神崎蘭子のマネージャーは通訳? (スレ主)
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本編
第1話


特に考えずに投稿した後悔はしていない。

それと本家のように()がついて本心が見える訳ではないです。
みんなで熊本弁を覚えて見ましょう。


中学2年になる前に転校が決まった。

 

とはいってもそれほど悲しくないし、なによりも東京に行けるという楽しみの方が強かったので、我ながらメンタルへのダメージは少ない。

べ、別に友達が少ない訳じゃないんだからねっ!!

 

そして今日は転校初日、クラスに入る前に職員室にくるように担任言われたので職員室に入る。

 

「失礼します、吉野先生に呼ばれてきました」

「あぁ、こっちこっち」

 

ヒラヒラと手を挙げるそちらの方に行く。

途中先生方から

 

「おっ、噂の転校生かよろしくな」

「最初の挨拶は面白いことはしなくていいぞ」

 

と言われるが俺は首を傾げる。

 

「あぁ先生方、こっちは噂の転校生じゃないですよ」

「あぁ、吉野先生のクラスには二人転校生が来るとか言ってましたね」

「はい、うちのクラス二人も転校してしまいましたからね、ちょうどよく来てくれたって感じですね」

 

噂の転校生?

 

「ん、気になる?噂の転校生」

「まぁ、自分以外の転校生はきになりますけど……噂ってなんですか?」

「そりゃ噂ってくらいだからね、とりあえず凄く可愛いわよ、お人形さんみたいに綺麗だしモデルの経験もあるみたいよ」

「そりゃ男子が喜びますね」

「えぇ、クラスに入ったら喜びの舞でもするレベルで可愛いわ………ただねぇ」

「なんかあるんですか?」

「そのコミニュケーション能力というか、意思疎通がかなり難しいのよね………」

 

そう先生は言うと後ろから扉が開く音が聞こえる。

 

透き通るような白い肌、見つめられた者をまどわされるような大きな瞳と整った顔立ちに少し驚いたが、彼女の言葉に二度驚く羽目になる。

 

「失礼する、我を召喚する呼ぶ声があり、この場所に舞い降りた!!」

 

「……重度の厨二病患者だったかー」

「厨二病?」

「えぇ、中学生の男子なら一度はかかる病気みたいなもんです、だけどここまで酷い厨二病は初めて見ましたよ、しかも女子で」

「とりあえず彼女なんて言ったの?」

「………先生に呼ばれたので職員室に来ましたって感じですね」

「なるほどね、蘭子ちゃんこっちこっち」

 

ヒラヒラと手を挙げると「む、そちらか」とこちらに来る。

 

「はいじゃあ、蘭子ちゃんも来た所だし、改めてだけど挨拶するね、君たちの担任になります吉野と申します、吉野先生と呼んでください」

 

本当に改めてだな、吉野先生に目で自己紹介するように促される

 

「えっと、高梨和也です」

 

と無難な返しをすると隣の神崎さんはバッ大袈裟な動きをする。

 

「ククク、我が名は神崎蘭子、運命によって天界から魔界に堕ちたが、新たなるこの地でも宴を始めようぞ」

 

ちらっとこちらを見る吉野先生。

 

「………あー、吉野先生彼女の出身地って?」

「えーと、たしか熊本県よ?」

「………事情があって熊本から東京にきましたがこちらでも頑張っていきたいと思います………ですかね」

 

チラッと隣を見るコクコクと首を頷いてる。

いや最初からそう言えばええやん?

というか何でキラキラした目でこっちを見るのさ。

 

「和也くんお願いがあるんだけどいいかしら?」

「既に流れが見えているんですが………なんですか?」

「蘭子ちゃんの通訳係として色々頑張ってもらえるかしら?」

「えーと、ほら神崎さんも別に俺の通訳無くても大丈夫だよね?」

「フッ、我が言霊は読み解ける者はそうはいない、我と契約を結んでみないか?」

「いや、堂々と言えることじゃないからね」

「うぐぅ、うぅ……ささやかな慈悲を」

 

ぐっ、上目遣いでこっちを見るな。

 

「何だかよく分からないけど、蘭子ちゃんもお願いしてるんでしょー、女の子お願いを無下にする男子はカッコ悪いなー」

 

ここぞとばかりに便乗して、男女平等とは一体どこへ行ったんだ………

 

「はぁー分かりましたよ、と言ってもあくまで俺が分かる範囲で通訳はする、それと日常生活丸々カバー出来るわけじゃないからそこは理解してくれよ」

「契約の内容は理解した」

「はぁ、とりあえずよろしくな」

「ククク、創生の時!」

「んー、やっぱり何言ってるか全然分からないわね、んじゃお二人さんそろそろクラスに行くよ」

「はーい」

「うむ」

 

荷物を持ってクラスまでの道のり歩いていると吉野先生から声をかけられる

 

「蘭子ちゃんのことですっかり聞くの忘れたけど、二人とも新しいクラスに入るけど緊張してる?」

「わ、我が胸を、天使たちが叩いているわ…」

「あー、今のは緊張してますって意味です」

「高梨くんは?」

「さっきまでしてましたけど、これ以上濃い出来事がない限り大概のことは大丈夫そうですね」

「あはは、でも二人とも助かったわね。クラスに入る前に既に友達が出来てるんだから」

「そうですね、そう言う意味ではホッとしてます」

「ありゃ意外と動じないね、年頃の男子なら恥ずかしがる所なんだけど」

「昔から達観してるねとか言われてるますし」

「なるほど、蘭子ちゃんも良かったね」

「う、うむっ!!貴殿は我が盟友としてこれからも精進すると良い」

 

「(こっちは照れてるみたいだね)」

「(肌が白いから、赤くなると分かりやすいですね)」

「(むぅ、なんか先生が望んでる反応と違う)」

「(甘酸っぱい恋愛が見たいなら月曜9時にテレビでも付けてください)」

 

と、ここが2ーAか

 

「それじゃあ私は先に入るけど、今の内にどっちが先に挨拶するか決めとく?」

 

チラッと神崎さんの方を見て少し考える。

 

まぁ、最初も後もこっちが本命か。

 

「先にやります」

「お、こういう時に積極的になる男子は評価高いぞー」

「まぁ、俺の心配いらないと思いますよ」

「あはは、正直ちょっと心配なんだよね、クラスに馴染めるか」

「まぁ、なるようになれですね」

 

先生は大きくため息をついて、「うんじゃ先に行ってるよ」といい先に入る。

 

ふと服の袖をクイクイと引っ張られる。

 

「我が盟友よ」

「会って一時間経ってないけどね」

「むぅー、戯れてる暇はない、………その、私の魔力が本当に通じるか少し不安だ」

「神崎さんは可愛いから大丈夫だよ」

「か、可愛いっ!?」

「そ、可愛いは何をしても許されるのDo you understand?」

「あ、あいむ、あんだすたんど」

「だから大丈夫だよ」

「本当に?」

「本当、本当」

「絶対?」

「……なんかあったらフォローするから好きにやりなって」

 

投げやりに言うと、むぅーとふくれっ面をする。怒ってるみたいだけど全然怖くない………が、ちょいと言い方よろしくなかったか。

 

「こほん………それとも盟友を信じることが出来ないのか我が盟友ブリュンヒルデよ」

「ッ!?………いいだろう、貴殿の言葉を信じようぞ」

 

そう言い意気揚々にクラスに入り彼女らしい挨拶をして、彼女の通訳として認識してされるようになってしまった。

……なっちゃったのである。

 




作者はアニメも原作のゲームもやってないのに二次創作書く勇気は中々すごいでしょ?

もともと某笑顔になる動画で「神崎蘭子のまとめ」を見て

「翻訳者さんすごいなー………これで一本書けんじゃね?」
という軽いノリで書きました。

軽いノリで書いたので凄く適当に書いてます。
多分ひどい間違えとかあるとと思いますが、軽いノリで書いてるので軽いノリで見てください。

愛がありすぎると私の別の投稿作品見たいに「あの子にアレやらせたいなー………でもこういう子じゃないし止めよ」とかなります。

だけど適度に好きなキャラなら色々やってみようとか起きますねっ!!


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2話

3話まで連続投稿。


 

 

「蘭子ちゃん、やみのまー」

「うむ、闇に飲まれよっ!!」

 

二週間も経つと神崎蘭子という少女が一体どういう人間なのかクラスの人間も分かってくる。

最初は通訳なしではほぼしゃべれなかったが、「誰でも分かる神崎蘭子の翻訳集」を彼女にバレないようにみんなに渡し、今では頻度が高いセリフは皆ほとんど理解している。

 

が…それでも

 

「わ、我が盟友よっ!!」

「はいはい今日はなんですか」

 

こうして呼ばれる事もある。

 

「魂を封じ込める器?」

「うん、どゆ意味?」

 

クラスの女子と会話が、成り立たなそうになるとこうして呼ばれ、分からない意味を教えている。

 

「カメラのこと、意外と神崎って写真を取られるのが好きでね、確かモデルもやってたらしいよ」

「本当にっ!?」

「真である」

「蘭子ちゃん可愛いから納得だわー」

「かわっ!?………こほん、所詮、我の魔力の衣に惹かれた者…」

「高梨くんもそう思わない?」

「神崎は可愛いからな、納得納得」

「ふひゃあっ!?」

 

「(あーもう、蘭子ちゃん可愛いなー)」

「(あんまりいじめてやんなよ、あとで膨れるから)」

「(なにそれ超見たいんですけどっ!)」

「(ほら、ジト目でこっちを見ているんだけど、ついでに男子の殺気めいた視線もセットで)」

「(しょうがないよ神崎さんに唯一「我が盟友」って呼ばれてるんだもん)」

 

 

「我が盟友よ、なにか秘め事か」

「魔力の衣に惹かれたの意味を教えてだけだよ、というか私服のことであってるよね?」

「如何にも、この姿は所詮仮初め、漆黒の衣こそ我が身にふさわしい」

「えーと?」

 

またまた訳が必要なセリフがチラホラと………

というか漆黒の衣ってなんだよ……

 

「漆黒の衣……私服?いやそれは魔力の衣か………直訳だと黒い服?それだと比喩を使ってないし………あー、ゴスロリか?」

 

コクコクと首を縦に振る神崎。

 

「ゴスロリっ!?確かに蘭子ちゃんならすっごく似合いそうだね………そうだ今度一緒に洋服見に行かない?」

「わ、私の魔力の波動が貴殿と同調するか、いささか疑問だが……」

 

藤井さんはこちらをチラッと見る。

 

「私の服のセンスと藤井さんのセンスが合うか分からないよだって」

「大丈夫、私はただ単純に蘭子ちゃんの可愛い姿がみたいだけだからっ!!」

「いや堂々と言えば良いって訳じゃないから」

「まぁ、だから今度の土曜日一緒に蘭子ちゃんの洋服見に行こうよ」

「う、うむ、我も天界にはない魔界の衣を拝見しようと思っていた所だ」

「へー、じゃあ熊本に住んでた時はどこで買ったりしてた?」

「天界にもあるにはあるのだが、魔界と比べるとどうしても少ない。なので電脳グリモワールを使い、我が身の波動と同調する物を探していた」

「あぁ、ネットなら確かに種類はあるけど出来れば実物はみたいもんな、サイズとか見えない部分とか合わないと困るしな」

 

と単純な疑問を訪ねていたが藤井さんが困ったような顔で

 

「あのごめん、私途中から全く付いて行けてないけど」

「あー悪い、えーと、今度私も服を見る予定もあったし大丈夫。だな」

「よかったー………あのさ、今度の土曜日高梨くん一緒に来てくれない?」

「逆にそっちはいいの?」

「蘭子ちゃんとの最低限のコミュニケーションは取れるけど流石に高梨くん無しで行くのは厳しいかも」

「………神崎、俺も付いて行ってもいいか?」

「別に構わない………我が盟友が迷惑で無ければ」

 

顔を赤くしながらフイと首を振る仕草にクラスの大半は胸を押さえ悶絶している。

藤井さんは口を押さえているが「あー、もうマジで可愛すぎてヤバイ」と心の声が抑えきれてないが………

 

[高梨が羨ましすぎるんだがどうする?]

[とりあえず空き教室に連れ込むか]

[いや、それより池袋にある服屋を片っ端に調べて偶然を装って蘭子ちゃんに会いそのまま買い物に行くのはどうだ?]

[なんだお前天才か!?]

[クラス全員で調べればギリギリ間に合うぞ]

[ちょっと男子っ!!………私も一口噛ませなさい]

[あれ?これ止める流れなのにむしろ乗っかっていくスタイル?]

 

「………あー、うんじゃ色々と予定を詰めるために一応連絡交換しておくか」

「そういえば私、高梨くんの連絡先知らないや、アドレス交換しておくね」

「おうバーコードでいいか?」

「えっ?フルフルじゃないの?」

「女子力高いなー」

 

スマホ取り出し、少し振って連絡先が交換したか確認する。

 

「うん、来たよ」

「こっちも」

「わ、私も我が盟友を呼び出す術式を持っていないっ」

「そういやそうだったな」

「え、意外だね二人共仲良いからとっくに交換したのかと」

「なんだかんだ学校だけの付き合いだからな」

「あらら、蘭子ちゃんの盟友なのに随分冷たいねー」

「まぁ、これから仲良くなればいいさ」

 

と、言いながら神崎との連絡先も交換した。

そしてそのまま高速で文字を打ち、藤井さんに送る。

 

『流石にクラス全員のストーカーを回避するのは無理だから日曜日にするか』

『そだねー、私も蘭子ちゃんとの買い物は邪魔されたくないしなー』

 

藤井さんと目が合いお互いため息を吐く。

 

「むぅ、また秘め事か?」

「違うよ、ほらスマホ見て」

 

神崎にスマホを確認するように促す。

 

『これからもよろしく頼むな、我が盟友ブリュンヒルデ』

 

彼女はスマホを見てチラッとこっちをみてゆっくりと文字を打つ。

 

『これからも我が言霊を伝える者として精進するがいい』

『仰せのままにー』

 

お互い顔を上げて軽く笑ってしまった。

 

「ラブコメの波動を感じるわ」

「いきなりどうしたの藤井さん?」

「なんか言わなくちゃいけない空気を感じたわ………くしゅん」

 

なにはともあれ土曜日……ではなく日曜日に神崎の通訳として出かけることが決まった。

 





2話め


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3話

ラーメン食べたい


 

 

日曜日

 

「ちょい早めに来てよかったわ、東京の駅は本当に迷路だな」

 

本来なら30分前に着く予定だったが、駅で15分近く迷子になり待ち合わせ場所には結局10分前に着いた。

 

「確かこの辺だけど……」

 

都会特有の人混みは嫌々していたが、その場所は明らかに違っていた。

彼女はベンチに腰をかけ本を読んでいるだけなのにそれだけで絵になっている。

周りの人もその場所の空気に触れたせいか、近づこうとはしない。

 

「………っと見惚れてる場合じゃねぇな」

 

初めて会った時のように一瞬惚けてしまったが待たせるのも申し訳ないと思い急いで向かおうとしたら

 

「おねーさん待ち合わせ?暇してるならカフェで一杯どう?」

 

ナンパ目的か男性が彼女に近づく、すぐに不味いと感じて彼女の方に向かうが彼女は顔を上げ………

 

「ククク、我はこの場所で我が盟友を待っている、残念だが貴殿の提案には乗ることは出来ない」

「えっ?あっ、はい」

 

さっきまでお淑やかな令嬢という雰囲気だったが、急に変な喋り方をしたら流石にナンパする人も一瞬躊躇するだろう。その一瞬を見逃さず………

 

「神崎待たせたな」

「フッ、来たか我が盟友よ」

「待ったか?」

「まだ約束の刻ではないし、我が少し早くに降臨しただけだ」

 

ナンパした人も俺が来たことによって流石に無理だと感じてどこかへ行ってしまった。

 

「あとは藤井さんだけか?」

「ん?我が盟友よ、今日は私たちだけだぞ?」

「えっ?藤井さんは?」

「連絡が行ってないのか?」

 

首を傾げる姿はとても可愛らしいが、惚ける訳もいかないのでスマホを確認する。

 

「そーいや、昨日クラスの男子からアホみたい通知が来たから通知切ってたんだよ」

 

『テメェー今どこにいる?』『蘭子ちゃんとイチャコラしてたら殺す』『私服の写真を見せてください』『羨ましすぎて殺意が止まらないのだが』『店に張り込んでるけど、この店じゃない?』『まぁとりあえず写真を撮れ、そして俺に見せろ』とクラスの男子からの魂の叫びが400近くのあり、その通知欄の中に藤井さんの通知を見つける。

 

『ごべん、風邪引いた』

『這いずってでも行きたいけど、お母さんに止められた』

『だから明日は二人で楽しんで来て』

『あとお願いがあるんだけど、多分蘭子ちゃんはかなり着せ替えをすると思うからその度に写真を撮って私に見せてください』

『生で見れないのは残念だけどせめて写真だけわー』

 

しかもその後、既読がついてないせいかちょくちょく『写真を撮ってください』『お願いしますなんでもしますから』『蘭子ちゃんの写真を〜』とちょくちょく送ってきている。

 

やってることがクラスの男子と大して変わらないってどうよ?

 

「彼女の連絡は見つけたか?」

「うんあった、あー、それと神崎ちょっと写真を撮っていいか?」

「それは何故だ?」

「藤井さんせっかく神崎の私服を楽しみにしてたのに風邪で見れないのは可哀相だしせめて写真で送ろうかと」

「なるほど、ではその魂を封じ込める器で我が魂を封じ込めてみよっ!!」

 

バッと決めポーズをして、それもとても可愛らしいがまぁとりあえず写真は撮る。

 

「うまく封じ込められたか?」

 

彼女は自分がちゃんとかっこよく写ってるか確認しようとスマホ確認しようと画面を見ようとする時、素早く内カメラに変更覗き込んだ所を写真を撮る。

 

「………何故今のも封じ込める必要がある?」

「キリッとした顔もいいけど自然にしてる時も必要かなと思って」

「むー、これでは我が魔力の衣が写らないではないかっ!!」

「多分藤井さんは喜ぶと思うよ」

「………そう言うなら是非もない、それより先ほどの封じ込めた物を」

 

彼女はさっきの決めポーズを見ると小声で「………もう少し手の位置を曲げたほうがいいのかな?」と普通の言葉を使っているが突っ込まないことにした。

 

「他にも色々写真は撮るし、そろそろ行く?」

「うむ、我が新たな漆黒な衣を求めて参るぞっ!」

「はいはい仰せのままに」

 

なんかいつもよりテンションが高い気がするが楽しみにしてるということだろう。

 

 

 

「いらっしゃいませ………ってもしかして蘭子ちゃんですかっ!?」

「む、何処かで会ったことあったか?」

「とと、すいませんいきなり大声出しちゃって、でも蘭子ち………神崎さんはゴスロリの服屋で働いてる人ならほとんど知ってますよ」

「へー、やっぱりその界隈では有名なんですか?」

 

モデル業を少しやっていたという話は聞いているけど

 

「雑誌に突如現れたゴスロリ正統派を着こなす美少女、出た回数は少なかったですけど王道にして正道を突っ走った数少ない正統派ゴスロリモデルでしたからね」

「なんですかその正統派ゴスロリって?」

「ゴスロリにも色々ありますけど、例えば今日の蘭子ちゃんは黒基調の正統派ですけど、白しか着ない白派とか黒だけしか認めない黒派、他にもゴシックよりもロリータを強めにした黒ロリ派とか白ロリ派とか、一般の人でも着れるよう擬態派とか様々ですね」

「へー、なんか色々あるんですね……っといいぞ服見ても」

 

店員に話しかけられて中々服を見れなくてそわそわしていたので声をかけると店内の方へ足早に行ってしまった。

 

「あはは、すいませんつい興奮しちゃって………あの彼氏さんですか?」

「いえ、通訳です」

「通訳?蘭子ちゃんって日本人ですよね?」

「まぁ、話してみれば分かりますよ」

 

服を何着か持ってこちらに来ると………

 

「我が身を映す鏡の世界は何処に?」

「はい?」

「試着室はどこですか?ですね」

「あっ、えっと試着室は向こうになります」

「あと神崎、試着したら一回見せろよ、藤井さんに写真送らなきゃいけないから」

「む、分かった」

 

足早に試着室に向かう姿はおもちゃを与えられた子供みたいだな。俺も子供だけど。

 

「通訳って意味分かりました?」

「………私もそれなりに濃いキャラの人相手したことありますけど、当然のように使う人は初めてですね」

「まぁ、可愛いから許されますよ」

「そうですね………って、お客さん随分と学生らしくない台詞ですね」

「これでもまだ中学二年生ですけどね」

「えっ!?まだ中学生でした?

神崎さんと一緒に歩いてるとコスプレに目覚めた彼女に連れ回された高校生男子って感じですよ」

「まぁ、よく達観してるなーとは言われますけど、高校生に見えるのは彼女が中学離れした大人びた雰囲気につられたからだと思いますよ」

「あはは、彼女はスタイルがすっごいから余計に大人ぽく見えますからね、さっき持ってた服、腰回りが結構キツめのやつばっかりでしたし」

「中世ヨーロッパのドレスが発祥ですからね、スタイル良くないと中々着れそうなイメージが……」

「そうなんですよ、私も管理しないと中々大変で」

「でも可愛いですからね、ゴスロリ」

「そうなんですよっ!!あのお嬢様気分になれるのはゴスロリとウェディングドレスと和服くらいですねっ!!」

「意外と守備範囲広いっすね、まぁ可愛いければ許される世の常ですから」

「まるでブサイクには人権がない言い方ですね」

「そうですよ、ブサイクには人権はありません、身をもって分かりました」

 

店員さんは少し目をパチクリして。

 

「そんなこと言わないでくださいよー、私そしたら人権がないじゃないですかー」

「いやいや店員さんは可愛いじゃないですか、よく声とか掛けられそうですし」

「もう、こんなおばさん褒めても何も出ませんからねー」

「そんなことありませんって」

 

などと結構盛り上がっていると試着室から神崎が出てきた。

 

先ほどまでは黒を基調にした正統派(?)らしいが今回は白を基調とした、フリル少なめのゴスロリを選んだ。

先ほどは幼さも少し混ざっていた感じだったが今回は幼さよりも大人びた感じが中々破壊力抜群だな。

 

「これからは灼熱の日々が続くため黒の衣では負担が大きいので色々と試しているのだが」

「…………っと、白なら黒より涼しいからな、中々いいんじゃないか?」

「そ、そうか、それでは我が魂を封じ込める器を」

「っと、そうだなうんじゃ撮るぞー」

 

そう言うと先ほどとは違うポーズを決める。

 

「いいぞー」

 

と、言いつつカメラの連写機能を使い、ポーズをやめてジト目を向けるところまで撮り終えた。

 

「だから何故、そんなに封じ込める必要がある?」

「写真は沢山あった方がいいだろ?」

「むぅ」

 

その後も何着か服を選び、神崎がコレだと思った服を買っていった。

 

 

 

 

「ありがとうございましたー」

 

それなりに多い荷物を持って店の外にでる

 

「やっぱり値段は結構張るもんだな、この後の昼飯どーする?」

 

声を掛けたが返答はない。

財布の中身を真剣な表情で見ながら「完全に予算オーバー」「………足りるかな?」「なんとか……でも足りなかったらどうしよう」と悩んでる様子。

 

「あー、昼飯奢るから好きなところを選んでいいぞ」

「いいのっ!?………こほん、我が盟友の手を煩わせる訳にいかん」

 

想像以上に財布事情がよろしくないのか思いっきり素の返事をしたことに笑いそうになった。

 

「さっきの買い物で予想以上に買い込んだんだろ?」

「うぅ、しかし」

「それとも昼抜きで行くか?流石にそれは辛いだろ?」

「………うん」

「だから、奢ってやるから適当になんか好きなもん頼もうぜ、俺も腹減っちまってよ」

「………ラーメン食べたい」

「………えー、その格好で行くのか?」

「新たなる我が魔力の衣に世界を欺く衣もあるから問題無かろう。………それに我だけではあの門を潜ることは難しい」

「分かった分かった、ラーメンでいいんだな?着替える為にさっきの店に戻るぞ」

「うむっ」

 

さっきの店で一度着替えてからラーメン屋の前にくる。

 

「やっぱり昼時だから結構人が多いな、………入る前に一応聞いておくが頼むメニューは決めてあるか?」

「特に定めてはいないが?」

「そうか、とりあえず醤油にしとけ」

「うむ、我が盟友に采配は任せる」

 

店に入ると「らしゃいませー」と威勢のいい声が上がり、神崎は一瞬ビクッと震える。

 

少し待ってから券売機で食券を買い、カウンター席に神崎を座らせる。

店員さんが来てからすぐさま

 

「彼女は油少なめ、味薄めで、俺は特に無しで」

「はい、ありがとうございましたー」

 

神崎は少しこちらを見て

 

「何故私のは油少なめで味薄めなのだ?」

「基本、東京の家系ラーメンは味が濃いめな訳、この前、地元のノリでギタギタでって頼んだらとてつもない油の量が出てきたから東京では2度とギタギタでは頼まないと決心した」

「ギタギタ?」

「油の量が多めってこと」

 

なんかいつもと逆の風景に少し吹き出しそうになったが、神崎もそのことに気がつきお互い軽く笑ってしまった。

 

「はい、醤油油少なめ味薄めと普通の醤油です」

「少なめの方はこっちです」

「ごゆっくりどうぞー」

「おぉ、コレがラーメン」

「なんだ初めてか?」

「カップ麺は食べたことあるぞ」

「段違いに美味いから」

「そうか、頂きます」

「頂きます」

 

俺は特に何も考えずに食べているが、神崎の方はどうやらそういう訳ではなさそうだ。

一瞬固まったが、思い出したように動きだし麺を食べ始める。

食べてる間は無言で食事を続けて気がついたら店を出るまで無言だった。

 

「どうだった?」

「このような美味なるものを私は食していなかったことに絶望を覚える」

「まぁこれから頼めばいいさ」

 

そう言ったらクイクイと裾を引っ張られる。

 

 

「その時は我が盟友も一緒だぞ」

 

 

この時の彼女の顔は忘れられないくらい可愛い顔だったことは覚えてる。





なんか3話め多いね

とりあえずここから先はなんも書いてないので失踪しても気にしないでください。

でも書くと思います。


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4話

蘭子さんスカウトされます


 

 

「で、それで名刺を貰ったと」

「う、うむ」

「スカウトの人もジッと見つめるってなんなんですか?一瞬本気でヤバイ人かと思ったじゃないですか」

「す、すいません」

 

俺がトイレに行って帰ってきたら、神崎と知らない男性が見つめあっていたのでなにかいけない波動とか感じたのかと思ったわ。

 

「で、シンデレラプロジェクトね………」

「はい。彼女ならきっと活躍できると思いスカウトしたんでしたが、彼氏さんがいるなら無理にとは言いませんが」

「あ、彼氏じゃなくて通訳です」

「通訳?………と、すいませんまだあなた方の名前を知らなくて」

「我が名は……」

「神崎蘭子で、俺が高梨和也です」

 

長い口上を上げる前にさっさと自己紹介をさせる。

………はいはい、頬を膨らませても怖くないですから。

 

「神崎さんと高梨さんですか、そちらに既に名刺がありますが私は武内と申します」

「ご丁寧にどうも」

「それで高梨さんの通訳とは?」

「隣の女の子の言ってることが分かることだけですよ」

 

チラッと神崎の方をみると大袈裟に武内さんに話しかける。

 

「ふっ、この世界では我が言霊の力が強すぎて常人には理解されないことが多い」

「こういう口調だから、一般の人たちと話すのは苦手です」

 

「だが、我も言霊を曲げたくない、そこで我が盟友のチカラだ」

「でもこの口調は変えたくないから、私の友達の通訳があればこの口調でも相手に伝わる………まぁ、神崎も普通の口調はできるけどな、………やらないだけで」

 

「こちらの方がチカラを感じるだろう?」

「ついでに今のは「こっちの方がカッコいいでしょ?」という意味です」

「なるほど通訳という意味は分かりました………そうですね高梨くんにもこちらの名刺を渡しときましょう」

「自分見ての通り男なんですけど?」

「いえこのプロジェクトのお手伝い………いえもし神崎蘭子さんがアイドルを目指すというのならそのマネージャーを勤めてみませんか?」

「マネージャー?………と言っても神崎がアイドルになるって決めてないからなんとも言えないんですが」

「………私がアイドル?」

 

女の子なら誰しも一度は夢見る、アイドルという仕事。

 

「悩んでるんならやれば?」

「しかしだな」

「オーディション受けるだけなら別にタダだし、受かれば一応俺もいるし」

「オーディションを受けてもらいますが、人前であまりに緊張しなければ合格はさせようとは思ってますが」

 

合格させよう?………って名刺よく見たらこの人プロデューサーだな。

つーことは神崎はアイドルプロデューサーに見込みアリだと思われたのね。

 

「や、やってみたいです」

「では来週この名刺に書いてある場所にオーディション会場があるので是非ともよろしくお願いします」

「その会場って俺も行った方がいいですか?」

「そうですね、今後どのような仕事をするか説明したいのでオーディション後に来てもらっていいですか?」

「分かりました」

 

その後武内さんと別れた。

別れ際に「しつこ過ぎて警察のご厄介にならないでくださいね」と冗談で言ったら。

「………もう既にお世話になりました」という返答に笑ってしまったのは仕方ないだろう。

 

「さて、来週の予定も決まっちまったな」

「………アイドルかぁ」

「蘭子さんやい、ぼーっとしてぶつかっても知らんぞ」

「はっ!?………こほん、少し自分の世界に入ってしまった」

「久しぶりに訳をしなくてもいい会話をした気がする」

「むっ、じゃあ…」

「無理に考えなくていいから」

 

なんかこの子俺がいるから生き生きと発言してる節があるんだよね。

………実は俺がいない方が世間に溶けこめたかもしれない。

 

「まっ、アイドルになっちまえば世間に溶け込む必要もないか」

「何を一人で唸っている?」

「ん、対したことじゃないよ 、それよりいい時間だけどどっか行きたい所まだあるか?」

「………近くに我が気にいる書店があってな」

「そ、うんじゃそこに行きますか」

 

それなりに多い荷物を持って彼女の後ろに立つ。

 

「………荷物持ちにさせるつもりではなかったが」

「そう思うなら今度からしっかり計画した買い物をしてね、予算オーバーで昼飯抜きとか当分の笑いの種になりそう」

「だ、だって」

 

ど正論だっため何も言い返せない神崎はむぐぅとこっちを見るが可愛いだけである。

 

「で、なにか買いたい本とかあるのか?」

「………今回の魔力の衣に対価を使いすぎたから、拝見だけしようと思ってる」

 

と、本当に近くだったな。

中に入ると、本で埋まってる古本屋という感じだが、本を大切に使ってるのは分かるような店だとすぐに分かった。

 

「おおう、蘭子ちゃんと………彼氏さんかな?」

 

店に入ると優しそうなふくよかなおじさんが出てくる。

 

「か、彼氏っ!?」

「相変わらず可愛らしい反応をありがとう」

「あはは、今日も好きに見ていいからね」

 

そう言って彼は奥の方へ行ってしまった。

 

「神崎はどんな本を読んでる?」

「基本的にはジャンルは問わない………ちょっとだけホラー系は苦手」

「へー、凝った本しか見ないイメージはあったけど」

「我が盟友はどんな本を嗜んでいるか?」

「普段は生活の知恵系とかだけど、買わないで立ち読みで熱心に見るとしたら哲学とかかな?」

「………その年で精神が熟成されてる理由を垣間見た気がする」

「よく言われる」

 

そこからはお互い無言で本を探しては読んでを繰り返していた。

 

「と、そろそろ時間だな」

 

時計の針は4時45分を指している。

 

「我が城に帰る刻だな」

「うんじゃさっさと神崎の家に行くぞ」

「………ん?なぜ我が盟友が我の城に来るのだ?」

「だって神崎、この荷物持って家に帰れるか?」

 

ばっと大きな袋を3つ挙げる。

 

「………無理」

「知ってた、だから俺も行くDo you understand?」

「あいむ、あんだすたんど」

「ならさっさと行きますか」

 

15分近く電車に揺られ、駅を降りて10分近く歩いてあるマンションに入りドアの前に着く。

 

「うんじゃ荷物これだから、今日は中々楽しかったぞ、うんじゃまた明日」

 

そう言って帰ろうとしたら、

 

「ま、待たれよ我が盟友」

「ん?」

「我が城に来て我が盟友に何もしない訳にはいかない」

「と、言いますと?」

「その………お茶の一杯くらい飲んで行きませんか?」

 

家に帰るまでが今日の予定だとしたら、まだまだ俺は今日の予定を終わらせることは出来なさそうだ。




ここの蘭子さんは主人公のせいで厨二発言がちょっと多い気がする。

それと流石にアニメを見てないのはマズイと思ったので某笑顔になる動画で「5分で分かるデレマス」をみてきた俺に死角はない。



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5話

短い


 

 

 

「シヴァの息吹に晒される前に」

「「冷めない内にどうぞ」をそんな風に言えるのは神崎だけだよ」

 

中々美味しい紅茶を飲み終えて、なんとなく周りを見渡す。

 

「家の人は?」

「ゼウスは神託の会議、ヘラは友との晩餐で遅くなるそうだ」

「へー」

 

うんじゃ、お茶も貰ったし帰ろうかなと思ったら。

 

「スマホ忘れてたわ、あら、蘭子帰って……た…?」

 

神崎の母親らしいが………若いわっ!?

普通にお姉さんでも通るレベルで若い、あと落ち着いてる時の神崎と雰囲気がすごく似てる。

 

「クラスメイトの高梨です」

 

こっちを見て固まっているからこちらから先に挨拶をしたら、つかつかとこちらに来て肩を掴む。

えっ?なんですか?

 

「君、蘭子のお友達?」

「は、はいそうですけど?」

「あの子が何言ってるかわかる?」

「えぇ、一応伝わりますけど」

 

というか肩をつかんでいる手が痛いです。

 

「もしかして今日蘭子が友達と出かけるって言ってたけど」

「はい、本当はもう一人女の子がくる予定でしたけど風邪で休んじゃって」

「………もう一人友達がいる?しかも女の子?」

「あのお母さん、我が盟友の肩が……」

「あぁ、ごめんなさい、つい興奮しちゃって」

「いえ大丈夫ですけど」

「あの蘭子にお友達が………東京に引っ越して今が一番良かったと思ったわ」

「お、お母さん今日は友達と夕食に出かけるって」

「ちょっとくらい遅れても大丈夫よ、へへぇー、それより蘭子、家に誰も居ないのに男の子を連れ込むなんて意外とやるじゃない」

「連れ込むっ!?」

 

顔赤くして必死に否定しているが、軽く聞き流しつつこちらを見る。

 

「で、本当に蘭子の言ってること分かるの?」

「まぁ、大体は分かりますが」

 

神崎のお母さんは少し唸ってから「んーそれじゃあ」

 

「………降臨の時っ!!」

「えっ?………あぁ、はじめまして」

 

「………闇に飲まれよっ!!」

「お疲れさまです」

 

「………フフッ、煩わしい太陽ね」

「おはようございます」

 

「………創造の時っ!!」

「これからよろしくね」

 

「………深淵からの呼び声?」

「呼びましたか?」

 

「合格っ!!」

 

ビシッと親指を立てつつそう言われた。

 

「うん、君には蘭子ちゃん初段は挙げてもいいね」

 

よく分からない称号をもらったんだが、しかもこれでまだ初段なの?

 

「で、今日は蘭子と何処に行ったの?」

「服を買いに、それと書店で本を読んで、あとお昼にラーメン食べに行きましたね」

「二人で行ったの?」

「そうですけど」

「………蘭子がついにデートかぁ、本当に東京に引っ越して良かったわー」

「で、デートじゃない!!」

「でも傍目から見たら完全にデートじゃない?ねぇ高梨くん?」

 

なんでこっちに振るんですかお母様、神崎さんもこっちを見て睨まないでください。

 

「本人が違うって言ってますので「お友達と遊んでた」って事にしといてください」

「えー、お母さんつまんないよー」

「お母さんっ!時間っ!!」

「あらやだ、流石にこれ以上はマズイわね、それじゃあ高梨くんゆっくりしていってねー」

 

 

そう言ってすぐに部屋を出ていてしまった。

………嵐みたいな人だな、うん。

神崎の方をチラッとみると物凄く疲れた顔をしている。

 

「中々面白いお母さんだな」

「………逢い引きではないぞ」

「知ってるって、それよかアイドルのことは神崎が言っとけよ」

 

スカウトされたことは伝えなかったし。

 

「………わかっている」

「それじゃあそろそろ御暇させてもらうわ」

「おいとま?」

「去るとか、帰るって意味、あんまりカッコいい言葉じゃないから覚えなくていいぞ」

 

そう言って席を立つと

 

「も、門まで見送ろう」

 

お互いマンションの前まで会話はなかったが特に息苦しいと感じることはなかった。

 

「今日は楽しかったよ」

「今日の輝きは、光る天馬の如し、再びこの輝きが見れることを期待する」

「あぁ、今度は藤井さんも一緒にな、うんじゃまたな」

「闇に飲まれよっ!!」

 

最後はらしく締めたな。

今日は学校と違ってキャラ崩壊することが多かったし。

 

「それよか、来週のことだよ」

 

マネージャーの仕事ねぇ………それよか中学生って働けるのできるのか?

 

「まっ、いいか」

 

難しいことは人間関係だけでいいってことよ。

 

「あー楽しかった」





ノリで書いてるから文字数は基本作者の気分です。

そしてノリで書いてるから当然のように付く低評価………

まぁ、ノリで書いてるし、しゃーないしゃーない。

そして安定のまだアニメを見てない作者!!

だけどデレステのコミュは見るスタイルですっ!!


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6話

ある意味765プロより酷い


 

 

 

日曜日

 

今週はずっと男子から逃げ回ってたから身体が重い。

 

「我が盟友よ、休息の刻はいつも駆け回っているが何をしているのだ?」

 

貴方と二人きりで遊んでいたのがバレて男子から追われているなんて言えません。

しかもあいつら途中から鬼ごっこ自体を楽しんでるだろ………

 

「オーディションはどうだった?」

「堕天使の世界の扉を叩く者は数知れず、この試練で我が力は通じるか否か………」

 

へー、意外にも不安を感じてるんだ。

通って当然みたいな振る舞いが来るかと思ったけど。

 

「武内さんが居たなら問題ないと思うよ、………それに神崎は普通に可愛いし、そんなことなくても普通に通りそうだけど」

「………そんなことないもん」

 

最近可愛いっと言っても必死になって否定することはなくなったがジト目でこっちを睨むようになった。

藤井さんは「あぁ、もうあのジト目が可愛いんだよねー」と机をドンドン叩いてる様子は流石の俺でもドン引きだった。

 

「うんじゃ、俺はこれから仕事の説明を受けるからまたな」

「闇に飲まれよっ!!」

「はいはい、やみのまー」

 

さて、確かこの辺に部屋に呼ばれたんだが………

 

「あら?君何処から来たの?」

 

振り向くと緑色の事務服(?)を着た女性に声をかけられた。

 

「武内さんに呼ばれて来たんですけど」

「武内プロデューサーに?………何か忘れ物でも届けに来たとか?」

「いえ、仕事の話です」

「………ねぇ、君もしかして高梨君?」

「はい、そうですけど?」

「なるほどねー………年は?」

「14ですけど?」

 

そう言った途端に千川さんはガッと俺の手を掴んでツカツカと歩きだす。

えっ、何コレどういう状況?

 

ある扉の前で止まるとしっかりとノックをして開ける。

意外と冷静なのか?

 

「プロデューサーっ!!新しいマネージャー候補ってこの子ですかっ!!」

「ちひろさん?それに高梨くんも来てくれましたか」

 

この部屋の惨状を一言では言えば「紙の山」だろう。

チラッと見てみると女の子の写真とプロフィールのようなものが見える。

 

「(今回のオーディションの資料かな?それにしちゃ随分と多いけど………)」

 

「って事はやっぱりこの子なんですね………どうするんですか、中学生に働かせることなんて出来ませんよ」

「いえ、高梨くんに名目上ではお手伝いという事になりますね」

「うわぁ………労基法ギリギリのことしますね、でもそれだと雇用してませんからお金払えませんよ?」

「私のポケットマネーで雇う形にしようかと」

「……この人は本当に……でもこれ以上プロデューサーに負担が掛かるのも馬鹿になりませんし、猫の手でも借りたい状態ですけど」

 

なんか思いの外面倒くさいことになってるな。

 

「分かりました、この件については何も言いません………それにプロデューサーの我儘らしい我儘もこれが初めてですし」

「ご迷惑かけてすみません」

「いえ、私もまさか中学生が来るとは思ってなかったので」

「えっととりあえず自分ここに居ても大丈夫ですか?」

「えぇ、そういえば自己紹介してなかったわね、事務員の千川ちひろです、特技は計算、趣味はコスプレとパーティです」

「えっと、自分は高梨和也です、特技は神崎の通訳で、趣味は………哲学?」

「おおぅ、中々キャラが濃い子が出てきたね」

「千川さんのコスプレが趣味も中々濃いですって」

「まぁ、とりあえずマネージャーとして色々頑張ってもらうからビシバシ鍛えていくわね」

「よろしくお願いします」

「ではプロデューサーこの子ちょっと借りてきますね」

「本来なら自分が指導するんですが」

「いいですって、プロデューサーはオーディションの資料で手一杯ですから」

「よろしくお願いします」

「任せてくださーい」

 

プロデューサーの仕事の邪魔にならないよう別の部屋に移る。

 

「さて高梨くん、これから貴方にはアイドルのマネージャーの仕事を教えますけど、実際アイドルのマネージャーってどういうことやるか知ってる?」

「えっと、アイドルのスケジュール管理とかマスコミの出演交渉とか宣伝活動、あとオーディションの準備とかですよね?」

 

流石にマネージャーの仕事を知らずに行くのはアレだと思って調べてはきたが………

 

「おっ、ちゃんと前知識はあるみたいね、他にもマネージャーは担当アイドルの悩みを聞くとかアドバイスしたりするとか、仕事関係だけじゃなくて人間関係としても重要なお仕事なんです」

「そんな重要な仕事、中学生に任しちゃっていいんですかね?」

「うーん、この業界はぶっちゃけ年齢による上下関係はあんまりないのよ、大手のプロダクションのマネージャーとかの求人は学歴とかあんまり関係ないし」

「良くも悪くも実力主義ですか」

「そうね、それに君は確かにアイドルのマネージャーをやってもらうけど、多分高梨くんには交渉のテーブルには出さないと思うの」

「346プロダクションに雇用されてませんからね」

「そういうこと、アルバイトだろうが社員だろうが雇用されるという事はその会社の名前を背負うことだからね、まぁ、アルバイトと社員じゃ責任の大小は違うけどね」

「名目上お手伝いですからね、自分」

 

ということは案外やることは少ないかもしれないな。

 

「まぁ、だから主に君がやることは担当アイドルのマネジメントと私とプロデューサーの雑務のお手伝いかな?」

「分かりました」

「とりあえず今日は私の仕事をなるべく覚えること、メモ帳とか予定表はある?」

「はい、とりあえずアルバイトで必要な物は今日は持ってきましたけど」

「荷物とか指示されたの?」

「なんとなく備えてだけですね」

「中々いい心がけだと思うよ」

「ありがとうございます………それと、346プロダクションってあと他に何人いるんですか?」

 

顔と名前とか覚えなきゃいけないし。

………ん?千川さんがものすごく目をそらしている。

 

「私含めて……5人」

「えっと、このプロダクションのアイドルの数ですか?」

「…………これから新しいアイドルが入ると50人は超えるかな?」

「………それを5人で回してるんですか?」

「厳密にはまだデビューしてない子もいるし、楓さんや美嘉ちゃんみたいに活躍してる子もいるから」

 

こちらを一切目を合わさずにダラダラと汗をかいてる千川さん

 

「えっと、冗談ですよね?」

「あはは、プロデューサーと部長がものすごく優秀で」

「仕事が回っていると……ならその回ったお金で人材確保でもしたら」

「「皆さんで回ってるし人件費代もったいないからアイドルの為の施設投資とかしちゃいます?」って冗談で言ったら何故かそれが通って、寮とか出来たり事務所が大きな場所に移動したり、専用レッスン場とかできちゃったし」

「………で、人材確保を」

「で、大きくなったし大きなプロジェクトをやろうってなって」

「シンデレラプロジェクトですね、だから人材を」

「確保と思ったんだけどプロデューサーたちが新人を雇う前に女の子をたくさんスカウトして、プロデュースしてたらいつの間にか雇う時期を失い………今に至ります」

「なるほど………正直大人に言うのはアレなんですけど………馬鹿でしょ!!」

「ごもっともです」

「えっ!?じゃあ50人近くのアイドルを千川さんは事務員だから除いて、4人で回して、プロデュースして雑務もやってさらにオーディションでアイドル増やそうとしてるんですかっ!?」

「………そうですね」

「有能過ぎて馬鹿になってませんか?」

「………否定できませんね」

 

頭を思わず抱える。

 

「アホすぎるぞこの会社………とりあえず新しい人材を」

「その………プロデューサーたち全員夏まで予定ビッシリで、多分アイドルより忙しいですね………私も事務員だから人事やる訳にはいかないですし」

「………なんでこの会社回ってるだろう?」

「ブラックではないんですよね、皆さん定時には毎日帰ってますし」

「もうなんも言えねぇ………とりあえず千川さん自分に仕事教えて貰っていいすか?」

「えぇと大丈夫ですか、今ならまだ引き返せますよ?」

「引き返すも何もすでに自分担当アイドル決まってるんですけど……」

「………頑張りましょうお互い」

「えぇ、頑張りますか」

 

こうして、346プロダクションに無事(?)お手伝いすることになった。

 





地の文を書こうとする→深夜になる→「別になくても大丈夫っしょっ!!」→投稿する→昼くらいに後悔してる→会話から書き始める

以下ループ。

まぁ、アレっす深夜のノリで書いたから自分でも説明できない何かが生まれる可能性がありますから………良い方向にも悪い方向にも。

そして急に増えた高評価!?
無理に高評価押さなくていいですよっ!!
何故なら低評価されても仕方ないスタンスで書いてますから←(安定のアニメを見ていない

だけど感想欄で中々鋭い考察を書いてくれた読者様もいました。
感想欄見て普通に「確かに」って思いましたね。

まぁ、作者は深夜テンションのノリで書いてますから矛盾とかあっても「蘭子可愛い」の精神で乗り切ってくださいっ!!



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7話

深夜に出すつもりが寝落ちで朝に投稿する作者


土曜日

 

「今日は新しく入ってくるアイドルの顔合わせっと」

 

予定表を見ながら声出し確認をする。

今回の顔合わせはアイドル同士だけではなく346のプロデューサー全員も集まる。

 

「ちょい早めに着いたけど誰かいるかな?」

 

9時に来るように言われたが新人は1時間前にいるみたいな社会的な空気を汲み取って早めに来た。

しかし事務室に入ると普段どこか空いてる机が全部埋まっているのが見える。

 

「おっ、噂の中学生マネージャーかな?」

「……みたいですね」

「ちひろさん曰く武内さんが珍しく我儘を言ったらしいからな」

「というか初めてですよっ!」

「………高梨くんおはようございます」

 

なんでこの人達1時間前にいるんですか?

 

「すいません遅れました」

「いえ遅刻ではないですよ、むしろ早くに来たというか………」

「そうですか………えっと、自己紹介した方がいいですよね?」

「はい、今日は皆さん揃っていますから」

 

武内プロデューサーに促され、プロデューサー達の前に出る。

 

「えーと、この度346プロダクションのマネージャーという名目でお手伝いになります高梨和也です、よろしくお願いします」

 

「こちらこそよろしく」

「………こちらもしますか」

「ですねー」

「じゃあ俺から行きますか」

 

そう言って立ったのはメガネをかけた新人教師という印象が強い人が自己紹介をする。

 

「俺は赤羽根健二、主に赤羽根プロデューサーと呼ばれることが多いな、得意な事は、仕事で番組系の出演を貰う事が多いこと、趣味はなんだかんだ喋ることかな?まぁ、この中のプロデューサーでは一番経験浅いからあんまり先輩面は出来ないけど、これからよろしくっ!!」

「はい、よろしくお願いします」

 

簡単に挨拶をすると次に立ったのはプロデューサーで唯一の女性の方だ。

 

「それじゃあ次は私ね、東豪寺麗華、麗華さんって呼びなさい。特技ねぇ………一応ライブの仕事担当だからライブの仕事を貰うことかしら?趣味は特に無いわね、それと中学生だろうがこの業界に入ったからにはしっかり働いて貰うからその辺は容赦しないわよ」

「はい、気をつけます、よろしくお願いします」

「えぇ、よろしく」

 

俗に言うキツめな女性という奴だけど仕事に真面目な人なんだろう。

 

「順番的には武内君だけど、武内君とは面識あるから僕かな、北原耕平、北原さんとか北原プロデューサーとか色々呼ばれます、他の3人と違って得意な事とかないけど、この中じゃ一番経歴は長いかな?趣味は…というか好きなことは子供に言うのもアレだけどここのみんなで飲み屋で飲むことかな、高梨君も仕事がひと段落したら一緒に行こうか」

「はい、よろしくお願いします」

 

なんというか弱々しい人っていうか、腰が低い人だな。

そう思ったら隣のちひろさんに肩を叩かれる。

 

「(あんな弱い腰なのに大丈夫とか思った?)」

「(まぁ、正直)」

「(でもね、あの人ここにいるプロデューサーを3人足しても勝てないくらい超絶有能なんだよね………私も計算得意だけどあの人には勝てないし)」

 

それを聞いて一瞬頭が理解できなかった。

 

「(えっと………ちひろさんよりお金の計算早いんですか?)」

「(なんでお金限定なのか色々言及したいけど、………私より早いわよ)」

 

ちひろさんは苦笑いをしながら北原プロデューサーを見ている。

他の3人も「(あの人はマジで別格だから)」と視線で言われる。

 

「折角揃ったんで1時間前倒しで軽い会議を始めようか」

 

北原さんがそう言うと、武内さんが今回のオーディションで受かったアイドルのプロフィールをみんなに配る。

 

「今回のオーディションでは14人のアイドルを受け入れようと考えています」

 

あんだけ受けてたったの14人だけか………

アイドルって厳しいなー

 

それからは武内さんの進行により一人一人のアイドルの特徴等をこと細かく説明を受けた。

 

 

「高梨くんそろそろアイドル達が来る時間だから私たちで迎えに行きますよ」

 

まだ集合の1時間前だが、気合いの入ってるアイドルは早めに来るのでちひろさんと2人で待つ。

 

「やっぱり超絶有能ですね」

「ん?あぁ、武内プロデューサーの特徴説明だけでいきなり企画書(仮)を書き始める有能プロデューサー達?」

「あそこに居ると本当にあの4人で回せそうと感じてしまいますよ」

 

ちひろさんと軽く談笑していると一番早くに来たのは島村卯月さんだった。

 

30分前になると大体のアイドルは揃い、15分前に双葉杏さんが来て全員集合した。

 

途中で神崎が来た時、お互い目が合ったがそれ以上のことは特になかった。

 

「一応神崎さんのマネージャーは決定していますが、初めから特別扱いは流石に………」

 

ちひろさんに一言釘を刺されていたので、神崎にも最初は学校のノリで話さないけど気にすんなと言ってある。

 

………言ってあるが、

 

「(待っている間、本を見るフリをしてこちらをちらちらと見るのは止めなさい)」

 

隣のちひろさんも肩を震わせながら、高梨くんものすごく見られてますよと笑いをこらえながら言われた。

 

なんだか前途多難だな、こりゃ。

 

 

 

 

 

この後プロデューサー全員がこちらに来て挨拶と激励を送った。

 

その時俺は話すことはないかなと思って聞いていただけだが、武内さんに一言挨拶をするようにいわれた。

 

「えっと、マネージャーの高梨和也です、まだ担当アイドルは決まってはいませんがこの中から担当が決まると他のプロデューサーから言われています、………えっ、激励も?」

 

武内さんに頷かれる。

 

色々考えたが俺がアイドルに必要だと思うこと話してみる。

 

「………皆さんはアイドルになって何がしたいですか?

歌なのかダンスなのかタレント活動なのか?何も考えずに頑張っても上手く行きません。明確にやりたいことを考えて、プロデューサーに伝えて、それが実現できる技術と努力が必要です。

当然これから辛いことや上手くいかないこともありますが、それを乗り越えて来た人達が皆さんの知ってるアイドルです。

………とまぁ、偉そうにここまで語りましたが、自分も新人なので失敗や上手くいかないこともありますので一緒に乗り越えて行きたいと考えてます」

 

 

そう言って俺の挨拶は終わった。

 

 

 

 

挨拶終了後アイドル達はレッスンをするのだが、俺は雑務に追われている。

 

「本当に中学生らしくないわね」

 

後ろから東豪寺さんから紙を渡されつつそう言われた。

 

「良く言われますけど、そんなにらしくないですか?」

「えぇ、正直まだアイドル達の方がまだ中学生らしいわよ」

「まだ仕事を貰ってないから実感がないんですよ」

「そういう返しが出来る所もそうよ、さっきの激励も中学生らしくないし」

「まぁでもただの中学生ですから」

「ただの中学生だったら私は仕事なんて回さないわよ」

「………これからも精進するんでよろしくお願いします」

「………なるべく早くここの戦力になりなさい」

「頑張ります」

 

そう言って彼女は仕事に戻った。

 

「うちの事務所一位二位を争うぶっきらぼうな性格なんだよ」

 

近くにいた赤羽根さんに声をかけられる。

 

「一位二位って武内さんと東郷寺さんですね」

「あの二人、性格のせいで色々怖がられるけど面倒見がいいからね、例え君が仕事が出来なくても出来るまでちゃんと教えるから」

「実体験ですか?」

「実体験だね、さっきのも気になって来ただけだと思うよ」

 

なんというかツンデレ気質な人だな。

 

「あぁ、ついでにツンデレって言うと本気で怒るから言わないようにね、それと実はあれ胸パッ………がはっ!?」

「貴方はさっきから何を言ってるのかしら?」

 

赤羽根さんの頭をアイアンクローをしてそのまま持ち上げる

 

「ちょちょ、東豪寺さんマジでシャレにならない」

「お喋りする暇があるならさっさと仕事の一つや二つ貰って来て来なさい」

「分かりましたから、手を離してぇーー」

 

なんだか賑やかな職場だが、みんないい人達ばかりです。

 

 




FGOやる→執筆が遅れる→書き終わる→投稿途中で寝落ちする→朝気づく→投稿する

事務所の説明とか、プロデューサーの設定とかマジで適当なノリなんで気にしないでください。

でも、作者は正直プロデューサーの説明よりも蘭子との絡みが書きたいでござる。

話に必ず蘭子可愛いを入れたい作者。


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8話

タイトル詐欺


 

午前中である程度雑務を終わらせるとちひろさんから「アイドルのレッスンを見てどんな状態なのかを確認するのもマネージャーの仕事ですっ!!」と言うありがたいお言葉を貰いレッスン場を見学しているが。

 

 

 

「まぁ、最初だからな」

 

肩で息をしている人が大半である。

 

運動部の新田さん、純粋に運動が得意な本田さん、諸星さんはまだまだ余裕そう。

 

体力面だけで見れば島村さん、赤城さん、城ヶ崎さんもまだまだ余裕そうだが、ステップに苦がある。

逆に体力は少ないが、技術面に関しては前川さん、双葉さんの飲み込みの早さも中々のものである。

 

「それじゃあ5分………いや10分休憩」

 

トレーナーさんが周りを見て少し長めの休憩を入れた。

 

「みなさん、ちひろさんからの差し入れです」

 

レッスン場に行く前にちひろさんからアイドルみんなの分のスタミナドリンクを貰った。

 

「おおっ!!………スタミナドリンク?」

「レッスンまだあるからね」

「マネージャー、杏はもう駄目だよ」

「突っ伏してないで汗拭いてね」

「タオル忘れた」

「………貸してあげるからちゃんと拭きなさい」

「マネージャー拭いて」

「自分で拭きなさい」

「はーいはーい、きらりがやっるぅー☆」

 

ダラけた声を出しながら、なすがままになっている双葉さん。

 

「マネちゃんってさ、すっごく若く見えるけど歳いくつにゃ?」

「20歳」

「若っ!?」

「は、嘘で14歳」

「って結局若いわっ!!……こほん、みくより年下かにゃ」

「むしろ赤城さんと城ヶ崎さんと神崎さん以外はみんな年上ですよ」

 

前川さんは大坂出身だからツッコミの能力は高いな。

 

それと神崎さんって言ったらこっちを見て頬を膨らませるな。

 

しょうがないでしょ神崎だけ、さんづけしないと色々と言われそうだし。………あっ、そっぽ向いた。

 

「マネージャーさんは346プロにいつから来たんですか?」

「えーと」

 

島村さんの質問にどう答えようと悩んでいたら。

 

「神崎さんと一緒にスカウトされたんですよ」

「ちひろさん?」

「あっ、差し入れありがとうございますっ!!」

「いえいえ、皆さんに頑張って貰いたくて」

「それよりマネージャーってらんらんと一緒にスカウトされたの?」

「らんらんっ!?」

 

あっ、久しぶりに動揺してる。

 

「えぇ、神崎さんはアイドルとして、高梨くんはマネージャーとして武内さんにスカウトされました」

「へー、一緒にスカウトされたってことはその時一緒にいたの?」

「えぇ」

 

渋谷さんの疑問に答えたら城ヶ崎さんは目を輝かせる

 

「デートしてた所をスカウトされたのねっ!!」

 

その一言に皆さんは「おー」と謎の感心をさせられる。

 

「つまり俺の彼女が心配だから、マネージャーになったと」

「でも、アイドル的にマズいでしょ」

「いやいや愛の前に立場は関係ないんだよ」

「そういうの憧れますよね」

 

と好き勝手言われる。

 

神崎の方をみるとデートしてた発言で固まっていたが、顔を赤くしつつ………

 

「で、デートではないっ!!………こほん、我と我が盟友が「瞳」を持つものと契約を結んだが、その時、我が盟友は我が言霊を伝える者として共に居ただけであって決して逢い引きなのではないっ!!」

 

神崎の発言に赤城さん以外は首を傾げる。

 

「デートじゃないです。私と高梨くんは確かにプロデューサーにスカウトされましたけど、その時は彼は私の通訳として一緒に居た訳でデートではないですっ!!………だそうです」

「あはは、つまり高梨くんは神崎さんの通訳としてマネージャーをスカウトされた訳なんです」

「いわば神崎のついでって訳ですよ」

 

そこでまた「おー」と謎の感心をさせられた。

 

「難しい言葉ばっかりで全然理解出来なかったですけど、マネージャーさんが通訳すると理解出来ますねっ」

「………そのうち頻度の高い言葉の意味は教えときますね」

「なーんだ、せっかく面白くなると思ったのにー」

「城ヶ崎さんもあんまりからかうと怒る時もあるからね」

「はーいごめんなさいマネージャー」

 

なんとか誤解されずには済んだ。

それと意外な収穫も見つける。

 

「赤城さんは神崎が言ってるの分かりますか?」

「うん、みりあも分かるよっ、それとマネージャーさん赤城さんじゃなくてみりあって呼んでよ!!」

「あー、うん。……これから周りに俺が居ないときとか神崎が困ってたら助けてあげてねみりあちゃん」

「分かった!!」

「よろしくね」

 

「それじゃあそろそろ休憩終了っ!!レッスン始めるからさっきいた場所に戻って」

 

休憩時間もちょうどよく終わりトレーナーさんに呼ばれレッスンの続きが始まる。

 

「助かりましたよ、ちひろさん」

「なんのことですか?」

「神崎のことですって、中々切り出せないのを見越して声をかけてくれましたから」

「あはは、これ以上は高梨くんより神崎さんが大変そうでしたから」

「さん付けしたらそっぽ向かれましたよ」

「頬を膨らませてましたしねー、………分かってると思いますけどアイドルに手は出しちゃいけませんからね」

「分かってますって………というか、普通そういうのって一番最初に言いません?」

「あー、高梨くんなら大丈夫かなーって」

「そりゃどうもっす、………さっ、そろそろこっちも戻りましょうか」

「そうですね、さっ、今日は違うお仕事を覚えて貰いますよー」

「お手柔らかにお願いします」

 

 

 

事務室にて

 

「美嘉さんがバックダンサーの依頼?」

「はい、それで、島村卯月さん、渋谷凛さん、本田未央さんを推薦しようと思うんですが」

「なるほどねー、………いいと思うよ」

 

武内さんが北原さんに確認を取っている。

 

「そうですか、それでは3人に通達をしてきます」

「あぁとその前に高梨くん?」

「はいなんでしょうか?」

「このバックダンサーの依頼が終わるまで高梨くんにこの3人のマネージャーをやってもらうけどいいかな?」

「大丈夫です」

「始めてのマネージャーの仕事だから気合いが入るかもしれないけどやる事は、3人の事をしっかり見て相談とかアドバイスをするだけだから気を楽にしてやってね」

「はいっ、分かりましたっ」

「そしてそんな君にアドバイスだ、女の子に魔法をかけることと魔法を解かすことがマネージャーの仕事だよ」

「なんか、いけ好かない軟派野郎みたいな奴ですね」

「そう言う意味じゃないよ」

「冗談です………夢と現実ですよね」

「流石神崎さんのマネージャーだよ、それじゃあ武内くんと一緒に行ってらっしゃい」

 

という訳でマネージャー最初の仕事はアイドル3人のマネジメントになる。

 




最初の仕事は蘭子ちゃんだと思った?

残念っ!!ニュージェネレーションでしたっ!!

まぁ、ぶっちゃけ作者の推しは卯月なんですけど、この子正直展開が広がらないというか、悩み解決したら「完!!スレ主のつぎの作品を期待してください」ってなりそう←作者の勝手なイメージです。

アニメ展開?この後の展開はラブライカでしょ?

作者はなーんも考えてないが正解ですっ!!
あ、でも蘭子が可愛いと思うシーンは話に入れます←真顔


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9話

今日は投稿しないと思った?残念しちゃうんですっ!!


 

月曜日

 

「蘭子ちゃん、煩わしい太陽」

「おは……よう」

「えっと、蘭子ちゃん大丈夫?」

「け、契約の反動により、あぅ、言霊が侵食されてしまう………」

「え、えーと、高梨くーん?」

「ん?どした?」

「えーと、契約の反動により言霊が侵食されるっ!!」

「あー、筋肉痛でこの口調が維持できないよぉ……だ」

「………それはそれでアリね」

「そ、それは困る、はうっ!?」

 

ぷるぷると生まれたての子鹿みたいになっている神崎。

 

「それと神崎には残念な報告だが、次の理科の授業は移動教室になったから早めにな」

「わ、我が盟友、我を置いていくのか」

「いや、遅刻したくないし」

「せめて肩を」

「いや身長が足りないだろ?」

「うぐぅ、じゃあ腕貸して」

「今日は本当に口調がボロボロだな、ほれ」

 

男女が腕を組むと言えば恋人のようなイメージが強いだろう。

だが、今回の腕を貸す行為はまるでロマンチックなものや恋人のようなトキメキは感じない。

何故なら、神崎は足に負担をかけないように腰をかなり曲げており、掴んでいる腕は藁にもすがる思いである。

 

そう例えるなら信号を渡るときのおばあちゃんが若いお兄さんに引っ張られているという感じだ。

 

[さーて、これから異端審問会を始めるが]

[[[ギルティ]]]

[そうだな、あいつは存在自体が罪だな]

[隊長ッ!!どうして高梨だけあんなにめぐまれているんですかっ!!羨ましいですっ!!]

[確かに羨ましいが、考えてみろ新人、仮に俺たちがアイツの代わりになれるか?]

[そ、それは]

[本当はな、こんな行為は意味がないんだ]

[………じゃあ自分はどうすればいいんですかっ!!]

[確かに俺たちはアイツの代わりにはなれない、しかし胸から込み上げてくる感情も無視できない]

[だから俺たちは考えた]

[決して神崎さんの顔を歪めないように]

[この妬んだこの心で]

 

 

[[[アイツに怪我の跡が残らないようにボコボコしようとなっ!!]]]

 

 

 

最低なクズ野郎ばっかりだな!?

 

「あはは、今日も絶好調ねウチのクラス」

「………そう思うなら代わってみる?」

「いやー、残念なことに蘭子ちゃんが頼りにしてるのは蘭子ちゃんの盟友だから」

 

「しょうがないよねー」っと言わんばかりに肩をすくめる。

 

「あ、あと少しで理科室」

「新たなる錬金術の世界じゃなかったっけ?というか蘭子ちゃんどうしてそんな筋肉痛なの?」

「ふふっ、私の才に気づく瞳の持ち主と契約を交わした……が、その代償として生命の雫を流すことに、ふっきゅっ!?」

「あーほらほら、神崎さんや大袈裟に動くから身体に響いちゃうでしょうー?」

「……年寄り…扱いする、あうっ!?」

「………ちゃんと終わった後に柔軟したのか?だから身体に疲れが残るんだよ」

「うっ、………疲れてたからちょっとしかやってない」

「これからはちゃんとやれよ」

「………結局蘭子ちゃんはなんで筋肉痛なの?」

「あー、とりあえず授業が終わって昼休みに話すよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイドルになったのっ!?蘭子ちゃんがっ!!」

「ふっ、この世界の偶像として、っう!?」

「だから今日は安静にしとけって、あと風呂上がったら柔軟して湿布貼っとけ」

「えっ、いやいやなんでそんなに落ち着いてるの高梨くん、アイドルだよアイドルっ!!」

「いや別に驚かないだろ、神崎だぞ?」

「………確かに」

「自分で言ってアレだけど簡単に納得したね」

 

[神崎さん、アイドルになったらしいぜ]

[これはファンは必須]

[てことは、羨ましい高梨と神崎さんのイチャコラはもう見なくて済むのかっ!?]

 

 

[[[ハッ、ざまぁねぇな!]]]

 

 

………やっべぇよ、いまここで「いや実は神崎のマネージャーやってるんだっ☆」なんて言ったら死ぬんじゃねえのか俺?

 

「でも、蘭子ちゃん本当に大丈夫なの?」

「何がだ?」

「ほら、アイドルって色々とありそうっていうか、それに高梨くんいないから色々大変というか」

 

まぁ、アイドルって言ったらまぁそんなイメージもあるだろう。

 

「問題ないぞ、それに我が盟友も共に堕天使の世界に飛び込んだからな」

 

[[[たーかーなーしーくーん、あーそーびーましょう]]]

 

なんでこの子はこんな時に限って通訳する必要ない単語でとんでもない発言をするでしょうかっ!!

 

「悪いな神崎、今から鬼ごっこしてくるから通訳するような発言は抑えろよっ!!!!」

 

[ヒャッハー、何が跡が残らないようにだ、骨まで砕いてやれ]

[サーチアンドデストロイっ!!サーチアンドデストロイっ!!」

[クリークッ!!クリークッ!!クリークッ!!]

[よろしいならば戦争だ、一心不乱の大戦争だっ!!]

 

なんか最近ウチのクラスの統率力が上がっているんだけどなんの影響ですかねっ!?

 

 

 

 

 

 

放課後

 

「こんにちはー」

「お、高梨くんきたね、それじゃあコレとコレの確認とこの企画書の誤字脱字のチェック、それが終わる頃に3人が来るからダンスのチェックね」

「分かりました」

 

なんか最近忙しいっていうか、仕事が急ピッチというか?

 

「なんかあるんですか?」

「テレビって夏前に色々と番組が変わったりすることが多いのよ、だから今からピッチ上げないと………地獄を見るハメになるわ」

「そんなにヤバイんですか?」

「私は4日間事務室に缶詰が最長記録かな?他のプロデューサーは外回りしたり、アイドルの送り迎えしたり、色々あってもっと酷かったけど、今年は2日くらいがいいなー」

 

死んだ目で遠く見つめる千川さんはとても見ていられなかった。

 

「でも、ここの事務所、寮があるからシャワーとか仮眠とかできるから助かるのよね」

「なんでここで住んでないのが不思議なんですけどね」

「まぁ、一応アイドルの為の寮だから、そこから男性が出てきたら世間がうるさいでしょ?」

「あー、そういうことですか」

「まぁ、シャワーとか仮眠くらいなら問題はないけどね」

「色々と気を使うんですね、あっ、赤羽根さん誤字があった」

「この時期になると赤羽根さんの行動範囲が物凄く増えるから仕方ないとは言え仕方ないんですけど」

「さっき言ってたテレビ関係のことですね、麗華さんと北原さんはライブ前の調整でいないと、武内さんは赤羽根さんとは別の場所の外回り………なんで回ってるだろうこの事務所」

「いやー、高梨くんが来てくれて割と本気で助かってますよ」

「戦力になってるか不安ですよ、それじゃあ仕事終わったんでレッスン見に行ってきます」

「えっ?あっ、うん、行ってらっしゃい………あれぇ、結構渡したつもりなのにもう終わっちゃったの?」

 

さーて、アイドル3人は来てるかな?





徐々に染まっていく主人公

そして筋肉痛で熊本弁がちょくちょく使えない蘭子は可愛い

クラスの流行りはヘルシング

の巻ですね

やっぱりこういうほうが書いてて楽しい。

だが次はニュージェネです、でも「蘭子は可愛い」は話に入れますっ!!


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10話

何で遅くなったって?

アニメ3話だけ見たんだよっ!!


少し待って最初に来たのは島村さん。

 

「あっ、マネージャーさん、こんにちは」

「こんにちは」

「今日もレッスン見てくれるんですか?」

「ライブ近いですからね」

「私もデビューが決まってすぐなのにバックダンサーとはいえライブに出演するなんて思ってなくて」

「正直僕もびっくりしてるんですけど、美嘉さんの要請ですからね、まぁちょっと危険な部分もありますけど」

「危険?」

 

よく分からないと島村さんは首を傾げる。

 

「あっ、凛ちゃん、こんにちは」

「こんにちは」

「卯月もマネージャーもこんにちは、あとは未央だけ?」

「高校が千葉だからね」

「あぁ、それじゃ仕方ないね………マネージャーは今回のバックダンサーの仕事本当に大丈夫だと思う?」

「大丈夫って言うと?」

「なんというか………アイドルって下積み時期とあるんでしょ?」

「普通はそうですね」

「なのにいきなりこんな大きな舞台上がったりして………リスクが大きいというか」

「………まぁ、失敗のリスクは大きいけど今後のリターンの方が大きいかな?」

「リターン?」

「バックダンサーとは言え、大舞台を知ることは結構重要なことで、お客さんに顔を覚えてもらうとか、その場の空気や雰囲気を知ることが出来るのは駆け出しのアイドルじゃ、なし得ない経験は得ることはできるからね」

「まぁ、確かに」

 

 

「こんにちはー、あれ?もしかして私が一番最後?」

「未央もきたね」

「こんにちは未央ちゃん」

「こんにちは」

「ねぇねぇ、みんな何の話してたの?」

「今度のライブのことです」

「あーやっぱりだよね、私すっごく楽しみでさー」

「未央は逆に楽しみにしてるんだ」

「と、言いますとしぶりんは弱気な感じ〜?」

「弱気って訳じゃないけど………まぁマネージャーがメリットの方が大きい言う説明も納得できるし」

「メリット?まぁ、私は本番に強いタイプだし何とかなるっしょ!!」

「………その本番って何を根拠に?」

「うーん、テストとか大会とか色々かなぁ」

 

ため息を吐かずに居られなかったが、一応歳上なので表情には出さずに説明する。

 

「まぁ、自分も学生なんで説得力皆無なんですけど、学生の言う『本番』と仕事の『本番』は別物だと思った方がいいですよ。

これからやってもらうライブは正真正銘の『プロの現場』ですからね、

渋谷さんはちょっと心配しすぎですけど、本田さんは楽観視しすぎです」

 

「うぐっ、まぁ、確かに今までにないことだけどさー」

「………別に私はそんなに心配はしてないけど」

「まぁ、本番の空気は本番でしか経験できませんからね、とりあえず気はちゃんと引き締めないといけませんしね、っと、トレーナーさんと………城ヶ崎さん?」

 

ドアの所を見ると「バレちゃいましたね」とベテラントレーナーさん(本人が希望して呼ぶ)と会話してる城ヶ崎さんが出てくる。

 

「ハロハロー、外から聞いてたけど本当に君中学生?いやー私も心が引き締まったよ」

「まだ経験不足の未熟なマネージャーですよ」

「確かに言葉の重みは君にはないけど、言葉の意味はこの瞬間には伝わってるよ、………さ、マネージャーの言ってる通り私たちはもう「プロ」だからね、甘えたことを言える立場じゃないってことをしっかり理解してね」

「「「は、はいっ!!」」」

 

やっぱりすげーな、カリスマアイドル。

 

「君も充分に仕事はしているよ」

 

ベテラントレーナーさんが肩を叩く。

 

「いやはや、こういう時に自分って力ねぇなって感じますよ」

「君が何を言っても二人は文句を言うさ、逆に彼女が言えば何がなんでも努力をする。

言葉は同じだった………むしろ君の方が伝わりやすい言葉も選んでたのに伝わらなかった」

「その辺は新人の力のなさですよ、『何を言ったかじゃない、誰が言ったか』っていう素敵な言葉もありますし」

「それと信頼関係だな、君は神崎とは仲が良いが他のアイドルとはまだ距離があるからな」

「ですね、まぁ、言葉足らずで最悪の事態は防ぎたいと思います」

「頑張りたまえ、影でそれなりに君を応援してるよ………はいはい、それじゃあそろそろレッスン始めるから準備してね」

 

「「「はいっ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

この後数日、レッスンは続きトレーナーさんからOKが出たのでライブでのダンスはなんとかなった。

衣装合わせで前川さんと一悶着(?)あったがとりあえず問題なしと。

この一週間3人のマネジメントで忙しかったので神崎とあんまり絡んでなかったが突然「我が盟友よ、貴殿は我が盟友なんだぞっ!!」というとても深い言葉を頂きました、ついでこれは俺でもよくわからない。

 

そしてなんだかんだで本番当日。

 

「あっ、麗華さん」

「高梨か、3人の調子はどう?」

「まだ空気には飲まれてないですけど、いつ飲まれるかって感じですかね」

「あの3人は本田未央が中心に回ってるからね、本田が上がれば回りもよくなるし、逆を言えば飲まれれば回りもつられて硬くなるからね」

「アドバイスありがとうございます」

「別に貴方も気づいてたでしょ………と言ってもここからは本番の空気を入れないと何も出来ないからね」

「一応、緊張感持ってとはいってますけどあんまり言い過ぎると逆効果ですしね」

「その辺の塩梅は貴方の腕しだいね」

「正直胃がキリキリしますよ」

「へー、貴方もなんだかんだ緊張してるのね?」

「当たり前ですよ、経験ゼロですから何が正しくて間違っているかわからないですし」

「………それアイドルの前で言ってないわよね?」

「もちろんですよ、麗華さんの前だから気を抜いてるんですよ」

「っ!?………こほん、この後スポンサーが来るから楽屋に全員集合するように伝えなさい、それと挨拶はしっかりするように言っとくのよ」

「分かりました」

 

スタスタと歩きながらライブの最終チェックをしている。

そのうちライブの仕事とかも教わらないとな………

 

「3人とも楽屋にスポンサーが来るから楽屋に行きますよ」

「「「分かりました(分かった)」」」

 

楽屋に入り、今日の主役のアイドル達と挨拶をする。

 

「バックダンサーで出演させていただきます、本日は宜しくお願いしますっ!!」

「はい、今日は宜しくお願いします。緊張しますよね?」

 

小日向美穂さん、一言で言えば恥ずかしがり屋だ。

だがその照れながらも頑張る姿はファンも多い。

 

「全力で熱く燃えましょうっ!!」

 

日野茜さん、一言というか、この人はもう熱血という言葉しかでてこない。

この元気の良さは多くのファンを元気づけただろう。

 

「何でも聞いてくださいね………あら、随分と若いマネージャーさんですね」

 

佐久間まゆさん、元々はモデル出身だったが麗華さんのプロデュースでアイドルになった。

 

「本当に美嘉ちゃんが言ってた通り若いマネージャーさんね」

 

川島瑞樹さん、元アナウンサーという経歴を持つ。

ザ・大人の雰囲気が出ているアイドルだ。

 

 

少しすると楽屋にスポンサーが入ってくる。

この時空気が変わり、川島さんが挨拶をすると皆さんスイッチが変わる。

 

3人も空気が変わったことを肌身に感じている。

 

「高梨、3人の事頼むわよ」

「うっす、任せてください」

 

麗華さんは5人の準備を急がせるとそのままスタッフの方と連絡を行う。

 

「こっちはまだ時間はありますので、リハの確認しますか」

「えっ、あっ、はい」

 

すでに本田さんの顔は硬くなっている。

 

声を掛けてもいいが下手に声を掛けて反発されても困るし、周りを見て落ち着くか確認もしたい。

 

 

が、結局は本田さんの緊張は解けない、リハは失敗し、麗華さんが言った通り本田さんが黙っていると二人も黙ることが多い。

スタッフに声を掛けられるとビクッと震えるのも本田さんだ。

 

楽屋に戻り、ライブが始まったことを確認する。

 

「始まっちゃいましたね」

 

島村さんがそう言うが二人は反応はしないので俺が反応する。

 

「時間通りですからね、こっちの出番はもう少し後ですから、それと今日は他のメンバーも来てますよ」

 

そう言うとまた本田さんはビクッと震える。

他のメンバーが見にきてるというのがプレッシャーに変わってしまった。

普段は「いい所見せますよ〜」なんて言える所だが………

 

「そろそろ準備お願いしますー」

「えっ、もうですか?」

 

スタッフにステージ裏に呼ばれる。

………もうそろそろ限界か。

 

「本田さーん」

「えっ?………って、痛い痛い痛いいきなり何するのっ!?」

「島村さーん」

「えっ!?私もですか、痛いです痛いです」

「渋谷さーん」

「待って別に私はいらないから、こっちに来ないで………痛い」

 

ほっぺたをぐいっと引っ張り、皆、ほっぺたを抑える。

 

「まぁ、自分が何でこんなことをするか分かってますと思いますが表情硬すぎです、それと本田さんは緊張しすぎ、前に本番に強いって言ってたのに今日ど緊張してるじゃないですか?」

「それはっ!?………そうだけど」

「なら、今日はもう僕の仕事は半分は成功しましたよ」

「えっ?」

「本田さんはちょーっと仕事の意識が低かったですからね、トレーナーさんとか他のプロデューサーに気をつけるように言われてたんですよ」

「うっ」

「実際に案の定でしたけど………まぁ、これがプロの現場です、3人が緊張するのは想定通りでしたし」

「そう思うなら声をかけてよ」

「最初から他人を頼るのは成長には繋がらないですよ、いずれ3人はソロデビューもしますし、マネージャーやプロデューサーが居ない状況もありますからね」

「………ソロデビュー」

「それにこんな大舞台をやることになるんですから、楽しまなきゃ損ですよ………さっ、ステージ裏に行きますよ」

 

ステージ裏に早めに行き、待機してるアイドル達に声をかけてもらうようにお願いする。

 

スタッフさんには出るタイミングを3秒前ではなく、5秒前にお願いする。

 

「(やることはやった、あとは3人次第かな)」

 

 

「「「フライドチキン」」」

 

 

「どう?上手く緊張を解せた?」

「麗華さん、まぁ、やることはやりましたよ」

「げっそりって顔してるわよ」

「胃薬が欲しいですね」

「ふふっ、最初は私も胃薬が常備薬だったわよ」

 

そう言って彼女はバックから胃薬を取り出す。

 

「ありがとうございます」

 

貰って飲んで、ステージの方をみて観客の反応を見る。

 

「大成功なんじゃない?」

「後はライブの後ですよ、北原さんにちゃんと魔法は解くように言われてありますからね」

「私もよく分かってないのよね、その魔法を解くって意味」

「あー、今回の初めての仕事がライブって割と特殊なことだと思うんですよ」

「そうね、普通は下積みを………なるほど、だから『魔法を解く』ね」

「このライブが当然の仕事だと思われたらこっちも困りますよ、あの3人には今日の仕事はかなり特殊な例ってことを伝えて、これからの仕事のギャップを伝えなきゃいけませんからね」

「………やっぱりアンタ変だわ」

「もう慣れました」

 

さて、後の半分の仕事をこなしますか………




ランキングに載ってしまった………

まぁ、これが神崎蘭子の力ですよっ!!

そして、何でこんなに遅くなったか?
ちゃんみお大変だったんだよっ!!
「アイドル辞めるっ!!」って言わせないように主人公奮闘しましたよっ、!!
アニメだと株が落ちたちゃんみおですけど、実際しょうがないでしょう、スポーツ万能で、成績優秀、容姿端麗、というスーパーハイスペック人間だから挫折の経験がないのが「アイドル辞めるっ!!」に繋がったと思ったんですよね。

ボツネタに千葉出身だから某友達が居ない目の腐った先輩にちゃんみおの弱点を語るシーンがあったけど、ぐだるからカットしました。

まぁ、とりあえずこれでニュージェネレーション編はひとまず終了です。

それより蘭子ですよっ!!
ラブライカ?知らんっ!!作者は蘭子可愛いが書きたいんじゃあっ!!


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11話

微エロ?


 

 

 

ライブ成功後、スポンサーに目に付けられ3人はユニットを組むことになり、CDデビューが決まった。

 

トントン拍子でアイドルとして成功の道を歩んでいるが、これからの仕事は下積みで派手な仕事ではないことをしっかりと伝える。

 

「あはは、マネージャーは心配しすぎだってば」

「………実は今日の本田さんの緊張具合を動画で撮ってあるんだけど?」

「嘘っ!?」

「ちょっと皆に見せてこようかなー」

「や、止めてよっ!!」

 

俺のスマホを取り上げようと必死に手を伸ばしてくる。

が、周りの二人はクスクスと笑ってる。

 

「未央そんなことしてないから大丈夫だよ」

「そうですよ、だってマネージャーさんずっと私達の側にいましたから動画なんて撮ってたら私達が気づきますって」

 

案外速いネタばらしだったが、事実俺はそんなことはしてない。

 

「俺の嘘が分からない程周りが見えてなかったんですよ本番前の本田さんは、それなのに心配しすぎって言われてもなー」

「うぐぅ、………分かりましたっ!!今日の仕事は特別なだけであって、私はまだまだ未熟者のアイドルですっ!!これで満足っ!?」

「そんなキレ気味に言わなくても………まぁ、それでも今日スポンサーに目を付けて貰ったのは3人の実力だからそこは誇ってもいいんですよ」

「急に褒めたって株は上がらないからね」

 

ジトッと渋谷さんに見られるが、実際問題これは凄いことをこの3人は理解していない。

 

「そんなことないですって、本来ならプロデューサーのプロデュースでデビュー予定なのにスポンサー推薦でデビューは結構凄いことなんですよ、ですよね麗華さん?」

 

近くにいた麗華さんに振ると「…そうねぇ」と一瞬考え

 

「私もいろんなアイドルプロデュースしたけどスタートダッシュだけなら過去最高なんじゃない?」

 

本田さんは「おおっ!?」とらしいリアクションを取ってくれる。

 

「つまり、私達って結構凄い?」

 

客観的に見てようやくこのデビューの凄さを実感する3人。

 

「ただしスタートダッシュだけね、全然売れなかったのに凄い伸びたアイドルだって私はたくさんプロデュースしてきた、高梨の言う通りしっかり地べたに足つけてコツコツやりなさい」

「あはは、やっぱりアイドルはそんなに甘くはないってことか」

「そういうことです、うんじゃ俺出るんで、さっさと着替えて汗拭いてくださいね」

 

 

 

 

 

 

 

とまぁ、俺の仕事はニュージェネレーション結成で終わり、後は基本的には武内さんのプロデュースに乗っかるみたいだ。

まぁ、それでも武内さんが行けない時はちょくちょく俺が見ることになった。

 

 

 

ニュージェネレーション結成の次の日

 

「あら?高梨くんは今日はお疲れかな、エナドリとスタドリいる?」

「貰います」

 

昨日はなんだかんだ疲れたからな。

ふと顔を上げると赤羽根さんがこっちをジッと見る。

 

「………そういえばそろそろ給料日だけど、和也って雇用されてないんだよな?」

「お手伝いですけどどうしましたか?」

「武内さんのポケットマネーから、一応給料紛いの物をもらうんだよな?」

「みたいですねぇ」

 

その時、赤羽根さんは麗華さんをみて麗華さんはコクリと頷く。

 

「………ちょっと和也、ここに書いてある資料、資料室から持ってきて」

「あっ、はい」

 

テレビ関係の資料が多くある。

 

「ちょいと量が多いんで時間かかりますけど?」

「いいわ、ゆっくりやってなさい」

「はぁ、それじゃあ行ってきます」

 

いつもキビキビ働きなさいと言う麗華さんがゆっくりやっていいなんて、今日は雨でも降るのかな?

 

 

 

sideちひろ

 

ばたんと扉を閉め、珍しくプロデューサーが全員揃ってるこの部屋で唐突な会議が始まりました。

 

「和也には高校生の平均的なアルバイト代を出すって最初は言いましたけど」

「平日毎日、学校終わりに来る、土日は基本的には朝の8時から5時まで、アイドルのレッスンの進捗状況をみて伸びたりもするわね」

「………平均的な高校生のアルバイト代って4〜5万くらいだよね?」

「………流石にそれは申し訳ないですね、最低でも二桁はいかないと彼のモチベーションも下がってしまうのではないかと」

「いやいや、武内さんに全部払わせるなんてとんでもないですよ、僕も半分は出します」

「安月給は黙ってなさい、武内さんと私だけでいいわよ」

「いやー、ここは年長者の意地の見せ所だよ、僕が全部だすから」

「と、とんでもないです、私がポケットマネーで払うと言いましたので責任を持って私がちゃんと………」

 

やんよやんよとプロデューサーさん達は高梨くんの給料を誰が払うか言っている。

まぁ、確かに雑務だけではなくマネージャーとしての仕事ぷりはすでに新人の枠ではない、これで4〜5万で雇えれば会社的にはきっといいのだろう。

しかし、誰一人彼をそんな安月給で働かせるつもりはない。

当然のことだ、プロデューサー達も雑務をやっていた時よりも、彼が来た時の方が仕事がよくまわっている。

高梨くんは気づいていないが、彼はたった一月でここには無くてはならない存在になってしまった。

が、プロデューサー達は忙しかったゆえに、高梨くんが雇用されてないことをすっかり忘れてしまったみたいです。

 

………私は大げさに咳払いをして、皆さんに視線を集めます。

 

「あーーー、まちがえて高梨くんの年齢部分14じゃなくて15って書いちゃった、これだと高梨くんは高校生になってアルバイトととして雇えちゃーう、ちひろいっけなーい、しかも会社の人にアルバイトととして間違えて送っちゃったー」

 

ワザとらしく棒読みで台本を読んだら、皆さん財布をだして。

 

「「「「スタドリ、エナドリ1ケースずつで」」」」

 

と言われた。

 

別に買わなくていいんですよ、私も高梨くんには助かってますから。

 

 

 

 

 

給料日

 

北原さんに呼ばれて行ってみるとどうやら今日は給料日らしい。

「あれ?でも自分は武内さんのポケットマネーとか………ん?僕の給料袋と明細書?でも僕じゅうよ………」

「ストップだ」

「へ?」

「僕は高梨くんの年齢を聞いてない、高梨くんは自分の歳を言っていない」

「え、でも………分かりましたありがたく頂きます」

「それと今日は暇かい?」

「えぇ、まぁ」

「それじゃあ今日は皆で飲みにでも行こうか」

「えっと、いいんですか?仕事がひと段落したら行こうって話じゃ?」

「よくよく考えたら君の歓迎会をしていなかったからね」

「あ、ありがとうございます」

「いいよ、さっ、話は終わりだ、今日も1日頑張ろうか」

「はいっ」

 

今日の仕事の終わりにプロデューサー達とちひろさんで居酒屋に行くことになった。

 

 

「いやー、すいません自分の為にこんな会を開いてもらって」

「なーに気にすんな、俺なんか入社して最初の一週間で歓迎会開いてもらったから」

「あの時はまだアイドル20人くらいだったからそれなりに余裕があったしね」

「武内くんがシンデレラプロジェクトを立ち上げてから大所帯になったね」

「すいません、皆さんに負担を強いられて」

「閑古鳥が鳴くほうが辛いから忙しい方がいいんだよ、武内くんは今まで通りでお願いね」

「その前に社員増やしましょうよ、プロデューサー四人とお手伝いじゃ明らかに足りないですよね?」

 

 

最初のうちは仕事の話がメインだがお酒進むと………

 

特に変化なし組

 

「北原さんと武内さんはあんまり酔わないんですね」

「僕はお酒は結構強い方でね、酔いつぶれた経験とかはないかな?」

「私は下戸なんであんまり飲まないようにしてますね」

「武内さん一回間違えて日本酒とお水を間違えて飲んだら倒れちゃってさ、急性アルコールかと思って救急車呼んで大変だった時があってね」

「その節は申し訳ないです」

「あはは、別に無理して飲む必要もないし、強制して飲むようなものでもないからね」

 

なんというかここはザ・大人って感じだな。

 

笑い上戸パターン。

 

「あっははは、和也飲んでるか?」

「赤羽根さんこそお酒足りてますか?」

「っとすまねぇな、いやーここ最近飲んでないから久しぶりに潰れるまで呑もう」

「それは駄目っすよ、明日も仕事なんですから」

「わーってるわーってる、ほれ今日の主役に注いでもらっちゃあ顔が立たねぇ、ホレお茶」

「どもっす」

「早く酒が飲める歳になれよっ!!はっはっは!!」

 

赤羽根さんは笑い上戸ではあるが基本的には男性陣で飲んでいる。

というか、あんまり男性陣は女性陣に寄らないというか………?

 

甘えてくるパターン

 

「ねぇ、和也ちょっとこっち来なさい」

「えっ、あっはい」

「遠いわよ、もっとコッチ」

「いやあの結構近いんですけどっ!?」

「いいから、それで向こう向きなさい」

「えっ、なんですかコレ………ッ!?」

 

分かりやすく言おう、胡座をかいてる麗華さん、そこに乗っかる俺、抱きしめられる………っていやいやいやっ!?

 

「えっ!?ちょ、麗華さん?」

「うるさいわね、ちょっと黙ってなさい」

「えっ、あっはい、……………あの、これはいつまで?」

「私が満足するまで」

「ええぇぇ………」

 

少しの間、ぎゅっとしたり、匂いを嗅いだり、顎を肩に乗せたり、耳元に吐息があったたり………というか悩ましい声出さないでーーー、卍解するから斬魄刀が卍解するからっ!!

 

「んぅ、もういいわよ」

「…………あの離してないんですが?」

「だから貴方が離れたいと思ったら離れていいわよ」

 

なんですかそれっ!!!?

ずるくないですかっ!!そんな風に言ったら離れづらいじゃないですかっ!!

 

 

 

色っぽくなるパターン

 

「麗華さん駄目じゃないですか、そんな風に言ったら高梨くん離れられないですよぉ〜」

「むぅ、せっかくいい抱き枕だったのに」

 

渋々麗華さんは離れる。

 

「ね〜?、高梨くんもあんな風に言われたら離れづらいよね〜」

「そうですけど………あのちひろさん近くないですか?」

「いいじゃないですか〜、さっきまで麗華さんに抱きしめられた癖して〜」

 

するすると腕を絡め取っていく

 

「あ、あの?ちひろさん?」

 

顔を見ると酔ったせいか目元がトロンとしている。

それがとても扇情的に感じてしまいすぐに目をそらす。

 

「どうして顔を逸らすんですか?」

「いやー、ちひろさんの顔が近くてドキドキするんですよー、あはは」

「そうですか、近いですか……」

 

顔が首元までくるとすんすんと匂いを嗅ぐ。

 

「んー、ちょっぴり麗華さんの匂いがする」

「そ、そうですか?」

 

乗せてる手はスルリスルリと指を絡め取ってくる。

 

「うふふ、なんか私、機嫌がいいです」

「………それは大変良かったですね」

 

 

 

その後も2人に弄ばれて、ようやく男組の方へ逃げ込む。

 

「おかえりー」

「あっははは、和也大変だったなっ!!」

「……お疲れさまです」

 

武内さんを除いて2人はニヤニヤ笑っている。

 

「どうしていってくれなかったんですかっ!!あんなにスキンシップとってくるとはおもいませんよっ!!」

「あっははは、あの2人はアイドルと結構飲んでて、酔うと女子会のノリで引っ付く癖があるんだよ」

「役得だっただろう?」

「心臓に悪すぎてそれどころじゃないっすよ、というか役得だと思うなら代わりに行ってきてくださいよっ!!」

 

 

「「「………次の日が(ねぇ)(なぁ)」」」

 

全員が遠く見つめている。

 

「………えっ、なんかあるんすか?」

「意味もなく睨まれて、いつもより1.5倍仕事を回されて」

「意味もなくスタドリ、エナドリを買うことを強要されたり、雑務回されたり」

「………あのお二人は酔っても記憶に残るタイプで、恥ずかしいのか………その少々攻撃的になるというか」

 

あの武内さんですら言い淀むくらいのことが起きるのか?

 

「えっ、じゃあ俺明日ヤバくないですか?」

「まぁ、僕達は大人で」

「高梨君はまだ子供ですから」

「あの2人も大人の余裕ってことにしてくると思うぜ、なんなら、お前が照れてる態度を見せたらなんとかなるだろ!!あっははは!!」

 

どうしよう、今すぐこの笑い上戸を殴りたい。

 

「和也ぁ、私のコップが空なんだけど」

「高梨くん、ほらこっちに座ってくださいよぉ、お茶注ぎますよぉ〜」

 

「ほらお呼びだぞ、主役さん」

「頑張ってこいよー」

「お疲れさまです」

 

………明日が怖すぎるっ!!

 

 

なお、次の日は仕事を増やされたり、スタドリやエナドリを買うことは強制されることはなかったが、麗華さんと目が合うと睨まれて、ちひろさんと目が合うと怖いくらいにっこり笑う。

 

 

 

「神崎」

「ん?どうした我が盟友よ」

「いや、心の安定を求めてつい呼んだ」

「ふっきゅっ!?………こほん、ふっふっ、我が盟友も我と同じく契約の重みを感じたか?」

「そうだな最近は忙しくて俺が通訳出来なくてみんなに分かりやすい言葉選ぶように意識してたもんなー」

「なっ!?我が心を!!」

 

 

「まぁ、マネージャーで通訳で盟友だからな、さて、お仕事お仕事」

 

 

「………私はあんまり知らないのに」

 




書いてたら、ちょっとイケナイ感じの空気の展開になってた。
でも後悔はしていないっ!!

正直こんな展開なんて全く予想はしてなかったんだけど、作者の指がこう動いたから投稿した。

あと、蘭子可愛い。


皆さんはデレステやってますか?
ここ最近はひたすらイベントをみて「川島さん可愛いんじゃあー」って言ってます。

あとマスタープラスは無理です、親指勢じゃむりです。
でも某笑顔になる動画だと親指フルコンボがいるんだよなぁ………

後は某笑顔になる動画でps4のアイマスのライブ動画みて買うか、買わないかを割と真剣に考えます。

まぁ、遅れた理由はイベントやってたんですっ!!


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12話

やっとデビュー出来たドン



 

 

[あー、今回のテスト範囲やばいなー]

[それな、範囲が広すぎて時間足りねーよ]

 

放課後のクラスは来週テストの話題が多い。

………と言っても俺は放課後はすぐに事務所に行くのであんまり話に入れないが、事務室で話のタネになると思い、ふと「来週テストなんですよねー」と軽い感じで言ったら。

 

「和也、赤点………は今の中学生ないから、30点以下取ったらクビだから」

「えっ!?」

「それともアンタの得意の英語で言った方がいい?リリースよリリース」

「………Really?」

「ガチよ、学生の本分は勉強なんだから、たとえアイドルが取ったら、クビとまではいかないけど軽い勉強週間を作っとくわ」

 

彼女はそう言うと赤羽根さんは大きく肩を落として両手を上げる。

 

「まぁ、麗華さんはクビだって脅してるけど、実際事務所に残って勉強させるくらいって痛い痛いっ!!麗華さん頭が潰れるって!?」

「というか、事務所に勉強できる所がある方がビックリですよ」

 

まぁ、この広々とした事務所がだから何があっても驚かないけどさ………

赤羽根さんはいつものことだからスルー

 

「本来はクイズ番組の資料部屋だったんですけど、教材も多いですし勉強できる環境ですし、自然と学生アイドル達とかはそこで勉強するようになったので」

 

ちひろさんが軽く事務所勉強部屋について説明してくれる。

 

「丁度いいわ、そこに中学生2年生レベルの問題もあるから、軽いテストするわよ」

「ここに来てまで勉強すか」

「内申点は大事だからちゃんと勉強した方がいいぞー」

「赤羽根さんまで………まぁ頑張りますよ」」

 

 

 

その資料部屋に入るとアナスタシアさんと新田さんがいる。

 

「こんにちは」

「こんにちは、プロデューサーにマネージャー」

「コンニチハ」

 

2人は本とノートをもって勉強をしているみたいだけど。

 

「2人はなんの勉強をしているんですか?」

「アーニャちゃんにもっと日本語を教えられるように、まずロシア語を教わってるんです!」

「なるほど……なるほどなのか?」

 

新田さんって天然なのかな。

 

「2人はクイズ番組の資料集めですか?」

「和也が来週学校のテストだからどれくらいの学力があるか確認のテストね」

「赤点取ったらクビみたいで」

「えっ!?マネージャー大丈夫なんですか!?」

「なるようになれですね」

 

席に座ると2人はジッとこちらを見る。

 

「あんまり見られると恥ずかしいんですけど」

「マネージャー、クビはダメ」

「分かってますよ、それにこれは確認のテストだから直接関わりがある訳じゃないですし」

「手を抜いちゃダメデス、一生懸命ガンバッテください」

「あはは、頑張ります」

「大体の範囲だから習ってない所は計算入れないからこのプリントやってみなさい」

 

麗華さんから貰ったプリントを50分近くかけてようやく終わる。

採点が終わると麗華さんは大きくため息を吐きジトっとこっちを見る。

 

「ほぼ平均点以上ね」

「まぁ、とりあえず赤点はなさそうですね」

「そうね、その線はなくなったけど………せっかくだから学生アイドルの学力でも調べておきましょうかね」

「事務所で学力検査ですか?」

「えぇ、クイズ番組のプロデュースの時に使えるかもしれないし、何より勉強週間なんて作りたくないし」

「まぁ、レッスンとか歌とかに力を入れて欲しいですね」

「そういうことよ、今週の土日は学生アイドルの学力検査ね」

「了解です」

 

「なんか私達もテスト受けるみたいだねアーニャちゃん」

「ダー、テストあんまり好きじゃないデス」

 

 

 

土曜日

 

「ということで学力検査ということで皆さんにはテストを受けて貰います」

「えーー、なんでテストなんかしなきゃいけないの?」

 

城ヶ崎さんは不満を思いっきりだしてくる。

 

「テストが近いから」

「そんだけっ!?」

「まぁ、皆さん知ってると思いますがテストで30点以下取ったら事務所で勉強週間を作らさせていただきますので、それとその間デビュー出来ませんから」

 

「「「えっ!?」」」

 

「それじゃあテスト始めますから座ってくださいね」

「ちょちょ、待つにゃマネちゃん」

「なんですか?」

「つまりこのテストで30点以下を取ったらデビュー出来ないわけにゃ?」

「これは確認のテストだから別に30点以下でも問題ないですよ………ただ終わったら麗華さんからのお説教は覚悟しといてください」

 

俺がそう言うと双葉さんは「ちぇ、お説教は勘弁だからサボれないじゃん」とボソッと言う。こう言わないと双葉さんは白紙で返してくる可能性があるからな。

 

「それじゃあ始めますよ」

 

 

 

 

総合的に優秀組

 

「新田さん、本田さん、緒方さん………それと双葉さんは優秀ですね」

「どうどう見直したマネージャー?」

「メンタル以外基本的にハイスペックなのは分かりました」

「メンタルも強いからっ!!本番に強いしっ!!」

「はいはい、分かりましたから」

「全然分かってなーい!!」

 

本田さんは不満を言うが軽くいなしておく。

 

「というか双葉さんって勉強できたんですね」

「まぁね、これで面倒なお説教は回避出来たでしょ」

「本気になる理由が中々酷いですね」

「面倒なことか本気を出すのどっちかだったら本気出した方が楽だし、というかマネージャー飴持ってない?」

「ありますよ、………どうぞ」

「頭に使った糖分回復〜」

 

そのまま机の上でダラーっと飴を舐めて回復に努めている。

 

「新田さんには高校生全般の範囲でしたけど、それでもほぼ高得点なのはすごいですね」

「基礎的問題が多かったからそんなに難しくはなかったかな」

 

あー、この人めっちゃ勉強できる人だ。

 

「せっかくなので解けない人の先生役をして貰っていいですか?」

「うん、この中じゃ私が一番年長だし、私が教えられることなら教えてあげるよ」

「よろしくお願いします」

 

 

「緒方さんもしっかりできていましたよ」

「そ、そうでしょうか?」

「あー、別にタメ口で大丈夫ですよ、自分の方が年下ですし」

「あ、はい……じゃなくて、うん、分かりました」

「なんかごちゃ混ぜになってますが……でもこれなら同級生から年下の子までの勉強は教えられそうですね」

「えっ、えっと、私あんまり自信がないというか」

「大丈夫ですよ分からなければ新田さんや本田さんもいますし」

「………頑張ってみます」

「よろしくお願いしますね」

 

さて、成績上位組、普通組は大して問題はないが………

 

「ロックに数学は必要無いんだ」

「我が世界にも幾何学は存在しない」

「2人は数学がダメダメすぎなんですよ………で、ぶっちぎりで最下位をとったのは」

「ん?どしたのマネージャー?」

 

可愛く首を傾げ何事もなかったように振る舞う城ヶ崎さん。

 

「城ヶ崎さん、とりあえず麗華さんの所にプリント渡しに行ってください」

「せめてマネージャーも付いてってよー!!」

 

先ほどの余裕はどこに行ったのか腰辺りを掴んで必死に懇願してくる。

 

「はぁ……城ヶ崎さんと神崎は俺が教えます。多田さんは新田さんの所で最優先でお願いします、それと前川さんは英語だけ心配なので緒方さんの所で分からない所を教えて貰ってください、他の人は分からない問題や出来なかった問題をしっかり理解出来るまでやってください」

 

「「「はい」」」

 

「それじゃあ城ヶ崎さん行きますよ?」

「ちょちょ、なんでアタシだけなの、蘭子ちゃんとかりーなちゃんとかも30点以下取ったじゃん!!」

「1科目だけですし今日の進捗状況で報告か否かは決めます、だけど城ヶ崎さんは………」

 

プリントを見ると社会と理科の2科目以外赤点。

つまり国語、数学、英語を丸々落としているのだ。

 

「一年の始めのテストでコレは……」

「………割とヤバイ?」

「普通にやばいです」

 

もちろんこの後アホみたいに怒られて半泣きになりました。

 

 

 

 

 

 

「ま、こんなもんか」

 

頭を机に突っ伏してる神崎と城ヶ崎さんを横目に見つつプリントの整理をする。

 

「数学はどれだけ問題に触ったかによるから」

「頭が数式で一杯」

「幾何学が我が世界を侵略する」

「数学はこの辺でいいでしょう、神崎は戻っていいぞ、まだ城ヶ崎さんは続きがあるから」

「えっ!?まだやるのっ!?」

「まだ英語と国語が残ってますから、それと最後にもう一回確認の為に理科と社会のプリントをやりますからね」

「もー、むりぃー」

 

バタっと突っ伏す城ヶ崎さん

 

「ちょっと休息入れてから始めますから頑張ってくださいよ」

「むりぃー、むりぃー」

「でも勉強しないとデビューでませんよ?」

「そもそも勉強しないとデビューできないのがおかしな話なんだよっ!!」

 

いきなり立ち上がりクワッと効果音が付きそうなくらいの勢いで言う。

 

「もう一回麗華さんのありがたいお話聞きたいですか?」

「よーし、休憩終わったら勉強頑張ろう!!」

 

驚くべき変わり身の速さである。

 

「それとさーマネージャーはアタシのこと城ヶ崎さんって呼んでるけど私の方が年下でしょ?」

「女性ですから」

「ぶー、でもみりあちゃんはみりあちゃんって呼んでるじゃんそれに蘭子ちゃんとかもさん付けしてないしー」

「みりあちゃんは名前で呼んでて言われたので、神崎は………敬う必要がないから」

「むっ………何故我が敬う必要がないと言い切る」

「えっ、だって通訳しないとコミュニケーション取れない奴をどこか敬う所あるか?」

「うぐっ」

「それは冗談として友人関係だからかな?普段はさん付けなんてしないけど仕事の時はスイッチ入って敬語が勝手に入るという感じですかね」

「ふーん、じゃあさお姉ちゃんの時はなんて呼んでるの?」

「カリスマアイドル」

「それ名称じゃんっ!!」

「冗談です、同じく城ヶ崎さんって呼んでますけど」

「それじゃ、お姉ちゃんと一緒の時困るでしょ、だから莉嘉って呼んでよ」

「………莉嘉さんでいいですか?」

「敬語も禁止っ!!年上なんだからタメ口でいいよっ」

「………わりかし適当になるよ、本当に」

「それなら今日の勉強も適当に……」

「なりません」

「ですよねー」

 

こうやって少しずつアイドル達と距離が縮まることはいいことだと思うのだが。

 

「むっすぅー」

「………神崎どした?」

「なんでもない」

 

たまに不機嫌になるんだけど、割と理不尽なんだが………

 

「マネージャーって女心わかってないよねー」

「男だからね」

「そうだけどさー」

「はぁ……ほれ神崎、飴ちゃんやるから機嫌直せって」

「………ふん」

「………飴は取るのね」

 

口に飴を入れてムスッとしていてもなんだかなぁ………

その後いろいろとご機嫌を取りまくって結局ラーメンを奢る事で決着はついた。

 

 

 

 

テスト返却日

 

「なんとかなりましたー」

「しまむーもいい点取れたみたいだね、しぶりんは?」

「平均点は80超えたよ」

「おー、中々の高得点」

「未央には負けるけどね」

「はっはっは、5教科平均94点よ、どうだマネージャー参ったかー」

「すごーい本田さんはこれからも頑張ってくださいねー」

「棒・読・みっ!!」

 

絶賛不満出しまくりの本田さんはほっといて数学が赤点だった多田さんは………

 

「どうでしたか?」

「テストも綺麗にロックに決まったぜ」

「いや、まぁ普通に69点ですよ」

「これは完全にロックの女神に愛されてるでしょ」

「はいはい、愛されてますから新田さんにちゃんとお礼を言ってくださいね………そう考えるとロックの女神って新田さんになるのか?」

「っ!?ちょっと美波さんにお礼言ってくるっ!!」

「行ってらっしゃいー」

 

神崎は赤点じゃないし、莉嘉はどうかな?

 

「莉嘉、結果はどうだった?」

「………なんとかクラス平均は取れた」

「………なんか目が死んでるぞ」

「夜遅くまで復習してたから正直寝不足かも」

「やばかったら仮眠室で寝てこいよ」

「うん、そうする」

 

元気がない莉嘉を見るのは軽く新鮮だな。

 

 

 

 

「という訳で学生アイドル全員赤点回避しました」

「ご苦労様、………正直、全員回避するとは思ってなかったから大したものよ」

「いやみんな優秀でしたし」

「確かに今回のアイドル達は優秀ねぇ………それと和也今日のレッスン終わったらアイドル達全員部屋に呼んでおいて」

「分かりました」

 

レッスンが終わり、少し経ってからアイドル達が普段いる部屋で全員で待つ。

 

少し待つとクイクイと袖を引っ張られる。

 

「我が盟友よ、これから何が起きる?」

「あー、武内さんが来てのお楽しみで」

「むー」

「………デビューが決まったアイドルの報告」

 

あんまりジトっと見られるのであっさりバラす。

ちょっと驚いた顔をしたと同時に武内さんが入って来たので武内さんの方へ向かう。

 

「全員揃ってます」

「ありがとうございます、それでは今日集まったのはCDデビューが決まった人がいるので報告です」

 

一瞬空気が固まるがすぐに莉嘉が手を挙げて猛アピール、釣られてアピールする人も出てくるが決定事項なんだけどなぁ………

 

「CDデビューは神崎さん、ユニットデビューは新田さん、アナスタシアです」

 

「「「おー」」」

 

パチパチとみんなから拍手をされる3人

 

「頑張ってね蘭子ちゃん」

「みなみんもアーニャちゃんも頑張ってねっ!!」

 

「えっと本当にわたし達で大丈夫なのかな?」

「シィーディー?」

 

2人は喜びというよりも戸惑いの方が強いかな?

 

「ふっ、わが闇の力今こそ解放せんっ!!」

 

バッと決めポーズを決める神崎。

こっちは相変わらずかな?

………隣にいたちひろさんに服を引っ張られる

 

「本格的なマネージャーの仕事が始まりますので頑張ってくださいね」

「えぇ、大変そうですけど頑張って行きたいです」

 

ここまで長かったがようやく俺の仕事が始まるしな。

 





一回書いて「なんかテンポ悪い」って思って書き直して。
もう一回書いて「なんか俺が書きたいことはこれじゃない」って思って書き直して
さらに書いて「もうこれでいいやー」で投稿したっ!!




この作品について

作品書いてれば批評や低評価がくることがたくさんある。

しかし、知らないっ!!

作者は10人の批評よりも1000人のお気に入り登録された人に書いてますからっ!!

評価値が低い?

知るかっ!!大事なのはお気に入り登録者の数じゃ!!
…………でも高評価や感想してくれたら嬉しいです。

それと蘭子はかわいいですっ!!

最近真面目にデレステの課金を考えている今日この頃………


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13話

タグ増やしました


「なるほどホラーは苦手だと」

「そうなんです、イメージ的には悪魔のような格好の方がいいみたいで」

「分かりました」

 

神崎と武内さんの3人でPV制作の概要について話し合いをしているのだが、いかんせん神崎が絶好調に厨二発言はする。

 

「悪魔のような………すいません、どうにもイメージが出来なくて」

「僕も言葉じゃ伝わらない部分もあるので………神崎に衣装の絵のイメージ図、歌詞のイメージを後で作ってもらい武内さんにお渡しします」

「分かりました」

 

今まで絶好調に厨二発言をしていた神崎はピタリと固まる。

 

「ん、なんか持ってるの?」

「………確かに存在は確認できる」

「うんじゃ、それを」

「しかしっ!!………ぅう、しばし待たれよ」

 

………あるみたいだけどあまり人に見せたくないみたいだ。

 

「では今回の会議と神崎さんのイメージした絵や歌詞の内容を踏まえて企画を考えさせてもらいます」

「ありがとうございます」

「また力を蓄えるがいい」

 

そう言って今回の会議は終了した。

 

「………闇とか終焉とかを連呼してるからダークの要素が強いからホラー要素の企画を用意してくるの想定外だったな」

「我が眷属の瞳の力が曇ったが、我が盟友の力によって雲は晴れたようだ」

「まぁそれが仕事なんだけどさ………うーん?」

「新たなる試練か?」

「いや、ちょっと心配事が増えただけ………うんじゃさっき言った衣装のイメージ図とか歌詞の内容とか持ってんの?」

「うっ、………我が一部となっているグリモワールは確かに存在している」

「駄目なの?」

「うぅぅ、禁忌なのだっ!!」

 

………上目遣いにこっち見んなよ。

とは言っても無理にお願いして意固地になって見せたがらないほうが面倒だしな

 

「うーん見せた方が神崎が考えた衣装により近くなると思うんだけどなー」

「うっ!!」

「神崎の考えた歌詞がもしかしたら反映されると思うんだけどなー」

「うぅぅっ!!」

 

こんな感じの言葉をかけまくったら途中から「うー、うー」としか言わなくてこっちを睨んできたので流石に止める。

 

「まぁ、見せた方がいいメリットは散々言ったから決心ついたら俺かプロデューサーになるべく早めに見せなよ」

「うー………承認した」

 

 

それから次の日

 

 

 

「わ、我が盟友よ」

「ん、どうした?」

「そ、 そのぉ、えーと」

 

そう今あなたが持っているスケッチブックを俺に渡せば俺の仕事も半分は終わりと言っても過言ではない。

だからそのスケッチブックを俺に渡してみようか………

 

「………我に魔力を供給する盟約の誓いを今果たす刻っ!!」

「………あー、うん、そうだね、お昼にラーメン奢るって約束したしな」

 

そっちかーそっちなのかー

 

「さぁ、同じ魔力を得る者が来る前に早くっ!!」

 

というかこの子普通にラーメン楽しみにしてませんか?

 

 

 

それから

 

「我が盟友っ!!」

 

「我が盟友よっ!!」

 

「わ、我が盟友〜」

 

 

と呼び出しをされて行ってみれば厨二発言をして高笑いをしてどこかに去っていくの連続。

 

「なんか今日疲れた」

「お疲れ様です、お昼からずっと蘭子ちゃんに呼ばれていますよね」

「そうなんです、多分スケッチブックを渡したいと思うんですけど」

「中々決心がつかないと」

「そうなんですよ、なんか良い方法ないですかね?」

「うーん………やっぱり待ってあげるのが一番ですかね、一番駄目なのは強引に持っていってしまうことですけど、時間も迫ってますしね今日中には………」

「ですよねー………もう最後の手段をやるしかねぇかな」

「最後の手段?」

 

 

 

 

 

蘭子side

 

どうしよう………スケッチブックが渡せない。

 

あんまり待たせると企画が遅れるからなるべく早めにって言われたけど………

 

「らーんらん」

「ふぇっ!?」

 

スケッチブックを開いてので急いで閉じる。

 

「な、なにようか」

「いやー、今日ずっとそれ持ってマネージャー呼んでいるから渡したいのかなーって思って」

「それは………そうなのだが」

「それ何が書いてあるんですか?」

「き、禁忌に触れるなっ!!」

「あはは、見ちゃいけないみたいだね」

 

うぅー、こんなに恥ずかしいとは思わなかった………

 

「ん?誰か着信?」

「………我が盟友?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が盟友の術式によって今ここに降臨するっ!!………って誰もいない?」

 

ここの部屋に来るように呼ばれたのに………もしかして部屋間違えちゃった?

 

「遅かったではないか我が盟友よ」

「ッ!?何者だ!!」

 

ドアの後ろから声が聞こえ、振り返ってみると黒いマントにフルフェイスの仮面の男が立っている。

 

「ふっ、真の姿を見せるのは初めてだが、声で分からないとは盟友の名が恥じるぞ」

「ま、まさか………我が盟友?」

「如何にもっ!!高梨和也の中に存在するもう1人の人格、ジ・エンドだ」

 

かっ、かっ、かっこいいっ!!

じゃ、じゃなくて、こっちもちゃんと挨拶しなきゃ。

 

「ふっ、ではこちらも名乗らせていただこうか、我が名は神崎蘭子っ!! 運命の扉は再び開かれたっ!!」

「ふっ、悪いが我が盟友ブリュンヒルデよ、この身でいられる時間は少ない、手短かにいかせて貰おう」

 

どうやらジ・エンドさんには時間が少ないみたいだ。

 

「して、何故私を呼んだ」

「貴殿の力の解放についてだ」

「力の解放?」

「貴殿の力はグリモワールと同調しているのだろう」

「な、何故それをっ!?」

「この身の中から見ていてもそれは明白だ………しかし貴殿は力の解放を拒んでいるな」

「………このグリモワールが我の禁忌で」

「笑止っ!!」

「なっ!?」

 

ジ・エンドさんはツカツカとこちらに来たので、グリモワールを盾にして構えるとトントンとグリモワールを叩く。

 

「貴殿の力を試す場が決まった刻、貴殿は何と申した?」

 

えっと………これから頑張りますって言ったけど。

 

「闇の力を解放せんと言ったのにこの体たらく、貴殿の力を見に来る下僕達は残念がるだろうな」

「っ!?」

「貴殿は何のために堕天使の世界に降りた?力を隠すためか?否っ!!力を見せつけるために降りてきたのだろう」

 

………何のためにアイドルの世界にきたのか

 

「当然、恥辱な場面や屈辱の刻が来るだろう、しかしそれを乗り越えぬ者に明日はあるだろうか?」

 

 

 

「再び問おう?貴殿は何をしにこの世界に降りた?」

 

 

 

「私は………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うんじゃ、翻訳して武内さんに渡しとくから、これは後で返しとくからな」

「それこそが我が盟友の力」

「なんで神崎がドヤ顔なんだ………よっと」

 

結構強めデコピンをすると、おでこを抑えながらこっちをうーと唸りながら見るが、さっさと椅子に座るように促す。

 

「我も必要なのか?」

「当たり前だっつうの。神崎の要望なんだからなるべく正確に伝えられた方がいいに決まってるだろ?」

 

机に座って神崎のスケッチブックを広げ、衣装のページを見る。

 

………なんというか絶望的に絵のセンスがないな。

字が達筆のせいか絵が余計に酷く見える。

 

「うんで、この衣装の背中にあるやつは」

「翼だっ!!」

「………分かった、でコレは左右非対称の方がいいの?」

「より強力な力になるっ!!」

「色合いはどうする?神崎が好きなは黒はちょっと重たい感じだと思うけど?」

「なるほど、……ならば紫はどうだろうか?」

「うん、それならなんとかなるでしょ、うんで対になる天使の方の衣装は………」

 

 

それから衣装のコンセプト、歌詞の内容等の希望を一通り翻訳とイメージ図をひたすら書き出し………

 

 

「と、元は聖なる天使だったけど今は堕天使に堕ちた様子がコンセプトです、で希望の衣装イメージはこんな感じです」

「なるほど、……………ならこのような名前はいかがでしょうか?」

「ローゼンブルクエンゲル?」

「ドイツ語で天使って意味でしたよね?」

「おぉ」

 

どうやら神崎の琴線に触れたみたいだ。

チラッと武内さんはこちらを見るので、頷く。

 

「では、この資料を元にPV映像を作っていきますがよろしいでしょうか?」

「是非もないっ!!」

「大丈夫です」

 

こうして無事にPV映像は進行して行った。

 

 

 

 

学校にて

 

「蘭子ちゃんCDデビューおめでとう」

「あ、ありがとう」

「そしてドドンっとサインお願いしていいかな?」

「サ、サイン?」

 

CDが発売して次の日、藤井さんは教室に来て直ぐに神崎の所に来てサインを求めている。

 

「そーだよ、デビューCDに直筆サイン付きなんてプレミア中のプレミアだよ、もちろん売らないけど」

 

[そ、それなら俺も貰っていいかな?]

[お、俺も欲しいんだけど]

[おれもっ!!]

[私もっ!!]

 

あれよあれよとしている内に神崎の周りには人だらけになる。

 

「わ、我が盟友よー」

「はいはい、押さないでちゃんと並んでくださいねー。

えっ?一緒に写真を撮りたい?そういうのは事務所通してからお願いします。

………冗談だよ、ここにいるの神崎蘭子はアイドル神崎蘭子じゃなくて2年A組の神崎蘭子だからな、本人の許可が取れればいいんじゃねえの?

………なんでレフ眼のカメラ持ってる奴いんだよっ!!

あーーも、うるせぇ!!面倒くせえから全員の集合写真にすっぞ、吉野先生が来るまで写真は待っとけっ!!

って、痛って、誰だ今さりげなくボディーブローかました奴は、ちょ、まっ、こんな狭いところで集団リンチしようとするなっ!?

あ?神崎の隣?普通に女子優先でいいだろ?

えっ、神崎が藤井さんと俺がいいって言ってた?

………まぁ、落ち着けお前ら、だからシャーペンやら定規を逆手で持つなよ、というか誰だハサミ持ってる奴っ!?

………あーもう、俺もいい加減イライラしてたんだ、テメェら全員まとめてかかってこいやオラァァァア!!!!!」

 

結局、吉野先生に止められるまで大乱闘をして、その後何事もなかったように写真を撮った。

しかしその後に神崎が心配して、さらに一悶着あったのは割愛しておこう。

 

 

 

 

この後放課後にも別のクラスからサインを求める声があったが、ラジオの出演などで学校には長居はできず、そのまま神崎を現場まで連れて行く。

と言っても電車とタクシーを繋いでいくだけの仕事だが。

 

「ふーふーふーふーん♪」

「ご機嫌だな?」

「そうか?」

「まぁ、クラスのみんなで写真が撮れたのが嬉しいのは分かるけどな………それとお前の分の写真」

 

昼休みに先生にお願いして一枚だけプリントして貰ったのだ。

 

「おぉー良く封印されている」

「俺だけ妙にボロボロだけどな」

「あれだけ暴虐の限りをしたからな我が盟友は………それにしてもなぜ戦闘を?」

 

可愛く首を傾げていますけど貴方の発言でこんな目にあってるんですが………

 

「気にすんな。うんじゃ、そろそろ現場に着くけどしっかり挨拶はしろよ、それとラジオだからって言って下手にキャラは変えなくていいからな、いつも通りのお前でいいから」

「くっくっ、問うまでもない」

「その調子だ、うんじゃ頼むぜ」

「我が心の行くままにっ!!」

 

 

この後神崎が言ってることが全く理解できないということでラジオ放送作家さんから出演を急遽要請され、結構な一悶着もあったがこれも割愛する。

………ラジオ業界ではマネージャーが出演するのは割とあるらしいということは分かった。




和也「………フルフェイスヘルメットとマントありがとうございます」
ちひろ「………えっと死にそう顔してますけど?」
和也「なんというか………死にたい」
ちひろ「そ、そんなに最後の手段って大変ですか?」
和也「まぁ、神崎の説得までは許容範囲内でしたけど………部屋の外にニュージェネは予想外でしたね………」
ちひろ「死んだ魚の目みたいになってますよっ!?」
和也「………あの先輩と同じは嫌だなぁ」
ちひろ「あの先輩?」
和也「死んだ魚の目とゾンビが腐った目を合わせたような知り合いがいるんです」
ちひろ「それって死人じゃないですか?」

なんてことがあったりなかったり………

とまぁ、久しぶりの深夜投稿だせっ!!
めっちゃ眠いぜっ!!
絶対に誤字があると思うんで見つけたら誤字報告お願いしますっ!!

読者に相当の誤字報告をされました作者ですが、もはや作者の誤字率は「あぁ、いつものね」のレベルで酷いのでご了承してくださいっ!!


感想欄にて「前回の話の蘭子成分が少ないっ!!」ってめっちゃで言われましたが………確かにせやな←作者に電流走る

投稿して感想に指摘された後に気づきましたね。
会話を想像して書いてるから、ぽんぽん他のキャラが出てくるんですよ、だってキャラが多いし。

確かにタイトル詐欺感ハンパないですけど、書いてて楽しいんですよっ!!ついつい「あっ、なんかこんなこと言ってそう」とか「こんなことやってそうだな」って想像しちゃうんですっ!!
だから許してくださいっ!!

と、言ってもここからは蘭子中心になるように書くのは確かですから安心してくださいっ!!


それとタグを増やしたといいましたが、オリジナル設定と独自解釈ですね。

それとかなり遅いんですが、UA40000突破して、お気に入り登録者1500人超えましたっ!!

なんというかこの数字に作者は感謝感激雨あられですっ!!

1500人くらいの人に「お前の作品楽しみやで」って思われてると作者の胃は余裕で穴が開きそうになりますね。
なので、あまり考えないようにしてますっ!!


これからものほほーんと投稿するので長い目で見てやってくださいっ!!

ここまで読んでくださりありがとうございましたっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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14話

色々展開考えたけど思いつかなかった。

蘭子とデートがしたい人生だった。


夏休みの中盤

 

「白坂さん今日は1日お疲れ様でした」

「マネージャーさんもお疲れ」

 

白坂小梅さん。

ちょっとオカルトチックな感じのアイドル。本人曰く実際に見えるらしい。

 

俺は今日1日、白坂さんのマネージャーをしていた。

白坂さんには現在放映されているホラー映画の幽霊役としてテレビ局やラジオ番組を通して映画の宣伝をしてもらった。

 

「マネージャーさんは蘭子ちゃんのマネージャーだよね?」

「そうですけど」

「それならこの映画のチケット渡しといて貰える?」

「………そういえば夏フェスで仲良くなったみたいですね」

「あの時はあんまり時間がなかったけど、最近は一緒に遊んでるんだ」

「あー、神崎が何言ってる分かります?」

「フィーリングでなんとなくかな?」

「なるほど、これからも仲良くやってください………ってチケット二枚ですか?」

「うん、マネージャーさんも見てね」

「………今回の映画、撮影の時にマジもんが出てきたって言う噂があるんですけど?」

「友達が出たいって言うから、………ね?」

 

白坂さんが何もない所に問いかける。

冷や汗が止まらないが、何事ないように振る舞う。

 

「あー、はい、とりあえず神崎にチケット渡しときますね」

 

 

 

 

事務所にて

 

 

 

 

「神崎、白坂さんからプレゼント」

「小梅ちゃんからっ!?………こほん、闇のネクロマンサーから貢物か?」

「いちいち言い直さなくていいから………ほい映画のチケット」

「映画?………ッ!?これは」

「うん、白坂さんが出演してる奴「ぜひ観に来て欲しい」だって」

 

ダラダラと汗を垂らしている神崎。

まぁ、ホラー苦手だもんな。

 

「わ、我が盟友よ、招待状は一枚だけなのか?」

「俺も一応貰ったけど」

 

白坂さんから貰ったチケットだが神崎の精神衛生上良くないだろうし。

後でお金払って映画館に行けばいいか。

 

「我が盟友も招待状を貰っているのか?」

「うん」

「………じー」

「わざわざ口に出さなくていいから、このチケットが欲しいんだろ?」

「………うん?別に我が盟友の招待状は別に欲しくはない………ただ」

「ただ?」

「………我が盟友は我が半身っ!!故に我と共に行動するのが理っ!!」

「あー、一緒にか…………うんいいぞ」

 

パァっと向日葵が咲いたみたいな笑顔をする。

………どんだけ1人で行きたくないんだよ。

 

「あっ、それと行く格好だけどゴスロリ禁止な」

「な、何故だっ!!」

「この前大混乱をさせたことをもう忘れたのかな?」

「………うぅ」

 

神崎はオフに新しいゴスロリの服を買いに行った時になんの変装もせずに行ったせいで、一般の人に気づかれて池袋は大混乱ということをやらかしたのだ。

 

「………ない」

「えっ?」

「我が持っているのは魔術の衣のみっ!!世界を欺く衣もやはり魔術の衣が基本骨子だ」

「………えー」

 

ドヤ顔で言われてもこっちが困るんだが

 

「なにやらお困りのようだね」

 

後ろから声をかけてきたのは本田さん。

その後ろにもみんなニヤニヤと笑いながら立っている。

 

………あーこれは

 

ガシッと島村さんと渋谷さんに両腕を掴まれる神崎。

 

「えっ、えっ?」

「みんなが私服選んでくれるってさ、良かったな神崎」

「さっ、蘭子行くよ」

 

ズルズルと引きずられながら何処かに連れさられた神崎。

ゴスロリか制服の格好じゃない神崎って全く想像できないな。

 

「マネージャーも審査員として一緒に見るからねっ!」

「はいはい、行きますよ」

 

 

衣装室

 

ここには様々な衣装が置いてあるが、アイドルの私服も結構置いてある。

ダンボールに審査員と書かれた物を掛けられて椅子に座らされて待機、神崎は簡易的な試着室に押し込められている。

 

「そーいえばさ、らんらんっておっぱい大きいよね」

 

隣に居る本田さんがなんともないように言うがほとんどの人が芸人のように面白いリアクションをしてくれる。

………みんなテレビ慣れしたなー。

 

「中学生の割には大きい方ですね、最近水着の撮影の仕事が入ってきたんですけど本人の意向によりますね」

 

なんでもないように返すと本田さんは「水着の撮影か〜」とこっちもなんでもないように返す。

 

「ちょ、ちょっと未央ちゃんっ!!男の子が居るのに、む、胸の話はだめですって!!」

「えっ?……あっ、そっかみんな知らないだっけ?」

「な、なにがですか?」

「えー、こほん、では、マネージャー、しまむーの上からどうぞ」

「83、59、87」

「次にしぶりんっ!!」

「80、56、81」

「そんでもって私っ!!」

「84、58、87………これで体重46㎏って絶対おかしいですよ」

「なんで私だけ体重も言うのっ!?」

「この前変態扱いしたので」

 

最初聞いてた2人は首を傾げていたが、ハッと気づき顔を赤くしてこっちを睨んでくる。

 

「一応シンデレラプロジェクトの個人プロフィールは全部知ってますから、今更ですよ?」

 

あくまでなんでもないように言う。

そうでないと「変態扱いされるから気をつけろよ」と赤羽根さんに教わった。

 

「何というか中学生にしちゃ枯れてるね〜?」

「逆に性的な目で見たら嫌でしょ?」

「そりゃそうだけどさー、一応スタイルには自信あるからここまで反応ないとねー」

 

………うん、ここはスルー。

これで下手に褒めると変態扱いされるって赤羽根さんが言ってた。

 

「スタイルの話はともかく私服の話ですよ」

 

と、言ってる間に諸星さんが試着室から出てくる。

 

「こっちは準備オッケーにぃー♪」

「ではどうぞ」

「しゃらららーらーん、どやっ!!」

 

「「「おおぉ」」」

 

全体的に可愛くコーデされている神崎。

リボンの多い格好は慣れているが、色の多い服をまとめるのは諸星さんのテクニックの高さが伺える。

 

そしてなにより神崎がほんのちょっと気に入ってるいる感じがわかる。

 

「ファッションとしての仕事としては100点ですね、………だけど諸星さん、途中から神崎を可愛くしたい一心で変装させるの忘れてませんか?」

「あっ!?蘭子ちゃんが可愛くさせるのでいっぱいだったっ!!」

「これ確かに可愛いですけど、一発でバレますよ?」

 

「あぅ」っと肩落とす諸星さんだが、諸星さんの新しい仕事内容が見えたから個人的にはいい発見をした。

 

「そんじゃ次は私〜」

 

本田さんと神崎が試着室に入る。

「ひゃっ!?」「おー、これはこれは中々の大きさ、というか中2の頃の私より大っきいや」「わ、我の身体に触れるなー」

 

試着室のカーテンの向こう側は完全に見せられない状況になっているが、それよりもこっちの方が気まずい。

ほら、女子のみんながジト目でこっち見てるし。

 

「ということで、しゃららーん、どやっ!!」

 

「「「おぉぉ」」」

 

明るい色のパーカーやホットパンツ、今時の明るい中高生という感じが出ている服装。

普通と言えば普通だが、逆に神崎だと新鮮という感想しか出てこない。

………けど

 

「うーん、神崎髪下ろして」

「むっ、こうか?」

「うん、そっちの方が似合ってると思う」

 

ツインテールは少し幼く見えてしまうから、今時の服とあんまり合わないかも。

髪を下ろすとと他のみんなも「おぉぉ」と思わず声がでる。

 

「………なんというか、らんらんって髪下ろしたらめっちゃ大人っぽいね」

「可愛いというより綺麗って感じだね………それじゃあ今度は私の番ね」

 

 

と、色んな人に着せ替えをして神崎がぐったりした所で試着は終わった。

途中から変装させるのではなく神崎を可愛くしようという企画に変わっていたが気にしないようにする。

 

「で、どれが良かった?」

「選びがたい闇の輝き」

 

「むー」と本気で悩んでいるあたり、どれも良かったみたいだ。

 

「とりあえず、ちゃんと変装しとけよ」

「世界を欺くことなど造作もないっ!!」

 

ビシッと決めるが本当に大丈夫か?

 

 

 

 

 

映画当日。

 

待ち合わせは4月の頃に一緒に遊んだ所と同じ場所で待っている。

………が待ち合わせ時間から10分過ぎても来ない。

そろそろ連絡を入れようかと悩んだ所でこちらに向かって走ってくる人影が見えた。

手を挙げると向こうもこっちに気づいて急いでこっちにくる。

 

「ま、またせ、っ!?」

 

こっちに向かう途中に転けそうになった所を受け止める。

 

………柔らかい感触と女性特有の甘い香りで一瞬固まったが、なんとか頭を働かせる。

 

「大丈夫か、神崎?」

「も、問題ない」

 

サッと離れると帽子を深く被る。

今日の格好はカリスマアイドル美嘉姉さん式変装になっている。

度の入ってない青縁メガネといつものツインテールは髪は纏めて帽子の中に入れている。

さっき受け止めた時、うなじのラインが綺麗………じゃなくって!!

 

「世界を欺くことは出来てるか?」

「あぁ、それとよく似合ってるぞ」

「………ふん」

 

ぷいと顔を逸らされた。

 

「それじゃ、行きますか映画」

「ネクロマンサーの力をいざ見にいかんっ!!」

「………その格好でその台詞だとギャップがやばいな」

「ん?」

 

 

映画館に入る前に少し並ぶが、やはりというか全体的にカップルが多い。

まぁ、映画でいちゃいちゃするなんてテンプレだけどさ。

 

「我が盟友よ、ウンディーネの壺と大地の恵みはどうする?」

「やめとけ、どれも口に入らないぞ」

 

色んなカップルが食べ物を買う所をすり抜けて、ようやく店員にチケットを見せれる所で男子の団体が入ってくる。

 

………っていうかウチのクラスのメンツじゃんっ!?

 

パンフレットで顔を隠しつつ声だけを聞く

 

[男同士で映画ってどうよ?]

[やめろ、気にしない様にしてたんだからよ]

[それさ、海の時も祭りの時も言わなかったか?]

 

[[[おいやめろ]]]

 

[まぁ、クラスのほとんどの男子と遊んだよな]

[確かにな、後遊んでないのは、部活で忙しい組くらいじゃねぇの?]

[あー、それと高梨じゃね?]

[そういえば夏休み一回も会ってなくね?]

[この前遊びの約束しようとしたら、合宿があるから無理って言ってたし]

[………それってアイドルの合宿だよな?]

[つまり、女の子とキャキャウフフしてた訳だ]

 

[[[よし、殺そう]]]

 

男子軍団はどうやらこっちには気づいてないみたいだが、見つかった場合まず俺が死ぬことが確定した、というか夏休み明けに死ぬことも確定した。

 

「常闇の宣告は?」

「そのまま三途の川に流されるから却下」

 

 

 

 

上映中

 

「っ!?」

 

キュッと俺の服の袖を掴む、 多分無意識なんだろうな。

というか映画の序盤でコレって大丈夫か?

………俺の方が

 

 

目線だけで神崎の方を見ると眼には涙が溜まっていて、声を出さないように口をキュッと紡いでいる。左手で服を掴んでいただけだが、徐々に身体ごとこちらに寄せてくる。

 

 

映画の後半になると、突然の演出に腕をもっていかれる。

一瞬神崎と目が合う。

 

「(恥ずかしいんだけど?)」

「(無理っ、無理っ!!)」

 

会話自体はなかったが、本当に無理そうだったので腕をそのままにしておくが、体温よりほんの少し暖かい感じと言葉じゃ説明出来ない柔らかさが腕に当たる。

 

………俺の方が無理ぽいなコレ。

 

 

 

 

映画が終わり周りを見渡すと半泣き、酷ければ号泣してる人が多い。

男性は流石に泣く訳にはいかないが、顔を青ざめてる人が多い。

 

「ひっぐ、ひっぐ」

 

神崎はガチ泣きだ。

ホラー映画というのは最後の最後で驚かすという様式美があるから、ある俺は程度予想がついていたが神崎はまったく知らないせいか本当に驚いていた。というか普通に映画館で一番大きい声を出した。

 

「よしよし、ほらハンカチ」

「ひっぐ、ひっぐ、小梅ちゃんが、小梅ちゃんがぁ……」

「あー、怖かったな、最後の最後で血まみれはやばかったし………あの神崎さんトイレ行っていい?」

 

映画館を出てからずっと腕を離さない。

流石にそろそろ離さないとこっちの精神衛生上よくないことが起きそう。

一瞬神崎は、キュッと腕を掴むがゆっくりと離れる。

なんか離れるのが嫌な恋人みたいなことしないでください………可愛いから。

 

 

トイレから出ると神崎も涙で崩れた化粧を直してきたみたいだ。

………少しまだ目が腫れてるが。

 

「お昼でも食べる?」

「………食べる」

「ラーメンでいいか?」

「………うん」

 

………何この可愛い生物?いつもみたいに厨二発言しないの?というか、さりげなく服の裾をちょこんと掴むの可愛いからやめてくださいっ!!

 

………こんなときは先輩の発言を思い出せ。

 

よし、落ち着いた。

 

入学式初日で事故って笑ったけど、またマッカンのケースを送っておきます。

 

「うんじゃ行くか」

 

神崎は頷くだけだが袖を掴みつつしっかりとついてきてくれた。

 

 

 

 

 

 

ご飯を食べたら人というのは案外元気になる。

まぁ、細かく言えば満腹中枢とかセロトニンの働きだとか色々あるがお腹が膨れれば幸せってことだ。

さっきまで元気がなかったが今は平常時まで回復した神崎。

 

お昼を食べた後は服を見たり、本を買ったり、デザートを食べたり、早めに本を買ってカフェで本を読んだり、天気によっては公園で本を読んだりと色々だ。

 

今日は天気もあまり良くないのでカフェルートになるかと思ったが、駅方面に歩きだす神崎。

 

「ん、神崎帰るのか?」

「今宵は我が城にて静寂の一時を過ごそうかと」

 

家で本を読みたいって訳か。

 

「うんじゃ、今日はここで別れるか?」

「い、いや、今宵の喜劇の付き合った礼をしたいから………そのぉ」

 

神崎の照れくさそうに上目遣いでこっち伺う姿は大半の人はトキメキを感じると思う。

………当然俺もその大半の方だが。

 

「うん、いいぞ」

 

パァっと笑顔になると、俺の手を引っ張って駅に向かう。

 

 

 

マンション前

 

実は神崎のマンション自体には結構の頻度で行っている。

といっても、内容は仕事の送り迎えなので、部屋に入ることは少ない。

稀に神崎のお母さんが夕飯を一緒に食べるように進め、その押しに勝てず夕飯をご一緒させてもらうが………

 

「あら、今日は二人はデートじゃなかったのー?」

「デ、デートじゃないっ!!」

「んー?………あー、だから蘭子が珍しくお菓子作りなんて教えてなんて言ったのね」

「お母さんっ!?」

「あらあらなんでもないわ、高梨くんゆっくりして行ってねー」

「お邪魔します」

 

ふーふーと肩で息をしている神崎を見て思わず苦笑してしまう。

相変わらずここだと隙が多いなぁ。

 

「うーんと着替える?」

「うむ、我の力を解放するため、しばし待たれよ」

 

リビングで少し待つことになると、神崎のお母さんがススッとこちらに近づく。

 

「この前は大変だったわね」

「あー、池袋のやつですね」

「警察に呼ばれちゃったの初めてで蘭子が何か悪いことしたのかと思っちゃった」

「まぁ、本人は全く悪いことはしてないですけどね」

「アイドルって大変なのねー」

「………この件に関しては割と特殊だと」

 

割と池袋じゃ有名人だし、アイドルとしての人気も高まってきてるし。

まぁ、これから注意してくれれば問題ないけどさ。

 

「………随分と変わってくれたからアイドルになって正解だったかしら?」

「………そんなに変わりましたか?自分にはいつも通りにしか」

「ふふっ、高梨くんにはまだ見せてないからねー」

「………そりゃ残念です」

 

神崎のお母さんはニッコニッコとこっち見ている。

大体こういう顔している時はどんなに押しても教えてくれないので素直に下がる方が吉だ。

 

「ま、待たせた」

「………やっぱりいつもの神崎だな」

 

スカートにはリボンとレースが多くついているが腰から胸は夏仕様なのか装飾品が少ない。

ゴスロリはスタイルを見せてくるタイプの服なので、神崎の腰の細さがはっきり分かる。肩から鎖骨の下辺りまで軽く肌を見せてくるあたり家用の服って感じは分かる。

 

「………ここでは我が力が半減する。我が城の最奥の間で待つ」

「ひどーい、お母さんを除け者にするのね」

「お、お母さんはあんまり部屋に入らないで」

「遅れてきた反抗期かしら?」

 

困った顔で言いつつ楽しんでるよこの人。

 

「それじゃ、健全なお付き合いでお願いねー」

「付き合ってないっ!!」

 

この後、神崎が本を読んで、俺は神崎のオススメの本を読んだりして時間が過ぎていった。

 

 




大部屋

未央「で、どうだったデート?」
蘭子「デートではないっ!!」
凛「やめなよ未央、まったく」
未央「あはは、ごめんごめん、うーん、じゃあ映画はどうだった?」
蘭子「………我が友であるネクロマンサーの秘められし力は強大であった」
卯月「えーと、あの映画って白坂さんが出演してましたね、なんか物凄く怖そうな感じでしたけど」
凛「蘭子が物凄く首を縦に振ってるけど、そんなに怖いの?」
未央「面白そうだね、今度ニュージェネ3人で見に行かない?」
卯月「いいですねっ!!私も見てみたいですっ!!」
凛「私も構わないよ」
未央「それじゃ今度の休み行ってみようか」
蘭子「………くれぐれも気を抜くではない、ネクロマンサーの力はとてつもなく膨大であった」

なんて会話があったりなかったり?

という訳で皆さんお久しぶりですっ!!
失踪はしてない作者ですっ!!

8月から9月はちょっと忙しくて中々更新が出来ませんでした。
………ほら色々あったじゃないですか?
fgoのプリヤイベとか、デレマスの一周年とか、最近だと「ラブレター」ですけど………

そして作者、まさかのイベントで卯月さんを手に入ることができず、少しの間放心状態になってました。

だってさ、おかしくないっ!?普通40回もマスタープラスやってれば「せめて1枚報酬で出るっしょ」って感じでプレゼントボックスみたらジュエルしかなかったでござる。

なんか今回のイベントは中々ボーダーラインが厳しいらしく、普段3桁の人でも4桁になるという厳しさ。これが大天使卯月の力かって本気で思いましたね。


まぁ、そんな作者の近況はともかく今回の話は中々難産でした。

一番最初は、夏ライブのための合宿→夏ライブで「ラブランコ」の予定でした。
が、駄目………ッ!?
書いてるうちに「あれ?これもう主人公の入る余地なくね?」ってなりまして。結構書いたがボツ。
「それなら専務だして、クローネの事でも書こうかな」と思い、プロジェクトクローネについて書く。
が、これも駄目………ッ!?
書いてうちに「あれ?蘭子が出ないじゃん、というかクローネのメンバーがキャラ濃すぎて3話くらいの文字数なんだが?」ということでボツ。
どうしようどうしようと悩み結果っ!!

「蘭子とデート」ってなりました。

作者が捻り出せたのはこれだけです。
蘭子が可愛ければ許される世界なんです。

ということでっ!!ここまで作者の戯言を読んで下さりありがとうございましたっ!!
次回はもう地の文は書くつもりはないですっ!!

ここまで読んで下さりありがとうございましたっ!!

感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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15話

注意
台本形式。



和也「神崎蘭子の」

蘭子「闇に飲まれよっ!!」

 

パチパチ

 

和也「この番組は346プロダクション、電撃通が提供します」

 

蘭子「我の言霊を魂に刻むがいい」

 

和也「「是非聴いて下さい」だそうです、現在喋っているのは神崎蘭子のマネージャーを担当している高梨和也です」

 

蘭子「我が盟友の役目は、我が言霊を貴殿らの魂に刻む手助けをする」

 

和也「簡単に言うとただの通訳です、何故このような番組が出来たかというと別のラジオで自分と神崎の二人組で出させて貰ったら中々好評になりまして」

 

蘭子「我と我が盟友の闇の囁きを繰り出そう」

 

和也「………ということです」

 

蘭子「………我が盟友よ、言霊を伝えなければ我が眷属たちに伝わらないではないか?」

 

和也「………毎回毎回通訳したら、ちょっとした中身の無い会話でラジオ終わっちまうわ、だから皆さん是非、神崎の熊本弁()を覚えて下さいね?」

 

蘭子「………」ぷくっ

 

和也「はい神崎さん、膨れてる所すいませんがコレ一応ラジオなので喜怒哀楽ははっきりとお伝えくださいね、それではお便りのコーナーに行きましょうか」

 

蘭子「む?これは始まりの物語では?」

 

和也「そうなんですよ、ラジオ番組の第一回の放送でお便りのコーナーって滅多に無いんだけど、本当に好評だったみたいでホームページ作ったらどんどんメールが来てくれて」

 

蘭子「おぉっ!!貴殿らの期待に応えようではないかっ!!」

 

和也「中々嬉しいですね、では記念すべきだ一通目のメールは………このホームページを作って最速でメールを送ってくれたペンネーム「フジさん」から頂きました」

 

「「感謝の極みっ!!」」

 

和也「今のは「ありがとうございましたっ」って意味ですからね。では早速読んでいきます「蘭子ちゃん、和也くん闇に飲まれよっ!!」

 

「「闇に飲まれよっ!!」」

 

和也「「二人のラジオが始まるということで、初めてお便りをだしましたっ!!これからの頑張ってくださいっ!!」だそうです」

 

蘭子「貴殿の期待に応えてやろう」

 

和也「「頑張るので是非聞いてください」だそうです、うんじゃ神崎の方からもどうぞ」

 

蘭子「綴られし名「ラブランコは公式ですか?」からだ、「夏のライブでラブライカの曲の時に蘭子さんが代役で踊りましたが、これからユニットを組む予定はありますか?」だ」

 

和也「あー、夏のライブねー」

 

蘭子「……ん?ラブランコとは?」

 

和也「ラブライカに神崎が入って、ラブランコって巷には言われてるよ」

 

蘭子「あの2人と一緒に………わ、悪くないな」

 

和也「ユニットか………でもみんなで揃えるダンスは結構苦労したよね」

 

蘭子「うぐっ、あの時は皆との魂の波動の調律に少し戸惑っていただけだ」

 

和也「その練習あってのラブライカの代役だもんな、マネージャー的にも神崎はあのライブでアイドルとして一回り大きくなったと思うよ」

 

蘭子「ふっ、我が力なら当然であろう」

 

和也「質問のユニットを組むか否かは………まぁ楽しみに待っていてください」

 

蘭子「っ!?私は何も聞いてないぞっ!!」

 

和也「さぁ、どうだろうねー、さてそれでは音楽の方を流しましょう、もちろん最初神崎蘭子のデビューシングル「-LEGNE- 仇なす剣 光の旋律」です」

 

 

 

 

 

 

 

和也「ついでにこの歌詞の翻訳はCDに同封されていますのでそちらの方をご覧ください」

 

蘭子「我が盟友が我が声の語り部を作成したな」

 

和也「………歌詞1ページに対して翻訳3ページって絶対おかしいよね?」

 

蘭子「我の声の力が強大過ぎる故の結果だな」

 

和也「なんで胸張って言えるんだよ………それじゃ次のお便り行きます、ペンネーム「ツイ廃」さんからです「ツ○ッターで蘭子さんをフォローしているのですが、マネージャーさんの通訳(翻訳?)がなくて毎回解読班が大変そうなので、是非解読してください」だそうです………そういやツイッ○ーやってたな」

 

蘭子「うむ、我も電脳の呟きをしているぞ」

 

和也「あんまり不用意な発言はするなよ、炎上だったり、酷いこと言われることもあるからな………まぁ、そもそもちゃんと理解されるかどうか怪しいけど」

 

蘭子「まだ我が盟友並みの翻訳者はいない………だが」

 

和也「あー、お便りにまだ続きがあった、「P.S.最終的に二宮飛鳥さんが翻訳するんですけど、これも翻訳班が結局翻訳する羽目に………」ってそれじゃ翻訳する意味ないじゃん」

 

蘭子「うむ、我が友である飛翔の翼が理解してくれるぞ」

 

和也「ついでに飛翔の翼は二宮さんの名前ですので………んじゃ、昨日の神崎さんのツイッタ○確認しましょうか」

 

蘭子「我が電子グリモワールを見よっ!!」

 

和也「ハイハイ、うんじゃ今日の朝のツイートから行きますね「我が目覚めの魔力は大地の恵みの贈りし穀物」ですね」

 

蘭子「我が盟友は当然分かるだろう!!」

 

和也「「今日の朝はご飯」だろ」

 

蘭子「………此処まで簡単に当てられると少々つまらんな」ぷくっ

 

和也「頰を膨らませてもしょうがないでしょ………この後二宮さんが「僕も大地の恵みを得たよ、君とは違うけどね」というリプをしたせいで解読班は余計に混乱したけど「私は今日はパンだよ」って意味ですから」

 

蘭子「うむ、流石我が盟友だな」

 

和也「最近プロデューサー達に「飛鳥にも専属マネージャー付けようかな」って言いながらこっちをチラ見されてるマネージャーです」

 

蘭子「………我が盟友、次のツイートっ!!」

 

和也「なんで怒ってんだよ………えー「畜と甲鉄の大地の饗宴 我が糧になれっ!!」ですね」

 

蘭子「これは刻が重要だなっ!!」

 

和也「「お昼に豚骨ラーメンバリカタ食べたよっ!!」だろ」

 

蘭子「むー………では我が友の返信は」

 

和也「あー二宮さんの方がちょっと難しいね「僕も糧を得たよ、君と本質は同じ。だが君と違い紅く染まっていたけどね」と………二宮さんも優しいですね、言い回し的には「血に染まっていた」っていった方が自然ですけど、神崎が血が嫌いなのとお昼時なので捻った言い方になってますね」

 

蘭子「そ、そこは関係なかろうっ!!」

 

和也「ついでに二宮さんは「僕もお昼ご飯食べたよ、同じ麺類………ミートソースのパスタをね」ですので」

 

蘭子「では、これが最後だ」

 

和也「「無惨にも刻まれ、命を落とした憐れな獣達の魂を我に捧げよっ!!」ですね………これはウチのアイドル達なら分かる人いるみたいですね………あっ、本田さんとか、諸星さんとかは察してるリプ返していますね、答えを言わない辺りも中々ですね」

 

蘭子「では我が盟友よ、答えてみよっ!!」

 

和也「「ハンバーグが食べたいっ!!」ですね、というか全部食べ物関連のツイートなんだけど、いつから神崎は腹ペコキャラになったんだよっ!!」

 

蘭子「世界の偶像になることでより魔力を消費するようになってしまったからな」

 

和也「個人的には少食の女性より、沢山食べる女性の方が好きですよ」

 

蘭子「そ、そんな食べてないもんっ!!」

 

和也「それなのに神崎さんはスタイルもいいですし、これは中々女性の敵ですね………で、スタイルの話に繋げてですが、神崎さんはグラビア撮影をしたらしいじゃないですか」

 

蘭子「むー、そもそも我が盟友が仕事を取って来たではないのか」

 

和也「そういうフリだからしょうがないでしょう…で、実際撮影の方はどうでしたか?」

 

蘭子「………少し恥ずかしかった」

 

和也「カメラマンさんの談では「照れると肌が赤みがかってとっても可愛い、普段の神崎ちゃんも撮ってるけど、今回は初々しさを感じたよ」と言ってました………プロモーションビデオとか、撮影の時とかは結構堂々としてましたけどね」

 

蘭子「そ、それとは訳が違うっ!!」

 

和也「まぁ、やっぱり肌を晒すってのは恥ずかしいと思いますしね、………正直な話、神崎はこの仕事最初は断ろうとしていたんですよ、ですけど水着のサンプル見せたら高速の手の平返しでしたね」

 

蘭子「………だって、水着が可愛かったんだもん」

 

和也「とのことです。今回の神崎のグラビアは「346アイドル 夏の特集号 アイドル達の水着シリーズ」で発売されますので、是非ともご購入お願いしますっ!!」

 

蘭子「他の偶像達の解放された姿も見れる、是非見るがいい」

 

和也「さらっと自分に目がいかないように宣伝しましたね………さて、宣伝はこれだけじゃないですよね?」

 

蘭子「うむっ!!我の二度目の宴「華蕾夢ミル狂詩曲〜魂ノ導〜」が時の初めに世に出回る!!」

 

和也「「セカンドシングルが月曜日に発売されます」ですね、今回のコンセプトはどんな感じなんですか?」

 

蘭子「前回の宴は、元の力と今の力の拮抗についてだったが、今回は眷属達へ我の思いをぶつけたコンセプトになってる」

 

和也「今回も、ぼ・く・が歌詞の翻訳をしたので是非とも買ってください」

 

蘭子「なぜそこを強調するのだ?」

 

和也「色々と大変だったからだよ………さて、そろそろお時間となりました。………どうでしたか神崎さん、初めて自分がメインのラジオしてみて」

 

蘭子「ふっ、我の力がより眷属に伝わったな」

 

和也「そうですね、リスナーさんもクール系な神崎をイメージしていたと思いますが、今回のラジオで可愛らしい神崎を知れたと思います」

 

蘭子「かっ、可愛いっ!?」

 

和也「リスナーさん、またファンの皆さんには色んな神崎を知ってもらえるように通訳として番組を進行して行きたいと思ってます」

 

蘭子「我が盟友よ、我の真の力は決して…か、可愛いのではなく………」

 

和也「それではそろそろ幕を引かせてもらいます、それでは神崎さん」

 

蘭子「うっ、こほん」

 

「「闇に飲まれよっ!!」」

 

 

 




ラジオ終了後

「疲れたー」
「我が盟友っ!!」

ぷくっと頰膨らませ、こっちにくる。

「か、可愛いなど、本番の時に言うなっ!!」

本当に恥ずかしかったのだろう、結構顔を赤くして文句を言う。

「いいじゃん、フリートークだし………それに事実だし?」

そう言うと彼女は唸って、ぺしぺしと肩を叩いてくる。

「ごめん、ごめんって、そんじゃ今日の仕事はこれでラストだから、このまま帰宅して大丈夫だぞ」
「………我が盟友は?」
「ちょっと仕事が残ってるから事務所だな」
「………ちょっとだけなら少し待つ」

なんてことがあったりなかったり。

ということでドーモ作者です。
はい、皆さん言いたいことはよく分かる。

「はよっ更新しろよっ!!」

ですね。
まぁ、とりあえず作者の話を聞いてくださいよ(言い訳タイム)

まずね、過去最高の書き直しをしました。
最初は水着回をやろうしたんですよ、だけど5回ほど書き直して現在放置。

じゃあ水着回のためのワンクッションクローネ回を書いたんですけど、膨大な人数のアイドルを活かせきれず断念。

どうにかワンクッションを置きたいとネタを考える。…が、ダメ…っ!!(この時から作者忙しくなる)

唐突に思い浮かぶ「そうだラジオやろう、地の文書かなくて済むし」
軽い気持ちで書いたが、これもネタ不足!!
なんとか3000文字を書けて作者ノックダウンって感じですね。

それと最近の悩みなんですけどね、熊本弁()が思いつかないんですよ。
特に他のアイドル達をどう呼ぶかってやつですね。

他にも色々とネタ不足で大変ですけど、なんとか投稿して行きたいですね。

ここまで読んでくださり本当にありがとうございましたっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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16話

展開?何それおいしいの?


9月になり、長くも短かった夏休みも終わり、今日は登校日だ。

一週間前にアイドル達の宿題の進捗状況を聞いたが、案の定終わってない組がいたので、その付き添いをしていた疲れが若干残っているが許容範囲。

 

欠伸を噛み締めて学校に行くと唐突な殺気を感じ咄嗟にしゃがむ。

 

「死ねぇぇぇい」

「あっぶねぇぇい!!」

 

後ろ側から夏休みの課題が大量に入ってあるだろうカバンをなんとか躱す。

 

「おー、悪いな高梨、つい手が滑ってな」

「いやいやいや、手が滑った掛け声じゃねぇから!!」

「いやいや偶然虫が飛んでてな………ちっ、今のを躱すか」

「思いっきり殺りにいってるじゃねぇかよっ!!」

 

久しぶりの学校のせいで若干反応が遅れてるな、もっと気をつけないとな。

 

教室に入ると同時に強烈な殺気が飛んでくるが何か物が飛んでくることはない。

それもそのはず、既に神崎が教室に座っているからだ。

 

お前らにとって、神崎は神かなにかか?

 

神崎がいつもより早めに学校に来て本当に助かった。

 

「高梨くん、おひさー」

「藤井さんも久しぶり、一緒に買い物行った以来だな………あっ」

 

またギラリと殺気が増す。

 

[あいつ神崎さんだけじゃなく、藤井さんとも出かけてたのかよ]

[これはギルティ]

[存在が罪]

[アイドル達と合宿疑惑も解消されてない]

 

ボソボソと怨念じみた発言がチラホラ聞こえる。

 

「そだねー、蘭子ちゃんと一緒に買い物行った以来だね」

 

………あっ、死んだ。

 

[よし殺そう]

[殺すのは決まってた………ただ殺害方法がより残虐になっただけだ]

[夏休み集めてた甲斐があったな]

 

なに集めてたの!?なにを集めてたのっ!?

 

「はーい皆さん揃いましたねー、それじゃあこれから始業式がありますから体育館に移動してくださいー」

 

[ちっ、やり損なったか]

[まぁ、待て時間はたっぷりある]

[始業式の後が楽しみ]

 

最近走ってないけど衰えてないよな俺の足………

 

 

 

 

 

結論から言えば、始業式の後は平和だった。

 

なぜか持ち物検査を急遽やる事になり、危険物という危険物は全て回収され、さらに男子は夏休みの課題をコピーして他の男子に回してやっていたことがバレ、その件に関与していない俺と女子だけが教室にいる。

 

「………平和な世界だ」

 

俺が重々しく言葉にすると近くに来た藤井さんがやれやれと肩を上げる。

 

「言葉の重みが違うねぇ………さて、男子は他の教室でお説教中だけど、こっちもこっちで色々やる事にあるからね」

「ん、なんかあるの?」

「夏休みが終わった後に体育祭、少し経ったら、修学旅行、さらに文化祭という3大イベントが二学期に全部盛り込まれてるの」

「まぁ来年は受験だからな」

「そーそー、だから2年の今の内にイベントを開催するって訳なの、Do you understand?」

「OKOK,I understand うんでこの後なにするの?」

「って言っても、体育祭の係決めと参加する種目かな」

 

そう言うと彼女はプリントを渡してくる。

 

「ふーん、とりあえず男子がくるまでに色々決めとくか」

 

黒板に立ち、係の名前と参加種目書き、男女の人数を書く。

ついでにどういった係の簡単な仕事内容を書いとく。

 

「おー、中々手馴れてるね流石マネージャー」

「学級委員長は藤井さんでしょ」

「分かってますって、うんじゃ、とりあえず女子は係と参加種目を決めるから前来て」

 

ぞろぞろと女子が前に出て、テキパキと決めていく。

………ウチのクラス、男子が馬鹿ばっかりだから相対的に女子がしっかりしてるんだよな。

 

ある程度決まると、種目決めまで来たが、ここで少し止まる。

手持ち無沙汰だったので、見にいってみると、ある種目で止まっている。

 

「男女混合二人三脚?」

「あ、高梨君これ参加だから」

「えっ、俺決める権利すらないの?」

「うん」

 

当然のように頷かれたので、なにか理由があるか考える。

 

「あー、そっか俺と藤井さん大体同じ身長くらいだもんな、足の歩幅とか合わせやすいし」

 

俺の現在の身長は168センチ、この時期の男子では大体平均より2センチ高め。

女子の平均は約155センチ位だったけ?

その中でも藤井さんは………目測で約165センチ位だ。

クラスの女子でも高い人の部類に入る。

 

そして二人三脚は足の歩幅が重要であり、大体身長が同じくらいの人とやるのがセオリーだし。

 

「「「………はぁ」」」

 

そう言ったら全員の女子からため息を吐かれた。

 

「えっ、なんか間違ってた俺?」

「うん、間違ってる」

「青春ラブコメ間違えすぎてる」

「これは大変だろうな」

「それでもこのカプは正義だと思っている」

 

物凄くボロクソに叩かれてる。

しかも最後のカプってなんだよ。

 

「まぁ、普通に考えて蘭子ちゃんとだよ」

「えっ、私?」

「こっちもこっちで気がついてなかったんかーい」

 

神崎と俺が首を傾げてると、また女子全員からため息吐かれた。

 

「こっちも前途多難だね」

「逆に考えよう、これから進展すると」

「それな、っていうかこのイベント盛りだくさんの二学期に何も起きなかったらそれは物語として駄作」

「おいやめろ」

 

 

 

 

事務所

 

「体育祭に修学旅行、文化祭ね、なるべくスケジュールの調整はしとくから、日付早めにね」

「分かりました………すいません色々ご迷惑かけて」

「なんで謝るのよ、一回しかない学校生活なのよ、仕事なんて大人になればやらなきゃいけない義務だし、学生なんだから学校優先よ」

「………なんか麗華さんかっこいいですよね」

「………別に当たり前のことよ」

 

何事もないように立ち振る舞う。

 

「麗華さーん、秋ライブの件でお話しがあるみたいです」

「分かりました」

 

さて、こっちもお仕事しますか。

 

「和也くんはクローネのメンバーを最後までよろしくねー」

「はーい」

 

………最近キャラの濃い人ばっかりのマネジメントしてるんだけど、プロデューサー達ワザとじゃないよね?

 

 

 

オマケ

 

[ラジオ]神崎蘭子の闇に飲まれよの実況板

 

1:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

スレタイ通りで、あと5分で始まります。

 

2:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

だれか神崎蘭子をkwsk

 

3:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>2たしかアイドルだった希ガス

 

4:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

アイドルか………

今のアイドルは765の時代やしな

 

5:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>4トップはね

 

346ってまだまだ出来たばっかりて聞いたけど?

 

6:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

346のアイドルの有名人は楓、美嘉、瑞樹………あとウサミン

 

7:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

とりあえず、はよ蘭子ちゃん画像

 

8:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

ほれ

https://www.kanzaki.co.jp/

 

9:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>8かわいい

 

10:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>8ゴスロリ衣装がめっちゃ似合ってる

 

11:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

この子歳いくつ?

 

12:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>11 14歳だよ

 

13:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

えっ、中2なの?

 

14:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>13 厨2なんだよなぁ………

 

15:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

そろそろ始まる。

 

16:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

ねぇ、この男の人だれ?

 

17:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>16マネージャーらしい、というか蘭子ちゃんが何言ってるかさっぱりなんだが

 

18:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

ラジオで無言になるのはNG

 

19:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

あっ、お便り読まれた件

 

20:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

フジさんってスレ主のことかよっwww

 

21:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

だれか翻訳プリーズ

 

22:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

この子○イッターに解読班がいるらしい

なお、翻訳はほとんど出来ない模様

 

23:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

アレ?そしたらマネージャー実は優秀じゃね?

 

24:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

こんな可愛い子と一緒にお話ししてるマネージャーが羨ましすぎる件

 

25:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

夏ライブ行きましたっ!!

雨降ったり、機材が落ちたり、過去最悪のライブ環境だったけど、やっぱりライブは楽しかった

 

26:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

曲結構カッコいいな

 

27:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

なんか過去の遺物を思い出しそう

 

28:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

このCD結構厚くて、なんか特典でも入ってるのかな?って思ったら翻訳ページで厚くなってただけだった

 

29:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

翻訳で3ページは笑うわwww

 

30:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

だれかお便り送れよ

 

31:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

せっかくだし、ツイ○ターの翻訳お願いしようぜ

 

32:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

送ってみた

 

33:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

読まれた

 

34:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>33早すぎワロタwww

 

35:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>33マジかwww

 

36:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

今ツイッタ○で確認してるけど本当に何書いてあるかわかんねぇなぁ

 

37:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

なんであれが「今日の朝はご飯」になるんだよwww

 

38:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>37多分だけど「我が目覚めの魔力」が「今日の朝食」で「大地の恵みの贈りし穀物」が「ご飯」だと思われ

 

39:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

ご飯をなんでそんな呪文みたいになるんだよwww

 

40:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

というかスレ主も普通に翻訳出来てる件について

 

41:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

>>40 マネージャーが答えを言ってるからそこから逆算的に解読してるだけ

ツイッ○ーの文を見ても翻訳出来ないし

 

42:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

蘭子ちゃんの発言がかわいいすぎてやばい

 

43:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

バラエティ番組に出た時は最後まで厨二全開なんだが、ここのラジオだと………なんかかわいい。

 

44:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

こんな子がクラスにいたら普通に恋するわ

 

45:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

この子ってスタイルいいの?

 

46:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

ゴスロリの衣装を見る限り、中2のスタイルじゃない………これにさらに成長すると考えるとやばい

 

47:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

雑誌買って確認だな

 

48:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

CD2枚目出るみたい

 

49:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

もち買い

 

50:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

この子は伸びる(確信

 

51:スレ主:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

マネージャーと一緒の時が一番生き生きしてる蘭子ちゃん可愛いよ

 

52:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

マネージャー羨ましすぎる

 

53:名無し:20xx年08月10日(水)IDxxxxxx

マネージャーの代わりになりたい

 

 

なお、このスレは途中からマネージャーを羨ましがるスレになりました。




「あー高梨くん、ちょっといい」
「うん?あーコレ?これは………」

学校だとあんまりこっち見てくれないな………

「ん?藤井さん?あー、うん分かったって」

というか、クラスのみんなも頼りにし過ぎだよっ!!
それに我が盟友も簡単に引き受けし過ぎっ!!
思わず頰が膨らむと、我が盟友と目があった。

思わず目を逸らしたが、そのままため息を吐く。

「(なんか我が盟友の前だと感情が抑えられないな)」

怒ったり、恥ずかしがったり、不機嫌になったり。
熊本にいた時は、そんなに感情は出したりしなかったのにな………

「ほれ、なーに不機嫌になってるんだよ」
「いっつ!?」

軽くコンと頭を叩かれたがそんなに痛くはない、仕事の時にリアクションは大きくした方が良いって言われたからもはやクセになってる。

「むぅ、我の頭を叩くとは不敬だな」
「いつからお前は俺より偉くなったんだよ………ほれ係の仕事一緒だから」
「我が盟友も同じ係か」
「男子が中々帰ってこないから、適当に決めたら偶然な」
「………我が盟友は我が半身だ、自ずとそうなる運命なのだ」
「呪いか何かかな?」
「クククそう呪いだ、我と始まりの物語が始まった刻にな」
「そうですか、それじゃあ仕方ない」

「そうだ、仕方ないのだ」

本当に感情の抑えられない。


なんてことがあったりなかったり。




思ったんですよ………展開なんて気にしたら負けだっ!!

矛盾?設定?口調?
蘭子が可愛ければ良しっ!!

まぁ、今回は今後の方針固めって感じで蘭子成分が少なめですが後の展開への布石です。

………個人的にはアイドル活動してる話より学校生活のほうが話書きやすいんだよな。

何はともあれ、書きやすいの話の展開だから更新は早めになるかも←早くなるとは言ってない。

ここまで読んでくださりありがとうございましたっ!!
感想評価等、お待ちしておりますっ!!


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17話

少ない


「案外どうにかなるもんだな」

「魂の共鳴故にだな」

 

二人三脚の練習をするが、正直練習が必要なのか?ってレベルで俺と神崎の息は合っていた。

 

神崎は夏合宿の時もラブライカのメンバーと二人三脚してるし、俺も運動自体は苦手じゃないし。

 

「どうするか」

「どうしよっか?」

 

同じ二人三脚のクラスの練習しているを見て見ると中々悲惨だ。

 

「どう思う?」

「うむ………もう一つの翼が固いな」

 

うちのクラスの男子は正直全員が運動が得意だ。

敵ならともかく、味方ならこれほど頼もしいものはない。

が、この二人三脚だけは妙に弱いというか、へっぽこなのだ。

………まぁ、原因は主に男子だけどな。

 

「ヘタレだなぁ」

 

なんというか、うちのクラスの男子が女子と触れているせいで、大変動きが固い。

男子も緊張すれば、女子もそれが伝染する。

ちょくちょくとラブコメの雰囲気を感じるけど練習しろよお前ら。

 

「どうするグランド一周するか?」

「もう一度魂の共鳴だな」

 

 

 

 

 

 

side蘭子

 

足首の調子確かめてからお互い腰を屈む。

私の身長に合わせて、腰を屈んでくれるので隣に顔がくる。

 

隣の体温、呼吸、肌の感触など私に伝わって少し緊張する………息を整え

 

「「せーの」」

 

数回練習して我が盟友に「俺に合わせるな、リズムに合わせて」と言われた意味はさっき分かった。

 

レッスンで刻まれた8ビートのリズムに合わせて足を出す。

 

「まだ上がるよね?」

「準備運動だな」

 

お互い喋る余裕があるくらい私達は揃ってた。

 

「トラックの半分のコーンからあげるぞ」

「サビ前のテンポでな」

 

なんの曲とは言わない、お互い分かってるから。

 

グランドの半分を切った。

同時にお互いの足のテンポが変わる。

 

ほんのちょっと違和感を覚えたが我が盟友は即座に合わせる。

私の足の歩幅がちょっとズレたのを合わせてくれた。

目も合わせない、会話もないけど、「合わせるからこのまま」って言われたような気がした。

 

「サビっ!!」

 

ゴール5メートル前で、私はそう言うと最初から分かってたようにテンポが上がる。

 

このままゴールにっ!!

 

ラインを踏んでゴールをした時、私の身体がふわっと浮いた。

 

 

 

 

 

 

 

「だ、大丈夫か我が盟友?」

「そこそこ痛いけど、怪我はしてないよ」

 

ゴール前にペースを上げてくるだろうと分かっていたが、どうやって止まるかはお互い考えてなかったな。

 

だから咄嗟に神崎の体制を崩してから、抱え上げ、俺が地面の下になるように転んだ。

 

怪我しないようにと長袖をお互い着ていたので擦り傷はなかったが擦れて痛い。

 

が、それよりも

 

「神崎大丈夫だから、そろそろ降りて」

 

俺の腰に乗っかるように座っているせいか色々とマズイ体制だ。

神崎は一瞬キョトンするが今の体制の不味さに気づいたのか急いで離れようとするが、足が繋がっていることを忘れてる。

 

「よっ」

「っ!?」

 

後ろに倒れそうな瞬間、手を引っ張って整えようとするが勢い余ってこっちまできてしまった。

………めっちゃ軽っ。

 

「落ち着けって、足繋がってるから」

「う、えっ、あっ」

 

顔真っ赤にしていて、何か言おうとしているが言葉が出てこないみたい。

足の紐を解いてゆっくりと離れる。

 

派手に転んだせいかみんなの注目を集めていたので怪我してないことを伝えて、また神崎に所に戻る。

 

「サビのテンポだと止まれないから、今度から禁止な」

「う、うむ………本当に怪我はしてないんだな?」

「神崎が軽かったお陰でな………とりあえず今日の二人三脚の練習こんな感じで。今日はいろんな競技練習しなきゃいけないし」

「わ、分かった」

 

その後は男女別の競技練習をして学校は終わった。

 

 

 

 

 

 

スタジオ

 

「今日の蘭子はどこか緊張してるね」

 

後ろから声を掛けてきたのは飛鳥。

今日は神崎と飛鳥の付き添いだ。

 

「飛鳥もそう思う?」

「理由は分からないけど、君が原因だと思うよ」

「多分な」

「自覚はあったのかい、ならすぐにマネジメントするのがマネージャーの仕事だろ?」

「出る前に気を紛らわせておくから」

「ん?理由は分かってるのか?」

「俺が名前呼びしてるからかな?」

「名前呼び?」

「今日の番組プロデューサーさんが神崎さんって人なの」

「なるほど、普段のように神崎って呼ぶ訳には行かない訳か」

「一応ね」

 

スタッフさんから準備をお願いされる。

 

「ほら、呼びに行きなよマネージャー」

「なんでちょっと楽しそうなんだよ」

「別に、蘭子が緊張してる理由が分かったからだよ」

「そりゃそうかい………蘭子そろそろ準備だから」

「んっ!?う、うむ承知した」

 

呼ぶと肩がビクッと動くのでちょっと面白い。

俺が笑っているのを見て、急にムスッと怒ったような顔になった。

 

「ほら、らんらん笑顔笑顔」

「らんらん呼ぶなっ!!」

 

怒ってるような、照れてるような、そんな表情をしている。

珍しく神崎がため息をしてから、ジト目でこっちを見てくる。

 

「いつも通り頼むぞ」

「ふっ、我を誰だと心得る?」

「愚問だな」

 

いつも通りの神崎になったな。

 

「頼むぞ」

「任せよっ!!………か、和也っ!!」

「!?」

 

俺が驚いた顔をするとしてやったりという顔をする。

 

「こりゃ一本取られたな」

 

 

 

 

オマケ

 

「美嘉さんおめでとうっ!!」

「「「おめでとうー」」」

 

「あはは、わざわざこんなことしなくていいのに」

「北原さん意向ですよ、「アイドルの誕生日は盛大にね」ってね」

「北原さんらしいわね………まぁ、じゃあお祝いされちゃいますか」

 

「「「いぇーい」」」

 

にして。

 

「相変わらず、アホみたいな人数ですね」

 

ちひろさんに話しかけると

 

「ほとんどの人たちが来てますよ、仕事してる人以外は除いて」

 

事務所のアイドル達は50を超えているのでちょっとした同窓会になる。

 

「それに未成年組はこれで終わりますけど大人組は二次会ありますし」

「本人いないのに二次会って………」

「みんなでお酒飲む理由が欲しいんですよ」

「あはは、プロデューサー達もですか?」

「一応参加予定ですね、高梨くんはどうします?」

「参加させていただきます、あんまり大人組とは関わりがないので」

「確かに大人組は自分で管理してる人が多いですからね」

「まぁ、二次会のことは後なので今は」

「そうですね、美嘉さんの誕生日をお祝いしましょうか」

 

 

「「「美嘉姉お誕生日おめでとうー」」」

 




飛鳥「今なら泥のような苦いコーヒーが飲めそうだな」
蘭子「待たせたなっ、我が片翼よっ!!」
飛鳥「良いものが見れたから別に構わないさ」
蘭子「良いもの?」
飛鳥「こっちの話さ………蘭子はいい相方の見つけたね」
蘭子「我が盟友のことか?」
飛鳥「あぁ、彼にはボクも世話になってる」
蘭子「ふっ、我が盟友は優秀故に駆り出されることが多い………私の専属なのに」ボソッ
飛鳥「そうだね、………思わずボクが欲しがるくらい優秀だよ」ボソッ
蘭子「?」
飛鳥「さっ、蘭子行こうか。ボクは片翼で君も片翼だ、片翼では空は飛べない」
蘭子「うむ、我らの力今ここに示す刻っ!!」


なんてことがあったりなかったり


もし最初に飛鳥だったらっていう話も面白そうですよね。

ということで、誰か飛鳥さんのイチャラブの2次創作書いてくださいお願いしますっ!!

それとなんとか美嘉姉さんの誕生日に間に合わせました。
薄っぺらいけどお祝いさせてもらいます。

短いですがちょっと早めに投稿でしたっ!!

ここまで読んでくださりありがとうございますっ!!

感想評価等お願いしますっ!!



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18話


意外と踊れる


 

「「ユニットデビュー?」」

 

神崎と飛鳥の2人を事務室に呼んでユニットついて伝える。

 

「次の秋ライブでサプライズデビューって形でデビューしてもらう」

「サプライズデビュー………新曲とかの披露なら聞いたことあるがユニットデビューはあんまり聞いたことがないな」

「そっ、力のないアイドルがライブデビューをやったら困惑して終わっちゃうけど、2人の人気なら問題なしというのがプロデューサー達の結論だったよ」

「随分と信頼されているね」

「ククク、我らに超えられない壁などないっ!!」

 

このユニットに関してはプロデューサーもゴーサインも出ている。

 

「それに伴って飛鳥は次の神崎のラジオにゲスト出演。それと麗華さんから「ライブの全体曲は初めてだからソロと違うことを」だとさ」

「分かった」

 

「神崎はこのユニットもあるけど、秋ライブはソロの方もあるから、覚えることが多いけどしっかり頼むな」

「任されたっ!!」

 

「連絡はここまで、このあとレッスンルームでトレーナーさんとユニットの練習があるから遅れないようにな」

 

連絡事項を伝えて一息つけようと思ったが、神崎がジッとこっちを見る。

 

「我が盟友はこの後どうするのだ?」

「うーんと、麗華さんと一緒にライブの打ち合わせのサポート、そこから近くにいる美嘉さんを拾って、別のスタジオに届けてから、このユニットについて売り込みに行ってくる」

「そ、そうか」

 

そんなしょんぼりした顔すんなよ………良心が痛むから。

 

「彼にとって必要の仕事なんだ、そしてボクらも必要の仕事がある」

 

「………飛鳥が素直に従うのは珍しいな」

 

思わずらしくない飛鳥を見て、ついそう言ってしまったが、ジトッとこっちを見てくる。

 

「聞こえているからな………まぁ、キミはボクが素直じゃないって分かっている、だからこそキミには素直になるのさ」

 

反発、反抗は飛鳥の持ち味、モットーである。

………どっちかというと飛鳥みたいな厨二は多い。

 

「………反骨精神の塊め」

「それはボクにとって褒め言葉さ………さっ、蘭子行こうか」

「うむっ」

 

さてこっちもお仕事しますか。

 

 

 

 

 

 

 

side蘭子

 

「はい、それじゃあ今日はここまで」

 

トレーナーさんの指導は相変わらず厳しいなぁ………

呼吸を整えてから、柔軟体操っと。

 

「………蘭子はまだまだ余裕そうだね」

 

飛鳥ちゃんはまだ呼吸が整わないのか、ゆっくりと呼吸をしている。

 

「我が学び舎では力を試す刻でな、それで鍛えられたかもしれん」

「へー、体育祭か…そういえば彼も同じ学校なんだろ?」

「我が盟友もそうだな」

「学校では体育祭の練習、休みは事務所で仕事………彼は一体どこで休んでいるんだい」

 

飛鳥ちゃんは苦笑しているが、思わず確かにと考える。

授業中寝たことは見たことないし、お昼休みはいつも鬼ごっこしてるし、事務所でもいつも何かしら仕事をしている。

 

「もしかして休んだ所を見たことないのかい?」

「うむ、常に何かしらの働きをしている」

「………倒れなければいいけどね」

 

我が盟友が倒れる…か、正直全く想像出来ないなぁ。

 

「彼は学び舎ではどんな感じなんだい?」

「案外普通の学生をしている、常にという訳ではないが何かしらの中心にはいるが」

「へぇ、意外だな」

 

我が盟友とのお話で盛り上がる。

学校ではあんまり喋ってくれない話、二人三脚の時の話、仕事前にからかってくる話、この前の水着の撮影の時の話、どんどん我が盟友の話が出てくる。

 

「ふふっ」

「ん、なぜ笑う?」

「いや、蘭子の新たな一面を見れて面白いなって」

「新たな一面?」

「自覚は無しか…なるべく早く気づいた方がいい、ボクもなるべくフェアで戦いたいからね」

「???」

「ふふっ、キミならすぐに気づくさ」

 

すぐに気づく?何にだろう?

 

「お疲れさまです…ってやっぱり終わった後か」

「我が盟友っ!?」

「思った以上に打ち合わせが早くに終わったから、ちょっと見にきてな」

 

そう言い、スポーツドリンクを投げ渡される。

 

「良き働きだっ」

「もうちょいちゃんとお礼を言え」

「ちゃんとボクの分もあるんだな」

「当たり前だっつうの…あぁ、それと飛鳥」

 

我が盟友と飛鳥ちゃんは仕事の話で少し話し込む。

………なんかこの2人って仲がいいような気がする。

他のアイドルより近いっていうか…いや近いんだけど。

 

「それと神崎…ってなんで膨れてるんだよ」

「むぅ、なんでもない」

 

自分でも分からないが機嫌が悪くなる。

 

「たまーに理不尽だよね、らんらん」

「なっ!?」

「らんらん?…あぁ、蘭子の二つ名か、ボクもこれからはらんらんって呼んだ方がいいのか?」

「それは今度のラジオで頼むよ」

「マネージャーがそう言うなら仕方ない」

「ら、らんらん言うなっ!!」

 

2人して私をからかってっ!!

もうっ!!

 

 

 

 

 

 

「で、本当は急いできたんだろう?」

 

着替え終わった飛鳥がこっちを見上げてそう言ってくる。

 

「何が?」

「ほんの少し清涼剤の香りがする、それとスーツの背中の部分が汗で沈んでる」

「………だから妙に近いなとおもったよ」

 

マネージャーになってから女性との距離を大事にしている。

近すぎると噂や誤解を招くような写真を撮られる。

当然マネージャーだからアイドル達との信頼関係も必要だから遠すぎるのもよくない。

まぁ、過剰にスキンシップするアイドルもいるけどさ。

年少組や小学生組ならともかくなぁ………

 

特にライブ終わりのアイドルはテンションが上がり過ぎて非常に刺激が強い。

………わざわざ手を挙げてハイタッチの準備してるのに問答無用でハグするし。

 

 

それでも今日の飛鳥はほんの少し近いなとは思ったけど。

 

 

「学校だと独り身でね、自然と観察癖がついたよ」

 

独り身……ねぇ。

思わず飛鳥のエクステを見る。

エクステを付けてる理由は尋ねたことはないがなんとなく察する。

俺も去年までは飛鳥と同じように抗っていたのだ。

普通だとか、当たり前だとか、世界とか。

 

「………まぁ、アイドルだと色々関わりづらいのが普通だろ」

「もしかして慰めてくれてるのかい?」

「これでもマネージャーだからな」

 

肩をすくめるとジトッと見られる。

不機嫌な時の神崎と同じ雰囲気を感じる。

 

「つまり仕事の一環な訳か」

 

………ひどい受け取り方をされたんだが。

 

「全部が私情って訳じゃないけど、私情も当然含まれてるよ」

「………随分と捻くれた言い方だね」

「誰かさんが素直だからね」

 

軽口を叩くとようやく不機嫌な雰囲気は無くなる。

 

「待たせたなっ!!」

 

神崎が決めポーズしながらこっちに来る。

 

「ちゃんと汗拭いたか?」

「生命の雫は我が身から離れたぞ」

「………「ちゃんと拭いたよ」って普通に言えよ」

「そのツッコミ今更じゃないか?」

 

飛鳥が珍しいものを見たと言わんばかりにこっちを見る。

訳ありなんですよ。

 

「最近通訳しないで会話してるせいか周りの人が困ってるみたいでね」

「周り?」

「スタッフさんとかカメラマンさん、視聴者などなど」

「あぁ、ラジオでもリスナーが通訳が欲しいとか言っていたね」

「そ、ツイッターに関してはたまーに通訳するし」

 

ネットとはいえ、ファンとの交流で事務所側の人間が当然のように出てくるとファンも冷めちゃうしね。

たまーに通訳して盛り上がるくらいがちょうどいい…………って麗華さんも言ってたし。

 

「………今ものすごく悪い顔をしてたぞ」

 

コクコクと神崎まで頷かれた。

 

「さっ、あとは軽い確認事項だけだから」

 

何事もなかったように笑顔で振る舞うと。

うわぁーと言わんばかりに引かれた。

………軽く笑ったつもりなんだけどなぁ。

 

 

 

 





麗華「和也、神崎がツイッタ○でイベントの告知らしい呟きしてるから翻訳しといて」
和也「はーい………あっ、やべ、通知切るの忘れてた」
ちひろ「おー、本当にこんなにいいねとリツイートが来るんですね」
和也「偶にやってからこそですよ………って麗華さんが言ってました」
麗華「販売と同じよ、アイドルっていう貴重で夢があるものが当然のように出てくると人は貴重だと思わなくなる」
ちひろ「わー、流石麗華さんですね」
和也「(あれ?結構お金のエグイ話だと思ったから引くのかなって思ったんだけど………)あっ………ちひろさんだからか」
ちひろ「なーんか、悪いこと考えてる顔ですね」
和也「いえ、なんでもないです」
ちひろ「………こんな所にスタドリ1ケースが」
和也「偶然欲しいなと思ったんですよ、あはは」


なんてことがあったりなかったり

そして皆様おまたせしました。

まぁ、とりあえず今回は仕方ないですよね?
だって、fgoのクリスマス復刻からクリスマスから第7章の休みなしと言わんばかりのイベント量。
そしてデレステのあいくるしいからライブパレードまで様々なイベント消化が終わったと思ったらいつの間にこんな時間に………

だから仕方ないんですっ!!

し か た な い ん で すっ!!(大事だから2回

とまぁ、作者の仕方ない理由をあげます。

ここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!

感想評価等、よろしくお願いしますっ!!


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19話


語彙力が欲しい


キュッ、キュッとスキール音がレッスン室から聞こえる。

 

「ワン、ツー、スリー、フォー」

 

大きな声ではなく、確かめるような声で彼女は一人で踊っている。

 

「ファイブ、シックス、セブン、エイトっ!!」

 

何度も繰り返した最後の決めポーズ、しかしその顔には笑顔よりも疲労が強く見える。

 

「はい終わり、柔軟するよ」

「ぴぃっ!?」

 

いきなり声を掛けられて本気で驚く神崎。

ダンスに集中しすぎて俺が入ったことに気づいてないみたいだ。

 

「ま、まだ我が舞の修正点が」

「身体に疲れを残さない程度なら許すけど、それ以上は駄目」

「………まだ疲れてないもん」

 

ぷくっと頰を膨らませてふいっと顔を背けるがこっちもジトっと睨む。

 

「最後の決めポーズの笑顔に疲労が入ってなきゃ止めなかったよ」

「むーー」

 

神崎自身もそれに気づいているのか、唸ってこっちを睨むだけだ。

 

「はよこっち来い、柔軟手伝ってあげるから」

「うん………はっ!?しばし待たれよっ!!」

 

タオルを持って一生懸命身体を拭いて、自分の匂いを嗅いでいる。

 

「あー、そんなの気にしなくていいぞ」

「我が気にするのだっ!!」

 

ある程度汗を拭き終わったのかおずおずとこちらに来る。

 

「ほれ座って」

「お、お願いします………って痛い痛い痛いっ!!」

「はーい反対側」

「待たれよ我が盟友、本当に痛いっ!!って痛い痛い痛い痛いっ!!」

「前屈ー………身体ちょっと硬くなってるな、お前サボってただろ」

「サボってないっ!!サボってないっ!!」

「うんじゃ相方が力が弱いのをそのままにしてたな」

「うぐっ」

 

図星を突かれたのか一瞬肩をビクッと震わせる。

ため息をついて「次からもうちょっと強く押して貰え」と言う。

 

さて、上半身は終わり下半身に向かう。

 

「ほれ次は下半身………はどうする止めとくか?」

「か、構わない」

「うんじゃ」

「………んっ」

「………こっちは柔らかいな」

「はぁーーー」

 

単純に一生懸命息を吐いてただけだった。

 

「はい次反対」

「………我が盟友よ、気のせいか手慣れていないか?」

「んー、割と大人組とストレッチの相手してるからな」

 

息を吐いてるせいか、答えられないが目で「何故だ」と送られた。

 

「曰く、「ストレッチ中は痛いけど、終わった後、物凄く身体が軽くなるから」だそうだ」

「ふぅ、そうなのか」

「あぁ、トレーナーさんからもストレッチの見極めが上手いって言われたし、ホレ立ってみろ」

「うむ…………あれっ?」

「このままもう一回通しで踊れるくらい身体軽くなってるだろ?」

 

身体のあちこちを確かめるようように立ち上がる神崎。

 

「おぉ」

「うんじゃ汗流してこいよ、俺は下のロビーで待ってるから」

「うむ………ウンディーネとの戯れを覗くなよ」

「逆に何故覗くと思った」

 

こっちが呆れ顔をすると、クスクス笑って神崎はシャワールームに向かった。

 

………なんか最近神崎にからかわれている気がする。

 

 

 

 

 

ロビーで少し待っていると、階段から少女が降りてくる。

格好はPUM●のジャージに少し大きめなスポーツ系の帽子。

いつもは巻いてある髪は巻いておらずに下ろしている。

 

身長と帽子のツバのせいかあまり顔はよく見えなく、表情は分からないが、足取りが軽そうのを見ると恐らく上機嫌だと思う。……多分

 

「待たせたなっ!!」

「おう、うんじゃ行くか」

「うむっ!!」

 

既に時計は22時を超えている。

一応神崎の母親に遅くなることの電話はしてあるが、なるべく早めに帰ってきた方が安心するだろう。

 

駅前の信号を待っていると徐々に人が駅前に集まってくる。

道幅の関係で神崎も人に押され始め、彼女は少し苦しそうな顔をしてからこっちを見る。

 

「ほい」

「んっ」

 

スッと腕を出すと彼女は服の裾を掴む。

前までは「危ないから服の裾掴んで」と言っていたが最近は向こうから「掴んでいい?」という目線を送るので特に何も言わず腕を出すようになった。

普段ならこれで多少バランスを崩してもコケる心配はない。

 

が、偶然にも今日は違った。

 

「っ!?」

 

後ろに突然押され、さらに段差につまづいた神崎はとっさに俺の腕を掴む。

 

「大丈夫か?」

「う、うん」

 

そのまま離れようとするかどんどん人が集まり離れるスペースがなくなってしまった。

 

「とりあえずこのままで行くか」

「し、仕方あるまい」

 

ギュッと俺の腕を掴む神崎。

ピクッと一瞬だけ動揺するが、人混みのおかげかバレてない……はず。

 

ホームまで行くと丁度電車が来るが。

 

「「………うわぁ」」

 

思わずお互い声を出してしまった。

ぎゅうぎゅうに詰め込んだ電車は朝の通勤ラッシュより酷い。

 

「次の電車………も同じだろうね」

「覚悟を決めるのだな」

「そうだね」

 

電車から降りる人も多いおかげで電車には素直に入れた。

 

そのままドア付近の場所に向かい、神崎をドアを背にするようにすると、後ろからどんどん押し込められる。

 

「わ、我が盟友大丈夫か?」

「む、無理かも」

 

なるべく神崎に触れないように両手でスペースを作っていたが徐々に押され、腕はプルプルと震え始める。

 

「………い、いいから」

「な、なにが?」

「わ、我は別に気にしない………だから」

 

彼女は腕をクイクイと引っ張って下ろすようにする。

 

「でもな」

 

俺が断ろうとすると、彼女はギュッと服を掴む。

ジッとこっちを見る目に根負けして腕を下ろすと、空いていたスペースは後ろの人に押されてなくなり神崎との距離は無くなった。

 

帽子のツバが俺の胸に当たると神崎はすぐに帽子を斜めに被りツバが俺に当たらないようにする。

 

そのことによって今までツバで守られた神崎の顔が見える。

彼女はその視線に気づき、フイっと首を横に向けるが赤くなっている頬を見てほんの少し笑ってしまった。

 

「な、なにがおかしい」

「なんでもないよ」

「むぅー」

 

ポスポスと胸を軽く叩いてくるが全く痛くない。

普段だったらある程度叩いたら満足するのだが今回はそのままギュッと服を掴まれる。

 

「神崎さん?」

「掴むところがないから………迷惑か?」

 

むすっとしつつも、こちら側をチラっと見上げる。

 

「いいや」

「………そうか」

 

そのまま駅を降りるまでお互い黙っていた。

 

 

 

しかし、居心地の悪い沈黙ではなかったのはよく覚えている。

 

 





蘭子母「そろそろ帰ってくるかなー……って、蘭子帰ってきてたの?」
蘭子「あっ……ただいま」
蘭子母「もう、玄関で立ってたら身体冷えちゃうじゃない………顔赤いけど風邪引いた?」
蘭子「ううん………ただ」
蘭子母「ただ?」
蘭子「胸がほんの少し痛い」
蘭子母「………今日、和也君に送って貰った?」
蘭子「うん」
蘭子母「そう………頑張ってね蘭子」


なんて話があったりなかったり。

という訳で皆さん明けましておめでとうございます←遅い

今回は年末年始ずっと満員電車の中に乗ってた作者がふと思いついたシチュエーションです。

本当はもっと蘭子の可愛さを出したいのですが、作者の語彙力ではこれが限界でしたっ!!
作者の頭の中ではさらに可愛い蘭子が居るんですっ!!
だけど言葉に出来ないですっ!!

ということで誰か作者に語彙力を鍛える方法を教えてください。

それとお気に入り登録者が3000人超えてましたっ!!
本当に胃が痛いですっ!!
ですけどめっちゃ嬉しいですっ!!
これからも頑張る所存でございますっ!!

ここまで読んでくださりありがとうございましたっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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20話

オール飛鳥


side飛鳥

 

ボクはそこそこ洞察力があると自負している。

さらに厨二病のせいか………いや、厨二病のおかげで自分を限りなく客観視できるようになった。

 

自然と周りを見渡すことで普段気にかけないようなことにも気づくこともある。

 

「今日は随分と疲労が溜まっているね」

 

ユニットの写真撮影前。

メイクも終えて、二人きりになった瞬間に蘭子がほんの少しため息をしたのをボクは見逃さなかった。

彼女はほんの少し驚いた顔をして。

 

「………ちょっぴり」

 

と、少し苦笑いをする。

どことなく、彼が普段見せる表情と似ているのは、蘭子がそれだけ彼に影響されているだろう。

 

「昨日は体育祭だったんだろ?」

「うん、でも大丈夫っ!!」

 

ぎゅっと握り拳を作る姿にはあざといよりも可愛らしいという感情の方が先に出てしまう。

世間は彼女をクールと表現することが多いみたいだが、ボクはそうは思えない。

 

ドアから少しテンポの遅いノックがする。

蘭子は驚きながらコッチを見るのでボクは頷く。

 

「冥府の門は開かれるっ!!」

「………それさ、俺じゃなかったら絶対分からないよね?」

 

ドアから出てきたのは予想通りマネージャー。

彼はジトッと彼女をみるが、彼女はドヤ顔のままだ。

 

「クックッ、我が盟友との契約の効果だな!!」

 

まるで予知したかのような振る舞いだが。

 

「まぁ、タネを明かすとキミのノックのクセを教えたからね」

「あ、飛鳥ちゃんっ!!」

「………また今度別のクセを教えてあげるから」

「本人を目の前にしていい会話じゃないな………うんじゃ、そろそろ時間だから」

「そうかい」

 

上着を脱ぐと視線を感じる。

 

「あんまりジロジロ見られるこちらも恥ずかしいんだが?」

 

と言っても彼からは邪の視線を感じない。

 

「ん、衣装チェックだからな、サイズは確認したけど、キツイ箇所とかある?」

 

邪の視線は感じないが、冷めた感情は僅かに感じられる。

………無理もない、普通男が女の身体を見て何も感じない訳がない。

 

ボクだって邪の視線で見られたら、少なくともいい気分はしない。

しかし彼はそれを完全消し去っている。

 

「問題ないっ!!」

「あぁ、ボクも大丈夫だよ」

「それじゃ、撮影行くぞ」

 

『自制する』

簡単のようで難しい行為を彼はずっと続けているのだろう。

 

「まぁ、それが彼の宿命か」

「ほら飛鳥、勝手に自己完結しないでさっさと行くぞ」

「………よく見てるよホント」

 

 

 

 

 

「あら?」

「おはようございます、佐久間さん」

「おはようまゆ」

「煩わしい太陽っ!!」

 

前から来たのはボクと同期のまゆだ。

しかしまゆはこっちを目を合わさずにじっとマネージャーを見る。

 

………この目は何回か見たことある。

麗華さんが風邪を引いているのに出勤した時、北原プロデューサーが腰を痛めてるのに誰にも言わずに黙々と仕事をしていた時もこんな目をしていた気がする。

 

つまりだ。

 

「マネージャーさん?まゆに何か隠し事してません?」

「いや特に何も?」

 

彼は変わらずにポーカーフェイスを続けている。

………が、諦めた方がいい。

 

「右の靴下、左の靴下よりほんの少し厚みが違いますよ?恐らく腫れてるんじゃないですか?」

「マネージャー諦めた方がいい、彼女の目は誤魔化せないよ」

 

彼は目を逸らして

 

「………ちょっと捻挫しただけだよ」

「昨日の体育祭ですね………腫れの感じだと、1度ですね」

「1度?」

 

蘭子が1度という数字に首を捻る。

 

「捻挫にも程度があってね、1度は2〜3日で治るけど、2度は2〜3週間は走れない、3度になるとギプスが必要になるよ」

「ほぼ飛鳥ちゃんの説明で合ってます、………マネージャーさんこれ他のプロデューサーさんやちひろさんに言いましたか?」

「………言ってないです」

「ちひろさんに報告させていただきますね」

「はい」

 

何処か有無を言わせない圧力がまゆにはあった。

 

「一応、応急処置してるから大丈夫だと思うんだけどなぁ」

 

愚痴るように言うマネージャーは仕事の時と違って年相応に感じた。

ふと隣の蘭子を見ると少し顔を強張らせる。

 

「わ、我が盟友よ…その怪我はいつしたのだ?」

 

一瞬彼は考える仕草をしてボクを見るマネージャー。

………なるほどね。

 

「体育祭が終わった後に気付いたからな、よく覚えてねぇや」

「そ、そうか」

 

一瞬まゆが何か言おうとした所をボクが止める。

 

「嘘も方便だよ、まゆ」

「………嘘は好きじゃないです、ですけど今日は聞かなかったことにします」

 

そう言い彼女は「私はこのまま事務所に帰りますのでちひろさんに言っておきますからね」と言いそのまま行ってしまった。

 

彼女が見えなくなると珍しく大きなため息を吐くマネージャー。

 

「彼女は346プロの保健係みたいでね、誰かが怪我をした時や病気をした時に真っ先に対応するのさ」

「なるほどねぇ………っと、思ったよか時間がないな、二人は先に行っててくれ」

「あぁ、分かった。………蘭子急ごうか」

「う、うん」

 

 

 

 

 

事務所に帰ってレッスンの予定だったが、マネージャーが蘭子が体育祭の疲れがあるという理由で今日は軽い通しで終わった。

 

とはいえ、ボクは余裕があるのでレッスン室で練習を続けている。

 

一通りダンスの通しを終えて休憩しようと思ったらドアが開く。

 

「おや?蘭子の迎えはもう終わったのかい?」

「無理矢理帰らせたからちょっと不機嫌になってたけどな………一応今日は休みなんだから飛鳥も休んでいいんだぞ?」

「家に帰ってもやることがなくてね」

「そっ、ほれドリンク」

 

スポーツ飲料を受け取り、少し息を整える。

 

「悪かったな、佐久間さんの口止めして貰って」

 

こっちを見ずにそっぽ見ながら彼は謝る。

 

「なにボクだってタダでやった訳じゃない………貸し一つだ」

 

そう言うと彼は少し嫌そうな顔をする。

 

「………なるべく早めに清算したいんだけど」

「そうだな………ならその怪我が終わったらボクとデートでもして貰おうか」

「そんなんでいいのか?」

「つまらない反応をするな」

「俺が照れて「ばっ!?んなこと出来るかっ!!」とか言うと思った?」

「そういう可愛い反応する人間ではないって分かるがここまで薄い反応だとな」

「乙女心を分かってないって奴だな」

「………ボクが乙女って見えるなら眼科にでも行った方がいい」

「そうか?赤羽根さんが一回くっそキュートな衣装を着させてめっちゃ可愛い反応してたぜっ!!って自慢気に話してたからさ」

 

ボクは思わず空のペットボトルを彼に投げてしまったが悪くないはずだ。

くっ、さりげなくキャッチするな。

 

「み、見たのか?」

「あー、自慢気に話してたからな、もちろん写真もあったし」

 

ガッと詰め寄って彼の襟を掴む。

 

「忘れろっ!!今すぐ忘れろっ!!」

「いやぁ〜そいつは厳しいなぁ〜」

 

ぐわんぐわん襟を掴んで振り回すが彼は笑って誤魔化す。

 

「くぅぅ、だからあの衣装はボクには似合わなかったんだっ!!」

「そうか、照れてる飛鳥も中々可愛げがあってよかったぞ?」

 

そう言われて、思わず顔を下に向く。

くっそ、顔が赤くて見せられないじゃないかっ!!

 

「それとだな飛鳥さん」

「なんだよ」

「そろそろ離して貰えないとヤバイというかなんというか」

 

少しむっとしてしまったボクはジロッと彼を見る。

珍しく彼も顔を赤くしてドア付近を指差す。

 

ドアの方を見るとレッスンルームに入ろうとしている、ちひろさんとまゆがニヤニヤしながらこっちを見ている。

 

客観的に自分を見て見ると両手は彼の襟を掴んで、ボク自身も彼に縋るように立ってる。

………まるで親しい男女の関係のような行為を見られている。

 

思わず反射的に突き飛ばすように彼から離れるが、ふと彼が足を怪我をしているのを思い出す。

 

「もういるなら声かけてくださいよ」

「二人が仲睦まじく見えたのでつい」

 

彼はなんともないように振る舞うが今のはちょっとやり過ぎた。

 

「そんじゃ飛鳥も風邪引かないうちに汗流してこいよ」

 

しかし彼は何事もなかったように振る舞う。

 

ボクはキミのそういう所が…………




なんとか飛鳥の誕生日に間に合わせる作者の鏡っ!!

あ、それと飛鳥の限定SS当たりました………単発で(ドヤァ


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21話


………修羅場?



「はぁーーー、とりあえず終わった」

「お疲れ様です」

 

終わるタイミングを見越したように机にお茶が置かれる。

 

「それで、どれくらい埋まりました?」

「二ヶ月先ですね、とりあえず成功したことでいいんじゃないですか?」

「充分な成果じゃないですかっ!!これから忙しくなりますねっ!!」

 

神崎と飛鳥のユニット「ダークイルミネイト」のサプライズデビューは大きな話題になり、多くのスポンサーが付き、歌番組やバラエティ、他にも声優の仕事など様々な仕事が入った。

元々二人の人気は事務所の中でも高かったがこのユニットデビューで更に人気も高まった。

 

「とりあえず、これからのスケジュールを二人に報告してきますね………っと」

「えっと………大丈夫ですか?」

「椅子に座りぱなしだったので」

 

そのまま北原さんにチェックをしてもらい二人に報告をする。

 

 

「と、まぁこれから忙しくなるってことだけは伝えとくね」

「本当に二ヶ月埋まってるな」

「うむ、我もここまで深き闇を見るのは初めてだ」

「それだけあのサプライズデビューが有効だったってことだよ」

「それじゃあ当分デートはお預けだねマネージャー」

「でっ、デート!?」

 

突然の飛鳥の発言に神崎が動揺している。

が、あくまでこっちは動揺しちゃいけない、落ち着いて対応しなきゃ。

 

「そうだな、まぁ適当に時間が空いたらな」

「なぁなぁにはさせないよ」

「へいへい、うんじゃ今日はこれだけだから」

 

そういって解散させようとしたらガシッと手を掴まれた。

 

「我が盟友、話がある」

 

………おい飛鳥なにこっちをみてニヤニヤしてる。

ちらっと神崎を見るとムスッとした態度をしているがそんなに怖くないのはなんでだろうな………

 

 

 

「飛鳥ちゃんと、でっ、デートとはなんだ?」

「あー、ちょっと野暮用で」

「むぅぅう」

 

俺の返答に納得が行かないのか物凄くほっぺを膨らませてる。多分過去最高かも。

 

「ただ二人でちょっと遊ぶだけだから」

「それが問題なのだっ!!」

「いや、そしたら俺と神崎めっちゃ遊んでるじゃん」

「うぐっ」

「それに飛鳥はお前のダチだろ?神崎がよくて飛鳥が駄目な理由もないだろう?」

「むぅぅぅ………分かった」

 

心の中でこっちも溜息を吐く、なんでそんなに怒ってんだよ。

 

「あぁ、それと神崎」

「………なんだ」

 

ジトッとこっちを見られるが怯まない。先ほど渡したスケジュール帳を見つつ。

 

「この日修学旅行だろ?」

「あ………もしかして行けぬのか?」

 

そんなにションボリした顔すんなよ。まだ説明の途中だ。

 

「いんや、この日は午前中で仕事切り上げて途中から修学旅行の参加するからさ」

「まことかっ!!」

「うん………まぁその代わりクラスで一緒に行けないから俺と二人になるけどな」

「我が盟友と?」

「そういうこと、うんじゃそのつもりでよろしくな」

「う、うむっ!!」

 

そのままどうにか解散させたが後ろからちひろさんに肩を叩かれる。

 

「修羅場ですねぇ」

「誰とも付き合ってないんですけど………」

 

おもわず溜息を吐くがクスクスと笑われるだけだった。

 

 

 

修学旅行当日

 

「うんじゃ、飛鳥は今日はここまでだから」

「あぁ、二人とも気をつけていってくるがいい」

「うむっ、古都の土産に期待するのだな」

 

仕事も終わり東京駅に向かい新幹線に乗る。

大体東京から京都までは2時間弱だ。

 

「我が盟友は駆ける馬に乗ったことはあるのか?」

「新幹線は初めて乗るかな、神崎は熊本から来た時は飛行機だった?」

「うむっ、なので我もこの駆ける馬は初めてだ」

 

などといつも通りの会話をする。

お互い黙る時間もあったがそれほど苦でなかった。

………というか外側だから陽の光が入ってすごく眠い。

 

 

 

 

side蘭子

 

トイレから帰ってくると我が盟友………和也は目を瞑っていた。

 

「我が盟友?」

 

声をかけても反応は無いので、寝ちゃったのかな?

………むぅ、もうちょっとお話したかったのに。

 

でも、授業中や仕事の休憩中ですら寝たところを見たことがないのに………

 

………意外と子供っぽい寝顔?

そもそも私達まだ子供だけど、なんか和也はそんな感じをさせないっていうか………

学校の時は男子のみんなと遊ぶ時は表情豊かって感じもするけど。

私の時は………むぅ、からかったり、真面目な顔したり、ジト目で見られたり、他には………あれ、結構いろんな表情してたかも。

 

………そもそもそんな表情してる時は恥ずかしいことばっかり言ってるからあんまり顔を見れてないのが原因かな?今度はしっかり見てみようかな。

 

それにしても本当に気が抜けてるなー………飛鳥ちゃんに写真送ろうかな。

とりあえず写真は撮っちゃおう。

 

………撮れた。

うん、よく撮れてるこれを飛鳥ちゃんに……そういえば和也と飛鳥ちゃんってデートするって………

むぅぅぅ………やっぱりダメ。送らないにしよ。

 

ジトッと和也を見ても当の本人は肩を上下に動かすだけ。

 

「前にも言ったが、貴殿は我が盟友なんだぞ」

 

指でチョンチョンと肩をつつくがユラユラと揺れるだけ。

 

「アイドルのマネージャーではなく、我が盟友なんだから………あっ」

 

つつきすぎて向こう側に倒れそうだったので服を掴むと今度はこっち側に倒れた。

和也の頭がいい感じに肩に乗って一瞬頭が真っ白になる。

 

えっ、えっ!!えっ!?

 

急激に顔に血が集まるのが分かる。

 

「か、かず」

 

大きな声を出しそうになったが彼の顔を見て口を紡ぐ。

 

 

穏やかな表情で彼は眠っている。

 

 

ただそれだけで私は冷静になれてしまった。

言葉では形容しがたい何かか胸の中からじんわりと広がる。

自然と口角が上がり私自身も穏やか気持ちになってしまう。

 

 

………普段支えて貰ってばっかりだし、支えてあげるのも悪くないかも。

 

 

 

 

 

 

 

いつの間にか意識がなくなってたらしく、京都についてから神崎に起こされてしまった。

途中で寝ちゃったから不機嫌かなと思ったが、むしろ機嫌は良い方………というか、穏やかそうな感じでこっちを見てくる。

………なんでそんな母親みたいな表情してるんだろうか。

 

まぁそれはさておき、荷物を宿に置いてからクラスの全体行動に合流する。

男子から手痛い挨拶を貰うんだろうなとか考えていたが、神崎が俺から離れないので男子も手が出せない。

女子もニコニコとこっちを見るだけで決して神崎を無理矢理誘ったりはしない。

 

「あー、神崎?」

「なんだ?」

 

いつもと変わらない笑顔………いや、いつもよりなんか雰囲気が柔らかいのか

 

「どうかしたのか?」

「いや、なんでもないわ」

 

今の神崎を見て武内さんが神崎をアイドルにスカウトした理由が分かった気がする。

 

「むぅー、気になるではないかっ!!」

「なんでもないって」

「語ってみせよっ!!」

「なんもないって」

「我が盟友ー」

 

あぁ、頼むからそんなに近づかないでくれ。

周りの目………特に男子から目がやばいし。

 

 

あと………個人的に困るから。





最近月一に投稿ペースの作者です。

前回の飛鳥回から修羅場になると思った読者?
残念っ!!作者に修羅場は書けませんっ!!

そんな胃が痛くなる話より、砂糖吐きたくなるような話の方が好きなんですっ!!



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22話

単純な蘭子可愛い回


2ヶ月埋まっていたスケジュールも2人はこなして行き、ユニットデビュー後の忙しさは徐々になくなり、逆に安定した周期で仕事が来るようになった。

 

まぁ、後半の1ヶ月は年末年始のスペシャルばっかりだったし………この辺はアイドルとしての運か。

 

窓からグランドを見てみると下校中の学生の吐く息は白くなっている。

 

なんだかんだで12月かぁ………仕事上季節には敏感なんだけどあっという間だったからな。

 

 

学校の方は修学旅行や文化祭などの行事も終わり、残るは後期テストのみになった。

事務所の方は相変わらずプロデューサー達がアイドルをスカウトしまくってなんか色々大変なことになってきた………もう80人は超えたよ。

流石にこの人数はやばいと専務に報告したが「来年の春まで待ってくれ」ということ。

まぁ、中途採用の時期もアレだし。

 

「どこを見ている我が盟友よ」

 

そのまま背を逸らして後ろを見ると予想通りの人物がいる。

………それにしても顔小さいよな、そのくせ目はぱっちりしていて、まつげも長い。

スッとした通った小さな鼻に、かぶりつきたくなりそうな白い肌。

視線を下ろすと女性特有の豊かな丸みと折れてしまいそうな細くて長い手足。

本当に中学生のスタイルではないと改めて感心する。

 

「ほ、本当にどこを見ているっ!!」

 

後頭部を掴まれ元の位置に戻される。

 

「いやいや分かるよ和也くん、蘭子ちゃんの素晴らしいスタイルを凝視してしまうのもっ!!」

「なっ!!」

 

藤井さんの発言で両手で身体を抑えながらこちらを睨め付けるが相変わらず怖さを感じない。

 

「そんな目で見てたかな?」

 

隣にいる藤井さんに聞いてみると首を横に振る。

 

「まぁ男子特有の視線ってよりも単純な観察な視線だったよ、不気味なくらいに」

「不気味なくらいは余計だよ」

「そうかなー、ウチの男子は体育の時間とかあからさまに視線感じるし」

「それと比べればないけどさ」

 

このクラスの男子の視線と比べれば俺の視線なんてゴミみたいなものだと思う。

 

「他者の意志?」

 

首を傾げる神崎は何処か理解出来ていないみたいだ。

 

「神崎はもう視線自体に慣れてるからな」

 

アイドルになってから神崎は他人の視線に鈍感になった気がする。

 

「あー、夏休み明けから蘭子ちゃんのガードが甘くなってる感じもそれが原因か………まぁガード甘いのは和也くん限定だけど」

「後半何言ったか知らんけど、色々頼みます」

「はいはい」

 

俺と藤井さんのやり取りをみて頭にハテナを浮かび続ける神崎。

 

女子というのは常日頃から身の回りを注意している。

 

汗をかけば透けるし、ちょっとした段差を登る時もスカートを抑え、覗き込む時は首回りを抑えて………などなど女子の気をつけなきゃいけないことが多々ある。

 

しかしこの子は最近そういうことを気にしてない節がある。

 

階段なのに目が合えば走って近寄ってくるせいかスカートがもう少しで完全にめくれるかと思ったし、体育が終わった後も汗を拭かずにこっちにくるから目のやり場に困るし、ワイシャツが少し大き目のせいか話しかける時首元から中が見えそうになるし。

 

………律するこっちの身になれっつうの。

 

「さて、お喋りはここまでにしといてそろそろテスト勉強しよっか」

「うぐっ、今度の幾何学の試練はマズイ」

「ザ・文系だからな神崎」

「我が盟友は全ての試練を突破出来るのかっ!!」

「少なくともわざわざ放課後に残って一緒に勉強を見てやる必要はないくらいには出来てるよ」

「むぅぅぅぅ」

「ほらほら、痴話喧嘩しないで勉強しよ?」

「くっ………この二つの願いの証明だが」

「二等辺三角形の証明?これはな………」

「………あり?(蘭子ちゃんなら痴話喧嘩辺りで可愛い反応してくれると思ったのにな)」

 

黙々と勉強………とはいかなかったが神崎の勉強は捗ったのは確かだ。

 

 

 

 

「蘭子ちゃんって寒いの苦手?」

「何故そう思う?」

「だって………この防寒具の量は」

 

藤井さんが机の上に置いてある防寒具の量を見て苦笑いをする。

無理もない、マフラーに耳あてにコートに手袋………肌寒さは感じるがここまで防寒具が必要なわけでもない。

 

「我が前世ではここまでシヴァの吐息が強くなかったのでな………」

「あー熊本は暖かいからねー」

「それにしても多すぎだろ………」

「ほらでも一応風邪予防にはなるからね」

「あー、風邪予防で思い出したけど神崎明日インフルエンザの予防接種だから」

「うぐっ」

 

露骨に嫌そうな顔をするなぁ………

 

「それと予防接種してから身体動かせないからな、レッスンは休みな」

「むー………分かってるもん」

 

頰を膨らませて、上目遣いでこっちを見る姿はあざといとか可愛いを通り越して別の何かの感情が生まれそうになる。

 

「ゴッフ」

 

ほら隣の藤井さんなんて血を吐いたフリをして机に突っ伏したじゃん。

………気持ちは分かるが。

 

「ほら藤井さん、そろそろ帰るから支度しな」

「………ここ最近、和也くんがコレを見てノーリアクションなのかを知りたい」

「………何やっても可愛いからな、こいつは」

「何コレ、彼女自慢?」

「アイドル自慢と言え」

 

他愛のない話をしつつもしっかりと身支度はする。

神崎も無駄に多い防寒具を着込んで、こちらも帰る支度も終わる。

 

「うんじゃ帰りますか」

「うむ、我が城に帰還だ」

 

三人で歩いて帰るときは基本的に神崎が真ん中で俺が道路側、藤井さんはその反対側という順になる。

まぁ、三人で帰ると行っても基本的には藤井さんと神崎2人で会話して、二人に話を振られたら答えるから実質2人プラス1人だな………うん言ってて悲しくなったな。

 

「そう言えば2人とも冬休みの予定ってどうなってる?」

「神崎はクリスマスに最後のライブをやって終わりかな?」

「………我が盟友はいつになったら休みだ?」

「うーん、ちひろさんの仕事が終われば終わりかな?」

 

全アイドルの給料計算はいつものことだけど年末調整があるからな。

………年始に休みがあればいいかな?

 

「そうなの?じゃあ仕事が終わったらまた三人で遊ぼうよ!」

「うむっ!!我も終焉の刻を我が盟友達と過ごしたい」

「あー、そうだなぁ」

 

今更「いや、仕事があって………」なんて言えない空気なんだが。

 

「それじゃあ私こっちだから、2人ともじゃーね」

 

途中で藤井さんが帰ると神崎がジト目でこっちを見てくる。

 

「………真実はどうなっている?」

「まぁ、仕事の進捗具合だけど、多分大丈夫」

「大丈夫ならいい………だけど」

 

少し言いづらそうに視線を泳がし、潤んだ目でこっちをチラチラ伺うように見てから、普段の神崎から考えられない、か細い声で

 

「………今年最後に一緒に居たいのは本当だから」

 

そう言うと俯きながら俺の制服の裾をギュッと掴む。

 

………少なくとも正しい感性を持つ男ならばコレを見て何も感じないという奴が居るのなら精神科をオススメする。

 

「努力します」

「ダメ、絶対一緒」

「さっき藤井さんがいた時は願望だったんですが?」

「願いは定めになり、運命になり、そして確定する」

「………もはや強制なんですね」

「当然だ、何故なら貴殿は我が盟友なんだから……だから、その………」

 

顔を下を向けて、少し緊張した様子が服の裾から伝わる。

 

「お仕事………頑張って」

 

「………おう」

 

 

ただ何気無い一言。

 

ただそんな一言で頑張れる気になってしまう自分もそこら辺にいる単純な男子と何一つ変わらないことが分かった。




とりあえず嫁に欲しい←限定SSR蘭子を見ながら

はい、ということで本編は相変わらずな感じです。
身も蓋もない、蘭子可愛い回でした。

さて、作者のリアルも忙しい時期も終えたので、できれば一ヶ月に1話くらいは書きたいなーとか思ってます。

そして一ヶ月前にあったイベントは全勢力をあげて挑みましたが、5千位の壁は高かったです。
そして賛否両論のコミュは………まぁ、これはこれでネタにします。
作者的には「こういう世界もある」的な感じです。

基本的には自由度高い作品ですから、色んな話が思いつくし、色んな設定もしやすいです。
だから2次創作も豊富ですし、色んな人の作品に触れられるとても刺激になります。

そんな中ゆったりとゆるゆるしたこの作品楽しみにしてる人もいると作者はとっても励みになります。

お気に入りの数も4000人も超えましたっ!!

まだまだ拙く、粗の多い作品ですけど、長い目と暖かい目で見てください。

ここまで読んでくださりありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!





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23話

遅くなりました、本編ですっ!!


side赤羽根

 

「………赤羽根さん、凛さん送りましたよ」

「オッケー、うんじゃ次でラストだ」

 

ボックスカーの助手席に座って小さな声で報告される。

もちろん小さな声で報告する理由は後ろで寝ている蘭子を考慮してるからだ。

 

「あぁ、あと今日は蘭子送ったら、今日は上がりでいいぞ」

「マジすか?自分明日も休みなんすけど、いいんすか?」

「あぁ、誰かさんのお陰で年末の仕事やら雑用が綺麗に片付いてるからな」

「そいつは優秀な奴ですね」

「この減らず口が」

 

ゲシゲシと頭を撫でると年相応に笑う。

こういう顔はもっとアイドルの前でも出せばいいのにな。

 

「あっ、ここで大丈夫ですよ」

「おっ、そうか……それじゃあ後は頼むわ」

 

助手席から後ろの席に移動して蘭子を起こすが、「んー」と寝ぼけた声を出すだけ。

 

「ほら腕出して、運ぶから」

「んぅ」

 

思わず苦笑してしまう。

俺が送り迎えの時、蘭子を起こした時は自分で起きて自分で歩いて帰ったことあるんだけどな。

 

「それじゃ、赤羽根さん今日はここで」

「おう、送り狼になんなよ」

「んなことしませんって」

 

おぶられてる蘭子の顔がほんの少しだけ頰を膨らんだのを見て思わず笑いそうになったが、表情には出さずヒラヒラ手を振って別れる。

 

「いやー、ベタな恋愛小説でも読んでる気分だよ、おっさんは退散退散っと」

 

 

 

 

 

 

 

 

おぶってみると見た目通りかなり軽い。

こんな軽い身体であの密度の高いライブをやり切ったのは素直に凄いと改めて思う。

 

「んぅー」

 

………あの、ポジションが悪いからって背中でもぞもぞ動くのやめていただきたい。

ただでさえ意識しないようにしてるのにさ。

思わずため息を吐くと。

 

「………重たい?」

 

俺のため息を疲れたものと勘違いしてる。

 

「普段担いでるベンチより軽いよ………だから今は正確な体重測れるぞ」

「………そうか」

 

さりげなく、おんぶを止めるような言い方をしたが全く止める気がない。

むしろさっきよりも俺に体重をかけてきて密着してくる。

 

「流石にマンションの中までは………」

「……疲れた」

「………そうか」

 

我儘というよりも本当に疲れてるぽいな

………思ったより疲労してるかも?

 

「家に親いる?」

「い…居ないが」

「マジか………飯食える?」

「多分あるけど」

「多分ね」

 

まぁ、おそらく神崎の母親なら何かしらあるだろう………問題はこいつがちゃんと食べるかどうかだけど。

 

「わ、我が盟友よ」

「ん?」

「もし、何もなければ一緒に魔力の補給を……」

「おう、いいぞ」

 

キュッと肩を強く掴まれ、コツンとコツン肩に顎をぶつけてくる。

どこはかとなく嬉しいという感情が背中から感じられる。

………そういう感情あんまり出さないで欲しいですけどねぇ、こっちも照れるから。

 

「ほれ着いたからから」

「ん」

 

ドアの前で降ろして家の鍵を開けてもらう。

 

「我が城へようこそ」

「はいはいお邪魔します」

 

そのまま食卓に着くと置き手紙がある。

 

「『冷蔵庫にハンバーグのタネがあるから、書いてある通りに焼いてね!!………あと和也くんが来たら……』……ってなんで手紙を取る」

「またロクなことが書いてないからだっ!!」

 

グシャグシャと紙を丸めるが、ハンバーグを焼く時間も書いてあるのでメッセージの部分は切り取られ、くしゃくしゃになった紙を見つつ焼く。

 

 

 

 

「……我が血肉となった」

「うん、疲れてる割には食欲はあって安心したわ」

 

夕飯というには少し遅いが本人も食べ終わったし………

 

「そろそろ帰るから、ゆっくりして寝ろよ」

「う、うむ、我が城の門まで見送ろう」

 

………こういうのはサラっと渡せたらいいんだけどな。

 

「そういえば神崎………はいメリークリスマス」

 

 

 

 

 

 

side神崎

 

 

バックからプレゼントを出されて思わず固まってしまう。

 

「で、でもさっき」

「事務所でやったクリスマスパーティーは皆にクッキープレゼントしたけど………まぁお前とは付き合い長いし、マネージャーじゃなくて俺個人的な贈り物というわけで………盟友からのささやかなプレゼントだよ」

 

ふいとそっぽ向いてしまう和也の頬は珍しく赤くなっている。

一瞬可愛いと思ってしまったが、すぐにサーッと顔を青ざめてしまう。

 

「あの神崎さん?」

「あの私、お返しなくて……」

 

クリスマスといえばプレゼント交換だけど、まさか私個人に送るなんて、うぅ、私のバカバカ!!!!

 

「なんだそんなことか、別に」

 

と途中まで言いかけてた和也だけど、何か思いついたような表情をする。

 

「じゃあお返しの代わりにさ、約束お願いしていい?」

「約束?」

「5月にあるシンデレラガール総選挙は覚えてるか?」

「うむ、初代シンデレラガールに愛梨ちゃんが……」

 

あの時は涙を堪えてた愛梨ちゃんがすごく印象的だった。

 

「そっ、あん時は神崎達の期はまだデビューしてなかったからシンデレラガール総選挙に出れなかったけど……」

「………今年は出れる」

「だから第2回の総選挙はお前が獲れ」

 

頭クシクシと撫でるの恥ずかしい………嬉しいけど。

 

「お前なら獲れると俺は思ってるよ」

「………もちろん我も獲るつもりでいる」

「嘘つけ、ちょっぴり不安なんだろ」

 

………むぅ、だって私より可愛い子、私より綺麗な人だっているし、私より歌が上手い人、私よりダンスが得意な人もいるし。

………思わず頰を膨らませてしまう。

 

「まぁ、だからこれはちょっとした御守りみたいなもんだ」

 

ポンとプレゼントを渡してくる。

 

「……今開けても良いか?」

「いいよ」

 

袋を開けるとケースが出て来る………もしかして

 

「ネックレス?」

「そ、ゴスロリは装飾が多いからな、首元はシンプルにした方がバランス良いかなと思ってな」

 

シンプルなデザインだから変装用の普通な服でも違和感なくつけられる。

 

「着けるか着けないかは神崎任せるよ……センスがなければ普通に飾るだけでも」

「そんなことないっ!!………すっごく嬉しい」

 

むー、和也のこういう自己評価が低い所はあんまり好きじゃない。

 

「そうか、そりゃ良かった」

 

………今日珍しく照れてる気がする…やっぱり可愛い。

 

「では我が盟友よ我にその願いを授けよ」

「………今付けんの?」

「もちろん、でなければ契約にならんだろう?」

「…………はいはい仰せのままに」

 

困ったように笑う和也にネックレスを渡して少し前に詰めて、首を差し出す。

 

「ど、どうである?」

「うん、イメージした通りだ」

「………むー、どうである」

「あー………うん似合ってるよ、我ながら最高の仕事をした」

 

そう言ってまたフイっと首を逸らす和也。

そうか、そうか似合ってるのか。

 

「うんじゃ、俺は明日も仕事あるから」

「そうか、それじゃあ和也、またね」

「おう、またな」

 

彼が見えなくなるまで手を振ると、そのまま手がネックレスに持っていかれる。

我慢してた思いがギューっと身体を震わせる。

 

「………そうだ、約束」

 

シンデレラガールズ、和也との約束。

 

「私になれるかな?」

 

大きな目標というのは普段の私にはなかった。

その日その日を一生懸命にやっていて、それはとても充実してたし、楽しかった。

だけどこれからは違う。

だって彼と約束したから、それに和也も獲れると言ってた、私に出来るって思ってる。

 

「………もっと頑張ろう」

 

歌もダンスもモデルもトークも全部。

今まで以上にっ!!

 

「………ん、通知?和也からだ」

 

『ライブ終わった後は風邪ひきやすいから今日はしっかり休めよ、うんじゃおやすみ』

 

そのあとに彼に全く似合わない可愛らしいスタンプを送られてきた。

こうやって心配されるのやっぱり嬉しいな。

 

私も今日のお礼も込めてカッコいい返信を考えながら家に戻った。

 




ということで、仕事帰りの約束ってやつです。

まぁ、今回は多くは語りません。読者の皆さんも若干察してる部分ありそうですしね。

それと言うのをすっかり忘れてましたけど、前回の限定蘭子はもちろん回収しましたからねっ!!
当時は「どうせ天井まで回すんだろうなー」とか思ってたらまさかの20連しか溜めてない無償ジュエルでまさかの出現。
なのでモチベーションが非常に良くて、ここ最近の投稿ペースが非常によろしいという奴です。
いま出てる復刻限定は前回天井まで回しましたけど、なんの後悔はないですけどねっ!!
課金はほどほどにした方がいいですよっ!!←経験者は語る。


あとは、今年はウサミンがシンデレラ獲りましたね。
前回の流れでチャン未央にとって欲しかったですけど、今年はウサミンの流れでしたね。

デレステでも投票出来るようになったので作者は推しのアイドルに公平に入れたタイプです。
一点集中とかはどうしても他の子に目移りしちゃうのと、心の良心がもちませんでした。

とまぁここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!



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24話

と、とりあえずあとがきで……


 

side神崎

 

「けほっ、けほっ」

 

咳が止まらない、身体もふらつく……

体温計で測ると37.5度……うぅ、私普段体温低いし、熱だコレ……。

お母さんもお父さんも九州に帰っちゃったし……

 

「……そうだ、電話しなきゃ」

 

「体調不良になったらすぐ報告、仮に休みでもな……もし隠してたら……まぁ、それ相応な覚悟をしておけ」とか言ってたし……

電話を掛けるとワンコールで直ぐに出る。

こういう所に思わず偉いなぁ、と思ってしまう。

 

『どした、なんかあったのか?』

 

今日がオフなのは知ってるし、私は基本的和也とは電話はしない。

電話すると和也のやってる作業を邪魔しちゃうと悪いと思ってるし……

何よりラインの方が、会話しやすい。

 

「……その、風邪ひいちゃって」

『何度?あと寒気とか咳とか鼻水とか症状あるなら言って?』

「37.5分で、咳がちょっと止まんない」

『………そういや、家に誰か居たっけ?』

「お父さんもお母さんも帰っちゃって誰も居ない」

『オーケー、30分くらいしたら家に行くから、ちょっと待っとけ』

「うん、分かった」

 

電話を切ってバタンと腕下ろすと安心感と同時に疲労が一気にくる。

 

「やっちゃったなぁ」

 

風邪を引いたことに思わずネガティブな思考になってしまう。

 

「(もしこれが仕事にあった時だったら、ディレクターさんに、スタッフさんに、プロデューサーさんに、他のアイドルに、和也に迷惑かけちゃうのかな……)」

 

どんどん良くない考えと不安が頭の中でぐるぐるとループする。

悲しい感情が溢れてきてしまうのを抑え込もうと布団の中で丸くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、食材よし、風邪薬と対策グッズもよし……まさかこんな時に神崎のお母さんの合鍵が役にたつとはな」

 

何度か送り迎えをしてたら、「一応なんかあったら助かるでしょ」という理由で合鍵を貰ってしまった。

最初は断っていたが「あーこのために合鍵作ったのになー、結構高かったのになー」とか言うので渋々貰うことに。

普通アイドルの家の合鍵貰うってどうよ……

 

 

一応チャイムを押して1分くらい経つが反応なし、まぁ寝てるか。

 

「お邪魔します」

 

少し玄関で待つが反応なし、うーんやっぱり部屋かな。

神崎の部屋にノックをするが反応がない、流石にトイレって訳じゃねぇよな?

なるべくトラブルは避けるようにしてるけど今回は緊急事態だしな。

ノックして「入るぞー」と声かけをしてから入る。

ベットを見ると丸くなった布団が一つ。

ほんの少し耳を澄ますと、グスッグスッと声が聞こえる。

 

「神崎どうした?どっか痛いのか?」

 

泣いてる所を見て一瞬気後れしてしまったが直ぐに声をかける。

 

「か、和也ぁ?」

「どうした?」

 

というか布団から顔を出してくれ、一応熱の有無の確認したいんだけど。

グスッグスッとしたまままた無言になる。

 

落ち着くまで待つか……いや、多分だけど不安になって泣いちゃったのかな?

だとしたら落ち着いたら落ち着いたでまた無言モードになりそうだな。

さっきより泣き止んでいるが、気まずい空気が流れそう。

 

「神崎、腹減ったか?」

「………うん」

「とりあえず俺一回部屋出てお粥作るからさ、その間に顔拭いて、体温もう一回測って待っててくれるか?」

「………うん」

「うんじゃ、タオル置いて出るからな」

「………待って」

「ん?」

 

もぞもぞと布団から手だけが出てくる。

細っそりとした指は普段より赤く、少し震えてる。

一瞬タオルが欲しいのかと思ったが、それはなんとなく違うなと思った。

顔も見えない、言葉も発してない、ただその手は少し震えてるだけ。

 

右手だと握りにくいかな……?

そう思って左手をそっと神崎の右手を握る。

キュッと握り返されたから、痛みが出ない程度に握り返す。

キュッキュッと握ってきたので、少し手を離すとおずおずと指を絡めてくると小さくて柔らかい手だと改めて実感する。

 

お互いの体温のせいかじっとり手が汗ばんでくるが、不快感はない。

むしろずっとこうしていたいと思うくらいに安心感はある………が、ずっとこのままではいけない。

そんな空気が神崎も手を伝って感じたのか、さっきよりキュッと握って、ゆっくり手を離す。

少し気恥ずかしい空気が流れるがいつまでもこのままではいけない。

 

「うんじゃメシ作ってくるからちゃんと顔拭いて、体温測っとけよ」

 

神崎が布団に包まってて良かった。

 

「………うん分かった」

 

少なくともこの火照った顔は見られることはないかならな。

 

 

 

 

 

「飯できたぞー」

 

仰向けで目を閉じてる神崎をみて少し安心する。

ほんの少し目元が赤いのは分かるが仕事じゃないので指摘もしなくていいや。

 

「起きれる?」

「うん」

 

のっそりと動く様子をみると節々も痛いみたいだな。

 

「スプーン持てる?」

「うん……あっ」

 

渡してみると、プルプルと受け取ってすぐに布団に落とす。……やっぱ力入らないか。

落としたスプーンを拾って、ある程度こうなるじゃないかと思いながらも覚悟を決める。

 

「無理そうだから俺が食わせるな」

 

普段なら反射で断ると思うが、風邪を引いて神崎の思考は遅い。

俺の言葉を理解してから、小声で「ぅぅ……お願い」と言われた時に何も表情を変えなかった俺を誰か褒めてほしい。

 

「ほれ、あーん」

 

小さな口がゆっくりと開けられ、カプリと食べる。

咀嚼する必要はほとんどないので軽く喉が動く。

 

「味付けは薄い?」

「ううん、美味しい」

 

再びお粥よそって食べさせる。

 

半開きの口に赤くなった頬、浅い呼吸に飲み込む白い喉、ねだるような目とお粥食べる赤い舌。

早く食べたいのか、それとも首を動かすのが億劫なのかどんどん神崎との距離が近くなる。

 

……うん考えるな、邪の気持ちは捨てろ、無になるんだ、無に。

 

「……和也まだ?」

「はいはい、ちょい待って」

 

彼女の動作に一つ一つに脳を揺らすような魅力がある。

弾けるような笑顔も、怒ったときの顔も、不機嫌なときの顔も、気が抜けてるときの顔も全部に魅力がある。

 

「……あむ」

「はい、完食。食器片付けてくるから横になってな」

「うん」

 

その魅力を余すことなく直で受けとめるには男子中学生には厳しいんですけどどうにかなりませんかねぇ!!!!

 

 

「他に何かして欲しい事とかあるか?」

 

といっても本当にもうやることも実際ないしな。

せいぜい神崎の夕食を作るくらいかな。

少し時間が経っても返事がない。

だけどひょこっと布団から手を出してくる。

なんというか………可愛いなこいつ。

 

特に許可を貰わず手を繋ぐ。

 

少しキュッと握ってきて、指を絡めにぎにぎと確かめるように力を込めてくる。

 

色々と頭の中に邪念が駆け巡ったけど、大きくため息。

 

緩く行こう。

 

1挙動1挙動にクラクラしてたらとてもじゃないけど神崎のマネージャーをやっていける気がしないわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………その後の汗を拭いたり、夕食をまた食べさせたり、和也の精神を多大にすり減らすが話があるが、それはまた別の機会に




まー、まー、とりあえず話を聞いてくださいよ(毎度おなじみの言い訳タイム)

まぁ、はいちょっとやる気がね?……ね?
いやプロット紛いのものは書いてるんですけど、細かい描写とか書いてると三文字で止まるみたいな……。

あとエロね、エロ。
これ書いててる途中で何度R18の展開になりかけたのやら………
というかね、番外編のプロットもエロ展開になりすぎてね……ねっ!!!!
まーね、こういうのは脳内補完でやるのがいいというか、あられもない姿のアイドルを想像するのは容易くけど、書くという労力がとてつもないというのが本音で……
「思い切ってエロ前面で書くかー」と思ったら5000文字くらいでメンタルが折れたり。

と、とりあえずこれからも書くんで暖かい目で……暖かい目で見てくださいっ!!!!←大事だから2回

ここまで読んでくださってありがとうございましたっ!!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!!!


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25話

勢いで書いた後悔はしている


「なぁ、神崎蘭子って知ってる?」

「あーあのゴスロリの子でしょ?最近テレビでよく見かけるよねー」

「あのバラエティの時の珍回答が好きでさー」

「私はどっちかというと雑誌のモデルのイメージ強いな、ゴスロリのイメージ強いけど普通の服もすっごく似合ってるし」

「やっぱライブでしょ、あの盛り上がり方はやっぱ人気があるから……」

 

 

雑踏の中でも神崎の名前を聞くことが増えてきた、それだけ神崎の人気が周知してきたのはやはり嬉しい。

 

「おはよーごさいまーす」

「和也くんおはようございます、朝一から申し訳ないですけど蘭子ちゃんのスケジュールを聞きたいっていう電話が沢山きてて、これ番号です」

「了解です」

 

仕事を捌きスケジュール帳を管理するとどんどん真っ黒に埋まってくる。

 

「ユニットの話題性のピークは過ぎた……単純に人気があるからか」

 

芸能界というのは入れ替わりが激しい。

1発当てることが出来たとしてもそれは三ヵ月埋まれば充分上出来だ。

 

「煩わしい太陽っ!!」

「お、神崎おはよ、今週のスケジュールは予定通りだけど、来週のスケジュール変わったから古いのちょうだい」

「時の悪戯により我が運命も変わるのか……闇の宣告は如何なるものになった?」

「うーん、テレビ系の仕事が増えてるね、あ、あとアニメの吹き替えとかも入ってるし、今週だけじゃなくて来週も忙しくなってきたぞ」

「くっくっくっ、堕天使を統べる戦いの前に我の力を見せしめておかなければな!!」

 

……なんというか意外だな、総選挙とかあんまり気にしてる風だと思ってなかったんだけど。

少し目をパチクリしてると、むぅっと怒った顔をする。

 

「何を意外そうに見ている……そもそも和也が約束したんじゃん」

「後半は何を言ったが知らんが、向上心があるのはいいことだし、なによりその結果がこういった仕事に繋がるからな、あくまで総選挙は指標程度にしとけよ、思った以上に順位が低くてモチベーションの低下にもなりかねんし」

 

これはアイドル全員に言ってる。

確かに総選挙にて順位づけをするが、それはあくまで認知度や年間の人気の結果のようなものだ。

確かに十時愛梨さんが初代のシンデレラガールを取った。

しかし今年も取るかとといえば少し難しい。

ファンの方針的にも「みんなにシンデレラガールの称号を与えたい」という気持ちも強く今回の第2回の選挙は十時さんの結果は振るわないと予想する。

それで順位が低くなり十時さんのアイドルの仕事に対してのモチベーションが低くなったりしたりしたらそれは困るし、この総選挙の結果でファン同士で順位のマウントの取り合いやアイドル同士の仲が悪くなったら元も子もない。

 

「分かっておる……が、競うならば当然力は振るうだろう?」

「まぁな………そろそろレッスンだろいったいった」

「うむ、今宵も我が力を蓄えようふぅーはっはっは」

 

高笑いして出て行った。

 

「相変わらずですねぇ……」

「ん?あーさっきの会話ですか?相変わらずというよりかはちょっとだけ調子はいい感じじゃないですか?まぁ調子乗ってるなら厳しく叱りつけますけど」

「年が明けてから大分認知度上がりましたからね」

「年始の特番が着火材でしたね、着物でゴスロリっていうイメージが払拭されたし、それ以降からは普通の服のモデルの仕事が結構入りましたしね、本人も結構楽しそうにやってますしいい傾向ですよ……ただ」

「どうかしたんですか?」

「総選挙を意識しすぎってのはありますね」

「まぁ、アイドルはみんな意識はしますよ」

「仕事が増えて、結果も出して、認知度も上がってる。自信を持つことは大事ですけど、謙虚の心も忘れちゃいけないもんですから」

 

北原プロデューサーが後ろから来る。

 

「中道。一方に偏らないない考え方だね、和也くんも含めてプロデューサー達は意識的にこれをやってるね」

「へー、そうなんですか」

 

 

ちひろさんが関心した声をあげる。

夢を与えるという仕事は、突き詰めれば現実の積み重ねだ。

例えばライブ、そのアイドルにあった会場、音響資材、スタッフ、レッスン、アイドル、そしてお金。

生々しい数字が羅列する書類を扱う度に俺もプレッシャーと同時にやりがいを感じる。

 

夢と現実、その間にあるのがプロデューサーや俺のような人間だ。

夢だけに振り回されない、現実だけに振り回されない。

あくまで中間、これが大事なの。

 

「とはいっても自分はまだまだですよ、アイドル達に振り回されてますから」

「はっはっ、それが悪いわけでもない。大人になれば自然と現実の方ばかり意識してしまう、僕たちもどちらかというと現実に偏ってるからね、だから感謝してるんだよ和也くんには」

「そういった役割ですからね」

「そういう現実的な打算もしっかりと認識できる子は普通いないからね、武内くんもいい子を見つけたよホント」

 

ぐしくしと頭を撫でてくる。

……むぅ、子供扱いされてるのは若干気に食わないけど実際子供だからな、くそう。

 

「和也くんの今日の仕事は僕がやっておこう、今日はなるべく多くのアイドルのレッスンを見てきなさい」

「……いいんですか?」

「本来はこういった仕事までさせるつもりはなかったんだけどね、君が思った以上に優秀だったから任せてしまったんだ、本来のメインはこれじゃないからね」

「了解です、それではお言葉に甘えて」

「ああ、いってしゃい」

 

 

 

 

 

 

 

side神崎

 

今日は蒼の楽団のメンバーでライブ。

 

普段より小さいライブハウスだが、今回は何か熱気じみた何かを感じた。

 

「シンデレラガール総選挙前の前哨戦ってことでしたけど、ぶっちゃけると他のユニットよりこのユニットは人気です」

 

和也がライブ前に私達にそう言った話をする。

 

「あら、そうなんですか?」

「薄々は気づいてた」

「ふむ、やはり蒼の力か」

「正直私は自分の力不足を感じるかな」

「美波さんと同じく……」

 

「新田さんと多田さんはチャンスだと思ってください、力不足だと思うなら力がある奴に便乗しちゃえばいいんですよ、少なくとも僕はそこの3人と対して変わらない伸び代を持ってることは絶対に保証します、んで楓さん、凛さん、神崎は自信を持ってやってください、この一年伸び代を最大限に発揮したんですからちゃんと結果を狙ってください、んで最後に」

 

「「「「「あくまでシンデレラガール総選挙は指標だからこれで燃え尽きない」」」」」

 

ピタリと一言一句皆同じことを言う。

やっぱり皆んなにも口酸っぱく言ってたのね。

 

「ふふっ、マネージャーさんはここ最近ずっとこれですね」

「耳がタコになるくらい聞いたよ」

「我が盟友よ、いくらなんでも心配しすぎだぞ」

「大丈夫です、仮に今回振るわなくてもまた来年頑張りますから」

「ロックは永遠に不滅なんだよ?」

 

少し呆気を取られたのか、一瞬固まった和也。

もう心配してくれるのは嬉しいけど大丈夫だから。

 

「なら僕に言うことはありません、このライブしっかり楽しんでくださいっ!!」

「「「「「はいっ!!」」」」」

 

 

 

 

ライブは始まった。

確かにそれは感じる、みんなの応援が凄くてもっと会場が狭く感じる。

一人一人の顔が見える、一生懸命に声を上げてくれる顔が見える。

私キラキラしてるかな?ちゃんと答えてあげてるかな?

釣られるようにユニットメンバーもパフォーマンスが向上している。

練習の時よりダイナミックに。

練習の時よりクールに。

練習の時より可愛く。

 

この一体感が心地がいい、心地良すぎて……

 

気がつかなかった。

 

ダンスの関係上、フロアの汗を踏んでしまう。

 

足首を捻る。

 

結構痛いけど顔にもパフォーマンスに影響はない。

 

大丈夫、この空気は壊れてない、大丈夫。

 

最後までユニットのダンスは踊りきる。

それがこのメンバーでいる最低限のマナーだ。

 

下の歌詞画面から予定変更が見える、本当だったらこのままラストまで通しでやるのに、1つ間を挟むみたい。

 

視線を横に動かすと、テーピングを用意してる和也。

 

あはは、敵わないな……

 

だけどこれは最後まで踊り切ろう。

 

 

 

 

 

 

「蘭子大丈夫?」

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

痛い、痛い、痛い。

 

「大丈夫だ、みんながMCで繋いでるから呼吸を整えろ」

「はっ、はっ、はっ、はっ」

 

痛い、痛い、痛い。

 

早く、早く、早く、みんな待ってる。

 

はやく、はやく、はやくっ!!

 

「ひゅう、ひゅう、ひゅう」

 

「っ!?蘭子、過呼吸!!スタッフさん紙袋!!!!」

「か、かずや、い、息が」

「ゆっくり息を吐けっ!!…………っう、凛さんこれは見なかったことにしてください!!」

「何が!!」

「ゆっくり息を吐けよ」

 

か、かずや、か、かおちかい

 

………き、きす??きす??な、なんで?

 

「蘭子!!ちゃんと息吐いて!!」

 

あっ、息、入ってくる、息できる。

 

「ふぅ、ふぅ、ふぅ」

「よし落ち着いたな?」

「う、うん」

 

なんか凄いことしちゃった気がする。

 

「テーピングは一応巻いたけど、こんなの応急処置だし、ぶっちゃけ一時中止かお前抜きでやりたい」

 

だけど和也のその真剣な目に私はここがライブの現場だとはっきりする。

 

「蘭子どうする?」

 

そうだ、ライブだ。

 

「出る、出させてライブする」

「……分かったやるからには最後まで真っ当しろよ」

「うんっ」

 

立てる、大丈夫、歩ける、大丈夫、走れる、大丈夫、踊れる。

 

うん痛くないっ!!

 

「よし行ってこい!!」

 

そのまま私はフロアに向かった、その後記憶は少しぼんやりしてよく覚えてないや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




凛「紙袋持って来るようにお願いしたおかげでスタッフさんにはバレてなかったよ」
和也「よかったぁ、緊急事態とはいえバレたら洒落にならなかった、あの場面は凛さんにやらせた方がよかったかもですね」
凛「……ねぇ?もし私が…いやなんでもない」
和也「???」
凛「別に、ただそっちの方がお似合いだと思ったのよ」
和也「どういう事ですか?」
凛「なんでもないよ……バカ」


人間の関係なんて劇的に変わることもある。


ここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等よろしくお願いしますっ!!


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26話

勢いって怖いっす……


side凛

 

「お……おう、神崎おはよ」

「………わ、煩わしい太陽」

 

ふいっと顔をお互い背ける。

 

「えっ、何この甘酸っぱい空気」

「喧嘩……ではなさそうですよね?」

「……まぁ無理もないか」

 

流石にあの現場を見てたのは私だけだからあの2人が正常じゃない理由は分かるけど……

 

「というからんらんの足首の捻挫どうだったの?」

「全治2週間で安静にしろだとさ」

「我は問題ないぞ」

「一応仕事はキャンセルは入れてないけどモデルとかは厳しいだろうな」

「我に不可能などないっ!!」

 

ジトッと彼女を見るマネージャーと見つめ返す蘭子。

 

またフイっとお互い顔を背ける。

………蘭子、右手で唇を抑えちゃだめだから、勘のいいアイドルとかは気付くって。

 

「……右手、バレちゃうから駄目」

「はぅっ」

 

小声で注意しても蘭子は肌が白いから赤くなるのは隠せない。

 

未央あたりが「ほほーん、これは何か事件の匂いですねぇー」と言ってるけど……うーん未央の口の固さは微妙だからなぁ……

 

というか一番意外だったのは。

 

「……普段のポーカーフェイスはどうしたの?」

「……なんか感触とか色々思い出すから無理っぽいっス」

「ふーん……ふーーん」

「な、なんで怒ってるんですか?」

「別に」

 

別に怒ってないし、普通だし。

 

 

 

 

 

 

 

「今日は新しいPVの打ち合わせです」

「コンセプトはどんな感じですか?」

「魔王の花嫁ということです、衣装案はこのような形です」

「おおっ!!!!」

 

武内さんの衣装案を見て、ものすごい勢いで食いつく。

 

「ふむ、魔王の花嫁は可憐ではなく魔性の方がいい」

 

ちらっと武内さんはこちらを見るので

 

「この衣装はちょっと可愛いに寄りすぎてるので少しセクシーで気品のある感じの方がコンセプト的にいいそうです」

「なるほど……」

 

流れるようにメモを取る。

 

「そして契りを交わすのならば深淵ではなく葡萄染の方が良いだろう」

「色のコンセプトも黒じゃなくて紫の方がさっき言ってたコンセプトに近づけると」

「そうですか……」

「そして天界とは対の形をとるのが良いだろう、光のある所に闇があり、闇がある所に光あり、そう宿命の呪文は花嫁から告げるなど」

「なるべく普通の結婚式とは逆の形をとりたいみたいです」

「それならば一応セリフがあるんですが」

 

武内さんが仮のセリフを見せてくるので神崎に渡す。

 

「『闇の宿命……!呪われし魔力の導きでこの身が現世より失われないようもっと…………きつくわたしをだきしめて…………この身体が闇に飲まれ…やがて偽りの契りを結んでしまうのなら…せめてその前に…貴方との思い出を胸に眠りたい……さ、さいごの口づけを……くだしぃ』」

 

思わずジトっと見てしまう、今度は逸らさない。

……いやだってねぇ?

 

「だってだって、こういうのは恥ずかしいからぁー」

「いやだって結婚式だし」

「うう……ちょっと練習させて」

 

は?なにこいつ可愛いんだけど……?

 

「とりあえず衣装の案は意見として出します、それでセリフの方は……要練習ということでお願いしていいですか?」

「はい、怪我の関係で俺も付きっ切りになるんで」

「それではお願いします」

 

お互いに頭を下げて仕事に戻る。

 

「く、口づけを……くだしぃ……」

 

チラチラとこちらを見るな……色々思い出すから。

 

 

 

 

 

2週間後

 

足を怪我してから2週間が経ち、PVの衣装も出来上がって後は撮影だけなんだけど……

 

「最後のセリフがどうしても上手く行かねーな」

「だってだってー」

 

ジトッと見上げる蘭子……思わず顔を背ける。

 

「俺が悪いみたいな目はやめろ馬鹿」

「……わるいもん」

「うっ、あのなぁ」

「はじめてだったもん」

 

上目遣いでぷくっと頬を膨らませる。

ここまでくると逆に開き直ってきたか。

 

「……じゃあどうすればいいんだよ、俺はもう謝ることしか出来ないし、何をすればいいか分からん、蘭子は俺に何をして欲しいんだよ」

「うっ、それは」

 

そう結局は蘭子の問題なのだ。

俺にはどうすることも出来ない。

 

「……練習手伝って」

「セリフの?」

「イメージが付かないから私の感情が出てきちゃうの、だからちゃんと魔王の花嫁の役になりきる為に手伝って」

 

……むぅ、一理ある。

よーするに自分が多感だから抱きしめて欲しいとか、キスをしてくれとか言うと、頭の中こんがらがる。

 

なら、役になりきればそれは神崎蘭子ではなく名もなきただの魔王の花嫁になる……と

 

「分かった、セリフからちゃんとイメージしよう」

 

大事なのは役作りだ。

 

「多分ね、この結婚は正式なものじゃない」

「そだな、じゃなきゃ『最後の口づけ』とは言わないな」

「駆け落ちとかじゃなくて、この花嫁さんは別の人と結婚をするじゃないのかな?」

「『偽りの契りを結ぶ』つまり本意ではない結婚ってやつだな」

「でもコンセプト魔王の花嫁……魔王の花嫁が本意ではないってことなのかな?」

「それは大した皮肉だな、だけどこれで繋がるな、本来好きな人がいるが政略結婚か何かで魔王の花嫁になったと」

「だけど『貴方』との思い出が欲しいから、最後の口づけが欲しい」

 

……なんというか

 

「この花嫁さん悲しいね……」

「まぁ、時代背景やらなにやらは知らんけど、今だって自由恋愛だけじゃないのは確かだぜ………まぁ今のでイメージは掴めただろ?」

「うん、大丈夫」

 

少し悲しそうな顔をしたが何か覚悟を決めた目だ。

 

「俺はなにをしてればいいの?」

「私が和也に言うから立ってて」

 

つまりイメージアップの為の『貴方』役ね。

 

「闇の宿命……呪われし魔力の導きでこの身が現世より失わないようもっと……きつく私を抱きしめて?」

 

普段の蘭子のように勢いのあるセリフではなく、『貴方』にお願いをするように優しく言葉を紡ぎ、両手を広げる。

 

中々セリフを言わないのだが……もしかしてこれちゃんとやらないといけないのか。

 

何だかんだ俺と蘭子の付き合いは長い。

だけどそれでも彼女の甘い香りには慣れる気がしない。

見た目通り、細く折れそうな身体だから優しく抱きしめるが、彼女は納得出来ないのかまだセリフを続けない。

 

こっちも覚悟を決めてしっかりと抱きしめる。

 

「んぅ……あ」

 

蘭子は少し声を漏らすが、彼女もこちらを強く抱きしめる。

……先程とは違うモロに感じる神崎の体温と心音。

 

「この身体が闇に飲まれ…やがて偽りの契りを結んでしまうのなら…せめてその前に貴方との思い出を胸に眠りたい」

 

少し身体を離して顔を上げる。

悲しそうな顔をしている。

本当にこれが最後のような……

 

「……最後の口づけをください」

 

この目を見てはいけない、見ると呑まれる。

だけど彼女は目をそらすことを許さない。

 

目が合う、彼女の両手が胸の服を引っ張り、踵伸ばす。

 

相対的に俺は屈んで、彼女は伸びる。

 

口と口との距離はゼロになる。

 

彼女は柔らかい唇を確かめるように、優しくキスをして離れる。

 

「……もっと」

 

そう言うと今度は啄むように、舐めるようにと続けて唇を合わせる。

 

唇を合わせるたびに、自分の力は抜けていき、彼女の手は力が強くなる。

 

そして彼女の舌が口内の中に入ると、少し力が入るが、それ以上に彼女が抑えこもうとする。

 

そのままお互い何分舌を絡めたか分からないが、多分お互いがこれ以上は歯止めがかからないと思い、ゆっくり離れる。

 

「………キスしちゃったね」

「そう……だな」

「和也……私ね、和也のこと好きなの」

 

思いが溢れるように彼女は言う。

 

「私ね、人付き合いは得意じゃないの、だからカッコいい言葉を使って誤魔化してたの、

でもね、カッコいい言葉を分かってくれる人はいなくて余計に私は人付き合いが出来なくなっちゃった。

前の学校はそれが原因で転校しちゃったし。

……東京の学校に来ても前と同じ1人ぼっちになると思ってた。

けどね、和也が分かってくれたんだよ?

カッコいい言葉の意味を私の言いたいことを分かってくれたの。すっごく嬉しかった。

和也は色んな人に私とお喋りできるようにしてくれた。人付き合いは苦手だけどね、したくない訳じゃないからね……すっごく楽しかったの、それでアイドルのスカウトされて、和也も一緒に来てくれて、そこでもみんなに私とお喋りできるようにして……すっごくすっごく嬉しかった」

 

しっかりとこちらを見て彼女ははっきり言う。

 

「好きです、私は和也のことが大好きです」

「蘭子、でも」

「うん、分かってる、アイドルだから、みんなのアイドルだから、だからね付き合って欲しいとは言わない……でもね?いつか?アイドルをやめる時ね……私を貰ってくれませんか?」

「……その時まで俺のことが好きだったらな」

 

つい、茶化すような言い方をしてしまった。

……感じ悪いな俺。

 

「うん、ずっと好きだよ」

 

だけどそんなことよりもはっきりと好意を伝える彼女の笑顔は今までの中で一番綺麗だった。

 

 

 





エンダァァァァァァァ!!!!!!!



はい、嘘ですまだ続きます。

ぶっちゃけ全く予想外で何故こうなったのか作者が一番謎です。

作者は基本的に会話を自然にするのを意識して書いてるんですよ、だから会話が不自然だったりすると基本的に投稿が遅れたりします。
あと脳内で「こういうオチにしよう」って無理矢理決めると会話が方向性が決まって書きたいことが書けなくなる現象が起きるんでこれまた投稿が遅れます……投稿が遅れちゃうんです←大事だから
かといって会話を意識しすぎると、ワンシーンしか出てこなくて超短文しか出来ないとか……

まぁ、何が言いたいかと言うと、今回はなんかするする書いていって作者的にこれが一番「自然」でした。

……おっかしいなー、予定ではちゃんと主人公が自分の恋心に気づいて告る予定だったんですけど、蘭子の想いの方が強すぎてなんか…………こうなってしまった!!!!

全部蘭子が可愛いのがいけない。

とりあえずもうちっとだけ続きます、なんとなく終わりが近づくのが作者的にも感じてきてます。

それではここまで読んでくださいありがとうございます。
感想、評価等よろしくお願いします!!


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27話

なんか短いけどとんでもないのが出来てしまった


 

いつも通り……それが俺が彼女に求めたことだ。

 

「煩わしい太陽っ!!」

「おー、おはよ神崎」

「おはよう蘭子ちゃん」

 

学校のいつもの挨拶。

彼女がいつもより元気なのは誤差の範囲。

 

が、その後の行動が良くなかった。

 

ほんの半歩近いのだ。

普段の距離より。

 

一瞬藤井さんも「……ん?」と考えるそぶりを見せたけど、にっこにっこの蘭子を見て「……まぁ可愛いからいいかー」と放置している。

 

うーんでも見てる人は気付くよな……

 

半歩だけ距離を取る。

半歩詰めてくる。

さらに半歩だけ距離を取る

また半歩詰めてくる。

 

そこで俺は諦めた。

 

前の関係でも普段の距離は気持ち近めだったけど、今は完全に近い。

具体的に言うとちょっとよろけるだけで身体触れる距離。

 

「あっ、私提出物があるから先行ってて」

「おうよー………なんか近くない?」

「えっ?……そうかな?」

 

無自覚かー、全くもって無自覚なのね……

 

「で、でもバレてないから大丈夫だよね?」

 

バレバレなんだよなぁー、流石にこれは気付くと思うんだよなー

 

「あー、でも……」

 

否定しようとするが、彼女の顔が目に入る。

上目遣いと潤んだ瞳、そして悲しそうにこちらを見てくる。

 

……誰かこれに勝てる人いるか?

 

「注意されたら、ちゃんと離れるんだぞ」

「うー……分かった」

 

譲歩に譲歩してこれだ。

まぁ、うちのクラスならすぐに「おいテメェ蘭子ちゃんと距離ちけぇぞゴラァ!!」くらいは言うから大丈夫なはず。

 

……俺も蘭子に甘くなってる気がするなー

 

 

 

まぁ、もちろんこの後すぐに男子からチェックが入ったけどね。

 

 

 

 

 

 

 

side蘭子

 

授業中の時、空想の世界を考える時間が減った。

 

……和也のせいだ。

 

ふとした時に目で追っちゃう。

 

クラスの子と喋っているのに視界に入ると、つい見てしまう。

 

流石に見すぎて、藤井さんに「熱い視線送ってるねー」と言われて見ないように意識したけど、やっぱり駄目だ。

 

……あっ、和也消しゴム落とした。

 

わっ、こっちに気づいた。

 

……口パクで集中しろって言われた。

 

うぅぅ、まぁ、確かにそうだけど……

もっと色々あるじゃん、ちゅーもしたのにっ!!

 

 

 

 

ちゅーしたなぁ…………

 

 

 

 

 

…………ちゅーしたい。

 

 

 

いやいやダメダメ、だって学校だし。

 

うー、でもなんか口が寂しいというか……

 

 

 

 

……すっごくちゅーしたい。

 

 

 

「蘭子ちゃん次移動教室だよー」

 

……はっ、いつの間にか授業終わってた。

うぅぅ、どうやってちゅー出来るかで終わっちゃった。

……待ってでもこれはチャンスだ。

 

「すまぬ、少し我が盟友に相談事ができた」

「ありゃ?なんかお仕事関係かな?それじゃさっき行ってるよー、和也くん蘭子ちゃんがお仕事の事で用事あるってよー」

「ん?んー?……おう、分かった」

 

一瞬考えるそぶりみせた和也。

まぁ、基本的にお仕事は和也に回ってくるようになってるから、私に仕事関係のメールはあんまりない。

和也もだから一瞬「あれ?」って思ったんだど思うけど。

 

「んで、どうかしたの?」

「す、少し場所を変えていいか?」

「まぁ、一応スマホ禁止だしな」

 

学校にスマホの持ち込みは基本的に禁止だけど、お仕事の関係で私と和也は持ってていいことになってる。

だからといって堂々と出す訳にも行かない。

 

私は和也の袖を引っ張って人気のない所にいく。

 

「んで、なんだって?」

「……うぅぅ」

 

なんか急に恥ずかしくなってきた!?

 

えっ、なんで私、和也と2人きりになろうとしたの?

 

「ん、どうかしたか?顔も赤いし?」

 

和也が私の顔を覗き込む。

 

……あっ、唇。

 

「………ちゅーしたい」

「………………もしかしてその為に呼んだ?」

 

コクリと無言でうなづく。

 

「…………駄目、節度を保つって大事だろ?しかも学校だし」

 

分かってるっ、分かってるんだけど……

 

ぎゅーって和也の袖を握ってしまう。

 

「………ちゅーしたいもん」

 

和也を見つめる、私は我儘を続ける。

和也もほんの少し顔を赤くした、握ってない左手で顔を覆う。

 

「………1分だけな」

 

示し合わすように和也のおでこと私のおでこがくっつく。

 

目をつぶって、ゆっくりと唇を合わせる。

 

幸せな気持ちが胸の中から溢れて、身体全部に流れていく。

 

頭がふわふわして、胸がじんわりと暖かい。

 

「ねー、もっと」

 

甘えるように彼の唇に啄むようにキスをする。

 

もっと彼を感じたい。

 

自然と舌が和也の唇をなぞってしまう。

ほんの少し和也は唇を固くしたけど、諦めたように唇を開けてくれた。

 

舌先を彼の舌先に絡め合わせる。

 

くるくる舌が回って気持ちいい。

 

だけど少ししてすぐ離れる。

 

「……時間、もう駄目」

 

「……分かった」

 

名残惜しいけど、これ以上は時間が取れない。

 

袖を掴んだまま少し離れる。

 

 

……恥ずかしくなって、和也の顔が見れなくなった。

 

うぅ、私ほんとなにやってるんだろ……

 

「さ、戻るよ……あー、あともうちょい顔は引き締めてくれ、ゆるゆるだぞ」

「えっ?」

 

自分の頬を触るとずっと口角が上がってた。

 

「うーー……ごめんなさい」

 

もうなんか色々だ、色々ごめんなさいだ。

 

「あー、俺も、その、な?悪い気じゃなかったからさ……」

 

……それって

 

「だー、行くぞ、次の授業に遅れちまう」

「わっわっ、待って和也」

 

 

 

 

 

その時握ってくれた和也の手は私より暑かった。

 





なんだろう……

なんか砂糖が出来上がってたんですよ。

世の中不思議ですね?

蘭子可愛い。


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28話


今日は短めっ!!

作者の友達にこの作品がばれて27話を読まれて一言

「こりゃ、砂糖だわ」


 

「んー、そろそろ帰りますかー」

 

誰もいない事務所でゆっくりと身体を伸ばす。

机の下を全部確認して、アンダーザデスク組は居ないのを確認する。

次に鍵箱を確認するが1つ足りない。

 

「レッスン室ってことは自主トレかな?………いやいやもう夜の11時だぞ」

 

基本的に総選挙中はライブをやらないようにしている。

最後の最後でそのライブに参加出来なかったアイドルがアピール出来なかった、もしくはアピール出来たで恐らく総選挙の順位も変わってくるので、あくまで公平性を保つ為にライブをしない。

 

が、今残ってるアイドルはライブが近いわけでもないのにこんな時間まで残って練習をしている。

 

「気合い入りすぎだな……」

 

まだ誰か分からないがとりあえず軽く言っておくか……

 

 

 

 

「………お前かい」

「はぁ、はぁ、あれ?和也どうしたの?」

「どうしたもこうしたもねーよ、時間だよ時間」

「あれっ?えっ、あっ、ちょっ、シャワー」

「早よ行ってこい、ここの掃除は俺がしとくから」

「す、すまぬ、すぐ戻るっ!!」

 

蘭子はタオルと着替えを持ってすぐ部屋をでる。

ふと、フロアを見ると所々に汗が垂れてる。

 

「2リットルのペットボトルが2本とも空っぽって………」

 

思わずため息を吐いて頭を掻いてしまう。

 

モップをかけて部屋を綺麗にしてゴミ捨てを終えると蘭子は帰ってくる。

 

「ダウンするから横になれ」

「う、うん」

 

少し怒ってる感じが出てしまい、ビクビクしながら横になる

 

「ライブ前でもないのに詰め込みすぎ」

「いたっ!!ちょっ、我が盟友よっ!!痛い痛い痛い」

「問題ない適正だ、疲れてるだろうと思うから今日は念入りにしてやるよ」

「えっ!ほんとにいたっ!!痛いってぇぇぇぇ」

 

その後もレッスン場では悲鳴がつづく……

 

 

 

 

 

 

「あぅ………」

「ほれ、グダグダしない」

「我が身に力が入らない……」

 

筋肉痛を残さないように強めにストレッチをしたが、流石に疲労が全部とれるわけではない。

 

「だから詰め込みすぎだって言っただろ?今更ジタバタしても変わらないって」

「……我が盟友よ、我の力は頂きに届いているか?」

 

顔だけこちらに向けて聞いてくる、顔も真剣だが身体はダラけてるせいかシリアス感が全くないんだけど……

 

「知らん、ファンが決めることだし、今回ダメなら次頑張ればいいだろ?」

「むぅぅぅぅう」

 

ぷくっと頰を膨らませてこちらをジト目で見てくる。

本人は結構本気で聞いたのか、俺の返答に気に要らないようだ。

 

「うんじゃ、マジで早く閉めたいから早く立ってて、マジで終電なくなるし」

「むぅー…………ん」

 

……この子は一体何をしているのかな?

 

「一応聞くけど、なんで両手を広げてるの?」

「だっこして」

 

ねぇ、この子本当になんか吹っ切れたよね?そんなに甘える子じゃなかったよね?

……まぁ俺も甘々なんだけどさ。

 

「……ほら」

「えへへ」

 

細い腕が俺の首を絡め取るように抱きつく。

むぎゅっと効果音がつきそうな体つきを意識しないようにするが、御構い無しにこちらに身体を預けてくる……動揺を隠して足に力を入れて立たせる。

 

「ほら送るからさっさと帰るぞ」

「うむ………ねぇ、和也?」

「駄目」

「むー、まだ何も言ってはないではないかっ!!」

 

顔でわかるとは言わない。

 

「せ・つ・ど!!ここは仕事場だろ全く」

「むぅー」

 

はいはい膨れた顔も可愛い可愛い。

が、仕事場なのでNGだ。

 

「送ってくけど……今回はタクシーで行くか」

「漆黒の馬車を使うのか?それ相応な対価が必要なのでは?」

「ちったぁ、自分の認知度を考えろ」

 

この前送った時は電車で面倒な目にあったし何より前の時と今じゃ認知度が違いすぎるからな……

雑誌にさっぴかれる可能性もある訳だし。

……まぁただ今絶賛抱っこしてる訳だし。

離れるようにジェスチャーするとここ最近珍しくスッと離れる、……が当たり前のように腕を取る。

 

……あまりに自然にやるから一瞬固まる。

 

あー、アレ?妄想で貴族の娘みたいなことを想像してたからそういうこと出来るの?

あまりに自然過ぎて男を転がすのが得意な人かと思ったわ。

 

「……惚けているのだがどうしたのだ?」

「……いや、お前意外と男子ツボ抑えてるんだな?」

「???」

 

……この天然悪魔め。

 

「とりあえずコレも事務所内までな」

「……むー、この力もいずれ解放したい」

 

なんかこれじゃ満足出来ないみたいな顔してますけど、これでも俺のメンタルへのダメージは大きいことを理解してほしいぞ。

 

 

 

 

 

タクシーの運転手さんに蘭子の家の近くのコンビニまで送ってもらう。

まぁこれも一応運転手さんにアイドルの住所を教えないみたいな効果もある。

一番ベストなのは俺自身が車の免許を取ることなんだがいかんせんあと4年かかるからな。

 

少し思考に思い耽っていると右手に柔らかい感触が伝わる。

 

思わずジト目でそっちを見ると、イタズラしたように笑う。

……あっれー、いつから小悪魔属性ついてたっけ?

 

運転手さんがいるから注意もできないし、それに気づいたのかさらに手の動きが大胆になる。

 

最初は撫でてただけだが、手のひらを広げるようしてくる。

最初は抵抗するが、諦めたように力を抜くとすぐに手を繋ぐ。

 

最初は握手みたいに繋いでいたが、どこか不満気。

 

ほんの少しこっちに寄ってくると指を絡める。

 

「そーいや、風邪引いた時以来だな」

 

ここまで無言でやっていたがふと思い出したようにいうと、キュッと握ってくる。

 

「今度和也が風邪引いたら私がやってあげる」

「風邪引いたらそもそも家に入れないから無理だな、俺の仕事的にも」

「むぅー、我も世話したいっ!!」

「駄目なもんは駄目、移ったらそっちの方が損害でかいんだから……それに」

「それに?」

 

恥ずかしいのでつい窓側を向いてしまう。

 

「風邪引いてる時限定じゃなさそうだからなコレ」

 

握った手を少しあげる。

 

「当然であろう、我らの運命は既に定められているからな」

 

 

 

 

 

相変わらずだが、微笑む彼女には勝てない。

 






なんていうかこの作品の前半ってクッソ読みづらくないですか?
特に1話っ!!

ということでそのうち前半書き直します。
なんか下手すぎて、作者なんですけどこの作品切りたくなりましたもん、改めて見て。
しかも新規さんとか絶対に1話読むじゃないですか?なのに1話がクッソつまらないとあれですもんね。

まぁでも無理もないです、あの時の作者ぶっちゃけここまで続くとは思ってなかったし、こういう展開になるとは思ってなかったので前半は割とテキトーに書いてた気がしますね。

……まぁ今じゃ砂糖過剰供給してる感が否めないですが。

まぁこれから新規さんも見ることを意識して書き直しますっ!!

ここまで読んでくださりありがとうございましたっ!!

評価、感想…………特に感想っ!!
ほんとに感想お待ちしておりますっ!!!!!!


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短編集
特別短編



注意 この話には神崎蘭子は出て来ませんっ!!



一ノ瀬志希は少し気に入っている

 

「和也ぁぁぁぁあ、志希が失踪したっ!!」

「あー、りょーかいっす」

 

電話から赤羽根さん魂の叫びを聞いてからすぐに頭の中に地図を思い浮かべ、テレビ局とは逆方向に向かう。

 

「さてさて」

 

何もこれは捜索をサボっている訳ではなく、志希さんのクセみたいなものだ。

好奇心旺盛な志希さんは基本、知ってる物よりも知らないことの方が好きだ。

なら当然この考え方は失踪する時にも出てくる。

知ってる方向よりも知らない方向へ、当然事務所の方向にも行かない。

 

とは言っても大体の方向は予想つくけどあくまで予想だし、何より本人が気まぐれだからなぁ。

………猫の気持ちを理解しろとほぼ同義だし。

 

 

「案外、猫と戯れてたり」

「ゴロニャーン」

「とか言ったら本当に戯れてたよ」

 

猫じゃらしを使って猫と戯れている。

 

バレないように彼女の背後に立ち、首の襟を掴む。

 

「確保ー」

「あらら、もうちょっと粘れると思ったんだけどなぁ」

 

抵抗も特になく、そのまま立たせるとグッと顔を寄せてくる。

 

「クンクン………結構迷わずにここまで来たね」

「汗の匂いで歩行距離を調べないでください」

 

近いので離れてもらおうと手でジェスチャーするがそのまま腕を取られ組まれる。

 

「そんじゃあたしも道覚えてないからマネージャーよろしく」

「その前に確保した連絡をしていいですか?」

「いいよー」

 

 

 

 

 

「なんでそんな所に居るんだよっ!!!!」

 

赤羽根さんの魂の叫びを再びした後すぐに冷静になり、事後のスケジュールを教えてもらう。

 

「それじゃ行きますよ」

「そーいえばさ、マネージャーは怒らないよねー」

「怒って治るようなものだったら怒りますよ」

「まぁ、ワタシのコレも発作みたいなものだしねー」

「なるべく抑えてくださいね」

「はーい」

 

全く治す気こない返事で思わずため息が出そうになるがグッと抑えて帰り道を歩く。

 

「………それといい加減匂い嗅ぐのと引っ付くのやめません?」

「ええー、せっかくいい匂いなのにー」

「………清潔にはしてますけど、一応ここまで汗はかいてるんで」

「うん知ってるよ、ワタシの好きな頑張ってる匂いしてるし」

 

………なんというかこの人もナチュラル男子キラーたよな、今の普通の男子だったらワンパンKOからの満塁ホームランだ。

ついでにウチの事務所でナチュラル男子キラー、堂々一位は本田未央さんです。

 

「だからって人前でやるのは勘弁してください」

「なるほどつまり人前ではなければいいんだね」

 

………ナチュラル男子キラーと言うよりなんかイケない空気を醸し出すんだよなこの人。

美嘉さんみたいな軽い誘いじゃなくて、マジで誘ってるような感じなんだよ。

まぁ刹那主義ぽいからなぁ、志希さん。

 

「はぁ………この住宅街までですよ」

「良い妥協点だね〜」

 

とりあえずは納得してくれたのか、住宅街をゆっくりと歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

この中で一番は

 

「マネージャーって事務所で一番喋ってるの誰?」

「神崎」

 

ニュージェネのミニライブの付き添いでふと未央さんが尋ねてきたが間髪入れずに返答すると「あー」と軽く納得する。

 

「それじゃ、らんらん以外は?」

「うーん………遺憾ながら事務所で一番喋るのは未央さんじゃないんですか」

「遺憾ながらってなにさっ!!………なんでしまむーは顔背けてるの?」

「イエ、ナンデモナイデスヨ」

「えー、ぜったい何か隠してるよっ!!」

「………あー、『事務所で』ね」

「えっ、しぶりん何か分かったの!?」

「ほら卯月って長電話するじゃない?」

「あー………まぁ、ちょっと長いよね」

「そ、そんなにですかっ!?」

「私、初めて4時間以上LIN●したよ?」

「あー、私は6時間だったなぁ………マネージャーは?」

「8時間でしたね」

 

「「うわっ」」

 

「それを一週間一回のペースですね」

 

「「うわぁぁ」」」

 

何故か物凄く可哀想な目で見られた。

 

「卯月、幾ら何でも長いよ」

「だ、だってぇ」

「しまむーは何?マネージャーのこと好きなの?」

「す、すきっ!!??」

「いや、だって8時間も何か喋るの?」

「そのぉ、最近のお仕事の感想とかダンスの練習の内容とか、オススメの化粧品とかダ……ダイエットの方法とか」

 

「女子との電話かっ!?」

 

本田さんにキレツッコミをされる。

 

「えっ、何?マネージャーはオネェなの?」

「んな訳ありませんよっ!!どれも他のアイドル達の受け売りですって」

「あー、なるほどねー………いやでも内容途中から女子の会話ぽいよね」

「まぁ、基本聞き手ですから、話し手の方がそういう話をするならそれはそれで合わせますよ」

「以後気をつけますぅ」

 

しょぼんと顔を下げる島村さん。

 

「えー、じゃあこの中で一番喋ってないのはしぶりん?」

「んー、そんな訳でもないんですよね」

「うん、普通に仕事の話とかするし、ライブ前とかは結構喋ったりするよ」

「えっ!?じゃあ今日のライブも?」

 

 

「うん、今日の私は良いのか、悪いのか、いつも通りなのかとか」

「ステージの上の心構えの再確認ですとか」

「このユニットで私は何をするべきなのか」

「そういう話が終わったら最近のハナコの様子とか喋ってますよ」

 

「なんか大人の付き合いですね」

 

島村さんに尊敬な目で見られた。

 

「じゃあこの中で一番タイプなのは?」

 

本田さんの発言に思わず肩を揺らす。

 

「一応マネージャーって立場なんすけど?」

「ほらほら女子のトークといえば好きな人とか、好きなタイプの話とかあるじゃん」

「それをマネージャーに振ります?」

 

大きくため息吐いて、とりあえず適当に濁そうと考えようとしたら。

 

「で、この中で誰がタイプなの?」

「わ、私も気になるかなーって」

 

思わず二回身体がビクつく。

 

「ほらほら二人も気になってるし、答えちゃいなよーマネージャー」

 

「「「この中で一番は」」」

 

 

果たして正しい答えというのはあるのなら今すぐ教えて欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

 

アイドルと護身術

 

ジリジリとお互いの間合いを確認する。

早苗さんが間合いを詰めようとすると、中野さんは一歩引く。

 

柔道と空手の間合いは似てるようで、少し違う。

柔道は技を決めるには、組まなければならないが、空手の技は打撃が多く組む必要もない。

 

故に、柔道の有利の間合いに入らず、自分の間合いである場所を確保するために中野さんはある程度の間合いを取っている。

 

早苗さんは様子見の間合いの詰めはやめて、自然体だが、どっしりと立つ。

中野さんは一瞬だけ顔を強張らせ、相手の意図を理解する。

 

自分の間合いから離れるなら、相手が入ってくるのを待つ作戦。

 

打撃の間合いは遠いとは言え、接触すれば間合いも何もない、その一瞬を刈る。

 

中野さんはゆっくりと息を整え、ピタリと動きを止める。

ボクシングなどは足でステップを踏みリズムを大事にするが、武道では基本的にはステップはしない。

 

リズムを作るということは、タイミングを計りやすいのだ。

足が沈んだ時、拳が下がった時、腰が落ちた時、こういった動作が次の攻撃を読む要因になりやすい。

 

その点武道は静から動の動きが基本。

0から100。

振りかぶりやタメは邪魔な要素。

最短距離でなおかつ最大威力に。

 

「ヤッ!!!!」

 

気合いが入った踏み込みで一瞬で早苗さんとの間合いを詰め、前蹴りをする。

その速度はとても女性が蹴るよう速さではなかったが、早苗さんは最小の動きで躱す。

そして伸びきった足を捕まえようとするが、中野さんは足をすぐに引き、また間合いから外れる。

 

格闘経験者なら分かるが、空動作と実際に打ち込みは別物だ。

空動作は型に沿った正しい動きをするが、実際に人に打つと体重を乗せたがる。

 

しかしそれは上級者になればなるほど大きな隙になり、技をかけた後に手痛い反撃をもらいやすい。

 

果たして中野さんはそこまでのレベルに達しているのか見極める為の待ちだったが、予想以上の実力なのか早苗さんはほんの少し笑みを浮かべる。

 

その後お互いの様子見のような攻防は続いたがお互い有効な一撃は入らなかった。

 

「(うん、若さのまま突っ込むかと思ったけど案外冷静ね………取りあえず)」

「(あのどっしりとした構えに、空手とは違う間合いの取り方でやりにくかったですが大体掴めました………)」

 

「「(次は仕掛ける)」」

 

 

「いや、時間押してるんで護身術に入ります」

「「えっ!?」」

 

うん………確かに高度な試合だったけど、やるのは合気道だし、締めも打撃もしないしね。

 

 

 

「ということでさっきの試合のように、ザ・格闘をするのではなく、あくまで護身術として必要な知識と技術を学び、実際にやってみるのが今回の護身術です」

「「はーい」」

 

「「何の為の試合だったのっ!?」」

 

若干2名ほど納得いかないようだが、アイドルの時間は有限なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

奏さんとゲームと本質とこれからと………

 

「ねぇ、マネージャー?」

「なんすか?」

「個人的に私あなたのこと気に入ってるのよ?」

「そうですか、俺も奏さんの性格を含めて好きですよ」

「そう、嬉しいわ………レイズ」

「良かったです………コール」

 

「「オープン」」

 

お互いブタのカードが出てくる。

 

「あらあら?堂々とコールしてきた割には大した手札じゃないわね?」トランプ集める

 

「あはは、奏さんは手札が悪いと強気になりますからね、………ステージと同じ様に」集めたトランプシャッフル

 

「私がいつステージで強気な感じを出してるのかしら」配られたトランプを取る。

 

「ビビってるくせにポーカーフェイスと雰囲気で誤魔化せる所ですね」2枚捨てる。

 

「あら、そういうマネージャーだってステージ裏でアイドルにハグされるとポーカーフェイスと雰囲気で誤魔化してるじゃない?」3枚捨てる。

 

「それとマネージャー?女の子にハグされる時、表情を隠せてるけど手が震えてるのは私知ってるわよ?………レイズ」

 

「あー、バレてます?でも奏さんも気をつけた方がいいですよ?………コール」

 

「何かしら?」

 

「恥ずかしい発言をした後、表情は誤魔化せてるけど耳赤くなりますよ?今もそうですし」

 

バッと耳抑える奏さん。が、今回は俺の勝ちの様だ。

 

「オープン、4カード………まぁ、俺の勝ちっすね」

「………赤くなってないじゃない」

「えぇ、ハッタリですし」

 

奏さんは大きくため息を吐くとそのまま椅子の背もたれにグッタリする。

 

「ねえ、マネージャー?」

「なんすか?」

「貴方ちゃんと見てるのね」

「うーん、正しく言えばプロデューサー達もみんな知ってますよ。

朝の時は少し機嫌が悪くて、差し入れに甘い物がくるとうれしくて、仕事が終わると気が抜けて、恥ずかしい発言をすれば照れちゃう、案外普通な女子高生の速水奏さん」

「もぉぉぉ、…………なんかヤダ」

「そんな悔しがらないでくださいよ、年下にいい様に心情把握されて、なおかつミステリアス小悪魔系キャラが、キャラって見抜かれたくらいで」

「ねぇ煽ってる?煽ってるでしょ?」

「まぁ、だからそんな周りの期待が重みになったら俺達に相談してください」

「…………ほんとヤダ」

「年下が嫌だったら歳上の赤羽根プロデューサーに、異性が嫌だったら同性の麗華さんに相談してくださいね」

「そういうことじゃなくて………本当にみんな知ってるの?」

 

顔を赤くしながらこっちを見る奏さん。

 

「クローネのリーダー、LiPPSのリーダー、単独としても人気の奏さんが大きな期待に押し潰されそうになってることは把握済です」

 

ジトっとこっちを見るが話は勝手に続ける。

 

「まぁ、ファンの前でそういう所は見せないでほしいですけど、プレッシャーに押し潰されそうな所とか、駄目な所とか、我儘な所を受け止めるのも、こっちの仕事ですよ」

 

「だから、俺達の前で肩肘張らなくていいですよ奏さん」

 

「………分かったわよ、馬鹿」

 

そう言ってそのまま机の上に突っ伏す奏さんだがその耳は本人には似合わない赤だった。

 

 

 

後日 ライブ終了後

 

「みんなアンコールありがとう」

 

アンコールも終え、優雅に去る姿は最後までファンを魅了してステージを降りる。

 

 

大概のアイドルはステージ裏で力尽きるか、感情を爆発させることが多いが、余裕の笑みを絶えさず待機室まで戻る。

 

奏さんが待機室に入ってすぐにスマホのバイブが鳴る。

確認しなくとも分かっているし、内容もどうせ待機室に来いということだ。

着信を切り、待機室をノックすると奏さんは顔を少し出して俺の手を思いっきり引っ張り、そのまま全力でハグをしてくる。

 

 

 

普段ならこういう事はさせないのだが、ライブ後のアイドルは色々と昂ぶっているので、そのまま好きにさせる。

麗華さん曰く「ハグはまだいい方よ、私なんて胸を揉まれて、首に甘噛みされて、そのまま壁に押し付けられたのよ?しかもステージ裏で………多分同性だから遠慮なしで行っちゃったと思うけど、あの時の周りのスタッフの顔は思いだしたくないわ」と。

 

ぎゅうっと音が鳴るくらい強く抱きしめると片手だけ手を握ってくる。

 

「やっぱり震えてる」

「動揺なしで奏さんとハグできる人がいるなら見て見たいですよ」

 

大きなため息を吐くとクスッと耳元で笑う。

 

「………言葉じゃ勝てないから、身体を使って攻めた方がいいわね」

「冷静になってるなら離れてください」

「あら、私の胸の鼓動聞こえない?」

「………落ち着いたら離れてくださいね」

「落ち着いたらね」

 

 

果たしてこの胸の鼓動は奏さんなのか、俺の鼓動なのかは途中からよく分からなってしまった。

 

 





書きたいことが纏まらないので、纏めずにだした!!
もはやタイトル詐欺すぎてちょっぴり後悔はしているっ!!

いや、本編は全く書いてない訳じゃないですけどなんか上手く表現できずにいます。

このまま投稿しないのは待ってる人に申し訳無いので、思いついた限りの話を出しました。

蘭子待ちの皆様、どうかお待ちしてくださいっ!!

あ、あと本編全く関係ないですが限定蘭子を得る為に天井まで回しました。

ここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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特別短編2

普通の短編とパロネタ、下ネタ、キャラ崩壊があります。
あと、蘭子出ませんっ!!


冬の撮影と天然小悪魔

 

「いいねーフレデリカちゃん」

「でしょー」

 

カメラマンと仲良く会話しながらしっかりとモデルの仕事をするフレデリカさん。

 

「はいじゃあここまで、フレデリカちゃんお疲れー」

「ほーい」

 

そのまま足早にマイクロバスに向かうフレデリカさんに上着と毛布を掛ける。

 

「あっ、マネージャーありがとうー」

「とりあえず寒いんで早くバスに入ってください」

「はーい」

 

足早にバスに入ると暖房のお陰で暖かくなっているが、手の末端まで冷えきっているフレデリカさんにとってはまだまだ寒い。

 

「うー、寒かったよー」

 

身体を縮ませて手をすり合わせる。

普段元気なフレデリカも流石にこの寒さは堪えるようだ。

 

「カイロと缶コーヒーもあるんで」

「ありがとうー」

 

寒さのせいかあまりボケない。

………正直やりやすいがコレはコレで少し痛ましいな。

「寒い寒い」と言いながら缶コーヒーを開けようとするが指に力が入らないせいか開けられない。

代わりに開けてあげようとコーヒーを貰う為手を出すとフレデリカさんはキョトンとしてから手を握る。

 

「いや、缶コーヒーくださいよ」

「うーんフレちゃん的にはコーヒーよりも人肌の方が好みなんだよねー」

 

そう言いながら両手で俺の手を握る。

本人に似合わないほど両手が冷たい。

 

「ねー、マネージャーも座って座って」

「はぁ……」

 

隣の椅子に座ってみるが、手を握ったままだとなんとも言えない体制だ。

 

「むー、なんか違うねー」

「というか手を離してカイロで暖まりましょうよ」

「そうだ」

 

そう言うとバスの肘掛けを引いて、毛布を広げる。

 

「はいマネージャー入ってどーぞー」

「いやいやいや、何当然のように入れようしてるんですか」

「寒い中薄着で撮影頑張ってるフレちゃんをもっと労ってよー」

「いやいや駄目ですから」

「いいもん……えいっ」

 

ギュッと手を握られそのまま引っ張られるとすっぽり空いたスペースに入れられ、そのまま毛布で包み込まれる。

 

「マネージャー確保ー」

 

そう言うとそのまま腕に抱きつき手を絡めてくる。

 

「あのフレデリカさん?」

「えへへー、奏ちゃん曰く「マネージャーって小言うるさいけどハグすれば基本許してくれるから」って言ってたから」

「………後であの人の恥ずかしい噂流しまくってやろう」

「あはは、奏ちゃんごめんねー」

「………とりあえず離れてくださいよ」

「うーん、じゃあ私があったまるまでで」

「自己申告制でどうしろと」

「じゃあマネージャーがフレちゃんがあったまったなーと思ったら離れていいよ」

「………分かりましたよ」

 

一応俺にも離れる権利がある。

………それにまぁ、この手は実際かなり冷えてるし。

仕方なくだ………仕方なく。

 

「いやーあったかあったかー」

「そーですね」

 

俺の冷たい反応なんて気にせず握った手を強くしたり、弱くしたりする。

しばらくそのままだったが肩に頭が乗っかる。

何か小言を言おうとしたらフレデリカさんの顔が思った以上に近くて一瞬固まる。

 

 

 

「………駄目?」

 

 

 

普段のイダズラめいた顔ではなく、潤んだ瞳と少し不安そうな表情に上気した頬。

こうやって自分を限界まで客観視しなければ絶対に直視することもできない表情を目の前でしてくる。

 

「………駄目じゃないです」

「うん、ありがと」

 

いやいやいや、何が駄目じゃないですだよ、止めなきゃ駄目だよ。

どうにか離れるように頭を働かせようとするがどうも頭が回らない。

 

「あっ、本当なんだ」

「なにがですか?」

「表情は変わらないけど、恥ずかしがってると手が震えるって」

「………まさかその為に手を握ってたんですか?」

「寒いから手を握ったんだよ?」

 

またしてもキョトンとした顔をする。

………この天然小悪魔め。

 

「はぁ………うんじゃそろそろ離れましょうか」

 

フレデリカさんの手もさっきほど冷えていないし、そう思って席を立とうとしたが立てない。

 

「あの離れて欲しいんですけど」

 

さっきと変わらず、手を握り腕を組んでいる状態だ。

えっ、俺の離れる権利はどうしたの?

 

「うん、だけど私は離れたくないなー」

 

………うん、これ知ってる。

酔った時の麗華さんと同じ理論だ。

 

「………もう好きにしてください」

「うん好きにするよー」

 

それから30分位ずっとこのままだった。

誰かと変わってくれとは思わなかったが、これは中々心臓に悪いことをしたと思う。

 

 

 

 

 

 

コタツシリーズ

 

年末の大掃除というのがあるのだが、実際丸一日かけても終わらない所は出てくる。

なので暇な時間が出てきたら定期的に掃除をしていたのだが、思った以上にプロデューサー達も綺麗好きで整理するとさらに使いやすいように整理をして………というちょっとした無限ループが始まり、かなり無駄な物が減り、部屋が一つ空いてしまった。

 

空いた部屋を何もせずしておくのももったいないので娯楽室にしたのだが、ほとんど物がないので使う人あまりいなかった。

しかし、あるものが置かれて頻繁に使われることになった。

 

 

 

 

 

 

アンダーザコタツ

 

「あら、マネージャーもコタツですか?」

 

部屋に入ると先客のまゆさんがコタツに入っている。

 

「えぇ、今日の分の仕事が終わったのでコタツの確認ですね」

「あぁ、確かこのコタツ、マネージャーの私物なんですよね?」

「せっかくの和室だったんですし、まだ置いて日も経ってないですからコタツの確認ですね」

「そうなんですか」

 

他愛の話をしつつコタツに入ろうとしたが、ちょっとした違和感を感じる。

 

「もしかして居ます?」

「2人とも床が冷たくて困ってたんですよ」

 

苦笑いを浮かべるまゆさんだったが、そもそも机の下にいないで欲しい。

綺麗にしているとは言え埃っぽい所だし、そして何よりも俺の精神安定の関係で。

 

………考えてみよう、机の下にアイドルがいるという状況。

百歩譲って森久保や輝子さんはまだ良い、存在感を感じるが、ギリギリ許容範囲だ。

だけどまゆさんはただ居るだけじゃない。

例えば、外回りに帰ってきてそのまま報告書を書こうとすると、足をマッサージしてくる。

いや、気持ちいいよ?

普通にツボを押してくるし、足も楽になるし。

だけどイケナイ妄想ができるくらいに絵面的に不味い。

 

始めてマッサージをしてもらった時は声が出かけて抑えたんだけど。

ふと、客観的に自分を見てみると。

 

机の下+アイドル+悶える俺=………うん社会的に死ぬまで想像できた。

 

どうにかやめさせたいのだが、本人達は断固反対してる訳だったが………最近は冷え込んできたおかげで三人とも机の下には来なくなってきた。

 

そして次の居場所は娯楽室のコタツなんだが………

 

 

 

 

ため息を吐いて、コタツの中を見ると少女が2人丸くなっていた。

 

「森久保、輝子さん風邪引くんでコタツの下で丸まらないで下さい」

「む、無理です、今日からここが森久保の居場所です」

「個人的にはもう少しじめってる方がいいが、この際仕方ない」

「御託はいいからさっさと出なさい」

 

少し強めに言うと渋々出てくる2人。

申し訳なさそうこっちを見てくるが(森久保はあまり見てないが)俺の持っているものに目が止まる。

 

「ふひひ、コタツといえばそれは必須だな」

「今日はお試し用で、色々な産地のみかんを持ってきたんで感想ください」

「ありがとうございます」

 

まゆさんと輝子さんはみかんを取ってすぐに食べるが、森久保だけは取ろうとしない。

 

「どした?みかん嫌いか?」

「ち、違いますけど………またこの前みたいにいきなり仕事に連れて行かないですよね?」

「まだ根にもってたの?」

「根にはもってないですけど………警戒するのは当然かとぉ」

 

前回森久保をどうにか机の下から出させようと考えた結果、お菓子で釣って連れて行った。

机の下でヒラヒラとお菓子を揺らすと、最初は警戒気味に見ていたが、恐る恐るお菓子を摘むとそのまま掴んで仕事場に連れって行った。

無理無理と連呼していたが、なんだかんだやってくれたので、お詫びも込みつつケーキ屋に連れて行ったが、そこでも小動物のような警戒をしてたが、ケーキを目の前にあえなく負けた。

 

「やればできる仕事だけしか選んでないんだけどなぁ」

「ちょ、ちょっとしたLiveを軽い仕事みたいに言わないでください」

「いつやるかは言ってなかったけど、普段から練習はしてただろ?」

「そ、それなら普通に言ってください」

 

軽く森久保と喋っていると2人から視線を感じる。

 

「どうしました2人とも?」

「いや、親友とボノノちゃんって」

「仲いいですよね?」

「まぁ、駄々こねるから自然と会話が多くなるんですよね」

「森久保がワガママみたいなのはやめてほしいですけど」

「そうか………実は明日CDのサイン会で森久保も参加す」

「無理です」

「うん知ってた」

 

みかんを剥いて食べる………うん甘い、これは当たりかな?

 

「「(………やっぱり仲良しなんじゃ)」」

 

 

 

 

 

 

 

あんきらサンドイッチ

 

「…………寒い」

「道民なのに寒さ耐性ないんすか?」

「マネージャーは分かってないなぁー、道民だからこそ寒さには対策してる訳、部屋もあったまりやすいようにとか保温効果とか色々考えてるけど、こっちは四季に対応してる分寒い部屋が多すぎ」

「だったら暖房のある部屋に行けばいいのに」

「うーん、杏はあんまり暖房好きじゃないんだよね、すぐ喉やられるし、何よりここは畳でゴロゴロしていいのが良い」

 

 

杏さんはグデーと横になってしばらく黙る。

こうして杏さんと一緒に過ごしてのはきらりさんの仕事が終わり帰ってくるのを待っている為。

何だかんだで仲良し2人組なんだよなぁ。

 

しばらくするともぞもぞ動いて胡座の姿勢に戻る。

目と目があったので首を傾げると。

 

「腰が痛い」

「あー、まぁ、うつ伏せになるには畳は不便ですよね」

「だけどコタツの胡座は背中が冷えるんだよねぇー………そだ」

 

ノロノロ立ち上がるとこっちに向かって歩いてくる、なんか非常に嫌な予感がするんですけど。

 

 

 

 

「マネージャースペース詰めて、背中が冷える」

「一応アイドルとマネージャーの関係の正しいあり方を説きたいんすけど?」

 

俺とコタツの間に無理矢理入り込み、暖を取っている。

いつかの麗華さんの逆バージョンだなコレ。

 

「アイドルあんず困ってる、マネージャー助ける、はいQ.E.D」

「よろしい、なら男女の関係上の観点からコレは不味いんじゃないですか?」

「えぇー、マネージャーってこんな貧相な身体に欲情する人なの?」

 

そう言って身長差の関係上、上を向きながら身体を擦り付けてくる。

 

「貧相とか豊満とかそう言う問題じゃなくて、くっついてるだけで男ってのは勝手に勘違いする生き物なんです」

「ふーん、意外と純情だねマネージャー」

 

杏さんはそう言うと、俺を椅子の背もたれのようにグデーとだらける。

………が

 

「杏さん、耳が赤くなるくらい恥ずかしいならやめればいいのに」

「う、うるさいなぁ、大体マネージャーが変なこと言うからでしょ」

「変なことやってるのは杏さんですって………とりあえずきらりさんに見られたら色々と誤解を受けそうなんで早く」

 

「にょっわーー、マネージャー、杏ちゃんただいまにぃーーー………あり、杏ちゃんは?」

「あぁ、きらりお帰り」

「何事もない感じで顔を出すのやめてください。

ほら、きらりさんも固まってるじゃないですか」

「ず、ず、」

「「ず?」」

「ずっるいーー、きらりも合体すっるーーー」

「ちょっとぉ!?」

 

勢いよく背中に抱きついてくる。

待って待って、柔らかい感触とかいい匂いがするとかの前に、首が極まってる極まってるっ!!

 

「きらり、腕組んでるところが首だから緩めてあげないとマネージャー死んじゃうよ?」

「あっ、ごめんなさいにぃ」

「いえ、というかなんなんすかこの状況」

 

杏さん、俺、きらりさんでサンドイッチというとても外に見せられない状況なんですけど………

 

「マネちゃんあったかいねー」

「そう言いながら杏の頭を撫でるのね……」

「というかきらりさん足しかコタツ入ってないですか、俺が抜けるんで……」

「ダーメ、コレがいいのー」

「………そうですか」

 

そしてぐにゃりと俺を抱きしめながら杏さんを撫でるという器用な技をする。

 

「なんかご機嫌だねきらり」

「うん、きらりぃ、コレ好きぃ」

「………きらりさん眠いですか?」

「ちょっぴりー」

「寝ていいですよ、この体勢が……」

「コレでいいのー」

 

疲れているのかそう言ってそのまま直ぐに寝てしまった。

 

「………マネージャー、杏に硬いの当てないでね」

「アイドルがなんちゅうこと言ってるんですか」

「いやだって背中におっぱい当たってるっしょ、杏も抱きしめられてる時もめちゃくちゃおっぱい当たってるし」

「………まぁ、裏技みたいなのがあるんでその辺はご心配なく」

「ふぅん………うんじゃ杏も寝るから30分くらいしたら起こして」

「そうですか、それじゃあ、おやすみなさい」

 

2人して寝てしまい、なんとも言えない状況に困ると同時に少し和んでしまった自分もいる。

 

 

 

 

 

 

二匹のネコとコタツ

 

「志希さん、流石に事務所に寝泊まりは許しません」

「えぇー、帰るのめんどくさいー、しかもマネージャー達もここで偶に止まるんでしょー」

「女性は全員寮の方で寝泊まりしてます、行くなら寮の方に……」

「………つまり、今の仮眠室はマネージャー達の匂いで」

 

本当この人、人の話聞かないよね。

 

「もー、こんな時間に事務所で何してるにゃ」

「あっ、みくさん、忘れ物ですか」

「そうにゃ、明日でもよかったけど、まーた事務所で寝泊まりしようとするか心配で顔見せに来たら案の定にゃ」

「今日は帰る予定なんすけど、駄々っ子が1人いてですねー」

 

「帰るのめんどくさいー、コタツで寝るー」と既にコタツグータラし始めたアイドル。

 

「というかここ、初めて来たけどコタツなんてあったのかにゃ?」

「えぇ、あんまり知られてないですけどコッチも休憩室にしようかなと、んで知名度をあげようとコタツとみかんを置いて、畳の上にカーペット引いて快適空間を作り始めようと思ったら」

 

チラッと既にみかんを食べてグダグダし始めたアイドル………ええぃ、足に引っ付くな!!

 

「まぁまぁ、みくちゃんも座って座ってこのみかん美味しいよ」

「あっ、コレ高いみかんにゃ、マネージャー奮発してるにゃー」

「既にコタツの魅惑にハマってしまったか」

「あはは、今の蘭子ちゃんぽいー」

「付き合いがながいからにゃー」

 

既に駄弁る気満々だったので、とりあえず今は諦めるか………

 

「ほらほらマネージャー座って座って」

「なんでわざわざ狭い所に座らなきゃいけないんすか」

 

そう言って空いてる所に座ると、志希さんはわざわざこっちに入りに来る。

 

「ハスハス、うーーん、やっぱりいい匂いするにゃーー」

「だぁぁもう、引っ付かないでくださいよ!!」

「そうだにゃ、はしたないよ志希ちゃん」

「ハスハス、えー、だって本当にいい匂いなんだもん」

「なら風呂上がりのみくさんにしてくださいよ」

「それもそうかもっ!!」

「にゃ!?急にこっちに被害が………ちょっ、志希ちゃん、にゃ、首に引っ付かないでにゃ」

 

志希さんとみくさんが組んず解れつをはたから見ながらみかんを食べる。

あー、今度は急須でも買おうかな、コーヒー派だけどここはお茶が飲みたくなる。

 

「はぁー、はぁー、もぉー、せっかくお風呂入ったのに汗掻いちゃったじゃん」

「えへへー、よりいい匂いを得るために運動しました」

「はいはい2人ともあられもない姿になってるんでさっさと服を正してくださいね」

「んー、暑いからスカート脱ご」

「本当に人の話を聞かないよねっ!?」

 

普通に脱いでぽいっとその辺に捨て、俺の太ももに頭を乗せて来る。

 

「………何やってんすかもう」

「早く頭撫でてよー………そうそうこの摩擦、刺激がたまらにゃーい」

「この大型猫め」

「猫?………たしかに志希ちゃんは語尾をにゃって付けるし気まぐれさんな所、でもしっかりなびいてる所とか猫っぽいにゃ」

「あー、確かにみくさんとは違う猫要素もってますね」

「にゃ!?………つまりみくのアイデンティティの危機にゃ!!」

 

突然こっちに座り腕を組む…………え、なんで?

 

「し、志希ちゃんだってなびいてるし、みくだってなびいてるから猫にゃ!!」

「あの、声が上ずいてますよ」

「あと、マネージャーの心拍数もちょっぴり増加ー、しかも志希ちゃんが抱きつくよりも心拍数が上がってるー」

「余計なことは言わないでくださいよもうっ!!………はぁ」

「腹式呼吸法による副交感神経を刺激して興奮状態を落ち着かせる方法ー」

「腹式呼吸は知ってるけど、副交感神経?」

 

頭にハテナをつけるみくさん………というか腕組んだままなのね。

 

「そうそう、ボイトレでも腹式呼吸は使うけど、副交感神経が刺激もされる訳ー、それでー、副交感神経が刺激されるとリラックス状態になりやすいのです!!」

「へー、普通に為になるにゃ、でも何でマネージャーそんなことするのにゃ?」

「わぉ、流石に私も言葉選ばせてもらうけど…………んー、男の子の生理現象を出さない為って言えば伝わる?」

「男の子の………生理現象」

「はい、視線を下げないで!!あと腕を組むのやめましょうか!!」

「ついでに私が事務所に来てから一回も見たことないー」

「この口ですか、この口が余計なことを言うんですかねー」

「ふにゃ、ふにゃ」

 

ほっぺをつまんで遊んでみるが………ちょっぴり楽しいなこれ。

 

「ま、まぁその辺考えるとマネちゃんも大変だよね」

「無理に話を合わせなくていいですから」

「だよねー、沢山魅力的な女の子だらけだし」

「そう思うならさっさとスカート履け」

 

ぺしっと頭を叩くと「しょうがないにゃあ」と言いノソノソ履く。

 

「うんじゃ、そろそろ帰りますか、みくさんこのダメ猫を1日泊まらせてよろしいですか?」

「別にいいにゃ、なぜなら私はしっかり猫だからにゃ!!」

「みくちゃんの部屋行きたいー」

「それじゃあ後よろしくお願いしますね、自分は戸締りの確認しますから」

「マネちゃんおつかれにゃ」

「お疲れー」

 

ようやく解放される…………あっ、そういえばあの資料途中だったっけ、ちょっとだけやるか。

 

そしていつのまにか朝になって結局事務所で1日を過ごしてしまい、みくさんに怒られるのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

売れた理由

 

「ねぇねぇマネージャー、はぁとこんな事になるとはマジで思ってなかったんだけど」

「いや売れるかもなーって、わりかし適当に企画書出したらこんな事に」

「そこは本気でやれよ☆」

 

目の前にあるのは化粧品の広告の看板である。

もちろん出ているのは心さんであるが、広告の数はそれこそ馬鹿にならないくらいにある。

もっと言うならば今月ぶっちぎりで売れてるのだ。

 

 

 

 

きっかけは飲み会の二次会である。

心さんと奈々さんと楓さんが飲み足りないが店がやってないということで宅飲みに、んで近くの家が俺の家だったので3人が勝手に入り勝手に二次会を始め、そのまま泊まり。

 

そしてシャワー上がりで髪を下ろした心さんを見て、衝撃と閃きがきたというのが原因だ。

 

まぁ、所詮新人の意見だし、ほかのプロデューサーも考えているだろうと適当に企画書を書くとなぜかバカ受け。

 

専務から呼び出しもくらって「LiPPS並みの衝撃を与えるぞ」と勝ちを確信する発言。

 

敏腕プロデューサー達の太鼓判もあり、売れ出した瞬間に佐藤ファンどころか346アイドルを好きなファンにとんでもない衝撃が走る。

 

 

ネットからの声では「ねぇ、しゅがはがクッソ可愛く見えるんだけど」「まってコレはやばくない?しゅがはファン息してるん?」「しゅがはファン一同「何回か死んだ」」

という評価。

 

おかげでバラエティと歌番組が主だった心さんにモデルとドラマの仕事はアホみたい入る。特にドラマの新妻役は完全にどハマりで出るだけで視聴率が取れ、モデルでは大人の女性を狙いにしたファション誌は飛ぶように売れた。

良くも悪くも「イロモノ」扱いが一気にプロダクションのトップアイドル並みになってしまったのである……

 

 

そして当の本人は………

 

最初の頃

 

「マネージャー言った通りにお淑やかーにしたら、みんなびっくりしたな☆」

「えぇ、驚かせた甲斐がありましたね……んで、その路線でモデルの仕事が入ったんで……」

 

 

徐々に焦り始める頃

 

「ねぇ、なんかネットの評価とかすんごい事になってるけど」

「まぁ、元々心さんのスペックの高い人なんですけど、個性が強すぎて見慣れなかった人が多かったですからね、容姿もスタイルもいいですし」

「あんまり褒めるとマジで照れちゃうゾ☆」

 

 

一ヶ月休みがなく、なおかつ仕事が増えた頃。

 

「やばくない?」

「やばいです。ちょっと分身して貰っていいですか?」

「出来たら苦労しないゾ」

「………語尾に星が付かないくらいに疲労はしてますか」

「冷静に観察するのはヤメロ☆」

 

 

後に二ヶ月休みがなく、途中からお互いテンションが訳が分からないくらい盛り上がったのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここから台本形式、パロ、下ネタ、キャラ崩壊が多大に含んでおります。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アイドル」

 

そう聞かれれば、普通の人は「特別な人」と称すことが多いだろう。

 

それが美貌だったり、スタイルだったり、その人の性格だったり、歌声だったり様々あるだろう。

 

その中でも346プロダクションはアイドルの個性を重視していた。

 

 

 

 

卯月「どんな枕仕事にも対応できるよう頑張りますっ!!」

 

凛「ふーん、アンタが私のマネージャー?で、そのマネージャーって立場で何する気?ナニをする気だね」

 

未央「私はいつでも準備オーケーだよ、ローターにバイブどれでもオッケー、あっ、みんなで使えるようにちゃんとローター用のゴムあるから」

 

 

和也「………個性強すぎっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

春一番 島村ウヅキ

 

卯月「あっ、マネージャーさん、おはようございますっ!!」トテトテ

 

和也「はい、島村さんおはようございます」

 

卯月「今日は春一番になるみたいですよ」

 

和也「あー、通勤途中めっちゃ風吹いてたみたいですし」

 

卯月「私も途中凛ちゃんと会って「風強いね」って話をしてたんですけど、そしたら凛ちゃん「うん、おかげでノーパンがバレそうで凄く興奮する」って」

 

和也「興奮する以前にまずパンツ履けよ」

 

卯月「私もびっくりしちゃって、いつの間にか凛ちゃんも先に行っちゃって………あっ、行くって感じる方の意味じゃなくて」ワタワタ

 

和也「わざわざ言い直さなくてもそんな勘違いする人いませんよっ!!………まぁ、渋谷さんの行動に驚くのも無理もな」

 

卯月「はいっ!!あまりに画期的なアイデアで私も真似しちゃいましたっ!!」

 

和也「今すぐパンツを履けぇぇぇい!!!!」

 

 

 

春一番 渋谷リン

 

凛「あっ、マネージャー」

 

和也「渋谷さん、頼みたいことがあるんですけど……」

 

凛「なに?私まだ未経験だよ?」

 

和也「聞いてねーよ、そんなことよりもまずやることがあるだろ!!」

 

凛「んー?あっ、駄目だよマネージャーこんな所で朝立ちの処理なんて」

 

和也「させねーよっ、いいからさっさとパンツ履けよ」

 

凛「あぁ、下着?大丈夫だよマネージャー」

 

和也「まぁ、流石にもう履いた……」

 

凛「まだ私、毛生えてないから毛は落ちないよ」フンス

 

和也「んー 俺の伝えたいことが一片も伝わらないっ」

 

 

 

春一番 本田ミオ

 

未央「おはようマネージャー!!」ブー ブー

 

和也「はい、おはようございます……今日は普段より遅かったですけど、何かありました?」

 

未央「うん、駅で女子高生のパンチラが凄くて思わず遅れちゃった」ブー ブー

 

和也「少なくとも自分で解決出来る遅刻だよなそれ」

 

未央「それにびっくりしちゃったよ」ブー

ブー

 

和也「何に?」

 

未央「パンツばっかガン見してたのにいきなり綺麗なお尻が見えちゃって」ブー ブー

 

和也「……多分それ知り合いですよ」

 

未央「でも分かってないよ、パンツを見られる恥じらいがいいんだよっ!!」ブー ブー

 

和也「少なくとも女子高生が熱く語るものじゃねーよ………というかさっきから携帯のバイブ鳴ってますよ」

 

未央「あー違うよマネージャー、携帯用のバイブじゃなくて、しっかりしたバイブだから」ブー ブー

 

和也「そんなことだろーとはおもったよっ!!」

 

 

 

お花見 鷺沢フミカ

 

和也「うーん、いいお花見日和なんどけど」チラ

 

文香「…………」ペラッ

 

和也「花より団子、団子より読書ってか」

 

文香「…………」ペラッ

 

和也「まぁ、こういうのも風情があるからな」

 

文香「………ふぅ」パタン

 

和也「あっ、鷺沢さんはどんな本読んでたんだ?」

 

文香「えっ、マネージャー見てたんですか」

 

和也「すごく集中してて気づかなかったと思いますけど」

 

文香「………まさか官能小説で達した所を見られるなんて」テレテレ

 

和也「ひゅーっ!!風が強くて何も聞こえねーぜ」

 

 

収録 十時アイリ

 

愛梨「あっついですぅぅ」

 

和也「でも本当にあっついですね、ライト照らしっぱなしですから暑くなるのも無理もないすけど」

 

愛梨「マネージャー脱いでもいいですかぁ?」

 

和也「逆になんで脱いでいいと思ったんだよ………とりあえず汗拭いてください、これハンカチです」

 

愛梨「ありがとうございます!!うぅぅ、ベタベタしてて脱ぎにくいです」ヌギヌギ

 

和也「ほほう、君はハンカチで全身を拭けると思ってるのかな?」

 

 

 

 

待機室 双葉アンズ

 

杏「うーん、動きたくない」グデーン

 

和也「背負われてるくせに何行ってるんですか」ヨイショ

 

杏「マネージャーが勝手に背負ってるだけじゃん」

 

和也「あのままほっといたら事務所で泊まる予定でしたでしょう?」

 

杏「………」

 

和也「夜は電気切られるんですから、春になったとはいえ寒くて過ごせませんよ」

 

杏「そんときは自家発電で……」

 

和也「それで電力貯えたら革命だよ」

 

杏「めんどくさいなぁー」

 

 

 

案内 千川チヒロ

 

和也「とりあえずまだ入って間もなくてどこに何があるのやら」

 

ちひろ「なら私が案内しますよ」

 

和也「すいません、お願いします」ペコリ

 

ちひろ「ここが仮眠室です」

 

ちひろ「ここが普段使われてない女子更衣室です」

 

ちひろ「ここがあんまり使われない資料室です」

 

ちひろ「えっと………連れ込んだアイドルと一緒に入る部屋を優先的に教えてますけど、駄目でしょうか?」

 

和也「不満しかねーよっ。というかアンタもボケのほうかよっ!!」

 

 

 

専務に呼び出し 美城専務

 

専務「ということで仕事は慣れそうか?」

 

和也「はい……というか元々神崎の通訳なのになんか色んな所のマネージャーやってるんすけど」

 

専務「君のような人材は貴重でな、遊ばせる余裕はない」ゲンドウスタイル

 

和也「いやいや15歳のガキンチョですから過大評価は……あっ、すみません電話が」

 

専務「構わない、出てくれ」

 

和也「すみません、あっ、未央さん、えっ、ローターのスイッチ?…………なーんで俺のカバンに入れたんですか………そのまま天に召されてどうぞ、すみません電話してしまい」

 

専務「いや、本当に助かる」

 

和也「???」

 

説明するならば346プロダクションのボケとツッコミの比率は9・1である。

 

 

 

 

 




ということで、新年明けに投稿しました。
一月に一度投稿ペースとはいったいというレベルですね。

そして投稿したのも短編シリーズですし……
まぁ、生存報告だけしときますっ!!

本編が甘い話だと、他の子にも目移りしてしまうんですよ。
「あぁ、この話は蘭子じゃなくて、他の子の方がしっくりくるな」とか日常茶飯事ですね。あと、無料10連で杏当たりました。

あと、最後に生徒会役員共のパロが入りました。
読者さん的には甘い話だけが良いのかなと思いながらも、「せっかく書いたし投稿しちゃえ」の精神で出しました。

でも自分でも思ったんですけどこのパロもっと流行ってほしい、書いてて途中からネタ思いつかなかったんで感想欄辺りでネタを教えても………もっといいなら投稿してもいいですぞ←投稿を促す作者

とまぁ、去年は色々ありました。

デレマスでは卯月と蘭子に天井まで課金したし、fgoでは武蔵ちゃんとマーリンに2万課金したし、お金がポンポン飛びましたねっ!!

なので今年はあんまり課金しないことを意識しようということを新年の抱負とさせていただきますっ!!

ここまで読んでくださって本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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特別短編3


はい、作者の大天使しまむーの話です。



島村卯月は頑張りすぎる

 

 

何度も何度も同じ曲が部屋の中をループする。

俺はその曲を踊る彼女をジッと見て、休憩を兼ねて改善点を言う。

が、ここ数回のダンスは「呼吸を整えてください」しか言っていない。

そして曲が終わる。

 

「はいおしまいです」

 

なるべく事務的に、冷たく言い放つ。

あまりアイドルにこういった態度は取りたくないが、こう言わないと島村さんはやめてくれない。

 

「………でもっ!!」

 

今回の出来にまだ満足出来ないのか、続ける意志を見せるが、俺が大きく溜息を吐くと、島村さんは少し狼狽える。

 

「これ以上やるなら外で走った方がまだ意味がありますよ、ラスト三回なんてとてもじゃないですけどファンの前では見せられません、ターンのキレ、腕の振り、足の踏み込み、表情、どれも疲労でちゃんと出来てません」

 

一つ一つダメだった所を突きつける。

彼女もそれを分かってるから「ううっ」と唸るだけである。

 

「さっ、体が冷える前にダウンして、シャワー浴びて帰りましょう」

「………はい」

 

ふらつく足で俺の前で背中を向け座る。

最初の頃はストレッチをするたびに大声を出していたが、ここ最近は身体が以前より柔らかくなりそういったことはなくなった。

 

「うんじゃ、下行きますよ」

「はいどうぞ」

 

仰向けになり無防備に足を掴み彼女の方に圧する。

 

「………んっ、はあっ」

「ちゃんと息吐き続けてください」

「は、はいぃ」

「返事しなくていいですから」

 

今度は膝を身体の反対側に持っていき、膝と肩を圧する。

この時のストレッチが彼女と一番近い。

大声を出してた時は目をつぶっていたのだが、最近は俺の耳元で「……んっ、あっ」と艶かしい声を出すのでかなり恥ずかしい。

 

「はい、反対です」

 

そう声をかけて同じ要領で反対側もやる。

 

「うつ伏せになってください」

 

クルンとうつ伏せになると膝下だけはぷらぷらとさせる

足首のストレッチをして、最後にふくらはぎのストレッチ。

足首を掴んでから膝を少し浮かせ、ふくらはぎが揺れるように振る。

決められたルーティンでストレッチをやっているのでこのふくらはぎのストレッチが最後のストレッチ。

 

「はい、おしまいです」

 

ゆっくりと膝を下ろすと、完全に脱力した状態になる。

体力も使い果たし、ストレッチも終わりしばらく起き上がらないのだろう。

………が、さっさとシャワー浴びて欲しいので動いてもらう。

 

「うつ伏せの状態が長く続くと胸の形が悪くなるって川島さんが言ってたなぁー」

 

そういうと、バッと立ち上がり胸を押さえる。

 

「マネージャーさん意地悪です」

 

「むー」と擬音が付きそうな表情でこちらを見てくる。

女の子のそう言う表情ってすっごくずるいと思うんですよね。

まぁ、顔には出しませんが。

 

「意地悪されたくなければさっさとシャワー浴びてくださいね」

 

ひらひらと手のひらで行くように促すと「もー、デリカシーがないんですから!!」とぷんぷん怒りながらルームから出ていく。

 

………俺もアイドル並みに仮面が出来てる気がする。

自分の手で自分のほっぺを握り、ニヤつきそうな表情を止め、事務室に戻り報告する。

 

 

「どうでした?卯月ちゃんの様子は」

「最初の方よりかは全然マシですね、暗い表情も少なくなって来ましたよ」

「それはよかったです………和也くんはこれから付きっ切りになりますが……」

「いいんですよ、他のプロデューサー達は冬のイベントで忙しいですし、それに今の島村さんは少し目が離せませんから………それじゃ、送りに行ってきます」

「はい、それと和也くんはそのまま帰宅していいですよ、こちらもひと段落付きましたし」

「分かりました、それじゃあ今日は失礼します」

「はい、お疲れ様です」

 

 

 

「あっ、マネージャーさん」

 

事務室から出てすぐ近くに島村さんが待っていた。

 

「お待たせしました、さっ、今日は帰りましょう」

「………なんか今日のマネージャーさんはご機嫌ですね」

「えぇ、プロデューサーの仕事も終わったのでこのままアガリです」

「そうなんですか、それなら今日は一緒に帰らなくても大丈夫ですよ?」

「島村さんが帰るまでが自分の仕事なんで、その辺は諦めてください」

「あはは、その辺は相変わらずですね」

 

他愛の無い会話を弾ませると彼女の家の前に着く。

 

「それじゃあ………」

「あ、あのっ!!今日お時間あればなんですけど、夕飯頂きませんか?」

 

俺が少しキョトンとすると彼女は慌てて

 

「いや違うんです!!そのお母さんが『毎回毎回送ってもらってるのにご飯も頂かないで行っちゃうから』って言ってて……だから……そのぅ………駄目ですか?」

 

計算づくなのか、それとも天然なのか、男の感性を激しく揺らすような上目づかいと不安そうな表情は決して「ノー」とは言えなくなってしまう。

 

「いいですよ」

「本当ですかっ!!すぐにお母さんに言ってきます」

 

ぱあっと表情が明るくなるとすぐに家に入って行く。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあそろそろ」

「あら、もう行っちゃうの?どうせなら泊まっていけばいいのに」

「お母さんっ!!」

 

からかわれると真っ赤に否定する島村さん。

まぁこの手のからかいには慣れるしかないからね………

 

「半分くらい冗談よ、じゃあお母さんお皿下げるから、卯月は和也くん見送っておいて」

「うー、もうっ、マネージャー行きましょっ!!」

 

 

そのまま玄関に強引に連れて行かれて少し驚いてしまう。

いや、別に手なんて繋いでないし、服の袖をちょんと摘んでいるだけど、こうした強引なことも出来る人ではないと思ってた。

思わず少しフリーズしてしまうと。

 

「ご、ごめんなさいっ!!そのお母さんがあまりマネージャーに失礼な事ばっかり言うので………そのぉ、つい」

「いえ、全然気にしてないので大丈夫ですよ、それじゃあ自分はこの辺で」

「あっ、家の前まで……わっわっ!!」

 

慌てていた所為なのか、はたまた今日のダンスレッスンの疲れの所為なのかは分からないが、目の前で転びそうになる島村さんを受け止める………勢いがあったから思わずぎゅっと抱きしめてしまったけど。

 

「大丈夫ですか、島村さん?」

 

とんとんと背中を叩くと、何故かぎゅうと抱きしめたまま動かない。

 

「島村さん?」

「………もう少しだけ、このままでいいですか?………そしたら明日も頑張るので………だから、もう少しだけ」

「………はい、いいですよ」

 

さらにぎゅっと彼女を抱きしめ、ゆっくり背中を撫でる。

 

「………また明日から頑張りますから、だからもう少しだけ」

「…………いいですよ、満足するまで、明日が少しでも頑張れるなら」

 

その後少しして離れる。

そしたらポンと赤くなってワタワタし始める。

 

「あ、あの、これはその、なんというか、思わずというか」

「落ち着いてください島村さん、余計に恥ずかしいこと言ってますよ……」

「あぅ………」

 

頰抑えて「うぅぅ……」と唸っている。

………なんだこの可愛い生物?

 

「でも良かったです、島村さんはなんでも1人で抱えるからこうやって頼ってもらえると僕も嬉しいですよ」

「うぅぅ、もう忘れてください〜」

「………うーんと割と真面目な話、島村さんって誰かに弱みを見せるのが苦手な人じゃないですか?」

「そんなことないですよ、プロデューサーやマネージャーにも沢山お世話になってますし………今だって」

「あはは、島村さんがお世話になってると思いますけど、実はアイドルの中でも大人組並みに手がかからないですよ……」

「そ、そうですか?」

「そうですよ、だから島村さんが思っている以上にワガママ言ってください」

「ワガママ……それじゃあ一ついいですか?」

 

彼女はそう言うと顔を赤く少しそっぽを向く。

 

「…………もう一回お願いしてもいいですか?」

 

そっぽを向きながら両手を広げるので少し笑ってしまう。

 

「はい、いいですよ」

 

笑ったことに少しムッとした彼女だが、ゆっくり確かめるように抱きしめると雰囲気は少しづつ柔らかくなる。

彼女も遠慮がちだがしっかりと背中に手を回し、徐々にこちらに身体を預ける。

 

なんでもないように振舞ってるがやはり何もない訳ではない、頭の中の煩悩をうち払っているがダイレクトにくる感触は思春期の中学生には刺激が強すぎるんですけどねー

………今日だけだ、今日だけ頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

…………後に彼女のハグ癖がついて和也の精神をすり減らす話があるのだが、それはまた別の話である。

 

 





はい実はこれはハロウィン限定ガシャの時に大天使の為に天井まで回してしまむーの為に一本書こうと思っていたものを今更完成させたものです。

時系列的にはアニデレのしまむーが自分を見失う時の頃の話ですね。
でもここのプロデューサー達は優秀ですから、アイドルを悲しさで泣かすなんてさせませんからっ!!
というか作者が重たい話が嫌いですからっ!!



さてさて話は変わって割と作者の悩みなんですけど…………

他のアイドルを書きたいっ!!!!!

いや、別に蘭子が嫌いになったとかそういう訳ではないんです。
ただネタが出てこないっ!!
割と真面目にタイトルを変えようかと思ってます。

正直どうしようかは皆さんの感想を見てから決めたいと思います。

ということで、普段は感想とか書かない人とかも是非とも感想お願いします。
ほんの一言二言でいいんです「このまま蘭子主体で」「蘭子可愛いけど推しが別のアイドルだから他のアイドルも書いて」みたいな感じでいいです。
色んな人の意見を聞いて今後の話を考えていきたいと思いますっ!!

ということで、ここまで読んでくださりありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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特別短編4


注意。この2人は付き合ってません。この話は別の世界線です。


 

「和也ちょっとこの後予定あるか?」

「トレーナーさん?どうしたんですか」

「ちょっと渋谷がな」

「あぁ、いつものバッテリー切れですか」

「という訳だ、私もこの後もレッスンがあるからな」

「わかりました、今日は休みなんでいいですよ」

「………お前休みなのにここに来たのか?」

「暇つぶしに筋トレやりにきたんですよ」

「あぁ、筋トレか、てっきり休日出勤でもしたのかと思ったよ、それじゃあ後は頼むぞ、渋谷は更衣室前のベンチにいるからな」

「了解です」

 

 

 

更衣室前に行くとベンチに座っている凛さん。

………が、静かにしていると寝息を立てているのが分かる。

 

「凛さーん、起きれそうですか?」

 

少し揺するとすぐに目を覚ます。

 

「………できるけど、もう少し待って」

 

寝起きは良いタイプの人間なので、あんまり不機嫌なく答えるが身体の方が言うことを聞かない、一応少し待つがまたウトウトとし始め自力で首を振って眠気を飛ばそうとするが………

 

「ゴメン、動けそうにない」

 

彼女はすごくストイックな性格をしている。

アイドルの中でもかなり意識が高い。

それゆえのパフォーマンスだったり、歌唱力だったり、ダンスだったりするのだが………

いかんせん自分の体力の限界を容易に越してしまう、特にソロライブなどはあっさり限界を超えてステージを行い、ライブ終了時では毎回のように裏でぶっ倒れる。

………ユニットの時は意地でも倒れることしない辺り、アイドル仲間の前では弱い所を見せたくないという所だろう。

んで、今回も練習でぶっ倒れるまでやったと………

 

「どうします、寮と仮眠室ありますけど?」

「仮眠室」

 

前に寮で寝かせようとすると「なら家に帰る」と言って膝が笑いながら帰ろうとした時は流石に大きなため息を吐いた。

寮で寝て、みんなに心配かけたくないのね………

 

「行くならさっさと行きますか………肩貸しましょうか?」

「………お願い、でも」

「知り合いが来たら離れますよ」

 

俺がそういうと、少しこっちをみて、スッと彼女は身体を寄せて腕を取る。

見た目だけならまるでカップルのようだか、あくまで見た目だけだ。

これでいちいちドギマギしてたらこんな仕事やってられないし。

………でもまぁ恥ずかしいだけどねっ!!

 

運良く、誰にも見られることなく仮眠室まで着いてベットに座り、そのまま後ろ倒れる。

 

手はだらしなく広げられて本当に無防備な状態になっているのを見て目をそらす。

………なんか見ちゃいけないもの見てしまった感が凄いな……とりあえず出ようとするが彼女の右手は俺の左の裾を掴んでいる。

 

「………あの凛さん」

 

クイクイッと裾を引っ張られるので少し考えてから座るがまだクイクイッと裾を引っ張ってくる、何を伝えたいのか分かる自分が嫌になるな……

そのまま後ろに仰向けになり、まだ耐えられるまだ耐えられると自分にいいかせるが、裾が一回だけクイッと引っ張られる。

思わず眉間に皺が寄るが、大きく深呼吸をして覚悟を決め、横を向く。

 

 

普段はキリッとした表情、ニュージェネのライブの時は精一杯の表情、ラジオのような気さくな表情と色々な表情をする凛さんだけどそのどれでもない今の状態。

その顔はふんわりとした嬉しさが込めてられる優しい笑顔。

言葉を発してなくともその表情だけで伝わってきてしまう、その感情がどうもむず痒く、顔を逸らしてしおうとすると、左手が頬に添えられる。

 

「駄目」

 

何が駄目なのかという主語は特に入っていないが何が駄目なのかは分かる。

観念するようにしっかりと彼女を見つめるとまた嬉しそうにして、そのまま頬を添えてた左手は撫でるように動かす。

こそばゆくて思わず身を震わせると楽しそうな表情をするので思わずジト目で抗議するが彼女は楽しそうに少し笑うけど、そのまま続ける。

 

頬だけではなく、顎や首筋、耳を優しく壊れないように大事に撫でてくる。

声が漏れないように口を紡いでいると親指が唇をなぞるように撫でるが、流石に恥ずかしいので顔を逸らすと「ごめんごめん」と言わんばかりに頰を撫でてくる。

 

彼女も顔だけではなく身体ごとこちらに向いて両手で俺の後頭部を掴むとゆっくりと胸元に持ってきて、そのまま頭を5分、10分、15分と撫で続けて、突然一気にぎゅーっと力一杯頭を抱きしめられる。

そして満足したのか力を抜くと俺は直ぐに離れる。

 

「んっ、ありがとう………それじゃ帰るね」

「あっ、送りますけど?」

「んー、いいや、マネージャーと家の方向逆だし………それと今日マネージャー運動した?」

「あー筋トレしたんですけど臭います?」

「いや臭いというか、新鮮って感じかな?普段のマネージャー女子更衣室みたいな匂いするし」

「そ、そんな匂いします?匂い消しとか色々やってるんですけど?」

「する………けど今日は誰とも会ってなかったみたいだね」

 

さっきのことなどまるでなかったように喋る彼女はとても満足気だ。

 

 

 





会話がない感じの雰囲気を作ったんですけど、短すぎて投稿するのか迷った件。とりあえず雰囲気を楽しんで下さいっ!!
まぁ、これ以上書くと完全にR18展開になるんで
ぶっちゃけ「これ絶対この後めちゃくちゃ……」みたいな事思いながら書いてましたねっ!!えっちい同人誌の見過ぎですねコレ……

それと前回のしまむーのお話ぶっちぎりで好評でした。
やっぱり大天使は最強だった。


前回の後書きから多くの感想ありがとうございました。
様々な意見を送って貰って作者は色んなアイドルの話は書いていこうと思います。
ですがメインである蘭子の話は完結してほしいというのもありました。
もちろんこの作品のメインは蘭子なので必ず完結させようと思います。
ですが筆休みという意味や投稿しない期間を短くするという意味で他のアイドルも書いていこうと思います。
まぁ、簡潔にいうと「好き勝手します」ということですっ!!

それではここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!



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特別短編5

なんかこう、微妙な距離感というか、あーもうっていう距離感が上手く書きたい。


side本田

 

「未央さん、俺と付き合ってくれっ!!」

 

そういって頭を下げるのは隣のクラスの男子だ、確かサッカー部だった………気がする。

 

「ありがとう……でも、ゴメンね」

「そっか………ごめんな、アイドルって分かって告白して、でも気持ち伝えたくて………ありがとうちゃんと答えてくれて」

「うん、でもこれからも友達でいてほしいよ」

「………ありがとう、未央さん、それじゃあ」

 

そういって彼は去っていった後に思わず、大きくため息吐いてしまう。

 

「いやーモテる女はつらいねー………はぁ、無理にテンション上げるのやめよ」

 

事務所に行くまでにはいつもテンションに戻さなきゃ。

元気が一番の本田未央ですからねっ!!

 

 

 

いつもの電車に乗ってる間にふと今回の告白は何回目だったかを数える。

中学の時が28回で、高校入学してから13回、アイドルになってから42回だっけ?

わぉ、もうちょいで100いきそうだ………あぁ、駄目だ何回やっても告白を断るのは疲れる。

相手の期待に応えられないのもそうだし、相手の気持ちを否定するのも私には気が重い。

………あぁ、駄目だ駄目だ、このまま憂鬱な気分でレッスンやったらトレーナーに怒られちゃう。

集中、集中っ!!

 

事務所に行ってとりあえず挨拶をしに行く、多分今日はマネージャーとちひろさんの日だ。

 

「グットモーニングっ!!ちひろさん、マネージャー」

「はい、おはようございます、未央ちゃん」

「………おはようございます、未央さん」

 

すぐに返事が返ってきたのはちひろさんでマネージャーはこっちを見て肩を竦めてから挨拶をしてくる。

 

「おー、マネージャーこの未央ちゃんの挨拶を軽く流そうとしたな」

「首締めないで、あと胸当たるんでさっさと離れてください」

「知ってるマネージャー?こういうのは『当ててんのよ』って奴だよ」

「はいはい、そうやって色んな男子が勘違いする行為辞めましょうねー」

 

マネージャーの発言驚いて、軽めに締めてた首を思わず力を入れてしまった。

「うっ!?」っと軽くマネージャーが呻いて、あわてて外す。

 

「………そういうマネージャーは全く動じてないのは、私の魅力不足って言いたいのかなー?」

 

とりあえず怒った風にして流すと「はいはい悪うござんました」とヒラヒラとする。

………少しだけ変な間が出来ると、ちひろさんがスッとマネージャーにエナドリを渡してくる。

 

「………今日はそんな忙しくないんでゆっくりしていいですよー」

「………すいません、それじゃあ少し休憩します。

未央さん暇でしょ?ちょっと付き合ってくださいよ」

「おおぅ、タダでアイドルを軽く連れ回すなんてマネージャーも偉くなったねっ!!」

「へいへい、好きな飲み物でもなんでも買いますよ」

「よし来た、それじゃコーラでも」

「この後レッスンあるんで炭酸は無しですよ」

「うぇー、ケチんぼ」

「ケチで結構、ダンス中にゲップ出すアイドルなんて見栄え悪すぎでしょ?」

「………たしかにその絵面はやばいね」

 

他愛の会話をしつつ屋上に着く。

空は少しだけ赤みがかって、夏から秋に変わるようなそんな空。

もう少しすれば肌寒い風も出てくるのかなとか思いつつ、彼と一緒にベンチに座る。

 

「はぁー、疲れた」

「おっさんぽいよ、マネージャー」

「デスクワークは勉強とか運動とか違う疲れなんですよ………うんで、今日はどうしたんですか」

 

こちらの顔を見ずにエナドリを開けつつ、軽い感じで、主語のない問いをしてくる。

思わず私は「ん、何が?」と首をかしげる。………こんな風になんでもないようにしても伝わっちゃうのかもしれないけど、これは私なりの強がりだ。

 

「んー、未央さんってすっごい前向きな人間なんですよ、仕事もそうだしプライベートもそう。

ニュージェネもポジティブパッションでもその強みが前面にてでる」

 

彼は少しエナドリを飲んで、軽く唸ってからこちらを見ずに言葉を吐く。

 

「んで、学力優秀、運動神経抜群、コミュ力抜群の本田未央さんが元気がない………そりゃ心配になりますって」

「いやいや、突然心配されてるけどね、私は元気ですけどっ!?」

 

突然自分の心境を当てられたら、普通誰だって否定する。

だって、それは自分がまるで分かりやすい奴だったり、心配かけて欲しいから普段の行動から逸脱した 事をしてるみたいで恥ずかしい。

だから否定する。

 

「………未央さんは仕事で悩んだりしますけど、暗い顔はもうしないし、頭がいいから勉強で暗い顔もしない、家族との関係も良好ですし、家族絡みでもない………つまり家族以外の人間関係………コミュ力抜群の未央さんでも……いやコミュ力抜群だからある、事故のようなもの」

 

そこまで言えばもう答えは出てるもんじゃん………思わずため息が大きく出てしまう。

 

「………そんなに顔に出てた?」

「うーん、ちひろさんとかプロデューサー辺りは気付きますけど、アイドルだと、凛さん、藍子さん辺りぐらいは気付きそうですね」

「そっかぁー気づいちゃうかー」

 

足をプラプラとして、空を見上げる。

あー、なんか嫌だなー。

 

「弱音を吐きたくないんならそれでもいいですよ………ただ弱音吐いても別に本田さんを笑ったりしませんから」

「………なんていうか、本当に心の中見えてるんじゃないかってくらいマネージャーって察しがいいよね」

 

私は弱音を吐きたくない、誰かに縋ったりとかしたくない。

みんなには元気な未央ちゃんを見て欲しいのだ。

 

「ねぇ?マネージャー膝枕して」

「はいどうぞ」

 

普段だったら、一つくらい嫌味を言うのだが今回は優しい声色で許可が下りる。

私はそのまま彼の太ももに頭を乗せる。

………むぅ、なんか思ったより硬いかも。

あっ、でも頭撫でてくれるのはナイスだよ。

 

「いいマネージャー?これは普段のスキンシップだから」

「そうですね、むしろ普段の方がスキンシップ激しいんですけどね」

「何さぁー、全然動揺してない癖にー」

「そんなことないんですよ、未央さんスタイルいいからコッチはいつもドギマギしてるんですよ?」

「うっそだぁー、全然顔に出てないもん」

「そりゃ出しませんよ、調子に乗るから」

「もうちょっと可愛げある反応してよっ、そしたら私も楽しいのに」

「そういうことやるから男子に告白されるんですよ」

「私的には普通なんだけどなー」

 

そう、私にとってはスキンシップは割と当たり前。

お父さんとお母さんがものすごくラブラブでスキンシップが激しかったのも影響してるかも。

 

「未央さんの嬉しいとか楽しいっていう表現が、スキンシップなのは俺も分かってます、けど世間一般の男子には好きっていう表現だと思っちゃうんですよ」

「あー、だからかー」

「そっ、だからなんですよ」

 

みんなずっと勘違いしてたのか。

だとしたら申し訳ないことしちゃったなー。

 

「あーー、みんなマネージャーみたいに理解しててくれればいいのに」

「こっちも理解してますけど大変ですよ」

「何がー?」

「はぁ、単純接触効果って知ってますか?人は接触することによって、その人を好意的になってしまうってことですよ」

「へー、じゃあマネージャーも私を好きにならないように気をつけてるんだ」

 

思わずニヤニヤと彼の顔を見ながら言うとあっけらかんに「そーですよ、だから気をつけてください」と言う。

私は「そうかそうか」と言いながら彼のお腹に手を回す。

 

「あの未央さん話聞いてました?」

「つまりわたしがいっぱいスキンシップすればマネージャーは落ちるってことだね………それは見てみたい」

「何馬鹿なこと言ってるんですか」

 

普段だったら手を使って離すようにするが今日はない。

だから私もどんどん彼に近づいて言ってしまう。

 

「これ確か対面座位って奴だよね」

「急に体位の話をしないでくださいよ」

「あはは……ねぇ、マネージャー、私マネージャーのこと好きだよ」

「………自分も未央さんのこと好きですよ」

 

お互いの顔が普段より全然近い。

彼の息遣いも、彼の鼓動も、彼の気持ちもしっかり伝わってしまう。

 

だからしっかりと呼吸を合わせて言おう。

 

 

 

「「もちろん友達として」」

 

 

 

ちゃんと伝わる、それだけですっごく嬉しい。

 

「はい未央さん、あんまりぎゅーってしないで違う意味で好きになっちゃうからやめてー」

「やだよー、だってマネージャーのこと好きだからー」

「女子ねー、女子にはしていいですから、男子にやったら100パー勘違いされますから」

「そしたら振ってやるからいいもん」

「あっ、コイツ今完全に開き直ったっ!!」

 

でも、これからはスキンシップでの感情表現は抑えていこうかな。

 

「ほら、もう元気でたでしょっ!?はーなーれーてー!!」

 

………でも1人くらい男の子にスキンシップしてもいいよね?




はい、○ね主人公ですね。

未央ちゃんは割と動かしやすいアイドルでした。
ただ途中書いてて思ったのは、「そんなに弱い子じゃない」って感じでしたね。
だからアニデレの未央にすっごく違和感感じたんですよね。

今回は結局弱さを吐かないようにというか、その辺のプライドがある未央ちゃんというもの書いて見ました。

ただ思ったんですけど、「これ絶対どっちか告れば、異性として意識する奴やなコレ」とか思いました←自分の作品に感想を書く作者

とまぁここまで読んでくださり本当にありがとうございますっ!!
感想、評価等お待ちしておりますっ!!


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