仲間と歩む (信者)
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1話

ハクタイから始まるのは作者の都合です、すいません


「……・ィ・・……ア!!」

 

 朦朧とした意識の中、聞きなれた声が聞こえてきた。

 その声で、俺は意識を覚醒させる。

 目を開くと、目の前には見慣れた顔が一つ。肌色の毛に黒い瞳、頭についた葉っぱのような長い耳の間には、ぐるりと巻かれた緑色の不思議な何かがついている。

 

「……ああ、ありがとうリーフィア。おかげで目が覚めた」

 

 この子はリーフィア。俺がポケモントレーナーになるにあたって選んだ、最初のパートナーである。

僕の、信頼できるパートナーの一匹だ。

 

「フィー♪」

 

 そしてそのリーフィアは俺が起きて嬉しいのか、倒れている俺の身体にダイブを決め込んだ。

 

「ゴファ!」

 

思わずせき込んだ、ポケモンの中で小柄なほうとはいえ、25,5㎏の身体が腹の上にいきなり落ちてきたら流石に痛い。俺はリーフィアにダイブをされた部分を押さえながらベッドの上で悶えた。

 そんな俺を見て、リーフィアは不思議そうに小さな顔を傾ける。これが漫画の世界ならば頭の上に疑問符の一つでもついていそうだ。

 俺は痛い腹をさすりながら、リーフィアの頭をわっしゃわっしゃと撫でてやり、布団を剥いでベッドから出た。

 そのまま窓辺のカーテンを開けると、朝日が部屋に入ってくる。

 

「気持ちのいい朝だ、なあリーフィア」

「フファー♪」

 

 そうやって言うと、リーフィアも同意したように嬉しそうな鳴き声を上げ葉っぱのような尻尾を左右に振っている。かわいい(確信)

 

「ああ、もう今日は外出せずにここにずっといるのもいいかも……」

「フィー、フィー!」

 

 と、そう言うと何故かリーフィアは俺に何かを訴えかけるように俺のズボンのすそを引っ張る。はて、何か忘れているような……

 

「あ、そう言えば今日、ジム戦だったな……」

 

 そう、ここはハクタイシティ。ポケモントレーナーとして2つ目のジムが待ち受ける街なのだ。そして、俺は今日そこのジムへと挑戦する予定だったのだ。

 

「すっかり忘れてたな……ありがとうリーフィア」

「~♪」

 

 リーフィアの頭をなでてやると、鼻歌を歌い始めた。可愛すぎて死にそう。

 

「さてと、まあずっとこうしてても仕方ないしそろそろ朝ごはんにしますか。リーフィアは他の子たちを起こしに行ってあげて」

「フィ!」

 

 そうやって生きのいい返事をすると、リーフィアは他の子たちのいる部屋へと行く。

 

「さてと、俺は朝ごはんの用意をしますかね。今日はジム戦なんだし、少しがんばろうかな!」

 

 そう言って気合を入れて、俺は部屋を出て台所へと向かった。

 

 

 

 ここはシンオウ、北の大地と呼ばれる、最北端に位置する地方である。

 北、というだけあってこの地方はどこの町も基本的に肌寒い場所が多い。まあ例外な地域もあるにはあるが。

 そして、俺の今いる場所はハクタイシティ。大昔から存在する歴史のある街……らしいが、今はもう都会化が進んできていてそれは薄れつつある。ポケモンセンターもフレンドリィショップだってあるし、町の北の方にはなんかよくわからない大きなビルもある。まあ時代は移り変わるもの。これは仕方のない事なのだ。それに、昔にとらわれすぎた考え方が正しいとも到底言えない。

 だがそれでも、この街には昔の雰囲気を漂わせる何かがある。それを言葉にするのは難しいが、なんとなくそう感じてしまう。

 

「と、着いたかな」

 

 そんな考え事をしながら歩いていると、いつの間にかジムについていた。看板にハクタイシティジムと書かれてあるので間違いはないだろう。ここに来るまで緊張は無かったが、いざ来てみると心臓の音が少し大きくなった気がする。

 

「大丈夫だ、きっと勝てる。リーフィアだってそう思うだろう?」

「フィ!」

 

 リーフィアは頼もしい返事をくれる。

そのおかげで少しだけ、緊張がほぐれた気がした

 

「さて、それじゃあ行きますか!」

 

 気を引き締めて、扉に手を当てて力を籠める。

 中に入ってまず目にしたものは……緑だった。びっくりするくらい床一面が緑だった。思わずここが屋内だという事を忘れそうなほどだ。だが、その中央にはきちんとポケモン達の戦うフィールドがあり、その奥には一人の少女が立っている。きっと彼女がこのジムのジムリーダーなのだろう。

年齢は見た感じ18くらいで、オレンジ色の髪に同色の瞳、手首まで覆っている黒い服の上に緑のケープを羽織っていて、下にはハーフパンツをはいている。とりあえず、こんな寒いのになぜへそを出しているのかが気になる所である。

 

「はじめまして!私の名前はナタネ!このジムのジムリーダーを務めているわ!得意なポケモンは草タイプ、そして好きなタイプも草タイプよ!」

「誰も得意なポケモンも好きなタイプも聞いてないけどね……とりあえずよろしく」

「あれ、元気がないね……ほらもっと大きな声出して!」

「いやあなたのテンションが高すぎるんですってば……」

「冷めてるねー、こっちまでテンション下がりそうだよ……ってその隣にいるのはリーフィアちゃん!きゃー可愛いー!実物見るのは初めてだからすごい感動!」

 

 そう言いながら、ナタネさんはこちらに駆け寄って来るなり、しゃがんでリーフィアにキラキラとした視線を送っている。下がりそうなテンションどこ行った

 

「うふふ、意外とふかふかなのねー。ああ、このクリッとした黒目もかわいい……尻尾と耳も葉っぱみたいになっててグッド……ぐへへへへ」

「あの……うちのリーフィア怖がってるんですけど……」

「え、ああそれはごめんなさい!代わりに殴ってもいいから、ほらリーフィアちゃん。一思いに殴って!ぐふ、ぐふふふふ」

「ふぃ、ふぃあ……!」

 

 ああ、この人ヤバい。このままではうちのリーフィアが精神的に病んでしまう……

 

「えと、そろそろ勝負の方を」

「ああ、そうでした。本題を忘れるところでしたね。改めまして私はここハクタイジムのジムリーダーナタネよ。よろしく」

 

 ふむ、ナタネさんか。草タイプ使いにはぴったりの名前だな。いやまあナタネさんの親は別にそんなことを考えてつけたわけじゃないだろうけど。

 

「俺はアサヒです」

「アサヒね、よろしく!話は聞いてるよ。えっと、ヒョウタ君のところは勝ったって言ってたから……ジムバッチは今のところ一つかな?」

「はい、まだ一つです」

「おっけー。さてと、それじゃあルールの確認をしようか。使っていいポケモンはそれぞれ2匹まで、バトル中に傷薬などのアイテムを使うのは禁止。ただし、木の実とかは持たせておけば使っても大丈夫よ。命の玉とかの火力補正アイテムも大丈夫。バトル中のポケモン交換はおっけー、そしてバトル中にトレーナーは命令をするだけであってバトルに直接的に介入はしない。以上かな?」

「はい、それでいいと思います」

「よし、それじゃあ早速位置に着こうか」

 

 そう言って、ナタネさんは元いた場所へと戻りモンスターボールを構える。

俺もフィールドの端に設置されているトレーナーのゾーン(なんていうのかわからん)へと行く。そして、腰からモンスターボールを一つ取り出した。

 

「それでは、バトルを始めます!」

 

 中央で、審判が声をかけた。それと同時に、俺とナタネさんは手に持ったボールを放った

 

「いけ、チェリム!」

「頼むよ、ブースター!」

「キュー」

「ブゥイ!」

 

 フィールド上に、二匹のポケモンが現れた。

 向うは蕾が逆さまになってそこから足が生えたようなポケモンを繰り出してきた。蕾の色が紫色なこともあって、少し不気味である。

 対してこちらは、進化ポケモンイーブイの進化形の中の炎タイプ、ブースター。特徴としては、全体的に赤い毛皮で、頭の上と首元にふかふかの白い毛がついている。余談だが、冬にブースターと一緒に寝るとすごく気持ちいい。うちの自慢の可愛い子2号である。唯一王とは言わせません。

 

「うげ、ブースターとはえげつない……」

 

 フィールド上に出た俺のブースターを見て、ナタネさんは苦笑いをしている。

確かチェリムは草タイプだけのポケモンなので、炎タイプのブースターは苦手なのだろう。

出だしはこちらが有利、ここは一気に攻めることはせず、まずは準備から入る。

 

「行けブースター、ニトロチャージだ!」

「ブー!」

 

 ブースターの周りを、赤い炎が覆う。

 ニトロチャージは、相手へ命中させるとこちらの素早さを上げる事が出来る。その分、威力は低いが、草タイプのチェリムには低威力でも、ブースターの高い攻撃力と合わさって致命傷になる。

 また、ブースターはそこまで速いポケモンではないので、ここで素早さを上げておくことはとても重要なことなのだ。

 

「っく、チェリム、避けて!」

 

 炎をまとったブースターの体当たりは、チェリムに紙一重でかわされてしまう。なかなかに素早い……

 

「チェリム、目覚めるパワー!」

「キュイ!」

「何!?」

 

 今度は向こうの反撃。チェリムは体全体に光をまとい、それをこちらへと放出する。

 その速度は早く、ブースターは避けきれずに直撃した。

 

「ブースター!」

「ブゥ……!」

 

 なかなかのダメージだ、このダメージの入り方からして相手の目覚めるパワーのタイプは炎タイプの弱点の水か地面か岩だろう。

 しかし目覚めるパワーとはなかなかに厄介な技だ。ブースターは相手の後続にも活躍してもらいたいのでここで激しく消耗するわけにもいかない。

 

「ブースター、いったん戻れ!そして行って来い、リーフィア!」

「フファー!」

 

 ダメージを負ってしまったブースターは一旦引っ込めて、ここはリーフィアに任せる。リーフィアなら目覚めるパワーのタイプが岩でも水でも地面でも大したダメージにはならない。

 

「ふむ、変えてきましたか。わざわざ有利な対面なのになぜ?」

「白々しいですね、目覚めるパワーなんて使っておきながら……」

「まあ、草タイプは弱点も多いからね。きちんと対策はしてるよ。それに君もさっきの目覚めるパワーを見てあえてリーフィアに変えるとはなかなかやるね」

 

 こちらの狙いも読まれている。さすがはジムリーダー、一筋縄にはいかない

 

「さて、そんなにお話に夢中になってて大丈夫かな?チェリム、花びらの舞!」

「キュイ!」

 

 チェリムは、こちらに向かって花の竜巻を起こす。特殊防御力の低いリーフィアでは、たとえ通りづらい草タイプと言えどもタイプ一致高威力の花びらの舞を喰らうとまずい。

 

「リーフィア、守る!」

「フィ!」

 

 リーフィアを中心に、半球形の透明のバリアが覆う。竜巻がそれに直撃するが、バリアはびくともしない。

 

「へえ、やるじゃん!今の攻撃をかわすなんて!」

「少しくらい容赦してもいいんじゃなくて……!リーフィア、燕返し!」

「チェリム、花びらの舞で向かい打て!」

 

 リーフィアは、燕のごとき速さでチェリムに突進する。対してチェリムは自分の周りに竜巻を起こしてそれを防ごうとする。

 

「く……なかなか近づけさせてはくれないか……」

「そりゃそうだよ、飛行タイプも草タイプは苦手だからね。チェリム、そのまま吹き飛ばせ!」

「リーフィア、避けろ!」

 

 リーフィアはこちらへ向かってくる竜巻を、左へステップしてかわそうとするが、避けきれずに攻撃を喰らってしまう。

 

「大丈夫か、リーフィア!」

「フィ!」

 

心配していたより、ダメージは少なそうだ。体をそらして直撃しなかったのが助かった。だが、このままではやられるのは時間の問題だ。

さて、これからどうするべきか……あんな竜巻をそう何度も起こされてはこちらも近づけない。かといってリーフィアは物理寄りのポケモンなので遠隔攻撃は苦手だ……もう一度ブースターに変えて反撃を狙うのもいいがブースターはなるべくもう一体の為に万全まで回復させたい。

 

「ちょいと、まずいかもね……」

 

 もういっその事強行突破を狙ってみる?

 それも無くはないがリーフィアがあの攻撃を耐えれるかどうかはわからない。

 いや待て、確かにリーフィアには特殊攻撃は一つもないが……変化技なら……

 

「やるしかないか」

「さあ、そちらが攻めないのならこっちから。花びらの舞!」

 

 もう一度、チェリムが花びらの竜巻を起こす。ここだ

 

「リーフィア、どくどく!そして穴を掘る!」

「!?」

 

 リーフィアの周りに、紫色の液体があふれだす。それはリーフィアの体内で作り出した猛毒で、喰らった対象はじわじわとその体力を削られていく。だが今回狙ったのはチェリム本体ではなく竜巻。そして、俺の思い通り毒の液体はチェリムの周りの竜巻へと向かって行く。

 

「チェリム、攻撃を止めて!!」

 

 ナタネはすかさずそう叫んだがそれはもう遅い。花びらの舞は高威力な技なのだが、逆に一度使ってしまうと技を発動して少しの間はずっとその攻撃しか出せないというデメリットがある。今さら指示をしたところで竜巻はやまない。

紫色の液体が竜巻とぶつかる。竜巻の中に混じった毒は、周りへとまき散らされた。毒を出した張本人であるリーフィアは、穴を掘って地面にいるので平気だが問題なのは向こう、チェリムだ。チェリムは飛び散る毒をもろに受ける。液体は竜巻に乗った影響で勢いがあり、それは攻撃にも近い。そしてチェリムは草タイプ、毒タイプは苦手なはずだ。

 

「キュゥゥー!!」

 

 液体がチェリムの身体に当たり、チェリムの身体を傷つけていく。一発では致命傷とはならなくとも、それが何発も襲ってくればたまったものじゃないはずだ。

 

「キュイ……」

 

 最後に力のない声を出して、チェリムは倒れる。

 

「リーフィア、よくやった」

「(ボゴッ)」

 

 最後に、リーフィアが地面から出て来る。リーフィアは先ほどの攻撃でダメージは貰っていない。

 

「チェリム、戦闘不能!」

「……やるわね、まさかこちらの攻撃を逆手にとるとは……」

「これで1対2、勝負はこちらが優勢です……」

「ふふふ、断然燃えてきた。……さて、こちらも切り札を出すとしましょう。行け、ロズレイド!」

 

 ナタネはチェリムをボールに戻し、もう一つのボールを取り出して投げる。

 現れたのは、両腕がブーケの様になっているポケモン。頭には綺麗な白い花が咲いている。

 

「……、……」

 

 現れたロズレイドは、自分の手(花束)を顔に持っていき、その香りを楽しんでいるように見える。

 なんとも余裕な態度である。

 

「こら、ロズレイド!きちんと相手を見なさい!でないと、痛い目見るわよ!!」

「……」

 

 ロズレイドは、ナタネに言われてようやく対峙するリーフィアを見た。

 

「……」

 

 ロズレイドの、目つきが変わる。その鋭い目つきに思わず背筋が凍るような感覚に襲われる。

 

「ロズレイドのタイプは草に毒。毒タイプが入ってるお陰でリーフィアとの相性も悪くはない。それに、リーフィアの苦手な特殊特化型でもある」

「……ナタネさん、見たことないって言った割にはリーフィアの事をよく知ってますね」

「まあ、草タイプのエキスパートだし♪さあ、ロズレイド。距離を詰めて!!」

 

 ナタネさんが指示をした直後、ロズレイドは動いた。

 

 早い!

 

先ほどまではリーフィアとの距離は数10メートルはあったはずが、もうすでに距離は数メートルのところまで詰められている。

 

「っく!!リーフィア、守……」

「遅い、ロズレイド『ヘドロ爆弾』!!」

 

 ロズレイドの花束から、紫色の塊が生み出される。毒々しい物体は見るだけでその威力が分かる。ロズレイドは、それをリーフィアの方へと放つ。リーフィアは俺の指示を受けてバリアを展開しようとするが、それよりも早くヘドロ爆弾はリーフィアへと直撃する。

 

「フィ……ァ」

「リーフィア!!」

 

 ロズレイドの最高火力の技を受け、リーフィアは一撃でダウンする。

 

「リーフィア、戦闘不能!!」

「……いくら特殊が苦手だからとは言え……一撃とは……」

 

 しかも、リーフィアには毒タイプを半減させるビアーの実を持たせていたのだが……

 

「うちのロズレイドを甘く見無い事ね!!」

「っく、休んでくれ。リーフィア」

 

 倒れたリーフィアを、ボールへと戻す。

 これで残るポケモンはお互いに一匹。ラストバトルだ。

 

「よし、行けブースター!」

「ブゥイ!!」

 

 最初に温存していたブースターを出す。受けたダメージはほぼ回復したようだ。

 

「さて、もっと熱いバトルをさせて。アサヒ!!」

「もちろん!!

先手必勝だ!ブースター、ニトロチャージ!!」

「ブゥ!!」

 

 ブースターが、炎を身にまとう。

 そして、そのままロズレイドへと突進する

 

「ロズレイド、躱して!!」

 

 ロズレイドは、攻撃をひらりとかわす。

 

「逃がすな!ブースター、火炎放射!!」

 

 だが、その避けたロズレイドに対して、ブースターの口から炎が吐き出される。

 

「……!!」

 

 その攻撃も、ロズレイドは体をそらして直撃は免れる。本当に素早い……!

 

「ロズレイド、どくどく!!」

 

「キュィ!?」

「ブースター!!」

 

 ブースターは避けきれずにその毒を喰らう。

 

「どくどく、当たれば対象を猛毒状態にできる。技の追加効果の毒とは効き目は段違いよ」

「……キュゥ……」

 

 弱々しく、ブースターが鳴いて片足をついた。顔色も若干悪い気がする。

 

「さあ、止めよ!!ロズレイド、ヘドロ爆弾!!」

 

 またしても、ロズレイドが持ち前の速さで距離を詰める。その手には、必殺の毒の塊を持って。

 まさに絶体絶命。そんな状況下……

 そして思わず……笑ってしまった。

 

 

この、最高の状況に

 

 

「……何がおかしいの!!」

「……なあ、ブースター。

根性、見せてみろよ!!」

「ブゥウウイ!!!!」

 

 ブースターの身体を、先ほどのニトロチャージより一層強い炎がまとう。

 

「何!?」

「……草タイプに一番多い複合タイプ。それが毒なのは知ってます。そして、毒タイプの最も気を付けないといけない戦法が相手を状態以上にかけてじわじわと弱らせていく……という事もね。

 僕は別に草タイプに有利というだけでブースターを選んだわけじゃないんです。勿論有利ではありますが、素早さの速いポケモンの多い草タイプに若干素早さの遅いブースターは逆に不利になることだって多くあります。

 ですが……知っていますか、ブースターのとくせい」

「とくせい?ブースターのとくせいはもらい火の筈。それがこの状況にかかわっているとは……いや、まさか!!」

 

 驚くナタネさんを見て、思わず口の端が上がってしまった。

 

「『根性』。最近発見された、ブースターのもう一つのとくせい。状態異常のとき、ブースターはステータスのリミッターが外れる!!」

「く、ロズレイド、距離を取って!!」

「遅い!!ブースター、『フレアドライブ』!!」

「ブウウウウイ!!」

 

 ブースター最高火力技が、ロズレイドを正面からとらえた。

 効果は抜群だ!!

 

「ブゥイ!」

「……」

「ロズレイド、戦闘不能!!これでジムリーダーナタネの手持ちポケモンは0。よってチャレンジャーの勝ち!!」

「よっしゃあ!!」

 

 思わず、こぶしを握る。

 これで、ポケモンリーグへの道が、少し近くなった……

 

 

 

「おめでとう!君の実力を認め、このフォレストバッチを進呈しよう!!」

「ありがとうございます」

 

 バトルが終わり、俺はジムを破った証であるバッチを貰う。受け取ったバッチを少し眺めた後、バッチケースにしまう。これでようやく二つ……まだまだ先は長い。

 

「そうだ、アサヒ君」

「ん?なんですか?」

「その、……き、君のリーフィアちゃん、少し、ほんの少しでいいから撫でさせてもらえないかなぁと……ウェヒヒ」

「……ナタネさん、その気持ち悪い笑い方はやめてください……リーフィアも怖がってます……」

「えーそんなぁ……」

 

 ナタネさんはしょんぼりとしている。リーフィアは俺の後ろでナタネさんを震えながら見ている。ちなみに、バトルの後に回復は済ませているのでブースターもリーフィアも今は万全の状態だ。

 

「しかしまあ、まさか君のブースターは隠れとくせいもちだったとはね……」

「ええ、正直あのロズレイド相手じゃこちらもきつかったんで……まあ最後は運がよかったというか」

「運じゃない、実力よ。胸を張っていいわ。あなたは将来いいトレーナーになれる」

「あ、ありがとうございます」

「だからさ。リーフィアちゃんを……」

「いやしつこいですよ!?」

 

 あまりのしつこさにため息をつく。この人、どれだけ草タイプのポケモンが好きなのか……まあ、ポケモンを愛するのはいい事なのだが。

 

「さてと……とりあえず……帰ろうか」

 

 今日は疲れた。ポケモンセンターに帰って寝よう……

 

 

 

 その夜……

 

「フィ!」

「リーフィア、そろそろ機嫌を直してくれよ……」

 

 あっさりと負けてしまったのが悔しかったのか、リーフィアがずっとご機嫌斜めで苦労した。

 




 初投稿です、はい。超駄文ですが自分が書きたかったものを書いただけなので後悔はしていません!!

 余談ですが、作中のロズレイドのリーフィアへのヘドロ爆弾。いちおうどのくらいのダメージなのか調べてみたところ……

(攻撃)特殊特化ロズレイド(プレート持ち) 
(防御)耐久補正無しリーフィア(半減木の実)

 ダメージ量 139~165(ダメージ割合99.2%~117.8%)

 ……シャレにならん。まああくまでこれはゲーム内での話であって参考程度にしかならん情報なのですが。

 というか書いてて気になったことを一つ……これ、基本リーフィア主役の筈なのにバトル中ブースター主役になってない!?ま、まあ次回辺りにでも活躍させればいい……のか?いやだってロズレイドにリーフィアが1対1で勝てるところとか想像できませんし……襷燕返しでワンチャン?リーフィアの火力を舐めるなよ……(泣)


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