女神達の戯れ (佐久間 優)
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可愛い彼女(ひと)
ブラーン!一緒に帰ろー!」
放課後、図書室で読書をしていると急に騒がしい声が響いた。全く、此処では騒ぐなってあれほど言っているのに(-_-#)
「もう少し待って、きりの良いところまで読むから……それと図書室では静かに、常識よ?」
「あはは、ごめんごめん。それで今度は何を読んでたの?」
軽く謝りつつ、私の隣に座り、読んでいる本を覗き込む。ネプテューヌの顔が必然的に間近になり胸の鼓動が速くなるのを感じた
「ブラン、聞いてる?」
「えぇ、聞いてるわ。今読んでいるのは何かって話でしょう?教えても良いけど……笑わない?」
無論、彼女がそんな事する筈ないのは分かっている。でもつい聞いてしまう
「そんな事しないよー、失礼だなぁもう」
そう言ってネプテューヌは拗ねたように頬を膨らませる。子供みたいだが彼女はこういう
仕草をするときが一番可愛いのだと私は思う
「ふふ、ごめん。今は恋愛物を読んでいるわ…中々面白いわよ?」
「へー、珍しいね。ブランが恋愛物読むなんて…いつもは推理小説とかファンタジー物なのにね」
「そうね、以前は見向きもしなかったけど、何だか気になって」
「読み始めたら止まらなくなった?」
「えぇ、内容はありきたりだけど登場人物が一人一人とても魅力的でどんどん引き込まれちゃって」
「ブランがそこまで評価するってことは相当だね?読み終わったら貸してよ」
「良いけど……この前みたいに飽きたなんて言わないでよ?」
「や、やだなぁ…そんな事しないよ、あはは 」
目を泳がせながら焦ったようにネプテューヌは言った。まぁこの子がじっとして小説を読んでる姿なんて想像できないけど
「あー!今、凄く失礼な事思ったでしょ!?」
「そんな事ないわ」
「本当?」
「えぇ、私が嘘吐いてるように見える?」
そう言ってネプテューヌをじっと見つめる。暫く見つめあっていたが、気恥ずかしくなったのか彼女は顔を背けた
「顔を背けたら分からないでしょ?ほらこっち向いて?」
背けた顔を両手で掴み、此方を向かせる。ほんのりと頬が紅く染まっていた
「ぶ、ブラン…顔が近……んんっ!」
あまりに可愛くて、我慢できずキスをする
「うぅ…いきなり何するの―///」
「何って……キス」
「それくらい分かってるってば!誰かに見られたらどうすんの……!///」
真っ赤になって怒るネプテューヌ。正直、あまり怖くない…というか寧ろ愛らしい
「良いじゃない、見せ付けてあげれば。それに今は二人きりなんだし誰も見てはいないわ」
そう言い、もう一度キスをした。
「こほん…あのーお二人とも?利用時間終了3分前なので、そろそろ戸締りしたいんですが(-_-;)」
む…誰だよ、私達の邪魔すんのは…振り返るとそこには本の上に乗っかって浮いている小さな人が居た
「イストワール先生。居たんですか?」
「最初から居ましたよ!(ノ`△´)ノお二人があまりにもイチャイチャしているからタイミングを逃しただけです!( ̄へ ̄井)」
「あ、ごめんなさい。ほ、ほらブラン帰ろ…!」
「ちょ、ちょっと引っ張らないで」
そのまま引きずられるようにして図書室を後にした
「ごめん…」
「つーん」
校舎を出てからずっと拗ねたままのネプテューヌ。まぁ私が悪いのは重々承知してはいるのだけれど、ずっと無言のままは流石に堪える
「私が悪かったわ。まさか看られて見られてるとは思わなくて…」
「つーん」
「うぅ…ネプテューヌ、どうすれば許してくれる?」
「…チュー」
「え…?」
「もう一回、ちゅーして?さっきみたいのじゃなくていつもしてくれるような優しいヤツ」
恥ずかしそうに、でもはっきりと言う彼女は顔だけでなく耳まで真っ赤に染まっていた。余程恥ずかしいのを抑えて言ってくれたのだ、期待を裏切ってはいけないわね
「ネプテューヌ…」
彼女の名を呼び、そっと肩に手を置くとピクリと彼女の身体が震える。だが視線は私を捉えたままだった。そんな様子を愛しく思いながらそっと口付ける。
「これで許してくれる?」
「もう一個だけ……良い?」
「えぇ。何をすれば良いの?」
「えっと……手、繋いで?」
そう言って彼女は右手を私に差し出した。私は自分の手を彼女の手に絡めるように繋ぐ。所謂、恋人繋ぎというやつだ。
「ブラン…これって///」
「このほうがお互いを近くに感じられるでしょ?///」
平静を装い言葉を発するが顔に熱が集中するのを感じる。うぅ、恥ずかしい///
「うん……ね、ブラン」
「ん?何かしら」
「この手、ずっと握っててね?離しちゃ嫌なんだからね///」
「勿論よ。嫌だって言っても離さないわ」
彼女の手を優しく握り、私も笑顔で返しゆっくりと歩き出す
いつまでも幸せでありますように………
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