僕のヒーローアカデミアinウルトラマン (アニメ大好き)
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プロローグ

僕のヒーローアカデミアとウルトラマンとのクロス作品です。

私の中でヒーローと言われてすぐ思いつくのがウルトラマンなのです。それで宇宙から来たヒーローと関わると面白いかなぁと言う思いで作りました。




  「今日からウルトラマンオーブが放送開始かァ。楽しみだなァ〜」

 

  俺の名前は礼堂光輝(らいどうコウキ)。ウルトラマンやその怪獣達が大好きな青年である。小さい頃からウルトラマンが好きでよく友達とウルトラマンごっこをしていた。

 

  そんで信号を渡っていると「危ない‼︎」と言う声が聞こえたので横を振り向くと子供がトラックに轢かれそうになっていた。

 

  俺は無我夢中で子供の元へと走り出し子供を突き飛ばした。そして俺は車に跳ねられた。

 

  (あぁ……俺……死ぬのかな?でもあの子供の命が助かったのならいいや…)

 

 そして俺の意識は消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  「ーーーーー」

 

  (ん?なんだ声が聞こえる)

 

  誰かの声が聞こえて目を覚ました。するとそこは周りが真っ白で何もない空間だった。

 

  光輝「えっ、何ここ⁉︎も、もしかして俺は死んじまったのか⁉︎」

 

  「いや、大丈夫。君はまだ死んではいない」

 

  混乱している俺に誰かが話しかけてきた。声のした方を向いてみるとそこにいたのは……ウルトラマンだった。それにウルトラセブンにジャック、今まで出てきたウルトラ戦士までいる。その中からウルトラマンとセブンが前に出てきた。

 

  「初めまして、青年よ」

 

  「は、初めまして…」

 

  「君にこの空間に来てもらったのは他でもない。実は君に我々と共に異世界に行ってもらいたのだ」

 

  い、異世界⁉︎どういうことだ⁉︎いきなり異世界に行ってもらいたいだなんて。

 

  「すみません、話が全然わからないのですが」

 

  「実は君のいた世界や私のいた世界とは違う世界に怪獣達が現れ始めたのだ」

 

  怪獣達が。でもどうして?

 

  「何者が怪獣墓場で眠っていた怪獣達を蘇らせ、異世界の侵略を開始したのだ。だが我々の力だけでは宇宙を超えることができない。そんな時瀕死状態の君を見つけたのだ」

 

  「そこで頼みがある。君に我々と共にその世界に行って欲しいのだ。別の宇宙とはいえ我々も見過ごすわけにはいかないのだ。勝手に連れてきてしまって申し訳ないと思うが、頼む」

 

  確かにいきなり連れて来られて混乱したけど、ウルトラマン達が助けてくれたおかげ俺はまだ生きているわけだし。それに異世界だなんて面白そうじゃん。

 

  「分かりました。俺で良ければ協力します。それに命を助けてくれた恩もありますし」

 

  「ありがとう」

 

  「あ、でも流石にこれだけの人数で俺1人の体に入りきれるかな?」

 

  「それなら問題ない」

 

  突如ウルトラマン達の体が光り始めた。すると体がドンドン小さくなっていき、光の中からそれぞれの変身アイテムが出てきた。

 

 

  「我々は変身アイテムなって君と一緒にいよう」

 

  「これなら君の体にもあまり負担はかからないです」

 

  成る程。これなら大丈夫かな。

 

  「では出発するぞ。準備はいいか」

 

  「はい‼︎」

 

 「うむ。お前達もいいか」

 

  『はい!(問題ないぜ!)』

 

  「よし。では行くとしよう」

 

  変身アイテムが俺の周りに集まると、体が光の粒子に包まれた。




それぞれのウルトラマンの変身アイテムで変身したかったのでギンガとビクトリー、エックスは出しませんでした。


今連載中のBLEACHや、もう一つ作品を書こうと思っているので更新は遅いかもしれません。

それでも楽しみにしてくださるなら幸いです。


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1話 異世界

今日のウルトラマンオーブで火の魔獣はやっぱりパンドンでした。

次回は3つ目の姿がお披露目となります。しかも相手は見るからに最強クラスの怪獣です。(ネタバレになるかもしれないので名前は伏せておきます)


光に包まれて目を開けると、ある建物の屋上にいた。ここが異世界か。やっぱり異世界といえども、俺がいた世界とあまり変わりはないようだ。まずはここがどこの世界なのか調べよう。

 

ひとまず街中に出てみると何やら人だかりが。何だろうっと思ってみるとそこには怪物のような格好をした奴と、体が木の皮で覆われた男が戦っているいた。

 

(……はてェ?何処かで見たことがあるようなぁ?)

 

そんな事を考えていると怪物にトドメを刺すのか大技みたいなのを出そうとしていたが、突如現れた角の生える巨大な女性に怪物は蹴られてノックアウトした。あの女性も何処かで…。

 

「本日デビューと相成りました、Mt.レディーと申します。以後お見"しり"置きを」

 

敵を倒しやけにお尻を向けて強調させた。男たちがカメラを撮っている。

 

(Mt.レディー?何処かで聞いたことあるようなぁ?……‼︎思い出した確かにあれは「僕のヒーローアカデミア」に出てきたヒーローだ!という事はここはもしかして「僕のヒーローアカデミア」の世界か!? )

 

確か最近アニメになった漫画で色々と話題になった作品だ。俺もアニメを見ていたからそこそこまではわかるんだけど、全ては知らないんだよなぁ。

 

「所であの怪物や巨大な女性達は何なんだ?」

 

タロウがさっきの暴れていた奴や、そいつを倒した女性、戦っていた人達の事を質問してきた。

 

「あっはい。この世界では個性、所謂特殊な力をを持った人間がいるんです。水を操ったり、体を変化させたり、あの女性のように体を巨大化ことも出来ます」

 

「ヘェ〜、何かの能力を持った人間かぁ。中々面白れ〜世界じゃねぇか。」

 

ゼロが興味深そうに言う。確かに普通の人間に能力なんてないんだから。

 

「でも、その個性を使って犯罪を犯す奴らもいるんだ。そいつらを確か(ヴィラン)と呼んでいるんだ」

 

「自分の力の持つ可能性を間違った方向へ向けて犯罪を犯す奴もいるのか…。」

 

80が嘆かわしそうに言う。元学校の先生だったし、担当がマイナスエネルギーの起こる原因でもある「自分の秘めた可能性を間違った方へと使っている」のだから。

 

(でも確かにこの場面はアニメの第1話にあった。てっ事はこの後ヘドロの敵が現れるってことか)

 

確かに主人公の緑谷出久がヘドロ敵に襲われているところをオールマイトに助けてもらって、そこから彼の秘密を知ってことが始まりとなり色々なことが起きるんだよなぁ。

 

 

 

 

 

 

緑谷出久はヒーローに憧れていた。その中でも人気ナンバー1であり平和の象徴と言われているオールマイトの言うヒーローのようになりたいと小さい頃から思っていた。

だが中々個性が出ないことで親と一緒に病院に行って医師にみてもらって帰ってきた答えは残酷なものだった。

 

 

『何の個性もない』

 

 

この世代では珍しい「無個性」所謂「何の個性もない人」と言われた。彼はその日の夜泣いた。大好きなオールマイトの動画を見らがら泣いた。自分もいつかオールマイトみたいなヒーローになりたいと思っていたのに、自分には何の個性もないのがあまりにもショックがデカかった。それがきっかけで学校とかでバカにされ、同世代の子から虐められる事もあった。

 

そんなこんなで月日が流れて中学3年になり卒業が近づき、高校受験が近づいていたある日、体をヘドロに変える個性を持つヴィラン(以降ヘドロヴィラン)に捕まり体を乗っ取られようとしていた時に、ある人物の声が聞こえた。

 

『もう大丈夫だ、少年。…私が来た……』

 

それは憧れのヒーローであるオールマイトだった。そして『TEXAS SMASH(テキサス スマッシュ)』でヘドロヴィランを吹き飛ばし持っていたペットボトルの1つに詰め込んだ。

気を失った緑谷は誰かに起こされて目を覚ますと目の前にオールマイトがいた。あまりの驚きに後退した。そして嬉しさにサインを頼もうとして手元のノートに書いてもらおうと思ったら、してあったりとさっきから驚いてばかりだ。オールマイトペットボトルに詰めたヘドロヴィランを警察に届けようとしていた。だが緑谷はオールマイトにまだ話したいことがいっぱいあった。

そしてオールマイトはすごい脚力で空を飛んだ。しかし緑谷が咄嗟にオールマイトの足にしがみついていたのだ。離れるように言うが今2人は空を飛んでいるので離れるに離れないでいた。そのままオールマイトと共にある建物の屋上に降りた。

 

そこで彼はオールマイトに「個性のない人間でもヒーローになれるか」と聞いた時、突如オールマイトから煙が出て彼を覆った。それに気づいていない緑谷は淡々と話を続け「僕もなれますか」と言おうとオールマイトを見ると、そこにいたのはオールマイトでは無くガリガリの痩せた男だった。

 

彼は何が起こったのか全く分からずオールマイトの偽物か思ったがそこにいたのはオールマイト本人だった。

 

『よくプールとかで腹筋力み続けている人がいるだろ?あれさぁ』

 

そう。その状態こそがみんなが知っていてヒーローであるオールマイトの姿だったのだ。

そのあまりの射撃に緑谷は「嘘だァーーー!」と絶叫した。それもそうだ。あの憧れで恐れ知らずでみんなを助けてくれる最高のヒーローの本当の姿が、細いガリガリの男だったなんて。

 

実は5年前の敵との戦いで負った傷で度重なる手術と後遺症で憔悴してしまい、彼のヒーローとしての活動時間は1日約3時間が限界となっていたのだ。

この事は世間には公表しないようにと彼が頼んだので一部の人間しか知らない。その理由は「平和の象徴」が悪に屈してはいけないと言う己の信念。そして自分が笑うのはヒーローの重圧、そして内に湧く恐怖から己をあざ笑うためであった。

 

 

『プロはいつでも命懸け、「個性が無くても成り立つ」とは軽々しく口には出せない』

 

 

その理由は言葉を聞いた緑谷は黙ってしまった。

確かにプロはいつだって命懸け。死ぬかことも覚悟の上で活動しているのだ。個性がなくてもヒーローになれるとは一概には言えない。

 

オールマイトは立ち上がると扉へと向かい開けた。

 

『人を助けるなら警察官という手もある。それも立派な仕事だ』

 

『夢を見る事は悪いことじゃない、だが現実も見ないといけない』

 

オールマイトはそれだけ言うと扉閉めた。

 

確かに警察官も立派な仕事であるし、現実を見ないといけない。そんな事は分かっている。分かってはいるが「ヒーローになりたい」、小さい頃からの夢を簡単に捨てられるはずがなかった。

そんな時、街で爆発が起きた。敵が暴れていると思い現場に向かおうとしたが、さっきオールマイトに言われたことを思い出しトボトボ歩き出した。

 

階段を下りているオールマイトは捕まえたヘドロ敵を警察に届けようとポケットの中を覗いたが、ヘドロヴィランを詰めたペットボトルがなかった。

そんな中を町で爆発が起きた。

 

 

そこにはヘドロヴィランが緑谷の幼馴染である爆豪勝己に襲いかかって飲み込まれようとしている。

 

「こんな奴にィ俺が飲まれるかーー!!」

 

ヒーロー達は何とか爆豪を助け出そうとするが、下手に手を出せば爆豪が傷ついてしまうから迂闊に手を出せないでいた。

今この場にいるヒーロー達ではお手上げだった。そのため爆豪には悪いがヘドロヴィランに有利な個性も持ったヒーローの到着を待つ事にした。

そんな中ガリガリ状態のオールマイトが現場に到着した。そして現場をみて後悔した。活動時間ばかりに気を取られていて敵を詰めたペットボトルを落としてしまった自分のミスだと。そして自分を責めた。「情けない、情けない」と。

 

 

 

 

 

一方緑谷は自分が作った「将来の為の分析ノート」を見らがら街を歩くいていた。

自分には個性がない。そんな事は分かっていた。分かっていたからこそ見ないようにしていた、目を背けていた。そんな事を考えているとある人とぶつかってしまった。

 

「ご、ごめんなさい。ちゃんと前見てなかったもので」

 

「別に気にしてないよ。君、名前は?」

 

「緑谷出久です…」

 

「俺は光輝、礼堂光輝」

 

これがヒーローに憧れる少年と、宇宙から来たヒーローウルトラマンに変身する事が出来る青年との出会いだった。

 




最後に敵が持っていた6枚のカードで光、闇、風、地、水、火ってなんだか遊戯王のモンスターの属性と同じことに気づきました。


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2話 悩み相談

遅れてしまって申し訳ありませんでした。
色々忙しくて中々投稿出来ませんでしたが、何とか今日投稿出来ました。

オリ主はウルトラマン達とは心で会話することができるのでその部分は『』にしてあります。


追記:あまりにも批判の意見があったので一部分変更しました。


俺は今、この世界の主人公「緑谷出久」と出会った。名前を聞いて教えてもらったがなんだか元気がない。

 

「どうしたんだい、なんか元気ないみたいだけど。何かあったの?悩みがあるのなら聞いてあげるよ」

「……実は…」

 

学校の帰りに敵に襲われそれをオールマイトと言うNo.1ヒーローが助けてくれたが、無個性でもヒーローになれるかと聞いたら、現実を見た方がいいと言われたらしい。

 

(さすがにオールマイトの秘密は言わないか。本人から「誰にも言うな」と言われているし)

 

「それで僕は夢を諦めるべきか迷っているんです。プロのヒーローまでが言うだからっと思って。…無個性の僕にヒーローになるなんてやっぱり無理だったって」

 

『バカ野郎!!そんな簡単に夢を諦めちまうのかよ』

 

「えっ!?」

 

突如大きな声に緑谷は驚いた。

 

「今…誰かの声が…」

 

「(やば!)き、気のせいじゃないかなぁ」

 

「そ、そうでしょうか?」

 

「そうだよ。コホン!てそれでさっきの悩みだけど君自身はどうしたいんだい?このまま夢を諦めるのかい?」

 

緑谷は顔を下へと向けた。

 

「…正直僕は諦めたくないです。子供頃からの夢だったし憧れだったから。でも無個性の僕がヒーローになる事なんてやっぱり夢だったんですよ。プロにまで言われたからもう諦めるしか…」

緑谷の目から一筋の涙が落ちた。確かにプロにまで言われたのだから諦めるしかと思える。でもヒーローになりたい。その2つの思いが彼の中でぶつかってあるのだろう。

 

『〜!!もう我慢できねぇ。光輝、ちょっと体を貸してくれ』

 

『えっ!?ちょっと何を『いいから。ここは俺に任せろ!』……分かったよ、ダイナ』

 

俺は少しダイナに体を貸すことにした。

 

「……なんで諦めるんだ?」

 

「えっ?」

 

緑谷は俺の予想もしていなかったであろう言葉に一瞬驚いた。でも、ごめん。今喋っているのは俺じゃないだよ。

 

「なんで諦めるんだと聞いている」

 

「だ、だって僕は無個性だし…」

 

「別にいいじゃないか、無個性でも。ヒーローになる事が君の夢だったんだろ?だったら諦めるなよ」

 

「で、でもプロまで言うし…」

 

何かいいかけた途端、緑谷の両肩に手を置いた。

 

「それがなんだ!確かにプロは命懸けだし、無個性の君には荷が重すぎるかもしれない。でもそれでも君がヒーローになりたかったのは……誰かを助けたかったからじゃないのか?」

 

「っ!!」

 

「無個性だからなんだ!プロに言われたからなんだ!ヒーローになるために一番必要なのは強さじゃない、心だ!」

 

「心…」

 

「そう。君は無個性でどんなにバカにされても夢を諦めなかったのは心が強かったからだ。ヒーローなりたいといあ意思が強かったからだ。それに……限界を超えた時初めて見えるものがある。だからお前も自分限界を超えろ!そして諦めるな!!」

 

さすがダイナ。変身していた人が熱い人だったから、こういう熱がこもった言葉は説得力があるなぁ。そしてを聞いた緑谷の顔はさっきと一変して明るくなっていた。いい顔になったよ。

 

「はい!ありがとうございます」

 

緑谷はお礼を言うと何処かへ向けて走って行った。

 

「ふぅ。なんとか元気になったみたいだね。さすがダイナ」

 

「いや、そんなことはねぇ。あいつは自分で夢を追うことを決めたんだ。俺はただその手助けをしただけだ」

 

「でも、さっきはいきなり声を出さないでよ。もう少しでバレるところだったじゃないかぁ」

 

「それはすまねェと思うが、あいつが夢を諦めるなんてあんなこというから少しカツを入れようとしたんだ」

 

「分かるけどもう少し自重してくれよ」

 

「そうだぞ。我々の正体はこの世界の人々には秘密にしなければならなのだから」

 

ダイナは他のウルトラマン達から色々と注意を受けた。確かにウルトラマンの正体がバレたのは最終回ら辺だし、最初から正体がバレたなんてウルトラマンなんてギンガやビクトリーぐらいだぞ。メビウスは防衛チームのメンバーと総監、そしてその秘書だけだもんなぁ。

 

「わ、悪かったよ」

 

「それより彼は何処へ向かったんだ」

ティガは緑谷は何処へ向かったのだと聞いてきた。

 

「おっと、そうだった。おそらく敵が暴れている場所に向かったはずだ。俺達も行こう」

 

俺は緑谷の後を追いかけ、彼が向かった方へ走って行った。

 

 

ーーーーーーー

 

 

現場に着くと、緑谷が幼馴染の爆豪を助けるためにヘドロヴィランに突っ込んでいた。その無謀さにその場にいたヒーロー達は彼に戻るように言うが止まらない。

 

そして鞄を投げて敵の目を眩ませて爆豪の元まで辿り着いた。

爆豪はどうしてここに来たと言うが、本人も分からないといった。そんな時、緑谷はある言葉を口走った。

 

 

 

『君が……助けを求める顔をしていた」

 

 

その言葉が俺の心に響いた。

 

ヘドロヴィランは邪魔をした緑谷に怒り狂い攻撃をしようとした。ヒーロー達が助けようと駆け出したが間に合わない。

俺はヘドロヴィランの攻撃が緑谷に届く前に2人の間に素早く入って右腕で攻撃を止めた。

 

「礼堂さん!」

 

「な、何だテメェ!?」

 

「さぁ、俺が抑えている間に彼を助けるんだ!」

 

緑谷はすぐに行動して爆豪をヘドロヴィランから引き離そうとする。

 

「チィッ、させるかァ!!」

 

ヘドロヴィランはもう片方と手で攻撃をしてきた。ここで避けたら緑谷が危ないので俺はもう片方の腕を使って攻撃を止めようとしたが、するとその間にオールマイトが入って攻撃を受け止めていたのだ。

 

オールマイトは緑谷の言った言葉に心を打たれ自分の活動時間の限界を超えてたのだ。

 

ヘドロヴィランは即反撃しようとするがオールマイトのDETROIT(デトロイト) SMASH(スマッシュ)によって吹き飛ばされた。辺り一帯にも強烈な風圧が襲う。

 

そして風圧が収まるとそこには敵の姿はなくオールマイトだけがいた。緑谷や爆豪、その場いる全員が固まり静寂が訪れた。

すると上空に雲が出てきて雨が降り始めた。今の風圧で上昇気流が発生して雨が降り出したのだ。

 

そしてオールマイトがゆっくりと立ち上がると歓声が響いた。緑谷もオールマイトがまた助けてもらったのか少し笑顔になった。だが爆豪だけは面白くないみたいな顔をしていた。

 

「凄いですね。人間があんなパワーを持っているだなんて……」

 

「確かになァ。流石に"平和の象徴"と言われている事はある」

 

メビウスはオールマイトのパワーに驚愕し、タロウはそのパワーに感心する。俺もアニメでしか見たことないけど生で見ると凄い迫力。

 

そして雨も止み、オールマイトは記者からインタビューを受けていた。

そんな中、俺と緑谷がヒーロー達に無謀なことをした事で説教を受けられ、爆豪はヒーロー達に賞賛されていた。

 

「緑谷の奴が頑張ったお陰で事件解決出来たようなもんなのに、あいつは説教を受けてあの爆豪とかいう捕まっていた奴だけが評価されるんのかよぉ。なんか納得いかねェなぁ……」

 

ゼロは緑谷が説教を受けられているのが気に入らないようだ。それは同感。彼の言葉がオールマイトの心に響いたから助かったのにそれで説教かよ。自分達は有利な個性のヒーローの到着を待ってジッとしていた癖に。

 

「全く、無茶にも程がある!」

 

「君達が危険を冒す必要は全然なかったんだ!」

 

 

ブチッ!!

 

 

その言葉を聞いた瞬間に俺の中の何かがキレた。

 




活動報告でBLEACHの作品の事で悩んでいることがあるので、時間があれば見てみてください。


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3話 光輝、怒る

こちらも久々に投稿しました。
昨日のウルトラマンオーブの放送で、オーブがゾフィーとベルアルの力で変身した「サンダーブレスター」まじ強かった。3タイプの姿で歯が立たなかった相手をボコホゴしましたから。
でも力を制御出来ていないので今後それが制御できるのかどうか見所の一つだと思います。


今回は光輝がプロヒーロー達に切れます。

曖昧なタイトルですが、どうぞ。
(最後に怪獣が出てきます)



緑谷出久はヒーロー達に今回の事で説教を受けていた。

何の策もなくヴィランに突っ込むという危険な事をしたのだから、当然と言えば当然だ。下手をすれば命を落としていたかもしれないのだから。

 

だか今説教をしているヒーロー達にそんな資格があるのだろうか?

 

「ちょっといいですか?」

 

そんな時同じように説教されていたの男が手を上げた。それはさっき緑谷が出会った男、礼堂光輝であった。しかしその顔は引きつっており怒りのオーラみたいなものが出ていた。

 

「礼堂さん?」

 

「どうしたんだ急に?」

 

植物の個性を持つシンリンカムイが話しかけてきた。

 

「何か質問があるのか?言いたいことがあるなら聞くが、手短に頼むよ」

 

「……じゃあ言わせてもらうけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……アンタ達がこの子を叱る資格はないと思うよ」

 

光輝は低い声で言った。あまりに予想外の言葉が飛んできたので、その場にいた誰もが驚愕した。

 

「な、何を言っている!?この少年はいきなりヴィランに突っ込んで危険な事をしたんだぞ!オールマイトが来てくれなかったらどうなっていたか!」

 

「確かに無謀だったと思うよ。いきなりヴィランに突っ込んでいたんだからね」

 

「だったら「…でも」!?」

 

「…でもアンタ達ヒーローはその少年が飛び出すまで何してた?ただその場に待機していて動こうとしなかったじゃないか。そうだろ?」

 

俺の声にその場に残っていた民間人やオールマイト、彼に取材していた記者達もこっち気が付いて見た。

 

「そ、それは、(ヴィラン)には俺たちの攻撃が通用せず、その上近づける状況じゃあなかったから仕方なかったんだ」

 

「それで、そっちの少年がヴィランに取り込まれるのを指を加えて見ていたと。ふ〜ん、そうか…」

 

不穏な空気が漂う。俺はゆっくりと体を起き上がらせて言った。

 

「アンタらさぁ……本当にヒーローなの?」

 

その言葉にその場にいた全員が目を見開いた。当たり前だプロのヒーローを目の前にして「本当にヒーローなの」と言うなど侮辱しているとも言えるのだ。

 

「なっ!?当たり前だろ!!俺たちはヒーローになる為の勉強や実戦訓練をしてヒーローになったんだ。プロの資格だってちゃんとある!」

 

「そうなんだ……じゃあ何でそっちの少年を助けるのを途中で止めたの?普通ありえないでしょ、苦しんでいるのに不利な状況だからって助けるのを止めるって」

 

俺は爆豪の方に目を向けて言った。

 

「それにさっき誰か言ったよね、「誰かが来てくれる」って。何?プロのヒーローは自分が不利な個性を使う相手だと他人任せかよ!随分なことだねェ」

 

「お、おい君少し言い過ぎじゃ…」

 

「それにアンタもだ!そこ少年が苦しんでいたのに「あの子には悪いが耐えてもらおう」だって。ふざけてるのか!!その子はまだ一般人だぞ!まだヒーローの知識とかあまり知らない普通の中学生だ!」

 

「し、しかし見ただろ?彼の個性を。あれだけ凄い個性だったんだから「だから何だ!」ッ!?」

 

「確かに凄い個性だったよ。それは認めるよ!でも、それと、これとは話が別だ!一般人には変わりないだろう!!」

 

確かにそうだ。凄い個性を持っているからといってもまだ中学生。将来「ヒーローになりたい」という夢があったとしてもまだ何の訓練も受けてた事がない少年だ。一般人に変わりはないのだ。

 

「アンタらは守るべき一般人を危険に晒したんだぞ。守るべき一般人を!!」

 

『光輝、落ち着け』

 

ネクサスが落ち着くようにいうが止まらなかった。いや、止められなかった。あまりに理不尽なヒーローの答えやその時の対応に。

 

「アンタらがそこで黙って見ていた時にそこの少年、緑谷君は取り込まれそうになっていた彼と目があった瞬間、すかさず助けに出たよ。それは彼が苦しんでいたから、助けないと思ったからじゃないのか?どうなの緑谷君?」

 

「は、はい。かっちゃんが助けを求めていた目をしていたから目があった時、助けないとしか思ったら体が勝手に動いていて…」

 

「聞いたかい?緑谷君は彼を助けるために真っ先に行動したんだよ!一般人(・・・)の彼がだよ!」

 

「考えるより先に行動した」これは彼の人を助けたいという思いが強かったからだと思う。今の俺なら分かる。どうしてオールマイトが彼を後継者に選んだのかを。

 

「俺には彼、緑谷君の方がアンタ達なんかより余程ヒーローに見えたよ!」

 

その言葉にヒーロー達だけじゃなく、緑谷や爆豪までも目を見開いた。

 

「それに俺は自分達が死ぬかもしれないというのに、仲間を助けようとした戦いに挑んだヒーロー達を俺は知っている。彼はそんなヒーロー達と同じようなことをしたんだ。自分の命を顧みず助けようとしたんだからね」

 

「なのにアンタ達はどうだ?近づけない?有利な個性が来るまで待とう?そんな理由で1人の少年を長時間危険な状況の中放置してたのか?それで何がプロだ、何がヒーローだ!?自分達がただ目立ちたい、たたわれたいだけだろアンタらは!!」

 

その言葉にヒーロー達が黙る。それもその筈。最近のヒーローは派手なことをして世間から注目されたいという私利私欲でヒーロー活動するものが多いのだ。

 

 

 

 

「だからアンタらみたい奴が……軽々しくヒーローを語るなァ!!!」

 

 

 

 

その言葉を最後に静寂が訪れる。俺は正座している緑谷の方に体を向けて腰を下ろした。

 

「緑谷君」

 

「は、はい!」

 

光輝はさっきと全く別人と言ってもいいほどの優しい声を緑谷に掛けた。

 

「君のやった事は確かに無謀だったかもしれない。でも君は正しい事をやったと俺は思うよ」

 

その言葉に緑谷は目を見開いた。緑谷だけじゃないそれを聞いた爆豪やプロヒーロー達、マスコミまでも見開いたのだ。

 

「それに君の誰かを助けたいという正義感は誰にも負けてないよ。だから自信を持って!」

 

それだけ言うと光輝はその場から離れた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「よく言ってやったぜ、光輝。決まってたぜ!」

 

ゼロは俺がヒーロー達にガツンっと言ってやった事を褒めた。自分も事件の一部始終を見ていたので、緑谷が説教されているのが納得出来ていなかった。

 

「だかまさか、君があそこまで怒るとは…」

 

マックスは俺がプロのヒーロー達相手に怒鳴った事に驚愕していた。

 

「本来ならそんなでもないけど、ヒーロー達のあまりの理不尽さにイライラしてしまったから。それにあの植物の個性を持っているヒーローは今朝もあの巨大化できる女性がトドメをさした後「手柄が…」って言っていたらね」

 

「あぁ、確かにあれはヒーローは愚か人々を守る者のセリフとは思えん」

 

エースがその意見に同意する。確かにヒーローは「人々を守る」職業の筈なのに「手柄」という単語が出てくるのはおかしい。ヒーローは人々を助け、それと引き換えにいつ命を落としてもおかしくない職業の筈なのに、まるでゲーム感覚でやっているのだ。

 

さっきオールマイトが言った様に「プロはいつでも命がけ」なのだから。……少なくてもウルトラマン達はそうだと俺は思う。

 

「そういえば、あの場にテレビ局の人がいた!今のが放送されたらまずい…」

 

自分の立場の事は問題じゃないけど、今の言葉でヒーローになりたいの子供達が緑谷と同じことをするかもしれない。どうしよう……

 

「それなら大丈夫だ。さっき君が話をしている間私達の力でその部分の撮影はできないようにしておいた」

 

マジですか!?良かった…それなら危険なことをする人はいないだろう。

 

「だが今回は何とかしてやったが、今後はもう少し場所を考えることだ」

 

「は、はい…」

 

俺はレオに怒られた。今後はもう少し場所を考えて言葉を選ばないとな。でもこれでヘドロヴィラン事件は解決して一件落着。と思った矢先……

 

『!! この気配は!』

 

80が何かを感じたようで声を上げた。

 

『どうしたの?』

 

『近くに邪悪なエネルギーを感じる』

 

その言葉に驚愕していると、その場に1人が声を上げた。

 

「おい、何だあれ?」

 

1人が空を指差した。そこには青く丸い球体みたいなものが浮いていた。そしてその球体が段々高度を下げ地面に降りてきた。

 

そしてその球体が地面に着いた瞬間爆発し、中から50mはある巨大生物が現れた。

 

全身が鱗で覆われ鋭い棘がいくつも生えており、大きな目に小さな腕と長い尻尾を持った怪獣。

 

それは嘗てウルトラマンが地球に来て一番最初に戦った 怪獣ーーーーーーー

 

 

「ガアァーーーー!!」

 

 

ーーーーーーー「宇宙怪獣ベムラー」である。




やっぱり最初はベムラーかなぁと思いましてベムラーにしました。
次回は光輝、初戦闘


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4話 光の巨人

更新が遅れたのはちょっと心のケアをしていた為遅れました。スミマセン(土下座)

今年最後の投稿です。
来年もまたよろしくお願いします。


「ガァーーーーーー!!」

 

ベムラーは咆哮を上げると街を破壊し始めた。人々はパニックになり逃げ出し始めた。

 

「キャーー!!」

 

「に、逃げろーー!!」

 

『(このままでは街が危ない。光輝!)』

 

「(はい、分かりました!)」

 

俺はその人混みに紛れながら人目に触れないように、人気がなさそうな路地裏へ行った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「……何だ…あれ……」

 

僕は今日、学校の帰りに敵に襲われているところを憧れのヒーロー、オールマイトに助けてもらった。

 

それで夢を諦めるか迷っていた時に礼堂光輝という人に出会った。

初対面のはずなのに僕の話を素直に聞いてくれた。

 

それで幼馴染のかっちゃんが僕を襲ったヴィランに呑み込まれそうになっていた時僕はいつの間にか敵に向かって走っていた。

そしてノートに書いてあった事を思い出して目を眩ませてかっちゃんを助けようとした。でもビクともしないうえに敵が攻撃してきて僕はダメかと思った。

でも活動時間限界のはずのオールマイトが助けてくれたおかげで僕とかっちゃん、そして街は救われた。

 

僕はその後ヒーロー達に説教をくらったけど、僕の話を聞いてくれた礼堂光輝さんが現れて僕を庇ってくれた。そして最後に……

 

『君の誰かを助けたいと言う正義感は、誰にも負けていないよ』

 

……と言ってくれた。僕はその言葉がとても嬉しかった。

 

そしてこれで終わったと思っていた矢先に、突如青い玉が現れたと思ったら中から怪物が出てきて街を破壊し始めた。ヒーロー達は市民を安全な場所へと避難させようと行動している。

 

「くそ、何だあの怪物は。無茶苦茶だぞ」

 

「おいMt.レディ、なんとかならないのか」

 

「冗談言わないでよ。あの怪物は私の2倍くらいの大きさがあるのよ。無理に決まってるでしょ!」

 

確かにMt.レディの個性「巨大化」は自分の実際の大きさを約13倍にすることができる。でも50mある怪物。例え個性を使って巨大化しても約20m弱だから無理だ。

 

「(シット!活動限界でやばい状況だが、街を守らなければ!)君みたいなデカイのが暴れたら、街が大変なことになるんだ。だからって大人しくしてくれないよね。だったら仕方がないから遠くへ飛ばすとしよう!」

 

オールマイトは凄い脚力で飛び、怪物の顔近くまで飛び上がった。

 

「TEXAS SMASH!!」

 

オールマイトの攻撃が怪物の顔に炸裂して、怪物は体制を崩して倒れ始めた。その場にいた人達は皆「ヤッタ」と思った。でも怪物は踏ん張って体制を立て直すと、今の攻撃で怒ったのか、尻尾を使ってオールマイトを吹き飛ばした(吹き飛ばされたオールマイトは壁にへと激突した)。

その後も怪物は進行を止めず、破壊行動を続け街を火の海に変えていく。

 

「あのデカ物野郎、調子に乗りやがってェ。ぶっ潰してやる!!」

 

「か、かっちゃん、いくら何でも無理だよ!あんなデカイ怪物に勝てる訳がないよ!」

 

「ウッセェーぞ、デク!無個性でクソナードのテメェが俺に口出しすんじゃねェー!!」

 

僕は戦おうとしているカッちゃんを止めようとした。いくらかっちゃんが強くてもあんな巨大な怪物に勝てるわけがない。

 

そんな時怪物がこっちに気づいた。そしてそのままジッと見ていると口を開けて青い光線を放とうとしていた。

 

もうダメだ。そう思った瞬間何処からか謎の光が現れて怪物に当たり吹き飛ばした。そしてその光は徐々に人の形になっていき、その大きさは怪物と同じくらい大きさで、胸に青いクリスタルが付いている赤と銀色の巨人になった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

「よし、ここなら」

 

今回変身するウルトラマンはもう決まっていた。相手がベムラーだし、何より一番最初に変身するならあの人がいい。

 

俺は変身アイテム……「ベーターカプセル」を天に翳してスイッチをいれた。そして光ると忽ち俺の体を包み込んだ。

 

そして光を纏いながら、そのままベムラーに体当たりして吹き飛ばした。そしてその光は段々晴れていき、体が赤と銀色の巨人……ウルトラマンが現れた。

 

「シュワ!」

 

俺はウルトラマンになった自分の姿に驚いた。

 

(まさか本当にウルトラマンになれなんて)

 

『余所見をするな!来るぞ!!』

 

おっと、いけない。今は敵との戦いに集中しないと。今回これが、俺がウルトラマンになっての始めての実戦なんだから!

 

「ガァーーー!!」

 

 

「シェア!!」

 

 

俺はベムラーに突撃し、パンチやキックを次々とお見舞いしていく。体にチョップを食らわせるとベムラーも負けじと尻尾を振り回して攻撃してくるが、それをジャンプで難なく躱す。

 

そしてそのまま飛び蹴りをお見舞いさせる。

攻撃をくらったベムラーはそのまま地面を数回転がった。

 

「(あまり長引かせると、戦いで街の被害がさらに出てしまうかもしれない。これで一気に勝負をつける!)」

 

俺は手を十字に組んで放つはウルトラマン最強にして必殺技「スペシウム光線」だ。

スペシウム光線はベムラーに命中した。

 

 

「ガー…ガァーー!…」

 

 

ドカーーーーン!!

 

 

スペシウム光線をくらったベムラーは断末魔を上げ大爆発した。

 

ベムラーを倒した俺はまず破壊された街を治すために両手から虹色の光を街に放った。すると街はみるみる戻っていき、破壊される前の姿に戻った。だかその後、オールマイトに質問をしていたマスコミや記者、その場にいた民間人に注目されていた。中にはカメラを撮る人までいた。

 

 

「な、なんだ、あの巨人?」

 

「あの怪物を倒したわ」

 

「見たかさっきの。手から光線出たぜ」

 

 

流石にこれ以上注目されるのもアレなのでジャンプするような感じで空へ飛び上がった。

 

「シュワッチ!!」

 

そして俺は人気のない場所で変身を解いて人間の姿に戻った。

 

「ふぅ〜。何とか勝てたァ」

 

「うむ、初めてにしては中々良かったと思うぞ」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「俺もそう思うぞ。だがそれで浮かれてはいけない。これから我々と一緒に特訓するぞ!」

 

「は、はい。わかりました」

 

そうだ。浮かれてはいけない。今回勝てたのは運が良かっただけで偶々だったかもしれない。

これからもっと巨大な怪獣がくるかもしれない。そのために特訓だ!気合いを入れるぞォー!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「……今日のあの巨人はなんだったんだろう?…」

 

緑谷は今日、自分達を助けてくれた巨人のことを思い出していた。

突如現れた怪物を倒したのだ。しかも両腕を十字に組んで光線みたいなものを出して倒した。そして倒し終わると空の彼方へ飛んでいったのだ。

 

「…でもあの光線、凄い威力だったなぁ」

 

緑谷はいつもの癖でウルトラマンのことを調べ始めた。

 

『もしかしたら何処かにあの巨人に関することがあるかもしれない』と思ったのだ。

 

だが、どれだけ探してもウルトラマンのことは何処にもなかった。(それもそうだ。別の世界のヒーローなんだから)

 

 

 

 

その後この戦いがマスコミとかによってウルトラマンはネットでも話題となり、新聞の記事にも表紙に写真が貼られた。そして…

 

『巨大な怪物を倒した巨人。彼は敵か?味方か?』

 

『謎の巨人現る!!』

 

…などと色んな注目を浴びる事となった。




第二期が来年の4月に決定しまた盛り上がってくるでしょう。
投稿の方は遅いと思いますが、これからも私の作品をよろしくお願いします。

最後に、皆様よいお年を。

追記:そう言えば、マガタノゾーアは結局倒させれた後のカードしか出ませんでしたね。ソフビ化もされなかったし。(マガゼットンは何かの限定でソフビ化しましたが)
何だか可哀想ですね。


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5話 ウルトラマンについて

こちらの方では本当にお久しぶです。

理由は理不尽だと思いますが、この作品を悪く言う方がいたので停止していました。

そんなにこの作品が酷いと思う方は見なくても構いません。
「そんな事はない、大丈夫」っと言う方だけ見ていってください。

それではどうぞ。


「47、48、49、50!」

 

俺は今腕立て伏せをしていた。あれから一週間、つまり俺がこの世界に来てベムラーを倒してから約一ヶ月がたった。

 

そしてこの世界に来た次の日から体力や体作りのためトーニングをしている。そして今日の一通りの項目が終わった。

 

「前と比べると少しは体力がついてきたな」

 

「えぇ。だが、まだまだだ。これからもっとトレーニングをしていくぞ」

 

「わ、わかりました。(やっぱりレオ師匠は厳しいなぁ。)」

 

レオ師匠とタロウ教官にトレーニングに付き合ってもらっている。何故俺が2人のことを師匠や教官と言うかというと、癖で名前の後に、レオのことを師匠、タロウのことを教官とつけてしまうのだ。

因みに2人は今人間の姿になっている。ウルトラマン達は変身アイテムから人間の姿になることができるらしい。

通常の姿になるのは無理だが、人間の姿になることは可能らしい。

 

「明日もまたトレーニングだ。十分に体を休ませるんだぞ」

 

「はい。…あの〜、お願いがあります」

 

「お願い?」

 

「はい。明日行きたいところがあるんです」

 

「行きたいところ?何処だ?」

 

「はい、それは……」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

俺は緑谷がトレーニングをしている公園の海岸へ来た。

しかし本当に汚いなぁ。何年も放ったらかしにしていただけはある。

 

「しかし、ほんと汚ねェなぁ。よくここまで放ったらかしにしてたもんだゼェ」

 

ダイナがあまりの汚さに小言をいう。確かに言えてる。海流によって流れてきた漂流物の他にも不法投棄している人がいるみたいだからなぁ。

 

「でも緑谷はこの量を入学までの約十ヶ月で片付けたんだよ。しかもこの海岸全てのゴミを1人で」

 

「それは凄いな。たった1人でこの量のゴミを綺麗に片付けるにはかなりの体力と根性が必要だ。その少年はかなりの努力家だな」

 

「あぁ、ゼロも見習ってもらいたいものだ」

 

「おいおい。それりゃねェだろォ、親父」

 

セブンとゼロが親子で雑談をしていると、突如後ろから声をかけられた

 

「あッ!この間の…」

 

「お、君はこの間の少年だね。たしか名前は緑谷君だったかな?」

 

「は、はい。緑谷出久です。覚えていくれたんですね」

 

「勿論だよ」

 

緑谷は覚えていてくれた事が嬉しかったのか「アハハ」と軽く笑った。

 

「ところで、礼堂さんはこんなところで何してるですか?」

 

「ん?この近くを散歩していたら君の姿が目に入ったからやってみたんだよ(本当は違うけど)。しかし偉いね。このゴミを1人で片付けてるなんて」

 

「は、はい。ありがとうございます!(言えない……本当はオールマイトの個性を引き継ぐための体作りなんて言えない)」

 

緑谷は苦笑して答えた。これは本当は緑谷本人とオールマイトしか知らない事だからなぁ。

俺は持っていた新聞を見た。それはウルトラマンの事に関する記事が書いてあった。1ヶ月近くも経ったのにまだ注目されているなぁ。

 

「この記事……礼堂さんもあの巨人に興味があるんですか?」

 

「光輝でいいよ。まぁそれりゃあね。しかし、随分と話題になってるねこの巨人の事」

 

「そうですね。……それにしてもあの巨人はいったい何だったんでしょう?」

 

「……あの巨人は……ウルトラマンと言われている」

 

「ウルトラマン?光輝さんはあの巨人のことを知っているですか?」

 

「ん?あぁ、知っているけど…」

 

「っ!!お願いします!あの巨人のこと、教えてください!!」

 

緑谷が目を輝かせて迫ってきた。彼はこの間巨人、ウルトラマンの事が気になって調べていたがどれだけ探してもその情報はなかった。

オールマイトに聞いても「私もあんな巨人は今まで見たことがない」と言われてお手上げだったのだ。

しかしあの巨人、ウルトラマンのことを知っている人物が彼の目の前にいるのだ。ヒーローオタクの彼が興奮しないわけがない。

 

(そういえばあの「将来のための分析ノート」ってのでヒーロー1人、1人の特徴を細かく書いていったけか。)

 

「わ、分かった。教えてあげるよ。あの巨人の名前はウルトラマン。ある星から地球を守るためにやってきた異星人、つまり宇宙人なんだ」

 

「う、宇宙人!?」

 

「そう。今まで沢山のウルトラマン達が地球を、悪い怪獣や侵略宇宙人から守ってくれたんだ。でもウルトラマンが地球上で活動できる時間は短くて、約3分間しか戦えないんだ。」

 

「さ、3分!?(それってオールマイトの活動時間より遥かに短い)」

 

「その3分を過ぎたらウルトラマンは死ぬと言われている(ま、本当に死ぬ訳じゃないんだけど…)」

 

緑谷はその事実に驚愕した。オールマイトがヒーローとして活動できる時間が1日約3時間。だがウルトラマンはそれより遥かに短い3分間。そのうえその3分間を超えると死ぬという事に。

 

「…でもォ、あの巨人、ウルトラマンが異星人だって言うなら…どうしてそこまで戦ってくれるんですか?僕達違う星の人のために。死ぬかもしれない戦いに」

 

それはそうだ。違う星の者が他の星のために戦う事などまずありえない。それが死ぬかもしれないのなら尚更だ。だがウルトラマンがそこまでして戦う理由それは……

 

「……それは彼らが地球を愛しているからだよ」

 

「地球を……愛している……」

 

「そう。彼らは最初は宇宙の平和のための1つとして地球を守っていたのかもしれない。でも地球を守っていくうちに、地球を愛し、地球人を愛するようになった。だからその自分達が愛する地球やその星に住む人々を守るために戦ったんだ」

 

「……」

 

「じゃあ俺はそろそろ行くよ」

 

「あ、はい。あの巨人、いやウルトラマンの事を色々教えてくれてありがとうございます!」

 

緑谷は綺麗にお辞儀をした。

 

「いやいや、そんな大した事じゃないよ。じゃあね、緑谷君。慣れるといいね、ヒーローに。俺も応援するよ」

 

「!ありがとうございます!!」

 

その言葉を聞くと俺はその海岸を後にした。

 

「おいおい、そんなに俺達の情報を教えていいのかよ?」

 

ダイナがウルトラマンの情報を教えて良かったのかと聞いてくる。

 

「でも俺がウルトラマンって事やみんなの詳しい事は言ってないじゃん」

 

「それはそうだが……」

 

「それに、ヒーローに憧れるあの子にあんな期待な眼差しで質問されたら断れないよ」

 

「確かに、そうかも」

 

しかしその後、レオ師匠や他のウルトラマン達に叱られた事は言うまでもない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

礼堂さん、いや光輝さんにこの間現れた巨人について軽く教えてもらった。

まさかあの巨人は宇宙人だったなんて。

 

「緑谷少年」

 

「!?オ、オールマイト!」

 

そこにオールマイト(トゥルースフォーム状態)がやって来て声を掛けてきた。

 

「さっきの青年は一体?随分仲が良かったみたいだが…」

 

「はい。あの人が貴方と同じように、僕に「ヒーローになれる」って言ってくれた数少ない人だからです」

 

「そうか。だったらさっきの青年の気持ちに応えるためにも今日も頑張ろうじゃないか、緑谷少年」

 

「はい!」

 

そうだ、オールマイトや礼堂さんとの約束の為にも僕は絶対ヒーローになるんだ!!

 




この前魔王獣の事について調べたら、ウルトラマンオーブの第1話の冒頭のマガゼットン戦は再戦だったみたいです。

つまりマガゼットンは一度オーブオリジンに勝っていると言う事ですよ!!(やっぱりゼットンはウルトラ怪獣最強かもしれない)


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6話 波乱の入学試験

此方の方ではお久しぶりです。

最近不幸続きで書く気力も上がらなかった為こんなに遅れてしまいました。
ヒロアカ2期も今日で3話目。こっちも方はまだまだですが心待ちにして頂けるとありがたいです。

今回は入学試験の話です。いきなり約10ヶ月近くも飛んでしまいました。(間の話が浮かばなかったんです)
今回入学試験の最後のあの怪獣が登場します。ヒントはロボット怪獣です。

それではどうぞ。


そしてあれから約10ヶ月が経ち、2月になった。いよいよ緑谷君の雄英受験が始まる。

 

あれ以降怪獣は現れていない。ベムラーの襲来から約10ヶ月近く怪獣や宇宙人の騒ぎがないのはあまりにもおかしい。

しかし、新聞にもそれらしい記事はなかった。

考えられるの理由は2つ。敵が侵略をまだ開始できる状態ではないのか。それとも侵略を開始するための準備をしているのかのどちらかだと思う。

 

「それより今日は緑谷の受験日だ。入り口で待って応援をしてやったらどうだ?」

 

う〜ん、確かに。この日は彼がヒーローとなるための第一歩だからな。

 

「そうだね。少しでも気を楽に出来るように応援しに行こうか」

 

こうして俺は緑谷が受験する雄英高校へ向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

そして着いた雄英高。こうして見るとデカイなぁ。さすが一学年11クラスあるマンモス校なだけある。

 

校門の前まで行こうすると、緑谷がいた。後ろ姿だったがあの髪型は間違いない。俺はダッシュして名前を叫んだ。

 

「緑谷君ー!!」

 

その声に振り向いた。やっぱり緑谷だった。

 

「え!?ッこ、光輝さん!?」

 

「ハァ〜。俺の事覚えていてくれたんだ嬉しいなぁ。あの日以来会ってないから忘れちゃったかと思ってたよ」

 

「光輝さんを忘れるなんてそんなぁ。それよりどうしてここに?」

 

「うん。実は君を応援しに来たんだよ。でもさすがに中には入れないからせめて校門のところで「頑張れ」って言いたくてね」

 

「ありがとうございます、何から何まで。あの時僕は「ヒーローになる」と言う夢を諦めるかどうか迷っていた時に悩みを聞いてくれて「諦めるな」って言ってくれたおかげで諦めずにここまで来ることが出来ました。本当にありがとうございます!」

 

その「諦めるな!」って言ったのは俺じゃなくてダイナなんだけどねェ…。アハハハ〜…。

 

「うん。どんなピンチでも諦めずに自分を信じていれば道は開ける。だから頑張ってね!」

 

「はい!」

 

その後門を潜った緑谷に爆豪が現れて何が言ったのか緑谷は慌てふためいてた。しかし、爆豪は目もくれずに通り過ぎていった。

何人かの受験生達が爆豪に注目していた。爆豪はヘドロ敵の件があって以来学生だけでなくヒーロー達にも名が知れ渡っていたのだ。

 

緑谷は何思い詰め直したのか再び足を踏み出したが、足をつっかえてしまい転びそうになった。

 

(新しい一歩を踏み出して転ぶなんて……)

 

しかし突然落下ぎ止まった。彼の横にいた少女が右手を差し伸べていたのだ。

 

(お、麗日お茶子だ!?成程。彼女の個性か)

 

麗日は緑谷を助けたて何か話した後、再び歩き出した。緑谷は暫く硬直した後、急にアタフタしだした。

 

「しっかしあの子すごげェなぁ、あの子。手を翳したら転びそうだった緑谷を空中に浮かせたぜ」

 

「確かに凄い。あの子の個性は念力かサイコキネシスみたいなものか?」

 

ダイナが麗日の能力に興奮し、アグルがサイコキネスみたいなものが予測した。

 

「いやあの子、麗日お茶子の個性は「無重力(ゼログラビティ)」といって重力を操る能力なんです」

 

「重力を操る!?成程、重力を操って彼を支えていたというわけか」

 

タロウ教官が能力を聞いて緑谷が宙に浮いていたことに納得する。

 

「でもその個性を発動するためには両手にある5つ肉球に触れなければいけない上に、使い過ぎると激しい吐き気に襲われるんです」

 

「成る程。ある意味強力な個性だか、特定の条件でないと使えない上、使い過ぎるとその力の反動が来るのか。何かしらのリスクがあると思っていたが…」

 

確かにウルトラ戦士の技とかでも強力だか代償が大きいのもあるからなぁ。

例えば、タロウ教官の「ウルトラダイナマイト」とメビウスの「メビウスダイナマイト」。この技は炎を纏い相手と共に自爆する技。その後自分は復活するが、かなりの体力を消耗するし、寿命を縮める危険があるからな。

 

「緑谷君を見送ったし、帰りますか」

 

「待て!」

 

俺が帰ろう足を進めようとした時に、80が突然声を上げた。

 

「ど、どうしたんですか?いきなり大声出して」

 

「この近くから邪悪な気配を感じる」

 

「⁉︎ベムラーの時と同じですか?」

 

「あぁ。だが前のベムラーのとは違う。もっと邪悪な気配だ」

 

「それはどこからですか?」

 

「それは……この建物の中からだ」

 

なんだって!?雄英の中から!!まさかこの雄英校の受験日を狙ってきたのか!?

このままでは緑谷君たちが危ない!!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

雄英高校ヒーロー科。そこはプロに必する資格を取得する為の養成校。全国でも最も人気です最も難しい。その倍率は例年300を超える。

No.1ヒーロー、オールマイトを始め多くの名だたるヒーロー達がこの雄英の卒業生である。

 

雄英高の受験は筆記と実技である。そして今実技の試験が行われようとしていた。

 

実技のプレゼンをするのはボイスヒーロー、プレゼント・マイク。金髪の髪が立っていてDJみたいな格好をしている。しかし妙にテンションが高くそれが空回りして滑ってしまっている。

 

実技はそれぞれA〜Gまでの演習会場に分かれて行われる。内容は学園が用意したロボット「仮想敵」を倒していくこと。

仮想敵はそれぞれ1ポイント〜3ポイントのタイプが存在しており、難易度によってポイントが違う。そのタイプの仮想敵を倒せばそのポイントがゲットできる。

 

でも、それとは別に「ギミック」という仮想敵がいる。そいつは各会場に一体いて、他の仮想敵とは違い大暴れして動き回っている。その上倒しても得点が入らないので上手く避けることを勧めた。

 

そしてプレゼンが終わり、受験生達はそれぞれの会場に向かった。

 

緑谷はB会場で他の受験生達を見渡すとさっき助けてくれた女の子がいた。

緑谷はガチガチだかさっき助けてもらったお礼を言いに行こうとしたが、突如誰かに肩に手を置かれて止まった。そこにはさっきプレゼン中に緑谷に注意した眼鏡をかけた青年だった。

 

そして勘違いされてまた注意されているところを、他の受験生達が緑谷を見てライバルが一人減ったと思って「ラッキー」と思っている。

 

そんな中プレゼント・マイクの開始の合図で受験生達は一斉に会場へ入ったが緑谷一人だけ出遅れてしまった。

 

そしてみんな自分の個性を使って次々と仮想敵を倒してポイントを稼いでいく。だか緑谷は未だに一体も倒せてない…つまり0ポイントである。

何とか1ポイントでもと思っていると、突然地響きがしたと思ったら目の前に巨大な仮想敵が現れた。そう、これがさっき説明していた「ギミック」だ。

 

そしてギミックが巨大な拳で地面を殴るとものすごい風圧が受験生達を襲った。受験生達はみんな逃げて出したが、緑谷は腰を抜かしていた。それでも何とかオールマイトが教えてくれたこと、そして応援してくれた礼堂光輝に応えるためにも逃げつつポイントを稼ごうと考えたが…

 

「痛ッ!!」

 

自分を助けてくれた女の子の足が瓦礫の下敷きになっていたのだ。それを見た緑谷は走り出した。それは爆豪を助けるために飛び出した時と同じだった。

 

そしてものすごい脚力で飛び上がり右腕がギミックの頭部に命中する。それをくらったギミックは身体中から火花が飛び崩れ落ちた。

 

緑谷は助けてくれた子「麗日お茶子」を守るためにワン・フォー・オールを発動し、ギミックを破壊したのだ。

だがその代償に右腕全体が黒ずんで体が動かなくなっていた。そのまま地面と激突すると思われたが、突如麗日が緑谷を叩いたら、地面スレスレ落下が止まった。

麗日お茶子の個性「無重力(グラビィティ)」と言う重力を操る個性でなんとか助かったのだ。

しかしこの個性を発動するためには掌と指にある肉球に触れなきゃいけないので緑谷を叩いたのだ。しかも使い過ぎると激しい吐き気に襲われるのだ。結果個性を解除してしまったら嘔吐してしまった。

 

一安心する緑谷だったがこのギミックは0P、つまり倒しても得点がもらえない事を思い出した。それでなんとかポイントを取ろうと何とか動く左手を動かして体を引きづろうとしたが時間がきてタイムアップとなった。

結果緑谷は1Pも取れず試験終了となった。

 

その後暫くして1人のお婆さんがやってきて試験生達にグミを与えていた。お婆さんは緑谷のところまで行くとキスをした。キスを終えると怪我をしていた緑谷の右腕 や体が緑色に光り怪我が一瞬にし傷が消えたのだ。

 

 

 

これで実技試験も終わり受験は終了したかに思ったが、誰1人気づいていなかった。1つの建物の上に黒い服を着た怪しい男がいるのに。

 

「ハァッ!!」

 

男は右腕をあげると、掌から黒い何かを壊れたギミックに放った。その黒いものがギミックの中に入ると、壊されて動かなくなったはずのギミックが宙に浮き、複数の仮想敵の残骸がギミックを中心に集まり合体し始めた。

 

そして一台の巨大なロボットになった。

 

左右の肩には目のようなビーム砲、顔の中心には三角形の様なガトリングガンがある黒いロボット……無双鉄神インペライザーになった。

 

「何だ、あれ?」

 

「あれも仮想敵なのか?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

試験生達はインペライザーもこの試験のために用意されたロボットだと思っていた。だがこの試験を見ていたモニタールームでは驚愕の声が上がっていた。

 

「何あれ!?あんなロボット用意していたっけ!?」

 

「いえ、あんなロボットは用意していないわよ!」

 

「じゃああのロボットはなんなんだ!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

試験生達がインペライザーに対して疑問を持っている最中プレゼント・マイクが叫びだした。

 

「リスナー達に逃げろ!そのロボットは学園(うち)が用意した物じゃない!」

 

その声に誰もが驚愕した。そしてインペライザーは動き出し建物を破壊し始めた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おいおい、なんだありゃ。いきなり暴れだしたぞ」

 

「そんな事言ってる場合!急いでA会場の試験生達を助けに行くわよ」

 

モニター室で観ていた教師達がA会場にいる試験生達を助けに行こうと扉にへと向かうが、ドアノブに手を掛けようとしたその時、手が何か見えないものに弾かれた。

 

「痛ッ!」

 

「何だ、どうした?」

 

「何か見えないものに弾かれた」

 

「何!?」

 

別の者がドアノブに手を掛けようとしても同じように弾かれた。

 

「何だこりゃ、どうなってるんだ!?」

 

「これじゃ出られないぞ」

 

「そんな事言ってる場合じゃないでしょ!このままじゃあ……」

 

教師達は何とかして部屋から出ようと試みる。一方モニターでは今だに破壊活動を行っているインペライザーが映っていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

試験生達は悲鳴を上げながらその場から逃げていたが、そんな中緑谷は気絶していて動けないでいた。

 

「あ!いけない、あの人が!」

 

生徒達が逃げ惑う中、麗日は緑谷のところまで戻り彼を担いで逃げようとしたが、インペライザーの上げた足がすぐそこまで来ていた。

 

個性を発動させるそんな余裕はない。

 

もうダメかと思って目を瞑った。だがいつまで経っても足が来ない。不思議に思って目を開けてみると、そこには約一年に突如現れて噂になっていた「巨人」に似ている巨人がインペライザーの動きを止めていたのだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

雄英の校門の前で光輝は如何するか迷っていた。受験生でもないのにこのまま入ってしまうと不法侵入になってしまう。だからといって試験生達を見捨てるわけにはいかない。だからどうやって中に入るか困っていたのだ。

 

「どうしよう。どうやって中に入れば……」

 

でもここで中に入れば不法侵入というと事で捕まってしまう危険があるし、かと言ってこのままジッとして何かあってからじゃ遅い。如何すれば……。

 

そう悩んでいると突然地響きが起きた。まさかもう始まった!?このままじゃ試験生が危ない。

 

俺は近くの森の中に入り人がいないことを確認した後、一つの変身アイテムを左腕に装着する。

 

「メビウーース!!」

 

ウルトラマンの中で最も地球人と絆を結んだウルトラマン「ウルトラマンメビウス」に変身した。

 

そして上空に飛び上がり試験会場を見るとその内の一つの会場にインペライザーがいた。さらによく見ると気を失っている緑谷と、彼を守ろうと覆い被さっている麗日を踏みつぶそうとしていた。

 

『危ない!』

 

彼はインペライザーに目掛けて突っ込み何とか間一髪、間に入り2人を守った。

 

「…光の…巨人?…」

 

麗日は突然現れたメビウスに唖然していたが、その白い目からは優しさを感じた。インペライザーを吹き飛ばした。

 

『まさかインペライザーとは。これは一筋縄ではいかないな』

 

『でも負けられません。今の貴方や僕はウルトラマンなんですから』

 

確かに。ウルトラマンがそんな弱音を吐いてちゃウルトラマン失格だな。ここにいる人達の逃げる時間だけでも稼がないと。

メビウスは「ヘアッ」とファイティングポーズをした後、インペライザーにパンチや蹴りを打ち込み少しでも試験生達とは反対方向へと遠ざけようとする。

 

みんな突如現れた謎の巨人に危機感を覚える。だが何人かは約1年前の事を思い出し声を上げた。

 

「お、おい。あの巨人。1年前に現れた巨人に似ていないか?」

 

「確かに似てる」

 

「じゃあ巨人は…味方…なのか?」

 

蹴りやパンチを数発打ち込まれたインペライザーは後退させられる。しかし負けじと光弾を放つが、それをバリアで防御する。

 

そして左腕から光の剣 【メビュームブレード】を出してインペライザーの放つ火球を全て相殺していく。そしてそのまま突撃しすれ違う直前インペライザーの右腕を斬り落とした。斬り落とされた右腕は地面にへと落ちた。

その光景に観ていた試験生の顔は希望に満ちた顔になっていた。中にはガッツポーズをしたり「いいぞォ!」と叫んでいる者もいた。

 

だが突如斬られた右腕がウヨウヨと動き出したのだ。腕は次第に形を変えていき、大剣に変化し斬られた右腕にくっ付き元に戻ったのだ。

 

『ダメです。インペライザーには再生装置があります。それを破壊しない限り、何度でも再生します』

 

そうだった。 確かメビウスも初めて戦った時、斬られた腕が大剣になったし、タロウ教官の【ストリウム光線】をくらって下半身のみになってもまだ動いていた。しかも【ウルトラダイナマイト】でバラバラにされても再生したからな。

 

その隙を突かれインペライザーの大剣が斬られた。その後も数回斬りつけられ後ろの建物に倒れこんでしまった。

 

インペライザーは試験生達の方へ向きを変え、三角形の主砲が回転し始め光弾を放つ準備をしている。

主砲の回転が段々速度を増していき発射の時が近づいている。生徒達は再び逃げ出して始めるが、中には恐怖で足が竦んでしまい動けない者もいた。

 

そして主砲が発射させると生徒達は一斉に眼をつぶった。だがいつ迄経ってもその光弾が来ない。不思議に思って皆眼を開けると、そこには光弾を背中で受け生徒達を守っているメビウスがいた。

 

「も…もしかして…」

 

「俺達を…守ってくれた…のか?…」

 

 

『ピコン、ピコン、ピコン』

 

 

そんな時、メビウスの胸にあるクリスタルーーカラータイマーが青から赤に変わり点滅し始めた。

 

「何だ?」

 

「なんか胸のところがピコン、ピコンって鳴ってるぞ」

 

ウルトラマンは地球上では3分間しか活動できない。その為制限時間が残り少なったり、体力が限界に達したりすると胸のカラータイマーが点滅する。所謂危険信号なのだ。

 

『ハァ、ハァ…。これ以上は時間を掛けられない。これで行く!』

 

メビウムはインペライザーに向き直ると、体に力を貯め始めた。そのエネルギーはやがて炎となり胸と背中にある模様が浮き出た。それは嘗てメビウムが所属していた防衛チーム【GUYS】の象徴で、仲間との絆の象徴でもある「ファイヤーシンボル」。それを体に纏った「メビウスバーニングブレイブ」にパワーアップした。

 

「セェア!」

 

インペライザーにパンチやキックの連打を繰り出す。しかしインペライザーを倒すにはどうすればいいんだ。

 

『インペライザーの再生装置は上半身にあります。その上半身を破壊すれば倒せるはずです』

 

そうか!そういえばメビウスの「ゴーストリバース」で上半身に再生装置がある事が明らかなった。ならあの技なら倒せるはず!

体にエネルギーを貯めていき、そのエネルギーを炎に変化に相手に放つ大技「メビュームバースト」である。

 

それはインペライザーに一直線に向かっていき命中した。それを食らったインペライザーは暫くの間悶え苦しんだ後大爆発を起こした。

 

インペライザーを撃破したメビウスは上空に顔を向けると、ジャンプする様に勢いをつけ空高く飛んで行った。

試験生達はそれをただ呆然として見ていた。

 

 

 

人目に付かないように俺は雄英から少し離れた森へ降り変身を解いた。

 

「ハァ、ハァ……。何とか勝てた。でもインペライザーが此処まで強いなんて」

 

強いのは分かっていたけど、こうしてダメージが入ると全然感覚が違う。プロのヒーローやウルトラマン達は毎回こんな思いをしているのか。

 

いやいや、弱気になってる場合じゃないな。よくよく考えたら今の俺もヒーロー科に入る子達みたいな感じじゃないか。

だからもっと俺も努力しないといけないっと言う事を新たに心に誓った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

そして元凶ともいえる男はさっきの戦いを建物の上から見ていた。

 

「…インペライザーが……やはり人間ごときが作った物からでは不可能だったか。…しかしウルトラマン、奴らまでこの世界に来ているとは。…だが我々の侵略を邪魔する者は誰であろうとも消しさってやる」

 

男はそういうと、男の後ろの景色がガラスのように割れて血のように紅い空間が現れた。そして男はその中へ入ると、割れた場所は逆再生のするかように元に戻った。




最後に出てきた男、ウルトラマンファンなら分かる筈です。


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7話 個性把握テスト、ときどき怪獣

皆様本当にお久しぶりです。今回タイトルが思いつかなかったのでこんな感じですみません。

ヒロアカのアニメは体育祭が終わり「ヒーロー殺し編」が始まりましたね。

こっちはまだまだ序盤ですが諦めずにいこうと思います。

新しく始まったウルトラマンジードもこの後どうなるのか目が離せませんね。

それではどうぞ。


今俺は緑谷が綺麗に掃除した海岸に来ていた。緑谷が片付けて綺麗になってからここでトレーニングをするのが日課になっているのだ。

 

そして今俺はトレーニングをしながら緑谷を待っている。

ここにいれば多分緑谷が来るからその合否を教えてもらおうと思っている。多分合格したと思うけどやっぱりそこは本人の口から直接聞きたいから。

 

「礼堂さんぁーー!」

 

海を眺めていると緑谷が走りながらやってきた。

 

「おはよう、緑谷君。で、どうだった。結果は?」

 

「ハァ、ハァァ。はい、何とか合格出来ました」

 

「そうか、それは良かったね。これでヒーローになるという夢に一歩近づいたんだ。改めて心から言わせてもらうよ。……合格おめでとう」

 

「ありがとうございます」

 

「でも、これからが大変のはず。だから気を抜かないで努力して」

 

これから彼、いや彼が入るクラスのみんなは色んな困難が待ち受けている。だが彼等はそのくらいではへこたれない強い心を持っている。だから臆する事なく乗り越えられると俺は信じる。

 

「そうだ!合格祝いにこれをあげよう」

 

俺は鞄から一つのバッチを取り出した。バッジの表面には炎が特徴的な「ファイヤーシンボル」が描かれていた。

 

「これは?」

 

「合格祝いに俺が作ったバッジだよ」

 

念願の高校に合格したんだから何かお祝いのプレゼントをした方がいいと思って作ったのだ。

 

「ッ!僕の為にですか…」

「イヤイヤ、そんなに大した物じゃない」

 

「いえ!見ず知らずの僕の悩みを聞いてくれたり、ウルトラマンの事を教えてくれたり、その上合格祝いをくれるなんて!!本当にありがとうございます」

 

緑谷は何度も何度もお辞儀をしてお礼を言った。本当に律儀と言うか何と言うか…。

 

「分かった、分かった。あ、そろそろ家に帰らないといけないんじゃない?」

 

時計を見ると、もう6時30分であったから俺は帰るように勧めた。さすがに入学初日で遅刻しちゃ色々マズイからね

 

「あ、本当だ。じゃあ僕帰りますね。このバッジ、大切にします」

 

「ありがとう。じゃあまたね」

 

緑谷は走ってきた道を帰って行った。さてじゃあ俺もこの砂浜で少し軽いトレーニングでもするかな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

僕はいよいよ今日から雄英高の生徒だ。オールマイトや光輝さんの気持ちに応えるためにも頑張るぞぉ!!

そして僕がなるクラスAクラスの前の扉に辿り着いた。それにしてもデカイな。

 

(出来るならあの怖い人とは他のクラスだといいなぁ)

 

そう思いながら僕は扉を開けた。

 

「机に足を掛けるな!!」

 

「あぁ〜?」

 

「雄英の先輩方に、机の製作者方に申し訳ないとは思わないのか?」

 

「思わネェーよ。テメェどこ中だよ?」

 

即扉を開けたら、あの眼鏡をかけた人とかっちゃんが揉めている。

そんな時眼鏡の人が僕に気づいた。するとみんな僕の方に顔を向けた。

 

「おはよう。俺は私立聡明中学「聞いてたよ」……」

 

「えっと……僕緑谷。宜しく飯田君」

 

「…緑谷君、君はあの実技試験の構造に気づいていたんだな」

 

……えっ?気づいてたって何が?

 

「俺は気づけなかった。君を見誤っていたよ。悔しいが君の方が上手だったようだ」

 

そ、そうなんだ。でもごめん、僕も全然気づいてなかったよ。

 

「あぁ!!そのモサモサ頭は地味目の……」

 

あぁ、あの時のいい人。同じクラスなんだ。というか制服姿ヤベェ〜。というか顔が近い!

 

「あ、あの〜君の直談判のお陰で僕は」

 

「えっ!?なんで知ってんの?」

 

あっ!しまった、これはあの時映像で教えてもらった事だからこの人には知らない事だった。

 

「今日て式とかガイダンスだけかな。担任ってどんな人なんだろうね」

 

か、顔が近いです。しかもその笑顔がとても眩しくて直視できない。

 

「友達ごっこしたいのなら他所へ行け」

 

いきなり声がしたと思ったら、いい人の後ろに寝袋に入った人がいた。な、何この人!?でもここにいると言うことはこの人もプロヒーローだと思うけど、こんなくたびれた人見たことがないぞ!?

 

「…担任の相澤消太だ…宜しくね」

 

えェーー!!この人が僕達のクラスの担任なの!?そして相澤先生は体育着に着替えてグランドに出るように言われた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『個性把握テスト!?』

 

「入学式は?ガイダンスは?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事、出ちゃいられないよ。雄英は自由な校風が売り文句。そしてそれは先生側もそれは叱り」

 

そんな説明をして相澤先生は爆豪に中学の時のソフトボール投げの記録を聞いた。そして個性を使ってみるように言われた。

爆豪は言われた通りボールを投げる位置に着くと……

 

「死ねェーーー!!」

 

…個性を使って思いっきり投げた。でも死ねって…。そして出た記録は705.2mと言う凄い記録が出た。

 

個性を思いっきり使えることでみんなのテンションが上がった時、相澤先生の雰囲気が変わった。

そして全種目のトータルで成績最下位の人は除籍処分すると言いだした。

 

(そ、そんな除籍処分なんて!?)

 

今緑谷はまだ力のコントロールが出来ないため、不安がその体を蝕んだ。入学式初日で除籍処分ななるのだから無理もない。しかも自分はロクに個性を使いこなせないから最下位になる可能性は高い。

 

みんな何かしらの凄い記録を出しているけど、緑谷は未だに平均的な記録ばかりだ。このままだと除籍になってしまう。

 

残っているのはこのハンドボール投げを合わせても、4種目しかない。緑谷はワン・フォー・オールを使おうとしたが、何故か個性が発動しなかった。

 

「個性を消した」

 

緑谷が個性が発動しなかったことにアタフタしていると、体に巻いてあった包帯が浮いていて目が赤くなっていた相澤先生が声を荒げた。

 

個性を消した事、そして首に掛けていたゴーグルを見て緑谷は確信した。相澤先生は、見ただけで相手の個性を抹消する事が出来る個性を持つ「抹消ヒーロー、イレイザーヘッド」であると。

 

生徒達はそれを聞いたが反応は薄い。それもそのはず。仕事へと差し支えるという事でメディアへの露出を嫌っている。だから知っている人は少ないのだ。

 

相澤先生は緑谷がまだ個性を制御できない事に勘付いていた。緑谷はそれを否定しようとしたが相澤先生は包帯で緑谷を拘束し近づけた。そしてあるヒーローの説明をした後言った。

 

「お前の力じゃヒーローにはなれないよ」

 

緑谷の顔は絶望の色に変わった。相澤先生の言う通りだ。今まで通りじゃあヒーローになれないんだ。僕は人より何倍も頑張んないとダメなんだ。だから今の僕に出来る事を精一杯やるんだ!

 

「スマーッシュ!!」

 

緑谷はまだ力の調整は出来ないから、オール・フォー・ワンを使えば体が壊れてしまう。けどその力を指先だけに集中することでそのリスクを最小限に抑えた。

 

「先生、まだやれます!」

 

指先が腫れて物凄く痛い。でも実技試験の時の全身じゃないからまだ大丈夫だ、みんなが唖然としてる中、キレたかっちゃんが僕目掛けて来たけど相澤先生が自身の布を使って止めてくれたからその場なんとか収まった。

その後残りの種目は指の腫れもあってイマイチな結果だった。

 

そして迎えた成績発表。結果……僕はトータル最下位だった。

入学初日で除籍か。これじゃ僕を応援してくれたオールマイトや礼堂さんになんて言えば……。

 

「因みに除籍は嘘だ」

 

……え?今何て?嘘?

 

「君らの最大限を引き出すための合理的嘘だ」

 

『ハァーー!!』

 

「あんなの嘘に決まってるじゃないですか。ちょっと考えればわかりますわ」

 

僕を含め殆どの人が驚いているがポニンテールの女性が嘘で当たり前と言った。

中にはあまり驚いてなく、妙に気合いが入っている人もいた。

 

「これにて終わりだ。教室にカリキュラムなどの書類があるから戻ったら目通しとけ」

 

除籍が嘘で助かった。これで終わったかと思ったら一気に肩の力が抜けた気分になった。

 

「緑谷……保健室で婆さんに治してもらえ。明日からもっと激しい試験の目白押しだ。覚悟しておけ」

 

そう言って相澤先生はその場から離れっていった。何とかこの場は乗りきったけど、僕には出来ないことが多過ぎた。

このクラスで一番下つまり最下位からのスタートだ。ここから色々と学んでいくんだ。

 

僕は再び心に強く誓った時、突如地響きが起きた。

 

「何だ?地震か?」

 

でもただの地震にしては何か可笑しい。何だかまるで巨大な何かが地面を掘って地上に向かっているような。

 

「ねぇ、あそこ見て」

 

ピンク色の体をしている女性が指を指した方を見ると、砂埃が舞い上がっていた。そしてその場から何か巨大な生物みたいなものが鳴き声を上げながら現れた。

全身茶色一色で鋭い目をしたまるでトカゲのような怪獣ーーーーーーそれは嘗て地底人が地上侵略のために送り込んだ怪獣ーーーーー「地底怪獣テレスドン」である。

 

「ピーリャァー!!」

 

「デ、デカァーー!!」

 

「何だよあのデカイの!?」

 

生徒達は突如現れたテレスドンに恐怖に慌て始めた。いきなり50メートル近くの大きさの怪物を見て平常心でいるというのが無理に等しい。

 

「お前ら早く校舎に入れ!」

 

その場に立っていた僕達に相澤先生が指示した。その声にハッと我に返った僕達は急いでその場から離れようとした。

 

「セェヤ!」

 

すると相澤先生とは違う声が聞こえると何かが怪物を蹴り飛ばした。そこには約一年前に話題になった紅い巨人に似た巨人が怪物と学園の間に入っていた。

 

「今度は巨人かよ!?」

 

「でもあの巨人、何だか前に現れた巨人に似てるわね」

 

「確かに一年近く前に突如現れた怪物と共に現れ町を救ってくれたという巨人に似てますわね」

 

Aクラスのみんなはそれぞれ感想を言っていく。だがそんな中数人だけ他の生徒達とは違う反応をしている者がいた。

 

「あ、あの巨人は…」

 

「受験の時に僕達を護ってくれた巨人だ」

 

試験の時に助けた?と言うことはあれが僕が気絶していた時に現れたっていう巨人!?ということはあの巨人は……

 

「うん。でも如何して「ウルトラマンだ」えっ!?」

 

「ウルトラマンが助けに来てくれたんだ!」

 

僕は再びウルトラマンをこの目で、しかも別のウルトラマンを見れた嬉しさで興奮してしまった。

 

「ウルトラマン?あの巨人のこと知ってるの?」

 

「うん。僕もある人に教えてもらったんだ。あの巨人、ウルトラマンは僕らの……地球のヒーローだよ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

テレスドンが現れる少し前……光輝は街に来ていた。

 

「『謎の巨人、再び現る』か。これでまた色々注目されちゃうかも」

 

約一年前にウルトラマンになってベムラーを倒した事で色々雑誌とかにも取り上げられていたが、それから変身しないから人前に姿を見せなかったため段々収まりつつあったが、この間のインペライザーとの騒動でまた話題になってしまった。しかも雄英の中だったから尚更である。

別に目立つのが嫌ってわけじゃないけど、色々注目されるとテレビの取材者が秘密を知ろうとするからそれが困るんだよな。そんな事を考えていると……

 

『光輝、怪獣が現れたぞ!』

 

『ッ!?場所は何処ですか?」

 

『緑谷君がいる学園の近くだ!』

 

雄英の近く!?この間は試験広場で今回はその近くに何で!?いや、考えるのは後だ早くしないと雄英の生徒や教師達が危ない。

 

今回はまたこの人でいこう!

 

メビウスブレスを左腕に装着し、手をスライドさせて中にあるトラックボール状のクリスタルサークルを回転させる。そして腕を引き、勢いよく振り上げる。

 

「メビウーース!」

 

メビウスに変身しそのままテレスドンに流星キックをお見舞いさせた。

 

蹴りを受けて即座に起き上がったテレスドンは今ので怒ったのか怒りの様な咆哮を上げる。

 

テレスドンはメビウス目掛けて突進して来る。それをメビウスは両手で受け止める。テレスドンは受け止めていた両手を払うと腕を振り上げて攻撃してくるが、メビウスは同じ様に腕を振り上げてガードする。ならばと今度は体を回転させると尻尾を使ってメビウスを吹き飛ばした。

 

吹き飛ばされて地面を転がるメビウスに対し、テレスドンは口から必殺技である「溶岩熱線」を放った。対してメビウスは両手を一度体の前へクロスさせ左右に広げ、手のひらを前に出すと∞の形をした光のバリア「メビウスディフェンサークル」で溶岩熱線を完全防御した。

そしてメビウスディフェンサークルを前に突き出すとテレスドンにそのまま直撃し後退させた。

 

その隙を逃さず左腕に付いているをスライドさせ両腕を左右に広げ上へ持っていき十字を組むと光線を発射させた。メビウスの必殺技「メビュームシュート」である。

 

メビュームシュートはテレスドンに直撃し、背中から後ろにへと崩れ落ち爆発した。

テレスドンを倒したメビウスはジャンプする様に空にへと飛んでいき人気のない森の中でメビウスから光輝に戻った。

 

「まさか怪獣が雄英の近くにまた現れるなんて」

 

この間は試験の時で校内、そして今回は近くのこれは偶然なのか?偶然と言ってしまえばそれまでだけど何か引っかかる。

 

この間はインペライザー、そして今回は 。この2体とも操られた怪獣達だ。これは本当に偶然なのか?

 

『確かに偶然にしては出来過ぎている。何か意図的ものを感じるな』

 

だとすると何者かが此処(雄英)を狙って来ていると言う事なのかな。

それだとこれからもこの(雄英の)近く若しくは校舎内に現れるかもしれない。でも生徒どころか教師でもないから入る事は出来ない。どうすれば……。

 




最後がこんな曖昧に終わってしまった申し訳ありません。
次回は屋内戦闘を書こうと思っています。次はいつになるかわかりませんが、


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8話 屋内訓練 緑谷、爆豪 大ピンチ!

こちらの方ではお久しぶりです。
ヒロアカの第二期がもう少しで終わってしまいます。
第三期があることに期待したい。

今回は初めに緑谷と麗日、飯田の3人の軽いウルトラマンに対する話をした後屋内訓練に入ります。

ほぼ原作通りの流れ、しかし思いもしない者が登場します。
そして最後に一人ウルトラマンがちょっとだけ出ます。


初日の個性把握テストから1日が過ぎた次の日、高校生活2日目がスタートした。

 

ヒーロー科はヒーローを目指すための科と言っても、高校には変わりない。だから午前中は主に他の学校と同じような授業をやる。つまり国、社、数、理、英の5教科の勉強もキッチリとやるのだ。

 

そして午前の授業が平行に終わりお昼休みになって学生達は食堂にへと向かう。

雄英高校には学食がありメニューも豊富、その上ランチヒーローの肩書きを持つヒーローが料理してくれるので人気が高く毎日行列で混み合う。

 

そんな中、自分達の料理を持ち席についていた眼鏡をかけた如何にも優等生である飯田天哉(いいだてんや)が同じテーブルで食事している緑谷にある質問をしていた。

 

「緑谷君。君は昨日あの巨人の事を【ウルトラマン】と言ったが、あの巨人について何か知っているのか?」

 

「うん。でも僕もある人から聞いたんだけどね」

 

「ねェ、ねェ、デク君。あの巨人の事教えてよ!」

 

同じく食事していた麗日は目を輝かして尋ねてきた。それは前に出久が礼堂にウルトラマンの事を聞いてきたのと同じくらいに。

 

「う、うん。分かったよ」

 

出久は前に聞いたウルトラマンの事を話した。その内容は誰もが驚くことだった。あの巨人、ウルトラマンが別の星からきた宇宙人で、地球のために命を賭けて戦っていたことに。

 

「凄いね!別の星から地球を守るためにきたなんて!!まさに絵に描いたようなヒーローだよ!!」

 

麗日はウルトラマンの事を聞いてさらにテンションが上がった。

 

「だが、そうやって簡単に信じていいのか?」

 

その話の間に飯田がワイワイ話している2人とは違う意見を述べる。

 

「宇宙人なら侵略目的で来ている可能性もある。この間僕達を助けたのもあの巨人の策略だとしたら……」

 

全く関係のない星のためにタダで戦うなんて気前が良過ぎる。その後何かを要求することも十分にありえるという。……飯田の意見も一理あると言えるだろう。

 

「……でも僕はそうは思えないよ」

 

そんな不穏に成りつつあった空気の中緑谷が一年前の事を話し始めた。

 

「実は一年前初めてウルトラマンが現れた時、僕その場に居たんだ。怪物に街が壊されていてかっちゃん……爆豪君のことだけど、彼がその怪物に向かっていこうとしたのを僕が止めた時、その怪物が僕達に向かって攻撃しようとしたんだ。そんな時、ウルトラマンが僕達を助けてくれたんだ。それに壊された街も不思議な力で直してくれたんだ。だからウルトラマンは決して悪い人なんかじゃないと思うよ」

 

「……うちもそう思うよ」

 

緑谷の答えに麗日が同意の意見を述べ、そして自分もウルトラマンに助けられた時のことを語り出す。

 

「試験の時、デク君は気を失っていたから分からなかったと思うけど、あのロボットに踏み潰されそうだったところをこの間の巨人…うんん、ウルトラマンが助けてくれたもん」

 

試験でロボット、インペライザーが暴れ始めた時緑谷を助けようとして一緒に踏み潰されそうになっていたところをメビウスが助けたのだ。勿論その光景は飯田も見ている。

 

「それにデク君がさっき言ったようにそのロボットがうちらに攻撃しようとした時、あのウルトラマンは身を呈してうちらを護ってくれた。だからデク君と同じようにうちもウルトラマンを信じる」

 

「……そうだな。己の身を呈してまで護ってくれたのに信じないなんてヒーローとしてもあるまじき事だ」

 

その後3人は再び雑談をしながら昼食を食べた。

 

 

 

そしてお昼休みが終わり午後の授業が始まろうとしていた。

 

「ワ〜タ〜シ〜が〜」

 

「来t「普通にドアから来たー!」

 

赤いスーパーマンみたいな服装をしたオールマイトが普通にドアを開けて入って来た。クラスの生徒達は皆本物のオールマイトを目の前にして感動している。

 

ヒーロー科の午後の授業は【ヒーロー基礎学】。それはその名の通りヒーローの素地を作るために色々な事をし、ヒーロー科の科目の中でも最も単位が高い科目である。

 

「早速だが今日はこれーー『戦闘訓練』!そして其奴に伴って此方!入学前に送ってもらった個性届け。要望に沿って誂えたコスチューム!」

 

「コスチューム…」

 

「着替えたら即グランドβに集合!」

 

『ハーイ!』

 

 

 

 

そしてグランドβに一足先に来ていたオールマイトの前にある出入り口から人影が一人、また一人と出てくる。

そんな中一人だけ遅く来た者がいた。緑谷である。

彼のコスチュームは全身緑色で頭には二本の角のようなもの、そして口元には白いプロテクターのようなものがあった。

 

「あっ!?デク君!?」

 

「麗日さん。〜〜!!」

 

「格好いいね。地に足がついたって感じ」

 

「麗日さん…そ、それは…」

 

「要望ちゃんと書けばよかった。パツパツスーツに成っちゃったよ」

 

麗日のコスチュームはピンクが特徴で女の子らしく可愛いと思えるが、体にピッタリとしているのでその区切りが目立ってしまっている。ホワワンとしている本人だが流石に恥ずかしいらしく顔が赤くなっている。

 

「ヒーロー科最高」

 

背が低く紫色のコスチュームを着ている少年がグッジョブと親指を立てた。正直言って何を言っているだと思う。

 

「いいじゃないかみんな。格好いいぜ!…!?」

 

オールマイトは緑谷のコスチュームを見た。その特徴である角のようなものと口元のプロテクターのようなが自分に沿ったものだと察した。

 

「ーー(わかりやすい)!」

 

そのわかりやすさに笑いを堪えて手で口を塞いでいた。

 

 

そして授業を始めようとしたら白いロボットみたいな服装をした者が質問してきた。声からして飯田である。試験の時と同じ演習場であったのでまた市街地演習をするのかと質問してきた。

 

「いや、もう二歩先にいく。ヴィラン退治は主に屋外に見られるが、統計で言えば屋内の方が凶悪ヴィラン出現率が高いんだ」

 

「監禁、軟禁、裏商売……このヒーロー飽和社会において真に賢しいヴィランは屋内(ヤミ)に潜む」

 

「そこで君らには二人一組、ヒーロー組とヴィラン組に別れて2vs2の屋内戦を行ってもらう」

 

「基礎訓練無しに?」

 

「その基礎を知るための実践さ。ただし今度はぶっ壊せばOKじゃないのがミソだ」

 

「勝敗のシステムはどうなります?」

「ぶっ飛ばしてもいいスか?」

「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか?」

「別れるとはどのような別れ方をすれば宜しいですか?」

「このマントヤバくない?」

 

次から次へと屋内訓練への質問をしてくる。だが一つだけ可笑しな質問があったような気がする。

 

「ン〜〜、聖徳太子ィー!」

 

暫くして落ち着いたオールマイトはなんとカンペ(カンニングペーパー)を読みながら説明を始めた。

 

設定としてヴィラン側がアジトである建物の何処かに核を隠しているから、ヒーロー側は制限時間内に見つけ出して処理するかヴィランを確保する事。

対してヴィラン側は制限時間内に核を守りきるかヒーロー側を捕まえる事で勝敗を別けるとの事。

 

そしてそのペアと対戦相手はくじ引きで決めるとの事である。適当な選び方に飯田が疑問に思うが、プロは他の事務所と共存する事がある事を緑谷が説明して納得した。

 

そして先ずはペア選びでA〜Jまでの8チームが出来た。そしてAチームは緑谷と麗日のペアである。麗日は「縁が合うね」と笑顔で頑張ろうと言ってくるが、緑谷は麗日とペアで緊張していた。

 

そして対戦相手はなんとDチーム爆豪、飯田ペアになった。

緑谷、麗日ペアがヒーロー。爆豪、飯田ペアがヴィランである。

 

「他の者はモニタールームに向かってくれそれじゃあ始めようか、有精卵ども」

 

ヴィランチームは核の場所を決めるために先に屋内に入っていった。

 

緑谷と麗日ペアはオールマイトから渡された建物の見取り図を見ていた。

 

「相澤先生と違って罰がないみたいだから安心して…ないね!?」

 

緑谷は見取り図を見ながらガクガク震えていた。まぁ無理もないだろう。相手はあの爆豪なのだから。

 

「やな奴だけど、自信も、目標も、体力も、個性も……僕なんかより何倍も凄いんだ。……でも、だから今は……負けたくないなって」

 

麗日は「男の因縁だ」と何か少し興味津々に言ってきた。緑谷はその事に戸惑ったが麗日はチームとして彼の思いを受け止めてくれた。

そしてAチームとDチームの屋内訓練が開始された。

 

 

 

二人は建物の中に入ると爆豪達がいるかを注意しながら慎重に進んだ。「ワン・フォー・オール」の調整が出来ない今下手に人に使ったりしたら殺してしまう危険性がある。だから今の自分の力と麗日の個性しかないのだ。少々厳しいかもしれないが仕方がない。

 

そんな時爆豪が奇襲を仕掛けてきた。緑谷が麗日を庇い何とか躱したが、そのせいで顔の左半分に擦りマスクが吹き飛んでしまった。

対に爆豪は躱された事で少しイライラしてしまったようだ。睨み付けるとそのまま突撃してきた。

 

「中断されねェ程度にぶっ殺してやるよォォ!!」

 

しかし緑谷が爆豪の突き出した右腕を掴みそのまま背負い投げをして地面に叩きつけた。幼馴染である緑谷は爆豪の癖を分かっていたため、そして彼も含めてノートに纏めておいたからこそ出来たことである。

 

「何時迄も出来損ないの『デク』じゃない。…僕は……頑張れって感じの『デク』だ!!」

 

それは麗日が自分の「デク」の印象を言った時の言葉である。それが今の彼の自信にも繋がっているのかもしれない。

 

だがその事が逆に爆豪をキレさせてしまった。

 

『おい爆豪君。状況を教えたまえ、どうなってる』

 

「黙って守備してろォ。ムカついてんだよ俺はァ…」

 

『気分を聞いているんじゃない。おい(ブチ)』

 

飯田からの無線が掛かってきたが、今の爆豪はそんなのに構っている暇はなかった為切ってしまい両方の掌を後ろへ向けた。

 

「麗日さん、行って!」

 

爆豪の行動を察知した緑谷は麗日に先に行くように言った。麗日は言われた通り移動した直後、爆豪は個性の爆破を利用して緑谷に突撃し左足で蹴りを入れたが、緑谷はそれを防御した。

 

「余所見か?余裕だなァ?」

 

緑谷はイレイザー・ヘッドの使っていた布を爆豪の片足に巻きつけた。そして、爆豪の次の動きを予想し、思っきり地面を蹴って右へ移動した。その予想は見事的中し攻撃をかわした。

爆豪はもう一度さっきのように突撃しようとしたが、緑谷はそれを察知し後ろへ逃げ出した。

 

「待て、コラデクー!」

 

爆豪も逃すまいと追うが角を曲がったら緑谷の姿はなかった。だがそれでも緑谷の後を追うために走り出した。

 

緑谷は建物の地形を利用して逃げ続け何とかしようと作戦を練ることにした。

 

爆豪は緑谷の追って転々と中をグルグル回っているが一向に見つからず、完全に見失ってしまった。そして痺れを切らしたのか叫び出した。

 

「なァおい!俺を騙してたんだろ?楽しかったかずっと?あァ!?随分派手な個性じゃねェか?」

 

「使ってこいよォ。…俺の方が上だからよォォ!!」

 

これは作戦なのかそれともただイラついているのか分からないが、緑谷を挑発してお引き出すことにした。

だがそんな軽い挑発で緑谷は姿を見せずイライラは段々エスカレートしていった。

 

一方緑谷は壁に背中をかけて息を整えていた。そして緑谷は今の爆豪の行動を見て「今やっている行動は爆豪が独断で飯田との連携が取れていない」事を推測した。

元々2人が相手にするとなると緑谷達が圧倒的に不利になる。2人で核の部屋へ行くと爆豪と飯田の2人と戦う事になる。かと言ってここで2人で戦うと時間切れになってしまう。そこで爆豪の性格上、真っ先に自分に攻撃してくる事を考え麗日に核の部屋を見つけ出して自分も合流する事にした。

 

あそこで麗日を先に行かせたのは、ここで足止めされて時間になるのを避け、麗日と上手く交流し核を回収する事だった。

 

「(僕がかっちゃんに勝つってのが前提の話だけど……。大丈夫掌にさえ気をつければいける!)」

 

「何処だァー!クソナードがァー!!」

 

そうして緑谷は過去に言った事を前言撤回すると強く心に決めた。

 

 

 

 

 

爆豪は建物の中を歩いているい時に昔の事を思い出していた。

子供の頃から自分は周りから「凄い、凄い」と言われて自分は誰よりも凄いと思っていた。

そして緑谷が無個性である事で「デクが一番凄くない」と思っていた。

 

 

 

だが子供の頃、何時ものように友達と一緒に山の中で遊んでいた時のこと。丸太の上を歩いていたら、足を滑らせて川へ落ちてしまった。

緑谷以外の友達の3人の内2人は心配したが、1人は爆豪は凄いから大丈夫だと言った。勿論爆豪は全然大丈夫だった。

 

(大丈夫だったんだ……何ともなかったんだァァ)

 

だが緑谷が降りてきて爆豪に手を差し伸べた。

 

『大丈夫?立てる?』

 

だが、緑谷のその優しさが爆豪のプライドを傷つけた。

 

 

 

無個性で、自分より下の筈の緑谷に心配されたのだから。

 

その上一年前の事件で敵に飲み込まれそうだったところを泣きそうな顔をして助けられたのだ。

 

 

 

それが気に入らなかった。だがこの戦いで自分の方が上だという事を証明させるようというのだ。

 

 

緑谷は未だ壁に身を潜めて隠れていた。そんな時麗日からの通信がきた。

 

『デク君…』

 

「麗日さん、どう?」

 

「飯田君に見つかっちゃた、ごめん。今ジリジリと…』

 

「場所は?」

 

『5階の真ん中フロア』

 

なんと核のある部屋は自分がいるところのほぼ真上だった。だが残り時間もあと僅かで6分を切った。

緑谷は此処だけ負けたくないと、体を起こして紐を持って爆豪が来るのを構えた。

 

だが後ろから気配を感じ振り向くと、そこには爆豪がいた。

 

「かっちゃん…」

 

「何で個性を使わねェ?使わなくても勝てるってかァ?舐めてんのか、デクよォ?」

 

緑谷は震えていたが、「やれる」と自分に言い聞かせて覚悟を決めた。

 

「もう…君を怖がるもんか!」

 

爆豪はイライラして歯を食いしばったが、すぐに口はニヤリと笑った。そして右腕を緑谷へと突き出した。

 

「俺の爆破は手のひらの汗腺からニトロみてェもんを出して爆破させてる。要望通りの設計なら、この龍手はそいつを内部に溜めて……」

 

そして爆破はピンに指をかける。

 

『爆破少年、ストップだ!殺す気か!?」

 

「当たんなきゃしなねェよォ!」

 

そして爆豪はピンを抜いた。すると物凄い爆風が壁や足元のコンクリートをえぐりながら緑谷に迫った。何とか緑谷には当たらなかったが、壁に直撃し爆発が起き物凄い振動が上の階の麗日や飯田、さらにはモニター室にいたオールマイトや生徒達まで襲った。

 

 

後ろの壁に大きな穴が空き、部屋が半壊近くになっていた。

 

緑谷は何とか無事だったが、ヒーロースーツの顔の部分は完全にさらけ出し、右腕の部分も肘から先がなくなっていた。

 

「そんなん…ありかよ…」

 

あまりの威力に緑谷は驚愕する。そんな中煙の中から爆豪が姿を現した。

 

「なぁ、個性使えよデク。全力のテメェを捩じ伏せる」

 

その顔は完全に狂気じみていた。

 

『爆豪少年、次それ撃ったら強制終了で君らの負けとする』

 

「ハァ!?」

 

『屋内戦において大規模な攻撃は、守るべき牙城の損害を招く。ヒーローとしては勿論、敵しても愚策だそれは。大幅減点だからな』

 

その言葉に完全にキレた爆豪は爆破を使って緑谷に突撃する。避ける暇がなかった緑谷はタイミングを見計らって右腕を出すが、爆豪は左手の爆破使って目くらまし兼ねて軌道をズラすと右手の爆破で勢いを殺しもう一度左手の爆破で緑谷を吹き飛ばした。

 

さらに一瞬の隙も作らずに緑谷の腕を掴んで地面にへと叩きつけた。

 

「テメェは俺より下だー!!」

 

完全に形成を逆転されてしまった緑谷は、まずを距離を取ろうと壁際まで逃げる。爆豪が詰め寄ろうとしたその時であった。

 

「ほぉ、この世界の人間は凄い力を持っているみたいだなぁ」

 

この2人とは別、さらには互いのペアでもない者の声が部屋の扉の方から聞こえた。そこには人間の成人と同じくらいの大きさをしているが、姿が異形だった。その者の最大の特徴は、鳥のようなデカイ頭をしている。

 

「あんだ、テメェは!」

 

「俺か?俺はガッツ星人“ボルグ“。貴様らを捕獲しに来た」

 

それはかつてウルトラセブンと戦い処刑しようとした「分身宇宙人ガッツ星人」であった。

緑谷は今の戦闘も含めいきなり現れた謎の宇宙人に対する困惑により息が荒くなっていた。対する爆豪は折角のチャンスを邪魔したボルグを睨み付けついた。

 

「けっ。ガッツだか何だか知らねェが、雑魚が目障りなんだよ!!」

 

爆豪はお構えなしに突っ込み拳を打ち込んだ。たが、一瞬のうちにボルグは姿を消し攻撃は空振りに終わった。

 

「どうした?この程度なのか?んん?」

 

「〜ッ!!舐めんじゃねェー!!」

 

完全に見下された態度を取られ爆豪はさらにがむしゃらに個性を使うが、「目に見えない動き」と言うよりは「瞬間移動」のような能力を使っているので攻撃が当たらないでいた。

 

「そう言えばさっき俺のことを雑魚と言ったがどうだ、その雑魚に脚らわれる気分は?」

 

そしてボルグが両腕を前に突き出すと紫色の光線がが放たれ鞭のように爆豪の体を縛り上げると宙にへと浮かせた。

 

「確かにお前の攻撃は強力だ。流石の俺も当たればひとたまりも無いだろう。当たれば(・・・・)だけどなぁ」

 

そして十字架のようなクリスタルが現れ爆豪を閉じ込めてしまった。それは嘗てウルトラマンメビウスやウルトラ兄弟を貼り付けたあの十字架である。

 

「かっちゃん!」

 

『クソ。出せ、出しやがれ!』

 

「無駄だ。その十字架からは出る事は出来ん。暫くの間そこで大人しくしてるんだな。……さて、次はお前の番だ」

 

爆豪を完全に捕らえたボルグは残る緑谷の方に振り返った。

 

『そいつを捕まえても無駄だ。そいつは「無個性」の「デク」なんだからよォ!!』

 

「……確かにこいつはさっきから能力を使わないでいるが、何かしらの能力がある筈。出なければ貴様と互角に渡り合えてないだろう」

 

『ッ!?俺とデクが互角だと!?巫山戯んなテメェ!!』

 

「少し静かにしてもらおうか」

 

「グアァー!!」

 

ボルグは再び両手から紫色の光線を出して爆豪に浴びて苦しめる。苦しむ姿を見てボルグは笑っていた。

 

「止めろォー!!」

 

緑谷が爆豪を助けるためにガッツ星人目掛けて走り出して拳を引き、「ワン・フォー・オール」を使った。

あまりの威力に建物が激しく揺れ、その部屋の窓ガラスは全て割れてしまい、さらには壁に巨大な穴が空いた。だがまだコントロールが上手く出来ていないため右腕が火傷のように黒ずんでしまった。緑谷はあまりの痛みに涙目になり負傷した右腕を抑えた。

 

「やはり能力を隠し持っていたな」

 

悶えていた緑谷の後ろから声が聞こえた。そして痛みに耐えながら後ろを見ると無傷のボルグが立っていた。

 

「しかしこれは凄い。そのガキと同じくらい素晴らしい能力だ。だがその腕を見る限りお前……力を上手く使えていないな」

 

図星である。

 

「その腕ではもうマトモに戦う事すら出来まい。だがお陰で捕獲しやすくなったな。そのまま大人しくしていろ」

 

「くっ(何とかしてあいつの気を逸らして麗日さんに報告しなくちゃ。それにこの訓練を見ているオールマイトが助けに来てくれる筈「助けを求めているなら無駄な事だ」…えっ)」

 

「この建物の中にはもう二人はいるようだが、そいつらの所には別の奴が行っている。今頃片付けている頃だ。それにこの中継を見ている奴らの部屋には特殊な結界を張ってあるからな。自力でそこから出ることは出来ない。つまり今お前達を助けに来る者はいないのだ」

 

「そ、そんな…」

 

麗日に連絡をして飯田を含め三人で戦えばなんとかなるかもしれない。オールマイトが来れば何とかしてなるかもしれない。そう思っていたがその考えは一瞬にして砕け散った。

 

「だが心配しなくてもいいぞ。その二人も他の奴らも全員捕獲するから寂しくはないぞ、ハハハハハ」

 

もう立っている事すら限界に近い。しかし麗日や飯田は勿論の事、オールマイトやクラスのみんなも助けに来ることが出来ない。最早絶望に等しい状況だ。

 

「では……捕獲させてもらうぞ」

 

ガッツ星人が両腕を前に突き出し爆豪を捕らえた紫色光線を緑谷に向けて放った。緑谷に避ける暇はなかった。

もうダメだと思い目を瞑ったその時、光線が当たる瞬間に何か人影のようなものが現れ緑谷を抱きかかえ彼を守った。

何かに抱かれている感覚を感じた緑谷が目を開けると、そこには胸と肩にプロテクターのようなものを装着し、額には緑色の小さなクリスタル、そして頭にはブーメランのようなものがある「ウルトラマン」のような紅い人がいた。




緑谷を助けたウルトラマンは誰か!?ガッツ星人が相手ならあの方に決まってます。

次回は麗日と飯田、そしてモニタールームの話を投稿しようと思います。

麗日と飯田の前に立ち塞がる宇宙人は誰か!?お楽しみに。

感想があればどうぞ。


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9話 屋内訓練 麗日 飯田、モニタールーム、主人公side

今回は早めに投稿できました。
今日でヒロアカの2期が終わってしまいました。でも最後に嬉しいと、言うか予想していた事が発表されました。それは後書き書いてあります。

前回緑谷と爆豪の所に現れたガッツ星人「ボルグ」の前にピンチになるがそれを助けた1人のウルトラマン。
今回はその間の他の者達の様子です。
最後がちょっと曖昧かもしれません。ご唱和ください。

それではどうぞ。



麗日お茶子は爆豪を緑谷に任せた後、飯田天哉が見張っているであろう核のある部屋を探していた。

 

そしてついに核のある部屋に見つけ出した。麗日は柱に身を潜めてチャンスを見計らっていた。

 

「(後はデク君に連絡して見つかんないように…)」

 

耳につけている小型通信機で気づかれないようにデク君に連絡しようとしたら飯田の声が聞こえて連絡を一瞬止まった。

 

「俺は、至極悪いぞ〜!!」

 

「(ブハッ!!真面目や!!)」

 

あまりの飯田の真面目さに思わず笑って吹いてしまった。その所為で飯田に見つかってしまった。見つかってしまったので、渋々柱から姿を現した。

 

そして敵になりきった飯田は麗日の個性を使えないように周りの物を全て綺麗に片付けておいた事を説明した。

 

「抜かったな〜ヒーロー。ハーハハハハハハハハハ!!」

 

「様に…なってる」

 

だがそのなりきりがあまりにも本格的で様になり過ぎていたので、若干引いてしていた。

 

「デク君…」

 

『麗日さん、どう?』

 

「飯田君に見つかっちゃた、ごめん。今ジリジリと…」

 

『場所は?』

 

「5階の真ん中フロア」

 

お茶子は緑谷に自分がいる部屋を教えると目の前にいる飯田をどう対処しようか考えていた。

すると突如物凄い爆音と振動が2人を襲った。

 

「爆豪君、応答しろ!!君がやったのか?一体何をしたんだ!?」

 

飯田は爆豪に通信をいれて現状を教えるように言った。

 

「(チャンス!)」

 

麗日は通信に気を取られている飯田に対して好機と言わんばかりに走り出した。その訓練はヒーロー側が核を回収すればヒーロー側の勝ちなので、一気に回収しようとの事なのだ。

それに気づいた飯田が麗日へ向かって駆け出した。

 

「させないぞ、ヒーロー!」

 

麗日はおにぎりを握るように両手を合わせた。すると麗日が宙に浮いた。

 

「自身も浮かせられるのか!?」

 

麗日は自身の個性で宙から、一気に核を回収しようとの事だ。

もう少しで核へ触れるとの所で飯田が自身の個性を使って核を抱え別の場所にへと移動された。

 

麗日はそのまま地面をでんぐり返しをするかのように何回か回って、壁にぶつかって止まった。

 

「君の個性は触れない限り脅威ではない。このまま時間一杯粘らせてもらうぜ。グハハハハハ!」

 

するとまた爆発音が聞こえ建物が揺れる。

 

「な、なんだ!?まさかまた爆豪君か?」

 

 

 

 

 

「いや、違いますよ。今のは恐らく我々の仲間でしょう」

 

 

 

 

 

横から誰かの声が聞こえ、2人は声のした方を見た。そこには人間の成人と同じくらいの大きさをしているが、姿が異形だった。両手には短剣ような物があり、鋭く立った耳、全身が黒が特徴の怪人。

 

「お、お前はいったい何者だ!ヴィランか!?」

 

「私はヴィランなどと言う愚かな人間と一緒にしないでいただきたい。私はスラン星人、名を”ベルガ”と申します」

 

「スラン星人?まさか本物の宇宙人!?」

 

「えェ。と言っても貴方達のこの宇宙とは別の宇宙ですがね」

 

「別の宇宙?」

 

「世界というのは一つではありません。この世には幾つもの宇宙か存在しているのです。私のいた世界では貴方達のいう個性というものを持った人間はいませんからね」

 

ベルガの言葉に二人はさらに驚愕する。確かに彼のやって来た宇宙にいる人間は個性のような能力は持っていない。持っていたとしても数人であろう。

 

「しかし、この世界の人間は実に面白く興味深い。まさか殆どの人間が産まれながら何かしらの能力を持っているんですからね。これは使えそうです」

 

「うちらをどうするつもり?」

 

「知れた事。貴方達を全員生け捕りし、侵略のための奴隷にするんですよ」

 

その言葉を聞いて2人は驚愕した。目の前にいる宇宙人は自分達の個性を、地球侵略(別宇宙の地球)のために使おうとしているのだ。

 

「そんな事はさせない。僕達の個性を、そんなヴィランのような事に使わせはしない!」

 

「そうや!うちらの個性をそんな悪い事に使わせる訳にはいかへん!」

 

「そうですか。なら仕方がありません。……少し痛い目に合わせてあげましょう」

 

その言葉と共に飯田が真っ先に動いた。自分の個性で一気に距離を詰めて拳を突き出し見事に命中した……と思ったが突如ベルガの姿が消えて拳は空気を掠れた。

お茶子も何が起きなのか理解できずアタフタしていた。

 

「残念、それは私の残像です」

 

声のした方を見るとさっき自分達の目の前にいたベルガが今度は自分達の後ろにいたのだ。

 

「い、いつの間に後ろに!?」

 

「まさか僕と同じような、早く動く事ができる個性なのか!?」

 

「個性?まぁ貴方達からすればそうですね。だか私の力を貴方達人間のそれと一緒にされるのは心外です」

 

スラン星人はさらに高速で動き、飯田と麗日の周りを回りだした。するとまるで分身したかのように周りにはスラン星人が何人も現れた。

 

「「「この高速で動く事ができる能力は私達スラン星人の得意技でしてね。私の同族なら大抵の者はこんな事簡単に出来るのですよ」」」

 

そしてベルガは両腕を前に出し、その手の先から電撃を出し飯田と麗日を攻撃した。

 

『うわァーー!!!(あぁーーーー!!!)」

 

電撃を浴びせられた飯田と麗日は悲鳴を上げ、攻撃が終わると体が前にへと倒れた。そしてベルガは高速移動を解くと2人の前に足を移動させた。

 

「ふん。何かしらの能力を持っているとは言え所詮人間、呆気なさ過ぎますね」

 

麗日と飯田は仰向けになりながらも何とか顔を持ち上げベルガを睨み付ける。

 

「聞いていますか、この戦闘を見ている方々。残り二人の方は分かりませんがこちらの二人は私が頂いていきますよ。心配せずともこれを聞いている貴方達もすぐにこの二人のようになるんですからね」

 

ベルガがこの映像を見ているであろう者達に「この二人の後はお前達の番」だと告げる。

顔の表情が変わらないので分からないが、その顔は人間ならニタニタ笑っていることであろう。

 

「さて、貴方方はここで大人しく捕まってください。でも大丈夫ですよ。お友達の皆さんもすぐに来ますから何の心配もいりませんよ」

 

二人はヒーローになる者として成すすべなくこのまま捕らえられてしまうとなると悔しくてしょうがなかった。麗日に至っては悔しさのあまり涙を流している。

 

「(うち……こんな所で終わちゃうのかな……お父ちゃん、お母ちゃん、親不孝な娘でごめん。デク君……ごめんね)」

 

「それでは捕獲させてもらいましょう」

 

ベルガが一歩また一歩と2人に段々近づいていく。

もうダメだと諦めかけたその時……

 

「シィーヤ!!」

 

「何!?どわァーー!!」

 

突如声が響いた瞬間、ベルガが吹き飛ばされたのである。強く輝く光の玉があった。暫くして光が収まっていくと人のような姿が見えてきた。

黄色い目をして銀色の顔、胸から肩まで銀色、胸には顔と同じ銀色のプロテクターのようなもの、そして胸には水色のクリスタルがある紅い人だった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

少し前に遡る。オールマイトとAクラスの生徒達はモニタールームでAチームとDチームの対戦を見ていた。

 

緑谷が爆豪の相手をしている最中麗日が飯田のいる核がある部屋を見つけ出したが、己の不注意で見つかってしまう。

 

一方緑谷の所では爆豪が物凄い攻撃で建物一部を破壊してしまう。それを見たオールマイトの注意を受けキレた爆豪は緑谷を一方的に攻める。しかし突如異形の姿をした者が2人の前に現れた。

 

「なんだ、あいつ。ヴィランか?」

 

「それに向こうの会話が聞こえるようになったよ!?」

 

いきなり現れた異形の者に緑谷と爆豪は勿論モニターで見ている生徒達やオールマイトも驚き、そして何故かモニター越しに会話が聞こえるようになった事に戸惑っている。そしてその者はガッツ星人ボルグと名乗った。

 

「星人って事は本物の宇宙人か!?」

 

「まさか本当に実在するとは……とても信じがたい事ですが」

 

緑谷との勝負を邪魔されイラついた爆豪が攻撃するがボルグは素早い動きで余裕持って躱す。さらにボルグは火に油を注ぐように挑発し、短気な爆豪はその挑発に乗ってしまった。

そしてボルグが光線を放つと十字架の形をしたクリスタルに爆豪を捕らえる。それを緑谷が助けようとボルグに攻撃するが力の制御が出来ず右腕を負傷してしまった。その上ボルグはその攻撃を躱しており無傷であった。

 

「マズイぜ。早く二人を助けに行かねェと!」

 

ピンチになった二人を助ける為に髪が尖っている赤髪の少年、切島鋭児郎が急いで扉に向かい取手を掴もうとしたら何かに阻まれ弾かれてしまった。

 

「痛ってッ!なんだ一体!?」

 

「これは……壁!?見えない壁か?」

 

そこには透明で目には見えない壁みたいなものが扉の前に貼られていた。正確には扉側にある壁の前全体にである。

 

『この建物の中にはもう二人はいるようだが、そいつらの所には私の仲間がいて今頃片付けている頃だ。それにこの中継を見ている奴らの部屋には特殊な結界を張ってあるからな。自力でそこから出ることは出来ない。つまり今お前達を助けに来る者はいないのだ』

 

この見えない壁はあの宇宙人の仕業であると知る。

 

「(このままでは緑谷少年と爆豪少年が危ない)少年少女よ、退くんだ!ーーSMASH!!」

 

オールマイトが見えない壁を破壊する。その見えない壁に拳がぶつかると物凄い衝撃が起き、生徒達は腕で顔を隠したり耳を塞ぐ者、中にはアタフタしている者もいた。

その衝撃が数秒したところで何とオールマイトはの拳が弾かれてしまったのだ。これには生徒達も驚きを隠せなかった。

 

「オールマイトの技が効かねェ」

 

「えぇ!!それじゃ私達一生此処から出られないの!?」

 

オールマイトの攻撃でビクともしなかったのだ。それはつまりその場にいる誰もがやっても此処から脱出するのは不可能と言う事になる。

 

さらにはもう一度モニターに目を向けると飯田と麗日の所にもスラン星人ベルガが現れ二人に光線を浴びせ負傷させた。

 

「大変、飯田ちゃんと麗日ちゃんも危ないわ」

 

「けどどうすんだよ。オールマイトでもこの見えない壁壊す事できなかったんだぜ。どうやって助けにいくだよ!?」

 

Aクラスの皆は早く4人を助けに行きたいと思っているが、プロにしてナンバーワンヒーローであるオールマイトの攻撃でもビクともしない見えない壁にどうすればいいのかわからないでいた。

それ以前にオールマイトの攻撃でビクともしなかった時点で殆どの生徒が恐怖と絶望で一杯であろう。

 

『聞いていますか、この戦闘を見ている方々』

 

Aクラスのみんながアタフタしているとベルガが声を上げる。今の言葉を聞く限り自分達に話しているだろうと耳を傾ける。

 

『残り二人の方は分かりませんがこちらの二人は私が頂いていきますよ。心配せずとも、これを聞いている貴方達もすぐにこの二人のようになるんですからね』

 

表情が読み取れないがあの楽しそうな声からして、表情で表すならニヤけているに違いない。その言葉に殆どの生徒達は恐怖した。

 

「どどどど、どうするんだよ!!あの化け物緑谷達が終わったら今度はオイラ達の番だってよ!!こんな所で死にたくねェよォ〜」

 

「おい落ち着けって。そうと決まった訳じゃないんだぜ」

 

だが内心では皆物凄く焦っている。四人の生徒達を苦しめる異形の存在。オールマイトさえも破る事ができない見えない壁。どう考えても助かる確率は低い。皆の心は絶望的であった。

 

そんな中ボルグの光線が緑谷に放たれ誰もが危ないと思ったその時、人影のようなものが現れ横切った。そこには紅い人ような姿をした者が緑谷を守った。

 

「何だあれ?紅い人か?何か知んねェけど緑谷を助けたぞ」

 

「あ、見て!同じような紅い人が麗日ちゃん達を助けたよ!」

 

別のモニターに目を向けると麗日と飯田の二人の所にも同じような紅い人がベルガを蹴飛ばし助けた。

 

「何だあいつら?緑谷達を救けたって事は味方って事か?」

 

「少なくともそう考えていいだろう」

 

「しかしあのお二人の姿、この間の巨人に似ていますわ」

 

彼らはこの間学園を守ってくれたメビウスと同じウルトラマンである。しかし彼らその事を知らないため不思議そうに見ていた。

 

「(彼らは…一体…)」

 

オールマイトも例外ではなく、モニターから目が離せないでいた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ボルグとベルガが現れる少し前…

 

『雄英高の近くに現れた謎の巨大生物、そしてそれと対峙したこの赤い巨人。1年前に現れた巨人に似たこの巨人も我々の味方なのでしょうか?』

 

「これまた色々と注目されてしまったなァ…」

 

昨日雄英の近くに突如現れたテレスドンを倒すためメビウスに変身したが、前は雄英の試験で校内だったからそこまで大きくならなかったけど、昨日のは外だったから見られてしまったようだ。

テレビのニュースや新聞の記事にまで挙げられている。その題名が「謎の巨人再び現る」や「あの怪物は1年前の再来か!?」などである。

 

1年前の事である程度人々から忘れられていたかもしれないが、それに似た巨人が現れたことによって再び注目させるようになってしまった。

 

『光輝大変だ!またあの学校で不穏な気配を感じる!』

 

何だって!また雄英の近くに現れたのか!?こうしちゃいられない。兎に角雄英まで行かないと!!

 

 

そして俺は雄英高目掛けて急いで走り校門の前まで着いた。急いだから流石に少し疲れた。少し息を整えよう。

 

「ハァ、ハァ…。またこの近くに怪獣が現れたのですか?」

 

『いや、今回はこの学校の中からだ。しかも気配は一つじゃない。二つある』

 

何!?今回は校舎の中!どうりでやけに静かだと思った。だとすると今回は宇宙人の可能性が高いな。しかし気配が二つだから二人だろうな。

 

変身したとしても流石に二箇所一遍に向かうことはできない。だからと言って片方見捨てるなんて事もできるはずもない。どうしたらいいんだァ〜。

 

『大丈夫だ光輝、今の我々なら等身大の大きさなら1人でも変身が可能だ』

 

えっ…?俺が変身しなくても大丈夫なの?どう言うこと?

 

『君が力をつけたことにより、君が変身する時誰か一人なら己の力で変身できるようになったんだ』

 

そうなの!?でもそれなら今回は大丈夫かもしれない。

 

『あぁ、共に彼らを守ろう』

 

すると目の前に二つのアイテムが現れ、その内一つが光りだすとカーボーイのような姿をした男の人になった。

 

「今回は貴方が行くんですか…」

 

「あぁ、どうやら今回は私と縁がある者みたいだからな」

 

そんな事までわかるの!?凄い!!じゃあ「貴方」も同じように「彼」も?

 

『二つある気配内の一つ……私は何回か、奴の同族と戦った事がある。だから私に任せてもらいたい』

 

成る程。つまり今回の敵はこの二人と戦った事がある宇宙人。だからその分この二人なら対策もしやすいと言うわけか。

 

「わかった。もう1組のことは任せろ」

 

男性は脇から赤い眼鏡みたいな物を取り出し装着する。

 

「デュア!!」

 

装着すると眼鏡から火花が走り顔と肩、胸の部分を銀色のプロテクターのようなものが覆い、下半身が紅いボディーとなった。

 

『私は先に行っている、もう1組の方を頼むぞ』

 

男性が変身したウルトラマンは光の速さでその場を後にした。俺も変身アイテムを右手で握り上にへと振り上げ、左腕にへと装着する。

すると光が溢れ出し胸に青いクリスタルーーカラータイマーが現れ、それを中心に先程のウルトラマンと同じように銀色のプロテクターのようなものを装着したウルトラマンに変身した。

 

『よし、行くぞ!』

 

俺も急いでもう1組の方の生徒達を助けに向かった。

 




ヒロアカ第3期の制作が決定しました。
3期は遂にオール・フォー・ワンとの本格的な戦いが始まるかもしれませんね。
こっちはまだまだ全然先の事かもしれませんが、負けないように頑張ります。
次回は2人のウルトラマンと宇宙人のバトルです。

ここでストックが切れてしまったのでまた遅くなると思います。申し訳ありません。

感想があればどうぞ。


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10話 紅き戦士と最速の戦士 そして裏に潜む闇

心待ちしていた方々大変長らくお待たせしました、最新話です。

今回は前回緑谷達を助けに現れたウルトラマン二人とガッツ星人達との戦闘がメインです。そして最後にヴィラン連合に接触する者が…。

ヒロアカテレビ3期の放送も来年の4月に決定し、さらには劇場版まで出る。来年はヒロアカ祭りだ!!
それなのに私の作品はやっと第1期の半分くらい。大丈夫か…。

それではどうぞ。


屋内訓練中に突如現れたガッツ星人ボルクの襲撃を受け、爆豪は捕らわれ緑谷は個性を制御できず負傷してしまう。ボルクの光線が緑谷に放たれた時全身が紅い姿の人が彼を助けたのだ。

 

「あ、貴方は一体?」

 

「説明は後だ。今は彼を助け出す」

 

紅い人は額の緑色の丸いクリスタルに両手の人差し指と中指で蟹さん鋏みたいなポーズをとると、そのクリスタルから緑色の光線が爆豪を捕らえているクリスタルに向かって発射された。

光線がクリスタルに当たると次第にヒビが入り始めた。そして……

 

 

 

バリン!!

 

 

 

クリスタルは砕け散り爆豪が解放された。

 

「何!?」

 

ボルグが驚いている隙に紅い人は素早く動いて爆豪を抱えると緑谷の近くまで運んだ。

 

「かっちゃん大丈夫?」

 

「煩セェぞ、クソナード。俺があんな鳥頭野郎なんかにヤられると思うなよォ!」

 

若干弱々しかったが爆豪か無事な事に緑谷は安心した。

赤い人は立ち上がるとボルグの方へと向き治った。

 

「おのれ〜、ウルトラセブンもう少しのところを〜!」

 

「(今あいつあの人の事を「ウルトラセブン」って……て事はあの人は…!?)」

 

「ガッツ星人、これ以上好きにはさせないぞ!」

 

「我が同族の仇、討たせてもらう!ハァ!」

 

ボルグは眼から光線を放つ。セブンは両手を前に突き出しバリアを展開させ光線を防ぎ、解除すると再び額からエメリウム光線を発射する。ボルグは分身能力でそれを躱す。そのまま能力を使いもう一人の自分を作り出しセブンを挟み撃ちにする。

 

「あいつあんな事まで出来るんだ…」

 

自分達との戦いでは使っていなかった分身能力、もしかするとまだ見せていない能力があるかもしれない。未知の敵の未知数の能力に緑谷は恐怖する。だがセブンは嘗て戦ったことがあるからか落ち着いていた。

 

二人のボルグは同時にセブンにへと向かって走り出す。セブンはまず右の方のボルグに走り出し、ジャンプすると落下を利用してチョップを食らわし頭をホールドする。もうもう一人のボルグがそれを助け出そうと突っ込むが、セブンは足を使って蹴り飛ばす。

ホールドを解くと強烈なパンチを二、三発食らわせ遠のかし、近づいて来たもう一人のボルグが殴り掛かろうとするが、躱し片腕を掴み自分を軸にして周り始めその勢いを利用してパンチを食らわせたもう一人のボルグの方にへと投げ飛ばす。二人のボルグはぶつかると元の一人にへと戻った。だがぶつかった衝撃で自分に似た鳥が頭の上を「ピヨピヨ」と飛んでいるように目を回していた。フラつているボルグにそのまま飛び蹴りを食らわす。

 

「ディア!!」

 

「どわァー!!」

 

蹴りを食らいボルグは壁を突き破り吹っ飛んだ。

 

「す、凄い…」

 

「君達、今のうちにここから逃げるんだ!」

 

「ッ!?は、はい!」

 

セブンの強さに見惚れていた緑谷は声を掛けら事で我に返り慌てて返事をする。だがーーー…

 

「冗談じゃねェ!あんな鳥野郎に馬鹿にされてこのまま逃げろだと!?巫山戯んな!!」

 

爆豪は先程ボルグにあしらわれ散々馬鹿にされた事を根に持っているらしく、ヤラレっぱなしで逃げるのはゴメンだと言う。だがダメージが大きくこのまま戦闘を続けられる状態ではない。かと言ってこのまま彼が大人しく言う事を聞いてくれるようにも見えない。そこでセブンは強行手段にでる。

 

「……仕方ない」

 

ヒュン …… バン

 

「グッ!?」

 

爆豪の前にへと移動し腹に拳を打ち込んだ。爆豪は意識を失いそのまま前へ倒れセブンに抱えられた。

 

「かっちゃん!」

 

「心配ない、気を失わせただけだ。少し手荒かもしれないが今はこうするしかない」

 

セブンは気絶した爆豪を担ぐ。

 

「よし、急いでここから離れるぞ!」

 

「は、はい!」

 

緑谷は負傷した右腕を抑えながらセブンと一緒に部屋を後にし建物の出口にへと向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

同じ頃麗日と飯田の二人を捕らえようとしていたスラン星人ベルガを蹴り飛ばし、二人を救ったセブンと同じ紅い戦士が現れた。

 

「あ、貴方は?」

 

「私はマックス、ウルトラマンマックス」

 

「ウルトラマン!?嘘!?本物!?でも小さい!!」

 

麗日が昼休みデクと話していたウルトラマンが目の前に現れた事に歓喜していた。(だが小さいは余計である)

 

「おのれ〜」

 

「スラン星人、お前の好きにはさせない!」

 

「ウルトラマンマックス我が同族の仇、今ここで張らさせてもらいますよ!」

 

ベルガは高速移動でその場から消える。マックスも同じく高速移動し消える。二人は消えた後しばらくして「ドン、ドン」という音が聞こえる。恐らく二人がぶつかり合っている音だろう。

 

「飯田君…あの人達の動き…見える…?」

 

「いや…全く見えない…」

 

麗日と飯田は二人のあまりもの速さについていけないで唖然としていた。二人がぶつかり合う時に一瞬だけ見えるがそれ以外は姿を捉えることができない。

 

「食らえ!」

 

高速移動しながらベルガが光線を放つ。マックスは速度を上げて躱し一気に間合いを詰めベルガの懐に飛び込む。そして高速で連続パンチを繰り出し最後に勢いよくパンチを繰り出す。

 

「シェア!」

 

「どわァァー!!」

 

ベルガは吹き飛び壁に激突し床に倒れ伏せる。

その隙にマックスは麗日と飯田の所にやってくる。

 

「君達急いでここから離れるぞ!」

 

マックスは二人の腕を掴むと高速移動でその場から消えた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

緑谷とセブンは建物の中から脱出し、担いでいた爆豪を地面にへとゆっくり下ろす。

それと同時にマックスが高速移動で麗日と飯田と一緒に現れる。

 

「飯田君、麗日さん!良かった、二人とも大丈夫だったんだ」

 

「あぁ、このウルトラマンが助けてくれたからお陰だ」

 

「デク君の所にもウルトラマンが来てくれたんだね」

 

緑谷は麗日と飯田か無事だった事に、そして二人は緑谷が無事だった事に喜んだ。そんな中飯田が気絶している爆豪に気づいた。

 

「何故爆豪君が気絶しているんだ!?」

 

「まさかデク君の所に現れたって言う宇宙人にヤラれて!?」

 

「いや、あれは…」

 

緑谷はセブンが現れてから今に至るまでの状況を説明した。

 

「成る程、そう言うことか。全く爆豪君は…」

 

「でも、デク君達が無事で本当に良かったよ〜」

 

飯田は爆豪の行動に呆れ、麗日は何やかんだで緑谷達が無事だった事に喜ぶ。

 

「…マックス、無事だったようだな」

 

「はい、ところでセブンあの少年は…」

 

マックスは気絶している爆豪に目をやる。

 

「…彼をあのままにしていたら危ない行動を仕出かすかもしれなかったから仕方なくな」

 

「そ、そうですか(流石セブンと言ったところか…)」

 

緑谷達三人とセブン達二人が雑談していると突如建物が物凄い音を立て倒壊した。そしてその中きら巨大化したボルグとベルガが現れた。

 

『貴様らァ!絶対に許さん!!』

 

『もう容赦はしませんよ!!』

 

二人はセブンや緑谷達6人を見下す形になっている。

 

「お、大きくなった…」

 

「奴らはそんな事も出来るのか!?」

 

「そんなのあり〜!?」

 

緑谷はボルグとベルガが巨大化した事に、飯田はそんな能力を持っている事に驚愕し、麗日は巨大化出来ることが「狡い」と言うように声を上げる。

 

「アイツらは我々が倒す。君達はここから離れなさい」

 

「で、でもあんな巨大な宇宙人どうやって…」

 

「心配ない」

 

セブンは腕をクロスさせた後、横へと広げ拳を上へ向けた状態へとなる。所謂力瘤を作るようなポーズを両手でとる。するとその体はドンドン大きくなっていきボルグとベルガと同じくらいの大きさになる。

 

「よし、私も」

 

マックスは変身する時と同じように装着したアイテムが【マックススパーク】付いている左腕を上に掲げるとセブンと同じように巨大化して対等の大きさになった。

 

「あの人達も大きくなっちゃった!?」

 

「彼らも巨大化が出来るのか!」

 

「いや、多分あれが本来の大きさなのかもしれない」

 

麗日と飯田はセブンとマックスが巨大化した事に驚いたが、緑谷だけは以前光輝にウルトラマンの事を聞いていたからそこまでの驚きはなかった。

 

「いや〜デク君、いくらなんでもそれはないと思うよ」

 

「でも一年前始めて現れた時はあの大きさだったし、それにこの前の時だって…」

 

「…確か言われてみれば入試試験の時もあれくらいの大きさだった」

 

麗日は本来の大きさが約50メートルの大きさは大袈裟だと思いツッコミを入れたが、緑谷は始めてウルトラマン見た時とこの前のテレスドンの時の事をあって説明すると飯田も入試試験の時を思い出しフォローを入れた。

 

巨大化、いや元のサイズに戻ったと言うべきか。四人は互いを睨み付けると…

 

『ハァァ!』

 

『フン!』

 

『デュア!』

 

『シェア!』

 

皆ファイティングポーズを取るとセブンはボルグに、マックスはベルガにと向かって行った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

モニタールームではセブンとマックスがそれぞれボルグとベルガと対峙し、無事に四人を助け出した事にホッとしていた。

 

「緑谷達、何とか助かったな」

 

「えぇ、一時はどうなるかと思ったわ」

 

「それにしてもあの二人、物凄い個性だよな!あの爆豪をアッサリ倒した宇宙人達を消しらしたんだぜ」

 

「しかしあの御二方はお互い対峙した宇宙人の事を知っていたようでした。それはどう言う事なのでしょう?」

 

無事だった事を喜ぶ者もいれば、二人の強さに興奮する者、そしてボルグ達の事を知っていたように見え不思議に思う者もいる。

そんな中オールマイトは一人モニター越しに二人の事を見ていた。

 

「(何と言う強さだ。もしかすると全盛期の私以上かもしれない。しかしあの赤い姿……一年前、そして入試試験やこの前現れた巨人に似ている。……もしや!彼らは前に緑谷少年が話していた…ウルトラマンと言う者達か!?)」

 

「でもこれでオイラ達助かるんだよな?そうだよな!?」

 

「当たり前だろ!あの二人がアイツら(ボルグとベルガ)をやっつけてくれたから俺達もここから出られるかもしれないぜ」

 

「…いや、そうでもなさそうだぜ」

 

だが安易したのも束の間、突如ボルグとベルガが巨大化し緑谷達に襲い掛かってきた。

 

「おいおい、アイツらあんなに大きくなれんのかよ!?」

 

「ヤベェよ、ヤベェェよ!緑谷達が危ねェよ!でもここから出られねェし、アァ〜どうすんだよ!!」

 

「待ってみんな、あれ見て」

 

体が透明の子が声を上げ再びモニターに目をやると、そこにはボルグ達と同じくらいの大きさになったセブンとマックスの姿が映し出された。

 

「あの二人も大きくなれんのかよ!?もう何でも有りだな!!」

 

「…みんな、緑谷少年達の事を彼らに託しそうじゃないか」

 

オールマイトのその言葉に皆驚いた。

 

「どうして!?助けに行かないんですか?」

 

「そうですよ。このままじゃ四人とも…」

 

「……私も今すぐにでも彼らの元に行きたい。しかし今この部屋からは出られる状況ではない。それにもしかしたらあの宇宙人達のような者達がまだいるかもしれない」

 

彼はヒーロー、そして教師として緑谷達を助けに行きたいと思っているが、この場にいる生徒達の安全を守らなければならない義務がある。もしかしたらこの場に彼ら(ボルグとベルガ)のような宇宙人が現れるかもしれない。故にこの部屋から出られたとしても迂闊にこの場から離れるわけにもいかないのだ。その言葉に生徒達はハッと理解した。

 

「そうだよな。もしアイツらみたいな奴がいたら俺達だけじゃ多分太刀打ち出来ないよな」

 

「それにあの二人(セブンとマックス)はさっきアイツら《ボルグとベルガ》に簡単に勝ったから多分大丈夫だよ」

 

「あぁ、乗せて四人の安否と彼らの勝利を信じよう」

 

生徒達に理解してもらい再びモニターに目をやる。

 

「(見守る事しかで出来んとは…何と情けない。ウルトラマン達よ、緑谷少年を…生徒達を頼むぞ)」

 

己の無力さを悔やみながら、モニター越しに戦っている二人のウルトラマンに四人の生徒の安否を託した。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ボルグはセブンに突っ込むが巴投げで地面にへと叩きつけられる。すぐに起き上がり反撃しようとするが、セブンの強力なパンチを一発、二発喰らいさらに右ストレートを喰らう。それが効きフラついている隙にセブンはボルグの頭を抱え自身と共に地面にへと叩きつけた。

 

『どわァー!!己ェ〜』

 

『デュ!』

 

セブンはファイティングポーズをとる。

接近戦では不利だと感じたボルグはお得意の分身を使い、セブンを囲うように数を二体、四体、六体にへと増えた。

そして全てのボルグから光線が放たれる。セブンはジャンプして回避。そのまま地面に着地すると頭部に装着されているブーメラン【アイスラッガー】に手を掛け投げ飛ばす。アイスラッガーは次々に分身を消していき遂に本体に当たる。

 

戻ってきたアイスラッガーを再び頭部に装着すると右腕をL時に組み金色の光線を放つ。それはウルトラセブン最強の技【ワイド・ショット】である。

 

『ウワァァー!!』

 

ワイド・ショットをモロに食らったボルグはゆっくりと後ろにへと倒れていき風船が破裂するように弾け飛び四散した。

 

 

 

 

一方ベルガはマックスの周りを高速回転して残像を生み出し四方八方から光線を発射する。

 

「ウワァー!」

 

マックスは痛みに声を上げる。だが痛みに耐えながら頭に装着しているマクシウムソードに手を添え投げ飛ばす。マクシウムソードは次々と残像を斬りつけ全て消滅させていく。

だが本体はマックスの後ろへ高速移動し背後を取った。そのまま斬りつけようとするが、地面からマックスソードが飛び出してベルガを斬りつけられバランスを崩し地面に墜落する。

 

マックスは右腕を上げ上空から固有の【マックスギャラクシー】を召還させ装着する。ベルガは体を起き上がらせ光線を発射させる。マックスも同時に右腕を突き出し最大の技【ギャラクシーカノン】を発射する。お互いの光線がぶつかり合ったがそれはほんの一瞬。ベルガの光線はマクシュームカノンに押され避けることが出来ずモロに喰らう。

 

『グワァー!!おのれェーーー!!』

 

ギャラクシーカノンを浴びせられたベルガは耐えきれず爆発し四散した。

 

「やったァ。ウルトラマン達が勝った!」

 

「やったやったァー!!倒したー!!」

 

「す、凄い…」

 

緑谷はセブン達の勝利に喜び、麗日もセブン達がボルグ達を倒した事に喜びのあまりピョンピョン跳ね、飯田はその強さに呆気に取られていた。

 

『デュア!』

 

『シュア!』

 

勝利を勝ち取ったセブンとマックスはお約束の如く、上空へと飛び上がりそのまま飛び去って行った。

緑谷達はその飛んで行った方角をずっと見つめていた。

 

 

その頃空へ飛んで行ったセブンとマックスは光となり人気のなさそうな森にへと降りた。セブンは地球にいた頃の姿【諸星ダン】となりマックスは光輝にへと戻った。

 

「何とか勝てましたね」

 

「あぁ。だが奴等は恐らく誰かの差し金に過ぎないだろう。

 

確かに同族なら兎も角違う種族が同時に現れた、それにまるで仲間のような感じもあった。

 

「何か組織的なものがあるっという事ですか?」

 

『その可能性が高いなぁ』

 

「…これからの戦いは今までのようにはいかなくなるだろう。充分に気を引き締めて修行するぞ」

 

「はい!」

 

まだ今までの戦いは始まりに過ぎなかったのだろう。これからが本当の戦いの始まりなのかもしれない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

その後戻ってきた四人にモニター室から無事に出れたクラスの皆にウルトラマンの戦いを間近で見た感想を聞かれたが、四人とも怪我が酷かった(緑谷は己で負傷したが)ため保健室にへと向かう事になり話は途中で中止された。

 

 

因みにこの騒ぎのせいで本日の授業は中止となり、改めて後日同じようなでやる事となった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

誰も寄り付かなそうな街中の路地裏。そこのある建物のバーのような室内に三人の男、いや二人と一体?がいた。

 

「見たか、これ。教師だってさ……なぁどうなると思う?」

 

その男の他に煙のような顔で目が黄色く光って逆立っているバーの店主のような格好の者、そして鳥のような嘴を持ち、脳みそが丸見えになっている人とは思えない大柄な者がいた。

 

「平和の象徴が…ヴィランに殺されたら」

 

男はマジックハンドのような手で顔を隠してながら目を潜めてた。

 

「ほぉ、実に面白そうな話をしているな。是非混ぜてもらいたいものだ」

 

そんな中その部屋の一部の場所がガラスのように割れて血のような赤い空間の中から黒い服を纏った1人の男が出てきた。

 

「何ですか貴方は!?一体如何やって此処に?」

 

「私の力を持ってすれば、こんな隠れ家など簡単に探し出せる」

 

「……それで…何が目的だ?」

 

「何、今お前が言っていたその「平和の象徴を殺す」というのに興味があってなぁ」

 

男は口をニヤリと不気味な笑いを浮かべた。

 




メリークリスマス。この作品の今年の投稿は今日で終わりますが、打ち切りにはしないのでご安心ください。

この作品しか見ていない方もいるかもしれないのでちょっと早いですが言わせてもらいます。

良いお年を。

面白ければお気に入り登録お願います。


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11話 委員長決め 進行する悪意

ヒロアカ3期まであと一ヶ月後ですね。なのにこの作品はまだ第1期の中間辺りという。本当に申し訳ありません。

今回は飯田君が頑張る話です。本来はこの回はやらないつもりでしたが、ヴィラン連合の動きを入れるために書きました。殆どカリキュラムを手に入れてからの動きがないので書いてみようかなぁと思って…(でも少ししかない)

今回は光輝の出番はありません。だって彼は生徒じゃないし今回は宇宙人や怪獣は出ないので…。



あのガッツ星人達の襲撃から数日が過ぎた頃、雄英の校門の前ではある事が起きていた。

 

「オールマイトの授業はどんな感じですか?」

 

テレビのマスコミ達が生徒達にオールマイトの授業についての説明を求めていたのだ。緑谷の場合は何とか言い訳をしてその場から逃げ、麗日は悩んであまりよくわからない事を、飯田は真面目に答え過ぎてついていけず、爆豪はヘドロヴィランの時の事を覚えていたため不快な気分になる。

 

次に声を掛けたのが相澤先生だった。テレビなどを嫌う為ヒーローとしてあまり知られていなかったのでマスコミ全員が「誰?」とザワつき始める。

そんな中一人の女子アナがイラつき相澤先生を追って門を潜ろうとした時…

 

 

ヴゥーヴゥー

 

 

突然警報音が鳴ると分厚い鉄板が出現し入口を完全に塞いだ。

 

その名も「雄英バリア」。……あまり言いたくないがこれ付けた人、あまりセンスないな。

 

これは学生や関係者じゃない者が入ろうとするとセキュリティーが働き部外者の侵入を防ぐもの。校内いなるところにあるらしい。もう二日も張り込めているらしい。

 

そんなマスコミを顔を手袋で覆っている男と、全身黒い服と帽子を被り、複数の風船を持っている男がいた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

マスコミを振り切り教室に入ると暫くしてホームルームの時間となり相澤先生が入って来た。

 

「昨日の訓練の様子を見せてもらったが飯田に麗日、爆豪、そして緑谷……よく無事だったな。だが爆豪未知の相手に何の考えもなく突っ込んでいくのは自殺行為に等しい。よく考えて行動しろ」

 

「…分かってる」

 

「緑谷もだ。爆豪を助けるためとは言え、それで負傷しちまったら元も子もない。それにもしあそこでウルトラマンと言ったか?彼らの助けがなかったら殺されていたかもしれないぞ。あまり心配かけるような事をするな」

 

「…はい」

 

何だかんだ言っても相澤先生も教師であるから生徒達の事を心配しているのだ。

 

「えぇ〜…今日のホームルーム急で悪いんだが、君達に……」

 

またテストか何かかと思い皆緊張が走る。ーーだがそれは違った。

 

「…学級委員長を決めてもらう」

 

『(学校ぽいの来たぁー!!)』

 

その言葉に一人、また一人と皆が手を挙げ立候補する。

普通科とかなら雑務を押し付ける形になるから立候補するなんて事はまず無い。だがヒーロー科では集団を導くトップヒーローの素質を鍛えられる役でもあるため皆自分から立候補している。

 

「静粛にしたまえ!」

 

飯田の一言で皆静まる。

 

「他を牽引する責任重要な仕事だぞ!やりたい者がやれるものではないだろう。周囲からの信頼あってこそ務まる政務。民主主義に則りみんなで決めるというのなら……これは投票で決めるべき議案!」

 

確かに飯田の言う通りである。言う通りであるが……

 

『聳え立っているじゃねェかァ!』

 

己も思いっきり手を挙げていたから説得力に欠けている。

 

「何故提案した!?」

 

「日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」

 

「そんなの皆自分に入れらァ」

 

飯田の提案に数人がツッコミを入れる。

 

「だからこそ、ここで複数票を取った者こそが真に相応しい人間と言う事にならないか?どうでしょうか先生?」

 

「何でもいいから早くしろ」

 

そう言って寝袋に入る相澤先生。適当だなぁ。

 

飯田の提案で投票形式となり結果……

 

緑谷…3票

八百万…2票

その他…1票

麗日、飯田、轟…0票

 

となった。

 

緑谷本人は自分に3票も入っていた事に驚く。爆豪はその事に「誰が!?」と声を荒げる。

飯田は0票だった事に嘆いている。自分もやりたがっていたのに他の人に入れた事に皆呆れていた。

 

何だかんだ反対する者は無く緑谷が委員長、八百万が副委員長となった。八百万は委員長になれなかった事に少し悔しがっていた。

 

 

そして時間は進みお昼休みになり場所は学食。

 

「わぁ〜、今日も凄い人だね!」

 

「ヒーロー科の他にサポート科や経営科の生徒が一堂に会するからな」

 

麗日は超笑顔でご飯を一口食べる。そんな中緑谷は委員長になったが務まるかどうかと不安な顔をしていた。麗日は笑顔で「務まる」と言う。それについては飯田も同意見であった。

ここぞと言う時に分析などのように他を兼任し優れる、緑谷に投票した一人であった。

 

「でも飯田君も委員長やりたかったんじゃないの?眼鏡だし」

 

眼鏡だから委員長って事はないと思うんだが…。

 

「やりたいと相応しいか否かは別の話。僕は僕の正しい判断をしたまでだ」

 

『僕ゥ!?』

 

緑谷と麗日は飯田の一人称がいつもと違う事に気付いた。「俺」と言っている筈なのに「僕」と言ったのだ。

 

「ちょっと思ってたけど、飯田君って…坊ちゃん?」

 

相変わらずザックリと言う麗日である。飯田はその「坊ちゃん」と言われるのが嫌で敢えて一人称を変えていたらしい。

 

飯田の家庭は代々ヒーロー一家で彼はその次男に当たる。しかもその兄は大人気ヒーローである、ターボーヒーロー「インゲニウム」である。彼はそんな偉大な兄に憧れてヒーローを志した。

 

緑谷にとっての憧れがオールマイトなら飯田にとっての憧れは兄という事だ。

 

 

 

ヂリリリリリリリリリリリーー!!

 

 

 

 

突如警報が鳴り響きその場にいた生徒達は戸惑う。

 

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋内に避難してください』

 

「セキュリティ3って何ですか?」

 

飯田がすぐ隣にいた先輩に質問する。セキュリティ3とは何者かが雄英内に侵入してきた事らしい。そんな事は今までになかったようで生徒達は皆パニックに陥った。

皆避難しようとしため混雑にしてしまいギュウギュウ詰になってしまった。緑谷達三人もその人波に呑み込まれてしまいう。

窓際にいた飯田が外を見ると報道人がいた。つまり侵入してきたのは今朝のマスコミ達であったのだ。

 

ただのマスコミなので危険はないと皆を落ち着かせようとするが、パニック状態でその場にいる全員に伝えるのは難しい。

そんな時麗日が人波に巻き込まれてしまい窓を這いずって近づきながらどうすればいいか考える。そんな時一つのアイディアが浮かんだ。

 

「麗日君!僕を浮かせてくれ!」

 

飯田は必死に麗日にへと必死に手を伸ばす。麗日も手を伸ばして掌の肉球が何とか触れた。それによって飯田の浮く。

 

そして一か八かの賭けにでる。ズボンの丈をめくり個性を使う。空中だったため回転しながらであるが進み、非常口の上にビタン!っとくっ付き真上のパイプを掴む。

 

皆さん大丈夫!!ただのマスコミです!何もパニックなる事はありません!大丈夫!ここは雄英!最高峰の人間に相応しい行動を取りましょう!」

 

その呼びかけで皆落ち着きを取り戻し収まった。そしてマスコミ達は警察に御用となったとか…。

 

そして午後、他の委員を決めるようとした時緑谷が、委員長は飯田がいいと言い出した。その意見に反対する者は無く皆賛成しAクラスの委員長は飯田となった。みんなが盛り上がっている中副委員長の八百万だけが複雑な顔をしていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「どうしたら、ただのマスコミにこんな事が出来る?」

 

ゲート前に雄英の校長と、教師でもあるプロヒーロー達が集まっていた。そのゲートは完全にボロボロになっていた。だが壊されたというより崩され落ちたと言った方が正しいだろう。

 

「唆した者がいるね……邪な者が入り込んだか、若しくは宣戦布告のつもりなのか…」

 

その感は的中していた。自分達が知らないところで悪の魔の手が迫っていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

街中の人気のない路地裏にあるバーのような部屋に先程マスコミを見ていた二人の男とバーのマスターのような格好をしている男がいた。

 

「これが今後の雄英の授業の内容ですか。この予定からすると、襲撃をかけるのでしたらこの日の午後がいいでしょうか?」

 

「あぁ、この時コイツ等が学園から離る時だ。少しでも邪魔が入らない時を狙うなら此処が最適だ」

 

「……じゃあこの日にするか……」

 

三人は雄英側がマスコミに気を取られていた隙をついて雄英のカリキュラムを盗んでいた。そして平和の象徴(オールマイト)を殺す策略を立てているのだ。

 

「では私はヴィランを何人か探してきます。少しでも数は多い方がいいと思いますから」

 

「……そうだな。使える駒は少しでも多い方がいい…」

 

「なら俺も少し出る。秘策の準備にな」

 

「しかし、(オールマイト)を殺すための秘密兵器は完成しています。ですから貴方の秘策やらは準備しなくても良いのでは?」

 

「…万が一の事もある」

 

黒服の男はそれを言うと部屋から出て行く。

 

「…あんな奴本当に信用して良かったのかよ、先生…」

 

『まぁそう言うな弔。彼は確かに信用できると言えば嘘になるかもしれないが、少なくとも僕等の利害とは一致している。だからそこまで心配する必要はないよ。それに彼の秘策とやらも気になるしね』

 

弔と呼ばれた者の後ろにある液晶テレビから別の男の声が発せられた。映像がないので分からないが、その表情は狂気に満ちているだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

部屋の扉の前に出た出計らったはずの黒服の男が聞き耳を立てていた。

 

「フン、何が「利害が一致している」だ。貴様等愚かな人間共と利害を一致させる気などない。だが奴等には十分利用価値があるからな。しかしあんな改造人間如きなど当てに出来ん。精々楽しませてもらえる事ぐらいは期待するが、たかがそこら辺の雑魚を強化したくらいで上手くいくとは思えんからな」

 

人間の餓鬼ども(Aクラスの生徒)には絶望を味わいながら殺してやる。その為にはアイツ等が集めてくるヴィラン供にも役に立ってもらなければならなん……我が秘策の為にな」

 

男の目の前の景色がガラスのようにバリンっと割れると血のように赤い空間が出現し、ニヤリと不気味に笑いならがその中にへと入って行り空間は元に戻り何もなかったかのように静まり返った。

 




関係ないと思いますが、自分の不注意でスマホに速度制限がかかってしまって資料も上手く集められない状態なので、次の更新も遅くなります。(土下座)

BLEACHの方も楽しみにしている方々もすみません。でももうすぐ今月も終わりなのでそうしたら更新するのでもう少々お待ちください。

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12話 ヒーロー・キラーの脅威

大変遅くなり申し訳ありません。
今回はUSJでの出来事です。原作であった起こったことは大まかに説明してその後は殆どがオリジナルです。今回なんと過去最多の10000文字を超えました。

戦闘描写が曖昧かもしれませんが許してください。どう説明していいのか難しくて…

それではどうぞ。


光輝は只今街中で店の前にあるテレビを見ている。そこにはオールマイトの活躍が画面いっぱいに映し出されている。

 

「【オールマイト僅か1時間で事件を三件解決】ね。本当に凄いな」

 

『あぁ、まさか1時間で三件の事件を解決されるとは…』

 

この事に多くのウルトラマン達が感心する。しかしその最中光輝はある事に

 

「(あれ?このオールマイトが三件の事件解決した日、何かあったような?)」

 

何かあったようで必死に思い出そうとするが全然思い出せない。

 

『光輝、また邪悪な気配を感じる』

 

「ッ!?また雄英の近くですか?」

 

『いや違う。今回は雄英高校から少し離れているようだ』

 

えっ!?今回は雄英から離れているのか!…ん?待てよ、雄英の本校から離れて行う授業…。

 

ッ!そうだ、思い出した!確かオールマイトが三つの事件を解決した日の午後Aクラスの子達はUSJでヴィラン達の襲撃を受けた日じゃないか!どうしてそんな重要な事を忘れていたんだ。

 

『しかも今回は今までの奴らとは違う。もっと強大な物を感じる』

 

て事は今回の襲撃事件にヴィラン連合の奴らに黒幕が潜んでいるって事!?クソッ、俺がもっと早くUSJ事件の事を思い出していれば…。

 

『光輝悔やむのは後だ。今は早く彼等の元へと向かうべきだ!』

 

確かに悔やむのは後回しだ。今は早く緑谷君をAクラスのみんなを助けに行かなくては!

 

『光輝、今回は俺に行かせてくれ。久々に体を動かしたいんだ』

 

…なんか動機があれだけど今回は桁違いにヤバイみたいだから彼の意見を承諾した。人気のない路地裏に入り誰もいない事を確認した後目の部分が黄色になっている眼鏡を取り出す。

 

「デェア!」

 

眼鏡を装着すると光に包まれ変身が完了しその場から超高速で気配がした方へ一目散に飛び出した。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

この日の午後の授業はは災害訓練のためにUSJにやってきたけど、中に入って13号の話を聞いている時に、下の広場に黒い霧のような物が現れた。

そしてその中から沢山の人が出てきた。

 

緑谷は峰田と蛙吹と一緒に水中ゾーンにへと飛ばされ水中に潜んでいる大量のヴィランの前にピンチに陥るが、緑谷の作戦によってその状況を打破する事に成功する。

 

その後中央広場へ移動すると相澤先生が脳が剥き出しになっている大柄なヴィランにボゴボコにされていた。それを緑谷は助けに行こうとするが、蛙吹と峰田に止められる。そこへA組の皆をバラバラにした黒い霧を纏った敵が現れた。

 

「死柄木弔」

 

「黒霧、13号は殺ったのか?」

 

「行動不能にはできたものの、散らし損ねた生徒がいまして……1名逃げられました」

 

「…は?」

 

それを聞いた手で顔を隠している敵はいきなり首を掻き始めた。そしてそれは段々エスカレートしていき、呻き声を上げ始めた。

 

「黒霧…お前……お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ」

 

「自分に任せておけと言っておきながらその様とは、呆れたものだ」

 

死柄木と言われた男の隣にいた黒い服をきていた男は黒霧と言う男を嘲笑うかのように馬鹿にした。黒霧は唇を噛み締めるが、事実なので何も言い返せないでいた。

 

「……流石に何十人のプロ相手じゃ敵わない。ゲームオーバーだ。あ〜あ、今回はゲームオーバーだ、帰ろうか?」

 

何といきなり帰ると言いましたのだ。帰ってくれるのなら助かる訳だから生徒達にはありがたい事である。しかしどうも腑に落ちない。彼らの目的はオールマイトを殺す為に此処に侵入して来た。なのに帰る?ゲームオーバー?まるでゲーム感覚で考えているのだ。

 

「何を言っている。「平和の象徴」と言うやつを殺す為にあのデカブツを連れてきたのだろ?なのに実践させないで帰るのか?」

 

「……仕方がないだろ。応援を呼ばれたらこっちに勝ち目はないんだ。…だから今回は帰るしかないだろ?」

 

「…ふん、まぁいい。だがタダで帰るのではつまらん」

 

「…そうだなぁ。平和の象徴としての教児を少しでも、へし折ってから帰ろう!!」

 

顔を手で覆われている男が自分達…いや蛙吹目掛けて走り出し、掌を蛙吹の顔に触れようとする。相澤先生の肘が砕けた瞬間を見ていたので、蛙吹も崩壊する光景が頭を横切る。

手が蛙吹の顔に触れる瞬間に手が止まった。大柄のヴィランに重傷を負っていた相澤先生が何とか個性を発動して死柄木の個性を消した。

 

僅かに隙が出来た事で緑谷は死柄木に渾身の一撃を放つ。すると攻撃を放った腕は折れていなかった。腕が折れていない事に驚きがあったが、それ以上に力を制御出来た事に喜びがあった。

 

しかしその感情も一瞬して消える。何と脳無と呼ばれた大男が自身の体を盾にして受けて止めていたのだ。そして死柄木の命令により脳無の拳が緑谷の顔に殴り掛かる。逃げようにも左腕を掴まれている為できない。蛙吹と峰田の方も死柄木の魔の手がすぐそこまで来ていた。もうダメだ、そう思った瞬間に扉が吹っ飛んだ。

 

「もう大丈夫。……私が来た!」

 

ギリギリのところでオールマイトが到着した。生徒達は皆歓喜した、その中には緑谷も含まれていたが、しかし彼は気づいた。オールマイトは……笑っていなかった。

いつも笑顔でみんなを助けてくれるヒーローが今回は笑っていない。その顔から激しい怒りが伝わってくる。

 

まずオールマイトは負傷を負った相澤先生を助け、死柄木達の近くにいた緑谷達を抱え離れる。風圧の影響で死柄木を覆っていた手袋が外れると突然弱気となり「ごめんなさい…ごめんなさい」と連呼しながら取れた手を再び顔に付けると落ち着きを取り戻す。

 

そして脳無とのバトルが始まりオールマイトが一本背負いで地面に叩きつけたかに見えたが予想外の黒霧のワープによって苦戦を強いられピンチになるオールマイト。

 

そんな時ヴィランを倒した爆豪、切島、轟が助けに駆けつけた。

 

「攻略させた上にほぼ全員無傷かよ。…凄いな、最近の子供は」

 

「敵連合と言っても所詮は名も知らない奴らの寄せ集めだ。こうなる事は大方予想できていた」

 

3人の駆けつけによって窮地を脱したが、脳無が持つ再生の個性に皆驚愕し黒霧を奪還する為、脳無が黒霧を捉えていた爆豪に物凄いスピードで迫る。だがその爆豪を庇ってオールマイトがダメージを受ける。

 

皆オールマイトを援護しようとするが本人がそれを止め、地面を蹴り脳無にへと突っ込み互いの拳がぶつかり合う。そして互いの拳と拳による殴り合いとなる。

 

拳同士がぶつかり合う衝撃で風圧が起き誰も近づく事が出来ない状況にへとなった。最初は互角であったがオールマイトの100%を超えた連続パンチによって次第に脳無が押され始め、最後に渾身の一撃によって天井を突き破りその彼方にへと飛んで行った。

 

「やはり強化改造したとは言え所詮この程度か」

 

この事に死柄木と黒霧は動揺していたが黒服の男はこの結果を見通していたようで落ち着いている。

 

「おいおい…どういう事だ?全然弱ってないじゃないか。あいつ俺には嘘を「いや、そうでもないぞ」…何?」

 

「どうした?来ないのか?クリアとか何とか言って……出来るものならしてみろよ」

 

オールマイトは鋭い目つきで睨みつける。死柄木は恐怖のあまり後退し震え出している。その光景に皆気圧されていたーーーーーー約一人、緑谷を除いて。

 

「(あれは虚勢だ。土埃に紛れてるけど、変身する時の蒸気みたいなものが出てる)」

 

この場にいる者の中で唯一自分だけが知っているオールマイトの秘密。

 

「(迷え。後少しでも時間を稼げば「強がりはよしたからどうだ?」ッ!?)」

 

「返って見苦しいだけだぞ」

 

死柄木と黒霧が動揺している中、彼らの隣にいた黒い男が声を上げた。その言葉に緑谷以外の生徒達は「は?何言ってんのコイツ?」みたいな顔をしていた。

 

「おい、何言ってんだよ。オールマイトはあの脳無(ヴィラン)を倒したんだぜ。そんなんで強がりを入れる訳ないだろう」

 

「そうか。だったら何故動かない」

 

その言葉の意味が分からないで皆に疑問符が浮かぶ。

 

「…分からないか?なら言い方を変えてやろう。何故お前はーーー()()()()()()()?」

 

その言葉にその場にいる全員が理解し旋律する。オールマイトは勿論の事、緑谷や爆豪達学生、そして死柄木と黒霧もである。

 

「あの脳無という奴を倒したお前なら、我々を倒すは造作もないだろ?お前を殺すために造った奴を倒したんだからな。それなのに何故お前は動こうとせず……煽りを入れる?」

 

確かに脳無がオールマイト殺しの秘密兵器であったのなら、個性では兎も角パワーなら脳無以下である事には間違いない。それなのにオールマイトはその場から動こうとしないで煽りを入れている。オールマイトはその問いに答えない、答える事が出来ない。

 

「分かっているぞ。貴様は今の戦闘で力を使い果たしたのだろ。もう立っているもやっとの状態じゃないのか?」

 

「(くっ…)」

 

「…黙っているところを見ると図星のようだな」

 

「……そうか…そうだったのか…もう動けないのか。……やっぱり情報は正しかったって事かァ(ニヤリ)」

 

「どうだ。今の奴ならお前でも簡単に殺れるんじゃないのか?それに他にもまだ使えそうな奴らが残っている。…チャンスじゃないのか?」

 

「彼の言う通りです、死柄木弔。もし今の事が本当ならこれは千載一遇のチャンス。後数分もすれば増援が来てしまいます。生徒達は他の連中に任せて我々3人で(オールマイト)を殺りましょう!」

 

「……そうだな……動けないのなら何も恐れる事はない。……何よりーーーー脳無の仇だ!」

 

死柄木と黒霧がオールマイトに襲い掛かる時、緑谷が「ワン・フォー・オール」を使って助けに入り拳を打ち込もうとする。

だが黒霧が個性を使って死柄木の手を緑谷の顔前に出す。死柄木の手が緑谷の顔に触れようとしていた時…

 

 

 

 

ドン!

 

 

 

 

……銃声が鳴り響き銃弾が死柄木の手を撃ち抜いた。

 

「遅くなったね。すぐ動ける者を掻き集めて来た」

 

応援を呼びに行った飯田によって雄英の教師達が駆けつけに来てくれた。それにAクラスの生徒達は皆喜びでいっぱいだった。

 

まだ戦えるヴィラン達は一斉に教師達に攻撃を開始するがプレゼント・マイクの個性「ヴォイス」によって一瞬にして行動不能となる。中には気絶する者も。

さらには仮面のような顔をしたエクトプラズムが口から煙のような物を出すとそれが数人のエクトプラズムになりヴィラン達を殴り倒していく。

その隙に教師達が生徒達を保護しようとする。

 

「あぁ、来ちゃった。帰って出直すか黒ぎ「バン」ッ!?」

 

再び銃弾が死柄木の腕、脚に命中する。それを黒霧が守るようにして包み込む。個性でワープしようとするが13号によって吸い込まれそうになる。次第にその体が引き寄せられ始めたその時。彼らの近くにいた黒服の男が掌を13号に向けた。

 

「ハッ!」

 

黒服が声を上げると13号と抱えていた瀬呂が吹き飛ばされた。それは眼に見えない衝撃波であった。

 

「助かりました。さぁ、貴方も早く!此処は引きましょう!」

 

戦況が圧倒的に不利になった事で退却しようと黒霧が男に呼びかける。

 

「いや、まだ終わっていないぞ」

 

だが男はそれを拒否した。

 

「何を言っているのです。オールマイトだけでなく、あれだけのプロヒーローがいるのです。流石に部が悪過ぎます。此処は引くしか…」

 

「それはどうかな?」

 

男は手に持っていた風船の1つを取る。そしてそれを手から離して飛ばした。するとその風船が破裂して、赤い空間が出現する。

しかもその赤い空間の中に人の様な者が地上を見下ろしている。

 

赤が特徴で、体の至る所に金色のプロテクターみたいなものを付け、緑色の目が恐怖を唆る。

 

「行け、【エース・キラー】」

 

それは嘗てウルトラマンエース、ウルトラマンメビウスを苦しめた【異次元超人エース・キラー】であった。

 

エース・キラーは異次元の隙間から飛び降りて教師達のいる階段前に着地する。そして肩をほぐすかのように首を回し、両腕を前後運動させる。

 

「また変なのが出てきたぞ!」

 

「でも大丈夫だよ。何てったってこっちには先生達がいるんだから」

 

先手必勝とばかりにプレゼント・マイクが個性を使って大声を出すが、エース・キラーは無反応のまま。まるで聞いていない事に皆驚く。

 

「おいおい、効いてないのかヨ!?どんな耳してんだアイツ」

 

そしてやがて立ちっぱなしだったエース・キラーは走り出した。教師達も生徒に被害が及ばないようにその場からエース・キラーに向かって走り出した。

 

戦闘音が離れた場所にいる緑谷や死柄木達にも聞こえていた。

 

「さて、高みの見物といくか。お前、黒霧と言ったな。お前の力でエース・キラーの近くまで移動しろ。それとそこにいる奴ら以外の餓鬼(生徒)共も同じ場所にワープさせろ」

 

「…その前に一つお聞きしたい。先程現れたエース・キラーとは貴方が言っていた秘策ですか?」

 

「…そうだ」

 

「そうですか。…しかし何故わざわざ散り散りにした生徒達を一箇所に集めるのですか?それにその場所には複数のプロヒーロー達がいます。ここは貴方の秘策任せて我々は「黙れ」ッ!?」

 

「俺はお前の意見を聞いているんじゃない。お前は俺の言う通りにしていればいいのだ」

 

黒服の男の殺意の篭った眼差しを向けられた黒霧は今までにない程の恐怖に駆られ何も反論できなくなり、個性を使い死柄木と一緒にエース・キラーのいる場所へワープした。

 

 

 

 

 

Aクラスのみんながいる近くにワープゲートが二箇所開く。新手かと緊張が走るが中から出てきたのは散り散りになったメンバー達であった。皆が無事だった事に大いに喜んだがそれも束の間、別の場所にもう一つワープゲートが出現し中から死柄木、黒霧、黒服の男の3人が現れる。そしてワープした者たちの目に飛び込んできたのは…エース・キラーが一人で複数のプロヒーロー相手に一歩も引かずに戦っている光景だった。

 

「複数のプロヒーロー相手に互角に渡り合っているとは…」

 

「見たか。俺の秘策はお前達が用意した脳無なんかとは比べ物にならんのだ」

 

その言葉に死柄木は歯を食い縛り、今にも殺しにかかりそうな目で黒服の男を睨みつけた。だがエクトプラズムの個性もあって数によって押され始めてきた。

 

「やはり今のままでは無理か。なら仕方がない。エース・キラー、ウルトラ兄弟の技を使え」

 

エース・キラーは言われると両方の人差し指と中指で、蟹さんバサミのような形をとって自身のおでこにつけた。

するもそこから緑色の光線が発射された。ウルトラセブンが使える技「エメリウム光線」である。

 

教師達は咄嗟に躱すが遠距離の攻撃も出来ることに驚いた。エース・キラーは休む暇も与えないかのように追撃で腕を十字に組みウルトラマンの必殺技「スペシウム光線」を発射しようとする。

それをミッドナイトが持っていた鞭を腕にへと絡ませて封じ、その隙にプレゼント・マイクとスナイプが声と銃で攻撃をする。

 

「…おいおい、全然ダメじゃないかよ。…何が秘策だよ。所詮お前のオモチャもあの程度かよ…」

 

死柄木がさっきの仕返しとばかりに悪口を言う。だが黒服の男は全く気にする様子はない。

 

「まだまだ。今のはほんのウォーミングアップ、本番はこれからだ。ヴィラン達よ、お前達に渡した物の出番がきたぞ」

 

それは襲撃を掛ける少し前…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

『…よし、これだけ集まれば充分だろ』

 

『それですね。皆さん、これより我々はオールマイトを殺す為襲撃を掛けます。いいですね?』

 

『オォーー!!』

 

『それでは『待て』?何ですか?』

 

『襲撃を掛ける前に貴様等に渡して置くものがある』

 

男は左手に持っている複数の風船の内、黒い風船を右手に持ち変えると風船は「パン!」と破裂した。そして中から黒い霧のような塊が出現しそれが死柄木、黒霧、そして黒服の男以外のヴィラン達の体の中に入り込んだ。

 

『な、何だこりゃ!?』

 

『やだ、体に入ったんだけど』

 

『おい、一体何だよこれ!』

 

『一々喚くな。心配せずとも体には特に害はない』

 

確かに体に入り込んだがなんの変化もないし気分も悪くない。

 

『それはオールマイトとやらを殺す為に必要なものだ』

 

『どういう事だ、それ?』

 

『いずれ分かる事だ、フフフフフフフフフ』

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「…行け、【ガディバ】」

 

男は指をパチンと鳴らす。すると今まで戦っていたヴィランの体から黒い何かが出てきた。

 

「な、何だこれッ!?…グ…ウワァーーー!!」

 

1人のヴィランが悲鳴を上げると他のヴィラン達も次々に悲鳴を上げ、黒い何が全て出ると力尽きたようにその場に倒れた。

 

そして、その黒いものは次第に一箇所に集まり1つの塊となった。そしてそれはエースキラーの胸にある緑色のクリスタルから中に入り込んだ。

しかし見た目は何も変化はみられない為唖然としていたがそれは間違いであった。

 

「エース・キラー、「TEXAS(テキサス) SMASH(スマッシュ)」だ」

 

その命令を受けるとエース・キラーは教師達に向かって強烈な拳を打ち込んだ。それはオールマイトの技、TEXAS SMASHだった。その風圧の衝撃波が教師達、そして近くにいた生徒達まで襲った。

 

「もう一度「TEXAS(テキサス) SMASH(スマッシュ)

 

エース・キラーは再びオールマイトの技を使い教師達を怯ませる。

 

「今のエース・キラーが使えるのはそれだけじゃないぞ」

 

男が言うと今度は両足にジェットブースターみたいな物が出て来て、それを使って高速でプレゼント・マイクに接近し蹴り飛ばした。それは飯田の個性…「エンジン」のようであった。目の前に移動し強烈な蹴りを食らわす

 

「あれは僕の個性か!?如何してアイツが!?」

 

何故ヴィランが己の個性を使えるのか不思議でしょうがなかった。その困惑する様子を見て黒服の男は不気味な笑いをしながら答えた。

 

「フフフ、教えてやる。嘗てエース・キラーはウルトラ兄弟の力やメビウスの技をコピーして強くなったのだ。それと同じようにヴィラン共にガディバを憑依させ、お前達の能力や戦闘のデータを集めさせたのだ。そしてそのデータを元にお前達の技をエース・キラーに全てコピーさせた。今のこいつはその名も「ヒーロー・キラー」だ」

 

ヴィラン達を利用しこの場で戦った数十人の生徒達の個性をコピーしエース・キラーは新たに、ヒーロー・キラーとなった。

 

エース・キラー…いやヒーロー・キラーは体から電気を走らせて地面に手を置くと、地面を伝わって教師達がいる場所へと電気が一直線に流れる。これは上鳴の個性「帯電」である。

 

『ウワァーー!!』

 

強烈な電撃を喰らい苦痛の叫びを上げ、攻撃が止むと地面に倒れた。

 

「フン、他愛もない。ヒーロー・キラー、トドメをさせ!」

 

その命令にヒーロー・キラーは足を進めジリジリと近づいてくる。動こうとしようとするが体が痺れて動けない。もうダメかと思ったその時…

 

「オラァー、死ねェー!!」

 

…入り口に向かっていたメンバーの内の1人爆豪が右手の大振りを繰り出し、ヒーロー・キラーに攻撃しようとする。ヒーロー・キラーは自分の体に手を触れると空中へと浮き上がって回避した。爆豪の腕はそのまま地面に激突し大きな爆発が起きた。

 

それを後から来たメンバーが合流(緑谷は切島と轟に体を支えられている)し、空中に浮いているヒーロー・キラーを見る。

 

「…アイツ宙に浮いている」

 

「て事は飛ぶ個性か何かか?」

 

始めて見た者ならそう思うだろうがそれは間違いだ。

 

「いや、ヒーロー・キラーはお前達の個性と言う能力をコピーさせている。つまりはお前達の能力を使っているのだ」

 

「でもよ、俺達の中で空を飛べる個性の奴っていたか?」

 

たしかにAクラスに空を飛ぶ個性を使う者はいない。()()()()のなら。

 

「ッ!そうか分かった。アイツは空を飛んでいるじゃなく、自分の重力を操って浮いている。つまり今使っているのは麗日さんの個性だ!」

 

緑谷の推測は正しい。ヒーロー・キラーは浮く前自分の体に手で触れていた。それは指に付いている肉球に触れる事で物や人を浮かせる事が出来る麗日の個性「無重力」である。それを聞いて皆納得する。

 

「…けど、だったらまだ勝機はあるかもな」

 

「は?どう言う事だよ?」

 

「…アイツはさっき「俺達の個性をコピーさせた」と言った。つまりデメリットの方もコピーされているはずだ」

 

そう、その個性は「使い過ぎると酔ってしまう」と言う最大のデメリットがあるだからいずれ酔ってしまうだろうと予測するが敵はそんな甘くなかった。

 

「フフフ、愚か者め」

 

「ッ!何だと!?」

 

「そんな事予測出来ていないとでも思っていたのか?確かにヒーロー・キラーはお前達の能力をコピーさせた。だがその能力にも何らかのデメリットがある事が調べて分かっている。だからそのデメリットの部分は取り除きコピーさせたのだ」

 

ヴィラン達に憑依させたガディバは改造されており、相手の個性のコピーさせ、その個性のデメリットをなくすように強化されていた。

つまりコピーされた個性は使っても何のリスクもなく使い放題である。今のヒーロー・キラーは無敵に等しい。その事に皆驚きを隠せないでいた。

 

「さらに言うなら、こいつはただ(・・)お前達の力を使える訳じゃない」

 

ヒーローキラーは体から紫色の丸いボールのような物を出現させ取り出した。

 

「あれは峰田君の個性!?」

 

ヒーロー・キラーはそのボールを手に取り投げ飛ばし爆豪の腕にへとくっ付いた。

 

「何だ!?こんな物ォォ!!」

 

爆豪は剥がそうと手で掴むが全く取れない。しかも掴んだ手もくっ付いて取れなくなってしまった。

 

「駄目だよ、かっちゃん。峰田君の個性は自分以外の物にくっ付いて剥がれなくなっちゃうんだ」

 

その言葉を出すが既に遅し。ヒーロー・キラーはさらにボールを投げ飛ばし次々と爆豪にくっ付いてき身動きが取れない状態になった。

 

「これで終わりだと思うなよ」

 

ヒーロー・キラーは右手を前に出し掌を上に向ける。そして何かを潰すかのように思いっきり握る。すると爆豪にくっ付いていたボールが大爆発を起こした。ボールは次々に爆発していき爆炎が上がる。その中から吹き飛び重傷を負った爆豪が地面にへと叩きつけられる。

 

「かっちゃん!」

 

「おい、どういう事だよ?峰田の個性ってくっ付くだけで何な風に爆発はしない筈だぞ」

 

峰田の個性は頭に付いているボールのような物で色んな物や人にくっ付き取れなくさせ、対して自分にはくっ付かずブニブニ跳ねる個性。故に爆発させる力はない。

その筈なのにボールは爆発して爆豪に重傷を負わせた。それが不思議でならない。すると黒服の男が口を開く。

 

「言っただろ……ただ使えるだけじゃないと」

 

「ヒーロー・キラーはお前達の力を同時に使う事ができる。つまり能力を組み合わせる事も自由にできると言う訳だ」

 

「因みに今組み合わせたのはそいつの爆破とあの紫色のチビの力だ。しかしどうだ、小僧?自分の力にやられる気分は?」

 

黒服の男は仰向けになっている爆豪を見下すように笑う。爆豪本人はその事に歯を食いしばりながら男を睨みつける。

 

「そして貴様等は自分達の力によって死んでいくのだ。どうだ?自分達の力が敵に使われる気分は?フハハハハハ!」

 

黒服の男は高笑いをする。そんな中轟が爆豪を助けようと個性を発動させようとする。だがそれを黒服の男は気付いていた。

 

「ヒーロー・キラー!」

 

ヒーロー・キラーは命令を受けると右脚を前に出し地面を踏みつける。すると氷が発生し、緑谷、爆豪、轟、切島を凍りつかせた。轟の個性によって。しかも自身が耐えられる冷気以上だったため氷を使う事が出来ない。

轟の持つ()()()()()()()を使えばこの状況を打破出来るかもしれないが轟はそれを使わない、いや使いたくない故それは無理だろう。

 

「これで邪魔は居なくなった。ヒーロー・キラー、その小僧を始末しろ」

 

ヒーロー・キラーは倒れている爆豪にへと足を進める。みんな動こうするがダメージにより体が動けずにいた。

爆豪はダメージ+凍りつかされた事で動けずヒーロー・キラーをただ睨みつける事しか出来なかった。

目の前まで来たヒーロー・キラーは右腕を振り上げ切島の個性で腕を硬化させ鋭くさせる。

 

「ク、クソが…」

 

「殺れ、ヒーロー・キラー!」

 

そして爆豪の心臓目掛けて一気に振り下ろす。

 

止めろォォー!!

 

緑谷の叫びがUSJ全体に響きわたる。もう誰もがダメだと思ったその時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デェーリャァー!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…突如声が聞こえると何か物凄いスピードでヒーロー・キラーにへと接近して赤く燃え上がる足で思いっきり蹴り飛ばした。ヒーロー・キラーは近くにあった森林にへと吹き飛んだ。その吹き飛ばした何かはその場に着地する。

 

「待たせたな!」

 

そこには赤と青が主体のボディに黄色い目、頭に付いている二つのブーメラン、胸にはプロテクターと青く輝くクリスタルーカラータイマーがあった。

 

「貴様は!?」

 

「こっからは俺が相手だぜ!」

 

若きウルトラ戦士、ウルトラマンゼロここに推参!




次回はゼロとエース・キラー、いやヒーロー・キラーとのバトルから始めます。

ヒロアカの3期が始まりましたね。これからヒーローとヴィランの戦いが本格的になってくる事でしょう。そして8月には映画も…今年はヒロアカ祭りですね。


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13話 優しさの青 強さの赤

大変遅くなりました。

リアルが忙しく上にBLEACHの方を終わらせたくて此方が疎かになっていました。ヤミ様大変お待たせしてすみません。

今回はゼロとヒーロー・キラーの戦いです。Aクラスやプロ教師、そしてオールマイトの技を手に入れたヒーロー・キラーにゼロは勝てるのか!?

それではどうぞ。


USJを襲撃したヴィラン連合。その秘策である脳無を倒したオールマイトであったがそれ以上の脅威である【エース・キラー】を差し向けられる。さらにAクラス皆の個性をコピーし【ヒーロー・キラー】にへとパワーアップを果たし教師をも圧倒する。

身動き出来ない爆豪にトドメを刺そうとした時、何がヒーロー・キラーを蹴り飛ばしその場に着地。そこには赤と青のボディに黄色い目、頭に二つのスラッガー、胸にプロテクターと青いクリスタルを付けた戦士…ウルトラマンゼロであった。

 

「…おいおい、せっかく良いところだったのに何邪魔してくれてんだよ!」

 

「な、何ですかアイツは!?」

 

黒霧はウルトラマンゼロの登場に驚いている中、死柄木は良いところだったのに訳の分からない奴が現れた上に邪魔されたのでイラついていた。

 

「ウルトラマンゼロ、何故貴様が此処に!?」

 

「それをお前に答える義理はねェ」

 

「貴方、彼の事を知っているのですか?」

 

黒霧が2人の会話からして互いに知っていると予想し質問する。

 

「あぁ、奴の一族とは色々と因縁があってな。しかし随分と遅れての登場だな」

 

「へっ、ヒーローは遅れて登場すると相場が決まってんだぜ!」

 

ゼロがそう言うと黒服の男はそれに煽りを入れる。

 

「だが、お前が早く来ていれば其奴らが傷付くこともなかったじゃないのか?」

 

「…確かにそうだ。だから先ずは此奴らの怪我を治す」

 

ゼロは左手をAクラスの皆や教師達に向けると掌から光の粒子を出す。彼等がその粒子に包まれると傷が見る見る内に治っていく。

 

「こ、これは!?」

 

「ワァオー!傷が治ったぜ!」

 

皆傷が治った事に驚いていた。

 

「あ、ありがとうございます」

 

「礼には及ばねェよ。それに俺がもっと早く来ればお前達が怪我をする事もなかっただろうしな」

 

ゼロは今言われた事を気にして少し低い声で申し訳なさそうに言う。来るのが遅れてしまった為に彼等に傷を負わせてしまった事を悔いているんだ。

でもそれだったら俺だってこの事件の事を早く思い出していれば、それにこの世界に怪獣や宇宙人がいた時点でヴィラン連合にも何かしらの奴が絡んでいる事も考えられた筈なのに…。

 

「そんなに自分を責めないでください」

 

自分の不甲斐なさを悔いている時何と緑谷君が「自分を責めないで」と優しい声で言ってくれた。

 

「だが俺が遅れたせいでお前達が危険な目にあったのには変わりない」

 

「確かにそうです。でも貴方は来てくれて僕達を助けてくれた事にも変わりないですよ」

 

彼は己の力の制御が出来ずに傷付いてもいたが、Aクラスの皆同様に未知の敵に襲われ恐怖を植え付けられた筈。それなのに遅れて来た事を責めずに治療して「感謝」しているのだ。緑谷君、君は本当に優しい子だよ。

 

「そうだぜ。アンタが来てくれなかったら俺達はアイツらにヤラれていたかもしれなかったからな」

 

「それに貴方は私達を助けてくれた。感謝すれども責める理由はあらへん」

 

緑谷君の言葉に一人、また一人と感謝の声を上げる。(約1名不服そうな顔をしているのがいるが)

 

「貴方は僕達を救ってくれた上に怪我まで治してくれた。貴方はウルトラマンは本物のヒーローです。だから自分を責めないでください」

 

「…サンキュー。その言葉有り難く受け取っておくぜ」

 

ゼロは顔を上げ向き直ると吹き飛ばされたヒーロー・キラーが起き上がり腕を回し解していた。

 

「待たせたな。此処からは俺が相手だぜ!」

 

ゼロはヒーロー・キラーに視線を向け指を突き指す。そして右腕を胸の前で折れ曲げる。

 

「【エメリウム・スラッシュ】!」

 

額の緑色のランプから緑色の光線をは発射させる。ヒーロー・キラーは飯田の【エンジン】の個性を使って猛スピードで回避する。

 

「へ、やるじゃないか。ならこれだ!」

 

頭に付いていた二つのブーメラン【ゼロ・スラッガー】が外れると両手で持ちヒーロー・キラーにへと突っ込む。対するヒーロー・キラーは切島の【硬化】を使って両手を硬化させ応戦する。ゼロ・スラッガーとヒーロー・キラーの両腕がぶつかり合う度に火花が散る。

 

攻撃がぶつかり合う中、互いに一旦距離を取りヒーロー・キラーは掌から青いレーザーを発射。ゼロはエメリウム・スラッシュで応戦。二つの技が激突し煙が上がる。ゼロはゼロ・スラッガーを両手に持ちその煙へ突っ込む。しかし煙が晴れるとそこにはヒーロー・キラーの姿はなかった。

 

「ッ居ない!?何処行きやがった!」

 

辺りを見渡すが全く見つからない。そんな時後ろから突如光線が当たり激痛が走る。後ろを振り向くが何もいなかった。するとまた別方向から光線が背中に命中する。後ろを振り向くと葉隠の個性「透明化」によって透明になっていたヒーロー・キラーが姿を現した。

 

「透明になっていたのか!」

 

ヒーロー・キラーは追撃を掛けるかの様に身体から煙を出すとその煙が複数のヒーロー・キラーにへとなった。

 

「な、分身まで作れるのかよ!?」

 

そして無数のヒーロー・キラーがゼロにへ一斉に攻撃を仕掛ける。

ある者は体から電気を、ある者は黒い影の様な物を、またある者はレーザーを出して攻撃してきた。

 

ゼロは飛んで上空にへと回避する。遠距離攻撃が出来るヒーロー・キラーはレーザーや爆音を放ち攻撃を続ける。その連続攻撃をスムーズに回避するゼロだが、突然何か丸い物が飛んできたので腕でガードする。しかしその紫色のボールみたいな物はガードした左腕にくっ付いた。

 

「これは!?」

 

何とか剥がそうとするが取れない。しかも剥がそうとして掴んだ手もそのボールにくっ付いて取れなくなってしまった。

一体のヒーロー・キラーが体から同じボールを複数出しゼロにへと投げ飛ばす。ボールは次々とゼロの体にへとくっ付いていく。そしてヒーロー・キラーが手を握りしめるとボールが一斉に爆発を起こしゼロは爆炎に包まれる。

 

その光景にAクラスの生徒や教師達は絶望の表情になる。爆豪の爆破の個性を無数にしかもゼロ距離で受けたのだ。死んではいなくても重傷は免れないと思うからだ。対して死柄木や黒服の男はニヤリと不気味な笑いを浮かべる。

 

そして煙が晴れると先程とは違い体の色がほぼ青一色になっているゼロの姿が現れた。

 

「【ルナミラクルゼロ】!」

 

それはウルトラマンダイナの【ミラクルタイプ】の超能力と、ウルトラマンコスモスの【ルナモード】の優しさを合わせ持った姿。【ルナミラクルゼロ】である。

 

ゼロが頭の二つのブーメラン、ゼロスラッガーが光ると頭上に無数のゼロスラッガーが出現。

 

「【ミラクルゼロスラッガー】!」

 

無数のゼロスラッガーは同じく無数のヒーロー・キラーに向かい次々と斬り裂いていく。ヒーロー・キラーの分身達は斬り裂かれ消滅し一体即ち本体のみが残った。

 

「お前が本体だな。一気に行かせてもらうぜ」

 

ゼロの体が光に包まれると青色がなくなりほぼ赤一色の姿となっていた。これがダイナの【ストロングタイプ】、コスモスの【コロナモード】2つのパワーを合わせ持った姿ーー

 

「【ストロングコロナゼロ】!」

 

ゼロは拳に炎を纏わせヒーロー・キラーの顔面に打ち込む。強烈な一撃にヒーロー・キラーは倒れるが、すぐに起き上がって体勢を立て直す。

ヒーロー・キラーは右腕にオールマイトの個性【ワン・フォー・オール】を集中させ渾身の一撃を繰り出す。ゼロは先程と同じように炎の拳で対抗。

 

両者の拳がぶつかり合った瞬間物凄い衝撃波が発生。互いに押したり押されたりで拳が前後に動く。

 

「お前みたいに他人を傷付ける事しか知らねェ奴に負けねェー!!」

 

ゼロは更に拳に力を込める。その力にヒーロー・キラーが段々押され始め後退させられる。そして拳を振り払いヒーロー・キラーの顔面に再び炎の拳を打ち込む。

 

蹌踉めくヒーロー・キラーをゼロは掴み持ち上げる。

 

「【ウルトラハリケーン】!」

 

身体を捻るように動かすと自分を中心に竜巻が起こりヒーロー・キラーはその渦に吹き飛ばされる。何として抜け出そうとするが身動きがとれず、そのまま上空にへと打ち上げられ天井にへとぶつかる。

 

その間にゼロは左手に炎エネルギーを貯めていく。

 

「【ガァァルネイト・バスタァァー】!」

 

溜まったエネルギーを一気に解放し左手の拳から炎の火柱が放たれ身動きが取れないヒーロー・キラーは直撃を食らう。強烈なエネルギーを食らい耐えきれずヒーロー・キラーは大爆発を起こした。

 

「ヤッター!」

 

ある者はゼロの勝利に喜び、ある者は自分達を苦しめたヒーロー・キラーを倒したその力に驚き、またある者(約一名)はゼロがヒーロー・キラーを倒した事が面白くないようでイライラしていた。

 

「さぁ、今度はお前達だぜ!」

 

元の姿に戻ったゼロは残った3人へと指を指す。そして此処にもイライラしている者が一人いた。

 

「…おい…おいおい…おいおいおいおいおいおいおいおい!何なんだよ一体!どういう事だよ!いきなり訳の分からない奴が現れてヒーローや餓鬼供の傷を直した上に黒服の男(コイツ)が用意した秘密兵器を倒しちまったじゃないか!!」

 

「死柄木弔落ち着いてください」

 

死柄木は自分達が優勢だったのがゼロの出現により逆転されイライラが頂点に達しようとしており、黒霧がそれを宥めようとする。

 

「フン、今回は此処までか」

 

黒服の男は冷静口調で喋り出すと、3人の後ろが先程ヒーロー・キラーが出て来た時と同じような赤い空間が出現する。

 

「こ、これは!?」

 

「我々の移動手段だ。お前がワープゲートを開けても良かったが邪魔をされると面倒だからな」

 

黒服の男は教師やAクラスの生徒達に眼をやる。最初撤退しようとした時駆け付けた教師達によって邪魔された。しかもゼロの力で傷を完治してしまったからまた邪魔される可能性があると踏んだ。

 

「…この中本当に大丈夫なのか?」

 

「嫌ならお前達だけ此処に残れ。俺は帰らせてもらう」

 

「ま、待ってください!」

 

死柄木が入って大丈夫物なのか不審に思っているが、黒服の男は「嫌なら来なくていいが此処に残ってヒーロー共に捕まるんだな」と言う。黒霧も不審に思っているが此処で捕まる訳にはいかないので急いで死柄木とその空間に入る。

 

「逃がさねェぞ!」

 

ゼロは逃すまいと急いで3人の元へと駆け出す。しかし突如その空間から3人の間をすり抜けてミサイルの様な物が無数に飛んで来た。突然の攻撃よりゼロはその場で立ち止まる。爆煙の中ゼロが目をやると3人の背後から不気味な瞳が覗いていた。

 

「今回は我々の負けだ。だが覚えておけウルトラマンゼロ。この襲撃は所詮始まりに過ぎん。我々の計画はこれから始まるのだ。その時まで精々無駄な足掻きをするんだな。ハハハハハ!」

 

黒服の男は最後に気になる言葉を残し高笑いしながら空間の中にへと消えていった。空間は3人の姿が見えなくなると逆再生するかのように元に戻った。

 

「クッ、逃げられちまったか」

 

3人を取り逃がしてしまった事に悔いていると教師達が彼の周りを取り囲んだ。その事に生徒達は驚きを隠せなかった。

 

「…何の真似だ?」

 

「生徒達を救い僕達を助けてくれた事は感謝するよ。でもだからと言って君をこのまま帰す訳にもいかないんだ。申し訳ないけど僕達と来てもらいたい」

 

ゼロの質問に答える人の言葉を話すネズミののような生物、雄英高校の校長である根津である。

 

「ま、待ってください!彼は、ウルトラマンは僕等を助けてくれました。それなのにどうしてこんな事を!?」

 

「確かに助けてもらった事には変わりない。だがな、此奴も得体の知れない奴には変わりない。それにあの怪物の事も知ってるみたいだしな。合理的に考えて事情聴取するべきだろ」

 

自分達を助けてくれたゼロにこの仕打ちはあんまりだと緑谷が抗議するが、相澤先生の彼等からすればお馴染みの「合理的」と言われてしまってはどうしようもない。

 

「(…これは流石に言い逃れできないな。仕方がない変身を解こう)」

 

「(おい、良いのかよ!?)」

 

「(いずれ正体がバレる時が来る。今がその時かも知れない)」

 

ゼロが光に包まれる。皆眩しさに目を隠す。そして光が段々と収まっていき目を開くと、ゼロが立っていた場所に一人の青年がいた。その青年を見て緑谷は驚きの声を上げる。

 

「こ、光輝さん!?」

 

「やぁ、緑谷君」

 

それは夢を諦めるなと励ましの言葉を送り、ウルトラマンの情報を教えてくれた礼堂光輝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな…私の事忘れてないかな?」

 

 

一人水辺のエリア付近で立ち尽くしているオールマイト(トゥルーフォーム状態)が一人で嘆いていた。

 




最後のオールマイトは完全にギャグで入れました、動けない状態なので(笑)

次回はこの時間の後日談つまりアニメ一期の最終回と二期の最初の方の部分を予定しています。また遅れてしまうと思いますが、どうか気長にお待ちください。(土下座)


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14話 事件後

大変遅れてしまい申し訳ありませんでした。
今回は雄英の教師達と光輝が話し合いをします。

やっとアニメ第一期が終わりました。
三期も半ば終わって映画もやっているのにこんなに遅くていいのかな?と思います。でもリアルが忙しくてごめんなさい!

そして最後にお知らせがあります。

それではどうぞ。


USJでの事件の後直ぐに警察が来て生徒達の安全を確保した。幸いゼロが治療してくれたお陰で皆大した怪我もない状態であった。しかしその中で一人浮かない顔をしている者がいた。緑谷出久である。

 

ゼロが光に包まれたと思えば自分の知り合いである礼堂光輝がいた。一年前に街を救ってくれたウルトラマンを始め、入試試験の時と雄英近くの森林に出現した怪獣を倒したウルトラマン、戦闘訓練の時に自分や爆豪、麗日と飯田を倒してくれたウルトラマン。それ全ての正体が光輝だったのだ(戦闘訓練の時の一人……セブンは光輝ではないが、緑谷はそれを知らない上の想像)。

つまり今回のUSJの件も合わせれば自分は5回も光輝に助けられた事になる。自分にとっては希望をくれた上に命まで救ってくれた恩人である。しかし事件の後その光輝は教師達によって連れて行かれてしまった。

何も出来なかった自分の不甲斐なさに両手を噛み締める。

 

「デク君」

 

そんな緑谷を麗日が心配そうに見つめる。

 

「大丈夫だよ、デク君。あの人は私達を助けてくれたんだよ。悪い人じゃないよ」

 

「そうだとも。それに僕達を助けてくれた。悪い人じゃないって事は先生達だって分かってる筈だ。だから心配する必要はないと思う」

 

「飯田君、麗日さん」

 

今の緑谷にとって「光輝が悪い人じゃない」と言う二人の言葉は支えになり元気が出た。そして(光輝)が無事に戻って来ることを信じて待つ事にした。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

所変わって雄英高校の会議室。

 

そこでは雄英の教師達がUSJを襲ったヴィラン連合についての会議を行っていた。しかしその中には礼堂光輝の姿もあった(オールマイトはトゥルーフォームになっている)。

 

「早速で悪いけど何者なのか教えてくれないかな」

 

「…分かりました」

 

俺は今まで経緯を話した。俺がウルトラマンと言う者達の力を借りて別世界から来た事、この世界がヴィランとは違う邪悪な存在に狙われている事、そして自分がそれを止める為に来た事。

 

「あの巨人の名前はウルトラマンと言うのか」

 

「しかも別の世界である私達の世界を救いに来たなんて」

 

「俄かに信じがたい話だな」

 

皆それぞれの反応をするが、やはりイマイチ信用してもらえないようだ。そりゃそうだ、こんなお伽話みたいな話素直に信じるなんて無理がある。

 

『それなら我々が直に話そう』

 

彼の服の脇からから変身アイテムが続々と出現し宙に浮き輝き出す。その光が段々人の形になっていく。そして光が収まると彼の左右に約20代と思われるの若い青年から歳がいっている老人までの数人がそこにいた。

 

「貴方達は?」

 

「初めまして、我々は君達が今教えてほしいといってものの一つ【ウルトラマン】さ」

 

その言葉に教師達は驚いた。まさかウルトラマンが人の姿になれるなんて思わなかったのだろう。まぁ何も知らない人なら当然の反応である。

 

「ワァオ!ウルトラマンって青年だけじゃなくておっさんもいるのかよ!?」

 

「まぁ人間の歳で言うとそうだな」

 

「人間の歳とはどう言う事だ?」

 

ウルトラマン達の年齢は人間より遥かに寿命が長い。初代ウルトラマンが地球にいた当時2万歳くらいだった。今ウルトラマン達が変身した人間の姿は、当時変身していた容姿もいて20代から60代くらいの姿だが実年齢はいくつなのかは検討もつかない。その寿命の長さには皆驚きを隠せなかった。

 

「これで分かってくれましたかな?」

 

「…まだ全てを信じた訳じゃないが、かと言って今言った事が嘘とも思えない。何よりアンタ達の目が嘘を付いているとは思えないからな」

 

この中で一番「合理的」を口にしている相澤先生がこんな事を言うなんて意外。でもこの人は不気味だが根はいい人なんだよな。

 

「済まないね。いきなり君をこんな拉致するような形で招いてしまったにも関わらず色々と話してくれて」

 

「気にしないでください。貴方達は信用に値する人達です」

 

「どうしてそんな事が分かるんだ?」

 

「そんなの簡単だぜ。アンタ達は人を貶めるような奴なんかじゃないってのが分かるんだよ。それにそこのおっさんがさっき言ったように、アンタ達もそう言う目をしているからな」

 

教師の疑問にゼロが明るく答える。こいつはお人好しというか、人が良すぎるというか。でもそれが彼の良いところでもあるんだよな。

 

「…ありがとう。じゃあ次に今回襲撃して来たヴィランについてだけど…」

 

話は変わり今回USJに侵入して来てヴィラン達についての議題になった。

 

主な主犯格は大量の手で覆われていた男、ワープの個性を持っていた者、そして皆を苦しめた【ヒーロー・キラー】を呼び出した黒服の男、この3人。しかもこの3人とも無国籍であり、その内2人は偽名である事。

その他の大勢のヴィラン達は路地裏とかにある所謂チンピラのような連中ばかりだという。

 

オールマイトは主犯の一人死柄木に違和感を感じる。最もらしい稚拙な暴論に自身の所有物を自慢気に話し、全てが思い通りに行くと思っている傲慢さ、その行動がまるで子供がそのまま大人になったようなもの「子供大人」だと言う。

 

しかもその他のチンピラ集団とも言える者達がその子供大人の下についたと言うという事実。

ヒーローが飽和してきたこの社会に抑圧されてきた者達は無邪気な悪意に惹かれるのかもしれないと考える。

 

そんな中校長先生が俺に声をかける。

 

「ところで話は変わるけど礼堂君、君はあの黒服の男の事を知っているのかい?それに向こうも君が変身していた「ウルトラマン」の事についても知っているような素振りを見せていたし、どうなのかな?」

 

ゼロが駆けつけた時黒服の男は「何故ここに!?」と質問をして来た。それを聞き近くにいた黒霧が知っているのかと質問をしたところ、知って上に「因縁のある相手」と言った。

 

「分かりました。それについては私がお話しします」

 

一人の老人、北斗星司が前に出る。ウルトラマン達の中であの黒服の男と一番因縁がある相手かもしれない。

 

「奴の名は【ヤプール】。異次元人であり、世界を滅ぼそうしている悪魔です」

 

【異次元ヤプール】それは嘗てウルトラマンエースと戦った異次元の侵略者。奴らは怪獣兵器である【超獣】を使って地球を侵略しようとした。だがそれもウルトラマンエースとの戦いに敗れ虚しくも散った。

だが奴らは死ぬ前に「怨念となって復讐を果たす」と言った。それからヤプールの怨念が更なる超獣を生み出してきた。

 

「しかも奴は怨念がある限り何度でも蘇る。その怨みを抱いてより強大に、より凶悪になって」

 

この場にはいないけどギンガとビクトリーに一度は倒されるが時間を掛けて復活し前回よりも遥かにパワーアップしていた。

 

「復讐を果たすまで蘇り続ける。何て厄介な奴だ」

 

「それにしても貴方達が悪魔って言わせるなんて、それ程の奴なの?」

 

「エェ、奴は自分の目的を果たす為なら手段を選びません」

 

【エース・キラー】を【ヒーロー・キラー】にパワーアップさせる時に使った【ガディバ】は、襲撃前に死柄木と黒霧以外のヴィラン達に寄生させ生徒達と戦わせる事によってそれぞれの戦闘データを取らせた。そして【ガディバ】が身体から出た瞬間ヴィラン達には踠き苦しみだし全員倒れ気を失った。

 

(ヤプール)にとって今回のヴィランの多くはただの道具、いや道具とも持っていない捨て駒だったのかもしれない。

ウルトラ兄弟とメビウスの映画でも自身を復活させようとした宇宙人達も用済みになった瞬間、何の躊躇いもなく自身の手で殺していたから。

 

「自分の目的を達する為には仲間も躊躇なく殺すか…何と卑劣な」

 

皆【ヤープル】の惨虐さ度肝を抜かれたが、中でもオールマイトは怒りによって拳を握りしめていた。

 

「ですからその死柄木と言う奴と共に行動していたのも、彼らを利用しようとしていると思います」

 

「…成る程。確かに彼のような無邪気な悪意は色々と利用しやすい。そこに目を付けたと言うことか」

 

「それでソイツの目的は一体何なの?」

 

「申し訳ない、流石にそこまでは我々も分からない」

 

「仕方ないよ。それにしてもヴィラン連合に加えて異世界からの侵略者。これは一刻を争う事態になり兼ねないね。…礼堂君と言ったね。済まないけど僕達に協力してくれないか?」

 

「協力ですか?」

 

「あぁ、その【ヤプール】と言うのがヴィラン連合と利用しているにしても協力しているにしても厄介な事にやる。それに今回現れた(ヒーロー・キラー)や今まで現れた巨大生物達(ベムラー等)には我々では太刀打ち出来ない。だから君達の力を貸してほしいんだ」

 

校長先生が頭を下げてきた。確かに今回の【ヒーロー・キラー】には教師達も全く歯が立たなかった。しかも最初に現れたベムラーもオールマイトの攻撃を受けて尚もピンピンしていた。敵は未知なる存在、この世界の住人では対処が難しい。

 

図々しい事を承知で言っているんだろう。でなければ頭を下げるまでしない。でも元よりそのつもりだしね。俺はこの世界を救いに来たんだ。ウルトラマン達なら何も言わずに承諾する。

何より校長が頭を下げられては断る事も出来ないだろう。

 

「分かりました、協力しましょう。皆さんもいいですよね」

 

「勿論だとも」

 

「当然OKに決まってるだろ」

 

ウルトラマン達はみんなあっさりOKする。でもそれが彼等の良いところ。

 

「本当にありがとう。僕達に出来る事なら何でも協力するよ」

 

「そうですか?じゃあ早速で悪いんですけど…」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ある路地裏にあるバーであるヴィラン連合のアジト。その一部が割れ赤い空間が出現しUSJを襲撃し逃げ帰った死柄木弔、黒霧、黒服の男改め【ヤプール】(人間時の姿)が出て来た。

 

「クソ、手下供は瞬殺され脳無もやられた。しかも訳わかんない奴まで現れてヤプール(此奴)ヒーロー・キラー(秘密兵器)もやられた。話が違うぞ、先生!」

 

『違わないよ。ただ見通しが甘かっただけだよ』

 

『うむ、舐めすぎたな。ヴィラン連合なんちゅうチープな名前にして良かった』

 

画面が映っていないテレビから2つの声が聞こえそれぞれの感想を述べる。

 

『ところで脳無は?回収してないのかい?』

 

「…オールマイトに吹き飛ばされました。正確な位置座標が分からなかった上に時間もなかった故回収は不可能でした」

 

『せっかくオールマイト並みのパワーにしたのに』

 

『まぁ仕方がないか。残念』

 

「だが思わぬ収穫があった。一人小僧の中にオールマイト並みのパワーを持っている奴がいた」

 

『ヘェ〜、オールマイト並みの……』

 

「だがパワーかまだ上手くコントロール出来ないようでな、うつ伏せになっているコイツ(死柄木弔)に手を出そうとした時足の骨が折れていたな」

 

「あの邪魔が無ければオールマイトを殺せたかもしれないのに。餓鬼が…餓鬼がァ、餓鬼がァァァ!」

 

死柄木は悔しさのあまり呻き声を荒げる。緑谷に対する怒りでヤプールが言った事は耳には入っていないようだ。

 

『まぁ悔やんでも仕方がない。精鋭を集めよう、時間をかけてね。我々は自由に動けない。だから君のようなシンボルが必要なんだ死柄木弔。次こそ君と言う恐怖を世間に知らしめるんだ!』

 

マイク越しに冷静に死柄木に語る謎の男。それを黒服の男は静かに聞いていた。

 

「(こんな小僧に何を期待しているのか知らんが、くだらんな。だが俺は好きにやらせてもらう。精々俺を楽しませろ、下等生物供。フフフフフ)」

 

その不気味な瞳には何が映っているのだろうか?その場にいる者、そしてマイク越しの者にも彼の思考を悟る事は出来ていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

予告

 

 

「戦いはまだ終わってねェぞーーーー体育祭が迫っている」

 

雄英高校の一大イベントの一つ体育祭の開始が迫る

 

 

 

「俺は母さんの力(右側)だけで勝つ」

 

実の父を否定し母の力だけで勝つ事を誓う轟

 

 

「ほぉ、こいつは使えるな」

 

「お前は父親が憎いんだろ?母親がお前を憎むキッカケを作った奴が…」

 

そんな彼に迫り囁く悪の魔の手

 

 

「そんな…ウルトラマン」

 

「ウルトラマンが…氷漬けに…」

 

「光輝さん!」

 

敵によって氷漬けにされてしまった光輝

 

 

 

「僕と一緒に戦ってください」

 

「轟君、光輝さんーーー今助けます」

 

友を救うべく緑谷が立ち向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『メビウゥーーーース!!』

 

 

 

 

 

 

 

波乱の体育祭遂が幕を開ける

 




と言う訳で次回から新章体育祭へ行きます。
それもまた最後ら辺はオリジナルになります。

ヒロアカの方はストックが全くないのでまた遅くなると思います。申し訳ありません。
お気に入りと高評価の方お願いします。

追伸
BLEACHの作品でアンケートを実施していますのでよければお願いします。


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15話 自己紹介後に初授業へ…え?

この作品ではお久しぶりです。
ちょっと喉を痛めてしまったマトモに喋る事が出来ない状態になっていて凄くキツイです。

やっと今回からアニメでいうところの二期に入りました。四期の製作も決定したのにこんな調子で大丈夫かな…と思っている作者です。今回はUSJでの体育祭の説明と生徒達に光輝を紹介します。ここで光輝が校長にお願いした事が分かります。この説明でもう分かっている人いるのかな…。

それではどうぞ。



USJで事件があった為事件翌日は臨時休校となり生徒達は自宅で過ごし、次の日通常授業が再び始まる。

 

 

Aクラスでは今回のUSJでの事件が昨日テレビで放送されたのでその話題で持ちきりだった。

 

ある者は自分達が映った事に感激し、またある者は今回の事件の事がトラウマになり、そしてまたある者はオールマイトの活躍を尊敬していた。

そこへ飯田が走って教卓の前に来た。

 

「皆!朝のHRが始まる!私語を謹んで席につけェ!」

 

「…ついてるだろう」

 

「ついてねェのお前だけだ!」

 

席につくよう注意するが逆に注意されてしまい、己の失態に打ち震えてる。

 

少ししてガラガラッとドアを開ける音がすると相澤先生が入って来て教卓に立った。あの時ウルトラマンゼロ(光輝)がその場にいた教師、生徒含める全員を治療してくれたお陰で、大した怪我もなく普通に出勤する事が出来ていた。

 

「諸君おはよう。早速で悪いがお前達に紹介させたい人物がいる。入ってこい」

 

そう言われてドアから入って来た人物に皆驚きの表情、中でも緑谷が一番驚いていた。何故ならその人物はーーーー

 

「こ、光輝さん!?」

 

ーーーー夢を諦めない強さを教え色々相談に乗ってくれたオールマイトとはまた違う意味での恩人である礼堂光輝だったからだ。

 

「お前ら落ち着け。色々聞きたい事があると思うが後にしろ。じゃあ先ずは自己紹介を頼むぞ」

 

「はい、Aクラスの皆さん初めましてかな。この中では緑谷君は知っていると思うが改めて自己紹介させてもらう。俺はこの度このクラスの副担任になった礼堂光輝だ。宜しく!」

 

「副担任!?先生どういう事ですか!?」

 

「…その事については今から話す」

 

何故彼がAクラスの副担任になったのか…それは会議が終わり光輝が校長に頼みごとをした時にまで遡る。あの時彼がお願いした事、それはAクラスの副担任にしてもらう事であった。

 

その理由は入試試験から個性把握テスト後、屋内戦闘、そして今回のUSJでの出来事は全て雄英の中や近く、関係している場所で起こっている。つまり敵はこの学校を集中的に狙っている可能性が高い。だからここ(雄英)の関係者になれば校舎内に現れてもすぐに対処する事が出来ると踏んだのだ。

 

その事を話すと校長は了諾してくれて相澤先生のサポートを改めAクラスの副担任、そしてこの学校の生徒達を守ってほしいと言い渡されたのだ。

 

「…という訳で彼は今日からこのクラスの副担任を務めてもらう。分かったな」

 

『はい』

 

皆良い返事をしてくれたがただ一人、言わずとも知れるが爆豪だけが気にいらないみたいで舌打ちして外方を向いた。

 

「自己紹介も済んで直ぐに悪いがお前達、まだ戦いは終わってねェぞ」

 

その言葉に皆ビクッと驚く。「またヴィランが!?」とビクビクしているが残念違うよ。

 

「……雄英体育祭が迫っている」

 

『ーーーークソ学校ぽいのキタァーー!!』

 

皆かなりテンションが上がってるな。まぁ皆まだ学生、体育祭みたいなイベントは楽しなんだろう。でも学校ぽいところがあってそこまで「意外」みたいな声を上げるのか。此処(雄英)も学校なのに…。

 

「ヴィランに侵入されたばかりなのに体育祭なんてやって大丈夫なんですか!?」

 

「そうです。また襲撃してくるって可能性も…」

 

確かにヴィランに襲われて間もないのに、言い方が悪いかもしれないけど体育祭なんかして隙を突かれないか心配だ。いくら雄英のセキュリティが高いからって万全じゃないからね。

 

「あぁ。それは逆に開催する事で雄英の危機管理体制が盤石だと示す考えらしい。それに警備も昨年の5倍に強化するそうだ」

 

 

「何よりうちの体育祭は最大のチャンスーーーーヴィラン如きで中止していい事じゃねェ」

 

 

「そこは中止しようよ!」

 

緑谷君の後ろの席の峰田が怯えながら「中止してほしい」みたいな声を上げる。

 

「あの〜、ここ(雄英)の体育祭ってそんなに凄いものなんですか?」

 

俺が手を挙げて質問するとそれに皆「エェー!!」と驚きの声を上げる。

 

「雄英の体育祭知らないんですか!?」

 

「年に一回のあの一大イベントなのに!?」

 

そ、そんな事を言われてこっちは何も知らないよ。元々この世界の住人じゃないから見たことないし。

 

「落ち着けお前ら。コイツがうちの体育祭を知らないのは仕方がない理由があるんだ」

 

「何ですか、その理由って?」

 

「…残念だけどそれはまだ言えない。でもいつか必ず説明する」

 

俺がまだ異世界から来たって事は生徒達に教える訳にはいかない。まだ会ったばかりで彼等と仲良くなりたいし変な亀裂を入れられたくない。

 

「お前ら本人もこう言ってるし、今はその辺にしといてやれ。コイツ(光輝)が知らないって事もあるから体育祭について説明するぞ」

 

うちの(雄英)体育祭は日本のビッグイベントの一つ。嘗てはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化された。そして日本においては嘗てのオリンピックに変わるのが雄英体育祭だ」

 

一年に一度だけどオリンピックみたいなものなのか。それは確かに一大イベントだ。てかこの世界にもオリンピックってあったんだ。

 

「全国のプロヒーローもスカウト目的のために観に来るんです」

 

「卒業後はプロ事務所にサイドキック入りがセオリーっスよ」

 

成る程。ここで良いところを見せて自分をアピールすれば、ヒーロー事務所に入れる確率が高くなるって事か。

 

「でもそっから独立しそびれて万年サイドキックっても多いんスよ。てか上鳴、アンタそうなりそう。阿保だし」

 

耳朶がイヤホンになっている女の子【耳郎響香】が呟く。その言葉に金髪のチャラスケ【上鳴電気】がショックを受ける。流石にあれは言い過ぎだ。

 

「コラコラ、そんな事を言っていけないよ。それに彼の未来がどうなるかなんて分からないんだから、阿保だからと言って決め付けるのは良くないぞ」

 

「は、はい。すみません」

 

「オォ、先生フォローありがとう」

 

『(いや、遠回しに阿保って言っている事に気づけよ)』

 

耳郎は注意された事に素直に反省し上鳴はフォローしてくれた事に喜んでいるが、ディスって事に気付けと殆どの生徒が思った。

 

「兎も角名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれればその場で将来が開けるわけだ。年一回、計算外のチャンス。ヒーローを志すなら絶対外せないイベントだ。その気があるなら準備を怠るな!」

 

『はい!』

 

みんないい声で返事をする。やる気入ったて感じだな。でもなんか緑谷君だけ浮かない顔をしている。どうしたんだろう?

 

「HRは以上だ。そしてまず一時間目は副担任である礼堂、彼から【ウルトラマン】の事についての授業を行ってもらおうと思う」

 

…はい?

 

『エェー!!』

 

先程の返事以上にみんなが声を上げる。嫌々「エェー!」って言いたいのはこっちだよ!俺の授業!?しかもウルトラマンの説明!?何それ聞いてない!?

 

「どういう事ですか!?」

 

「…言っての通りだ。お前には一時間目の授業でコイツらにウルトラマンの説明をしてもらう」

 

「いや、だからどうして!?」

 

「コイツ等は皆USJの時にお前があの時のウルトラマンから人になるのを見ている。遅かれ早かれ聞かれるんだったら今ここで説明した方が合理的だろ?」

 

「それはそうかもしれないですけど…」

 

いずれ説明しようとは確かに思っていたけど、こんな早く説明するなんて思ってないよ!

なんとかして断ろうとしようとするけど、何人かは「好奇心溢れる子供」のような目をしている。緑谷君に関しては目をキラキラと輝かせて期待しているのが一目で分かる。そんな期待の眼差しを見せられたら断るに断れない。

 

「まぁそういうな。お前一人じゃ不安だと思ってサポートを頼んである」

 

「サポート?」

 

『私達だよ』

 

服の脇から二つの変身アイテムが飛び出し、光が宙に静止するとピカッと光りだす。光が収まっていくとそこには眼鏡をかけた白髪の老人と、カーボーイの格好をしたダンディなおじさんが立っていた

 

「ハヤタさんにダンさん!」

 

「このお二人がサポートしてくれる」

 

クラスの皆は困惑していた。まぁ突然おもちゃみたいな物が俺の服から飛び出して急に光ったと思ったら、見知らぬ二人の男性がいたのだから無理はないだろう。

 

「あの〜どちら様ですか?」

 

「これは失礼した。私はハヤタ・シン、君達で言うとウルトラマン本人だ」

 

「俺はモロボシ・ダン。そして俺もウルトラマンだ」

 

『エェー!!ウルトラマンー!?』

 

また皆騒ぎ出す。いきなり現れて「私はウルトラマンです」なんて言えば驚くのは分かる。でもみんな…そんなに大声を連続して大丈夫か?喉痛まないのか?

 

「ウルトラマンって人になるとあんな爺さんなのかよ」

 

「なんか以外。もっと美形かと思ってた」

 

「でもあの眼鏡をかけた、なんか優しそうでウチ好きだなァ」

 

「隣の人ダンディって感じでカッコイイかも」

 

みんな反応はそれぞれだった。でもハヤタさんが人が良さそうで、ダンさんがダンディって感じなのは分かる。

 

「と言う事でこの人達のサポートを兼ねて礼堂の授業を行う。後今回は俺も一緒に参加するから宜しく」

 

って!なんか話が勝手に進んでいるんだけど。

 

「それじゃ後の進行は任せるわ」

 

そう言って相澤先生は寝袋に入る。いやだからまだやるなんて一言も言ってないんだけど!?…もうこうなったらヤケだ!

 

「分かりました…それでは今から授業の時間を使ってウルトラマンの事についての説明を始める。みんないいかな?」

 

『はァい!』

 

みんないい声で返してくれるのは嬉しいけど…もう少し俺の意思も尊重して欲しかったぁ…。




もうウルトラマンの事話すの?と思っている方もいると思いますが、USJでの襲撃で正体を知られてしまったのでいずれ話さなくてはならない事だからこの機会に話すことにしました。でもまだ雄英の教師とAクラスの生徒達だけですから問題はないでしょう(正体知って)。

次回はウルトラマンの歴史の一部をAクラスの皆に見せます。あの歴史を観たらオッタマげる事間違いなしだ。それではまた次回。

お気に入り登録、高評価お願いします。感想もあればどうぞ。


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16話 光の国 超人(ウルトラマン)誕生!

大変お久しぶりです。bleachの方の作品を完結させるためにこの作品を後回しにしてしまって申し訳ありません。

今回はAクラスの皆にウルトラマンの誕生秘密と光の国の歴史を教えていきます。

このタイトル感想で次回予告を考えてくださったリバード様のタイトルを採用しました。ありがとうございます。

それではどうぞ。



Aクラスの副担任になった礼堂光輝であったが、担任の相澤先生の発言によって一時間目の授業を使ってのウルトラマンの説明…基ウルトラマン講座をする事になった。

 

「ではまず緑谷君以外にウルトラマンの事を知っている人はいるかな?」

 

緑谷君には俺が簡単に説明したからある程度は分かるが、他に知っている人がいるかもしれないからな。この質問に麗日お茶子と飯田天哉が手を上げた。

 

「僕は緑谷君から聞いて教えてもらいました」

 

「うちもデク君から聞きました」

 

この二人は緑谷君とは特に仲がいい上にいつも一緒にいるからやっぱり知っていたか。

 

「成る程。他に知っている人はいるかな?」

 

その後は誰も手を上げず静寂が訪れる。

 

「成る程、分かった。殆どの子が知らないみたいだからまずウルトラマンとはなんなのかを教えよう」

 

前に緑谷君に説明したウルトラマンとはなんなのかを説明する。

 

 

ウルトラマンはこの地球(別世界の地球だけどね)から約300万光年も離れたM78星雲…通称【光の国】またの名を【ウルトラの星】と言われる遠い星から地球を守るためにやって来た異星人、宇宙人である事。

地球を守るために今まで多くのウルトラマンが地球のために戦ってくれた事。地球上では活動時間に限りがあり、それがたった3分間だけな事。

そして異星人である彼等が何故そこまでして地球のために戦ってくれた理由…

 

 

…これらを一通り説明した。知らなかった子達はこの説明を聞いて驚いていた。

 

「ウルトラマンって宇宙人だったのかよ!?しかも宇宙を飛んでってマジ半端ねェ」

 

「うん。それ今まで沢山のウルトラマンが戦ってくれたんだね」

 

「待てよ、沢山って事は一年前やUSJで見たウルトラマン以外にももっといるって事か!?」

 

「でもよ、違う星の人でしかも3分しか戦えないのに俺達の為に身体張って戦ってたなんて…クゥゥ【男】って感じがするぜ!」

 

「それに私達人間を【愛して】いただき守ってくださった…なんと慈悲深く素晴らしい方々なのでしょう」

 

「そのウルトラマンの中には女っているのか!?」

 

興奮する者もいればウルトラマンの心の広さと優しさに感激する者と色々な反応をとるけど…最後のは何だそれ。特に関係はないでしょ!しかも女だとウルトラ|()()ではなく、ウルトラ|()()()()になる!…実際いるけど…。

 

「よしこれでウルトラマンの基本的な事は分かったね。じゃあ次はウルトラマン誕生日の秘密と彼等の故郷【光の国】ついて説明するよ」

 

ウルトラマンがどうやって生まれたのか、どうしてこんな力を持っているのか、そして今まで光の国でどんな事があったのかを教えよう。

 

「でもここは口で話すより直接見てもらった方が分かりやすいかもしれないね。ハヤタさん力を貸してほしいのですがお願い出来ますか?」

 

「勿論だ」

 

これは流石に俺には出来ないからウルトラマンであるハヤタさんにお願いする。生徒達は「見てもらう」って言葉がイマイチ理解出来ていないみたいで殆どが疑問符を浮かべている。そんな彼等をよそにハヤタさんは右手を上げると掌から光が溢れ出し教室全体を包み込む。

 

光が治るとそこは壮大な宇宙が広がっていた。生徒達だけでなく相澤先生もこの事態は想定外だったらしく戸惑っていた。

宇宙には空気がないからいきなりそこに出たら誰だって戸惑うか。少し反省しよう。

 

「みんな落ち着くんだ」

 

「これは映像だから問題ない」

 

ハヤタさんとダンさんの説明を聞いて呼吸が出来ることを確認すると直ぐに皆落ち着いた。

すると映像が変わり一つの星が映し出された。それは何万年も前の光の国の姿だった。沢山の人がいた。それこそウルトラマン達の御先祖様達である。

ウルトラマン達の御先祖様は地球人と全く同じ姿をしていた。ただ文明は地球より大きく進歩していて高層ビルがいくつも並んでおり、誰も皆笑顔で争いがなく平和に暮らしていた。

 

「ヘェ〜、ウルトラマン達も昔は俺達と同じ感じだったんだ。なんか意外だな」

 

「それになんか凄ェ未来的な街だな。俺等の街もそのうちこんなになるのかなァ」

 

「でも私達と同じだったらどうやってウルトラマンになれるようになのかしら?」

 

「それは…この映像を見てほしい」

 

その平和な星に最大のピンチが訪れる。なんと星を照らしていた太陽が原因不明の爆発を起こしてしまい消滅してしまったのだ。太陽が無くなった事により光が無くなり一日中真っ暗な夜の世界にへとなってしまった。

 

光を失い星は死に絶えようとしていたが彼らの先祖は諦めらなかった。自分達の発達した技術を用いて人工太陽である【プラズマ・スパーク】を創り上げた。

これにより彼等の星はなんとか窮地を脱した。

 

…しかしその光は人が浴びるにはあまりにも強すぎた。

 

その光を浴びた先祖達は身体が突然変異を起こし、人の身体は超人へと変わった。

 

 

これがウルトラ一族の……ウルトラマン誕生の瞬間だった。

 

 

彼等は手に入れたその力を私利私欲の為ではなく宇宙の平和の為に使う事を決めた。そして「宇宙警備隊」と言う組織が作られた。

 

「その力を宇宙の平和の為に使う…正に僕達の鑑とも言える」

 

「飯田君は真面目やねェ〜」

 

しかしそれから数万年後そんな平和な星に危機が訪れる。

 

光り輝く空が急に暗くなり始めた。原因は突如現れた黒雲である。そしてその中から自分達と同じくらいの黒い巨人が現れる。

その宇宙人は嘗てこの宇宙を支配した【レイブラッド星人】、【ジュダ】に並ぶ存在【暗黒宇宙大皇帝エンペラ星人】であった。

 

エンペラ星人は全てを闇に染め上げる為にこの光輝くウルトラの星を滅ぼそうと傘下の多くの怪獣や宇宙人と共に攻め込んで来たのだ。

故郷と住人達を守ろうと宇宙警備隊のメンバーはそれぞれ怪獣、宇宙人と戦闘を開始。その中の一人、若く強い期待のエース、後に「ウルトラの父」と言われる二本の角を生やしたウルトラマン【ウルトラマンケン】がエンペラ星人との一騎打ちを試みた。

 

死闘の果てケンとエンペラ星人は右脇に傷を負い相打ちに終わった。エンペラ星人は思わぬ深手を負い撤退、多くの犠牲者を出したものの何とか勝利することが出来た。これが後に「ウルトラ大戦争」又「ウルティメイトウォーズ」と呼ばれるようになった。

 

そしてケンはこの戦いの功績が認められウルトラ警備隊の初代隊長に任命された。

 

「ウルトラマンの故郷でこんな事があったなんて…」

 

「あんなに沢山の怪獣と宇宙人を部下にしていた上に、そいつら全員連れて攻め込んで来たんだもんな」

 

「それにあの黒い巨人の力は映像だと分かっていても直に受けているかのようだった」

 

「確かにあの黒い巨人の闇は俺のダークシャドウとは比べ物にならない程の力を感じさせられた」

 

「でもあれだけの怪獣や宇宙人を相手に一歩も引かないで立ち向かって行くところ凄かったよなぁ」

 

「あぁ。特にあの角の生えたウルトラマンの戦っている姿「男」って感じがしたぜェ」

 

皆反応はそれぞれだが黒い巨人【エンペラ星人】の力に恐怖していた。何万もの部下の怪獣、宇宙人を連れて一つの星に攻めて来たのだから無理はない。まだそんな大戦争を経験した事がない子供達には刺激が強かったと思ったが、屋内戦闘での宇宙人の襲撃に一昨日のUSJでのヴィランの襲撃を切り抜けた事だけあって肝が据わっていたみたいで恐怖は感じられなかった。やっぱりこの子達は強い人間になるだろう。

 

「あ〜あ、俺もウルトラマンみたいな強い力が欲しいぜ。そうしたらヴィランなんかバンバンやっつけられるのによォ!」

 

「強い力…か…」

 

その言葉にハヤタさん達は顔を伏せてしまう。

 

「…光輝すまないが変わってくれないか?」

 

「えっ?別に構いませんけど」

 

深刻そうな顔をして…これから一体何を話すんだろう?

 

「皆…これから見せるものは君達には心を痛めてしまう事かもしれないが君達のこれからの為にも見せようと思う……この星の真実を」

 

「真実?」

 

「実はこの【ウルトラ大戦】の後、さらに最悪な事が起きた」

 

映像が変わりある建物の中が映し出されその先に光輝く物ーーーーーウルトラの星最大の宝【プラズマ・スパーク】があった。そしてその【プラズマ・スパーク】に近づく一つの人影が現れた。

 

あれ!?これってもしかして!?

 

そしてそのウルトラマンがその光に手を伸ばし触れた途端、【プラズマ・スパーク】の光に耐えられず身体が不安定になってしまった。カラータイマーも「ピコン、ピコン」と赤く点滅し始める。

 

「これは?」

 

「このウルトラマンはもっと強い力を求め【プラズマ・スパーク】の力を独り占めしようとしたのだ。しかし【プラズマ・スパーク】の力は彼の力を大きく上回っていた為その光に触れた瞬間、身を滅ぼしてしまった」

 

「そして星の最大の罪を犯した彼は星を永久追放されてしまったのだ」

 

そのウルトラマンはウルトラの星を追放され宇宙を漂流して小さい小惑星で動けなくなっていた。そんな時エンペラ星人と同等の存在であった【レイブラッド星人】の魂が現れる。

 

レイブラッド星人は肉体はずっと昔に滅びたがその精神だけは生き続けていたのだ。

 

『今お前に力を与えてやる』

 

そしてレイブラッド星人はそのウルトラマンの身体の中にへと入り込もうとする。そのウルトラマンも抵抗しようとしたが体力の消耗により抵抗も虚しくあっという間に完全に身体に入り込んでしまった。

そしてそのウルトラマンの姿は豹変してしまった。

 

身体の銀色の部分が黒く塗り潰され、両手の指が鋭く尖り、目が真っ赤に染まり鋭く吊り上がり青いカラータイマーが紫になっていた。

 

 

ここに暗黒にして光の国が生んだ最強最悪のウルトラマン【ウルトラマンベリアル】が誕生した。

 

 

そして彼は100体の怪獣を操る事が出来る最強のアイテム【ギガバトルナイザー】を手に入れた。

 

「100体の怪獣を手に入れた彼は光の国に復讐を果たそうとしたんだ」

 

ベリアルは光の国には降り立つと100体の怪獣を召喚。そして辺り一帯を破壊し始めた。ウルトラマン達は止めようと奮闘するもエンペラ星人との戦いのせいで押し切られていた。

 

ベリアルはその合間にも【プラズマ・タワー】の中へと進んでいた。その途中に重傷を負ったウルトラマン達に目をやった。その内の一人のウルトラマンがベリアルに立ち向かうが目もくれずその奥にいた一人の女性のウルトラマン、いやウルトラウーマンをギガバトルナイザーで吹き飛ばした。

 

『マリー、俺は光の国を征服し銀河の王になってやる!』

 

『貴方の思い通りにはさせません!』

 

『どうかな?』

 

ベリアルがギガバトルナイザーを振り上げた瞬間ウルトラマンケンが間に入りマリーを守った。

 

『止せベリアル、この星はお前の故郷だぞ!』

 

『故郷ォ?フン、知らねェなァ。そんなもん滅ぼしてやる。俺はお前らへの復讐の為に帰って来たんだ!』

 

しかしベリアルはそれに耳を貸さずギガバトルナイザーを振り回しケンを振り払いベリアル・ショットで吹き飛ばした。

 

「あんな強いウルトラマンさえも歯が立たないとは…あのウルトラマン相当強いぞ」

 

「ヤベェよ、ヤベェよ。このままじゃ殺られちまうぞ!!」

 

皆がエンペラ星人と相打ったウルトラマンケンでさえ蹴散らすベリアルの強さに恐怖する。

 

そしてベリアルがトドメを刺そうとして次の瞬間、上空から眩い光が現れる。その場にいた者達はあまりの輝きに眩しくて動きを止めた。その隙に一筋の光のカッターがベリアルを弾き飛ばした。ベリアルの手から離れたギガバトルナイザーは地面にへと突き刺さる。

 

光が地面に降り立つとそこには赤いマントを付けた一人のウルトラマンがいたが、他のウルトラマン達と見た目が違かった。

 

彼こそは【キング星】と呼ばれる場所にたった一人で住んでいると言われている伝説の超人【ウルトラマンキング】である。

 

『ベリアル…光の国を汚す者よ』

 

ベリアルは何とか立ち上がるがキングは超能力を使って動きを封じ込めそのまま上空にへと持ち上げる。

 

『闇の中で罪の報いを受けるがいい!』

 

散らばっていた瓦礫を集めベリアルの周りを囲い大きな岩の塊【宇宙牢獄】となってベリアルを閉じ込めた。

 

 

『永遠に』

 

 

こうしてベリアルは宇宙牢獄にへと幽閉されギガバトルナイザーは【炎の谷】と呼ばれる場所に封印されたところで映像は終わった。

 

「…これが我々の星の真実だ」

 

「…ウルトラマンの星にこんな事があったなんて…」

 

「まさかウルトラマンが悪に染まちまうなんて…」

 

「…とても信じ難い事ですわ」

 

皆衝撃を受けた。正義の味方であるはずのウルトラマンが悪の道に堕ちてしまったのだからこの世界で言うならヒーローがヴィランになってしまう事になる。

 

「君達には衝撃的だったと思うが、これも君達の為だった」

 

「僕達の…」

 

「君達はヒーローになる為に強くなろうとしている。それはいいことだと思う。しかし唯強くなろうとしてはいけない。強さだけを求めればいずれ道を踏み外してしまう事もあり得る」

 

そうだ。実際ベリアルはもっと強くなろうとした結果、自らの身を滅ぼし悪へと堕ち道を踏み外してしまい宇宙を征服しようとした。

 

「君達から見れば我々は完璧かもしれないがそれは間違いだ。悩む事もあれば、過ちを犯してしまう事もある」

 

「この世に完璧な存在は居ない。故に君達は日々努力し明日を目指しているのだろ?」

 

その言葉に皆「ハッ」とした顔をする。

 

「君達の求める強さとは何なのか、そして何のために強くなるのかよく考えてほしい」

 

「そうすれば君達は我々を超えるヒーローになれるだろう」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「あぁ。我々のいた世界の人間も我々に負けないくらい強い心を持っていた」

 

「人間には我々を超える可能性を秘めている。勿論君達にもそれはある」

 

その言葉の聞いて先程とは一変して皆顔色が明るくなった。ウルトラマンからそんな事を言われたら嬉しかったのだろう。俺もそんな事言われたら同じ気持ちになると思う。

 

「君達はまだヒーローの卵。だから悩む事もあるし、迷ってしまう事もあるだろう。しかしその感情に負けてはいけない」

 

「今の君達は言わば可能性の塊だ。その可能性をどうするかは君達次第。日々己を高める為に努力するように」

 

『はい!』

 

 

キーンコーン、カーンコーン

 

 

皆の返事と共にチャイムが鳴って授業が終わった。

 

「時間か。お二人共初日からご苦労様でした」

 

「いやいや、礼を言われるような事はしていないよ」

 

「我々は彼等のこれからを応援してやっただけだ」

 

「1時間目はここまでだ。2時間目からはいつも通りの授業に戻る、気を抜くんじゃねェぞ。」

 

相澤先生はハヤタさんとダンさんに御礼を言うと教室を出た。それじゃあ俺も戻るとするかな。

 

「礼堂さん」

 

部屋を出ようとしたらいきなり呼び止められてしまった。後ろを向くと緑谷君がいた。

 

「今回はウルトラマンの事教えてくれてありがとうございます。あの〜、出来ればまた教えていただけないでしょうか?」

 

どうやら今回の話を聞いてウルトラマンの事をもっと知りたくなってしまったようだ。でも同じ男してその気持ちは分かる。

 

「あ!それ俺もいいスか?」

 

「ウチもウルトラマンのもっともっと知りたい!」

 

「僕もだ。ヒーローを目指す者として是非とも見本としておきたい」

 

緑谷君に続いて他の子達も言ってきた。まさかここまで大人気になるとは。それもこの世界だからなのかな?

 

「分かったよ。じゃあまたいつか授業でやろう」

 

その言葉に質問してきた子達は皆「ヤッター」と叫ぶ者もいれば「よし」とガッツポーズする者もいた。

 

「でも先ずは次の授業の準備をしないとね」

 

そう。まだ1時間目が終わったばかり。直ぐに次の授業が始まる。それを聞いて皆急いで次の授業の準備を始めた。

 

俺は教師を出て廊下を歩きながら次のウルトラマンの授業について考えていた。

 

今回は光の国の歴史を教えたからな。順番から言ってやっぱり次は初代ウルトラマンの事についてかな。

 

でも先ずは体育祭に向けての準備をしなくてはいけないな。この体育祭一体どうなるんだろ?

 




光の国の裏歴史まで教えたのはただ強さだけを求めてはいけない事を理解してもらいたかったからです。これをきっかけに考え方を変わってもらいたいです。(主に爆豪とか爆豪とか)

次回は出久とオールマイトの会話に礼堂を入れての話となります。出来れば体育祭開始までいきたいと思っております。

感想やお気に入り、高評価の方お願いします。


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17話 オールマイトからのお願い そして体育祭開幕

大変遅くなりました。
色々と年末とかで忙しくストレスが溜またりして意欲が沸かずにここまでになってしまいました。

今回は先ずオールマイトが光輝にある頼みごとをします。察しがいい皆様は多分感づいていると思います。その後に雄英体育祭開始まで持ってきました。なんかゴチャゴチャになっていたらすみません。

(注意)オリ主はUSJまでの出来事までしか知らない設定です。


初めての授業が終わって俺は今職員室にいる。先生達は自分達の担当の授業がない時は次の授業の内容や色んなカリキュラムを立てなくてはならないので忙しい。しかも体育祭と言う名のイベントが迫っているから余計に。

しかしウルトラマン80である矢的猛さんは防衛チームの隊員だった上に、中学生の教師でもあったからこんな大変な事をしていたんだな。また違う意味で尊敬するわ。

 

 

 

キーンコーン、カーンコーン

 

 

 

四時間目の終わりのチャイムが鳴りお昼になった。確かこの学園には食堂があったな。俺もそこで食べようかな。そう思い席を立つとトゥルーフォームのオールマイトがやって来た。

 

「礼堂君。いきなりで悪いんだけど君に緑谷少年の事について頼みたい事があるだがいいかな?」

 

「?別に構いませんよ」

 

「すまない。《ボン!》ーーーじゃあ私は緑谷少年を呼んで来るから先に休憩室で待っていてくれェ!《ビーン》」

 

一瞬にして筋肉ムキムキのマッスルフォームになって緑谷君を呼びに出て行った。あの身体の変化どうなっているんだろう?…そんな事より休憩室へ行かないと。

 

職員室を出て廊下を暫く歩くも休憩室にへと辿り着き中にへと入る。中には3人くらい座れるソファーが2つと少し大きめのテーブルが一つ置いてあった。ヘェ〜、教師の休憩室の中ってこんなになっているんだ。なんか新鮮でいいなァ。

 

そんな事を思っているとガラガラと扉が開く音が聞こえ振り向くとオールマイト(マッスルフォーム)と緑谷君が入って来た。

 

「えっ、光輝さん!?どうしてここに!?」

 

「ハハハ、緑谷少年そんなに驚く事はないよ。何故って私が呼んだからね《ボン》」

 

爆発音みたいな音を出し煙がオールマイト包み込むと中からガリガリに痩せ小さくなったオールマイト(トォルースフォーム)が現れた。

 

「オ、オールマイト!?マズイですよ!こ、光輝さん!あのこれは…その…」

 

オールマイトが本来(でいいのかな?)の姿に戻った事で何故か緑谷君が慌てだす。そう言えば彼は俺がオールマイトの秘密を知っているの知らないんだった。だからこんなに慌てているんだ。

 

「心配ない緑谷少年。礼堂君は私の秘密を知っている」

 

「え!?ほ、本当ですか光輝さん?」

 

「本当だよ」

 

「彼の秘密を教えてもらったんだから、此方だけ隠し事はしたくないからね」

 

オールマイトは「ハハハ」と笑う。軽いというかマイペースというか、でもこの人こういう所が良いところでもあるんだよね。

 

「ところで俺がこの場に呼ばれた理由ってなんですか?」

 

「うん。でもその前に君達には伝えておかなければならない事が…」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「何ですって!?活動時間が!?」

 

「あぁ。私はこの間の戦いで無茶を続けてしまった為【マッスルフォーム】を維持出来るのも1時間半前後、ヒーローとしての活動時間は1時間持つかどうかって所になってしまった」

 

確かにあの脳無と言う改造ヴィランにかなりの負傷を負わされ、活動時間をオーバーした上に100%以上の力を出してしまったのが原因だろう。

 

「すみません、俺がもっと早く駆け付けていれば…」

 

「そんな光輝さんのせいじゃないですよ。僕の方こそもっとちゃんとしていれば…」

 

「ハハハハハ!そんな謝らなくていいよ。しかし君も緑谷少年も私に似ているなァ」

 

オールマイトが場を和ませようと笑って茶化してくれたのはいいけど、血を吐きながらは辞めてほしい!正直言って直で見ると心臓に悪い!

 

「それで本題なんだけど緑谷少年、君はまだ上手くワン・フォー・オールの調整出来ないよね?」

 

「はい…でも一回、あの脳無と言うヴィランに最初攻撃した時コントロール出来ていたんです!」

 

原作(その時)の事を知っているから俺は驚かないけど、その後オールマイトを助けようと飛び出した時には折れてしまった。

まだまだ色々な試練という名の困難が待ち受けているかもしれないのにこのままではマズイ。いざという時に戦えない状態になってしまう。

 

「そこで礼堂君、折り入ってお願いがある。ーーーーー君の師匠に頼んで、緑谷少年を鍛えてほしい」

 

…は?

 

『エェェーーーー!!』

 

この人何言ってんの!常々規格外だと思っていたけどまさかこんな事まで言うなんて思わなかったよ!

 

「何言ってるんですかオールマイト!?正気ですか!?」

 

「可笑しい事を言っているのは充分承知だ。しかし私がヒーローとして活躍出来る時間はもう長くない。悪意を蓄えている奴の中にそれに気付いている奴がいる。現にこの間の黒服の男は私の体力の限界にその事に気付いていた」

 

黒服の男…ヤプールの事だ。この間の会議で聞いたがアイツはオールマイトが脳無を倒した後煽りを入れたがそれが虚勢である事に唯一の気付いていた。

その事がヴィラン達に知れれば今度は倍以上の数で攻めてくるかもしれない。

 

「だから緑谷少年…私の個性を引き継いだ彼がーーー次世代のオールマイトである緑谷出久が「来た」と言う事を世間に知らしめてほしんだ!」

 

オールマイトの目はマッスルフォームになっていないのにそれと同じくらいの威圧感を感じた。この人は彼の…緑谷君の内に秘められた大きな可能性を信じている。勿論俺もだ。しかし…

 

「お話は分かりました。でも最終的にそれを決めるのは緑谷君、彼だ」

 

「ぼ、僕ですか!?」

 

「そう、これは体育祭。己の個人的な感情で動いて良いわけではない。だからどうしたいかは自分で決めてほしい」

 

「…」

 

緑谷君は顔を伏せ黙り込む。この間ヴィランに襲われてたばかりで今度は俺の師匠つまりウルトラマン達に修行させてほしいなんて言われたらねェ。

 

「…僕はまだまだ未熟です。でも僕はオールマイトのようなヒーローになりたい…沢山の人を救えるヒーローになりたい!」

 

緑谷君は伏せていた顔を上げて大きな声で言い切る。その目には強い闘志が感じられた。

 

「光輝さん!どうかお願いします!」

 

「…分かった。君のその強い意志に答えてお願いしてみよう。でもオールマイト、鍛えたからと言って完全に使いこなせる事は難しいですよ」

 

「あぁ、分かっている。体育祭まであまり時間もないしね。でも責めて力の制御が出来るようになってほしいかな…」

 

それは言えている。毎回毎回骨が折れてたら大変だしね。

 

 

 

 

 

 

その後放課後にAクラスの前に大勢の人が集まってなんか色々と騒ぎになったみたいだけど特に何か起こった訳ではないみたいなので省略。

 

次の日緑谷君が掃除したあの海岸へと呼び特訓を開始した。今回特訓を付けさせてくれる方はウルトラマンレオこと、おおとり・ゲンさんである。

 

軽い準備運動と走り込みをした後特訓が始まった。ゲンさんのスパルタな特訓の前に緑谷君は何度も何度も吐きそうになり涙を流した。その度に「その涙は何だ!その目は何だ!」と喝を入れられる。俺はゲンさんを止めようとしたが緑谷君は自分から「次…お願いします」と前にへと進んでいった。

この子は本当に強い心を持っている。その頑張りを見てゲンさんもなんだか微笑んでいるように見えた。

 

 

 

 

 

 

時間は過ぎていき遂に体育祭…その当日がやってきた。体育祭とは一大イベントの一つであるからか沢山の屋台が出ていた。まるでお祭り気分だ。そして大勢のプロヒーローが来ていた。元々スカウト目的で訪れているのが多数だろうが今年は警護も兼ねて毎年の倍近くいるらしい。そして俺はどうしているかと言うと…

 

『イェーイ!会場のリスナー達盛り上がってるかい!今年もやって来たぜ雄英体育祭!実況は俺【プレゼント・マイク】!そして解説はA組の担任【イレーザー・ヘッド】と副担任の【礼堂光輝】だぜ!」

 

…何故か相澤先生と一緒に解説役に回されていた。

 

「何故こんな事に…」

 

「諦めろ。マイクは一度言ったら聞かねェ」

 

『雄英体育祭ィ!ヒーローの卵達が我こそはとしのぎを削る年に一度の大バトルゥ!やっぱ注目すべきはこれだろう?敵の襲撃に受けたにも関わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新生!ヒーロー科一年A組みだろう!』

 

その言葉の後にAクラスの皆が入場してくる。一部は子はやっぱり大勢の人から見られて緊張しているな。特に緑谷君はガチガチだ。

 

『話題性では負けちゃいるがこっちも実力派揃いだ、ヒーロー科一年B組!続いて普通科C、D、E組!サポート科F、G、H組!そして経営科I、J、K!雄英一年揃い組だ!』

 

なんかヒーロー科以外の説明が簡単に終わらせている。確かにヒーロー科が注目されるのは分かるけど、他の子達も紹介してあげてもいいと思うな。

 

『皆んな静かに!選手宣誓!!』

 

主審を務めるのは18禁ヒーロー【ミッドナイト】である。しかし18禁ヒーローと言う肩書きだけでも色々あると言うのに、高校の教師として勤めていて問題ではないのだろうか?そこ謎だよなァ。

 

『選手代表!1年A組、爆豪勝己!』

 

あの子が代表か。まぁ入試トップだから当然と言えば当然か。でもあの子の事だからなんか煽りそうな事を言いそうで不安だ。現にA組の子の何人はソワソワしてるし。

 

 

『せんせー、俺が一位になる!せめて俺が目立つための踏み台になれよなァ!!』

 

 

やっぱりかァーー!!あんな事を言ったせいで大勢の生徒がブーイングが放たれる。想像していた通りの展開になった。

だけど彼の今の発言には自分を追い込んでいる。彼はこの高校に入り自分より上の存在の子がまだまだ沢山いる。それはヒーロー科以外にもいるかもしれない。個性、頭脳、テクニック…世の中は力だけで全て上手くいくほど甘くはない。だから敢えて相手を見下し自分を追い込んでいる……のかもしれない。まぁ、発言に問題があるのは変わりないけど…。

 

『さぁて、それじゃあ早速第一種目いくわよォ〜』

 

そんなことを考えていたらなんか色々と進んでいた。

 

『所謂予選!毎年ここで多くの者が涙を飲む(ティアドリンク)!!さぁて運命の第一種目…今年は……コレ!』

 

彼女の後ろのモニターに種目名が表示されるそこに映し出されたのは…

 

 

 

 

「障害物競走」

 

 

 

 

障害物競走…運動会とかで定番の種目の一つだよね。

ルールは主に普通の競走と変わらないが進むコースさえ守れば何をしても構わないバトルロイヤル制。ヒーローを目指す者にとって普通の障害物競走でないことは予想がついた。

 

『ほら位置につきなさい。ゲートが開いたと同時にカウントが始まるわよ』

 

ミッドナイト先生の指示で皆スタート地点に着く。そして次第にゲートが上がっていき皆緊張が走る。

 

 

『それじゃあ全員位置について……スタート!』

 

 

皆一斉にスタートした…と思いきやスタート開始直後地面が凍り始め殆どの生徒達が氷漬けにより身動きが取れなくなった。これは轟君の個性だね。氷で足場を凍らせ皆の動きを封じトップに立つ作戦に出たか。

しかし世の中そんなに甘くはいかないよ。轟君の個性を知っているAクラスの子達が個性を使って氷漬けを免れ飛び出す。続いて氷漬けを免れた数人の生徒達が追いかける。

 

その中には緑谷君の姿もあってなんか安心した。彼はここで行き詰まったりしないと思っているけど数週間とは言え稽古をつけた者として少し心配していたからね。

 

そんな彼に迫る小さな影。あれは峰田くんか。自分の個性の自身には跳ねる特性を活かしてスピードを上げ、しかも他人にはくっ付いて取れなくなるから他の生徒達の障害にもなる。中々悪くない戦術だと思う。

そのまま緑谷君に仕掛けようとした矢先に何かによって峰田君は吹き飛ばされた。そこに居たのは入試試験の時に使われていた0Pの巨大仮想ヴィランであった。しかも一体、二体なんてものじゃない。軽く見積もっても十体近くはいる。

 

これが最初の関門仮想ヴィランの大群である。

 

入試の時はただ逃げれば良かったが今回はそうはいかない。この仮想ヴィランを突破して先に進まなきゃ行けない。果たして彼らはどう突破するのか?

 

 




今年も今日でおしまいです。そして活動報告ある報告があります。何なのか気になる方はそちらをどうぞ。それでは皆様良いお年を!


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18話 波乱の体育祭開催 その裏に蠢く闇

大変遅くなってすみませんでした。
最近他の作品もそうなのですが、リアルが忙しくて筆記意欲が湧かなくて…。

大変遅くなってしまった事をお詫びします。
その上障害物競走と騎馬戦はダイジェストになってしまいました。
暖かい目で見ていだだけたら幸いです。
(因みに光輝はUSJの所までしか知らない設定です)
それではどうぞ。



遂に始まった一大イベント雄英体育祭。最初の種目障害物競走。その第一関門ーーー巨大仮想ヴィランを初め入試の時に使われた仮想ヴィランの大群。コイツらを屈して前進せよ!

 

 

 

巨大仮想ヴィランが腕を振り上げ選手達に襲いかかろうとすると、轟君が自身の個性で仮想ヴィランが凍りつかせ、動きが止まる。その隙に彼は前に進んで行く。他の生徒達もその間を通ろうと進むが自身の重さに耐えきれず崩れ落ちる仮想ヴィランを前にして多くの選手が立ち止まった。

 

しかしそれを関係ないとばかりに前に進む者達が数人いた。しかもその殆どがA組の生徒達だ。

 

「やはり他の組の奴らとは違いA組の連中は立ち止まる時間が短いな」

 

相澤先生の言う通りヒーロー科のB組や普通科のC組も決して悪いわけじゃない。でもA組の生徒達は他の組と比べて正気に戻った時間が早かった。

これは実際ヴィランに襲われ戦闘をしたと言うのが大きな結果を生んでいるんだと思う。

 

『第1関門はドンドン突破してってるな。流石だぜ!でも次はそう上手くいかない。落ちたら即アウト!第2関門は地獄の綱渡りその名も【ザ・フォォーール】!!』

 

次に立ち塞がったのは無数の崖。その間は深い谷底になっており、繋いでいるのは細い一本のロープのみ。これは落ちれば一たまりもない綱渡りである。

 

正直幾ら何でもこれは少しやり過ぎではないのか。ヒーロー科は勿論のこと普通科やサポート科の生徒達には厳しいと思う。

だがこれは個性が向き不向きとかではなく自身にある根性、基勇気を試す関門でもある。現に多くの選手が立ち止まってしまっている。しかしそんな空気を壊す者が。ピンク髪でゴーグルを掛けた一人の女子生徒が大声を上げたと思う崖にへと飛び降り装着していた道具で一気に数メートル先の岩場へ飛び乗った。その選手に負けていられないと火が付いた者達が次々と進み始める。

 

トップはやっぱり轟君が独走中。その後ろを爆豪君が凄い勢いで追いかけてくる。スタート時よりペースが上がってきているところを見るとスロースターターぽい。しかし轟君何か焦っているように見える。後ろの選手に追いつかれる焦りとはまた違う。一体何があったんだ?

 

そして遂に最終関門に突入。見た目は何もない普通のグラウンドと同じように見えるが至る所に何かが埋めたような跡がある。あれは…

 

『さぁ最終関門に突入!ラストは……一面地雷原!!地雷の位置はよく見りゃ分かる仕様になってんぞ!目と耳酷似しろ!』

 

『地雷ってそれ本当に大丈夫!?』

 

『ノープロブレム!地雷は競技用で威力は大したことない。だが音と見た目は派手だから失神必至だぜ!』

 

『人によるだろう』

 

地雷エリアに入った選手達は次々と爆発に巻き込まれて派手に吹き飛ばされる。一方トップの轟君は地雷の位置を確認し慎重に進んでいく。

しかしそれを爆風で地面スレスレを飛行する爆豪君が一気に距離を詰め2人が並んだ。

お互い足元を気にしている為なるべく激しい戦闘は避けて地雷原を踏まずに進んでいく。

 

そんな中後方で物凄い爆発が起きる。その爆風の上空にいたのは仮想ヴィランのパーツを抱えている緑谷君だった。あの爆風を利用して一気に距離を詰め勝負を決めにきたか。でも今まで地雷の爆発する瞬間を見たが一つであそこまでの爆発は起きないはず。恐らく複数の地雷を集めて一気に爆発させたんだろう。

 

そしてそのまま勢いに任せて轟君と爆豪君を抜いた。しかしそれを許すはずもなく爆豪君は両手からの爆発を利用して轟君は足元を凍らせて距離を縮める。2人が緑谷君を追い越そうとしたその時持っていた仮想ヴィランのパーツを地面に思いっきり叩きつけた。その衝撃で複数の地雷が爆発し緑谷君は前に吹き飛び会場目掛けてそのまま走り出す。

 

すぐ後方には轟君と爆豪君の2人が迫る。そして最初に会場に戻り一位を勝ち取ったのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷出久であった

 

 

 

 

そしてその3人の後ろから続々と選手達が会場に戻ってきた。

 

これにて第1種目目は終了しその内上位42人が第2種目目に進むことが出来る。

 

その種目とは【騎馬戦】である。

 

参加者は2人から4人までのチームを組んで貰う。ルールは普通の騎馬戦と同じだが今回第1種目を突破した時に割り振られたポイントによって騎馬の重要性が変わってくる。

ポイントは42位から5ポイントずつ上がっていき1位の人には1000万ポイントが与えられるそうだ。…これ1位の人のポイント配分おかしくないかな?

 

それから約15分間のチーム決めが終わり計11チームが出来上がりスタートの合図と共に一斉に1000万ポイントを所持している緑谷君のチームに走り出す。

 

 

(この間の戦いは原作と同じなので以下省略)

 

 

結果ーー轟君のチームに1000万ポイントは取られてしまったが常闇君が一つ鉢巻を取っていたお陰で緑谷のチームは決勝戦に進ん事が出来た。

 

しかし一位で通った轟君本人は何故か浮かない顔をしていた。

 

そしてここでお昼休憩となり皆食事やトーナメントに出場する選手は次に備え軽い休息を取るのであった。

 

さてじゃあ俺もお昼に行くとするかな。

 

『光輝大変だ!』

 

突如セブンがテレパシーで話しかけてきた。

 

「どうしたんですか?」

 

『この学園内に邪悪な気配を感じる!』

 

「何ですって!?何処ですかその場所は!?」

 

俺はセブンに誘導されながら急いで邪悪な気配がした場所に向かった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

轟焦凍ーーーーーーーー彼はオールマイトに次ぐNo.2【エンデヴァー】の実の息子。しかし彼はその実の父親を憎んでいると言っても過言ではない。

 

【エンデヴァー】は万年2位でオールマイトを越えることが出来ないでいた。そこで彼が手段が「個性婚」である。自分の持つ炎の個性と相手の個性を掛け合わせればオールマイトを越える子が誕生すると見込んでのことだった。そして生まれた子が轟焦凍である。

 

彼は物心ついたその時からオールマイトを越えるために父親から厳しい仕打ちを受け続けてきた。

彼の記憶の中では母親はいつも泣いていた。父親の自分への仕打ちは母親の方にも矛先が向いていたのだ。そして母親から衝撃の事を言われてしまう。

 

 

 

 

 

ーーーーーーお前の左側が醜いーーーーーー

 

 

 

 

そう言われて終いに煮え湯を浴びせられ、母親は病院で長期入院することとなった。

それ以来彼は左側(父親の力)は使わず右側(母親の力)だけ使いオールマイトを越えるそう頑なに誓ったのであった。

 

 

ーーーーー父親を完全否定するためにーーーーー

 

 

彼はこの事を全て緑谷出久にへと話した。その理由は騎馬戦で彼と真正面から向かい合った時、オールマイトと同じ威圧感を感じ咄嗟に左側(父親の力)を使いそうになったからである。

 

緑谷はこの時を聞いて知った。皆目指す場所は同じでも考えている事をは違う。それは分かっていた。しかしこうまで轟が色々抱え込んでいたとは思わなかったのだ。

 

しかし緑谷は真っ直ぐな目でこう言った。

 

 

「僕も…君に勝つ」

 

 

轟はそれを涼しい顔をしながらその場を後にした。

 

 

 

 

それから暫く歩き人気のないところへやって来た。

 

「緑谷…お前が何と言うと俺は右側(母さんの力)だけで勝つ。左側(クソ親父の力)には頼らねェ」

 

右腕を強く握りして再び心にそう誓うのであった。

 

 

 

 

 

「ほぉ…それがお前の持つ闇か…」

 

 

 

轟は後ろから声を掛けられたので振り向くと、その人物の顔を見て驚いた。何故なら目の前にいるのはUSJを襲撃した時の主犯格のヴィランの一人だったからだ。

 

「お前ッ!何故ここに!?」

 

「人間ごときの警備で私が侵入出来ないとでも思うか?」

 

轟は個性を発動させ戦闘態勢に構える。

 

「おっと、ここでの戦闘は辞めといた方がいいぞ。それともヒーローを目指す者が一般人に被害を及ぼす気か?」

 

相手は人間ではない未知の存在。そんな相手に自分の個性が通じるかと思うとわからない。かと言って全力で個性を使えば一般人に被害が及ぶ可能性がある。悔しいが素直に大人しくなった。

 

「そうだ、それでいい。さて本題に入るとするか」

 

「本題だと?」

 

「あぁ、その本題と言うのはーーーーーーーお前の左側の力の事だ」

 

轟はその言葉に目を見開く。そう、さっきの話を聞かれていたのだ。

 

「お前は左の力が憎いんだろ?母親を傷つき、お前を憎むキッカケとなった父親の力が…」

 

「…だからなんだ。お前がそれを知ったからって何の得もないだろ?」

 

「いやそうでもないぞ。少なくともお前には大きなメリットがある」

 

「俺にだと?巫山戯た事言ってんじゃねェぞ」

 

「それはどうかな?貴様も気付いているはずだ。自分が父親をどうしたのかを」

 

「俺が…クソ親父をどうしたいのか?」

 

「そうだ。私の元にくればその望みを叶えてyッ!チッもう勘付かれたか。この話はまた後でだ。もっと自分の欲望に忠実になれ。そうすればお前の望みは叶うぞ、ハハハハハハハハハ!」

 

黒服の男の後ろの空間がUSJで見た時と同じようにガラスのように割れ、男は高笑いをしながらそのまま中に入っていった。そして空間は逆再生のように元に戻った。

その直後にセブンに誘導された光輝が到着した。

 

「轟君!」

 

光輝はすぐ様轟に駆け寄り安否を確かめる。

 

「大丈夫、何か変な事でもされた?」

 

「いや、大丈夫です。心配掛けてすみません」

 

「それなら良かった。あっ!もうこんな時間。急がないとお昼休み終わっちゃうよ。早く戻ろう」

 

まだ昼食を摂っていなかった事をあり光輝は急いで会場にへと向かった。轟はその姿を観ながらゆっくりと会場へ向かうのであった。

 

 

「(アイツ(黒服の男)は俺がクソ親父をどうしたいのかに手を貸すと言った。あれはどう言う事だ?緑谷との話を聞いていたのなら俺がクソ親父を否定したい事は知っている筈だ。それ以外に何かあるってのか?)」

 

しかし彼は男が最後に言った事が気になりその言葉が頭から離れないでいた。

 

 

そして光輝や轟本人も知らなかった。

 

この時(轟焦凍)の中に悪の目が出始めていた事を…

 




最後グダグダになってしまったかもしれませんが、次のトーナメント戦もダイジェストになってしまうかもしれません。
理由としては早くオリジナル展開を出したいからです(土下座)。

それではまた次回、もしくは別の作品でお会いいたしましょう。


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19話 体育祭終了 いや…終わるにはまだ早いぞ

どうもアニメ大好きです。
大変長らくお待たせいたしました。
第4期が遂に始まりました。先週は台風の影響で私の住んでいる地域は放送が中止になり見れませんでしたが、今日4時から1話が放送され、そしてその1時間後に2話が放送されると言う嬉しい状況になりました。これで元は取れたかな。

今回はタイトル通り体育祭の最後まで行きます。
そして表彰式にUSJに現れたあの男が出ます。
そして最後に轟が大変な事に!
続きは本編にてどうぞ。

※トーナメント戦はダイジェストな上、本編にもありますが2回戦目以降は省略させていただきます。ご賞味ください。


お昼休みが終わり午後の部ーー最後の大勝負、騎馬戦で勝ち残った上位4チーム計16名による決戦が始まろうとしている。

 

『最終種目発表の前に予選落ちしたみんなへ朗報だ!あくまでも体育祭!ちゃんと全員参加のレクリエーション種目も用意してあんのさ!!本場アメリカからもチアリーダーを呼んで一層盛り上が……ん?なんだありゃ?』

 

『何やってんだアイツら?』

 

…のに何故かA組の女子は全員チアリーダーの格好をしていた。八百万さんがある方向へ向かって叫んでいる。その方へ顔を見ると上鳴君と峰田君がガッツポーズをしている姿が目に入った。

 

…あの2人が主犯か。これは体育祭終わったら色々と大変な事になりそうだ。

 

『さぁさぁ、皆楽しく競えよレクリエーション!それが終われば最終種目!進出した4チーム、総計16名によるトーナメント形式!!一対一のガチンコ勝負だ!!』

 

最終種目は一対一のトーナメント形式か。まぁ最後を飾るのにしちゃ当然と言えば当然の種目かな。

対戦相手を決める為にミッドナイト先生がクジ引き用の箱を持って来た。いよいよ組み合わせを発表しようとしたその時…

 

 

「あの…すみません。俺……辞退します!」

 

 

…なんといきなり尾白君とB組の1人の生徒が辞退宣言をした。その宣言にその場にいた皆が「何故?」「どうして?」などの疑問の声が上がる。

理由は騎馬戦の時の出来事を何も覚えてない故、全力を出して勝ち取ったトーナメント参加の座を何も分からないまま皆と同列に並ぶのは嫌との事。

 

A組の皆は考え直すように言うがそれでも自分の意思を貫き通し辞退を取り止める事はなかった。その彼等の答えにミッドナイト先生は…

 

 

「そう言う青臭いの……好み!!」

 

 

…との事で2人のトーナメント辞退を承諾した。

 

と言うか自分の好みで決めるんだ!まぁそれもありと言えばありだけど…。

でもあの2人の意思は確かなものだ。何があったのか知らないままで決戦の舞台に立ちたくない…その心意気や良し。特にレオ師匠は彼の心意気を評価するだろう。

 

そして5位のチームが繰り上げとなったが、更にそのチームが別のチームを推薦しそこから2人がトーナメント参加となった。

 

(トーナメントの対戦相手は原作通り)

 

 

 

1回戦目第1試合の緑谷君と普通科の【心操人使】君との戦いは、心操の個性【洗脳】によって緑谷君の精神を支配して場外負けにしようとしたけど、場外直前で緑谷君が支配から脱出する。

心操君の個性は、彼が投げかけた問いかけに答えてしまうと掛かるものらしい。だから心操君が問いかけても緑谷君はそれに答えず場外へ落とし緑谷君の勝利となった。

 

心操君は負けてしまったが同じクラスからの声援で顔がスッキリしていた。

 

 

続いての第2試合は轟君と瀬呂君の対決。同じクラス同士でお互いの手の内は知っていたが、開始直後轟君が自身の個性で作り出した氷の波に瀬呂君は飲み込まれ身動きが取れなくなり戦闘不能で轟君の勝利となった。

 

しかし氷の波で相手を閉じ込めるなんて轟君らしくないやり方だった。それにあの目ーーー怨みの篭った眼差しをしていた。

 

 

第3試合は上鳴君とB組から塩崎茨と言う生徒の対戦。上鳴君はイキナリ最大出力で放電するが、塩崎さんは個性である茨の蔦を地面に突き刺しそのまま電撃を地面にへと逃し無効化してしまう。

そして許容範囲以上の放電をした事によってみんなが言う「ウェーイ」状態になってしまい呆気なく場外へ落とされてしまい塩崎さんの勝利となった。

 

これは相性にもよるかもしれないけどイキナリ最大出力で放電するのはどうかと思う。それに下手をすれば相手が感電死してしまうかもしれない事を考えているのか不安だな。

 

 

第4試合は飯田君と騎馬戦で緑谷君と組み勝ち進んだサポート科の発目さんとの対戦。しかし発目さんは自分が開発したサポートアイテムを飯田君に装着させ、開始と同時に彼の攻撃を躱しながら自身のアイテムの解説を始める。

そして数分が経ち解説が終わるとそれに満足したのか自ら場外へ降り飯田君の勝利となった。

 

しかしこれは飯田君は複雑だろうな。自分が彼女のアイテムを詳しく解説させる為の引き立て役になってしまった訳で試合終了後も「騙したなァーー!!」と叫んでいたし。

しかしサポート科だから優勝より自分が開発したアイテムの凄さを知ってほしかったのかもしれない。

 

まぁ飯田君…強く生きてね。

 

 

第5試合は芦戸と青山の対戦。

青山君は颯爽と個性の【ネビルレーザー】を使って攻撃する。芦戸さんは個性の【酸】を使いスケートのように滑りながら攻撃を回避し青山君を撹乱させる。その結果連続で個性を使ってしまった青山君がお腹を痛めてしまい、その隙を突かれ場外へ。

 

相手の弱点を上手く芦戸さんのナイスプレイだね。

 

 

第6試合は常闇と八百万の対戦。

常闇君は個性【黒影(ダークシャドウ)】を出して特攻し、八百万さんは個性で創造した盾を使って防御する。何とか攻撃を耐え反撃のチャンスを伺おうとしたが、突如常闇君の勝利宣言が入り動揺する。足元を見てみると足がリングの線を超えてしまっていた。

何も出来ずに勝負が付いてしまった事に唖然、己の体育祭が此処で終わってしまった事にショックをその場に座り込んでしまう。

 

この敗北に彼女が向き合い、これからの向上になってくれる事を願うしかない。

 

 

第7試合は切島とB組の鉄哲の対戦。

【鋼鉄化】と【硬化】。互いに個性の性質が似ている事から真正面からのぶつかり合いに発展するが、実力もほぼ互角の為ダブルノックダウンとなり腕相撲による決着が行われ、結果鉄分と取らないと個性を維持できない鉄哲君が途中で【鋼鉄化】が溶けてしまい個性を維持出来た切島君の勝利となった。

 

この勝負は互いに男らしく良い勝負だった。

 

 

第8試合はあの爆豪君と麗日さんのバトル。

爆豪君の爆破によって苦戦を強いられる麗日さん。爆豪君の女性に対しても容赦のない行いに外野のヒーロー達から「恥ずかしくないのか!」「それでもヒーロー志望か!」などのブーイングが飛ぶ。そのあまりの言い掛かりを付けるヒーロー達に注意しようと口を出そうとした時…

 

 

『おい、今遊んでいるって言った奴。プロ何年目だ?本気で言ってるんだったたら今すぐ帰って転職サイト見てろ』

 

 

…相澤先生が自ら口を出した。

爆豪君は決して油断をしていない。真面目に麗日さんと勝負している。それは決して痛ぶっている訳じゃない。お互いに個性を知っているからこそ油断せず真剣に戦っていると相澤先生は言い切った。普段は何だかんだ言ってちゃんと生徒の事を理解している…やっぱりこの先生は最高の先生だ。

 

その後麗日さんの高密度な作戦によって彼女を認めたのか爆豪君が「丸顔」から「麗日」へと呼び方を変え、ここからが本当の戦いがはじまると思ったが最初の方に受けたダメージが大き過ぎて麗日さんは倒れてしまい爆豪君の勝利となった。

 

麗日さんはよくやった。自分よりも何倍も強い相手に臆する事なく最後まで戦い抜いたんだ。メダルは取れなくても彼女にはこの試合と言う最高の功績が残るだろう。

 

 

(次に2回戦目にへと突入しますが原作通りの展開なので省略します。ご賞味ください)

 

 

最終対決は轟君と爆豪君の対決になったが、緑谷君との戦いで見せた炎の個性を使わなかった事にもあり、結果爆豪君が優勝したが当の本人はその事に納得がいかず罵倒するがそれは認められず先生達に取り押さえられ連れていかれた。

 

 

そして表彰式はオールマイトによるメダルの受理。3位の常闇君と2位の轟君、そして1位の爆豪君にメダルが受理されるが、納得がいかない爆豪は暴れないように鎖でグルグル巻きにされてしまっていた。しかし優勝したのにあの姿で表彰は何とも言えないな。

 

そして全ての行事が終了した事により終わりを締めくくる最後の一言!

 

 

『セェーの、プルスウル「お疲れ様でしたァァ!!」トラ…エッ?それはないでしょうオールマイト!?』

 

 

「いや、だってみんな疲れてるからと思って…」

 

最後の最後で締まらないな。まぁ何はともあれこれで体育祭は無事に終了!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、まだ終わるには早いぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…なんて事はなかった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

突如謎の声が会場内に響き渡り一般人や生徒達、そしてプロヒーローまで動揺し始める。

 

「(今の声、それにこの気配…ま、まさか!?)」

 

怪しげな気配を感じた光輝は会場の入場門の方を見ると、全身黒服で黒い帽子を被った怪しげな中年の男。

 

「おい、誰だあれ?」

 

「見るからに怪しい…もしかしてヴィラン!?」

 

「あ、アイツは!」

 

Aクラスの子達には忘れたくても忘れられない存在。このあいだのUSJの事件で殺されかけ、ある者はトラウマを植え付けられそうになった存在ーーーヤプール(人間体)がそこにいた。

 

「な、何でアイツがここに居るんだよ!?」

 

ヤープルは一瞬姿が消えたと思ったたら舞台の上にいる轟の元へと移動した。

 

マズイ!ーーそう思った光輝は解説室を飛び出し急いで表彰舞台にへと向かう。

 

 

 

所変わって舞台の上

 

いきなり現れ轟の近くに移動したヤープル。オールマイトを含めるその場にいた教師達が助けようと動くが、何処からともなく出現した黒い風船の紐が身体に巻き付き宙に浮き上がらせられ身動きが取れなくなる。

 

「俺は唯コイツと話があるだけだ。余計な事はしないでもらおう。それと他のヒーローどもも動くな下手に動けばコイツの命はないと思え!」

 

その言葉に観客席にいたプロヒーロー達も迂闊に動く事が出来なくなってしまう。だがそれを破る者が1人だけいた。

 

「ウォォォォーー!!」

 

轟の実の父…オールマイトに次ぐNo.2のヒーロー【エンデヴァー】である。彼は観客席から飛び出して一気に詰め寄りやプール(人間体)に殴り掛かる。しかし拳が当たる直前見えない壁によって防がれる。

 

「やれやれ、少しでも大人しく出来ない馬鹿がいるとは傑作だな」

 

「黙れ!今すぐ焦凍から離れろ!」

 

「……フン!」

 

ヤプール(人間体が)見えない壁に手を添え力を込めると向かい側のエンデヴァーに衝撃が襲いかかり吹き飛ばし近くの壁に激突する。

 

「そこで大人しくしていろ。さて、これでゆっくり話せるな小僧」

 

「お前…何でそんなに俺にばかり付きまとう」

 

「さっきも言っただろ?私はお前の中にある欲望を解き放させ苦しみから解放してやると」

 

「…だったら俺も言ってやる。俺はお前なんかに話す事はない」

 

「そうか?2回目の試合ではあれだけ否定していた左側(父親の力)を使ったにも関わらず先程の試合ではそれを使わなかったじゃないか。それはどういう事だ」

 

その言葉に轟は動揺する。2回戦目の緑谷との戦いでは彼の熱い説得(?)もあって終盤近くになって(左側)の力を使って勝利した。

しかし決勝戦の爆豪との対戦ではまだ父に対する抵抗があった為その力を使う事を躊躇い敗北した。

 

2回戦目(あの時)緑谷出久(あの小僧)に触発され使ったが、本当は使いたくないのだろう、その力は。決勝では使わなかったのが何よりの証拠だ。現にお前は憎いんだろ?母を傷つけ苦しませ、そしてその母から憎まれるきっかけとなった父親が!」

 

その言葉を聞いた瞬間まるでタイムスリップしたかのように、彼の頭にあの光景がフラッシュバックする。

 

ある夜偶々母が電話している所を目撃した。その内容は子供である自分達が父に似てくると言う事に対する拒絶の言葉。そして更には…

 

 

『あの子の左側が…醜く思えてしまうの…アタシもう育てられない…育てちゃダメなの…』

 

 

…その言葉に不意に母を呼んでしまった。それに気づいた母の目は今まで見た事ない程厳つい表情をしており、その直後沸騰したお湯をかけられ、顔の左側に火傷の痕を残した。

その後自分に危害を加えた事を知った父によって病院に入院させられる事になった。しかしその父は心配する素振りは一切無く自分には全く関係ないと言わんばかりの態度をとった。

 

 

『お前が母さんをォ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その時彼の……轟焦凍の中には父親に対する怒りと憎しみが膨れ上がり抑えの歯車が外れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ…憎い…母さんを傷付けた…家族が苦しむ事になった…母さんに憎まれるきっかけとなったクソ親父の力ァァーーーーーーその全てが憎いィィ!!」

 

轟は今までにないくらいスタジアム全体に聞こえるくらいの大音量で叫んだ。すると彼の身体から黒いオーラが登り上がった。

 

「フフフ、やっと蒔いた種が芽を出したな。いいだろう。お前の望み…叶えてやろう」

 

ヤープルは掌から何やら赤い光を轟に向かって放つとその光は彼に吸収されるように吸い込まれれていった。

 

 

「ウッ!?ウゥオォォォォーー!!』

 

 

雄叫びを上げ出した轟の目は真っ赤に染まり身体はドンドン巨大化していき次第にその姿を変化させていった。

 

 

頭蟹の身体に伊勢海老の尻尾、左右大きさの違う鋏を持ち、赤い眼を光らせる複数の甲殻類が合わさった二足歩行の怪物。それは嘗てある宇宙人によって操られ1人のウルトラマンを一時戦闘不能にさせた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇宙海獣レイキュバス
であった

 

 

 

 

「行け、レイキュバス!此処にいる人間どもを始末しろ!」

 

 

キィィィーーーーー!!

 

 

 

 




怪獣になってしまった轟。果たして光輝やAクラス、プロヒーロー達は彼を救う事が出来るのか!?
因みに何故レイキュバスなのかは次回明らかになります。
※理由が分かった人はメッセージで私に送ってきてもらっても構いません。

そして今年のウルトラマン、ウルトラマンタイガ。
私の作品と同じ様に1人の人間が複数のウルトラマンに変身して戦う作品が来た事に歓喜しています。
これによって「1人の人間が複数のウルトラマンになるのは可笑しい」という概念が覆された訳です。

オーブか〜ルーブまでのウルトラマンは他のウルトラマンの力を借りて戦っている訳で姿は違えども実質変身しているのは1人のウルトラマンな訳です。だからあくまで複数の姿()であって同一人物基同一ウルトラマンでしたから。


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20話 ウルトラマン 破れる

大変お待たせしました。
もう4期も終わりだというのにこっちは全然話が進んでいない(汗)。
正直デュエルマスターズのアプリゲームをやっていて手が付きませんでした。でももうアインストールしたので暇な時は作品作りに集中したいと思っています。
新型コロナウィルスが流行ってウルトラマンタイガの劇場版が延期になってしまった上に、いつ上映されるのかも未定。他にも観たい映画があるのに…新型コロナウィルスめェ!!

今回は前回の続きでレイキュバスの依代にされてしまった轟。彼を助け出すところからスタートです。後タイトルで分かると思いますが今回光輝が敗北します。そこはご了承ください。

それではどうぞ。

追記:戦いの最中レイキュバスの左ハサミのサイズが変化します。



体育祭の閉会式に突如現れたヤプールに気づき、大慌てで解説室を後にし急いで式場に向かう。「何故ここにヤプールが」っと思いながらも今は奴を止めることが先決のため考えるのを後にした。

すると突然大きな揺れが生じ一瞬立ち止まる。何か嫌な予感を察し急いで会場へ向かう。

 

到着すると広場の中心にいる【宇宙海獣レイキュバス】が口から火球を放ち会場を破壊していた。観客席の人達は恐怖で逃げ惑い会場は大惨事になっていた。

 

「マズイ!早く止めないと!」

 

俺はレイキュバスを止めるため変身しようするが…

 

 

「待ってください!」

 

 

…突如声を掛けられ静止する。後ろを振り向くとA組の皆がいた。いや、よく見ると轟焦凍君の姿が見えなかった。

 

「みんなどうしてここに?それに轟君はどうしたの?」

 

「あの怪物は……轟君何です!」

 

「ッ!?どう言う事!?」

 

俺はステージの上で起きた事を全て聞いた。ヤプールの手によって轟君がレイキュバスに姿を変えられてしまったことを。

 

「分かった。轟君は俺が何とかして助ける。だから君達はここにいる人達の避難の方をお願い」

 

「待ってください!私達も戦わせてください!」

 

「クラスメイトがあんな化け物にされ利用されるのを黙って見てるなんて男らしくないぜ!」

 

A組の皆大切なクラスメイトにして仲間を助けたいと名乗り出る。まだ入学して約1ヶ月程してか経っていないのにここまで信頼関係が出来ているとは…。この間のUSJでの出来事や今日の体育祭での事が大きだろう。だが…

 

「それは出来ない」

 

「ッどうしてですか!?」

 

「俺達が頼りにならねェって言いてェのか!!」

 

「そう言う事じゃない。だが君達があの大きさの怪獣に戦うのは危険過ぎる」

 

レイキュバスの身長は約50メール近く。片やA組の中で一番背が高い障子目蔵君でも187cm…圧倒的に差があり過ぎる。それで強力な個性で攻撃してもレイキュバスにとっては蚊に刺された程度にしか感じられないだろう。

 

「で、でも…」

 

「それに今この会場はヤプールの所為で外に出られなくなっている。このままだと多数の負傷者が出ることになる」

 

ここへ来る途中で感じだが、この会場をヤプールが何らかの力で閉じ込め出入り出来なくなってしまっている。会場から逃げ惑う人々が外にいるヒーロー達に助けを求め、ヒーロー達も何とかしようとするがその不思議な力に阻まれビクともしない。

 

「だから君達には観客の人達の避難と安全を守ってほしいんだ。お願い出来るかな?」

 

「…分かりました」

 

俺の言葉に顔を伏せていた緑谷君が答えてくれた。みんなはその言葉に「えっ」とした表情となり彼に視線を向ける。

 

「皆、僕だって轟君を助けたいと思ってる。でも今ここには僕達だけじゃない、沢山の一般の人達もいるんだ。だからその人達の安全を守るのが僕達の在すべき事だと思うんだ。それにオールマイトも僕達に同じことを言うと思う」

 

今のヒーローの活動は主にヴィラン退治が仕事となっているだろう。しかしヒーローにとって一番大事な物は()()()()の強さじゃない。()()()()の強さであると俺はウルトラマン達から教わった。緑谷君もオールマイトの助ける姿を沢山見てきたから俺の言ってある意味も一早く理解してくれたんだと思う。

 

「…そうだよな。轟を止めるもの大事だけど、今観客の人達を避難させる方が優先だよな」

 

「悔しいですが、私達ではあの大きさの怪物に太刀打ち出来ないのも事実です」

 

「よし、全員で観客の人達を避難させようぜ!」

 

如何やらみんな分かってくたみたいだ。っと思った矢先に…

 

「ウルセェ!俺に指示すんじゃねェ!!」

 

…爆豪君が物凄い勢いで怒鳴り散らしてくる。まぁ彼の性格からして案の定の展開かな?

 

「あの半分野郎がどうなるかなんて知るか!それより敵を前にして引けってのかよ!?巫山戯んじゃねェェぞ!!俺にもやらせろ!!この間の借りを返させてもら「まぁまぁ、待て爆豪落ち着けって。今は一般人の安全が優先だろう」ッ離せクソ髪ィ!!」

 

そんな爆豪君を切島君を始め、他の男子達が抑えて建物の中にへと入っていった。それに続いて1人、また1人と建物の中にへと入っていく。そして緑谷君1人となった時彼は俺の方へ向き直りこう言った。

 

「光輝さん…轟君をお願いします」

 

「あぁ、絶対に轟君を助けるから。みんなも一般の避難の方頼んだよ」

 

緑谷君はそれだけ言うとその場を後にして建物の中にへとへと走っていった。

そして俺も人目がつかなそうな場所にへと移動し、傍から一つの変身アイテムを取り出す。

 

「(轟君は今心の闇に囚われてる。それなら)力を貸してください、コスモーーース!」

 

変身アイテムを振りかざし光に包まれると、今までの赤い姿とは違い青と銀の2色で構成されたウルトラマンが!現れる。

 

 

 

慈愛の勇者ーーウルトラマンコスモス

 

 

 

他のウルトラマンとは違い宇宙の平和は勿論だが、それと同時に全ての生きる者の命を守るウルトラマンでもある。

そしてコスモスの力は悪しき者の心を浄化させることも出来る。心の闇に囚われてしまった轟君を救うには一番適任であると踏んだのだ。

 

『轟君、今助けてあげるからね』

 

「セェヤ!」

 

コスモスのファイティングポーズを取り構える。

 

暴れていたレイキュバスがこっちに気付くと口から火球弾を吐き出し攻撃を開始する。俺はバリアを張り火球弾を被害が及ばない上空へと弾き返す。弾かれた火球は見えない壁に衝突し散乱し、俺とレイキュバスの上にへとその小さな破片がパラパラと落ちてくる。

 

レイキュバスは、ならば接近戦に持ち込むと言わんばかりに突撃してくる。俺は動かずギリギリまで引きつけ、ぶつかる直前に右へ回避しそのまま手で払い除ける。

 

コスモスのこの青い姿ーーールナモードは戦闘力が普通のウルトラマン達よりも低い為戦闘は不向き。だがその分動きが軽やかな故相手の攻撃を回避しつつそれを逆手に取る戦法が有効的だと考えた。

 

レイキュバスは勢いを殺すことが出来ずそのまま壁にへと激突。顔を起こすと此方へ向き直り怒りの咆哮を上げる。

 

するとレイキュバスの目が赤から青へと変化し、口から冷気ガスを吐き出す。あれは確かダイナも一瞬で凍り付かせる程強力だったはず。これを食らうわけにはいかない。ガスが噴射する前に飛び上がりそのまま飛び蹴りをお見舞いさせレイキュバスを吹き飛ばす。

すると観客席にいたヤプールが不敵な笑いを浮かべているのが目に入る。

 

「フフフ、余興はここまでにするか。レイキュバスよ、そろそろお前の新たな力を見せてやれ!」

 

『新たな力ッ!?』

 

するとレイキュバスの目が赤にへと変化した。しかし変化したのは何と()()()()。つまり左右の目の色が違う、所謂オッドアイの状態にへとなった。さらに同時に左ハサミが右ハサミと同じくらいの大きさまで巨大化した。

 

そしてレイキュバスは右手のハサミを前に出し大きく開くと、そこから冷気ガスを吐き出した。レイキュバスの突然の変化に唖然としていたが咄嗟に回避する。それでもなお噴射し続けてきたので側転で回避し続ける。

 

すると突然冷気ガスの噴射を一旦止めると、今度は左のハサミを前に突き出し火球弾を発射させた。俺はその反応に一瞬遅れてしまい火球を食らって後ろにへと吹き飛ばされ観客席にへと衝突する。

 

しかしどういうことだ?確かにレイキュバスは炎と氷の能力を使うけど両方同時に使うことは出来ないはずだ。なのにどうして…。

 

「ハハハハ、言った筈だ。あの小僧とレイキュバスは()()がいいとな。お前も見ただろうが、あの小僧は左右に氷と炎、相対する力を兼ね備えていた。そしてレイキュバスもまた同じだ。しかしレイキュバスはその力を変える際に隙が出来てしまう弱点があった。だがあの小僧の性質を掛け合わせそれを解消させたのだ」

 

そう言えば轟君は炎と氷の2つの能力を持っていた。そしてレイキュバスもまた同じ……奴が言っていた相性がいいってこのことだったのか!

 

「さぁどうする?あの赤い姿になって戦えば勝ち目があるかもしれないぞ。もっともレイキュバスを倒せばあの小僧も死ぬことになるがな。ハハハハハ!」

 

…確かに本来ならコロナモードになって戦いたいけど、依代にされている轟君にまでダメージが入り下手をすれば命に関わってしまう。でも必ず何処かに突破口があるはず。今は耐えるしかない。

 

レイキュバスが再び左手から火球弾を放つ。俺は一度両手をクロスさせ、広げバリアを貼り火球弾を受け止める。レイキュバスは連続で火球弾を放ち続け、ルナモードでは受け止めるのが限界になってくる。

俺は力を振り絞ってバリアを押し出す。バリアは火球弾を受け止めながらレイキュバスに迫っていき衝突する。この時火球弾の威力も合わせてレイキュバスは大ダメージを受ける。

 

レイキュバスが怯んだ隙に飛び上がって後ろに回り込み尻尾を掴む。そしてそのままジャイアントスウィングのように振り回す。数回振り回したところで離しレイキュバスは壁にと激突しさらにダメージを受ける。それでも尚立ち上がり怒りの篭った雄叫びを上げる。

 

「チッ、あのウルトラマンは戦闘は得意ではないと言う情報だが、流石ウルトラマンと言ったところか。ん?」

 

ヤプールがあるものに気付き視線を向けると……

 

「ママどこ行っちゃったの…」

 

…そこには先程の騒ぎで親と逸れてしまったと思われる子供が近くでウロウロしている姿が目に入った。

 

「フフフ…レイキュバス!」

 

ヤプールは不敵なニヤリ顔を浮かべレイキュバスに指示を出す。そして身体の向きをその少女の方へ向け目を赤に変え、左手から火球弾を放った。

 

『不味い!』

 

俺は咄嗟にその子供の前に滑り込み身体でその火球弾で受ける。

 

『ウワァァーー!!』

 

無防備な上無数の火球弾により大ダメージを受けてしまいカラータイマーが「ピコン、ピコン」と点滅を始めてしまった。

 

「レイキュバス、トドメをさせ!!」

 

そしてレイキュバスは右手のハサミを向けると冷気ガスを噴射。俺は今の攻撃で反応することが出来ず冷気ガスをモロに食らってしまった。そして一瞬にして身体は全身氷漬けにされてしまった。

 

「この映像を見ている人間共、聞いているか?お前達の頼みの綱であるウルトラマンは倒した。先ずは手始めにこの場所にいる人間共を皆殺しにする。その後はレイキュバスを使って世界中を氷と火の海に変えてやる。ハッハッハッハッハ、ハーハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」

 

ヤプールの高笑いとレイキュバスの雄叫びが静寂の会場に響き渡り見てた人達の心に恐怖を与えた。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

スタジオ内のとある一室そこには先程の騒ぎで避難した住人が集まっていた。そしてその部屋にある一つのモニターに映る氷漬けにされてしまったコスモスの姿に人々は驚愕し絶望した。

 

「そ、そんな…」

 

「巨人が氷漬けに…」

 

「俺達…一体どうなるんだ?」

 

「もう終わりなのか…」

 

「だ、大丈夫だ。きっとオールマイトが何とかしてくれる」

 

「そ、そうだ。オールマイトならあんな怪物でも倒せるに決まってる」

 

観客の人達は「オールマイトなら倒してくれるから大丈夫」と思って希望を捨ててはいなかった。しかしとある人物が口にした言葉でその希望も崩れることになる。

 

 

「でも一年前に出たあの怪物と同じ大きさの怪物、確かオールマイトのパンチ受けても殆ど何ともなかったぜ…」

 

『!?』

 

 

そう。約一年前に突如出現した「ベムラー」に挑んだオールマイトであったが、体格差もあって大したダメージは与えられず、逆に尻尾の攻撃を食い返り討ちにあってしまったのだ。殆どの人々の記憶から忘れ去られていたが再び現れた怪獣によってあの時の記憶が呼び起こされた。

 

「オールマイトが倒せなかった怪物と同じ大きさの怪物じゃ絶対に勝てない、勝てっこない…」

 

「じゃあ俺達どうなるんだよ!?」

 

「そんなこと俺が知るか!!」

 

「嫌だ……死にたくない…死にたくない…」

 

その場にいた殆どの人が恐怖で感情が制御出来なくなり揉め始める。中には殴り合いの喧嘩を始める者もいた。それはAクラスのみんなも例外ではなかった。

 

「おい、どうすんでよ!?あの人ヤラれちまったぞ!?」

 

「ハッ!!だからあの時俺にあのデカブツを殺させればよかったんだよ!!」

 

「爆豪君、そんな言い方はないだろう!礼堂さんは轟君を助けるために…」

 

「煩セェ、クソ眼鏡!俺に指図してんじゃねェ!!」

 

そしてその中でも礼堂光輝と一番親しかった緑谷出久は血が滲み出てくるように拳を強く握り締めていた。

 

「デク君…」

 

「光輝さん……クソ…クソォォーーー!!」

 

彼の悲しみと悔しさの篭った叫び声が控え室に響いた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

場所は変わり一つの暗い一室。そこでPCで体育祭の中継を見ている者が1人。ヴィラン連合の死柄木弔である。

 

少し時間を遡ると、先日のUSJ襲撃の時に深傷を負ったがその傷は完治し雄英体育祭を観ていたが途中ヤプール(人間体)が部屋に入ってきてその映像を観ていたが、何か思いついたようで部屋から出て行った。

そして現在轟が変身したレイキュバスがウルトラマンコスモスを氷漬けにし破壊活動を続けている映像を眺めていた。

 

「…」

 

 

『あの餓鬼良い目をしているな』

 

『俺は今からあの場所に行ってくる』

 

『お前はそのまま観ていろ。更に面白いものが観れるぞ』

 

 

「…アイツが言っていた面白いものってのはこの事か…確かに面白いな」

 

死柄木はニヤニヤしながら破壊活動を続けるレイキュバスの生中継を観ていた。

 




今年の新しいウルトラマンーーウルトラマンZの詳細が解禁されました。あのウルトラマンゼロの弟子。どんな活躍をしてくれるのか今から楽しみです。
そしてULTRAMANも地上波での放送が決定しました。
今年もウルトラマンの勢いは止まらない!

感想等あればどうぞ。


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21話 無限の可能性を秘めたウルトラマン

お待たせしました。ヒロアカとウルトラマンの作品が漸く出来上がりました。
最近リアルが忙しくなって書く暇がなかったのでこんなに遅れてしまいました。楽しみに待ってくれていた方々お待たせしてしまって申し訳ありませんでした。

今回はちょっとエンデヴァーがアンチ気味になるかもしれません。エンデヴァーファンの人は注意です。そして話の最後にあの人がウルトラマンになっちゃいます。誰が何のウルトラマンに変身するのかは話の予告を見ていれば分かるはず。

それではどうぞ。


会場の控え室。そこで避難してきた観客含め生徒達はウルトラマンコスモス───礼堂光輝が敗れたことに絶望し言い争いが起こりイザコザが始まってしまう。そこにいたヒーロー達が騒ぎを何とか鎮めようするが…

 

「煩セェ!こんな状況で落ち着いていられるか!」

 

「てかアンタ等ヒーローだろ!だったらこんな所に居ないで外にいるアイツを倒して来てくれよ!」

 

「そうだ、そうだ!!」

 

…恐怖で冷静さを失った者達に声が届くはずもなく、会場にいるレイキュバスを倒してこいと罵倒まで浴びせられ事態は悪化する一方であった。

 

しかしその絶望した空気の中ただ一人控え室から出て行こうとする者がいた。そう…緑谷出久である。

 

「おい緑谷、何処に行くんだよ!?」

 

「会場広場に行ってくる───礼堂光輝さん(あの人)を助けるために!!」

 

 

※今この場に大勢の人がいるので正体がバレないようにこの場では緑谷やAクラスの皆は、礼堂光輝を『あの人』と言います。

 

 

「何言ってるだよ、緑谷!レイキュバス(アイツ)はあんなに巨大なんだぞ!お前が行って何とかなる相手じゃねェだろう!」

 

A組の中で1番臆病と言っても過言ではない峰田が早速諦め前回の言葉を言い出す。だが今回は彼の意見も尤もである。相手は50メール近くの大きさの怪獣、そんな相手に学生1人が立ち向かって勝てるわけない。

恐竜相手に蟻が1匹で向かって行くようなものだ。

 

だが彼はそんなことで凹垂れるような奴ではない。

 

「僕が言っても何も出来ないってことは分かってる。でもこのまま礼堂光輝さん(あの人)をあんな風にさせておけない!」

 

雄英に入る前に自分に「ヒーローになれる」と言ってくれた数少ない人。そして気絶していたが入試試験やUSJの時も自分達を助けてくれた。だから今度は自分が礼堂を助ける番だと。

 

「それに、轟君も助けたいんだ。彼も僕達と同じヒーローを目指す仲間だから」

 

そして轟もまた同じように同じ夢を持つ仲間にしてライバル。そんな彼をあのまま苦しませておくわけにはいかない。

 

「だったら俺も行くぜ。仲間が苦しんでるのを黙って見てるなんて漢じゃねェ」

 

熱血系の赤髪男子────切島の仲間を思いやるその言葉に自身も一緒に行くと志願する。その言葉を聞き次から次へとAクラスの生徒達は一部*1を除き志願していく。

 

「ありがとう。でも皆は此処にいる人達を落ち着かせてほしいんだ」

 

しかし緑谷は皆の申し出を断った。だがそれにはちゃんとした理由がある。

 

「皆の気持ちはよくわかるよ。でも礼堂光輝(あの人)の素性を知っているのはこの場で僕達だけだ。だから僕達全員が出て行ったら怪しまれるし益々パニックになってしまうかもしれない」

 

今この場はいつ自分達が殺されるかもしれないと言う恐怖に駆られパニック状態に陥り揉め事が起きている。だから1人でも多くこの場を宥める人が必要な状態。さらに一度に大勢の人が出て行ったらテレビ局の人もいるので却って怪しまれてしまう可能性が高い。故に全員で行くのは得策ではないと考える。

 

「だから皆にはここにいる人達を守ってほしいんだ」

 

「…わかった。そこまで言われて断っちゃ漢が廃るな!」

 

「混乱している方々を安心させるのもヒーローと務めですわ」

 

「ここのことは任せろ」

 

「その代わり轟や礼堂さんのこと頼んだよ!」

 

「デク君絶対に帰ってきてね!」

 

「うん!皆行ってくるよ!」

 

緑谷はクラスの皆の声援を受け取り控え室を出て行き会場へと向かった。

 

 

 

 

─────────────────────────────────

 

 

 

 

 

「ハハハ、あんな餓鬼を庇って自分が氷漬けになって動けなくなるとは、哀れだな。ハハハハ!」

 

会場ではウルトラマンコスモスが子供を庇って凍りついてしまった様子をヤプールは高々に笑っていた。

 

「さて今ここで砕いてやるのも面白いが、先ずは奴が身を挺して守った命を動けない奴の目の前で消すのも面白いな」

 

ヤプールは怯えている子供にへと視線を向ける。子供はただでさえ親がいないことで不安な上に目の前でウルトラマンが倒されてしまったことで完全に恐怖して動けなくなってしまっていた。さらには恐怖のあまり涙を流していた。しかしそんなことにお構い無しにレイキュバスはその子供にへと一歩、また一歩と近づいていき遂に目の前に。左手のハサミが開くとそこに炎のエネルギーを溜めてそして…

 

 

「殺れ」

 

 

…ヤプールの合図と共に火炎放射が放たれた。子供は反射的に目を瞑り覚悟した。その時何か影らしきモノが子供を抱えて攻撃を回避した。その影の正体は…

 

 

 

「もう大丈夫。何故かって?──────────私が来た!!」

 

 

 

…そう、人々の英雄【オールマイト】である。助けられた子供は憧れであるオールマイトを目の前で見れたことに感激して目を輝かせていた。

 

「さぁ、少女よ。後は私に任せたまえ!君は安全な場所へ向かうんだ」

 

「うん。ありがとう、オールマイト」

 

子供はオールマイトにお礼を言うと近くの出入り口に向かって広場から出ていく。

 

「誰かと思えば、USJ(あの時)のホラ吹き野郎か。予想は付くが一応聞いておこう。何しに来た?」

 

「決まっている。轟少年を助ける為にだ!」

 

ヤプールに向けて指を差し声高らかに宣言する。

 

「やっぱりホラ吹き野郎だな。1年前ベムラー相手に手も足も出なかった奴がレイキュバスをどうにか出来ると思っているのか?しかも人間の小僧を取り込んだままで」

 

「だがそれでも私は轟少年を、いやこの場にいる全員を救う!何故かって?それは───────私はヒーローだからだ!

 

 

オールマイトはヒーローとして、教師として教え子である轟焦凍を、そしてこの会場内にいる人全員を救うことを宣言する。

 

オールマイトが戦闘を開始しようとしたその時一つの声が掛かった。

 

「オールマイト!」

 

声のした方へ向くとそこには────轟焦凍の父にしてNo.2のヒーロー『エンデヴァー』が腕組みをしながら立ち尽くしていた。

 

「エンデヴァー!?何故ここに!?」

 

「何故だと?馬鹿か貴様。レイキュバス(コイツ)を止める以外何がある」

 

「エンデヴァー…力を貸してくれるのか?」

 

「勘違いするな。今回の件は息子の反抗期が招いたことだ。だからその不始末を付けるだけだ」

 

エンデヴァーはレイキュバスへ視線を抜けると怒りの篭った眼差しで睨み付ける。

 

「焦凍ォ、何をやっている!お前は俺がオールマイトを越える為に育てた最高傑作だぞ!なのにそんな化け物に成り果てた上に、破壊活動に至るとはどう言うことだ!俺がもう一度教育し直してやる!」

 

エンデヴァーは自身の個性【ヘルフレイム】で背中から炎をブースターのように放出し飛び上がりレイキュバスの土手っ腹に炎の拳を打ち込む。しかし殴られたレイキュバスは「何かしたか?」のようにケロっとしておい。エンデヴァーは火力を上げ拳を腹に練り込もうとしたが、ハサミで捕まれそのまま壁にへと叩きつけられる。

 

だがそれでも闘士の光は消えず這い出ると、両指から炎で作り上げた糸を出し50メートルの巨大であるレイキュバスを縛りあげる。

 

「これでどうだ!」

 

さらに強く縛り上げようと引っ張る。しかし突如レイキュバスの右腕のハサミから縛り上げている炎の糸に向かって冷気ガスが発射される。するとガスがあった部分から凍り始めた。

凍り付いた部分は次第に広がりレイキュバスを縛っていた部分も凍らされてしまう。レイキュバスは身体を揺らし凍った糸を砕いで自由の身になる。そしてお返しとばかりに右ハサミから冷気ガスを発射させる。エンデヴァーは己の炎で食い止めようとするが、互いの攻撃がぶつかった瞬間エンデヴァーの炎が凍り始める。先程よりも火力を上げているのに何故っと戸惑うエンデヴァー。

 

しかしそれもそのはず。レイキュバスの冷気ガスは絶対零度を超える程の低温。この低温の前では1200°のマグマでさえ石っころ同然。故に炎なんて焼け石に水程度でしかない。

 

そして冷気ガスが着々と迫る中、エンデヴァーは咄嗟に左掌を横に向け炎を噴出させ右横へ回避する。その直後エンデヴァーがいた場所は冷気ガスに飲み込まれあっという間に凍り付いてしまった。

 

命辛々回避したエンデヴァーは息を切らせながらも立ち上がる。

 

「まさかここまでやるとは思わなかった。いいだろう。だったら俺の全身全霊を込めたこの技で焦凍、お前を止めてみせる!」

 

エンデヴァーは両腕をクロスさせ火力を急上昇させる。そして両手両足を大の字に開きエネルギーが収束していく。これぞエンデヴァー最強の大技────

 

 

 

「いくぞ!【プロミネンスバァァーン】!!

 

 

 

──────────溜めたエネルギーが一気放出され物凄い熱線となった。

 

 

 

レイキュバスも左手のハサミから火炎放射を放つ。両者の炎技がぶつかり合い会場が熱量で温度が上昇していく。それでもエンデヴァーはさらに火力を上げるが同様にレイキュバスも火力を上げ対抗する。しかしその時だった。

 

「グッ…クゥゥ…」

 

エンデヴァーの方の火力が下がり始めたのだ。実は彼の個性は長時間使用すると身体の体温が上昇し、身体機能が低下してしまうのだ。

 

次第にレイキュバスの火炎放射が押し始め段々エンデヴァーに迫ってくる。そして目の前まで迫ったところで一つの影が飛び出した。オールマイトである。

 

「轟少年申し訳ない。【SMASH】!!」

 

オールマイトはエンデヴァーを助けるためレイキュバスに向かって果敢に飛びかかり強烈な一撃を放とうとする。しかしそれをヤプールが許すはずもない。

 

右手をオールマイトに向けると見えない衝撃波を放つ。オールマイトの拳とヤプールの衝撃波が激突し突風が吹き荒れる。オールマイトは懸命に迎え撃とうとする。しかし衰えてしまった今の力が、人間の姿とは言え異次元の悪魔には敵わない。

ヤプールは両眼から赤い光線を放ちオールマイトの肩を撃ち抜く。痛みによって力が緩んだ一瞬の隙を突き力を強めオールマイトを吹き飛ばす。そして左手から小さな黒い球体を飛ばすとオールマイトの目の前で巨大化し閉じ込めてしまう。何とかして脱出しようとするがビクともしなかった。

 

「そこで大人しくしているんだな」

 

「オールマイトッ!…グッ」

 

その光景を横目で見ていたエンデヴァーは目の前まで迫った炎を抑えいたが遂に耐えきれず飲み込まれ吹き飛ばされ壁に激突する。攻撃が止め煙が晴れると身体の至る所にに火傷を負ったエンデヴァーの姿が。個性の相性のお陰で意識はあるが、それでも自身の熱量を超える炎を浴びせられた。もう身体を動かすことをままならない状況であろう。

 

「フフフ、無様だなNo.2ヒーロー。だが良かったじゃないか。今のお前の息子は少なくともお前を超えた。つまりお前の言っていた『オールマイトを超える最高傑作』になれたのかもしれないな。フッハッハッハッハッハッハッハ!!」

 

その笑い声にエンデヴァーの顔は怒りと悔しさから激しく歪む。

 

「さて遊びはここまでにしよう。レイキュバスいや、轟焦凍。お前のもっと憎い存在────────父親を自らの手で消し去るのだ」

 

レイキュバスはその言葉に従い一歩、また一歩と動けないエンデヴァーに歩み寄っていく。そして目の前まで来ると左ハサミを開き構える。「殺れ」と声を掛けようとしたその時会場に入って来た一つの影が。緑谷出久である。

 

「こ、これは…オールマイト!エンデヴァー!」

 

彼の目の前に飛び込んできたのは閉じ込められているオールマイトと傷付いたエンデヴァーの姿であった。

 

「何だ?人間の小僧、何か用でもあるのか?」

 

「…轟君を…僕達の仲間を元に戻せ‼️」

 

彼は声を荒げながらヤプールに向かって叫んだ。だが返ってきた言葉は信じられないモノであった。

 

 

「元に戻せ?何を言ってるだお前は」

 

 

「ッ惚けるな!あの時お前が轟君に何か吹き込んで彼を怪物に変えたんだろ!だから彼を元に戻せ!」

 

「…何か勘違いしてるようだから言ってやる。奴があーなった原因は元々はエンデヴァー(父親)の所為なんだゾ」

 

「ッ!?どう言うことだ!」

 

「確かに俺は奴の心の闇を解放させた。だがあくまで解放させただけで、心の闇は奴自身がその内に抱えていたものだ。お前はコイツから聞いて知っているだろう。コイツは自分の父親のことを憎んでいたと言うことを」

 

確かに轟はトーナメント戦が始まる前緑谷と2人っきりで話をした時彼の家族事情も聞いた。そして何故左側()の力を拒み続けているその理由を。

 

轟焦凍()の父親は『オールマイトを越えるために』と言う理由だけで轟焦凍()に教育と言う名の『暴力』を振るっていたのだ。しかし轟焦凍()の母親はそれを良しとしていなかったようでな、止めようとしたらその矛先がその母親にへと向いたのだ」

 

彼は父親を完全否定するために父から授かったと言える炎の力は使わない、そう言っていた。だがその抱え込んでいた憎しみがここまで大きなモノだとは思わなかった。

 

「つまりエンデヴァー(父親)にとって轟焦凍(息子)は己の欲望を叶えるためのだけただの道具に過ぎなかったと言うことだ。そしてそんな奴をNo.2のヒーローにしているとは、所詮人間も力こそが全てと思っている愚かな存在だなァ。ハッハッハッハッハッハッハッハッハ」

 

確かにヒーロー…況してやNo.2が自分の子供にそんな仕打ちをしていたと思えば誰だって幻滅する。実際エンデヴァーはあまり人柄が良くないことからアンチ系の声が複数ある。そして今回のことが世間に知られればもうヒーローとして活動することは出来なくなるだろう。

その光景が目に浮かぶヤプールは愉快で笑いが込み上げてくる。その光景に我慢出来なくなったオールマイトが声を出そうとした時…

 

 

 

 

 

「そんな事ない!」

 

 

 

 

 

…何と緑谷の否定の言葉が入り、ヤプールは笑いを止め彼を凝視する。

 

「小僧、今の話を聞いてなかったのか?アイツは自身の欲求を満たすために息子を傷付いたんだぞ。お前の言う仲間をなァ」

 

「…確かにエンデヴァーのした事は許されることじゃないかもしれない。でもそれでも、轟君の心を利用しようとするお前の方がもっと許せない、そんなお前がエンデヴァーの悪口を言うな!」

 

その言葉にエンデヴァーだけでなくオールマイトも目を見開く。そして改めて思った…彼に【ワン・フォー・オール】を託して良かったっと。しかしヤプールにとっては不愉快で仕方なかった。

 

「貴様は俺が最も嫌う分類のようだ。レイキュバス、先ずはあの目障りな小僧から始末しろ!」

 

ヤプールからの指示を受けレイキュバスはエンデヴァーに放とうとしていた攻撃を中断し、緑谷の方へと向かっていく。自身の方へ向かって来たことを確認するとその場から急いで走る。オールマイトとエンデヴァーに被害が及ばないように出来るだけ離れた場所まで。

 

ある程度オールマイト達の反対側まで移動すると向く。

 

「轟君聞こえてる?君の心に抱えている苦しみは良くわかるよ。だけどそれで関係ない人達を苦しめちゃダメだ!」

 

緑谷は轟の意識が残っていると思い必死に呼びかけるが。全く聞き耳持たずハサミを振り上げ勢いよく振り下ろす。その衝撃で吹き飛ばされ地面を転がるがメゲずに立ち上がってさらに呼びかける。

 

「君の炎の力は確かにエンデヴァーから授かったモノかもしれない。だけどそれは君の力だ。そしてその力は誰かを傷付けるためじゃなくて…助けるために使うモノだろ!だから目を覚ますんだ!!」

 

ボロボロになりながらも必死に呼びかけるも反応せず左手のハサミから火球弾が放たれ吹き飛ばす。何とかして立ち上がろうとするがトーナメント戦でのダメージを引きずって尚レイキュバスの攻撃を受け続け身体はもうボロボロであった。

 

「フン、バカが。弱い癖に出しゃばるからそうなるのだ。レイキュバス!小僧にトドメをさせ!」

 

レイキュバスは両手ハサミを緑谷に向け開くと氷と炎エネルギーを貯め始める。緑谷はトーナメント戦に加え今の戦闘で身体中ボロボロにされ動けずにいた。オールマイトと球体から出ることが出来ずエンデヴァーも動くことが出来ない状況。もはや万事休すである。

そしてそれぞれのハサミから業火となった炎、そして絶対零度となった氷が放たれ、緑谷はその炎と氷に飲み込まれ大爆発が起こった。

 

 

 

 

しかしその時誰も気付かなかった。飲み込まれる直前一つの光が彼を包み込んだことを。

 

 

 

─────────────────────────────────

 

 

 

爆発に巻き込まれた緑谷が目を覚ますと、そこは爆炎の中ではなく白く輝く光の空間だった。

 

「此処は?確か僕は爆発に巻き飲み込まれて…そうだ!僕はあの時爆発に飲み込まれたんだ!ってことはここはあの世ってこと!?」

 

先程の爆発で死んでしまったのかとアタフタする彼に突如男性の声が聞こえた。

 

 

「大丈夫です。君はまだ生きてます」

 

 

声のした方へ振り向くと光の向こうから足音が聞こえ段々近づいてくる。軈て視界がハッキリすると現れたのは見た目20代の青年であった。

 

「貴方は?」

 

「初めまして、僕はヒビノミライ。ウルトラマンの1人です」

 

「エ?……エェェーーー!?」

 

思わぬ単語に一瞬頭がフリーズした緑谷であったが、直ぐに再起動して大声を上げた。超が付くほどヒーローオタクな彼が正気でいられる訳がない。

 

「ウ、ウルトラマン!?貴方もウルトラマン何ですか!?」

 

「はい」

 

目の前にいる青年がウルトラマンだってことに興奮が治らない。今の緑谷は子供のように目をキラキラさせていた。そんな緑谷の様子が少し変に感じたミライが心配して声を掛ける。

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「えっ?あっ、ご、ゴメンなさい!遂に興奮しちゃって(汗)」

 

声を掛けられ我に戻った緑谷は落ち着きを取り戻し、今の自分達の状況に質問する。

 

「で、でもどうしてウルトラマンが僕に?それに此処は何処なんですか?」

 

「此処は僕が作り出した擬似空間です。君があの時危なかったから咄嗟に身体が動いてしまったんです」

 

この言葉を聞いて緑谷は思った。───この人、僕になんか似ているかも───

 

「そしてもう一つは君にお願いがあるんです」

 

「お願い?」

 

「はい。どうか僕と共に戦ってください」

 

ミライは真剣な眼差しで言う。しかし突然のお願いの内容に戸惑う緑谷。

 

「ど、どう言うことですか?」

 

「君の仲間を助けようとする思い、僕の周波数と同じだったんです。つまり君は僕の力を───ウルトラマンの力を使うことが出来ると思います」

 

その言葉を聞き目を見開いた。何故ならウルトラマンの力を使うと言うことは、もしかしたら自分がウルトラマンになることが出来るかもしれない。そうすれば轟や礼堂を救うことが出来るかもしれないのだから。

 

「でもそうなると今後もっと過酷な運命が待ち受けているかもしれないんです。それで君は受け入れてくれますか?」

 

ウルトラマンの中には人間の醜い一面も多く見てきた者もいた。ミライも嘗て助けてもらったにも関わらず恩を仇で返した者がいた。それでも彼はその人間を恨みはしなかったが、そんな思いをまだ15歳の少年に味わってほしくないのが本音である。

 

しかし緑谷の心は既に決まっていた。

 

「…確かに人間には酷い人がいる。けど決してそんな人ばかりじゃないってことを僕は知ってます」

 

4歳の時無個性と診断され母には泣きながら「ゴメン、ゴメンね」と謝られ、周りから無個性ってだけでバカにされ虐められたりもした。

でも光輝さんは僕の夢を応援してくれた、そしてAクラスの皆も。

 

 

────────共に過ごした時間は短いけど、それでも皆同じ夢を持つ仲間。それに苦しんでいる轟君を見捨てることなんて出来ない────────

 

 

 

 

「僕はまだまだ弱くて全然だけど、そんな僕にも沢山の人を救うことが出来るならどんな運命が訪れようと乗り越えます、乗り越えてみせます。だから僕に力を貸してください、お願いします!!」

 

緑谷は礼儀正しい90°の角度でお辞儀をする。ミライは彼の迷いのない真っ直ぐな言葉に微笑む。

 

「君の大切な人達を助けようとするその思い、僕が地球に来た時に学んだ一番大切なことなんです。その気持ちを持つ君に…僕も力を貸したい。君の名前を教えてください」

 

「緑谷出久です」

 

「緑谷君…僕の力を使ってください」

 

ミライの身体が光りだすと身体は金色の粒子に変化し僕の左腕に集まり始める。そしてその粒子が次第に形を現していくと赤と金の小さなプロテクターが装着されていた。

 

見知らぬ物が装着されたことに一瞬戸惑いがけど、次の瞬間頭の中にミライの記憶が流れ込みこれが何なのかはすぐ分かった。これはウルトラマンに変身するためのアイテムの一つでなんだとっと。

 

『さぁ、行きましょう』

 

「ハイ!光輝さん、轟君。待ってて。今助けに行くから」

 

緑谷は左腕のアイテムに右腕を添えスライドさせると赤い宝玉が光だして、アイテムの中でスパークが走り光エネルギーが収縮されていく。左腕を身体ごと後ろにへと引き勢いよく上空にへと突き上げ、そして叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メビゥゥーーーース!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時に(緑谷出久)の身体は光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─────────────────────────────────

 

 

 

 

 

爆煙が晴れると、レイキュバスの攻撃で彼のいた場所は地面が抉られ壁が崩れ落ちていた。この惨状では命はないであろう。その光景に何も出来なかったオールマイトは拳を強く握り己の無力さを呪った。勿論エンデヴァーも同じである。

 

「さて今度こそ邪魔者は居なくなった。レイキュバス、コスモスにトドメを刺せ!」

 

ヤプールはレイキュバスにトドメを刺すよう指示を出す。レイキュバスは両手のハサミに、炎のエネルギーと氷のエネルギーを貯めトドメを刺そうとしたその時……

 

 

 

ピカーーン

 

 

 

…会場の上空で眩い光が現れレイキュバスに体当たりをして吹き飛ばした。

 

 

 

 

光は軈て晴れるとそこにはレイキュバスと同じくらいの大きさの赤い巨人、いや超人が立っていた。

 

 

そう(緑谷出久)は今、数多くいるウルトラマンの中でも、自分の存在を知りながら仲間として互いを支え合い沢山の人間のと絆を結び強大な敵と戦ってきた無限の可能性を秘めたウルトラマン───────ウルトラマンメビウスに変身したのであった。

 

 

「セヤェ!!」

 

*1
爆豪、峰田




と言うことで緑谷がメビウスに変身しました。
緑谷を見ているとメビウスと似ていると思いました。誰よりも正義感が強くて、誰によりも他人想いで、そして前へ進み続ける姿勢、地球に来たばかりのメビウスとソックリだと思い緑谷はメビウスに変身させました。

次回はまだストックがないのでまた遅くなってしまうと思います。
それでも完結目指して頑張りますので応援よろしくお願いします。
感想などあればどうぞ。


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22話 轟を救え!緑谷、光輝の救出劇

お久しぶりです。アニメ大好きです。

ウルトラマンZが本日最終回を迎え、今年も残るところ後少しになりむしたね。新型コロナの所為で凡ゆるイベントが中止されオリンピックも延期になってしまいました。来年には少しでも緩和してほしいものです。

今回はウルトラマンメビウスに変身した原作主人公緑谷出久が光輝と共に轟焦凍を救い出します。





突如光の中から現れたウルトラマンメビウス。彼の登場にオールマイトもエンデヴァーも驚きを隠せなかった。勿論ヤプールも同様あまりの誤算な状況に困惑していた。

 

「ウルトラマンメビウス!?何故奴が!」

 

 

───ウルトラマンになれる奴が凍り付けなっているのに何故新たなウルトラマンが現れるのか。確かに(光輝)が変身しなくても現れたことはあった。だが奴が居なくてはそれも出来ないはず、なのに何故!?だが今はこんなことどうでもいい───

 

 

「レイキュバス、メビウスを殺れ!」

 

命令を受けたレイキュバスはメビウスに向かって走り出し突撃する。棒立ちしていたメビウスが気付いた時には遅く、そのまま観客席にへと吹き飛ばされる。

 

 

 

 

メビウス(緑谷)side

 

 

『僕…本当になれたんだ。ウルトラマンに…』

 

僕はあまりのことで戸惑いがあったけど、それ以上に憧れとなったウルトラマンになれたことに感激していた。だって僕が別の世界の地球とは言えヒーローとされているウルトラマンになれるなんてまるで夢みたいだもの。でも興奮して所為で周りが見えていなかった。

 

「緑谷君、来ますよ!」

 

ミライさんの声で我に返った僕は進撃してくる怪獣に気付かず体当たりを食らって観客席にへと吹き飛ばされてしまった。ウルトラマンの巨体を支えきれず観客席は大きく崩れてしまう。

 

感激している場合じゃない!今は目の前のことに集中しないと!

 

僕は身体を起こして意識を集中させる。メビウスさんからの情報*1によるとあの怪獣はレイキュバスと言う名前で氷と炎の能力を持っているみたい。成る程、轟君と相性がいいと言う訳か。それにあの冷気攻撃は厄介だ。ウルトラマンですら凍り付かせてしまう上に、ウルトラマンは冷気に弱い…だから最悪な相手だ。

でもそんなの関係ない。どんな不利な相手であってもピンチを乗り越えるのがウルトラマン、そして僕の目指すヒーローだ!僕は気合いを入れ直して戦闘ポーズを取る。

 

レイキュバスは左のハサミを開き火球弾を放つ。僕は腕をクロスさせバリアを張って防ぐ。尚攻撃してくるレイキュバスの炎エネルギーが溜まっていくバリアを勢いよく押し出した。そのままバリアはレイキュバスにぶつかり今までの炎のエネルギー分のダメージを受けて怯んだ。その隙を逃さずに僕は駆け出して飛び上がって、メビウスの蹴り技【流星キック】をお見舞いさせる。それを食らったレイキュバスは後方へ吹き飛び倒れる。

 

僕はその間に凍り付いてしまっているウルトラマン───コスモスに近づき胸のカラータイマーからコスモスのカラータイマーに向けて虹色の光を照射させエネルギーを分け与える。

するとコスモスのカラータイマーの点滅が止まって目に光が明るくなると氷に罅が入り始める。その罅は全体に広がっていって吹き飛んで砕けたった。

 

そしてコスモスが…いや光輝さんが起き上がった。

 

 

メビウス(出久sideアウト)

 

 

 

 

礼堂side

 

 

俺はどうしたんだ?確か子供を守るためにレイキュバスの冷気ガスを浴びて…ッそうだ!冷気ガスを浴びて凍り付けにされて動けなくなって寒さで意識を失ってしまったんだ!じゃあどうして俺は氷から出ているんだ?

 

「気が付きましたか」

 

自分の現状に戸惑っていると声が聞こえて振り向くとメビウスさんが立っていた。

 

『メビウスさん!?どうして?』

 

「彼が力を貸してくれたおかげです」

 

『光輝さん!』

 

メビウスさんの中から別の声が聞こえてくる。一瞬戸惑ったがその声に聞き覚えがあった…まさか!?

 

『その声…もしかして緑谷君!?』

 

『ハイ!』

 

そう緑谷君であった。でもどうして彼がウルトラマンに!?

 

「それは彼が力を貸してくれたんです」

 

俺が氷漬けにされ意識が薄れていた時の事をメビウスさんからあらかた聞いた。確かに頑張り屋で人一倍誰かを助ける思いが強い緑谷君だったら、メビウスさんと性格が似ているから相性良かったのかもしれない。だけどこんな危険な戦いに彼を参加させることは俺としては賛成出来ない。だけど…

 

『緑谷君、ウルトラマンになると言うことがどう言うことか分かってるかい?』

 

『はい、全てメビウスさんから教えてもらいました。ウルトラマンになると言うことの覚悟を。どんな過酷な運命が待っていようとも僕は皆と共に乗り越えてヒーローになってみせます!だから大切な仲間である轟君を救いたいんです!』

 

…やっぱり自分より他人のことを思いやる彼は止まらない。その揺るぎない信念がメビウスさんの目からもその熱い想いが伝わってくる。

 

『…分かった。一緒に轟君を助け出そう!力を貸してくれるかい?』

 

『勿論ですよ!』

 

その直後倒れていたレイキュバスが起き上がり俺達は戦闘再開に伴ってそれぞれパワーアップする。

 

 

礼堂sideout

 

 

 

イメージBGM「ウルトラの奇跡」

 

 

コスモスは優しさの青から強さの赤色がトレードの【コロナモード】にへもチェンジ。そして更なる光を纏って青と赤、強さと優しさの両方を兼ね備えた【エクリプスモード】にチェンジする。

 

 

メビウスは胸に共に戦った仲間達との絆の証───ファイヤーシンボルを身体に刻んだ【バーニングブレイブ】にパワーアップする。

 

 

「シュワ!」

 

「セェヤ!」

 

 

「キィィーーー」

 

 

レイキュバスは右ハサミから冷気ガスをメビウスに、左ハサミから火球弾をコスモスにそれぞれ発射させる。

 

コスモスは拳で迫り来る火球を次々と弾き返し、メビウスは身体に炎を纏って冷気ガスを無効化させる。メビウスはそのまま駆け出しレイキュバスの土手っ腹に強烈な一撃を打ち込み怯ませる。その隙にコスモスは飛び上がり身体を回転させながら威力を付け【エプリクス・キック】を決め転倒させる。

 

隙を与えないようコスモスは距離を積め拳を打ち込もうとするが、レイキュバスは右手のハサミで挟んで捕まれる。そしてもう一つのハサミを近づけ、ゼロ距離で火球を浴びせようとする。しかしそれよりも早くメビウスが動き、メビウスブレスから光輝く剣【メビュームブレード】を出現させ左手のハサミを斬り落とした。痛みに苦しみハサミの締めが微かに緩んだことでコスモスは両腕でハサミを抱え込み、力一杯引っ張りそのままハサミを引きちぎった。

 

挟んだままのハサミを振り払い、2人のウルトラマンは飛び上がり【エプリクスキック】と【メビウスキック】のダブルキックをお見舞いさせる。レイキュバスは両手を失った痛みと、コスモス達から食らったダメージで中々起き上がれずにいた。

 

『よし、今がチャンスだ。轟君を助けるぞ!』

 

『でもどうやって?』

 

「私に考えがある『説明中』」

 

「分かりました。やってみましょう!」

 

作戦を聴き終わった所でレイキュバスがフラフラになりながらも何とか立ち上がる。コスモスは光エネルギーを右腕の拳に集め突き出し放つはエプリクスモード最大の技【コズニューム光線】を発射させレイキュバスに浴びせる。

 

同時にメビウスは身体を光にへと変え【コズニューム光線】の射線を流れるように、進みレイキュバスにぶつかると身体の中にへと吸い込まれるように入っていった。

 

 

『(緑谷君…頼むよ)』

 

 

 

 

────────────────────────────────

 

 

 

暗い暗い闇の世界。空間内には黒い霧、いや瘴気が漂っていた。その世界の中心に一人の少年───轟焦凍が顔を伏せながら佇んでいた。

 

 

 

───母さんに俺の(この力)が醜くと言われた───

 

───誰も俺を見てくれない、俺自身を見てくれていない。エンデヴァーの息子としか見ていない───

 

───右側(母さんの力)だけで勝つって決めたのに、優勝出来なかった。それはつまり母さんの期待を裏切ったんだ───

 

 

『その通りよ』

 

 

突如聞き覚えのある声が聞こえ顔を上げると、何と母親が目の前にいた。しかもあの時と同じような険しい表情で。

 

「…母さん」

 

『焦凍、私はアンタの左が醜い。そして憎いのよ、殺したいくらいにね。私はアンタの所為であの人よって病院送りになった。アンタが私の人生をめちゃくちゃにしたのよ!全部アンタの所為!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンタなんて産まれて来なければ良かったのよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パリン

 

 

 

 

 

 

その瞬間母親から全てを否定され心の中で何か壊れ絶望した轟は、そのマイナスの感情によって周りの黒い瘴気が濃くなり一気に彼を闇にへと呑み込もうとした。

 

 

「轟君」

 

 

だがその時一筋の光が現れると同時に声が聞こえ、振り向くと自分が知る人物が立っていた。

 

「…緑谷」

 

「大丈夫轟君。さぁ早くここから出よう」

 

「…悪いが、それは出来ねェ」

 

しかし轟はそれを拒否した。

 

「どうして?」

 

「今起こっていることは全部ここから見てた。俺の所為で関係のない人達まで危険な目に合わせちまった。そんな俺が戻ったところでお前にもクラスのみんなにも迷惑を掛けちまう」

 

「でもそれはヤプール(あの男)が君の心を利用しただけなんだ。だから轟君は悪くないよ」

 

「だが巻き込んだことには変わりねェ。そんな俺が戻ったところで雄英にも家にも居場所なんかねェんだよ」

 

轟は先程母親に言われた言葉によって精神が汚染され不安定に成っていた。

 

「それに母さんに言われたんだ。『アンタなんか産まれて来なければ良かった』ってな。存在そのものを否定された俺に生きている意味なんかねェんだ。だから俺はここで死んだ方がいんだ。そうすれば母さんも憎い俺が居なくなって済々するに違「巫山戯るな!!」ッ!?」

 

緑谷は突然声を荒げ轟の頬を拳で殴り付けた。

 

「僕達に迷惑を掛けたくないから死んだ方がマシ?巫山戯るなよ!確かに君の言う通り関係人達も巻き込んでしまった。だけどそれで君が死ぬのは間違っているよ」

 

「…」

 

「今回のことで君は沢山の人達を危険な目に合わせた。だったらそれ以上に沢山の人達を助けようよ」

 

「緑谷…」

 

「それに僕達は誰も君を、大切な仲間を見捨てたりなんかしないよ」

 

その緑谷が後ろを振り向くと麗日を始め飯田、蛙井、切島、Aクラスの皆が温かい笑顔で微笑んでいた。

 

「みんな…」

 

「それに君のことを思っているのは僕達だけじゃないよ」

 

 

『焦凍』

 

 

そこへ聞き覚えのある声が聞こえてると、目の前に母親が現れる。しかしその表情は後ろにいる幻影とは違い温かい笑顔で微笑んでいた。

 

「母さん…」

 

『ヒーローには成りたいんでしょ?』

 

その瞬間幼い頃の思い出がフラッシュバックした。それは母親に寄り添いながらオールマイトのインタビュー番組を観ていた。父親に対する憎しみに囚われていつの間にか忘れてしまっていたが思い出した。ーー母親から言われた言葉。

 

 

『成りたい自分に、成っていいのよ』

 

 

その瞬間彼を中心に物凄い熱量の炎が発生し、後ろにいる母親の幻影を飲み込んでいく。

 

「消えろォォ!!」

 

飲み込まれた幻影は影も形もなく消滅した。彼は自身の心の闇に打ち勝ったのだ。

 

「帰ろう、轟君。みんなが君の帰りを待っているよ」

 

「…あぁ」

 

轟は差し伸べられた手を掴む。その瞬間空間は砕け散り、明るく輝く光が辺り一面を照らした。その時の彼の表情はさっきまでと違い肩の重みが取れ、何か吹っ切れたような清々しいさ顔をしていた。

 

 

 

──────────────────────────────

 

 

 

【コズニューム光線】を何とか踏ん張るレイキュバスであるが、軈て限界が訪れ遂にレイキュバスの身体を貫いた。その瞬間光線と共にメビウスが流れるように脱出し着地する。その手には気を失っている轟を抱えておりゆっくりと観客席にへと下ろす。

 

レイキュバスの目の色はオッドアイから元の赤一色に戻っていた。大事な力の源であった依代を奪われたことに怒りの咆哮を上げる。

 

『轟君を取り返されて怒っているのか?でも僕はそれ以上に怒っているだ!轟君を苦しめたお前を僕は絶対に許さない!』

 

メビウス(出久)は炎のエネルギーを胸部に収束させ作り出した巨大な火球【メビュームバースト】を怒りを込めて放った。

レイキュバスも口から火球弾を連射し応戦するが全て打ち消され【メビュームバースト】の直撃を食らい大爆発を起こした。メビウス(出久)達の勝利である。

 

「クソッ、レイキュバスが。…警戒するべきはウルトラマンだけだと思っていたが、どうやら少し認識を改めた方が良さそうだ」

 

ヤプールが指をパチンッと鳴らすと彼の後ろに例の異次元空間が出現する。

 

「ウルトラマンに人間小僧、今回は俺の負けだ。だが覚えておけ!次に会う時こそ貴様等の最後だとな!!」

 

ヤプールはそのまま異次元空間に入り姿を消す。逃すまいとメビウスは手を伸ばしたが、その前に次元の入り口は閉じてしまった。黒幕を取り逃してしまったことに浸るメビウス(出久)をコスモス(光輝)が落ち着かせる。

 

『緑谷君』

 

『光輝さん、ゴメンなさい。もう少しのところでヤプール(アイツ)を取り逃しちゃいました』

 

『落ち込むことはないよ。確かに取り逃しちゃったのは事実だけど、でも轟君を救うことが出来たじゃないか。君は大切な仲間を救うことが出来たんだ、胸を張っていいんだよ』

 

『光輝さん』

 

その後コスモスのリカバリーオーラを放ち破壊された会場を元通りに修復する。さらにオールマイトを閉じ込めていた球体も消滅し、エンデヴァーの傷を完治させた。

 

 

こうして波乱の体育祭は幕を閉じたのであった。

 

*1
返信アイテムが装着された時、怪獣の情報も入ってきた




ヒロアカの5期が来年の春放送が決定して益々盛り上がりますね。早くこっちも話を進めたいです。
でもストックがないのでまた更新が遅くなります。ご了承ください。
次回も楽しみに待っていてください。

お気に入り登録、感想等お待ちしてます。


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23話 子は励まし、親は過ちを指摘する

お久しぶりです、アニメ大好きです。
最近暑くなってきたこの頃、そしてヒロアカ第三弾の映画が公開されましたね。

今回は体育祭後の話です。見事轟をヤプールの魔の手から救い出した光輝と緑谷。意識を取り戻した轟、しかし自分の犯したことに落ち込む彼をある人物が励まします。そしてエンデヴァーがある人物に説教を食います。
エンデヴァーファンの皆様には申し訳ないと思いますが、これもエンデヴァーの考えを改心させるキッカケのためなのでご承諾ください。

それではどうぞ。


あの騒動の後、俺と緑谷君は人目がつかないところで変身を解除し誰にも轟君を見つからないように保健室へと連れて行った。

保健室の職員【リカバリーガール】に事情を聞かれると緑谷君はどう説明すればいいのかテンパってジェスチャーのような動きをしてしまう。俺は先程のまでの出来事を素直に話すと緑谷は「ちょっと」っと言いたげに目を見開いてこっちを見つめる。だがこの学園の教師達には事情を話しているからウルトラマンのことも知っていると説明すると安心して胸を撫で下ろした。

 

轟君をベットに寝かせ安静にさせると、リカバリーガールは緑谷君に診察を受けるように言った。理由は「アンタは無茶するから」とのこと。確かに体育祭で腕を大きく負傷していたのに、レイキュバスに一人で立ち向かったんだもんなぁ。親じゃなくても色々と心配になってきちゃうかも。

緑谷君は素直にリカバリーガールの診察を受けると彼女の口から驚くべきことが告げられる。

 

「こりゃどう言うことだい!?」

 

「ど、どうたんですか?」

 

「どうしたもこうしたもないよ!アンタ、怪我が完治してるよ!」

 

何と負傷していた腕が完治していたのだ。まさかと思って覗いてみると、確かに体育祭で折れた指も全て治っており、レイキュバスのと戦闘で負ったはずの傷痕もなかった。

 

「一体どうして?」

 

「それはきっとあの時僕と融合したからだと思います」

 

3人で疑問に思っていると保健室にウルトラマンメビウスことヒビノミライさんが入室する。

 

『ミライさん』

 

「2人とも無事で何よりだよ」

 

「アンタは…」

 

「初めまして、ヒビノミライです。そして僕もウルトラマンです」

 

堂々と「私はウルトラマンです」と正体をバラしたミライに緑谷君は慌てふためくが、この学校の職員全員にはウルトラマンのことを話してあることを説明すると安心したようで溜め息を吐いた。

 

「もしかしてあの時のウルトラマンメビウス(巨人)がアンタかい?」

 

「そうです」

 

「随分と若いね。見た感じまだ20代くらいみたいだけど」

 

「それは僕がウルトラマンの中ではまだ若い方だからです」

 

「そうなのかい。それでさっきの言葉だけど、どう言うことだい?」

 

「はい。あの時一時的とはいえ僕は緑谷君と融合して戦いました。恐らくあの時融合したことで、緑谷君の身体にも影響を及ぼし傷が治ったんだと思います」

 

そんなことがあり得るのか!?イヤでも確かゼロが別宇宙の地球に行った時、一人の青年が危ない状況だったから融合しその青年は一命を取り止めた。だから傷が癒えても可笑しくない‥のかな?

 

「ン…ンン…」

 

疑問に思っていると轟君が目を覚ました。

 

「…此処は?」

 

「轟君、気が付いたんだね」

 

「良かった」

 

「まぁ、取り敢えず一安心だね」

 

「緑谷、礼堂先生、リカバリーガール、何で此処に……そうだ!俺は…」

 

轟君は自分が怪物(レイキュバス)となり会場をメチャクチャにしてしまったことを覚えているようで頭を抑え蹲ってしまう。

 

「俺は…俺はなんてことを…」

 

「違うよ、あれは轟君の所為じゃない。悪いのは君の心に漬け込んで弄んだヤプール(アイツ)なんだ!だから気にすることは「違う」……え?」

 

「あれは俺なんだ。俺が親父に対する怒り、憎しみに支配された姿。あの怪物は俺の心が具現化した姿なんだ」

 

轟君は今回のことで相当ショックを受けていた。無理もない。いくら操られていたとは言え大勢の関係ない人達を危険に晒したのは事実、その罪悪感は計り知れない。

いくらウルトラマンとは言え心の傷を回復させることは出来ない。コスモスの力でも不可能だろう。

 

『光輝、ここは俺に任せろ』

 

一つの変身アイテムが出現すると光だし人形にへと変わっていく。光が収まるとそこには古代の人が着ていたような服を身に付けた青年が立っていた。誰だ?

 

「ゼロ!?どうして君が!?」

 

エッ、ゼロってウルトラマンゼロ!?この人ゼロの人間の時の姿なの!?

 

「なぁに、轟焦凍(コイツ)のことでちょっと相談に乗ってやろうと思ってな。ここは俺に任せてくれ!」

 

人間姿のゼロは轟君に向き直り目を合わせる。

 

「アンタは…」

 

「俺はゼロ、【ウルトラマンゼロ】だ」

 

「ゼロって確かUSJの時に現れた…じゃあアンタがあのウルトラマンか!?」

 

「あぁ、でもこの姿の時にはそうだなぁ…諸星星児(もろぼし せいじ)って名乗っておくぜ」

 

そう言えばゼロが人間になることなんてなかった。いやあったにはあったけど、憑依した人の名前や普通に「ゼロ」って言われてたから他のウルトラマンのように人間の姿での名前はなかった。だからゼロが人間姿で名前を変えるのって新鮮味があるなぁ。

 

「…それでアンタが俺に何の様だ?」

 

「…ちょっとお前と話がしたくてな。すまねェが他の連中は部屋から出ててくれないか」

 

ゼロの退出してほしいと言うお願いにミライさん以外の全員が戸惑う。

 

「エッ!?でも…」

 

 

「ここは男同士、2人っきりで話がしたいんでな」

 

 

「…分かった。ゼロ、君に任せるよ」

 

「サンキュー、メビウス」

 

「皆さん此処は一旦外に出ましょう」

 

ミライさんに言われ、俺達は轟君をゼロに任せ保健室を出る。でも万が一のことを考えて扉の前で待つことにした。

 

「大丈夫だったのかい?あの青年1人に任せて」

 

リカバリーガールは轟君をゼロ1人に任せて良かったのか心配している。

 

「ゼロはあぁ見えても人に手を差し伸べる優しい心を持ってます。きっと大丈夫です」

 

確かにゼロは言葉使いはあまり良い方ではないけど、仲間想いだし、以外にも弟子想いなところもあり面倒見がいいから大丈夫だ。俺もゼロなら轟君を立ち直らせることが出来るって信じてる。

 

「そこを退いてもらおう」

 

いきなり声を掛けられ振り向くと、顔や腕から炎を纏っている厳つい顔をした1人の男性が立っていた。轟君の父親、確かヒーロー名は「エンデヴァー」だったかな。

 

「アンタか。何のようだい?」

 

「焦凍に会いに来た。俺の息子とあろう者が、今回のような失態を犯したことについて話し合わなせればならんのでな」

 

最初は息子が心配で様子を見に来たのかと思ったが、彼の眼を見て違うことに察する。何故ならその瞳は怒りに満ちていた。

恐らく自分の最高傑作(息子)ヴィラン(ヤプール)に操られ会場を滅茶苦茶にして多くの市民を危険な目に合わせたことが我慢ならないのだろう。だが怒りに囚われている今の父親(エンデヴァー)息子(轟君)に合わせるわけにはいかない。

 

「轟君はある人物と今面会している最中なので、今はお引き取り願えますか?」

 

「そうはいかん。焦凍には再指導をしてやらなければならない。そこを退いてもらおう」

 

やっぱり素直に引き下がらないか、見た目通りの頑固親父って訳ね。

どうやって追い返そうか悩んでいると誰かがエンデヴァーの肩を掴む。振り返ると50代くらいのダンディな男性だった。

 

「何だ貴様」

 

「エンデヴァーさんですね。少し貴方にお話ししたい事がありまして…」

 

「俺は貴様なんかと話をしている暇などない、その手を離せ」

 

しかし男性はエンデヴァーの厳つい顔に臆することなくその目をジッと見ていた。

 

「息子さんにお会いになるのは私の話を聞いてからでも遅くありません。それとも、此処で迷惑を掛けることが望みでしょうか?」

 

此処は雄英の校舎内、下手に個性を使ってしまえば大惨事になりかねない。それにヒーローが一般人(?)である男性に私利私欲で手を出したとなれば社会問題に発展する。

 

「クッ…分かった。少しだけなら聞いてやる」

 

「ありがとうございます。しかし、ここではなんですので場所を移しましょう」

 

男性は俺達に背を向ける形で足を進め、エンデヴァーもその人に付いていき離れる。

 

「あのエンデヴァーに一歩も引かないなんて、あの人凄い」

 

「でも行かせて良かったのかい?今のエンデヴァーはどう見ても機嫌が悪かった。下手すれば大事になりかねないよ」

 

リカバリーガールのその台詞に緑谷君は「しまった」と取り乱しそうになる。エンデヴァーに会えた喜びと握力ある威圧感で状況の呑み込みが出来ていなかったんだろう。でも心配ない。

 

「大丈夫だよ。あの人はそう簡単には引かないと思うよ」

 

「光輝さんの言う通りです。だってあの人は…」

 

────────────────────────────

 

光輝達が退出し、諸星星児(ウルトラマンゼロ)と轟焦凍の2人だけになった保健室。少し沈黙が訪れた後轟が口を開く。

 

「それで話って何だ?」

 

「…昔の俺のことを言っておこうと思ってな。俺がまだウルトラマンを名乗る前の頃だ」

 

────────────────────────────

 

 

一方エンデヴァーは男性に連れられて人気のなさそうな体育館前まで来ていた。

 

「それで貴様、俺を此処へと連れ出してなんだ?」

 

「…単刀直入に聞きますが、貴方にとって轟焦凍君…息子とは何なんなのでしょうか?」

 

「そんなの決まっている。焦凍はオールマイトを超えるために俺が作り上げた最高傑作だ。俺の意志を継ぎNo.1になる存在だ!」

 

エンデヴァーは腕を組みながら表情一つ変えず堂々と言い放つ。しかし男性の顔は浮かない表情をしていた。

 

「そうですか。ではあの時保健室に行って何をするつもりだったのでしょうか?」

 

「簡単なことだ。今回の焦凍がヴィランにいいように利用されて俺の顔に泥を塗るようなことをしたのでな。少し説教をしてやろうと思っただけだ」

 

「…息子さんが危険な目にあったのですよ。心配の言葉は掛けないのですか?」

 

「焦凍はいずれオールマイトを超える存在になるのだ。そんな甘ったれたことを言っている場合ではない!!」

 

エンデヴァーの発言に対し男性の額には青筋が立っていく。

 

「成る程、今のでハッキリとわかりました。貴方にとって轟焦凍君(息子さん)は────単なる道具でしかなかったと言うことが」

 

その言葉にエンデヴァーの身体から溢れ出ている炎の火力が上がり、その周囲一帯を燃え尽くさんとする勢いであった。

 

「…この俺を侮辱するのか?」

 

「侮辱ではない、事実を言っただけだ」

 

「貴様ァ…黙って聞いていれば知ったような口を聞いて…貴様に俺の気持ちが分かるか!俺は焦凍をNo.1ヒーローにするためにアイツが子供の頃からヒーローになるための特訓をしてきた!それはアイツを思ってのことだ!それを貴様は、俺が焦凍を道具のように扱っていたと言うのかァァ!!」

 

逆上したエンデヴァーの炎の火力はさらに威力を増し、校舎を火の海にへと変えようとせん勢いで燃え上がっていた。一般人やそこらのヒーローなら怯えてしまうだろうが、男性は臆する素振りは全くなくエンデヴァーの目を見ていた。

 

「…確かに俺はアンタのことを詳しくは知らない。だが息子を強くしたいと言う気持ちはわかる。俺にも息子がいるからな」

 

 

───────────────────────────

 

 

星児はベットに腰を掛け語り出す。

 

「あの頃の俺は、自身の強さに慢心して何でも出来る、出来ないことなんてないって思ってたんだ。それでもっと強い力を手に入れるために【プラズマスパーク】の力を手に入れようとしたんだ」

 

その事実に轟君は目を見開いた。以前光輝がウルトラマン誕生の歴史を教えてくれた時、一人のウルトラマンが【プラズマスパーク】の光に触れ、その身を滅ぼし【光の国】を追放されてしまい、結果悪の道にへと進んでしまった。ゼロはそのウルトラマンと同じこと仕出かそうとしたと言う。

 

「光に触れる寸前セブン(親父)が止めてくれたんだ。だがウルトラの星の条例を破ったことによって俺は島流しの刑にされたんだ。今思えば、なんて馬鹿なことをしたと後悔してる。俺の最大の黒歴史だ」

 

 

────────────────────────

 

 

「オールマイトを超えるヒーローにする?確かになったらなったで嬉しいことだ。だが他人、ましてや自身以外の家族との接触を避けさせるとは何事だ!そんなことは許されることではない!ましてや自分の全てを息子に背負わせるなど言語道断!息子さんはアンタの欲求を満たすための道具ではない!!」

 

男性の唯ならぬ迫力もあり、その言葉にエンデヴァーは自身の行いを思い返していく。自分ではオールマイトを超えることは不可能だと悟り「個性婚」で今の家族を手に入れた。しかし『オールマイトを超える』ことしか考えていなかったため奥さんを病院送りにし息子(焦凍)に負の感情を植え付けてしまった。自身が息子を、家族をしっかり見てこなかった末路が今回のことに繋がった。その事に漸く気付く。

 

「アンタは自分の目的のためだけで自分の息子のことをしっかりと見ていなかった!そんなアンタに父親を名乗る資格はない!!」

 

男性からトドメと言わんばかりの言葉を突きつけられる。エンデヴァーの炎は先程とは一変し今にも消えそうなくらい弱々しくなっていた。

 

「…俺は今後、焦凍とどう接すればいいんだ」

 

「それはアンタ自身で考えることだ。だがアドバイスとして先ずは真剣に向き合うことから始めたらどうだろうか。少しずつでも息子さんとの溝を埋めていくそれしか方法はないだろう。その後どうするかは、貴方次第だ」

 

男性はそれだけ言うと背を向けその場から去る。エンデヴァーはその後ろ姿を黙って見ていた。

 

─────────────────────────

 

 

「もしあの時セブン(親父)に止められなかったら、ベリアルと同じように宇宙を支配するなんて馬鹿げたことをやってたかもしれねェ」

 

「…」

 

「轟、確かにお前の力はお前の親父さんとお袋さんから貰ったもんだ。だがな、いつまでもそんなことに囚われてたら前には進めねェんだ」

 

「…クソ親父のことを許せってのか」

 

「そうじゃねェ。まぁ確かに、いつかはそうなってもらいてェが、今は少しでもその炎(親父さんの力)と向き合って行けってことだ。お前も見ただろ。俺の青と赤の姿を」

 

USJでの戦闘でゼロが青と赤の姿を使い分けながら「ヒーロー・キラー」を倒したことを思い出す。

 

「あれはある戦いで先輩とも言える2人のウルトラ戦士から貰った力なんだ。でも最初は『何で俺にこの力を与えたんだ?』って悩んだもんだ。だがある戦いで一つの小さな命を救った時に思ったんだ、俺にしか出来ないことがあるってな」

 

「自分にしか出来ないこと…」

 

「あぁ。それに親父さんもお前のことを大切な存在だと思っているはずだ。現にお前を助けてくれたじゃねェか」

 

確かにあの精神世界に囚われていた自分を救い出してくれたのは緑谷と左側(父親)の力である。

 

「焦らず自分のペースでいいから親父さんと向き合ってみろ。その力を受け入れた時、お前は間違いなく心も強くなる。頑張れよな、未来の英雄(ヒーロー)!」

 

星児は語り終えると部屋を出て行く。1人残された轟の表情はまるで取り憑いていた物が晴れたように清々しくなり、その瞳は今まで以上に輝いていた。

 

 

 

 

体育祭編

 

 

ー完ー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 

 

その後緑谷は特に身体に以上は見られなかったので、ご両親を安心させるためにと家にへと帰した。

 

「母さん、ただいま」

 

「出久ゥ!無事だったの、良かったァァァ!!」

 

彼の母、引子は最愛の息子の無事に涙を流しながら喜んだ。玄関が水浸しになる程に。すると出久の後ろにいる1人の青年が目に入る。

 

「あ、貴方は?」

 

「初めて、ヒビノミライと言います」

 

「ッ!は、初めて、出久の母の引子と申します(やだ…凄いカッコいい)」

 

引子はミライの輝く笑顔に見惚れてしまい顔を赤くさせウットリしていた。

 

「…母さん?」

 

「ハッ!?な、何出久?」

 

「う、うん、実は母さんお願いがあるんだ。ミライさんを暫く家に泊めてもらえないかな?」

 

実は保健室前で待っている間ヒビノ ミライ(ウルトラマンメビウス)は出久の【ワン・フォー・オール】を制御するため*1の力になりたいと言い出した。必死に頑張る彼の姿を昔の自分と照らし合わせたのだろう。

そこで先輩ウルトラマン達が社会勉強を兼ねて彼と一緒の家に住むことを提案したのだ。

 

「こ、この人が家に!?」

 

「あの、ご迷惑でしたら別にいいのですが」

 

「そ、そんなことはありません。家で良ければどうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

ミライの神々しい笑顔に当てられ引子はトマトのように顔を真っ赤にしてしまう。

 

「(こ、こんなカッコいい人が家にッ!だとしたらこんな身体を晒すのは失礼よね。…よしッ!)」

 

こうしてウルトラマンメビウス(ヒビノ ミライ)は出久と同居することになったのだが、その2人に隠れて引子は身体にいい食事や痩せるための運動などコッソリ調べ、ダイエットに励み始めるのであった。

 

*1
ウルトラマン達は皆オールマイトから事情を聞いて知っています




と言うわけでゼロと轟、セブンとエンデヴァーの会話でした。

最後のおまけですが、引子さんはミライ(メビウス)に対してときめいたが、夫がいるので恋愛感情はありません。でもお客様に対して自分の今の体型は問題があると思い移した行動です。
しかし人間の時のメビウスはイケメンなので女性ならときめいてしまいますよね。だから仕方がないこと…多分。

次回はヒーローネームの話なのですが、ここで作品者から皆様にお願いがございます。

この作品でのオリジナルで行きたいと思っています。なるべくウルトラマンに因んでの名前がいいのですが全然思いつかなくて…。
そこで皆様のアイディアをいただきたいと思います。皆様のお力をお貸しください(因みにアイディアが来ない場合は原作通りになります)。

アイディアは私のメッセージの方でお送りください。ご協力お願いします!!


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24話 ヒーローネーム&講座への準備

どうも皆様アニメ大好きです。

この作品での挨拶はお久しぶりになると思います。お待たせしてしまって大変申し訳ございません。
言い訳かもしれませんが、この話を書こうとした時に、感想で「この作品は最低」みたいなことを書かれてしまい一気に気力が無くなってしまったのです。申し訳ありませんでした。

前置きはこれくらいにして本編をどうぞ。


 体育祭後の振替休日が終わり通常登校の日、緑谷とミライは朝の通勤電車で揺られていたがミライは何気に楽しそうだった。

 と言うのも前の世界ではほぼ車移動だったので電車に乗るのが初めてなのだ。だから搭乗する時子供のように目を輝かせていた。

 

 そして緑谷は体育祭のことで搭乗していた人達から注目を浴びてアタフタしていた。中には表彰式の最中でヴィランの襲撃にあったことを心配してくれる人もいた。

 

 とまぁ、なんやかんや合って無事雄英に到着した緑谷はミライと別れ教室に入ると、皆登校中に体育祭での活躍で色んな人から注目を浴びたと言う。中には「ドンマイ」と慰められ地味に傷付いた者もいた。その会話の中緑谷は席に着いている轟を確認すると彼に近づく。

 

「轟君、おはよう」

 

「…緑谷か」

 

「あの〜その〜、昨日は大変だったね。身体の方大丈夫?」

 

 実は緑谷はあの事件の後から轟のことをずっと気に掛けていた。昨日の体育祭で一番辛い目に遭ったのは彼であろう。ヤプール()によって怪物に変えられ多くの人々を危険な目に合わせた、きっと今朝も周りから白い眼で見られただろう。更にその原因の一つが父親だって事もあり、尚更なんて言葉を掛けていいのか分からず混乱アタフタしていた。

 

 幸いあの騒ぎの際に音声マイクが壊れてしまっていたようで、控え室に避難していた人達はその時の会話の内容を知らないのが救いである。

 

 そして轟が口を開く。

 

「…昨日の件のことなら心配するな。確かにまだクソ親父を許せねェし、親父の力(この左手)を素直に受け入れること出来ねェ。だがそこから逃げる気もねェ。少しずつでも親父の力(この左手)と向き合っていくつもりだ」

 

 その時の轟の表情は前よりも明るくなったような感じがした。どうやら昨日保健室での話し合いで心境が良くなったようだ。そしてそんな彼の表情を見た緑谷も自然と笑顔になる。

 「ガラガラっ」と扉が開き、包帯を外した相澤先生が入室する。あれだけ酷い怪我をしたのにもう包帯を取って大丈夫なのかと心配するが、本人はリカバリーガール(婆さん)の処置が大袈裟とのこと。

 

「今日のヒーロー情報学、ちょっと特別だぞ」

 

 『特別』と言うワードに全員緊張が走る。初日からテストをやる人だ、今度は一体何をなるのかと身構える者もいる。

 

 そして相澤先生から告げられる今回の議題は…

 

 

「【ヒーローネーム】ヒーロー名の考案だ」

 

 

 

────────────────────────────────

 

 

 

礼堂side

 

 

 俺は今、午後の授業で使う資料を整えていた。エッ?何の授業だって。それは勿論前回やったやつだよ。それは根津校長に頼まれたからさ。

 

 

〜回想〜

 

 

 それは体育祭が終わった次の日、俺は校長室にへと足を運んだ。

 

『(コンコンコンコン)失礼します』

 

『おや?礼堂君じゃないか。どうしたんだい』

 

『いきなりで申し訳ないのですが、改まってお願いがあります。…明日のA組の授業の1時間分を、私の講座へと当てていただけないでしょうか?』

 

『講座と言うと君が以前やった()()のことだね?でも何でいきなり?』

 

『…今日の騒動で学校の生徒達も怖い想いをしました。中には今日の出来事がトラウマとなってしまう子も出てくると思います。でもそんな今だからこそウルトラマン達の戦いの歴史を知って見てほしいのです。どんな強大な敵にも立ち向かっていったウルトラマン達(彼等)の勇姿を!!』

 

『…分かった。君の願いを聞き入れよう』

 

『ッ…ありがとうございます』

 

『ところで何故A組の子達だけなんだい?』

 

『それは…私を含めウルトラマンのことを知っているのは生徒は彼等だけですから。それに全校生徒の前でやってしまったら、色々と大騒動になり兼ねませんし…』

 

『確かにそれもそうだね。それじゃあA組のスケジュールは僕の方で調整しておくよ』

 

 

〜回想終了〜

 

 

 そして現在の状況に至る。しかし自分で頼んでおいて何だけど、根津校長もアッサリOK出したな。話が分かると言うか、気前がいいと言うか。

 

「ふぅ〜。今年も中々いいヒーローネームが出たわね」

 

 そんなことを考えていると「ガラガラ」っと扉が開き、ミッドナイト先生が入ってくる。

 

「ミッドナイト先生お疲れ様です。そう言えばさっきの授業でA組の子達のヒーロー名を決めていたんですよ。皆んなどんな名前にしたんですか?」

 

「あら、やっぱり気になる〜?これにA組の子達のヒーロー名を記入してあるから見てみなさい」

 

 そう言って名簿を渡してくれたので、出席番号順に見ていく。

 

 

 青山君──「輝きヒーロー【I can’t stop twinkling】」

 

 芦田さん──「リドリーヒーロー【Pinky(ピンキー)】」

 

 蛙吹さん──「梅雨入りヒーロー【フロッピー】」

 

 麗日さん──「無重力ヒーロー【ウラビティ】」

 

 尾白君──「武闘ヒーロー【テイルマン】」

 

 上鳴君──「スタンガンヒーロー【チャージズマ】」

 

 切島君──「剛健ヒーロー【烈怒頼雄斗(レッドライオット)】」

 

 口田君──「ふれあいヒーロー【アニマ】」

 

 砂糖君──「甘味ヒーロー【シュガーマン】」

 

 障子君──「触手ヒーロー【テンタコル】」

 

 耳郎さん──「ヒアヒーロー【イヤホンジャック】」

 

 瀬呂君──「テーピンヒーロー【セロファン】」

 

 常闇君──「漆黒ヒーロー【ツクヨミ】」

 

 葉隠さん──「ステルスヒーロー【インビブルガール】」

 

 峰田君──「もぎたてヒーロー【GRAPE JUICE】」

 

 八百万さん──「万物ヒーロー【クリエティ】」

 

 

 …皆それぞれ自分の特徴に合った名前を付けたて中々いいけど、気になる子が数人いた。先ず飯田君と轟君の2人。

 

 飯田君は【天哉】、轟君は【ショート】

 

 彼等は自分の名前を付けている。でも2人ともそれでいいみたいとのこと。

 

 次に気になったのは爆豪君。彼だけヒーロー名が空欄になっていたのだ。

 

「あの〜ミッドナイト先生。何故爆豪君だけヒーロー名がないんですか?」

 

「あぁ、それね。彼の出した名前が全部ダメだったからよ」

 

「どんな名前だったんですか?」

 

「1番最初が【爆殺王】、次が【爆殺卿】よ。どう考えてもヒーロー名には相応しくないわ」

 

 確かに、それはヒーロー名としてはどうかと思う。てか【爆殺王】【爆殺卿】って…これ悪者の二つ名な気がするな…。

 

 そして何より1番驚いたのは緑谷君のヒーロー名。それは【デク】である。これは爆豪君から散々言われ続けている蔑称、それをヒーロー名にしたと言うことは今後ヒーローをやっていく上で生涯言われ続けると言うことだ。

 

「緑谷君、本当にこれにしたんですか!?」

 

「確かに本人も最初は好きじゃなかったみたい。でも『ある人に意味を変えられて、嬉しかった』って言ってたわ。もしかしたら、今の彼には何か思い出深い物なのかもしれないわね」

 

 その「ある人」って、もしかしてあの子のことかな。確かにあの子に「頑張れって感じ」って言われて以来、その言葉にも少し嫌悪感が無くなっていた感じがあった。

 それに本人がそれでいいと言うのなら、俺がどうこう言う権利もないし。

 

「ところで、さっきから何やってるの?」

 

「実は昨日、根津校長に頼まれてA組の皆んなに特別講座をやろうと思っているんですよ」

 

「あら、面白そうじゃない。私も見学に行ってもいいかしら」

 

「エッ!?でもミッドナイト先生も担当の授業があるんじゃ…」

 

「大丈夫、午後はアタシの担当授業ないから。それに今貴方のお願いに答えたんだから、私からのお願いにも答えて。いいでしょ?」

 

 そう言ってミッドナイト先生は身体を近寄らせてくる。この先生タイツ1枚だから凄く刺激が強過ぎる。

 

「わ、分かりました。でもそれには根津校長の許可を取ってください」

 

「ありがと〜。それじゃ早速校長に許可取ってくるわ〜」

 

 ミッドナイト先生はルンルンで一旦職員室を出る。

 

 数分後戻ってきたミッドナイト先生はご機嫌な表情で戻ってきた。どうやら許可が降りたようだ。どうやって許可を取ったのか聞いてみたら、二つ返事でOKしたとのこと。理由としては「いい機会だから、ミッドナイト君も彼等の歴史を知ってもらいたい」とのこと。

 根津校長、そんな安請け合いでいいのでしょうか?

 

 まぁ折角だし、彼女にもウルトラマンのことを詳しく知ってもらう良い機会かもしれない。

 

「それじゃあ午後の授業、楽しみにしてるから♪」

 

 そう言ってミッドナイト先生は自分の机に着いた。やれやれ、ミッドナイト先生も生徒達に負けず劣らず元気一杯だな。

 

 

───────────────────────────────

 

 

緑谷side

 

 

 1時間目の授業で僕達のヒーロー名が決まり、皆職場体験に行く事務所を何処にするか迷っていた。

 指名があった者はその中1つの事務所を選んで、それ以外の者は職場体験を受け入れている事務所から選んで行くことになっている。僕には指名は来てなかったから、体験を受け入れている事務所の中から選ぶことなる。

 

 でもやっぱりこれだけあると何処の事務所に行くべきか悩む。残り2日で行く事務所を決めないと。

 

 

キーンコーン、カーンコーン

 

 

 悩んでいる間に、午後の授業開始の予鈴が鳴り扉が開いて入室してきたのは、相澤先生と礼堂さん、それにミッドナイト先生だった。

 

「ハぁ〜イ皆♪」

 

「エッ?ミッドナイト先生!?どうして?」

 

「それに相澤先生と礼堂さんも!」

 

「次の授業って違う先生だよだったよな?」

 

「もしかしてまた抜き打ちテストとか!?」

 

「いや、もしかするとR18ヒーローによる、R 18な授ぎょ「ベシッ」ブヘッ!」

 

「下品よ、峰田ちゃん」

 

 今日の午後の授業は、相澤先生でもミッドナイト先生の担当じゃないはずなのにどうして?それに何で礼堂さんも一緒に?

 

「静かにしろ。今日の午後の授業だが、予定を変更して礼堂さんによる【ウルトラマン講座】をすることになった」

 

『スゴい上がるの来たァァーーー!!』

 

 【ウルトラマン講座】って前に礼堂さんがやったあれのことだよね。どうしていきなり!?

 

「先日のこともあって、君達にもっとウルトラマンのことを知ってもらいたくて根津校長にお願いしたんだ。そして体育祭を頑張った皆んなへのご褒美と言うことも兼ねてね」

 

 所謂僕達へのサプライズ授業ってことかな。

 

「でもどうしてミッドナイト先生もいるんですか?」

 

「彼から話を聞いて、面白そうだからアタシも一緒にさんかことにしたの」

 

『すっごい私情だ…』

 

「そして今回はゲストをお呼びしています」

 

 「ガラガラ」と扉が開くと、コートを羽織り眼鏡を掛けた1人の老人が入って来た。

 

「初めまして皆んな。私の名はハヤタ・シン。又の名をウルトラマンだ」

 

 エッ!?ウルトラマン!?あの1番最初に巨大な敵を倒した巨人がこの人!?

 

「エッ!この人ウルトラマンなの!?」

 

「結構歳いってるおじさんじゃん!」

 

「だがその分貫禄があるとも言える」

 

「と言うと他のウルトラマン達も人間になると、同じくらいの姿になると言うことか?」

 

「いや、全員が同じになる訳ではない。私が地球人になると、この姿になるんだ」

 

 確かに僕と一緒にいたミライさんは20代くらいだったのに、この人は見た目60代くらい。その分だけミライさんが若いってことなのかな?いやそもそも、ウルトラマン達と僕達の歳を取る時間を同じに考えるのも…」ブツブツブツブツ

 

「おい、緑谷。また自分の嵌ってるぞ(汗)」

 

 ハッ!しまった、いつの間にか声に出していた。

 

「ご、御免なさい。話の途中だったのに僕…」

 

「ハハハ、気にすることはないよ。事実私は君達よりも遥かに歳上だからね」

 

 またいつもの癖が出て話を脱線させてしまったことに申し訳なくて謝罪すると、小父さん──ハヤタさんは怒るどころか笑顔で応えてくれた。

 

「今回は私が地球に来てからの戦いを観てもらいたい。君達のために少しでも参考にして貰えると嬉しい」

 

 別の世界のヒーロー────ウルトラマン基、ハヤタさんから地球での戦い歴史が語られる。このことに僕はワクワクが止まらなかった。

 

 




次回は初代ウルトラマンに関する講座をやります。

でも全ての話をやるとかなり時間が掛かってしまうので、印象に残っている話のみをやろうと思っています。その辺はご了承ください。

そしてヒロアカ6期が始まりましたね。いよいよ最終決戦への序章がスタート、どんな展開になっていくのか楽しみですね。

それではまた次回。


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