コインの表と裏 (ラーカー)
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独奏曲は騒がしい
ファーストコンタクト~たぶん数年後には合法ロリと呼ばれる少女~


友人に強いられて投稿


 遠山キンジは通学路で自転車を走らせながら思い返す。

 俺が何をした、と。

 頭のデキはいい方でなく成績は良くて中の下、運動能力は人よりも一応上だが(とあることがなければ)鍛えた人間程度の実力でしかない。

 武装探偵、略して武偵なんていうものの学校に通う。いわゆる武偵の卵をしているが転科後のテストじゃDランクといたって普通な成績であり、目立つようなことはしていない。よって恨みとかではないはずだ。

 

『逆恨みは買ってるかもしれないけどな』

 

 いや確かに武偵なんてものをしているから知らない所で『特に女関係』うるさい。ともかく逆恨みを買うような仕事をしているがこれはないだろう。

 

「ソノ チャリ ニハ バクダンガ シカケテ ヤガリマス」

 

 セグウェイにスピーカーと一基の自動銃座が載った人を追い回すことに特化したラジコン。それが二機、俺をたまに威嚇射撃をしながら追い回している。そしてサドルの裏には爆弾っぽい箱。プラスチック爆弾だと仮定すると自動車くらいなら粉々になるレベルのサイズ。マジで俺が何をした。

 

『ボーカロイドのレンの声とは玄人だな』

「いまそれ気にすることか!?」

 

 今絶体絶命の危機だって事理解しているのだろうか?いやこいつは理解したうえで楽しんでいるんだろうが。

 

「スピード ヲ オトスト バクハツ シ ヤガリマス」

 

『セグウェイにUZIつけて追い回すとは愉快犯っぽいな。手口も似てるし武偵殺しかね?』

「そうかもしれんがどうやって脱出するのか考えろよ!?」

 

「ナニ ヒトリデ グダグダ シャベッテ ヤガルンデスカ?」

 

『やーいw怒られたw』

「うるせえ! 後で覚えてろよこの野郎!」

 

「スピード ヲ アゲナイト バクハツ サセヤガリマス」

 

 どうやら俺のセリフを聞いてキレたらしい。誰もいない第二グラウンドを金網越しに確認し、そこに突っ込み、言われた通りにスピードを上げる。少なくとも無人のここでなら被害拡大はしないはず。

 

『でもここ午後まで基本使わねえから二重の意味で墓穴掘ったなw』

「ちっくしょう!何とかしろよギン!」

 

 こうなれば責任の一端であるこいつに何とかしてもらうしかない。ギンならUZIくらいならなんとか出来るはずだ。というか今の俺じゃ無理だし。

 だが、言われたギンはあまり乗り気ではないようで。

 

『ん~?その必要はないみたいだけど?』

 

 それはどういうことか問い詰めようとするがその前にありえないものが視界に入った。今走っている第二グラウンドのの近くの寮ー確か女子寮ーの屋上から飛び降りた女の子の姿が。

 

「んな!?」

『おい、スピード落とすとドカンだぞ?』

 

 ーッ!驚いて止まった足が俺の意識とは関係なく再稼働する。

 

「すまん!」

『いいってことよ。それよりなんだあれ?パラグライダー?』

 

 先程、飛び降りた女の子は準備していたのかパラグライダーで滑空し、こっち目掛けて降下してくる!

 

「バッ、バカ!来るな!この自転車に爆弾がーー」

 

 俺の叫びは間に合わない。少女の速度は思ったよりも速い。

 ブランコみたいに体を揺らしてL字に方向転換し、2丁の大型拳銃を抜き放つ。

 

「そこのバカ!さっさと頭を下げなさいよ!」

 

 頭を下げるより早く問答無用でセグウェイを銃撃した!

 

『なにこいつ。ムカつくなおいブチ殺そうぜ』

 

 ちょっと黙ってろ。

 拳銃の平均交戦距離7mとされてる。しかし、その倍ほどの距離から不安定なパラグライダーからの2丁拳銃の水平射撃でセグウェイをぶっ壊す。

 まるで魔法のように吸い込まれていった銃弾を見てただ単に上手いという感想しか出てこなかった。

 

『あとはもったいないがチャリを乗り捨てすれば完了だな。どこに捨てる?』

 

 そうだな。あんまり被害が出ないようグラウンドの真ん中――に?

 

「く、来るなって言ってんだろ!この自転車には爆弾が仕掛けられてる!巻き込まれるぞ!」

『近づいてくるから乗り捨てできねえな』

 パラグライダーで真上に陣取った少女は脳天を力いっぱい踏みつけてきた。

 

「武偵憲章第1条にもあるでしょ!『仲間を信じ仲間を助けよ』——いくわよ!」

『いや信じてないのお前だろ。というか邪魔してるだろ』

 

 確かにそうだがそれどころじゃない。パラグライダーに逆さまにぶら下がった少女が真っ正面からまっすぐに突っ込んでくる。

 

『良かったなキンジ!女の子の胸に顔をうずめても不可抗力で言い訳出来るぞ!』

「いや、そんなのいらなブフッ!」

 

 ギンに文句を言っている最中に俺と少女は上下互い違いに抱き合う体制になった。意識とは別に思いっ切り蹴り飛ばした自転車を気にする間もなく、少女に空へ攫われる。

 息苦しいくらいに顔が押し付けられた少女のお腹はクチナシのような甘酸っぱい香りが――

 

  ドガアアアアアアアァァァァァッッッ!!!

 

 閃光と轟音に爆風。

 ここからは俺の推測も入るが、木っ端みじんに吹っ飛ばされた俺のチャリを中心にぶっ飛ばされた俺達は咄嗟に女の子が怪我しないように抱きしめグラウンドの片隅にあった体育倉庫の扉に突っ込んでいった。

 

 

    ☆   ★   ☆

 

 

 ・・・・・・

 

「う・・・・・・っ。痛ってえ・・・・・・」

『・・・・・・おう。僕生きてる』

 

 どこだここは?

 狭い箱のような空間に尻もち着いた姿勢で収まっているようだ。額あたるプニプニしたものを爆発の影響からか緩慢に押しのけながら周囲を観察する。

 身じろぎするとガタガタ揺れる、よく見ると一定の高さごとに台形の穴が開いている。

 

『ここは跳び箱の中みてえだな。そして女の子に跨がれて狭い所とか言い訳できねえなw』

「はあ!?」

 

 驚きのあまり、大きく身じろぎするとそれに合わせて――かくん、と動いて、その時になって初めてその顔をしっかり見ることになった。

 

 ・・・・・・

 

『可愛いと見惚れてるとこ悪いが』

「バッ!?」

 

 見惚れてねえよ!?

 

『この子が起きる前に体勢変えることをお勧めする』

 

 よく現状を認識してみると俺の脇腹を挟んでいるのは太もも、両肩には腕が一本ずつ。女の子を抱っこしている体勢になっている!

 これはマズイ。俺の体質的にこの状態はマズイ。早くどかさねえと!?いや起こしてから退いてもらう方がいいか!?

 

『落ち着け流石の俺でもそれでなったらドン引きだぞ?まだ子供を抱っこしてるだけだぞ?』

 

 そうだこれは子供を抱っこしてるだけだ決してやましいことをして居るわけじゃない!

 そう考えると落ち着いてきたな。

 

『(今の焦りが怪しいんだが追求しない方がいいか)』

 

 なんだギン?

 

『なんでもねえよ?こいつ起こしたら?』

 

 そうだな。

 しかし、揺すっても声をかけても起きることはない。

 

『体格的に多めに見積もって中等部か?それにしちゃさっきの動きとしては玄人だったな』

 

 こんな小さな子がさっきの救出劇をやってのけたのか?いやそれはともかく体勢が変わったせいかなんか腹部が圧迫されて苦しい。

 

『息苦しいな。こっちもわりとやばいからどうにかしろ』

 

 そんなこと言われてもな。なんとか姿勢を変えようともがいていると――

 

『神崎・H・アリア? 変な名前だな』

 

 ふと見上げた場所には四月の間は着用が義務化されてる名札にはそういう名前が書かれていた。

 あれ?なんでこんな高い位置に名札が?

 

『目線下げればわかるぞ?』

 

 嫌だ。下げたくない。お前がそんなに楽しそうなときは大体碌なことじゃないからな。

 

『人はそれを現実逃避という』

 

 五月蠅い。しかしここからどうしようもないのも事実で嫌々視線を下げていくと。

 

「————ッ!」

『アリアちゃんブラとかつける年頃なんだなー』

 

 アリアとか言う少女のブラウスがめくれ上がって下着が丸見えになっている!

 お、落ち着け。子供が背伸びしてるだけだほほえましい光景だ!?

 プッシュアップ・プランジ・ブラなんて「寄せてあげるブラ」でA→Bに偽装しようとするなんて子供らしいじゃないか!

 

『おいロリコン』

 

 それ真面目にシャレにならないから止めてくれませんかねえ!?

 

『呼吸が変わったからもうすぐ起きるぞこの子。その言い訳がこの子に通じるといいな』

「え・・・・・・?」

 

 恐る恐るこの子の顔の方を見ると、この子はぼんやりと目を開けてから俺を見て疑問符を出し、ゆっくり自分を見下ろして――――ボッ!

 一瞬で顔を真っ赤に染めてキンキンのアニメ声で叫ぶ。

 

「サ、サイテーーーーーー!!」

『髪はピンクで眼は紅いな。顔も赤いと赤尽くしだなこの子』

 

 ぎぎん!と俺を睨んで、ばっ!とブラウスを下げてからぽかぽこぽかぽこと腕が曲がったままで大して力のこもって無いハンマーパンチを振り下ろしてくる。

 

「おい!や、やめろ!」

『なんか肩叩き思いだすな。この動き』

「このチカン!恩知らず!」

 

 ぽかぽこぽかぽこぽかぽこぽかぽこぽかぽこぽかぽこ!

 

 命の危機がないからかギンは呑気だがアリアはブラウスをめくり上げたのが俺だと思ってるらしい!

 

『さっきは捲り上がってなかったのにお前の動きで捲り上がったんだろ?とぼけるの下手か』

「俺はやってねえよ!?」

「犯罪者はいつもそういう!」

 

 駄目だこれもう犯人扱いじゃねえか!?

 どうにかして誤魔化すか逃げるかしないと!?

 

  ズガガガガガガンッ!

 

 突然の轟音が、体育倉庫を襲った。

 跳び箱の外から何か当たってるのか振動が背中に来る。

 

『銃撃だな。音からしてさっきのラジコンの銃か?』

「う!まだいたのね!」

 

 アリアは跳び箱の外を睨むと、スカートの中から拳銃をだした。

 

「いたってさっきのラジコンか!?」

「あの変な二輪『武偵殺し』の玩具よ!あんたも手伝いなさい!」

『何様だこいつ?』

「(ちょっと黙れ)状況は!?」

「UZIが7台!火力負けしてる!手伝いなさい!」

「無茶言うな!?この体勢で手伝えるか!?」

「役立たず!」

 

 そう言って敵に集中したのか睨むように外への銃撃をし始めた。

 

『まだ馬乗りだもんなこいつ。それよりも代わった方がいいか?』

「ああ、そうd―――!!」

 

 無意識なのか前のめりになりなったアリアがその胸を、俺の顔に押し付けてきた

 

 ババッ!バババッ!

 

 あ、これはダメだ。

 小さくてもそこにあった。

 小さなふくらみは柔らかくその体温と鼓動を俺に伝えてる。

 知らなかったが小さくても柔らかいんだな新しい発見だ。

 身体の芯に血流が集まっていく、むくむくと大きくなっていくような感覚が身体の中央からせり上がって!

 

 なってしまった!

 ヒステリアモードに

 

『マジでなったよこいつ。ドン引きだわ』

「(五月蠅いよギン。素敵な女性なんだならない方が失礼だろ?)」

『いろんな意味で手遅れだな』

 

 ズガガガ!ガキン!

 

 弾切れの音を盛大に鳴らした銃のリロードの為に身を屈める。

 

「―――やったか?」

「少しの間追い払っただけよ!すぐに来るわ!」

「上出来だよ」

「きゃ!?」

「ご褒美に少しの間―――お姫様にしてあげよう」

 

 いきなりお姫様抱っこされたアリアがぼんっと、ネコっぽい犬歯の口を驚いたのかわなわなさせつつ、顔を真っ赤に染めた。

 そのまま跳び箱の淵に足をかけてから一足で跳び入り口からは死角になる場所のマットにちょこんと人形のように座らせる。

 

『あーあ、またフラグが立ったな。で?どうする気?』

「なにすんのよ!?おかしくなったの!?」

 

 その質問に笑って答える。

 

「簡単さ―――アリアを守る」

 

 これが後に世界中の犯罪者を震え上がらせる鬼武偵、神崎・H・アリアを初めて口説いた遠山キンジのファーストコンタクトである。



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高2の始まりの日~情報収集はするべきだ~

ウサギ書いてたはずなのになんで先にこっちができんだろうか?


 ・・・・・・最悪だ。

 結局出れなかった始業式の後、教務科に事件の報告を済ませてから配属された二年A組の教室で自己嫌悪で死にたくなっていた。

 ヒステリア・サヴァン・シンドローム。

 俺とギンは『変態モード』と、って違う!?ヒステリアモード!茶々入れるなギン!?

 ともかくこの特性を持つ人間は、一定量以上の恋愛時脳内物質βエンドルフェンが分泌されると、常人の約30倍の神経伝達物質を媒介し、大脳・小脳・脊髄といった中枢神経系の活動を劇的に亢進させる。思考力・視力・反射神経ect...が人間が発揮できる最高レベルの動きを可能にするのである。

 

『簡単に言えばエロいこと興奮して一時的に脳のリミッターが外れたスーパーマンになるって事だろ』

 

 確かにそれで合ってるが言い方考えろよ・・・・・・。

 で、さっきの俺は・・・・・・アリア、すなわち女子の前でヒステリアモードになってしまった事に激しく落ち込んでいた。

 

『女の子を口説きながら7発の弾丸でUZIを7台ぶっ壊したアホに言われたくねえ』

 

 言うな。

 

『そしてあの子のスカートが壊れたからって自分のベルトをプレゼントしておいてよく言うよ』

 

 それはヒステリアモードのせいでキザになってたんだよ!

 

『それで小学生扱いしてキレさせて逃げたんだよなあ』

 

 あんな140cmくらいの小さな女の子が高校生だって思わねえだろ・・・・・・。

 

『しかも俺らとタメだと思わんかったなあ。で、100人のFBI捜査官からも逃げれるとか偉そうな事言ってたくせになに落ち込んでるんだか』

 

 マジで言うな!?ていうか俺の事誰よりも知ってるくせに弄るなよ・・・・・・。

 

『俺らは文字通り一心同体というか表裏一体?』

 

 別人格だからなお前。

 解離性同一性障害。多重人格と呼ばれる人間は世の中に何人いるのだろうか?少なくともいないわけでもないが多くはいないだろう。いても数十万人に一人レベルとか思われがちだが程度にもよるが数百人に一人はいるらしい。有名どころだとイマジナリーフレンドとか幻聴のたぐいもそれらしい。

 

 ギンはいつの間にかいた別人格だ。記憶を頼りにすると小学生ぐらいの時にはすでにいた。

 発生した理由も行程もなくいつの間にかいたため、最初は憑りつかれたのかと思って焦ったくらいだ。

 

『今も昔も俺はお前だしお前は俺だろうに』

 

 そうだな。で、当然のようにいる存在だと認識してからは過剰に気にすることもしなくなった。ニュアンス的には一人二役を演じているように、根っこは同じだからだ。

 

『どうでもいいけどな』

 

 本当にな・・・・・・。

 下手すればキチガイとか言われるからな。

 

『常人から見たら間違ってない気がするけどな。あ、HR始まるぞ』

 

 ああ。流石に今日はもう問題は起きないだろうし。

 

『それ何てフラグ?』

 

 五月蠅い。

 

     ☆    ★    ☆

 

「先生。あいつの隣に座りたい」

 

 同じ2年A組だったあのピンクツインテール・アリアがいきなり俺を指してそんなことを言いやがった。

 

『10分も経たないうちに高速のフラグ回収流石だな。神にでも呪われてるんじゃない?』

 

 それを仕組んだ神がいるんだったら次あった時にでも殴ってやるよ。

 いやそれよりも嫌な予感はしてたんだよ。担任の「3月から転入してきた可愛い子から自己紹介してもらいますよー」とか言いだした時に。

 

『これがあれか、運命の出会いか?でもヒロインはあんなチビは嫌だな』

 

 ヒロイン言うな。

 多かれ少なかれバカ騒ぎが好きな武偵高校の連中はその一言でお祭り状態で、俺は頭を抱えながらギンとの会話に現実逃避しているといつの間にか友人の武藤が無駄に気を利かしてアリアと籍を交換するとか言いだし、なぜか交換することになったらしい。こいつ後で〆る。

 

『アホ言ってないで頭上げろ。すぐ傍まで来てんぞ』

 

 え?

 

「なに頭抱えてるのよ?」

「・・・・・・世界の理不尽さを身にしみて感じてたんだ」

「ふ~ん?」

 

 どうも俺の言いたいことは理解できなかったらしい。

 

『女は自己中だからな。理解できるはずがない』

 

 お前は当然のように世間を敵に回すこと言うなよ・・・・・・。

 

『渡る世間は敵ばかりっていうじゃん』

 

 それを言うなら鬼ばかりな。というか何する気だ。

 

『向こうがなにもしなければなにもしねえよ?』

 

 お前は敵対者には容赦ねえからな。それ聞いて少し安心したわ。

 

「キンジこれさっきのベルト」

「? ・・・・・・ああ」

 

 そういえばさっき体育倉庫でスカートのホックが壊れたのを察して渡したんだっけ。大したことじゃなかったから頭から抜けてたな。スカートは直したか新しいのだろう。

 

『こいつ空気読めない類だなあ』

 

 ? どういうことだ?

 

『周り見ろよ?』

 

 ・・・・・・恐る恐る周りを見回すと。

 

「わかっちゃったリコリンわかっちゃったよ!キーくんベルトしてない!そのベルトは転校生ちゃんがしていた不思議だね?でもリコリンはわかっちゃったよ!」「その心は?」「二人は熱い恋愛の真っ最中なんだよ!」

 

 こういう事に燃料を投下する探偵科のおバカキャラ理子が火にガソリンを振り撒いていた。

 

「キンジが?「嘘だろ!?「キンジって白雪さんみたいなのがタイプなんじゃ!?「可愛い子だからな仕方ない「不知火×キンジじゃないの!?フケツ!「お前の頭の中がフケツだわ

 

 武偵校ではクラス別けにそれぞれの専門科目で部活のように学年や組超えて学び、実戦では他の専攻者と組んで依頼に臨むことも多く顔見知り率は異様に高いのだ。ちなみに人づきあいが苦手な俺でさえこのクラスの4割が何らかの形で絡んだことのある人物であるといえばわかりやすいだろうか?

 というわけで即座にお祭り騒ぎになるこの現状もあまりおかしくはない。

 

「お前らなあ・・・・・・」

『もう諦めて全員ぶっ殺そうぜ?』

 

 頭を抱える俺に対し、ケラケラと物騒な事を言うギン。そもそも面倒くさいことになったからって殺すことを選択肢に入れるな!武偵3倍刑で死刑は免れないだろ!

 

『そん時は世界を股にかけるダークヒーローの誕生だな。名前はジキルなんてどうだ?』

 

 いや、やらねえよ?それ国際指名手配待ったなしの予感がするんだけど?

 

『残念w』

 

 絶対面白がってやがる。

 

―――ダンダダン!

 

 突然の銃撃に驚いて顔を上げると

 

「れ、恋愛なんてく、くっだらない!」

 

 顔を真っ赤にしたピンクツインテールが抜いたガバメントで周りに威嚇射撃したようだ。

 

「全員覚えておきなさい!そういうバカなこと言う奴は――――――風穴開けるわよ!」

 

 クラスメイトへと犬歯を剥いて威嚇するのだった。

 

『つーか、恥ずかしいから追求すんなって言ってるように聞こえるな。子供の癇癪かよ』

 

 お前はマイペースすぎるんだよギン。

 

 

       ☆     ★     ☆

 

休み時間になる度に質問責めしてくるバカ共を適当にあしらっていたが流石に昼休みまで潰されては敵わないので、理科棟の屋上まで逃げた昼休み。

 

『腹減ったんだけど?』

 

 購買による暇もなかったんだから我慢しろよ。

 

『後で何か食わせろ。甘いものがいい』

 

 お前の要求大概甘いものだな。ん?誰か来たか?

 

『あれは強襲科の女どもだな』

 

 見つからないようにコソコソと犯罪者のように物陰に隠れる。

 

『ゴ〇ブリみたいだな』

 

 ゴ〇言うな。いやなんか否定しにくい隠れかたしたけどよ。

 

「————そういえばさー。教務科からの周知メールのボムケースってキンジじゃない?」

「あ。やっぱり?始業式出てなかったもんね」

「うわー。キンジってば不幸。チャリ爆破されて、しかもアリア?」

 

『噂されてるぞ?出て行かないのか?』

 

 こういう時に女子にからむと碌なことはない。盗み聞きされたと思われたら最悪だしな。

 

『情報収集は基本だしな。盗み聞きしますか』

 

 だから盗み聞き言うな。

 

「さっきのキンジ不幸だったねー」

「ねー。しかもアリアが朝から探り回ってたし」

「教務科にも行ってたらしいよ?」

「キンジの事探ってるのかな?」

「うわー、キンジにラブなんだー」

 

『よかったな。モテモテだぞ(笑)』

 

 その煽り方うっぜえ。

 

「でもさー、アリアって外国育ちだからか空気読めてないよねー」

「でも男どもには人気あるみたいだよ?」

「チアとかスケートの写真は万単位だって」

 

『武偵校バカしかいないのか?あんなガキの写真に万単位出すとか』

 

 というかなんだチアとかスケートとかなんでそんな授業あるんだよ?要らんだろうに。

 

『ここが頭おかしいのは昔からだろ』

 

 それもそうだな。しかし、どうもアリアは変人奇人ぞろいの武偵校でも目立つくらい浮いてるらしい。

 

『もう少し情報収集しとくか?狙われてるみたいだし』

 

 ・・・・・・何する気だ?

 

『あいつらに聞き込み。お前がする?』

 

 ・・・・・・・・・・・・ギンに任せる

 

『んじゃ、出るぜ」

 

 軽く伸びをしてから

 

「オレを呼んだか?」

 

 表に出てきたオレはさも今起きたかのような顔をしながら給水塔から飛び降りる。

 

「うわ!「キンジ!?「聞いてたの!?

 

「いーや?腹減ってるところにいい匂いがしたから起きたんだよ――っと」

 

 適当なことを言いながら勝手に女子の弁当からおかずを失敬する

 

『・・・・・・お前そういう事やめろよ』

 

「ゴメンな。旨いなこれ。腹減ってたからかな?」

「勝手に食べないでよ~」

「じゃあくれ。これならいいか?」

「あはは!少しだけ分けたげる」

「私もあげるね~」

 

『お前の謎のコミュ力の高さ何なの?』

 

 好き勝手してるだけだが?

 

『・・・・・・そうか。俺には無理だな』

 

 おすそ分けされたおかずをパクつきながらさっきの事を聞く。

 

「そういやなんかピンクチビがオレを嗅ぎまわってるらしいけどマジ?」

「マジマジ!」

「さっき、キンジの事聞かれたから『昔は強襲科ですごかったんだけどねー』って答えちゃった。ごめんね?」

 

 あらかた喰い尽くしてから適当な場所に座りつつ答える。

 

「別にかまわねえよ。事実だし。しかし、なんでオレのことなんか調べてんのかねえ?」

「なんかしたんじゃないの~?」

「ちょっと助けつつ、軽口叩いたくらいしか心当たりねえな」

「それじゃないの~?「むしろそれしかないよ「キンジって口説くのうまいからねえ

「口説いたっけ?記憶にないな」

「それだからタラシとか言われるんだよ~」

 

『・・・・・・タラシって』

 

 自業自得だろ。女と見りゃすぐ口説くし。

 

「それはどうでもいいとして、あのピンクの事なんか知ってる?襲われるにしても少しくらいは知っときたい」

「どうでもよくないと思うけどな~。えっと、確か強襲科のSランクで二つ名は『双剣双銃』。両利きで二丁拳銃と二刀で戦うんだって」

「あのチビがS?」

「そうだよ!それで~

 

 その後も毒にも薬にもならないうわさ話をある程度聞いてから時間が来たのでお開きとなった。

 

『あ~、やっぱ久々に表出た気がする』

 

 お前、やっぱすげえよ。役に立たない情報が圧倒的だったけど女子から情報を得るとか俺には無理だし。

 

『それお前の努力不足だろ。聞き込みは探偵の基本だろ』

 

 ・・・・・・うるさい。



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唯我独尊な命令~聞く気はない~

 武偵及び武装職と呼ばれる職業の者は、警察や自衛隊などと言う国から武器や弾薬を全支給される国家公務員を除き、銃器・刀剣と言った銃刀法に触れるような代物を公安委員会に登録することが義務付けられている。仕事として武器を使う武装職は登録はいつでも申請できる。が、これは武偵の卵である学生となると少し話は変わる。

 武偵を目指す学生は当然、登録後に自分の武器を持つことが許される。しかし、その登録は4月に一括して登録し大体1年程の期間、つまり3月の末くらいに登録をし直すまでは取り消すことが出来ない。事前に登録解除を要請しないといけない規則になっているため大体半年前に申請し年度末にいなくなる。つまり武偵をやめることが出来ないのだ。3月になるまでは。

 これは理由としては単純でそうホイホイと取り消しや登録を認めたら混乱が起きるという事に加え、武装職を辞める際に報復などの理由から武器の使用許可を維持したままにするわけにはいかないという真っ当な事情もある。武装免許と武装職業はワンセットで扱われるため、4月は殉職を除いて足を洗うか踏み入れる武装職の交代劇が起こる月なのである。

 

 そういう季節だが、そうとは思えない具合に目の前の買いあさったスイーツをかき込む様に食っていた。

 

「やっぱ、甘いものは格別だな!」

 

『・・・・・・ギン。食うのを辞めろとは言わないが転出するための書類を片付けてからにしてくれ』

 

「チィッ!」

 

 今日は散々ストレスが溜まるようなことがあったせいか態度の悪いギンだが、一応いう事は聞くつもりのようで書き込み終えた書類を適当な引き出しの中に入れてから、またスイーツのやけ食いを再開する。

 

「で、本当に辞めんの?武偵」

 

『ああ、俺はもう辞める。守るために命をかけて戦った兄さんが死んで、世間がそのすべてを兄さんにすべてに押し付けたあの時からさんざん悩んで決意したことだ。もう俺は兄さんのように”誰かを救うために”善意で戦えない』

 

「お前がそれで良いならそれでいいけどよ~。オレは暴れる場所がなくなるのは困るんだけど?」

 

『・・・・・・すまん』

 

「別にいいけど。太るかもな」

 

『やけ食いか。でも武偵校にいることでのストレスはなくなるからそういうのは無くなるんじゃないか?』

 

「だといいがね。そう適応できればいいが」

 

『不安になるようなこと言うんじゃないよ』

 

「ん~?いや単純に”ピンポーン”んあ?チャイムがなったな。おい、変わるぞ」

 

 ああ。

 

「ん。ったく、誰だよこんな時に」

 

 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン

 

「うるせぇ!?誰だ連打してんの!?」

「遅い!あたしが鳴らしたら5秒以内に出なさい!」

「神崎!?」

 

『なにこの偉そうなクソガキ?〇す?〇す?〇そうぜ?』

 

 落ち着け。というかヤバい事を口走るんじゃねーよ。ただでさえ危険思想なんだからお前。

 

「アリアでいいわ」

 

 とか言いつつ勝手に部屋の中に自宅のように侵入する神崎・・・・・・アリアを見過ごしてしまった。

 

『なに侵入許してんだよ』

 

 いや、あっけに取られて。それよりこれどうしよう?

 

『トランプ柄のトランクねえ。粗大ゴミかな?』

 

 捨てるな。取りあえず邪魔だから玄関に置いとくか。

 

 やけに重いトランクを運んだ後。食い散らかしてあるゴミが積まれた机の前で不機嫌になってるアリアを見て、ため息を吐く。

 

「何の用だ?」

「それよりこれ片付けなさいよ!ゴミが散らばってるじゃない!」

 

『うぜぇぇぇぇ!?なあ、こいつ殺そうぜ?』

 

 気持ちはわからなくもないが落ち着けギン。

 

「こっちは食い終わったところなんだよ」

 

 適当に言いつつ、さっさと片付ける。といってもゴミをゴミ箱に捨てて軽くテーブルを拭いたぐらいだが。

 

「それで何の用だ?」

「ここ一人部屋なの?」

「話聞けよ」『やっぱブチ殺そうぜ』

「あんた一人なら都合がいいわ」

 

 そう言いながらアリアは俺の部屋の一番奥、ベランダに出るための窓の所まで歩いて行き、夕焼けが映える景色を背景に振り向き、長いツインテールが優雅に曲線を描き、

 

「————キンジ。あんた、あたしのドレイになりなさい!」

 

 ・・・・・・あり得んだろこいつ。

 

『こいつ死ねばいいのにな。むしろ殺す』

 

 ギンが半分くらいキレてるな。

 

「ほら!さっさと飲み物くらいだしなさいよ!無礼な奴ね!」

「いきなり人の部屋に来てドレイになれとか言うような奴に無礼とか言われるとは思わなかった」

「あんたはあたしの事なんだと思ってるのよ!?」

 

『占有屋』

 

 ヤクザの手下扱いして上げるな。やってることにてるけどさ。

 

「知らない人かな?」

「あんたあたしの名前読んでたわよね?」

「名前以外は外見ぐらいしか知らないからな。お前とは結局のところ他人だろ?」

 

『多少噂話は知ってるけどな』

 

「確かにそうね。でも主人のことぐらい調べときなさい!」

「いや主従関係が当然の事のように言うなよ」

 

『こいつさっさと追い出そうぜ』

 

 そうした方がこの状況は改善されそうな気はするけど追い出せる気がしない。

 

『腰抜け』

 

 うるさい。

 

「あんたは私のドレイよ!」

 

 ギン。ちょっと頼みがある。

 

『え?やだ』

 

 聞く前に断るな!

 

『どうせこいつを言いくるめろとかそんなとこだろ?自分でやれ』

 

 お前は俺達がこんな奴のドレイになってもいいのか?

 

『どうせ、お前が誑かして最終的に良いように使えるようになると思ってる』

 

 お前と違って俺にはそんなこと出来ねえよ!?

 

「あんたさっきから頭抑えてるけど大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないな・・・・・・」

「ちょっと!?ホントに気分悪そうだけど本当に大丈夫なの!?」

 

『もう攻略し始めてるよこいつ』

 

 気のせいだろ。

 

「あー。大丈夫だから一人にしてくれ。しばらくしたら治るから」

 

『そういやそろそろ手入れの時間だったな。拗ねてんのかあれ』

 

「本当でしょうね?」

「明日にでもその件含めて話すからマジで帰ってくれ。相手する暇ねえし」

「あんた本当に大丈夫なの!?顔色酷いわよ!?」

 

『うん。だからさっさと帰れ』

 

「あー、一族の秘密で他人に見せれねえんだ。だからマジで帰れ」

「う。そう言われると弱いわね」

 

『メアドでも渡して帰らせろ』

 

 そうだな。そろそろヤバいしそれで帰らせるか

 

「これは俺のメアドだ。これで勘弁してくれ」

 

 その後もかなり鬱陶しかったが明日に付き合う約束を押し付けられつつも神崎を追い出すことに成功した。

 

「帰ったか・・・・・・」

 

『一息ついてるとこ悪いけど拗ねてるからさっさと世話してやれ』

 

 懐にしまっていた短刀を取り出し手入れを始める。

 手入れを始めてから嘘のように頭痛が引き、手入れが終わるころには頭痛どころか身体が軽くなってる始末。拗ねた”これ”の機嫌が直ったのを感じて苦笑する。

 

『思ったんだけどこれ女なのか?』

 

「なんでそう思うんだ?」

 

『勘』

 

「・・・・・・こいつ拗ねるからあんまり否定できないなあ」

 

 妖刀”鬼炎”

 鬼の骨で作られたこの刀はたまたま依頼で前の持ち主を逮捕したときに巡り巡って俺の手元にやってきたのだが、持ち主を呪い殺すとか言われて押し付けられたんだが一切そういうこともなく。切れ味が良すぎる上に扱いにくいがギンが気に入ってることもあり、ギン専用の武器みたいになっている。

 

『いいじゃん。お前も使うんだし』

 

 そうだけどさ。そうじゃ無いんだよ。

 

 この後、幼なじみという事になってる星伽白雪が恐山に修行に行くらしいので晩御飯を作ってもらうのではなくお弁当(重箱)を奢って貰ったりしたが関係ない情報なので省略する。




原作とのズレが顕著になってきましたw
どうでもいいけど自覚がないだけで呪われてます
ちなみに次回は息抜き回です


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閉ざされた匣の会話録

前回の言い訳
ちょっと直前まで龍が如くやってたから影響されたというわけではないんだ
ただ呪われた武器とかあったら面白そうじゃねって厨二病が囁いたわけでもないんだ
だれだ今痛い奴って言ったの!?

というわけで息抜きのネタ回です


~見習い忍者さんが入室されました~

 

コイン裏「つーわけで、どうしたらいいと思う?」

 

見習い忍者「ばんわです」

 

コイン裏「ばんわ~」

 

美魔女「ばんわ~」

 

商人「こんばんわ」

 

見習い忍者「何の話してたんですか?」

 

コイン裏「最近、ドレイになれって言い寄ってくるストーカーがしつこいからどうしたらいいって相談してたとこ」

 

美魔女「モテモテよねえ。私もそういう積極性が必要なのかしら?」

 

コイン裏「おばさんの婚活なんぞ知らんわ」

 

美魔女「だれがおばさんですって!?」

 

見習い忍者「落ち着いて下さい!コイン裏さんも煽らないで!」

 

商人「自分で美魔女とか言ってるし」

 

コイン裏「おばさんにおばさんと言って何が悪い?」

 

見習い忍者「商人さんもコイン裏さんも黙って!」

 

美魔女「一生たたない魔法をかけるわよ?」

 

コイン裏「全く困らないな」

 

商人「・・・・・・そんなこというからモテないんだろ」

 

美魔女「なんですってえ!?」

 

見習い忍者「そうそう!コイン裏さんの悩み相談でしたよね!」

 

コイン裏「ああ、そうだった。おばさんのせいで脱線した」

 

商人「まったくおばさんは」

 

美魔女「わたしのせい!?私のせいだっていうの!?」

 

見習い忍者「二人とも煽らないでください!コイン裏さん。どういう悩みなのか説明してください」

 

コイン裏「前も報告したように家に押しかけてきたストーカーが付きまとってくるからどうすればいいかなって話」

 

見習い忍者「警察か武偵に相談したらどうですか?」

 

コイン裏「相談しても民事不介入で追い帰されるわ」

 

美魔女「見習い忍者ちゃん?コイン裏は武偵よ?」

 

商人「付きまとってるのも同じ武偵だと思われる」

 

見習い忍者「そういえばそうでしたね」

 

コイン裏「傍から見るとどうなのか知らんが周りが勝手に好意を寄せられてるとか言って騒がれてウザいんだよなあ」

 

商人「リア充爆発しろ」

 

美魔女「あなたの心を逮捕するとか言って逮捕しちゃいなさい」

 

見習い忍者「あ、それ恋する武偵のセリフですね!美魔女さん読んでるんですか?」

 

美魔女「え!?い、いやたまたま目について読んだことがあるだけよ!?」

 

商人「コロコロ住所が変わるから送る方も大変」

 

美魔女「ちょっと何言ってるのかしら!?顧客情報は守りなさいよ!?」

 

コイン裏「何の話か知らんが知恵寄こせ」

 

美魔女「そうそう!コイン裏の悩みよね!」

 

見習い忍者「誤魔化されてあげます」

 

商人「┐(´д`)┌ヤレヤレ」

 

コイン裏「あれ?俺無視されてる?」

 

商人「気のせい」

 

コイン裏「ならいいけど」

 

見習い忍者「コイン裏さんはどうしたいんですか?」

 

コイン裏「ぶt・・・・・・半殺しにしたい」

 

見習い忍者「ダメですよ!?」

 

商人「武偵三倍刑」

 

美魔女「嫌ならきちんとフリなさい」

 

コイン裏「おばさんは話を理解してないだろ」

 

美魔女「いい男を使い魔にしようとしているのでしょ?あ~、私も潤い欲しいわ」

 

見習い忍者「使い魔?」

 

商人「魔女(笑)だし」

 

コイン裏「オカルトちっくに解釈したのかおばさん」

 

美魔女「それ以上言ったら呪うわよ?」

 

コイン裏「そういう事言ってるからモテねえんだよ」

 

見習い忍者「コイン裏さん。その人に好かれてるんじゃないんですか?」

 

コイン裏「なんか捜査に必要とか言われてんだけど?しかも何を捜査するのか一切説明しないで力貸せって言ってくるんだぞ?」

 

商人「そいつホントに武偵?」

 

コイン裏「残念なことにSランク武偵らしい。その性格が原因でボッチらしいしな」

 

美魔女「あら、可哀想ねえ」

 

商人「嬉しそうだな」

 

見習い忍者「Sランクでもだいぶ違うんですねえ」

 

コイン裏「知り合いにいるのか?」

 

見習い忍者「私は直接知らないんですがお姉ちゃんがSランク武偵のアミカで、いつも自慢ばかりしてるんです」

 

商人「同情する」

 

コイン裏「それ聞き飽きただろ」

 

美魔女「アミカって?」

 

コイン裏「武偵校での生徒間での師弟関係みたいなもん」

 

見習い忍者「お姉ちゃんはアミカになる前も騒がしかったんですが、アミカになってからはさらにって感じで」

 

見習い忍者「そこが可愛いんですけど」

 

商人「惚気か」

 

コイン裏「仲いいな」

 

美魔女「あらあら。美しい関係ねえ」

 

商人「仲いいのはわかるけど美しいか?」

 

見習い忍者「なんか照れますね」

 

見習い忍者「って、そうじゃ無くてコイン裏さんの悩みですよ!」

 

商人「見習い忍者ちゃんがかわいいからどうでもいい」

 

美魔女「同上」

 

コイン裏「そうだな。見習い忍者ちゃんがかわいいからどうでもいいや」

 

見習い忍者「よくないですよ!?褒めてもなにも出ないですよ?」

 

商人「期待させるとは可愛い奴め」

 

美魔女「日本の学生なんだから殴りあって夕焼けのなかでお互いの実力を認め合えばいいんじゃないかしら?」

 

コイン裏「全体的におかしいが戦うのはいいのかもしれないな。アサルトなんだし強い奴には従うだろうし」

 

見習い忍者「前から思ってましたけど美魔女さんって日本の事誤解してません?」

 

商人「隠れてないオタクだから」

 

コイン裏「マンガを現実と思うなよ?しかも古いし」

 

美魔女「べ、別にオタクってわけじゃ」

 

見習い忍者「まあまあ。でもいいですよねー。お付き合いとか男女の友情とかもいいですよね!」

 

美魔女「そうかしら?女だけの集団だとそういうのと縁がないのよねえ」

 

商人「そこでお局してるからだろ」

 

コイン裏「部下が付き合いとか始めたら速攻邪魔しそうだよな」

 

美魔女「あなたたち私のことなんだと思ってるのかしら?」

 

コイン裏「おばさん」

 

商人「おばさん」

 

美魔女「あんたらねえ!?」

 

見習い忍者「美魔女さんって大人の女性って感じがして憧れます!」

 

コイン裏「え」

 

商人「え」

 

美魔女「あらよくわかってるじゃない」

 

   ~内緒モード~

 

   コイン裏「どうしたんだ?脅迫されてるのか?」

 

   商人「大丈夫か?呪われたのか?」

 

   見習い忍者「二人とも酷いですよ!?」

 

   ~ここまで~

 

美魔女「それでどういう所にそういうものを感じたのかしら?」

 

見習い忍者「あ、お姉ちゃんが呼んでるので今日は落ちますねー」

 

コイン裏「乙ー」

 

商人「寝る子は育つ」

 

美魔女「むう。しょうがないわねえ今度聞かせて貰うわ」

 

見習い忍者「あはは。乙でした!」

 

~見習い忍者さんが退室されました~




キャラ付けは個人的な印象です
誰が誰かわかった人は頭おかしい(褒め言葉)
わかった人は感想に書いてみては?(返信も答え合わせも絶対にしません)


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後輩教育~〆るのが一番楽~

原作とは少し時系列をずらします
なぜって?戦闘描写の練習がしたかった(過去形)からです(遠い目


 アリアのドレイ宣言より数日が経って相変わらず付きまとわれて迷惑している。今のところなぜか知らんが家にまではついてこないのは良いことだが偶に受ける依頼にまでついてくるのは本当に迷惑だ。しかも手伝うわけでもないというのが、さらにイラッとさせられる。

 

『いい加減にフレよ。好きな人いるから付き合えないってさあ』

 

 ギン。俺はそんなことに悩んでない。というか好意を寄せられてるとは思えんのだが?

 

『女が好きでもない男に依頼でもないのに付きまとうわけないだろ』

 

 何を根拠にそんな推論を・・・・・・。

 

『ネット情報』

 

 あのチャットルームのどこに信頼性が?

 

『んなことよりさっきから追けて来てるガキどうすんだよ?』

 

 後ろに追いてきてるのはアリア・・・・・・ではなく見たこともない女子だった。アリアは適当なこと言ったらいなくなったのでそのまま帰るつもりだったのだが、気がついたら変なのが追いかけて来ていた。見た所武偵校の生徒というのは制服でわかるがつけてくる理由がわからない。

 

『なんであんなに睨んでるんだ?親の仇みたいに見られてるけど何したんだ?』

 

 知るか。俺に心当たりはないぞ?

 恨みとかそういうのはギンの方が多いだろ。

 

『女関連だったらお前の方が圧倒的に多いと思うがな』

 

 確かにヒステリアモードのせいで一部の女子には嫌われてそうだな。

 なぜか近くにいた風魔にあれを追っ払えと追跡者から死角になるように指示を出しておく。おそらく御意と言ってそのまま姿を消す。これであいつがヘマしなければ問題なんてないだろう。

 

『それなんてフラグ?』

 

 フラグじゃねえよ。

 

      ☆    ★    ☆

 

「で、誰だお前」

 

 結局、風魔が撒けなかったらしく結局相手することになった。

 

「遠山キンジ!・・・・・・先輩」

『こいつぜってえ心の中で呼び捨てにしてやがんな。〆ようぜ』

 

 別に〆ねえよ。

 

「で、なんで俺を追けて来たんだ?」

 

 聞きながら採点をする。

 

 顔・子供

 上・幼児体型

 下・色気なんて微塵もない

 

 大丈夫なタイプだな。

 

『そんなこと真面目に採点してるが、先日同様のタイプに興奮してたよな?』

 

 ギン五月蠅い。あれは事故だ。普通ならあんなのでなるわけがない。

 

「だって・・・・・・

 だってズルいです!あたしは戦ってようやくお近づきになれたのに、アリア先輩が自分から追っかけるなんて!どういう関係何ですか!」

 

 ?

 何言ってんだこいつ?

 

「話が見えんが

 ・・・・・・アリアのファンか?」

『こいつあのチンチクリンを神格化して崇拝してるっぽいな。あと独占欲かな?』

 

 ギンの分析も何言ってんのかわかんねえな。それはともかく。

 

「俺はな。アリアに追われて迷惑してんだ」

「なあ!?」

『なんかめっちゃメラメラしたもんが見えるなw』

「どうだ?聞いて満足したか?そしたらもう俺を尾けるな。今の俺はDランクだが探偵科だ。1年の尾行ぐらいすぐに気付く。次は〆るぞ」

『お優しいこってw』

 

 はぁー。無駄に疲れたな。適当に今日は弁当でも買って帰るかな。

 

「―――何か隠してますね。遠山先輩は」

 

 全く面倒臭い。こいつ何を嗅ぎつけてやがるんだ?

 

「度胸があるのと無鉄砲なのは違うぞ―――1年」

『おいおい。目つき悪いんだから睨むなよw怖がってるじゃんw』

 

 そこで1年は風魔が殺気を出した瞬間に気付いたらしく銃を構える。反応は悪くないな。握り方に違和感があるけど。銃を持って間もないのか?

 そんなことを考えながらベレッタを向けて問う。

 

「お前出身どこ中だ?」

「一般出身です。中3の2学期に武偵校付属中に転入してきました」

一般中(パンチュー)か・・・・・・」

 

 どうやら俺の秘密(ヒステリアモード)を知っているわけではないみたいだな。

 

「風魔いい。こいつは大丈夫だ」

「御意」

『え?〆ないの?』

 

 気に入らないからってガキ相手に〆ねえよ。子供じゃないんだから。

 

「ぱ・・・・・・一般中(パンチュー)がなんだって言うんですか!」

「――――ッ!!」

 

 その時、悪戯好きな風が1年のスカート弄び。本来隠されるべきである秘所が丸見えになった。

 

 

「パンチューが!?」

『風でパンツ見えるとかどこのラブコメだよ。しかも一般中(パンチュー)とパンツを掛けるとはギャグとしても「なんなんだよおまえ!?」―――ガキのパンツで興奮するなアホ』

 

 だ・・・・・・大丈夫だ!あれはガキだ年下だだから大丈夫だッ!?

 

『あ、ダメだなこれ。若干血流集まって来てるし。しゃあねえな変われ』

 

 俺はあんなので興奮しない!?

 

『先日あれで似たようなのに興奮してたくせに)・・・・・・はて?なんだ?上勝ち狙いじゃないのか?」

『俺は大丈夫だ問題ない俺はあんなのじゃ興奮しな・・・・・・』

 

 引きこもったアホはほっとくか気にするだけ時間の無駄だし。

 

「へ?」

「師匠!大丈夫でござるか!?」

「心配されるほどヤワじゃねーよ。お前は俺のこと襲いに来たんじゃなかったのか?大きい隙を作ったのに襲って来なかったし」

「・・・・・・違います。さっきも言った通りアリア先輩に追いかけられる理由が知りたくて」

「そんなもん簡単だろう」

 

 何単純なことを知ろうとしてんだろうか?

 

「え?なんですか?」

「オレが強いからに決まってんだろ少なくともあのチンチクリンよりは強いし」

「な!?」

 

 なんか無礼者ー!とか考えてそうな顔してんなー。キンジが銃出した時にビビってたから元Sランクだと知ってるっぽいんだが、なんかこいつ後先考えないタイプかなあ。

 

「アリア先輩はt「それよりもオレとしては」―――ッ!」

「お前程度のど素人があのチンチクリンと戦って認められるほどの実力があるようには見えないんだが?」

「アリア先輩はチンチクリンなんかじゃありません!」

 

 怒るとこはそこかよ?

 そう言えばアリアにはアミカがいるって噂話で聞いた気がするがこいつか?

 ・・・・・・試してみるか

 

「で、1年。オレとやる気か?」

「―――!?」

「風魔。手を出さないでいい。ちょっと実力が知りたくなった」

「・・・・・・御意」

 

 風魔はいい子だなー。なんでキンジのアミカなんてやってるんだろ?実力はあっても素直すぎるからという理由で評価が悪いんだっけか。だからキンジにはそこそこ気に入られてるんだったな。

 

「――――ッ」

 

 とっさに銃を向けたか・・・・・・。だが、なんか銃の持ち方に違和感があるなあ。慣れてないのか?

 

「じゃあ、何発かぶん殴るから――――死ぬなよ?」

 

 さて軽く運動しますか。

 軽く一呼吸おいて、一気に距離を詰めて、その勢いを殺さないように銃を叩き落とし、掌打をがら空きの胴に打ち込む。

 

「カハッ――――」

「軽いな」

 

 フンっとそのまま振り抜き小柄な体躯を突き飛ばす。

 まともに受け身も出来ずにゴロゴロ転がり倒れる。

 

「ゲッホゲッホ――――いったああああ!」

 

 手加減したとはいえ、すぐに打たれたところを抑えて睨んでくる所を見ると見た目より打たれ強いらしい。

 

「思ったより頑丈だな」

「女の子を殴るなんて最ッ低ですね!」

「生憎、オレは男女平等主義だ。戦う時に女だからと言って手を抜くほどフェミニストではないんでね」

 

 そういうのはキンジの領分だし。

 へらへら笑いながら落とさせた銃を拾い、追撃の為に距離を詰める。

 

「でも、一本取りましたよ」

「ん?」

 

 そう言って掲げたものを見て懐に入れていた短刀が盗られていることに気づく。あの一瞬でスリ取ったのか?よくみたら爪痕みたいなのがついてる。

 

「へぇー。手癖が悪いな?なるほど、それでアリアからエンブレムでもしてもぎ取ったのか?」

 

 盗むための技というより一撃必殺の攻撃を改悪(ダウングレード)したような技のように思える。何者だこのガキ?

 

「その通りですよ。でも先輩には勝てそうにないので逃げさせて貰います!」

 

 ベー!っとガキっぽく舌を出して振り返って全力疾走するのは逆に清々しいくらいだ。だからと言って”鬼炎”をあげるほどではないけど。つーか、持ってくんじゃねえよクソガキ。

 

「ったく」

「なあ!?先回りされた!?」

 

 当たり前だっつうの。あの距離で逃がすほど鈍って無い・・・・・・と思う。そう言えば探偵科入ってからあんまり実戦()ってないから鍛え直さないとなあ。

 

「とりあえず逃げるんだったら人の武器(エモノ)は持ち逃げしようとすんじゃねえよ」

「あ・・・・・・」

 

 気付いてなかったのか。天然だなあ。

 そんな風に呆れながら、何気ないように通り過ぎる。

 

 

「え?」

「間宮あかり。強襲科のEランク。武器はマイクロUZIにナイフっと」

「あたしの学生証に銃とナイフ!」

ナイフ(これ)はちゃんと手入れできてるけどマイクロUZI(こっち)は標準もトリガーも甘いな?ちゃんと手入れしろよ大事な武器(相棒)だぜ?」

 

 ほらよっと、投げ渡すのをワタワタと受け取る。こいつのさっきの動きが信じられんくらいにトロイ。素は天然なんだろうなこいつ。

 

「しっかし、あの一瞬でスられるとは思わんかったわ。スリ盗った技は殺しの技だな?」

「――――ッ!!違います!」

 

 トラウマでもあるのか恐怖の表情が一瞬出たけど興味ないなあ。

 

「風魔。オレから鬼炎(コレ)スリ盗った技なにかわかるか?」

「―――おそらく鳶穿(とびうがち)。元は素手で眼や内臓を引きずり出す忍びの殺法の一つでござる」

 

 風魔も忍びだけあって詳しいな。やられた身としてはよくわかんなかったぞ。

 

「ふーん?そんな物騒な技なんで一般中(パンチュー)出身者が使えるんだ?司法取引でもしたのか?」

「違います!私は犯罪者なんかじゃありません!」

「中々、過激な意見だねえ」

 

 それだと司法取引したことへの反論にはなってないんだよなあ。

 

「司法取引したら一般人だからねえ」

「元・犯罪者でもありません!」

「だろうね。見た感じ司法取引するような大きな犯罪とかできるタイプじゃないみたいだし」

 

 見た感じ、一回手を染めたらそのままズルズルと深みにはまるタイプだろう。キンジの性格考えると人の事言えないけど。

 

「まあ、お前の過去なんぞ興味ないが。忠告はしておこう。強襲科向いてないから諜報科にでも転科した方がいいぞ?必殺(殺すための技)非殺(殺さない技)改悪(ダウングレード)するとしてもな」

「せ、先輩に何がわかるって言うんですか!?」

 

 あー、腹減ったなあ。そろそろ帰るか。

 

「少なくと殺しの技はいくつかオレも持ってるし?」

「え?」

「オレみたいに器用じゃないみたいだし、過去を隠して生きれるもんじゃねえぞ?良くも悪くも自分は自分で否定しても結局は自分からは逃げれねえんだからな」

 

 キンジも自覚して一般人(没個性)になるとか普通になる(平穏に生きる)とか諦めたらいいのに。無理なんだからオレ(キンジ)キンジ(ギン)もまともじゃないんだから。

 つーか、まだ引きこもってブツブツ言ってんのかこいつ。

 

「・・・・・・自分からは逃げれない」

「点数をつけるなら30点。今後に期待って感じだな」

「あ、待っ」

「それじゃーなー」

 

 聞く耳持たずにさっさと逃げる。

 

『・・・・・・うぅ。俺はあんなのじゃ――――』

 

 まだやってたのかよ?いい加減に戻って来いよ・・・・・・。



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徒手空拳~戦いは楽しいな~

できたー

戦闘描写ムズイ!!




(読み返し)なんだこれ?


 ・・・・・・訓練のためとは言え、ここに向かうと気分が落ち込む。

 

『それそこのチビに呼び出し喰らったからじゃないのか?』

 

 それもある。が、強襲科(死ね死ね団)に注目されてるのが嫌なんだよ。現に今、結構注目されてるし。

 

「強襲科にくるの久しぶりだな」

「あんた素直に来たのね?てっきり無視するかと思ったわ」

「今日は依頼取るつもりがないから偶にはいいと思ってな」

『たまには遊んであげないと拗ねるしなー』

 

 いや、遊ぶために呼び出しに応じたわけじゃないんだが。

 

『え?喧嘩(遊び)に来たんじゃないのか?』

 

 せめて訓練といえ訓練と。

 

「ふん。じゃあ」

「じゃ、俺は射撃訓練してくるから」

『目指せ完全無敵(ノーミス)

 

 それは無理だ。ヒステリアモードでもないとノーミスは難しいし。

 

「ちょっと待ちなさい!」

「・・・・・・なんだよ?」

「あたしと組手しない?」

「断る」

『えー。やろうぜ?こいつの実力知りたいし、Sランクらしいし遊び相手(オモチャ)としてはちょうどいいだろう?』

「あんたの実力が知りたいわ。ドレイの主人として知っておきたいしね」

 

 ギン(バカ)アリア(我儘な子供)の思考が噛みあっちまった。これほっといたら『はっはー。上下関係ってのをキッチリ躾けねえとなあ』―――完全にやる気だこいつ。ならせめて

 

「なら徒手空拳(ステゴロ)でどうだ?観客がいると銃は使いにくいしな」

「ハンデのつもりかしら?あたしは格闘も得意よ?」

「それはこっちも同じだ」

『お?キンジがやる気になるなんて珍しいな?拾い食いでもしたか?』

 

 ギン。お前は俺のことなんだと思ってるんだ?

 

「いいわ。あたしが勝ったらドレイね」

「まだ諦めてねえのかよ。・・・・・・そうだな俺が勝ったらなに要求しようかな?」

『アリアをドレイにするでいいだろ』

 

 それは断る。こんな我儘なドレイとか要らないし。

 

「そうだな。勝ってから考えるか」

「そう?無駄な要求だと思うけどね?」

「格闘無敗だっけ?先に謝っとく黒星つけるけどスマン」

「――――あんた、度胸あるわね」

 

 めっちゃ顔が引きつってるな。俺なんか地雷踏んだ?

 

『あんだけ挑発しといて何言ってんだか』

 

 挑発?したか?

 

『自覚無いんかい』

 

 なぜか過剰にやる気を出してるアリアについて行くようして、訓練してた連中が場所を開けていき体育館の中心に立つ。

 めっちゃ見られてる。Sランク同士の戦いって言って騒いでいるが俺は今はDランクなんだけど。

 

「それじゃあ、始めましょうか。先手は譲るわよ?」

「余裕だな。じゃ、お言葉に甘えて」

『オレらの事ナメてるんだろうなあwその可愛い顔ズタズタにしてやんよ!』

 

 そこまではしねえよ。

 ギンに釘刺してから、ゆったりと構えて一気に距離を詰めて殴る。

 

「っ!思ったより速いわね!」

 

 避けられたので、牽制目的であろう蹴りを反撃をあえて受け、掴み取ろうとするが小さくてすばしっこい動きで避けられる。

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

 正拳突き、足払い、蹴り、裏拳、上げ突き、連突き、目つぶし、足刀、手刀

 お互いの拳と蹴りが咲き乱れるが、未だにこっちの攻撃が当たらない。

 

「教科書通りみたいな攻め方ね」

『スピードで攪乱してごり押しで一気に決めるタイプか』

 

 くっそ。アリアの攻撃はそこそこ当たってるから、ちょっとキツイ。

 

『おいおい。なんか周りが負けるって言ってるぞ?いいのかよ?というか戦わせろ』

 

 いや、お前に任せると大変なことになる未来しか見えない。

 

『えー』

 

 えー、じゃないよ。

 

「中々やるな」

「あんた、あの時と本当に同一人物?」

「違うつっても信じねえんだろ?」

「あんたなにを隠してるのよ?」

「言いたくねえことなら、いっぱいあるもんだよ・・・・・・」

『オレの事とか?』

 

 ギンのことはバレてもいいがバレないに越したことはない。だが、最悪でもヒステリアモードさえ隠し通せればいい。

 

「まったく、すばしっこいな」

「もういい。期待外れだった」

「うお!?」

 

 こいつ手を抜いてたのか!?

 急に動きが良くなり、膝の裏を蹴られて体勢を崩され、そのまま襟首を掴まれて倒され

 

『そろそろ変われ!』

 

 オレはそう言い、キンジと入れ替わる。

 

「ヒャッハー!」

 

 倒れそうになった身体を強引にひねり、掴んでいた腕を掴もうとするがするりと逃げられた。執着せずに地面に倒れ込み起き上がりの回転で吹き飛ばす。

 

「カポエラ!?」

「ブレイクダンスだぜ?違いはあんまりねえけどなあ!」

 

 変則的に転がりながらの追撃に対処が難しいらしく距離を置いたので、こっちも片手だけの逆立ちで軽い回転酔いを醒ませるためにフリーズする。

 

『お前こんなのどこで身に付けた?』

 

 え?この前テレビでやってて出来るかなと思ったら出来た。

 

『ギン・・・・・・。何か人間離れしてきてないか?』

 

 それ自分に言ってるようなもんだって理解できてる?

 

『俺にそんなのできるわけないだろ』

 

 本当に何言ってんだお前?むしろヒステリアモードのお前の人外っぷりの方が異常だと思うが?オレはヒステリアモードになれないし、倉庫で(あん時)の銃弾での曲芸とかできないし。

 

 とりあえずまともに立ち上がり、それっぽく手足かしておく。

 

「うん。身体暖まったわ」

「あんたスロースターターなのかしら?それなら納得ね」

 

 うんうん。と勝手に納得してるとこ悪いが単純に入れ替わっただけだからスロースターターとか実は関係ないんだよな。面倒だから説明する気ねえけど。

 

「待たせたねえ。お嬢ちゃん。では、もう一曲ほどダンスに付き合ってくれるかい?」

「あら、楽しませてくれそう、ね!」

 

 突っ込んできたアリアを迎撃するように、大きく足を踏み込みアリアの足を踏みつぶそうとするが寸前で避けられたがそのまま目を抉るように左手を突っ込む。避けきれないと判断したのか頭突きで迎撃され、指の脱力してカウンターで折れないようにしながら、頭を掴み押し倒して頭を床にたたきつけようとしたが、腹を蹴られ緩んだ拘束を見逃さず逃げ出される。

 それを追いかけるように距離を詰めてのどを潰すように拳を突き出すが当然のように防がれたので、がら空きになった腹に蹴りを入れる。が、カウンター気味に蹴りが入ってお互いの蹴りで吹き飛ばされる。

 

「やっぱ、じゃじゃ馬か」

「生憎、あたしはそんなに安い女じゃないのよ」

「ふーん?それは楽しめそうだな(チョロインの癖に)

「あんたはあたしの見込んだとおりだったみたいね」

「んー?告白か?それなら断るけど?(やっぱチョロインか)

「違うわよ!?///」

 

 何顔真っ赤にしてんだかあいつは?煽り耐性なさ過ぎだろ。

 

「んー」

 

 思ったより観客が増えてるな。流石にこれ以上、暴れると蘭豹とかに嗅ぎつかれそうだ。そうなったら流石に面倒臭いし、手の内をあんま晒すのも問題だしここら辺が引き際かな?

 

「あ、あたしはあんたに興味があるだk「やーめた」――――へ?」

「喧嘩飽きたから、今日はもう帰るわ」

「ちょっと!?まだ、話は「あ、そうだ。アリアこれ」―――なによ?ってこれ名刺?」

「何か依頼があるならここに連絡しやがれ。友達割で雇われてやるよ」

「え?え?」

「んじゃなー」

「ちょっと!?待ちなさい!」

 

 やなこった。




要望がなかったキャラステータス


遠山キンジ

今作兼原作主人公

理屈より感情で動くタイプ
人間関係は基本的に受け身で周りに流され気味

自分をヒステリアモード以外は自己評価が低いが素の能力もそこそこ高い
素の状態だと強襲科でBランクほど
勉強が出来ないのはやる気がないのと目的が低いから
女嫌いだがギンの影響からか若干克服気味

特殊体質である性的興奮で強くなるヒステリア・サヴァン・シンドロームの持ち主
ヒステリアモード時はいわゆる万能型の超人となるがキャラがタラシな上、発動条件の性的興奮というトリガーのために嫌がってる
が、素でも結構なタラシなため無自覚に口説いてたりする

ヒステリアモードを嫌がるせいで男女間の事に関してかなり無知なため天然(死ねばいいのに)

ステータス(ヒステリアモード時)

戦闘力 :B(S)
スピード:C(A)
推理力 :E(S)
観察力 :C(S)
成長性 :S
タラシ :A(S)


思い付いたのを垂れ流して書いてみた


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峰理子という女~リコリンって語呂がいいよね~

読み返すとフラグ塗れなんだな
1巻での理子との会話って


 ・・・・・・なんでだろう?

 アリアと引き分けて『勝っただろ』いや、勝ったわけじゃないだろ。

 というかお前が勝手に引き分けにしたんじゃないか。

 

『知らんな』

 

 とぼけんなよ。

 それはともかく、アリアといい勝負をしたためになぜかは知らないがアレ以来、以前にも増して付きまとってくるようになってきた。

 

『最近、懐いた猫のごとく甘えてくるようになったよなあ』

 

 懐いた猫って・・・・・・俺は餌あげる人か?

 

『猫ってそんな風に認識してるって話だねえ。ホントかどうか知らんけど』

 

 そうだっけか?

 そんな感じにどうでもいいことを考えながら女子寮前の温室(ビニールハウス)にギンが勝手(いつのまにか)に設置したハンモックで昼寝をしていた。

 ここはいつも人気がないため、ゆっくりしたり密会するのに向いている。たまに人が来るとしても園芸部が花の世話の為にくるくらいだろう。

 

 というかこれ(ハンモック)いつ設置したんだ?

 

『ちょっと前に白雪に頼んだらOKくれたぜ?』

 

 いつの間に―――って記憶ねえんだけど?

 

『この前、お前が白雪の胸にダイb(やっぱ聞きたくないわ)―――え?いいのか?』

 

 ああ、思いだしたくないからな!

 

『いい加減に慣れればいいのに』

 

 無茶言うな。

 あんなの慣れないし、慣れたくねえ。

 

『ならその変なラッキースケベ(リトさん)体質直せ』

 

 そんな体質ねえよ・・・・・・。

 

『どうだか。それより誰か来たみたいだな』

 

 え?誰が「キーくん探したよー!」―――理子か

 

「もー、リコリンに依頼しといて忘れるなんてプンプンガオーだぞ?」

「あ、忘れてた」

「忘れてたなんてキーくんひどーい!」

『そう言えばアリアが付きまとい始めたときに依頼したんだっけ?』

 

 確か、ドレイ命令の後に理子に依頼したんだっけ。

 

「ちょい待ってろ」

『あ、依頼料か。オレが買ったやつな』

 

 ギンに買って来てもらって、買ってからカバンの中で眠っていた依頼料を理子に渡す。

 

『それ渡す暇いくらでもあったろ』

 

 忘れてたんだよ。

 

「わかってるとは思うがこれは他言無用で頼む。特にアリアにバレルと面倒だ」

「うー!らじゃー!」

 

 理子はキヲツケの姿勢になり、両手で敬礼ポーズを取る。

 見てわかるように峰理子はバカだ。しかし、探偵科に転科してから知ったがノゾキ・盗聴盗撮・ハッキング等の趣味があり、情報収集が並外れてうまいのだ。さしずめ情報怪盗と言ったところか?ちなみにランクはAだとか。

 

「これでいいだろ?」

「うっわぁーーーー!『しろくろっ!』と『白詰草物語』と『妹ゴス』だよぉー!」

『ギャルゲーって男向けじゃなかったっけ?』

 

 知らんし、興味もない。

 

「なんでこれを俺に買わせたんだ?」

「あそこの店員がリコリンが小さいからって、売ってくれなかったんだぞー?プンプン!」

「ああ、15歳以下に見られたのか」

 

 ギャルゲーと呼ばれる恋愛シュミレーションゲームは大体R-15だったりするため年齢によって売ってくれないのだ。プレイしたことないけど何が基準でR-15なのかはよくわからんものだ。

 

「以下じゃ無くて未満に見られたんだけどね!」

『なぜそこでドヤ顔?』

「そこ怒るのか喜ぶのかどっちかにしてくれ」

「あー!『ももいろっ!』もあるじゃん!キーくんナイスだよー!」

「無視ですかそうですか」

『そろそろ主題に入れ。長いぞいろいろと』

 

 それもそうだな。

 

「あ・・・・・・これとこれいらない。理子はこういうの嫌いなの」

 

 突き返されたそれを見て

 

「『妹ゴス』の2と3?何が違うんだ?」

「『2』と『3』なんて作品に対する蔑称だよ」

「よくわからん」

「とにかくいらないの!」

 

 理子には理子なりによくわからん基準があるらしい。だからと言って押し付けるな。

 

「わかったわかった。これらはいいとして、報告を聞かせてくれ」

『よし!ならあとでこれプレイしようぜ!』

 

 しねーよ。それより情報を聞くぞ。

 

『あいあいさー』

「あい!」

 

 なんでそこでハモるんだよ?

 とりあえずハンモックに座って聞く姿勢を取ると、ジャンプして理子は俺の隣に座る。って、おい。身体くっつけるなおい。

 

「くっつくなよ」

「くふふ。そんな事言うと教えてあげないよー?」

『おい。さっさとヒステリアモードになって口割らせろよ?』

 

 ならねえし、できねえよ。

 

「・・・・・・わかったからさっさと話せ」

「キーくん照れてる?」

「それで良いからさっさと教えてくれ」

「キーくんかわいい!」

 

 そこでいったん弄るの止めたのかようやく本題に入る。

 

「えーっと・・・・・・まずランクはSだったね。2年でSランクって片手で数えられるくらいしかいないんだよ?」

「それは知ってる」

「キーくんは戦ったから知ってるだろうけど徒手格闘もうまくてね。流派は、ボクシングから関節技まで何でもありの・・・・・・えっと、バーリ、バーリ・・・・・・?」

「バーリ・トゥードか」

「そうそれ。イギリスでは縮めてバリツって呼ぶんだって」

 

バーリ・トゥード

 合格闘技の代名詞と称されることもあるように技が多彩だが、他の格闘技でしばしば反則とされる顔面への打撃や関節技が正当な技として用いられたり、寝技で相手の上に馬乗りになって顔面を打撃し、相手が打撃を逃れようとうつぶせになる所で首を絞めるという展開がしばしば見られ、馬乗りの体勢となることが「定石」とされている。

 

 実戦向き、というか実戦を前提とした格闘技だ。

 確かにあのチビの強さは並じゃなかった。あのまま続けていれば下手すればギンでも負けたかも『いや、負けねえよ?』しれない。それくらい強かった。

 

「それであの子両利きなんだよ?二つ名は『双剣双銃(カドラ)のアリア』」

 

 ―――双剣双銃(カドラ)

 武偵用語で、二丁拳銃あるいは二刀流をダブラと呼ぶ。英語のダブルから来ているのだが、そこから類推すると4つの武器を使うことから来ているのだろう。

 

『安易な二つ名だな。戦い方を二つ名にするとか無能だよなあ』

 

 二つ名は自称じゃないなら、国際武偵連盟が名付けるもんだからな?

 

『興味ない』

 

 あっそうかい。

 

「笑っちゃうよね双剣双銃(カドラ)だってさ」

「笑いどころがわからん。他には・・・・・・武偵としての活動が知りたい。あいつにはどんな実績がある?」

「今は休職してるみたいだけどアリアは14歳からロンドン武偵局の武偵としてヨーロッパ各地で活動しててね――――その間、一度も犯罪者を逃がしたことがないんだって」

「逃がしたことがない?」

『雑魚ばっか相手してたんだな~』

 

 あー。そうとも取れるのか。

 

「狙った相手を全員捕まえてるんだよ。99回連続、それも全部たった一度の強襲でね」

「なんだ・・・・・・それ・・・・・・」

『あれ絶対、突っ走るタイプだろ?優秀なサポーターがいるな』

 

 それがロンドン武偵局か?

 

『さあな?協力者がいないと達成できないだろそんな記録』

 

 それもそうだな。

 

「理子。それアリアが単独でやったのか?あいつが地道に捜査するようなタイプには見えないが」

「キーくんも考えるより動くタイプじゃん」

「俺は足を使うタイプだ。流石の俺でもアレと同類扱いされたくないぞ・・・・・・」

「そーかなー?・・・・・・確かにアリアが動くときはロンドン武偵局が追いかけてた相手を先に突っ走って捕まえてるみたいだよ?」

「ロンドン武偵局に恨みを買ってこっちに来たのかあいつ?」

「どうだろうねー。でも早く戻って来いって催促されてるみたいだよ?ロンドン武偵局の逮捕率が下がってるらしいし」

「どんだけアリアに依存してんだよロンドン武偵局・・・・・・」

『あんなのに頼り切りとか大丈夫なのか英国?』

 

 若干ヨーロッパのことが心配になったが切り替えて、報告を聞く。

 

「あとは・・・・・・そういえば、アリアってお父さんがイギリス人とのハーフなんだよ」

「てことはクォーターか」

 

 道理で髪も眼も赤いし、人形みたいなかわいらしさがあるわけだ。

 そもそも名前が〈神崎・H・アリア〉だしな。

 

『あの髪の色それで説明がつくか?それにしては違和感があるような?』

 

 何言ってんだお前は?

 

『オレも何言ってるかわからん』

 

 おい。

 

「で、イギリスの方の家がミドルネームの『H』家なんだよね。すっごく高名な一族らしいよ。おばあちゃんはDame(デイㇺ)の称号を持ってるんだって」

『それ確か英国貴族の称号じゃねーか?』

「ということはあいつ貴族なのか!?」

「気持ちはわかるけどキーくん驚き過ぎ」

「すまん」

 

 確かに貴族のイメージからかけ離れた子供(アリア)が貴族と知ったからといって、驚き過ぎたな。でも考えてみれば妙に偉そうだったしある意味ぴったりかもしれない。

 

「くふふ。でも、アリアは『H』家とはうまくいってないらしいんだよね。だから家の名を言いたがらないんだよ。理子は知っちゃってるけどー。あの一族はちょっとねぇー」

『なんかいま理子から嫌悪感を感じたな』

「なにか嫌な思い出でもあるのか?」

「そーじゃなくて、理子は親の七光りとかそういうの大っ嫌いなんだよぉ。まあ、イギリスのサイトでもググればわかるんじゃない?」

「なんでそこで焦らすんだ、ゲームやったんだキリキリ吐け」

「キーくん、それくらい自分で調べよーよ」

「英語苦手なんだよ」

「ま、頑張れや!」

 

 教える気はないらしい理子の適当な励ましなのか、背中を叩こうとしてバランスを崩して、そのままハンモックがひっくり返った。

 

「あぶな!?」

「きゃあ!?」

 

 咄嗟に動いたら理子を庇うように背中から地面に落ちた。

 

「いってえ・・・・・・」

「キーくん!?ちょっとこの体勢は!?」

「え?」

『咄嗟に抱きしめるように落ちて、至近距離で見つめ合うとかワザとやってるだろ?』

 

 理子のかわいらしい顔が吐息が掛かるほどの距離にあった。

 普段はバカっぽい言動だからあんまり気にしていなかったが、こうして見るとロリっぽい見た目に反して妙な色気があり、バニラのような甘ったるい女の香りが

 

 って、やばいこれは!?

 

『MAJIDEキスする五秒前』

 

 何言ってんのお前?

 

「キーくん――――そのー。離してくれるとうれしいかなー。――――なんて」

「わ、わるい」

 

 テンパってた思考と集まりかけてた血流がギンの茶々入れで一瞬にして冷めた。だが、すぐに血流が集まりかけてたので慌てて手を離すと、理子はするっと離れて、こっちから顔を背けて座り込む。

 

「(うー。流石に今のは予想外だったよー)」

「あー。大丈夫か?」

『理子(ルート)に入ったかこれ?』

 

 なんだその(ルート)って?

 

『さーなー?』

「もー!キーくん積極的ー!?でもリコリンを攻略するのはまだ早いんだぞー?」

 

 プンプン!と両手で角を作るいつもの調子に戻ったらしい理子にここは素直に頭を下げる。

 

「? 何が早いのかよくわからんけど悪かった」

 

 ここはとりあえず謝っておく。バランスを崩したのは理子とはいえ流石に好きでもない男に抱きしめられるのは嫌だったろうしな。

 

『あんまり怒ってないっぽいけどな』

 

 それでも問題だろ。

 

「いやー、頭下げられてもリコリン困っちゃうし!もう調子狂うなー」

『よし、このまま口説け!』

 

 口説かねえよ!?

 

「・・・・・・」

「・・・・・・」

 

 き、気まずい。

 ギン変わってくれ!?

 

『嫌だ。最近表に出過ぎだし』

 

 そこをなんとか!

 

『自業自得だろ。自分で何とかしろ』

 

 こういう時はとりあえず何か話さないと――――! 

 

「えーっと、あれ、えっと?そーだ。依頼!他に何かないか?」

「キーくんちょっと焦り過ぎだぞー?くふふ。んー。もうリコリンが話せることはないかなー」

「そうか」

「じゃ、リコリンの役割はここまでってことで!」

「ああ、ありがとな」

 

 よかった。なんとかなった気がする。

 

「あ」

「どうした?」

「キーくんの時計壊れてる!」

「え?」

 

 そう言われて腕時計を見ると、さっきので3つ折りの留め具が壊れてしまったようだ。

 

『なんで壊れてるんですかねえ?』

「気にすんな。どうせ安物だし」

 

 2000円くらいのを買ってから使い続けて(七ヶ月)、そろそろ買い替えた方がいいという事だろう。

 

「だめ!修理させて!依頼人(クライアント)の持ち物壊したなんていったら、理子の信頼に関わっちゃうから!」

 

 俺から腕時計をむしり取るとセーラー服の襟首を引っ張ろうとして、何かに気がついたのか慌ててスカートのポケットに腕時計をしまった。

 

「それじゃ!ばいばいきーん!」

 

 そう言って理子はこっちの意見も聞かずに温室から飛び出していった。

 

「あいかわらず騒がしい奴だ」

『ところでこのギャルゲー結局どうすんだ?』

 

 あ、忘れてた。




キンちゃんって大体こんな感じでしょ?
え?違う?(´・ω・`)


――――二人が立ち去った後――――

「あら?温室に誰がこんなものを置いて行ったのかしら?」

「・・・・・・この娘、あかりちゃんに似ている・・・・・・」

「最近あかりちゃん成分が足りない私の為に神様が用意してくださったに違いないわ!!」

 通りすがりの佐々木志乃
 あかりちゃん似のヒロインがメインのお宝(ギャルゲー)ゲット


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閉ざされた匣の談話録

殴り書き


 

~サソリさんが入室されました~

 

コイン裏「サソリさんばんわー」

 

美魔女「あら久しぶりね」

 

商人「ばんわー」

 

サソリ「こんばんわ」

 

コイン裏「久しぶりだけど、またネタ集め?」

 

サソリ「どちらかというと気分転換ね」

 

サソリ「移動中は暇なのよ」

 

商人「またコミケか?」

 

美魔女「そうなの?また送って頂戴」

 

コイン裏「コミケは夏と冬のはずだが」

 

サソリ「それとは別件ね」

 

サソリ「二年前にまいた種を摘みに行くの」

 

コイン裏「あ?どういう事?」

 

商人「何か必要かね?」

 

サソリ「必要ないわね。アレを使うし」

 

商人「残念」

 

美魔女「なにか起こす気かしら?」

 

コイン裏「犯罪関係なら殴ってでも止めるぞどこにいるのか知らんけど」

 

サソリ「遠慮しとくわ」

 

サソリ「それに勧誘をするだけよ」

 

コイン裏「勧誘?なんのだ?」

 

サソリ「場合によってはモデルになって貰うわ!」

 

コイン裏「主目的は同人かい!」

 

商人「それだけ?」

 

サソリ「もちろん作るのを手伝って貰うわ」

 

サソリ「ベタとかとかトーンとか仕事はいくらでもあるし」

 

コイン裏「あー、うん。ならいいや。藪蛇臭いし」

 

美魔女「それは置いといて今年はどんなのを作るのかしら?」

 

商人「海外にも売るなら手伝うね」

 

コイン裏「海外にも売れるのか?」

 

商人「日本の漫画はよく売れるね」

 

コイン裏「サソリさんのは同人だろ」

 

サソリ「あら、コミケの度に買いに来る外国人も多いわよ?」

 

コイン裏「コミケの為に来日とか世界は平和(世も末)だな」

 

サソリ「今年はコイン裏さんも来たら?ただで渡すわよ?」

 

コイン裏「ちなみにどういう作品?」

 

サソリ「まだ構想段階だけど。姉妹愛を題材にした話にしようかと思うわ」

 

コイン裏「碌でもなさそうだから要らんわ。つーか、百合かよ」

 

商人「サソリさんのとこは毎回レズものを描いてるね」

 

美魔女「うちの職場でも結構人気よ?」

 

コイン裏「それはなんとなく知ってた」

 

サソリ「毎度御贔屓に」

 

コイン裏「なんでそんな百合ものが流行ってるんだよ・・・・・・」

 

商人「コイン裏は嫌いなのか?」

 

美魔女「いいものよ?」

 

コイン裏「俺が男だからかな?全く理解できない」

 

サソリ「最初はそんなものよ」

 

サソリ「でも途中で気づくのよ女同士の友情以上に素晴らしいものはないと!」

 

コイン裏「はいはい。わかったわかった興味ない」

 

商人「あー。長くなるねこれ」

 

美魔女「私は一向にかまわないわよ?」

 

コイン裏「付き合わされる俺が嫌だわ」

 

サソリ「最後まで付き合って貰うわ!そもそも―――

 

~この後、2時間ほど話続いている~



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武偵殺し再び~今度はバスジャック回~

 名刺を渡したせいかよくアリアから連絡が来るようになった。

 大体が私的な話ばっかだが、たまにチームとしての連携がといって一緒に訓練していたりする。

 

『つーか、チーム組むのか?』

 

 寝起きの頭で適当に昨日の夕食の残りを温めているとギンからそんなことを言われた。何の話だ?

 

『あのピンクチビの話』

 

 ああそれか。

 あくまで依頼されたら最低限協力する程度だ。武偵は金で動くしな。

 温まった食糧を盛り付けてリビングに運ぶ。

 

『なんだかんだで流されすぎだろ』

 

 ・・・・・・否定できないのがつらいとこだな。いただきます。

 

『訓練とか簡単な任務とかを一緒に受けると情が出るからな。今からでも縁切ったらどうだ?金の切れ目は縁の切れ目って吹っかければいいし』

 

 あいつ貴族だぞ?

 しかも金払いの良さから見るとかなりの大金持ちだ。

 

『それもそうだな。いいパトロンになるんじゃないか?お前タラシだし口説いてやれば好き勝手に使えるだろ』

 

 金目的で関わる方が嫌だわ。

 それに金だけで見てると思考が悪に寄るだろ。

 

『別にそれで良いと思うがな?ま、最後に決めるのはお前だから俺は知ったことじゃないけど』

 

 いや、お前は勝手に人間関係を引っ掻き乱してるだろ。

 むしろアリアとのこの関係はお前が作ったようなもんじゃないか。

 

『それもそうだったな。じゃ、今まで通り好き勝手させて貰うわ』

 

 やめろ。

 ギンが表に出てきて良かったことがねえんだよ。

 

『そうだっけ?まあいいや。おいそろそろ時間じゃねえか?』

 

 ギンに促されて腕時計(昨日理子に返された)を見ると、まだ結構時間に余裕がある。

 

『おかしいな?体感だとそろそろ準備始めないとマズいんだが・・・・・・』

 

 そうか?そんなに言うならちょっと早めに出るか。雨も降ってるしチャリもぶっ壊れてるからバスで行くしかないか。

 

『おー。そうしとけ』

 

 そうと決まれば善は急げだ。残っていた朝ごはんをかきこんで、食器を流しに放り込んで準備を整えて出る。

 腕時計をちらっと見るとまだ結構時間がある。一本前のバスに乗るか。

 

 

   ☆ ★ ☆

 

 

「ホント、キーくんって思い通りに行かないなあ・・・・・・」

 

「あのバスに乗り遅らせて、アリアと協力させようと思ってたのにぃ」

 

「ま、それくらいは許容範囲だよ!」

 

「アクシデントだって楽しまないとね!」

 

「それじゃあゲームスタートだよ♪」

 

 

   ☆ ★ ☆

 

 

「うげっ。思ったより混んでるな」

 

 早めに出たおかげでバスには間に合ったが雨と言うこともあって結構な乗車率になっていた。

 

『ん?おいキンジバスの時計見ろ』

 

 どうしたんだよ?・・・・・・おかしいな。時間的に俺が乗るつもりだった一本前のじゃない。まさか!?

 

「あ、やっぱり時間がズレてる」

 

 理子のやつ悪戯のつもりで時間を少しだけずらしたな?後で釘刺しとかねえと。

 

『やっぱ体感時間が正しかったんじゃねーか』

 

 そうだな。

 

「セーフ!間に合ったぜ!」

「この声は武藤か」

『あいかわらずうるせえな』

 

  ハッシャシマス

 

 アナウンスとともに動き出したせいで少しバランスを崩して女子生徒に詰め寄るような感じになってしまった。

 

「おっと悪い」

「あ、いえ。だ、大丈夫です」

 

 女と近いとか不運だな。うっかりヒステリアモードにならないように気をつけないと。

 

『え?ヒステリアモードになる気なの?』

 

 ないっての。お前も朝から疲れさせんなよ。

 

『えー』

 

 えーじゃないっての。

 

  PiPiPiPiPiPi

 

「あ、私のだ」

 

 目の前の女子生徒が慌てたように携帯を取り出して

 

「コノ バスニハ バクダンガ シカケテ アリマス」

 

 勝手にスピーカーモードになって合成音声が流れ始めた。おいおいマジかよ。この声ってチャリジャック(武偵殺し)の合成音声じゃねえか!

 

『意外と早かったな。もう少し時間かかるかと思ってたけど』

 

 何がだ?

 

『いやチャリジャックされたんだから狙いはオレ(キンジ)と考えるのが自然だろ?で、今回周りを見る限り一年が多いとなると』

 

 俺が逃げないようにするための人質兼足枷(ハンデ)といった所か。武偵殺しも俺のこと過剰評価してるな。俺は普通の武偵なのに

 

嘘つけ(ダウト)

 

 そこは同意してくれよ・・・・・・。

 

『嫌だね。それよりオロオロしてる役立たず共をまとめろよ。指示するくらいできるだろ』

 

 ギンは口の悪さ直せ、後で絶対問題になる。

 

『断る』

 

 少しは考えるフリくらいしろよ。まあいい。

 

「悪いけど電話借りるぞ?」

「は、はい!先輩にお願いします!」

 

 後輩から預かった脅迫電話がかかって来てる電話を片手にバスの中全員に聞こえるように何を言えばいい?

 

『とりあえず要求に従うことと爆弾探すことだろう』

 

 指示を出す。

 

「とりあえず事実かどうかは「ジジツ ダ」知らないが要求に従う!手分けして爆弾を探してくれ!」

「わかりました!」

『ん?携帯なってるぜ?』

「なんだ?武偵殺し」

「ツギハ サセツ シヤガリ ヤガレデス」

『いやそっちじゃなくてキンジの携帯な』

 

 ほんとだ大変な状況だったから気付かなかった。このままだと連絡取れないなよし!

 

「運転手さん次の角を左折してくれ!」

「わ、わかりました!」

 

 とりあえず電話に出ようとしてハタと気づく。

 

「ん?おい武偵殺し。俺に電話来てるけど出ていいか?」

「ダメニ キマッテ ヤガリマス」

「だよな。おい武藤!武偵殺しの携帯(これ)頼む」

「おい!投げんな!?」

武偵殺し(それ)を聞いて運転手に指示しろ!『あとよろしく』」

「無茶苦茶いうなお前!?キンジは何するんだ!?」

「とりあえず救援を「キュウエンヲ ヨンダラ バクハツ サセマス」だろうな。それなら―――?」

 

 チラッと窓の外を見た時になにか違和感を感じて、外を見るとUZIを搭載した無人の車が見張るように追走していることに気づき

 

「伏せろおおおおおお!!」

 

 そう叫んで近くの生徒を押し倒すと同時にラジコンからの銃撃がバスを襲い、ガラスが割れる音と聞きなれた銃声が一度止まるのを察知するとすぐに声をあげる。

 

「被害報告!」

「こっちは無事です!」「あーびっくりした」「軽傷者三名!すぐに応急処置をします!」「かすり傷だ!要らん!」「窓ガラスが割れてます!」「こちらは軽傷者二名!無視できるレベルです!」「おい!?割れた破片刺さってんだけど!?」「重傷者はいません!」「ねえ聞いて!?」

 

 どうやら、ヤバい怪我を負った奴はいないらしい。どうやら殺す意思はなかったようだし、威嚇射撃だったのだろうか?それはともかく

 

「よし!なら銃撃を受けない範囲で爆弾捜索を再開してくれ!」

『なんか映画みたいだな』

 

 ギンはもう少し緊張感持てよ。




中途半端だな


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暴走するバスの戦い~爆発~

しばらくぶりの更新な気がする


 運転手さんの精神が持ちそうになかったので武藤に運転を変わらせて要求通りに走らせながら銃撃戦を行っていた。

 

 朝から乗ったバスには爆弾が取り付けられて、ラジコンで追い回されて打つ手なし状態の俺にもようやく運が回ってきたらしい。

 

『武偵校のヘリだな。警察も動いてるっぽいしなんとかいけるか?』

 

 ああ。救援に来た奴らにどうにかして貰おう。

 

『弱腰だなあ』

 

 五月蠅い。これが俺の限界なんだよ。

 

 また窓から身体を乗り出し、武偵殺しのラジコンへ牽制射撃をする。たまたまタイヤにあたったのかUZIを乗せたルノーはバランスを崩してスピンしていく。ようやく一台倒せたな。

 

『同じのがあと三台は追って来てますが』

 

 言うな。

 

『無駄弾の撃ちすぎでベレッタの弾がもうないじゃないか』

 

 言うなって言ってんだろ!

 

 ジリ貧な事に後輩たちが気づいたらパニックになるかもしれない。余裕があるように見せかけないとやばい。高校から武偵になった人間も多数いるんだそんな奴らにカッコ悪いとこ見せられるか!

 

『いい感じに武偵っぽくなってるなあ』

 

 なんだよ?

 

『何でもねえよ。それより援軍が来たみたいだぞ』

 

 援軍?それってd(ゲシィッ

 

「バカキンジ!居るなら連絡寄こしなさい!」

 

 人の顔面に蹴りを入れながら飛び込んできたアリアに吹っ飛ばされた。気を抜いてたところに攻撃を受けたため不意打ちとして十分に機能している。

 つまり気絶してもおかしなことではないのだムキュウ……

 

 

 

 

 

「起きなさいバカキンジ!」

 

 ゲフウ!?

 

「・・・・・・・・荒っぽい目覚ましだな」

「なに気絶してるのよ!」

『お前のせいだろ』

 

 ギンはちょっと黙ってろ。

 

「悪いちょっと意識が飛んでた。それよりどうやって移ってきたんだ?外にはラジコンがいたはずだが」

「大したことなかったわよ」

「マジかよ」

 

 俺があんなに苦労したってのに。

 

『いや御守(役立たず)がいなかったらもっとうまく動けただろう』

 

 そうかもしれないな。

 

「状況は?」

「よくないわね。あのオモチャを一瞬だけ黙らせてこのバスに乗り移ったけど爆弾は車内には無いってこと以外わかってないわ」

「外を探そうにもあのラジコンが邪魔となってるわけか」

 

 そう言った瞬間にまた射撃が再開される聞いてたのか?

 

「そういうことよ。それにあまり時間もないわ」

「どういうことだ?」

「このバスの進路からして都心に向かうつもりよ!」

「マジかよ・・・・・・・・」

 

 確かに思い返してもバスの進路は学園島を最短で出て都心へ向かうルートを通ってる。これはマズい。

 

「武藤!本当にそんな風に誘導されてるのか!?」

「あぁ。もうすぐレインボーブリッジだ!レインボーブリッジを抜けたらどこ行っても人だらけだ!大惨事になるぞ!」

 

 俺より道に詳しい車輌科(ロジ)の武藤が言うってことは本当にヤバいって事か。

 マズいな爆弾の場所もわかって無いのにこのままだと大惨事になりかねない。どうすれば『大雑把な目安はつけられるけどな』——え?

 

『二度手間になるし変われ』

 

 あぁ、わかった

 

「私は車外を探すわ!キンジ援護しなさい(アシスト)!」

「ちょい待てピンクチビ」

 

 飛び出していこうとしたピンクチビを捕まえる。

 

「爆弾の場所が大体予想できた」

「それを先に言いなさいよ!」

『いや勝手に飛び出していこうとしたんじゃねーか』

 

 ホントにこいつ勝手だよな。というか作戦会議(ブリーフィング)なしに好き勝手に動かれて邪魔しあって自滅しかねないし。

 

「あのラジコンはバスのタイヤより上しか狙ってない。意図的に当てないようにしている感じだな」

「バスに爆弾を設置するならバスの下か荷物に偽装するのが普通ね。それだけかしら?」

「それぐらいだな。上にないことがわかったんだ探す手間が省けたろ」

「ヘリからと確認したときにそれくらい確認してるわよ!そんな少し考えればわかるでしょバカキンジ!」

『ぐはぁ!?』

 

 なんでこいつダメージ喰らってるんだろうか?

 

「あとあのラジコン相手にしてたからオレは弾切れ」

「ああそう――ってそっちの方が重要じゃない!」

「話も聞かずに飛び出そうとするからだ。つーわけで援護は難しいな」

 

 これに関して本当にどうしようもない。

 銃撃戦で銃の無い武偵は邪魔にならないようにするのが精一杯だ。

 

「役立たず」

「返す言葉もない」

「遠山先輩!」

「ん?」

 

 振り返ると数人の一年が立っていた。

 

「何?」

「これ俺達の銃弾です!」

「あん?どうした?」

「ここまで俺達はなんの役に立ってません。俺達にはこれくらいしかできません!お願いします助けて下さい!」

「・・・・・・・・」

 

 そんなこと言われてもねえ。

 なんか助ける気失せてきたんだが。

 

『いや助けてやれよ!?』

 

 そう言われてもなあ。

 人から言われたらやる気が失せるじゃん。

 親から宿題しろって言われたらやる気失せるじゃんそんな感じ。

 

『俺達そんな経験ないんだが・・・・・・・・』

 

 例えだ例え。

 

「あの・・・・・・・・先輩?」

「あぁ、何でもない。助かる」

「よろしくお願いします!」

『素直じゃないな』

 

 じゃあ残りお前がやれ。

 

『おい、ちょっm』

 

また勝手に入れ替わりやがった。

 あいつ自分勝手すぎるだろ!

 

「キンジ!一旦あのオモチャを撤退させるわよ!そうすれば下を調べられるわ!」

「わかった。援護する。無線の予備はあるか?」

「これを使いなさい!」

 

 そう言って投げ渡された無線を装着し銃撃戦に再参加する。

 

〈キンジさん聞こえますか〉

「その声はレキか?」

〈はい〉

 

 銃撃戦のさなかに聞こえた無線に応答するために射撃の手を止める。

 

 レキ・狙撃科(スナイプ)の麒麟児として注目されているSランク武偵だ。

 何を考えてるのかわからないところは困るが任務となると頼りになる。成果で示すタイプだ。

 

〈あのUZIを破壊しますのでその間に確認してください〉

「わかった。助かる」

〈――私は一発の銃弾〉

 

 ターーン ターーン ターーン

 

 レキの銃撃で三台のラジコンについていた銃を破壊する。

 

『相変わらずバカげた命中率だ』

 

 そう言うな。助かってるんだからよ。

 

〈good!〉

 

 銃を壊されたラジコンが撤退するのに合わせてアリアが飛び出し、ぶら下がるように車体の下を除き込む。

 

〈あったわ!カジンスキーβ型のプラスチック爆弾(Composition4)、「武偵殺し」の十八番よ。炸薬の容積はおよそ3500立法センチはあるわ!〉

 

 その無線を聞いて気が遠くなる。

 バスどころか電車すら木っ端微塵になる容量じゃないか!バスだけじゃなくて周りまで吹っ飛ぶぞ。

 

〈解体を試みるわ!〉

『そろそろレインボーブリッジだぞ。そこでケリつけなかったら大惨事だな』

 

 それを聞いて慌てて車外の風景を確認する。

 確かに数分もしないうちにレインボーブリッジに入る。そこで何とかしないと。

 

『明日の新聞に大失態として貶められんのかなあ?』

 

 おいギン。

 ――――いい加減にしろ

 

『おぉ、コワイコワイ。役立たずが怯えるからヤメとけ』

 

 ―――ッ!

 スマン。

 カッとなった

 

『別に構わねえよ。でもどうすんだ?もうレインボーブリッジに入るぞ』

 

 警察の交通整理のおかげでレインボーブリッジに他の車は無い。そこでケリをつけろと言うことだろう。

 最悪、ダメージコントロールの為に殺されるかもしれない。

 

「アリア!解体できそうか!?」

〈厳しいわね時間が足りないわ〉

「そうか・・・・・・」

 

 クソッ。どうすればいい。俺に爆弾解体のスキルは無いし―――!

 

「危ないアリア!」

「きゃあ!?」

 

 ズガガガガガッ

 

 ラジコンの新手が現れたことに気づいてアリアを引っ張り上げて回収する。

 

「助かったわ」

「ああ。状況は悪化したけどな」

 

 この状況だと爆弾解体は難しいし、ラジコンを倒すのに専念したとしてもレインボーブリッジ内で爆弾の向こうかは難しい。

 

『あー、ちょっといいか?』

 

 なんだギン。

 

『レキに狙撃させて爆弾を海に落としたらどうだ?』

 

 ・・・・・・・・。

 

「レキ」

〈なんですか?〉

 

 武偵殺しに聞こえないように声を潜めて無線で質問する。

 

「狙撃で爆弾を海に落とせるか?」

〈わかりました〉

 

 いや、やれとはまだ言ってないんだが。

 やってくれるなら話は早い。

 

「アリア。その間あのラジコンをぶっ壊すぞ!」

「え、えぇ。わかったわ」

 

〈――私は一発の銃弾〉

 

 武偵校のヘリが並走し、片膝を立てたレキが見える。

 

〈銃弾は人の心を持たない。故になにも考えない――〉

 

 それに合わせるように身を乗り出し、ラジコンに銃撃して注意を引きつける。

 

〈――ただ、目的に向かって飛ぶだけ〉

 

 連続して高らかに銃声が響くたびに部品が壊れる音がして、それに気づいたらしいラジコンが銃口をヘリに向けようようとした瞬間。

 

  ――――ドオォォォォォォン

 

 爆音とともに大きな揺れと水しぶきが上がり、それに合わせてラジコンがぶっ壊れる。

 俺かアリアの弾が直撃したのだろう。

 

「武藤。爆弾の脅威は無くなったから止めろ」

「了解」

「・・・・・・・・」

 

 物憂げな雰囲気を醸し出すアリアをよそに、遠巻きに観察していたらしい警察や東京武偵局の人間が集まってくる。

 こうして武偵殺しのバスジャック事件は終息した。




有能気味のキンジをイメージしました


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