東方紅夢想〜Red・Dreams〜 (漸々夢)
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第二の人生
まぁそんなことよりどうぞ、東方紅夢想〜Red・Dreams〜!
やぁ、初めまして皆さん!三紗亜衣夢(みしや あいむ)です!新小説で早速ですが一言だけ言わせてください!
ここ何処だよ
亜衣夢はいつの間にかどこかもわからない水辺の近くにいたのだ。そこからくる冷気に亜衣夢はブルッと震えあがった。周りにあるものは湖らしきとこと森ぐらいであった。
いやいやいやいや!なんでだ!なんで俺はここにいる!?思い出せ・・・ここまでの経緯を!
・・・・・・・・・・・・そうだ!!たしか俺は……
〜時は遡り、数刻前〜
「行ってきやーす。」
「行ってらっしゃーい。」
俺はいつも通りの時間に起きて飯食って用意して、家を出たんだ、そんで家からすぐ近くのバス停まで歩いていったんだよな……
「ううっ、寒っ。・・・はぁ、今日もまた学校か。なんか、つまんねぇな。こうやって同じことばっかり・・・なんかねぇかなホント。」
こんな感じのことを呟きながら俺はバス停にある椅子に腰をかけたんだ。そんで・・・そうだよ!そこで……
「・・・本当に遅えなバス。はよこーい。」
俺は暇なもんだからスマホいじってて、すると、
ニャア
っていう声が聴こえてきたんだ。だから俺はつい顔を上げた。するとそこには仔猫がいたんだ!生まれてから結構たったぐらい、生後半年ってところか?
「・・・珍しいなこんな所に猫なんて。(こっち来ないかな・・・撫でくりまわしたい)」
そんな軽いことを思っていた、だけどそこで起きたんだよ。
周りに響くぐらいの大きなエンジン音と共に、大型トラック迫ってきたんだ。
俺は焦ったよ。なんでかって?そりゃアレが普通に走ってるだけならうるさいだけですむよ。だけどな、アレの通り道に、仔猫がいたんだよ。
「!?あ、危ない!」
俺は何も考えずに飛び込んでいったよ。走って、飛んで仔猫キャッチ!からの全力前転!!
ゴン!!!
「〜〜〜〜〜!い、痛てぇ・・・」
どうやら勢いあまって向かいの壁にクラッシュしたらしい。俺はその後に聞いたトラックのクラクションの音で我に返って急いで確認した。
ニャア
この声を聞いた瞬間もう安心したのなんの!助けることに成功したんだよ!?もう力抜けて立てなかったよ!
「・・・あれ?こいつ、怪我してたのか。」
よく見るとこいつ、足に怪我を負っていた。これなら避けれんわ。
「・・・どうするか。こいつ。」
選択肢は3つ
①見捨ててバスを待つ
②治療をするため家に持ち帰る
③・・・・・・だめだ、思いつかんかった。前言撤回2つな。
学校に行くためにバスを待つ?いや、それではこの猫が死ぬかもしれん。(大袈裟)
家に帰って治療?んなことしたらバスに乗り遅れてめんどいことになるよな・・・
「・・・・・・・・・お前、どうしたい?」
……ミャオウ
「よし!しょうがないな!そんなに助けて欲しいなら助けてやろう!仕方ないよね!学校遅れるぐらい!!助けるためだものね!!はっはっは!」
それで俺は決心(?)して家に持って帰ったんだよな・・
「ただいま!!猫が怪我してたから帰ってきたぜ!!」
・・・・・・・・・返事がない、ただの屍のようだ。
「だ、誰もいないのね・・・」(うわっ、めっちゃ恥ずかしい・・・)
しばらくそこには静寂が続いた。それに耐えられなくなった亜衣夢はやっとのことで行動に移した。
「誰もいないなら好都合。今のうちに治してやるからな。」
ニャーン
〜少年治療中〜
「・・・・・・・・・よし!終わりだ!」
ニャオ
「いやー良かったわー特に何もなくて。」
傷はそこまで酷くなくて俺でも治せるほどだった。その後冷蔵庫にあったツナ缶食わせたらまぁ食うこと食うこと。よほど腹減ってたんだなと思ったよ。
「・・・・・・・・・・・・あれなんか忘れてああああー!!そうだ!学校に連絡してねぇ!今何時だよ・・・」
そうだ!このあと俺は・・・・・・
「・・・・・・あれ?なんだ・・・急に・・・・・・眠気・・・が・・・・・・」
俺はそのままリビングに倒れてしまったんだ。そっからどうなったっけな・・・あ、そういえば・・・
「・・・・・・?なんだ・・・どこだここ・・・?・・・何か、いる?」
亜衣夢は目を覚ました。あたりは薄暗くなっていたがそれには驚かなかった。それよりも強い衝撃を目のあたりにしたからである。
「・・・?!だ、誰ですか!?あなた・・・達は!」
亜衣夢の目の前には金髪の女性二人がたっていた。さらに亜衣夢はリビングで寝たはずなのにいつの間にか寝室にいたのだ。
すると亜衣夢が起きたことに気がついたのか長髪の方がこちらに目を向けて話しかけてきた。
「あら?起きたのね。驚かしてごめんなさい。私は紫、『八雲 紫』(やくも ゆかり)よ。こっちの方は藍(らん)よ。」
「どうぞお見知りおきを。」
「あ、これはどうもご丁寧にじゃないですよ!!!」
「あら、なかなかのツッコミね。上手いわよ。」
「あ、ありがとうございます。ってそうじゃないです!どっから来たのですか!どうやって来たのですか!?そもそもなんで俺の部屋に!?そして何者!?」
「ずいぶんと注文が多いのね。まったく。」
「いやいや全くって・・・」
「まずどこから来たかというとこの世から忘れられた者達の集う美しくも、残酷な『幻想郷』から来たのよ。」
「げ、幻想郷?てか忘れられた者達ってなんですか?」
「つまりはここの現代で使われなくなったもの、科学的に証明されてしまい存在を消されたもの、寂れてしまった者達者達のことよ。」
「た、例えばなんですか・・・?」
「そうね、一番みじかなものは『妖怪』かしら?」
「え?よ、妖怪ですか!?」
「そうよ。ちなみに私も妖怪よ。周りからはスキマ妖怪とか言われているわね。藍は妖怪というよりも『式神』ね。」
「・・・・・・・・」
「紫様・・・あの者は呆けております。」
「・・・凄い。」
「え?」
「凄いですよ!妖怪がそこにいるのですね!!」
「え、ええそうですよ。」
「あ、なんかテンション上がってきました!」
(紫様・・・この者、おかしいですよ。)
(いいじゃない、これもこれで面白いし。)
(・・・・・・)
「亜衣夢、これでもう私たちが何なのかわかったわね。」
「あ、はい、ある程度は・・・」
「あなたは今日の朝、仔猫を助けたでしょう。」
「!な、何でそれを?」
「実はあの猫、私の猫なのよ。」
「え?でもあなたたちはあっちの」
「だから助けてくれたお礼に、あなたをつまらなくない幻想郷へご招待しまーす☆」
「はいい!?いや待ってくださ」
「待ちませーん。」
ヴォン
「へ?ぎぇあああ!なんですかこれ!?目玉がいっぱいのこの裂け目は!!」
「これが私の能力よ。さぁ、あなたに拒否権はありませーん。」
「いやそれなら準備させ」
パクッ
「チキショーーーウ!!」
「亜衣夢ー、幻想郷についたらとりあえず『紅い館』を探しなさーいそこがあなたの目的地ですからね。」
「・・・紫様・・・よろしかったのでしょうか?伝えなくても・・・」
「いいのよ。あれで。真実はいずれ解るわ。時が来るまで、待つだけよ。」
「・・・はい。そういえばどこに飛ばしたのですか?」
「・・・あ、適当にやっちゃった。」
「え?」
その頃亜衣夢は・・・
「あああ!何じゃあこりゃあ!!あたりは目玉だらけだしめっちゃ暗い!!怖いの一言に限るよほんと!しかもなんかふわふわするのが余計気持ち悪い・・・いつまで続くんだ―――」
ペッ
「ぶぎゃ!・・・いってぇ〜・・・何なんだよ・・・って。」
顔を上げりゃそこは見たこともない湖の近く。俺はついに、『幻想郷』についたんだって実感したよ。
「・・・すべて思い出したぞ!!ちくしょぅが!こんなどこかもわからんところに投げ捨ておって!まじ激おこ!」
亜衣夢はしばらく怒り続けたが無駄とわかりすぐやめた。
「・・・とりあえず、紫さんの言ってた『紅い館』に行ってみるか。」
ようやく重い腰を上げて亜衣夢は立ち上がった。周りをよく見ると湖の近くに蝶を擬人化して大きくしたもののようなのが沢山いて興味を注がれたが今は無視した。適当に前に進んでみると、何か紅い建物と共に気持ちの悪いオーラを感じ取った。
「・・・あそこ、なの?・・・すっげぇ行きたくねぇ。でも・・・行くしかないよな。」
こうして、亜衣夢の幻想郷での生活が始まったのだった。
ここでは主にネタを繰り広げます。
つまりはカオスと化します。
ご了承下さいませ。
今は特に言いたいことがないのでトンズラしますね。
それでは、ご機嫌よう。
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紅魔館
学校へ行くバスを待っていたとき猫が引かれかけそれを助けた亜衣夢。その夜紫と言う女性が突如として現れ亜衣夢も幻想郷へと連れて行ったのであった。
湖から歩くこと10分ぐらいのとこで、ついに目的の建物の全貌が明らかになった。
「・・・・・・な、なんだこれは・・・!」
亜衣夢が目のあたりにしたのはとてつもなく巨大で壁の色がすべて深紅な、館であった。さらにそれは凡人の亜衣夢でさえわかるような禍々しく、怪しいオーラを放っていた。
「これ、青〇だったら閉じ込められてバクッ!だよね・・・」(足めっちゃ震えてる)
どうする?ほんとにここでいいのか?紫さんはそう言ってたけどな・・・って!なんで俺あの人(?)のいうとおりにしてんだ!?あんな怪しさの塊の人の!い、今からでも間に合うか・・・?
引き返そうとした亜衣夢の足は、あるものを見て止まった。それは、5mは軽く超えるであろう城壁(?)の門のとこに、人がいたからである。
「ひ、人?あそこにいるっていうことは、門番の人かな?とりあえず、話を聞きに行こう!」
亜衣夢は急ぎ足で門番であろう人の近くによった。その人はとても変わった服装をしていた。長身で長髪。さらに昔のテレビであったような、チャイナドレスらしきものを着ていたのだ。
亜衣夢は中国のファンかなとか思いながら話しかけた。
しかし、なにやら様子がおかしいことに近づいてやっと気づいた。
「・・・・・・・・・」
「あの〜・・・あれ?返事がない・・・?すいませーん!」
「・・・・・・・・・」
「もしもーーし!!」
「・・・・・・・・・」
こいつ・・・寝てるぞ!いいのかよこんな門番で!これじゃあただのオブジェじゃん!そうか、そうですか。こうなりゃ、地声の大きさで数々の人に怒られてきた俺の本気見るがいい!
亜衣夢は肺にある空気をすべて吐き出し、代わりに真新しい空気を取り入れる。しっかり吸い込み、それを全力で吐き出した。
「す!い!m」
しかし、その時
「起きろゴルァァ!!!」
「ぐっはぁぁ!!」
「何事ぞ!!!???」
いきなり短銀髪で、メイドのような格好の女性が、突如現れこの門番の人の側頭部目掛けて飛び蹴りをあびせたのだ。これには亜衣夢も驚き唖然していた。
「な、何をするのですか!?ひとが寝て・・・見張りをしてるというのに!!」
「じゃあなんでお客様がいらっしゃっているのに何もしないのかしら!?」
「へ?・・・(亜衣夢の方を見る。)」
「・・・(中華の人と目が合う)」
「あああ!!!も、申し訳ございません!!お客様を待たせてしまい!」
「・・・美鈴、後で話があるから・・・」
「は・・・はひぃ・・・・・・(あ、死んだ)」
こ、怖ぇ・・・え?何この人?いきなり現れて飛び蹴りっすか?躊躇とかないんすか?ていうかそこの人もなんで生きてるの?怖いよ、両方怖いよ。
そんなことを思っていると、メイドらしき人がこちらを向いたのだ。亜衣夢は思わず身構えてしまうが向こうは頭を少し下げて挨拶をしてきた。。
「申し訳ございませんでした家の門番が。どうぞ、中にお入り下さい。用件などはそこで聞かせてもらいます。
あ、申し遅れました。私はこの、『紅魔館』のメイド長を務めさせてもらっています、『十六夜 咲夜(いざよい さくや)』と申します。それでは、ついてきてください。」
あ、自己紹介させてくれなかった。(´ω`)てか礼儀正しいね、この人。
そんな訳で、亜衣夢はこの、『紅魔館』に入れてもらうことが出来た。中に入ると外観通りの広々とした空間が広がっており変わらず壁などは深紅であった。
一言も会話が無いまま亜衣夢は客室まで連れてこられた。
「・・・それでは、まずはお名前を伺わせてもらいます。」
「あ、はい、三紗亜衣夢です。」
「亜衣夢様ですね。どういったご要件でここにこられたのですか?見たところ里の者ではなさそうですが。」
「あ、自分はなんて言うのでしょう、外の世界?から来たのです。」
「あら、そうでしたの?」
「それで・・・紫とかいう人からここにいけと。」
「・・・あのスキマBBAめ」
「へ?」
「失礼しました。・・・お嬢様の言う通りでしたわ。」
「はい?」
「何でもありません。それでは、あなた様は今日はここにお泊まりください。」
「え?いいのですか?(てか隠し事多すぎだろぉ)」
「はい、まさか野宿をさせるなんてことは出来ませんので。」
え?なに?やばいの夜わ?おれもしかしたらここら辺で野垂れ死にしてたのかな?
「では、ここで少々お待ちください、館の者全員に伝えてきますので。数分で戻りますので。」
「わかりました。」
と言うと咲夜はドアを開け、出ていった。亜衣夢はほの直後にあることに気がついた。
「え?数分で戻れるの?」
およそ2分半
「ただ今戻りました。」
本当に戻ってきたよこの人
「お嬢様があなたに話したいことがあるという事なので、付いてきてもらいます。」
「え?は、はい・・・」
「こちらです。」
いきなりここの主に会えるのか?・・・どんな人(絶対人じゃないだろうな。うん)何だろうな・・・
「つきました。」
「はやっ!?え?まだ歩いて数秒ですよ?」
「遅れましたら怒られてしまうので、少しいじらせてもらいました。」
え?なんて?いじる?何を?
「決して粗相の無いようにお願いします・・・機嫌を悪くしたなら、あなたは今日の晩餐になりますので。」
「・・・・・・・・・(絶望)」
コンコン
「お嬢様、お客様をお連れしました。」
「・・・いいぞ、入って。」
「失礼致します。」
「し、失礼致します?」
「・・・ふーん、お前が亜衣夢とやらか。」
「・・・(絶句)」
亜衣夢が見た者は、見た目10歳ぐらいで白いドレスらしきものを着ており、背中からはその体より大きな蝙蝠を彷彿とさせるような翼があり、亜衣夢が館に入る前に感じた、禍々しい気の発生源であった。
「ようこそ、紅魔館へ。私がここの主、『レミリア・スカーレット』だ。お前のことは聞いている。外から来たんだってな?」
「そ、その通りです。」
「早速だがお前、元の所へ帰りたいか?」
「・・・!」
「私ならお前を元の世界へ返すことが出来る。どうする?帰りたいか?それとも、幻想郷に残るか?」
「そ、それは・・・」
「早く決めろ。」
「え?」
「私は長い時間待つのは好きだ。だがな、刹那のような時間を待つのは嫌いなんだ。だから早く決めろ。」
「・・・」
ヤベェ・・・これ俺死んだぞ・・・は、早く決めなくては!だがどうする?
①帰る……元通りのつまらん日常が待ってるよ♪
②ここに残る……この何もわからない土地でどう生きていけと?
駄目だ・・・決まんねぇ(´・_・`)早く決めないと、殺される・・・
「まだか?」
「はいぃ!もう少々お待ちください!」
「後1分ね。それで決めなさいよ。」
くそぅ!時間制限された!・・・・・・ん?待てよ、ここってあれだよな、すごくでかい館、つまり使用人とか必要なんだよな。・・・これだ!
「時間だ、答えを聞こう。」
「俺は・・・いや、俺を・・・」
「ここで働かせてください!」
はいはいはいどうもどうもよーよーむです。
いかがでしたか?紅夢想2話目は?
おびただしく不適切な表現があったと思われますがそこは皆様の生暖かい目で、優しく見守って下さい。
それでは、アデュー
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一員になりて
幻想郷についた亜衣夢は紫の言う通りに紅魔館へ向かった。館の主、レミリアと対峙し行き場の無い亜衣夢はここで雇って欲しいと願ったのだ。
「俺を・・・ここで働かせてください!」
「・・・」
だ、ダメかやっぱり・・・
「・・・・・・・・・フッ」
「え?」
「お前、本当にそれでいいのか?」
「・・・はい、決めましたので。」
「連載3話目でもうそんな事言って」
「メタイ!メタイよ!」
「お嬢様・・・そういうところには突っ込んではいけません・・・どこぞの底辺無能愚主の発想が皆無なのですから。」
「あら、ごめんなさい。」
「ちょっと咲夜さんまで!?やめてあげて!いろいろとアウトだから!」
「ふふふ、お前の心意気、気に入ったよ。」
あ、無かったことにした。さっきまでの投稿ギリギリアウトな会話を無かったことにした。
「いいだろう。お前は今日から紅魔館の一員だ。」
......まじで?...よっしやぁ!決まったぜい!面接とかなしかな?とりあえずyes!!
「そして、私の奴隷となった。」
・・・・・・あれ?なにかおかしい単語が聞こえたぞ?
「咲夜、今すぐ晩餐の準備を。そして館の者を全員食堂に集めて。こいつの歓迎パーティーよ。」
「かしこまりました。それでは、お先に食堂で待っていてください。」
そう言うと咲夜は颯爽と歩いて一礼してから失礼致しました。と言いこの部屋から去っていった。
「よし、亜衣夢行くわよ。」
「あ、はい。」
亜衣夢はレミリアの後について行った。来る時とは違い、そこまでの道のりは少々長いものだった。大した会話も無く、亜衣夢とレミリアは食堂までたどり着いた。やはりここも広い所で何10人来ようとこの席が埋まることはない。それぐらいの広さだった。
「さて、亜衣夢よ。」
「は、はい。」
なんだ?いきなり改まって?何が起きるんだ?
「他の奴らが来るまで私は暇だ。」
あ、これってまさか・・・
「だから、なんか興味の出るような話をしろ。」
oh…ですよねぇー
「え・・・話、ですか。」
「そうだ。なんか言え。」
「そうですね・・・あ、じゃあ自分のいた世界についてはどうですか?こっちとあっちではいろいろと違うようなので。」
「・・・ふーん、面白そうね。話して。」
「わかりました。」
〜少年説明中〜(ただの手抜き)
「・・・と、このようにこちらの世界ではこのようなものがあるのです。」
「ふふ、なかなか興味深かったわ。だいぶ暇つぶしになったわ。」
よ、良かったぁー。ここでもしミスっていたら・・・ゴクッ
すると、ドアの向こうからなにやら話し声が聞こえてきた。それでやっと館の者達が来たということが分かった。
そしてドアをノックする音と共に咲夜の声が聞こえてきた。
「お嬢様、ただいま連れてまいりました。」
「ふっ、ご苦労。中に。」
「失礼します。」
ここで亜衣夢はまた驚くことになったのだ。何10人来るかと予想していたのだが、なんと来たのは咲夜と門番の人を含め、2人しか来なかったのだ。
「・・・え?この人達だけですか?ここにいる人って。」
「亜衣夢よ、あといるのは役立たずな妖精メイドだけだ。呼ぶ必要が無い。」
「はい?妖精メイド?」
「まぁそんなことはどうでもいい。さあ、自己紹介をしろ。美鈴、やれ。」
「さ、早速ですか!?・・・えーと、私は『紅 美鈴(ほん めいりん)』といいます。仕事としてはここの門番と花の手入れ。ですかね。」
「よろしくお願いします、美鈴さん。」
「・・・・・・」
「・・・?美鈴さん?」
「いえ、こんな良い扱いは久しぶりなものでして・・・」
この人、どんな待遇してんだよ普段。
「次、パチェ。」
「はいはい・・・私は『パチュリー・ノーレッジ』よ。普段はここの地下にある図書館にいるわ。」
「と、図書館があるのですか!?」
「ええ、もし暇があったら来なさい。案内してあげるから。ああ、そうそう。この子は小悪魔。私の使い魔よ。」
「パ、パチュリー様!私の紹介を取らないでくださいよ!」
「みんな『コア』って呼んでるからそう読んであげて。」
「ぜ、全部持っていった・・・」
「え、えぇと、よろしくお願いします。」
「よろしく。」
「うぅ・・・よろしくお願いします・・・」
「流れ的に私ですね。もう一度言いますが私は十六夜咲夜です。ここのメイド長を務めていまして妖精メイドをまとめています。」
「そして私がレミリア・スカーレットよ。ここで一番偉い。OK?だからあなたは私のことはお嬢様とお呼び。」
「お、OKです。お嬢様・・・?」
「よろしい。」
「お嬢様、妹様も連れてきますか・・・?」
「・・・駄目。亜衣夢が危ないわ。咲夜、亜衣夢がここの住人になった事をフランに伝えて。」
「いいのですか?」
「明日私もついていくわ。」
「・・・・・・かしこまりました・・・」
待て待て待て待て何の話だ。俺を無視して話進めるの本当にやめてください死んでしまいます。てかフランて誰?
「・・・よし!気を取り直して宴会の始まりよ!!咲夜、用意して。」
「もう準備済みです。」
「ふっ、流石は咲夜ね。さぁ!今日は好きなだけ食べなさい!」
(一同)「イエェェェイ!!」
宴会が終わったその夜(既に明け方に近いが)咲夜はレミリアの言うとおりに、「フラン」と呼ばれるものの元にいた。
その場所は紅魔館の地下牢。「フラン」は地下牢の中にただ1人でいた。隅っこの方でうずくまっているのを見つけた咲夜は話しかけた。
「・・・妹様。少しよろしいですか。」
「・・・・・・・・・なぁに咲夜?」
「実はですね。今日は客人が来まして。」
「誰??」
「えぇ?あ、名は亜衣夢といい今日でここの住人のひとりとなりました。」
「本当?私、会ってみたい!」
「申し訳ございません、いま亜衣夢は疲れきって眠っているのです。なので明日、会えますよ。」
「えぇー・・・わかった。待ってる。」
「お解りいただきありがとうございました。それでは、お休みなさいませ。」
「おやすみ。」
咲夜はこの場から去っていった。地下牢にしばらく静寂が続き、フランは眠りについた。
「・・・・・・亜衣夢、か。」
そして、時は流れ日が昇ってきた。
そんな早朝に咲夜は亜衣夢に紅魔館の仕事についての話をしていた。
「それでは、早速仕事内容を言います。」
「は、はい。」
「まず新入りのあなたは美鈴の手伝いをしてきて。」
「え?となると、門番とかそこら辺の仕事ですか?」
「それもあるけど、まあ詳しくは美鈴に聞いて。」
「了解です。」
「あ、そうそうこれとこれを持ちなさい。」
「・・・なんですかこれ?」
亜衣夢の手に渡されたのは何かブザーみたいな物と44マグナムだった。
「ちょっと待ってください!!ブザーはわかりますけど(何に使うのかは解らないが)、これ本物の銃じゃないですか!!しかもマグナム!死にますよ!!」
「もし美鈴が寝ていたらそれをぶっ放しなさい。大丈夫、弾は入っていないから。」
「・・・・・・・・・(汗)」
「それでは、頑張ってね。」
咲夜はさっさと仕事に戻っていった。亜衣夢は一人残され、どう使用もないので美鈴の元へ行ったのだった。
「咲夜さん・・・恐るべし!」
いやー夏休みですねー
私のところは夏なのにぱっとしない天気でして...辛い(/ω\)
「てかお前休みならもっと早く投稿しろよ。」
!?何出てきてんだよ!帰れ!かーえーれ!かーえーれ!
「悪いかよ!てか小学生かお前は。」
ここは私の独壇場ですぞ!早よ帰れこの蛸茄子!
「わけのわからん悪口言うなよ...」
ばーか!あーほ!まぬけー!お前あれだかんな!次の時目にものを見せてやるからな!覚えてろよ!
「いや、そのセリフは負け犬フラグじゃ...行っちまったよ。あ、茶番ですみません。また次もこの糞小説をお願いしますね。」
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初仕事
レミリアに認められ紅魔館の使用人になった亜衣夢。歓迎会の翌朝、早速仕事が咲夜により命じられた。その内容は美鈴の仕事の手伝いであって、何故かマグナム銃を持たされるのであった。
「想いはー形の無いー♪儚きものー♪」
「・・・・・・・・・」
ここは紅魔館の大庭園。そこには色とりどりの花々に囲まれて何やら歌を歌いながら陽気に世話をしている美鈴の姿があった。
「ごーまかーし通用しーない♪硝子的サイコロジ・・・・・・・・・(亜衣夢と目が合った。)」
「・・・・・・・・・(美鈴と目が合う)」
あれ?なんか、すっごいデジャヴ。前にもあったよなこんなの。
「・・・・・・・・・あ、亜衣夢さん。ど、どこから聴いていました・・・?」
「えと・・・想いは形の無いのところからですね。」
「・・・(赤面)」
「・・・・・・(複雑な顔)」
「で?一体何のようなのですか?こんなところまで来て。」
あ、この人も無かった事にした。なんなの?ここの人は全員無かった事にするの好きなの?
「あ、えっとですね、咲夜さんに美鈴さんのところに行って仕事しろとの事で。」
「ああ、そうでしたか。」
「何をすれば良いですか?」
「そうですね・・・・・・そうだ、少しの間私の代わりに門番して下さい。」
「へ?」
「いやですね、花達の世話でも良いのですがこの広さですから人間の亜衣夢さんでは大変だと思いますので。」
「ああ、はい、そういう事でしたら任せてください。」
「本当にですか?では、頑張ってくださいね。」
「あ、一つ質問いいですか?」
「はい?」
「いくら何でも新入りの俺がやって問題無いのですか?何か来ても太刀打ち出来ませんよ?」
「ああ、その時はすぐに駆けつけますので大丈夫ですよ。」
「そうなのですか?」
「安心してください!」
「・・・あ、はい、分かりました。」
こうして亜衣夢はしばらくの間紅魔館の門番をする事になった。花々の世話をしに行った美鈴の姿はどこか嬉しそうな感じがしたが亜衣夢が気にすることは無かった。
「・・・・・・いい天気だなぁ。」
程よい日光、湖から来る冷気を纏った心地の良い微風。
たまにする鳥のさえずりに亜衣夢は魅了されていた。
それも無理はない。元の世界ではこんなにも素晴らしい場所に生まれていなかったからである。あまりの心地良さに睡魔が襲ってきたが、何とか堪えていった。
「こんな所があっただなんて・・・来て良かったな。本当。」
「だろ、ここは結構いい所だよな。ここの主人がいいセンスしてたらもっと良かったのにな。」
「いやいや、そんな事言わないで下さいよー。お嬢様だってきっといろいろと考えているのですから。」
「おお、そりゃ失敬。」
『ははははは!』
「誰だよあなたは!!!!!!」
「え、えぇ?今っ頃かよ!」
亜衣夢は今更横にいた少女の事に気が付いた。少女は一見普通の姿だったがあるおかしい点がある。一つは箒を持っている。一つは金髪。もう一つは魔女を彷彿させるような大きな帽子を被っていたこと。
「てかお前誰??」
「あ、そうでしたね、自分は三紗亜衣夢、ここの使い人です。」
「ああ、なるほどな。私は魔理沙(まりさ)だ。よろしくだぜ。」
「よろしくおねがいします。」
なんだこの人は、女なのに『だぜ』っていう人初めて見た。まぁいい、気にするのはそこじゃない。なぜ魔女のコスプレをしているんだ。
「・・・ん?どうした?」
「あ、いえ。ちょっとその服装が気になりまして・・・」
「ああ、それか。そりぁ私は『魔法使い』だからな。」
「・・・・・・・・・・・・はい?」
え?え?なんて?わんもあせい。ぱーどゅん?
「その目は疑ってるな?」
そりゃそうだ。逆にこれ聞いて「はいそうなのですか」っていう人いるか?いねぇよ。
「仕方ないな、なら魅せてやるよ。」
そう言うと魔理沙は何か六角形の小物を取り出し、それを天に掲げるようにしてこう言い放つ。
「・・・いくぜ!」
『恋符・マスタースパーク!!!』
するとその小物からは辺りに星の形をした閃光をまきちらしながら光線を放ったのだ。その衝撃と輝きに亜衣夢は言葉を失った。
そして亜衣夢の第一声は「・・・き、綺麗・・・」だった。
元の世界では確実に目にすることは出来ないであろうものを見ることが出来、亜衣夢は一瞬感動も覚えた。
「どうだ?これで私が魔法使いだって解っただろ?さらにこんなことも出来るんだぜ!」
そう言うと今度は其処らにある草を凍らせたのだ。これで決定した。この人は魔法使いだと。
「す、凄い・・・」
「ま、これくらい楽勝よ。んじゃ、失礼するぜ。」
「へ?いや、ちょっと待ってください!」
「なんだよ。まだ用あるのか?」
「あの、用件は一体?」
「ああ、ちょっと本を貰・・・借りるだけだぜ。」
ん?何か言いかけたぞ。まぁいいや。
「あ、分かりました。」
(なんだ?結構楽に通れたな。さぁて、今日は何を持っていこうか)
「待なさーい!!」
「うおっ!め、美鈴さん?!」
「亜衣夢さん!騙されないで!そいつはいつも図書館よ本を盗るコソドロです!」
「マジで!?」
「げ!美鈴いたのかよ!くっここは退散だぜ!」
魔理沙は箒にまたがって颯爽と飛んで逃げていった。
「・・・何だったのですか?」
「亜衣夢さん、あいつは入れちゃダメですからね。」
「あ、はい。」
亜衣夢は気を取り直して門番の仕事に戻った。その後は特に何もなく、ただ時のみが流れていき日も暮れた頃、やっと終わりの知らせが来た。
「お疲れ様でした。亜衣夢さん。後は私がやりますので咲夜さんの所まで戻っていってください。」
「分かりました、頑張ってくださいね。」
こうして、亜衣夢はやっとの事で戻っていった。
「お疲れ様です亜衣夢。・・・美鈴さぼってなかった? 」
「いえ、ちゃんとしていました。」
「そう、ならいいわ。じゃあ今度は人里まで買出しをお願いできる?」
「あ、了解です。」
「地図とメモと財布はこれ。あと絶対森には行ってはダメよ。」
「解りました。」
森には行ってはダメ。何でだ?そこではちょっとスルーしたけど。・・・別にいいや、考えなくても。
亜衣夢は暗くなり始めているので急いで行くことにした。
「・・・ここが、人里・・・?」
そこはまるで江戸時代のような古さを感じさせた。機会てきなものは一切無くまるでタイムスリップしたようだった。
亜衣夢の姿は確実に場違いで周りから痛いほど注目を浴びた。歩いていると3人の子ども達が寄せ集まってきた。
「ねえねえ、お兄ちゃんは外からきた人なの?」
「え?そうだよ?」
「ほんと!?」
な、なんだこやつらは。俺が外の世界の人と知った途端目輝かせて。怖いよこれ。
「はなしきかせてよ!いろいろと!」
「ぼくもしりたい!」
「わたしも!わたしも!」
「え、いや、ごめんね。俺今買い物していて、急がないと駄目なんだよ。」
「ええー!いいじゃんちょっとくらいー」
「けちー」
「ちきんー」
「へたれー」
「たまなしー」
「うっせぇ!あるし!バッチリあるし!」
「角がりあたまー」
「ふとまゆー」
こ、こいつら・・・ムカつく!?俺の痛いところバッチリついてきやがる・・・
「てか角刈りじゃねぇし太眉でもねぇ!」
「こら。」
ゴン!×3
「いったーい!」
「なにするの先生!」
え?先生?この人?
それは確実に先生、と思える姿では無かった。しかし、真面目な話し方からなんとか納得することはできた。
「すまないな。私の生徒が無礼をした。ほら、早く帰りなさい。」
『はーい。』
「いえ、大丈夫です。ははは。」
俺のLifeバッチリ削られたけどな
「私は『上白沢 慧音(かみしらさわ けいね)』ここにある寺子屋で子ども達に勉学を教えている。」
「どうも、三紗亜衣夢です。以後お見知りおきを。」
「ああ、こちらこそ。それで、急いでるのでは無いのか?」
「あ!そうでした!すいません!それでは!」
やべぇ!いっそげー!遅れたら殺される!!!
全速前進だ!!
亜衣夢は風のごとくの速さで店まで走っていった。
「・・・速いなあの者。亜衣夢か、なかなか骨のありそうな奴だ」
「おっしゃぁ!!終わったぁ!!行くぜぃ行くぜぃ行くぜぃ!!」
そして風のごとくの速さで買い物を終え、通り抜けていった。
「・・・見当違いだったな。」
「はぁ、はぁ、あと、少しだァ・・・」
ヤバイ・・・もうだいぶ暗い!これは・・・死んだ!
亜衣夢が必死の思いで走って(実際はジョグよりも遅い)いると、例の森を見つけた。その森は今にも襲いかかってくるぐらいのおどろおどろしい雰囲気であった。
たまに聞こえてくる獣のようなうめき声。梟の鳴き声。それらがさらに恐怖を煽ってくる。
「・・・こんな所、入れって言われても入るものか!!」
亜衣夢が紅魔館へ向かおうと方向を変えた時、亜衣夢は心臓が止まるのかと思うような体験をした。
目の前に少女が立っていたのだ
「・・・・・・!」
そこにいたのは小さな少女。一見普通の見た目。だが亜衣夢には解かった、「コレはやばい奴」だと。
少女の表情は、幼さを残しながらも狂気に溢れたものだった。暗闇からこそっと見える鋭利な歯、笑顔に隠れた闇。これらすべて亜衣夢に今まで感じたことのない恐怖を味合わせることとなった。
「あなたは......食べてもいい、人類?」
ふははは!ざまぁwwww見たか!これが筆者の、漸々夢の実力じゃい!!これで奴は宵闇の妖怪に喰われて死ぬのだ!ざまぁwwww(2回目)
さて、邪魔者は消えた...つまり私の天下!!独壇場ですぞ!いっつあふりーわーるど!!(英語力皆無)
「そこ、いい加減にしなさい。」
ンンンンンンンンwww誰ですぞ?我のふりーわーるどを邪魔するの...は......
「全く...ほんとにこいつは......」
あ、あなたは!!!
〜次回の後書きへ続く。
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絶対絶命
美鈴からは門番の仕事を命じられ、日中はその仕事に没頭した亜衣夢。次に人里までの買出しを頼まれ急ぎ向かう。その帰りの途中、亜衣夢は会っては行けないものと出会ってしまい窮地に立たされるのだった。
に・・・逃げろ!!
頭の中ではそう何度も言い聞かせた。しかし身体は一向に動こうとしない。足はガクガクと震えて力が入らず少し気を抜いてしまえば容易くその身体は大地に接してしまうだろう。
「く、来るな・・・」
「ふふふ・・・」
そいつはゆっくり、まるで蛇が獲物を追い詰める時のように、亜衣夢を弄ぶように近づいてくる。幼い瞳の中には鋭い狂気と血に飢えた捕食者が映っていた。
「く、くそ・・・」
その時亜衣夢は思い出した。自分には強力な武器があることを。
そうだ・・・コイツを使って!!
「この・・・失せろ!!」
バアァァァン!!!
強烈な発砲音がした後すぐさま腕全体に激しい痺れがきた。それもそのはず、マグナム弾を発射したのだから。だがこの痛みが亜衣夢の身体を正気に戻した。亜衣夢は化物に目もふれずに急いで紅魔館まで走っていった。
「こ、これで多少は時間稼ぎが出来た!!今のうちに・・・逃げなくちゃ!!」
「・・・・・・危ない危ない。あの人類、こんなものを持っていただなんて。」
肩にごくわずかな傷を付けられた少女はおぞましい顔で笑い、すぐさま亜衣夢を追いかけた。
その頃紅魔館では・・・・・
地下室にて、咲夜とフランドールが話をしていた。その内容はフランドールに亜衣夢を合わせるという感じだった。
「・・・という訳なので今日の晩餐の時に会えますよ。妹様。」
「やったぁ!やっと会える!」
「では、その時まで少々お待ちを。」
「うん!楽しみにしてるね!」
「・・・遅い。」
「確かに・・・亜衣夢さん遅いですね。」
咲夜と美鈴が玄関先で亜衣夢の帰りを待っていた。しかし、辺りが暗くなっても帰ってこない亜衣夢を2人は心配していた。
「咲夜さん、まさかあの『森』に入ったんじゃ。」
「まさか、亜衣夢はそこまで馬鹿じゃないわ。」
「で、でも・・・」
その時だった。
バァァァァン……
「!?今のは!」
「あれは・・・私が渡した44マグナムの発砲音!!」
「ええ!!さ、咲夜さん!?なに渡して・・・いや、それはどうでもいいです!つまりそれを撃ったと言うことは・・・」
「!」
咲夜は一瞬にして一つの痕跡も残さず姿を消した。美鈴はそれに一瞬気付くのに遅れた。
「ああ!咲夜さん!先にいかないでください!!」
美鈴も急いで外にでて亜衣夢の元へ向かった。
「はぁ、はぁ・・・」
亜衣夢は全力で紅魔館まで走っていた。元陸上部だったので足にはそれなりの自信があった。しかしふと後ろを見た瞬間、その自信というのは呆気なく崩れ去った。
追ってきていたのだ。
さらに驚くところは走っていないところ。そう、
飛んでいるのだ。
「あはは、それじゃ私から逃げられないよ?」
「この化物が、喰らえ!!」
バアァァァン!!!
「効かないよ。」
少女は何も無い空間から光球を発射したのだ。それはいとも容易くマグナム弾を砕いた。しかも一つではない。大量にだ。
マグナム弾でさえ歯が立たないこの攻撃に亜衣夢はただ呆然とするしか無かった。そして、
「う、うわぁぁぁぁ!!」
被弾した。
その衝撃は凄まじく足に当たっただけで数メートルは吹き飛ばされた。近くにあった大木に背中をうちしばらく呼吸が出来なかった。
「げほ…なんだよ、いまの……」
身体は動かない。言葉を発するのでさえ辛い。体が冷たくなっていく。恐怖に冷えているのだ。最早視界もまともではなくなってきた。なにかが近づいてくるが正体が解かっていても認識できない。
「あなた外から来たのでしょ?教えておくわ。この世界ではねそここら来た人を食べてもいいの。もちろん博麗のとことかそういう所に保護されて入れば別だけど、あなたはこんな所でうろうろしていた。」
なにを言っているんだ?・・・だめだ。上手く聞き取れない。
「ダカラタベルヨノヨ。」
目の前が黒色から暗い紅色に変わった。残った思考で思いついたのは、奴が口を開けたということ。
ああ、ここで死ぬのか。なんか、早かったな。終わるの。・・・いや待て、ここで死ねるか!!連載5話目で・・・主人公が死ねるか!!!
「イタダキマ〜ス」
「そこまでよ。」
「!?」
なんだ・・・?あいつが消えた?・・・
ザクッ!!
!?な、なんぞ!?な、ナイフ?いやまて、今の声は・・・
「・・・なんだ、紅魔館のメイドか。いま食事中何だけど?」
「そう、それはごめんなさいね。でも・・・」
この声は・・・まさか・・・
「おあずけよ。」
咲夜さん!?
「これ以上亜衣夢に手を出すというなら、私が相手になるわ。」
「私は今、お腹ペコペコなの、だから、よこせ!!」
「いいわ、なら2度と空腹にならないようにして上げる。」
「闇符『ディマーケイショ―――』」
「幻世『ザ・ワールド』」
亜衣夢は夢でも見ていたかのようだった。少女が大量の光球を放とうとした瞬間、少女の前にいたはずの咲夜が、いつの間にかその背後に立っていたからである。しかし、これで亜衣夢の驚きは止まらない。その少女を覆うようにして無数のナイフが飛んでいったのだ。
鮮やか、華麗、颯爽。いくつかの褒め言葉が亜衣夢の脳内に湧き出てきた。それほどに感動したのだから。
「全く。弱いくせに向かってきて。」
「ガハ・・・」
「さ、咲夜さん・・・」
「大丈夫?亜衣夢。」
咲夜は全身強打して動けない亜衣夢に手を差し伸べてくれた。それをみた亜衣夢は意識を失った。
・・・・・・どこだここ?あれ?動けない。ああそっか、あの化物にやられたんだもんな。そりゃ動けんわ。
「ずいぶんとこっぴどくやられたようね。亜衣夢。」
! その声は・・・紫さん!!
「ご名答。どう?もう幻想郷から出たくなったんじゃない?こんな目にあったのだから。恥ずかしい事じゃないわ。」
・・・ふっ、紫さん。なんでもお見通しのあなたでも分からないことはあるのですね。
「・・・?」
あの程度で逃げたくなるほどやわな覚悟、決めてません!!俺はまだ幻想郷に居続けます!!ここが、俺の居場所なんです!!
「・・・そういうと思った。」
へ?
「けど、もし帰りたいとかそういう弱音が聞こえたら・・・ね?」
ハイキモニメイジマス
「では戻りなさい。あなたの第2の帰るべき場所へ・・・」
―――――む――
え?なんて?
―あ―――む――
もう一回おなしゃす、あっしは耳が遠いいもんで。
―あいむ――
え?
「亜衣夢!!!!起きなさい!!!」
「はいバッチリ目覚めました皆様おはようございます!!!」
「うるさい!!!」(亜衣夢を殴り飛ばす)
「あべし!!」
「あ!起きましたよ!!」
「・・・あれ?ここは?」
「ふん、やっと起きたようね。ずいぶんとうなされていたようだけど。」
「お、お嬢様?という事はここは。」
「そうです。紅魔館です。」
「さ、咲夜さん・・・」
「いやービックリしたのですよ。私が向かっていったら咲夜さんがあなたを抱き抱えて運んでいたのですから。」
・・・うっわ。はっずかし。女性に抱っこされちまったよ。なに?これ?助けてくれたはいいけどなんか・・・ねぇ?
「亜衣夢・・・無いとは思うけど、まさか森に入ったりしていないわよね?」
「入ってません・・・本当です。ただ、人里でちょっと人にからまれて、遅くなってしまい急いでいたら、あの化物に襲われたのです。」
「・・・!本当に?」
「はい・・・」
「なんて言うことなの・・・」
「亜衣夢さん、あの妖怪はルーミアといい闇を操ることができる妖怪なのです。」
「や、闇を・・・ですか。」
「多分その能力を使って亜衣夢さんにしのびよったのだと思います。」
「災難だったわね。でも、あいつが人里近くまで来るなんて・・・今日は新月では無いはず。」
「まぁ、いいじゃないですか咲夜さん。亜衣夢さんも無事だったのですし、これで妹様にも怒られずに済みますよ。」
「それもそうね。」
「ちょっと!私をおいてけぼりにするな!!」
「ははは・・・」
「さてと、そろそろ夕食の用意でもしますか。」
「あ、でも亜衣夢さん買い物どころでは。」
「大丈夫です、ちゃんと死守しましたので。」
「・・・あんた凄いガッツね。」
半刻後、夕食の準備が出来たので食堂へと集まる亜衣夢達。亜衣夢のハプニングにより少々時間が遅れていたため皆空腹状態であった。それにより食事が始まるとすごい勢いで食べ恥じたのであった。
「亜衣夢、ちょっといいかしら?」
「ふぇ?ふぁい、いいでふぅよ。」(約︰え?はい、いいですよ。)
「あ、やっぱり食べ終わってからでいいわ。」
ゴクン「あ、はい。」
少年飲食中……
「プッハーご馳走様でした!」
「食べ終わったようね。それじゃあ、妹様、来てください。」
来たのはレミリアよりちょっと小さいくらいの少女であった。金色の髪にレミリアと同じような帽子。そして極めつけはまるで木の枝に宝石をぶら下げたような、なんとも奇妙な羽らしきものがあった。
「この方はフランドール・スカーレット。お嬢様の妹です。」
な、妹!?マジで!?いたのか!
「あなたが亜衣夢?」
「え?はい、そうですよ。亜衣夢です。」
「ふーん、予想以上に壊れやすそう。」
今の発言で俺のカバーガラスハートが壊れかけましたよ。
「てか、なんで今なのですか?昨日でも紹介するなら良かったのでは。」
「それは・・・」(亜衣夢の耳元により)
(妹様は少々情緒不安定でして、いつ暴れるのか解らないのです。なので調子のいい今にしたのです。)
(なるほど、了解です。)
「そうだ、ねぇ亜衣夢。」
「は、はい、何でしょうか、妹様?」
うわぁお、慣れねえなこの言い方。
「私と、遊んでくれない?」
その言葉が発せられた瞬間、この場に緊張感が走ったことに、亜衣夢は気づけなかった。そいて意味も・・・フランドールの言う「遊ぶ」の本当の意味さえも・・・
さ、咲夜さんではないですか!!どうしたのですかこんなところで!!
「どうしたもこうしたもないわよ。あなたのせいで亜衣夢は夜はうなされ睡眠不足がしばらく続いたのよ?」
いやいやいやそれはあいつがポンコツヒューマンであっただけで-
「さらにそれのせいで粗相するは居眠りするはでこちらも大変なのよ。という訳で...」
ちょ、なんですかその大量のナイフはなんですか!
「天誅!!覚悟なさい!」
お、お待ちくだされ!明日まで!(パラガス風)
「殺人ドール」
ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピチューン
『こうして紅魔館のメイド長、十六夜咲夜の活躍によりこの小説の平和は保たれたのだった。頑張れクソ主、負けるなゴミ虫!お前の小説なんか誰も待ってない。永久に去るんだこの×××。』
Byナレーター
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弾幕ごっこ
人喰い妖怪に襲われた亜衣夢。必死に逃げるが相手は予想以上の速さで亜衣夢に追いつき致命傷を与え絶対絶命のピンチに陥る。しかしそこで咲夜の助けで生き延びたのだった。
「私と遊んで?」
この一言で辺りの空気は一変した。フランドールを除いた(亜衣夢も含まれる)皆が深刻そうな顔でお互いを見合っていた。流石の亜衣夢もそれに気がついた。
・・・・・・え?何この張り詰めた空気。何なん?フラ、妹様の言ったことがおかしい事なの?
「ねぇ、いいでしょ?私と遊んでよ?」
そう言いながらフランドールは亜衣夢の服の裾をつかみながら揺さぶる。
・・・・何この子まじ無邪気やん。本当になんでこんな空気になるんだ・・・?わからんなー
亜衣夢がフランドールのねだりに負けてしまい、それを了承しようとしたその時。
「駄目よ。」
レミリアが鋭い口調でそう言い放った。フランドールは眉間に軽くシワを寄せて悲しげな顔をして言い返す。
「・・・・・・何で?お姉様。」
「よく聞きなさい。私達は誇り高き吸血鬼、けどねアレはただの馬鹿で貧弱、愚かな人間なのよ?私達がどんなに手加減しても、ただの人間のこいつには無理。壊れてしまうわ。」
「・・・・・・」
はいはいはいはい待て待て待て待て待ちなさい。何か人類全体を馬鹿にしているんだろうけど、なぜだ。俺だけを馬鹿にしているように聞こえてくる。あれ?何か目から熱いものが・・・・
「お嬢様、少々よろしいですか?」
「・・・・何、咲夜。」
「それなら亜衣夢自体を強くしてみたらいかがでしょうか?」
「・・・何をいうかと思えば、あなたもアレを殺させたいの?」
「そういう訳ではございません。亜衣夢はすでにここの使用人。ある程度の戦闘はできなくてはなりません。なのでこれを機に亜衣夢を鍛えてみたらどうですか?」
「なるほどね。」
「それに………」
「……ふふ、そうね、それは面白そうね。」
・・・・・・何だ?なにか寒気が・・・・あ、これアカンやつだ。絶対俺に何か来るよ。
「フラン、良い?亜衣夢は今のままでは雑魚なの。だからあいつを弾幕ごっこができるくらいのレベルまであげる。だからその時まで待ってくれる?」
「・・・・解った。私待つ。」
「ありがとう。解ってくれて。」
そう言ってレミリアはフランドールのことを優しく覆いかぶさるようにして抱きしめた。
「・・・・いい話ですねぇ。」
「ふふ、そうね。」
「確かに・・・・」
ん?
結局妹様とやることになってるやん!!!!!????
なんやかんやあり次の日の夜、紅魔館の住人はレミリアの命により全員外庭に集まった。
「それでは早速亜衣夢を強く、鍛えたいと思う。異論のある奴。頭を差し出せ。」
あ、異論したら殺されるんですね解りませんはい。
「とりあえずお前にはここのルールを知ってもらおう。咲夜。」
「かしこまりました。」
あ、咲夜さんが説明するのか。まぁ予想通りだけどね。
「知ってるとは思いますが幻想郷には人間や妖怪、神霊、妖精などと多種多様です。そんな中殺し合いはできず廃れていった妖怪などのために生まれた擬似的に命をかけれる、誰もが平等に戦うことのできる、『弾幕ごっこ』があります。」
「弾幕ごっこ?」
遊び、ではないよね。ごっこといったけど擬似的に命をかけるんだもの。絶対違う。
「そうです。ルールとしては『スペルカード』を用意します。」
「スペルカード?」
「スペルカードというのはまぁ、自分の必殺技みたいなものです。それをカードにしてその技を出すときに宣言して使います。」
「ふんふん。」
「あ、いい忘れてましたが『弾幕』というのが基本的な攻撃手段です。ルーミアが出したあの光球のことよ。」
あれが弾幕だったのか。ほんと不思議だったよなあれ。
「その形などは使用者によって変わります。私の場合、このナイフを使います。」
そう言って咲夜はどこからとも無くナイフを抜き出した。月の光を反射し、銀色がより強調されており余計に恐怖を煽るかのようだった。
「これらを相手に当てて降参させたり、行動不能状態にしたりできれば勝ち。ほかに相手の持っているスペルカードをすべて破っても勝ち。まぁ、大体勝手にルールを決めたりもするのだけど、これが基本的なルールね。」
・・・・・・だめだ、理解に苦しむ。頭の容量2KBの俺にはきつい。まじ外付けハードディスクドライブつけよう。
「まあ、習うより慣れろよ。とにかく実戦してみましょう。」
「いやいや、待ってください。まずその弾幕?の出し方すら解らないのに出来る訳」
「やれ。」
「了解です。」
「お嬢様、待ってください。ここは見本として私と美鈴で実際にやってみます。亜衣夢はそれをみていてもらえるかしら?」
「わ、わかりました...」
ラッキー!助かった!良かった!ε- (´ー` ) フー
「......? じゃあまずは弾幕の出し方。美鈴、お相手よろしくね。」
「よろしくお願いします。手加減しませんからね?」
「どうぞ。」
うおぉ、なんかすごい。これは激闘の余寒・・・!
「亜衣夢、よく見ておくのよ。」
「ぱ、パチュリー、様?いつも間に?」
「あら、ほんとね。パチェ、どこにいたのよ。」
「ちょっと図書館に結界を。どっかの金髪魔法使いが来ないように、ね。」
「流石ね。因みに強度は?」
「レミィが2、3回殴ったぐらいじゃ壊れないぐらいね。あと、特別な仕掛けを・・・・」
「ほほぅ、それは面白そうね。見てみたいけど今はここが先。さぁ、存分に戦い合いなさい。」
「わかりました!咲夜さん、行かせてもらいます!!」
「どこからでも来なさい。返り討ちにしてあげるから。」
一方その頃、図書館では。
「ふっふっふ、予想通り誰もいない。さぁ~て今日は何を借りようか―――」
バリン!!
「痛あ!何??け、結界だと?やれやれだぜ、あいつも余計なことを・・・・」
そう言いながら魔理沙はどこからかミニ八卦炉を取り出した。そして・・・
「行くぜ・・・・・『マスタースパーク!!!!』」
場所は戻り庭。
「まずはイメージですね。己の中にある霊力を好きな形にします。この時はなるべく綺麗な形を作るようにしましょう。弾幕ごっこは美しさも大切ですから。」
すると美鈴のてかほのかに光り始めた。亜衣夢は夢でも見たかのようだったが別にさほど驚くこともなかった。
「そして、それらが十分にイメージ出来ましたら、相手に向かって全力で・・・・・解き放つ!!」
美鈴が空を斬るようにして上段蹴りをするとその軌跡からあの時、ルーミアが撃ったのと同じもの。弾幕が出たのだ。ソレは止まることなく咲夜へ向けて放たれていった。
「よっと。」
咲夜は高速で迫りくる弾幕を多少の動作ですべてかわす。数十発撃たれた弾幕はひとつ残らず宙で消えた。
「咲夜さん、ちょっと簡単に避け過ぎじゃないですか?なんか私が弱いみたいじゃないですか。」
「知らないわよ。悔しいなら、もっと凄いのにしてくれる?」
「言いましたね!」
「とりあえずあんな感じね。なれたらイメージしなくても呼吸するように出すことが出来るから。」
「なる程・・・・ところで『霊力』って何ですか?」
「霊力はまぁ、ようは『気』よ。」
「気・・・ですか?」
「そう。ドラゴン○ールあるでしょ?あれのようなもので霊力が多いやつほど強い。単純な話でしょ。」
うわぉここでそれ出しちゃいます?アウトですよ。セーフよりのアウトですよ。
「で、そのドラ○ンボールでいう」
待てぇい!言っちゃってるから!○がずれて答え言ってるから!
「気、つまり霊力を固めて放つ。それが弾幕。更にそれらを技としたのがスペルカード。まぁ、あとのことは後々話すわ。」
「じゃあ次はこちらから行かせてもらうわね。」
咲夜はまたどこからともなく手一杯のナイフを取り出した。美鈴はそれを見た瞬間、すぐさま臨戦態勢に戻る。その刹那、またあの光景を亜衣夢は目にすることになった。
咲夜は美鈴の背後に瞬間移動。そして美鈴を覆うかのように並べられた大量のナイフ。そう、これは咲夜がルーミアを倒した時と同じものだった。
「でぇぇぇ!?早速ですか!?」
「さぁ、死なないよう頑張りなさい。」
「この!!」
美鈴は迫りくるナイフを素手で弾き返す。背後から迫るナイフも、まるで見えているような手つきで跳ね除ける。
「亜衣夢、今咲夜は何をしたと思う?」
「いえ、検討もつきません。」
「弾幕ごっこでもう一つ必要となってくるのが『能力』よ。」
「能力?ですか?」
「そう、今咲夜は瞬間移動したように見えたでしょう。違うのよ。あれは時間を止めて美鈴の後ろに動いただけなのよ。」
「時間を・・・止める!?」
マジか・・・・まるでD○Oみたいじゃねえか。時間を止める?最強じゃん。だからあんなに強いのか?
「まぁ、正確に言えば『時間を操る。』が正しいんだけどね。」
うわぉ、どチートやん。絶対敵にだけはまわしたくねぇ。死んでまう。
「ちなみに美鈴さんはどんな能力なのですか?」
「美鈴は『気を操る。』まぁ、ドラゴンボール○だと思えばいいわ。」
ゴルァ!!!○!!仕事しろ!!隠す気無しかおおいぃ!
チッ
・・・・・あれ?いま舌打ちが・・・・
「ならばいきます!スペルカード!!」
「あら、もう使うのね。じゃあ、私も・・・・スペルカード。」
「二人とも本気ね。少し下がりましょう。」
「は、はい。」
「パチェ、ちょっといいかしら?」
「どうしたの?」
「結界に特別な仕掛けって言ってたけど、何したのよ。」
「ああ、それのこと。それはね・・・・」
図書館〜
「マスタースパーク!!!!」
魔理沙の八卦炉から巨大な光のレーザーが出る。その衝撃波は辺りの小物を吹き飛ばすほどだった。マスタースパークが図書館の扉にあたった瞬間。
「あ」
庭〜
「光を一回だけ反射するようにしたのよ。魔理沙、絶対マスパ撃つと思ったから。」
「なるほど。」
ドーーーーーン!!!!!!
激しい轟音とともに眩い光が紅魔館の屋根を貫通した。そこに人影が一瞬見えた。
「・・・・・引っかかったわね。」
「・・・・・そうね。」
その後魔理沙は当分図書館に近づかなくなったとか。
「全くひどいと思わねぇか? ただの結界かと思ったら反射装甲だったんだぞ?」
いや...そう言われましても...てかなんでここに来てるんすか。
「いいじゃねぇか。てか戸が開いてたから入ったZE☆」
ZE☆じゃないですよ。不法侵入ですよ。
「知らん。」
おうふ(^p^)
「てかさぁ...」
はい?なんですか?
「これは後書きって言えるの」
to Be continue(スペルあってるかな...)
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踏んだり蹴ったり
弾幕ごっこを覚え、実戦出来るようになれといわれた亜衣夢。その見本のため咲夜と美鈴が弾幕ごっこをすることになった。両者1歩も引かずスペルカードの対決となった。
「スペルカード!『破山砲!!』」
「スペルカード、『ザ・ワールド』」
両者のスペルカードの激突によりあたりは激しい閃光に包まれた。しばらくしてからやっと姿が見え始めた。その頃には既に決着がついていたのが亜衣夢達には見えた。
「・・・・私の勝ちね、美鈴。」
「ぐぬぬ・・・」
その光景は、咲夜が美鈴の懐までに入っておりその喉元にナイフを突き付けていた。地面には数十本のナイフが無造作に散らばっていた。きっと美鈴がはねのけたのだろうと亜衣夢は確信した。
「終わりよ。」
「・・・咲夜さん、何が終わりですって?」
「!?くっ……」
なんと美鈴は喉元に突きつけられたナイフをはねのけ、それで咲夜が一瞬怯んだ隙を見逃さず拳を叩き込む。咲夜はそれを能力を使い紙一重でなんとかかわす。
「まだまだ行きますよ!」
「それは残念、これでおしまいよ。」
「へ?」
咲夜は能力を使った。しかし驚くところはそこでは無い。なぜなら咲夜は時を止めていなく、移動している姿がちゃんと目視で来たから。しかしその動きは常人の出来る動きではなかった。残像が残るほど、超高速で動いていたのだから。
亜衣夢が見えたのもその一瞬の姿だけだった。咲夜はその速さのまま美鈴に蹴りかかったその時。
「そこまで、この勝負は咲夜の勝ちよ。流石は私の下僕。」
その言葉が聞こえた瞬間咲夜は動きを止めた。脚は美鈴の眉間に迫っていておりあと少しでもレミリアが止めるのを遅れようものなら、美鈴はあの蹴りをまともにくらい1発KOだっただろう。
「お褒めのお言葉、ありがとうございます。」
「惜しかったわね美鈴。もう少し繰り出しが早かったら咲夜に一撃は当てれたのにね。」
「くぅ~悔しい!咲夜さん、次こそは負けませんからね!」
「出来るものなら。ね。」
「言いましたね!」
・・・・・・あれ?俺ってまさかイレギュラー?んなわけ無いよね?なんかあちらで盛り上がってはいてもそんな事ないよね?
数十分後〜
「よし、それじゃあ本格的に亜衣夢を鍛えていきましょう。」
でた、何事も無かったかのように始めるこの行為。それはつまり、俺結局忘れられてたんだよな。・・・・やばい、また目から海水が・・・・
「とりあえず美鈴、あなたがやりなさい。」
「え?私ですか?」
「そう、あなたの能力なら早く上達もさせられるでしょう。」
「いや、分かりませんよ。できるかなんて」
「やれ。」
「解りました。」
あ、美鈴さん。俺と同じ扱いだ。仲間(✽ ゚д゚ ✽)
「修行は毎日ここに来てやることね。時間は・・・・夜ね。」
「ちょっと待ってください。それはここでの仕事が終わった後にここに来てやるということですよね?」
「もちろんよ。昼だと私が見れないじゃない。」
「それって睡眠時間を削ってやるのですか。」
「当たり前。」
・・・・・・拝啓父上、母上。私の墓場はここになりそうです。
「それじゃあ早速始めましょう。善は急げってね。」
・・・・・・・・え?
その夜、紅魔館周辺に男性の断末魔が度々聞こえたそうな。
そして夜は明け、次の朝。
「・・・亜衣夢、起きなさい。五分寝坊よ。」
咲夜の呼びかけで亜衣夢は目が覚めた。どうやら昨日の出来事が相当身体に来たのだろう。さらに睡眠時間も削られているので疲れはほとんど取れていなかった。
・・・・・うげぇ体中筋肉痛や。くっそ痛え。しかも眠い・・・・あと三時間寝かせてくだしゃあ。
しかし亜衣夢のそんな願いは届くはずもなく咲夜に無理矢理ひっべ剥がされた。亜衣夢はしぶしぶ仕事についた。
「今日は洗濯をしてもらえる?」
「あ、解りました。」
「やり方はわかるかしら?脱衣所の所に洗濯機があるからそれを使ってちょうだい。そこには籠が2つぐらいあるけど洗濯物は小さい方にあるから。」
「りょーかいでーす。」
この時亜衣夢は気づいていなかった。これから起こる地獄のような惨劇に・・・・・
そう、洗うものは、全て
『女性』の物なのだ。
脱衣所にて
くそう、やられた!なんと事だ・・・全部女性の着衣ではないか!どうしろと!?
普通にやるのが一番正しいのだろう。しかし!そのままやってはなんか絵的にやばいよな!変態に間違われても何も言えねぇよな!
ここは冷静になるんだ・・・・そうだ、要は見なきゃいいんだ。目を閉じ、心の目で見るんだ!つかむのも一瞬!洗濯機にぶち込むのも一瞬!これを繰り返せば・・・俺の勝ちだァァァァ!!
「はぁ、はぁ、よし、全部入れ終えたぜ・・・・あとは、ボタン押して、完了だぜぇ!」
よっしゃー終わった!あとは、終わるのを待つだけだ・・・・・・あ
亜衣夢が向けた目線の先には腹を抱えて大笑いしているレミリアの姿があったのだ。それを見た瞬間亜衣夢はすべてを悟った。
「・・・・お嬢様・・・いつからそこに・・・・」
「フッふふふふ・・・・いつからって、脱衣籠の前でぐるぐるしていた時からよ・・・駄目だ、抑えられないwwwww」
「・・・・・・」
今の俺、( ゚д゚ )←こんな顔
ピーピーピー
「あら、終わったじゃない。ご苦労。」
レミリアは亜衣夢を煽りに煽ってから脱衣所をでた。亜衣夢はしばらくその場から動くことはなかった。放心状態のまま変わらぬ表情、変わらぬ体制でいた。
晩食〜
「・・・・亜衣夢さん?どうしたのですか?」
「エーナンモナイデスヨメーリンサン」
「いや、あきらかにおかしくなってるわね。片言だもの。しかもあなたがいま手にとってるのはお手拭き。パンはその横。」
「ワカッテマスヨー」
(・・・・・よし、誰にもバレてない。)
「フラン?どうかしたの?」
「!?え?いや、なんでもないよ!」
「妹様?今なにか隠しました?」
「いや、何もないよ!あ、ご馳走さまでした!今日も美味しかったよ!」
そう言い残しフランドールはさっさと出ていった。
「・・・・何だったのでしょうか?」
「フランのやることよ。気にしなくていいわ。」
「・・・・なにか嫌な予感がします。・・・・あれ?ワイン庫の扉が開いてるわね。」
そして時は過ぎ去り夜
「くっそぉがぁぁ!」
「わぁぁ!亜衣夢さん!?どうしたのですか!?」
「うるせぇぇぃぃい!こんちくしょうがぁぁ!!」
亜衣夢は半狂半乱状態になり既に修行どころの話ではなかった。もう攻撃は物理のみになり弾幕を出す気配は一切なかった。
「亜衣夢、かなり荒れてますけどお嬢様、まさか何かしたりしてませんよね・・・・?」
「私はただ亜衣夢がなんの仕事をしていたのか見ただけよ。・・・・プッ」
「お嬢様・・・何かしましたね?」
「さあね~♪それにちょっといたずらしてみただけ。」
「いたずら・・・はぁ。」
「でもあれは異常ね。なんか暴れ過ぎじゃない?」
「お嬢様がいたずらして怒っているのでは?」
「う~ん・・・」
「畜生めー!汚物は消毒だー!」
「ちょっと亜衣夢さん!落ち着いてください!言語が滅茶苦茶ですよ!?」
「某が知ったことかぁ!」
「亜衣夢さん、いい加減落ち着いてくださぁぁい!」
『大鵬拳!!』
「ギャーーース!!」
美鈴のスペルカードは亜衣夢の顔を確実にとらえた。そのまま美鈴は突き通し、亜衣夢は紅魔館の屋上まで飛ばされた。
「・・・・・・・・あ。」
「美鈴。早く回収してきなさい。」
「は、はい!」
「咲夜さん大変です!亜衣夢さんが起きませーん!なにか顔も赤いし・・・・永琳さんに見せたほうがいいですかー!」
「・・・・なるほど。妹様、亜衣夢にワイン飲ませたわね。」
「あら、そうなの?あの時そんなことしていたのね。」
「はぁぁ、お嬢様も妹様も・・・・・」
「咲夜さぁぁん!どうしますかぁー!」
「はいはい、ちょっと待ってー!」
・・・・・この感覚は、紫さん。そこにいるのですか?
「すいません。紫様は今はいません。」
その声は、藍さん。
「今日も随分とやられましたね。」
ははは、もう言わないで泣いちゃうから。
「・・・いいのですか?ここにいても。」
良いんですよ。俺は好きでやってるのですから。
「・・・あまり無理はなさらぬようにしてください。あ、そうです。これ、渡しておきますね。」
藍は亜衣夢に何かの小瓶を渡した。ラベルにはあきらかに危ないドクロのマークがあり亜衣夢は一瞬受け取ろうか戸惑った。
「言いたいことはわかります。ですが安心してください。のんでも死にはしません。逆に今のあなたには必要なものです。」
「そうなのですか?」
「はい。」
「・・・・まぁ、信じないわけにもいきませんので、いただきます。」
「それでは、頑張って下さい。これから何が起きようとも、帰りたいなど言わないでくださいね。」
・・・・・・・ああ、ここか。
亜衣夢が目を覚ましたのは分厚いカーテンに閉じ込められ、昼か夜かもわからない紅魔館の自室だった。亜衣夢は現状報告と思い体を起こそうとした瞬間。
「・・・・気持ち悪ぅ!」
頭の中を直接殴られているかのような頭痛、内臓をえぐり返されたかのような気分の悪さ。さらにめまいと体中(主に頬)の痛み。これらにより亜衣夢は起き上がることができなかった。
「マジかよ・・・・昨日は何があっ・・気持ち悪ぅ!」
亜衣夢が口を抑えようと手を出すといつの間にか夢でもらったあの小瓶がにぎられていた。
「・・・・・今は藁にでもすがりたいところだしな、飲むか。」
亜衣夢は心に決めてその怪しげな小瓶から錠剤を取り出して飲み込んだ。すると変化はすぐに起きた。先程までの症状が全て消えたのだ。あまりにも上手く行き過ぎたので少し不安に思っていたが、特に気にしないことにした。
「あ、そうだ。とりあえず咲夜さんに安否を言わないとな。」
そう言って亜衣夢は部屋をでた。咲夜から昨日の出来事の全てを聞いて死にたくなったのは言うまでもない事だった。
後書きって...後書きって...なんなんだぁ?(ブロリー調)
「ふざけたこと言ってねぇではよ話進めろや。」
あぁ!? なんだぁ貴様!? 私は摂政だぞ!(?)
「どれの誰が摂政なんだよ。」
うるさいうるさーい! ここは俺の独壇場と言っただろぅ!帰れ!こんちくしょうが!また痛い目に見させるぞ!
「それで逆に大目玉食らったのは誰だっけなー?」
オッフ(^q^)
「えー、馬鹿は置いといて、ここまでご閲覧ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」
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荒修行
咲夜と美鈴の組手を見た後すぐに弾幕ごっこをやらされた亜衣夢。その次の日は洗濯物を洗うという作業でそれに手こずる姿をレミリアに見られており、自暴自棄となってしまった。
月日は流れて行き亜衣夢が紅魔館に入って二十日が経った。寝る前も惜しんで(強制)弾幕を出す練習を美鈴としていたが、あまり進歩が無く頭を悩ませていた。
亜衣夢は負けじと頭の中でイメージをしてやるも良い結果はなかなか出ずかなり気がまいっていた。
レミリアもその進歩の無さにイラつきを覚え始めてきて亜衣夢は焦るばかりだった。
そして、その晩。ついにレミリアが我慢の限界をこえ、声を張り上げて強く言い放った。
「亜衣夢!」
「ふぁい!」
「一体いつになったら出せるようになるのよ!いい加減にしなさい!」
「そ、そんなこと言われましても・・・」
「私は永い時間待つのは好きだが、刹那のような時を待つのは嫌いだ!前にも言っただろう!?」
「そ、そうですが・・・」
「いい?今日の練習で弾幕の欠片も出せなかったらお前の血を一滴残らず絞りとってやるからね!覚悟しなさい!」
「は、はいぃぃい!」
やべぇ、がちでやべぇ。死ぬ。今日が俺の命日だ。出せる訳がねぇ。今までやってきたけど何も起きなかった。できるわけがないんだ。もう駄目だ、お終いだぁ。
・・・・・いや、諦める訳にはいかない、諦めたら、駄目だ!安○先生だって言ってたじゃないか!《諦めたらそこで試合終了ですよ》ってな!
良いじゃねえか、逆境結構!やってやるよ・・・・やってやんよ!
「早く食え。」
「はい。」
そして、運命の練習が始まった。もし、今日の練習で亜衣夢が弾幕を出せなければ、ここで人生に幕を降ろすことになる。それはなんとか阻止しようと亜衣夢は全力で挑んだ。
「〜〜〜!」
「頑張って下さい!良い所まで来てますよ!あまり力まず!柔らかいイメージで!」
「――――!」
「後少しです!」
「・・・・・ぷはぁ!」
「あぁ・・・駄目でしたか。」
「うぅ、申し訳ないです。自分が不甲斐ないばかりに・・・」
「そんなことないですよ!亜衣夢さんは十分頑張っていますよ!ですが、何かが足りない気がするんですよね?」
「足りない・・・・?」
「そうなんですよ。私にもよくわからないのですが。」
「そんなぁ・・・・」
ぐぬぬ、やばいぞ、このまま時間が過ぎれば、俺の命日になる!それだけは阻止しなくてわ・・・しかしどうする?手も足も出ないこの現状。
詰んだ\(^o^)/
「足りないもの、ね。」
遠くで亜衣夢と美鈴の修行を観察していたレミリアと咲夜。その会話を聞いたレミリアは今まで険しい顔で一言も話さなかったが、今いきなり口を開いたのだ。
「いかがなされましたかお嬢様。」
「いい方法を思いついたのよ。」
「? それは一体―――あ!お嬢様!」
レミリアは咲夜の言葉に聞く耳を持たずに亜衣夢の元へ向かっていった。咲夜は小さく溜息をつき、その場に留まった。
「う~ん、どうしましょうか。」
「中国、退きなさい。」
「へ? わゎっ!お嬢様?」
レミリアは亜衣夢の前にいた美鈴を無理矢理押し退け亜衣夢の前に立った。その顔は至って冷酷。氷のように冷たい視線が亜衣夢に突き刺さる。
「ついてきなさい。」
「え?」
予想もしなかった発言に亜衣夢は一瞬理解が遅れた。殺されると思いその恐怖で顔が引きつり言葉も出せなかったが、その一言で我を戻した。
だが、結末は変わらないであろう。そう思うとまた、恐怖で声が出せなくなってしまった。
「動けないのかしら? じゃあ、無理矢理連れて行くわ。」
「!!」
亜衣夢は服を掴まれたと思う暇もなくレミリアに連れ去られた。その速さは尋常ではなく瞬間で闇夜の中へと消えていった。
美鈴は唖然として思考がしばらく停止しており、その後気づき追おうとするも無駄だと解ったのですぐに歩みを止めた。
「亜衣夢さん・・・・」
美鈴はとても心配な表情で亜衣夢の消えた軌跡を目で辿っていった。
ぎゃぁあああぁ! 速い速い速い!!
亜衣夢は凄まじき速さでレミリアに連れ去られていた。あまりの速さに亜衣夢はまともに呼吸もできずにいた。
速い速い速い速い速い速い速いはや―――――
「着地。」
あべしぃ! ・・・・・気持ち悪ぅ・・・・(デジャヴ)
さらにレミリアの急ブレーキにより亜衣夢は目がまわり無事でいた事が逆に不思議に思えてくるほどだった。
「さて、あなたには何故ここに連れてこられたわからないでしょう。とりあえず周りを見てみなさい。」
「ま、周り・・・・・・!? こ、ここは・・・・」
「そう、ここはあなたがルーミアに襲われるきっかけとなった人里近くの森よ。」
なんてこった、こんなところに拉致されるだなんて。・・・でも、なんでここなんだ?そもそも、なんで拉致られたんすか俺?
「私は思ったのよ。このままのやり方ではこれ以上の進歩は見込めないと。」
「では、どうすればいいのですか・・・」
「だから、ここ来きた。」
「・・・はい?」
「ここは知っての通りルーミアから野良妖怪が大勢いるわ。そいつらはもちろん人喰い。あなたのようになんの力もない奴が来たら、間違い無く死ぬでしょう。」
じゃあなんで連れてきたんだよ
―――――なんて言えたらどんなにスッキリすることか・・・
「では、俺に死ねと言うのですか?」
「それはあなた次第。ここで生き残ることができれば色々と変わるでしょう。安心しなさい。生きていれば助け出してあげるわ。それじゃあ。」
「ま、待ってくださ―――」
レミリアは亜衣夢の声を遮るように闇夜へ飛び立っていった。月明かりすら入ってこないうえ人喰い妖怪の住処のこの森に無力な人間一人残されてしまった。
一人いなくなっただけ。それだけで亜衣夢の孤独と恐怖感は体の奥から湧き上がってきた。亜衣夢は急いでここから出ようとするが、飛んで来たのでどこから出ればいいのかわからない。
「マジかよ・・・・くそっ!どうしろってんだよここで・・・・」
いきなりの事で亜衣夢は混乱しており苛立ちも覚えた。何故ここなのか?もっといい場があるのではないのか?それに、何故美鈴の教授では駄目なのか。様々な疑問だけ思いつくも、答えは一向に見つからない。
「とにかく・・・ここから出ないと。」
亜衣夢が一歩踏み出すと、ある音が鳴ると共に体中が震えた。何故か。その答えは亜衣夢の足元にあった。
「・・・・! うぅ・・・!?」
亜衣夢の足元にあったのは何か棒みたいなもの。だが、棒は棒でも木の枝などではない。ようやく目が暗闇に慣れよく見るとそれは湾曲しており、苔が生えており緑っぽかったがほのかに白い。これらの条件により、何かをすぐに理解できた。
「ほ、骨・・・・!」
そしてすぐに吐き気がやってきた。亜衣夢はソレを出すまいと必死に押さえ込む。
なんとか吐き気が収まったが、それでも良い気分ではない。恐怖感はどんどん加速していき亜衣夢の膝は震え上がりまともな状態では無かった。
くそっ!動け!この脚!!
バァン!!
亜衣夢は震え上がっていた自分の脚を思い切り叩き痛みで起こした。それでなんとか動くようにはなったが、やはりまだ力が入りにくい。
そんな中、不幸はまだ続いていた
ガサッ
「!?」
亜衣夢はすぐさまその音のした方向をむいた。そして確信した。何かがそこにいると。
こんな時に出てくるのはもう決まっている。
「ゲ、ゲゲゲ・・・・人・・・間・・・」
「・・・! よ、妖怪!?」
出てきたのは獣だった。もちろんタダの獣ではない。見た目は犬のようだが大きさが仔牛の一回り大きいぐらい。だがかなり痩せこけていた。目は真っ赤で燃えているかのよう。数十メートルは離れているのに鼻に突き刺さるような悪臭。さらに人語をしゃべる。
「ググ・・・ゲ・・久シ、ブリノ・・・人間!!!!」
その獣は有無言わず亜衣夢に飛びかかる。暗闇でも見える赤い目。黄色で鋭利な爪。亜衣夢はあまりの恐怖により脚に力が入らず尻もちをついてしまった。しかしそれは今では好機だった。
獣は首を狙っていたのでいきなり尻もちをついた亜衣夢の頭上を通り抜け後ろにあった木に激突した。
バキバキ!メシィ!
あの飛びかかりで高さ十メートルあるであろう大木が簡単にへし折られた。その残骸から、また獣は起き上がりこちらを向く。
「ひ、ひぃ・・・・」
「逃ゲルジャネェヨ、俺ハ腹ガ減ッテンダ。オトナシク喰ワレロ・・・!」
◆
「・・・・・こんなものでいいかしらね。」
レミリアはまだ森の中にいたのだ。何をしていたかというのは足元を見たらすぐに解る。
大量の妖怪が倒れているのだ。全員血まみれで起き上がることは無かったがかろうじて生きていた。
「ぐっ・・・紅魔館の主が俺たちになんのようだってんだ・・・」
「ちょっと家の使用人を強くしようとしてね、そこであんたのとこの雑魚犬借りたのよ。」
「まるで意味がわからんぞ」
「あんたらじゃ強すぎるのよ。だから一番弱くて頭も無い馬鹿犬を連れ出したのよ。」
「・・・理解できん。きっと今見ているであろう皆様も理解できていないはずだ。そうだろう!?」
「誰に言ってんよの。」
「気にするな。だが、非常にまずい。」
「何がよ。」
「この中にボスがいない。つまりその使用人とやらのとこに行ってるはずだ。ボスは人肉に目がないからな。今っころ死んでるんじゃ――――」
ザクッ
「うぎゃあああ!テメェ!何しやがる!」
「それを先にいえ!くっ、計算ミスね。」
レミリアは背中にある巨大な翼を広げて一瞬で飛び去った。
「・・・・何がしたかったん・・・だ・・・・ガクッ」
◆
亜衣夢は逃げようと後ずさる。しかし獣はゆっくりと距離を詰める。その距離はだんだんと縮まる。亜衣夢が数メートル後退したとき、手元に何かがあるのがわかった。
これは、棍棒?なぜこんなところに・・・・だけど、今は好都合!
亜衣夢は棍棒を強く握りしめる。そうすると不思議と勇気が湧いてきた。亜衣夢は距離を見計らい、タイミングを伺う。
「ナンダァ?モウ鬼ゴトハ終イカ?ジャア、死ネェ!」
「死ぬのは、てめぇの方だぁ!」
バキィ!!!
周囲に鈍い音が響き渡る。それもそのはず。石ぐらい硬い棍棒で力一杯殴ったのだから。その衝撃が亜衣夢の手にまで伝わる。
「・・・テメェ、痛ェジャネエカヨ!」
なんと獣はほぼ無傷に近かった。亜衣夢はもう一度殴ろうとしたが違和感があった。
「・・・・!」
あろうことかの一番太いところが砕け散っていたのだ。一メートルはあったはずの棍棒も、今では三十センチぐらいになってしまった。
「ドウヤラモウ万策尽キタヨウダナ。今度コソ死ネェ!」
「万策尽きた?何言ってんだ。俺はこれを待ってたんだよ!」
グチャ
「グルォォアアアガァァアアアオ!!」
亜衣夢は割れた棍棒の先端部分を獣の目目掛けて突き刺したのだ。効果は抜群。簡単に突き刺さりニチャニチャと汚い音がした。
「最初に殴ったのはお前を倒す為じゃねぇ、こうやって刺せるように尖らすためだ!お前が硬いのはさっきのでわかった。だがな、目とかそういう所まで硬いやつはいねぇ!さっさと、死にやがれ!」
亜衣夢は棍棒から手を離し突き刺さっている状態の棍棒目掛けて蹴りを放った。さらに深く刺さり獣は倒れた。微妙に胸が上下していたのでまだ死んではいなかった。
「よし、逃げよう!」
妖怪を倒したことにより先程までの恐怖感は消え去り、代わりに違う感情がでてきた。
しかしそれも一瞬の出来事だった。
ドォォン!!
大きな地鳴りがしたかと思うと亜衣夢の胸元に何かが飛んできた。それは暗紅に光輝く弾幕だった。
ソレは亜衣夢に着弾すると同時に弾け飛ぶ。亜衣夢は派手に吹っ飛ばされた。
「・・・・・・! ?」
そしてそのまま獣が倒した大木の所まで飛ばされ激突する。息が出来なくなる。さらに体中から鈍い音が響いてきた。
骨が折れたのだ。それも一本ではなく数本も。
痛みと呼吸困難で意識が朦朧とする。そんななか声が聞こえた。酷くくぐもってきる重低音の声が。
「何でったってこんなとこに餌がいるんだ?・・・まぁいいがな、俺の今日の食料だ!」
そして亜衣夢は視界が真っ暗になった。薄れゆく意識の中分かったのは、巨大な何かに殴られこうなった。そう思った時、亜衣夢の意識は張られた糸を切られたかのようにブツリと途切れてしまった。
いやぁ...すみませぇん。投稿遅れてしまいまして。
いい訳はしません!遅れたことに変わりはありませんので。
まぁ、分かってるとは思いますが私は酷い気分屋ですので気分が乗らないと書く気になれないんですよ。
次こそは!早めに投稿致しますので!次回も宜しくお願いします!!
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能力の開花
亜衣夢を弾幕ごっこができるように修行をしていたが一向に進歩しないのに我慢出来ずレミリアは強硬手段にでた。亜衣夢を極限の状態にさせできるようにしようとしたが、思いもよらない敵と出会ってしまったのだった。
・・・・・何処だここは・・・暗いしジメジメしてるな・・・それに・・・なんか頭に血が登ってきた―――?
「・・・・・」
亜衣夢は目を覚ました。そこは先程妖怪と戦っていた森とは違い周りは岩肌でドーム状になっていた。そう、どこかもわからない洞窟に亜衣夢はいたのだ。
さらにもうひとつ亜衣夢は気付く。手足首に何か違和感があるうえ見動き取れないのだ。まだはっきり覚めていない目でよく見ると……
「な・・・何じゃあこりゃぁぁあ!?」
なんと両方手足首が縄で縛られて棒にくくりつけられてぶら下がっていた。その姿はまるで、豚の丸焼きのようだった。
「えぇちょっとマジで勘弁してください誰ですかこんなことするのマジ許しませんよとりあえず誰か助けてくださいお願いします何もしませんけど嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼嗚呼」
「うるせぇぇぇ!!!!」
「キェェェェ!!」
「たくっ、いきなり目、覚まして喋ったかと思えば・・・」
「・・・・!」
亜衣夢の目の前にいたのは身長4、5メートルもあるような巨人だった。恐ろしく肥大した太鼓腹にドス黒い緑のような肌。獣を彷彿させる鋭利な牙。そして何かが腐ったかのような臭い。これらの特徴で亜衣夢はアレが何なのかを理解した。
「お前は、オーガか・・・・?」
「? お前俺の種族を当てるたぁなかなかだな。人間のくせしてやるな。・・・・じゃあ俺が今から何をするのか、もう理解できたな?」
「・・・・・!」
亜衣夢の顔からは一気に血の気が引いた。(決して逆さまになっているからとかそういうのは関係ない)何故なら亜衣夢の目の前にいるオーガの主食は、人間だからだ。
オーガが亜衣夢に近寄るとさらに腐臭は強まり亜衣夢は思わず顔をそむける。すると、下の方で何かカチカチと石と石がぶつかる音がした。まさかと思い下を見ると予想通りの結果になっていた。
火をつけられていたのだ。あの音は火打ち石を打っていた音だったのだ。
「最近俺気づいたんだよ。焼いて食ったほうが美味いってな。」
「ギヤァァァ!!何してんだよ!!やめろ!やめろ!あっつぅぅ!!ちくしょう!!!」
亜衣夢は熱さから逃れようと体を横に揺らしている。しかし火の勢いはどんどん増している。亜衣夢の体に燃え移るのも時間の問題だろう。
「そうそう、その苦しみもがく様だよ。俺の一番の好物は。その生にしがみついてる様。あぁ、満たされるぜぇ・・・・」
このくそ変態が・・・・だがこのままではまずい。なによりあっつい!!!マジで熱い!HELP!!
「ああ駄目だ、もう、我慢できねぇ・・・・・」
「え?」
オーガはダラダラと大量の唾液を口から漏らしながらそう言った。するとオーガは方向を亜衣夢とは真逆に変えて去っていった。
そして一分もしないうちに戻ってきた。手には先程まで無かった人間大はあるであろう巨大で所々赤黒に染まった出刃包丁を持ってきたのだ。
「――――!?」
「グェヘヘヘ・・・・もう待ちきれねぇよ、焼けるまで待てるかよ。飯が目の前にあるってんのによぉ!!」
オーガはその手にある巨大な出刃包丁を振り上げた。その瞬間亜衣夢はあの時、ルーミアにあった時を思い出しした。その時もこのように殺されかけていた。そう思い覚悟した。
あぁ、俺は死ぬのか。あの時たすかったと思ったのにもうこれかよ。死因は過労死じゃなくて食死(?)かよ。 なんかもう背中が熱くねぇわ。ドーパミンとかアドレナリンあたりでも出てんのか?ごめん嘘ついためっちゃ熱い。
・・・・・いやまて、ルーミアの時死ぬかと思ったら咲夜さんがぎりぎりのとこで助けに来てくれた。ということはもしかして――――
ガタッ
「!? 誰だぁ!!」
「・・・・グルルルル」
「・・なんだ、ただの狼か。」
なんで狼なの!?そこは誰かがきて助けてくれんじゃないのかよ!!ちくしょうめ!やっぱり奇跡なんてなかったのか・・・・
「どこから来たかは知らねぇが、お前もついでだ。死ねぇ!」
オーガは目標を狼に変えて再度出刃包丁を無慈悲に振り下ろした。しかし狼は口元をかすかにゆるめた。
「誰に向かって言ってんのよ。」
『!?』
狼は突如として姿を消した。いや、消えたように見えたのだ。狼は目にも止まらない速さでオーガの持つ出刃包丁を粉砕したのだ。
勢いはまだ止まらない。その狼は急カーブをして今度はオーガの肥えた腹に目掛けて突進をした。オーガはたまらずバックステップをしぎりぎりでかわす。
「てめぇ、ただの狼じゃねぇな!誰だ!?」
「・・・・あら、まだ解らないのかしら。これだからでかいだけの奴は嫌いなのよ。」
「あぁ!?」
あの声、そしてあの微妙な上から目線の言い方。まさか・・・・まさか!?
「亜衣夢、いつまで呆けた顔をしてるのよ。」
「やっぱり、あなたは・・・!」
すると狼は獣の姿から紅い霧に姿を変えたのだ。そしてそこらから霧が集まっていき、たちまち人の形になった。
その姿は十代に満たないほどの背丈。その背丈を越すほど巨大な翼。貴族のような上品さを感じられる服装。そしてアノ威圧感。これらで亜衣夢は確信した。
「お、お嬢様・・・・」
「こいつが、あのScarlet・Devil(紅い悪魔)か・・・」
「ふぅん、意外と知られているのね。」
「何だ・・・その能力は!」
「私の種族は知ってるでしょ?吸血鬼よ?体を霧や狼、蝙蝠に変えることができるのよ。ま、ほんとは使いたくなかったのだけどそいつを助けるためだからね。」
「・・・・助けに来た?前に調子に乗って博麗の巫女にボコボコにされた間抜けが何言ってやがんだ。」
「ほぅ、随分と身の程をわきまえない発言をするのね。」
「お前こそ、調子のんなよ。俺の手製出刃包丁を壊したぐらいでな。」
「あら、負け惜しみ?私からしたらちょっと肩が当たっただけなのに。ま、使い手がこんなんじゃ武器もその程度よね。」
「―――! ぶっ殺す!!」
「!? お嬢様!!」
オーガはあの巨体をものともしない俊敏な動きでレミリアに急接近していった。そしてそれにふさわしい大きさの拳で殴りかかった。
レミリアはそれを軽い動きでかわす。オーガの拳はそのまま地面に激突した。その威力は絶大で直径2メールのクレーターができるほどだった。
「うまくかわしたな。だが、これならどうだ!?」
今度はそのぶつけた拳を振り上げたアッパーの形にして攻撃した。
が、これもまたレミリアには届かず横にかわされてしまう。それでもオーガは攻撃の手を止めることはなかった。裏拳でのなぎ払い。からの殴りかかり。時にはあたりに転がり落ちていた石を投げるもレミリアにはかすりすらしなかった。
「ぜぇ、ぜぇ、なぜだ・・・・なぜ当たらんのだ!」
「まだわからないの?私とあんたじゃ妖力の差が火を見るよりもあきらかなのよ。そもそもそんなあくびが出ちゃうようなパンチ、誰が当たるのよ。」
「クソがぁ!!」
オーガは怒りに任せて全速力での突進をした。だが、結果は先程と変わらずただかわされたどころか勢いを止めることができず壁に激突してしまった。その衝撃は凄まじいもので洞窟全体が揺れ天井からは埃などが降ってきた。
オーガは起き上がろうとするが、当たった壁が崩れ落ちてきてオーガに覆いかぶさる。その衝撃に勝てることができず沈黙してしまった。
「あら? もう終わりなのかしら?最後が自滅とは・・・くだらないわね。」
「お、お嬢様・・・・」
「あ・亜衣夢。」
ん? 何だ・・・・なにか違うぞ?いつものお嬢様のオーラじゃない・・・みたいな感じがする。
「ぶ、無事だったのね?動けるわね?それじゃあさっさと帰るわよ。」
・・・・んん? いつも通り、じゃないよな?やっぱり何か変だぞ? ・・・・・まぁいいか。
ガタッ ガララララ!!
レミリアが急いだ様子で洞窟を出ようとしていたので亜衣夢はそれを追った。しかしレミリアが洞窟の入り口にいて亜衣夢が出ようとした瞬間、後ろの方から何かが崩れる音がした。
亜衣夢がその音に気づき後ろを振り向いた瞬間。目の前にいたのは先程まで瓦礫の下で果てていたオーガであった。
「なっ、お前。まだ動け――――」
まさに鬼の表情。怒りに満ち溢れた顔をしているオーガは妖力が体中から滲み出るぐらいのオーラを放ちなが殴りかかってきたのだ。
しかし、標的は亜衣夢ではなかった。レミリアだったのだ。オーガは亜衣夢など眼中に無かったのだろう。そのまま亜衣夢を抜かし背中を見せ油断しきっているレミリアに攻撃を仕掛けたのだった。
「お、お嬢様!!!」
「え?」
レミリアが振り向いた時にはすでにオーガとの距離は2、3メートルとなっていた。とっさに避けようとするとオーガはいつの間にか持っていた瓦礫の破片をレミリアに向けて投げたのだ。
それはオーガより早くレミリアとの距離を詰めた。
◆
クソが・・・・クソがぁ・・・・
大量の瓦礫に埋め尽くされながらオーガは何回もそう言っていた。それもそのはず、今までここらの妖怪のボスだったが幼き吸血鬼に手も足もでずに完敗したのだから。プライドというプライドがズタズタにされ動くことすらできなかった。
クソが、俺はオーガ最強だ。周りにいたオーガは俺が幼少のとき全員喰らい尽くした。そして五十年でここのボスになった!
なのに、なぜ俺があんな小娘に・・・・殺す、絶対殺す!!!
その時オーガは何かに目覚めた。体の奥底から黒い何かが溢れ出てきて動かすことができなかった手足、いや体中から力が沸き上がるようだった。
黒い何か。それは怨み、憤怒などといった感情だった。それらはオーガに大きな力を与えた。
体にのっていた大量の瓦礫をあたりに撒き散らしながら一心不乱に亜衣夢達に向かっていった。目的はレミリアに自分が受けたのと同じような屈辱を味わせること。
「まずは、てめぇからだぁぁあ!!」
「危な―――」
亜衣夢が無駄だとも解りながらオーガを追いかけるがあろうことかオーガの威圧にやられて足がすくんだうえ、振りまいた石に足を引っ掛けてしまい倒れ込んでしまったのだ。
まじか! この状況でですか!? 嘘だ・・・・このままじゃお嬢様が! くそ! ごめんなさい、助けることが出来ませんでした。
亜衣夢はすぐ手元にあった石を自分への怒り、そして申し訳無さをこめて強く握りしめた。
「しねぇぇあぁ!!!」
オーガはレミリアの華奢な体に向かって全力で拳を放つ。その衝撃波はレミリアを超えて洞窟の岩壁を破壊した。亜衣夢はその悲惨な光景から目を背けた。
そしてあたりにしばらく静寂が続いた。亜衣夢が意を決して閉じていた目を開けると、そこには予想外のことが起きていた。
「・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・え?」
オーガの拳はなんとレミリアの目の前で止まっていたのだ。そこにいた誰もが唖然とした。更に驚くことにオーガが少しずつ後退していたのだ。だがそれはオーガ自身の意思ではない。
オーガがソレに抗おうと一歩足を出そうとするとその足が地面と接する前にまた後ろへと戻されたのだ。
「な、何だぁこりゃぁ? 前に、行けねぇ・・・?」
「・・・・フッ、どうやらそこにいる人間の仕業らしいわよ?デカ物。」
「あぁ!? あいつがか!?」
そう言ってオーガは顔だけを亜衣夢の方へ向けた。亜衣夢は目があってしまいまた恐怖を覚える。
「これを、俺が?」
「てめぇ、とりあえずどうにかしろよ・・・・この岩が、俺の腹にめりこんでんだよ!」
「い、岩?」
よく見ると50センチ近くある岩が見事に膨れ上がったオーガの腹にめり込んでいたのだ。コノ岩がオーガの動きを止めたうえ後退される原因だったのた。
オーガの足はすでに限界に近くちょっとの刺激を与えればすぐ決壊しそうなぐらいだった。
「それが、亜衣夢の能力よ。」
「これが、奴の・・・・!?」
「そうよ。ま、お前にはもう関係のない話ね。亜衣夢、こいつの足を蹴ってやんなさい。」
「え?」
「!? 待て待て待て! 今はやばい! 頼む!見逃してくれ!」
「亜衣夢。」
「悪く思わないでね?」
「やめ―――――」
三紗流奥義―――――
『膝カックン』
カクン
「あ・・・」
オーガの足に力が抜けた瞬間物凄い速さで飛んでいった。向かう先はオーガがまだオーガが沈黙する前、突進していた所であった。
まずオーガか先に壁に衝突するとそれに覆いかぶさるように飛び散っていた瓦礫片が集まってきたのだ。あまりの圧力によりまた奴は沈黙した。
「・・・・・ふぅ、終わったわね。」
「・・・・・・・」
「? 亜衣夢?」
「・・・・・・・」
「起きなさい。」
ゲシッ!
「ゴフッ! い、痛いです・・・」
「さっさと起きなさい。さぁ、帰るわよ。」
「こ、今度こそ帰れますよね?」
「ええ、勿論よ。さっさと帰って咲夜の料理を食べに行くわよ。」
そう言ってレミリアは意気揚々と洞窟をでた。亜衣夢もそれに少し遅れて追いかける。洞窟を出るとそこは見覚えのある森へと出た。
夜では月の光すら入ってこないほどの密度で木の葉が集まっていたが今は薄っすらと日差しが入ってきていた。それを見て夜が明けたと思い亜衣夢は進むがレミリアは立ち止まってしまった。
不審に思い亜衣夢はレミリアに訳を聞いた。
「お嬢様、どうなされたのですか?早く行きましょうよ。」
「・・・・行けない。」
「へ?」
「日光が出てる・・・・」
「あ・・・・」
その言葉で全てを察した。レミリアの種族、それは吸血鬼である。代表的な弱点として銀や水、そして日光。ここで思い出す。レミリアが日中外に出るときは必ず傘を指していたことに。
「・・・・亜衣夢。」
「は、はい?」
「あなた、傘になりなさい。」
「・・・・・・・」
「んな無茶な!!!」
亜衣夢の悲痛な叫びは虚しく森の木々によってかき消されてしまった。
どうだ!!見たか!!早く投稿してやったぜ!1日だぜ!!?
「だってそれバックアップのやつじゃん。」
.....?ヾ(゚ー゚ヾ)^?。。。ン?
「だから、それはバックアップのやつだから早く投稿出来て当然と--」
やかましぃ!!!部外者は帰れ!
「いや、俺主人公。これでも。」
ちくしょう!!分かってますよ!頑張りますよ!次もさっさと丁寧に出しますよ!
「という訳ですので。皆様これからもどうぞよろしくお願いします。」
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七色の魔法使い現る
オーガに捕らえられてしまった亜衣夢。絶体絶命の時にレミリアが助けに来てオーガに対し圧倒的な力の差を魅せ叩きのめした。そんな中で亜衣夢は自分の能力を土壇場で発揮したのだった。
静かな食堂に紅茶の注がれる音が響く。それと同時に高級感溢れる香りがあたりに漂ってきた。咲夜はその場にいる四人分の紅茶を入れ、皆に配る。
「どうぞ。今日の紅茶はいつもより良い物を使いました。」
「うおぉ・・・めっちゃ美味そう・・・・」
「本当、流石は咲夜ね。」
「・・・・」
「・・・・・咲夜。」
「はい、何でしょうか? お嬢様。」
皆が褒めているなか明らかに不機嫌な顔をしているのが二名。そのうちの一人レミリアが咲夜を睨みながら質問した。
亜衣夢はなぜそんなにも不機嫌なのかは理解できなかった。何が不満なのだろうか。と思っていた。
「あなたに問うわ。今日は何をイレた?」
―・・・・・は?『何を入れた?』何を言っているんだ?
亜衣夢はその発言があまりにもおかしく咲夜の方をチラッと見た。するとどういうことか咲夜は口笛を吹きつつレミリアから目を背け明後日の方を見ている。
これを見た亜衣夢は確信した。何か入れたな、と。
「え? なんの事ですか? 私わかりませーん。」
どうやらあくまでシラを切るようだ。レミリアの紅茶をみると明らかに色が違った。亜衣夢のは透き通った赤茶いろだが、レミリアのはなんと真っ青。
亜衣夢はあまりの咲夜の嘘と隠しかたの下手さに少し失笑した。とりあえずこの状況を楽しもうと紅茶を口にする。
するとレミリアは少しため息をつき、咲夜の方を再度見た。
「そう、じゃあ咲夜。」
「はい?」
亜衣夢がレミリアの方をよく見ると違和感があった。それもそのはず。左肘から先が無いのだから。それに気が付き今度は咲夜の方に目を向けると。悲劇は起きた。
「ソコに隠しているペンとスケッチブックと怪しい袋は何!!」
「きゃぁぁぁあ!!?」
「ぶふぅぅう!!」
「ちょ!汚い!」
「・・・・」
レミリアの分身のコウモリが咲夜のスカートを後ろから思い切りめくりあげたのだ。咲夜はたまらず前の方を抑えるが後ろはどうにもならなかった。
亜衣夢はその光景を目の当たりに口に含んでいた紅茶を盛大に吹き出しその被害は隣にいたものにも及んだ。
するとバサバサっとレミリアの言った通りペンとスケッチブックと怪しい袋が咲夜のスカートから落ちてきた。
「・・・・さて、なにか言うことは?」
「・・・・お嬢様。」
「なに?」
「逃げるが・・・・勝ちです!!」
「あ! こら待っ――――」
レミリアが立ち上がった時には既に咲夜は姿を消していた。咲夜がいたであろう場所には数枚のトランプが残されていた。
レミリアはそれを見てこめかみのあたりに青筋を立ててトランプを自分の羽で八つ裂きにした。
「あの駄メイドめ・・・・・」
「・・・・・(唖然)」
「あはは、いつも通りねあのメイドは。」
「・・・・・」
「ていうかあなた、なんでそんな不機嫌なのよ。」
レミリアは今の今までずっとしかめっ面をしていたパチュリーに問いかけた。パチュリーはいかにも不機嫌な顔をしてやっと口を開いた。
「・・・・なんで。ここにアリスがいるのよ。」
「へっ? 私?」
「そうよあなたよ、あ・な・た。レミィと亜衣夢がやっと帰ってきたかと思えばなんであなたまでついてきてるのよ。」
「何でってそれは――――」
時は戻り、亜衣夢とレミリアがオーガを倒して帰ろうとした時既に朝で日差しが木々の隙間から漏れておりレミリアは洞窟から出ることはできず亜衣夢に日傘の代わりとなれという始末であった。
さてどうしたものかと悩んでいるとき森の奥の方から誰かがやって来た。
「・・・・あら? レミリアじゃない。どうしたのよ。それに・・・誰?」
―いや、それこっちのセリフ。あなたこそ誰?お嬢様の知り合いっぽいけど。
シャンハーイ
「うおぉお! 何この小さいの! てか喋った!?」
「この子は『上海人形』私の人形よ。」
「亜衣夢、安心しなさい。あれは悪いやつではないから。」
「悪の塊みたいのにそんなこと言われたくないわよ・・・・まぁいいわ。私の名前は『アリス・マーガトロイド』一応魔法使いよ。」
「あ、自分は三紗亜衣夢です。紅魔館の使用人です。」
「レミリア、あんたもモノ好きね。」
「ふふ、そうかしら?」
「そうよ。ってかどうしたのよここで。」
「そう、それよ。実は・・・」
よ・・・少女説明中〜
『スペルカード』
ピチューン
「・・・・なるほどね。そういう事なのね。それならちょっと待ってなさい。家から持ってくるから。」
「いや、今のは一体な」
「あら、助かるわ。そうよ、あなた館に来なさい。少しの間お茶にしましょう。」
「あら、いいわね。ありがたくちょうだいするわね。」
―・・・・・(´・ω・`)
「・・・・・と、いう訳で私はここにいるのよ。」
今思えばすごく大変な思いをした。そう亜衣夢は思いつつ紅茶の飲み直していた。ルーミアに引き続きオーガ。連続で人喰い妖怪に会い対峙し生き残った。こんな体験は前の世界ではまず体験できないだろう。
それにアリスに会わなければ夜になるまでずっとあの洞窟の中か己が傘になるか。亜衣夢は心の中でアリスに合掌した。
パチュリーはその話を聞いて少し表情をゆるめた。疑いは晴れたが全部という訳ではないのだろう。だがある程度の緊張は解けたようだった。
「ふーん、あの白黒みたいに本を盗みに来たのかと。アレはちゃっかりしてるから。」
パチュリーがそう言うとアリスはムッとした顔をしてそちらの方へ向けた。
「しないわよ・・・私だってあいつの被害者なのよ?」
「あぁ、そうだったわね。お互い大変ね。」
「今度にとりに頼んでトラップでも作って貰おうかしら。」
「それがいいわ。」
『フフフフフフフフ』
―こ、恐え・・・・何この人達?いや、魔法使いか。どっちでもいい、とりあえず恐い。
「そうよ。みんな聞いて。」
今まで黙り込んでいたれが突然声を張り上げていった。皆の視線はたちまち声の方へ向かう。レミリアは何を言いたいのか誇ったような顔をしていた。
「昨日(実際には今日)は色々ありすぎて忘れていたけど、よく聞きなさい。遂に、亜衣夢の能力が開花したのよ!」
その発言でみな驚きを隠せなかった。亜衣夢自身もそれを忘れていて今思い出した。あたりがざわめく。視線は亜衣夢に集まった。
「凄いじゃない亜衣夢。元はただの人間なのに能力を発揮するだなんて。」
「いやぁ、俺も驚きでしたよ。」
「で? 名前はどうするの? というかどんな能力?」
「うっ・・・」
アリスの質問攻めに亜衣夢は一歩引く。そもそも亜衣夢はあの時何が起きたのかいまだに理解できていないのだ。記憶もオーガによる恐怖により曖昧。アリスがグイグイ来るたび亜衣夢は後ろに引いていく。
そして壁際まで追い詰められてしまう。
「アリス、そいつはオーガに怯えて何も覚えていない。けど代わりに私が覚えているわ。」
「そうなの? それならごめんなさいね。」
アリスは少々申し訳無さそうな顔で亜衣夢を見た。亜衣夢も同じような顔をして謎のお辞儀をした。アリスはレミリアの方をみてまた問いかけた。
「それでどんな能力なの?」
「ふふっ、そいつの能力は。」
「・・・・・」
あたりに謎の緊迫感が走る。亜衣夢は生唾の飲み込み心して聞いた。アリスは興味津々にレミリアを、パチュリーは紅茶を飲みつつ横目で見ている。
「今はそいつ能力を『モノを回復させる能力』とでも言っておきましょう。」
「モノを回復させる?」
「そう、亜衣夢は壊れたモノを元の状態へ回復させることが出来る。例えば・・・・そうね、ここに亜衣夢のお気に入り(笑)Tシャツがあるでしょ?それを、破きます。」
そう言うとレミリアは亜衣夢のTシャツを無慈悲に破り捨てたのだ。それを見た亜衣夢は目を大きく見開き盛大に叫んだ。
「ちょっと何しているのですかァァァ!!」
「さぁ! 直しなさい!」
レミリアはこれでもかと酷い仕打ちをしてきた。亜衣夢はやけくそになってTシャツを拾いに走っていった。目の前には無惨にも破り捨てられたモノ。一心不乱にそれらを掴む。
「ち、ちくしょぉぁあ! 元に、戻れ!!」
亜衣夢の声は虚しく広々とした食堂に響き渡るだけであった。掴んでいるモノは破れたままで何も変化しなかった。亜衣夢は濁った目でレミリアの方へ顔を向ける。
その時レミリアは「あーあ、失敗したwww」という目でこちらを見ていた。アリスは「ま、そんなものよね。」パチュリーは「あらら、お気の毒に。」
それらの意味が三人の目から伝わった。亜衣夢は何語かもわからない言葉を発してこの場を去った。
「・・・・あれは少しやり過ぎじゃない? レミィ。」
「そうかしら?」
「あまりイジメると後が怖いわよ? ああいうのは怒ったとき何するか分からないんだから。」
「・・・そうね、少し控えるとしますか。」
そして三人は再び紅茶を飲み直した。その後何食わぬ顔して咲夜が戻ってきたのでデザートなどを出させて他愛の無い会話が始められた。
その頃亜衣夢は・・・・・
「戻れぇ~! 治れぇ~!」
自室にてまだ諦めきれずTシャツの蘇生(?)に励んでいた。しかし現状変わらず破れたTシャツはそのままであった。
「くそぉ、治んねぇ・・・何で? あの時は瓦礫が元の状態に戻ったじゃんか・・・・」
頭を抱え悩むがそれだけで何も変わらない。時間を見て再度何度も試してみたが意味はなかった。繰り返すうちにもう無駄だと完全に理解しきったのでやめてベットの上に寝転がる。
―・・・・はぁ、何で出来ないんだろ。破かれて着れなくなったことよりも、あの場所で発揮出来ない方が悔しいや。
「何をそんな酷い顔しているのよ。」
「それですね・・・・・って!」
亜衣夢は飛び起きてその声の主の方を向いた。そこにいたのはいつも夢の中に出てきて自分に語りかけてくる、紫出会ったのだ。流石に慣れていた亜衣夢もこれには驚きバランスを崩してしまいベットから転げ落ちてしまった。
「あらあら、大丈夫かしら?」
「だ、大丈夫・・・です。」
「それでどうしたのよ。お姉さんに言ってみなさい。」
「お姉っ、・・・・て言うか何があったのか解ってますよね?」
「もちろんよ。」
「じゃあ聞かないでくださいよ。」
「あらら? 随分やられたようね。あなたも忙しい日々を送っていることで。」
「おかげ様で。」
「まぁ、とりあえずアドバイスでも上げるわ。どうしたら能力を発動できるのか。それは・・・」
コンコン
「亜衣夢いる?」
「あ、咲夜さん。」
「邪魔が入ったわね、時間がないから簡単に言うわね。『どこまで治すのか。』これが大事。それじゃあね。」
紫はそういつもらしからぬ早口で言いスキマを出して咲夜が入ると同時に消えていった。咲夜はキョロキョロあたりを見回し不思議そうな顔をしていた。
「いま誰かいた? なんか覚えのある妖力を感じたのだけど。」
―ドラゴン○ールか(あ、今回は仕事してる。)
「それよりも大丈夫? 随分と荒れたって聞いたのだけど。」
「ああ、それなら大丈夫です。俺は立ち直りはそこそこ早い方なので。」
亜衣夢はそう言うが咲夜は心配そうな顔でこちらを見ている。正直に言えば辛いが、ここで雇われている上使用人という底辺地位のこともあり無理せずにいられなかった。
「あ、そういえばアリスがあなたに用ができたって言ってたわよ。」
「・・・・・・え?」
場所は戻り食堂
「・・・・それで、俺に用があると聞いたのですが?」
「そう、あなた一応オーガを倒したのよね?」
「まぁ、トドメ的に考えましたらそうなりますが・・・・」
―嫌な予感しかしない。だってこの人の目がなんか輝いてんだもの。
「あのオーガってかなり頑丈で厄介だったのよね。でも、それを倒したなら実力はあるわよね?」
―・・・・あ、これアカンやつ。回収したなこれ。
「ちょっとでいいわ。私の・・・」
―うわぁ、聞きたくない聞きたくない、やめてやめて話さんといてな~頼みますからお願いしますお願いしますおねg
「相手になってくれない?」
―チーン(´・ω・`)
やっぱり、逃げることはできなかったよ・・・・
投稿が少々遅れた理由を一つ述べよ。
「それは俺のセリフ。」
だって!テスト!テストが!
「テストテスト...お前全然勉強しなかっただろが!」
はぁ!?したし!自習時間と乗り物の中でやったし!
「そんな時間で点は取れんだろが!...まぁいい、こんな話は無駄だ。てかさ、なんだあのモンハン小説は。」
あれ?なんかパッと出てきたからで書いちゃった(๑>•̀๑)テヘペロ
「...そんな君に絶望を上げよう。あの小説、これよりも人気があ」
皆様これからもどうぞよろしくお願いします!!サヨナラ!
「あ、おい待てやこら」
......仕方ないよね(´・ω・`)
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妹様とお散歩
洞窟から出られないレミリアを助けたのはアリスであり、その礼としてお茶をした。その後亜衣夢はアリスの魔法の練習相手となってしまった。
「はぁああ、疲れた・・・・・」
巨大な館の紅魔館こ廊下はそれにふさわしい長さである。しかし亜衣夢の口から漏れた言葉はその長い廊下全体に響くような声だった。
何故こんなにも疲れているのか。それは昨日強制的にアリスの試作人形の相手をしたからである。その攻撃力、速度、耐久性、どれも自分にとっては凄まじいものだったが何よりアレに合わせて複数の上海を操るアリスは本当に凄いと思った。
「アレのおかげで身体中バキバキだよ・・・結局能力は出なかったし。」
そうぼやきながら亜衣夢はしぶしぶ長い廊下の掃除を始めた。
◆
夜になり亜衣夢は仕事を終え晩食の時間にした。亜衣夢が夢中になって食事をしているとレミリアが話しかけてきた。
「亜衣夢、あなたにお願いがあるのだけど。」
「〜〜・・・・はい?何でございましょうか?」
口に溜め込んでいたものを即座に飲み込み、返事をした。あまりにも急いだせいか喉に食物が詰まっている感じがしたのでその場にあった水を飲み落ち着かせた。
レミリアはその光景を呆れた顔で見ていたので亜衣夢はコホンと咳払いをして気を取り直した。
「それで、お願いと言うのはなんですか?」
「フランを散歩に連れて行ってほしいのよ。」
「・・・・マジデスカ?」
「マジよ。」
レミリアの口から出た言葉は予想をしない言葉だった。まさかの散歩。しかし、亜衣夢は疑問に思った。いや、答えは既に出ているが念のために恐る恐る聞いた。
「なんで、自分なのですか?」
「何でってそれは、あんたが一番暇だからよ。」
―・・・・デスヨネ〜、わかってましたよ。咲夜さんはまとめ役、美鈴さんは門番、パチュリーさんは図書館管理。ごもっともですよ。ちくせう。...いや、暇じゃないよ!
「手な訳で食べ終わったらお願いね。今は庭で美鈴が相手しているわ。」
「了解です。」
―散歩か、まぁ息抜きにはちょうどいいかな?
ピコン (フラグ)
―ん?今なんか建った? まぁ、いいか。
このあと恐ろしい事になるだなんて亜衣夢は思いもしなかった。
◆
〜紅魔館庭園〜
夜の澄んだ空気と湖からくるヒヤリとした冷気が辺に漂う。その空気を身体中で感じながら歩いていると足元に妙に柔らかい感触がした。それと同時に変な鈍い声も聞こえてきた。
既に一度足元ではトラウマを持っている亜衣夢はその瞬間背筋に寒気が走り下を見ることができなかった。
―うわぁあ、嫌だわー下見たくねぇわー確認したくないわー。
そうも思いつつ顔をそのままで目線のみを下に向けるとそこには、横たわっていた美鈴の死―――
「死んでません!!」
「うおっ! ナレーション遮ってきた!? てか、美鈴さん?」
「あ、亜衣夢さん、やっと来てくれたのですね。」
「どうしたのですか、こんなとこで寝て。」
「いやぁ、妹様の相手をしていたら弾幕ごっこに持ってかれて、このざまですよ。」
「・・・・えぇ?」
すると向こうの草影に見覚えのあるキラキラ色鮮やかに光る宝石のようなものが横に並んでいた。まさかと思う暇もなくソレは亜衣夢に飛び交ってきた。
「やっと来たのね! 亜衣夢!!」
亜衣夢は思わず体に力を込めて衝撃に耐える体制を無意識のうちにとる。亜衣夢のとった行動は正解だった。いくら幼くても(精神と見た目が)吸血鬼は吸血鬼。数メートルあった距離は瞬きするうちにつめられ自分の腹部に激突してきた。
「ゲボバァ!」
亜衣夢はソレを抑えきることができず奇妙な声を上げて飛ばされ、そのまま地面に墜落した。あまりの衝撃で亜衣夢は一瞬意識が飛ぶが、すぐソレに起こされてしまった。
「お〜い、大丈夫?」
「だ、大丈夫・・です。妹様・・・・カフッ。」
フランドールは亜衣夢の頬をペチペチと叩いて来たので何とか正気を保つことができた。死にかけの体を死ぬ気で起こし、近くにあった木に寄りかかり体制を整えた。
「じゃあさ! 早くお散歩行こう!」
「えっ? いや少し休憩させ」
「レッツゴー!」
フランドールは亜衣夢の有無聞かず手を掴んだと思えば
先程と同じように物凄い速さで門を走り抜けた。亜衣夢はやはりその勢いに勝てず引っ張られ空を浮いてる状態であった。
「かんべんしてくださーーーい!」
◆〜少年輸送中〜
ここは湖周辺。そこから直接くる冷気はかなり冷ややかなものでブルッと震え上がるほどだった。今日の夜空は雲がほとんどなく月の光が美しく湖に映えている。
だが亜衣夢はそんなものを感じてる余裕などなかった。フランドールにいいように引っ張られ体はボロボロである。その前から突撃をくらい致命傷だったのが、今ので更に悪化したのだ。
それでも亜衣夢全力で平気を装った。
「うわぁー、ここ結構寒いわね!」
「・・・そ、そう、ですね・・・カフッ」
「あ! なんかいる!」
「な、なんか? 一体何・・・・」
亜衣夢の目に入ったのはまさに幻想だった。湖の上で誰かの人影が見え、踊っているのだ。その周りにはキラキラ光り輝く結晶が舞っておりさらにその結晶は月の光を反射し湖に映し出しより一層の美しさを表していた。
その現実離れした光景を目の当たりにし喋ることができなくなった。
「何かなあれ? もっと近くに行こう!」
「・・・・」
「・・・ねぇ、ねえってば!」
バチン!
「あべしぃ!」
「聞いてる?」
「あ、すみません、上の空でした。」
「もぉ~ちゃんと聞いてよ!」
「あ、はい、ごめんなさい・・・・」
「じゃあ早く行くわよ!」
「えっ? ま、待ってください!」
フランドールは亜衣夢の返事を聞くことなく湖の方へ走っていったので亜衣夢もそれに急いで続いた。
しかし亜衣夢は湖のすぐ近くに来てあることに気がついた。
―俺、どうやってあそこまで行くんだ・・・?
人影が見えるのは湖の真ん中辺。フランドールは飛ぶことが出来るので(あんな翼でどう飛ぶのか不明だが)そこまで飛んでいけるが、亜衣夢は飛ぶことなんて到底出来ない。
亜衣夢は水辺まで来て足を止めた。フランドールは既に飛んで行って完全に置いてけぼりにされてしまう。結局亜衣夢はフランドールと2つの人影のやり取りを眺めることしか出来なかった。
―あ~あ、何か妹様と誰かやってんなー。何喋ってんだろなー。あ、戯れ始めたよ。いいな~暇だな~。やべぇ、暇すぎで眠くなってきた・・・・
亜衣夢は知らぬうちにウトウトとしてしまい眠りに落ちてしまった。
と思ったその瞬間。
ヒュン
何かがすぐ耳元を通ったのと同時に目が覚める。その刹那カツンと甲高い音が後ろの方で鳴り響く。亜衣夢は錆びついた機械のようなぎこちない動きで後ろを向くと不思議なものがあった。
「こ、氷?」
それはとても鋭利なナイフのようであり、冷気を放っている、氷の刃であった。この刺さっている向きからとんできたのはフランドール達のいる方。後ろを振り返ると何と先程まで戯れていたはずが弾幕ごっこを開始していたのだ。
「・・・・何でぇ?」
止めるべきか止めぬべきか。しばらく迷っていたがあまりにもあの弾幕ごっこが綺麗だったので見学することにした。
―すげぇ、妹様じゃない方はめっちゃ弾幕出してる。でも、妹様はあれを軽く避けてる。どちらも、すげぇな。
そうして眺めているとついにフランドールが動いた。今まで避けるだけだったがそれに飽きたのか立場を一転し攻撃側に回ったのだ。おもむろに手を上にかざしたかと思えば2つの人影は一目散に逃げていった。
亜衣夢が唖然して見ているとフランドールの手が紅く光り始めたのだ。それは形を作っていき紅く、巨大な剣となった。
「まとめてくらえ〜!」
『レーヴァテイン!!!』
その声は亜衣夢のところまで聞こえるくらい大きな声であった。フランドールはその大剣を横に大きく振り人影を追撃し、見事撃墜に成功した。
ピチューン
それと同時に何か変な効果音も聞こえたが特に気にしないことにした。そして人影を倒して満足したのか円満な表情でこちらへ戻ってきた。亜衣夢にとってその笑顔は逆に恐怖をそそる笑顔となっていた。
「な、何をしてきたのですか・・・?」
「何って、倒してきたのよ。あいつ生意気だったから。」
「あ、あいつ?」
「氷の妖精よ。何か『あたいが一番強い』とか寝言言ってるから目を覚まさせたのよ。」
―いや、目が覚めるどころか永遠の眠りにつきませんでした?だけど飲み込んでおこうこの言葉。
「じゃ! お散歩の続きをしましょ!」
「えぇ!? あ、はい!」
◆
一方その頃、紅魔館では・・・・
「亜衣夢は大丈夫なのかしら・・・」
食堂にてレミリアとパチュリーが亜衣夢の帰りを待ちつつ紅茶を飲んでいた。しかし、予想していたとはいえ帰りが遅いものでパチュリーは心配の言葉を漏らした。
「大丈夫でしょ。パチェは気にしすぎよ。」
レミリアはやれやれという顔でそう言った。それを聞いたパチュリーは軽くため息をついてから紅茶を一口飲んだ。
「レミィは気にしなさすぎ。・・・・いくらなんでも、相手がフランなのよ?」
「大丈夫よ。亜衣夢の運命を操作したのだから。」
「えっ。」
「確かに運命を見れば亜衣夢が重傷、もしくは死ぬのもあったわ。でも無事帰還する運命も見えた。だから、大丈夫。」
「・・・そう、じゃあ信じてみるわね。」
「・・・・信じる必要は無くなったわ。」
「え?」
「来たのよ。亜衣夢とフランが。」
パチュリーが窓を覗き込むとレミリアの行ったとおりフランドールが門を通りここへ向かってきているのが見えた。パチュリーは生存を確認してまた席につき紅茶を一口飲む。
しばらくしてゆっくりとした足音が静寂の廊下に響き渡り聞こえてきた。それは徐々にこの部屋に近寄ってきて、扉の前で止まるとまるで忍び込むように扉をゆっくり開ける。
扉の先に立っていたのは完全に眠りに落ちているフランドールを背負った足取りのおぼつかない亜衣夢の姿だった。
「い、今・・・帰りました・・・」
「あらあら、随分とお疲れなようで。」
「そりゃ三時間もフランの散歩に付き合えばそうなるわよ。」
「さ、三時・・・間?」
「そうよ、出発が十時ちょっと過ぎで到着が一時弱。早く寝ることをお勧めするわ。フランは私が部屋に運んでおくから。」
亜衣夢は疲弊仕切って声すら出せず頭をやや下にし、部屋を出ていった。そして間もなくガン!だとかバン!という壁に激突する音が度々聞こえてきた。
◆
「ああぁぁぁあ、疲れが消えていくぅ〜。」
亜衣夢は寝る前に浴場へ行き湯に浸かっていた。ここの湯は不思議な色と香りだったが効能は抜群で疲れが湯に溶け出して行くようだった。
「はぁぁあ・・・・っ痛、何だ?」
亜衣夢は肩に鋭い痛みを感じた。よく見てみると肩には二つの小さな穴が開いていた。しかし不思議なことに傷口は新鮮なものなのに血が出ていない。
「いつの間に?・・・まあいいか。」
亜衣夢は最初は不審に思うが特に気にすることもなく風呂を上がった。
◆
紅魔館地下室では・・・
「・・・よいしょっと。・・・まったく、いくら吸血鬼でも所詮は子供ね(精神年齢が)」
パチュリーはフランドールを部屋まで運んでやりベッドの上に乗せた。スヤスヤと安らかな顔をして寝ているその姿を見ると、少し気分が和らぐが元を思い出し正気に戻る。
「やれやれ、こんなのが本当に吸血鬼なのかしら。」
パチュリーはひとつため息をついてフランドールを見る。すると、フランドールは不意に寝言を言い始めたのだ。
「ん〜・・・・不味い・・・・」
「・・・・? まあいいわ。それじゃお休み。」
そう言ってパチュリーはこの部屋を出ていった。フランドールはその後寝返りを打ってまた寝言を言い始めた。
「・・・・不味い・・・・・血・・・・あい・・・Zzz・・・」
...忘れてました。
「あぁ? なんだって?」
投稿!忘れてました!
「くたばれ!」
スンマセンした!
「お前なぁ...そんなんだから短編小説に抜かさ」
それを言うな!!!
やめてぇ!もう私のLifeはとっくに0よ!
「やかましい、ならもっといいこと書け。」
うぅ、今日の亜衣夢君は辛辣です...
「えー、こんな屑ですが一応頑張ってるのだと思われますのでこれからもほんとにどうぞよろしくお願いします<(_ _)>」
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妖精メイド
フランドールの散歩に付き合う事になった亜衣夢。その酷さは予想通りのもので紅魔館へ戻った時にはボロボロとなっていた。そして入浴にて首に傷が出来ていたのが確認できた。
ドンッ!!
「きゃっ!」
「うおっ!」
亜衣夢が廊下のモップ掛けをしていると角から何者かが出てきて衝突してしまった。両方尻もちをついてしまい腰を打ってしまった。
相手を確認すると少し小さめの女性だった。紫色のショートヘアーでそれ以外は普通のメイドだったが決定的に違うとこがある。
羽が背中に生えているのだ。しかし、亜衣夢はそんなことも気にせず土下座の体制に入る。しかし、それよりも先に女性が謝った。
「あぁ、すみません! ついボーッとしていて…」
「あ、ああいえいえこちらもすいません、不注意でした。」
そう言って片方はペコペコ謝りながらその場から逃げだすようにして向こうへ走っていった。。亜衣夢もその姿が消えるまで同じく頭を下げる。姿が消えたのを確認し、亜衣夢も仕事に戻る。
しかし、亜衣夢には1つ疑問があった。
「あれ……誰?」
◆
「あんた今っ頃?」
レミリアの第一声はこの一言だった。自称カバーガラスのハートの亜衣夢にとってはこの一言でも精神にきついダメージを与える。
「もっと早く気付くものじゃないの? あなたが来てからもう何週間も経ってるのよ?」
「いや、そうですけど……」
「まぁ、どうせあれでしょ? 作者が書き忘れてt」
「わー!わー!わー! メメタァな話はダメです!」
「やかましいわね。」
「と、とりあえず教えてくださいよ! あのなんか羽の生えたメイドさんの事を!」
亜衣夢は必死に、全力を持ってレミリアの発言を阻止しつつ本題に戻した。レミリアはやれやれという顔したかと思えばいきなり咲夜を呼び説明を任せ部屋へ帰っていった。
「……ご苦労様です本当に。」
「……とりあえず説明するわね。それらは『妖精メイド』って言うのよ。」
「妖精メイド……?」
「そう。うちって広いじゃない?だから従業員を妖精にさせてるのよ。」
「何人くらいいるのですか?」
「んー…三十人以上はいるはずよ。」
「あれ? その割にはあまり会わないような……」
「警戒されてるのよ。」
「……」
この時亜衣夢は
(´∵`)
こんな顔になっていた。
「彼女等はどこにでもいるし、いくらでも湧いてくるからいいのだけど、ちょっと手際が……ね。」
咲夜は眉間を押さえてひどく悩む。この様子を見て余程なんだなと亜衣夢は確信する。
「ま、あなたが来てくれてよかったわ。あの子達より余程いいもの。」
―これは、素直に喜ぶべきなのか?それとも……まぁいいや。
「あ、ありがとうございます教えてくださって。」
「いいのよ。それに、知らないままだったら色々あれでしょ? 仲良くするのよ。」
「わかりました。」
こうして二人とも仕事に戻った。亜衣夢は道中に何回か妖精メイドにあったが咲夜の言ったとおり警戒され、心の中の何かが砕けた。
◆
「くっそぅ…そんなに俺怖いのかよ……」
メンタルをブレイクされた亜衣夢はうじうじしながら廊下の掃除に励んでいた。たまに通りすがる妖精はやはり警戒して近づこうとしなかった。
そうしてるうちに亜衣夢のカバーガラスハートはどんどん砕けていった。
「く、こんなにも辛いものなのか…」
「あ、あのぉ……」
気付くと亜衣夢のすぐ横に自分とぶつかった妖精メイドがいたのだ。亜衣夢はまた避けられるのではとビクビクしていると、メイドはいきなり頭を下げたのだ。
「ごめんなさい! あの時私怖くて…逃げるように戻ってしまいました……」
「…………へ?」
「わざとじゃないんです! ただ、人間って聞くとトラウマが……」
―ト、トラウマ? 一体何があったんだよ……
「で、ですが! 咲夜さん達から聞いても悪い人ではないと聞いて、私悪いことをしたなと……グスッ」
「えぇ!? わわわ、わかりました、大丈夫ですから! 怒ってないから、とりあえず泣かないでください!泣かれたら俺がやらかしてるって思われるから!」
「あ、すみません…」
「と、とりあえずはまぁ、よろしくお願いします。」
「――! はい! こちらこそ! 私、『ロイア・パリミア』と言います。気軽にロイアとお呼びください。」
「俺は、知ってるとは思いますけど三紗亜衣夢。亜衣夢でいいですから。」
「……グスッ」
「えぇえ!? なんでまた泣くのですか!?」
「いぇ、ちょっと嬉しくて……すいません……」
―……この絵って何も知らない人から見たらヤバ目なやつだよね?……誰も、見てない、よね?
亜衣夢はそう信じて後ろをチラッと見る。すると、後ろの方で妖精メイドが見ていた。目と目が合いしばらく硬直してしまい、その後逃げ出した。
―あぁ、また変な誤解を生んでしまったな……
亜衣夢は小一時間かけてこの誤解を解いたのだった。。
◆
自室にて~
「あぁ、疲れた……」
亜衣夢の唯一の至福の時間の昼休み。この時はほぼ誰にも邪魔されることはないから存分に休むことが出来る最高の時間。
「さぁ、寝るぞ!」
目覚まし時計を10分後に設定しベッドに入ってわずか五秒。亜衣夢は一瞬にして眠りについた。
◆
―……おぉお? またここですか……ゆか――…………へ?
「ワタシは紫様じゃない! 藍様の式、橙(チェン)だ!」
目の前に現れたのは紫でも藍でもない。猫耳がついて二股に分かれた尾を生やした少女であった。橙はその小さな図体と相反して大きな態度をとっていた。
―……いつもの方たちは?
「ああ!? 貴様!! この方では不満というのか!?」
「わざわざ出向いてくれたのだぞ!? もっと感謝しんかいワレ!」
突如橙の背後に現れた2人の巨大な大男。1人は赤、もう1人は青色の体で頭の先に角が生えていた。それを見て亜衣夢はこいつらを鬼だと判断した。
「す、すみません。」
「こら! びっくりしてるでしょ!? あっち行ってなさい!」
『御意』
そう言って鬼はすたこらと向こうへ走っていった。亜衣夢はその光景を唖然として見ていた。鬼共が消えると橙はコホンと咳払いをして話しはじめた。
「実はですね、紫様達は忙しいとのことで私が代わりとしてきたのですよ。なんでも、『亜衣夢の体になにか異変があったら言って。』との事でして。」
―(異変? マジで何のことだよ。というか俺の体に?)
「亜衣夢さん、なにかあった時のためこれを渡しておきます。」
そう言うと橙は亜衣夢にいつぞやの怪しさ満点の薬を渡した。ラベルには前と同じドクロのマークに追加でDeadと書いてあり悪意を感じた。
―(うわぁあ、またこれかよ。いちいち怖いんだってパッケージがさあ。)
―あ、ありがとうございます?
「じゃぁ、要はこれだけなので。さよなら~」
―えぇ? いや、まって―――
◆
「み、味噌汁ぅ!?」
亜衣夢は明らかおかしい言葉を発してベッドから勢いよく起き上がった。奇鳴が部屋中にに響き渡り正気に戻ると恥ずかしさが込み上げてきてベッドの上で転がり回る。
(何だよ……味噌汁って。)
亜衣夢はしぶしぶ仕事に戻ることにした。立ち上がり部屋を見渡すとドアのすぐ前に例の薬が置かれていた。
一息ついて薬を手に取り机の上に置く。
「さて、行きますか。」
◆
「…………本当に広いなここの風呂は!!」
亜衣夢は紅魔館の大浴場の掃除をしていた。普通の銭湯を遥かに超えるの広さを誇る浴場を亜衣夢は1人で掃除をするわけなので既に一時間並の時間はかかっている。
「てかさぁ、誰が入るわけよ!? そんなにここの人口ってあったっけ?」
そう愚痴愚痴いいながらも手を止めることは決してなかった。しばらくしていると後ろの方から何か慌ただしい物音が聞こえてきた。
何かと思います一時中断して様子を見に行った。亜衣夢がドアに手をかけようとした瞬間、いきなり開き何かが飛んできた。
「ど、どいてくださ~い!!」
「へ?」
目の間に来たのは妖精メイドだった。しかしそれはロイアではなく、違うメイドであった。だが、亜衣夢はそれを認識する暇もなく妖精メイドの頭突きをまともに食らってしまった。
「―――」
「きやぁあ! ご、ごめんなさい!! これは違うんです!!」
亜衣夢は何が起きたか理解できないでいた。ドアを開けようとしたらいきなりメイドが飛び出てきて自分に激突してきた。しかも相手はほぼ無傷。そして何故かみぞおちが痛く先程から吐き気がする。
すると、後ろの方から数名の声が聞こえてきた。
「あ、あんた何してるの!?」
「うわぁ、この人鼻血やばいよ。」
「あああ! ごめんなさい!!」
「……とりあえず、亜衣夢さんから離れてください。あなたの膝が亜衣夢さんのみぞおちに入っているので。」
「え? ……ああ! ごめんなさい!!」
知らない声が2名。そして聞き覚えのある声が1名。みぞおちの負担は消えたが、それらを誰が特定する前に意識は薄れていく。
「亜衣夢さん! 大丈夫ですか!? 起きてください!」
不意に肩を軽く叩かれ意識を取り戻す。ウゥッとうめき声を上げてなんとか起き上がる。
「ろ、ロイアさん…? 」
「よ、よかったです……」
「……何が起きたのですか?」
・
・
・
~メイド説明中~
・
・
・
「……なるほど、つまりあなた達はそのグループで清掃等をしていて、そこの緑の髪の人が浴場からなにか聞こえるって言って先走ったら足をすべらせ……俺に激突したと。」
「うぅ、ごめんなさい……」
「すいません、こちらの監視不足でした。」
「いえ、もう大丈夫ですので。……あれ? あなた達、あの時俺が小一時間かけて説得した人たち?」
「ああ! あの時の!」
「ええと、確か……誰だっけ?」
「……」
「……あんたねぇ。」
「私が改めて紹介します。」
「ロイアさん?」
「この緑髪のドジっ娘は『カミシャ・アイエン』。赤髪が『レイ・ノーア』。そしてこの青髪の忘れん坊が『スィーフ・トリノイア』。」
「ど、ドジっ娘って何よ!」
「忘れん坊……って?」
「お前……てか、私の説明わ!?」
「レイは特にないのだもの。」
「ぐぬぬ……」
「とにかく、この人は三紗亜衣夢さん。ここで唯一の人間です。」
―ロイアさん、もう少しまともな紹介お願いします。人間って……
「よろしくな、亜衣夢。」
「こちらこそ、レイさん。」
「あ、ちょっといいですかぁ?みしあむさん。」
「……それって俺、ですか?カミシャさん。」
「はい。」
―なんだよその略し方。『みしあむ』って……
「1つ、言いたいことがあるのですが……」
「はい。」
「…………風呂掃除、大丈夫ですか?私のせいでだいぶ血が流れてましたが。」
「……」
『……』
―………………詰んだ╰( º∀º )╯
...気分がのるとすぐ投稿できる...何だろね?
「...」
よし、このまま頑張るぜ!
「...」
...おい、どうした亜衣夢よ。返事をしr誰だお前!
「...ん?ご飯?」
違いますよ!ってか何でここにスィーフさんがいるんですか。
「...あー...間違えちゃった。」
早よ帰ってください!皆心配してますよ!
「あー...?」
あ、ダメだこの人。会話が成立しない。ドッチボールになる。
えー、はい。強制終了です。これからもどうぞよろしくお願いします。
「お願いしま〜す」
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大図書館
紅魔館の掃除中にてここで働く妖精メイドのロイア、カミシャ、レイ、スィーフと出会い亜衣夢はこれらに巻き込まれてしまい、大変な目に合うのであった。
一体何時間経ったのか。そこは日の光が入らず今の時刻がわからない。体感的に三時間半、だが実際はそれより長い、あるいは短いであろう。
ジメジメとして埃やカビの臭いが所々からし呼吸のたび軽くむせる。こんな心も身体も悪くなりそうな場所に図書館はあった。
「亜衣夢さ〜ん、そちらの方は終わりましたか~?」
「いえ、まだでーす、こあさーん。」
「そうですか〜、では引き続き頑張って下さい。」
「はーい。」
亜衣夢はパチュリーの頼みで彼女自身が管理している大図書館の本の整理をしている。その広さは予想を上回る程であり、やっと7割の整理が終わったところである。
しかも人数は亜衣夢と『こあ』の2人だけである。こあというのはパチュリーの使い魔であり本名は無く小悪魔という総称で呼ばれ皆からはこあと呼ばれている。
「くっそ……なんでここはどこもかしこもだだっ広いんだよ……辛いわ。」
亜衣夢は大量の本を抱えながらそんな愚痴を静かにこぼす。その後すぐハッとし今の発言が聞かれていないか確認した。周りに誰もいないのがわかりホッとする。
「てかさぁ、こんな紅魔館が広いだけの話書いてたらそろそろスマホの前の人も飽き」
ナレーター→(つ´∀`)≡つ)´Д`):∵←亜衣夢
……失礼、
しかし束の間。本棚の横から小悪魔がのぞき込むように出てきて亜衣夢は驚いたあまり本を落としてしまった。
「わわっ、大丈夫ですか?」
「ははははい、大丈夫ですす。」
ぎこちない返事を返したせいで何か怪しまれた目をされた。だが小悪魔はさほど気にすることもなくまた仕事に戻っていった。
「いつになったら終わるのやら……ん? なんだこの本?」
片付けをしているとなにやら不思議な本があった。そこらにある本とは何かが違う。オーラというのがかんじられ、妙なちからがあるように思えた。
何かと思い亜衣夢は小悪魔を呼び聞いてみた。ところがここに長くいるはずの小悪魔でさえわからないという。
「パチュリー様ー? なにやら見かけない本がありましたのですがー。」
小悪魔がそう言うと奥のほうからゆっくりとした足取りでパチュリーが来た。足取りこそ遅いがその目は今まで見た中でも活き活きとしており余程の代物なのか。そう思えるほどだった。
「で、どれなの? その本は。」
「はい、これなのですが。」
小悪魔が本を渡す。パチュリーは手にとった瞬間本を開き読み始めた。見た感じではさっと見てさっとページをめくるというものであり、500ページあるであろう本を一分で読み終えた。
「……なるほどね、これは『スペルブック』のようなものね。」
「スペルブック? なんですかそれ?」
「魔力を得た本よ。本来は召喚や魔法を使うときに使用するものだけど、これはちょっと変わってるようね。」
「と、いいますと?」
「これは多少意思を持ってきている。付喪神になりかけているのよ。その証拠に、私から逃げようと少しだけ抵抗してるのよ。」
「パチュリー様、それどうするのですか?」
「んー、このままだと私達の魔力を糧に成長して邪魔になるから、今消すかしら。」
「け、消す!?」
「そう、消す。」
「でも、命があるのでは?」
「微々たるものよ。まだ考えることも出来ないから恐怖は無いはず。ただ、何かが来たとかそれぐらいしか思えないわ。」
「………」
亜衣夢は心の中に何か靄のような感情が芽生える。無造作に消される命。それに強い嫌悪感を抱く。その感情が伝わってしまったのか、パチュリーは少しため息をついた問いかけてきた。
「なら、あなたはどうしたいの?」
「え?」
「この魔本は私達の魔力を吸収して成長する。今はあれだけど大きくなって力をつければ意思もハッキリしてくる。そうなればどうなるか分からないわ。」
「………」
「…気持ちはわかるけど、何か起こってからじゃ遅いのよ。」
「…じゃあ、ください。」
「えっ?」
「俺に、その本をください!」
その発言で辺りは静まった。小悪魔とパチュリーはあぜんとして驚きの表情すら出てこなかった。
「…正気?」
「はい。」
「あなたがもらってどうするつもりなの?」
それはもっともな意見だった。このまま育て上げれば、どうなるかわからない。が、亜衣夢は納得できなかった。何もしてないのに消されるのが、認められなかった。
「こいつ、魔力で育つのですよね? なら、魔力の無い俺が持てば、大丈夫ですよ。」
「あのねぇ、無理。魔力がないなら違う力を吸収するのよ。魔力の無いあなたは霊力を取られる。取られすぎれば死ぬのよ?」
「……」
「パ、パチュリー様少しいいですか?」
「何?」
「あの、別に渡してもいいのでは?」
「あなたまで…どうなるかわかってるの?」
「はい、ですがあくまで可能性の問題で本当になるかわからないじゃないですか。」
「……あ~はいはい、わかったわ。」
パチュリーは深いため息をつきそう言った。その表情はもう駄目だなと諦めたものだった。パチュリーは苦い表情をしながら話を続ける。
「なら亜衣夢、あなたはやるべきことができたわ。」
「え?」
「この本を、屈服させなさい。」
「…はい?」
あまりに突然のことで意味が理解できなかった。本を屈服させる。人はそれを聞いてどう思うかなど、言わずもがな。である。
「意思があるなら確実にこちらに反抗もする。なら、その芽を今のうちに潰すのよ。」
「ですが、どうやってですか? 火でも近づけて脅すのですか?」
「魔本にそういった物理的なことは効かないわ。だから、魔本の中に入って倒してやればいいのよ。」
「中に入る…?」
「そう、正確には精神の中、ね。転送魔法というのがあって自分の体を一度原子レベルまで分解、そして今度は――」
「まぁまぁ、そんな話はいいとしまして。早速亜衣夢さんを移動させましょうよ。」
「……そうね、でもこれは亜衣夢あなた一人でやるしかないのだからね。本は全力を持って対抗してくるわ。…覚悟、できてる?」
「……っ。」
亜衣夢は少し怖気づく。それも仕方ない、一人で得たいのしれないのと戦わなくてはならないのだから。だが亜衣夢はそんな迷いをすぐさま捨て去り強く、言った。
「…出来てます。」
この一言でパチュリーは納得したのか本を手に持った。そして何やら呪文を唱えたかと思うと亜衣夢の足元に魔法陣が出てきた。と思えばすぐさま転送がはじまった。
「ちょっ、まだ覚悟はできてもここ―」
魔法陣は亜衣夢の言葉を遮って飲み込んでいった。飲み込み終わると魔法陣は徐々に小さくなり、静かに消えていった。残されたパチュリーと小悪魔は亜衣夢のいるであろう本を心配した顔で見ていた。
◆
〜魔本の精神内〜
「……ここが、本の、精神、内……」
そこは何もない、真っ白な世界が広がっていた。きっと魔本の精神が未熟ゆえ、この世界となったのだろう。
歩いて見るが世界は変わらなく本当に歩いているのか疑うほどだった。
しばらくすると、純白の世界に黒い物体が浮かんでいるのが見えた。それは何か負のオーラを纏っているのがわかり、本の正体と亜衣夢は理解した。
「…………」
「…これが、魔本?」
「………!」
魔本は亜衣夢の姿に気が付くやいなやすぐさま襲いかかった。魔本の攻撃が亜衣夢に向くと世界が崩れ落ちるように一変した。純白の世界からあの大図書館へと移り変わり亜衣夢はあまりに突然のことで判断が追いつかなかった。
そんな亜衣夢にも魔本は容赦なく攻撃を仕掛ける。本が開き始めたと思うとそこから直径50センチぐらいの火球を二発放ったのだ。とっさの判断でギリギリかわすことはできたが、後ろの方で爆発が起きたのを聞きゾットする。
「………!!」
「くっそ! まだ撃って来んのかよ!」
魔本が再度火球を撃とうとしたので亜衣夢は急ぎ背後にある大量の本棚の裏へと逃げていった。魔本も逃がすまいと放つが亜衣夢の方が早く回避に成功した。さらに奥へ奥へと逃げ、魔本は見失ってしまう。
「……!? ……」
魔本はその場に留まり本をたたみ浮遊していた。まるでその様子は亜衣夢の登場を待っているかのようだった。
◆
「……さて、逃げたはいいがどうするか。」
出来る限り逃げてきて本棚の影に隠れているが、反撃のしようが見つからない。敵は魔本、『スペルブック』。魔法はもちろん、そのうち何かを召喚してくるであろう。
それにも関わらずこちらは丸腰で武器は何もない。弾幕は未だに撃てず能力もあてにならず。まさに絶望。人間一人がどうこうできるものではなかった。それを思い知らされる状況であった。
「くっそ…いや、考えろ。ここは図書館の中。パチュリー様やコアさんは何故かいないがあの真っ白な世界とは違って色々物がある。」
本棚の影からちらりと魔本の姿を確認する。どういうことか魔本は先程の場から動こうとしなかったのだ。疑問に思ったが今はそれを考えている暇はない。
体を元の位置に戻そうとすると肩が本棚に当たってしまいバサバサと本が落ちてきてしまった。亜衣夢は焦って戻そうとすると過って踏んでしまいその上破ってしまった。
「…! まじかぁ…」
それを拾おうとすると亜衣夢の手がほのかに光り始めたのだ。亜衣夢は一瞬驚いたがもしやと思い破れた本に触れると破片同士がくっつきあって元のものに戻ったのだ。
「…! こ、ここで…出来たのか!?」
亜衣夢はもう一度試しに本を取り出し破いてみて意識して触れる。すると、また同じように直ったのだ。確信した、ついに能力をこの土壇場ではっきできたのだ。すると、能力が出てきたついでに魔本を倒す手が浮かんだ。
「……うまくいけば、勝てるかも…」
僅かな期待と大きな不安を胸に、亜衣夢は早速仕掛けにでた。
◆
□ここは、どこだ? なんだ?
生まれた時はぎゅうぎゅうに敷き詰められたところにいた。自分を押しつぶすように寄ってくるモノに問いかけるが返事は来ない。
□何だ? こいつら、口が聞けないのか? くっ、なんとか、抜け出せ…
バサッ!
□いてて…なんとか出れた。 …ん? 動けない…? 何でだ? まあいいや。後で考えよう。…お? 誰か、来た?
「…あら? 本が落ちてるわね。」
□…なんだこの小娘。へんな格好だな、紫で部屋でも帽子を被って。おい、俺を外に出せ。…いや、待ってください元に戻さないでごめんなさい私が言い過ぎましただから―――
ボスッ
□ちきしょぉぉおおおお!!
「なんで落ちてるのかしら…小悪魔、見落としたわね。まったく。」
□…ちくしょう、出鼻くじかれたぜ。あいつ、許さん。なんかあいつの近くにいると力が沸くから、何とかして、反撃してやる!
〜3日後
□…よし、今日はへんな男が来るらしいな。そいつをのっとって、やつを倒す!!
「消す。」
□…へ?
「邪魔になるし。」
「でも、命があるのでは...」
□そ、そうだそうだ!俺だって生きてるんだぞ!
「微々たるものよ。考えることも出来ていないはずよ。」
□一寸の虫にも五分の魂!微々たるってなに!?しかも俺は今立派に考えてます!くそぅ...やっべ。死ぬ。復讐の前に死ぬ。どうしよどうしようとどうし
「俺が、もらいます…」
□…んん? なんて? もらう? まじで?Foー!こいついいやつ! のっとるとかいってごめんまじ!
「霊力を取られすぎれば死ぬのよ?」
「……」
□おぉい! そこ黙るなよ!反論して!
「なら、本を屈服させなさい。」
□んん?
「ちょっ、まだ心の準備がー」
□……あ、なんか来た。よし、なら俺はそれ相応の対応でやつを倒す!!さぁ、来い!!
◆
□………と、思ったのだが、全然来ねぇ。先手必勝かけたが一目散に逃げおった。…しゃあねぇ、奴が来るまで待つとしよう。これぞ男気(?)!
魔本がそう思い待ち続けていると、ついに亜衣夢の姿が見えた。時間にして亜衣夢が隠れた時から三十分は経っていた。
「ふぅぅう…よう、またせたな。魔本…」
□ついに来たな…えーと…なんだっけか…………男!!!
「覚悟しろ…今からお前を……」
□観念せい…これで貴様を……
『屈服させる!!』
「いやったぁぁぁ!」
ど、どうしたのですか!?亜衣夢氏よ!
「だってよ!ついに!能力がFOー!!」
-このままどこかへ走り去っていった。
......えぇ...と...は、はい。こんなのでありますがどうぞよろしくお願いします。本当に...
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VS魔本
図書館の清掃をしていた亜衣夢。その時不思議な本を見つけパチュリーに聞くと魔本と呼ばれるスペルブックの一種であった。亜衣夢はそれを屈服するため本の精神内へと向かったのだった。
『屈服させる!!』
「おらぁぁ!」
先手をうったのは亜衣夢の方だった。真っ直ぐに魔本へと向かっていきチャンスを掴もうとする。魔本は亜衣夢が来るのと同時に赤い魔法陣を浮かび上がらせそこから火球を何発も放つ。
―勝負は、ここで決める!
亜衣夢はポッケに隠し持っていた本の破片を幾つか取り出す。ここで、亜衣夢は先程の土壇場で出来た能力を発動させる。
『モノを回復させる程度の能力!』
能力発動と同時に手に持っていた破片が光だし、何処からか本が飛んでくる。亜衣夢が破片を手放すと飛んできた本と合体し、元の状態へ戻った。それらは丁度いい感じに火球を防ぐ盾となったのだ。
□何ぃ!? あいつ、こんなことができたのか!?
「あっちぃ! …ふっ、どうだ? 俺の能力はまだまだ続くぜ!」
□くそ! 負けてられるか!
魔本は次に青い魔法陣を出す。亜衣夢はそれを見て一度引こうとしたが少し遅かった。魔法陣からはすでに魔法が出ていたのだ。その魔法は先程の火球とは違って澄みきった青色をした球体だった。
亜衣夢が同じように本を盾にして防ぐと、ソレは着弾と同時に水しぶきを上げながら弾け飛んだ。顔にかかる液体で判断した。
「これは…み、水か! あいつ、火以外も使えんのかよ!」
□ふふふ、驚いてるな。だが、これで終わりでない!もう一つ、魅せてやる!
今度は黄色の魔法陣をだす。亜衣夢はそれを見て、次こそはやばいと確信した。その魔法陣からはすでにバチバチと静電気が音をたてていたのだ。
□喰らえ!
黄色の魔法陣からは亜衣夢の予想通り電撃の魔法が発動された。その電撃は放射状に広がっていき途中にあった水により濡れた本に当たると一瞬にして黒焦げなった。
「やっべぇ! あの水、ただの水じゃねぇ!」
亜衣夢はソレを間近で見てさらに恐怖する。電撃はその本のところでちょうどきれてしまっていたので亜衣夢に当たることはなかった。
しかし、それでも脅威なのは変わりない。どれも当たれば致命傷レベルの魔法。一つでも当たってしまえば終わり。それが亜衣夢の足をすくませる原因となった。
「く……。」
□ふふふ、どうだ! 貴様と俺とでは雲泥の差であろう! どんなに本の盾を作ろうと俺の魔法の前では無意味よ!
明らかに不利な状況。普通ならここで白旗でも上げて降参するだろう。しかし亜衣夢は違った。目にはまだ力がある。まだ、この形勢を一人で逆転させる手があるのだ。
―もう少し、もう少しなんだ…あと、あいつが少し…
□ん? もう終わりなのか? なら仕方ない、これで終わらせてやるよ!
魔本はとどめを刺そうと赤い魔法陣を出す。ただの魔法陣ではない、今までよりも巨大であり確実に亜衣夢を殺しにかかったものだった。だが亜衣夢にとってそれは最大の好機でもあった。
□ふふふ、これなら避けれまい。さっきのように本でガードするがよい。全く無意味だがな!!
「………おい。」
□ん?
「そんなにでかいんだったら、火の玉出すまでの時間も長いんだろ?」
亜衣夢は魔本を舐めたような口調で尚且つ挑発するように言った。魔本はだから何だというように無視して準備を進めた。魔法陣からは陽炎が発生しており確実に火力の違いを目指できる。
それなのにも関わらず亜衣夢の顔には恐怖を感じられなかった。逆に、勝ち誇った顔であった。
□おのれ…だが、なにができる? 貴様のそんな余裕ももうこれで終わりだ。これを喰らえば灰すら残らん。…チャージ完了。
魔法陣から巨大な火球が溢れるように一部を見せる。その一部分の大きさですでに亜衣夢と同じぐらいであった。熱さも比例した大きさで亜衣夢はあまりの熱さで体をそむける。
□いくぞ!
「…この時を、待っていたぜ。」
□!?
亜衣夢はポッケに入っていた木の破片を取り出し魔本に見せつける。破片を持っていたその手には切り傷がいくつかあったのを魔本は確認した。
「これを手に入れるの大変だったんだよ、まさに骨が折れるような作業だった。で、これなんだか分かるか?」
亜衣夢は挑発するように見せびらかすが魔本には訳がわからなかった。ソレが解ったのか亜衣夢は完全なるゲス顔で答えた。
「これは本棚の一部だよ。」
□………あ
ここで魔本は全てを理解した。今から亜衣夢が何をするのかも。後ろからは何かを砕くような音が響いており、恐る恐る後ろを向く。
メキメキィ…バキィ!!
眼中に迫ってきたのは魔本が発射しようとした火球と同じぐらい巨大な本棚であった。ソレは亜衣夢の手元の木の破片に向かって恐ろしい速度で迫ってきたのだ。
□何ぃ!?こ、こんな本棚ぐらい、破壊してやる!
魔本はやむを得ず溜めに溜めた火球を急遽本棚に向けて放つ。火球が本棚と接触すると普通なら本棚の方が爆発し破壊されるはずだった。しかし、現実は違い火球が弾かれるように四散した。
恐らく唖然としている魔本に向けて亜衣夢が勝ち誇った口調で淡々と言い放つ。
「お前が最初に撃った火の玉、あれ本棚に当たってたんだけどよ、本棚がほぼ無傷だったんだよ。多分パチュリー様辺りが何か仕掛けをしていて、だから今もお前は壊せなかったんだ。」
□ちょっと待ってくださいやめて許してください。
「悪いな。だけど、勝負だし…ね?」
□いや待ってほんとに慈悲をください慈悲を――
「じゃあの(^^)/」
亜衣夢は手に持っていた破片を手放し一目散に逃げ出した。魔本はその場から動くことができず迫りくる本棚にぶち当たってしまう。図書館中に激しい衝突音と本の崩れ落ちる音が響き渡る。
しばらく静寂が続き完全に魔本の動きが止まったことを確認すると、吊られていた糸を切られたように亜衣夢は脱力して倒れ込んでしまう。
「………か、勝てたぁ……」
まさかここまで上手くいくとは思いもしなかった。全ては運任せであり、もしも能力が発動しなかったら…と考えると亜衣夢のノミの心臓が痛くなる。
そうしていると周りの景色がどんどん剥がれ落ちるように変わっていく。それと同時に亜衣夢は徐々に意識を失っていった。
「よし…これで終わった…な……」
◆
「モンサンミッシェル!?……………あれ?」
亜衣夢は謎の奇声を上げて意識を取り戻し起き上がった。その奇声は近くにいたパチュリーと小悪魔を非常に驚かせるものだった。
「び、ビックリした…」
「亜衣夢、起きたのね。目を覚ましたということは、倒したのね。」
「はい、やってやりましたよ。」
「……そう。よかった。」
二人は安心した表情で亜衣夢を見ていた。亜衣夢は自分が眠っていた間に何か起きたのかを聞いてみると驚きの物事が起きていた。
まず一つは本棚が揺れたり、本が大量に落ちてきたりなど魔本の精神内と同じようなことが起きていた。その証拠に辺りが本で散らかっているのがわかり、さらにへこんでいる所も多々見られた。
「そういや、なんで魔本の攻撃は効かなかったんだろう。」
「? なんの事?」
「実は…魔本が火の玉とか水の玉とか雷とか、いろいろな魔法?を使ってきまして。その時魔法が本棚に当たったのですが本棚はほぼ無傷でして…何でですか?」
「ここ一帯の物には『対魔力防壁』という魔法をかけたのよ。」
「対魔力…防壁?」
「そう、要は名前の通り魔法に対するコーティングをかけたのよ。そんじょそこらの魔法程度なら逆に跳ね返すこともできるのよ。」
「だから、あの時守れたのか…」
「…? まぁ魔本の精神内で何があったかはよく知らないけど私の魔法に傷つけるのだから、相当な威力のようね。あなたにかすったとしても、生きていられたかしらね?」
―ナニソレコワイ
「そ、それよりも何故そんなものをつけたのですか?」
「…前家に魔理沙が来たでしょう。」
「来ましたねぇ。」
「あいつは堂々と魔法を使ってこの紅魔館の壁に穴を開け前々から目をつけていた本を素早くてにとりまた魔法を利用して帰る。」
この発言で確信した。対魔力防壁は、あの魔理沙をここに入れない、そして閉じ込めて仕留めるためのものだったと。運良くそれが対魔本戦で使えたのは幸いだったがなにか複雑な気分であった。
パチュリーは相当な恨みがあったのか笑っていたが目が完全に死者の目であり亜衣夢は恐怖に染まった。それに気づいたパチュリーはコホンと咳払いをして話を変えた。
「とりあえずは、お疲れ様ね。魔本は私が見ておくから明日来なさい。話はそこからよ。」
「えっ? てことは今は…」
「もう夜よ。大丈夫、仕事に関しては咲夜に伝えたし、代わりに小悪魔に行かせたから。」
「はいぃ?」
「亜衣夢さん…いつも御苦労様です…」
「ご、ごめんなさい! 自分の仕事をやらせてしまって!」
「いえ、いいんですよ…」
「じゃ、二人ともお休み。」
『お休みなさぁ〜い…』
亜衣夢と小悪魔は疲弊仕切った状態で自室へ向かっていった。二人共床に着くとともに溶けるように眠ってしまった。
◆
……今日は何用ですか? えーと…紫さん?
「あらあら? 私がいない間に成長したわね。」
えぇ、おかげさまで。
「今日はあなたに説明したいと思ったのよ。」
説明? 何のですか?
「スペルブックよ。」
!?
「あの本は他のと違い自我がかなりハッキリしていたのよ。だから、扱いを間違えれば屈服させたとはいえ、何かはしてくるわよ。そうならないため、今から教えることをちゃんと覚えてね。」
な、なるほど…
「まずスペルブックというのは魔法や召喚を手助けするものであってそれがあると魔力の消費も少なくなる。けれどあのスペルブックは自らが魔法を唱えているのよ。」
それは自我があるからですか?
「いえ、恐らくもともと本に備わってあった魔力が多かったのよ。それに合わせてパチュリーと小悪魔の魔力を吸収。そうして成長したと思うわ。」
そうだったのですか…
「だけど、それはあなたにとっては都合がいいと思うわ。」
えっ? 何でですか?
「あなたがスペルブックを使えば、魔力を使わずにして魔法を唱えられるわ。」
!?
「魔法を唱えるには術者自身の魔力を糧にしなくてはならない。けれどもスペルブックが魔力を持っているから詠唱さえできればあなたもできるわ。」
ほ、本当なのですか…?
「ええ。そのために使い方を今から教えるわ。」
…お、お願いします!
「まずは、読みなさい。」
………え?
「スペルブックを知りなさい。あれも一応本よ。なら読んでどういうものなのか理解しなさい。そうすれば自然とわかってくるから。」
そういうものなのですか…?
「そういうものよ。根気よくね。じゃぁ、また会いましょう。」
ま、また突然のわか―
◆
□…………おい。
―ん…んん?
□……おい、そろそろ起きろ。
―なんだぁ…声が…頭に…響く…
□仕事、行かなくていいのか?
―…仕事…?…………!?
亜衣夢は跳びはねるようにして起き上がった。頭の中に最悪の予感がよぎる。時計を慌ててみると、針は午前三時を指していた。
「…おいクソ本。」
□ん? 何だ行かんのか?
「まだ…仕事の二時間前じゃねえか!!!」
亜衣夢は魔本を力任せに掴み取り大きく振りかぶってベッドのシートに投げつけた。魔本は抵抗することも出来ず叩き付けられてしまった。
□き、貴様…カフッ
「てか、何で話せんだこいつ…眠たすぎて気付かんかったわ。」
□ん? そんなに不思議か?
「本が喋ってんだぞ?不思議っていうか不気味だわ。」
□おっ? うまいこと言うねぇ~
―うっぜぇぇ……
□で? どうするんだ? 寝直すか?
「どこぞのアホのせいで目覚めだから気晴らしに散歩でもしてくるよ…」
亜衣夢はまだ覚めきってない目をなんとか開けベッドから起き上がるとあることに気づく。何故、魔本がここにいるのか。
バッと振り向き魔本を掴み、問いただす。
「お前…確かパチュリー様のとこにいたはずだよなぁ…なんでここにいんだよ…」
□なんだ今更。もちろん逃げてきたに決まってんだろ。
「に、逃げてきた!? おいおい…」
□まぁ、バレなきゃいいんだよ。
「そういう問題じゃねぇんだよ…てかお前、どうやって話してんだよ。さっきから頭痛いんだけど。」
□ん? そりゃもちろん直接脳内に話しかけてんだよ。だからお前はさっきから独り言を言ってるようにしか思われない。
「……」
亜衣夢は振り返って後ろを見る。ドアは開いておりそこには何とも言えない目をした咲夜がいて目が合ってしまった。
咲夜は何事もなかったかのように振る舞いそそくさとその場を立ち去った。
「……おいカス本。」
□ん? なんだ? ……あれなんかデジャb
「てめぇのせいでまた誤解解くはめになったじゃねぇかぁ!!!」
□ぎにゃゃああああ!!?
◆
〜場所は八雲家にて…
「…紫様、亜衣夢様の様子はどうでしたか?」
「えぇ…今はまだ大丈夫よ。でも、着々と進行しているわ。」
「なかなか進行が遅れているのですね。何故?」
「恐らく、レミリアの運命操作が無意識に発動して変えているのかも知れないわ。」
「そうなのですか…?」
「あくまで予想。今はまだ大丈夫よ。でも一つ気がかりがあるのよね…」
「気がかり…ですか?」
「亜衣夢の身体能力が上昇している傾向にあるのよ。吸血鬼の身体能力が備わって来てるのよ。」
「………」
「でもまぁ、しばらくは様子見ね。」
紫は隙間を作り藍と共にその中へ消えていった。残ったのはまだ寝ている橙の姿のみだった。
「んん…藍様ぁ……」
...ふぅ。
「どうした?」
実は.....いや、やっぱり言わないでおく。
「は?」
だってさ、『亜衣夢のやろぅ!無駄に強くなりやがって!まじ腹立つ!死ね!〇〇〇〇!』...なんて言えないじゃん(´^∀^`)
「...おう、そうだな。とりあえず...死ね!!」
おんおんおん?来んのか?来いよ亜衣夢!武器なんか捨ててかかって来いよ!
「野郎☆オブ☆クラッシャー!」
貴様と俺とでは!天と地ほどの力のs
「本棚アタック。」
ゴフッ(^q^)
ナレーター「...いつもの御二方が乱戦中にて、私が代わりに。ここまで見てくださりありがとうございました。これからも投稿期間をしっかり守り善処致しより良いものを作っていきますので、どうぞよろしくお願い致します。」
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再び人里へ
魔本と戦い見事打ち勝った亜衣夢。亜衣夢は能力を扱えるようにもなり魔本を従えることも出来た。しかし、まだ亜衣夢は己の身体が蝕まれていることに気づいていなかった。
「亜衣夢はいるかしら?」
いきなり亜衣夢の自室に入ってきたのはモップとバケツを手に持っていた咲夜だった。突然の訪問に亜衣夢は驚きを隠しきれなかった。というか、ノックすらされ図いきなり開けられてしまえば誰でも驚くだろう。
「どうかしたのですか?」
「ちょっと人里に行ってもらいたいのよね。色々必要なものがあって...」
「あ、いいですよ行きますよ。」
「いいの?じゃあこの紙に用件を書いておいたから。お願いね。」
「了解しました〜」
「あ、言い忘れていたけど。もう一人いるから、宜しくね。」
「......はい?」
咲夜はそれを言い残してすぐにその場から立ち去った。その後ろ姿には何か違和感を感じ、亜衣夢の頭を過ぎるのはとある人物。今までのパターンではまともな者は来るはずない。
「い、嫌な予感しかしない...」
きっと気のせい。そう信じて亜衣夢は恐る恐る玄関へと向かって言った。しかし、亜衣夢の嫌な予感はバッチリ当たっていたのだ。玄関を出て門の方へ行くと人影が二つ。
一つは門番である美鈴。これはいて当たり前だが、もう一つは見覚えのある姿だったのだ。メイド服で羽が生えていて青髪。そう、彼女だったのだ。
「ス、スィーフ...さん?」
「あ!亜衣夢さんやっと来ました!待ってたんですよ!」
「ん...?誰?」
「亜衣夢さんですよ!覚えてないのですか?」
「あー...いたね。そんなの。」
「そ、そんなのって...いや、そこはいいです。美鈴さん、この人ですか?俺と一緒に行くって人は...」
「そうなりますね...」
美鈴は申し訳なさそうにそう言った。おおよそこちらの心中を察したのだろう。それもそのはず。このスィーフこと『スィーフ・トリノイア』。彼女はこの紅魔館でも随一の天然であるのだから。
...いや、天然と言うよりは『何も考えていない』の方が正しいだろう。それぐらいのものであるのが人里へ行く。不安しか出てこないだろう。
「お嬢様は一体何を考えているのですか...」
美鈴は深く息を吐いてそう言う。レミリアの考えることは希に斜め上であることがあり、咲夜でさえ翻弄されてしまう始末なのだから。
それでも命令となれば従うしかない。主従関係とはこういうものである。
「...とりあえず、行ってきますね。」
「亜衣夢さん、達者で...」
「ん?行くの?」
「そうですよ、行きますよ。」
「んー。」
-なんだろう...子どもかご老人を相手にしてるみたいだ...
そんな感情を抱いて亜衣夢は人里へ旅立った。その時誰もが2人を心配した。本当に、帰ってこれるのかを......
◇
「.........はい、予想通りですよ!!」
亜衣夢は叫んだ。紅魔館を出てから早30分、まだ人里までの道程で半分も行っていない。亜衣夢が先日行った時はもう人里に着いて寺子屋の子達と話していただろう。
しかしどうだ。まだ半分も辿り着けて無い。スィーフがこれほどに手強い相手なんて亜衣夢は思いもしなかった。
「スィーフさん!いちいち寄り道しないでください!帰るとき真っ暗になりますよ!」
「あー...それは困るね。」
「そうでしょう、なら早く行きますよ。」
「うん...あ、チョウチョ。」
「言ってるそばから!?」
亜衣夢はマッハ(あくまで気持ち)でスィーフを捕まえる。そしてスィーフの手首をがっちり掴み移動の主導権を握る。こうでもしなければ、帰るのは次の日になるからだ。
「...なんで手首を掴むの?」
「それは、これ以上どこかに行かせないためですよ!」
「ふーん...」
...Dーt(ボソッ)
「何か言いましたか!?」
「んー?」
「すっとぼけおって...」
「あ、そうだ。えーと...王蟲?」
「『亜衣夢』!です!それは何処かのダンゴムシでしょうが!...それで、何ですか?」
「今からどこに行くんだっけ?」
「...」
亜衣夢は今一度大きく深呼吸をして心を落ち着かせる。2回ほど深呼吸をして、高らかに叫んだ。
「くっそめんどくせぇぇぇ!!!!!」
◇
一方そのころ紅魔館では...
「亜衣夢は大丈夫でしょうか...」
咲夜は窓の外を見てそう言う。心配するのも無理は無いであろう。相手が相手であるのだから。それを聞いたレミリアは飲んでいる途中の紅茶を口から離して一言言った。
「大丈夫でしょ。」
「よくとまぁ堂々と言えるわね。相手はスィーフよ?」
「そうですよお嬢様。亜衣夢さん過労死しますよ?」
皆がそう言ってる中、レミリアは全く動じること無く話を聞いていた。まるでこの後の結末を既に知っているかのように、動じることが無かった。
その様子を見た咲夜とパチュリーは諦めが着いたのかハァッと息を短く吐きしぶしぶ咲夜は仕事に、パチュリーは図書館に戻った。
「ふふ...頑張るのよ。」
レミリアは飲みかけであった紅茶を再び口元へ運び飲み直す。
◇
「...やっと...着いた...」
「ん...?ここ?」
「そうですよ、ここですよ。念願の人里!!」
いつもの倍以上の時間をかけて辿り着いたこの人里。亜衣夢はあまりの苦労と感動に感極まって涙が出るのではというほどだった。
「では行きますよスィー...フ...さ..ん.........」
早速目的を達成しようとスィーフの方を見ると、既に姿は向こうの店に移っていた。あまりの行動と忘却の早さに亜衣夢は唖然とした。しかしそうもしていられない、急ぎスィーフを捕まえ引きずるようにして走った。
「いい加減にしてくださぁぁあい!」
〜十分後〜
「...よし!もう、無いな...目的達成!ゼェゼェ...」
「ZZZZ...」
「ね、寝てる...」
スィーフはあろうことか寝ているのだ。亜衣夢が買い物している時も移動する時も寝ていたのだろう。ここまで着いてきたのが謎である。
「ちょ、スィーフさん!起きてください!もう帰りますよ!?」
「んーもう食べられない...」
「そんなテンプレ極まりないセリフなんて求めてませんから!起きてください!」
「......ZZZZ...」
(もうダメだァ...おしまいだァ!どうする...いや、手段は幾つかある。)
手段1・意地でも起こす
手段2・置いていく
手段3・自らが運ぶ
手段4・己の無力に嘆き、悲嘆にくれ、絶望する。
(4は無いな。ていうかなんだよ、厨二か。2は...まずいな。怒られる。てか殺される。1は、さっきやったやん。てことは...)
『2・運ぶ』
(これかぁ...でも、帰るためだしな...はぁ。)
しぶしぶ亜衣夢はスィーフを背負い運ぶことにした。小柄な身体のため重量に苦しむことは無かったが一番気になるのは周りの視線である。メイドを背負う外の人。なんとも奇妙な絵である。
(誰かに見られるのは仕方ない。だけど、アイツらにだけは見られたくn)
「あーあの時の!」
「..._(/3 」∠)_」
予感は的中。亜衣夢の前にはだかるのは、前回の人里でもいた、生意気な子ども達である。状況は最悪。初対面であの言われようなのだから、顔見知りとなった今何を言われるのか分かったのもではない。
他人の振りをして逃げようとした。が、しかし回り込まれてしまった。
「何してんのー?」
「だれその人ー?」
「まさか、よばい?」
「誰がするか!!てか今は昼じゃ!」
「おぃっ」
ゴン!×3
『きゅ〜』
「あ、あなたは!」
亜衣夢を助けてくれた人、それはあの時の人ではなかった。慧音ではなく、違う人だったのだ。彼女には、そこらの人とは違う雰囲気をただよわせていて、まるで何百年も生きているかのような貫禄をも感じられた。
なのにも関わらず見た目はとても若い。亜衣夢が唖然として見ているとそれに気がついたのかこちらを見てきた。
「すまねぇな、またか?迷惑かけちまって。」
「はい、えっと...」
「『藤原妹紅』(ふじわらのもこう)だ。慧音の古くからの知り合いでな、こいつらの面倒見てたんだよ。」
「そうでしたか!だから助けてくれたのですか。」
「そういうこと、こいつらはいつも手を焼かせてな。口だけは達者なんだよ。」
「なんだよー」
「文句あるのかー?」
「文句しかないよ。さっさと帰って算数やってろ。」
『むきー!』
子ども達は逃げるように走ってどこかへ言ってしまった。妹紅はやれやれといった感じになっていて、亜衣夢はそれを見ていることしか出来なかった。
「えっと、君はなんて言うんだ?」
「あ、三紗亜衣夢です。紅魔館の奴...使用人をしています。(危ない...奴隷と言いそうになった。お嬢様め!)」
「そうなのか?あそこは辛いだろ。レミリアの奴は我儘で面倒くさいし。」
「いや、意外とそうでもない一面もありますよ。」
「そうなのか?...ひとついいか。」
「はい?」
「それずっと背負っているが、辛くないのか?」
「...辛いです。」
それもそのはずだ。今までずっとスィーフを背負っていたのだから。いくら小柄であるとはいえそれを数十分も背負えば疲れるだろう。
流石に顔に出てしまったのか、その光景に耐えれなかったのか、妹紅はそれについて触れてきた。
「いいよ、私がおぶってやる。」
「え?」
「どうせ紅魔館まで運ぶんだろ?それぐらいしてやるさ。」
「すみません何から何まで。」
「気にするな、元々世話焼きな性分だから。...よっと。」
そうすると妹紅は軽々とスィーフを背負い紅魔館を目指して歩みを進める。亜衣夢もそれに続いて歩く。スィーフは未だに眠っており、亜衣夢は重荷が無くなったはずなのに謎の疲れがドッと出てきた。
「君は外から来た人なのかい?」
「あ、はい。そうなりますね...」
「帰りたいとかは思わなかったのか?」
「...はい。あっちには飽きたので。」
「...そうか。幻想郷は全てを受け入れるからな。君みたいな変わった一般人も、妖怪も、私みたいな奴も...な。」
「あ、そういえば疑問だったのですが、妹紅さん。」
「ん?何だ?」
「今おいくつd」
《パーフェクトフリーズ!!!》
《スターダストレヴァリレ!》
ピチューン
「亜衣夢ぅぅう!?」
突如亜衣夢の正面からやって来た球体は迷うことなく亜衣夢を飲み込んだ。そのすぐ横にいた妹紅は間一髪で被弾せずにすんだが亜衣夢は無事ではなかった。例の音と共にPを残して消えたのだ。
「だ、大丈夫か!?」
「うぅ...なんと、か。」
「そうか...でも、残機がひとつ減ったな。」
「...?」
「......あのスペルは...魔理沙とチルノか?」
弾幕の出てきた方を見ると、そこには妹紅の予想した通り魔理沙ともう一人幼子の見た目の少女が戦っていたのだ。
彼女らはなにか言い合いながら弾幕を放っていて近くに行くとかなりうるさかった。
「おい、お前ら何をしているんだ。」
「ん?おぉ妹紅か。いやな、ちょっと前に...」
◇
数分前〜
「よう、チルノ。」
「よう魔理沙!」
「お前って...馬鹿だよなwwwwww」
「なんだと!?誰が馬鹿だ!」
「お?怒った怒った!」
「クソー!」
《アイシクルフォール!》
「あっぶね!やったな!」
「こんにゃろ〜!」
◇
「...てな訳だよ。」
「...」
「...」
『お前のせいじゃねぇか!?』
「えぇ?」
「いや、『えぇ?』じゃねぇよ!完全にお前が挑発したからだろ!」
「そうですよ!俺なんてとばっちり受けてますし!」
「そうか?いやーそれはすまなかったww」
『草生やすんじゃない!』
「ハーイ」
「まったく...」
「まぁいいですよ、とりあえず行きましょ?」
「...そうだな。」
妹紅と亜衣夢(+スィーフ)は魔理沙達と別れ紅魔館へ再度向かう。途中後ろの方でまた癇癪を起こしたような声が聞こえてきたが、二人共に無視をした。
◇
〜それから数十分後...
「やっとつきました〜」
「おう、お疲れさん。それじゃここにこれ置いておくぞ。」
「いやいや、まるで荷物のように扱わないで下さいよ。確かにそんなかんじですけども。」
「おっとすまなかった。全く動じなかったのでな。」
「ZZZZ...」
『...』
それから、亜衣夢は妹紅と別れしぶしぶスィーフを背負いなおして紅魔館の中へと入って行った。門に行くと美鈴がまた居眠りをしていて亜衣夢は揺さぶり起こそうとするも返事が無かったので放って置くことにした。
その後怒鳴り声が聞こえたのは言うまでもない。
「三紗亜衣夢、只今帰還しました〜」
「おかえり亜衣夢。無事で何よりね。」
「ふふ...どうだった、ソレの扱いは?」
「...どうだったと思います?」
「あー...なんとなく察したわ。というか、予想通り?」
「ソレのマイペースさには誰も勝てなかったのよ。そこで亜衣夢にやらせてどうなるか知りたかったのよ。ただそれだけよ。」
「なんかもう、お嬢様の無茶振りにも、慣れたような... 」
亜衣夢は憔悴しきって床に座り込んでしまった。既に外は光を無くし闇夜となっていたのだ。体力的にも精神的にも疲れは酷いものなのは言うまでもない。
そして、そこから逃げるようにサッサと自室へと帰って行った。
「...スィーフ、解雇したら?」
「...実際考えたけどダメよ。面白味が一つ減ってしまうもの。」
「レミィ...あなたは本当に暇が嫌いなのね。」
「言ったでしょ?永遠のような時間を待つのは良いけど刹那のような短い時間を待つのは嫌いだって。」
「長生きって不便ね。」
「ふふふ...そうね。なら、飲み直しましょう。この100年間熟成させたワインでも。」
「実際の熟成期間は一時間のくせに。...まぁいいわよ。今日は付き合うは。」
こうして紅魔館の静寂にグラスのぶつかり合う音、つぐ音が響き、芳醇な香りが辺りに広がっていった。
◇次の日〜
「...何で。」
「ZZZZ...」
「何でアナタがここで寝てるんですかぁぁあ!!!!!」
亜衣夢が寝ていたベッドに何故かスィーフの姿があった。その後、他の妖精メイドがやって来て問題となったのはだいたい予想がつくであろう。また亜衣夢は小一時間かけて誤解を解くのであった。
「ほんとに勘弁してくださいぃいい!!!!」
...すみません、二ヶ月も投稿遅れてしまい。
いや、何も言えません。言い訳にしかならないので。一応生きてます。まだ書いてます。一言だけ言うならただやる気が出なかっただけです。
次こそはほんとに早く投稿致します。出来なければ...もう、辞めるかなぁ...(遠い目)
そうならないよう頑張りますのでどうかよろしくお願いします。
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天人襲来
紅魔館でも郡を抜くマイペースのスィーフと人里へ行くことになった亜衣夢。予想通り振り回され最後まで散々な目にあってしまうのだった。
秋も深くなったこの頃。亜衣夢が幻想郷に来てから数ヶ月経った。仕事にもなれ、レミリアの無茶振りにもなれた。ここ数日は特に事件も何もなく平和に過ごせていた。
...そう、今日までは。
「余計なナレーション入れんじゃねぇ!」
□主人、何を言ってるんだい?
「いや、気にするな。」
亜衣夢は廊下を箒で掃きながら自室へと向かった。この仕事が終われば休憩であるからだ。スペルブックを連れながら淡々と掃除を続けた。
「てかなんだお前、丸くなって。」
□気にするな。
あの時は敵意剥き出しだったスペルブックも今では亜衣夢にしっかり忠誠を誓うようになった。亜衣夢はもう既にここの住人となってきたのだ。
「いやぁ...このままずっと平和なら良いのにな...」
ピコン
□(あ、旗が建った。)
「何も起きなければなー。」
ピコンピコン
□(更に建った...主人、フラグ建築の天才か!?)
「俺...この掃除が終わったら部屋にあるプリン、食べるんだ。」
□(もう辞めてぇ!とっくにフラグ建築できる土地はゼロよ!もういっぱいよぉ!)
亜衣夢は意気揚々と自室の扉に手を掛けたその時、フラグは回収された。扉を開けると同時に何かが自室を埋め尽くした。何かが落下した衝撃とモノの砕け散る音が亜衣夢の体を弾くように飛ばした。
「ゴ...ゴフッ...」
「いった〜い...どこよここ。」
面影すら残っていない部屋から見知らぬ声が聞こえてきた。亜衣夢は混乱状態となりただ立ち尽くすことしか出来ていなかった。なんの音だとすぐに咲夜が様子を見に来た。そして直ぐに酷い有様を見て驚愕するのだった。
「何が...あったのよ!」
「ん...?この声は、咲夜?」
また先程の声が聞こえてくる。しかも、ソレは咲夜を知っていた。亜衣夢が咲夜の方を見るとこちらもソレを知っている様だった。
「...天子、そこで一体何してるの。」
すると瓦礫の中にいる『天子』と呼ばれた者はここらのものを全て吹き飛ばしたのだ。もちろんその破片は亜衣夢を襲う。亜衣夢はなす術なく破片と共に吹き飛ぶが咲夜はナイフで全て受け流す。
衝撃が収まると部屋から誰かが出てきた。
「いやぁーごめんごめん。外の人間がいるって言うのを聞いたからどんなのか気になって来たのよ。...で?その人間は?」
「それならあなたが今踏んでいるわよ。」
「えっ、」
「...早く...除けて...くだしゃあ...」
「わっ!?大丈夫?」
「...死にそうです。」
〜亜衣夢救出中〜
「では改めて!私の名前は『比那名居 天子(ひなない てんし)』よ!天人でもあるあなた達とは格が一つも二つも上の存在!そこの人間、天子様と崇めなさい!」
「馬鹿やってんじゃないわよ..」
「えーと...天子、様?」
「何あんたも乗ってるのよ。」
「何かしら!」
「その...『天人』とは?」
「...はぁ?そんなのも知らないの?無知ねぇー。」
「ゴフッ(^q^)」
「いい?天人と言うのはその名の通り天上に住む言わば貴族のような存在。それで...えーと...」
「...天子、どうせ分からないんでしょ?勉強とかサボってん来たのもソレが目的...あってるわね?」
「うぅ、うるさい!とにかく偉いの!強いのよ!」
図星のようだ。咲夜に指摘されると慌てて簡素な単語を使いはぐらかしたのだから。亜衣夢が微妙な顔をしているとそれを見られたのか天子は睨んできた。
「...まぁとりあえず、お茶にでもしましょ。これの修理は私と妖精メイドがしておくから、亜衣夢そのポンコツ天人を連れていってあげて。」
「誰が『ポンコツ天人』よ!!」
◇移動中ナリ〜
「コロ〇か!」
「どしたの急に。『コ〇助か!』って。」
「いや、突っ込まなければならないと思いまして。」
「そうなの?『〇ロ助か!』って?」
□...おい伏字。
△はい何でございましょうか。
□次仕事しなかったらクビな。2度とこの業界に来るなよ。
△ヒィィィ!!
(ん?どうした魔本。ブツブツ言って。)
□ん!?いや、なんでもないさ。
「??まぁいいか。」
「...ちょっといい?今更だけど、あなたが例の外から来た人間なんでしょ?」
「え?はい、そうですけど...」
「ふーん...」
天子は亜衣夢をぐるぐると周りながら見つめ吟味しているようだった。亜衣夢はそれの意味がわからず硬直していると、いきなり両肩を叩かれたり顔を見つめてきたりと身体中を調べ尽くされるようにされた。
「な、何ですか...?」
「...いや、別に。」
―なんですのー?いや、そんなジロジロ見といてそれっすか?( ´△`)アァ-ーー
全く...本当にこの人もお嬢様なんだ...か、ら...
亜衣夢はある事に気がついた。そう、今までの経験から見出せる未来を。亜衣夢は血相を変えてその真相を確かめずにはいられなかった。
「そういえば、比那名居さ―」
「天子様!...よ。」
天子は亜衣夢が全てを言い切らないうちに言葉を遮ってきた。亜衣夢は納得しなかったが仕方なく言葉を言い換える事にした。
「...あの、天子..様?」
「何かしら?」
天子は快く返事を返した。しかしその中には傲慢というかレミリアに近い態度が潜んでいた。
「天子様は偉いのですよね?それならお付の人みたいなのが来るのではと...。」
「...あ。」
(はいやっぱり!ワンパターン一つ入りましたー!これは...来―)
亜衣夢の予感は完璧に当たった。本日2度目となる轟音と共に激しい閃光が撒き散らさせる。バチバチとスパークを起こしつつ何かが姿を現した。
「...総領娘様...ここにいたのですね!!!」
荒声と共に稲妻が落とされる。その姿はさながらスー〇ーサイヤ〇のようだった。すぐ横を見れば天子が怯えた表情をしていた。
「...亜衣夢、私は逃げる!!」
「えっ?えぇぇえ!?」
天子は一目散に彼女を『総領娘様』と呼ぶものから逃げだした。しかしその刹那、落雷地点から更に電撃が飛ぶ。ソレは確実に天子を捉え、感電させた。
「きゅう〜...」
「全く.........あ、」
今ここでやっと亜衣夢を認識したのか、惚けた声が口から出た。
「...」
「...」
◇〜場所は変わり、中庭にて〜
「...さて、亜衣夢の部屋ならず私の館を破壊した理由、きっっちりと教えてもらいましょうか...ね?」
レミリアは完全に切れていた。邪悪なオーラが身体から滲み出て手に持っているティーカップは既に取手の部分が砕かれていた。
『はい、すいませんでした。』
「ほんとに何しに来たのよ...天子、衣玖。」
「私は...普通にその、外からの人間がどんなのかを見たくて...」
「はい、私はそれを理由に勉強から逃げた総領娘様を追いかけて...」
「...はぁ、まぁいいわ。修理は妖精共にやらせるとして、あなた達に何か詫びでもはせないと気が済まないわ。」
「わ、詫び...?」
「そうよ。何かぐらいしなさいよ。謝るだけじゃ...ねぇ。」
―お嬢様キレてる!?ちょいちょい!しまって!その後ろから這い出てくるおぞましい怪物をしまって!悪魔を召喚しないで!
「...そうだわ、そこの阿呆天人と亜衣夢、戦いなさいよ。それでせめて楽しませなさい。」
「...」
「...」
『ええぇぇぇ!?』
「なんで私がこんな以下にも雑魚そうで(グサッ)弱そうで(グサッ)脆そうな(グサッ)奴と戦わ無ければならないのよ!?」
「そ...そうですよ...カフッ」
「なんでって、ソノ通りよ。」
「...は?」
天子はレミリアの言葉の意味を理解できなかった。いや、それは当然であろう。永く付き添っているはずの咲夜も同じく、理解できていないのだから。
「私は、貴方達に腹を立てているわ。ここまでボロボロにされてしまえば紅魔館の主としても黙っていられない。だから、貴方に屈辱を味わせるために、亜衣夢と戦わせるの。」
「何ですって...」
「いやいやいやいや!待ってくださ」
「あ?」
シューン(′・ω・`)
「...いいわ、それなら私がとっても強いってとこ見せてあげる!えと...おうむ!」
「亜衣夢です!!!」
「そう、亜衣夢!まぁ、安心しなさい。あなたみたいな塵畜生には本気は出さないわ。せいぜい...2割ってとこね。」
流石の亜衣夢もその発言にはカチンときた。レミリアに言われるのは慣れているが、初対面の人にそんなことを言われるとなると亜衣夢も黙っていられなかった。
「良いですよ...やってやりますよ!!」
「良い眼をしているわ...これは少し楽しめそうね!」
「行くぞ!スペルブック!」
□あいよ!久々の出番!
―パチュリー様直伝『アグニシャイン(簡易版)!!』
亜衣夢がそれを唱えるとスペルブックから直径30センチ近くの火球が数発放たれた。それらは天子の方へ飛んでいきホーミングしていた。しかし...
「あら?スペルカードは使わないのね。凄いじゃない。」
天子は一切動揺を見せなかった。それどころか亜衣夢の技をよく観察し吟味していたのだ。
「だけどね、そんなやわな攻撃効かないわよ。」
天子は刀身の燃えた剣を取り出した。その剣は亜衣夢の放った火球をいともたやすく切り裂き、破壊した。
「な...!」
「あら?もう終わりかしら?だとしたら期待外れね。」
確かに今の技は開発途中であり威力も強くない。が、あれほどまでに簡単にやられているのを見てしまいメンタルが砕かれかけた。
□...おい主人、アレ使うぞ。
「...あれ?」
□そうだ。それでもしなければ勝てない。
「...あれ、しんどいんだけど。」
□言ってる場合か!さぁやるぞ!
「...話は終わった?1人でボソボソと言ってたけど?」
「天子さ...さん!俺はこの一撃で事を終わらせます。覚悟してくださいね!」
「...ふん、望むところよ。」
「行くぞ!」
□おうよ!
―パチュリー様直伝『プリンセスウンディーネ!!』
更に...
―亜衣夢自作『ヴォルトサンダー!!』
これらを掛け合わせ...
『エレクトロニックウンディネ!!!』
その名と共に辺りを激しく閃光が包む。誰もがあまりの眩しさに目を開けられないほどの閃光が真っ直ぐ天子に向かって放たれる。魔本の使った魔法とは格段に威力に差がありその衝撃は地面の芝を焼き尽くしていた。
しかし...
「あら、まともなの撃てるじゃない。」
天子はやはり動くことなかった。その表情は余裕そのもの、亜衣夢の攻撃など効く由もないと語っていた。
「まぁ、なかなかだったわよ。それじゃ、終わりよ。」
天子は大地に剣を突き刺した。すると、そこの地面から大岩がいきなり突き出てきて亜衣夢の魔法をいともたやすく防いだ。
「なん・・・だと?」
「この勝負、私の勝ちよ。」
―非想の剣!
また剣を刺すとその突き出ていた岩が砕け散り亜衣夢目掛けて飛んでいった。亜衣夢はそれを防ぐ魔法を唱える暇もなく、あえなく衝突してしまった。
「グッハァ...」
「...勝負、ありね?」
「...そうね。もう亜衣夢は戦えない。まぁ、なかなか面白かったわ。これで許してあげる。」
「そ、総領娘様!やりすぎでは!?」
「なーに言ってんの?殺してもいないし致命傷でもない。ただ気絶させただけよ。...でもまぁ、確かに面白かったわ。人間が魔法使っているのだもの。」
「それでは、さっさと帰りますよ。怒られるのは私なのですから。」
「はーい。じゃ、そこの人間によろしくね。」
そう言うと天子と衣玖は飛び立ち、天上へと帰っていった。その後に、亜衣夢が苦しげに起き上がってきた。
「痛...」
「亜衣夢?大丈夫なの?」
「はい、何とか。最初はまじでやばかったけど、なんとか回復しました...」
「そう...それならいいわ。今日はもう休みなさい。部屋は既に直っているはずよ。」
「はい、そうさせてもらいます。」
そう言うと亜衣夢はおぼつかない足取りで中へ戻ったいった。咲夜とレミリアはその時謎の違和感を覚えていた。
「...おかしいわ。何故、あそこまで動けるの...?」
「お嬢様...」
「...何か、ありそうね。」
◇
「...」
「俺の...プリン...」
次回『烏天狗』
次があったら会いましょう。
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