宙を理解するんだ!誰もが到達出来ない場所へ――――」

 

「そうかい、じゃぁ地獄の奥底へ案内してやるよ」

 

熱光線は、ハングドリベリオンに直撃し、徐々に、体を溶かしていく。装甲は蒸発し、周りの地面も、消滅していく。やがて、下半身が完全に消滅し、身動きの取れない中、自分の最後を悟る。言葉も発せない状態となり、絶望の中、ついに、体は完全に蒸発し、消えてなくなった。ハングドリベリオンは塵も残さず、消えたのであった・・・・・・・

 

「ハハハハハ――――コイツは面白れぇ・・・・・」

 

ハングドリベリオンを倒し、満足そうに笑う、フールリベリオン。その状況を見るルナリベリオン。

 

「あぁ・・・・そういやぁ、お前もいたなぁ・・・・」

 

ルナリベリオンがいる事に気づき、こちらを見始める。少し後ろに下がる、ルナリベリオン。しかし、その時―――ハングドリベリオンの敵を討とうと、バンデットシーミアがフールリベリオンに、襲いかかる!

 

「お前の能力、面白そうだなぁ、俺に寄越せ」

 

そう言い、左腰のホルダーから、1枚のカードを取り出す、何も描かれていない、契約カードだ。それを、バンデットシーミアに、近づける。

 

「まさか・・・・アイツ!」

 

気づいた時には、もう遅い、バンデットシーミアは、吸い込まれる様に、カードに、近づけられる。そして、完全にカードに吸い込まれる―――

 

「フゥ・・・・」

 

手にしていたカードには、バンデットシーミアが描かれ「FOOL」の文字が刻まれた。これで、フールリベリオンは、3枚のカードを使い切り、3体のクリーチャーと、契約している事になる。

 

「さぁて・・・・次は――――」

 

フールリベリオンが、ルナリベリオンに近づこうとした時―――200m先の方向から、爆発の音がし、煙が上がる。

 

「今だ――――」

 

その瞬間、ルナリベリオンは、ブルームーンファルコンの上に乗り、煙の方向へ向かう。

 

「今のままじゃ、アイツには勝てない・・・・悔しいが」

 

今の実力では、フールリベリオンに勝てないと判断し、逃げ出した。クリーチャーの数、圧倒的な力の前に、恐れを感じたのだろうか?

そして、その煙の方向では―――――

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・」

 

巨大な、ギガ・オーガに苦戦する、スターリベリオン。建物は、酷く破壊され、スターリベリオンを、潰す為なら、容赦のない様だ。

 

「こんな所で・・・・・俺は、やられるワケには―――」

 

休む間もなく、ギガ・オーガの拳が、スターリベリオンに、襲いかかる―――!

 

ガン―――ッ!

 

「コイツ・・・・・やはり、俺を始末しにきたか・・・・」

 

この強さ、モニタが仕込んだのか・・・・やはり、あの情報は正解だった様だな・・・・・・だったら、早い所、コイツを何とかしないと・・・・・

 

ギガ・オーガの手のひらから、光弾が生成され、それを、スターリベリオンに向かって、放つ。絶体絶命のその時――――1発の火球が、その光弾を、相殺する。

 

「コレは・・・・・まさか―――!」

 

破壊された建物の上には、ソルリベリオンが、レオバスターを構え、立っていた。

 

「凜!大丈夫か!」

 

大声で、凜の名を叫び、スターリベリオンの元へ、近づく。

 

「あっ・・・あぁ」

 

ソルリベリオンの駆けつけにより、危機は脱したに思えたが、それでも、ギガ・オーガの脅威は、変わらない。

 

「スゲェ、デカいな・・・・あんなの初めてだ」

 

その全長、約30M、ベノスティンガーなどの大型クリーチャーにも、引けを取らない。

 

「とにかく、コイツを倒せばいいんだろ!」

 

そう言い、ソルリベリオンは、レオバスターを、ギガ・オーガに突きつけ、火球を、発射する。火球は直撃するが、大きなダメージは、与えられてる様子はなく、ハエが止まった様な感じに思える。

 

「効いてねぇだと!どうすりゃ・・・・・」

 

近接戦闘を行うにも、拳の攻撃で、すぐに反撃されてしまう為、うかつに近づけない。仮に、チャリオットリベリオンの武器でなら、多少のダメージは効くのだが・・・・・今頃彼は、トイレで蹲っているだろう・・・・・

 

「とにかく、決めてとなる一撃が・・・・・」

 

そう考えている時―――突然、伸びる槍の様な物が、ギガ・オーガの背中を貫く―――!

 

「なんだ!?」

 

「何者だ―――!」

 

ギガ・オーガの後ろにある、破壊されたビルの上には、白と紫色がメインの、肩に、槍を模した、突起が目立ち、背面は、触手の様な物が、ロングコートの様になっており、手足には、ランタンを思わせる形のデザインをした、黄色に光る、アーマーが取り付けられ、頭部には、額に、1つの目が、赤く光るのが特徴な戦士が立っていた。

 

「アイツも・・・・リベリオンなのか?」

 

ギガ・オーガを貫いた武器は、肉塊を一部、入手し、それを、自分の方に戻す。すると、突然、姿を消した。

 

「何だったんだ・・・・・?」

 

攻撃が効いたのか、ギガ・オーガは、突然地面に、倒れる。

 

「今だ!このチャンスは逃せない!」

 

「あぁ!」

 

2人は一斉に、ホルダーから、システムメモリーを取り出し、それぞれのデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ソルリベリオンは飛び上がり、プロミネンスレオの吐いた火球を、足に纏い、空からプロミネンスブレイカー(キックver.)を、ギガ・オーガに炸裂させる!

 

その背後から、スターウェイブに乗った、スターリベリオンが突撃し、スターメテオを直撃させる!

 

そして、ギガ・オーガの後ろから、ブルームーンファルコンと合体した、ルナリベリオンが現れ、雷を纏った、牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり)を握り締め、ギガ・オーガを切り裂く!

 

「グォォォォォォォォォォ!」

 

ギガ・オーガは、悲鳴を上げ、爆散する――――!

 

「よしっ!ってお前・・・いい所だけ持ってくのかよ!」

 

ソルリベリオンがルナリベリオンに近づき、いい所を持ってった彼の背中を叩く。

 

「・・・・・・・・」

 

ドサ―――

 

何かが倒れる音に気づき、後ろを振り向くと、スターリベリオンが地面に、倒れこんでいた。

 

「凜―――!」

 

ソルリベリオンは、スターリベリオンを担ぎ、サイバープログラムを抜け出す。

 

 

 

 

◇◆◇

 

現実世界に戻ったハルトは、急いで凜を、保健室まで連れていく、彼をよく見ると、腕に傷跡が目立つ。相当の襲撃を受けたと思わる事が分かる。

 

「凜・・・・一体何が・・・・・」

 

「さぁな、ただ、何かを掴んだのかもな」

 

「何か?」

 

伊織の言う何かとは・・・・・・・・

 

「大方、この戦いの真実を知ったんだろう。それで、あのピエロに目をつけられたんだ」

 

予想は的中している。凜は、リベリオンの真実に辿り着き、モニタに口封じの交渉をした。だが断られ、この戦いを進めるために、凜を排除しようと目論んでいた。

 

「そこまでして俺達を戦わせる理由があるのか!」

 

「さぁな、だが、どうであれ、俺が戦う事に変わりはないがな」

 

相変わらず、伊織は、勝つ事を変えない。ハルトはその姿に、拳を握り締める。

その時――2人の辺りが暗転し、また何時もの様な、趣味の悪いピエロの椅子に座らされ、テーブルには、トランプをピラミッドの様に積み上げているモニタの姿があった。

 

「やぁやぁ、ご集まりで、またまた1人減りました~いやぁ~素晴らしいね、ゾクゾクさせる最後だったよ!」

 

今回の戦いで、ハングドリベリオン事、逆蔵真弥は敗北し、その存在は抹消された。その事にモニタは喜ぶ様に体を震えさせ、汗が止まらない。

 

「にしても、今のままじゃ、ペースが遅いんだよね~そこで!チミ達に朗報があります!」

 

モニタの言う朗報、それは・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「今度使用者を倒した方には、ナナナ何と!今後の戦いに有利となる、素敵なプレゼントを差し上げたいと思います!」

 

戦いをさらに加速させるため、モニタは、次の戦いで使用者を倒した者に、プレゼントを差し上げようと発言する。

 

「なっ・・・・・テメッ―――!」

 

その言葉に、ハルトはテーブルを強く叩く。その態度に、モニタは呆れて、ハルトの方を見る。

 

「だって、チミ達がのんびりしてるからでしょ~だ・か・ら、僕がさらに盛り上げようと思ってるの!」

 

ある者は怯え、ある者は唾を飲み、自分が早く倒そうと炎を滾らせる。モニタの言葉に、ハルトは動揺している。

 

「ではでは、チミ達が頑張ってくれる事に期待してるよ~それじゃ!」

 

そう言い、モニタは暗闇の中に消える。ハルトが立ち上がると、体育館で、目に前には、起こす様に、彩が目の前にいた。

 

「どうしたの?そんなに疲れた?」

 

「えっ・・・・まぁ・・・そんな所だな」

 

あまり、調子のいい言葉ではなかった。それもそのはず、ついさっき、モニタからとんでもない発言を聞いただけなのだから。

そして、彼の目の前に、再び衝撃的な光景が写る!

 

「本日は、まことにありがとうございました。また次の年もこの様に、続けられるとよいと思っています」

 

それは、双園祭の閉園式で、最後の言葉に現れたのが、副会長の逆蔵ではなく、会長の伊藤薫であった。その光景に、ハルトは唖然していた。

 

「アレ・・・・あそこに立つのって・・・副会長じゃ・・・・」

 

「何言ってるの?最初も会長の言葉だったじゃん」

 

彩の言葉に、また衝撃が走った。そして察した。その副会長がリベリオン使用者で、今回敗北した人物だと・・・・・

 

「また・・・・・存在が消えた・・・・」

 

そう言い、ハルトは体育館を出る。

 

「ハルト・・・・・」

 

落ち込んでいるハルトの様子を見て、心配する様な目で見つめる彩。

 

そしてハルトは、凜のいる、保健室へ戻って来た。

 

「ハルトか・・・・・」

 

既に凜は目を覚ましており、現れたハルトを見つめる。

 

「また・・・・1人減っちまったな・・・・」

 

「そうだな・・・救えなかったか・・・・・」

 

また犠牲者を出してしまった事に、下を俯く。そして、凜はハルトに声を掛ける。

 

「そういやお前、選ばれた使用者ではなかったな・・・・」

 

「あぁ、そうだな、それがどうかしたのか?」

 

「・・・・・俺も・・・・選ばれた使用者じゃない」

 

そう考えれば、凜は何故使用者になったのか?何故戦いを止めようとするのか・・・・

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り19人

 

ToBe Continued……




【今回使用されたシステムメモリー】


ハングドリベリオン

「スィングイン」リバースウィップ ランクC+

茶色い鞭の様な武器、ハングドの腕同様、自在に伸縮が可能。


フールリベリオン/サンリベリオン

「フィニッシュイン」ブレイズデストロイ ランクA-

アポロナインフォックスの9本の尻尾でリングを作り、そこにフォックスレーザーの一撃を放ち、威力を膨大に上昇させる。


フールリベリオンの能力について

契約したクリーチャーが以前、リベリオンと契約していたクリーチャーである場合、そのリベリオンに姿を変える事が出来る。



新たなリベリオンの登場、そしてハングドの退場。明確な目的は不明ですが、今後どう活躍するか・・・・・

そして明かされる、凜がリベリオン使用者となった理由・・・・そして戦いを止めるワケとは?

フールに勝てないと判断した伊織、どう対抗するのか?

次回をお楽しみに!


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第16話「落ちる流星」

ご無沙汰しております、CSMファイズギアを堪能している、月宮伊織です!

2週間以来の投稿です。まことに申し上けございません。

今回、新たな真実が、1つ明かされます。そして、モニタの策略にハマり・・・・・・
また、新たなリベリオンも登場!果たして、どうなるのか・・・・・・

凜の過去、一体どのような経験があったのか・・・・・・


「それ、どういう事だよ?」

 

ハルトは、凜に「選ばれたわけじゃい」と言う言葉について聞く。

 

「少し前の事だ・・・・・・」

 

それは1年半前、俺は特に目立たない田舎で暮らしていた。そして、1人の親友がいた。

普通に暮らし、普通に過ごしていた。

 

親友、空野渉(そらのわたり)、赤い短髪に、明るい笑顔で、心優しい少年だった。ハルトの様に、困った人を放って置けない奴だ。

 

ある日の事だった・・・・・・・俺は、その親友の事を、綺麗サッパリ忘れていた。記憶がゴッソリ抜けたかの様に・・・・・・

 

「自分でも、何がなんだか、サッパリだった。それから数週間経ったその日・・・・」

 

何かに導かれる様に、ある家へ訪れた。後に、渉の家だと知った。俺はそこで、このデバイスを見つけた。

そして手に触れた時・・・・・・・

 

「ッ――――!」

 

頭に映像が流れだした。これまで全て忘れていた物を思い出した。そして知った・・・

 

見たものは、渉がデバイスをある人物から、受け取っている所だった。当然、アイツはその気ではなかった。戦いを自ら行う様な奴じゃないと分かる。

そして―――あの巨大なクリーチャー(ギガ・オーガ)にサイバープログラムに引きずり込まれ・・・・・・アイツは消えた・・・・・

 

「そんな事が・・・・・」

 

「あぁ、自分でも驚いたさ」

 

「だったら、その親友を生き返らせる為に戦っても・・・・・」

 

「最初はそう思ったさ、だがな、アイツはこう言うだろ「そんな事考えんな」ってな」

 

デバイスを手にしたその日から、俺はこの戦いを止めるべく、旅を始めた。そして、ハルト達と出会った。

 

「お前を見て思った、アイツと何となく似てるなって。お節介な所とか」

 

だから思った、彼となら、きっと戦いを止められると・・・・・・・

 

「ハルト――」

 

俺が真実を口にしようとした時、脳裏に電気が走った。これを伝えれば、ハルトも、ただじゃすまないと。

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「いや、何でもない」

 

凜は口とどまった。起き上がり、保健室を出て、その場を後にした。

 

「凜・・・・・」

 

アイツも、凄いモン背負ってんのな、それに比べたら俺って・・・・・・いや、自分で決めた道だ、俺は俺のやる事をするんだ!

 

 

◇◆◇

 

その頃伊織は、傷を癒しながら、学校の中央広場のベンチに座っていた。

 

「あのフールって奴、正直いって手ごわい・・・・次に倒した奴に与えられる物を手に入れるべきだな・・・・・」

 

フールの脅威を思い知った伊織は、次に使用者を倒した者に与えられる「戦いを有利にするもの」を手に入れようと目に、火を灯す。その姿を、後ろから、葵が見つめていた。

 

「義兄さん・・・・・」

 

胸に手をあて、悲しそうな目で見つめている。兄がどこか遠くの存在であるかの様に・・・・・・・・

 

そして、その一方で、その光景を眺める1人の男がいた・・・・・黒崎我怨だ。

 

「へぇ~アイツも、使用者か・・・・」

 

「ふぅ~やれやれ、一敗喰わされたよ、ってアイツ・・・・こりゃマズいね」

 

その近くに、トイレから無事出ることができた、半蔵が歩いて来た。我怨の姿を見かけ、すぐさま、気づかれない様、ソッと、後ろの方へ移動する。

 

リベリオン使用者同士の戦いは、モニタの策略により、過激を増すことになる・・・・・・・

 

 

 

◇◆◇

 

そしてその夜、40mのマンションで、夜景を眺めながら、抱き合う、愛人と双葉、彼らもまた、誰よりも早く、他の使用者を倒そうと企てている。

 

「この戦いに勝つのは、僕ら」

 

「えぇ、そして誰にも邪魔されない、永遠の楽園を・・・」

 

お互いの唇を重ね合わせ、深いキスで、その想いを深く誓う・・・・・・

 

 

そもそも、何故2人が、誰にも邪魔されない楽園を目指すのか・・・・・それは2人の過去にあった。

 

元々、2人はどこにでもいる、普通のカップル。何1つ変わりもない、そんなある日の事だった。

双葉は元々、クラスの女子から、嫌悪を抱かれ、いじめを受けていた。

そんな事も、愛人と過ごす時間が、傷を癒していた。しかし、それは次第にエスカレートした。

 

そして事件は起こった。愛人は双葉をいじめていた、女子に従う不良グループに強引に工場に連れられてしまう。事態を知った双葉は、当然駆けつけた。

 

「ッ――――」

 

その光景は――――愛人の右足は酷くアザが浮かび、とても立てる状態ではなかった。周囲はそれを見せ物の様に、嘲笑い、その場を去っていった。

 

当時、愛人は、バスケ部のエースであり、試合に向けて、練習を励んでいた。しかし、この1件で、全てが水の泡となった。

治療を受けたが、足が完治する見込みはない。自分のせいで、愛人を傷つけてしまった事を深く悲しむ双葉。しかし、それは次第に、いじめをしていた女子グループに怒りの矛先が向いた。

 

そんな時、2人の前に、黒装束を着た人物が現れ、アルカナデバイスを渡した。そして他の使用者の様に「これを使い戦いを勝ち抜けば、望むモノが手に入るだろう」と。

 

それを手にした双葉、最初はリベリオン使用者として戦う事に戸惑いを感じたが、願いが叶うと言う言葉に惹かれていく。そして思った。

 

「幸せの為なら他の人間なんて―――」

 

彼女にとって、愛人以外の人間は不必要と思い、女子グループを、ドラゴキューピットの餌にしたのだった。愛人もまた、双葉以外を不必要と感じ、互いの幸せの為だけに戦うのだった・・・・・

 

 

 

 

 

そして朝が迎える・・・・・・・この日、1つの悲劇が起こる・・・・・・・・・

 

公園の天文台の中で眠っていた凜は目を覚まし、外に出て、朝日を浴びる。

 

「眩しいな・・・・・」

 

公園を出て、街中に移動する。真実を誰にも言えず、徐々に心身共に疲労が重なる。彼の体は限界に近い。

 

「コレくらいしか、残されてないか」

 

手にしたのは、銀色のハーモニカ。路上ライブをやる様な、敷地に座り「地球星歌~笑顔のために~」をハーモニカで吹き始める。

 

~♪~♪~♪

 

疲れ切った表情は、少し安らぎ、それを聞いた、仕事疲れの会社員、勉強疲れの学生、老若男女問わず、心が安らぐ様な表情を浮かべる。

 

「相変わらずだな」

 

そこへ、伊織が現れた。彼の姿を見て、一息つく。

 

「伊織か・・・・そういや、お前と出会ったのも、こんな感じだったな」

 

凜は、初めて伊織と出会った時の事を思い出す。

 

「そうだったな」

 

曖昧の様な感じで答える伊織。そんな彼に、凜は銀色のハーモニカを差し出す。

 

「悪いが、お前とはもう戦いたくはない。コレで見逃してくれ、妹にでも1曲奏でてやれ」

 

そう言い、凜はその場を去る。伊織はそのハーモニカを眺め、何かを察する。

 

「アイツ・・・・・・・・・」

 

 

それから30分。団地通りを通っていると、2人の人物に出くわす。愛人と双葉だ。

2人はくっつきながら歩き、凜の方へ近づく。

 

「見せつけなか?悪いが羨ましいとも思わなくてね」

 

それを素通りしようと、横に移動するが、挟み込まれてしまう。

 

「悪いけど通すワケにはいかないよ」

 

「貴方には私達の礎となってもらうのだから」

 

「やはり、戦いで止めるしかないのか・・・・・」

 

 

 

◇◆◇

 

「フゥ~危なかった~」

 

一方、ハルトは、コンビニのトイレから出ようとした時、1人の男、黒崎我怨に阻まれてしまう。

 

「よぅ・・・・・太陽サン」

 

太陽の言葉に察し、我怨が、フールの使用者だと感づいた。

 

「お前まさか・・・・・・・・」

 

「ハハッ、そのま・さ・か、だよ」

 

我怨に対し、拳を握るハルト。それを挑発する様に、我怨が責める。

 

「俺が許せないか?だったら、掛かって来いよ、お前はあの時から、面倒くさくて仕方なかったんだぁ・・・・・」

 

俺はリベリオン同士の戦いを止めたい・・・・・でも、コイツだけは――――!

 

2人はコンビニの裏の、ブレーカーに、デバイスを翳し、それぞれ、二の腕にデバイスを取り付け、ハルトはソルリベリオンを、我怨はフールリベリオンに変身し、サイバープログラムへ移動する――――

 

 

 

 

 

「さぁ、来いよ、せっかくだから、新しい力も試したくてよ!!」

 

「お前は・・・・・力ずくじゃないと、止められない!」

 

ソルリベリオンは、フールリベリオンに向かって、突進し、右ストレートを食らわせる。

 

「・・・・温いな」

 

しかし、それを片手で止められ、そのまま持ち上げられ、後ろの方へ、投げ飛ばされる。

 

「グァ―――ッ!」

 

「この程度か?なら、今度はこっちから―――!」

 

フールリベリオンの両腕がノイズで包まれ、やがて、肩と腕が逆の形、ハングドリベリオンの両腕へと、変化したのだ。

 

「なっ・・・・それは!?」

 

「驚いただろぅ、こう言う使い方もあるんだぜ―――!」

 

そのまま、左腕をソルリベリオンの方に伸ばし、体を巻き付ける。そして左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、左二の腕のダイルデンジャーに装填「バスターイン」の電子音声と共に、アポロナインフォックスの尻尾を思わせる武器(フォックスレーザー)を右手に取り付け、その腕を伸ばし、ソルリベリオンの頭上から、レーザーを発射する―――

 

 

◇◆◇

 

「さっそくお出ましか、早い所、片付けるか」

 

キン――――ッ!

 

そして同じ頃、伊織=ルナリベリオンは、1機のリベリオンと戦っていた。

両腕が大きく、巨大なガントレットが目立ち、ゾウの耳を尖らせた様な、ヘッドギアをし、今までのリベリオンより、一回り大きく、体格がゴツイ、リベリオンだ。

 

「パワータイプか・・・・なら―――!」

 

ルナリベリオンは、ホルダーから、システムメモリーを取り出し、新月に取り付けているデバイスに装填「シャドーイン」の電子音声と共に、ルナリベリオンの陰から、5体の黒い分身が現れる。体格のゴツイリベリオンは、その状況に戸惑ったか、分身を見回す。

 

「・・・・どうやら戦い慣れてないみたいだな!」

 

その隙を突いて、分身と共に、新月で切り付ける。体格がゴツイリベリオンは、両腕のガントレットで防御しつつ、左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右腕のガントレットに内臓されているデバイスに装填する「パワーイン」の電子音声と共に、両腕が赤く光り、体を回転させ、分身を攻撃し、全て掻き消した。

 

「チッ・・・・・簡単にはいかないか」

 

体格のゴツイリベリオンを見つめ、後方へ移動するルナリベリオン、予想以上の強さに、警戒をしている――――

 

 

◇◆◇

 

別の場所でも、戦いを繰り広げられている。

 

チャリオットリベリオンと、以前ソルリベリオン達の前に現れた、白と紫色がメインの、肩に、槍を模した、突起が目立ち、背面は、触手の様な物が、ロングコートの様になっており、手足には、ランタンを思わせる形のデザインをした、黄色に光る、アーマーが取り付けられ、頭部には、額に、1つの目が、赤く光るのが特徴なリベリオンと戦っていた。

 

「悪いね、先に勝利するのは僕だ!」

 

チャリオットリベリオンは、自分の勝利を宣言しつつ、ギミックガンソードを、紫のリベリオンに目掛けて連射する。それを背中のイカの様な触手で弾き返す。

 

「フフフ、生ヌルい連射ね、見せて、ア・ゲ・ル」

 

その声は、色気のある大人の女性の様だ。そして、右腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、膝のランタンを展開し、その中のデバイスに装填する「スピアイン」の電子音声と共に、ヴェノムクラーケンの触手を模した(クラーケンニール)、チャリオットリベリオンに向かって、クラーケンニールを投げる。

 

「うっそ!?避けきれ―――!」

 

ジュッ―――!

 

チャリオットリベリオンの体は、槍に貫かれ――――――――

 

「なんてね♪」

 

てはなく、シルバアーマホースを召喚し、チャリオットフォートレスで防御していた。

余裕の表情で、チャリオットリベリオンは、ホルダーから、システムメモリーを取り出し、ギミックガンソードに取り付いてあるデバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共に、背中に2つの滑空砲を思わせる武器(アーマカノン)を装備し、紫のリベリオンに向かって、発射する。

 

「クッ・・・・やるじゃない、けど、まだまだね」

 

多少効いているが、決定的なダメージには至らない。それぞれ、別の場所で戦いが繰り広げられる。一早く、他の使用者を倒す為に。戦いに有利な力を得る為に。

 

紫のリベリオンの手には、紫色のイカの形をしたクリーチャーの描かれたタロットカードが握られ、そこには「HERMIT(隠者)」と刻まれている事から、ハーミットリベリオンである事が分かる。

 

そして、戦いの場は再び、スターリベリオンの方へ・・・・・・・・・・・

 

「クッ・・・・・」

 

「あら、さっきまでの威勢は何処へ行ったのかしら?」

 

双葉が装着したラヴァーズリベリオンに頭を踏まれ、かなり苦戦している様子だ。

 

「まだだ、俺は・・・・止めなきゃならないんだ!」

 

フラついた状態でラヴァーズリベリオンに殴りかかるが、それを簡単に避けられてしまう。

それを見下す様に、見つめる。

 

「何が「戦いを止める」よ、下らない。貴方、バカじゃないの?」

 

「そうかもな・・・・・だがな、俺には責任がある、友を救えなかった責任を――――!」

 

スターリベリオンはホルダーから、システムメモリーを取り出し、スターシールドに取り付けてあるデバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、スターソードが召喚され、それを右手に取る。

 

「ウォォォォォォォォォォ!」

 

「だからさ、しつこいっての!」

 

ラヴァーズリベリオンは、システムメモリーを取り出し、右太ももに取り付けてあるデバイスに装填する「トランスイン」の電子音声と共に、スターソードをスキャナーでスキャンする様に、読み込み、自分の手元に、スターソードを取り出す。

 

「面倒くさいし、さっさと終わらせてあげる!」

 

ラヴァーズリベリオンは、スターソードを軽々と持ち、素早い剣戟で、スターリベリオンを切り裂く。

 

ズシャ―――――!

 

「グぁッ―――このままでは・・・・」

 

「止めは任せるわ」

 

そう言いながらラヴァーズリベリオンは、近くのモニターから、サイバープログラムを出る。その瞬間、スターリベリオンの背後のスピーカーから、愛人の装着する、シアン色のラヴァーズリベリオンが現れる。

 

「了解、僕達の為に犠牲になってもらうよ」

 

ホルダーからシステムメモリーを取り出し、左太もものデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ドラゴキューピットが現れ、スターリベリオンの方に向かっていく。

 

「マズい―――!」

 

スターリベリオンは、対抗する様に、システムメモリーを取り出そうとするが、近づいてきた、ドラゴキューピットの口で、そのシステムメモリーを弾かれ、足元と巻き付かれ、空中で振り回される。

 

バンッ―――!バンッ―――!バンッ―――!ガンッ―――!ガンッ―――!

 

「さよなら、素敵なお星さま!!」

 

そのまま、ラヴァーズリベリオンの方向に投げつけ、それを蹴り返し、それをまた、ドラゴキューピットが叩きつけ、それを繰り返し、最後には、ドラゴキューピットがマゼンタ色のラヴァーズリベリオンに変化し、2人同時に、踵落としを食らわせ、必殺技(ラブ・レイト・ヘイト)が炸裂する!

 

ズゴォォォォォォォォォ――――ン!

 

「グアアアアア――――ッ!」

 

地面に叩きつけられ、全身にヒビが入り、地面に倒れ込むスターリベリオンを、ラヴァーズリベリオンが倒したか確認する為に、腹部を蹴り上げる。スターリベリオンは、ピクりとも動かなかった。

 

「・・・・・倒したか、ハハハハハ!残念だったね!僕の、いや、僕達の勝利だ!」

 

勝利を確信し、高笑いが止まらないラヴァーズリベリオン。笑いが止まり、冷静になり。一言呟く。

 

「おっと・・・・流れ星に願いを言うのを忘れてた」

 

スターリベリオン=星、であるからか、落ちた瞬間が流れ星みたいだったので、願いを言おうと思ったのだ。

 

「まぁいいや、願いは必ずかなう・・・・・」

 

そのまま、モニターから、サイバープログラムを抜け出す。抜け出した外の目の前には、双葉が待っていた。

 

「お疲れ様、カッコよかったよ」

 

「ありがとう・・・・・」

 

勝利祝いに、お互いの唇を重ね合わせ、キスをする。そして、腕を組み、その場を去る―――

 

 

◇◆◇

 

時を同じく、ルナリベリオンは・・・・・・・・

 

「そろそろ埒が明かないな・・・・ならば!」

 

お互い互角で、中々勝負が付かない状況となっている。お互いの装甲は、ヒビが入り、これ以上戦えば、相打ちの恐れがあると確信していた。

ルナリベリオンは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、新月に取り付けてあるデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ブルームーンファルコンが、背中に合体し、空高く舞う。

 

「ッ―――!?」

 

それに対抗し、体格のゴツイリベリオンは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、右腕のガントレットに取り付けてあるデバイスに装填する「シールドイン」の電子音声と共に、両腕から、ビーム状のバリアを発生させる。

 

「ハァァァァァァァ――――っ!」

 

空中を舞ったルナリベリオンは、新月を大きく構え、体格のゴツイリベリオンに向かって、急落下し、新月を振り降ろし、羅刹滅却翔(らせつめっきゃくしょう)を発動する―――――――――

その一撃を、両腕のガントレットのバリアで防がれ、その衝撃で、爆発が起きる。

 

ドガ―――――――――ン!

 

「グッ―――!?」

 

爆風の衝撃で吹き飛ばされたルナリベリオン、立ち上がり、周囲を見当たすと、そこには、体格のゴツイリベリオンの姿がなかった。

 

「逃したか・・・・・」

 

倒し損ねた事を悔しく感じ、そのまま、サイバープログラムを抜けるのであった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

「・・・・・っ、ハァ・・・ハァ・・・・」

 

同じ頃、辛うじて、残った体力を振り絞って立ち上がる、スターリベリオン。

ラヴァーズリベリオンの必殺技で、死んではおらず、間一髪、一命を取り留めた。

 

「まだ・・・他の場所で、誰かが戦って・・・・・」

 

近くの方向で、誰かが、戦う様な音が聞こえる、その場所は・・・・・・・

 

「うぅ・・・・てめっ・・・・」

 

「どうしたよ?こんなもんかぁ!?」

 

ソルリベリオンの首を、ハングドリベリオンの両腕で、巻き、締め付ける、フールリベリオン。既に、ソルリベリオンの装甲はヒビが入り、まともに戦える状態ではない。

 

 

「ハルト・・・・・グッ!?」

 

その近くに辿りついたスターリベリオン。しかし、彼の体も限界を迎えていた。

さっきの一撃が、身体全体に響いたのだろう。

 

 

このまま、ここを抜け出しても・・・・俺はもう、助からないだろう。だったら―――――

 

 

「フン―――――ッ!」

 

「ガハァっ!?」

 

締め付けている腕を振るい、ソルリベリオンを、壁に叩きつける。そして、ホルダーからシステムメモリーを3本取り出す。

 

「もう終わりにするか、死に方くらい、選ばせてやるよ」

 

「ふざ・・・けるな!この野郎・・・・」

 

立つ事もままならないソルリベリオン。その姿を見て、嘲笑うフールリベリオン。そして、1本のシステムメモリーを、ダイルデンジャーに内臓されているデバイスに装填する。

 

「そうかい、じゃぁ俺が選んでやるよ」

 

<<フィニッシュイン―――――>>

 

バイオヘルダイルが現れ、背後から、ソルリベリオンを顎で挟もうとした、その時――――

 

「ハルト――――!」

 

スターリベリオンが飛び込み、バイオヘルダイルの顎で挟まれ、それと同時にフールリベリオンも跳躍し両足をワニの顎を開くような構えをする、その構えと同時にバイオヘルダイルはフールリベリオンの方向に投げつける様に振り放す、そのスターリベリオンを両足で空中で顎で上半身と下半身がかみ砕かれる様に、強く挟み、様にして掴み地面の方に叩き付け、蹴り飛ばし、必殺技(ファングラッシャーバイオレンス)が発動される!

 

強烈な一撃を食らったスターリベリオンは、そのまま、地面に叩きつけれらる。

そこへ、ソルリベリオンが、駆け込む。

 

「凜・・・・・凜!何で・・・・どうして!?」

 

倒れるスターリベリオンを、ソルリベリオンが、抱える。

 

「・・・・・お前は・・・ここでやられるべきじゃない、そう・・・・思った・・・・からだ」

 

・・・・やはり、話しておくべきだったな・・・・・だが・・・いま・・・でも・・・まに・・・あう・・・・ハズ・・・・だ。つた・・・・え・・・・なけれ・・・・ば・・・・

 

薄れゆく意識の中、弱った声で、語る。

そして、ソルリベリオンに向けた最後の一言・・・・・・・・・・・

 

「ハル・・・・・ト、この・・・・戦い・・・の黒幕・・・は・・・・」

 

「今はいい!だから・・・・死なないでくれ!」

 

ソルリベリオンは、スターリベリオンの言葉を、止めようとする。しかし、既に、手遅れの状態だった。装甲はボロボロとなり、肩と、膝のアーマーが完全に破損していた。それはソルリベリオンも分かっていた。それでも、生きていてほしい、ただそれだけだった。

それでも、スターリベリオン=凜の言葉は、止まらない。

 

「黒幕・・・・の、しょ・・・正体・・・・は・・・の・・・・残り・・・・の、使用者の・・・・な・・・中に・・・・いる」

 

その言葉を残し、スターリベリオン=凜の体は、粒子となり、足から徐々に、消滅していく。

 

「ダメだ・・・・・凜!消えるな!」

 

その言葉も届かず、儚く、スターリベリオン=凜は、完全に消滅した・・・・・・

消えていく粒子を掴もうと、手を伸ばすソルリベリオン。それを呆れて見ている、フールリベリオン。

そして、ダイルブレードを構え、こちらの方へ、向かっていく・・・・

 

「仲良しごっこは終わりか?じゃぁ、お前もお友達の所へ――――!」

 

ソルリベリオンに近づいた、フールリベリオンは、ダイルブレードを、振り、斬り付ける――――その時、その後ろから、銀色の装甲、チャリオットリベリオンが突き飛ばされ、フールリベリオンに、ぶつかった。

 

「ナっ―――!?てめぇ・・・・」

 

「いやぁ、悪いねぇ、アイツ中々、強くてさぁ」

 

その目の前には、紫色の戦士、ハーミットリベリオンの姿が。

それを見たフールリベリオンは苛立ったか、ハーミットリベリオンに、攻撃対象を変えた。

 

「せっかくの・・・・いい所を・・・・邪魔しやがって――――!」

 

ハーミットリベリオンに近づこうとした時、フールリベリオンの両腕は、イカの様な触手で、縛られた。

 

「ウフフ、焦りは禁物よ、力任せじゃ、口説けないわよ」

 

余裕の態度を取る、ハーミットリベリオン。

だがその時、4人のリベリオンの体から、粒子が零れ出す。

1時間の制限時間を、近いのだろう。

 

「アララ、もう時間?あっけないわねぇ、まぁいいわ、また今度、お相手いたしましょ」

 

そう言い、ハーミットリベリオンは、その場を去った。苛立ちを表したまま、フールリベリオンも、その場を去る。

 

「ほら、このままじゃ、君も消えるよ」

 

「・・・・・・・」

 

仲間を失い、ショックの隠せない、ソルリベリオンにチャリオットリベリオンが声を掛ける。

しかし、返事は返って来ない。

 

「全く・・・・・っ!」

 

そのまま、ソルリベリオンを、テレビのモニターに、投げつけ、共にサイバープログラムを抜け出す。

現実世界に戻った半蔵は、ハルトに一言残す。

 

「そんな調子じゃ、次にやれれるのは、君だよ、もう少し、覚悟を決めた方がいいんじゃない?」

 

その言葉を最後に、半蔵は、ハルトの前から去っていった。

 

「凜・・・・・」

 

ハルトの心の傷は相当深い、今でもショックを隠せない。

そして、凜の残した一言「黒幕は、残りの使用者の中にいる」その言葉が、頭を過ぎる。

 

「俺達の中に・・・・・こんな事を仕込んだ奴がいるのか・・・・・?」

 

拳を握り、大きな声を上げ、悔しさを表す。

そして、凜の残したこの言葉は本当なのか?はたまた、本当に黒幕は、残りの使用者の中にいるのか・・・・・・・・・・

戦いは、さらに、過激さを増し、次々と、犠牲者を出し、そして、その先に、何があるのか・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り18人

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&使用されたシステムメモリー】

ハーミットリベリオン

【全長】200㎝

【体重】79キロ

【常設武器】紫槍ハーケンスピア

現在の使用者は不明だが、女性である可能性が高い。タロットカードの「HERMIT」を意味する。白と紫色がメインの、肩に、槍を模した、突起が目立ち、背面は、触手の様な物が、ロングコートの様になっており、手足には、ランタンを思わせる形のデザインをした、黄色に光る、アーマーが取り付けられ、頭部には、額に、1つの目が、赤く光るのが特徴。最大、8本の槍を備えている。
目的は不明だが、ギガ・オーガの、一部を回収している。

契約クリーチャーは不明だが、イカ型である事は確かである。


【スピアイン】

クラーケニール ランクB-
イカの触手を模した槍。圧さ30㎝の鉄板をも貫く。


チャリオットリベリオン

【バスターイン】
アーマーカノン ランクA-
背中に取り付ける2つの滑空砲。重量に見えるが、意外と軽量。


ラヴァーズリベリオン

【トランスイン】
スキャニングコピー ランク無し
相手の武器、姿を解析し、自身の物にする。ただしスペックは使用者と同じになる為、強い相手をコピーしても強さはそのまま。

【フィニッシュイン】
ラブレイトヘイト ランクB-
相手をラヴァーズリベリオンの方向に投げつけ、それを蹴り返し、それをまた、ドラゴキューピットが叩きつけ、それを繰り返し、最後には、ドラゴキューピットが使用している方とは別のラヴァーズリベリオンに変化し、2人同時に、踵落としを食らわせる。



明かされた真実、果たして、黒幕は、どのリベリオン=使用者なのか?

凜の死、新たなリベリオンの登場、その繰り返しが、ハルトの精神に、どう影響するのか・・・・・唯一の良心を失い、これから、どう戦えるか・・・・

一方、勝利を確信したラヴァーズリベリオン、しかし、実際倒したのは、フールリベリオン。それを知ったら、そうなる事やら・・・・・

次回もお楽しみ下さい!


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第17話「試される愛」

久々のアルカナTHEリベリオンの更新です。
次の戦いで誰が消えるのか・・・・・・・・今回は新キャラが登場、果たしてどうかかわるのか・・・・・・・・・・・

余談:親知らずは無事抜けました。

前回までのあらすじ
凜の口から語られる、自らがリベリオン使用者となった真実・・・・・・・・・
スターリベリオンとラヴァーズリベリオン、ソルリベリオンとフールリベリオン、ルナリベリオンと新たなリベリオン。それぞれの場所で戦う中、スターリベリオンは、ラヴァーズリベリオンの必殺技で、致命傷を負う。
そして、フールリベリオンに止めを追い詰められたソルリベリオンを庇い、敗北してしまう・・・・・・死の間際に、語られる真実「黒幕は生き残っている使用者の中にいる」果たして黒幕は誰なのか・・・・・・?


「俺は・・・・・・どうすりゃ・・・・・」

 

ベンチに座り、顔を下に向け考え事をするハルト。この間、スターリベリオン=凜が倒され、今でも動揺が隠せない。そして彼の残した言葉「黒幕は使用者の中にいる」その事が頭から離れない。

 

「少なくとも、今まで倒された奴ら以外・・・・・・・だよな」

 

残るリベリオン使用者は18人、これまでやられた、デッド、フォーチュン、ハングド、そしてスター。さらに言えば元サンリベリオンの使用者である、姫宮灯もその黒幕の対象から外れる。ハルトの中では、伊織、半蔵の2人は黒幕でないと思う・・・・・・よりも信じたい。となると疑うのは自分を除く15人、この中に黒幕がいるのか・・・・・・・・

 

「このままじゃ・・・・・また誰かが命を・・・・・」

 

戦いが続けば犠牲者が増える。それは使用者だけでなく、一般人もクリーチャーの餌食となってしまう。そんな不安が過ぎるハルトの目の前に・・・・・・・・・・

 

「どうしたんだい、あんちゃん、そんな浮かない顔して?」

 

目の前には、体格のよく筋肉質で、刈り上げのやや老けて見える男がいた。男の口調はやや訛っていた。

 

「えっと・・・・・そんな風に見えるか?」

 

何とか誤魔化そうとするハルト。そんな彼に、男は、ある物を渡す。

 

「ホラ、特別だ!野菜を食えば、そんな浮かない顔も晴れるぞ~!!」

 

渡してきたのは、かぼちゃであった。形もよく、とても新鮮だ。男の背中をよく見ると、籠を背負っており、その中には、大量の野菜が入っていた。

 

「ついでに何か買ってくかい?あっ、こっからは料金もらうからね~」

 

「・・・・・・これ、アンタが育てた野菜か?」

 

「ん?あぁ、そうさ!コイツらはウチの畑で採れた野菜でなぁ!自分で言うのもなんだが、自慢の野菜達だぜ!」

 

男は自慢げに語る。その誇らしい姿を見たハルトは、笑った。理由はどうであれ、戦い続けの中で、一瞬の一時を味わっていた。

 

「悪いけど、今日は手持ちがなくてな、また縁があったら、買いに行くよ」

 

「おぉ、そうか!何時でも売ってるからよ、また探しに来てくれ、じゃぁな!」

 

そう言い、男はその場を去っていた。ハルトはかぼちゃを見つめ、ふと思い出す様に呟く。

 

「袋・・・・・・もらい忘れたわ」

 

かぼちゃは素手で持っており、せめて袋を貰おうとした事をうっかり、忘れてしまった。そして、その日の夜・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ん?何やらいい匂いがするわね~」

 

珍しく、姉の夏姫が、自分の部屋以外の事に反応する。自慢げに、夏姫のいる部屋越しに、ハルトが声を掛ける。

 

「いやぁ~今日は意外な収穫でさ、ちょいと頑張ったのさ」

 

「どれどれ、おぉ~コイツは中々なもので」

 

本日の献立は、かぼちゃと豚肉の重ねマヨ焼き、かぼちゃの煮つけ、かぼちゃスープとかぼちゃずくしであった。並んだ食卓に、夏姫は思わずよだれを垂らしていた。

 

「ほんじゃ、食うとしますか~」

 

箸を手に取り、かぼちゃの煮つけを食べる2人。その感想は・・・・・・・・・・・

 

「う~ん!我ながらいい味出してるー!」

 

「うん、かぼちゃそのままの味が出て、とても美味しいわ」

 

絶賛の様だ。その後も黙々と、食べ続けるハルトと夏姫。気づけば食器には何も残っていなかった。

 

「ふぅ~食った食った~」

 

夕飯を食べ終え、すぐ様部屋に戻る夏姫。食べ終えた食器を片付け、自分の部屋のベッドに寝転がるハルト。色々と疲れたのか、そのまま眠ってしまう。

ふと目を覚ますと、目の前は何時もの黒い空間だった。テーブルではモニタが、トランプタワーを作っていた。

 

「よいしょ、よいしょ」

 

後一歩の所で、タワーは崩れ、テーブルの辺りに、カードが散らばる。そのカードはトランプではなく、タロットカードであった。何事もなかったかの様に、モニタは話を進める。

 

「やぁやぁごきげんよう!元気に戦ってる~?さて、今回もまた1人倒されちゃってね。そんでもって、今回倒したリベリオンは・・・・・・・・・・」

 

モニタが躍り始めると、周りから、スポットライトが回り始める。今回、スターリベリオン=凜が倒され、その倒した使用者に特別なプレゼントが与えられる。

 

「ジャジャン!!フールリベリオン~ってまた君か~みんなもうちょっと頑張ってよ~」

 

フールリベリオン=黒崎我怨に、スポットライトがあてられ、某有名なロボットにみたいな言い方で発表した。これまで我怨が倒したのはフォーチュン=要、ハングド=真弥、そしてスター=凜の3人。

デッド=切島は自身のクリーチャーに食われ、自滅している。現状、フール以外の使用者は、誰1人倒していない。

 

「ちょっとまってよ!私達が倒したはずよ!」

 

テーブルを強く叩いた双葉が、モニタに文句を言う。愛人と双葉は、凜と交戦しており止めを刺した、と思っていたが・・・・・・・実際、凜は生き延びており、ハルトを庇って、我怨に倒された。

 

「そうなんだ~でもツメが甘かったようだね~ボクはちゃ~んと戦いをみているんだよ~!どうせ止めを刺すなら息の根を止めるまで、グぃっとやっちゃえばいいんだよ」

 

双葉に止めを刺しきれなかった事を指摘するモニタ。どさくさに紛れ、えげつない言葉を吐く。

 

「そんじゃ、フール君のデバイスにプレゼントを用意したから、好きな時に使ってね~」

 

そう言い残し、モニタは姿を消す。

未だに自分達が倒してない事に納得がいかない双葉。今は愛人の姿が見えない、どうやらこの空間に入れるのは1人だけの様だ。

 

「ちょっとまちな――――――――」

 

双葉がモニタを引き留めようとするが、視界が暗転し、眠っていたベッドの上から起き上がる。

 

「どうしたの?そんな顔して」

 

双葉が起きた事に反応し、隣で寝ていた愛人が、目を覚まし、双葉の頬に触れる。

 

「それがね、あの時戦った奴、私達が倒してないんだって・・・・・・・・」

 

事情を放し落ち込む双葉に、愛人は励ます様に頭を撫でる。

 

「そんな事か、気にする事ないさ。ソイツを倒せば・・・・・・・・奪う事が出来るかもしれないだろ」

 

「そう・・・・・・そうよね!私達でなら・・・・・・何だって出来る・・・・・そうよね」

 

「あぁ、最期に勝つのは僕らさ・・・・・・・」

 

何時もの如く、愛を囁く2人、しかしこの時まだ気づかなかった。恐怖のどん底への道へ進んでいる事に・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇◆◇

 

「朝か・・・・・・・・・」

 

目が覚めたハルトは、ベッドから起き、制服に着替え、クリームパンを加え、学校へ向かう。そしてある事に気づく。

 

「そういや、最近遅刻してないな・・・・・・・」

 

時間を見てみると、7時丁度、ここ最近戦いが続き、体が勝手に起きてしまうのだろうか?と考えるハルトだが、気にしても仕方ないと、学校まで走り出す。

 

「ん?アイツは・・・・・・・・・・」

 

ふと横を見ると、そこには昨日であった、カボチャを渡してくれた筋肉質な男が路上で、野菜を販売していた。

 

「ん?昨日のあんちゃんじゃないか!!」

 

気づいたのか、男はハルトに声を掛ける。

 

「ウッス、朝から張り切ってるな~おっちゃん!」

 

「まぁな、この時間帯は、通る人も多いし、近所のお母さん方はよく買ってくれるもんだべ!それと、俺はこう見えて18だ」

 

男が18歳である事に、思わず開いた口がふさがらないハルト。見た目だけで判断してはならない。それは以前にも経験した事だ。デッドリベリオン=霧島和人も、温厚的であったが、中身は残酷非道な男であったのだから・・・・・・・・

 

この時間帯は人が多い、主婦が通り掛かる事も多い。ハルトは並んでいる野菜を見ていた。にんじん、じゃがいも、キャベツ、レタス、大根、カブなど、様々な野菜が並べられている。ざっと数えて、100は超えているだろう。

 

「これ全部1人で運んだのか!?スゲェな・・・・・・・・」

 

「おぅ!これくらいなら軽いもんさ!」

 

男の隣には、大きなカゴやダンボールが置いてあった。大方、アレで運んでいたのだろう。それにしても、この数を1人で持つとは、相当の力持ちである。

 

「あら、いい大根、コレ買うわ」

 

そこへ紫色のエプロンが目立つおばちゃんが、販売している大根に目が入り、男に声を掛ける。

 

「まいど!2本で300円だべ!」

 

「あらま!安い事で!これは買い得ね」

 

男に300円渡し、袋に入った大根2本を受け取り、嬉しそうに歩いていた。

 

「お安いもんだな、コレくらいならもうちょい高くても・・・・・・」

 

大根を2本で300円は流石に安いと感じたハルト。その理由を尋ねると・・・・・・・・・・

 

「まぁ、少しでも稼ぐ為さ。家族の為にもな」

 

男の話は始まった。時刻は7時10分、最近遅刻をしないハルトだが・・・・・・・・・・・・・・

 

「ウチはなぁ、遠いド田舎暮らしでな。農業をやってるんだ。故郷じゃ、中々繁盛しなくてな、こうして遥々都会まで来たわけよ、親父にお袋だけに苦労させたく無くてな、弟達にもちょっとでも楽させてやりてぇのさ」

 

男の話を聞いて、ハルトはもらい泣きをしていいた。男の肩を掴み、励ましの言葉を贈る。

 

「アンタ・・・・・・弟達の為に遠路はるばるこんな所まで・・・・・・・そりゃ、弟達の為に頑張らないとな!!」

 

「ありがとな、でも同情するなら野菜かってくれだべ」

 

ハルトの言葉に礼を言う男、だがからかい混じりに、野菜を買ってくれと勧める。そんな時、ハルトは大事な事に気が付く。

 

「あっ・・・・・・やべぇ!学校行かなきゃ!!」

 

時刻は7時20分。遅刻確定まで約20分、この距離から学校までは36分。青ざめた顔で慌てていた。

 

「悪い!買うのは学校終わってからでもいいか?また来るからさ!」

 

「しゃあねぇな、待ってるぜ、あんちゃん」

 

「そういや、名乗ってなかったな。俺はハルト、獅子堂ハルト。よろしくな!」

 

「俺は、田井中力(たいなかりき)、んじゃ、またここで待っとるで!ハルト!!」

 

男の名は田井中力。慌てて走るハルトを見送る様に手を振る力。そんな彼の前に、続々と、主婦勢が集まって来た。

 

「へい、らっしゃい!どれも新鮮でお買い得でっせ~!!さぁさぁ、一目見るだけでも!」

 

 

「力の奴・・・・・何となく伊織と似て・・・・るわけないか」

 

家族の為に、都会まで出稼ぎをする力と、妹の為に戦う伊織に何処か面影を似ていると感じたハルト。しかし、性格が全く違う事に、思わずつい笑ってしまうハルトであった。この後、彼が遅刻をするのは誰もが予想していた事だった・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

時間は少し後に遡る。

 

「ふぅ・・・やっぱり君と飲む紅茶は格別だよ」

 

「うふふ、それは私も同じよ」

 

愛人と双葉は・・・・・・・・・・・・・・喫茶店(トゥンクティ)で2人の一時を過ごしていた。と言っても24時間ずっといるのだが・・・・・・・・・

 

「それにしても、あのフールって奴、もうすでに3人は倒してるんですってね」

 

フールについて話していた。モニタの言ってた、既に3人のもリベリオン使用者を倒している事に、双葉は少々恐れ、怯えていた。そんな彼女の手を、愛人が優しく握る。

 

「倒した数何て関係ないさ。最後に勝つのは僕らなんだからさ、例え誰が相手でも、僕らの連携を崩せる者はいないよ」

 

「愛人・・・・・・・そうよね、最期に勝つのは私達よね」

 

愛人の言葉に安心したか、双葉はそのまま愛人をギュッと抱きしめる。そんな愛し合う二人の前に・・・・・・・・・・・・・

 

「それは面白い事を聞いたな」

 

2人(愛人と双葉)の間に1人の男の右足が割って入る。フールリベリオン=黒崎我怨だ。

 

「最期に勝つのは「僕ら」か・・・・・・随分な余裕言ってんじゃねぇか。獲物を取り逃がした分際でよぉ・・・・・」

 

「って事は、君がフールリベリオンって事でいいんだよね。」

 

「だったら、どうする?」

 

「丁度いいわ。貴方は私達が倒してあげるわ!!」

 

自分を倒すことを宣言された我怨は、挑発する様に、顔を双葉の方へ近づける。その行動に双葉は怯えたのか、一歩後ろへ下がる。

 

「彼女を不安にさせる君は早いうちに始末しないとね!」

 

何時もは冷静な愛人だが、双葉を怯えさせる我怨に対し、怒りの表情を露にする。

 

「フッ、面白れぇ。さっさと始めようぜ」

 

我怨達は、戦いの場所へと移動を始める。トゥンクティの店員が料金を払っていない愛人達を引き留めようとするが、後ろにいた我怨の鋭いガン飛ばしに臆したか、一歩も動かないまま、我怨達は去っていく・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここなら、思う存分やれるよね」

 

愛人達が辿り着いた場所は、以前ハルト達がデッドリベリオンと戦った荒廃したビル。この場所はあの戦いの後、立ち入り禁止区域となっていたが、サイバープログラムの中で戦うリベリオン使用者に意味はなかった。

 

「負けても泣きべそかくなよ・・・・・・あぁ、死ぬから泣けねぇのか」

 

我怨の挑発的言葉を受けても、愛人は動じなかった。双葉の為、2人だけの幸せの為に戦う彼に迷いはない。例え世界が滅んでも・・・・・・・・・・・

2人(我怨と愛人)はビルの入り口のカードキーに、アルカナデバイスを翳すと、互いの左二の腕に、アタッチメントが装着される。

 

「セット・オン――――」

 

「セット・オン――――!」

 

お互い、アタッチメントにデバイスを取り付け、体がスキャンされる様に、我怨はフールリベリオンに、愛人はラヴァーズリベリオンを装着する。

 

「フッ――――」

 

2人同時に、カードキーの中に吸い込まれ、サイバープログラムへと移動する。

 

「頑張って・・・・・愛人」

 

愛人を応援し、自らも戦いに備え、他のビルへ移動する双葉。

 

 

 

 

 

「さぁ、始めようぜ・・・・・戦いをよぉ!!」

「・・・・・・・・・・・・・」

 

<<ショットイン>>

 

<<ソードイン>>

 

サイバープログラムに到着し、フールリベリオンはダイルブレードを、ラヴァーズリベリオンはラビリンスボウを構え、どちらが先に動くか、お互いに睨み合う。

 

「っ―――――――――――――――――!!」

 

風が吹き始めた時、2人共、同時に前進し、互いに襲い掛かる――――――――――――――!

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

一方同じ頃、午後12時、遅刻を免れず、教師に説教をくらい、ゾンビの様に肌が青ざめ、暗い表情で職員室を出るハルトを、彩が迎える。

 

「最近学校来るのが早いと思ったけど、やっぱハルトは遅刻の帝王ですね~」

 

「いや、今日は・・・・・・・寝坊じゃ、ないんだよな」

 

寝坊でないは事実、だが「知り合いと話していました」何て恥ずかしくて言えるわけがない。無論教師にも。

 

「ほら、買ってきたから元気出しなよ」

 

彩が手に持っていたのは、校内で大人気のチキンカツサンドであった。どうやら、ハルトが説教をくらっている内に買っててきたのだろう。

 

「彩・・・・・・ありがとう」

 

半泣きながらも、彩に礼を言うハルト。ハルトにチキンカツサンドを渡そうとする彩だが、一気に上の方に手を上げ、ハルトに手を差し出す。

 

「その前に、チキンカツサンド代」

 

彩はチキンカツサンドの代金200円を要求してきた。

 

「分かったよ・・・・・・ほら」

 

ハルトは素直に、チキンカツサンド代200円を彩に支払った。落ち込む様なハルトの表情を見て、彩は笑った。

 

「それじゃ、屋上で食べようよ!」

 

「えっ・・・・あっ、ちょ――――」

 

彩に引っ張られるがままに、ハルトは屋上へ向かう事になった。屋上へ辿り着き、最初に目にしたのは、満面な青空、何時も見ている光景なのに、何故か不思議とこれまで見た時よりも綺麗に思えた。

 

「どうしたの?物珍しそうに見てさ」

 

「あっ・・・・・いや、何でもない」

 

青空を見るハルトにベンチに座っている彩が声を掛ける。その声に反応し、彩の隣に座る。

 

「んめぇ~~~~~!!やっぱここのチキンカツサンドは絶品だな~」

 

「うんうん、チキンもそうだけどさ、一緒に挟んであるレタスも味を出してるよね~」

 

チキンカツサンドは、チキンカツとレタスにデミグラスソースを染み込ませ、パンで挟んでいる。校内でも人気ナンバー1の商品だ。因みにコーラと一緒に買う者が多いと言われている。

 

「ハルトさ、最近変わった?」

 

「ん?そうか、そんな風に見えるか?」

 

「だってさ、今日はしたけどここ最近は遅刻してないし、授業中寝てないわ、何か疲れてるし」

 

彩は、ここ最近のハルトを見て、少し変わっていると感じていた。ハルトが、リベリオン使用者として戦ってる事は知らないが、何処か心配している様な目で、ハルトを見ていた。

 

「俺も少しは真面目に頑張ろうかな~なんてね」

 

誤魔化す様に言い返すハルト。戦いの事を彼女に知られる訳にはいかない。巻き込みたくない。そんな思いでいっぱいであった。

 

「そう。なら今度の中間テスト、いい点とらなくちゃね~」

 

来月には中間テストがある。その事を思い出したかの様に、ハルトは頭を抱える。

 

「そうだな・・・・・・・頑張らなくちゃな」

 

嫌そうながらも、頑張る姿勢を見せるハルト。その恰好を見て、微笑ましく笑う彩。こんな日が続けばいいのに、心の中でそう思っていた・・・・・・・・・・・・

 

「ねぇ、もうちょっと近くに寄ってもいいかな・・・・・?」

 

唐突にアプローチを始める彩。鈍感なハルトは微動だにせず、それに「別にいいぜ」と答える。その時であった――――――――

 

バダン―――――

 

「・・・・・・・・何やってんだ?」

 

屋上の扉が開き、扉の方を見ると、伊織の姿が見えた。それに焦ったのか、彩はハルトから少し離れる。

 

「えっ・・・・・・・いやっ、普通に昼食を取ってた所だよ!!」

 

自分でも分からないくらいに誤魔化す彩。その素振りにハルトは呆然とした表情だった。

 

「あっそう。別に俺はお前らが何してようが関係ないがな」

 

何食わぬ顔をしながら、伊織はハルト達とは反対側の方向の壁に座りながら、弁当箱を開き、黙々と食べ始める。弁当箱の中身は、1段目には白いご飯がぎっしり詰まっており、2段目にはからあげ、ポテトサラダ、ミートソースの絡めたマカロニ、豆腐ハンバーグ。デザートには大きなウサギのリンゴが2つ。どれも冷凍食品ではなく、手作りである。

 

(ちぇっ・・・・・もうちょいでいい雰囲気に慣れたのに)

 

心の中で不満を漏らす彩。何も気が付いてないハルトは体がふらついて、そのまま彩の膝の上に寝転がる。

 

「えっ・・・・・ちょっ!?ハルト・・・・・・・・」

 

最初はあまりの恥ずかしさに、ハルトを叩き起こそうとしたが、愛らしい寝顔を見て、笑いながら彼の頭を撫でるのであった。

それを目の当たりにしている伊織は、呆れたのか、ため息を尽く。が、どこか笑っている表情にも思える。

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

その頃、フールリベリオンとラヴァーズリベリオンはというと・・・・・・・・・

 

「ハハッ、どうしたよ、そんなヌルい攻撃しか出来ねぇのか!」

 

ラヴァーズリベリオンの拳の攻撃を、軽々と交わすフールリベリオン。その隙を突き、ラヴァーズリベリオンの右足の脛を目掛けて、"ローキック"の一撃を与える。

 

「ッ―――!?」

 

一撃が痛感したか、ラヴァーズリベリオンは、地面に倒れる。愛人に右足には、今でも過去に受けた怪我の後遺症が残っており、これまでの様な運動は出来ない。だが、リベリオンを使用する事で、それを軽減する事が出来た。だからこそこれまで戦ってこれた。しかし、ダメージ喰らえば、痛みは倍増する。

 

倒れ込んだ所を追い討ちを掛ける様に、フールリベリオンはラヴァーズリベリオンの右足を踏みつける。

 

「ハハハ―――――一言ってた通りだなぁ・・・・・・"右足"が弱点だってなぁ」

 

「貴様・・・・・・・どこでそれを・・・・・・・」

 

どうやら、我怨は愛人が右足を痛めている事に気づいていた様だ。その理由を問うと・・・・・・・・・・・

 

「あぁ、教えてもらったのさ、ちょいと強引だったけどなぁ」

 

 

 

 

 

それは昨日の話になる。スターリベリオンを倒し終えた我怨は、ラヴァーズリベリオンの正体を知り、かつて愛人の通っていた学校へと潜入した。その時に、当時同じクラスだった生徒何人かを捕まえて、愛人と双葉の情報を聞き出そうとしていた。

 

「お前ら、知ってるんだろ?深井愛人と永遠野双葉の事をよう・・・・・・」

 

1つの教室の中、我怨は男子生徒1人の背中に乗り、竹ぼうきを手に持ち、他の生徒を脅す様に、話しかける。背中に乗られている男子生徒は、額から血を流しており、我怨に返り討ちにあってしまった事が分かる。

 

「はっ・・・ハァ?いきなり来てなんなのさ!?こんな事して・・・・・」

 

怯えながらも、我怨に反発する1人の女子生徒。その反論に怒りを感じたか、立ち上がり、女子生徒の肩を掴み、机の方に押し倒す我怨。その女子生徒の耳元で言い放つ。

 

「いいから黙って教えてくれりゃ、痛い思いはしねぇよ」

 

女子生徒の首元から下まで、指をなぞる我怨。彼に恐怖を抱いたのか、2人について話す。

 

「あっ・・・・愛人は、前に友達ボコボコにして・・・・・・・右足を怪我して・・・・完治しない・・・・・そうです」

 

今にも泣きそうで、体が震えている。話を聞いた我怨は、女子生徒から手を放し、そのまま教室を去る。あまりの恐ろしさに、女子生徒の下の方から、何かが溢れてい

た・・・・・・・・・

 

 

 

 

「ってわけよ。おかげでお前の弱点を知ったわけよ・・・・・・・」

 

「何て卑怯な・・・・・」

 

ラヴァーズリベリオンの首元を掴み持ち上げるフールリベリオン。そして強烈な一言を言い放つ。

 

「卑怯?何寝ぼけた事をいってんだ・・・・・これは勝ち残る為の戦いだろ。ルールの範囲内なら卑怯もクソもねぇんだよ――――!!」

 

そう、この戦いにルールがあっても、戦い方に制限はない。ラヴァーズリベリオンを突き飛ばし、そのまま接近し、ダイルブレードでラヴァーズリベリオンの右肩を貫く―――――!

 

「アアアアアアアアア――――――――っ!!」

 

「愛人!私に変わって!このままじゃあなたが――――」

 

デバイスを通じて戦いの状況を見ていた双葉は、自分と交代する様に言う。それに賛成し、ラヴァーズリベリオンは近くにあった小さなモニターからサイバープログラムを脱出しようとするが、フールリベリオンに背中を掴まれ、身動きが取れなくなる。

 

「さて・・・・・・お嬢ちゃんは何処にいるのでしょうか」

 

ダイルデンジャーの中のデバイスを取り出し、この一帯の地図をモニターに移す。後ろのブレーカーの方に、1つの反応があった。そのブレーカーの所に、フールリベリオンは移動する。

 

「なるほど・・・・・・そこにいたかぁ!!」

 

ブレーカーの方に手を伸ばすと――――――――

 

「ッ――――!?」

 

双葉のいる所は、フールリベリオンが示したブレーカーのすぐ近く。そう、デバイスに反応していたのは双葉であった。

ブレーカーからフールリベリオンの手が現れ、双葉は左腕を掴まれ、そのまま、サイバープログラムへと吸い込まれてしまう。

 

「双葉――――――!」

 

「あっ・・・・・・愛人・・・・・・」

 

サイバープログラムへと連れ込まれた双葉は、フールリベリオンに首を掴まれる。反対側の方に掴んでいたラヴァーズリベリオンをフールリベリオンが投げ飛ばす。

普通の人間なら消滅してしまうが、アルカナデバイスを持つ人間は消滅せず、体を維持出来る。

 

「これでお得意の戦法は封じられたなぁ」

 

「くっ・・・・・・何て奴だ!」

 

双葉がサイバープログラムへ連れ込まれた事により、互いに入れ替えながら戦う戦法を封じられたラヴァーズリベリオン。双葉を取り戻そうと、フールリベリオンに近づくが・・・・・・

 

「ほらよ」

 

ラヴァーズリベリオンがストレートを放とうとした時、フールリベリオンは双葉を盾にする様に、目の前に出し、ラヴァーズリベリオンの手が止まってしまう。

 

「クっ・・・・・・・卑劣な真似を・・・・・・・」

 

「ホラホラ、そんなんじゃ、俺は倒せねぇぞ!」

 

双葉の間から、ダイルデンジャーからビーム光線が放たれ、ラヴァーズリベリオンを襲う。それを間一髪避け、一歩後ろへ下がる。

 

「クっ!何としても双葉を・・・・・・・・」

 

今はフールリベリオンを倒す事より、双葉を救う事を優先するラヴァーズリベリオン。双葉は信じている、愛人は必ず助けてくれると・・・・・・・・・

 

「来ないなら・・・・・・こっちから行くぞ――――――!」

 

フールリベリオンがラヴァーズリベリオンに目掛け、ダイルブレードを突き刺そうとした時だった――――――突然フールリベリオンとラヴァーズリベリオンのアーマーが解除されたのであった――――――

 

「あぁ?どういう事だ・・・・・・・?」

 

「今だ――――!」

 

突然の事に疑問を抱く我怨の隙を突いて、彼の腕を解き、双葉をこちらに抱き寄せる。

 

「双葉・・・・・・よかった」

 

「愛人・・・・・・・・」

 

愛を囁く時間はない。そう察した2人は、我怨から少し離れる。何故、リベリオンのアーマーが解除されたのかを、考えていると、ある事に気づく。

 

「そうか!制限時間!ここでリベリオンを装着できるのは1時間・・・・・・今で丁度1時間だったのか・・・・・」

 

そう、サイバープログラム内でリベリオンとして戦えるのは1時間。そしてその1時間が経過すると・・・・・・・・・出口は全て封鎖され、24時間は出る事が出来ない・・・・・・・

 

「だけど、逆にチャンスじゃない、私は変身できる。今ならアイツを・・・・・・・・」

 

確かに双葉は今は1時間の制約は受けていない。この隙に我怨を倒す事も出来るが・・・・・・・・

 

「ダメだよ、この戦いのルールの1つ、生身での攻撃は禁ずる、のはずだよ。今はうかつに攻撃できない・・・・・・・・」

 

この戦いの7つ目のルール7つ目は「リベリオン同士の戦い以外での殺す事(脱落させる事)もペナルティと見做す」つまりは生身の状態を不意打ちで倒す事が出来ない。つまりはこの1時間、戦闘は行えないという事だ・・・・・・・・・・・・・

 

「やれやれ、これは長期戦になりそうだね・・・・・・・・」

 

油断は出来ない。何故ならここはサイバープログラム。クリーチャーがうじゃうじゃいるのだから。生身の状態だと、食べて下さいと言わんばかりだ。しかし、愛人と双葉にそれは問題ではいない。お互い交互にラヴァーズリベリオンを使用し、互いを守りながら戦えるのだから。

 

「とりあえず、一旦距離を置くよ」

 

「えぇ」

 

愛人と双葉は、その場を離れる。それを我怨が追いかけようとするが・・・・・・・・・・・・・

 

「あぁ?ちっ・・・・・邪魔が入ったか・・・・・・・・」

 

我怨の背後から、数匹のベノスティンガーが、襲いかかり、尻尾が我怨に直撃――――――――――

 

バキっ―――――――――――!

 

ベノスティンガーの尻尾を、バイオヘルダイルが食らう。その隙に、我怨もその場を離れる。

 

「さぁて、これからどうしますか・・・・・・・・・」

 

出口が出現するまで、後24時間・・・・・・・・壮絶な長期戦闘が繰り広げられる・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

それから数時間経った頃・・・・・・・・・・

 

「フゥ、これで全部か?随分と多かったもんだ」

 

クリーチャーの反応を察知したソルリベリオンは、複数のマーリンフルーレと交戦し、それを全滅させていた。

 

「そういや、近くでスゲェ音したけど、また他のリベリオン使用者が戦って・・・・・・・」

 

ソルリベリオンから遠い距離のビルから、激しい爆発音が聞こえた。恐らくフールリベリオンとラヴァーズリベリオンとの戦いであろう。

 

「また誰かが犠牲になる前に・・・・・・・・・」

 

これ以上犠牲を出したくない。そんな思いで、ソルリベリオンは爆発音のした方へ向かう。しかし―――――――

 

ズゴォォォォォォ――――――――ン!!

 

突如と、ソルリベリオンの目の前に"何かが"落下してきた。

 

「何だ・・・・・・一体?」

 

その"何か"は立ち上がる。その正体は、両腕が大きく、巨大なガントレットが目立ち、ゾウの耳を尖らせた様な、ヘッドギアをし、今までのリベリオンより、一回り大きく、体格がゴツイ、以前ルナリベリオンと交戦したリベリオンであった。力強い象徴を思わせるリベリオン・・・・・・「力」(STRENGTH)のタロットカードを意味する、ストレングスリベリオンであるだろう。

 

「クッ・・・・・・・戦うしかないのか!?」

 

拳を握り締め、ファイティングポーズを構えるソルリベリオン。果たして、戦いの行方は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り18人

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン】

ストレングスリベリオン

【全長】234㎝

【体重】150キロ

【常設武器】強力腕ストロングブレイカー

タロットカードの「THE STRENGTH」を意味するリベリオン。総合ランクA-。両腕が大きく、巨大なガントレットが目立ち、ゾウの耳を尖らせた様な、ヘッドギアをし、今までのリベリオンより、一回り大きく、体格がゴツイ。22機のリベリオンの中でも、一番高身長で、体重が重い。使用者は現時点では不明。


1時間の制限時間を超え、極限のサバイバル状態となったフールリベリオンとラヴァーズリベリオン、どちらに勝利の女神は微笑むのか・・・・・・・
そして、ストレングスリベリオンとソルリベリオンが合い間みえる・・・・・・・・そして、その正体にハルトは・・・・・・・・・・・

次回もこうご期待!!


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第18話「力の矛先 崩れる愛」

前回までのあらすじ
フールリベリオンとラヴァーズリベリオンが戦う中、双方共に1時間の制限時間が切れ、24時間サイバープログラムから出られなくなり、極限のサバイバルバトルが始まる・・・・
一方、ソルリベリオンはストレングスリベリオンと対決する・・・・・果たして、ハルトはどう戦うのか・・・・・・・・・


「戦うしかないのか・・・・・・・」

 

ストレングスリベリオンにファイティングポーズを構えるソルリベリオン。

お互いに緊張が走る中、先に動いたのはストレングスリベリオンの方だった。

 

「ファッ!」

 

ストレングスリベリオンの(ストロングブレイカー)の一撃が、ソルリベリオンに降りかかる――――!

 

「なっ・・・・いきなりかよ!!」

 

間一髪、ストロングブレイカーの一撃を避けるソルリベリオン。

体制を崩してしまい、少しの間よろけてしまう。

 

「何てバカ力だよ・・・・・・コイツはヤバいな・・・・・・・・」

 

ソルリベリオンは、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共に、空から、レオファングが召喚され、それを右手に装備する。

 

「ハァァァァァ―――――――!!」

 

右腕に取り付けたレオファングにエネルギーを集中させ、右手を後ろに構える。

それに恐れる事無く、ストレングスリベリオンは前進する。

 

「悪いな・・・・・お前は倒さないけないんじゃ・・・・・・」

 

小声で言い放つストレングスリベリオン。その口調はどこか、訛っていた。

その声に、聞き覚えがあったのか、ソルリベリオンは動揺する。

 

「今の声、どこかで・・・・・・・・」

 

そう考えている内に、ストレングスリベリオンが目の前まで接近していた。

 

「しまっ――――――――――」

 

ブォォォォォォォォォォォォ――――――――――!!

 

咄嗟に、集中させた火球をストレングスリベリオンに放つが、手元が狂ったか、狙った方向とは別に、ストレングスリベリオンの肩の方に放たれた。

 

「外した・・・・・・それにしてもこの威力、直撃したら危ないかもな・・・・・・・」

 

火球がかすったストレングスリベリオンの肩のアーマーは、少しであるが、形がなくなっていた。ソルリベリオンも戦いの中で強くなっている証拠か・・・・・・・・・

 

「まずは・・・・・・アンタから止めねぇと!」

 

ソルリベリオンは少し後ろに下がり、間合いを取る。

 

「攻めないのなら・・・・・こっちからいくで!」

 

ストレングスリベリオンは、右腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、左腕のストロングブレイカーの中に収納されているデバイスに装填「パワーイン」の電子音声と共に、ストレングスリベリオンから、赤いオーラが発生し始めた。

 

「何だ、このオーラ!?こっからでも凄まじく感じやがる―――――!」

 

ソルリベリオンが両手で防御の構えを取るが、ストレングスリベリオンは約100mの間を5秒も経たない内にダッシュし、ソルリベリオンに、右アッパーを炸裂させる。

 

バゴォ―――――――――――――ン!

 

「ガはっ―――――!」

 

アッパーを喰らい、地面に叩きつけられるソルリベリオン。胸部と左肩のアーマーに、ヒビが入る。

 

「何だこの威力・・・・・・・・イてぇってレベルじゃねぇ・・・・・・・・・」

 

倒れるソルリベリオンを見つめながら、ストレングスリベリオンは、タロットカードを手に取る。

そのカードには、両足に爪の鋭い鋼鉄のブーツを履き、鼻が少し尖っており、キバがドリル状のゾウのクリーチャーが描かれていた。

 

「行け・・・・・・」

 

タロットカードを上に翳すと、そのカードに描かれていたゾウのクリーチャー(ペインエレファント)が召喚され、ソルリベリオンの方に突進をする。

 

「デカっ!?アイツの馬よりデケェじゃぇねか!!」

 

アイツとは、国枝半蔵=チャリオットリベリオンの事であり、ペインエレファントの全長は約7m、シルバアーマホースよりも大きい(シルバアーマホースはチャリオットフォートレスの大きさも含まれているが)

 

「グァっ!?」

 

ガンっ――――――!

 

ペインエレファントの尖った鼻が、ソルリベリオンに振り払う様にして叩く。

吹き飛ばされ、受けたダメージが大きく、立ち上がる事もままならない。

 

「悪く思わんでくれよ・・・・・・家族の為だ」

 

ストレングスリベリオンは、右腰のホルダーに手を添えた時、ソルリベリオンが語り掛ける。

 

「家族の為・・・・・・・まさかアンタ・・・・・力か!?」

 

「その声・・・・・・・お前、ハルトだったのか!?」

 

家族の為、そしてこの訛った口調、ソルリベリオンは、ストレングスリベリオンの正体が田井中力である事を確信した。そしてまたストレングスリベリオンもソルリベリオンの正体が、ハルトである事を知った。

 

 

「へぇ~面白い事になってるね」

 

その光景を、ビルの屋上で触手をうねらせながら、眺めているハーミットリベリオンの姿が見える。声質は同じであるが、ルナリベリオンと戦った時の女性的な口調ではなく、少年の様な口調であった。

 

「どうして・・・・・・アンタがこんな戦いに参加してるんだよ!」

 

ソルリベリオンはストレングスリベリオンに戦いに参加した理由と問う。その答えは・・・・・・・・・・・・

 

「言ったろ、家族の為・・・・・・みんなに苦しい思いはさせたくねぇ、その為さ」

 

「だから、お前はここまで来て出稼ぎ来てたんだろ!繁盛してたし、そこまで深刻じゃ・・・・・・・・・」

 

「金じゃねぇ!叶えたいのは・・・・・・・・故郷の復興さ」

 

俺の故郷・・・・・・・それは昔、農業が盛んでいて、世界中に野菜を売ってたくらいさ、だがある時、大規模な台風が来てな、そのせいで畑は荒れ、田んぼは溢れ、動物は死んでいった。

 

おかげで野菜も今までの4割って所さ、今までの様に繁盛しなくなり、暮らしに困った者は数知れない、多くは故郷を離れた者が多い・・・・・・・・・・・

少しでも野菜達の味を思い出してもらう為、俺はこの街にやって来た。

ある時だ、妙な男からこの電話みてぇなもんを渡せれて言われたんだ「この力で戦い、最後の1人になれば、君の望みも叶うだろう」とな。だから俺は勝ち残らなきゃいけねぇ・・・・・・・・あの頃の故郷を取り戻す為!!

 

「そんな事が・・・・・・・・・・・・」

 

ストレングスリベリオンが戦う理由を知ったソルリベリオンは、膝から崩れ落ちた。

彼もまた伊織同様、家族の為、そして故郷の為に戦う事に・・・・・・・・・・

 

「でも・・・・・でもそんな事、お前の家族は望んではいないだろ!それに分かってるだろ・・・・・この戦いに負ければ、存在が消える、もしお前が負けたら・・・・・・お前の家族はお前の事を思い出せなくなるんだぞ・・・・・・・・!!」

 

涙ながらの、ソルリベリオンの説得、その拳から、心から戦いを止めようとする思いが滲み出ている。

ストレングスリベリオンの心に響いたか、胸を押さえ始める。

 

「お前・・・・・・どうしてそこまで・・・・・・・」

 

「こんな戦いしなくても・・・・・・・・お前は故郷を復興できる、そうだろ!!」

 

「だが・・・・・・・後戻りは出来ん・・・・・今さら・・・・・・」

 

あぁ、確かにこの戦いからは逃げられない、後戻りは出来ない、だから戦い続けるのか・・・・・・・・・いや―――――――

 

「後戻りできねぇよ!だから俺は戦いそのもを止める!!きっと方法はある、黒幕を倒せばきっと!」

 

「黒幕・・・・・・・だが、ソイツが誰か分からん限り・・・・・・・・・」

 

「いや、黒幕は・・・・・俺達の中にいるらしい、残りの使用者の中に」

 

「何、残りの使用者の中に!?」

 

ソルリベリオンは、この戦いの黒幕は残りの使用者の中にいる事を、ストレングスリベリオンに話す。

それを聞き、驚きが隠せないでいる。

 

 

 

 

 

「そうか・・・・・・・・そういう事だったのか」

 

その話を、ルナリベリオンが柱の陰から、ひっそりと聞いていた。本当なら後ろから襲撃しようと考えていたが、気が変わったのか、その場を去る。

 

「俺達が力を合わせれば・・・・・・きっと出来るさ!」

 

「ハルト・・・・・・・・っ――――!?後ろ!」

 

ソルリベリオンの言葉に心が揺らぐストレングスリベリオン。そのソルリベリオンの後ろから、カエル型のクリーチャー(アクスフロッグ)が飛び掛かる姿を、ストレングスリベリオンが発見する。

急いで右腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ペインエレファントが地響きを鳴らす。

 

ズシン―――――――――――――!

 

「なっ・・・・・・なんだ!?」

 

その地響きで、アクスフロッグは地面に落下し、それをペインエレファントが尖った鼻を使い巻き付ける。

 

「ハルト、しっかり避けろ!」

 

その言葉通り、ハルトは右側の方向に避ける。その後、ペインエレファントが巻き付けていたアクスフロッグをストレングスリベリオンの方向に投げる。

 

「ウォォォォォォォォ―――――――――――!」

 

投げられたアクスフロッグを、ストロングブレイカーで殴り、上空へアクスフロッグを飛ばす。

それに追いつくように跳躍し、アクスフロッグを両手で掴み、地面に叩きつけ、ローリングクレイドルの様に、回転し、最後に壁の方に叩きつけ、必殺技(ダイナミック・ウィン・ホール)が炸裂する!!

 

グルグルグルグル――――――――バゴォ――――――――――――ン!

 

叩きつけらたアクスフロッグは、爆散し、それをペインエレファントが食べ始める。

 

「すっ・・・・・・スゲェ」

 

凄まじい力っぷりを目の当たりにしたソルリベリオンは、驚きのあまり、目が離せなかった。

そんな空の前に、ストレングスリベリオンが近づき一言放つ。

 

「ハルト、確かに俺は間違っていたかもしんねぇ、家族や故郷の事を考えてばかりか、周りが見えなくなってた。すまねぇ」

 

「いやいや、誰かの為にって思いは・・・・・・強いもんだからな」

 

これでハッキリした、力と伊織は誰かを思う気持ちが似ていた。そう感じたソルリベリオン。ようやく、分かりあえた人物に出会えて、安心しているかの様に頭を掻く。

 

「一緒に止めよう、この戦いを」

 

「あぁ、絶対できるさ、俺達なら!」

 

ソルリベリオンとストレングスリベリオンが協力する事を誓い、握手を交わそうとした・・・・・・・・・・・・・・・その時―――――――!

 

「危ない―――――!」

 

バッ――――

 

ストレングスリベリオンがソルリベリオンを突き飛ばす。

 

「なっ・・・・・・何っ・・・・・・何を!」

 

尻もちをついたソルリベリオンが起き上がり、目にした光景は・・・・・・・・

 

「オイ・・・・・・何だよコレ・・・・・・・」

 

「ばっ・・・・・バカな・・・・・・」

 

ストレングスリベリオンの腹部に、紫色の槍の様な物で貫かれており、槍が引っ込むと同時に、地面に倒れ込む。

その光景を目の当たりにし、手を伸ばそうとした時・・・・・・・・・

 

「ハハハハハハ―――!随分壮大な茶番劇だったね!!まっ、三流にも劣るけどね」

 

ストレングスリベリオンの背後から、ハーミットリベリオンが現れ、さっきまでの会話の内容を、嘲笑っていた。

 

「お前・・・・あの時の―――!」

 

ソルリベリオンは、ハーミットリベリオンを見て、以前ギガ・オーガ戦にて目にした事を、思い出す。

 

「覚えていたのかい・・・・・・・それは嬉しいね」

 

ゆっくりとこちらへ近づいてくるハーミットリベリオン。

ソルリベリオンの3歩前まで近づいた時、その足をストレングスリベリオンが掴む。

 

「ハルト・・・逃げろ!お前は・・・・・生きろ・・・・生きて・・・・・この戦いを止めてくれ!」

 

「おっ・・・・・・おい・・・・やめろ・・・・・・やめろぉ!!」

 

ストレングスリベリオンを助けようと、ソルリベリオンがハーミットリベリオンの方に前進するが、紫色の触手がソルリベリオンを襲い、道を阻む。

 

「さてと・・・・・・さっさと終わりにするか」

 

ハーミットリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、膝のランタンを展開し、中に収納されていたデバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ハーミットリベリオンの元に、紫色のイカ型のクリーチャー(ヴェノムクラーケン)が現れ、ストレングスリベリオンを10本の触手で巻き付ける。

 

「ガハっ・・・・・・・・あぁ・・・・・・・」

 

既に虫の息のストレングスリベリオンを、ヴェノムクラーケンが地面に叩きつける。その後触手を開放し、尖った触手でストレングスリベリオンを百裂拳の如く突く。

 

ガンガンガンガン――――――――ズガズガズガズガズガズガ――――――――――――!

 

「さぁ、これで止めだ――――――!」

 

突き上げられ、上空に飛ばされたストレングスリベリオンに、ハーミットリベリオンがハーケンスピアに紫色のエネルギーを集中させ、勢いよく、ストレングスリベリオンの方に投げる。

 

ビュン――――――!

 

投げられたハーケンスピアは、ストレングスリベリオンを貫き必殺技(ハーミット・ロウ)が炸裂する。その体からは、血が流れ、ハーミットリベリオンとソルリベリオンに、血が降りかかる。

 

「そんな・・・・・・・・・・」

 

降りかかる血を見て、ソルリベリオンは膝から崩れ落ちた。

そして、自身の目の前に、ストレングスリベリオンが地面に叩きつけられる。

 

「おい・・・・・しっかりしろ!お前・・・・・・故郷を復興したんだろ!だったら・・・・・・こんな所でくたばってる時じゃないだろ!!」

 

ストレングスリベリオンの肩を揺らすソルリベリオン。

そんな彼の肩を掴み、言い放つ。

 

「すまんのぉ・・・・・・・もう無理みたいだべ。もっと・・・・・早く気づいていれば、こんな事にならんかったかもな・・・・・」

 

その言葉はとても弱っており、体全身が震えていた。

 

「ハイハイ、遺言はそれだけ?じゃぁ、バイバーイ」

 

1本の触手が、倒れているストレングスリベリオンを掴み、柱の方に放り投げる。

 

「みんな・・・・・・・・約束・・・・・・守れんかったわい・・・・・」

 

チュド―――――――――――――――――――――――ン!

 

最期の言葉を残し、ストレングスリベリオンは爆散する・・・・・・・・・・・・その残骸が、辺りに散らばる。アルカナデバイスは無傷で、地面に落ちた後、瞬間移動する様に消えてた。

 

「そんな・・・・・やっと・・・・・・やっと分かり合えたのに・・・・・・・クソォォォォォォォォォォォ!!」

 

ソルリベリオンにとって初めて戦いの中で分かり合う事が出来た人物。

助けられなかった、その悔しさのあまり、雄たけびを上げる。その姿を、ハーミットリベリオンは嘲笑う。

 

「何をおかしな事を・・・・・・・戦い続けるのが僕らの宿命じゃないか」

 

「っざけんな・・・・・ふざけるな!」

 

ハーミットリベリオンの言葉に対し、ソルリベリオンは怒りの限界を迎えた・・・・・・・・拳を握り締め、体全体から力強いオーラが放たれる。

 

「話し合いで、分かり合える奴もいる・・・・・でも、お前みたいに殴らないと分からない奴らもいる・・・・・・・だった俺は―――――――」

 

左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「フレイムイン」の電子音声と共に、ソルリベリオンの体は炎に包まれる。

 

「何?やる気になった?だったら・・・・・」

 

それに対抗し、ハーミットリベリオンも左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、膝のランタンの中に収納されているデバイスに装填する「スピアイン」の電子音声と共に、クラーケニールが空から召喚され、それを手に取る。

 

「ウォォォォォォォォォォォォォォォォ――――――――」

 

炎を纏い、ハーミットリベリオンに前進するソルリベリオン。

ハーケンスピアを構え、心臓目掛けて突き刺そうとするが・・・・・・・・・・

 

ガシ―――――っ!

 

「なっ・・・・・・こんな力・・・・・どこから!!」

 

ハーケンスピアが掴まれ、目の前まで引き寄せられるハーミットリベリオン。その鳩尾に右拳のパンチが炸裂する!

 

バキ――――っ!

 

「へぇ・・・・・本気出せば出来るじゃん・・・・・・さぁもっと掛かってき来なよ!」

 

ソルリベリオンを挑発するハーミットリベリオン。

それに乗ったのか乗らなかったのか分からないが、一瞬で背後に移動し、頭を掴み地面に叩きつける。

 

バゴォ―――――ン!!

 

「あっ・・・・・・侮っていた・・・・・・これ程まで強いとは・・・・・随分厄介な奴だ・・・・・」

 

頭を撃ち付けられ、立ち上がるハーミットリベリオンは、ソルリベリオンの強さを侮っていた事を改めて考えてる。

次の手を考えていると、体から粒子が溢れ出す、制限時間が来たのだろう。

 

「フゥ・・・・どうやら時間の様だね、また戦える事を祈るよ」

 

そう言い残し、ハーミットリベリオンは監視カメラの中から現実世界へ戻る。

 

「俺は・・・・・・俺は―――――――――――!!」

 

空を見上げ、悔い改めるソルリベリオン。戦いを止める。だけど言葉だけじゃない、時には拳を交える事も必要だと、改めて感じていた・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

そして、フールリベリオンとラヴァーズリベリオンの戦いはと言うと・・・・・・・・・・・

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・・ここまで来れば、一先ず安心だね」

 

愛人と双葉が来た場所は、廃墟と化したビルの中の一室であった。

走り続け、体力を回復している最中であった。

 

「それにしても、後どれくらいなのかしら・・・・・・・・・・」

 

後何時間で24時間になるのか・・・・・・・・・・デバイスを確認すると、残り時間は23時間を示していた。つまりは1時間変身不能の時間は過ぎた。

 

「まだ1時間・・・・・・・・・こんなのどうするれば・・・・・・・」

 

不安を感じたのか、双葉は頭を抱える。

そんな彼女を安心させるため、愛人は彼女を抱きしめる。

 

「心配ないさ、僕が付いている。だからそんなに震えなくていいんだよ」

 

「ありがとう・・・・・・・」

 

少し心が落ち着いたか、双葉は少しの間眠りに着いた。

 

「さて・・・・・・誰もいないか・・・・・・」

 

双葉が眠っている間、愛人が窓から様子を見る。

少し遠くに数体のクリーチャーがいる事が確認されるが、こちらには反応していない。もちろん我怨も。

 

「とにかく、ここからどうするべきか・・・・・・・っ!」

 

戦いの中で、攻撃を受けた右足が痛み、座り込む愛人。

双葉に知られない様、少し遠くへ離れる。

 

「ん・・・・・・数にも限りがある、何時まで持つか・・・・・・・」

 

ポケットの中にしまってあった痛み止めを飲み、痛みを和らげる。

だが、薬も限りがある。それに薬が切れれば、痛みは倍になって返ってくる・・・・・・・・・・・・

 

「彼女にはもう指一本触れさせない・・・・・・・・絶対に」

 

双葉を守る為、2人だけの楽園の為・・・・・・・愛人は戦う。どんな手段を使っても・・・・・・・・・・・・・

 

 

◇◆◇

 

一方我怨は・・・・・・・・・・

 

「何処だ・・・・・・何処にいやがる!ハァ・・・・・俺を焦らすなぁ!!」

 

目に着いたところを手当たり次第探し出すが、一向に見つける事が出来ない。彼の殺気に反応したか、イェナイェーガーが5体程我怨の後ろから奇襲に掛かる。

 

「あぁん・・・・・・・お探しなのはお前らじゃぁねぇんだよ!!」

 

苛立ちが高まったのか、イェナイェーガーを蹴り上げる我怨。変身しないでクリーチャーに太刀打ち出来る、彼の戦闘能力は計り知れない。

 

立ち上がり、すぐ様我怨に襲いかかるが・・・・・・・・・・

 

グチヤ―――――――!

 

その後ろから、バイオヘルダイル、アポロナインフォックス、バンデットシーミアが頭から食らい始める。我怨には契約クリーチャーが3体いる、戦えない間、クリーチャーがカバーしてくれる、その分ではラヴァーズリベリオンの戦法と五分五分である。

 

「さぁて・・・・・ど~こにいるのかな~」

 

鼻歌を挟みながら、愛人達を探し出す我怨。

果たしてどちらに女神は微笑むのか・・・・・・・・・・その時、我怨の頭上から、何者かが襲いかかる――――

 

「あぁ・・・・待ってたぜ!!」

 

現われたのは、双葉が変身したラヴァーズリベリオンF(フィーメイル)であった。一体何故・・・・・・・・・

その頃、愛人が双葉の所に戻ると・・・・・・・・

 

「双葉・・・・・・一体何処に!?」

 

そこに双葉の姿はなかった。激しい音が聞こえ、ビルを降りて、辺りを見回す。

 

「あそこからか・・・・・・・・・」

 

ビルから右の方へ移動し、双葉を探す。200m先の方まで移動すると・・・・・・・・・

 

「このっ!私がアンタを倒す!そして、最後まで勝ち残る!!」

 

「姿勢はいいなぁ・・・・・・・だが、そんなザマじゃ俺を倒せねぇよ!!」

 

ラヴァーズリベリオンFとフールリベリオンが戦闘を行っていた。それを目にした愛人は、隅っこの方へ隠れる。

 

「双葉・・・・・君って奴は・・・・・・」

 

自分の為に戦ってくれる事に、嬉しさを感じていたが、今は心に押し止めている。状況を見ながら、様子を見続けている。

 

「ハァ・・・・・・・とんた期待外れだな、まっもう1人いたなぁ・・・・・・」

 

ラヴァーズリベリオンFを圧倒し、装甲にヒビが入るくらいのダメージが入っている。止めを刺そうと、フールリベリオンが右腰のホルダーに手を添えようとした時・・・・・・・

 

ギャオォォォォォォォォォォ――――――――!

 

クリーチャーの雄たけびが聞こえた。フールリベリオンが空を見上げると頭上にドラゴキューピッドが飛び舞、火球を放つ。

 

ブォ―――――!

 

その隙に、愛人がラヴァーズリベリオンFをこちらに呼ぶ様に右手を振り、合図をする。

 

「愛人・・・・・・・分かったわ」

 

フールリベリオンが火球の攻撃を受けている内に、ラヴァーズリベリオンFは、愛人の方へ移動する。

 

「全く・・・・・無茶して」

 

「ゴメンなさい、でも、貴方ばかりに無茶させたくなくて・・・・・・・・・」

 

「ともかく、体制を立て直そう」

 

そう言い、愛人達は、離れた場所へと移動を開始する。

 

「ハァ・・・・・相変わらず、くっ付くのがお好きなご様子で・・・・・・・」

 

火球を防ぎながら、フールリベリオンはニヤリと笑う。

 

 

 

 

 

「ハァ・・・・・・ここなら追っては来れない」

 

ラヴァーズリベリオンFのアーマーを解除した双葉は、落ち着いて深呼吸をする。

 

「奴には普通に向かっては勝てない、僕らの力を最大限生かして戦うんだ」

 

愛人は、真正面に戦っては、フールリベリオンには勝てないと判断した。そこで、自分らなりの戦いを行なう作戦を考える。

 

「2手に別れるんだ、それでどちらかが奴を見つけたら、倒さなくていい、時間稼ぎをするんだ。戦っていない方が、僕らのクリーチャーを使って背後に回るんだ、近くまで移動したら、戦ってる方はうまく変身を解除して、そこを背後から一気に仕留める。それでいいかい?」

 

愛人の考え、2手に別れ、それは片方が戦っている間に、片方がドラゴキューピッドに乗り、戦っている所まで移動する。

その隙を突いて、片方が変身を解除した瞬間、もう片方が背後から一気に止めを刺す事。確率は半々、だが彼らにこれ以外の勝機はない。チャンスは一度切だ。

 

「分かったわ・・・・・・・必ず勝ちましょう」

 

「あぁ・・・・・絶対さ」

 

そう言い、誓いのキスをした後、2手に別れた。

これがどう互いの運命を左右するのだろうか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「っく・・・・・・逃げてばっかいんじゃねぇよ、こっちはよう、ウズウズしてんだからよぉ!!」

 

探し回るフールリベリオンは、苛立ちのあまり、周りの物に八つ当たりをしながら、愛人達を探していた。

そこへ背後からやって来たバイオヘルダイルが何かを伝える様に唸る。

 

「フッ・・・・・・・なるほどな」

 

何かを悟ったフールリベリオンは、薄ら笑いをする。この笑みの意味とは・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「さて・・・・・何処にいるのやら・・・・・」

 

フールリベリオンを探す愛人。しかし油断は出来ない、周りにはクリーチャーがいるのだから。

それに警戒しながら、辺りを見回す。

 

「いた――――!そうだ、足止めだけでいい・・・・・・・」

 

フールリベリオンの姿を発見した愛人は、デバイスを左二の腕に装着し、ラヴァーズリベリオンM(メイル)に変身し、背後からフールリベリオンに襲いかかる!

 

「ハァァァァァァァァァ―――――!」

 

「あぁん・・・・・・・・」

 

フールリベリオンに正拳突きをお見舞いさせようとするが、その拳を片手で受け止められ、そのまま放り投げられてしまう。

 

グシャぁ―――――!

 

「っ・・・・・流石に、通用しないか」

 

「やっとお見えになったか、で、ハニーの方はどうしたよ?」

 

フールリベリオンは双葉がいない事に気づき、何処にいるのかを聞く。

 

「そんな事、簡単に教えるワケないだろ!」

 

ラヴァーズリベリオンMは武器無しで、素手でフールリベリオンに挑む。と言うのも、ドラゴキューピッドは双葉が乗っている為、武器を召喚させる事が出来ない。

 

「いいねぇ!!楽しもうじゃぁないかぁ―――――――!」

 

ダイルブレードを握り、フールリベリオンは、ラヴァーズリベリオンMの方に前進する。

 

「分が悪い・・・・・・だとしても!!」

 

果敢に挑むラヴァーズリベリオンM。武器を持つフールリベリオンの方が、押していても、それでも耐え続ける。双葉が来るその時まで・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「始まったのね・・・・・・愛人、今行くわ・・・・・」

 

ドラゴキューピッドに乗っている双葉は、デバイスで、2人が戦っている事を確認し、その場所へ悟られない様、移動を開始する。

 

 

 

「どうした?さっきから攻撃が当たらないけど」

 

ダイルブレードの1振り1振りを身軽に交わすラヴァーズリベリオンM、その隙を突いて、左足で、背後から蹴りを与え、フールリベリオンは倒れ込む。

 

「グッ!?やるじゃぁねぇか、だがよぅ、こっからが本領と言う所だ」

 

立ち上がったフールリベリオンは、笑いあげながらラヴァーズリベリオンMに向かって行く。そこである事に気づく。

 

「どうしてだ?何故狭い所ばかり向かって・・・・・・これじゃぁ・・・・・・・」

 

フールリベリオンが攻める場所の殆どが、狭いエリアの方へ近づいていく、このままじゃ背後からの襲撃が出来ない。何としても、広い場所へ引き寄せようと、攻めるが、首筋を掴まれる。

 

「いい事を1つ、教えてやるよ、俺もなぁ・・・・・1人で戦ってんじゃねぇんだよ!!」

 

そのまま、ビルの方へ力強く放り投げる。

 

「ゲホッ・・・・ゲホっ・・・・・・早く、ここから出ないと・・・・・・ハッ―――――!」

 

立ち上がり、ビルの中から出ようと扉の方に移動すると、扉は封じられていた。そして周囲を見てみると・・・・・・・・

 

「そんな・・・・・・・こんな事が――――!」

 

部屋の中一帯が、太い紐の様な物で囲まれていた。つまりはここから移動が出来ない状態となってしまった。

 

「一体、コレはどういう事なんだ!!」

 

「オイオイ、俺が何も知らないと思ってたか?全部筒抜けだよ」

 

扉の近くまで来たフールリベリオンがラヴァーズリベリオンMに言い放つ。

その後ろにはバイオヘルダイルが。そうさっきバイオヘルダイルが伝える様に唸っていたのは、愛人達の作戦を密かに聞いており、それを伝えていたのだ。

 

「クリーチャーが伝えていた・・・・・・言葉が通じないのに何故!?」

 

「あぁ・・・・・・強いていうならよぉ、勘って奴だ」

 

バカな・・・・・・勘だけで、作戦が見破れる!?ありえない・・・・・・このままじゃ双葉が!

 

 

 

 

 

「何処にいるのかしら・・・・・・・」

 

ラヴァーズリベリオンMの所まで移動する双葉、何かを感じたのか、ドラゴキューピッドは行くべき場所とは別の方向へ移動し始める。

 

「えっ!?何してるのよ!向かうのはあっち!」

 

言う事を聞かないドラゴキューピッドから飛び降り、双葉は、愛人の元へ走り出す。

 

「お願い・・・・・・今行くから・・・・・・・・・」

 

 

 

「言ったろ、1人じゃないって、ソイツをよく見てごらん」

 

「これは・・・・・・まさか!?」

 

言われるままラヴァーズリベリオンMが太い紐の様な物によく見る、そして上の方を見ると、天井にはバンデットシーミアがぶら下がっていた。そうこれは、バンデットシーミアの伸びた腕であった。

1人じゃないといった意味、それは契約クリーチャーの事であった、バイオヘルダイル、バンデットシーミア、アポロナインフォックス、3体所有しており、戦いに応じた戦略を練っていたのであった。

 

「気づいても遅ぇよ、精々ハニーの死にざまをあの世で見てな」

 

フールリベリオンが左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、ダイルデンジャー中に収納されているデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、バンデットシーミアの手足を使い、パチンコの様に反射し、ラヴァーズリベリオンMにダメージを蓄積させる。弱った所に、頭部に両足で勢いよくバンデットシーミアの腕で反射し、キックを炸裂させ必殺技(デス・ハングド・オーバーキル)が炸裂する!

 

バキ―――――――――――――――っ!

 

強烈な蹴りを喰らい、ラヴァーズリベリオンMはビルを突き抜け、地面に落下し、無残に爆散する――――――

皮肉にも、その光景を双葉が目にしてしまう・・・・・・・・・

 

「えっ・・・・・・嘘でしょ・・・・・・・・」

 

その光景を目の当たりにするも、愛人の死を信じられないでいる。

 

「いやぁ・・・・・・・・愛人ぉ・・・・・・・嘘だよね?嘘って言ってよ!!」

 

その言葉に返答はない、残ったのは無残に燃えるラヴァーズリベリオンMの残骸、そして流れる愛人の血であった。

 

「あらら・・・・・見ちまったか・・・・・不幸なこったぜ」

 

「あぁ・・・・・・・・あぁ・・・・・・・・」

 

愛人を殺したフールリベリオンに対する怒り、それよりも彼に対する恐怖心の方が強く、体中震え、脅え、言葉が出ない。

 

「どうしたよ、敵討ちしねぇのか?俺が憎いだろ?さぁ、さっさと来いよ」

 

「いっ・・・・・・・・いや・・・・・いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

発狂する様な奇声を上げ、フールリベリオンの元から逃げ出す。

 

「何だよ、つまらねぇな・・・・・・・ってあぁ・・・・また時間切れか」

 

呆れるも追いかけようとするが、再び制限時間となり、強制的にアーマーが解除される。

 

「まぁいいさ、焦らしもまた悪くねぇ」

 

逃げる双葉の方を見つめながら、床に流れる愛人の血を指につけ、それを舐めた。

彼の狂気的精神が、双葉を苦しめる・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間が経ち・・・・・・・・・・・・トイレの中に隠れる双葉。

愛人を失い、1人となった悲しみ、目の前で殺された絶望、そして何よりも我怨の狂気に恐怖している。

 

「もう無理よ・・・・・・・・あんなの勝てるわけない・・・・・・・私1人じゃ・・・・・・」

 

ラヴァーズリベリオンは2人で真価を発揮させるリベリオン。

1人では半分の力も出せない。

 

「後・・・・・・・・20時間!?あぁ・・・・・・私はどうすれば・・・・・・・」

 

出口が開くまで後20時間、この時間こそが恐怖そのものだ。クリーチャーの足音にさえも、双葉は驚き、錯乱する。

 

「やぁ・・・・・こんな所、地獄よ!誰かぁ・・・・・・助けてよぉ・・・・・・誰かぁ・・・・・・」

 

助けてくれる存在は何処にもいない・・・・・・・そんな孤独の時間は続く・・・・・・・・・・・・

 

ドゴォォォォォォォォォォ!!

 

トイレの壁が崩れ後ろを振り向くと、巨大化したビーワプスが数匹群がっていた。

 

「ひぃ――――っ!もぅいや・・・・・・・やめてよおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

クリーチャーに恐れを感じ、変身もせずに、双葉は逃げ出す、隠れればクリーチャーに襲われ、逃げ、それの繰り返しが幾度となく続いた・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

そしてそれが45回目の時・・・・・・・・・・

 

「あぁ・・・・・・・愛人・・・・・・何処にいるの・・・・私を追いてかないで・・・・・・・」

 

遂には、愛人の幻覚を見える様になってしまった。

そんな時、ポケットから落ちたデバイスにふと目が入る。

 

「ようやく・・・・・・・・ようやくよ・・・・・・・!」

 

画面を見ると、出口が開くまで、30分を切っていた。逃げ続けている内に、時間があっという間に経っていた・・・・・・・・・

 

「戻って、誰かを利用すれば・・・・・・・・・」

 

愛人の代わりの他のパートナーを見つけようと考える双葉、それは仮初めの共闘、全ては愛人をよみがえらせる為に、自分を偽ってでも勝ち残る、彼女の目は考えるあまり、赤く充血していた。

 

「み~つけた」

 

その背後に、きき覚えのある声がする。フールリベリオンだ。

 

「ヒィっ!?なっ・・・・・・何で!?」

 

「さぁ?何でだろうね?」

 

「後30分・・・・・・・それさえ凌げば私は元の世界に帰れる!」

 

双葉はデバイスを左二の腕に装着し、ラヴァーズリベリオンFに変身する。

 

「ハァ――――!」

 

足元を崩そうと、フールリベリオンの足の付け根を狙うが、逆に足を引っかけられ、転んでしまう。

 

「よくも・・・・・・・・絶対に許さない!」

 

<<ショットイン>>

 

元の世界に戻れるという希望を得て、恐怖よりも怒りが強くなった。しかし、それでもフールリベリオン強さは変わらない。

 

「そうか、ソイツは結構だ・・・・・・だが」

 

「っ!?」

 

ガン―――――っ!

 

ラヴァーズリベリオンFの背後から、何者かが突進を仕掛けた。その正体は・・・・・・

 

「一体なにが・・・・・・・」

 

よく見てみると、赤茶色のアルマジロトカゲ型のクリーチャー・・・・・・・ディスティニーラチェルタであった。

 

「こんな時に・・・・・・・こんな奴!」

 

ディスティニーラチェルタに気を取られていると、正面から、フールリベリオンがアッパーを炸裂させる。

 

「オイオイ、よそ見すんなよ」

 

フールリベリオンの両手をみると、なんとフォーチュンリベリオンの武器ある、ホイールパンチャーが装備されていた。そこから察するに、フールリベリオンはディスティニーラチェルタとも契約している事になる。

 

「えっ・・・・・嘘でしょ・・・・・・だって契約カードは1人3枚のはずじゃ――――――!」

 

「あぁ、そうだな、だが他の奴から奪って使うのも・・・・・・・ありなんだよなぁ」

 

話は双葉が逃げた直後に遡る。ラヴァーズリベリオンMの残骸を見つめる我怨、攻撃の衝撃落としたのか、契約カード2枚が散らばっていた。それを手にした時、目の前にディスティニーラチェルタが現れた。

主君(フォーチュンリベリオン)の敵討ちに来たのだろうか?そのまま突進を仕掛けようとすると、フールリベリオンがディスティニーラチェルタの方に契約カードを向け・・・・・・・・・・・・

 

「いい収穫だったぜ・・・・・・それと、楽しかったぜ、お前との鬼ごっこ」

 

フールリベリオンが左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、隣同士に立ったフールリベリオンとディスティニーラチェルタは互いを回す様に臀部を持ち上げ一斉に丸くなり、高速でタイヤの様に回転しはじめラヴァーズリベリオンF目掛けて、突撃し、連続で弾く、最後に挟み撃ちにして、ラヴァーズリベリオンFに激突し必殺技(ホール・オブ・ディスティニー)が炸裂する。

 

「きゃあああああああああああああ!!」

 

激突した衝撃で、弾き飛ばされ、ラヴァーズリベリオンFのアーマーが解除され、双葉は地面に叩きつけらた。

デバイスは離れた方向まで吹き飛ばされる。

これで双葉はなす術を失ったのであった・・・・・・・・

 

「して・・・・・・殺してよぉ・・・・・もぅ、いいからさ・・・・・」

 

術を失い、諦めた双葉は、フールリベリオンの膝を掴み、自らを殺してほしいと頼む。

 

「そりゃ無理な相談だ、だってこのまま殺したらルール違反だ」

 

ルールの1つ「リベリオン同士の戦い以外での殺す事(脱落させる事)もペナルティと見做す」今この場で双葉を殺せば、ペナルティが発生する。

それを分かって上でフールリベリオンは双葉の要求を断る。

 

「だからよぉ、逃げたきゃさっさと逃げりゃいいじゃねぇか」

 

言われた通り、弱った体で走る双葉、しかし彼女は気づいていていない、デバイスを手にしていなければ出られない事に・・・・・・

 

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・これでやっと・・・・・・」

 

ビデオデッキまで約5m、ようやくといったその時、双葉の服の襟を誰かが引っ張った。

 

「そんな・・・・・・嫌だ・・・・・死にたくない―――――――!!」

 

そこには無数のクリーチャーが双葉の周りを囲んでいた。

その足元には、1本のシステムメモリーが置いてあった。

 

「これって・・・・・オレが手を下したことにはならねぇよな?」

 

フールリベリオンのアーマーを解除した我怨は笑う。走る双葉に向かって、マークインのシステムメモリーを投げていた。

自らは殺していない、手を下すのは、クリーチャーなのだから。

 

「ごめんなさい・・・・・・ごめんなさい!!もう悪い事しないから・・・・・・・・・・・やめてよぉ・・・・・・」

 

命乞いはクリーチャーには通用しない。次々と双葉の体を食い漁る、手を千切り、足を頬張る、次第に彼女の嘆きは小さくなり、やがて・・・・・・・・・・・・・・

 

「これもまた「永遠」なのかもな・・・・・・ただし、地獄でな」

 

クリーチャー達がそれぞれ満足したのか、解散する。残ったのは、無残にも食い荒らされ、原形をとどめていない。

残ったのは、双葉の頭だけだった。

我怨の言う「永遠」「地獄」これまで、愛人と双葉の行ってきた事、当然天国へは行けない、地獄での永遠が2人を待っている・・・・・・・・・・・

 

「コイツは貰ってくぜ」

 

散らばった契約カード1枚を手にする。

30分が経ち、現われた出口用のゲートからサイバープログラムを抜け出す。

2人だけの幸せを求め、互いしか信用できなかった、それは同時に1人になった時の絶望感は異常なものとなる・・・・・・・・・・・・・ここから先、待っているのは希望か?絶望か?そこへ辿り着くのは自分次第・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り16人

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したクリーチャー】


ペインエレファント
【全長】7m
ストレングスリベリオンが契約するゾウ型のクリーチャー。ランクA
両足に爪の鋭い鋼鉄のブーツを履き、鼻が少し尖っており、キバがドリル状が特徴的。
契約クリーチャーの中で1番の大きさを誇り、圧倒的な力で敵を一掃する。


ヴェノムクラーケン
【全長】3m
ハーミットリベリオンが契約するイカ型のクリーチャー。ランクB-
10本の触手で相手を翻弄させる。暗闇の中で光る。吸盤は一度吸いついたら簡単には離れない。

ストレングスリベリオン

【パワーイン】
ビルドアッパー ランクB-
筋力上昇させる能力。通常の10倍の力を引き出す為、元々パワーのあるストレングスリベリオンだと他のリベリオンが使用する以上の力が引き出される。

【フィニッシュイン】
ダイナミック・ウィン・ホール ランクA+
ペインエレファントが地響きを鳴らし、怯んだと所を花で巻き付け、地面に叩きつけた後、ストレングスリベリオンの方に投げつける。その後敵をを両手で掴み、地面に叩きつけ、ローリングクレイドルの様に、回転し、最後に壁の方に叩きつける。




ハーミットリベリオン
【フィニッシュイン】
ハーミット・ロウ ランクB
ヴェノムクラーケンが相手を巻き付け、地面に叩きつけた後、触手で連続で突き、吹き飛ばされた所をハーミットリベリオンがハーケンスピアを投げ、相手を貫く。



今回は少し長くなりましたね。
ようやく他の使用者と分かり合えたハルト、しかしそこにハーミットリベリオンが割り込み力は敗れた・・・・・・・・考えた改め、拳で語る事を決めたハルト、動き出したハーミットリベリオンに注目してください!

そして、ラヴァーズリベリオン・・・・・・壮大な結末が待っていました。頼れる人を失い、孤独になってしまった双葉に待っていたのは、絶望だけ・・・・・・本末転倒と言うべきなのだろうか・・・・・・・・24時間と言うサバイバルの乗り切っても、希望は一瞬にして絶望に変わる。

今後もこの様なサバイバルはあるかもしれません。どう切り抜けるのかに注目してください。

そして新たにディスティニーラチェルタを仲間にした我怨。彼の脅威はまだまだ終わらない・・・・・・

次回、伊織の元にある人物が迫り・・・・・・・・・・ご期待ください!!


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第19話「絶望の灯 覚醒の嵐」

久方ぶりの投稿です。

第2部も中盤に入り新たな展開が待ち受けます。戦いの影響は使用者だけではなく・・・・・・・・・・


自動販売機から購入したサイダーを手に取り、港の海の方を見ながらサイダーを飲む伊織。ベンチに座り込み空を見上げ始める。

 

「残り16人・・・・・・・俺は勝たなきゃならない・・・・勝たなきゃ・・・・・・」

 

ラヴァーズとストレングスが倒され、残るリベリオン使用者は16人、その殆どはフールリベリオンが倒している。

1人も倒せていない焦りよりも、強さを増していくフールに対する焦りを感じ初めていた。飲み干した缶を握り潰し、ゴミ箱に放り投げた。

 

「奴をどうにかしなければ、まず勝ち目がないと言っても過言じゃない、だが今の俺では・・・・・・・」

 

そんな彼の後ろのベンチに、黒いドレスを身に纏い、赤い瞳に紫色の帽子を被った女性が座り込んだ。

 

「あら、随分浮かない顔をしているわね」

 

声を掛けた女性に対し、伊織はその女性の方を振り向き、警戒する様な姿勢を取る。

 

「そう警戒しなさらないで、貴方にいい話があるの」

「さてはお前・・・・・・リベリオン使用者か?」

「えぇ、ハーミット・・・・と言えば分かってもらえるかしら?」

 

女性の正体は、ハーミットリベリオンの使用者であった。その事実に多少驚いている伊織、そんな彼にある取引を始める。

 

「どう?私と協力して、あのフールを倒さない?奴は戦う度に力を増している、正直私の手にも負えないわ。だったら総力戦で奴を倒すって事。悪い話じゃないでしょ?」

 

「馬鹿を言うな、お前みたいな奴と手を組むなんてありえないな」

 

口では断っているが、内心彼女の言っている事は一理あると考えている。伊織自身、フールには敵わないと思っている。戦いを円滑に進める為にはまず、フールを倒さなければならない。その為の共闘は必要だと思ってはいる。

 

「あら、強がっちゃって。まぁいいわ、気が向いたらここに連絡をして頂戴、私は何時でも貴方を歓迎するわ」

 

女性は1枚の紙を伊織に渡した。紙には彼女の本名とである「早乙女灯梨」(さおとめともり)と電話番号が書いてあった。

 

「じゃぁ私はこれで、貴方が答えを出す日を待っているわ」

 

灯梨はベンチから立ち上がりその場を去った。その時木の間からこちらを見ていた少女と目が遭った、その少女は・・・・青葉カレンだった。

 

(ふふっ・・・・・これは面白そうな事になりそうね)

 

すれ違いざまにカレンの方を一瞬振り向き、灯梨はふと笑う。

 

「あっ・・・・・・」

灯梨が去った後、カレンは伊織の方へと向かった。

 

「お前・・・・・・」

「えっと・・・・・・今の人は一体・・・・・・・」

「たっ・・・・ただのおかしな勧誘さ、参ったもんだよな」

 

何とか誤魔化した。半分嘘ではないのだが。伊織の隣に座るカレン、いつもの様な好奇心にあふれた感じではなくどこか浮かない顔をしていた。

 

「そっか・・・・・そうなんだ」

「で、何しに来たんだ?また何か聞きに来たのか?」

「えっと・・・・・まぁ、そんな感じかな」

 

浮かなく、悲しそうな表情のカレンを見た伊織は立ち上がり、自販機の方へ向かった、そこでオレンジジュースを買い、彼女に手渡した。

 

「ありがとう」

「なぁ、何でそんなにあの事件について聞こうとしてるんだ?ただの新聞部としてってワケじゃなさそうだが」

 

カレンが何故、連続失踪事件について調べようとしていた事には以前から疑問にしていた。彼女もまたどこか焦っている様子がうかがわせていた。

 

「えっとね・・・・・実はね、私のお姉ちゃんね、2ケ月から・・・・・・・行方不明になったの」

 

それは遡る事2ヶ月前の出来事。何時もの様に私は家に帰って部屋に向かおうした。その時リビングの電話が鳴り受話器を手に取った。

 

「はい、もしもし」

「あぁカレン、お姉ちゃんよ」

 

電話の相手は青葉カノン、私のお姉ちゃん。お姉ちゃんはフリーのジャーナリストで、普段から取材などで忙しくて帰って来る事が少なかった。お父さんとお母さんは小学生の頃に事故で亡くなって1人でずっと私の面倒を見てくれた。寂しい時はあるけど何時だってお姉ちゃんは帰って来てくれた、私はそんなお姉ちゃんが大好き。

 

今日もまた仕事で帰れないんだろうなって思いながら電話をしていた。

 

「ゴメンね、今日もまた仕事で帰れそうにないの」

「そうなんだ、分かった。その変わり帰ってきたらとことん付き合ってよね」

「分かったわ、それじゃぁね」

 

その話を最後にお姉ちゃんは帰って来る事はなかった・・・・・・・最初は仕事かなと思ったけど電話にも出ないから心配でしょうがなかった。そんな時連続失踪事件の事を知ってもしかしたらって思って私は事件について調べ始めた。

 

「2ケ月前・・・・・・・・」

 

2ケ月前の出来事と言えば・・・・・・・・デッドリベリオンが起こした連続殺人怪事件始まった時期と同じぐらいだ。被害者は全員女性・・・・・・そういや確か・・・・・・・

 

「そうだったのか、悪いな変な事聞いて」

「うぅん、こっちも色々聞こうとしたから。これでお相子だね」

 

カレンの顔に笑みが戻って来た。けれど手は震えたままだった。姉が事件に巻き込まれたかもしれないと思うと怖くて仕方がない。少しでも気を紛らわせたいのか、伊織の胸に飛び込む。

 

「ゴメン、しばらくこうしても・・・・・いいかな?」

「・・・・・・・・・」

 

一旦は振りほどこうとしたが、彼女の震えを感じ振りほどく事はなかった。だからといって逆に抱きしめるわけでもない。どうしていいか伊織自身も戸惑っていた。そのまま時間は過ぎていった・・・・・・・・・・・・・・・・

帰る最中、途中まで歩道を歩く2人。商店街近くに着くとカレンはそっちの方に向かった。

 

「じゃぁ私買い物あるから、今日はありがとうね」

「買い物ぐらいなら付き合うぞ。1人じゃ危ないだろ」

 

日も落ちてきて夜が近づいていた。流石に1人じゃ危険だと思い買い物を終えてから家まで送ろうとした伊織だが、カレンは笑顔でこう言った。

 

「心配してくれるのは嬉しいけど、大丈夫だよ。家もそんなに遠くないし」

「そうか・・・・ならいいんだが」

「それじゃ、またね!」

 

その言葉を後にカレンは商店街の方に入っていった。

 

「流石に考えすぎか・・・・・・・」

 

伊織がその場を去った少し後、買い物を終えて家に帰ろうとするカレン。伊織と話をしたからか少し笑みを浮かべていた。

 

「あんなにちゃんと話聞いてくれるなんて・・・・・・やっぱり優しいなぁ」

 

また話がしたい、そう胸を膨らませ浮足立ちながら曲がり角へ進んでいると・・・・・・・・・・・

 

「んッ―――――!?」

 

何者かに口を塞がれ睡眠薬が付いていたのか気を失い、そのまま路地裏へと連れていかれた。

 

「いけない子猫ちゃん、おいたが必要かしら」

 

カレンを襲った人物は・・・・・・・・早乙女灯梨だった。彼女は一体何を企んでいるのか?

 

 

それから伊織は家に帰ると真っ先に自分の部屋に向かい机にある収納ボックスの中から何かを探し始めた。そこからある1枚の免許証思われるカードを手にした。そこには・・・・・・・

 

「あぁ・・・やっぱりな、間違いない」

 

カードにはカレンによく似た栗色のロングストレートヘア―の女性の写真が貼ってあり、血らしきもので隠れて見えずらいが名字の所に「青葉」と書いてあった。これを見た伊織はこのカードの持ち主はカレンの姉である青葉カノンだと確信した。

 

「そうか・・・・・・あの時」

 

カレンが言った2ケ月前と同じ頃、連続殺人怪事件の犯人がリベリオン使用者かもしれないと思った俺は被害を未然に防ぐために事件現場周辺を調べていた。その時の夜の出来事だった・・・・・・・・

突然1人の女性の悲鳴が聞こえた、その悲鳴の聞こえた先に俺は走ったが・・・・遅かった。その場所には血まみれのカメラ、免許証らしきカード、そして被害者と思われる喰い千切られた左足だけだった・・・・・その時の被害者がアイツの姉だ。

 

「もしかしたら、助けられたかもしれないかもな」

 

もし自分が早くその場に駆けつけていれば、そう思い胸を押さえる伊織。カレンの悲し気な表情を思い出すと真実を伝えるべきか考えていた。それは同時に彼女を戦いに巻き込んでしまうのではないか、それだけは避けたい一心だった。

 

「アイツも辛いはずだ・・・・・姉が行方不明になって1人なんだよな。心配なのは当然か」

 

伊織もまた同じ境遇である事から、カレンの辛さが痛いほど理解していた。彼女の力になりたい、そう考えていた。

 

「だけど・・・・・真実を伝えるのはアイツの為かもしれないな」

 

カレンの為に、このまま隠し続けていても苦しい思いをさせるだけだと感じ、伊織は話をしようと決意しスマホを手に取りカレンに電話をしようとするが・・・・・・・

 

「もしもしカレンです、申し訳ございませんが今電話に出れませんピーってなると思うからその後にメッセージを残してね♪」

 

「あぁ・・・・俺だ伊織だ、こんな遅くに悪いな。お前に話したい事があるんだ。すぐじゃなくてもいい、お前がの都合に合わせる、それじゃまた」

 

留守電だったか、まぁ・・・・焦らなくても大丈夫か。

この時俺はそう思っていた。だけど次の日、まさかあんな事になるなんて・・・・・・・・俺はしてもしきれない後悔をした。

 

 

 

 

 

 

翌日、伊織が学校へ向かう途中、通る途中の路地裏に人が大勢集まっていた。何がっあったのかと様子を見て近づくと噂話を耳にした。

 

「警察はまだかしら?」

 

「にしても酷い事をするものね、まだ高校生なのに・・・・・しかも女の子よ」

 

「最近物騒になってけど、どうにかしてほしいわね」

 

話を耳にした伊織は不安が頭を過ぎりすぐ様路地裏の方へ向かった。

 

「まさか・・・・・そんな事・・・・・そんな・・・・・」

 

自分の考えている事が外れてほしい、そう思いながら走り続けた。だけど・・・・・・・現実は残酷だった。

 

「ウソだ・・・・・・何で・・・・・何で・・・・なんでお前がこんな目に・・・・・・・」

 

奥の方で伊織が目にしたものは・・・・・・・変わり果てたカレンの姿であった。

服は開けており、身体の数か所に鋭く細いもので刺されれた様な跡があり、首や腕には何かで絞められたた跡が残っていた。光を失った瞳には涙が溜まっていた。

 

「まだ・・・・・何も言えてなんだよ、伝えなきゃならない事があるのに・・・・・・」

 

そっとカレンの頬に手を添えた。その頬は温もりを失い冷たくなっていた。その冷たさを感じた伊織の手は震えていた。

あの時話していれば、あの時抱きしめ返していれば、家まで一緒に送っていれば、こんな事にはならなかったかもしれないと。

後悔が積もりに積もって普段は冷静な伊織とは思えないくらい動揺が激しく、声も震えていた。

いくら後悔しても彼女はもう戻ってこない、話すことも出来ない。今はずっと辛かった彼女の頭を撫でる事しかできなかった。

 

「君、何をしているんだ、早くここから離れなさい!!」

 

そこへ2人の警察が駆けつけ伊織の腕を掴み、その場から離させようとする。今の彼に抵抗する気力はなかった、しかし、ある事を1つの確信を持った。

 

「あれはどう見ても普通の人間の手口じゃない・・・・」

 

カレンの無残な姿をみて、ただの殺人ではない、これはリベリオン使用者の仕業だ、そして犯人に目星はついている。

あの数か所の刺された跡、絞められた跡、それを同時に行えるのはハーミットリベリオン=早乙女灯梨だけだと。

 

 

 

 

それから1日が過ぎ、この事はテレビのニュースでも流れ、家でそれを見ていたハルトは突然の事に驚きを隠せないあまりに朝食のパンを手から落としてしまう。

 

「何でカレンちゃんが・・・・・酷い事しやがるぜ!!」

 

ニュースで流れているのはカレンが殺された事、死因は窒息死である事だけ、この情報だけではまだ犯人がハーミットリベリオンである事には気づいていない様子だ。

 

「あの子って・・・・・確か僕達の事を調べようとしていた子だよね」

 

その隣では何故か国枝半蔵が一緒に朝食を食べていた。何故一緒にいるのかはまた別の話。

半蔵もまたカレンがハルトや伊織に接触していた事を知っていた。

 

「だとしたら、犯人に目星はつくと思うんだよね」

「それって・・・・・リベリオン使用者がやったって事か!?」

「それしか考えられないね、大方何かを掴んだか、嗅ぎまわっているのを知って誰かが口封じに殺したとしか思えない」

 

それを聞いたハルトは居ても立っても居られないかの如く急いで家を飛び出した。

 

「やれやれ」

 

呆れたような、仕方がないみたいな表情を浮かべ、半蔵も彼の後をついていく。

 

ハルトと半蔵はカレンが殺された路地裏の奥へ向かうとそこには膝をついて座り込んでいる伊織の姿を発見した。

 

「伊織!!ひょっとしてお前もカレンちゃんの事件の事を・・・・・・」

 

ハルトが伊織の肩を叩くとすぐさま彼の方を振り向き立ち上がり、突然彼の頬を殴った。

 

「って!?お前いきなりなにすん―――っ!?」

 

そのままハルトに馬乗りをし何発も彼の頬を殴り始めた。その伊織の目は何時もの様な冷静な感じは一切なく、怒りに溢れていた。

 

「ちょっと、突然何するんだい!!」

 

その光景を見ていられなくなった半蔵は彼の腕と胸倉を掴み背負い投げをかます。普段ならすぐに立ち上がる伊織だが今はずっと倒れ込んだままだった。

 

「はぁ・・・・はぁ・・・サンキュ先生。伊織お前もしかして・・・・・・・」

「あぁもしかしてだ・・・・俺は犯人を知っている。ハーミットだ、けど俺は何も出来なかった」

 

それは昨日の昼の話だ。あの日俺は学校へは行かなかった、いや行けなかった。犯人がハーミットだと確信した俺は奴から貰ったメモの電話番号に連絡し呼びつけた。奴が話を持ち掛けた港に。

 

「連絡くれて嬉しいわぁ。さぁ、答えを聞かせてもらおうかしら」

「あぁ・・・答えならあそこで聞いてやるよ」

 

伊織は近くにあった電光掲示板の方を指さしその方へ歩き掲示板にデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に伊織は右の二の腕にデバイスを、アタッチメントに取り付けルナリベリオンに変身した。

 

「なるほど、それが答えって訳ね」

 

灯梨もまた掲示板にデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に左の二の腕にデバイスを、アタッチメントに取り付けハーミットリベリオンに変身した。お互いサイバープログラムへ入ると、真っ先にルナリベリオンは新月を構えて攻撃を仕掛けた。

 

「交渉決裂ね、残念だわ!!」

 

ルナリベリオンの新月を弾き返したハーミットリベリオン膝のランタンに収納されているデバイスにシステムメモリーを装填「スピアイン」の電子音声と共に召喚されたクラーケンニールを手に取りルナリベリオンの足元を狙って突く。

 

「何でだ?どうして彼女を襲った!?」

 

ルナリベリオンは何故カレンを殺したのかをハーミットリベリオンに尋ねた。その言葉は怒りに、憎しみに駆られた様ないい肩であった。

 

「あ~昨日のあの子ね、だって私達の事嗅ぎまわってたんでしょ?それじゃぁこのバトルの邪魔になるだけでしょ?理由なんてそんなぐらいよ。けど・・・・・・あの子最期まで貴方に助けを求めてたわよ。息絶える瞬間の絶望はたまらなかったわよ!!」

 

ハーミットの話によると、気が付いたカレンは、既にヴェノムクラーケンに拘束されており、抵抗しようとした所、彼女の首を触手で絞めた。その目の前で変身し、ハーミットリベリオンの姿を目の前で見せた。少しづつ痛めつけようとまずは足から触手で突き刺し痛みを与えた、カレンは恐怖のあまり伊織の名前を叫んだ。絞める力は更に強くなり彼女を苦しめた。やがてカレンは息絶えた。その後も何度も触手で、全身を突き刺したという。

 

カレンを殺した事について楽しそうに語るハーミットリベリオンに対し、怒りの限界を超えたルナリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、新月の鍔に取り付けられていたデバイスにメモリーを装填「シャドーイン」の電子音声と共に自分の影から5体の分身を生成し、ハーミットリベリオンを囲み一斉に新月で斬りかかる。

 

「はぁ・・・・もうちょっとお利巧だと思っていたのにガッカリね、これだから感情論で動くガキは嫌いなのよ!!」

 

ハーミットリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーと取り出し膝のランタンに収納されているデバイスに装填「スパイラルイン」の電子音声と共に槍を模した突起が立ち上がり、自在に動き始めルナリベリオンの分身を次々と突き刺し消滅させ本体も倒れ込んだ。

 

「この姿を見た時のあの子の恐怖した顔、今でも忘れられないわ~その時よ、貴方があの子に電話を掛けたじゃない、バカな事したわね、あの時私に連絡していればもしかしたら死なずにすんだかもしれないのにさっ!!」

 

話すと同時にルナリベリオンの腹部を蹴り上げるハーミットリベリオン。その行動は余裕な態度と裏腹に、思い通りにならないルナリベリオンに対する不満が露になっていた。

カレンを殺された怒りと同時に今の自分では勝つことが出来ない事に悔しさに見舞われ、そのまま起き上がれずにいた。

 

「はぁ・・・・・本当に期待外れだわ、こんな程度で落ち込むなんて」

 

そのままハーミットリベリオンはサイバープログラムを抜け出した。

 

「くそ・・・・・クソが!!」

 

俺はアイツを・・・・・・・・・何も出来なかった自分が許せなかった。そもそも俺は妹の病気を治すために戦っていた。苦しむのは自分だけで十分だと思っていた。けど実際は関係ない人まで苦しんでいた。この戦いは・・・・・俺達だけが苦しめばそれでいいはずなんだ。

 

「そんな事が・・・・・・・」

「らしくない・・・・といえばらしくない、けど仕方がないのかもね」

 

話を終えた伊織はゆっくり立ち上がりその場を去ろうとした。

 

「悪いが・・・・・・1人にしてくれ」

「何言ってやがるんだ!そんなわけ・・・・・・・」

「ハルト君、ここは1人にしてあげないと」

 

半蔵も伊織の様子を見て今は1人にするべきだと判断し、止めようとするハルトを押さえた。

そのまま伊織は気力を失ったかの如くゆっくりと歩ていった。

 

「伊織・・・・・・・・・」

 

アイツがあんなに落ち込んでるなんて・・・・・正直言っちまうと考えられねぇ、けど伊織にとってあの子は大切な存在になりつつあったのかな?何があったかは分からないけど、こんな事許されていいわけがない。

 

「さぁ僕達も行こうか、ここにいても何も埒があかない」

「そっ・・・・・・そうだな」

「よぅ・・・・元気そじゃねぇかぁ」

 

ハルトと半蔵が路地裏を出ようとした先に、黒崎我怨が立っていた。警戒した2人は、アルカナデバイスを手に取ろうとした時、我怨は両手を前に出し2人に近づいた。

 

「お前ら・・・・・・ハーミットを探してるんだろ?俺は知ってるぜ、アイツの居場所をなぁ・・・・・」

「そんな話、誰が信じるか!大体お前の言う事を真に受ける奴が・・・・・・」

「へぇ、じゃぁ案内してもらおうか」

ハルトは我怨の話を疑っているが、逆に半蔵は疑いながらも話に乗るようだ。

 

「ちょっ・・・・何でアイツの話に乗るんだよ!?」

「むやみに探すよりも話に乗る価値はあると思うよ、もしウソでも、ここで断ってもどうせ奴の相手をしなければならないんだ」

「それもそうか」

 

半蔵が我怨の話に乗る理由を聞き、ハルトはすぐさま納得した。

 

「ついてきな」

 

ハーミットの場所を知る我怨の後を、ハルトと半蔵はついていく。そこから約20分後、伊織と灯梨が出会った港へ辿り着くと、そこには我怨の言った通り、灯梨の姿が見えた。

 

「あら、今度はあなた達が相手なのかしら?」

「あれがハーミットか?てっきり俺は男だと・・・・・・・」

「どっちだっていいじゃない、それより早く始めましょう」

 

灯梨はアルカナデバイスを見せ、戦いを急かす。ハルトと半蔵と我怨もデバイスを出し、一同に掲示板にデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共にハルトはソルリベリオンを、半蔵はチャリオットリベリオンを、我怨はフールリベリオンを、灯梨はハーミットリベリオンに変身しサイバープログラムへ向かった。

 

「さぁ・・・宴を始めようじゃねぇか!!」

 

最初に攻撃を仕掛けたのはフールだった。チャリオットの方にダイルデンジャーを振り下ろし、それをギミックガンソードで防いだ。あくまで道案内をしただけで協力関係などではない。それは全員が分かっていた事だ。

 

「まっ、そうなるのは分かってたけどね!!」

 

チャリオットはフールの右腕を掴み、腹部に蹴りを喰らわせる。そこに加勢に入ろうとするソルリベリオンをハーミットが阻む。

 

「せっかく4人での戦いなんだから、楽しまなくっちゃ」

 

左腰のホルダーからシステムメモリーと取り出し膝のランタンに収納されているデバイスに装填「スピアイン」の電子音声と共にクラーケンニールを手に取り上の方に構えて軽く振り回す。

 

「よくもあんな真似を・・・・・・!!」

 

ソルリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共にレオファングを装備し、ハーミットに向かってエネルギー弾を発射するが、全てクラーケンニールで弾き返されてしまう。

 

「そっちも面白そうだなぁ!!」

 

チャリオットリベリオンを押し飛ばし、ソルリベリオンとハーミットの方へ向かったフールは2人に向かってダイルブレードで斬りかかる。

 

「貴方とは一度殺り合ってみたかったのよ!!」

 

その攻撃をハーミットはクラーケンニールで受け流し、肘で胸部を強く打とうとする。

 

「ハァ・・・・・こんな展開は予想してたけど、展開されたらされたで面倒だね」

 

チャリオットはシステムメモリーを取り出し、ギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填「ショットイン」の電子音声と共に、キャプチャースナイプライフルを装備し2人(フールとハーミット)の方に狙いを定め狙撃する――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

激闘が繰り広げられる中、伊織は公園のベンチに座り空を見上げていた。

 

「そういや・・・・・アイツの名前、呼んだ事なかったな」

 

カレンと会った日の事を思い出していた。伊織はカレンの名前を一度も呼んだ事がなかった。最初はただ連続失踪事件について聞きに来ただけだった。何時しか彼女の事が放って置けなくなっていた。心のどこかで巻き込まれるんじゃないこと不安も抱いた。しかしそれが現実になってしまった。彼女が死の間際に「助けて」と苦しみながら叫んだ事を想像すると胸が苦しくなっていく。

 

「俺はどうしたらいい?このままじゃ俺は勝ち残る事が出来ない、それどころか・・・・・」

 

額に手を当て考え続ける伊織。その時、ポケットの中に入っていた何かが落ち、それを手に取る。

 

「凜・・・・・」

 

それは凜から貰ったハーモニカであった。ハーモニカに映る自分の顔を見ると、とても悲しい表情で少し体も震えていた。

そんな自分を見て苛立った伊織はハーモニカを投げようとしたその時―――ハーモニカの中に何かが入っている様な音がした。

 

「何だ?何かが入っている・・・・・・・・」

 

ハーモニカを開き中を見ると、小さく折りたたまれたメモが1枚入っていた。そのメモを開くと何かを示す地図の様なものが掛かれていた。そこに記された場所は・・・・・・・偶然にもこの公園であった。

 

「これってここじゃ・・・・・・一体何が・・・・・」

 

地図の場所へ向かう伊織、辿り着いた場所は大樹が聳え立つ場所であった。

 

「この木に何かあるのか?」

 

大樹をよく見るとちょうど木の下に何かを埋めたかのように土が浮き上がっていた。

無我夢中にひたすら土を掘る伊織、深く掘り続けると小さな箱に手が触れる。

 

「コレは一体・・・・・・・・」

 

箱を取り出し中を開ける、入っていたものは・・・・・・・・・・・

 

「このカードは一体・・・・・・」

 

中には「STORM」嵐と「UNISON」ユニゾンの文字が、刻まれたカード1枚と手紙が入っていた。

手紙の中を開けるとそこには凜が伊織に向けて書いたメッセージが書いてあった。

 

「伊織、お前がこの手紙を読んでいる頃には俺はもう死んでいるのかもしれない、そこでお前にこのカードを託す事にした。お前ならそれを使いこなせるかもしれない、この力を使って生き残ってくれ、お前には・・・・・・・守るべき大切な人がいるんだから、欲を言えば・・・・・どうか戦いを止めて欲しい。黒幕の計画を・・・・・・・阻止してくれ」

 

手紙はここで終わっていた。読み終えた伊織は立ち上がった。その目は火が付いたかのように何の決意を物語っていた。

 

「俺は止まらない・・・・・何があっても、進み続けてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして舞台は激闘を繰り広げている所に戻る。フールとハーミットの猛攻に、ソルリベリオンとチャリオットは疲れを感じていた。

 

「まさか・・・・・ここまでヤバいとはね」

「けど・・・・・・こんな所で負けるワケには!!」

 

ソルリベリオンは2人(フールとハーミット)の方へ走り突撃するが、軽くフールに弾かれてしまう。流石のチャリオットも弱音を吐いてしまう。

 

「なんだぁ・・・・・もう終わりなのか?」

「あら残念、なら次は貴方が相手かしら」

 

ハーミットの次の狙いをフールに定めた。お互いが攻撃をしようとしたその瞬間――――――――後ろの方から足音が聞こえた。後ろを振り向くとそこにはルナリベリオンがゆっくりと歩いていた。

 

「あらあら、負け犬さんがなんの用かしら?」

「伊織、お前・・・・・・・・・」

 

拳を握り締めハーミットの方を見つめ、左足を前に出し新月に取り付けてあるアルカナデバイスを外し、新月を投げ捨て、デバイスを突きつける様に前に出す。

 

「俺は戦う、そして最後まで勝ち残り勝利して見せる、この戦いが終わるまで・・・・・・・俺は止まらねぇ、先へ進み続けてやる」

 

ルナリベリオンはユニゾンカードを手にする。それと同時にそらは暗雲に包まれ、雷が鳴り渡り、風が吹き出した。

 

「コレは一体・・・・・・・」

 

ユニゾンカードをデバイスに翳す「ユニゾン」の電子音声と共にデバイスは剣を納刀した大型のシールドへと変化する。

ブルームーンファルコンが現れ、同時に雷に撃たれ、ルナリベリオンの方に向かって急降下していく。衝突と同時に強い光が包み込む――――――――

 

「何が起こってんだ!?」

「何だ、何だ・・・・・・面白そうな事が起こってるじゃぁねぇか!!」

 

光が晴れるとルナリベリオンの姿は西洋の騎士を思わせる姿に変わっており、三日月を模した兜が目立ち、黄金の三日月型の肩アーマーに銀の腰マント、背中にはブルームーンファルコンと似た機械的な青い翼を生やしており、ブレード状の武器にする事も可能。胸部の銀の装甲には三日月を象っている。全身に青白い電撃を伴っている。

 

「フフッ、少しは楽しませてくれそうじゃない・・・・・・」

「こいよ、2人まとめて相手になってやる」

「ほぅ・・・・・・言うじゃねえかぁ、あとで泣き事言うんじゃねぇぞ!!」

 

ハーミットとフールはルナリベリオンに向かって走り出す。それに対し大型のシールドを前に突き出す――――――――

 

その光景を見ている人物がいた。黄金の鎧に赤と青が交差する両肩、土星の輪っかをクロスしたような兜が特徴的だ。

 

「そうだ・・・・・戦え、私の為に」

 

その声は男性と女性の声が交じりあった様な声だ。果たしてこの人物の正体とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り16人

 

 

 

ToBe Continued……




【今回使用したシステムメモリー&リベリオン紹介】


ハーミットリベリオン

「スパイラルイン」テェンタァクルコントロール ランク無し
ハーミットリベリオンの槍を模した突起を自在に操る。最大10mまで伸縮が可能。


ルナリベリオン

ユニゾン「STORM」ランクX
風と雷を宿したカード、ブルームーンファルコンと融合、1つになる事で驚異的な力を得る事が可能になる。




ルナリベリオンユニゾンモード

【全長】193㎝

【体重】99キロ

【総合ランク】X

【武器】聖魔剣アロンダイト

ルナリベリオンが「STORM」のユニゾンカードでブルームーンファルコンと融合した姿。
中世の騎士と侍を混ぜた姿から西洋の騎士を思わせる姿に変わっている。配色は青、金、銀の3色となっている。
三日月型の肩アーマーに腰マント、背中にはブルームーンファルコンと似た機械的な翼を生やしており、ブレード状の武器にする事も可能。胸部の装甲には三日月を象っている。
武器の聖魔剣アロンダイトは剣と盾に分かれており納刀、一体にする事で防御力を増し、電撃を帯びる事が可能である。




カレンと関わるたびに次第に心を開きつつあった伊織。しかし現実は残酷にも彼女の命
を奪った。怒りと悲しみが交わる中、新たに戦う事を決意した。彼女の死を無駄にしない為に大切な家族の為に。
そして最後に現れた謎の人物、果たしてその正体は・・・・・・・・・・
第2部も中盤に入り物語は更に加速する――――――!!


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第20話「うごめく世界」

今回はルナリベリオンユニゾンモードの戦いに注目!!
そして黒幕が謎に包まれたベールを脱ぐ……?


ルナリベリオンユニゾンモードが盾を突き出すと周囲に電撃が覆われ、フールリベリオンとハーミットリベリオンを弾き飛ばした。

 

「ハハハハハ!!随分とやるようになったじゃねぇか、だったらこれならどうだ?」

 

フールは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し右手のダイルデンジャーを顎を開きその中のデバイスに装填し顎を閉じる「ナックルイン」の電子音声と共にホイールパンチャーが召喚され、フールの両腕に装備され、ルナリベリオンの盾に向かってパンチを連発するが、しかし微動だにしていない。

 

「随分余裕みたいね、これならどうかしら!!」

 

ハーミットはヴェノムクラーケンを呼び出し、イカ墨をルナリベリオンに向かって発射させる。

 

「・・・・・・お返しだ」

 

左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し盾の持ち手の上の部分に装填「カウンターイン」の電子音声と共に盾の真ん中の黄色く丸い部分が赤色に変わり、衝撃波を発生し、フールとハーミットを空の方へ吹き飛ばした。

 

「がぁっ!?」

 

「いったぁ!?」

 

2人(フールとハーミット)は地面に落下した所をルナリベリオンは盾から(アロンダイト)を抜き出し、一気に走り出した。

 

「ハァ―――――っ!!」

 

最初にハーミットを斬り付け、胸部を右足で蹴飛ばす。その後ろから攻めるフールの攻撃を盾で防ぎつつ、システムメモリーを取り出し盾に装填「ライトニングイン」の電子音声と共に周囲に雷が落ち、直撃させる。

 

「ハハっ―――――いいねぇ・・・・・・もっと面白くなってきたぜ」

 

自分が押されている状況でも戦いを楽しんでいる。ルナリベリオンユニゾンモードの圧倒的力の前にソルリベリオンとチャリオットリベリオンはただ見ている事しか出来なかった。

 

「スゲェ・・・・・・・・・何だあの力は?」

「何てこっった圧倒的じゃないか、全く何てモノを用意したんだ」

 

蹴り飛ばされ倒れていたハーミットは立ち上がり、左腰のホルダーからシステムメモリーと取り出し膝のランタンに収納されているデバイスに装填「スパイラルイン」の電子音声と共に槍を模した突起が立ち上がらせ10本一気にルナリベリオン向かって直進させる。

 

「無駄だ」

 

その10本の触手は全部アロンダイトによって切り落とされ、盾にシステムメモリーを装填「ハリケーンイン」の電子音声と共に強烈な竜巻が発生し、ハーミットを飲み込み更に風の威力を増し、上空へ吹き飛ばした所、翼を展開し飛翔したルナリベリオンはハーミットのもとへ近づき、アロンダイトで斬りかかり、壁の方へ激突させる。

 

「ガハっ―――――――!?このクソ野郎!!よくもやりやがったな!ブチ殺してくれるわ!!」

 

女生とは思えない荒々しい口調となったハーミット、その力を前にして焦りと怒りを感じ辺りの木や柱を触手で破壊する。

 

「これで終わりにしてやる」

 

ルナリベリオンがシステムメモリー取り出し盾に装填しようとする・・・・・・・その時、灯台の上から強い光が発生した。一同がその方向を振り向く。そこには黄金の鎧に赤と青が交差する両肩、土星の輪っかをクロスしたような兜が特徴的で赤と青の瞳を持つ。で背中には四大元素を表したX字のバックパックが装備されている戦士が立ってこちらの状況を見つめていた。

 

「何だアイツは・・・・・?」

「何だか偉そうな奴だね」

 

黄金の戦士は灯台から飛び降り、こちらの方へ歩いてゆく。

 

「ほぅ・・・・新たなプレイヤーか、お前も俺を楽しませてくれるのか?」

 

黄金の戦士に興味を持ったフールが颯爽と向かい、ダイルデンジャーで殴りかかろうとする・・・・・・・・が

 

「・・・・・・・・・」

 

右手を翳した瞬間、フールが地面に叩きつけられた。起き上がろうとするが、重力に押されたかのように立ち上がれずにいる。

そのまま倒れたフールを踏みつけ、ルナリベリオンの方へ向かった。

 

「ユニゾンの力、存分に引き出しているな。けど、まだ真の力を引き出せていない」

 

黄金の戦士の声は男性の声、女性の声が交互に聞こえる。警戒するルナリベリオンだが、その気迫のあまり、安易に動くのは危険だと察した。

 

「ユニゾンの力はいずれ君達の元にも渡るだろう。その力を駆使し戦え、そして勝ち残って私に挑め21番目・・・「世界」の名を持つ・・・・・私と」

 

「世界」名を持つ、つまりはタロットカードの【THE WORLD】(ザ ワールド)の事、黄金の戦士の名はワールドリベリオン。

それを前にしてレオンハートソードを構え前進するソルリベリオン。それを援護する様にチャリオットがギミックガンソードのガンモードでワールドを撃つ。2人の方を見始め、右手を上に向ける。それと同時に黄金の衝撃波が発生する。

 

「どっ・・・・・どうなってんだ!?」

「攻撃が・・・・・・消えた?それどころか・・・・・・・」

 

衝撃波を受けた影響か、攻撃が中断され、ソルリベリオンのレオンハートソードが消滅し、ルナリベリオンもユニゾンモードが解除されていた。

 

「お前たちの力を戦う前の状態に戻した。私と戦うのはまだ先、戦いたいのなら勝て、己がままに」

 

その言葉を最後にワールドは一瞬で消えてしまった。何が起こったのか、誰も全く理解できなかった。

 

「アイツ・・・・・・どうみても黒幕だよなぁ!なぁ!!」

「うるさい、誰がどう見ても間違いないだろ」

「だろうね、あんな強さ、反則にも程がある、システムメモリーを入れる動作も無しで力を使うなんて」

 

ワールドはシステムメモリーを装填するどころか、手にする動作すら見せず、ただ手を翳すだけで発動した。その通常じゃありえない能力から、全員が奴が黒幕だと確信した。

その様子を壁にめり込まれながら見ていたハーミットは怒り半分に笑っていた。

 

「いいもん見せてもらったぜ・・・・・フフフ・・・・・・・・アハハハハハハ―――――!!」

 

制限時間が近づき、全員現実世界へ戻っていった。海の方を見つめる伊織にハルトが後ろから肩を叩く。

 

「その・・・・・・なんだ、立ち直った・・・・・みたいだな」

 

ついさっきまで抜け殻の様な状態だった伊織になんて声を掛ければいいのか迷っているハルト。そんな彼を「フッ」と笑う。

 

「勘違いするな、俺は戦うだけだ、アイツの為にもな・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

カレンの死は伊織に大きな影響を与えた。失ってから気が付く大切さ、彼女の死を無駄にしない為に戦う事を。

その先に待つものは一体何なのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

 

「・・・・・・しかしあのワールドが黒幕だとして、本当に願いを叶えさせる気があるのかね・・・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっと、難しい話は一旦置いておこう。ところで、何故僕がハルト君の家にいたのか・・・・・・それを説明しよう。遡る事4日前の事だ。

 

「ん?誰だ、こんな夜遅く」

 

ハルトの家のチャイムが夜遅くに鳴った。誰かと思いドアを開けると・・・・・・・・・・

 

「やぁ、ハルト君」

「なっ・・・・アンタ・・・・何しに!?」

 

国枝半蔵であった。突然の訪問者に驚いたハルトは3歩後ろに下がった。

 

「いや、まぁね~話すと色々長い事」

 

それは半蔵が暮らすアパートでの出来事だった。何時も通り新作の小説を執筆する半蔵のアパートのドアを叩く音が鳴り響く。

 

「先生ー!そろそろ締め切り近いんですが、まだ完成しないんですか?」

 

担当の男が小説の催促に来ていた。何時もの事であるが、流石の半蔵もうんざりしていた。

 

「全く、よく飽きないね・・・・・・これじゃ落ち着いて書けやしないどうしたものか・・・・・・・・」

 

頭を抱えて悩む半蔵、その時頭に電球が浮かんだかのようにある事を閃いた。

 

「よし!こうしよう」

 

半蔵はアルカナデバイスを取り出しデバイスを翳し「セットオン」の小さな言葉と共にチャリオットリベリオンに変身した。風呂敷を用意し、ちゃぶ台と小説を書くのに必要な道具一式を包み込み背負った。テレビの中に入りサイバープログラムへ逃げていった。

 

「全く・・・・・この手だけは使いたくなかったけど・・・・・先生が悪いんですからね!!」

 

担当が半蔵のアパートの合鍵を使って部屋に入り込む。が・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「アレ?先生?先生―――――?おかしいな・・・・・・いたはずなんだが」

 

さっきまで部屋にいた半蔵がいなくなっており部屋はもぬけの殻であった。何が何だか分からないと頭を抱えていた。

チャリオットがサイバープログラムを抜け出した先は駅の近くであった。

 

「ここまでくれば流石に気づかれまい、さて・・・・・・何処へ避難するか」

 

新たに小説を書く場所を探す半蔵。そしてなんだかんだでハルトのいるマンションに訪れた。

 

「というわけでしばらく住まわせてもらいたいんだが」

「ちょっと待て、そんな簡単にはい、分かりました。とか言う奴がいるか!?」

 

2人はリベリオン使用者。完全に信頼している訳ではない。どころかハルトは半蔵に散々な目に遭った事を忘れたわけではない。

泊めてくれと言われてそんな簡単に了承する事はなかった。

 

「その件は君が僕をトイレに放置した事でチャラじゃなかったのかい?それに僕は少なくとも今君を倒そうなんて考えちゃいないよ。そうだね・・・・・・しばらくは共闘と行かないかい?僕が暮らす代わりと言っちゃなんだが君に協力しようって事さ」

 

半蔵のだした条件を受け入れるか悩むハルト。何だかんだ言って信用できないワケではない。

 

「けど姉ちゃんが何て言うか・・・・・・」

「アタシは全然かまわないわよ」

 

姉を引き合いにだしたが、あっさり了承した。あまりの呆気なさにハルトは頭を掻いた。

 

「っく・・・・・・分かったよ。その条件、飲んでやりますよ」

「ありがとう、さて僕は早速仕事に取り掛からせていただくよ」

 

これ以上話を長引かせても埒が明かない、不本意だがハルトは半蔵の条件を元に家に住まわせる事にした。

早速リビングに入り真ん中辺りにちゃぶ台を置き、用紙とペンを取り出し執筆の作業に入ろうとする。するとハルトが肩を掴んだ。

 

「ちょっと待った。先生風呂は入ったのか?」

「いや、まだだけど。終わり次第入るから気にしないで」

「終わりって・・・・・・どれくらい掛かるんだよ?」

「う~んと・・・・早くて夜中の2時かな」

 

現在の時刻は夜の8時半。それまで作業に入ろうとする半蔵に対し・・・・・・・・。

 

「作業に入る前に先に風呂に入って!夜中に入られたんじゃたまったもんじゃない!!」

 

先に風呂に入れと言われ、言われるがままに風呂場へ向かう半蔵。生真面目っぽい彼の顔を見て「これは思った以上に面倒くさいな」と感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

と言うわけで僕はハルト君の家でしばらく暮らす事になっのさ。朝ご飯を食べずに取り掛かろうとすると早く飯食え、歯は磨け、着替えはしろ。君はお母さんか?と言いたいぐらいだがこの生活は特に悪い気はしなかった。

 

「さて・・・・これからどうするんだい?」

「・・・・・・今考えても良く分からない。カレンちゃんの事は俺も許せないさ。けど・・・・・・復讐する事が正しいとは思えない」

 

これ以上・・・・・・関係ない人を巻き込みたくない。こんな悲劇、起こっちゃいけないんだ。

 

「とりあえず・・・・・・帰るか」

 

ハルトと半蔵は家に戻った。帰ってすぐ様執筆に取り掛かろうとした半蔵に対しハルトが硬い笑顔で言う。

 

「先生、まずは飯にしような」

「・・・・・・分かったよ」

 

ハルトは台所からお茶漬けの素を2つ取り出し、お湯を沸かす。5分後にお湯が沸き、茶碗にご飯を乗せ、お茶漬けの素を入れ、お湯を注ぎ、お茶漬けが完成し、冷蔵庫の梅干を取り出す。

 

「コレは好きに入れていいぜ」

 

ハルトはお茶漬けに梅干を入れた。半蔵は何事もなかったかのように梅干を入れなかった。

 

「やっぱお茶漬けには梅干だよな~」

「僕には良く分からない事だね・・・・・・」

 

お茶漬けを美味しそうに食べるハルト。まるで初めて食べるかのようにお茶漬けをそそる半蔵。その表情は美味しさを物語っている。

 

「ご馳走様、さて僕は今度こそ取り掛からせてもらうよ」

「分かったよ、けど夕飯の時には呼ぶからな」

 

茶碗を洗い終え、買い物袋を持ち、ハルトは夕飯の買い物へ向かった。彼がいなくなった途端、息を吐き落ち着いた表情を見せる。

 

「ハァ~やっと落ち着いて集中出来る・・・・・・」

 

執筆を始めると、ペンが躍る様に進み、1枚2枚と小説が完成していく。今回の題材は「ミステリー」舘で待ち受ける不可思議事件にまつわる物語だ。ハルトが帰って来るまでには終わらせようと心の中で思っていた・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1週間の時が経った。伊織が学校の屋上で空を眺めていた。カレンの事が学校で伝えられ、多くの生徒が悲しんだ。

クラスメイトからは「どうしてあんないい子がそんな目に遭わなければいけないのか」と言う人が多かった。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

屋上から校庭が見える。そこではサッカー部が練習を行っていた。帰り際に女子生徒2人が楽し気に話している姿も見かけた。

 

「アイツも・・・・・あんな事が起こらなければあんな風に過ごしてたんだろうな」

 

そう思いながら見つめていた。悔しさは残るばかりだ。だが伊織は止まれない、戦い続ける為にも・・・・・・・・・・

するとそこへ1人の少年がやって来た。神ヶ崎界斗だ。

 

「やぁ、奇遇だね」

「アンタか・・・・・」

「君は・・・・・青葉カレンちゃんとは親しかったそうだね。僕も心を痛めてるよ、大事な生徒が亡くなったなんて聞いた時にはもう・・・・君の気持は理解してるつもりさ、もし僕に出来る事があったら力になるよ」

 

生徒会長として、界斗もまた生徒を失った事に胸を痛めていた。彼の言葉に伊織は少し心を緩めたかの様に界斗の方を向いた。

 

「ありがと、でも今は大丈夫さ」

「そうかい、ならいいんだが」

「会長、バスケ部の部長が話があるそうです」

 

2人が話している中、屋上の入り口から1人の女子生徒がやって来た。黒く長いポニーテールの黒い瞳の美少女だ。彼女は四ノ宮永子(しのみやえいこ)、生徒会副会長であり、界斗の家の使用人でもある。

 

「あぁ、今行くよ。それじゃ伊織君、また」

 

界斗は永子と共に生徒会室へ向かった。見送った伊織も屋上を出ていく。

 

その頃、ハルトは机の上で寝ていた所を彩に起こされた。

 

「何だよ人が気持ちよく寝てた所を」

「何呑気に寝てるのよ、それよりさ・・・・・・・アンタ夏休みとかどうするの?もう1ケ月後だよ」

 

あぁ、そういやもうすぐ夏休みか・・・・・・最近戦いばかりですっかり忘れてたわ。

 

「いや、特に何も考えてないかな」

「そっか、だったらさ、パパっと宿題終わらせる為に勉強会とかやらない?」

「あぁ・・・・・そうだな、やるか!」

 

たまにはそんな事してもバチは当たらねぇよな、それに勉強終わらせれば不安が1つ減るしな。

 

「じゃぁ決まり、夏休み初日から結構ね!」

 

あっ、そういや今家には半蔵先生がいるんだった・・・・・・家でやろうもんなら・・・・・・・・考えてなかった!!

 

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り16人

 

 

 

 

ToBe Continued……

 




【今回登場したリベリオン&システムメモリー】

ワールドリベリオン

【全長】200㎝

【体重】101キロ

【総合ランク】不明(少なくともA以上)

【常設武器】円環状ワールドゥケウス

突如として現れた、タロットカードの【THE WORLD】のを意味するリベリオン。使用者は不明。
黄金の鎧に赤と青が交差する両肩、土星の輪っかをクロスしたような兜が特徴的。
背中には四大元素を表したX字のバックパックが装備されている。
使用するデバイスが他の使用者とは異なり、黄金の使用となっている。
他のリベリオンを圧倒する力を誇る。


【システムメモリー】
    ↓
【グラビティイン】
グラビトンフォール ランク無し
重力を操る。半径約100mまで有効。


【リセットイン】
リスタートカミング ランク無し
現時点で使用しているシステムメモリーの回数制限をリセットする(その時点で発動されている武器、クリーチャーもリセットされる)

【テレポートイン】
ワープエミテーション ランク無し
瞬間移動をする。使用者が知る場所の範囲なら何処へでも移動可能。

【リザーブイン】
セレクトスキル ランク無し
自身が知る限りのシステムメモリーを一時的に、自身の物として使用可能とする。

(補助系は装填無し、無制限で発動可能)


ルナリベリオンユニゾンモード

【ライトニングイン】
サンダーバースト ランクA
自在に雷を引き起こす。自在に形を作る事も可能。

【カウンターイン】
リベンジエリミネーター ランクA+
シールドが防いだ攻撃を3倍の質量にして相手に返す。

【ハリケーンイン】
サイクロンストリーム ランクS
ストームインの上位互換。風の威力が増し、カマイタチをも引き起こす。


次回からは一気に夏休み編に入ります(笑)


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第21話「真夏の夜の節制」

あの戦いからかれこれ1ケ月が過ぎた。何度か戦う時はあったが、誰も脱落してはいない。だがここからさらなる戦いが幕を上げる

7月20日・・・・・・・・・・・・それは同時に夏休みの始まりでもあった。

 

「えー皆さん、これから夏休みです。皆さん楽しむのは構いませんが、くれぐれもハメを外しすぎないように、それと宿題はキチンと終わらせてください」

 

しっかし、何でこう校長先生の話は長いのかね。欠伸が6回も出るわ。それにしても彩の奴、学校終わったらすぐに家に来て宿題やろうって・・・・・・よほど遊びたいんだろうな。まぁ俺は遊びすぎて宿題は何時もギリギリになって彩に泣きながら手伝ってくれと頼んだ事はかなりあるが・・・・・・・・・まさかそれを懸念したんじゃないよな。そう考えると少し背筋が凍る様に伸びた。

 

「それでは皆さん、良い夏休みを」

 

ようやく終わった。後は教室で先生の話を聞いて終わりか~ここまでくれば後もうちょいって所だ。

 

しばらくして教室に戻り教師の話を聞く。

 

「校長先生も言ったように、ハメは外しすぎない様にしてくださいね。楽しむときは楽しんで、励む時は精一杯励んでくださいね。それじゃぁ今日は終わりです」

 

教師の話も終わり、生徒一同はすぐさま帰る者もいれば、教室に残り夏休みの予定を話し合っていた。

 

「終わったね、それじゃ家行こうか」

「あっ・・・・・あぁ、そうだな」

 

まっ、こういう日があってもいいかもな。最初は俺の家でやるかもしれないと思った時はどうなる事かと思ったが、まさか彩が自分の家でやろうと言い出してちょっと安心したぜ。と言いつつも・・・・・・・先生ちゃんと飯は食ってるだろうか?一応用意はしたけど・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

心配される中、国枝半蔵はハルト達よりも少し早く夏休みに入っており、小説の執筆をしていた所、お腹が鳴り、冷蔵庫の中を見ると・・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

中にはひやむぎが入っていた。半蔵の表情はあまり満足してなさそうだった。

 

「そういえば今日ハルト君は友達と勉強会とか言ってたっけ・・・・・・・だったら」

 

半蔵の鞄の中からあるものを取り出した。カップラーメンだ。

 

「やはりこれが一番だよね」

 

すぐさまお湯を沸かし始めた。カップラーメンとひやむぎを両方食べる様だ。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルトは彩の家へと到着していた。

 

「さぁさぁ上がって」

「おじゃましますっと」

 

玄関に入るとまずリビングへ向かった。

 

「ちょっと待ってて、お昼用意するから」

 

冷蔵庫から作り置きのそうめんを取り出す彩、水でほぐし、器に移す。つゆを取り出しテーブルに用意した。

 

「お母さん仕事でいなくってさ、これぐらいしか用意できなくて」

 

彩は料理はほぼ出来ないと言ってもいい、精々麺を茹でる事が精一杯だ。それはハルトも知っている。

 

「やっぱ夏はそうめんだよね~」

「だな、熱い時には冷えたものよ」

 

2人共そうめんを美味しそうに啜り、熱い体に癒しを入れる。

食べ終え片づけを終えると、彩の部屋の方に向かい、本題である夏休みの宿題に取り掛かろうとする。

 

「さてさて、早く終わらせていっぱい遊ぶぞ~」

「あぁ・・・・・・頭が痛くなる」

 

宿題を見るだけで頭を抱えるハルト。やる気満々の彩を見ていると、「嫌でもやらねば」と言う念に駆られてします。

そして勉強が始まり30分・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ダメだ、全然分からん」

「どこどこ?ってまだ最初の方じゃん・・・・・・・」

 

ハルトの様子を彩が近づいて見に行く。やっている所は国語の1枚目のプリント半分の所であった。仕方ないなと言う表情で彩は教えてあげた。

 

「コレはこうで、ここをそうしてあぁして・・・・・・・・・」

「なるほど・・・・・・・・」

 

一件普通に教えているように見えるが、妙に2人の距離が近い。もう少し近づくと胸が肘にあたりそうなぐらい近い距離であった。しかしハルトはそれに全然気づいていない。

 

「おぉ・・・・・ちょっと分かって来たぞ」

 

ハルトのペンの進む速度が少し上がった。何とプリントの2枚目に入ろうとしていた。だが彩はどこか不満気な顔をしていた。

 

(分かってはいたけどさ・・・・・・・ちょっとぐらい動揺したっていいんじゃない)

 

そこから2時間が経過し、国語と数学のプリントは4枚程終わらせていた。

 

「疲れた・・・・・・・ここまでやれれば上等だろ・・・・・・」

 

疲れ切った顔をするハルト、しかしプリントはあと7枚残っている。流石にコレを今日中に終わらせられないと確信した。

 

「まぁ、この調子でやれればギリギリまでに頑張る必要はないよね」

「あっ・・・・・やっぱりそれも思ってた」

 

ハルトの予想通り、ギリギリになって泣きついてくるのをどうにかしたからでもあった。

 

「にしても暑いね・・・・・・・・・着替えてもいい?」

「あっ、ズルいぞ!?俺だって着替えたいのに!」

「ふふ~ん、残念だったね。とゆうわけで一旦出てってね♪」

 

何故か楽し気にハルトを部屋から追い出した。それから5分後、リングジッパーノースリーブリブカットソーに短パン姿に着替えた彩が部屋の扉を開けた。

 

「お待たせ、どうかな・・・・・?」

「ん?別におかしくねぇぞ」

 

思った反応を見せないハルトに、頬を膨らませて言い返す。

 

「そうじゃなくて、可愛いね~とか、素敵だね、とか!」

「って言われても、俺そういうのよく分からねぇし」

 

ハルトは仕方ないだろと言わんばかりに言い返す。それに対し彩は少し不貞腐れたような顔をして後ろの方を向いてしまう。

 

「う~ん・・・・・似合ってると思うぜ、なんだか大人っぽいって言うかさ」

 

機嫌を直そうと何とか彩を褒めるハルト。しかし一向に振り向いてくれない。

 

「悪かったって、なぁ頼むから機嫌直してくれよ」

「そうだね・・・・・・・・この後少し付き合ってくれるなら許してあげる」

「・・・・・・・分かった、買い物でもなんでも付き合うぜ」

 

その言葉を聞いて嬉しそうに振り返る彩。その姿を見てハルトは少しホッとした。

それからしばらくの間宿題を数枚終わらせ、1時間後には家を出て大型ショッピングモールへ向かった。

 

「いやぁ~悪いねぇわざわざ付き合わせて」

「まさかとは言わないが・・・・・これが狙いじゃないだろうな?」

「う~ん・・・・・半分正解」

 

その答えに首を傾げていた。しかし彩の楽しそうな一面を見ていると言い返す気にもならなかった。

 

「で、どこから行くんだ?」

「うんとね~まずはあのアクセサリーショップかな」

 

彩が指さしたところは、女子が行きたがりそうなアクセサリーショップであった。可愛い動物から輝く宝石の様なアクセサリーがいっぱい揃えてあった。

 

「言ってた通り、いろんなのがあるな~」

 

子供のライオンのキーホルダーに目移りする彩。ハルトはある物に目が入る、それは太陽を思わせる丸いペンダントだ。

 

「・・・・・・・なんかお守りになりそう」

 

そう言いつつも値段を見ると2500円もした。財布事情を考えると、ハルトは買うのを断念した。

その間彩は見ていた子供のライオンのキーホルダーと赤と青のビーズの腕輪と十字の髪飾りを買っていた。

 

「お待たせ~さぁ、次はあっちあっち」

「はいはい、そんなに慌てんなって」

 

彩が向かった先は、女性用の水着専門店であった。流石のハルトも顔を引きつっていた。

 

「やっぱ夏は水着だよね~サイズも新しいのに新調しないと・・・・・・」

 

自分の全身を鏡で見つめ水着エリアの方を見つめる彩。流石にハルトは入りずらいと言い、外で待ってる事にした。

 

「えぇ~いいの?後で見たくなっても知らないよ~」

 

実際の所、彩はハルトに見て欲しい一心であった。しかし素直に言えるわけがない。少し勿体ぶった様にハルトの顔をチラッと見る。

 

「いやいや、気まずすぎて流石に入れんよ」

「しょうがないな~じゃぁそこで待っててね」

 

彩は少し寂し気な顔をしていた、何だか申し訳なく思ってしまうハルト。その後ろからコッソリこちらの様子を見てくる人物がいた。

 

「何か誰かに見られてる様な気が・・・・・・」

 

気になったハルトは後ろの方に向かうと・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ってアレ?葵ちゃんじゃん!!」

「はっ・・・・・ハルトさん・・・・・どうも」

 

こちらの様子を見ていたのは三日月葵であった。気づかれた彼女は、少し気まずい顔をしていた。

 

「どうしたの、こんな所で?ってか今日は1人なんだ、アイツはいなさそうだけど・・・・・」

 

近くに伊織がいる様子はない。1人出来たのかと尋ねると・・・・・・・・・

 

「えぇ・・・・まぁ、ハルトさんこそどうしてここに?」

 

逆に聞き返された。ハルトは葵の質問に息を吐きながら答えた。

 

「実は彩に付き合わされてさ。参ったもんだよ」

「そなんですか・・・・・・・」

 

葵は水着ショップの方を何回もチラッと見ていた。その様子を見たハルトは尋ねた。

 

「もしかして葵ちゃんも買いに来たの?」

「えっ!?まぁ・・・・そうなんですけど・・・・・・」

 

どこか恥ずかしそうな、申し訳なさそうに指を動かす葵。唾を飲んでハルトに思い切って正直に話そうとする。

 

「えっと・・・・・義理兄さんには内緒にしてくださいね」

「言わないよ。言ったら言ったでアイツに殺されかねないから・・・・・・・」

「そのですね・・・・・実は友達にプールに行かないかって誘われたんです。正直なところ私も行きたいんです。けど義理兄さんに何て言えばいいか分からなくて・・・・・・何時も忙しいから私ばっかりこんな事していいのかって思うと言い出せなくて・・・・・」

 

そっか・・・・・・葵ちゃんもまだ中学生だし、友達と遊びたいよな。確かにアイツは家族の事になると過保護な所があるから、プール行きたいとか言おうとすると心配するんだろうな~

 

「そうだっんだ。そうだな・・・・・・葵ちゃんが行きたいならさ、思い切って言ってみるといいよ。友達と遊ぶのってとても大事な事だからさ」

「ハルトさん・・・・・・・そうですよね。私、プールで泳ぎたいです!!」

「俺に言われても何とも・・・・・・でもその勢いだよ!きっとアイツも分かってくれるよ。でも俺の差し金とか絶対言わないでよ」

「はい、ありがとうございますハルトさん!!」

 

ハルトの励ましに元気が湧いた葵はすぐさま走り出し、伊織を説得しようと試みる様だ。いい事をした気分になったハルトは背筋を伸ばし気持ちよさそうな顔をしていた。

 

「へぇ~私がいない間になんか面白そうな事になってるね~」

 

その後ろには笑顔で怒っている彩がいた。突然後ろにいた為ビックリして後ろに下がるハルト。焦りのあまり苦笑いしてしまう。

 

「全く・・・・・・ハルトのバカ」

「その・・・・・・ゴメンなさい」

 

謝る事しか出来ないハルト。彩は少し涙目になっていた。

 

「そんなに私と一緒じゃつまらない?」

「そんな事ないって。楽しいに決まってるだろ!今回は俺が悪かった。ゴメン!」

 

彩の涙を見たハルトは本心から彼女を傷つてしまったのではないかと感じ、頭を下げて謝った。

 

「じゃぁもう少し付き合ってくれる?」

「勿論だ。ただ俺金はないんだよ・・・・・・・」

 

ハルトの財布の中には1500円しか入ってなかった。それを聞いた彩は思わず笑ってしまう。

 

「アハハハ――ハルトらしい。別にいいよ。私が買いたいだけなんだから。そうだね~次は屋上に行こうか」

 

2人は屋上へに向かった。そこには小さなアミューズメントパークがあった。メダルゲーム、モグラ叩き、小さいメリーゴーランド、メロディペット、小さな子供が好きそうなものが沢山おいている。当然、子供も遊んでいる。

 

「変わらないねぇ、昔はよくここで遊んだよね」

「あぁ、そうだな。確かにあの頃となんも変わってねぇ」

 

2人が幼い頃、両親が買い物に行くと必ずここに遊びに行った。そしていつもやっていたのが・・・・・・・・

 

「コレコレ、よく2人で乗ってたよね」

「まだあったのか~懐かしいな」

 

ライオン型のメロディペットだ。ここに来ると必ず2人でコレに乗っていた。昔を思い出して懐かしむハルトと彩。するとある事を思いつく。

 

「まだ乗れるかな?・・・・・・2人で」

「オイオイ、流石にそれは・・・・・子供ならまだしも」

 

またあの頃みたいに2人で乗ろうと考えていた。流石に高校生2人で乗るのは無理だと言うハルト。しかし彩は頑なに乗ろうとする。

 

「いいじゃん。ほら乗った乗った」

「っく・・・・しょうがないなぁ」

 

仕方なくライオン型のメロディペットに乗るハルト、そこへ彩が後ろの方に乗り、落ちない様ハルトの腰に手を添えた。

ハルトが100円を入れると、ライオン型のメロディペットが動き出す。流石に高校生2人を乗せているからか、動きが若干遅い。

 

「なぁ・・・・・凄い子供に見られてるんだが」

 

高校生2人がメロディーペットに乗ってる光景を子供たちは見つめていた。「見てはいけません!」と言わんばかりに子供の目を隠す親も少なからずいた。

 

「気にしない、気にしない。楽しいからいいの」

「っく・・・・・・しょうがない奴だな」

 

時間はあっという間に過ぎ、メロディペットは止まった。すぐさま降りた彩は身体を伸ばす。

 

「ん~~~楽しかった!」

「何だろう・・・・・凄い恥ずかしい」

「何時まで恥ずかしがってんの!それとも、もう1回いっとく?」

「・・・・・・・遠慮しときます」

 

ただ乗っていただけなのに、もの凄い疲労感に見舞われたハルト。彩に背中を叩かれ、倒そうになるくらいだ。

 

「けど・・・・・お前が楽しそうでなによりだよ」

「そう?ふふっ・・・・・ありがとう」

 

何だか最近ハルトって疲れた様な感じだったから少しでも元気でればいいなと思ったけど・・・・・・・・ちょっとは元気になってくれたかな?あぁ~ずっとこの時間が続けばいいのに。それにしても・・・・まだ気づかないんだね。私はこんなにアンタの事・・・・・・・・・・・好きなのに。

 

「そろそろ夕方か、どうする?」

「そっ・・・・そうだね~そろそろお開きにしますか」

 

時刻は17時30分。帰るには丁度良い頃合いだ。ショッピングモールを出て、彩を家まで送る。

 

「今日はありがと。私がいなくても宿題はちゃんとやるんだぞ」

「分かってるって、それじゃまた」

 

彩を送り終えたハルトは家まで帰っていく。

 

「それにしても今日は色々とあったな~そういや何か忘れているような気が・・・・・・・・・」

 

ハルトは大事な何かをを忘れていた。それすらも思い出せない、何だったのだろう?そんな事を考えていると、クリーチャーが現れるビジョンが頭に浮かぶ。

 

「まっ・・・・・また誰かが!!」

 

向かった先は野球場だった。更衣室のドアを開くと、野球帽が2つほど落ちているだけで誰もいなかった。

 

「クソっ!遅かったか」

 

惜しくも間に合わず、ここにいたであろう、2人はクリーチャーの餌となってしまった。

アルカナ・デバイスを落ちていたタブレットに近づけ、アタッチメントが取り付けられ右手を前に出し拳を握るポーズをし「セット・オン!」と叫びデバイスを取り付けソルリベリオンに変身し、タブレットの中に入りサイバープログラムへ移動する。

 

「あそこか!!」

 

ソルリベリオンの目の前には虎を人型にしたようなクリーチャー(タイガーウォン)が彷徨っていた。

 

「一気に仕留めてやる!」

 

左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共に空からレオファングが降ってきて、それを右腕に装備する。

 

「ハァああああああああああああ―――――――」

 

レオファングにエネルギーを集中させ、一気に放出しようとする、その時――――――――――

 

「なっ・・・・・・何だ!?」

 

上空から、黄色い煙に覆われたクリーチャーが現れた。それはまるでアラジンに登場するランプの魔人を思わせる。

そのクリーチャーはタイガーウォンを掴み、持ち上げた。

 

「フフッ・・・・・よくやった」

 

スタジアムの上には紺色の装甲に時計の針の様に左右非対称な角を持つ兜に杯を身体にしたような背中には天使の羽を模したローブが特徴的な戦士が立っていた。その手にはそこにいる聖杯の中から現れる黄色い煙に覆われたクリーチャーが描かれ、「THE TEMPERANCE」(ザ テンパランス)の文字が刻まれたタロットカードを手にしていた。つまりあの戦士の名はテンパランスリベリオンだと思われる。

 

テンパランスは聖杯を弓にした様な武器(アーチャースライサー)の横に取り付けてあるデバイスにシステムメモリーを装填「バスターイン」の電子音声と共にアーチャースライサーの先端部分にノイズが覆い、そこからロングパーツ(アルテミスダースン)が現れる。

 

「そのまま離さないでよ・・・・・・・・」

 

テンパランスはアーチャースライサーを引き、タイガーウォンに目掛けて弓を引き矢が放たれた。その矢はイカリのような形に変化し、一直線に突き進みクリーチャー(ジーン・スモッグ)が手を離した瞬間と同時にタイガーウォンを貫き、爆散する。

その残骸を取り込むように煙が覆う。

 

「ふぅ・・・・・あっ、あそこにいるのは」

 

テンパランスがソルリベリオンを見つけスタジアムから降り、近づいてくる。

 

「ねぇ、アンタもリベリオン使用者って奴でしょ?」

 

テンパランスの質問に、動揺しながらもソルリベリオンは返した。

 

「あっ・・・・・あぁ、そうだけど」

「だったら・・・・・悪く思わないでね」

 

そう言うとアーチャースライサーを振り下ろし、ソルリベリオンに攻撃を仕掛ける。

 

「って――!?いきなり何すんだよ!」

「だって、最後の1人になるまで戦わなきゃいけないんでしょ?だったら戦うのが道理だと思うんだけど」

 

テンパランスもまた、願いを叶える為に戦っている。突然の攻撃に戸惑い、戦いを辞めようと説得を試みるが・・・・・・・

 

「なぁ、こんな戦いは辞めよう。俺達が戦っても誰かが死ぬだけだ!!」

「お兄さん・・・・・・何言ってるの?それが戦いじゃん。それで願いが叶うワケなんだからしょうがないじゃん」

 

冷静な答えだ。言っている事は間違っていない、この戦いは最後の1人になるまで戦い、勝者が願いを叶える。その為のリベリオンであり、その為に集められた使用者であり、その為の戦いなのだから。

 

「おっ、それ強そうだね、使わせてよ」

 

右腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、アーチャースライサーの横に取り付けてあるデバイスに装填「トランスイン」の電子音声と共にソルリベリオンが装備しているレオファングがスキャンされ、テンパランスの左手に生成されていく。

 

「へぇ~面白そうじゃん、使ってみよう」

 

テンパランスはレオファングにエネルギーを集中させ、一気にソルリベリオンに目掛けて発射する。

 

「しま―――――ッ!?」

 

攻撃を直撃したソルリベリオンはその衝撃で監視カメラに吸い込まれ、現実世界へと戻ってしまう。

 

「あちゃ~やり過ぎちゃった?まぁいいか」

 

思わず相手を逃がしてしまったが、気にせず頭を掻きながらテンパランスもまた現実世界へ戻っていく。

 

 

 

 

 

「いててて・・アイツ一体何なんだ?にしても・・・・・・・」

 

腰を押さえ立ち上がったハルトは思った。テンパランスは今までの使用者とは何かが違う。フールやハーミットの様に狂った考えを持っている訳でもない。フォーチュンやデッドみたいに平気で人を巻き込む訳でもない。至って普通に願いを叶える為に戦っている。その行動に少々違和感を感じていた。

 

「とにかく今日は帰ろう・・・・・・・・・」

 

そのままハルトは家に帰った。

 

「ただいま・・・・・・・」

 

玄関を抜けリビングに入るととんでもない光景を目にする――――――!

 

「やぁおかえり、随分遅かったじゃないか」

 

目のまえにはカップラーメンを食していた半蔵が目の前にいた。台所にあるカップラーメンの数を見たハルトは笑顔で問う。

 

「先生・・・・・・コレは一体?」

「えぇっと・・・・・・あまりにも帰って来るのが遅いから仕方なく買って来たのさ」

「あのな・・・・・・夜にそんなの食ってたら体に悪いだろ!!もっとちゃんとした飯を食え!」

 

あまりにも不健康な食をしていた半蔵に説教をした。そこから察するに、私生活もかなりだらしないのだろうか感じたハルトであった。

 

「ハァ・・・・・・まぁ今回はいいや。俺も飯食って寝るわ」

 

そう言いながらハルトは台所へ向かった。半蔵はどこか笑っていた。ハルトの抜けている所とは裏腹に私生活に関しては生真面目な所に。

 

「フフフ、ますます面白いね。これはもうちょっとここにいてもいいかな」

 

 

 

 

 

 

 

そして同じ頃。一軒家のベランダでアルカナデバイスを回す男が1人、黒髪に茶色の瞳、白と紺のボーダーにシャツにジーパン姿の男だ。

 

「さてと・・・・・・今度はしっかり倒さないとね」

 

ベランダからリビングへ入る。テーブルの上には天条仁(てんじょうじん)と書いてあるプリント用紙が置いてあった。彼がテンパランスリベリオンの使用者「天条仁」だ。呑気な態度を取りながら冷蔵庫のコーラ味のアイスを取り出し食べ始める。

 

「俺も叶えたい願いがあるんでね」

 

彼の叶えたい願いとは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り16人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&クリーチャー紹介】


テンパランスリベリオン

【全長】186㎝

【体重】75キロ

【総合ランク】B+

【常設武器】聖杯弓アーチャースライサー

天条仁が変身するリベリオン。タロットカードの「THE TEMPERANCE」を意味する。
メインカラーは紺色。時計の針の様に左右非対称な角を持つ兜に杯を身体にしたような装甲に天使の羽を模したローブが特徴的。

【使用メモリー】

   ↓

【バスターイン】
アルテミスダースン ランクC+
アーチャースライサーの先端に装備されるロングバレル。そこから放たれる一撃はいかなる固い敵でも貫く。

【トランスイン】
スキャニングコピー ランク無し
ラヴァーズリベリオンと同様。
相手の武器、姿を解析し、自身の物にする。ただしスペックは使用者と同じになる為、強い相手をコピーしても強さはそのまま。



ジーマ・スモッグ

【全長】250㎝

【体重】不明

【総合ランク】B-

テンパランスリベリオンが契約する聖杯の中から現れる煙で覆われたアラジンに登場するランプの魔人を彷彿とさせるのクリーチャー。煙で覆われている為、正体は契約者本人でも分からない。
巨大な体を生かし、他のクリーチャーを取り押さえている所をテンパランスリベリオンが攻撃を行う。



新たなリベリオン、テンパランスリベリオン登場!彼の登場は果たしてハルト達をどう翻弄するのか?こうご期待!!


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第22話「3人いればなんとやら」

「ハァ~」

 

大きく欠伸をしながらハルトはベッドから起き上がった。リビングへ向かうと小説を執筆したまま机に伏せて寝ている半蔵がいた。

 

「ほら、起きろ朝だぞ」

「ん・・・・・しまった眠ってしまったよ」

 

本日の朝食は卵のサンドウィッチとビシソワーズ。テーブルに座り食事を始める。と同時にハルトは半蔵に昨日起こった出来事を話した。

 

「そういやさ、昨日また新しいリベリオン使用者と出会ったんだよ」

「へぇ、それでまた戦いは辞めようとか言ったの?」

「まっ・・・・まぁな、けどソイツ、ちょっと今まで会った奴らとはちょっと違うんだよ。普通っていうか、変わった奴じゃないっていうか」

 

今まで会った使用者は一癖も二癖も強い人ばかりだった。それに対し昨日のテンパランスリベリオンは至って普通の人間って感じがした。それに半蔵は少し興味を持つ。

 

「それは面白そうだねぇ、会うのが楽しみだ」

 

言うんじゃなかったと思いながら、ハルトはビシソワーズを啜る。

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、伊織は葵と共にベランダでそうめんを食べていた。

 

「うん、美味しい」

「あの・・・・義理兄さん、話があるんだけど・・・・・・」

 

葵は恥ずかしそう伊織に尋ねる。

 

「どうした?」

「実はその・・・・・・友達にプールに誘われて・・・・・私、行きたいの」

 

昨日ハルトに話した、友達とプールに行きたい事であった。若干過保護な所がある伊織に言ったら断られるんじゃないかと思い言い出せずにいたが、ハルトの助言で勇気を出して本音を言った。それに対し伊織は・・・・・・・・・・

 

「そうか、いいんじゃないか。友達と遊ぶことは大事だ」

「ほっ・・・・・本当に!?」

 

まさか葵がそんな事言うとはな・・・・・・いや、今まで気を使わせ過ぎただけか。せっかくの夏休みだ。それくらい別に構わんさ。しかも、あんなに嬉しそうなんだ、よほど楽しみにしていたんだろう。

 

「勿論だ。で、何時行くんだ?」

「今日!!」

「えっ?」

 

突然の発言に伊織は唖然としていた。了承の降りた葵は楽し気にベランダから出て、行く支度を始めた。

 

「それじゃ義理兄さん、行ってきます!」

 

何時もはおとなしい葵が目をキラキラさせていた。あんな目をする葵を見たのは俺が国枝半蔵の小説を買って来た時以来何だが・・・・・・・・

 

「あっ・・・・あぁ。あんまり遅くはなるなよ」

 

伊織は手を振って葵を見送った。マンションを出て、入り口のすぐそばに女友達が3人(ミカ 聡子 真里)男友達が3人(太郎 信二 裕也)が待っていた。

あまりにも突然すぎてその光景を伊織はただ見ているだけであった。

 

「お待たせ~」

「来た来た、じゃあ行こうか」

 

おっ、男もいるだと・・・・・葵が男とも遊ぶなんて初めてだ・・・・・・ちょっと心配になってきたな。

 

 

 

 

 

 

 

午前10時、ハルトと半蔵は街中を歩いていた。暑い日差しの中、ぶらりと回っている。

 

「あぁ~夏は何で暑いんだ?」

「それは夏だからだよ。それにしても今日は特に暑いね」

 

2人が歩いていると本屋で見覚えのある人物と遭遇する。それは白いYシャツに紺色のズボン姿の伊織だった。本を立ち読みしていた。

 

「ん・・・・・アレって、伊織じゃん」

「おや、こんな所で偶然だね」

 

伊織が呼んでる本が気になってコッソリ近づくハルトと半蔵。その中身は・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「何々、イケてる中学生について・・・・・・・か」

「なっ・・・・・お前ら!?何時からここに!」

 

人の気配が感じると思い後ろを振り向く伊織、2人に気付き3歩下がる。

 

「何でそんなの呼んでるんだ?」

「うっ・・・・・うるさい、お前らには関係ない事だろ!」

 

何時ものツンツンしている伊織が動揺している。ハルトの顔がニヤケ始める。

 

「はは~ん、さては葵ちゃんの事だな」

 

図星を突かれ本屋を出る伊織。その後を2人が追いかける。

 

「何があったんだよ~なぁなぁ、教えてくれよ」

「これは興味深いねぇ、僕も知りたいな」

「・・・・・・・・・葵が今日、友達とプールに行ったんだ」

 

これ以上黙っててもしつこいだろうと思い、正直に話す。ハルトは昨日の事だなと納得しながら聞いていた。

 

「別にいいじゃないか、年頃の女の子だしそれぐらい」

「男までいるんだぞ、何が起きてもおかしくない」

 

葵に彼氏でも出来たら、そう思うと心配で仕方がなかった。そんな彼を見て半蔵は突き刺すような一言を言う。

 

「ひょっとして君・・・・・・シスコンって奴?」

「馬鹿を言うな。俺はただ兄として妹を心配してるだけだ。他になんの理由があるんだ?」

「だからそれがシスコンなんだって」

 

自分がシスコンだと認めない伊織。煽る様に半蔵は言い続ける。そこへハルトが止めに入る。

 

「まぁまぁ、心配なのは分かるけどさ。葵ちゃんもそこはしっかりしてるから大丈夫だろ」

「お前に心配される覚えはない、ってか付いてくるな」

 

一緒に歩く2人から離れようと早歩きになる伊織。しかし同じ歩行速度で付いていく。

 

「そんな釣れない事言うなよ~こうしてせっかく会ったんだしさ」

「ッく・・・・・よく呑気でいられるな。今ここでお前を倒したっていいんだぞ」

 

イライラMAXの伊織は今にも戦いを仕掛けて来そうな勢いだった。そんな彼に対しハルトは・・・・・

 

「呑気ってワケじゃないさ。ただ、こういう時くらい戦いを辞めたっていいじゃないか」

「・・・・・・・勝手にしろ」

 

抵抗するのも無駄だと思い、2人に同行する事になった伊織。最初に向かったは・・・・・・・・・・・・

 

「おっ、ゲームセンターじゃないか。久々に遊んでいくか」

 

ハルトを先頭に3人はゲームセンターへ入っていった。ジャラジャラ鳴り響くメダルの音。無心でスティックを動かしボタンをタイミングよく押すゲーマー。クレーンゲームでぬいぐるみを取ってもらい喜んで彼氏に抱き着く彼女。色々な人達が楽しんでいた。

 

「へぇ、コレがゲームセンターか、実は僕初めてなんだよね」

「ほぉ、お前来た事がないのか、まぁお忙しい国枝先生だからな。暇がなかったんだろう」

 

それは意外だったなぁ、それなら存分に遊んでもらわないとな。

まずは手始めに・・・・・・・・・

 

「じゃぁ、アレでもやってみるか」

 

ハルトが指さしたのは、ゾンビを倒し閉じ込められたエリアから脱出するシューティングゲーム。最大4人でプレイできる。

 

「なるほどね、ならこう言うのはどうかな?一番倒した数が少ない人は全員にジュースを奢るのは?」

「いいねぇそれ、なんだか面白そうじゃん」

「くだらん・・・・・・・と言いたいがお前らの泣きっ面を見たくなってきた」

 

3人はそれぞれ100円を投入し、ゲームが始まる。画面には無数のゾンビが現れる。むやみに撃ちまくるハルト。頭部を狙おうとするが違う部分にヒットしリロードに手間取る伊織。それに対し半蔵は的確に頭部にクリティカルヒットを決める。チャリオットリベリオンとしての戦いの経験がここで行かされたのだろうか?着々と次のステージへ進み、トラックで逃げようとする所まで辿り着いた。

 

「おっとアレは・・・・・・・・・・・」

 

画面端に見えるのはドラム缶、アレを撃てば数十体は倒した事になる、つまりは一気に逆転出来ると言うワケだ。いち早く目を付けたハルトはすぐさま撃とうとするが・・・・・・・・・・・・・・

 

「アレ?弾切れかよ!?」

 

タイミング悪くリロードを忘れており、焦ってゾンビに攻撃を喰らってダウンしてしまう。その隙に半蔵が狙いを定め、ドラム缶を撃ち一気に40体のゾンビを倒す事に成功し、トラックが施設から脱出してゲームは終了し、リザルト画面に入った。

結果はハルトが42体、伊織が55体、半蔵が210体。よって半蔵の圧勝でありハルトが最下位に終わった。

 

「負けは負けだ、ほらさっさと買って来い、俺はレモンでいいぞ」

「じゃっ、僕はミルクティーをお願いしようかな」

「チェッ、分かったよしょうがねぇな・・・・・・」

 

しぶしぶハルトは2人分のジュースを買いに行った。計算通りと言わんばかりに笑う半蔵を見て伊織が尋ねる。

 

「お前、まさか自分が勝てると思ってこのルールを考えたのか」

「フフフ、さぁ?どうだろうね」

 

コレも計算の内だったのか?それは本人のみぞ知る。ジュースを買い終えたハルトは伊織にCcレモンを、半蔵にミルクティーを渡す。

 

「悪いね、ありがたく頂くよ」

 

早速ミルクティーを飲む半蔵。朝に軍資金を頂いたハルトだが、少ない消費ではあるものの、高校生にとってこれは痛手である。

 

「で、次は何するんだ?」

「そうだな・・・・・・・アレなんてどうだ?」

 

次に指さしたのは、首都高速道路を舞台に繰り広げられるレースゲーム。これは全員が初めてのようだ。これなら勝てると言わんばかりにハルトは自身気に笑った。しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「アレ?曲がれ!!曲がれっての!!」

 

上手くカーブする事が出来ず次々と追い抜かれてしまいとうとう最下位になってしまい、またも敗北してしまった。

 

「さて、今度は何を頼むか」

「う~ん・・・・・・そこのダンスゲームで1人踊ってもらおうか」

 

半蔵が見つけたのは足踏みステップでリズムに合わせて踊るダンスゲーム。それをハルト1人にやらせようとする。

 

「お前らちょっと楽しんでるだろ!?」

「ほら、負けたんだからさっさとやって来い」

 

ハルトはしぶしぶダンスゲームの方へ向かい、100円を投入した。ダンスが始まると画面の矢印の落ちるスピードに付いて行けず、ギコちない動きになっていた。それを見た伊織と半蔵は不覚にもお腹を抱えて笑っていた。

 

「最高だよ・・・・・あぁ、腹が痛い」

「全く、バカバカしくて仕方ない」

「お前らがやれって言ったんだろ!!」

 

しかしこれは罰ゲーム。負けたハルトの責任だ。時計を見ると時刻は12時50分。お昼時だ。

 

「はぁ・・・・・なんだか、腹が減って来たな」

「ならお昼にするとしようか」

 

3人が向かった先は牛丼屋だ。丁度お昼なので席が一杯になっており、カウンター席しか空いていなかった。

 

「えっと・・・・・・どれにすっかな~おっ、コレがいいな!」

「ふぅ・・・俺はもう決まったぞ」

「僕も、コレがいいかな」

 

3人共が注文を決め、呼び鈴を押し、店員を呼ぶ。それぞれ選んだメニューを言い、注文したものが来るのを待つ。

 

「なんだか・・・・・新鮮だな、この感じ」

「何を言ってるんだ、お前が無理やり付いて来たんだろ」

「とか言って、ダッシュで逃げるワケではなかったけどね」

 

こうしてみると普通に楽しく話している様だ。だかが彼らはリベリオン使用者、何時かは最後の1人にならなければならない。その為にはここにいる2人を倒さねばならない時が訪れる。

そんな時、伊織がポケットの中にしまっていたスマホのバイブレーションが響く。

 

「ん?葵からか・・・・・・・何だ?」

 

スマホを見ると・・・・・・・・・・・・何と葵が友達とプールで撮った、自撮り写真をメールで送っていた。葵の水着は水色と白の水玉模様のフリルの付いたリボン・ビキニであった。一見友達と楽しそうに写真を撮っている様に見えるが、伊織は葵の隣にいる男の子の姿に目を向ける。

 

「コイツ・・・・やけに葵と近いな・・・・ただの友達だろ、そうだ、きっとそれだけだ」

 

メールには「プールとっても楽しいです。義理兄さんは何をしてますか?」と書いてあった。

 

「ん、何見てんだ?」

 

ハルトがスマホを覗こうとした時、咄嗟に伊織はスマホを隠す。葵の水着姿を他の人に見られたくないのだろう。

 

「何だよ、いいじゃねぇか、見せてくれてもよ~」

「黙れ、なんでお前に見せなきゃならなないんだ」

 

必死に抵抗する伊織、それでも見ようとするハルト。そう揉めている内に、店員が注文したメニューを運んできた。

 

「はい、こちら牛丼大盛とにんにくおろし牛丼、それとねぎ玉牛丼ね」

 

ハルトの所に牛丼大盛り、半蔵の所ににんにくおろし牛丼、伊織の所にねぎ玉牛丼を置いた。

 

「さてさて、紅生姜をっと」

 

ハルトは用意されていた紅生姜を、牛丼に乗せる。その時、ハルトのスマホから電話の着信音が流れた。

 

「っと、ワリィ。先食べててくれ」

 

電話に出る為、ハルトは店の外に出た。紅生姜を乗せた大盛牛丼を見て伊織は・・・・・・・・

 

「へぇ~意外だね、こういうことするとは」

 

ハルトの牛丼に、七味唐辛子を入れ始める。それも少量ではなく、一部に重点して掛けている。しかしこれでは七味唐辛子を掛けた事がバレてしまう。とそこに、半蔵が隠すまいと紅生姜をその上に乗せる。

その、電話に出ているハルトは――――――

 

「もしもし?」

「おぉ、ハルトか、元気してるか?父さんだぞ」

 

電話の相手はハルトの父、獅子堂秋雄(ししどうあきお)であった。

 

「父さん?どうしたんだよ」

「どうしたんだよとはないだろ。この時期に電話をするんだから分かってるだろ」

「ハイハイ、それで要件は?」

「どうだ?今年も来ないか?今回はアメリカだぞ」

 

ハルトの父と母親、獅子冬華(ししどうふゆか)は仕事の都合で世界中を回っている。会えるのは長い休みぐらいだ。現在はアメリカに滞在しており、そこに来ないかと誘われる。因みに去年は中国、一昨年はグリーンランドだった。

 

「あぁ・・・・・行きたいのはやまやまなんだけどさ、今回はパスで」

「何だ?お前まさか赤点取ったんじゃないだろうな?」

「そうじゃないけどさ、ちょっと・・・・・やりたい事があってさ」

 

勉強しなければと言うのもあるが、一番の理由はリベリオン同士の戦いを放棄して海外に行くわけにはいかないからだ。ルールの1つ「14日以内に契約したクリーチャーに餌を与えなければ、契約破棄とみなされる」があるので、うかつに離れる事が出来ない。だからこそ仕方なく父の誘いを、ハルトは断った。

 

「そうか・・・・・・それは仕方がない、でも冬には日本に戻れそうだから、それじゃな」

「あぁ、それじゃ」

 

その一言を最後に電話を切った。店に戻り牛丼を見ると、やけに多く紅生姜が乗せてあった。

 

「アレっ、こんなに入れたっけな?」

 

伊織と半蔵の仕業だと知らずに、自分が多く入れたのではないかと思うハルト。そして牛丼を口にした途端・・・・・・・・

 

「――――――――――ッ!?」

 

七味唐辛子の辛さが喉を通り、からさが激痛すし、口を押える。その光景を見た2人(伊織と半蔵)は不覚にも笑ってしまう。

 

「オイ!七味唐辛子入れやがったな!!」

「アハハハ、予想以上のリアクションだよ」

「あぁ、バカ丸出しだな」

 

悔しがっても仕方がない。そのまま大盛牛丼をひたすら食べた。それから5分後、食べ終え、店を出ようとしたその時・・・・

 

 

「ッ!?こんな時にかよ!」

 

すぐ近くにクリーチャーが現れるビジョンが流れた。リベリオンに変身する為、隣のビルの屋上の監視カメラのある所へ向かった。

 

「全く、こんな時に現れて。セットオン!」

「あぁ、これからが面白い所だったのに、セットオン!」

「お前らっ、また何か仕込むつもりだったのか!?セットオン!」

 

3人は二の腕のアタッチメントにデバイスを取り付け、ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオットリベリオンに変身する。

ブレーカーからサイバープログラムへ入ろうとするルナリベリオンをソルリベリオンが足を引っ掛け、転ばせる。

 

「ヒヒっお返しだ」

「なに子供じみた事してんの」

 

入り込もうとするソルリベリオンをチャリオットが頭を手で押し、その隙にサイバープログラムへ入る。

 

「って~人の事言えるのか!?」

「突っ立ってないで行くぞ」

 

その次にルナリベリオンがサイバープログラムへ入る。その最後にソルリベリオンもサイバープログラムへ入っていった。

カタパルトでゲートブースターを装着し「GO!!」のサインと共に発射されサイバープログラムへと到着する。

 

「どこだ・・・・・・・・?」

 

近くにクリーチャーがいるはず、ソルリベリオンが辺りを見回すと・・・・・・・・・・・・・

 

「うぉっ!何だコイツ!?」

「随分とデカい奴だな」

 

背後には巨大なカニ型のクリーチャー(マッドキャンサー)がいた。爪には黄色い液体が垂れている。

 

「これはかなりヤバそうな奴だね」

 

手始めにチャリオットがギミックガンソードでマッドキャンサーを撃つが、全く効いていない。

 

「そんな攻撃通用するか」

「だな、デッかい一撃で決めないとな!」

 

腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「ソードイン」「バスターイン」の電子音声と共に、ソルリベリオンはレオファングを、ルナリベリオンは牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり)を手に取る。

 

「ウオオオォォォォォォ――――――っ!」

 

マッドキャンサーの方に跳躍し、甲羅を斬り付けるルナリベリオン。しかし、多少傷跡が出来るだけであって、大きなダメージにはなっていない。

 

「下がってろ!コイツでやってやる!!」

 

レオファングにエネルギーを集中させ、一気にマッドキャンサーの口の中に目掛けて発射する。一撃を喰らい、少しだけだが仰け反った。

 

「っし!手応えありだな!!」

 

がしかし、すぐに体制を立て直し、ハサミの中の黄色い液体をまき散らす。ソルリベリオンとルナリベリオンはすぐさま避ける。

 

「おっと、危ないね」

 

腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、ギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填「シールドイン」の電子音声と共に、チャリオットフォートレスの車輪を模したシールド(ローラーシールド)を召喚し、黄色い液体を防ぐ。

 

「コレは・・・・・・随分強力なクリーチャーを出してくれたねぇ」

 

防いだローラーシールドの黄色い液体が、付着した部分が溶け始めた。どうやらこの液体は強力な酸であるようだ。

 

「っと・・・・・・・まいったね」

「呑気な事言ってないで、何時もの派手な奴ブっぱなしてくれよ!」

 

チャリオットは「やれやれ」と言わんばかりにホルダーからシステムメモリーを取り出しギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共に、背中に取り付ける2つの滑空砲(アーマーカノン)を装備し、マッドキャンサーの脚を狙って砲撃する。

 

「ッし!!効いてるな」

 

見事に命中し、マッドキャンサーの脚部は破壊され、姿勢を崩し倒れる。

 

「一気に終わらせてやる」

 

ホルダーから、ユニゾンカードを取り出すと同時に、空が暗転し、風が吹き、雷が鳴り響く。デバイスにカードを翳し「ユニゾン」の電子音声共に、現れたブルームーンファルコンと融合し、ルナリベリオン ユニゾンモードへと変化した。

システムメモリーを取り出し、盾の持ち手の上の部分に装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ルナリベリオンの身体がブルームーンファルコンを思わせるクリーチャー(ルナティックサンダーバード)の姿に変化した。

尻尾はアロンダイトの剣と盾で構成され、頭部は金のクチバシ、翡翠色の瞳をしている。

 

「うぉ・・・・・・すげぇな」

 

周囲に青白いスパークで覆い、翼を大きく羽搏き、カマイタチを発生し、マッドキャンサーの全身を切り裂く。そこから雷を発生させ、回転しながら突撃し必殺技(ライジングテンペスト)が炸裂する――――――!

巨大な身体を貫き、ルナリベリオンが元の姿に戻り着地すると同時に、マッドキャンサーは爆散した。

その残骸を3人の契約クリーチャーが餌にあり付き、平らげていた。

 

「ふぇ・・・・・終わったか」

 

戦いを終え、サイバープログラムから、現実世界に戻った3人。そこから2時間が経過し、時刻は15時55分。

噴水公園に来ており、群がる鳩を眺めていた。移動式の屋台でハルトはチョコ味、伊織はイチゴ味、半蔵はバニラ味のアイスクリームを買っていた。

 

「はぁ~この時間、この季節のアイスは格別だな!!」

「ふむ・・・・・甘いものは頭によく効くと言うからな。バカのお前には丁度いいかもな」

 

からかう伊織のアイスを、ハルトが、スプーンで取って食べる。

 

「おまっ!?何しやがんだ!!」

 

そのやり返しに伊織が何故か半蔵のアイスをスプーンで取って食べる。

 

「ちょっと、何で僕のを食べるんだい!?」

「そこにお前がいたからだ」

 

2人のくだらない喧嘩に、半蔵はため息を尽いた。

 

「っく・・・・・お前らといると気が狂う」

「ちょっとちょっと、僕を巻き込まないでくれたまえ」

「それどういう事だよ!!」

 

さりげなく酷い事を言われたハルトは、立ち上がり、伊織に指さす。

 

「フンっ、そのままの意味だ。俺はこれで失礼させてもらう。用事を思い出したんでね」

 

伊織は立ち上がって、公園を去り帰っていった。2人になったハルトと半蔵も買い物がてら帰る事にした。

 

「さぁ、先生、ちゃんと健康的な夕食といきましょうか」

「アハハハ・・・・・・・・サラダはコリゴリだ」

 

 

 

 

 

 

30分後、家に帰って来た伊織は、壁に手を突き、立ち眩みをしたかのように、額を押さえる。

 

「ハァ・・・・・・ハァ・・・・・・何だこの疲労感は・・・・・」

 

歩き方もおぼつかない状態で、何もない床で転んで倒れてしまう。

 

「これが・・・・・・ユニゾンの影響・・・・・・・」

 

ユニゾンの力は協力な代わりに、使用者に大きな負担が背負う事になり、体力の消耗が激しい。その疲労感から、そのまま伊織は眠りに着いた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「さん・・・・・義理兄さん・・・・・義理兄さん!!」

 

身体を揺れる感覚を感じ、目を覚ます。その隣には、葵が座って伊織の身体を揺さぶっていた。

 

「葵・・・・・・帰って来たのか。そうか、そんなに寝ていたか」

 

時刻は17時30分。ざっと2時間近く眠っていた。起き上がった伊織は葵の方を見つめた。

 

「どうだった?プールは」

「うん!すっごく楽しかった!!」

 

とても楽しそうな表情に、伊織は優しく笑った。その反面、何かあったか不安であったが、本人はとても言い出せずにいた。

 

「そうか、それはよかった。これからも予定とか考えてるのか?」

「まぁ・・・・・そこそこ考えてるかな。でもちゃんと勉強はするよ」

 

まぁ・・・・・・葵に限って、そんな事起こるわけもないか。今後も遊ぶ予定か・・・・・・・葵もまだ子供だなぁ。

無意識に葵の頭を伊織は撫でていた。

 

「ちょっ、義理兄さん!?いきなりなにを・・・・・・・・・・・」

「あっ・・・・・・すまん、ついな」

 

まぁ、夏休みだしな。これぐらいは当たり前なのだろうか。それにしても、ユニゾンの力があそこまでとは・・・・・・・・・

俺はまだあの力を使いこなしていない、その為には――――――――――

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り16人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したクリーチャー】


マッドキャンサー

【全長】405㎝

【体重】656キロ

巨大なカニ型のクリーチャー。ランクA+
ハサミからは酸を出し、いかなる相手も溶かしてしまう。弱点は脚で、耐久力が低くなっている。クリーチャー5体分のエネルギーを持っている。


ルナティックサンダーバード

【全長】200㎝

【体重】75キロ

ルナリベリオン ユニゾンモードがフィニッシュインによって変化した姿。ランクX
尻尾はアロンダイトの剣と盾で構成されており、足は鋼鉄をも引き裂く。翼には攻撃エネルギーを吸収する能力を持っている。
最大マッハ7の速度で移動可能であるが、伊織自体がそれに付いていけない。



【使用システムメモリー】


ルナリベリオン ユニゾンモード
       ↓

【フィニッシュイン】ライジングテンペスト ランクX
クリーチャーに変化し、翼でカマイタチを引き起こし、雷を纏い、回転し相手に突撃する。雷で周囲の敵も巻き込む為攻撃範囲が広い。



チャリオットリベリオン
      ↓
【シールドイン】ローラーシールド ランクB-
チャリオットフォートレスの車輪を模したシールド。
内部にはバルカン砲が仕込まれている。


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第23話「愚者の宴」

4月早々の投稿です。なんだかモチベーションが上がり完全復活!!途端頻度が遅くなっても温かい目で見てください(泣)

いよいよ中盤に入りバトルが加速する段階です。今回はアイツらの脅威が主人公達を襲う――――――――――


「フフ・・・・・大分力を得ているようね」

 

大量に倒したクリーチャーを、ヴェノムクラーケンに喰わせていた、ハーミットリベリオン。眼の色がオレンジから黄土色に変化していた。触手も一段と鋭くなっていた。

 

「コレで奴を仕留め・・・・・・ぶっ殺してやる」

 

ハーミットリベリオンの目もまた、紅く、不気味に輝いていた。

 

 

 

 

 

7月30日、ハルトは成績ギリギリだった為、学校で補修を受けていた。

 

「あ~何で夏に、学校行かなならんのだ・・・・・・」

 

渋々補修を受け、普段使わない頭を使って、痛さのあまりに、頭を抱えていた。

 

「ハァ・・・・・だが彩のおかげで、宿題は半分終わらせた・・・・・・だからしばらくは勉強しなくていいよなぁ!!」

 

勉強を終えた解放感から、教室を出た途端、大声を出した所、補修担当の安田先生に釘を打たれる。

 

「そんな事言ってると、またギリギリになって、休み明けにまた1人で勉強する事になるぞー」

 

そんな事を言われ、貫かれたかの様に、胸を抑える。

 

学校を出て、家に帰ろうとするハルト。日差しが射す中、少しでも涼しくしようとYシャツで仰ぐ。

 

「にしても暑ぃ~どうにかならねぇかな」

 

家に帰ると、そこには半蔵の姿はなかった。気晴らしに外にでも出たんだろうと思いながら、緑のズボンにオレンジと白のラインの入ったシャツに着替える。

 

「たまには、1人でのんびりするのもいいだろうな~」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな中、半蔵はと言うと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ハァ・・・・どうしてこう、ゆっくり散歩もさせてくれないのかな?」

「しょうがないじゃん、だってコレが、このバトルなんでしょ?だったら仕方がないよね」

 

サイバープログラムの中で、テンパランスリベリオンと戦っていた。クリーチャーの反応を察知し、変身してサイバープログラムへ向かった矢先、テンパランスと遭遇した。

 

「さて、そろそろ1人削らないといけないよね」

 

ホルダーからシステムメモリーを取り出し、アーチャースライサーの横に取り付けてあるデバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、聖杯の持ち手を模した、カランビット型の武器(グラムブレード)を召喚し、左手に取る。

 

「そらっ―――――!!」

「っ――!中々やるみたいだね、ちょっとばかし本気でいかないとね」

 

システムメモリーを取り出しギミックガンソードに、取り付けてあるデバイスに装填「スピアイン」の電子音声と共に、チャリオットフォートレスに搭載された、鎌槍型の武器(メタルランス)が召喚され、両手に取り、テンパランスに近づき、振り回した。

 

「おっと、中々手ごわい攻撃だね、けど俺も負けられなくてさ」

 

グレムブレードを上下に振り、相手に攻撃を隙を与えない。後ろに下がる中、チャリオットは、行き止まりの壁の方に追い詰められた。

 

「ここまで追い詰めれば、俺のテリトリーに入ったという事さ」

 

システムメモリーをデバイスに装填「スモッグイン」の電子音声と共に、ジーン・スモッグが現れ、口から黄色い煙を吹き出した。煙を吸い込んでしまったチャリオットは、その場に膝から倒れ込む。

 

「なんだ・・・・・!?力が抜けてく・・・・・・・」

「さてと、この隙に一気に片付けよっか」

 

システムメモリーを手に取ったとの時――――――!足元に一本のシステムメモリーが転がってきた。

 

「ん・・・・・・?一体なんだ?」

 

メモリーに呼び寄せられたかの様に、ビーワスプが4体こちらに近づき、テンパランスを掴み、投げ飛ばした。

 

「いい時だったってのに、とんた邪魔が入っちゃったね」

 

デバイスにシステムメモリー装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ジーン・スモッグがビーワスプを煙で包み込み、その中にテンパランスが入っていく。

そこから、アーチャースライサーで一気に切り裂き、煙の中から脱出し、矢にエネルギーを貯め込み一気に放出し、必殺技(アンバランス・デスモッグ)が発動されビーワスプの全身が切り刻まれ、その残骸がジーン・スモッグに吸収される。

 

「ハァ・・・・・っ、このメモリー、持ってるの確か・・・・・・」

「あぁ・・・・・その通りだ、俺だよ」

 

10m先から、フールリベリオン、ではなく、能力で擬態されたフォーチュンリベリオンがゆっくりと歩いてきた。

 

「本当に君はしつこいねぇ、正直顔を見るのもコリゴリさ」

「だが、俺達は戦い合う運命、俺はお前の顔が見たくてしかたねぇんだよ―――――!!」

 

フォーチュンが、一気にチャリオットの方に迫って、右足でキックを仕掛ける。

それに対抗し、ギミックガンソードをソードモードにし、蹴りを防ぐ。

 

「おぉ・・・・やっぱ楽しいなぁ、戦いってのは」

「そうかい、僕は君がいない方がもっと楽しいと思うんだがね」

 

戦い合うフォーチュンとチャリオットの間に、テンパランスが割り込むように、アーチャースライサーを振るう。

 

「俺の事忘れてもらっちゃ、困るなぁ」

「そうかぁ、お前も宴に混ざるか、それは面白そうな事になりそうだ!!」

 

フォーチュンの狙いが、テンパランスに変わった。硬い拳で、腹部にパンチを喰らわすが、それをアーチャースライサーで防がれ、逆に左足で蹴飛ばされる。

 

「やるじゃねぇか、じゃぁコイツを試してみるか」

 

フォーチュンの全身がノイズに包まれ、変化していく。その姿は、猿の顔を逆さにしたようなヘッドをしており手足のアーマーも逆さまのデザインをした戦士・・・・・・ハングドリベリオンに変わっていた。

 

「なるほど、そうやって自在に姿が変えられるんだね」

「あぁ・・・・・便利だろ?気に入ってるんだぜ」

 

ハングドは、右手を伸ばし、テンパランスの肩を掴み、縮んだ腕の勢いで、急接近して、壁に押し付ける。

 

「グはっ!?コレは大分ヤバい感じかな?」

 

ピンチで焦ってるように見えるが、どこか余裕そうな一面を見せる。

 

「やれやれ、まとめて倒してもいいけど、また面倒くさい事になると嫌だから高みの見物といくよ」

 

2人(ハングドとテンパランス)の戦いを見ていたチャリオットは、そこに参加せず、勝負が付くのを待っていた。

そこへ1人の人物が戦いをビルの屋上で見つめていた。ハーミットリベリオンだ。

 

「随分賑やかな状況じゃない・・・・・・でも、まだ仕掛ける時じゃないわね・・・・・・」

 

何やら考えがある様だ・・・・・・・・その行動がこの後、さらなる戦いを巻き起こす事になる。

 

「あぁ~盛り上がってるね~いいよ~凄いいいよ~もっと刺激的にいかないと~!!」

 

その様子を、謎の黒い空間から、大きなタブレットで見ているモニタ。しかしどこか物足りなさそうに寝転がる。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃、ハルトが外へ出掛けていると、ポケットに入っていたスマホが鳴り出し、電話に出る。

 

「はい、もしもし?」

「あっ、もしもし、ハルト?彩だけど」

 

電話の相手は彩であった。ゆっくり話を聞くため。近くのベンチに座り込む。

 

「どうしたんだ、一体?」

「ハルトってさ?再来週の臨海学校って行くの?」

 

話の内容は、今度行われる、臨海学校の話であった。

 

「あぁ、そういや、そろそろだったな。行くって書いたぜ」

「本当?よかった、じゃぁ当日待ち合わせして学校に行かない?」

「構わないぜ、お前の家の前で待てばいいか?」

「うん、それでいいよ。行く場所は確か・・・・・・江の島だったね。楽しみだなぁ~」

 

臨海学校が行われる場所は、江の島、水族館や神社がある歴史ある場所だ。彩は楽しみで飛び上がっている音が、ハルトには聞こえた。

 

「そうだな。楽しまないとな、それじゃ」

「うん、バイバイ」

 

そこで通話は終わった。ポケットにスマホを仕舞い、座りながら、上を向き、青い空を眺めていた。

 

「臨海学校か、まぁ、2~3日だしな、思いっきり楽しめばいいか!」

 

と言いながら、立ち上がり、コンビニへへ入り、スポーツドリンクを手に取り、レジに向かう。

 

「はい、120円でーす」

 

店員に120円を渡し、コンビニを出たハルト。歩きながらスポドリを飲んでいると、かなり高級な(ポルシェ)とすれ違った。そのポルシェに乗っていたのは・・・・・・

 

「さて、再来週の臨海学校のプランは全て整ったね。後は日を待つだけだ」

「はい、会長。楽しみですね」

 

神ヶ崎界斗(かみがさきかいと)と、四宮永子(しのみやえいこ)であった。臨海学校の予定の話をしており、普段無表情に近い顔をしている永子は、どこか楽しそうな顔をしていた。

 

「そうだね、夏休みにしか味わえない事だ。生徒達には存分に楽しんでもらわないと」

 

流石は生徒会長、生徒の事を第一に考えて計画を立てている。

 

「それに、とても楽しそうなものも見れそうだし」

 

界斗の言う楽しいものとは一体何か・・・・・・・・・・・?地球儀を回しながら永子は窓の方を見つめる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと・・・・・・これでいいか」

 

同じ頃、三日月伊織(みかづきいおり)は、夏休みの宿題である、読書感想文の題材を探そうと図書館へ行っていた。

最初に取ろうとした本は、作者が国枝半蔵(くにえだはんぞう)であった為、速攻で元の場所に戻した。そして次に取った本は・・・・・・・・・シャーロックホームズの『緋色の研究』であった。

 

「ほぅ、中々よさそうだな。これを機に呼んでみるとするか」

 

伊織は『緋色の研究』を借りて、図書館から出た。それと同時にサイバープログラムで他の使用者が戦いを繰り広げられているビジョンが頭の中に流れ始めた。

 

「っう・・・・相変わらず時と場合を考えないな」

 

変身する為、急いで地下駐車場へ向かい、駐車券発券機にデバイスを翳そうとした時、同じようにビジョンを見たのか、ハルトもやって来た。

 

「お前も来てたのか」

 

「あぁ・・・・・たまたまだよ」

 

2人はデバイスを翳し、二の腕に装着されたアタッチメントに「セットオン!」の叫びと共に、発生したアタッチメントに取り付け、ハルトはソルリベリオンに、伊織はルナリベリオンに変身し、サイバープログラムへ向かう。

 

「あそこだな・・・・・・」

「あっ、アイツはこの間の!」

 

ソルリベリオンが真っ先に目にしたのはテンパランスであった。そして倒されたはずのハングドリベリオンを見て、驚いていた。

 

「おい・・・・・アイツ、確か倒された奴だよな?何でここにいるんだよ!?」

「馬鹿か、フールは相手の契約クリーチャーを手にいれ、そのリベリオンになる事が出来るんだよ」

 

珍しく丁寧に説明するルナリベリオン。するとその姿を発見したハーミットが、ビルから飛び降り、こちらに向かってくる――――――

 

「なっ、お前!!」

「やっと見つけたわ・・・・・・・・・このクソガキ・・・・・じっくりいたぶってから殺してやる!!」

 

クラーケンニールで突き刺そうとした所、新月で受け止められる。

 

「おぉ・・・・やってるなぁ、ン?よぉ、お前もどうだ?」

 

ソルリベリオンに目を向けたハングドは、テンパランスを突き飛ばし、まっすぐ向かって来た。

 

「なっ!?いきなりかよ!!」

 

ダイルデンジャーで殴りかかられた所、左手で受け止め、後方へ下がる。

 

「どうしたぁ?もっと本気で来いよ」

「この野郎・・・・・調子に乗って!」

 

ホルダーからシステムメモリーを取り出しデバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、レオンハートソードが召喚され、両手に装備する。

 

「そうこなくっちゃな」

 

フールもホルダーからシステムメモリーを取り出しダイルデンジャーの口を展開し、中にあるデバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、ハングドリベリオンが使用する持ち手が逆さの小型ナイフ(ハングドナイフ)が6本召喚され、3本づつ両手に持つ。

 

「ハァ―――――!」

「フン――――――っ!!」

 

剣とナイフがぶつかり合い、火花が散る。ソルリベリオンの太ももに、ハングドナイフを一本突き刺す。

 

「ッ――――――!?」

 

太ももを押さえ、隙を見せたソルリベリオンに、フールリベリオンがダイルデンジャーで数回叩きつける。

そこを狙ったかのように、テンパランスがアーチャースライサーを引き、フールの首筋を狙って、矢を放つ。

 

「そうか・・・・お前もいたんだなぁ」

「やだなぁ、忘れてもらっちゃ困るなぁ」

 

そこへ、満を持しての如く、チャリオットもこちらに向かって歩いて来た。

 

「おぉ・・・・・・これは最高の宴になりそうだなぁ」

「悪いけど、そんなのに付き合いたくはないんだよねぇ」

 

チャリオットが、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「ショットイン」の電子音声と共に、背中に大きなエネルギータンクと、太いスナイパーライフルを思わせる重火器(キャプチャースナイプライフル)が召喚され、装備する。

 

「ハハハハハ―――いいぞ!!そうこなくっちゃな!!」

 

フールは3枚の契約カードを出し、バンデットシーミア、ディスティニーラチェルタ、バイオヘルダイルを召喚する。

ソルリベリオン、チャリオット、フール、テンパランスの激闘の最中、ルナリベリオンとハーミットは・・・・・・・・・・

 

 

 

「この間は随分としてくれたわね、けど次はそうはいかねぇんだよ!!」

 

感情高ぶるあまり、女性のおしとやかさと、男の荒々しさが混同したような喋り方になっている。

 

「っ・・・・・・こっちも負ける訳にはいかないんだよ!!」

 

ルナリベリオンがシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「ストームイン」の電子音声と共に、ブルームーンファルコンが現れ、翼で大きな風を起こし、ハーミットを空中へ飛ばした所、その方向へ跳躍し、新月で斬り付け、地面に叩きつける。

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・あぁ、畜生!いい加減死んじまえっての!!」

「大分殺気立ってるな・・・・・まぁ、俺もあまり言えた義理じゃないがな」

 

この間までは自分もあんな感じだったと語りながら、ハーミットの背後に周る。

そしてホルダーから、ユニゾンカードを取り出すと同時に、空は暗転し、風が吹き、雷が鳴り響く。新月からデバイスを取り外し、カードを翳し「ユニゾン」の電子音声と共に、ブルームーンファルコンと融合し、ユニゾンモードへと変身する。

 

「アタシも、何も考え無しにここに来たわけじゃないのよ。ソイツを潰す手段を考えてきたって事」

 

負け惜しみにも聞こえるが、何か嫌な予感を感じるな、このままタダで終わるとは思えないが・・・・・・・・・・・・・・・

その時、空から何かが飛んでいる姿が見えた。アレは確か――――――!?

 

「アレって・・・・・凜の契約していたクリーチャー!?どうしてここに?」

 

星流凜(せいりゅうりん)=スターリベリオンが契約していたヒトデ型のクリーチャー(スターウェイブ)であった。

突然の出現に、ソルリベリオンは驚いていた。何かを察した様に、ルナリベリオンがホルダーから最後の1枚である、契約カード取り出す。

 

「アイツが契約するより先に、こっちが――――――――――」

 

カードをスターウェイブに翳そうとした時、カードを持つ右手に、ハングドナイフが刺さった。その衝撃で、カードを落としてしまう。

 

「そう来ると思ったぜ、俺が手にいれるのを止めたかったらしいなぁ」

 

ルナリベリオンが自分より先に、スターウェイブと契約しようとしていた事を、フールは読んでいた。

そしてフールは、スターウェイブに近づく。スターリベリオンが殺された恨みを抱いているのか、フールに向かって急接近し、眩い光で包まれ――――――――――――――――――――

 

「まっ・・・・・まさか!?」

「これはまた・・・・・・面倒な事が起こりそうだ」

「流石にマズいね・・・・・ここは一先ず・・・・・っ!?」

 

テンパランスが状況を読んでか、退散しようとした所、ハーミットのクラーケンニールが彼の足元目掛けて床を突き刺す。

 

「逃げるなんてつまらない事しないの、ここからが面白い所なんだから・・・・・」

「えぇ・・・・・・ウソでしょ」

 

光が晴れると、フールは1枚のカードを手にしていた。そこにはスターウェイブが描かれ「FOOL」の文字が刻まれたタロットカードとなっていた。これでスターウェイブもフールの物となってしまった。彼の手元には、バイオヘルダイル、アポロナインフォックス、バンデットシーミア、ディスティニーラチェルタ、そしてスターウェイブと5体のクリーチャーと契約した事になる。

 

「5体か・・・・・・丁度いい、コイツを試してみようじゃないか」

 

フールが一本のシステムメモリーを取り出す。その色は従来の物と異なり、赤、青、緑、紫、黄色の5色が交差している。

 

そのメモリーをデバイスに装填「フュージョンイン」の電子音声と共に、ディスティニーラチェルタの上に、バンデットシーミアが乗り、その背中に、アポナインフォックスの尻尾が背後に取り付けられ展開し、胸部にスターウェイブがくっ付き胸部を構成、ディスティニーラチェルタの尻尾がバンデットシーミアの下半身を包み、バイオヘルダイルの頭部が左腕を構成し、ディスティニーラチェルタの尻尾が、右腕を構成、バンデットシーミアの頭にアポロナインフォックスの頭が重なり、耳が鋭く伸び、足にバイオヘルダイルのボディが半分に分割し、上半身が畳まれ巨大な足となり、脚部を構成する事により、強力なクリーチャー(サイコディスカイザー)が完成した。

 

それと同時に、フールリベリオンの姿も、サンリリベリオンの下半身、フォーチュンのボディ、ハングドリベリオンの右腕にフールの右腕、スターリベリオンの肩と腰のアーマー、フールの頭部にスターリベリオンの星を半分にしたような形のヘッドギアが取り付けられた姿となっていた。

 

その脅威的姿に、一同は一歩下がるほどの気迫を見せる。ハーミットを除いて・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「最高じゃねぇか・・・・・これでまた宴が盛り上がるぜ」

 

「何て奴だ・・・・・クリーチャーが合体しやがるなんて・・・・・」

「脅威だとは思っていたが、これ程とはな。だが片付けるまでだ」

 

「あら、恐ろしいのはそっちだけじゃないのよ」

 

ハーミットが指を鳴らすと同時に、地面の突き破り、ヴェノムクラーケンが現れた。その大きさは3mのはずが、20mまで大きくなっていた。触手も鎌の様に鋭くなっており、頭部が開閉し、ロケットのような形となっていた。

 

「いい機会よ、全員まとめてつぶしてやるぜ!!」

 

「おぉ~いいね!!それそれ~僕がチミ達に求めてたのはそれだよ~さぁ、どんどん盛り上がっていこう~~!!」

 

ビルなどの大画面のモニターに現れ、この戦いを実況するかのように、モニタが現れた。

 

「アイツ!?久々に現れたかと思いきや、高みの見物かよ!!」

「本当、何考えてるのか分からないねぇ」

 

 

クリーチャーを合体させたフール。クリーチャーを強化させ、巨大化させたハーミット。

2大リベリオンの脅威の前にソルリベリオン達はどう立ち向かうのか―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り16人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したクリーチャー&システムメモリー紹介】


サイコディスカイザー

【全長】4m

【体重】300キロ

【総合ランク】SS+

フールリベリオンが「フュージョンイン」のシステムメモリーを使い、バイオヘルダイル、アポロナインフォックス、ディスティニーラチェルタ、バンデットシーミア、スターウェイブの5体のクリーチャーを合体させた強化クリーチャー。

ディスティニーラチェルタの上に、バンデットシーミアが乗り、その背中に、アポナインフォックスの尻尾が背後に取り付けられ展開し、胸部にスターウェイブがくっ付き胸部を構成、ディスティニーラチェルタの尻尾がバンデットシーミアの下半身を包み、バイオヘルダイルの頭部が左腕を構成し、ディスティニーラチェルタの尻尾が、右腕を構成、バンデットシーミアの頭にアポロナインフォックスの頭が重なり、耳が鋭く伸び、足にバイオヘルダイルのボディが半分に分割し、上半身が畳まれ巨大な足となり、脚部を構成した姿となっている


ヴェノムクラーケン「強化版」

【全長】20m

【体重】40t

【総合ランク】A+

ハーミットリベリオンがヴェノムクラーケンに大量のクリーチャーを喰わせ、強化させた姿。
触手は鎌の様に鋭くなり、目も紅く染まっている。


テンパランスリベリオン


【ソードイン】グラムブレード ランクB
聖杯の持ち手を模したカランビット型の武器。
身軽で扱いやすい。

【スモッグイン】ナスティフレグランス ランク無し
黄色い煙を発生させ、相手の動きをマヒさせる。けして臭いが強烈なわけではない。

【フィニッシュイン】アンバランス・デスモッグ ランクA-
ジーン・スモッグが相手を煙で包み込み、その中にテンパランスが入っていき、、アーチャースライサーで一気に切り裂く。
複数戦に向いている。


チャリオットリベリオン
     ↓

【スピアイン】メタルランス ランクC+
チャリオットフォートレスに搭載された、鎌槍型の武器。
最大4本まで召喚する事が可能。


フールリベリオン
   ↓

【フュージョンイン】マキシシンザシス ランクS+
複数のクリーチャーを合体させる力。数が多いほど力は増す。
以前、スターリベリオンを倒し、モニタから受け取ったメモリーである。



次回はハーミットとテンパランスの使用者についての紹介から始まります。

活動報告の所も是非見てください、面白い事が起こってますよ(笑)


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第24話「小さな灯り 儚くも消えゆく」

今回はハーミットとテンパランスについての紹介も兼ねた回です。
果たして戦いの行方はいかに・・・・・・・・・・・・・


早乙女灯(さおとめともり)、かつては何処にでも冴えない少女であった。ボサボサの長い髪に、前髪で左目を隠し、何時も片隅で本を読み続けていた。周囲からは「地味な女」「薄気味悪い」と罵られていた。

だが彼女のは心の中で思っていた「何時かは自分も変わりたい」と。

 

彼女には弟がいた。名前は早乙女爛(さおとめらん)彼は冴えない姉がコンプレックスで、中学生でありながら、不良になってしまった。彼女を毛嫌いし、夜遅くまで遊び、喧嘩を繰り返す日々が続いた・・・・・・・・・・・

 

自分が変われば、弟も元に戻ってくれる、そう思い、努力した。化粧を覚え、綺麗な服を買い、女らしいしぐさを覚えた。

初めて変わった自分を見た時、我ながら美しくなったと感じた。

 

「これなら爛もきっと・・・・・・・」

 

これで弟も戻ってくれる、そう信じていた。だがしかし、彼女の心は粉々に砕かれてしまう・・・・・・・・・・・

爛の帰りが遅い、1日経っても帰ってこない、心配で仕方がなかった。そんな中、一本の電話が入る。

その相手は、警察であった。

 

「え・・・・・・・今なんて?」

「ですから・・・・・・弟さんが、亡くなりました・・・・・・・詳しくは署に」

 

爛は死んだ。原因は大勢での喧嘩の仲、鉄パイプで何度も、何度も殴られた。警察署に訪れ、彼の遺体を目にし、受け入れたくない現実が、目の前にあった。

 

「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――!!」

 

彼女の泣き叫ぶ声は外にまで聞こえた。あれから、灯梨は家に引きこもった。果てしなく絶望した。その心には大きな闇を生み出してしまった。

 

ある時、数か月にぶりに家を出た灯梨は、弟を殺したと思われる不良集団のいる廃工場へと訪れた。

 

「よぉ・・・・・よくも俺をやってくれたなぁ、覚悟はいいよな?」

 

弟の爛のような口調になっていた。というより、爛そのものであった。死なない程度に集団を叩きのめし、満足気に帰っていった。

廃工場を出た途端、おしとやかに歩いて行った。

早乙女灯はもう1つの人格に、爛を生み出してしまった。所謂、二重人格だ。感情的になると、爛が現れ、荒れ狂ってしまう。

元々爛も、相手を徹底的に痛めつける一面もあった。だから青葉カレンを殺害しようと企てたのだろう。

 

「そう・・・・・・・・爛はいる・・・・・ここにいる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして彼女はハーミットリベリオンとなり、22人のリベリオン使用者の戦いに身を投じた。勝利の為なら、他人の命など平気で奪う。彼女にとって、弟以外の存在は、無に等しい。

弟に変わった自分を見て欲しい、それが彼女の願いだ。

 

「さぁ・・・・・派手にいきましょう」

 

ヴェノムクラーケンがサイコディスカイザーに向かって、触手を伸ばし、切り裂こうとする。

しかし、5本の触手が掴まれ、そのまま放り投げられ、ビルが3棟も破壊される程の衝撃だった。

 

「なっ・・・・何で!?あんなに強化させたのに」

「ハッ? 強いのは見た目だけか?あんまりガッカリさせるなよ・・・・・・」

 

そのままフールリベリオンが、ハーミットに接近し、右腕のダイルデンジャーで殴りかかる。

 

「野郎・・・・・調子にのりやがって!!」

 

起き上がったヴェノムクラーケンが触手を使い、フールに巻き付く。

 

「ほほぅ・・・・・やるじゃねぇか」

「まだまだ、本番はここからよ」

 

ハーミットが膝のランタンを展開し、中に収納されていたデバイスにシステムメモリーを装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、巻き付かれたフールをヴェノムクラーケンが地面に叩きつけ、その後触手を開放し、全身を貫こうとしたその時――――――――――!

 

「しまっ―――――!」

 

サイコディスカイザーがヴェノムクラーケンの下部に向かって、光弾を吐いた。直撃した部位は、削り取られた様に失われていた。攻撃は中断され、空中に落下していたフールは、無事、地面に着地した。

 

「こんなもんか?もっと俺を楽しませろよ!!」

 

システムメモリーをデバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共にアポロナインフォックスの尻尾を思わせる武器(フォックスレーザー)を、左手に装備、エネルギー光弾を4発発射し、ハーミットに直撃し、地面に激突し、気を失ったかのように、倒れ込む。

 

「アイツを殺るなら・・・・・いましかない」

 

ルナリベリオンは倒れ込んでいるハーミットに、止めを刺そうと、システムメモリーを取り出そうとする。どんな理由があれ、彼女はカレンを殺した張本人、自分の手で殺すべき、そう思った。だがしかし、殺す事で果たせるものなのか?心の中で考えていた。

仇を打つのではなく、最後まで勝ち残る。それが彼女に対する償いだと。

だがそれでも一矢報い入れようと、アロンダイト振り下ろそうとする――――――――――

 

「人の獲物狙うとは・・・・・・・随分な真似を考えるなぁ。しばらくコイツの相手でもしてろ」

 

剣先をフールが掴み、止めに入った。MARK IN(マークイン)と書かれたシステムメモリー、ソルリベリオンとチャリオットリベリオンの方へ投げる。

それに惹かれたかの様に、3体のサソリ型のクリーチャー(ベノスティンガー)が襲い掛かり、内1体も、ルナリベリオンの方に迫って来る。

 

「うぉっ、何だいきなり!?」

「そうか、クリーチャーは既に潜んでいたのか」

 

半蔵が察知したクリーチャーはベノスティンガーの事であった。気配がなかってので、姿を消したのではないかと思われたが、様子を窺っていた、もしくは、引きずり込んだ人間を捕食しいたと思われる。

 

「ここは一気に片付けるしかないか・・・・・・」

 

3人は同時にシステムメモリーを取り出し、デバイスに、ルナリベリオンは盾に装填ソルリベリオンルナリベリオンは「フィニッシュイン」チャリオットは「ショットイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオが召喚され、共に飛び上がり、口から出された炎を足にに纏い、必殺技(プロミネンスブレイカー(キックVer.))は発動し、ベノスティンガー1体に炎を纏ったキックが炸裂し、爆散する―――――!

 

同時に、チャリオットもキャプチャースナイプライフルを召喚し、ベノスティンガーを狙って狙撃、心臓部を貫通し、爆散する。

 

同時に、ルナリベリオンも、クリーチャー(ルナティックサンダーバード)の変形し、周囲に青白いスパークで覆い、翼を大きく羽搏き、カマイタチを発生させ、ベノスティンガーの全身を切り裂く。そこから雷を発生させ、回転しながら突撃し必殺技(ライジングテンペスト)が向かって炸裂し、全身が切り刻まれた――――――!

 

「っ・・・・・・負けられるかよ・・・・お前をぶっ倒して・・・・・・俺は・・・・・・・私は―――――!!」

 

意識を取り戻したのか、ハーミットは立ち上がった。

 

身体にヒビが入り、眼に亀裂の入り、既にボロボロの状態で、とても戦えるとは思えない。だが彼女はフールに向かって前進する、しかし、歩くのがやっとであり、あと一歩の所で、右脚が破損、膝をついてその場で止まってしまう。

 

灯梨なのか、爛なのか、自分でも人格が困惑していた。何とか保っていた自分の心を繋げていた鎖が外れたかの様に。

 

「お前とはもう少し戦ってみたかったが・・・・・・・ここまでの様だな。楽しかったぜ」

 

フールリベリオンがホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、助走をつけて走り出し、一気に跳躍し、サイコディスカイザーが両手で、フールを覆い、エネルギーを充填させ、右足に5色(灰色 黄色 赤茶 焦げ茶 オレンジ色)不気味に輝く巨大な刃を発生させ、ハーミットに目掛けて、一気にかかと落としの様に足を打ち降ろし、超必殺技(エレメンタルディストラクション)が発動し、刃はハーミットに迫っていく――――――!

 

「あぁ・・・・・爛、私変われたのよ、だから見て、あなたに見て欲しいの・・・・・・・・・ようやく見せてあげられるわ」

 

もう避ける力もなく、ただ刃が迫って来るのを待つだけであった。

灯梨自身も分かっていた。弟、爛はもういない事を。そして感じた、自分が死ぬという事を。だがこのままでは終われない、最後の力を振り絞り、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填「スパイラルイン」の電子音声と共に、身体の触手をフールに目掛けて直進させる。

 

「おっ、これで決着が着きそうだね」

 

その様子を見たテンパランスは、飛び上がり、その場を離れる。ルナリベリオン達も、近づく刃に警戒し、後ろの高台にジャンプして移動する。

刃が近づく前に

 

「っ――――――!?」

 

刃がハーミットに直撃すると同時に、触手がフールの腹部と右腕を貫いた―――――バランスを崩し、地面に落下し、倒れ込む。

そしてハーミットは・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「また・・・・・1人減ったのか・・・・・・・・・?」

「あぁ、その様だね」

 

身体が左右真っ二つに切断されていた。その断裂の後からは大量の血が潰れたトマトの様に、溢れ出ていた。その後ろのヴェノムクラーケンもまた、左右真っ二つになり、ノイズとなり、消滅した。

その姿を見たソルリベリオンは、見ていられず、横の方を向いていた。

 

「ハハハ・・・・・随分な置き土産を持って来たじゃねぇか。もうお前と楽しめないのが残念だぜ」

 

倒れているフールを、テンパランスがアーチャースライサーから矢を放ち、狙撃する―――――

それに気づいたか、体を転がせ、矢を回避した。

 

「次はどいつが相手をしてくれるんだ?お前かぁ?お前かぁ?それともお前かぁ!!」

 

立ち上がったフールは、ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオット、テンパランスの順に指さしを始めた。

 

「俺が相手になってやる。お前とはやはり決着を付けなければならないみたいだな」

「嬉しいねぇ、こう続けて宴を楽しめるんだからなぁ!!」

 

次の相手に立候補したルナリベリオン。クリーチャーを合体させ、強化したフール、クリーチャーと融合し、力を得たルナリベリオン。果たして、勝つのは一体、どちらか・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「オラぁ―――――!」

「ハッ―――――!!」

 

ダイルデンジャーとアロンダイトの鍔迫り合いになり、その隙を突いて、足元を狙い、フォックスレーザーからエネルギー弾を発射し、目くらましを図る―――――

 

「ッ!?何処にいった・・・・・」

 

いなくなったフールを探す為、辺りを見回す。その背後から飛び上がる音が聞こえた――――――

 

「そこだっ!!」

 

背後にはダイルブレードを装備したフールが迫り、斬りかかろうとする。瞬時に反応したルナリベリオンは、盾でそれを防ぎ、受け流す様に、フールを放りなげた。

 

「あぁ・・・・やっぱお前は面白れぇ、戦う度に強くなってやがる」

 

この状況すら楽しむフール。その横を、テンパランスが狙ったかの様に、グラムブレードを振り下ろす―――

 

「順番こ・・・・・ってガラでもねぇか、いいぜ、何人でも相手になってやるよ!!」

「俺も・・・・・・・勝たなくちゃいけないんでね」

 

 

 

 

天条仁(てんじょうじん)、彼は至って、ごく普通の高校生であった。父はとある事業を立ち上げ、着々と成果を上げており、順風満帆な家庭環境であった。

しかしある時、父親が事業に失敗し、家族は、多額の借金を背負う事になってしまった。それ以降、父は酒に溺れ、母や仁に、暴力を振るう日々が続いた。

そんなある時、アルカナデバイスを手に入れ、戦いに勝利すれば願いが叶う事を知った。

 

仁が戦いに掛けた願い、それは借金を無くし、元の生活に戻る事。その為に彼は戦っている。

 

 

 

「俺は負けられない・・・・・・・・この戦いに勝ち残るんだ!」

 

あんな生活、もうたくさんだ。俺が勝てば・・・・・・・・・・・・・・全部元通りになるんだ!

その為だったら、戦って勝つしかないんだよね。そうじゃなければ、いずれは何もかもなくなる・・・・・・

 

 

「そう簡単にやられてたまるか―――――!」

 

アロンダイトで斬り付け、軽く吹き飛ばされるテンパランス。追い打ちを駆けるように、迫り、アロンダイトで貫こうとするが―――――!

 

「っ・・・・・・こんな時に!?」

 

エネルギーを大きく消耗したからか、ユニゾンモードが解除されてしまい、膝をついて倒れてしまった。

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・」

「何?もう終わりって感じなの?それじゃ―――――」

 

そこへテンパランスが近づき、ルナリベリオンに向かって、アーチャースライサーを振り下ろそうとした瞬間―――――

身体から時間切れが近い合図である、ノイズが発生し、一旦後ろに下がる。

 

「あ~あ、もう少しだったってのに、無理は禁物か」

 

武器を降ろし、テンパランスは近くの、電光掲示板からサイバープログラムを抜け、現実世界へ戻った。

辺りをよく見ると、フールの姿もなかった。大方時間切れで現実世界に戻ったのだろう。

 

「おい・・・・・・大丈夫か?」

 

ソルリベリオンを手を伸ばして肩を掴もうとした所、ルナリベリオンはその手を振り払う。

 

「構うな、これは俺の問題だ・・・・・・・お前には関係ない」

 

一旦戦いが終わり、3人もまた、現実世界に戻っていった。

 

「っ・・・・・・まだ使いこなせていないか」

 

まだこのユニゾンの力に俺が追い付けていない・・・・・もっと強くならないと、その為には戦うんだ・・・・・戦い続けて俺は――――――――――

 

「アイツ・・・・・大丈夫かよ?」

「さぁね、けどあの力、相当体力を消耗するんだね」

 

ユニゾンの力と、その力を使いこなすことは極めて難しいと思ったハルトと半蔵。そしてまた使用者の命が奪われた事にハルトは悔やんでいた。

 

「止められなかったのが悔しいかい?けどあの女は君の友達の命を奪った。そしてこれまでも、因果応報だとは思うよ」

「そうかもしれないけど・・・・・・それでも、これでよかったとは思えねぇよ」

 

これから先も戦いは続き、多くの命が失われる事になるかもしれない。この先にあるものって一体何なんだろうな・・・・・・

まだ俺には分からない、けど戦いは止めたい。止めないといけないんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、仁は家に帰る途中だった。

 

「ハァ・・・・・またか」

 

家の目のまえには4人の黒い服を着た男が立っていた。

 

「兄貴、帰ってきましたぜ」

「おぅ、兄ちゃん、何時になったらお前の親父さんは借金を返してくれるんだぁ?」

 

借金取りだ。何時も何時も来ては催促をする。払えないと分かっているのに。

 

「また痛い目合いたくなければ、おとなしく払うモン、払うんだな!!」

 

俺は壁に押し付けられ、胸倉を掴まれた。何度も・・・・・何度も、俺は悪くない!親父だって・・・・・・・別に悪い事をしたワケじゃない!!お前らに何が分かるんだ!!

 

限界を感じたのか、仁はポケットの中にしまっていた、ジーン・スモッグの描かれたタロットカードを手に取った。

それと同時に黄色い煙が借金取りを覆う・・・・・・・・

 

「おい、何だ!?何が起こってるんだ!?」

 

煙はどんどん濃くなり、借金取りの姿が見えなくなっていた。

 

「あっ・・・・・うわああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

煙が晴れると、そこに借金取りの姿はなかった。仁はやってしまった。ジーン・スモッグに借金取りを食べさせてしまった。

その事に恐怖心はなく、ただ一言・・・・・・・・

 

「ざまぁみろ」

 

とだけ放った。何事もなかったかの様に家に帰ると、ソファに座っている、母親の天条訪花(てんじょうほうか)に声を掛ける。

 

「ただいま、母さん、大丈夫?」

「仁・・・・おかえり、家の前に借金取りがいたけど大丈夫?」

「心配ないよ、出すものないと分かったら帰っていった。大丈夫、これからは俺が何とかするから・・・・・・」

 

元気づけようとする仁の姿を見て、訪花は涙を流す。自分の情けなさに、息子にも負担を掛ける事に。

 

「仁・・・・・ごめんなさい、私がこんなばかりに」

「いいって、俺に任せて、絶対何とかなるからさ」

 

そうだ、何だってやるさ。仕方なよね、こんな事になったんだから。俺は勝たなくちゃいけないから。

我慢の限界を超え、人の道を踏み外してしまった仁、彼の行く末はいかに・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

その日の夜、久しぶりに中間報告の集会が行われた、何時もの黒い空間に、使用者一同は、趣味の悪いピエロの顔を思わせる椅子に座らされていた。

テーブルの真ん中には、モニタがゴルフの素振りを行っていた。

 

「ハイ、ハーイ皆さん、元気してますか~今日は久しぶりに1人脱落しましたね~いやぁ、見物でしたわ」

 

今回の戦いで、ハーミットリベリオンが脱落した。久しぶりの壮絶な戦いに、モニタは満足気に踊っていた。

 

「残る使用者は15人、さぁ、次にやれらるのは誰かな~?楽しみでオラ、ワクワクすっぞ!!」

 

何処かで聞いた事りそうなフレーズを放ち、飛び上がっている。その言葉を最後に辺りは暗転し―――――

 

 

「ハッ・・・・・・・ハァ、朝か」

 

7月31日、時刻は朝9:00。

目を覚ましたハルトは、リビングへ向い、半蔵の様子を窺った。

 

「先生・・・・・・やっぱ書いたまま寝てんな」

 

案の定、半蔵は小説を書いている途中に、机に伏せて寝ている。

 

「せめて、布団かソファで寝てくれよ・・・・・」

 

そう文句を垂れながら、ハルトは赤色に、黒のラインの入ったTシャツに、緑色のズボンに着替える。

部屋に戻って、夏休みの宿題を取り出そうとした時、スマホが鳴り響き、手に取る。

 

「もしもし?彩だけど、今空いてる?」

 

電話の相手は彩だった。何時もながら元気な声で、何処かハルトは安心していた。

 

「今勉強しようと思ったんだが」

「えっ、本当に!?まさか自分からやるなんて・・・・・・・・」

 

自分から勉強を始めようとするハルトに、彩は驚いていた。今までなら勉強すっぽかして遊びにいく程であるから思わず声を上げてしまった。

 

「失礼だな、俺だってちゃんと勉強ぐらいなぁ」

「分かった、ゴメンって。じゃぁ今日は特別に勉強休んで遊ばない?」

「・・・・・・・・・あぁ、いいぜ!」

 

誘いを断って、勉強するかと思いきや、彩と遊ぶ方を選んだハルト。何だかんだで遊びの方が好きの様だ。

 

「んで、どこで待ち合わせする?」

「じゃぁ、駅前で、せっかくだし隣町までいかない?」

「おぅ、いいね!行こうじゃないか、それじゃ後で」

 

通話を終え、出掛ける支度をするハルト。メモに何かを書き、半蔵の寝ている机に置いて、家を出た。

 

「また変にカップ麺ばかり食ってないといいが・・・・・・・」

 

食生活のだらしない半蔵を心配しながらも、ハルトは家を出た。

 

「さて、駅へ向かわないとな~」

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したシステムメモリー】


フールリベリオン
    ↓

【フィニッシュイン】エレメンタルディストラクション ランクSSS
サイコディスカイザーが両手で、フールを覆い、エネルギーを充填させ、右足に5色(灰色 黄色 赤茶 焦げ茶 オレンジ色)不気味に輝く巨大な刃を発生させ、かかと落としの様に相手に足を打ち降ろす。





耐え切れなくなった仁は、遂に人を手に掛けた。この先、彼はどうなってしまうのか?
ハーミットが退場し、残るリベリオン使用者も15人、次の犠牲者は一体誰なのか?

次回、ハルトが日常を満喫するとは裏に、他の使用者にさらなる戦いが待ち受ける―――――!!
ご期待ください!


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第25話「めくりめくる」

ここで各使用者の変身ポーズを公開。みんなも真似してみよう!!

獅子堂ハルト/ソルリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右手を突き出し、拳を握る。
三日月伊織/ルナリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右手で刀を持つ様に構え、左手を後ろに下げ、前に出す。
切島一貴/デッドリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右手を横に振り、手を鎌の様な形にする。
国枝半蔵/チャリオットリベリオン:右手でデバイスを横に見せる様に持ち、左手をパーにして、腕を曲げる。
星流凜/スターリベリオン:(デバイスを持つ手は右)手の甲を前にし、親指、人差し指、中指を出す。
和野要人/フォーチュンリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右腕を前に出し、横に振る。
黒崎我怨/フールリベリオン:左手の親指を突き出し、横に向けた後、首を掻っ切る様なポーズを取る。
逆蔵真弥/ハングドリベリオン:(デバイスを持つ手は右)眼鏡を手で「クイッ」と上げる。
永遠野双葉/ラヴァーズリベリオンF:(デバイスを持つ手は右)両手で抱きしめる様なポーズを取り、一気に解き放つ様に腕を横に出す。
深井愛人/ラヴァーズリベリオンM:双葉と同様(ただし愛人の場合左手にデバイスを持つ異)
早乙女灯梨/ハーミットリベリオン:(デバイスを持つ手は左)デバイスを上に出し、反対の手で頬を押さえる。
田井中力/ストレングスリベリオン:(デバイスを持つ手は左)片腕でマッスルポーズを取る。
天条仁/テンパランスリベリオン:(デバイスを持つ手は右)手の甲を反対側の手で押さえ、デバイスを突き出す。


時刻は10時12分。

可夢偉町(かむいちょう)駅前。

 

赤いポストの目の前で、赤色のブラウスに、水色の短パン姿の桜木彩(さくらぎさや)は、時計を見つめながら、ハルトを待ちながら、スマホをいじりながら立っていた。待っていられまいと、足踏みを繰り返し、腰に手を当てながら、躍らせていた。

 

「まだかな~何時も時間にルーズなのは知っているけど、こういう時くらいちゃんと守ってくれてもいいんじゃないか」

 

灰色の鞄の中から、スマホを取り出し、ハルトに電話をしようとする。とそこへ、彩を呼ぶ声が聞こえた。

 

「おーい、待ったか?」

「う~ん、ちょっと待ったかな。ハルトにしては時間を守れた方なんじゃない」

 

赤色に、黒の太い二本線の入ったシャツに、迷彩柄のズボン姿のハルトが、駅前に到着し、彩と合流した。

ちょっと待ったとは言うが、実際の所、30分以上は待っている。ハルトを誘う際には、既にもうこの場に到着していたのだから。

 

「じゃぁ行こうか」

「んで、隣町に何しに行くんだ?」

「もう、そんなの向かってから決めるに決まってるじゃん」

 

パスを翳し、改札口を通り、駅のホームへ向かった2人は、10分後に到着する電車を待っていた。

辺りをよく見回すと、男女のカップルが、かなり多かったのを見て、彩はハルトに少し近づいた。

 

「ひぇ~それにしても人多いな」

「そうだね」

 

しかし、ハルトは一向に気づきもしない。彩自身分かっていたものの、ちょっと残念そうな顔をしていた。

 

そうこうしている内に、あっという間に10分経ち、電車が到着し、中へ入っていく。

電車の中は、満員寸前の状態であった。扉の前の隅っこに立ち、電車のドアは閉り、出発した。

 

「ここから何分ぐらいだっけ?」

「え~っと、20分ぐらいだったっけな」

 

可夢偉から隣町の速海駅(はやみえき)まで約20分、それまでこの満員状態が続く。

電車の揺れに姿勢が保てず、彩はハルトの胸の方にもたれ掛かってしまう。

 

「あっ・・・・・ゴメン」

「ん?まぁ、こんな混んでちゃ、しょうがねぇだろ。大丈夫か?」

「えっ・・・・・・あっ、うん。大丈夫」

 

ハルトは動揺するわけでもなかった。だけど心配する優しさに、顔が赤くなってしまい、ハルトの服に顔を埋める(うずめる)

 

(もぅ・・・・・どうしてこういう時に限って優しいのよ。バカ)

 

「そういや、電車乗るのも久しぶりな気がするな」

「あっ・・・・そうなの?私は買い物や友達と出掛けたりする際によく使うけど」

 

アレ?そう言えば、ここ最近、ハルトってあの三日月伊織(みかづきいおり)と知り合ってから、あまり他の友達と遊んでない気がするけど・・・・・・・・

 

「俺、あんま遠出ってしないからってだけなんだけど」

 

それもそうだった。まぁ可夢偉には色々な施設もあるし、ワザワザ遠出する必要も特にないしね。おかしな事じゃないか。

はぁ・・・・・・・正直もうちょい電車に乗ってたいかも。もう少し、こうしていたいなぁ・・・・・・・

 

だけど、ハルトがこの想いに気づく事は余程の事がない限り、あり得ない。それは彩も柔順承知である。

顔を埋める彩を見て、ハルトは寝てるのかと思っていた。

 

「ん?まさか寝てるのか?まっ、こっからしばらく掛かるし、そっとしとくか」

 

彩が倒れない様、彼女の腕を掴んだ。つり革も掴んでいたので、両手が塞がってしまい、かゆい所に手が届かない状態だ。

 

「ヤっべ、腕攣りそう」

 

寝ているかと思われた彩は、ハルトに腕を掴まれて、胸の鼓動の高鳴りが、止まらなかった。

彼の大きな手に掴まれたあまり、思わず、二の腕に力が入ってしまう。

 

(ええええ―――――!?ヤバい、ドキドキしてきた)

 

少し顔を上げてみると、ハルトは窓の方を見ていた。何かを考えているかの様に・・・・・・・・・・・・・・

 

(戦いは、どんどん激しくなっていく。そして、その度に、また誰かが・・・・・・・・・・・・・)

昨日の戦いで、ハーミットリベリオンが倒され、脱落した。出てくるクリーチャーも強くなっていき、他のリベリオン使用者もどんどん力を増していく。心のどこかで、不安を感じていた。

 

(だけど、コイツの前でそんな顔は見せられないよな)

 

彩にだけは本当の事を知られる訳にはいかない。彼女がまた危険な目に遭わない為にも。

 

そうしている内に、隣町の速海駅まで到着した。電車から降り、改札口を出た。眩しい日差しが向かい入れ、セミの鳴き声が鳴り響く。

 

「はぁ~着いたぜ。これからどうするんだ?」

「んとね・・・・・あそこからバスに乗って、田舎方面に行くの。面白い所いっぱいあるんだよ」

 

ここからバスで約1時間半、豊峰(とよみね)という小さな田舎町がある。昔ながらの、懐かしい風景を見られるという。

 

「ほぉ~じゃっ、行ってみっか」

 

時刻は11時4分、豊峰へ向かうバスが止まるバス停へ向かい、丁度良いタイミングで、バスが来た。代金を払い、後ろの方の2人乗りの席の方にハルトと彩は座った。

 

「こんな都会から、田舎町へ向かうなんて、正直考えられないよな~」

「そうだね、けどそういう所も行きやすくなって思うと、便利な世の中になったものだね」

 

バスの通る所が少ない田舎町でも、15分に1度のペースで、バスが通る様になり、電車も開通し、通勤がより快適になったこの時代。まさに進歩を遂げたという所だろう。

 

「おっと、だいぶ風景が変わって来たな」

「うん、なんかいい感じだよね」

 

バスが出て約1時間、ビルなどの大きな建物が溢れる都会の街から、小さな家が並び、その後ろには森が続いた、田舎町へと着いていた。

それから30分、豊峰へ辿り着いた。次のバス停へと出発するバスを見送りながら、空の方をハルトは見上げた。

 

「空が良く見えるな。空気も美味しいし」

「こっちこっち、しばらく歩くといい所があるよ」

 

彩の後をついていく様に、ハルトは歩く。都会方面へ向かうトラックとすれ違い、畑で作業するおじいさん達を見ていると、ある事が脳裏に過ぎる。

それは、かつて戦ったストレングスリベリオンの使用者、田井中力(たいなかりき)の事を。

彼もかつては畑を耕しており、可夢偉町まで野菜を売りに行っていた。そんな彼も、故郷の復興の為に努力していたが、そこを付け込む様に、リベリオンバトルの誘いに乗ってしまい、犠牲となってしまった。

 

「そういや、アイツもあぁやって頑張ってたんだな・・・・・・」

 

畑の方を見つめるハルトを、彩が近づいてきて、驚かした。

 

「わっ!どうしたの?」

「あっ・・・・いや、何でもない」

 

何事もなかったかの様に歩き続けた。そこから10分、彩が1軒の小さな建物を見て、指さした。

 

「ホラ、あれだよ、あの駄菓子屋さん。たまたまネットで見つけてさ、一度行ってみたかったんだよね~」

 

その建物は、駄菓子屋「ゆきかぜ」60年も前から経営しており、今もなお、地元の人や、海外から訪れる人もいると言う。

店内には、奥の方に、畳の上で座布団を布き、座っているおばあちゃんが1人、周りには、昔懐かしの駄菓子がざっと並んでいた。

 

「ほぇ~こんな所があるんだな」

「ねっ、面白い所でしょ?」

 

彩はまずはじめに、ヨーグルを、店に置いてある小さなカゴに3個とビンラムネをを2個、さくら大根4枚、さらに冷蔵庫に入ってあったガリガリ君コーラ味を1本を入れた。

 

ハルトもカゴを手に取り、駄菓子を探す。最初に目にしたのは、レモン味、コーラ味、メロン味、ピーチ味のこんにゃくゼリーをそれぞれ2本ずつ、早速カゴに入れ、次に注目したのは、フルーツの森、器も食べられる。さらに、ココアシガレットを3つ程手にし、最後にソーダ味のポッキンアイスをカゴに入れた。

 

「すんませーん、お会計いいですか?」

「あいよ、あら、珍しいお客さんだね」

「はい、たまたまここを知って、ずっと気になってなってて」

 

彩がおばあちゃんに声を掛けると、物珍しそうに、こちらを見ていた。するとおばあちゃんが彩の耳に顔を近づけ、ヒソヒソ話をしていた。

 

「彼氏さんと来るなんて、お熱いねぇ。アタシにもあったよ、そういう青春が」

「いっいいいいいいいいいい、いや、別にそういうのじゃないですよ~ただの友達、友達ですよ!!」

 

彩の顔は、何時にもまして真っ赤になって、激しく動揺していた。ついでにおばあちゃんは自分の過去の話もコッソリとしていた。

 

 

「あら、そうなのかい。まぁ、頑張りなさいよ。はい、500円ね」

「あっ・・・・・・・はい!コレで」

「ほい、丁度頂いたわ。ほれ、次はお兄さんね」

 

次はハルトがおばあちゃんの前に立った。ハルトの顔を見たおばあちゃんは何かを感じたかの様に問う。

 

「なんかお兄さん、疲れた顔してるね」

「あ・・・・・そう見えますか?」

「そらぁね、何で疲れ切ってるかは知らんが、あの娘に心配懸ける様な事するんじゃないよ」

「えっと・・・・・・ありがとうございます」

 

ハルトは頭を掻きながら礼を言った。戦いが続く中、自分はそんなに疲れた顔をしているのか?正直自分でも分かっていなかった。

彩に心配懸けるな。その言葉が何処かハルトの心に刺さっていた。

 

「んじゃ、320円頂くね」

「マジか!?そんな安いんか?んじゃっ!」

 

あまりの安さにハルトは驚いていた。駄菓子は多く買っても手頃な値段、そこが売りで、美味しい所だ。

 

「はい、こちらも丁度ね、毎度あり~」

 

会計を終え、店を出た2人は、近くの自販機で、ハルトはラムネを、彩はCCレモンを買った。

駄菓子を食べようと、向かった先は、小さな公園だった。ブランコ、ジャングルジム、すべり台と懐かしい遊具が並んでいた。

 

「おっ、あそこいいじゃん~」

 

ベンチを発見し、そこへ座った。2人は溶けない内に、先にガリガリ君とポッキンアイスを食べる事にした。

 

「ん――――――――――!!やっぱ暑い時はアイスだよな~」

「最高だね、買って正解だよ」

 

アイスを食べ、キーンっとなったのか、頭を押さえる2人。徐々に彩のガリガリ君が溶け、液が地面に垂れる。そこに群がる様に、アリが寄って来た。

 

「おっ、君達も腹ペコなのかな?」

 

アリをじっくり眺める彩。その様子を見て、ハルトはクスっと笑っていた。

 

「やっぱ、ハルトはそうじゃなくっちゃ」

「え?」

 

彩の言っている事に首を傾げていた。一体何の事やら、みたいに。

 

「何か、最近疲れた感じしてたからね。ちょっとでも元気になってくれてよかったよ」

「あぁ・・・やっぱり、そう見えるか?」

「見えるよ、どう見ても!らしくないぐらい、悩んでるみたいだし」

 

そんなに疲れてるのか・・・・・・俺は。確かに、ここ最近戦いが加速し、大変な状態だ。やっぱ、彩は勘が鋭いな~

けど、まだ正体がバレてるって感じじゃないから、流石に黙っておくしかないか。

 

「いやぁ、宿題が捗る様な、捗らない様なって感じで、頭を使ってるだけだよ」

「そう?何だ、心配して損したじゃん。まっ、ハルトらしいっちゃ、らしいけどね」

 

何とか誤魔化した。でもそれが何時まで続くか・・・・・・・・不安が完全に消えたとはいい難い。

でも、今しか出来ない事をしよう。アイツが笑顔でいられる時ぐらい。

 

「って・・・・・・昼コレとか言わないよな?」

「え?いいじゃん、今日くらい。1日昼がお菓子でもバチは当たらないって」

「お前なぁ・・・・・・・まっ、仕方ないか」

 

時刻は12時50分、これが昼飯となるのであった。

とは言え、隙あらばカップ麺を食べている半蔵先生よりはマシな方かな。

って、また食べてなきゃいいけど・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

一方、同じ頃、国枝半蔵(くにえだはんぞう)はというと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「うん、おやっさん、やっぱこのラーメンは最高だね」

「おぉ、そうかい。先生に気に入れられて、こっちもありがたいぜ」

 

可夢偉町商店街にある、ラーメン屋「黒鉄魂(くろがねだましい)」に来ていた。

ここは半蔵がよく訪れるラーメン屋で、お気に入りの場所である。常連の縁もあり、店にはサインが置かれている。

 

「カップ麺ばかり食べるな、だもんね。だからこれはセーフ」

 

半蔵が食べているのは、濃厚とんこつ醤油ラーメン、くどい油がまた癖になる。

 

「さて、ハルト君は出掛けてしまったし、これからどうしたものか・・・・・・・・・」

 

小説も行き詰っており、中々進まない、気分転換に外へ出たが、何もすることがない。ゆっくりスープを啜りながら、何をするか考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、ハルトと彩はというと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「いやぁ~美味かった」

「うん、やっぱ駄菓子っていいよね♪」

 

駄菓子を食べ終え、満足そうに歩いていた。

 

「なぁ、他、何か行く所あるのか?」

「そうだね~どうするか」

 

特に次の予定は考えていなかった。ひたすら歩く2人、するとある場所を発見する。

 

「ここって・・・・・・・神社か?」

「そうだね、なんだか歴史を感じるな~」

 

左を向くと、そこには神社があった。まるで赤い鳥居が2人を引き寄せる様に・・・・・・・

 

「ふぅ、何だか落ち着くな、ここ」

「何だろうな~不思議な感じがするね」

「あぁ、それに・・・・・・・俺、何か初めて来た気がしないんだ?」

「何それ?今日私と初めて来たばっかじゃん」

 

突然のハルトの言葉に、彩はからかいながら指で突っついてくる。

 

「そうなんだけどさ、けど・・・・・・・・・うっ―――――!?」

 

その時、強烈な頭痛がハルトを襲った。まるでノイズが流れ、かき乱される様に。

そしてフィルムが流れる様に、脳内から映像がフラッシュバックされる様に投影される―――――

 

その映像は、今いる神社の場所で、彩とハルトが2人でいる。しかし異なる点がある。それは服装、この映像の2人は学生服だ。

それともう1つ、雪が降っている。かなり親密に2人は寄り添い合っていた。そして――――――――――ここで映像は消えた。

 

「ハッ―――――これは一体・・・・・・」

「大丈夫!?急に頭押さえてどうしたの?」

 

頭を押さえるハルトを心配する彩。彼の肩に手を当て、そっと近づく。

 

「あっ・・・・・何だろうな?俺にも分からねぇや」

 

頭から手を降ろし、膝に手を付く。心配させまいと、笑顔で誤魔化した。そんな笑った顔を見て、彩はため息を尽いた。

 

「ハァ・・・・・・・変に心配させないでよ。まさか勉強して頭でも痛めたの?」

「え~っと・・・・・そうなのかな?」

「じゃぁ、しばらくは思いっきり遊ばないとね。戻ろっか!」

「あぁ、そうしよう」

 

何だアレ・・・・・・・・俺にそんな記憶はない。いや、過去?どちらかと言えば未来?でも何であそこに・・・・・・

 

ハルトの見たビジョン、それは過去の出来事なのか?それとも未来予知なのか?だが最後に一瞬見たもの、それはワールドリベリオンだった。これは何を意味しているのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バスで速海(はやみ)まで帰る最中、窓の方を見つめ、田舎から都会になる瞬間、ハルトは瞬きをする。自分の知らない記憶らしき何かがが投影され、心の何処かで困惑していた。

1時間後、目的地である、速海まで着き、可夢偉町(かむいちょう)へ戻る為、駅へ向かう。時刻は既に16時を過ぎていた。

 

「もうそんな時間なのか」

「まだまだこれからだよ、まだ夏は長いんだから!!」

 

まだまだ元気に一回転する彩。今日はとことん付き合わされると思いながらも、楽しそうにハルトは笑い返す。

その間に、電車がやって来た。乗って20分、可夢偉町に戻って来た。

 

「さぁさぁ、次はあちらに向かいましょうか!」

 

彩が走った先、そこはカラオケハウスであった。それの目のまえにしたハルトは、空いたが口が塞がらない状態だった。

 

「え?まっ・・・・・・マジで言ってるの?」

 

ハルトは後ろに3歩下がり、逃げ出そうとする行動を取る。だが逃げようとした彼の手を、彩が強く掴んだ。

 

「うん、本当だよ!さぁ、行こうか!!」

「えええええええええええええええええええ!!」

 

嫌そうな顔で思わず叫んでしまった。そう、ハルトはかなりの歌音痴であるのだ。それを知ってて、彩はここを選んだ。

無理にも連れていく彩に、必死で抵抗するハルト。そしてとうとう店内に入ってしまった。

 

「いらっしゃいませー2名様ですね?」

「はい、えーっと、2時間で、ドリンクバーありで」

「2時間ですね、では、こちらの番号のお部屋にどうぞ」

 

119と書かれたプレートを渡され、まず初めに、ドリンクバーの方でハルトはコーラを、彩はメロンソーダを取り、119と書かれた部屋へ入っていった。

 

「はぁ・・・・・・・・入っちまった」

 

ハルトは深く頭を下げ、額に手を当てた。その一方で小刻みに踊りながら、マイクを持つ彩。画面を見ると、既に曲が入っていた。曲は「愛言葉 作詞・作曲・編曲:DECO*27」あきらかに、遠回しにハルトに愛を伝えたいようだ。

歌う最中、彩はハルトの方を見つめる。だが、そのハルトは「おぉ~」みたいな顔をしていた。

 

(むむ・・・・・やはりそう上手くはいかないか)

 

「なんか、彩めっちゃ上手くなった?」

「えっ・・・・・そっ、そう?まぁ、友達とかと言ったりしてるからねぇ!」

 

突然の誉め言葉に、顔を真っ赤にして、両手を振る彩。かなり動揺している。

 

「へぇ~結構行くんだな・・・・・・・・ん?」

 

右側の窓の方を向く、そこには見覚えのある男がフラついて歩いていた。

 

「どうしたの?」

「あっ・・・・いや、なんでもない」

 

その見覚えのある男とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「ハァ・・・・この間よりは長く使えた、けどまだだ、まだ完全に使いこなせていない」

 

伊織だった。ユニゾンの力を使いこなす為、この日はひたすらクリーチャーと戦い続けていた様だ。

だがまだ、完全にマスターしきってはいない、多少の疲労感に見舞われなくなり、必殺技の使用後でも、30分は活動可能となぅていた。

 

「じゃなきゃ、俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

壁にもたれ掛かり、手に持っていた水を飲み干す。一旦落ち着いたか、フラついて歩く事はなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

「アイツ・・・・・・・・まさか今日も戦ってたのか」

 

窓を見ているハルトに、彩はマイクを突きつける。

 

「さぁ、ハルト君。今度は君の番だよ」

「えっ、俺?ってお前、何だよこれ!?こんなの歌えるか!!」

 

彩がハルトが歌う曲を勝手に決めていた。曲は現在有名な48人のアイドルが歌う曲。とても可愛らしい曲だ。

仕方なく歌うハルトであったが、恥ずかしさのあまり、歌い方がぎこちない、噛みまくりの、声のトーンが全く合っていない。

ハッキリ言って、音痴にも程があるレベル。その音痴っぷりに口を押えて彩は笑っていた。

 

「お前なぁ!勝手に歌わせといてそれはないだろ!!」

「いやぁ、ゴメン、ゴメン・・・・・・・それにしても相変わらずの音痴っぷり・・・・・ププっ」

 

へへ~ん、ちょっとはお返ししなくっちゃ、でも、ちょっと可哀想すぎるからやめておこっ。でもいい顔見せてもらったよ。

 

「はぁ~めっちゃ恥ずかしかった」

「大丈夫だって、聴いてるの私だけだから」

 

それが不幸中の幸い、他の奴らに聴かれてたらと思うと・・・・・・・・・・・・・・死にたくなっちまう程だ。

その後も、彩がひたすら歌った。凄く楽しそうに、ハツラツに歌っていた。なんの曲なのかは、俺には正直分からない。

 

ずっと、君の側にいたくて、寄り添いたくて、それが叶わないのが切なくて

これが最後でもいい、もう1度君に伝えたいんだ。

ダメでもいいから、何もしないよりはずっといい、でも実る事を祈っているんだ。

 

「・・・・・・・来年バンドとかいいかもな」

 

ハルトが突然な事を言い出す。それに乗った彩も話に食い付く。

 

「えっ、どうしたの、急に?」

「いやぁさ、こんなに歌上手いんだした、バンドとかいいかもなって、だからさ、来年の双園祭とかにどうかなって」

「いい・・・・・・・いいと思うよ、やろうよ!やりたい!!」

 

ハルトの手を握り、彩がハルトの話に賛成する。前々からハルトは、ギターやドラムには興味を持っており、バンドが気になり始めていた。

 

「そうと決まれば、来年に向けて、何か始めないとな」

 

これはすぐに白紙になるオチとみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝つのは俺だ・・・・・・・俺は勝って生活を取り戻す」

 

時を同じく、灰色のシャツに、ジーパンの天条仁(てんじょうじん)は、街中歩く中、戦いに勝つ事を呟いていた。

その時、スカジャンを着た男2人とぶつかってしまう。

 

「ってぇな!何処見てんだ兄ちゃん・・・・・・って思ったら借金まみれの天条じゃねぇか、こりゃ丁度いい」

 

その男2人は、仁と同じクラスの生徒であった。襟元を掴まれ、仁は路地裏へと連れていかれた。

 

「金がねぇお前はサンドバッグがお似合いさ!!」

 

無抵抗な仁を、男2人はサンドバッグの如く殴る、その衝撃で壁に吹き飛ばされた。

 

「おいおい、これ以上は死んじまうぜ、死なない程度にやれよ」

「おぉ、そうだな」

 

吹き飛ばされた仁に近づいていく男2人。そんな時、仁は小さな声で呟いた。

 

(死ぬのはお前らだ、バーカ)

「あぁん?何か言ったか?ゴラァ?」

「もう、やっちまおうぜ」

 

仁に近づいた時、辺りは黄色い煙で包まれた。戸惑う男2人、足元を見ると、徐々に足が消えていくのを目にする。

 

「おい・・・・・・何だよこれ!?」

「どうなってんだよ!?まだ死にたくねぇよ!!」

 

徐々に体が消えていく男の姿を見て、仁はニヤリと笑う。

 

(死にたくないとか、半殺しにしかけて何言ってんだか)

 

煙が晴れ、男2人の姿はなかった。路地裏から出ると大いに仁は笑う。

 

「俺は悪くないさ、悪いのはお前らみたいなクズだろう」

 

高らかに笑う最中、仁の頭の中に、サイバープログラム内に、クリーチャーが現れるビジョンが浮かぶ。

 

「せっかくだ、お前らも痛めつけてやるよ」

 

階段を登り、電子ロックのある扉にデバイスを翳すと、左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。手の甲を反対側の手で押さえ、デバイスを突き出し「セットオン!」の叫びと共に、全身がノイズに包まれ、テンパランスリベリオンへと変身し、電子ロックのある扉に吸い込まれる様にサイバープログラムへと入る。

 

階段を降りると目の前には、ウサギの様に白く、手がボンボンの様な物で包まれているクリーチャー(ホルンラビット)が3体、徘徊していた。

 

「お前らか・・・・・・・・相手になってもらうよ!!」

 

テンパランスは、ホルンラビットに近づき、聖杯弓(せいはいきゅう)アーチャースライサーで斬り掛かる――――――

 

ギぃ―――――!?

 

斬撃を直撃した1体は6m先へ吹き飛ばされ、残るに体が飛び上がり、テンパランスに襲いかかる。

 

「無駄だよ」

 

左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、アーチャースライサーに取り付けてあるデバイスに装填「スモッグイン」んの電子音声と共に、周囲から黄色い煙が発生すると同時に、2体のホルンラビットは煙のせいで動けなくなり、地面に落下する。

吹き飛ばされたもう1体もまた、煙を吸って、倒れ込む。

 

「何?もう終わり?」

 

呆れた様に頭に手を当てるテンパランス。軽くホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ジーン・スモッグが現れ、再びホルンラビットの周りを濃い黄色い煙で覆い、アーチャースライサーで一気に切り裂く。一か所に集まった所を、煙から離れ、矢にエネルギーを貯め込み一気に放出し、必殺技(アンバランス・デスモッグ)が発動する――――――――――その一撃により、粉塵爆発が発生し、ホルンラビット3体は木端微塵になる。

 

「ふぅ・・・・・・・・なんだ、呆気ない」

 

簡単に倒してしまい、つまらなそうに頭の後ろに手を当てる。すると、前の方から爆発が発生した。テンパランスはビルの屋上から移動し、様子を見る。

 

 

 

 

 

 

「あぁ・・・・・もっと俺を楽しませろよぉ。こんなんじゃ準備運動にもならねぇぞ!!」

 

そこでは、フールリベリオンが無数のクリーチャーを相手に、戦っていた。その様子を見て「コイツと関わったら面倒だと」言い残し、テンパランスは去っていった。

その様子を、カメにジェットエンジンを取り付けたカメ型のクリーチャーに乗りながら、1人の戦士が見ていた。180㎝程ある巨大な木づちの様な武器、白金の全身に、屈強な鎧、胸の下辺りから黒と金の垂れたローブ、丸く、先端の尖った肩、ひし形の膝アーマー、ハンマー形みたいな黒い足、頭部に雷の形をしたヘッドギア、獲物を狙うような丸みの帯びた黄色い両目(ツインアイ)背中には赤と青の振り子の様なバックパックを背負っている戦士だ。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

丸みの帯びたツインアイは、不気味なくらい、左右上下に動き、フールテンパランスを同時に見つめていた。

眼は背後に周り、監視カメラを介して、現実世界で帰る途中のハルトを、ベンチに座っている伊織を、ラーメン屋から出る半蔵を見ていた。

 

その様子を、感覚器官を共有する様に、モニタが黒い空間で、ジュースを飲みながら、巨大モニターで監視していた。

 

「さぁ~て、そろそろチミにも動いてもらおうか、暇でしょうがないでしょ♪」

 

モニター越しに、モニタが白銀の戦士に伝える様に呟いた。

 

「さぁて、コレを誰に渡そうか」

 

モニタが手にしていたのは、火山が噴火し、大地にマグマが垂れいく絵に、GAIA(ガイア)「UNISON」(ユニゾン)の文字が刻まれたカードであった。

 

「誰に渡すかは、ジャッジメント、君に任せるよ」

 

戦士の名はジャッジメントリベリオン。果たしてその力はいかに―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




それぞれの思惑が交差する戦いに、新たなカードが投入される。ジャッジメントリベリオン
果たしてどんな戦いを見せるのか?
そして第2のユニゾンカード。それは誰の手に渡るのか?
次回、大乱戦再び――――――――――お楽しみに!!


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第26話「審判の猛槌」

「あぁ~マジでしんどい」

 

8月6日、時刻は11時、ハルトと彩は夏休みの宿題をする為に、図書館に訪れていた。

 

「結構遊んだんだから、その分頑張らないとね」

 

頬杖を突きながら、黙々と勉強に励む彩、そんな中ハルトはあまりの面倒臭さに、頭の後ろに手を押さえる。

 

「しっかし、何でこう夏休みに宿題するんかね?休みなら楽しく休ませて欲しいもんだよ」

「タダでさえ、バカな頭がもっとバカになるからじゃない?」

 

からかい混じりに彩が言い返す。不貞腐れたように、ハルトは上を向いた。

 

「ちぇっ、難しすぎるわ」

「もぅ、仕方ないなぁ。どれどれ?」

 

難問に頭を抱えるハルト。そんな彼の隣に座り、分からない所を分かる範囲で教える彩。少しづつ分かってきたのか、答えを書く速さが若干上がった。

 

「ありがとな、手伝って貰って」

「なっ・・・・・何急に!?別に、アンタがまたギリギリになって泣きついてくるのを見たくないだけだし!!」

 

照れ隠しなのか、つい席を立って、机を叩いてしまった。それにハルトはちょっとビックリしてしまう。

 

「おっ・・・・おい、急にどうした?」

「あっ、ゴメン、何でもない」

 

髪をかき分け、席に座った。それからお互い、少しづつ宿題を終わらせた。1時間後、一旦宿題を終え、図書館を出る2人。

ハルトは両手を伸ばし、欠伸をした。

 

「そういや、来週だっけ?臨海学校」

「そっか、もう来週か~楽しみだね」

 

一週間後には、待ちに待った臨海学校。夏休み最大の楽しみともいえる。

 

「それまでには、宿題終わらせないとね」

「うっ!?分かってるよ。一番の難関は読書感想文だな・・・・・・・・・・」

 

ハルトが1番やりたくない宿題。それは読書感想文。ただでさえ小説も10分も読めないハルトに、感想が書けるのか?頭がいっぱい、いっぱいであった。

そんな時――――――――――サイバープログラムに何か感知したかの様なノイズが、頭に鳴り響く。

 

「どしたの?」

 

何も知らない彩は、首を傾げていた。

 

「あっ、悪い!急用思い出したわ!!」

 

すぐさま、ハルトは図書館を後にし、走り出した。

向かった先は、小さな電気屋。ここなら、店長は何時も新聞ばかり読んでいて、変身しても気づかない。

 

「おし・・・・・ここならってお前らもか?」

「何だい、来てたのか、ハルト君」

「っく・・・・・・どいつもコイツも」

 

同じ電気屋に、国枝半蔵(くにえだはんぞう)と、三日月伊織(みかづきいおり)がやってきた。

離れてもしかたないので、3人共、薄型テレビにデバイスを翳し「セットオン!」の叫びと共に、デバイスを二の腕に付けられ、アタッチメントに取り付け、ハルトはソルリベリオンを、伊織はルナリベリオンを、半蔵はチャリオットリベリオンに変身し、テレビの中から、サイバープログラムへ入る。

 

「そういや、今回はクリーチャーが現れた感じじゃぁなかったな」

「確かにな、一体なんのつもりだ?」

 

今回は、クリーチャーが現れたビジョンではなかった。違う反応を感じ、サイバープログラムへ入ってった。ノイズ交じりの音が頭に響く中、こちらに向かってくる足音が聞こえる。

 

「あん・・・・・お前らも来てたのかぁ?」

 

フールリベリオンだった。面倒くさい相手に遭遇し、チャリオットは、額に手を当てる。

 

「何?まさか君が呼んだんじゃないだろうねぇ?」

「何の事が知らねぇが、お前らが相手してくれんなら、俺は構わないぜ!!」

 

そう言いながら、チャリオットの方に向かって、蹴りを入れようとする。

 

「まっ、逃れは出来ないだろうね!!」

 

その蹴りを、右手で受け止め、右足でフールの脛を狙って蹴り返す。

 

「丁度いい、ここでお前を倒すのも悪くない」

 

そこへルナリベリオンも乱入し、新月をフール左肩に目掛けて振り下ろす。

 

「おいおい、こんな戦い辞めろっての!!」

 

さらにソルリベリオンが割って入り、戦いを止めようとする。がしかし、ルナリベリオンによって突き飛ばされてしまう。

 

「邪魔をするな!」

「って――!?何しやがんだよ!!」

「言ったろ、コイツを仕留めるにはいい機会だ」

「だね、そろそろしつこくて、しょうがないんだよ」

 

幾度と戦いを挑むフールにウンザリしていたチャリオットは、ルナリベリオンと一時共闘し、フールを倒そうとする。

その戦いをビルの陰から見ていた――――――――――テンパランスリベリオンがいた。

 

「はぁ・・・・・何だか面倒くさそうな展開だね。しばらく様子を見せてもらうよ」

 

フールとの戦いには参加せず、漁夫の利を狙おうとしている。

再度、割って入ろうとするソルリベリオン。だが、邪魔をするな言わんばかりに、フール、チャリオット、そしてルナリベリオンの蹴りを同時に喰らってしまう。

 

「いでで・・・・・・って、何で先生まで蹴るんだよ!」

「あぁ、ゴメン、ついね」

 

謝ってすぐに、戦いに戻る。フールがホルダーからシステムメモリーを取り出し、ダイルデンジャーの口を開き、中にあるデバイスにシステムメモリーをデバイスに装填、その口を閉じ「ソードイン」の電子音声と共に、スターウェイブが、星を二重に重ねた様な大きい手裏剣と思われる(スターブレード)を出し、それを左手に装備した。

 

「あれは凜の・・・・・・」

「懐かしいだろ?お友達の形見だぜ」

 

と言いながら、ルナリベリオンに近づき、スターブレードで鳩尾を突く。

 

「ぐっ・・・・・別に、そんなじゃないさ!」

 

立ち上がったルナリベリオンは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、新月に取り付けてあるデバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり)が召喚され、両手に構える。

 

「ハァ―――――っ!!」

 

フールの上から、牙王天羽々斬を振るう。右肩に直撃し、右手で押さえ、その隙にチャリオットが、ギミックガンソードをガンモードにし、フールに向かって撃つ。銃弾が直撃し、後ろから倒れる。

 

「あぁ・・・・随分楽しませてくれるじゃねぇか、ますます面白くなってきたぜ」

 

立ち上がったフールは、首を横に曲げ、スターブレードを2つに分離させ、ルナリベリオンとチャリオットの方向に、同時に投げる。

 

それに対抗し2人ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「シールドイン」の電子音声と共に、ルナリベリオンはブルームーンファルコンの翼を模したシールド(ルナーズイージス)を背中に装備。チャリオットはチャリオットフォートレスの車輪を模したシールド(ローラーシールド)を左手に装備し、分離したスターブレードを防いだ。

 

「こんなもんじゃないよ」

 

チャリオットは、ローラーシールドの内部に仕込まれたバルカン砲をフールの足元に向かって放つ。

 

「ちっ・・・・・また足止めか?」

「どうかな?」

「あん・・・・・・?」

 

煙を払ったフールの後ろには、ルナリベリオンがいた。腹部に新月を突き刺し、貫いて剣を抜く。

空いた穴を塞ぐ様に、フールは左手で押さえる。

 

「ぐぁ・・・・・・・ハハハ―――――!!こうでなくっちゃなぁ、戦いは!!」

 

傷口を押さえながら、高らかに笑っていた。その狂いっぷりに、ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオットが引いている。

 

「うぇ・・・・・・何アイツ、気味悪いな」

 

テンパランスも同様、頭を押さえる程だ。

 

「この調子なら、行けるんじゃない?」

「その様だな」

 

状況はルナリベリオンとチャリオットが優勢、この調子なら勝利も目前、と思われたが――――――――――

 

「あぁん・・・・・・誰だ?」

 

ズシン―――――ズシン―――――

 

重い足音が後ろから聞こえた。一同が振り向くと、そこには、白金の全身に、屈強な鎧、胸の下辺りから黒と金の垂れたローブ、丸く、先端の尖った肩、ひし形の膝アーマー、ハンマー形みたいな黒い足、頭部に雷の形をしたヘッドギア、獲物を狙うような丸みの帯びた黄色い両目(ツインアイ)背中には赤と青の振り子の様なバックパックを背負った戦士(ジャッジメントリベリオン)が、ゆっくりこちらに向かって歩いてくる。

 

「新たなリベリオン・・・・・・だよな?」

「その様だね、ここに来て乱入とは・・・・・厄介だね」

「関係ないな、戦って倒す、それだけだ」

 

ジャッジメントがソルリベリオン達の前に到着すると、ビルの大きなモニターから、モニタが写しだされる。

 

『ピンポンパンポーン。え~今チミ達の前に現れたのはジャッジメントリベリオンです。実はこの子にはある〝役割‶あって、基本的には参加出来ないんです。ですがそれでは退屈で仕方がない。そこで、今回、チミ達にはジャッジメントと戦って貰います。ってチミ達しかいないのか・・・・・・・・ガッカリ』

 

モニタはソルリベリオン達しかいないのを見て、酷く落ち込んでいた。今回、サイバープログラムにノイズを発生させたのはモニタだった。

それに反応したのは、ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオットリベリオン、フールリベリオン、テンパランスリベリオンの5人だけ、他の使用者は、気付かなかったか、反応を無視したのであろう。

 

『まぁ、ただ戦ってるだけじゃぁつまらないからね、いい戦いを見せてくれた人には、いい物上げちゃうよ』

 

踊りながら、モニタは高らかに笑う。手を振った後、映像は終了した。果たしていい物とは・・・・・・・・?

ジャッジメントの眼が不気味に光りだし左右上下に動きだし、巨大なハンマー型の武器(ガベルトール)を後ろに構える。

 

「いいもん用意してくれるじゃねぇかぁ・・・・・これだから堪らねぇんだよ!!」

 

ジャッジメントに向かって、フールは走り出す。デバイスに、システムメモリーを装填「ナックルイン」の電子音声と共に、太い棘が付いたタイヤの様なナックル系の格闘武器(ホイールパンチャー)を両手に装備し、ジャッジメントの胸部を殴る―――――

 

「・・・・・・・・・・・」

 

パンチは直撃。しかし、ジャッジメントには、ハエが止まったかに思える程、ビクともしなかった。

 

「なっ・・・・・アイツ!?」

 

「フン――――――っ!」

 

そのまま、フールの腕を掴み、ソルリベリオン達の方に、投げ飛ばした。

ゆっきり近づきながら、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、ガベルトールに取り付けてあるデバイスに装填「ホバーイン」の電子音声と共に、足からジェットエンジンが噴射し、空中に浮き始める。

 

さらにシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「クラッシュイン」の電子音声と共に、ガベルトールの背部のジェットエンジンが加速し、ソルリベリオン達のいる方向に向かって、急降下し、地面を叩いた―――――――――――――――!!

 

「うぁ―――――っ!」

「グっ―――――」

「なっ・・・・・・・・!?」

 

そして地層を塔のように隆起させ、ルナリベリオンの左手を貫いた――――――――――

 

「っ・・・・・・!?クソっ!」

 

痛みに耐えながら、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「シャドーイン」の電子音声と共に、ルナリベリオンの影から、分身が7体現れ、ジャッジメントを囲んだ。

 

「これなら―――――!!」

 

一斉にデバイスにシステムメモリーを装填「スパークイン」の電子音声と共に、新月に電撃が発生し、ジャッジメントに目掛けて放たれる――――――――――

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「ウソだろ?アレも効かないのか!?」

「何でもアリだね」

 

ジャッジメントには、一切ダメージはなかった。

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・だったら―――――!」

 

ルナリベリオン本体と分身は、再びシステムメモリーを装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ブルームーンファルコンも8体(内7体は黒い分身)が現れ、ルナリベリオンは猛ダッシュで走り、ブルームーンファルコンが背中に取り付けられ、上空へ羽ばたき、一斉に、牙王天羽々斬を振り下ろし、必殺技(羅刹滅却翔)が発動される――――――

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

ジャッジメントは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「シールドイン」の電子音声と共に、周囲に六角形で構成されたバリア(ミスディレクションフィールド)が発生し、羅刹滅却翔(らせつめっきゃくしょう)を受け止める。

 

「グ・・・・・・・・・・!!」

 

何とかフィールドを破壊しようとするが、傷1つも付かない。そしてとうとう、弾き返され、分身は消滅、ルナリベリオンは吹き飛ばされてしまう――――――――――!!

 

「できれば逃げたい所・・・・・・だけどそうはいかないみたいだね」

「あっ・・・・・・あぁ、今回ばかりは仕方ないみたいだな」

 

戦いを避けたいソルリベリオンも、今回ばかりは戦うざるを得ない状況だ。その状況を陰から見ていたテンパランスは、笑いながら、アーチャースライサーを振るう。

 

「いいねぇ、もう少ししたら、出てみようかな」

 

それに気づいたかの様に、ジャッジメントは眼をテンパランスのいる方向に向け、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共に、M字のナックルバスター型の武器(ホーミングエディット)が召喚され、右手に装備し、上の方向に向け、発射する。

 

「・・・・・・・・は?」

 

その弾は、軌道を変え、テンパランスの方に向かって行く。やがて弾はテンパランスに直撃、ソルリベリオン達のいる方向へ吹き飛ばされる。

 

「そっ・・・・・・そんなの、反則だっての!」

 

立ち上がったテンパランスは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、アーチャースライサーに取り付けてあるデバイスに装填「トランスイン」の電子音声と共に、ジャッジメントの持っていたホーミングエディットをスキャンし、自分の手に生成する。

 

「自分の武器にやられな―――――!」

 

ホーミングエディットを数発放ち、その軌道は全てジャッジメントに向かっていく――――――――――!!

しかし・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ジャッジメントがシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「メタルイン」の電子音声と共に、全身が鋼で覆われ、硬貨した。

全ての弾はジャッジメントに命中したが、一切ダメージは入っていない。

 

「ウソでょ・・・・・!?こんなの滅茶苦茶だ!!」

 

ジャッジメントに強さに、テンパランスは頭を押さえ、錯乱していた。

 

「こうなりゃ・・・・・・やるしかねぇ!!」

「あぁ、そうだね」

 

ソルリベリオンとチャリオットが、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填、ソルリベリオンのデバイスから「バスターイン」チャリオットのデバイスから「ショットイン」の電子音声と共に、チャリオットに背中に大きなエネルギータンクと太いスナイパーライフルを思わせる重火器(キャプチャースナイプライフル)を装備し、ソルリベリオンに、空からプロミネンスレオの顔の形をした手甲(レオファング)が降ってきて、それを右腕に取り付けた。

 

「ハァァァァァァァァァァ――――――――――!!」

 

2人同時に、一撃を放った―――――!!

再びジャッジメントがシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「シールドイン」の電子音声と共に、ミスディレクションフィールドが発動し、2人の一撃を防いだ。

 

「だったら――――――――――!!」

 

ソルリベリオンがデバイスにシステムメモリーを装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオと共に飛び上がり口から出された火球を拳に纏い、上空からジャッジメントに向かって、拳を振りかざし、必殺技(プロミネンスブレイカー)(パンチver)が発動される――――――――――

 

バリアによって守られているジャッジメントには当たらず、防がれてしまう、しかし・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ん・・・・・・・?ヒビが入ってる!?」

 

バリアには、徐々にヒビが入り出す。ソルリベリオンの力は更に増し、全身に炎が纏われ出す。

 

「――――――――――――――――――――――――――――――っ!?」

 

そして、バリアは破壊され、ソルリベリオンの拳を、ジャッジメントは両手で受け止める。

力に押されたのか、少しづつ後ろに押される様に下がっていく。

 

「ウオォォォォォォォォォォ―――――――――――――――!!」

 

「・・・・・・・・・・・っ!!」

 

しかし、拳は受け止められてしまい、全身の炎は消えた。

そのまま、上に持ち上げられたソルリベリオンは、地面に叩き付けられた。

 

「グハっ―――――!?」

「アレでもダメか・・・・・・・・」

 

少し押したかと思ったが、決定的なダメージにはならなかった。流石のチャリオットも、その力を認めざるを得ないぐらい拳を握っていた。

ダメージを与えかけたソルリベリオンを見て、ルナリベリオンは拳を地面に叩きつけた。

 

「何でアイツが・・・・・・・・・・何故!!」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

倒れたソルリベリオンに、ジャッジメントが止めを刺そうとするが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ん・・・・・・・・何だ?」

 

1枚のカードを、ソルリベリオンの胸に落とした。それは火山が噴火し、大地にマグマが垂れいく絵に、GAIA(ガイア)「UNISON」(ユニゾン)の文字が刻まれたユニゾンカードだった。

 

その様子を見ていたモニタは、飲んでいたジュースを、思わず吹いてしまう。

 

「ちょっと!何でよりによってソイツに渡しちゃうかな!?何考えてるの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そのままジャッジメントは去っていった。ユニゾンカードを見つめ、ソルリベリオンは立ち上がった。

 

「コレって・・・・・・・・伊織と同じ・・・・・・・・・」

 

モニタは中継を止め、趣味の悪いピエロの顔を思わせる椅子に座った。

 

「まっ、いっか。コレもまた面白そうだし、まだまだ楽しくなるよ~ププププププ」

 

薄ら笑いをし、20枚のカードを手に持つモニタ。そこには全て「UNISON」(ユニゾン)の文字が刻まれてあった。

 

「あぁ・・・・・・もう終わりか?つまらねぇな」

 

立ち上がったフールは、飽きてしまったのか、サイバープログラムを抜け出す。

テンパランスも同様、逃げる様に現実世界へ戻った。

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・・戻るしかねぇな」

 

ソルリベリオン達も、サイバープログラムを抜け、現実世界へ戻った。そこにはハルトと半蔵しかおらず、伊織の姿はなかった。

 

「アレ?伊織は?」

「さぁ?別の所から抜け出したんじゃない」

「そうか、しょがねぇ奴だな・・・・・・」

 

ハルトと半蔵は、小さな電気屋を出て、マンションへ帰るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

そして同じ頃、別の場所から戻って来た伊織は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「っ・・・・・・・・何故俺はユニゾンを使わなかった?」

 

ジャッジメントに刺された腕を押さえ、街中を歩いていた。

ユニゾンを使えば、ジャッジメントを倒せていたかもしれない。だが使わなかった。まだ使いこなせないから、力に振り回されるあまり、思考が回らなかった。

 

「俺には勝てなかった。だがアイツは・・・・・・・・・・・・」

 

伊織はジャッジメントに敵わなかった。だがしかし、ハルトは一歩追い詰め掛けていた。それが理解できず、認めたくなかった。

 

「まさか・・・・・・奴も強くなって―――――」

 

その時、ポケットの中のスマホが鳴り、それを取り出す。

 

「葵から・・・・・・・もしもし?」

『もしもし、義理兄さん?大変なの・・・・・・由奈ちゃんが大変なの!すぐに病院へ来て!!』

「なっ・・・・・・由奈が!?分かった、今行く!!」

 

由奈に何かがあり、それを知った伊織は、腕の痛みに耐えながら、必死に走り出した。一体由奈に何があったのか――――――――――――――――――――!!

 

「由奈―――――――――――――――――――――――――――――!!」

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&クリーチャー紹介】


ジャッジメントリベリオン

【全長】189㎝

【体重】99キロ

【総合ランク】S

【常設武器】輪罪槌ガベルトール

タロットカードの【THE JUDGEMENT】の名を意味するリベリオン。
白金の全身に、屈強な鎧、胸の下辺りから黒と金の垂れたローブ、丸く、先端の尖った肩、ひし形の膝アーマー、ハンマー形みたいな黒い足、頭部に雷の形をしたヘッドギア、獲物を狙うような丸みの帯びた黄色い両目(ツインアイ)背中には赤と青の振り子の様なバックパックを背負っている。
モニタからある「役割」を担っており、特別な事がない限り、バトルには参加しない。



【使用メモリー】
   ↓

【シールドイン】ミスディレクションフィールド ランクA
周囲に巨大なバリアを展開する。ランクB以下のフィニッシュインも防ぐ。

【ホバーイン】エアシューズ ランクB
足からジェットエンジンが起動し、空中飛行が可能となる。

【クラッシュイン】グランドブレイク ランクA
ガベルトールで大地に衝撃波を放ち、地層を様々な形へ変化させる。

【メタルイン】シルバーエフェクト ランクB
全身を鋼で硬貨する。持続時間は最大9分。

【バスターイン】ホーミングエディット ランクB+
M字のナックルバスター型の武器、弾道の指定が可能。



テストゥードブロッカー

【全長】3m

【体重】666キロ

【総合ランク】A+

カメにジェットエンジンを取り付けた様なクリーチャー。高い防御力を誇る。
重量型でありながら、マッハ3の速度で移動が可能。
各甲羅は分離し、小型シールドとなる(ランクB+)
ラテン語で「カメ」 testūdō (テストゥードー)から名前は取られていいる。


次回、ハルト対伊織、再び・・・・・・・・・果たしてどうなるか?


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第27話「紅蓮の大地」

太陽と月は交り合わない、ぶつかり合う双方の行方は・・・・・・・・・・・・・・・・・


「由奈――――――――――!!」

 

葵の電話を聞き、急いで病院へ駆けつける伊織。病室の扉を開けると、ベッドで伊織の妹、三日月由奈(みかづきゆな)が眠っていた。見ているだけだと、穏やかに寝ているだけに見えるが・・・・・・・・・・

 

「葵、由奈に何があったんだ!?」

「あっ、義理兄さん・・・・・・・・・・私がお見舞いに来て、話をしてたら、苦しそうに胸を押さえて・・・・・・」

 

葵の話によれば、由奈は胸を押さえ、急に苦しみ出した。今は落ち着いて、眠っているだけだ。

 

「そうか・・・・・・・・・・」

 

力が抜けたかの様に、椅子に座った伊織。だがそこに追い打ちを掛ける様な出来事が起こる。

扉が開き、医者が伊織の元へやってきた。

 

「三日月さん、ちょっとよろしいでしょうか?」

 

伊織は医者についていき、診察室へと入った。そこで残酷な真実を突きつけられるのであった。

 

「妹さんの事ですが・・・・・・・・・・・少しづつ身体が衰弱しています。次第に手も動かなくなり・・・・・・・持って今年いっぱいかと」

「なっ・・・・・・・・・ウソですよね?」

 

医者に言われた言葉が、伊織には本当の事だと信じたくなかった。由奈の余命が今年いっぱい、つまり約4ヶ月と言う事だ。

 

「残念ですが・・・・・・事実です。私達も懸命を尽くしたのですが・・・・・・・やはり原因が分からずで」

「由奈・・・・・・・・・・・・・」

 

診察室を出た伊織。由奈のいる病室へ戻ると、由奈はまだ眠ったままだった・・・・・・・・・・・・

 

「義理兄さん・・・・・・・・何て?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

何も言えなかった。由奈の余命が後4ヶ月程度しかない事を。由奈の頬に触れ、小さな右手を握った。

 

「やっぱり俺は・・・・・・・・・・・・止まる事は出来ないようだ」

 

伊織の目は、決意を表したかの様に、鋭かった。

それから翌日の事・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「ん・・・・・・・?よっ」

 

噴水公園を通ってると、伊織と葵と遭遇したハルト。すかさず声を掛ける。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

伊織は何も言わず、通り過ぎようとした。何も知らないハルトは、後ろから肩を掴む。

 

「おいおい、流石に無視は・・・・・・・・・」

「ゴメンなさい、ハルトさん、今は・・・・・・・・」

 

事情を知ってい葵は、申し訳ないながらも、ハルトを止めに入るが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「お前はいいよなぁ、そんな呑気で――――――」

 

急にハルトの胸倉を掴んだ。そして木にハルトを押し付けた。

 

「なっ・・・・・・・ただ声かけただけだろ!何もそこまで―――」

「お前みたいなバカに、イチイチ構ってられっか!」

「なんだと・・・・・お前も何時もスカしやがって、カッコつけてるつもりかよ!!」

 

ハルトも怒りが達したか、伊織の胸倉を掴み返し取っ組み合いが始まろうとしていた。

 

「ちょっと2人共、こんな所で――――――――――!!」

 

葵が止めに入ろうとした瞬間―――――奥の方で女の子の泣き声が聞こえた。

 

「あらあら、ちゃんと持ってないと」

「ママ・・・・風船が・・・」

 

女の子の方を向き、お互い胸倉を掴むのを辞め、背を向ける様にその場を去った。

 

「待って、義理兄さん!!」

 

葵は、伊織の元へついていく。ムシャクシャしているのか、頭を掻きながら、ハルトは歩く。

 

「んだよ、アイツ・・・・・・・・何イラついてんだよ」

 

流石のハルトも、伊織とはしばらく顔を合わせたくないと思っていた。だが当分会わないと思っている何故なら・・・・・・

 

「まっ・・・・どうせアイツは来ないだろうな」

 

来週から臨海学校がある。伊織の事だから、参加する事はないだろうと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして1週間が過ぎた。

時刻は朝9時丁度。臨海学校の日がやって来た。

 

「ふぅ、何とか間に合ったぜ」

「時間、ギリギリじゃん」

 

珍しくハルトが遅刻せずに、学校へ到着した。臨海学校である為か、全員制服だ。

彩が手を振り、その方へ走っていく。

 

「よかったよ、ハルト君。もう少し遅かったら、置いていく所だったよ」

 

ハルトの前にやって来た、生徒会長の神ヶ崎界斗(かみがさきかいと)。この臨海学校を考案したのは、彼だ。

 

「かっ・・・・・・会長、申し訳ないっス」

「まぁ、これで無事出発出来るよ」

 

ハルトがバスへ入り、自分の席へ向かうと・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ナっ・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

窓側の席に、伊織が座っていた。

それは遡る事、1ヶ月前・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「臨海学校?」

「うん、ほら義理兄さん、何時も大変だから、この時ぐらい楽しんでよ」

「いや、俺は別に・・・・・・・・・・・」

 

当初伊織は、臨海学校へ参加するつもりはなかった。だが葵に、せっかくの夏休みだから、行った方がいいと勧められた。

 

「いいから、行ってきなよ。由奈ちゃんの事は私に任せて。ちゃんと見てるから」

 

先週、由奈の軒もあったが、葵を信頼し、臨海学校へと行くことを決めた。彼もまたハルトは来ないだろうと思っていた。

 

 

 

「・・・・・フン――――――!!」

「・・・・・フン――――――!!」

 

伊織の隣に座り、顔を合わせまいと、お互い別の方向を向いた。

 

「何かだろう・・・・・・喧嘩でもしたのかな?」

 

彩が、ハルトと伊織の席の方を振り向いた。伊織を見て不機嫌そうな顔をするハルトが気になっていた。

そしてバスは出発した――――――

 

「え~皆さん、本日は来ていただきありがとうございます。皆さんと良い夏の思い出を作れればと思い、この企画をたてました」

 

席を立ち、界斗が参加した生徒に挨拶をする。生徒達は、浮かれんばかりに、はしゃいでいた。

 

「ですが皆さん、ルールは守ってください。せっかくの臨海学校なのですから」

 

浮かれる生徒に対し、副会長の四ノ宮永子(しのみやえいこ)が釘を刺す様に忠告し、一同は静まった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

まさか伊織も来てたなんてな・・・・・・正直思わなかったぜ。しかしアレだ、気まずい。

 

あのバカも来てやがったとはな、来るんじゃなかったと心の何処かで思ったな。

 

そんな状況の中、バスは走り続ける――――――

そこから40分、バスはサービスエリアで一時停車した。

 

「さぁ~トイレ、トイレっと」

 

すぐさまバスから降り、トイレへと向かうハルト。伊織はそのまま席に座って、景色を眺めていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

景色を眺める中、伊織はスターリベリオンの使用者、星流凜(せいりゅうりん)と出会った時の言葉を思い出す。

 

『月の正位置、不安、裏切り、未来が見えない』

『だが悪い事ばかりじゃないさ、逆位置は好転の兆し、いい事だってあるさ』

 

月の正位置、裏切り、不安、先が見えない。

逆位置は、払拭、嘘を見抜く、好転の兆し。

その正位置と逆位置が反対なのが、太陽。すなわち月と太陽は決して交り合わない。それはハルトと伊織も同様・・・・・・・

 

「俺が勝つ為には・・・・・・・・・」

 

ハルトがトイレから戻り、席に座る。相変わらず、互いに顔を見ないままだった。

そしてバスは再び動き出した。

 

「グぉ~~~~~~ZZZZZZZzzzzzzzz」

「・・・・・・・・うるせぇ」

 

イビキをかいて寝るハルトの横で、伊織は耳を塞いでいた。

その様子を、彩が苦笑いしながら見ていた。

 

「あらら、お気の毒に・・・・・・・・」

 

そんな事が続いて、1時間が経過―――――――――――――目的地である、江の島のほてる汐彩へ到着した。

 

「ほぇ~いい所だな」

 

教師が生徒に集合を掛け、集まった。

 

「それじゃ、皆さん、これから江ノ島水族館へ向かうぞ~」

「は~い」

 

ホテルから15分、江ノ島水族館へ到着した。

 

「へぇ~ここが江ノ島水族館だね。面白そう」

「そうだな、初めて来たぜ」

 

教師からチケットを貰い、水族館への入口へ入った。

相模湾ゾーン、深海Ⅰのエリアを見て、次にクラゲファンタジーホールで一旦止まった。

 

「うわぁ~綺麗だね」

「クラゲってこんなに綺麗なのか、不思議だな」

 

ハルトと彩が見とれてる中、伊織はクラゲプラネット(海月の惑星)を見つめていた。

伊織は昔、由奈と葵を連れて、江ノ島水族館へ行ったことがある。江の島は元々、伊織の出身地でもある。

伊織が中学生に入る少し前に、叔母の仕事の転勤で、可夢偉町(かむいちょう)へと引っ越した。

 

『うわぁ~見て、お兄ちゃん。クラゲさん、いっぱいだよ~』

『由奈はクラゲが好きだな~』

 

何時もクラゲファンタジーホールへ行くと、由奈はずっとそれを眺めている。

 

『ねぇねぇ、早くイルカショー行こうよ~始まっちゃうよ』

『分かってるって、ほら由奈、そろそろ行くぞ』

『は~い』

 

イルカショーへ向かう度、由奈は少し寂し気な顔をしていた。由奈はクラゲを、葵はイルカやペンギンを見たいと何時も言っていた。懐かしく感じたか、伊織はふと笑っていた。

 

「ん?アイツ笑ってるな」

 

笑っていると同時に、少し切なそうな顔もしていた。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、国枝半蔵(くにえだはんぞう)はと言うと、執筆していた小説が完成し、タクシーで出版社へ向かっていた。

 

「ハルト君は臨海学校とかでしばらくいないか・・・・・・それはそれで寂しいものだな」

 

曲がり角を通ると、目の前には見慣れた姿があった、黒崎我怨(くろさきがおん)だ。

 

「なっ・・・・・・・アイツ!?」

 

運転手が急ブレーキを掛ける。がしかし、我怨を避ける為に曲がったからか、電柱の方に激突してしまう。

運転手はぶつかったショックで、気を失っていた。半蔵がタクシーから降り、我怨の元へ歩いていく。

 

「全く・・・・・・どうしていつもいつも、現るのかな?いい加減ウザいよ、君」

「遊んでくれよ・・・・・・・退屈で仕方ねぇんだ」

 

やれやれと言わんばかりに、デバイスを手に取り、2人共同時に、タクシーのカーナビにデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に、二の腕のアタッチメントにデバイスを取り付け、半蔵はチャリオットリベリオンを、我怨はフールリベリオンではなく、スターリベリオンに変身し、カーナビからサイバープログラムへ入っていった。

 

「あぁ・・・・・」

「フッ・・・・・・」

 

チャリオットはギミックガンソードを、スターリベリオンは、スターブレードを構え、互いに向かって突撃する――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ハルト達はイルカショーを見ていた。

 

「うはっ!水しぶき半端ねぇ!!」

 

イルカがジャンプし、着地したと同時に、水しぶきが発生し、前にいたハルトと彩は、少しシャツが濡れてしまう。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

奥の方でショーを眺める伊織。ここでも昔の事を思い出していた。

 

 

 

 

 

『わー、イルカさん凄いね!!』

『本当だ・・・・・・ほらお兄ちゃん!!』

『おいおい、そんな慌てなくても、大丈夫だって』

 

最初はクラゲが見たくてしょうがなかった由奈も、イルカジャンプを見て、目移りしていた。

その光景を見は、幼い頃にとって、唯一の安らぎでもあった。

そしてもう1つ、過去の出来事を思い出した。

 

『イルカ?』

『うん、一度見てみたいなって』

 

青葉カレンの事だった。ある日の事、屋上で伊織が昼ご飯のカツサンドを食べていると、カメラを持ったカレンがやって来た。

屋上の風景の写真を取り、一休みするかの様に、伊織の隣に座る。

鞄の中から、イルカの本を取り出し、眺めていた。

 

『実は私、見た事ないんだよね、三日月君はあるの?』

『あぁ、昔江の島に住んでたからな』

『へぇ~そうなんだ、羨ましい』

『何時か、見れればいいな』

『えへへ、ありがとう』

 

だが、その願いが叶う事は永遠にない。カレンはもう・・・・・・・・・・・・・この世にはいないのだから。

彼女が死んだのは、リベリオンバトルに半ば巻き込んでしまったから、その後悔が伊織の胸にまだ残っていた。

 

「そういや、アイツも見たがってたな・・・・・・・・・・・・・・」

 

イルカショーの会場から、去っていく伊織、その姿を目にしたハルトは・・・・・・・

 

「アイツ・・・・・・」

 

その後を追い、走り出すハルト。急に走り出したハルトに、彩が首を傾げていた。

 

「どうしたんだろ?まっ、大丈夫か」

 

辿り着いた所は、相模湾大水槽、サメや、エイ、イワシの大群が優雅に泳いでいた。

伊織は立ち止まり、ついて来たハルトの方を振り向いた。

 

「アイツらは、魚が好きだった。自由に泳ぎ、優雅に舞う姿が」

「お前・・・・・・一体どうしたんだよ?何かあったのか?」

 

一週間前の怒りを押さえ、どこか迷っているかの様な目をする伊織を、心配そうな顔をして見つめるハルト。

そんな彼に、伊織が問う。

 

「ハルト・・・・・本気でこの戦いを止めたいんだな?」

 

伊織は呼んだ、ハルトの名前を。初めてだった。

 

「あっ・・・・・・・あぁ、勿論だ。俺は戦いを止める、そう決めたんだ」

 

ハルトの元に近づき、ぶつかる寸前の所で立ち止まり、アルカナデバイスを取り出した。

 

「そうか、だったら俺と戦え、今すぐだ」

「はっ?」

 

突然の事に、ハルトは唖然としていた。だが、伊織の目は本気だった。

 

「俺はお前を否定する、だからお前も俺と戦って、俺を否定しろ」

 

太陽と月は交り合わない、どちらか一方しか残れない、だからこそ戦う。

伊織はハルトを否定し、勝利し先へ進む事を選んだ。だからこそハルトに、戦いを止めたければ俺を倒せと覚悟を確かめようとしていた。

 

「伊織・・・・・・・・・・・・」

 

伊織が走って向かった場所は、屋外の電子掲示板の所。電子パネルにデバイスを翳すと、右二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン―――――!!」

 

デバイスをアタッチメントに取り付け、伊織はルナリベリオンに変身し、ハルトの方を一瞬振り向き、そのまま電子掲示板から、サイバープログラムへと入っていった。

 

「・・・・・・・やるしかないのか」

 

ハルトも渋々、デバイスを翳し、右二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン――――――」

 

デバイスをアタッチメントに取り付け、ソルリベリオンに変身する。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

躊躇いもあったが、拳を握り、サイバープログラムへと入った――――――――――

 

「来たか」

 

海岸の崖の上の方へ移動し、待ち構えていたルナリベリオン。その鋭い瞳に迷いはなかった。

そしてホルダーからシステムメモリーを取り出した。

 

「・・・・・・」

 

それに合わせ、ソルリベリオンもまた、ホルダーからシステムメモリーを取り出した。

同時に、デバイスに装填「ソードイン」の電子音声と共に、ソルリベリオンにプロミネンスレオの腕と爪の形をしたクロー型の(レオンハートソード)を、ルナリベリオンに大剣( 牙王天羽々斬)がお互いの契約クリーチャー(プロミネンスレオとブルームーンファルコン)から召喚され、装備し、構えた。

 

「ハァ――――――――――!!」

「っ―――――!?」

 

先に仕掛けたのはルナリベリオン、反応が遅れ、牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり)の一撃を、レオンハートソードで防ぐので精一杯のソルリベリオン。

徐々に押され、後ろに下がっていく。

 

「くっ・・・・・・・・!?」

 

ルナリベリオンの牙王天羽々斬を弾き、腹部にレオンハートソードの一撃を振るう。

 

「っ―――――!」

 

腹部を押さえるルナリベリオンに迫るソルリベリオン。頭の上から、レオンハートソードを振り下ろす――――――――――

 

「ハアァ―――――っ!!」

 

<<ストームイン>>

 

その電子音声と共に、ブルームーンファルコンが現れ、翼を大きく羽ばたかせて、ソルリベリオンを吹き飛ばし、崖から落とす。

 

「ってぇ・・・・・・・・・」

 

崖から飛び降り、ホルダーからユニゾンカードを取り出す。

新月からデバイスを取り外すと同時に、疾風の如く風が吹き、雲が暗転し、迅雷が鳴り響く。まさに疾風迅雷はこの事だ

 

<<ユニゾン―――――>>

 

デバイスに、ユニゾンカードを翳すと、デバイスは剣を帯刀した盾(聖魔剣アロンダイト)へと変化し、ルナリベリオンは、ユニゾンモードの姿へと変化した。

 

(ビーヴェス)からアロンダイトを抜き、ソルリベリオンを斬り付ける――――――――――――

 

「うぁっ!?」

「フン――――――!!」

 

更に、追い打ち掛ける様に、連続で斬り掛かり、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、ビーヴェスに装填「ライトニングイン」の電子音声と共に、ソルリベリオンの周囲に雷が発生、直撃し、その場に倒れ込む。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

そこに容赦なく、ルナリベリオンが近づいてくる。

 

「どうした、その程度か、お前の覚悟は?」

「うぅ・・・・・・・っ」

 

立ち上がろとするソルリベリオン、だがダメージが大きく、中々立ち上がれない。

 

「立てよ、止まるんじゃねぇ、戦え・・・・・そして俺を倒してみろ・・・・・さぁ・・・・・立て!!」

 

アイツは本気だ・・・・・・・・マジで俺を倒そうとしている。伊織には・・・・・・・助けたい人がいる、止まれない理由がある、そんな事分かってる。でも・・・・・・でも―――――――――――――――――――――――――

 

「ウオアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!」

 

拳を握り締め、雄たけびを挙げながら立ち上がり、ホルダーから、ジャッジメントに渡された、「GAIA」(ガイア)のユニゾンカードを取り出した。

 

「・・・・・・・っ!」

 

それと同時に、地面からマグマが噴き出る。炎が舞い、大地が震える。そして、お互いの目と目を合わせ、立ち止まっていた。

右二の腕取り付けてあるデバイスを外し、ルナリベリオンの方に突き出し、ユニゾンカードを翳した。

 

<<ユニゾン――――――――――>>

 

その電子音声と共に、デバイスは鬣が白と黒となったプロミネンスレオを模したした顔に変化し、胸部に取り付けられる。

同時に、プロミネンスレオが現れ、全身が炎となり、ソルリベリオンに纏い始める。

 

その姿は、紅蓮の如く赤く染まっており、腕には黒、足には白いラインが入っており、プロミネンスレオの下半身を彷彿し、尻尾が垂れ下がっている様な両肩に、レオバスターを拳にした様な両手、獅子の足を思わせ、爪が隆起した様な膝アーマー、手から肘に掛けて、爪の様な剣が両腕に収納され、背中にも同様の剣が3本背負っている。

これがソルリベリオンユニゾンモードの姿だ。

 

「お前に、誰も殺させはしない。もしその手で命を奪ったら・・・・・・お前は――――――お前でいられなくなる!!」

「俺は止まらない・・・・・・・その覚悟が俺にはある――――――!!」

 

ハルトの戦いを止めたい思いと、伊織の妹を救いたい思い、そしてカレンの死を無駄にしない為にも、戦い続ける覚悟が試される―――――

今、お互いの信念が激しく激突する――――――――――!!

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン紹介】


ソルリベリオン ユニゾンモード

【全長】210㎝

【体重】101キロ

【総合ランク】X

【常設武器】剛烈拳 グランブレイカー

ソルリベリオンが「GAIA」(ガイア)のユニゾンカードを使い、プロミネンスレオと融合した姿。

紅蓮の如く赤く染まっており、腕には黒、足には白いラインが入っており、胸部には鬣が白と黒となったプロミネンスレオを模した顔が取り付けられ、プロミネンスレオの下半身を彷彿し、尻尾が垂れ下がっている様な両肩に、レオバスターを拳にした様な両手、獅子の足を思わせ、爪が隆起した様な膝アーマー、手から肘に掛けて、爪の様な剣が両腕に収納され、背中にも同様の剣が3本背負っている。

単純なパワースペックだけなら、ワールドやジャッジメントを上回っている。
常設武器でなく、胸部のライオネルコアの口の中に、システムメモリーを装填する。



ユニゾン「GAIA」 ランクX
大地と炎を宿したカード。プロミネンスレオと融合する事により、更なる力を与える。



第2章もクライマックスに近づく中、遂にソルリベリオンもユニゾンモードへと覚醒。
次回、2人の信念が激しくぶつかり合う!!

ソルリベリオンとルナリベリオンの戦いを28-1、チャリオットリベリオンとフールリベリオンの戦いを28-2と言う構成でお送りいたします。

少しでもいいなと思ったら登録&高評価よろしく!(某中二病系ユーチューバー風)


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第28-1話「天地 激突」

28-1はソルリベリオンとルナリベリオンとの激しく戦います。

『俺はお前を否定する、だからお前も俺と戦って、俺を否定しろ』

『立てよ、止まるんじゃねぇ、戦え・・・・・そして俺を倒してみろ・・・・・さぁ・・・・・立て!!』

<<ユニゾン―――――>>

『お前に、誰も殺させはしない。もしその手で命を奪ったら・・・・・・お前は――――――お前でいられなくなる!!』
『俺は止まらない・・・・・・・その覚悟が俺にはある――――――!!』

伊織は妹の為、ハルトは戦いを止める為に、互いの決意を胸に、2人の戦いが始まる――――――――――



「・・・・・・・・・・・・・・」

「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

激しくにらみ合う、ソルリベリオンユニゾンモードとルナリベリオンユニゾンモード。

一歩前に踏み出し、雄たけびを挙げる様にして、お互いの方へ突撃する――――――――――

 

「ハァ―――――!!」

「フッ―――――!」

 

ルナリベリオンは(聖魔剣アロンダイト)で、ソルリベリオンは(剛烈拳グランドブレイカー)を振るい、激しくぶつかり合う。

 

「くっ!」

「やるな・・・・・・」

 

ぶつかり合いの反動で、後ろに下がる2人。

ソルリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出し、胸部(ライオネルコア)の口が展開し、その中にシステムメモリーを装填する。

 

<<ソードイン>>

 

電子音声が発生し、両手と、背中に装備されていた大太刀(ライガーデュランダル)が展開する。

 

「ウオオオ―――――!!」

 

一気に走り出し、右腕のライガーデュランダルをルナリベリオンに目掛けて振り下ろす―――――

 

「まだだ!!」

 

それを(ビーヴェス)を上に向け、防いだ。

ライガーデュランダルを弾き、ビーヴェスにシステムメモリーを装填する。

 

<<バスターイン>>

 

その電子音声と共に、ビーヴェスから引き金が展開される。

 

「ハァ!!」

 

引き金を引き、展開された銃口から、一直線の一撃が放たれる――――――――――

 

「ハッ―――――」

 

紙一重でそれを避けるソルリベリオン。ジャンプして展望台へ移動し、中に入り込む。

そしてホルダーからシステムメモリーを取り出す。そのメモリーは中に、フィルムみたいなものが刻まれていた。

 

「何だこれは?」

 

分からないまま、そのメモリーをライオネルコアに装填

 

<<リザーブイン>>

 

電子音声と共に、頭の中に、無数のシステムメモリーが浮かんだ。デッドリベリオンの物、ラヴァーズリベリオンの物、ルナリベリオンの物などとハルトがこれまで出会ってきたリベリオンのシステムメモリーだ。

 

「えぇっと・・・・・・コレだ」

 

一本のシステムメモリーを手に取り、ライオネルコアから排出され、ルナリベリオンと同様の青いメモリーに変わっていた。

そして再び装填した。

 

<<シャドーイン>>

 

その電子音声と同時に、ソルリベリオンの影から、2体の黒い分身が現れた。

それと同時に、ルナリベリオンも展望台の中へ侵入した。

 

「アイツ・・・・・・・」

 

ルナリベリオンもシステムメモリーを取り出し、ビーヴェスに装填した。

 

<<シャドーイン>>

 

ソルリベリオンと同じように、自分の影から、2体の黒い分身を生成した。

 

「来たか・・・・・・」

 

展望台の屋上へ辿り着いたルナリベリオン。それを迎え撃つ様に、3体のソルリベリオンは前進する―――――――――

 

「ウオォォォォォォォォォォ!!」

 

本体と分身、激しくぶつかり合い、オリジナルであるソルリベリオンとルナリベリオンは、海岸の方へと飛び移った。

 

「ヤァっ!!」

「フンっ!!」

 

互いの剣が鍔迫り合い、火花を散らす。戦況は、剣の数が多いソルリベリオンだった。

背中のライガーデュランダルで追い打ちを掛ける様に、ルナリベリオンに向かって下から振り下ろされ、吹き飛ばされる。

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・」

 

初めてユニゾンを使っている為か、体力の消耗が激しい。

それを顧みず、ソルリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出し、ライオネルコアに装填。

 

<<バスターイン>>

 

ライオネルコアにエネルギーが充填され始める。

眼の色が緑から、赤色に変わると、ライオネルコアから、強力な一撃がルナリベリオンに向かって放たれる――――――

 

「俺は・・・・・・・俺はっ!!」

 

その一撃を、ビーヴェスで防ぎつつ、システムメモリーを装填した。

 

<<カウンターイン>>

 

一撃は、ビーヴェスの真ん中の黄色く丸い部分に吸収され、赤色に変わると同時に、跳ね返す様にして、強力な一撃が放たれる。しかし、その衝撃で、ルナリベリオンもまた、後ろに吹き飛んでいく。

 

「グぁっ!?」

「・・・・・・・・」

 

一撃が近づく中、ソルリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出した。またもリザーブインであった。

 

「またコレかよ・・・・・・・」

 

やむ負えず、ライオネルコアに装填した。

 

<<リザーブイン>>

 

再び頭の中に、システムメモリーが浮かびだす。次に変化したのは、ジャッジメントリベリオンと同じ、黒色のメモリーであった。

それを再び、ライオネルコアに装填する。

 

<<シールドイン>>

 

ソルリベリオンの周りに、炎のバリアが展開、ルナリベリオンから放たれた一撃を防いだ。

 

「なっ・・・・・何だと!?」

 

一方、別の場所で戦ってる分身は、互いの剣で切り裂かれ、消滅していた。

 

ルナリベリオンへ近づく、ソルリベリオン。

負けてたまるかと言わんばかりに、立ち上がり、アロンダイトで腹部を斬り付ける。

 

「グハっ!?」

「ハァ・・・・・・・ハァ・・・・」

 

そのまま、腹部に蹴りを喰らわせ、ソルリベリオンは海の方へ落ちていった。

 

「フン・・・・・・・こんなものか」

 

落ちた海の方を見つめ、止めを刺さんばかりに、システムメモリーを取り出た。

すると・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ん、何が起きてる?」

 

地面が揺れ出した。それと同時に電子音声が、海の方から発生した。

 

<<クラッシュイン>>

 

海岸の岩が崩れ出し、大きなボール状6個が生成され、ルナリベリオンに目掛けて、向かって行く。

 

「クソっ!!」

 

4個をビーヴェスで防ぐが、5個目で腕が弾かれ、6個目が直撃した――――――

 

「ハァっ―――――!!」

 

海の中から、ソルリベリオンが飛び上がり、システムメモリーを取り出し、ライオネルコアに装填した。

 

<<バーニングイン>>

 

周囲にマグマが発生し、ルナリベリオンの方に向かって行く。

 

「っ――――――――――」

 

それに対抗し、システムメモリーをビーヴェス装填する。

 

<<ライトニングイン>>

 

マグマを上空から発生した雷が防いだ。その隙を突いてか、ソルリベリオンが目の前にいた。

 

「ウオオオォォォォォォォォォォ!!」

 

右ストレートが、ルナリベリオンの腹部に直撃、膝から崩れ落ちた。

 

「くっ・・・・・」

「ハアアアアアアアアアァァァァァァァァァ!!」

 

さらに、そこへライガーデュランダルを振り下ろす―――――

 

「調子に乗るな!!」

 

アロンダイトの両端で、ソルリベリオンの足を強く叩き、転ばせた。

 

「うあっ!?」

「オオオオオオオ!!」

 

ソルリベリオンが立ち上がった所を、アロンダイトで押し、再び崖の方へと押し込んだ。

 

「クッ・・・・・・・・」

「俺はお前を否定する・・・・・・・そして勝つ、その為に――――――!!」

 

ソルリベリオンの右足が、崖から浮く。落ちるまであと一歩、更に力を振り絞るルナリベリオン。

 

「・・・・・・・・・・・・・・!?」

 

そんな彼の脳裏に、由奈、葵、カレンのイメージが浮かんだ。彼女達の為にも、この戦いに勝利しなければならない。

それは同時に、ハルトの命を奪う事とにもなる。覚悟を決めていたものの、心の奥底に、殺す事への恐怖を感じていた。

だが、その恐怖心を振り払わなければ自分がやられる。内心焦っていた。

 

ハルトはそうはさせまいと、伊織を止めようとする。だがそれは同時に、由奈の事を諦めろと言わんばかりの行い。

小さな命を犠牲には出来ない。何が正しいのか?これが正解なのか?ハルトにもまだ決定的な答えが出せずにいた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・・ハァ・・・・・・」

「お前・・・・・・・・」

 

アロンダイトを降ろし、ユニゾンモードが解除される。ソルリベリオンのユニゾンモードも同時に解除された。

お互い、体力の限界、これ以上の戦いの続行は不可能だと判断した。

 

 

 

 

現実世界に戻ると、伊織はハルトに言う。

 

「勘違いするな、お互い、まだこの力を使いこなせてはいない。お前を倒すのは何時でも出来る、それだけは忘れるな」

「伊織・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そう言った、伊織はなぎさの体験学習館の中へ入っていった。

 

「オ~イ、どこ行ってたのさ?」

 

その後ろから、彩が歩いて来た。どう誤魔化すか考えながら、ハルトは頭を掻いた。

 

「え~っと・・・・・・ちょっとトイレに・・・・・・・」

 

必死に誤魔化した。彩は目を細めてハルトを見つめる。

 

「全く・・・・・どんだけ長いの?もう時間だよ」

「あぁ・・・・・・悪い、行こうか」

 

時刻は13時55分。

戦っている間に、ホテルへ戻る時間になっていた。

2人は急いで出口へ向かった。外では生徒が既に集合していた。

 

「遅いぞ、獅子堂。まぁ、相変わらずだがな」

「アハハ・・・・・・・・」

 

遅かった事を教師に突かれ、ハルトは苦笑いをした。

それから15分、ホテルに戻り、自分の部屋へと入っていった。

 

「ハァ~って・・・・・・・・」

 

何と部屋は、伊織と同じ。またも気まずい空気になってしまった。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

伊織は、ハルトの方を振り向かず、そのままふて寝していた。

 

「っく・・・・・・・・・」

 

それから時間が経ち、時刻は17時。

夕食の為、食堂へ向かった。調理室を借り、カレーを生徒数人で作るのであった。

ハルトと伊織は別々の班。流石にそこまで一緒だと集中できなかっただろう。

作るご飯は、カレーライス、宿泊などでは定番のメニューだ。

 

調理から1時間、カレーは完成し、夕食が始まった。

 

「うん、これはA班かな?」

 

A班、B班、C班、D班、E班の5つに分けられている。因みに、ハルトはA班、伊織はB班である。

 

「・・・・・・・・・!!」

 

伊織の隣で、黙々と食べているのは、生徒会副会長の四ノ宮永子(しのみやえいこ)。彼女はこう見えても大食漢である。

 

「このカレー・・・・・・・何処の班ですか?」

 

カレーが美味しかったのか、何処の班が作ったカレーなのかを聞く。

 

「あの・・・・・・俺らです」

「そうですか、ありがとうございます。

 

そのカレーは、ハルト達A班のカレーであった。それを聞いた英子は、すぐさまおかわりへ向かった。

盛ったカレーの量は、おおよそ4人前程ともいえる。

 

「あの英子がここまで食い付くとは、余程美味しい様だね」

「いやぁ~普通に作っただけなんですけど」

 

あまりにも美味しいと言われ、少し照れているハルト。

 

「さ~て、俺もおかりっと・・・・・・」

 

ハルトが向かったのは、伊織の作ったB班のカレー。席に戻り、早速食べ始める。

 

「・・・・・・辛っ!結構スパイス効いているな!!」

「ハハハハ、1つくらい辛いのがある方が面白いじゃないか」

 

B班のカレーは辛いらしく、火を吐く様に口を開けたハルト。その様子を、隣に座っていた生徒会の神ヶ崎界斗(かみがさきかいと)が笑っていた。

 

「そんな辛い?全然平気だけど」

 

目の前でB班のカレーを平気な顔をして平らげる彩。彼女は辛い物好きなのだ。

 

「お前、辛いの好きだもんな。そりゃ平気なわけだよ」

 

それぞれの班、どれも美味しくて、それぞれの味が出されていた。

 

 

それから入浴を終え、ハルトは自販機でコーラを買っていた。

 

「さ~て、戻るとしますか」

 

自分の部屋に戻ると、伊織が頭を押さえて横になっていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

特に何も言う事もなく、そのままコーラを飲んでいた。そんな沈黙を、ハルトが破る。

 

「なぁ・・・・・・この先どうなるか分からないけどさ、せめて今ぐらいは楽しもうぜ、な?」

 

戦いはこれからも続く、昼の時の様に、2人も再び戦う事になる。

だけど今、この時だけは思いっきり楽しんでもいいのではないかと、ハルトは思った。

 

「・・・・・・・・・・今回はな」

 

そのまま、伊織は眠った。

その後、ハルトは部屋を出て、友達のいる部屋へ行き、トランプなどをして遊んでいた――――――――――

こうして、1日は過ぎていった。

 

 

「ZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZZ」

「・・・・・・・・・・・・・・やっぱうるせぇ」

 

寝ている最中、ハルトのいびきで、伊織は中々眠れなかったのであった。

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回使用したシステムメモリー】


ソルリベリオン ユニゾンモード

【ショットイン】レオパルドブラスター ランクS+
ライオネルコアから、強力な一撃を放つ。その一撃は、ルナリベリオンのリベンジエリミネーターでも、反射の反動を受ける程の威力である。

【ソードイン】ライガーデュランダル ランクS-
両腕、背中の剣を展開、自在に操る。

【リザーブイン】セレクトスキル ランク無し
ワールドリベリオンと同様。数々の戦いを繰り広げた為、多くのメモリーを選べる。

【シャドーイン】ブラックミラージュ ランクB+
リザーブインから発動。
ルナリベリオン同様のもの。ランクが上がった為、耐久力が上がっている。

【シールドイン】
バーニングミスディレクション ランクS
同じくリザーブインから発動。
ジャッジメントリベリオンのミスディレクションフィールドと同様。バリアが炎となっており、触れた相手にダメージも付与される。

【チャージイン】ソーラーチャージャー ランク無し
太陽光から、エネルギーを蓄積、次に使用する技の威力を格段に増す。

【バーニングイン】ボルケーノドライヴ ランクA+
フレイムインの上位互換。マグマに変化している。

【クラッシュイン】グランドブレイク ランクSS
ジャッジメントリベリオンと同様、地層を様々な形に変化させる。一度地面を破壊する必要はない。



ルナリベリオン ユニゾンモード

【シールドイン】ルナティックエフェクト ランクA+
ルナーズイージスの上位互換。

【シャドーイン】ブラックミラージュ ランクB+
ランクが上がり、分身の上限が増え、耐久力が上がってる。

【バスターイン】ムーンサルトバスター ランクSS
ビーヴェスからトリガーが展開、銃型武器に変化する。

2分割しているので、今回は少し短め。

臨海学校と行っても、ちょっとした宿泊。会長の粋な計らいですね。

次はフール対チャリオット。こちらの激闘にもご期待ください。もしかしたらクライマックス目前に新たなリベリオンも・・・・・・・・・・・

もしよろしければ、高評価、感想、お願い致します!


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第28-2話「戦車の獰猛」

ソルリベリオンとルナリベリオンとの戦いの最中、チャリオットリベリオンとフールリベリオンも戦っていた。
28-2ではその戦いから始まります。
分割しているので、やや短いです。


「ハハハハハ―――――!!」

 

背中に取り付ける2つの滑空砲(アーマーカノン)を装備した、チャリオットリベリオンの砲撃を、笑い狂い、走りながら避けるスターリベリオン。

右手に握っている、星を二重に重ねた様な大きい手裏剣と思われる武器(スターブレード)を投げ、2つに分かれて、チャリオットを挟み撃ちにする。

 

「くっ・・・・・・・!?」

 

右側に来た方を、ギミックガンソードで弾くが、左に来た方のブレードが直撃し、倒れてしまう。

 

「愉快だぜ、お前とこうしてサシで殺り合うってのはよう」

「そうかい・・・・・僕としては、ゴメンなんだけどね」

 

そう言いながら、ギミックガンソードに取り付けてあるデバイスにシステムメモリーを装填する。

 

<<シールドイン>>

 

空から、チャリオットフォートレスの車輪を模したシールド(ローラーシールド)を召喚され、左手に持つ。

 

「けど、ここで負ける訳にはいかないんでね」

「そうこなくっちゃな、ホラ、来いよ」

 

スターリベリオンの全身からノイズが発生、その姿は、フールリベリオンへと変わっていく。

 

「フッ―――――!!」

 

立ち止まっている所を、ギミックガンソードで狙い撃つ。それを諸ともせず、フールは前進する。

 

<<ソードイン>>

 

降って来た、ワニの尻尾に鋸を付けた様な形の鋸型の剣(ダイルブレード)を走りながら手に取り、チャリオットに目掛けて振り下ろす。

 

「ッ・・・・・・!」

 

それをギミックガンソードで防ぎ、鍔迫り合いとなり、火花が飛び散る。

 

「もっとだ・・・・・・・もっと俺を楽しませろぉ!!」

 

ダイルブレードの鋸が動き出し、ギミックガンソードの刃を、徐々に削っていく。

 

「コレはマズいね・・・・・・・」

 

ローラーシールドを、フールの腹部に当て、内臓バルカンを撃ち込んだ。

 

「グハっ!やるじゃねぇか」

「それはどうも!!」

 

その隙を突いて、腹に、ストレートな蹴りを炸裂させ、4m後ろへ吹き飛ばす。

 

「あぁ・・・・・随分痛かったぜ」

「僕も本気なんでね」

 

<<スピアイン>>

 

銀色の鎌槍型の武器(メタルランス)を右手に持ち、ゆっくりフールに近づいていく。

何かを狙う様に、フールは立ち上がらない。

 

「・・・・・・・・」

「ハァ――――――――――!!」

 

メタルランスをフールの頭に目掛けて突き刺そうとする・・・・・・・・・・・が――――――――――!!

 

「ハハ―――――っ!!」

 

不適に笑い、ダイルデンジャーにシステムメモリーを装填する。

 

<<フュージョンイン>>

 

後ろから、バイオヘルダイル、アポロナインフォックス、バンデッドシーミア、ディスティニーラチェルタ、スターウェイブが出現し、1つに合体、サイコディスカイザーとなり、チャリオットに目掛けて、口から怪光線を発射する。

 

「しまっ―――――!?」

 

間一髪で避けるが、転がった標識に、メタルランスを落としてしまう。

 

「さぁ・・・・・・お前も出してみろよ」

「コイツっ・・・・・・いいよ、乗ってやる」

 

シルバアーマホースの描かれた契約カードをホルダーから取り出し、デバイスに翳すと、地面からチャリオットフォートレスを引かせたシルバアーマホースが召喚される。

 

<<バスターイン>>

 

アーマーカノンを背中に装備し、チャリオットフォートレスの上に乗る。

 

「ハァっ!!」

 

アーマーカノンの砲撃を発射し、サイコディスカイザーの視界を眩ませる。

 

「・・・・・・・何処に行った?」

 

煙が晴れると、そこにはシルバアーマホースの姿はなかった。辺りを見回すフール。

 

<<フィニッシュイン――――――>>

 

電子音声が聞こえ後ろを振り向くと、シルバアーマホースが走り出してきた。

 

「ハハハハハ!!そう来たか、だったら・・・・・・・・・・」

 

フールも対抗する様に、ダイルデンジャーにシステムメモリーを装填する。

 

<<フィニッシュイン―――――>>

 

助走をつけて走り出し、一気に跳躍し、サイコディスカイザーが両手で、フールを覆い、エネルギーを充填させ、右足に5色(灰色 黄色 赤茶 焦げ茶 オレンジ色)不気味に輝く巨大な刃を発生させ貯め込む。

 

「これで――――――――――!!」

「ハアアアアアアアアア――――――!!」

 

チャリオットの必殺技(クリーヴ・オブ・ロード)とフールの必殺技(エレメンタルディストラクション)が発動。

互いの一撃がぶつかり合い、大規模な爆発が発生する―――――――――――――――――――――――――!!

 

「ハァ・・・・・・・・・ハァ・・・・・・・・・・」

「あぁ・・・・・・・・・・相変わらず派手な技だな」

 

爆発の衝撃で、2人共地面に叩きつけられる。

お互い、よろけながらも、立ち上がった。

 

「もっと・・・・・・・もっとやろうぜ」

「全く、懲りない奴だねぇ・・・・・・」

 

満身創痍になりながらも、フールは戦いを求めている。そのままチャリオットに向かって前進する。

 

「国枝あああああ!!」

「クソ・・・・・・しまっ―――――!?」

 

向かってくるフールに対し、ギミックガンソードで応戦しようとするが、腕に力が入らず、落としてしまった。

そのままダイルブレードを振り下ろす――――――――――

 

「グっ・・・・・・・」

 

肩の間に直撃し、抵抗しようとフールの手を掴むが、力が入らず、離れる事が出来ない。

 

「ハハハハハ!!」

 

そのまま右肩から切断しようとするフール。このままではやられると思われたが・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あん・・・・・・・・?」

 

気配を感じたのか、後ろを振り向く。だがそこには、誰もいない。

 

「誰だ!何処にいやがるんだ!!いるなら俺と戦おうぜ!!」

「ハァ・・・・ハァ・・・・今の内かな・・・・・・」

 

腕を押さえ、フールが別の方を見ている隙に、チャリオットは電気盤から、サイバープログラムを抜け出し、現実世界へ戻った。

 

「何だ・・・・・・いないのか・・・」

 

辺りを見回しても誰もいない。そのままチャリオットの方へ戻るが、そこは既にもぬけの殻であった。

逃げた事に怒りだし、いたる所に八つ当たりを始める。

 

「逃げやがったな―――!あぁっ!戦え―――――戦え―――――!!」

 

 

 

 

その様子を、向かい側のビルから眺めている姿があった。

紺色と水色の鎧に、皇帝ペンギンの頭部を彷彿とさせるヘッドギア、両肩にマントの様な布が取り付けられ、腹部にはペンギンを思わせる模様、首元にはネックレスの様な緑色に輝く装飾、ペンギンの足の形をした膝アーマー、太ももには紺色のアーマー、ジェットスキーを思わせる足が特徴的だ。

 

「チャリオットに、フール、いいデータが取れそうだ」

 

アルカナデバイスを手に取り、そこにはさっきまでのフールとチャリオットの戦闘の映像が保存されていた。

 

「だけど、まだまだデータが足りない。完成には程遠い、まだまだサンプルが必要だね」

 

そう言いながら、ビルの中にあるテレビから現実世界へ戻っていった。

変身していたのは、黒い短髪に、ダークグレーのスーツに、水色のネクタイの少年。

その部屋は、虎の剥製、女神が舞う絵が飾っており、広々とした部屋。奥の赤と金色の椅子に座り、窓の方を眺める。

そこへ、ウォールナットのオーダー机の上に置かれてある電話が鳴り、椅子に座った男は、受話器を手に取る。

 

「はい、もしもし」

『私です、どうですか?状況は?』

「う~ん、まだロールアウトまでには時間が掛かりそうですね。ですがそれも時間の問題、息子さんの協力もあり、もう少しデータが揃えば・・・・・・・・・目的は果たされますよ」

『そうですか、それは何よりです。息子にも伝え時ますよ。ですが急いでくださいね、我々の計画の為にも』

「ご安心ください。時期にデータを集める機会がきます。もうしばしの信望を」

『えぇ、期待していますよ』

 

男は受話器を戻し、アルカナデバイスを持ち上げ、眺める。紺と白のツートーンカラーで、エンブレムにはペンギンが刻まれていた。

ドアをノックする音が聞こえ、デバイスを机の中にしまった。

 

「社長、そろそろお時間です」

 

ドアを開けると、黒のストレートヘアに、眼鏡の女性が入って来た。男は立ち上がり、女性の後ろに付いていき、部屋を出た。

机には「皇圭(すめらぎけい)」と刻まれたプレートが置かれた合った。

皇グループ。パソコン、ケータイなどの電子機器の開発、プロデュースを行っている会社。彼はその社長だ。そして彼もまた、リベリオン使用者の1人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、受話器を置くモスグレーのオールバックに、白衣を着た男性、そしてその後ろに立っている、モスグレーの髪に、後ろを細く一本結びしており、茶色と黒のパーカーの少年が、理科室の様な所にいた。

 

正義(まさき)・・・・・・・お前の正義がみんなを救う。その為の犠牲は大義だ、いいな」

「うん・・・・・分かってるよ、父さん」

 

男は圭と電話をしていた男の様だ。

皆を救う正義とは?果たして彼もまた、リベリオン使用者なのか?

 

 

 

 

 

 

「フフ、フン、フフ、フン、フン、フン、フ~ン♪」

 

時を同じく、人混み交わる交差点の電柱に寄り掛かり、赤いイヤホンを耳に掛け、鼻歌を口ずさむ、長い金髪に、翡翠色の瞳をした少女。

彼女の手には、「EMPRESS(エンプレス)」と書かれたカードを持っていた。

 

「今日は何しよっかな~」

 

信号が青になると同時に、少女は横断歩道を歩き出した。

そこで、黒のワンピース レディーズドレスに、サングラスを掛け、日傘を差した女性とすれ違った。腰には、ハチの模様をしたマスコットを着けていた。

 

「フフフ・・・・・・」

 

 

 

 

 

更に激しくなるリベリオン使用者同士の戦い。

新たな使用者の出現が、更に戦いを激化させる――――――――――!!

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




チャリオットとフールの戦いが繰り広げられる中、新たなリベリオン使用者が動きだす。
その行動が、今後の戦いを更に狂わせる。
最後に登場した金髪の少女、実は14話にも出ているんです。よく見ると分かります。

第2章も残す所後2話。果たしてその先にあるものとは――――――――――?

次回もお楽しみに!!


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第29話「ひと夏の思い出」

今回は戦い無しの、安らぎ一時、新たな動きも・・・・・・・・・・・・・・・・


「ハハっ・・・・・・もう食えねぇって」

「おい・・・・・・起きろ」

 

戦いから1日が経ち、朝になっていた。時刻は8時丁度。既に起きていた三日月伊織(みかづきいおり)は、今も寝ている獅子堂ハルト(ししどうはると)を起こそうとしている。

呑気な寝言をいいながら呑気に寝ているハルトに苛立ち始めた伊織は・・・・・・・・・・・・・

 

「んぎゅっ!?」

 

ハルトの頭に、枕を投げつけた。

その衝撃で、ハルトはようやく起きた。

 

「んあ・・・・・・・・もう朝か?」

「ハァ・・・・・・」

 

あまりの寝ぼけっぷりに、伊織は呆れて額を手で押さえた。

 

 

 

それから15分後、朝食の為、2人は食堂へと向かった。

 

「おーい、こっち、こっち」

 

先に席に座っていた桜木彩(さくらぎさや)が、ハルトを呼ぶ。

 

「おぅ、おはよう」

 

朝食のパンを千切り、ゆっくりと食べるハルト。まだ寝ぼけている様だ。

 

「今日さ、何をするか知ってる?」

「ん?何だっけ?」

「海だよ、海!絶好の海水浴日和だよね~」

 

今日行われるのは、海水浴だ。青い空、程よい白い雲、まさに青天の霹靂だ。

 

「いやぁ~ずっと楽しみにしてたんだよね~」

 

彩はウキウキしており、パンを加えながら、スクランブルエッグを取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして朝食が終わり、待ちにまった海水浴の時間が来た。

やって来たのは江ノ島海岸。一般客も交わる中、生徒達は興奮を隠せなかった。

 

「ひゃっほーい!!」

「随分と、ノリノリだな」

 

彩が上のシャツを脱ぎ始めた。そしてハルトに、赤と青のボーダーラインの水着姿を見せた。

服越しでは分からないが、谷間が出きる胸、大きすぎず、小さすぎない、丁度良いバランスだ。

 

「どう・・・・・かな?」

 

谷間を見せつける様にして、ハルトに、似合うかどうかを聞く。

 

「あぁ、中々似合ってるんじゃねぇか」

 

頭を掻きながら、ハルトは答える。

相変わらずの反応に、少し残念そうな顔をしている。その時、突然セミが飛んできた。

 

「うわっ!?」

「ちょ・・・・・ハルト!?」

 

飛んでくるセミを見たハルトは、すぐさま、彩の後ろに隠れる。

 

「あっ・・・・・ひょっとして、まだ苦手なの?」

「わっ・・・・・・悪いかよ。あの飛んでくる音といい、バサバサしてるのがダメなんだよ!!」

 

ハルトはセミが苦手の様だ。洗濯物を取り込む時、よく落ちたセミが現れ、何時もをそれをトングで遠ざける程に。

セミは後ろにいた伊織の方に飛んでいった。

 

「・・・・・・・・・・・!?」

 

近づくセミを、伊織は後ろ歩きで避けていた。またも伊織に向かって飛んでき、それを腰を低くして避けた。

やがてセミは、伊織の背中にくっ付いた。

 

「――――――!?」

 

掻く様にして、セミを払いのけようとする伊織。その様子はどこか焦っている様にも見える。

 

「まさか・・・・・・・アイツもひょっとして・・・・・・」

 

払いのけようとする伊織の表情は、どこか青ざめていた。もしかしたら、伊織もまた、セミが苦手みたいだ。

 

「ププっ、アイツにも苦手なものあるんだな」

 

伊織の意外な一面を見たハルトは、顔がニヤけていた。

そんな彼を、彩が細い目で見ていた。

 

「ハルトにだけは言われたくないだろうな~」

 

それから、海で泳ぎ、ビーチバレーをし、砂で城を作っていた。

その様子を、日陰で、伊織は眺めているだけだった。

 

「やぁ、泳がないのかい?」

「俺は別に・・・・・・・」

 

生徒会長の神ヶ崎界斗(かみがさきかいと)が座り込み、声を掛けた。

一瞬、界斗の方を向くが、すぐに反対側を向く。

 

「ひょっとして・・・・泳げないとか?」

 

冗談のつもりで、界斗は言ったのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「アレ?反応がない・・・・・・・もしかして本当に?」

 

伊織は何も言わなかった。ただ図星の如く、界斗の方を向かなかった。

 

「フッ・・・・ハハハハ。これは驚いたよ。いやぁ、実はと言うと僕も泳げないんだよねぇ」

 

笑ながら、自分も泳げない事を語った。その言葉を聞いた伊織は、界斗の方を振り向いた。

 

「ほぅ、生徒会長ともあろうお方が、まさか泳げないとはな」

「恥ずかしながらね。まぁ君の事も内緒にするからさ、だから僕の事も内緒にしてほしいなぁ」

 

伊織は鼻で笑った。

 

「あぁ、その方がお互いの為だろうからな」

「フフフ、じゃぁやっぱり泳げないのは本当なんだ」

 

界斗は伊織が泳げない事の核心を突く為、カマを掛けていた。

ハメられた伊織は、少々不機嫌な顔をしていた。

 

「ゴメン、ゴメン。でも僕は約束を守るよ。これは信じていいよ」

 

伊織は立ち上がり、海岸の方へ歩き出した。

 

「やれやれ・・・・・・・素直じゃないなぁ」

 

歩き出すハルトの方を見ながら、界斗は笑っていた。

その様子を見ていた、副会長の四ノ宮永子(しのみやえいこ)が頬を膨らませながら見ていた。

 

 

 

 

 

 

「ふぅ~大分遊んだな」

「だね、少し疲れちゃった」

 

海水浴が始まって2時間、遊び疲れたのか、彩は寝転がった。

 

「それにしても、いい天気だよね」

「ん?そうだな」

 

するとそこへ、ビーチボールが転がって来た。

 

「おーい、獅子堂。こっちに投げてくれないか?」

「あぁ!」

 

転がったビーチボールを、男子生徒4人の方向に投げた。

投げたボールは、男子生徒とは違う方向に流れていった。

 

「おいおい、どこ投げてんだよ~」

「ワリィ、ワリィ」

 

頭を掻きながら、ハルトは誤った。

 

「あ~こんな時間がずっと続けばいいのに」

「あっ・・・・・あぁ、そうだな」

 

こんな時間・・・・・・か。

この戦いが続けられる限りは・・・・・・・・・正直続かないで欲しい。

だけど、彩や、みんなが幸せでいられる時間が続けられるのなら・・・・・・・・・俺は戦いを止める為に戦う。

 

「っし、もうちょい泳ぐか!!」

「全く、元気なのは相変わらずだね~」

 

ハルトは海の方へ走っていった――――――――――

こうして、楽しい海の時間は過ぎ去っていった・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

その日の夜だった。

 

「ハァ~スッキリした」

 

風呂から上がり、買ったコーヒー牛乳を飲むハルト。そこへ、彩がやってきた。

 

「ん、どうした?」

「ちょっとさ、風にあたらない?」

 

やって来たのは屋上。星が良く見え、程よい風が吹いている。

 

「ん~やっぱ星が良く見えるな~」

「う~ん・・・・・・俺には良く分からねぇな。粒がいっぱいある様にしか見えねぇ」

「そう?私には素敵に見えるけど」

 

空を見上げながら、ハルトの隣に立つ。

 

「あのさ・・・・・・実はね」

 

彩が何かを言いかけたその時――――――――――――

界斗と永子も屋上へやって来た。

 

「やぁ、君達も来ていたのかい」

「会長・・・・・・まぁ、その・・・・・・気分転換に」

 

良い雰囲気の所で現れた界斗に対し、少し複雑な気持ちを抱いていた。

 

「アレ、見えるか?しし座α星、レグルスだよ」

 

界斗が指さしたのは、個の星が各2個のペアになって互いに回っている多重連星。しし座α星、レグルス。

 

「全天21の1等星の1つで最もその中でも暗いと言われている、何でもギリシャ語では小さな王と言われているらしい」

「へぇ~そうなんですね」

「レグルス・・・・・・・ね」

 

良くは分かっていないが、ハルトは空を見上げた。

レグルス・・・・・・・しし座、どれもハルトの変身する、ソルリベリオンに当てはまる言葉だ。

偶然とはいえ、ちょっと何処かで引っかかっていた。

 

「ところで、お二人は何故ここへ?」

 

永子が首を傾げて彩に問う。

その質問に、彩は慌てて手を振るいながら答えた。

 

「えっ・・・・・・べっ、別に、大した事じゃないですよ!たんに1人じゃなんだな~って思って呼んだだけですよ!!」

「ハハハハハ、そうかい、まっ、友達同士、おかしな事じゃないか」

「そうですね」

「アハハハ・・・・・・・」

 

笑う界斗に対し、彩は苦笑いで応えた。

何の話かサッパリ分からないハルトは、首を傾げていた。

 

「それじゃ、僕らは失礼するとしますか」

「おっ・・・・・・おやすみなさ~い・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「アレ、どうみても気づいてないよね」

「ハイ、うちの学校が校内恋愛禁止でなくてよかったですね。と言いたい所でした」

 

屋上を出た界斗と永子。どうやら、彩がハルトに好意を抱いている事に気づいている様だ。

 

「全く、君は何時もルールに厳しいからね。少しは大目に見てあげなよ」

「ルールはルール。いくら会長と言えど、それは譲れないです」

 

ルールにはとても厳しい永子。これに関しては、流石の界斗も頭が上がらない。

 

「では私は、他の生徒の様子を見てきます」

「いってらっしゃい。ご苦労な事で・・・・・・・・・・・・」

 

生徒の様子を見に行く永子を、界斗は「ヤレヤレ」と言わんばかりに見送った。

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、ハルト達も、自分の部屋に戻ろうとしていた。

 

「んじゃっ、また明日。おやすみ」

「うん、おやすみ」

 

部屋に戻り、ハルトは自分のベッドに寝転がる。伊織は既に眠っていた。

 

「・・・・・・・・・・」

 

あの時は決着が付かなかったけど・・・・・・・・・・何時かまた・・・・・・そんな日が訪れる。

その時俺は・・・・・・・・・・どうなってるんだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。時刻は10時丁度。

ホテルに帰りのバスが来て生徒が次々と乗り始める。今回はハルトが窓側に座っていた。

 

「夏ももう終わりに近いな・・・・・・・・・・・・」

 

この臨海学校が終われば、夏休みも残す所3週間。それが過ぎれば・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「せめて、無事来年を迎えられるといいなぁ」

 

そう祈る事しか、今は出来ない。

しかし、現実は残酷なもの。その祈りは届くのだろうか――――――――――――――――?

 

 

 

 

 

 

2時間半後。バスは可夢偉町(かむいちょう)へ着いた。

 

「ふぅ~帰って来たぜ」

「・・・・・・・・・・・」

 

バスから降りるハルトと伊織。お互い顔を合わせる事はなかった。

 

「ねぇねぇハルト」

「どうした?」

 

後ろから彩が肩を叩き、ハルトに声を掛けた。

 

「明日なんだけどさ、夏祭りがあるんだけどさ、どうかな?」

「おっ、いいね!行こうじゃねぇか」

 

帰って早々、彩は近くで行われる、夏祭りにハルトを誘った。

 

「本当に!じゃぁ明日ね!!」

「おぅ、明日な」

「それまでに宿題、終わらせる所は終わらせといてね!!」

「あっ・・・・・・・あぁ、そうだな」

 

勉強はちゃんとしろと釘を刺され、ハルトは顔を引きつっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

家に帰ろうとする伊織。噴水公園で一休みしていると、偶然いた紺色のサスペンダー付きの短パンに、ピンクと白の水玉模様のキャミソールワンピースの葵と遭遇した。

 

「あっ、義理兄さん、おかえりなさい」

「あぁ、ただいま」

 

伊織の隣に座り、臨海学校について聞いてきた。

 

「それで・・・・・どうだった、臨海学校は?」

「あぁ、思ったより楽しめた方だ。それと、ホラこれ、お土産だ」

 

そこそこ楽しんではいたので、嘘は言っていない。

袋から何かを取り出し、葵に渡した。

 

「わぁ・・・・・・・ありがとう、義理兄さん!」

 

渡したのは、イルカのヌイグルミであった。嬉しさのあまり、葵はヌイグルミを抱きしめる。

 

「喜んでもらえて、なによりだ」

「うん!早く帰って、家に飾りたい」

 

家に帰る途中の街中、葵は1人の少年と出会った。

 

「あっ、正義(まさき)くん、こんにちは」

「やぁ、葵ちゃん、こんにちは」

 

灰色のズボンに白いシャツの少年、名は志向正義(しこうまさき)。葵と同じ中学のクラスメイトだ。

葵と親しく話す彼を見て、伊織は問う。

 

「友達か?」

「うん、実はこの間、宿題しに図書館行ってて、そこで一緒に勉強してたの」

「そうか、葵は勉強が苦手な方だからな。見てもらった方がいいかもな」

「ちょっと、義理兄さん!正義君の前で何言ってるの!」

 

勉強が苦手な事を言われ、顔を赤くして伊織の腰を叩いた。

 

 

「いや・・・僕は別に大した事はしてないよ。ただ、葵ちゃんの助けになれたなら、よかったよ」

「そうだ、義理兄さん、正義君と明日夏祭り行きたいんだけど、いいかな?」

 

突然の事に、伊織は一歩後ろに下がった。葵が男と2人で夏祭りに行く、それが何を意味しているのか・・・・・・・・・

深く考えすぎだと、頭を押さえて答える。

 

「あぁ、構わない。ただ、あまりはしゃぎ過ぎるなよ」

「やった~正義君、行った事ないっていうから、お礼にと思って」

「葵ちゃんがどうしてもって、けど、僕もお祭りは行ってみたいなって」

 

俯いた表情の正義が少し笑っていた。あまり表情を顔に出さないタイプなのだろうか?

 

「じゃぁ、正義君、明日ね!!」

「うん、また明日」

 

こうして伊織達は分かれた。葵は楽しそうに歩いていた。

 

 

 

正義が葵と別れ、歩いていると、女子高生が、男にひったくられる所を目撃し、バッグを取り返そうと男の腕を掴んだ。

 

「何だこのガキ?放せっての!!」

「っ―――――!!」

 

男の力の前に、正義は振り払われ、突き飛ばされてしまう。

そこから男は逃げ、立ち上がった正義もそれを追いかける。

 

「全く、面倒なガキだぜ・・・・・・」

 

ひったくりをする男を追いかける正義。必死に逃げる男は、路地裏の方に逃げていった。

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・」

 

辿り着いた場所は行き止まり。だがそこには男の姿はなかった。

 

「あの人は悪い人だ、だから僕の正義で・・・・・・・・」

 

正義はポケットからある物を取り出してた。それは、リベリオン使用者の持つ契約のタロットカードだ。

カードには、コーカサスオオカブトとヘラクレスオオカブトの特徴を合わせ持った、カブトムシ型のクリーチャーが描かれ、JUSTICE(ジャスティス)の文字が書かれていた。

 

 

 

 

「ふぅ・・・・・ここまでくりゃ、追って来れねぇだろう」

 

男が逃げた先は、ビルの屋上。どうやらパイプを登って、ビルまで逃げたと思われる。

荷物を軽くする為、バッグの中の財布を取り出そうとした時・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ん?なっ・・・・・何だ!?この化け物は――――――!」

 

男の後ろには、正義の持っていたカードに描かれていたクリーチャー(ジャスティンビートル)が飛んでいた。

その姿に恐怖し、男は逃げ出そうとするが、角で弾かれ、柵に叩きつけられる。

 

「おい・・・・・・やめろ・・・・・・辞めろ――――――――――!!」

 

ジャスティンビートルは男に近づき、その体を食べ始めた。

その標識に転がっていった財布を、ビルの屋上へやって来た正義が手に取り、盗まれたバッグの中にしまい、屋上から出ていった。男を食べ終えた、ジャスティンビートルは、電気盤の中に吸い込まれる様に入っていった。

 

「お姉さん、コレ、取り返しておいたよ」

 

バッグを盗まれた女子高生の元に、行き、正義はバッグを返した。

 

「あっ・・・・・・ありがとう」

 

お礼をいいながら、女子高生はバッグを受け取った。

どうやって取り返したかが気になる女子高生だが、正義の迷いのなさそうな目を見て、言うのに戸惑っていた。

 

「どうって事ないよ、僕は正しい事した、ただそれだけ」

 

そう言って正義は、その場を去った。

 

これが正義、僕は正しい事をした。これでいいんだよね・・・・・・・・・・・父さん。

だから、悪い人には裁きを与えないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃。家に帰って来たハルト。そこで待っていたのは、次の小説のネタを考えている国枝半蔵(くにえだはんぞう)であった。

 

「やぁ、お帰りハルト君。君がいない間、とても退屈だったよ」

「おぅ、ただいま戻りました・・・・・・って、先生その怪我・・・・・・」

 

ハルトが目にしたのは、半蔵の手に巻かれている包帯。何があったのかを尋ねてみると・・・・・・・・

 

「あぁコレ、実はさ、また黒崎に出くわしてね。参ったものだよ」

「またアイツか・・・・・一体何考えてるんだか」

「簡単だよ、アイツはただ暴れたい、それだけだよ」

 

ただ暴れたい・・・・・・・か、それで一体、何人の使用者が命を落としたか・・・・・・・・

アイツは人の命なんてどうと思っていない、決して許してはいけない相手。けど、アイツを倒す事が正しい事なのだろうか?

 

「っ・・・・・・・!」

「ひょっとして、痛むのか?」

 

包帯を巻いた右手に持ったペンを落とす半蔵。どうやらまだ痛みが残っている様だ。

 

「その様だね、これじゃしばらく書けそうにないね」

「だったらその間・・・・・・ちょっと力貸してくんない?」

 

ハルトは作文用紙を半蔵に見せた。読書感想文の事だ。それを見た半蔵は、呆れたかの様に、ため息をついた。

 

「ハァ・・・・・・・・おススメの本は紹介するけど、自分で書いてよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、正義は、工場と思われる所に来ていた。そこにいたのは、モスグレーのオールバックに、白衣の男。胸元には志向英雄(しこうひでお)と書かれた名札を着けていた。彼は正義の父親だ。

 

「正義、お前の正しさがまた1人救った。悪は決して許してはいけない」

「うん、分かってるよ。僕の正義の前では、どんな悪も見逃さないよ」

「そしてコレが完成すれば、正義が実現される・・・・・・・・・」

 

電子モニターには、1体のリベリオンと似たようなデザインをした設計図が表示されていた。

クワガタの顎の形を思わせ、パイプでマスクが繋がれているのが特徴な頭部に、眼は単眼(モノアイ)となっており、四角い肩、鋭いひし形の膝アーマー、カンガルーの様に柔軟そうな足、背中にはジェットエンジンが搭載されている。

Archetype(アーキタイプ)と書かれていた。

 

「完成までもう少し、だがまだデータが足りない。分かっているな」

「うん、戦えばいいんだよね」

 

正義が手に持っていた物、それは茶色と黒色をしている、アルカナデバイスだった。

 

「サイバープログラムを消去する為、我々が成さなければならない」

「そうだね、その為なら・・・・・・・・・・・」

 

正義達が行おうとする事は一体、何なのだろうか?その行く末は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したクリーチャー】


ジャスティンビートル

【全長】200㎝

【体重】101キロ

【総合ランク】A-

志向正義=ジャスティスリベリオンが契約するカブトムシ型のクリーチャー。
コーカサスオオカブトとヘラクレスオオカブトの特徴を合わせ持っている。
角からは、強力なエネルギー弾を発射できる。最大マッハ4


志向正義、彼の正義が、他のリベリオン使用者の運命を、どう左右するのか・・・・・
サイバープログラムを消去する為の計画・・・・・果たしてそれは何なのか?

次回で第2章もラスト。お見逃しなく――――――!



少しでも思ったら、お気に入り登録よろしくお願いします!!


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第30話「今宵の祭り」

今回で第2章もラスト!!最後はお祭りで締めくくります。


「あ~一番難関な所は終わった!!」

「お疲れ様。大分苦労したね」

 

臨海学校が終わって翌日、8月17日、時刻は11時。

読書感想文を終え、羽を伸ばす様に腕を伸ばすハルト。彼よりも、感想文に付き合った、国枝半蔵(くにえだはんぞう)の方が疲れている様に見える。

 

「昨日の夜から見始めて、一気に終わらせるのは一苦労だろうね」

 

半蔵が勧めた小説「夕日の橋」を昨夜、一気に読んで、そこか点を結ぶ様にして、感想文を書いた。

あまりにも眠そうな半蔵は、ソファに寝転がり、そのまま眠った。

 

「悪いけど、今日は起こさないでくれたまえ」

 

どうやら半蔵は、今日1日寝る様だ。

ハルトは冷蔵庫から牛乳を取り出し、コップに入れ、飲み干した。

 

「ふぅ・・・・・ここまで終われば、何とかなりそうだな」

 

宿題完遂までラストスパート。残るは国語、数学数枚。これなら何とかなりそうだとハルトは自信を持つが・・・・・・・・・・

果たして夏休み終わりまでに終わるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、伊織はというと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「どうだ、いいのあったか?」

「う~ん・・・・・・・どれがいいかな」

 

浴衣のレンタル店に訪れ、葵の着る浴衣を探していた。

 

「あっ、コレにしたい!!」

 

葵が発見したのは、紫に風車の模様をした浴衣だ。

 

「ほぅ、いいんじゃないか」

「じゃぁ、コレにする!」

 

早速、葵は選んだ浴衣を試着に入った。

 

「そういや、あの正義って奴、どんな奴なんだ?」

「う~んと・・・・・真面目でいい子だと思うよ。ただ、ちょっと熱心すぎる所もあるっていうか・・・・・」

 

伊織は、昨日会った志向正義(しこうまさき)について聞いてみた。

聞いた所、良い印象が見られるが・・・・・・・・・・・

 

「そっ・・・・そうか、それなら安心だな」

「ん、何が?」

「いや、何でもない」

 

葵が男と2人で夏祭り、これわ所謂デートと言っても過言ではない。もしもの事を考えると、伊織は不安が募っていた。

 

「まっ、あまりはしゃぎ過ぎない様に、とだけ言っておくか」

「大丈夫だよ~もぅ、そこまで子供じゃないから」

 

笑い交りながら、伊織の話を聞く葵。試着室のカーテンを開け、浴衣姿を伊織に見せる。

 

「義理兄さん、どうかな?」

「おぅ、中々似合うぞ」

 

浴衣姿を褒められ、照れ隠しの如く後ろを向く葵。

 

「まぁ、アレだ、あまり無駄遣いとかはするなよ」

「ハーイ」

 

聞いているのか、聞いていないのか曖昧な返事をし、カーテンを閉め、浴衣から、青紫のシャツワンピに着替えた。

 

「じゃぁ、コレでいいんだな?」

「うん!コレにする」

「じゃぁ、18時に受け取る予定で」

「かしこまりました」

 

伊織は、葵の浴衣を、祭りの始まる30分前の、18時に受け取る様、予約をした。

店を出て、葵は伊織が自分が祭りに行っている間どうするかを尋ねた。

 

「因みに義理兄さんはどうするの?」

「そりゃ、ここん所疲れてるからな、家で休ませてもらう」

「そうなんだ」

 

 

 

 

 

 

 

一方、正義はと言うと・・・・・・・・・・・

 

「正義、今日は祭りに行くと言ったな?」

「うん、葵ちゃんに誘われて」

 

工場の様な所で父、志向英雄(しこうひでお)と今日、祭りに行くことを話していた。

 

「お前も子供、休息は必要だ。ただ忘れてはいけない、お前には果たすべき使命がある事を」

「分かっているよ、父さん。僕は、必ず正義を真っ当するから」

 

正義の目に迷いはない。正義を真っ当する為なら、いかなる悪をも・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、時間は経ち、時刻は17時半。夏祭りが始まるまで、後30分。

ハルトは急いで家を出て、彩との待ち合わせ場所である、噴水公園まで走っていった。

 

「っと、忘れる所だったぜ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

でかけるまでは、半蔵同様、寝ていたため、起きた時に夕方になったいた為、慌てながら、準備して出かけていった。

急いで着替えて来た為、灰色のズボンに、オレンジ色のTシャツ姿だ。

 

「一応、間に合ってはいると思うが・・・・・・・・・・」

 

噴水公園に着くと、噴水の近くのベンチで座っている桜木彩(さくらぎさや)を発見した。

 

「おーい、彩~」

「あっ、ハルト!」

 

彩はベンチから立ち上がり、彩の元へ向かった。

 

「ワリィワリィ、つい寝ちまってて」

 

頭を掻きながら、彩に謝った。

 

「いいって、それよりさ、どうよ?この浴衣」

 

彩が着ていたのは、紺色に、アジサイの模様の浴衣だ。この日の為に、いいレンタル店を探し回っていた様だ。

 

「うん、結構似合ってんな」

「えっ、そう?・・・・・・・ありがと」

 

ストレートに褒められ、緊張のあまり、頬に手を当てる彩。しかし相変わらず鈍感なハルト。

 

「さて、そろそろ行きますか!」

「だね」

 

ハルトと彩は、夏祭りの行われる神社の方へ向かい始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、葵と正義も神社へ向かっていた。

 

「そういえば、お兄さんは来ないの?」

「あぁ~疲れてるから、家で休むって」

「へぇ~そうなんだ」

 

正義は葵の方を、一瞬向いた。彼女の浴衣を見ていたのだろうか?

 

「気合入ってるね、その浴衣」

「えっ・・・・そうかな?レンタルなんだけどね」

 

正義の唐突の言葉に、葵は同様していた。

 

「あっ、着いたよ、正義君!」

 

2人は神社へ辿り着いた。1つづつ光り出す提灯。屋台から聞こえる油をはじく鉄板の音、香ばしいソースの臭い、甘いシロップの香り、ビニールプールに放たれる金魚、バレない様に的に小さな重りを仕込んでいる射的屋のおじさん。

着々と祭りの準備が進んでいた。

 

「まだっぽいね」

「少し早く来ちゃったみたいだね」

 

階段の端に座り、時間が来るのを待つ葵と正義。その下から、ゆっくりと会談を登っている2人の姿を発見する。

 

「おっ、葵ちゃん?」

「あっ、ハルトさん、それに彩さんも」

「おいっす!葵ちゃんも来てたんだ」

 

ハルトと彩だ。手を振りながら、葵は2人(ハルトと彩)の方へ歩いていく。

 

「2人も来てたんですね」

「まっ、夏といや、祭りだもんな~」

「ん?あの子と一緒に来たの?」

「あっ、ハイ、クラスメイトなんです」

 

後ろにいる正義を発見し、2人で来たのかを聞いた彩。それに反応したか、正義は3人の方へ歩いてく。

 

「志向正義です、貴方達は葵ちゃんの友達?」

「え~っと・・・・葵ちゃんのお兄さんの友達ってトコかな?」

 

とうの伊織本人は友達とは思っていないが。あながちウソでも本当でもない。

 

「お若いのに、熱いですね~」

 

葵をからかう彩。男女2人で来た=デートと言っても過言ではない。

 

「ちっ・・・・違いますよ!普通に友達として来たんですよ!!」

 

顔を赤らめ、葵は彩の問いに否定する。決してデートではない。友達同士の付き合いだ。

仕返しするかの様に、彩に同じ質問を問う。

 

「そういう彩さんも、ハルトさんと一緒に来て、デートだったりしないんですか?」

「べっ・・・・・・別に違うよ!」

 

同様しすぎて、浴衣で仰ぐ彩。あまりに恥ずかしすぎて、眼が回っているみたいになっていた。

 

「おいおい、そろそろ始まりそうだぜ」

「そっ・・・・・そうだね!行こうか」

 

次々と人が集まり、祭りが始まる合図であろう、太鼓の音が聞こえた。

 

「へい、らっしゃーい!!美味いよ~」

「いい景品があるよ!さぁ、やったやった!」

 

大きな掛け声で客を呼ぶ屋台のおじさん達。ハルトと彩はたこ焼き屋の方へ向かった。

 

「ひぇ~先に来たのに、結構並んでるね」

「ちと、出遅れちまったかな?」

 

ハルト達の列になり、2人ブンのたこ焼きを買い、食べ歩きしながら、焼きそば、りんご飴、かき氷、フランクフルト色々な食べ物を食べた。

 

「ふぅ~随分食べたな~」

「流石に、これ以上はキツイかな」

 

いつの間にか、青いヘッドギアに、鋭いVを少し曲げたようなアンテナが特徴的なロボットのお面を掛けていたハルト。膨らんだお腹を押さえ、彩と共に歩いていた。

 

「食べるのもいいけどさ、やっぱ遊んでいくのもいいよね」

「おっ、そうだな!じゃぁ手始めに・・・・・・・・・・・・」

 

ハルトが目を向けたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「おっちゃん!5発分頼むわ!!」

「あいよ!500円ね」

 

射的だった。5発で500円、1発100円は中々な値段だ。

 

「っし・・・・・・アレを狙うか」

 

ターゲットにしたのは、金の招き猫。狙いを定め、引き金を引くが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「惜しいね!狙いはよかったけどな」

「っそ・・・・・・やっぱそう簡単にはいかないか」

 

命中はしたが、1ミリも動くことはなかった。だがハルトは重りを仕込まれている事には気づいていない。

 

「あぁ~やっぱり、そういうのは動かない様になってるんだよな~」

 

彩は重りを仕込んでいる事に気づいている様だ。その後もハルトはむやみ残りの弾も撃ち続け、あっという間に5発なくなっていた。

 

「残念だったな、ホレ、残念賞!」

 

見せのおじさんに渡されたのは、赤いピロピロだった。

 

「ちぇっ、仕方ねぇか」

 

貰ったピロピロを吹きながら、ハルトは次の場所へ向かった。

 

 

 

 

 

一方、葵と正義は、輪投げをやっていた。

 

「正義君、上手いね~」

「いや、大した事じゃないよ」

 

輪っかの殆どを外す葵、その隣で正義は、次々と輪っかを当たりの太い棒に入れていく。

 

「やっ・・・・・・・・やるな、あんちゃん」

 

おじさんもこんな簡単に入れられるとは思っていなかったのだろうか、額の汗が止まらない。

 

「はい、葵ちゃん」

「えっ・・・・いいの!?」

 

受け取った景品の、ウサギのヌイグルミ、メタリックピンクのピン止め、桜のブローチを葵に渡した。

 

「うん、葵ちゃんが喜んでくれるなら」

「わぁ・・・・・・ありがとう!!」

 

ウサギのヌイグルミを抱きしめ、ジャンプする葵。それを見て、正義も少し笑っていた。

 

 

「・・・・・・・・」

 

その様子を、からあげ串を食べながら加える男の姿がいた・・・・・・・・・・・・・伊織だ。

 

「まぁ・・・・・・妙な奴じゃなさそうだが」

 

葵の事が心配になり、こっそり様子を見ていた様だ。

 

「いやぁ~それにしても大分遊んだよな~」

「そっ・・・・・・そうだね」

 

ピロピロを吹きながら、両手に持っている水ヨーヨーを弾ませるハルト。それを見ていた彩は、何故か胸を押さえていた。そしてどこか顔も赤らめていた。

 

「ん、どうかしたのか?」

「あっ、いや・・・・・別に!ただ暑いな~っと思って」

「そうなのか?じゃぁ、俺なんか飲みもん買ってくるわ」

「あっ、ありがとう」

 

そう言い、ハルトは、飲み物を売っている所へ走っていった。

 

「もぅ・・・・・あんなに弾ませて・・・・・何であんなので意識しちゃったんだろうな~」

 

地面に座り込み、膝に顔を埋める彩。ハルトの持つヨーヨーを自分の胸と意識してしまったのだろう。

 

 

「えぇ~っと・・・・・確かこの近くに・・・・・・・」

 

飲み物屋を探すハルト、辺りを見回していると、見覚えのある人物を発見する―――――

 

「ん?アレはひょっとして・・・・・・・」

 

その男の方に、ハルトは近づいていく。

 

「まっ、心配する必要はないな」

 

伊織が葵と正義の様子を見て、心配ないと思い、気付かれない様に歩いている所・・・・・・・・・・・・・・

 

「やっぱな、お前だったのか」

「なっ・・・・・・ハァ、何でまたお前が・・・・・・・・」

 

ハルトが見かけた人物、それは伊織だった。ハルトの声に気づき、葵がこちらを振り向こうとした時―――――

 

「ちょっと来い!」

「ちょ、おまっ!いきなり何すんだよ!?」

 

ハルトの手を掴み、茂みの中へと歩き出した。

 

「どうしたの?葵ちゃん」

「えっと・・・・何か見かけた様な気がしたけど、気のせいみたい」

 

何事もなかったかの様に、2人(葵と正義)は次の屋台へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・何でこんな所まで」

「お前のせいだろ、おかげで気づかれる所だった」

 

茂みの中へ入ってったハルトと伊織、掴んでいたハルトの手を思いっきり離し、額に手を当てる。

 

「気づかれるって・・・・・もしかして、葵ちゃんの事か!?」

「だったら何だ?」

「ハァ・・・・こんな心配性な兄といると、葵ちゃんも苦労するだろうなぁ~」

「何だと?なんだったら、この間の続きでもやるか?」

 

伊織の触れてはいけない部分に触れてしまったか、カチンと来ていた。

戦いは避けたいハルトは、伊織の挑発に対し、一歩後ろへ下がった。

 

「まぁまぁ、落ち着けって。わざわざこんな所で・・・・・・・・・」

 

そんな時、クリーチャーが近くにいる気配を感じた。

 

「オイオイ、こんな時にかよ」

「フン、仕方のない奴だ」

 

 

 

 

同じ頃、正義も同じ気配を感じたのか、座っていた階段から立ち上がった。

 

「どうしたの?」

「ちょっとトイレに」

 

そう言い正義は、向かいの方へ歩いていった。

 

 

 

茂みの近く、2人の男女がいい雰囲気で抱き合っている所、男のスマホの画面からスノーノイズが流れ、ビーワスプと同族と思われる、ハチ型のクリーチャー2体が気づかれない様に飛び出し、男女に襲いかかろうとした時―――――

 

「ハァ――――――――――!」

 

ハルトと伊織が、そのクリーチャーに向かって、飛び蹴りを喰らわせる。

急に飛び出した2人を見て、男女は冷や汗をかきながら、驚いていた。

 

「アンタら、早く逃げろ!!」

「はっ・・・・・・・ハイ――――――――――!」

 

ハルトの忠告を聞き、パニくったまま、男女は大急ぎで走り出した。

 

「何やってんだか・・・・・・」

「とにかく行くぞ!」

 

神社の裏側にある、ラジカセの方へ向かい、ハルトと伊織はアルカナデバイスを翳した。

 

「セットオン!」

「セットオン!」

 

現れたアタッチメントにデバイスを取り付け、ハルトはソルリベリオンを、伊織はルナリベリオンに変身し、ラジカセからサイバープログラムへ入っていった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

その様子を、正義がじっと見つめていた。その手には、茶色と黒色をし、カブトムシのエンブレムをしたアルカナデバイスを持っていた。

 

 

 

 

 

 

「さっさと終わらせて、彩ん所戻らねぇと!」

「俺も帰らないと気づかれそうだからな!」

 

ソルリベリオンとルナリベリオンに迎え撃つ2体のハチ型クリーチャー。1体は右腕がライフルの様な形をしているビースナイプ。もう1体は両腕が針を模した剣が特徴的なビーソード。

早めに倒したい2人は、すぐさま前進する―――――――――

 

「やぁ―――――っ!」

「フッ―――――!」

 

ソルリベリオンの右フックが、ビーソードに直撃し、追い打ちを掛ける様にして、腹部に蹴りを喰らわせる。

 

「それにしても、このハチ型、何体種類がいるんだ?」

 

新月でビースナイプを切り付けながら、システムメモリーを取り出し、デバイスに装填する。

 

<<スパークイン>>

 

新月に電撃が蓄積され、突く様にして、ビースナイプを貫く。

 

「毎回、同じパターンで来るな!!」

 

<<バスターイン>>

 

上空から、プロミネンスレオの顔の形をした手甲(レオファング)が降ってきて、それを右腕に取り付ける。

そして腕を後ろに構え、一気にエネルギーを貯め込む。

 

「まぁ、大した事はないがな」

 

<<フィニッシュイン>>

 

ブルームーンファルコンが召喚され、ルナリベリオンの背中にくっ付き、空を飛んだ。

真月を上に構え、電撃を蓄積させる。

 

「ハァァァァァァァァァァァァァァァァオラァ――――――――――!!」

 

ソルリベリオンの貯め込んだ炎のエネルギーを、ビーソードに向かって、一気に放つ――――――!

それと同時に、ルナリベリオンもビースナイプに目掛けて急降下し、電撃纏った新月を振り下ろし必殺技(羅刹滅却翔)を発動させる――――――――――!

 

ギャアアアアアアアアアアアアアア―――――!

 

強力な一撃を喰らった2体のクリーチャーは爆散し、その残骸を、プロミネンスレオとブルームーンファルコンは貪り尽くした。

 

「さて、戻るとしますか」

「俺は別の所から帰る」

 

そう言い、ルナリベリオンは、ブルームーンファルコンの背中に乗り、飛び去っていった。

それを見送ったソルリベリオンもまた、入っていったラジカセから、現実世界へ戻っていった。

 

 

「アレがソルリベリオンとルナリベリオンか・・・・・・・・・・・・」

 

その様子を1人の戦士が見つめていた。

茶色いボディに黒のラインが入っており、カブトムシの角を彷彿をさせる頭部、ヒメカブトの角の形をした肩アーマー、ヒーローチックなスマートな脚にカブトムシの羽っぽい腰のスカートが特徴的な戦士だ。

その背後には、カブトムシ型のクリーチャー、ジャスティンビートルが浮かんでいた。

つまり、この戦士は正義の変身したジャスティスリベリオン。彼もまた、リベリオン使用者の1人だった。

 

「後は、彼らと戦えば、データは揃う、分かっているね?」

 

その隣には、皇圭(すめらぎけい)が変身したであろう、紺色と水色の鎧に、皇帝ペンギンの頭部を彷彿とさせるヘッドギア、両肩にマントの様な布が取り付けられ、腹部にはペンギンを思わせる模様、首元にはネックレスの様な緑色に輝く装飾、ペンギンの足の形をした膝アーマー、太ももには紺色のアーマー、ジェットスキーを思わせる足が特徴的なリベリオンが現れた。

 

「うん、そうすれば、正義は果たされるんだよね?エンペラー」

「あぁ・・・・・・君と、お父さんの作る例の奴があればね」

 

ジャスティスは圭の変身するリベリオンの事を「エンペラー」と呼んだ。

正義の父、英雄が作っているアーキタイプ、それを完成させ、何をしようというのか・・・・・・・・・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

一方、現実世界へ戻って来たハルト、急いで彩の元へ戻っていった。

 

「ワリィ、待たせちまった」

「もぅ、女の子1人をこんなに待たせて・・・・・ってハルトなら何時もの事か」

 

彩は起こる事はせず、何時もの事かと大いに笑っていた。

 

「ホレ、どれ選ぶかで迷ってさ~」

「へぇ~てっきり場所が分からず、自販機で買って来たのかと思った」

 

他愛もない会話で誤魔化すハルト。実の所、一瞬自販機で買おうかと考えてはいた模様だ。

 

「あっ、実はさ、コレ貰ったんだけど、向こうでやらない?」

 

彩が取り出したのは、2本の線香花火。花火が出来る道路側の方へ移動した。

 

「盛大にやるのもいいけど、こういうのも悪くないよね」

 

一緒に貰ったマッチを擦って、線香花火に火をつける。

ぷっくらと膨らみ、震えだし、光の線を飛ばしていった。

 

「もうすぐ夏も終わりだね」

「だな、色々あったもんだな~」

 

線香花火が続く中、夏に起こった出来事を語り始める。一緒に宿題をやったり、田舎の駄菓子屋へ行った事、昨日までの臨海学校へ行った事。長い夏休みに、たくさんの出来事があった。

 

「来年もまた、臨海学校いったり、お祭り行こうね」

「あぁ、来年も思いっきり楽しまないとな!」

「それでね・・・・・実は――――――――――!」

 

彩が何かを言いかけたその時、線香花火の玉が落ち、終わってしまった。

 

「ん?」

「やっぱ何でもない!」

 

彩は立ち上がり、神社の方へ戻っていった。

 

「来年・・・・・・・・・・・か」

 

来年の今頃、俺はどうしているのかなぁ?まだ戦いは続いてるのか?それとも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

その頃、伊織は・・・・・・・・・・・・・・

 

「今年の終わり・・・・・その時までに終わらせてやるよ」

 

ベッドで寝転がりながら、由奈の写真を見つめ、今年中に戦いを終わらせる事を決意する。由奈の命が尽きる前に・・・・・・

それぞれの思惑が交錯する中、激化するリベリオン同士の戦い、夏が終わり、新たな展開が繰り広げられる――――――――――

果たして、最後に生き残るのは誰だ?そして戦いの先にあるものとは――――――――――?

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




楽しい夏の日々も今回で終わり。次回から今回ちょこっと登場したエンペラーリベリオン、ジャスティスリベリオンも戦いに参戦!
そして新たなリベリオンも・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少しづつ明かされていく真実の前にハルト達は、どう向き合うのか・・・・・・・
第3章もお楽しみにしてください!

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第3章
第31話「数奇な再会」


「ン―――――久々の学校終わったー!!」

「よかったねぇ~何とか宿題終わって」

 

9月1日、時刻は15時10分。

夏休みが終わり、再び学校が始まった。どうやら宿題はギリギリにならなかった様だ。

授業が終わり、ハルトは羽を伸ばす様にして両手を挙げた。

 

「助かったぜ、ありがとうな彩」

「この調子で、勉強もしっかり頑張ってくれればいいのにね~」

 

何時もの様に当たり障りのない会話をし、日常を満喫しているハルト。そんな時、教室の扉が開いた。

 

「獅子堂ハルトさん・・・・・・お話があります」

 

やって来たのは、生徒会副会長の四ノ宮永子(しのみやえいこ)であった。

 

「アレは副会長?何でハルトの事呼んでるの?」

「さっ・・・・・さぁ?俺は別にマズい事はしていないぜ」

 

永子はハルトの方へ向かい、どんどん近づいてきた。

 

「えっ・・・・・ちょっ、何ですか!?」

 

迫りくる永子に対し、後ろの下がりだすハルト。窓側の方に下がり、逃げ場がなくなった。

それでも容赦なく迫る永子。

 

「ひっ――――――!?」

 

10㎝近くまで近づいた永子は、右手で窓の方をドンと手を置いた。そして・・・・・・・・・・・・・

 

「是非・・・・・・・ご飯の作り方を・・・・・・・・・・・」

「えっ?」

 

顔を横に向けながら、ハルトに伝えた。その言葉に対し、ハルトは首を傾げていた。

 

「臨海学校でのアナタのカレー、とても美味しかったです・・・・・・・・ですから、是非、私に美味しいご飯の秘訣を・・・・」

「そっ・・・・・そゆこと?」

 

何がなんだかサッパリ分からないハルトは、苦笑いする他なかった。

その光景を見ていた彩は・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「えっ・・・・・何がどうなってんの?」

 

緊張のあまり、胸を押さえ、ハルトの方を向いていられない。

 

「では、また後日」

「はっ・・・はぁ・・・・」

 

永子は教室から去った。自分の机に戻るハルトの元に、彩が向かう。

 

「なっ・・・・何だったの?」

 

彩は気になって仕方がない。特にやましい事じゃないので、ハルトは正直に話した。

 

「えぇっと・・・・何でも飯の作り方を教えて欲しいとか」

「なっ・・・・な~んだ!そういう事だったのか~」

 

一安心したのか、彩は胸に手を当て、ゆっきり息を吐いた。

 

(よかった・・・・・本当によかった)

「さ~て、帰るか!」

 

荷物をまとめ、ハルトと彩は教室を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、三日月伊織(みかづきいおり)は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「また学校が始まったか・・・・・・・・・」

 

帰る途中、空を見上げながら歩いていた。

 

『持って・・・・・・・・・・・・・今年いっぱいかと・・・・・・・・・・』

 

医者に言われた言葉が頭に過ぎる。

宣告された時まで後3ヶ月。それまでに戦いが終わらなければ・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「由奈・・・・お前は絶対、俺が救ってやる」

 

そう胸に誓い、前に進んでいると・・・・・・・・・・・・・・

 

「キャッ――――!?」

「っ―――!?」

 

横から通ってきた、青いシャツに、グレーのジーパンの少女と激突してしまう。

 

「イテテ・・・・・ゴメ~ン大丈夫?」

「ハァ・・・・急に走ってきやがっ・・・・・・て?」

 

伊織は少女の方を見た。その少女は以前、双園祭でジャンボパフェの場所を聞いて来た、金髪の少女だった。

 

「お前・・・・・・確か、前に・・・・・・」

 

前に会った事尋ねようとした時―――――

 

「いた・・・・・見つけたぞ!!」

 

少女が通って来た横の方から、3人のチャラい男が走って来た。

 

「あっ・・・・・ヤバ」

 

どうやら彼女は、男達に追いかけられていた様だ。

 

「お前・・・・何したんだ?」

 

妙な事に巻き込まれた伊織。ため息を吐きながら少女に問う。

 

「何もしてないよ!アイツらしつこくナンパしてくるから、ちょっとからかっただけ!!」

 

少女の話によると、歩いている時、男達にしつこくナンパをされ、路地裏に連れていった。

何かをしようとする仕草と同時に、生ゴミの大量に入ったゴミ箱を、男達の頭の上に落として、追いかけられていた。

 

「そりゃ、自分が悪いだろ、俺を巻き込むな」

「そんな事言わないでさ、お願い」

 

今にも泣きそうな目をしながら、少女は伊織に助けを乞いながら、袖を掴みだす。

 

「この女・・・・・・・俺達を舐めてるのか!?」

 

怒りが込みあがって来る男達、その矛先はやがて伊織にも向けてきて・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「コイツもむかつくぜ!」

「もういっその事、やっちまおうぜ!」

 

伊織の胸倉を掴み、路地裏の方へ連れていく。そして壁の方に、伊織を叩きつけた。

その様子を、端っこで見ている少女。これは流石に伊織も我慢の限界の様だ。

 

「悪くおもうなよ・・・・・恨むなら、あの女を恨めよ!!」

「ハァ・・・・・・」

 

振り下ろされる男の拳を、伊織は軽々と避け、逆に男の足を引っかけ、転ばせる。

 

「コイツ・・・・・・ふざけやがって!!」

 

襲いかかる男の胸倉を、伊織は掴み、睨みつけながら、壁の方に向かって押しつけていく。

 

「いい加減にしろよ・・・・・・お前ら」

 

伊織の鋭い目を見た男達は、急に怖気づいたのか、慌てて逃げだしていく。その様子を見ていた少女は、伊織の方へ近づいていく。

 

「いやぁ~アレだけで追い払っちゃうなんてやるねぇ~助かったよ」

「っく・・・・・お前なぁ、人を巻き込んでおいてそれか?」

 

助けてもらったのに対し、軽々しい口調で話しかける少女に、呆れていた。

 

「いやいや、本当に感謝してるよ。あわゆくばずっと守ってもらいたいな~ってぐらい」

 

どこか誘っている様にも見える少女。しかし伊織にそれは通用しない。一緒にいるだけでも疲れてしまうのか、壁に寄っかかり、頭を押さえる。

 

「ハァ・・・・・・どこかのバカを思い出す」

 

少女を見ていると、バカ、つまりはハルトを思い出してしまった。能天気で、考え無し、少しだが同じものを感じていた。

 

「じゃっ、何かあったらまたよろしくね~」

 

そう言い残し、少女は去っていった。身勝手に振り回され、猫背になりながら、伊織も路地裏を出た。

 

「何なんだあの女は・・・・・・・」

 

どうやらまだ怒りが収まっていない様だ。ここまでイラつかせたのは、ハルトぐらいだ。

 

「っ――――――こんな時にか!!」

 

頭の中に、クリーチャーが現れたビジョンが流れ、アルカナデバイスを取り出し、位置を確認する。

感知した場所は、ゲームセンターであった。

そのゲームセンターでは、さっき逃げた男達が遊んでいた。

 

「ヒャッハー!スカッとするぜ!!」

 

ゾンビシューティングゲームをしており、ストレスを発散していた。

そんな時、画面にゾンビとは違う化け物(クリーチャー)を目にする。

 

「んっ、何だありゃ?」

 

新手の敵だと勘違いし、男はクリーチャーを撃ち続ける。そして画面から手が出てきた途端驚いて大声を上げてしまう。

 

「ぎゃあああああああああああ!!」

「アイツらっ――――――!」

 

伊織はクリーチャーの頭を掴み、画面の中に押し戻す。男3人は驚きのあまり、気を失っていた。

変身しているのが気づかれない様、伊織はプリクラ機の中に入り、デバイスを画面に翳す。

 

「セットオン!」

 

デバイスを右二の腕に取り付けられているアタッチメントのセットし、ルナリベリオンへと変身すし、画面の中に入り、サイバープログラムへと移動する。

ゲームセンターの外へ出ると、目の前には分福茶釜に登場するタヌキの様なクリーチャー(ラクーンケトル)が待ち構えていた。

警戒の体制を取りながら、ルナリベリオンはゆっくりと近づいていく。

 

「ハッ――――――!」

 

新月を振り下ろし、ラクーンケトルを斬り付けようとするが・・・・・・・・・・・

 

「コイツ・・・・・相当硬いな」

 

頭を釜の中に隠し、新月の一撃を防いだ。反撃するかの様に。右手に持っていた釜のフタの様な武器でアッパーを喰らわせ、吹き飛ばされる。

 

「チっ、出てくるクリーチャーも少しづつ強くなっている様だな・・・・・・」

 

戦いが進むにつれ、現れるクリーチャーもどこはかとなく、強くなっている。

ラクーンケトルが追い打ちを掛ける様にして右手の武器を振り下ろす。それと同時に、ルナリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出し、新月に取り付けられているデバイスに装填する。

 

<<シールドイン>>

 

左手にブルームーンファルコンの翼を彷彿とさせるシールド(ルナーズイージス)が取り付けられ、防御し、押しのけた。

 

「さっさと終わらせた方がよさそうだな」

 

早く止めを刺そうと、ホルダーからシステムメモリーを取り出そうとした時――――――――――!

 

「んぎゅっ!?」

 

蝶々の羽の様なブーメランが、ラクーンケトルに直撃し、地面に倒れる。

ブーメランが返ってきた先、そこには白にアゲハチョウとカラスアゲハみたいな色をした女性的なプロポーションをしたリベリオンらしき戦士(エンプレスリベリオン)が立っていた。

アゲハチョウの模様をした音符の様な形をしたヘッドギアに、カラスアゲハの模様をしたドレスっぽい肩、蝶々の羽の形をした白いスカート、ハイヒールの様な形をした足が特徴の戦士だ。

 

「いただき!」

 

エンプレスリベリオンは、立ち上がったラクーンケトルに向かって走り、返って来たブーメランを持った左手を振り下ろし、退ける。

 

「新たなリベリオンか・・・・・・・・」

 

その戦いの様子を、見つめるルナリベリオン。相手の戦力をどんなものか、把握したい様だ。

 

「ヤァっ―――――!」

 

右手に持っていた少し長いバタフライナイフの様な武器(スパローエッジ)でラクーンケトルの肩を刺し、回し蹴りをお見舞いする。

 

「さて、おしまいにしますか」

 

左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、左肘に取り付けてあるデバイスに、システムメモリーを装填する。

 

<<フィニッシュイン>>

 

電子音声と共に、巨大なアゲハチョウ型のクリーチャー(バタフライヴァルキュリア)が現れ、ストロー状の口で、ラクーンケトルを巻き付け、地面に引き回し、エンプレスの方へ向かって行く。

 

「ハァ―――――フッ―――――!!」

 

近づいて来たラクーンケトルに、左手のブーメランで振り抜き、ブーメランが突き刺さったままの状態で上空へ投げつけ、バタフライヴァルキュリアが回転しながら、体当たりをし必殺技(ミステリアワルキューレ)が炸裂する――――――――――!!

 

地面に叩きつけられたラクーンケトルは爆散―――――!その残骸を、バタフライヴァルキュリアがストロー状の口で、吸い始める。

 

「・・・・・・・・・」

 

クリーチャーを倒して油断している所を、ルナリベリオンが近づこうとするが・・・・・・・・・・・・

 

「フフっ」

 

ルナリベリオンの方を向いたエンプレスは、にこやかに笑い、手振って、バタフライヴァルキュリアの上に乗って、その場を去った。

 

「アイツ、中々の強さだな。だが大した問題じゃさそうだな」

 

戦いを終えたルナリベリオンもまた、ゲームセンターの方へ戻り、入っていったプリクラ機から現実世界戻った。

現実世界から戻り、中から出ようとした時―――――

 

「やぁ、また会っちゃったね」

 

何と目の前には、さっきあった金髪の少女が立っていた。

 

「お前、何でここに・・・・・・・まさか」

「そっ、そのまさかだよ、私がさっきのエンプレスリベリオンだよ」

 

さっきのエンプレスリベリオンが、この金髪の少女であった。その事に、伊織は少々驚いていた。

 

「私、アリア・クィンテット。よろしく」

 

少女の名は、アリア・クィンテット。金髪に翡翠色の瞳である事から、他国出身だと思われる。

伊織に手を伸ばし、握手を試みるが・・・・・・・・・・・・・・

 

「あっ、ちょっとどこ行くの?」

 

伊織はそれを無視し、ゲームセンターを出ていく。

 

「ねぇ、待ってってば!まだ君の名前聞いてないんだけど!」

 

その後を、アリアは付いていく。

 

「付いて来るな。それとも、俺と戦いたいってワケか?」

「いや、そういうワケじゃないよ、自分の名前なのったんだから、君の名前も教えてよ!」

 

立ち止まった伊織。このまま無視し続けても、彼女は一向に退かないと思い、仕方なく自分の名前を名乗った。

 

「・・・・・・・三日月伊織だ」

「へぇ、いい名前だね。カッコいい」

「もういいだろ、さっさと失せろ」

「ひど~い、もうちょっと愛想よくしてもいいんじゃない?」

 

どんどん進んでいく伊織を引き留めようと、アリアは必死に声を掛ける。

 

「いいか、俺とお前はリベリオン使用者、つまりは敵同士なんだ、分かるな?その気になればお前ぐらいならすぐにでも・・・・・・・・・」

 

最後の言葉を言いかけた時、アリアの顔を見て、青葉カレンの事が脳裏に浮かんだ。今でも彼女の事が胸に突き刺さっている。

そう思うと、伊織は言うのを踏みとどまった。

 

「いや、何でもない。とにかくさっさと離れろ。俺の気が変わらない内にな」

 

そのまま伊織は止まることなく、歩き続けた。アリアは追いかける事なく、彼の後姿をただ見ているだけであった。

何を思ってたのか考えながら、アリアは首を傾げていた。

 

 

 

 

 

 

 

そして同じ頃・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「あ~あ、なんか大変な事になりそうだな~」

 

家に帰らず、港のベンチでジュースを飲みながら、海を見ているハルト。永子に料理を教えて欲しいと言われた事が未だに驚きを隠せていない。

 

「今度の休日に呼ばれたけど・・・・・・俺に教えられるか?」

 

人に教えるのはあまり得意でないハルト。少し不安が過ぎっていた。その時、向かい側の方から誰かが殴られる男が聞こえた。

 

「なっ・・・・・何だ!?」

 

音の聞こえる方に、ハルトは向かった。

向かった場所は、港近くのコンテナターミナル。そこには、数人の不良と喧嘩をしていた黒崎我怨(くろさきがおん)が下を向きながら、手の甲で口を拭いていた。

 

「おぅ、お前は・・・・・・・」

「黒崎、お前―――――!」

 

倒れる不良を前にして、黒崎を見つめるハルト。彼のこれまで行って来た所業に怒りを感じていた。

 

「丁度いい、コイツらじゃ退屈してたんだ。久々にお前とサシでやるのも悪くねぇ・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

「何だ?怖気づいたのか?」

 

立ち止まるハルト。そのまま我怨は、不良の持っていたスマホを取り出し、地面に置き、デバイスを翳した。

拳を握り、ハルトも同時にスマホにデバイスを翳す。

 

「セットオン!」

 

我怨はデバイスをアタッチメントに取り付け、フールリベリオンを変身し、一足先にスマホに入り、サイバープログラムへ向かった。

 

「・・・・・・セットオン!」

 

ハルトはためらいながらも、デバイスをアタッチメントに取り付け、ソルリベリオンに変身。スマホの中に飛び込み、サイバープログラムへと移動する。

 

「さぁ・・・・・・始めようぜ」

 

フールは左手のバイオヘルダイルの顔をを模した手甲(ダイルデンジャー)の口を開き、ホルダーからシステムメモリーを、口の中に収納されているデバイスに装填する。

 

<<ソードイン>>

 

空から降って来た、バイオヘルダイルの尻尾を模した鋸型の(ダイルブレード)を右手に持ち、ソルリベリオンに襲いかかる――――――

 

「ハァ―――――!!」

「ッ―――――」

 

咄嗟にシステムメモリーを右二の腕に取り付けてあるデバイスに装填「シールドイン」の電子音声と共に、両肩にプロミネンスレオの鬣を模した(ライオディフェンダー)が装備され、ダイルブレードの一撃を防いだ。

 

「ヤッ!!」

 

フールの右腕を弾き、左フックを腹部に炸裂させる。そこからさらに頭部にローキックをかました。

 

「うぅっ―――――やるじゃねぇか」

 

口を拭くよう仕草をしながら、フールは立ち上がった。

 

「黒崎!こんな戦いもう終わりだ!俺が戦いを終わらせる、お前の好き勝手もこれまでだ!!」

 

フールに指さし、戦いを終わらせる事を宣言する。これ以上、彼の好き放題を見逃しておけない、誰にも死んでほしくない、この戦いで散っていった使用者の為にも・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「んな事、知った事か。俺は今こうして楽しめりゃぁ、それでいいんだよ!!」

 

ソルリベリオンの方へ走り出し、ダイルデンジャーを振り下ろそうとした時――――――――――

 

「何―――――!?」

 

ソルリベリオンがホルダーから「GAIA」(ガイア)のユニゾンカードを取り出し、フールに見せる様にして突きつけると同時に、周囲からマグマが発生する。

 

「・・・・・・・・・・」

 

<<ユニゾン――――――>>

 

二の腕に取り付けてあるデバイスを手に取り、前に突き出し、ユニゾンカードをデバイスに翳すと、鬣が白と黒となったプロミネンスレオを模したした(ライオネルコア)に変化し、胸部に取り付けられ、後ろから現れたプロミネンスレオと一体化する事で、ソルリベリオンユニゾンモードへと変化した。

 

「ほぅ・・・・・・そういや、お前もその力を手に入れてたなぁ」

 

炎を振り払うと、システムメモリーを取り出し、胸部のライオネルコアの口を開き、中に装填する。

 

<<ソードイン>>

 

電子音声が発生し、両手と、背中に装備されていた大太刀(ライガーデュランダル)が展開し、フールへ接近する。

 

「ハハハ――――そうこなくっちゃなぁ!!」

 

振り下ろされたライガーデュランダルを、ダイルブレードで防ぎ、鍔迫り合いとなる。

 

「俺は・・・・・・・戦いを止める!!」

「ハッ、勝手に言ってろ!!」

 

ダイルブレードを弾き返し、そのままフールを斬り付け、10m後ろへ、吹き飛ばした。

 

「ぐっ・・・・・やるなぁ」

 

システムメモリーを取り出し、ライオネルコアに装填する。

 

<<バスターイン>>

 

電子音声と共に、胸部にエネルギーが蓄積を始める。

 

「フッ」

 

<<バスターイン>>

 

右手にアポロナインフォックスの尻尾を模した、手甲(フォックスレーザー)を装備し、同じようにエネルギーを蓄積させる。

 

「ハァァァァァァァァァァ!!」

 

口の中のエネルギーがオレンジ色になると同時に、強力な一撃(レオパルドブラスター)が発動する―――――!

 

「何―――――!!」

 

エネルギーが溜まっておらず、撃つ事が出来ず、ソルリベリオンの一撃が直撃し、コンテナに激突した。

 

「ハァ・・・ハァ・・・いいねぇ、だいぶ強くなったじゃねぇか」

 

立ち上がったフールは、ダイルデンジャーを展開し、システムメモリーを装填する。

 

<<フュージョンイン>>

 

バイオヘルダイル、スターウェイブ、デスティニーラチェルタ、アポロナインフォックス、バンデッドシーミアが召喚され、合体し、サイコディスカイザーとなり、ソルリベリオンを睨み付ける。

 

「さぁ・・・・もっと楽しもうじゃねぇか!!」

 

雄たけびを挙げ、地面を踏みつけるサイコディスカイザー。高らかに笑うフールと共に、走りだす・・・・・・・・・が―――――!

 

バタン――――――――――――――――!!

 

「ハァ?」

 

突然、サイコディスカイザーが前から倒れた。その衝撃を右手で防ぐフール。

 

「一体何が?」

 

サイコディスカイザーの首元をよく見ると、一本の針が刺さっていた。

針を抜くと同時に、小さな虫の様な物体が、フールを襲う。

 

「んぁっ――――――何なんだ!!」

 

小さな物体を振り払おうとするフール。その背後には、女王バチの身体に、エメラルドゴキブリバチの様な顔、背中には2本の針が垂れ、蜂の巣の様な尻尾が特徴のクリーチャー(ビーメイヴ)が飛んでいた。

 

「お前かぁ・・・・・いい所で邪魔を――――――」

 

フールの背後に、ビーワスプが3体現れ、右手の針を、フールの首元に突き刺した。

 

「うっ・・・・・・なん・・・・・だ?」

 

針を刺されたフールは、膝から崩れ落ちる様に倒れ、気を失った。

 

「何が起こってるんだ・・・・・・・?」

 

今の状況が掴めないソルリベリオン。それを諸ともせず、3体のビーワスプはフールの腕を掴み、落ちていたスマホに投げつけ、現実世界へ戻した。

 

「ちょっ――――――」

 

それを追いかける様に、ソルリベリオンもスマホに飛び込み、現実世界へ戻った。

現実世界へ戻って最初に見たのは、倒れている我怨であった。

 

「アイツ・・・・・・・」

 

倒れている我怨に近づこうとした時、近くでサイレンが鳴り響く音が聞こえ、ハルトは見つからない様に隠れた。

 

「警察?何でここに・・・・・・・・」

 

我怨の周囲に数台のパトカーが止まり、出てきた警察2名が、我怨の腕を掴み、パトカーの中に入れ、走っていった。

 

「なっ・・・・・何なんだ!?」

 

突然の事で、状況が掴めず頭を掻くハルト。その後ろのコンテナで、黒のワンピース レディーズドレスに、サングラスを掛け、日傘を差した女性とすれ違った。腰には、ハチの模様をしたマスコットを着けた女性が、こちらの様子を見ていた。

 

「フフっ、これで少しは楽になりそうね」

 

彼女もまた、リベリオン使用者なのか?果たして、その正体は・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り15人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&クリーチャー】


エンプレスリベリオン

【全長】176㎝

【体重】50キロ

【総合ランク】B-

【常設武器】麗蝶短剣(れいちょうたんけん)スパローエッジ

アリア・クィンテットが変身するリベリオン。
白にアゲハチョウとカラスアゲハみたいな色をした女性的なプロポーションに、アゲハチョウの模様をした音符の様な形をしたヘッドギア、カラスアゲハの模様をしたドレスっぽい肩、蝶々の羽の形をした白いスカート、ハイヒールの様な形をした足が特徴。
防御、補助系に特化しており、長期戦に向いている。

【シールドイン】 グローリアブーメラン ランクC
バタフライヴァルキュリアの羽を模した盾。
羽を分離し、ブーメランとしても使用できる。

【フィニッシュイン】 ミステリアスワルキューレ ランクB+
ストロー状の口で、敵を巻き付け、地面に引き回し、エンプレスに向かい、左手のブーメランで振り抜き、グローリアブーメランを突き刺さし、上空へ投げつけ、バタフライヴァルキュリアが回転しながら、体当たりする。


バタフライヴァルキュリア
エンプレスリベリオンが契約する蝶々型のクリーチャー。ランクB
鱗粉には、回復効果があり、ある程度のダメージなら、即座に回復出来る。




ビーメイヴ
女王バチとエメラルドゴキブリバチを合わせたようなクリーチャー。ランクA
ビーワスプなど、ハチ型のクリーチャーを使役し、操る事が出来る。
背中の垂れた2本の針は、脳を洗脳する猛毒が仕込まれている。



伊織とアリアの出会い、それは彼の運命を大きく変える。
そして、突如と現れたビーメイヴと謎の女性、我怨が警察に捕まったのは彼女の仕業なのか?あらゆる思考が渦巻く中、一体次は何が起こるのか・・・・・・・・?

次回もご期待ください!!

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第31話「下される正義」

「一体、何がどうなってんだ・・・・・・?」

 

クリーチャーの不意打ちを食らい、気を失って警察に確保された黒崎我怨(くろさきがおん)。その状況をハルトはただ見ている事しか出来なかった。

 

「とにかく・・・・・・・・・・ここを離れるか」

 

ハルトは一先ずその場から立ち去る事にした。

 

 

 

 

 

一方その頃・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ハハハ・・・・・最初からこうすりゃよかったんだ」

 

テンパランスリベリオンの使用者、天条仁(てんじょうじん)。借金取りの事務所、右手にはジーン・スモッグの契約カードを手にしていた。

 

「まずは面倒な奴から・・・・・・・・・・・・」

 

ビルの中に黄色い煙が発生し、中から男達の悲鳴が聞こえ始める――――――――――

 

「いい気味だ・・・・・散々酷い目に遭わされたからな」

 

毎日借金取りに追われる日々、幾度となく暴行を受け、両親までもを傷つけた。彼の怒りは計り知れない。

次第に悲鳴は聞こえなくなり、仁はビルの中に入っていく。

 

「全員食べたね。だ~れもいない」

 

ビルの中はもぬけの殻だった。中にいた人間はジーン・スモッグが全員捕食してしまった。

 

「後は・・・・・・・あぁするだけだ」

 

一体、何を考えているのか?そして、その先に何が待っているのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃、アリア・クィンテットは――――――――――

 

「そういえば、あの伊織って・・・・・・・・確か前に会ってたなぁ」

 

偶然出会った三日月伊織(みかづきいおり)を以前に会っていた事を思い出した。

 

「あの時かぁ~あのジャンボパフェ美味しかったな~」

 

双園祭で会った時の事だ。伊織にジャンボパフェが食べられる場所を教えてもらい、食べたジャンボパフェの事も思い出していた。そう考えていると、甘いものが食べたくなった様だ。

 

「なんだか甘いものが食べたくなったな・・・・・・・」

 

アリアが向かった先はオシャレなケーキ屋。並んでいるケーキを見つめ、食べるケーキを選んでいた。

 

「ど~れにしよっかな~」

 

アリアが注目したのはチョコケーキ。ゴクリと唾を飲み、店員に注文する。

 

「すいませーん、これくださーい」

「ありがとうございます、こちらでお食べになりますか?」

「う~ん、じゃぁここで!」

 

アリアはチョコレートケーキを購入し、右側の席で食べる事にした。

 

「ん~~~~~美味しい」

 

チョコの甘さ、柔らかいスポンジの食感、口の中でとろけ、アリアは頬を押さえる。

 

「やっぱ、戦いの後は甘いものだよね~」

 

 

 

 

 

 

 

こうして1日は過ぎていった・・・・・・・・・・・・・・・

それから数日―――――9月7日、時刻は11時。

 

「さて・・・・今週の食費はこれぐらいで大丈夫だな」

 

伊織は銀行で今週分の食費を引き落としていた。財布を鞄に入れ銀行を出ようとした時――――――――――

 

「強盗だ!金を出せ!!」

 

自動ドアが開き、4人の強盗が銃を突きつけ、1人が電球に向かって発砲した。

 

「キャ―――――!」

「ごっ・・・・・強盗だ!!」

 

強盗を前にして、多くの人が脅え、恐怖していた。流石の伊織もうかつに手は出せまいと、ただ見ているだけしか出来なかった。

 

「ちっ・・・・・こんな時に」

 

強盗の1人がカウンターの中に入り、机の裏のボタンを押すと、入り口と窓のシャッターが閉じられ、閉鎖委状態となってしまう。

 

「今の内だ、金庫へ向かうぞ!」

「おぅ、兄貴」

 

強盗の内3人が奥の扉の中に入っていった。店内の客が妙な事をしない様に白い覆面の強盗が銃を2丁構えて見張っている。

 

「大人しくしとけよ、命が惜しければな!」

 

子供が泣き喚き、それをあやす母親。そんな中、隙を突いて黒のパーカーに黒いズボンの男が3人の強盗の入った扉へ向かう姿を発見する伊織。

 

(何だアイツ・・・・・・何故あっちの方へ?)

 

その男は天条仁だった。伊織も気づかれない様にしてその後を追う事にした。

 

「一体何が起ころうとしてんだ?」

 

その頃、強盗3人は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「へへっ、こりゃ大量の金だぜ!!」

 

金庫の中の大量のお金を目にして大喜びしながら鞄の中に金を入れ始める。

 

「兄貴、誰か来てるぜ」

 

緑の覆面の強盗が仁が付いてきてる事に気が付き、赤い覆面の強盗に伝えた。

 

「あぁん、何だコイツ?何しに来やがった」

「いやぁ、アンタ達からさ・・・・・・・毟り取ろうかなって」

 

その言葉と共に、周囲から黄色い煙が発生する。すると強盗達が苦しみ始め、悲鳴を上げた。

扉を閉めている為、人質達の方には悲鳴が聞こえない。

 

「なっ・・・・・・・アイツはまさか!?」

 

その様子を伊織は、端の方で見ていた。黄色い煙を発生させた事から、仁がテンパランスリベリオンの使用者である事を知った。

 

「さぁ~て、邪魔ものがいなくなった所だし・・・・・・」

 

煙が晴れると、強盗達はいなくなっていた。またも仁は人をジーン・スモッグに捕食させた。そして目の前の大量の金を前にして――――――――――

それを知らない白い覆面の強盗は・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「兄貴・・・・・・・遅いな~」

 

帰って来る事のない3人の強盗達を待っていた。何も知らない人質達もただ怯えているしか出来なかった。

 

 

 

 

 

 

「えっ!?あの銀行にアイツが?」

「銀行に行くって言ってたから・・・・・・・多分そうだと思います」

 

強盗が現れた情報は、外を通じてSNSで拡散され、ハルトと葵にも知れ渡っていた。

 

「分かった・・・・・・俺もちょっと様子を見てみるよ!」

 

葵の電話を受け、ハルトは銀行へ向かって走りだした―――――

 

 

 

 

 

 

 

「これで、父さんも母さんも楽させられる・・・・・・・・・」

 

仁は強盗の持っていた鞄にお金を積め始める。苦しい生活から抜け出す為、また家族で幸せに過ごす為に・・・・・・・・・

 

「お前、リベリオン使用者で間違いないな」

「ん?あぁ、見てたんだ。って事はお宅もリベリオン使用者って事だね」

 

仁の行動を見逃してはならまいと、伊織が飛び出してきた。

 

「お前・・・・・何を考えているんだ?」

「何って、決まってるじゃん。この力があれば、気に入らない奴も始末出来る、何だって思いのままさ!戦いに勝たなくたって願いが叶っちゃってるってワケ」

 

仁は戦いで願いを叶えるよりも、リベリオンの力を使って何事も思い通りにさせる様だ。その行動に、伊織は怒りを露にしていた。

 

「お前みたいな奴は野放しには出来ないな、それに関係ない人を巻き込んで何になる!!」

 

伊織が一番許せない事、それはリベリオン使用者同士の戦いに他の人間を巻き込む事。

平気で多くの人の命を奪い、リベリオンの力を犯罪に悪用する仁を許せなかった。

 

「まぁ戦いに勝って俺のやった事をなかった事にするってのも悪くないね」

 

戦いに勝てばどんな願いも叶う。それはすなわち、自分がどんな罪を犯しても、それを許せる秩序を生みだす事も可能。

仁はアルカナデバイスを取り出し、伊織に見せつける。

 

「いいだろう・・・・・・・少なくともお前は絶対に倒さなけらばならなそうだからな」

 

伊織もアルカナデバイスを取り出した。

そしてお互い、金庫の近くのコンピューターにデバイスを突き出すと同時に、伊織は右二の腕に、仁は左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン―――――!」

 

2人は同時にアタッチメントにデバイスを取り付け、伊織はルナリベリオンを、仁はテンパランスリベリオンに変身し、コンピューターの中に入ってサイバープログラムへと移動する。

 

「さて・・・そろそろ始めますか」

 

テンパランスは武器(アーチャースライサー)を構え、ルナリベリオンにゆっくり近づいていく。

 

「・・・・・・・・・・」

 

ルナリベリオンも新月を構え、近づいてくるテンパランスを警戒する。

 

「ハァ―――――っ!」

 

一気に走り出し、ルナリベリオンに向かってアーチャースライサーを振り下ろす―――――

 

「っ・・・・・・・!?」

 

咄嗟に新月で受け止め、押し返そうとするが、相手の力に押し負け掛けている。

 

「コイツ・・・・・・更に力を増している!?」

 

多くの人間をジーン・スモッグに捕食させ、テンパランスの力も急激に上がっている。

だが、かつてのデッドリベリオンの様に暴走する傾向は見られない。戦いの中で力を使いこなしているのだろう。

 

「どうしたの?そんなんじゃ押し返しちゃうぜ!!」

 

新月を弾き返し、ルナリベリオンの肩を掴み、アーチャースライサーで胸部を切り裂く。

 

「がぁっ!!」

 

胸を押さえるルナリベリオンに追い打ちを掛ける様にして腹部を蹴り上げた。

 

「まだまだ!!」

 

テンパランスはホルダーからシステムメモリーを取り出し、アーチャースライサーの横に取り付けてあるデバイスに装填する。

 

<<バスターイン>>

 

アーチャースライサーの先端部分からノイズが発生し、ロングパーツ(アルテミスダースン)が装備される。

 

「なっ―――――!?」

 

ルナリベリオンの腹部にアーチャースライサーが突き付けられ、弓を引き一気にエネルギー状の矢が放たれる―――――!

 

「っ――――――――――!?」

 

矢を放たれたルナリベリオンは、吹き飛ばされ、金庫を破り外の方まで叩きつけられた。

 

「クソっ・・・・・こんな所で―――――!」

 

立ち上がったルナリベリオンはホルダーからユニゾンカードを取り出し、新月からデバイスを取り外した。

 

「なっ、アレは――――――」

 

ルナリベリオンの方に向かって来たテンパランス。ユニゾンカードを取り出したと共に発生した風と雷を右手で覆い防ぎながら少し後ろに下がる。

 

<<ユニゾン>>

 

デバイスにユニゾンカードを翳し、飛んできたブルームーンファルコンと融合し、ルナリベリオンユニゾンモードへと変化した。

 

「ウオオオ―――――!!」

 

アロンダイトを抜き、テンパランスの方に走り一気に斬り掛かり、そこへすかさずビーヴェスを当て、壁の方に押し付けた。

 

「うぁっ!やっぱそのユニゾンってのは厄介だね・・・・・・・・・」

 

ルナリベリオンの腕を掴み反撃を試みようとするテンパランス。その隙を与えない様にしてルナリベリオンはシステムメモリーを取り出し、ビーヴェスで装填した。

 

<<ライトニングイン>>

 

周囲に電撃を発生させ、テンパランスの全身に雷が直撃する――――――――――!!

 

「ぐっ・・・・・・コレは痛いねぇ」

 

倒れ込んだテンパランスに容赦なくアロンダイトを突き刺そうとするルナリベリオン。

 

「フフっ――――――」

 

倒れている最中突如と不敵に笑いながら、テンパランスはシステムメモリーをアーチャースライサーに装填した。

 

「トラッシュイン―――――」

「何―――――!?」

 

ルナリベリオンの全身からノイズが発生し、突如とユニゾンモードが解除される。

 

「ハハッ、ユニゾンさえなければ―――――」

 

立ち上がり、ユニゾンモードが解除されたルナリベリオンに向かってアーチャースライサーを下から振り下ろす。

 

「チっ、調子に乗るな!!」

 

アーチャースライサーを弾き返し、新月の鞘で鳩尾を突いた。

 

「クソ・・・・・やっぱそう簡単にはいかないよね!!」

 

反撃する様にしてシステムメモリーをアーチャースライサーに装填するテンパランス。

 

<<ソードイン>>

 

聖杯の持ち手を模した、カランビット型の武器(グラムブレード)を召喚し、左手に取って一気にルナリベリオンの左肩に突き刺した。

 

「俺は勝たなきゃならないんだよぉ!!その為にお前を――――――」

 

家族でまた幸せに暮らす為に自らの手を汚し戦うテンパランス。その願いは果たして・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「ハァ・・・・・ハァ・・・・・ここだな」

 

その頃ハルトは強盗が現れた銀行へとやって来た。周りにはパトカーで囲まれており、野次馬も大量に様子を見ていた。

 

「これじゃぁ中に入れそうにねぇな・・・・」

 

当然、真正面から銀行に入る事は出来ない。警察の目を掻い潜って裏口から侵入しようと試みる。

 

「おっ、ここからなら入れそうだな!」

 

ダクトを発見し、そこから侵入できるなと思い、よじ登ろうとするが・・・・・・・・・・・・・・・

 

「コレって・・・・・・アイツが戦ってるのか!?」

 

アルカナデバイスを取り出し、裏の画面を確認する。そこにはルナリベリオンとテンパランスが戦っている姿が見える。

 

「となると・・・・・・・」

 

近くのブレーカーを発見し、ハルトはアルカナデバイスを翳した。

 

「セットオン!」

 

デバイスをアタッチメントに取り付け、ソルリベリオンに変身しサイバープログラムへと移動した。

 

「・・・・・・・・・・・・・」

 

その様子を見ていた紺色のパーカーにクリーム色のズボン姿の少年が1人、志向正義(しこうまさき)だ。その手にはアルカナデバイスが・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「あっ、アレだな」

 

ソルリベリオンは戦いを続けているルナリベリオンとテンパランスを発見した。

 

「アイツ・・・・・・・」

「おっと、乱入者か」

 

ルナリベリオンもソルリベリオンの姿を発見した。

 

「お前、どうしてここに?」

「葵ちゃんから連絡受けてな、様子を見に来たんだが・・・・・・・・・・・・」

 

葵に心配されたのなら仕方あるまいと思いながら、ルナリベリオンはソルリベリオンに一連の事情を話した。

 

「なっ、アイツが!?」

「あぁ、実際起こしたのはアイツじゃないがな」

「誰が雇用が一緒だよ、勝つのはこの俺なんだよ――――――――――!!」

 

話している隙を突き、ソルリベリオンとルナリベリオンにアーチャースライサーを振るうテンパランス。

咄嗟に避けた所、ソルリベリオンはバランスを崩してしまい、そこにテンパランスが腹部に蹴りを入れ、吹き飛ばし壁に激突させた。

 

「っ―――お前・・・・・・・・」

「アンタは一番面倒くさそうだから、まずはお前から・・・・・・・・・・・・」

 

ソルリベリオンの方に近づき、システムメモリーを取り出しデバイス装填しようとしたその時――――――――――!!

 

「うわっ――――――――――!?」

「なっ・・・・・なんだ?」

 

突如として現れたカブトムシ型のクリーチャー(ジャスティンビートル)に突進され、テンパランスは柱の方に激突してしまう。

 

「ってて・・・・・・・何だいい所で・・・・・」

 

立ち上がったテンパランス。その目の前には茶色いボディに黒のラインが入っており、カブトムシの角を彷彿をさせる頭部、ヒメカブトの角の形をした肩アーマー、ヒーローチックなスマートな脚にカブトムシの羽っぽい腰のスカートが特徴的な戦士、ジャスティスリベリオンが立っていた。

 

「あぁん、また新たなリベリオン登場ってワケ?まっ、倒せばいいんだし関係ないか」

 

グラムブレードを握り締め、ジャスティスに向かって振り下ろし、突き刺そうとするが―――――

 

<<バスターイン>>

 

電子音声と共に、ジャスティンビートルの頭部を模した武器(ジャスティセイヴァー)が召喚され、ジャスティスの左腕へ装備され、立ち上がったテンパランスの腹部に突き刺し貫いた。

 

「がっ・・・・・・・!?」

 

テンパランスが突き刺さったままジャスティスは道路側の方へ歩き出し、一気に振り払う様にしてテンパランスを投げ飛ばした。

 

「君のやった事は知っているよ。君は悪い人だ、だから僕の正義で裁いてあげる」

 

ジャスティスは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、右腕のカブトムシの角を模したガントレット型の正義角(せいぎかく)ブレイブホーンに取り付けてあるデバイスにシステムメモリーを装填した。

 

<<フィニッシュイン―――>>

 

朦朧としているテンパランスに向かってジャスティンビートルが突進し、角を使って回転しながら上空へ突き上げる。

同時にジャスティスも上空へ飛び上がっていく。

 

「ヤァ―――――っ!!」

 

ジャスティンビートルがテンパランスを振り上げたと同時に、落下していく所をジャスティセイヴァーで押し込むようにして回転しながら地面にねじ込み必殺技(ビクトリークライシス)が発動される―――――!

 

「あああああああああああ!!」

 

ねじ込まれた地面から爆発が発生し、ソルリベリオンとルナリベリオンはその衝撃を防ぐ様にして右手で覆った。

 

「あっ・・・・・まだ・・・だ!」

 

大きなダメージを負い、変身が強制的に解除された仁。地面に這いつくばりながらジャスティスの方へ向かう。

 

「俺は・・・・俺を・・・・家族をコケにしてきた奴らを見返してやるんだ!!」

 

その体は徐々にノイズが発生し徐々に消えていく。その横に転げてあったアルカナデバイスには完全に破壊されていた。

 

「ふざけるなよ・・・・・・こんな所で――――――――――――!」

 

その言葉を最後に仁は塵の様に消滅した・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・これでまた正義が果たされたよ」

 

そう言い残したジャスティスはブレーカーを介して現実世界へ戻っていった。

 

「おっ・・・・オイ!」

 

その後を追いかける様に、ソルリベリオンとルナリベリオンも現実世界へ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まだこの辺りに・・・・・・・・・」

 

同じ場所から現実世界に戻ったという事はジャスティスの使用者もまたこの近くにいると思い、ハルトと伊織は周りを見渡していると、見覚えのある少年を目撃する。

 

「あっ、アイツは・・・・・・・」

「そうか、ジャスティス、お前の名前にピッタリなリベリオンって訳か」

「と言う事は・・・・・・・・君達もリベリオン使用者なんだね」

 

その少年は正義だった。正義=ジャスティス、まさに彼に相応しいリベリオンとも言える。

 

「お前!一体何であんな事を・・・・・・・?」

 

ハルトはどうしてテンパランス=仁を殺したのかを動揺しながらも尋ねた。

 

「だって・・・・・あの人は自分が気に入らないからって多くの人を殺してきたんだよ、だから僕が正義の名の元に裁きを下しただけだよ」

「正義って・・・・・・・お前―――――!」

 

ハルトは正義の方に向かって走り出そうとするが、一旦留まった。

 

「・・・・・・・・・・」

「仕方ないさ、悪いのは彼なんだから」

 

正義はその場を去った。彼を追いかけていく事よりも、伊織とハルトは銀行の方の様子を見に行った。

 

「どうやら・・・・・・・終わったみたいだな」

 

目の前の光景、白い覆面の男1人が警察に連行される姿だった。

大方、3人の強盗が突然いなくなった事でパニックになりそこを人質達が取り押さえたのだろう。

 

「よかった・・・・・って言うべきなのか?」

「さぁな、ただ他の人達が巻き込まれなかったのは幸いだと言う他ないな」

 

自体が収まった事で、伊織はその場を後にする。

走り去っていくパトカーを見つめるハルト。確かに事件は大きな被害が出ずに収まった。犠牲者は強盗3人、だからと言って彼らが犠牲になっていい理由にはならない。これが正しい選択だったのかを、ハルトは考えていた。

 

 

正義って・・・・・・・何だよ?俺にはよく分からねぇ、それが正しいやり方だったのか。

正しければそれでいいのかって。もっとやりようがあったんじゃ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン紹介】


ジャスティスリベリオン

【全長】190㎝

【体重】89キロ

【総合ランク】B+

【常設武器】正義角ブレイブホーン(せいぎかくブレイブホーン)

志向正義が使用するリベリオン。
茶色いボディに黒のラインが入っており、カブトムシの角を彷彿をさせる頭部、ヒメカブトの角の形をした肩アーマー、ヒーローチックなスマートな脚にカブトムシの羽っぽい腰のスカートが特徴的。
攻守共に優れており、スピードにも長けている。


システムメモリー

【バスターイン】ジャスティセイヴァー ランクB
ジャスティンビートルの頭部を模した武器。リーチが長く相手を挟み込める。

【フィニッシュイン】ビクトリークライシス ランクA
相手に向かってジャスティンビートルが突進し、角を使って回転しながら上空へ突き上げる。同時にジャスティスも上空へ飛び上がりジャスティンビートルが相手を振り上げたと同時に、落下していく所をジャスティセイヴァーで押し込むようにして回転しながら地面にねじ込む。



テンパランスリベリオン

【トラッシュイン】ブレイクスルー ランク無し
発動されているシステムメモリーの効果を無効にする。
使用するリベリオンの力が強ければ更に能力が増し、ユニゾンモードも解除できる。




ジャスティスリベリオンの前にテンパランスリベリオンが敗北。
相手が悪とは言え、何をしてもいいのか?他に方法があったのではないか?
その正解は誰にも答えられない・・・・・・・・・・・・・・

次回も更なる猛威が迫る――――――!!

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第32話「孤独な少女」

テンパランスリベリオンが脱落してから3日が経過した。

天気はあまり良くなく、太陽を遮断する雲、いつ雨が降ってもおかしくはない。

学校が終わり、伊織が家に帰る途中、見た事のある少女とすれ違う。

 

「おっと、また会ったね」

「またお前か・・・・・・・・・」

 

アリア・クィンテットだった。紺色の無地のシャツにジーパンとラフなスタイルだ。

 

「ねぇねぇ、せっかく会ったんだしさ、ちょっとお話でもしようよ」

「ふざけるな、忘れたか?俺達は敵同士戦い合う中なんだぞ」

 

突っかかってくるアリアから逃げようとやや早歩きになる伊織、それでもなおアリアは付いて来る。

 

「そんな事言わないでさ~いいじゃん、減るもんじゃないんだから」

「だから・・・・・付いてくるなって言ってるだろ」

 

道中でるからか、伊織も怒鳴る訳にはいかないと怒りを抑えている。

そんな中、父、母と手を繋いで歩いている女の子とすれ違った。

 

「今日は何食べたい?」

「え~っと、ハンバーグ!」

「よし、じゃぁ今日はハンバーグにしようか、ママ」

「えぇ、じゃぁ買い物にいかないとね」

 

楽し気な会話が聞こえる中、それを見ていたアリアは少し寂し気な表情をしていた。

 

「いいなぁ・・・・」

 

小さな声で呟いた。伊織の顔を見た途端、すぐに笑顔になりながら、彼に声を掛ける。

 

「お願いだよ~少しでいいからさ」

「あのなぁ・・・・・・お前いい加減―――――」

 

するとそこへ、学校が終わり家に帰ろうとする葵と遭遇した。

 

「あっ、義理兄さんも帰りだったんだ」

「葵、まぁな」

「んっ!何々、妹さん?可愛いね~」

「えっと・・・・・この人は?」

「あぁ、実はだな・・・・・・・・・」

 

伊織は葵にアリアの事を少し話した。リベリオン使用者である事は隠して・・・・・・・・・

 

「へぇ~だったら家で少しお茶してもいいんじゃないかな?義理兄さんに興味を持つもの好きなんてそうそういないし」

 

さりげない一言が伊織の胸をかすった。流石の彼も額に手を当てる。

 

「えっ、いいの?それじゃぁ・・・・・・・・」

「おい、葵・・・・・・・」

「義理兄さん、女の人には優しくしないとダメだよ」

 

 

 

歩いて20分、伊織の住むマンションに到着し、家の扉を開けリビングへ向かった。

 

「おっじゃましま~す」

 

靴を丁寧に並べ、早速リビングの床に座り込んだ。

 

「じゃぁ私、紅茶入れてくるね」

 

葵はキッチンの方へ向かった。

 

「いやぁ~いいね、ベランダからも良く景色が見えるのなんの」

「なぁ・・・・何が目的なんだ?」

 

ここまで自分に突っかかってくるアリアに、伊織は不信感を抱いていた。

 

「そんな変な思惑なんてないよ、ただ少し話てみたいなって思っただけだよ」

「ハァ・・・・・どうだか」

 

葵と親しかった正義がリベリオン使用者で、しかも危ない考えを持つ男だった事もあり、新たなリベリオン使用者には更なる警戒心を持っていた。

アリアはそんな事は思っていないのだが・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「お前もどうせ、下らない事でも考えてるんだろうな。他の奴らがそうな様に」

 

伊織の言葉が刺さったかのように、アリアはゆっくりと立ち上がった。

 

「そっか・・・・・・そうだよね、ゴメン。ちょっと浮かれてたかも」

 

そう言いながらアリアは、ゆっくりな歩幅で玄関の方へ歩いていった。

 

「本当、何やってんだろ・・・・・・・・・・・・」

 

悲し気な顔をしながらアリアは、玄関を開けて、マンションを飛び出した。それを表すかの様にして雨が降り出した。

それを見ていた葵はアリアが悲しい表情をしているのを確認できた。

そして伊織の方に向かい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「義理兄さん・・・・・・・・」

 

今にも怒りそうな顔をしていた。伊織は「知るか」と言わんばかりに窓の方を見ていた。

 

パン――――――!

 

そんな彼の頬を、葵は引っ叩いた。

 

「おまっ―――――!?」

「義理兄さんのバカ!何を言ったか分からないけど、女の人にあんな顔させるなんて!!」

 

葵はカンカンに怒っていた。伊織が女の人を傷つけてしまった事に。それも出会って数日しか会っていない人を。

 

「追いかけて、そして誤ってきて!!」

「ハァ・・・・・分かったよ」

 

仕方ないと言わんばかりに伊織は玄関に向かった。

 

「傘!!」

 

外は雨が降っているので、傘を持っていく様に指示した。

 

「葵の奴、何であんなに・・・・・・・」

 

何で叩かれたのかが伊織には理解できなかった。葵に言われるままに外へ出てアリアを探しに行く。

すぐに飛び出したため、もう遠くにいると思われたが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ひっく・・・・っ・・・・うぅ・・・・・」

 

雨に打たれる中、近くのベンチに座っていたアリア。雨に濡れながら、顔を下に向け、ひどく悲しくて声を立てて泣いていた。

さっきまで笑顔全開でいた彼女があそこまで酷く泣いているのを見た伊織は、自分の何気ない言葉が彼女を傷つけてしまった事を感じていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

涙を流し落ち込んでいる所に、伊織が近づき傘を差した。

 

「あっ・・・・・」

「その・・・・・・悪かったな」

 

顔を横に向けながらも伊織はアリアに誤った。彼の方を振り向き涙を拭う。

 

「アハハ・・・・参ったなぁ」

 

雨に濡れた彼女の姿を見た伊織は、もう一度アリアをマンションに入れる事にした。

濡れた体を温める為、アリアにシャワーを浴びるよう、伊織は言った。

 

「何か悪いなぁ、こんなの」

「風邪を引かれたら困るからな」

 

その後ろでは、葵が壁の間から覗いていた。

 

 

「じゃぁ、お言葉に甘えて」

 

アリアがシャワー浴びている中、扉の前で伊織が立っていた。その姿を見たアリアが口を開いた。

 

「私さ、自分の事ほとんど知らないんだよね。何処で産まれたか、親は誰なのか、自分の本当の名前さえも。気が付いたら施設で育ってたっていうかさ」

「・・・・・・・・・・」

 

アリアが言うには、物心ついた頃には既に養護施設育てられたと言う。自分が何処で拾われて来たのか、出身地も分からない。

名前も施設の人に名付けられた。

彼女は家族というものを知らない、そう、本当の家族を。だからさっき手を繋いだ家族を見て羨ましがっていた。

アリアが求めるモノ、それは家族の温もり、本当の自分。

 

「なんて、アンタからすれば下らないのかもね・・・・・・・」

 

腕を組んで、壁にもたれ掛かって伊織に話す。それを聞いた伊織は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「いや、少なくとも今まで会った奴らよりは、余程立派なもんだ。下らないとか言って悪かったな」

 

伊織も、アリアの気持ちを理解した。自分も両親を亡くしているから。だが彼女は孤独と言っても過言ではない。

施設でも親しい人がおらず、家族とは受け止められない様だ。

 

「フフッ・・・・・案外優しいんだね」

 

風呂のドアを開け、隙間から顔を出し、伊織の方を向いた。

 

「ばっ・・・・バカ言うな。俺はただ申し訳なかった、それだけだ!」

 

アリアとは反対の方を向き、顔を隠しながら言い返した。それを見たアリアはニッコリと笑っていた。

 

「ありがと、でもそろそろ出たいから離れてくれない?」

 

着替えたいから伊織には離れて欲しいと言った。額を押さえながら伊織は風呂場を出た。

 

「義理兄さん、ちゃんと誤った?」

「あぁ、コレでいいんだろう?」

 

仕方ない、とは言い切れない。彼女を傷つけてしまった事に変わりはないのだから。

だが、アリアが家族が欲しいのと同じように、伊織もまた妹の病気を治したい。その思いに変わりはない。

 

「悪いね、着替えまで借りてさ」

 

服が濡れてしまった為、伊織の服を借りる事となった。白のYシャツに灰色のズボン、あまり人に貸すには相応しいとは言い難い。

 

「ゴメンなさい、こんなものしか用意できなくて」

「いいって、私が悪いんだから」

 

葵の服だとサイズが合わない、伊織は自分が着るもの程度しかない。

気まずいあまりに伊織は壁に頭をぶつける。

 

 

「ハァ・・・・・・・」

「流石に今日には乾かないし・・・・・・・そうだ、今日泊まっていきませんか?」

「えっ、いいの?何か悪いね~」

 

今から洗濯したばかりの為、今日中には乾かないと思った葵は、思い切ってアリアを家に泊める事にした。

 

「あっ・・・・葵、イキなり何を・・・・・」

「いいじゃん、兄が迷惑掛けたお詫びも兼ねてって事で」

「じゃぁ、お言葉に甘えて」

 

アリアは真っ先にソファに座り、くつろぎ始める。

 

「ハァ・・・・・・・何でこんな事に・・・・・」

 

色々な事があり過ぎて、伊織はお腹を押さえだしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃―――――――――――――――――――――――――

 

「フゥ、これで全滅かな」

「だね、さて帰るとしますか」

 

ソルリベリオンとチャリオットリベリオンがクリーチャーの大群との戦いを終え、一息付いていた。

 

「しかし、ここ最近になってクリーチャーの力も増しているねぇ」

「あぁ・・・・一体どうなってんだ?」

 

戦いが進むたびに、クリーチャーの強さも増している。一体何を意味しているのか・・・・・・・・・・

 

「まぁ考えても仕方ないし、帰るとしますか」

「だな」

 

今考えてもしょうがないと思い、一旦現実世界に帰ろうとしたその時――――――――――

 

「なっ・・・・・何だ!?」

 

突然、ペンギンの腕の様な剣がソルリベリオンとチャリオットの方に迫って来た。

 

「これは・・・・・クリーチャーの仕業ってワケじゃなさそうだね」

 

剣はブーメランのように戻り、その先に立っていたのは・・・・・・・・・・・

 

「これはまた、新しいリベリオンのお出ましですか」

 

そこにいたのは、紺色と水色の鎧に、皇帝ペンギンの頭部を彷彿とさせるヘッドギア、両肩にマントの様な布が取り付けられ、腹部にはペンギンを思わせる模様、首元にはネックレスの様な緑色に輝く装飾、ペンギンの足の形をした膝アーマー、太ももには紺色のアーマー、ジェットスキーを思わせる足が特徴的なリベリオン(エンペラーリベリオン)が戻って来た(フロストカリバー)を手に取った。

 

「マジかよ・・・・・・こんな時に」

「連戦の所悪いけど、相手をしてもらえるかな?」

 

エンペラーの最初の標的はソルリベリオン。フロストカリバーを上から振り下ろした。

 

「うぉっ!?イキなりかよ――――――!」

 

振り下ろされた二本のフロストカリバーを、ソルリベリオンは両手で防いだ。

 

「なるほど、ならこれならどうかな?」

 

フロストカリバーを一本投げ、空いた左手で右腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、腹部に収納されているデバイスを展開し、システムメモリーを装填した。

 

<<フロストイン>>

 

その電子音声と共に、ソルリベリオンの足元の周囲に氷が発生し、徐々に両足を凍らせ、動きを封じた。

 

「なっ・・・・・何だコレ!?」

「フフっ、貰った――――――!」

 

右手に持つフロストカリバーを思いっきり振り下ろそうとしたその時――――――――――

 

「悪いね、相手は彼だけじゃないんだよ」

 

チャリオットがギミックガンソードでソルリベリオンの氷を撃ち砕き、氷の破壊された右足でソルリベリオンがエンペラーの腹部を蹴り飛ばした。

 

「っ、確かに。分が悪い・・・・・・かな?」

 

そう言いながらも、エンペラーはシステムメモリーをデバイスに装填した。

 

<<フロートイン>>

 

両足がスケートボートの様な形に変形し、張り巡らされた氷を滑り出し、ソルリベリオンとチャリオットをフロストカリバーで斬り付けていく。

 

「コイツ・・・・・・すばしっこい!!」

「全く、何でこう面倒くさい能力を持つのかね!!」

 

氷の上を素早く動くエンペラーに、2人は付いていけずにいた。

 

「ねぇ、確か炎を扱う事出来なかった?」

「そういや、なるほど!」

 

チャリオットの提案を受けたソルリベリオンがシステムメモリーを右二の腕に取り付けてあるデバイスに装填した。

 

<<フレイムイン>>

 

ソルリベリオンの周りに発生した炎は周囲の氷を溶かした。

 

「ほぉ・・・・・やるね」

 

氷が溶け地面に転がるかと思いきや、スライディングして着地したエンペラー。氷はまだ発生しており、ギミックガンソードの銃口を凍らせ、銃撃を封じた。

 

「こういう凍らせ方もあるんだよねぇ」

「面倒な真似を・・・・・・・」

 

エンペラーはフロストカリバーを投げ、1枚のペンギンが描かれ、「THE EMPEROR」(エンペラー)の文字が刻まれたカードを手に取り、デバイスに翳した。

 

「コレがアイツの契約クリーチャーか」

 

地面を滑る様にして、ペンギン型のクリーチャー(ペングリンレクス)が現れた。スノーボードの様な両足に、鋭利な刃物の様に鋭い腕、ドリルの様に回転するクチバシ、イワトビペンギンの様な頭が特徴的だ。

口から冷気を吐き、ソルリベリオン達を凍らせようとする。

 

「うわっ、寒っ!?」

「このままじゃ・・・・・・・・・」

 

凍ってしまってはマズいとチャリオットは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、ギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填した。

 

<<シールドイン>>

 

ローラーシールドが召喚され、冷気を防いだ。

 

「ハァっ!!」

 

近づいてきたエンペラーが、ソルリベリオンの腹部にフックをお見舞いした。

 

「グぁっ――――――!」

 

服飛ばされたソルリベリオンの方に、チャリオットが走って来た。

 

「随分な強さだね、アイツ」

「じゃぁ、どうするっての?」

「決まってるでしょ、逃げるんだよ」

 

チャリオットが契約のカードをデバイスに翳し、シルバアーマホースを召喚し、ソルリベリオンと共に背に乗った。

 

「逃がさないよ!」

 

その後をエンペラーが追いかけようとするが、チャリオットが投げたローラーシールドが直撃し、倒れ込む。

 

「さぁ、今の内に――――――」

 

その隙にシルバアーマホースを走らせ、その場から退いた。

 

「ハァ・・・・・逃げ足の速い事で」

 

追いかけようとする素振りを見せる事無く、エンペラーもまた、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・何だってんだ・・・・」

 

とある会社近くの通り道、現実世界に戻ってきたハルトと国枝半蔵(くにえだはんぞう)。エンペラーと戦いで息を切らしていた。

 

「まだ14人だっけ・・・・・・?それにまだ知らないリベリオンもいるとなると、先が思いやられるね」

 

残るリベリオン使用者は14人、ハルト達が知るリベリオン以外にもまだ存在する。それを考えた半蔵は壁にもたれ掛かり頭を押さえる。

 

「ん?」

 

すると地面に何かが落ちていたのを発見する。

 

「コレは確か・・・・・(すめらぎ)グループの・・・・・・」

 

落ちている物を、半蔵が手に取った。それは皇の文字の形をしたバッジであった。コレは皇カンパニーの人間が必ず着用するバッジだ。

 

「何でこんな物が・・・・・・・・」

 

そんな物が何故この場所に落ちているのか?後ろの会社をよく見ると・・・・・・・・・・・・・・

 

「ここは・・・・・・・・」

 

そこは皇グループ本社であった。この場にエンペラーが現れたのは偶然なのか?あるいは・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「これは探ってみる必要がありそうだね・・・・・・・・・」

 

バッジを握り締めながら皇グループ本社を見つめる半蔵。果たして吉と出るか、凶と出るか・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

一方・・・・・・・・・・・・・

 

「うん、この調子なら完成はあちら次第か」

 

社長室、タブレットで各リベリオンのデータを確認する皇圭(すめらぎけい)。そのデータをある所に送信し、椅子に座りネクタイを整えた。

 

「でも、まだ足りないかな。そうだ」

 

圭は1枚の手紙を机の引き出しから取り出した。一体何の手紙か・・・・・・・・・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&クリーチャー紹介】




エンペラーリベリオン

【全長】200㎝

【体重】98キロ

【総合ランク】A

皇圭が使用するリベリオン。
紺色と水色の鎧に、皇帝ペンギンの頭部を彷彿とさせるヘッドギア、両肩にマントの様な布が取り付けられ、腹部にはペンギンを思わせる模様、首元にはネックレスの様な緑色に輝く装飾、ペンギンの足の形をした膝アーマー、太ももには紺色のアーマー、ジェットスキーを思わせる足が特徴的。
常設武器は存在せず、腹部にデバイスを収納している。
氷の上と水中では脅威的なスピードを誇る。

【ソードイン】フロストカリバー ランクB
ペングリンレクスの腕を模した剣。熱量の攻撃を防ぐことも可能。

【フロストイン】フリーズウェーブ ランク無し
氷、冷気を操る能力。氷の壁を作る事も可能。



ペングリンレクス
ペンギン型のクリーチャー。ランクA-
腹部を使い氷を滑り、相手に突撃する事を得意とする。
水中でのは手足を展開して移動をする。背中に契約したリベリオンを乗せる事も出来る。


冷気を自在に操るエンペラー。寒くて堪らないですね。
伊織とアリアの関係はいかに・・・・・・・・・・・・・・・
次回、皇グループ本社に潜入?お楽しみ!

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第33話「皇帝からの招待状」

皇グループへ潜入?一体何が起ころうと言うのか・・・・・・・・・・・・


「ん・・・・・・・・朝か」

 

9月11日、時刻は朝8時。目覚ましの音に起こされた三日月伊織(みかづきいおり)

目覚まし時計を押そうと手を伸ばした時、何か細いけど柔らかい棒の様なものに手が触れた。

 

「あん・・・・・・・何だこれ?」

 

触れたものをよく見ると・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

なんと、アリア・クィンテットが隣で凄く気持ちよさそうに眠っていた。触れていたのは彼女の二の腕だった。

 

「ハッ?」

 

何故彼女が隣に寝ているのか?伊織は何が何やらと急に起き上がってしまった。

 

「確かコイツは向こうのベッドで寝てたハズじゃ・・・・・・・・・」

 

昨夜、伊織はアリアを空き部屋のベッドを使う様に言っていた。なのにそれが何故自分の隣にいるのか?

疑問ばかりで仕方なかった。

 

「うぅん・・・・・・・・あっ、おはよ」

 

伊織の声に、アリアはゆっくりと目を擦りながら起き上がる。彼の目線からはボタンが外れ、Bカップくらいと思われるバストが服の隙間から見えていた。

よく考えてみれば、昨日雨に濡れて下着も洗濯していた。つまりは今彼女は下着を着けていない状態。あられもない部分がギリギリのラインで見えかけている。

 

「おい・・・・お前、何でここに・・・・・」

「あ~ちょっとトイレに起こされてね、寝ぼけてたからつい、ね」

 

目覚ましの音が鳴り響く中、うるさいあまりに葵が伊織の部屋に訪れる。

 

「ちょっと、義理兄さん。何時まで目覚まし鳴らして・・・・・・・・」

 

葵が扉を開けた瞬間、伊織とアリアが同じベッドにいる所を目撃してしまった。

 

「葵、待て!コレは誤解だ。何もないからな」

 

何か勘違いされたと思い、伊織は葵に弁解する。だが彼女の顔は青ざめており・・・・・・・・・・

 

「ゴメンなさい」

 

そのまま葵は部屋の扉を閉めた。誤解されたままの伊織は額を手で押さえる。

そんな彼の顔を見ながら、アリアはからかう様に笑った。

 

「ウフフ、誤解されちゃったね♪」

「お前なぁ・・・・・・・・」

 

伊織は呆れる様にして目覚まし時計を押し、ベッドから降りた。

 

 

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

 

朝食中、小倉あんの塗ったパンを食べている中、伊織は葵の顔を見た。

 

「ハァ・・・・・・・」

 

未だ誤解が解けないまま、気まずい状況。そんな時、いてもいられなくなった伊織は葵に声を掛ける。

 

「あのな、さっきのは・・・・・・・・」

「分かってる、さっきはちょっと驚いただけ」

 

葵は誤解である事に気づいていた様だ。

最初に目にした時、あまりの光景に同様していたらしい。

 

「何だよ・・・・・驚かせやがって」

 

安心したのか、伊織はミルクティーをゆっくりと飲む。

 

「それでね義理兄さん、アリアさん、施設を抜けて来たらしいの。だから・・・・しばらく家に泊めてあげてほしいの」

 

どうやらアリアは、暮らしている施設を抜け出してきた、所謂家出をしたと言いう事になるだろう。

行く当てのない彼女を、葵はしばらく家に泊めたいと言って来た。

 

「おいおい・・・・・そんなイキなり・・・・・・」

 

急な事に、流石の伊織も「ハイ、分かりました」とは言えない。

だが、アリアが少し寂しそうな顔をしているのを見ていると・・・・・・・・・・

 

「っく・・・・・好きにしてくれ」

 

1人孤独の彼女を放っておけないのか、やむなく了承した。

それを聞いたアリアは、嬉しそうにちょっとだけ笑っていた。

 

「アリアさん、これからよろしくね!」

「ありがとう、こちらこそよろしく」

 

ヤレヤレと言わんばかりに、伊織は頬杖を突きながら2人を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ頃―――――――――――――――――――――――――

 

「ファぁ~よく寝た」

 

目覚めた獅子堂ハルト。ポストの新聞を取りに行こうとした時、そこには既に国枝半蔵(くにえだはんぞう)がポストから新聞を取っていた。

 

「やぁおはよう、ハルト君」

「あぁ・・・・おはよう」

 

ポストの目の前にいた半蔵を見て、ハルトは驚いていた。

 

「先生が新聞を取りに行くとは・・・・・・・」

「僕だって世間の情報を取り入れたいのさ、それに・・・・・・・」

 

半蔵が新聞と一緒に持っていたもの、それは1枚の手紙であった。

その手紙には「国枝半蔵様」と書かれていた。つまりこれは半蔵宛てに送られた手紙だ。

 

「どうやら僕宛てみたいだね」

「って、なんで俺の家に先生の手紙が!?」

 

ここはハルトの住むマンション、半蔵が一緒に住んでいる事はハルトしか知らない。他の人物が知っているとは・・・・・・・・・・・

 

「だね、この手紙・・・・・・・どうやら皇グループからの様だね」

 

送られて来た手紙は皇グループからのものであった。

昨日、半蔵が拾った皇グループのバッジ、偶然にしては出来過ぎている。中身は一体・・・・・・・・・・・

 

「皇グループ?何だそりゃ?」

 

ハルトは全く知らない様子だ。ため息を吐きながら半蔵が説明する。

 

「ハァ・・・・・皇グループっていうのは、様々な電子機器を作っている企業の事だよ。確か少し前に前社長が亡くなって、その息子が跡を継いだとか・・・・・・・・・・」

 

遡る事半年前、前社長である皇王万(すめらぎおうま)は突如として不審死を遂げた。その後17歳である息子がその跡を継いでいた。

詳しい事は公表されていない、半蔵は何かが引っかかっていた・・・・・・・・・・

 

「さて・・・・・・中身をっと」

 

半蔵は手紙を開け、中身を確認する。その内容とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ふむふむ、なるほどね。こっちからご招待って事か」

 

手紙を見た半蔵は、急いで着替え始めた。

 

「さぁて、もう1人協力者をっと・・・・・・・」

 

半蔵はスマホを手に取り、電話を始める。

 

「やぁ、もしもし、来てくれないかな?君にも協力してもらいたんだけど」

 

電話を終え、半蔵は玄関のドアを開け、外へ出た。その後をハルトも急いで着替えて追いかける。

 

「おい、ちょっと待ってくれ――――――!!」

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、半蔵とハルトは噴水公園に来ていた。

そこへ1人の人物がこちらへ近づいてくる。その相手とは・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「お前ら、俺を呼んで何の用だ?」

 

伊織だった。半蔵の電話に呼ばれ、噴水公園へとやって来た。

合流して早速、要件を聞く。

 

「実はね・・・・・・・・」

 

伊織に今朝渡された手紙を、伊織に見せた。

 

「何だそれは?」

「コレは皇グループから僕宛てに送られて来た手紙さ。中には明日に行われる完成披露パーティーの招待状さ」

 

半蔵に送られて来た手紙、それは明日行われる予定の新型スマホの完成披露パーティーの招待状であった。

 

「で、何でそれで何で俺を呼ぶ理由があるんだ?」

「まぁまぁ、この招待状、実は2人まで付き添いを招待出来るんだよ。それで君達2人も参加してほしくてね」

「俺達を?一体何でまた?」

「僕達が昨日会ったリベリオン、エンペラーの正体が皇グループの人間かもしれないからさ」

 

半蔵は、昨日戦ったエンペラーリベリオンの正体が皇グループ内の人間である事を推測している。

戦った場所が皇グループ本社の近くであった事、落ちていたバッジ、これだけでは確証が付かない。

だから半蔵は皇グループを探ろうとしていた。そこにいい所に招待状が送られて来た。

 

「なるほど、それが何の意味がある?」

「まぁ、皇グループは電子機器の開発を行っている。もしかしたらこの戦いの黒幕と関わっているのかもしれなくてね」

 

リベリオン同士の戦いは、皇グループが関わっているのかもしれないと推測している。

そこを掴めば何か手掛かりが掴めるかもしれない、その為にパーティーに参加する様だ。

 

「なるほど・・・・・・そのエンペラーを倒す為に素性を探るのもアリかもな。いいだろう」

 

伊織は、半蔵の話に乗る事にした。ハルトもよくは分からないが、話に賛同した。

 

「決まりだね、じゃぁ明日、17時にここに」

 

その言葉を最後に半蔵はその場を去った。

 

「全く、色々あり過ぎて困ったもんだ・・・・・・」

 

昨日の事から色々な展開が起こり過ぎて、頭を押さえる伊織。

 

「なーんか面白い事になってるね!」

 

そこへ伊織の背中に飛び込んできたアリア。急な事で彼は押される様に一歩前に出た。

 

「おまっ、何でここに!?」

「だって急に出たからさ、気になって追っかけて来たんだ」

「おい・・・・ソイツ、彼女か?」

「バカを言え、そんなワケあるか」

 

突然やって来たアリアを見て、ハルトは伊織の彼女ではないかと思ったが、違うと反論した。

 

「あの人・・・・・・もしかして私達と同じ使用者?」

「あぁ、そうだ」

「初めまして、アリア・クィンテットでーす」

「しっ・・・・獅子堂ハルトです」

 

アリアは真っ先にハルトに、自己紹介をした。それを返す様にハルトもまた、彼女に自己紹介をする。

 

「しかし、珍しいな。お前が女の子と仲良くなるとは」

「お前には関係ないだろ・・・・・・・」

 

そう言いながら、伊織は歩いて去っていった。その後をアリアが追いかける。

 

「待ってよ~それじゃぁまたどこかで」

「あっ・・・・・あぁ」

 

見慣れない伊織の姿に、ハルトは少々困惑していた。

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃―――――――――――――――――――――――――

 

「さて・・・・・そろそろ先生に手紙が届いた頃かな?」

 

椅子に座り、パソコンを眺めている皇圭(すめらぎけい)。半蔵に手紙を送ったのは彼の様だ。

そこへ一本の電話が入る。

 

「ハイ、こちら皇、えぇ、来て下さるとは光栄です。明日を楽しみにしております」

 

電話の相手は、海外のインターネット、デジタル家電製品を開発している企業の社長。明日行われる完成披露パーティーへの段取りの話をしている。

 

「はい、では明日もう一度お話を、それではまた」

 

受話器を置いた圭。窓から見える景色を見て、うすら笑いをした。

 

「これは明日が楽しみになりそうだね」

 

圭は一体、何を考えているのか・・・・・・・・・・・・・?

 

 

 

 

 

それから翌日、時刻は15時50分。

学校が終わり、ハルトは半蔵との待ち合わせ時間である17時まで時間を潰す為、ゲームセンターへと向かって行った。

 

「さぁ~て、時間まで少し遊ぶとしますか!」

 

同じ頃、伊織は、一旦家に帰り、荷物を軽くする様だ。

 

「じゃぁ、俺は遅くなるから、夕飯は冷蔵庫にある奴食べてくれ」

「分かった、いってらっしゃい、義理兄さん」

「それとアリア、ちゃんと留守番してるんだぞ」

「ちぇ、分かったよ」

 

伊織がパーティーに参加する事を知ったアリア。自分も行きたいと昨日一晩中ダダをこねていたが、結局伊織に「ダメだ」の一点張り。拗ねているのか、頬を膨らませている。

 

「じゃぁ、せめて食事ぐらいお土産に持って帰ってきてよ」

「バカ言うな、俺はそこまで意地は張ってねぇよ」

 

会場にタッパーを持ってきて、ケータリング内の食事を持ち帰る程、伊織は貧乏癖は付いていない。しかし、一瞬だけそうしようかと考えていた時もあったと言う。

 

「とにかく、大人しくしてるんだぞ」

「はぁ~い」

 

アリアに念押ししながら、伊織は玄関を出た。

ソファに座り、アリアは伊織がどんな人かを、葵に聞いてみる。

 

「ねぇねぇ、君のお兄さんってどんな人?」

「そうですね・・・・・・勉強とかスポーツが色々出来て、でも口が悪かったり、無愛想だからあんまり友達いないんですよね。それに何かと細かい所にうるさくて、ケチだし。でも・・・・・・凄く優しい所もあるんです」

「へぇ~そうなんだ。素直になれないって所だね・・・・・・・・」

 

楽しそうに笑うアリア。伊織に興味を持っている彼女に対し、葵は「不思議な人」と言う感じで見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから時間が流れ、17時――――――

 

「やぁ、待ってたよ」

「ほぉ、時間通りに来たんだな」

「いやぁ、自分でも不思議に思うぜ」

 

噴水公園では灰色のスーツ姿の半蔵が待っていた。

珍しく時間通りに来たハルトを、「よくやった」と言わんばかりに見ていた。

 

「それじゃ、早速準備に取り掛かろうか」

 

半蔵が案内した先、そこは――――――――――

 

「えっ、この服じゃダメなのか?」

 

スーツのレンタル店であった。パーティーに向かうので、しっかりと正装しなければならない。

 

「安心しな、お代は結構」

 

活きな計らいにより、代金は半蔵が持つ。流石天才作家だ。

ハルトと伊織は半蔵に渡されたスーツを着る為、試着室へと入った。

 

「うん、馬子にも衣装だね」

「ププっ、だってさ」

「いや、お前の事だろ」

 

ハルトと伊織は、白のカッターシャツに黒のスーツ、灰色のロングパンツに着替え、試着室のカーテンを開けた。

2人のスーツ姿を見た半蔵。顎に手を添えながら似合っていないハルトを面白そうに見ていた。

どうやらハルトは「馬子にも衣裳」は伊織に言っていると思っている。

 

「さて、そろそろ向かうとしますか」

 

スーツを借り終えた3人は、パーティー会場である高級ホテルへ足を運んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぇ~ここか」

「僕も初めて来たけど、随分デカい所で行われるんだね」

「・・・・・・・・・」

 

ホテルは100mにも及ぶ高さ、外には大きなプールもある。

近くにはリムジンなど、高級な車が50台近くも駐車されていた。

 

「では、入るとしますか」

 

ホテルの入り口に入り、半蔵は受付の女性に招待状を見せた。

 

「国枝先生ですね。そちらの2人は、付き添いでしょうか?」

「はい、僕の付き添いです」

「そうですか、では30階のロイヤルホールへどうぞ」

 

エレベーターに案内され、中に入り30階へ向かう。周りの人達も正装をしており、どこかで見た事ある様な偉い人達みたいだ。

 

「あんまりキョロキョロするな、目立つぞ」

「ワリィワリィ、あまりに凄すぎてよ・・・・・・」

 

一般人のハルトや伊織にとって、このようなパーティーは初めての経験。いかにも偉い雰囲気を出す人達をハルトはチラッと見ていた。

その行動を伊織が止めろと言う。

 

そして、30階へ辿り着いた。しばらく通路を歩き、大きな扉を開けた先は――――――――――

 

「うぉ・・・・・こりゃスゲェな!!」

「あぁ・・・・・とんでもねぇ」

「へぇ~随分立派な会場だ事。流石はあの皇グループが主催のパーティーだね」

 

ロイヤルホールは東京ドームのスタジアムぐらい広く、立食テーブルにはケータリング形式で高級料理が大量に並んでいる。

 

「ゴクリ・・・・・・・」

 

あくまで目的はエンペラーの正体を探る事、パーティーに参加するのはその一環。

だが、目の前の食事を見ていると、ハルトは唾を飲みながら見つめていた。

 

「ハァ・・・・・・まぁ、腹が減っては何とやらだからね」

「ウシっ、そうこなくっちゃ!!」

 

早速皿を取ったハルトは、すぐさま立食テーブルの方に向かった。それに釣られる様に伊織も立食テーブルへ足を運んだ。

 

「うお・・・・・・こんなの初めてだぜ」

「まぁ・・・・普通にこんなの食べられるワケないよな」

 

大トロ、食べやすいように小さく切られたサーロインステーキ、海鮮前菜のアンチョビ、モッツァレッラチーズとトマトのサラダ、地中海産最高級マグロカラスミのスパゲッティと数々の料理を更に盛った。

 

「おい、アレ・・・・・・」

「ほぅ、こんなのもあるんだな」

 

後ろの方を向くと、ラーメン、天ぷら、白米と和食も置いてあった。

ラーメンのある方を見て見ると・・・・・・・・・

 

「先生、アンタやっぱ・・・・・・・・」

「いやぁ、僕もコレを前にしてたら我慢できなくなってねぇ」

 

半蔵がラーメンを食していた。相変わらずのラーメンに目がない半蔵にハルトも苦笑いをしていた。

 

「んめぇ・・・・・・うめぇ!!」

 

サーロインステーキを口にすると、ほっぺが落ちたかの様に頬を押さえた。口の中で溶ける様に柔らかく、脂身がにじみ出る。

 

「うん・・・・・・コレはイケるな」

 

モッツァレラチーズのトマトサラダを口にした伊織。チーズのまろやかさ、トマトの果汁が口の中で旨味を引き立てていた。

 

「持ってきてもよかったかもな」

 

あまりの美味しさに、伊織はタッパーを持って来ればよかったと心の何処かで思っていた。

そこへ2人の人物がハルト達の方へ近づいて来た。

 

「アレ?ハルト君に伊織君じゃないか」

「ん・・・・・・生徒会!?それに副会長も・・・・・・」

 

白いスーツ姿の神ヶ崎界斗(かみがさきかいと)と紫のゲストドレス姿の四ノ宮永子(しのみやえいこ)であった。

 

「驚いたね、君達がここへ来ているなんて・・・・・」

「えぇっとそれは・・・・・・・・」

 

突然の事で何て言おうか考えているハルト。その後ろから半蔵が2人(ハルトと伊織)と肩を組んで界斗に挨拶をした。

 

「コレはコレは、どうも生徒会長さん」

「君は確か・・・・国枝先生じゃないですか」

「実は彼らは僕の友人でしてねぇ、せっかくだからご招待しようかなって思いまして」

 

半蔵が上手い事、事情を説明した。それ聞いた界斗は話を理解し、納得していた。

 

「そうなのかい、まさか2人が国枝先生の友人だったとは、驚きだね」

 

とは言うが、あまり驚いた様な表情はしていない。上手い事話を合わせようと、ハルトは顔を引きつって笑っていた。

 

「それはそうとハルト君、永子がお世話になった様だね。おかげで家の食事がより美味しくなったよ」

「その説はありがとうございました」

 

界斗がハルトの元に近づき、以前ハルトに料理を教えて欲しいと頼まれ、数日彼女に料理を教えていた。その事をハルトにお礼を述べた。

 

「いっ・・・・・いやぁ~為になったなら何よりですよ」

 

お礼を言われ、ハルトは照れ隠しをする様に頭を掻いた。

 

「やぁ、界斗。来てくれて嬉しいよ!」

「あぁ・・・・圭、久しぶりだね」

 

ハルト達の方へ皇グループの社長である皇圭(すめらぎけい)がやって来た。ハルト達はまだ、彼がエンペラーの正体である事は知らない。

 

「会長、その人は・・・・・・・?」

「彼が皇グループの社長だよ、僕とは昔からの友人でねぇ」

 

界斗と圭は幼い頃からの親友であるらしい。圭は皇グループを、界斗は神ヶ崎コーポレーションの跡継ぎ同士、圭は一足先に社長になったのだが。

お互い世を驚かせるような企業にしようと約束した仲である。

 

「はぁ・・・・・そうなんすか」

「まぁ、おかしな話じゃないだろうな」

 

よくは分かっていないが、ハルトと伊織はなんだかんだで納得していた。

 

「それと・・・・・・アナタは国枝先生、ようこそ来てくださいました」

 

圭は半蔵の方へ行き、彼に挨拶がてら握手を申し出た。

 

「いえいえ、こちらこそ招待していただき感謝します」

 

半蔵は圭の挨拶を握手で返した。だが圭は知っている、半蔵がチャリオットリベリオンの使用者である事を・・・・・・・・・

 

「まだセレモニーまで時間がある、もしよろしければ、少しお話をしませんか?そちらのお2人も一緒に」

「っ―――――!?」

「コイツ・・・・・・・・」

 

圭はハルトと伊織の方を細い目で見つめた。その視線に2人は何か違和感を感じていた。

 

「えぇ、是非。貴方のお話は是非聞きたかったもので」

「それはどうも、ではあちらに・・・・・・・」

 

圭たちはロイヤルホールを出て、エレベーターに乗った。

 

「・・・・・・・・・・」

(この男・・・・・まさか・・・・・)

 

伊織は感じていた。この()がリベリオン使用者であるかもしれない事を・・・・・・

 

エレベーターが開き、辿り着いたのは最上階。目の前の扉を開けると、そこは円形のテーブルが目立つ会議室の様な所。

圭が一番奥の席へ座り、テーブルに置いてあったノートパソコンを開いた。

 

「さて・・・・・・もう君たちは分かっているんじゃないのかな?」

 

さっきまで社交的だった態度とは裏腹に、ふんぞり返った様に足を組み、頬杖を突く。

 

「まさか・・・・・・!」

「やっぱな、お前が・・・・・・」

「あぁ、僕がエンペラーリベリオンさ!」

 

圭は3人にアルカナデバイスを見せつける様に取り出した。紺と白にペングリンレクスの顔のレリーフが刻まれていた。

 

「なるほど・・・・・つまりコレを送ったのも君なワケか」

 

半蔵は椅子に座りながら、招待状をポケットから取り出した。この招待状をハルトの家に送ったのは圭本人、もしくは彼の指示で動いた人間だと思われる。

 

「まぁ、正解ではあるかな?まぁ、探るのは一苦労したけど」

「そうかい、でっ、僕をここに呼んだという事は何を考えているんだい?」

「君達を一掃する、って言った方が分かりやすいかな?」

 

圭はそう語るが、実際の目的とは・・・・・・・・・・・

 

「ほぉ、3人がかりを1人で相手にしようって言うのか?」

「ちょっと待てよ、俺は戦いたいワケじゃ・・・・・・・・」

「全く、ここに来てそうも言ってられないでしょ?」

「確かに、普通に相手すれば僕が圧倒的に不利だ。だが、そんな考え無しに僕が君達に挑むと思うかい?」

 

この状況を見れば、3対1。真正面から戦えば圭にとって圧倒的に不利だ。しかし、圭は随分と余裕な態度を取っている。

 

「僕・・・・・・いや、俺は思うんだよねぇ、この戦いは選ばれた22人しか参加権がない、それってあまりにも不平等と思うんだよ」

 

突然一人称を俺に変え、リベリオン同士の戦いの参加者が22人である事に不満を抱いていた。

 

「フン、人数が増えたんじゃ時間が掛かっちまう。面倒なだけだろ」

「そうかい、さて・・・・・・そろそろ始めるとしますか」

 

圭がデバイスをノートパソコンに翳すと、左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン!」

 

デバイスを上にあげ、横に振った後、アタッチメントに取り付け、圭はエンペラーリベリオンに変身する。

 

「それじゃ、待っているよ」

 

そう言い残し、エンペラーはノートパソコンからサイバープログラムへと移動した。

 

「ね、やるしかないでしょ?」

「わっ・・・・・分かったよ」

 

戦いに乗る気のないハルトも、流石に渋々了承せざるを得なかった。

3人は圭が使ったノートパソコンにデバイスを翳し、アタッチメントに取り付けられる。

 

「セットオン!」

 

3人は同時にアタッチメントにデバイスを取り付け、ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオットリベリオンへと変身し、ノートパソコンからサイバープログラムへと移動した。

 

「さぁ、待っていたよ」

 

サイバープログラムへ辿り着いたホテルの屋上、真ん中の方にエンペラーが待ち構えていた。警戒態勢を取る3人。その背後から突如と足音が聞こえてくる――――――――――

 

「なっ、アイツは・・・・・・・!?」

「フンっ、お前もグルだったワケか」

「悪いね、コレも正義なんだ」

 

やってきたのは、ジャスティスリベリオン。ともう1人・・・・・・・・・・・・・・

 

「おや、見ない顔だね、また新たなリベリオンですか」

 

ジャスティスと共に現れたのは、バフォメットの様な頭部に、コウモリの羽を鎧にした様な胸部、ガーゴイルを彷彿とさせる右手のガントレット、背中には悪魔の様な羽が生えており、悪魔的な禍々しい脚部、腰には悪魔の様な尻尾が特徴的なリベリオン(デビルリベリオン)だ。

 

「よぅ、言われた通り来てやったぜ、約束は守ってもらうからな」

 

デビルは、エンペラーに呼ばれてここへ来た様だ。何やら交換条件で組んでいる様だが・・・・・・・・・・・・

 

「これで3対3、フェアだよね~」

「何でもいい・・・・・・来いよ!」

 

ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオットリベリオン。エンペラーリベリオン、ジャスティスリベリオン、デビルリベリオン。今、更なる激闘が繰り広げられようとしている――――――――――!!

 

 

 

 

 

 

 

その頃・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「さて・・・・・どうなる事やら」

 

ハルト達のいた会議室に、界斗と永子がいた。

界斗は椅子に座り、ノートパソコンを見つめる。その画面には・・・・・・・・・・・ソルリベリオン達の戦いが繰り広げられる映像が流れていた。

 

「そろそろ時間が迫っている、審判の時は・・・・・・・・近い」

 

画面を見つめ、戦いを鑑賞する界斗、果たして彼もまたリベリオン使用者なのか?

そして永子も何かを知っている様子だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

「あ~あ、来ちゃった」

 

パーティー会場であるホテルに、アリアも訪れていた。

果たして戦いの行方は――――――――――――――――?

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




新たなリベリオン、デビルリベリオン登場。詳しい詳細は次回をお待ちください。
デビルはぶっちゃけて言うと、そろそろ出さないと忘れそうでした(笑)

次回、激闘の先に待ち受けるものとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エンプレスも乱入するかな?
エンペラーの計画はいかに・・・・・・・・・・?


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第34話「悪魔の契約」

遡る事、1日前・・・・・・・・・・・・・・

 

「んで、何の用で呼んだんだ?」

「何、大した話じゃないさ。君の力を借りたいんだよ、柳沼君」

 

皇グループの社長、皇圭(すめらぎけい)がある男と喫茶店で話をしていた。

その男は、明るい茶髪のウルフカットに、黒のジャンバーに、白いズボンの男。圭は彼を柳沼と呼んでいる。

彼の名は柳沼伊佐美(やぎぬまいさみ)

 

「俺と手を組みたいって?正気?何度も命狙い合った間柄なのによ?」

 

命を狙い合う、つまり伊佐美は圭がエンペラーリベリオンと言う事を知っている、つまりは彼もリベリオン使用者なのだろう。

 

「君も知っているだろ、ソルリベリオンとルナリベリオン。彼らはユニゾンとか言う力を手にして戦力に大きな差が出始めている。あのフールってのはそれ無しでもヤバいんだけど・・・・・・・そこで、面倒なのは早い所始末したいって話」

「なるほどね、戦った事はないが、そのユニゾンってのがヤバい力だってのは分かるな」

 

ユニゾンの力を持つソルリベリオンとルナリベリオンを真っ先に倒し、戦いを有利に進めたい圭。そこで伊佐美に協力を申し出た。だが、伊佐美もタダで引き受けるのは性に合わないと考えを焦らしている。

 

「でもなぁ、あんだけ殺り合っといてタダで引き受けるなんて、俺に得がないと思うが」

「モチロン、タダで引き受けてくれるとは思ってないよ。報酬はキッチリ払ってあげるさ」

「面白い・・・・・・・・乗った」

 

伊佐美は圭の話に乗る事に決めた。話が決まったと同時に、後ろの席に座っていた志向正義(しこうまさき)がこちらを向く。

 

「って事だ。しばらくの間僕らは同盟を結んでいる、いいね正義君」

「分かったよ、君がそう言うなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、エンペラーリベリオン、ジャスティスリベリオン、デビルリベリオンの3人は協力関係を結んだ。

ソルリベリオンとルナリベリオンを倒す為に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「さぁて・・・・一気に片付けるとするか!!」

 

最初に動いたのはエンペラー。システムメモリーをホルダーから取り出し、腹部に取り付けてあるアルカナデバイスに装填した。

 

<<ソードイン>>

 

空から、ペングリンレクスの両腕を模した2本の剣(フロストカリバー)が降ってきた所を、両手に掴み構える。

 

「ハァ―――――っ!」

 

エンペラーの標的は、ソルリベリオン。振り下ろされたフロストカリバーを、両腕で防ぐ。

 

「このやろ・・・・・・ッ!タァっ!!」

 

防いだフロストカリバーを、弾いて、一歩後ろに下がり、二の腕のデバイスを下に倒し、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填、上に上げた。

 

<<ソードイン>>

 

後ろの方からプロミネンスレオの前脚を模した(レオンハートソード)が回転しながらソルリベリオンに装備される。

 

「ウオオオォォォォ――――!!」

 

レオンハートソードとフロストカリバーの鍔迫り合い、火花を散らし、お互いに押し合う。

 

「フッ・・・・・やるようだね」

「お前の好きにさせるか――――!!」

 

フロストカリバーを弾いて、エンペラーの腹部にレオンハートソードの鏝で肘打ちするかのようにぶつける。

 

「ッ――――!舐めるなよ!!」

 

エンペラーはホルダーからシステムメモリーを取り出し、腹部のデバイスに装填する。

 

<<フロストイン>>

 

レオンハートソードがエンペラーの手から放たれた冷気に触れてしまい、徐々に凍り始める。

 

「ヤベっ!?」

 

咄嗟にレオンハートソードを取り外し、腕が凍るのを防いだ。

 

「まだまだ、氷は終わらないよ!」

 

冷気はソルリベリオンの方に近づいてくる。

凍らせまいと、ソルリベリオンは後ろの方に下がっていく。

 

「その技は炎に弱いんだよな!」

 

ソルリベリオンはシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填する。

 

<<フレイムイン>>

 

ソルリベリオンの周囲から炎が発生し、氷を徐々に溶かしていく。

 

「フフっ・・・・・オレが同じ手に引っ掛かると思ったか?」

 

エンペラーは氷を一転に集中させ、氷の盾を発生させる。

その氷の盾は、ソルリベリオンの方にどんどん近づいてくる。

 

「っそ・・・・・・何で溶けねぇんだ!!」

 

炎で氷の盾を溶かそうとするが、一向に溶ける気配がない。

 

「フッ・・・・・溶けるワケないだろ」

 

すると突然・・・・・・・・・・・・・・

 

「何ッ?コレは――――――――――!?」

 

氷の盾は急激に燃え始めた。

 

「氷ってね、超高温で化学反応を引き起こすんだよ。水は水素と酸素で出来ている。2つとも水とは真逆の性質、非情に燃えやすいんだよ。つまりは水の結合分子を破壊できるレベルの高温を与えると・・・・・・・爆発的に燃え上がる」

 

ソルリベリオンは燃え上がる氷から離れようとするが――――――――――

 

「もう遅いんだよぉ!!」

 

氷が突然と爆発を引き起こした。その衝撃でソルリベリオンは20m先へ吹き飛ばされた。

 

「この・・・・・」

「言ったじゃないか、同じ手に簡単に引っかかるワケないって」

 

ソルリベリオンへの対抗策を考えていたエンペラー。だが、ソルリベリオンもこのまま終わるわではない。

 

「なるほど・・・・・・なら、これなら――――――!」

 

<<ユニゾン―――――>>

 

取り外したデバイスに、ユニゾンカードを翳し、ユニゾンモードへと変化した。

 

「そっか・・・・・それもあったね」

 

ユニゾンモードに変化したソルリベリオンを見たエンペラーは、システムメモリーをデバイスに装填する。

 

<<ナックルイン>>

 

エンペラーの方に、ペングリンレクスの足を模した2本のトンファー(フロストプレス)を装備した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ―――――!」

 

デビルリベリオンに、新月を振り下ろすルナリベリオン。

しかし、それを左腕のガントレット(悪魔腕デビルフィック)で受け止めた。

 

「アンタには悪いが、俺にとって美味しい条件で雇われた身何でね。仕事はキッチリさせてもらうぜ!!」

 

掴んだ新月を下に降ろし、ルナリベリオンに蹴りをお見舞いさせる。

 

「っ・・・・・・条件?大方、金か?」

「まっ、そう思ってくれて構わない。お前にとっちゃあ、どうでもいいだろうからな!!」

 

デビルリベリオンは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デビルフィックに取り付けられているデバイスに装填する。

 

<<スピアイン>>

 

空から黒い三俣槍(レジテントランス)を両手に持ち、ルナリベリオンに振り下ろす。

それを新月で防ぎながら、システムメモリーをデバイスに装填する。

 

<<ソードイン>>

 

牙王天羽々斬(がおうあめのはばきり)を召喚し、デビルリベリオンに斬り付ける。

 

「フッ―――――!」

 

牙王天羽々斬を腹部に直撃するデビルリベリオン。脇腹で押さえながら、ルナリベリオンの背後に移動する。

 

「後ろを取ったつもりか?」

 

後ろに周ったデビルリベリオンに、牙王天羽々斬を振るうが―――――――

 

「フフッ・・・・・」

 

デビルリベリオンの全身は、黒い無数の砂粒の様な物体に分散し、消滅するかの様に姿を消す。

 

「何!?一体何処へ・・・・・・・」

 

辺りを見回すルナリベリオン。しかし、奴はどこにも見当たらない。

すると突然、どこからか、デビルリベリオンの声が聞こえる。

 

「ここさ・・・・・すぐ近くにな」

 

その声は、ルナリベリオンの下の方から聞こえていた。下をよく見ると・・・・・・・・・・・

 

「何だと――――!?」

 

下半身に、無数の小さなデビルリベリオンがくっ付いていた。

 

「実は俺、こういう事出来るんだよな~」

 

無数のデビルリベリオンは、徐々にルナリベリオンの全身を侵食しようとしている。

振り払おうとするが、頑丈にくっ付いている為、中々取り払う事が出来ない。

 

「ぐっ・・・・・だったら―――――!」

 

<<ストームイン>>

 

ブルームーンファルコンが召喚され、翼で大きな風を起こし、無数のデビルリベリオンを吹き飛ばした。

 

「っく・・・・・そんなに大きな風じゃ流石に、吹き飛ばされるか」

 

無数のデビルリベリオンは1つに集合し、元の大きさに戻り、立ち上がる。

 

「随分、厄介な能力だな・・・・・・・」

「まぁ、コレだけじゃ、終われないよな」

 

<<ロストイン>>

 

電子音声と同時に、ルナリベリオンのデバイスが黒く光出す。

 

「一体、何だ・・・・・・・?」

 

デバイスを確認するルナリベリオン。裏面の画面をよく見ると、システムメモリーの使用回数がそれぞれ1~3回ずつ減っている事に気づいた。

 

「これで、アンタの使えるモンの数は減った」

「そうか、だったら――――――」

 

<<シャドーイン>>

 

電柱のライトを介して、ルナリベリオンの影から、黒い分身が4体現れた。

それを見たデビルリベリオンも、ホルダーからシステムメモリーを取り出す。

 

「なるほど・・・・・アンタもそれを使えるのか」

 

<<シャドーイン>>

 

デバイスに装填したと同時に、デビルリベリオンは、再び無数に分散し、5つの塊に分かれ、元の大きさに戻ったデビルリベリオンは、5体に増えていた。

 

「まっ、アンタと仕組みは違うらしいけど」

 

ルナリベリオンの場合は影から、デビルリベリオンの場合は分散した身体が分裂するタイプ。

それぞれ異なる仕組みである。

 

「さぁ・・・・・行くぞ!」

 

5体のルナリベリオンは、デビルリベリオンの方に向かって、走り出していく―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フンっ―――――」

 

ギミックガンソードを、ジャスティスに目掛けて撃つ、チャリオット。

一発、一発を避けながら、ガントレット(正義角ブレイブ―ホーン)を向けながら近づいてくる。

 

「かなりの反射神経・・・・・・手練れているね」

 

遠距離攻撃は無難だと思い、ギミックガンソードをソードモードに変形し、ジャスティスの方に向かって行く。

 

「ッ―――――!?」

 

ギミックガンソードを、ジャスティスの方に振り下ろすが、ブレイブホーンで受け止められてしまう。

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

ギミックガンソードを薙ぎ払い、ブレイブホーンで、チャリオットの鳩尾を一突きした。

 

「グっ・・・・味な真似を――――――」

 

倒れながらも、チャリオットは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、ギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填する。

 

<<シールドイン>>

 

ローラーシールドが召喚され、身を隠しながら、ジャスティスの背後に移動する。

 

「背後に周った・・・・・だけど無駄だよ」

 

背後に周ったチャリオットの方を向きながら、システムメモリーをデバイスに装填した。

 

<<バスターイン>>

 

ジャスティスセイヴァーを装備し、ローラーシールドに直撃させる。

 

「反応が早い・・・・・けど―――――!」

 

シールドで防いだ為、衝撃波はそれほど大きくはなかった。

その隙を突いて、ギミックガンソードを、ガンモードに変形させ、腹部に突きつけ、ゼロ距離で、銃弾を連射した。

 

「ッ―――――!?」

 

撃たれた衝撃により、膝から倒れるジャスティス。

立ち上がる隙も与えず、ギミックガンソードをジャスティスの頭部に突きつけた。

 

「さぁ、これで・・・・・・・・」

 

頭部に一撃を入れようと、引き金を引こうとしたその時――――――――――

 

「――――――!?」

 

チャリオットの背後から、ジャスティスの契約クリーチャーである、ジャスティンビートルが現れ、チャリオットの背中を角で突き、ジャスティスの背後へ突き飛ばした。

その方向には、ソルリベリオンとルナリベリオンが集まっていた。

 

「こいつら・・・・・・・中々やる様だな」

「さて・・・・・1つに集まった所だし、ここでお終いにしようか」

 

エンペラーがシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填した。それと同時に、デビルリベリオンもデバイスにシステムメモリーを装填する。

 

<<フィニッシュイン―――――>>

 

ペングリンレクスが現れ、3人の周りの床に、氷を張り巡らせる。その周囲をぐるぐる回り、吹雪を発生させる。

それと同時に、デビルリベリオンの契約クリーチャーと思われる、バフォメットとガーゴイルの特徴を合わせ持ったクリーチャー(イーヴィルベイル)が現れ、デビルリベリオンを乗せ、ソルリベリオン達の上空へと移動する。

上空へ移動すると、デビルリベリオンとイーヴィルベイルは身体を分散し、ドリル状の形を形成する。

 

「ハァァァァァァァァァァ!!」

「ウオォォォォォォォ―――――!」

 

エンペラーがペングリンレクスの上に乗り、吹雪の中に飛び込み、スノーボードの様に滑り、徐々にソルリベリオン達の方に近づいてくる。

それと同時に、ドリル状となったデビルリベリオンも、上空から、ソルリベリオンの方に突っ込んでいき2人の|必殺技《フリージングクラッシュ ダークネストランジェント》が炸裂する――――――――――!

一撃が直撃し、大きな爆発が発生した――――――――――

 

「アレは・・・・・!?」

 

その様子を、エンプレスリベリオンが柱の影から覗いていた。

心配になり、飛び出そうとするが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

<<シールドイン>>

 

煙が晴れると、そこには、周囲にマグマのバリアを張ったソルリベリオン、ユニゾンモードに変化し、背中の翼を変化させた(ルナティックエフェクト)持ったルナリベリオン。チャリオットフォートレスの中に現れたチャリオットがいた。

その様子を見ると、ダメージは殆ど受けていないとみる。

 

「なんだと・・・・・・アイツら!?」

 

ユニゾンモードの力、耐久力を見て、エンペラーとデビルリベリオンは驚いていた。

今度はこっちの番だと言わんばかりに、それぞれの武器を構えるが・・・・・・・・・・

 

「ん・・・・・・・・?」

 

ジャスティスが牛エロの方を振り返ると、柱の影で様子を見ていたエンプレスの姿を発見する。

 

「しまっ―――――」

 

ジャスティンビートルがエンプレスを後ろから押し出し、エンペラー達の方に叩きだされる。

 

「ずっと見ていたなんて・・・・・・・悪い人だ」

「アイツ―――――っ」

 

ジャスティスセイヴァーを構え、エンプレスの方へ近づくジャスティス。

身体が勝手に動き出したかの様に、ルナリベリオンがその方向へ走り出した。

 

「僕の正義は・・・・・・絶対―――――」

「っ―――――!?」

 

エンプレスに、ジャスティスセイヴァーが振り下ろされた、その時―――――――――――――――――――――――――

 

「何?」

「ぐっ―――――!」

「えっ・・・・・・?」

 

ルナリベリオンが、エンプレスを庇っていた。

ジャスティスセイヴァーはルナリベリオンの右方に直撃し、肩アーマーが破壊されていた。

 

「ねぇ・・・・・大丈夫!?」

「ぐぁっ・・・・・・」

 

右肩を押さえ、膝から崩れ、苦しみだす。

 

「待ってて!」

 

エンプレスが左肘に取り付けられているデバイスに、システムメモリーを装填した。

 

<<ヒールイン>>

 

鱗粉の様な光が発生し、ルナリベリオンの右肩を包んでいく。

すると同時に、破壊された右肩が再生されていく。ダメージを受けた肩を振り、痛みがなくなったかを確認する。

 

「ダメージが消えている・・・・・・・」

 

「どうする?」

「全く・・・・・・・コレは一旦、退くしかないね」

 

その言葉と共に、エンペラー、ジャスティス、デビルリベリオンはホテルの中に入り、現実世界へ戻っていった。

 

「ふぅ・・・・・万事休すか」

 

チャリオットとソルリベリオンも、監視カメラを介して、現実世界に戻った。

 

「・・・・・・・何で来た?」

「あっ、いやぁ~ちょっと心配になってていうか、気になったっていうか・・・・・・・ゴメン」

 

正直に理由を話すエンプレス。申し訳なくなったのか、謝った。

 

「まぁ・・・・・今回は仕方ないか」

 

あまりの事態に、怒る気にもならなかったルナリベリオン。

エンプレスの能力を見て、何かを感じていた。

回復能力、かつて凜の言っていた「傷を治すリベリオンもいるかもしれない」極めて低い可能性に遭遇した。もしかしたら、とK可能性を感じていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

現実世界に戻り、家に帰る途中、伊織はアリアに問いかける。

 

「なぁ、あの力って・・・・・・・・・・・」

 

アリアが返した言葉は――――――

 

「ゴメン、アンタの思っている事は出来ないよ」

 

伊織の考えている事、もしかしたら由奈の病気も治るのではないかと、心の何処かで期待していた。

だが、その期待に応える事は、アリアには出来ない。

 

「私が出来るのは、戦いでのダメージを治す事、病気とかは一切治せないよ」

「そうか・・・・・・・・・」

 

伊織が、ガッカリする様子はなかった。初めから無理だと分かっていた。

だが、もしも、万が一出来るのなら・・・・・・・・・・・・・

 

「ゴメン、アンタの事、葵ちゃんから聞いた。アンタの願いに比べたら、アタシの願いなんて・・・・・・・」

 

伊織が出かけた少し後、アリアは葵に、伊織の事を聞いた。

妹、由奈の事も。そして、伊織が妹の病気を治す為に戦っている事を知った。

 

「・・・・・・・いや、家族を求めるのは悪い事じゃない。ただ、俺は本気だ、それは忘れるな」

 

伊織はアリアの願いを、下らないとは言わなかった。

だが、伊織の決意は変わらない、それをアリアに忠告した。

 

「そっか・・・・・・・・そうだよね、家族が大事なのは当たり前か」

 

伊織の言葉を聞き、アリアは胸を押さえていた。

不思議と、彼の助けになりたい。そう思っていた・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「ハイ、お父さんに渡しておいてね」

「分かった、渡しておくよ」

 

最上階に戻った圭は、正義に1本のUSBメモリを渡した。それを受け取った正義は、気付かれない様、非常階段から外へ出た。

 

「さて・・・・・・これで準備は万端、後か完成を待つのみだね」

「おい、こっちも報酬を待ってるんだが」

 

伊佐美もまた、圭に協力した報酬を求めていた。

 

「そうだったね、はい」

 

忘れていたかの様に、圭が渡した物、それは1枚のキャッシュカードだった。1枚のメモが書かれていた「2276」と。

 

「あんがとさん、また報酬を貰えるなら協力するぜ」

「それはありがたい、じゃぁ頼んだよ」

 

キャッシュカードを受け取った伊佐美は、非情扉から、外へ出た。

 

「ハァ・・・・・・・今回はあくまでただの余興。本番はこっからさ・・・・・・」

 

椅子から立ち上がった圭。扉を開け、エレベーターの中に入った。

 

「フフフ、次に戦うのが楽しみだ・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中々見物だったよ・・・・・・・」

 

ロイヤルホールに戻っていた、神ヶ崎界斗(かみがさきかいと)

ブドウジュースを飲みながら、ソルリベリオン達の戦いを、思い浮かべた。

 

「しかし、圭・・・・・・残念だよ、君とは親友でいられると思ったのに・・・・・・」

 

不敵に笑う界斗。一体、何を考えているのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&クリーチャー紹介】

デビルリベリオン

【全長】200㎝

【体重】104キロ

【総合ランク】C+

【常設武器】悪魔腕イビルフィック

柳沼伊佐美が変身するリベリオン。
バフォメットの様な頭部に、コウモリの羽を鎧にした様な胸部、ガーゴイルを彷彿とさせる右手のガントレット、背中には悪魔の様な羽が生えており、悪魔的な禍々しい脚部、腰には悪魔の様な尻尾が特徴的。
身体を分散させ、小型の姿となり、相手に纏わりつく戦い方を行う。


【スピアイン】レジテントランス ランクD
三俣槍状の槍。槍の先端に黒い波動を流し込め、相手に衝撃波を与える事が出来る。

【ロストイン】マイナスラッシュ ランク無し
相手のシステムメモリーの使用回数を減らす。
あくまで回数を減らすだけで無効化する事は出来ない。

【シャドーイン】ブラックミラージュ ランクD
ルナリベリオンと同様のものだが、分散した身体から分身する違いがある。

【ロックイン】ゴルゴンアイ ランクC+
見た相手を石化し、動きを封じる。
冷気を感じると解ける弱点がある。

【フィニッシュイン】ダークネストランジェント ランクC+
デビルリベリオン、イーヴィルベイルが同時に分散し、状況に合わせた形状に変化し、相手に突撃する。


エンペラーリベリオン

【ナックルイン】フロストプレス ランクB-
ペングリンレクスの足を模したトンファー。
触れた相手を凍らせる事が出来る。


【フィニッシュイン】フリージングクラッシュ ランクA
ペングリンレクスが相手の周囲に氷を張り巡らせ、回転して吹雪を起こし、エンペラーリベリオンが背中に乗ったと同時に、吹雪の中を、スノーボードの様に滑り出し、上空から相手に突撃する

イーヴィルベイル
デビルリベリオンが契約しているクリーチャー。ランクD+
バフォメットとガーゴイルの特徴を合わせ持った外見をしている。
デビルリベリオン同様、全身を分散出来る。
角には、敵を察知できる電波を放つ事が出来る。




デビルリベリオン=柳沼伊佐美の目的は一体何か?ただ、金が目当てではなさそうだが・・・・・・・・
もしかしたら、その可能性を感じていた伊織。しかし、現実はそんなに上手くいかない。それでも伊織も目的は変わらない・・・・・・・・・・アリアはそれをどう受け止めるか?

そして次回、新たな計画が動きだす――――――――――?



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第35話「アーキタイプ」

圭の計画の1ページが動き出す・・・・・・・・?

そう言えば、我怨はどうなったのか?


「ん・・・・・・あぁ?何だぁ・・・・・」

 

9月13日、時刻は15時丁度。

ビーワスプに刺され、気を失った所、警察に捕まったフールリベリオンの使用者、黒崎我怨(くろさきがおん)

目が覚めると、上半身は裸になっており、両手は鎖で縛られていた。そして辺りをよく見ると・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「どうみても・・・・・・刑務所じゃぁねぇなぁ」

 

警察に捕まったはずだが、どうみても刑務所ではない。ロウソクが灯った暗がりの場所で、風通しが悪い、そして何より、小汚い場所だ。

一言で表すのなら、山奥にある洞窟に作った監獄とも言える。

 

「んぁ―――――っ!!うぁ―――――!!」

 

力任せに鎖を外そうとするが、ビクともしない。それどころか、力強く引っ張ったからか、腕から血が流れる。

 

「あ~ら、そんなに力任せにやっても無駄よ」

 

そこへ現れたのは、黒のワンピース レディーズドレスに、サングラスを掛けた女性が、こちらへやって来た。

そして、我怨の方を、強く見つめていた。

 

「お前か・・・・・・俺をこんな所にぶち込んだのは?」

「えぇ、そうね。私は、八久慈玲。貴方をここに入れて、ざっと13日かしら?」

 

女性は、八久慈玲(はちくじあきら)と名乗った。

我怨が捉えられてから、約13日が経つ。ルールの1つ「14日以内に契約クリーチャーに餌を与える」その期限まで後4日。

玲は、我怨の持つ、ダークグレーのアルカナデバイスを、見せつけた。

 

「ほぅ・・・・・確かに、これじゃぁお前が殺した事にならねぇよなあ?」

「正解、だから、貴方にはしばらく大人しくしてほしいの」

 

玲が、我怨を拘束した理由。それは、14日が過ぎ、契約クリーチャーに食われる事を望んでいるから。

そうすれば、「リベリオン同士の戦い以外で相手を脱落させる事を禁止する」というルールに引っ掛からずに、我怨を脱落させる事が出来る。

 

「あなたは、とっても危険な奴だってのは分かっているの。出来れば殺り合わずに倒したいなって、ね」

 

そう話していると、2人の警官服を着た男性がやって来た。

 

「コイツら・・・・・・・警察のもんじゃあ、ねぇな」

「勘がいい・・・・その通りよ。コスプレしてもらってるのよ。コレを使ってね」

 

玲は、ポケットから、毒々しい紫色のシステムメモリーを取り出した。

メモリーにはMIND IN(マインドイン)と書かれていた。即ち、心を操る、という意味だ。

 

「すっごく便利なのよね~コレを使えば、誰だって操れる。意のままに」

 

マインドインを使い、男達を操り、警官に扮して、我怨を捉えていたのだ。

 

「まっ、後1日過ぎるまで、大人しくしてる事ね。何かあるかもしれないから、見張っててちょうだい」

「イエス、マム」

 

玲は、その場を去っていった。男2人は、我怨が妙な行動を取らない為に、見張りを頼まれた。

マインドインで操られている為、彼女の言う事を、絶対に聞く。

 

「フフッ・・・・・ハハハハハ!!いいぜぇ・・・・・・・自由になったら、たっぷり可愛がってやるよ!!」

 

我怨は、高らかに笑った。両手を塞がれ、身動きが取れない状態、彼に策はあるのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇ、今日の夕飯何するの?」

「見りゃ、分かるだろ。コロッケだよ」

 

その頃、伊織とアリアは、夕食の買い物をしていた。

アリアも居候している身、伊織の手伝いをするのは、当然ともいえる事だろう。

 

「うんうん・・・・じゃがいも、パン粉・・・・・確かに」

 

買って来たものは、じゃがいも、パン粉、中濃ソース。言われてみれば、コロッケを作ると言えるだろう。

 

「おっと・・・・・・小麦粉買い忘れた、ちょっと持っててくれ」

「うん、分かった」

 

小麦粉を買い忘れた伊織は、荷物をアリアに任せ、急いでスーパーの方へ向かった。

それからしばらくすると・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「いや―――――っ何!?」

 

アリアの叫ぶ声が聞こえた。

その声を聞いた伊織は、急いで彼女の方へ戻った。

 

「っく・・・・・・・一体何を・・・・・・っ!?」

 

アリアの目のまえには、リベリオンに似たような、機械の戦士が立っていた。

その姿は全身がモスグリーン色で、クワガタの顎の形を思わせ、パイプでマスクが繋がれているのが特徴な頭部に、眼は単眼(モノアイ)となっており、胸には三つ葉のクローバーのマークが刻まれており、四角い肩、鋭いひし形の膝アーマー、カンガルーの様に柔軟そうな足、背中にはジェットエンジンが搭載されている。

 

「新手のリベリオン・・・・・いや、何かが違う」

 

これまでのリベリオンとの違いを、伊織は感じていた。

後ずさって逃げるアリアの元へ向かい、彼女の二の腕を掴んだ。

 

「何やってんだ!さっさと逃げるぞ――――――」

「あっ・・・・・うっ、うん」

 

アリアを立ち上がらせ、急いでその場から逃げた。

謎の戦士は、その後を追いかける事もなく、そのまま近くにあった電子パネルへの中へ、吸い込まれる様に、入っていった。

 

 

 

 

 

 

「へぇ~随分なデキじゃないか。コレも君のお父さんの技術あっての物だ」

「うん・・・・・・・」

 

その後ろには、皇圭(すめらぎけい)志向正義(しこうまさき)が立っていた。

 

「アーキタイプ・・・・・・・・今何体完成してるんだっけ?」

「5体だよ、試作機含めてね」

「へぇ~じゃぁ、これからも量産できるかな?」

「まぁ・・・・・・あなたが資金さえ、出してくれるなら、って父さんは言ってたけど」

 

伊織達の目のまえに現れたリベリオンもどきは「アーキタイプ」正儀の父である、英雄が作ったと言う。

正義が言うには、今現れたのを含め、5体存在すると言うが・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方――――――――――――

 

「でさ~その時になってね」

「何だよそれ、笑えるわ~」

 

ハルトと彩が、ベンチで、何気ない会話をしていた。

 

「面白いのは、ここからなんだよ」

「で、続きはどうなったんだよ?」

 

そんな会話が続いている中・・・・・・・・ハルトは怪しげな雰囲気を感じていた。

その時――――――――――

 

「彩―――――っ!!」

 

突然、何かが飛び込んでくる気配を感じ、ハルトは彩を押し倒して、襲撃を回避した。

 

「何だ・・・・・・・アイツは?」

 

その姿は、伊織が遭遇した、アーキタイプと呼ばれる者と同じ姿をしたリベリオンもどきだった。

違いは、胸がスペードの形になっており、全身が、水色と青で構成されている。

 

「・・・・・・・・・・・・・・」

 

アーキタイプは、そのまま、後ろで佇んでいる男のスマホに、気付かれないよう、吸い込まれる様に、入っていった。

ハルトがその後を追いかけようとした時・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「はッ・・・・・・ハルト!?」

「ん?・・・・・・・あっ」

 

押し倒された彩は、顔を赤らめ、動揺していた。

ハルトは急いでベンチから降りた。

 

「わっ・・・・ワリィ、虫が飛んでてさ」

「わっ・・・ワザワザそれで押し倒す!?」

 

急な事で、胸がドキドキしていた。外で押し倒されるなんて、想像も付かなかったのだから。

もちろん、ハルトにその気はない。

 

「それにしても、アレは何だったんだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『順調な様だな』

「うん、父さんの作ったアーキタイプ、彼のおかげで完成した。後はサイバープログラムを・・・・・・・・・・・」

『あぁ、ようやく時が来た』

 

電話をしている正儀と英雄。

保管されているアーキタイプを目の前に、英雄、圭の目的がはじまる・・・・・・・・・・・・・・・

サイバープログラムを閉じるとはどういう事なのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・後を付けてるな」

 

アーキタイプから逃げている伊織とアリア。

サイバープログラム内へ移動下化と思われてたが、デバイスを見ると近くにいる反応を察知していた。

 

「俺が合図したら走れ」

「えっ?」

 

ゆっくりと歩く、伊織とアリア。近くの監視カメラの中から、アーキタイプが、その様子を見ていた。

 

(なるほど・・・・・・・)

 

伊織が3回足踏みをした。アリアはそれを、走る合図だと感じた。

 

「ッ―――――!」

 

アリアは走った。それに反応し、アーキタイプが監視カメラから飛び出そうとした時――――――――――

 

「お前の相手は俺だ」

 

伊織がアルカナデバイスを取り出し、監視カメラに突きつける様に翳すと、右二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン!」

 

デバイスをアタッチメントにセットし、伊織はルナリベリオンに変身し、監視カメラの中に入り込み、サイバープログラムへ移動する。

 

「っ・・・・・・・・」

「お前・・・・・一体、何者だ?」

 

ルナリベリオンは新月を構え、アーキタイプの様子を窺う。

 

「・・・・・・・・」

 

アーキタイプが左腰のホルスターから取り出した物、それはシステムメモリー。だが従来のリベリオンの形状の元は若干違い、ヒューズみたいな形をしている。

そして、左腕に取り付けてある、アルカナデバイスに似た、丸状の浮かんだ模様が刻まれた、物に装填した。

 

<<ショットイン>>

 

従来のリベリオンとは違う、高い声の電子音声と共に、ミヤマクワガタの角の形をしたライフル(シザーライフル)が発生したノイズの中から現れ、それを両手に持ち、狙いを定める。

 

「来るか・・・・・・・・!」

 

引き金を引くその瞬間まで、ルナリベリオンは動かずにいた。先に動いた者が先制を取られる状況。

最初に動くのはどっちだ・・・・・・・・?

 

「・・・・・・・・・・っ」

 

アーキタイプがライフルの引き金を引こうとした次の瞬間――――――――――――

 

「な・・・・・・・・っ!?」

 

ルナリベリオンが、一直線に走っていった。そして、新月を下から振り下ろした――――――――――!!

 

「ッ―――――!」

 

間一髪、斬撃を避け、後ろへ4歩下がった。そして、ホルスターからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填した。

 

<<ソードイン>>

 

足元にノイズが発生し、ヒラタクワガタの角を模した中型の(スタッグツインセイバー)が現れ、左右両手に持つ。

 

「ハァ―――――!!」

 

ルナリベリオンの方に走り出し、スタッグツインセイバーを振るう。

 

「やるな・・・・・・・・!」

 

新月で、日本のスタッグツインセイバーを受け止め、勢いよく押し返した。

ホルダーからシステムメモリーを取り出し、新月に取り付けられているデバイスに装填した。

 

<<ストームイン>>

 

ブルームーンファルコンが現れ、両翼で大きな風を引き起こし、アーキタイプを吹き飛ばす。

 

「・・・・・・・・・・!?」

 

大きく吹き飛ばされ、アーキタイプは、地面に倒れ込んだ。

ルナリベリオンは、発生した風に乗り、飛び上がった。

 

「・・・・・いない?」

 

立ち上がったアーキタイプ。辺りを見回すと、ルナリベリオンの姿はなかった。

 

「フゥ・・・・・一先ず凌いだか」

 

遠くの方へ移動したルナリベリオン。追いかけて来ないのを確認し、現実世界へ戻ろうとした所・・・・・・・・・・

 

「アイツ・・・・・・・」

 

向かいの方を見ると、ソルリベリオンが辺りを見回していた。まるで何かを探しているかの様に。

 

「まさか・・・・・な」

 

ソルリベリオンも同様に、アーキタイプを追いかけているのではないかと思っていた。

 

 

 

 

 

「っそ・・・・・・何処に行った?」

「何してるんだ?」

 

ソルリベリオンの方へ移動するルナリベリオン。それに気づいたのか、ソルリベリオンは後ろの方を向いた。

 

「あっ、お前、こう・・・・・クワガタみたいな頭をした奴見なかったか?」

「クワガタ?あぁ、それなら見たぞ。さっきまで戦ってたからな」

 

ソルリベリオンの問いに、ルナリベリオンは素直に答えた。

 

「マジかよ?実は、ソイツにが急に現れてよ、気になって後を追ってみたんだが・・・・・・・」

「現れた?となると、俺達を襲って来た奴とは別か・・・・・・・・?」

 

ハルトと伊織が、アーキタイプに襲われたのは、丁度同じ頃。時間差があったとしても、5分前後。流石にそんな時間で同時に襲ってくるとは思えないが・・・・・・・・・・・・

 

「つまり、アレは数体いると思った方がいいのか・・・・・・・」

 

ルナリベリオンが考えていると――――――――――――

 

「なっ、こんな時に現れやがったか!」

 

2人の背後から、ラクーンケトルと、ビーワスプと同族と思われる爪の様な手の針が特徴の、クマバチ型のクリーチャー(ビーベア)が飛び掛かってきた。

ラクーンケトルの目は、血に染まったかの様に、真っ赤であった。

 

「こうなった以上、倒すしかないな」

 

2人は、ホルダーからユニゾンカードを取り出し、取り付けてったデバイスを取り外し、カードを翳した。

 

<<ユニゾン―――――!>>

 

ソルリベリオンとルナリベリオンは、ユニゾンモードへと変化した。

一気にケリを付ける為、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、ソルリベリオンは、ライオネルコアの中に、ルナリベリオンは、ビーヴェスの中に、システムメモリーを装填した。

 

<<フィニッシュイン―――――>>

 

ソルリベリオンは走り出しその姿は、紅蓮の炎を身に纏い、翼の様に左右3本生えているライガーデュランダルが装備された、ハーバーリライオン型のクリーチャー(シャイニングレグルス)へと変化し、ルナリベリオンはルナティックサンダーバードへと変化した。

 

ビーベアの方へ走りだしたシャイニングレグルスは、左右のライガーデュランダルを展開し、炎の翼の様な形を形成する。口からマグマの様な丸い火球を吐き、ビーベアの周りをマグマで囲み、動きを封じた。

そこから、上空へ飛び上がり、隕石が降る様に、急降下し、必殺技(ブレイジングヴァース)が発動する―――――――!

 

ラクーンケトルの上に飛び上がって、周囲に青白いスパークで覆い、翼を大きく羽搏き、カマイタチを発生させ、ラクーンケトルの全身を切り裂く。そこから雷を発生させ、回転しながら突撃し必殺技(ライジングテンペスト)が炸裂する――――――!

 

必殺技直撃した2体のクリーチャーは爆散した――――――――――

 

元の姿に戻った2人は、爆散から発生した炎を見つめながら、現実世界へ戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方―――――――――――――――――――――――――

 

「フゥ・・・・・・・手間が掛かっちまったな」

 

鎖で縛られ、身動きの取れなくなった我怨が、檻から抜け出していた。

近くに掛かっていた、赤いジャケットを取り、それを着た。

 

「おっと・・・・・あった、あった」

 

何かが厳重に保管されていそうな箱を破壊し、その中から、アルカナデバイスを取り出した。

 

「さて・・・・・・どう、倍返ししてやろうか」

 

見張っていた男達の姿は見当たらない、一体何処へ行ったのだろうか?そして何故、我怨は自由になれたのか・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したメカニック紹介】


アーキタイプ=クローバー

【全長】210㎝

【体重】90キロ

【総合ランク】A

志向英雄がリベリオンを元にして作った、模造リベリオン。
全身がモスグリーン色で、クワガタの顎の形を思わせ、パイプでマスクが繋がれているのが特徴な頭部に、眼は単眼(モノアイ)となっており、胸には三つ葉のクローバーのマークが刻まれており、四角い肩、鋭いひし形の膝アーマー、カンガルーの様に柔軟そうな足、背中にはジェットエンジンが搭載されている。
様々なリベリオンのデータを解析して作られている為、非情にスペックが高い。

【ショットイン】シザーライフル ランクA+
ミヤマクワガタの角を模したアサルトライフル。
射程距離は5キロ先まで狙撃可能。最大4体のリベリオンを貫通できる。

【ソードイン】スタッグツインセイバー ランクB+
ヒラタクワガタの角を模した中型の2本の剣。
2本を連結し、相手を挟み込む事が出来る。剣先には高熱を放っている。

ソルリベリオンユニゾンモード

【フィニッシュイン】ブレイジングヴァース ランクX+
左右のライガーデュランダルを展開し、炎の翼の様な形を形成する。口からマグマの様な丸い火球を吐き、敵の周りをマグマで囲み、動きを封じ、そこから上空へ飛び上がり、隕石が降る様に、相手に急降下、突撃する。

リベリオンを元にして作られた、模造リベリオン、アーキタイプ。
それを作り、サイバープログラムを消滅させようと企てる英雄。今回は2体登場しましたが、もう1体の方の詳細は後日。

遂に、ソルリベリオンユニゾンモードのフィニッシュインも見せる事が出来ました!
どこぞのライオン種じゃないですよ(笑)

次回もアーキタイプの脅威が襲い掛かる――――――
そして何故、我怨は抜け出す事が出来たのか?お楽しみに!

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第36話「私の意のままに」

ここで一本CM

ドリブルに励む男の子にハルト達が励ましのエールを送る。

ハルト「頑張れば、きっと出来る」

伊織「何事も、諦めない事が大切なんだ」

半蔵「努力は君の明日に繋がる」

諦めかけた男の子、立ち上がって、ドリブルを続ける。

ハルト「それじゃ、君もコレで・・・・・・」

3人「元気ハツラツ―――――!!」

ここで3人はリベリオンに変身。

ソルリベリオン「ビタミンC!!」

ルナリベリオン「ビタミンBも!」

チャリオットリベリオン「着色料、保存料0!」

3人「元気ハツラツ、オロナミンC!!」


「中々の順調でしたよ、黒葉君。この調子で次も頼みますよ」

「えぇ、一刻も早く、サイバープログラムを・・・・・・・・・」

 

志向正義(しこうまさき)の父、志向英雄(しこうひでお)は、黒葉三津也(くろばみつや)という、天然パーマに、黒いカッターシャツを着た男と話していた。三津也の手には、アーキタイプが使っている、デバイス(フィジカルデバイス)を手にしていた。

つまりは、彼がアーキタイプ=クローバーの使用者であるのだろう。

 

「では、次のプランが決まるまでは、うかつな行動をしない様に」

「分かりました」

 

三津也は、その場を去った。そこへ、正儀がやってきて、英雄に声を掛ける。

 

「あの人が、アーキタイプの使用者?」

「あぁ、彼はクリーチャーに恋人を奪われたそうだ、これ以上、彼の様な人達を増やさない為にも、サイバープログラムを消滅させなばならん、分かるな?」

「うん、もちろんだよ、父さん」

 

三津也は少し前に、付き合っていた彼女を、突然クリーチャーによって命を奪われていた。

目の前で起こった事を誰にも信じてもらえず、絶望していた彼の前に現れたのが、英雄だった。フィジカルデバイスを受け取り、アーキタイプの使用者となって、英雄の計画の協力者となっていた。

 

「さて・・・・・・他のみんなも、試運転を終わらせている所だが・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん、新手の奴、って所かしらね」

 

街中を歩いていた八久慈玲(はちくじあきら)。目の前のテレビに映る、アーキタイプに気づき、テレビの方を振り向いた。

今回現れたアーキタイプは、胸のハートマークが特徴的で、全体のカラーがピンク色。

 

「丁度いい、クリーチャーや、生身の人間以外にも通用するのか、試してみますか」

 

玲は人混みの中、アルカナデバイスを取り出し、テレビの前に突きつける様に翳すと、左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン」

 

デバイスを顔の方に近づけ、頬で弾いて右の方に振り、ウィンクをしながら、アタッチメントにデバイスを取り付けると、エメラルド色の全身に、肩、腕、肘には蜂の様な黄色と黒のライン。エメラルドゴキブリバチの様な形の頭部、スズメバチの尻尾の様な肩、ハチの巣の様なスカートが特徴的なリベリオン(ハイプリエステスリベリオン)に変身し、テレビの中に入り込み、サイバープログラムへ移動した。

 

「さぁ~て、お手並み拝見って所ね」

 

アーキタイプ(アーキタイプ=ハート)はホルスターからシステムメモリーを取り出し、左腕に取り付けてあるデバイスに装填する。

 

<<ソードイン>>

 

ノイズが発生し、その中からピンク色のスタッグツインセイバーが中から出てきて、それを両手に持つ。

 

「フッ―――――」

 

アーキタイプ=ハートはハイプリエステスの方に向かい、スタッグツインセイバーを振り下ろす。

一歩後ろに下がりつつ、左手のハチの尻尾の形をしたグローブの様な武器(洗礼針ブロスティング)を前に展開し、アーキタイプ=ハートの胸に突き刺す様にして、前に出す。

 

「へぇ、面白いじゃないの!」

 

回し蹴りをしながら、ブロスティングに内蔵されてあるデバイスに、システムメモリーを装填する。

 

<<ショットイン>>

 

空からビーメイヴの尻尾である、ハチの巣の形をした武器(ハニーダーンズ)が降って来て、右手に掴み、トリガーを引くと同時に、小型の蜂が飛び出し、アーキタイプ=ハートを覆うようにして襲いかかる。

 

「ぐっ、こしゃくな――――――」

 

スタッグツインセイバーで振り払おうとするが、払えば払うほど襲いかかる強さは増し、腕全体が覆われ、スタッグツインセイバーを落としてしまう。

 

「さて・・・・コイツを試してみるとしますか」

「いっ・・・・・一体、何を!?」

 

ゆっくりと歩いて近づいてくるハイプリエステス。アーキタイプ=ハートは、後ろに下がろうにも、足も覆われ、身動きが完全に取れない状況。

身体がぶつかりそうな距離まで近づいたハイプリエステスは、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填した。

 

<<マインドイン>>

 

ブロスティングの針の色がエメラルド色に変わったと同時に、アーキタイプ=ハートの腹部に突き刺した。

 

「ッ!あ・・・・・・あぁ―――――あああああああああ!!」

 

腹部から紫色の欠陥が浮かびだし、悲鳴を上げ、急激に苦しみだした。顔を上に上げると、モノアイが赤く染まり、血涙の如くオイルが漏れだす。

身体が揺れたと同時に、顔を下に下げ、無気力になったかの様に、動かなくなった。

 

「さて、私の声が聞こえるかしら?」

「・・・・・・・ハイ」

 

ハイプリエステスが声を掛けると、アーキタイプ=ハートが顔を上に上げ、反応する。

 

「成功・・・・・ね。それじゃ、私の質問に答えて」

「かしこまりました」

 

アーキタイプ=ハートは、ハイプリエステスに洗脳され、意のままに操られる人形と化してしまった。

 

「じゃぁ、最初の質問、アンタはリベリオンなの?」

「いいえ、アーキタイプは、リベリオンを元に作られた模造品です」

「なるほど、じゃぁその違いは?」

「大した違いはありません。ただ1つ言うのなら、リベリオン同士の戦いにおいて設けられているルールの対象外、つまりルール違反を起こしても、ペナルティとはなりません」

「それはズルい仕組みね、じゃぁ3つ目の質問、活動時間は?」

「45分です」

 

ハイプリエステスの質問に答えるアーキタイプ=ハート。

模造品であるアーキタイプは、リベリオン同士の戦いのルールの対象外である事。活動時間は従来のリベリオンより短い45分である事が分かった。

そして、ハイプリエステスは核心的な質問をする。

 

「で、その模造品を使って、何をしようとしているのかしら」

「サイバープログラムを消滅させる事・・・・・・・です。どうやらこの空間を維持しているコアがあるとか、それを破壊すればサイバープログラムは消滅すると、志向英雄が言っていました」

「ふ~ん、それは困ったものね。そんな事されたら、たまったもんじゃないわ」

 

サイバープログラムを消滅される事、それはこの戦いが強制的に終わり、誰の願いも叶わなくなる。それは誰あろうが避けたい事だ。

腕を組みながら、策を練るハイプリエステス。ニヤリと笑い、アーキタイプ=ハートの肩を叩いた。

 

「じゃぁアンタには、そいつらを監視してもらいましょうか」

「了解しました」

「話も決まった事だし、外へ出ましょうか」

 

アーキタイプ=ハートの腰に手を当てながら、ハイプリエステスは、近くのテレビから、現実世界へ戻っていった。

 

「せっかくだし、貴方の名前を聞いておくとしますか」

愛芭麻衣(あいばまい)です」

 

アーキタイプ=ハートの使用者の名前を聞く、玲。彼女の名前は愛芭麻衣。桃色の短いツインテールに、桃色のコートの20歳ぐらいの女性であった。

 

「じゃぁ、何かあったら、連絡してね」

「ハイ、分かりました」

 

そのまま玲は、その場を去っていった。

麻衣の目は、血に染まったかのように赤くなっていた。マインドインはリベリオンもとい、アーキタイプにも通用する事が分かった。

 

「これは、面白い事になりそうね」

 

不敵に笑いながら、玲は歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ」

「何だ?」

 

ご飯を食べ終え、食器を洗っている伊織。その後ろからアリアが声を掛けて来た。

 

「あの時襲って来たのって、何だったの?」

「さぁな、俺にも分からん」

 

アーキタイプについては、伊織も分からないまま。ただ、今後の戦いの障害になる事には変わりはない。

早く対策を練りたい所だが・・・・・・・・・・

 

「そっか、また・・・・・襲ってくるのかな?」

「そりゃ、戦いが続く限りな」

「だよね、でも・・・・・・リベリオンと違うってなると、一体・・・・・・・・」

 

確かに、この戦いは22人での戦い。別の奴を導入すると、人数が増える事になる。それは他の使用者も願い下げな事。

となると・・・・・・・・・何かを企んでる奴が導入したと思った方が妥当だろう。

 

「まぁ、邪魔をする奴に変わりない」

「やっぱり、妹さんの為?」

「あぁ、そうだ。その為に俺はこれまで戦い続けてきたんだ――――――」

「妹さんが大事なのは分かるよ、じゃぁ、何で私の事庇ったの?」

 

自分でも分からなかった。何故、あの時伊織は、アリアを庇ったのだろうか?

最後まで勝ち残り、由奈を救う為に、そう覚悟を決めていた。タイムリミットも迫りつつある。自分のやった事を理解できなかった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

伊織は答える事が出来なかった。下を向く伊織の手を、アリアは握った。

 

「震えてるよ、そりゃ怖いもんね。私だって怖いよ・・・・・・」

「るせぇ・・・・・・・」

「敵同士かもしれないけどさ、私でよかったら、力になってあげられるかも」

 

伊織の手を、自分の胸に当てるアリア。次第に伊織の手の震えは止まっていた。

 

「お前・・・・・・・・・」

「なんて、アンタからしたらバカみたいな事だよね」

 

伊織の手を離し、手を頭の後ろで押さえながら笑うアリア。そんな彼女を見て、伊織は鼻で笑っていた。

 

「ふっ、変な奴だな。何時かは倒されるかもしれないのに」

「だからこそ、かもね。アタシさ、死ぬときぐらい、笑っていたいから」

 

エプロンを外す伊織。ソファに座り、天井を見上げる。

 

(だけど・・・・・・・時間はないんだ)

 

タイムリミットは12月31日。その先に待っているものとは――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ、そんな奴が」

「そうなんだよ。しっかし一体何者だったんだ・・・・・・・」

 

ハルトは半蔵に、アーキタイプに襲われかけた事を話していた。

 

「リベリオンとは違った奴・・・・・・・となると」

 

半蔵は察しが付いていた。アーキタイプの事に。

リベリオンを素に作るとなると、まず、リベリオンが必要になる。開発したのは誰かは置いといて、資金提供者がいると考える。その提供者はただ1人・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ハルト君、エンペラーにはますます気を付けた方がいいね」

「アイツが?あぁ・・・・・確かに」

 

エンペラーリベリオン=皇圭(すめらぎけい)は、アーキタイプを味方に付け、戦力を拡大しつつある。

ますます、戦いは過激になるだろう。

 

「全く、面倒くさい事ばかり続いてくるね、この戦いは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、9月14日。時刻は12時。

昼休みが始まり、売店へ向かうハルト。立ち上がった所を、彩が彼の裾を引っ張る。

 

「ねぇ、ハルト」

「ん?・・・・・・・・あっ」

 

恐らく、昨日の事だと思われる。奇襲から助けようとしたとはいえ、彼女を押し倒してしまったのだから。挙句の果て、そのまま放っておいて、アーキタイプを追いかけたのだから。

 

「あ~その・・・・・昨日は悪かったな」

「あっ、いや・・・・・別に気にしてないから、大丈夫・・・・・・大丈夫」

 

どうみても、大丈夫とは思えない、ぎこちなさであった。

ハルトも、申し訳なく思っているのか、顔を横に向けている。

 

「本当、あんまり気にしないで!」

「あっ・・・・・あぁ、そっ、そうだな」

 

とりあえず、話は終わったのか、2人は売店へ向かった。

 

「うひ~こりゃ、食堂の方が良さそうだな」

「だね」

 

出遅れたのか、売店の方は生徒でいっぱいであった。右側の食堂は相当、空いていた。

この学校の売店は、学生にとって、中々安く、美味しいパンや、おかずが揃っている。逆に食堂を頻繁に使う生徒の方が少ないくらいだ。

 

「そう考えると、初めて使うかもな、食堂って」

「私は、友達と数回使ったかな」

 

食券機を見て、何を食べるか選ぶ2人。

 

「う~ん・・・・・無難にコレだな」

 

ハルトが選んだのは、かき揚げうどん。このメニューは、週1でしか用意されていない。しかし、値段は600円とそこそこ高い。その分、量は多い方なのだが。

 

「じゃぁ、私はコレにしよ」

 

彩が選んだのは、A定食。ご飯に、生姜焼き、シーフードサラダ、すまし汁、ヨーグルト。かなりバランスの取れた配分だ。

食券を食堂のおばちゃんに渡し、ハルトはかき揚げうどんを、彩はAランチを受け取り、席へ移動する。

そこには見慣れた男の姿があった。三日月伊織だ。そしてその隣には・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「おい、アンタ・・・・・」

「やぁ、また会ったね」

 

アリアが隣に座って、Aランチを食べていた。その向かいに座る2人(ハルトと彩)。座った途端、ハルトは、伊織の耳元で声を掛ける。

 

「なぁ、コレ一体どういう事なんだよ?」

「俺に聞くな。何故か来てやがったんだ」

 

伊織の話によると、授業中、窓を見ていると、校門の前にアリアが立っていた。昼休みが始まった途端に、校門前に向かい、アリアが何故来たのかを尋ねた。

 

「お前、一体何で来た!?」

「だって、暇だからさ、ついね」

 

軽いノリで来たアリア。呆れた香の様にため息をし、やむおえず、昼だけ食べさせて帰らせようとする感じであった。

 

「ウチの生徒じゃないよ・・・・・ね?」

 

突然の訪問者に、彩は驚きを隠せなかった。

 

「うん、そうだよ」

 

アリアは、あっさり答える。理由を聞く間もなく、ご飯を食べ終え、伊織と共に食器を片付け、歩いていった。

 

「ねぇ?何がどうなってんの?」

「さぁ?俺に聞かないでくれ・・・・・・・・」

 

ハルトも状況が理解できず、頭を押さえていた。

 

「ほら、ここなら誰にもバレない。さっさと帰れ」

 

伊織が連れて来たのは、体育館裏。壁が聳えており、登って帰れとは言わないだろうが・・・・・・・・・・・

 

「あぁ~そゆこと」

 

伊織が、ポケットからスマートフォンを取り出した。つまりは、リベリオンに変身し、サイバープログラムを介して、学校を出ろとの事だ。

 

「そうだ。ホラ、さっさとしろ」

「ハイハイ、焦らさんなって」

 

アリアは、アルカナデバイスを取り出し、伊織のスマホに、突きつける様に翳すと、右二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオンっと」

 

デバイスをアタッチメントに取り付け、エンプレスリベリオンに変身し、伊織のスマホの中に入り込んだ。

 

「フゥ・・・・・・・これで面倒事は済んだ」

 

アリアが帰ったのを確認すると、伊織はその場を後にし、校舎へと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから放課後――――――――――

 

「ふぁ~疲れた」

 

学校を終え、家に帰る途中のハルト。突然と頭の中にサイバープログラムの中のビジョンが浮かびだす。

 

「クリーチャーか!」

 

急いで走り出すハルト。向かった先は、ショッピングモールのATM。画面にデバイスを翳し、アタッチメントが左二の腕に取り付けられる。

 

「セットオン!」

 

デバイスをアタッチメントに取り付け、ソルリベリオンに変身し、サイバープログラムへ移動する。

 

「アイツは・・・・・・」

 

ソルリベリオンの目の前に現れたのは、胸がスペードの形をしたアーキタイプ(アーキタイプ=スペード)だ。

警戒しながら、ファイティングポーズを取るソルリベリオン。

アーキタイプ=スペードは、ホルスターからシステムメモリーを取り出し、左腕に取り付けてあるデバイスに装填する。

 

<<ソードイン>>

 

ノイズの中から、スタッグツインセイバーが現れ、両手に持ち、ソルリベリオンの方へ近づいてくる。

 

「やるしかないのか・・・・・・・・」

 

<<ソードイン>>

 

ソルリベリオンも、レオンハートソードを装備し、アーキタイプ=スペードの様子を窺う。

 

「ハァ―――――!」

 

ソルリベリオンの頭上を飛び、空中から、スタッグツインセイバーを振り下ろした――――――――――

 

「うぁっ!?」

 

間一髪、レオンハートソードで防御するソルリベリオン。振り払う様にして右に回避し、手の甲でアーキタイプ=スペードの鳩尾を打とうとする。

 

「・・・・・・・・・!」

 

その手を掴んだアーキタイプ=スペード。手を引っ張り、ソルリベリオンの腹部に、ニーキックをお見舞いする。

 

「グぁ―――――っ」

 

腹を押さえ、ソルリベリオンは膝から倒れ込む。その隙を突き、スタッグツインセイバーを振るい、切り裂いていく。

 

「このやろ―――――っ!」

 

斬撃を喰らったソルリベリオンは、後ろへ吹き飛ばされる。

立ち上がって、アーキタイプ=スペードの方へ走り、右ストレートをお見舞いさせようとする。

 

「っ―――――」

 

その右ストレートは、左手で掴まれてしまい、そのまま胸倉を掴まれ、背負い投げをされた。

 

「グハ―――――っ!」

 

地面に倒れ込んだソルリベリオン。スタッグツインセイバーを振り下ろされるが、何とか身体を回転して避けた。

 

「この野郎・・・・・・・・!!」

 

<<フレイムイン>>

 

ソルリベリオンの周りから炎が発生させた。炎を警戒し、アーキタイプ=スペードは後ろに下がった。

 

「ウオオオオオ―――――っ!」

 

炎を身に纏い、アーキタイプ=スペードに突撃しようとするが――――――――――

 

「うぉっ、何だ!?」

 

上空から、カブトムシ型のクリーチャー(ジャスティンビートル)が飛んできて、ソルリベリオンを角で弾いた。

見事に着地し、次の策を練ろうと、ホルダーに手を伸ばす。

 

「時間切れか・・・・・・・・・」

 

アーキタイプ=スペードは、自分の右手を見た。時間切れの合図である、ノイズが蒸発する様に発生した。

ジャスティンビートルの上に乗り、アーキタイプ=スペードはその場を去っていった。

 

「そういや、あのクリーチャーって確か・・・・・・・・・・・」

 

ジャスティンビートルが、ジャスティスリベリオン=志向正儀の契約クリーチャーである事を思いだした。

 

 

 

 

 

 

 

現実世界へ戻ったハルト。目の前で待っていたのは、正儀であった。

 

「お前・・・・・一体、何のつもりだ!?」

「あぁ、アーキタイプと戦ったようだね?」

「アーキタイプ?アイツの名前か?」

「そうだよ、僕達は正義を真っ当する。サイバープログラムを消滅させる為に」

 

正儀の言った一言に、ハルトは目を丸くしながら聴いていた。

 

「サイバープログラムを消滅させるって・・・・・・そんな事出来るのか!?」

「うん、父さんの理論が正しければね」

「もしそれが可能なら・・・・・・・・・」

 

ハルトは、正義達に協力してもいいと考えていた。だが正儀は、正義の為なら、人を容赦なく殺す。そんな相手に協力していいのか?それが正しい答えなのかを。

 

「もしかしたら・・・・・・君とは協力できるかもしれない。少し考えて欲しいな」

 

そう言い残し、正義はその場を去っていった。

 

もしそれが本当なら・・・・・・・・こんな戦い、確実に終わらせられる・・・・・・・

でも本当にアイツらに協力していいのだろうか?それに・・・・・・俺は、どうすればいいんだ?

 

夕日に染まっていく空を見上げるハルト。正しければ、それは許されるのか?

最大の選択が、ハルトに迫られていく・・・・・・・・・

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン紹介】

ハイプリエステスリベリオン

【全長】190㎝

【体重】85キロ

【総合ランク】B+

【常設武器】洗礼針ブロスティング

八久慈玲が変身するリベリオン。タロットカードの【THE HIGH PRIESTESS】の名を持つ。
エメラルド色の全身に、肩、腕、肘には蜂の様な黄色と黒のライン。エメラルドゴキブリバチの様な形の頭部、スズメバチの尻尾の様な肩、ハチの巣の様なスカートが特徴的。

【ショットイン】ハニーダーンズ ランクD+
ビーメイヴの尻尾を模した武器。中から、無数の小さい蜂が内蔵されており、相手に纏わりつき、動きを封じる。

【マインドイン】スピリットコントロール ランク無し
相手を洗脳する能力。自身のランクが高ければ、クリーチャー、リベリオンをも操る事が出来る。


アーキタイプ=ハート

【総合ランク】A+

愛芭麻衣が変身する模造リベリオン。
全身のカラーがピンクで、胸部のハートマークが特徴。それ以外は共通。
使用するシステムメモリーも共通。

アーキタイプ=スペード

【総合ランク】A+
全身のカラーは青で、胸部のスペードマークが特徴。


ハルトに問われた選択。正儀達と協力して、サイバープログラムを消滅させるか。
それは同時に、伊織や半蔵、多くの使用者を完全に敵に回す事になる。
果たしてハルトが出す答えは・・・・・・・・・・・

その答えは・・・・・・・・・いずれ!

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第37話「帰って来た愚者」

9月20日、時刻は17時丁度・・・・・・・・・・・・・・

 

「志向英雄、なるほど、そういう事か」

 

国枝半蔵(くにえだはんぞう)は、志向正儀(しこうまさき)である事を、ハルトに教えられ、独自に調べていた。

そして、正儀の父親である、志向英雄(しこうひでお)の事を知った雄は、自立型現場作業用マシンの開発を行っていた技術者。その技術を、アーキタイプの開発に利用したのであれば、辻褄が合う。

 

「ってワケだよ」

 

とある工場で、半蔵、ハルト、伊織、アリアが話しを行っていた。皇圭(すめらぎけい)、志向正儀、そしてアーキタイプの対策を考えていた。

 

「ほぉ、それはあのリベリオンもどきを作れるもんだな」

「なんだろ・・・・・こんな事に利用されてるって・・・・・怖いな」

 

アリアは、リベリオン同士の戦いが予想を遥かに超える状況に少しながら、恐怖を感じていた。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

ハルトは顔を俯きながら考えていた。以前、正儀にサイバープログラムを消滅させる為に行動していると知った。

それが可能なら、ハルトも本望、だが正儀は自分の正しいと思う事との為なら、平気で人の命を奪う。そんな奴と手を組んでいいのかと悩んでいた。

 

「どうした?何時もなら、そんな事許さないとかほざくだろうに」

「あっ・・・・・いや、アイツら、サイバープログラムを消滅させる為に行動しているんだってさ」

 

ハルトは、伊織達に正樹達が戦っている理由を話した。それを聞いた伊織は呆れる様にして息を吐いた。

 

「んで、お前はソイツらと協力するって事でいいのか?」

「誰がそんな事言ったよ!俺は・・・・・・・」

 

何が正解なのか?ハルトに取ってそれが正しい事なのか?未だに分からないでいた。

 

「それは残念だ・・・・・これで僕達の協力も・・・・・」

 

半蔵も残念そうな顔をしながら、ハルトを見ていた。

 

「だ~か~ら~」

 

ハルトはまだ答えを出していないと言い張った。するとそこへ・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ほぉ~面白い事をやっているじゃぁ、ないか」

 

ハルトの後ろに、黒崎我怨(くろさきがおん)がいた。突然現れた事に、一同は驚いていた。

 

「へぇ~まだ生きていたんだ。姿見せなかったから脱落したかと思ったよ」

「お前・・・・・確か警察に!?」

 

ハルトは、我怨が警察に捉えられるのを目にしていた。それがいとも簡単に抜け出してきた事に驚いていた。

だが、彼は知らない。我怨は、ハイプリエステス=八久慈玲(はちくじあきら)に操られていた男達に捉えられていた事に。

 

「まぁ・・・・・・トリックだよ」

 

細かい説明はしなかった。空いていたダンボールに座り、半蔵達の話に、半ば強引に参加した。

 

「やれやれ・・・・・・まぁ、とにかく奴らがいる限り面倒な事に変わりはない」

「それで、お前が敵になるかどうかだ」

「っく・・・・だから俺は―――――」

 

ハルトが正儀達に付くか、それ次第で伊織達の行動は変わる。

 

「なら、コイツが奴らと組むと思う奴はいるか?」

 

ハルト以外の3人に敵になるのかどうかを、伊織は尋ねた。

 

「まぁ・・・・なくはないかな」

「だな」

 

伊織と半蔵は手を挙げた。一方で、アリアは手を挙げる事はなかった。

 

「アタシは・・・・・・・なんとも言えないかな」

 

その一方で我怨は・・・・・・・・・・

 

「ハァ・・・・・」

 

手を挙げていなかった。我怨の方を見て、ハルトは喜びそうな表情をしていた。

 

「黒崎・・・・・・・・・」

「バカバカしい、知るかそんなの」

「ハァ・・・・・じゃぁ、コイツは圧倒的バカか?」

 

その問いに対し、一同は・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「文句なしだね」

「よくは分からないけど・・・・・それは間違いじゃないかも」

 

そして、黒崎も・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・」

 

手を挙げていた。ハルトはショックを受けたのか、膝から崩れ落ちた。

 

「とにかく、お前なら話に乗りそうって事だ」

「・・・・・・・・・・・」

 

ハルトは何も言い返せなかった。静かに1人、その場を去っていった。

 

「俺は、面白くなれば、それでいいがなぁ」

 

我怨も立ち上がり、その場を去っていった。

 

「さて・・・・・・どうなる事やら」

 

椅子に座りながら、半蔵は腕を組んで考えていた。この戦いの行く末を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、3日後――――――――――

 

「ほぅ、ではそこに行けば、彼らを一気に仕留める事が出来ると?」

「はい、情報が正しければ、そこを拠点にしているそうです」

 

とある工場にて、愛芭麻衣(あいばまい)が仕入れた情報を、英雄、正儀、黒葉三津也(くろばみつや)が話を聞いていた。

だが、彼らは知らない、麻衣がハイプリエステスリベリオンの使用者、八久慈玲に操られている事を。

 

「なるほど・・・・・一気に仕留めるのにはいい機会だ」

「僕達の正義で・・・・・アイツらを倒す。もしかしたら、もう1人仲間が増えるかも・・・・・・・」

 

正儀の言う仲間になりそうな1人、それはハルトの事だ。彼の性格からして、ハルトが仲間になりうる人材だと思っている。

 

「まぁ、私達に協力してくれるなら・・・・・だがな」

「まさか、他の使用者と手を組もうとしてるんじゃ、ないでしょうね?奴らはクズの集まりだ!そんな奴と協力するなんて」

 

三津也は、反対だった。リベリオン使用者は己の願いの為に戦う、自分勝手な存在だと思っている。そんな使用者達と手を組む事自体、好まないが・・・・・・・・

 

「三津也君、可能性を潰すのは良くない、もう少し慎重に考えねば」

 

わずかな可能性だが、英雄は、それに掛けてみるのも悪くないと思っていた。

 

「では、行くとしましょう」

 

英雄達は、麻衣が教えた場所へと向かった――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッ・・・・・・来たわね。随分、簡単に来た者ね」

 

古びた廃校、教室の席に座りながら窓を見る玲。校庭を見て見ると、正義達が歩いてくる姿を発見し、立ち上がった。

 

「アレは・・・・・・どうやら、気付いた様ですね」

 

正義達は、それぞれのデバイスを手に取り、それぞれ取り付けられたアタッチメントに装着する。

 

「セットオン―――――」

 

正儀はジャスティスリベリオンに、麻衣はアーキタイプ=ハートに、三津也はアーキタイプ=クローバーに、そして英雄はアーキタイプ=ジョーカーへ変身した。

ジョーカーの違いは、全身が黒に近い、紺色で、胸にJの形が刻まれている。

 

「さて・・・・・行きますか」

 

既に変身していたハイプリエステス、ジャスティス、3機のアーキタイプは、それぞれ用意していたタブレットの中に入り込み、サイバープログラムへ移動した。

 

「初めまして、相手出来るなんて、嬉しいわ」

「御託はいい、我々の計画の為、君には、消えてもらおうか」

 

まず最初に動いたのは、ハイプリエステス。ブロスティングの中にあるデバイスにシステムメモリーを装填する。

 

<<ショットイン>>

 

ハニーダーンズが召喚され、手に取った。ジャスティス達の方へ向かい、短距離での射撃を行う。

 

「ッ・・・・・侮れねぇ」

 

隙を突いて攻撃を試みようとするアーキタイプ=クローバーだが、足元に射撃されている為、中々行動できない。

 

「心配なさらないでください。策は練ってあります」

 

アーキタイプ=ジョーカーが首を振ったと同時に、一同は散開し、ハイプリエステスから距離を取る。

 

「へぇ・・・・・数ならではの戦いって事ね。でも――――――」

 

ハイプリエステスは、ジャスティスの方に向かって、ハニーダーンズから、小型の蜂を発射した。

 

「随分厄介だね・・・・・・・・・」

「さ~て、まずはそっちから――――――っ!?」

 

ジャスティスの方へ走り出す、ハイプリエステス。その足元に何かが直撃した。

 

「相手はここにいる者だけとは、限りませんよ」

「へぇ・・・・上ね」

 

ハイプリエステスが後者の方を見ると、窓から、アーキタイプ=スペードがシザーライフルを構えて、待機していた。

別の場所で変身しており、様子を窺っていたのだ。

 

「このまま一気に攻め込みますよ―――――」

 

アーキタイプ=ジョーカーの合図と共に、全員が一気に、ハイプリエステスの方に接近し攻め込もうとする、が――――――――――!

 

「何っ!?」

「どっ・・・・・どういう事だ!」

「フフっ・・・・・・狙い通り」

 

全員が集まった所を、アーキタイプ=ハートが、スタッグツインセイバーで斬り付けた――――――

 

「麻衣君・・・・・一体、何のつもりですか?」

「命令よ、上にいる奴も、こっちに引きずり下ろしなさい」

「承知いたしました」

 

ハイプリエステスの指示に従い、アーキタイプ=ハートは、校内へ入り込み、アーキタイプ=スペードがいる教室へ侵入した。

 

「何――――――っ!?」

「フっ―――――」

 

一気に走り出し、アーキタイプ=スペードの腹部に、蹴りを喰らわせ、校庭の方へ、叩き落とした。

 

「さぁて、一気に叩き潰すとしますか」

「はい・・・・・・」

 

ハイプリエステスが手を挙げたと同時に、ビーワスプ、ビーアーミーと、蜂型クリーチャーが20体程現れた。

 

「アイツ・・・・・・裏切りやがったのか!」

「まさか・・・・奴に操られている、と言う所ですか」

 

アーキタイプ=ジョーカーは、アーキタイプ=ハートが操られているという事を察した。

 

「・・・・・・・・・・・・」

「あの野郎・・・・・・」

 

怒りに身を任せたアーキタイプ=クローバーは、アーキタイプ=ハートに近づき、スタッグツインセイバーを振り下ろす。

 

「・・・・・・・・」

「クッソ―――――」

 

しかし、アーキタイプ=ハートのスタッグツインセイバーで防がれてしまい、右足を引っかけられ、転んでしまう。

 

「一筋縄ではいかないようですね・・・・・・・」

「えぇ、やはり彼が手配した使用者候補ではありますね」

 

アーキタイプ=ハート事、愛芭麻衣は、皇圭が紹介した使用者候補であり、元々、SPとして勤めており、戦闘能力は他のアーキタイプと比べて高い。

そんな彼女が、ハイプリエステスに操られてしまい、非情に厄介な状況だ。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

ビーワスプ達を薙ぎ払いながら、ハイプリエステスの方を見るジャスティス。何かを考えている様だが・・・・・・・・・・

 

「さぁて、止めを刺してちょうだい」

「かしこまりました・・・・・・・」

 

アーキタイプ=クローバーを、一方的に追い詰め、アーキタイプ=ハートが止めを刺そうとしたその時――――――――――

 

「がは・・・・・・・・・・っ!!」

「正儀・・・・・・・」

「あの人は、裏切り者なんだよね?なら、償ってもらわないと」

 

アーキタイプ=ハートの腹部を、ジャスティスのジャスティセイバーで貫いた。持ち上げる様にして上に上げ、上空へ放り投げた。

 

<<フィニッシュイン>>

 

放り投げられたアーキタイプ=ハートの方に、ジャスティンビートルが突進し、角を使って回転しながら上空へ突き上げる。同時にジャスティスも上空へ飛び上がり、ジャスティンビートルが、振り上げたと同時に、落下していく所を、ジャスティセイヴァーで押し込むようにして回転しながら地面にねじ込み、必殺技(ビクトリークライシス)が発動する――――――――――

 

「チっ・・・・・・・案外、容赦ないのね」

「なんて事を・・・・・・・」

 

地面に叩きつけられたアーキタイプ=ハート。大きいダメージを受けたのか、全身が蒸発し始め、そのまま、ノイズとなって消滅してしまった。

 

「・・・・・・まさか、ここまでするとは・・・・・」

 

ジャスティスの行動に、アーキタイプ=スペードは驚いていた。正義の為とは言え、洗脳された仲間を容赦なく倒す事に。

 

「まぁ、いいか。数はまだこっちの方が有利だし」

 

1人減った所で、ハイプリエステスにとって、大したダメージではない。気にせず、攻撃を再開する。

 

「この野郎、よくも―――――!!」

 

アーキタイプ=クローバーは、麻衣を洗脳したハイプリエステスを許せまいと、スタッグツインセイバーを握り締め、接近する。

 

「あ~らら、参ったわね。突っ走ってばかりじゃ、倒せないっての!」

 

ブロスティングで、セイバーを弾き、そのまま後ろへ周り、アーキタイプ=クローバーの背中を蹴った。彼の目の前には、数匹のビーワスプ達が待機していた。

 

「何・・・・・・・・・!?」

 

アーキタイプ=クローバーに向かって、ビーワスプ達が迫りだそうとした、その時――――――――――!

 

<<フィニッシュイン>>

 

「ウラァ――――――――――!」

 

突然現れたバイオヘルダイルが、ビーワスプの体を顎でかみ砕く様に挟み、そこに現れたフールリベリオンの方向に投げつけ、またフールリベリオンが両足で顎でかみ砕く様に挟み、地面に引きずり、最後に蹴飛ばし必殺技(ファングラッシャーバイオレンス)が発動した――――――――――

 

「新手ですか・・・・・・・・・」

「アイツっ・・・・・・・・何でいるのよ!!あのまま、クリーチャーに食われたハズじゃ・・・・・・・」

 

フールリベリオン=黒崎我怨は、玲によって、捕まっており、身動きの取れない状態にあった。ルール通りなら、14日が過ぎ、契約クリーチャーに食べられてと思っていた・・・・・・・・・・・しかし、彼はここにいる。一体何故なのか?

 

「ハハハハハハ、簡単な事だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

遡る事、玲が去ったしばらくした後、見張りに見られながら、機嫌が過ぎるのと待っている我怨。だがしかし、彼は高らかに笑っていた。

 

「あぁ・・・・・・・もう、行ったか」

 

我怨は、何かを口から取り出すかの様に、えずいていた。

 

 

「ぶぁ・・・・・・ハァ・・・・ハァ・・・・・」

 

口の中から、何かを吐き出した。その様子を見ていた見張りの男2人が、我怨の方を向いた。

 

「フフっ・・・・・・・」

 

我怨が吐き出した物、それは、マークインのシステムメモリーであった。それに反応したのか、1人の男のスマホの画面に、ノイズが発生した。

スマホを見ていると・・・・・・・・中から、バンデッドシーミアとディスティニーラチェルタが飛び出してきた。

 

「うっ・・・・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

飛び出してきた2体のクリーチャーは、そのまま男2人を捕食した。

ディスティニーラチェルタが檻を破壊し、我怨を繋いでいた鎖を破壊した。

 

「フゥ・・・・・・ようやく自由だぜ」

 

我怨は常に、マークインを、腹の中に隠していた。能力の発動は任意の為、常時腹に仕込んでいても、クリーチャーが呼び寄せられる訳ではない。

こういう時の為に、仕込んでおいていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事だ・・・・・・・さぁて、この間の借りを返してやろうじゃねぇか」

「まぁいいわ、アンタなんか、また眠らせてやればいいんだから――――――――――!」

 

ブロスティングを突き出し、フールの元へ、ハイプリエステスは走り出した――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっハッハッハッハ―――――!!いいねぇ。この調子でどんどん潰してもらわないと」

 

屋上でその様子を見ている者がいた。エンペラーリベリオンだ。高らかに笑いながら、戦いぶりを覗いていた。

すると、背後から、銃弾が発射する音が聞こえたか、咄嗟に避け、後ろを振り向いた。

 

「高みの見物とは・・・・・・いい趣味しているね」

「何だ、君か・・・・・せっかくいい所で出てこようとしたのに」

 

後ろには、チャリオットリベリオンが立っていた。戦いを察知し、やって来たのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、戦いが始まったのか・・・・・・」

 

一方、現実世界で、校舎の近くでアルカナデバイスの裏側の画面から、ジャスティス達の戦いの様子を見ていたハルト。

自分が乱入してどうすればいいのか、答えがだせないでいた。

 

「俺は戦いを止めたい。正しければ何をやってもいいのか・・・・・・・・」

 

果たして、ハルトの出す答えとは―――――――――――――――――――――――――?

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したメカニック紹介】


アーキタイプ=ジョーカー
全長、体重、総合ランク共に、各アーキタイプと同様。

志向英雄が変身する、アーキタイプ。
違いは、全身が黒に近い、紺色で、胸にJの形が刻まれている。
英雄の優れた計算能力によって、真価を発揮される。



相変わらずの正儀の容赦のなさ、次は一体、誰が犠牲になるのか?
そして、ハルトの答えとは?


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第38話「失墜の皇帝」

「さぁ・・・・・・楽しくやろうじゃねぇか!!」

 

ダイルブレードを構え、ハイプリエステスリベリオンの方へ走り出すフールリベリオン。

ハニーダーンズを、フールの足元に向かって撃ち、動きを止めようとする。

 

「ハハハ――――――そんな鈍りで俺を止められると思うか!!」

 

放たれる弾丸を諸ともせず、進み続けるフール。一気に飛び上がり、ハイプリエステスの頭上目掛けて、ダイルブレードを振り下ろした。

 

「ちっ・・・・・・パワーはそっちの方が上の様ね」

 

ブロスティングで一撃を受け止めるが、パワー負けし、後ろに押されてしまう。

 

「なんだか分からねぇけど、お前らのせいで――――――――――!!」

 

その背後から、シザーライフルで、フールとハイプリエステスを狙い撃つアーキタイプ=クローバー。

弾丸を避けられ、フールに睨み付けられる。

 

「あぁ・・・・・・お前らもいたなぁ・・・・・お前らも、俺を楽しませてくれよ!!」

 

苛立つ様にして、ダイルブレードを振るい、アーキタイプ達を誘い出す。

 

「この野郎・・・・・・やってやろうじゃねぇか!!」

 

<<ソードイン>>

 

スタッグツインセイバーを手に取り、フールに向かって行く、アーキタイプ=クローバー。セイバーを振り下ろそうとするが、フールに素早く、鳩尾を蹴られ、吹き飛ばされてしまう。

 

「何だ、素人か?あんまりガッカリさせるなよ」

「残念ながら、素人ばかりではないのですよ」

 

背後から、スタッグツインセイバーを振り下ろし、フールを仰け反らせるアーキタイプ=ジョーカー。

すぐさま立ち上がり、フールは、システムメモリーをデバイスに装填する。

 

<<バスターイン>>

 

ホイールパンチャーを装備し、手始めに、ジャスティスに殴りかかる。

 

「っ―――――」

「こうでなくっちゃぁ、なぁ!!」

 

ブレイブホーンで攻撃を受け止め、振り払う様にして、右に移動する。

 

「正儀、アレを」

「分かった」

 

<<スタンイン>>

 

「っ―――――!?」

 

フールの身体から電流が走り、膝から崩れ落ちた。

 

「一斉攻撃です」

「ハァ――――――――――!!」

 

アーキタイプ=ジョーカー、アーキタイプ=クローバー、アーキタイプ=スペード、そしてジャスティスが、フールに向かってそれぞれの武器を一気に振り下ろす――――――――――

 

「フッ―――――」

 

そこへ、周囲を回転する様にして、バイオヘルダイルが飛び出し、攻撃を中断させた。

 

「契約クリーチャー、随分と厄介ですね」

「まっ、手慣れてるもんでね」

 

痺れが回復したのか、フールは立ち上がり、ダイルブレードをアーキタイプ=ジョーカーに振り下ろした。

その時――――――――――

 

「何だ!?」

「遅ぇよ!何やってたんだ!?」

「ゴメン、ゴメン、俺も忙しくってさ」

 

フールの方へ突撃してったのは、ジャスティンビートルと似たような形状をした、クワガタ型のクリーチャー(ガルバスタッグ)と、オレンジ色に、ひし形の形の胸部が特徴的な、アーキタイプ=ダイヤが、ジャスティス達の方へ向かってきた。

 

「アレ?もしかして、ハートさんやられてしまったのかな?」

「えぇ、残念ながら、敵に操られてしまい」

 

ジャスティスによって、アーキタイプ=ハートが倒された事実伏せておき、事情を説明した。

 

「ほぅ・・・・・お仲間が増えたか」

「あらら・・・・のけものされちゃってる?だから甘いってんの!!」

 

<<マインドイン>>

 

ジャスティスの背後に、ハイプリエステスが毒素の溜まった、ブロスティングで突き刺し、洗脳を試みるが――――――――――

 

「っと、別に忘れちゃ、いないよ。こうしておけば攻めてくるって思ったワケ」

 

その腕を、アーキタイプ=ダイヤが掴んで止めた。そこから休む間もなく、回し蹴りをした。

 

「っ・・・・・・!コイツ、只者じゃ、なさそうね」

「へへっ、悪いね。俺、結構強いんだよ」

 

ブロスティングでアーキタイプ=ダイヤを貫こうとするが、肘で受け止められ、アメリカのアクション映画の如く、壁の方に抑え込み、1本のスタッグツインセイバーで、首筋を斬り付けようとする。

 

「この・・・・・・・・・舐めるんじゃないわよ!!」

 

スタッグツインセイバーを左手で掴み、ブロスティングで腹部を突き刺そうとした時――――――――――

 

「っ――――――――――これは参ったね」

 

チャリオットリベリオンと交戦していたエンペラーリベリオンが屋上から吹き飛ばされたのか、壁の方に激突し、それを避ける様に、アーキタイプ=ダイヤは右に、ハイプリエステスは左に回避した。

 

「やれやれ・・・・・こんなにゴチャゴチャいるとは、まっ、これで一掃すればいいけどね」

 

<<フィニッシュイン>>

 

地面から、シルバアーマホースが召喚され、チャリオットフォートレスの椅子の方へ飛ぶチャリオット。ギミックガンソードを操縦桿として取り付けようとするが・・・・・・・・・・・・・・

 

「しまっ―――――!?」

「悪いけど、そんな大技出されると困っちゃうんだよね~」

 

アーキタイプ=ダイヤが投げたスタッグツインセイバーが、チャリオットに襲いかかり、体制を崩したのか、地面に落ちてしまう。

 

「対策済み・・・・・・・か」

 

チャリオットの必殺技(クリーヴ・オブ・ロード)は、チャリオットフォートレスへの移動、ギミックガンソードを操縦桿として取り付ける工程がある為、発動の際に大きな隙が生じる。その為、相手に妨害される確率が高い。

 

「へぇ・・・・・君、随分やるじゃん」

 

エンペラーはアーキタイプ=ダイヤの方へ向かい、彼の肩を叩き、戦いっぷりを称賛した。

 

「そりゃどうも、上手い話だからね。俺も本気で行かなくちゃ」

「それは何より、いいデータが取れそうだよ・・・・・・っと!」

 

話している最中に、ビーワスプが6体程襲いかかって来た。

 

「うじゃうじゃいっぱいいて・・・・・・・迷惑なんだよなぁ」

 

<<フィニッシュイン>>

 

エンペラーの契約クリーチャーである、ペングリンレクスが現れ、床に氷を張り巡らせ、ビーワスプ6体を巻き込むようにして、ぐるぐると回り出し、吹雪を発生させる。

エンペラーがペングリンレクスの背中に乗ったと同時に、吹雪の中を、スノーボードの様に滑り出し、ビーワスプを地面に叩きつけたと同時に、上空から相手に向かって突撃し、必殺技(フリージングクラッシュ)が発動する。

 

 

 

 

「チっ・・・・・・・まぁ、せっかくの可愛い働きバチちゃんが」

 

ビーワスプ達は爆散し、その残骸をペングリンレクスが捕食し始める。

 

「ほぉ・・・・・・面白れぇ、お前も俺を楽しませてくれそうだなぁ」

 

エンペラーの必殺技を見たフールは、笑いだし、エンペラーのを見て指さしした。

 

「面白い・・・・・ねぇ」

「なぁ・・・・・・大変なんだ、1人やられちまった・・・・・あの女に操られたんだが、アイツが・・・・・・・」

 

アーキタイプ=クローバーは、エンペラーに、アーキタイプ=ハートが倒されてしまった事を話した。

アーキタイプ=ハートの使用者=愛芭麻衣(あいばまい)は、皇グループのSP、優秀な人材を失い、悲しむ様に見えたが・・・・・・・・・・

 

「へぇ、で?」

「でって・・・・・・・・・仲間がやられたんだぞ!」

「関係ないね、僕にとってこれは、ほんのデモンストレーションに過ぎないんだから」

 

無情にも、知ったこっちゃない顔でエンペラーは言い返した。あまりの冷酷な言葉に、アーキタイプ=クローバーは、4歩後ろへ下がった。

 

「あっ・・・・・アンタ、何を言って・・・・・・・・」

「もしかして僕が、サイバープログラムを消滅させる為に君達に協力したと思っているのかい?」

「だって・・・・・・その為に俺達に力を与えたんじゃ――――――――――」

「別に誰でもよかったんだよね、使ってくれるなら。まぁ、どうせなら君みたいな血気盛んな奴よりマシな奴を雇いたかったけど。いいかい、僕がアーキタイプを作るのに協力した理由、それはこの戦いをもっと盛り上げる為だよ!!」

「・・・・・・・・・」

「なっ・・・・・・・・・・」

「へぇ~」

「お前・・・・・・随分いい事言うじゃねぇか」

 

一同がエンペラーの話に驚く中、フールだけは面白そうに話を聞いていた。

 

「勝てば願いが叶う、でも参加者が限られてるなんて不平等じゃないか、だから人間皆にチャンスを与えるんだよ!!アーキタイプは時期に量産される。そうすればまずは日本全体で大規模なバトルが始まる・・・・・・・・こんなに面白い事他にはない!!僕はね・・・・・・・このリベリオンバトルを盛り上げたいんだよ!!」

 

エンペラーが英雄達に力を貸した理由、それはアーキタイプを完成、量産させ、リベリオン使用者同市の戦いの規模を拡大させようとする事。

まず手始めに、日本全体に戦いのフィールドを拡大させようとしている。そして多くの人間に殺し合いをさせようと企てている。

 

「勝てば願いが叶う、観戦者もその戦いを見て盛り上がる、最高のエンターテインメントビジネスじゃないか!そしていずれは戦いの場所は世界にまで広がる。そう・・・・・・・世の中自分の欲望の為に殺し合う事になるんだよ!!アーハッハッハッハ――――――――――!!」

「この野郎・・・・・・・・そんな事の為に俺達を利用したのか!!」

 

自分がエンペラーの計画に利用されていた事に気づき、怒りが抑えられないアーキタイプ=クローバー。彼に向かって走り出そうとしたその時――――――――――

 

「っ――――――!?」

 

上空から、何かが落下してきた。落下した衝撃で、地面が少し揺れた。

 

「アイツは・・・・・・・・」

 

ジャッジメントリベリオンだ。迫るアーキタイプ=クローバーを右手で吹き飛ばし、柱に激突させる。

 

「はっ・・・・・大物出現か」

 

ペングリンレクスが口から冷気を吐き出し、迫って来るジャッジメントを凍らせようとする。が・・・・・・・・・・・・・

 

「何・・・・・・何で止まらないんだ!?」

 

凍ってもなお、歩みを止めないジャッジメント。そしてエンペラーの元へ近づき、その頭を右手で掴んだ。

 

「放せ・・・・・・・!僕は・・・・・・この戦いを盛り上げようとしてるんだぞ!!」

 

必死に抵抗するエンペラー。しかし、ジャッジメントは微動だにしない。そこへ、空の上にホログラムが発生し、モニタが映し出された。

 

『あのさぁ・・・・・・勝手な事して貰っちゃ困るんだよね・・・・・・こんなに変なの追加してさ』

 

モニタにとって、アーキタイプの存在は、不愉快であった。進行している戦いに余計なモノを入れた事に対して。

 

『ボクがちゃんとルールを設けて、スポーツマンシップに乗っ取って戦いは行われているんだ。勝手に規模を拡大するなんて、ひっじょ~に迷惑です!』

「ふざけるな・・・・・・・お前も楽しんでていただろ!!だから僕がもっと盛り上げてやろうとしてるんだ!!」

 

モニタの言葉に納得のいかないエンペラー。モニタの不満を現しているのか、掴んでいるジャッジメントの腕が力を増し、エンペラーの頭部にヒビが入りだす。

 

『こんな事したくなかったけどさ、チミはせっかくのバトルに不正を持ち込んだ。よってペナルティを発動しちゃいまーす!!』

「辞めろ!!僕は・・・・・・・・・こんな所で――――――――――」

 

グシャ―――――――――――――――――――――――――

 

ジャッジメントがエンペラーの頭部を握りつぶした。手から放し、地面に落ちたところを、ガベルトールで一気にに叩き潰す。

えぐれた地面を見ると、エンペラーの原型はなくなっていた。ミンチになるぐらいに残骸がばらまかれ、ガベルトールにはエンペラーの血が付いていた。

 

「うわ・・・・・えげつない」

 

ジャッジメントの行動に、チャリオットは引いていた。

 

「何だよ・・・・・・何がどうなってんだよ!?」

 

エンペラーが目の前で無残に殺され、アーキタイプ=クローバーは、目の前の状況が掴めなくなっていた。

 

『アーキタイプだっけ?チミ達も同罪だよ~神聖な戦いに乱入したんだから』

 

ジャッジメントのは、アーキタイプの方向を向いた。その瞳は、狂気の如く赤く光り、鬼神の如く迫ってくる。

 

「あっ・・・・・・・・やだ・・・・・・・・俺は、死にたくないんだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

ジャッジメントに恐怖したのか、アーキタイプ=クローバーは、その場から逃げ出した。途中転びながら、必死に逃げていった。

 

「チっ・・・・・臆病な奴だ」

 

逃げるアーキタイプ=クローバーを見て呆れるフール、そしてジャッジメントの方を振り向いた。

 

「さぁ・・・・・この間の続きをやろうぜ!!」

 

ダイルブレードを握り締めながらジャッジメントに走り出し、一気にダイルブレードを振り下ろす。

 

「・・・・・・・・・・」

 

振り下ろされたダイルブレードを右腕で受け止め弾いた、ガベルトールでフールの腹部に向けて振り下ろした。

 

「フっ―――――――」

 

振り下ろしたと同時にジャンプし、ガベルトールの上に乗った。

 

<<バスターイン>>

 

フォックスレーザーを左手に装備し、ジャッジメントの顔に目掛けてレーザーを発射する――――――。

レーザーの直撃を喰らい、咄嗟にガベルトールを手放してしまい10m後ろに吹き飛ばされる。

 

「ハハハ!ざまぁないぜ」

 

吹き飛ばされた方向からゆっくり歩いてくるジャッジメント、顔には傷一つ付いていなかった。

 

「あぁ・・・・随分と硬ぇ奴だな。面白くなってきたぜ」

 

笑ながら、ジャッジメントの元に近づくフール、その前に立ちふさがり、邪魔する者がいた。

 

「何だよ、今いい所だってのに」

「それは残念だったな、相手は他にもいる」

 

ルナリベリオンだった。新月を振るい、フールを斬ろうとするが後ろに下がり避けられてしまった。

 

「まっ、相手は多けりゃ楽しいもんよ」

 

不敵に笑いながらルナリベリオンの方に走り出し、フォックスレーザーで殴りかかった。

 

「やれやれ・・・・コレは一気に片付けないとマズいかな」

 

クリーチャー、リベリオンの乱戦の中、一気にカタを付けようとチャリオットはシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填しようとする。

 

「ッ―――――――――――!?」

「ちょっと、いい所を邪魔しないでっての!!」

 

ハイプリエステスがブロスティングの針を飛ばし、チャリオットの妨害を行った。

 

「そう簡単にはいかないか・・・・・・」

 

混乱招く戦いの中、ジャッジメントとアーキタイプ=ジョーカーは、戦いの様子を見ていた。

 

「あれっ、攻めなくていいんですか?」

「無駄にスタミナを消費する必要はありません。様子を見るのを必要な事です」

「あぁ、そう。じゃぁ俺は退散するとしますよ」

 

そう言ってアーキタイプ=ダイヤはその場を去っていった。

 

「いいの?父さん」

「戦う意欲のない者に用はありません。まぁ、彼も無事では済まないでしょうが」

 

例えこの場を逃げたとしても、モニタの監視がある限り、追いかけ続けられる。逃げ場はないに等しい。

 

「では、我々も・・・・・・・・ん?」

「どうしたの?」

 

ジャスティスとアーキタイプ=ジョーカーが後ろを振り向くと・・・・・・・・・・

 

「うおおおおおおお――――――――――っ!!」

 

校舎の方へ飛び上がったソルリベリオンユニゾンモードの姿を発見した。

 

<<フィニッシュイン―――――>>

 

全身を炎で包まれ、シャイニングレグルスへと変化し左右のライガーデュランダルを展開し、炎の翼の様な形を形成する。口からマグマの様な丸い火球を吐き、無数のクリーチャーを蹴散らしながら上空へ飛び上がり、地面に向かって急降下し必殺技(ブレイジングヴァース)が発動する!

 

「っ――――――――――」

 

巻き込まれかけながらも、フール、ジャッジメント、ルナリベリオンは避けていき、ジャッジメントはそのまま姿を消した。

 

「アレがソルリベリオンですか」

「・・・・・・・アンタが正儀の親父さん・・・・・・か?」

 

クリーチャー形態から元の姿に戻ったソルリベリオンはアーキタイプ=ジョーカーの元へ近づいた。

 

「アンタ達がサイバープログラムを閉ざすってやり方・・・・・・正しいと思ってる、けど・・・・・俺は、俺のやり方で戦いを終わらせる」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ソルリベリオンを睨んだジャスティス。緊迫する空気の中、フールは高らかに笑った。

 

「ハハハハ―――――!!何だか分からねぇけど、面白くなってきたな、今度はサシでやってみてぇもんだな」

「アイツ・・・・・・本物のバカだな」

 

ハルトの答えは変わらない、それは他の使用者も同じこと・・・・・・・・・・・それぞれの思惑が再び動きだす―――――――――

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り13人

 

 

 

 

ToBe Continued……




エンペラーが脱落し、バラバラになった英雄組、恐怖に負け、逃げたクローバーの運命は!?
そして、何故英雄がサイバープログラムを消滅させる事にこだわるのか?次回、その真実が明らかに!

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第39話「悪魔の代価」

お久しぶりです。今回は新リベリオンが登場、残り何体でしょうか?


「アイツ・・・・・脱落したか。チっ、もう少し搾り取れそうな気がしたんだがな」

 

デビルリベリオンの使用者、柳沼伊佐美(やぎぬまいさみ)はアルカナ・デバイスを見つめながら、エンペラーリベリオンの使用者、皇圭(すめらぎけい)が戦いから脱落した事を残念そうにため息を尽いていた。

 

「そろそろ大詰めって所だし、俺もそろそろ・・・・・・・ん?」

 

遊園地の駐車場の真ん中、誰かが話している様子が見えた。俺はコッソリ車を利用して気づかれない様に近づいた。

 

「アイツは・・・・・・確かジャスティス・・・・・隣のおっさんは誰だ?それにもう1人の奴・・・・」

 

いたのはジャスティスリベリオンの使用者=志向正儀(しこうまさき)志向英雄(しこうひでお)、そしてルナリベリオンの使用者、三日月伊織(みかづきいおり)であった。

 

「あなた1人ですか」

 

「何人だろうが関係ないだろ。これから戦う事に変わりはないからな」

 

どうやら、ここで戦いを繰り広げるらしい。そうだな、だったら隙を突いてどちらとも潰す手もあるな。

 

「へぇ~これからやりあうんだ」

 

「なっ・・・・・何者だ!?」

 

「しっ、静かにしないと気づかれちゃうよ」

 

後ろを振り向くと、そこには黒く跳ねた髪が特徴で白と赤いボーダーシャツを着た男が目の前にいやがった。一体何者なんだ?

 

「お前・・・・・・俺と同じ使用者なのか?」

 

「まぁ、そんな所、といっても俺そんなに強くないからさ、奇襲しないと勝てなくってさ、今まで高みの見物してたってワケ」

 

なるほど、要するに今まで戦わずに生き残ってきた奴か、こんな奴は適当に手を組んでさっさと始末するのに限るな。

 

「まぁいいだろう、変な事するなよ」

 

「ハイハイ」

 

しかし、一体なんの話しているのか・・・・・・・しばらく続きそうだな。

 

「さて・・・・・それでは始めましょうか」

 

「その前に1つ、調べさせてもらった、アンタがサイバープログラムを消したいとか言う理由を」

 

「ほぉ・・・・・それはまた随分な事を」

 

その理由とは・・・・・・・・・・・

 

それは遡る事1年前、1つの通り魔事件が起きた。被害者は志向聡海(しこうさとみ)、英雄の妻であり、正儀の母親。

聡海は優秀な弁護士で正義感溢れる英雄と意気投合し結婚に至った。

犯人はかつて、聡海が弁護したが、有罪判決を下された男性の母親であった。息子を溺愛していたのであろう。

 

「よく調べましたね」

 

「あの事件に関しては知っていたからな、被害者の名前を見た時まさかとは思ったが・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

母の死は正儀にとってトラウマに等しいもの。あの事件の場を目にしていたのだから・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「しかし、分からねぇな。それなら母親を生き返らせる為に戦うのが当然だと思うがな」

 

コレだけの話では英雄達がサイバープログラムを消滅させる理由には至らない、母親を生き返らせる為ならともかく。

 

「人を生き返らせるなど冒涜に過ぎない。それに彼女が弁護した男、調べた所サイバープログラムに関与した者だと分かったのですよ。そんな研究の為に妻の命が奪われた。そんなものは消滅させるに限る」

「つまりは復讐・・・・・・という事か」

 

「違うよ、コレは正義だよ。これ以上、同じ犠牲者を出さない為に、悪は許されないんだよ」

 

「話す必要はなかったな・・・・・・・・・」

 

ため息を吐いた伊織。ポケットにしまっていたアルカナデバイスを取り出し、駐車券の発券機にデバイスを翳した。

それと同時に正儀はアルカナデバイスを、英雄はフィジカルデバイスを取り出した。

 

「セットオン―――――」

 

伊織はルナリベリオンに、正儀はジャスティスリベリオンに、英雄はアーキタイプ=ジョーカーに変身し、サイバープログラムへと向かった。

 

「あなたは随分と厄介ですからね、今のうちに始末してきましょう」

 

「悪いが俺は簡単にやられる訳にはいかなくてな」

 

<<ユニゾン―――――>>

 

ルナリベリオンは真っ先に「STORM」()のユニゾンカードをデバイスに翳し、ユニゾンモードへと変化しアロンダイトを握り絞めた。

 

「ではこちらも・・・・・・」

 

<<ソードイン>>

 

アーキタイプ=ジョーカーもシステムメモリーをデバイスに装填したと同時に、ガルバスタッグが現れたと共に、スタッグツインセイバーを両手に握り締める。

互いの剣をぶつけ合うルナリベリオンとアーキタイプ=ジョーカー。そこへジャスティスが背後からジャスティスセイバーを振り下ろす。

 

咄嗟に反応し右に回避するルナリベリオン。ビーヴェスを前に突き出してジャスティスを突き飛ばした。

 

「ぐっ・・・・・・」

 

「2対1なら勝てると思ったか!!」

 

怯んだジャスティスに近づき、アロンダイトで腹部を貫こうとした時――――――――!

 

「えぇ、勝算あっての戦いなのですから」

 

<<スタンイン>>

 

ルナリベリオンの足元から電流が流れだしアロンダイトを手から落とし膝から崩れ落ちた。

 

「なっ・・・・これは!?」

 

動きを封じられたルナリベリオンに、ジャスティスとアーキタイプ=ジョーカーが襲い掛かる―――――!

 

「こしゃくな真似を・・・・・・」

 

かろうじて動く右手でシステムメモリーを取り出し、ビーヴェスに装填する。

 

<<シャドーイン>>

影から3体の分身を出現させ、それぞれの攻撃を防御に入った。

麻痺が治まり、立ち上がったルナリベリオンはアーキタイプ=ジョーカーの方へ向かって走り出す。

 

「くっ・・・・・・流石はユニゾン、回復が早い―――――」

 

スタッグツインセイバーを握り締め、ルナリベリオンに応戦しようとする。

 

「ハァ―――――!」

 

振り下ろされたスタッグツインセイバーをアロンダイトで弾き、アーキタイプ=ジョーカーの懐目掛けて追撃を仕掛ける―――――――!!

 

「しまっ―――――!」

 

その瞬間―――――コウモリの群れの様なものがルナリベリオンに纏わりつき視界を妨害した。

 

「この攻撃は・・・・・・・・・・」

 

「どうやら、コイツを仕留めた方が俺達にとって有利だと判断してな」

 

「どうも~俺達も手伝いますよ」

 

現れたのはデビルリベリオンともう一体、薄茶色とオレンジ色の全身に塔の様に長い形をしている頭部、三日月状に曲がった両肩、飛行ユニットが組み込まれた腰スカート、螺旋状に渦巻いた足が特徴的なリベリオン(タワーリベリオン)がジャスティス、アーキタイプ=ジョーカーの助太刀に入った。

 

「見慣れない奴だな・・・・・・」

 

「これはこれは、お初にお目に掛かります、って言ってもお初じゃないんだけどね!」

 

タワーリベリオンはルナリベリオンの方に走り出し、あいさつ代わりに飛び蹴りをお見舞いする。

 

「コイツ―――――っ、スピードがある割にパワーもかなりのものだっ!」

 

蹴りが命中したルナリベリオンは10mへ吹き飛ばされた。そこに追い打ちを掛ける様にしてデビルリベリオンがルナリベリオンの頭上にへジャンプした。

 

「貰ったぁ!!」

 

デビルリベリオンがルナリベリオンの頭上から蹴りを喰らわせようとした時、突如右方向から火球が放たれた。

 

「ぐっ・・・・この炎は!?」

 

「アイツら・・・・・・・・・」

 

ルナリベリオンが横を向くとそこにはソルリベリオンとエンプレスリベリオンが立っていた。

 

「どこへ行ったか気になって付いてきて見ればコレだよ」

「俺はたまたま別の場所で戦ってたけど派手な音が聞こえてな」

 

アリアは伊織が出掛けた所を気になって後を付けていた、ハルトは違う反応を察知し、クリーチャーと交戦しており戦いの後にルナリベリオン達の戦いの音が聞こえた為駆けつけた。

 

「なるほど・・・・・・だが一掃するいい機会です」

 

増援に臆する事なくアーキタイプ=ジョーカーはルナリベリオン達の方へ近づいてくる。

 

「まぁ、お前らが来ようが来まいが俺は戦いを辞めないがな」

 

<<フィニッシュイン―――――>>

 

「ほぅ・・・・一気にケリを付けようといいますか、ならばこちらも」

 

<<フィニッシュイン>>

 

ルナリベリオンはルナティックサンダーバードに姿を変え翼でカマイタチを引き起こし、雷を纏いアーキタイプ=ジョーカーへ突撃しようする。

それに対するアーキタイプ=ジョーカーはガルバスタッグをサーフボードの様な形に変化させ風を切り裂く様にしてルナリベリオンの方へ突撃する。

互いの必殺技(ライジングテンペスト、ブレードダイブ)が激突しその衝撃で双方共に吹き飛ばされた。

 

「ぐっ・・・・・人工的なリベリオンのくせしてここまでの威力とは・・・・・・・・」

 

「あんな威力、まともに喰らったら一溜りもねぇな・・・・・・・」

 

2人の必殺技を目の当たりにしたデビルリベリオン、冷や汗を掻きながらもソルリベリオンへの攻撃を辞めない。

 

「コイツっ、随分厄介な手を使いやがって・・・・・・・」

 

全身を分散させるデビルリベリオンにソルリベリオンは手を焼いていた。

 

「オイ、ちょっと手を貸してくれよ!」

 

様子を見ていたジャスティスに手を貸してくれと伝える、立って様子を見ていた正儀は何かを考えていた。

 

(これは正義の為、いかなる手段も致し方ないのです)

 

父の言葉、正義の為にいかなる事になっても自らの正義を真っ当せよと。それが正義なのだから・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「分かったよ」

 

デビルリベリオンとソルリベリオンの方にゆっくりと近づいていくジャスティス、ジャスティスセイバーを怪しげに突き立てながら・・・・・・

 

「なっ・・・・・・お前・・・・・!?」

「ぐぁっ―――――!?」

 

ソルリベリオンの右脇腹を貫くと同時にデビルの腹部もジャスティスセイバーで貫いた。

 

「ゴメン、でもこれも正義なんだ」

「コイツ・・・・・マジかよ!!」

 

貫かれた右脇腹に突き刺さったジャスティスセイバーをへし折り後方に下がるソルリベリオン。

腹部を貫かれたデビルは腹を抑えながら膝から倒れた。

 

「正義・・・・・・だと?てめぇの自己満足を俺に押し付けるんじゃねぇ!!」

 

立ち上がったデビル、ジャスティスに怒りを向けレジテントランスを握り締め突き刺そうとするがいとも簡単に避けられてしまう。

 

「僕の正義は・・・・・・・絶対だ」

 

<<フィニッシュイン―――――>>

 

召喚されたジャスティンビートルが突進し角を使って回転しながら上空へ突き上げる、同時にジャスティスも上空へ飛び上がり振り上げたと同時に、デビルが落下していく所をジャスティセイヴァーで押し込むようにして回転しながら地面にねじ込み必殺技(ビクトリークライシス)が発動される―――――!

 

「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 

壮絶な悲鳴を上げながらデビルの全身に亀裂が入り光に包まれる様にして爆散した。

 

「あちゃーこれはヤバいかもね」

 

その惨状を見たタワーリベリオンは気づかれない様にしてその場を逃げ出した。

 

「これがアイツの正義か・・・・・・・」

 

戦いの疲労で朦朧としているルナリベリオンも逃げる様にしてその場を去った。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

爆発の後で燃え盛る状況を見ながらソルリベリオンはその光景を見つめていた。

 

「これが正義なのか・・・・・・こんなのただの・・・・・・・・」

 

ソルリベリオンは何を思っているのだろうか?アーキタイプ=ジョーカーもまたジャスティスの行動に警戒しながら彼の元へ近づいた。

 

「行きますよ、今回はここまでだ」

 

そうしてアーキタイプ=ジョーカーとジャスティスもサイバープログラムを去った。

 

「これも正義なんだ・・・・・・・僕は全うしたんだ・・・・・・・・だから――――――――」

 

現在リベリオン使用者 22人中残り12人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ToBe Continued……



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