月が見ていた物語 〜History of KOUMAKAN〜 (春の嵐)
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プロローグ:とある吸血鬼の想い
この度は私の処女作『月が見ていた物語 〜History of KOUMAKAN〜』を読もうとして下さり、ありがとうございます!
まだまだ稚拙な文章ですが楽しんで頂ければ幸いです。
今回はちょっと短いですが…よろしくお願いします。
皆さんは『幻想郷』をご存知だろうか?
忘れ去られた者達が最後に辿り着く小さな箱庭ーーそれが幻想郷である。
ーー例えば怪力で日本の多くの昔話に悪役として出てくる『鬼』。
ーー 例えば西洋の有名な悪役で箒に乗った姿が有名な『魔女』。
『フランケンシュタイン』『ゾンビ』『狼男』『唐傘お化け』『化け猫』『九尾狐』『天狗』『因幡兎』『天使』『悪魔』『フェアリー』などなど…。そして神様なども皆々虚構の存在として忘れ去られている。幼い頃であればまだしも年を経るにつれて忘れ去っていく。そうして『恐れ』や『信仰心』を失った妖怪や神様達は、存在が消えて…或いは消える前に幻想郷に誘われていくのだ。
そしてそれは怪異の王ーー吸血鬼であっても同じ。彼等は今、幻想郷へと向かおうとしていたーー侵略者と言う形で。
その中心で一人の少女が玉座に座っていた。まだ幼な子のような見た目だがその身からでる覇気は大きな力と邪悪さを感じさせられた。
青みを帯びた銀髪。血のような赤い瞳。ピンクの可愛らしい服に身を包んだ手足は陶器よりも白かった。ーーだが普段の彼女を知っている者は分かるだろう。その全てがどこかくすみ、まるで別人のようになっている事に。その服の下が傷の治りかけで酷い状態になっている事に。真の彼女が内側に閉じ込められている事に。
(この大群に一人で立ち向かうのは無謀だったわね。分かっていた事だけれど。)
内側ーー閉じ込められた精神世界でレミリア・スカーレットは思う。そう、今の彼女は体を操られていた。おまけに禍々しい力を流しこまれ、身体的にキツイ状態だった。今はまだ大丈夫だが、この力を保持し続ける事が限界になるのも時間の問題だろう。レミリアは他人事のように思う。実際の所、彼女は彼女自身の事はどうでも良かった。彼女が考えていたのは別の事。
(あの子達は逃げられたかしら?予想より早く倒されちゃったし、無事だと良いのだけれど…)
もうちょっと持ち堪えるべきだったわね。そう独りごちる彼女の脳裏には、愛する家族達の姿があった。
家族を守る事ーーそれは彼女にとって最も大切な事だった。過去に起きた様々な事件…それによって幸せだった家族は絶望へと叩き落とされた。その時何も出来なかった自らを彼女は忘れはしない。
特に愛する妹ーーフランドール・スカーレットは今も尚その所為で苦しんでいる。
今度こそ守り切るのだ。もう二度と愛する家族達を傷付けさせはしない!その為ならば自らの苦しみなどどうという事はない。
そんな決意を胸に彼女は今も逆襲の機会を窺っていた。出来るだけ彼等の進行の邪魔をして自らに注意を惹き付けなければ。だが残念ながらこの術は中々解けない。レミリアは魔法のスペシャリストではない。だから手探りで解いていくしかなかった。手探りしながら彼女は妹に想いを馳せる。
(フラン。貴女もこんな風に苦しんでいたのね…。頼りない姉でごめんなさい。大丈夫。生きて帰るわ。ーーだから貴女達も無事でいて…。馬鹿な姉に今までの事を謝らさせて…。)
彼女の脳裏に思い出が浮かび上がる。
それは幸せと絶望の記憶…だが決して失いたくない記憶だった…
いかがでしたか?
勉強もあるので慣れない内は不定期更新となりますが、楽しみにして頂けると幸いです。
感想は受け付けております。褒めて頂けると泣いて喜びます。何か気付いた事が有れば注意して頂けるとありがたいです。
それでは、次回もお楽しみに‼︎
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あの満月の日 あの十六夜の月の時
いきなり感想がきてテンションが上がりっぱなしです!それで、そのままの勢いで執筆してます。
褒められるのってめっちゃ嬉しいですね。勿論直す所も注意されましたけど…。
今回はほのぼの系…になるはずだったのにどうしてこうなった⁉︎
それからオリキャラが出ます!
ではどうぞ!
ーーあの満月の日…私は『お姉ちゃん』になった。
ーーあの十六夜の月が照らす中…私は『お姉ちゃん』に出会った。
SIDE レミリア
「わぁ‼︎可愛い‼︎この子が私の妹なの、お母様⁉︎」
「ええ、そうよ。貴女の妹ーーフランドールよ。まだ小さいから優しくしてあげてね?」
「うん!いっ〜ぱい遊んで、いっ〜ぱいお話するの‼︎それから何かあった時は私が助けるの‼︎」
「ふふふ♪頼りにしてるわよ、お姉ちゃん?」
私はお姉ちゃんだ。だから…
「知らない人を妹を会わせる訳にはいかない!帰って下さい。」
この女の子をフランの所に行かせるもんか!
「えっと…どうしたらいいのかしら?」
今、私の前にいる女の子ーー綺麗な長い銀髪の吸血鬼ーーは困惑している。起きてお母様達の所に行こうとしたらこの子がいた。何故こんな所にいるのかは分からない。でも、お母様達の所にこんな不審者を行かせられない。じっと睨み付けて威嚇する。まだ私は幼い。でも最大の力で威圧すれば多少たじろがさせる事は可能だ。力を少しずつ上げていく。そして…
「どうした、レミリア?」
お父様が来た‼︎お父様、不審者だよ!
「おや、ルミエラどうした?ジットは一緒じゃないのか?」
…ええ?…お父様の…お友達…?…ってどうしよう⁉︎
「ご、ごめんなさい!お父様のお客様とは知らなくて…。」
私の言葉でお父様も女の子も納得の表情を見せる。ちょっとお父様‼︎笑わないで〜‼︎
「すまないなルミエラ。どうやら警戒したらしい。…ククッ。」
「いえ、大丈夫ですわ。気にしないで下さい。後笑うのは可哀想ですわ。必死に妹を守ろうとしたんですもの。寧ろ褒めてあげて下さいな、ワイザック伯父様。」
柔らかな笑みを浮かべる女の子ーールミエラさんは羞恥に悶える私を見ながら声をかけてくる。
「初めまして、レミリア。私はルミエラ・ハイドラントと言います。貴女のお父様と私のお父様が御親友どうしなので、その繋がりでお母様方とも仲良くさせていただいておりますわ。今回は御祝いに来させていただきました。よろしくお願いしますね。」
これが私とお姉様…ルミエラお姉様との出会い。
私の忘れられない大切な家族の一人。
いや、私だけじゃない。お父様やお母様。そしてフランにとっても大切な人達…。
私は感謝している。そして同時に…ルミエラお姉様達を恨んでいる。
だって…
もちろんこれはもしもの話。でも、お姉様がいなくなった時…一番苦しんだのはフランだっただろうから。
いや、これは逃げだ。私の所為だと思いたくない私の逃げだ。それでも…私はこの事を思い出す時、複雑な気持ちになる。
最後が少しシリアス。アレ?しばらくほのぼのじゃなかったっけ?
次回こそ完全なほのぼの系…の筈…きっと…メイビー…。
あ、ルミエラの見た目です。
・長い銀髪をそのまま降ろした15歳位の見た目の少女。翼は特徴的で白と赤の翼が4対生えている。めっちゃ美人。
こんな感じです。分かりにくいかな?(苦笑い
次回もお楽しみに!
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望月の日々
今回はほのぼの?になりました。いい加減にちゃんとしたほのぼの書けや、私。
サブタイの望月は満月の事です。満ち足りた幸せを表しています。
それではどうぞ‼︎
あの出会いから5年…
SIDEレミリア
「ルミィ、久しぶり‼︎そっちは変わらず?」
「えぇ、変わりませんわ。相変わらずお元気そうですわね、レミィ。」
私とルミィーールミエラが仲良くなって5年。スカーレット家とハイドラント家の交流は盛んになっていた。まぁ元々私のお父様である『ワイザック・スカーレット』とルミィのお父様である『スタルジット・ハイドラント』は親友同士。行き来する回数が増えただけで関係としては、余り変わっていないのかもしれない。
「お姉様〜!ルミィ〜!あそ『フラン!挨拶が先でしょう?』…えっと、お久し振りですルミエラ様。本日は来て下さってありがとうございます。…これでいい?」
「えぇ、良いわよ。凄いじゃない。」(ナデナデ
「ふふっ。ご丁寧にありがとうございます、フランドール。今日は楽しませていただきますね。」
「うん‼︎早く遊ぼう!お母様がお人形作ってくれたの!それで遊ぼっ‼︎」(タタタッ
「はいはい、急がないの。忙しないわねぇ。…行きましょ、ルミィ。案内するわ。」
「えぇ、お願いするわ。」
フランは特に可愛がられている。まぁ当然ね‼︎私の妹は世界一だもの‼︎お転婆な所も賢い所も世界一可愛い…!
閑話休題
ルミィが来た時は私とフランとルミィで沢山遊ぶ。と言うよりフランがはしゃぎまくるのだ。私とルミィはそれに付き合ったり、本を読んだりして1日中楽しむのだ。あぁ、それから…
「あら、フラン。そんなにはしゃいでるって事はルミィが来たの?」
「うんそうだよ、パチュリー‼︎後で図書館にも行くね!」
「パチュリー、お久し振りですわね。何か新しい本は入ったかしら?」
「えぇ!ニコラス・フラメルの錬金術の考え方を利用した、物質を他の物質に変える為の魔術倫理が載っているの!これを使えば出来る魔法も大幅に増えるわ!」
「あら、それは興味深いですわねぇ。後で少し見せて下さる?」
「勿論よ!早く意見を交換したいわ。」
パチュリー・ノーレッジ。この紅魔館の大図書館に住んでいる、生まれながらの魔女。私とも付き合いは長い。彼女もルミィと会える事を楽しみにしている1人だ。ルミィは魔術にも造詣が深く、来た時はいつも討論をしている。
でも多分一番楽しみにしているのは私だ。
私は結構無理しがちだと言われる。『スカーレット家の長女』であり『フランのお姉ちゃん』でもある私。スカーレット家は大貴族だ。ハイドラント家と1・2を争う位の。だからお客様の前では堂々とした『余所行きの自分』でいなければならない。何よりフランにカッコ悪い所は見せられない。その上お父様達に会って行く人達の目はドス黒い事が多い。媚びる目、挑戦的な目、利用しようとする目。憎悪や嫉妬に染まっている事もある。そしてそれを10歳である私に向けて来る者もいる。私はそれを華麗にかわして堂々としているのだ。別にもう慣れてはいる。でも疲れるのだ。王者の様に振舞うのは。だから取り繕う必要の無いルミィとの会話を楽しみにしている。いつも悩んでいる事、苦手な事、得意な事、自慢話…。ありとあらゆる話をルミィは聞いてくれる。だから私も本当の自分をさらけ出して楽しむ事が出来るのだ。
ああ、今日は何の話をしようかしら?
1日はあっという間に過ぎていく。
時が止まってしまえばいいのに…!
そんな事を思いながら
良く考えたら3日連続投稿ですね。多分詰まったら一気にペース落ちます。
次回もお楽しみに!
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ルミエラの能力
意味のない死亡フラグを立てた春の嵐です。
今回はルミエラの能力が出ます。
ではどうぞ!
「やっぱり一番大きな問題は燃費とそれによる恩恵のバランスが取れない事かしら?…あ!でもこっちを利用すれば何とか…。」
「パチュリー。それならこっちの方が良いのではありませんか?そちらだと魔力結晶のような物でサポートする事が必要でしょう?」
「あぁ…。それもそうね!じゃあこっちの理論を応用して…。」
「…ねぇ二人共?私達の事忘れてるって訳?」
「パチュリーとルミィの話よく分かんない…。」
「「あ…」」
「全く二人共…目の前の事に集中し過ぎよ!もう1時間は余裕で経ってるって言うのに…。30分の約束じゃあなかったかしら?」
今、私とフラン。それからルミィは図書館のパチュリーの所にいた。私達がフランの部屋で散々人形で遊んで、お話をして、絵を描いて…としている内にパチェーーパチュリーの事だーーがやって来た。何でも魔道書の中にちょっと気になる所があったらしい。30分の約束でそこについて話してくる…と部屋から出て行って早1時間。お菓子もあったが待ちきれず図書館にフランと突入…で、冒頭の会話に戻る。全く…目の前に行っても気付かずに話し続けるって…。ちょっと聞いてみていたけど全く解らない。良く二人は分かるわよね…。
「ごめんなさい、レミリア。フランも待たせてごめんなさい。ついついヒートアップしちゃって…。」
「…悪かったわ。」
「いや、別に構わないのよ?ただ約束しているのにそれを忘れてた事に怒っているだけ。」
「…本当にごめんなさい。」
割と本気でルミィがションボリしている。なので私とフランは機嫌を直す事にした。
「ねぇルミィ?何でルミィはこんな難しいお話分かるの?お姉様が言ってたよ?『吸血鬼には魔法の必要性が余り無いから魔法を知らないって人が多い』…って。ルミィは魔法の勉強しないといけない事情があるの?」
「あらフラン、賢いわねぇ…!頭の良い子に育ってくれて、お姉ちゃん嬉しいわ‼︎」(ナデナデ
「そうですわね、レミリア。…フランは私の能力の事知ってるかしら?」
「…能力?ううん、知らない。」
能力ーーそれは生まれつき、あるいは後天的に備わる力の事。妖怪だけでは無く、人間にも宿っている事がある力。吸血鬼にも能力持ちは多くいる。私のお父様もお母様も持っている。ーーと言うより強い吸血鬼の多くが能力を持っている。ーーその中でもルミィの能力は異質を放っていた。
「私の能力はーー『
月に愛される程度の能力。これはルミエラ・ハイドラントと言う吸血鬼を有名にしている理由の一つだった。
吸血鬼は月の魔力を借りる事が得意な種族だ。月の光によって回復力も力も妖力も格段に上がる。
ーーだがルミエラに比べれば些細な違いだ。彼女の力の上がり方は尋常ではない。他の吸血鬼が100まで上がるとするなら、ルミエラは10000まで上がるのだ。例え上半身が消えても、文字通り瞬きする間に回復してしまう。剣も指で挟むだけで折れてしまう。この力で怖いのは
勿論デメリットもある。それは月が出ていない時…力が一気に下がってしまう事だ。
ーーそれこそ
もしこの間に襲われればひとたまりも無い。月が出ていない時は回復力も周りの吸血鬼より大幅に下がる。だからーー
「私の一番の弱点は月が出ていない時…。ならそんな時でも戦える代わりの力があればいい。その力の答えがこれですわ。」
「そっか‼︎魔法を使って攻撃したり、傷を治せばいいんだね!」
「その通りですわ。」
「勉強熱心なおかげで私の実力も抜かされそうよ…。しかも月が出ている時は強力な月魔術まで使えるようになっちゃったから…夜に出会う敵が可哀想になってくるわ。」
「本当に強いわよねぇ、ルミィ。…私も頑張らなきゃ」
「ふふふ♪褒めても何も出ませんわ。後レミィは頑張り過ぎないで頂戴。」
「…そうね。気負い過ぎるのも良く無いわねぇ。じゃあ気負わない為にももう少し遊びましょうか‼︎」
「うん!あ、私鬼ごっこがしたい!パチュリーも一緒にやろうね!」
「フラン⁉︎私体力無いんだけど?」
「あら、良いじゃない!運動不足解消に丁度良いんじゃない、パチェ?」
「…私が死ぬ未来しか見えない。」
「…頑張って下さいな、パチュリー。あのフラン達のキラキラした目を見たら止められない事はわかるでしょう?」
「…もう嫌。」
そうして、満ち足りた時は過ぎて行く…
いかがでしたか?
因みにレミリア達はこの後お母さんにがっつり怒られました。無理させるなと。
因みに次の投稿は新作品の予定です。分かる人は分かります。
ヒントは私が東方の他に好きなものと、もうすぐ8月15日って事です。
では次回もお楽しみに‼︎
追記:今見てみたらお気に入り登録が2件…!ありがとうございます、ありがとうございます…!これからも精進してまいります…!
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家族を思う そして暗雲
「主?何故ここまで遅くなりました?今回も短いですわよね?時間は掛からない筈ですが?」
出だしが思いつかなかったんです、許して下さい‼︎しかも学校始まったし2週間後に期末テスト、更にその2週間後に部活の大会で多忙なんです!多分ここしばらくは書けなくなる可能性大です。
「…まぁ、学生の本分は勉強ですしね。頑張って下さいな、主?」
はい!頑張ります‼︎それじゃ、第5話です。
「楽しんで行って下さいね。」
SIDE アイリス
私はアイリス・スカーレット。現当主のワイザック・スカーレットの妻で、レミリア・スカーレットとフランドール・スカーレットの母親。そんな私の前に…
ーー花瓶を頭に被って、水浸しの夫がいるのですがどうしたらいいでしょう?
「…ザック?」
「…レミリアとフランだ。」
「やった‼︎作戦成功だよ、お姉様!」
「恨むなら私達のおやつを食べた自分を恨んでね‼︎」
「…ザック?」
「…昨日間違って食べてしまったんだ。謝ったんだが…まだ許してくれてなかったらしい。」
「…はぁ…。」
ーーはい、これが私の夫でスカーレット家の現当主なんです。信じられないかもしれませんが…。
どうやら罠を仕掛けたらしいです。扉を開けると花瓶が落ちてくる仕組みらしいです。まさか私の部屋の扉に仕掛けるとは…。なんでもザックのみに被害がいくようにタイミングを昨日から計っていたみたいなんです。
ーーなんでその行動力とアイディアを勉強に使えないんでしょうかねぇ…?
「すまなかったレミリア、フラン‼︎代わりと言ってはなんだが、今度高めの砂糖菓子を買ってくる!これで許してくれ!」
『本当⁉︎やった〜‼︎お父様大好き〜‼︎』
「そうかそうか‼︎俺もお前達が大好きだぞ〜‼︎」
抱き締められている二人がニヤッとしました。
ーーこの二人、狙ってましたね?
そしてそれに気が付かない我が夫
ーー親バカ過ぎでしょう?
などと考えていましたが
「勿論、アイリスは愛しているがな‼︎」
なんて言われて気分が良くなる私も大概ですね♪
ーーさてさて今日はどんな1日になるでしょうかねぇ?
SIDE ワイザック
俺はワイザック・スカーレット。スカーレット家の当主だ。そんな俺は今現在
ーー
何せスカーレット家は一二を争う大貴族。その上今回の立食パーティーは多くの貴族が集まる。あちらこちらで探り合い、見定め、少しでも力を付けようと画策している。仲良く会話をしているテーブルの下で足を踏み合うような関係が殆どだ。かく言う俺もーー
「あぁ、スカーレット伯爵‼︎先日は身のあるお話し合いでしたねぇ!」
「これはこれは、グラゴス殿…!ええ中々に有意義な時を過ごさせて頂きました。」
本当にあんたの事が良く分かったぞ、クズ。お前が金と女と吸血にしか興味がない事が十分分かった。そんな輩が我がスカーレット家と付き合えると思ったか、下衆。…と言う気持ちをグッと堪えて談笑する。
「どうです?取引の件は考えて頂きましたか?中々に良い品質の物が揃っていましたでしょう?」
「…この様な場所で取引を行うのはマナー違反だと存じますが?グラゴス殿はマナー違反を犯してでも話をしたいと思っているのですねぇ?嬉しい事です。」
ここぞとばかりに皮肉る事が楽しくて仕方ない。ザマァ!…と言う気持ちを抑えて、あくまで注意の形で皮肉る。意地が悪い?こいつ程度の輩に使う礼儀は無い。
…と言った様な形で会話を交わす。互いに相手の弱みを見つけ合い、媚びを送ったりし合う。全く面倒な事だ。だがそれが俺の仕事だ。力を蓄え、家族達を守る為に戦う。その為にこの見極めの機会は必要なのだ。イラつく事はあれど、やめる事は無いだろう。
ーーただ…レミリアには悪い事をしたと思っている。
あの娘は長女だ。だから幼くともこの様なパーティーに出なくてはいけない事も多くある。ただでさえ胸糞の悪くなる様なパーティー…しかも皆が『スカーレット家の長女』としてレミリアを見る。
ーー真っ黒な視線。ピリピリした空気。気を緩めれば直ぐに付け込まれる。
幾ら長女で後に当主となる娘でも、幼い娘にとってなんと恐ろしい場所に居させていると思う。そして極限状態の中で威厳ある態度を崩そうとしない娘に罪悪感と敬意を持っている。本当に俺には勿体無い娘だ。
(レミリアーー許してくれ。馬鹿な俺が出来るのは、付け込まれない様にする為の術を教える事。そして甘えさせる事だけだ。)
他の家の子供達の中で堂々としているレミリアを見ながら思わずついた溜息に、近くにいたアイリスがそっと囁く。
「今日は皆で寝ましょう?レミリアとフランを真ん中にして、抱き締めながら…。」
ーー本当に俺は恵まれているな。こんなに美しく、賢い妻。親の期待や望みに答えてくれる優秀な娘達。信頼の置ける配下…。
(護らなければな、俺が。絶対に家族は俺が守る。)
改めて決意を固めた俺を、窓の外から半月が照らしていた…。
ーーその時に気が付けば良かった。私達を見るあの瞳に。獲物を見つけた蛇のようなあの視線に。ニヤリと弧を描いたあの顔に。
SIDEレミリア
…何か黒く悍ましい者が近づいて来るのが見えた気がした
「…ッ⁉︎」
思わず顔を抑える。が、直ぐに表情を整え辺りを見回す。幸い一瞬だったからか周りに自分の変化は気付かれていない。笑顔を浮かべながら、私は冷や汗をかいていた。
(また…この感覚…最近多いわね。)
そう。最近私は不思議な現象に悩んでいた。日々の生活の中で突然目の前に『何か』が見えるのだ、痛みとともに。ハッキリした映像の様な時もあれば、ボンヤリしたイメージの様なものが見える時もある。まだ両親には気付かれていないが…バレるのも時間の問題だろう。
(能力が開花し始めているのかしら?…それにしても嫌なものを見たわね。何なのかしら、あの恐ろしいもの…)
ーー何かが起きるのかもしれない。何故かそんな予感を感じた。
ルミエラ出すつもりで前書きに出したのに、本編に出てこなかった。ごめんなさい、ルミエラ様。
さて、こっからかなり不定期です。前書きに書きましたが、9月はめっちゃ多忙なんです!なので更新は遅くなります。許して下さい。
それでは次回もお楽しみに!
あ!お気に入り登録、感想、評価受け付けてます。付けて下さると嬉しいです。後もう一つの作品も見てくれると嬉しいです!
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レミリアの苦悩?
『悪ふざけに溢れた前回のあらすじ!』
ワイザック「紅魔館の仲間も娘も妻も世界一ィィィィィィィィ‼︎」
レミリア「クッ…目が疼く!」
お久しぶりです!そしてお待たせしてごめんなさぁぁぁぁぁい‼︎
↑スライディング土下座&号泣
テストが終わる→大会が終わる→またテストがある→またまたテスト
…という無限ループに苦しんでました。
しかも、プロットも消えましたしね‼︎アハハハハハハハハハ‼︎(白目
いやもう本当すみませんでした。(五体投地
それでは今回のお話をどうぞ!
SIDEレミリア
「…つまり、隠し事がバレてお小言を食らった為に旦那様方に会わせる顔が無い…と言う訳ですね?」
「…あそこまで大騒ぎになるとは思わなかったわ。」
「あはは…確かにすごかったですね〜。」
「…随分余裕そうね。」
「他人事ですから。気楽なんですよ。」
「う〜!この悪魔!」
「私は悪魔じゃ有りませんよ〜。ただのしがない門番です。」
「そういう問題じゃな〜い!」
紅魔館の門の前。私は門番の紅 美鈴と話をしていた。話の内容は…昨日の大騒ぎーーつまり能力の開花を隠していた事がバレた後の事だ。
能力の開花が始まり、私は良く不思議な景色を見る事が多くなった。その時に痛みを感じる事から、恐らく暴走の様な物なのだろう。私はお父様達にその事を話していなかった。最近仕事が忙しいらしく、良く真面目な顔で相談し合っているお父様の姿を良く見る様になっていた。ならば、余計な事を考えさせない様にしたいと思い黙っていた…が。
ーー絶対に話していた方が良かった‼︎絶対事前に話した方がここまで大事にならなかった‼︎
…と後悔した。勿論隠していた事を怒られるだろうとは思っていた。それは当たっていた。
ーーでも、全員が大泣きするとは思わなかったっ‼︎
『すまないレミリア!お前に気を使わせて…無理をさせて…!あまつさえ気付かなかったなど…!私は父親失格だ…!』
『いいえ、ザック!そうじゃ有りませんよ!ザックは仕事で忙しかったじゃないですか!あなたの手が届かない所は妻である私の仕事。つまり、気が付かなかった事は私の責任です!』
『お姉様の側にずっと居たのに…!沢山お世話してもらってるのに…!そんなお姉様が苦しんでいたこと知らなくて…ごめんなさい!ごめんなさい…!』
…といった様に大騒ぎ。おまけに…
『どうせ私は病弱で頼りないわよ…!弟子にも直ぐに抜かれる様な役立たずよ…!』
とか言ってパチェは大図書館に閉じこもっちゃったし…!
「本当に美鈴が来なかったら更に酷い事になってたわ…!」
「まぁ、火のついた様な妹様の泣き声が中々止まない時点で異変は分かりましたから…。旦那様方の事ですし、暴走してるかと思ったら案の定でしたねぇ。」
「しかもそのまま謝るタイミング逃しちゃって…。気まずくて気まずくて…!」
「別にそのまま謝ればいいと思いますよ?…私としては問題は他の所な気がします。」
「え?他の所?ただ隠し事したから怒ってると思っていたんだけど…。」
そう言うと思いっきり溜息をつかれる。え?本当に何?分からないんだけど。
「いや、確かにそこも怒ってるとは思いますよ?でも、隠し事の一つ二つは誰にもあると思いますからそこまで怒らないと思います。」
「…でも実際叱られて…。」
「なんて言って叱られましたか?」
「えっと『なんで話さなかった』って…その後で大泣きされて…」
「…旦那様ぁ…何やっているんですかぁ…!その後に言う事があるでしょう、言う事が!」
…なんか妙に落ち込まれた。
「私が考えるにですね、1番言いたかった事は『どうして頼ってくれなかった!』だと思いますよ?」
…ん?どういうこと?そんな事一言も…
「レミリアお嬢様。いつも思っていましたけど、お嬢様は無理をし過ぎです。直ぐに自分1人で解決なさろうとしますよね?…反論は受け付けませんよ?以前頼まれた本を1人で運ぼうとして、押しつぶされかけてましたよね?」
…バレてた。色々と。
「長女だからとか、スカーレット家の娘だからとか色々あるでしょうが…背負い込み過ぎです。…旦那様も奥様も能力を持っています。過去の経験からアドバイスを貰う事も可能でしょう。妹様も『お姉様に恩返しがしたい』と良く仰っているんですよ?『お姉様が当主になったら私が助けるの!』って言って良く特訓したり勉強してるの知ってました?」
「…え?」
「更に付け足すのであれば、パチュリー様が最近新たな魔法を発明したのも知らないんじゃ有りませんか?『今度レミィが来たら自慢してやるわ!』ってかなり嬉しそうだったんですよ?…大方バレない内に能力をコントロールしようとして、部屋に閉じこもってたんでしょう?だから全く知らなかったんじゃ有りませんか?」
「…美鈴の能力って本当に『気を使う程度の能力』なの?千里眼とか読心とかじゃないの?」
「お嬢様が分かりやす過ぎるだけです!私の能力は『気を使う程度の能力』で合ってますよ!」
私ってそんなに分かりやすいかしら…
「…1人で背負い込み過ぎて、疲れてるんですよ。確かにお嬢様はスカーレット家の名を背負う事になります。でも、頼る頼らないとは関係無いと思います。…もう少し周りの力を借りて良いんですよ。皆さんお嬢様の力になれるのを待ってると思います。」
「…私はみんなに迷惑かけたくなかったけど…それじゃダメだった?」
「頑張る事も、自分の力でやろうとする事は良いと思います。でも、だからと言ってそれで無理をしては本末転倒でしょう?…皆さん本当にお嬢様の事を考えています。もっと頼って下さい。」
「そう…よね。無理しちゃいけないわよね。」
「後付け加えるとするなら…まだ10年程度しか生きていない子供の手助けが出来ない程旦那様方は弱く無いです。まだ子供の内に思いっきり依存しちゃっても大丈夫だと思いますよ!」
「…うん、分かった!」
「そうですね!…あぁ、旦那様方は今二人っきりのお散歩タイムだと思うのでパチュリー様の所に行って来たらどうでしょう?きっと妹様と一緒に待ってると思いますよ。」
「…美鈴は優秀ねぇ…。分かったわ、図書館に行ってくる!」
私は大急ぎで紅魔館の中に戻って行った。まず自分の事を謝ろう。それから色んな事を相談して…何だか久しぶりに体が軽い気がする。本当に無理してたのね、反省。私は愛しい妹と親友の元へ駆けて行った。
…急ぎ過ぎてこけそうになったのは内緒だ。かっこ悪い…!
前回出番がなかったルミエラ様回だと思った?残念!美鈴回でした!
…うん、本当ごめんなさいルミエラ様(土下座
ここの話で重要ポジのはずなのに…!というか予想以上にスローペースで見せ場が遠い…!
お詫びに次は出したいです!(オイ
尚、この後はこの話の裏側を書く予定です!どうか気長にお待ち下さい!
それでは、次回もお楽しみに!
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