我が素晴らしき師匠に爆裂を! (冬乃雫)
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自称女神からの提案を!

衝動的に書いたので所々おかしい部分が出てくるかもしれませんがご了承ください。発見次第修正します。


「はあ! やあ!」

 

日本の人里はなれた村。人口が僅か100人でその殆どが高齢者であり、世間で言うところの限界集落である。そんな村の外れにある大きな木の下に一人の少年がいた。

 

「......」

 

木刀を構え、目を閉じ、深く深呼吸をする。そして木刀を横に斬り、まるで刀を鞘に納めるような動作で腰に挿した。首筋を伝う汗が何とも色っぽく年若い男が見(・・・・・)れば誰もが心を奪(・・・・・・・・)われているだろう(・・・・・・・・)

訳は彼の美しすぎる顔にあった。垂れ気味の瞳に日本人離れした高い鼻。染み一つ無い肌は見る目を惹きつけ、万物を魅了する程の整った顔立ち。何処からどう見ても男には見えず、本人の無意識な動作も相成って、完全に美少女として村全体に知られている。

 

丁度鍛錬が一息ついたのか木の木陰に座り木刀を抱えながら空を見上げていた。突発的に吹く風が彼の頬を撫で、短いポニーテールを揺らした。

 

「...あぁ、気持ち良いな......」

 

引っ越して来た最初の頃はどこか田舎と言うものに偏見を持っていた僕だが、いざ引っ越して見ると中々良い物だ。

爺ちゃん婆ちゃんは優しいしのどかで都会みたいに慌しくない。だから都会にいた時よりよりいっそ剣術に打ち込めると言うわけだ。それも両親のお陰だな。僕の両親がある日突然海外に単身赴任が決まり、それに母もついて行ったのだ。最初は僕も連れて行く予定だったらしいが日本を離れたくない僕は必死に両親を説得し条件付で日本に留まる事を許された。その条件とは、今住んでいるところから田舎にいる母方の祖父母の家に引っ越すと言うものだった。やはり息子一人で暮らさせるのは心配らしく、アニメの主人公みたいに独りで住む事は出来なかった。

 

「さてと。もう一回練習するか」

 

若干名残惜しそうに木陰から出るともう一度素振りをし始めた。

 

そんな順風満帆の日々過ごしている彼に突然終わりが訪れた。

 

「はあ! とりゃ! や「ドゴン!!」ギャイン!」

 

 

 

 

 

 

―――僕がまさかあんな事で命を落とすなんて。

 

 

 

 

 

 

「......ここ何処だ?」

 

どこを見ても白、白、白、唯ひたすら真っ白な世界の中に僕が立っていた。

 

「残念ですが橘冬花さん。あなたはつい先程、不幸な事故によりお亡くなりになりました」

 

突然目の前の美少女に死亡宣告された。取り敢えず冷たい目でその美少女を見つめてあげた。

 

「......何よ? もしかして信じてないでしょ?」

 

出会って2秒で本性を現した。なんでだろう......こいつばかだな。

 

「バカとは何よ! バカとは! 私一応神なんだからね! 折角転生させて上げようと思ったのにそんな態度とっていいの?」

 

「僕の知っている神様はポテトチップス片手に人を脅したりしません」

 

「は、はぁ!? ポテチなんて食べてないし! っ言うかその私を蔑む様な目やめなさいよ!」

 

自称神の事は無視して状況確認。今日は朝早くから木の下で日課の素振りをしてから......後の事が思い出せない。

 

「自称神さん」

 

「自称じゃないわよ! 正真正銘の神よ神!」

 

「......じゃあ神様。貴方が神様と言うのなら僕がどうやって死んだか分かりますよね?」

 

「何? もしかして知りたいの? えぇ~どうしよっかな~」

 

何だろう......こいつ物凄く殴りたくなってきた。

 

流石に女性を殴る訳にはいかず。振り上げた拳をプルプル震わせながら寸の所で留まった。そんな事も知らずに自称神はうざい顔で僕の周りを行ったり来たりしている。

 

「...オ、オ、オネガイシマス。オシエテクダサイ」

 

「フッ。まあいいわ! 寛大なこのアクア様が貴方の死んだ原因を教えて上げる。感謝しなさい」

 

勝ち誇った顔で無駄に立派な椅子から立ち上がり、僕の正面に立った。改めて見ると綺麗だ。本人がまた調子に乗り出しそうだから言わないが今まで生きてきた中で目の前にいる女の子より優れた美貌を持った女性は見たことが無い。

 

「橘冬花さんの死因は......プッ! 何これ! 上から落ちてきた木の枝に頭をぶつけて死亡ですって! あはははは!!」

 

我慢しろ冬花。こいつを殴ってしまえばまた事がややこしくなる。ここは耐える時だ僕。

 

「っで僕はこれから何をすればいいんですか? 答えによってはぶっ飛ばしますよ?」

 

「あははははは!!! そろそろ本題に入りましょうか......ぷぷぷ。んっんん! 説明めんどくさいから省略するけど貴方転生と天国に行くのどっちがいい?」

 

「一番大事な説明端折ってんじゃねこのクソ女!」

 

「だって面倒くさいんだもん! 後がつっかえてんだから早く選びなさいよこの女男!」

 

 

 

 

 

 

 

ピキッ

 

 

 

 

 

 

~~~しばらくお待ちください~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自称神から聞き出した情報によると。死んだ人は転生か天国どちらかを選ばなければならないらしい。天国を選んだ場合はめっちゃくちゃ退屈なところに送られ一生暮らさなければならない。転生を選ぶと魔王の軍勢と戦っている世界。モンスターが闊歩し、魔法などが存在する何ともファンタジーな世界に飛ばされる。しかし、天国とは違い異世界に転生すると何でも一つ反則級の武器や才能、いわゆるチートを一つくれる。

 

「って事でいいんですよね?」

 

「ぐす、えぐ.........はい」

 

僕は迷うことなく転生を選んだ。それと迷ったが折角魔法のある世界に転生するのだからできるだけ強い魔法を使える武器をお願いした。

 

「じゃあお願いしますね」

 

願いを告げて直ぐに足下に魔方陣が現れた。そしてしばらくしてから僕の体が明るい光に包まれる。

 

 

 

 

 

 

「......今に見てなさい! 種族も年齢もごちゃごちゃにしてから転生させてあげるんだから」

 

冬花が居なくなった事を確認すると大きな声を出しながら何処かに消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

異世界に転生したら何しようか。やっぱり魔法の練習からかな、時間があればまた剣術の練習もしたいし。っと思っていた時もありました。確かに転生しました。周りを見渡したところモンスターらしき生物が飛んでいるのでここは異世界で間違いないと思います。でも唯一つ問題があるんです。それは今僕がいる所だ。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!! 何で始まりが空なんだよ!」

 

どどどどうしよう!? このままだと間違いなく地面に激突する。目で見る限りまだ地面が遠くに見えかなり高い。......何かないか! 地面に激突せずに済む方法......。

 

「そうだ魔法! えーと......」

 

......魔法の使い方が分からない。

 

「あの腐れ駄神がぁ! 飛べ! 止まれ! 落ちるな! fly! 魔法の一つでも使えるようにしとけよあのバカ! お願いです神様! どうか助けてください! 生まれて1分で死にたくありません!!!」

 

『え~、どうしよっかな~』

 

「おめぇには言ってねえよ!」

 

あの駄神の声が聞こえたような気がしたので取り敢えず突っ込んでおいた。周りの雲が晴れやっと地面が見えてきた。お父さん、お母さん。先に逝ってごめんなさい。

 

「やっぱり死にたくないんですけど!」

 

あ。地面が目の前にある。

 

死を覚悟した冬花は目をぎゅっと閉じ、自分の最後の時を待っていた。しかし、何時になっても体に衝撃がこず、恐る恐る目を開くとその原因が判明した。

 

「......」

 

転生する時に見た魔法陣に良く見たものが僕の下にある地面に浮かび上がり、僕の体を地面すれすれで浮かしていいた。それから直ぐに魔法が切れたのか魔法陣がなくなり元の重力が僕を襲った。

 

「ぐえ!」

 

助かった。僕はその時初めて命の大切さを実感した。命が助かった事を噛み締めていると空から一枚の紙がちょうど僕の頭に乗っかった。その紙見てみると。

 

『どうどう死ぬかと思った? ささやかな神様からのサプライズよ! 感謝しなさい! 貴方の泣き顔が見れないのが残念でならないは。プークスクス』

 

「......」

 

次ぎ会った時は唯じゃおかねぇ。そう思いながら紙をビリビリに破り捨てる。

気を取り直して周りを見渡す。木、木、木、狼、木、見渡す限り木。どうやら何処かの森林に落っこちたようだ。......狼?

 

「グルルル」 

 

「.......」

 

「グルルル」

 

「......ヤッバ」

 

「ワン!」

 

狼が噛み付いてきたので咄嗟に横に飛んだ。あぶねぇ! もうちょっとで腕持っていかれるところだった。と言うかさっきから体が思うように動かない。これも駄神の仕業か? 何は共あれ今は狼を何とかしないと。

ここは男らしく。

 

「誰か助けて!」

 

逃げる!

 

「グルルル! ワン!」

 

「普通転生して初めは平穏な町とかだろ。何で森林! 異世界に来て始めて出会ったのが餓えた狼ってどういう事!」

 

ぶつけようがない愚痴を泣きながら喚き散らし、木の周りをグルグルと回っていると上から何やら光った物体が落ちてきて、見事に狼の頭に直撃した。

 

「キャイン!!」

 

「今度は何!」

 

気絶した狼に警戒しながら近づくと、そこには一本の杖が落ちていた。全体が銀色に覆われておりその先端には赤く光り輝く宝石のようなものが埋め込まれていた。その杖に『寛大なる神様より』と書かれているのを見るにこの杖は駄神がよこしたものだと分かる。見たくはないが大事なことが書かれているかもしれない。という事で渋々封を開き手紙を読んだ。

 

『狼に追いかけられるなんて間抜けすぎりんですけどー!! プークスクス。あなたのお願いした神器渡すの忘れたからついでに助けて上げたわ! 泣いて感謝しないさい!』

 

「見えてんならもっと早く助けろよ!」

 

破り捨てようとしたが今度は魔法に関することが書かれていたため止めた。

 

『あーついでに魔法の事なんだけどその杖を使えば普通の魔法使いより強い魔法打てるから』

 

ほうほう、神から貰ったのだけあってかなり強大な力を持った杖らしい。さて、本題はこれから魔法の使い方は......。

 

『じゃあもう会うことはないから最後に一言......バーカ! バーカ!』

 

「魔法の使い方教えろよ!」

 

持っている杖を地面に叩き付けた。周りを見渡すとやはり木しかない光景に嫌気を覚えながらこれからの事を考える。

 

取り敢えず水と食料の確保が最優先、あとは寝床を作ってそれから......。

 

意外にポジティブな冬花。杖を拾うと水を探して森林奥深くに進んでいった。

 

 

 

 

 

 

「ひゃっはー! こんな所に女がいるぜー!!」

 

「傷つけんじゃねぇぞ! 生け捕りにしろ!」

 

「何でこんな所に盗賊がいるんだよー!!!」

 

冬花の前途多難な異世界生活一日目が今始まるのであった。

 

「あのクソ女神がぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 



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