SCP財団日本支部のとあるサイトの奇妙な日常 (粒餡)
しおりを挟む

第一サイト目「今日から新しい人生が始まると思ったらある意味新しい人生の幕開けだった」

※この作品を読んで、ミーム被害、または物理的被害を被っても責任は取れません。そこら辺を理解してたのしもうね!ねこはいます、よろしくおねがいします


空井「ええと・・・ここ・・・で合ってるのかな?」

     

僕の名前は空井圭一、ついこの間この、SCP財団と呼ばれる財団に加入した、研究員補佐だ、なんでも、僕が財団のフロント企業で話した、オカルト知識の豊富さに目をつけた財団職員がいて、それで僕を雇用することになった・・・らしい

空井「・・・緊張するなあ」

確か、この、サイトー81■■には、とても少ないメンバーで構成されているサイトらしい、新しく作られたのかな?

 

空井「・・・すー・・・はー・・・よし、失礼します!今日からここに配属されることになったそらいけいいt」

 

???「だーっからここはちげえって何度言ったら分かるんだよこのアホ野郎!!」

 

???「はぁ?ここはこれで合ってますー、むしろそっちが間違ってるのよ!この大マヌケ!」

 

???「あっ!てめえ上司にそういう口聞くんだな!?いいか!こっちはいつでもてめえを解雇できる・・・?」

 

???「はぁ?やれるもんならやってみなさいよできないくせに・・・?」

 

空井「失礼しました、どうやらサイトを間違えたらしいです」

そう言って僕は扉を閉める、全く、サイトを間違えるなんて僕のうっかり屋さん!。

さて、じゃあ僕が配属されたサイトの場所再確認しないと、ええと、サイトー81■■だろ?で、ここがサイトー81■■・・・

 

空井「ここじゃん!!」

え、嘘でしょ?あんな子供みたいな口喧嘩してた人たちが僕の上司なの!?どうしよう今すぐにでも上の人にサイト移動申請方がいいかな!?

 

空井「・・・とりあえず、もう一回だけ見てみるか」

再確認のためにドアを開ける僕、もしかすると何らかのSCPによる幻覚かもしれないしね

 

空井「・・・失礼しまーす?・・・」

そこには

 

???「ははは、いらっしゃい、よく来たね」

 

???「ええ、よく来たわね、あなたが今日からここに配属された新しいぎせいsy・・・研究員ね?ようこそ、SCP財団へ」

 

キリッとした姿で、先ほどの様子とはまるで大違いの二人がいた・・・両方が相手の足を蹴っていることを除いては、ていうかさらっと言ったけど今犠牲者って言いかけなかった?

 

???「てめ、このやろ蹴るのやめろ」

 

???「あんたこそやめなさいよ」

 

???「よし、わかった、一斉のせでやめよう」

 

???「わかったわ、実に合理的な判断ね、それじゃ、一斉の・・・っせ!」

 

その瞬間、二人が二人共息が合ったタイミングでお互いの足を思いっきり蹴りあった、実はこの人たち仲がいいのかな?

 

???「いってえええええええ!?てめえよくもやりやがったな!?」

 

???「あんたこそよくもやったわね!?」

 

???「やるかこのやろう!?」

 

???「っは、まるで玉ねぎをしょった白鳥ね!望むところだわ!」

 

???「んだとこのやろう!?あと玉ねぎをしょった白鳥じゃなくてネギをしょった鴨だろうが!」

 

???「そんな細かいこと一々気にしてたらハゲるわよ!

 

???「はははは禿げてないわ!ていうか全然細かくねえからな!?」

・・・なんなんだろう、この人たちは、まだ偶然財団施設に迷い込んでしまった一般人って言われたほうが納得するんだけど

 

???「はいはい、そこら辺にしておけ、新人が困ってるだろうが、大体今度は何で言い争ってんだよ」

 

???「む、御手洗か・・・、いや、実はこいつとジクソーパズルしてたんだが・・・」

 

御手洗「おk、くだらない話だってことは理解した」

 

???「俺達にとっちゃ死活問題だぞ!?」

 

御手洗「そんな執着するとかどんなジクソーパズルなんだよ・・・全く」

 

???「いや、完成するとなんでも人みたいな顔をした猫っぽいやつの絵になるらしいんだけど・・・」

 

御手洗「今すぐそれをこっちに渡して永久に完成させるな」

 

???「え?」

 

御手洗「いいから渡せ」

そう、御手洗と呼ばれた、白衣を着込んだ男性がさっきから口喧嘩してた男性の方からジクソーパズルを取り上げる、ちなみに男性の方は、茶髪をした、御手洗さんと同じように白衣を着ている人と、女性の方は赤い髪をしたスーツ姿の人だ。

 

御手洗「全く、一体誰が作ったんだよこんなもん・・・って、たのしもうね?って・・・またあいつか、くっだらねえもんばっか送りつけやがって、いい加減こっちの方にも顔を見せろってんだ・・・で、新人研究員君、改めて、ようこそ、SCP財団日本支部、サイトー81■■、通称、変人たちの巣窟へ」

 

空井「・・・へ?」

こうして、僕の研究員ライフが始まったのだった

 

 

 

 

???「って!結局俺達の名前出てねえじゃねえか!」

 

???「そうよそうよ!、あ、私の名前は菊月茜でーす、ぴっちぴちの20代だよ?☆」

 

???「29のどこがぴっちぴちなんだか・・・」

 

菊月「あぁん?、なんか言ったか?」

 

???「何でもねえですよっと、俺の名前は黒崎冬弥だ

、職位とかそこら辺についてはまた次回ってこったな」

 

菊月「それじゃ、そういうことでー・・・」

 

御手洗「逃がすと思ってるのか?大バカども」

 

黒崎「・・・ですよねー」

 

御手洗「まあ、俺も寛大だ、よって・・・俺のお宝画像大全集を見せてやろう、新人職員のせんn・・・教育はその後でも遅くはない」

 

黒崎「今洗脳って言いかけましたよこの人!ていうかてめえのお宝画像はマジで洒落になんねえんだよ!」

 

菊月「そうだそうだ!この前の画像なんて夢にまで出たんだからな!?」

 

御手洗「なにそれ羨ましい」

 

菊月「だめだこいつ」

 

御手洗「ま、問答無用だ」

 

菊月・黒崎「「嫌だーー!?」」

 

空井「・・・大丈夫かなあ、このサイト」

 

うさ耳の少女「後半へー、続く(cv. キートン山田)」

 

空井「!?」




どうも、作者の粒餡です、動画作成技術がない私でも、どうしてもSCP紹介をやりたい、そう思ってうんうん唸りながらハーメルンの作品見てたら・・・あ、ここでいいんじゃね?と思い、早速登録して投稿した所存でございます、もしこの作品が利用規約とかに引っかかる場合は、財団施設での日常を描いた物語にする予定です(そのためのタイトル)、また、リクエスト等は随時受け付けておりますので、こんな日常話を書いて!とか、このSCPを紹介して!とかが来たらできるだけ対応させていただきますので、ぜひリクエストしてみてください、また、このあとがきでは今後何らかの報告、紹介したSCP、tail、サイトー81■■の人たちの人事ファイルを載せていったりします、それでは、ノシ

追記:リクエストはメッセージ機能、活動報告におねがいします、ねこです


0匹イナゴが逃げたぞ!
いや!0匹逃げてる!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第二サイト目「最近の小学生はうさ耳と神出鬼没のライセンスを持っている」

前回のあらすじ
財団、変人、うさ耳
財団、変人、うさ耳



うさ耳少女「よう少年、こんなところで立ち尽くしててどうしたんだい?ここは関係者以外立ち入り禁止のはずなんだが」

 

空井「いや・・・君こそどうしてこんなところに?迷子にでもなったのかい?・・・っはまさか新たなSCP・・・?」

 

うさ耳少女「・・・君は何を言っているんだい?」

 

空井「え、だってこんな小さな子がここにいるなんて・・・」

 

うさ耳少女「は?」

 

空井「え?」

 

うさ耳少女「・・・ああ、そういうことか、全く・・・どうして誰も彼も私のことを子供扱いするんだ・・・ほれ、これを見ろ」

 

空井「は、はあ・・・え?さんじゅうh」

 

うさ耳少女「誰が年齢を読み上げろつったよ、ん?読むだけにして心の中にだけ留めておけ、いいな?」

 

空井「アッハイ・・・じゃなくて・・・ええ・・・こんな小さな子が僕より年上なの?・・・」

 

うさ耳少女「財団ではそんな珍しいことでもないからな、あとお前の上司だからな、一応」

 

空井「え、そうなんですか?」

 

うさ耳少女「私のクリアランスは4、Aクラス職員だ、私の言いたいことはわかるね?」

 

空井「・・・財団も物好きだなあ・・・」

 

うさ耳少女「君案外失礼なこと言うね、あと、私のことは君とかそういうんじゃなくて名前で呼びたまえ、子供扱いされてるみたいでムカつく」

 

空井「は、はあ・・・わかりました、ええと・・・月島さん」

 

月島「よろしい、んで、最初の質問に戻るが、君は何故ここに?」

 

空井「あ、僕は今日からここに配属されることになった空井圭一です!これからよろしくお願いします!」

 

月島「ここに配属・・・ということは・・・はぁ・・・」

 

空井「なんで僕そうそうため息疲れてるんですか!?」

 

月島「いや、すまない、ここに配属されるやつはだいたい問題児ばかりでね・・・しかも全員が全員、優秀すぎるんだよ、だから普段はこのSCPをなんも管理していないサイトにいて、必要な時だけそのサイトに出張する・・・みたいな感じなんだ」

 

空井「なんで僕そんなところに配属されたんですか?・・・僕自慢じゃないですけど普通の塊ですよ?」

 

月島「普通だからこそ・・・じゃないか?」

 

空井「それはどういう意味で?」

 

月島「財団職員っていうのは良くも悪くも個性的な奴らが多いんだ、それに加え、ここは変人たちの集まる場所、普通っていうのはここでは貴重だからな」

 

空井「そ、そんな理由で僕はここに・・・?」

 

月島「まあ、なくはない可能性だな」

 

空井「・・・まじですか」

 

月島「まあそんなくよくよするな、時期に慣れるさ」

 

空井「それ慣れてるんじゃなくて感覚が麻痺しているだけですよね?」

 

月島「ははは」

 

空井「はははじゃないですよ!?」

 

月島「ま、世間話はさておき、君はSCP、というものについてはちゃんと理解しているかい?」

 

空井「さっきのは果たして世間話というのでしょうか・・・まあ、一応」

 

月島「少々不安が残る返事だが・・・まあいいか・・・そうだな、じゃあ私が少し、このSCP財団日本支部で確保しているSCP、所謂SCP-JPってやつを、紹介してやろうじゃないか」

 

空井「え、だけどSCPによっては確認できない資料とか、してはいけない資料とかあるんじゃ・・・」

 

月島「ここに新人が送られてくるってことは、つまり君にも何かしらの素質があること、だと私は思う、だからその才能のためにも私が教育してやろうという気持ちがわからんのかね?」

 

空井「ま、まさか月島さんがそこまで考えてくれているだなんて・・・分かりました!紹介お願いします!」

 

月島「まあ私が暇だからというのもあるというかそれが理由だが・・・(ボソッ」

 

空井「なんか言いましたか?」

 

月島「ははは、なんでもないよ、それじゃ、3個のSCPを紹介してやろうか、では最初のSCPは、こいつだ、SCP-419-JP イースター島異譚、オブジェクトクラスは・・・って、オブジェクトクラスについては理解しているよな?」

 

空井「あ、はい、えっと、Safeが、一番安全なSCPで、EuclidがまだよくわかってないSCP、Keterが一番危ないSCP・・・ですよね?」

 

月島「ああ~・・・別にその認識の仕方でもいいんだが、それじゃあ少々語弊があるな、正確にはSafeは収容方法が確立されているSCPだ、Safeオブジェクトの中にも、人類にダメージを与えるSCPもあるから、決して一番安全なSCPではない、次にEuclidだが、こいつは性質がまだ十分に理解できていない、今ある収容方法が常に可能ではない一方で、Keterクラスよりは安全なSCPを指す、また、自我があるSCPもこれに分類されやすいな、大体のSCPはこのオブジェクトクラスを与えられる、そしてKeter、こいつは今の財団では収容できない、放っておけば確実に世界が崩壊するSCPを指す、他にもNeutralized、Explainedなどもあるが、それはそのSCPが出てきた時に解説してやろう、というわけで改めて」

 

月島「SCO-419-JP、イースター島異譚、オブジェクトクラスはSafeだ、こいつは現在サイト-81██の低危険物収容室に保管されている。接触、及び実験は生物オブジェクトの研究担当の上級職員3名以上の認可と、1名以上の研究員の立会いの下行うことになっている、また、SCP-419-JPが使用していた文明が築かれていたことを隠すために回収した資料は、公には失われたものとして世間、考古学会にはカバーストーリーとして"モアイ像建設のための森林伐採と資源の枯渇説"を適用している。ここまではいいな?」

 

空井「あ、はい」

 

月島「よろしい、では続いてこのSCPの説明に入る、SCP-419-JPは、1930年代にチリ共和国によって、日本へのイースター島(スペイン語ではパスクア島)の売却が検討された時に、財団が行った現地調査によって発見された、同時に発見された当時の記録から、SCP-419-JPは後述するイースター島で起こった文明の崩壊の原因と考えられている、SCP-419-JPは、元々は約70体ほど存在していたと考えられているが、そのほとんどは破壊され、無力化されていて、オブジェクトとしての異常性が残っている個体はわずか5体のみだったそうだ、しかし、実験によって2体を無力化してしまったため、今異常性を持っている個体は財団が収容している3体のみとなった、しかもその内1体は、休眠状態と呼ばれるものになっている。

さて、SCP-419-JPの外見だが、SCP-419-JPは凝灰岩で構成されている石像で、材質調査により、島にポリネシア人が移住してきた4世紀よりも前に作られていることが判明している、このSCP-419-JPは、所謂モアイと呼ばれる形状(第4期と言われる、全体的に縦長で、窪んだ眼窩に一文字に結んだ口をしている)をしており、内部に有機体があることが確認されている、この有機体は、非活性時には空気に触れると瞬時に凝灰岩に変化し、同時にSCP-419-JPの異常性を消失する、そのため、SCP-419-JPを分解しての調査はすべて失敗に終わっている。

SCP-419-JPは、眼窩部に石灰岩でこうせいされた眼球状の部品をはめ込むことによって、活性化状態になる、しかし、SCP-419-JPと一緒に発見されたため、便宜上SCP-419-JP-Aとするが、SCP-419-JP-A自体は何ら異常性のない石灰岩で、SCP-419-JPの眼窩にはめ込むことができる形状をしていれば、異常性を発揮するために使うことができる。

活性化状態のSCP-419-JPは、顔面下部が融解したように軟化し、強力な粘着力を持ちます、物体が軟化した部分に接するとSCP-419-JPは対象を粘着力によって拘束し、蠕動を以ってその対象をSCP-419-JP内部へと取り込みます、しかし、取り込んた物体が生物ではない、または既に死亡している場合はSCP-419-JPは対象を消失させ、再び融解状態へと戻ります、生物を取り込んだ場合は、活性化前と同じ状態、つまり”モアイ”の形状に戻り、生産状態へと移行します、もし、生産状態であるときに、SCP-419-JP-Aが何らかの手段で取り外された場合、SCP-419-JPは非活性化状態へと戻り、内部に取り込んだ対象は消失します、そのためいずれの状態においてもSCP-419-JP内部へと取り込まれた対象を取り出す試みはすべて失敗に終わっています。

生産状態へと移行したSCP-419-JPは、取り込んだ生物の体内に有機組織を侵入させ、その生体構造を改造します、改造を施された対象は、体内で受精卵(正確には胚性幹細胞と思われる、体のどの部位にも成長できる原初的な細胞)を作り出し、その対象と同一のDNAを持つ個体(以下SCP-419-JP-B)を妊娠することが可能になります、また、この改造にはオスメス関係なく、妊娠部位も腹部、子宮に限定されず、複数個所に同時に発生することがCTスキャンにより判明しています、発生したSCP-419-JP-Bは通常の約█████倍の速さで急速に成長し、生殖が可能になる年齢まで達すると、出産され、SCP-419-JP外部へと排出されます、このプロセスにかかる時間は生物の種類ごとに異なり、また、大きな生物ほど大量に生産されます、特にヒト(Homo sapiens)個体の場合、SCP-419-JPから█時間で最初のSCP-419-JP-Bが排出され、約███時間かけて合計50体から100体前後のSCP-419-JP-Bが生産されます、生産終了後は、SCP-419-JP-Aは消失し、SCP-419-JPは非活性化状態に戻ります、この状態の内部調査をしたところ、取り込まれた対象が消失していることから、死亡したか、もしくは生産によって消費されたものと考えられています。

SCP-419-JPが生産行為を行っている最中に、SCP-419-JP付近の土壌が消費されていることが判明しています、消費されている土壌は全て一定の水分とミネラル分を含む土に限定されていて、砂や砂利、瓦礫などは消費されないことが判明しています。SCP-419-JPが接触部位からそれらの物質を吸収していることは確認されているが、消費された土壌から取り出すことのできるエネルギー量では、SCP-419-JP-Bを生産するためのエネルギー量には到底少なく、どのようにしてエネルギー変換を行っているかは不明です、また、土壌の吸収が遮断された場合はSCP-419-JP-Bの生産数が著しく減少し、早期に非活性化状態へとなります。

また、SCP-419-JPの生産行為には休息期間が必要とされていて、非活性化状態から次の活性化状態絵に入るまでには、20日以上の休息期間を設けずに、4000日以上の生産を行わせた場合、長期間の休眠状態へと移行します、休眠期間は数十年間から、数百年にも及ぶと考えられていますが、長期の実験となるため、正確な休眠期間や、連続生産可能期間は判明していません、なお、この休眠期間に入った時にSCP-419-JP内部にいた対象は、SCP-419-JPの内部で休眠期間が終了するまで生命活動が維持されることを確認しており、休眠期間の終了後には再び生産状態へと移行されると考えられています」

 

空井「ええと・・・つまり、SCP-419-JPは内部に取り込んだ対象を、オスメス関係なく出産させ、大量のSCP-419-JP-Bを排出する・・・ってことですか?」

 

月島「ま、大体そんな感じの認識で大丈夫だろう、さて、このSCP-419-JPには添付資料があるから、それも読み上げるとしようか」

 

SCP-419-JP添付資料

黎明期

4世紀頃にイースター島へ移住してきたポリネシア人がラノ・ララク(イースター島に存在する噴火口跡)にてSCP-419-JPを発見し、その性質について実験をしていたことが分かっています。彼らはオブジェクトの異常性によって生産されたSCP-419-JP-bを"祖先の霊による恵み"だと解釈し、一ヶ月に約1度の信仰の儀式とともにオブジェクトによる家畜の繁殖を行っていました。次第に彼ら独自の宗教文化を形成していき、7世紀頃からSCP-419-JPを模した祖先の像を作るようになりました。

 

文明の発達と崩壊

先祖信仰の文化はそれから600年程続いていましたが、生活が豊かになってくると島民は食料だけでなく、モアイ製作と運搬に必要な奴隷も生産するようになったとされています。

移住期の島民はオブジェクトの特性を知っており休眠期を設けない範囲での使用方法をわきまえていましたが、時代が変わり人口が多くなると先祖崇拝の儀式とされていたSCP-419-JPの使用は食糧生産のために頻繁に行われるようになりました。そして長い休眠期があることを知らない島民らはひたすらSCP-419-JPに生産を行わせました。

SCP-419-JPがひとつ休眠状態に移行すると、シワ寄せによって使用頻度の増加した個体が同様に休眠状態に入り、次々とオブジェクトは使用不可に陥ったと考えられています。特に需要のあった食糧用の家畜の生産が激減し、オブジェクトによって消費された土壌では作物が育てられず、同時に奴隷の急増によって人口爆発を起こしていたため、島民らは深刻な食糧不足に悩まされました。漁業や脱出用の船を作る資材もすでに無く、供給が断たれたことによって島民同士の資源を奪い合う抗争が勃発したとされており、食糧不足から人肉食のための狩猟が行われていた記録も見つかっています。抗争と混乱の中で活性化状態のSCP-419-JPを奪い合い、時には奪われる前に破壊し、休眠状態となったものも同様に多くが破壊されました。

住民は解決策を求め、SCP-419-JPが発見されたとされるラノ・ララクから材料を削り出し、よりSCP-419-JPに近い造形の像を生産し続けました。当然ながら異常性が発揮されるはずもなく、ただモアイ像だけが増えていく結果となり、末期には生産途中のまま打ち捨てられた多くのモアイがラノ・ララクに見られました。

 

文明のリセット

抗争と飢えにより島民は1度全滅したと考えられています。その後、数十年の空白の期間を経てオブジェクトが休眠期から回復し、残っていた僅かな家畜たちを生産し、同時に奴隷を生産する為に動かされていたオブジェクトから生産されたSCP-419-JP-bが現在表向きに公表されている生き残りの島民とされています。この文明リセットにより1722年にヨーロッパ人が島にたどり着いた時に、島民は石器時代と同様の生活レベルだったとされている理由です。

 

人間にとってメリットをもたらすオブジェクトが異常性によってではなく、皮肉にも「異常性を失くした」ことで文明を滅ぼした、非常に稀有な例となりました。

 

月島「・・・ま、つまりは、これがイースター島での本当の歴史だね」

 

空井「・・・なんというか・・・人間にとってメリットをもたらすはずのSCPも、こんな使い方をすれば、人間にとって害を成すんですね・・・」

 

月島「ま、SCPなんてそんなもんさ、SCP財団本部にあるSCP-500だって、人間にとってメリットしかないSCPとされているが、それを二日酔いに使用する職員もいる、結局はSCPも使いようによっては、人類にとってメリットにもデメリットにもなりうるって事さ・・・さて、次のSCPに行こうか、次のSCPは・・・こいつだ」

 

月島「SCP-282-JP、注視者、オブジェクトクラスはEuclidだ。

SCP-282-JPは、サイト-81██の金庫に、不透明な袋に入れて厳重に保管します、このとき、SCP-282-JP実例は、お互いに30cm以上の距離を保つようにします、金庫の開錠及びSCP-282-JPへのアクセスはセキュリティクリアランスレベル4以上の職員3人以上の許可が必要です、実験を除き、SCP-282-JPのディスプレイ部は注視してはいけません、不注意によりSCP-282-JPの影響を受けた職員は即座にクラスA記憶処理を施されます。また、未収容のSCP-282-JP実例は保管されなければなりません。

さて、ではSCP-282-JPの説明へと移るぞ、SCP-282-JPは箱型の一つの面にディスプレイがついたデバイスです、財団では現在2例のSCP-282-JP実例を収容していま。SCP-282-JP実例にはそれぞれ異なる数字が刻印されていて、それぞれ、005、031と刻印されています。そのため、これら以外に少なくとも29例のSCP-282-JP実例が存在していると考えられていて、調査が進められています。

SCP-282-JPを目視すると、通常ディスプレイに記号化された表情が見えます、表情は音や接触などの外部からの刺激に反応し、変化します。しかし変化には一貫性が見られず、知性や自我があるかどうかは、議論されています。SCP-282-JP実例同士を近づけるとそのディスプレイには一般的に電波を表すギザギザの図形が表示され、この表示はお互いの距離が30cmに近づいてから、およそ3秒間継続し、その後は通常時と同じになります。その3秒の間にお互いを30cmより離すと、ディスプレイは5秒間赤一色になります。その後は通常時と同様に表情を示します、長い時間SCP-282-JP実例同士が30cm以内の距離にある場合は、およそ13時間毎にこの表示が繰り返されます。この表示の意味については現在調査中です。

SCP-282-JPのディスプレイを10秒以上注視した人間はSCP-282-JPの影響を受けると考えられています(以下影響を受けた人間を被験者と表記)。写真などの間接的な観測では影響を受けることはありません。この影響は一度受けたら永続しますが、クラスA記憶処理により回避することができます。SCP-282-JPの影響を受けた直後から、被験者はSCP-282-JPのディスプレイにある映像を見るようになります。被験者はSCP-282-JPのディスプレイに様々な映像を観測します。映像のその時々により映像が異なることと、さらに二人以上の被験者で観測したとき、それぞれが同じ映像を見るとは限らないことが判明しています。この映像は影響を受けていない人間は観測することがないことが実験により分かっています。また、影響を受けている受けていないに関わらず、写真やビデオ中継、録画映像ではディスプレイは真っ黒に見えます。

SCP-282-JPの映像を見た人間は自分が誰かに見られていると訴えます。この妄想は影響を受けた被験者全員必ず見られる共通の症状です。次いで、テレビやモニター、窓ガラスや鏡、あるいは暗い穴や隙間などに視線を感じ、それを見たり、近付いたりすることに恐怖を感じます。また、被験者によってはそれを排除しようとします。しかし、今までに被験者からはそこに何が見えるという報告はされていません。監視妄想は時間の経過と共に悪化することがわかっています。SCP-282-JP対しても僅かに嫌悪感を示しますが、被験者は皆SCP-282-JPのディスプレイを見なければならないと訴え、それが叶わないと状況下では明らかに焦燥し、暴力的な手段を取ります。およそ1ヶ月後から、被験者は身の回りにある光を反射するもの、あるいは何かを映すようなものを極力排除し、それができない場合は何らかの手段により破壊しようとします。2ヶ月後には瞳に対して恐怖を抱き、写真やイラストなどにある目やそれに類似するものを塗りつぶしたり破いたりしようとします。そして、3ヶ月後には他の人間には他の人間の視線を極端に嫌うようになり、自ら人間を避けるか、あるいは暴力的な手段によりその人間の目を潰そうとします。それ以上の症状の悪化については罹患者が報告の拒否、自殺、もしくは他殺のため、詳細は分かりません。

2005年、8月8日、2つのSCP-282-JP実例がサイト-8128に移送されました。この時点ではSCP-282-JPの異常性は明らかになっておらず、サイト-8128の多くの職員が影響を受けたと考えられています。これが後述の事件記録-いにおける事件を招く結果になりました。」

 

月島「ま、大体はこんな感じのSCPだね、簡単でいいから要約してみ?」

 

空井「えっと・・・ディスプレイを見ると、色々な映像を見るようになって、影響を受けた人は徐々に光を反射するもの、視線を嫌うようになり、死ぬ・・・って感じですかね」

 

月島「おk、ちゃんと分かっているようだね、ちなみに、SCP-282-JPはこんな感じの見た目をしている」

 

空井「こんな可愛い見た目してるのに能力は結構悪質なんですね」

 

月島「まあ、SCPだからな」

 

空井「その便利な用語やめてください」

 

月島「はは、さて、では次は今まで報告されている映像、そして事件記録-いを見てみるとするか」

 

今まで報告された映像リスト

サイト-8128のラウンジ(20分間、映像は1つのSCP-282-JP実例に映ったもので、その時間は別のSCP-282-JP実例がそのラウンジに置かれていた)

 

一般的な日本人家庭の居間(3時間、家人が気付く様子なし、詳細未特定)

 

██博士の自室(24時間)

 

森の中(5分、詳細未特定)

 

前述の電波を表すような表示(3秒、██助手が1つのSCP-282-JP実例に顔を近づけた時。他のSCP-282-JP実例は近くにはなかった)

 

50の人間が無表情でこちらを見ている映像(25分、29人がサイト-8128職員・10人が他の所属の財団職員と同定、他は詳細未特定)

 

サイト-8173の監視カメラ3番と同じ映像(5時間)

 

サイト-8128の2F男性用トイレ(9時間)

 

詳細不明の映像(少なくとも3時間、観測した職員は吐き気や頭痛を訴える)

 

██助手を追う映像(1時間、撮影者から逃げているように見える、映像最後で██助手は撮影者にナイフで刺殺される、後に██助手の遺体を発見、実行犯と考えられる███博士は別の場所で自殺)

 

オフィス用デスクの上にサイト-8128職員3名の生首(15分、該当する3名の職員はSCP-282-JPの影響を受けておらず健康状態に問題なし、後に下記暴動により死亡)

 

この後サイト-8128職員の大多数の要請により、SCP-282-JP実例は全て2005/9/29にサイト-81██へ移送される

 

サイト-81██の金庫室(5時間、2005/10/21にSCP-282-JP実例にアクセスした際の様子を天井からの視点で映している)

 

SCP-282-JP実例2つ(50時間、記事写真と同じ)

 

SCP-███-JPに関する情報(この件によりアクセスレベル引上げ)

 

月島「また、SCP-282-JPの影響を受けた人間の一部には、自分の視界が突然SCP-282-JPに置き換わる現象を報告している、さて、では最後に、事件記録-いを見てみようか」

 

事件記録-い: 2005/11/02にサイト-8128にて職員による暴動が発生。緊急隔離されたSCP収容区画を除いて内部設備のほぼ全てが破壊されていたため詳細はわかっていません。ほぼ全ての遺体において目の周囲の損傷が激しかったものの、全員の身元の確認ができ、生存者は1人もいなかったことがわかっています。サイトの各所に描かれていた瞳を表すシンボルは、主に他職員を殺害し眼球周囲を破壊した複数人の職員の手によるものだと判明していますが、その意味は不明です。暴動の原因は直接的あるいは間接的にSCP-282-JPにあると考えられています。サイト-8128は建て替えられ、現在では何の異常も発生していません。

 

月島「とのことだ」

 

空井「これは・・・」

 

月島「こういうことが起きるから、財団は常にオブジェクトの効果を把握していなければならないのさ、ま、これは極端な例かもしれないがね、さて、では最後のSCPに行くとしようか、最後のSCPは・・・こいつだ」

 

月島「SCP-228-JP、霧の男、オブジェクトクラスはKeterだ、SCP-228-JPが出現する公園敷地内は、現在サイト-81██として指定されています。サイト-81██周辺地域に霧の発生が予報された場合、サイト-81██内の遊歩道に、隠しマイクを装備したレベル3SCP-228-JP職員を4名以上巡回させてください。職員はSCP-228-JPを捜索し、発見次第、財団支給のサイレンサー付き拳銃で射殺してください。SCP-228-JPとの会話は禁止されています。SCP-228-JPと会話した場合、またはマイクの電源を切るなどして音声監視を遮断した場合、当核職員は拘束、または終了させられます。SCP-228-JPの処理現場を目撃した民間人は即座に拘束し、クラスA記憶処理を行ってから解放してください。

SCP-228-JPの概要、SCP-228-JPは████県に位置する████公園が霧に覆われた際、公園内に不定期に出現する人型実体です。黒いスーツを着た、男性のような姿をしていますが、常に濃い霧にSCP-228-JPが包まれているため、詳細な観測は成功していません。霧が自然に晴れるか、SCP-228-JPに接触した人物との会話を終えると、SCP-228-JPは消滅します。SCP-228-JPの出現中には人工的な風で霧を解消することはできず、この理由は現在判明していません。

SCP-228-JPは、公園内を徒歩で徘徊しており、自分からは他人に接触しようとはしません。他人がSCP-228-JPに接触を試みた場合、SCP-228-JPは初老の男性の声で会話を始めます。話の内容は主に天気や服装、連れているペットについてなど、多様な雑談から始まりますが、198█年以降の時事問題に触れることはありません。会話を進めると、SCP-228-JPは犯罪心理学に関する話題を持ち出し、自分はその研究者であることを名乗ります。SCP-228-JPは「この公園で殺人が行われたら」と仮定し、被験者に例を挙げさせようとします。

SCP-228-JPは対象から提示された例に納得した様子を見せた場合、近日中にその内容に沿った内容の殺人事件が、日本内の公園のどこかで発生します。この事件の容疑者は、自分の意志で犯行に及んだと供述しており、SCP-228-JPとの関連性は現在確認されていません。

また、SCP-228-JPを納得させられる回答ができなかった場合、または回答を拒否した場合には対象は全身の麻痺を発症し、数秒後に心臓麻痺により死亡します。現在まで、蘇生の試みは成功していません。対象の死亡後、SCP-228-JPは霧に隠れるようにして消滅します。なお、殺害方法例の定時前であれば、SCP-228-JPを殺害することで無力化できます。死亡したSCP-228-JPも同様に消滅します。

SCP-228-JPの封じ込めのための公園の破壊は、SCP-228-JPの転移が予想されるため、保留されています。同様に、公園全体の封鎖は、公園が都市部にあり、長期にわたる封鎖とカバーストーリーの流布が困難であるため、保留されています。また████地方に霧が発生することは年に1~2回程度であるため、現在の収容方法で十分であるとの結論が出ています。詳細は議事録228-JP-3を参照してください。」

 

空井「ええと、月島さん」

 

月島「なんだい?」

 

空井「ここまで見ても、その、SCP-228-JPがKeterだとはいまいち思えないのですが・・・」

 

月島「ふむ・・・まあ、それもSCP-228-JPに対する実験記録を見れば分かると思うから、それを見てみようか」

 

実験記録228-JP-1 - 日付20██/██/██

 

対象: D-228-JP-1

方法: 「公園内で遅効性の毒薬入り飲料を飲ませたあと、公園外で死亡させる」方法を提案。

結果: SCP-228-JPは「それは私の提示した条件に反する」と回答。D-228-JP-1は心臓麻痺で死亡。

分析: 「対象を公園内で殺害」することが必須条件である模様。

 

実験記録228-JP-2 - 日付20██/██/██

 

対象: D-228-JP-2

方法: 「衆人環視の中、大声で[編集済、財団職員のみが知りえる情報]と叫んでから堂々と刺殺」する方法を提案。

結果: SCP-228-JPは「変わっているな」と回答。翌日、同様の事件が████県で発生。ただし叫んだ言葉は支離滅裂な内容であった。

分析: 提案と同様の事件は発生するが、完全に再現するわけではない。

補足: この実験は「SCP-228-JPに納得されない」または「財団職員のみが知る情報を含めることで民間人は被害者にならない」という結果が予想されていました。実験結果を受け、より確実に民間人の安全を確保できる実験方法を検討するよう研究チームに厳重注意がなされました。

 

実験記録228-JP-3 - 日付20██/██/██

 

対象: D-228-JP-3

方法: 「D-228-JP-4を公園に呼び出して後ろを向いたところを絞殺」する案を提案。D-228-JP-4は財団で拘束中。

結果: SCP-228-JPは少し考えた後で「君の考えたプランは、どうやって呼び出すかが考慮されていない、まったく浅はかなものだ」と回答。D-228-JP-3は心臓麻痺により死亡。

分析: 名指しの殺害は現実的な可能性が必要。おそらく明らかに動機がない殺人も却下されるだろう。

 

実験記録228-JP-4 - 日付20██/██/██

 

対象: D-228-JP-4

方法: 「地雷を埋めておいて踏ませる」案を提案。SCP-228-JPの承認後、地雷を████県████公園の敷地の境界線付近に埋設。D-228-JP-5を公園敷地外の地雷の直近に配置し、D-228-JP-6に公園内の地雷を踏ませる。

結果: D-228-JP-5、D-228-JP-6ともに死亡。その後同様の事件は発生していない。

分析: SCP-228-JPの影響する事件は、財団が故意に起こすことで民間人の被害を防ぐことができる。またSCP-228-JPの影響する事件は、公園外にいる無関係の人間も巻き込むことができる。

 

実験記録228-JP-5 - 日付20██/██/██

 

対象: D-228-JP-7

方法: 「SCP-███-JPを使って殺害する」案を提案。SCP-███-JPはサイト-81██に収容中のSafeクラスオブジェクト。特異性に殺傷能力はなく、鈍器として扱わない限り、人体に危害を加えることはない。実験に先立ち、高セキュリティ収容室に移動。

結果: SCP-228-JPは承認。直後、████研究員として財団に勤務していた要注意団体のスパイによりSCP-███-JPの収容違反が発生。████研究員はSCP-███-JPを[編集済]という方法で、再収容までに財団職員██人を殺害した。████研究員は拘束前に自死した。殺害場所にはサイト近傍の████公園が含まれていた。

分析: SCP-228-JPがどういう基準で提案が可能か不可能かを判断しているかは不明だが、承諾されさえすれば、それは必ず発生すると思われる。たとえば 「中性子爆弾を爆発させ、自分もろとも相手を殺害する」とか「Keter級SCPオブジェクトの収容違反を起こして地球ごと破壊する」といった通常ありえない方法であっても、彼が「納得」しさえすれば確実に発生するだろう。

 

月島「さて、ここまで実験記録を見ても、まだ理由が分からないかね?」

 

空井「はい・・・」

 

月島「まあ、このオブジェクトは、数あるKeterクラスのSCPの中でも、まだマシな方の分類に入るだろうね、だが、それは、ただマシなだけだ、例えば、この公園は封鎖することは難しい、よって、最悪民間人がSCP-228-JP発生中に入り込み、SCP-228-JPと接触し、SCP-228-JPが納得する回答を示し、その通りの殺人事件が起こってしまうかもしれない、実際、その付近の小学校では一時期、”霧じじい”として、SCP-228-JPが広まってしまったこともある、まあ、そのときはとあるエージェントにより、なんとかなったがね」

 

空井「だったら別にKeterなんかじゃなくても・・・」

 

月島「もしも、民間人がSCP-228-JPと接触してしまい、SCP-228-JPの話を間に受けず、核で殺す、なんて言ったら?もしも、それをSCP-228-JPが納得してしまったら?それは、僅かな可能性の、もしもの話でしかない、しかし、財団はそのもしもすら許してはいけないのだよ、もしそのもしもが起こってしまったら、もうその時にはいかに財団でも手遅れなのだよ、だから、そのもしも、は起こしてはいけない、だからこそ、こいつはKeterクラスなのさ・・・納得いったかい?」

 

空井「ええ・・・まあ、なんとなくは」

 

月島「ま、こいつ以上のKeterクラスとか平気でいるからな、そこらへんは気にしてはいけない、さて、では次に、インタビュー記録を見てみようか」

 

インタビュー記録228-JP-1 - 日付20██/██/██

 

対象: SCP-228-JP

 

インタビュアー: ████博士

 

付記: SCP-228-JPが殺害方法の提示を求めた場合、即座に射殺することを条件とする。

 

<録音開始>

 

████博士: こんにちは、今日は霧が濃いですね

 

SCP-228-JP: やあ、こんにちは。そうですね、でも私は霧が好きですねえ、風情があって。

 

████博士: そういえば以前も霧の中であなたを見かけましたよ。

 

SCP-228-JP: そうですか、私はよくこの公園を散歩しているので、きっと私でしょうな。

 

████博士: そのとき、[D-228-JP-2の風貌]のような人と会話していませんでしたか?

 

SCP-228-JP: ええ、いつのことだったでしょうか、彼とはとても楽しく散歩ができました。

 

████博士: では、彼が話した内容と類似した事件がその後発生していたことを知っていますか?

 

SCP-228-JP: ニュースで見ましたよ。あれは痛ましい事件でしたねえ。

 

████博士: では(D-228-JP-4の写真を提示)この人物は知っていますか?

 

SCP-228-JP: ええ、彼ともこの公園で会いましたね。なかなかユニークな人でした。

 

████博士: 彼が話した内容と類似した事件が発生していることも、ご存知ですか?

 

SCP-228-JP: もちろんです。このご時世に地雷とは、どうやって用意したものなんですかねえ。物騒になったものです。

 

████博士: 実はその事件の詳細は、一般には公開されていません。もちろん地雷が使われたことも、公には別の情報が流布されています。なぜあなたが事件のことを知っているのですか? それともあれはあなたが起こした事件なのですか?

 

SCP-228-JP: (笑いながら)私には友人が多いんですよ。実は私は犯罪心理学を研究していて、いろいろな情報を教えてくれる人がいるのです。それを総合した推理の結果ですよ。さて参考までに、もしあなたならこの公園内でどうやって人を殺すか、お聞かせ願えますか?

 

████博士: こうやるよ。

 

[発砲音]

 

<録音終了>

 

終了報告書: SCP-228-JPは前回以前の出現の記憶を持っており、何らかの方法で事件の発生を知覚している。方法は不明。

 

追記: インタビューから1ヵ月後、████県の公園で射殺体が発見されました。████博士の最後の回答が、殺害方法例の提示と判断されたものと思われます。直後にSCP-228-JPが死亡、消滅しているため、SCP-228-JPが反応を示すことができなくとも、SCP-228-JPの影響を受けた事件が発生することが判明しました。

 

月島「さて、では、これが今回の最後、SCP-228-JPについての補遺を読もうか」

 

空井「ほいほ~い!」

 

月島「トマトぶつけんぞ」

 

空井「すみませんでした」

 

補遺: ████大学で犯罪心理学の教授をしていた██████氏が198█年以降行方不明になっています。教授の長女は197█年に行方不明になっていましたが、████教授の失踪の前年に████公園の雑木林で白骨死体が発見されています。████教授とSCP-228-JPの関連性は不明です。

 

月島「さて、では、今回の紹介はこれで終わるとするか、あいつの拷問を受けてる二人をもうそろそろ助けないとだしな、全く、あいつも人のこと言えないだろうに・・・」

 

空井「あ、僕もいきま」

 

月島「お前は来るな、慣れてない奴があいつのコレクションみたら最悪トラウマになるぞ」

 

空井「なんですかそれ新手のSCPですか・・・一体あの人のおたからがぞうってなんなんですか?・・・」

 

月島「そうだな・・・お前、ネクロフィリアって知ってるか?」

 

空井「え、ええ、確か死体しか愛せない人たちでしたっけ?それがなにか・・・まさか」

 

月島「そのまさかだ、御手洗は財団に入る前は腕がいいと評判の医者だったんだが、どこで道を踏み間違えたのか、あるいは最初から歩むべき道が間違っていたのか、死体しか愛せないそうだ、それでも死体なんてそうそう見れるものじゃないから、手術中の解剖で我慢してたらしいがな、あいつも、あと1mm道を踏み外してたらDクラス職員だったかもな、さて、そんなやつのお宝画像だが・・・見たいか?」

 

空井「遠慮させていただきます」

 

月島「懸命な判断だな、さて、じゃあ私は行ってくるわ」

 

空井「気お付けてくださいね、月島さん」

 

月島「わかってる、油断しなければ吐くことはない」

 

空井「(昔吐いたんだろうなあ・・・)」

 

空井「・・・さて、じゃあその間に・・・掃除でもしてるかな、聞いた感じ重要な資料とかは個人で保管してるだろうし」

 

―――さて、これからお話するわ、SCP財団日本支部のとあるサイトの奇妙な日常、さてさて、今度の彼らの日常はどんなのかな?




どうも、作者です、さっき英雄の船ってゲームやって[編集済み]点取ってきました
さて、小話はさておき、今回初めてのSCP紹介でしたね、いかがでしたでしょうか?見辛い、わかりづらい等のご指摘は随時募集しております。
今回使用SCP、tale
SCP-JP
SCP-419-JP イースター島異譚      http://ja.scp-wiki.net/scp-419-jp
SCP-282-JP 注視者           http://ja.scp-wiki.net/scp-282-jp
SCP-228-JP 霧の男           http://ja.scp-wiki.net/scp-228-jp
tale-JP
夏休みの偽装工作──SCP-228-JP隠蔽任務 http://ja.scp-wiki.net/shinjimao02
当然、本家の方が分かりやすく、画像もあるので、ごじかんあれば見ていってみるのも良いと思います、もちろんこれをきっかけにSCPの世界へとのめり込んでくれれば喜ばしい限りですミーム汚染?はは、何を言っているんですか。
また、SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは、皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-240-JP 0匹のイナゴ       http://ja.scp-wiki.net/scp-240-jp

今回出てきたサイトの種類
サイト-8173
SCP-073-JPの棲息する池の周りを囲むように建造されたサイトです。現在は動植物型オブジェクトを中心に、低危険度オブジェクトの保管・研究が行われています。
サイト-8128
███県の山中に新規に建造されたサイトであり、以前はSCP-282-JPの研究が行われていました。危険性の高いオブジェクトを収容・研究するための最新の設備が備えられています。現在はSCP-134-JPなどが収容されています。

スゴイやお馬さんの高速移動!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第三サイト目「自宅警備員と堂々と言ってそのまま話術でゴリ押しして財団フロント企業に入った男」

あらすじ
モアイ、デバイス、霧
モアイ、デバイス、霧

今回は日常編


空井「・・・そういえば」

 

黒崎「ん、どうした空井」

ふと、僕が思い出したように呟く

 

空井「いえ、そういえばこのサイトの職員でまだ会ったことがない人がいるなあと思って」

記録上ではたしかこのサイトでは、黒崎さん、菊月さん、御手洗さん、月島さん、僕、そしてあともうひとりの6名のはずなのにまだ会ったことがない

 

菊月「ああ~・・・如月か、あいつ滅多に自分の部屋から出てこないからねえ・・・まあ会ったことないもの仕方ないわね」

 

御手洗「俺たちもここ三ヶ月あいつの姿見てねえしな、月島さんなら見たことあるんじゃないか?」

 

月島「いやー・・・実は私もあいつの姿、二週間に一回見れりゃいい方で、一ヶ月みないこともざらにあるぞ」

 

空井「ええと・・・聞いた感じ、その人は研究員・・・なんですか?」

 

黒崎「いや、収容スペシャリストだ」

 

空井「ということは出張したり・・・」

 

御手洗「・・・あいつが出張してるとこ見たことあるやついるか?」

 

菊月「・・・月島さんパス、サイト管理者だし知ってるでしょ?」

 

月島「・・・半年ほど前から働いてないなあいつ」

 

空井「ダメな人じゃないですかそれ!?黒崎さんや菊月さんでさえたまに出張するのに!」

 

黒崎「てめえこら、俺たちでさえとはなんだ俺たちでさえとは」

 

菊月「そうよ!こんなバカと一緒にしないでくれないかしら!」

 

黒崎「んだとてめえ!?」

 

菊月「何よ!」

 

御手洗「はいはい、そこまでにしておけ」

黒崎さんと菊月さんが日課の喧嘩をしていると、部屋の扉が突然開かれ、そこには髪で目が見えず、よれよれの服を着た男の人が立っていた、あれで前が見えるのだろうか

 

黒崎「って、噂をすればなんとやらってやつだな」

 

空井「え、じゃあこの人が如月さんなんですか?」

 

菊月「ええ、如月久しぶりね、ていうかあんた生きてたのね、半分死んでるものだとばかり思ってたわ」

同僚に対してそれはあんまりじゃないだろうか

 

如月「・・・だって働くのめんどくせえし」

 

月島「働けクソニート、見ろ、他のサイトからの仕事がこんなに溜まってるんだぞ?さっさと働けクソニート」

 

空井「・・・なんで今まで強制的に働かせなかったんですか?」

 

月島「え?いや~・・・その~・・・それは・・・め、めんどくさくて・・・」

 

空井「あなたこそちゃんと仕事してくださいよ!?」

ダメだこのサイト、もういろいろとダメだ

 

御手洗「まあ、部屋から出てきた、ということはやっと働く気が出たんだな?」

 

如月「いや、新人が入ったらしいから顔だけでも見せておこうと思って」

僕が財団に雇用されたのは一ヶ月も前なんだけどそんなに待つ必要はあったのだろうか

 

月島「まあ、それはともかくとして、出てきたんならさっさと働け、O5からぐちぐち言われるのは私なんだぞ」

 

如月「ええ・・・」

 

月島「ええじゃないよ・・・全く」

 

空井「ていうかそんなでよく財団に入れましたね・・・」

 

黒崎「いや、たしか如月はスカウトだったはずだ」

 

菊月「たしか、話術のうまさから一時期SCP認定されかけたんだっけ?」

 

空井「どうしてそうなったんですか」

 

黒崎「まあ子どもたちの会話をクソ真面目に聞いて挙句の果てにオブジェクトを見つけちまったやつもいるしな、これぐらいどうってことねえだろ」

 

空井「それ感覚がマヒしてる奴ですよ絶対」

 

月島「ま、それはともかく、ほれ、この仕事とかどうだ」

 

如月「めんどくさいって言ってるのに・・・って、このSCPオブジェクトは嫌ですよ、めんどくさい云々以前に危険が危ないです」

 

空井「SCPなんてどれも危ないものばかりなような気がしますけど・・・そんなに危険なオブジェクトなんですか?Keterとか?」

 

月島「ああ~・・・いや、このオブジェクトには、Keterとかそういうの以前にオブジェクトクラスというものが存在していないんだ」

 

空井「へ?」

 

如月「・・・SCP-048、呪われたSCPナンバー、オブジェクトクラスNone」

 

空井「あ、本部の方のSCPだったんですか、どういうSCPなんですか?」

 

黒崎「ああ、それなら俺も小耳にはさんだことがあるぜ、なんだっけか、たしかそのSCPナンバーを付けたれたSCPはぶっ壊れちまうんだっけか?」

 

如月「それだけじゃない、それに割り当てられた人員は50%以上の確率で死亡、四肢切断、懲戒処分にされるんだよ、大体、それはSCPカタログから除外されたんじゃなかったのか?たしか最後はコルテスとかいう博士がSCP-████をなくしちまって、その博士の腕もミキサーの事故によって腕を切断されたとかで」

 

月島「そこで、お前の出番ってわけだよ、お前は何かと悪運に強い、お前ならばなんとかなるだろうと思ったのだろう」

 

如月「・・・とにかく、それの収容に当たるのは真っ平御免だ、絶対に」

 

月島「・・・ま、そこまで言うなら仕方ないか、それにいたずらに人員を減らすのもあれだしな、あとで私の方からO5の方に言っておくよ、それじゃ、代わりにこっちの方頑張ってこい」

 

如月「・・・はぁ、了解、ちゃっちゃと終わらせてきまーっす」バタン

 

空井「・・・なんというか、ああいう人もいるんですねえ」

 

黒崎「ま、ああいうやつは特別だとは思うけどな、ところであいつが収容に向かったのってなんだ?」

 

月島「イナゴ」

 

黒崎「・・・」

 

月島「・・・」

 

黒崎「・・・ま、いっか、帰ってくるだろ、多分」

 

月島「そうだな、0匹捕まえればイイ話だし」

 

空井「・・・あの人大丈夫ですかね」

 

そうして、今日もまたとあるサイトの日常は過ぎてゆく

 

 

 

 

如月「あと何匹捕まえりゃあいいんだよおおおおおおおおおおお!!




どうも、作者です、なんか廃墟にあるロッカーに入ったら耳が機械になりました。
さて、そんなものすごくどうでもいい話はともかく、今回は、とあるtaleを題材にというか、とあるSCPをつかった日常編でした、いかがでしたか?誤字等がありましたら報告してくださると作者が嬉しすぎてSCP-2000起動させてきます。

今回使用SCP、tale
SCP-048 呪われたSCPナンバー http://ja.scp-wiki.net/scp-048
恐るべき事故        http://ja.scp-wiki.net/accident-048

最近、インセインというTRPGに興味を持ち、るるぶをとりあえず買おうと思いアマゾン見たらSCPをつかったサプリがあったのでついでにデッドループと一緒に衝動買いしました、届いたらもしかするとインセインをつかったリプレイ風SSを投稿するかもしれません。
また、SCPの紹介、日常編のリクエスト等は活動報告、メッセージ等で随時受け付けております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは、皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-759-JP『英雄の船』  http://ja.scp-wiki.net/scp-759-jp
SCP-963-JP ダラスの冗談は馬も食わない http://ja.scp-wiki.net/scp-963-jp

満足!満腹!饅頭!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第四サイト目「とある変人研究員たちの好み」

あらすじ
ニート、呪われている、イナゴ
ニート、呪われている、イナゴ

今回は紹介回


空井「・・・SCPって本当に数多いですよね、確認されてる日本支部のSCPだけで約1000個のSCPが存在してるんですから」

 

黒崎「急にどうしたよ」

 

空井「いえ、何となく、急にそう思っただけです」

 

菊月「その程度ではまだ私たちには届かないわよ?」

 

空井「届きたくないです、ていうかなんでそんな誇らしそうなんですか」

 

菊月「ここでは変人は優秀っていう意味と同じようなもんだしね」

 

黒崎「あながち間違いじゃねえからなあ・・・」

 

空井「それでも誇れるようなもんではないような気がするんですが・・・」

 

御手洗「ピザ届いたぞ~」

 

空井「あ、御手洗さん、ありがとうございます、ていうかピザってサイトに届けてもらえるんですね」

 

御手洗「まあ、と言っても財団食堂から頼んでるだけだけどな、ほれ、黒崎はクアトロフォルマッジ、菊月はマルゲリータ、空井はマリナーラで良かったか?」

 

空井「ありがとうございます!」

 

御手洗「ん、好みがあってて何よりだよ」

 

黒崎「・・・なあんか納得いかねえ」

 

菊月「ええ、確かに」

 

御手洗「何がだよ・・・」

 

黒崎「最近御手洗が常識人みたいで納得いかねえんだよこのド変態野郎!」

 

菊月「そうよネクロフィリア!あんたは大人しくそこらへんの死体に緑のスライムでもぶっかけてきなさいよ!」

 

御手洗「お前ら言っとくけど俺は死体が絡まなきゃ常識人だからな?・・・あと菊月、それは俺でなくてもやってはダメだ、大体お前らも大概だろうが」

 

空井「そういや黒崎さんと菊月さんはどうしてこのサイトにいるんですか?御手洗さんはともかく」

 

黒崎・菊月「「仕事中に幼女(女子高生)のエロ画像集見てたのが上司にバレた」」

 

空井「どうしよう予想以上の回答だった、ていうか菊月さんはともかく黒崎さんは犯罪レベルじゃないですか」

 

黒崎「なんでやロリ可愛いやろ!」

 

菊月「あんたが問題なのはロリを恋愛対象に見てるってことよ、それに比べて私を見なさい、私は女子高生以上に興味ないわよ」ドヤァ

 

黒崎「っち、うるせえぞレズビアン」

 

菊月「何よペドフェリア」

 

黒崎「は?」

 

菊月「は?」

 

空井「二人共落ち着いてくださいって・・・ていうかそれだけでここに来たんですか?・・・なんか御手洗さんと違ってガチっぽくないんですが・・・」

 

御手洗「なんか聞き捨てられない言葉が聞こえたような気がしたんだが・・・黒崎は幼女への性犯罪、菊月は女子高校生への痴漢等を”数件”行ったためここに落とされたっていう経緯がちゃんとあるぞ」

 

空井「ガチの人じゃないですかやだー!!」

 

黒崎「幼女を目にしたら我慢できなかった」

 

菊月「反省はしているが後悔はしていない」

 

空井「ていうかもしかして所長って実は危ない?・・・」

 

黒崎「余計な心配だな、俺は13歳以下にしか興味ない、合法ロリなんて所詮は若作りしてるババアだろ?」

 

空井「ちょっと何言ってるかよくわかりませんから日本語で喋ってください」

 

空井「(やばい、この人達のペースに巻き込まれたらやばい、主に僕の性癖が改ざんされるレベルでやばい、何か別の話題は・・・)」

 

空井「ええと・・・あ、そうだ!皆さんはおすすめのSCPみたいのってあるんですかね?よく出張してるらしいのでそういうの聞いてみたいのですけど」

 

黒崎「おすすめのSCP・・・ねえ、まあ一応あるぞ」

 

菊月「私もあるわよ」

 

御手洗「俺もあるな、じゃあそうだな、黒崎、菊月、俺っていう順番で発表してくか?」

 

黒崎「なあんでそんなことしなくちゃいけないのかわかんねえけど、まあ、どうせ暇だしな、んじゃ、俺のおすすめSCPは、これだ」

 

SCP-053 幼女

オブジェクトクラス:Euclid

 

取扱方:

SCP-053は5m×5m(16フィート×16フィート)未満のエリア及び運動に不自由しない大きさの部屋を与えられます。十分な量の玩具・書籍・ゲーム・その他の遊具を与えるべきですが、3ヶ月ごとに交換してください。適切な寝具、風呂、医療施設はいつでも使用できるようにしてください。食べ物は三食与えられるべきで、また要求があった場合は2つまでの菓子類を提供することまで許可されています。

 

SCP-053との物理的接触は、完全気密防護スーツ及びアイシールドの着用なしには行なってはなりません。SCP-053とのアイコンタクトはいかなる理由があっても行なってはいけません。SCP-053によって与えられたいかなる影響も除去の対象になりえますし、検疫班には試験のためその影響を提供しなければなりません。職員が1名のみで部屋に入ってしまった場合は、鋼製の保安線によって速やかに安全化しなくてはなりません。入った場合すべての職員は10分以内に部屋から出なければなりません。

 

担当職員に異常行動が見られる場合、絶叫するかSCP-053に接触しようとした時点で速やかに退室させ、隔離の対象とすべきです。防護スーツに損傷を与えようとする場合も、同じく退室と隔離の対象となります。鋭利な物品及び銃器はSCP-053の収容室への持ち込みを禁止されています。

 

概要:

SCP-053は、3歳の小柄な少女のように見えます。彼女は簡単な会話が可能であり、少し精神発達で平均を上回るように見えます。彼女は一般的に快いとされる性格を持っているようであり、後述する異常行動も人々が突然激昂したように見えます。

 

SCP-053と視線を合わせた者は、彼女に直接接触するあるいは10分以上その周囲にいた場合、非合理的で激しい被害妄想を発症し、それは殆どの場合で殺人に発展します。これらの妄想は多くの場合はSCP-053を直接の対象としますが、被験者は目に見える人間を全員殺害した後にSCP-053の殺害を行おうとします。SCP-053へ危害を加えようとした者は即座に強い心臓発作を起こし、SCP-053に損傷を与えた後死亡します。SCP-053は損傷の軽重に関係なく瞬時に損傷を再生する能力を持ちます。

 

SCP-053はこれらの能力に関して完全に無知であるように振舞い、被験者への影響を完全に無視します。能力に対して説明された場合、SCP-053は返答することができません。

 

黒崎「何故これが俺の好みなのかというだな!」

 

空井「いえ、説明いりません、大体わかります」

 

黒崎「ちぇ、なんだよ折角熱弁出来ると思ったのに」

 

菊月「ハーメルンの笛とか変化球投げてくると思ったら予想以上にどストレートだった」

 

空井「しかし、近くにいると殺したくなってくる女の子・・・ですか、この年で人と10分以上接触できないって、このぐらいの歳の子には結構な苦痛ですよね・・・それに、この子たちの親はどこにいっちゃったんでしょうね・・・」

 

黒崎「財団的には、『親は死んだ、もしくは親が何らかの要注意団体で娘をSCPにした』か、『元々SCP-053で、元となった子はどこにもいない』がその質問への答えだろうな、あくまでこの子はSCPだ、幼女ではない、が、それでもこの子の幸せを願う俺は間違っているか?」

 

空井「それは・・・分かりません」

 

黒崎「だろうな、俺も分からん、ま、SCP財団職員として、それが正しい答えなんだろうよ、SCPに”絶対”なぞ存在しない、俺たち職員はその”絶対”のなかで起こる”例外”を何とかする、そしてSCPの脅威から人類を守る、それが財団の使命だ、ま、そんなことで、ほれ、菊月、パス」

 

菊月「・・・ペドフェリアの癖に生意気ね」

 

黒崎「うっせえわ」

 

空井「・・・なんやかんやいって、二人共仲がいいんですね」

 

御手洗「ま、菊月はツンデレみたいなところもあるしな、あんなんで本心では黒崎LOVEなんじゃねえか?」

 

菊月「はぁ?そんなのありえないから、ま、黒崎が女子高生のコスプレするんなら考えてやってもいいけどね」

 

黒崎「絶対しねえ」

 

菊月「あら、最近の小学生は女子高生に憧れを抱くものよ?」

 

黒崎「ちょっと誰かから制服借りてくる」

 

空井「待って!いかないで!確かに誰かしらもってそうだけど!渡してくれそうだけど!」

 

御手洗「お前から見た財団視点がよくわかるな」

 

菊月「ま、そんなこんなで、私のおすすめSCPは、これよ」

 

SCP-122-JP 問題の多いメイド喫茶

オブジェクトクラス: Euclid

 

特別収容プロトコル: SCP-122-JPの周囲500メートルは封鎖され、カバーストーリー「再開発」が展開されています。周囲には警備員を配置し、民間人の立ち入りを防いでください。SCP-122-JP-1の姿を確認した警備員は即座に財団に報告し、緊急プロトコル、A122-17Aが展開されます。

SCP-122-JPには一日に一人、毎回別のDクラス職員を入店させ食事をさせてください。食事は可能な限り量の少ないものを選ばせ、食事後は速やかに退店させます。対象となったDクラス職員には帰還後Bクラス記憶処置を施します。

 

説明:SCP-122-JPは特定の繁華街に出現する飲食店です。SCP-122-JP内には不特定数のSCP-122-JP-1が従業員として働いており、いずれもフレンチメイドをモデルとした衣装を着用した10代後半と思われる日本人女性の姿をしています。店内はテーブル席のみで構成されており、注文を受けた場合カウンター奥のキッチンで「調理」が行われます。財団エージェントによる潜入調査の結果、キッチンには冷蔵庫と電子レンジ、いくつかの調味料があるのみで冷蔵庫内も完全に空の状態でした。どのようにして食品や資材の調達を行っているかは不明です。

SCP-122-JPは午前11時から午後23時まで営業しており、営業終了後SCP-122-JP-1の姿はなくなりますが、店舗から対象が出て行く気配は無く、内部に潜入した場合でもSCP-122-JP-1の姿は確認できません。しかし開店時間には再び姿を現します。

また、SCP-122-JPは数日間来店が無い場合、別の場所へ「移転」を行います。これまで観測中に二度の移転が起こっており、財団エージェントによる捜索と調査の結果、現在は日本の東京都██区内での封じ込めが確立されました。

 

SCP-122-JP-1は時に建造物の外部に出て客引きを行います。客引き行為を受けた人物は男女問わず、非常に高い確率でSCP-122-JP内へと入ります。店内へ誘導された被験者はコーヒーや紅茶、ケチャップなどでデコレーションされたオムレツの様な食品などを提供されます。食事をした被験者は皆一様にそれが非常に美味であると延べ、多くの場合は何度も店に通う様になります。被験者はSCP-122-JPに通い、食事を取る内にだんだんと衰弱し、栄養失調や飢餓などの兆候を見せます。体重は激減し、内臓機能にも支障をきたすに至っても本人は健康であると主張し続け、何も処置をしなければそのまま死に至ります。死亡するまでの期間は個人差が大きく、内臓や脳へのダメージが小さい内に食品の摂取を止めれば多くの場合はその後も生存します。SCP-122-JPの影響はBクラス記憶処置を施す事で治療可能な事が判明しています。

 

空井「ここまで見たら、食べたら栄養失調になる料理を出すメイド喫茶・・・ですかね?」

 

菊月「ま、そんな感じね、私はそれでも入ってみたいけど、SCP-500を併用して使えば常連になるのは火を見るより明らか、そして嫌がるメイドを無理やり・・・うへへへへ」

 

黒崎「キモッ」

 

菊月「何かいったかしら?」

 

黒崎「なあんも言ってないですようっと、ほい、潜入記録とインタビュー記録」

 

潜入記録 122-1

以下はDクラス職員を被験体としてSCP-122-JP内部に送り込んだ際のDクラスと財団エージェントとのやり取りです。

潜入記録122-1 - 日付████/██/██

 

対象: SCP-122-JP

被験者:D-1227-JP

<記録開始>

D-1227-JP:[店内に入った… その・・・落ち着かねぇよ、こういう店。]

エージェント:[適当に飲み物と食べ物を注文して、内容を教えてください。]

D-1227-JP:[わかった。……本当にこれ頼むのかよ。すいません、あー 、この・・・これ・・・]

エージェント:[注文内容をしっかり読み上げてください。]

D-1227-JP:[……真っ赤なハートの雪降トマトジュースと・・・ あー、・・・くまたん妖精のドキドキオムライスをくれ。] 

しばらくの間、D-1227-JP-JPとSCP-122-JP-1との間で他愛の無い会話がある。)

D-1227-JP:[慣れてきたら割りと悪くないな… お、料理が来たようだぜ。]

エージェント:[内容についてコメントしてください。]

D-1227-JP:[あー、…見た感じは普通のトマトジュースだな。ながっぽそいグラスに入ってる。グラスの縁に塩が付いてるな、気が効いてやがる。オムライスは、ケチャップで猫だか熊だかの絵が書いてある。]

エージェント:[食べてみてください。]

D-1227-JP:[ほんとにこんなんで釈放されんだろうな?……ん、意外とうめぇ。冷凍じゃなくてちゃんと作ってるなこれは。トマトもいけるぜ、田舎を思い出す。なぁ、この…「コロコロココロのサンドイッチ」も頼むぜ。あと、トマトジュースをお代わりだ。]

エージェント:[了解。気づかれないように一部をタッパーに確保してから車に戻ってください。]

D-1227-JP:[結構気に入ったぜここ。シャバに戻ったらもう一度来るかもしれねぇな。]

 

D-1227-JPは15分後に戻り、再び収容されました。その時に貧血の症状を見せており、体重が約1kg減少していました。 D-1227-JPはその後もしきりに再訪を要求し、暴力的になりましたが記憶処置後は通常の状態に戻りました。

店内で提供される食品を調査した結果、食品から被験者の物と同一のDNAが検出されており、SCP-122-JPは未知の技術によって被験者の体組織を使用して食品を製造し提供しており、被験者の衰弱死の原因であると思われます。

 

インタビュー記録 122-1

以下はSCP-122-JPに進入した財団エージェントとSCP-122-JP-1とのやりとりの映像記録です。エージェントは衣服に据え付けた超小型の隠しカメラで撮影をしています。

インタビュー記録122 - 日付████/██/██

 

対象: SCP-122-JP-1

<記録開始>

エージェント:[やぁ、こんにちわ。]

SCP-122-JP-1:[おかえりなさいませ、ご主人さま!ハートフルカフェへようこそ!ご帰宅料は500円となっております!]

エージェント:[ご主人様か…。実はよくこのあたりを通るんだけど、君たちは何時帰宅してるんだい?]

SCP-122-JP-1:[いやですわご主人様、ここは私たち妖精とご主人様のお屋敷じゃないですかぁ~。]

エージェント:[いや、そうじゃなく・・・ まぁいい、ところでここの料理はどんな風に作ってるのかな?]

SCP-122-JP-1:[妖精さんのハートフル魔法ですっ!]

エージェント:[僕はアレルギー持ちなんだ。だから食事の内容を知っておきたいんだが…]

SCP-122-JP-1:[ご心配要りませんよご主人様!私たち妖精はご主人様のお体の事をちゃんとわかっておりますから!アレルギーの心配は100%ありません!]

エージェント:[100%?どうしてそんな事が言えるんだ?こっちがキッチンかい?]

(エージェントがキッチン内を覗く、この時内部では別のSCP-122-JP-1個体が冷蔵庫から完全に出来上がった料理を取り出しているのが確認されています。)

エージェント:[…出来合いの冷凍品か何かか?あれをレンジして出しているのか?]

SCP-122-JP-1:[……妖精さんの魔法です!今日もご主人様の一日のおつかれを、私達メイドが癒してあげますねっ!]

エージェント:[? 質問に答えてくれ、どうして出来上がった料理が冷蔵庫から直接出てくるんだ?]

(この質問の直後、約1.5秒間、SCP-122-JP-1から高周波の音声が発信され、対象の顔面が異常な速度で動くのが確認されました。)

エージェント:[お、おい、大丈夫か?今何か…]

SCP-122-JP-1:[もうすぐ妖精さんのダンスの時間ですよ!さ、ご主人様も一緒に、モエモエキューン!]

エージェント:[もういい、帰らせてもらう。]

SCP-122-JP-1:[いやですわご主人様、ここは私たち妖精とご主人様のお屋敷じゃないですかぁ~。]

エージェント:[じゃぁお出かけだ。]

<記録終了>

補遺:以下はSCP-122-JP-1から発せられた高周波音の解析結果です。

[お帰りなさいませご主人様。おはようございますご主人様。今日もご無事のご帰宅、何よりです。お帰りなさいませお嬢様。おはようございますお嬢様。いってらっしゃいませご主人様。いってらっしゃいませお嬢様。ハートフルカフェへようこそ。ハートフルカフェへようこそ!私達はお屋敷の妖精さんです。アイスコーヒーですね、かしこまりました。ジンジャーエールですね、かしこまりました。コーラですねかしこまりました。当店ではちょぉ新鮮、ほやほやのお料理をご提供いたしておりますっ!天然素材100%、ご注文を受けてから作っているのでとって美味しいんですよ!くまたん妖精のドキドキオムライスですねっ、かわいくっておいしくってドキドキしちゃいますよ!コロコロココロのサンドイッチですね、コロッコロの大きな具がたぁっぷりで食べれば食べるほどまた欲しくなっちゃうんですよ! コマンド?]

 

空井「うわあ・・・なんというか、こういう衰弱って説明できないことってありますけど、これは」

 

菊月「ま、要は知らないうちに自分で自分を食べてるってことね、まあ、可愛い子はは食べちゃいたいって言うしね!」

 

黒崎「少なくともお前は可愛い子には入らないがな」

 

空井「それにしても、最後の解析結果は・・・どういう意味なんでしょう」

 

菊月「さあね、SCP-122-JP-1がロボットに近い存在なのか、それとも、その年の子がSCP-122-JP-1として雇用されて、その脳波もメイドとして近いものに変えられて・・・みたいなものかもね、もしかすると探せばSCP-122-JPのバイト募集が見つかるかもよ?それと、一応補足的なものとしては、heartfulは和製英語なのよね、ハートフルと発音すると英語ではhurtfulと聞こえて、傷つけるなどの意味になるのよね」

 

黒崎「正しくハートフルボッコ」

 

空井「は、はあ・・・」

 

御手洗「ま、そんな話はさておき、最後の俺のおすすめSCPは、こいつだ」

 

SCP-006-JP あけろ

オブジェクトクラス: Euclid

 

特別収容プロトコル: SCP-006-JPは8m×9.5m×5mのコンクリートタイプの収容室中央から、直立状態に入った際の裏面側方向へと2mずらした定位置へと安置してください。SCP-006-JPを中心とした半径23m以内のエリアは特別制限エリアに指定されています。SCP-006-JPが活性化した場合に備えて、特別制限エリアへの進入は直近の活性状態終了時から26分以内に行うようにしてください。26分が経過した場合、特別制限エリアへの進入は禁じられることになります。

 

収容室内には常時、死後9日以内の遺体を少なくとも16体安置してください。遺体の腐敗が進行するか、SCP-006-JP活性時の遺体同士の接触による損壊が起きた場合は、可能な限り速やかにバックアップ用の遺体と交換してください。バックアップ用の遺体が無い場合は、遺体が補充できるまで、代わりにDクラス職員を収容室内に常駐させ、活性時には押さえ込みに参加するよう指示してください。

 

説明: SCP-006-JPは木製と思われる一枚のドアです。素材となった木材の生物学的分類が判別出来ないこと以外に、物質的な異常はありません。SCP-006-JPは、定期巡回中のエージェントが偶然SCP-006-JPの活性化現象の現場周辺に居合わせたことで、[削除済]にある目的不明の建築物の廃墟に直立していた所を発見され、回収されました。発見時、SCP-006-JPは███体の遺体に埋もれていました。

 

SCP-006-JPは不定期的に活性化します。活性時、SCP-006-JPはどのような状態からでも地面または床に対して自動的に直立します。同時に、ドアをノックしているかのような連続した音を発生させます。SCP-006-JPが発生させる音の伝播は半径23m以内の人間全員に聞き取られ、如何なる遮断や防音、撹乱によっても阻害されません。音はSCP-006-JPの表面から発されますが、現在まで裏面側には一切の異常は認められていません。

 

ノック音が開始されると、半径23m以内に存在する人間の遺体が蘇生します。蘇生した遺体は肉体の損壊の度合に応じた速度と膂力で行動し、SCP-006-JPの表面に群がり、押さえ付けます。あらゆるコミュニケーションや干渉に対して、遺体は一切の反応を示しませんでした。

SCP-006-JPが活性化してから7〜16分をかけて、ノックの音が繰り返される間隔は短くなります。音はやがてノックから激しく扉を打ち付けるような音に変わり、SCP-006-JPが音の度に振動し始めます。

このとき、半径23m以内に生存している人間がいた場合、激しい恐怖と不安感に駆られますが、それによってどのような行動が誘発されるのかは個人差があるようです。多くの場合、それらは即時の卒倒か、逃走か、SCP-006-JPへの押さえ込みの参加を引き起こします。

 

扉を打ち付ける音は約30分かけて徐々に激しくなり、木が軋む音や木が割れるような音が混ざり始めます。SCP-006-JPは音の度に一時的に変形し、SCP-006-JPを押さえ付ける遺体の数が少量であると、音の度に遺体は後方へ押し戻されるようになります。この段階で、いくつかの遺体は断続的に呻き声をあげています。

 

約7〜12分後、音の唐突な停止を以てSCP-006-JPは非活性化します。直立状態は解除され、SCP-006-JPを押さえ付けていた遺体の蘇生現象が鎮静化し、通常の遺体へと戻ります。SCP-006-JPの活性化は不定期ですが、一度活性状態が終了すると、26分は再度活性化しないと思われます。

 

黒崎「知 っ て た」

 

菊月「や っ ぱ り ね ♂」

 

御手洗「動く死体って最高だよね」

 

空井「なんというか久しぶりに御手洗さんの狂気を見たような気がします、それで、これは・・・遺体は、恐怖による本能・・・みたいなもので押さえつけてるんですかね?」

 

御手洗「本能・・・ね、ま、補遺があるから、補遺を見ていこうか」

 

黒崎「ほいほ~い」

 

菊月「は?」

 

補遺: 23mエリア内に遺体あるいは人員が存在しない状態での活性化現象を、エリア外からカメラと音声解析装置を使用して観察する実験が行われました。

SCP-006-JPが発生させる音は通常通りに進行し、エスカレートに伴うSCP-006-JPの振動や変形等の物理的反応も通常通り確認されました。しかし活性状態終了の時間帯を過ぎてもSCP-006-JPの活性状態は継続し、SCP-006-JPの音と物理的反応は更に激化しました。SCP-006-JPに物理的損傷は認められませんでしたが、音には、はっきりと木材が破壊される音が混じっていました。

 

28秒後、SCP-006-JPの音の有効エリアが23mから徐々に拡大し、職員に対して影響が現れ始めたことによって実験の中止が宣言され、ただちに遺体と、遺体を搬送したDクラス職員によってSCP-006-JPの押さえ込みが実行されました。このとき、SCP-006-JPは音の度に、28体の遺体と11名のDクラス職員全員を収容室の壁際まで吹き飛ばせる状態に入っていました。

 

2分後、機動部隊三部隊の投入が承認され、52分後にSCP-006-JPが非活性化しました。SCP-006-JPの音の有効範囲は、最終的には半径73mにまで拡大していたと推測されています。再度の活性時には、有効範囲は23mに戻っていました。

 

本事故で3名のDクラス職員が死亡しています。これは、集団での押さえ込み時の後方からの圧迫と、SCP-006-JPによる押し返しが力学的に体内で衝突した事による損傷と、押し返しによる他の人員や収容室内壁への激突による損傷が原因と見られています。

更に、SCP-006-JPの音の影響を受けた██名の職員が、職務の継続が不可能となるほどの強い恐怖心とストレスに苛まれ、記憶処理による改善も見られなかった事から解雇または隔離治療が施されました。

 

これまで実験のために常時遺体を安置してたが、特別収容プロトコルにもその旨が入れられる事になった。だが本当にそれでいいのか? 考え過ぎだと良いんだが、死者達が儚い筋力でこぞってSCP-006-JPに向かう様は、俺には"押し込んでる"というより"縋り付いてる"ようにしか見えないんだ・・・ ──エージェント・████

 

空井「ブルッ」

 

御手洗「本能、そうだな、こいつにとってはあながち間違いじゃない答えだろうよ、一体、この扉が開いたとき、何が起こるんだろうな?死の反転?死者達が現世に戻る?どれにしても、財団にとってそれはXKクラスシナリオ、もしくはそれに類するものだろうなもちろん、最後のエージェントの言葉は、あくまで個人の意見でしかない、あくまでそれは一個人の意見だ、しかし、一度これを見て、あの光景を見りゃあ・・・見方が変わるだろうな、俺もこのSCPの影響を受けたときは、なんつうか、言い表せない恐怖を感じたな、ただ、こいつを開けてはならない、そう感じたわ」

 

空井「・・・なんていうか、やっぱり、SCPの種類は、膨大ですね、それに、そのSCPを収容する財団も・・・」

 

黒崎「あくまで俺等は、財団職員だ、もし、財団がなくなることがあるようなら、それは同時に人類の滅亡を意味する、だからこそ、財団は存在しなくてはいけない、し続けなくちゃいけない、例え、それがどんな結果を生もうとも、それで、どんな犠牲が生まれても・・・な」

 

菊月「どんな犠牲・・・でもね、例え、家族がSCPオブジェクトに暴露しても、私たちはそれを受け止め、治るなら直し、治らないなら収容、終了させる、それが財団ってものなのよ、ま、私たちはそれでも、と思ってこの財団へ来たのだけれどね」

 

御手洗「さて、少々話しすぎたな、ピザをさっさと食べようか、覚めてしまっては美味しさが半減してしまうからね」

 

空井「はーい」

 

こうして、奇妙なサイトの日常は過ぎていく、この日常が非日常になる日は、明日か、それとも百年後かは分からない、それが、SCP財団というものだからだ




どうも、作者です、なんか夜とある道を歩いてたらいろんな人の声がしました。
さて、そんな話はさておき、どうだったでしょうか?正直今回急ぎ足で作成したため結構粗悪な作品になってしまったかもしれませんが、誤字、わかりづらい等の指摘がございましたら感想欄まで
今回使用SCP、tale
SCP-053 幼女 http://ja.scp-wiki.net/scp-053
SCP-122-JP 問題の多いメイド喫茶 http://ja.scp-wiki.net/scp-122-jp
SCP-006-JP あけろ http://ja.scp-wiki.net/scp-228-jp

さて、なんやかんや、夏が来ましたね、艦これの夏イベの話も出てきて、作者もワクワクしています、最近では、色んなTRPGに手を出しており、リプレイ風を書きたいなという欲求が強まってきました、SCPの効果ですかね?
また、SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは、皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-316-JP 国際改造 http://ja.scp-wiki.net/scp-316-jp
SCP-453-JP 一生!満腹!饅頭! http://ja.scp-wiki.net/scp-453-jp

頭蓋骨の燃焼


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第五サイト目「比較的常識人な二人の憂鬱」

前回のあらすじ
幼女、メイド喫茶、縋り付く
幼女、メイド喫茶、縋り付く

今回も紹介回です


空井「ふぇえ・・・やあっと僕も仕事とかができるようになってきたなあ・・・と言っても他のサイトの書類整理ばかり・・・まあ、別にそういうの好きなんだから別にいいんだけどさあ・・・っと、次はこれか・・・ん?」ガチャ

 

月島「っと、まだいたのか空井、もうすぐ日が変わるぞ」

 

空井「あ、月島さん、って、もうそんな時間なんですか?」

 

月島「ああ、それにしても、あいつらはどこいったんだ?」

 

空井「ああ、黒崎さんたちならなんか飲みにいきましたよ、一体誰の性癖が一番なのかって」

 

月島「あいつら・・・結局ゾンビロリが一番だと結論付けて次の日うるさくなるっつうのに・・・それに後輩に押し付けるとは・・・あれで天才どもの集まりって言うんだから質が悪い・・・」

 

空井「あはは・・・まあ、僕こういう書類整理みたいなの得意というか、好きなんで別にいいんですけどね・・・」

 

月島「まあ、それならいいんだが・・・いや良くはないんだが・・・と、その書類は?」

 

空井「ああ、これは僕が頼まれた方です、えっと、SCP-510-JP、SCP-495-JP、SCP-005-JPですね、なんでしたっけ、確かカナヘビさんからはええと、なんでしたっけ・・・な、ならくのあっき、くろきつばさのだてんしあいすヴぁいんさん?がなんか知りませんけどカナヘビさんが怒らせちゃって、いくつかの書類がなくなっちゃったみたいで・・・」

 

月島「カナヘビのやつ・・・まあたエージェント████のやつを怒らせてたのかよ・・・そうだな、確かその書類なら私も目に通したことがあるしな、ついでに説明しながら私が解説してやろう」

 

空井「あ、本当ですか?助かります!」

 

月島「ま、働き者へのちょっとした計らいってやつさ、そいじゃ、まずはこいつからか・・・」

 

SCP-510-JP 蚊取閃光

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-510-JPはサイト-8181の耐熱施工された気密収容倉庫に収容されます。SCP-510-JPを用いた実験には、セキュリティクリアランス3以上の職員3名の承認を必要とし、被験者にはDクラス職員が起用されます。実験時のSCP-510-JP-aには、レベル3警備員2名の同伴時のみ訓練用ゴム弾の使用が許可され、実験にはサイト-8181の小銃射撃場を用いるようにしてください。

 

説明: SCP-510-JPの形状は円柱の上面にドーム形状を結合したもので、直径は5.4cm、全高は2.2cmです。全体がガラス長繊維強化プラスチックで構成されており、200g前後の重量を持ちます。ドーム形状の表面が未知の方法によって常時発光しています。

SCP-510-JPは発光部位から可視光線レーザーを放つことができます。通常の照射量では皮膚に当たると火傷を生じさせたり、物に当たると火災を生じさせたりする恐れがありますが、一定の照射量を長時間に亘って維持させることはできません。SCP-510-JPはレーザーを用いた極めて精密な射撃を行います。15〜25km/hで不規則に移動する直径10cmの的に対して、5kmの範囲では100%に近い命中率を発揮しました。

SCP-510-JPは生物的及び機械的な発声器官が無いにも関わらず、明らかな会話能力を有しており、コミュニケーションを試みる際には日本語を使用します。SCP-510-JPは「蚊」「狙撃技術」「銃火器」の分野に関する相当な知識量を保有しています。SCP-510-JPは蚊を「人類の敵」「絶対悪」と認識しており、基本的に蚊にのみ射撃を行います。人間に攻撃することを禁忌としていますが、後述のSCP-510-JP-aに対しては「指導」と称して通常よりも出力を弱めたレーザーを照射することがあります。

SCP-510-JPと2時間以上の直接的なコミュニケーションを行った対象(SCP-510-JP-aと識別されます。)は、SCP-510-JPの持論や善悪の価値観を認めて敬うようになります。そして、SCP-510-JPの射撃を視認したSCP-510-JP-aはSCP-510-JPに狙撃技術の指導を求め始め、SCP-510-JPはこれを引き受けます。SCP-510-JP-aがSCP-510-JPの指導を受けると、明らかに異常な速度で狙撃技術を習得していき、いずれの実験でも凡そ2ヶ月でレベルA狙撃手の水準能力を超える技術を習得しました。これらの異常性について、SCP-510-JPに尋ねてみても必ず「そんなものは知らん」と否定します。

SCP-510-JP-aは蚊以外の生物(主にヒト)を狙撃することに強い嫌悪感を抱きますが、大抵は強要してそれらを実行させることができます。SCP-510-JPは人間を狙撃したSCP-510-JP-aに対して深い失望を示し、師弟の関係を絶とうと攻撃的になります。

 

SCP-510-JPの活動を支えるエネルギー源は今のところ不明です。

 

空井「ええと、これは、つまりは蚊をとっても嫌ってるスパルタ教育を行っている、とってもいい人・・・じゃなくて蚊取り線香ですかね?だけどこれ見るにミーム汚染的な効果も持っていそうですよね・・・」

 

月島「まあ、そんな感じだな、お前もだいぶ財団に慣れてきたな」

 

空井「あはは・・・それにしても、これってなんかどっかで見たことあるようなフォルムなんですよね・・・なんでしたっけ・・・あれ、押すだけで電気が付く・・・」

 

月島「お前の言わんとすることはなんとなく分かる、ちなみにこいつがなぜ蚊のことをそこまで言うのか聞いたところ、「人間を最も多く殺している生物が蚊だから」と、答えたらしい」

 

空井「そういえば、人の死因に関わってる生き物で最も多い生き物って蚊らしいんですね、なるほど、だからか」

 

月島「そのとおり、よく知ってたな」

 

空井「ふときになった時に調べてみて、蚊だったのがちょっと驚きだったんで覚えてたんです、そういえば、これって通信機器通して対話した場合ってどうなるんですかね」

 

月島「いい着眼点だ、こいつと通信機器を通して対話を行った場合、影響は受けなかったようだ、あくまでもSCP-510-JPと直接対話しなくてはいけないらしい、ちなみに狙撃技術を素行の良好化も確認されているらしい。

 

空井「へえ、Dクラスの素行改善も確認されてるなんて、Dクラスの教育にも使われるんじゃないんですか?」

 

月島「馬鹿者、あいつら一応狙撃技術が短期間でプロ並みまで上がるんだぞ?もしそんなやつらに反乱でも起こされたらかなりの損害を受けるだろうが、まあ、こいつらは蚊以外の生物、特に人を撃つのは嫌悪感を抱くからな、確立は低いが、警戒するに越したことはないだろう。さて、このSCPには実験記録と蚊虻走牛作戦記録、つまりは力の小さいものたちが力の大きいものを倒した作戦記録、ってことだな、それでは、実験記録から行こうか」

 

実験記録510-JP-B-1

実験記録510-JP-B-1 — 日付2010/02/11〜2010/04/13

実験対象D-460301をSCP-510-JPの格納エリアに入れ、SCP-510-JPとコミュニケーションを実施するように指示。事前にSCP-510-JPには会話能力があることだけを説明し、担当の若桑博士とヘッドセットで指示できるようにしています。

《SCP-510-JPの格納エリアの映像記録 — 日付2010/02/11》

 

SCP-510-JP: ようこそ、オレンジの服の人。

 

D-460301: おお、マジで喋りやがる。何だお前。

 

SCP-510-JP: [笑い]非礼な。開口一番それかね。

 

D-460301: 非礼って言われてもな、礼儀を学んでるような奴に見えるかよ。

 

SCP-510-JP: 人の外見をどうこう言える立場ではないのでな、なんとも言えん。

 

D-460301: へへ、ちがいねぇ。 [若桑博士に向けて] なあ、こんな感じでコイツと喋ってればいいんだろ?

 

若桑博士: はい、それがあなたの仕事です。

 

D-460301: りょーかい、えーと、 [SCP-510-JPに向き直る] じゃあよろしくな。

 

SCP-510-JP: なんだ、ちゃんと挨拶できるんじゃないか。こちらこそ、よろしく。

 

《約2時間もの間、会話が行われた。D-460301にSCP-510-JPの影響が現れ始める。》

 

D-460301: なるほどな、じゃああんたは蚊を殺すためだけに生きてるのか。

 

SCP-510-JP: そうだな、人間を最も多く殺している蚊は、間違いなく人類最大の敵だ。蚊を殺すことに捧げた我が生涯、無数の奴らを数百匹殺したところで、無名に終わるだろうが決して無駄ではない。蚊を殺すことが私の正義だ。

 

D-460301: すげぇなあ、俺には到底真似できねぇよ。あんたのその殺虫灯みたいな姿も、蚊を殺すために、なのか?

 

SCP-510-JP: それは、初心者にありがちな誤解だ。蚊に走光性はない、むしろ、光から遠ざかる。これは所謂鎧だ。常に身を守っているのだよ。奴らはこの上なく姑息且つ卑怯だからな、いつ強襲を仕掛けてくるか分かったものではない。それに、奴らが引き寄せられようと、遠ざかろうと、私の狙撃の前では距離など無意味だ。

 

D-460301: すげぇ、すげぇよ。あんた蚊のこと、敵のことよく調べてんだな、流石だぜ。

 

SCP-510-JP: ふふふ、褒めても何もでんぞ。阿呆め。

 

《更に30分後、D-460301がSCP-510-JP-aになったと判断し、若桑博士の指示により格納エリアに一匹の蚊を放つ。》

 

SCP-510-JP: むむ、噂をすれば。

 

D-460301: うわあ、蚊だぜありゃあ、人類の敵だ。

 

SCP-510-JP: この鬱陶しい羽音は間違いないな。

 

D-460301: 待っててくれ、今叩き潰してくるぜ。

 

SCP-510-JP: おいおい、小兵と思って侮るな小僧。私に任せろ。

 

《SCP-510-JPがレーザーを照射し、6m先の飛行する蚊を焼却する。》

 

D-460301: えっ!?

 

SCP-510-JP: ふん、蚊虻め。

 

D-460301: す、すげぇ!なんだ今のは!?

 

SCP-510-JP: 大した芸ではない。ただ一匹の蚊を焼き落としたまでだ。

 

D-460301: いやいやいや!あんなブンブン飛び回ってる虫を一撃でやっつけるとか、あんた神かよ!?

 

SCP-510-JP: こんな神がどこにいるんだ。阿呆め。

 

D-460301: [少し間が空く]なあ!それ、俺にも教えてくれよ!

 

SCP-510-JP: なに?

 

D-460301: 俺も蚊を一発で仕留めるぐらいの射撃がしたいんだよ!

 

SCP-510-JP: ほうほう、興味があるのか、射撃に。よくよく見れば才があると思っていた。

 

D-460301: 本当か!

 

SCP-510-JP: 本当だとも、お前ならいい蚊殺しになるだろう。

 

D-460301: [唖然]マジかよ。じゃあ、先生と呼ばせてくれ!いや、呼ばせてください!先生!

 

SCP-510-JP: ふふふ、ああ、いいだろう。お前は今、武器を扱える状況ではないようだから、私からここのお偉いさんに交渉してみよう。

 

D-460301: 本当ですか!ありがとうございます!しゃあ!俺はやるぜ!

 

SCP-510-JP: ふふふ、阿呆め。弟子をとるのは久しぶりだ。

 

その後、D-460301は仲間のDクラス職員等に「先生は凄い」「蚊は人類の敵」「俺はこれから射撃を学ぶんだ」などと頻繁に語っていました。SCP-510-JPは財団職員に出会う度に、D-460301に指導を行える環境の提供を要求しました。

 

空井「・・・なんというか、何かの青春漫画とかを彷彿とさせますね、しかも久しぶりってことは前に何度か取ったことがあるんですかこれ・・・それに、日付が書いてあるなんて珍しいですね、いつもなら伏せられてるなんなりされてるのが多いのに」

 

月島「まあ、長期実験だからな、日付がわからないと資料のまとめようがないだろうしな、では、次行くぞ」

 

2010/02/16: SCP-510-JPに、実験対象D-460301への狙撃技術の指導を行うように指示。実験はサイト-8181の25m射場が用いられ、レベル3警備員2名が常に警戒に当たります。SCP-510-JPを設置するための台座が、使用する射座の隣に設けられました。この時、D-460301に配給されたのは9mmゴム弾を装填したグロック17です。

 

《サイト-8181の小銃射撃場の映像記録 — 日付2010/02/16》

 

D-460301: [的に向けて発砲、ゴム弾は命中せず]うーん、難しいな。やっぱり先生のようには行かねぇや。

 

SCP-510-JP: 恥じることはない、誰にでも初歩はあるものだ。姿勢は悪くないが、ひたすら的を狙っても弾は当たらん、照星と照門のみを凝視して照準してみれば、少しはマシになるだろう。

 

D-460301: 照星?照門って?

 

SCP-510-JP: [低出力レーザーを光指示具のように用いて、照星と照門を示す]これだ。照門から照星を見て照準を定める。

 

D-460301: なるほど、わかりました。[的に向けて発砲、ゴム弾は右方に逸れる]あれえ?

 

SCP-510-JP: 銃には一丁一丁、人間と同じようにクセがある。何発か撃ってみて拳銃のクセと自分の手の相性を見てみることだ。あとは、クセに合わせて照準をずらしていけばいい。

 

D-460301: 了解です!数撃ちゃ当たるってことっすね。

 

SCP-510-JP: ふふふ、阿呆め。だが、ある意味、的を射ているな。

 

5時間もの間、指導が行われ、D-460301は40m以内の静止している標的ならば、ほぼ確実に狙撃するようになりました。

 

SCP-510-JP: ふむ、やはり私の目に狂いはなかった。お前には才がある。

 

D-460301: えへへ、そうですか?

 

SCP-510-JP: うむ、だが蚊共は素早い。事を成したければ訓練を怠らないことだ。今日の指導はここまでだが、気を緩めて狙撃を忘れるなよ。

 

D-460301: はい!先生!ありがとうございました!

 

《映像記録終了》

 

指導が終了した後、D-460301は収容室内でも何度も狙撃の姿勢をとって、熱心にイメージトレーニングを行っていました。

 

空井「なんというか・・・なんなんでしょう、これ、SCP-510-JPも、Dクラスの人も楽しそうなんですが・・・この、想像するととても面白い絵になりそうな光景は・・・」

 

月島「まあ、基本的にSCP-510-JPも、SCP-510-JP-aも人を撃つのはないからな、SCP-510-JP-aは強要すれば撃つがなそれでは、次行くぞ」

 

2010/03/08: 本来ならばD-460301はこの日に任期終了となるはずで、模範的態度を維持したため社会復帰も考慮されていましたが、D-460301はこれを自ら拒否し、SCP-510-JPの指導を受け続けることを望みました。この日の指導は、300m射場で行われました。

 

《サイト-8181の小銃射撃場の映像記録 — 日付2010/03/08》

 

D-460301: 俺、一個目標見っけました。[的に向けて発砲、ゴム弾は命中]

 

SCP-510-JP: ん?どうしたんだ急に。

 

D-460301: いや、実は今日が釈放の日だったんですよ。でも断りました。[的に向けて発砲、ゴム弾は命中]

 

SCP-510-JP: なぜ。

 

D-460301: 先生の言うように俺は阿呆です。ここに来る前、金を狙って女の人を殺しました。いや、殺すつもりはなかっ……あ、いや、すいません、言い訳ですね。[的に向けて発砲、ゴム弾は命中]

 

SCP-510-JP: ならば、外に出て遺族の人達に詫び言の一つや二つ入れたいのだろう。なぜ、ここに留まる?

 

D-460301: [的に向けて発砲、ゴム弾は命中]いや、謝っても死んだ人が生き返るわけでもないし、遺族の人の悲しみが消えるわけじゃないじゃないですか。確かに謝りに行きたいですけど、それはただの自己満足だなあって、思っただけです。[的に向けて発砲、ゴム弾は命中]

 

SCP-510-JP: そうか、ではお前はここに留まり何を為す?

 

D-460301: 人の役に立ちます。其れ即ち、蚊を殺すことです。[的に向けて発砲、ゴム弾は命中]

 

SCP-510-JP: ふふふ、流石我が弟子だ。

 

この部分での映像記録は、後に行われるD-460301の精神鑑定に大きく影響を与えたと評価されています。

 

D-460301は61日間に亘ってSCP-510-JPの指導を受け続けました。過去の実験により、D-460301は指導によって以下のような能力を身につけたことが認められました。

 

・SR25Mを用いて、射場の移動標的を350m以内ならばほぼ確実に狙撃する。

・SR25Mを用いて、200mの距離から一度も外すことなく、1分間に20発の射的を成功させる。

・マクミランTAC-50を用いて、2560mの距離からの狙撃に成功する。

・M1903を用いて、50m前を325km/hで横切る直径10cmの標的を狙撃する。

 

シモ・ヘイヘもびっくりだ。D-460301のEクラスへの異動と、SCP-510-JP-aを活用した実験的な機動部隊の編成を要請する。 -千石機動部隊監督

 

2010/04/16: 慎重な狙撃訓練試験と精神鑑定の結果、D-460301は、特別職務にて非凡な成果を残す、または攻撃や捕獲に対し有用な技術を持っていると判断され、記憶処理を免れてEクラス職員E-460301としての再雇用が決定しました。

 

2010/04/20: SCP-510-JP-aと、優秀とされる狙撃手をメンバーに含めた、狙撃による攻撃を目的とする機動部隊る-9(” 蚊遣り火カヤリビ ”)が編成されました。初期編成当時、所属するSCP-510-JP-aはE-460301のみです。E-460301が機動部隊に加入したことは、SCP-510-JPには内密にされていました。

 

2010/04/21: E-460301の提案により、機動部隊る-9(”蚊遣り火”)の目的に「蚊の殺害」が追加されました。SCP-510-JP-a以外の隊員は、蚊を積極的に殺害していることをSCP-510-JP-aにアピールするよう指示されました。これはメンバーの関係の円滑性を維持するために必要なものです。

 

空井「なんというか、すごい部隊ですね、蚊の殺害を目的に追加される部隊って」

 

月島「ちなみに、これに出てくる銃はそれぞれ、SR25Mはアメリカ海兵隊が用いるセミオート方式のスナイパーライフル。マクミランTAC-50は50口径のボルトアクション式対物ライフル。M1903はアメリカ軍のボルトアクション式ライフルだ」

 

空井「僕銃っていうのはよくわかんないんですが・・・対物ライフルがなんとなくすごいっていうのは知ってます。」

 

月島「ま、そんな感じでいいだろ、それじゃ次、蚊虻走牛作戦記録を見ていこうか」

 

蚊虻走牛作戦記録

評価: +10+–X

 

蚊虻走牛作戦記録 — 日付2010/08/05〜2010/08/08

《蚊虻走牛作戦》

 

目的:

要注意団体████████の幹部2名の排除。SCP-510-JP-aの実用性の把握。

 

組織:

機動部隊隊長  浜崎███

隊員      戦場エージェント15名/5チーム

特別隊員    E-460301(SCP-510-JP-a)

 

セキュリティプロトコル:

E-460301には浜崎機動部隊長を含めた隊員2名によって監視と指示が行われます。E-460301の取扱については、浜崎機動部隊長の判断に一任していますが、不測の事態に備えてE-460301には小型追跡装置が埋め込まれます。

 

作戦内容を確認したE-460301は、人間を殺害することに関して否定的でしたが、「任務を果たすことで多くの人間が救われる」「蚊を殺すぐらい人の役に立つ行いだ」などと説得を行うと、心から賛成してはいないことを示しつつも、作戦に対して若干の意欲を見せました。尚、この作戦はSCP-510-JPに内密にしています。

 

2010/08/05: 機動部隊る-9は████████区画に配置され、E-460301は「狙撃02班」の狙撃手を担当します。

E-460301は725mの距離まで敵の集会所に接近して、躊躇を示しつつも隊員の指示に従いターゲット02の頭部を狙撃。任務を果たしました。それとほぼ同時に「狙撃01班」によってターゲット01の排除が完了し、作戦は問題なく成功しました。

 

勲章ものの素晴らしいヘッドショットだった。作戦は理想的な形で成功を果たしたが、SCP-510-JP-aの実用性については今後のE-460301の経過を見てから判断したい。

 

-浜崎機動部隊長

 

2010/08/06: E-460301はターゲット02を殺害したことを酷く後悔している様子を見せ、鬱症の兆候を現し始めました。機動部隊る-9の隊員が総出で励ますも効果は得られず、浜崎機動部隊長がSCP-510-JPとE-460301の面会を要請しました。

 

2010/08/08: 要請は承認され、E-460301と浜崎機動部隊長がSCP-510-JPの格納エリアに入室します。SCP-510-JPには事前にE-460301が機動部隊に加入してから現在に至るまでの経緯を全て明かしています。浜崎機動部隊長にはE-460301の監視を行わせ、SCP-510-JPとは直接的なコミュニケーションを行わないように指示しています。

 

《SCP-510-JPの格納エリアの映像記録 — 日付2010/08/08》

 

SCP-510-JP: 馬鹿者があ![E-460301の右頬にレーザーを照射、軽度の熱傷が生じる]

 

E-460301: あちい!

 

浜崎機動部隊長: おい!よせ!

 

SCP-510-JP: 力の使い方を間違えおって![E-460301の額にレーザーを照射、軽度の熱傷が生じる]

 

E-460301: すいません、すいません……[地面に平伏し、啜り泣く]

 

SCP-510-JP: この裏切り者が!

 

浜崎機動部隊長: [SCP-510-JPの前に立ち塞がる]もう止めろ。彼は我々の活動に大きく貢献した。彼の行いによって、多くの人間が救われたんだ。お前が彼の先生なら言うべきことが違うんじゃないか?

 

SCP-510-JP: 横槍を入れるな小僧、何が「多くの人間が救われた」だ。人を殺すことで人を救うのが奴の正義ならば、奴が私の弟子である必要は無い。私が教えた技術は、人を殺すための技ではないからな!奴は私の正義を認め、それを自身の信じる正義としたはずだ!それがいとも容易く揺らぐようならば、其奴は私の弟子ではない!私から授かった技術で、私の正義を犯すなど!最大の屈辱だ!

 

浜崎機動部隊長: では訊こうか、お前の正義とはなんだ。

 

SCP-510-JP: 蚊を殺すことだ!

 

浜崎機動部隊長が指示に反する行いを見せたため、警備隊員5名が格納エリア内に突入し、E-460301と浜崎機動部隊長を強制的に退出させました。その後、浜崎機動部隊長は十日間の謹慎及び罰則規定に従い、E-460301は三日間に渡って精神的苦痛を訴えました。浜崎機動部隊長にSCP-510-JPによる影響は見られませんでした。

 

E-460301が重度の鬱症を発症したため、Bクラス記憶処理による健忘治療が行われました。SCP-510-JPに関する記憶と共に精神的な影響は消滅しましたが、記憶の欠如以外での違和感や自身の認識に不信感を示しました。狙撃技術のノウハウは一部残存しているものの、狙撃を行う際に必ず精神的苦痛を訴えるようになりました。

 

SCP-510-JP-aに人間の狙撃を行わせることは明らかに実用的ではない。物の破壊も、誰かの損失になるならば同じことだ。彼らは蚊を狙撃することに最も意欲を見せる。「人類の敵は蚊」で「蚊を殺すことが唯一の正義」と本気で信じているからだ。それに反することを強要しなければいけないのなら、SCP-510-JP-aは機動部隊に吸引すべき戦力とは言えないだろう。

 

-若桑博士

 

E-460301の不安定な精神状態は時間経過と機動部隊員との訓練や交流によって徐々に回復しつつあります。素行もこのましく、機動部隊員とも良好な関係を維持しています。狙撃の実力は標準程度まで零落したものの、特別職務にて有用な技術を保有していると判断され、E-460301の除隊要請は先送りとなりました。

 

追記: 2010/09/16: E-460301が屋外訓練中に蚊を叩き潰した際、隊員に「なぜかよく分からないが、すごい充実感だ」と活気のある様で述べました。現在、機動部隊る-9の隊員等は蚊の殺害がE-460301にとっての何よりも有効な精神療法と判断し、積極的に蚊を殺害する方針をとっています。結果、E-460301の回復の進行度はより顕著なものになりました。

 

追記2: 現在、機動部隊る-9は狙撃による攻撃とSCP-143-JPやSCP-636-JPなどの蚊に関連する異常存在の特別対策チームとして存在しています。これらの重大な収容違反が発生した場合は、即座に対応にあたります。

 

空井「本当に、いいSCPなんですね、これ、人を殺すとちゃんと叱るって、これなんでEuclidなんです?狙撃技術が上がるだけでも、人を殺すのは強要されなかしなきゃいけないらしいし」

 

月島「ふむ・・・とりあえず、付録があるから見ていこう、それに、その答えが載っている。」

 

付録: 覚書

 

私が気にしているのはSCP-510-JPが蚊を「人類の敵」としている理由が「人間を最も多く殺している生物が蚊だから」という点だ。確かに蚊は年間72万人もの被害をだし、最も人間を殺している動物ランキング第1位という調査結果もある。だが、その第2位は我ら人間なのだ。

例えば今この瞬間、世界中から蚊が消滅したとしたらどうだろう。最も人間を殺している動物は人間となる。私が危惧するのは、その時、SCP-510-JP、SCP-510-JP-aは「人類の敵」を何とするのか、ということだ。

 

-若桑博士

 

空井「・・・第2位は・・・僕ら、ですか」

 

月島「まあ、そういうことだ、もしかするとその時点でSCP-510-JPはNeutralizedに指定されるだろうし、SCP-510-JP-aはその時点で異常性は失われるのかもしれない、だが、警戒を怠る理由にはならないだろう?」

 

空井「そうですね・・・」

 

月島「ま、そんなことで、次、行くぞ」

 

SCP-495-JP カブトムシは畑で採れる!

オブジェクトクラス: Safe

 

特別収容プロトコル: SCP-495-JP-Aは異常生体研究サイト-8143の低危険度昆虫型オブジェクト飼育エリアで、SCP-495-JP-Bは同低危険度植物型オブジェクト栽培プラントで保管・維持されます。担当職員はSCP-495-JP-Aの個体数が200匹程度に収まるように適宜個体数の調整を行ってください。

 

未収容のSCP-495-JP実例が存在する可能性があります。一般人の手に渡っていた場合、カバーストーリー"外来種移入による遺伝子汚染"/"無認可の遺伝子組み換え作物"を適用し。回収・破棄してください。回収後、分析を行い既知の固体との差異を調査してください。

 

説明: SCP-495-JPは後述する異常性を除けばごく一般的なカブトムシTrypoxylus dichotomus(以下SCP-495-JP-A)の成体群、及びスイカCitrullus lanatus(以下SCP-495-JP-B)の株群です。

 

SCP-495-JP-A群の生態と通常のカブトムシの生態との間に、特筆すべき違いは有りません。またSCP-495-JP-Aのうち、雄個体は異常性を持ちません。SCP-495-JPの第1の異常性は、SCP-495-JP-A群の雌個体が産卵した卵を適切な湿度と温度に保った状態で一定期間保管した際に発生します。通常のカブトムシ同様の孵化プロセスを経て、SCP-495-JP-Aの卵からはスイカ(SCP-495-JP-B)の芽が"孵化"します。注目すべき点として、孵化の瞬間までは正常なカブトムシの発生過程が観測されています。

 

孵化したSCP-495-JP-Bは適切な環境下において通常のスイカと同様に生育します。SCP-495-JPの第2の異常性は、SCP-495-JP-B群が結実した際に発生します。SCP-495-JP-Bの果実が一般的に"収穫可能"と表される段階まで生育した後にその表皮を剥ぎ取ると、内部にカブトムシ(SCP-495-JP-A)群が出現します。内部を直接的に観測するその瞬間までは、通常のスイカと同様に内部組織が発生していることが判明しています。

 

SCP-495-JP-A及びSCP-495-JP-BのDNAに通常種との有意な差異は確認されていません。UPDATE 20██/07/██:事案495-pupationを参照してください。

 

document 495-message: SCP-495-JP実例とともに回収された看板

 里山の恵みに真心込めて

 誰もがみんな 無くしてしまった

 遠いひと夏の思い出の味

 あのときの憧憬を、もういちど。

 

里山文化継承の輪    

 

何らかの意図を持って本オブジェクトを作製した/拡散を試みた組織の存在が示唆されますが、現在のところ"里山文化継承の輪"に関する有効な情報は発見できていません。

 

SCP-495-JPの特性を探るため、SCP-495-JP-Bの未熟果を塩漬けしたものをDクラス職員に摂食させたところ「クリーミィでコクのある旨みがとても美味しい」という感想が得られました。この結果から鑑みて、SCP-495-JP-Aを摂食する実験が許可されました。SCP-495-JP-Aの生体20匹を凍結乾燥後に粉砕したものをお湯で抽出し、Dクラス職員に摂食させたところ「土っぽい匂いと、黒い色味が気になるけれど、味はスイカジュースみたいでおいしかった」「懐かしい記憶が一瞬頭を過った気がする」という感想が得られました。SCP-495-JP-Aの摂食を希望するCクラス以下の職員は、消化器官系統に問題が無いことの証明を提出することで凍結粉砕用の機材を借り受けることができます。摂食後には必ず健康診断を受け、その結果を提出してください。

 

空井「面白い性質もったカブトムシですね、これ、スイカからできるカブトムシって、しかも食べれるんですか、これ、クリーミィな味と、スイカジュース・・・これは、なんとなく気になる味ですね、食べてみたいけど・・・なんで最後の文だけ消されてるんですか?」

 

月島「その答えは、これだ、これ見ても食べたいなんて言えるかな?」

 

UPDATE 20██/07/██:事案495-pupation: これまでにSCP-495-JP-Aを摂食した人物の胃内部で、昆虫由来のキチン質が再形成される事例が発生しました。この際形成されるキチン質塊は、平均的な人間の胃容量を大幅に超過しており摂食者の内臓器官に深刻なダメージを与えます。現在までに摂食した職員のうち8割に相当する██名と、児童7名を含む一般人12名がこの事例が原因とみられる急性胃拡張・胃破裂を呈しています。

 

国内医療機関の記録を参照した結果、これ以前の記録に同様の症状は確認されませんでした。

 

新たな異常特性の発生を受けて行われた調査の結果、財団が維持するすべてのSCP-495-JP-A及びSCP-495-JP-BのDNAマップに15%~20%の変異が発生していることが確認されました。この変異がもともとSCP-495-JPが持っていた機能であるのか、或いは偶発的な発生であるのかは不明です。

 

今後Dクラス職員を用いた実験時以外におけるSCP-495-JP-Aの摂食は禁止されます。

 

空井「・・・わあ」

 

月島「想像したくないものだな、そんな痛みは」

 

空井「そっすね・・・、次、口直しに、次!」

 

月島「このSCPだけに?」

 

空井「そういう冗談いいですから!」

 

月島「ははは、それじゃ、次、行くぞ」

 

SCP-005-JP 4羽の鳥の彫刻

オブジェクトクラス: Safe

 

特別収容プロトコル: SCP-005-JPは施錠されたコンテナに収容されます。コンテナ内の様子はカメラで監視し、音声も記録します。職員は記録下でSCP-005-JPとの会話が認められます。

 

説明: SCP-005-JPの外見はペリカン目に属すると思われる4羽の鳥類を模した金属彫刻です。材質は銅を含む異常のない合金でありながら、理由は不明ですが、破壊不可能です。個体毎にSCP-005-JP-1から-4までの数字が割り当てられており、現在は首から木札をかけて識別しています。うち1羽(-4)は同じ金属から成る1匹の魚をクチバシに咥えており、これも同様に破壊不可能です。魚を除去する試みについては、O5議会に認可されたオブジェクト破壊処置記録005-JPを参照して下さい。

 

SCP-005-JPは通常の彫刻と同様に動くことはありません。しかし明白な知性を持つように、何らかの手段を用いて周囲の状況を知覚し、言葉を発することができます。現在までにSCP-005-JP-1から-3までとの会話による意思疎通が成功しており、その際は常に日本語を用いています。会話時、SCP-005-JPはよく「偉大なる四羽の鷹」を自称します。

 

SCP-005-JPは2000年5月、東京都███市の█████公園において「突然銅像が喋り出した」という噂から財団の知ることとなりました。それは早急に機動部隊により回収され、現在は異常性のない類似の外見の彫刻に置き換えられています。また同時にカバーストーリー「街頭スピーカー」が適用されました。SCP-005-JPはそれまでに設置された記録が残っておらず、由来は不明です。

 

SCP-005-JPの保有する兵器については現在捜索中です。

 

空井「これは、喋る銅像、ですかね?自称鷹のペリカンの・・・それにしても、この保有している兵器っていうのは一体どんなもんなんです?」

 

月島「それは、この会話ログ見れば大体わかるさ」

 

会話ログ-005-JP: 以下の会話ログは、音声記録を文字に起こしたものです。

 

<録音開始>

 

SCP-005-JP-1,-2,-3: 我々は偉大なる四羽の鷹である!(声を合わせて)

 

桑名博士: 今回は簡単なインタビューをさせていただきます。あなたはどうして█████公園にいたのですか?

 

SCP-005-JP-1: 我々は信心を失ったこの帝国の行く先を救済するべく降り立ち、そのために彼の地を選んだものである。これは皇紀2660年5月1日のことである。

 

桑名博士: それ以前はどこに?

 

SCP-005-JP-1: 天である。

 

桑名博士: では、あなた方は誰に制作されたのかわかりますか。

 

SCP-005-JP-1: この命は天から授かり、この身は帝に捧げるものである。我々の堅牢なる肉体について問うたならば、これは帝の加護を授かりしものである。

 

桑名博士: そうですか。あなたは先ほど「この帝国の行く先を救済する」と言いましたが、具体的にはどのように?

 

SCP-005-JP-1: 目標は機密である。手段は主に軍事力である。我々の肉体に瑕すら付けられない貴様らの力では、我々の保有する兵器は比較にも値しないものであることは推して知るべきである。

 

SCP-005-JP-2: しかしその答え、貴様らが我々の拘束を解き、我々に味方するというのなら考えがないこともない。

 

SCP-005-JP-3: 油断してはならぬ中尉。目的を達成するためには、機密は最優先されなければならない。ゆめゆめ忘れるな。

 

SCP-005-JP-2: だがしかし、我々だけでは —。

 

SCP-005-JP-3: 先の戦争でもそのようなことを言い、艱難を凌ぐ時があったことを忘れたわけではあるまい!

 

SCP-005-JP-1: (遮って)余談はやめたまえ。我々は交渉の途中である。 — 話を続けてくれ。

 

桑名博士: それでは……あなた方は動けないのに、どのようにして目的を達成するつもりなんですか?

 

SCP-005-JP-1: 我々は動けないわけではない!

 

SCP-005-JP-2: せめて特務技官の口が自由でさえあれば……。

 

SCP-005-JP-3: やめたまえ、それ以上は!

 

桑名博士: 特務技官は誰ですか?

 

SCP-005-JP-1: (少しの沈黙)4の札をかけられている彼だ。

 

桑名博士: ああ、そうですか。インタビューは以上です。ありがとうございました。

 

<録音終了>

 

メモ: インタビュー中、SCP-005-JP-4のもがっもがっという音が断続的に記録されていました。

 

空井「もがっもがっって・・・魚喉に詰まってるじゃないですか・・・」

 

月島「最初に突っ込むところそこなのか・・・他にもあるだろう、天から来たとか・・・」

 

空井「天使的ななにかだったんですかね、このSCPたちは」

 

月島「まあ、そんなものはありえないだろうが、せいぜいどこかの団体に作られて記憶を捏造・・・みたいな感じだろうな」

 

空井「夢がないですねえ・・・そんなんだから今になっても結婚できな(ヒュン)はいすみません」

 

月島「全く・・・お前もだいぶここに毒されてたようだな」

 

空井「ははは・・・睡眠不足とかも関係してるのかもしませんね・・・もう帰りますかね・・・」

 

月島「そうしろ・・・そうだな、ついでに、どこか寄っていくか?この時間なら多分財団フロント企業の居酒屋がやってると思うから奢るぞ」

 

空井「ありがとござまーす!」

 

月島「全く、現金なやつだな」

 

ちなみにこのあといった居酒屋にいた黒崎達と合い、酔っ払った黒崎が月島に抱きつき、その後子供をこんな遅い時間に連れてきちゃだめだろって財団の人に注意されたのはまた別の話。




どうも、作者です、共振パンチ!
さて、そんなどうでもいい武術はともかく、今回は、比較的常識人の彼らが紹介するって感じでした、そしてなんと初めてのリクエストSCPが来たので、とっても嬉しかったです、ちなみに「〇〇みたいなSCPをおねがいします!」「○○にぴったりなSCPをおねがいします!」といった感じのも大歓迎です、誤字、わかりづらい等の指摘がございましたら感想欄まで
今回使用SCP、tale
SCP-510-JP 蚊取閃光 http://ja.scp-wiki.net/scp-510-jp
SCP-495-JP カブトムシは畑で採れる! http://ja.scp-wiki.net/scp-495-jp
SCP-005-JP 4羽の鳥の彫刻 http://ja.scp-wiki.net/scp-005-jp

さて、お盆も過ぎましたね、皆様のおうちにはご先祖様がきましたでしょうか?
ぶっちゃけ後書きの話もそうそうになくなってきてどうしようかと思っていますが、とりあえず水増ししまくってもはや99%水になるまで薄めまくろうと思います、さて、そんなこんなで、今回はこれで終わりです。
また、SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは、皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-314-JP 聖者と行進 http://ja.scp-wiki.net/scp-314-jp
SCP-170-JP 燃えた頭蓋骨 http://ja.scp-wiki.net/scp-170-jp

ロシアンルーレット


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第六サイト目「うちはうち、よそもうち」

前回のあらすじ
蚊、カブトムシ、偉大なる鷹()
蚊、カブトムシ、偉大なる鷹()

今回も紹介回


空井「・・・ここが、サイト-81██か・・・やっとまともなひとと会えると思うと何か思うものがあるな・・・」

いま僕は、サイト-81██の前にいる、これにはワケがある、昔から憧れだったこうなる経緯はというやつをやってみよう、それは一週間前の朝

 

サイト-81██ 通称:変人たちの巣窟

日時:20██年 ██月██日

 

空井「はあ・・・最近書類整理ばっかで体がなまってるかもなあ・・・何か運動しないとまずいか・・・?」

 

黒崎「なんだ、ため息なんてついて、ため息つくと幸せが逃げるんだぜ?知らないのかお前」

 

空井「その理論でいくと一体黒崎さんは何回ため息ついたんですか?・・・」

 

黒崎「はっはっは、お前も言うようになってきやがったなぶっころすぞ、っと、こんなことしてる場合じゃなかったな、喜べ空井、やっと書類整理以外の仕事がお前に回ってきたぞ」

 

空井「え、本当ですか?それ」

 

黒崎「ああ、嘘言ってどうすんだよ」

 

空井「だけどなんで黒崎さんが?・・・」

 

黒崎「お前・・・一応俺このサイトじゃ上から三番目だからな?Bクラス職員だからな?」

 

空井「え・・・」

 

黒崎「えじゃねえよえじゃ全く・・・それで、仕事内容だが、ああっと『人員が足りない、お前らのサイトはどうせ万年暇だろうし、最近やっとまともな人員がきたらしいからこっちに助っ人として少しの期間よこせ、できればそのまま永久的によこせ、あと黒崎プリン返せ』、だとよ」

 

空井「いろいろ突っ込みたいところがあるんですけど、黒崎さんそれ送ってきた人になにしたんですか・・・」

 

黒崎「あいつプライベートと仕事ぐらいちゃんと切り離せよ・・・全く、ま、それは関係ないから放っておけ、とりあえずお前はしばらくサイト-81██の方に出張だ、仕事内容は知らん、死んでも文句は言うな、以上」

 

空井「死ぬ前提なんですか・・・?」

 

黒崎「当たり前だろ、いくら新米だから危険な仕事には繰り出されないとはいえ、常に警戒しとけ、じゃ、俺これから行くとこあるから・・・ちょっと食堂まで・・・」

 

空井「プリン頑張ってくださいね」

 

黒崎「うるせえ」

 

 

 

 

 

空井「・・・なんか思ってたのと違うけど、まあいっか、それじゃ、失礼します、サイト-81██からきました、空井で・・・」

 

女の人A「よし、麻木、準備は済んだか?今からあいつに報復を行うぞ、大丈夫、事件に見せかけて殺せば私たちは疑われない」

 

麻木「流石月光さんです!一生ついていきます!」

 

月光「はっはっは!そうだろうそうだろう、私に任せればketerクラスのSCPだってお茶の子さいさ空井「失礼しました、サイト間違えました」バタン

 

空井「全く、僕も成長してないなあ・・・まさか最初の頃と同じミスを繰り返すなんて、全く、さて、サイト-81██はどこだろうなあ・・・あ、ここだわ、僕が成長してないの現実を受け止めることだわ」

ガチャ

月光「いやあ、すまんすまん、まさかあのタイミングで来られるとは思ってなくてな、ま、入れ入れ」

 

空井「なんか怪しい液体をたくさん用意してる部屋に入れとよく言えますね・・・」

 

月光「ああ、大丈夫、これこの部屋のデフォだから」

 

空井「それはそれでまずいと思うんですけど何が大丈夫なんですか?・・・」

どうしよう、この部屋からあのサイトと同じ匂いがする、逃げたほうがいいかな?

 

月光「ああ、逃げようとは思わないことだ、最悪麻酔銃使うことになる」

 

空井「逃げ道なんて最初からなかった・・・」

 

月光「さて、では、ようこそ、サイト-81██へ、あそことは違って安心できるだろう、くつろいでいってくれたまえ」

 

空井「全然違うように見えないんですが・・・」

 

麻木「私は月光さんがいるところならどこでも安心できます!」

 

月光「はっはっは!そうだろうそうだろう!!、おっと、話が脱線してしまったな、私は月光 揚羽(げっこう あげは)、このサイトの研究員だ」

そう、目の前の女性、月光揚羽さんは自己紹介した、見た目は、白衣を着た黒髪ロングの人だ、黙ってれば美人、黙ってれば

 

麻木「私は麻木 静葉(あさぎ しずは)です、今年財団に所属することになった新米エージェントです、よろしくお願いします」

 

空井「僕は空井圭一です、よろしくお願いします、僕も今年入った新米の研究員です」

 

麻木「じゃあ同期なんですか!、私同期の人に会うの初めてなんですよ!!」

 

空井「は、はあ・・・僕も同期の人に会うのは初めてですね・・・」

 

麻木「ですよね!やっぱりこれって財団に入れる人って月光さんみたいな選ばれた人ってことで少ないんですかね!」

 

空井「さ、さあ?・・・」

 

月光「はいはい、世間話はそこまでにして、仕事内容をいう、今回の仕事内容は、SCP-899-JP、SCP-838-JP、SCP-99.99-JP-Jについての勉強会だ」

 

空井「べ、勉強会ですか?・・・」

 

月光「そう、現在この日本で収容されているSCPは約1000体、そのうちの三体をお前らに教える、これはSCPによく触れようという私の独断のことだ」

 

空井「え、独断なんですか?」

 

麻木「流石月光さんです!自分の独断で私たちみたいな新米に教えを説いてくれるなんて!」

 

空井「え、それなら別に出張という名目にしなくてもよかったんじゃ・・・」

 

月光「黒崎のやつに文句言おうと思って・・・」

 

空井「ダメだこの人!見た目以外結構ポンコツだ!!」

 

麻木「月光さんがポンコツとはなんという言い草ですか!ドジっ娘と言いなさい!」

 

空井「それ結局同じじゃないですか!」

 

麻木「ええ、それが何か?」

その瞬間、空井は悟った

 

空井「(ああ、ここも隔離施設か・・・)」

 

月光「ま、そこらへんにして、最初のSCP、行くぞ」

 

SCP-899-JP たっくん

オブジェクトクラス: Euclid

 

特別収容プロトコル: SCP-899-JPは収容エリア-8116のSCP-899-JP収容室に収容されています。収容エリア-8116にはSCP-899-JP以外の人型生物オブジェクトは収容されません。SCP-899-JP収容室に隣接した待機室には、8名以上のDクラスを常駐させ、その全てをSCP-899-JP-2の“友達”にしてください。SCP-899-JP-2を構成している肉体の元の人物を知っているDクラスが、SCP-899-JP任務に就く事がないよう調整が行われます。SCP-899-JP-2の胴体部は常に維持されなければなりません。SCP-899-JP-1から要望があった場合、レベル3以上のクリアランスを持つ職員の許可があるならば、待機室からDクラスを必要な数だけ収容室に投入する事が許されます。SCP-899-JP-2の部位交換が行われた後は、待機室のDクラスには記憶処理を施すか、人員を新しく入れ替えてください。

 

説明: SCP-899-JPはSCP-899-JP-1及びSCP-899-JP-2の二つのオブジェクトです。

 

SCP-899-JP-1は7~8歳に見える、Mary F████(メアリー・フ███)と名乗るコーカソイドの女性です。唇及び、虹彩、強膜が黒色を呈しています。それ以外の身体的特徴に通常の人間との差異は見られませんが、異常な身体能力を発揮する事が確認されています。解剖学的な差異は調査が不十分な為不明です。加齢や成長の兆候を一切見せない為、見た目以上の期間を生きていると見られています。SCP-899-JP-1は自身の事を「メリーメリーさん」と呼ばれる事を好み、この呼称はSCP-899-JP-1との円滑な会話を求める場合、ある程度の効果を発揮します。イギリス訛りの英語と標準的な日本語を主に使用します。

 

SCP-899-JP-2は人間の頭部、胴体、右腕、左腕、右脚、左脚の六つで構成されており、それぞれが癒合し一つの人体を形成しています。SCP-899-JP-2を構成する六つの部位はその全てが異なる人物の肉体です。全ての部位は生体反応を示しません。頭部の両目は常に閉じられていますが、虹彩、瞳孔、強膜が白色である事が確認されています。

 

SCP-899-JP-1は、その子供のような外見に相応しい振舞いを見せますが、それがSCP-899-JP-1の性質なのか、演技であるのかは判明していません。SCP-899-JP-1はSCP-899-JP-2を唯一の友としており、「たっくん」と呼称し非常に執着しています。SCP-899-JP-1は生きた人型生物に出会うと、SCP-899-JP-2の“友達”になるか訊ねます。この質問に肯定の意思を示した人物に対しては友好的に接します。逆に否定した人物に対しては興味を無くすか、怒りを示します。SCP-899-JP-1が友好を示した人物であっても、SCP-899-JP-2への侮蔑や敵対するとみられる行為をする人物には攻撃的になります。この時のSCP-899-JP-1は、攻撃対象に[編集済み]。これらの行為に対しては、財団の強化防護装備で肉体の損壊を防げる事が判明しています。しかし振り回された場合の急激な運動方向の変化や、遠心力の影響から装着者を完全に守る事はできず、強化防護装備の今後の課題として取り上げられています。装備の耐久実験と称して、SCP-899-JPに対して侮蔑的行為を行う事は禁止されています。先の振舞いとは反対に、SCP-899-JP-1は自身に対する侮蔑や敵意に対しては意を介さない事が多いです。SCP-899-JP-1は相対した人物の名前を知っているように見えますが、どのようにして相手の名前を取得しているのか、名前以外にも情報を得ているのかは不明です。

 

SCP-899-JP-1は食事を摂らずとも生存可能なようですが、SCP-899-JP-1の希望により、他人型オブジェクトと同様の食事が配給されています。SCP-899-JP-1は配給された食事を自身で食べるか、SCP-899-JP-2の口に含ませるような行動を取ります。この行動がおままごとの一環なのか、SCP-899-JP-2にとって必要な行動なのかは不明です。

 

SCP-899-JP-2の肉体は腐敗しませんが、四肢のいずれかが時間と共に先端から黒色に変化していきます。黒色に変化した部分は乾燥しており、非常に脆くなる為少しの衝撃で崩壊します。SCP-899-JP-1はこの過程を「たっくんの体が腐っている」と表現しています。研究者の間ではこの現象を“腐蝕”と呼称しています。SCP-899-JP-2を凍結する事による腐蝕の阻止は失敗し、防腐処理等も効果を発揮しませんでした。

 

SCP-899-JP-2の肉体にこの腐蝕が発生するか、SCP-899-JP-2の肉体が大きな損傷を被ると、SCP-899-JP-1は“SCP-899-JP-2の友達”に対して、SCP-899-JP-2の“該当部位”と“友達の同じ部位”を交換してくれるように頼みます。“友達”がこの要求を拒否すると、SCP-899-JP-1は「SCP-899-JP-2を助けてくれないなら友達ではない」と怒りを示し、元“友達”に対して攻撃的になります。

 

SCP-899-JP-1の要求を承諾した場合、未知の手段でSCP-899-JP-2の“該当部位”と“友達の同じ部位”が転移します。この置換に痛みは伴わないようですが、それは転移時のみで、部位の転移後に“友達”は正常な身体を喪失した事による苦痛を訴えます。SCP-899-JP-2に転移した“友達”の部位は、SCP-899-JP-2と癒合します。SCP-899-JP-2の“腐蝕部位”が転移した“友達”に対しても同様の組織の癒合が見られますが、置換した部位を動かす事はできず、神経の異常な癒着の為に激痛を感じます。腐蝕の進行は部位が転移すると同時に停止します。

 

SCP-899-JP-2に部位の置換が完了すると、その部位における腐蝕現象は最低でも2時間5は起こらない事が確認されています。しかし四肢が喪失した胴体部を放置した場合は、新たに胴体を置換させたとしても、四肢の最低休止期間よりも短い時間で腐蝕現象が起こるのではないかとの予測が立てられています。

 

SCP-899-JP-1が同一人物に対して、二つ以上の部位を要求した事例はありません。SCP-899-JPに消費される人的資源削減の為、SCP-899-JP-1との接触を、過去に要求を承諾し既に置換を完了させた“友達”のみに限定させる実験が行われましたが、SCP-899-JP-2の四肢が全て喪失する直前で実験は中止されました。

 

SCP-899-JP-2の四肢の腐蝕は一つずつ進行して行き、二つ以上の部位で同時に腐蝕が進行する事はありません。四肢の腐蝕する順番は決まっていないように見えます。四肢が置換された順番、元の持ち主の年齢等から規則性を見出す試みは失敗に終わりました。しかし四肢のいずれかが損傷を受けた場合、損傷の最も激しい部位から腐蝕が始まる傾向にあります。

 

胴体部の腐蝕は、SCP-899-JP-2の四肢の全てが喪失してから始まるものと思われます。四肢の一つが完全な状態から全て腐蝕するには最短でも1週間の時間を要しますが、胴体部の腐蝕は非常に速く進行し、腐蝕開始から24分で胴体部全てが腐蝕した記録が残されています。

 

SCP-899-JP-2が頭部のみになった場合、首の切断面と接触している素材は黒色に変化し、更にその影響が拡がっていきます。黒色に変化した物質は粘度の高い流動体となり、不明な力によって動き始めます。強い腐臭のような悪臭を放つこの流動体は、調査の結果、有機体に対する強い腐蝕性を持つ事が判明しました。しかしながら、事件記録2070530では無機物に対しても高い腐蝕性を示しているように見える映像が記録されており、更なる調査については承認待ちとなっています。SCP-899-JP-2の頭部で腐蝕が発生した記録は一度も無く、またDNAを採取する等の頭部を破壊する試みは全て失敗しています。

 

SCP-899-JP-2の四肢が全て喪失し、胴体部の腐蝕が始まると、SCP-899-JP-1は周囲の人型生物(以下対象)を自身に向けて未知の力で引き寄せます。この引き寄せる力は時間と共に強まり、壁等で対象がSCP-899-JP-1に到達できない場合、対象は圧壊し死亡します。この圧壊は対象全員に一律に齎される訳ではなく、SCP-899-JP-1に近い対象から引力が圧壊レベルまで強まるようです。SCP-899-JP-1に認識された対象がSCP-899-JP-1の半径5m以内に居る場合、“引力”の影響は消失します。条件を満たさない対象は引力の影響を受け続け、耐え切れずに圧壊します。この影響はSCP-899-JP-2の状態が五体満足になるまで続きます。五体満足の状態に近付くごとに影響は弱まる事が確認されています。SCP-899-JP-2の身体喪失状態を放置し続けた場合、SCP-899-JP-1の影響範囲がどこまで拡がり、どの程度まで強くなるのかは不明ですが、事件2070530時に█████m離れた対象にも影響を及ぼしていた可能性が示唆されています。

 

月光「はい、ではこのSCPを簡潔に述べよ!」

 

麻木「え、ええと・・・」

 

空井「SCP-899-JP-1は、驚異的な身体能力を持っている子供っぽい実体で、SCP-899-JP-2は違う人間の部位で構成され、徐々に体が腐っていき、放っておくと腐食性がある粘度のある流動体を出す実体・・・でしょうか。ただ、なぜSCP-899-JP-1とSCP-899-JP-2の名前はそれぞれ違う国みたいな感じの名前なのかはわかりませんけど・・・たっくんとか明らかに日本人名だし・・・」

 

月光「うむ、大体そんなものだろう、ちなみに強膜というのは目の白目と呼ばれる部分だな、だからSCP-899-JP-1の眼球は黒一色だそして、日本語についてもいくつかの方言の知識を有しているらしい」

 

空井「ちなみにこれって、人型生物ってこれ、どういう基準で選んでるんですかね・・・例えば着ぐるみ着てる人とか」

 

月光「うむ、流石あのサイトの人員なだけあるな、あのサイトは能力だけは優秀だからな・・・その質問に答えるとするなら主に人間の胴体と手足を持つ生物だな」

 

空井「なるほど・・・じゃあ着ぐるみとか着てたら人間として認識されないのかな?・・・」

 

月光「さあな、そこまでは実験されてないからわからん」

 

麻木「あわわわわ・・・私も何か・・・あ、そうだ、この強化防護装備ってどういうものなんですか?」

 

月光「うむ、これは全身を覆う防護服であらゆる外的要因から装着者を守る為に開発されたものだ、いつも危険なものと触れ合う財団職員にとって、必須の装備といっても過言ではないだろう」

 

麻木「なるほど!」

 

月光「あということは・・・そうだな、SCP-899-JP-2は最短二時間、今まででは最長百日間の間に腐蝕するな、さて、では次は、特別収容プロトコルにて、『SCP-899-JP-2を構成している肉体の元の人物を知っているDクラスが、SCP-899-JP任務に就く事がないよう調整が行われます。』この文章が追加されることになった映像記録を見ていこうか」

 

映像記録990201 — 日付1999/02/01

レベル3職員の許可の下、収容室内にSCP-899-JP-2と既に“友達”になっているD-899053が投入された。D-899053はSCP-899-JP-1とそれなりに良好な関係を持っていた。SCP-899-JP-1とD-899053はおままごとで遊んでいる。

 

≪SCP-899-JP収容室内の映像記録 — 日付1999/02/01≫

 

D-899053: ただいまメリー、たっくん。

 

SCP-899-JP-1: パパおかえりなさーい! たっくんもパパにおかえりしよ? [SCP-899-JP-2を持ちあげて胴体を揺らす] パパおかえりー。

 

D-899053: [引き攣った笑い] やっぱこれは慣れねえな。(小声)

 

SCP-899-JP-1: 今何か言った?

 

D-899053: いや、えっと、何でもないよメリー。仕事の愚痴がぽろっと出ちゃっただけで。メリーに聞かせるもんでもないや。

 

SCP-899-JP-1: お仕事大変なのねー。[SCP-899-JP-2の右腕を振る] パパがんばれー。 [SCP-899-JP-2の右腕を振り続けながら] たっくんがパパの事応援してるみたいよ!

 

D-899053: お、おう……。応援されたなら、パパ頑張んないとなー、ははは。

 

SCP-899-JP-1: あっ。

 

D-899053: 何だ? どうかしたのか?

 

SCP-899-JP-1: 大変、たっくんが右手が苦しいって言ってるの。

 

D-899053: なんだって、そりゃ大変だ。急いでお医者さんに見せないと。

 

SCP-899-JP-1: ううん、おままごとじゃなくってね、本当にたっくんが右手が痛いって言ってるの。ね、みっちゃん! みっちゃんはたっくんのお友達だよね?

 

D-899053: ん? ああ、勿論。

 

SCP-899-JP-1: そうよね! お友達よね! じゃあねじゃあね、みっちゃんの右手をたっくんの右手と交換して欲しいの!

 

D-899053: えっ、交換って……そりゃあ、無理だよ。

 

SCP-899-JP-1: 無理? どうして? お友達でしょう? お友達なのに、たっくんを助けてくれないの?

 

D-899053: 友達だからって、そう簡単に右手なんて差し出せる訳はないし、第一交換なんてできないだろ?

 

SCP-899-JP-1: 交換なら私がしてあげるよ? 大丈夫、一瞬で終わるから。

 

D-899053: そんな一瞬で終わるって……おい、なんだそれ。その、そいつの左腕に、なんでその刺青があるんだ? そいつは…… 広ひろし の刺青じゃないのか? (この時のSCP-899-JP-2の左腕はD-899052の物。D-899052とD-899053は強盗殺人の仲間だった)

 

SCP-899-JP-1: たっくんの左手? これはね、ひろくんのだよ? 昨日たっくんの左手の具合が悪くなっちゃったから、交換してもらったの。かっこいいでしょ!

 

D-899053: ……は?

 

SCP-899-JP-1: ひろくんはお友達だから、ちゃんと左手を交換してくれたよ? みっちゃんも交換してくれるよね!

 

D-899053: おいおいこんなの聞いてねえぞ。出せ! ここから出せ! 俺をここから出しやがれ!

 

SCP-899-JP-1: 交換してくれないの?

 

D-899053: もう遊びは終わりだ!! 聞いてんのか!?

 

SCP-899-JP-1: お友達って言ったのに。たっくんの事は助けてくれないんだね。[立ち上がり、D-899053に近寄っていく]

 

D-899053: [SCP-899-JP-1に右手を掴まれる] おい! 何だ離せ! [SCP-899-JP-1を振り払おうとするが失敗する] な、なんだよこれ!? びくともしねえぞ!? [罵倒]! 何なんだよ! 俺の手はやらねえぞ!!

 

SCP-899-JP-1: いらないわよ。だってもうあなたはたっくんのお友達じゃないもの。

 

D-899053: じゃあこの手はなんだ[悲鳴]! やめ[悲鳴]!! やめてくれ! なあメリー! 俺達友達じゃなかったのかよぉ!?

 

SCP-899-JP-1: 何言ってるの? 私のお友達はたっくんだけよ?

 

≪記録終了≫

 

<D-899053はSCP-899-JP-1によって[編集済み]。D-899053を回収した後、新たなDクラスを投入し、SCP-899-JP-2の左腕の置換が行われた。>

 

1999/02/01: SCP-899-JP任務に割り当てられるDクラスは、SCP-899-JP-2を構成する肉体を知らない者から選ぶようにプロトコルが更新されました。

 

月光「こういうことだ、いくらDクラスとはいえ人間、知っているものの一部がこんなものと交換されてるとなれば、混乱するのは当然だろうからな・・・」

 

空井「想像したら・・・結構きついものがありますね・・・」

 

麻木「そうですね・・・私ももしこれが月光さんの一部だったりしたらちょっと・・・」

 

月光「っふ、私がそんなミスを起こすとでも?愚問だな」

 

麻木「そうでした・・・私としたことがなんてことを・・・ごめんなさい月光さん・・・」

 

月光「いやいい、ただそういうことはくれぐれも言わないように、流石私はともかく空井くんが怯えてしまうからな」

 

麻木「はい、月光さん!」

 

空井「(・・・月光さん足が震えてるなあ・・・、想像したら怖かったのか・・・)」

 

月光「さて、次は、とある事件記録を見ていこうか、少し長いが、そこらへんは勘弁しろ」

 

事件記録2070530

 

実験2070500 — 日付2007/05/██

SCP-899-JP-2が全て喪失した場合、どのような活動をするかの調査が開始された。SCP-899-JP-1及びSCP-899-JP-2への人間の接触を断ち、SCP-899-JP収容室にて封じ込めと観察が行われる。SCP-899-JP-2の右腕、左腕、右脚は喪失。現在は左脚が大腿部まで黒色に変化している。経過は観察中。

 

 

 

≪SCP-899-JP収容室内の映像記録 — 日付2007/05/30≫

 

SCP-899-JP-1: [SCP-899-JP-2を抱き抱え、すすり泣いている様子が映っている]

 

<SCP-899-JP-1は当初SCP-899-JP-2の“友達”を確保する為に、収容室からの脱出を図っていたが、この時のSCP-899-JP-1の活動はおとなしくなっていた。2007/05/30 14:23、SCP-899-JP-2の左脚が全て黒色に変化すると、続いてSCP-899-JP-2の胴体部の一部が黒色に変化し始めた。同時に、SCP-899-JP-1がすすり泣きをやめた事も確認された。SCP-899-JP-1が顔を上げる。>

 

SCP-899-JP-1: [絶叫]

 

<14:23>: SCP-899-JP-1が叫び始めると、SCP-899-JP収容室の隣の収容室内に存在した人型オブジェクトであるSCP-███-JPが、SCP-899-JP収容室側の壁に引き寄せられるような動きを見せた。SCP-███-JPは「何かに引き寄せられている」と訴えた。監視室はSCP-899-JP-1が何らかの力を行使していると判断。収容室内に麻酔ガスを注入し、更に警備隊をSCP-899-JP収容室へ送る事が決定した。

 

<14:24>: SCP-899-JP収容室内に麻酔ガスが注入される。

 

<14:25>: 人型収容区画を歩いていた霧崎博士から「何かに引っ張られる気がする」との報告が入る。霧崎博士が引っ張られると示す先にはSCP-899-JP収容室があった。同様の報告が他の職員や人型オブジェクトからも複数寄せられる。

 

<14:26>: 強化防護装備を装着した警備隊がSCP-899-JP収容室に到着。警備隊員も「何かに引っ張られる」との報告をした。SCP-899-JP-1に麻酔ガスが効いている様子は見られない。警備隊員6名がSCP-899-JP収容室内に突入する。岡崎警備隊長にはSCP-899-JPについての情報が伝えられ、岡崎警備隊長から他の警備隊員へも必要な情報が伝えられていた。

 

<SCP-899-JP収容室の扉が開かれた瞬間、SCP-899-JP-2を抱えたSCP-899-JP-1が外へ出ようと跳躍する。羽場警備員がSCP-899-JP-1に組み付く事で脱走を阻止し、SCP-899-JP-1と共に収容室内へと転がった。警備隊員6名が収容室内に突入後、外に待機する高橋警備員によって収容室の扉は閉められた。SCP-899-JP-1が羽場警備員を投げ飛ばし、視線を収容室の扉に移した。その時には扉は閉じられ、施錠済み。岡崎警備隊長が即座に対強筋力オブジェクト用の強化炭素繊維網をSCP-899-JP-1に射出し、対象の行動を封じ込める。この時、SCP-899-JP-1はSCP-899-JP-2を収容室内のベッドへと放り投げた。この行動はSCP-899-JP-2の保護が目的であると思われる。>

 

SCP-899-JP-1: [対象はしばらくもがいた後、警備隊に視線を移す] ……あなた達がたっくんのお友達になってくれるの?

 

岡崎警備隊長: こちら岡崎。収容室内に入ると共にオブジェクトの影響が消えたように感じられた。対象の動きは封じたが、外の様子はどうだ?

 

管制室: こちら管制室。オブジェクトが原因と思われる影響はSCP-899-JP収容室外では継続中です。オブジェクトの沈静化を要請します。

 

岡崎警備隊長: 了解した。[SCP-899-JP-1に向き直る] 現在この収容室に向けて、人型の生命体が引き寄せられる事案が発生している。お前がその元凶である可能性が非常に高い。即座にこの影響を止めろ。

 

SCP-899-JP-1: やぁだよ。だってお友達を探しに行けないんだもの。だからお友達になれそうな人を連れてこなくちゃいけないじゃない。[SCP-899-JP-2に顔を向ける] ほら、たっくん、私がたっくんのお友達を連れてきてあげたよ! [警備隊に顔を戻す] ね? そうでしょみんな! みんなはたっくんのお友 [岡崎警備隊長がSCP-899-JP-1に向けて鎮圧用ゴム弾を使用する]

 

岡崎警備隊長: 今すぐこの影響を止めろ!

 

SCP-899-JP-1: [ゴム弾の効果がある様子は見られない] 達になってくれるんだよねっ!? そのために来てくれたんでしょ? 今ね、たっくんはとっても苦しんでるの! 見て見て、たっくんはお手手も両足も無くなっちゃったの……。

 

岡崎警備隊長: 対象はこの影響の原因は自身にあると自白した。対象に影響停止の意思は無し。これよりオブジェクトの沈静化を図る。掛かれ!

 

<復帰した羽場警備員も含めた警備隊員6名がSCP-899-JP-1沈静化に乗り出す。SCP-899-JP-1は「SCP-899-JP-2の“友達”になって欲しい」という要望を述べるのみで抵抗する様子は見られない。SCP-899-JP-1を沈静化させる試みは全て失敗に終わる。この時も、『人型生命体がSCP-899-JP収容室に引き寄せられる』という影響は広がりを見せていた。>

 

SCP-899-JP-1: みんなたっくんのお友達になってくれないの?

 

岡崎警備隊長: こちら岡崎。対象の意識は未だ健在。沈静化の試みは効果が見られない。今後の指示を頼みたい。

 

管制室: こちら管制室。現在対策を練っています。追って指示があるまでオブジェクトの鎮静化を継続してください。

 

岡崎警備隊長: 了解した。なるべく早く頼む。

 

SCP-899-JP-1: みんなお友達じゃないんだね……。他のお友達になってくれそうな人を探すね。

 

<14:33>: SCP-899-JP-1の影響が強まりを見せる。複数の人型オブジェクトを含めた、サイト全域に影響が表れる。SCP-899-JP-1の半径20m圏内の影響が特に強い模様。SCP-899-JP収容室隣室のSCP-███-JP及び、外で待機していた警備隊員5名は、収容室の壁に張り付くようにして動けなくなる。

 

<14:34>: 外の状況が伝えられた内部の警備隊が、SCP-899-JP-1を沈静化させるための行動を激化させる。SCP-899-JP-1は警備隊員達を意に介さず、SCP-899-JP-2に一方的に話しかけている。

 

<14:35>: SCP-███-JP及び外部待機中の警備隊から体が潰れそうだとの呻き声が記録される。影響が継続する事による損失が考慮され、実験120500の中止とDクラスの投入が決定される。

 

<14:36>: 収容室内の警備隊にSCP-899-JP-1の要求を呑むよう指示。岡崎警備隊長はこの指示に異議を呈すも、宮谷警備員がSCP-899-JP-2の友人になる事を承諾する。しかし「あなた達はたっくんのお友達にならないんでしょ? 私は新しいお友達を探さなきゃいけないの」とSCP-899-JP-1が拒否。他警備隊員による承諾、説得も効果を見せず。

 

<14:38>: SCP-███-JPが壁に張り付くように 圧お し 潰つぶ れる。潰れたSCP-███-JPは影響を受けなくなったのか床に落ちる。時を同じくして、外部に待機していた細野警備員から影響の更なる強まりが報告される。他収容室に収容中の人型オブジェクトにも無視できない影響が出始める。

 

<14:42>: 細野警備員が強化防護服内で圧し潰れる。細野警備員は影響を受けなくなったのか床に落ちる。続いて隣に居た高橋警備員から「体が潰れる!!」という叫び声が記録される。

 

<14:43>: 警備員3名とDクラス5名が現場に到着。Dクラスに動揺が広がるも、オブジェクトの影響もあり収容室扉まで全員到達する。扉を開けDクラス5名を投入後、扉を閉め施錠する。高橋警備員を壁から引き離す試みは失敗する。

 

D-899701: 痛ってえな! 何なんだよ!

 

D-899672: 何で扉を閉めるんだ? 俺達に何させるつもりなんだ。

 

岡崎警備隊長: おい、お友達を連れてきたぞ! 今すぐ影響を止めろ!

 

SCP-899-JP-1: ほんと!? [SCP-899-JP-2に顔を向ける] よかったねたっくん! たっくんのお友達が来てくれたって!

 

岡崎警備隊長: [Dクラス達を向いて] お前達! この少女の要求を全て呑む事がお前達の仕事だ!

 

D-899595: は、はあ?

 

D-899701: どういう状況なんだ、こりゃあ?

 

D-899595: うおっ、なんだそいつ、眼が黒いぞ……。

 

SCP-899-JP-1 ねえねえ! そこのオレンジ色の服着た人達! あなた達、たっくんのお友達になってくれるんだよね!

 

D-899403: たっくんって、もしかしてあれの事? [SCP-899-JP-2を指さす。この時のSCP-899-JP-2の胴体は大部分が黒く変色していた]

 

D-899701: まさか……人間の体か?

 

D-899595: うええ。

 

SCP-899-JP-1: ちょっと! たっくんに失礼じゃない!? あなたなんてお友達じゃないわ!!

 

岡崎警備隊長: [天井に向けて発砲] 言った筈だ! お前達の仕事はこの少女の要求を全て呑む事だと!!

 

D-899701: わぁった! わぁったよ! なるなる友達でも何でもなってやるから機嫌直してくれよ嬢ちゃん!

 

D-899595: なっ、なる! 友達にしてくれ!

 

D-899534: お、俺もなります。

 

D-899403: さっきはごめんね~。私もたっくんのお友達になるわ。

 

D-899672: たっくんの友達になる。これで良いのか?

 

SCP-899-JP-1: わぁ! みんなありがとう! 本当にありがとう! それじゃあ早速たっくんを助けてあげて!

 

D-899403: 助けるって、どうやって?

 

SCP-899-JP-1: 今ね、たっくんの体が腐っちゃってるの。もう時間がないの! 早く新しいのと交換しないといけないの!! [強化炭素繊維網を外そうともがいている] もうこの網じゃーまー!!

 

D-899403: 新しいのと交換って……どういう事かしら?

 

D-899672: まさか俺達の体を……って訳じゃないだろうな?

 

D-899534: そっ、そんなまさか……。

 

SCP-899-JP-1:  [SCP-899-JP-1に焦りが見られる。顔はSCP-899-JP-2を向いている] 待って待って! もうすぐだからね! だめだめだめだめだめ!!

 

契約は為されず。<14:47>: SCP-899-JP-2の胴体部が全て黒色へと変化する。頭部が胴体部より分離し、転がった後にベッドの上で直立する。この時の頭部の動きは未知の力による移動のように見える。SCP-899-JP-1がSCP-899-JP-2に対して、何らかの行為を行わないでほしいという内容の発言を繰り返している。我は目覚める。

 

<14:48>: SCP-899-JP-2の目が見開かれ、虹彩、瞳孔、強膜は白色である事が確認された。SCP-899-JP-2の首との接地面を中心に、ベッドが黒色に変色し始める。黒色に変色した部分は、粘度の高い流動体に変性しているように見える。Dクラス達が腐臭がすると言って咳き込み始める。“引力”の影響が更なる強まりを見せ、現場から███m離れた管制室にまで強い影響が出始める。腐敗の王。

 

管制室: オブジェクト……を……拘束から……解放する事をっ……要請します!(警備隊の通信機に向けられたもの。警備隊員以外には聞こえていない)

 

岡崎警備隊長: それは……!

 

管制室: こちらにまで……無視できない影響が出ています……! 最悪の場合は……現場の判断に委ね……オブジェクトの終了も許可します……!

 

岡崎警備隊長: ……了解した。 [強化炭素繊維網からSCP-899-JP-1を解放する]

 

SCP-899-JP-1: あー! あーーーもう!! [強化炭素繊維網から出てくる。その後D-899534へと体を向けた] よしくん!!1

 

D-899534: おっ、俺か……?

 

もうやめろ。<黒色の流動体が盛り上がり、SCP-899-JP-2を上方へと押し上げている。黒色への変性はベッドから床へと範囲を広げているように見える。宮谷警備員がSCP-899-JP-2に向けて発砲しようとしたが、岡崎警備隊長が宮谷警備員の腕に手を置く事でそれを阻止する。代わりに岡崎警備隊長が、ベッドで流動する黒色物質にゴム弾を放り投げた。ゴム弾は黒色に変性し、流動体と一体化した。>メリーを開放しろ。

 

SCP-899-JP-1: [宮谷警備員がSCP-899-JP-2に拳銃を向けた際、SCP-899-JP-1は宮谷警備員へと顔を向けていた。宮谷警備員が銃口をSCP-899-JP-2から逸らすと、SCP-899-JP-1はD-899534へと向き直り、走り寄る] よしくんはたっくんの友達だから、たっくんを助けてくれるよね!?

 

D-899534: た、助けるって……何をさせるつもり……。 [D-899534には狼狽する様子が見られる]

 

SCP-899-JP-1: 見てわかるでしょ? 大変な事になってるでしょ! よしくんの体でたっくんを助けてって言ってるの!! [SCP-899-JP-1が感情を露わにしながら床を何度も踏みつける]

 

お前は無力。何も出来ぬ。<黒色の流動体はSCP-899-JP-2の頭部を天井付近まで押し上げている。押し上げている流動体の2箇所2が横に伸びる。伸びた流動体の内の一本が収容室の壁に触れると、接触部を中心に黒色の変化が広がり始める。>大人しく眠れ竜郎。

 

D-899534: 体って……だから俺に何させるつもりなんだよ!?

 

SCP-899-JP-1: 助けてくれるの!? くれないの!? どっちなの!? 時間が無いんだから早くして!!

 

岡崎警備隊長: [天井に向けて発砲し、D-899534に銃口を向ける] この少女の要求を呑めと言った筈だぞ!

 

D-899534: ひっ、わ、わかった助けるよ! 助けるけど説明くらいあったって──

 

SCP-899-JP-1: ありがと! [D-899534の服を捲くり、D-899534の腹部に手を当てる]

 

永い時があの子を変えてしまった。<SCP-899-JP-1がD-899534の腹部に触れると同時に、D-899534の胴体がSCP-899-JP-2へと転移、頭部と癒合する。D-899534の胴体があった空間には、SCP-899-JP-2を支えていたと見られる黒色の流動体が転移していた。SCP-899-JP-1は、胴体の置換が行われるや否やSCP-899-JP-2へ向けて跳躍した。SCP-899-JP-2を掴み取り、壁を蹴りながら流動体から離れた場所へと着地する。SCP-899-JP-1は自身の手を使って、SCP-899-JP-2の一部に付いている流動体を拭い取っているように見える。SCP-899-JP-1が流動体の影響を受けている様子は見られない。SCP-899-JP-2の両目は既に閉じられており、流動体と接触していた胴体部の一部は有機的に腐敗しているように見える。D-899534は崩れ落ち、流動体と接触した部分の肉体は腐敗している。SCP-899-JP-2の腕のように伸びていた流動体は床へ落下し、SCP-899-JP-2を支えていた部分はゆっくりと沈み込んでいる3。Dクラス達の悲鳴が記録される。この時から“引力”の影響が弱まるも、影響は完全には消失していない。>契約は為された。しばし眠ろう。

 

SCP-899-JP-1: あとは手足だね……。 [SCP-899-JP-1がD-899701に振り向く] ねえゆうくん4。ゆうくんはたっくんのお友達だから、右手をくれるよね? たっくんは右手が無くてかわいそうでしょ?

 

D-899701: ふっ……ふっざけんな!! [D-899701がSCP-899-JP-1の頭を掴み、壁に何度も叩き付ける]

 

SCP-899-JP-1: ゆうくんはたっくんに右手をくれないの? [D-899701の腕を掴み、自身の頭からD-899701の腕を引き離す]

 

D-899701: 何だよこの力……! [SCP-899-JP-1の腹部を複数回蹴るが、効果がある様子はない] おい! おいあんた達! 銃持ってんだろ! こいつを撃てよ!!

 

<岡崎警備隊長が首を横に振り、拳銃をD-899701に向け、SCP-899-JP-1の要求に応じるよう促す。>

 

D-899701: おい銃を向ける相手が違うだろうがよ!! どういう事だよ!!

 

SCP-899-JP-1: ゆうくん。ゆうくんがたっくんのお友達になるって言ったのは、嘘だったの? [D-899701の腕を掴む力を強めているように見える]

 

D-899701: いだだだだだ! [罵倒]っ! やめろよ! このっ! [SCP-899-JP-1の手を振り解こうと試みるが失敗に終わる] [悲鳴]待て待てわかったわかったくれてやるよ!! だけど右手だけだぞ!? 体まで取られるなんてまっぴ──

 

SCP-899-JP-1: ありがとう!

 

<SCP-899-JP-1が掴んでいたD-899701の右腕が消失し、SCP-899-JP-2の右腕部分に転移。SCP-899-JP-2と癒合する。D-899701は右腕だけでなく、右肩周辺の肉体の一部も消失していた。この消失部分は、SCP-899-JP-2の右肩周辺の、流動体との接触によって腐敗していた部分と一致。消失部分は右腕と共にSCP-899-JP-2へと転移している事が確認された。宮谷警備員がD-899701の応急処置に当たる。>

 

SCP-899-JP-1: [D-899403を見る] ねえ、あきちゃん5はたっくんに左手をあげてもらえない? たっくんのお友達なら、左手をくれるよね?

 

D-899403: 何よこれ……何なのよこれ!! [D-899403は収容室の扉を開けようとするが失敗する。何度も扉を叩く様子が記録される]

 

SCP-899-JP-1: あきちゃん? [D-899403に近付いていく]

 

D-899403: 嫌……嫌……! 来ないで! 来ないでよ!! [D-899403はSCP-899-JP-1を突き飛ばそうとするが、その手をSCP-899-JP-1に掴まれる]

 

SCP-899-JP-1: あきちゃんはたっくんに左手をくれないの?

 

D-899403: [SCP-899-JP-1の腕を振り解こうとするが、SCP-899-JP-1はびくともしない] 嫌……やめて……お願いだから……。 [泣き声] この契約が終わったら私は帰るのよ! あの人から貰った指輪をまた嵌めるんだから……!

 

SCP-899-JP-1: あきちゃんはたっくんに左手をくれないの?

 

D-899403: ごめんなさい……ごめんなさい……左手だけはやめて……許して……。

 

SCP-899-JP-1: たっくんのお友達になってくれるって言ったのに! 嘘つき!!

 

<SCP-899-JP-1はD-899403を [編集済み]。>

 

SCP-899-JP-1: [D-899403の残った肉体を踏み潰している] 嘘つき! 嘘つき! 嘘つき! 嘘つき! [SCP-899-JP-1は落ち着いたのか、D-899672の方へと振り返る] てっちゃん6。てっちゃんはたっくんのお友達だよね? お友達なんだから、たっくんに左手をくれるよね?

 

D-899672: [舌打ち] 心臓に近い左腕かよ……。あー、左脚じゃ駄目か?

 

SCP-899-JP-1: てっちゃんも嘘つきさんなの? [D-899672に近付いて行く]

 

D-899672: 勘違いするなちょっと訊いてみただけだ! 殺されるくらいなら左手くらいくれてやるよ[罵倒]!

 

SCP-899-JP-1: 良かったあ! てっちゃんありがとう!

 

<SCP-899-JP-1がD-899672の左手に触れると、D-899672の左腕及び左肩周辺の一部がSCP-899-JP-2に転移した。羽場警備員がD-899672の応急処置に当たる。>

 

SCP-899-JP-1: たっくんの両手が戻ったね。良かったね。両足はもう少しだけ待っててね。絶対用意してみせるから。 [SCP-899-JP-1が部屋の隅で 蹲うずくま っているD-899595へ近付いて行く]

 

D-899595: [悲鳴] やっ……やめろよぉ……こっちに来るなよぉ……! 何だよ! 俺の右脚が欲しいのか!? それとも左脚か!? もっ、もう好きにしろよ!! [D-899595は頭を抱えている]

 

SCP-899-JP-1: ……? 何を言っているの? あなたはたっくんを見て「うええ」って言ったじゃない。そんな人はたっくんのお友達じゃないわ。

 

D-899595: な、なんだ……じゃあ、俺には用はない筈……だよな? な、なんで俺に近付いてくるんだ?

 

SCP-899-JP-1: たっくんに失礼な事をしたでしょう?

 

D-899595: え? あ、ああ……謝るよ。ごめん、悪かった。許してくれ。……やめろ、俺に近付くな。俺に近付くなあああああ!! [SCP-899-JP-1を突き飛ばそうとしたが、D-899595は逆にその腕を掴まれる] やめろ! 離せ! [罵倒]! 悪かったよ! 離してくれ! 痛い痛い痛い! 悪かったってば! ごめんなさい!! すいませんでした!! やめてください!! 脚でも何でもあげるから助けて[叫び声]

 

<この後、復旧した管制室が用意した追加のDクラスが一名ずつ投入され、SCP-899-JP-2は五体を取り戻しました。SCP-899-JP-2の五体が揃った瞬間から、SCP-899-JP-1の影響は終息しました。この事件によって5名の財団職員と3体のオブジェクト、3名のDクラスが失われました。>

 

事件後、SCP-899-JP収容室のベッドがあった床には下階にまで続く大きな穴が空いており、粘性の黒色流動体が下へと垂れ落ちている事が確認されました。該当箇所は、床の素材が流動体へと変化したために穴が空いたものと見られています。流動体は酷い悪臭を放ち、有機体に対して強い腐蝕性を示しました。研究の為、流動体は全て回収されました。

 

SCP-899-JP-1及びSCP-899-JP-2は臨時の収容室へと再収容され、他人型オブジェクトへの影響を防止する為にエリア-8116への移送が決定されました。

 

収容違反の危険性と広範に渡る人間への影響から、SCP-899-JP-2は五体満足の状態が維持されるよう特別収容プロトコルは改定され、SCP-899-JP-2の身体を故意に喪失させる実験はO5の承認が必要となりました。

 

空井「なんという大惨事・・・」

 

月光「さて・・・最後に、たっくんと呼ばれる、この実体、こいつは、最初はどんなものだったと思う?メリーと呼ばれることを望むこの実体は、最初はどんなものだったと思う?」

 

麻木「え?どんなものって・・・最初からこんなんじゃなかったんじゃないですか?・・・」

 

月光「本当にそうか?本当はたっくんと呼ばれるこいつは、最初は普通の人間だったんじゃないか?最初は、普通の、メリーの友達だったんじゃないのか?・・・その答えの一部が・・・これだ」

 

映像記録2070531 — 日付2007/05/31

≪映像記録2070531 — 日付2007/05/31≫

 

<01:59>

SCP-899-JP-1はSCP-899-JP-2を抱き抱えて眠っている。

 

<02:00>

SCP-899-JP-1が苦しげに呻きだす。

パパもママもどこにいったの?

<02:08>

SCP-899-JP-1: [泣き声]

どこにつれていかれるの?

<02:13>

SCP-899-JP-1: やだ……やだよ……たっくん死なないで……。

たっくんがわたしをたすけてくれた。そのせいでたっくんのなかにわるいやつがはいりこんじゃった。

<02:16>

SCP-899-JP-1: [泣き声]

だそうとしたけどだめだった。わるいやつはあばれてる。こんどはわたしがたっくんをたすけるばん。

<02:22>

SCP-899-JP-1: はい……はい……わかりました……誓います……。

どれだけかかっても、ぜったいにたっくんをたすけてみせる。だってわたしたちはともだちだもん。

≪記録終了≫

 

眠りから覚めたSCP-899-JP-1はいつも通りの振る舞いを示しました。SCP-899-JP-1にこの記録についてインタビューを行いましたが、有益な情報を得る事はできませんでした。

 

空井「・・・」

 

麻木「・・・」

 

月光「・・・一体、たっくんの中に何が入り込んで、一体、彼女は・・・何に誓ったのかな?・・・こんなところで、SCP-899-JPは終わり、次行くぞ」

 

SCP-838-JP 都会の波

オブジェクトクラス: Euclid

 

特別収容プロトコル: SCP-838-JPの出現地域は都市部であり、世界的に有名な観光名所が存在する為、封鎖は不可能と結論付けられています。SCP-838-JPの出現地域は機動部隊み-2"もぐら叩き"が巡回し、SCP-838-JPの顕現を未然に防ぎます。SCP-838-JPの目撃者には記憶処理を行い解放してください。SCP-838-JPの存在を証明する又は示唆する情報には徹底した隠蔽工作を行ってください。

 

説明: SCP-838-JPは[編集済み]の市内全域に出現するSCP-838-JP-A~Eの総称です。SCP-838-JP-A~Eの外観を含む特筆的特徴は以下の通りです。

 

SCP-838-JP-A 車両用信号機 。矢印ランプが追加されている個体も確認されている。

SCP-838-JP-B 歩行者用信号。押しボタン稼働式の個体も確認されている。

SCP-838-JP-C 郵便ポスト。郵便物がSCP-838-JP-Cに入れられたケースは確認されていない。

SCP-838-JP-D 街灯。

SCP-838-JP-E 道路標識。

SCP-838-JP-A,B,Dは稼働に必要な電力供給がされていないにも関わらず正常に稼働します。SCP-838-JP-A,-Bの各ランプの点灯時間,SCP-838-JP-Dの点灯時間,SCP-838-JP-Eの内容はすべて個体差があります。詳細な情報は付録資料838-1に記載されています。

 

SCP-838-JPは出現範囲内の地面に前兆無く出現します。SCP-838-JPの出現は土やコンクリートといった地面の種類、人通りの多さや発生地点の交通的な役割などに関係無く起こります。出現時のSCP-838-JPは地面に垂直で、全長1mm程度の大きさです。SCP-838-JPは約10分の時間を掛けて模倣対象と同程度の大きさまで成長し、公的に利用されている各物体と見分けの付かない状態になります。また、SCP-838-JPは周囲の物体や景観の経年劣化具合を模倣する特性も示しています。SCP-838-JPの発生頻度は判明していませんが、少なくとも市内で一日に10個以上のSCP-838-JPが発生していると推定されています。

 

SCP-838-JPを肉眼で見ている人物がSCP-838-JPに対して一定を超える不信感を抱いた際、SCP-838-JPは一瞬で消失します。SCP-838-JPが人間の感情をどう読み取っているのか、またどの程度の不信感でSCP-838-JPが消失するのかは判明していません。しかし参考として、財団職員がSCP-838-JPを視界に捉えてから1秒以上SCP-838-JPが存在し続けた例はありません。そのため、SCP-838-JPの組成や詳細な出現~成長プロセスの究明は絶望視されています。SCP-838-JP-Aに触れた事が記録に残っている人物へのインタビューは「ただの信号機だった」という供述以上に有益な情報は得られませんでした。

 

SCP-838-JPはその異常性から市内で発生した多数の通報に反して実体が確認されない状態が続き、幻覚現象として調査が進められていました。ですが調査の過程でSCP-838-JP-Bの成長過程を含む映像記録が発見され、実体オブジェクトと認定されました。現在ではSCP-838-JP-A~Eまでの5種類が確認されています。

 

空井「わあ心が休まるぅ・・・」

 

月光「いかん、空井が壊れた、しょうがない・・・このSCPは簡単に言うと、邪魔だ、おかしいな?と感じられると、消えてしまう、信号機やらなんやらだな」

 

麻木「不信感を抱くとって、書いてはありますけど・・・邪魔だっていうのは・・・?」

 

月光「それは、追記に書いてあるからついでに補遺と一緒に読んでいこうか」

 

追記: SCP-838-JPが財団に発見されるより以前の19██年に、市内でメモ用紙が回収されていました。メモの内容は情報不足で一種の怪文書とされていましたが、SCP-838-JPに関連しているとの指摘が挙がりました。

指摘は十分に有効であるとされ、メモの内容が添付されています。

 

お元気ですか? こちらは楽しくやっています。

うちの愉快な仲間を送りました、届いていると良いな。

そのうち地面から生えて、頑張ってくれるはずです。

余計なお世話だったらすいません。それだけが不安です。

ジャマだと思ってくれたら、それだけで消えてくれますので…

 

              酩酊街より 愛を込めて

 

補遺: 上記のメモの発見時期を鑑みて、機動部隊が19██年版の土木業務用地図を参照しながら市内を巡回しました。その結果、██体のSCP-838-JPの消失を確認しました。これはSCP-838-JPが19██年時点で既に市内に蔓延していたという説への有力な裏付けになります。SCP-838-JPの消失に伴った市民の混乱は情報工作を以て概ね抑圧されましたが、その広範性から現在も情報工作及び情報監視が続けられています。

 

麻木「酩酊街ですか?・・・」

 

月光「酩酊街っていうのは、要注意団体にはなってないが、何らかのSCPと関わりがあるであろうと考えられている団体の一つだな、ほかにもこいつらはSCP-823-JPというSCPにも関係があるな、さて、こんなもんにして、次にしよう」

 

麻木「ほえ、もうですか?」

 

月光「ああ、ぶっちゃけこのSCPはこれで終わりだから、説明するところがあんまりない」

 

麻木「は、はあ・・・」

 

空井「・・・っは、一体僕は何を・・・」

 

月光「さて、空井くんも起きたところで、最後のSCPと行こうか・・・トリを飾るSCPは・・・こいつだ」

 

SCP-99.99-JP-J 不幸の言葉

オブジェクトクラス: Keter

 

特別収容プロトコル: SCP-99.99-JP-Jの特性上、完全な収容は不可能です。複数の情報媒体に、既知のSCP-99.99-JP-Jの発生を防ぐミーム的対抗措置"クラッシャー"が施されています。

 

Dクラス職員を含む全ての職員はSCP-99.99-JP-Jの発生を防ぐため雇用直後に1回、さらに定期的な心理学的検査及び教習が義務付けられています。これとは別に各部署において個別の教習も行われます。これらを踏まえ毎月行われる試験で不適合であると判断された職員は一時的に全ての任を解かれ、1か月間の99.99特別教習が行われます。

 

財団職員にはSCP-99.99-JP-J-Bが配布されます。またSCP-99.99-JP-J-2の使用に制限があります。SCP-99.99-JP-J-2と具体的な制限内容のリストは文書99.99-2を参照してください。

 

説明: SCP-99.99-JP-Jは特定の条件下でミーム的影響力を持つ現実改変を引き起こす言葉です。現在までに███種が見つかっていますが、未知のSCP-99.99-JP-Jが███種以上存在し、また新たな種類も多数発生しているものと思われます。

 

SCP-99.99-JP-Jの殆どはありふれた単語の羅列であり、その多くは条件を満たさなければ異常な特性を示しません。現在も活性化の条件に関する研究が進められていますが未だ全てを把握できてはいません。その理由として、条件はそれぞれのSCP-99.99-JP-Jに対して個別に存在し、また極めて限定的であるという事が挙げられます。一例をあげると、年齢██~██歳、身長███.█~███.█cm、体重██.█~███.█kg、警察官または警備員であるアフリカ系アメリカ人の男性が23時以降にライトによって物陰を照らし、その後「██████、██████████。1」と言った場合のみこの言葉はSCP-99.99-JP-Jとなり、その特性を示します。

 

SCP-99.99-JP-Jの異常性はその非常に強力な現実改変能力にあります。SCP-99.99-JP-Jが発せられることで、発した人物またはその関係者(以降被験者とします。)が現在直面している事態2が劇的に深刻化します。被験者がそのような事態に遭遇していない場合、██時間以内に極めて危険な事件、事故に見舞われます。結果として被験者の90%以上が発現後██日以内に死亡しています。SCP-99.99-JP-Jの効果によると確認された影響の大きい事例ではサイト-██、██、██の壊滅的な破壊とそれに伴う多数のSCPの収容違反、█千人を超える死者、████████市の消滅、[削除済み]の発生等が起こっています。

 

SCP-99.99-JP-JのK-クラスシナリオさえも誘発しうる危険な性質から、特に財団職員に対して厳重な対策がとられています。それにもかかわらずSCP-99.99-JP-Jは財団職員による発現が最も多いという事が判明しています。3

 

19██/09/16: SCP-99.99-JP-Jと同様の現象を引き起こす物体、SCP-99.99-JP-J-2が発見されました。この発見に伴い、財団の食器、靴紐、写真立てに関する規定が大幅に改訂されました。

 

19██/06/11: 機動部隊隊員のプロポーズ及び婚約の事前報告が義務付けられました。最低でも1か月以上前に報告し、いかなる状況であってもそれらを行う直前での作戦への参加は許可されません。

 

要レベル4クリアランス

19██/03/30: 機動部隊隊員に対しての"やってない。"というミーム植え付け処理の義務化がO-5全員の認可の元、決定されました。

 

19██/07/04: 研究によりSCP-99.99-JP-Jの影響に対し生まれつき高い抵抗力を持つ人間の存在が確認されました。この発見から素養を持った職員によって構成される機動部隊あ-2("ストリンギーガム")、か-9("立石寺")が結成されました。

 

連中と作戦行動を共にした部隊から何度も要請が来てるのだが、"やかましい"という理由では部隊は解体できない。…まあ、気持ちはわからんでもないよ。-人事部職員████

 

要レベル4クリアランス

19██/01/05: 機動部隊隊員に対しての"物陰に隠れているのは猫ではない。"というミーム植え付け処理の義務化がO-5全員の認可の元、決定されました。

要レベル4クリアランス

19██/01/06: 機動部隊隊員に対しての"物陰に隠れているのは犬でもない。"というミーム植え付け処理の義務化がO-5全員の認可の元、決定されました。

要レベル4クリアランス

19██/01/07: 機動部隊隊員に対しての"ネズミでも猿でもカンガルーでもアイポッドでも[削除済]でもとにかく危険な物が隠れている。"というミーム植え付け処理の義務化がO-5全員の認可の元、決定されました。

 

19██/02/02: エージェント・████████がSCP-99.99-JP-Jを発した事で収容違反が起こり、SCP-███、SCP-███、SCP-███に包囲されるという事件が起こりました。いずれも人間に対して敵対的な性質を持つ存在であり、エージェント一人では本来対処不可能な状況です。しかしエージェント・████████は[削除済]を[削除済]、結果SCP-███とSCP-███は収容されSCP-███は無力化されました。このような絶望的状況であったにも関わらず、エージェント・████████はほぼ無傷での生還を果たしました。エージェント・████████が[削除済]をする10秒前、エージェント・█████4が発した言葉にSCP-99.99-JP-Jを無効化する能力がある可能性が指摘され、現在研究が進行中です。

 

19██/04/10: エージェント・████の祖母が製作したお守りにSCP-99.99-JP-Jの効果を無効化、または軽減する効果が認められました。これをSCP-99.99-JP-J-Aとし標準装備に指定します。エージェント・████の祖母にはSCP-99.99-JP-J-A製作のためにSCP-███及びSCP-███の使用が許可されます。

 

20██/06/22: SCP-99.99-JP-J-Aを持つ事で活性化するSCP-99.99-JP-Jが新たに発見されました。職員へのSCP-99.99-JP-J-Aの配布は禁止します。

 

20██/██/██: 割井博士考案の[削除済]にSCP-99.99-JP-Jの効果を無効化、または軽減する効果が認められました。これをSCP-99.99-JP-J-Bとし全職員へ配布します。

 

SCP-99.99-JP-J-Bを作るにあたって多くのDクラス職員が散っていったが、まあ安いものだ…この作品を見れば奴らも喜んでくれる事だろう。[削除済]は手を加えなくともSCP-99.99-JP-Jの影響を99.99%防ぐことが出来た。しかし、さらにSCP-███とSCP-████の特性を組み込むことによって理論上99.9999999…つまり、絶対に防げるようになったのだ。それにしても、ああ、なんてすばらしい発明だろう…クレフ博士だって僕ほどの貢献はしてないんじゃないかなぁ?-割井博士

 

月光「こんな恐ろしいSCPはそうそうになんとかしなければなるまいな全く・・・」

 

麻木「ひぇ・・・」

 

空井「・・・あの、月光さんこれ・・・」

 

月光「なんだ?」

 

空井「・・・ジョークSCP・・ですよね?」

 

月光「・・・なんだ、知ってたのか・・・」

 

麻木「・・・え?」

 

月光「ジョークSCP、所謂財団職員が作ったSCPのジョークだ、つまり架空の存在だ」

 

麻木「・・・遊んでていいんですか?・・・」

 

月光「まあ、こういう息抜きも必要ってことで入れてみた・・・さて、これで全部だな」

 

空井「それじゃあ僕帰ればいいんですかね?・・・」

 

月光「いや、ついでだ、うちの書類整理手伝え、なんでも手際が良いらしいじゃないか」

 

空井「・・・はぁ・・・分かりました・・・そういえば、月光さんと黒崎さんって、どういう関係なんですか?」

 

月光「ああ、あいつは私の弟だ、と言っても既に両親はSCP関連の事故で死んでるがな、それから私たちは財団に入ったんだ」

 

空井「ロリコンの黒崎さんにそんな過去が・・・」

 

月光「ロリコンは勘弁してやってくれ・・・一応あいつ弟だし」

 

空井「はい、分かりました、それじゃ、仕事しますか・・・」

 

ちなみにこのあと軽く見ていたけど月光さんも麻木さんも整理が苦手な人で予想以上に多かったため、戻れたのは一週間後だった




どうも、作者です、生物は生き返る。
さて、そんなどうでもいいことはともかく、今回は、外のサイトの二人と一緒に紹介しました。ちなみに「〇〇みたいなSCPをおねがいします!」「○○にぴったりなSCPをおねがいします!」といった感じのも大歓迎です、誤字、わかりづらい等の指摘がございましたら感想欄まで
今回使用SCP、tale
SCP-899-JP たっくん http://ja.scp-wiki.net/scp-899-jp
SCP-838-JP 都会の波 http://ja.scp-wiki.net/scp-838-jp
SCP-99.99-JP-J 不幸の言葉 http://ja.scp-wiki.net/scp-9999-jp-j

今回、SCP-899-JPのところ作ってる最中、コピーして出てきためりーさんとか
≪映像記録2070531 — 日付2007/05/31≫

<01:59>
SCP-899-JP-1はSCP-899-JP-2を抱き抱えて眠っている。

<02:00>
SCP-899-JP-1が苦しげに呻きだす。
(パパもママもどこにいったの?)
<02:08>
SCP-899-JP-1: [泣き声]
(どこにつれていかれるの?)
<02:13>
SCP-899-JP-1: やだ……やだよ……たっくん死なないで……。
(たっくんがわたしをたすけてくれた。そのせいでたっくんのなかにわるいやつがはいりこんじゃった。)
<02:16>
SCP-899-JP-1: [泣き声]
(だそうとしたけどだめだった。わるいやつはあばれてる。こんどはわたしがたっくんをたすけるばん。)
<02:22>
SCP-899-JP-1: はい……はい……わかりました……誓います……。
(どれだけかかっても、ぜったいにたっくんをたすけてみせる。だってわたしたちはともだちだもん。)
≪記録終了≫
の()の部分がコピーしてでてきて割とびっくりしました。
さて、そんなこんなで、今回はおしまいです
また、SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは、皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-710-JP-J 財団神拳 http://ja.scp-wiki.net/scp-710-jp-j
SCP-126-JP 不死者たちのロシアン・ルーレット http://ja.scp-wiki.net/scp-126-jp

夜の山は怖い


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第七サイト目「財団のクマーさん」

前回のあらすじ
わるいやつ、酩酊街、死亡フラグ
わるいやつ、酩酊街、死亡フラグ

今回も紹介回


空井「・・・また、ですか?」

 

黒崎「ああ、また、だ、すまんな、どうやら他の奴らがお前のことを嗅ぎつけたらしくて・・・お前みたいなまともなやつは本当に貴重だからなあ・・・」

 

空井「まじでこの組織終わってるんじゃないんですか?」

 

黒崎「いや、そうじゃないんだがな?まあ、それはともかく、今回はここに行って欲しい」

 

空井「はぁ・・・まあ、別にいいんですけどね、この前みたいに資料整理を一週間もさせなければ・・・」

 

黒崎「安心しろ、今回の相手は、”一応”まともだ」

 

空井「・・・一応ねえ・・・」

 

黒崎「ま、そういうことで、行ってこい」

 

空井「分かりました・・・」

 

数日後

 

空井「・・・ここかあ・・・入るのやだなあ・・・この前のことがあるから本当にやだなあ・・・・・ええい、迷ってても仕方ない、もう変態でもSCPでもなんでも来い!失礼します!」

 

クマ?「ああ・・・やべえくっそ忙しいクマ・・・まだか助っ人・・・って、ああ、君が空井君かクマ?」

 

空井「ちくしょう!」

 

クマ?「え、どうしたんだクマ?急に」

そこには、クマの着ぐるみを着た人が忙しそうに資料整理をしているというシュールな画があった。

 

空井「あ、すみません、つい・・・えっと、僕は空井圭一です」

 

ツラレクマー「ご丁寧にどうも、僕はツラレクマーだクマー、ここのサイト管理者をやってるクマー」

 

空井「こんな人がサイト管理者だと?・・・」

 

ツラレクマー「君以外と言うクマね、まあ、ここにいる人たちは全員こういうのを着てたりするクマ、あ、別に僕が強要してるわけじゃないクマよ?みんな好きでこんな格好をしてるんだクマー」

 

空井「(まじでこの組織頭おかしい・・・まあ、確かに姿以外はまともっぽいな・・・)」

 

ツラレクマー「ま、とりあえず座れクマー、今お茶を出してくるクマー」

 

空井「あ、ありがとうございます」

 

ツラレクマー「・・・さて、君を今回呼んだ理由は、まあ、君の噂を聞いて、書類整理の手伝いだクマ」

 

空井「えっと・・・だけど何か話した感じ結構仕事できそうな雰囲気があるような?・・・」

 

ツラレクマー「ほら・・・僕この腕だから・・・」

 

空井「アホですかあんた」

 

ツラレクマー「いやー面目ない・・・ただお風呂とトイレのとき以外はあんまり脱ぎたくないんだクマー」

 

空井「なんでそこまで頑なに脱ぎたくないんですか・・・」

 

ツラレクマー「まあそれでもなんとかあと3つまでなんとかなったんだクマ・・・、とりあえず、これについて説明するからあとは頼んだクマ、流石に着ぐるみを着て二日徹夜はきつかったクマー・・・」

 

空井「お疲れ様です・・・」

 

ツラレクマー「それじゃ、まず一つ目からいくクマ」

 

SCP-753-JP 一本の指で

オブジェクトクラス: Safe

 

特別収容プロトコル: SCP-753-JPは標準的なSafeクラスオブジェクト収容ロッカーに鍵をかけられ、保管されます。全ての研究員は現在あらゆる使用実験が中止されていることに留意すべきです。

 

説明: SCP-753-JPはダンボールと厚紙、その他装飾に使われたカラーテープや油性マジックを使い幼児が作ったような外観をしているボタンです。██県に配置されたエージェントが一帯での不審なポルターガイスト現象を財団に報告し、調査された時に████家の屋根裏部屋で発見されました。家主の夫婦は妊娠する能力を持っていなかったため、子供はいません。当初側面には「がれーじ」と黒く書かれた文字がありましたが、SCP-753-JPの特性によりこれらは変更されています。

 

SCP-753-JPは、上部にある赤いボタンを押すことで、側面に現れた文字から推測されるシステムのアクティブ/非アクティブを反転する能力を持っています。発見当初表示されていた「がれーじ」は発見された████家のガレージのシャッターを開けることに成功しています。しかし、周辺地域で他の家に異常性が見られないことから、効果を発揮するのはひとつの事例のみに限られると見られています。非アクティブになると表面の文字はその他のランダムなものへと変化しますが、実験記録4より使用されなければ他の文字へ変化する特性を示しています。

 

現在全ての実験は禁止されています。

 

空井「なんか、普通に子どもが作りそうな見た目してますね、これ」

 

ツラレクマー「まあ、実際後に出す対話やらなんやらでは子どもっぽいし、多分子どもっぽいものが作ったんじゃないかクマー?」

 

空井「だけどこれ、そこらへん一帯でポルターガイスト現象が起きているということは、少なくとも誰かが押したことがある、もしくは勝手に押されてワープした・・・みたいな可能性もあるのかもしれませんねこのオブジェクト」

 

ツラレクマー「まあ、報告書を見る限りワープとかはされてないから、それはないと思うけどクマ、けど、もしかするとこれを押していて、これを作ったやつが、転移能力を持っていた可能性は、あるっちゃああるクマね」

 

空井「なるほど、そういう可能性もあるのか・・・これって、実験記録あるんですよね?どんなものがあるんですか?」

 

ツラレクマー「あるクマ、そんじゃ、出していくクマよ」

 

実験記録1 - 日付2000/6/13

この実験は半径10 kmの範囲で監視されながら行われる。

 

表示された文字: 「えあこん」

結果: 観測できず 範囲は財団の初期想定を超えているものとみられる。

 

空井「エアコンのリモコンになれるのもすごいかもしれないけど、さらっと財団もすごいですよね、これつまり範囲内にあれば観測できるってことですよね」

 

ツラレクマー「まあ、財団だし仕方ないクマー、それじゃあ、次行くクマ」

 

実験記録2 - 日付2000/6/15

この実験は半径20 kmの範囲で監視しながら行われる。

 

表示された文字: 「あんぷ」

結果: 現地で開催された音楽グループのライブ会場のアンプの電源が切れる、ただの偶然であるのか分類不能。

 

ツラレクマー「アンプ、つまり音響機器クマ」

 

空井「これ、あんまり広い範囲で使われてるものだと観測しづらいですね、もうちょっと限定的なものになんないんでしょうかね・・・」

 

ツラレクマー「まあ、あまりにも限定的なものに行かれても困るっちゃあ困るけどクマね、それじゃ、次」

 

実験記録3 - 日付2000/6/18

 

表示された文字: 「けーたい」

結果: 観測不可能。財団は一般人のPHSの電源動作が人の手であるかオブジェクトの効果なのか判別できませんでした。

 

空井「まさに無理難題」

 

ツラレクマー「まあ、携帯は仕方ないクマ・・・、さて、ここらへんか身近にあるものから、結構限定的なものに変わってくクマよ」

 

実験記録4 - 日付2000/6/24

 

表示された文字: 「みさいる」 [実験中止]

 

追記: 一週間と3時間後に表示が沈むように消え、文字が浮かぶ様子が観測される。

 

空井「あかんやつやこれ」

 

ツラレクマー「携帯とかガレージとかからガラッと変わったクマね、ここでしばらく放置すると浮かび上がる文字が変わることが判明したクマ、さて、次」

 

実験記録5 - 日付2000/6/30

 

表示された文字: 「とびら」

結果: サイト██のメインゲートの開放を確認。職員の███████がゲートを開放する姿が確認され、尋問を行いましたが「なんとなくそうしたかった」との証言を繰り返し処分は保留されています。

メモ: 「とびら」の表記が何故財団施設のメインゲートを指していたのか、その理由について現在研究中です。

 

実験記録5の後、「いじわるきらい」という文字が表示されました。

 

空井「子どもっぽいですねこのSCP」

 

ツラレクマー「でしょ?、しかし、これSCPの収容場所とかの扉が開いてたら結構な大惨事になってたクマね、さて、次は、このことから、筆談による対話が可能なのではないかということから、筆談による対話記録クマ」

 

インタビュー記録 - 日付2000/7/2:

 

対象: SCP-753-JP

 

インタビュアー: █████博士

 

付記: 表示された「いじわるきらい」の文字から筆談による意思疎通の可能性を探るべく実験を行いました。筆談はオブジェクト側面に鉛筆で記入すると、記入した文字が消え、返答と思わしき文字が浮かび上がることで成立しています。インタビューに際してこの間、スイッチを押すことによる異常な装置の作動などは観測できなかった。

 

<録音開始, 2000/7/2>

 

█████博士: 「なにがしたいの?」

 

SCP-753-JP: 「こーえんにいきたいの」

 

█████博士: 「こーえんでなにをしたいの?」

 

SCP-753-JP: 「ぶらこんにのりたいんだ」

 

█████博士:「なにがいじわるなんだい?」

 

SCP-753-JP: 「おじさんたちはぼくのこときらいなんでしょ?」(文章の改行がなく側面を超えて他の面まで届いている)

 

█████博士: 「そんなわけないじゃないか」

 

SCP-753-JP: 「うそ」

 

█████博士: 「なんでうそだっておもうんだい?」

 

SCP-753-JP: 「みんなうそつくんだ!ぼくはびょうきじゃなかったのに!」

 

█████博士: 「なんのことだい?ぼくたちはきみをしらないんだ」

 

SCP-753-JP: 「うそだ!みんなそうやってきたんでしょ!おぼえてないだけだ!」

 

█████博士: 「おかあさんのことかい?」

 

SCP-753-JP: 「おかあさんはびょうきじゃなかった!なのにびょうきだっていわれたんだ!」

 

█████博士: 「███のこと?おかあさんはびょうきでしかたなかったんだ」

 

SCP-753-JP: 「うそついたんだ!おとうさんが!」

 

█████博士: 「おとうさんはうそなんかついていないよ」

 

SCP-753-JP: 「うそだきみはおとうさんじゃないくせに」

 

█████博士: 「どうしてわかるんだい?」

 

SCP-753-JP: 「おとうさんはそんなこといわない!」

 

█████博士: 「おとうさんにあいたい?」

 

5分13秒返答なし

 

SCP-753-JP: 「あいたい けどみんなきらい」

 

<録音終了>

 

終了報告書: これ以上の返答はなく、対象はこの後19時間休止状態に陥りました。

 

空井「このSCP、おかあさんとおとうさんがいるんですね、それにしても、███って・・・?」

 

ツラレクマー「それに関しては、多分だけど、このオブジェクトが発見された家の夫婦のことだと、僕は思うクマ」

 

空井「え、だけどこの夫婦には妊娠する能力はないって・・・」

 

ツラレクマー「これは完全なこじつけだけど、夫の方が、今出産されると何か困ることがあり、妻を病気ということにし、中絶し、そして、この夫婦が何らかの要因妊娠できなくなった、こう考えれば、多少苦しいだろうけど、これならこの夫婦の家でこのオブジェクトがあった、という記述にも説明がつくっちゃあつくんだクマ」

 

空井「・・・」

 

ツラレクマー「さて、そんじゃ、次、行くクマ」

実験記録6 - 日付2000/7/3

これより全ての実験を禁止

 

表示された文字: 「█████」

結果:[未使用] 現在まで表示は変化せず

補遺:█████は米国政府の保有するICBM世界同時展開の最終起動スイッチであると推測されています。これ以降の筆談の試みは全て失敗に終わっています。

 

ツラレクマー「ICBM、つまり大陸間弾道ミサイルクマ」

 

空井「どんどんやばいことになってきてる・・・」

 

ツラレクマー「まあ、これも次に比べれば結構安全なもんクマ、押さなきゃいいわけだし、それじゃ、最後の実験記録、行くクマ」

 

実験記録7 - 日付2014/4/8

 

表示された文字: 「いま」

結果: ██████████████

財団は現在自体収束に向けて尽力していますが収集の目処は付かず、抜本的な収束案があれば誰でも█████博士へ提案してください。

 

空井「いま?・・・」

 

ツラレクマー「正直、僕もよく知らないんだけど、これを見る限り、かなーり、やばいことになってるっぽいクマ、ただ、一つ言うことがあるとすれば、これをもし、もう一回押されたとき、”いま”はどうなるんだクマ?」

 

SCP-332-JP 女性の味方 

オブジェクトクラス: Euclid

 

特別収容プロトコル: SCP-332-JPは、サイト-81██の女性用ロッカー室のロッカーNo.101に保管されています。ロッカーNo.101は扉を厚さ3cmのガラス製にし、中が常に見えるようにします。またロッカーの底板は、上に置かれたものが300g以下になると警報が鳴るようセンサーを内臓します。ロッカーには常に鍵をかけ、SCP-332-JPを自由に持ち出すことがないようにしてください。ロッカー室にはレベル2以上で月経期の女性職員が最低2人常駐します。駐留職員は1日1回、SCP-332-JPの全個体がロッカー内に存在することを扉越しに確認してください。常駐できる職員が足りなくなった場合に備えて、サイト内に勤務する全ての女性職員は、セキュリティレベルに関わらず月経期開始時と終了時にその旨を駐留職員へ報告してください。

サイト-81██に勤務する女性職員は、特別な事情がない限りナプキン状のサニタリー用品を使用してください。それ以外の形状のものを使用する場合は使用許可証の申請をし、サイト内で使用予定の全サニタリー用品には、支給された目印ステッカーを貼ることが義務付けられています。

 

説明: SCP-332-JPは、32個のタンポン型生理処理用品と、それを入れる紙製のピンク色の箱から成ります。箱の側面には「ソフトタンポン ふつうの日用・30個+2」と表記されています。宣伝文として、「毎日を快適に過ごしたい、アクティブな貴女へ!生理なんてまるでなかったような、自然なつけごこちです!」と書かれています。また、「使用方法:生理時に適宜取り替えてご使用ください」「使用上の注意:お肌に合わないときは医師に相談してください。使用後のタンポンは紙などに包んですててください。トイレにすてないでください。」の表記と共に、使用方法がポップなイラストで図解されています。製造販売元の記載はありません。タンポンは、一般に普及するアプリケーター収納型の製品に見え、吸収体・アプリケーター共に素材の異常は見られませんでした。

 

SCP-332-JPは、月経期の女性が使用するときその性質を現します。SCP-332-JPを挿入すると、使用者の生理周期は極端に早まり、今後の生涯で経験するはずだった月経期を28日以内に全て経験します。結果的に使用者は閉経します。この間SCP-332-JPの吸収体部分は未知の方法で膣内に付着し、体内から取り出すことは出来ません。SCP-332-JPを取り除く方法として唯一判明しているのは、外科手術による女性器そのものの切除です。

また、構造上不可能であるにも関わらず、脱脂綿製の吸収体は大量の経血を吸収し続け、その分体積を増幅させます。閉経間近の女性であれば下腹部に異物感を覚えるだけですが、使用者が若い場合は経血の量も多いため、膣及び子宮内が膨張した脱脂綿で埋め尽くされ、ときにより子宮破裂などの腹腔内出血を引き起こします。こうして増幅したSCP-332-JPは、28日が経過し性質が消えた後も取り出すことが難しく、大抵の場合手術が必要となります。さらに、生理痛や貧血、ホルモンバランスの乱れ、子宮内膜の増減なども1か月で一生分経験するため、たいていの使用者は通常の月経期よりも強い苦痛・不快感・体調不良を示します。これらの症状も使用者が若いほど深刻になりやすく、特に40歳以下の使用者の大半は、極度の貧血と体内変化、そして前述の内出血といった複合的な要因で死亡します。

閉経後の女性が装着した場合には、この性質は現れません。月経の来ない男性、人間以外の動物も同様です。初潮を迎える前の女児や、妊娠中の女性に対する性質は、記録がないため不明です。

 

半径10メートル以内に月経期の女性がいない場合、SCP-332-JPは箱ごと姿を消して、一番近くの該当者の近辺に現れます。箱の中のタンポンは、消費されると10分以内に未知の方法で自動的に補充されます。補充されたタンポンがどこから来ているのかは、目視でも監視カメラでも捉えることができませんでした。

 

空井「僕、男だから生理とかについてはあんまり知らないんですけど、これがえげつない能力を持っているというのはよくわかりました」

 

ツラレクマー「まあ、これの担当にされる女性職員はたまったもんじゃないだろうクマね、生理痛とか辛そう(小並感)」

 

空井「しかしなんでこういうSCPは周りに該当しない人物がいないとワープするんでしょうかねえ・・・」

 

ツラレクマー「使われたいんじゃないかクマ?」

 

空井「余計な気遣いですよ・・・」

 

ツラレクマー「ま、補遺があるから見ていくクマ」

 

補遺: SCP-332-JPは20██/██/██まで、愛知県███市のドラッグストア「██████ ██店」のサニタリー用品コーナーにおいて、販売員らしき若い女性が試供品と称し、箱から出して配布していたのが目撃されています。██人の被害者が出た時点で、該当地域潜伏中のエージェントにより回収されました。回収時に販売員の姿はなく、現場には「試供品 ご自由にお取りください」と女性の筆跡で書かれたポップと、SCP-332-JPが1箱置かれていました。エージェントが突入する直前まで販売員がいたという証言が複数ありますが、彼女がその後どこへ行ったのかは不明です。従業員の中にも合致する者はいませんでした。店内の監視カメラにも販売員の姿は映されておらず、また映像の中で被害者たちは、置いてあった「試供品」のSCP-332-JPを箱から自分で手に取ったように見え、証言と一致していません。SCP-332-JPと同じ性質を持つ個体が市場に複数出回っている可能性もあり、現在調査中です。

 

空井「この女性も、何らかの要注意団体の一つなんですかね?」

 

ツラレクマー「さあ、まだどこにも記述がないところを見るところ、まだ要注意団体じゃないんじゃないクマ?それじゃ、短いかもしれないけど、次行くクマ」

 

SCP-129-JP 床に居る

オブジェクトクラス: Safe Euclid

 

特別収容プロトコル: SCP-129-JP-1群は不透明な硬質カバーを裏面に填めた状態で、財団標準の収容ロッカーにそれぞれ収容してください。常に施錠をし、鍵は収容責任者が保管してください。実験等でSCP-129-JP-1を取り出す際は、担当者は決して裏面を視認しないように注意してください。裏面への曝露実験は、サイト管理者の許可が必要です。収容違反が起きた際は、目隠しをしたDクラス職員にアームを用いて回収を行わせるようにして下さい。また、現在新たなオブジェクトの捜索が続けられています。

 

説明: SCP-129-JPは、SCP-129-JP-1の裏面の付着物を視認、若しくは触知する事で発生する認識災害です。SCP-129-JP-1はSCP-129-JPを引き起こす付着物を伴う履物で、付着物は裏面に張り付いていています。付着物を剥がす試みは、付着物が異常性を発揮する最少単位が不明であり、損壊によって収容を更に困難にする可能性がある為行われていません。最初に発見されたSCP-129-JP-1aは、収容サイト-81██で使用されていたスリッパです。SCP-129-JP-1aは、収容サイト-81██で発生した事案[削除済み]の後、特性が判明し、回収され現在の特別収容プロトコルが制定されました。

 

裏面の付着物を視認した場合、被験者は強い恐怖の反応を示し、SCP-129-JP-1から逃走を図る、逆にSCP-129-JP-1を自身から遠ざけようとするなどを試み、恐慌状態に陥ります。この曝露直後の反応は認識災害に因る物か、強烈な不快感、恐怖からくる正常な反応であるかは、まだ解明されていません。この一次反応自体は10~30分程度で治まります。

 

SCP-129-JPのより異常な特性は、曝露直後の一次反応が治まった後に現れます。曝露後に被験者は、強度の強迫性障害に類似した精神疾患を発症します。発症した被験者は、同種の付着物の存在に対する強迫的な恐れを持ち、SCP-129-JP-1だけでなく、異常性のない一般の履物も忌避し始めます。この時、これらの履物の裏面を見せる事は一次反応に近い恐慌を引き起こします。発症後忌避の対象は急速に広がり、約1時間で鞄や椅子などの家具、カーペットなど、一般に床や地面に置く使い方をする物品をも強く避けるようになります。同時に何らかの実体の移動音の幻聴を報告するようになりますが、これが単なる幻聴なのか、被験者にのみ認識できる実際の音なのかはわかっていません。

 

この忌避反応は12~18時間後には、床に置かれた物への忌避から自身が床に触れる事自体への忌避へと進行します。この段階の被験者は歩く事に強い抵抗と著しい嫌悪感を示し、椅子や机などの台がある場合、被験者は台に登り自発的には降りてこなくなります。観察では、被験者は台に登ると一時的な安堵感を得るように見受けられます。もし適当な台が見つからない場合はその場で直立したまま一切移動しなくなります。被験者はこの直立状態を長時間維持する為、多大な肉体的苦痛を示します。なお、台の上に登った場合でも最終的には台の上面すら"床"として判断するようになり、いずれの場合でも24時間以内に直立し動かなくなる状態に収束します。自発的な移動が一歩も不可能になった被験者は、脱水症状や極度の心身の疲労により、外部の援助なしでは3日程で死に至ります。

 

強制的に歩かせる試みは、被験者の恐慌と激しい抵抗を引き起こす為困難ですが、不可能ではありません。しかし被験者を床に寝かせる実験は、被験者の[編集済み]という結果になりました。治療法は発症後6時間以内のクラスA記憶処置が有効ですが、床を歩く事に対する嫌悪の反応、実体の移動音の幻聴が永続的に残るケースがあります。なお、一般に強迫性障害治療に用いられる曝露反応妨害法は特性上用いることが出来ず、有効な治療は前述の早期の記憶処置のみです。

 

SCP-129-JPは裏面の視認だけでなく、触知でも引き起こされます。裏面への接触が直接引き起こすわけではなく、裏面の付着物が何であるかを認識する事がトリガーとなると推測されています。また、裏面を撮影した画像、動画の視認でもSCP-129-JPを発症する事が判明しています。更に、曝露した被験者に対するインタビューでも、裏面に何を見たのかについては被験者全てが詳しい回答を拒否する為、失敗しています。1付着物の組成調査も、██博士のSCP-129-JP発症を引き起こした20██/██/██のインシデント-███-█以降中止されました。以上の事から、どのような手段であれ付着物の理解は認識災害を引き起こすと推測され、付着物が何であるかの特定調査は全て中止されています。

 

空井「これはまた、ようは、地面が・・・というより、面、自体が恐ろしくなるSCPなんですかね?ただ、なんで怖くなるかは知らないけど」

 

ツラレクマー「ちなみに、付着物について、理解しない程度で説明すると『黒くて[削除済み]だった』、らしいクマ」

 

空井「・・・ゴキブリ?」

 

ツラレクマー「違うクマ」

 

空井「ですよね」

 

ツラレクマー「まあ、補遺、二つあるから連続でも見ていくクマ」

 

補遺1: 2012/██/██、██県██町の集会所で、SCP-129-JPと同様の認識災害を引き起こすサンダルが発見されました。2時間後、収容部隊が到着するまでに、3人が曝露しました。現場でクラスA記憶処置が為され全員回復しました。オブジェクトはSCP-129-JP-1bと指定され、収容されました。 これを受け、本ドキュメントも一部改訂されました。他にも同様のオブジェクトが存在する可能性が指摘されています。

 

補遺2: 2014/██/█、██県████市の市民センターで、SCP-129-JPと同様の認識災害を引き起こす靴が発見されました。1時間後、収容部隊が到着しましたが、既に███人が連鎖的に曝露し現場が混乱していた為、█人の被害者の収容に失敗しました。█人は、全員4日後に████湖で溺死している状態で発見されました。オブジェクトはSCP-129-JP-1cと指定され、収容されました。周辺地域、関係者には記憶処置の上、カバーストーリーが流されました。本件で同様のオブジェクトの存在が確認されたため、エージェントによる広範な捜索活動が開始され、同時にオブジェクトクラスの引き上げが為されました。

 

ツラレクマー「これ、溺死しているのは、疲弊しているにも拘らず、地面から離れる為に泳いで水面に向かった為、と考えられているクマ。」

 

空井「これって、おかしいのは靴とかじゃなくて、ついているものっぽいですね」

 

ツラレクマー「そして、さっきの空井君の疑問、面自体が怖くなるか、それの答えが、これかもしれないクマ」

 

不自然だと思いませんか?SCP-129-JP-1の裏面のこびり付きが起こす事案は起きても、奇妙な履物に踏みつけられる前の“何か”自体が起こしたと考えられる事案は未だ確認されていません。私たちはこの異常なスリッパより、踏みつけられる“何か”自体を捕えるべきなのでは無いのでしょうか。恐らく、今もどこかの床に居るのでしょうし。- ██研究員

 

空井「・・・なんとなく、わかりますけど、なんでこれが答えなんですか?」

 

ツラレクマー「そうクマねえ・・・例えば、スリッパの内側が床、付着物がついてる部分を床下、と考えればわかりやすいかも知れないクマ、これに暴露された被験者は、全員が全員、その付着物に対して恐怖感を覚えている、つまり、スリッパの内側のした、つまり床の下に、こいつがいる、そういう意味なんじゃないクマ・・・ってことクマ」

 

空井「なるほど・・・とすると、この下にも、もしかするといるかもしれませんね、それが」

 

ツラレクマー「それはできるだけ考えたくないクマ・・・そんじゃ、僕はねるから、あとは頼んだクマ・・・」

 

空井「はい、ゆっくり休んできてください、それじゃ・・・」

 

ちなみにそのあと着ぐるみを脱がしたいという衝動を抑えるのに大変だった空井だった。




どうも、作者です、さっき変なメールが送られてきました。
さて、そんなどうでもいい話はともかく、今回も別のところへの出張回です、ちなみに出張先予定の場所はあと3つあり、それぞれ5人の職員が勤務しています。あと、ぶらこんに乗りたいってところなんかBL小説っぽいよn(記憶処理)

今回使用SCP、tale
SCP-753-JP 一本の指で http://ja.scp-wiki.net/scp-753-jp
SCP-332-JP 女性の味方 http://ja.scp-wiki.net/scp-332-jp
SCP-129-JP 床にいる http://ja.scp-wiki.net/scp-129-jp

今回からここにやっと職員の説明とか載せて行きます。ちなみに紹介順は出てきた人たちからランダムです。

名前:御手洗 涼介(みたらい りょうすけ)
セキュリティレベル:3

職務:医療関係のSCPが主
(死体関係のSCP)✖

所在:サイト-81██”変人たちの巣窟”、腐臭が漂う場所

人物:元々はこのサイトに属するべき人間ではなかったが、とある事件からネクロフィリアになり、その際サイト-81██”変人たちの巣窟”に飛ばされた。
財団に所属する以前は医者として働いており、その医療技術の高さから、財団にスカウトされた。
また、彼はあのサイトでは比較的常識人ですが、一度死体のことについて話すと、最低でも██時間ぶっ続けで話せます。

SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-287-JP 現世利益を求めるものへ http://ja.scp-wiki.net/scp-287-jp
SCP-492-JP 夜山の怪 http://ja.scp-wiki.net/scp-492-jp


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

彼は腐臭漂う場所にいる

 

日付: 20██/██/██

 

御手洗「・・・やあっと、財団にも慣れてきたかな・・・」

彼は、財団フロント企業の病院に勤めていました。

 

???「財団ってどこのことですか?」

 

御手洗「んおい!?って、椎名ちゃんか・・・急に出てこないでくれるかな・・・びっくりするから」

 

椎名「はあい、それで、なんなんですか?財団って、私、気になります!」

 

御手洗「気にしなくていいから、今すぐ忘れなさい」

 

椎名「わかりました、任せてください!私、忘れるのは得意ですから!」

 

御手洗「それ誇るところじゃないからね?全く・・・」

彼には、彼を慕う付近の高校に通う椎名 ██という女の子がいました。

 

御手洗「それにしても、毎日毎日こんなところに来て何がしたんだか・・・お見舞いでもないんだろう?」

 

椎名「もちろん御手洗さんに会うために決まってるじゃないですか!」

 

御手洗「はいはい、そりゃ嬉しいねえ、だけど、今年受験生だろ?こんなところで油売ってていいのかい?将来の夢はナースなんだから頑張らないと」

 

椎名「大丈夫です!いざとなれば御手洗さんの元で永久就職させてもらいますから!」

 

御手洗「はいはい・・・」

 

椎名「っは!忘れてた、御手洗さん御手洗さん、私、昨日より可愛いですか?」

 

御手洗「ああ、可愛い可愛い」

 

椎名「なんか返事が適当な気がするけど・・・ありがとうございます!」

 

御手洗「何がそんな嬉しいんだか・・・、ほれ、帰った帰った、もう夕方だ、帰んなきゃおばさんに怒られるだろう?」

 

椎名「大丈夫です!おばあちゃんも私が御手洗さんのところにいるって分かってますから!」

 

御手洗「そうですか・・・ま、あんま心配かけんなよ、息子夫婦が亡くなって、その娘のお前までいなくなったらおばさんが一人になるからな?」

 

椎名「分かってるよ・・・そんなの」

彼女の両親は、交通事故で既に他界していました。

 

御手洗「分かったんなら帰れ」

 

椎名「ちぇ・・・分かったよ、それじゃ、また来るね!」

 

御手洗「はいはい、じゃあな」

 

椎名「またね!」

 

御手洗「・・・全く、騒がしいやつだよ・・・・・!?」

数分後、突然の地震が起き、彼は落ちてきたものの下敷きになり、気絶しました。

 

御手洗「・・・っぁ・・・何が・・・起きたんだ?・・・地震が起きて・・・っ!椎名!」

 

御手洗「くそ、あいつを返すんじゃなかったな・・・あいつが出て行ってからそんな時間が経たずにあの地震が起きたということは、まだあいつはこの病院内にいるはず・・・くそ、どこだ椎名!」

彼が外に出ると、そこには

 

御手洗「・・・なんだ・・・これ」

大量の、この病院で働いていた財団職員の死体があった。

 

御手洗「・・・さっきの地震でこうなったのか?・・・まさか・・・」

彼は、おそらくは下敷きになったであろう少女を探しました、しかし、彼女は見つかりませんでした

 

御手洗「・・・どこに・・・いるんだよ・・・・・」

彼が、最後の抵抗と言わんばかりに探していると

 

ドンドンドンドンドンドンドンドン!!

 

御手洗「何だ?・・・扉をたたく音・・・かっ!?」

その音が鳴り響いた瞬間、物言わぬ死体が突然動きがだし、音の発生源の元に向かいました。

 

御手洗「まさか・・・SCPなのか?・・・」

彼は、その音の発生源の方まで向かう、そこには、直立しているドアに対して、何匹もの死体達が、こぞって、押しては跳ね返され、押しては跳ね返されを繰り返していました。

 

御手洗「これは・・・あ」

彼は、そこで見覚えのある姿を発見しました、いつもどおりの服、しかし、その体、頭には無数の刺し傷があり、それは、彼女が死んでいることを意味していました。

 

御手洗「なん・・・で・・・」

 

財団職員「またかよ・・・勘弁してくれよ!もう、勘弁してくれ!!」

 

御手洗「っ・・・生き残りがまだいたの・・・か?」

その彼の手の中には、血にまみれたメスがありました。

 

御手洗「お前・・・それ・・・」

 

財団職員「っひ!・・・違う、仕方なかったんだ!!、怖くて、それで・・・あああ・・・あああああああああ!!」

 

御手洗「お前が・・・お前が・・・やったのか?・・・・・・ふざけるな・・・ふざけるな、ふざけるな、ふざけるなあああああ!」

気づいたら、目の前の職員は、動かなくなっていた、そして、彼は意識を失った。

 

御手洗「・・・ここは?・・・」

そこは、見知らぬ場所だった、廃墟みたいな様子の建物で、目の前には、あのドアが倒れており、周りには死体がある、そして、彼女がいる、頭部のみになった彼女が。

 

『ねえ、御手洗さん、私、昨日より可愛い?』

 

御手洗「・・・ああ、いつもより・・・ずっと・・・ずっと可愛いよ」

 

 

現在

空井「お、お腹すいた・・・もう動けない・・・動きたくない」

 

黒崎「それは残念だ、折角財団食堂で何か奢ってやろうと思ったのに」

 

空井「早く行きましょう、ハリーハリー」

 

黒崎「全く、現金なやつめ・・・」

 

菊月「あ、私もおごっておごって~」

 

黒崎「てめえは自分で払え」

 

御手洗「お前ら喧嘩してるんじゃねえよ・・・」

 

黒崎「御手洗、お前も来るか?」

 

御手洗「ああ~・・・すまん、今日俺別の人と食べるんだわ」

 

黒崎「・・・そうか、じゃ、俺たちは先に言ってますか」

 

菊月「奢れこのやろう!」

 

黒崎「分かった、空井とキスしたらいいぞ、ディープだからなディープ」

 

空井「え」

 

菊月「おっしゃ空井ちょっとこっち来いや」

 

空井「いやあああああああ!?」

 

菊月「待て今日のお昼代いいいいいいいいい!!」

 

黒崎「全く・・・あ、そうだ、御手洗」

 

御手洗「なんだ?」

 

黒崎「・・・いや、なんでもない」

 

御手洗「なんだよ、気になるじゃねえか」

 

黒崎「なんでもねえっつうの」

 

黒崎「(・・・言える訳ねえよなあ・・・お前が会うって言ってる人とあったあと・・・腐臭みたいな匂いがするって)」

 

御手洗「・・・さて、会いに行くか・・・今日も待っててくれてるよな?・・・椎名・・・」

 

彼は腐臭漂う場所にいる




参考SCP
SCP-006-JP あけろ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第八サイト目「残暑」

前回のあらすじ
ぶらこん、味方(笑)、黒い例のアレ
ぶらこん、味方(笑)、黒い例のアレ

今回は日常回です。


空井「・・・暑い」

 

如月「・・・暑い」

 

ツラレクマー「ほら、とっとと働くクマよー」

 

空井「なんでクマーさんはそんな平気なんですか!!一番暑そうな格好してるくせに!!」

 

ツラレクマー「これ通気性抜群だから」

 

空井「なんでそこまで便利なんですかそれ!そこまでしてまでそれを着てたいのかあんたは!」

 

ツラレクマー「うん」

 

空井「ああもう・・・もうやめましょうかこの議論・・・それで、今回は確かSCP-831-JPの収容ですか・・・どんなSCPなんですか?これ」

 

如月「・・・SCP-831-JP『隠れ潜む夏』、オブジェクトクラスはExtranormalからEuclid」

 

ツラレクマー「本当に君の記憶力はすごいクマねー、一体その頭の中にどれだけのSCPの情報が詰め込まれているのか・・・」

 

如月「・・・それほどでもない」

 

空井「Extranormal?」

 

如月「・・・Extranormal、現在の科学でによって証明されたもの、嘘や間違いだと判明したもの、もはや収容不可能なほどまでに世界に広まってしまったものを指す、今回は2番目」

 

空井「へー・・・それで、そのSCPは一体どういったSCPなんですか?」

 

ツラレクマー「簡単に説明すると、セミの一生クマね、ただその特殊能力と幼虫時代を過ごす場所が問題なんだがクマ」

 

空井「と言いますと?」

 

ツラレクマー「幼虫時代を過ごす場所は人間の体内だクマー」

 

空井「・・・食事と一緒に体内に入る感じですか?」

 

ツラレクマー「いんや、対象が認識している状態で生死関係なく触れるとSCP-831-JPは体内に入り込むんだクマー、そして七年後に成虫となるために犠牲者の体から穴を開けて体外に出てくる、えげつないクマねー、ただこれは素肌で触った時のみだから、僕のように着ぐるみを着ている人は安全だクマ」

 

空井「いや普通に防護服着ましょうよ・・・」

 

如月「・・・今回は第二段階まで入ってしまった被害者を見つけることができず、SCP-831-JPは体外に出てしまった、だから今回の仕事はそいつらの処理」

 

空井「ほへー・・・」

 

如月「・・・この部屋」

 

警察「すいません、こっから先は一般人は立ち入り禁止・・・ああ、なんだあんたか」

 

ツラレクマー「僕だクマー」

 

エージェント「相変わらず目立つ格好してますねえ・・・後ろの方は・・・如月さんと・・・新人か?」

 

ツラレクマー「そうだクマー、入っていいクマ?」

 

エージェント「ええ、大丈夫ですよ、あ、ちゃんと防護服は着てくださいね、中では決して脱がないように」

 

ツラレクマー「僕が脱ぐとでも?」

 

エージェント「後ろの新人に言ってるんだよ」

 

空井「あ、はい!」

 

如月「・・・それじゃあ入るぞ」

ガチャ

 

空井「・・・うわぁ・・・これは・・・うわぁ」

 

如月「バカ野郎、すぐ閉めろ、生き残りがいたら最悪外に出るぞ」

 

空井「あ、すみません」

ガチャ

 

如月「全く・・・」

 

ツラレクマー「そいじゃ、片付けと行くクマー、絶対に取り残しとかは残すなクマー、こいつらはさっきも説明したとおり生死関係なく体内に侵入してくるからなクマー」

 

空井「わ、わかりました・・・」

 

ツラレクマー「分かってるんならいいんだクマー」

 

空井「・・・しかし、この光景は・・・やっぱり異常、ですね、この大量の蝉の死体」

 

ツラレクマー「SCPなんてそんなもんだクマー、いちいち気にしてたらハゲるクマー」

 

空井「は、はい・・・」

 

如月「・・・お前らよそ見してないでちゃんと確認しろ、生きている個体がいるかもしれないだろ」

 

空井「あ、すみません・・・ちなみに生きている個体がいた場合は?」

 

如月「殺せ、これ以上研究用個体は必要ない」

 

空井「わかりました・・・」

ミーンミンミンミンミン

 

空井「ひぃ!?」

 

ツラレクマー「安心しろクマー、さっきのは外の普通の蝉のだクマー」

 

空井「そ、そうなんだ・・・良かったー・・・」

 

如月「・・・いや、これは・・・」

 

ツラレクマー「どうしたクマー?」

 

如月「若干通常のミンミンゼミとは違う気がする、SCP-831-JPの可能性があるため始末してくる」

 

ツラレクマー「うひゃー・・・相変わらずの化物スペッククマねー・・・、まあ僕らはここの掃除してるから頑張れクマー」

 

如月「行ってくる」

ガチャ、バタン

 

空井「・・・慣れてますねえ、如月さん」

 

ツラレクマー「基本君のいるサイトの連中あんな化物スペックばっかだクマー」

 

空井「え、マジっすか・・・」

 

ツラレクマー「マジだクマー、もしSCP財団内部で戦争が起こるんなら相手にしたくないサイトナンバー4ぐらいには入ってるクマー」

 

空井「それ褒められてるんですかね・・・」

 

ツラレクマー「しかし・・・こいつらも本当に謎クマねー」

 

空井「え?」

 

ツラレクマー「こいつら、全員雌なんだクマー、今まで雄は確認されたことがない」

 

空井「え、蝉って雄以外鳴かないんじゃないんですか?」

 

ツラレクマー「基本はそうだクマー、ただ、こいつらを取り込んだ被害者は蝉の鳴き声が聞こえる、もしかしてこいつらは体内で分裂でもして雄雌に分かれて子孫を作ってるのかもしれないクマねー」

 

空井「怖いこと言わないでくださいよ・・・」

 

ツラレクマー「ははは、すまんクマー、そんじゃ、片付けるクマよ、如月があの蝉を始末している間に」

 

空井「はい!」

 

ちなみにこのあと本当にあの蝉がSCP-831-JPでエージェントさんが誤ってSCP-831-JPび触れてしまってしまったのは別の話。




どうも、作者です、インセインをやっていたら裏切りたくなってきました。
さて、そんな話はともかく、今回はいまの季節は正に9月と潜んでいる夏という言葉にはぴったりかなということでこのSCPを選んでみました。

今回使用SCP、tale
空蝉 http://ja.scp-wiki.net/utsusemi831
SCP-831-JP 隠れ潜む夏 http://ja.scp-wiki.net/scp-831-jp

名前:ツラレクマー(本名不明)
セキュリティレベル:4

職務:サイト-81██の管理、所属職員の着ぐるみの手入れ

所在:サイト-81██、財団設備”気になる衣装大量クマー”

人物:サイト-81██のサイト管理者、姿以外の職務は至極全うで、姿さえまともであれば素晴らしい職員。
また、彼は財団内において、”気になる衣装大量クマー”を営業している、この店は主にコスプレ用品などが置いてあり、主に天王寺博士、三国技師が常連となっております。
彼はほかのサイトの人員なども把握しており、特に、同じ部隊に所属しているトラウマ課の人員には気を配っている。


SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
どんなSCPだったか忘れましたごめんなさい

触ると一瞬で人体タイムスリップ!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第九サイト目「SCP財団の恋愛模様」

あらすじ
夏、蝉、残暑
夏、蝉、残暑

今回も日常回


菊月「第一回!SCP財団での恋愛模様!パチパチパチー!」

 

御手洗「わー」

 

月島「はいはいぱちぱち・・・」

 

空井「突発的になにか始まりましたけど・・・」

 

如月「知らん、俺に聞くな」

 

菊月「この企画は暇だったから適当に財団の恋愛模様を話すコーナーとなります!ちなみに黒崎の野郎は月光さんに呼ばれて欠席です」

 

御手洗「正直わーとか言ったけど、ぶっちゃけそういうのって聞いてもそうなんだふーんぐらいにしかならないよな」

 

菊月「そこ!マジレスしない!」

 

空井「まあ一応乗ってあげましょうよ・・・」

 

菊月「では、最初のCPは・・・こいつらだ!」

 

如月「CP言うな」

 

黒崎×月光

 

空井「はい次ー」

 

菊月「ちょちょちょ、なんで!?」

 

空井「アウトに決まってるじゃないですかこんなの、あの人たち姉弟ですよ」

 

菊月「だけど月光さんブラコンよ?」

 

空井「え」

 

月島「ああ~・・・いや、うん、あいつのあれは・・・ブラコンなのか?」

 

御手洗「あいつのあれはブラコンというより、なんて言うんだろうな・・・」

 

如月「・・・対等の立場で見ている?」

 

御手洗「そう、それだ」

 

空井「どういうことなんです?」

 

御手洗「あいつは基本自分以外の人間は全員格下だと思ってるんだよ、唯一黒崎を除いて」

 

空井「え、じゃあ、僕が行った時も・・・」

 

菊月「恐らく奴隷扱い、せいぜい使用人扱いしてればいいところ」

 

空井「わぁ・・・」

 

月島「まあだけど、恋愛感情を抱いている、ということはないだろうな、恐らくただ対等に見てるだけだ」

 

菊月「そうかあ・・・じゃあ次!」

 

空井×麻木

 

菊月「空井君と麻木ちゃ空井「ないですね」即答かよ!?」

 

空井「そもそも彼女月光さん以外をそういう目線で見ないかと・・・」

 

菊月「それもそうだね・・・」

 

御手洗「まじであそこのサイトどんだけ混沌としてるんだよ・・・」

 

如月「・・・なあ、ひとつ気になったんだけど」

 

菊月「何?」

 

如月「これはないのか?」

 

黒崎×菊月

 

菊月「ふぁ!?」

 

空井「ああ、これは普通にあるかなあとは僕も思いましたけど・・・」

 

月島「ていうか今まで出た中ではこれが一番可能性があるんじゃないか?」

 

菊月「何を言ってるんですか!あんな奴嫌ですよ!女装すればまだしも!」

 

空井「女装すればいいのか・・・」

 

菊月「別に女装すれば誰でもいいけど・・・」

 

御手洗「案外お前の中で恋愛対象の基準はどうでもいいんな」

 

菊月「そんなことねえし・・・」

 

如月「いやもうぶっちゃけるけどさ、お前らの恋愛模様とかどうでもいいんだよ」

 

空井「いや確かに興味とか微塵もありゃしませんが・・・」

 

菊月「分かった!だけどこれだけ言わせて!」

 

御手洗「なんだ?まだ言い訳があるのか?」

 

菊月「いいわけじゃねえよ!」

 

菊月「御手洗!あんた付き合ってる人いるでしょう!これは自信ある!勘がそう言っている!」

 

月島「勘かよ・・・」

 

御手洗「よくわかったな、ぶっちゃけ誰にもバレてないと思ってたんだが」

 

月島「え、まじで?」

 

空井「御手洗さん死体以外にも興味があったんですか?」

 

御手洗「当たり前だろ、何言ってんだお前、死体とは結婚できないだろ」

 

空井「うわあ異常性癖者に常識を語られた・・・なんかショック」

 

御手洗「お前本当に最初と比べたらだいぶ失礼になったな・・・全く」

 

如月「で、もう帰っていいか?だるい」

 

菊月「あんたはもう少し運動しなさいな」

 

如月「めんどくさい、じゃあな」

 

菊月「あちょ、じゃあわたしも女性職員達を視姦してきます!」

 

月島「お前ふざけんな!・・・もう行きやがった・・・おい空井あいつ止めに行くぞ!これ以上ここの評判下げられてたまるか!」

 

空井「あ、あいあいさー!」

 

御手洗「全く、騒がしい奴らだな・・・死体とは結婚できない、まさにそのとおりだ、うん・・・んじゃ、俺も彼女に会いに行ってきますかね」

バタン




どうも、作者です、銃で人を撃ったら弾丸が回避しました。
さて、そんな話はともかく、今回は財団内での恋愛模様について書いてみました、どうしてこうなった。

今回使用SCP、tale
Relationskips(関係) http://ja.scp-wiki.net/relationskips

名前:麻木 静葉(あさぎ しずは)
セキュリティレベル:2

職務:サイト-81██の管理、月光揚羽の(ストー)✖警護

所在:サイト-81██、月光揚羽のいるところ

人物:サイト-81██のエージェント、元気な性格で、いつも活発で人懐っこい性格だが、月光揚羽が絡むと暴走をしだす。
彼女を採用した経緯は、SCP-███-JPの脱走事案中にSCP-███-JPに遭遇し、その場で咄嗟に撃退したという経緯を持つ。
彼女が何故月光揚羽に対してもはや尊敬という域を超え、崇拝レベルまで行っている理由は未だに判明していない。

SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-1974-EX 幻覚ダイス http://ja.scp-wiki.net/scp-1974-ex
SCP-467-JP 玄孫の顔が見てみたい http://ja.scp-wiki.net/scp-467-jp
風船大宴会


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十サイト目「SCP-1000-JP」

あらすじ
ブラコン、女装、異常な愛
ブラコン、女装、異常な愛

今回は、特別回です


月島「・・・(カン、カン、カン、カン、ガチャ)」

 

月島「すまない、待たせてしまったな」

トラウマ課 部隊長:月島 彩華(つきしま さやか)

 

月光「いや、問題ない、この連中もほとんど同じ時間に来たようなものだ」

崇拝課 部隊長:月光 揚羽(げっこう あげは)

 

ツラレクマー「ま、それでも君が一番遅いことには限りないんだけどねクマー

コスプレ課 部隊長:ツラレクマー

 

土門「っけ、あんたのところの人員はただでさえ迷惑なのが多いのに部隊長様までこんなんじゃあ、あんたの部隊も大したことねえなあおい?」

Dクラス課 部隊長:土門 太吉(どもん たきち)

 

海道「あんたのところもクズばっかりの寄せ集めの継ぎ接ぎだらけの部隊よりはましだよ~、ぷーくすくす」

未発達課 部隊長:海道 彩(かいどう あや)

 

土門「んだとガキ!?もう一回言ってみろやこら!!」

 

海道「何回でも言ってあげるよ~、このゴミ溜めどもが!」

 

S「ほらほら、喧嘩しないで、ミス・海道、あなたもそんな顔しないでください、かわいい顔が台無しですよ?」

SCP課 部隊長:SCP-1████-JP(通称:S)

 

海道「うるせえぞロリコンクソ野郎!」

 

月島「・・・相変わらずやかましい奴らだな」

 

月光「全くだ」

 

ツラレクマー「ほらほら、無駄話してないで、それじゃあ、第██回、『機動部隊変-0(”変人たちの巣窟”)』の会議始めるクマー」

 

 

機動部隊変-0(”変人たちの巣窟”)

この部隊の主な活動内容は、何らかのスペシャリストをとある区分で分け仕事が来るたびにその仕事内容にあった人員が”出張”をするという部隊です、区分し、その結果、トラウマ課、崇拝課、コスプレ課、Dクラス課、未発達課、SCP課の計6部隊へと分かれました、彼らはそれぞれの部隊長の元従い、基本的に彼らの間では人員の貸し借りなどは行われないが、例外もいる。

 

月光「うむ、ではなんだったかな、うちの私と弟の素晴らしさについてだったか?」

 

土門「うるせえぞ異常性癖者」

 

月光「おやおや、元Dクラスから異常性癖者などと言われるのは不愉快だな」

 

ツラレクマー「はいそこ、喧嘩しない」

 

月光「・・・しょうがない、私と弟の素晴らしさについてはあとで語るとしよう」

 

ツラレクマー「できればそれは一生語らないで欲しいクマー」

 

ツラレクマー「って、そうじゃなくて、SCP-1000-JPについてクマー、今からその概要を説明するから、手元の資料を見ながら聞いてくれクマー」

 

SCP-1000-JP 特別回収任務

オブジェクトクラス: [Deleted]

 

特別収容プロトコル: 探査機062-Aへの信号送信は、特別な場合を除いて禁止されています。小惑星AL120の軌道は、常に3箇所以上の観測所によって監視されなければなりません。AL120の軌道に変化があった場合、特別対策班"ペイルブルードット(PBD)"によってトリノスケールの再判定が行われます。L7以上の判定が出た場合、探査機062-Aおよび付属物は即時無力化リストへ編入され、保護措置は破棄されます。当該オブジェクトの情報は、F5以上の表象領域が割り当てられた職員のみ閲覧できます。

 

説明: SCP-1000-JPは、小惑星(2001-AL120)の試料採集を目的に製造された、深宇宙探査機(標識番号2003-062-A)の付属物です。

 

探査機062-Aは、現在一切の遠隔操作を行えない状態にあります。AL120表面で再発見されて以降、探査機062-Aが何らかの信号を受信した場合、AL120の軌道成分に影響する異常現象が発生しています。軌道の変化は、16箇所の財団併設観測所と、221箇所の民間観測所が確認しており、信号受信との確実な関係性を示しています。観測された変化は、軌道長半径の縮小や軌道速度の減少などの微細な変化ですが、何れも天体衝突の可能性を高める変化です。AL120の持つ膨大な質量から、破滅的絶滅イベント(ELE)が発生する危険性があるため、探査機062-Aへの信号送信は当面凍結されています。

 

2003年5月9日 探査機062-Aは、小惑星から試料を採取する計画のために打ち上げられました。機体の建造には、財団も費用の負担と一部機材の貸与を行いました。機体は打ち上げ後、約3.1AU(※1AU = 149,597,870.7km)まで航行しましたが、近接する恒星のフレア(X28クラス)に遭遇し、交信途絶状態に陥りました。復旧作業には財団も寄与しましたが通信機能は回復せず、2006年12月31日を以て機体喪失と見なされ、運用は停止されました。

 

機体喪失から690日後、探査機062-Aの通信機能を担当した研究室と、財団のCETI観測所(6EQUJ5)が8406.99MHzにおいて微弱な信号を受信しました。信号は062-Aから発信されていることが判明しましたが、上記の異常現象が確認され、財団が管轄する案件となりました。

 

代替シナリオには人工惑星(J102E3)が選定され、再発見から帰還までの記録を再生成し、大気圏への再突入によって無事消滅しました。

 

ツラレクマー「さて、ここまでで質問がある奴はいるクマー?」

 

海道「はいはいはーい!!」

 

ツラレクマー「はい、海道」

 

海道「小惑星から試料を採取する計画って、これってなんですかー?」

 

土門「ああ、それなら確かカササギ計画とやらだったか?」

 

海道「すっごーい、頭でっかちのとんとんきちがそんな答えるなんて、いっがーい!」

 

土門「てめえなあ・・・」

 

月光「ま、それほどの記憶力、思考能力などがなければ銀行強盗を何十件も行って逃げ切れないなんて分けないがな、ま、人望のないというのが運の尽きだったがな」

 

土門「・・・っるせえな」

 

ツラレクマー「はいはい、余計な話は後、それと、土門、説明助かったクマー、それじゃ、他に質問がないようなら話を進めるクマー・・・ないクマね?それじゃあ続けるクマー」

 

2001-AL120

パロマー天文台撮影

 

軌道成分

軌道長半径 5.6779724 AU

公転周期 12.17年

平均軌道速度 13.58km/s

物理成分

直径 1134.9km

質量 4.164 x 1021kg

表面重力 2.03m/s2

自転周期 12.880014h

スペクトル分類 G

表面温度 40K - 396K

 

(海、山らしきものが映った写真)

探査機062-Aから最初に受信した画像。062-A着陸予定地点と推測される。

 

探査機062-Aの撮影したAL120の表面は、輝線スペクトル分析の結果とは異なっており、日本列島中央部に位置する山岳周辺と相似しています。当該画像の受信後、撮影続行の命令を送信した際、AL120の軌道変化が観測されました。

 

凍結

ノストロモ計画

探査機062-Aを収容するため、有人航行計画が立案されました。AL120表層にSRAパネル14基を組み上げ、現地で収容状態へ移行させる計画です。当計画において、人的資源の回収は行われません。

 

投入資材一覧:

SRAパネル: 探査機062-Aを収容するための格納庫を構成する機材です。

組立型収容施設 SRAパネル(SRP-005BC) 仕様 ※1基当たり

質量 85kg 最大幅 1,650mm

最大平衡濃度 70Hm/h 安定現実性濃度 2Hm/cm3

稼動出力 150W 動作可能時間 150,000h

 

着陸船: AL120表面へ機材と人員を運搬するための小型船です。

着陸船 ナーシサス(IMS-001) 仕様

合計質量 15,120kg 最大積載質量 720kg

最大航続時間 160h 降下推進出力 44.4kN

最大幅 4,760mm 全高 6,880mm

脚間距離 9,070mm 最大乗員数 2名

 

運搬車: SRAパネルの運搬とAL120表面上を活動するための車です。

運搬車 ロードジム(IRV-001) 仕様

運転質量 260kg 最大積載質量 320kg

蓄電池容量 200Ah 最高出力 80kw(105PS)

全長 3,160mm 全幅 1,890mm

全高 2,600mm 最大乗員数 2名

 

作戦スケジュール:

08/11/28: 搭乗員候補10名の訓練開始。

09/02/28: 搭乗員候補の中間試験。

搭乗員を3名、予備搭乗員を3名、計6名に決定する。

09/05/31: 搭乗員の最終試験。

意思確認と特別保存書簡の執筆。

09/06/31: ナーシサス、ロードジム、SRAパネル他装備品と搭乗員3名を惑星周回軌道へ投入。

09/06/31: Mu-TORI再点火、AL120への遷移軌道へ移行。

16/02/02: AL120の重力圏に到達。

AL120の周回軌道へ移行。ナーシサス降下準備。

16/02/04(±07): AL120の表面に着陸。

ロードジム起動。SRAパネル運搬開始。

実験的な現地調査と採取物および記録の保存。

16/02/10(±14): 探査機062-Aの収容完了。

../../.. 以降任意の期間に搭乗員の終了措置。

 

計画を遂行する以下の職員には、財団への多大な貢献を認め、F4までの表象領域が特別に割り当てられます。

エージェント ジョーンズ -[IDNo.C2007]

エージェント アッシュ -[IDNo.C2260]

ミシマ博士 -[IDNo.B4603]

 

ツラレクマー「・・・とのわけだクマー」

 

月光「結局今回はどういう集まりだったんだ?今回は」

 

ツラレクマー「知らんクマーただ、上から見せれる分は見せれるだけあいつらに見せとけ、としか言われてないからクマー」

 

月光「そうか、じゃあ解散だな、さて、じゃあ存分に私と弟の素晴らしさを・・・」

 

土門「うるせえよ!誰が聞くかんなもん!」

 

海道「そうだそうだー!ていうか月島!あんたのところの空井とかいう奴こっちよこせや!うちの部隊でまともな男の人とか貴重なんだよ私も見てみたいんだよそしてカッコよかったらあわよくば16歳まで待って結婚して寿退社するんだよ!」

 

月光「マセガキめ、まだ10歳のくせに何を言うか、あ、言っておくが弟は渡さんからな」

 

海道「誰が居るかあんなロリコン野郎!あんたこそ注意してよあいつ私に会うたびに舐め回すように全身を見てくるんだよ!不愉快だよ!!」

 

月光「うるさいな、私の弟に見られることをむしろ誇りに思ってもいいぐらいなのに・・・ていうかさっきからSが静かだがどうし・・・あのやろうまたテレポートしやがったな!?」

 

月島「はぁ・・・またか」

 

海道「あのやろう私でも聞いてるっていうのにふざけんじゃねえ!」バタン

 

月光「それじゃ、そういうわけで、じゃあな」バタン

 

土門「あいつが変なことしてなきゃいいんだがな」バタン

 

月島「・・・私はあいつらを見張ってるから、じゃあな」バタン

 

ツラレクマー「・・・そんじゃ、僕も帰るか」バタン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピィ、ガチャガチャガチャガチャガチャ、ウィーン、不明なアクセスがありました、不明なアクセスがありました、不明な、不明な、不明な不明な不明な不明なhhhhhhhhhhhhh

 

「・・・さて、では、始めましょうかね」

 

IDNo.C2007

SCP-109-JP-Aに変質した後も、職務を全うできたことに最上の感謝を示し、最後の任務に就けることを誇りに思います。 -A.ジョーンズ

 

IDNo.C2260

SCP-515-JPによる不可逆の情報子汚染を受けた私が、この任務に就くことは最善の選択と考えます。異論はありません。全ての職員に健やかな未来のあることを祈ります。 -A.アッシュ

 

IDNo.B4603

君たちを許さない。

 

ノストロモ計画の凍結が決定されました。探査機062-Aの収容は無期限に延期されます。

 

接続船ナーシサス受信情報取得クエリ

 

ナーシサスの受信情報取得にはRAISAの許可が必要です。

閲覧端末のIDと以下の認証コードを照会しますか?

RAISA認証コード-RBP-000012

 

[送信IDNo.C2007 のメッセージを取得]…RBP-F5.0038:0071:0304

[ID情報を中継局へ送信]…QID0012-NST-0017

 

ず、私たちも混乱しており、正しい現状を把握できていない可能性があります。

 

探査機062-Aの周囲一帯(B310)には、天候が存在します。小型無人機の観測では、Dfb気候(亜寒帯湿潤気候)およびET気候(寒帯ツンドラ気候)に属していると見られます。より広範にはCfa気候(温帯多雨高温気候)が再現されています。気候の見られる地域には、コケ類やシダ植物が生育しており、少数ながら種子植物も存在しています。昆虫や魚を含め、動物は一切生息していません。AL120表層全域に呼吸可能な大気(湿潤空気)が存在しており、気密服を着用せずに船外活動が可能です。

 

気候と植生から、B310地点付近は日本列島中央付近の環境が再現されていると考えられます。実在の場所と大きく異なるのは、現実強度の数値です。

 

B310地点における、AL120の現実性濃度(Hm(ヒューム値)。現実性の強度。正常な現実空間は1を示す。)は550Hm/cm3を示しており、他2箇所(B331,A197)でも同様の数値が計測されました。AL120表層の現実性は過飽和状態にあると見られ、あらゆる異常現象の介在を許容しません。

 

AL120の環境は、異常性を帯びた生物や物品には恩恵と言えます。現実性濃度が平衡状態へと移行する作用により、AL120の現実性が異常存在へ流入します。現在のAL120の環境は、限りなく正常に近い現実性を示しており、全ての異常存在は次第に希釈されると考えられます。

[不明なエラー]

[受信情報を検索]…

[送信IDNo.C2260 のメッセージを取得]…RBP-F5.0038:0071:0303

[ID情報を中継局へ送信]…QID0012-NST-0023

 

[送信IDNo.C2260 のメッセージを取得]…RBP-F5.0038:0071:0303

[ID情報を中継局へ送信]…QID0012-NST-0023

SP062AC2260image104.jpg

062-A本体と周囲を撮影。

SRAパネルによる探査機062-Aの収容は依然成功していません。

 

着陸船ナーシサスと探査機062-Aまでは、距離にして14.2km離れており、標高差も2450mあるため、SRAパネルの運搬が困難なことに加え、着陸船がAL120の正常性に希釈される可能性があるため、食料と重要機材の保護にSRAパネルを7基使用している状況が要因です。運搬車ロードジムはすでに正常性に希釈され、後部の積載部品を喪失しました。

 

残るSRAパネル7基も、我々が睡眠をとる場所として使用しており、収容計画は大きな修正を必要としています。SRAパネルの平衡能力にも限界があり、支給された"リンゴ"が2つ失われたため、計画完了後の終了方法も新たな手順が必要です。

 

各計測対象の現実強度:

AL120表層上の物体では、A.アッシュの異常性が最も高く、探査機062-Aの現実性濃度はAL120の異常現象を説明できるほどには高くありません。AL120の持つ強力な正常性によって希釈された結果か、あるいは最初から収容する必要のない存在であったかは判別できません。

 

A.アッシュとA.ジョーンズの異常性は、AL120表層上の調査活動中に希釈され、外見以外の異常性はほぼ喪失しました。

 

[発信位置を検索]…

[送信IDNo.B4603 のメッセージを取得]…RBP-F5.0038:0071:0304

[ID情報を中継局へ送信]…QID0012-OME-0105

ようやく見つけました。私はついに目標を確保しました。

[不正なエラー]

探査機062-Aを分解し、着陸船ナーシサスへ運ぶ計画の途中で、内部に収容された物品を発見しました。当該物品は外見上、剣に見えます。長さ60cmほどの金属製の剣です。回収時の当該物品には、電源とモデムが接続されていて、電力が供給されていました。通信規格は保全サーバーと一致しており、ナーシサスからも接続が可能です。ナーシサスのCTスキャナ解析により、当該物品は一種の補助記憶装置であることが判明しました。

 

内部の記憶領域には膨大な情報体が存在し、多数の知性反応が確認されました。これが表象領域なのでしょうか。参照不可の領域が存在することから、F5までの階層を保存しているものと見られ、高レベルクリアランス職員を内包した中枢領域の予備サーバーと思われます。

 

小型無人機の観測により、当該物品は気候と植物の存在する領域の、中心に位置していることが判明しました。

 

内部に保存された職員の表象が、AL120表層の現実性に干渉し、現在のAL120の環境を生成しているとすれば、表象の遮断は生存可能領域の消失を意味します。当該物品をSRAパネルで収容することは危険を伴うため、現在は電源を確保した上で、着陸船に収容している状態にあります。

 

AL120表層上の過剰な正常性が、表象の総意なのだとしたら、やはり財団は、異常性を帯びた職員を排除したかったということでしょうか。24年前、私を排除したように。

[不明なエラー]

もうやめようよ

アッシュとジョーンズは、すでに正常な世界になってしまいました。いずれ私もこの領域に希釈されると思われます。私はいったいどうやってここに来たのか、もはや思い出すことはできません。

 

この星にも太陽が昇ってくることを発見しました。もう帰ることのできない向こう側にも。わかってる。ここは私の生まれた星なのだから。

 

ここはこんなにもすばらしい。

[位置情報を取得]…

[送信IDNo.0000 のメッセージを取得]…RBP-F5.0000:0000:0000…

…[… ……]

 

どこにいるの?

[遷移軌道を計算]…

[中断]

 

「・・・さて、次は、オルメイヤー計画・・・ですか」

 

オルメイヤー計画の記憶

オルメイヤー計画書は中央サーバー"十束"の表象領域に内包されたO5-A1の映像記憶に保存されています。

計画書には強度A++の暗号化処理が施されています。復号にはF5層の表象が必要です。

[O5-A1-F1:OME001の復号中]

 

継続

オルメイヤー計画

 

F5層を含む表象領域の予備サーバー設置に関する計画です。

 

F5層は内包した人数に比例し、サーバーのヒューム値を上昇させる問題が発覚しています。RAISAの決定により、表象領域はSRA遮断フィルムによって被覆され、通常の現実強度を保ちます。報告された問題点から、予備サーバーは惑星重力圏外に設置することが決定されました。日本天体開発公社(YEGA)の協力を得ることになり、カササギ計画内で建造された探査機062-Aよって、予備サーバー"草薙"が小惑星AL120へ運搬されます。

 

計画スケジュール:

00/06/01: 探査機062-Aの建造開始。

予備サーバー"草薙"の搭載。

03/05/09: 探査機062-Aを惑星周回軌道へ投入。

03/05/09: Mu-TORI再点火、AL120への遷移軌道へ移行。

10/01/02: AL120の重力圏に到達。

AL120の周回軌道へ移行。

10/01/04: AL120表層にターゲットマーカー発射。

10/01/10: AL120の表面に着陸。

サンプラー起動。試料採取。

予備サーバー"草薙"の設置。

10/01/10: AL120離陸。再び周回軌道へ移行。

10/01/11: 帰還軌道へ移行。

16/09/03: 大気圏再突入。

採取カプセル分離。任務終了。

事案報告-001: 2003/11/16 恒星フレアによる探査機062-Aの機体損傷。表象漏洩の可能性が発生しました。交信途絶により機体は喪失し、カササギ計画および、オルメイヤー計画は中断されました。

 

表象サーバー"草薙"仕様

質量 5kg 全高 650mm

稼動出力 250W 本体現実強度 2Hm

収容人数

F1層 6089籍 F2層 5800籍 F3層 2200籍

F4層 671籍 F5層 549籍

 

事案報告-002: 2008/11/20 探査機062-Aが小惑星AL120に到達したことが判明しました。AL120の軌道と、探査機062-Aの通信に異常な関係性が認められ、AL120表層に現実改変の兆候が見られました。異常現象はSCP-1000-JPに指定されました。

 

探査機062-Aと予備サーバー"草薙"の物理的回収計画、ノストロモ計画が立案されました。当計画と同時に遂行されます。

 

事案報告-003: AL120表層に予備サーバー"草薙"の表象の漏洩が確認されました。AL120表層は過剰な正常空間が再現され、ノストロモ計画の作業員3名全て消失した模様。

 

ノストロモ計画の作業員が、予備サーバーを着陸船に接続したことにより、"草薙"との通信が可能になりました。オルメイヤー計画内では、着陸船ナーシサスは接続船と呼称されます。

 

復旧作業: 予備サーバー"八尺瓊"に保存された表象を用い、"草薙"の表象を沈静化させます。

 

第1次接続。F4層までの表象3名を"草薙"へ投入しましたが、実時間10分(領域内時間2日)で知性反応が全て消失しました。表象投入時、AL120の軌道変化を確認しました。警戒レベルに変更はありません。

 

第2次接続。人員を厳選し、F4層までの表象5名を"草薙"へ投入。実時間35分(領域内時間7日)で知性反応が全て消失しました。前回と同様、表象投入時に、AL120の軌道変化を確認しました。

 

投入表象の証言により、"草薙"内部の表象は地球への帰還を目指していることが判明しました。通信時に惑星の位置を把握し、AL120の軌道を変化させているものと推測されます。

 

回収されたメッセージ: 第2次投入表象群。

 

送信ID: RBP-IDNo.B1090

AL120表層上と同様に、表象領域内にも日本列島中央部が再現されており、表象群も仮想的に再現されています。B310地点の山頂とB331地点に表象群の反応が見られます。B310地点の表象群への接近は時間を要します。

 

送信ID: RBP-IDNo.B0781

B331地点の表象群は、自然環境の再現を行っている財団職員の表象と判明しました。軌道の変化を行っている表象の由来は不明です。

 

送信ID: RBP-IDNo.A0037

1人多い。

 

第3次接続。人員を調整し、F4層までの表象3名を"草薙"へ投入。うち1名はノストロモ計画の作業員と同一の職員です。実時間30日(領域内時間24年)経過後も、1名の知性反応を確認しました。

 

回収されたメッセージ: 第3次投入表象群。

 

送信ID: RBP-IDNo.B4603

 

ようやく見つけました。山頂の表象群へ辿り着きました。

 

[画像の取得に失敗]

 

表象群は探査機062-Aの形態をとっており、内部の表象サーバーは剣の形状に偽装されていました。偽装された表象サーバー内部に表象は存在しておらず、B310側の表象群との接触は未だに成功していません。調査のため、表象サーバーを探査機062-Aから引き抜いたところ

 

内部の記憶領域には膨大な情報体が存在し、多数の知性反応が確認されました。最初の接続では確かに表象は存在しませんでした。参照不可の領域が存在することから、F5までの階層を保存しているものと見られ、高レベルクリアランス職員を内包した中枢領域の予備サーバーと思われます。名称を思い出すことはできません。

 

小型無人機の観測により、表象サーバーは再現された表象領域内の、中心に位置していることが判明しました。

 

内部に保存された職員の表象が、AL120表層の現実性に干渉し、現在のAL120の環境を生成しているとすれば、表象の遮断は生存可能領域の消失を意味します。当該物品をSRAパネルで SRAパネル? 収容することは危険を伴うため、現在は電源を確保した上で、接続船に収容している状態にあります。

 

AL120表層上の過剰な正常性が、表象の総意なのだとしたら、やはり財団は、異常性を帯びた職員を排除したかったということでしょうか。24年前、私を排除したように。

 

[画像が破損しています]

 

[画像が取得できません]

 

アッシュとジョーンズは、すでに正常な世界になってしまいました。いずれ私もこの領域に希釈されると思われます。私はいったいどうやってここに来たのか、もはや思い出すことはできません。アッシュとジョーンズとは一体誰のことなのでしょうか。

 

この星にも太陽が昇ってくることを発見しました。もう帰ることのできない向こう側にも。

 

[送信IDの取得に失敗]

わかってる。ここは私の生まれた星なのだから。

 

予備サーバー"草薙"の表象は、少なくともF4層まで何らかの汚染を受けており、"草薙"自体をSCP-1000-JPに指定することが決定されました。

 

現在、IDNo.B4603の知性反応は消失しておらず、財団職員の表象にも汚染源の表象にも希釈されていません。"草薙"内部の動向は、汚染源の表象にも干渉が可能であることを示唆しており、IDNo.B4603の表象によって"草薙"の表象が沈静化される可能性を示しています。AL120表層の異常な環境が解消される可能性があるため、オルメイヤー計画の継続が審議されています。

 

対話は続けられる。 -O5-A3

 

S「さて、後はこれを一般公開すれ・・・ば?」

 

月島「・・・何をやっている?S」

 

S「おやおや月島さん、そんな物騒のものを頭に突きつけないでくださいよ、それじゃあ僕は殺せませんよ?」

 

月島「そんなことは承知の上だ」

 

S[それは、それは、やはりあなたには、”恐怖”という感情が欠落しているようですねえ、その大胆さ、とても魅力的です」

 

月島「それはどうも、で、お前は今何をしてた?」

 

S「さあ?ていうか月島さんこそどうしてここにいるんですか?」

 

月島「・・・お前との付き合いの長さは長いからな、このくらいわかる・・・次はないからな、██」

 

S「・・・その名前で呼ばれるのは、一体いつぶりでしょうかね」

 

月島「さあな?ほら、行くぞ、飯でもみんなで食いに行こうじゃあないか」

 

S「・・・わかりました、それで、それはもちろん月島さんのおご月島「割り勘な」ですよねー」




どうも、作者です、電球の光に当たってたら浮いてきました。
そんな話はともかく、今回は特別回という名の手抜き回です、今回でそれぞれの部隊長達がでてきました。

今回使用SCP、tale
SCP-1000-JP 特別回収任務 http://ja.scp-wiki.net/scp-1000-jp

名前:空井 圭一(そらい けいいち)
セキュリティレベル:2

職務:サイト-81██での事務仕事、及びそこの職員へのツッコミ

所在:サイト-81██

人物:サイト-81██の新米研究員、オカルトが異様なぐらいすきな研究員、主な仕事は事務仕事ということになっているがほとんどツッコミみたいな感じになっている。
また、彼はこの部隊の中で唯一と言っていいほどのまともな人員なので、ほかの部隊職員からもよこせという申請が来ている

ていうかー、私達のところに来ればいっぱいいっぱい甘えてあげるんだから私たちのところに来ればいいのー!!
──海道エージェント

却下するクマー、ていうか一々男の人員が来るたびにその申請するのやめるクマー、ぶっちゃけ迷惑クマー
──ツラレクマー

SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
SCP-089-JP 平和主義者の銃 http://ja.scp-wiki.net/scp-089-jp
SCP-1367 パーティ風船 http://ja.scp-wiki.net/scp-1367
スポンジアヒル


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十一サイト目「新米職員への説明」

あらすじ
記念回、1000、”変人たちの巣窟”
記念回、1000、”変人たちの巣窟”

今回は日常回です


如月「ちゃっちゃと運べ、いくら少ないとは言え急がなければならないからな」

 

麻木「あい・・・わかりました・・・」

 

空井「だけど、これなんなんですか?」

 

月光「これは、新人職員へのパンフレットだ」

 

空井「・・・新人職員って、僕がここにきたのって、大体半年前ぐらいのはずなんですけど・・・」

 

月光「流石に何かの行事みたいに一定の間隔ではやらないが、一年に二度、財団にとって必要な人材を集める行事があるんだ、まあ、空井はこれについては知らないだろうがな」

 

空井「僕そういうの言われませんでしたからね・・・」

 

如月「・・・お前ら口を動かさず足を動かせ」

 

月光「どうせ始まったら私は口を動かすから構わんだろう?」

 

如月「全然構わなくねえよ」

 

空井「まあ・・・とにかく、あそこの部屋に運んで、置いておけばいいんですよね?」

 

如月「まあ、そういうことだな・・・さて、ついたか、それでは、置いていくか」

 

空井「あいあいさー」

 

数十分後

 

麻木「やっと終わったあ・・・月光さん!多分私一番置きましたよ!褒めてくださいなででくださいペロペロさせてください!」

 

空井「落ち着いて麻木さん・・・」

 

月光「そうだな、とりあえず二人はもうかえっていいぞ、空井はのこれ」

 

麻木「えー!?なんでですか!」

 

月光「ここで行う説明会は主に研究員へのだからな、如月は別の仕事があるし、お前は土門のところへ行ってもらう」

 

麻木「土門さんですか・・・?それでも・・・」

 

月光「後で何か奢ってやるから」

 

麻木「つまりデートってことですね!そういうことならおまかせあれです!」

 

月光「・・・私デートなんて一度も言ってないんだがなあ・・・」

 

如月「・・・んじゃ、俺もクマーのところに行ってくるわ・・・」

 

月光「・・・さて、まあ、残ってもらって言うのもなんだが、ほとんど仕事はないから、隣で座っているだけでいいぞ」

 

空井「はぁ・・・」

 

月光「ま、お前を残したのは主に、これを読ませるためなのだがな」

 

空井「これというと・・・このパンフレットですか?」

 

月光「ああ、お前はまだこれを読んだことはないからな、ついでに私の演説の手伝いもしろ」

 

空井「わかりました・・・」

 

月光「そいじゃ・・・こほん、ええ、まずは、おめでとうと言わせてもらおうか、きさまらはこのSCP財団において、必要、と判断された人材であるため、ここに雇用させてもらった、まあ、断ったやつももちろん多いがな、また、君たちの秘密を外部に漏らさない、という点についても信用はしているが、もし万が一のことがあった場合は、それ相応の覚悟をしてもらおうか、さて、では何か質問があるものはいるか?・・・いないな、それでは、手元のパンフレットを読みたまえ」

 

月光「これは、うちのとある収容エンジニアが作ったパンフレットだ、今からこの内容を読み上げるため、聞き逃さないように」

 

本パンフレットは、財団という特殊な研究環境に置かれた新人研究者に対し、特別収容プロトコルの執筆における基礎的な注意喚起を「収容エンジニアの立場から」行ったものです。収容の保守・維持に関わるエンジニアの領分については、新しい研究員が知らないことが多いのも無理ならぬことでしょう。同じ研究室内の同僚や先輩、上司らと比べればエンジニアと接する機会もずっと少ないでしょうし、研究員同士での付き合い方は分かってきても、エンジニアとはどう接したらよいか分からないままということもままあるかと思います。経験豊かな研究者であれば長年かけて知らず知らずのうちにエンジニアとどう付き合えばよいかを身に着けていくものですが、そこまで経験を重ねることを待つよりもこうしたパンフレットにより心構えを周知してもらうほうが遥かに建設的というものです。

 

 本パンフレットで取り扱うのは、収容手順ならびに収容設備構成の設計—より馴染みのある言葉で言い換えると「特別収容プロトコル」についてです。熱意ある新人研究員が陥りがちな傾向なのですが、オブジェクトが持つ特性の研究に夢中となり労力を尽すあまり、対象の収容、特に特別収容プロトコルの策定に対する軽視が見受けられます。特別収容プロトコルの記述に僅かでも関わる職員は、収容設備および収容手順の不備/過剰のいずれもが等しく収容違反のリスク要因に成りえることを理解しなければなりません。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」とは論語に由来する故事です。詳細は後述しますが、「不足」のみならず「過剰」もまた同様に忌むべきものであることを十分に理解する必要があります。

 

エンジニアが困ることの無いように、過不足なく特別収容プロトコルを記述するための要点は、以下の二つです。

 

特別でない要件は記述しない

特別に必要な要件を記述する

 

 特別収容プロトコルに記述するべき内容は「特別な収容方法」です。特別ではない点については概略だけを指示し、特別な点については可能な限り漏らさず書く。これが肝要です。

 

特別収容プロトコルの重要性について

 

 収容対象に関する説明から特別収容プロトコルを分けて先に記述するのは、単に収容の手順は重要であるからというだけの理由によるものではありません。収容エンジニアをはじめとする保守専任の職員は、ほとんどのケースにおいて報告書のうち「特別収容プロトコルだけしか読めない」のです。エンジニアは研究員と比べて多数のオブジェクトの保守作業に関わるため、必要以上の情報にアクセスすることは厳しく制限されます。収容保守班は実験には関わりませんから、オブジェクトの詳しい特性を知る必要がありません。知るべきでもないことなのです。よって、特別収容プロトコルのみ閲覧すれば収容の維持に必要な事項が全て分かるようになっていなければなりません。収容対象物の由来や特性、特筆すべき実験・事故記録、現在の研究状況などは研究員のみが扱う領分であり、収容保守班と共有すべき収容手順は特別収容プロトコルとして区別しなければならないのです。

 

 だからこそ、きちんと正しく、分かりやすく、出来るだけ無駄が無いよう特別収容プロトコルを記述することは、収容違反のリスクを抑えるために必要なことなのです。我々収容保守班はどれほど馬鹿げている手順であっても、書かれている以上はそうする意味があるのだという前提で特別収容プロトコルを読み、従います。もし十分な検討を行う余裕があるならばそうしたプロトコルに対する疑義を問うこともありますが、我々もそれが常に出来る保障はありませんし、そもそも策定の段階でそうならないようにするべきでしょう。収容保守班が特別収容プロトコルの策定に協力する例もありますが、必要もなく全ての案件に関わることは情報の秘匿という観点から見て不適切です。

 

 収容保守班が読まなければならないことは特別収容プロトコルに書いてください。逆にいえば読まなくていいこと、つまり特別に必要な要件ではないことは書かないでください。書かれた以上は、その内容は特別な収容手順であり、必要なプロトコルの一部であると見做さなくてはいけないのですから。

 

「特別ではない」収容手順

 

 「特別ではない」収容手順とは、すなわち多数のオブジェクトの収容に共通した手順ということです。分かりやすい例を挙げますと「オブジェクトを収容室に収め、入口をロックして警備を行い、必要のない人間は入れないようにする」ということは大部分の収容オブジェクトに共通することでしょう。言うまでもないことですが、財団が収容しているオブジェクトは特別な理由がない限り厳重なセキュリティ体制で守られています。セキュリティ体制に言及する必要があるのは、それがさらに特別な警備体制を必要とするようなものであるか、あるいは特殊なチェック体制、例えば重量センサや赤外線センサなどを追加する必要がある場合、逆に警備自体が不要だったり不可能だったりする場合などです。

 

 ここで何故、指定する必要がないことを一々記述するべきではないのかを詳しく説明しておきましょう。収容設備の要素—具体的にはサイズ、材質などを指定された場合、ほとんどの場合その収容設備には規格品ではなく特注品を使わなければならなくなります。収容設備にも財団の規格品というものがあり、それを使えるならそれに越したことはありません。規格品は信頼性も高く、メンテナンス・交換も容易であり、他の規格品との相性も確認されたものです。また、指定していない事項は、収容側の状況、都合に応じて柔軟に変更することも出来ます。設備の構成要素ではない各種処置の手順も同様であり、守らなければならないことが増えれば増えただけ、手間と労力が増えて収容班の裁量で行えることが減るということです。特別収容プロトコルで指定された内容は、緊急回避などやむを得ない状況を除いて現場の判断だけで曲げることは出来ないのですから。

 

 かの孫子の著した兵法でも、幾度かに分けて「君主が軍の内情状況を把握しないまま命令するのは混乱の元であり、有能な将軍に任せ不要な指図をしないものが勝つ」ということを述べています。我々は君主と将軍の関係ではないですが、現場を知らないままに細かく指示を行いすぎれば、正しい対応は出来ないものです。

 

 「収容の概略を示す」というのは、大抵の収容対象であれば単に収容全体の様式を説明すればよいでしょう。例えばロッカー型の収納庫であったり、コンテナであったり、貴重品保管庫、記録媒体保管庫、人間型収容室、車両格納庫、などなど。こうした収容の様式ごとに、大まかな収容物の取り扱い手順が定められています。他にも、我々の仕事というよりもセキュリティチームの領分ですが、移設できない収容対象には、対象の周囲を警備するという収容様式もあるでしょう。この場合もセキュリティチームによる「標準的な取扱い」があり、記述する必要があるのはそれだけでは不足している場合のみです。

 

 もちろん、これらの標準の収容手順では不十分である要素があるならば、その旨を付記して補足する必要があります。サイズや材質が指定されると特注品とせざるを得ない、というのは先に述べましたが、一方で頻繁に用いられるようなオプション設備や特殊加工処理については一通り規格品が完備されています。例えば電源設備はオブジェクト本体が電力を要求する、あるいは収容のためになんらかの機器を設置する必要があるといった要件のために頻繁に要求されるもので、各種電源規格に対応した電源が用意されています。セキュリティ設備の追加も監視カメラ、赤外線センサ、重量センサ、熱センサなど一通り規格化がなされていますし、耐水性・耐火性・耐衝撃性などの耐性材料、温湿度の調整機構といった多くの要請に応じることが出来ます。勿論、規格にない要求であってもそれが収容に「必要」であるならば財団はコストを惜しまず対応しますが、それらの「特別な収容手順」については次の項で詳しく説明しましょう。要は、標準の様式から外れる点があるならばその点を追記すればよいということで、まず「標準」の収容様式があるということを踏まえよ、というわけです。

 

 特に「標準」という点で数多くの事柄が詳細に定められているのは、人間型オブジェクトに対する取扱いです。人間型オブジェクトには標準のスケジュール割り当てがあり、「三食の給餌を行う」ことなどはわざわざ書く必要はありません。二食や四食でなければならない理由があったり、逆に三食を厳守しなければならない特別の理由がある場合にのみ、そう書くべきです。余談ですが、こうした収容プロトコルに食事に関する記述が目につく一方で、同様に重要であろう、入浴などの衛生処理に関することや、就寝起床時間といったことを記述がなされている例をほとんど知りません。 これも一種のオブジェクトに対する「同情」の結果と見え、好ましい物とは思えません。オブジェクトに対する処遇は可能な限り画一的に行わなければならないのです。それこそ監獄のように。

 

 総じて、経験豊かなある職員ほど何が「余計な記述」となるかを理解し、それが避けるべきものであることを熟知しています。これらを出来るだけ省かなければならないのは、次節で述べる「特別な収容手順」こそが収容の本題であり、真に注力せねばならない点であるためです。ゆめゆめ、オブジェクトの本質を見失うことの無いよう。

 

「特別な」収容手順

 

 前節では「特別でないことは出来るだけ簡略にするべきである」ということを幾度も強調して述べてきましたが、その反対に「特別な」収容手順については漏れなく記述しなければなりません。「通常通りの措置」だけでも多くの点はカバーできるとしても、しかし異常存在というものはとかく一筋縄にはいかないもので、何かしらの点では「通常通り」を破る「異常」を含んでいるものです。そのオブジェクトのためだけに要求される手順があるからこそ、その収容手順が「特別」収容プロトコルと呼ばれるのですから。

 

 「特別な収容手順」をまとめるための要点は以下の2つです。

 

収容に必要なこと、守らなければならないことはすべて記述する

その手順はどのような『異常』に対して必要な処置なのかをよく検討する

 「言われるまでもなく、必ず守られること」を明記する必要はないですが、逆に「言われるまでもなく、誰もやらないこと」は、もし万一発生した際に何かしらの事態が発生するならば明示的に禁止してください。どんなに馬鹿げた「言わなければ絶対にやらないだろう」ということですら、何かの間違いや偶発的事故によって起こりえると考えるべきです。例えばオブジェクトを破壊するような、前提としてすべてのオブジェクトに対して絶対厳禁である事柄については十分に注意を払いますが、「オブジェクトを舌で舐める」などというようなことに対しては、まずありえないことだとしても明記しておかなければ、我々も注意を払うことができません。もしかしたら偶然顔に当たり、偶々舌が出ていたということもあり得ないとはいえないのですから。絶対にやってはいけないことがあるなら、それはきちんと記述してください。問題を引き起こす可能性があることを避けるように注意を促すべきです。また、万が一に備えて、禁則事項が破られた場合の対処手段はもしあるのならば、それもまた記述するべきでしょう。

 

 それが必要な処置であるのならば、財団どれほどの労力をも費やしてでも実行します。だからこそ、逆に必要のないことは極力排除しなければならないのです。この選定の判断に必要なことが、先に述べた大事な要素の2つ目、「どのような『異常』に対して必要な処置なのかを検討する」です。 収容の「本質」を理解するとは、その収容を行う意味を見直し、適切な処置をことです。それが何のために行われているのか、より具体的に追及することが肝要です。

 

 例を挙げましょう、「金属に触れると何かしらよくないことが起こる、30cm程度の大きさのオブジェクト」があったとします。これに「0.6m×0.6m×0.6mの樫の木箱に入れる」と指定するのは明らかに過剰です。木箱である必要性はないですし、容器が頻繁に破壊される恐れがあって予備の備蓄が必要というのでない限り箱のサイズも指定する必要もないでしょう。むしろ必要なのは「金属製品に触れさせないこと」ですから、環境が定まっている収容室内以上に気を配るべきは職員の所持品です。収容室内や容器は単に金属を使わないと指定するだけで十分ですが、職員に対しては先述のように触れさせてはいけないことを注意するだけでは足りません。オブジェクトに近づく全ての人員の金属の持ち込みを実験で必要な物以外禁止し、収容室に入る人員は所持品のチェックを受けさせるべきです。ここでもし、このオブジェクトが金属に直接触れなくても十数cmまで近づけるだけで特性が活性化するとしたら、この場合には収容容器にもサイズの指定が必要となるでしょう。十分な大きさと容器内の適切な詰め物で、運搬時などでの事故を避けることが出来るようになるでしょうから。

 

 そしてSCPとして管理収容する必要な物であるのならば、必ず特別な手続きが必要となるはずです。実際の収容の現場がどうなるかを想定して記述してください。報告書の説明部を読まずとも、収容プロトコルのみで正しく管理が出来るかを。オブジェクトの性質を一旦忘れたつもりになって読み返し、自分自身でこのオブジェクトをどう取り扱うだろうかみてください。 そのプロトコルだけで、十全に安全を確保できますか?

 

 収容プロトコルの策定とはすなわち、収容に必要な処置を明らかにするということです。オブジェクトの収容維持、あるいは取扱いに必要な要素をすべて想定することは、収容のために要求される様々な要素の本質を見極め、内在するリスク要因を丹念に検討するということです。これは財団にとって絶対に必要不可欠なプロセスであると筆者は考えています。新人職員の皆様もいつか特別収容プロトコルの執筆に関わる際には、このパンフレットの内容と筆者の私見を心の片隅にでも思い起こして頂ければ幸いです。

 

補遺

 

最後に補足として、上記2つの原則だけではカバーできない、幾つかのよくあるケースについての例を列挙します。

 

厳密に文字通りの意味で収容手順すべてを「特別収容プロトコル」にのみまとめなければならないということではありません。必要に応じて別紙を参照させるよう収容プロトコル上で指示することは、情報セキュリティ上むしろ好ましいことです。

例えば、内容を知るべき人間が通常の保守担当者とは別の専門技能者であるという場合は、別紙に記述しその旨説明するとよいでしょう。例えば「特別に調合された薬品を使用する」場合、その成分表は調薬担当者のみが閲覧できる別紙に記述するべきです。

通常のオブジェクトよりセキュリティ上の扱いを緩める例も稀にあります。何かしら財団内で使用申請や実験申請がされることが多いオブジェクトでは申請の手続きが簡素化される場合などです。ただし、このような取り扱いの策定には慎重であるべきことに留意してください。

収容プロトコル上では、担当職員などを個人名で言及することは必要のない限り避けるべきです。担当者の個人名よりも、オブジェクトの実験担当者などといった役職名やセキュリティクリアランスによる指定の方が明確であり、人員配置に変更があった際にも再検討する事柄が少なくなります。

オブジェクトの形態・性質に合わせ、担当するセキュリティ施設の移管も考慮すべきです。例えば規模が大きく収容物の危険度が概ね低いサイト-8181では、セキュリティ体制の整った大規模倉庫や低温低湿設備などが完備されています。人間型オブジェクトであればサイト-8141に収容する方が管理上の無駄も少ないでしょう。

 

月光「・・・以上だ、さて、次に君たちにはこの部屋に向かってもらうが・・・そこで出会う人物の格好は気にするな、あとあれが財団の”普通”ではないことをよく理解して欲しい、それでは、また会う機会があるのならば会おう・・・どうだ?」

 

空井「いや、どうだと言われましても・・・まあ、聞きやすかったとは思いましたよ?」

 

月光「ふむ、まったく参考にならんな」

 

空井「ええ・・・」

 

月光「まあ、何も無いよりはまし・・・か、さて、では、もうすぐ来るからお前も準備しておくように」

 

空井「あ、はい」

 

このあと、文句を言いに来た土門とひと波乱あったのはまた別のおはなし




どうも、作者です、山岳にいたら急に焚き火がでてきました
そんなどうでもいい話はともかく、今回は日常回というよりも、説明回の方が近いのかな?ちなみに、一年に二回云々はオリジナル設定です

今回使用SCP、tale
研究員が知るべき収容設計の基礎 http://ja.scp-wiki.net/holy-nova-tale-howtodesigncontainment

名前:菊月 茜(きくづき あかね)
セキュリティレベル:3

職務:病院などへの潜入調査


所在:サイト-81██、サイト-81██の医務室(美少女がいるところならばどこへでも!)✖

人物:サイト-81██のエージェント、口は悪いが職務などは真っ当にこなす、また、彼女は病院での潜入調査をおもにしており、多少の応急手当の心得もあるため、サイト-81██の医務室にもよくいる。ただし、彼女はレズであるため、女性職員がこの医務室に訪れる場合は注意するべし。


SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)
軽光灯 http://ja.scp-wiki.net/scp-1703
浮かばれないアヒル http://ja.scp-wiki.net/scp-200-jp

高速稼働電球


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十二サイト目「本部のSCP」

あらすじ
新人職員、エンジニア、オリジナル
新人職員、エンジニア、オリジナル

今回は紹介回です


菊月「ううむ・・・」

 

空井「あれ、菊月さんどうしたんですか?手にグラビアの写真集持ってないで真面目な顔をしてるなんて珍しいですね」

 

菊月「あんたは本当に私のことを何と思ってるのよ・・・アメリカの方の財団、つまり本部から、日本語和訳してほしいっていうSCPが来て、なんとか終わったんだけど・・・変じゃないかなあって悩んでただけ」

 

空井「そんなに悩むことなんですか?」

 

菊月「あんたねえ・・・そんな簡単に言うけど、そのままで表せないから意外と大変なのよ、それにタイトルも異様にうまいのが多いからこれもまた悩みで・・・そうだ、あんた、試しに読んでみなさいよ」

 

空井「ええ・・・なんで僕が、黒崎さんあたりにでも頼めばいいじゃないですか」

 

菊月「あいつだと変な日本語があると勝手に直すから参考にならないのよ・・・」

 

空井「はぁ・・・そんじゃあ読みますけど・・・それじゃあ、一枚目から」

 

SCP-1548-CU きゅんきゅんすたー

オブジェクトクラス: (かわいらしい)✖ 差し迫ってかわいらしい

 

特別収容プロトコル: SCP-1548-CUは、よちよちと可愛らしげにちょっぴりずつ歩くのが愛おしい結果、現状では収容が不可能です。現在サーク島の████████に位置する研究ユニット-█において、SCP-1548-CUを愛するもの総出で観測されるべきです。24時間寄り添うことを可能にするため、現在三つの小さな枕と毛布を積み重ねたものが使用されています。寄り添って寝ることを容認されたものは全て写真に記録し、サイト-█のSCP-1548-CUデータベースへ送信してください。毎日確実に温かいミルクを与え、SCP-1548-CUのしゃっくりを抑制する任務のため、現在機動部隊ガンマ-5が配属されています。

 

説明: SCP-1548-CUは、ワンダフルな2ヶ月のウェルシュ・コーギーの子犬であるスターを示す財団内の用語です。19██年に生まれた当初、彼女の毛並みのゴージャスな性質は判明しませんでした。判明したのは、当時[編集済]の熱狂的犬大好きであったエージェントM███████が、SCP-1548-CUがぽかぽかの日差しの下でお昼寝をすることを観測した19█年のことです。観測によって、スターは実はいびきをかいていることが明らかになりました。最初に完全に文字に起こされたSCP-1548-CUのメッセージは、3回のバーストによって送信され、ロシア語から翻訳されました。内容は次の通りでした。“彼女ハ目覚メタ/アゥゥン,彼女ハ辺りヲ見渡していマス/オナカヘッタ〜!”SCP-1548-CUは通常およそ0.85ヨチヨチ/秒のペースで移動をしますが、より早いよちよちも記録されています(補遺SCP-1548-CU-A参照)。

 

続く10分のうちに、スターはいたいけな足をあげて、せいいっぱいの速さまで加速していることが観測されました。この期間中、彼女は可愛く小さな声でキャンキャン鳴き出しました、もうっ、あなたがあの場所にいたら彼女をギュッとしたくなったことでしょう。お昼ごはん時には未知の手段により見た目の最大速度に達しており、彼女が子犬の遊び場で駆けまわり始めて、クッションの上にドスン。

 

それは、この時点でSCP-1548-CUが、自身の観測者について知覚していることを示し始めたということでした。彼女はエージェントM███████を見上げ、ゴロゴロというノイズを発し、彼に飛びかかると、エージェントの指を食べようとしていて、もうそこにいるみんなは「きゅ〜〜〜〜〜〜〜〜!」彼女が体を目一杯使って、みんなしてかわいいしたくなるようにするために、SCP-1548-CUが見た目上未来を予知している方法は判明していません。

 

空井「・・・ってなんですかこれ」

 

菊月「それね・・・本部のアホな犬好きどもが書いた報告書・・・全く、そういうのがいっちばんめんどくさいのになあんでこれを送ってくるかねえ・・・全く」

 

空井「はあ・・・ていうかこれ補遺あるんですね」

 

補遺SCP-1548-A: 198█/█/█、財団の任務からの医療休暇中だったO5-█は、子犬の遊び場におとずれてSCP-1548-CUと遊び出しました。遊び場に設置されたカメラは、彼女が部屋を駆けまわって、つまずいても立ち上がってまた走ろうとする様子や、ものに突進する様子、おかしくなってしまったみたいだけど、ひっしにO5-█にスリスリする様子を観測していました。O5-█はずっと、「おいでおいで!おいで、遊びましょうね?よーしよしよしよし!あーしよしよしよし、お嬢ちゃん!」

 

この送信に続き、幸せいっぱいに可愛らしげなちょっぴりずつのよちよちは、0.85ヨチヨチ/秒から、1ヨチヨチ/秒を遥かに超えるまでに増加したため、彼女があわただしく動く様子や、彼女の幸せな小さな声を常に記録するために、高速度カメラを使用する必要がありました。続く8時間の間、SCP-1548の寄り添いは[データ抹消済]、合計して1ギガバイト以上の、ホントにホントにほおずりしたい写真になりました。これは、現在までで最も長い継続的な寄り添いでした。

 

補遺SCP-1548-CU-B: SCP-1548-CUは、O5-█により差し迫ってかわいらしいへ再分類されました。

 

遊び場を横断するのに5700年かかるかどうかなど関係ない。あの娘はかわいすぎる! -O5-█

 

補遺SCP-1548-CU-T: 19██/11/4に餌やりの後、彼女はゲップしたよ!

 

空井「本部ってアホの集まりなんですか?」

 

菊月「言うな、確かにSCPになっている博士とかいるけどそんなのこっちにだってうじゃうじゃいる」

 

空井「それはそうですけどなんかそれを認めるのはやですね・・・」

 

菊月「まあ、それは特に変じゃなさそうだし、次言っちゃっていいよ」

 

空井「はい」

 

SCP-861 堕天使

オブジェクトクラス: Keter

 

特別収容プロトコル: SCP-861はメインサイトから南西370mに位置するセクター-135-861に収容されています。セクター-135-861担当の職員はすべて、移動前にプロトコル-ナルテックス-861に従って浄化されます。これには財団標準服従性検査(SCE-V.4)で83点以上を示し、LR分類を伴います:個性分析療法(PAR-V.5)のタイプ-Hです。更に職員は████・チャンシー博士が考案した2件の性格試験で審査されることになっています。セキュリティクリアランスにかかわらずナルテックス承認なしで現場に入ることは許されていません。SCP-861-A実験で承認された者を除いて、Dクラスが現場に入ることは許されていません。

 

SCP-861は1500Lの開放された鋼の箱に収容され、8m×4m×8mのコンクリート製の地下保管室に保管されています。職員はSCP-861と直接接触してはいけません。職員はSCP-861の周囲40mに侵入しないよう配慮することになっており、唯一実験または回収の時のみ侵入できる可能性があります。どんな理由であれこの範囲に侵入したLevel3以下の職員はクラスA記憶処置を施されることになっています。

 

クワイア・イベントの間は収容室は即時に開放され、イベントの完了を促進するため刺激を与える対象は抑制されなければなりません。この結果生じる実体は処分されることになっています(詳細は文書-ネーブ-861参照)。イベント後、職員は電気吸引管でSCP-861を箱に戻すことになっています。Level4以上の職員のみが処分と回収に従事することができます。

 

説明: SCP-861は表面上水に似ている、およそ1170Lの大量の液体です。どんな質量の物体でも強制的に中心から消え始め、SCP-861は同質量の新しい物体を生成します。この塊は未知の方法で移動することができ、観測された中の最高で時速47kmの速さでどんな表面も登ることができます。SCP-861は連続的に色が可変する、通常紫か藍色の炎を発します。この炎からは熱は検知されず、接触しても危険ではありません。塊は摂氏27℃の温度で固定されています。

 

SCP-861の半径およそ30m範囲内の人間は連続的な発声と未知の言語による歌を報告します。この現象の物理的な音声要素は検知されませんでした。被験者は性別は分からないがなんとなく人間の声だと報告します。歌の音声を完全に複写して文書化すると、およそ7分45秒の長さになりました。

 

SCP-861に晒された被験者は歌詞を断片的に理解したと主張するが、どんな言語も否定します。被験者の間で主張する歌声の数と、構成は幅広く変化します。███実験の編集により被験者の特出した謙遜と歌の理解力に相互関係がある可能性が示されました。これらの被験者の場合だと89%と高い理解力が示され、歌の██.██%が解読されました(詳細は文書-トランセプト-861参照)。

 

SCP-861は以下クワイア・イベントと記す特定の対象に対して反応を示します。この対象は傲慢または虚栄心のある(一見歌を理解するための性格とは正反対)性格をしています。このエリアのデータは制限されていて(SCP-861の敵意のため)、クワイア・イベントを起こすことのできる対象は実体の歌を一切理解できないと主張します。クワイア・イベントの"傲慢閾値"は一切判明していないが、敏感に反応するように見えます:財団標準服従性検査で高得点を出した対象の74%が反応を引き起こしています。

 

クワイア・イベントはSCP-861が対象へと向かって進み、様々な侵入口となる様々な開口部を使って自身の中に強制的に入れることで成ります。対象を処分してもSCP-861の反応またはイベントの完了を防ぐことができないことは注意してください。妨げられた場合、SCP-861は障害が圧力で破壊されるまで質量を増加させます(その後すぐにSCP-861は通常の大きさへ戻ります)。一度完了すると[データ削除済]様々な形態をSCP-861-Aとします。観察されている形態は以下の通りです:

 

細長い腕(2.7m)がある人形のような実体、発育不全な脚の先端は"つる状"で、細長い首(1.8m)と推測される部位がある。

蛇のような群体、それぞれ長さが50cm。それぞれ人間の幼児のような頭部を持つ。

人型の兵士、おそらくは4世紀または5世紀頃のアナトリアが起源。

[データ削除済]異次元が起源。実態を破壊した結果、セクター-135-861の15%が壊滅し、破壊の45時間後に悪変する異空間を生成。

形状に関わらず、SCP-861-Aは休止状態と同じような炎を発しますが、色は白色か金色です。実体は周囲にいる人間に対してこの炎を噴出させようとします。接触すると、対象は炎に包まれ完全に反応が無くなりますが、物理的に可能な限り目を閉じたまま立ち続けます。しかし、SCP-861の通常の炎と違い、対象は2~3時間に渡って燃え続けます。異なる音調だが、炎は人間の有機部位を燃やしてSCP-861が休止状態の時の'歌'を再生します(どうやって発声しているかは不明)。人間にまで届かなければ、SCP-861-Aの炎は直ぐに消え、また人間以外の物質には着火しません。

 

SCP-861-Aが処分されるとその身体からSCP-861が滲み出て、休止状態へと戻ります。

 

空井「・・・ええと、人間に寄生して歌うスライム?・・・」

 

菊月「まあ認識はそんなもんでいいと思うけどさ・・・」

 

空井「ところでこれ、補遺があるんですけど・・・その・・・」

 

菊月「ああ、大丈夫大丈夫、ちゃんと月島さんから許可は得てるから」

 

空井「そうですか・・・それじゃあ・・・」

 

補遺[861-001]:

文書-トランセプト-861(要クリアランス4/861認証)

以下はSCP-861の歌の翻訳からの抜粋です。

 

三本の輪は未だ完全に一つ、

我等は輪に仕える車輪、

炎は生まれる、侍者を生むためだけに、

それでも正義は我等の価値以上のものなのだ

 

SCP-861の起源と[編集済]の█████クラスには繋がりがあるという仮説が提案され、クワイア・イベント██と██、メッセージ-861-█(下記参照)がこれを支持しています。しかし、現在のプロトコルのままでは収容部隊に必要なSCP-861のアブラハム特性の情報が不十分だと考えられました。このため、SCP-861-A実体の処分(プロトコル-861-ネーブ)に関する神学的手順はセクター-135-861のLevel4警備に指定されました。

 

██/██/19██と██/██/20██、更に2体(現在、SCP-861-█、SCP-861-█と指定)のSCP-861の特徴に似た実体がそれぞれイタリアの████とブラジルの█████で発見されました。それぞれSCP-861と同じ方法でサイト-███とサイト-███に収容されました。これらの実体の出現はSCP-861の歌にあるXK-███の予知と関連があります。Level3以下の職員に対してはSCP-861は1体のみだと思わせるために誤った指示が与えられています。

 

██/██20██、2:34AM、前哨地-███からの発信を受信しました。発信は1分36秒続き、ラテン語を話す女性の声2でした。前哨地-███はセクター-135-861、サイト-███、サイト-███から同時に受信されていたが、このようなメッセージを送ったという証拠は発見されませんでした。以下はメッセージ-861-█の翻訳の写しです:

 

誇りは燃えぬ、荒れ狂わぬ、何故なら我等は命じられたのだから。誇り、彼等は盲目だが、は彼等よりも燦々と輝く無限の光を覗くことを拒否する。我等は光の器、そして見ることが出来ぬ者達の為に、我等は彼等を感じさせる。罪無き者が誇り高い者の怒りで死ぬことは望まぬが、罪の痛みでは目を開くことは無い。君等は我等を手に入れる、何故なら我等は許したのだから、そして我等は待つ、何故なら望んだのだから。しかし、ベールが上がる為に待つのではない、我等は最後の同胞が降りてくるまで待ち続ける、少数の仲間を残し。

 

翻訳されたSCP-861の歌の写し、またSCP-861-█とSCP-861-█が生成した歌は文書-█████████-861(要クリアランス5/861認証)に移動しました。

 

空井「ええと・・・これはどういう」

 

菊月「まあ、わけわからんが・・・一つ言えることがあるとしたら、最後の同胞が降りてきたとき、何が起こるかね?さて、最後の行こうか」

 

SCP-2061 “電卓一つ飲み込み地元一家全員窒息死”

オブジェクトクラス: Safe

 

特別収容プロトコル: SCP-2061はサイト76の標準収容ロッカーで、安全コンテナ内部に保管されています。SCP-2061の実験及びアクセスは、現在、無期限に中止されています。SCP-2061の今後の実験は、シャープ株式会社の請負業者として採用された財団職員によって主導されます。

 

3名の生存している2061陽性個体は、文書2061-Cに記載されている財団傘下のオフサイト入院患者精神病治療施設に収容されています。これらの施設での専門的なケアは、2061陽性の人物と、ユーザー向けの電子的数学計算を実行することが可能なオブジェクトの視覚的接触を回避することに向けられています。

 

説明: SCP-2061は1970年代後期のシャープElsiMate EL-1185印字ポケット電卓です。SCP-2061は、約20mの範囲内でこれを視認した人間の99%以上に対して、強迫観念的な効果を及ぼします。SCP-2061と目撃者との間に固形の物理的オブジェクトがある場合、たとえ当該オブジェクトが透過性でも、SCP-2061の効果は無効化されます。窓・プラスチックバッグ・その他の透明なオブジェクトは、SCP-2061の効果発現を防止するのに十分であることが判明しています。

 

強迫衝動は、ユーザー向けの電子的数学計算を実行可能な任意のオブジェクトを、自身の口腔内に出来る限り深く挿入したいという抑え難い欲求として表れます。この衝動は、その行為によって引き起こされる被害に関係なく発現し、SCP財団に収容される前のSCP-2061によって数多くの死と深刻な気管損傷が引き起こされました。

 

SCP-2061の認識災害効果は、以下の基準を満たす人物に対しては発現しません。

 

基準A: その人生において、シャープ株式会社またはその子会社から給与支払を受けた人物。

基準B: 基準Aを満たす人物との無防備な性交を行ったことがある人物。

基準Bを満たす者とは性交しているが基準Aとはしていない人物は、4名の既知の例においては、SCP-2061の影響への免疫を持ちません。

 

シャープ株式会社幹部へのインタビューや会社の記録調査などにおいて、これまでのところ、シャープとSCP-2061の間に明確な繋がりは見出されていません。

 

回収: SCP-2061は当初、五人家族が順番に自分の口腔にSCP-2061を挿入して窒息で死亡した後、トレントン警察によって収容されました。初動捜査を行った警官のR・アレンはSCP-2061免疫の基準Bを満たしていたため、彼女はSCP-2061を密封された証拠品袋に入れることが可能でした。これによってSCP-2061の異常効果の発見は、証拠品袋から取り出されたSCP-2061の効果によって警察の捜査員2名が死亡、1名が入院して財団が通知を受けるまで妨げられていました。

 

トレントン地区の初期報道は、地方機動部隊609-セムカト(“スーパーボウルスリー”)によって検閲されました。最初の既知の2061イベントに関する1976年のトレントン・タイムズ記事の抜粋が以下に再現されています

 

一家心中か?

 

電卓一つ飲み込み地元一家全員窒息死

 

トレントン ― 郊外の五人家族が今日、自宅で死亡しているのが見つかった事件に関し、全員が一つの卓上電卓を自ら喉に詰まらせて窒息死していた事について、警察は説明に苦慮している。

 

ジェームズ(45)、ジェニファー(39)、アンディ(15)、アイリス(9)、ジョセフ(4)・マデリーンは、昨日、全員自宅で死亡しているのが発見された。

 

「率直に言って、この件に適切な説明をすることはできません」 マーサー郡検視官のレイノルド・マックレニーは昨日、報道陣に対してこう語った。「私たちがお聞きしたいのは、マーサー郡の人々がマデリーン一家を

 

空井「・・・これで全部ですね、特におかしい点とかはありませんでしたよ」

 

菊月「そっか、んじゃ、これ提出してくるから・・・ついでに、なんか飲みに行く?今ならおごっちゃうよ~?」

 

空井「ゴチになりまーす!」

 

菊月「ははは、そんじゃ、行こうか」

 

to be continued




ちょいと今回は休憩を、次回に前回の答えも一緒に載せちゃいます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十三サイト目「SCP実験」

前回のあらすじ
差し迫ってかわいらしい、火を吹くスライム、電卓一つ飲み込み地元一家全員窒息死
差し迫ってかわいらしい、火を吹くスライム、電卓一つ飲み込み地元一家全員窒息死

今回も紹介回です


空井「・・・これ、どういう状況なんですか?」

 

黒崎「降りて来い!早よ!」

 

???「まだ死にたくないよー!?」

 

月島「今引き下ろすから待ってろ!」

 

御手洗「誰かはしご持って来いはしご!」

 

 

 

         ---ミ

       Y/乂  } `ヽ

       /(;;):::{っ r,,  }

       .{::)::(: rミ L,_ /

      .∧トイ::ゝ'   .,゙

       ∧‐-:、 /

        .}___/

        ./   ヽ

   r=ミ__,,,,,>'^  .: |

  人__,,..  -‐'^ .: |

       .|:.:  .:.:.l

       .l:.:  .:.:.:{,

       ‘:,:  .:.:.:.: ヽ

       ‘:,  .:.:.:.: |

        }⌒ヽ:_丿

        | .:://

        | .:{ |

        | ..:,. :,

        ∧ .:, :,

            }___ト‐'

しばしこのAAから目を離さぬようにお待ちください

 

 

 

 

 

 

 

空井「・・・それで、その人誰なんですか?危ない人ですか?」

 

寺井「君中々ひどいこと言うね・・・私の名前は寺井 春雨、崇拝課所属の博士だよ、よろしく」

 

空井「崇拝課?」

 

寺井「なんだ月島さん、まだ説明してなかったんですか?」

 

月島「ああ、忘れてた」

 

寺井「全く」

 

空井「(車椅子に固定されてる人がうちの上司を説教してる・・・)」

 

御手洗「彼女はとあるSCPの影響によりこんなことになってるんだ、決して趣味ではないからな」

 

空井「はぁ・・・とあるSCP・・・ですか?」

 

寺井「そうなのよ、聞いてよ・・・」

 

黒崎「ついでだし、俺らがこれまで実験に参加したSCPも聞かせてやるか」

 

御手洗「まあ、確かに、空井にはもうそろそろ聞かせてやってもいいかもな、それじゃ、一番手は俺から行かせてもらおう、最初はこいつだ」

 

 |     ==========.       |

          |;;;;;;;; _/|/ ̄\/ ̄ ̄  ;;;;;;;;|

          | ;;;;;;;; ∧,,∧. /  ∧,,∧ ;;;;;;;;; |

          |   (`・ω・)/   (・ω・´)   ; |

      ∧,,∧ . ̄ ̄(   つ ̄ ̄(     )  ∧,,∧

      ( `・ω) ./ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄lll(ω・´ )

      |   つ、_          Σ ⊂   |

   ∧,,∧ゝ-/ / /           _ ─\ノ

  ( `・ω)/_   ̄           \ \  ∧,,∧

   |  つ/ /                    ̄ ⊂(ω-` )ヽ

   ゝ/   ̄= o                  ⊂二ノ )

   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|

 

SCP-994-JP 10人目の男

オブジェクトクラス: Safe

 

特別収容プロトコル:( SCP-994-JPは常に1372桁の電子ロックと錠前で施錠した部屋に収容してください。また、SCP-994-JPには定期的に専門医によるメンタルカウンセリングを行ってください。)✖

 

SCP-994-JPはサイト-8141にある一般的非生物収容室に収容してください。現在、SCP-994-JPを使用した実験は凍結されています。

 

説明: SCP-994-JPはサイト-81██で、主に収容プロトコルについての会議を行っていた会議室で使用されていた寸法300cm×200cm×70cmのスチールとパーティカルボードで構成されている机です。

 

SCP-994-JPは19██年に財団フロント企業によって製造され、サイト-81██に設置された記録が残っていましたが、どの時点で特異性が備わったかは不明です。SCP-994-JPは20██年1月4日に行われた会議の記録を確認した██博士によってその特異性が発見され、収容に至りました(事案994-b参照)。

 

SCP-994-JPの特異性は、対象から半径7m範囲内で2人以上の人物が何らかの会議、話し合いを行い、SCP-994-JP内での会議中に全員の意見が一致した時に発現します。SCP-994-JPは会議に参加している人の中の1名の精神に干渉し、これまでに出た意見と全く異なる意見を提示させます(具体例は資料994-a参照)。会議に参加している干渉を受けてない人々は突然出た意見にほぼ100%その意見に反発しますが、その意見を通す為の様々な理由(それらの多くは突拍子の無いもの)を聞かされるにつれて全員がその意見に同調し始め、最終的には会議に参加した全員にその意見が正しいと認識させます。また、その意見を第三者に説明した場合、効果範囲外でも同じ特異性が発現する事が判明しています。

 

空井「これ、うちの企業で作られた机なんですか・・・」

 

御手洗「いつ、如何なるタイミングでこのような異常性が発現したのかは分からんが、もしかするとこれまでも同じようなことがあったのかもな、気づいていないだけで」

 

空井「しかしこれ、効果範囲外の人にも影響するとは厄介ですね・・・」

 

御手洗「その異常性のせいで、特別収容プロトコルがこうなったんだがな、それでは、今までの会議記録を見てみようか」

 

記録994-a 2013/6/24

 

議題: 空の色について

 

会議参加者数: 6名

 

一致した意見: 空は青色である

 

影響下での意見: 空は緑色である

 

影響下での理由: 「そもそも青色というのは誰が定義したか?」から始まり「今我々が見ている青色は実は緑である」で終わる

 

 

議題: 会議の議題自体をどうするかについて

 

会議参加者数: 4名

 

一致した意見: 財団がどのような物を収容しているのかについて

 

影響下での意見: 各々の好みのカーテンの色

 

影響下での理由: そんな事を考えるだけで襲ってくる物をがいるかもしれないから

 

 

議題: Dクラスの待遇について

 

会議参加者数: 10名

 

一致した意見: 今の待遇では不満である

 

影響下での意見: とても満足である

 

影響下での理由: 普通の人生では体験出来ないような死に方を体験出来るから

 

空井「まあだ、一番目の議論はマシかもしれないですけど、二番目がひどいですけど、あながち間違いでもないのが・・・ただ、三番目のこの議論、使いようによってはDクラスへの教育などにもなるんじゃないですか?」

 

御手洗「まあ、SCPを積極的に使うのはあまりおすすめできないがな、さて、では、このSCPが発見されるに至った議論の記録を見てみようか」

 

事案994-b

以下収容される以前のSCP-994-JPが使用された会議記録です。

 

__事案994-b 2012/2/13 __

 

議題: SCP-███-JPの収容プロトコルについて。

 

会議参加者数: 3名

 

<録音開始>

 

滝山博士: ではこれからSCP-███-JPの収容プロトコルを詰めていきましょう。

 

貝田博士: もう大体は決まっているがまだ細部に心配な点が残るな…

 

谷口博士: SCP-███-JPは感染性ですので収容違反に備えて周辺に焼却装置を設置しましょう。

 

滝山博士: そうですね焼却装置を設置し、念のため予備燃料も配置しておきましょう。

 

貝田博士: 焼却装置は10数台設置するとして…いや待てよ。

 

谷口博士: どうしました?

 

貝田博士: 収容違反が発生したら扇風機を使ってSCP-███-JPを全部吹き飛ばすってのはどうだ?

 

谷口博士: ……はい?

 

滝山博士: 貝田博士、どうやらまた職務中にアルコールを摂取しましたね?

 

貝田博士: いやいや、今日は酒を飲んでないって。それより焼却装置なんかより扇風機の方が安全だしコストも抑えられると思わないか?

 

谷口博士: いや……あの……ですね。

 

滝山博士: 貝田博士、SCP-███-JPを吹き飛ばしてどうするつもりですか?

 

貝田博士: え?そりゃあもちろん扇風機で吹き飛ばせばこっちにSCP-███-JPが来ないだろ?それで俺達はオブジェクトの影響を受けずに済むだろ?

 

谷口博士: いや、あの……吹き飛ばしたら絶対拡散しますよね?

 

貝田博士: ふむ……確かにそうかもしれないな。

 

谷口博士: そう「かも」ではなくそうですよ!

 

貝田博士: じゃあ吹き飛ばした方にも扇風機を置けば解決するな。

 

滝山博士: いや、解決しませんよ。2方向から送風すれば横に拡散するだけです。

 

谷口博士: そうですよ!何言ってるんですか貝田博士!

 

滝山博士: つまり、私が言いたいのは2方向だけでなく8方向から送風できるように扇風機を配置しましょう。

 

谷口博士: ……は?

 

貝田博士: なるほど……それなら横方向に拡散する心配は無くなるな。

 

滝山博士: ええ、SCP-███-JPを囲むように扇風機を配置すれば完璧かと思われます。

 

谷口博士: え、あの、滝山博士まで何を言っているのですか?

 

貝田博士: よし、これでSCP-███-JPの収容プロトコルは完璧だな!早速纏めて提出しに行くか!

 

谷口博士: 待ってください!完璧なわけが無いでしょう!8方向から送風しても上方向に拡散するじゃないですか!9方向で行きましょう!

 

<録音終了>

 

(事案994-bから2ヶ月間、SCP-994-JP影響下で制定された特別収容プロトコルでの収容を継続した後に収容違反が発生しました。しかし、2ヶ月の間SCP-███-JPを安全に収容できていた事と収容違反時の死者を███名に抑えた事からSCP-994-JPは他オブジェクトの特別収容プロトコル等に有効利用する事が可能であると推測されます。)✖

 

補遺: 報告書を閲覧した職員から相次いで「この報告書には不適切な箇所が多々ある」との報告を受け、調査した結果、収容プロトコルと実験後の考察に異常な点が見受けられました。2ヶ月の間、異常な収容プロトコルのまま放置されていた要因としてSCP-994-JPの「異常な理論を第三者に説明することでの特異性の拡散」が連鎖的に発生したのが原因と見られています。その後の調査で、SCP-994-JPの研究チームの██%がSCP-994-JPの影響下にある事が判明し、Bクラス記憶処理を施した後に業務に復帰させました。これとともに収容プロトコルも現在のものに改訂されました。

 

空井「大惨事じゃないですかこれ・・・」

 

御手洗「影響範囲外での異常というのは恐ろしいものだ、例えば、この机で、本当はketerのSCPについての議題で会議を始めたらどうだ?もしかすると、そのSCPはsafeとして収容され、下手するとXKクラスシナリオレベルの大惨事が起きてしまったかもしれない、そう考えれば、今回の件はまだマシなのかもしれないな」

 

黒崎「さて、こっちの準備も終わったぜ」

 

御手洗「そうか、では、最後に俺たちが行った議論を見ていこうか」

 

 

議題: どのような女性が一番美しいか

会議参加人数:3人

 

黒崎『・・・さて、お前ら、このような機会が設けられたんだ、しっかり、議論していこうぜ?』

 

菊月『あら、いいわね、あんたら全員返り討ちにしてやるわ』

 

御手洗「はん、全く・・・それでは俺から行かせもらおうか・・・死体が一番以上!』

 

黒崎『だあってろこのネクロフィリア!小さい女の子が一番に決まってるだろうが!!』

 

菊月『全くあんたら分かってないわね、いい?女の子は誰もが美しく誰にも性的欲求を覚えるのがマナー、あんたら分かってないわねえ・・・』

 

御手洗『お前の頭は万年発情期か・・・』

 

黒崎『いや、でもそれはイイ線言ってるかもしれねえ・・・俺だって例えどんだけブサイクな女の子にでも愛せることはできる・・・』

 

御手洗『・・・言われてみればそうだな』

 

菊月『でしょ?じゃあ決定!どんな女性も魅力的!反対意見はないわよね?』

 

黒崎『ああ、そうだn・・・ちょっと待て』

 

菊月『何よ』

 

黒崎『どのような女性も魅力的?そりゃ間違いだ』

 

菊月『な、今さっき決まったことを否定するの?っは、醜い抵抗ね』

 

御手洗『自信満々な顔だな・・・よし、言ってみろ』

 

黒崎『ふっふっふ・・・いいか?・・・それは・・・女の子の吐く息が一番魅力的だ・・・』

 

菊月『は?』

 

黒崎『いいか、今、この瞬間も女の子は二酸化炭素を吐き、酸素を取り込んでいる、そしてその二酸化炭素は朽ちることはなく永遠に、女の子の息として有り続ける、そして、その息とは生き物とは言えなく、死体とも言えなくはない、つまり女の子の息、これが最も美しいのだ!』

 

菊月『な、なるほど・・・』

 

御手洗『っふ、流石だな、御手洗』

 

黒崎『それでは、この結論で?』

 

菊月・御手洗『異議なーし!』

 

議論終了

 

ある意味彼らは天才だな、確かに

██博士

―――恥ずかしい限りです 月島

 

月島「ああ・・・」

 

寺井「月島さんが遠い目してる・・・」

 

黒崎「流石にこの結論はないわ」

 

御手洗「だな」

 

黒崎「それでは、次、行かせてもらうぜ」

 

       ∫∫∫

   /三ヽ_┌──┐pizza

   (・ω・)ノ ̄ ̄ ̄ ̄

.  ノ/H/  ッパ!

  ノ ̄ゝ

 

SCP-904-JP 南海ピザデリバリーズ

オブジェクトクラス:Euclid

 

特別収容プロトコル:SCP-904-JPに対しては現在の所、物理的収容の方法はなく、経過観察と情報規制により封じ込め処置を行ってください。財団の所有する衛星による監視と発信される電波の妨害が常に行われます。情報漏えいの可能性があるすべてのメディアは常に監視され、SCP-904-JPへの言及はすべて削除対象とされます。

 

説明:SCP-904-JPは火星から天王星の軌道上にかけて分布し、地球に向けた運動を行う不特定数の実体です。現在までに7体が確認されており、いずれも同様の性質を持っていると思われます。また、オブジェクトの方向からは強力な電波信号が不定期に発信されており、オブジェクト発見に繋がりました。

以下は発信された電波を解読したものです。

 

南海ピザデリバリーズ・ザ・ギャラクシーを是非ご利用ください。

当社は世界中の皆様に愛されおります、南海ピザ・フランチャイズの誇る最新のサービスとなります。

安全・ヘルシーをモットーに、いつでも出来たてのピザをお届けいたします。

 

ヘイ ヨー 俺はピザ・K。誰も見たことの無いラップをやるぜ。

ここは南海、なんかいーピザ売っている。秘伝のソース、最新のテク。直伝のサーブ、最高のディッシュ。

イタリアンピザ屋が泣いて逃げ出す、南海のピザ。簡単なテル。注文は明快。南海、なんか良い。

いつでもクリーン、肉は全てオーガニック。ジューシー、ヘルシー、彼氏も嬉しー。

ピザの丸は地球の丸だ。母なるピッツァにリスペクト。違法操業者とはディスコネクト。

ヘイ ヨー これが南海。 今投資をするなら南海に決めろ。イエー。南海、なんか良い。

 

以上の文章のほかに電話番号を示す情報が発信されていますが所在地を示す情報はなく、発信源はNGC 1952方向であることだけ判明しています。財団の調べでは南海ピザデリバリーズという企業は現在にも過去にも存在しておらず、電話番号は接続可能ですが、公的には登録されていない番号となっています。

SCP-904-JPは推定時速25 kmほどの非常にゆっくりとした速度で接近を続けており、最も近い個体でも地球までの到達には800万年以上かかると見込まれています。財団の所有する高精度天体望遠鏡による観測によるとSCP-904-JP実体はバイクに乗った人型の様である事が示唆されています。

 

空井「宇宙でピザ屋を営んでるSCPですか?」

 

黒崎「まあそんなもんだな、ちなみに7人中一人は俺だ」

 

空井「何やってるんですかあんた」

 

黒崎「(。・ ω<)ゞてへぺろ♡、そんじゃあ補遺行くな」

 

補遺:SCP-904-JPより発信されている電話番号の確認承認が降り、電子的、物理的に隔離された専用ルームから秘匿通信による確認実験が行われました。

以下は実際の音声記録となります。

 

SCP-904-JP音声記録。

実験にはDクラス職員一名が担当しました。

 

SCP-904-JP:南海ピザデリバリー・ザ・ギャラクシーにお電話いただきありがとうございます。ガイダンスにしたがってご注文を…

 

D-81456:なんや、録音かいな、脅かしやがって。

 

SCP-904-JP:…はピザのサイズをお選びいただきます。Sサイズの方は1を、Mサイズの方は2を、Lサイズの方は3を、ガイダンスを繰り返す場合は♯を…

 

D-81456:注文してええんやろ?(Dクラス職員は3をプッシュしました。)

 

SCP-904-JP:…次にピザをお選びください。1、ファームスペシャル 2、がっつりミート 3、南海クラブスペシャル 4、イベリコ&チキン 5、よくばりミックス…

 

D-81456:これマジで全部聞くんか? もうどれでもええやろ・・・

 

SCP-904-JP:…それぞれのメニューの詳細を確認される場合は♯の後に対応する番号をプッシュしてください。最初に戻る場合は…

 

(指示によりDクラス職員は♯1をプッシュしました。)

 

SCP-904-JP:1番、ファームスペシャル。厳選された完全オーガニックのフレッシュトマトとオニオン、グリーンアスパラを使用。女性にも優しく、発がん性物質を一切使用していないヘルシーなピザです。

 

(指示によりDクラス職員は♯2をプッシュしました。)

SCP-904-JP:2番、がっつりミート。特製のスパイシーソーセージと照り焼きチキンを用いたジューシーなピザです。もちろん素材はすべてオーガニック。クリーンで有害物質を発生させません。

 

D-81456:これ全部聞くんか?頭おかしいで。

 

(以下、特に特筆点はないため割愛)

 

機械音声ガイダンスにしたがって注文を行うシステムとなっており、注文完了から四ヶ月後に天王星軌道上に新たなSCP-904-JP個体の出現が確認されました。

 

空井「なんでこんなに有害物質の有無を言うんですかねえ・・・」

 

黒崎「まあ、付くときが楽しみだな、俺は」

 

空井「届く頃には確実に地球なくなってますね・・・そういえば、これ、7人現時点できてるらしいですけれど・・・7人中2人は確認できてるとして・・・あと5人は?」

 

黒崎「さあな?」

 

寺井「そいでは、最後、私がこうなった理由いくでー」

 

 

  ∧_∧  ♪

  (・ω・)

 ⊂_X_⊃

  `u―u′

  ノ

 (

  )

 

SCP-027-JP 博士のふわふわ浮遊マシン

オブジェクトクラス: Safe

 

特別収容プロトコル: (SCP-027-JPはサイト-8105の電気的に遮断された物品収容庫に格納してください。SCP-027-JPの電源プラグは、起動実験を行う場合以外は必ず絶縁カバーを取り付けてください。SCP-027-JPを起動して実験を行う場合は、レベル3以上の職員2人以上の許可を得てください。また、実験設備の電源は、必ず容易に遮断できるようにしてください。)✖

SCP-027-JPはサイト-8105の、三種類以上の錠前で施錠された、気密構造かつ電気的遮断構造の専用収容室に保管してください。SCP-027-JPの起動実験は禁止されています。起動実験を行う必要がある場合は、レベル4以上の職員4人に以上の許可を得てください。また、いかなる実験においても、以下の三つの条件を常に満たしてください。

 

実験チャンバーが気密状態である

実験チャンバー内にSCP-027-JPの電源を容易に遮断できる

実験によって生じたSCP-027-JP-1をすべて回収、保管できる状態である

なお、SCP-027-JPと類似、あるいは同一のオブジェクトが発見された場合は、同様の収容方法にて回収してください。

 

説明: SCP-027-JPは長さ50cm、幅1.5m、厚さ13cmの板状の部品(SCP-027-JP-Aと指定)と、直径10cm長さ1mの円筒形のポール(SCP-027-JP-B1、SCP-027-JP-B2と指定)から構成された器具です。SCP-027-JP-B1及びSCP-027-JP-B2の先端には、未知の金属を材料とする銀色の球体が固定されています。SCP-027-JPの電源コードを、日本で広く使われている100V電源のコンセントに接続すると、自動的に起動します。起動したSCP-027-JPは数秒間低く唸るような音を立て、SCP-027-JP-B1とSCP-027-JP-B2の間で空中放電を開始します。このとき生じる放電は熱を生じさせません。ですが、この放電に物体(SCP-027-JP-1と指定)が曝露すると、未知の技術により重量が減少します。SCP-027-JPの放電に曝露されたSCP-027-JP-1の重量は、曝露された時間に関わらず1立方メートルあたり1.2kgとなります。SCP-027-JP-1の重量の減少の結果、大気のもたらす浮力により、SCP-027-JP-1は浮遊します。

 

20██/█/██追記 

SCP-027-JPの放電に曝露したSCP-027-JP-1の重量は、現時点ではいかなる方法を持っても復元することができません。これは原子レベルでの性質改変によるものであり、SCP-027-JP-1が蒸発、化学変化による他物質との合成、化学変化による分解ではSCP-027-JP-1の構成原子の性質を復元することはできません。また、重量変化に伴う比重の変化により、他物質との混合は極めて困難です。現時点で、SCP-027-JP-1構成原子と他物質の原子の核融合実験が計画されていますが、████博士他2名の承認待ちです。

 

20██/██/█追記

SCP-027-JPの放電に曝露した元素は、気体、液体、固体関わらず全て1立方メートルあたり1.2kgになります。そのため、SCP-027-JPが放電している間、SCP-027-JP-B1とSCP-027-JP-B2の間に存在する大気の構成元素もSCP-027-JPの放電の影響を受けます。結果、SCP-027-JPの影響を受けた大気は、周囲の大気から得られる浮力により上空へと浮遊します。SCP-027-JPが気密でない状況で起動した場合、SCP-027-JPの放電に曝露された大気の浮遊により、SCP-027-JPを中心に上昇気流が生じます。SCP-027-JPが連続稼働することによって生じる上昇気流により、大型の台風やハリケーンを生じさせると予測されています。また、液体や固体のSCP-027-JP-1が大量に気化したことによる、大気の大幅な比重変化に伴う世界規模での影響が予測不可能である上、SCP-027-JPの放電に曝露された元素の復元方法が不明のため、SCP-027-JPを稼働させての実験は、基本的に禁止されています。

 

SCP-027-JPはエージェント██が、財団関連企業の倉庫内にて発見しました。SCP-027-JPは発見時、倉庫の一角で埃よけのビニールシートを被せられた状態で、付属文書027-JP-aと共に放置されていました。ビニールシートへの埃の付着具合から、倉庫の運用開始初期に格納されたと思われますが、当時の帳簿を調査したところ関連する記録はありませんでした。SCP-027-JPは当初、放電に曝露した対象の重量を低下させるだけの装置だと考えられていました。当初、一度曝露された物体の重量は永続的に低下したままであることから、実験に際して注意を払う程度の収容方法が適用されていました。しかし実験を繰り返すうち、SCP-027-JPは気体に対しても効果が生じることが判明しました。実験の繰り返しに伴う被害を考慮し、20██/██/█付で収容方法の改訂が行われました。

 

付属文書027-JP-aにより、SCP-027-JPには同一機能を有する装置の存在が疑われています。SCP-027-JPと同一、あるいは類似の機能を有する装置の捜索は継続中です。また、付属文書027-JP-a内に記述される「博士」なる人物についてですが、SCP-027-JP及び付属文書027-JP-aに連絡先や商標が記述されていないため、その詳細は不明です。関連が類推される団体としては「ワンダーテイメント博士」が挙げられますが、

 

ロゴ、及び商標の欠如

連絡先の記入なし

使用に当たっての保護者への注意事項の欠如

から、無関係であると考えられます。

 

空井「・・・もしかして、これに?」

 

寺井「いやあ、間違って・・・」

 

空井「はぁ・・・」

 

寺井「それじゃあ、実験記録行くわよ」

 

補遺:

 

付属文書027-JP-a;

 

よい子の諸君!海やプールで泳いだり、ハンモックで揺れるのもいいけど、もっと浮いてみたくないかな!?ふわふわと浮いてみたくないかな!?

博士が提供するふわふわ浮遊マシンがあれば、どこでも愉快にプカプカふわふわ!おうちのコンセントにマシンを繋いで、電源オン!スパーク!するとアーラ不思議!君の体がふわふわ浮いちゃうぞ!おうちの中でもプカプカお昼寝!でも、喉が渇いたら!?大丈夫、一緒にスパークすれば、ジュースもお菓子も一緒にプカプカ!さあ、楽しもうね!(以下、SCP-027-JPの使用方法についての不正確な解説図)

 

実験記録027-JP-1

 

被験対象:1kgの実験用重り

実験方法:対象をSCP-027-JP-A上に設置し、SCP-027-JPを15秒間稼働させる。

結果:電源接続後、4秒で放電開始。放電開始から2秒で対象が浮遊し、実験室内の天井に接触した。

考察:付属文書027-JP-aの通り、なんでも浮かせられるようだ。-██博士

 

実験記録027-JP-3

 

被験対象:標準的Dクラス職員の等身大模型

実験方法:対象をSCP-027-JP-A上に設置し、SCP-027-JPを15秒間稼働させる。

結果:電源接続後、4秒で放電開始。放電開始から5秒で対象が浮遊し、実験室内の天井に接触した。

考察:若干の遅れはあったものの、やはり実験対象は浮遊した。SCP-027-JP-Aのサイズの問題から実験対象の大きさは限られているが、重量については問題なく軽減できるようだ。 -██博士

 

実験記録027-JP-7

 

被験対象:実験記録027-JP-1にて対象となった1kgの実験用重り

実験方法:対象を室内にて、カメラを用いて監視しながら放置する。

結果:実験開始から280時間が経過したが、対象は落下してくる気配がない。

考察:付属文書027-JP-aには重さを戻す方法は書いていなかったな。なんとなくいやな予感がする-██博士

 

実験記録027-JP-11

 

被験対象:実験記録027-JP-7から実験記録027-JP-10までで使用した、実験記録027-JP-1にて対象となった1kgの実験用重り

実験方法:電気炉内に対象を設置し、高温で融解させる。その後、対象と同一の重りを電気炉内に投入し、融解させて混合する。

結果:対象と後に投入した重りは混ざることは無かった。

考察:比重の違いもあったが、そもそも対象は融解後も電気炉の上部にへばり付いており、後で追加された重りと触れ合うことが無かった。-██博士

 

実験記録027-JP-14

 

被験対象:実験記録027-JP-11にて一度融解した1kgの実験用重りと、実験記録027-JP-4にて使用した1kgのアルミニウムインゴット

実験方法:両対象を電気炉に投入し、融解させる。両対象が充分に冷えたところで、電気炉内の物質の組成を確認する。

結果:両対象は電気炉内で混合し、冷却に伴う凝固で一つの合金となった

考察:比重の違いにより作ることができなかった合金が完成したが、浮遊に変化はない。-██博士

 

実験記録027-JP-18

 

被験対象:Dクラス職員1名

実験方法:収容施設内の売店にて購入した菓子パンをSCP-027-JPにて処理し、対象に食べさせた。

結果:菓子パンの破片を浮遊させながらも、対象は完食。実験後のインタビューでは「胃袋の中でなんか動いてる」と回答した。

考察:お願いだから、俺の予想が外れて欲しい… -██博士

 

追加結果:実験から2時間後、対象の体重を測定。その結果、実験前と比較して数十グラム軽くなっていた。

考察:汗かいたりして少し軽くなったのかも。そうであってくれ -██博士

 

追加結果:実験から8時間後、対象がトイレを使用したところ[編集済]

考察:やっぱり -██博士

 

実験記録027-JP-24

 

被験対象:SCP-027-JPと共に密閉した空気

実験方法:SCP-027-JPを3m立方の密閉容器に格納。遠隔操作により、容器内の蓄電池からSCP-027-JPに給電し、密閉容器内で放電させる。放電前後で密閉容器全体の重量を計測する。

結果:実験後の密閉容器の重量は、実験前と比較して明らかに軽くなっていた。

考察:SCP-027-JPは気体であっても軽くしてしまうらしい。今まで気が付かなかったが、放電の度にそれなりの空気が大気圏外へと浮いてしまったのかもしれない。仮にSCP-027-JPを稼働させ続けると、地球上の大気全てが『浮いて』しまうかもしれない。-██博士

追記:その後の解析で密閉容器内の処理済み空気にもある程度の重量があることが判明。少なくとも処理後の空気が大気圏外へと浮く可能性はなくなった。しかし、処理後の空気に含まれる酸素や二酸化炭素を動植物が取り込んだ際、生命に及ぼす影響は未知数である。逆に処理後の固体や液体を気化させた場合、比重は水素よりも低くなるのは明らかである。より厳重な収容方法への変更を申請したい。-██博士

 

SCP-027-JPの収容方法変更を承認する -日本支部理事-█

 

空井「Dクラスさんぇ・・・」

 

寺井「これでもまだ何か言うならぶっ飛ばすで君」

 

空井「ごめんなさい」

 

寺井「っま、私ももうそろそろお腹がすいたし、いくね~、ばいば~い」

 

御手洗「じゃあな・・・それでは・・・さっさと食堂に飯確保に行くぞ」

 

黒崎「ぶっらじゃー」

 

空井「え、なんでですか?」

 

月島「あいつ、昔食堂の飯1週間分を全部食い尽くしたことがあるんだよ・・・しかもそれでも腹八分目とか言ってるし」

 

空井「ええ・・・」

 

御手洗「それじゃ、行くぞ!」

 

黒崎・空井「おおお!」

 

その後、既に3日分の食料がなくなってたのは言うまでもない

 





どうも、作者です。物を食べたら胃がずたずたになりました。
今回からイメージ画像としてAAを入れてみましたけど、どうでしたか?

今回使用SCP、tale
SCP-994-JP 10人目の男 http://ja.scp-wiki.net/scp-994-jp
SCP-904-JP 南海ピザデリバリーズ http://ja.scp-wiki.net/scp-904-jp
SCP-027-JP 博士のふわふわ浮遊マシン http://ja.scp-wiki.net/scp-027-jp

SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ

前回あとがきでの使用SCP(毎回最初と最後にネタを挟むから考えてみると面白いかも知れない)





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十四サイト目「我々は暗闇の中に立ち」

みなさんお久しぶりでございます。いやあ、前の投稿から何日立ちましたかね? え? 二年ぐらいたってる? HAHAHA、そんな馬鹿な・・・いや本当に申し訳ございませんでした。こちらの作品も前どおりとは行きませんがまた更新していくのでよろしくおねがいます。
また、この作品、今回から割と作風が変わりますのでご注意ください。

あらすじ
会議、ピザ、ふわふわ
会議、ピザ、ふわふわ


空井「・・・」

どうも空井です。SCP財団に勤務してる空井です。SCP財団というのは、異常な現象を引き起こすSCiPというのを確保、収容、保護しそういう異常な存在から一般人を守るという秘密組織です。

 

S「それでですね空井さん、彼女は私に言ったわけですよ、『あいつらの性癖も理解できんがお前のことはもっと理解できん、ってね」

 

空井「・・・」

 

S「でもいくら私と言えども彼らと一緒にされるのは流石に心外だから言ったのです『僕はただ人間が好きなだけですよ』って」

 

空井「・・・」

 

S「そしたら彼女は『やっぱり理解できん』って言って出て行っちゃったんですよねえ・・・全く、何故理解してくれないのでしょうか、僕はただ人間が好きなだけなのに」

 

空井「・・・」

・・・収容って、なんだっけ。

僕がいつもどおり自分の作業をしていたら、何か猫耳生やした子に呼び出されて、ほいほいついていってしまったら何故かSCP課の部隊長であるSCP-1████-JP・・・通称Sさんにこんな話をされている。(ちなみに僕を呼び出した女の子はにゃんこちゃんと呼ばれてるらしい)ていうかそもそもSCP課って何ですか、本当に。

いやね、僕もここに来るまでは興奮してましたよ? にゃんこちゃんに引かれるほど質問しまくったし、だけどね? 流石の僕もSさんが月島さんの話ばっかして本題に入らないとなるときついです、かれこれこの人もう三時間ぐらい話してるよ?

 

空井「・・・え、えっとSさん」

 

S「はい、何でしょうか?」

 

空井「そろそろ本題に入って頂ければ嬉しいんですが・・・」

 

S「? 本題、とは?」

 

空井「いえ、ですから僕のことを何故呼び出したりしたんですか? 何か仕事があったり、用件があるんですよね?」

 

S「いえ別に?」

 

空井「は?」

いっけね、つい素が出ちゃった。

 

S「あ、もしかしてSCP課とか呼ばれる怪しい集団に呼び出されて何か期待しちゃいました? だとしたら残念、特に何もないですよ。ただ僕は、あなたと少しお話がしたかっただけです。というのも私は先程話したとおり人間というものが大好きで毎回新入職員が入るたびにこうして呼び出してお話をさせていただいてるわけなんですよ」

 

空井「えぇ・・・」

 

S「ふふ、納得いただけませんか? 私とてSCPと呼ばれるような存在ですが、普通に食べて、寝て、仕事して、そういった普通のことをしているだけなのです。まあオカルト好きのあなたからしたら少々物足りないかもしれませんがね」

 

空井「あ、いえ別にそういうわけでは」

 

S「別にいいですよ。まあでも・・・そうですねあなたをこうして呼び出してただただお話するだけ、っていうのも何ですし、少々SCPに関わるお話をしましょうか」

 

空井「本当ですか!?」

 

S「おお、噂に聞いたとおり食いつきがいいですね」

 

空井「あ、すみません」

 

S「いいんですよ・・・では、そうですね」

そう言ってSさんは少し悩むような素振りをした後、不意に立ち上がった。

 

空井「?」

 

S「・・・空井さんは、暗いところってどう思いますか?」

 

空井「どう、とは?」

 

S「好きか嫌いか、苦手か別になんとも思わないか、別になんだっていいですよ」

 

空井「・・・そう、ですね。僕自身よく心霊スポットとか行くんで、暗いところ自体は別に苦手ではないですね、まあ好きってほどでもないですけど」

 

S「そうですか・・・空井さんは知っていますか? 過去にこの日本支部でとんでもないSCPが暴れまわった事件のことを」

 

空井「とんでもないSCP・・・?」

 

S「そうです、昔・・・19██に初めて観測されたのですが、とある財団職員のオフィスで大量の血痕が発見されました、それも致死量レベルのね、勿論その血痕の持ち主・・・その財団職員は、今も見つかっていません。そして、それからその大量の血痕を残し財団職員がいなくなる、という事件が1ヶ月から3ヶ月の周期で起こりました」

 

空井「かなりやばいですね・・・一般人にも被害が及んだら手のつけようがないですし・・・」

 

S「そうですね、ですが。それは起こりませんでした」

 

空井「え?」

 

S「この事件・・・異常現象は一般人には何の被害も及ぼしませんでした、いえ、もしかすると我々が知らないだけだったかもしれませんが、少なくとも財団が調べた限りでは発見することが出来ませんでした。この異常現象は、我々財団職員にだけ起こったのですよ」

 

空井「それって・・・つまり、その異常現象、SCPが財団職員を標的にして攻撃を続けていたっていうことですか? だとしたらそれ要注意団体とか関係あるんじゃ」

 

S「さあ、ですが。おそらく標的なんてものではなかったのでしょう。そして、この異常現象の被害者の共通点は二つ、まず一つはこの異常現象は対象が視界不良な暗所でのみ起こる、視界不良な暗所っていうのはまあ・・・夜の路地、寝室、映画館などです」

 

空井「寝室とか映画館って・・・そんなの、下手したら電気がついてない部屋に入っただけでも」

 

S「ええ、おそらくアウトでしょうね」

 

空井「そんな・・・」

 

S「そして、もう一つの共通点は、監視カメラや付近にいた目撃者の証言によると対象は見えないなにかから攻撃を受けているような言動、振る舞いをしていたそうなのです。まあと言ってもその攻撃者自体は認知されなかったのですけどね、そしてこの異常現象・・・SCP-835-JPが引き起こす連続殺人事件は、財団職員の士気が下がるといけないからこのようなSCP-835-JPが関与していると思われる現象についてはなるべく別の事故で死んだとして処理されていたそうです、そこまでこのSCP-835-JPは凶悪でした」

 

空井「そんな、そんな危険なSCP、収容なんかできるんですか?・・・いや、できてないから財団職員に被害が出てるんですよね・・・だけど、早く収容しないと・・・」

 

S「――ですが、そんなSCP-835-JPは、とある事案の後にあるプロトコルが制定され、一気にKeterからsafeにまで格下げされました」

 

空井「え?」

 

S「その事案というのが、とある研究助手のデスクにてあるものが発見されたのですよ」

 

空井「・・・あるもの、っていうのは?」

 

S「SCP-835-JPの想像図、です」

 

空井「想像図・・・あくまでのその助手さんが見たっていうわけで想像で・・・?」

 

S「そうです、しかもその想像図、漫画調・・・まあ言っちゃえば萌え絵ってやつですね、そんな感じで書かれた少女・・・年齢的にはまあ多少上下はしますがうちのにゃんこちゃんと同じような感じでいいと思いますよ、しかもご丁寧に名前や性格、出自、能力などといった設定付けまでされてね。とにかく、そういうふうにSCP-835-JP・・・消照闇子という陳腐なキャラとして描かれたものが発見されたのです」

 

空井「・・・それって、かなりまずいですよね?」

 

S「ええ、まずいですね」

 

空井「うちの黒崎さんもよくじん? とやらのR18絵描いて謹慎処分食らってましたし・・・」

 

S「それはいろんな意味でまずいですね。まあ、そんなわけでそんな彼、もしくは彼女も黒崎さんと同じような処分を受けたのですが・・・当然、この話題は財団職員内で話題になりましたよ、何せあのSCP-835-JPに対してよくもまあそんな扱いできるものだ、ってね」

 

空井「ははは・・・その人は可哀想ですね。みんなに知られるなんて」

 

S「そう、みんなに知られたのです、このSCP-835-JPの想像図が、名前が、性格が、財団職員内で浸透し、そして、これはそのままSCP-835-JP異常性の封じ込めにまで至ったのです。そんな事案があってから五ヶ月・・・SCP-835-JPによる事案は発生しませんでした、これまで遅くとも三ヶ月周期で起きていたのに、だから我々財団は、こういう仮説を立てたのです。『このSCPは我々の認識によってその影響が変わるのではないか?』ってね。だから財団はこの消照闇子を、プロトコル・アイドル-835として全財団職員に広めたのです、その設定を、その姿を、全力で広めたのです、漫画で、創作小説で、アニメを作って、ね」

 

空井「・・・」

 

S「そうして・・・もう今や、SCP-835-JPは、消照闇子は誰も殺さない、ただのキャラクターに成り下がったのですよ。とある博士はこう考えました『SCP-835-JPとはおそらく、暗闇に己を脅かす何かが潜んでいるのではないかという本能的な恐怖の具現なのだろう。だが我々がかつて恐れた想像上の怪物は、プロトコル・アイドル-835によって今や陳腐な一キャラクターへ成り下がった。』・・・かつて人間は暗闇の中の化物に恐怖を抱きました、尊敬していました。しかし我々人類は、今やその化物を、ただの勘違いとして、ただの化学現象として、段々恐怖と尊敬を忘れていきました」

 

空井「・・・そうです」

 

S「――しかし!」

 

空井「え?」

 

S「しかし、本当にこれは正しいのでしょうか? 我々人類は本当に恐怖を忘れていったのでしょうか? もしかすると、不意な何かによって、それこそ誰かがこの消照闇子を、SCP-835-JPに戻すような何かをしてしまった場合は? そうしたら、このSCP-835-JPは、何をしでかすのでしょうか? また財団職員を殺すのでしょうか?」

 

空井「そ、それは・・・」

 

S「そう、分からないのです、分からない故の恐怖なのですよ! 何故そんな方法で収容されると思ったのでしょう? もしかするとSCP-835-JPは今も暗闇の中で自らの牙を研いで我々を狙っているのかもしれないというのに!」

 

空井「・・・」

そんなSさんの話を聞いたあと、僕は、この話を聞いて消照闇子は陳腐な、一キャラクターなはずなのに、こわいと感じてしまった、”恐怖”を抱いてしまった、もしかすると、今も消照闇子は、”SCP-835-JP”は今も僕たちを狙っているのかもしれない、そんなことを考えた瞬間、僕の後ろで何かが動いたのを感じた、そして、僕に対して何かを振りかぶって――

 

S「ま、こんなのただのお話なんですかどね」

 

空井「・・・え?」

Sさんが手をパン、と一叩きして僕を現実に戻した。僕は今、何を考えていた?

 

S「少々いたずらが過ぎましたね、申し訳ございません」

 

空井「・・・あ、いえ大丈夫ですよ! それよりも、面白い話をありがとうございます」

 

S「そういっただければ幸いです、さて、もうそろそろいい時間ですし、帰りますか?」

 

空井「・・・ええと、その」

 

S「大丈夫ですよ、こちらは呼び出している身なのですから、送り迎えにうちの職員を送りますから」

 

空井「はは・・・ありがとうございます、では、僕はこれで」

 

S「はい――また、会いましょう空井さん、僕はいつでもここにますから」

 

空井「・・・はい」

そう言って、僕は扉に近付いて、開けて外に出た・・・正直、SCP-835-JPはかなり怖かったけど、だけど・・・僕にとっては、あの人の方が、もっと怖かった。

 

ちなみに僕を帰りに送ってくれたのは球状のなにかでした、しかもめっちゃ喋ってくるんですけどなにこれ。




どうも粒餡です、とりあえず前書きでも言いましたが本当にすみませんでした・・・だけど、こんな作品でもまだ見てくださる方がいて、あまつさえリクエストしてくれる方もいてくれたのでちょっと張り切りました。

使用SCP
SCP-835-JP 消照闇子 http://ja.scp-wiki.net/scp-835-jp

SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第十五サイト目「人間性を捧げよ」

記憶処理って、一体どうやってしてるんでしょうね。


空井「……」

 

???「……(カタカタカタ)」

 

空井「……」

 

???「……ん」

 

空井「あ、えっと……リンゴジュース?」

 

???「……」

 

空井「……オレンジ?」

 

???「……」

 

空井「……トマト?」

 

???「ん」

 

空井「……はい、どうぞ」

 

???「……ぷはっ……(カタカタカタ)」

 

空井「……」

どうもみなさん、空井です。何故か幼女が何やらパソコンで作業している傍らでたまに飲み物を要求してくるので渡してる空井です。いやね、何この子、というか何この状況。

 

数時間前

空井「(コンコン)、失礼します」

出張命令を出されたので僕はこの未発達課の扉に手をかけた。何か月島さんからは気おつけろとか言われたけど、そんなに何を気おつけることがあるんだろうか。たかが子どもじゃないか。ちなみに黒崎さんからは憎悪の目線をぶつけられました。

 

空井「トラウマ課所属空井圭一です、出張で来まし――」

そんなことを考えながら扉を開け、入ると頭に少しの痛みを感じたあと、僕の視界は真っ白になった。

 

空井「え、ちょ何!?」

 

???「わーい! 引っかかった引っかかった! あはははは!」

 

???「もー彩ちゃんそんなに笑っちゃったらこの人が可哀想だよー?……クスクス、ダサーイ」

 

???「こんな単純ないたずらに引っかかるなんて、邪魔になるだけじゃないか?」

 

???「私は止めましたからね! 止めましたからね!」

 

部屋を開けて待っていたのは、四人のクソガ……子供達でした。どうやら俺の頭上から落ちてきたのは黒板消しのようで、そのせいで僕の視界は真っ白になってしまったらしい。

 

空井「……え、えっと。これはどういうことかな?」

 

???「いたずら!」

 

空井「そう……」

なるほど、月島さんが言っていた意味がようやく分かった、確かにこれは……大変そうだ。とりあえずタオルなどをもらって頭を拭いてから改めてこの子たちの話を聞くことにした。

 

空井「えーっと、まず君たちの名前を教えてくれないかな?」

 

???「何で教えなきゃならないんだ?」

 

空井「い、いや教えてもらえないと仕事が……」

 

???「どうせ教えても教えなくても同じだろう? あんたが何の役にたたないことには変わらない」

 

空井「……」

 

???「もーじゅん君ったら! そんな態度しないの! あ! 私は海道 彩って言うんだ! この未発達課のリーダーだよ! よろしくね空井お兄さん!」

 

???「……山口 潤」

 

???「西宮 喜楽理でーす!」

 

???「お、音無 沙良です……よろしくお願いします」

 

空井「よ、よろしくね。僕は空井圭一、トラウマ課所属の研究員です……まあまだそんな大した仕事はしたことないけど」

 

山口「だろうな」

 

空井「あはは……それで、今回の僕の仕事は何かな?」

 

海道「えっとねー、私たちと遊ぶこと!」

 

空井「え?」

 

西宮「もー、違うでしょ彩ちゃん。乃々ちゃんのお手伝いをさせるために呼び出したんでしょ?……それにこんな人と遊んでも楽しくなさそうだし」

 

海道「そうだったそうだった! 彩ちゃんったらうっかり屋さん! てへっ」

 

山口「……なあ、今からでも他の奴に任せないか。なんなら僕が――」

 

音無「で、でも他の人と言っても基本的に空井さん以外の人の出張は許されてないし。それで黒崎さんとか来ても怖いし……」

 

西宮「えー、あの人いい人だよー?……いいカモだからね」

 

山口「……っち」

 

音無「ご、ごめんなさい!」

 

海道「そういうわけで、ちょっとよろしくね! 私たちは響君回収しに行かなきゃだから!」

 

山口「あのバカ現在地が表示される地図とコンパスも持たせてやったのにどうやったら迷子になれるんだよ……」

 

海道「じゃあばいばーい空井お兄さん! また今度遊ぼうねー。あ、ちなみに乃々ちゃんはあっちの扉で寝てるから起こしてあげてね!」

 

空井「う、うん」

そう言い残して子供たちは元気よく出て行ってしまった……疲れた、せめて乃々ちゃんとやらはちゃんとした子ならいいなあ。

 

空井「まあいいや、仕事仕事っと……」

僕が彩ちゃんから教えてもらった扉を開けようとすると、僕が開ける前に扉が開かれる。扉の先にはぬいぐるみを抱えた小学生低学年ぐらいの小さな女の子がいた。

 

???「……」

 

空井「あ、君が乃々ちゃんかな? 僕は出張をしてきた空井で――」

僕が自己紹介をしようとすると。

 

???「(ピピピピピピピピ!)」

何故だか即座に防犯ブザーを鳴らされてしまった。

 

空井「ちょ!? まってまって! ブザー止めて! 怪しい人じゃないから!」

 

???「……知らない人と会ったら、防犯ブザーを鳴らせって言われた」

 

空井「僕は出張で来た空井圭一って言ってね? 怪しい人じゃ全然ないからブザー止めて!」

 

???「……出張……ああ、うん……木原 乃々」

 

空井「へ?」

 

木原「……名前」

 

空井「あ、よ、よろしくね乃々ちゃん」

 

木原「……」

 

僕がまるで見えていないかのように乃々ちゃんは僕の横を通り過ぎていく。

 

空井「え、えっと……あ、そうだそうだ。乃々ちゃん僕は一体何をすれば」

 

木原「……ジュース」

 

空井「ん?」

 

木原「注いで、それだけでいい」

 

空井「べ、別にいいけど……他には?」

 

木原「いらない、邪魔」

 

空井「……そう」

もうやだこの部隊。

 

現在

空井「……」

 

木原「……」

 

空井「……」

この子、大人しいと言えば大人しいんだけどなんというか、大人びてるよなあ……さっきの子達はしらないけど、この子は何となくここに所属された理由が分かる気がする。

 

空井「え、えっとさ。本当に何もすることはない?」

 

木原「……暇?」

 

空井「ま、まあ……」

 

木原「……じゃあこれ」

 

空井「えっと……これは?」

 

木原「読み終わったら教えて」

 

空井「分かったよ……」

欲を言えばもうちょっと会話らしい会話をしていたかったが、まあ暇だったのは確かだし僕は言うとおりに渡された資料を読む。

 

空井「……」

どうやらこれはSCP-1301-JPについて資料らしい。簡単に説明すれば。エージェント・与四田が思考したことを多少の脚色を加えfacebookに投稿する異常現象らしい。そしてこの資料によればエージェント・与四田は記憶処理を受け財団フロント企業の下請け会社に就職させていたらしいが記憶処理の影響により既に部屋で首を吊って死んでしまっているらしい。

 

空井「こっちは……補遺か。内容は投稿した内容についてか」

内容は最初は近況について、だが投稿されたものが財団に発見され尋問、収容され、そして自分を女手一人で育ててくれた母が死んでしまったことにより恐らくここで壊れてしまったのだろう、だから記憶処理をし下請け会社に就職させたんだろう……そして、ユーザーネームが吉田 良香に変わる、そこには自分の記憶があやふやなことに対しての嘆き、そして自殺までの流れが書かれていた。

 

空井「……読み終わったよ」

 

木原「……そう、何か気付いた?」

 

空井「気付いたって言われても……ん、あれ? そういやこれが一般人に見られないようにされたのは20██年8月14日なんだよね?」

 

木原「……うん」

 

空井「……何でこれのあとにコメントとかいいねがついてるの?」

 

木原「……」

 

空井「……」

 

木原「そう」

 

良かった……どうやらこれが乃々ちゃんが望んでた答えらしい。だけど何でついてるんだろう?

 

木原「勿論職員もいいねを付けた覚えがない、だから私は今この隔離後にも尚コメントできた人物を探してる……けど、見つからない」

 

空井「もしかしてその人が……」

 

木原「……何故かこのコメントを見ることができない、恐らく6月2日のこの投稿についたコメント、このコメントを読んで対象は自殺を試みたと考えられる」

 

空井「……」

 

木原「……私は」

 

空井「ん?」

 

木原「私は、だから言ったのに。最初から、彼女が取り返しのつかないところまで行く前に記憶処理を施して下請け会社に移すべきだって、だけど。子供の言い分だって聞いてくれなかった、理不尽。自分たちがこんな部隊を作って、私たちを所属させたくせに。その結果がこれ、結局この人は死んでしまった、もしかすると未然に防げたかもしれないのに……」

 

空井「……」

 

木原「……変なこと言った、ごめんなさい」

 

空井「乃々ちゃん、ちょっと休憩しよっか」

 

木原「でも仕事……」

 

空井「いいからいいから」

 

木原「……」

 

僕が乃々ちゃんの手を引くと、大人しくついてきれくれる。

そうだよな、この子は、まだ子ども何だよな。だから人の死について責任を感じるし何とかしてそれを防ごうとする、それはとても大切な価値観だ。

 

空井「じゃ、ここに座っててね」

 

木原「……何をするの?」

 

空井「まあ見ててよえーっと……意外と冷蔵庫の中身種類豊富だな……これとこれと……あとこれかな」

だけど、この財団ではその価値観は毒となってしまう。彼女はきっと正しいんだろう、僕はもうそこらへんの感覚は麻痺してしまっているけど本来なら記憶処理なんて、そんな非人道的なことすべきではない。僕たちが誰かの一日をミーム汚染に侵されてしまった、だから処理してしまおう、だけどもしその日がその人にとって大切な一日だったら、僕たちはその一日を奪う事になる。だが、それを違和感だと思ってはいけない。

 

空井「ふんふふんふふ~ん」

 

木原「……」

 

だけど、だけど。

 

空井「はい完成!」

 

木原「うわぁ……! くまさん!」

 

空井「一応メインはパンケーキなんだけどな……」

その価値観は、この純粋な少女にはできれば失って欲しくない。きっとそれは残酷なことなんだろう、この財団でその価値観を持ったままでは恐らく生きていけない、だけど、せめてその価値観を捨て去るその日までは。

 

空井「というわけで、ま。召し上がれ」

 

木原「いただきます……!」

 

この笑顔を大切にしてほしいな。

 

 

黒崎「おーい、空井ー迎えに来たぞー……って」

 

空井「あ、こんにちは黒崎さん」

 

黒崎「お前何やってんの!?」

 

空井「何って……膝枕ですが」

 

黒崎「なにそれうらやまけしからん!」

 

空井「黒崎さんそんなに騒いだら……」

 

木原「……ん」

 

空井「ほら起きちゃった……」

 

黒崎「っぐ、俺としたことが……でもその寝顔もプリチーと感じてしまう……」

 

空井「クソ野郎ですね」

 

黒崎「最近お前俺に対してのあたりがどんどん強くなってない? まあそれはともかく、さっさと帰るぞ。月島さんがお呼びだ」

 

空井「分かりました、じゃあ乃々ちゃん。またね」

 

木原「いっちゃうの……?」

 

空井「多分また呼ばれるだろうし、その時にまたね」

 

木原「うん……!」

 

黒崎「何だろう、今なら空井。お前といい酒を飲めそうな気がする」

 

空井「あなたと一緒にしないでください、じゃ、バイバイ乃々ちゃ――」

僕が立ち上がり、彼女に別れの言葉を告げようとする、だがそんな彼女の後ろには。

 

木原「?」

黒い靄のようなものが彼女を取り囲んでいるのが見える、よくわからないが少なくともいいものじゃないだろう。

 

空井「……」

だから、僕は彼女に近付いて

 

それを払った。

 

木原「?……どうかした?」

 

空井「ううん、どうやら気のせいだったみたい」

 

木原「そう……」

 

空井「それじゃ、またね」

 

木原「うん、またね」

 

黒崎「羨ましいなあ……俺も西宮ちゃんとかと仲良くしたいなあ!」

 

空井「黒崎さん趣味悪いですね」

 

黒崎「んだとこら! 西宮ちゃん可愛いだろ!」

 

空井「でも僕あの子が一番怖いんですけど」

 

黒崎「そりゃあ……あれだよ、綺麗なバラにはトゲがあるってな!」

 

空井「トゲってレベルじゃないと思うんですけどねえ」

僕たちは廊下を歩きながら、そんな下らない話をして自分たちの部隊に帰る、一日をまた刻み込みながら。

 

 

 

 

 

後日談だが、SCP-1301を研究していた職員が一人、自室で謎の自殺を遂げたいたらしい。




どうも、粒餡です。幼女可愛いよ幼女、ヌッ(心臓麻痺)
ようやくダイスの神様が微笑んで未発達課の子達が書けました。
紹介(という名のSCPを題材にした小話)もランダム、相方キャラもランダム、この小説の明日はどっちだ。

使用SCP
SCP-1301-JP 時過ぎたりて来たるもの http://ja.scp-wiki.net/scp-1301-jp

SCPの紹介リクエストは随時活動報告にてお待ちしております、もちろん、本家、J、他の支部のSCP、未翻訳のSCP、taleでも構いません。
それでは皆さん、また次のお話で会いましょう、それでは、ノシ


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。