東方創造伝 (るーびっく☆きゅーぶ)
しおりを挟む

プロローグ

今更ですがプロローグ
少し文の構成を変えてみました。
今までと、このプロローグの文の構成。
どっちの方が読みやすいか。是非感想を頂ければ幸いです。


「あっちぃ〜」

 

 

 

10月だと言うのに気温と湿度は8月と大して変わらない。

 

溢れ出る汗のせいで、シャツが肌にへばり付いている。

 

とある街に青年は住んでいた。

彼は人でありながら異常なほど筋力が発達しており、幼い頃は蔑みの目で見られていた。

 

 

 

「助けて〜!赤ちゃんが!赤ちゃんがぁ!」

 

「ん?」

 

 

 

 

一人の女性が燃え盛る家に戻ろうとしている。その光景を見て誰も助けに行く事などできない。

それも当たり前。誰も死にたくないからだ。

 

現実にはドラマや映画のようなヒーローはいない。

 

だが現在(いま)は違う。彼は天を焦がすかのように燃え盛る家に入っていく。

 

それを止めようと何人もの大人が組み付きにかかるが、彼は虫を払うかのように避けていく。

 

 

「やめろ!やめるんだ!消防隊を待つしかない!」

 

 

彼が燃え盛る家の中に入ったあと、玄関が崩れ落ちた。

 

その場にいた誰もが死んだと確信した。

組み付く事に失敗した自分たちのせいで死んだと大人達は絶望した。

 

数刻、崩れ落ちた玄関が吹き飛んだ。

誰もが目の前で起きた状況を理解できなかった。

 

 

「ふぅ〜余計熱くなっちまった」

 

 

吹き飛んだ玄関跡には、服を焦がしながらも赤ん坊を抱える青年が立っていた。

 

 

「ぶ〜」

 

「お〜幸い煙は吸い込んでないみたいだな。良かった良かった」

 

「あ、あぁ。美雨…美雨」

 

 

救いを乞う事しかできなかった母親は、彼の下に歩みを進める。

 

 

「そうか美雨ちゃんって言うのか。ほら、君のお母さんだぞ」

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!本当にありがとうございます!」

 

母親は泣きじゃくりながら地面に膝をつきながら万謝した。

 

歓声が起きる。拍手も起きる。

 

 

彼はその力を怒りにではなく、自分の信念の為に使ってきた。

 

人を一人でも多く救うこと。

 

それが彼の信念。

故に彼には多くの友ができた。皆、彼を信頼し、尊敬してきた。

 

だが彼は、自分自身が一人の人間である事を忘れていた。

人を救う事で、自覚という概念が風化していってしまった。

 

故に彼は自分自身の弱点を理解しきっていなかった。

 

彼は友人である少女を救った。

 

自分の命を代償に。

 

彼は他人を救う為に自分を犠牲にしなければならなかった。今までは小さな物で済んでいた。だが、その慢心が彼を少しずつ破滅の道へと導いていった。

 

 

 

少女は見た。

惹かれている彼の撥ねられる瞬間を。

彼の体が宙に舞い、落下するのを。

彼の頭部から鮮血の絨毯ができていくのを。

彼の無残な姿を。

 

そして、彼が光と共にその場から跡形も無く消えてしまったのを…




感想を頂ければ、今後に活かしていけるよう努力します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

〜終わりと始まり〜
終わりと始まり


主人公 魅剣 真 〈みつるぎ まこと〉

遅い注意事項
・駄文です。
・投稿期間に差が出るかも。
・誤字などが多い可能性あり。
以上の事がOKだという人は、どうか生暖かい目でこの東方創造伝を見てもらえればと思います。


「ん…ふぁ〜あ…」

 

 

俺は大きく欠伸をかいた。とても長い時間寝ていた気がする。

 

 

「どこだここ…」

 

 

体を起こして周りを見回す。

 

漆黒の闇が無限に広がっていた。

何も無い、光さえもが存在しない空間。

 

 

「お〜起きたか」

 

 

小さな光と共に年寄り口調の幼女が現れた。見た目は小学生くらいか?

人間とは突然のことに反応できないものなのだな…頭が真っ白になって、今どういう状況か理解できない。

 

 

「幼女言うで無い!!気にしとるんじゃから!!」

 

「勝手に心を読むな…」

 

「これでも7億は生きてるわい」

 

 

痛い子なのかな?それとも死ねずに俺は幻覚的な物を見てるのかな?

これが幻覚ならまだマシな方なのだろうか。これがじーさんだったらもう一回寝れる自信がある。

 

 

「痛い子とか言わない!!!」

 

「あっはいすいません…いやあなただれ…」

 

「妾は神じゃ」

 

 

幼女も厨二病を拗らせたら可哀想なだけだな。厨二病でも○がしたいじゃあないんだから。精神科でも勧めるか。

 

 

「お主は生きたいか?それとも死にたいか?」

 

「は?よく分からないんだが」

 

 

あっやべ怒らせた?なんか怖いこと言ってるんだけどこの子。殺害予告なのか?それなら随分と斬新だな…

 

 

「お主は死んだんじゃよ。交通事故でな」

 

「…死んだ?」

 

「そうじゃ」

 

 

あれ?そう言えば俺は…確か…学校帰りで後輩や友達と帰ってたはずじゃ?

 

 

「実感湧かねー…」

 

「死ぬはずだったお主を妾がここに連れてきたのじゃ」

 

「なぜそんなことを…」

 

「お主に新しい人生を歩ませてやろうとな」

 

「転生ってことか?」

 

「まぁそんなもんじゃ。早速じゃがお主はどんな世界で生きたい?」

 

 

転生か…こ○すばかな?でもこ○すばみたいな女の人じゃ無い。目の前の幼…神様を改めてよく見てみる。

 

金髪の幼女。

 

うん、嫌いじゃ無いよ?可愛いし

 

 

「か、可愛い//」

 

 

あっやべぇめっちゃかわいい。訂正こ○すばみたいな女の子じゃなくてもいいや。幼女でもいいや。

なんか阿良○木が幼女を愛でる理由が分かった気がする。

 

 

「ゴッゴホンッ//で、で?どうするのじゃ?//」

 

「君と一緒に生きていくという選択肢は無いのだろうか…」

 

「!!??///」

 

 

おっめっちゃ赤くなった可愛い。俺は今、完全に犯罪に手を染めようとしてるけど相手は7億歳だから関係無い。

うん…でも俺の倫理観が許さないかも。

 

 

「か、神をからかうでない!!//」

 

「いや本心なんだが」

 

「わ、私みたいな//幼子とか?//」

 

「YESYESYES 可愛いは正義。てか口調崩れてんな」

 

「ハッ!?ゴッゴホンッ//か、神を落とそうとする、そ、その度胸は認めてやろう//」

 

 

あーダメだったかー…僕紳士(大嘘)だからとってもショックだなー

調子乗ってすまん。変態紳士だ。変態で何が悪い。

 

 

「し、しかし//お主はもう転生させる事で決定済みなのじゃ…」

 

 

しどろもどろしてる神可愛い。そして分かりやすいほどがっかりしてる。可愛い。

 

 

「!?//」

 

 

あっ、心読まれるの忘れてた。

 

 

「お、お前という奴は//ま、まぁ転生した先で会え無い事もないし//お前が望むのであればそこでゴニョゴニョ…」

 

 

指と指をチョンチョンと合わせながら猛スピードで喋る。なんだよ指チョンチョンクッソ可愛いな。

最後なんかゴニョゴニョしてたけど。

 

 

「ふむ…会いたければまず行動しろと?」

 

「う、うむ。そ、そういう事じゃ//」

 

 

さっきから顔真っ赤可愛い」

 

 

「!?//お、お前という奴は〜〜!」

 

 

口に出てた…

 

 

「そ、そんなに私といたいのか…フフ…フフフ…」

 

「あ、なんか危ない臭いがする」

 

「ん?なんか言ったか?」

 

「いえ何も」

 

 

 

あ、危ねえ…目から光が消えたから肝が冷えた。というか話が一向に進まん。

 

 

「お、お前のせいだろうに//」

 

「ごもっともで…」

 

 

五分ぐらいか?少し話がズレて軌道修正して、またズレてを繰り返していたから。

 

 

「えーじゃあ、お主はどこに転生したい?」

 

「え?選べるの?」

 

「あ、あぁ…選んで良いぞ…」

 

「う〜ん…」

 

 

転生物で良くあるのはファンタジー系。東方とかのガチート転生が多かったなー…

 

 

「東方にするのか?」アセアセ

 

「うーむ…うん、東方にする」

 

「そ、そうか…」

 

 

心なしかションボリした気がする。いや気のせいか。神様の周りから負のオーラが出てきたんだけど…

あれ?なんかまた目から光無くなってる。目は笑っているが口が動いていない。

 

 

「…」

 

「あ、あの〜…」

 

「なんじゃ」

 

「俺なんかしました?」

 

 

身に覚えがないんだが…あるとすれば可愛いと思ってしまった事か?可愛いは正義。

 

 

「……さて、能力はどうする?」

 

「怖いよその間…えーと制限的なものはある?」

 

「特にない」

 

「うわーめっちゃフリーダム」

 

 

ガチート能力とかでやり放題になっちまうじゃん。

 

 

「転生というのは本当に稀に見るものなのじゃよ。現世で我々神の目にとまるような事をしていない限りな」

 

「そういや…俺現世で何したっけ…」

 

 

神の目にとまるような事をした覚えがない。俺こんな記憶力悪かったっけ?

 

 

「まぁ覚えていないのも仕方ない。記憶はあやふやになるか、完全に消え去るかだからな。お主は現世で多くの人を助けた。交通事故も友人である女子高生を救ったからであって、ただの交通事故ではないのだよ」

 

 

ただの交通事故じゃない?う〜ん…友人、女子高生、交通事故…うっ頭が…

 

「そういや…確かに…誰かを突き飛ばした記憶が…交通事故も確か…暴走した車が突っ込んできて」

 

「そう。お主は暴走車に轢かれそうになった女子高生を突き飛ばすことで救い、自分は犠牲になった」

 

「なるほど…自己犠牲か…」

 

「その通りようわかったな。さて話を戻そう。能力はどうする?」

 

「…」

 

「悩むが良い。これからのお前の人生に大きく関わる事だからなアトワタシ…」

 

 

なんか最後聞こえなかったがまあいい。そうなってくれるなら嬉しいからな。

 

 

「う〜ん…」

 

 

能力ね〜…俺が厨二病拗らせてた時期は色々と考えてたが…本当に使えるようになると考えるとなー、思い付かんな。

 

 

「ん?お主能力持っているではないか?」

 

「はい?…」

 

 

すでに持っている…だと?どういうこった?

 

 

「どれどれ…!?」

 

 

神様が光の画面を創り出した。多分俺の能力が書かれているだろう。内容を知った神様は息をすることを忘れ、青ざめていた。

 

 

「え?どした?」

 

「な、なんなんじゃこれは…」

 

「え?なに、なんなの」

 

 

何?ショボいの?ショボ過ぎるの?お願いだから早く言ってぇぇぇ!

 

 

「『万物を創造・破壊する能力』」

 

「ヘア!?」

 

 

なにそのガチート能力。

 

 

「なぜこんな力を持っとるんじゃ」

 

「知らん」

 

 

全くもって身に覚えが無い。俺は普通の高校生だ。力が強過ぎるだけのな。

 

 

「ま、まぁ、よい。眠っている能力のようじゃから目覚めさせてやろう」

 

 

神様は俺に掌を向けると、そこから淡い光が出てきた。

それは少しずつ俺の中に入っていくと、胸の中で小さく光って消えていった。

 

 

「おー…なんも起きない」

 

「そりゃあな、能力じゃからな」

 

「そーなのかー…でこのまま転生するってことでいいのか?」

 

「うむ妾の夫となる男なのじゃ、転生先で会う頃には誰よりも強くなってるおるのじゃぞ?」

 

 

え?夫?結婚すんの?

 

 

「話に着いてけないどうしよ」

 

「何を言っておるのじゃ、ここまで神を惚れさせておいて//せ、責任は取ってもらうからな//」

 

「萌えすぎて死ねる」

 

「し、死ぬでない//い、生きるのじゃワッワタシト」

 

 

やったね真!転生前に婚約者ができ(おいやめろ

 

 

「では転生させるぞ…くれぐれも死ぬでないぞ?」

 

「あぁ生きてみせるさ…」

 

 

そう、この神という名の婚約者の為に…

 

あれ待って、これフラグ?

 

「〜〜///」

 

 

あっまた赤くなった可愛い」

 

 

「も、もう良い!//は、早く行くのじゃ!」

 

「あっ!ま、待って!」

 

 

赤面しながら急かしてくる神様可愛い、じゃなくて。

 

 

「な、なんじゃ///」

 

「せめて名前を…神じゃちょっと…」

 

 

婚約者なのに名前知らないのはな…好きな人の、、、好きな子の名前ぐらい知っておかないと。

 

 

神美(かよ)じゃ…」

 

「いい名だな…」

 

「お主も名乗れ…」

 

「えっいや知っ「早よ名乗れ」

 

 

俺のこと知ってるぽいっし、名乗らなくてもいいと思うんだが、、、まぁ神美が可愛いからいいか。

 

 

「あ、あぁ。俺は魅剣 真(みつるぎ まこと)

 

「ふむ、お主もいい名前じゃ」

 

「あぁありがとう」

 

「さて、では転生させるぞ真よ」

 

 

転生した先でどうやって会えるようにすればいいのか分からないが、俺の能力でなんとかしてみよう。

 

 

「頼む神美。暫く会えないな…」

 

「そうじゃの暫しの別れじゃ。また会う時まで」

 

「あぁまた」

 

俺は神美としばらく会えなくなる悲しみを振り払い、覚悟を決めた。

神美は再び掌を俺に向けると、光で少しずつ俺の体と意識を包み込んでいった。




主人公は口が緩い…
神美のイメージは忍ちゃんです。え?完全に被ってるって?可愛いから許せ。
読み難いなど、改善点を指摘していただければ、出来る限り修整していきたいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 能力検証

痛恨のミス


ここ何処〜

 

さっきと同じような、なにも無い黒い空間にいるんだが。ミスったか、東方に転生した俺への当てつけか。

これは神美が助けてくれるのを待つしかないな…

てか全裸なんだけど…

 

30分後

 

時計が無いから正しくは分からんが体感的にはそんぐらいだったと思う。

遅い…というか時間という概念自体あるのか?太陽が無いから大まかな時間も分からない。

 

ずっとぼーっとしてるのもあれだが…これはもう転生してあるのか?もう、一人で思い耽るだけの暇な時間なんだが。

 

 

「暇だし能力の検証でもすっかな」

 

 

眠っていた力ってよくわからんないけど。俺の両親は養父母で直接的な血縁関係は無いし。思い付かないな。

 

 

「といっても使い方分からんな…」

 

 

本当に能力があるのか疑心暗鬼な中、虚空に手をかざす…何か思いつくもの…

 

グゥゥゥゥゥ〜〜〜

 

大きく腹の虫が鳴った。こんなにデカく鳴るもんなんだな〜。

とりあえず胃に何かを入れなければ、行動する気にならないな。

 

 

「よし!無性に牛丼が食いてえ!」

 

 

頭の中で牛丼をイメージ手に力を込める。すると体の奥底から温かいものが湧き上がってくるのを感じた。

それが掌に向かっていく。掌から何か熱いものが出てきたと思ったら熱と同時に光が出てきた。

 

眩しすぎて無意識に目を閉じる。次に目を開けた時、俺の手には牛丼があった。

並盛りだ。ご丁寧に箸まで付いている。箸を取り肉を口に運ぶ。

 

 

「美味い!美味すぎる!」

 

 

2分後…

 

腹は満たされた。

創造の能力については大体分かった。頭にイメージしたものがそのまま出現するような感じだ。細かい内容や原理については最後の形?というか結果が分かれば、作れ無いことは無い。ただ、構造が分からないと少々不恰好な物ができたりする。

 

転生してきてからずっと全裸だったので服を創る。

着物でいいかな…色は黒。周りと同じ色だから無くしたら見つかんねぇなこれ。

 

能力を創ってみる。内容は限界を無くす能力。

 

 

「ふむ…」

 

 

地面と言えるのか分からないが、立っている時点で地面があるのだろう。少しピョンピョンと飛んでみる。

そっから体力・身体能力の限界を無くす。

 

するとピョンがピョォォォォォーーーーーーーン!レベルになった。え?よくわかないって?周り真っ黒だから、どこまで飛んでのか、わっかねぇんだよ。

とりあえず、暇潰しも兼ねて能力検証と修行だな。

 

 

 

 

 

〜〜一方〜〜

 

「あーーー!!!時代設定するの忘れてたぁぁぁぁ!!!」

 

 

ヤバいヤバい!!宇宙が誕生する前の世界に送っちゃったよ!!どうすんの!?自分で生き残ってねとか言ったのに宇宙誕生前送っちゃったよ!!

 

「まーそうあせるな」

 

「あ、お、お父様…」

 

「我が娘を惚れさせた男だ、そう簡単には死なんよ」

 

「それにな元々あいつは身体能力が常人とは桁違いなんだ、例え能力を使いこなせなくてもあの男は戦える」

 

「そ、そうだよね…」

 

「まぁ私は認めないがな」

 

「え!?」

 

「あっちの世界からここに来れたら私は認めてやろう。神として我が娘の夫としてな」

 

「お父様…」

 

「まぁそういうことだ。心配しなくていい。時間はかかるとは思うがな」

 

「それでも待つ」

 

 

どんなに年月が経とうとも私は老いない。だからこそあなたを待つ。魅剣 真。

 

 

 




あと何話かは溜めてるんで、少しずつ更新スピードが落ちます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話 検証結果と修行の成果?

意外とUAの数があって少し嬉しい。溜めてるのを少しずつ消化していってるんで、更新速度は遅くなるかも。


 

あの能力検証からどれほど経ったのかわからない。太陽が無い上に時間という概念自体が無い。故に何十…いや何百年単位という時間を体感した。

 

暇過ぎていつも能力創りだの、限界超えだので暇を潰していた。

 

「いつになったら神美くるのかな…」

 

 

創った能力

 

 

『・吸収する能力

・固定する能力

・時空を操る能力

・飛ばす能力

・真実と嘘を操る能力

・位置を変える能力

・再生させる能力

・増減させる能力

・書き換える能力』

 

 

なんかジ○ジ○ネタが多くなったけどそれほどジ○ジ○がネタとして優秀だという事だ。多分

 

創造する能力で、戦闘のできる生物を創っては、創った能力で戦ってを繰り返して、能力を増やしていった。

倒す度に吸収する能力で霊力などを吸収している。

 

無くした限界

 

『霊力・妖力の限界、寿命の限界、脳の容量の限界

 

霊力・妖力は吸収しているうちに俺自身の容量が足りなくなったので、無限に吸収できるようにした。

 

『増減させる能力』で霊力・妖力を7日間に一回増幅させる様にした。1.5倍ずつ。

もっと短い期間でも良かったのだが、それでも吸収している分を加えると100年間で大変な桁になる。そのため霊力・妖力の限界を無くし、リミッターを創った。

最初は3段階ぐらいだったのだが、少しずつ増えている。現在は6段階。

1段階毎に容量を変えているのだが、このまま行くと馬鹿でかい容量のリミッターを創らなければいけなくなる。

ここら辺は要検討だ。

 

さてこんな事を何百年とやってきたわけだが…暇過ぎるのと寂し過ぎるのとで少し泣きそう。

神美に会いたい…

 

相変わらずここがどこなのか分からない。宇宙でもなさそうだ。

宇宙は約150〜200億年だったか?ビッグバンが起こって宇宙が誕生しふくらんだんだっけ。自由研究で宇宙調べた時のがいまだ頭に残ってんな〜…

ただ仮説らしいから不確かではあるけど。

 

 

「宇宙でもねーからなー…どうしようもない」

 

 

うむ…物は試し…創ってみっか!

 

 

「ふぅぅ〜〜…」

 

 

神経を集中させ、両手に力を込める。

 

 

「ハァッ!!!!!」パァァン!!

 

 

手を叩く。すると両手から凄まじい光が発生した。

俺は足に力が入らなくなり崩れるように膝をつくと、そのまま意識を手放した。

 

 

 

〜その頃〜

 

なんか真が凄まじい音ともに見えなくなった。え?やばくないこれ…早速婚約者ピンチ!?

 

 

「あれ…寝てるだけだ…」

 

 

死んでるかと思ったら寝てた…転生させる時も思ったがやっぱり、真はふつうじゃない。

あの能力もそうだけど、彼の記憶の奥底にある部分が暗くて訳が分からない。

あれは見た所混沌っぽいけど…まさかな〜…

 

 

「まさかね…」

 

 

そんなことは…

 

 

「ないほうがいい」

 

 

少し調べなきゃいけない。たとえ彼が…だったとしても…私は受け止める。

 

 

「とりあえずは彼の過去について調べよう。でもこの3つの闇に隠れてるものって…」

 

 




旧神出そうと思ったけど、多分出ない。
多分主人公が生み出したものは出ると思う。
主人公=アザトース


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話 龍神は俺の子

中々古代編まで行けない…新しいオリキャラ
魅剣 龍妃 《龍神》
『創る能力』


俺はユサユサと体を揺すられて目が醒める。

まだ目がぼんやりとしていて何も見えない。いや元々真っ黒だから何も見えないかアハハハハッは?

え?まって誰か揺すった?

 

 

「誰かいるのか?」

 

 

全ッ然何も見えない。目を擦って確認する。

しばらくして少しずつ目が回復してきた。

 

 

「君は…誰だい?」

 

 

そこにいたのは、自分より少し低いぐらいの黒髪の少女。

年齢は…中学生ぐらいだろうか?

 

 

「私は龍神」

 

 

龍神?確か龍神って東方projectの最高神じゃなかったか?

なんでここにいるんだ?

 

「俺はどれぐらい眠ってた?」

 

「私がここに生まれた頃から」

 

「君は今いくつ?」

 

「よく覚えてないけど300くらい?」

 

 

……

そりゃ目も見えなくなるわ。

マジか300年間眠ってたかー…

 

 

「あなたは誰?」

 

「あぁ…俺は魅剣 真…」

 

 

周りを見渡すと所々に小さい光がある。

どうやら宇宙を創るのは成功したようだ。

まさか本当に宇宙の創造主になっちまうとは…

 

 

「ここを創った者さ」

 

「え!?そうなの!?」

 

「まさか成功するとはな…」

 

 

使った力の量がとてつもない量だった。

そりゃ眠っちまうわ。

 

 

「じゃああなたは私のお父様?」

 

「お、お父様?」

 

「うん。だってここを創ったんでしょ。ここが生まれたから私も生まれた」

 

「なるほど…にしても…なぜ300年間も起こそうとしなかったの?あ、いや責めてる訳じゃないよ?」

 

「起こそうとしたんだけど、ほとんど反応してくれなかったの…でもさっき少し唸り声がしたからもしかしたらと思って…」

 

 

それで揺すったと。いやしかし助かったな。あのまま眠ってたらいつまで眠ってたか分からんかった。

 

 

「ありがとな」

 

「んっ」

 

 

俺はそう言って龍神の頭を撫でてやる。すると龍神は少し嬉しそうな顔をした。

この子が俺の子か。誰との子って訳でもないな。俺の『能力』で生み出したようなものだからな。

 

 

「お前は俺の子供…よし名前を決めよう」

 

「名前?」

 

「そ、龍神ってのはあくまで種族名だろ?ならお前の名前を考えてやんなきゃな」

 

「名前…うん!ほしい!」

 

「うーむ…」

 

 

キラキラと輝かせた目で俺を見てくる。俺そんなネーミングセンス無いから期待しないでなんて言えない。

 

 

「俺の子だから…魅剣 龍妃〈みつるぎ りゅうひ〉なんてどうだ?」

 

「魅剣 龍妃…魅剣 龍妃…」

 

 

なんども繰り返し呟くように確認している。

なんか気に入らなかったかな…少し悲しくなってくるな

 

 

「微妙だったか?」

 

「そんな訳無い!!!」

 

「うお!?」

 

「お父様の考えてくれたこの素晴らしい名前が、自分の名前だと思うと、感動して少し取り乱しちゃったの!」

 

「お、おう。なんかごめん」

 

「私も怒鳴っちゃってごめん…」

 

 

ションボリとしている龍妃の頭を撫でて安心させる。

 

 

「大丈夫。そんなに喜んでくれるとはな。お父さん嬉しいぞ!」

 

「うん!お父様の名字を貰えるなんて嬉し過ぎるよ!」パァァァァァ!

 

 

これ魅剣 龍妃て画数多いな…なんか書くとき辛そう…

 

 

「ねぇお父様」

 

「ん?」

 

「お父様はどんな能力を持ってるの?私はね『創る能力」」

 

「ふむ…」

 

 

俺の下位互換の能力か…確かに俺の『能力』で創った子だから受け継いでもおかしくないな

 

 

「俺はな『万物を創造・破壊する能力』さ。」

 

「!?すごい!!お父様強いんだね!」

 

「まぁ龍妃も十分強いがね。能力を考えると俺の子だと言うのがよくわかるな」

 

「そうだね!すっごく嬉しい!」

 

 

うんお父さんも嬉しい。

とってもいい子。本当にいい子。

結婚して無いのに子供できたけどこの子がとってもいい子。

でもいずれ思春期が来るんだろなー…

 

 

「さてこれからどうするかな…」

 

 

龍妃の頭を撫でながらこれからのことを考える。

俺の第一目標は神美と会うことだが…それとこの子を紹介することかな。

にしても東方projectの転生のことすっかり忘れてた…進行スピードおっそ…

 

 

「どうしたのお父様?」

 

「ん?あぁこれからどうしていこうかと思ってな…」

 

「私はお父様がいてくれるならそれでいい!」

 

 

ほんとええ子や〜泣けてくる

 

 

「嬉しいこと言ってくれるなぁ〜…なぁ龍妃」

 

「ん?何?お父様」

 

「龍妃は俺が寝てる間、どうやって過ごしてんだ?」

 

「あ〜それはねお父様を観察したり!能力の検証したりしてた!」

 

「そうか…寂しい思いさせてごめんな?」

 

「ううん大丈夫だよ!今はお父様起きてるもん!」

 

 

真面目に泣けてくる。

というか能力の検証云々するあたり俺の血引いてるわ

 

 

〜その頃、天界では〜

 

「「…」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「なんか子供できてるぅぅぅぅ!!!!!」」

 

天界に2人の声が響き渡っていた。




次次回辺りには古代編行けるかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話 親子?

あと一話で古代編…


龍妃と修行して何年経ったか覚えていない。てか覚えらないよ。

 

あの後龍妃は俺が教えられる限りの知識と能力の使い方を教えた。

 

そんな事を何百億年単位でやってるうちに分かった事がいくつか。

 

龍妃の能力はあくまで創ることはできても完全体としてできるのは少ない。

でも稀に大成功するととっても喜ぶのでその姿を見て俺はつい頭を撫でてやってしまう。

そうすると抱きついて喜ぶので、俺もそれにノッて喜び合う。

 

そして龍妃の能力は、俺と同じように『能力』を創り、授けることも可能である。

しかしその創った『能力』は不完全であり、あくまで《程度》の『能力』になる。

俺の『能力』には劣るがそれでも十分に強い。

 

 

「ねぇお父様」

 

「ん?」

 

「私はお父様の子供だけど、お母様は誰なの?」

 

「あー」

 

 

俺の『能力』で創られた子だけど…

神美と相談しようかな。

 

 

「それはね、まだ会えないけど、これから絶対に会えるはずだから」

 

「本当?」

 

「あぁ」

 

 

まぁ会ってみてどう反応されるか分かんなけど…

でもまぁ…大丈夫っしょ!

 

 

「お母様はどんな人なの?」

 

 

あー…よく考えたら会って間もないのにあんなこと言う俺変だな…

まぁ一目惚れだからなー…

 

 

「そうだなー…」

 

 

よし、事実を言おう

なんか後からしばかれそうな気がするけど

 

 

「龍妃よりも幼い見た目だけど、とっても偉い神様なんだ」

 

「そうなの!?」

 

「そして俺が一目惚れをした人だな」

 

「神様に恋をするなんて素敵!!」

 

「ははは…」

 

 

龍妃が目をめっちゃキラキラと輝かせながらそんなことを言うので、俺は思わず苦笑いしてしまう。

 

 

「ねぇお父様これからどうするの?」

 

「うーん…」

 

 

今までは能力検証と修行をしてきたが、そろそろやることもなくなった。

 

 

「早く会いたいからなー…よし!」

 

「何をするの?」

 

「母さんに会うために天界に行けるか試そう」

 

「できるの!?」

 

「さっき今は会えないけどと言ったな、あれは嘘だ」

 

「嘘だッ!!!」

 

「「www」」

 

 

なんとなく見せたアニメや映画が大分好評だったらしく、たまにネタを求められる。

うちの娘レベル高すぎんよ…

どうやって見せたか?スクリーン創ったんだよ。

 

 

「まず天界に行くにはだが…」

 

「うん」

 

「天界への道…いや入口が必要だろ?」

 

「うん」

 

 

龍妃は頷きながら俺の話を聞いている。なんとなく可愛いと思ってしまった。

俺親バカかな…

 

 

「ここをこうやって…」

 

 

俺は両手の指に力を込め、何かを開くような動作をする。

するとそこから光の割れ目と共に2人の人の姿が見えた。

片方は見覚えがある。もう片方はない。なんか白髪が生えててよくありげな転生の神様って感じ。よくわかない?俺もわかんない。

 

 

「「貴様!見ているな!」」

 

 

うおぉい!某スタンド使いの吸血鬼が取るようなポーズをしながらこっちに指差してきた。

 

 

「次にお前らは『何故ここに来れた』と言う」

 

「「何故ここに来れた!ハッ!?」」

 

「お父様凄い!」

 

「フッ」

 

 

ジ○ジ○ネタにはジ○ジ○ネタ返すのが礼儀。

 

 

「真ぉぉぉぉぉ!!!」ダキッ!

 

「カハッ!」ズシャァァ

 

 

神美が走ってきた勢い殺すことなくを俺に飛びついてきた。その威力は俺の鳩尾にクリーンヒットし、俺は悶える。

 

 

「み、鳩尾…」

 

「うわ〜痛そう」

 

 

その様を龍妃と白髪のじいさんがいたわるような目で見てくる。

 

 

「真ぉ…真ぉ…寂しかったよぉ…」

 

 

だが俺は目の前の女神のために平気なふりをしながら宥める。

 

 

「遅くなってすまんな…思いついたのがさっきでな」

 

「会えただけで嬉しいよ!」

 

 

龍妃と同じようなキラキラと輝かせた目で俺を見つめてくる。

やべぇかわいい…言っておくが俺はロリコンではない。

だが可愛いは正義。

 

 

「神美、紹介した子がいるんだ」

 

 

俺がこの言葉を言った瞬間、神美の目から光が消えた。

やばい。

 

 

「お、落ち着け神美、俺が言っているのはこの子のことだ」

 

 

俺はそう言って龍妃に目を向ける。

すると神美はそれに合わせて龍妃に目を向ける。

 

 

しばしの沈黙

 

 

「龍妃…」

 

 

最初に口を開いたのは神美だった。

 

 

「は、はい…」

 

「お母さんだよ?」

 

「へ?」

 

 

龍妃は豆鉄砲を食らった鳩のような素っ頓狂な顔をした。

思わず笑ってしまいそうになる。

 

 

「お、お母様?」

 

「そう、お母さんだよ」

 

 

どうやら神美はすでに受け入れてくれているようだ。これで一つ心配事が減った。あとは龍妃だが…

なんかフリーズしてる…

 

 

「嫌だったかな?」

 

「そんな訳ありません!!!お母様ぁぁぁぁ!!!」

 

「グベッ」

 

 

俺に神美が抱きついてる所に、さらに龍妃も加わった。ここまで言えば俺がどういう状況なのか大体わかるだろう。

 

 

「お母様ぁぁ」

 

「そうだよお母さんだよ」ナデナデ

 

 

なんか小学生ぐらいの子が中学生ぐらいの子に抱きつかれてお母様お母様言われてる場面シュールすぎる。

 

 

「真」

 

「ひっ」

 

「今失礼なこと考えてたでしょ」

 

「い、いえそんなことは」アセアセ

 

 

こっぴどく叱られました…

てか心読まれるの忘れてたわ。

 

 

「我空気ワロタw」

 

「「「黙れ」」」

 

「サーセン」

 

 

なんか白髪のじーさんが和みムードを崩しかけた。

 

 

「改めまして魅剣 龍妃です。よろしくねお母様」

 

「えぇよろしく。私は神美よ。」

 

「「なごむなー」」

 

「「そこうるさい」」

 

「「すいません」」

 

 

白髪のじーさんと被ってしまった…同時に怒られたけど。

 

 

「あのーどちらさまで?」

 

「ふむ…我は神美の親である茂というものじゃ」

 

「魅剣 真です。」

 

神様なのにすんごい日焼けしてそうな名前。

 

 

「ふむ…お主が我が娘の婚約者か…」

 

「…」

 

 

なんか値踏みするような目で見てくる。

 

 

「ふむ…わっかんない」

 

「「「おい」」」

 

「真を転生させた時、なんかカッコいいこと言ってたのにどうしたお父様」

 

「いや、娘の前でぐらいかっこつけたいじゃん?」

 

「かっこつけたいならまともに仕事をしろ」

 

「すいません」

 

 

なにこの状況男弱すぎワロエナイ

ちょっとこれは苦労しそう…まぁ俺が選んだ道だから突き進むのみ!

 




投稿した後何回か確認はしているのですが、変なところがありましたら、教えていただければありがたいです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話 人類の繁栄

最近リアルが忙しくなってきたので、投稿期間に空きができるかもしれませんが、なんとか投稿しようと思います。


俺は今、龍妃と神美に抱きつかれてる。

ゆえに身動きが取れない。まぁ美少女二人に抱きつかれる分にはまだいいか。

 

 

「なぁ真よ」

 

「ん?なんだ神美?」

 

「そろそろ人類が誕生する頃かと思うんじゃがの」

 

「あー」

 

 

現状報告。

あのあと3人で(じーさんには家族水入らずでやっていきたいので仕事に行ってもらった)ぐーたらな日常?生活を送っていた。

そんなこんなで何億。

何年か経ったかなーっていう感覚だった。

なに?進展早すぎ?

気にするな!

 

 

「真も地球に降り立つのだろう?」

 

「あぁ、これからあっちで生活するとなると、ある程度拠点となる場所でも確保せんとな」

 

「うむ、そうだな。」

 

「なぁ龍妃」

 

「なに?お父様?」

 

「この前言ってた話はどうなったんだ?」

 

 

その話とは自分たちで神々を創り能力を授け、人類の繁栄の手助けをしようというものだ。

もう神々は準備を終わらせており、あとは人類が誕生するのを待つのみ。

 

 

「人類が誕生し始めたら手をつけるよ〜」

 

「わかった」

 

 

さて龍妃だが、相変わらず《程度》の能力しか創れないが、かわりに多様な能力を創れるようになった。

それもそのはず、本人は俺のように完成形を目指しているのだが、その度に新しい能力を創る上でレパートリーが必然的に増えていった。

本人によると指の数では足りなくてもう覚える気にならないそうだ。

 

 

「そろそろかな?」

 

「そうだね」

 

 

俺は今まで進化の過程を辿って人類は誕生したと思っていたのだが、どうやら俺の能力に干渉されて生物が誕生していっているらしい。

 

もっと前に人類は誕生しているようだが…この人類は俺の力云々関係無しに生まれてきたようだ。

地球が誕生し、環境が整ってくると、自然に生まれていた。なんか草が生えていたみたいな感じになっちゃってるけど…

 

俺は自分の見ている光景をスクリーンのようなものに映し出す。

俺に視野・視力の限界はないので、今いる天界からでも充分に見える

 

 

「俺が宇宙を創造した時の力がまだ残ってるんだな」

 

「どれだけの量を使ったんじゃ…」

 

「「300年間も眠り続ける量」」

 

 

俺と龍妃がハモる。

俺と龍妃は吹き出すが、神美は呆れたような顔をしている。

 

龍妃と神美はなんか喧嘩の一つでもしそうだと思っていたが、正直、俺よりも仲がいい。本当の親子という感じだ。微笑ましい限りではあるが、たまに置いてけぼりにされるので泣きたくなる。

少しじーさんの気持ちがわかってしまうのが悲しい。

 

 

「もうイザナギ達は準備できてるんだろう?」

 

「うん、基本的に月夜見が人類の指揮をしていくよ」

 

「そうか…それならば俺もそろそろ降りようかな」

 

「わかった」

 

 

俺は重い腰を上げる。

2人と再会できたのにまた離れるのも辛いものだが、これからの為に少しずつ進めなければならない。

 

 

「進展があれば報告しにくるよ」

 

「私もそっちに行くかもしれないからよろしくねー」

 

「わかったよ」

 

 

龍妃は神々を仕切る為にたまに地球に来るようだ。

 

 

「では行ってくる」

 

「「いってらっしゃい」」

 

 

俺は天界から出て、宇宙に出る。相変わらず綺麗だ。

果てしなく続く闇。絶望を感じさせられるがそれでいて生命を感じれる。

 

 

「地球に立つのは何億いや…何百億年ぶりかな…」

 

 

力を放出し、光の速度一歩手前の速度で地球に向かう。

意外と遠いな〜

 

 

 

〜地球〜

 

地球に降り立つ前に減速して、少しずつ降りていく。

 

 

「ふぅ〜」スタッ

 

 

なんとか地面に降りる。

恐竜に似た生物がちらほらいる。

 

見た所すでに月夜見の部下であろう神達が、人類に何かを話しかけて促している。

てか通じるのか?あーでも月夜見の能力は確か『意識を操る程度の能力』だったか…

 

人類が繁栄するまで周りの土地について調べておこうかな…妖怪にも会ってみたいし。

 

 

「オマエハ…クエル…カ?」

 

「ん?」

 

 

早速初の妖怪だ。

 

 

「ん〜」

 

「ハラ…ヘッタ…」

 

「そうか〜」

 

「オマエ…クウ…」

 

 

妖怪は堂々と俺に向かってきた。

まぁ奴からしてみれば俺はただの獲物にしか見えていないか…

 

 

「ふむ…」

 

 

手を剣に変形させる。

赤黒くデカイ。それを妖怪に対して横薙ぎに払う。

 

 

「グエッ」

 

 

変な声と共に、妖怪の体は上半身と下半身とで真っ二つになった。

中々の切れ味だと思って剣に変わった腕を眺めていたら、妖怪の後ろの森から変な音がし始めた。

 

 

「…」

 

 

俺は絶句してしまった。妖怪だけでなく、その後ろの木々が一面倒れていた。

 

 

「こりゃぁ…すげぇな…」

 

 

それしか言葉が見つからない。当分他の能力は使わなくても良さそうだ。

 




次回から古代編。
神美の口調直すの忘れてた。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

古代編〜創造神が見守りし文明〜
キャラ設定


主人公設定などなど


魅剣 真(みつるぎ まこと)18歳

 

種族《邪神》 約400億歳

 

《万物の王》《魔王》《創造神・破壊神》

《幻想郷の守護神》

 

『万物を創造・破壊する能力』

万物を創造することができる。それは自分が想像したものも例外ではなく、この能力によって3つの化身を生み出した。

※【万物】あらゆるもの。宇宙に存在するすべてのもの。

(東方創造伝の世界では、能力も宇宙に存在するものとして扱っているので、能力を創ることも可能)

 

銀髪・紫色の目・優しい感じの顔。怒ると鬼どころか般若さえも恐怖する形相。体格は筋肉が限界まで引き絞られており実用的な筋肉を求めている。

身長170cm

基本的には黒い着物を着流している。

 

柔道、合気道、空手、剣道(剣術)

元々力が強く、幼少期は成人男性の5倍、18歳になった頃には10倍以上の力が出せる。

暴力は嫌いで武道を習っているのはあくまで護身術としてである。

 

親は不明で、赤ん坊の真を後の養父母が見つけ、保護し育てた。

養父母の実家は神社でお稲荷様を祀っている。養父母の実家の祖父母には良くしてもらっておりとても仲が良かった。そのため神社にはよくお参りし、その度に油揚げを使った料理を持って行っていた。

ついでに暴走車に轢かれそうになった女子高生を救ったことで轢かれることになった。

 

 

chaos lead to ruin(破滅を招く混沌)

直接的な攻撃手段ではなく、精神的に攻撃することができる。

段階は4つ

1.恐怖感を抱く

2.恐怖心で何らかの影響を受ける

3.絶望する

4.混沌に呑み込まれる

 

『気力』「気玉」

これは生きるもの全てが持っているもので、やる気などと思われる時がある。これは霊力などとは違い、持っている量や使える量は個人差がある。

主人公である真はその何百億年という歳月の中、その力は膨大な量に膨れ上がっていた。

両手で気玉を生成すればその威力は地平線の果てまでをも更地にし、指先で作った大きさだけでも軽くクレーターを作るほどである。

 

 

変形 タイプ

・ダークネスアーマー

全身が鎧の様な赤黒い殻に包まれる。筋肉の筋などには赤い凹みがあり線が走ってるようになっている。胸にはYのような形の凹みがある。この状態は通常時の筋力の50倍が出る。

 

・邪創剣

片腕が身長程の大きさの刃物になる。色は赤黒く、肘の部分に刃の3分の一程の槍の様なものが生えている。大きさの割には軽く、その切れ味はどんなものをも切り裂くことができる。

 

・邪狂爪

色はソードタイプと同じ。両手の指が長い刃物の様なものに変わり腕はアーマーの様な物に変化する。

 

・邪剛拳

色は同じ。拳が異常に硬くなり星一つを破壊するほどの威力がある。腕はその威力を生み出すために筋肉が発達している。

 

・邪獰壁

色は同じ。これは両腕に装備と片腕に壁の様に装備する2つがある。両腕に装備するタイプは機動力があり突進することで全てをなぎ倒すことができる。対して片腕に壁の様に装備するタイプは、腕を地面に突き刺すことで壁の様にシールドを展開できる。その防御力は真の気力の最大威力を余裕で防御できる。

 

 

 

暴走時

半径10メートル程の範囲に暗黒が発生し、あらゆるものを破壊・死滅させる。

覚醒時

暴走時に対して白色で、あらゆるものを創造・癒す。

 

 

神美(かよ) 推定7ブベラッ!?

 

真を転生させた神。

白髪・金色の目・幼女

二おゲフンゲフン 2○年も生きているだけあって大人なびた感じであるが結局は見た目が幼女なので意味がない。

幼女の見た目がコンプレックス。

 

真のことは真が現世にいた頃から気になっており、実際自分の元に連れてきたのも何割かは私情である。

真とのやり取りの後、ガッチリ惚れた模様。東方の世界に転生するとわかった時は女性が多いという事で少し不機嫌になった。

「私というものがいながら女の多い世界に行くとは…許せん…」

と何かブツブツ言って何かしてたが気にしない。

ついでに真の婚約者

 

魅剣 龍妃 (みつるぎ りゅうひ)《龍神》

・『創る能力』

真の『万物を創造・破壊する能力』の下位互換で、真と同じように能力も作れるが『程度』の能力になってしまう。創れる量にも限りがある。

・『自然を司る能力』

龍妃本来の能力。あらゆる自然を操ることができる。

見た目15歳ぐらい

 

魅剣 真が転生した先で創った子供。真の能力で創られた子なので能力は下位互換の『創る能力』。

黒髪ストレートで黒目。

身長は160ぐらい。

真を〈お父様〉と呼びめっちゃ慕っている。

 




能力を作れるガチート


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話 救われし少女

古代編。ここまでが長かった…
pizza-laウマウマ
特にサラダが


 

 

妖怪を一刀両断してから、3〜4年ほど経っだろうか。

あれから人類の文明は急激に発達し、いまや村や集落などではなく、【都市】ができあがっていた…

 

 

「いや〜ここ数年でここまでとはな〜」

 

 

感心する。いくら神々が手助けをしたにしても、この技術の進歩は俺のいた現代よりも遥かに上だ。

 

 

「様子見でもするかな」

 

 

都市に向かって歩き出す。

 

その途中で、人間が妖怪に追われているのが見えた。

どういにも放っておけないので、追うことにする。

 

 

「クッ!××様!ここは私たちが防ぎます!早くお逃げください!」

 

「そんなことできるわけないでしょ!」

 

 

どうやら後ろが崖の壁になって逃げ道が無くなってしまったようだ。

 

 

「オトナシクツカマッテイレバ…ラクニシネルヨウニクッテヤッタノニ…」

 

 

見た所中級妖怪複数と大妖怪になったばかりの奴が一体。

 

 

「タノシマセテモラオウカナ」ニヤッ

 

「くっ!」

 

 

見ていられないな。

 

 

「お困りかな?」

 

「ア?ダレダオマエハ?」

 

「お前には聞いていない。君らだよ人間」

 

「え、あっはい。」

 

「助けてほしい?」

 

「え、ええ!お願い!」

 

「じゃあ手を組んで目を瞑り祈るといい」

 

「何に対して?」

 

「君らの信じる神に対して」

 

 

すると少女?以外の人間は全員手を組んで祈り始めた。

 

 

「ナニヲシテイルンダ?」

 

「さて祈られたから助けないとね〜」

 

「フンッ!オマエライケ!」

 

 

リーダーである大妖怪が中級妖怪たちに指示を出す。

中級妖怪たちの見た目はバラバラ、手から鎌のようなものが生えてたり、いろいろだ。

さて…肩慣らしと行きますか

 

 

 

〜〜〜

 

 

 

薬の材料を取るために護衛を連れて森に来たのだが、予想外の事態が起きてしまった。

中級妖怪の1、2匹は護衛でも相手にできるのだが、それが複数体、それも大妖怪付き。

絶望的だった。材料採集のため荷物は最小限に、武器も持ってきていない。

そのため一体減らしては逃げて一体減らしては逃げてを続けていた。

だが護衛も人間だ。限界が来て、ジリ貧になってきてしまった。

 

 

「クッ!××様!ここは私たちが防ぎます!早くお逃げください!」

 

「そんなことできるわけないでしょ!」

 

 

部下を見捨てるなんてことできるわけがない。なんとかしてこの状況を打破しなければ…

 

!?壁!?囲まれた!

 

 

「オトナシクツカマッテイレバ…ラクニシネルヨウニクッテヤッタノニ…」

 

「タノシマセテモラオウカナ」ニヤッ

 

「くっ!」

 

 

背筋に悪寒が走る。このまま自分で命を絶ってしまおうかと思うぐらいに…

 

 

「お困りかな?」

 

 

それは妖怪の声ではない。人間の澄んだ声だった。

 

 

「ア?ダレダオマエハ?」

 

「お前には聞いていない。君らだよ人間」

 

「え、あっはい。」

 

「助けてほしい?」

 

「え、ええ!お願い!」

 

 

藁にもすがる気持ちでその人に助けを求める。

 

 

「じゃあ手を組んで目を瞑り祈るといい」

 

「何に対して?」

 

「君らの信じる神に対して」

 

 

へ?この人は私たちを見捨てる気なの?私は絶望よりもこの人間に対する怒りで体に熱が戻るのを感じた。

しかし私の部下は祈り始めていた。

 

 

「ナニヲシテイルンダ?」

 

「さて助けてあげますかね〜」

 

「フンッ!オマエライケ!」

 

 

危ない!そう警告しようと口を開いたとき…

中級妖怪達は血と肉の塊になっていた。

 

 

「ンナ!?」

 

「ふむ…」

 

 

私はなにが起こったのかよくわからなかった。

彼の右腕は身長ほどの大きさで、禍々しい赤黒い色をした剣に変わっていていた。そして…血が滴っていた。

彼はその剣を大妖怪に向けて話しかけた。

 

 

「このまま見逃してやってもいいが?」

 

「フンッ!ザコヲコロシタグライデイイキニナルナヨ!」

 

 

大妖怪はそう言い切ると一気に距離を詰めようと走り出した。

 

 

「確かにお前は強いかもな〜…でもな?」

 

「グフッ!?」

 

 

いつのまにか彼は大妖怪を通り過ぎてた。

大妖怪の体を真っ二つにして。

 

 

「自分が勝てる相手かどうかを見極めるのも強さの一つだと俺は思うのよ…まぁ死んじまったから意味ねえけど」

 

 

彼は大妖怪の死体に話しかけていた。

やっと私は自分の置かれた状況を理解する。

肉塊と化した妖怪、妖怪達を肉塊に変えた右腕が剣になっている青年。

 

 

「あなたは何者?」

 

「ん?あー俺はただの強いだけの人間さ」

 

「その腕は?」

 

「これかい?」

 

 

彼は右腕の剣を振って問いかけてきた。

 

 

「ええそうよ」

 

「これは俺の能力で創ったようなもんだよ」

 

「無茶苦茶ね…身体能力も私の護衛達とは桁違いようだし…」

 

「へぇ〜それを見抜けるなんて凄いね〜」

 

「それだけ人の体を学んできたから」

 

「おっとそこの人たちは大丈夫かい?」

 

 

護衛達はみな手を組みあわせ祈りを捧げている。それだけの恐怖味わったのだろう。

 

 

「あなた達…もう大丈夫よ…」

 

「?お、おお!神よぉーーー!!!」

 

「クク…」

 

 

私が声をかけると護衛達は声を揃えて神に感謝を捧げていた。

その光景を見て彼はなぜか薄く笑った。

 

 

「自己紹介が遅れたわね…八意××よ、呼びにくかったら永琳でいいわ」

 

「そうか。俺の名は魅剣 真。よろしく頼むよ永琳。で、そこの人たちは大丈夫かな?」

 

「おぉーあなたは私たちに救いの道を教えてくださったお方!ありがとう!」

 

「クククッ」

 

 

変な捉え方をしているようだが、彼はその光景がおかしくて仕方がないとでも言いたげな笑い方をしている。

なぜかそれに護衛達は気付かない。

 

 

「お礼がしたいわ。都市に来ない?」

 

「ふむ…ではお言葉に甘ようかな」

 

 

彼は腕を元に戻して、私の提案に乗った。

彼から聞きたいことは山ほどあるのだ。最悪は私の作った自白剤でも使おう。命の恩人に使うのは気が引けるが情報が無い以上そうするしか無い。

 

 

「ついてきてちょうだい」

 

そう言って私は護衛と彼を連れて都市に向かう。これは月夜見様に至急報告しなければならなそうだ。

 

 

 

 




スマホ投稿→pizzaモグモグ→手がベトベトン→スマホの画面がアー♂\(^o^)/えーりん!えーりん!助けてえーりん!(おもにスマホを


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話 報告

東方で誰が好きとか聞かれたら誰?
俺は咲夜さんか姐さんかな
どうでもいいね


永琳を助けた後、永琳に案内され都市に向かった。

元々寄る予定だったので、ちょうどいいと思い、ついて行くことにした。

 

都市に普通に入ろうとすると外部からの人間はそれなりに怪しまれるし、周りの目がめんどくさいことになる。

永琳を助けたというのもあってそこら辺は楽になるだろう。

 

 

「ここよ」

 

 

歩き始めて20分ぐらいかな?

道中何事も無く都市に着いた。

見た所門番が1人ずつ端に立っている。

持っている武器は未来的な見た目をしたレーザー銃?のような感じだ。

 

 

「永琳様ご無事で何よりです…そちらは?」

 

「妖怪達に襲われた時に助けていただいた方よ…」

 

「そうですか…しかし…」

 

「わかっているわ…私が直接、月夜見様に伝えに行くから」

 

「了解いたしました」

 

 

様付けで呼ばれてんのか…それだけ偉い位の人なのかな?結構若そうだけど…

 

 

「月夜見様に報告しないといけないから、あなもついてきてくれるかしら?」

 

「俺が?」

 

「ええ」

 

 

うーむ…別に会ってもいいんだが…

バレそうだなー…

なるべく静かにやっていきたいんだが…

月夜見と一対一で話すか…

でもそれだと別の意味で怪しまれそうだな…

永琳にも知ってもらってた方がいいかもしれんな。

 

 

「わかったよ」

 

「よかった。報告が楽になるわ」

 

 

にしても月夜見か〜…

龍妃の話で何回かは聞いたが…肝心の性別を聞いてなかったな…

まぁ臨機応変に対応できるよう心がければいいか。

 

 

 

それからしばらく都市を歩いてあるデカイ建物に着いた。

都市は建物だけでなく、交通の便も人間の文明を超えていると思う。

だってそりゃ…乗り物が空で車のように走ってんだから。いや飛んでいるか。

ついでにデカイ建物にエレベーターあり。これ重要。

 

 

「これって誰が開発してるんだ?」

 

「私よ?」

 

「え?マジで?」

 

「マジでというのがどういう意味かは知らないけど…本当かという質問なのなら、答えはYesよ」

 

「はぁ〜すげーな…」

 

「ありがと♪」

 

 

俺は驚愕のあまりそれくらいの言葉しか思いつかなかったが、永琳はなぜか上機嫌のようだ。

 

 

〜月夜見の部屋の前〜

 

 

建物の最上階。一番奥の部屋に月夜見の部屋はあった。日当たり悪いんじゃない?

結構シンプルな造りになってるようで、装飾や灯りも最低限の物であり、スッキリした空間だ。

 

コンッコンッコンッ

 

 

「永琳です。報告に参りました」

 

『入りなさい』

 

 

永琳の言葉に中の人物が答えたのが少し聞こえた。声からして女性だと思う。

 

 

「あなたはそこで少し待っててちょうだい」

 

「わかった」

 

 

どんな人物なのかワクワクしてたのだが、なぜか一旦止められてしまった。まぁ拒否する理由もないので承諾しておくことにする。

 

 

ガチャッ

 

 

「失礼します」

 

「お怪我はありませんか?襲撃を受け…

 

 

それから後はドアが閉まってしまって聞こえなかった。

 

 

 

 

 




永琳はまだ少女の設定です。
え?なにいつまでも少女だって?何言っ(ピチュン


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第8話 最高神の親

どうやったら文章力が上がるのだろうか
てか俺が書いてるこれって文書力の問題なのかな?


 

 

 

「お怪我はありませんか?襲撃を受けたと聞いた時は心配しました。それも大妖怪がその中に紛れ込んでいるとなると、私でも冷や汗をかいてしまいました」

 

「ご心配おかけしました」

 

 

月夜見様は薄い紫色の髪を背中まで伸ばし、スタイルも容姿も抜群である。都市の女性にとっての憧れであり、同時に男性の注目の的でもある。それは神という立場関係無しにだ。

とても気配りができて、人に敬われる存在。それが彼女、月夜見様である。

 

 

「いえ、無事であればそれで良いのですが…」

 

「どうやって助かったのか、でしょうか」

 

「ええ」

 

 

この質問が来ると分かっているからこそ、彼を連れてきた。彼の説明と、彼が危険性の無い(?)人物であることを先に伝えておかなければ…

 

 

「私は薬の材料を取りに行っていたのですが、途中で妖怪の群れに遭遇してしまいまして…」

 

「それで襲われたと…」

 

「はい…それも大妖怪が混ざっていて、とても私や護衛達で対応できる相手ではありませんでした…」

 

 

私はあくまで薬を作ることはできても、戦闘においては護衛達についていけるかいけないかのレベルなのである。

 

 

「しかし、その状況でどうやって…」

 

「囲まれてしまったところで、ある人に助けていただきまして…」

 

「大妖怪に勝てる人間がいるのですか?」

 

「人間と呼べるのかはよくわかりませんが…彼が相手した妖怪達は肉塊になりました…」

 

「…」

 

 

さすがに警戒されますよね…

 

 

「人間とは思えませんが…しかし、彼は私たちに危害を加えるような存在でないと言えます」

 

「なぜですか?」

 

「入ってきていいわよ」

 

 

このタイミングで入って貰えば説明がしやす「魅剣様!?」へ?

 

 

「な、なぜ魅剣様が!?ここに!?」

 

「え?え?お知り合いなのですか?」

 

 

え?真って月夜見様に、様付けで呼ばれるような人なの?

 

 

「だ、誰って…私たち神の崇める龍神様の…

 

 

尊父様ですよ…」

 

 

 

 

 

 

え?今なんて?龍神様の父?

この人が?????

 

 

「初めましてだな…月夜見」

 

「お初にお目にかかります…人類の文明指揮を担当しております月夜見です…」

 

 

え?いま月夜見様のこと呼び捨てした?

 

 

「そんなに固くならくてもいい」

 

「いえしかし…」

 

「まぁ無理ならいいんだが…」

 

「申し訳ありません…」

 

「別に謝る必要はないさ」

 

 

え?え?え?そんなに凄い人なの?いやまぁ確かに強いっていうか異常な人だけどさ…

 

 

「それにしてもよく俺だと分かったな〜」

 

「龍神様がよくお話しになられておられましたし、写真のようなものをいくつかいただいておりましたので…」

 

「俺の写真?」

 

「はいこちらが…」

 

 

そういって月夜見様は一枚の写真を真に渡す。

 

 

「これ修行中の時の…てかいつ撮ったんだ…」

 

「龍神様は魅剣様のことを話される時はとても嬉しそうで、私たち神々がいつも聞き入ってしまうのです…」

 

 

本当に親子なのね…

最高神の中の最高神…

いつから生きてるのか知りたくなってくるわ…

 

 

「なるほどね〜親としては嬉しいがな〜…うちの娘はしっかり仕事?かなできてるのかな?」

 

「ええ!それはもちろん!我々神々だけでなく、この都市の人々も龍神様には感謝しております!」

 

 

龍神様の能力は確か『創る能力』だったかしら…そうなると真は、その能力の上位互換かしら…

 

 

「それなら良かったよ…ところで…大丈夫か?」

 

 

真がこっちを向いて問いかけてくる。

 

 

「ごめんなさい…少し取り乱してるの…最高神の中の最高神とかいうのが頭の中でグルグルしてて…」

 

「「あ、あぁ…」」

 

 

〜数分後〜

 

 

「落ち着いたか?」

 

「えぇ…少し…」

 

 

まさか…目の前の青年が神…それも神々が崇める神の親…訳がわからないわ…

 

 

「まさか魅剣様が地球にいらしていたとは…」

 

「あぁ、それなんだが、一応地球で暮らしていこうと思ってな。下見も含めて3、4年前ぐらいにこっちに降りてきたんだ」

 

「我々が活動を開始した頃からいらっしゃったのですね」

 

 

最近こっちに引っ越し?してきたのね。

 

 

「あぁ…でさっき森を彷徨ってたら永琳達が妖怪達に襲撃されてるところを見つけてな」

 

「改めてお礼を言うわ。ありがとう」

 

「この度は本当にありがとうございました…」

 

 

まさか助けてくれたのが神様だったとは…それも超最高神よ?

私の人生で最大の笑えない話だわ

 




友人にこれを見られそうになって、発狂してしまった。
見られたらライフとSAN値が0ですはい。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第9話 どこに住む?

主人公の種族に親バカも加えようかな


 

 

「魅剣様はこれからどうされるのですか?」

 

月夜見が首を傾げ、俺に問いかけてくる。

どっか住みたいけどな〜…

一応俺外からきたし。

 

 

「う〜ん…」

 

「ここで暮らさない?」

 

「都市でか?」

 

「ええ「はい!それがいいと思います!」…」

 

 

月夜見…被せんな…永琳がなんとも言えない複雑な表情してるから…

 

 

「しかしな〜…どっかいい家とかある?」

 

「それなら「ここをお使い下さい!」、…」

 

 

だから…

もう永琳可哀想だから…ちょっと涙ぐんでるから。

すこし可愛いと思ってしまったのは気のせいだうん。

 

 

「いやそれはな…」

 

「それなら私のところに住まない?」

 

「「え?」」

 

 

え?今なんと?

 

 

「別に問題ないんじゃないかしら?」

 

「いや大有りだろ…俺男だぞ…」

 

「いいんじゃない?」

 

 

マジか

見ず知らずの男を家に住まわせるとか。

 

 

「いやまぁ…うん…別に俺はロリコンではないからッぶべらッ!?」

 

「誰がロリですって?ん?」

 

「え?ちょっと永琳!?」

 

 

痛いマジで痛い。

顔面踏まれるの痛いです。Mじゃないんでやめてください本当に

 

 

「いやマジですいませんでした」

 

「いくら幼子に見えようとも、私は何億年と生きてるのよ」

 

「マジか」

 

「あっ…」カァァァァ

 

「「あっ」」

 

 

うん…分かるよ…女性って自分の年齢言うのいやだよね…

それも何億ねぶげぇ

 

 

「ちょっまっ」

 

「問答無用」

 

 

痛い超痛い。さっきより踏みつける足の力が強まってる。

 

 

「ちょ!永琳やめなさい!魅剣様の顔が床にめり込んでるから!本当にやめてぇーーー!!!」

 

 

 

 

〜30分後〜

 

 

「本当にあなたは…感情的になり過ぎです…相手は魅剣様ですよ?いくら怪我がないにしても、無礼過ぎます。というか年齢を知られたのはあなた自身が感情的になり過ぎたゆえに起きた訳であって…」

 

 

月夜見の説教が延々と続く。全部永琳に向けてなのだが、なぜか俺も正座している。

 

こうなる数分前に、俺は永琳に土下座したのだが、見かねた月夜見が永琳に説教を始めた…

なんか永琳が可哀想に見えてきたよ…

 

 

「つ、月夜見…それぐらいで…」

 

「いえ、まだ足りません」

 

「いや永琳が、ああなったのは、俺の失言のせいであって…」

 

「それでもですよ?顔を踏みつけるのはどうかと思います!」

 

 

確かにそうかもしれないが…

 

 

「でも俺も永琳を傷付けるようなことを言ってしまった訳だしさ」

 

「…そうですね」

 

「すまなかったな…永琳」

 

「私も感情的になってしまったわ…ごめんなさい」

 

 

これでなんとか解決したかな?

まだ月夜見は納得いかないようだが…

 

 

「話を戻すわね。私の家に住まない?」

 

「う〜ん…」

 

「無理だと思うのでしたら是非こ「お言葉に甘えようかな」ちょ…」

 

 

なんか月夜見が目を輝かせて何かを言おうとしてたけど、気にしない。

 

 

「よろしく頼む」

 

「こちらこそよろしくね」

 

 

お互いに手を出し握手をする。

握手のはずなのだが、永琳の手が小さいせいか、永琳が俺の手を掴んでるようにしか見えない。

 

 

「永琳の家に住むことは決定なのですか…」

 

「せっかく提案してもらったのに悪いな」

 

「いえ大丈夫です。魅剣様にお会いできただけでも光栄です。またおいでいただければ幸いです」

 

「あぁ遊びに来るよ」

 

 

何回か来ることになりそうだしな。

我が子の話も聞きたいし。

相変わらず親バカだな俺…

 

 

 




最近リアルが忙しくて中々投稿できない(´・_・`)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第10話 永琳の家の大きさは異常

(´・_・`)肌荒れ痛い


 

 

永琳の家に住むと決まったその日に、俺は永琳宅にお邪魔した。

 

月夜見の仕事場から、そんなに遠くないところに永琳の家はあった。

まず思ったのは…

 

デカくね?

月夜見の仕事場よりデケェ

永琳は一人暮らしだと言っていた。が、このデカさで一人暮らしって…

 

 

「な、なぁ…この広さで掃除とかってどうしてるんだ?というかこんなに広くて、場所使い切るのか?」

 

「掃除は専属のお手伝いさんがいるから、基本的に家の掃除や庭の手入れなどを任せてるわ。使いきれてるかはわからないけど…私が使わないところは、お手伝いさん達に使っていいよう言ってあるの」

 

「ふーむ…これ、目的の部屋に行くのにも一苦労だな…」

 

「…その通りよ」

 

 

様付けで呼ばれたり、デケェ家に住んでたり、一体なんの仕事してんだ?

この都市の物価はよく分からないが、この家だけでも俺がいた現代では想像もできない額だろう。

なんでだろうね家や、珍しい物って値段気になるよね。

 

 

「なぁ永琳」

 

「何かしら?」

 

「永琳って仕事何してんだ?とても開発云々で稼げるとは思えないんだが…」

 

「確かに開発もあるけれど、政治面にちょっと手を出したり、建築にも手を出してるわ?」

 

「例えば?」

 

「この都市ね」

 

「は?」

 

 

なに建築してんのかと思ったら規模がちげぇぇぇ

都市開発?永琳の頭は大企業かよ。

 

 

「永琳の頭ん中どうなってんだ…」

 

「覗く?」

 

「やめとく…」

 

 

多分理解できない…

脳の容量の限界が無い俺でも、多分理解することを諦めると思う。

開発、政治、建築

これパッと見ただけだと、1人がやってる仕事だとは思えねぇな。

こんなことができるからこそ、都市の人間に敬われてるのか。納得ができるな。2おッゲフンッゲフンッ歳も生きてるのも関係してるかもしれないけど。

 

 

「そんなに仕事こなせんのか。能力的なものが関係してんのか?」

 

「どうなのかしら…私は『あらゆる薬を作る程度の能力』だから、能力が関与しているかはよく分からないわ」

 

「チートじみてんなぁ…」

 

「それで?あなたの能力はなんなの?超最高神様」

 

「その呼び方やめろ。俺は『万物を創造・破壊する能力』だ。」

 

「…人のこと言えないんじゃないかしら。私の能力の方が可愛く見えてくるわよ。あなたは何を創造してきたの?」

 

「ここ」

 

 

俺は指でチョンチョンと示す。

さぁ分かるか?

 

 

「?地球かしら?」

 

「う〜ん…ここも創ったに入るんだろうが…一番でかいのは…宇宙かな?」

 

「………………………………は?」

 

「こ〜なんつ〜か手をパンってな。その時に龍神である、龍妃が生まれたのさ」

 

「はぁ〜…色々と予想外なのもあるけど…今話してる相手が宇宙の創造主とはね」

 

 

そりゃな誰も考えないよね。目の前に宇宙を創造した本人がいるとは。

 

 

「思い返せば俺創造主じゃん」

 

「ふふ、今更すぎないかしら?」

 

「ははは、確かにな」

 

 

実感が湧かなかったわ…

簡単に作れちまうのがな。

 

 

「それじゃ改めてよろしく頼むよ」

 

「ええ、よろしくね」

 

 

居候になっちまったが、都市で仕事とでも探そう。

なんか神美の許可取らずに女性の家に住むことになっちまったが、早く報告しに行かないと…

シバかれる…

 

 

 




大きな家とかってあんまり住みたいと思わないんだよね。主に移動がめんどい。はい君!m9(o^=^o)デブって思ったでしょ?正直に言いなさい。先生怒らないから


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第11話 永琳の悩み

初めての感想を頂きました。
アドバイスや、率直な感想などを頂ければこれからの励みになります。


俺は今、永琳宅のソファーで寛いでいる。

他人の家で、それも居候の身でこの態度はどうかと思ったのだが、永琳本人が、堅苦しいのはやめてくれとのことでこうやって伸び伸びと寛いでいるのだ。

 

 

「調子はどうだ?」

 

「う〜ん…」

 

 

俺は永琳に声をかける。

永琳は最近になって薬ではなく、図案や電気回路と睨めっこしながら唸っていた。

 

 

「微妙なところね…」

 

「と、言うと?」

 

「要となる噴射の構造が、イマイチ納得出来ないのよ」

 

「ふーん…」

 

 

俺は永琳の後ろから、噴射の構造が描かれていると思われる図案を覗き込む。

 

 

「ふむ…」

 

 

俺は脳の容量の限界を無くしているので、都市にある書物の知識を、詰め込めるだけ詰め込んだ。

だが、ただ知識があるだけでは、意味がない。

その知識を活かさなければ、俺が詰め込んできた今までの苦労は水の泡になる。

俺はそれを回避したいが為に、永琳にアドバイスしたりしているのだが、この都市の技術、そして都市自体を作った人間と俺では思考速度が違い過ぎた。

 

 

「少し待ってくれ。その図案よく見せてくれないか?」

 

「え、ええ」

 

 

俺は永琳との思考速度の差を埋める、または超える為、『増減させる能力』で俺の思考速度を加速させた。

頭に浮かぶアイデアの中で、元々描かれている図案に最も近いものを描くことにする。

永琳に道具を借り、頭の中のものを元々の図案の上から慎重に描いていく。

俺の筆を動かすスピードが上がるにつれ、永琳の顔が少しずつ青ざめていった。

というか俺、図案描いてる最中に人の顔見てる場合じゃねえわ、集中集中。

 

 

「ふぅ〜できた」

 

「…」

 

 

図案を描き終わった俺は、手を振って休める。

勢い余って構造どころか全部描いてしまった。

最終的に、俺がいた現代のロケットの形に収まった。正直ロケットの構造は興味本位で調べた程度なのだが、それ以外は全て、詰め込んだ知識で補った。

 

 

「理論上はこれでいける」

 

「なるほどね…足りなかったのはこの部分だったのね…にしてもこの構造よく思いついたわね」

 

「軽量化のために、途中で燃料タンクを切り離すようにしようと思ったんだが、意外にも使われる素材の強度が高い上に軽いからな」

 

 

この都市では様々な採掘技術を使って、特殊な鉱石を大量に産出していた。

その鉱石は、都市の兵に配備されているレーザーライフルに耐え、同じ大きさの鉄と比べても三分の一という軽さで、加工がしやすいというものだ。

 

 

「私が思いつかなかった事を簡単にやってのける…そこに痺れる!憧れるぅ!!!」

 

「お、おう」

 

 

それは狙ってるのか?永琳…

ジ○ジ○好きの俺からしてみればその反応は嬉しい限りなのだが、急にやられると反応できないです。

 

 

「是非教えて欲しいわ!」

 

「何を?」

 

「あなたの教えられる限りの知識を!!!」

 

 

oh…要するにそれは…

 

 

「俺に教師になれと?」

 

「是非!是非!」グイッ!グイッ!

 

 

永琳がグイグイと俺に迫ってくる。

いや近過ぎるって!

近い近い近い!ちょっといい香りする!いやガキかよ俺!

 

 

「わ、わかった。わかったから、できる限り教えるから、あと顔近い」

 

「ハッ!?ご、ごめんなさい…取り乱していたわ」カァァァァァ

 

 

永琳が顔を真っ赤にしながら離れていった。恥ずかしいならしなきゃいいのに。

話を戻さないとな。この状態が続くとか胃痛が起きそうだ。

 

 

「で?これはどうするんだ?」

 

 

俺は図案を指しながら永琳に問う。

勿論それは【これをどうやって作るんだ】の意味を込めて言っているわけだが…

 

 

「ええ、月夜見様に報告しておくわ」

 

 

やっぱりか…やっぱり俺の考えは伝わらないか…

永琳からしてみればロケットを作る事など、設計以外では悩む事なんかないのか。

そこが俺と永琳の違いだろうな〜…本人は作れて当然、という考えだし。

薬云々関係ねえな。永琳が能力関係無しに既に強い件について。

報告に行くらしいし、俺は都市を見てこようかな。

 

 

「そうか、じゃあ俺は少し歩いてくる」

 

「分かったわ。私はその間に報告に行ってくるわ」

 

「りょーかい」

 

 

俺は玄関に向かって歩き出す。何回か行き来しているので、使える部屋や、道具などの部屋は大体覚えている。

まぁ使われている部屋より手付かずの部屋の方が多いのだが…

相変わらず思うのだが遠い。もうこれ…玄関に着くまでに、外出する気力無くなるんだけど…

 

 

「長え…ワープ的なものを作るのもいいがそれだとデカイ意味も無いし、ほとんど廊下を歩かなくなって掃除がされなくなるな」

 

 

埃が溜まるのは許せない性格の俺は、現代にいた頃の部屋を隅々まで綺麗にしていた。

友人には、どう掃除したら部屋が輝くんだ、と聞かれたものだ。

 

 

「掃除がする意味があって、尚且つ移動が便利…」

 

 

歩かなくてもいいという発想からだと、空港の床にエスカレーター敷いたようなやつ…

確か〜…ムービング・ウォーク?だったか?

あれだ、ケ○○軍曹の基地で、ほとんどの移動シーンで使われてるやつ。

あれ作ろう、うんそうしよう。帰ったら取り組もう。

と〜りあ〜えずぅ〜外で暇つ〜ぶしぃ〜

 

 

「まだか?」

 

 

確かこっちで道は合ってたはずなんだが、中々着かない。

迷った?

はいきた迷いました。なんでだろうね、普通に来る時に歩いてた道を戻ってるだけなのに、見当違いの所にでたよ。

誰かに聞くか…なんか恥ずいな家の中なのに他人に場所聞くって…

まぁ居候だから仕方ないよね!

あ、お手伝いさんいる。

 

 

「すいませ〜ん」

 

「あっはい!」

 

「玄関どっちですか?」

 

「へ?」

 

 

聞かれた内容が予想外だったのか、困惑していた。

まぁ…家の人に玄関何処って聞かれる事無いよな。でも居候だからな?まだ把握しきれて無いんだ。月夜見の仕事場よりデカイのに、覚えろって言う方が無理がある。

 

 

「すいません、この前ここに居候させてもらう事になったんですけど、家の構造を把握しきれてなくて…」

 

「あ、あぁなるほど…そういう事ですか」

 

 

把握しきれないどころか、把握する気力さえ起きない。

この家の能力は『住人を廃人にする程度の能力』でも持ってるんだろう。

 

 

「案内致しますので、ついてきてください」

 

「ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

 

お礼は大事←これ基本

 

 

「ところで、お名前を教えていただけますか?まだ永琳様から何も聞いていないので…」

 

 

永琳…ロケットの開発で忙しかったのはわかるが、俺の件ぐらい伝えておいてくれないかな〜。

 

 

「魅剣 真だ。永琳とはこの前、森で襲われてた所を助けた時に知り合ったんだ。で、最近こっちに来たから住む所が無くてさ、相談したら住んでいいって言われてね」

 

 

俺はできるだけ簡単に、短く説明する。長々と話す内容でもないし、俺より永琳から聞いた方が信憑性高いしな。

 

 

「そうでしたか。ここは長年働いている私達でも迷うものですから、構造を知らないとなれば迷うのは当たり前ですね」

 

「お恥ずかしい限りで…」

 

「あ、申し訳ありません。魅剣様へ言ったわけではなくてですね、えーと」

 

 

気落ちしている俺をなんとか立て直そうとする彼女は、少し面白く見えた。

しかし俺は、人が困っている姿を見て喜ぶような人間ではない。

いや待てよ、俺そもそも人間か?

 

 

「独り言…ですか?」

 

 

中々いい言葉が思いつかない彼女の代わりに、俺が思いついた言葉を言ってみた。

 

 

「はい!」

 

 

彼女はハッキリとした声で答えた。少し幼さの残る笑顔で返事をされたのは微笑ましいことなのだが、さっきまでの会話を思い出して笑ってしまいそうになる。

彼女は、俺が肩を震わせているのが何故なのか理解できないようだ。

勿論笑いを堪えるためだが。

 

 

「あの、質問をしてもいいですかね?」

 

「はい、なんでしょうか」

 

俺が笑いを堪えているのを悟られない内に、話を切り出す。

 

 

「あなたは、いつから永琳の下で働いているんですか?」

 

「永琳様がまだ幼い頃からです」

 

 

なるほどなるほど…待てよ、そうなるとこの人は…

あ、これ以上はいけない気がする。俺の生命本能がそう警告している。

 

 

「永琳が都市の建設に携わったと聞いているのですが、それは本当なんですか?」

 

「ええ、永琳様はとても聡明なお方で、月夜見様率いる神々が降りてきた時、永琳様が真っ先に交渉を行いました。そしてこの都市を建設し、あらゆるものを作り、都市の繁栄を後押ししました」

 

「なるほど…」

 

 

聞けば聞くほどスゲェ話だな。

これが1人の人間の手によって行われてるんだから尚更。

 

 

「着きましたよ」

 

 

お手伝いさんの話を聞きながら歩いていたら、すぐに着いてしまった。

もう少し詳しく聞きたい所だが…

 

 

「また今度詳しく聞かせていただけませんか?」

 

「分かりました。その時までに話を纏めておきますね。何時にお戻りになられますか?」

 

 

う〜ん…適当に歩き回るだけだからなー。都市で迷子になっても、飛べば永琳の家は見つかるし。

 

 

「えーと…5時前には帰ります」

 

「承りしました。永琳様に後ほどお伝えします」

 

「はい。あ、これからよろしくお願いします」

 

「はい、こちらこそよろしくお願いします」

 

 

俺と彼女は同時に礼をした。

これからこの家に住むのだし、お世話になるはずだ。ゆえに挨拶は大事である。

 

 

「じゃ、行ってきます」

 

「行ってらっしゃいませ」

 

 

俺は彼女に見送られ、外に出る。

そういえばお手伝いさんの名前を聞いていなかった。帰ったら聞いておこう。

そんな事を考えながら、玄関のドアノブに手をかける。

軽く力を入れると、自動ドアの様に両方の扉が開いた。

俺は都市で何をしようか考えながら玄関から出た。

 

 

 

 

 

「ふぅ〜あっちぃ〜」

 

 

永琳宅を出て少し歩き、近くの木陰で休む。

まだ午後になったばかりで、日が出ている。その為、日光の熱が俺をジリジリと熱していく。

 

着物を着ている俺は、少し汗を吸った着物の両襟を掴み、パタパタと空気を入れていく。

空気が入るたびに、脇がスーッと涼しくなるのを感じながら、俺は空を見つめる。

鳥に似た生物が、空のさらに高いところへ行こうと羽を大きく羽ばたかせる。

 

そよ風が当たるのを感じた俺は、膝に手を置きよっこいしょと反動をつけて立ち上がった。

 

照りつける日光を、手で遮りながら歩き出す。その先に見える景色は、活気に包まれていた。

俺は久し振りに見る人の密集率と、賑わいを見て、足を運ぶスピードが自然に速くなっていった。

 

 




次回か、次次回辺りには戦闘できるかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第12話 団子

前話で感想を頂きました。ありがとうございます。これからも東方創造伝を、暖かく又、生暖かく見て頂ければ幸いです。


 

適当に都市を散策した後、俺は永琳に軽い手土産でも買っていこうと思い付き、近くの団子屋に入った。

 

 

「あれ?俺団子屋に入ったよね?」

 

 

あまりにも予想外過ぎる光景で、ただの見間違いだと自分に言い聞かせ目を擦る。しかし、目の前の光景は変わることはなかった。

 

 

「これは…凄いな」

 

 

まず驚いたのが、都市全体は未来的な造りをしているのに、店などは未来的などという言葉が似つかわしくないような内装だった。

壁は基本的に赤で、装飾は金などの貴金属が使われている。

和風とも言えないが、これは中国の歴史的建造物の内装に近い気がする。

団子屋でこれか…いやもしかしたら、ここが超高級な団子屋で、それだけ内装に拘れるんじゃないかな。

 

 

「いや高級な団子ってなんぞ」

 

 

納得しようとしたけど無理だね。

俺入る店間違えたわ。軽い手土産買いてえのに、全ッ然軽くない。

 

 

「これいくらなんだ?」

 

 

手元の金と、団子を交互に見ながらそんな事を呟く。

というか物価分かんないのに何故買おうとしたんだ。

金はこの前、永琳に持っといた方がいいと言われて渡されたから、持ってるけど。

これは永琳に物価について教えてもらわないとな…買い物も碌にできない。

 

 

「また次のきか「何の団子をお探しですか?」うぉぉい!」

 

 

あ、ビックリして時止めちった☆

急に話しかけないでくれ本当に…

ビビって軽くちびるかと思った。ち、ちびってないよ?

 

 

「この人…店主か?」

 

 

質問の内容的に考えて店主だろう。他には商品を見ている人はいるが、同じように働いてる人はいない。

 

 

「?この服…」

 

 

俺は、声を掛けてきた店主の服装を見て、疑問を抱いた。

中国系の服。とてもシンプルな作りで、アクセサリーの類のものは付けていない。

なぜ古代にこんな服装があるんだ…というか、なぜ中国なんだ?月夜見や永琳は着物なのに。

とりあえず、この状況をなんとかしないと…

 

 

「能力解除っと」

 

「?どうかされましたか?」

 

「い、いえ…あのここのだんご一本ずつで、どれぐらいですか?」

 

 

俺は、目の前の団子を指差しながら問いかける。

 

 

「一本ずつですとこれぐらいですね」スッ

 

 

うん分からん。なんか計算機的なのに字が表示されてるけど、どう見ても数字でも漢字でもない。

これ領収書取れるかな…

 

 

 

〜30分後〜

 

 

 

こっちに最近来たことや、物価が分からないことを伝えるのに四苦八苦したが、なんとか買えた。

しかし、説明で30分も掛かったわけではない。説明し終わって、団子の購入ついて話出そうとしたら、店主が俺に興味を持ったらしく、質問攻めを喰らった。

その時は

 

 

『で、俺、この団子を買いたいんですけど、このお金どれぐらい出せばいいんですか?『どこからいらっしゃったんですか!?』…』プチッ

 

『質問を質問で返すなぁぁぁぁぁ!』

 

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

 

という事になって、他のお客さんに白い目で見られてしまった。

説明するのは5分ぐらいだったはずなのに、店主のせいで30分近く経ってしまった。

 

 

「金額分ここから取っていただけるとありがたいんですが…」

 

「わかりま「あ、必要以上に多く取られてたらシバきますんで」…」

 

「でも、物価分かんない自分も悪いんと思うので、代金の10%ぐらいは取っていいですよ」

 

 

俺が言い切った瞬間、店主が小さくガッツポーズした。これが女の子なら可愛いんだろうが、男だからなあ…

 

 

「じゃ、また来るよ」

 

「ええ、これからもご贔屓に」

 

 

最初の頃の堅苦しさは無くなり、砕けきった仲になった店主とそんな軽い挨拶をして、俺は団子屋を後にする。

結構うまそうだから、これからも行ってみよう。その前に物価について教えてもらわないと…あと文字。

なんで言葉通じてるのか不明だが、月夜見の能力云々と信じよう。

 

 

〜月夜見の仕事場〜

 

コンッコンッコンッ

 

『どうぞ』

 

「どうも」

 

「魅剣様!?」

 

 

あれ?なんかデジャヴ。

 

 

「お仕事ご苦労様」

 

「あ、ありり、ありが、とうございます。こ、今回は、ど、どのようなご、ご用件ででで」

 

「落ち着け」

 

 

おいどうした…前会ったときは、そこまで酷くなかっただろ。2人だけだとコミュ症発動しちゃうの?

相変わらず俺なんだと思われてんの…

差し入れに団子持ってきただけなんだが。

 

 

「ほれ、団子」

 

「へ?は、あ、ありがとうございます」

 

「なにが好きか聞いてなかったから、とりあえず適当に買ってきた。好きなの選んでくれ」

 

 

好み聞くの忘れてたから、とりあえず全種類一本ずつ買ってきた。

ちなみに俺はづんだっぽいのを選んだ。ウマウマです。

枝豆?か分からんが、豆の風味と甘過ぎない絶妙な加減によって作り出される甘み!そして茶に合う!

greatだぜ!

 

 

「あ、あのわたくし何かミスをしてしまったのでしょうか…」

 

「いやいや、そういう訳じゃあなくて、仕事大変そうだから糖分摂っといた方がいいと思ってな」

 

「あ、ありがとうございます!!!」ウルウル

 

「お、おう。喜んでもらえて何よりだ」

 

 

まさかここまで喜ばれるとは。嬉しい限りだな。また今度差し入れしよう。

次はクッキーにしようか。今度作ってみよう。

 

 

「仕事はどうだ?」

 

「へ?あ、はい。進んでおります。ただ最近妖怪達の動きが活発になっていまして、南側の警備兵は常時警戒態勢をとらせています」

 

「ふむ…」

 

 

月夜見の話で思い出したが、最近になって妖怪達が巡回中の警備兵を襲う事件が相次いでいたな…

永琳が唸っていたが、どうも対策のしようが無いらしい。妖怪達の根城を叩ければ楽なのだが、最近は大妖怪が増えてきて、都市の兵では対応できなくなってきたらしい。

 

 

「なるほど…本格的に対策を練らなければならないな…」

 

「そうなのですが…こちらとしては永琳にも対応策が見つからない以上、どうしようもない状況でして…」

 

 

根城が見つからないのは、主に大妖怪が増えたのが原因だ。一度探索隊が編成され、根城を探さしたのだが、大妖怪が複数現れる異常事態が発生し、ほとんど全滅状態だった。

それからというもの、兵達の士気も下がり、訓練に真面目に取り組まず、探索で妖怪に遭遇し、まともに戦えず死亡というケースが相次いでいる。

 

 

「兵を鍛え直さないとな」

 

「都市の兵をですか?」

 

「あぁ。今の兵達の訓練への取り組みはどのようなものなんだ?」

 

「もうほとんどサボっていると言っていいものです」

 

 

そこまでか…

これは予想以上に兵を鍛え直す必要がありそうだ。

 

 

「そうか…ではこうしよう。これから兵の訓練、及び指導は俺がしよう」

 

「魅剣様がですか!?」

 

「犠牲者が少なくなるのなら喜んでやるさ」

 

「是非お願いします!」

 

「わかった」

 

 

まずは、兵達について少し聞いておかなければならないな。なにも知らない状態で、指導するよりもある程度把握しておいた方がいいだろう。

 

 

「指導するにあたって、兵達の記録を見せて欲しいんだが…」

 

「はい、ただいま持って参ります」

 

 

そう言って、月夜見は席を外した。

永琳の話では探索隊での犠牲者は、何十人といるらしい。中には家族がいるものも…

そんな現状を少しでも改善できるなら、神として動くべきだろうと思う。

俺は出された茶を口に含んで、これからの兵達への指導について考え始めた。

 

 

 

 




団子いいよね。一口で食べれて、そしてあの甘過ぎない甘さ(店による)。そして茶に合う。よし饅頭買ってこよう。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第13話 現隊長

一話分が長くなってしまったせいで投稿期間に空きが出てしまう…


月夜見から渡された兵達の資料に一通り目を通したところで、出されていた茶を飲み干す。

少し温くなっていたが喉を潤すには充分だった。

 

資料を見てわかったことは2つ。

兵達の体力は、訓練に取り組まないせいで例年より著しく低下しているということ。

そして犠牲者が例年の2倍近く出ているということ。

 

 

「今の訓練の隊長は?」

 

「兵達に求める基準値が高くて、さらに士気を落としてしまっているようです」

 

「はぁ…」

 

 

望むだけで対策ができていなんじゃ、本末転倒じゃないか。

訓練場の下見でもして、指導の内容について考えよう。だがその前に隊長の座を譲ってもらわねば。

 

 

「訓練場に行きたいんだが、どこにあるんだ?」

 

「ご案内致します」

 

「あぁ、頼む」

 

 

俺は月夜見に連れられ、訓練場へと向かう。

訓練場は月夜見の仕事場から歩いて行っても、それほど時間はかからないらしい。訓練の様子を見るのも月夜見の仕事だとか。

 

 

 

〜訓練場にて〜

 

 

 

「広いな〜」

 

 

訓練場の端に木が生えているようだが、緑と黒の点にしか見えない。

 

「ここでは兵器の試験運用も同時に行っているので、これぐらいの広さがないと被害が兵達にも及ぶ可能性があるのです」

 

「兵器の試験運用と一緒に訓練とか…怖くね?」

 

「確かに、始めた頃はいつ死ぬか分からないからやめてくれ、と言われましたね」

 

 

守るために死ぬ覚悟で来たんだろ?

 

 

「兵士になったのにそんなこと言ってられねぇだろ…」

 

「その通りですね」フフフフ

 

 

月夜見が俺の言葉に対して、軽く笑う。月夜見は確か…龍妃が作り出した神の娘だったか?

伊弉諾と伊弉冉が国産み・神産みの際、火傷で死んだ伊奘冉を黄泉の国に行ってまで連れ帰ろうとしたが、恐ろしくなって逃げ帰った。

伊奘諾は黄泉の国から逃げ帰った後、体を拭いた時に天照と共に生まれた…中学の頃気になって調べたが、古事記と日本書紀で違うからわからんな。

聞いてみるのが早いな。

 

 

「なぁ、月夜見」

 

「はい」

 

「伊弉諾と伊弉冉は元気か?」

 

「ええ、健在です。どうかなさいましたか?」

 

「いや、少し気になってな…軻遇突智が生まれただろう?」

 

 

俺が気になるのは、伊弉冉が黄泉の国へ行ったかどうかなんだが…

 

 

「はい。その時母上は性器に火傷を負ったのですが、龍神様が火傷を癒して救ってくださいました」

 

「龍妃が?」

 

 

龍妃が救ったことに驚きはしないがあの2人が健在ならそれでよかった。

一度龍妃に紹介してもらったが、とても仲のいい夫婦だった。

 

兄妹とは思えないほど…

 

そんなことを考えていると、数十人程の人間が、的に照準を合わせてレーザーガンを構えていた。

 

 

「あれかな?」

 

「はい。あちらが都市唯一の軍事組織です」

 

 

俺の問いかけに月夜見が答える。

 

都市唯一の軍事組織だと言うのに、その訓練の光景は余りにも軍事組織の訓練とは思えない。

 

トリガーを引く指は微かに震えており、重心を掛ける位置が悪くて姿勢も不安定だ。

訓練でこれか…

 

 

「こりゃ死傷者も増える訳だ…」

 

「どうなされますか?」

 

 

俺は聞こえないように独り言を呟くと、月夜見が俺に問いかけてきた。

まず、俺が指導することは確定の筈だから、兵達に俺のことを知ってもらわなければ。

 

「とりあえず、全員集めてくれ。あぁ、ついでに俺の身分は隠してくれよ?」

 

「理由をお聞きしてもよろしいですか?」

 

「最高神の親が自分たちの訓練の指導してるって知ったらどう思う?」

 

「…それは…訓練どころではなくなりそうですね…」

 

 

そういう訳だ。

 

 

「では招集をかけますので、少々お待ちください」

 

「りよーかい」

 

 

俺の軽い返しに月夜見が少し微笑んでいた。

相変わらず月夜見の敬語は抜けないが、いつか普通に話せたらなと思う。

 

 

 

しばらくしてほぼ全ての兵が集まった。

整列をしているようだが、その表情は疲労で歪んでいる。

 

 

「訓練中に招集をかけてしまい申し訳ない」

 

 

月夜見が謝罪をするが、あくまで建前なのは分かりきっている。

 

月夜見は以前の整列のスピード・態度であれば心から謝罪をしたのだろうが、今の兵達の態度に謝罪をするということがバカバカしく思えてくる。

 

実際俺もそう思うのだから。

 

整列のスピード・態度は小学生の方がマシなレベルだ、

まぁこの時代に小学校と呼べるものがあるかは分からんが。

 

兵達は月夜見に何を言われるか分からず、不安でどよめきが起こっている。

 

 

「君達を招集したのは、あるお方を紹介するためである。私の友人であり、文武共に優れた才能を持つお方だ」

 

 

訓練場が静まり返る。

月夜見本人が称賛するような人物がこの世にいるのだろうか、という表情だ。

まぁその話題に上がっているのは俺な訳だが。

 

 

「そのお方が、こちら魅剣 真様である。真様は永琳の窮地を救っていただいた恩恵があり、共にこの訓練の隊長を務めていただくことになっ「す、少しお待ちください」なにかしら?」

 

 

上機嫌で話し続けていた月夜見だったが、1人の兵によって変わったその表情は煩わしさを感じさせるものだった。

 

 

「わ、わたくしはどうすれば?」

 

「貴方は今日をもって解任です。日々の訓練の成果が出せていないのもありますし、何より貴方は任務にほとんど出向いていない」

 

「そ、そんな…クッ」

 

 

結構キツイこと言うなー…

 

対して隊長と思われる人物は、月夜見に反論する事が無意味だと悟ったと同時に、その行き場のない怒りを俺にぶつける事にしたようだ。

 

 

「こ、この人間より私が劣っているという事ですか…」

 

「劣っているか、いないかではありません。まず貴方では真様に擦り傷一つ付けられないのですから」

 

「おいおいそこまで言わなくてm「なんだと!?ふざけるな!今まで訓練してきた俺がこんな人間に劣るだと!?」…」

 

 

酷い言われようだ…

ここで何か言い返したいものだが、中々思いつかないな。

 

 

「こんな人間ですって?貴様誰に向かって口をk「落ち着け月夜見」は、はい」

 

 

とりあえず激昂しそうな月夜見を宥めはしたが、兵達は俺が月夜見を様付けで呼ばなかったせいで騒がしくなった。

ミスったな…

 

 

「お前も何者なのかは知らないが、この俺の地位を奪おうとするとは愚かな奴だ。俺は軍部だけでなく、政治でも上にいる人間だ。お前など俺が捻り潰してやる」

 

 

おお〜なんとテンプレな悪役台詞。

こいつ面白いな…少し遊んでやるか。

 

 

「貴様!成り上がるのもいい加減n「月夜見、もういいから」しかし…」

 

 

俺は月夜見を宥め、隊長に視線を移す。

 

 

「あんた…要するに隊長の座を俺に譲りたくないと」

 

「フンッ!あぁ!そうだ!お前のような脆弱な人間にこの地位がやれるかぁ!」

 

 

随分と気が立っているようで、目は血走り、ギリギリと聞こえそうなほどに歯軋りが起きている。

 

 

「お前もだ月夜見!この俺を差し置いてこの様な男を信用するとは!全くこれだから俺はお前が管轄する軍部になど入りたくはなかったのだ!」

 

「私は最初からお前が軍部に入る事など望んでいない!」

 

「なんだとこのクソ女ァァ「黙れ」ヒッ」

 

 

俺は今こいつが口走った言葉を聞いて、頭の中の何かがプツンッと切れた。

 

 

「そんなに隊長を辞めたくないなら、それだけの技量を見せろ」

 

「あぁいいぞ!お前など俺の足元にも及ばん!」

 

 

それはどうだか…

 

こいつぁぁぁ臭えぇぇぇ!ゲロ以下の臭いだ!

さっきの言動も態度も含めて!こいつぁぁ生まれ持ってのクズだ!

女性にクソ女などと言える様なそのきったねえ口を!2度と開けねえ様にしてやるぜ!

まぁしないけど。

 

 

「さっ、かかってこいよ。俺は早めに終わらせたい」

 

「貴様ぁ」

 

 

さてどうするかな…

あいつのプライドも全てズタボロにできる方法を考えなきゃな…

 

 

「月夜見の心を傷つけた代償はデカいぞ?」

 

 

 




読みにくい場合は改善策を考えますので、是非感想・アドバイスを頂ければと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第14話 月夜見の憂鬱

戦闘(?)


 

 

真様に軍を指揮していただけると分かって、つい昂ぶってしまい根回しを忘れていた。

あの男をまず外さなければならないのに、私はその事をすっかり忘れて、真様に迷惑を掛けるような状況を作ってしまった。

 

 

「月夜見の心を傷付けた代償はデカいぞ?」

 

 

真様///は、恥ずかしいです///

 

 

「ほざけっ!」

 

 

本っ当にコイツは…これが終わったら徹底的に潰してやる…真様にあんな口の聞き方…

 

 

「コイツで吹き飛ばしてやらぁ!」カチャッ

 

「んな!?」

 

 

あれは試作型のレーザーライフル!?なんであいつが持っている!?

 

 

「なんだそれ?」

 

「これは試作型のレーザーライフルだ!支給されているレーザーガンの倍の威力!永琳様が極秘に作っていたようだが、軍部の全ての情報を握っている俺が見逃す訳がないだろう!」

 

 

しまった…しっかり情報操作を行っていなかったせいでこうなるとは…

自分のミスのせいで真様に銃口が向けられていると思うと、どう償えばいいのか分からなくなってくる。

 

 

「ふ〜ん…そうか、じゃあ楽しませてくれるんだよな?そんな玩具まで用意してたんだし」

 

「お、玩具だと?貴様ぁ…どこまでも舐め腐りやがって…俺の地位を奪うだけでなく侮辱するだと?」

 

「だからどうした?成果も出せず、対策も講じようとはしなかった。所詮お前はその程度だったと言う事だ」

 

 

真様が満面の笑みで正論をぶつける。やべぇかっけぇ…

こんな状況なのに笑顔が輝いている!

 

 

「野郎ぶっ殺してやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!顔面吹き飛ばす前にど玉ぶち抜いてやる!」カチャッ

 

 

まずい!照準を合わせ始めた!

 

 

「真様!」

 

 

私は、真様を射線上から少しでもそらす為に走り寄ろうとした。

しかし、それを真様は手で制した。

 

 

「死ねぇぇ!」

 

 

奴がトリガーを引く。

その刹那、私は悔しくも目を閉じてしまった。

真様が撃ち抜かれる所など見たくない。

そんな自分が情けなくなって私は涙を流した。滝のように流れる雫は止まることはない。

真様を救えなかった自分が憎くて憎くて堪らない。

 

 

「クッアッハッハッハッハッ…は?」

 

 

「どうした?笑えよ…」

 

 

「え?」

 

 

真様の声が聞こえて、私は重い瞼を上げる。

そこには、変わらずあの笑みを浮かべた真様が立っていた。

 

 

「な、な、な、な!何故だ!何故当たらん!」

 

「そりゃ避けたからに決まってんだろ」

 

「光速を避けるだと!?」

 

 

私は現状が理解できず、真様と奴の会話を聞き流していた。

 

 

「別にお前が撃った後に避けた訳じゃない。お前がトリガーを引く前に射線を予測して、指を掛けた時点ですでに避けていただけだ」

 

「だ、だが、お前は撃つ時にはそこに」

 

「答えを教えてやろうか?」

 

 

訓練場にいる全てのものが息を殺した。

真様の次の言葉を一字一句聞き逃さぬように。

 

 

「残像だよ」

 

『……は?』

 

 

今なんと?残像?レーザーの光速に対して残像?

 

 

「お前は俺の残像を見て、まるで俺がまだそこにいるかのように錯覚しちまったのさ」

 

「う、嘘だ!嘘に決まっている!」

 

 

真様から発せられた言葉に混乱し、奴は必死に否定する。奴には否定する事しかできないのだ。

絶対的な力を持つ真様を相手に、少しずつ絶望の淵に近づいて行く奴の顔は、青白くなっていた。

 

 

「はぁ…分かったよ」

 

 

真様は溜息をつくと、片方の足を軸に回転し、もう片方の足で地面に円を描いていった。

 

 

「ほいっと。じゃ、次は接近戦だ。俺はこの円の中で動かねえから、お前はひたすら攻撃してこい。一撃でも俺に当てられたら、俺は引き下がろう」

 

「なんだと!?貴様はさっきから俺を舐めているのか!?」

 

「言わずもがな」

 

 

さらに真様は煽っていく。

もう既に勝敗は決したようだ。

あの真様の表情。満面の笑みの筈なのに、嘲笑いという言葉の方が似合っている。

口の端は耳まで吊りあがり、目は閉じているものの、瞼の間から見える黒目は玩具を前にした子供のような目だった。

 

 

「さぁ…こいよ」クイックイッ

 

「ッ!フンッ!その気味の悪い顔面!叩き潰してやる!」ダッ

 

 

嘲笑うような笑みのまま、真様は手を伸ばし、指を曲げて奴を挑発する。

奴は挑発に乗せられ、拳を握り、駆け出した。

確かに今の真様の表情は、他の人間からしてみれば気味の悪いものに感じられるだろう。だが私は、それよりも真様が笑っていることに歓喜さえ覚える。

 

 

「オォォラァァァ!」

 

「…」スッ

 

 

奴は、駆け出した時の勢いを殺すことなく拳を振るう。

しかし、その拳は真様に当たることなく空を切る。

 

 

「どうした?遅いぞ?」

 

「ッ!フンッ!!!」ブンッ

 

「よっと」グイッ

 

 

拳を避けられ、煽られた奴は回転蹴りで頭に致命傷を与えようとするが、それもまた真様は背を反らす動作だけで避け切った。

 

 

「おっそいぞぉ〜、つまんないんだけど…」

 

「だッ!まッ!れッ!」

 

 

真様は余裕、いや退屈なようだ。

奴が繰り出す攻撃は一撃一撃が強力なものだが、当たらなければ意味がない。

他の兵達も戦闘、いや遊びだな…

この遊びに感嘆の声を漏らしている者もいる。

 

 

「ハァ…ハァ……ッハァ…」

 

「おいおい、どうした?俺の顔面を叩き潰すんじゃぁなかったのか?」

 

「だッ…まれ…ハァ…ハァ…」

 

 

どうやら奴はまともに訓練をしてきていなかったのもあって、体力の限界を迎えたようだ。

まぁ訓練をしているからといって勝てるわけではないのだが。

 

 

「次お前の一撃を避けたら、俺がお前の顔面に拳を叩き込むぞ?」

 

「やッ…てみや…がれ…ハァ…」

 

「よっしゃ!かかってきな!」ピョンッピョンッ

 

 

ピョンピョンと跳ねながら奴を挑発していくスタイル。

外野の私達でも鬱陶しく感じる。

 

 

「おらぁぁ!」バサッ

 

「ッ!?」

 

 

!?小癪な!

砂を投げて目潰しを仕掛けた!

このままでは真様が!

 

 

「貰った!死ねぇぇぇぇぇ!真ぉぉぉぉ!」 ブンッ

 

奴は最後の一撃というように、全身全霊を込めたような拳を放つ。

どこまでも汚い奴だ!

何とかして真様を…真様?

 

 

「…」

 

 

何故動かないのだろう。

奴の拳はあのままだと、確実に真様の顔面に直撃してしまう。

だというのに、真様は何故避けない?

 

 

「死ぃぃぃぃにやがれぇぇぇ!」

 

「…」スッ

 

 

奴の拳が眼前に迫った辺りで、真様は拳を構え、避けた。

そして次の瞬間…

 

 

「オォォラァァァァァァァァァァァ!」ブォンッ

 

「ぶべらッ!?」メキャツ

 

 

ズザザザザ--

 

 

真様は空気そのものを殴る勢いで、奴の顔面に拳を叩き入れた。

奴は顔面の骨が砕ける音と共に、後方に数メートル吹き飛んだ。

 

 

「ふぅ…顔面に叩き込まれるのは…テメェの方だったな…」

 

「…」

 

 

もちろん奴の返答はない。

顔面を砕かれ、意識が飛んでいるのだ。

その証拠に、奴の目は白眼を向いて、口からは血と混ざった泡が吹き出ている。

 

 

「月夜見を傷付けた代償が、この程度で済んで良かったな…できる事ならテメェを破滅まで追いやりたいところだが、その顔の傷を背負って苦しんで生きて貰った方が償いになる」

 

 

かっ、かっ、カッケェェェ///

そ、そんなに私の事を思っていただけるなんて///

あぁ…今なら死ねる。この幸福感に包まれながら死にたい。

他の兵達に奴を運ぶよう指示した真様は、私に目線を移し、歩み寄ってきた。

 

 

「月夜見…大丈夫か?」

 

「ハッ!?ま、真様!お、お怪我は!?」

 

「とりあえず落ち着け」

 

 

 

〜数分後〜

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

「は、はい」

 

 

涙を流していたせいで、目は赤く腫れ上がり、頰には線が残っていた。

真様は、そんな私の情けない顔を見て心配してくださったのだろう。

 

 

「ありがとうございます…そして申し訳ありません…私が先に解決していればよかったものを…」

 

「大丈夫大丈夫、気にするな」

 

「し、しかし」

 

 

真様は私の謝罪は軽く受け流し、責めることはしなかった。

 

 

「それよりもだ」ズイッ

 

「ひゃい!」

 

 

真様が急に顔を近づけてくるから、噛んでしまった…

息のかかる距離まで近づかれて、私は多分、顔が沸騰しそうなぐらい赤くなっているだろう。というか熱くなっている。

 

 

「大丈夫だったか?」

 

「へ?」

 

「あんなこと言われてよ」

 

「あ、あ、大丈夫です」

 

 

まさかここまで心配していただけるとは…

真様を見ていると湧き出るこの胸の熱い感情…答えがやっとわかった気がする…

まだ出会ったばかりだが、これは…

 

 

「真様」

 

「どうした?」

 

「私…」

 

 

 

恋慕

 

 

 

「真様が好きです」

 

「……ふぁ?」

 

 




月夜見「真様真様真様真様…」
さて…次回、月夜見の恋は実るのか!
戦闘について感想・アドバイスなど頂ければ、修正・改善に取り組んでいきたいと思います。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第15話 本妻?

(´Д` )最近忙しくて投稿できない…


 

 

隊長の顔面に拳を叩き込んだ後、俺は月夜見が心配になり瞬時に気持ちを切り替えた。

月夜見に近付こうと思い立った時、月夜見の顔を見て、俺は胸が締め付けられるような痛みを感じた。

 

頰には明らかに涙を流した痕があり、目は赤く腫れ上がっていた。

 

 

「月夜見…大丈夫か?」

 

「ハッ!?ま、真様!お、お怪我は!?」

 

「とりあえず落ち着け」

 

 

〜数分後〜

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

「は、はい」

 

 

月夜見を落ち着かせるのに苦労したが、俺が幽霊でないことをしっかりと認識させた。

 

 

「ありがとうございます…そして申し訳ありません…私が先に解決していればよかったものを…」

 

「大丈夫大丈夫、気にするな」

 

「し、しかし」

 

月夜見によると俺が隊長をやろうと提案した時、ハイテンションになり過ぎて根回しなどその他諸々を忘れていたらしい。

 

 

「それよりもだ」ズイッ

 

「ひゃい!」

 

 

俺は月夜見に顔を近づけ、表情を確認しながら、次に掛けてやるべき言葉を思料する。

考えていないわけではないのだが、

月夜見をどのように慰めてあげればいいのか分からない。あそこまで言われて傷付かない女性がいるとは思えないのだ。

 

 

「大丈夫だったか?」

 

「へ?」

 

 

駄目だ思い付かない。脳の容量上げてまで知識詰め込んだのに、どうした俺、、、

 

 

「あんなこと言われてよ」

 

「あ、あ、大丈夫です」

 

 

ほぇ〜〜、、、強い子じゃな〜。孫みたいに思えてきた。

いや歳で考えると孫というか曽孫というか雲孫でも足りないな。俺も歳とったな〜、まぁ肉体年齢が老いることは無いだろうけど。

 

 

「真様」

 

「どうした?」

 

「私…」

 

 

月夜見は言葉に詰まり俯いてしまった。もっと声を掛けてやるべきだったか?

そんな後悔が俺の心をキリキリと痛めつける。後悔を振り払うために、もう一度声を掛けようとした時、月夜見が顔を上げて俺より先に口を開いた。

 

 

 

「真様が好きです」

 

 

「ふぁ?」

 

 

 

俺は月夜見から口から発せられた言葉が理解できず混乱して、充分な酸素を出せていない変な声を出してしまった。

月夜見の双眸から反射して見える俺の顔は、なんとも間抜けな面だった。

 

 

「え、え、ちょ、え、」

 

「確かに戸惑われるかと思います。真様には既に奥様とお子さんがいらっしゃいます。しかしそれでも私はッ…真様の側に居たいのです」ギュッ

 

 

月夜見は自分の服の端を握り、涙が滲んだ目で俺を見つめてきた。

こんなん反則でしょ、、、告白からのこのコンボは、男として断るのを躊躇う、いや断れないスキルを発動する。もう萌え死にそうです。

 

 

「月夜見の俺を想ってくれる気持ちはとても嬉しい、しかし…」

 

 

月夜見が言ったように俺には妻子がいる。俺には神美を裏切ることなんてできない。

最愛の妻を裏切ってしまったら俺は、、、自分が許せなくなる。だから申し訳ないが月夜見には、、、

お願いだからその涙目やめてくれ本当に!もう断る勇気なんて無いんだけど!死にてえ!

 

 

「真様あれって…」

 

「え?…!?」

 

 

俺が絶望(いろんな意味で)した時、俺の女神が凄まじい光の中から現れた。

はい、俺の女神であり妻、神美さんのご登場。神美の後ろには龍妃が複雑な表情でこちらを見ていた。

お願いだからそんな目で見ないで!あれ?なんかデジャヴ。

 

 

「はぁ〜情けないのぉ〜」

 

「月夜見も大胆ですねぇ〜」

 

「「オワタ」」

 

 

ナンテコッタイ、、、

妻子がいるにも関わらず俺に告白してきた月夜見。

それに対し戸惑い、さらに妻と子の登場で絶望する俺。

戸惑う俺に呆れながら近づいて来る妻、神美。

部下が自分の親に告白してきたという状況を複雑な心境で見つめる龍妃。

 

 

「あ、アハハ…神美、どうしッ…すみませんでしたぁぁ」ズザザザァァァァ

 

神美に声を掛けようとしたら視線だけで殺せるんじゃねえかってほど睨まれたんですけどぉぉ!もうこれ死んだわ。

でも最愛の妻に殺されるなら本望。

 

 

「妾の夫なのじゃ、自身を持て」

 

 

ごめん何を言いたいのか分かんない。分かんない!分かんないよぉぉ!絶望的状況の中で頭が真っ白。顔面蒼白。あー、肌が血の気引いて白くなってきた。

松○しげるさんもビックリな全身真っ白ですありがとうございました。

 

 

「母上それはちょっと違います」

 

「へ?あ、月夜見、お主に言っておくべきことがある」

 

「は、はい!」

 

 

月夜見ドンマイ…何を言われても受け入れるしか無い。

 

 

「妾の夫に告白した、その決意、そして想いは痛い程に分かる」

 

 

君はそれだけのことをしたんだ。他の人からしてみれば、告白しの奥さんが出てきて修羅場になったようにしか見えないだろう。

だがそれは違う。それは人間だった場合の話だ。

 

 

「だがな?」

 

 

ここは修羅場なんてものじゃない。修羅になったのは神、それも創造神である俺の妻だ。

庇ってやれる自信はあるが、守ってやれる自信はない。どうか無事でいて「本妻は妾だと言うことを忘れるな」

 

 

 

 

 

「「「…」」」

 

ヒュオォォォォ〜〜

 

「?」

 

「「「え?」」」

 

 

え?今なんと?

 

 

「今なんと仰いました?」

 

「だから妾が本妻じゃ」

 

「母上…月夜見を叱りに来たのでは?」

 

「なぜそんな事をする必要がある。妾としては自分の夫がモテるというのは嬉しいことじゃ」

 

 

俺は神美達の言葉が終始理解できなかった。告白してきた月夜見本人も理解できずに、ブツブツと何かを呟いている。

 

 

「それに妾は、真の妻になった時に既に決心しておったわ」

 

 

俺信用されてなかったんだね泣きそうです、てかもう既に目から汗が出てるよ。

 

 

「妾の夫は誰にでもモテるような男じゃ、まぁその男に惚れられたのが妾な訳じゃがな」ドヤッ

 

「「オォ〜〜」」

 

 

無ッゲフンッゲフンッ胸を張ってドヤる神美の話を聞いて、月夜見と龍妃が感嘆の声を上げた。

 

 

「そ、それでは私は側妻…」

 

「うむ、これから2人で真を支えていくぞ」

 

「は、はい!!」

 

 

あれ?なんか丸く収まってないけど、月夜見が側妻になること決定してる?俺に拒否権無し?

あ、最初からありませんでした、すいませんでした、お願いしますその眼光をどうかやめてください、泣きそうです。

 

 

「じゃ、私も」

 

「「「いや娘は無理だろ(ですよ)」」」

 

「ぶ〜いいじゃん!みんなしてお父さんのお嫁さんになるなら私もなるぅ〜!」

 

龍妃がとんでもないことを言い出したので思わず突っ込んでしまった。

龍妃を除きその場にいた全員に突っ込まれた龍妃は、駄々をこねるように手足をジタバタしはじめた。

 

 

「子供か」

 

「「「あなたのね」」」

 

「…」

 

 

3人の視線が痛い。視線だけで風穴開けられるじゃないか?

月夜見は神美の目をしっかりと見つめ、意を決したように頷くと笑みを浮かべながら口を開いた。

 

 

「不束者ですが、これからよろしくお願い致します」

 

「うむ、よろしく頼むぞ…と、それ真に言うべきではないかの?」

 

「あ…」

 

 

何この天然可愛い。

確かに正妻である神美に挨拶はしておくべきだろうけど、その挨拶はちょっと違う気もする。

神美に指摘された月夜見は俺には向き直ると、その場で座りだした。まだ訓練場なのでもちろん地面は砂利だ。

 

 

「不束者ですが、よろしくお願いします」

 

 

 

俺は我が目を疑った。月夜見は座礼をした。室内ならまだいいだろう。

屋外でだ、それも砂利の上で、額を地面に付けてまで深く座礼をしていた。

 

 

「つ、月夜見?ここ外だぞ?」

 

「ハッ!」

 

 

、、、もう何も言うまい。

今日で月夜見が天然属性を持っている事が判明した。幸い兵達は皆兵舎に戻っているようなので誰も見ていないが、、、

まぁ、妻が増えた訳だが。俺の身体持つかな?いろんな意味で…

 




スイッチが入らないと書く気が起きない…
君のスイッチ♪君のはどこにあるんだろ〜♪見つけ〜てあげるよ♪君だけのやる気スイッチ〜♪


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第16話 都市での騒動

不定期とはいえ一週間空いてしまったorz
申し訳ありません。
もう少しペースを上げれるよう努力します。


 

 

 

月夜見が俺の嫁になってから数日が経った。

都市は月夜見が結婚したとなって大騒ぎだった。

 

男達は相手は誰だ、相手を殺してやるなど恐ろしいことを口々に言っていた。

女性陣は逆に、月夜見が結婚する程の殿方と会ってみたいという一種の希望のようなものを持ち始めていた。

 

 

「お主いつか刺されるぞ」

 

「かもな〜…」

 

 

怖いことを言ってくれるな。

 

神美は月夜見を側妻と認めたあと、都市に住むことになった。その際、永琳に頼み込んで同じ部屋を新しく借りることにした。

 

神美が俺の妻であること、同じ部屋で暮らすことを伝えると永琳は了承の意を示してくれた。

しかし、その時の永琳の顔を見て俺は違和感を覚えていた。

 

口元は笑っているが、目に光がない。

全体的に身に纏っている負のオーラ的な何かが、逆剥けのようなスッキリしない空気を作り出していた。

 

 

「こっちに来てみてどうだ?住み心地は」

 

「良いぞ…特にお主がおる時点で天界と比べものにならん」

 

「そうか、なんともむず痒いな…」

 

嬉しいんだが…周りからの視線が結構痛い。

大人が幼女と一緒に並んで、それもイチャコラしてたら確かに怪しまれるけど…

その幼女は何億歳ですよ皆さん。

 

 

「今失礼な事考えておったろ」

 

「な、なんの事かな?」

 

 

神美によると、心を読むと知りたくないことも知ってしまうらしく、自制することを覚えたらしい。

 

それでも女性の勘と言うのだろうか…稀に心の内を的確に言い当ててくるのだ。

 

 

 

「まことさまぁぁ〜〜」ダキッ

 

「グォッ…どうした月夜見、都市の真ん中で抱き付いてくるなんて…」

 

 

どこから来たのか、月夜見が背後から抱き付いて来た。勢いが強すぎて前のめりに倒れそうになったが、なんとか踏ん張ることができた。

 

だが問題は倒れそうになったことではない。

 

都市の人達の視線がさらに痛い。

神美だけでも怪訝な目で見られてたのに、さらに月夜見が抱き付いてきたことで、針から刃物にグレードアップしてしまった。

 

 

「都市の人達の視線が痛いから、一旦離れてくれ」

 

「いいじゃないですか〜、側妻といっても夫婦なんですから〜」

 

 

ギロッ

 

「ヒェッ」

 

 

何てことを…月夜見…お前は何てことを…してくれたんだ…

 

都市の男達が怖えぇ!

相手が俺だと知って、その場にいた男達が全員俺を睨み付けた。

その憎悪に満ちた双眸はしっかりと俺を捉えており、血が滲むのではと思うくらいに拳が握り込まれていた。

 

あ、1人こっちに走って、ってヤバい!?

 

 

「い、一旦離れ「死ぃぃぃねぇぇぇぇ!!!」デジャヴ!?」

 

 

殴りかかってきたぁぁぁ!?

 

 

「何しとるんじゃぁぁぁぁ!」

 

「あべしっ」

 

 

殴りかかってきた男が、神美の華麗な回転蹴りで弧を描いて飛んでいった。

 

 

「我ら変態紳士達の夢を絶った貴様は許せぬぅぅ!」

「我が友よ!共に立ち上がれ!」

「サンダークロススプリットアタァァァァク!」

 

「なんか変なの混じってるぅぅぅ!」

 

 

ある変態紳士が声をあげると、他の変態紳士達が集って俺に襲い掛かってきた。

 

たが奴らは知らない。

俺に拳を振るうことは愚行だということを。

 

 

『私の旦那に何しようとしとるじゃぁぁぁぁ!』

 

『ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

 

 

「…今日も平和だな」

 

 

〜しばらくして〜

 

 

「大丈夫かあいつら…」

 

「大丈夫じゃろ」

 

「大丈夫ですよ」

 

「…そうか」

 

 

神美と月夜見にフルボッコにされた男達は、都市の救急隊と思われる集団に搬送されていった。

搬送される際、一人の男が呟いた一言が脳裏によぎった。

 

 

我が生涯に一片の悔いなし

 

 

それでいいのかお前ら…

 

 

「そんな事より、真様、お怪我はありませんか?」

 

 

そんな事っておまっ…

 

 

「あぁ、無いよ。別に殴られたぐらいじゃ擦り傷もつかんよ」

 

「相変わらず頑丈じゃな。ちと妾の本気の一撃を受けみるか?」

 

「遠慮しておきます」

 

 

神美の本気の一撃とか笑えない。

震えとるけどこれは怯えてるんじゃない、武者震いだ。

 

 

 

「真〜」

 

「ん?」

 

 

遠くから俺を呼ぶ声が聞こえる。

声がする方に視線を移すと、一人の女の子が手を振っている。

いや、あれは永琳だ。

 

 

「あの娘は…確か永琳?じゃったか?こんな所で声をかけてくるとはの。何かあったのか?」

 

「それは本人に直接聞いてみれば分かることさ」

 

 

俺達は永琳に向かって歩き、対して永琳は小走りでこっちに向かってきた。

 

 

 

「どうしたんだ?」

 

「さっき男達が搬送されていったから、気になってこっちに来たら真がいて…」

 

「あれやったの俺じゃなくて、神美達だから」

 

「え?」

 

 

俺の神美達という言葉によって、永琳の思考は一瞬止まった。

神美達という言葉には、神美だけでなく月夜見も入っている。

 

 

「え?え?月夜見様が?」

 

「ん?なんですか?」

 

 

月夜見はまだ自分が話中の人物であることを認識していないのだろう。

 

 

「別にいいだろう…ぶっ飛ばされてた本人達も、幸せそうな顔をしてたじゃないか」

 

「いいんですかそれで…」

 

「いいんじゃないかな」キリッ

 

 

永琳が眉間を摘みながら溜息を吐いた。それを見るとなんだか悲しくなってくる。

 

 

「まぁいいわ…私はあの騒動を見なかった事にするわ。ところで真、貴方に折り入って頼みがあるの」

 

「ほう、なんだい?俺に頼み事なんて、永琳なら人に相談せずとも基本的に全部熟るじゃないか」

 

「確かにそうなんだけど…今回はそうもいかなくて」

 

 

俺は永琳の教師をしているが、ここまで思い込むのは珍しい。

少しばかり話が長くなりそうだ。

そう考えると横2人…

 

 

「とりあえず落ち着けるところで話さないか?神美と月夜見がボーッとしてるから」

 

「それもそうね。一旦家に帰りましょうか」

 

 

 

〜永琳宅〜

 

 

 

「で?頼みというのは?」

 

「ええ、一つ目は私が勉学を教えている姫様に、私と同じように教師をして欲しいの」

 

「永琳と同じように?」

 

 

姫様ね〜…聞いた事がないな。

それも永琳と同じように教えるとなると、それだけの頭脳持ち合わせているという事だろうか。

 

 

「ええ、姫様の保護者に頼まれたんだけど…姫様が…なんというか…言う事を聞いてくれなくて」

 

「我儘?」

 

「う〜ん…」

 

 

俺の問いかけに永琳は口籠ってしまった。答えたくないのか、答えられないのか。

まぁ百聞は一見に如かず、直接見てみたほうが早いだろう。

 

 

「わかった。とりあえず教えるかは別として、永琳がその姫様に教えてる所を見せてくれ。それから検討しよう」

 

「わかったわ。それと二つ目なんだけど…」

 

 

永琳がそこまで言って、再び口籠ってしまう。

 

数刻…沈黙が続く。

都市で永琳と会ってから既に空気だった神美達が、一層薄くなっていく。

 

永琳は言おうか言うまいか、まだ迷っている。

 

そして決心したかのように瞼を閉じると、その状態で話し始めた。

 

 

 

「近頃妖怪達の動きが活発になったのと、地上の穢れが増えてきたせいで、地上を離れなければならないかもしれないの」

 

「…?」

 

 

 




次回 教え子が増える?
戦闘と言う名のお遊びもできるかも。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第17話 隊長と家庭教師

永琳の師匠で
軍の隊長で
輝夜の家庭教師
(´・_・`)



 

 

俺は今、永琳に連れられ、ある大きな屋敷に来ていた。

輝夜という姫様の屋敷らしい。

 

 

「かぁ〜…こいつぁ…バカデケェな」

 

「まぁ姫ですしね」

 

「それで納得しちまうのがな〜…いや、なぜお前らがいるんだ」

 

 

1人で来たはずだというのに、返事が返ってきた。ふ

ふと横を見ると神美と月夜見が、輝夜姫の屋敷を見上げながら感嘆の声を上げていた。

 

 

「輝夜の屋敷が大きいのは常々聞いていたのですが、直接見たことはなくて」

 

「妾は暇じゃ」

 

 

これだ…輝夜姫の邪魔にならなきゃいいんだが。

とりあえず2人には茶でも飲んでて貰うかな。

 

 

門を潜って玄関へと向かう。

玄関には守衛と思われる兵が2人、扉の前に立っていた。

 

あれ?なんか、見たことある顔だな…

 

 

「そこで止まってください。身分証を確…隊長!?」

 

「あ〜…そういやそうだったな…」

 

「何がじゃ?」

 

「隊長になったの忘れてた」

 

 

神美、月夜見とイチャコラしてたら完全に記憶が消し飛んでた。

見たことがあるのは、元隊長をぶっ飛ばした時に、元隊長を運ぶのを手伝ってくれたからだろう。

 

 

「え〜と…君は〜…」

 

「雅夢です!」

 

「そうか、あの時は手伝ってくれてありがとう」

 

「いえいえ!これから訓練よろしくお願いします!」

 

「あぁ、ビシバシ鍛えてやっから付いて来いよ」

 

「はい!」

 

 

随分と元気がいいな。

 

「永琳に話を聞いてると思うんだが…」

 

「はい、永琳様から姫様のご指導の件は聞いております。どうぞお入りください」

 

 

そう言うと雅夢は通してくれた。

雅夢は黒髪、黒目、背は俺より少し低いぐらいか…

 

 

「なんか妾とかスルーされておらんか?」

 

「気にするな」

 

「なんか私もスルーされてた気が…」

 

「気にするな」

 

『…』

 

 

神美達は雅夢が自分達に反応しなかったのが不思議で仕方ないんだろうが、気にしないほうが楽だ。

 

主に俺が。

 

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

私は今、永琳に勉強させられている。勉強よりも、もっと外で遊んでいたいが親がキャンキャン煩いので、渋々勉強に取り組んでいる。

 

 

「ねぇ、永琳」

 

「なんでしょうか姫様」

 

「もう1人の教師って誰が来るの?それって私の知ってる人?」

 

 

確か今日はもう1人教師が付くという話をしていた。

 

 

「ふふ、それはお楽しみですよ姫様」

 

「ふ〜ん…」

 

 

永琳が珍しく楽しそうな表情を見せた。とても嫌な予感がする。

私はよく永琳に悪戯をするのだが、そのしっぺ返しが今来るのでは無いかと恐れている。

 

 

 

コンッコンッコンッ

 

 

 

「少しお待ちください」

 

 

永琳がそう言って戸に近づく。

私は無意識に自分の服の端を握っていた。

 

恐怖などではない。

単なる緊張だ…緊張の筈だ…

 

なのになぜあの扉の先から異様な力を感じるのだろう。

 

 

 

ガチャッ

 

 

 

永琳が戸を開けると、そこから紫色の瞳をした銀髪の青年が出てきた。

 

 

「遅れたかな?」

 

「いえ、大丈夫よ」

 

「そうか、なら良かった」

 

 

永琳とその青年が軽い会話を終えると、青年が私に向き直り話しかけてきた。

 

 

「やぁ、君が輝夜ちゃんかな?」

 

「へ?」

 

 

輝夜…ちゃん?

 

 

 




次回か次次回には戦闘入ります。多分…


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第18話 現状

真 壊れる


 

 

 

輝夜姫の家庭教師となった俺は、都市の軍の隊長であり輝夜姫の家庭教師でもある。

 

そんな都市の重役を2つも担っているということで、俺は都市で大いに騒がれる存在となってしまった。

 

 

「なぁ、聞いたか」

 

「あぁ、軍部の隊長と姫様の家庭教師どっちも務めてる人のことだろ?」

 

「そうそう。それにその人外部から来たらしいぜ?」

 

「おいおいそんなん大丈夫なのかよ…」

 

「てかその人、月夜見様の旦那様なんでしょ?」

 

「「は?」」

 

「有名な話よ」

 

「ええ」

 

「「なん…だと…」」

 

「私達、実際に旦那様を見に行ったけど月夜見様が求婚するのがよく分かるわ」

 

「ええ、軍部の隊長になった人よ?」

 

「「俺らの夢が」」

 

「ちょっと!?」

 

 

どうやら現実に耐えられずぶっ倒れてしまったようだ。

まぁ原因は俺な訳だが。

 

一度、外部から来た俺がそんな重役を務めていいのかという議論になり、都市の議会にお呼ばれしたが月夜見の鶴の一声で解決した。

 

皆口々に、月夜見様が言うなら大丈夫だろう、と言っていた。

それだけ月夜見が都市の人達に信用されているということか…

 

 

〜〜〜〜

 

 

 

「真がこっちにきてどれくらいかしら…」

 

 

永琳が俺に問いかけてくる。

数えたことがないからよく覚えていない。

 

 

「さぁ…まだ数年単位だろうとは思うが」

 

「そんなに短いの?」

 

「あぁ、俺の何百億年と比べれば、まだ短いほうさ」

 

「そんなに生きてきたのね…」

 

 

輝夜が俺の年齢を聞いて一瞬固まってしまった。

 

 

「そりゃあな…宇宙が生まれるもっと前、無から生きていたからな」

 

「ということは真が宇宙の創造主ってこと?」

 

「そんなとこだな」

 

「「私…創造主に教師してもらってたの…」」

 

 

永琳と輝夜がハモる。

まぁ仕方ないといえば仕方ないのか。自分の教師が宇宙の創造主だとは誰も思いもしないだろうからな。

 

 

「軍部の方はどうなの?」

 

「あぁ、なんとか今まで平均以上の体力値には維持できてるよ」

 

「あの、まるでダメな人間達の集まりを、まともな軍部の組織として復活させるとはねー」

 

「本当に驚きだわ。まぁ真が隊長になると聞いた時も驚いたけど」

 

 

そのフレーズどっかで聞いた事あるぞ…

 

 

「そこまで言わんでも…あいつら、しっかりと鍛えればそれなりに強くなれる奴らだからな」

 

「そんな事も分かるの?」

 

「まぁな」

 

 

心を読んでいるわけではない。

心理学などを頭に詰め込んでいるから、相手の癖や行動で大体わかるようになってきた。

 

 

 

 

コンッコンッコンッ

 

 

 

 

話もひと段落ついたので、次の分野を教えようと腰を上げた時、部屋にノックの音が鳴り響いた。

 

 

「どうした月夜見」

 

 

月夜見が頭だけ出して、部屋の様子を伺っていた。

 

 

「月夜見様!?」

 

 

永琳が珍しく焦る。

対して輝夜は、月夜見の突然の訪問にまた固まってしまった。

 

 

「調子の方はどうでしょうか?真様」

 

「あぁ、悪くないよ。永琳達の勉学も理解が早くて助かってるし」

 

「それは良かったです」

 

「で?どうしたんだ」

 

「少しお話が…」

 

 

月夜見が悩み込んでいるような表情を見せる。月夜見が悩むとなると都市規模の話のように思える。

 

 

「ふむ…すまないが今日はこれで終わりにしよう。また明日教えに来る」

 

「わかった。また明日ね」

 

「あぁ、すまんな。月夜見、どこで話すんだ?」

 

「姫、隣の部屋を使ってもいいかしら?」

 

「いいですよ」

 

 

月夜見が輝夜に許可を取る。

輝夜の屋敷は結構部屋が多い。永琳の家の何倍とあるだろう。

 

 

「永琳にも聞いて欲しいのだけれど」

 

「わかりました」

 

 

永琳もか…都市規模だけでは済まないようだな。

 

輝夜が貸してくれた部屋に入る。

 

中は部屋の真ん中に長机が1つと椅子が4つほど。

月夜見に向かい合う形で俺と永琳が座る。

 

 

「昨夜、都市の近くの森に調査に入った部隊が行方不明になりました」

 

「俺の部隊じゃないな」

 

「はい。私の管轄外の部隊です。他の権力者達が結成させた特殊部隊のようですが…」

 

「ふむ…」

 

 

この都市全体は月夜見が管理しているわけではない。

地区ごとに分けられた権力者達で都市が管理されている。

月夜見はその権力者達の統括を務めているが、その座を獲得したいが為に特殊部隊を結成したようだ。

 

俺の訓練を受けている部隊は月夜見直属の管轄を受けている為、情報は月夜見にしか入らない。

 

それを妬んだ他の権力者達が自分らの部隊を作り調査に向かわせたらしいが…被害が出てしまったようだ。

 

 

「妖怪達の活動も活発になっている…そろそろこっちも行動するべきじゃないか?」

 

「はい、その事で相談が…実は地上の穢れが増加してきて、都市のバリア機能が低下してきているのです。その為地上を離れ、月に移住しようと考えています」

 

「ここからは私が説明するわ。随分前に真が設計してくれたのがあったでしょ?」

 

 

永琳の家に居候し始めた時に設計したロケットの事か?

 

 

「あぁ、あれか」

 

「それを使って月に移住するの。もう既に発射場や居住区は造っているわ」

 

「相変わらず行動が早いな」

 

「ありがとう」

 

「妖怪達の活動の活発化、地上の穢れの増加、ロケットの準備共に居住区の完成が重なっている為、近いうちに月に行く事になります」

 

 

ふむ…そうなると都市の防御が手薄になるな。

 

 

「その間に奴らが来るかもしれないという事か…」

 

「!…良くお気づきになられましたね…その通りです。ロケットに都市の住民を乗せるとなると時間がかかります。誘導も含めると兵達を出動させるため、その間の防御ができない可能性があります」

 

「おおよそどれぐらい掛かる?」

 

「短く見積もっても2時間近く…」

 

 

数までは予測できないか。まぁそれでも時間稼ぎぐらいなら。

 

 

「余裕だな」

 

「「!?」」

 

 

俺の言葉に2人は驚愕した。

それもそうか…1人で数十億の妖怪を相手するなんて考えもしないか。

なんか感覚が鈍ってんなー。元からか。

 

 

「最悪は全滅させればいい」

 

「ふふ…真様ならやりかねませんね。よろしくお願いします」

 

「月夜見様!?い、いくらなんでも真一人に任せるのは!」

 

「大丈夫だろ」

 

 

永琳が俺1人に任せるのはマズイと思ったのか焦りながら月夜見に反論するが、それを俺が一言で否定する。

 

 

「ええ、真様なら大丈夫ですよ。というか闘いと呼べるかも分からなくなりそうですが…」

 

「まぁ手加減はするよ」

 

「て、手加減…」

 

 

またもや永琳が固まる。

 

 

「で?いつ頃になるんだ?」

 

「遅く見積もっても半年ぐらいでしょうか」

 

「わかった」

 

 

結構余裕はあるみたいだ。

しかし、それでも月夜見の顔は暗い。俺はなんとかその表情を明るくしようと考えを巡らすが、生憎笑顔にできるほどの技量を持ち合わせていない。

 

 

「まぁ間に合ッ

 

 

俺が喋ろうとした時、屋敷の中ではないが、近くで爆発音のようなものがした。

 

 

「今のは!?」

 

「どうやら…半年もねぇなこりゃ…」

 

「そ、それはどういう…」

 

 

俺は永琳の言葉に返事をせず、輝夜の屋敷を飛び出た。

 

 

「ッ!」

 

 

目の前に広がっている惨状を見て俺は息をのむ。

 

 

パッと見ただけでも十数人が血を流しながら地に伏しているのが分かる。

近くのビルには大きな穴が開いていて、そこから煙が立ち込めていた。

人々は悲鳴を上げながら助けを求めていた。

 

そして…

 

 

1人の男性の屍体の上に乗り踏みつけている奴が…

 

 

 

「人間ってのは脆いな〜壊れ方は面白いのにすぐ壊れるのがな〜」

 

 

 

そう言いながら奴は男性の屍体の頭を踏み潰した。

 

その瞬間俺の中で黒い何かが生まれた。

 

俺は初めて…自分の中から湧き出るような殺意を感じた。

 

 

こいつを…コイツヲ…コロシテヤル…

 

 

 

 




次回、戦闘、真 暴走


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第19話 悲鳴

いつの間にかお気に入りが50を越えていました。
ありがとうございます。


 

「そ、それはどういう…」

 

 

私は真の返事を待とうとしたが、本人は目にも留まらぬ速さで部屋を出てしまった。

月夜見様と私は真の突然の行動に驚いたが、返事を聞くためにすぐに真を追った。

 

 

真を追い屋敷を出た私は、一瞬頭の中が真っ白になってしまった。

 

 

赤黒い鮮血がそこら中に広がり、ビルには穴が開き、十数人が倒れていた。

そして目の前で、男性の屍体の頭が踏み潰された。

 

踏み潰した本人は愉快そうに笑っている。

 

私はその光景を見て、初めてその場から、現実から逃げたしたいと思った。

 

真の周りには黒い煙のようなものが漂い始めていた。それは真の周りで円のような形を作ると少しずつ大きくなり、半径10メートル程の大きさになった。

 

 

 

「?お前誰だ?」

 

「…」

 

「ケッ…意識がねえのかよ…つっまんねぇなー…でも、そこの女は面白そうだな。とりあえず邪魔だから死ね」

 

そう言って奴は拳を構え、真に放とうとする。

 

目の前まで拳が迫っているというのに真は動こうとしない…まだブツブツと何かを呟いている。

なんとか真を助けようと体を動かそうとするが、何故か指一本動かない。

 

まさか!奴が何か仕掛けてきている!?

 

 

「あ、あれ?お、おかしいな…な、なんで体が…ッ!」

 

 

奴自身も動けていない。

しかし、その場で1人だけ動いている人物がいた。

 

 

真だ。

 

 

真は奴の方に歩き出すと、顔を上げ奴に何かを囁いた。

 

 

「ヒッ!や、やめろ…ち、近付くな…や、やめてくれ!」

 

 

すると奴は、何か恐ろしいことを聞いてしまったかのように怯え出した

 

奴が真に制止を呼び掛けるが、真は聞こえていないかのように、とてもギクシャクとした動きで近づいて行った。

 

 

そして奴の拳が真の体に触れた時…

 

 

 

 

「き″ぃ″や″ぁ″ぁ″ぁ″ぁ″ぁ″ぁ″!!!!!!」

 

 

 

 

奴の悲鳴が響き渡った。

 

 

奴の腕は、真の周りに漂う黒い何かに取り込まれて、跡形もなく無くなっていた。

 

悲鳴はビルの壁などに反響し、屋敷の中にまで聞こえたようだ。

証拠に姫様と、姫様の屋敷の人間が出てきた。

私達同様、固まってしまったが…

 

 

 

「痛い…か?」

 

「や、やめてくれ!わ、悪かった!どんな償いでする!」

 

「償い…か…俺の望みは償いではない…」

 

「た、頼むぅぅ!い″の″ち″だ″け″は″あ″あ″ぁ″!」

 

「はぁ…煩い」

 

 

真が奴の口に指を当てる。

すると奴の口は、元から無かったかのように塞がってしまった。

 

 

「〜〜〜〜!!!!」

 

 

叫ぼうとするが口が塞がれているため、声にならない。

 

 

「1つ聞きたいことがある…お前は誰に指示されてここに来た?」

 

「〜〜!!!!」

 

 

真が奴に質問をした。しかし答えはなく声にならない叫びだけ。

それもそうだ口が塞がっているのだから。

 

 

「あぁ、口が塞がってちゃ喋れないか…ほら」

 

「〜〜〜〜〜!!!!」

 

 

そう言って真は塞がっている口を指で裂いた。

 

 

「鬼子母神様だ″あ″あ″ぁ″ぁ″!お″れ″は″!お″そ″え″と″し″し″さ″れ″た″た″け″な″ん″た″ぁ″!」

 

「そうか…鬼子母神…か…月夜見、どうだ?」

「わ、私は聞いたことありません」

 

 

真が月夜見様に問いかけた。

鬼子母神と言う名を聞いたことがあるか、という意味だろう。

 

その問いに月夜見様は、戸惑いながらもなんとか答える。

 

 

「ほう…月夜見が聞いたことがない…らしいが?」

 

「本当な″ん″だ″!鬼子母神様は森の奥で妖怪達を仕切ってる!」

 

「…他には?」

 

「ち、近々ここを全勢力で襲うってのを噂で聞いた…」

 

「…」

 

 

真が奴の眉間に指を当てた。

 

その指は少しずつ、奴の眉間にめり込んでいく。

 

やがて血が流れ出した頃。

 

 

 

「本当だ!信じてくれぇ!」

 

「…お前を生かしておいて…俺に何の得がある?」

 

「し、知ってる限りの情報を教える!」

 

「そうか…確かに情報は欲しい…でもな…俺はお前を生かさずとも…お前の記憶を、情報を得る方法があるんだ」

 

「へ?」

 

 

真が奴の頭に手を伸ばした。

 

 

その手は黒い何かで包まれていて、腕まで渦を巻きながら伸びていた。

 

 

「お前を…吸収する」

 

「ちょ、ちょっと待っキ″ィ″ヤ″ァァァァ

 

 

その黒々とした手が奴の頭に触れた時、触れられた部分がグニャリと捻れ始めた。

 

その痛みに耐えられず奴は先程と同じような悲鳴を上げる。

 

しかし、その悲鳴は先程とは違い弱々しく、少しずつ小さくなっていった。

 

 

 

 

数刻。

 

 

 

 

鮮血によって出来た巨大な絨毯。

 

黒い何かが完全に消え去り、悲鳴の余韻を楽しむかのように佇んでいる真。

 

 

 

「派手にやったのぉ〜」

 

 

どうしようもできずにただ見つめていると、何処からか声が聞こえた。

 

その声の主はすぐに分かった。

 

光と共に現れたのは、神美。

この前、真が居候の際同居する事になったと紹介してきた本妻だ。

 

 

 

「やったのは俺じゃないんだがな…」

 

「じゃあ誰なんじゃ?」

 

「もう俺の頭の中だ」

 

「はぁ…相変わらず無茶苦茶な事をするの」

 

「いつもの事だろ…」

 

「それもそうじゃな」

 

 

 

なんで…なんでそれで納得するんだ…

してしまう私もおかしいのか?

 

 

 

「無事か?」

 

「え?あ、うん」

 

 

真が問いかけてきた。

もちろん私達は何もされていない。

 

 

「あ、あの真様」

 

「なんだ?」

 

「な、何をなされたんですか?」

 

 

月夜見様が真におずおずと問いかける。

無理もないだろう。私もまだ膝が震えている。

 

 

「吸収したんだよ…奴を…」

 

「吸収…ですか」

 

 

真の返事の内容を月夜見様は理解しようと努力するが、理解するという事に抵抗があるようだ。

 

他の命を自分のものにしてしまうという行為を理解してしまえば、自分が可笑しくなってしまうのではという不安だろう。

 

 

「月夜見、移住の準備は最短でどれぐらいかかるんだ?」

 

「最短ですか?そうですね…都市の人間を乗せるのも考えると2日は」

 

「そうか…」

 

「襲撃はいつ?」

 

 

真が1人で黙り込んでしまいそうになったので、肝心の情報を聞く。

 

 

「丁度準備が終わった後になるだろうな」

 

「そんなに早く!?」

 

「もうあっちは襲撃の準備はできてる。だが襲撃してくる方角は一箇所しかない。兵は全て誘導に派遣しろ」

 

「しかし防衛に関しては」

 

「問題ない…屋敷の中でも言ったが…最悪…全滅させる」

 

「でもそんなこと「できるから言うとるんじゃろ」へ?」

 

 

私が否定しようとした時、神美が私の言葉を遮ってきた。

 

真が単騎で、襲撃してくる妖怪を全滅させる?

 

真でも自殺行為にも程がある。

止めなけれ…ば…

 

 

「止めなさい永琳」

 

「月夜見様…何を…」

 

「貴女が何かしようとしたのが分かったから、少し能力を使わせてもらったわ。少しの間眠って落ち着なさい」

 

 

そんな…私は…真を…彼…を…止められ…な…

 

 

 

 




戦闘になりませんでした(´・_・`)
次回は…というよりも次回もですね。
戦闘(遊び)になります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第20話 神妖大戦

お待たせしました。人妖大戦ならぬ神妖大戦です。


都市の一番端、俺が初めて都市を訪れた時に通った門に来ていた。

そこに前のような門番はいない。兵のほとんどを都市の住人の誘導に回しているからだ。

 

門をくぐってから振り返り都市を見渡す。無限に続かのように連なるビル群が視界を埋め尽くしていた。

 

 

「多分これが最後か…」

 

 

俺が暴れるとなると都市が無事で済むとは思えない。まぁ、だからこそ移住計画を早急に進めようとした訳だが…

 

都市全体を見れたことに満足し、俺は目的の場所に向かって歩き出した。足取りは至って軽い。

 

本来なら何十億という妖怪相手なのだから、死地に向かう覚悟で向かうのだろう。だが今の俺からしてみれば、子供が沢山の玩具がある遊び場に向かうようなものだ。

 

少し歩くと都市の舗装された道ではなく、少しぬかるんだ泥の地面が延々と続いていた。その先には広大な平原が広がり、更に奥には森林が左右に広がるように延びていた。

木々が隙間なく重なっている様はまさに壁のようであり、黒や茶色の樹皮は重なりの中で完全な黒へと変わっていた。その隙間の無い森林の中から、無数の赤黒く光る目が見える。

 

 

「さて…と、こっちから仕掛けてあげた方がいいのかな?」

 

 

俺の問いに誰も答えるはずがない。誰もいないのだから。そのはずなのに…

 

 

「待ってみてはどうかの」

 

「さも当然のようにいるのな」

 

 

背後から神美の声が聞こえて、あぁやっぱりなと思う。

こういう時、必ず神美は俺の独り言に返事を返してくれる。宇宙を創造する前、修行している時は本当に孤独だった。

 

 

「妻が夫の勇姿を見るのはあり得ん事かの?」

 

「勇姿になるかは別として、ロケットに乗ったんじゃなかったのか?」

 

「妾には転移能力があるからの。今からロケットに乗っても暇なだけじゃ。特にお主がおらんとな」

 

 

あぁ、やっぱりね。

予想通りの返事が来たよ。俺がいないと暇だと言って大事な事を放っちゃう。俺からしてみればとても嬉しい事ではあるのだが…ほどほどにして欲しい。

 

 

「はぁ…まぁ分かったよ。で?神美がいるのは分かるんだ。なぜ月夜見と永琳がいる?」

 

「あれ?駄目でしたか?」

 

「駄目だったかしら…」

 

「はぁ…」

 

 

なんか疲れた。戦う前から疲れてるとか新鮮なんですけど。そして当の本人達は自覚してない。

 

 

「ロケット…」

 

『あっ』

 

「はぁぁぁ……」

 

「まぁ妾の転移能力でロケットの中に転移すれば」

 

「まず指示を出す奴が必要だろうに」

 

『あっ』

 

 

もう嫌だ。これ以上は疲労が溜まるだけだ。早く話を切り替えて、終わらせて、遊びたい。

 

 

「何か話があってきたんだろう?」

 

「そ、そうじゃそうじゃ」

 

「忘れてただろ」

 

「ヒューヒューー」

 

「吹けてない」

 

「…謝るからそんなに責めんでくれグスッ」

 

「あ、あぁ別に責めてるわけでは無くてだな」

 

 

や、やべぇ泣き出した。女の子泣かせるとか、それも自分の奥さんだぞ?人生最大の汚点だ…

 

 

「あー女の子泣かせましたねー」

 

「いくらなんでも酷いんじゃない?」

 

 

ここぞとばかりに月夜見と永琳が俺を責めてくる。実に出来過ぎだ。冷静に考えれば、神美が泣いたところを俺は一度も見た事がない。

これは…

 

 

「…正直に言え」

 

「嘘泣きですごめんなさい」

 

「「すいませんでした」」

 

 

そうだと思ったよ。

 

 

「とりあえず本題に移ってくれ…話が進まん」

 

「すぐに許してくれる寛容さ!」

 

「そこに痺れる!」

 

『憧れ「進めろ」はい』

 

 

すぐにネタに走る性格はどこから来たんだろうか。でもよく考えたら二人って俺の血筋なわけだろ?

 

 

やめよう。

 

 

「この戦いが終わったら、いつこっちに月にこれるのか聞いておきたかったんじゃ」

 

「う〜ん…しばらく地球で活動しようかな。ある程度人類が繁栄したら月に行くよ」

 

「うむ、わかった」

 

「あ〜ちょっと待って、渡すものを忘れてた」

 

 

3人に何か贈り物をしようと考えていたのだが、すっかり忘れていた。

 

 

「まず神美だが…」

 

「なんじゃ?」

 

 

俺は掌に力を集中させ、ある物を創る。それを神美がワクワクしながら見つめているのを見ると、見た目相応の反応だなと思ってしまった。

 

 

(かんざし)だ」

 

「綺麗…」

 

 

創った簪は宝石の類が一切無くシンプルな物だが、複雑な形で構成される飾りの部分が神美の素の部分を引きずり出したようだ。

 

 

「月夜見には…ほい」

 

「扇子?ですか?」

 

「あぁ。風格というものを想像した時にパッと思い浮かんだ物をな」

 

 

こちらの扇子も同様にシンプルなデザインになっている。夜空の黒と、夜空に浮かぶ満月の月が描かれている。

 

 

「そして永琳」

 

「!これ前から欲しかったのよ!」

 

「それは良かった」

 

 

永琳が喜んで受け取ったのは、所謂ナースキャップだ。全体が紺色で、真ん中に紅い十字が刺繍されている。永琳は能力的な面でも医療関係に関わっているため、服装にも憧れを抱いているらしい。

 

 

「俺は今から戦う(遊ぶ)けどそっちはどうすんの?」

 

『観戦します』

 

「アッハイ」

 

 

もう戻ってくれるとありがたいんだが。

 

 

「今帰ってくれと思ったじゃろ」

 

「心読むのやめたんじゃなかったのか?」

 

「妻としての勘じゃ」

 

「「!!」」

 

「神美さん!是非私にも勘の習得のコツを!」

 

「わ、私にも!」

 

「やめて!俺の心情が3人同時に知られてるとか洒落にならない!」

 

 

なぜ永琳まで知りたがる!?

もうそこまで妖怪の皆さんが来てたのに空気読んで止まってくれてる…一向に始まる気配がないんだが。

 

 

「いやぁ〜お待たせしました。あのぉ〜かし『お!ま!た!せ!し!ま!し!た!凄い奴!バリバリ最強NO.1!』

 

 

古い!超古い!てかまだこの世界に無いのに何故知ってる!?

 

 

「…なんか…すいません」

 

「いえ…」

 

「あの、(かしら)とかいます?」

 

「呼んできましょうか?」

 

 

俺の問いに1人の女の妖怪が答えた。普通に会話してくれる奴も居るんだなーと呑気な事を考えてしまった。

 

 

「お願いします」

 

「少し待っててください」

 

 

常識のある妖怪というのは接しやすい。俺これから妖怪の教育しようかな。

常識のある妖怪が頭を呼びに行ったあと、少ししてから常識妖怪が1人の女性を連れてきた。

赤い髪に、赤い瞳。身長は俺より少し低いぐらい。筋肉はあるものの盛りすぎておらず、女性本来の力強さをそのまま形にしたような体格をしていた。

 

 

「おいおい、あんたらだけかい?飛んだ期待外れだね〜。うちはもっと殺戮を楽しみたいのに」

 

「まず一つ言わせてくれ」

 

「なんだい?」

 

「挨拶をしやがれ」

 

「ヒッ」

 

 

俺の威圧にその女は後退りして小さな悲鳴をあげた。その光景に周りの妖怪たちが焦り始めた。

自分達の頭が俺1人相手に臆したという事が信じられないようだ。

 

 

「俺の名は魅剣 真。人類を守護する神の代表として来た」

 

「チッ…鬼子母神…本当の名はあたしを倒したら教えてやるよ!フンッ!」

 

 

鬼子母神はそう言い切ると、俺の顔面目掛けて拳を放ってきた。

 

 

「さて…始めるか」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜

 

 

 

鬼子母神が真に殴りかかる。それを見て私達は止めようとはしない。

何故か?答えは簡単。

 

 

「死ねぇッ!」

 

 

肉が弾ける音と共に、真の頭が弾け飛んだ。それを見てもまだ私達は動かない。

 

 

「はっ!こんなもんかい!全く本当に期待外れだ!おいあんた達!あんたらの旦那だろ?殺されて何もしようとしないのかい!?」

 

「死んどらんよ」

 

 

鬼子母神の問いに神美が答える。

 

 

「ハァ?あんたら現実から目を背けてんじゃないよ!見てみな!この通り頭が…あれ?」

 

「頭がどうした?」

 

 

鬼子母神が指差した方向には、頭を吹き飛ばされて死んだはずの真が立っていた。だがそんな光景を見ても私達は驚きもしない。

 

 

「な、なんで…た、確かに今頭を…」

 

「脳を吹き飛ばされたくらいで死ぬほど、何百億生きてないよ」

 

「あんた…何を言ってッ!?」

 

 

さっきの答え、真からしてみれば頭が弾け飛ぼうが、細胞全てを消されようが関係ない。彼はまた無から生み出される。

 

真の何百億という言葉が理解できず呆然としている鬼子母神の腹部に、真の拳が滑り込む。

踏み止まろうとするが、予想外の攻撃に防御姿勢が取れず他の妖怪達を巻き込みながら、後方に大きく吹き飛ばされていった。

 

 

「お前らに警告しておこう!死にたくない奴は見逃してやる!5秒数える!いぃぃぃぃっちぃぃ!!」

 

『ヒ!ヒィィィィィ!鬼子母神がやられたぁぁ!?もうダメダァ!お終いだぁぁ!!!』

 

「にぃぃぃぃい!!」

 

『逃ぃぃげるんだよぉぉぉ!死にたくねぇぇぇぇ!』

 

「さぁぁぁん!!」

 

『どけぇ!どけどけどけぇ!』

 

「しぃぃぃぃい!!」

 

『森だ!森に逃げろぉぉぉ!」

 

「ちょ、ちょっとあんた達!」

 

 

何十億という妖怪達は、真によってその半数以上が逃げて行った。

その光景に鬼子母神は戸惑いを隠せない。明らかに焦りが見え始めていた。

 

 

『ヒィィィィエェェェェェェ!」

 

「ダークネスアーマー!」

 

 

数え切った真は、赤黒い鎧のようなものを全身に身に付けていた。筋肉の筋などには紅い線のようなものがあり、全身の筋肉を目立たせていた。

胸には両肩の肩口から胸の中心めがけて太い線があり、真ん中で重なるとYの様な形に変化していった。

 

 

「少し遊ぶとするか…オラァ!」

 

「んな!?」

 

 

真が無造作に拳を放つと、視界に映っていた筈の妖怪達が血と肉の塊となった。

 

 

「あ、あんた、な、何者なんだい!?」

 

 

目の前で起きた出来事が理解しようと必死になるが、その張本人が目の前にいると理解した瞬間、鬼子母神は真に質問を投げかけた。

 

 

「魅剣 真だよ。創造神であり破壊神であり、そして邪神でもある」

 

「ふぇ…」

 

「お〜い?」

 

「気絶しておるぞ」

 

「マジか…君と遊ぶの楽しみだったのになぁ〜…ま、あとは残ってるので遊ぶかな」

 

 

鬼子母神に問われ、答えただけだというのに、それだけで鬼子母神は気絶してしまった。

 

 

『ば、化け物!く、来るなぁ!来るなぁぁぁ!』

 

「酷いなぁ、化け物だなんて。俺は創造神であり邪神だよ?少しは敬って欲しいもんだなー」

 

「そんな呑気なこと言うとる場合か」

 

「なんか真様…性格変わってません?」

 

「確かに」

 

 

顔までもが殻で覆われているため表情は分からないが、言動から危ない匂いがするのは気のせいではないはずだ。

 

 

「楽しい、こいつらの恐怖し絶望する顔が…粘土のようにコロコロと形が変わる様が…やべぇこの高揚感癖になりそうだ!」

 

「真…お主…」

 

「真様…」

 

「真…」

 

 

「「「落ち着け」」」

 

「はい」

 

 

『今がチャンスっグゲッ』

 

 

呑気に会話していたところを狙った妖怪が、神美の手から放たれた光によって跡形もなく消え去った。

真は少し驚いた素振りを見せながら振り向いた。

 

 

「そろそろロケット乗った方がいいと思うぞ」

 

 

真にそう言われ私達は都市の方角に向き直った。

都市の上空には何機かのロケットが既に発射していた。真の設計したロケットエンジンによって、ロケットの巨体は悠々と空高く飛んでいた。

 

 

「そうするかの。ほれ、行くぞ」

 

「あ、はい。では真様、月で会いしましょう」

 

「ほどほどにね、真」

 

 

真の言葉に各々が答える。

神美が手に光を生み出すと、そこにロケットの中が見えてきた。

光の中に入り振り返ると真の背中が見える。

 

視界を覆い尽くすような妖怪達の前で悠然と構える様は、ロケット内の人間たちを大いに沸かせる事となった。

 

 

〜〜〜〜〜

 

 

 

「行ったか…」

 

 

神美達がロケットに乗ったのを確認した俺は、楽しみにしていた気玉を使う事にした。

 

 

「こんなもんかな」

 

 

両手に気を集中させて玉を作り出す。

サッカーボールほどの気玉は、色は無いものの、周りの空気を巻き込みながら常に回転していた。

 

修行中、指先程の範囲で試してはみたものの、周りが何も無いため効果がどれ程のものか把握できていなかった。

 

 

「気玉の強化版、鬼玉だ。どれだけの威力を持つのか!お前らで実験させてもらおう!」

 

「あ、あぁぁ」

 

 

意気揚々と鬼玉を投げようとしていると、怯えた声が聞こえる。

 

 

「ん?あぁ、さっきの常識妖怪か」

 

「じょ、常識妖怪…わ、私ですか?」

 

「そうだ。常識のあるお前に一つ助言をしてやろう。生き残りたいなら地面に穴を掘って隠れてな」

 

「へ?あ、え?どういう」

 

「これをぶん投げるから」

 

 

俺が言い切ると常識妖怪は目にも留まらぬ速さで、3メートル近くの縦穴を掘った。

そこから横穴を掘り、思い出したかのように鬼子母神を穴に引きずっていく。

 

 

「んじゃ、またなー」

 

 

俺は常識妖怪に別れを言い、霊力で飛行する。

鬼玉を片手に持ち、構える。上空から垂直に叩きつけるように腕を振ると、鬼玉は地面に吸い込まれるように落ちていった。

 

 

 

爆発が終わってから地面に足を付ける。

 

足元さえも妖怪達の屍体で埋め尽くされていた。一歩踏み出すと、屍体から粘着質の奇怪な音が出た。

 

 

「面白いな…壊すのも…クク」

 

 




長くなってしまいました。
言い訳になりますが。最近リアルが忙しかったため、あまり書く時間がありませんでした。
もう少し投稿スペースを上げれる努力します。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第21話 鬼の名前

リアルが忙しいのもあり中々投稿できませんでした。申し訳ありません。
修正も気付いた時に行ってはいるのですが、足りない部分があると思われる所に関しては指摘などがあれば直していきたいと思います。


 

一歩踏み出す度に血生臭さが嗅覚を麻痺させ、肉を潰したような奇怪で不愉快な音が脳に伝わる。

私が歩いている地面は、同族だった妖怪達の屍体によってできているもの。

いや、屍体と呼べるものではないだろう。

 

無理矢理押し潰されたかのような()()らは、原型どころか骨一つ見つからない。

そんな肉の地面を進むのは、目の前に立っている彼と話をするためだ。

 

 

「俺の助言が役に立ったようだな」

 

 

彼の視界に入った私は、彼がその言葉を発すると同時に頭を下げた。

 

 

「先程の主の無礼、申し訳ありませんでした」

 

「構わんさ。で?その本人は無事なのかな?」

 

「まだ穴の中で眠っていますが、ッ!?」

 

 

私自身が掘った穴に目を向けると、そこから這い上がってくる鬼子母神様の姿が見えた。

地面に立ち、足元を見た鬼子母神様は、この赤黒い地面が何によってできているのか理解できないようだった。

 

 

「お目覚めにッ「ッ!?イヤァァァァァァァァ!」!?」

 

 

私が声をかけると、鬼子母神様は悲鳴を上げた。

肉の正体が分かったのだろう。自分が従えていた部下達が、一人の男によって肉塊へと変えられてしまったのだ。

自分の置かれている状況を理解した、いや理解してしまった。

 

 

「寝起きなのによくそんなに大声出せるね〜」

 

「な、なんで…」

 

「警告はしたじゃないか…それでも逃げなかったんだ、死ぬ覚悟はできていたんだろう?」

 

「…」

 

 

彼は地面を指差しながら続けた。

 

 

「こいつらが選んだ道だ。お前が胸を痛める理由がよくわらんのだが」

 

「ッ…あたしは…これからどうすればいいんだい」

 

 

鬼子母神様は目を瞑り俯きながら小さく、か細い声で呟いた。その声は余りにも弱くすぐにでも消えてしまいそうだった。

 

 

〜〜〜〜

 

「お前の本当の名を教えろ。勝ったら教えてくれるんだろ?」

 

 

真の問いに鬼子母神は顔を俯かせ、僅かながらに答えることを拒否しようとしている。

 

しかしその静寂が、沈黙が、答えへと導くことになった。

 

 

「…ない」

 

「何?」

 

 

その言葉に真は破顔する。

 

 

「ない…親などいない。力でねじ伏せる事ができるようになると、周りの妖怪たちが鬼子母神と呼び始めた。だから本当の名前などない…」

 

 

顎に手を添えながら悩み続ける真を、鬼子母神と常識妖怪はそれぞれ別のことを考えていた。

子分を全滅させた人物が目の前にいるという事実は、鬼子母神の身を震わせるには充分過ぎた。

 

 

「…なら俺が名付けてやろうか?」

 

 

その言葉に今度は鬼子母神が破顔する。

鬼子母神の少し後ろで見守っている常識妖怪も、こいつは何を言っているんだと言いたげな表情を浮かべている。

 

目の前の絶対的強者を不愉快な気分にさせてしまえば死ぬという状況の中でそんな表情をするのは、それだけ絶対的強者の言動が理解不能だったという事だ。

 

 

「女性としての美と強か(したた)さを持つ…美虎(みこ)…とか?」

 

美虎(みこ)…」

 

 

美虎

 

それが鬼子母神である鬼の名前。

 

 

 




姐さん系のキャラにしようと思ったら、真暴走で弱気なキャラに変更?かも。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。