金なんて要らねえと言える医者になるために (ちゃぱん)
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1話
「なんでだよ先生!!なんでこいつを助けてくれねえんだ!!」
一人の少年は医者に向かって叫んでいた。
少年に取ってこの医者は最後の希望だったから。親友を突然襲った病。--不治の病なら少年も諦めが付いただろう。だが親友を苦しめている病は決して不治と言うことはない病気。・・・ただし
「すまないがこの病を治すのには莫大な治療費が必要になるんだ。お金を出せないなら手術は出来ない」
金
親友を助けるには莫大な金が掛かる。そのお金は少年は勿論、親友の両親ですら払えない。
助けることが出来るのに金がないから助けることが出来ない。・・・俺が金がないから・・・
少年はただ自分の無力さを助けない医者を恨むしか出来なかった
「す、すまねえ・・・オレが、金さえあったら」
金がないなら手術をしない。そう言っていた医者は払えないことが分かると何も言わずにすぐさま帰って行った。残された少年は親友に泣きながら謝り続けた。すまねえ、すまねえ
そんな少年に親友は苦しいはずなのに笑い、そして「大丈夫だよ」。喋れない親友が無理をして弱弱しい声で少年を慰める
「や、やめろよ!!無理するな!!絶対助けるから!!だから!!そんな・・・もう死ぬみたいに笑うんじゃねえよ!!」
親友は分かっていた。自分の死期が近いことも・・・少年がそれに気づいていたことも。だから親友は願った。・・・最後に笑った少年が見たいと。自分にとって両親よりも大切な親友に幸せがあるようにと・・・
「お、おい。何冗談やってんだよ。・・・起きろよ!!頼む!!起きてくれ!!お、オレを一人にしないでくれえ」
親友が目を閉じゆっくりと意識を飛ばす。疲れて寝たのかもしれない。・・・でも少年は直感で分かってしまった。彼は死んだのだと
死んだ親友に近づき少年は涙が流れている自身の目元を拭き。こみ上げる涙を堪え親友の遺体を抱きしめる
その時、少年の心には一つの負の感情がある行動を取らせた。
「待ってろ親友。お前の仇とってやるから」
少年を駆け出した。その目は狂気に染まっていた。
親友の自宅を出た少年は復讐という狂気の赴くまま親友を見殺しにした医師を探していた。手にはナイフを持ちただ見捨てた医師を殺すためだけに動く。
医師は何故か直ぐに見つかった。何故探せたのかは少年はわからない。ただ感じ取れたのだ、後に少年はそれが”念”と言われる技法を無意識に使っていたことが分かるが当時の少年にはそれを知る由もなかった。
医師を見つけた少年の行動は早かった。背後から近づき医師の首筋にナイフを刺そうとする。
「なっ!?君は!?」
近づいてきた少年にギリギリで気づいた医師はナイフを掠りながらもなんとか致命傷を避ける
「ま、まて少年!!あの子供のことは残念に思っているがこちらにも事情が」
必死に少年を説得しようとする医師は大人として当たり前の行動を取っていた。癇癪を起こしている子供を宥める、納得できなくてもこれが世界の常識なのだと
だが、少年はまだ幼い。大人の事情など知らない。だからこそ少年は止まらない。
医師は恐らく戦いなれていないのだろう。子供とは言え無意識の内に念を使っている攻撃を防ぐことは医師には出来ずナイフをいなす事が出来なかった。
「これで終わるよ親友」
少年の目には光がなかった。ただただ医師の体をナイフで切り続け手足を動かなくしてから命乞いすらしない医師の頭に向かってナイフを突き刺す
「・・・だれ?」
少年は不思議な体験をした。自分は医師を殺すつもりでナイフを突き刺した。・・・でも今、自分の体が動かない。ナイフは医師の頭に当たる寸前で止まっていてどう足掻こうとも動かなかった。
そしてまた何となくだが後ろに誰かがいて自分の邪魔をしていることがわかった。だから後ろに向かって声を掛ける
「私は難病ハンターのチードルよ。今、貴方が殺そうとしている男の上司ってとこかしら」
聞こえてきた声は女の声だった。女はチードルと名乗りこの医師の上司だと言う。・・・なら敵か・・・
少年は動かない体を無理やり動かそうとする。無理に動かそうとしているからか体が軋む、血が噴き出してもきた・・・でも関係ない
「ごめんなさい」
「!?」
少年の体を何かが包む。チードルの声が聞こえたとき少年は抱きしめられているのだと気が付く。
「貴方やお友達のことは彼から聞いているわ。本当にゴメンナサイ」
だから死のうとしないで。・・・チードルの言葉が少年の心に響く。
少年の目からはこらえていた涙が溢れる。・・・死にたかった。親友が居ない世界など意味がないと少年はそう思ってしまった
復讐をするために飛び出したのも医師やその仲間に殺してもらおうと思ったからの行動だった
泣き崩れた少年にチードルは抱きしめながら謝罪の言葉を続けそして少年に話しかける
「私が、私が貴方に全てを教えます!!もう子供にこんな思いをさせないためにあなた自身が医者になりなさい」
「お、オレは・・・」
「名前を教えて頂戴」
「レ、レオリオ」
名前を聞いたチードルは少年・・・レオリオの頭を撫でる
「世界一のドクターになりなさいレオリオ。その為なら私は全てを貴方に捧げます」
レオリオはその時のチードルを見たときその優しい笑顔に見惚れてしまった。そして少年は決心した。
金に困っている患者やその保護者に金なんていらねえと言える医者になってやると
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2話
遅れた理由はオリキャラの名前を考えてたら1週間たってました
「此処に来るのも3年ぶりか」
あの日から3年の月日がたった。あの時、・・・親友を亡くした少年は青年へと成長していた。
彼はあの日から難病ハンターチードルの下で厳しい修行と医者になるための勉強をしていた。少年にとってチードルの下にいた3年は短くも濃い時間だった。
久しぶりに故郷に帰ってきたレオリオは親友の墓が出来ていたことに驚いていたが素直に墓参りに訪れていた。
「なあピエトロ。・・・オレ、強くなったんだぜ。今の俺があの時にいたら笑ってお前のこと治せるくらいに強くなったんだ・・・おせえよな」
そう言ってレオリオは墓の前で笑う。その顔からは感情を読み取ることは出来ない
「先生。・・・チードルって言うんだけどさ。その人がむちゃくちゃでさ15の俺に色々教えるんだわ。ハンターたるものとか医者ならとかさ、正直うざい時もあるけど俺の目標なんだ。・・・だからさ」
今まで悲しそうな顔やただ笑うしかしてこなかったレオリオは初めて本当の笑顔を親友に見せる。
「オレ、ハンターになるよ。10代の俺が医者になるにはハンターになるのが近道らしんだわ。ハンターになってお前みたいな子供を患者を絶対救ってみせる。・・・だからさ、もう少し生きてみようと思う。ソッチに行くのはかなり後だと思うけど待っててくれ」
言いたいことが終わったのかレオリオは墓に背を向け歩き出す。
少し歩いた先に一台の車が止まっていた。その近くに男が立っておりレオリオに手を挙げ合図を送ってくる
「もう挨拶は済んだのかいレオリオ?」
「あぁ。それよりアンタが迎えか。先生も人が悪い」
レオリオの言葉に男は苦笑いを浮かべる。男は3年前、ピエトロを見捨てレオリオに殺されかけた医者だった。チードルの弟子の中では男はレオリオと年が近く、仕事で一緒になることは多かったが今回の迎えに男を寄越したことにレオリオは自分の師の人選を疑っていた
「君が考えていることは分かる。だからこそ先生に頼んで君の迎えを申し出たんだよ」
「へー。なんでまた?」
男はタバコを咥える。レオリオの質問に静かに答える
「私はあの時の事を後悔なんてしていないんだ。もし・・・時間が戻ったとしても私は同じことをしただろう。例え君に殺されたとしてもね」
男はレオリオを見つめる。自分はあの時、医者として当たり前のことをしたと。男の眼は自信と覚悟が備わっていた
「いいかいレオリオ。確かに君の理想は素晴らしい。でも、私たち医者はすべてを救うわけじゃない。・・・救えるのはほんの一握りの人間だけだ」
この3年、何回も言われた事。この男が言っていることはいつも正しくて俺が間違っていると。男はいつもレオリオを諭していた
「それでもオレは」
「いや、分かっていない」
言葉を被せレオリオの言い分を全く聞かづ男はレオリオの襟元に掴みかかる
「逆上せ上るなよレオリオ!!確かにお前は才能がある。一流の医者にもなれるだろう!!だがな!!所詮人間に出来ることなんて限られているんだ。・・・だから救えない命までお前が背負う必要なんてないじゃないか」
襟元を掴んでいる手の力が増す。知っていた。この男がいつもオレを心配していてくれていたことも、バカな道に行こうとしているオレを先生と同じくらい理解していてくれていることも。
「お前の理想はいつかお前を殺す、僕はお前に死んで欲しくないんだ」
懇願するように男はレオリオに言う。諦めてくれと
思えばいつもそうだった。出会ったときには憎かった、だから殺そうとも思った。事実、殺しかけた。本来なら男がレオリオにここまで肩入れするのは普通じゃない。でも男はレオリオを許した。先生に弟子入りして周りがバカにした理想も男だけは受け止めその上で説教をしてくれた。レオリオにとってこの男の言葉は先生と同じくらい心に響くものになっていた。
「それでも俺はその道に行きたいんだルシアンさん」
ルシアン・・・男の名前でありレオリオが初めて呼んだ男の名前であった。名前を呼ばれたルシアンはレオリオの覚悟を感じ取ったのか掴んでいた手を放しため息をつくと呆れた笑みを浮かべる
「ハアー。まったく。君はいつも私の言葉を聞かないんだな。もう勝手にすればいい。・・・ただ」
ルシアンは車に乗ろうとしてレオリオに背を向け最後に一言だけレオリオに言い放つ
「ただ、もしお前がその道に挫折したときは僕が面倒を見てあげるよ」
ねつ造設定
ルシアン・・・レオリオの兄弟子。ピエトロの手術をしなかった医師。レオリオの事は弟のように可愛がっているがピエトロの件で素直に可愛がれていない。レオリオの理解者2
ピエトロ・・・レオリオの親友
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3話
レオリオさん最初から念使えます。師匠はあの方なのです
ルシアンの車で移動している間、レオリオとルシアンの2人は話をしていた
「ところでレオリオは能力を開発したのかい?」
「いや、先生からは早く作れって言われてるんだがなかなか上手くいかねえ」
レオリオがチ―ドルに教えてもらっていたのは医療関係だけではなく”念”と言われるハンターに必須の技法も学んでいた。本来、ハンターになった後に覚えるはずの技法を何故レオリオも覚えているかというと彼の師匠曰く『私の弟子がハンター試験に落ちるなどありえない』との事だそうだ
念の基本である四大行を納めることに成功しているレオリオは師匠であるチ―ドルに”発”の開発を命じられていた。
「ルシアンさんは能力考えるのどれくらいかかったんだ?」
「私か?ふむ。私の場合は最初から考えていたこともあってか作るの事態は早かったよ。君と出会った時には開発できていたよ」
「へー。・・・ん?ちょっと待て。あの時、念を使えたのにオレに殺されかけたのか?」
「ははっ。あの時は不意打ちだったからね念を使う暇が無かったんだよ」
笑いながらレオリオの質問を流すがルシアンが3年前、念を使わなかった・・・いや、使えなかった理由は不意打ちではなかった。その理由はすでにルシアンは把握しておりそれをレオリオに教えれば彼の能力開発にもかなりの役に立つがルシアンはまだ早いと教えることはしていなかった。
「それよりどうするレオリオ。このまま会場に行くかい?それとも当初の予定道理くじら島に行ってナビゲーター探すかい?」
「ナビゲーター?」
「なんだ知らないのかい?会場に案内してくれる人間をナビゲーターと言ってそれを探すのがハンター試験の予選のようなものなんだよ。・・・まあ本来ならね」
ルシアンの意味深な言葉にレオリオが顔をしかめる。おそらく彼はなんとなくこの兄弟子が言っていることが分かったのだろう
「あんたがナビゲーターってことか?」
「うん、惜しいね。私はナビゲーターじゃないよ。ただ私たちの師匠は誰だったかな?」
「なるほど」
今度は完璧に分かったとレオリオは頷く。二人の師はハンター協会の中でも数人しかいない三ツ星ハンターであり十二支んの一人である。数多くいる弟子の中でもレオリオやルシアンはチ―ドルが常に近くに置いていることもあり教会内ではレオリオへの期待が大きく、誰かがルシアンに試験会場をリークしたのだろうとレオリオは考察していた
「アンタも人が悪いな。その質問にオレがどう答えるかぐらいわかんだろ」
「フフッ。そうだね。君は先生のコネを使うのを何よりも拒んでいるし、今回も当然、くじら島からのスタートかな」
レオリオの言葉を聞いた兄弟子は分かっていたがいちよう聞いたと笑いながら答える。
そうこうしているうちに車は目的地の船場に来ていた。くじら島に行くのにはここで船に乗り移動をしなければならない
「くじら島にはこの船に乗って8時間ぐらいすれば着くよ。・・・じゃあレオリオ。健闘を祈っているよ」
車からレオリオを降ろしたルシアンは親指を立てそう言い残しその場を去る。相変わらず師を含めた全員がキャラが統一されていないなと思いながらもレオリオは船に乗り込んだ。
くじら島に移動している最中、レオリオは”念”について考える。自分だけの武器とも言える能力をどう考えるか。もし命を懸けるような能力を考えればそのリスクに合った高品質な能力が出来るだろう。・・・だがレオリオはそんな馬鹿なことをする奴などこの世に存在するわけが無いと、もしそんな奴が現れたらオレが殺してでも止めるとそう思っていた。
レオリオの系統は強化系よりの放出系。正直、彼は変化形がよかったとそう思っていたが、そこは仕方ないと割り切り能力を考え始める。方向性は決まっている、自分は医者だ。攻撃の能力なんて作っても仕方ない。全ては病気を傷を治す。ただそれだけの能力を考える。・・・ん?
「・・・これだ」
考えてみれば当然だとレオリオは思った。自分は金に困っている子供達を助ける為に医者になろうとしているんだ。戦いなんて関係ない
だから誓約は『念に関する物で人に攻撃または相手に害を及ぼした場合、自分にダメージを負う』
簡単に言えば、念で相手を攻撃すれば自分が傷つくって事だ。まあガードの際の念は例外だから堅でガードしても誓約には引っかからない。
俺の考えている能力は怪我人に自分のオーラを放ち、当たった相手の細胞を強化、再生をし自然治癒を強めて
傷を治癒する感じで行こうと思っている。
「間も無く、くじら島です。御降りになられるお客様はご準備ください」
能力を考えていたら着いたらしい。このハンター試験の間に能力を使えるレベルに持っていかないとな
他も考えるが基本の能力はこれで行こう。
ねつ造設定
レオリオ・・・放出系。四大行はマスター済み。応用もそれなにりに出来るが流は苦手
能力
『癒しの息吹』
放出したオーラで相手の傷や病気を治す能力。ほとんどの傷、病気を治すことが出来るが症状によって完治時間が延びる
誓約
自分が念を用いて故意に相手を攻撃した場合、自分の体に瀕死級のダメージを負う。ただし攻撃をガードする際の念は例外
大天使の息吹よりは高性能ではないと思ってください
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